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鳴「未咲」未咲「恒一」恒一「見崎」
未咲「ぐ、ぅ…!」
未咲(苦しい…! 発作が、誰か…!)ハァハァ
未咲「鳴…助け、て――」スッ
ギュ
未咲(え…? だ、れ?)
恒一「しっかりして! 病院の人呼んだから!」
未咲「あなた…は」
恒一「僕の事はいいから! もう少しで先生達が助けてくれるから、それまで頑張って!」ギュ
未咲(あったかい…)ギュ
――――
恒一「東京から来ました、榊原恒一です。その…よろしく」ペコッ
久保寺「では榊原君はあの席に」
恒一「はい」
鳴「…」ボー
恒一(ミサキ・メイ? 同じクラスだったんだ。僕の事覚えてるかな?)
――――
未咲「もうホント怖かったよー! 今度こそ死んじゃうかと思った」
鳴「手術も成功して、すっかり元気だね」クスクス
未咲「人が通りかかってくれなかったら危なかったよ。あの時は名前も聞けず仕舞いだったけど」
鳴「私もお礼言わなきゃ。未咲を助けてくれた恩人だもの」
未咲「朦朧としてて良く覚えてないんだけど、カッコいい人だったなー。この病院に入院してた人らしくてね、榊原恒一って言う私達と同世代の男の子だって看護婦さんが言ってたよ」
鳴「! 実はね、私のクラスに転校生が来たんだけど――」
――――
鳴「理不尽だと思う?」
恒一「そりゃあね」
鳴「…でも、それで災厄が止まるなら」
恒一「うん。分かってる」
恒一「? この音…」
鳴「…」
未咲「鳴ー!? 居るー?」ガチャ
恒一「あ」
未咲「へ?」
恒一「見崎、もしかして…」
鳴「うん。この娘が未咲」
鳴「未咲。彼が榊原君だよ」
未咲「え?」
恒一「えっと…元気、みたいだね」
未咲「榊原君って…あの時の…」
未咲「そ、そりゃ覚えてるよ! あの時はありがとう! あなたが居なかったら私…」ギュ
恒一「いいよ、そんな。君が助かったのは君が頑張ったからで、僕はたまたまあそこに居ただけだから」
未咲「そんな事ないって! 何かお礼を…」
恒一「うーん…じゃあ友達になってくれないかな?」
未咲「う、うん!」
恒一「よかった。よろしくね」ニコッ
未咲「…っ///」ドキドキ
鳴「…」
未咲「あー今日からしばらくおばさん居ないんでしょ? 退院してから全然逢ってなかったから、顔見せとこうと思ってさ」
鳴「中々会えなかったもんね」
未咲「寂しかったよー。でもまさか男の子と逢引してるなんて思わなかった」
恒一「そんなんじゃ――」
鳴「そんなんじゃないよ。今日はたまたま」
恒一(…何か悲しい)ガーン
鳴「どうしたの?」
恒一「い、いや。なんでもないよ」アハハ
未咲「ねーねー」ギュウ
恒一「へ? な、何で腕に…///」
恒一「で、でも…」チラッ
鳴「…」グヌヌ
恒一(な、何か不機嫌そうだ)
未咲「榊原君…って呼ぶのは鳴と被るしー。恒一って呼んでいい?」ギュ
恒一「い、いいけど…」
恒一「うん」
未咲「こ・う・い・ちー」ギュー
恒一「あ、あの…痛いよ」
未咲「もう。そこは未咲って、呼び返してくれなきゃ」
恒一「み、未咲」
未咲「恒一♪」
恒一「未咲」
未咲「んふふー」スリスリ
鳴「…」
恒一「え? …あ、もうこんな時間。おばあちゃん達心配してるかも」スクッ
未咲「えー。もう帰っちゃうの?」
恒一「何時でも会えるじゃない」
未咲「…じゃあまた明日」
恒一「うん。じゃあ明日ね」ニコッ
未咲「///」
恒一「わっ」
未咲「それなら私も――」
鳴「お留守番よろしくね?」ジロッ
未咲「…ハイ」
恒一(な、なんだろう…。さっきから見崎、機嫌悪そうっていうか…)
鳴「…榊原君」
恒一「な、何?」
恒一(も、もしかして…嫉妬されてるとか? うへへ…見崎ってば可愛いとこあるじゃ――)
鳴「未咲は、渡さないから」キッ
恒一「…うん?」
恒一「見崎? えっと…」
鳴「明日からはライバルだね」
恒一「」
鳴「じゃ、明日からよろしくね。さ・か・き・ば・ら・君」タタタッ
恒一(…嫉妬の方向が、逆だった)
恒一(…昨日は全く寝れなかった)
鳴「おはよう榊原君」ポンッ
恒一「うひゃっ!?」ビクッ
鳴「? どうしたの?」
恒一「い、いや、何でもない」
鳴「どう? いないものの感想は」モギュモギュ
恒一「あんまりいい気分じゃない…かな?」
鳴「だよね。でも我慢しなきゃ」ムシャムシャ
恒一「…見崎は強いね」
鳴「そう?」ゴックン
恒一(いつも通りだな…昨日のって聞き間違いだったり?)
恒一「食べる?」ヒョイ
鳴「あーん」
恒一「!? あ、あーん///」
鳴「うまうま」モグモグ
鳴「うん。もっと」アーン
恒一(嫌われては…いないよね。きっと)アーン
鳴「これ榊原君が作ったの?」モグモグ
恒一「うん。前の学校で料理研究部だったんだ」
鳴「ふぅん」ウマウマ
鳴「レトルトぐらいかな。あ、未咲は上手だよ」
恒一「へぇ。食べてみたいな」
鳴「…」
恒一(あ、あれ?)
恒一「え、あ、はい…」
鳴「分かってるよね? ライバルだからね」ゴックン
恒一「あの…別に僕は――」
鳴「榊原君に未咲は渡さない」キリッ
恒一「…はい」ショボーン
未咲「あっ! お帰りー!」ダキッ
恒一「うわっ!?」
未咲「恒一おかえりー! 待ってたよー!」ギュ
恒一「あ、はは…」チラッ
鳴「…」ジー
恒一(どうしろって言うんだよ…)ハァー
鳴「ただいま。未咲、離れた方がいいよ。榊原君迷惑そうだし」
未咲「えー。迷惑なの?」
恒一「へ? あ、それは…」
未咲「ぐすん」ウルウル
恒一「…迷惑じゃ、ないよ?」ニコッ
未咲「へへー」ギュー
未咲「ほーらね。恒一だって私とこうするの好きって言ってるもん」
恒一「言ってないよ!?」
鳴「榊原君のえっち」
未咲「ぬふふー。嫉妬かなー?」
恒一「話聞いてよ…」
恒一「読書かな? あと料理も好きだよ」
未咲「へー! 私も料理得意だよ!」
恒一「見崎が言ってたよ。未咲の料理はとっても美味しいって」
未咲「恒一にも食べさせてあげる。恒一も作ってくれる?」
恒一「うん。楽しみにしてるよ」
キャッキャウフフ
鳴「むぅ…」
未咲「ん?」
鳴「今日の晩ご飯、私が作るから食べて?」
未咲「ホント? 食べる食べる」
鳴「…」ドヤァ
恒一(何故僕を見てドヤ顔を…)
恒一「いいの?」
鳴「お弁当貰ったから、お腹空いてるでしょ?」
恒一「じゃあ遠慮なく」
鳴「うん」
恒一(帰れって言われるかと思った…)ホッ
鳴「え?」
未咲「鳴だけにいい格好させないからね!」
鳴「…」ムムム
恒一「はは…」
恒一「おぉ…凄いね。美味しそうだ」
未咲「でしょ? 気合入れちゃった」エヘヘ
恒一「っ」ドキッ
未咲「どうかした?」
恒一「い、いや? 確かに美味しそうだなーって」アハハ
(な、何で僕、今…)
鳴「いるよ。ちょっと時間かかっちゃった」ドンッ
恒一「唐揚げ?」
未咲「唐揚げだね」
鳴「未咲好きでしょ?」
未咲「好きだけど…量が」
鳴「? 普通じゃない?」
未咲「それは鳴の基準でしょー」
恒一「ま、まぁ頂こうよ。ね?」
未咲「そうだね。んーお腹すいたー!」
鳴「オムライス美味しそう…」ジュルリ
恒一「うん。卵もフワフワでご飯も僕好みだよ」モグモグ
未咲「! よかったー!」ニコッ
鳴「未咲、私の唐揚げどう?」
未咲「おいしーよ!」
鳴「そう。ならいいよ」フフッ
恒一「え?」
未咲「鳴の唐揚げだよー? 食べてみなって」グイッ
恒一「う、うん。あーん」モグモグ
鳴「…」
未咲「どう?」
恒一「凄く美味しいよ。見崎――」
鳴「…」ムスッ
恒一(…泣きたい)
久保寺「んぃえあ”あ”あ”――!」グサッ
キャー ウワー イヤダー
千曳「皆出なさい! 早く!」
恒一「…」
鳴「ダメ、だったみたいね」
恒一「うん…」
恒一「…」
未咲「どうしたの? 元気ないよ恒一」
恒一「ううん。何でもない」
未咲「…無理、しないでね?」
恒一「――うん。ありがとう」ニコッ
鳴「未咲は私が守るから」
未咲「またそれ? まず鳴は自分を守るのが先でしょー? 危なっかしいんだから」
鳴「危なくないよ」ムー
未咲「この前も恒一に助けられてた癖に」ニヤニヤ
鳴「あ、あれはたまたま」
未咲「偶然が10回も続いたらそれって運命だよ? 鳴は恒一に助けられる運命なのだよきっと」
鳴「なにそれ」クスッ
鳴「サボれなくなったのは痛いかな」
恒一「もう…成績とか少しは気にしたら?」
鳴「じゃあ榊原君教えてよ」
恒一「いいけど…授業もちゃんと受けようね」アハハ
鳴「うん」
恒一(二人の時はいいんだけどなー)
未咲「お。来たな我が半身!」
恒一「なにそれ」
未咲「鳴の真似。似てた?」
恒一「うーん…70点かな」
未咲「うわっ。微妙だ。似てると思ったんだけどなー」
恒一「ふふ」
鳴「…」
恒一(三人で集まるとこれだ…)ハァ
恒一「…ん?」プルル
未咲「携帯?」
恒一「うん。ちょっとごめんね」スタスタ
未咲「早く帰って来てねー」
鳴「…ねぇ未咲」
未咲「うん?」
鳴「未咲は、榊原君が好きなの?」
未咲「…うん。好きだよ」
未咲「鳴も好きなんでしょ?」
鳴「私? …どうだろ」
未咲「むむ。隠し事とは生意気な」
鳴「隠してないよ。榊原君は友達」
未咲「んー? じゃあ好きな人とかまだ居ないんだ」
鳴「いるよ」
未咲「えぇ!? だ、誰!?」
鳴「未咲」クスッ
未咲「…このー!」コチョコチョ
鳴「きゃっ! ちょ、こんな所で…」
未咲「私をおちょくるなんて10年早いのだー!」
未咲「鳴が悪いの」
鳴「もう。…榊原君、長いね」
未咲「まさか女か!? 私と鳴というものがありながら…!」グヌヌ
鳴(他の女の子…赤沢さんとか綾野さんとか…)ズキッ
鳴「? 何か今――」
未咲「遅ーい! 女か? 女なのか!?」
恒一「違うって。男の友達だよ」
未咲「ほんとにぃ?」
恒一「ホントだって。海に行かないかって言われたんだけど、断っちゃった」
鳴「勅使河原君達?」
恒一「赤沢さん達もね」
未咲「やっぱり女じゃない!」
鳴「何で?」ボソッ
恒一「…未咲のアレが災厄なら、また似たような事が起こるかもしれないからね。流石に部外者を連れて行くわけにもいけないし」コソコソ
鳴「なるほどね…」コソッ
恒一(…あれ? 怒らないの?)
未咲「無視するなー!」
恒一「だから男友達だよ?」
鳴「赤沢さん達もでしょ?」
恒一「それは…その…」
未咲「ぶっちゃけさー。恒一って好きな女の子いるの?」
恒一「へ?」
鳴「…」
恒一「…いるよ」
未咲「ふぅん…」チラッ
鳴「…いるんだ」
恒一「じゃあ逆に聞くけど未咲はいるの?」
未咲「恒一だよ?」
恒一「はいはい」
未咲「むっ。何だその態度は…。最近の恒一は私の扱いがおざなりだよね」
未咲「そうだよ! これは調教の必要がありそうですなぁ…」
恒一「調教って…」
未咲「ぬふふ…」ワキワキ
鳴「未咲、注文は?」
未咲「あ。そだそだ、注文だったね。すいませーん」
恒一(助かった…)
鳴(…なんかモヤモヤする)
恒一「またね」
未咲「鳴もまたね!」
鳴「うん。気を付けて」
未咲「はーい。じゃねー」
恒一「見崎は一人だと危なっかしいからね」
鳴「む…榊原君までそんな事言う」
恒一「怒らないでよ」アハハ
鳴「…ねぇ、榊原君」
恒一「ん?」
鳴「榊原君の好きな人って誰?」
恒一「…何で気付かないの…」ハァー
鳴「?」
恒一「うん?」
鳴「どうかした?」
恒一(まただ…)
恒一「なんでもないよ。好きな人は秘密かな」
鳴「ふぅん」
恒一(僕が好きなのは見崎…でも未咲も、嫌いじゃない)
鳴「まぁいいか。じゃ、気を付けてね」フリフリ
恒一「うん。おやすみ見崎」
恒一(結局、僕は誰が好きなんだろう…)
鳴「行くよ。榊原君は?」
恒一「僕も行くよ。写真はその時でいい?」
鳴「うん。大丈夫。それよりね、未咲がしばらく会えないなら三人でどこか行こうって」
恒一「夏休みだもんね。いいよ」
鳴「良かった。行き先決まったら連絡するね」
恒一「了解。――お互い気を付けようね」
鳴「…そうね」
――――
未咲「やった! いい加減落としてやるぜ」
鳴「…ね。未咲は、私と榊原君。どっちが好き?」
未咲「どしたのいきなり」
鳴「どっち?」
未咲「うーん…どっちも大好きだよ」ニコッ
鳴「そっか」
未咲「鳴は? 私と恒一どっちが好き?」
鳴「…わからないな」
未咲「…もう。いい加減自覚しなよ」ハァー
――――
恒一「遊園地かな。でも二人の好きな方でいいよ」
未咲「大丈夫。私も鳴も遊園地派だから」
恒一「そうなんだ。未咲はともかく、鳴は意外だな」
未咲「それどういう意味かな?」
恒一「じゃ、じゃあ楽しみにしてるよ! ばいばい!」ブツッ
未咲「あ! 逃げるなコラー!」
――――
恒一「はいはい」
未咲「むぅ…最近恒一反応が悪いなぁ。可愛くなーい」
恒一「毎日逢う度に抱きつかれたら慣れもするって」
未咲「ぐぬぬ。ならば…鳴!」
鳴「? 何?」
未咲「恒一に熱い抱擁をお見舞いしてやれ!」
恒一「なっ!?」
未咲「鳴になら特別に許します」
鳴「榊原君も、嫌じゃないの?」
恒一「い…嫌なわけない、よ」
鳴「…そうなんだ」ドキッ
未咲「はいはい良い雰囲気になってないで早くする!」ドンッ
鳴「きゃっ」フラッ
鳴「あ…」
恒一「えっと…」
鳴(榊原君の顔…近い)ドキドキ
恒一(見崎、顔赤い。多分、僕も…)ドキドキ
未咲(うひひ…)コソコソ
鳴(ドキドキする。なんでだろ…)
恒一(…好きだ。見崎)
恒一「うわぁ!?」
鳴「未咲!?」
未咲「二人で盛り上がってずるい! 私も恒一に見つめて欲しい!」グイッ
恒一「うっ」
未咲「ほーら」ジッ
恒一「…」ジッ
恒一「ない、けど」ドキドキ
未咲「私もなんだ。…してみようか」
恒一「え?」
未咲「んっ」スッ
恒一(眼瞑って…これってそういう事、だよね?)ドキドキ
未咲(さぁ来い!)ドキドキ
恒一(ヤバい…僕、未咲も好きだ)ドキドキ
鳴「…」ツネリ
未咲「へ?」パチクリ
恒一「み、見崎痛いよ」
鳴「なにが?」ギュー
恒一「お尻抓ってるのがだよ!」
鳴「な・に・が?」ギュウ
恒一(うう…最近はこういうのも無かったのに…)シクシク
未咲「…ちぇ」
鳴「うん。ご飯は店屋物でいいよね?」
未咲「作るの面倒だしね。私はいいよ」
恒一「僕も――そうだ。僕作ろうか?」
鳴「え?」
未咲「マジで?」
恒一「この前ごちそうしてもらったしね。未咲とも約束してたし」
未咲「やった! 私ハンバーグ食べたい!」
鳴「…卵焼き。甘いの」
恒一「好きだもんね。一杯作るよ」ナデ
鳴「うん」ニコッ
未咲「よーし! 買出し行こう買出し!」グイッ
恒一「分かってるから、引っ張らないでよ」ハハ
未咲「早く早く!」
恒一「もう…。ほら見崎、行こう」スッ
鳴「…うん」ギュ
未咲「はーい。…おお、美味しそう」ゴクリ
鳴「じゅるり」
恒一「口に合えばいいけど」
未咲「いっただきまーす!」モグモグ
鳴「いただきます」モッシャモッシャ
未咲・鳴「うまー」
恒一「良かった。デザートもあるからね」
恒一「普通逆じゃないの?」
未咲「それって俺の嫁になれって事?」ニヤニヤ
恒一「だったら?」
未咲「ほえ?」
鳴「…え」ピタッ
未咲「え、え? いいの?」
恒一「…冗談だよ。いつものお返し」クスッ
未咲「ぶっ飛ばすぞ!」ムキー
鳴(よかった…)ホッ
未咲「うん。おばさん帰って来るから、明日の朝イチで帰るんだけどね」
恒一「でも何でそんなに霧果さんは…」
未咲「ごめん。それは鳴から聞いて? 私が話していいことじゃないから」ギュ
恒一「未咲?」
未咲「…恒一、好きだよ」
未咲「ごまかさないでよ。いい加減怒るよ」
恒一「…」
未咲「返事は、今度で良いから。遊園地行く時に、ね?」
恒一「――うん」ギュ
未咲(鳴に悪い事しちゃったかな…でも…)
鳴「お風呂上がったけど…」ペタペタ
恒一・未咲「!」バッ
鳴「?」
鳴「わかってるよ。榊原君こそ、寝坊しないように」
恒一「朝迎えに来るから」
鳴「うん…」
恒一「? どうかした?」
鳴「あのね、聞いて欲しい事があるの。明日、言うから。聞いてくれる?」
鳴「未咲にも、きちんと話した事はないんだけどね。この眼のこと」スッ
恒一(ですよねー)ガックリ
鳴「それじゃあおやすみ」フリフリ
恒一「おやすみ」バイバイ
恒一(やっぱハッキリ言わなくちゃダメか。でも未咲が…あぁあああ…どうしよう)
鳴「なに?」
未咲「私ね、恒一が好き。大好き」
鳴「…うん」
未咲「でもね。鳴も同じぐらい好き」ギュ
鳴「私も好きだよ」ギュ
未咲「…もし、恒一が鳴を好きって言ったら、どうする?」
鳴「え?」ドキ
未咲「も、もう寝るね。ごめん」
鳴「あ…」
鳴(未咲は榊原君が好き。私は未咲を榊原君に取られたくなくって…じゃあ榊原君は? 榊原君の好きな人って…誰? 未咲? 私? それとも――)
未咲「あー…二人は今頃合宿かー。私も行きたかったなぁー」
未咲「まっ。帰って来たら遊園地だし。こ、告白の返事も、あるし…///」
未咲「うわああああ! 今更恥ずかしくなってきた!」ゴロゴロ
オイウルサイゾー
未咲「っとと。落ち着け落ち着け」フー
未咲「こうなったらなるようになれだ。…暇だなー」ゴロゴロ
杉浦『殺せぇえええええええ!』
シシャヲシニ シシャ ミサキヲ
鳴「っ」
恒一「違う!」
鳴「榊原君…」
恒一「見崎じゃない! 見崎は生きてる! 生きてここに居る!」
鳴「…」ギュ
恒一「見崎…」
鳴「行きましょ」
恒一「――うん」ギュ
恒一「…僕がやる」スッ
怜子「恒一くん!? 何を…」
恒一(僕は見崎を、信じる。だからごめん怜子さん。…おかあさん)
ドスッ
恒一「…ぐっ」
鳴「! 榊原君!?」
恒一(肺が…っ! また、か…!)ドサッ
鳴「榊原君!? しっかりして! 榊原君!」ポロポロ
恒一(あー…駄目だ。苦しい…意識が、消えt――)
――――
未咲「恒一!」バーン
鳴「…未咲」
未咲「鳴! 恒一が倒れたって…!」
鳴「どうしよう…榊原君、どうしよう…」オロオロ
未咲「しっかりして! 恒一は無事なの!?」
鳴「ぐすっ…」コクリ
未咲「…よかったぁ」ホッ
鳴「私が、悪いの…。榊原君、怪我もして…」
未咲「…とりあえず落ち着いてよ。その後、ゆっくりでいいから説明して?」
鳴「…うん」グスッ
鳴「4月に未咲が危なかったのも、多分災厄だと思う」
未咲「あー…なるほどね。で? 鳴は大丈夫なの? 怪我とか…」
鳴「少し打撲があるぐらいで平気。…榊原君が、守ってくれたから」
未咲「…恒一、意外と頑丈だから大丈夫だよ。すぐに起きて、笑ってくれるよ。ね?」ギュ
鳴「…うん、うん」ギュウ
鳴「…うん」クスッ
未咲「よし! 手術終わったらお見舞い行かなきゃね。遊園地はおあずけかー」
鳴「榊原君が良くなれば、いつでも行けるじゃない」
未咲「そうなんだけどねー…」アハハ
鳴「?」
未咲「…あのね、鳴。実は私、恒一に告白したんだ」
未咲「それで、遊園地で答えを――ってね」
鳴「…そうなんだ」
未咲「鳴は、どう?」
鳴「なにが?」
未咲「恒一の事。まだ友達? それでいい?」
鳴「…」
未咲「ごめんね…こんな時に。でも、ちゃんと考えて、素直に伝えた方がいいよ」
「じゃ、私戻るね。また」タタタ
鳴「素直、に…」
未咲「お、お邪魔しまーす」ソローリ
恒一「あ。久しぶり」
未咲「起きてたんだ。大丈夫?」
恒一「うん。手術も成功して、すぐに退院できるってさ」
未咲「そ、そうなんだ。本読んでたの?」
恒一「未咲も読む?」
未咲「またホラーでしょ? パス」
恒一「面白いんだけどなぁ…」
未咲「…うん。鳴、恒一の顔も見たくないってさ」
恒一「…傷付くよ?」
未咲「ごめんごめん。何か考え事してるらしくてさ。明日は連れて来るから」
恒一「無理しないでいいよ」ハハ
未咲「…無理してるのは恒一でしょ」ボソッ
恒一「え?」
恒一「ぐぇ!?」
未咲「恒一が死んだら…私…」グスッ
恒一「(痛ってぇ)未咲…」
未咲「倒れたって聞いた時、心臓が止まりそうだった。苦しそうな恒一なんて見たくなかった」ギュウ
恒一「…ごめん」
未咲「もうしない?」
未咲「…じゃあ、約束ね」
恒一「うん。約束」
未咲「へへー。駄目だなー私。元気づけるつもりだったのにこれじゃあ逆じゃない」
恒一「僕は未咲が来てくれただけで嬉しいよ」ニコッ
未咲「も、もうコイツめー///」バンバン
恒一「痛い痛い!」
未咲「あ、ごめん」タハハ
恒一「もう」
未咲「おはよー」
恒一「おはよ。見崎は?」
未咲「あれ? …ちょっと鳴。何で隠れてるの。ほら、いいから来る」グイッ
鳴「ちょ、待って――あ…」
恒一「…久しぶり。良かった、元気そうで」
鳴「…うん。榊原君も」
鳴「痣もないよ。榊原君が守ってくれたから」
恒一「見崎が隣に居てくれなかったら、僕も全部諦めてたかもしれない」
鳴「でも、私が居たから…」
恒一「見崎。怜子さんの事も、クラスの事も、怪我の事だって君のせいじゃない。だからそんな顔しないで?」
鳴「榊原君は優しいね」ニコッ
恒一「そ、そうかな? そういう風に言われると照れくさいよ」
鳴「余計な事言わないの」
未咲「ぬー。おねーさんぶるなー!」
恒一「あはは」
鳴「ふふ…」
未咲「…ま、二人ともお疲れ様」
鳴「榊原君は忘れたくない? ずっと覚えていたい?」
恒一「…どうだろ」
未咲「さーさー! 湿っぽいのはそれぐらいにして、遊園地の事でも考えようよ!」
恒一「その前に、未咲。今いいかな?」
未咲「あ…えと、うん」
鳴「…私は外した方がいいよね」
鳴「え?」
恒一「僕、ずっと考えてたんだ。好きな人が誰なのか」
未咲「…」
鳴「…」
恒一「正直に言うね。僕の好きな人は――」
鳴「…待って」
恒一「鳴?」
未咲「恒一。聞いてあげて」
鳴「未咲を取られたくない。でも、でも…榊原君を未咲に取られるのも――嫌」
鳴「好きだから…私は、榊原君が、未咲と同じぐらい、好きなの」
鳴「それだけ。言わないまま、榊原君と未咲が付き合うのは嫌だったから言っただけ」
鳴「…ごめんね榊原君。勝手にライバルなんて言って、酷いこと…ぐすっ…して」エグエグ
恒一「見崎」ギュ
鳴「へ?」グスッ
恒一「一回しか言わないから、良く聞いてね」
恒一「ひと目見た時から、ずっと好きでした。僕と付き合ってください」
恒一「ダメ…かな?」
鳴「え? で、でも…」
恒一「ダメ?」
鳴「――っ! だ、駄目じゃない! 私も好き!」
恒一「うん。僕も大好きだよ」ギュウ
未咲「…やったね鳴。おめでとう」ニコッ
鳴「未咲…」
未咲「じゃ、じゃあ私、えと…帰るねっ。若い二人の邪魔になるだろうし? あは、あはは…」ポロポロ
未咲「だ、大丈夫! ほら、私おねぇちゃんだから! こ、今回は…っ…鳴に…」ポロポロ
恒一「待って」ダキッ
未咲「はぇ?」
恒一「まだ未咲に返事してないよ?」
未咲「っ! 放してよ! もう答え出でんじゃん!」
恒一「未咲」ギュウ
恒一「君が好きだ。僕と付き合ってください」
インドなら一夫多妻があるからね
親父がインドへ行ったのは伏線だったってことだ
成る程、そんな解釈が出来るとはお前天才か⁉
鳴「ん?」
恒一「未咲の笑顔が大好きなんだ。僕が辛い時、ずっと励まされてた。いつの間に好きになってた。だから…」
鳴「どういう事なの?」
恒一「考えたって言ったよね?」
鳴「うん」
恒一「…でさ、凄く勝手な答えなんだけどね」
未咲「…」
恒一「鳴も未咲も好きで、どっちかなんて選べないから――」
恒一「どっちも、僕の女にしようと思ったんだ」
未咲「オンナ…」ドキドキ
恒一「あ。その、そこは聞き流して! とにかく、二人とも幸せにしたいって、そう…思ったんだ」
鳴「…」
未咲「あの…と、とりあえず放してくれる、カナ? は、恥ずかしいって言うか…///」
恒一「う、うん」
未咲「まぁ、凄い事言われたって言うか…」アハハ
鳴「正直…私はいいと思う」
未咲「マジ?」
鳴「それなら未咲とずっと一緒って事だし」
未咲「でも…」
未咲「…そりゃあ、私だって」
鳴「榊原君、意外と逞しいから。二人とも愛してくれるよ?」
未咲「くっ…なんだよその余裕! あーもー! 恒一!」
恒一「はい」
未咲「大好き!」ダキッ
恒一「うん。僕もだよ」
鳴「私は?」ダキッ
恒一「鳴も大好き」
未咲「私も鳴が好き!」
鳴「私も」
恒一「絶対、二人とも幸せにするから」ギュ
鳴「当然」
未咲「絶対に絶対だよ?」
鳴「まずは遊園地ね。そこで榊原君のテストです」
恒一「落ちたら?」
未咲「それは…ねぇ?」ニヤニヤ
鳴「ふふ。霧果特性の調教セットがある」
未咲「覚悟しといてね?」
恒一「う、うん」
鳴「…絶対放さないから」ギュ
未咲「もう逃がさないよー」ギュ
恒一「僕も、ずっと一緒だから」ギュウ
鳴・未咲「――大好き!」ニコッ
恒一「へぇ…意外とちっちゃいんだね」キョロキョロ
未咲「でも楽しいよ! えっとまずはー…」ギュ
鳴「ちょっと未咲。独り占めは相手の同意を得てからだよ。今日はデートなんだから」ギュ
恒一(なんて言って鳴も腕にしがみついてる…)
未咲「はーい」ギュウ
鳴「もう…」ギュウ
恒一「とりあえず適当に歩こうよ。ね?」
鳴・未咲「うん!」
恒一(かわいい…)
未咲「恒一の隣は私!」
鳴「私。これは譲れない」
未咲「鳴が先に告白されてズルイ! だから今日は私!」
鳴「未咲だって先に告白した。だから今日は私」
未咲「私の方がおねぇさんなんだぞー!」
鳴「先に生まれた方がおねぇさん。未咲は妹」
未咲「ぐぬぬ」
鳴「むむ」
係員「あ、あのー…」
恒一「二人並んで座りなよ、もう…」
鳴「もう…危ないよ?」
未咲「落ちそうになったら恒一が助けてくれるもん! ね?」
恒一「え? 何聞こえない」
未咲「おっけーだって! ほら鳴も!」
鳴「ちょ、怖いから…!」
未咲「いーからいーから!」
鳴「ば、ばんざーい///」
未咲「ひゃっほーい!」
恒一(僕もしようかなー)
鳴「後でね。次行きましょ」ギュ
恒一「鳴なんか乗りたいものある?」
鳴「メリーゴーランド」
未咲「おっ。いいねー」ダキッ
恒一「じゃあ行こうか」
恒一「鳴って意外とお転婆だよね」
鳴「そう?」ギュウ
恒一「こうやって馬に乗ってるとお姫様みたいだけどね」
鳴「じゃ、じゃあ榊原君は王子様/// エスコートとか、えと、よろしくね?」
恒一「なんなりと、姫」ギュッ
鳴「♪」
未咲「ぐぬぬ…早く終われー」
恒一「本物じゃないんだから」
未咲「体も治ったし、もっと激しいの乗りたいよー」
恒一「ほら、落ちちゃうから」ギュ
未咲「ふぇ///」
恒一「未咲って攻められると弱いよね」ニヤニヤ
未咲「うぅ…///」スリスリ
恒一「ちょ、ホント落ちちゃうって!」
鳴「まだかな…」モグモグ
未咲「あ! 私あれ! コーヒーカップ乗りたい!」
鳴「私あれ。カート乗りたいな」
未咲「む?」
鳴「ん?」
未咲「カップ」
鳴「カート」
恒一「はいはい。近い方から順番にね」クスクス
未咲「ふぃー。疲れたー」
鳴「もうお昼も過ぎてるしね。ご飯どうしようか」
恒一「お弁当でも持ってくればよかったね。売店で何か買って食べる?」
鳴「うん」
恒一「未咲はー?」
未咲「あっ! 待って待って私も行く!」
恒一「だね。っていうか僕が奢るつもりだったのに」
未咲「そういうのはいーの」ゴックン
鳴「ごちそうさま」ケプ
恒一「早いね」
鳴「少なかった…」
未咲「私達の倍あったじゃない…」
恒一「あはは。デザートでも食べる? アイス売ってたよね? 買って来るよ」
恒一「一つでね?」
未咲「私バニラがいーな。お金は――」ゴソゴソ
恒一「奢るって」
未咲「でも…」
恒一「初デートの記念に、ね?」
未咲「…うん。ありがと」ニコッ
鳴「うーん…チョコが…抹茶も…」ブツブツ
鳴「可愛い、かな?」
未咲「何て言うのかなー? こう、ぎゅーってしたくなる感じ?」
鳴「やっぱり未咲の可愛いは変わってるね」クスッ
未咲「そう?」
鳴「榊原君はどっちかって言うと、カッコいい、って感じだと思うけど」
未咲「ほぅ。ワンモア」ニヤリ
鳴「? だから、榊原君はカッコいいって…あ///」
鳴「は、恥ずかしいから止めて!」
未咲「どっしよっかなー」
鳴「み、未咲のも言うよ?」
未咲「どーぞどーぞ」
鳴「ぐぬぬ」
未咲「にひひ。おねーちゃんは強いのだ」
未咲「恒一! 鳴がカッコいい! 結婚して! だってー」
鳴「ちょ、そこまで言ってない!」
恒一「うん。高校卒業したら一緒に暮らそう?」
鳴「ふぇ?」
恒一「結婚かー。楽しみだね」
未咲「あ、あのー…」
恒一「もちろん未咲もね。幸せにするから」
未咲「は、はい///」
恒一「ほら、アイス食べよ?」
鳴「結婚、結婚…///」
未咲「幸せ…えへへ///」
恒一「おーい…」
恒一「高いね。夜見山が一望できるよ」
鳴「狭い…」ギュウギュウ
未咲「ダイエットしとけばよかった…」ギュウギュウ
恒一「今日は楽しかった?」
鳴「うん」
未咲「すっごく楽しかった! またこようね!」
未咲「そうなの? 意外だ」
恒一「前の学校は男子校だったしね」
鳴「榊原君モテそうなのにね」ギュ
未咲「確かに…正直に言った方がいいよ?」ギュ
恒一「ほ、ホントだって」
未咲「ま、今回は信じてあげよう」
鳴「だね」
恒一「もう…」
恒一「ん?」スッ
チュッ
恒一「!?」
未咲「ん…/// はい。これで恒一は私のね///」
鳴「むっ。榊原君、こっち」グイッ
チュッ
鳴「ん、んぅ…ちゅっちゅ。はい。上書き///」
恒一「」
チュ
鳴「未咲こそ…」
チュ
恒一(ここが天国だったのか…)
未咲「あー楽しかったー! 絶対また行こうね!」ダキッ
恒一「…うん。行こう」
鳴「三人で、ね」ダキッ
恒一「うん。僕と鳴と未咲で」ニコッ
鳴・未咲「ずっとずっと、一緒にね」ニコッ
いつか終わるかもしれない。そんな道を三人で歩いて行く。
幸せのまま、せめて一瞬でも長くと恒一は祈るのであった。
happy☆end
来週はまた鳴ちゃんと恒一君がいちゃつくのでも書くよ
恒一は爆発しろ
乙
おつ
来週も楽しみだな
Entry ⇒ 2012.06.11 | Category ⇒ AnotherSS | Comments (0) | Trackbacks (0)
麻倉葉「魔法少女・・・・・・?」
マミ(少し遅くなっちゃったかしら、家まで近道していったほうがよさそうね)
マミ「確か……この墓地の辺りを通り抜けるとすぐに……」
葉「なあ、何をそんなに急いでるんだ?」
マミ「!」
マミ(何……この人、こんな墓地で何してるの?)
マミ(少し遅くなっちゃったかしら、家まで近道していったほうがよさそうね)
マミ「確か……この墓地の辺りを通り抜けるとすぐに……」
葉「なあ、何をそんなに急いでるんだ?」
マミ「!」
マミ(何……この人、こんな墓地で何してるの?)
マミ「……もう夜も遅いから、早く家へ帰ろうと思ってただけよ」
葉「そっか、悪いことしたな」
マミ「あなたこそ、こんな時間にこんなところでなにをしているのかしら?」
葉「オイラは……んー、何もしてねえ。ぼーっと星を眺めてた」
マミ「ほ、星……?」
葉「お前も見てったらどうだ?慌てて走ってもいいことねえぞ」
マミ「……ごめんなさい、ちょっと急いでるの」
マミ(変な人……あんまり関わるべきじゃないわね)
マミ(何だったのかしら……昨日の人)
教師「今日は皆さんにお知らせです、前々から言っていたこの学校に体験入学してくる人のことですが……」
教師「一人が私たちのクラスに入ることになりました、私から紹介しますね」
マミ(あんな人、今まで見たことなかったし……年は私と同じくらいだったけれど……)
教師「じゃあ麻倉くん、入ってください」
葉「…………」
教師「出雲出身の麻倉葉くんです、体験入学なので短い期間ですが仲良くしてくださいね」
マミ「あ、あなた!」
教師「どうしました、巴さん?もしかして知り合いですか?」
マミ「昨日の夜に家の近くにある墓地で……」
葉「…………」
葉「そんなとこ、オイラ行ったことねえ、多分初めましてだと思うぞ」
マミ「なっ……!?」
マミ「…………」
マミ(あの転校生、転校初日から全部寝てたわね……にしても)
マミ「昨日会ったのは間違いなく彼なはず……見間違いなわけもないし」
マミ「…………」
マミ「…………よし」
マミ「…………」
マミ(よし……って、何で後を尾行してるの?これじゃ完全にストーカーじゃない……)
葉「ああ……やっぱりボブはいいな……」
マミ「…………」
マミ(何やってるのかしら私……もういいわ、早く帰っ……)
『助けて、マミ!』
マミ「!」
マミ(キュゥべえの声……?)
葉「この新曲欲しいなぁ……けど無駄遣いしたら……いや、でもCD一枚くらいなら……」
「ダメよ」
少年は、自分の背後から聞こえてきたその声に、全身が凍りつくのを実感した。
葉「…………」
アンナ「アンタ、正門前で落ち合うって言ってたのに何勝手に帰ってるのかしら?」
葉「……すまん」
アンナ「謝りなさい」
葉「…………すまん」
アンナ「挙句の果てにはあたしの許可なしで無駄遣いをしようとしてたわね?」
葉「…………心から、すまん」
アンナ「アンタ、これから二週間おやつ抜きよ」
葉「…………うい」
「さて……じゃ、行くわよ」
葉「やっぱ、感じるか……」
アンナ「当たり前でしょ、この妙な気配……気づかないほうがどうかしてるわ」
アンナ「……まったく、面倒なことになったわね」
葉「心配すんな、なんとかなるって」
魔女結界内
マミ「キュゥべえを助けてくれたのね、ありがとう」
まどか「いえ……でも、これって一体どうなってるんですか?私たち、急に変な所へ……」
マミ「そうね、色々と訊きたいことはあるでしょうけれど……ちょっと一仕事片付けていいかしら」
さやか(へ、変身した……!?)
マミ「さあ、行くわよ」
マミ「……よし、終わったわ」
まどか「あ……元の場所に戻った……!」
さやか「助けてくれてありがとうございます、えと……」
マミ「私は巴マミ、見滝原中学校の三年生よ。ちょっと待ってね、キュゥべえの治療を……」
ほむら「そいつから離れて」
さやか「あっ……!」
まどか「ほ、ほむらちゃん!」
ほむら「…………」
マミ「事情は分からないけれど退きなさい、無駄な争いはしたくないでしょう?」
ほむら「…………」
葉「あれ、何かもう終わっちまってるみてぇだな」
マミ・ほむら「!?」
葉「よっ、また会ったな」
マミ「また会ったな、って……あなた、学校じゃ初めて会ったみたいなことを……」
葉「だって何か気味悪いだろ?夜中に墓地でぼーっとしてる奴なんて……オイラ、面倒事が嫌いなんよ」
マミ「……そっちの人は?」
アンナ「…………」
葉「ああ、オイラと一緒にこっちに来てるアンナだ」
マミ(二人の転校生のもう一人ってことね)
アンナ「あたしに命令しないで、暁美ほむら」
ほむら「!」
ほむら(どうして私のフルネームを……!?)
葉「よくわかんねえけど、喧嘩はよくねえぞ。オイラ達は別にここで何かしようってわけじゃねえさ」
葉「とりあえず、今ここで何があったか教えてほしいんよ」
マミ「あなたたちは部外者だけれど……状況が状況だから仕方ないわね」
マミ「場所を変えましょうか……暁美さん、もう一度言うけれどここは退きなさい」
ほむら「…………」
マミ宅
マミ「さて、それじゃあ色々と話すけれど……信じるかどうかはあなたたちに任せるわ」
マミは魔法少女のこと、魔女のこと、契約のこと、キュゥべえのこと、それらを端的に説明する。
一通りの説明が終わった後
まどか「信じられないけれど……本当なんですね、今の話」
マミ「ごめんなさい、やっぱり信じられないわね」
さやか「でも、あたしたち実際に見ちゃったし……」
まどかとさやかは信じられない気持ちもあるが実体験のあるため信じざるを得ないと言った反応。
これはマミが予想していたものからそう遠くないものであった。
が、マミが気になっていたのは残る二人。
葉「…………」
アンナ「…………」
マミ「二人はどうかしら?その反応を見るからには信用できないと思っているみたいだけれど」
アンナ「……さっきアンタの言ってたソウルジェムっていうの、見せなさい」
マミ「え、ええ……いいけれど」
壊さないようにね、と付け加えて彼女はソウルジェムを手渡した。
葉はマミから受け取ったソウルジェムを手に取るなり
葉「……やっぱ、そういうことなんか」
アンナ「…………想像以上に面倒なことになったわね」
マミ「…………?」
さやか「あたしも、まだちょっと驚いてるけど……助けてもらったのは事実だし」
マミ「そう、ありがとう……えっと、葉くんとアンナさんは……」
葉「ああ、オイラ達も何というか……」
アンナ「信じるわ」
マミ「え?」
アンナ「アンタの言うことは信じるって言ってるの」
マミ「ど、どうも……」
さやか(な、何かこのアンナって人……ずっと思ってたけどすげー怖い)
まどか(一緒にいる葉さんはすごく人当たりが良さそうなのに……)
キュゥべえ「改めてお礼を言わせてよ、二人とも助けてくれてありがとう!」
まどか「い、いいよお礼なんか……!」
キュゥべえ「そして……君たち二人、いや……そっちの彼女を含めれば三人かな」
アンナ「…………」
キュゥべえ「三人とも魔法少女になれるだけの素質があるみたいだ」
キュゥべえ「契約すればどんな願いでも一つだけ叶えてあげられるよ、だから」
キュゥべえ「僕と契約して魔法少女になってよ!」
さやか「急に言われても……ねえ?」
アンナ「嫌よ、めんどくさい」
さやか(一人だけ刹那で断った!?)
キュゥべえ「?」
アンナ「あたしたちはそこの金髪の話は概ね信じるけれど、アンタを信用するとは言ってないわ」
マミ「きょ……恐山さん、キュゥべえは良い子よ?それに私の話もほとんどキュゥべえから教えてもらったものだし」
アンナ「…………」
アンナ「見えないのよ、ソイツ……覆われてるとかぼやけるとかそういう次元でなく」
マミ「え……?」
アンナ「まるで、心なんか存在してないみたいに……」
マミ「……恐山さん?」
マミ「?」
アンナ「そんな耳から生えてる毛が伸びてるウサギ、気持ち悪いじゃない」
キュゥべえ「…………」
マミ「…………」
さやか(よくわからないけど色々と間違ってると思う)
まどか(それ……単純にキュゥべえが嫌いなだけな気もするけど)
葉(まん太がここにいたらアイツ何て突っ込むかな)
キュゥべえ「何か気に障ることをしたかい?だったら心から謝るよ」
アンナ「心から……そうやって今まで、どれだけの人間を騙してきたのかしら」
キュゥべえ「君がなぜ僕を嫌っているかはわからないけれど、契約したくないのなら僕はそれを強いるつもりはない」
キュゥべえ「ただ忘れないで、君たち三人には魔法少女になる才能があることを」
キュゥべえ「そしていつでも僕と契約して魔法少女になれることを」
マミ「男の子の麻倉さんはやっぱりなれないのね?」
キュゥべえ「素質はとても感じるんだけれど……根底となる性別が不適合だからね」
葉「別にオイラはそんなのしようとも思わねえさ」
まどか「もし……魔女を見つけたらどうすればいいんですか?」
マミ「近づかないことね、そして私にすぐ連絡すること」
さやか「キュゥべえの願いって言うのは……ホントに何でも叶うんですか?」
キュゥべえ「もちろんだよ、それは僕が保証する」
さやか「自分じゃなくて、他人に何かしてあげることでも?」
キュゥべえ「容易いことさ!」
さやか「そっか……」
マミ「何かしら?」
葉「いや、その魔女ってのは必ず魔法少女が倒さなきゃいけねえのかなって」
マミ「どういうことかしら?」
アンナ「魔法少女とかいう契約を結んでない人間が魔女を倒したら何か不都合があるかっていうことよ」
葉「うん、まあそういうことだな」
マミ「……危険すぎるし、素人に魔女を倒すことなんてまず不可能よ。絶対にそんなことは…」
アンナ「不都合があるか聞いたのよ、倒せるかどうかなんて聞いてないわ」
マミ「それは別段……倒した後に出てくるグリーフシードの扱いくらいじゃないかしら」
マミ「そうね、そこまでたくさんは必要ないけれど最低限は……」
葉「おお!じゃあそのグリーフシードってのをあとでちゃんとマミに渡せばいいんだろ?」
マミ「……分かってると思うけれど絶対に戦おうなんて思わないことね」
アンナ「それはあたしたちが決めることよ」
マミ「…………大丈夫かしら、ホントに」
まどか(ダメだと思う)
さやか(うん、絶対ダメだと思う)
葉「はー……世界にはよくわからんことがまだまだあるんだなあ」
アンナ「アンタは学校で習う数式も分かってないでしょ」
葉「それを言うなよ」
アンナ「それより、これからどうすんの」
葉「状況は思ってたよりも結構ヤバそうだ、オイラ達で何とかするしかねえ」
アンナ「あの耳毛ウサギ、ヤバいわよ」
葉(耳毛ウサギ……)
アンナ「力がどうとかじゃない、生き物でも霊でもないみたいな……よくわからない何かよ」
葉「……ああ、それもなんとなくわかる」
アンナ「何よ」
葉「耳毛ウサギってセンスはさすがにどうかと思うぞ」
パーンッッッ!!
葉「おお!確か昨日会った……マミとかと仲直りできたか?」ヒリヒリ
ほむら「むしろあなたのほうが誰かと喧嘩してひっぱたかれた跡があるけれど!?」
葉「ウェッヘッヘッ、これくらいいつものことだから気にすんな」
アンナ「何の用かしら、世間話をするために来たわけじゃないんでしょ?」
ほむら「少し、あなたたちに釘を刺しにね」
葉「どうしよう……やっぱすげえ痛ぇ」ヒリヒリ
ほむら(ユルイ……緊張感が……)
ほむら「そして、なぜあなたが私のことを知っていたのかもね」
アンナ「…………」
ほむら「でも……これ以上、この問題に関わってきてほしくないのよ」
アンナ「あら、心配してくれてるのかしら?」
ほむら「勘違いしないで、余計なイレギュラーが入ってくることを望んでいないだけよ」
ほむら「あなたたちはすべて忘れるべきよ、魔法少女のことも、魔女のことも……全てね」
葉「なあ阿弥陀丸……さっき、オイラそんな本気でぶっ叩かれるようなこと言ったか?」
阿弥陀丸『アンナ殿の幻の左……久々でござったな』
ほむら(後ろのほうで何か独り言を言ってるみたいだけれど気にしない、緊張感が切れる)
ほむら「……何故かしら?」
アンナ「あたしのダンナがアンタたちを助けるって言ってるから」
ほむら「……ダンナ?」
アンナ「アンタの後ろでほっぺた擦ってたそいつよ」
葉「ん?おお、オイラか」
ほむら「え……え?」
ほむら(そ、そういう関係なんだ……でもダンナ……って?)
ほむら「これが目的?それはどういうことかしら……?」
アンナ「…………」
葉「なあ、ほむらだったか?オイラもちょっと聞きたいんよ」
ほむら「……何?」
葉「お前、何で魔法少女なんかやってんだ?」
ほむら「……どういう意味かしら?」
葉「いや、だって普通嫌だろ?毎日死ぬかもしれねえ戦いをするなんて」
葉「マミは仕方ねえ事情があったみてぇだけど」
アンナ「交通事故よ」
葉「細けえなぁ」
ほむら「…………」
ほむら「私としては腫れ上がったあなたの左頬のほうが気になるんだけれど」
葉「おお、大丈夫だぞ。気にするな」
ほむら「…………」
葉「いつ死ぬかわからねえ戦いを続けるなんてのは本当におっかねえことだ」
葉「オイラは楽に生きたいから、よっぽどの理由がない限りそんなことはしたくねえ」
葉「……お前はなんでそんな戦いをすることを選んだんよ?」
ほむら「…………」
葉「言いたくねえなら別に無理せんでもいいぞ、オイラもなんとなく気になっただけだからな」
葉「そっか、わざわざありがとうな」
ほむら「麻倉葉……恐山アンナ……お願いだから、場を乱すようなことだけはしないで」
アンナ「…………」
葉「分からん」
アンナ「数式がでしょ」
葉「いや、アイツが契約した理由ってのが」
アンナ「……あんまり男が女の秘密を覗き見ようとするものじゃないわ」
葉「じゃあアンナ、お前からそれとなく聞い……」
アンナ「嫌よ、そんな面倒なこと」
葉「……だよなぁ」
アンナ「それより……まだなの?」
葉「……おっ、噂をすりゃ来たみてえだ」
阿弥陀丸『葉殿!動きがあったでござる!どうやら魔女とやらは病院に現れたとか!』
葉「病院……阿弥陀丸、案内頼むぞ」
阿弥陀丸『御意!』
病院
マミ「ここね、確かに魔女の気配がするわ」
まどか「結界の中にいるさやかちゃんとキュゥべえ……大丈夫かな……」
マミ『キュゥべえ聞こえる?そっちはどんな状況?』
キュゥべえ『まだ卵は孵化しそうにないけれど、刺激を与えるとマズイかもね』
マミ『そう……なら、魔力は控えめにしてそっちへ向かうわ』
マミ「さあ、じゃあ行きましょう」
まどか「はい!」
まどか「あ……ほ、ほむらちゃん……!」
マミ「……ここに来て、一体何の用かしら?」
ほむら「この先にいる魔女は私が倒す、危険だからあなたたちは下がっていて」
マミ「この先には美樹さんとキュゥべえが待っているのよ?」
ほむら「彼女たちの安全は保障する、だから……」
マミ「つい先日、キュゥべえを傷つけていたあなたが今度はそのキュゥべえを守るですって?」
マミ「悪いけれど、信用できないわね」
ほむら「!」
ほむら(しまった……これは拘束の……!)
マミ「これで少し大人しくしててもらうわ、魔女を倒したらその拘束は解いてあげる」
ほむら「待って!この先の魔女は本当に……!」
マミ「……行きましょう、鹿目さん」
まどか「は、はい……」
ほむら(解けない……このままじゃまた巴マミが……!)
アンナ「なんで忠告をよこしたアンタがこんな風に拘束されてるのよ」
ほむら「あ、あなたたち……!」
葉「せっかく忠告をくれたのにすまん、けど……やっぱオイラたちもほっとくわけにはいかねえんだ」
ほむら「私のことはいい、先へ行った巴マミを止めて!そして私の拘束を解除するように要請して!」
アンナ「……行きなさい、葉。こっちはあたしがやっておくから」
葉「やれそうなのか?」
アンナ「あんた、あたしを誰だと思ってるの」
葉「……だな」
アンナ「ほら、早く行きなさい」
葉「すまん、ここは任せた」
さやか「に、人形みたいだけど……あれが魔女?」
マミ「そうね。悪いけれど一気に決めさせてもらうわよ……」
マミ「ティロ・フィナーレ!」
さやか「やった!さっすがマミさん!」
まどか「良かった……!」
まどか(すごいなマミさん……私もマミさんみたいに誰かを守れるようになれれば……!)
最強の攻撃で魔女を撃ちぬいたことで、マミを含むその場の全員が確信する。
悲劇など起こりうるはずがなかった。
マミ「っ……!?」
撃ち抜かれた魔女の口から今までとはまるで違う何かが現れる。
ピエロのように滑稽な顔をした芋虫とも呼ぶべきそれは牙を剥き出しに巴マミへ襲いかかった。
マミ「あっ……!!」
マミは動かなかった、いや動くことが出来なかった。
湧き上がる死のイメージと恐怖が彼女の体を固めていた。
さやか「どこからか……何かが飛んできて……!」
マミ「…………!」
何かが飛んできた方向へその場の全員が目をやる、そこには
葉「よっ」
刀を構えてユルイ笑顔を浮かべ佇む一人の少年の姿があった。
葉「良かった、まだ誰も死んでねえ」
さやか「今一体何をして……その前に何でここにいるの!?」
葉「すまん、何か今日一悶着あると思ってたからマミに張り憑かせといたんよ」
マミ「な、何を?全然気づかなかったけど……」
葉「そしたら病院で何かあったって聞いて……まあそんな感じでな」
まどか「そんな感じって……」
葉「それと、マミを止めてくれって頼まれたからな」
マミ「頼まれた……?」
葉「マミを止めてくれって、さっきそこで会ったほむらから」
マミ「あ、暁美さんが……?」
葉「多分、分かってたんじゃねえかな。そのまま戦わせたらヤバいって」
マミ「わ、分かったわ……」
葉「よし、じゃあマミの奴が色々とやってる間……」
葉「こっちはこっちでふんばるとするか……阿弥陀丸!」
阿弥陀丸『応ッ!』
葉「ウェッヘッヘッ……何か久々だな、こっちは」
阿弥陀丸『それだけに拙者も昂るでござるよ』
葉「よし……行くぞ!憑依合体!阿弥陀丸!!」
さやか「合体……?」
葉『ふむ……自らが葉殿の刀となるのも良いが、やはり自分で刀を握るも良し』
葉『いざ参る!』
魔女は未だ死んではおらず、自らに傷を負わせた標的めがけて何度も攻撃を仕掛けてくる。
が、それを少年はすべて紙一重の所で回避していく。
葉『ふむ……この感覚、まるで巨大な大蛇と戦っているかのようでござるな。だが……』
葉『既にここは拙者の間合い!』
身にサムライの魂を宿らせた少年は既に大きく鈍っている魔女の動きを見切り
『阿弥陀流!大後光刃!!』
その必殺奥義により、勝負を終わらせた。
アンナ「何を惚けてるのよ、あんた」
ほむら「これは……どういうこと……!」
マミ「暁美さ……どうして!あなたの拘束はまだ解いてなかったのに……」
アンナ「あたしがやったのよ、あんたが遅いから」
マミ「あ……あの拘束は強大な力を持つ魔女でさえ完全に封じるのに?」
アンナ「あたしを舐めないで、あんなの巫力を使った甲縛とほとんど変わらないわ」
アンナ「巫術とは少し勝手が違ったけれど、まあそこまで問題じゃなかったわね」
マミ「……本当に、何者なの……あなたたちは」
アンナ「いいわよ、どうせどこぞの侍が久しぶりの憑依合体で調子に乗ってたんでしょ」
阿弥陀丸『せ、拙者そのようなことは決して……!』
葉「ああ、阿弥陀丸すっげえ嬉しそうだったなあ」
阿弥陀丸『葉殿ォォォォォ!?』
葉「と、まあ良かったな。誰も怪我しねえですんだ」
マミ「……ありがとう、あなたたちがいなかったら今頃どうなってたか分からないわ」
まどか「本当にどうも……助かりました」
さやか「ていうか……刀であの魔女と戦って勝っちゃうってどんだけ凄いの?」
葉「いや、それはオイラが凄いんじゃねえんだ」
さやか「?」
葉「いやアンナ、別にオイラはそんなつもりで助けたわけじゃ……」
アンナ「あんた、ただのボランティア精神で今の世の中で温泉宿なんか経営していけると思ってるの?」
葉「……すまん」
さやか「あの、借りを返すとかそんなんじゃないけど……何か奢るくらいのことは」
葉「オイラ、団子が食いてえなぁ」
まどか「お団子……ですか?」
葉「おお、団子はみんなで食うと旨いんよ」
ほむら「…………」
マミ「…………」
ほむら(魔女を倒したかと思えば直後にこのユルさ……分からない、この麻倉葉が)
マミ(何よりもまず、私は今日のことを反省して感謝しなきゃ……)
それぞれの思いを胸に、この一日は終わりを迎えることとなる。
彼らの胸にある思いは違えど、帰り道に手に握られていたのは等しく同じ団子であった。
葉「……やっぱ言うべき、だよなぁ」
アンナ「何を」
葉「あのソウルジェムってのが何なのか」
アンナ「……どうなるか、分からないわよ」
葉「?」
アンナ「あの子たち、そこまで精神が強いわけじゃないわ……あの金髪の子は特にね」
アンナ「ついこの前、死ぬような戦いをして今そんなことを言われたら……壊れるわよ、確実に」
葉「……だよなぁ」
葉「おお、昨日ぶりだな」
さやか「昼休みに屋上で何やってるんですか?」
葉「えーっと……なあアンナ、オイラ達なにしてるんだ?」
アンナ「アンタが風とお日様が気持ちいいところに行きたいって言うからでしょ」
葉「うん、なんかそんな感じだったみてえだ」
さやか「は、はあ……」
さやか(あの怖いアンナさんも葉さんのお願いとかは聞くんだ……)
さやか「あたしはその……何ていうか考え事をしてて」
葉「考え事?」
さやか「……二人は、もしも魔法みたいに自分の夢が叶うとしたらどうする?」
葉「…………」
さやか「自分の大切な人を、それで助けられるとしたら……二人ならどうする?」
葉「お前……それって」
アンナ「まどろっこしい言い方は止めなさい、あんたはあの耳毛ウサギと契約したいんでしょ」
さやか「…………」
さやか「でも、あたしみたいな人間がそういう人たちの力になれるなら、それってすごく良いことでしょ?」
葉「けど、ただで願いが叶うわけじゃねえぞ。でっかい代償がついてくる」
葉「やったらやり返される、それと似たような感じじゃねえか?」
さやか「それでも……こんなあたしでも誰かの役に立てるなら……」
アンナ「話にならないわね」
さやか「え……?」
アンナ「あたしは『オレが世界を救う』なんて奴はもちろん信用しないし」
アンナ「『やってやるぜ』ってガツガツした熱血マンが大キライ」
アンナ「ましてや誰かのために無償で自分を犠牲に、なんて軽口を叩くような輩なんか言うまでもない」
アンナ「だってそんな奴らに限って己の欲望むき出しで、しかも口先ばっかり」
アンナ「オレが、私がって普段調子の良いこと言ってる割には困難にぶつかるとすぐへこたれる」
さやか「…………」
さやか「あたしは……あたしはそんなこと!」
アンナ「あんた、本当に無償で他人のために何かをするつもりでいるの?本当に、何の見返りも求めてないのかしら?」
さやか「あ……アンナさんだって、葉さんが大変な状態になれば絶対にあたしと同じことを……」
アンナ「しないわ」
さやか「!」
アンナ「仮に葉が危機的状況になったとして、あたしがそれを助けられるとしても、無理に手を伸ばすことはしないわ」
アンナ「だって、葉なら必ずそれを乗り越えられるって信じてるもの」
さやか「…………」
葉「いやぁ……何か照れるな」
阿弥陀丸『愛でござるなぁ』
アンナ「そうね、確かにそうかもしれない。だったらあんたは自分の思うままに行動したらいいわ」
葉「元々オイラ達には無理に止めることなんかできねえしな」
さやか「葉さん……」
葉「ただ何というか、お節介かもしれんが言っておくと……あんま無理しねえほうがいいぞ」
葉「自分の容量を超える無理をしちまったら、自分が自分じゃなくなっちまう……無理ってのは本当によくねえ」
葉「オイラは無理した経験があるからよくわかるんよ」
さやか「…………」
さやか「……もう少し、色々と考えてみる」
葉「おお、それがいいと思うぞ」
病院
さやか「CD……ここに置いとくね」
恭介「…………」
さやか「あの、恭介……」
恭介「さやかは僕を虐めているのかい?」
さやか「え……?」
恭介「何で……指が動かなくなった僕にこんなものを聞かせるんだ!」
さやか「だ、大丈夫だよ!リハビリとかいろいろ頑張れば必ず……!」
恭介「治らないって言われたんだ……バイオリンはもう諦めろって……!」
さやか「!」
恭介「もう……魔法とか奇跡でも存在しない限り僕の指は……!」
さやか「…………」
さやか「あるよ」
恭介「え……?」
さやか「魔法も、奇跡もあるんだよ!」
夜
葉「やっぱ、無理にでも止めておくべきだったかもしれねえな」
アンナ「アンタ、自分で無理はよくないって言ってたでしょ」
葉「うっ……」
アンナ「それに、ここからはもうあの子個人の問題よ……あたしたちが首を突っ込めることじゃない」
葉「……だな、じゃあオイラ達はオイラ達に出来ることでふんばるとするか」
阿弥陀丸『葉殿!』
葉「どうした阿弥陀丸?」
阿弥陀丸『一大事でござる!このままでは多くの者が!!』
アンナ「……ふんばらなきゃいけないこと、出来たみたいね」
葉「みてえだな」
まどか「や、やめて仁美ちゃん!こんなことしないで!」
仁美「あら、どうかなさいました?」
まどか「だって……止めないと!あんなの混ぜちゃ危ないよ!」
仁美「あれは神聖な儀式、素晴らしいところへ旅立つために肉体から離れる儀式ですわ」
まどか「…………!」
まどか(い、いつもの仁美ちゃんじゃない……私が止めさせなきゃ!)
まどかは危険物となったバケツを奪い取ると、それを自分の持てる力すべてを使って表へと放り投げた。
仁美「…………」
まどか「ひ、仁美ちゃん……!」
その瞬間、仁美を含む工場に集まっていた人間が一斉にまどかへ襲いかかった。
狂気と呼ぶにふさわしい表情を浮かべながら。
まどか「ひっ…!」
まどか(どうして……どうして…こんなことになって……!)
そして、気が付けば彼女がいた空間はすでに魔女の結界と化していた。
まどか「……私への罰、なのかな」
『みんなを救いたいかい?』
まどか「!」
『君だったら友達を助けられる、魔女の毒気に当てられてしまった多くの人を救うことができる』
まどか「…………」
『君がよければ、僕はいつでも君を魔法少女にしてあげられる……まどか』
まどか「…………」
まどか「……私、魔法少女に…」
その刹那、青い何かが目の前にいる魔女を斬り伏せた。
それはいつも自分が見ている人、自分の大切な友人の姿だった。
まどか「さ……さやか、ちゃん?」
さやか「あははは、いやー間一髪だったね。間に合ってよかったよかった!」
まどか「さ、さやかちゃん…それって……」
さやか「ん…どう、似合ってる?……なんてね」
まどか「やっぱり契約…しちゃったの……?」
さやか「うん…すっごく悩んで…それでも最後は自分で決めたの、強制されたわけじゃないよ」
まどか「ほ、ほむらちゃん!」
さやか「遅かったじゃない、転校生」
さやか「それと……二人もね」
葉「…………」
アンナ「…………」
ほむら「麻倉葉……恐山アンナ……!」
葉「……やっぱ、そうなっちまうよな」
さやか「私なりに考えた結論、後悔なんて全然ないよ」
アンナ「…………」
某所
杏子「なによ、あんなのがいるなんて聞いてないんだけど」
キュゥべえ「ついさっき魔法少女になったばかりだからね、君は知らなくて当然さ」
杏子「せっかくこんな良い狩場だってのに……それをあんな新人に渡すのも癪だよね」
キュゥべえ「どうするつもりだい?」
杏子「邪魔なやつがいるなら…そいつを消しちゃえばいいんでしょ?」
キュゥべえ「うまくいくかな?」
杏子「何だよ、私があんな初心者に負けるとでも思ってんのか?」
キュゥべえ「確かに君は実力がある、経験においても美樹さやかより上だ」
キュゥべえ「ただ、君の障害になるのは美樹さやかだけじゃないってことさ」
杏子「誰だ……それ?」
キュゥべえ「暁美ほむらさ」
キュゥべえ「おそらくね」
杏子「おそらくって何だよ。お前、そいつと契約したんだろ?」
キュゥべえ「彼女の存在は本当に不明確なんだ、僕にもわからないことが多い」
杏子「妙な言い方だな、どういうことだよ……」
キュゥべえ「それと……麻倉葉、恐山アンナという二人にも気を付けることだね」
杏子「アサクラヨウ?キョウヤマアンナ?」
キュゥべえ「この二人は魔法少女じゃない、それでも……確実に君にとっては邪魔になるよ」
杏子「はっ、契約もしてないような奴があたしの障害になるって?」
キュゥべえ「ただの人間と思わないほうがいいよ」
杏子「ふーん、まあでも……全員退場してもらえば、結局は問題ないんだろ」
葉「……契約、しちまったな」
アンナ「そうね、あたしは知らないけど」
葉「嘘つけよ、アンナも結構気にかけてたじゃねえか」
アンナ「気のせいよ」
葉「けど……言っとくべきだったよな、やっぱ」
葉「ソウルジェムってのがオイラたち人間の魂だってことは」
翌日
さやか「ここだ、ここに使い魔がいる……いくよ、まどか」
まどか「うん……」
杏子「馬鹿じゃねーの?」
さやか「!」
杏子「あれ使い魔だから、グリーフシードは持ってないよ。だから倒す意味もない」
さやか「何よあんた、どいて!使い魔に逃げられるでしょ!」
杏子「だから倒す意味がないって言ってんだろ、卵産む前の鶏締めてどうすんのさ」
さやか「……!」
さやか(コイツ……使い魔のせいで人が死んでも関係ないって考えてるの……?)
杏子「新人のあんたにできると思ってるの?ていうか、先輩への礼儀がなってないんじゃない?」
さやか「お前みたいなやつ……同じ魔法少女として認めない!」
杏子「はあ……中途半端な気持ちで首突っ込まれるの、ホントにむかつくんだ」
さやか「うあっ!」
まどか「さやかちゃん!キュゥべえ、やめさせて!こんなの絶対おかしいよ!」
キュゥべえ「無理さ、あの二人は互いに相容れない道を歩んでいる」
キュゥべえ「生物は自分の領域を侵すものを許しはしないんだ」
まどか「そんな……そんなのって……!」
キュゥべえ「でも、止める方法がないわけじゃない……まどか、君の力を借りればね」
まどか「私の……力?」
キュゥべえ「君の魔法少女としての才能はずば抜けている、もし君が魔法少女になれば絶対にこの場は治められるよ」
まどか「私が……契約をすれば……」
杏子「……何だよ、お前」
葉「初めましてだな、オイラは麻倉葉。まどかとさやかの友達だ」
杏子「アサクラ?……へえ、お前がアサクラヨウか……じゃあそっちの女がキョウヤマアンナだな」
アンナ「…………」
葉「あれ、オイラたちのこと知ってんのか?」
杏子「ちょうどいいや、お前も色々と邪魔くさいらしいんだ」
杏子「別に恨みはないんだけどさ、そこの青い奴を片付けたら次はお前らの番だ」
葉「……オイラ、喧嘩する気はねえのになあ」
さやか「あたしはそいつを認めない、止めないで!」
杏子「ごちゃごちゃ言ってんじゃねーよ!背中ががら空きだ!」
まどか「危ない!」
キィンッ!
杏子「!?」
杏子(止められた……?後ろを見もしないで……コイツ、後ろにも目があるのかよ!?)
まどか「な、なんで……?」
アンナ「葉には阿弥陀丸の目もついてるのよ、だから後ろからの攻撃もちゃんと止められる」
まどか「あ、あみだまる……?」
アンナ「それより、あの杏子って小娘……生意気よ」
まどか「…………」
まどか(どうしよう、正直アンナさんが一番怖い)
まどか「ほむらちゃん!」
さやか「転校生……それに……!」
マミ「こんにちは、鹿目さんに美樹さん……そして」
杏子「暁美ほむら、ついでにマミも一緒か……」
マミ「お久しぶりね、佐倉さん」
ほむら「……また、あなたたちもいるのね」
葉「ウェッヘッヘ、まあな」
マミ「魔法少女同士が争っているのに、それを黙ってみているなんて私には出来ないの」
ほむら「それで、二人ともどうするつもりかしら?」
ほむら「もしもこれ以上戦うというのなら、私と巴マミで止めさせるけれど」
葉「オイラも多分、一緒に止めに入るだろうなぁ」
さやか「うっ……わ、分かったよ……今はもう止める」
ほむら「あなたはどうするの?佐倉杏子」
杏子「テメー、何であたしの名前を……どこかで会ったか?」
ほむら「さあ、どうかしら……ただ」
杏子「!」
ほむら「いざという時、私は決して容赦はしない」
杏子(消えたと思ったら一瞬で後ろに……!?)
杏子「今日のところは降りさせてもらうよ」
ほむら「賢明ね」
杏子「ただ、お前らの顔はちゃんと覚えたからな……次は覚悟しとけよ」
葉「おお、また会おうな」
杏子「…………」
杏子「……なんか、すげー調子狂うな」
マミ「美樹さん……魔法少女になったのね」
さやか「はい、でも全然後悔はしてません」
マミ「どんな願いをしたのかは聞かないけれど……魔法少女になるって、すごく辛いことよ?」
さやか「覚悟してますから……」
マミ「そう、なら何も言うことはないわ」
さやか「……そういうことだから、あたしは絶対に最後までやり抜いて見せる」
アンナ「…………」
マミ「何かしら?」
ほむら「すごく重要な話、美樹さやかは私を敵視しているようだけれど、出来れば聞いてほしいわね」
さやか「…………」
ほむら「そして、あなたたちも」
葉「ん?」
アンナ「…………」
ほむら「……近い将来、ワルプルギスの夜が来るわ」
マミ「!」
葉「ワルプルギス……ってなんだ?」
阿弥陀丸『拙者、英語とやらはよくわからんでござる』
ほむら「確かよ、冗談で言っているわけでも不確定なわけでもないわ」
ほむら「私は美樹さやかの契約を良しとするつもりはないけれど……契約をすればもう戻れないもの」
さやか「つまり、そのワルプルギスの夜ってのを倒すのに力を貸せってこと?」
ほむら「そうよ、むしろ嫌でも戦うしかないわ……魔法少女になったのならね」
アンナ「その変な名前の魔女、相当手強いのかしら?」
葉(変な名前……)
ほむら「超大型の魔女よ、一人ひとりの魔法少女じゃ太刀打ちできないわ」
マミ「もし仮にワルプルギスの夜が来るのなら……争っている場合じゃないわね」
ほむら「そう、だから……これからは協力しましょう。美樹さやか」
さやか「…………協力できればいいわね」
葉「…………」
葉(女の喧嘩ってすげぇ怖え)
翌日、教会
杏子「まさか、そっちから来るなんてな」
葉「ウェッヘッヘ、ちょっと色々と話したくてな」
杏子「なんであたしがここにいるって分かった?」
葉「おお、大変だったぞ!その辺の浮遊霊に聞いたりとか色々と」
杏子「??……まあいいや、で……話ってのは?」
葉「んー、回りくどく聞くのはあんま得意じゃねえし……いいや、そのまま聞く」
葉「杏子、なんでお前は魔法少女になったんよ?」
葉「話を聞く限り、お前は『誰か他人のために』って感じの性格じゃなさそうだ」
杏子「間違っちゃいないな、今のあたしは自分のためだけに生きてるから」
葉「そんなお前がどんな契約で魔法少女になったのか、なんとなくすげえ気になった」
杏子「…………」
杏子「……はあ、なーんかホントに調子狂うな。昨日、あたしはあんたに斬りかかったんだぞ?」
葉「あれはびっくりしたぞ、あん時は本気の太刀筋だったもんな」
杏子「それを笑いながら言うかよ……もういいや」
杏子「ちょっと長い話になるよ……聞きながら、食うかい?」
葉「おお、ありがとう」
杏子「まあ、そういうことさ……別にそれがどうしたってことだけどね」
葉「……お前も何というか、色々あったんだな」
杏子「そう、最初はあたしも他人のために願ったんだよ。でも、結局それが全部裏目に出ちまった」
杏子「でもそれをあたしは恨んだりはしない、いい教訓になったと思えばいいのさ」
杏子「だから今のあたしはちゃんと自分のためだけに生きることが出来てるわけだしね」
葉「…………」
杏子「あたしの考え方、何か間違ってるかい?」
葉「お前の考えが正しいかどうかはオイラには分からんし、別に否定しようとも思わん」
葉「けど、オイラとはちょっと違うみてえだ」
杏子「……じゃああんたはどう思ってるんだ?誰か他人のために身を削りたいって?」
葉「オイラは…………」
葉「楽に暮らしてえ」
杏子「……………………」
杏子「…………はい?」
葉「オイラだけじゃねえ、みんなが楽に生きられる世界が作れたらいいと思ってる」
杏子「……みんなが?本気で言ってんのかよ、それ」
葉「おお、本気だぞ」
杏子「…………」
葉「だから、オイラは楽に生きられてねえお前を放っておけねえ」
杏子「は……?何言ってんだよ、あたしはもう十分、自分の好き勝手に生きて……」
葉「お前はその親父さんとの事件があってから無理やり自分を変えてるんよ、多分」
葉「本当の杏子は他人にお節介を焼くのが好きなあったけえ人間なんじゃねえかな」
葉「本当に自分の好きに生きてるならオイラに身の上話なんかわざわざしねぇだろ?」
杏子「…………」
葉「それに、お前をオイラよりもよく知ってる奴も泣きながら言ってるしな。杏子は優しいって」
杏子「あたしを……よく知ってる……?」
葉「そこにいるんよ、お前の親父さん」
葉「いるんよ、地縛霊になってずっとこの教会にいたみてえだ……心中なんてすげえ死に方なのにまだ悪霊になってねえ」
葉「けど……気持ちがヘンな方向へ動けばいつ悪霊になるかも分からん」
葉「こういうのを何とかするのはオイラの仕事だ」
杏子「あんた……一体……!」
葉「この親父さんの未練を晴らすには……杏子の協力が必要だな」
葉「親父さんの話、聞いてやってくれ」
杏子「――――!」
葉「憑依合体!」
父の後悔、苦悩、愛情、それらすべてをシャーマンである葉を通じて知ることとなる。
彼は死後、自分が激情に身を任せて娘を追いこんだことを後悔していた。
生前とはまるで変わってしまった杏子を見てその思いはさらに強くなり、ただ涙を流す日々が続いていたという。
佐倉杏子はそれらすべてを知った。
かつての自分の願いは確かに悲劇を生んでしまったが
それでも、それでも父は理解してくれた。謝ってくれた。
それは本当に遅い、遅すぎるものであったけれど
少女である佐倉杏子の心に大きな影響を与えるものとなったに違いない。
葉「親父さん、ちゃんと成仏出来たぞ」
杏子「……そっか、ありがとな」
葉「さっきも言ったけど、これがオイラの仕事だからな」
杏子「シャーマン、っていったっけ。霊ってのも本当にいるんだね」
葉「おお、その辺にたくさんいるぞ。ほとんど悪さなんかしないけどな」
杏子「何か……あんたの後ろにも何かいるようか気がしてきたよ、何だろ……侍、かな?」
阿弥陀丸『!』
杏子「いや、何かはっきりとは見えないけどさ。なんとなく感じるんだよね」
葉「霊と対話したことで、ちょっぴりお前にもシャーマンとしての資質が開花したのかもな」
杏子「昨日、後ろからの攻撃を受け止められたのも……」
葉「ああ、阿弥陀丸がちゃんと見ててくれたんよ」
阿弥陀丸『むっ……!』
葉「そんなことねえぞ、道に迷った時は上からナビゲートしてくれるし」
杏子「ああ、それは確かに便利かも」
葉「チンピラに絡まれても全然怖くねえし」
杏子「ああ、まあ侍だからな……」
葉「朝なんか金縛りで絶対に起こしてくれるしな」
杏子「それは何かおかしいだろ」
葉「最悪、夜のトイレにもちゃんとついてきてくれるんだぞ」
杏子「なんであんたが夜のトイレを怖がってんだよ」
杏子「?」
葉「何か近いうちにワルプルギスの夜ってのがこの町に来るんだと」
杏子「ワルプルギスって……超ド級の大型魔女だろ!そんなやつがこの町に!?」
葉「おお、どうも本当みてえだ」
杏子「……なんであんたがそれを知ってるんだ?」
葉「ほむらから伝言を頼まれたんよ、すげえ強いやつが相手だから協力したいんだと」
杏子「暁美ほむらか……正直、あいつならまあ協力するものやぶさかじゃないさ」
杏子「けど……美樹さやかもいるんだろ、きっと」
葉「うん、いるな」
杏子「絶対あたし恨まれてんだろ、急に仲良しこよしは出来ないぞ。多分」
葉「大丈夫、何とかなるって」
杏子「本当かよ……頼むからそのユルい笑い、どうにかしてくれ」
ほむら宅
アンナ「…………遅い」
アンナ「何やってるのよ葉は!」
ほむら「いきなり家に押しかけてきたあなたが言えるセリフじゃないわね、それは」
アンナ「仕方ないじゃない、あんたに話があったのよ」
ほむら「何かしら」
アンナ「あんたの正体、能力、そして……目的についてね」
ほむら「…………今はまだ、答えるときじゃないわ」
アンナ「……魂なんでしょ、ソウルジェムって」
ほむら「!」
アンナ「あたしはイタコよ、魂を扱うのは日常茶飯事……分からないわけがないでしょ」
ほむら「イタコ……?」
アンナ「詳しい説明は面倒だからしないけど、それが分かるくらいの力はあるってことよ」
ほむら「…………」
ほむら(初対面の時に私の本名を知っていたのも……まさかそれに関係が……?)
アンナ「で、質問に答えなさい。あんたはいったい何者なのか」
ほむら「…………」
アンナ「…………どうしても言わないなら、『読む』わよ」
ほむら「!」
アンナ「この力をあたしに使わせないで、制御は出来るけれどあまり使いたいものじゃないわ」
ほむら(……やっぱり、彼女には隠す必要もないし隠すこともできない、か)
アンナ「ふーん……時間を遡行して、ね」
ほむら「一度ですべてを理解してくれてありがたいわ」
アンナ「転生の概念に近いもの、これくらい当り前よ」
ほむら「私は今度こそワルプルギスの夜を倒したい……できれば、あなたたちの力も貸してくれると嬉しいけれど」
アンナ「嫌よ、めんどくさい」
アンナ「……っていうところだけど、今回は協力してあげるわ。あたしたちにとっても必要なことだから」
ほむら「…………?」
アンナ「……にしても」
ほむら「?」
アンナ「あのユルユル馬鹿は一体どこで道草食ってんの!!」
ほむら「…………」
数十分後
葉「ち、違うぞアンナ!伝言だけじゃなくて、オイラはちゃんとシャーマンとしての仕事を……」
アンナ「あら、シャーマンとしての仕事をするだけなのにどうして服に四本もあの小娘の長髪が付くのかしら?」
葉「ああ!それは(親父さんが成仏する)別れの時に杏子が抱き着いてきて……」
アンナ「仲がいいのねー!!」
ギャ――――ッ!
ほむら「…………」
ほむら(聞こえない知らない何も見てない、目の前で惨劇なんか起こってるはずがない)
葉「何も言ってねえって!例えば……」
葉(はっ……夜のトイレの話とかしたらまた変な誤解をされるのでは……)
葉「あの……あれだ……」
アンナ「……ふーん、すぐには言えないんだ」
葉「いや、だから違うぞアンナ!?」
アンナ「ふーん、そうなんだ……」
アンナ「この浮気者ー!!」
ギィィイヤアアアアァァァァ!!
ほむら「…………」ガタガタ
ほむら(私の体が揺れてるのはそうきっと地震のせい、恐怖の惨劇に震えてるわけじゃなくて地震のせい)
葉「……で、そっちは結局どうなったんよ」
アンナ「大体のことは理解したわ、予想以上にヤバい相手だってこともね」
葉「少なくとも、仲間内で喧嘩してるようじゃ勝てねえよな」
ほむら「全員が協力し合っても勝てるか分からないほどの敵よ……」
葉「一番の問題点は……」
ほむら「美樹さやかと佐倉杏子の関係、ね」
葉「…………」
ほむら「佐倉杏子はあなたの話を聞く限り、幾分か融通は利くでしょうけど……」
ほむら「意地になっている美樹さやかを説得するのはかなり難しいでしょうね」
アンナ「…………どうするの、葉」
葉「……どうしような、ホント」
翌日、上條宅前
さやか「…………」
さやか(中からバイオリンの音が聞こえる……良かった、ちゃんと治ったんだ)
さやか「それが分かっただけでも……良かった」
杏子「会いもしないで帰るのかい?ずっと追い掛け回してたくせに」
さやか「お前は……!」
杏子「知ってるよ、この家の坊やなんだろ?アンタが契約した理由って」
さやか「……だったら、何だっていうの」
杏子「別に……ただ、一度の奇跡のチャンスを他人のために使っちまうなんてと思ってさ」
杏子「ホント、馬鹿だよ……あんた」
杏子「分かってないのはそっちだ馬鹿、魔法を他人のために使ったってろくなことにはならないよ」
杏子(あたしは葉のおかげで後から救われた……けど、誰もがそうなるとは限らないんだよ)
杏子「他人のために契約して、他人のために魔法少女として戦う……確かに正しい目標かもしれないけどさ」
杏子「正しすぎてそれに潰されるお前があたしには目に見えてるんだよ」
さやか「あんたとあたしは違う!」
杏子「…………!」
杏子(何だよ……他人のために願うってことがどんなことか分かってるから……)
杏子(お前と同じような願いをして今まで苦しんできたから、言ってやってるんだぞ……!)
杏子「やりあうなら……場所を変えようか、ここじゃ人目に付きそうだ」
鉄橋
杏子「ここなら遠慮なくやれるよね?」
杏子(言って分からないなら……力づくでも分からせてやる……!)
さやか「今度こそ決着を……!」
まどか「待って、さやかちゃん!」
さやか「ま、まどか……どうしてここに!?」
まどか「キュゥべえが……さやかちゃんが危ないっていうから!」
さやか「……危なくないよ、必ず勝つから」
杏子「はっ、誰があたしに勝てるって?」
さやか「くっ……!」
まどか「ほ、ほむらちゃん……それに葉さんたちも」
葉「んー……やっぱ喧嘩になっちまうか」
杏子「あたしから仕掛けるつもりはないんだよ、ただコイツが聞き分けないんだ」
さやか「…………!」
杏子「悪いこと言わないから止めとけって、あたしからお前に手を出すつもりはないんだって」
さやか「どっちにしたってあたしとあんたは相いれないでしょ!」
杏子「……そうかよ、じゃあもう怪我してもしらねーからな!」
まどか「!」
まどか(ダメだ……このままじゃさやかちゃん、絶対に怪我しちゃう!)
まどか(さやかちゃんが手を出さないなら攻撃しない……なら)
まどか「ごめん、さやかちゃん!」
親友を守ると意を決した鹿目まどかは
さやかの手からソウルジェムを掴みとると鉄橋から道路へ投げ捨てた。
さやか「まどか!アンタなんてこと……」
まどか「さ、さやかちゃん……?」
さやか「…………」
杏子「何だ……?」
キュゥべえ「今のはまずかったよ、まどか」
まどか「どういうことキュゥべえ、さやかちゃんが……さやかちゃんが急に!」
キュゥべえ「それはさやかじゃなくて唯の抜け殻だよ」
キュゥべえ「さやかは今、君が投げて捨てちゃったじゃないか」
杏子「どういうことだ……オイ!」
まどか「えっ……?」
杏子「取り乱すなってったって……!」
葉「すまん。ちょっと、オイラ達に見せてくれ」
まどか「は、はい……」
葉「…………」
葉(なくちゃならねえはずの魂が……ねえ……これじゃ……)
アンナ「キョンシー、まるで」
キュゥべえ「……なるほど、君たちは最初から理解していたわけだ」
キュゥべえ「その理解が、どういう能力に依るものだったのかはわからないけれどね」
まどか「さ……さやかちゃんは……さやかちゃんは大丈夫なんですか?」
キュゥべえ「だからまどか、それはさやかじゃなくてただの……!?」
アンナ「くどいし耳障りよ」
アンナ「戻ってきたみたいね」
ほむら「キュゥべえは……?」
アンナ「踏みつぶしたわ、鬱陶しかったから」
葉「…………」
葉(こういうアンナの躊躇ねえところがたまにおっかねえ)
まどか「さやかちゃんは……?」
ほむら「これを手に握らせて……」
さやか「…………」
さやか「………っ」
さやか「えっ……あれ……?」
キュゥべえ「やれやれ……いきなり踏み潰すなんてとんでもないことをしてくれたね」
まどか「きゅ、キュゥべえ……?」
アンナ「何よ、また踏みつぶされに来たの?」
キュゥべえ「代えはあるけれど無駄に消費はしたくないんだ、勿体ないじゃないか」
杏子「説明しやがれ……これはどういうことだ!テメー、あたしたちの体に何しやがった!」
キュゥべえ「酷いなあ、僕は君たち魔法少女が魔力をコンパクトに運用できるようにしてあげているのに」
まどか「……どういうこと?」
キュゥべえ「魔法少女との契約を取り結ぶ僕の役目は……」
キュゥべえ「君たちの魂を抜き取ってソウルジェムに変えることなんだ」
さやか「そんな……!!」
キュゥべえ「君たちにとっても便利じゃないか、ソウルジェムさえ壊れなければ君たちは無敵なんだ」
キュゥべえ「たとえ心臓が破れても、どれだけ骨を砕かれようと……不死の体を手に入れたんだよ?」
まどか「そんなのひどいよ…こんなのってないよ」
キュゥべえ「君たち人間はいつもそうだ、事実を伝えるといつもきまって同じ反応をする」
キュゥべえ「わけがわからないよ」
アンナ「…………」
グシャ!
葉「…………アンナ」
アンナ「イラッとしたのよ、しょうがないでしょ」
翌日、さやか宅
さやか「…………」
さやか「私……こんな体になっちゃって…どんな顔して恭介に会えばいいのよ」
『いつまでもしょぼくれてんじゃねぇぞ、ボンクラ』
さやか「!」
さやか(今の声……!)
杏子「ちょっと面かしな」
杏子「やっぱり後悔してるの?こんな体にされちゃったこと」
さやか「…………」
杏子「あたしはさぁ…まあいっかなって思ってる、この力のおかげで色々好き勝手出来たわけだし」
さやか「あんたは自業自得なだけでしょ」
杏子「そうだよ自業自得なのさ、誰のせいでもない自分のせい」
杏子「そう割り切れれば誰か恨むこともないし、後悔なんてあるわけがない」
杏子「そう思えば大抵のことは背負えるもんさ」
さやか「で……こんな教会にまで連れてきて、一体何のつもり?」
杏子「……話しておこうと思ってさ、あたしのこと……それと、葉のことも」
杏子「まあ…そんなわけさ、長々と話したけど大体はこんな感じ」
さやか「あんたに……そんな過去が……」
杏子「別にあたしは悲劇のヒロインを気取るつもりはないし、そんな資格もない」
杏子「人とはちょっと違う過去があるからって誰かに偉そうに説教をするつもりもないよ」
さやか「…………」
杏子「あんたも私と同じ間違いから始まった、そして今も苦しみ続けてる…見てられないんだよ、そんなの」
杏子「あたしは葉のおかげで無理をしてたことも含めて色々と吹っ切ることが出来た」
杏子「一言でいうと、楽になれたんだ」
さやか「…………」
杏子「あのお節介、『楽が好きだから、楽じゃないお前は放っておけない』とか言ってさ」
杏子「だから、あたしも……似たような願いをして……今、楽じゃないあんたを放っておけないんだよ」
さやか「でも……私は自分の願いに後悔なんてしないよ、絶対に……これからもね」
杏子「……それ、本気で言ってるのかよ」
さやか「うん、私が気に入らないなら……そのときはまた殺しに来ればいい」
杏子「そういう問題じゃねえ、このままじゃあんた……壊れちまうぞ、本当に」
さやか「大丈夫……私は口先だけじゃない、最後まで口にしたことは守り抜いて見せる」
杏子「…………馬鹿だよ、本当に」
翌日
さやか「今……なんて……?」
仁美「明日の放課後、私は上條恭介さんに告白します」
さやか「なんで……そんな急に!」
仁美「ずっとお慕いしていました……でも、幼馴染である美樹さんも彼に好意があるのなら」
さやか「…………!」
さやか(こんな……こんな体で恭介に、こんな口で好きだなんていえるわけ……!)
仁美「明日の放課後まで待ちます……では」
数日後
さやか「…………」
まどか「さやかちゃん…今日も私、魔女退治に付いていって……」
さやか「……来ないで」
まどか「え……?」
さやか「戦いもしないアンタが付いてきたって…何にもならないでしょ」
まどか「でも……私……!」
さやか「何?私のことを思ってくれてるつもり?私と同じ立場でもないくせに」
まどか「そんな……さやかちゃん……」
さやか「本当に私のことを思ってくれてるんなら…私と同じ体になってみせてよ」
さやか「……出来るわけないよね、同情なんかでそこまでのこと」
まどか「ど、同情なんかじゃ……!」
さやか「だったら……アンタが戦ってよ」
さやか「それ以前に……戦い以外にもう、あたしに存在価値なんかないんだから」
さやか「馬鹿……馬鹿……あたしったら友達になんてこと言ってんのよ!」
・・・
夜
まどか「さやかちゃんが…帰ってない!?」
まどか母「うちに来ていないかって聞かれたんだけど……その様子じゃまどかも知らないみたいだね」
まどか「私……探してくる!」
・・・
ほむら「美樹さやかの行方が分からないらしいわ……」
マミ「み、美樹さんが……?」
葉「!」
アンナ「…………」
杏子「あの馬鹿……手分けして探すぞ!」
某所
さやか「…………」
杏子「やっと見つけた……まったく、手間かけさせんなよ」
さやか「悪いね……面倒かけて」
杏子「……なんだよ、そんなこと言うなんてらしくないじゃん」
杏子「いつものさやかだったら突っかかってくるところだろ」
さやか「もう…どうでもよくなっちゃったからね」
杏子「…………!」
杏子「お前……このソウルジェム……!」
さやか「……何やってるんだろうね、あたしは」
さやか「親友にひどいこと言って……憧れた先輩みたいに戦うことも出来なくて……」
さやか「差し出された忠告に耳を貸さずに意固地になって……最後まで協力できなくて……」
杏子「お前……まさか……!」
さやか「あたしって…ホント馬鹿」
・・・
葉・アンナ「!」
葉「この霊力の感じ……!」
アンナ「…………」
・・・
キュゥべえ「この国では成長途中の女性のことを少女って言うんだろう?」
キュゥべえ「だったらいずれ魔女になる君たちのことは、魔法少女って呼ぶべきだよね」
杏子「どうなってんだよこれ……!」
杏子(いつの間に魔女の結界内に入った?そもそもこの魔女はどこから現れた!?)
ほむら「……遅かったようね」
杏子「ほむら!これはどうなってやがる!」
ほむら「黙って、いったん脱出するわ……あなたは美樹さやかを離さないで」
杏子「逃げるのかよ……?」
ほむら「今の状況じゃ戦うわけにはいかないわ……美樹さやかの体も傷つくことになる」
杏子「チッ……」
ほむら「…………」
葉「……すまん、間に合わんかったな」
アンナ「…………」
まどか「さやかちゃんは、さやかちゃんは大丈夫なの!?」
マミ「あ、暁美さん……説明してくれるかしら……?」
ほむら「…………」
ほむら「美樹さやかのソウルジェムはグリーフシードに変化した後、魔女を生み出して砕け散ったわ」
まどか「っ!」
マミ「え……!」
マミ「それって…つまり美樹さんが…魔女になったってことじゃ……!!」
ほむら「……ソウルジェムに穢れが溜まり切ってしまえば…私たちも魔女になる」
ほむら「それが私魔法少女について隠された最後の秘密よ」
マミ「!」
マミ「じゃあ……私たちも、穢れが溜まったらいずれは……」
ほむら「そういうことよ」
マミ「そんな……ま、魔法少女が魔女になるのなら……」
マミ「私たちがみんな死ぬしかないじゃない!」
パーンッ!
マミ「!?」
アンナ「取り乱さないで」
葉(……右もすげぇ痛えんだよな)
アンナ「あんた、魔法少女の先輩なんでしょ?それなのにみっともなく狼狽えるんじゃないわよ」
マミ「で、でも……!」
まどか「さやかちゃんは……さやかちゃんはもう!」
葉「手はある」
まどか「えっ……?」
杏子「どういうことだよ……?」
葉「お前らがちゃんとさやかの体を持ってきて良かった、だったら……まだ何とかなる」
ほむら「説明……してくれるかしら?」
アンナ「今、この体は魂が抜けた状態で……肉体的には無傷」
アンナ「要するに……入れてやればいいのよ、この体にもう一度……魂をね」
葉「いや、そう簡単にもいかん。魂ってのは肉体から離れすぎちまうと蘇生できなくなっちまうんだ」
葉「まあ……魂があの世に行っても蘇生できるシャーマンもいなくはねえけどな」
アンナ「ガンダーラみたいな連中は特殊よ、それに今のあたしには神クラスの持ち霊もいないしね」
杏子「つまり……どういうことなんだ?」
葉「時間がねえ、早くしねえと蘇生は出来なくなる」
マミ「じゃ、じゃあ……!」
アンナ「言ったでしょ、取り乱さないでって……こうやっておしゃべりしてる時間も惜しいのよ」
ほむら「……今、あの魔女になった美樹さやかを倒せば間に合うのね」
葉「ああ、百パーセントじゃねえけどな」
ほむら「なら……行きましょう、可能性があるのなら」
ほむら(魔女と化してもまだ、生き返ることができる……今までになかったそんな可能性があるのなら!)
結界内
魔女「――――――!」
マミ「そんな……これが美樹さん!?」
杏子「すぐに目覚ませてやるからな……さやかぁ!」
葉「じゃあまどか、オイラ達が戦ってる間……ずっとあいつに呼びかけ続けてくれ」
まどか「は、はい!」
葉「悪い方向に行っちまった魂をあるべき姿へ戻すには色々な方法があるんよ」
葉「お前の言霊で、あいつ自身をしっかり認識させてやってくれ」
まどか「さやかちゃんを……私の言葉で!」
ほむら「……行きましょう」
アンナ「へまをしないようね」
葉「うし、じゃあ少し……ふんばるとするか」
阿弥陀丸『応ッ!』
葉「オーバーソウル!阿弥陀丸イン春雨!」
アンナ「あんたは呼びかけ続けなさい、攻撃は前の連中が全部撃ち落としてくれるわ」
まどか「は、はい!」
杏子「くっそ……さやかめ、ちっとは手加減しろってんだ……!」
魔女「!」
マミ「来てるわよ!佐倉さん!」
杏子「しまっ……」
杏子「っ……と、ありがとな葉!」
葉「来るぞ!」
杏子「分かってる、次は食らわない!」
ほむら「私たちも行きましょう、巴マミ」
マミ「え、ええ……!」
ほむら「……まだ、迷いがあるのかしら?」
マミ「…………」
ほむら「もしそうなら……あなたは戦うべきじゃないわ」
葉(あんまりデカい攻撃を仕掛けて倒しちまったら元も子もねえ……!)
葉(けど……あの投げつけてくる木の車輪は撃ち落とさねえとまどかに当たっちまう)
ほむら「下がって、麻倉葉、佐倉杏子……あの車輪を爆砕するわ」
葉「!」
ほむらの言葉を受け、葉と杏子は後ろへ回避する。
直後、迫りくる多くの車輪は爆散しすべて焼失した。
葉「おお、すげえ」
ほむら「でも、あまり何度も使える攻撃ではないから……もう少しは二人で粘ってもらえるかしら?」
杏子「ああ、任せな!」
マミ(私はいったい何をしているの?年下の暁美さんや佐倉さんも戦っていて……)
マミ(麻倉さんと恐山さんも前線に立っている……)
マミ(そして魔法少女ですらない鹿目さんまで、美樹さんを助けようと必死になっているのに)
マミ(……私が、美樹さんのために出来ること)
マミ(少なくとも、それは狼狽えることでもなければ最初から諦めて勝負を放棄することでもないはず)
マミ(まして……みんなを道連れにして死ぬことなんかじゃ絶対にない!)
――――少女の、心は決まった。
ほむら「迷いは……もうないのかしら?」
マミ「もう大丈夫よ、みんなが戦っているのに……私だけ希望を捨てたりはしないわ」
マミ「それに、私はみんなの先輩だからね……!」
葉「オイラとアンナとは同級生だけどな」
マミ「フフ……そうだったわね」
杏子「ったく、遅かったな……マミ!」
葉「……さあ、もうひとふんばり行くとするか!」
投げられるその車輪を巴マミは自らのマスケット銃で次々と撃ちぬいていく。
車輪の攻撃の防御においてはまさに最高の存在だった。
魔女「!!」
ほむら(車輪での攻撃が効かないとみて今度は剣で攻撃を……!)
杏子「はっ、近接系武器での攻撃なら!」
葉「オイラ達で何とかする」
マミ(これで……完全に敵の攻撃は封じられたわね)
アンナ「あの赤髪の小娘、あたしの許可もなくちょっと葉に近づきすぎじゃないかしら」
マミ(むしろ怖いのは味方からの攻撃な気もするけれど……)
杏子「なあ!だいぶ時間経ってるけど、まだ間に合うんだよな!」
葉「分からん、けど急ぐに越したことはねえ!」
まどか「さやかちゃん!お願いだから私の声を聴いて!」
魔女「――!」
葉「くっ……」
葉(何か変だ……ここまで呼びかければ何かしらの反応があってもおかしくねえ)
葉「違う……使い魔だ!後ろで曲を演奏してるあの使い魔を先に止めるんだ!」
ほむら「マミ!」
マミ「私ならここからでも撃ちぬける……でも……!」
葉「車輪はオイラ達が何とかする!」
杏子「思いっきり撃て!」
ほむら「私はまどかのフォローに回るわ!」
杏子「車輪は……全部撃ち落とす!」
葉「行くぞ……阿弥陀流!大後光刃!!」
マミ(視界が開けた……撃つのは……今!)
マミ「ティロ・フィナーレ!!」
アンナ「今よ、あんたの思いのすべてを言葉に乗せてあいつにぶつけなさい」
まどか「さやかちゃん!戻ってきて!」
魔女「…………」
・・・
声が、聞こえた気がする。
あれ、おかしいな……今まで確か演奏を聴いてたんじゃ……
でも、今の声……大切な、あたしの友達の声……
あたしは……何やってるんだろ……あたしって、こんな感じだったっけ?
違う……元のあたしは……!
杏子「オイ!アイツの攻撃、激しくなってないか!?」
葉「違う……これは……あいつの魂が元の形を思い出そうとしてるんだ」
葉「アンナ!」
アンナ「よくもまあ、呼びかけで魂の形を思い出すなんて方法を成功させたわね」
アンナ「ずいぶんと非効率だけど、全員を救おうとするあんたらしいやり方だわ」
アンナ(ま、そういう性格のあんただからこそ……あたしもホレたのだしね)
アンナ「じゃあ……そろそろあたしも手を貸さなきゃね」
葉「形を取り戻したあいつの魂を魔女から何とか引きはがしてくれ!」
アンナ「はいはい……引きはがした後の魔女は責任もってあんたたちでやりなさいよ」
葉「おお、任せとけ」
魔女「!」
アンナ「今よ!」
杏子「大丈夫なのか……仕留めても?」
葉「さやかの魂がなくなった後のコイツは……もう負の霊力の塊みてえなもんだ」
葉「嫉妬、後悔、憎悪、憤怒……確かに、ちょっとくらいはあってもいいかもしれん」
葉「けど……こいつらは生み出したら、ちゃんと自分で受け止めなきゃならねえ」
葉「デカくなりすぎれば自分で受け止めきれずに、無理をしちまう」
葉「無理は、何か自分でいられなくなるからイヤなんよ……やっぱ」
葉「生きるなら、楽しく生きねえとな」
スピリット・オブ・ソード・白鵠
葉「阿弥陀流――――」
――――無無明亦無
まどか「さやかちゃん……まだ間に合うよね」
杏子「ここまでやって間に合いませんでした、じゃシャレにならないからな……」
マミ「信じましょう……美樹さんを、それにこの二人を」
ほむら「じゃあ……いいかしら、二人とも」
葉「うし、じゃあやるか。アンナ」
アンナ「言われなくても分かってるわよ……行くわよ」
アンナ「イタコ流・シャーマン術!クチヨセ!」
まどか「く、クチヨセって……」
葉「本当は死んじまった霊を体に憑依させる術だけどな、今回はそれを応用してるんよ」
葉「体に魂を入れるって点では同じだからな」
さやか「…………」
さやか「…………」
さやか「っ………」
まどか「あっ……!」
さやか「……おはよ、まどか」
まどか「さやかちゃん!」
杏子「ったく、本当に面倒かけてくれやがって……馬鹿さやか」
ほむら「本当に……魔女から復帰できた……!」
まどか「さやかちゃん……さやかちゃん……!」
葉「うし、ひとまずはめでたしめでたし……」
アンナ「……なわけないでしょ、このおバカ。まだあたしには仕事が残ってるんだから」
葉「う、うん?そんなのあったか?」
アンナ「……ちょっとそこの青いの、こっち来なさい」
さやか「あ、あの……何か色々と迷惑かけたみたいで……」
パーンッッッ!!
さやか「っ!!」
阿弥陀丸『ま……』
葉「ま、幻の左……!!」
さやか「う……」
アンナ「自分で自分を過信して暴走して、ここにいる全員に面倒掛けさせて」
アンナ「最悪、あんたは無関係の一般人の命を奪う可能性だってあった」
アンナ「事前に言ったわよね、調子のいいこと言ってるやつほどすぐにへこたれるって」
さやか「……正直、アンナさんに大見得切ったからつい意固地になって」
アンナ「なに馬鹿言ってるの、あんたの器量が小さかっただけでしょ」
さやか「……はい」
アンナ「というより、あんたが魔女になった原因の大半がそれでしょ」
さやか「…………返す言葉、ないです」
パーンッッッ!!
さやか「っ!?」
葉「ま、幻の左……」
阿弥陀丸『二連撃!?』
葉(反対側じゃなくてあえて同じほっぺをぶっ叩いてる辺り、アンナスピリット全開だな)
アンナ「あんた、好きな男を取られたくらいでいちいち絶望してんじゃないわよ」
アンナ「そもそも、別に好きだなんだのと伝えてあったわけでもないくせに」
さやか「きょ、距離が近すぎて……幼馴染だったから……なんというか」
アンナ「あたしが言いたいのはそういうことじゃないのよ」
さやか「…………?」
アンナ「本当にあんたがその男に惚れてたんだったら……」
アンナ「仮に他の女に取られたとしても、もう一度自分に振り向かせるくらいの根性見せなさい」
さやか「あ……!」
葉「…………」
葉(アンナスピリット、もうメーター振り切ってるぞ)
素直にそう思ったわ
アンナ「フン……じゃ、さっさと帰るわよ。もう夜も遅くて眠いし」
まどか「さ、さやかちゃん……大丈夫?」
さやか「痛たた……でも、胸にジーンと染みたかな」
葉(ジーンとしてんのは頬だと思うぞ)
さやか「でも、もし葉さんが他の女の子に口説かれたりしたらアンナさんどうするんだろ?」
葉「少なくともオイラは閻魔さんのところへ三回くらい行くと思うぞ」
マミ「……なんだか、どっと疲れたわ」
杏子「だな……なあマミ、よければ今日マミの家に泊めてくれないか?」
マミ「フフ、良いわよ……」
ほむら「…………」
ほむら(魔法少女が団結して……加えて二人のシャーマンが訪れた)
ほむら(そして……まさか魔女になってから人間に戻ることができるなんて、ね)
ほむら(今までの時間軸とは……何もかもが明らかに違う……!)
キュゥべえ「なるほど、彼らの正体はシャーマン……あの世とこの世を結ぶ者、か」
キュゥべえ「それなら彼らが僕のことを不審に思ったのも、ソウルジェムが魂と気づいていたのも納得がいく」
キュゥべえ「そして暁美ほむら……彼女の能力は時間操作系のようだね」
キュゥべえ「なるほど、だから真っ先に僕という個体を彼女は潰しにかかってきたわけだ」
キュゥべえ「時間遡行者……暁美ほむら、そしてシャーマンの麻倉葉、恐山アンナ……か」
キュゥべえ「まさか美樹さやかを魔女から人間に復帰させてしまうとは驚いた」
キュゥべえ「出来るわけがないと思っていたけれど、僕としても認識を改めておく必要がありそうだ」
キュゥべえ「でも……それでも……」
キュゥべえ「彼らではワルプルギスの夜は止められない」
数日後
ほむら「ワルプルギスの夜が訪れる日はもうすぐ……ね」
キュゥべえ「ずいぶんと期待しているようだね、暁美ほむら」
ほむら「!」
キュゥべえ「襲来するワルプルギスの夜を倒す算段でも付いたのかな?」
ほむら「…………お前には関係のないことよ」
キュゥべえ「ふむ、君はこう考えているようだ。魔法少女全員で戦えて、シャーマンである二人の力も借りられる」
キュゥべえ「もしこれがダメだとしても、次の世界に繋げられる……と」
ほむら「…………!」
キュゥべえ「君が時間遡行者であることはもうわかっているんだ、だから僕は君にお礼を言いに来たんだよ」
ほむら「何ですって……?」
ほむら「そんな……それじゃ……!」
キュゥべえ「そう、君が何度も時間遡行をしているうちに鹿目まどかに因果の係数が繋がってしまったんだ」
ほむら「…………!」
キュゥべえ「それともう一つ……さっきまでまどかの家に行っていてね」
キュゥべえ「ワルプルギスの夜に君たちが勝てる確率は限りなくゼロだと伝えておいたよ」
ほむら「なっ……!」
キュゥべえ「もちろん、まどかが契約をしてくれれば勝てるということも含めて……ね」
ほむら「どこまで腐っているの……インキュベーター!」
キュゥべえ「酷い言い方だなぁ、僕はあくまで個人的な意見を述べたにすぎないよ」
キュゥべえ「まどかが契約してくれれば君たち魔法少女が生存する確率も大きく上昇する」
キュゥべえ「そう、これは君たちのためになる行動なんだ」
ほむら「……お前の思い通りには、絶対に行かせないわ」
アンナ「……難儀なことね」
葉「ああ、けど……オイラ達で何とか出来なきゃ、な」
アンナ「明日ね、とうとう……ワルプルギスが来るのは」
葉「みてえだな」
アンナ「…………」
葉「…………」
アンナ「……ねえ、葉」
葉「ん?」
アンナ「たまには、一緒に寝てもいいよね?」
葉「…………おお」
ほむら「…………来る」
マミ「何だか、分かってはいたけれどやっぱり緊張するわね」
杏子「何だよマミ、ビビってるのか?」
さやか「あたしは正直怖いけどね」
杏子「ていうかさやか、お前戦えるのかよ……?」
さやか「何ていうか、今のあたし……ちょっと色々と複雑な感じでね」
さやか「普通の人間なんだけど、魔法少女でもある……みたいな」
杏子「なんだよそれ」
さやか「魔法少女に変身することはできるけど……ほら、もうソウルジェムがないからさ」
さやか「生身の体だから、傷つけられれば普通に骨も折れるし、心臓も止まっちゃうってこと」
杏子「……じゃあ、一発でも貰ったら」
さやか「一応魔力で身体強化はしてるけど……結構キツイかもね」
さやか「大丈夫、確かに不死身の体じゃないってのは大きなデメリットだけど……」
さやか「今のあたしはソウルジェムがないから、穢れが溜まらないって利点もあるんだから」
マミ「……美樹さん、本当に無茶だけはしないでね」
ほむら「……そういえば、あの二人は?」
杏子「もう来るんじゃないか……って、噂をすればだ」
葉「すまん、遅くなった」
アンナ「…………」
⑤、④、③、②、①…………
ワルプルギス「キャハハハハハハ!」
さやか「うっ……想像してたのよりずっとでかい……」
マミ「必ず、ここで倒しましょう」
ほむら「ええ……必ず、仕留める!」
葉「あれが……ワルプルギスの夜、か」
アンナ「何よあの笑い声、憎たらしい」
葉「あのデカさじゃ……やっぱこっちか、行くぞ阿弥陀丸!」
阿弥陀丸『応ッ!!』
葉「阿弥陀丸イン春雨!イン!フツノミタマノツルギ!」
葉「スピリット・オブ・ソード!!」
さやか「うわっ!でっかい刀!」
葉「あれ、さやかも見えるようになったんか?」
さやか「何ていうか、クチヨセしてもらってから見えるようになっちゃって……」
葉「ん、じゃあオイラ達も行くか!」
さやか「了解っと!」
杏子「あたしは本体を叩く!さやか!使い魔は任せた!」
さやか「分かった!って……この使い魔、まるで……!」
杏子「食らえっ!!」
ガキィン!!
魔女「キャハハハハハハッ」
杏子「……嘘だろって、全力で仕掛けたんだぞ?」
葉「はっ!!」
キィン!
葉(固え……やっぱ白鵠の密度までいかねえとダメか……!)
葉・杏子・さやか「!!」
さやかが魔女化したときとは比べものにならないレベルの爆撃がワルプルギスの夜に直撃する。
それは近代兵器を極限にまで利用したほむらによる連続攻撃。
ほむら「爆発が途切れたら遠距離から撃って!」
マミ「様子見なんてことはしない……ティロ・フィナーレ!」
葉「阿弥陀流!真空仏陀斬り!!」
マミ「そんな……無傷だなんて!」
葉「もっと畳み掛けねえとダメか」
ほむら「怯まないで!休まずに仕掛け続けて!!」
杏子「っていっても、これ効いてる気がしないぞ!」
さやか「右に同じ……どこか弱点とかないの!?」
魔女「キャハハハハハ八!!」
マミ「に、逃げて二人とも!攻撃が来るわ!」
杏子「しまっ……!」
葉「スピリット・オブ・ソード!白鵠!!」
ほむら「!」
葉「阿弥陀流!無無明亦無!!」
マミ(ワルプルギスの夜の攻撃が……打ち消された……!?)
さやか「ありがとう!」
葉「それよか、また来るぞ!気を付けろ!」
杏子「おっと……!」
葉(無無明亦無……あの魔女の本体も削れれば……!)
葉「阿弥陀流!無無明亦無!!」
ガキィン!
葉「!」
葉(通らねえ……ってことは、コイツはオイラが打ち消せる以上の強さを持ってるってことか……!)
葉「……ふんばりどころだな、ここは」
ほむら「はあっ……はあっ……!」
杏子「くっそ……攻撃の一発もデカいし、固すぎだろ……!」
マミ「どこを攻撃しても……まるで通用しないなんて……」
さやか「こんなの、一体どうしろってのよ……」
葉「……大丈夫だ」
ほむら「えっ」
葉「なんとかなる」
葉「根拠なんかねえさ、けど……あいつ、実はもうへばってるかもしれねえぞ」
マミ「あれだけ笑い声をあげてるのに……?」
葉「おお、痛ぇのに無理してるのかもしれん」
さやか「いやー、それはないな……」
葉「何にしても、ここで休んじまったら元も子もねえ……何とかなる」
ほむら「…………」
ほむら(そう、この言葉……何とかなる。今までも何度か聞いていたけれど……)
ほむら(彼が言えば、本当に何とかなりそうな気になってくる……)
ほむら「大丈夫……まだ、戦える……!」
キュゥべえ「終わりだね、よく粘っていると言いたいところだけれど……戦力差は明らかだ」
まどか「そんな……ほむらちゃん……みんな……!」
キュゥべえ「もう僕は君に無理やり契約を進めたりはしないよ」
キュゥべえ「でも、必死に戦っている彼女たちを見て何か考えが変わったら」
キュゥべえ「僕はいつでも君と契約をしてあげられるよ」
まどか「…………!!」
葉「ぐっ!!」
阿弥陀丸『葉殿!!』
葉「ああ、大丈夫だ……」
阿弥陀丸『むぅ……葉王のスピリット・オブ・ファイアも大概でござったが……』
阿弥陀丸『こやつはそれに勝るとも劣らぬでござるな』
葉「ああ、すげえ密度だ……攻撃が全然通ってねえ」
葉「このままやりあってたんじゃ最後はオイラの巫力が切れちまいそうだ」
阿弥陀丸『活路はあるのでござるか……?』
葉「正直まだわからん、とりあえず……特別にここが弱点、みてえな場所はなさそうだ」
さやか「ぐっ……!」
マミ「うあ……!」
ほむら「くっ………!!」
・・・
まどか「…………」
まどか(みんな押されてる……このままじゃみんなが死んじゃう……!)
キュゥべえ「どうかしたかい、まどか?」
まどか「キュゥべえ……私……」
ほむら(そんな……足が、動かない……!!)
葉「無理すんな、動けねえなら……あとはオイラがやる」
ほむら「ダメよ、あなた一人だけで勝てるわけが……!」
葉「なんとかなる」
杏子「もう……気合や精神論の問題じゃねえ、一人でまともにやりあって勝ち目なんか……」
葉「ごまかしで言ってるわけじゃねえんだ、オイラは本気でなんとかなると思ってるんよ」
マミ「ど、どうして……!」
さやか「こんな……ボロボロにされてるのに……?」
ほむら「ま、まどか……?」
さやか「なんでこんなところに……ここは危ないから早く……」
まどか「みんな……ごめんね」
まどか「私、魔法少女になる」
ほむら「えっ……!?」
葉「…………」
まどか「……やるしかないんだよ、ほむらちゃん」
ほむら「そんな……それじゃあ私は……何のために……!」
まどか「ありがとうほむらちゃん、でも……またすぐに会えるよ」
まどか「必ず、なんとかなる」
葉「!」
キュゥべえ「いいんだね、まどか」
まどか「うん、大丈夫だよ」
まどか「私の願いは……」
ほむら「葉!止めさせて!お願い!」
葉「オイラは……まどかを信じる」
まどか「私の願いは……『過去と未来全ての魔女を生まれる前に消し去りたい』」
キュゥべえ「!」
まどか「さあ、叶えてキュゥべえ!」
キュゥべえ「そんな……それは因果律そのものを改変する神にも等しい願いだ」
キュゥべえ「鹿目まどか、君はまさか本当の神になるつもりなのかい!」
インキュベーターの驚愕の声が響くも、まどかの願いは叶うこととなる。
神にも等しい強さとなった鹿目まどかは、自らの弓を引き絞り……ワルプルギスの夜へと撃ち放った。
一撃―――あれだけ暁美ほむらたちを苦しめたワルプルギスの夜は、ただの一撃で撃滅した。
鹿目まどかは安堵した、同時に魔力を使いすぎたことで自らのソウルジェムも黒く染まっていく。
それでも彼女は安心していた。
自らの願いの効果で仮に自分が魔女になったとしても消滅すると確信していたから。
そう、これですべてが終わるはずだった。
キュゥべえ「残念だったね、まどか」
キュゥべえ「全く驚いたよ、因果律さえも超越した願いをしてそれを叶えてしまうんだからね」
キュゥべえ「しかも自分が魔女になっても、即座に消滅するような願いにしているとは……恐れ入ったよ」
キュゥべえ「それでも……君の背負った因果律は莫大すぎた」
まどか「…………」
キュゥべえ「君は魔女になった後、消滅することはない」
まどか「!」
キュゥべえ「そして今現在、世界に存在する魔法少女たちのこともね」
キュゥべえ「でも、君が救ったこの世界を破壊するのもどうやら君自身になりそうだ」
キュゥべえ「全てを救おうとするなんて無茶が過ぎたようだね、鹿目まどか」
まどか「…………」
まどか「……なんとかなる」
キュゥべえ「……?」
まどか「私たちはまだ、負けてないよ……まだ、この後を任せられる仲間がいるから」
ほむらちゃん、葉さん、みんな……お願い
――――私を、止めて
魔女「――――!」
キュゥべえ「すごいね、これがまどかが魔女になった姿か」
ほむら「あ……あ……!!」
杏子「嘘だろ……こんな……!」
さやか「まどか……まどかぁ!」
マミ「どうすれば……こんなの……!」
ほむら「…………!」
葉「頼むぞ!アンナ!」
アンナ「……コイツとんでもないわよ、そう長くは縛っておけないわね」
葉「それでも、頼む」
アンナ「……葉、必ず何とかしなさいよ」
葉「後はこのまどかだけを止められれば全員救えるだろ、過去も未来の魔法少女も」
葉「まさに、あとひとふんばりじゃねえか」
さやか「そうだけど……けど……!」
マミ「ワルプルギスの夜を一撃で吹き飛ばす鹿目さんの魔女なんて……」
杏子「諦めたくねえけど……もう、どうしようも……!」
ほむら「え……?」
「フン、貴様のような頭のねじの足りない能天気バカとは違うのだろう」
「何だとテメー!もう一回言ってみろ!」
さやか「こ、この人たち……って……?」
「なんでお前らはこういう状況でも喧嘩すんのかねェ」
杏子「誰なんだ……一体……!」
「何とかなる、そうやって葉くんから教わらなかったかい?」
マミ「…………!」
ホロホロ「何だよ葉!お前もボロボロじゃねーか!」
リゼルグ「久しぶり!って言うほど久しぶりじゃあないかな」
チョコラブ「俺は嬉しいけどな、裁判始まって刑務所へ入る前にもう一回会えて」
蓮「で、どういう状況だこれは……時間もないだろう、端的に説明しろ」
ほむら「…………!」
ほむら(彼らも……全員……シャーマン?)
リゼルグ「なるほど、それで今はこの最悪の魔女をアンナさんが抑えていると」
葉「オイラ達がワルプルギスってのと戦ってる間中、ずっと仕込んでた1080を呪縛結界だ」
葉「そう簡単には破られねえが……そこまで長くも持たねえらしい」
チョコラブ「じゃ、さっさとやらなきゃダメってわけだな」
ホロホロ「しっかしアレだ、これだけデカいと逆に当てやすくていいぜ!」
蓮「馬鹿か貴様、この魔女とやらはあの魔法少女の片割れの変身したものだ」
蓮「派手な技を放ってまるごと消滅させでもしたらどうする、馬鹿」
ホロホロ「テッメ!今、二回も馬鹿って言いやがったな!」
マミ「…………」
さやか「……大丈夫なの、ホントに?」
リゼルグ「そうだね、僕もそれが一番いいと思っていたよ」
チョコラブ「確かに、俺のオーバーソウルじゃちょっと相性がよくなさそうだ」
ホロホロ「俺は……基本的に氷しかねえから、今回はちょっと分野が違うか」
ホロホロ「オイ蓮!お前も基本、雷なんだから今回の所は……」
蓮「武神魚翅!」
ホロホロ「は……?」
蓮「九天応元雷声普化天尊!!」
魔女「――――」
蓮「…………」
蓮「……フン、やむを得んな」
ホロホロ「お前さっき俺に派手な技使うなっつったよな!どんだけ目立ちたいんだクソトンガリ!」
杏子「…………これは」
ほむら「……ダメかもしれないわね、色々と」
葉「倒すんじゃねえさ、元のまどかの魂の形に戻さねえと」
キュゥべえ「不可能だね、あの魔女は『救済』の魔女」
キュゥべえ「あの魔女を倒したくば、世界中の不幸を取り除く以外に方法は無いよ」
葉「え…………?」
蓮「……まさか」
リゼルグ「こんなことが……?」
チョコラブ「ちょっと出来すぎじゃねえか?」
ホロホロ「ああ、まったく嫌になるぜ」
キュゥべえ「…………?」
葉「世界中の不幸を取り除く……?」
葉「何だ、世界中のみんなが楽に暮らせる世界を作りてえっていうオイラの目標と同じだな」
ホロホロ「ここまで打ってつけの人材がいるかってんだ」
チョコラブ「この戦いが終わったら俺の考えた最新爆笑ギャグを披露するからな」
リゼルグ「はは、チョコラブ君のギャグが爆笑だなんて面白い冗談だね」
葉「お前らも手伝ってくれ!」
さやか「……ほむら、動ける?」
ほむら「なんとか、ね」
杏子「……あたしは大丈夫だ、一人で歩けるよ」
マミ「そう……それならいいけれど」
葉「すまんアンナ!あとちょい堪えてくれ!」
ホロホロ「ははっ!葉の奴、アンナに怒られてやがんの!」
蓮「小学生か貴さ」
チョコラブ「小学生かよっ!」
蓮「…………」プルプル
チョコラブ「秘技第三者ツッコみ!捻りも角度もパワーアップしてるだろ?」
リゼルグ「チョコラブ君、あとで血の海に沈まないように気を付けてね」
葉「よしっ……と、じゃあみんなこれでほんとに最後だ」
杏子「これでもしダメだったら……お終いだな、ホントに」
さやか「縁起でもないこと言うなっての」
マミ「私たちで力になれるなら……!」
葉「おお、いいぞ」
ほむら「どうして、あなたはそんなに私たちを助けてくれたの?」
葉「どうしてって……決まってるだろ」
ほむら「…………?」
友達だから、助けるんだろ?
葉「おし……じゃあみんな、最後のひとふんばりだ!」
葉「行くぞ!阿弥陀流!!」
――――『無無明亦無』!!
まどか「…………」
まどか「んっ……!」
葉「よっ」
まどか「葉さん……ありがとう、ちゃんと止めてくれて」
葉「オイラは大したことしてねえさ、例だったらほむらたちに言っといたほうがいいぞ」
ほむら「まどか……!」
まどか「ありがとう、ほむらちゃん……!」
ホロホロ「まあいいんじゃねえか?泣かないおっかねー女よりは泣く可愛い女のほうが」
リゼルグ「ホロホロ君、後ろうしろ」
ホロホロ「あん、後ろ?」
アンナ「…………」
ホロホロ「いや待てよ!今のはアンナのことを言ったわけじゃ……」
パーンッッッ!!
蓮「チョコラブ……貴様もだ」
チョコラブ「え?」
サクッ
チョコラブ「ギャー!?は、鼻が!?マジで刺しやがったコイツ!!」
アンナ「そうね、最後はだいぶ手間取ってたけど」
葉「ウェッヘッヘ、まあそういうなよ」
アンナ「でも、これでとりあえずはあんたの馬鹿兄貴の無茶振りも終わったわね」
葉「ひでえよなあ、いきなり」
『世界をよくするんだろう?じゃあ、まずは日本にいる魔法少女たちを救ってみせろ』
葉「……だもんな」
アンナ「まあ、それでも思ったよりは楽しめたわね」
葉「だな」
アンナ「…………」
アンナ「……カッコよかったわよ、葉」
マミ「えっ……もうここから……?」
葉「元々は体験入学って名目で入ってきてたからな」
杏子「じゃあ……もう行っちまうってことか」
葉「おお、今までありがとうなみんな」
さやか「あの……ホントに色々と迷惑かけちゃって……」
アンナ「ホントにいろいろ迷惑かけてくれたわね、あんた」
アンナ「いい女でありたいなら、あの時にあたしが言ったこと、忘れるんじゃないわよ」
ほむら「……ありがとう、私からはそうとしか言えないわ」
まどか「本当に……最後まで助けてくれて……!」
まどか「…………?」
葉「世界中のみんなが楽に暮らせてる世界になってるよう、オイラも楽しながら頑張るからな」
まどか「あはは……私も、また会える日を待ってます」
さやか「最後に……ホントにありがとう、あたしを助けてくれて」
マミ「もう少し、あなたたちとは触れ合いたかったけれど……またいつでも見滝原に来てね」
杏子「父親と話させてくれてありがとうな、それと……なんていうか楽しかった!」
ほむら「……さよならとは言わないわ。また、必ず会いましょう」
葉「おお、またな!」
アンナ「…………クスッ」
『まあ……最後は僕がアイツの所へ五人の戦士を向かわせなければお終いだったかもしれないけれどね』
『でも、一応合格点にはしておくよ』
『次に僕が地上に転生するまでには、今よりもっとましな世界になってるよう祈るよ』
葉「さーて、とりあえずこの後はどうするかな」
アンナ「どうもこうも、帰るんでしょ。ふんばり温泉に」
葉「ふんばり温泉に帰ってからは……んー、何も思いつかねえや」
アンナ「あら、修行でもしたいのかしら?」
葉「きょ、今日だけは勘弁……!」
アンナ「じゃあもう今日は早く寝ることね、疲れてるんだろうし」
葉「んー……そうだな、今日はいろいろと疲れたし……帰って風呂入ったら、とりあえず……」
葉「寝るぞーっ!!」
アンナ「……あたしも、一緒にね」
(未)完
(未)完なのはアフター的な何か書こうかと思ったけど、眠くてやっぱ無理だったみたいな。
一応切りも良かったからここまででとりあえず、勘弁してください。
というわけでもう寝ます。
乙
すげぇ面白かったぜ
Entry ⇒ 2012.06.11 | Category ⇒ まどかマギカSS | Comments (0) | Trackbacks (0)
岡部「本音なのかツンデレなのか分からなくて辛い……」
紅莉栖「常時脳内厨二病パンデミックに言われたくないわ! A10神経が過剰刺激されてるんじゃないの?!」
岡部「なんだと?!」
紅莉栖「なによ!?」
岡部&紅莉栖「「ぐぬぬぬぬ……」」
岡部&紅莉栖「「ふんっ!」」
岡部「ああ、どこにでも行ってこい! 途中でスイーツ脳()でも発症して身悶えるがいい!」
紅莉栖「DTこじらせて氏ね!」
バタンッ
岡部「……」
岡部「……」
岡部「……はぁ」
鈴羽「んもー。父さんってば容赦ないんだから」
ダル「筐体の格ゲーで僕に挑もうなんて10年早いのだぜ」
鈴羽「んー。10年は軽く経ってるはずなんだけどなぁ」
ダル「いや、まぁ言葉のあやで……って、オカリンどしたん?」
鈴羽「なんか思いっきり消沈してるね」
岡部「いや……」
鈴羽「んー?」
岡部「お前は未来では、俺と助手が、その……いい仲だと言っていたが」
鈴羽「うん。錫婚式過ぎても全然変わってないね」
岡部「……お前が来たことで、未来が変わったのではないか?」
鈴羽「え?」
岡部「いや、お前が直接関わった所為ではなく、バタフライ効果の影響というか……」
鈴羽「どうしてそう思うの?」
岡部「……今までの助手を省みても、とてもそんな未来になるとは思えんのだ」
ダル「そう?」
岡部「ぬぁ、ダルまでなにを」
ダル「だってなぁ……どう考えても、そのうちめでたくゴールインしか見えないっしょ。リア充爆発しろ」
鈴羽「父さんも、母さんがいるくせになに言ってんのさ」
ダル「フヒヒwwwww」
岡部「しかし……口を開けば罵りあいの口喧嘩だぞ? とてもそうなるようには……」
鈴羽「ああ、それは未来でも変わってないよ」
岡部「なぬ」
岡部「そう……なのか?」
鈴羽「うん。もうみんなも鬱積するより、微笑ましく見守ってる感じだし」
岡部「む、む……」
鈴羽「父さんも『リア充結婚しろ! いやしてた! 溶けろ!』とか言ってるし」
ダル「さすが僕」
岡部「お前はそれでいいのか」
ダル「だって僕だし」
鈴羽「んー……あ、じゃあこれ貸してあげよっか」
岡部「ん?」
鈴羽「じゃーん! 新しい未来ガジェット!」
岡部「なに?!」
鈴羽「……といっても、岡部倫太郎と、牧瀬紅莉栖、そして父さんの合作だけどね」
岡部「これは……コンタクトレンズか?」
鈴羽「使い方は同じ。えーと……未来ガジェット79号、『それなんてエロゲ?』……だったかな」
ダル「命名は間違いなく僕っしょ?」
鈴羽「あたり」
ダル「だろうね」
鈴羽「うん。これは統計心理学の恒常刺激法を軸に発展させたものでね、それに表情筋の運動による神経活動の推移や……」
岡部「まて! そんな原理を説明されても俺にはさっぱりわからん」
鈴羽「えー? 元々これの機序は岡部倫太郎が考えたのに」
岡部「なん……だと……?」
岡部「顔色窺いは大人のたしなみ(カラーリングジェントルマン)だ」
鈴羽「そうそう。それに牧瀬紅莉栖が補足して出来た案なんだって」
ダル「オカリンって、真面目に勉強すればそれなりにどの分野でも極めるからなぁ」
鈴羽「そう。多岐な分野に精通してて頭脳明晰、そりゃあ未来じゃすごいんだよ?」
岡部「ふ、ふん! 狂気のマッドサイエンティストたるもの、知識の探求に余念が無いのは当然だ!」
鈴羽「……だから、牧瀬紅莉栖も苦労してるんだけどねぇ」
岡部「どういうことだ?」
鈴羽「んー、なんでもないよ」
岡部「む、ん……これでいいのか?」
鈴羽「うん。それで、3秒間目を瞑ってからこっちを見て」
岡部「んっ……」ギュッ
岡部「これでいい……」
【lllllllllllllll|lllllllllll 】ギュゥゥン
岡部「うおっ?!」
岡部「な、なにかメーターのようなものが右下に……」
鈴羽「そ。それが、相手が自分をどう思っているかの愛情値といったところかな」
岡部「なに?」
鈴羽「要は、相手が自分に対して好感情をどれだけ向けているかが、これで分かるってこと」
鈴羽「ちなみに、白は同性からの信頼。黄色は異性からの親愛。赤は異性からの恋慕だから」
岡部「そ、そうか」
岡部「(鈴羽は……黄色か。これは高いのか低いのか……)」
ダル「なんぞ?」
【lllllllllllllll|lllll 】ピッ
岡部「ふむ……さすが我が右腕。それなりの忠誠心はあるということか」
ダル「っつーか腐れ縁的な意味っしょ。付き合い長いと、いやでも気の置けない感じになるし」
岡部「ふむん……まぁいい。これからもラボのために尽力するように」
ダル「オーキードーキー」
鈴羽「にひひ。嬉しそうだね岡部倫太郎」
岡部「う、うるさい!」
岡部「あ、ああ……し、しかし、その……」
鈴羽「大丈夫だって! いい結果になることは保障してあげるから」
岡部「そ、そうか……お前がそこまで言うのなら」
鈴羽「はいはいごちそうさま。健闘を祈るよ!」
ダル「オカリン、骨は拾ってやるぜ」
岡部「そこ、不吉なことをいうな!」
岡部「……っ、行って来る!」
バタンッ
ダル「鈴羽……未来でも苦労してるん?」
鈴羽「あはは……もう慣れっこだよ」
ダル「全俺が泣いた」
岡部「しかし、出てきたはいいものの、一体どこにいるのやら……」
まゆり「あー、オカリン!」
岡部「ふむ、まゆりか。ルカ子とデートか?」
まゆり「えへへー。一緒にお洋服買いに来たのです」
ルカ子「こ、こんにちはおか……きょ、凶真さん!」
岡部「うむ」
岡部「(む、まゆりのゲージは……)」
【lllllllllllllll|llllllllllllll 】ピッ
岡部「(これは……黄色よりも橙に寄っているということは……)」
岡部「(……すまない、まゆり)」
岡部「(……俺は、紅莉栖を選んだ)」
岡部「いや、なんでもない。それより、クリスティーナの行き先を知らないか?」
まゆり「クリスちゃんならね、さっきファミマに入っていくところをみたのです」
岡部「そうか。ありがとう」
まゆり「あのねオカリン。あんまりクリスちゃんと喧嘩したら駄目なんだよ?」
岡部「……わかった。善処しよう」
まゆり「うん。それじゃあねー」
ルカ子「さようなら凶真さん」
岡部「ああ」
岡部「(しかし……)」
【lllllllllllllll|lllllllllllll. 】ピッ
岡部「(何故ルカ子まで橙なのだ?!)」
岡部「ん? フェイリス……なんだ、指圧師も一緒か」
フェイリス「今度、メイクイーンの取材に来てくれることになったニャ」
萌郁「秋葉の……メイド喫茶特集で……」
岡部「ふむん、なんだか今更感の漂う企画だが……」
フェイリス「そこを狙っての記事だニャン。メイド産業の飽和状態な今、メイクイーンが見事盛り返してやるのニャ!」
萌郁『フェイリスさんって、経営手腕に関してもすごいセンス持ってるんだよね。結構いい記事に成りそうだよ☆』
岡部「そうか。まあ頑張るがいい」
岡部「(この二人は……)」
【lllllllllllllll|lllllll 】
【lllllllllllllll|lllll 】ピッ
岡部「(黄色か。しかし、思っていたより数値が高いな……)」
フェイリス「どうしたんだニャ凶真。……はっ、もしや、古のオーディンの片目を宿した宿敵がいざ参らんと凶真のもとh」
岡部「あーそうだー今日は急ぎの用事があるんだったーそれじゃあなー二人ともー」
フェイリス「あー! まだ話が終わってないニャン!」
萌郁「……逃げた」
天王寺「おっ、岡部じゃねぇか」
岡部「ひっ?! み、ミスターブラウン?!」
天王寺「なんて声あげやがる、情けねぇな」
岡部「ど、どうしてこのようなところに……」
岡部「い、いや、そういうわけじゃ……」
天王寺「さぁ綯、こんな馬鹿は放っておいてお菓子でも買おうな」
綯「ほんとっ?! わーい!」
岡部「(……ん? 白色のゲージが……)」
【lllllllllllllll|lllllllll 】
【llllllll | 】ピッ
岡部「(小動物は……まぁ、致し方ないか)」
天王寺「ぁん? なに見てんだよ岡部」
岡部「い、いや、なんでもないです!」
天王寺「ほら綯、カゴちゃんと持てるか?」
綯「うん! あ、オカリンおじさん、さようならー」
天王寺「ちゃんと挨拶できたなー! えらいぞ綯!」
綯「えへへー」
岡部「……ふっ」
岡部「……む、さっき角を曲がったのは」
岡部「おーい、助手よ!」
紅莉栖「だから助手というなといっとろーが!」
岡部「ふん、細かいところを気にするなクリスティーナ!」
紅莉栖「うっさい! 一々からかいにきたのなら帰れ!」
岡部「(……さて……)」
【lllllllllllllll|lllllllllllllll】llllllllllllllll ピピピピピピ
岡部「むぉぅ?!」
岡部「(あ、赤! 紅い! 紅いゲージが目の前で点滅して)」
岡部「(というかなんだこのメーター振り切っている値は?!)」
岡部「(これは故障か?! バグか?! それとも……)」
岡部「(いやまさか、助手に限ってこんな……)」
紅莉栖「ちょっと、あんたほんとに大丈夫?」
【lllllllllllllll|lllllllllllllll】llllllllllllllllllllllllllllllllllllllll ピピピピピピ
岡部「ぬおおおお?!」
紅莉栖「ひゃっ、お、岡部?!」
紅莉栖「待てって、あんた苦しそうなのにどうすれば」
岡部「違う! い、いったん近づくのをやめろ!」
紅莉栖「え、そ、そんな、近寄るなって、そんな……」
【lllllllllllllll|lllllllllllllll】llllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllll ピピピビビビ
岡部「ふぬううぅ?!」
紅莉栖「お、岡部、その、私、どうしたら……」オロオロ
岡部「し、心配するな。危機は過ぎ去った……」
紅莉栖「で、でも……」
岡部「いいから。……ちょっと、座りたい。……誘導してくれないか?」
紅莉栖「う、うん……ベンチでいい?」
岡部「かまわん……ふぅ……」
岡部「(……とりあえず、これでクリスティーナの本意は知れた。……予想以上だったが)」
岡部「(さて、これでどうするか……このまま知らぬ存ぜぬで通すか、それとも……)」
岡部「(例えこれで幻滅されようと……、俺が選択した結果である以上は)」
紅莉栖「あの……岡部?」
岡部「大丈夫だ。もうなんともない」
紅莉栖「そう……」
岡部「紅莉栖」
紅莉栖「ふぇっ?! だ、だから急に名前で……」
岡部「お前に一つ、告白しなければならない」
紅莉栖「こ、告白て、こんな白昼ど真ん中でそんな……わ、私はべつにいいけど……」
岡部「? なにをにやにやしている」
紅莉栖「し、しとらんわ!」
岡部「……まぁ、いい。告白というのはだ……」
岡部「……と、いうことだ」
紅莉栖「……」
紅莉栖「……」
紅莉栖「……は」
岡部「は?」
紅莉栖「はああぁぁぁぁあぁ?! ちょっ、なに勝手なことしてくれてんだこの馬鹿岡部!!」
岡部「ぬおっ!?」
岡部「だ、だから悪かったといっている! 今回は……お前を信じきれなかった、俺のせいだ」
紅莉栖「あ、当たり前だろ!」
岡部「すまない……」
紅莉栖「……そんなにしょげるな。なにも言えなくなるだろ」
岡部「本当にすまない……」
紅莉栖「……外して」
岡部「ん?」
紅莉栖「だから、その、未来ガジェット? 外してといっている」
岡部「あ、ああ……」
紅莉栖「ん。それ、こっちに渡して」
岡部「ん……」
紅莉栖「まったく、ほんとにあんたは、いつまでたっても朴念仁なんだな」
岡部「む……いい加減、自覚はしている」
紅莉栖「してるなら直せよ……ったく」
岡部「うおっ!?」
紅莉栖「岡部。こっちを見ろ」
岡部「な、なにを」
紅莉栖「目を開けて、私の目をちゃんと見ろ」
岡部「ぐ……」
紅莉栖「……信じられなくなったら、ちゃんと私の目を見なさい。……これでも、あんたは私の気持ちを疑う?」
岡部「……紅莉栖」
紅莉栖「べ、別にあんたのことなんか、そんな気にもしてないけど?! 一々突っかかられちゃこっちも迷惑だし?!」
岡部「紅莉栖……」ギュッ
紅莉栖「ふわぁっ?!」
紅莉栖「わ、分かれば、いいのよ……」
岡部「紅莉栖……好きだ」
紅莉栖「ふぇっ?!」
岡部「好きだ、紅莉栖。俺は、お前が好きだ」
紅莉栖「あの、その、ちょっと、えっと、あの」
紅莉栖「あうあうあうあう……」
岡部「……お前は、今でも俺を好きでいてくれるのか?」
紅莉栖「……」
紅莉栖「……卑屈な言い方、すんな」
紅莉栖「私だって……全力で、あ、あんたが……好き、なんだから」
岡部「紅莉栖……」
紅莉栖「ええそうよ悪い?! 夢見がちなスイーツ脳で脳内お花畑な乙女回路だけど!」
紅莉栖「そんなんでも……あんたが好きなの!」
紅莉栖「……しかた、ないじゃない……」
紅莉栖「お礼なんか……言うな」
岡部「紅莉栖……」ギュッ
紅莉栖「んっ……」ギュゥ
岡部「フゥーハハハ! 今日も混沌から呼び覚まれし、恐怖の思想に則った未来ガジェットを生み出すのだ!」
紅莉栖「はいはい、厨二乙」
ダル「もう何度目だよこのやりとり」
まゆり「でもねぇ、まゆしぃは二人が仲良しさんなのが一番なのです」
岡部「そこ! 仲良しとか言うな!」
紅莉栖「そうよ! 一々この馬鹿が喚き散らして……」
岡部「う……」
紅莉栖「それは……」
岡部「……」
紅莉栖「……」
まゆり「ね?」
鈴羽「……ほらね、言ったとおりっしょ?」
ダル「まったくだお……」
ダル「リア充結婚しろ!!」
_ iii
/ jjjj l l
/ タ _ /タj
,/ ノ σ λ / / / 意在言外のツンデレカップル
`、 `ヽ. ~~~~ , ‐'` ノ <
\ `ヽ( ´・ω・)" . / \ お わ り
`、ヽ. ``Y" r '
i. 、 ¥ ノ
`、.` -‐´;`ー イ
色んな世界線のいいとこどりなので「?」な部分もあると思いますが、ご愛嬌ということで。
また機会がありましたら、よろしくお願いいたします。
先日、ダブルパックをクリアしまして、まゆしぃええ子や……
紅莉栖「……」
紅莉栖「……借りてきてしまった……」
紅莉栖「阿万音さんから、いいからって押し付けられたけど……」
紅莉栖「あれだけ大口切ったのに、そんな自分がつけることになるなんて……」
紅莉栖「……ま私も少しは気になるって言うか……っていうか実践してみたいっていうか……」
紅莉栖「べ、別にあいつが私のことをどうかんがえてるかなんてどうでもいいんだけど?!」
紅莉栖「ああもう、ここで腐ってても仕方ない! ちゃっちゃと済ますわよ!」
紅莉栖「今の時間だとラボにいるのは岡部ぐらいだし……好都合ね」
紅莉栖「これを装着すればいいのよね……」
紅莉栖「……岡部がつけたものを、私が……」
紅莉栖「……」
紅莉栖「……岡部」テレテレ
紅莉栖「……はっ、HENTAIか私は?!」
紅莉栖「それじゃ、こっそりドアを開けて……」
キィ……
岡部「……ああ、問題ない。機関からの刺客は全て葬り去ってやったさ」
紅莉栖「(厨二電話の真っ最中……今がチャンスね)」
紅莉栖「(……ど、どんな結果かしら……ま、まさかメーター一杯に表示されるとか……)」
紅莉栖「(な、ないない! あんな朴念仁が、そんなに私のことを考えてくれるなんて……)」
紅莉栖「(……)」
紅莉栖「(……)」グスッ
紅莉栖「(実証されれば仮定は無意味である……あいつじゃないけど、やらなきゃ進まないし)」
紅莉栖「(目を瞑って……)」ギュッ
紅莉栖「(さぁ……どうだ?!)」
【 | 】ピッ
紅莉栖「(……え?)」
紅莉栖「(故障はしていなかったし、これって……)」
紅莉栖「(岡部は、ほんとに私のこと……)」
紅莉栖「(…………)」
紅莉栖「(……はは、そうよね。私ったら、一人で盛り上がって、馬鹿みたい……)」
紅莉栖「(寧ろ、HENTAI的思考に汚染されて無いだけマシというか、なんというか……)」
紅莉栖「(……)」
紅莉栖「(……)」
紅莉栖「(……)」グスッ
紅莉栖「(今一緒にいるだけで、救われてるはずなのに……)」
紅莉栖「(なんだか……苦しいよ、岡部……)」
紅莉栖「(自分の所為なのに……切ないよ、岡部ぇ……)」
紅莉栖「ヒグッ……グスッ……」
岡部「ん? なんだ助手、いつのまに……っ?!」
紅莉栖「お、か……べ……」
岡部「そんな入口で泣きはらして……何があった?!」
紅莉栖「わ、わた、わたし……」
【lllllllllllllll|lllllllllllllll】llllllllllllllll ピピピッ
紅莉栖「ふえぇっ?!」
紅莉栖「え、あの、その、そんな」
紅莉栖「(……! そうか、これは、相手がこちらに意識を向けることで、初めて機能するガジェット……)」
紅莉栖「(表情も動きも読み取れず、声調まで変わらない状態で機能するはずが無かったんだ……)」
紅莉栖「(……と、いうことは……)」
紅莉栖「(これが、岡部の本当の気持ち……)」
岡部「お?」
紅莉栖「……おかべえぇぇ!!」ギュッ
岡部「なっ?! お、おいクリスティーナ?!」
紅莉栖「う゛っ……よがった……よがったよぉ……」
岡部「……紅莉栖……」ナデナデ
紅莉栖「ううう……おがべぇ……」スリスリ
岡部「俺は、ずっとお前の傍にいる」
紅莉栖「うん……うん……っ!」
岡部「だから……安心して泣き止め。俺は……泣き顔より、笑顔が見たい」
紅莉栖「うええぇぇ……笑顔がみだい(キリィ……」
岡部「おま……泣いてるときぐらい煽りは止めろ」
紅莉栖「うう……ぐすっ」
岡部「まったく……」ギュゥ
紅莉栖「おかべぇ……」ギュゥ
は卑怯だろ・・・
岡部「……で、人にご高説賜っておきながら、自分もやらざるをえなかった、と」
紅莉栖「……むしゃくしゃしてやった。今は反省している」
岡部「……まったく、これでは俺も怒るに怒れんではないか」
紅莉栖「その……ほんとにごめん」
岡部「もういい。元々の発端は俺にあるのだからな」ギュゥ
紅莉栖「ふえぇっ?!」
紅莉栖「なっ、そんなキザな台詞……岡部の癖になまいきだ!」
岡部「ふん、なんとでも言え。一度吹っ切れてしまえば、しばらくはどうということもない!」
紅莉栖「……ヤケクソ乙」
岡部「言っただろう、なんとでも言え、と」ギュッ
紅莉栖「ふわっ……」
岡部「……今日は、満足するまでこうしてやる」
紅莉栖「み、みんながきちゃうだろ?!」
岡部「まゆりはバイト。ダルはイベントだ。まだ時間はある」
紅莉栖「そ、そう……それなら……」
岡部「ん?」
紅莉栖「少し……下向いて」
岡部「どうして」
紅莉栖「……言わせんな恥ずかしい」
岡部「フハハ……こうか?」
紅莉栖「ん……」
岡部「なんだ?」
紅莉栖「……あ、あんたより、私のほうが……好きなんだから……」
岡部「……そっくりそのまま、返してやる」
紅莉栖「もう……」
紅莉栖「……ありがと」
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/ タ _ /タj
,/ ノ σ λ / / / 今度こそ
`、 `ヽ. ~~~~ , ‐'` ノ <
\ `ヽ( `・ω・)" . / \ お わ り
`、ヽ. ``Y" r '
i. 、 ¥ ノ
`、.` -‐´;`ー イ
いつも支援などありがとうございます。
今度こそおしまいということで……
またいつか、機会がありましたら何卒よろしくお願いいたします。
>>147
オカまゆいいね。
何れ書きたいね。
一夫二妻も見たいね。
にしてもそのAA可愛いな
助手可愛いよ助手。
くりくりくりくり
Entry ⇒ 2012.06.11 | Category ⇒ シュタインズゲートSS | Comments (0) | Trackbacks (0)
響「新作ゲームの東京ジャングルを買ってきたぞー!」
響「ん? 最初はポメラニアンかニホンジカしか選べないのか」
響「可愛いし、ポメラニアンでやってみるさー!」
響「おお! 周りが動物だらけだぞ!」
響「手近な所にうさぎがいるし、早速、狩ってみるさ! いけ! ポメ夫!」
響「……って、同じようにうさぎを狙ってたビーグルも来たさ!」
響「ああ! あー……死んだ」
響「ん? 最初はポメラニアンかニホンジカしか選べないのか」
響「可愛いし、ポメラニアンでやってみるさー!」
響「おお! 周りが動物だらけだぞ!」
響「手近な所にうさぎがいるし、早速、狩ってみるさ! いけ! ポメ夫!」
響「……って、同じようにうさぎを狙ってたビーグルも来たさ!」
響「ああ! あー……死んだ」
響「次は、ニホンジカでやってみるさ」
響「シカ太は草を食うんだったな、お花があるから食べてみるさー」
響「おっ、チャレンジってのが出た、草を食べろ?」
響「とりあえず、探してみてー……あった!」
響「ムシャ、ムシャ、ムシャと、完食さー!」
響「チャレンジ達成して、ステータスがあがった!」
響「次のチャレンジが出たから、早速やってみるさー!」
響「お次は、ベテランランクにあげろ?」
響「草を食べまくってたらランクがあがったさ!」
響「渋谷前駅を縄張り? 渋谷前駅ってどこさ」
響「スタートボタンでマップを見てっと……ああ、この開始地点のことか!」
響「マップのマーキングポイントを全部マーキングして、縄張りにしたさー!」
響「サゲメスしかいなかったぞ……まぁ、仕方がないさー」
響「パンパンタイムさ」
ry、
/ / }
_/ノ.. /、
/ < }
ry、 {k_ _/`;, ノノ パンパン
/ / } ;' `i、
_/ノ../、 _/ 入/ / `ヽ, ノノ
/ r;ァ }''i" ̄.  ̄r'_ノ"'ヽ.i ) ―☆
{k_ _/,,.' ;. :. l、 ノ
\ ` 、 ,i. .:, :, ' / / \
,;ゝr;,;_二∠r;,_ェ=-ー'" r,_,/ ☆
響「おっ、能力値がちょっとだけ高くなって、子鹿二匹になったさー!」
響「隣のマップにいるみたいだから、行ってみてーっと……」
響「って、途中にゴールデンレトリバーが!」
響「に、逃げっ……ああ!」
響「一瞬で殺された……」
響「ああ、そうだ、そういえば特典でパンダが使える奴が着いてたさ!」
響「早速、コードを入力してパンダを使ってみるさー!」
┌───────────────────────────────┐
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│  ̄| /: :|//|:||::」: :||: |:|:|:|::|\|:∧ ハ ̄ │
│ _|_|: : |/--一' ー-- |: :ハ |._ │
│ /:::::ヽ::ヽヽ>! === === |: : :|,ィ‐:/:::ヽ │
│ !:::`l::::|:::|:::|=ヽ xxx , xxx /::l´|::::|:::|::l/∧ │
│ _ノ:::::ムム:ムノ`∧ __ /: :|フ:l::::l::::ソ::::::∧ │
│ /:/:::::::::::::::_,イ: : :\ 丶__ノ /: :/: >マ:マ:マ::::::::::::::\ │
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\::::::::::::::::::::::::从{ 、j ! 、__人_人_人_人_人_人_人_人_人_人_人_人_人_人_人_人_人_人
}´`、_イ-- ' ノ ) (
/ / ) なんか、思ってたのと全然違うのが出たさ!? (
__,/ ,.......____/ ) (
//∧ / ̄`ヽ、 ⌒Y⌒Y⌒Y⌒Y⌒Y⌒Y⌒Y⌒Y⌒Y⌒Y⌒Y⌒Y⌒Y⌒Y⌒Y⌒Y
∨/∧ \/} ',
、///\ }/! /`ヽ
 ̄`ヽ///ヽ___,!/∨/r ノ\
r / - ヽ ̄ ___}r´{_+_/ \
響「パンダは……草の前で捕食ボタンが出てるし、草食動物扱いなのか」
響「チャレンジは……ああ、まず一年目を待たないとダメみたいさ」
響「……パンダ、HPも多いし、アーカイブ回収ってのをやってみてもいいかもしれないぞ?」
響「アーカイブを回収しないと、ストーリーモードができないって書いてたさー」
響「スタートボタンを押してっと……どうやら、右下のマップにアーカイブがあるみたいさ」
響「さぁさぁ、パン美どんどんいくさー!」
響「ふむふむ、動物園の動物たちが凶暴化したらしいさ」
響「怖い話さー、うちのハム蔵達はおとなしいから助かってるさ」
響「2個目のアーカイブも近くにあるからパパっと取りに行ってと……」
響「エサを変えてみても、おとなしくならなかったって書いてるさ」
響「こうやっていって、人間がいなくなった世界の謎を…………」
響「…………けど、こいつ明らかに着ぐるみだし、まだ人間が――」
┌───────────────────────────────────────┐
│ , ―‐ ュ 、 TV画面│
│ 〃///////ハ │
│ ///////////.ムz≠= ― ュ 、 ,. r≦三>、 │
│ 人 .{//////////>’ ¨:.<//////∧ 私 | │
│ 間 ∨//////// ヽ//////} | │
│ じ ゝ//// 〃 . -==≠=.ュ.、 丶 ////! パ | │
│ ゃ ≠- " 〃.:,'.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:\ V//ソ │
│ あ ,' ,'.:.:.,'.:.:/ :.: j .:.:.:.i.:.:.:.:∨.:.ヽ. ヾ'’ ン い │
│ り } l.:.:/.:./__.:./.! .:.:.:|:.:.:.:.:.',.:.:.:.l 」 │
│ ま { ム/ー―レ`メ.:.∧|」十廾.:.: | Y ダ .え │
│ せ j ,'.:.:|斧≧ュ、 ̄ .レ廴_ル /! .| 、 │
│ ん ,' ,:'.:.: | .r、::::::j ` ィ行示ァ/ ,! ,' で │
│ よ { ./:.:.:.: ',. ` ー ' l:::::/ イ_人_l! │
│ ? ∨ ',.:.:.:.:.:.l ' ` " /.:.`Y´j! す │
│ ヽ. \.:.:.ヘ ∠l イ.:.:.:./ ./ │
│ \ \ ヘ > _ ,. <l/ .:. / ./ よ │
│ __ j:、:. >ヘ Y∧∧| /.:.イ:// │
│ Y´///////>:、 \ュ!ー─./イ 〆 ? │
│ i///////.ヾ////二ニア ヾ r <///ヽ │
│ ∨///////ヘ///>"∠ 7レ'zゞ=、Y/∧ │
│ ∨/////// Y>入___ イ ヽヽー '< ム │
│ ∨//////Y / / l l \', │
│ Ⅳ//////{: . ー' ヽ> 丶 │
│ |////// 八:.:. . _ . . : : . . . _ . .: :! │
│ |////////ヘ : : : : : : : : : : : : : : : : : :/! │
└───────────────────────────────────────┘
響「もしかしたら、明らかに人間っぽいのって、何かの伏線なのか?」
響「っと、3つ目のアーカイブスも回収したら、ストーリーモードに挑戦できるようになったさ」
響「一端、最初のマップに戻って縄張りを作って、中断するさー」
響「開放されたストーリーは……」
┌──────────────────────────────────────────────┐
│ -=二ニニニ=-, _____ │
│ -ニニニニ- -=ニニニニニニニニニ_ノ ――――― │
│ ニニニニニニニニ ┏━━━━━━━━━┓  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ │
│ -= ニニニニニニニニ ┃Act1 ┃ _____ │
│ ´ ¨´ ̄ ̄ ̄`¨ ┃脱・Fランクアイドル ┃ . ――――― │
│ ′ ┗━━━━━━━━━┛ `ヽ  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ │
│ / ∨ニ/ -= -=- \ _____ │
│ ‘ _ =- 「fiK二}./ γニニニニ=-丶 ――――― │
│ _j_ -= : :rヽ  ̄L! Y { ノ二ニニニニニ=-  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ │
│ ィニニ /: ; j|rf芹ハヽト:、: :! /{ ノイ二ニニニニニニニム _____ │
│ ニニニニ 〃_/.」!込 ).ノ リ Y:|∠ ´ :仁二.ニニニニニニニニ二. ――――― │
│ ∨ニ ∧ / _,イ_ // /乂r」 .二ニニニニニニニニニニニニ}、  ̄ ̄ ̄ ̄ │
│ ∨ ニ∧ ./: :/ ィ芹ヌ // /⌒;/〈〉、=ニニ7 {二ニニニニニニニニニニニリ/\ _____ │
│ ‐=ニヘ ′\ `¨" ‘ー 'イ{|zz」 ‘ニニニニニニニニニニニニ/////\ ――――― │
│ ヽ {ト、: :ー―<-= イニヽ _ 丶 ニニニニニニニニニニ`ヽ ////丶  ̄ ̄ ̄ ̄ │
│ `'Ⅵ\ : : \一二ニニ=-" `ヽ ,ィ\ニニニニニニニニニニニY /////\ _____ │
│ 丶 _\ニニニニ- ゝ-=ニニニ > ニニニニニニニニノ.////////`ヽ ――――― │
│ |二ニニニニ- {ニニニニニ γ´<//////////)  ̄ ̄ │
│ |ニニニニニ- ゞニ乂ニノ `<//////リ _____ │
│ |二ニニニ- ゝ //ノ ――――― │
│ |ニニニニ- `¨´  ̄ ̄ ̄ │
│ r‐"二ニ=-、 │
│━━━━━━━━━ !ニニニニニ {━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ │
│ ゞー^ー^ー' │
└──────────────────────────────────────────────┘
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/: : : : : /: : : :( ( ハ: :./ r =〒テ ィ彳メ :/ V
/: : : : : :/: : : : : \ V ヽ りソ りソ V
/: : : : : :/: : i: : : : : : : :`コ ` }
/: : :/: : /: : : l: : : : : : : (( ト、 ノ O O O O O O
/: : :/: : /: : : : l: : : : : : : : :)  ̄`ヽ ⊂二フ /
/::/: : :/: : : :.:.:.l: : : : : / ̄\ ) Y⌒Yフ´`ヽ
/:/ /: : : : : : :.:.:.:.l: : :/ / (( _二_`フ´ ト、
/:/ /: : : : : : : : : : :/ / i ハ ( i ヽ
/:/ /: : : : : : : : / ̄\/ // ヽ\ l }
/:/ /: : : : : : : : :/ / /\ // \\ l |
響「しかも、第一章からパンダって、たしかパンダってダウンロードコンテンツだけじゃなかったのか!?」
響「そもそも、こいつ絶対にパンダじゃねぇさーーーーー!!」
響「はぁ、はぁ……とりあえずはじめるさ」
我那覇「パンダって結構食べるのに、よく一年も持ったな」
ナレーション「パンダは、自立するために外の世界へと飛び出した!」
我那覇「おっ、操作できる画面に写ったさ」
我那覇「なになに? ウサギを狩れ……これくらいチュートリアルでもやったし、余裕さー!」
我那覇「忍び歩きをして近づいて……噛み付きマークがバッチリ出たら、R1!」
__―_____ ̄ ̄ ̄ ̄‐― ―――― ==  ̄ ̄ ̄ ――_―― ̄___ ̄―
∨//////// ヽ//////}
ゝ//// 〃 . -==≠=.ュ.、 丶 ////!
≠- " 〃.:,'.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:\ V//ソ
,' ,'.:.:.,'.:.:/ :.: j .:.:.:.i.:.:.:.:∨.:.ヽ. ヾ'’
} l.:.:/.:./__.:./.! .:.:.:|:.:.:.:.:.',.:.:.:.l 」
{ ム/ー―レ`メ.:.∧|」十廾.:.: | Y
j ,'.:.:|斧≧ュ、 ̄ .レ廴_ル /! .|
,' ,:'.:.: | .r、::::::j ` ィ行示ァ/ ,! ,' n __ n.___◎ __
{ ./:.:.:.: ',. ` ー ' l:::::/ イ_人_l! ,⊆ ⊇、 コ L |┌‐┘ に二二l └┘/7
∨ ',.:.:.:.:.:.l ' ` " /.:.`Y´j!  ̄U ̄  ̄ ̄ L.二コ <ノ
ヽ. \.:.:.ヘ ∠l イ.:.:.:./ ./
\ \ ヘ > _ ,. <l/ .:. / ./
__ j:、:. >ヘ Y∧∧| /.:.イ://
Y´///////>:、 \ュ!ー─./イ 〆
__―_____ ̄ ̄ ̄ ̄‐― ̄ ̄―‐―― ___ ̄ ̄――― ___―― ̄ ̄___ ̄―==
―― ̄ ̄___ ̄―===━___ ̄― ―――― ==  ̄―― ̄ ̄___ ̄―===━
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_ .... -‐ '' ¨/:::__:ヽ
_... -‐ ''' ¨::::::::::::::::::::::_!:::{::::}:::|
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/:::::::::::::__- '' ¨::::::_ ... -‐:.:.',{_,'/
,>:::r‐ ''´ ヽ- '' ¨_.. -‐ '' ¨  ̄
l/ ヽ'':.¨ヽ }`!「
_ / 、 \L`'_// _,n_00 ∩
/:./ .r v' Y´!、 ̄ └l n | ,⊆.己 _,n___ ∪
,, -―- ,-‐ ':.:.:.:/ l l ', ヽヽ. U U `フ_厂 `l_ヤ′ ○
―― ̄ ̄___ ̄―===━___ ̄― ―――― ==  ̄―― ̄ ̄___ ̄―===━
| / | / , __
,\__ノし// \__ノし// 、 ___ __ _ __ __ / /
/ ..)/⌒ヽ(_ __)/⌒ヽ(_ ', 7 /ン ) / / /,イ | /,イ|./,イ.| / /
 ̄ ̄)ヽ__ノ( ̄ ̄  ̄)ヽ__ノ( ̄ ̄ ̄ . / /ン) / /_. //7| // | './ | | .L/
´ /⌒|「⌒\ /⌒|「⌒\ .  ̄ ̄  ̄ ̄ ̄  ̄  ̄  ̄  ̄  ̄ ∠フ __
| / , | ___ __ _ __ __ / /
\__ノし//´ 7 /ン ) / / /,イ | /,イ|./,イ.| / /
| / ,, )/⌒ヽ(_ . / /ン) / /_. //7| // | './ | | . L/
\__ノし// ̄)ヽ__ノ( ̄ ̄ ̄ .  ̄ ̄  ̄ ̄ ̄  ̄  ̄  ̄  ̄  ̄ ∠フ
)/⌒ヽ(_ /⌒|「⌒\
 ̄ ̄)ヽ__ノ( ̄ ̄ ̄
´ /⌒|「⌒\
響「…………うん、ウサギを狩れたさ!」
響「もう、狩り方だとか、パンダは草食動物扱いじゃなかったの? とか気にしない事にするさ!」
響「チュートリアルの続きみたいな感じみたいだな、結構簡単さー」
響「左に行ってー……ん? おお、ここってジャンプしたら登れるのか!」
響「結構いろんな所にいけるんだな、、これ」
響「さて、寝床についた……って、寝床の持ち主のネコが襲ってきたぞ!」
从ハ
/ \
/ \
//⌒~~~~⌒ヽヽ
H _ _ | |
Y(/ \)ヽ| 、__人_人_人_人_人_人_人_人_人
(| /・)/ (・ ヽ |) ) ニャーーーー! (
|  ̄( ) ̄ | ⌒Y⌒Y⌒Y⌒Y⌒Y⌒Y⌒Y⌒Y
| /_二_ヽ |
` ヽ |亠亠|| ノ __
|」」」∩ ヽェェノ /∩LLL|
ヽ ノ \ _/ ヽ ノ
/ / 猫 魂 | |
響「……よし、何事もなく倒すことができたぞ」
響「寝床に行ってっと……よし、クリアーかな?」
響「うん、またアーカイブが出てるぞ、こうやってサバイバルモードとストーリーモードを交互にやらないと
なんで人間がいなくなったのかがわからないみたいだな」
響「おっ? チャレンジが出てきたぞ? 内容は、ランクをあげろ……」
響「まぁ、植物を食べまくってたらランクが上がるはずさー」
響「すぐに死ぬゲームだけあって、あっとうまにランクがあがったさ!」
響「アイドルランクってあったのは気にしない事にしておくさ」
響「ぱぱっと縄張りを作ってー、世代交代さ!」
響「次はアゲメスがいるといいなー」
響「マップ上のハートマークがある場所へ移動してーっと……」
___ | さぁ! 春香!
/| _`ヽ | 俺と一緒にレッツ子作りだ!
| | |_ヽ) | 乂______________ノ
| | __ノ
| |_|‐一'′
xr‐ト-允<
/ \V〈〉V_,>、
/ヽ ∧ハト、 \
. / ハ \∨ /_/│
/ } `{'´ l │
./ /| o〉 '| |
響「…………こいつは無視しとくさー」
ト、ノ`ー'⌒ー‐'´{__, ///
|ー' , -レ-ーz l .//
ト /´ ___ `l 〉 な
>/|イ´,.─‐-、 `l ヽ { に
Zl.|| l'´ / ./ V⌒ヽ ぃ
}|| | __// F / !
l |  ̄ / U r'
. l l 「 ̄ |_ ___
ヽl__| | `ヽ───-
\___ / ハ
/ | / |
/,、 ', />ァ--、 |
// \ヽ/く::/
響「まともなのは、最初のポメラニアンとニホンジカだけさ!?
後はパンダばっかりさ!?」
響「これ、本当に東京ジャングルなのか!?」
響「ん? 東京ジャングル……?」
響「……パッケージに書いてるタイトルも、ばっちり【東京ジャングル】」
響「………………」
、__人_人_人_人_人_人_人_人_人_人_人_人_人_人_人_人
) (
) これ、パチモンさーーーーーーー!? (
) (
⌒Y⌒Y⌒Y⌒Y⌒Y⌒Y⌒Y⌒Y⌒Y⌒Y⌒Y⌒Y⌒Y⌒Y
:::::::::::l:::::::::::::::::::::::::ト、:::::\:::::::::::::::::::::::::::::::::\:::::::::::::::::::\
:::::::::::::,:::::::::::::::::::::::| \::::}\::::::::::::::::::::::::l\: \:::::::::::::::::::::、
::::::,l::::ハ::::ト、:::::::::::::| /\! `ヽ、 :::::::::::: |::::::`:::::\::::::::::::::::::\
::::/{:/ ヽ:! \::::::: !´ /⌒ヽ、\:::::::: !__:::::::::::}::::::::::::::、\:::::\_ ,
:::{ `ヽ、_l \:::| / (__) \::::!/ハ:::::::;':::::::::::::::::::\` ー― ┌──────────┐
:::| ___ \ Ⅵ/ }:::/::::::::::::::::::::::::::\ │正:TOKYO JUNGLE │
:ハ 〃´ ̄ ´ ,..---、 }) /::/ }-,::::::::::::::::::::::::::::\ │偽:東京ジャングル │
:::lハ(_。) / ∨ ヽ /-'/ / /:_:::::::::::::::::::::::::::::::\ └──────────┘
ヽ! ,ハ / ':, /´ } / /´/::::::::::::::::::::::::::::.::::::::\
_ { } ∨ ', ,.イ / / イ ,':::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
Y ヽ叭 ヽ } /:::! { ! l {,.ィ:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
ヽ ヽ人 、 _ノ ,.イ::::::/ / /:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
、 ', ',! l> . _ \_,...- ´ / !::::/ { /::::::_::::::::::::::::::::::::::::::::::
.ヽ ', ',l⌒! /:::::> _,... イ |::::{ {/ ̄ \::::::::::::::::::::::::::
_n_,、 . _ n_ n n
└i rヘ〉 l リ r┐| l」 l l
(才P_) └1」 L」 rリ
終わり方が強引なのは、もう寝てぇからだよ!
乙
Entry ⇒ 2012.06.11 | Category ⇒ アイマスSS | Comments (3) | Trackbacks (0)
ニャル子「ほほー、ここが見滝原ですか!」
ニャル子「真尋さんが突っ込んでくれないとボケが飽和して世界が崩壊しちゃうんですよ?」
真尋「な、なんだってー」
ニャル子「とにかく、見滝原市に出現したイレギュラーとやらの調査、付き合ってもらいますからね!」
真尋「僕じゃなくてもさぁ…クー子とかハス太でも突っ込みはできるだろ」
ニャル子「クー子たちは置いてきた…今回の戦いについていけそうにない」
真尋「僕の方が足手まといだろうに」
ニャル子「いつかクー子が言ってたでしょう。真尋さんは支援ユニットなんです」
ニャル子「ほら、もっと隣接して支援深めてエンディング変えましょう?ね?」スリスリ
真尋「前作の主人公が竜人と人間のハーフということになるあのシリーズか」ゴツン
ニャル子「そう考えるとロイ×ソフィーヤは正義ですね。ハーフ同士で」ヒリヒリ
真尋「あ?レイ×ソフィだろ」
ニャル子「レイなんて双子で絡んでればいいんですよ!」
真尋「エンディング変わるのリリーナだけだから」
ニャル子「ぐぬぬ」
ニャル子「作戦を説明する。雇い主はいつものGA」
真尋「どのGAだよアートデザインなのかギャラクシーなのか」
ニャル子「グローバルでアーマメンツのGAですよ」
ニャル子「こほん、グンマー県見滝原市でイレギュラーと呼ばれる魔法少女が確認されたんです」
ニャル子「魔法少女の管理・調査はとあるエネルギー団体の管轄なんですがどうも連中の手には負えないようで」
ニャル子「そこで私の出番というわけですよ」
ニャル子「イレギュラーの調査および対処が目標。見滝原市はエネルギー団体の活動も激しい場所で迂闊な行動はできません」
ニャル子「こんなところですか。真尋さんにとっても、悪い話ではないと思いますが?(笑)」
真尋「いい要素がこれっぽっちもねーよ」
ニャル子「世に平穏のあらんことを」
真尋「お前が言っていいセリフじゃねーな」
杏子(何だ…?うるせーなァ)
真尋「それなんだけどさ…一体何者なんだ?その、団体って」
ニャル子「宇宙特別非営利法人インキュベーターです」
真尋「なんでも宇宙ってつければいいわけじゃねーぞ」
QB「こんにちわ、惑星保護機構の人かな」ヒョコ
真尋「うわっ!な、なんだこいつ」
ニャル子「そいつがインキュベーターの団体員です。キュゥべえでしたっけ」
真尋(SAN値の下がる外見じゃなくて良かった)
真尋「エネルギー団体って、具体的に何をしてるんだ…?」
ニャル子「ぶっちゃけると地球人の感情エネルギーを搾取しているド畜生団体です」
QB「ぶっちゃけるねぇ」
ニャル子「いますぐにでも縮退砲ぶち込みたい連中なんですが、宇宙全体のエネルギー問題を傘にしてるせいで惑星保護機構も手が出せず…ぐぬぬ」
QB「そんなこと言ったって仕方ないじゃないか」
ニャル子「うるせーですよこのド外道がっ!」
真尋「お前が言うな、お前が」
QB「やあ、杏子。見滝原に来てたんだね」
杏子「ちょっとね」
真尋「えーと、彼女も団体のかた?」
ニャル子「いえ、地球人ですよ」
杏子「魔法少女…じゃねーな。何者だ?キュゥべえが見えるのか?」
ニャル子「よくぞ聞いてくれました!では自己紹介を」ゴホン
ニャル子「いつもニコニコあなたの隣に這い寄る混沌ニャルラトホテプです!」
ニャル子(だが断る。このニャルラトホテプの最も好きな事の一つは、自分で正しいと思ってるやつに『NO』と断ってやる事だ…)
QB(えぇー………)
杏子「あんたら、なんでキュゥべえが見えてるんだ?」
ニャル子「あ、地味に自己紹介を無視されましたね…」
真尋「そりゃあなぁ…」
ニャル子「私の名はニャルラトホテプ。地球は狙われています!」
真尋「僕は八坂真尋。地球人だ。こっちは気にしないで」
杏子「なんだぁ?地球人って、まるで宇宙人がいるみてぇな言い方だなぁ」
ニャル子「そのまさかなんですよ(チラッ」
真尋「見滝原市に妙な魔法少女が現れたっていうんだけど。何か知っている事があれば教えて欲しいな」
杏子「ハン、知らないな。魔女ならいくらでもいるけどな」
真尋「魔女?」
QB「こんなところか」
真尋「それがエネルギーと何の関係があるんだ?」
杏子「エネルギー?」
ニャル子「ヒャア 我慢できねえ ネタバレだ!」
~惑星保護機構、インキュベーターの目的解説~
杏子「なん…だと…そんなの、信じられるわけが…」
杏子「キュゥべえテメエ!そんな大事なことをry」
QB「説明を省略ry」
真尋「うわぁ」
ニャル子「これだから胡散臭い団体は」
真尋「この町の魔法少女に会ってみるしかないな」
ニャル子「あの淫獣によると近くのマンションに一人いるそうですよ」
ニャル子「むむん!?」ポンピン
真尋「どうした、髪の毛が跳ねてるぞ」
ニャル子「センサーに反応です!魔女の結界が近くにありますよ!」
真尋「お前の髪の毛って宇宙人センサーだったよな」
ニャル子「こまけぇこたぁいいんですよ!!さぁ!この結界の中です!!」
ニャル子「既に交戦中のようですね!魔法少女側に加勢して信頼を得て情報を洗いざらい絞りとりますよ!!」
ニャル子「英語で言うとエクスプレッションオブミルク!!」
真尋「搾乳してどうする」
真尋「あと酷い手段は使うなよ?」
ニャル子「前向きに検討します」ケロリ
マミ「ティロ・フィナー…」
「必殺! 私の宇宙CQCパート2ダッシュ!」
マミ「えっ!?」
まどか「なに?」
さやか「あ、あそこ!」
ブン
グシャ
ゲルト「!?」
ガスガスガスガスブシャァァァァァ
まどさや「………」
マミ「何…誰が…」
真尋「そう かんけいないね」
ほむら「………これは、どういうこと?」シュタッ
さやか「あっ、転校生!!」
まどか「ほむらちゃん?」
真尋「ん?おいニャル子、魔法少女って杏子ちゃん除いて二人だけだよな。あそこの二人って」
ニャル子「巴マミさんに同行している一般人でしょう。それより、いましたよ。イレギュラーです」
真尋「あの娘か」
マミ「誰だかわからないけど、助かったわ」ホゥ
マミ「あなたも、わざわざ助けに来てくれたのかしら?」チラッ
ほむら「………」サッ
まどか「あっ…行っちゃった」
ニャル子「いえ。私は契約してませんよ?魔法なんて使えません」
真尋「もっとヤバいもん使えるよな、お前」
マミ「では、魔法少女ではない…?」
ニャル子「はい!」
真尋「もっとタチの悪い存在だよな、お前」
ニャル子「失敬な!否定はしませんが失敬な!」
~~~説明中~~~
ニャル子「というワケなのです」
真尋「便利だなお前」
マミ「…ソウルジェムがグリーフシードに…?」
マミ「そんな…嘘だと言ってよ!キュゥべえ!」
QB「君たちはいつもry」
まどか「マミさん…」
ニャル子「このグリーフシードはマミさんに差し上げますね。このまま持ってても仕方ないですし」
真尋「空気嫁」
ニャル子「英語で言えばエアリアルブライド?」
真尋「刺すぞ」グサッ
ニャル子「いえいえ、お構いなく」ヒリヒリ
さやか「宇宙人…か」
ニャル子「英語で言うとスペースノイドです!」
真尋「こんなやつだけど、実力は保証するよ」
さやか「じゃ、じゃあさ、その…」
さやか「地球の医学じゃ治せない怪我とかも…治せちゃったりして…」タハハ
ニャル子「ほむ、万能とは言いませんが、少なくとも地球よりは凄いですよ?」
さやか「ほ、本当?」グィッ
真尋「やめといた方がいいと思うな…僕は」
さやか「ど、どうして」
真尋「こいつの種族が核兵器の開発に関与してる、って話、知ってるか」
まどか「核兵器…?」
真尋「たぶんインキュベーターよりも厄介な奴だよ、コイツ」
真尋「手は手でも触手だったりするだろお前の場合」
ニャル子「じゃあこうしましょう、皆さん私の目的を手伝ってくれる、その代わり私が宇宙的ぱわぁで恩返しする。俺に良しお前に良しでしょう?」
真尋「手口がインキュベーターと変わらねえよ」
ニャル子「むむむ」
真尋「何がむむむだ」
マミ「まぁ、私としても彼女の正体は知りたいわ」
さやか「うーむ、転校生がまどかを契約させないようにしてたのって」
まどか「契約のデメリットを知っていたから、なのかな」
ニャル子「ほむぅ、どうやら悪い子ではなさそうですねぇ」
真尋「暁美ほむら、か…」
ニャル子「べえさんに詰め寄った後は苛々しながら立ち去っちゃいましたね」
さやか「マミさん、そいつと知り合いなんですよね」
まどか「そうだよ、一緒に魔女を倒せば」
マミ「難しいわね。彼女とは喧嘩別れのようなものだから…」
まどか「そうですか…」ショボン
ニャル子「さて、そろそろいい時間ですが皆さん大丈夫ですか?」
さやか「うっわぁ、もうこんな時間。すみません、あたしもう行かないと」
マミ「そうね、ここで一度解散しましょう」
真尋「おい、ニャル子、俺たちはどうするんだ?」
ニャル子「予約済みですよ。安心してください」
真尋「何が予約済みなんだ?」
ニャル子「やだなぁ、ホテルですよホテル」クネクネ
ニャル子「まぁホテルはホテルでもラ・ブ・ホ・t…痛い痛い痛い!!!」グサグサ
ニャル子「うふふ…ま・ひ・ろ・さぁ~ん」
真尋「何かしたら、刺す」キラーン
ニャル子「さて、今後の予定。ほむらさんに接触した後で、さやかさんに頼まれた怪我人を看ましょう」キリッ
真尋「………、今回はやけに親切だな」
ニャル子「治すとは言ってませんよ?凄く今更ですが、地球人との接触は最小限にとどめなければいけませんし」
真尋「本当に今更だな。うまくやれないか?」
ニャル子「手間暇かかりますねー。まぁ、後日なんとか時間をみつけて行きましょう」
ニャル子「センサーによると見滝原総合病院付近に微弱な反応が見られまして」
ニャル子「近いうちに魔女が現れるかと。そっちが本命です」
真尋「そんな先の事もわかるのか。相変わらずチートだよなお前」
ニャル子「まぁまぁ。私も宇宙の概念まで捻じ曲げることはできませんよアハハ」
真尋(疑わしいもんだがな…)
~~~
まどか「ハックシュン。うー、風邪かなー」
ニャル子「あら?誰が転校手続きを取ってないといいましたか?」
真尋「」
ニャル子「明日からは見滝原中学生・八坂ニャルラトホテプです」
真尋「いや、お前、あの、うちの高校」
ニャル子「二重学籍くらいなんくるないさー」
真尋「二重国籍みたいに言うな。僕は行かないからな?」
ニャル子「あら、でも真尋さんの分の学籍も…」
真尋「僕は高校生だからな?」フォーク
ニャル子「ハイ、ソウデスネ」
真尋「やっぱり僕は帰っていいんじゃないかな。学業を怠るわけにはいかないし」
ニャル子「ちゃんと私たちも学校に通ってるふうに偽装工作してきましたので」
ニャル子「欠席にはなりませんよ?」
真尋「そういう問題じゃないんだよ」
和子「今日はまたまた転校生を紹介しまーす」
ニャル子「フンス」
まどか「」
さやか「」
ほむら「」
仁美「あら、綺麗なお方」
和子「ニャル子さんはご両親の都合でちょっとだけこのクラスに加わりまーす」
ニャル子「ふつつか者ですがよろしくお願いします。ニャル子とお呼び下さい」フカブカ
まどさやほむ「」
ニャル子「さてさてほむらさん。貴女は一体何者ですか?」
ほむら「その言葉、そのままそっくり返すわ」
ニャル子「私はニャル子と申します」
ほむら「そういう意味じゃなくて」
ニャル子「私はあなたの調査にきたんです。暁美ほむらさん、調査ですよ、調査!」
ほむら「インキュベーターの差し金ということかしら」
ニャル子「まぁ近からず遠からずというところでしょうか」
ほむら「…なら、話す事はないわ。さようなら」プイ
ニャル子「そ、そんなぁ。少しくらいいいじゃないかぁ」
ニャル子「目的があるのなら、力になれるかもしれませんよ!」
ほむら「あなたに頼るほど困ってはいないわ」
ほむら「っ………ワルプルギスの夜のことは知ってるのね」
ニャル子「ああ、やっぱりですか」ニヤニヤ
ニャル子「私の髪の毛はちょっとしたレーダーなんですよ」
ニャル子「しかし、この魔女の気配は前兆の前兆みたいなもので、まだまだ何週間も先にならないと現れないように思えますが…」
ニャル子「なんであなたはそんな先の魔女を警戒出来るのでしょうかねぇ」
ほむら「その言葉、もう一度お返しするわ」
ニャル子「地球の有史以来、何度もあの魔女は観測されてます。前兆のパターンくらいわかってますよ」
ほむら「まるで、何千年も前から地球を見てきたかのような言い方ね」
ニャル子「そりゃあもう、一万年と二千年前から!」
ほむら「………インキュベーターの同類なら納得できなくもない、か」
ニャル子「問題はあなたなんですよ。まるで時間を加速させて一巡したかのように、未来を知ってる節がある。コレガワカラナイ」
ニャル子「それがあなたの目的ですね」
ニャル子「まどかさんが契約する事はないと思いますよ。私が全部ゲロっちゃったので」
ニャル子「ついでにさやかさんの悩みも解決する予定なので、彼女が契約することもありません」
ほむら「それは…あなたはインキュベーターの仲間ではないの?彼らの不利益になることをするなんて」
ニャル子「あなたの秘密を教えてくれたら、私の秘密もお教えしますよ?」
ほむら「あなたがインキュベーター寄りである以上、慣れ合うつもりはないわ」
ニャル子「そんなお硬い事言わずに~、ね?一回だけ、先っぽだけでいいから~」
ほむら(………真面目なのか、ふざけているのか、全然わからない)
ニャル子「うーむ、困りましたね。あなたの正体を掴まないと上になんて言っていいやら」ブツブツ
ほむら「私は魔法少女…インキュベーターと契約した。それ以上でも以下でもないわ」
ニャル子「だーっ!そのインキュベーターの身に覚えがないからこうやってわざわざ真尋さんと別行動してまで探り入れてるんでしょうがぁ!!」
ほむら「話は終わりかしら?失礼するわ」ファサ
ニャル子「ほむぅ」
ニャル子「問題は、彼女が完全に『もう誰にも頼らない』体勢でいることですね」
ニャル子「彼女、何か知ってます」
ニャル子「しかしワルプルギスの夜は強大です。単独じゃぜったい勝てません」
ニャル子「せめてさやか編魔女化回避√くらい勝利エンドでもいいじゃないですか…だめなんですかゲーム版スタッフ!」
真尋「魔法少女は魔女を倒すための存在なんだろ?その魔法少女が敵わないなんて…」
ニャル子「ヤツはもはや概念に近いレベルの存在ですよ」
真尋「お前でも敵わないのか?」
ニャル子「いくら私ニャルラトホテプでもアザトースやヨグソトス先生には頭が上がらないですし」
真尋「ワルプルギスって魔王級かよ!!」
ニャル子「惑星保護機構も過去に何度もヤツを討伐しようとしてきました」
ニャル子「しかし地球への過度な干渉は許されず、幾度となく地球の魔法少女がやられるのを指をくわえて見てきたんです」
ニャル子「ちょっと因果を捻じ曲げたくらいじゃ敵いません。おもいっきり捻じ曲げないと」
ニャル子「それがですね。この案件は私一人で解決するように言われてまして」
真尋「はぁ!?」
ニャル子「実はクー子とハス太君を置いてきたのは上からの命令なんですよ」
ニャル子「ていうか魔王級呼んだら地球のSAN値がマッハでしょう」
真尋「お前らで既にマッハだよ。地球の危機なんだから許されるだろ」
ニャル子「確かに私たちは地球外の連中には容赦しませんがね」
ニャル子「ワル夜ちゃんたち、いわゆる魔女は地球産なんです」
真尋「ワル夜ってなんだよ可愛くねーから」
ニャル子「ワル夜ちゃんの強制排除はおおごとですし、多大な介入が必要になります」
ニャル子「しかし災厄とはいえ地球の一部。それを排除するのは上から圧力がかかっちゃって」
ニャル子「平たく言うと、機構の全力を投じる事はできないんです」
ニャル子「地球由来の災厄は地球人の手で克服される。それが本来あるべき姿でしょう?」
ニャル子「たとえそれが畜生団体が介入した結果だとしてもです」ギリ
ニャル子「心配ご無用。私も全力を投じます」
ニャル子「どうせ現場に行くんでしょう?私の身命を賭して真尋さんはお守りしますから!」
真尋「そか………ありがとな」ボソ
ニャル子「え?」
真尋「なんでもない!」
真尋「ほら、さやかちゃんと合流して病院にいくんだろ」
ニャル子「はい。さやかさんとまどかさんの契約の動機は全て潰して回りましょう」
真尋「インキュベーターから苦情が来そうだが…今回は止めない。やれ」
ニャル子「イエッサー!」
恭介「へえ。さやかが男の子を連れてくるなんて珍しいね」
さやか「あはは。いつもまどかや仁美と一緒だからね」
ニャル子「寝取りの心配はいりませんよ。真尋さんは私が唾つけて確保してますからね」
真尋「お前の唾、強酸性だったりしそうだな」
恭介「寝取り…?」
さやか「わー!わー!何でもないから!」
真尋(なんかさやかちゃんには親近感を感じる)
ニャル子(声とか似てますよね、真尋さんと)
真尋(こいつ、直接脳内に…!)
さやか「本当!?」
恭介「腕が…治る?」
真尋「まさかミ=ゴを呼ぶのか?」
ニャル子「いえ。彼らの対人インターフェースであるリトルグレイを呼びます」
さやか「リトルグレイ?」
真尋「いわゆる銀色のよく想像される宇宙人だよ」
ニャル子「ミ=ゴ本人よりSAN値へのダメージは小さいでしょう」
真尋「リトルグレイならよくあるオカルトにカモフラージュできるし、最悪テレビの撮影とか言えば見られても困らないな」
ニャル子「ちょっと時間はかかりますが、何の問題もなく治りますよ♪」
さやか「ありがとう…!」
さやか「本当に、ありがとう!」
真尋「何もしてない僕が言うのも変だけど、さやかちゃんは恭介君についてあげて」
真尋「魔女はなんとかする。こいつが」
ニャル子「おまかせあれ!さやかさんは安心して子作りに励んでください!」>ワ<
さやか「こ、子作り!?」
真尋「ああ、気にしないでいいから」グサグサ
ニャル子「ああ…この甘刺しがたまらない」ビクンビクン
ニャル子「ありましたよ、ほら、そこに結界」
真尋「………な!?」
ニャル子「病院に近い…まずいですね。周囲に影響を与える前にSAKUりたいところですが」
真尋「よし、じゃあさっさとSAKUるぞ」
ニャル子「しかしですね」
真尋「なんだよ」
ニャル子「先日はマミさんたちに取りいるために加勢しましたが、アレが上にバレてさきほどちょっと怒られまして」
ニャル子「私から能動的に魔女を攻撃するのは禁ずる、と」
真尋「えっ。なんで?」
ニャル子「言ったでしょう。魔女は地球由来の災厄だと」
ニャル子「魔女を倒すのはインキュベーターと契約した魔法少女。私ではありません」
ニャル子(にしてもこれは…インキュベーターめ、上に圧力をかけましたね…?)
ニャル子「本当にヤバい場合は私でカバーいたしますが…」
真尋「じゃ、じゃあはやくマミちゃんに連絡を!」ピピピ
マミ「おまたせ」
ニャル子「お待ちしてました~。ほら、あそこですよ!」
真尋「あっ…孵化する!」
シャル「―――」
マミ(鹿目さんも美樹さんも契約させたくない)
マミ(おかしいわね。最近まで二人にこの道を示していたようなものなのに)
マミ(見滝原の魔女は…私が狩る)
マミ「一気にいくわ」
マミ「レガーレ!」
シュルシュル
マミ「ティロ・フィナーレ!!」
ドーン
マミ「っ!?」
シャル「―――」ゴゴゴ
ニャル子(マズイ!!)ダッ
シャル「―――」クパァ
マミ「ぁ…」
真尋「ッ…」
ニャル子(間に合ってください…ッ)
マミ(私が…守らなきゃ…)
―――カチッ―――
マミ「―――」
ニャル子「―――」
シャル「―――」
真尋「――――――え?」
真尋「な、なんだ、これ」
真尋「まさか時間凍結(オーバーフリーズ)?」
真尋「い、いや、惑星保護機構の時間凍結じゃニャル子は止まらないはずだし」
真尋「時間を止める…ニャル子ごと…」
真尋「これって」
ほむら「何故…?」
ほむら「あなたは何故止まっていないの…!?」
真尋「あ、暁美ほむら!?」
ほむら(下手を打った…あっちはただの人間だと踏んでいたのに)ギリッ
真尋「ええい!この際なんでもいい!!マミちゃんを助けるのが先決だ!」ダッ
ほむら「………わけがわからないわ」つ手榴弾
ほむら「死にたくなければ二人を連れて魔女から離れなさい」
真尋「ああ、そうするさ!」ガシッ
―――カチッ―――
シャル「!?」
マミ「…えっ」
ニャル子「はわわっ!?」
真尋「大丈夫かっ!?」
ニャル子「え、ええ、私はなんとも…」
ほむら「あとは任せなさい」
ドーンドーン
ニャル子「今、真尋さん瞬歩してました?」
真尋「僕じゃねえ、あっちだよ!」
マミ「暁美さん…」
―――カチッ―――
―――カチッ―――
ドーン
真尋(時間が進んだり止まったり…)
ほむら「…」チラッ
ほむら(彼はどうして…)
真尋「前にもあったな、こんなこと」
ニョグ太『お前は時間干渉を受け付けない異常体質なのさ』※第9巻参照
真尋(暁美ほむらの時間干渉を僕が受け付けないからこうなるのか…)
真尋「ニャル子の話じゃ、未来に現れる魔女を予知してるんだってな」
真尋「もしかしてお前、タイムリープしてね?」
真尋「そんな言い方っ」
―――カチッ―――
ドーン
ニャル子「ほえほえー!まるでドラゴンボールの世界ですな!」
真尋(あいつはあいつで能天気すぎるっ!)
シャル「―――」ドサッ
マミ「やった…の?」
ほむら「グリーフシードは差し上げるわ。私はまだ余裕があるから」ファサァ
真尋「待ってくれ!これはループなのか?それとも―――」
ニャル子「…???」
ほむら「私はまどかを救う。そのためになら何度でもやり直すわ」
ニャル子「やり直す…つまり、ほむらさんは何度か時間を巻き戻してるということですね」
マミ「加えてあの技。時間を止めることもできるようね」
ニャル子「彼女は何度もワル夜に挑んでいたのでしょうか…」
ニャル子(まどかさんを救うため、負けるたびに時間を巻き戻す?)
ニャル子(そんなことをしていたら、まどかさんの因果は強くなるばかりではないでしょうか…?)
ニャル子「ああ―――だからインキュベーターはまどかさんを…」フム
マミ「そういえば、真尋くんは?」
ニャル子「真尋さんは用事がある、と言ってどこかに行ってしまいました」シュン
真尋「マミちゃんと協力してほしい」
杏子「断る」
真尋「ワルプルギスの夜の事は知ってるはずだ」
杏子「あたしとマミは一度訣別してるんだ。やり方があわなくてな」
杏子「マミは甘すぎる。使い魔なんて放っておいて、何人か人間を食うまで待った方がいい」
杏子「狩るのはグリーフシードを孕んでからだ」
杏子「じゃなきゃ、魔法少女なんてやってられっか…!」
真尋「誰かのために戦う魔法少女だっていてもいいと、僕は思う」
杏子「はん、あまっちょろい考えだ」
杏子「わざわざこの教会まで来たんだ、せっかくだし昔話のひとつでもしてやるか」
~~~
杏子「…ってわけさ」
杏子「誰かのためにと願った結果、それがこれなんだよ」
杏子(ったく、あたしは何をしゃべってるんだ。魔法少女でもないただの男に…)
真尋(なるほど、子供のころにそんなことがあったらトラウマにもなるか。でも)
真尋「でも、やり直せる」
杏子「あ?」
真尋「確かに君の考えは独善の押しつけだったかもしれない」
真尋「その結果君のお父さんは狂ってしまったかもしれない」
真尋「でも、それで君は気づけたんだろう?」
杏子「ああ、魔法は徹頭徹尾自分のためだけに使え、ってな」
真尋「違うっ!」
杏子「っ」
真尋「君の失敗はたしかに取り返しのつかないことをしてしまった」
真尋「でも、人間は失敗から学べるはずだ」
真尋「その力を人のために正しく使う方法を、君は学んだはずだ!」
杏子「ふざけんな!」
真尋「ふざけてない!」
杏子「テメエ…」
真尋「誰かのために祈って…正義のために戦う。いいじゃないか」
真尋「たとえ報われなくたって、気づいてもらえなくたって」
真尋「自分の力で誰かが笑顔になれたら、それはとても素敵だなって、僕は思う」
杏子「正義の魔法少女か…はは、青臭くて笑っちまうよ」
真尋(はぁ。こんな説教が押し通るのはラノベくらいなもんだな)
杏子(正義………本当に、青臭)
杏子「―――ワルプルギスの夜だけだ」
真尋「え?」
杏子「その時だけは協力してやるよ。マミにそう言っておけ」
真尋「あ、ありがとう!」ニコッ
杏子「か、勘違いするな!見滝原はいい土地だからな。餌になる人間がいなくなったら困るんだよ!」
杏子「マミにも勝手に死なれちゃ寝覚めがわるいんだ」
ほむら「今度は、何かしら」
ニャル子「手を組みましょう」
ほむら「お断りするわ」
ニャル子「インキュベーターを潰すための同盟、といっても?」
ほむら「(本気?)そんなの、不可能だわ」
ニャル子「ネタはあるんですよ」ニヤニヤ
ほむら(スキャンダル?)
ニャル子「現在下ごしらえ中です。ほむらさんにお願いしたいのは、ワル夜ちゃんとの戦闘における協力」
ニャル子「正直、私とマミさんと杏子さんでもキツイ。ていうかあなたがいてもキツイ」
ニャル子「利害は一致してるはずです」
ほむら「私は、あなたを信じる事が出来ない。よって申し出はあくまで断るわ」
ニャル子「信じてもらえなくて結構。ですがね」
ニャル子「誰かを頼るのは、弱い事ではありませんよ」
ほむら「あなたは、信じて欲しいのに誰も信じてくれない、そんな状況に陥った事があるの?」
ニャル子「ありませんよ?」
ほむら「なら、口出ししないで」
ニャル子「私なら、信じてもらえなくても、一方的に信頼しちゃいますね」
ほむら「私はそんなに強い人間じゃない」
ニャル子「わたしもです(非人間的な意味で)」
ほむら「もう、なんでもいいわ。ワルプルギスは倒す。でも協力はしない。それだけよ」
マミ「佐倉さん…!」
杏子「この一回ぽっきりだ。いいな」
マミ「ええ!」フフッ
ニャル子(フルフォースフォーム)「最初っからクライマックスです!」
まどか「わ、わたしも何かできないかな…」
さやか「まどか!私たちじゃ足手まといだよ」
まどか「でも!」
真尋「ニャル子は確かにふざけてばかりだけど、やる時はやる奴だからさ」
真尋「まどかちゃんも、彼女たちを信じて待とう」
まどか「は、はい…」
ニャル子(真尋さんのおかげで根回しは完璧、最善を尽くしました)
ニャル子「なぁに、すぐにやっつけてやりますよ。パインサラダでも作ってて下さい!」
真尋「敵につかまって振り回されるフラグが立つからやめろ!」
4
ニャル子「さぁ、来ますよ!」
2
1
ワル夜「キャハハハハハハハハハ!!」
真尋「あれがワルプルギスの夜…!」
ほむら(初めは私一人でも倒すつもりだったけれど…)スタッ
マミ「こんにちは、暁美さん」
杏子「ようイレギュラー。話は後だ。今はこいつを狩るぞ!」
ほむら「無論よ」
ニャル子「おや、ほむらさんもやる気ですね!」
ほむら「サポートくらいはしてあげるわ。でも私には不要よ」
ダダダダダ
ティロ・フィナーレ!
ハァッ!
ワタシノウチュウCQCエンハンサー!!
キャハハハハ!
真尋「す、すごい…勝てるぞ!」
さやか「ここまで互角だよ…」
まどか(でも、なんだろう、嫌な予感がする)
QB「まどか、さやか。契約したいときはいつでも言ってね」
真尋「その時はニャル子に契約させるよ」
QB「それは頼もしい」フフン
マミ「いける!」
杏子「ああ!これなら…」
QB「まさかこれほどとはね。彼女も本気になったようだ」
グルゥン
ほむら「えっ?」
マミ「ワルプルギスの夜が…」
杏子「回転する…」
ほむら「こんなの、知らない。初めて…」
ニャル子「ほほう、汝(ワタシ)を敵と認めましたか?」
グォォォン
ニャル子「ハン!今更ビルの一つや二つ!」
マミ「気をつけて!!」
ニャル子「え?」
杏子「後ろだ!」
ニャル子「なっ」(使い魔が寄り集まって―――)
使い魔達「―――」シュシュシュシュシュ
ニャル子「くっ…うぉぉぉぉぉ!!」キンキンキンキン
ニャル子「よし、しのぎましたよ!」
ほむら「危ない!!」
ワル夜「キャハハハハ!!」
ニャル子「次は…隕石ぃ!?」
ドォォォォォォォォォォン
真尋「にゃ…ニャル子ォーッ!!」
真尋「どういう事だ」
QB「あれは僕らの作り出した魔女だからね。僕らの本星から半永久的にエネルギーが供給されている」
まどか「なにそれ…」
QB「定期的に魔法少女の数を減らさないと、契約がコンスタントにとれないだろう?」
QB「魔法少女が増えすぎた地区には、あの子を呼んで掃除してもらってるのさ」
QB「今日一日で三人分のエネルギーが回収できる。ワルプルギスの夜に供給したエネルギーも、これで数倍のリターンだ」
さやか「あんた…最低だ!」
QB「どうする?彼女たちを助けたいなら、早く契約するといい」ニヤニヤ
真尋「ふざけんな…ふざけんなぁ!!」
「…少年、熱くならないで、負けるわ」
「遅くなってごめん!もう大丈夫だよ!!」
真尋「ハス太…」
QB「馬鹿な、僕らの圧力で、君たちはここに来る事を…」
クー子「……目には目を。政治的圧力には武力的制裁を」
ハス太「宇宙特別非営利法人インキュベーター、先ほど本星に家宅捜索が入ったぞっ!」
QB「家宅捜索!?」
真尋(宇宙なのに家宅なのか)
クー子「…姉さんが火力で制圧している。もうすぐワル夜たんへのエネルギー供給はストップする」
QB「家宅捜索で制圧だって?」
ニャル子「ようやくですかッ…待ちわびましたよ」
真尋「どういう事だ?」
ニャル子「今回の二人への待機命令、連中の圧力なのは言うまでもありません」
ニャル子「機構にそんなことができるのは、連中の掲げるエネルギー問題ゆえ」
QB「そうだ、宇宙全体のエントロピーが」
ニャル子「黙れ小僧!!」
QB「黙るのは君たちだ。エネルギーなくしてエンタメなどど」
ハス太「たしかに地球の女の子の感情エネルギーは莫大だ。でも」
クー子「………感情からエネルギーを得るなら、エンタメは欠かせない」
ニャル子「なにせ地球人だけじゃありません」
ハス太「地球のエンタメで、宇宙人みんなが感情を動かされてるんだっ」
クー子「…この調子で宇宙人が地球のエンタメともっと触れあえば、やがてエントロピーを凌駕することも可能と試算された」
ハス太「インキュベーターが地球人に契約を無理矢理にでも迫るのは、エンタメに自身の存在価値を脅かされてるからっ」
クー子「……自身の存続のため、惑星保護機構上層部に賄賂を贈っていたのはわかってる。あっちでは現在証拠がぽろぽろでてきている」
ニャル子「大昔ならいざしらず、現代じゃ地球人の絶望より宇宙全体の笑顔なんですよ」
真尋(いい話なのかくだらないのかよくわからない)
ニャル子「諦めなさい。あんたらの不正は、このニャルラトホテプが暴きましたよ!」
クー子「…暴いたのは、私とハス太君」
マミ「止まった!?」
杏子「チャンスだ!」
ほむら「攻撃を!!」
ニャル子「いきますよ、二人とも」
クー子「………うん」
ハス太「そうだねっ!」
ニャル子「必殺、私たちの!」
クー子「……宇宙CQC、AtoZ」
ハス太「ヨグソトス先生直伝っ!」
ニャ・ク・ハ『一にして全、全にして一なるトリプレットマキシマム!!!』
ドォォォォォォォォオオオオーーーンンッッッ!!!!!
ほむら「やっと、まどかを…」ウウッ
まどか「ほむらちゃん…」
さやか「なんだ、あんたそんな顔出来るんじゃん」
ほむら「う、うるさいっ!」グズッ
まどか「ありがとう、ほむらちゃん」
ほむら「まどかぁ…」
杏子「じゃあ、な」
マミ「ええ。またね」
杏子「っ!?」
マミ「また、会えるわよね」
杏子「そ、そんなの!」
杏子「………、わかんねーよ」
ニャル子「ええ!課長によると宇宙特別非営利法人インキュベーターは宇宙贈賄容疑で検挙されたそうです」
クー子「魔法少女への宇宙詐欺罪も適用されるかもしれない」
真尋「だから宇宙つければいいと思ってんじゃねーよ」
ハス太「順次魔法少女のソウルジェムを魂に戻してあげてねっ!」
真尋「できるのか?」
クー子「…本星よりテクノロジーを押収した。今の技術で無理なら私たちが開発する」
ニャル子「魔法少女なんてさっさと陳腐化させますよ!」
QB「………心しておくんだね」
QB「君たちの惰弱な発想が」
QB「宇宙全体を壊死させるんだ」
ニャル子「人々の知恵はそんなものだって乗り越えられますよ」
真尋「ニャル子…」
ニャル子「そう安室玲も言ってます」
真尋「あのさぁ…」
さやか「また、会いましょうね!」
マミ「今度は私たちがお邪魔するかもね」フフ
ニャル子「おお!それは楽しみですね!」
クー子「…少年のハーレムがまた拡大する」
ハス太「ええっ!?」
真尋「ねーよ」
まどか(ハーレム?)
・
・
玉緒「真尋君!一ヶ月の新婚旅行はどうだった!?」
真尋「えっ!?」
真尋「おいニャル子!偽装工作はどうなってるんだ!!」
ニャル子「いやぁもう毎日毎日真尋さんったら激しくてぇ~」
真尋「こんっの…」
真尋「馬鹿宇宙人がぁぁぁぁぁぁぁっっ!!!」
おわり
支援ありがとうございました
ニャル子SSはイチャラブばかりでクロスが少ない気がします
もっとみんな書くべき
Entry ⇒ 2012.06.11 | Category ⇒ ニャル子さんSS | Comments (2) | Trackbacks (0)
律子「プロデューサーと子ども作りたいなぁ……」 P「」
( `・ω・) ようこそID腹筋スレへ!
/ ∽ |
しー-J
ここはsageずに書き込み、出たIDの数字の回数だけ腹筋をするという、
硬派なトレーニングスレです。
例1 ID:wwh7KM12 の場合 7×12=84 なので84回頑張りましょう。
例2 ID:bicycle. の場合 数字がないので今日は一休み。
さあ、存分に腹筋するがよい。↓
小鳥「はい、友人に赤ちゃんが生まれまして」
子供、ね…。私の友達にも結婚した人は何人もいるけれど、子供を生んだ人は、まだ見たことがない
小鳥「女の子だったんですけど。これがもうとても可愛くって、私も欲しくなっちゃいました」
小鳥「律子さんは、男の子と女の子、どっちがいいと思いますか?」
満面の笑みでこちらに問い掛ける小鳥さん。子供を作る算段について触れない辺り、軽く現実逃避しているのが分かる…
こんな感じでどうよ?
小鳥「うっ…。…律子さん、最近私の扱いが酷くなってません?」
律子「そりゃあね、仕事中に掲示板にスレを立てたり」
小鳥「うっ…!!」
律子「薄い本をデスクの中に隠し持ってたり」
小鳥「ううっ…!!」
律子「あまつさえアイドルの娘達にあることないこと吹き込んだりしてればねぇ…」
小鳥「うぐぅぅっ!!」
小鳥「り、律子さんの馬鹿ぁぁぁぁ!!」ドタドタ
と言って事務所を飛び出して行った…
…馬鹿ぁって、あの人ちょっとは自分の年を考えた方がいいんじゃないだろうか…
まぁ小鳥さんはそんな所が魅力的であり、年以上の虚勢を張ってきた自分にとっては、羨ましくもあるけれど…
きっと恋愛漫画の読みすぎで、現実の認識能力が落ちてるんだろう…だから周りの好意に気付かないのだ
小鳥さんについてそう評価を下すと、彼女が帰ってくるのを気長に待ちながら、私は書類を片付けることにした
―――――
――――
―――
律子「……」カリカリ
律子「あ…、また間違えた…」
…駄目だ。さっきから、全然集中出来ない…
『律子さんは、男の子と女の子、どっちがいいと思いますか?』
とっさに誤魔化してしまったけど、あの質問を受けたとき、正直、心を突かれたような気がした…。
だってそれは、あまりにも想像の上を行く質問だったから…
律子「結婚の、先…」
そんな選択肢があるなんて、思いもよらなかった
竜宮小町のプロデュースをして、765プロをもっと大きくして、アイドル達をもっともっと上のステージへと押し上げる
…それが秋月律子の目標であり仕事なのだと、胸を張って言えるし、それを邪魔する結婚なら、こっちからお断りだと思っていた
律子「でも、そっか…子供…」
律子「子供ね…、何だかんだ言って、私も欲しいのかも…」
これまでの恋愛では、自分と相手が居ればそれでよかったし、別れる時も2人の間で完結していた
けど、この年齢になってくれば、違う
律子「流石に、10年後もこのままってことはないわよね…?」
……出来る。どんどん仕事にのめり込んでいって、女を捨てて働く未来の自分の姿が…
一度でも子供を産むという、『あり得たかもしれない』未来を想像してしまったら、もし仕事を選んでも、ずっと迷いを抱えることになる…
律子「アイドルを辞める時、覚悟したつもりだったのにな…」
こうも早く、それも想像の外から、あっさりと決意を崩されるとは予想していなかった
……要するに、私はまだ子供だったのだ
かぶりを振って、気持ちを切り替える。これは、この業界で働く上で身につけたスキルの一つだ
今度は前向きに検討してみる。子供を作って、プロデュースもバリバリやる!ってのは無理にしても…、
幸せな家庭を作る!くらいは想像してみたっていいだろう
生まれたての我が子を抱える私と、それを見守る旦那…
……旦那?
律子「というか、私、誰の子供が欲しいんだろ…?」
その言葉のあまりの現実味のなさに、我ながら意味不明なことを口走る。
律子「結婚したい相手、相手…」
仕事で知り合った男性達が次々と頭へ浮かんでは消えていく…
……駄目だ、1人もいない。だってこんな業界の人達だからか、ビジネスの相手だからか、皆が皆、
律子「不誠実そうなのよね…」
はぁ、と本日で一番大きなため息をつく
所詮無駄な徒労だったかと、椅子の背もたれによりかかって伸びをした
ぼうっと事務所の天井を眺めていると、ふいにプロデューサーの横顔が浮かんできた
ちょっと頼りなさげで、だけど暖かみのある、そんな横顔……
……なんでそう思ったのかは分からない。けれど、いつも間近で見てきた彼の表情を幻視している内に、私は一生の不覚とも言える言葉を、口走っていた
律子「プロデューサーとなら、子供作りたいなぁ…」
アイドル達も出払って閑散としていた事務所に、突然積み木が倒れたかのような音が響き渡る
律子「えっ? 何っ?」
驚いて後ろを振り返る。そこには前のめりで固まるプロデューサーと、その足元で盛大にぶちまけられたアクセサリーのボックスがあった
……なんだプロデューサーか…。泥棒かと思ったじゃないですか、全く人騒がせなんだから…
条件反射的に小言の1つでも言おうと構えていると、驚きのあまり霧散していたさっきまでの思考が元に戻ってくる…
……プロデューサー? ウソでしょう?!
も、ももももしかして…!!
思考が一気にクリアになるのを感じながら、急いでプロデューサーの方に向き直る
…この時の私を傍から見たら、それはそれは人間離れをした動きに見えただろうし、その顔はとっておきのマヌケ面を晒していたに違いなかっただろう…
律子「ぷろ、デュ…サー」
アイドル時代も竜宮のライブに出た時も比ではないほどに、私の口の中は渇ききっている
その懇願を込めたような呼び掛けに、プロデューサーは気まずそうに目を向けた
ああ……聞いたんだ………
私は、目の前が真っ暗になるというのが、決してオーバーな表現ではないということを、この日学んだのだった……
今の状況をプロデューサーの立場から見てみれば…
1、同僚の色気皆無の眼鏡女が
2、誰もいない薄暗い事務所で1人
3、あろうことか自分の子供が欲しいと呟いていた
…………
うん、ドン引きするわね……。
そういえば最近って女にもセクハラとか適用されるんだったかしら? 最悪捕まるわね。ふふふ
……死ぬ……いっそ殺して……
>1、同僚の色気皆無の眼鏡女が
そんな筈あるか!
律子「ぴ、ひゃい!?」
ついに一言も発しなかったプロデューサーが口を開いた
…恥の上塗りをした気がするが、最早どうでもいい
P「営業から、ただいま帰りました」
律子「……」
そっか。流石プロデューサー殿です。『なかった』ことにするんですね。大人のやり方を心得ておられます。
それが一番いいですね
律子「はぃ、ぉ疲れ様です…」
プロデューサーの与えてくれた逃げ道の前に、私は、そう返事をするしかなかったのであった…
律子「っていいワケあるかぁーーー!!」
第一部・完
ちょっと飯悔いながら話考えてくる。残ってたら後半書きます
そう言ってドリンクを竜宮のメンバーに手渡すと、真っ先にそれを手にした伊織がつぶやく
伊織「当然よ。こんなローカル番組の収録くらい、こなせて当たり前なんだから!」
こんな、って…結構取ってくるの大変だったんだけど…
私の思いを知ってか知らずか、あずささんがそれを窘める
あずさ「伊織ちゃんダメよ~、そんな言い方しちゃ」
律子「そうそう。まぁ、自信を持ってるのが伊織の良いとこだけど」
1人会話に参加せずにいた亜美は真美との約束があるらしく、私達をせかし出した
律子「はーい。車ならすぐ乗れるよう下に用意してあるから、そんなに急がないの!」
亜美「流石はりっちゃん! 備えがいいですなぁ→!」
事務所に戻る用意があると分かると、途端にはしゃぎ始める亜美。まったく、子供は気楽でいいわよね…
律子「はぁ…」
伊織「……」
車を回して運転席から叫ぶ。私が免許を取ってからは、お馴染みの光景だ
伊織「ふぅ、よいしょっと」
ただ、その日だけは助手席に乗り込んでくる相手が違っていた
律子「伊織? ……珍しいわねあんたが助手席なんて」
伊織「別に? たまにはこっちからの眺めもいいと思ったのっ」
そう言って彼女はそっぽを向いた。
…今の会話のどこに拗ねる要素があったのかしら?伊織の性格は把握してるつもりだけど時々不安になる
彼女達を疑っている訳じゃないけれど、実際に仲良くやってるのを見ると安心する…やっぱりこのメンバーをユニットに選んだのは、間違いじゃなかったんだって
そうして半ば自己満足とも言える感慨に浸っていると、前の車の動きが鈍くなった
律子「あれ? なんか普段より道が混んでるような…」
あずさ「本当ですね~、イベントでもあったのかしら…」
律子「っ、そうね…。亜美達の約束に合わせるのは、厳しいかも…」
亜美「そんなぁ~~…」
よほど楽しみにしていたのか、亜美の声がみるみる内にしぼんでいく
しまいには半泣きになってしまった亜美に内心慌てるが、あずささんが何とかフォローしてくれた
…亜美も大分プロらしくなったとはいえ、またまだ中身はそこらの中学生と変わらないのだ
しかし今の私には、他にも気掛かりがあった
……今日は事務所にプロデューサーがいる……
『あの日』以来、私はなるべくプロデューサーと顔を合わせないようにしてきた。幸い竜宮小町に付きっきりな私は、朝の打ち合わせに会話をするだけで済んでしまうのだ
今日は週に一度、社員同士で情報をやりとりする場を設けている日なのである
…確実に二人きりになる……
その事実は朝からずっと私を憂鬱にさせてきたし、事務所へと少しずつ進んでいくこの道は、さながら一三階段にも思えていた
律子「……どうしよう」
律子「ん? どうかした伊織?」
伊織は窓の外に目を向けたまま続ける
伊織「アンタ最近、何か隠してるでしょ?」
律子「へ? 何のこと?」
伊織「こっちは分かってるんだから。事務所に行きたくないってことぐらい」
まさか、この子…。助手席に乗ったのは、最初からこの話をするため?
隠していたつもりの本心を言い当てられて、自然とハンドルを握る手に力が入る
伊織「当ててあげましょうか? プロデューサーのことでしょ?」
……うん、そうくると予想してたわ
私をあんまり舐めない方がいいわよ? 冷静を装えばこんなの……
律子「はぁ、何を根拠にそんなことを…」
伊織「あら違うの? プロデューサーにそう聞いたんだけど」
律子「ぶふっ!!?」
伊織「う~~ん、どこまでかしら?」
そう言って小首を傾げる伊織は、小悪魔系アイドルとして今すぐ売り出せる程充分な魅力を持っていた
……が、今はこの小娘を殴りたいわ……
というか、あれだけ何もなかったフリをしておいて、伊織に喋ったんですかプロデューサー!!!?
伊織「……にひひっ、その様子だと、私の予想は当たってたみたいね!」
律子「へ…、あ! まさかあんた!」
やられた…。こんな子供相手に、カマをかけられるなんて…
律子「この子ったらどこでそんなこと覚えて…!」
伊織「私は水瀬財閥の令嬢よ? この程度の駆け引き、朝飯前なんだから!」
律子「くぅぅぅ…」
してやったりという笑みを浮かべて、会心のポーズを決める伊織
……私決めたわ、この子は絶対この路線で売るって……
律子「い、いやその…」
伊織「安心しなさい。誰にも言ったりしないから」
……あんなこと伊織にだって言いたくないわよ!! あぁもう、こうなると知ってたから皆にも隠してたのに……
うっ、思い出したらまた顔が熱くなってきた…
律子「う、あぁ…」
伊織「律子……、アンタ本当に何されたのよ…」
伊織「な、何ですって…?」
亜美「何何→? なんの話→?」
……また厄介なのが増えたわ…。もうケロッとしてるみたいだし……
伊織「律子が…プロデューサーに、し、したって……」
亜美「え! もしかしてりっちゃん、兄(c)にイタズラでもしたの~?」
あずさ「…い、イタズラ……?」
亜美「ねぇねぇ、何したのさ!? どっきり? トラップ系?」
律子「い、イタズラとかじゃありません! やめてよ思い出すのも恥ずかしいんだから……」
あずさ「あ、あらあら…」
こうやって騒がれると、ますます後悔の念が襲ってくる
もう…本当になんであんなこと口にしたのかしら…
……本当になんで……
あずさ「………」
亜美「あ…うん、何でもない」
亜美「い、いおりんいおりん! あずさお姉ちゃんの様子が変になっちゃったYO→!!」
伊織「そんな……、律子が、積極的に……?」
亜美「ふ、2人ともどうしちゃったのさ→!?」
亜美「りっちゃんもりっちゃんで俯いたままだし…」
亜美「うわーん、助けてよ真美ぃ→!!」
第二部・完
結局あれからどうやって事務所までたどり着いたのか、よく覚えていない…
前の車に反応して車を動かし、ひたすらナンバープレートを見つめていたのを朧気に思い出す…
ただ居たたまれない車内と、遅々として進まない渋滞が、私にとって地獄だったのは確かである
……あらぬ誤解を受けたみたいだったけど、本当のことを言うよりマシよね……?
事務所の階段が遠く感じる…
律子「いるのよね…。あの先に」
扉の向こうを見据えて一歩を踏み出すと、不思議なことが起きているのに気付いた
……震えてる? なんで…?
恥ずかしさや緊張とも違う、恐怖という感情……
私は気付かない内に怖がっていたのだろうか? プロデューサーを…?
律子「ううん、そうじゃない…私は」
……プロデューサーに嫌われるのが、怖い……
…初めて出来た仕事仲間で、共にいくつものライブを成功させて来て、頼ったり、頼られたり…。
そして、プロデューサーとしての心構えを教えてくれた、尊敬する私の目標……
そんな人との関係が変わってしまうのが、怖い
……大丈夫! 落ち着けば言い訳の一つや二つは考えつくわよね。プロデューサーならきっと分かってくれる……
そうして私は、事務所の扉を開けたのだった
――――
―――
P「よし、これで定例会議は終了だな」
律子「はい、バッチリです」
…謝ると覚悟してしまえば後はなんのことはない、単純なものだった
プロデューサーとだって会話は普通に出来るし、しこりがあるようにも思えない
……だからこれからすることは、ほんのちょっぴり、不安の種を取り除くだけ……
P「そういえば律子、この後空いてるか?」
律子「はっ? え? ええ、まぁ…」
P「そっか。なら久しぶりに飯でも食いに行かないか?」
律子「それは…」
…もしかしてプロデューサーも、あの件のこと気にしていてくれたんだろうか?
私の為に、わざわざ誘って…?
律子「は、はい! ぜひお願いします」
P「なんだよ。そんなに意気込むことでもないってのに」
律子「ふふっ、そうですね。それじゃ支度して来ます」
更衣室で、身支度を整える。
……ここでは言えなかったけど、食事の席についたら最初に言ってしまおう。そしたらプロデューサーが笑って許してくれて、楽しく食事が出来る……よし!
私は幾分か軽くなった気持ちを抑えつつ、バックを取ってプロデューサーの下へと向かった……
―――――
――――
―――
律子「ここが、そのお店ですか?」
P「ああ。居酒屋はアレだし…そこまで高いとこでも窮屈だろ? リラックスした所がいいと思ってな」
そんな会話をしつつ入ると、中から店員が出て来て、奥へと通される
プロデューサーの言ったとおり、ゆったり出来る構造のようだ
……料亭というよりかは、食事処といった感じかしらね……?
P「あぁ、ゆっくり話も出来ると思う」
……やっぱり、プロデューサーも話をしに来たんですね……
案内された席に座りつつ、息を整える
P「律子は? 何にする?」
律子「は、はい。私は…」
店員「はい、畏まりました」
店員がパタパタと手際よく去っていくのを見送る
…よし言わなきゃ、言うなら今がチャンス…
……ってあれ? どうやって切り出せばいいんだろう……一週間前の話? それとも子供がどうとか…
……そんな直球っていうのもどうなのかしら……?
P「…律子」
律子「はいぃ! 何ですかプロデューサー!」
P「この前の子供がどうとかって話なんだけどさ……」
……さ、先を越された…。あぁもう! チンタラしてるから!
……ていうか、直球でよかったんだ……
P「あの時はさ、パニックになっててうやむやにしちゃったけど…」
P「律子…………俺となら、子供が出来てもいいって、言ってたよな……?」
律子「そっ、そうですね…」
……分かってたことだけど、改めて言われると恥ずかしすぎる……
プロデューサーの顔をまともに見れない…
P「それってさ、俺の自惚れじゃなければ……」
……あれ? この流れって……
P「律子は俺を好き、ってことで、いいのかな?」
P「……」
律子「私……」
…言わなきゃ、私の気持ちを…
律子「私……」
律子「……よく分からないんです……」
P「えっ」
P「………えっ?」
律子「違うんですプロデューサー!」
律子「私……プロデューサーになるって志してからずっと、仕事の為に生きてきて、それで幸せだったんです」
律子「だけど、先日小鳥さんから子供の話を聞いて、そういう幸せもあるのかなって…。でも、仕事を辞めるのも違う気がして…」
律子「けど、プロデューサーの顔が浮かんで来たら」
律子「プロデューサーとの子供なら、いいかなって思えたんです」
P「そうだったのか…」
手の甲を見続けながら、本心をぶちまける。プロデューサーの声からは若干の困惑の色が窺えるけれど、彼ならちゃんと聞いてくれるという安心感があった
律子「私も、そう思います…」
律子「けどそれに気付いたら、プロデューサーへの気持ちが、分からなくなってしまって…」
律子「わ、私、仕事をしてるプロデューサーが好きなんです!」
私は熱に浮かされながら、素面だったら赤面ものの台詞を、次から次へと口に出していた…
……なに喋ってるんだろ、私…声も上擦ってる……
……でも、あぁ、そっか……
律子「だけど、今のままの私じゃ、半人前で、プロデューサーの横に居れなくて」
これが私の、本当の気持ち、なんだ…
律子「だから、恋人になってしまったら、もうパートナーじゃなくなる気がして…」
…あ、いつもの声に戻ってる。優しくて、私のことを包んでくれるような……
知らぬ間に泣きべそをかいていた私の頭に、彼の手が触れた…
……撫でられるのって、こんなに気持ちがいいんだ……
P「だったらさ、俺は待つよ」
律子「え…?」
P「律子が一人前になるまで待つし、俺のことを好きになってくれるまで待つ」
律子「そんなの…プロデューサーが……」
P「いいや、俺はずっと律子の側にいる! プロデューサーとしても、男としても!」
P「だって、俺は律子のことが好きだから」
P「そうかな? 俺は悪い賭けじゃないと思うけど…」
P「だっていつか俺の子供を産んでくれるんだろ?」
律子「なっ、あ…、もう!」
P「ははは…」
……あれだけの告白をして、人前で泣き顔を晒して、それでもまだ顔が熱くなるなんて思わなかったわよ……でも
プロデューサーが笑って認めてくれたなら、この気持ちも大事に出来る気がする……
だから……
律子「私をずっと側に置いて下さいね? プロデューサー♪」
END
ちょっと待ってて
P「765プロも随分と大きくなったなぁ」
律子「そうですね、社長」
東京の一等地に建てられた巨大なビルの前で、感慨に浸る彼…
寄り添うようにその手を握ろうとすると、彼が高木社長から譲り受けた時計と私の指輪が、カチリと鳴った
P「アイドル達も皆大きく羽ばたいていった…」
律子「皆、社長が育てたからですよ」
P「いや、俺は律子のおかげだと思ってる」
P「いや、本当に律子には助けられたよ。律子は凄く気がきくし、経営の腕だってある」
P「会社を継ぐ時だって俺を支えてくれた。俺一人じゃこの会社を回せなかったさ」
P「それになにより、律子との約束を破らないように必死だったんだ」
律子「約束って…側にいるっていう?」
P「ああ、俺が諦めても律子は諦めなかったからな。側にいるのは大変だったよ」
自然と笑みが零れる。私は彼の気を引くように前にでた
律子「社長! 私、頑張れましたか?」
P「? …ああ、律子は本当によく頑張ったよ」
……ふふっ、頑張ったって、認めてもらえたよ……
私はまだお下げだったあの頃の自分にエールを贈るように、心の中で呟いた
律子「……社長。私、プロデュース業から降りようと思うんです」
P「え? 律子が?」
律子「別に全部の仕事を辞めようって訳じゃありませんよ」
律子「経営の方に回ろうかと思ってるだけです。プロデュース業は育ってきた若手に任せます」
律子「それに…」
…経営の仕事なら、座ったまま出来るしね
P「そっか、そういうことなら分かったよ。律子を信じる」
こう言うと彼はあの顔をするに違いない、…ほら
P「え? もう一つの夢? そんなのあったっけ…? アイドルは育てたし、会社もビッグにしたし…」
律子「もう! 忘れてるんですか?」
もうちょっとだけイジワルしてみる、彼の困った表情が見たくて…
律子「まったく、なら今言わせてもらいますからね!」
律子「社長の希望…ですか?」
P「そう! それだよそれ! 公私混同はしないって言ったけどさ…、2人っきりの時位社長って呼ぶの止めてくれ…」
律子「ああ、なるほど。分かりました」
…これは今からやろうとしていることに使えるかもしれない
彼の慌てようを考えると、今から少し笑ってしまいそうだ
……この言葉を聞いたら、彼はおそらく色んな表情をするだろう
だけど見る必要はないのだ
彼が最後に浮かべる表情は、きっと私が大好きなあの笑顔に違いないのだから……
律子「私に子供をください、あなた♪」
TRUE END
軽い気持ちで書くんじゃなかったな…
投下に半日近く掛かったり色々と不甲斐なくてすまん
保守、支援には本当感謝する
Entry ⇒ 2012.06.11 | Category ⇒ アイマスSS | Comments (1) | Trackbacks (0)
お嬢様「うちのメイドは頭を撫でられるとだらしなく喜ぶ」
お嬢「……」ナデナデ
メイド「ちょっ……んっ…………」
お嬢「…………」ナデナデナデナデ
メイド「やぁっ…………やめっ……やめ……」
お嬢「ふむ……」ピタッ
メイド「あ……」
メイド「もう、終わり、なの……?」
お嬢「……」キュンキュン
みたいなのはよ
メイド「几帳面なだけです」
お嬢「料理の腕も一流だ」
メイド「舌の検査にでも行ったらどうです?」
お嬢「帰った時もいの一番に迎えてくれるし」
メイド「っ……それは……」
お嬢「貴女が専属で、私は大変誇らしいよ」
メイド「あっ……」
お嬢「…………」
メイド「…………」ムズムズ
メイド「そ、そこまで褒めてくださるなら、その」
メイド「あの、あ、あたまを……っ」
お嬢「……」キュンキュン
みたいな感じでひとつ
メイド「よっと……」
メイド「あ」ガシャーン
メイド「これは、奥方様からの大事な贈り物の……」
メイド「どどどど、どうししし」
メイド「…………」モワモワモワモワ
お嬢『メイド、なんだこれは』
メイド『あの、その、ええと』
お嬢『こんな失態をやらかすとは思ってなかったな。普段から無愛想な奴だと思っていたがもう限界だ』
メイド『……!!』
お嬢『……さよならだ。どこぞにでも拾ってもらえ!』
メイド『い、いや!お嬢様、お嬢様ーっ』
お嬢「……メイド、なんだこれは!」
メイド「あ、あの、その…………」
お嬢「怪我はないか?どこか打ったりしてないか?こんなに泣きはらして、どうした?」
メイド「お、お嬢しゃま……!」
お嬢「なんともないじゃないか。あまり心配させるな……」ナデナデ
メイド「!!」
メイド「ひゃ、ひゃい……おじょうしゃま……」
お嬢「(レプリカ置いてただけだけどメイドがかわいいから黙ってよう)」キュンキュン
メイド「お嬢様ーっ!おかえりなさいませ!」
お嬢「ん、ただいま」
メイド「鞄持ちます!お風呂もわかしてあるので早めに貰ってください!」
お嬢「あ、ああ……ありがとう。メイドは気が利くな」ナデナデ
メイド「んっ……」ブルッ
メイド「ゆ、夕飯もできてますからね!お待ちしてますね!」
お嬢「ん…………」
お嬢「……ちょっと罪悪感、かも」
メイド「あの、良かったらお背中を……」ジッ
お嬢「じ、自分でやる!先に行ってろ!」
お嬢「(持て余しすぎて自制ができなくなりそうだ)」
このスレで有名な>>1さんじゃないっすか!!オナシャスッ!!
生徒「私、ずっと会長のこと、お慕いしてて……!」
お嬢「すまない、貴女のことをそういう風には見れないんだ」
生徒「……!!……そ、そうですよね、わかってました」グスッ
生徒「でも、気持ちをお伝えできただけで、私、私っ……」ダッ
お嬢「…………」
お嬢「……はぁーっ……」ズーン
メイド「おかえりなさいませー、ってお嬢様?」
お嬢「あ……メイド、か」
メイド「どうかされましたか?顔色が優れないようですが……」
お嬢「くっ……」グイッ
メイド「きゃあっ……!」
お嬢「……ふふ……ここなら誰もこないな。なぁ、メイドぉ……」ガシッ
メイド「お、お嬢様。いったい何を……」
お嬢「メイドーっ!!撫でさせろ心行くまで!!!」ナデナデナデナデ
メイド「はひゃっ!急にっ!そんにゃっ!……」ビクンビクン
お嬢「」ナナデナデナデナデナデナデナデナデナデナデナデナデデナデナデナデ
メイド「ひゃ、ひゃげし、しゅぎ……」ビクッビクッ
お嬢「かわいいなぁかわいいなぁ」ナデナデナデナデナデナデナデナデナデナデナデナデナデナデナデナデナデナデナデナデナデナデナデナデ
メイド「(かわいい!?う、うう、嬉しい!でもこの状況!!)」ブルルッ
お嬢「メイドー、メーイード、めーーいーーーどーー♪」ナデナデナデナデナデナデナデナデナデナデナデナデナデナデナデナデナデナデナデナデナデナデナデナデ
メイド「(ご帰宅されてから元気がないようでしたが、こんなことで回復されるなら、私っ……)」
お嬢「」ナデナデナデナデナデナデナデナデナデナデナデナデナデナデナデナデナデナデナデナデナデナデナデナデナデナデナデナデ
メイド「……っ!……っ!…………っt!?…………っ!…………」ビクンビクン
お嬢「あ……すまない、すっかり取り乱してしまった」
メイド「い……いえ…………んっ…………」
お嬢「……ありがとう、メイド。貴女がいてくれるだけで、私は、私は」
メイド「……っ……?」
お嬢「……んっ」デコチュ
メイド「!?」
お嬢「お、おやすみ!メイド!」
メイド「…………ほわぁぁぁぁああ」
お嬢(いつまで?部下に何も与えられない主人に、いつか愛想を尽かすんじゃないだろうか)
お嬢(そんな気持ちすらごまかしてばかりだ。いったいどうしたら……)
メイド(……みっともない姿を晒してしまったけど)
メイド(あんなことでお嬢さまの為になるなら私は……)
メイド(でも、できることなら、もっとお役に立ちたい。私の全部で、お嬢様の全ての為になりたい)
メイド(そしてそのあかつきには……ってもう!)カァッ
メイド(一体、どうしたら、ずっと、ずっと)
お嬢&メイド((彼女を幸せにできるだろうか))
メイド「お館様も大変ですね。こんな日でも出勤されるなんて」
お嬢「ああななりだが、父は名医だからな。腕を買われて講演までする始末だ。まったく……」
メイド「はぁー……すごいんですね。」
お嬢「……」ムスッ
お嬢「だが、それもいずれは過去の話になる!こうして私が跡を継ぎ、いや越えようとしてるのだからな!」ナデナデ
メイド「にゃっ!ひ、ひゅいうちです……」ゾクッ
お嬢「ふん……」ナデナデナデナデ
メイド「にゃ~ん……」ゴロゴロ
お嬢「…………!」
メイド「おかえりなさいませ、お嬢様!遅くまでおつかれさまです。お風呂ができてますよ」
お嬢「ん……入ってくる。あとで夜食を頼む」
メイド「かしこまりました……お嬢様?」
お嬢「なんだ?」ギロ
メイド「いえっ」
お嬢「……じゃあ、頼んだぞ」
メイド「…………」
他メイド「……文化祭が近いからかしら、気がたっておいでね」
他メ2「実行委員に加えて、普段の会長職までしてられるでしょ?そりゃ余裕もなくなられるわよ」
他メ3「なんでも今年の生徒会は~~……」
メイド「…………」
メイド「……無力だなぁ……」
「であるからして!予算が~」
「だいたいそっちの都合で人員を~」
「ほらまたこんなことで!文化祭まで時間が~」
「じゃあなにか建設的な意見を~」
お嬢「……」イライライライラ
「そもそもの責任は~」
「またそれ!?いい加減に~」
お嬢「」バン!
「「「「」」」」ビクッ
「か、会長……?」
お嬢「…………帰る」
ガチャン!
メイド「おかえりなさいませ、お嬢様」
お嬢「ん……」スタスタ
メイド「お、お待ちください!申し上げたいことがございます!」
お嬢「……ぁ?」
メイド「……もう少しだけ、ご自愛ください。学業の方もさぞ大変でしょうが、日に日にやつれていかれるのを、黙ってみてられません」
お嬢「……じゃあ、あんたが代わりしてくれるの?」
メイド「えっ」
お嬢「私しかいないんだ!どいつもこいつも使えないから、私が、私が頑張らなきゃ!」
お嬢「そう、私がなんとかすれば……私がいなかったら……いないか。それもいいかな」
メイド「お嬢、様……?」
お嬢「疲れた。もう疲れたよ。メイド」
お嬢「もういいや。あんただけいれば」ガバッ
メイド「やぁっ……」
メイド「お嬢様……んんっ……落ち着いて……」ピク
お嬢「落ち着いてるよ……メイドの姿……しっかり見てたいから……」ハムッ
メイド「あっ……耳……っ……」ゾクゾク
お嬢「なんだ、頭だけじゃなくてこっちも良いのか。ほんとに可愛いなぁメイドは」グニグニ
メイド「(…………ああ、すごく、きもちがいい)」
メイド「(こんなに触っていただいて、抱きしめられて、求められて、幸せすぎて、このまま、流されてしまいたい)」
お嬢「メ、メイド。こっ、このままっ」ハァハァ
メイド「(…………でも…………でも)」
メイド「…………だめ」
お嬢「?」
メイド「お嬢様、私を、逃避に使うのはやめてください」
お嬢「なっ」カァッ
メイド「私は、貴女の専属のメイドです。だから、どうしてもとおっしゃられたら、頷くしかありません、が」
メイド「(少なからず望んでいるから、とは言えないけど……)」
メイド「お嬢様は今、なにか大きな試練に立ち向かってるんじゃないですか?今までにないような」
メイド「だからそんなに、毎日身を削って、あんなになるまで頑張ってるんじゃないんですか?」
メイド「私がいま、ここでお嬢様に抱かれることでその助けになるなら、この体、喜んで差し出します」
メイド「でも、きっとこのままだとお嬢様は、堕ちていってしまう。もう二度と戻れないところまで。きっと……」
お嬢「…………」
メイド「私は、お役に立ちたいんです。私の全てで、お嬢様を良くしたいんです。私のせいで、だめにしたくないんです」
メイド「いつも高貴で、自信にあふれていてほしいんです。お嬢様、だから、だから……」
メイド「すみません。あまりにも差し出がましい真似でした」
お嬢「いや……………………助かった、かな」ボソ
メイド「?」
お嬢「なんでもない!!」プイ
お嬢「わかったよ。そこまで啖呵きるなら、お望みに応えようじゃないか。やり切ってみせるよ。だから」
お嬢「全力で、助けてくれ」
メイド「お嬢様…………」パァッ
メイド「はい!喜んで」
お嬢「そのかわり、全部おわったらひたすら抱いてやるからな」
メイド「なっ!?」カーッ
お嬢「冗談だよ、冗談…………じゃあ、私は明日に備えるよ。おやすみ」
メイド「おやすみなさいませ、お嬢様」
お嬢「………………………………………………………………ありがとう」
メイド「えっ…………」
お嬢(あんなに尽くしてくれるだなんて)
お嬢(あんなに、想っていてくれただなんて……)
お嬢(それに引き換え私は…………)
お嬢(…………!!)
お嬢(……あるじゃないか、私なりに、報いいることが)
お嬢(できるじゃないか、今はまだ無理でも、きっと、遠くない未来に)
お嬢(あの男の娘たる、私ならば)
「は、間違いありません。社長」
?「いい気なものだわ。一人だけ、温室の中でのうのうと暮らせるなんて」
?「あなただけ、何も背負わず幸せになれるとは、努々想っていないでしょうね…………」
メイド「お疲れ様です。見事でしたよ、お嬢様」
お嬢「メイド、膝を頼む」キリッ
メイド「はいはい、そんなに格好つけなくてもいつも素敵ですよ……こちらへどうぞ」
お嬢「よっ……やっぱりメイドの膝は絶品だな。最高の枕だ」
メイド「お褒めにあずかり光栄です…………あっ」
お嬢「どうかしたか?」
メイド「いいえ……ふふっ……」ナデナデ
お嬢「わわっ、何をいきなり!」
メイド「いえ、いつもしていただいてるので、私も……と思いまして」
お嬢「そ、そうか」ドキドキ
お嬢「……メイドのナデナデも絶品だな……」ボソッ
メイド「?」
お嬢「何でも無い!」
お嬢「んん……何だ?」
メイド「こうしてると、幸せですね。すごく……」
メイド「されてる時は、ただ心地いいだけでしたのに……今は、なんて言ったら良いのでしょう」
お嬢「幸せ、だろう?」
メイド「はい!……言葉じゃ伝えきれない想いまで、全部乗せていけるようで」
メイド「そして、それを全部受け止めてもらってる。そんな喜びで、体も心も満たされていきます」
お嬢「そう、だな。私も今、すごく気持ちがいい。なんていうか、その」
お嬢「愛されてる、感じがする」
お嬢「…………」カーッ
メイド「……私も、同じ気持ちです。お嬢様」
お嬢「メイド……」ドキドキ
メイド「約束、でしたから、その!」
メイド「すべて、貴女に…………!」ハラリ
お嬢「うん……でも……」
メイド「は、はいっ!」
お嬢「今、すごく、すごく…………」
お嬢「眠い」ガクッ
メイド「……は?」
メイド「えーと、お嬢様?」
お嬢「」スヤスヤ
メイド「せっかく、勇気、だしたのになぁ…………」
メイド「でも、寝顔も素敵……ふわぁぁ……」zzz
メイド「……お嬢様ー」
お嬢「……なに?」
メイド「いえ、何ってほどでもないんですけど……」
お嬢「なら、よかったらコーヒーを頼めないか。今日はまだ終わりそうにないから」
メイド「……かしこまりました。……でもぉ……そのぉ……」
お嬢「ええい!甘ったるい声を出すな!変な風に気が散る!」
お嬢「お前が勉強の邪魔をしてどうする!!頼むから静かにしてくれ!!」
メイド「はい、申し訳ありません」
メイド「…………」ズーン
お嬢「……受験が終わったら、晴れて一人暮らしだ。そういう大学を選んだ」
メイド「?」
お嬢「誰にも邪魔されない、私とメイドだけの城だ。素敵だろう?」
メイド「……!」
メイド「は、はい!!」パァッ
お嬢「ふふっ……いい子」ナデナデ
メイド「んっ…………」ゾクッ
お嬢「……私も、我慢だな…………よし、最後の追い込みだ」
メイド「はい!」
父「……そうですか。あの二人が……まさかそんなことまで」
母「ちょっと、事を急いだ方が良さそうじゃない?取り返しが付かなくなるよ」
父「わかっています。少々心は痛みますが、仕方ない」
父「あの子たちには、早急に離れていただかないと」
メイド「失礼いたします」ガチャ
父「ああ、メイド君か。ご苦労様。そこにかけてください」
メイド「いえ、お気遣いなく……。今日は、どのような用件でしょうか」
父「……では、つかぬことを聞きますが、今の貴女の貯え……貯金ですね。いくらか教えていただけませんか?」
メイド「えーと……◯◯◯◯万ほどです。計算違いがなければ」
父「…………」
メイド「お館様?」
父「し、失礼。あまりの額だったで驚いてしまいました」
メイド「中学生相応の頃から高給で雇っていただいてますし、普段なにも使わないもので」
父「なるほど、なるほど…………それだけあれば、十分ですね」ボソッ
メイド「……何か、まずかったでしょうか……?」
父「いえ、むしろ好都合です。メイド君」
父「せっかく教えていただいたので、私も率直に申し上げましょう」
父「メイド君。貴女に、暇を出します」
父「わかりやすく言いましょうか。貴女はクビだと、を申しあげているのです」
メイド「ど、どうしてっ!私、なにか、し、して」
父「ええ。とんでもない事をしてくれました」
父「娘を、よからぬ道へと誘いましたね」
メイド「…………!」
父「彼女しか跡取りのない我が家において、子供が全うな道を進むかどうかは文字通り死活問題なのですよ」
父「それは貴女にもわかるはずです。その為に尽力していただいてるものだとばかり、思っていました」
父「ところが蓋を開けてみれば、語るもおぞましい道へと、落としてくれましたね。貴女は」
父「孤児同然だった貴女を、拾った恩も忘れて」
メイド「……あ……あ……の……」
父「あの子にとって、貴女は害でしか無いんですよ」
メイド(お嬢様の為に、すべてを捧げてきたつもりだったのに)
メイド(お嬢様がより良くなるように、より輝けるように、ただその一心で……)
メイド(でも私のしたことは……全部……全部……)
父「……かといって、このまま放り出す訳にも行きません。しばらくの滞在場所と、次の仕事くらいは手配しておきましょう」
メイド「あ、あの、せめて、せめて合格の、合格発表だけは、ご一緒に」
父「なりません」
メイド「そんな……」
父「……もう、日取りは決めてあるのです。貴女には従ってもらいます」
父「それが、娘のためにもなるのですから」
メイド(…………私は…………私は…………)
メイド(ごめんなさい……お嬢様……ごめんなさい……ごめんなさい……)
ガチャ、バタン!!
お嬢「た、ただいまーっ!!」ハァハァ
お嬢「メイド!早く来いメイド!やったぞ!おーい!!」
お嬢「本命一本一発合格だ!全部メイドのおかげだぞ!!……メイド?」
お嬢「……ちょっと、そこの!」
他メ「」ビクッ
お嬢「……すまない、あの、メイドを知らないか?いくら呼んでもこないんだ」
他メ「い、いえ。存じ上げません……」
お嬢「そうか……」
他メ「し、失礼します!!!」ダッ
お嬢「あ…………」
お嬢「どうしたと言うんだろう」
お嬢「ところに入りび……」
お嬢「…………………………………………」
父「私が彼女に暇を言い渡した。それだけです」
お嬢「納得できない!!彼女には今以上の厚遇こそあれ、解雇されるいわれなどないはず!」
父「それが、あるのですよ」
父「身に覚えが、ないわけではないでしょう」
お嬢「くっ……」
お嬢「それなら、私にも考えがある。こんな家なんて……!」
父「出られるとお思いですか?貴女のような若輩者一人で、生きていけると?」
お嬢「……」カーッ
父「貴女があのメイドに、ほぼ全ての家事に関して任せきりだったことは、この家のものなら誰でも知るところです」
父「そして何よりも、貴女には彼女と違って収入も貯えもない」
父「温室育ちここに極まれり、ですね。この点に関しては彼女に感謝すべきかも知れません」
お嬢「糞親父がっ……」
父「口を慎みなさい。貴女は、決められた道を進めばいいのです。それ以外になにもできないのですから」
お嬢「…………」
お嬢(貴女と一緒なら、なんでもできたのに。いや)
お嬢(なんでもできると、思い上がってただけ、か……)
お嬢(結局、メイドに、なにもしてあげられなかった。何も……何も……)
お嬢(最後に……頭を撫でで……褒めてやることさえ……)
お嬢「ごめん……メイド……」
母「ええ、でも、どうしようもないわ。これから起こるであろうことに、立ち向かうためには」
母「必要なことだったと、きっとわかるはず」
父「そうですね。ここからは」
父「私の腕の見せ所。ですかね」
母「期待しているよ」
父「任せてください」
お嬢(あの子が、初めて家に来た時のこと)
お嬢(汚い履歴書を持って、ぼろぼろの身なりで)
お嬢(後で、私より少しだけ年上と知って、ひどく驚いたっけ……)
お嬢(そんなころから、仕事だけは丁寧だった。特に掃除が)
お嬢(彼女が私の部屋を掃除するときがいつも楽しみで、まるでプレゼントを待つ子供のような気持ちで、下校したもんだった)
お嬢(あんまりにきれいにしてくれるから、年上なのに、思わず撫でてしまった。その反応が、あまりにも可愛かったから)
お嬢(……思えば、あのときから、親にせがんで専属にしてもらったのも……)
お嬢(好き、だったんだなぁ……)
お嬢(でも、もう何もかも手遅れ)
お嬢(メイド……………)
メイド(地獄のような毎日から逃げ出して、死にものぐるいで居場所を探したあの時)
メイド(どう見られるかなんて、考えなかった。逃げられるところを、受け入れてくれるところを、必死に求めた)
メイド(あんな豪邸に採ってもらえるなんて、それがそもそも夢の始まりで)
メイド(あんなにすばらしい主人に仕える事ができたのも)
メイド(誰かの為に、全てを捧げる、そんな喜びを見出せたのも)
メイド(全部、夢)
メイド(でも、私にはいたから。認めてくれる人が。褒めてくれる人が)
メイド(だから頑張れた。私の働きで、喜んでくれることが、褒めてくれる事が、何よりも嬉しかったから)
メイド(お嬢様…………)
メイド(もっと早く、素直になっておくべきだった。伝えておきたかった。ずっと大切にしてた、この気持ち)
メイド(でも、もう終わり)
メイド「お嬢様ぁー…………」
父「さあ、なんの事だか見当がつきませんが」
「てめぇ…………!!」
?「やめなさい。今日は事を荒立てにきたんじゃないわ。ただ、忠告に来たまでなんだから。それにしても」
?「貴男、良い度胸してるじゃない。私たちがここまで来たということを、もう少しよく考えるべきでなくて?」
父「熟考した上での選択ですよ。私には、守る義務がありますのでね」
?「よくもまぁ、そこまで他人の子を庇えるものね」
父「なんのことやら……ですが」
父「誰であれ、一度同じ屋根の下に招き入れれば、もうそれは家族に他ならない」
父「我が子であるにも関わらず、何年も放逐したあげく、また、モノ同然に扱おうとしてる貴女には、理解できないでしょう」
?「言うわね……その屋根の中に、私も入れてくれたらありがたいんだけどね」
父「ふふ……貴女には野ざらしがお似合いですよ」
?「チッ……まあいいわ。今日のところはこのくらいで。でも」
?「なんとしてでも探し出すから。あの子は私の所有物なんだから」
父「なんとでも。あちらこちらに私の息がかかってることも、お忘れなきよう」
父「茶化すのはよしてください。まだ震えがとれませんよ」
母「悪い悪い……でも、これからも、全力でいかなくちゃ、ね」
父「ええ、もちろんですとも」
父「あの子が、この先ずっと笑顔でいられるように、その為だけなんです。出し惜しみなんてできませんよ」
母「あの子 たち が、でしょう?」
父「その通り!」
メイド「あれから、言われた通りになるべく外出は控えてたけど……まるでタイムリープしたかのようですね」
メイド「もうすっかり山も青々としてます。桜の季節も良いですが、こんな時期でもお嬢様と一緒に……」
メイド「」ズキッ
メイド「……気持ちを、切り替えましょう。だって」
メイド「今日から、新しい職場なんですから!」
メイド「前が豪邸だったせいか、とても質素に見えますね」
メイド「それに名前が……なんてお呼びしたらいいんでしょう……」
メイド「…………
メイド「(……結局、お嬢様のことはひとときも忘れられなかったけど、それは大切な思い出としてとっておいて)」
メイド「今度は節度をもって、新しい主人に仕えましょう」
ピンポーン
メイド「こんにちわ、こんにちわーっ」
メイド「すみませーん、すみませーん!」ドンドン
アア?ウッセーンダヨ!
メイド「ひゃ!ご、ごめんなさい!……早く、出てこられないかなぁ……」
ガチャ
「…………はい?」
メイド「…………」ニッコリ
メイド「今日からここで働かせていただくことになりました、メイドです!」
「??……私は……そんなこと……聞いてない……」ギィ
メイド「でも、先方からもう話は……通し……て……あ…………」
「……………………!!」グイッ
メイド「あっ…………」
バタン
メイド「あ、あの……」
「…………」ギューッ
メイド「…………ちょっと苦しいです」
「……………」ガッチリ
メイド「……ふぅ」
メイド「ただいま戻りました。お嬢様」
お嬢「……遅いよ、バカ……っ」
お嬢「いい」
メイド「ご連絡さしあげることも、されてましたので」
お嬢「許す」
メイド「私が側にいると、またご迷惑をおかけするかもしれません」
お嬢「そしたら二人で乗り越えよう、もうなんだっていいよ。誰が悪いとかどうでもいい」
お嬢「メイドが側にいてくれたら、それでいい、それでいいんだ!ほかには何も……何も……!」
お嬢「……よく、戻ってきてくれたね。メイド」ナデナデ
メイド「んんっ…………ずっと、ずっと待ってました。この感触……」ピクッ
メイド「お嬢様を、感じます」
お嬢「……ごめん、私も、待たせちゃったね」
メイド「いえ……ええ、待ってました。ずっと!」
お嬢「?」
メイド「お嬢様、おっしゃいましたよね。文化祭が無事終わったら、その、私を!」
メイド「私じゃ、いやですか……?」
お嬢「そんなことはない!今だってこう、撫でるだけじゃたりなくて、もっと側に感じたい!でも……」
お嬢「でも、あれから考えるようになってしまったんだ!」
お嬢「何をするにしても、本当にこれでいいのかって、また、壊してしまうんじゃないかって!」
お嬢「自信ないし、傷つけるかも……」
メイド「……自信に満ちあふれてたお嬢様はどこへやら、ですね」
メイド「だから、何が起ころうと、それがお嬢様によってもたらされることなら、幸せなんです」
お嬢「メイド……」
メイド「でも、どうしてもとおっしゃるなら、僭越ながら、私からさせていただきますね」
お嬢「ちょっと、メイ」
お嬢&メイド「んっ…………」
お嬢「……ぷは」
メイド「……お嬢様、なめ回し過ぎです……」
お嬢「うるさい。何をされても、だろ」
メイド「ええ、もちろん」
お嬢「それにしても……私たち、キスもまだだったんだな。色々したような気がしていたが」
メイド「そうですね。でも……」
メイド「だからこそ、そこから始められるなんて、素敵だと思いませんか」
メイド「んんっ……くうっ…………ちょっと、お、おち、つくの、に」
メイド「時間、が……はぁっ…………」
お嬢「ごめん、すこしがむしゃらすぎたかな」
メイド「……いいえ、とても素敵でした。お嬢様」
お嬢「…………なんだか、すごく照れるな。今の言い方は」
メイド「ふふっ…………」
メイド「こんなに、疲れ果ててるのに……心がすごく晴れやかで、軽い感じがしますね」
お嬢「ん…………そうだな…………」ナデナデ
メイド「んんっ……お嬢様……あの……私……」
メイド「お嬢様の子供が、欲しい、かもしれないです」
メイド「お嬢様がお館様のあとを次ぐために、医学の道を選んだことは存じておりました」
メイド「お館様は外科医です。でもいつからか、お嬢様の部屋には再生医療や生命工学等……」
メイド「所謂、研究の道に進むための準備がそろっていったように記憶してます」
メイド「お嬢様が、初めて私を求めたあの日以来です。これは、うぬぼれかもしれませんが、お嬢様は」
メイド「私と結ばれるために、この道を選んだのではありませんか?」
メイド「わかっています」
お嬢「もしかしたら、取り返しのつかない事になるかも」
メイド「お嬢様にされるなら、すべて受け止めます」
お嬢「…………メイド」ギュ
メイド「…………はい、お嬢様」
お嬢「……愛してる」ナデナデ
メイド「んんっ……私も、です」
メイド「かしこまりました。お嬢様」
お嬢「………。じゃあ、いってきまーす!!」
メイド「いってらっしゃいませ、お嬢様!」
お嬢「…………もう、そんなお腹してるのに、まだそんな呼び方なんだな」ボソッ
メイド「えっ」
お嬢「何でもない、いってきます!」
ガチャ
お嬢「ただいま……ふぅ……」
メイド「……~♪……~♪」ウツラウツラ
お嬢「……ただいま。帰ったよ」
メイド「……はっ。し、失礼しました、ついうたた寝を……」
お嬢「いいんだ、体は大事にしないとな」
メイド「あ、ありがとうございます。って、そうじゃなくて」
メイド「おかえりなさいませ、 様」
お嬢「」キュンキュン
メイド「やぁっ……勇気を出して言ったのに、私はまだメイドなんですか……んっ」
お嬢「今度はその敬語だな。待ってるぞ」ナデナデナデナデ
メイド「んっ……んんっ……」
お嬢「……まだ、そんなに好きなんだな、頭を撫でられるの。でもそれじゃ生まれてくる子に示しが付かないな」
メイド「そ……んんっ……な……こと、おっしゃられても」ビクビク
お嬢「」ナデナデナデナデナデナデナデナデナデナデ゙
メイド「ひゃ、やめ、やめて……くりゃしゃい…………」ビクンビクン
お嬢「全く、うちのメイドは」
お嬢「うちのメイドは、頭を撫でられるとだらしなく喜ぶな!」
しました
おやすみなさいおつかれさまでした
よく完結した
Entry ⇒ 2012.06.10 | Category ⇒ その他 | Comments (0) | Trackbacks (0)
ほむら「お金でワルプルギスの夜を倒す」
ワルプルギスの夜「アハハハ、アハハハハハ」
────
──
─
ほむら「今度もまた駄目だった…」
ほむら「とはいえ、まどかを見張る必要もあるし、あまり遠出も出来ない」
ほむら「現状でこれ以上の火力を集めることは不可能だわ…」
ほむら「…待って」
ほむら「まどかが契約するタイミングはいくつか決まっているのだから、
人を雇うことでなんとか解決できないかしら」
ほむら「……よし」
──── 一日目
ほむら「まず、何をするにも元手が必要ね」
ほむら「現状、私の元手のお小遣いが2000円あるから、1800円分をロト6に変えてきたわ」
ほむら「1000円分は1等と2等の番号、残りの800円分を全部4等の番号で当てたわ」
ほむら「番号を当てるのは簡単だけど、
高額の賞金は換金するのに時間が掛かる…」
ほむら「一ヶ月しか時間がないのだから、時間は有効に使わなければいけないわ!」ホム
──── 2日目
黒猫「にゃー」
モブ1「あー、この猫じゃね?」
モブ2「うん、間違いないな」
モブ1「じゃ、保護しとくか」ヒョイ
モブ2「3日くらい預かっとけばいいんだっけ?」
モブ1「わざわざ探して引き取らせるなんて、横着な飼い主だよな」
モブ2「まあ、虐待されてるようでもないし、
こうして気にかけてるんだから悪いってほどではないんじゃね?
金払ってくれるなら、文句ないよ俺は」
モブ1「バイトはただ働くのみってか。まあ、引き上げるか」
まどか「…なんだろう、黒猫を持った人がいる。飼い主さんなのかな? ちょっと様子が変だけど」
モブ3「ちょっと、お嬢ちゃん?」
まどか「はい。えっと、お姉さんは…」
モブ3「貴女が鹿目まどかちゃん?」
まどか「そうですけど…」
モブ3「ええと、あの…」カァァ
モブ3「えっと、なんと言っていいのか…ええと!私が思ってることじゃないからね!
こう言えって言われただけで!!だから誤解しないで欲しいのだけど!!!」
モブ3「『まどか、あなたに奇跡を約束して取り入ろうとする者が現れる。でも、決して言いなりになっては駄目』」キリッ
まどか「」
モブ3「」
モブ3「…そんな目で見ないで!!!
私だって…でも、仕事だし…うわああああああん!!!!」ダッ
まどか「……」
まどか「なんだったんだろう…」
────
モブ1「ほら、あんたの言ってた黒猫。ちゃんと預かっておいたぜ」
モブ2「手間は掛からなかったけど、ちゃんと自分で世話しなければ駄目だよ」
ほむら「どうも有難うございました。
どうしても外せない用事がありまして…こちらが父から渡すように言われていた謝礼です。
どうぞ受け取って下さい」
モブ1「ま、俺らは金が貰えりゃいいけどさ」
モブ2「ペットだって御主人様と離れりゃ寂しいんだからさ。
横着しちゃ駄目だよってお父さんに伝えて置いてね」
ほむら「はい、父にそう伝えておきます」
────
モブ3「で、一応これが仕事したっていうレコーダー」
ほむら「はい」
モブ3「でも、何なの?
バイトだから文句は言えないけど…ええと、中二病? 顔から火が出るほど恥ずかしかったんだけど…」
ほむら「父が趣味なんです。
こちらが渡すように言われた謝礼です」
モブ3「まあ、何か犯罪ってわけじゃないし、どうでもいいか。
こんなに可愛いお嬢さんがいるんだし、人の道に踏み外したことはしちゃ駄目って言っておきなね」
ほむら「はい、ありがとうございます」
ほむら「人を雇うって、自分自身で動くわけじゃないから少し不安だったのだけど、思ったより上手く行ったわ」
ほむら「車に引かれる前にエイミーを保護できたし、まどかに警告も出来た」
ほむら「まどかに注意することの何がおかしかったのか分からないけれど…お父さんの評判が心なしか悪化しているような気がするわ」
ほむら「とはいえ、大人でなければ信用はされないし…」
ほむら「まぁ、お父さんは東京に住んでいるのだし、気にしても仕方ないわ」ホム
ほむら「魔女退治の時間も増えたので、グリーフシードの貯蓄も上々」
ほむら「遠出も出来たので、武器補充も万全ね」
ほむら「在日米軍基地を3ヶ所も回るのは強行軍だったけれど、今回は今まで以上の火力をアイツに与えてやれるわ」
ほむら「……ヤクザの事務所も回ったけれど、
今回は武器以外にもヤクザが貯め込んでいる、お金、金塊や宝石、ハシシ、マリファナなどの麻薬も回収したわ」
ほむら「…お金は資金洗浄をしないと怖くて使えないわね」
ほむら「金塊と宝石もどうやって現金化するのか分からないから、取り敢えず保留」
ほむら「麻薬は使い道が分からないけれど、取り敢えず盾に入れておきましょう」
──── 7日目
ほむら「転校生の暁美ほむらです。よろしくお願いします」
さやか「うお、すっげー美人!」
まどか(嘘、夢で見た子と同じだ…)
ほむら「鹿目まどかさん。貴女がこのクラスの保健係よね?連れてって貰える?保健室」
ほむら「鹿目まどか。貴女は自分の人生が、貴いと思う?家族や友達を、大切にしてる?」
まどか「」
ほむら「──それが本当なら、今とは違う自分になろうだなんて、絶対に思わないことね」
ほむら「さもなければ、全てを失うことになる。貴女は、鹿目まどかのままでいればいい。今までどおり、これからも」キリッ
スタスタスタ
まどか「流行っているのかな…ああいうの」
.
──── CDショップ
まどか「~♪~♪」
??『助けて…助けて…』
まどか「!?」
??『僕を助けて…』
まどか「え…こっちの方から声が…?」
モブ4「おおっと!ここで突然スライディングをしなければいけない仕事が!」ズサァ
まどか「!!」
モブ5「ビルの裏口前で太極拳の練習をしなければいけない仕事が!!」
まどか「え…通れない? あれ?」
さやか「どうしたの、まどか?」
まどか「さっき、助けてって声が聞こえたの、私を呼んでいるみたいで」
モブ6「ここで俺の仕事が発生!!
お嬢さん、『ここに居る薄汚い淫獣は私が始末するわ、だから貴女は何も関わりあいになる必要はないの(キリッ』
メッセンジャー完了!」
まどか「えええ…」
さやか「何だか、わからないけれど、ここを離れたほうが良くない?
状況についていけないんだけど…」
まどか「う…うん……」
さやか「そこの人たちも何か知ってそうだから、任せちゃってよさそうだし」
まどか「うん、そうだよね」
タタタッ
────
マミ「飲み込みが悪いのね。見逃してあげるって言ってるの。
お互い、余計なトラブルとは無縁でいたいと思わない?」
ほむら「……」クル
ほむら「まどかとQBが接触するのは避けられたけど…」
ほむら「巴マミとの仲はやはり良くはならなかった…」
ほむら「……」
──── 8日目、学校の休み時間
マミ「鹿目まどかさん、美樹さやかさん、ちょっと、いいかしら?」
さやか「なんですか?先輩」
マミ「あなた達にしなければならない話があるの。
時間がある時に詳しく話したいのだけど、昼休みに屋上まで来てくれるかしら」
さやか「はい、いいですよ。まどかも時間ある?」
まどか「うん、大丈夫だよ」
ほむら「!!」
──── 8日目、昼休み
さやか「先輩、なんですか?話って」
マミ「まずは自己紹介をしないとね。私は巴マミ、見滝原中の3年生」
マミ「そして、キュゥべえと契約した魔法少女なの」
QB「彼女は見滝原の街を守ってるんだ」
まどか「」
さやか「」
マミ「あなた達もキュゥべえが見えているのでしょう?
なら、魔法少女になる資格を持っているの」
ほむら「──その必要はないわ」
ほむら「魔法少女は誰にでも務まるようなものじゃない。
巴マミ、無関係な一般人を危険に巻き込むようなことは止めなさい」
マミ「キュゥべえに選ばれた以上、彼女たちはもう無関係ではないわ。
なら、私は先輩として魔法少女の説明をしなければならない」
さやか「転校生も先輩も落ち着いてよ!
こっちは何の話かさっぱりなんだからさ!」
まどか「そうだよ!事情は分からないけど、喧嘩になるのは嫌だよ…」
マミ「ごめんなさい熱くなっちゃって…」
ほむら「……」
~~~魔法少女について説明中~~~
マミ「……、と言うわけなの」
さやか「うーん…、どんな願いでも叶うっていうのは魅力的だけど、そのために魔女と戦うってのは…」
ほむら「魔女退治は死と隣り合わせの危険な仕事よ。命をかけてまでやるようなことじゃない」
まどか「ほむらちゃんもマミさんも、いつもそんなのと戦ってるの…」
マミ「ええ、魔女退治は大変だけど、街を守っているんだって思えるし、やりがいはあるわ」
マミ「死と隣り合わせということは間違いではないけれど」
まどか「ふぇ…」
さやか「んー、悩むなぁ」
マミ「そこで提案なんだけど、二人とも私の魔女退治に付き合ってみない?」
ほむら「二人を危険に巻き込むようなことは…!」
マミ「なら、あなたも付いて来ればいいでしょう。
魔法少女になれば魔女と戦うことになる。
なら、魔女との戦いがどういうものか、その目で確かめることは無駄じゃないわ」
マミ「そのうえで、危険を冒してまで叶えたい願いがあるのかどうか、じっくり考えてみるべきだと思うの」
ほむら(昨日、キュゥべえとまどかの接触を止めたことで、巴マミの行動が変わってしまった…)
ほむら(決まった未来については対処しやすいけれど、
未来が変われば変わるほど、その対応が難しくなってしまう…)
ほむら(まどかが魔法少女のことを知ってしまうのを止められなかった…)
ほむら(それでも前の時間軸ほど、まだ険悪になってはいないわ)
ほむら(今度こそ…未来を変えてみせる)ホムキリッ
────
さやか「さっきのマミさんの話…どう思う?」
まどか「うん…やっぱり、魔女と戦うって怖いよね…」
さやか「転校生はやめろって言ってるし、マミさんは見てから決めろって言うし…」
さやか「どっちの言い分も、まだなんとも言えないよね…」
さやか「やっぱり、魔女退治を見てから決めるしかないか」
さやか「普段は一人で魔女退治をしてるってところを、
転校生とマミさんの二人がかりでやるっていうんなら、ちょっとは安全のはずだよね」
さやか(それに…自分に対しての願いごとだけなら意味ないけど…)
さやか(もしも、他の人への願いごとでも大丈夫だというのなら…)
────
マミ「さて、それじゃ魔法少女体験コース第一弾、張り切っていってみましょうか」ティロッ
マミ「準備はいい?」
さやか「準備になってるかどうか分からないけど…持って来ました!」バットー
ほむら「…焼け石に水ね」
さやか「あー、転校生はー、そういうこと言うなー!」
マミ「まあ、そういう覚悟でいてくれるのは助かるわ」
さやか「まどかは何か、持って来た?」
まどか「と、とりあえず、衣装だけでも考えておこうと思って」 ノート!
さやか「うーわー」
まどか「え?ふぇぇ」
マミ「うん、意気込みとしては十分ね」
ほむら(かわいい!まどかわいい!!)
──── 廃ビル前
マミ「魔女の居そうな場所は云々」
さやか「あ、マミさんあれ!」
モブ7(うう…死にたい…死にたい……)
まどか「え、飛び降り……」
モブ7(でもここから戻ればバイト料が入って…ブランドバックを…)グググッ
さやか「……ないね」
マミ( ← 落ちても大丈夫なように用意)
モブ7(そうよ!どうせ死ぬならお金を使った後でもいいじゃない!)
モブ7(お金を使って美味しいものを食べてビール飲んで寝よう!鬱はいつでも出来るわ!)クルッ タッタッタッ
まどか「行っちゃったね…」
さやか「なんだったんだ…」
マミ「ティロ・フィナーレ!!!」
ゲルトルート「ウボァー」ドゴーン
さやか「かっ、勝ったの?」
まどか「すごい…」
ほむら「巴マミは経験もあるし、才能もある強力な魔法少女よ。
魔法少女なら誰でもあんな風に動けるとは思わないことね」
さやか「転校生だって凄かったじゃん。使い魔をひとつだって撃ち漏らさなかったし。
マミさんは華やかという感じだけど、転校生は質実剛健というか」
ほむら「…余裕が無いだけよ」
ほむら(さやかとは険悪なことばかりだったから、褒められると照れるわ…)
まどか「マミさん、それは?」
マミ「これがグリーフシード。魔女の卵よ」
マミ「運がよければ、時々魔女が持ち歩いてることがあるの」
マミ「これでソウルジェムを浄化して…はい。あと、一回くらいは使えるはずよ」
ほむら「……」
マミ「どうしたの?人と分け合うのは不服かしら?」
ほむら「…貴女の獲物よ、貴女だけのものにすればいい」
マミ「確かに魔女を倒したのは私だけど、貴女も充分役に立ってたわ」
ほむら「マミ、貴女…」
マミ「…ごめんなさい。暁美さん。
私は貴女がグリーフシード目当てなだけの魔法少女だと疑っていたわ」
マミ「だから貴女の戦い方を観察していたけれど、
貴女は本当に一生懸命、鹿目さんと美樹さんを守っていた」
マミ「魔法少女になられたら疎ましいと思っている相手に、そこまで親切には出来ないものね」
マミ「私を信用していないのは分かるけれど、それでも少しずつ打ち解けていって欲しいの」
マミ「これもその一つ。…これでも受け取って貰えない?」
ほむら「…頂くわ」
────
ほむら「…巴マミが魔女退治の見学なんて言い出した時にはどうなることかと思ったけれど」
ほむら「どういうわけか上手く行ったものね」
ほむら「元々、美樹さやかも巴マミも思い込みが激しい場合はあれど、素直ないい子だった」
ほむら「仲違いばかりする時間軸ばかり見ていたせいで忘れかけていたわ」
ほむら「一ヶ月の間に、まどかとの契約を止めなければいけないし、
QBや魔女への対処もしなければいけなかったし、
ワルプルギスの夜に対しての用意もしなければならなかった」
ほむら「…誤解されても、誤解を解く時間なんか無かった」
ほむら「時間を操る魔法少女のはずなのに、時間なんて全然なかった」
ほむら「このまま上手くいけばいいのだけれど」
ほむら「…まだ、油断は出来ないわね」
ほむら「おっと、これは、買い、買い、買い…と……」ピコピコ
────
ほむら「……」バクダンセッチ
シャルロッテ「ウワラバッ」ドゴーン
マミ「やったわ暁美さん!!」
────
恭介「動かないんだ…もう、痛みさえ感じない。こんな手なんてっ」
さやか「大丈夫だよ。きっと何とかなるよ。諦めなければきっと、いつか…」
恭介「諦めろって言われたのさ」
恭介「もう演奏は諦めろってさ。先生から直々に言われたよ。今の医学じゃ無理だって」
モブ8「今の医学なら無理でも…」
モブ9「未来の技術ならどうかな!?」
さやか「!!」
恭介「あなた達は!!?」
モブ8「私達は再生医療の最先端を行く研究者その1!!」
モブ9「そしてその2だ!!!」
モブ10~モブ107「「「そしてその3~100だ!!!」」」
モブ108「上条恭介くん、君の怪我は今の医学で治すことは無理、とても不可能だ!」
モブ109「それどころか、今の科学の進歩では将来に渡って難しいかもしれない…そんな状況だった」
モブ110「だが、『ホムラアケミの父』を名乗る謎の人物が多額の寄付をしてくれたお陰で
行き詰っていた研究に道が開けたんだ!!!」
モブ111「さっきまでは君の怪我は、完治しない一生の怪我だった」
モブ112「だが、今の我々にとっては取るに足りない手術も同然!!!!」
モブ113「上条恭介くん、我々の臨床手術…受けてみる気はないかね…?」
恭介「お願いします…僕は、治る可能性があるなら、どんなことだって…」
さやか「ありがとうございます!ありがとうございます!!
恭介の…恭介の腕を治してやって下さい…!!」
モブ114「お礼な私達にではない、謎の人物『ホムラアケミの父』に言いたまえ」
恭介「『ホムラアケミの父』…!」
さやか「転校生に名前が似てるけど転校生ではありえない…だって名前と苗字が逆だもの!!」
恭介「一体誰なんだーー!!?」
────
まどか「あ!仁美ちゃん…?」
仁美「あら、鹿目さん、御機嫌よう」
まどか(あれ、仁美ちゃん…何か様子がおかしい?)
まどか「ど、どうしちゃったの?ねえ、どこ行こうとしてたの?」
仁美「どこって、それは…ここよりもずっといい場所、ですわ」
仁美「ああ、そうだ。鹿目さんもぜひご一緒に」
仁美「ええそうですわ、それが素晴らしいですわ…え」
モブ115「カバディ カバディ」
モブ116「カバディ カバディ」
モブ117「カバディ カバディ」
まどか「道行く人がカバディをして通行人を塞いでる…!」
ほむら「まどかを巻き込んでいないなら、こんな魔女など恐れるには足りないわ…」バクダンセッチ
エリー「ギャース」ドゴーン
仁美「は! ここは…」
まどか「仁美ちゃん!正気に戻ったんだね!?良かった…」
仁美「あら、まどかさん…どうなされたのですか」
まどか「仁美ちゃん…心細かったよう、怖かったよう…」
モブ115「カバディ カバディ」
モブ116「カバディ カバディ」
モブ117「カバディ カバディ」
──── 15日目
QB「…それでも、ちょっと考えれば暁美ほむらには気をつけたほうがいいと思わないのかい?
なにせ僕も契約した覚えのないイレギュラーだ。何を企んでいるか分からないよ」
マミ「もう…キュゥべえがそんなことを言うから、私は暁美さんを疑ってしまったのよ。
あの子が鹿目さんを守るときなんていつも一生懸命だし、
病院前で戦った魔女なんて、暁美さんがいなければ、私は死んでいたかもしれないわ」
QB「マミ、僕が言っているのは可能性として…」
マミ「私が邪魔なら、いつでも排除出来たような相手に対して、何を疑えっていうのよ。
しつこい男の子は嫌われるわよ」
QB「………」
QB(マミにはもう暁美ほむらを疑う気も、鹿目まどかを勧誘する気もないようだ)
QB(このままでは鹿目まどかを魔法少女にすることは難しいだろう)
QB(…彼女が魔女になった時に生み出すであろうエネルギーを鑑みれば、このままにしておくわけには行かない)
────
QB「まさか君が来るとはね、佐倉杏子」
杏子「マミの奴が新しく仲間を作ったって言ったから見に来たのに」
杏子「ちょっと話が違うんじゃない?」
杏子「くっだらねえ願いで奇跡を使い潰すような新人だったら、ぶっ潰してやろうかと思ってたのに」
杏子「その仲間ってのはマミ以上のベテランなんだろ。こんな情報を教えてアタシに何をしろっていうのさ」
QB「最初はマミも才能のある子を新しく魔法少女として勧誘しようとしていたみたいだけど」
QB「今は魔法少女としてこの街にやって来た暁美ほむらと組んでいる」
杏子「…そいつが魔法少女としての覚悟を持っているのなら、アタシには関係のない話だ。
もっとも、そんな奴を甘ちゃんのマミが仲間に引き入れるとは思えないけどね」
QB「彼女が何を考えているのかは僕にも分からない。
僕でさえ契約をした覚えのないイレギュラーなんだ」
杏子「アタシに調べて欲しいってわけ?」
QB「そうしてくれと頼みたいところだが、無理強いはできない。
僕が君に情報を教えたのは、君も彼女のことを知りたがっていると思ったからなんだ」
杏子「アタシが? どうしてさ」
QB「暁美ほむらがいつ、魔法少女になったのかは分からない。
でも戦っているところを見させてもらえば…マミ以上の経験を持っているのは間違いない」
QB「君もベテランの魔法少女だけど、恐らく彼女は君をも上回るんじゃないかな」
QB「君も知っているように、マミが魔法少女に心を許すことはあまりない。
グリーフシード目当てに見滝原にやってくる魔法少女は多かったし、
他の理由は…君のほうが良く知ってるんじゃないかな」
杏子「………」
QB「今のマミは僕の言葉に耳を貸さないくらい、暁美ほむらに心を許している」
QB「君なら、ベテランの魔法少女なのにマミをそんな風にさせた暁美ほむらにきっと興味を持つと思ったんだ」
QB「かつて巴マミの弟子だった、君なら」
杏子「…そんな昔の話は忘れたよ。
マミの奴が何をしようが、誰と仲良くしようが、アタシには関係のない話さ」
杏子「でも、その…イレギュラーとか言う奴、やたら持ち上げてられているのは気に入らない」
杏子「マミより、アタシより強い…?なら、試してやろうじゃん」
杏子「あんたもアタシを焚きつけたんだ。ぶっ潰しちゃっても文句はないんだろうな?」
QB「今回のケースに限らず、魔法少女同士の戦いは僕にどうすることもできない。
君に言えるのは、上手く君の考えの通りにいくかどうかは分からないということだけだ」
杏子「ふん、そうなったら、それはそんときに任せるさ」
──── ファーストフード店
さやか「──で、昨日は恭介から電話が来たんだけどさ、
手術前で弱気になってるようだったから、さやかちゃんが激励してあげたわけよ」
まどか「もう、さやかちゃん、朝からずっとそればっかり」
マミ「美樹さんは上条くんのことが好きなのね」
さやか「ええええ、マミさん。
そんな、恭介のやつとは好きっていうか、幼馴染の関係というか、親友というか──」
ほむら「惚気話かと思いきや、一転してヘタレたわね」
さやか「う…転校生は辛辣だなー」
ほむら「告白する勇気もないほうが悪いのよ。
全くいつもの軽口みたいにさっさと言ってしまえばいいのに」
まどか「そうだよね、さやかちゃんは私には『嫁になるのだー』なんてすぐ冗談言えるのに。
そこが可愛いんだけど。ウェヒヒヒ」
さやか「あーあーあー、転校生やマミさんには分からないですよーだ。
転校生は細身で美人だし、マミさんは美人でおっぱい大きいのに
痩せてるところは痩せてるとかもうどんなスペックだよっていうか…」
まどか「さやかちゃん、何言ってるの…」
マミ「美樹さんだって、可愛いし、魅力的よ。
それに私だって体調管理をしっかりやった結果のようなものだし…」
さやか「なんですかそれ、ダイエットってことですか。
人知れず苦労とかそんな感じなんですか」
マミ「苦労というのかは分からないわ、
普段からの習慣なのだし…急に無理をしなければそれほど辛くはならないわよ」
まどか「そういえば、ほむらちゃんはいつも小食だよね。
今だって頼んでいるのはコーヒーだけだし」
ほむら「食が細いだけよ…」
まどか「初めは早く帰りたいからじゃないのかって心配しちゃった」
ほむら「そんなことはないわ!私は…」
まどか「うん、わかるよ。ほむらちゃん、今すっごく楽しそうだもの。
初めての時はクールって感じで何を考えているのか全然分からなかったけど、
今は良く見るとどんな気持ちなのか分かっちゃうんだ」
さやか「結構、転校生って顔に出るよね。
初めの頃、マミさんと話す時に何もかも諦めているような感じで
怖いくらいだったけど、今にして思うとそれだけ私達のことを心配してくれてたのかなって。
今なんかまどかを見る時、凄いやさしい目をしてるし」
ほむら「もう、からかって。そんなに顔に出てる?」
さやか「でてるでてる」
ほむら「///」
まどか「ウェヒヒ」
ほむら(でも…そうね、そうかもしれない)
ほむら(こんな日常が送れるなんて、夢みたいだもの)
ほむら(私はまどかとこのファーストフード店にいくことをとても楽しみにしていたわ)
ほむら(私とまどかの仲が良くなかった時間軸でも、一度はまどかとここに来ることが多かったから)
ほむら(内容は辛い忠告をしなければならないこともあったけれど)
ほむら(そういうときにまどかと来れるなんてことを喜んではいけなかったのだろうけれど)
ほむら(このコーヒーだって、最初のお小遣いから取っておいたもので)
ほむら(少しでも、元の仲が良かった頃の関係に戻れますようにって)
ほむら(こんな日を、どうかワルプルギスの夜を越えても迎えられますように)
ほむら「まどか、さやか。もう、魔法少女になろうなんて絶対に思わないでね」
さやか「うーん、まぁね…。あたしはそれこそ今は何も望みなんて無いわけだし、
もしも転校生やマミさんからお願いされたとしても断るくらいだよ」
さやか「例え、転校生やマミさんが頑張っていることを知っているとしても、
命と引き換えにあたしもそうする、なんて出来ないと思う」
まどか「さやかちゃん……」
マミ「…そうね。引け目を感じたくないとか、そんな理由で魔法少女は契約すべきではないわ。
この街には二人も魔法少女がいる。私一人だけだった時もあるのだから、
この街にはもう十分な魔法少女が居ると言えるわ」
ほむら「ええ、そうね。この街はきっと私達が何とかしてみせる」
ほむら「だから、まどか、さやかには私を信じて、契約しないでいて欲しい」
ほむら「今から二週間後、この街にはワルプルギスの夜が来る」
(離れた展望台)
杏子「──あいつがほむらか」
杏子「何を話しているか分かんないけど、キュゥべえの言った通り巴マミの奴も居やがるな」
杏子「それから、一般人が二人…魔法少女なのに魔法少女じゃない奴とつるみやがって」
杏子「ま、目立つことは避けるか…ほむらの他に人が居ない時を狙って…」
モブ118「カバディ カバディ カバディ」
モブ118「我、ターゲットを発見せりッ」
杏子「ん?なんだお前」
モブ118「メッセージ、『イレギュラーよりロッソファンタズマに伝言──
見滝原ゲームセンターのダンレボ前に夜10時に来られたし』
以上、メッセージは終わりなりッッ!!」
杏子「おいっ、その名前は!!」
杏子「お前はそいつをどこから聞いた!!? 場合によっちゃ許さねぇぞ!!」ガシッ
モブ118「ヒィ!怖い!」
モブ118「あの、あ、ええと。申しわけありません。
僕、頼まれただけでして。
お金を渡されてこれこれこういう赤い髪の女の子を見つけたら、
このセリフを言えって言われただけでして。」
モブ118「あの、離していただけると凄く嬉しいんですけど──あ、すみません、マジすみません!!」
杏子「チッ、もういいよ、行けよ」パッ
杏子「居場所は補足されてるってことか…イレギュラー、か。ふざけたマネしやがる…」
──── ゲームセンター
杏子「アンタが噂のイレギュラーってやつか。
こそこそ嗅ぎまわるような真似しやがって」
ほむら「…それは誤解よ。
展望台以外に人を割いてはいないし、それもあなたとこうして話す機会を作りたかっただけ」
ほむら「あなたとことを構える気は無いわ、佐倉杏子」
杏子「…何が狙いなのさ?」
ほむら「私達に協力して欲しい」
杏子「それはマミのことも含めてるんだな?
冗談じゃない、今更、人助けなんてするような魔法少女と組めるかっての」
ほむら「……」
杏子「それに、あたしがいなくても、アンタとマミで十分なはずだろ?
キュゥべえの奴が言うには、アンタもベテランの魔法少女だっていうし、二人掛かりで敵う奴なんて」
ほむら「二週間後、この街にワルプルギスの夜が来る」
杏子「なぜわかる?」
ほむら「それは秘密。…私の目的はそいつを倒すこと」
杏子「ワルプルギスの夜相手に一人じゃ厳しいかもしれないが、
アンタとマミの2人掛かりなら勝てるかもしれないだろ、それでいいじゃんか」
ほむら「可能な限り勝率を上げたい。それも出来るならば私達が危機であるとすら思われないくらいに」
杏子「おいおい、それは…」
ほむら「貴女もキュゥべえから聞いているかもしれないけれど、
私達は魔法少女の才能を持つ二人の少女と知り合いになっている」
ほむら「今は契約する気がないようだけれど、私達が窮地に陥れば契約しかねない。
魔法少女が増えるのは、貴女も本意では無いでしょう?」
杏子「…報酬は?」
ほむら「ワルプルギスの夜のグリーフシード。
それから見滝原で魔女狩りをすることがあるなら、私が巴マミを説得する」
杏子「そうかい。…ま、あたしも中途半端な考えの魔法少女が増えることは面白くないし、
ワルプルギスの夜を倒したとなれば箔になる。」
杏子「でも、マミみたいな甘い奴に巻き込まれて死ぬのはごめんだ。
敵わないと思った時は抜けさせて貰うよ」
ほむら「ええ。それで構わないわ」
杏子「それともうひとつ」
杏子「…どっちが上かっていうのは決めておくべきじゃない?」
杏子「一緒に戦うにしても、そっちのほうがやりやすいだろ。お互いのために」
.
──── 歩道橋
杏子「どっからでも掛かってきな!」
ほむら「…どうしても、やるのね」
杏子「当たり前だろ!今更怖気づいたのか!」
ほむら(佐倉杏子に勝つことはそれほど難しくない)
ほむら(今の彼女は私の時間停止にも気付いていないはずだし、
それなら彼女を一撃で昏倒させることも難しくない)
ほむら(でも、それで彼女が言葉通りに従うということになるだろうか?)
ほむら(杏子とも信頼関係を築けた時間軸があった。仲間と呼べる時間軸があった)
ほむら(できることなら、彼女とも友達になりたい)
杏子「来ないならこっちから行くよ!」ブン
カチッ
杏子「どこに行きやがった!?」
杏子「後ろか! …妙な技を使いやがる」
ほむら「もうやめにしない? 私は後ろからいつでも貴女を攻撃できた」
杏子「その前にあたしの槍が刺さってたさ。もう一回、試してみるかい?」
杏子(とはいえ、タネが分からないというのは厄介だな…)
杏子(わざと攻撃をさせてインパクトの瞬間に反撃に出る?)
杏子(いや、相手は銃使いだ。こちらが先の先を取らなければ勝機はない。マミとは随分タイプが違うが…)
マミ「佐倉さん!!」
杏子「!!」
ほむら「巴マミ!どうしてここに!?」
マミ「キュゥべえが教えてくれたの…佐倉さんと暁美さんが争ってるって」
杏子「キュゥべえの奴が…」
マミ「佐倉さん…どういうつもりなの。今更、見滝原まで戻ってくるなんて」チャキ
ほむら「マミ、杏子はワルプルギスの夜と戦うために私達と」
マミ「暁美さんは黙ってて。これは私達二人の問題なの」
マミ「佐倉さん、貴女が私達の仲間に入るなんておかしいわ。
何か企んでいるの? …それとも、もう魔女だけを狩るなんてことは辞めたのかしら?」
杏子「まさか。あたしはもう人の為に魔法なんて使わない。
自分の為だけに自分の魔法を使うって決めたんだ」
杏子「これはもう変えられないし、変える気もない」
マミ「そうでしょうね。貴女の考えを変えようがないなんてことは、私が一番良く知ってる。
相容れないと分かっているなら、何で戻ってきたの?」
杏子「そんなんあたしの勝手だろうが。アンタの決めることじゃない」
マミ「貴女が魔女だけしか狩らない魔法少女である限り、
私は貴女に見滝原の地を踏ませるわけには行かない。早々に立ち去って貰えるかしら?」
杏子「嫌なこった。…ほむら、まさかこっちがやられるかって時に戦うな、なんて言わないよな」
マミ「これは私達の問題よ。暁美さん…悪いけれど、手を出さないで」
まどか「ほむらちゃん、どうしたのこれは!どうしてマミさんが戦おうとしているの!!」
ほむら「まどか…!!」
QB「彼女は佐倉杏子だよ、まどか。かつて巴マミの弟子だった魔法少女だ」
まどか「キュゥべえ…」
ほむら「お前…まどかまで連れて! 杏子とマミを焚きつけたわね…!!」
QB「まさか。彼女らには元々確執があったんだ。
僕が入るまでもなく、遅かれ、早かれ結末は一緒だった」
ガッ!キイン!!ガガ!!
まどか「キュゥべえ!止めさせて!魔法少女同士で争うなんて、こんなの絶対おかしいよ!!」
QB「僕にはどうすることもできない…」
ほむら「白々しいことを…!!」
QB「でも、君が本当に二人を止めたいと望むなら僕が力になってあげられ」
杏子「やった!!」
マミ「しまった、ソウルジェムを!」
まどか「そんな、マミさんが…」
杏子「これでアンタは魔法が使えないってわけだ。
マミ…悪いが、アンタには魔法少女を引退してもらう」
杏子「歩道橋の下でソウルジェムが車に潰されるか砕けるかすれば、
魔法少女なんて生活からはおさらばだ」ポイ
QB「まどか、君が望むまでもなく決着はついたようだね。
それにしても巴マミを捨てちゃうなんて、どうかしてるよ」
マミ「…え?」
杏子「どういうことだ?」
QB「君たちの本体は肉体なんかにあるんじゃない。ソウルジェムが本体ってことさ」
マミ「」パタン
~~~ QB、ソウルジェムの正体を説明中 ~~~
まどか「そんな、そんなのって…」
杏子「ふざけんな!テメエ!それじゃあアタシ達はゾンビにされたようなものじゃねえか!!」
まどか「キュゥべえマミさんはどうなっちゃうの…?」
QB「ある程度の高さでもソウルジェムは衝撃に耐えられるはずなんだけどね…。
偶然、車に載せられたなんてことでもない限り、マミのソウルジェムは砕けてしまったと考えられるだろう…」
杏子「そんな…マミ…」
まどか「マミさん…死んじゃやだよう…そんなのあんまりだよ…」
ほむら「……」
モブ119「歩道橋の下の男!見ッ参ッ!!!」
モブ119「あ、これが上から落ちてきたものです。どうぞ」ワタス
ほむら「ありがとう」ウケトル
まどか「ふぇぇ!?」
杏子「な、なんだテメェ!!?」
モブ119「あ、僕はバイトです。あれ…話が通ってませんでした?」
モブ119「ええと、今夜は歩道橋で演劇の練習があるから、
下でマットを敷いて上から落ちてきたものがあったら拾い上げて持ってくるように言われてます」
モブ119「ええ。勿論、今夜はこの高速道を封鎖してあるから、突然車が入ってくるトラブルもありません」
ほむら「いえ、話は通っていたわ。ただ、知っているのは全員ではなかっただけ」
モブ119「ああ、そうでしたか。なら良かった。では、僕は下に戻りますのでごゆっくり」
まどか「」
杏子「」
QB「」
杏子「どういうことだ。…マミが倒れたのはソウルジェムが砕けたか、100メートル以上、
離れたからじゃなかったのか」
ほむら「良く見なさい、杏子。寝息を立てているじゃない。
どうやら言われたことがショックで気絶してただけみたいね」
マミ「」スー、スー
杏子「マミ…」ホッ
まどか「マミさん…良かった…」
ほむら「お前の企みは潰えたわ、消えなさい。キュゥべえ、いえ、インキュベーター」
QB「…! 暁美ほむら…君は……一体……」
ほむら「早く消えないとその体に風穴を開けるわよ」
QB「……やれやれ、わかったよ」スゥ
マミ「う、うぅん…」
杏子「マミ、気づいたのか!」
マミ「佐倉さん…。え、ここは私の家…? 暁美さんと鹿目さんは…?」
杏子「さっきまで居たけど、帰ったよ。気が付いたのなら、そろそろアタシも宿に戻るけどな」
マミ「そう…やっぱり、あれは夢じゃなかったのね…。キュゥべえの言ったこと…」
杏子「ああ、キュゥべえもあれからウザイ説明をしやがったし、
ほむらも肯定しやがったからな。実際に死んだところを見ては居ないが、間違いはないだろうさ」
マミ「自分自身が死ぬなんてところを見せられたら、立ち直る自信はなかったわ」
杏子「自分では見ないだろ…、ともかくあたしだってマミが気絶したのを誤解したけどさ、
場合によっちゃ本当に死んでいたかもしれないからな…まあ誤解で良かったよ」
.
マミ「……」
マミ「ねえ、佐倉さん」
杏子「なんだよ」
マミ「誤解で良かったって、死ななくて良かったって、そう思ってくれるの…?
私、あなたにあんなに酷いことをしたのに…言ったのに…」
杏子「戦ったのはお互い様だ。それに…昔、別れた時だって、アンタの責任じゃない」
マミ「私はあなたの気持ちをわかってあげることが出来なかった」
マミ「あんなに酷い目にあったあなたを独りぼっちにさせてしまった…」
杏子「マミがやってきたことは間違いじゃない」
杏子「あたしがアンタに付いていくことが出来なかっただけだ」
杏子「両親も死んで、モモも死んで、それは全部アタシが魔法少女になったせいで」
杏子「大切だった人が皆居なくなったのはあたしのせいで…」
杏子「それでも人の為に生きようなんて生き方はあたしにはとても出来なかった、それだけだ」
杏子「あたしがマミに付いていくことが出来なかった…それだけだ」
マミ「……」
杏子「…腹が減ってたりしないか?
気を利かせることが出来てなくて悪いけど、リクエストがあれば今から買ってくるよ」
マミ「いいの、」キュ
マミ「傍にいて…」
杏子「ああ…」
杏子「独りぼっちは寂しいもんな…」
.
────
マミ「…………ねぇ、佐倉さん」
杏子「何だ?」
マミ「その、一部始終、第三者に見られてたって、どんな状況だったの?」
杏子「あー、丸っきり無関係とは言い切れないけど
少なくとも魔法少女については部外者だったしキュゥべえのことも見えるわけないし……」
杏子「あたしは自分がどんな台詞を言ったか、思い出したくもないな…」
マミ「忘れたほうが良さそうね…」
杏子「///」
マミ「///」
QB「やぁ、マミ。杏子」スゥ
────
ほむら「取り敢えず爆弾放り込んでおけば死ぬわね」ポイポイ
エルザマリア「ゲセヌ…」ドカーン
.
──── 2X日目
ほむら「ここは買いで、ここは売り、と…」
ほむら「期限は一ヶ月といっても、換金して運用するのにも時間が掛かるから、
軍資金集めもここまでね」
ほむら「…それにしても」
ほむら「一億や二億はとてつもない大金だと思っていたけれど、
実際に使って運用してみると、本当に種銭でしかないものね」
ほむら「今、画面で見ているお金と、手元にあるお財布の中のお金が全く一致しないわ」
ほむら「さて、細工は流々、仕上げをごろうじろ、と」
ほむら「…今度こそ、決着をつけてやる……!」
────
まどか「入っていいかな?」
ほむら「…まどか」
(浮いているパネル)
まどか「これが…『ワルプルギスの夜』? ……マミさん達と、お店で話してた」
ほむら「……そうよ」
まどか「とうとう、ワルプルギスの夜がやってくるんだよね…」
まどか「街中が危ないの?」
ほむら「今までの魔女と違って、コイツは結界に隠れて身を守る必要なんてない。ただ一度具現しただけでも、何千人という人が犠牲になるわ」
ほむら「相変わらず普通の人には見えないから、被害は地震とか竜巻とか、そういった大災害として誤解されるだけ」
まどか「なら、絶対にやっつけなきゃダメだよね」
まどか「少しでも勝てる可能性を増やすなら、魔法少女を増やしたほうがいい。だったら…!」
ほむら「私達だけで十分よ!!」 ダンッ
ほむら「まどか、私は言ったわ。魔法少女にはならないでって」
ほむら「さやかからはならないって約束してくれたけれど、あなたからはまだ返事を聞いてない」
ほむら「ねぇ、まどか。約束して」
ほむら「お願いだから、私に魔法少女にはならないって」
まどか「…………ねぇ、ほむらちゃん」
まどか「私は最初にマミさんから魔法少女の話を聞いた時…そりゃ魔女のことは怖かったけど…嬉しかったんだ」
まどか「私って、昔から得意な学科とか、人に自慢できる才能とか何もなくて」
まどか「きっとこれから先ずっと、誰の役にも立てないまま、迷惑ばかりかけていくのかなって」
まどか「それが嫌でしょうがなかった」
まどか「でもマミさんが魔法少女は、誰かを助けるために戦ってるって言ってくれて」
まどか「私にもできるかもしれないって言われて」
まどか「何よりも嬉しかったのはそのことで」
まどか「こんな自分でも、誰かの役に立てるんだって、胸を張って生きていけたら、それが一番の夢なの」
まどか「ほむらちゃんやマミさんが一生懸命なのは知ってるよ」
まどか「でも、私も役に立てるならその一生懸命に加わりたいよ…」
ほむら(…私は何回繰り返しても、きっと分かっていなかった)
ほむら(まどかがどれだけ優しい子か、命を懸けてだって、どんなに辛いことだって頑張れてしまうか)
ほむら(私は何度も何度もあなたに助けられたから、今を生きることができている)
ほむら(あなたの幸福は、自分だけが生きることではないのでしょう)
ほむら(それでも、ごめんなさい。まどか)
ほむら(私はあなたのその願いはどうしても叶えることが出来ない)
ほむら「まどか、」
まどか「…ほむらちゃん?」
ほむら「ねぇ、これは奇跡なの」
ほむら「私達の今居る、この瞬間はこの先、何百回と繰り返しても決して起こらない奇跡」
ほむら「ようやくここまで辿り着いた。もう、こんな奇跡はこの先にはない」
ほむら「私は何度も見てきた。貴女が死ぬところを何度も何度も何度も何度も…」
まどか「えぇ…?」
ほむら「まどか、」
ほむら「私は未来から来たんだよ」
ほむら「どうすればあなたが助かるのか、どうすれば運命を変えられるのか、その答えだけを探して、何度も始めからやり直して」
まどか「それって…?」
ほむら「何回繰り返しても、貴女は死んでしまった。巴マミも佐倉杏子も死んでしまうことが多かった。
仮に生き残ったとしても、仲違いを繰り返していて、ワルプルギスの夜と戦うどころではなかった…
美樹さやかは魔法少女になった全ての時間軸で魔女となった」
まどか「魔女って…どういう」
ほむら「そう。魔法少女は魔女になる。
この宝石が濁りきって黒く染まる時、私達はグリーフシードになり、魔女として生まれ変わる」
ほむら「それが、魔法少女になった者の、逃れられない運命」
まどか「そんな…じゃあ、マミさんも、ほむらちゃんも…!?」
ほむら「ええ、貴女もよ。まどか。
私は貴女が魔女となった姿を何度も見てきた。巴マミや佐倉杏子だって魔女になった未来もあった…!」
まどか「嘘でしょ…ねえ!ほむらちゃん!」
ほむら「私は何度も見てきたのよ!」
ほむら「魔法少女として誰かを救った分だけ、魔女となって誰かを祟りながら生きていく」
ほむら「それが魔法少女の正体なのよ!」
カラン
マミ「魔法少女が魔女になる…?」
杏子「それじゃあキュゥべえの奴が言ったことは…」
QB「杏子、僕は嘘はつかないよ。何度も言ったじゃないか。魔法少女はいずれ魔女になると」
QB「それにしても暁美ほむら。君はこんなことまで知っていたんだね」
QB「でも、君の正体についてようやく納得の行く仮説が立てられた」
ほむら「キュゥべえ!お前は…!!!」
QB「何を怒っているんだい? 僕は当然の疑問を口にしただけだよ」
QB「『ワルプルギスの夜と戦っている途中に仲間が魔女になってしまったら、その分不利になってしまうけど、その時のことを何か考えているのかい?』てね」
QB「魔法少女はほとんど一人で行動するし、
複数人で組めばただの魔女相手に魔力を使い切るなんてことはほとんどないから説明を省略しているけれど」
QB「なにせ相手はワルプルギスの夜だからね。
こういった対策も必要だと考えた僕のアドバイスなんだよ」
マミ「魔法少女は魔女になるの…?」ガタガタ
QB「そうだよ、マミ。でも僕らは何も人類に対して悪意を持っているわけではないんだ。
全てはこの宇宙の──」
マミ「……」フォン
ほむら「マスケット銃を!」
杏子「やめろ!マミ」
QB「短期は良くないな、マミ。魔女になる前に殺されちゃ宇宙のエネル {{ ドン!!! }} キュブェ!!」グチャ
マミ「……」ハァハァ
ダッ
まどか「マミさん!」
ほむら「マミ!」
杏子「あたしが行く!!!」
杏子「ほむら、お前は動くなよ! お前の知ってることを後で全部問い詰めてやるから今のうちに整理しときやがれ!」
杏子「待てよマミ!!」ダッ
まどか「嘘だ…嘘だよ……こんなのあんまりだよ…」
ほむら「………まどか、ごめんなさい」
まどか「…ほむらちゃん?」
ほむら「本当は、私はあなたの傍に居るべきじゃなかった」
ほむら「貴女は鹿目まどかのままでいいと言いながら、私は貴女を危険から遠ざけなかった」
ほむら「こんなギリギリになるまで、こんな簡単なことにも気付かなかった」
まどか「そんな!ほむらちゃんは悪くないよ!!」
QB「いや、全ての原因は暁美ほむらのせいであると言えるし、そうでないとも言える」
焼くぞ
氏ね
まどか「キュゥべえ!!!」
ほむら「……」チャキ
QB「暁美ほむら、君は僕を撃っても意味がないと知っているだろう。銃を降ろして貰えないかな」
QB「…やれやれ、同意して貰えないようだ」
QB「マミは僕を殺そうとすることが無駄だなんて知らないから仕方がないけど、感心はしないね」
QB「勿体無いじゃないか」キュップイ
まどか「生きてたのね…」
ほむら「そういう生物なのよ。あいつは人間の常識が通用しない生物」
ほむら「あいつらは人間とは全く違う感情と倫理によって生きている」
ほむら「今更、何をしに現れたの?」
QB「勿論、話すことはやぶさかではないが、二人を待ってからのほうが合理的だろう?
ソウルジェムが濁りきらずに戻れるかは分からないが、君にとっても試す価値のあることだと思うよ?」
ほむら「お前は……」
────
杏子「マミ!!!!」
マミ「佐倉さん……」
杏子「そりゃ、ショックだったかもしれないけどさ。
なんて言っていいのかわからないけど…もう、そういうことばっかりなんじゃないかって思うよ」
杏子「あたし達はその規模がデカイだけでさ。
世の中って思ったことが思った通りに行くほうが少ないじゃん…」
杏子「そんな中でも、折り合いをつけて何とか出来ることだけをやってるんだよ……みんな」
杏子「そりゃあたし達はこんな体でさ、将来だって真っ暗だって決まったようなものだけど…」
杏子「それでもマミは一生懸命やってきたじゃないか」
杏子「あたしみたいに逃げちまわずにやってきたじゃないか」
杏子「マミはあたしの理想だったんだ…」
マミ「……」
マミ「私は強くなんてないわ」
杏子「わかってるよ」
杏子「だから、自分だけが傷つくような生き方を何度も止めさせようとしたんだ」
マミ「私はきっと貴女より弱い」
杏子「そうかもしれない、うん、きっとそうだ。これはアタシの気分の問題だ」
マミ「意固地で、融通がきかない」
杏子「…愛弟子を破門にしてでも変えなかったんだもんな」
マミ「何よ、全部佐倉さんなの? ひとつくらい譲ってくれてもいいじゃない」ブー
杏子「それだって気分の問題だろ? 自分でそう思えればいいのさ」
杏子「でも…思ったよりは強かった」
杏子「こういうとなんだけど…もっと、ずっとショックを受けると思ってた」
杏子「アンタはずっと正義の魔法少女だったから…」
マミ「わたしもショックは受けているわ」
マミ「そうね、鹿目さんと美樹さんを魔法少女にしてたら、もっとずっと酷かったと思う」
マミ「暁美さんには感謝しなくちゃね」
マミ「…それに」
マミ「暁美さんと鹿目さんの話を聞いていたでしょう?」
マミ「私達が生き残って、魔女を倒し続けなければ、鹿目さんが魔法少女になってしまう」
マミ「美樹さんだって優しい子だもの。引き摺られて魔法少女になってしまうかもしれない」
杏子「…戻れば、キュゥべえと対決しなければならない」
杏子「あたしはあんな奴に思い入れなんて無いし、ほむらはむしろあいつを敵視してる感じだからいいけど」
杏子「あんたは違う」
杏子「あんたが一人になってからのことは、時々キュゥべえから聞くくらいだったけれど」
杏子「あいつの機械みたいな話し振りからだけでもかなり…依存しているように見えた」
杏子「だから、あんたがここで逃げちまっても、あたしは驚かないよ」
杏子「…役に立つことなんて、きっとどこでも出来るんだからさ」
マミ「………じゃない」
杏子「…ん?」
マミ「恥ずかしいじゃない! さっきから私、何を言っても慰められるばっかりで!!」
マミ「そんなに頼りなく見えた!? 私のほうが佐倉さんより歳上なのよ! マミ先輩なのよ!!?」
杏子「なにいってんだオイ… ていうかなあ。最近危なっかしかったし…」
マミ「それはそうだけど…///」
マミ「でも、もう決意できてる…と、思うわ」
マミ「私には守りたいものが残っているのだもの」
マミ「ここで私達が頑張らなければ、皆が不幸になってしまう」
マミ「私達がさっさと魔女になって、新人の魔法少女にワルプルギスの夜を相手にさせるなんてわけには行かないもの」
杏子「そうだよな…」
杏子「マミ…あんたは昔のままだ」
杏子「あたしは、そういうマミみたいな魔法少女になりたいとずっと思ってたんだ…」
杏子(あんたがベテランの魔法少女と組んだって聞いた時、思い出のマミさんが遠くへ行っちまうような気がしてたんだ)
杏子(一番の心配事はそれだったんだ)
杏子(でもマミはマミさんのままだった)
杏子(脆くて、他人のために危険な真似をして、それでも一生懸命な…)
杏子(…あんたが理想のままでいてくれるなら、あたしだって、ここで逃げるわけにはいかないよな)
────
~~~ 魔法少女システムとエントロピーを説明中 ~~~
~~~ 鹿目まどかへの因果の収束を説明中 ~~~
まどか「……」
ほむら「……」
マミ「……」
杏子「……」
QB「…宇宙のために死んでくれる気になるのを待ってるからね!」ドヤッ
ほむら「……」ドンッ
QB「キュップイ」グチャ
────
杏子「ほむら」
マミ「暁美さん…」
まどか「ほむらちゃん…」
ほむら「…ちょっと夜風に当たってくる、明日は決戦なのだからマミと杏子は早めに寝て。
まどかはもう遅いのだから、帰るにしろ、泊まるにしろきちんと連絡をしたほうがいいわ」
バタン
ほむら(繰り返せばまどかの因果が増えていく。
まどかに魔法少女としての資質が増えれば増えるほどキュゥべえの勧誘はしつこく、狡猾になっていく)
ほむら(今回でさえギリギリだった…これ以上、手段を選ばなくなるというならもう…)
ほむら(地球に何万年も前から居る宇宙人との知恵比べ)
ほむら(しかもルールブックは向こうが持っている)
ほむら(有り得ないような馬鹿げたルール)
ほむら(それでも、それでもいつかまどかが救えるのならば、この生命なんて惜しくはなかった)
ほむら(敵が油断しているうちに出し抜くしか方法がなく、)
ほむら(しかも油断はまどかの資質が増える度に消えていく)
ほむら(私はまどかの希望を無視して、魔法少女にならないように全力を傾けた)
ほむら(魔法少女であっても、幸せに生きる方法はあったのかもしれないのに)
ほむら(今ではまどかは最悪の魔女になるしかない)
ほむら(この時間軸では全員生きていて、万全な状態でワルプルギスの夜に挑める)
ほむら(こんなチャンスは今しかない)
ほむら(…………怖い)
ほむら(………もしも、もしも失敗してしまったらどうするのだろう)
ほむら「ごめんなさい…」
ほむら「ごめんなさい…まどか……」
ほむら「あなたの人生を私が滅茶滅茶にしてしまった」
ほむら「…もう取り返しがつかない……」
「ほむらちゃん」
ほむら「……まどか」
まどか「ごめんね。邪魔しちゃった」
ほむら「まどか、まだ外は寒いわ。そんな薄着では風邪を引いてしまう」
まどか「なら、ほむらちゃんの上着を半分貸してよ」
ほむら「え。ぜ、全部でいいわよ!私は魔法少女なのだから風邪なんて引かないし!」
まどか「それじゃほむらちゃんに悪いよ。明日はワルプルギスの夜と戦うんだから、少しでも魔力を温存しないと」
ほむら「///」カァアアア
まどか(ウェヒヒヒヒ、ゆでダコみたいだよ、ほむらちゃん)
ほむら(うう…嬉しいのに、まどかの顔を見れない。これじゃ美樹さやかを全然馬鹿にできない!)
ほむら(言い訳できるものがどこかに…なにか…あれ?)ム?
まどか「どうしたの?ほむらちゃん」
ほむら(あれは資材置を担当させている「モブ120(本名略)」!何か探している?)
ほむら「あの…どうされたんですか?」
モブ120「あ…実は搬入先の資材を間違えて運んで戻そうとしているんだが、何番の番号か忘れてしまったんだ」
ほむら(今まできちんと仕事をこなす人ばかりだったけど、やっぱりこういう人は出てくるものね)ホム
ほむら「それなら、120番です。私も別部署で働いていますが、一覧にないものがありましたから」
モブ120「同行者か?にしちゃずいぶん若いな?」
ほむら「そう見られるんですよ!それに事務ですから小柄でも大丈夫!」アセアセ
モブ120「そういえば思い出してきた…確かに120番だったな。ありがとう、助かったよ」
ほむら「いえいえ、お気になさらず(さっさと運べ!)…あれ?資材置へは向かわないんですか?」
モブ120「今夜中にやればいいことだろ。だったら今はコーヒーブレイクってところだ」プシュ
ほむら(間違えた資材が置かれて、皆が邪魔だと思っているだろうに休憩…)
モブ120「まあ、同行者がいて助かったよ。」
ほむら(出来損ないのモブのために貴重なまど時間を無駄にしていることをちょっとは考えて欲しいわ)
モブ120「しかし『ホムラアケミの父』って人は凄いねぇ。アンタもそう思うだろ?」
ほむら「いえ、仕事ですから」
モブ120「そんなもんか。…まあ俺なんかは短期の仕事だが、
まるで未来を読んでいるかのような采配!!これなら人はついてくると感心したね」
ほむら(未来を知っているのだから当然でしょうが)
ほむら「でも、他の人にとっては凄く見えても、その人自身にとってはそうではないってこともありますよ」
モブ120「ハァ?何を言ってるんだ?ちょっと流石に考えが至らなすぎだ。アンタは『ホムラアケミの父』に謝ったほうがいい」
ほむら(こいつは本人に何を言っているの?)
モブ120「例えそいつが未来を読んでいようが、黒い裏情報を知っていようが、
何十人という労働者の生活を預っているんだぞ。その判断が簡単にできるわけがない」
ほむら(そういう非情な経営者も政治家も居ると聞いた)
モブ120「後悔してもやり直しは効かないんだぞ。引き返せる人間なんて居ないんだ。
人生は1回しか無いんだ、誰でも、間違いなくそうだ。
だからこういう大勢の生活が関わる決断をきちんと出来る人間はとても偉いし、尊敬して然るべきなんだ」
ほむら「」
モブ120「どうした?」
ほむら「ちょっと戻ります…やらなくてはいけないことを思い出したので」
モブ120「そうか、引き止めて悪かったな」
ほむら「いいヒントを貰ったので、サボりを大きく査定に響かないようにしてあげます」
モブ120「お、そいつは有難いな。流石事務」
ほむら「後、同行者じゃなくて同業者だから。ここは年齢的に間違えていいところじゃないですよ!それじゃ!」
モブ120「」
まどか「おかえり、ほむらちゃん。どうしたの?」
ほむら「明日の準備でちょっと…て、まどか!ずっとここで待ってたの!?」
まどか「ウェヒヒヒ、今日はほむらちゃんを見ていたかったから」
ほむら「そんな…こんなに冷たくなって…」オロオロ
まどか「5分も経ってないよ。大丈夫だよ、ほむらちゃん」
ほむら「家の中に入りましょう、まどか」
まどか「ほむらちゃん、外はもういいの?」
ほむら「ええ、もう外はいいわ」
まどか「今ほむらちゃん、いい顔してるよ、ウェヒヒヒヒ ///」
ほむら「もう!からかわないで! ///」
マミ「暁美さん達、戻ってきたわよ。なんだか吹っ切れてるみたい」
杏子「な、まどかに任せて良かったろ」
マミ「ええ、出ていく時は真っ青で心配だったけど、今は安心しちゃった」
杏子「そういう相手が居るんだ、こいつと組ませとけばなんとかなるって奴が」
ほむら(そうだ、ここには元から今しか無かったんだ)
ほむら(長い繰り返しをしたせいで、今のこの瞬間より、長い失敗を重要視してしまっていた)
ほむら(今の結果だけを見れば、まどかもさやかも魔法少女になっていない)
ほむら(マミと杏子は魔女化の事実をしっているけど、なんとか気力を取り戻そうとしている)
ほむら(QBは万策尽きて、後はワルプルギスの夜しか頼みが居ない)
ほむら(次へのループを封じられたからって、関係ない)
ほむら(これは最高の条件だ)
ほむら(過去のループの中で死んでいったまどかや魔法少女達のことを思うと心が痛いけれど)
ほむら(もしも今際のソウルジェムを砕いた後に魂が抜け出ていくとするならば)
ほむら(必ず謝りにいくから────それまで、少しの間、お別れだね)
────
まどか「ねぇ、ほむらちゃん。私、やっと決心がついたよ」
まどか「私は魔法少女にはならない」
まどか「私はほむらちゃんが帰ってくるのを待ってるから」
まどか「だから、戻ったら笑顔を見せてね──」
────
──── XX日 ワルプルギスの夜、襲来当日
広報車「本日午前7時、突発的異常気象に伴い避難指示が発令されました。
付近にお住いの皆さんは、速やかに最寄りの避難場所への移動をお願いします。
こちらは見滝原市役所広報車です」
モブ121「避難所はこっちですよー、指示にしたがって押し合わずに来てくださーい」
モブ122「カバディ コッチハ」ムキムキッ
モブ123「カバディ キケン」ムキムキッ
モブ124「カバディ キチャダメ」ムキムキッ
モブ125「カバディ ヒナンジョアッチ」ムキムキッ
モブ126「今時立派な青年ですねぇ、スーパーセルだっけ? 自分が逃げるだけで精一杯だというのに…」
モブ127「いえ、確かに避難誘導をしているんですけど、私はこれが仕事で…というかバイトでして」
モブ128「そうそう、『ホムラアケミの父』って人に雇われたんだ。
最初は何のためにって思ったけど、まるでこうなることを知っていたかのようだ…きっと、すごい人なんだろうな」
────
まどか「さやかちゃーん」
さやか「お、まどかもこっちの避難所だったのかー」
さやか「学校で毎日会ってるはずなのに随分久し振りな気がするぞー」グリグリ
まどか「もう、さやかちゃん。何言ってるの」キャッキャッ
さやか「窓…、凄い雲だよね」
まどか「大きな塊が次から次へと動いてる…」
さやか「ほむら達…あそこで戦ってるのかな」
まどか「うん…」
────
QB「さて、暁美ほむらがどんな用意をしたとしても、ワルプルギスの夜には勝てないだろう」
QB「鹿目まどかは今は契約する気がないかもしれないが、ほむら達がピンチになれば考えも変わる」
QB「僕はその時をただ待てばいい」
ゴォォォォォ
QB「なんだこの音は…空から?」
5
4
2
バキン
杏子「おお、カウントダウンしてる感じの『1』の文字が砕けた、あれは早く当たり過ぎだな」
ほむら「米軍が現在、無解体のまま任意の場所に墜落させることの出来る廃棄衛星の数は42!」
ほむら「それをワルプルギス発生と同時に全て直撃させる」
ほむら「ワルプルギスの夜へ直撃時の減速と海岸沿いに設置した緩衝材があれば津波の発生は避けられるわ」
ほむら「見滝原海沿岸にいる間に決着をつける!!」
マミ「暁美さん、ファンタジーというか、陰謀論的なオカルト雑誌の記事に有りそうなナイスな説明よ!」
ワルプルギスの夜「アハ {{ ドゴォ }} ハアハハハ {{ ドゴォ }} ハアハハハハア」 {{ ドゴォ }}
ワルプ {{ ドゴォ }} ギスの夜「アハ {{ ドゴォ }} ハハハハ、アハハハハハハ {{ ドゴォ }} ハ」
ワ {{ ドゴォ }} プルギ {{ ドゴォ }} 夜「アハ {{ ドゴォ }} ハ、アハ {{ ドゴォ }} ハハ {{ ドゴォ }} ア」
ワルプルギスの夜「アハハアハハハハアハハアハハ」 ボロボロ
マミ「ダメージを受けてるみたいよ、暁美さん!!」
ほむら「このまま数が押し切ればいける!」
杏子「……あたし達っていらなくね…?」
/ な い あ も |
l い い い う |', /
| か ん つ l ', /
| な じ 一 全 / 〉く }三{`>く
ヽ、 ゃ 人 部 / ∠_/ ̄∨__〉、
、 \ , で / !:::ハ ゚ /::::l| ,..-―
\ / `丶、____x く ト、:_:_} {_:_:_ノ| / ; : : :
,.ィT: ̄:7ハ、 V「::r┬宀┬ 、:}V_/:./: : : :
人,-、:.・:; -vヘ ∨仁ー--'二l }イ{}=彡く_:_:_:_:_:_
〔:.:{::}ー{::}:.:} _, <l入ヽ二二 // /勿¬┬┬-..、
__Y/:|三三ト、:/ , -<}>_'´_::ヽ\_二_/ノ::_ニ::. ┴┴-<
_rく´ |:.:| lヾ:|三三|:/「`ーrー、 /,..:'r―-、ヽ、`ヽミー--‐ニ-'´ /r──‐┐::
∧ ヽ ` \ヽ二ラ /:.:.:./ | } //::..{  ̄ ヽ:/´ '′ |::..
:.:.ヽ | ` ┬彳:.:.:.:/ | ∧ //::..::..\ ∥ /::..:
:.:.:.:〉| l 〈:.::.:/ 〃:.:∧//::..::..:「`ー ∥ _/::..::..
:./| lノ〉_r、 !  ̄ ∧:.:.:.:.7/::..::..::..ヽ、 ∥ ` ̄フ::..::.
', ヽ、ー′ | / ヽ:. //::..::..::..::./ヽ¬ ヾ -r―'´::..::..::.
ワル {{ ドゴォ }} スの夜「アハハアハハハハ {{ ドゴォ }} ハ」 ボロボロ
ワルプルギスの夜「アハハ {{ ドゴォ }} ハハアハハアハハ」 ボロボロ
ワ {{ ドゴォ }} ギ {{ ドゴォ }} 夜「アハハアハ {{ ドゴォ }} ハハ」 ボロボロ
ワルプルギスの夜「ア {{ ドゴォ }} ハハアハハ {{ ドゴォ }} ハ」 ボロボロ
ワルプルギスの夜「」フラフラ
ほむら「衛星が尽きたわ」
マミ「ワルプルギスの夜が海岸沿いに落下するわ」
杏子「もう虫の息じゃねーか!」
ゴルゴでもいるのか
モブに不可能はない
QB「──驚いたよ、どうやら、ほむら達の勝ちのようだ。
不本意だが、ワルプルギスの夜は遠からず消滅するだろう」
まどか「やったあ、ほむらちゃん!」
さやか「さっすがマミさん!後、面識はないけど赤い人!」
QB「でも、安心するのはまだ早いよ、まどか」
QB「ワルプルギスの夜が滅んだ後に発生する膨大な呪いの量が分かるかい?」
QB「呪いはワルプルギスの夜を滅ぼした相手にまず侵食するだろう。
呪いは簡単にソウルジェムを濁らせ、魔女化させる」
QB「それでも足りなければ、その周囲の魔法少女をも巻き込む。
マミ、杏子、ほむらのそれぞれのソウルジェムくらいなら、全て侵食しきってしまうんじゃないかな」
まどか「!!」
さやか「あんた、それは──」
QB「つまり、これは元から彼女たちの魔女化は決まっていたのさ…魔女化を戻すには魔法少女の願いしか無い!
だからまどか、さやか、僕と契約して魔法少女に─── ??「 」ヌゥ ──」
QB「…なんだい君は?掴まれるのは好きじゃないんだ」
??「 」ギュ
QB「キュップイ」グチャ
??「 」アーアーアー
まどか「きゃっ…」
さやか「まどかぁ!」
杏子「まどか!どいてろ!」ザシュ
??「」サァァァァ
まどか「杏子ちゃん、ありがとう」
さやか「こいつらはなんなの? 人じゃないみたいだけど…」
ほむら「杏子!仕留めた?」
杏子「ああ、仕留めた。現状、こいつが最後の一匹だと思うけど…」
さやか「ええと、あんたはマミさんの弟子の…あんこだっけ?」
杏子「杏子だ!間違えんな!!!」
まどか「ほむらちゃん、杏子ちゃん! どうなったの?」
杏子「わっかんねぇよ。ワルプルギスが落ちた辺りを、
ほむらが仕掛けておいた発破で埋め立てたら、いきなり白い入道みたいなのが沢山沸いて出てさ…」
杏子「退治してたんだけど、一匹だけ逃げたんでここまで追ってきたってわけさ」
ほむら「……」ヒョイ
ほむら「やっぱりこいつらの落とす小石みたいなものはグリーフシードみたいね。
ソウルジェムが浄化されるもの」
杏子「なんだよ、じゃあこんなちっこいグリーフシードがアタシの報酬かよ。
そりゃ今回は働いたとは言えないけどさあ、ワルプルギスの夜だよ、ワルプルギスの夜!
ちょっと名前負けし過ぎじゃない?」
ほむら「こういうときに便利な説明役が一人だけ居るわ…普段はムカつくけれど」
ほむら「出てきなさい、キュゥべえ」
QB「ハァ…やっぱり生きていたのか、暁美ほむら」
ほむら「……」チャキ
QB「ほむら、いきなり銃を向けるのは止めて欲しいな。代わりはあるけど、勿体無いじゃないか」
ほむら「撃ち殺されたくなければ、今の事態の説明をしなさい」
QB「ハァ…やれやれ、仮説なら立てられるよ。今回も、君が原因だ」
QB「本来はワルプルギスの夜を倒した魔法少女は、
ワルプルギスの夜の呪いを一身に受け、魔女化するはずだった」
QB「ところが、暁美ほむら。君の武器は魔力の篭っていない器物だ。
あるいは今回は土砂だったので、地球そのものと言ってもいい」
QB「魔法少女でない呪いを受ける特殊な対象が生み出したものが、先ほどの怪物だろう」
QB「魔法少女であれば魔女と言うべきところだが、
今回の対象には性別がないから、あえて名付けるなら魔獣とでも呼ぶべきだろうね」
ほむら「魔獣はあれで最後なの?」
QB「仮にもワルプルギスの夜を呪いとして受けたんだ。当然、あれだけで住むはずがない。
少しずつ、地下から染みだしてくることが予想されるね」
QB「だが、この魔獣の発生はワルプルギスの夜にとどまらない規模の影響が予想できる」
QB「つまり惑星自体に地上にある呪いを吸い取って、魔獣として結晶化させる機構が
備わってしまったかもしれないんだ」
QB「そうなるとソウルジェムの回復…には至らないだろうが、濁りの進行を遅らせる要因となる」
QB「さらに、小さいながらもグリーフシードを持つ魔獣は弱い魔女の代替品となり、
これも新人の魔法少女が魔女になる可能性を減らす効果となる」
QB「早く言えば僕達のエネルギーの回収効率が落ちる…頭の痛い問題だよ」
ほむら「ざまあ無いわね」
QB「まどかが魔法少女になってくれれば、この程度の損失は消し飛ばすことが出来るのだが…契約してくれる気はないのかい?」
まどか「お断りします」
さやか「絶対にイヤ」
QB「…残念だよ、まどか」
──── 後日談
ほむら(結局、この世界は魔法少女と魔女と魔獣が同居する世界となった)
ほむら(かつての仲間を殺したくないないなら、魔獣専門の魔法少女になるという選択もできるため、
少しだけ魔法少女に優しい世界になったと言えるだろう)
モブ129「ねぇ、知ってる『ホムラアケミの父』ってひと」
モブ130「知ってる、凄い人なんでしょ。医学の発展にも尽くして、予言者みたいに街を救ったって」
モブ129「噂では、ちょっと変態らしいけど」
モブ130「私は動物好きって聞いたわ。黒猫を一匹、飼ってるんだって」
モブ129「それにしても『ホムラアケミの父』って、なんだか暁美ほむらさんの名前にちょっと似てるよね」
モブ130「でも別人よ、だって苗字と名前が逆だもの」
ほむら(私の行った活躍は、私でも父でもない、謎の人物に押し付けられた。そこに不満はない。
魔法少女は目立たないほうが望ましいのだから)
杏子「よう、ほむら。今日は放課後から魔女探索に行くってよ。
ほむらのことだから無いとは思うけど、遅れんなよ」
ほむら「ええ、わかったわ」
杏子「じゃ、アタシは買い物があるから、後でな」ダッ
ほむら(杏子はあれから巴マミの家に居候するようになった)
ほむら(春から学校に通うことを計画しているようで、私も時々勉強を教えている)
マミ『暁美さん、おはよう』
ほむら『ええ、おはよう。杏子から聞いたわ。今日は放課後からね』
マミ『私は受験勉強でしばらく参加できなかったから、頑張らなくっちゃ。
そして終わったらパーティーをしましょう?鹿目さんや美樹さんも呼んで』
ほむら『ふたりとも喜ぶと思うわ。誘っておくわね…ってテレパシーを使えば貴女が直接誘えるじゃない』
マミ『それじゃあ、どちらからも言うことにしましょう?いいでしょう、それで』
ほむら『……もう、』
ほむら(巴マミは学校内や通学路で時々話しかけてくる。)
ほむら(驚いたのは、マミが今後も魔女、魔獣の隔て無く倒していくと決めたことだ)
ほむら(てっきり、魔獣専門の魔法少女になると思っていたのだが、
自分自身の在り方をきちんと認識したいということで、あえて魔女も狩ることにしたそうだ)
ほむら(彼女は私が思っていたよりもずっと強い魔法少女だったようだ)
ほむら(元から仲が良く、狩るものも同じということで、私とマミと杏子はマミの受験勉強が重ならなければ、いつも一緒に狩りをする)
ほむら(魔女、魔獣の両方を狩る、オールラウンダーの魔法少女)
ほむら(勿論、使い魔も)
ほむら「おはよう、まどか」
まどか「おはよう、ほむらちゃん!!」
さやか「おはよう、ほむらー宿題おせーて」
ほむら「会った瞬間にそれはなんなの?自分の力でやりなさい、さやか」
さやか「えー、ケチー」
ほむら(相変わらず、まどかとさやかは一番の親友)
ほむら(私はそこに分け入って、3人組の地位を築きつつある)
ほむら(志筑さんを加えればカルテットか)
ほむら(まどかとさやかの仲は時々、私でも入り込めないほどの深さを感じることもあるが)
ほむら(そろそろ私は正式に恋人枠として正式にまどかに申し込もうと思っている)
ほむら(結果なんてキニシナイ)
ほむら(QBはまどかの元にほとんど姿を現さなくなった)
ほむら(まどかだけでなく、私達全員に)
ほむら(QBは汚れを貯めたグリーフシードの回収に役立たないでもないのだが、
この惑星自体が極微量の浄化(正式には魔獣として集積)効果を持つため、
土に埋めておけば魔女が孵化することもなく、大分長い間放置できる)
ほむら(時々QBが掘り出して持って行くから、こちらとしてはこのままの関係でも構わない)
ほむら(私はもう時間停止の能力は使えないし、
まどかの因果が増えることを防ぐためもあって、時間遡行の能力も使えない)
ほむら(魔法少女としては最弱の部類に位置するといっても過言ではない)
ほむら(それでも、ワルプルギスの夜との戦いにて想定した白兵戦用の武器が丸々残っているし、
四次元ポケットとしか言いようが無い私の盾はなかなかに便利なので、
強力な魔女相手でなければ今のところ、遅れをとること無く済んでいる)
ほむら(それに、魔法の練習をした成果もあって、私は新たに一つ魔法を覚えることが出来た)
ほむら(魔力を込めると肩口に小さな羽が生え、
それが高速移動や空中移動の時に少しだけバランスを取ることに役立つというものだ)
ほむら(白い鳥の羽のようだったり、ロールシャッハテストのような
墨を滲ませたような複雑な図形だったり、気分によって変わるけれど多分あまり意味はない)
ほむら(巴マミが感激して複雑な名前をつけたが、残念ながらその名前は忘れてしまった)
ほむら(私達、魔法少女は魔女になる運命)
ほむら(それでも私は生きているし、まどかやさやか、仁美といった友達や、マミや杏子といった魔法少女の友達もいる)
ほむら(彼女たちと過ごすことはとても楽しく、私は幸福だと実感できる)
ほむら(ここに至るまで、辛い時間軸が多かった。居るだけで苦しいばかりの時間軸もあった)
ほむら(それらの時間軸でも、行動次第では在り得たかもしれない幸福な未来を思い描く時、私は胸の痛みを覚える)
ほむら(それは戻らない過去を思い描くようなもので、私だけが特別ということはなく、恐らく誰もが感じる心の痛みなのだろう)
ほむら(どうかこの幸せがいつまでも続きますように)
終わり
途中から何を書いているのか分からなかった…
取り敢えず自分は杏マミが大好きということが分かった
モブもっと出張ってもよかったな
Entry ⇒ 2012.06.10 | Category ⇒ まどかマギカSS | Comments (3) | Trackbacks (0)
京子「結衣とあかりって本当に仲がいいのかな?」
京子「いや、ちょっと冷静になって考えてみたんだけどね」
京子「あの2人が仲良くしてるところってイメージ湧かなくて」
ちなつ「京子先輩の杞憂です、普通に会話だってありますし」
京子「……例えば?」ズイッ
ちなつ「な、何気ない日常会話とか……」
京子「ありがとうあかりとか、おはよう結衣ちゃんくらいだよね?」
ちなつ「た、確かに挨拶くらいしか会話してるの見たことないかも……」
京子「でしょでしょー?」
ちなつ「当たり前じゃないですか、仮にも幼なじみですよ!」
京子「うん、だからその割には絡みが少ないなぁって思ったワケで」
ちなつ「……確かにそうかもしれませんね」
ちなつ「でもあかりちゃんは誰とでも仲良く出来ますし……」
京子「結衣も物腰は落ち着いてるけど、社交的なほうだもんね」
ちなつ「それでもあの2人が仲良く絡んでいるところがイメージしずらいです……」
京子「うーん……」
京子「……最近はあまり2人で絡んでいるのを見ないなぁ」
ちなつ「でもあかりちゃん、結衣先輩のオムライスべた褒めしてましたよ?」
京子「うーん、でもあかりはいい子だから何でも褒めるよ」
ちなつ「か、考えすぎですって絶対!」
京子「私もそうだと思いたいけどね……」
京子「ん……くふふ、いいこと考えちゃった!」
ちなつ「嫌な予感しかしませんけど……」
ちなつ「と、盗聴器でもしかけるつもりですか!?」
京子「いやいや、かなりアナログな方法だけどさ」
京子「……」トコトコ
京子「よし、私たちのローファーと荷物を押入れに入れてっと……」ドサッ
ちなつ「……」
京子「さぁちなつちゃん、私と一緒に押入れに籠ろう!」
ちなつ「はぁ……?」
京子「だってだって、狭いんだも~ん♪」スリスリ
ちなつ「もーいい加減に……」
ガララッ
京子「……くふふ、大きな音出すとここにいるのばれちゃうよ」
ちなつ「……あとでゲンコツですからね」
京子「ゲンコツで済むなら安いモノだ!」ニコッ
ちなつ「はぁ……ほんとにこの人は」
結衣「また道草でも食ってるのか」
結衣「ふぁ~……」ノビー
結衣「ん、一人だと手持ち無沙汰だなぁ」
結衣「ちなつちゃんのお茶が飲みたいけど、自分で淹れようかな」
ちなつ「私ならここにいますよ結衣先輩――」
京子「ちょ、ちょっとばれるから落ち着いて!」グイッ
ちなつ「もごもごもが……!」
<ヒヒ~ン……
結衣「なんだ馬か、それならしょうがないね」
結衣「確かここに紅茶があったような気が……」ゴソゴソ
京子「ふぃー、もしもの時のための物まねが役に立ったね」
ちなつ「いや、押入れに馬って……」
京子「ちなつちゃん、あまり大きな声出しちゃダメだよ?」
ちなつ(結衣先輩もツッコミすぎて疲れてるんだろうなぁ……)ホロリ
あかり「……あれれ、まだ誰もいないのかなぁ?」
結衣「こんにちはあかり、いまお茶淹れるから座っててね」ヒョコッ
あかり「あ、結衣ちゃん!」
あかり「えっと、あの、あかりも手伝おうか?」
結衣「ううん、今日くらいは私がお茶当番やらせてよ」
あかり「はーい、それじゃあよろしくね」ニコッ
あかり「結衣ちゃんのお茶楽しみだよぉ~♪」
京子「さてさて、無難な会話から始まりましたね解説のちなつさん」
ちなつ「お互いの出方を探り合っているんでしょうねぇ……」
ちなつ「こんなことより結衣先輩のお茶飲みたいです~」グスッ
あかり「紅茶なんてエレガントでエキセントリックだね~」
結衣「エキセントリックて……」
あかり「んー、茶葉のほのかな甘みがお口に広がるよぉ」ズズッ
結衣「ふふ、そんな洒落たコメントはいらないって」
あかり「ぇへへ、でも結衣ちゃんもお茶淹れるの上手だね」
結衣「気持ちだよ気持ち、あかりのためを想って淹れました……」
あかり「えっ!」
結衣「なんてね、ただのパックだしそれくらい私でも出来るって」
あかり「も、もう結衣ちゃんってば……」ズズッ
あかり「あ、それならあかり今日クッキーあるんだよ~」
あかり「調理実習で作ってみたの、良かったらどうぞ!」
結衣「へぇ、あかりの手作りか」
あかり「結衣ちゃんを想って作ってみました……」
結衣「なっ……!」
あかり「なーんてね、さっきのお返しだよぉ~」ニコニコ
結衣「もう……、あかりにやられるとはね」
結衣「それじゃいただきます」ハムッ
あかり「ほんと?良かった~!」
結衣「甘さもちょうどいいし、サクサクで紅茶によく合うね」
あかり「ふふ、結衣ちゃんお口にかけら付いてるよぉ」
結衣「あ、ついクッキーが美味しいから夢中になって……」
あかり「ぇへへ……」
京子「あら、なにやらとっても和やかな雰囲気」
ちなつ「だから杞憂って言ったじゃないですかぁ……」
京子「でも出るに出れないんだよね、てへへ」ギュムッ
ちなつ「てへへじゃないですよ~もう……」
あかり「うーん、お掃除とかやってるのかなぁ」
結衣「どうだろうね……」
結衣「ちなつちゃんはともかく、京子は優先的に掃除をサボるからな」
あかり「あはは、それもそうだね~」
結衣「……ふふ」
あかり「ん、あかりの顔に何か付いてる結衣ちゃん?」
結衣「なんかあかりと2人で話したの久々だなぁと思って」
あかり「あ、言われてみれば……」
あかり「そうだねぇ……」
あかり「ふふ、でも案外会話の間が持つよね?」
あかり「もうちょっと気まずいかなぁって思ったけど」
結衣「お、おいコラ!!」
あかり「冗談だよぉ、あかりだってたまにはおちょくったりしちゃうもんね」ニコニコ
結衣「……あかりが言うと冗談に聞こえないんだよなぁ」
あかり「ぇへへ、結衣ちゃんとお話しするの楽しいなぁ~」
結衣「……ふふ、私もだよ」
結衣「へ、あぁもちろんいいけど」
結衣「なんか積極的だね、隣に座ってくるなんて」
あかり「……ゆ、結衣ちゃん」ススッ
結衣「ちょっと顔が近いよあかり!」
あかり「あのね、こんなこと言うのおかしいって分かってるけど……」
あかり「結衣ちゃんお願い……」ギュッ
結衣「あ、あかり?」
京子「……これは?」
ちなつ「う、ウソですよねそんなの……」
結衣「お、落ち着いてよあかり」
あかり「数学の宿題教えてよぉ~、全然分からなくて……」
結衣「……」コツン
あかり「あいた、なんでいまあかりは小突かれたの!?」
結衣「自覚がないのが怖いよ、ほんと……」
結衣「はぁ、ほら宿題持っておいで、教えてあげるから」
あかり「わーい、あかり結衣ちゃん大好き~」
京ちな「つるセコ~」
ちなつ「びっくりしたなぁ……そうだ、あとで私にも宿題教えて下さいね」
京子「えぇ……」
ちなつ「……大声出しますよ、京子先輩に無理やり連れ込まれたって」
京子「手伝わさせていただきます!」
ちなつ「ん、素直なのはいいことですね京子先輩」ナデナデ
京子「あ、えへへ……くぅ~ん」
ちなつ「ふふ、いい子いい子」
あかり「うんうん」
結衣「なもりの公式で、百合は美しいっていうのが導けるんだけど」
あかり「うーん……?」
結衣「その時の右辺が、百合は儚いっていう項になるんだ」
あかり「ふむふむ……」
結衣「それで、こいつをこうして」
あかり「ぇへへ、ふー……」
結衣「あ、んっ……!」ピクッ
あかり「だって結衣ちゃん耳たぶキレイだったからつい……」
結衣「にしたって急に耳に息吹きかけるなよ……」
あかり「でもどうしてビクってしちゃったの?」
結衣「いや、急にやられたら誰でもなるって」
あかり「そうかなぁ、あかりにも今度やってみてね!」
結衣「はいはい、早く次の問題やるよ」
あかり「うんっ!」
ちなつ「結衣先輩は耳が性感帯みたいですね……ふふふ」
京子「わ、私も耳が……あとおへそとか」スリスリ
ちなつ「はいはい、ふー」
京子「んっ、ちなつちゃん……」
あかり「結衣ちゃんのおかげで宿題終わりそうだよぉ!」
結衣「あかりって結構魔性の女になるのかもな……」
あかり「以上より、百合は美しい=百合は儚いが導け……」
結衣「あかり……」フー
あかり「きゃ、きゃああ!?」ビクッ
あかり「はっ、え、え……?」
結衣「ぷっ、だから言っただろ?誰でも耳は敏感なんだよ」
あかり「ゆ、結衣ちゃん……」ジワッ
結衣「ちょ、ちょっとなにも涙ぐまなくても!」
結衣「あれが普通なんだよ、人によっても差はあるけど」
あかり「こ、怖かったよぉ……」グスッ
結衣「……ゴメンねあかり、ちょっとおちょくるつもりだったんだけど」
結衣「……」ギュッ
あかり「あ、う……」
あかり「もうちょっと強くぎゅーってしたら許してあげる」ニコッ
結衣「ふふ、現金だなぁ、最初はあかりからやってきたのに」ギュッ
あかり「んー……ぇへへ」
ちなつ「いいですよ、その代わり語尾にわんを付けること」
京子「わんわん、京子わんわんだー!」
ちなつ「ぷっ、もうほんと可愛いですね京子先輩は」ナデナデ
京子「えへへ、ちなつちゃん大好きー……」
ちなつ「しかしまぁ、ほんとベタ惚れなんですね私に」
京子「そんなの今さらじゃないか~わん♪」スリスリ
ちなつ「ま、まぁ悪い気はしないですけど……」
京子「お、デレたかな」ニヤッ
ちなつ「む……」
<ふふ、結衣ちゃんはココがいいんだぁ?
<それじゃあもっと、もっとしてあげるからね
<あ、あかり……
<あっ、や、気持ちいいよ……
<結衣ちゃんってばそんな声出してほんとに気持ちよさそう……
京子「ちょ、ちょっとなにこの声!?」
ちなつ「え、え……」
ちなつ「京子先輩、もっと詰めて下さいよ!!」
京子「ちょ、ちょっとそんな押さないでちなつちゃん……」
ちなつ「せめて結衣先輩の美声をこのケータイに収めるんです!」グイグイ
京子「きゃ、きゃああ!私のスカート捲れちゃってるから!!」
ちなつ「結衣先輩結衣先輩……」グイグイ
京子「そ、そんなに擦り付けないでぇ……」
京子「ていうか、そんなに押入れのふすま押したら!」
バッターン……
京ちな「あ……」
結あか「え、え?」
結衣「あ、う……あかりのマッサージ気持ちいいなぁ」
京子「ま、マッサージ……」
ちなつ「良かった、ただのマッサージだったんだ!」ギュッ
京子「あ、ん、だからスカート……」
あかり「2人とも制服が半脱ぎの状態で抱き合ってたの?」
ちなつ「えっ?」
結衣「うひゃぁ……」
結衣「あ、あかりちょっと私たち先に帰ろうか」グイッ
あかり「あわわ、結衣ちゃんちょっと引っ張らないでよぉ!」
ガララッ
結衣「いや、まぁ仲がいいというか……」
あかり「でもでも、押入れで抱き合って何してたんだろう……」
結衣「えっ!?」
結衣「……あ、あかりにはまだ早いと思う」
あかり「へっ?」
結衣「うーん、まさかあそこまで京子とちなつちゃんが進んでたとは……」
あかり「結衣ちゃん、なんのお話し?」ユサユサ
結衣「びっくりしたなぁホント……」
あかり「ちょ、ちょっと無視しないでよぉ!」
あかり「うんうん」
結衣「その、こ、恋人どうしってワケで……」カァー
あかり「そっかぁ、あの2人は恋人さんだったんだぁ!」
あかり「ふーん、ぇへへ……」
結衣「にしてもホント進んでるんだなぁ最近の子って……」
あかり「ええええええええええええええええええ!?」
結衣「わっ!」ビクッ
あかり「だ、だって京子ちゃんとちなつちゃんが恋人って!!」
あかり「それじゃ、あの押入れで抱き合ってたのって……」アタフタ
結衣「やば……」
あかり「2人でおしくらまんじゅうでもしてたの?」
結衣「……」ズコッ
結衣「いや、まぁあながち間違ってもないのかな……」
あかり「あんなに密着してすることと言ったらそれしかないもんね~ぇへへ」
結衣「あかりがあかりで良かったよ……」
あかり「ぇへへ、あかりも今日はこっちの道だよぉ」
結衣「ん、何か用事でもあるのかな」
あかり「ちょっと結衣ちゃんのお家に用事があって」ニコッ
結衣「……え?」
あかり「京子ちゃんとちなつちゃんが恋人になったよね?」
結衣「うん、まぁそうだね」
あかり「だから結衣ちゃんが寂しい思いをするだろうなぁと思って……」
あかり「今日はあかりが側にいてあげるよぉ、ふふ」
結衣「……あかり」
あかり「……」ニコニコ
結衣「ほ、ほんとだからな、京子とちなつちゃんがくっ付いたからって……」ギュッ
あかり「ふふ、結衣ちゃんの手は正直みたいだね」
結衣「うっ……」
結衣「……ほんとはとっても嬉しいよ、あかりの気遣いが」
結衣「素直じゃないから、ありがとうって恥ずかしくて言えなくて」
あかり「結衣ちゃんが素直じゃないのは知ってるよぉ、ぇへへ」ギュッ
結衣「……ちゃっかり恋人繋ぎだし」
あかり「ふふ~ん♪」
結衣「ただいまーっと、あかりは適当にくつろいでてね」
あかり「あ、えっと、もう一回お外から帰って来てくれるかな?」イソイソ
結衣「へっ……」
あかり「いいから、早く早く~!」
結衣「……?」
ガチャ ガチャッ
結衣「ただいまー」
あかり「結衣ちゃん、お帰りなさい」ニコッ
結衣「あ……ふふ、ただいまあかり」
結衣「……『あ』かるい、『か』わいい、お『り』こうさん」
結衣「ふふ、本当にいい名前だよねあかりって」
あかり「ちょ、ちょっと褒めすぎだよぉ……」
結衣「あーもう、ちょっとさっきからおかしいな私」
結衣「さっきのお帰りなさいがホントにキュンときた……」
あかり「1人暮らしは寂しいもんね、ふふ」
結衣「でも今は寂しくないかな、あかりが隣にいるし」
あかり「うんうん、素直が一番だよぉ」ニコニコ
結衣「……そうだな、素直が一番」
あかり「ふふ、気にしすぎだよぉ」
あかり「あかりは結衣ちゃんのオムライスが世界で一番好きだもん」ニコッ
結衣「……そういうことを笑顔で言うもんなぁ」
あかり「あ、結衣ちゃんほっぺちょっと赤いね」
結衣「うるさい……じゃ、じゃなくて」
結衣「こほん……」
結衣「ありがとうあかり、私もあかりの笑顔が世界で一番好きだよ」ニコッ
あかり「ぇっ、えぇ!?」
結衣「……あれ、素直が一番だよね」
あかり「はむはむ、オムライス美味しいよぉ~♪」
結衣「なんか胸が苦しいな、ドキドキする」
あかり「結衣ちゃん、あ~ん……」
結衣「はむ、あむ……」
結衣「なんだろうこの気持ち、検討が付かないなぁ」
あかり「結衣ちゃん、ほっぺにご飯粒付いてるよぉ」スッ
結衣「あ……」
あかり「あむっ、なんか恋人さんみたいだねあかりたち……」
結衣「なんで、どうしてドキドキするんだ……」
あかり「ふふ、結衣ちゃんは甘えん坊だね」ナデナデ
結衣「あ、う、こんなの私のキャラじゃないのに……」
結衣「あかり、なんかおかしいんださっきから」
あかり「うん?」
結衣「なんかさっきから顔が熱くて、胸がドキドキして……」
あかり「うんうん」
結衣「あ、あかりの顔もまともに見れないんだ」
あかり「ぇへへ、可愛いなぁ結衣ちゃんは」
あかり「結衣ちゃん、別に無理をすることはないよ」ナデナデ
あかり「あかりはどこにも行ったりしないからね」
結衣「うん……」
あかり「結衣ちゃんもどこにも行ったりしないよね?」
結衣「行かないよ、ずっと側にいる」
あかり「そ、それじゃ……」
あかり「指切りげんまん、ウソついたら針千本~♪」
結衣「ぷっ、普通そこはキスとかくると思うんだけどなぁ……」
結衣「あかりらしいな、……針千本のーます♪」
あかり「ぇへへ」 結衣「ふふ」
結衣「あ、あぁ大体の事情は分かったよ」
あかり「もー、あかりと結衣ちゃんは仲良しさんだよぉ」
京子「そうだよな、こっちの考えすぎで良かったよ」
ちなつ「……というか、お二方みょうにくっ付いてないですか」
結あか「えっ、そうかな」
ちなつ「さ、さり気なく手も握ってますし」
結衣「……ふふ」
京子「むむ、こっちも負けてられないね」ギュッ
ちなつ「張り合わなくていいですから!」
あかり「もう結衣ちゃんってばしょうがないんだから」ニコッ
結衣「ん、やっぱりあかりの隣は落ち着くな……」
結衣「……素直が一番だねあかり」
あかり「ふふ……そうだね!」
おしまい!
よかったです!!!!!!!!!!
素晴らしい
X⌒´ -─=ミ 、>'⌒ヽ. | |
/'⌒_ {/⌒ヽ `'く⌒ソ } | あ |
, -==ァ' / 丶 くミ. | か |
┌─────┐ フ { (⌒{/)┐:′: | :ト、 Vヘ ヽ | り .|
| | ッ 人 _∨ //)i: :. ト、 :∟斗 } V´ | っ .|
│ 罪 │ /:/ う|入 、 |⌒:{ ,Y } | た |
│ な │ ⌒〉 爪{ヘ| \ト{ -=彡|i } V. | ら .|
│ 女 │ rァ′ / !小 -=彡 , '' |i ハ/ jハ | |
│ : .| |:\ .ハ 从 ヽ '' _ ノ ノ/ /}八{ └─────┘
│ : .| |.:.:.:.\}:V \>==- . __ . イ > //∧
| | (⌒ ノ |:.:.:.:.:.:.:7` <{///////><//////∧_
└─────┘ {_ノ |:.:.:.:.:.:/_r==vヘ//////////////////,ハ
Entry ⇒ 2012.06.10 | Category ⇒ ゆるゆりSS | Comments (0) | Trackbacks (0)
岡部「助手の胸を大きくしてやる」
クッ!
岡部「・・・」 チラッ
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
ダル「オカリンどしたん? さっき牧瀬氏のことばっか見てたっしょ」
岡部「いや、なんでもない」
ダル「あれー、もしかして牧瀬氏のこと気になるん? 一夏の恋ktkr?」
岡部「う、うるさい!」
岡部「俺はただ・・・Dメール実験をどう推し進めようかと・・・ハッ!」
岡部「ふふふ、ふはは・・・」
岡部「フゥーハハハ! これどぅあ!」
ダル「ちょ、一人納得でしてないで説明よろ」
岡部「Dメールを送ることによって過去を変え・・・」
岡部「助手の胸を大きくしてやる」
岡部「ふ む」
ダル「一番試す価値あるのはやっぱ”胸を揉む”じゃね? なんだったら僕が──」
岡部「ええいダルよ! 貴様にその役を渡すわけにはいかん! じゃじゃなくて」
岡部「ここにも書いてあるだろ、”好きな人に揉まれると大きくなるかも”と」
ダル「じゃあオカリン揉んであげれば? 牧瀬氏もオカリンに気がなくもない感じですしおすし」
岡部「あ、あいつが俺に気があるだと!? 馬鹿な事を言うな! そんな訳わけなかろう!」
岡部「仮にあったとしても、あいつは機関のエェイジェントであり、俺の監視をしているからに過ぎん!」
ダル「はいはい、またいつもの設定すね、分かります」
ダル「つーか男二人でおぱーい大きくする方法探すとかさすがに悲しくなってくるわけだが」
岡部「つべこべ言うなっ これもラボメンのため、助手のためであーる!」
岡部「・・・」
岡部「考えていても仕方あるまい、片っ端から試すぞ」
ダル「はいはい、もう好きにしろだお」
ピッピ
乳製品もっと
取れ胸が大き
なるぞ
岡部(送るのは第二次性徴が始まる頃・・・およそ10年前)
岡部(クリスティーナが既に携帯を持っているかは分からんが送れなければ時期をずらす)
ダル「こんなんでホントに変わるん?」
岡部「分からん・・・が変わったとしてもそれは俺にしか感知できんだろうな」
ダル「放電、始まったお!」
岡部「いけぃ!!」
ピッ
岡部「ぐぅうぅぅ!」
ブゥゥゥゥゥン
岡部(リーディングシュタイナーが発動した・・・)
岡部(過去が書き換えられたんだ!)
紅莉栖「ねえ岡部、あんた大丈夫?」
岡部(クリスティーナ! む、胸は!?) ジー
岡部「か、変わってない」
岡部(胸は大きくなっていない・・・が)
紅莉栖「ちょっと岡部! あんた人の胸じろじろ見て何ブツブツ!」
岡部「クリスティーナ・・・おまえ・・・そんなに背ぇ高かった・・・か?」
紅莉栖「は、はぁ!?」 スラー
岡部(俺よりは小さい・・・が、明らかに170cmは超えている)
岡部「胸に栄養が行かず背ばかりがでかくなった・・・と言う訳か、実験は失敗だな」
紅莉栖「ちょ! 人が気にしてることを・・・!」
紅莉栖「謝りなさい! 今すぐ! あんたは乙女のプライドをズタズタにした! 謝るまで絶対に許さないからな!?」
岡部「ぬぐっ おのれ助手っ! 背がでかくなったと思ったら態度まででかくなりおって! カルシウムがまだ足りんというのか!?」
紅莉栖「うっさい! だから人が気にしてることをピンポイントで攻めるなぁ!!///」
~なかったことにしました~
岡部「乳製品を取らせる作戦は失敗だった」
ダル「へぇー、あの牧瀬氏が170cm超えとか想像できんすな、だがそれも良い」
ピッピ
少食ダメ絶対
胸が大きくな
らず後悔する
岡部(これも10年ほど前で良いだろう)
ダル「こんなんでホントに変わるん?」
岡部「食はすべての基本だからな、バランスよく栄養を取れば上手くいくかもしれん」
ダル「それオカリンが言えた口じゃないっしょ」
ダル「あ、放電、始まったお!」
岡部「いけ!!」
ピッ
岡部「ぐぅうぅぅ!」
ブゥゥゥゥゥン
岡部(またリーディングシュタイナーが発動した・・・)
岡部(過去は書き換えられた!)
紅莉栖「ねえ岡部、あんた大丈夫?」 ズルズル
岡部(なんだこの・・・むせ返るような匂い・・・とんこつ?)
紅莉栖「大丈夫って言ってんのが聞こえないの?」 ズルズル スルッ
岡部(ク、クリスティーナ! 胸は・・・の前に)
岡部「おい助手、なんだその見苦しい腹回りは」
紅莉栖「は、はぁ!? ちょっとなにそれ! 女の子にそんなこと言うなんてサイテーよ!」 ズルズル チュルッ
岡部「だぁっ! 物を食いながらしゃべるでないっ! このっ メタスティーナがっ」
紅莉栖「ちょ! また変なあだ名を増やすなっ つーか今までで一番酷い!」
岡部「し、しかも・・・有り余る脂肪が胸にいってないとはどういうことだ!」
紅莉栖「そ、それ以上言ったらあんたの脳で出汁とってスープにしてやるからなぁぁぁぁ!?」
岡部「大食させる作戦は大失敗だ、見苦しい体型の上、バストアップ効果があったようにも思えない」
ダル「へぇー、あの牧瀬氏がメタボとか想像できんすな、ちょっと親近感湧いたお」
岡部「次は”土台がなければ育たない、胸筋を鍛えてバストアップ”を試す!」
ピッピ
腕立て伏せを
かかすな胸が
大きくなるぞ
岡部(これも10年前で良いだろう)
ダル「こんなんでホントに変わるん?」
ダル「っていうか、あの 貧弱ゥ!な牧瀬氏が腕立てなんてできんのかお?」
岡部「10年の積み重ねがあれば・・・あるいは。それに奴も胸の事になれば本気を出さざるを得まい」
ダル「放電、始まったお!」
岡部「いけっ!!」 ピッ
岡部「ぐぅうぅぅ!」
ブゥゥゥゥゥン
岡部(今回もリーディングシュタイナーが発動した・・・)
岡部(また過去が書き換えられたんだ!)
ガチャリ バタン!
紅莉栖「岡部っ!」
岡部(クリスティーナ! む、胸は・・・) チラッ
岡部「変わっていない・・・が」
紅莉栖「ん? 何が? まぁいいわ、ほら行くわよ」
岡部「な、どこにだっ!?」
紅莉栖「どこって、約束してたじゃない! 早く!」 ガシッ
岡部「!? おわぁぁあ! ひ、引っ張るなぁぁあ!」
紅莉栖「サーブ行くわよ! 岡部!」 ガッ
岡部(特に身体的変化は見受けられない・・・いや、以前より線が太くなって引き締まった感じ・・・)
岡部(だがDメールによって性格が大きく変わっている、快活体育会系少女に──」
紅莉栖「食らいなさい! 79式波動球!」 ボッ
岡部「ぬわーーっっ!!」 ドサッ
岡部「な・・・なかったことにしなくてはならない・・・」
紅莉栖「立ちなさい岡部! 私の波動球は108式まであるわよ!」
~なかったことにしなくてはならない~
岡部「腕立て作戦も失敗だ・・・酷い世界線だった」 ジワッ
ダル「ひぇー、テニヌっすか・・・今の牧瀬氏からは想像もできんすな」
ピッピ
バストアップ
サプリ今から
試しておけ
岡部(これはあまり早すぎても成長に害を与える可能性がある。3年前で良い)
ダル「こんなんでホントに変わるん?」
岡部「3年も試していればいずれ”当たり”にたどり着くだろう」
ダル「放電、始まったお!」
岡部「次こそ!」
ピッ
岡部「ぐぅうぅぅ!」
ブゥゥゥゥゥン
岡部(リーディングシュタイナーが発動・・・)
岡部(今度も過去が書き換えられた・・・)
ガチャリ バタン
紅莉栖「あら、岡部じゃない・・・」
岡部(良い所に!) ジー
岡部「・・・胸は小さいまま・・・か、実験はまた失敗だな」
紅莉栖「──!」
紅莉栖「胸が小さいまま・・・か」
岡部「・・・どうしたのだクリスティーナ、元気があまりないようだが」
紅莉栖「いつものことじゃない・・・何? あんた私のこと心配してくれてるの?」
紅莉栖「ふふっ・・・素直じゃないわね・・・大丈夫、ちゃんと分かってるわよ・・・」
紅莉栖「岡部って時々すごく優しくなるよね、そういうのたまんないなぁ・・・」 ジリッ
岡部「ちょ、ちょ、目が怖いぞ助手!」
紅莉栖「おかべー・・・」 ググッ
岡部「く、紅莉栖さん? 紅莉栖さぁん!?」
紅莉栖「うふふふふ・・・初めて名前で呼んでくれた・・・嬉しい」 グググッ
~なかったことにした上で~
岡部「サプリも失敗だ・・・薬とは怖いものだな、ダルよ・・・」 ジワッ
ダル「牧瀬氏ヤンデレ化キターーー、一度見てみたかったですはい」
ピッピ
ブラジャー
してると胸が
成長しない
岡部(い、いつ頃から助手がブラをするようになったのかは分からんが・・・7年ほど前で良いだろう)
ダル「こんなんでホントに変わるん?」
岡部「分からん、が可能性がない訳でもない」
ダル「っていうかノーブラのすゝめとか言う事聞かないっしょ常考」
ダル「あ、放電、始まったお!」
岡部「今度こそ!!」
ピッ
岡部「ぐぅうぅぅ!」
ブゥゥゥゥゥン
岡部「はぁ・・! はぁ・・・!」
岡部(今回もリーディングシュタイナーは発動した)
岡部(やはり過去が書き換えられた)
紅莉栖「ねえ岡部、どうしたの? 息なんか切らしちゃって」
岡部(クリスティーナ・・・胸は・・・)
紅莉栖「え・・・ちょっと・・・どうしたのよ、私の胸なんか凝視して」
岡部「やはり変わってる様子はな──はっ!」
岡部(透けてる! 透けてるぞ助手よ!)
紅莉栖「何よ、急に固まっちゃったりして」 チラッ
紅莉栖「──あ」
紅莉栖「・・・見た? 見たのね?」 キッ
岡部「き、貴様がそんな透けやすい服を着てるのが──」
紅莉栖「ふふ、別に岡部にだったら見せてあげてもいいわよ?///」
岡部「は? え?」
岡部「お、俺だ! 大変なことになった、今強烈な精神攻撃を受けている!」
岡部「仲間が、クリスティーナが洗脳されているのだ! 何? すぐに逃げろだと?」
岡部「バカな事を言うな! 俺にとって大切な仲間だ、放っておけるはず──」
紅莉栖「なんなら直接見る?///」 ジリジリ
岡部「い、いや俺はただ助手の胸が成長しているかどうかをぉぉ!」
紅莉栖「んふふふっ・・・小ぶりだけど・・・形はいいのよ?///」 ググッ
岡部「わっ! ま、待て! 当たってる! 当たってるから!」
紅莉栖「もう、岡部ったら照れちゃって可愛い///」 チュッ
岡部「だぁーっ! どさくさにまぎれて頬にキスとかするんじゃない!」
紅莉栖「ロスでは日常茶飯事・・・んんっ、こすれて気持ちいい・・・///」
岡部「よ、よさんかぁぁぁ! この天才HENTAI少女っ!」
紅莉栖「あら、私は変態じゃないわよ? 仮に変態だとしても変態淑女よ///」
岡部「もう少しで俺のゲルバナがスカイクラッドするところだった。メリケンスタイル・・・恐ろしい子!」 ググッ
ダル「なかったことにしてはいけなかった」
岡部「・・・次は”揉めや増やせや、胸増改革”を試す!」
ピッピ
娘の将来貧乳
今のうちから
毎日胸を揉め
岡部(既にクリスティーナから父親のアドレスは入手済み)
岡部(父親の仲が決定的に悪くなったのは7年前・・・だから10年前に送ればいい)
ダル「父親におぱーい揉ませるとか・・・それなんて近姦エロゲ?」
岡部「助手はファザコンだ、可能性は0ではない」
ダル「放電、始まったお!」
岡部「どうなる!!」
ピッ
岡部「ぐぅうぅぅ!」
ブゥゥゥゥゥン
岡部「はぁ・・! はぁ・・・!」
岡部(今回もリーディングシュタイナーは発動した)
岡部(あのDメールでも過去が書き換えられた)
紅莉栖「ちょっと岡部、気持ち悪い」
岡部「は?」
岡部「な、なんだと!」
紅莉栖「ムキになったってことは図星ですね分かります」
岡部(この女殴りたい・・・って落ち着け俺、実験結果は・・・と)
紅莉栖「あの、じろじろ見ないでくれる? イヤラシイ」
岡部「変わってないな」 フゥー
紅莉栖「なによそれ」
岡部「いや何、相変わらず貧相な胸をしているな・・・と呆れ──」
紅莉栖「はぁ!? ほんっとサイテーね・・・」 ギロッ
岡部「ヒッ!」
紅莉栖「男ってのは口を開けば胸だのなんだの・・・あぁ、もうホントに汚らわしいったらありゃしない!」
岡部「お、おい助手・・・」
紅莉栖「近寄らないで! 触ろうとしないで!」
岡部「何をそんなにイライラ──」
紅莉栖「あーもう! 男が半径3m以内に居るだけでノルアドレナリンが過剰分泌するわね!」
岡部「あんなメールを送ったせいで男嫌い・・・恐らく父親との仲は最悪・・・さらに実験も失敗」
岡部「すまない・・・未だ見ぬクリスティーナのちちよ」
ダル「ツン100%の牧瀬氏っすか、我々の業界ではご褒美です!」
岡部「次は”お手軽豊胸手術 ヒアルロン酸注入”を試す!」
ピッピッ
ヒアルロン酸
豊胸安く長持
今すぐ受けろ
岡部(送るのは2ヶ月前・・・)
岡部「俺たちが豊胸手術を受けろと言ってもも奴は聞く耳など持ちはせんだろう、これも助手のため」 ヒソヒソ
岡部「それに・・・突然見知らぬアドレスから豊胸手術受けろってメールが来ても怪しいだけだけだからな」 ヒソヒソ
ダル「牧瀬氏がソファでうたた寝してるのをいいコトに、オカリン・・・おまいって奴は・・・」 ヒソヒソ
ダル「だがそこに痺れる憧れるぅー!」
岡部「バカ! 大声を出すな!」
ダル「はいはい、あ、放電、始まったお!」
岡部「これで・・・!!」
ピッ
岡部「ぐぅうぅぅ!」
ブゥゥゥゥゥン
岡部(あのメールでもリーディングシュタイナーは発動した)
岡部(過去は変わった)
岡部(つまりこれでクリスティーナの──)
ガチャリ バタン
紅莉栖「はろー」
岡部「クリスティーナ!」
紅莉栖「な、なによ」
岡部「──!?」
ババァン
岡部(せ、成功した!? やった! 迷信や体質の壁を超えた現代科学の勝利!)
岡部「ふふふ・・・ははは」
岡部「勝利の時は来た!」
岡部「この俺は、あらゆる陰謀にも屈せず!」
岡部「己の信念を貫き・・・ついに」
岡部「ラグナロックを戦いぬいたのだ!」
岡部「訪れるのは・・・」
岡部「助手の望んだ世界なり!」
岡部「全ては・・・シュタインズゲートの選択である!」
岡部「エル・プサイ・コングルゥ!」
岡部「世界は・・・ッ」
岡部「再構成されたッッ!!」
紅莉栖「やっぱりあんただったか」
岡部「!?」
岡部「つ、詰め物!?」
紅莉栖「今これを詰めてるの・・・」
紅莉栖「フフッ、おかしいと思ったのよね・・・」
紅莉栖「2ヶ月前、今日の日付で送られてきた私からのメール」
紅莉栖「ずっと気にかかってたけど・・・このラボに来て、Dメールのこと知って・・・実験して・・・」
岡部「」
紅莉栖「そして今あんたの挙動を見て悟ったわ」
紅莉栖「あんたが私の携帯を使ってDメールを送ったんだって」
岡部「なぜだっ、リーディングシュタイナーは確かに発動した!」
岡部「何か・・・何か過去が変わったはずなんだ!」
ドォン
岡部「な、なに? 領収書・・・?」
岡部「手術代金・・・30万ンン!?」
岡部「ってことはお前・・・まさかッ!」
紅莉栖「えぇそう」
紅莉栖「フフッ、でも一ヶ月も過ぎれば元通り・・・おかげで枕を濡らしたわよ・・・」 ユラァ
岡部「あわ・・・あわわわわわ、こ、これもシュタインズゲートの選択だと言うのかッ!?」
紅莉栖「さぁ岡部、覚悟はいいかしら?」 ニコッ
\ あおおーっ! /
おしまい
乙
どれにする?
ノッポ
メタ
体育会
メンヘラ
エロ
男嫌い
傷心
>>95
把握、とりあえずメタじゃなくて良かった
岡部「ま、待てーい!」 バッ
紅莉栖「どうしたのよ・・・いつもなら・・・こんな時優しくしてくれるのに・・・」 ジワッ
岡部「──な、泣くなクリスティーナ!」
紅莉栖「いつも頭撫でてくれるじゃない・・・よしよしって」
紅莉栖「ねぇ・・・どうしたの? 岡部・・・今日のあんたなんか変よ・・・」
岡部「へ、変なのはお前のほうだぁっ」
岡部(ど、どういうことだ、どうしてこうなった)
岡部(Dメールの内容はサプリを飲んでバストアップ・・・、とても体を壊すようなものじゃないはず──)
紅莉栖「ねぇ岡部、私あんたのためにいっぱいいっぱいいーっぱい努力してるんだよ?」
紅莉栖「なのにどうして分かってくれないの?」
紅莉栖「ほら、胸がおっきくなるお薬も・・・こんなに」 ジャラジャラ
岡部(えぇーっ!)
紅莉栖「でも全然大きくならない、ならないのよ・・・なんでだろう、ねぇ岡部ぇ・・・」 ジワッ
紅莉栖「色んなサプリメント試したのに一向に効く気配がない・・・」
紅莉栖「だから飲む種類増やしたんだけどそれでも効かない・・・」
紅莉栖「なんで? ねぇなんで? なんで私の胸は大きくならないの? これじゃあダメなの?」
紅莉栖「岡部、何とか言ってよ・・・岡部・・・岡部・・・岡部」
岡部「」
紅莉栖「岡部・・・声を聞かせてよ、岡部の声・・・聞いてないと私死んじゃうよ・・・」
岡部「すまないっ!」 ガバッ
紅莉栖「えっ・・・お、岡部?」
岡部「すまない・・・紅莉栖・・・!」
岡部「送らなきゃ良かった! 俺がサプリを飲めなんてDメール・・・送らなきゃ良かったんだ!」
紅莉栖「そう・・・だったんだ」
岡部「許してくれ・・・紅莉栖」 グッ
紅莉栖「ん・・・ちょっと岡部・・・苦しいよ」
岡部「すまなかった・・・」
紅莉栖「うっふふ」
紅莉栖「ねえ」
岡部「・・・なんだ?」
紅莉栖「やっぱり・・・あんたも・・・///」
紅莉栖「その・・・大きい方がいいの?・・・む、胸とか///」
岡部「か、関係ない、そんなこと関係ない」
紅莉栖「そう・・・なんだ」
岡部「ありのままのお前でいろ、俺にはそれが一番だ」
紅莉栖「岡部ぇ・・・」 ギュッ
ガチャ バタン
岡部「」
紅莉栖「岡部ー、今日も作ってきたわよ、お・べ・ん・と・う」
岡部「」
紅莉栖「ちょっと、どうしたのよ、顔が青いわよ?」
岡部「いや・・・なんでもない、なんでもないんだ」
紅莉栖「うっふふ、ここ毎日一緒にいるから他のラボメンの目が気になるのね?」
岡部「そ、そんなことは・・・」
紅莉栖「いいの、分かってるから」
紅莉栖「はい、そんな岡部にーは。紅莉栖特製炊き込みご飯とあじのムニエル弁当っ!」 ポンッ
紅莉栖「炊き込みご飯には栄養たっぷりのプロテイン入り、あじのミニエルには隠し味としてしいたけの煮汁が入ってるわよー?」
岡部「」
紅莉栖「はい、あーん」
岡部「」
紅莉栖「きょ、今日のはすっごく張り切ったんだよ? 4時おきで頑張ったんだから・・・えへへ」
紅莉栖「ほら、おかげでクマまでできちゃった、も、もう恥ずかしい・・・」
紅莉栖「でも岡部のためなら私・・・」
岡部「」
紅莉栖「あ、あれ? 岡部?」
岡部「な゛ん゛て゛も゛な゛い゛」
ガチャリ
まゆり「トゥットゥルー」
まゆり「あ、オカリーン、クリスちゃーん」
紅莉栖「はろー」
岡部(ま゛ゆ゛り゛ た゛す゛け゛て゛く゛れ゛) ジー
紅莉栖「ちょっと岡部、まゆりのことじろじろ見て、どうしたの?」
紅莉栖「ひょっとして岡部・・・」
紅莉栖「やっぱり」
紅莉栖「まゆりの胸ばっかり見て・・・そうなんだ、やっぱりそうなんだ・・・」
岡部「ち゛ ち゛か゛う゛」
まゆり「え・・・えっと、まゆしぃはちょっと用事を思い出したのでーす、ごめんねー、来たばっかなのに、えっへへー・・・」
バタン
岡部(ま゛ゆ゛り゛ぃ゛ぃ゛ぃ゛ぃ゛ぃ゛!)
紅莉栖「岡部は胸の大きさなんて関係ないって言ってたけど・・・やっぱりだめ、岡部が優しいからそう言ってくれてるだけだもの」
紅莉栖「桐生さんや阿万音さん、フェイリスさんに負けないためにももっと努力しないと・・・もっと」
紅莉栖「もっともっともっともっともっと
もっともっともっともっともっと
もっともっともっともっともっと
もっともっともっともっともっと
もっともっともっともっともっと」
紅莉栖「あはっ・・・待ってて岡部、私必ず魅力的な胸を手に入れて見せるわ!」
岡部(こ、こんな世界線はなかったことにしなくてはならない!!)
おしまいだよ
まゆしーごめんね、怖がらせてごめんね
σ λ
~~~~
/ ´・ω・)
_, ‐'´ \ / `ー、
/ ' ̄`Y´ ̄`Y´ ̄`レ⌒ヽ
{ 、 ノ、 | _,,ム,_ ノl
'い ヾ`ー~'´ ̄__っ八 ノ
\ヽ、 ー / ー 〉
\`ヽ-‐'´ ̄`冖ー-/
_
σ λ
~~~~
/´・ω・ )
_, ‐'´ \ / `ー、_
/ ' ̄`Y´ ̄`Y´ ̄`レ⌒ヽ
{ 、 ノ、 | _,,ム,_ ノl
'い ヾ`ー~'´ ̄__っ八 ノ
\ヽ、 ー / ー 〉
\`ヽ-‐'´ ̄`冖ー-/
何か言えよ
Entry ⇒ 2012.06.10 | Category ⇒ シュタインズゲートSS | Comments (1) | Trackbacks (0)
あずさ「コーヒー」貴音「こぉひぃ」
貴音「あずさ、あずさ」チョイチョイ
あずさ「うん?」
貴音「何ですか、それは」
あずさ「これ?コーヒーミルよ」ジャーン
貴音「こぉひぃ見るよ?」メンヨウナ
あずさ「コーヒー豆を挽く機械の事ね」
貴音「成る程」
貴音「ふむ」
あずさ「このハンドルを回すと」ゴリゴリ
貴音「おぉ!」
あずさ「豆を挽く事が出来るの」
貴音「あずさ、私に!」ソワソワ
あずさ「はい、どうぞ?」ハイ
貴音「おお~」ゴリゴリ
貴音「おおぉ~」ゴリゴリ
あずさ「ふふっ、お疲れ様です」
あずさ「そして、下の引き出しを開けると...」カパッ
あずさ「挽いた豆がここに溜まっているのです~」ジャジャーン
貴音「おおっ!」
あずさ「挽きたての豆はいい香りよ?」スッ
貴音「.....」スンスン
貴音「おぉふ....」ヨキカナー
貴音「おぉ」オー
あずさ「まずは、使う容器を軽くお湯で温めます」
貴音「ふむ」
あずさ「ドリッパーにフィルターを二重にしてセットします」
貴音「何ゆえ二重に?」ホワイ
貴音「風味豊かになる、と言う事ですか」
あずさ「そうよ」イエス
あずさ「そして、フィルターに豆を入れます」サラサラ
貴音「私の挽いた豆です」フンス
あずさ「そうですよー?」
貴音「ふむふむ」
あずさ「そして、お湯を少しづつ窪みに注ぎましょう」
貴音「少しづつ、ですね」
あずさ「ええ、一気にお湯を注いじゃダメですよ?」
貴音「ええ、肝に命じておきましょう」
あずさ「そうして、人数分コーヒーが落ちたら出来上がりです」
貴音「まだ落ち切って無いようですが」
あずさ「これは雑味が多いから、捨てちゃいましょう」
貴音「何やら勿体無い気もしますね」
貴音「おぉ!良い香りが!」
あずさ「さ、冷めないうちにどうぞ?」
貴音「では、早速....」
貴音「........にがいです」
あずさ「あらあら」
貴音「.....おぉ、まろやかになりました」
あずさ「苦味の強いコーヒーにはミルクはよく合うの」
あずさ「逆に酸味の強いコーヒーにはそんなに合わないみたいね」
貴音「ほう」
貴音「この時間に飲んでしまっては」
あずさ「焙煎の強い、つまり深煎りのコーヒーほどカフェインは少ないのよ」
あずさ「だから、平気だと思うわ」
貴音「苦いほど眠れなくなる、というのは間違いでしたか」
あずさ「ふふっ、喜んでもらって何よりだわ」
貴音「しかし、何ゆえ事務所にこぉひぃみるを持って来たのですか」
あずさ「家に帰るつもりが、何を間違えたのか事務所に来ちゃってて」
貴音「道を間違えたのですね」
貴音「では...これから度々使わせて頂きますか」
あずさ「ええ、好きにしていいわよ」
貴音「貴女にも美味しいこぉひぃを飲ませられるよう、精進しましょう」
あずさ「ふふっ、期待してるわね?」
貴音「あなた様、こぉひぃです」
P「ありがとう」
P「.....ん、美味しいな」
貴音「ふふっ、ある方に習った淹れ方です」
P「そうなのか、また飲みたくなったら頼むとしようかな」
貴音「ええ、お任せください」
end
Entry ⇒ 2012.06.10 | Category ⇒ アイマスSS | Comments (0) | Trackbacks (0)
シンジ「……だまれよっ!!」バンッ! アスカ「ひっ」ビクッ
アスカ「ちょっと、バカシンジ」
シンジ「なに?」
アスカ「こんな高カロリーなものダイエット中の私が口にするわけないでしょ、下げて」
シンジ「でも、もう作ったし……」
アスカ「なに?文句でもあるわけ?」ギロッ
シンジ「な、ないけど……」
アスカ「早く作り直してね。部屋で待ってるから」
シンジ「う、うん」
ミサト「……」
ミサト「しーんちゃん」
シンジ「はい」
ミサト「ちょっとアスカにあまいんじゃない?」
シンジ「ミサトさんはちゃんと食べてくださいね」
ミサト「食べるけど。それより、シンちゃんはこのままでいいの?」
シンジ「なにがですか?」
ミサト「アスカ、シンちゃんの優しさに付け込んでドンドン女王様になっていってるわよ?」
シンジ「まぁ、確かに……」
ミサト「ここらでガッツンと言わないと」
シンジ「でも、いつも口喧嘩だと負けるし……」
ミサト「そっかぁ」
シンジ「……」
シンジ「それは流石に」
ミサト「勿論、直接殴ったりしちゃダメ」
シンジ「え?」
ミサト「次、アスカが我侭言ってきたら、こう―――」
ミサト「……」バンッ!!
シンジ「ひっ」
ミサト「無言でテーブルとかどっかを思い切り叩いてみたら?」
シンジ「そんなことしてもアスカは怒ると思いますけど」
ミサト「そこで「なんか文句あるのぉ?」とか言われたら、「別に」って言っておけば大丈夫よ」
シンジ「そんなこと……」
ミサト「まぁまぁ、大喧嘩になりそうになったら私がとめたげるし」
シンジ「わ、わかりました」
アスカ「なに?できたの?」
シンジ「やっぱり、これ食べてよ。もったいないし」
アスカ「あんたバカぁ?ダイエット中だって何回言ったらわかるの?」
シンジ「でも……」
アスカ「でももテロもないの。早く作り直して」
シンジ「アスカ……」
アスカ「……なによ?」
シンジ「……っ」バンッ!!
アスカ「……!?」ビクッ
アスカ「え……?」ドキドキ
シンジ「アスカ、やっぱり食べてよ」
アスカ「だから―――」
シンジ「……」バンッ!!!
アスカ「ひっ」ビクッ
アスカ「し、しつこいわね……た、食べないって言ってるでしょ?」
シンジ「なんでそんなこと言うんだよ」
アスカ「ダイエット中なの」
シンジ「ちゃんとカロリーのことは……考えてるよ」
アスカ「嘘ね。そんなの気にしたことないでしょ、アンタ?」
シンジ「作ってるのは僕だろ」
アスカ「シェフならきちんと私の意見を聞きなさい」
シンジ「僕はアスカのシェフじゃないよ」
アスカ(なによ、こいつ。今日はやけに食い下がるわね……)
シンジ「ねえ、アスカ。食べてよ」
アスカ「嫌だっていってるで―――」
シンジ「……」バンッ!!!!
アスカ「……っ」ビクッ
アスカ「な、なんども同じことしてビビるアスカ様じゃないんだから……」ドキドキ
アスカ「そ、そう……」
シンジ「……15分ぐらい待ってて」
アスカ「低カロリーよ。低カロリー」
シンジ「うん」
アスカ「……」
アスカ(びっくりした……)
ミサト「ダメ?」
シンジ「はい。もういいですよ。作りますから」
ミサト「ちょーっとまったぁ!」
シンジ「なんですか?」
ミサト「豆腐だけ出してみましょう」
シンジ「豆腐だけですか?流石にアスカ、怒るんじゃぁ」
ミサト「いいからいいから。私がアスカの反応をみてあげるー」
アスカ「あら、早いじゃない。感心感心♪」
シンジ「どうぞ」スッ
アスカ「なにこれ?」
シンジ「絹ごし豆腐。しょうゆと生姜はお好みで」
アスカ「ちょっと!!私に死ねっていってるの?!」
シンジ「でも、低カロリーがいいって」
アスカ「低カロリーすぎるでしょ!!そこまで必死にダイエットしてないの!!」
シンジ「だけど……」
アスカ「大体、手を抜きすぎ!!こんなの栄養も偏るし―――」
シンジ「……」バンッ!!!!!
アスカ「ひっ」ビクッ
シンジ「食べないの?」
アスカ「だ、だから、ちゃんとしたやつ作りなさいよ」
ミサト「……」
アスカ「だから、こっちは高カロリーでしょうが」
シンジ「アスカ。我侭だね」
アスカ「アンタが無能なの―――」
シンジ「……」バンッ!!!!!!
アスカ「……っ」ビクッ
シンジ「そもそもダイエットなんてしなくてもいいと思うけど」
アスカ「バカシンジには分からないの」
シンジ「……」バンッ!!!!!!
アスカ「ひっ」ビクッ
アスカ「……ちょっと、太ったから体重を調整するためよ!!それが理由!!これでいいでしょ!?」
シンジ「そうなんだ……」
アスカ「な、なんでダイエットの理由をいちいち言わないといけないのよ……」
ミサト「……」
アスカ「……た、たべない」
シンジ「そっか……なら仕方ないな……」
アスカ(ほっ)
シンジ「……」バンッ!!!!!!!!
アスカ「ひぃっ」ビクッ!!
シンジ「何がいいの?」
アスカ「……もういいわよ!!そこまでいうなら食べる!!それでいい!?」
シンジ「え?でも、いらないんじゃ……?」
アスカ「明日!!明日からダイエットすることにしたの!!文句ある?!」
シンジ「うん。ありがとう」ニコッ
アスカ「……」モグモグ
ミサト「……ふーん」
ミサト「シンちゃーん。おびーるとおつまみー」
シンジ「はーい」
シンジ「おかわりは?」
アスカ「……」
シンジ「アスカ?」
アスカ「い、いらない……わ、よ……」
シンジ「……」
アスカ「……」ゴクッ
シンジ「わかった。じゃあ、残った分は明日食べて」
アスカ「……うん」テテテッ
シンジ「……」
ミサト「おつかれー」
シンジ「……手がいたい」
ミサト「やりすぎな気もしたけど、まぁいい感じねぇ」
シンジ「そうですね。アスカ、食べてくれたし」
ミサト「でも、このまま慣れてもらっても困るわよねぇ……」
ミサト「いや。普段温厚なシンちゃんが急にやったからアスカもびっくりしただけで、何回もすると慣れちゃうでしょ?」
シンジ「確かに」
ミサト「ここはアレね。これからは本当にたまーにしましょう」
シンジ「でも、加減というかタイミングがよくわかりません」
ミサト「基準かぁ……」
シンジ「我侭を言ったときにしちゃうと、アスカの心よりも先に僕の手の骨が折れると思うし……」
ミサト「じゃあ、こういうのはどう?」
シンジ「なんですか?」
ミサト「アスカが一定回数我侭を言ったら、バンっ!ってする」
シンジ「その回数は?」
ミサト「それはシンちゃんがその都度、決めたらいいんじゃない?一度、叩いたら次は五回までオッケーとか」
シンジ「完全にランダムにするんですね」
ミサト「そうそう。でも、1回とか2回はなるべく避けたほうがいいかもね。毎度10回前後ぐらいがいいかも」
シンジ「なるほど」
シンジ「……アスカ、コーヒーいる?」
アスカ「も、もうねるから、いらない」
シンジ「そう」
アスカ「それぐらいわかるでしょ?」
シンジ「……」
アスカ「……なによ?」
シンジ「ううん。おやすみ」
アスカ「……はぁ……」トコトコ
シンジ(これ、一回にカウントしていいのかなぁ……)
シンジ「……」
シンジ(よくわかんないし、カウントしとこう)
シンジ(今回は無難に10回我侭を言ったらにしておこうかな)
シンジ「アスカー、朝だよ」
アスカ「あとごふん……」
シンジ「だめだよ。早く起きないと」ユサユサ
アスカ「もう……昨日は良く眠れなかったんだから、寝かせて!!」
シンジ「……」
アスカ「あ……」
シンジ「分かった。それじゃあ、10分後に起こしに来るから」
アスカ「う、うん……」
アスカ(な、なんだ、いつものバカシンジじゃない)
アスカ(よかった……よかっ―――)
アスカ「すぅ……すぅ……」
ミサト「それじゃあ、先に出るから戸締りよろしくねー」
シンジ「わかりました」
アスカ「……」モグモグ
シンジ「さ、洗い物しないと」
アスカ(昨日は不機嫌だっただけみたいね)
アスカ(全く、びっくりさせないでよ)
シンジ「……」ジャブジャブ
アスカ「ごちそうさま」
シンジ「アスカ、お皿こっちにもってきて」
アスカ「そ、そんなのアンタがやればいいでしょ?」
シンジ「……」
アスカ「……」
シンジ「うん。そうだね。アスカは登校の準備してきてよ」
アスカ「え、ええ……」
いいぞもっとやれ
シンジ「昨日さ、頼まれごとがあったから綾波の家に行ったんだ。そしたらお茶を淹れてくれたんだ」
アスカ「ふーん」
シンジ「聞いてる?」
アスカ「アンタの話なんてこれっぽっちも面白くないから、聞いてない」
シンジ「そっか。ごめん」
アスカ「あんた、ばかぁ?それぐらい話す前に気がつきなさいよ。聞かされる身になって」
シンジ「ごめん」
アスカ「じゃあ、ほら、カバンもって」
シンジ「え?なんで?」
アスカ「重いの。他に理由がある?」
シンジ「……」
アスカ「……重いのよ」
シンジ「うん。持つよ」
アスカ(よし。いつものシンジね)
シンジ「おはよう、綾波」
レイ「おはよう」
シンジ「これ、今日のお弁当」
レイ「ありがとう」
アスカ「……ちょっと、バカシンジー?」
シンジ「なに?」
アスカ「ジュース買ってきて」
レイ「……」
シンジ「自分でいけばいいじゃないか」
アスカ「私に意見するなんて10億年はやいのよ!!バカシンジのくせにぃ!!」
シンジ「……」
アスカ「ほら、お金は渡すから」
シンジ「分かったよ」トボトボ
アスカ(そうそう。シンジはこうでないと)
トウジ「せんせー、飯にしようや!!」
シンジ「うん」
レイ「……」トテトテ
シンジ「綾波、一緒に食べない?」
レイ「え?いいの?」
ケンスケ「どうぞどうぞ」
レイ「じゃあ、碇くんの隣でいい?」
シンジ「座って」
レイ「じゃあ、失礼します」
トウジ「ええなぁ!せんせーは嫁がぎょーさんおって」
シンジ「嫁って―――」
アスカ「シンジー!!お茶がなくなったー、買ってきてー」
シンジ「……もう」
レイ「……」
シンジ「綾波、本部までいこうか」
レイ「ええ。行きましょう」
アスカ「シンジー、今日シンクロテストでしょー?」
シンジ「そうだけど?」
アスカ「じゃあ、急ぐわよ」
シンジ「あ、ちょっとまって綾波も一緒に」
アスカ「バカね。欲しいCDがあるの。それを一緒に買いに行く約束でしょ」
シンジ「そんな約束してないよ」
アスカ「今、したじゃない」
シンジ「もう……。綾波、ごめん!!先にいってて!!」
レイ「わかったわ」
レイ「……」
アスカ「ふんふふーん♪」
レイ「……楽しそうね」
アスカ「……え?なんか言った?」
レイ「……碇くん。困ってたわ。貴方は少し強引だと思う」
アスカ「いいのよ。バカシンジなんて私の奴隷みたいなものだし」
レイ「……」
アスカ「あいつは私の惚れてるんでしょうね。ま、キモイけど惚れてるならそれを利用するまでよ」
レイ「……」
アスカ「ま、惚れたほうの負けよね。この美少女のアスカ様に惚れるのは仕方ないんだけ―――」
レイ「……」バンッ!!!!!!
アスカ「ひっ」ビクッ
レイ「……」
アスカ「な、なによ……?も、文句でもあるわけ……?」
レイ「……」
アスカ「ほら、なんとかいって―――」
レイ「……」バンッ!!!!
アスカ「……っ」ビクッ
アスカ「は、はっ。物にしか当たれないの?あんた、バカ?口がついてるなら口で言い返せばいいでしょ?」
レイ「……」
アスカ「物に当たるとか負け犬の遠吠えみたいでわらえ―――」
レイ「……っ!!!」バンッ!!!!!!!
アスカ「ひぃ」ビクッ
レイ「先、行くから」トテトテ
アスカ「ちょっと、まだ話は―――」
レイ「……」バンッ!!!!!
アスカ「……!?」
レイ「先にいくからっていったわ」
アスカ(な、なによ、アイツ。あんなに怒ることないじゃない……)
アスカ(全部、ホントのことなんだし……)
アスカ「全くもぉ」
シンジ「……」
アスカ「あ、シンジー」トコトコ
シンジ「アスカ。どうしたの?」
アスカ「ちょっと聞いてよ。さっき、更衣室で―――」
レイ「……碇くん」
アスカ「……!?」ビクッ
シンジ「綾波。なに?」
レイ「赤木博士が呼んでる。行きましょう」
アスカ「私は?」
レイ「知らないわ。知るわけないから」
アスカ「……」
シンジ「はい」
レイ「……」トテトテ
アスカ「あーやっとおわったぁー」トコトコ
ミサト「シンちゃん、シンちゃん」
シンジ「なんですか?」
ミサト「アスカはどう?」
シンジ「残り3回です」
ミサト「あら、意外。もうちょっと我侭し放題かと思ったけど」
シンジ「意識してみると少ないって感じるのかもしれません」
ミサト「なるほどね。とりあえず容赦はしちゃだめよ?アスカ自身のためでもあるし」
シンジ「はい」
ミサト「それじゃあね」
シンジ「失礼します」
レイ「……」ヌギヌギ
アスカ「……」
レイ「……」
アスカ「ちょっと、なんとか言いなさいよ……」
レイ「……なんの話?」
アスカ「アンタ、あのバカに惚れてんの?」
レイ「意味が分からないわ」
アスカ「だって、シンジをバカにして怒ったんでしょ?」
レイ「……」
アスカ「でも、ざーんねん。シンジは私にぞっこんだから」
レイ「……」
アスカ「アンタみたいな無愛想で何考えてるが分からない奴にシンジは靡いたりしないから」
レイ「……」
アスカ「だからもう、シンジに近づかないで。アイツが変な勘違いするかもしれないし。わかった?」
アスカ「ええ。そうよ」
レイ「……貴方も?」
アスカ「なんで私が。アイツの片思いよ」
レイ「そう。―――だから、貴方は碇くんを良いように扱っているのね」
アスカ「その通りよ」
レイ「どうしてそんなことをする権利が貴方にあるの?」
アスカ「私に惚れてるアイツが悪いの」
レイ「でも、好きじゃないならそのまま突き放せばいいだけ」
アスカ「寄ってくる男は利用するだけ利用するのよ」
レイ「……」
アスカ「惚れたほうが悪いの―――」
レイ「……」ガンッ!!!!!!
アスカ「ひっ」ビクッ
レイ「黙って」
レイ「……」バンッ!!!
アスカ「ひぐっ」ビクッ
レイ「黙ってて言ったわ」
アスカ「……」
レイ「……碇くんは別に貴方のことなんて好きじゃないとおもう」
アスカ「なんですっ―――」
レイ「……」バンッ!!
アスカ「……」
レイ「碇くんは優しいだけ。いつか貴方は痛い目にあう」
アスカ「はっ。何言って」
レイ「さよなら」トテトテ
アスカ「ちょっと、逃げるの!?」
レイ「……さよなら……って言ったわ」
アスカ「……うん」
アスカ(くっそ!!なによ!!あの無口女!!あー!!もう!!ちょーむかつくぅ!!!)
アスカ「……」イライラ
シンジ「アスカー」
アスカ「うるさいわね!!!」
シンジ「……」
アスカ「ちょっと黙ってなさいよ」
シンジ「でも、ご飯……」
アスカ「いらないっ!!ダイエットはじめるって昨日いったでしょ!!」
シンジ「……」
アスカ「どっかいって」
シンジ「ちゃんとカロリーのこと考えて作ったから―――」
アスカ「うるさっていってるでしょ!!!」
シンジ「……っ」バンッ!!!!!!!!!!!
アスカ「ひゃっ」ビクッ
アスカ「わ、私がそんなことでいちいちビビるとでも思ってるの……?」
シンジ「……」
アスカ「いい加減にしなさいよね!!言いたいことがあるなら口で!言葉で言いなさいよ!!物を叩くな!!」
シンジ「じゃあ、食べてくれるの?」
アスカ「た、たべない……っていってるでしょ……」
シンジ「……アスカのために作ったのに?」
アスカ「だから……ダイエットで……」
シンジ「カロリーの計算はしたよ?」
アスカ「……あ、アンタのことなんて信じられるわけ、ないでしょ……」
シンジ「……」
アスカ「……と、とにかく、いらないからっ!!」テテテッ
シンジ「アスカ……」
シンジ「はぁ……」
シンジ「おかえりなさい」
ミサト「アスカは?」
シンジ「部屋にいます。ときどき、お腹すいたって聞こえてきますけど」
ミサト「で、効果は?」
シンジ「言うこと聞いてくれませんでした。もうビビらないとかなんとか」
ミサト「マジ?ちっ、しくったわね」
シンジ「やっぱり、今まで通り普通に……」
ミサト「いいえ。まだよ」
シンジ「ミサトさん……」
ミサト「いい?シンジくん。今度は一言加えましょう」
シンジ「一言?それは流石に……喧嘩に……」
ミサト「だいじょーぶよー。私もみててあげるから!さ、アスカを呼んできて!!」
シンジ「わ、わかりました」
ミサト「むふふ……」
アスカ「な、なに……?」
シンジ「ちょっと話があるんだけど」
アスカ「わ、私はないけど……」
シンジ「大事な話なんだ」
アスカ「う、うるさいわね……私は―――」
シンジ「……」バンッ!!!!!
アスカ「ひぇ」ビクッ
シンジ「話があるんだ」
アスカ「……わ、わかったわよ。うるさいわね……」
シンジ「ありがとう」ニコッ
アスカ「……」
アスカ「で、話ってなによ……?」
シンジ「これからの献立のこと」
アスカ「献立?」
シンジ「毎回アスカのためだけに廃棄したくないから」
アスカ「それで……?」
シンジ「ダイエットしているのはわかったけど、どんな料理なら食べてくれるの?」
アスカ「ちゃんとカロリーのことと栄養のことを考えてくれればいいわよ」
シンジ「じゃあ、今日の料理もちゃんと食べてよ」
アスカ「だ、だから……今日は食べたくないの……」
シンジ「体調でも悪いの?」
アスカ「なんでもいいでしょ!?食べたくないの!!」
シンジ「……」
アスカ「ペンペンにでも食べさせればいいでしょ!!こんなもの!!」
シンジ「……」
ワロタ
流れで読んでわろた
アスカ「私の言うことがきけないの!?」
シンジ「……」
アスカ「あ……」
シンジ「できるだけ聞くよ。でも、こうも毎回だと」
アスカ「うるさいわね!!アンタは私の奴隷でしょ!!!―――あ」
シンジ「……アスカ。作る身にもなってよ」
アスカ(ホッ)
アスカ「そんなのアンタが好きでやってるんでしょ。私は頼んだ覚えなんてない―――」
シンジ「……だまれよっ!!バンッ!!!!!!
アスカ「ひっ」ビクッ
シンジ「……」
アスカ「……」
シンジ「で、アスカはどんな料理なら食べてくれるの?」ニコッ
アスカ「……」
/イハ/レ:::/V\∧ド\
/::^'´::::::::::::i、::::::::::::::::::::::::::::\
‐'7::::::::::::::::::::::::ハ:ハ::|ヽ:::;、::::::::::::丶 で、アスカはどんな料理なら食べてくれるの?
/::::::::::::::/!i::/|/ ! ヾ リハ:|;!、:::::::l
/´7::::::::::〃|!/_,,、 ''"゛_^`''`‐ly:::ト
/|;ィ:::::N,、‐'゛_,,.\ ´''""'ヽ !;K
! |ハト〈 ,r''"゛ , リイ)|
`y't ヽ' //
! ぃ、 、;:==ヲ 〃
`'' へ、 ` ‐ '゜ .イ
`i;、 / l
〉 ` ‐ ´ l`ヽ
/ ! レ' ヽ_
_,、‐7 i| i´ l `' ‐ 、_
,、-‐''"´ ノ,、-、 / 、,_ ,.、- {,ヘ '、_ `ヽ、_
/ i ,、イ ∨ l.j__,,、..-‐::-:;」,ハ、 '、` ‐、_ ,`ヽ
シンジ「アスカ?どうしたの?」
アスカ「……」
シンジ「アスカ?質問に答えてよ」
アスカ「……た、叩かない?」
シンジ「うん。叩かないから」
アスカ「……ホントに今日はそんなに食べたくなくて……」
シンジ「なにかあったの?」
アスカ「別に……」
シンジ「言ってよ。アスカの力になるから」ニコッ
アスカ「ひっ」ビクッ
シンジ「どうかした?」
アスカ「……ちょっと喧嘩して」
シンジ「綾波と?」
アスカ「……うん」
アスカ「そう……」
シンジ「ふーん」
アスカ「……」ビクッ
シンジ「わかった。それじゃあ、今日はいいよ。もし気分がよくなかったらなすぐに言って」
アスカ「わ、わかったわ……」
シンジ「じゃあ、おやすみ」
アスカ「お、おやすみ」トコトコ
シンジ「……どうでしたか?」
ミサト「うーん……」
シンジ「ミサトさん?」
ミサト「いいじゃない!!パーペキよ」
シンジ「でも、ちょっと可哀相な気も……」
ミサト「いいのいいの。最近のアスカは傍若無人だったし、いい薬よ」
シンジ「だといいんですけど」
シンジ「アスカー」
アスカ「な、なに?」
シンジ「朝ごはんできてるよ」
アスカ「うん……」
シンジ「ほら、早く」
アスカ「わ、わかってるわよ!!うるさいわね!!」
シンジ「……」
アスカ「あ、ちがう!!今のはシンジにいったんじゃないの!!!」
シンジ「早くしてね」
アスカ「5秒でいくっ!!」
アスカ「えっと……!!」
アスカ「パジャマのままでもいい!?」
シンジ「……ちゃんと着替えなきゃ」
アスカ「そ、そうよね!!私がどうかしてたわ!!」バタバタ
ミサト「アスカ?酷い、寝癖よ?」
アスカ「あ、あとで直すわ。ご飯が先よ……」
ミサト「ふーん」
アスカ「……」
シンジ「お待たせ、アスカ」
アスカ「すこしも待ってないわ」
シンジ「残さず食べてね」
アスカ「も、もちろんよ」
シンジ「よかった」ニコッ
アスカ「はむっ……!!もぐもぐっ……!!」
シンジ「アスカ?」
アスカ「……っ?!」ビクッ
シンジ「よく噛んで食べないと」
アスカ「……っ」コクコク
アスカ「……」
シンジ「ねえ、アスカ?」
アスカ「な、なになに?!」
シンジ「ネコがいるね」
アスカ「ホントね」
シンジ「可愛いね」
アスカ「そう?」
シンジ「……え?」
アスカ「ひっ」ビクッ
アスカ「す、すごい!!かわいい!!飼う!?ねえ、シンジ、あの猫飼ってみる!?」
シンジ「ううん。飼いたいって思うほど可愛いとは思って無いから」
アスカ「そ、そう……」
シンジ「でも、アスカが飼いたいっていうなら」
アスカ「わ、私も別に……」アセアセ
アスカ「はぁ……」
ヒカリ「おっはよ。アスカ」
アスカ「おはよう……」
ヒカリ「元気ないね?」
アスカ「ちょっとね……」
ヒカリ「なにかあった?」
アスカ「ううん……私が悪いの……」
ヒカリ「アスカ……?どうしたの?」
アスカ「なんでもない……」
ヒカリ「もう……アスカっ」バンッ!!
アスカ「ごめんなさい!!」ビクッ
ヒカリ「……え?」
アスカ「物は叩かないほうがいいわよ……?」
ヒカリ「あ、そ、そうね。ごめん」
ケンスケ「なにかあったの?」
シンジ「ちょっと怒ったら、元気なくなって」
トウジ「喧嘩やのうて?」
シンジ「うん」
ケンスケ「確かに。ああいうタイプは打たれ弱いところもあるんだよねー」
トウジ「ええ薬や、あっはっはっは」
シンジ「……」
レイ「……碇くん。おはよう」
シンジ「おはよう、綾波」
レイ「……弐号機の人は?」
シンジ「え?ああ、ちょっと色々あって」
レイ「そう」
シンジ「心配?」
レイ「いいえ。全然思ってないから」
アスカ「はぁ……もうやってらんない」
ヒカリ「アスカー、先にプールいってるよー」
アスカ「わかったー」
アスカ「はぁ……」
レイ「……なにかあったの?」
アスカ「ひっ?!」
レイ「……なに?」
アスカ「びっくりさせないでよ……」
レイ「碇くん、心配してたわ」
アスカ「え……?」
レイ「……」
アスカ「と、当然でしょ。アイツは私に惚れてるんだから」
レイ「……」
レイ「碇くんが?」
アスカ「そーよ!!ことあるごとに物を殴って、マジさいてー!!」
レイ「……それは貴方が悪いんじゃないの?」
アスカ「私は悪くないわよ!!言うことをきかない犬のほうがわるいんでしょ?!」
レイ「犬……?」
アスカ「そうよ!!犬よ!!全く、どんな躾をしたらああいうふうになるのか……!!」
レイ「……」
アスカ「ホント、アイツは使えないわね!!あー!!もうなんか今になって腹がたってきたぁ!!」
レイ「あの」
アスカ「そもそもなんで私がアイツの顔色を伺わないといけないのよ!!ありえないじゃない!!」
レイ「ねえ」
アスカ「なによ?!」
レイ「一応、聞いておくわ。―――犬って誰のこと?」
アスカ「バカシンジに決まってるでしょ!!アイツ、以外に誰がいるっていうのよ!!」
アスカ「こうなったら、次の昼休みに―――」
レイ「……」バンッ!!!!!
アスカ「きゃん」ビクッ
レイ「……」
アスカ「あ、そろそろ……プールに行かないと……」トコトコ
レイ「……」バンッ!!!
アスカ「ひぃ」ビクッ
レイ「……」
アスカ「ち、ちこく……するわよ……?」
レイ「どうせ見学だから」
アスカ「私は……」
レイ「……座って」
アスカ「……あの……」
レイ「二度も言わせないで」
アスカ「あの……ね……」
レイ「犬って……どうして?」
アスカ「え?」
レイ「……」
アスカ「だ、だって……何でも言うこと聞くし……呼んだらすぐに来る―――」
レイ「……」バンッ!!!
アスカ「ご、ごめんなさいっ」ビクッ
レイ「優しい碇くんに付け込んで、何を言っているの?」
アスカ「だ、だって……」
レイ「だって?」
アスカ「わ、私のためならなんでもするって……」
レイ「……碇くんが?」
アスカ「ほ、ほんと……ほんとなの……」
レイ「……」
レイ「シンジ……?」
アスカ「碇くんが……言ったの……」
レイ「貴方が都合のいいように解釈しているだけじゃないの?」
アスカ「し、してない……わたしは……」
レイ「……」
アスカ「ほんとにしてないから!!私は悪くな―――」
レイ「……っ」バンッ!!!!!!
アスカ「ひぅっ」ビクッ
レイ「……」
アスカ「ごめんなさい……もうやだぁ……やめて……」
レイ「碇くんは犬じゃないわ」
アスカ「は、はい……」
レイ「……犬じゃない」
アスカ「ごめんなさい……!!もう言わないから……!!叩かないでぇ……!!」
レイ「……」トテトテ
アスカ「……」トコトコ
ヒカリ「アスカー、どうしたのー?」
アスカ「ヒカリ……」
ヒカリ「もう遅刻よ?」
アスカ「うん……」
ヒカリ「アスカ……?今朝から様子が変だけど」
アスカ「だいじょうぶ。さ、およご」
ヒカリ「う、うん」
アスカ(もういや……なんで……)
アスカ(シンジは言ったのに……!!私のためならなんでもするって……!!)
アスカ(いったのに……)ウルウル
レイ「……」ジーッ
トウジ「で、そこでな―――」
レイ「碇くん、隣、いい?」
シンジ「うん。いいよ」
レイ「ありがとう」
トウジ「ほんま、せんせはモテモテやな」
ケンスケ「人のこといえないくせに」
レイ「……碇くん」
シンジ「なに?」
レイ「……彼女に何でもするって言ったことある?」
シンジ「彼女って……」
アスカ「はぁ……」
シンジ「アスカ?―――何でも言って、力になるから。とは言ったけど……。なんでもするなんて言ってない」
レイ「そう」
アスカ「ただいま……」
ペンペン「くぉー!!!」バタバタバタ
アスカ(暴れてる……遊んでるのかな……)
アスカ(疲れた。何か飲もう……)
アスカ「確か……オレンジジュースが……あった」
アスカ「んっ……」ゴクゴク
バンッ!!!!!
アスカ「ぶっ!?!」ビクッ
アスカ「ごほっ!!えほっ!!ごほごほ!!!」
アスカ「だ、だれ……?」ソーッ
ペンペン「くおー……」フラフラ
アスカ「はぁ……ペンペンか……」ヘナヘナ
アスカ「うぅ……」ウルウル
アスカ「……うぇぇん……」ポロポロ
シンジ「アス―――」
アスカ「ぐすっ……うぇぇ……えほっ……」ポロポロ
シンジ「アスカ……?」
アスカ「あ……シンジ……」ゴシゴシ
シンジ「あの……」
アスカ「い、いま、コップを洗おうと思ってたの……!!」
シンジ「いや、僕がやるから」
アスカ「いい」
シンジ「だって、もうすぐ夕食の準備するし、そのときまとめて洗うから」
アスカ「ここに置いてて……いいの?」
シンジ「いいよ。いつもそうしてたじゃないか」
アスカ「叩かない……?絶対……?」
シンジ「叩かないよ」
アスカ「じゃあ……お願い……」
アスカ「……」ソワソワ
シンジ「どうしたの?」
アスカ「……手伝うわよ」
シンジ「いいよ。そんなことしなくて」
アスカ「だって……」
シンジ「アスカは残さず料理を食べてくれればいいから」
アスカ「ホントに……?」
シンジ「うん」
アスカ「嘘じゃ……ないわよね?」
シンジ「嘘じゃない」
アスカ「……じゃあ、残さず食べる」
シンジ「ありがとう」
アスカ「……あ、あとで手伝わなかったこと、怒らないでよ……?」
シンジ「怒らないよ」
アスカ「……」テテテッ
シンジ「はい」
アスカ「い、いただきます」
シンジ「……」
アスカ「……まだ、食べたらだめ……?」
シンジ「違う違う。ドンドン食べて」
アスカ「うん……」
シンジ「……」
アスカ「もぐ……もぐ……もぐ……」
シンジ「……アスカ?」
アスカ「……っ!?」ビクッ
アスカ「ごほっ?!ごほ!!おぇ……!!」
シンジ「アスカ!?大丈夫!?」
アスカ「な、なに……?私、また、何かした……?」ブルブル
アスカ「ごめんなさい……いい子になるから……叩かないで……」ガクガク
シンジ「なんでもないから。驚かせてごめん」
アスカ「……」
シンジ「……」
シンジ(綾波が言ってたこと本当だ……)
レイ『碇くん。彼女の様子がおかしいわ』
シンジ『僕も気になってたんだ』
レイ『何をしているかしらないけど、やめたほうがいいと思う』
シンジ『うん……』
レイ『私にも原因があるから、あとで謝っておくわ』
シンジ(アスカ……)
アスカ「……」ビクッ
シンジ(僕のせいだ……)
ですね
シンジ「ミサトさん」
ミサト「どうかした?」
シンジ「アスカのことで」
ミサト「なに?まだ直んないの?」
シンジ「逆です。効果的すぎてむしろ少しぐらい直してあげたいんです」
ミサト「そんな数日で」
シンジ「……ちょっと見てください」
ミサト「なになに?」
シンジ「アスカー」
アスカ「……」テテテッ
シンジ「……」
アスカ「な、なに……シンジ……?」
シンジ「……」バンッ!!
アスカ「やぁ!!ごめんなさい!!!ごめんなさい!!!もうゆるして!!いい子になるからぁ!!!」
…ふぅ
アスカ「うぅ……」ガクガク
シンジ「ミサトさん……」
ミサト「嘘でしょ……?マジ……?」
シンジ「どうします?」
ミサト「これはちょっち……いや、かなりヤバいわね」
シンジ「エヴァに乗れないかもしれませんよ」
ミサト「……アスカ?」
アスカ「ひっ」ビクッ
ミサト「あちゃー」
シンジ「どうしますか?」
ミサト「まぁ、甘やかせばいいんだろうけど、リバウンドしたらもっとやっかいなことになりかねないし……」
シンジ「でも……!!」
ミサト「しゃーない。ちょっと考えるから、それまでアスカの世話おねがいね」
シンジ「わ、わかりました」
おかゆ
シンジ「アスカ……」
アスカ「いやぁ……ゆるして……私……私がわるいの……」
シンジ「アスカ、何もしないから」
アスカ「……ホントに?」
シンジ「もう叩かない。誓うから」
アスカ「……」
シンジ「そうだ。デザートのアイスとかいる?」
アスカ「……」
シンジ「冷たくておいしいよ?」
アスカ「……シンジは?」
シンジ「僕も食べる」
アスカ「……じゃあ、食べる」
シンジ「……」
シンジ(なんとかしなきゃ……なんとか……)
アスカ「はむっ……」
シンジ(甘やかせば確かに元に戻るかもしれないけど、それじゃあ後が怖すぎる)
シンジ(かといってこのままになんて……」
アスカ「はむっ」
シンジ「……」
アスカ「……はぁ♪」
シンジ「……」ドキッ
シンジ(ダメだ!!元のアスカに戻ってもらわないと!!!)
シンジ「ね、ねえ、アスカ?」
アスカ「な、なに……?」ビクッ
シンジ「何か欲しいものとかやりたいことある?なんでも言ってよ」
アスカ「……」
シンジ「アスカのためならなんでもするから」
アスカ「シンジ……」
シンジ「どうして……?」
アスカ「だって……私が悪いから……」
シンジ「アスカ……」
アスカ「ごめんね……シンジ……。いい子にするから……」
シンジ「……わかったよ」
アスカ「……」
シンジ「でも、何かあったら言ってね」
アスカ「……うん」
シンジ「……」
シンジ(ミサトさんに任せるしかないのかなぁ……)
アスカ「……アイス……」ボソッ
シンジ「え?」
アスカ「な、なんでもないっ!!」ビクッ
シンジ「……」
シンジ「ん……」
シンジ「はぁ……」
シンジ(アスカ……どうしたら……)
アスカ「シンジー」
シンジ「どうした―――あ」
アスカ「お、お皿だけでもな、ならべてみたんだけど……」モジモジ
シンジ「そんなことしなくてもいいのに」
アスカ「ひっ。ごめんなさい!!ごめんなさい!!」
シンジ「え?」
アスカ「い、いますぐ片付けるから……」
シンジ(しまった!?)
シンジ「アスカ!ありがとう!!すごく助かったよ!!」
アスカ「ほ、ほんとに……?叩かない……?」オロオロ
シンジ「そんなことしないよ。ありがとう、アスカ」
アスカ「……」ビクッ
シンジ「ミサトさん、どうなんですか?」
ミサト「ちょっち厳しいかも」
シンジ「そんな無責任な」
ミサト「だってぇ。こんなことになるなんてぇ」
シンジ「ミサトさんっ!!!」バンッ!!!!
アスカ「きゃぁ!!」ビクッ
シンジ「あ」
アスカ「ごめんなさい……ごめんなさい……」ブルブル
ミサト「とりあえずできるだけ甘やかしてみて。元には戻るかもしれないし」
シンジ「甘やかすっていっても……」
アスカ「うぅ……」ウルウル
シンジ「はぁ……」
シンジ「アスカ、鞄持つよ」
アスカ「いい。私がシンジの持つ」
シンジ「いいって。いつも僕が持ってたじゃないか」
アスカ「ううん。シンジ、嫌だったんでしょ?」
シンジ「嫌じゃないけど」
アスカ「私が持つってば」バッ
シンジ「あ……」
アスカ「……これで叩かない?」
シンジ「アスカ?」
アスカ「……なに?」
シンジ「もう僕は叩かないって。いつものアスカに戻ってよ」
アスカ「怖いから……」
シンジ「え……?」
アスカ「いつも安心したときにシンジ、叩くから……怖いの……」
ヒカリ「アスカ、おっはよ」
アスカ「ヒカリ……おはよう」
ヒカリ「アスカ?どうしたの?」
アスカ「え?」
ヒカリ「なんか本当に変だよ?」
アスカ「大丈夫。私は元気だから」
シンジ「綾波」
レイ「碇くん……どう?」
シンジ「ダメだよ」
レイ「そう……」
シンジ「どうしたら……」
レイ「碇くん……私に考えがあるわ」
シンジ「え?どんな?」
レイ「……碇くんじゃないとダメなんだけど、やってくれる?」
シンジ「でも、それ……」
レイ「彼女を取り戻すためにはやるしかないわ」
シンジ「……上手くいく可能性は?」
レイ「40%」
シンジ「……」
レイ「行って来るから」
シンジ「綾波……!!」
レイ(彼女は今、怒られることを極端に恐れている……)
レイ(それは守ってくれる相手がいないから)
レイ(今まで彼女は無意識に碇くんをそういう相手だと認識していた)
レイ(でも、その碇くんにも見放され、周囲からも攻撃を受けて……彼女は堕ちた)
レイ(なら……彼女を守ってくれる相手を作れば……あるいは……)
レイ「ちょっといい?」
アスカ「ひっ」ビクッ
アスカ「……な、なによ……やめてよ……」ブルブル
レイ「……」
アスカ「もうすぐ……授業が……」
レイ「……」バンッ!!!
アスカ「ひゃぁ!?」ビクッ
レイ「……」
アスカ「あぁぁ……やめて……ごめ……」ガクガク
レイ「……」バンッ!!!!
アスカ「あぁぁぁ……!!!!いやぁ!!いやぁ!!!!」
レイ「……」
アスカ「やめて!!おねがい!!ここから出して!!!いやぁ!!!」ポロポロ
レイ「……」バンッ!!!!!
アスカ「きゃぁぁ!!!!ゆるして!!!もうシンジには近づかない!!でていく!!でていって一人で外でねるからぁ!!!」ポロポロ
レイ「……」
レイ「……」
アスカ「うぅ……もうやめてぇ……ここからだしてよぉ……おねがいだからぁ……」ポロポロ
レイ「……」バンッ!!!!!
アスカ「ぎゃぁぁ!!!!!いやぁぁ!!!ママァ!!!ママァ!!!!」
レイ「私は……痛い目にあうっていったわ」
アスカ「だして!!ここからだしてぇ!!!」ポロポロ
レイ「……」
アスカ「なんでもする……!!だから、ころさないで……!!ゆるして……ゆるして……」ポロポロ
レイ「……泣かないで」
アスカ「おねがいぃぃ……おねがいぃぃ……もうやめてぇ……」ポロポロ
レイ「泣かないで……」バンッ!!!!
アスカ「ひぐっ……」ビクッ
レイ「……」
アスカ「うっぅぅ……」ポロポロ
アスカ「ママァ……」ポロポロ
レイ「でも、貴方の母親はもういないわ」
アスカ「ひっぐ……」ポロポロ
レイ「他には?」
アスカ「そ、それは……えっと……」ポロポロ
レイ「誰?」
アスカ「うっ……ぐすっ……」
レイ「誰?」バンッ!!!!!
アスカ「ひぃ?!―――し、しんじぃ!!!しんじぃ!!!」
レイ「……」
アスカ「しんじぃがいい!!しんじぃがいいの!!!」ポロポロ
レイ「そう……」
アスカ「しんじぃ!!たすけてぇ!!しんじぃ!!!」ポロポロ
レイ(やっぱり、貴方も……)
バンッ!!!
アスカ「ひゃぁぁ!?!?!?!」
シンジ「アスカ!!大丈夫!?」
アスカ「しんじぃ!?」
シンジ「ごめん。綾波が場所を教えてくれなかったから」
アスカ「しんじぃ!?しんじぃぃ!!!」ギュゥゥ
シンジ「アスカ……」
アスカ「しんじぃ!!いい子になるからぁ!!私をみすてないでぇ!!」ポロポロ
シンジ「……綾波」
レイ「それじゃあ、碇くん。あとはまかせたわ」
シンジ「そんな!?これからどうしたら……!?」
レイ「大丈夫よ。碇くんならきっと」
シンジ「そんな……」
アスカ「ぐすっ……えぐっ……」ギュゥゥ
アスカ「うぅ……」
シンジ「落ち着いた?」
アスカ「……少し」
シンジ「えっと……」
アスカ「……いつも、私を守ってくれてるのは……ママだった」
シンジ「……」
アスカ「……でも……いつの間にかシンジが私を守ってたのね……」
シンジ「アスカ……」
アスカ「シンジ……ごめんね……今まで……酷いこと……いっぱい……」
シンジ「ううん。アスカに対して本気で怒ったことなんて……まぁ、あるにはあるけど……そんなにないよ」
アスカ「シンジ……でも、私の我侭で怒ったんじゃ……」ギュゥゥ
シンジ「我侭なアスカも僕は好きだから」
アスカ「えっ」ビクッ
アスカ「……そ、そんなこといって……また、叩くんでしょ……?」
シンジ「しないって」
アスカ「ホントにホント?」
シンジ「しない。まぁ、事故はあるかもしれないけど、アスカに対して故意にすることはないって」
アスカ「……」
シンジ「……信じられない?」
アスカ「……っ」フルフル
シンジ「アスカ……ありがとう……」ニコッ
アスカ「ちゃ、ちゃんと守ってよ……バカ……シンジ……」
シンジ「うん」
アスカ「……」ギュッ
シンジ「そろそろ教室に……」
アスカ「もう少し……」
シンジ(女子更衣室にあまり長居したくないんだけど……)
トウジ「せんせー!!ひるめ―――」
アスカ「シンジ……あの……」モジモジ
シンジ「うん。いこっか」
アスカ「……うん」
トウジ「な、なんや……」
ケンスケ「大進展ってやつですか」
ヒカリ「アスカ……おめでとう……」
アスカ「あ、空き教室……で」
シンジ「そうだね」
アスカ「……♪」
トウジ「嫁2号の勝ちやなぁ」
ケンスケ「トウジ!!」
トウジ「え……」
レイ「……」
レイ「碇くん。今日はテストだから」
シンジ「え?ああ、そうだね」
レイ「一緒に―――」
アスカ「シ、シンジー?」
シンジ「どうしたの?」
アスカ「あの……新しいゲームが出たんだけど……一緒に行ってくれない……?」
シンジ「えーと……」
アスカ「無理ならいいんだけど……一人でいくから……」
シンジ「わかった。いくよ」
アスカ「シンジ……」
シンジ「綾波、あとで」
レイ「ええ」
レイ「……」
アスカ「あれからシンジがすごく優しいのよね」
レイ「……」
アスカ「ま、まぁ、今までも十分に優しかったんだけど……」
レイ「……」
アスカ「やっとそれに私も気がつけたっていうか……多分、そうなのよね」
アスカ「シンジ……ずっと私のこと……見ててくれた……」
レイ「……っ」
アスカ「うれしい……」
レイ「……」バンッ!!!!!
アスカ「ひっ」ビクッ
レイ「先、いくから」
アスカ「あの……ごめ……」
レイ「先、行くから」
アスカ「ごめん……なさい……」
レイ「……」トコトコ
シンジ「綾波」
レイ「碇くん?」
シンジ「……」バンッ!!!!
レイ「……?!」ビクッ
シンジ「……アスカ、泣いてた」
レイ「え……」
シンジ「綾波に泣かされたって」
レイ「ちが……」
シンジ「……」バンッ!!!!!
レイ「ひっ」ビクッ
シンジ「アスカはこの音がトラウマになったの、綾波知ってるだろ?」
レイ「え、ええ……」
シンジ「……じゃあ、どうしてそんな酷いことができるのさ」
シンジ「……」バンッ!!!!!!!
レイ「ひぃ」ビクッ
シンジ「……」
レイ「碇くん……やめて……私……あの……」
シンジ「……だまれよっ!!!」バンッ!!!!!!!
レイ「ひぐっ」ビクッ
シンジ「綾波がアスカを泣かせたんだ」
レイ「ちが……だって……あれは……」
シンジ「……」
レイ「いか、り……くん……」
シンジ「……もうやめてよ。こういうこと」スタスタ
レイ「あ……ぁ……」
レイ「……」
アスカ「……」
ガチャ
レイ「……」
アスカ「あ……」ビクッ
レイ「……私、貴方を泣かせようなんて思ってなかったのに」
アスカ「な、なによ……」
レイ「貴方のせいで……碇くんに……」
アスカ「やめて……」ガクガク
バンッ!!
アスカ「きゃ!?」
レイ「ひっ」
シンジ「……綾波」
レイ「碇くん……」
アスカ「シンジ……♪」
シンジ「……」ガンッ!!!!!
レイ「うっ」ビクッ
レイ「ゆるして……碇くん……」
シンジ「綾波の協力があったからなんとかアスカは立ち直れたけど、どうしてまた悪化させようとするの?」
レイ「わたしは……」
シンジ「……」バンッ!!!!
レイ「……」ビクッ
シンジ「アスカ、帰ろう」
アスカ「プラグスーツ脱ぐから……えっと……5分だけ……待ってて……くれる?」
シンジ「ゆっくりでいいよ」
アスカ「う、うん」
レイ「碇くん……」
シンジ「さよなら」
レイ「……!!」
シンジ「……なに?」
レイ「碇くん……なんて言ったらいいかわからないけど……その……」
シンジ「……」
レイ「私は……」
アスカ「シンジー!!まだー?!」
シンジ「今いくー。―――綾波、それじゃあ」
レイ「ま、まって……」
シンジ「……」
レイ「こういうとき……本当にどうしたらいいから……わからないの……」オロオロ
シンジ「謝ればいいと思うよ?」
レイ「え?」
シンジ「……」バンッ!!!!
レイ「ひっ」ビクッ
レイ「……ご、ごめんなさい……」
ミサトか…
レイ「ごめんなさい……私……そんなつもりじゃ……なくて……」
シンジ「……」バンッ!!!!
レイ「ひぁ」ビクッ
シンジ「アスカに謝らないと」
レイ「あ、そう、そうね……。あの……ごめんなさい……」ペコッ
アスカ「ううん。気にしてないから……」
レイ「……じゃあ、碇くん」
シンジ「……」
レイ「わたしと―――」
シンジ「アスカと行くよ。ごめん」
レイ「……」
レイ「……」ポロポロ
レイ「私……泣いてる……」
レイ「―――もしもし、碇司令ですか?はい、綾波レイです」ポロポロ
シンジ「碇シンジです」
ゲンドウ「はいれ」
シンジ「失礼しま―――」
ゲンドウ「……何か言うことは?」
シンジ「え?」
ゲンドウ「……」
シンジ「……特にないですけど」
ゲンドウ「……ない?」
シンジ「は、はい……」
ゲンドウ「……」
シンジ「あの……父さ―――」
ゲンドウ「……」ガンッ!!!!!
シンジ「……っ!?」ビクッ
ゲンドウ「もう一度、聞く。何か言うことは?」
ゲンドウ「……」
シンジ「あ、あの……え……?」オロオロ
ゲンドウ「もういい」
シンジ「え……?」
ゲンドウ「初号機パイロットは現時刻をもって更迭する」
シンジ「なんでだよ!!どうしてだよ!!父さ―――」
ゲンドウ「だまれっ!!!」バンッ!!!!!
シンジ「ひっ」ビクッ
ゲンドウ「……お前はいらん」
冬月「おい、碇。その場の感情で―――」
ゲンドウ「……」バンッ!!!!!
冬月「……悪いな。身柄を拘束させてもらう」
シンジ「そ、そんな……」
シンジ「……いらない……僕はいらないんだ……」
アスカ「シンジ……私もエヴァ降ろされた……シンジがいないとダメだったわ」ギュッ
シンジ「アスカ……」
アスカ「シンジがいれば……私は……」
シンジ「アスカ……」
アスカ「シンジ……」
シンジ「……」バンッ!!!
アスカ「ひぃ!?」ビクッ
シンジ「アスカ……もう……僕にはアスカだけだ……」
アスカ「シンジ……」ブルブル
シンジ「アスカ……大好きだ……」バンッ!!!!
アスカ「ひゃぁ?!」ビクッ
おしまい。
楽しかった
Entry ⇒ 2012.06.10 | Category ⇒ エヴァンゲリオンSS | Comments (0) | Trackbacks (0)
折木「月が綺麗だな」
季節は秋
古典部の部室
里志「いやぁ、それにしてもすっかり秋だねぇ。」
折木「唐突だな。それがどうかしたのか?」
俺は読みかけの本にしおりを挟む
里志「いやいや特に何も無いんだけどね。」
里志「こう山々も紅葉で色づき初めて何だか風情があるねって話しさ」
える「確かに紅葉というものは良いものですね」
える「そういえば自宅の低い紅葉の木達も紅くなっていて綺麗なんですよ」
摩耶花「ちーちゃんの家のお庭立派だもんねー」
摩耶花「自宅で紅葉狩りできそうじゃない?」
里志「それは良いね。自宅で紅葉狩りなんて風情があるじゃないか」
折木「そんなもんか。」
摩耶花「まぁ感情の乏しいアンタにはわかんないでしょうね」
里志「そうだね。奉太郎の掲げるエコ主義でいえば」
里志「紅葉狩りに使用するエネルギーも無駄かもねぇ。」
二人がシシシと子供のように笑う
なんて失礼な奴らだ
俺にだって四季に趣を感じることくらいできる。
折木「馬鹿にするな」
少し声を荒げて言う
里志「ごめんごめん。でも秋と言えば月も綺麗だよね」
里志「なんだっけほら清少納言のさ…めぐりあいて…」
える「めぐりあひて見しやそれともわかぬ間に」
える「雲かくれにし夜半の月かな…ですね?」
千反田がスラスラと答える
里志「さすが千反田さん!」
摩耶花「それ知ってる!確か百人一首のやつだよね?」
える「はい。久しぶりに出会った殿方が慌ただしく帰ってしまった寂しさを」
える「雲に隠れた月に例えたんですよね。素敵な唄です。」
さすが学年TOPは違うな
これで亡者の如き知識の探求がなければ良いのだが
そう考えながら俺は千反田の顔を見る
える「!」
える「お、折木さんどうかしましたか?///」
折木「いや、なんでもない」
何故紅くなるのか
そんな俺達を見て里志がニヤリと笑う
摩耶花「折木にこの唄の良さがわかるのかしらねー」
折木「馬鹿にするなと言ってるだろうが」
里志「そうだね。ほうたろうは秋の趣がわかる人だもんね」
珍しく里志がフォローを入れる
里志「そうだ!明日休みだしそんな秋の趣がわかるほうたろうは」
里志「千反田さんのお庭を見せて貰ってきなよ」
そう里志が言い放った瞬間
千反田の目がきらきらと光り出した
える「そ、それはいいですね!」
える「幸いにもあすはお休みですし如何ですか?///」
キラキラとした大きな目がこちらに向く
これは不味い逃れられないパターンだ。
ちらりと目をそらすと里志が舌を出しながらウインクをしている
このやろうハメやがったな。
摩耶花が福部に耳打ちをする
摩耶花「ちょっと福ちゃん!どうしたのよ急に」
里志「いや、摩耶花も気づいているだろう?」
里志「氷菓の一件以来明らかに千反田さんは奉太郎を意識している」
摩耶花「なるほど…それで後押しなのね」
里志「ああ。それでデータベースから百人一首を取り出したのさ」
里志「まぁでも千反田さんが上手く食いついてくれてよかったよ。なにせ」
摩耶花「データベースは回答をだせない…でしょ?」
摩耶花「福ちゃんも素直じゃないんだから」
里志「ははは。これは手厳しいな」
向こうは向こうで夫婦らしい会話が続いている
里志め憶えておけよ
える「折木さんは何か明日予定があるのですか?無いのなら…///」
折木「いゃ…まぁ無いのは無いのだが…」
える「でしたら!」
折木「しかし俺のエコ主義がだな…」
える「折木さん…?」
折木「うっ...」
そういって少し潤んだ大きな瞳で千反田が顔を覗く
千反田は容姿も可愛らしくさらにこの涙目だ
この艶かしさに勝てる者などいないだろう
俺はふぅ。とため息を尽き
折木「わかった。なら明日お邪魔するぞ。」
える「はい!お待ちしてます!」
千反田は少女のような笑顔で言った。
その返事と同時に哀愁漂うチャイムが鳴り響く
時計の針は6時を指していた。
次の日
秋虫の鳴く夕方
千反田えるはもの思いにふけていた。
折木がくる時間までもうすぐである。
える「折木さんは私のために色々と尽力してくれました」
える「私の記憶…氷菓の思い出を取り返してくれました」
える「何故でしょう。あの時から折木のことを考えると胸がつまりそうになります」
える「このもやもやは何でしょうか、私気になります。」
ピンポーン
チャイムが鳴る
折木「よぅ千反田。今日は世話になる」
える「おはようございます折木さん」
える「どうぞごゆっくりしていってくださいね」
奥の間へと案内される
折木「しかし広い家だな。」
折木「そういえば家族を見たことがないがいるのか?」
える「ちゃんといますよ。ですが…」
折木「ですが…?」
嫌な予感がする
える「えと、き、今日は家族皆が出払っていまして!」
える「明日の朝まで…私だけ…です///」
折木「そ、そうか///」
える「はい///」
何だこれは
とりあえず話題を変えねば
折木「そ、そうだ千反田!庭を見せてくれるか?」
える「あ、はい!ではご案内しますね///」
俺達は庭へと出ることにした
庭にて
折木「しかし庭も広いなぁ」
折木「やっぱり庭師に頼むものなのか?」
える「そうですね。さすがにカバーできないところは」
える「お願いしているそうですが。あ、後古い木は樹木医さんに」
折木「まぁそうなるよな。しかし見事な庭だ。」
折木「紅葉だけでなく色々な植物が秋色に染まっている」
折木「こうも自宅で季節の変化を楽しめるところは無いだろ」
える「ありがとうございます!」
える「そうですね。縁側から見るだけでも季節がわかりますし」
える「自慢の庭ですよ」
折木「さすが名家だけはあるな」
折木「季節が変わるとまた綺麗なのだろう」
える「庭先の梅の花が春はとても綺麗なんですよ?」
える「来年の春に古典部の皆さんで見ると良いかもしれませんね」
折木「あぁ、それは良い案かもな」
それから俺たちは
他愛もない会話を続けながら
庭を見て回った。
氷菓についての話
学生生活について
古典部の部長としてどうあるべきか
楽しい時間が過ぎていく
折木「ふぅ。随分と話し込んでしまったな」
折木「時間が過ぎるのが早く感じる」
える「相対性理論ですか?」
千反田が顔を覗きこみ聞く
える「ということは折木さんは私と話していて」
える「楽しかった…ということでしょうか?///」
折木「ああ。まぁ否定はしないでおこう」
える「えへへ///」
折木「さて、そろそろ夜も遅いし帰るか」
える「あ、せっかくですから夕飯召し上がって行きませんか?」
千反田が再度聞く
折木「良いのか?」
える「はい!一人での食事は寂しいですしね。」
折木「そうか。なら悪い世話になろう。」
える「いえいえ。それでは支度をしましょうか」
俺達は台所へと向かう
千反田は鼻歌を歌いながら
台所に立ち料理をしている。
前に古典部におにぎりを振舞ったときのように
ながい髪を束ねポニーテールにしている
それが鼻歌と共に小刻みにゆらゆらと揺れていた。
男子厨房に入らずと
昔の言葉にあるが
こうして料理をしている女性を家族以外でまじまじと見たことがない俺は
楽しそうに料理を作る千反田を見て
自らが掲げるエコ主義には無縁の感情を
少しだけ感じたのだった。
しかしどうにも落ち着かない。
折木「なぁ千反田。何か手伝うことはないか?」
しびれを切らし声をかける
える「お気遣いありがとうございます折木さん」
える「そうですね、ではこの野菜を食べやすいように切っていただけますか?」
折木「あぁ、まかせろ」
そう言うと俺は千反田の隣に達包丁を動かし始めた
トントンと心地良い包丁の音
グツグツと鍋を回す千反田
今気づいたがこの状況は
折木「あれだな」
える「はい?どうかされましたか?」
折木「いや、その、なんだ」
折木「こうして二人で料理しているのと」
折木「新婚とはこんな感じなのかと思ってな」
我ながらなんと恥ずかしいことを言っているのだろうか
俺の言葉を聞くと千反田は紅くなりうつ向く
頬が紅葉のようだと少し詩的な印象を受けた
しかしすぐにこちらを向いて
千反田は言った。
える「そうですね。」
える「このような雰囲気が新婚なのならば」
える「私も早く結婚したいです」
える「今とても幸せな時間なので」
千反田が笑う
折木「そういうものか」
える「はい。」
える「そういうものです。」
える「折木さんはどうなんですか?」
折木「俺にはよくわからん」
折木「ただ、嫌ではないのかもな」
逃げるように俺は千反田から視線を外し
鍋の蒸気で曇った窓ガラスを見つめ言った。
しばらくして
える「これを盛りつけて完成ですね」
える「折木さん取り皿を並べていただけますか?」
折木「あぁ、わかった」
皿を並べ終え、盛り付けを済ます
える「では頂きましょう。」
える「お口に合うかわかりませんが」
折木「いや、美味そうだ。頂きます。」
根菜の炊き込みご飯
白身魚の焼き物
肉じゃが
サラダと漬物
いかにも千反田家らしい和風な食卓だ。
しかも美味い。
える「ど、どうですか?」
折木「あぁ普通に美味いよ。おにぎりの時も思ったが」
折木「千反田は料理が得意なんだな」
える「えへへ///これでも女の子ですからね」
折木「良いと思うぞ。千反田は良い嫁になりそうだ」
える「よ、よよ嫁ですか!?///」
あたふたと慌てる千反田
何かの小動物のようだ
える「それは、き、気が早いというか…ゴニョゴニョ」
折木「?」
える「なんでもありません!///」
このような談笑を交えつつ
俺たちは食事を終えた。
食後に千反田の淹れた茶を啜っていると
千反田が提案をしてきた。
える「そうだ。月も出ていますし少しお月見しませんか?」
折木「ほう。それは良いな。」
える「先に縁側へ行っていてください、お茶を淹れ直してあと菓子を持っていきます」
折木「悪いな、なら先に行く。夕飯ご馳走様でした。」
える「はい。お粗末さまです」
千反田が優しく答え、二人だけの月見をすることとなった。
風にススキが揺れ、空には丸い月が登っていた。
千反田と俺は茶を啜りながら話していた
える「名月をとってくれろと泣く子かな」
折木「小林一茶か?」
える「はい、子供ならあの月が欲しいと言ってしまうのも仕方ないですよね」
折木「確かにな。この月の美しさは子供にだってわかるものだろう」
折木「今日一日で秋を満喫した気がする」
折木「少しエコ主義を無視しすぎている気もするが」
える「良いじゃないですか。紅葉狩りに月見と」
える「この時期でしかできないですし」
折木「そうか。たまにはこういうのもいいのかもな。」
える「はい。なんというか風情がありますね」
折木「全くだ。しかし月が綺麗だな」
える「!」
える「あ、あの!もう一度言ってくれませんか?///」
折木「ん?なんだ俺は月が綺麗ですねと言ったんだが…」
える「ありがとう…ございます///」
折木「?」
折木「どうかしたのか?」
える「いや、なんでもありませんよ」
える「えへへ///月が綺麗ですよねぇ」
折木「ああ、そうだな。」
二人は月をぼんやりと見ていた。
かなり夜もふけて
折木「それじゃ、今日は世話になったな」
える「いえ、とんでもありません!」
える「またいらしてくださいね///」
折木「あぁ。一人なんだし戸締り気をつけてな」
える「ありがとうございます。」
える「さようなら折木さん。おやすみなさい///」
折木「あぁ、おやすみ千反田」
別れの挨拶をかわす
こうして俺は千反田家を後にし
帰路についたのである。
今日一日折木との時間を思い出し顔紅くしていた。
える「あひ見ては後の心に口ぶれば」
える「昔はものを思はざりけり…ですか」
唄を口ずさみながら
千反田は自分の気持ちに答えを見つけたのだった
おわり
/: : : : /: : : : : :ハ
イ: : : : : : : : : /: : ::「「l、
リ: : : : : : : : : : :j:.:} ‘,
乂:.:.:.:.:.:.:.:〈リjイ圦 __}
):.:.:.:イ _/ フニニ\ 駄文に付き合ってくれた皆様に敬礼
_/ニ==‐ュ ー′ ∨ニニ∧
/二二二二}__ │ニニニハ
/ ̄`ヽ , ィ/ニニニニニニ/ニ/ニニ=「\二ニ}
....:.:´ィ:.:.:.:.:.:.:.}/ イニニニニニニニニニニニニニニニニヽニ|
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Ⅶi:.:.:.:.://.:.:.::::::::|ニニニ二三三/ニニ}
Ⅵi:// :.:.:.::::::/|ニニニニニニニ/ニニニ′
∨ハ:.:.:.:.:.:.:::://|二二ニニニ/ニニニ/
Vハ::::.:.://::::::|二ニニ/ニニニ′
}::::}二 ィ:::::::::::/ニニ/ニニニニニ{
\::::::::::::::::::ィニニ/ニニニニニニハ
`¨¨¨¨´ } =彳ニニニニニニ/ニ.|
∧ニニニニニニニニ/ニニ|
すごく良かった
Entry ⇒ 2012.06.09 | Category ⇒ 氷菓SS | Comments (1) | Trackbacks (0)
橘純一「もっとみんなと、イチャイチャしようよ+!」
森島「ねえ、橘君」
純一「……ん? はい、どうかしましたか?」
森島「うーんっとねぇ~……ちょっといいかしら?」じぃー
純一「は、はい…?」
純一(な、なんだなんだ? 先輩、僕の顔をずっと見つめて……ハッ!?
まさか先輩っ……そんな、こんな昼間っから駄目ですよ……っ!)ドキドキ…!
森島「………」すすっ…
純一「も、森島先輩っ……?」
純一(か、顔が近いっ…! やっぱりそうだ! これは、これはっ……!)ぷるぷるっ…!
森島「えーいっ!」ぷちっ
純一「優しくお願いしまっ───……あたぁっ!?」
森島「んー……おっ、やっぱりそう! すっごく長い白髪を見つけたよ!」ふりふり
純一「あたた……え? あ、白髪が……なるほど…ありがとうございます森島先輩……」
純一「みんなと、イチャイチャしよう!」
純一「もっとみんなと、イチャイチャしよう!」
純一「色々みんなと、イチャイチャしよう!」
橘純一「みんなとイチャイチャしよう+!」
純一「みんなで、イチャイチャしようよ+!」
純一(なんだ、期待して損したよ……いや! でも、あの至近距離で先輩の顔を見れたんだ!
それだけで……その、彼氏的なことでは十分幸せだよね! そうだよね!)
森島「一見、白いってだけで別に普通の髪と一緒よねぇ~」まじまじ…
純一「……あ、あの、先輩? そんなに僕の白髪をまじまじと見つめるのは…」
森島「え? だめなの?」
純一「駄目じゃないですけど、ちょっと恥ずかしいというか……その…」もじもじ…
森島「そうなの? ふーん、私は別になんにも思わないけどなぁ~」くいくいっ
純一「…………っ」ぴくっ
純一(あれ? なんだこの、少しずつ溢れ出る感情は……?
先輩が僕の白髪を指先で弄ぶ姿に……なにか、不思議な猛りを感じ始めているのか…?)ドキドキ…
純一(ま、まさかっ! 僕は確かに変態紳士として曲がりなく謳歌する者だと自負しているつもりだけど……
そこまでのレベルにまで達しているとは到底思って……)
森島「あ、切れちゃった」ぶちっ!
純一「っ……」ドキン!
純一(な、なんだっ…? 今の心臓の高鳴りは…っ?
びっくりした、本当にびっくりした……先輩が僕の白髪を引きちぎった瞬間……!)
純一(───とっても、興奮……しちゃったかもしれない…っ!)
森島「?」
純一(これは……これはおかしいこと、だよねっ? 違うよねっ?
変態紳士とか、そういったことで説明できるほどのことじゃないよねこれって!)
森島「……橘くん?」
純一(ただ単に先輩が白髪をちぎったことに、ちょっと驚いただけだよこれって!
ば、馬鹿だなぁ……そんなこと、そんなことありえるはずがないのに────)
森島「たちばなくーん! どうかしちゃったの? 具合でも悪いのかなー?」ぱらっ…
純一「!?」ドキン!!
純一(せ、先輩がっ……! 千切った僕の白髪を無造作に地面にす、捨てたぁっ!)ドキドキドキ…!
純一(す、凄い…! なんだこれ、ものすごく僕は……その行為がとても……!)
純一(こ、興奮しているのかもしれない……!)
純一「……えっ? あっ、え、か、顔真っ赤ですか……?」ドキドキ…
森島「うんうん、すっごーく顔が真っ赤よ? やっぱり風邪とか引いちゃったのかしら……んー、どれどれ」ぴとっ
純一「も、森島先輩っ…?」
森島「あ、ほら動かないのっ。こうやっておでこ同士をくっつけあってね?
体温を測ったりするんだけど……あ、やっぱり顔が熱い、かも…? あれ?」
純一「………?」
純一(あ、あれ? 何時もだと僕、こんな事してもらったら嬉しくて熱が上がって誤解されることが多いのに……)
純一「………っ」
純一(───まさか、僕……嬉しくなってない? 先輩とおでこをくっつけあってるのに、こうやってイチャイチャできて
いるのに……あんまり興奮してないとでもいうのか…っ?)
純一(馬鹿な! あり得るわけがない! ……だけど、現実は僕の興奮が下がりつつある、のかもしれない)
森島「あれれ? おかしいなぁー……確かに熱っぽかったのに、今は大分よくなってるみたいよ橘く───」すっ…
ぶちっ
純一「っっ!?」びくん!
森島「あ、ごめんなさいっ! おでこ近づけたときに、橘君の髪の毛を一緒につかんでたみたいで……だ、大丈夫かな?」
森島「そ、そお? まあ大丈夫よね! まだまだ若いし、そんなこと気にしなくていいお年頃だもの!」
純一「え? あ、あー……なるほど、大丈夫ですよ!」
純一「うん……」
純一(……今の髪を引きちぎられたことは、別に興奮しなかったな僕…いや! 当たり前だよ!
まあ、それに、さっきも白髪を引きちぎられたことは別にどうだって思わなかったしね…)
純一「……ん?」じっ
森島「とりあえず、天然ものだし自然に吸収されることを願って……ぽいっと」ぱらっ…
純一「っ!?」ドッキン!!
純一(き、きたーーーー!! こ、これだよ! この言葉に出いない溢れ出る猛りっ!!)
純一(なんだなんだ!? どうしてこうも僕、嬉しいんだろう!?
……え? もしかして…僕、こうやって僕の一部を蔑にされることに……)
純一(興奮するのだろう、か……?)
純一(……大丈夫かな、僕。これってちょっと流石に頭おかしいのかもしれない…そんな気がする)
森島「ふぅー、うん、オッケー!
ごめんなさい、橘君……さっきの痛かったよね? 赤くなってない?」
純一「だ、大丈夫です! そのっ……ハァハァ…せ、先輩!」
森島「うん? なにかな?」
純一「そ、そのですねっ……ハァ…ハァ…せ、先輩もっと…!」
森島「もっと?」
純一「もっと……僕のこと、をですねっ……!」ドキドキ…!
森島「キミのことを?」
純一「………ぐっ!」ぎりっ…
森島「??」
純一「───罵ってほしいです! 先輩!」
森島「え?」
純一(だぁああああー!? 何言っているんだ僕はァー!)
純一(こ、これが僕が我慢の限界のライン……だったんだ。流石にあれやこれを言っていたのなら僕を飼いならす超人の森島先輩でさえ……ドン引きだっただろう)
純一(───罵ってほしい、これが僕が口に出せた最上級の上品な言葉だったんだ。くそっ、恐ろしいな僕の紳士的な向上心は……果ては無いのかもしれないよ……)
森島「………」ポク…ポク…
純一(……あ! 先輩、森島先輩が悩んでらっしゃる!いやこれは、僕が言った言葉をゆっくり解釈しているのかもしれない……ああ、どうか先輩、無事に受け取ってください…!)
純一(確かに堪え切れずに言った言葉ですが! 只のギャグとして受取ってくれて構いませんから! お願いします! 先輩!)
森島「───………なるほど、ね」チーン
森島「うん、なるほど。君が言ったことはキチンと私に伝わったわ!」
純一「あ、ありがとうございます!」
純一(伝わったんだ!?)
森島「どういたしまして! ……でもね、橘くん。私は君の願いを叶えることは無理かもしれないわ…」
純一「えっ…?」
純一(どうして悲しがっているんだ僕は! これでいいんだよ!)
純一「はい、そうですね……女装とか、女装とか…」
森島「ふふっ! それでね? キミと一緒にやってきたことはみーんな楽しくって、
私の中で一生の思い出として残り続けると思うの!」
純一「……ありがとうございます、先輩」
森島「ううん、こっちこそお礼をいいたいぐらいよ? だから橘君はとっても素敵な……ご、ごほんっ。
わ、わたしの彼氏なんだからねっ…?」
純一「は、はいっ……!」
森島「ッ……だ、だからね! そんな、素敵な私の彼氏は……どぉーんなに頑張っても!」
森島「キミを悪く言う言葉を、思いつくことが出来ないのっ」びしっ
純一「……僕の悪い部分が、思いつかないって事ですか?」
森島「そ、そうなのっ! 君はとっても……か、かっこよくて! 年下なのに頼りがいがあって……
そんな君と一緒にいると、私はいっつも……ドキドキしっぱなしだから……うん、言えないの!」
純一「森島先輩……」
どんなに橘君が望んでも私はそれに答えることは出来やしないの」
森島「私には……君が欠点のないべリグーな男の子って思ってるから、そんなこと言えないわ。
……でも、ちょっとだけエッチなのはどうかなーって思うけど……」
純一「あ、ごめんなさい……」しゅん…
森島「あ、ううん! 別に気にしなくていいからね? ……だって、私は…その…」もじもじ…
純一「え……?」
森島「その、ね? そんなところも………すき、だって思ってるから……気にしちゃダメ、よ?」
純一「そんな所もって……あ…」
森島「あ、ちょ…違うんだからねっ! ただ、好きになった君が変態さんだっただけで…!
えっちなことをするのが好きってわけじゃ…っ」
純一「えっ、あっ、はいっ! わ、わかってます! 大丈夫です!」
森島「……むー、絶対にそう思ってたさっき!」
純一「お、思ってません! 命の誓ってそう言いきれます!」
森島「……本当かなぁー」じぃー
純一「あ、あはは……」
純一(先輩、こんなにも僕のことを思っててくれたんだな……僕なんか白髪で興奮していたド変態なのに…)
純一「………先輩」
森島「むむむ? なにかな?」
純一(顔真っ赤だな先輩……)
純一「あはは、その、ですね……あの、ちょっといいですか?」
森島「だめ」
純一「こっちもだめです」
森島「……反抗的だなぁー、もっと先輩を敬わなきゃダメだぞっ」ぴっ
純一「ええ、わかってます。でも…僕は森島先輩の彼氏なんで」
純一「先輩とは、対等のつもりですよ」すっ…ぎゅっ
森島「あっ……」ぴくんっ
純一「森島先輩、今日は手をつないで帰りましょう!」
森島「あ、うんっ……手をつなぐの久しぶりな感じがする、かも」
森島「そ、そういうことをはっきりいわないっ」ぎゅう ぎりり!
純一「いたぁー!?」
森島「あ、ごめんなさいっ! 大丈夫だった橘くんっ?」
純一「………」
森島「た、橘君っ? 俯いてどうかしたのっ? 」
純一「………」
森島「橘君……?」すっ…
純一「えいっ」ちゅっ
森島「んっ!」
純一「───あははー! ひっかかりましたね、森島先輩~!」
森島「っ……ひ、卑怯よ橘君! そんな手を使ってくるなんてっ……」
純一「ええ、まぁ、先輩は帰宅路時はあんまり……キス、させてくれないんで」
純一「ちょっと痛がったふりをしてみました、どうでしたか?」
森島「………」
森島「……ふんっ!」ぷいっ
純一「え、あっ……先輩!」
森島「橘君なんか、もうしーらないっ」すたすた…
純一「そ、そんなぁ! せ、先輩! スミマセンでした!
ちょ、ちょっと先輩を驚かせたくて僕……!」すたすたっ…
森島「………」ぴた
純一「先輩……ごめんなさい、どうしてもしたくて…そうですよね、ちゃんと
確認取ってからとか、雰囲気を大切にしながらのほうが……」
森島「………」
純一「……すみませんでした! 許してください!」ばっ
森島「…顔、上げて橘君」
純一「はい……」
ちゅっ
純一「っ……はい?」
森島「…ん、ふふっ……お・か・え・し」
森島「だって癪じゃないっ、私だって橘君のこと騙して良い気になりたいもの!」フフン
純一(とは言ってるけど、顔は真っ赤で恥ずかしそうだ……可愛いな、森島先輩は)
純一「…見事に騙されました、流石です森島先輩」
森島「わお! でしょでしょ! うーん、これならもっと君の事をからかうことができそうねぇ~」
純一「え、だめですよ! 僕は先輩がすることだったらなんだって信用しちゃいますから!」
森島「そ、そうなの? ふーん、そうなんだ~……へ~…」
純一「な、なんですかその悪そうな顔は……」
森島「……それじゃー、橘君、ちょっといいかしら?」
純一「え? ……このタイミングでなにかするつもりですか?」
森島「うん、そうだよー?」
純一「でも、流石に僕でも騙されることは無いと思うんですけど……」
森島「この下僕~」
純一「───っっっっ!?」
森島「うん? どうかしたのカナ?」
純一「なんでっ、急にそんなこと…を?」
森島「んー……なんとなくだよ? ド変態な橘君!」
純一「っっっっっ!?」ドキン!!
森島「……あれれ~? 虫より価値が低い橘君、どうかしたのかな?」
純一「っっ……せんぱっ…やめて…!」ドキドキドキ
森島「やめて? おっかしいなぁ~……どうみても君の表情は嬉しそうに見えるよ?」
純一「そ、そんなワケない…でふ!」ぶるぶるっ…
森島「ねえねえ橘君……ちょっと靴の裏汚れちゃったから、綺麗にしてくれないかなぁ?」
純一「靴の裏は、汚くなるのが普通……」ぐぐっ…
森島「え、そうなの? でもでも、私は汚れてるって言ってるんだよ?」
純一「っ……森島先輩が、そう言っている…?」ドキドキ…!
純一「………」ピシリッ
純一「───それは汚れています!」
森島「綺麗にしてって言われたら?」
純一「ハァハァ……な、舐め取ってでも綺麗にします!」
森島「ふーん、でも橘君の唾液の方が汚いから……イヤかも」
純一「えッ……!」
森島「フフッ、でもね? 橘君にはもっとふさわしいところがあるかもしれないなぁ~」
純一「ど、どんなところですかっ!? な、なんだってします! お願いします! やらせてください!」フンスフンス!
森島「えっとね~それじゃあ~」
純一「わ、わんっ!」
森島「……あ、そうだ! これなんかどうかなっ?」
純一「わん?!」
森島「私の家の、ボロ雑巾の役目とか!」
純一「オッフ!」
純一「わん! ………え、あ、いや……御冗談ですよね…?」
森島「……」にこにこ
純一「わ、わん! 喜んでぇ!」
森島「うふふっ、それじゃ橘君! 私の家まで四足歩行で行くわよっ!」
純一「わんわーん!」だっ!
森島「───はぁーあ! すっごい楽しかったぁ!」テカテカ
純一「えっ………」ぴたっ…
森島「ほんっと橘君ってサイコーよね! わおわお!」パチパチパチ!
純一「あ、あのっ……これって…?」
森島「うん! ちょっと橘君を……騙してみた感じかなっ」
森島「さっきも言ったけどね、橘くんを罵るなんて私には無理だから……
思っても無いことを言ってね、君を騙してみようかなーってやってみたら」
森島「ふふっ、意外とおおハマりだったわね! う~~~んっ!
橘君も本当はわかってたくせに、ここまで乗ってくれるなんて……本当に流石よね!」
森島「前から思ってたけど、橘君の迫真の演技って目を見張るものがあるわよね!
こう……なんていうのかしら、躊躇が無いというか、身体全体で感情を表しているというか……とにかく凄いわ!」
純一「あははっ……それは、そうですよ。僕はなんてたって紳士ですからね…」
森島「わぁお! なるほどねぇ~……恐るべし紳士ね! 私も見習なくちゃ!」
純一「…………」ほろり…
森島「うーん、でも……さっき自分でしておいてなんだけど。橘君…」
純一「……はい、なんでしょうか?」
森島「人にね、暴言を吐かれるとか……罵られるのってどんな気分なのかしら?」
純一「えっ?」
森島「そういうことで……嬉しがる人がいるってのは、まあ、知っているんだけどね。
でもでも、私は普段の生活で暴言とか吐かれたとこ全くないから……ぜんぜんわからないの」
純一(まあ、森島先輩に対して暴言を吐く奴なんていないだろうなぁ……塚原先輩でさえ、文句止まりだし)
森島「だからね、橘君……ちょっとお願いがあるんだけど…いいかな?」
純一「はい? おねがい、ですか…?」
森島「そう! お願いなんだけど……ちょっと私を罵ってみてくれないかな?」
森島「へ、変なことをいってるのはわかってるんだからねっ?
でもね、今のうちに経験しておかなくちゃ駄目かなって……思ってるんだけど、いけないことかな?」
純一「あっ、いや! 別に悪くは無いと思いますけど……僕が先輩を罵るんですか?」
森島「そ、そうなのっ! やっぱりできないかな…?」ちらっ…
純一「う、うーん……ものすごく難しいですけど……はい、やってみます…! 先輩の頼みですし…!」
森島「わぁお! 流石ね橘君! じゃあ早速お願いするわ!」すっ
森島「わくわく…」
純一(わくわくしていらっしゃる……なんだろう、この人を罵る日が来るとは思いもしなかったよ…っ)
純一(く、くそっ……なにも思いつかないよ! でも、先輩の頼みだ…!ちゃんと考えて、きちんと期待にこたえなきゃ…!)ぐぐっ…
純一「──こ、この天然悪女!」びしっ
森島「………………」
純一「………………」
森島「……………」
森島「……………っっっ!」ぞくりっ
純一「……えっと、森島先輩…?」
森島「………ぇ…ぁ…ん…?」
森島「ハッ!? えっ!? ち、違うのたちばなくっ…!」ぶんぶん!
純一「は、はあ……?」
森島「っ………あ、そのっ……えっと~……」
純一(ど、どうしたんだろう先輩……顔真っ赤にして…もしかしたら怒っちゃったのかな!?)
純一「せ、先輩! やっぱりっ───」
森島「た、橘くんっ…!」ばっ
純一「──え、はい…?」
森島「あのね…? その、なんというかな……えっと、あの……もう一回、お願いできるかな…?」もじもじ…ちらっ
純一「えっ? な、なにをですか?」
森島「……の、罵るの……もう一回だけ、言ってくれない…?」じぃー…
純一「……ええっ!? も、もう一回ですか!?」
森島「だ、ダメならいいのっ…! ただのお願いだから、ダメっていうのならそれで……」
森島「……っ……っっ……」もじっ…
純一(…いや、そんな顔で言われちゃったら断りようが…)
純一「わ、わかりました! ではもう一回先輩を……罵りますよ!」
森島「ぐ、グーット! どんときていいわよっ…!」
純一「こ、このっ……男たらし!」
森島「んっ……!」ドキン!
純一「っ……」
純一(なんだこの反応は…っ? 先輩がすっごく、可愛く見える…!
いや、普段から天使のように可憐な方だけど! 今日の森島先輩はなんだか……!)ドキドキ!
純一「………むっつりスケベ」ぼそっ
森島「ひっ…!」ぶるっ…
純一「……空気読めない…」
森島「っ……」びくんっ…
純一「こ、このラブリー!」
森島「ひゃぁうっ……!?」びくびくん!
純一「せ、先輩っ……どうでしたか…?」
森島「…あ、うんっ…! ……その、ね……よかったよ、うん…!」
純一「そ、そうですか? 良かったとは……その、僕の罵り具合がってことです、よね…?」ドキドキ…
森島「………」もじっ…
純一「………」
森島「……うん、そうかな…うん……」ちらっ…
純一「……森島先輩、その…」
森島「なに、かな……?」ドキドキ…
純一「……まだ僕が、先輩を罵り足りないって言ったら……どう、しますか?」
森島「えっ……?」
純一「……どうしますか?」
森島「っ………そ、それは………そのっ……」
森島「っっ……」ぎゅっ…
森島「とっても、良いと思う……かな?」
森島「……橘くん…手、つないで良いですか…?」
純一(敬語!?)
純一「あ、うん……いいですよ…?」すっ…
森島「ありがと……」ぎゅ…
純一「………えっと、その……これから…どうしますか…?」
森島「………橘くんの好きな所で……いいよ?」ぎゅう…
純一「じゃ、じゃあ…僕の家とか……ちょうどいいかもしれませんね!」
森島「たちばなくんのお家……?」じっ…
純一「あっ…いや、ダメだったらいいんですけど…!」
森島「…………」ぶんぶん…
純一「……えっと、首を横に振るっていうことは…」
森島「……ふつつか者ですが、よろしくおねがいします…」
純一(なにを!? なにをよろしくされたの僕!?)
森島「………」ぴたっ
ぐいっ
純一「あ、あれ? ……先輩? どうかしましたか?」
森島「…………」じっ…
純一「……えっと、そんなに見つめられても……どうしたらいいのか、僕には…」
森島「…………」じっ…
純一「………っ」
純一(───わかる、わかってしまう! あの瞳は! あの訴えかけてくるあの瞳は!
森島先輩の絶大的な魅力を至らしめている魔の瞳!)
純一(先輩が何を思い、何を欲し、何をするか。あの瞳によって全てを相手に分からせることが出来……
……そして魅了された相手は決して逃げることなどできない、魔の輪廻!!)
純一「……ごくり」
純一(───期待に、答えるしかない! 僕は……森島先輩は僕の彼女なんだ!
橘純一、変態紳士の名をかけて……いざゆかん!)
純一「……こっちにこい、はるか。オレの家にいくぞ」
純一(はっずぅううううううう!!)
なんだこれ……やってしまった、流石に森島先輩も引いて───)
森島「……キャー…」キュンキュンッ…
純一(あ、すっごい嬉しがってるっぽい! 見たことも無いよあの表情!)
森島「はいっ! たちばなくんっ……!」だだっ…ぎゅっ!
純一(ぬわぁー! や、やわらかっ……違う! こんな反応じゃ先輩を喜ばすことは出来やしない!)
純一「───これから、もっと可愛がってやるからな。あんまり離れんなよ」
森島「………」こくこくっ
純一「じゃあ行くぞ……」すたすた…
森島「はいっ!」
~~~
美也「……ん? あれ、にぃにだー」
七咲「あ、森島先輩もいるね」
中多「すっごく仲良さそう……あれ、橘先輩の手、森島先輩の胸に──」
塚原「───はい、そこまでよ」がばぁ!
美也&七咲&中多「きゃあー!?」
七咲「こ、この声はっ……塚原先輩ですかっ!?」
中多(っっ……!? さっきのってやっぱり……っ! えっ? えっ? きゃぁー!!)
塚原「……ふぅ、突然ごめんなさい三人とも。ちょっと教育上に悪い光景が見えたから塞がせてもらったわ」
塚原(……まったく、あの二人は本当に人の目を考えないわね。
橘君と付き合えば少しはしっかりすると思っていれば、ますます悪くなってるじゃないの…)
塚原(……まあ、お熱いことはいいことじゃない。でも、橘君……はるかの胸を…しながら歩くのはどうかと…
…それにはるかも! どうして止めようとしないの!)
塚原「……はぁ、なんだか、お守りが増えたような気がしてならないわ……」
塚原「まだまだ、眼が離せないわね……あの二人」
響ちゃんの万能さは異常
次は七咲かなー
うんこいってきます
>>75
トイレ行ってきます故に遠目に
今回のスレは+と言うことで前回に書きました
純一「みんなと、イチャイチャしよう!」
純一「もっとみんなと、イチャイチャしよう!」
純一「色々みんなと、イチャイチャしよう!」
のお話の続きを書いています
+での書き済みのキャラ
裏表
ひびにゃん
麻耶ちゃん!
みゃー
です、それ以外ならオッケーで
ではでは
把握です
その次は梨穂子をかくよ
ちょいおまち
純一「ん~……」
裡沙「うふふっ、もう純一くん……そんなにしたらくすぐったいよ」
純一「え? でも、裡沙の膝枕とっても気持ちがいいからさ……こうやって寝転がってると、どうもこう……」
裡沙「あっ……だめだってばっ、もう! 本当に純一くんは甘えん坊なんだから……」なでなで
純一「あはは」
裡沙「ふふっ……あ、純一くん……っ」
純一「うん? どうかしたの?」
裡沙「う、動いたんだよ…っ? お腹の中で、少しだけ…!」
純一「えっ!? 本当に!?」ばっ
裡沙「うんっ…! ほら、わかるかな……っ?」
純一「………あ、本当だ…動いてる…!」
裡沙「だよねだよねっ? 元気な子が、生まれてくるといいね~……」
純一「当たり前だよ! 僕と裡沙の子供だよっ? ……もう想像だにできなほどの元気な子が生まれるはずだよ!」
裡沙「うんっ! そうだよねっ!」
裡沙「……だって、純一くんとあたしの…愛の結晶なんだもん───」
裡沙「…純一くんみたいな…かっこいい男の子がいいな………」
裡沙「あんっ……あ、純一くん、だめ…中には赤ちゃんがいるからまだ────」
じりぃぃいりりいいいいいいいいいいいいいい!!
裡沙「───はぅあっ!?」がばぁっ
じりりりりりりりっりりりいりりっりりりりい!!
裡沙「…………」ばんっ
裡沙「…………」
裡沙「………夢…」
裡沙「…………」ごしごし
裡沙「………うっ…うーーーんっ……」ぐいー…
裡沙「………っはぁ…」ぱさぁ…
裡沙「…………」
裡沙「はっ!?……もっかい寝れば、同じ夢見れるかも!」ばばっ
裡沙「はうッ!」ガン! (壁に頭をぶつけた音)
あたしの名前は上崎裡沙なんです、よろしくおねがいします。
裡沙「ふんふーん……♪」さっささ…
朝からとってもいい夢を見れてすごく機嫌がいいです。
いつもこんな夢を見れたらいいなーなんて思ったりしてます。
裡沙「……よし」ぐっ
ですが、夢じゃなくていずれ現実でも……なんて思ったりなんかして、きゃー!
裡沙「きゃぁー! どうしようどうし、きゃうっ!?」ガン!
いけないけない、いつもはこんなことはないんですけどね。
今日は少しだけテンションが高くなってます、ごめんなさい。
裡沙「もぐもぐ……」
朝は毎日ちゃんと食べてます。
痩せすぎってよく友達から言われるけど、あんまり太らない体質でして。
裡沙「ごくごく……」
そんなことをとあるクラスメイトに言ったら、筆舌に尽くしがたい顔をしてました。
どうしたんだろう、なにか駄目なこと言ったかな…?
いってきますの挨拶をすませて、あたしは学校へと向かいます。
ですが結構、遅刻ギリギリでの登校です。
裡沙「…………」すたすた…
家と学校はそんなに離れてはいません。むしろ近い方です。
朝起きるのも苦手じゃないので、どうして? と思う方も多いと思います。
裡沙「……このへん、かなぁ…」きょろきょろ
それはですね、とある人を待つためにこの時間に登校するんです。
とある人、というのは……
「はぁっ…はぁっ…!」
裡沙(あ、きたっ……!)ささっ
きました、あの人です。
純一「はぁっ…はぁっ…! や、やばい! また遅刻だよ…!」だっ…だっ…だっ…
裡沙(──きゃあ! きゃあああー!! た、たちっ…橘君っ!)はぁはぁ…
前方の方から息を切らせて走ってくる男子生徒。
そう、彼が橘純一……あたしの想い人です!
裡沙(橘くんがっ…息を荒くしてるんだよ! う、うへへっ! すっごく色っぽいよねっ!)
興奮が収まりません。もし手元にカメラがあったのなら、すぐにでも写真に納めてたでしょう。
ですがそんなものはなくて、あたしは必死になって脳内hdに画像保存させます。
裡沙「はぁっ!はぁっ! …んくっ、はぁんっ…!」ドキドキ!
もう幸せすぎて堪りません。橘くんのこの姿を見るために今日は、少し遅れての登校でした。
調べによると昨晩の橘くんはお宝ビデオを鑑賞したために、遅刻の可能性があると断定してたんです。
裡沙(あ、ああっ~……もっとみてたいけど、あたしも遅刻寸前だよっ…急がなきゃ!)だだっ
名残惜しいですが、橘くんを置いてあたしは学校へと向かいます。
体力には何かと自信があるので、全速力で走っていきます。
裡沙「……ふぅ、着いた」
モノの数分で校門前へと付きました。
今だに登校している生徒の姿もちらほら見えます。
裡沙(……橘くんは、今日も遅刻かな)
ことあるごとに時間ギリギリに登校することが最近多い橘君。
裡沙「…………」
それはつまり、彼がお宝ビデオを見る回数が増えていることに繋がるんです。
なぜでしょうか、確かに彼はお宝本を大多数を学校に隠すという強者ですけど。
裡沙「……溜まってるのかな」
なんて思ったりしたりするけど、結局は現場を見ることは無いのでわからないです。
彼は何を思い、そして何を考えそのようなことを続けるのでしょうか。
裡沙(ま、いずれ調べればいいよね!)すたすた…
わからないのなら、調べればいい。
それがあたしのモットーです。
~~~~
裡沙「………」
授業は退屈です。もちろんそれは橘くんの姿を見ることができないからです。
裡沙(なにしてるのかな、橘君……ちゃんと起きて授業受けてるかな…)1
裡沙 もんもんっ……!
ですが、逆に言えば……色々と想像し放題なんですよねこれって。
だからあたしは橘くんともし初デートに行くならどこに行くかと想像を膨らませます。
裡沙(まずはっ……映画とか見るんだよ! そしてそしてっ…その後はゲーセン、かな?
ああいう所入ったこと無いから、橘君にリードしてもらって……えへへっ)にやにや
こういった想像はとっても楽しいです。
にやにやがとまりません。
黒沢「………?」
隣席の子がすごい目で見てきますけど、今のあたしは気づいてないと思います。
裡沙(ああ、橘君っ! もう大好きだよぐへへ~……)
高橋「こら、上崎さん!」ぽん!
裡沙「ふぇっ!?」ばばっ
高橋「授業中に寝てはいけません、わかりましたか?」
裡沙「は、はい……すみませんでした…」シュン…
こういったケースは、いつも反省してます。
お昼休みです。今は教室の中で友だちと一緒に御飯を食べてます。
裡沙「………」ぼぉー…
ちょっと意外、と思ってる方がもしかしたらいるかもしれません。
昼休みなら彼の元へと行き放題じゃないか、とか。
裡沙「もしゃもしゃ……」
ですが、このタイミングで彼の尾行は危険なんです。
それはなぜなのか、なんて言われちゃえばそうですね。
裡沙「……絢辻、詞…」ぎりっ…
そうです、彼と一緒のクラスメイト。
あの分厚い鉄面皮で覆った悪魔みたいな女が。
彼と一緒に行動する事が多い昼休みは、危険なんですよ。
裡沙「じゅるっ……じゅるるるるるるッッ!」
梨穂子「あ、上崎さんそのジュース……」
裡沙「え? あ、ごめんなさっ……これ、桜井さんのやつだったよね…っ?」
梨穂子「い、いいんだよ! ダイエットだって思えば……思えば、ね…」ほろり…
午後の授業は合同体育です。
他のクラスと一緒に授業受けるんです、中々楽しいですけど、嫌なこともあります。
絢辻「…………」
裡沙「っ……!」
そうです、見たくない顔を見てしまうことですよね。
できれば存在自体を消し去りたいのですが、そうも行きません。犯罪は流石にアウトだと思いますから。
裡沙(だけど、だけどねっ…!
女子の方の授業は……ドッチボール!! これはチャンスだよ裡沙!!)
天はあたしに味方をしてくれたようです、これなら合法的に痛みつけることができるじゃないですか!
裡沙(今に見てなさい、絢辻詞……普段から橘くんにしていること、このあたしが仕返ししてあげるんだから…っ!)
気合を入れ、闘魂注入。
ぱんぱんと頬を叩き、いざコートの中へ。
棚町「……おっ? なんだか気合はいってる子がいるわよ恵子ぉ~」
田中「う、ううっ……」
棚町「なに怖がってんのよ! だーいじょうぶ、アタシがきちんと守ってあげるから~」
惨敗でした。これでもかってぐらいに負けてしまいました。
裡沙「うっ、うう~……」ぐすっ…
あたし的には活躍したほうなんですが、どうも周りの動きがおかしくて。
調子が狂わされ、上手く動くことができませんでした。
裡沙「……はぁ~…」
しかも、ここぞというばかりに!
相手チームに渡ったボールを……絢辻詞がキャッチし!
裡沙「くっ、くううううう……っ!」ぎりっ…
……あたしを綺麗なフォーム……
裡沙「っっ……………はぁ…」とぼとぼ…
悔しがっても、仕方がありません。
こうなった結果があるのだから、あとからとやかく言ってもしょうがないです。
裡沙「………おでこ、怪我しちゃった」
保健室にいって、バンソーコーをもらいにいこうとおもいます。
裡沙「……あれ? あの姿は…」
どう見ても橘くんです、神様ありがとう!
裡沙「たちばなくんだっ……!」ささっ
……ここで安易に駆け寄ったりはしません、むしろ駆け寄る勇気がありません。
橘くんもあたしのことを憶えているはずがありませんし。
あたしの方もこのタイミングで思い出して欲しくもありません。
裡沙「………」じっ…
静かに、気配を消し去り、いつも通りに壁と一体化を済ませます。
そうなるとあたしの姿は誰にも発見されることはないんです、凄いでしょ?
裡沙「たちばなくんっ…たちばなくんっ」
体育終わりの、汗で濡れた髪もとてもセクシーで、これはもう一週間は色々と困りません。
裡沙「はぁはぁ………ふぇ…?」
すると、橘くんの影に隠れるようにしていた人が、廊下側へと出てきました。
どうやら保健室に入ってたようです。
裡沙「あ、あれはっ……!」
どうみても絢辻詞です、神様のばか!
裡沙「ぎりりっ……なんなのかなっ…いつもこうやってあたしと橘くんを邪魔してっ…!」
あたしはそう言いつつも、少しづつ後ずさりをすませます。
あの女、この距離からでも感づいて来る場合があるのです。恐ろしい事この上ないんです。
裡沙「仕方ないよっ……ここは、ひとまず───……え?」
後ずさった足が、不意に止まりました。
裡沙「………泣いて、る…?」
信じられない光景が、目の前に広がっていました。
あの、絢辻詞が……静かに泣いていました。
裡沙「………泣くんだ、あんな人でも…」
なんだかわからないけど、すこしだけ、ほんとうにすこしだけ。
あの女が「人間味」をだしているところを見て、あたしは……
裡沙「──あっ!!あの女橘君に抱きついた!!! くにぃいいいいいいいいい!!!」ぎりりりり!!
やっぱりそんなことは勘違いだったようです。
裡沙「…………」
それはどうしてか、なんて聞かれれば。
それはあたしがあえて尾行をしないからです。
裡沙「屋上の風、やっぱ冷たいよ……」ぶゅううう……
橘くんの尾行について。
あたしはひとつの約束事を一人で決めていました。
裡沙(……頑張ってるのかな、橘君)
それは橘くんが、あのトラウマを持ちつつも。
恋愛という大きな壁に向かって立ち向かう姿を。
裡沙「…………」
見たくはなかったからです。
裡沙「………どうして、頑張れるんだろう」
あたしには、今の橘くんは理解できません。
いや、理解したくないといったほうがいいのかも知れません。
約束事───それは、彼が頑張ってる姿を決して見ないこと。
なぜか、なんて聞かれれば単純にそう……見たくないからです。
裡沙「…………」
彼はあんな辛い思いを抱え、それなのにまた恋愛をしようと頑張っている。
どうしてなんでしょうか、まったく理解不能なんです。
裡沙「だって、あたしは……貴方のことはなんだってわかってるから…」
彼が経験した重いトラウマは、あたしにしか理解ができない。
だからこそ同じ傷の痛みを知っているあたしは、彼の行動が理解できません。
裡沙「……あたししか、彼をわかってあげられないんだよ…橘君」
それは現実味を全く帯びてはなく、あたしだけの妄言なのかもしれない。
……なんて誰かが言いたいのかも知れませんけど、そんなことはありません。
裡沙「…………」じっ…
現実はそこまで甘くはない。
彼がどれほどの奇跡を起こそうとも、どれほどの頑張りを見せようとも。
裡沙「貴方が経験したトラウマは……絶対に貴方を不幸にするんだよ」
それを理解しているはずなのに、彼は次の恋愛へと踏み出した。
裡沙「…………」
彼はまったく悪くはないんです。こうなった運命が悪いんです。
……そして、あたしが悪いんです。
裡沙「…………」
屋上から見える、グラウンドの端っこ。
木々に隠れて見えにくい場所ですが、上からは丸見え。
裡沙「…………」
そして今、あたしの眼下ではひとつの恋愛が終りを迎えました。
裡沙「…………」
走り去っていく女子生徒。
黒い髪がはためき、なにやら顔を抑えている姿は泣いているのでしょうか。
裡沙「………橘くん」
その後に残された、一人の男子生徒。
項垂れ、頭を垂れ、そして今にも膝をついてしまいそうなぐらいに落ち込んだ。
彼の姿でした。
あたしはその姿を見ながら、カバンからひとつの紙を取り出します。
それはさんざん女の子の………橘君に近づき、怪しい関係を作ろうとした女の子たちの。
そして橘くんの悪口を書いた紙切れでした。
裡沙「…………」
大量に用意されたその紙は、あたしが三日三晩寝ずに作り上げた最高傑作。
あたしが調査し、尾行し、時間を惜しまず作り上げたものでした。
裡沙「……橘君、ごめんね」
その大量の紙の中で一枚を手に取り、あたしは空へと掲げます。
絢辻詞の悪口が書かれた、その紙は。
裡沙「……………」
その紙は、一枚も使われてはいません。
裡沙「……使えるわけ、ないんだよ」
───びりびりと、その一枚をやぶきます。
風にのって、その千切れた紙は空へと浮かび、そして流れていきます。
あたしは、謝り続けました。
ごめんなさい、本当にごめんなさい……何もかもを橘くんに打ち明けたくて。
でも、それをしたらダメだってことはわかっていて。
裡沙「……そしてごめんなさい、絢辻さん」
あたしは彼女のことは嫌いです。
ほんとうに嫌いです、心の奥底からだいっきらいです。
裡沙「………」
なにかと突っかかってきて、橘くんを虐めて、あたしの尾行を邪魔して。
これほどまで人を嫌いになれるのかって思うぐらいに人を憎んだことは初めてで。
裡沙「……でも、貴方と橘くんが…」
絶対にうまくいかないことを、わかってたのに。
そのことを、彼のトラウマを、彼の悪い部分を。
裡沙「……きちんと言わなくて、ごめんなさい」
──風にのって流れていく、あたしの努力の結晶。
あたしが書いた悪口は、けっして悪い方向に行くとは限らない。
トラウマを抱えた彼は、決してそのトラウマを口にしない限り。
あの人は、いつまでたっても恋愛は出来やしないと思いながら。
乗り越え、突き進み、その先に待っている答えに立ち向かえたはず。
裡沙「……あたしの邪魔は、ただのいい起爆剤だったはず」
だけど、それをわかっていたからこそ。
あたしは絢辻さんに強く尾行をしなかった。
裡沙「……嫌な女の子、だよね」
眼下にみえる、彼の姿。
薄暗くなっていくうちに、彼の姿はもう見えなくなるだろうと思います。
裡沙「……まだ、大丈夫だよ。橘君」
貴方はまた、トラウマをおった。
トラウマのせいでトラウマを負い、そして次へと進んでいくはずです。
裡沙「そんな馬鹿で、可愛い貴方を……あたしは好きになりました」
どんなに傷つこうとも、先へと進む貴方。
頑張り、頑張り続けてなおも答えを求めようとする貴方。
裡沙「……ずっとずっと、ずっと…」
……あたしは、そんな可愛い貴方を見続けます。
彼が望むことならなんだってしようと、あの冬の公園で誓ったはずなのに。
それでもあたしがすることは、彼を悲しませることばかり。
近頃、そんなふうに思い始めたあたしは。
そんな自分の過去をどうすることもできやしません。
だったらどうすればいいのでしょう。
あたしには、ひとつの名案がありました。
裡沙「…………」
時間はギリギリ、遅刻間際。
既にあたしの走りでも学校に付くことは叶わないと思います。
裡沙「……もうすぐ、かな」
家は学校からそう遠くありません、むしろ近いです。
朝は別に弱くはなくて、むしろ強い方だって自負しています。
裡沙「───あ、きた……」
そしたらどうして?
なんて疑問を持つ人がいるでしょうけど、あたしはとある人を待っているんです。
「はぁっ…はぁっ…はぁっ…」
裡沙「っ……っっ……!」
その人は、とてもちから強くて。
その人は、とてもお馬鹿さんで。
「んくっ…はぁはぁ……!」
その人は、とても頑固者で。
その人は、とても強がりで。
その人は、とても淋しがり。
裡沙「………今だよ、裡沙っ…行くならいましかないんだよ…っ」
あたしは、そんな貴方を好きだから。
裡沙「っ……にょし! あ、かんじゃっ──ひゃうっ!?」バターン!
だからこそ、あたしも頑張りたいって思い始めたんです。
「おわっ!? だ、大丈夫……っ?」
裡沙「いひゃいっ……」
「た、立てるかな…? すっごい勢いで転んでたけど…?」
裡沙「え? あ、ははははいっ…! だ、だだだっだだだだ………」
「……えっと、本当に大丈夫?」
「お、おうっ! そっか……それなら安心だよ!」
あたしは、そろそろ頑張らないといけないから。
貴方の頑張りに合わせて、あたしも頑張らないといけないから。
裡沙「えっとその、ね……貴方も遅刻寸前なのかなっ…?」
「……。あ!!そうだった!! 遅刻だよ遅刻! 急ごうよ!」
今もなお、三年になっても頑張り続けてる貴方に。あたしは最後まで、付き合い続けます。
裡沙「は、はい……!」
「う、うん! あ、そういえば……君の顔、けっこう見るんだけど名前を聞いてなかったよね…っ?」
裡沙「え、えええー!? けっこう……っ!?」
「え、うん……なんだか最近、よく見るんだけど……名前、聞いてもいいかな?」
裡沙「あ、うんっ! あたしの名前は……上崎 裡沙っていいます…!」
「上崎さんか……なるほどね、ああ、それじゃあ僕の名前も言っておこうか!」
純一「僕の名前は橘純一! よろしくねっ」
裡沙「………はい!」
───この彼の笑顔を、一生壊させないように。あたしは、これからの生き方を変えていく。
このおはなしの後に、前回の裡沙編に入るとお考えください
次はりほっちでごわす!うんこ!
梨穂子「……」ぐぅ~
純一「……もしゃもしゃ」
梨穂子「……」ぐぅ~~
純一「もぐ……」
梨穂子「……」ぐぅうう~ぐう…
純一「ごくごく……」
梨穂子「……」ぐううううううぅうう~~
純一「もぐ……ごくん」
梨穂子「……」ぐうううううううううううううううううううううううう
純一「………」すっ…
梨穂子「!」パァァァアアア!
純一「……ぱくっ…もぐもぐ…」
梨穂子「……」ずーん
梨穂子「………」ぐぅううううう……
純一「そろそろ、やめたほうが見のためじゃないか……?」
梨穂子「………」ぐううううううっ! ぐぐ!ぐう!
純一「もしゃもしゃ……あの、腹の音で会話してる感じになってるしさ、そういうのって女の子的に…」
梨穂子「………」ぐぅ~…
純一(か、会話してんのかこれ! もしかして……ッ!?)
純一「……り、梨穂子?」
梨穂子「………」ぐぅ?
純一「ごくり……うそ、だろ?」
梨穂子「………」ぐっぐうっ! ぐぅうー!
純一「……ごめん、ちょっと可愛いかもって思ったけど、そうでもないかも」
梨穂子「ええぇー! どうしてぇ~!?」
純一「いや、ちょっと……腹踊りみたいな印象を受けて、なんかこう……萎えた?」
梨穂子「ひっ…ひっどぉ~い! ちょっと期待した感じで言ったくせに~~~!!」
梨穂子「ちゃんと目を見ていってよぉ~! ……女の子に、可愛いって言う時はきちんと目を見て言わなきゃダメなんだよっ?」
純一「リホコカワイイ」
梨穂子「だーめ! そんなんじゃ、だ~~めっ!」
純一「リホコノオナカカワイイ」
梨穂子「むぃいいいいいい!! ほんっと純一ってばイジワルだよ~~!!」
純一「イジワルなんかじゃないよ、幼馴染としての愛情だよ」
梨穂子「デマカセばっかり! そうやってす~~~ぐ逃げるんだから!」
純一「じゅるじゅる……」
梨穂子「もうっ…! さっきも食べさせてくれるのかな~、なんて思ってればやっぱり食べさせてくれなかったしっ」
純一「あれはまぁ、イジワルだったけどさ……いやいや、お前だってダイエット中だろ?」
梨穂子「そ、そうだけど……でも! 可愛い幼なじみがお腹すきすぎて「おなかすいたよー!」ってお腹鳴らしてるんだよ?
そこは純一、ドンッと男らしくやんなきゃだめだよ~」
純一「いやだ、なぜか、それはこれは僕の昼飯だから」
梨穂子「……ふんだっ」
梨穂子「そこは自信を持って行って欲しかったりするんだけど~……?」
純一「いやいや、梨穂子。それは流石に高望みしすぎじゃないか?」
梨穂子「えっ……どういうこと?」
純一「僕が梨穂子のこと、可哀想だなって思うことについて」
梨穂子「……えっ? 純一は…可哀想って思ってくれたり、しないの…?」
純一「うん、しない」
梨穂子「…どうして?」
純一「このダイエット企画が六十七回目だから」
梨穂子「………うん、だよね。っはぁ~…」
純一「流石にもう、可哀想とかそんなこと思う気力もわかないよ」
梨穂子「ううう……どうしてこんなことになっちゃったんだろ……夏までには痩せたいのにぃ~」
純一「ああ、あのビキニ着るってやつ? ムリムリ! 梨穂子ムリムリ!」
梨穂子「ちょ、ちょっと! そんな断言しなくてもいいでしょ~!」
梨穂子「報われないなら教えきれてないよぉ!」
純一「……はぁ~、まあ、あえて今まで聞かないでおいたけどさ梨穂子」
梨穂子「えっ? なに?」
純一「どうしてそこまで……痩せようとするんだ?」
梨穂子「どうしてって……それはまあ、痩せたほうがね、着たい服とか着れるとか~…」
純一「うんうん」
梨穂子「あとはさっきもいったけどね、ビキニ~とか可愛く着れたりとか~……」
純一「そうだね、痩せるって言えば定番な答えだよ」
梨穂子「あとはね、駅前のケーキ屋さんに売ってるシュークリームをいっぱい食べれたりとか~……」
純一「うんう……うん?」
梨穂子「あとはあとは! おなかい~~~っぱいリンゴパイを頬張ってぇ~~~……えへへ~…」ジュルル
純一「おい」
梨穂子「う、うぇっ!? そ、そうかなっ…?」
純一(無自覚だと……っ? そもそも梨穂子の発想自体が食に侵されすぎてる…!グルメ細胞でも有るのかコイツには…)
純一「───仕方ない、どうやら……ここにきて僕が立ち上がらなければならないようだな」がたっ…
梨穂子「えっ…?」
純一「驚く無かれ、この橘純一……実はこのかた太ったことがない!」
梨穂子「う、うん…幼馴染だからしってるよ?」
純一「ああ、実におかしな話なんだよこれが……ね」
梨穂子「?」
純一「お正月」
梨穂子「おもち!」
純一「…誕生日、七五三、ひな祭り、春休み、夏休み、秋の季節!」
梨穂子「ケーキ! 金太郎飴! 雛あられ! お団子! 焼肉! おいもおいも!」
純一「……パーフェクトだ、そして本当にどうしようもないな梨穂子…」
梨穂子「えっへへ!」
純一「これらすべて、僕はお前と同じ時間を過ごし……そして同じ量を食べてきたんだよ僕は!!」
梨穂子「…………はっ!?」
純一「どうやら理解したようだな梨穂子……僕はお前とほぼ同じく、いずれとして食を嗜んできた人間だ…」
梨穂子「でも、太ってはない……!」
純一「そうだ。だが一方、梨穂子は……うん、太った!」
梨穂子「……ポッチャリナダケダヨ」
純一「やかましい! 梨穂子、だから僕はお前に伝授してやる!」
純一「どうやって痩せるのか……この僕が、本気になってね」
梨穂子「っっ………ほ、本当に…出来るの純一が…?」
純一「まかせろ、お前の知っている幼馴染は……役に立つぞ」
梨穂子「じゅん、いちっ…!」
純一「さあ! 僕の手をとれ梨穂子! お前を美のコロシアムに連れてってやろう!」
梨穂子「さぁー! いえっさぁー!」ぴしっ
梨穂子「運動? ……純一、それは基本的なこと過ぎてどうかな~」
純一「ほほう、いうねえ梨穂子……なら梨穂子はきちんと運動はしているのかな?」
梨穂子「あったりまだよ! 仮にもダイエットを口にしているからね~」
純一(仮にも……?)
梨穂子「だから私はダイエット関係の運動はっ! おちゃのこさいさい~なんだよ~うふふ!」
純一「……ま、まあえらく自信満々だけど、とりあえずやってみよう!」
梨穂子「おっけぇー!」
三十秒後
梨穂子「はぁっ…! はぁっ…!」ぐたー
純一「おい、よくあんなコト言えたな言えたな三十秒前の梨穂子……腹筋五回でヘロヘロじゃないか!」
梨穂子「うへぇ~……だめだよ、飲み物頂戴じゅんいち~」
純一(ぐっ……だ、ダメだこいつ…! ダイエットなんて言いながら、絶対にこれまできちんとした基礎を行なってきてないよ!)
純一(運動後にりんごジュース…ッ!? しかもたいして動いてないくせして……!!)
純一「……わかった、なるほど、十分に理解できたよ梨穂子…」ぐぐっ…
梨穂子「うん? なにがわかったの~?」
純一「……お前の、その腐れ切った根性にだ!!」ばっ
梨穂子「くされっ……えええっ!?」
純一「駄目だ、そんなんじゃダメだぞ梨穂子……絶対に将来後悔することになるぞ……
…良いのか、歳をとっても消えないたるみ、そして余った腹回りの皮膚……」
梨穂子「ひっ……」
純一「お尻は垂れ、二の腕はぷるっぷる、太ももハリが無くなり最終的には………」
純一「二つの胸も、ダメになる!!」びしっ
梨穂子「ッ……!?」
純一(あ、これってナチュナルにセクハラったな僕……)びしっ
梨穂子「そ、そんなぁ~……残酷過ぎるよぉ~……」しくしく
純一「お、おうっ……だからなっ! 梨穂子……がんばろうよ?」
梨穂子「うっうっ……そうだよねえ、頑張らないとだめだよね~……うっうっ」
梨穂子「……うん? ひっく…なあに、純一…?」
純一「大丈夫、今まで失敗続きだったけど……これからはそうじゃないはずだよ」すっ…
梨穂子「純一……」
純一「さあ、がんばろう! 僕はちゃんと最後まで付き合ってやるから……あの時だって、
そうだっただろう?」
梨穂子「あの時って……あ、私が風邪を引いた時の…?」
純一「うん。その時だって僕は最後までお前の面倒を見切ったんだ……今回だってやれるさ」
梨穂子「……うん、ありがと純一…」
純一「よし! そうと決まれば電話だ!」
梨穂子「……電話?」
純一「おっ、いいところに公衆電話が……ぴっ、ぽっ、ぱっと!」prrrrrrr
梨穂子「えっ? えっ? ど、どこに電話かけてるの純一……?」
純一「───あ、もしもし! こんにちわ、おひさしぶりです! あ、いえいえ……そんなっ…あはは!
……なるほど、また今度伺わせて頂きますね……あと、それと例の件ちゃんと繋がりましたよ」
純一「ええ、ええ……はい、大丈夫だと思います。いえ、大丈夫です! お任せ下さい!」
梨穂子(誰なんだろー……すっごく親しそうだけど、女の子かな…?)ちらちらっ
純一「はい、はい……わかりました! では、また今度に! ───梨穂子お母さん!」がちゃ
梨穂子「えっ……ちょ、純一!? な、ななななっ……お、おかっ……!?」
純一「うん、お前んちのお母さんの電話だよ」
梨穂子「どうして!?」
純一「いやー実は前回でさ、梨穂子の風邪の面倒みた時えらく気に入られちゃってさ~…いやまあ知らない中じゃないから、
気に入られるも何もあれなんだけどね!」
梨穂子「え、ええー……お母さん、私に黙ってなにやってるのっ…!」
純一「まあいいじゃない、それよりも、喜べ梨穂子! ダイエットの運動ができるぞ!」
梨穂子「えっ? どういうこと……?」
純一「ああ、それがさ────」
梨穂子「お、おおーっ……!」
純一「……お前のお母さんが、前もって用意してくれてたんだよ」
梨穂子「…みたいだね、色々とそそっかしい人なんだから…」
純一「こら、お前の為に用意してくれてたんだぞ? きちんと後でお礼を言っておくように!」
梨穂子「もう言ったよ~! そ、それよりも……純一っ…あのね……!」
純一「うん? どうかした?」
梨穂子「どうもするよ~! ど、どうして私……! スクール水着なのっ?」
純一「えっ……だってそれしか梨穂子、切れる水着無いんじゃ……」
梨穂子「あ、ありますぅ~! ちゃんと、うちにある水着できれるやつが……きれるやつが……」
純一「……あるの?」
梨穂子「………ぐす」
純一「な、ならいいじゃないか! ほら、一番お前にあったヤツのほうがいいって絶対!」
梨穂子「う、うんっ……そう、だよね……これから着れるようになればいいだもんねっ…」
梨穂子「は、はい!」だっ つるっ びたーん!
純一「あ……」
梨穂子「……よいしょっと、行くっよ純一ぃ~!!」だっ
純一(ッ……ノーダメージ……だと…ッ!?)
~~~
梨穂子「これって……ウォータースライダー…?」
純一「そうだ、しかも中々に有名なところらしいぞ!」
梨穂子「有名って~……どういう意味なの?」
純一「乗ったら分かるさ、それじゃあ二人お願いします」
「はい、こちらにどうぞー」
梨穂子「じゅ、純一……なんだか怖くなって…」
純一「大丈夫だって、ほら、見てごらん梨穂子」
梨穂子「えっ? あ、これって……ゴムボート?」
……しかも二人で乗れるすぐれものらしいよ?」
梨穂子「ふぇ~~」
純一「じゃあ梨穂子が前の方に……」
梨穂子「え、純一が乗ってよ~!」ぐいぐいっ
純一「え、え~っ? だ、だってそれはっ…!」
梨穂子「そこは男の子として先に乗るべきだよ~」
純一「お、おいっ…ちょ、そんなに押すなよ…!」
梨穂子「そらそら~! えへへ~!」
純一(な、なんだなんだ急に梨穂子積極的になって……ハッ!?
そういえば梨穂子は僕の幼馴染! 僕の苦手分野を知っているやつだ…!)
梨穂子「ほらほら~! お前、高いトコロ恐いんだろ~! ぶへへ~!」(純一アイ)
純一(って顔が言っているような気がしてならない!)
純一「くっ……仕方ない、じゃあ僕が先に乗るよ……」ぼすん
梨穂子「あ、ありがと~! ごめんね純一~……」どすん
純一「あ、ああ……いいよ、大丈夫。梨穂子もしっかりと座れよ……」ドキドキ
登ってる時は大丈夫だったけど、滑ってる時は大丈夫かな……)
梨穂子「うわー……恐いけど、ちょっと楽しくなってきたかも~」ドキドキ
「それじゃあ、行きますねー。しっかりとお掴まりくださいね」ぐいっ
純一「は、はいっ……う、うわぁああああー!」ずさぁあああー!
梨穂子「え、え、え、えええきゃあああああー!」ずさぁあああー!
純一「えっ、あっ、ちょっ……!! こええええええええ!!」
梨穂子「きゃああー!! きゃあきゃあー!!」
純一「うわぁああああああああ!! ……ぐっ…!」
純一(あ、あんまり叫び続けるのも男としてどうなんだ!?
精一杯の紳士道を呼び覚ませ! 僕は……僕は……!!)
純一「うおっ……うおおおおおお!! 楽しいぜっ────」
梨穂子「きゃあああー!」もにゅん!
純一「───うぉおおおっ!?」びくん!
純一「な、なんだろう!? 急に背中に柔らかいものがっ……梨穂子!?」
純一「り、梨穂子……あのそのっ!」
梨穂子「うっきゃああー!? ご、ごめっ…純一、でもっ…勢いが乗りすぎて離れられっ……!」ぐいぐいっ
つるっ
純一「っ……」もにゅにゅ!
梨穂子「ひぁっ…!」びくっ…
純一「……僕、このゴムボートから飛び降りようか?」
梨穂子「ふえっ!? だ、だめだよっ! そんなコトしたら怪我しちゃうから~……っ!」
純一「で、でも…梨穂子はこんなくっつき合ってる状況…嫌だろっ? だからっ…!」
梨穂子「………!」ぎゅうっ
純一「り、梨穂子……っ?」
梨穂子「っ……わたしは大丈夫だからっ……純一も、お願い……このまま腰に手を回させてくれないかな…?」
純一「あ……うんっ…僕は、大丈夫だけど…!」ドキドキ
梨穂子「わたしも、へいきだから……」ドキドキ
ずさあああああああ……ばっしゃーーん!
純一「……えっ!? あ、いや違いますこれは…!」
梨穂子「……」ぎゅう…
純一「り、梨穂子っ…!? もう終わったよ!? 離れて離れて!」
梨穂子「う、うん……」すっ…
純一「……っ?」
「くすくす、それではボートの回収をさせていただきますね~」
~~~~
純一「……はぁ~、ただたんに滑っただけなのに変に疲れちゃったよ」
梨穂子「そうだね……」
純一「?……どうしたんだよ、梨穂子…さっきから様子が変だぞ」
梨穂子「え? そう、かな……そんな事、ないよ」
純一「そう…か? じゃあ、さっそく次に行くぞ?」
梨穂子「うんっ」
純一「よし、次は……あの流れるプールにでも行くかっ」すたすた
梨穂子(……顔のほてりが収まらないよ、う、うう~…ばかばか、変に意識しない意識しない!)
梨穂子(でも、純一のふっきん………ちょっと割れてたな、えへへ…ぽこぽこってしてた…)によによ…
梨穂子(……はっ!? だ、だめだめっ! なんて変なことを考えてるのわたし!)
梨穂子「う、ううっ……」ぷしゅー… すたすた…
~~~~
純一「浮き輪を借りてきたよ、梨穂子これに掴まって泳ごうよ!」
梨穂子「う、うんっ! けっこう人がいるね~」
純一「プールといえばココ、って言うぐらいだと思うしな。
よし、それじゃあ入ろう!」
梨穂子「結構深いね~……あ、純一浮き輪浮き輪~!」
純一「大丈夫だって、掴ませないとかそんな意地悪しないよ」
梨穂子「絶対に考えてたでしょ~!」
純一「うっ……ちょ、ちょっとだけだって! ちょっとだけ!」
梨穂子「む~」
純一「とりあえず泳ぐよ! ほらほら! すぃーって!」
純一「そりゃそうだよ、流れるプールだもん」
梨穂子「でもでも、わたしこんなの初めてだから結構新鮮だよ~!」わくわく
純一「へ~……じゃあ、もうちょっと楽しませてやろう…!」
梨穂子「えっ……何する気なの、純一っ……?」
純一「梨穂子、浮き輪の上に乗って!乗って!」
梨穂子「ふぇ? ……えっと、こうかな?」
純一「おっけー! よし、じゃあ行くぞ~」ばしゃばしゃ
梨穂子「わぁー! はやいはやーい!」すぃー
純一「あはは、だろ? 流れるスピードと、僕の泳ぎですごく早く感じるんだ」
純一「まあ、周りの人に迷惑に成らない程度に泳ぐから心配しなくても大丈夫だよ」
梨穂子「…………」すぃー…
純一「……うん? どうした梨穂子、あんまり楽しくないか?」
純一「昔?」
梨穂子「……よく昔はね、純一と私と二人で…こうやって泳ぎに行ったなぁ~…なんて思ったりして」
純一「ああ、そうだな~……確かに夏休みとかよく学校のプールに行ってたよ」
梨穂子「うんうん、純一はすっごく泳ぐのが得意で……私は全然泳げなくて」
純一「そうだな、それで僕がいっつも泳ぎを教えてた」ばしゃばしゃ
梨穂子「……そうだね、そしてまた今日も…純一が私に色々と教えてくれてる」
純一「……あの頃から全く変わってないな、僕ら。あはは」
梨穂子「………」ぱしゃ…
純一「……梨穂子?」
梨穂子「………」ぎゅいぎゅい!
純一「え、ちょ……あんまり浮き輪の上で暴れるなよっ。ひっくり返っても知らないからな……って…」
梨穂子「……純一」じっ…
純一「えっ? あ、その……梨穂子? 顔が近いんだけど…?」
梨穂子「知ってるよ……わざとそうしてるの」じぃー
純一「そ、そうなのか…あんまりこっちに体重を載せるなよ…本当にひっくり返っても知らない…」
梨穂子「……ねぇ、純一、あのね」
純一「あ、うん……どうかした?」
梨穂子「…………」じっ…
純一「………っ?」
梨穂子「………」ぱしゃ…
純一「っ? ……梨穂子?」
梨穂子「純一って……本当に変わらないよね、普段は私にちょっと冷たく接してくるけど。
ここぞって時にはキチンと構ってくれる」
純一「そ、そうかな……? ちょっと、梨穂子…手をおでこに置くのやめろって…っ」
梨穂子「…えへへ、いやなの?」
純一「別に……ちょっとくすぐったいだけだよ」
梨穂子「そっか~……あはは、じゃあ耳とかも弱いよね~純一は~」
純一「あっ……ちょ、やめろって梨穂子…! うひっ…! あ、ほら変な声出ちゃっただろ…!」
純一「…何がいいたんだ、梨穂子は?」
梨穂子「うーん? なんだろうね、私には……まだいつも通りの子供の私には、よくわかんないよ…」
純一「…………」
梨穂子「身体ばっかり大きくなっちゃって、それに見合って大きくならなかった……モノは、
全然子供のままでどうしようもなくて……」
純一「……そんなことないだろ、いつかちゃんとそのモノってやつも成長するはずさ」
梨穂子「そうかなー? あはは、でも、ありがと純一……キチンと話を聞いてくれて。
絶対に誤魔化して、なにそれ胸のこと? なんて聞いてくると思ってたけどね~」
純一「僕だって空気ぐらい読めるさ」
梨穂子「……そう、だよね。えへへ~…純一はやっぱり大人だな~」
純一「あっはっはっは!」
梨穂子「そうやってすぐに調子乗るトコロは、まだ子供っぽいけどね~」
純一「うぐっ…」
梨穂子「くすくす………でもね、純一」
梨穂子「私は……今度のダイエットはぜったーいに諦めないんだ」
純一「おっ、どうした急に。やる気だな?」
梨穂子「…うん」
純一「……?」
梨穂子「ねぇ……純一、ひとつだけ。約束してもいいかな」じっ…
純一「どうした? 約束って?」
梨穂子「あのね、純一………私がもし今回のダイエットに成功した時はね」
純一「お、おう……」
梨穂子「………」
純一「梨穂子…?」
梨穂子「……キスしていいか、な?」
純一「ぶっはぁ!? はい!?」
梨穂子「………だめ?」こくん…
純一「だ、だめって……だ、ダメに決まってるだろ!? どうしてそんなこと急に…!!」
純一「っ………お前、梨穂子、僕のことからかったな…?」
梨穂子「……にへへ~、純一~私から迫られても、ちゃんと焦るんだね~えへへ~」にやにや
純一「あっ…あったりまえだろっ? 急に変なこと言われたら、誰だって…!」
梨穂子「ふ~ん……そうなんだ、純一はキスしていいって言ったら焦るっと…メモメモ」
純一「メモるんじゃない!」
梨穂子「あはは~!」
純一「ったく……そんなこというんだったら、僕から今この瞬間にキスしていいぞ梨穂子!」
梨穂子「えっ……」びくんっ
純一「ほらほら~? どうだ、したいんだろ~? ぐへへ、ん~? むちゅ~?」
梨穂子「…………」ぴくっ
純一「あははー! どうだ、それが僕のさっきの心境だ────」ちゅっ
純一「……った、んだ……?」
梨穂子「…………」ドキドキ…
梨穂子「…えへへ、しちゃった」カァアア…
梨穂子「……っ……っ……」もじもじ…
純一「……今の、どうして…えっ?」
梨穂子「…やだった?」
純一「えっ!? あ、いやー……じゃ、なかったよ、うん」
梨穂子「…わたしも、嫌じゃなかったよ…うん」ボッ
純一「……でも、なんで、お前…」
梨穂子「………あ、あれかな~…その、前払い的な感じ…かな?」
純一「前払いって……さっきのダイエットのやつ、か?」
梨穂子「う、うん……そう、だよ。これからダイエットを成功するために…景気づけみたいな感じだよ…?」
純一「お、おうっ……それなら、そんなことなら……別にいいのかもしれない、きがしないでもないかな…?」
梨穂子「いいと思うんだよ…っ! だ、だからねっ……その、純一……」ちらっ
純一「な、なんだっ…?」
梨穂子「……こ、今度は…ダイエット成功したら……その時は、純一のほうから……」
梨穂子「して、ほしいな……?」
梨穂子「…………」こく…
純一「…………お、おう……り、梨穂子が言うのなら……うん、してやっても……」
純一「……いいと、思わなくもない!」ぼっ
梨穂子「……えへへ、ありがと純一…」
純一「…………」ポリポリ…
梨穂子「……純一、今日はとっても楽しかったよ」
純一「…そっか、それはよかった。でも、な梨穂子」
梨穂子「うん?」
純一「…まだまだ今日は終わってなんかいないんだ。まだまだ、これからだぞ」
梨穂子「……うん、そうだね、純一」
純一「あはは」
梨穂子「にへへ」
~~~~~
梨穂子「ふぁあ~~~~~……今日はたのしかったぁー!」
純一「そうだなー、久しぶりに泳いだしなぁ」
純一「……ノーコメントで」
梨穂子「……だよねー、ただ単に遊んだけで───えっと、その……あれだったしね…うん…」もじもじ…
純一「そ、そうだなっ……あれだったしな…うん…」ポリポリ…
梨穂子「……あのさ、純一」
純一「…うん? どうした梨穂子?」
梨穂子「今日はその~……手をつないで帰ろっか? えへへっ」
純一「手……繋いで? あはは、なんだか昔みたいだなこれって」
梨穂子「うんっ、なんだか今日はずっと昔の話ばっかりしてたから……どうかなーなんて思って」
純一「そっか……ああ、いいよ梨穂子」ぎゅっ
梨穂子「あっ……うん、ありがと純一…」
純一「あはは、どうしてお礼をいうんだよ」
梨穂子「うーんと……色々、かな?」
純一「色々? ……結構なんだか思い当たるフシがいっぱいあるきがするな…」
梨穂子「っ! ぜ、絶対に私が思ってることと純一が思ってること違うよそれ~!」
梨穂子「あっ……うんっ!」たった…
純一「………今日は、僕の方もありがとな」すたすた…
梨穂子「え、どうして?」すたすた…
純一「……色々、と。だよ」
梨穂子「……あはは、色々と、だね」
純一「うん、梨穂子……ダイエット絶対に成功させろよな」
梨穂子「あったりまえだよ! 今度はちゃんと成功……うーん…」
純一「おい、どうしてそこではっきり言わないんだよ…」
梨穂子「……えっとね、あはは、その…もし成功したら…純一からって……ことは覚えてる、かな?」
純一「えっ? あ、うん……男に二言はないぞ!」
梨穂子「そ、そっかー……でも、ね。それって成功したら……一回きりってことなのかなって」
純一「え、どういう意味だそれ?」
梨穂子「……だったらね、これからもずっと…ずっと、純一が私にダイエット教えてくれるのなら……」
梨穂子「………また、キス、できるのかなぁー……なんて、えへへっ」
梨穂子「あ、ち、違うよっ!? そのっ……あのねっ! 私はそのー……なんていうかね、えっと~…っ」
純一「…………梨穂子」
梨穂子「は、はいっ!」びしっ
純一「………」
梨穂子「………」ドキドキ…
純一「……ふぅ、わかった! だったらいつだって、お前のリバウンド時には……キスしてやる!!」
梨穂子「ふぇっ!? ……ほ、ほんとに?」
純一「ああ! もし成功しても、いつだってしてやる!!」
梨穂子「お、おおっ~…!」ぱちぱち
純一「っ……だ、だから頑張れな! 梨穂子!」
梨穂子「うんっ! 私…ダイエット頑張るんだよ!」ぐっ!
純一「……というかさ、どっちもキスってもうもはや、約束もなにもないような気が…」
梨穂子「……」ぐぅー?
純一「……お腹で返事をするなよ」
りほっちは苦手でしたすみません
次は七咲で
茶道部
愛歌「………」ズズッ…
愛歌「梅昆布茶、素晴らしく……美味」コト…
愛歌「…………」
愛歌「そう思わないか……橘純一」
純一「ええ、まあ、確かに……でも僕は味のある梅昆布茶よりは…」
愛歌「………」じっ
純一「……ええ、梅昆布茶大好きです僕」ズズッ…
愛歌「だろう……」ずずっ…
純一「……でも、あまり飲み過ぎるとまたトイレに行きたくなりますよ」
愛歌「……」ぴくっ
愛歌「………それは互いに忘れろといったはず」ことっ…
純一「……すみません」
あの時のことはなかなか…)
純一(だ、だって一緒にトイレに入って……まあ、その、聞いてしまったわけだから…
僕としては何事も無くこうやってお茶を飲んでいる関係のほうがどうかと…)
愛歌「……あまり、性的な目で私をみるな」
純一「み、見てませんひょ…!」
愛歌「……」じっ…
純一「………」ずずずっ…
純一(……正直、気まずいよ。何度かこうやって飛羽先輩からお呼ばれしてお茶を飲んでるけど…
うん、断らない僕もどうかと思うんだけどね…)
純一「……ふぅ、素晴らしいお手前でした」ことっ…
愛歌「うむ」こくり
純一「……それで、その、今日はどういったご用件でしょうか?」
愛歌「要件……とは?」
純一「えっと、まあ……こうやって呼ばれたわけですから、なにかしらの意味があったのかなぁっと」
愛歌「これといって……特になし」
純一「……あ、はい。なるほど…そうでしたか…」
愛歌「……」ことっ…
愛歌「橘純一」
純一「えっ? はい、なんですか…?」
愛歌「今日は……感謝する」
純一「あの……どうして?」
愛歌「身勝手な誘いを……断らなかっただろう」
純一「えっとまぁ、そうですね……飛羽先輩からのお誘いでしたし…それに僕も暇でしたしね」
愛歌「そうか……ならよし」ずずっ…
純一(せ、先輩がお礼を述べた…っ!? なんだこれ!? 貴重過ぎる!)
純一「……っ~~~……あの、先輩…」
愛歌「なにかな」
純一「……その、先輩は……あれですよね、なんというか…」
愛歌「うむ」
純一「…………か、可愛らしい人、ですよね…」
純一「あ、あははっ…! えっと、そのですね…あの~
こういった機会ですし、普段思ってることを言ってみようかなっと~…」
純一(ああ、駄目だ…! 会話がまったくもたない! 梅原が言ってたけど、
女の子と会話に詰まったときは、女のこのいいところを取り敢えず褒めとけ!
……なんて言ってたから試してみたけど……)
愛歌「………」
純一(ほら、やっぱりだめだ! まったくもって会話が繋がらない!
そもそも僕は飛羽先輩に嫌われてる可能性があるんだから……こんな事言っても…!)
純一「あっ……えっと、そのっ…ごめんなさい、忘れてください……はい…」
純一(ああ、もう! なんだっていうんだ本当に! この人相手に僕は紳士パワーなんて出しきれるわけ……)
愛歌「………」かぁあ…
純一(わけ……)
愛歌「………」ぼっ
愛歌「…そん、なこというなっ……橘純一…!」ぷいって\
純一(………あれ?)
愛歌「っ………っ……」ずずっ…
純一「…………」
愛歌「………」ちら
純一「…………」じっ…
愛歌「っ!……」ぷ、ぷいっ
純一「…………」
純一(……あ、あれ? なんだこの反応は……えっと、もしやすると…これ……)
愛歌「…………」もじもじ…
純一(───て、照れてる……ッ!?)
純一(う、嘘だそんなことーっ!? だ、だがしかしあの表情は確かに照れてるように見えなくもない…!)
愛歌「……あ、あんまり…」ぼそっ
愛歌「……こっちをみるな、ばか…」
純一「っっっ!?」
純一(ばか!? 飛羽先輩がっ……馬鹿と言ったのか!?
普段なら「こっちを見るな……橘純一」なんて気取って言うはずなのに…!)
愛歌「………っ」ぴくっ
純一「……飛羽先輩、可愛い」
愛歌「っっ……」ぴくぴくっ
純一「…………」
愛歌「…………」もぞっ…
純一「………かわ」
愛歌「っ……んっ!」ぐわっ!
純一「う、うわぁ!? あぶなっ!?」ばっ…!
愛歌「…………」ぴたっ
純一「………さ、流石に…湯のみを投げるのは、ダメですよ…?」
愛歌「っ……わかっているっ……」すっ…
純一「…………」すっ…
愛歌「………」
純一(顔真っ赤だ…)
愛歌「………なんだ」
純一「えっと……えらく、その……」
愛歌「まて」ずいっ
純一「は、はいっ?」
愛歌「その先を言うのは……少し、待て」
純一「…はあ」
愛歌「…………橘純一、その…」もじもじ
純一「な、なんですか飛羽先輩…?」
愛歌「っ……そのさっき…」
純一「さっき…?」
愛歌「……ごくりっ…」ぎゅっ
愛歌「───さっきいった、可愛いというのは……本当か?」
愛歌「…………」ちらっ
純一「え、ええ……それはまあ、本当にそう思って言ったんですけど…」
純一(なんだろう、僕確かに飛羽先輩のことは可愛い人だなって思って入るけど…
そ、それほどまで照れることだったんだろうか……いや、まぁ、急にカワイなんて言われればそうなるかな…?)
純一(いやでもしかし、それでも、相手は飛羽先輩だ……ここまで照れるなんて予想だにしなかったよ)
愛歌「……事実だと橘純一はいうのか」
純一「は、はいっ! 確かに僕は飛羽先輩を可愛いって───」
愛歌「っ」ぴくんっ
純一「──思って、ます……よ?」
愛歌「…………」ぷしゅー…
愛歌「………そう、か」ズズっ…
純一(なんだか嬉しそうだ……)
愛歌「橘純一……おかわりは、いるか?」
純一「えっ? あ、はい…ありがとうございます──ですけど、これからちょっと用事がありまして…」
愛歌「え……用事?」
純一「は、はい……まあ大したことはないので、また戻ってくることも……出来ますけど…?」
愛歌「…………」
純一「…………」
愛歌「いや、いってくるがいい……」
純一「わ、わかりました……それでは、お茶美味しかったです」すくっ…
愛歌「……うむ」
純一「………」すたすた…
愛歌「───橘純一…」
純一「え、はい? なんですか?」くる
愛歌「……次回、誘ってもいいか」
純一「…かまいませんよ、いつでも来てください」
純一「…………」
愛歌「…そう、か。なら次もまた誘うだろう」
純一「は、はい……ではこれで」
愛歌「………橘純一、またこい」にこ…
純一「っ!………」
愛歌「どうした?」
純一「あっ……いえ、わかりました……では、これで…」がらら…ぴしゃ
純一「………っ?」ドッドッドッド…
純一(な、なんだなんだっ……先輩、飛羽先輩っ…あんなふうに笑う人だったっけ…っ?)
純一(も、もっと不敵に怪しく笑う人だって思ってたのに…なんだよ、か、可愛いなって思ってないんだからな!)
純一(……なんだろう、今の僕のテンションは。少し、落ち着こう……はぁ~)
純一「……先輩、なんだか最近になって少し…僕に対してちょっと友好的になってる気がするなぁ…」
純一(……先輩、もしかしたら僕のこと……嫌ってはいないのかな)
純一「…………」
~~~~~
教室
純一「ふぃ……高橋先生は今日も綺麗だったなぁ」がらり
純一「課題を忘れてただけで、あそこまでの指導っぷり……流石だね、僕のハートもずっきゅばっ──」
愛歌「………」
純一「きゅん………飛羽先輩!?」
愛歌「……きちゃった」
純一「え、ええっ!?」
梅原「──おっ? 大将! どこいってたんだよぉ!」がしっ
純一「うわっ…梅原! え、それは昼休みに先生に課題の提出を忘れたから謝りに……って、ちょ、梅原…!
これはどういったことなのか分かるか…?」ぴっぴっ
純一「えっ……?」
梅原「せっかくの……出来た彼女なんだから、きちんと大切にしやがれよ!じゃあな!」たっ
純一「う、梅原っ!? か、彼女って……ええっ!?」
くいくいっ…
純一「えっ……飛羽、先輩…?」
愛歌「………」
純一「ど、どうしたんですか…僕の袖を引っ張って…?」
愛歌「一緒に、御飯をたべよう………橘純一」
純一「……はい?」
愛歌「私が作ってきた……愛妻弁当だ」ぱさぁ
純一「えっ、うぇえええー!? あ、あいさっ……あ、でも美味しそう…」
愛歌「橘純一の好物で……全て揃えてきたぞ」
愛歌「たべるがいい」
純一「ごくり………」
愛歌「手に縒りをかけて作ってきた」
純一「……本当に、先輩が僕に…」
純一「じゃ、じゃあ……頂きます!」ぱくっ
愛歌「どうだ?」
純一「もぐもぐ……あ、すっごく美味しいです! 先輩!」
愛歌「……………」
愛歌「───そうか、それは私も……とっても嬉しい」
純一「………」ぽろっ…
~~~~
純一「───んはぁっ!?」がばぁっ
純一「はぁっ…はぁっ…! あ、あれ……っ?」
純一「こ、ここは……茶道部…?」
純一「……ということは、さっきまでのは…夢?」
純一(い、いやっ……だとしたらどこから夢で、どこまでが夢だ…?
先輩に誘われてお茶をしたところまでは現実だった気がするけど…!)
純一(僕はその後、茶道部を後にして……いや、それもまた夢か!?
やばい、どうしようとってもテンパッて……!?)
愛歌「……なにをそんなに慌ててる」すすっ…
純一「う、うわぁああ!?」
愛歌「っ……いきなり大きな声を出すな、心臓に悪い」
純一「えっ、あ、ごめんなさい……えっと飛羽先輩…?
僕って何時ぐらいから寝てましたか…?」
愛歌「………お茶を飲んで世間話をしてからすぐ」
純一「え、えっと……それじゃあ僕、あのー…」
愛歌「なんだ」ずずっ…
純一「…せ、先輩に……可愛いっていったことは、ないですよね…?」
愛歌「…ないな」
純一(じゃああれは夢か! ほっ……あんな先輩の表情、夢じゃなかったらおかしいよ…)
純一「あ、ありがとうございます……あれ? これ…」
愛歌「……どうした橘純一」
純一「えっとその、先輩って……梅昆布茶好きでしたよね…?」
愛歌「よくしってる……確かに好物」
純一「じゃ、じゃあ……これはなんで緑茶なんですか…?」
愛歌「…………」ぴくっ
純一「…………」
愛歌「………別に、なにも理由など…」
純一「かわいい」
愛歌「っ」びくん
純一「…………………」
愛歌「…………………」
愛歌「なんだ、橘純一……」
純一「……その、えらく可愛らしい反応しますね…」
愛歌「……」
純一「その反応、前に見たような気がしないでもないんですが……気のせいですよ、ね?」
愛歌「……気のせいだ」
純一「そっかー……よかった、よかった~……」
愛歌「…………」
純一「………」ずずっ…
純一(絶対に気のせいじゃない…!!これ、絶対に前に行ってるはずだ…!!
そしたら僕は、先輩に可愛いって言った後に寝てしまったということか…!?)
純一「……」
純一(……でも、よくそのタイミングで寝れたな…なんか気が動転して寝れるどころじゃなかった気が…)
純一「気が……」くらっ
純一「!?」
純一「……っ!?」
愛歌「…………」
純一「……飛羽、先輩」
愛歌「……無念、二回目は駄目だったか」
純一「どういうことかまったくもってわかりませんけど……先輩、あの…」
純一「お茶に、なにか仕込んでます…?」
愛歌「……ザ・睡眠薬」ずいっ
純一「なっ……睡眠薬!? どうしてそんなものを……というかどこで手に入れたんですか!?」4
愛歌「企業秘密」
純一「企業が関連してるんですか!? ちょ、先輩…僕にこんなの盛ってなにを…!?」
愛歌「………」
純一「か、可愛いって言ったからですかっ…? いや、違う……それ以前に僕はお茶に仕込まれてたはず…なら、どうして…っ?」
愛歌「…………」
純一「気づいたこと…? いや、薬を盛られたこと以外なにも……ハッ!?」
純一(…と、トイレに行きたい!?)もじっ…
愛歌「今頃か……なかなかに我慢強い」
純一「飛羽、先輩……?」
純一(あ、だめだっ……体の力が抜けて……)ごろん…
愛歌「………」すっ…
愛歌「……気分はいかが?」
純一「なに、を……?」
愛歌「なにもしない……ただ、見ているだけ」
純一「それがっ……なんの…?」
愛歌「………仕返しだ」
純一「しかえし…?」
愛歌「そうだ……以前に仕返し」
愛歌「私がトイレで起こした粗相の……仕返しを橘純一に」
愛歌「私は満足……一本満足」
純一(うそ、だろっ……こ、このまま寝てしまったら確実に……ぐっ!
飛羽先輩やっぱすごく恨んでた! あの時のこと!)
愛歌「ふ・ふ・ふ」
純一(ぐっ……ど、どうにかこんなことをやめさせないとっ…!
でも、今の状況でどうにか打開する策なんて……!)
愛歌「心配するな……もし粗相を起こしても、きちんと処理しよう」
純一(い、いやだァー! 女の人に掃除してもらうなんて嫌だぁあー!!)
純一(……どうしよう、本当にどうしよう! 絶対に先輩は本気だ!
ぐっ……くぅううー! だめだ、抓っても全然眠気が収まらない…!)
純一(どうにかっ……なにか、策を講じなければ……!
横にしゃがんでいる先輩をどうにどければ、まだ……!)
愛歌「……なにかな?」くすくす…
純一(ええいっ! ままよっ!)ぐいっ
愛歌「っ……なに、をっ…!」
ぽすんっ
愛歌「は、はなせっ……橘純一…!」ばたばた
純一「───可愛いよ、愛歌…」ぼそっ
愛歌「っ……!?」びくんっ
純一「可愛い愛歌、もうすっごく可愛い」
愛歌「ひっ……や、やめ……っ」びくびくっ
純一「どうして? こんなにも可愛いのに、前髪なんかで隠してないでもっと見せてよ」
愛歌「さ、さわっ……!」
純一「ほら、やっぱりかわいい」
愛歌「…………」ぼっ
マジでやっちまったわ
あれが夢じゃないというのであれば……僕はこれをするために躊躇はない!!)
純一(今、漏らしてしまうよりは後の報復を選ぶ!
いざ行かん紳士橘!! 打倒の時はもう目の前だ!)
愛歌「はぁ…はぁ…」
純一「……愛歌」
愛歌「気安く……人の名前を呼ぶな…!」
純一「ごめん、でも……僕は愛歌のことは…もっと近い距離でいたいんだ」
愛歌「………えっ…?」
純一「───愛歌、とってもかわいいよ。僕はそんな風に気取って喋るところも…
…いつもみたいに、不思議な空気を纏わせている所も…可愛いって思う」
愛歌「………」ぞくぞくっ…
純一「だから……愛歌、僕は可愛いって言わないで。なんて言われても…困るんだ。
こんなにも可愛いって思っているのに、君はそれを認めてくれない…」
愛歌「や、やめ……はなせっ……たちばなじゅん───」
純一「…本当に可愛い女の子だよ。愛歌…」ちゅっ
純一(おでこにだよ! 口とか責任取れないからね!)
愛歌「………ふぁ……っ?」
純一「かわいいよ」
愛歌「………ぁ…」ぷしゅー…
純一「…………」
純一(───来た!! これで勝った!! 僕の勝利は決まった!!)
愛歌「…………」もぞっ…
純一(……よし、ここから恥ずかしがってる飛羽先輩をどうにか押し切り!
そしてこの場からどうにか逃げ出してトイレに駆け込む! もうそのあとはどうにだってなればいい!!)
純一(まずはっ……トイレだ!!)ぐいっ
愛歌「あ……橘…」
純一「……すみません、もう僕は行きます…やらなくちゃいけないことがあるので」
愛歌「……置いていくつもりか…?」
純一「何言ってるんですか、僕は何も悪くはない…それは先輩にだってわかっていることでしょう」だっ
愛歌「…………」
純一(トイレトイレトイレ!!!)
純一(気が……ぐっ、駄目だトイレまで持たせるんだ!!)だだっ!
「きゃっ……!?」
純一「うぉおおおおおおー!」だだだ
「な、何だったんだぁー? アイツは……ってオイ!? 愛歌!?」だっ
愛歌「……るっこ…」
夕月「おまっ…どうしたんだよっ? お前さんがそこまで弱ってんの始めてみたぞ…!?」
愛歌「…………」
夕月「ど、どうしたんだ? なにがあったん──……っ!……アイツかぁっ!?」
愛歌「少し……待てるっこ」ぐいっ
夕月「な、なんだっ…? 何処か痛むのかっ? 酷いことされたんだろ…っ?」
愛歌「橘純一は……なにも、悪くない」
愛歌「悪いのは……この、わたし」
夕月「お、おまえっ…愛歌っ…なにもそこまでかばわなくてもっ…!」オーイオイ…
愛歌「感謝する……るっこ」
愛歌「心配してくれて……私は大丈夫だ」
夕月「っ……!」
夕月「うぉおおー! 愛歌ぁあああー!!」ぎゅうっ
愛歌「………」ぽんぽん…
愛歌「………にやり」
~~~~
純一「ぐがぁー……すぴー……」
梅原「フンフーン……っておわ!? た、大将!? 何で寝ながらションベンしてやがんだっ!?」
梨穂子「……純一は、ちゃんと責任取れる男の子ってわかってるからね」
夕月「死ねッ! 鬼畜ポルノ野郎!!」
純一(なんて言われるし……なんだっていうんだ、一体…はぁ~)
愛歌「やっほー」しゅた
純一「うわぁ!? せ、先輩…!?」びくぅ
愛歌「久しぶりだな……橘純一」
純一「え、ええまぁ……というかこの前は本当になんてことしてくれたんですか!」
愛歌「イッザ……ジョーク」
純一「ジョークで済まされるほどの問題じゃなかったですよ!?」
愛歌「まあ待て……少し落ち着け橘純一」ずいっ
純一「……まあ、僕も色々とやっちゃった感は否めないのであれですけど…」
愛歌「だろう……そして私が来たのもその件だ」
純一「その件?」
純一「えっ……」ぎゅー
愛歌「……何をしている」
純一「えっと……先輩が謝ってるので、また夢じゃないかって思って…」
愛歌「これは夢じゃない……れっきとした現実」
純一「は、はあ……まあ僕の方こそスミマセン、あんな事言ってしまって…」
『かわいいよ』
純一「…はい、そんな感じのこと言ってしまっ──……え?」
愛歌「……」カチッ
『愛歌……かわいいよ、たまらないぐらいにかわいい』
純一「…テープ、レコーダー……?」
愛歌「うむ」
純一「っ……なぜ、そんなものを……?」ダラダラダラダラ…
愛歌「この前の謝罪は済ませた……そして次」
純一「……トイレの件、まだ根に持って…?」
愛歌「こくり」
純一「ぐっ…そ、それでなにを脅そうっていうんですか!
ぼ、僕は負けませんよ…!」
愛歌「…………」
愛歌「いや、このテープレコーダーは……使用しない」ぶんっ ガッシャーン!
純一「えっ……なにを…?」
愛歌「橘」
純一「は、はいっ?」
愛歌「私は……橘の生が良い」
純一「……どういう意味ですか?」
純一「ま、まあ…それなりのことをしたと、わかってますしいいですけど…!」
愛歌「つまりはあれだ……また、あの手を使うなのつもりだろう?」
純一「……かもしれません」
愛歌「なら、その時まで待っている」
純一「えっ……?」
愛歌「ふ・ふ・ふ」
純一「せ、先輩もしかして……また、可愛いって言われたいんですか…?」
愛歌「っ……」ぴくっ
愛歌「……多くは語らない、それが主義」
純一「かわいい」
愛歌「フライングは効かない」
純一「…ですよね」
純一「くっ……なら、僕も立ち向かうまでです!」
愛歌「……なおよし、その意気込み…買って出る」
純一「………」バチバチバチ…
愛歌「………」バチバチバチ…
~~~
物陰
夕月「まあ、うん、こんなこったろうと思ってたよあたしゃ」
梨穂子「え~~!? そうなんですか!?」
夕月「当たり前だよ、あの愛歌がアイツごときに凹ませられるとは思えないからね」
夕月「……というか、ほんっとアイツらはバカップルすぎやしないか?」
梨穂子「まあそうですね~……多分ですけど、付き合ってる自覚ないの学校の中であの当の二人だけですよ?」
夕月「校内じゃ有名だもんなぁ~…」
夕月「…りほっちも、大変だね。だが、まあ自覚ない二人だから付け入る隙はたくさんあるはずだぜっ?」
梨穂子「もぉー先輩ったら……私は愛歌先輩の幸せを願ってるんです! ……あと、純一のも…」
夕月「……大人だね~、だから好きだよりほっちは」なでなで
梨穂子「えへへ~」
夕月「───さてさて、あの二人……まだキスも済ませてないだろうにね。
あんなふうにじゃれあってんのはいつまで続くことやら…」
夕月「まあでも、愛歌……橘って呼べたことは、一歩リードなんじゃないか? ええ?」
途中、ちょっと粗相起こしてスミマセン
次で最後にする
やってない娘は次回 全部終わらせるつもりでやるよ
じゃあ最後の娘
>>315
橘家 純一部屋
七咲「あーせんぱい~」ごろごろー
純一「……ん? どうしたの?」ぺら…
七咲「いえ、特に用はないんですけどね……」
純一「うんー?」
七咲「ちょっと、こっち向いてくれませんか?」
純一「えー? なになに……」
ちゅっ
七咲「んはっ…はい、ありがとうございました。では」ごろごろー
純一「………」
純一(!?)
七咲「……ん? はい、どうかしましたか?」ごろ…ぴた
純一「うん、僕のベットの上で楽しんでる所すまないけど……今のは…?」
七咲「………」ぎゅう
七咲「キス、ですけど…?」こくん…
純一「……いや、うん、わかってるけどね。その、僕の枕を抱きしめながらいうのやめて欲しいな…」
七咲「え? どうしてですか? ……別にくさくなんかありませんよ?」くんくん
純一「こう気持ち的にね…っ! くさくないって思ってるけど、あんまり気分的に…!」
七咲「……センパイのにおい、私は好きですよ、ふふ」
純一「あ、ありがとう……じゃなくて! 七咲! 女の子としてだな…男の部屋でそうベットの上で…!」
七咲「ベットの上で?」
純一「ああの、そのっ……ううっ……だぁー!!」ばっ
七咲「あっ……せんぱいの枕を! 返してください! せんぱい!」
七咲「今は私が楽しんで使ってる枕です! せんぱいは寝るときにでも使ってください!」がばぁっ がしっ
純一「た、確かに……いや! そうじゃなくて! 楽しんでるって何?!」ぐいぃいー!
七咲「楽しんでるっていうのはそのままの意味ですっ! くぃー!!」ぎりぎり……
純一「ちょっ……こら! 七咲の全力なんてっ…僕がかないっこなんか…っ!」じりじりっ…!
七咲「なら離したらどうですかっ! 私は絶対に負けを認めませんよぉ……っ!」みちみちっ…
純一「……あっ!? まって、なんか枕から変な音───」ぶちん!
七咲「え……あ、きぁああー!?」バターン! ゴッ!
純一「七咲!?」
七咲「きゅいー……」
~~~~~~
七咲「いたた……どうしてこんな目に…」
純一「いや、うん……行動通りの目にあったと思うよ僕は」
七咲「……」むっすー
七咲「…どういう意味ですか、もっといたわってください、、もっと慰めてください、もっとかわいがってください」
純一「要求が多いなぁ……じゃあ、ほら。こっちおいで七咲」すっ…
七咲「…………」すすっ… ぎゅっ
純一「さあ、僕の胸の中でたんと甘えるんだよー」
七咲「……なんだか、今のセンパイちょっと気持ち悪いです」
純一「せっかく七咲の要求にノッてあげたのにっ?」ガーン
七咲「……ふふっ、冗談です。本気にしないでください」すりすり
純一(猫みたいな仕草だな……)
純一「…七咲の言うことは、全部本当に聞こえるから困るんだよね」
七咲「そうなんですか? ……じゃあセンパイ、大嫌いです」すりすり
純一「今言われても、どうも感じないな僕…」なでなで
純一「…七咲って、そうやっておでこ摺り寄せるの好きだよね。前世猫なの?」
七咲「え? いや、そう言われても答えられませんけど……まぁ、確かに好きですねコレ」すり…
純一「いわゆる、マーキングって行為だよね。自分の匂いを他人につけ、自分のものだという証明行為だ」
七咲「……別に自分は、そこまで独占欲は強いほうじゃないって思いますけど」
純一「そうなの? でも本能がそうさせてるんじゃないかな……でもさ、おでこ擦り寄せても匂いってつかないよね普通?」
七咲「まあ、人と猫では違いますし」
純一「…………」
七咲「……せんぱい、なにか考えてませんか。えっちなこと」
純一「えっ!? そ、そんなことないよ! も、もう七咲は僕のことを何だって思ってるんだよー!」
七咲「………」じぃー
純一「……あはは、大丈夫、まあ考えてたってのは本当だけど。七咲が疑ってるようなことじゃないよ?」
純一「さっきのマーキング行為についてだよ、おでこっていうのは人ではあんまり匂いはつかない……
だからもっと効率のいいやり方が有るんじゃないかなって僕は思うんだ」
七咲(そもそも猫はおでこじゃなくて、首あたりを擦り付けますけど……ま、いっか)
純一「だからね七咲、僕からひとつ提案があるんだ」
七咲「提案?」
純一「うん、そのマーキング行為……匂いをつけるにはどう行ったらいいのか。
それはね───」ごにょごにょ
七咲「ふんふん………なるほど、なるほど───」
~~~~~
純一「───よし、こんな感じかなっ」じりりっ…
七咲「さ、最後まで占めるんですか…っ?」
純一「当たり前じゃないか! そうしないと匂いが逃げちゃうだろ?」
七咲「は、はあ……」
純一「よし、じゃあ命名しよう……これは『ジャージ二人羽織』だ!」
ここにあるのはひとつのジャージ、それを一人が着用する!!
そして後に二人目がジャージの中に潜り込み、予め少しジッパーを開けておいたジャージの中に入るのだ!!
純一「うん! 僕って説明下手くそだね!」
七咲「なんとなく雰囲気でわかるじゃないですか…それにしても、ちょっと、せんぱっ…!」もぞもぞ…
純一「どうかしたの? あんまり動かれるとちょっと……」
七咲「いえ、少し狭いなって思って……う、ううんっ…!」もぞっ…
純一「そりゃあ一着のジャージに二人はいってるわけだからね。狭いのは当たり前だよ」
七咲「は、はい……ですが、ちょっとこれは……!」ぴくっ
純一「七咲……?」
七咲「……………」
純一「……気にし過ぎじゃないかな? さっきだってキスしたし…」
七咲「あ、あれとこれは違うんです! センパイは黙っててください…!」
純一(女の子ってわからん……)
七咲「う、うんっ……ん、はぁっ……ふぅ」もぞっ…
純一「……えっと、良い感じになったのかな?」
七咲「え、ええ…大丈夫です。これで安心できました」
純一「安心……ああ、なるほど。あれがずれてたのなら言ってくれれば───」
七咲「ふんっ」どすっ
純一「おごっ! ……じゃ、ジャージの中の無防備な脇腹を狙うなんてっ…七咲……!」
七咲「センパイがデリカシーの無いことを言うからです!」
純一「ご、ごめん……でも、七咲のこと思っていたまでで……!」
七咲「わ、わかってますから! ……もうこの話はやめにしてください…」ぼそぼそ…
純一「う、うん。わかったこれでオシマイにしよう! ……じゃあ続きといこうかな!」
純一「別になにもしないよ、ただこうやって───……こうかなっ」ごろりっ
七咲「きゃあっ!?」
純一「あっははー! ちょっと驚いたかな?」
七咲「……なにするんですか、せんぱい~…」
純一「うん? 転がっただけだよ、ごろごろーってね」
七咲「それはわかってます…! なにかするなら、まずは言ってからやってください!」
純一「そっかそっか、それはごめん。じゃあ次は失礼して……」ぎゅっ…
七咲「あっ……」
純一「……どうかな、こうやって抱きしめられるのは」
七咲「…えっと、なんだか変な気分ですね…」
純一「だよねーあはは」
七咲「まるでこう……センパイの中に入ってしまったような。ぱくって食べられてしまったような…うふふ」
七咲「そんな気分です、おもしろいですね」
純一「がははー!そうだぞー! 僕は七咲を食べる怪人だぞー! もぐもぐー!」
七咲「え……せんぱい…っ?」
純一「もしゃもしゃー! げははー! このおなごは丸呑みじゃー!」
七咲「え、きゃあー! やめてー! 私なんか食べても美味しくなんかないですー!」
純一(おっ、七咲もノリがいいな! じゃあもっと僕も…!)
純一「ぬわーはっはー! んむぅ~? なんじゃなんじゃ…このおなごは、いいふとももしておるのぉ~?」なでなで
七咲「あ、ちょっ……センパイっ…そんな撫でないでくだっ…!」びくんっ
純一「んなぁにぃ? ワシはセンパイなんて名前じゃねえーぞぉ! 怪人様じゃ怪人様じゃー!」
七咲「っ……か、怪人様ぁー! 私の太ももなんて、美味しくありませんよー!」
七咲「えっ!? ちょ、頭の匂いを嗅がないでください…!」
純一「じゃあ丸かじりじゃー! がぶー!」ちゅっちゅ
七咲「ひゃ、ひゃうっ……!」びくん
純一「びみじゃー! がっはっはっはぁー!」
がちゃ
純一&七咲「!?」
美也「…にぃに、逢ちゃん。となりに丸聞こえ」すっ…
純一「あっ……うん! ゴメン美也…! あは! あはははは!」
七咲「みやちゃっ……!」ぼっ
美也「…もっと静かにじゃれあってね。お願い」ぎぃ…がちゃ
純一「………」
七咲「………」
七咲「……いえ、私の方こそ悪乗りが過ぎました…」
純一「うん……」ぽりぽり…
七咲「……センパイ、あの…」もぞっ…
純一「ん? どうかした?」
七咲「……こうやって、じゃれあうのって…久しぶりな感じしませんか」
純一「……確かに、そうだね。最近は僕の受験とかで忙しくて遊ぶことも少なかったし」
七咲「…………」
純一「だからたまに休日にこうやって会ってるけど……あはは、ちょっと寂しかった?」
七咲「…ちょっとなんかじゃないです、すっごく…寂しかったです」
純一「……そっか、ごめんね、七咲」ぎゅっ…
七咲「せんぱい……受験、頑張ってください。応援してますからね」ぎゅ…
純一「うんっ、頑張るよ……七咲も部活頑張るんだよ、僕は僕で頑張るからさ」
純一「……七咲?」
七咲「…僕は僕で、なんて言わないでください」
純一「え、どうしたの急に…?」
七咲「………。センパイは今だって頑張ってます、ずっとずっと…受験のために時間を費やして一人で頑張ってます」
七咲「でも、一人で頑張り過ぎないでください。もし、悩みがあったのなら私に…
辛いことがあったのなら……彼女の私に、キチンと相談してください」
純一「……七咲…」
七咲「私は、センパイともっと分かち合いたいです。いっぱいいっぱい会話して、じゃれあって、
イチャイチャして……そうやって楽しくこれからを過ごしていきたいです」
純一「…ありがと、そういってくれると本当に僕は……嬉しくてたまらないよ」ぎゅっ…
七咲「ぐすっ……センパイ、大好きですから…」
純一「ああ、うん……僕も大好きだよ七咲…」
純一「……そんなことないさ、七咲はとっても強い子だよ」
七咲「そんなこと、あるんです。センパイ、橘センパイ……私は貴方と一緒にいなきゃ…本当に弱くて…」
七咲「これからさき、どう一人で生きていければいいのか……そんな漠然とした悩みが止まらないんです」
純一「七咲は、大げさだなぁ……あはは」くすっ
七咲「あははっ…ですけど、せんぱい。私はこうやってセンパイとじゃれあってると……とっても心が休まるんですよ。
今まで悩んでいたことが溶け出して、まっさらな自分へと変わっていくんです」
純一「……………」
七咲「センパイは……もう、どこにも行かせません。私だけの……大切な、大切な…」
七咲「男の人、なんですから……」
純一「……ありがとう、七咲」
七咲「せんぱい……」
純一「僕だって……こんな可愛くて、ちっちゃくて、気の強い……いや、気の弱いのかな?
───そんな君を、僕はどこにも行かせやしないさ」
純一「七咲───……逢、君は僕のモノだ。離させはしないよ」ぎゅっ…
七咲「………はい」
純一「こうやってまた……いつも通りにじゃれあってさ」
七咲「………」ぎゅっ
純一「お互いに好きだって……言い合って、キスなんかしあってね」
純一「……何処か遠く二人で、旅行なんて行ってみたいよ」
七咲「…じゃあ行きましょう、センパイの合格記念旅行に」
純一「うん、そうだね!」
七咲「ふふっ」
七咲「…何時だって呼んでください、私は何時何時だって駆けてきます」
純一「それはすごい! じゃあ七咲も、困ったときがあったら僕をすぐに呼ぶんだよ?」
七咲「はい、その時は……?」
純一「誰よりも早く、七咲の元へ駆け寄っていくよ。負けやしない、だって七咲は……僕のモノなんだから」
七咲「ふふっ……そう、ですね。頑張ってください」
純一「…むむ、そうなると天敵は塚原先輩か…」
七咲「あー、難敵ですね……センパイ、勝てますか?」
純一「か、勝てるさっ! つ、塚原先輩だって……ううむ…」
七咲「……じゃあ、とっても期待して待ってますよ?」
七咲「大好きな先輩なら……私の元に一番に来てくれるって」もぞもぞ
純一「……ああ、まかせろ」すっ
七咲「はい……」
ちゅっ
七咲「…先輩は、嫌いですか?」
純一「ううん、七咲とのキスが……僕は大好きだ」
七咲「同じです……ふふっ、せんぱいとのキスが一番好きなんです」ちゅっ
純一「あはは」
七咲「くすっ…もう一回、します?」
純一「…これからまた、できなくなるかもだしね。……うむ、いっぱい今のうちにシておこう!」
七咲「じゃあ……どうぞ」すっ
純一「………」
ちゅっ
七咲「んっ……せんぱっ、んむっ…ちょ、そんなコトしたら止まらなく────」
~~~~~~
七咲「それじゃあ、先輩……また今度に」ぺこ
純一「え、家まで送っていくよ?」
純一「そっか、うん……わかった。じゃあ気をつけてね、七咲」
七咲「はいっ! 先輩も、夜はきちんと勉強してくださいねっ」
純一「えっ……?」
七咲「……部屋にあったゴミ箱、あの中───」
純一「わー!わー! わ、わかったよ! 頑張るから! 七咲も頑張ってね!」あたふた!
七咲「くすっ……はい、それではまた」たったった…
純一「またね」ふりふり…
純一「………ふぅー…」すぅー……
純一「今日も、寒いなぁー……」
純一「……でも、星が綺麗だ。あれは───……くす、なんていったかな……
もう、覚えてないや……なんでかな、まあ、理由はわかるんだけどね……」
純一「…………」ぶるるっ…
純一「寒い! う、ううっ……風邪を引いたら怒られるどころの話じゃないぞ…!」たったった…
純一「ああ、今行くー!」たったった…
純一「…………」たっ…
純一「…………」
純一「…………」くるっ だっ!
純一「すぅううううううう────」ぐぐっ…
純一「───なっなっさぁあああきぃいいいいいいいいいいいいい!!!!」
「………っ?」
純一「だいすきだぞぉおおおおおおおおおおおーーー!!!!」
「……………」
純一「はぁっ……はぁっ……あはは!!」ぶんぶんぶん!!
「っ~~~~………」
「───わたしもでぇええええええええすっ!!」
純一「あははっ……僕もだぁああぁあああああ!!」
「……」くるっ
「…」たったったった……
純一「……ずずっ…」
純一「……本当に、僕は幸せものだな」
純一「これから先、僕はどれほどの幸せを抱えて生きていくのかな……あはは、楽しみでしょうがないや」
ばん!!
美也「に、にぃに!? 外でなに叫んでるのっ!? ギニャー!!」ばっ!!
純一「え、ちょっ、その素早さは何美也っ……!」
~~~~~~
「ぎゃああああー!!」
七咲「っ……」くるっ
七咲「……くす」
七咲「………先輩、大好きですよ。これからもずっと、ずっと…大好きです」
取り敢えず今日はここまで
途中の寝落ちすみみみみませんでした
ご支援ご保守感謝感激です
このようにながらクオリティで良ければ次回もまたお付き合いください
次はどのくらいで立てるかは不明です
それまでの間に、また違ったアマガミss書くかもですが宜しくです
ではではノシ うんこいってきます
乙
Entry ⇒ 2012.06.09 | Category ⇒ アマガミSS | Comments (0) | Trackbacks (0)
あずさ「きゃりーぱむぱむ」律子「言えてませんよ」
律子「言えてませんよ」
あずさ「……」
あずさ「きゃりーぱみゅぱむ」
あずさ「きゃりーぴゃみゅぴゃみゅ」
あずさ「…」
あずさ「かりー」
あずさ「……」
あずさ「…うぅ」ショボン
律子(かわええ)
あずさ「なんですか律子さん」
律子「2週間くらい前に、洋服を買ったんですよ」
あずさ「はい」
律子「それで昨日営業が早く終わったからブラブラして、別のお店に行ったんですよ」
あずさ「はい」
律子「そしたらまったく同じ商品が3割引きで売られてたんですよ」
あずさ「あらあら」
律子「どう思います?」
あずさ「このおせんべいおいしいですね」パリパリ
律子「話聞いて」
律子「なんですかあずささん」
あずさ「この前のオフに映画を観に行ったんですよ」
律子「なんてやつですか?」
あずさ「それは忘れたんですけど」
律子「忘れちゃったんだ」
あずさ「主演の方がとってもカッコよくてですね、外国の方なんですけど」
律子「なんて俳優さんですか?」
あずさ「それは知らないんですけど」
律子「どんな内容の映画ですか?」
あずさ「寝ちゃったからよく覚えてないんですけど」
律子「1000円払っちゃっただけなんだ」
律子「ふむ」
あずさ「プロデューサーさんに向かって『あなた様~』って」
律子「…ふむ」
あずさ「うらやましいですか?」
律子「別に」
あずさ「本当ですか?」
律子「ええ」
あずさ「……」ショボン
律子「嘘です、うらやましいです」
あずさ「あなた様」
律子「はきゅん」
初めて噛まずに言えたわ
すげぇ
それはただ単にゆっくり言っ…いや、なんでもない
律子「あんまり恥ずかしいのはパスで」
あずさ「アイドル時代にファンの皆さんに言ってた、『ダーリン』でお願いします」
律子「はぁ?」
あずさ「お願いします」
律子「……」
律子「…だ、だーりん……///」
あずさ「律子さん、これが何か分かりますか」スッ
律子「?」
あずさ「ボイスレコーダーです」
律子「わーっ!!!わーわーっ!!!!」
あずさ「律子さんごめんなさい」
律子「……」
あずさ「ごめんなさいってばぁ~」
律子「……」
あずさ「……」
あずさ「…律子さん」
律子「……?」
あずさ(ごめんなさい)
律子(こいつ、直接脳内に…!?)
律子「…!」
あずさ「律子さぁ~ん」
律子「…言いましたね」
あずさ「へ?」
律子「なんでもするって言いましたね」
あずさ「は、はい…」
律子「じゃあ…」
律子「その豊満なおっぱいで私の顔をビンタしてください」
あずさ「ド変態じゃないですか」
律子「どんとこいです」
あずさ「え、え~い」プルーン
律子「……」ペチン
あずさ「おりゃぁ~」ドタプーン
律子「……」ペチン
あずさ「ま、満足しましたか?」
律子「あずささん」
あずさ「はい?」
律子「メガネのフレームが曲がってしまいました」
あずさ「あらあら~」
いいぞいいぞ
あずさ「律子さんってそんなに視力悪かったですっけ?」
律子「見えないことないんですけど、外したらボンヤリする感じです」
あずさ「あらあら」
律子「今メガネを外さなかったのも…」
あずさ「?」
律子「あずささんのおっぱいを目に焼き付けたかったからです」キリッ
あずさ「ボイスレコーダーの録音ボタン押したままだったわ~」
律子「わー!!」
律子「驚かさないでくださいよ、まったく」
あずさ「この前ダイエット器具を買ったんですよ」
律子「唐突ぅ」
あずさ「あのー、なんでしたっけ?腹筋を鍛える…」
律子「アブトロニック?」
あずさ「そうそう!油トロトロ肉!」
律子「すっごい太りそうですね」
あずさ「それでその油トロトロ肉をさっそくお腹につけてですね」
律子「想像したらすさまじい光景だった」
律子「油トロトロ肉のね」
あずさ「だけど効果出ないんですよ~失礼しちゃう!」プンスカ
律子「…それどれくらい続けたんですか?」
あずさ「え?30分くらいですけど…」
律子「はぁ…そんなもんで効果出たら苦労しませんよ」
あずさ「そうなんですか~」
律子「そうです」
あずさ「あらあら~」ポリポリ
律子「痩せる気あるならおせんべいは6枚で我慢しましょうね」
あずさ「あら、珍しいですね」
律子「行きたいところどこでも連れてってあげるって言ったんですよ、お給料出たばっかだったし」
律子「そしたら千早、どこに行きたいって言ったと思います?」
あずさ「どこかしら」
律子「コンビニでいいわ、ですって」
あずさ「あらあら」
律子「しかもわざわざローソンですって」
あずさ「律子さん」
律子「?」
あずさ「『ローソン』と書いた紙を昨日から準備していました」スッ
律子「ちくしょう」
あずさ「まさか、今朝千早ちゃんから聞いたんですよ」
律子「ああ…千早はともかく、あずささんも今日早かったですもんね」
あずさ「千早ちゃんうれしそうに話してましたよ、うふふ」
律子「ところであずささんはなんで早かったんですか?いつも迷って遅刻ギリギリなのに」
あずさ「今日はいつもより早く起きたので、余裕を持って新聞をポストに取りに行こうとしたんですね」
律子「はい」
あずさ「そしたらいつの間にか事務所に着いてしまいました」
律子「だからパジャマなんですね」
あずさ「うふふ」
律子「よく一人で生きてこれましたね」
あずさ「ヘッドホンですか?」
律子「私、どうも耳に悪い気がして好きになれないんですよね」
あずさ「あー」
律子「イヤホンもそうですけど、曲の確認とかする度につけるじゃないですか」
あずさ「だいたいそうですねぇ」
律子「徐々に私の聴力が失われていると思うと気が気じゃなくて…」
あずさ「律子さん律子さん」
律子「?」
あずさ「そんなことないない」フリフリ
律子「あずささんがそう言うなら大丈夫だわ」
律子「それまた珍しい」
あずさ「沖縄料理のお店に行ったんですけど、お店の料理に響ちゃんが不満だったみたいで」
律子「あら」
あずさ「うんぐとぅぬうちなー料理じゃねーん! どぅーぬあんまーぬ方がもっと上手く料理できるぞ! くぅんどぅどぅーぬ家んかい遊びんかいちゅーんといいさー!」
あずさ「ですって!うふふ!」
律子「……」
あずさ「あら?」
律子「……」
あずさ「律子さん、今の笑うところですよ?」
律子「いや、そうじゃなくてですね」
あずさ「?」
律子「なにが?みたいな顔しないでください」
あずさ「律子さん、一回聞いただけで今の言葉を覚えられると思いますか?」
律子「響に何回も聞いたとか?」
あずさ「違います」
律子「たまたま聞き覚えのある言葉だったとか?」
あずさ「いいえ、これです」スッ
律子「!!」
あずさ「ボイスレコーダーです」
律子「なぜ録音ボタンを押したんですか」
律子「ホントだ」
あずさ「えっへん」
律子「すごいのはボイスレコーダーですけどね」
あずさ「そのあと二人でショッピングに行ったんですよ」
律子「どんなお店に?」
あずさ「なんかあの…」
あずさ「パワーストーンのお店に」
律子「なぜ」
あずさ「響ちゃんが『沖縄のにおいがするさー!』って」
律子「あぁ……」
律子「いくらですか?」
あずさ「1260円です」
律子「よかった妥当で」
あずさ「でも、もう外しちゃおうかなって」
律子「なんでですか?」
あずさ「だって運命の人が現れるって言ったのに、全然効果が無いんだもの!」プンスカ
律子「あずささん」
あずさ「はい」
律子「まだ2日、そんな早く効果出ない」
あずさ「うふふ」
律子「うふふじゃなくて」
あずさ「何のお仕事ですか?」
律子「老人ホームへの訪問です」
あずさ「あらあら」
律子「本当は春香と真で行くはずだったんですけど、他の撮影がズレこんじゃったみたいで」
あずさ「よーし、頑張っちゃうわよぉ」
律子「お願いします」
あずさ「やっぱりおじいちゃまおばあちゃまって運動不足の方が多いですよね?」
律子「まあそうでしょうね」
あずさ「じゃあ油トロトロ肉を貸してあげようかしら」
律子「胃もたれすごそうですね」
律子「わざとなのかどうかもあやしくなってきた」
あずさ「実は1個分の値段で、もう1つ同じ商品が付いてきたんですよ」
律子「油トロトロ肉がね」
あずさ「だから母に1つあげたんです」
律子「お母さんなんて言ってました?」
あずさ「早くいい人見つけなさいって」
律子「もはや遺伝ですね」
あずさ「うふふ」
律子「うふふ」
あずさ「…シッ!」
あずさ「……そこに隠れているのは分かってるわよ、真ちゃん」
真「バレちゃあ仕方ないですね、あずささん」
あずさ「バレるに決まってるでしょう?殺気がダダ漏れよ」
真「あはは、あずささんにはかなわないなあ」
あずさ「ふふ」
律子「…っ!!」
あずさ「という夢を見ました~」
律子「まあ夢でしょうね」
律子「へえ」
あずさ「飲んでくれます?」
律子「まあ雪歩に習ったんなら大丈夫でしょう」
あずさ「ティーバッグだけどおいしく仕上がるんですよ~」
律子「あずささんあずささん」
あずさ「はい?」
律子「それティーバッグじゃない」
律子「のりたまふりかけ」
あずさ「あらあら~」
律子「雪歩も想定外のミスだったと思いますよ」
あずさ「結局冷蔵庫のお茶になっちゃいましたね」
律子「いいんじゃないですか?おいしいし」
あずさ「律子さん律子さん」
律子「はい?」
あずさ「のりたまごはんおいしいですね」パクパク
律子「そうですね」モグモグ
律子「いえ、876プロに従弟が」
あずさ「あれ?弟さんじゃないんですか?」
律子「まあ弟みたいなもんですけどね、それがどうしたんですか?」
あずさ「女装してたっていうのを公表したあと、どうなったのかなぁと思って」
律子「なにも変わってませんよ、むしろ…」
あずさ「むしろ?」
律子「女装アイドルとして前よりも人気出てます」
あずさ「あらあら」
律子「楽しいからどうでもいいですけど」
あずさ「うふふ」
律子「うふふ」
あずさ「ごめんなさ…」
あずさ「!」
律子「だいたいこの業界は情報が第一なんですから、そのへんの自覚を持って…」
あずさ「律子さん律子さん」
律子「はい?」
あずさ「ごめんね☆」ペロッ
律子「ふざけないでくださいよ」
あずさ「あ…ごめんなさい」
律子「ちょっとトイレ行ってきます」
あずさ(んもう!春香ちゃんったら!)プンスカ
リツコ「オマタセシマシタアズササン」
あずさ「り、律子さんが小さくなってる!?」
リツコ「ホラオシゴトイキマショウ、ハヤクハヤク」
あずさ「いやんかわいい~」
あずさ「というところまで妄想しました」
律子「トイレ行ってる間に何を」
あずさ「そうですね」
ガチャ
律子「お、噂をすれば」
あずさ「伊織ちゃん、亜美ちゃんおはよう」
律子「…アンタらあずささんがいることに対して驚きすぎでしょ」
あずさ「たまたま私が早く来たから、二人でお話してたのよ」
律子「え?二人で何を話してたかって?」
あずさ「それは…ねえ?」
律子「大人の秘密、ですよね」
あずさ「うふふ」
おわり
というわけでおわりです
もっとあーささんSS増えていいのよ
年長者組はやっぱいいですね
ここに貴音か小鳥さんが入ったらまた違う感じになるんだと思います
それでは読んでくださってありがとうございました
こういうゆるーいの好きだわ
乙
もうちょっとみたかったな
Entry ⇒ 2012.06.09 | Category ⇒ アイマスSS | Comments (0) | Trackbacks (0)
岡部 「お前のことは牧瀬と呼ぶことにした」紅莉栖「」
岡部「どうもこうもない、俺の説明を聞けば分かる」
紅莉栖「聞けば分かるって……アンタねぇ……」
岡部「まあ落ち着け紅莉……牧瀬よ」
岡部「最近俺達が付き合ってるのではないか、という噂がラボメンの間で広がっているようなのだ」
紅莉栖「!?」
岡部「このことが原因で、ラボメン達とお前との間に亀裂でも生じてしまったら、俺は悔やんでも悔やみきれん」
岡部「現にダルなどは最近NTRのエロゲばかりするようになってだな……」
紅莉栖「……わ、分かったわよ、そういうことなら……呼んでも良い」
紅莉栖「けっ!けど!今みたいな……二人っきりの時は、紅莉栖って……呼んでくれない?」
紅莉栖「いやっ、べっ別に、呼んでもらいたい!ってわけじゃなくて、前々から、そうだったし……落ち着かない、っていうか、なんと言うか……」
岡部「……ああ、良いだろう、では、宜しく頼むぞ紅莉――――っ」
まゆり「トゥットルー☆あれー?紅莉栖ちゃんとオカリン、二人だけ?」
岡部「まっ、牧瀬よ……」
岡部「(そんなこんなで、数日ほど牧瀬と呼ぶ生活が続いたが……)」
岡部「(……うむ、何だか歯がゆい気持ちがするな……)」
岡部「(思えば、普段からまゆりを初めとして、色々な人に親しく呼びかけすぎたかもしれん)」
岡部「(バイト戦士や指圧師などは、本当はあまりこんな呼び方を気に入っては――――)」
ダル「オカリン、オカリン」
岡部「っ……ど、どうしたのだ、ダルよぉ?」
ダル「最近、牧瀬氏と喧嘩でもしたん?」
岡部「!?な、何を言うのだ、藪から棒に……」
ダル「いやさ、最近、助手とか紅莉栖とか呼ばずに牧瀬、牧瀬って呼んでんじゃん」
ダル「オカリンって結構初対面の人でも気安く呼びかけるのにさ、牧瀬氏に対してだけ、余所余所しくなって」
ダル「……ひょっとして、そのことで怒られたとか?」
岡部「いっ、いや違うぞダル!決して紅莉栖に嫌われたわけでは無ぁい!」
岡部「こ、これはだな……その、敬意というヤツだ」
ダル「敬意?……オカリンの口からそんな言葉が聴けるとは思わ」
岡部「紅莉栖は、すごく頭の良いヤツだ…………この俺の次くらいに」
ダル「ないない」
岡部「ゴホン……現に紅莉栖がラボメンとなってから、我がラボは、まさに飛躍的と言って過言ではない発展をしてきた」
岡部「だからこそ、俺は敬意を払って、紅莉栖のことを牧瀬と呼ぶことにしたのだ」
ダル「敬意を払ってるんだったらさ、牧瀬さんとか敬称をつけるのが普通じゃね?」
岡部「馬鹿を言え、この俺の次くらいに、と言っただろう、ヤツはまだまだ半人前だ」
ダル「……一体この自信はどこからくるのだろうか」
岡部「ともかく!俺が牧瀬と呼ぶのはこのような理由からであって、決して嫌われたわけでは……」
ダル「はいはい分かった分かった、そういう事にしとくお」
岡部「そういう事、とはなんだ!そういう事とは!」
鈴羽「おーっす、岡部倫太郎、遊びにきたよー」
岡部「……なんだお前か、バイトせん……」
岡部「(待てよ、バイト戦士もまた、このような呼び名に不快感を示しているかもしれん)」
岡部「(そもそもバイト戦士とは何だ!バイト戦士とは!阿万音鈴羽の要素がどこにもないではないか!)」
岡部「(……まあいい、物は試しだ)」
岡部「よ、よく来たな鈴羽よ!」
鈴羽「!?」
ダル「!?」
岡部「どうした鈴羽よ?鳩が豆鉄砲でも食らったような顔をして?」
鈴羽「あっ、えっ、えーっと……アハハハ……いきなりで、つい、ビックリしちゃって」
鈴羽「でも、いきなりどうしたの、岡部倫太郎?アタシのこと鈴羽って呼ぶだなんて」
岡部「いや、まぁ、特に深い意味は無いが……嫌だったか?」
鈴羽「……ん……ううん、少なくとも、バイト戦士よりかは聞こえが良いね」
鈴羽「あっ!だったらさ、アタシも、岡部倫太郎のコト、倫太郎って呼んでも良い?」
岡部「ゲホッゴホッ!!い、いきなり何を言いだすのだバイト……鈴羽よ」
鈴羽「アハハハ、だって、特に深い意味は無いんでしょ?倫太郎っ!」
岡部「ぐぬぬ……」
ダル「(……なんで阿万音氏、そんな嬉しそうな表情してるん?)」
紅莉栖「ハロー、あら、今日は三人?阿万音さんが来てるだなんて珍しいわね」
鈴羽「ちぃーっす!お邪魔させてもらってるよ、牧瀬紅莉栖」
岡部「お、おう、良く来たなくり……り……栗悟飯とカメハメハ!」
紅莉栖「!?」
ダル「何すか、その某格闘漫画のパクリみたいな名前は……センス無いにも程があるだろjk」
紅莉栖「ピキッ」
ダル「痛っ!痛っ!牧瀬氏!なんで蹴るん!?」
岡部「ウォーッホン!よぉく来たなぁ牧瀬よぉ、さぁ、今日も世界の支配構造の変革の為に、貴様のずぅのうを働かせてもらうぞ!」
紅莉栖「……わ、分かったわよ……じゃあ行きましょ岡b……」
鈴羽「倫太郎!ねーねー、今日は一体何の実験するの?あのがたがたーって地震起こすやつ?」
紅莉栖「( ゚д゚)! 」
岡部「え、えぇい!引っ付くな!むっむっ、胸が当たってるでは無いか!鈴羽!」
紅莉栖「( ゚д゚)ポカーン」
鈴羽「ねーねーあの実験のせいで、いーっつも店長の機嫌、悪いんだよ?」
鈴羽「お陰で、ちょーっとしたミスで、店長ってば、すぐ怒鳴るんだから!」
岡部「そ、それはだな……お前にも非があるのでは……」
鈴羽「むー、そんなことないよー……ただ、良い天気だったから、すこーしひなたぼっこしただけで……」
ダル「それを人は昼寝と言う」
鈴羽「とーにーかーく!倫太郎は、少しは私に恩返しをしてよね!」
岡部「あ、ああ……そういうことなら仕方ないな、鈴――――」
紅莉栖「ストーップ!!ストップ、ストップ!!」
※だーりん世界線での話です
鈴羽「……一体何、牧瀬紅莉栖?アンタには今、関係の無い話でしょ?」
紅莉栖「か、関係大有りよ!岡部に迷惑をかけられているのは私もなのよ!」
鈴羽「だからって、今ここで、大声出すことでも無いと思うんだけどなー」
岡部「(な、何故にこんな険悪なムードに……くっ……記憶の奥底に、何だか似たようなイメージが……)」
紅莉栖「う、うるさいわねっ!!そ、それに、その……いい加減、岡部の腕に抱きつくのを止めなさい!」
鈴羽「いーやーだ!そもそも、倫太郎は別に嫌じゃないって顔してるし、ね?」
岡部「え?」
紅莉栖「!!アンタ……一体なんて事を……!!」
岡部「いやいやいや、俺は別に何も悪くは……!!」
鈴羽「そうそう……じゃあ倫太郎から許可もでたことだし、実験室にいこっか!」
岡部「あ、あ……アハハハハ……」
岡部「(――――どうして、こうなった……)」
――――――――
――――――――――――――――
紅莉栖「…………」
岡部「…………すまん………」
紅莉栖「…………グスッ」
岡部「今日のことは、反省してる……」
紅莉栖「…………」
岡部「だから、許してくれ……牧瀬」
紅莉栖「また……グスッ……まきしぇ……ってぇ……ヒッグ……」
岡部「!!ああ、いや、これは、その!!……スマン……」
紅莉栖「……もう良いもん……岡部だって、阿万音さんとの方が……グスッ……良いんでしょ?」
岡部「そ、そういうわけではない!!」
紅莉栖「……だったら、何で……私のコト、苗字で呼んで……阿万音さんのこと、鈴羽って……」
岡部「…………」
紅莉栖「……どーして……?……」
岡部「それは、だな……いつもバイト戦士、バイト戦士と呼んでいたからだな……」
岡部「……やはり、ラボメンであるからには、俺は平等に接していきたい、と思っている」
紅莉栖「…………」
岡部「だから……いつまでも、こう、子供のようにバイト戦士と呼ぶのは鈴羽が嫌かと思って、だな」
岡部「(くっ……我ながら苦しい弁明だ……いつものように論破は……チラッ)」
紅莉栖「……分かった、岡部の言うこと、信用する」
岡部「!?……ほ、ホントか?」
紅莉栖「うん……でも――――……でも、今日みたいなことだけは……許さないから」
岡部「反省してます!」
紅莉栖「次やったら、海馬に電極ぶっ刺して、脳だけホルマリン漬けにして飼ってあげるからニコッ」
岡部「…………(気をつけよう)」
岡部「(結局昨日は、あの後直ぐ、紅莉栖は帰ってしまった)」
岡部「(あんな泣きはらした目で……通行人に通報されないか、心配だ)」
まゆしぃ「ねーねー、オカリン、ちょっと良いかな?」
岡部「ん、どうした、まゆ――――……」
岡部「(待てよ、そういえばまゆりも、まゆしぃと呼んで欲しいと以前言っていた気がするな)」
岡部「(あんなに紅莉栖を怒らせた後だ、これ以上誰かが怒ったり哀しんだりする姿は……)」
岡部「(うむ、たまにはまゆりを喜ばせるのも悪くは無いな――――)」
岡部「ゴホン!どうした?まゆしぃ☆にゃんにゃん?」
まゆしぃ「…………え?」
岡部「(しまったぁああああ!!メイクイーンの癖でにゃんにゃんをつけてしまった!)」
まゆしぃ「どうしたの、オカリン?まゆしぃは、まだタダのまゆしぃだよ?」
岡部「あ、あ……えーっと……これはだな、その……」
岡部「(くそっ!考えるんだ!何か、何かフォローの方法は……!!)」
まゆしぃ「(どうしたのかなー……オカリン、すっごく困った顔してる……)」
岡部「…………あっ……」
まゆしぃ「ぁ?」
岡部「……あー…………」
まゆしぃ「?」
岡部「おっ、俺は、お前がまゆしぃ☆にゃんにゃんになるのが待ち遠しく―――てぇ」
紅莉栖「」
岡部「…………ま……」
紅莉栖「――――ッ!!」
岡部「まっ待て!紅莉栖!!」
まゆしぃ「そ、そんなこと言われてもぅ……オカリン、ラボは、メイクイーンじゃないんだよ?」
岡部「紅莉栖!待てと言って――――」
まゆしぃ「オカリン、今、まゆしぃが喋ってるんだよ?紅莉栖ちゃんは、後にしてほしいのです」
岡部「そんなこと言ってる場合じゃない!紅莉栖が、紅莉栖が――――!!」
まゆしぃ「オカリン!そんなんじゃ、また、紅莉栖ちゃんを傷つけることになるよ?」
岡部「――――――――っ……」
まゆしぃ「……大体、おかりんは最近変なのです、急に紅莉栖ちゃんを苗字さんで呼ぶようになっちゃったし」
まゆしぃ「まゆしぃは何だか、紅莉栖ちゃんだけが、仲間はずれにされてるみたいで嫌だったよ?」
岡部「仲間はずれ……?……ち、違う、俺はそんな事思って……」
岡部「そ、そもそも、俺が紅莉栖の事だけ、親しげに呼ぶから、アイツだけを……えこひいきしてるみたいだ、って……」
まゆしぃ「……?……そんな嫌なこと、誰も思ってないよ」
岡部「いや、でも……それは……」
まゆしぃ「……だって、みんな、オカリンに名前を呼んで貰えるの、すっごく嬉しそうにしてたもん」
岡部「――――――――!!」
まゆしぃ「鈴さんも、フェリスちゃんも、るかくんも、萌郁さんも、紅莉栖ちゃんもみーんな」
まゆしぃ「オカリンが、あだ名とか名前さんとかで呼んでくれるの楽しみにしてたんだよ?」
まゆしぃ「きっと、紅莉栖ちゃん……牧瀬ちゃんって呼ばれて、すっごく哀しかったと思う」
まゆしぃ「……それでも紅莉栖ちゃんは、オカリンがそう呼ぶのには理由があるって、信じてたと思うなぁ」
まゆしぃ「だからさ、オカリン……紅莉栖ちゃんのこと……嫌いになんてならないであげて」
岡部「……だからこそ、だ……きっと俺は、取り返しのつかないことをしてしまったのだ」
岡部「紅莉栖の、紅莉栖の――――気持ちに、全然気づけなくて……っ!」
岡部「自分勝手に、紅莉栖の事を決め付けてしまって……!!」
岡部「何が紅莉栖のためだ!俺は、俺は……自分が恥ずかしかったから、だから、そんな風に名前を……!!」
岡部「……俺には、無理だ……紅莉栖もきっと、俺の事を嫌っている、軽蔑している」
岡部「――――……だから、まゆり、お前が、紅莉栖を助けにいってやってくれ」
岡部「俺にはもう、呼びかける言葉も見つからない――――」
まゆしぃ「……ねーねーオカリン、まゆしぃがね、オカリンのこと、なんでオカリンって呼ぶか知ってる?」
岡部「…………岡部、倫太郎だから……だろ?」
まゆしぃ「ブッブー違うのです、まゆしぃがオカリンって呼ぶのはねー……えへへ、オカリンを自分のものにしたいからなのです」
岡部「……どういう、ことだ……?」
まゆしぃ「オカリン、自分のこと、よくボーボー院なんとかさんって言ってるでしょ?まゆしぃ、あんまりあの呼び方好きじゃなかったんだー」
まゆしぃ「ボーボー院さんって自分のこと言ってる間は、オカリンは、オカリンじゃなくてボーボー院さんになってるんだよー」
まゆしぃ「だからね、まゆしぃはボーボー院さんじゃなくて、オカリンと話したいから、いっつもいっつもオカリンって呼ぶんだよ?」
まゆしぃ「だけどね、オカリンをオカリンって呼んでも、出てくるのはやっぱり、オカリンだけなんだ」
まゆしぃ「カッコイイ岡部倫太郎さんはね、岡部ーとか、倫太郎ーって呼んでもらわないと、中々姿を現さないのです」
まゆしぃ「……そう呼んでくれる人は、きっと、まゆしぃじゃないと、思うのです」
岡部「…………」
まゆしぃ「えへへ……何だか、まゆしぃ、沢山お話しちゃって疲れてしまいました」
まゆしぃ「あっ……えっと、ごめんね……呼び止めて、沢山お話しちゃって……」
まゆしぃ「……まゆしぃも手伝うよ、紅莉栖ちゃん、探しにいくの……」
まゆしぃ「だからオカリン、元気だし――――」
岡部「フッ……フフッ……」
岡部「フーッハッハッハッハ!!何を言うまゆりよぉ、人質なんぞに手伝ってもらうほど、落ちぶれてはいないぞ!」
岡部「この狂気のマッドサイエンティスト!鳳凰院凶真は!」
岡部「フフ……助手の居場所など、全てシュタインズ・ゲートによって運命づけられている」
岡部「今から迎えに行くぞ!仕方の無い助手めぇ!」
まゆしぃ「いってらっしゃい、ほ、ほ、鳳凰院さん!」
岡部「――――フッ……鳳凰院ではない、オカリンだ!!」ガタッ
紅莉栖「(何よ……岡部ったら、私を苗字で呼ぶかと思えば……他の皆とイチャイチャしちゃって)」
紅莉栖「(……なんだか、寂しいよ……仲間はずれに、されてるみたいだし……)」
紅莉栖「(向こうじゃ、皆……クリス、クリスって呼ぶから……)」
紅莉栖「(牧瀬ってぶっきらぼうに言われるの……叱られてるみたいで、嫌だったなぁ……)」
「――――――――――――――――りす――――!!」
紅莉栖「(たまにしか、呼んでくれなくても、それでも……)」
紅莉栖「(アンタに紅莉栖って呼ばれるの、すっごく嬉しかったんだから……)」
「――――――――――――くり――――――――!!」
紅莉栖「(だから、だから……牧瀬、だなんて呼ばないでよ……)」
「――――――――紅莉栖!!」
紅莉栖「バカ岡部!!!」
岡・紅「「え?」」
紅莉栖「な、な、な!!何か用!!まゆりとイチャイチャするんじゃなかったの!!」クルッ
岡部「ハァ……ハァ…………!!」
紅莉栖「わ、悪いけど……もう分かってるわよ、アンタが、私のコト、嫌ってるってコトぐらい」
岡部「紅莉栖…………」
紅莉栖「もう良いわよ、そんな風に、取ってつけたように私の名前なんて呼ばなくて」
岡部「紅莉栖……!!」
紅莉栖「ホントは、ホントは……私の名前なんて……名前なんて、どうでも良いって思って……」
岡部「絶対に違う!!」
紅莉栖「」ビクッ
岡部「……気づいたんだ、俺は……どうして、お前の事を、牧瀬だなんて呼ぼうと思ったのか」
岡部「イチャイチャしてるって思われたくなかったからでも、嫌いになったからでもない!」
岡部「――――――――ただ、お前の名前を呼ぶことに、照れてただけなんだ」
岡部「まゆりや、鈴羽や、フェイリスや、ルカ子や、萌郁も、気軽に友人として、仲間として呼べた」
岡部「でも、お前の名前だけが……俺にとって、特別に大切なものになってたんだ……」
紅莉栖「岡部…………」
岡部「単なる文字の羅列かもしれない、音の組み合わせかもしれない」
岡部「でも、俺にとっては……とても大切な、人の名前なんだ」
紅莉栖「おか……べ――――……」
岡部「……本当にすまなかった、俺の都合で、お前の事を傷つけてしまって」
岡部「この償いは、どうすれば良いか分からない……」
紅莉栖「……グス……ホントに……えっぐ……ホントに、かなしかったんだからぁ……ひっぐ……」
岡部「だから、紅莉栖、教えてくれ……俺は、どうしたら許してもらえる?」
岡部「お前と、また、バカやって……それで、笑い合えるようになれる?」
紅莉栖「……ズズ……一つだけ、ゆーこと、きいて……グスッ……」
岡部「……ああ、俺に出来ることなら、何でも聞こう……」
紅莉栖「――――おかべの……おかべの……グスッ……」
岡部「俺の……何だ?」
紅莉栖「…………苗字頂戴……」
岡部「…………え?」
――――――――――――
まゆしぃ「あっ、オカリン!紅莉栖ちゃんと仲直りできたんだぁ」
岡部「……あっ、ああ……見ての通り、な……」チラッ
紅莉栖「……な、なによ!あんまり見るなと言っとろーが!」
岡部「いや、だな……結局、あの橋の上から……ここまで……」
紅莉栖「こーしないと、岡部、すぐ、他の子に取られちゃうもん……」
岡部「……ふっ……もうすぐ貴様も岡部になるのだ、呼び方が違うぞ、紅莉栖よ」
紅莉栖「……そっ、そうよね!……ねっ……倫太郎……」
岡・紅「「フッ……ハーッハッハッハッハ!!!」」
まゆしぃ「仲良くなれたようで何よりなのです♪」
ダル「……どうでもいいけどまゆ氏、僕が牧瀬氏って呼ぶんはおkなん?」
まゆしぃ「んー……多分、紅莉栖ちゃんにとってダルくんは、その程度の存在なんじゃないかなぁ?」
ダル「……壁殴り代行早く来いお」
岡部「(ふむ、一連の騒動も済んで、何とか元のラボの様子に戻れたな)」
岡部「(一時はどうなることかと思ったが……うむ、人を呼ぶときは、少し気をつけることにしよう)」
岡部「(常日頃から鳳凰院凶真だったからな、人をあだ名で呼んでばかりいた)」
岡部「(少しは俺も、落ち着きを持つとするかな……結婚するんだし)」
萌郁「…………居る?……みんな」
まゆしぃ「あっ、萌郁さんだートゥットゥルー☆」
紅莉栖「ハロー」
鈴羽「ちぃーっす、久々だねぇ、桐生萌郁」
萌郁「……うん…………お祝い、しにきた……」
岡部「ふむ、ご苦労であった指圧――――――――」
岡部「(待てよ、ついこの間痛い目見たばかりではないか)」
岡部「(もう少し節度を持つ、と誓ったばかりであろうが!)」
岡部「有難う、助かったよ、萌郁」
紅莉栖「」
END
SS見ることは多いけど書いてみたのは初めてでした
少しでも楽しんでいただけたなら幸いです
俺はまゆしぃ派なので書いてて複雑でしたが、明日も頑張って生きようと思います
お疲れ様でした
……それで
鈴羽ルート……は……
鈴羽ルートは……どうなんでしょう、需要あるのかな?
イチャイチャするだけしか書けなさそうだけど
ぐずぐずすんな早くやれ!!!!
お願いしまっす
鈴羽「倫太郎ー!おーい、倫太郎ー!」
岡部「わっ!あんまり大通りで叫ぶんじゃない!他の人の迷惑になるだろう!」
鈴羽「ゴメン、ゴメン、でもさ、倫太郎が悪いんでしょ?折角のデートだぁっていうのに10分も遅れて……」
岡部「10分は遅れたとは言わん、それにデートでもない、ただお前の買い物に付き合ってやるだけだ」
鈴羽「まっ、それでも良いよ、こーして名前を呼び合ってるだけで何だか楽しいし!」
岡部「ふむ……意外と小さな事で満足するのだな、鈴羽は」
鈴羽「あっ、小さいことって何さー!世の中にはそれすら出来ない人がけっこーいるんだよ?」
岡部「…………そうかぁ?」
鈴羽「まぁ良いや、取りあえずいこっ!」
岡部「わ、わぁ!待て、手を握るな……っ!!握るならせめて、もう少し歩くスピードをだな……!」
鈴羽「あははは!倫太郎ってば、ホントに体力ないねー!」
岡部「……おっ、俺は、インドア……ああぁあああ!!」
岡部「……仮に、この状況をデートである、と仮定しよう」
鈴羽「チュー……んっ、どうしたの?急に、倫太郎?」
岡部「……ええい、その口を開けば語尾に俺の名前をつけるのは止めろ!」
岡部「いつ機関の連中が感づいて、襲ってくるか分からんからな……」
鈴羽「だいじょーぶ、その時は私が護ってあげる、倫太郎のこと、傷つけさせたりはしない」
岡部「……そうか、なら……安心だな」
鈴羽「ふふーん、でしょでしょ、だからさ、安心して二人で仲良くしよ?」
岡部「ふーたーりで、と言ってもだな、こんながやがやした喫茶店で何を仲良くしろと……」
鈴羽「この前読んだ本に書いてあったんだけどさ、こういう時カップルは固有結界ってのを発動して空間を生成するんだって!」
岡部「カップルは、な、しかも固有結界って……何の本なのだ、それは一体」
鈴羽「え?カップルじゃないの、アタシ達?」
岡部「カップルというものはだなぁ……白衣とジャージでデートなぞしない」
鈴羽「えー仕方ないでしょ、これぐらいしか服ないんだし……倫太郎だって、白衣以外殆ど着ないじゃん」
岡部「狂気のマッドサイエンティストたるもの!白衣を脱ぐことなど在り得は……って鈴羽、今お前なんて言った?」
鈴羽「これぐらいしか服がない、それがどうかした?」
岡部「どうしたもこうしたも無いだろう!一体何故今までそれを言わん!」
鈴羽「へ、え?」
岡部「こうしちゃおれん、直ぐに服を買いに行くぞ、このビル内に在るはずだからな」
鈴羽「え、で、でも……アタシ、殆どお金なんて……」
岡部「馬鹿を言うな!誰がお前に払わせると言った、それぐらい、俺が払ってやろう」
鈴羽「んー……でも、何だか悪いよ、倫太郎にそんなことしてもらうなんて」
岡部「お前がカップルと言ったのだ、カップルだったら、彼女にコレぐらいのことはしてやらないとな」
鈴羽「か、彼女ぉ!?……えっと、倫太郎……それって、本気、かな?」
岡部「俺が嘘をつくはずないだろう、さあいくぞ鈴羽よ!」
――――――――――――
岡部「ど、どうだ……鈴羽、あまりコーディネイトの自信は無いが……」
鈴羽「ううん、とっても素敵だよ、ホントにありがとう、倫太郎」
岡部「…………彼氏として、当然の事をしたまでだ」
鈴羽「そっか、そうだったね……へへ……でもさ、一つだけ……文句、ううん、じゃなくて、言いたいことがあるんだけど」
岡部「ど、どうした……む、胸がキツイ、とかだったら…………スマンっ!」
鈴羽「あははは、違うよ違うよ、ただ、このスカートっていうやつ?妙にすーすーしてくすぐったいなぁって」
鈴羽「それに、スパッツと比べて殆ど脚を隠してないからさ……ちょっと風吹いたら、見えちゃいそうだし……」
岡部「……スマン……いや、だったか……?」
鈴羽「ううん!そんなこと無い!……女の子っぽい格好も、悪くは無いかなって思っちゃって……」
岡部「……お前も女の子なんだから、それぐらいの格好は、当然だ」
鈴羽「ありがと……でも、たまに思うんだ、私ってば、服装も地味だし、顔も可愛くないし、おしとやかでもない」
鈴羽「彼女、彼女、って口では言っても……きっと、彼女らしいことなんてできてないしね」
鈴羽「アハハ、何だかしんみりしちゃったね、じゃあそろそろ帰ろっか、皆が待って――――」
岡部「鈴羽」
鈴羽「ふぇ!?い、いきなりどうしたのさ……手なんか握っちゃって……」
岡部「最初は、羨ましかった、お前の……その力強さや明るさ、前向きさ……」
岡部「そのどれもが、俺に無いものだった」
岡部「だからこそ、だろう……俺はお前と過ごすのが楽しかった、気の合う友人と連れ添っているみたいだった」
岡部「――――けど、違うんだ、そのことに、ようやく気が付いた」
岡部「お前に憧れてたんじゃない、お前を友人のように思っていたんじゃない」
岡部「お前の……お前の見た目も、仕種も、性格も、全てを含めて好きになっていたんだ」
鈴羽「――――倫太郎……」
岡部「倫太郎と呼ばれて、急に胸が熱くなった、どうしてだか、お前に真っ直ぐ向けなくなった」
岡部「でも、今日こうして、二人でデートしてようやく、その気持ちの正体に気づけたんだ」
岡部「だから、鈴羽――――……」
鈴羽「ダメ」
岡部「――――――――えっ……」
おい
鈴羽「まだ話してないけどさ、アタシ、倫太郎に隠してる秘密があるんだ」
鈴羽「そのことは、今のアタシにとっても、今とこれからの貴方にとっても大切なことなんだ」
鈴羽「その秘密が話せる時が来たら、倫太郎の話、何でも聞いてあげるからさ――――」
鈴羽「だから今はね、その言葉……胸の奥にしまっておいてよ」
鈴羽「いつかは分からない、もしかしたら、もの凄く遠くかもしれない」
鈴羽「――――それでも、その時が来ても、その奥にしまった気持ちが残ってたなら」
鈴羽「その時は……沢山、聞いてあげるから」
岡部「…………鈴羽――――……」
鈴羽「……?どしたの、小指なんか立てちゃって」
岡部「指きりげんまんだ、知らないのか?」
鈴羽「あー……まあね、聞いた事はあっても、やったことはなかったから」
岡部「なら知っているだろう、この儀式を使って取り決められた約束は!」
鈴羽「絶対に、破られないもんね」
岡部「ふっ……そういうことだ」
鈴羽「ゆびきりげんまん……約束だよ、ずーっと、覚えておいてね」
岡部「ああ、忘れないさ、忘れるもんか、何年たっても」
鈴羽「ふふ……それじゃぁ帰ろっか、流石に夜も近づいてきたしさ」
岡部「うむ……むっ、もうこんな時間か、長居し過ぎたな」
鈴羽「もーまったくだよ、さっ帰ろ!行きしはアタシが引っ張ったんだしさー」
岡部「えーい、分かった分かった、俺が先を歩くから……着いて来い、鈴羽」
鈴羽「追い抜かされないように注意するんだよ、倫太郎!」
――――――――――――
鈴羽「ねぇ、倫太郎」
岡部「どうした、鈴羽よ?」
鈴羽「橋田至と、仲良くしてあげてる?」
岡部「突然だな……まぁ、悪友達、という表現が一番近いか……」
岡部「単にハカーとしてだけでなく、友人としても、仲良くしているともりだが……」
岡部「ハッ!もしかしてヤツが実は機関と繋がっていた!?」
鈴羽「アハハ、かもね、彼、ホントは凄いやり手なんだから」
岡部「言われずとも分かっているさ、ダルがどんなヤツか、なんてな」
鈴羽「――――うん、有難う、その言葉だけで十分」
鈴羽「じゃ、もう少し早く走るよ、このままだとラボにつくの明日になっちゃうし!」
岡部「……え!?ちょ、ま……待ってくれ、待ってくれ、鈴羽――――っ!!」
END
イチャラブ書こうとしたらこんな落ちになってしまって……
少しでも楽しんでいただけたなら幸いです
遅くまでお付き合いいただき有難うございました
Entry ⇒ 2012.06.09 | Category ⇒ シュタインズゲートSS | Comments (0) | Trackbacks (0)
貴音「響。歩いて帰りませんか?」
事務所に戻ると、響を見つけたので
散歩がてら、一緒に帰りませんかと誘いました
「いいぞー。自分も仕事終わったし、退屈してたところだったんだ」
浅葱色の瞳をきらきらと輝かせ
元気な返事を頂きました
「うんっ! じゃあ、ちょっと待っててね」
そう言うやいなや、脱兎のごとく駆け出す響
「転ばないように気をつけるのですよ」
「なんくるないさー!」
では、そふぁに座って待つとしましょうか
それにしても、今日の事務所は静かですね
ほわいとぼーどに目を向けると
びっしりとはいきませんが、かなりの予定が書かれています
少し前には考えられなかったことでしょう
これもプロデューサーと、皆の頑張りの成果
今では、あの方を中心に765プロが動いていると言っても過言ではありません
その周りには、笑顔の皆がいる
この忙しさを楽しむように、皆が良い顔をしています
おや、待ち人が来たようですね
「そんなに待っておりませんよ」
少し息が乱れています
それほど急いでくれたということでしょうか
「しゅっぱつだー! あ、ピヨコお疲れ様」
ふりふりと手を振る響を真似て、私も手を振ってみました
お先に失礼致します、小鳥嬢
「で、どうするの?」
「今日は良い天気ですし、公園でひなたぼっこでもしてみましょうか」
さぞ気持ち良いことでしょう
「よし、光合成してやるぞー」
「ふふっ、では私もしてみましょう」
頑張れば、何とかなるかもしれません
「人間は、未知の部分がたくさんあると聞きます。もしや……」
無理なのかどうか、やってみなければ
挑戦する気持ちが大事なのです
「そこで真剣な顔をしないでよ……」
呆れられてしまいました
「どういうこと!?」
こうしてからかうのも、実に面白い
心を許した相手との、何気ない会話
とても楽しく、とても大切なもの
ぽにぃてぇるを、ひょこひょこと揺らす響に尋ねます
「良い感じかな。それに、最近は仕事が面白いよ」
それは良きことです
喜ばしいことですが、すこし寂しい
悲しいかな、葛藤する自分がいます
「うん! 目指せトップアイドルだからねっ」
私たちの最終目標でもある、アイドルの頂点
数多のアイドルたちを押しのけて
一番に輝くために、皆が努力し、涙し、それでも前に進む
ですが、頂点にはそれほどの価値がある
「そうですね、いつかは頂点の座に……」
私は少し事情が違いますが
目指すことに違いはありません
いつの間にか、公園に到着していました
時間というものは、一定ではないような気がします
だって、楽しい時間は一瞬に感じてしまうから
「ええ、存分にひなたぼっこを楽しみましょう」
「おー!」
べんちで休んでいるご老人
なんとも平和な風景が広がっています
「この辺りで良いでしょうか?」
「うん、そうだね」
「暖かいですね。響、春はお好きですか?」
本当に日差しが暖かく、気持ちが良い
植物たちが光合成できる理由が、少し分かったような気がします
「好きだよ。暖かいし、なんか元気がでるさー」
「そうですね。私もそう思います」
春の暖かさは優しさでしょうか
この優しさは植物、動物を分け隔てなく
元気にしてくれる。そう思います
「でしょでしょ! さすが貴音」
そう言って、にこりと笑う響
私も貴方に元気を頂いているのですよ
まるで、私の太陽のようです
「ところでさ、さっきから甘い匂いが気になるんだけど」
言われてみると、確かに甘く香ばしい匂いが漂っています
鼻をひくつかせつつ、席を立った響を追うと
案外、簡単に匂いの原因を見つけることができました
「あ! 大判焼き屋さんだ。貴音、食べようよ」
昼食は頂きましたが、甘いものは別腹です
「そうですね。頂きましょうか」
強面の主人がこちらを見た瞬間
突然、びくりとしたのは驚きました
面妖な……
「粒あんとカスタードかぁ。じゃあ自分、粒あんで」
「では、私はかすたぁどを頂きましょう」
何故か、おまけを二つも頂いてしまいました
はて……?
「おっちゃん、ありがとー!」
「ご主人、ありがとうございます」
深くお辞儀をすると
少し赤面された主人が笑っておりました
「そうですね。感謝して、頂きましょう」
思いのほか重い紙袋を手に、先ほどのべんちへ
「あつあつだー。いっただきまーす」
ほかほかと湯気をあげる大判焼き
ふふっ、火傷に気をつけるのですよ
ああ、甘味は真に美味ですね
柔らかい甘みが、体に染みていくようです
「美味しいねー」
「ええ、そうですね」
響も喜んでくれているようで、なによりです
にこにことしている響を見ていると
こちらまで笑顔になってしまいます
「響。動かないでくださいね」
急いで食べすぎですよ
口元に餡が付いているのに、気づいていない様子
響の唇へ手を伸ばし
餡をすくって、自分の口へ
「この粒あんも美味ですね」
甘さ控えめで、美味です
「ありがとう貴音。でも、ちょっと恥ずかしい」
「ふふっ、それは失礼しました」
活発なのに、繊細で
守ってあげたくなるような
そう、まるで妹のように感じてしまいます
「あーっ! なにがそんなに面白いの!?」
どうやら、顔が緩んでしまっていたようです
「なんでもありませんよ。ただ、響は可愛いなと思っていただけです」
ふふっ、顔を真っ赤にして、照れてしまったのでしょうか
本当に色々な一面を見せてくれます
「もぅ……」
私は悪くありません
響がそのような反応をしてくれるから
ついつい……ね?
「なにやつっ!」
瞬間的に体が反応して
後ろを振り向くと
……にゃあ
可愛い襲撃者がおりました
にゃあ、と鳴く可愛い襲撃者は、響にひょいと抱きかかえられ
頬ずりをされています
「可愛いなー、お前はどこの子かな」
その手つきは慣れたもので
子猫も気持ちよさそうです
にゃあにゃあ
「んー、お母さんとはぐれちゃったのか」
にゃあにゃあ
「響。意思疎通ができるのですか?」
響は唇に人差し指を添えて
「それは、トップシークレットです」
と、うぃんくをしました
「あははっ! ごめんごめん」
逆にからかわれてしまうとは
精進せねばいけません
「貴音も抱っこしてみる? ふかふかで気持ち良いよ」
響からの提案
「私にできるでしょうか」
落としてしまったら、等と嫌な考えをしてしまいます
「大丈夫、優しくしてあげればさ。ほら」
なかば強引に子猫を渡されました
まだ心の準備が……
「……ふかふかですね」
柔らかく、さらさらとした毛並み
それに暖かくて、お日様の匂いがします
子猫と目が会うと
にゃあ、と一声
ふふっ、貴方の抱き心地はとても気持ちいいですよ
にゃあにゃあ
貴方も、私の胸の居心地が良いのですね
「存分にくつろいでくださいね」
おや、違う猫の声も聞こえます
子猫の耳にも聞こえたのでしょうか
私の手をすり抜けて、そちらの方へ行ってしまいました
「あ……待ってください」
名残惜しさに手を伸ばす
ぴたりと手を止めた
「お母さんみたいだね」
「ええ、そうみたいですね」
親子の再会に、水を差すなんて野暮はできません
「今度ははぐれぬよう、気をつけるのですよ」
にゃあ、と聞こえた気がしました
「可愛かったねー」
「はい。また出会えたら良いですね」
次は、お母さんも抱っこしてみたいものです
楽しみにしておきましょう
響が声を上げます
何か見つけたのでしょうか
「どうしたのですか?」
「あれって桜かな?」
響が指差す方には枝についた、赤みが強い桃色の花
よく間違われるので仕方ありませんが
「なんだ、桜じゃないのか」
梅も綺麗なのですよ
「はい。でも私は梅の花も好きですよ」
いち早く、春の訪れを知らせてくれる梅の花
けれど、堂々と咲く可憐な姿
言葉にできない色気がある
「言われてみれば……うん、綺麗だね」
「はい、桜の頃には散ってしまいますが、また来年、美しい花を咲かせるのです」
ああ……来年もこのように
響と共にいられたら良いのに
はっと、我にかえる
「あ……なんでもありませんよ?」
おっと、いけません
感傷にひたってしまうとは
「私、飲み物を買ってきます」
「……うん、わかった」
そして、響の笑顔を
台無しにしてしまのは避けなければ
逃げるように、その場を離れてしまいましたが
情けない顔を見られるのよりはずっといい
さて、早く飲み物を買って響のもとへ戻りましょう
冷たいか暖かいか、悩むところですが……
ここは暖かい方にしましょう
私も同じお茶を購入して響のもとへ
「響。お待たせしまし……」
慌てて口を閉ざします
暖かい日差しは眠気を誘います
忙しい毎日を送り、疲れが取れないのでしょう
こんな小さな体で、頑張っているのですから
「……少し、失礼します」
良き事を思いつきました
自分の太ももに、響の頭をそっと乗せる
こちらの方が寝やすいでしょう
「ふふっ、よく寝ていますね」
可愛い寝顔
時折、身じろいでは髪がさらりと靡く
ももに擦れて、少しこそばゆい
気持ち良いのでしょうか?
ねぇ、響
頬を軽くつつく
柔らかな弾力が、指を押し返してくる
この感触は癖になりそうです
あまり意地悪をすると、嫌われてしまいますね
「おやすみなさい、響」
今は、ゆっくりと寝てください
今だけは忙しさを忘れて
良き、夢を……
おしまい
ひびたかは可愛いなぁ
しかし、書き方で特定されるとは思わなかった
ひびたかは心の栄養やでぇ
乙!
乙!
Entry ⇒ 2012.06.09 | Category ⇒ アイマスSS | Comments (0) | Trackbacks (0)
P「冬馬はどんな女が好みなんだ?」冬馬「そうだな……」
翔太「うわっ冬馬君オタクくさーい」
北斗「となると、あずさちゃん辺りか?」
P「あずささんかぁ……あの人は母性的で大和撫子って感じだよな。方向音痴だけど」
冬馬「それがいいんじゃねーか!お淑やかでヌケてるのがいいんだよ」
黒井「冬馬は童貞だからな。女性に夢を見すぎているのだ」
北斗「なるほど」
冬馬「納得するんじゃねーよ!」
北斗「ええ、俺は全ての女性が好みですから」
冬馬「節操無しはこれだから困るぜ」
P「まぁわからなくもないけどな……」
北斗「意外だな、765のプロデューサーさんはもっと誠実な人と思ってましたが」
P「好みは別だろう?あずささんは確かに可愛いが、やよいも可愛いからな」
翔太「マザコンであり、ロリコンでもあるとか凄いねっプロデューサーさんは!」
P「アホ!滅多なことを言うんじゃない!」
冬馬「これにシスコンが加わったら最強だなおい」
黒井「双子に兄と呼ばせているしな、気質はありそうだ」
黒井「ノンノン。正しいことを言って何が悪いのだ」
翔太「そう言うクロちゃんはどんな女の子がタイプなの?」
北斗「いいですね、俺も気になりますよ」
P「セレブといえば伊織あたりですか?貴音もそんな感じはするけど」
黒井「成金小娘なんぞお断りだ。四条貴音は何を言ってるのかわからん」
冬馬「あ、すんません生中ください」
P「おい!未成年アイドル飲酒は洒落にならないぞ!」
冬馬「ちっ……じゃあ山ぶどうでいいっす」
翔太「僕はウーロン茶で!」
北斗「俺はまだあるんでいいですよ。で、社長の好みは誰なんです?」
P「あ、忘れてた」
黒井「セレブな私を忘れるとはいい度胸だな……」
黒井「ところでその好みとは765プロのアイドル限定なのか?」
北斗「?いえ、別に俺達の知ってる女性なら誰でもいいですよ」
冬馬「765プロなんて属性の宝庫なのに該当しない奴なんかいるか?」
P「属性って変わった言い回しするんだな」
冬馬「べ、別にいいじゃねーか!それより社長の好みは誰なんだよ」
黒井「……お」
翔太「お?」
黒井「音無君だな……」
P「音無さんか……」
北斗「ほら、事務所にいつもいる可愛い事務員さん」
翔太「あの緑の人!クロちゃんも変わった趣味してるねー」
P「いや、そうでもないぞ。音無さんは隠れた優良物件なんだ」
北斗「と言うと?」
P「結構気が利くし、一人暮らしなんだから炊事選択だってできるぞきっと」
P「そのうえ年齢イコールらしい」
冬馬「」ガタッ
黒井「うおっ!いきなり暴れるんじゃない!」
北斗「あの年齢でそれは大変そうだな……」
冬馬「それがいいんじゃねーか!」
P「と、冬馬……?」
黒井「お、落ち着くのだ冬馬よ……」
冬馬「最近の女共はそれがわかってねぇ、これだから三次元は嫌なんだ」
P「どうしたんだあいつ」
北斗「ただの発作ですよ、温かい目で見守ってやってください」
翔太「冬馬君ってば結構古い考え方なんだよねー」
冬馬「女は男に尽くすもんだ!これは古来からの鉄則だぜ!」
P「それはわかる気がする」
北斗「現代で該当する女性は文化遺産レベルですけどね」
黒井「尽くすなら星井美希はどうなのだ」
翔太「いつもべったりしてるよね美希ちゃんは」
P「美希ですか?そうだなぁ」
北斗「ハニー?初耳だな」
P「あ、言ってなかったか?仕事中以外はハニーって呼ぶんだよ」ドヤァ
黒井「そのドヤ顔はやめろ」
冬馬「すげぇ……」
翔太「まんざらでもなさそうだけど、付き合ったりはしないの?」
P「アイドルとプロデューサーが付き合うなんてダメだろ」
北斗「じゃあ美希ちゃんが引退したら?」
P「む……その発想はなかったな」
翔太「それでも犯罪だけどね」
北斗「可愛いとは思いますけどね、あそこまでプロデューサーにお熱だと」
翔太「早く結婚しなよって思っちゃうよねー」
冬馬「あれで意外と純情なのがいいよな……ただの金髪おにぎりじゃねーんだ」
北斗「社長はどうなんです?」
黒井「才能の塊だからな、うちに欲しいとは思っている」
黒井「星井美希だけにな」
P「……」
北斗「……」
冬馬「……」
翔太「それつまんないよクロちゃん」
黒井「やかましい!」
黒井「あてつけのように言うんじゃない!」
冬馬「そういえば、プロデューサーは今日よく来れたな」
冬馬「星井とか双海あたりが一緒かと思ったけど」
P「同業者の人と話してくるって言って撒いたよ」
黒井「間違ってはいないな」
P「貴音あたりは気づいてそうで怖いですけどね……」
翔太「貴音さんといえば冬馬君の天敵だよね」
冬馬「うっせーな……苦手なだけだ」
北斗「それを天敵って言うんじゃないのか?」
北斗「あの銀髪に触れてみたいですよね」
P「柔らかくて気持ちかったぞ」
冬馬「なんか睨まれると身体が硬直するんだよな……」
翔太「ヘビに睨まれたカエルってやつ?」
冬馬「そんなもんだ」
P「黒井社長も貴音は結構気に入ってましたよね」
黒井「ウィ。四条貴音は一度クール路線で売り出してみたいものだ」
黒井「高嶺の花のようなイメージだなハーッハッハッハ!」
北斗「貴音ちゃんは綺麗って印象だけど、可愛いとこもありそうだよな」
冬馬「趣味悪いぜ北斗……」
P「ラーメン好きだったり意外と苦手なのもあるんだぞ」
冬馬「ギャップ萌えってやつか」ガタタッ
翔太「ギャップモエってなに?」
冬馬「そうだな、社長って普段ツンケンしてるけど、意外と面倒見いいだろ?」
冬馬「その差を見て和んだりする気持ちがギャップ萌えだ」
黒井「私を妙なことに例えるな」
翔太「よくわかんないなー」
北斗「わからないならいいさ」
北斗「で、貴音ちゃんの苦手なものってなんなんです?」
P「あいつはな……お化け屋敷ダメなんだよ」
冬馬「だっせぇ!面妖面妖ってお前が面妖だぜ四条!」
北斗「いいですねそれは……」
P「だろ?一度遊園地に行ったことがあるんだけどな」
P「それはもう凄かった」
黒井「聞かせてみろ」
P「メンヨウナーメンヨウナーって呟きながら俺の服を離さないんだ」
P「きゃぁ!って叫んで俺にしがみつくリアクションは最高だったな」
冬馬「ちょっと可愛いじゃねーか」
黒井「あれだけ馬鹿にしておきながら……」
北斗「で、出た後の彼女の顔はやっぱり」
P「あぁ、目に涙を貯めて……」
P「あなた様は、いけずです……ぐすっ」
P「とか言っちゃうんだ!」
冬馬「いいじゃねえか!それ最高だぜ!」
黒井「たまらんな!そこのお前!梅酒ロックだ!」
北斗「あ、俺も同じので」
支援
P「他言無用でお願いしますよ本当に。殺されますんで」
冬馬「しっかしあの四条がねぇ、睨むだけでガキ泣かせそうなのに」
翔太「それは言いすぎでしょー、せいぜい逃げ出すくらいかな」
P「子供といえば真は子供に人気あるな」
北斗「お、真ちゃんか」
冬馬「北斗は菊地に熱心だよな」
北斗「いいだろ彼女」
翔太「そうかなぁ?なんかフルマラソンとかにつき合わされそう」
冬馬「まぁ遊んだら楽しそうだけどな」
黒井「菊地真はむしろ女性層のほうに人気なのではないか?」
北斗「俺は一目見た時からファンでしたけどね」
冬馬「目が逢う瞬間ってか」
黒井「ぶふっ……笑わせるな冬馬よ」
翔太「笑いの沸点低すぎだよクロちゃん。子供に人気なのはなんでなの?」
P「理由なぁ……俺個人としての意見だけど、優しそうだからとか」
黒井「それは三浦あずさも同じと思うが」
冬馬「四条にはねーよな!ははっ!」
翔太「今度事務所行ったときに教えてあげよっと」
冬馬「や、やめろよ……」
P「あずささんは何というか母親みたいな優しさだけど、真は姉っぽいんだよ」
北斗「なるほど。確かにあんな女の子が姉なら目覚めてしまいそうだ」
翔太「あずささんがお姉さんっていうのも十分アリだと思うけど」
P「ま、役割分担だよ」
北斗「あと真ちゃんは結構乙女なんだ」
P「そうそう、可愛いものとか集めるのが好きなんだよ」
冬馬「へぇー」
翔太「あれ、リアクション薄いね?」
冬馬「可愛いもん集めるのはいい趣味じゃねーか」
黒井「冬馬は美少女フィギュアを集めてるからな」
P「えっ……」
冬馬「んだよ!人の趣味に文句あんのかよ!」
翔太「この前部屋入ったときはすごかったね北斗君」
北斗「地震がきたら、俺の部屋より冬馬の部屋を心配しそうだよ」
冬馬「ミュージアムジェル使ってるから揺れには強いぜ」
P「なんだか難しい話になってきたな」
北斗「せっかく真ちゃんの話してるんだ、冬馬はちょっと黙ってろよ」
冬馬「なっ!フィギュア馬鹿にすんじゃねーよ!」
翔太「してないしてない!で、プロデューサーさん続きは?」
P「あ、あぁ……えぇと可愛いもの好きで後は少女漫画とかも集めてたな」
冬馬「俺も何冊か持ってるけどな」
北斗「そこまで乙女なのに一人称はボクだったり不思議な子だ」
P「まぁ家庭の事情ってやつだ。これ以上は言えないが」
北斗「そこまで突っ込むほど野暮じゃありませんよ」
P「あ、あと可愛いを勘違いしてるとこもあるな」
黒井「ほう」
P「まこまこりん♪って言い出したんだ」
冬馬「ブフォッ!」
黒井「汚いぞ!」
北斗「いい……それすごくいいですよプロデューサーさん」
翔太「冬馬君震えるほどツボったんだ……」
P「あの不器用さも可愛いよな」
冬馬「こ、今度あいつの前で言ってやろうぜ……ぶふっ」
翔太「殺されちゃうと思うよ」
P「うちが戦場になるからやめてくれ……」
黒井「961プロに泥は塗るなよ……そこのレディ、揚げだし豆腐を頼む」
P「焼き鳥の盛り合わせもお願いします」
翔太「僕なんこつ!」
北斗「あんまり食べ過ぎるなよ翔太。太ったジュピターなんて笑えないからな」
翔太「わかってるよっ」
冬馬「あぁーじゃあ次は翔太の好みでもいくか」
P「翔太か、この前やよいに絡んでたよな?」
翔太「うーん好きとか嫌いとかって感じじゃないんだけどねー」
北斗「まだ14歳だしな翔太は」
P「14!?」
冬馬「あんた知らなかったのかよ……」
黒井「お前のところは小学生を使っていただろうが!」
北斗「やよいちゃんは年少の割にはしっかりしてるよな」
冬馬「この前三浦を道案内してたの見たぜ」
P「相変わらずだな……」
翔太「なんか大家族のお姉ちゃんらしいよ」
P「6人兄弟姉妹の長女なんだよ、家事もやってるんだぞ」
黒井「セレブとは程遠いな」
P「もやし祭り見たら多分二度と言えなくなりますよそれ」
北斗「何です?それ」
P「高槻家がステージのフェスだ」
P「スポンサーになってあげれば喜びますよ」
冬馬「そういえば高槻には、お兄ちゃんって呼ばせないんだな」
P「いや、真美達のはあいつらが勝手に呼んでくるんだよ」
P「まぁ兄のような人が欲しいって告白されてからは、たまに兄妹ごっこくらいはするが」
翔太「兄のような人が星井美希」
黒井「ブファ!や、やめ!エフッエフッ!」
冬馬「親父ギャグすぎるぜ……」
北斗「冬馬は妹が欲しかったりするのか?」
冬馬「血が繋がってなかったら欲しいかもな」
P「えっ……」
冬馬「な、なんでもねぇ!やっぱりいらねぇよ!」
P「そ、そうか」
北斗「じゃあ次は冬馬の希望に応えて真美ちゃんと亜美ちゃんだな」
冬馬「俺はロリコンじゃねーぞ!」
黒井「あいつらはセレブな私を年寄り呼ばわりする輩だ」
翔太「よく961プロのおじさんって呼ばれてるね」
黒井「おじさんじゃない!」
P「ちなみに真美達はセレブですよ。親の職業は言えませんけど」
黒井「信じられんな」
P「多分俺の100倍くらいは凄いんじゃないかな」
冬馬「セレブってレベルじゃねーだろそれ」
黒井「どうせ宝くじでも当たった成金だろう」
P「今はな」
翔太「今?」
P「あと双子だから何でも一緒にされがちだけど、意外と二人は性格も違うんだぞ」
冬馬「どっちも悪ガキだろ」
P「それはそうだけどな、真美はあれで優しかったりするんだよ」
黒井「ほう」
P「以前あいつらにツープラトンドロップキック食らって吹っ飛んだことあるんだが」
北斗「恐ろしい事務所だな……」
P「気がついて目を開けたら、涙目の真美が抱きついてきて謝ってきたんだよ」
翔太「それ優しいっていうのかな……」
P「ごめんね兄ちゃんもうこんなことしないから死なないで!次は手加減するね!ってな」
黒井「その後何を仕掛けられたのだ」
P「キン肉バスター食らいましたよ。気づいたら病院にいました」
P「入院中に音無さんが見舞いに来てくれたんだが、あの優しさに惚れそうになったよ」
北斗「真美ちゃん達は来たんですか?」
P「モンハンに夢中で忘れてたらしい」
翔太「それ絶対優しくないよ!」
P「思い出したら首が痛くなってきた……すいません生中追加で」
冬馬「俺カルピス」
翔太「僕春巻き!」
黒井「姉妹と言えば、もう一人のプロデューサーも姉妹揃ってアイドルだな」
P「律子ですか、姉妹じゃなくて従妹らしいですけどね」
P「基本的にライバル会社だしな俺達は」
北斗「冬馬が突っかかるからじゃないか」
翔太「そうだよークロちゃんに嘘吹き込まれて信じてたんだよね」
黒井「う、そ、そうだったか……」
P「裏で汚いことしてるでしたっけ?そんなすぐバレる嘘よく使いましたね」
北斗「それでも引っかかった男がいるんですけどね」
冬馬「うっせーな!仕方ねーだろ!」
黒井「そ、そんなこと今はどうでもいい!それよりあの女のことだ!」
P「秋月律子ですよ。律子はそうだなぁ、あいつと言えば……」
冬馬「メガネっ子だよな」
翔太「パイナップルでしょ」
北斗「スーツ姿がいいですよね」
冬馬「努力なんて当たり前じゃねーか」
P「凄いときはアイドルとプロデュース業と学生の全てをこなしていたらしい」
翔太「うへぇ」
P「しかもまだ19歳なのに資格マニアだしな。あいつ簿記持ってるんだぞ」
冬馬「ボキ?」
黒井「家計簿を作るスキルのようなものだ」
冬馬「そんなの楽勝だろ」
北斗「資格の勉強なんて、いつしてるんでしょうね」
P「俺にもわからん……俺は帰宅して勉強なんてとても出来ないな」
北斗「あと俺の見立てでは律子ちゃんは中々のスタイルですよね」
冬馬「マジかよ」
P「そうそう。隠れ巨乳っていうのか?美希とそう変わらないんだ」
黒井「なんだと……」
北斗「スーツ姿だから気づきにくいんだろう」
P「でも律子は自分のこと寸胴って言うんだよ」
翔太「えぇー?それはないでしょ。そんなこと言ったら千早さんはどうなるの」
P「言葉に気をつけろ!」
翔太「ご、ごめんね」
P「まぁとにかくだ。前一緒に食事した時にそのスタイルについて言及してみたんだ」
黒井「チャレンジャーだな」
P「律子って魅力的なのになんでアイドルを続けないんだってな」
北斗「落としにかかってますね」
P「そしたら顔真っ赤にして……」
P「わ、私みたいな寸胴な女が魅力的なんておかしいんじゃないですか!?……で、でもありがと」
P「って言ったんだよ!プルプル震えてたんだぞ!」
黒井「もう完全に落ちてるではないか!」
冬馬「すげーよあんた!」
北斗「怖いこと言うなよ」
P「俺もそっちのほうが向いてる気がするって思うことあるよ」
黒井「夜のプロデューサーか……エロいな」
冬馬「エロすぎだぜ社長」
翔太「そういえばこの前コンビニで律子さんバイトしてたよ」
P「それ以上いけない」
翔太「え、なんで?」
北斗「じゃあ次は……そうだ、プロデューサーさんの好みを聞いてないじゃないか」
黒井「ほう……」
冬馬「へっ忘れてたぜ」
P「気づいてないフリしてたんだがな……」
北斗「あ、どうせなんで話に出てこなかった子限定で」
P「そんなのありなのか……それじゃあ」
北斗(今まで話した子の中にいるのか)
黒井(よくやったぞ北斗よ!)
P「雪歩かな」
冬馬「荻原か。まぁわからなくもないな」
北斗「萩原だぞ冬馬」
冬馬「わ、わざとだよ」
黒井「少々臆病が過ぎるが中々の器量良しだな」
翔太「この前雪歩さんに膝枕してもらってたよねプロデューサーさん」
P「な、なぜそれを」
翔太「公園のど真ん中でやってたらバレバレだよ……」
P「それでフラフラ歩いてたら雪歩と会って」
冬馬「なんで眠くて女にあったら膝枕イベントが発生するんだよ」
北斗「さすがに俺でもそこまでは無理だな……」
黒井「ええい続きを話せ!」
P「は、はぁ。それで、眠気覚ましにノダテをしてもらってる最中に寝ちゃったんだよ確か」
翔太「クロちゃんノダテって何?」
黒井「屋外で茶または抹茶をいれて楽しむ茶会のことだ」
P「そう、お茶だ。お茶いれてもらったんだ」
P「で、寝ちゃって起きたら柔らかい何かに頭を乗せられていた」
冬馬「なんて野郎だ……」
北斗「雪歩ちゃんの膝ですか」
黒井「うらやまけしからんな」
北斗「全くです」
P「あれ以降家の枕じゃよく眠れた気がしないんだよなぁ」
冬馬「つーかこれ好みじゃなくてノロケじゃねーの?」
P「おっと話戻すか、雪歩のどこが好みって聞かれるとやっぱり性格だな」
北斗「彼女は優しそうですからね」
P「正統派って感じだよな……まぁ傷つきやすいのが難点だが」
北斗「慰めるチャンスじゃないですか」
P「穴掘って埋まっちゃうから……」
北斗「あぁ……」
冬馬「そういやたまに埋まってんな」
翔太「下のお店よく無事だよねー」
P「穴掘って埋まっときますとうっうー!は似たようなレベルだったんだ」
翔太「へぇー」
P「でもいつのまにか掘れるようになって……今はコンクリでもサクサクだぞ」
冬馬「念だな」
黒井「念?」
冬馬「いや、何でもねぇ」
P「あと親が怖そう」
黒井「それ以上は危険な匂いがするな」
P「やめときますか」
北斗「そうしましょう」
冬馬「天海か、まぁあいつはな」
北斗「あの子にも好かれてますよね」
P「春香と美希はハッキリと意思表示してアタックしてくるからな」
黒井「しかしすぐ転ぶ癖はどうにかならんのか……以前セットを壊されて大変だったぞ」
P「そ、それは申し訳ない……」
翔太「春香ちゃんってよく転ぶけどパンツ見えたこと無いよね」
北斗「そういえばいつも絶妙な角度だな」
冬馬「お前ら変態かよ」
P「その辺りは死守してるらしい」
黒井「さすがアイドルだな」
翔太「春香ちゃんってやっぱり運動音痴なの?」
P「うーん、運動はできると思うけどドジが影響してなぁ」
P「あ、でも犬かきはめちゃくちゃ速かったぞ」
冬馬「不気味だな……」
北斗「可愛いじゃないか」
P「料理はそこそこ出来るし、お菓子作りも凄いんだぞ春香は」
冬馬「前事務所行ったらクッキーもらったぜ」
翔太「いいなー」
P「ケーキだって美味かったなぁ。嫁としては理想かもしれない」
北斗「本人に言ってあげれば喜ぶのに」
P「面と向かって言うと結婚しそうでな……」
北斗「あぁ……」
黒井「私はウーロン茶でいい」
北斗「同じく」
P「あれ、もう飲まないんですか?」
黒井「少しは肝臓を休めんとな」
冬馬「俺はまだ入ってるからいいよ」
翔太「僕ポテト!」
P「ほんとよく食べるな……」
P「さて、これで全員の好みが出たわけだが」
北斗「次のお題はどうします?」
P「うーん……残りの子達をどう思ってるか。でどうだ」
黒井「他に共通する話題があるわけでもないしな」
翔太「仕事の話じゃなかったら何でもいいよっ」
黒井「あいつは765プロの中ではかなりの実力だな」
北斗「性格も唯一961プロに来ても大丈夫そうですよね」
黒井「うむ」
P[千早は渡しませんよ……確かに最初は歌しか見てませんでしたけどね」
冬馬「歌しか見なかったからあんな身体になっちまったのかな」
北斗「ブーッ!」
冬馬「うわっ!汚ねぇな!」
P「千早だって生きてるんだぞ!そんなことを言うな!」
冬馬「な、なんだよ……そんな怒るなよ」
P「やよいにバストを抜かれた気持ちがお前にわかるのか!?」
黒井「なん…だと…」
冬馬「わ、悪かったよ……話の続きは?」
P「そ、そうだったな。千早は最初こそ歌しか見てなくて、俺をゴミのような目で見てたけど」
翔太「酷いね」
P「信頼されるようになると結構甘えて来るんだぞ」
冬馬「あのツンケンしたロボットみたいな女が?」
北斗「冬馬は詳しいんじゃないか?ツンデレってやつだろ」
冬馬「如月はツンというよりクーデレな感じだけどな」
翔太「なにそれ」
P「翔太は気にするな。頑張ったんで褒めてくださいって言い出したときは涙が出そうになったよ」
黒井「凄まじい破壊力だろうな」
冬馬「胸が?」
P「違うッ!話がだ!」
北斗「正直酔いも醒めちゃいましたしね」
黒井「では店でも変えてみるか」
P「お、いいですね」
翔太「なんて言うんだっけこれ」
北斗「はしごか?」
翔太「それそれ!大人って感じだねっ!」
P「というか中学生がこんな時間までいていいのか……?」
黒井「私が保護者だ。気にするな」
P「まぁ、なんでもいいですけれど」
翔太「クロちゃん太っ腹!」
P「毎度ご馳走様です」
黒井「ウィ。平民と同じ扱いをされては堪らんからな」
北斗「プロデューサーさんもうちに来れば食費が浮きますよ」
P「はは、遠慮しとくよ」
冬馬「ちょっとトイレ行ってくる」
P「そうだ、一人追加していいかな?」
北斗「俺達が知ってる人ならいいんじゃないですか?」
冬馬「そいつ男?」
P「女性だけど扱いは男みたいなもんだよ」
翔太「すごい言われようだね……」
P「じゃあメールしとこう」
黒井「待たせたな。では行くか」
P「おっと、次どこ行きます?」
黒井「未成年もいるしな、大衆的なところでいいだろう」
翔太「誰が来るのかな北斗君」
北斗「ま、予想はつくけどな……」
P「最初はビールでしょうやっぱり」
北斗「俺もそうしようかな」
黒井「今日くらいはいいか……では私も同じで」
冬馬「俺ウーロン茶」
翔太「コーラ!」
小鳥「私も生で!よろしくお願いします!」
黒井「!?」
冬馬「あ、あんただったのか……」
小鳥「音無小鳥!召喚に従い参上しました!」
北斗「やっぱり……どうせなら、あずさちゃんが良かったよな」
小鳥「あれ、皆さんもしかして出来上がってます?私も速く追いつかないと!」
黒井「呼んだのは貴様か……」
P「盛り上げてくれると思いまして……」
小鳥「もっと盛り上げましょうよ!」
P「テンション高いですねー音無さん」
小鳥「一人で格闘技見ながら飲もうと思ってた矢先ですからね、やむなしです!」
小鳥「それでは乾杯しますよー!今日の出会いを祝してー!」
P「か、かんぱーい」
黒井「フン」
冬馬「なんか話しに入りずれーな……」
北斗「じきに慣れるさ」
翔太「ねぇ食べ物頼んでいい?」
北斗「ほら、メニュー」
小鳥「私枝豆とから揚げで!」
北斗「うわっ!わ、わかりました……」
P「そ、そうですね」
小鳥「ところで、前の店ではどんな話してたんですか?」
黒井「そ、それは……」
北斗(この人に言っていいんだろうか)
翔太「好きな人の話だよ」
小鳥「!!」
P「お、おい!」
冬馬「なんで言うんだよ馬鹿!」
翔太「え、ダメだった?」
小鳥「グッドよ翔太君!グーーッドゥ!」
小鳥「じゃあ続きしましょう!」
冬馬「そ、そうだ!だから普通に食って普通に帰ろうぜ!」
小鳥「どの子達の話してたの?」
翔太「き、聞いてない……」
小鳥「黒井社長、何人話にあがったんですか?」
黒井「ウィ!?そ、そうだな、残りは水瀬伊織と我那覇響だったか」
小鳥「響ちゃんかぁ、あの子見てると元気になってきますよね!」
冬馬「俺あいつのペットと遊ぶの好きだぜ」
翔太「よく豚とか犬とじゃれてるよね」
北斗「そういえば、響ちゃんもスタイルいいですよね」
小鳥「そうきましたか……!」
小鳥「あ、そういえば私もスタイルには自身あるんですよ!」
北斗「響ちゃんもプロデューサーさんに懐いてますよね」
P「あぁ、たまに家行って飯食わせてもらったりしてるよ」
冬馬「どこのゲームだよ」
小鳥「それ初耳なんですけど!」
P「しょ、職場で言いふらすようなことでも無いでしょう……」
小鳥「私だって料理できるのに……」
翔太「そういえば小鳥さんのこと優良物件ってプロデューサーさんが言ってたよ」
小鳥「ピヨッ!?」
P「なんてこと言うんだ!このトイレ!」
翔太「ちょっと!人が気にしてること言わないでよ!」
P「え、ま、まぁ……」
小鳥「ハワイでもいいですか!?」
P「は?」
冬馬「俺てんぷら頼むけどどうする?」
北斗「出てきたのをつまむ程度でいいよ」
黒井「私はブリカマを」
翔太「僕そば飯!」
小鳥「生中と出汁まき!」
冬馬「は、はい」
小鳥「プロデューサーさん!結納ですよ、結納!」
P「あぁもう離してください!」
翔太「僕ヘビと散歩してるの見たよ」
北斗「ヘビを連れて歩く少女はちょっと怖いな……」
冬馬「この前事務所に遊びに行ったときはオウムとかモモンガまでいたぜ」
黒井「765動物園にでも改名するべきだな」
P「最近はハム蔵がメインなんですけどね。お客さんきた時にいぬ美とか居たら驚きますし」
小鳥「熊みたいなワンちゃんなんて普通いませんしねぇ」ギュー
冬馬「暑苦しいリア充はどっか行けよ」
P「俺だって被害者なんだぞ……」
北斗「で、プロデューサーさん。響ちゃんのお家に招待された話の続きは?」
P「えっと……」チラッ
小鳥「どうぞ続けてください」ギュー
北斗「真ちゃん呼ぶように頼まないか」
冬馬「無理だろ……」
北斗「帰り際に何か言われたりとかは?」
P「あぁそういえば何か言われたな……カナサンだったかな」
北斗「あっちの方言なんですかね」
小鳥「……」ピピピ
冬馬「何してんだ?」
小鳥「沖縄 方言 かなさん ……」
小鳥「!!!!」
翔太「クロちゃんカナサンってどういう意味?」
黒井「愛しているという意味だ」
冬馬「どんだけモテてんだよプロデューサー……」
小鳥「ま、まぁ正妻は私ですし?別に気にしませんけどぉー!?」ギュゥー
P「正妻でも側室もないですよって痛い酒臭い強く掴みすぎですってば!」
小鳥「もう冗談言っちゃって!あ、私録音してきますね」
北斗「録音?」
P「音を入れるんだよ」
黒井「ぷっくく……やるじゃないか音無君」
冬馬「しょーもな……」
翔太「そのてんぷら1個もらっていい?」
冬馬「全部やるよ」
北斗「じゃあ彼女がいない間に伊織ちゃんの話して〆ましょうか」
P「伊織かぁ強敵だな」
冬馬「ツンデレだよな」
北斗「そっち方面に敏腕なプロデューサーさんでもダメなんですか?」
P「嫌な言い方をするんじゃない……普段はジュースパシらされたり罵られたりしてるよ」
冬馬「罵るってどんな感じだよ」
P「変態!ド変態!変態大人!とか」
黒井「ご褒美ではないか」
P「最初は割と本気でショック受けたもんですよ。もう慣れましたけど」
北斗「普段は、と前置きしているのは、接し方が違う時も?」
P「違うというか何というか」
P「こっちが落ち込んでる時とかは、そんな態度とらないんだよな」
P「むしろ慰められてるのかもしれない」
冬馬「完全にデレてるじゃねーか」
冬馬「げっ!戻ってきちまった!」
小鳥「ん?何か言ったかしら?」
冬馬「な、なんでもないです」
北斗「まぁまぁ、プロデューサーさんの隣空けてますよ」
小鳥「ありがとう北斗君!戻りましたよプロデューサーさんっ」
P「はは……」
翔太「小鳥さん的には伊織ちゃんのことどう思うの?」
小鳥「伊織ちゃん?」
黒井「プロデューサーを好いているのかどうか議論していたのだ」
小鳥「そりゃもうベタ惚れですよ!」
冬馬「当然だろうな」
P「えぇー?」
小鳥「話かけようかしら……でも恥ずかしいし、あずさ達もいるしっあぁもう全部こいつが悪いのよ!」
小鳥「みたいな顔してますし」
黒井「どう見る北斗よ」
北斗「冬馬風に言うとリア充爆発しろってとこですね」
P「物騒なことを……」
小鳥「プロデューサーさんがいない時も大体プロデューサーさんの話してますよ」
P「そ、そうなんですか?」
小鳥「あの変態まだ帰ってこないのかしらっとか、クッキー作ったけど食べてくれるかしら……にひひ」
小鳥「みたいなこと言ってますよ」
P「あれ、伊織が作ったクッキーとかありましたっけ」
小鳥「恥ずかしがってプロデューサーさんの机に置いたのはいいんですけどね……」
小鳥「プロデューサーさん気づかずに、春香ちゃんにお礼言っちゃって……」
冬馬「まぁ誰が作ったかわからなけりゃ普通天海って思うよな」
小鳥「水瀬伊織作ってシール貼ってたんですけどねぇ」
P「今度埋め合わせしよう……」
冬馬「プロデューサーってなんでこんなモテんの?」
北斗「性格だろうさ」
黒井「負け犬のくせにな」
P「うぐぐ……好き勝手なこと言って……」
小鳥「あ、お姉さーん!私生中お願いします!」
P「え、まだ飲むんですか」
小鳥「だって私は一軒目ですもん」
黒井「しかし時間は大丈夫なのか?」
小鳥「ピヨ?」
翔太「僕明日学校だよ」
P「俺だって仕事だよ……ここらでお開きにしよう」
北斗「そうですね。久々に楽しめましたよプロデューサーさん」
P「俺も楽しめたよ」
冬馬「もう帰んのかよ……遊び足りねーな」
北斗「次の楽しみにすればいいじゃないか」
P「たまには男同士で飲むのもいいもんですね」
小鳥「えっ私もいるんですけど」
黒井「ウィ。では冬馬も渋っているようだし、次が決まればまた連絡する」
P「了解です」
小鳥「私!私も誘ってくださいね!」
翔太「さっすが!頼りになる!」
小鳥「ピヨー!ありがとうございます!」
黒井「ノンノン。これくらいセレブのたしなみだ」
北斗「ま、タダ酒は嬉しいですけどね」
冬馬「このままラーメン食いにいかね?」
P「もう腹一杯だよ……」
黒井「もう遅い、今日は解散しておけ」
北斗「俺達はジュピターなんだから体調管理は徹底しないとな」
冬馬「ちっ……わかってるよ」
冬馬「んじゃまた」
北斗「チャオ☆」
翔太「ばいばーい」
P「あぁ、皆も気をつけてな」
小鳥「お疲れ様でしたー!」
P「さて帰るか」
小鳥「途中でコンビニ寄ってくださいね」
P「……?」
小鳥「?」
P「音無さん帰らないんですか?」
小鳥「何言ってるんですか!まだ飲み足りないんですから!」
小鳥「これからプロデューサーさんの家で宅飲みですよ!」
P「えぇ…明日仕事なんですよ……?」
小鳥「女の子に恥かかせないでくださいよ!」
P「せっかくですけど遠慮しときます。明日も早いんで」
小鳥「さぁさぁ!お酒の調達にレッツゴー!」
P「ちょっ音無さん!……強引だなぁ」
ブーブーブー
P「メール?黒井社長からだ」
sub:ウィ
本文:今日は中々楽しめたぞ。体調を崩さずまた明日から頑張ることだ(* ̄▽ ̄)ノアデュー!
P「マメな人だな……俺はこれからもうひと踏ん張りですよっと」
小鳥「プロデューサーさーん!早く来てくださいー!」
P「はーい!今行きますー!」
小鳥「オロロロロロロ」
P「結局こうなるんだよな……はぁ」
P「ほら、うがいしてください」
小鳥「うぐぐ……ピェ……」
P「んじゃ水飲んで」
小鳥「ピヨ……」ゴクゴク
小鳥「オエ」
小鳥「オロロロロ」
P「もう朝だよ……どうしようこれ」
小鳥「プ、プロデューサーさんは私に構わず……」
P「あぁ口ゆすがないと……はい水含んで」
小鳥「ピィ……」
小鳥「ずびばぜん……」
P「もういいですって!とにかく急がないと!」
小鳥「頭が……頭が痛い……」
P「ほら早く!ハリーハリー!」
春香「うひゃぁっ!」
律子「プロデューサー体調でも悪かったんですか?」
P「い、いやそうじゃないんだが……」
小鳥「お、おはようございます……遅れて……申し訳ない、です……」フラフラ
やよい「はわっ!小鳥さん!?」
雪歩「す、すごい顔色……お茶いれてきますね!」
小鳥「ちょっとだけ……休ませて……ください……」
律子「と、とりあえずソファで横になってください」
小鳥「ピヨ……」
美希「プロデューサー」
P「はぁ……ふぅ……どうした美希?」
美希「なんで小鳥が一緒なの?」
P「……」
貴音「……」
P「た、たまたま一緒に会ったんだよ」
千早「たまたま一緒に遅刻して、ですか?」
P「そ、それは……」
小鳥「ふ、ふふふ……」
伊織「小鳥!」
小鳥「い、一夜を共に過ごして出社は……いいものですね……ぐふっ」
真 「一夜って」
真美「ぴよちゃん!……ダメだ、死んでる」
春香「いや、生きてるから」
P「お、俺も悲しいです……」
亜美「修羅場ってるね兄ちゃん」
P「亜美!助けてくれ!」
亜美「ゴートゥーヘル♪」
P「あぁああ……」
高木「君ぃ職場恋愛は自由だが分別をつけてくれたまえよ」
P「社長まで……俺は皆で酒飲んだだけで……」
あずさ「お酒の影響って凄いんですよ、プロデューサーさん」
P「猛省します……」
その後なんとか誤解を解き、二度と音無小鳥を誘うまいと心に誓ったプロデューサーであった。
おわり
水飲ませて吐かせれば大丈夫と思ってた……お酒って怖い改めてそう思った
乙
Entry ⇒ 2012.06.09 | Category ⇒ アイマスSS | Comments (1) | Trackbacks (0)
越前「俺はUFOキャッチャーで上に行くよ」
越前「……」ザッ
越前「…到着、っと」
(UFOキャッチャーフロア)
ドューンドュドューンピコーンザワザワ……
越前「……」キョロキョロ
越前「……ふーん…」
越前「……」
越前「へぇ…面白いじゃん」テクテク
ドンッ
越前「…いてっ」
海堂「……オイ、どこ見て歩いてるチビ」ギロッ
越前「そっちがぶつかって来たんじゃん」
海堂「あ?」ブチッ
海堂「おいチビ…見ない顔だな」
越前「…どうでもいいけど――」
越前「チビって呼ぶのやめてくんない?」
海堂「……!」ブチッ
海堂「どうやらテメェもUFOキャッチャーをやるようだな…」
海堂「……俺と勝負しろ、クソガキ」ギロッ
越前「いーけど」
――――
菊丸「大石ーっ!アイス買ってきたよーん♪」
菊丸「…ってあれれ?海堂のやつ何やってるのかにゃー?」
大石「あの隣にいるちっこいの、誰かな?」
河村「えーっ、なんか不穏な空気だけど…」オロオロ
乾「厄介事の確率…98%…」
桃城「おーッ何か面白そうだなーッ!」
桃城「これは見逃せねぇなぁー!見逃せねぇよ!」
海堂「このUFOキャッチャーで勝負だ、チビ」
海堂「俺が右の台を使う。テメェは左だ」
海堂「先にこのリラックマを取った方が勝ちだ」
越前「いいよ、それで」
海堂「それ以上減らず口叩けねぇようにしてやる…」フシュー
越前「まぁ、負けるのはアンタだけどね」
海堂「…………チッ…」フシュゥゥゥ
不二「おっと…これは穏やかじゃないね」
不二「止めなくても良いのかい、手塚?」
手塚「……」
不二「…こりゃ大変」クスッ
【越前(1年) vs 海堂(2年)】
店員「それでは!1年越前、対、2年海堂の試合を始めます!」
●15分経過
桃城「オォーッ!? やるなぁチビ助!」
大石「見たところ、あの少年も相当な実力者だね」
不二「少なくても素人じゃないね、あのキャッチャー捌き」
菊丸「頑張れおチビーッ♪」
乾「ただ…海堂の真の実力はここから発揮される」
乾「果たしてあの少年に着いていけるか」
果たして…
チャリンチャリンチャリンチャリン
越前「へぇ…スタミナだけはあるようだね」フゥ
海堂「……ほざけ」フシュゥゥゥゥゥ……
乾「海堂は100円玉を惜しみなく使い」
乾「少しずつ確実にプライズを穴に引き摺り込む」
乾「いわば、金銭的な持久戦を得意としている」
乾「大金を使い果たした挙句諦めかけている相手を」
乾「更に精神的にジワジワと追い詰めプレッシャーを掛ける」
乾「そのプレイスタイルから付いたあだ名が――」
越前「――そのしぶとさ、『マムシ』みたいッスね」
海堂「……!!」ギロリ
越前「おー、怖」
●30分経過
海堂「チッ……しぶとい野郎だ…」フシュゥゥゥー
越前「まだまだだね」フゥ
菊丸「おわわーっ!」
菊丸「大変大変!マムシの100円玉が尽きてきたにゃー!」
大石「あの海堂をあそこまで追い詰めるなんて…」
桃城「オイオイあの1年やるじゃねーか!」
乾「いや…海堂はまだ『アレ』を使っていない」
乾「海堂の過去のプレイデータから算出すると」
乾「60秒以内に『アレ』が発動する確率……」
乾「……100%」
越前「あれだけ大きな口叩いてた割には」
越前「大したことないッスね、先輩」ニッ
海堂「……!!!!!!!」ブチッ
ユラーリ……ユラーリ……
大石「海堂の動きが変わったぞ…!」
菊丸「きたきたーっ!」
桃城「よっしゃあー!行けマムシー!!」
乾「データ通り……」 クイッ
不二「出るよ…、海堂の『十八番』――」
海堂「…海堂薫を……」
海堂「ナメんじゃねえええェェーーーーーッッ!!!」ダッ
ギュィィィーーーーーン
ジャラジャラジャラジャラ
シュゥゥーーーーン スタッ
越前「……!!」
越前(今の一瞬で…)
越前(1000円札を両替してきた……?)
海堂「……」フシュゥゥゥー…
乾「蛇の様に無駄のないしなやかな動きで両替機へ向かい」
乾「長い手足を利用して瞬時に両替を済ませ」
乾「ブーメランの様に素早く元の位置へ帰ってくる…」
乾「海堂の得意技――【ブーメラン・スネイク】」
乾「海堂はこの技で、『両替してる間に目当てのプライズが他の人に横取りされる』という弱点を克服した」
乾「もう誰も、海堂のプレイの邪魔は出来ない…」
越前「へぇ、少しはやるじゃん」
海堂「ここからが本番だ、チビ」フシュゥゥ…
手塚「そこまでだ」
越前「!」
海堂「…、手塚先輩…」
手塚「海堂、今は部の活動中だ。部外者との勝手な試合は認めない」
手塚「罰として、太鼓の達人10曲」
海堂「で、ですがこのチビが…」
手塚「20曲」
海堂「……ハイ」ダダッ
部費かな?(´・ω・`)
手塚「…」
越前「これ、入部届けなんだけど」
手塚「……」
手塚「…いいだろう。入部を認める」
越前「うぃーす」
越前「んじゃ明日からヨロシクってことで」スタスタ
手塚「…越前、か」
手塚「…というわけで、本日から我が部の一員となった越前だ。前に出ろ、越前。」
越前「越前リョーマっす」
菊丸「よっろしくねー♪おチビ!いぇーい♪」
不二「昨日の試合、見させてもらったよ。期待の新人ってトコかな?」クスッ
桃城「うおぉぉぉー!俺らも負けちゃいられねぇなぁ!いられねぇーぜ!」
海堂「……チッ…俺は認めてねぇからな…」ゴゴゴゴ…
河村「まぁまぁ海堂、抑えて抑えて」
桃城「よっしゃー、越前!早速俺と試合やろーぜ!」
菊丸「えーっ!ちょっとーっ!抜け駆けなんて桃城ずるいずるいーっ」
大石「気が早いなぁ、桃城」
乾「良いんじゃないか。それに、早いうちに初期データを取っておきたい」
不二「波乱の予感がするね」フフ
桃城「手塚部長!いーっすよね!」
手塚「…良いだろう。試合を認める」
桃城「よっしゃあぁー!」
越前「俺の意思は関係ないんスね…いいっスけど」
桃城「これで勝負だ越前!」
乾「ふむ…片側だけにアームが付いているキャッチャー…」
乾「プライズである小箱にくっついているプラスチックの輪にアームを引っ掛けて落とすタイプの機体を選んだか」
大石「アームを輪の中に入れられても、思ったようにプライズが動かないのが厄介だね」
越前「何でもいーっスよ」
越前「負けないっスから」
桃城「言うじゃねーか!このっこのっ!」ゲシッゲシッ
越前「痛いっス桃先輩…」
店員「本ルールでは、先にプライズ『けいおん!きゅんキャラ vol.2』を2箱獲得した者の勝利とします!」
店員「では両者!始め!」
桃城「うおぉぉーっ!行くぜーっ!!」
越前「!」
大石「桃城が先に動いた!!」
乾「桃城は、爪が片方のみのアームの扱いに長けている」
乾「1つしかない爪に全神経を集中させ、狙いを定め」
乾「まるで刃物の様に鋭利な角度からプライズを引っ掛け獲る」
河村「このタイプの機体を選んだのも、自分の得意分野に引き入れるため…」ゴクリ
不二「容赦ないね、桃城」クスッ
桃城「喰らえぇーッ!」
桃城「【ジャックナイフ】!!」
ググッ
菊丸「うわぁーっ!すごい!動いた動いたーっ♪」
河村「1回のキャッチであそこまで動かすなんて…」
不二「絶好調だね」
越前「やるじゃん」ニッ
桃城「まだまだこれからだっつーの!」ヘヘッ
大石「桃城の方のプライズ、箱の半分ほど台から出てるね」
河村「あと数回くらいで落とせそうだよね」
不二「いや、あと1回で落とすよ」
河村「えっ!?」
乾「桃城にはもう1つ長けた能力がある」
乾「桃城の跳躍力と思い切りの良さから放たれる、上から叩きつけるように無理矢理押し込むアーム使い…」
乾「使い所さえ難しいが、驚異的な獲得力へと繋がる技ーー」
桃城「いっくぜぇーーーっ!!」
大石「桃城が飛んだ!!」
ダダッ ヒューーン ポチッ
河村「そのまま落下と共にボタンを押した!!」
菊丸「きたきたーっ!!」
菊丸「桃の【ダンク・スマッシュ】!!!」
チャラチャッチャチャーン♪
マシン「ゲットオメデトウ♪ オメデトウ♪」
桃城「…ドーン☆」
店員「フィフティーン ラブ!桃城!!マッチポイント!」
不二「桃が先手を取ったね」
手塚「あぁ、妥当なところだろう」
手塚「だが越前の力は未知数だ」
手塚「油断せずにいこう」
不二「そうだね」
桃城「ヘヘッ、越前!この勝負、俺が貰っちまうぜ?」
越前「まだ始まったばかりなんだけど」
桃城「口達者なことで」ニッ
越前「んじゃ、そろそろ行くよ」
スッ
桃城「!?」
大石「ボタンを押す手を、変えた…」
菊丸「えーっ!!おチビのやつ、左利きだったのかにゃー!?」
不二「これは驚きだね」
乾「利き手ではない手を使って、あの実力だったというのか…」
海堂「チッ…どこまでも胸糞悪ィガキだ…」イラッ
越前「まだまだだね」
桃城「だが、俺のジャックナイフの前ではそんなもの……」
越前「…【ドライブB】」
桃城「!?」
チャラチャッチャチャーン♪
マシン「ゲットオメデトウ♪オメデトウ♪」
桃城「な、何っ!?」
大石「な、何だ、何が起こったんだ?」
不二「アームの爪の、金属部分とプラスチック部分の間の隙間で、輪の先端部を抑えつけたんだんだね」
不二「抑えつけた反動で、軽い小箱のプライズは勢いよく動く」
不二「上下方向に強いアームと、伸縮性のあるプラスチックの輪の性質を利用したんだね」
乾「押し込むでもなく、引き上げるでもなく、プライズを『弾き飛ばす』…」
乾「高い集中力、空間認識力、それに運がなければ成功しない高度なテクニック…」
乾「桃城のプレイスタイルよりも更にギャンブル性が高い技だ」
不二「桃相手にこの技を使うとは…挑戦的なルーキーだね」クスッ
越前「ーーそのプライズ、跳ねるよ」ニヤッ
店員「ゲームセット&マッチ!」
店員「ウォンバイ!越前!!」
桃城「ちっくしょー!!負けたかーっ!」
越前「まだまだだね」
菊丸「すっげーっ!!やるじゃんおチビーっ!」ワシャワシャ
乾「良いデータが取れた、ふふふ…」
海堂「無様に負けやがって、桃野郎」ボソッ
桃城「何だとマムシ!!やんのかてめぇ!」
海堂「あぁ!?んだとゴラァ!もっぺん言ってみろ!」
河村「ちょっとちょっと2人とも~」オロオロ
大石「やれやれ…」
不二「さて、」
不二「とんだダークホースが入部したものだね、手塚」
手塚「あぁ」
不二「これからが楽しみだね」フフッ
手塚「……」
手塚 (俺がアームを動かせる内に…)グッ
手塚 (いや、まだ早いか)
手塚 (もうしばらく様子を見るとしよう)
越前「俺はUFOキャッチャーで上に行くよ」
1章 終わり
書き溜めしてた分と、
後半は勢いで書きました
時間とネタがあったら
そのうちまた続編書きたいと思います
続編期待
期待してる
UFOキャッチャー部なんだろうかこれはw
Entry ⇒ 2012.06.08 | Category ⇒ 版権物SS | Comments (0) | Trackbacks (0)
小鳥「アイドルマスターゼロ」
小鳥(お母さんは昔歌手だったらしい、その影響で私も歌が好きになったけど)
小鳥(やっぱりアイドルなんて夢のまた夢かな…うー…)
「それでは次の方、お入りください」
小鳥「は、はい!」
小鳥(えーい、ここまで来たらやるしかない!がんばるのよ小鳥!)
ガチャ
小鳥「お、音無小鳥15歳、高校1年生です!よろしくお願いします!」
社長「……ティンときた」
小鳥「へ?」
社長「合格!合格だよキミィ!!」
小鳥「……へ?」
小鳥「…初めての出社日、不思議とあまり緊張はしないわね」
小鳥(ていうかまだ合格が本当なのかどうかもよく分からない)
小鳥(面接でいきなり合格だよって言われてもねぇ…)
小鳥「……でも書類とかもいっぱい書かされたし、本当にアイドルになれたのよね」
小鳥「…多分」
小鳥「……うん、考えても仕方ない!とにかく中に入ろうっと!」
ガチャ
小鳥「おはようございまーす!」
社長「おお!おはよう小鳥くん!」
小鳥「あ、おはようございます社長」
小鳥「あはは…」
小鳥(むしろ快眠だったとは言いにくい)
社長「…さ、それでは今日からキミのアイドル人生が始まるわけだが」
社長「それに伴って、キミのサポートを行うプロデューサーを紹介しよう」
小鳥「プロデューサー?」
社長「入ってきたまえ!」
ガチャ
P「失礼します!」
小鳥(わ、男の人…)
社長「彼は信頼できる男だからね、なにかあったらすぐ相談するといい!」
小鳥「あ、はい…」
P「よろしくお願いしますね、音無さん」
小鳥「よ、よろしくお願いします!」
社長「さて、後のことはプロデューサーくんに任せているから私はここで去るとしよう」
小鳥「去るって…」
社長「ははは、外回りだよ!うちはまだまだ弱小事務所だからね!」
P「お疲れ様です」
社長「それでは行ってくる、後は二人でしっかり打ち合わせをするといい」
小鳥「行ってらっしゃい…」
ガチャ バタン シーン…
P「……」
小鳥「……」
P・小鳥「あの」
小鳥「あ」
P「…あはは、とりあえず座りましょうか」
小鳥「そ、そうですね!私お茶汲んできます!」
P「そんな、担当アイドルにお茶なんて」
小鳥「いいんです!私こういうの好きですし!」
P「はあ」
P「どうも…うん、うまい」
小鳥「えへへ、ありがとうございます」
P「それでは早速今後の打ち合わせなんですが…」
小鳥「…あの」
P「はい?」
小鳥「敬語じゃなくてもいいんですよ?私の方がだいぶ年下みたいですし」
P「……じゃあ、お言葉に甘えて」
小鳥「はい!そっちの方が私も気楽です!」
P「…面白い人だなあ、音無さんは」
小鳥「はい?」
P「いや、それじゃあ打ち合わせに入ろうか、俺が思うに音無さんは…」
P「違う!もっとそよ風をイメージしたダンスを!」
小鳥「は、はいぃ!」
P「そう!そして歌は真夏の思い出を頭に浮かべる感じで!」
小鳥「こ、この曲は四季を歌った曲なんですけどぉ!」
P「最後にしっかりスマイル!」
小鳥「ピヨー!」ニコッ
P「…うーん、笑顔はかわいくて完璧なんだけどなぁ…」
小鳥「か、かわっ…!」
P「え?どうかした?」
小鳥「な、なんでもないですっ!」
小鳥(…わざと、じゃないわよね?)
小鳥「え、エントリーナンバー2番!音無小鳥です!よろしくお願いします!」
審査員「はい、元気があっていいねえ」
小鳥「あ、ありがとうございますピヨ!」
審査員「ピヨ?」
小鳥「そ、それでは歌わせていただきますっ!」
~♪
審査員「ほぅ…」
審査員(うん、歌は文句なしにうまいんだけど)
審査員(今時ボックス踏みながら歌うってのはちょっと古い気がする)
審査員(…ま、顔もかわいいし合格にしておくか)
P「…はい、はい!ありがとうございます!失礼します!」ガチャ
P「……やったー!!」
小鳥「ど、どうしたんですかプロデューサーさん」
P「テレビだ!テレビ出演が決まったぞ!」
小鳥「そ、それってこの前の…?」
P「ああ!地方番組だけど大きな一歩だ!やったぞー!」
小鳥「…あは、あははっ!やりましたねプロデューサーさん!」
P「今日はお祝いだ!俺の行きつけのバーでなんでもおごっちゃおう!」
小鳥「わ、私まだ未成年ですよぉ!?」
小鳥(はしゃぐプロデューサーさん…なんだか子供みたい)
小鳥「……ふふっ」
P「うーん…むぅ…」
小鳥「お疲れ様です、プロデューサーさん」コトッ
P「ああ音無さん…悪いね、お茶持ってきてもらって」
小鳥「いえ、好きでやってますし……それ、今度のデビュー曲についてですよね?」
P「ん?ああ…わが事務所期待の新人だからな、戦略もしっかり練らないと」
小鳥「期待だなんて…照れちゃいますよぉ」
P「いや、俺はもちろん…社長や他の社員も音無さんには期待してるんだ」
小鳥「あはは、期待が重たいですね」
P「ま、サポートは全力でするから…まずは今度のデビュー曲だな」
小鳥「はい、頑張ります!」
P「あ、そうだ」ゴソゴソ
小鳥「?」
小鳥「なんですか、プレゼントですか?」
P「いいから開けてみて」
小鳥「…?」ガサガサ パカッ
小鳥「あ…」
P「なんかデビューに際して個性付けをって思って…考えた結果のカチューシャ」
小鳥「……」
P「…おかしいかな、やっぱり」
小鳥「…いえ、とってもステキです!」
P「そ、そう?良かったぁ…」
小鳥(黄色いカチューシャ…私の髪色に合うように選んでくれたのかな…)
P「まあ音無さんならなんでも似合うと思うんだけどさ…どうせなら似合うのを、って思って2時間くらい店で悩んで…」
P「あ!あはは…やっぱりツメが甘いなあ俺は」
小鳥「やっぱりって…誰かに言われたことがあるんですか?」
P「うん、以前友人にね…今はあまり関わりは無いんだけど」
小鳥「ツメは甘いかもしれないけど、プロデューサーさんの優しさはしっかり伝わってますよ!」
P「音無さんまで…ちょっとひどくない?」
小鳥「あ、いや今のはフォローしたつもりで…」
P「あはは、冗談だよ…とにかく今度のテレビ出演は…」
小鳥「プロデューサーさん」
P「うん?」
小鳥「このカチューシャ、大事にしますね」
P「…うん、そうしてもらえると俺も嬉しい」
司会者「続いては新人さんです!音無小鳥で『空』!張り切ってどうぞー!」
パチパチパチ…
小鳥「…」スゥ
小鳥「空になりたい 自由な空へ…♪」
客A「お、おい…あの子本当に新人かよ」
客B「歌も上手いし、顔も可愛いし…こりゃ大型新人だな」
客C「太ももハァハァ…」
番組D「うん、いいんじゃないの小鳥ちゃん」
P「…ええ、ありがとうございます」
番組D「…?」
ガチャ
P「お疲れ様、音無さん」
小鳥「あ、プロデューサーさん!お疲れ様です!」
P「…もう他の人は帰っちゃったみたいだね」
小鳥「そうですよぅ!他のアイドルの皆さんはそれぞれのプロデューサーさんがすぐに迎えに来て…」
P「いや、二人きりで話したいことがあったからちょうどいいんだ」
小鳥「ピヨっ!?」
小鳥(ふ、二人きりでって…まさか、プロデューサーさん…!?)
P「あのさ、音無さん」
小鳥「ひゃ、ひゃいっ!?」
P「……今日の出来、何点だった?」
P「俺しか聞いてないし、仕事のことに関して俺には正直に話してほしい」
小鳥「う……」
P「……」
小鳥「30点…くらいです…」
P「それはどうして?」
小鳥「…さ、最初の歌い出しの音間違えたし、ダンスもボックスしか踏めなかったし…」
P「いや、ダンスは期待してなかったけど」
小鳥「うー、ひどいですよぉ…」
P「…ま、それは冗談としてもさ」
小鳥「うぅ…」
小鳥「……」コクン
P「うん、まあそこには緊張とか偶然もあるんだろうけどさ」
P「100点の音無さんを見せられなかったのは、すごく残念なんだ」
小鳥「100点の、私…」
P「…今日は普段とは程遠い出来だったけど、観客やディレクターさんの反応は良かった」
P「多分、これからお仕事が増えてくると思う」
小鳥「……」
P「次は100点を見せられるように、頑張ろう?」
小鳥「……」コクン
小鳥「打ち上げ…」
P「そう、打ち上げ!音無さんの好きそうな店も見つけておいたからさ!」
小鳥「え!?本当ですか!?」
P「うん、駅前のラーメン屋」
小鳥「なんでそんなオヤジくさいお店なんですかぁ!!」
P「行かないの?」
小鳥「……行きますけど」
P「ははは、それじゃ早く行こう!」タッタッタ
小鳥「あ、プロデューサーさん…」
小鳥「…ふふっ」
『今話題の新人アイドル、音無小鳥ちゃんでーす!どうぞー!』
『は、はじめまして!音無小鳥ですピヨ!』
『ピヨ?』
『あ、い、いえ!えーっと!マンボウの顔真似しまーっす!』
『え、あ、ちょっと!?小鳥ちゃん!?』
『ぷくぅ~、ボクマンボウだマンボウ~』
『おい!CMいけCM!』
P「……」
P「ラジオで顔真似は無いよ音無さん…」
小鳥『は、はい!こちら音無小鳥です!』
小鳥『えーっと、明日の天気は…東京近辺は晴れ、大阪は…』
小鳥『あ、違う、先に北海道は季節外れの雪が降って…あ!これ昨日の原稿だピヨ!』
司会者(ピヨ?)
小鳥『す、すみません!ふ、福岡はカラッとした雨が…』
小鳥『あぁ!なによカラッとした雨って!このままじゃ時間内に伝わら』
プツッ ツヅイテハスポーツデース
P「……」
P「…うん、どんまいどんまい」
P「うーん…うまくいかないもんだなぁ」
小鳥「すみません…」
P「いや、音無さんは悪くないよ!体当たりな感じが好きだって人もいるし…」
小鳥「でも3か月くらい経っても、デビューの頃と人気もあまり変わらないし…」
P「…ま、そんな簡単にいったら誰も苦労しないからね」
小鳥「……うん、そうですよね!これからも二人で…」
ガチャ
社長「諸君おはよう!」
P「あ、おはようございます社長」
社長「おお、音無くん!どうだね調子は?」
小鳥「あ、あはは…ボチボチですぅ…」
社長「ああ、みんなに知らせなきゃいけないことがあるからね」
小鳥「お知らせ…?」
社長「二人とも、入ってきたまえ!」
ガチャ
「おっはようございまーっす!…って社員さんこれだけ?」
「ウィ…久しぶりだな」
P「…!!」
小鳥(背の高い男の人と…元気な女の子は私と同じ歳くらいかな?)
P「お前…黒井!」
黒井「ふん…相変わらず冴えない顔をしているな、高木」
高木「……っ!」
「そっちの人は高木さんっていうのね!よろしく!」
社長「ふむ…二人のことは置いといて、早くキミも自己紹介しなさい」
「あ、はーい!えーっと、今日からこちらの事務所でお世話になります…」
舞「日高舞15歳!高校1年生です!よろしくお願いします!」
小鳥(日高、舞ちゃん…)
黒井「…そして私が、黒井崇男だ」
黒井「今日からこの事務所でプロデューサーとして力を貸すことになった、まあよろしく頼む」
高木「プロっ…!?」
社長「黒井くんは大学院を卒業後アメリカに渡り、プロデュース業を学んだそうだ…まあうちの息子とは面識があるみたいだが」
小鳥「へえー、アメリカなんてすご……へ?」
社長「おや?今まで知らなかったのかね?」
高木「…社長と俺は親子だよ、名字も一緒だろう?」
小鳥「あ、そ、そういえばそうですね!あ、あはは…」
小鳥(今の今まで名字忘れてたなんて言えない!)
黒井「ふん…ぬるい環境で甘えていたお前と本場で実力を磨いた私…」
黒井「どちらが必要とされるかは一目瞭然だな」
高木「…黒井、お前」
社長「黒井くん、私としても息子を悪く言われるのは良い気分はしないねえ」
黒井「…申し訳ありません」
小鳥(アメリカで勉強…黒井さんってすごい人なのかな)
社長「おお、すまないね…それでは今後の展望について話そうと思う」
小鳥(…?)
社長「まず新しくわが事務所の一員となった舞くんだが、舞くんには新しいプロデューサーと共に頑張ってもらいたい」
舞「新しい?黒井さんのこと?」
社長「いや、黒井くんとは別にもう一人プロデューサーを雇うことにした…この業界ではそこそこ名の知れたホープだよ」
舞「…じゃあ黒井さんは?」
社長「黒井くんには…音無くん、キミのプロデュースを担当してもらう」
高木「…!」
小鳥「……」
小鳥「え?」
小鳥「…え、え?じゃ、じゃあプロデューサーさんは?」
社長「ふむ、プロデューサーくん…いや、順二朗には経営を学んでもらおうと思う」
高木「……跡継ぎ、ということですか」
社長「…私もそろそろ次代のことを考えなければいけない歳だ、お前にはこの事務所を継いでもらうつもりでいる」
小鳥「で、でも!まだ半年しか一緒に活動してないのに…!」
社長「小鳥くん、つらいことを言うようだがね」
社長「順二朗にはプロデューサーとしての才能は無い」
高木「っ……」
黒井(……ふん、私よりもひどいことを言っているじゃないか)
小鳥「そ、そんなこと…」
小鳥「そ、それはその…デビュー曲はそれなりに売れたし…」
社長「それはキミの歌が評価されたからだ、そこからさらに人気を伸ばせるかどうかがプロデューサーの力量だろう」
小鳥「……」
社長「…キミはこんなところで埋もれる才能じゃない、ならば優れたプロデューサーを…」
舞「…だーもう!まどろっこしいわね!」
小鳥「!」
舞「要はお互い新しいプロデューサーと頑張れってことでしょ!?何をそんなウジウジしてるのよ!」
小鳥「わ、私は…」
高木「……俺なら大丈夫だから、音無さん」
小鳥「プロデューサーさん…」
小鳥「…はい」
黒井「ふん…その様子で私の指導に耐えられるか?」
小鳥「……」
黒井「…まあいい、明日からは新体制で動くんだから準備はしておくように」スタスタ
社長「舞くんも明日にならないと新しいプロデューサーくんは来ないからね、今日は適当に事務所内を見学するといい」
舞「はーい!それじゃブラブラしてきまーす!」
ガチャ バタン
小鳥「……」
社長「……キミたちには急な連絡になってしまって申し訳ないが…とにかくこれが最終決定だ」
社長「それでは私は外回りをしてくるよ…あとは順二朗に任せる」
ガチャ バタン
小鳥「あ、あの…」
高木「…カッコ悪いところ見せちゃったね」
小鳥「か、カッコ悪いだなんて、そんな…!」
高木「……黒井とは、大学と大学院で一緒だったんだ」
小鳥「…」
高木「二人とも経営学を学んでいてね…自分で言うのもなんだが、お互いを高めあう良いライバルだったと思う」
高木「…卒業後、あいつは単身アメリカに渡って武者修行、俺は父の会社にすんなり就職」
高木「どっちがプロデューサーとして優れているかなんて、なんとなく分かるだろう?」
小鳥「そ、そんな…やってみなくちゃ分からないし…!」
高木「やってみて、ダメだった結果がこれじゃないのかな?」
小鳥「……っ!」
小鳥「……もういいですっ!」
高木「!」
小鳥「なんなんですか!?自分ばっかり弱音吐いて!」
小鳥「私が…っ、私が毎日どんな気持ちでレッスンして、オーディション受けて…!」
高木「…音無さん」
小鳥「いっそ、私がダメだからって言ってくれれば…」
高木「そんなこと言えるわけないだろうっ!!」
小鳥「…!」ビクッ
高木「……すまん」
小鳥「……私、今日は帰ります」
高木「…ああ、気をつけて」
小鳥「…今まで、ありがとうございました」ペコリ
ガチャ バタン
高木「……」
高木「…15歳の女の子に、あんな顔させて、涙を流させて……」
高木「最低のプロデューサーだな、俺は…」
高木「……」
高木「…くそっ……」
黒井「ボンジュール!音無くん!」
小鳥「…おはようございます」
黒井「…なんだ、私がせっかく元気なあいさつをしてやったというのに」
小鳥「……ごめんなさい」
黒井「…まあいい、私の考えるキミの今後だが」
黒井「やはりキミの魅力はその歌声だ」
小鳥「歌声…?」
黒井「ああ…それを全面に押し出していけば、ミリオンも夢ではないだろう」
小鳥「ミリオン…」
黒井「それに…明確な結果を出すことで、高木のやつを見返してやりたくはないか?」
小鳥「…!!」
小鳥「……ます」
黒井「んん?聞こえんなあ」
小鳥「…やります!」
小鳥「私、なんとしても売れて…高木さんを見返してやります!」
黒井「ふふふ、良い目をしている」
黒井「それではさっそく特訓だ!まずは歌声を安定させるための腹筋300回!」
小鳥「ピヨー!?」
小鳥(…絶対に人気者になってやるんだから)
小鳥(……高木さんを、見返してやるんだから!)
「ぴ、ピヨー!」
女子社員「あらあら、小鳥ちゃん忙しそうね」
舞「ま、仕事で忙しいわけじゃないからなんとも言えないけどー」
女子社員「あはは…でも、前よりも充実してるんじゃないのかしら」
舞「……そう?」
女子社員「だって順二朗さんがプロデューサーの頃はのんびりしすぎっていうか…」
女子社員「…おっと、こんなこと口に出しちゃまずいわね、くわばらくわばら…」
舞「……」
舞(充実、ね…)
小鳥「ありがとうございました!」
黒井「次もよろしくお願いします」
小鳥「…ふぅ」
黒井「ふむ、今日は特に良かったんじゃないか、音無くん」
小鳥「あ、ありがとうございます」
黒井「そうだなぁ…点数をつけるなら90点といったところかぁ?これでも厳しい方だがなぁ!」
小鳥「……うん、そうですね」
黒井「よし!それじゃ今日は私の行きつけのバーで…」
小鳥「…いえ、今日は帰ります…私未成年ですし」
黒井「お、おぉ…うむ、そうか…」
黒井「お、おう…気をつけて帰るんだぞ…」
黒井「……」
黒井(…私は嫌われているんだろうか)
-事務所-
小鳥(事務所戻ってきちゃった…こんな時間だし誰もいないかな…)
小鳥(…高木さんがいたらうれしいかも、なーんて)
ガチャ
小鳥「…ただいまー」
「おかえりー」
小鳥「!?」
舞「なんでって…一応この事務所のアイドルだし?」
小鳥「そ、それはそうだけど…こんな時間に日高さんみたいな若い子が…」
舞「同い年の人に言われたくありませーん」
小鳥「うう…」
舞「…それに、同い年なのに“さん付け”ってのもイヤなんですけど」
小鳥「あ…」
舞「ね?小鳥ちゃん?」
小鳥「…ふふ、そうだね舞ちゃん」
舞「うん、上出来」
小鳥「同い年なのに…」
舞「んー?小鳥ちゃんがテレビ初出演したときのビデオ」
小鳥「あはは…30点のときの…」
舞「30点?」
小鳥「ううん、こっちの話」
舞「ふーん…?ま、それはいいんだけどさ」
舞「このときの方が、小鳥ちゃんイキイキしてたよね」
小鳥「…それは、まだ芸能界の厳しさもよく知らなかったし……」
舞「ねえ」
小鳥「…?」
舞「何のために歌ってんの?」
舞「小鳥ちゃんがアイドルになったきっかけなんて知らないし、知ったところで関係ないけどさ」
舞「歌を聴いてくれてる人の気持ちとか考えたことあるの?」
小鳥「……わた、しは…」
舞「…ごめん、ちょっときつく言いすぎた」
舞「でも、私が言いたかったのはさ」
舞「自分のやりたいようにやらなきゃ後悔するよってこと」
小鳥「……」
舞「……そんじゃ私はそろそろ帰りまーす!明日早いしね!」
小鳥「あ…もうお仕事決まったんだ…」
舞「んー、私のプロデューサーが本当に敏腕らしくてさ…オーディション行ったらなんか出演も決まってた」
舞「まっかしときなさい!日高舞の鮮烈デビューをお見せするわよ!」
小鳥「あははっ、舞ちゃんなら大丈夫だよ」
舞「うん、私なら大丈夫」
小鳥「…うらやましいな」
舞「ま、私はホントに帰るから…小鳥も早く帰りなさいよ」
小鳥「あ、うん」
舞「そんじゃお疲れ様でしたー!」
ガチャ バタン!
小鳥「……」
小鳥「…もう呼び捨てになってるし」
社長「それでは今日はありがとうございました、また機会があればお食事でも」
偉い人「こちらこそありがとうございました…順二朗くんもこれからよろしく頼むよ」
高木「はい、よろしくお願いします」
偉い人「それでは私はこれで…」
高木「失礼します」
社長「ふぅ…私はこのまま帰るつもりだが、お前はどうする?」
高木「俺はちょっと買い物があるから、用事済ませてからいったん事務所に戻るよ」
社長「そうか…元々お前の経営の才能は認めてるんだ、勉強もほどほどにな」
高木「…ええ、それじゃお疲れ様でした」
高木(…さて、必要なのはビデオカメラと新しいテレビと…)
高木(音無さんも日高さんもすばらしい才能の持ち主だ、出来る限りのバックアップを…)
高木「……ん、これ音無さんが出演したっていう」
高木(黒井プロデュースでの初仕事か、ちょっと見ていこうかな…)
『ソレデハコトリチャン、ハリキッテドウゾー』
『…ヒトツウマレタタネ ヨワクチサイケレド…♪』
高木「……あはは」
高木(…)
高木(0点、かな)
高木(…ま、俺が言えたことじゃないけど)
小鳥「おはようございまーす」
女子社員「あ、小鳥ちゃん!舞ちゃんの番組見た!?」
小鳥「あ、昨日の夜ですよね…学校の宿題があったから録画だけしておいたんですけど…」
女子社員「んもー!とりあえず今見なさい!今!」グイグイ
小鳥「え?あ、ちょ…!」
小鳥「……」
女子社員「…どう?」
小鳥「…これ、アイドルなんて域じゃないですよね」
小鳥「これが…舞ちゃんの実力……」
女子社員「小鳥ちゃんもうかうかしてたらすぐに追い抜かれ…」
黒井「担当アイドルを脅すような真似はやめていただきたいな」
女子社員「ひっ!?く、黒井さん…おはようございます」
黒井「ウィ」
小鳥「…黒井さん」
黒井「……さあ、今すぐレッスンルームに行くぞ」
小鳥「え?でも今日はレッスンの予定は…」
黒井「時間が余っているのなら少しでも実力を伸ばすべきだ、さあ早く!」
小鳥「ぴ、ピヨー!」
女子社員「……ご愁傷様」
審査員(歌上手いしかわいいし、場慣れもしてるみたいだし合格っと)
審査員(しかしなんでボックスを踏みながら歌うのだろうか)
小鳥「はい!歌が大好きです!いつも歌のことばっかり考えてます!」
司会者「歌のために何かしてることとかあるんですか?」
小鳥「はい!毎日腹筋を300回してます!安定した歌声をうんぬんかんぬん…」
小鳥(…黒井さんが見てないところではサボってるなんて言えないピヨ!)
千種「あらあら、千早はまだ2歳なのにお歌の番組が好きねえ」
千早「ふっきん…ふっきん…」
黒井「…よし、今日のレッスンはここまでにしておこう」
小鳥「は、はいぃ…」
黒井「私は今後の戦略を練ってくる、ストレッチをしたらすぐに家に帰るように」
小鳥「お、お疲れ様でしたぁ…」
ガチャ バタン
黒井「……」スタスタスタスタ
黒井(…ええい、くそっ!なぜうまくいかんのだ!)
黒井(音無くんの歌唱力はこれでもかというくらいアピールしているはずだ!それなのに…!)
黒井(……やはりコネか、コネが足りんのか…?)
黒井(このような弱小事務所では戦略もへったくれも…)
黒井「…高木か」
高木「お疲れさん、苦労してるみたいだな」
黒井「……おい、ちょっと付き合え」
高木「へ?」
-バー-
高木「…で、いつものここか」
黒井「別にいいだろう、うるさい客もおらんことだし」
高木「…大学の頃かっこつけて初めて入ったときは、二人ともオロオロしてたけどな」
黒井「……ふん」
黒井「さっき苦労してるようだと言っておいてその質問か」
高木「はは、社交辞令ってやつさ」
黒井「…日高くんはまさに破竹の勢いで名をあげているな」
高木「あの子は…なんというか、格が違う」
黒井「あれなら誰がプロデュースしてもトップアイドルになる」
高木「アイドルの邪魔をしてないって点では、彼はかなり優れたプロデューサーだけどな」
黒井「……どういう意味だ」
高木「俺のことだよ」
黒井「…ふん」
黒井「お前はそれでいいのか?」
高木「…どういう意味だ」
黒井「そのままの意味だ」
高木「……俺は、別に」
黒井「…私はお前がプロデューサーに向いていないとは思わん」
高木「ありがとう、だけど社長の判断には逆らえないだろ」
黒井「…だったらお前が社長になればいいだろう」
高木「はは、何年後の話だよ」
黒井「…お前は」
高木「だからプロデューサーに向いてないのかもな」
黒井「そういうところが…」
高木「この話は終わり!…今日はとりあえず音無さんの近況を聞かせてくれよ」
黒井「…ふん、今の彼女は前よりも頑張っているぞ」
高木「へえ、なにか目標でも出来たのかな…日高さんに負けないようにとか」
黒井「……どの口がそれを言う」
高木「へ?」
黒井「なんでもない、早く飲め」
高木「お、おいおい…」
舞「うん、お疲れ様」
P「とか言ってみたけど、全然疲れてないんだろ?」
舞「まあね…周りの子、全然たいしたことなかったし」
P「お前がすごすぎるんだよ…少しは俺にも仕事させてくれ」
舞「プロデューサーは私が100%楽しめるように頑張ってくれればいいのよ」
P「楽しむって…ま、それが俺の役目だしな」
舞「ライバルが早く出てこないと、私アイドル辞めちゃうかも」
P「まだデビュー3か月でそれは困るな、他の事務所にも目をつけておかないと」
舞「他の事務所、ね…」
P「ん?」
P「んー、まあ仕事は終わったけどな」
舞「じゃあご飯行こうよご飯!」
P「はいはい、付き合いますよお姫様」
舞「あっはは、それじゃさっそくしゅっぱーつ!」
舞(…小鳥)
舞(私は、私のやりたいように楽しんでるよ)
舞(あなたは、どうなの…?)
P「おーい、置いてくぞー」
舞「今行くー!」
高木「…ふわぁ、もう朝か……」
高木「つっ…いてて、飲みすぎたかなぁ…」
高木「……黒井のやつは家に帰ったのか」
高木「えーっと…」
高木「…それもそうか、音無さん今日はオフみたいだし」
高木「しかしこの時間じゃさすがにまだ誰も…」
ガチャ!
小鳥「おはようございまピヨー!今日も一日元気だピヨー!」
高木「ピヨ?」
小鳥「!!!!!!!!!!」
小鳥「…うぅ~///なんでこんな朝早くにいるんですかぁ…///」
高木「それはこっちのセリフだよ、音無さんこそ今日オフなのに」
小鳥「……朝の事務所で歌うの、すごく気持ちいいんです」
高木「へえ、知らなかった」
小鳥「いつも誰もいないから油断してた…う~///」
高木「……ね、音無さん」
小鳥「なんですかぁ!?うう…///」
高木「いつも通り、歌ってくれないかな?」
小鳥「…え?」
高木「うん、音無小鳥ショーの始まりだ」
小鳥「もう…またからかって…」
高木「……」
小鳥「……」スゥ
~♪
高木「……」
高木(…ああ、やっぱり)
高木(……100点なんだよな、うん…)
高木(…うん)
小鳥「お粗末さまでした」
高木「相変わらず素晴らしい歌声だ」
小鳥「ふふ、お客さんがみんな高木さんみたいだったらもっと人気出るのに」
高木「ミリオン間違いなしだよ」
小鳥「うふふ」
高木「……」
小鳥「…私、お茶汲んできますね」
高木「音無さん」
小鳥「はい?」
高木「…アイドル、辞めたい?」
小鳥「…っ!」
高木「分からない、ただ…」
小鳥「ただ?」
高木「今の歌声を聴いたら、そう思った」
小鳥「……」
高木「…100点だったんだ、今の歌が」
小鳥「…私は」
小鳥「ただ歌うことが好きで、人に喜んでもらうのがうれしくて」
小鳥「……一番近いのが、アイドルかなって思って」
高木「……」
高木「……甘い世界じゃないからね」
小鳥「……」コクリ
小鳥「だけど、初めて高木さんと会って、一緒に活動して」
小鳥「このカチューシャもらって、デビューして、それで…」
高木「…音無さん」
小鳥「ごめんなさい、高木さん…いえ、プロデューサーさん」
高木「音無さん」
小鳥「私、プロデューサーさんのこと、好きなんです」
小鳥「…大切な人なんです」
小鳥「気付いちゃったんです、プロデューサーさんと離れてやっと分かりました」
小鳥「プロデューサーさんのために歌えない歌なんて、どうでもいいって」
高木「…それは、アイドルとして言っちゃいけないことだな」
小鳥「……こんなこと、考えた時点でアイドル失格かなって」
高木「音無さん、俺はさ」
小鳥「……」
高木「…俺も、音無さんのこと大切な人だって思ってるよ」
小鳥「!」
高木「プロデューサーとして初めての担当アイドルで、しかもそれが才能のある子で」
高木「…大切にしなきゃいけないと思った」
高木「大切にしなきゃって思ったんだ」
高木「…アイドルとして、大切にしなきゃって」
小鳥「……っ」
高木「…それに、俺と音無さんじゃあ年齢も離れすぎてるし、それに」
小鳥「年齢なんて関係無いじゃないですか!」
高木「…!」
小鳥「仕方ないでしょ!?好きになっちゃったんだから!年齢なんて言い訳じゃないですか!」
小鳥「いっそ、いっそ…!女として見れないって言ってくれれば…!」
小鳥「嫌いに、なれるのに…っ!う、ううっ……!」
高木「……」
小鳥「…すみません、もう大丈夫です」ズズッ
高木「ああ…ほら鼻水出ちゃってるし…」スッ
小鳥「むぅ…」ズビーム
高木「……ごめん」
小鳥「…今更謝られる私の気持ちにもなってくださいよ」
高木「…アイドルとしても、大切に出来なくて」
小鳥「……それも、今更です」
高木「…そうか」
小鳥「高木さん」
小鳥「私、アイドル辞めます」
小鳥「止めないんですか?」
高木「今止めたら…泣いちゃいそうだ」
小鳥「…ふふ」
小鳥「……そういうところが、好きなんですよ?」スッ
高木「…音無さん」
小鳥「……これだけ一緒にいて、“さん付け”もイヤなんですけど」
高木「う…」
小鳥「…お願いします」
高木「…こ、小鳥……くん」
小鳥「………ふふ、上出来です…高木さん」
舞「おっはようございまー…って、あれ?私お邪魔?」
小鳥「ち、ちが…!」
高木「あ、ああ!おはよう日高さん!今日はずいぶんとお日柄もよく…」
舞「ふーん…?あ、もしや元プロデューサーとアイドルの禁断の恋ってやつぅ!?」
小鳥「…っ!」
高木「…音無さん、そろそろ自主練に行ってきたらどうかな?」
舞(……あれ?)
小鳥「そ、そうですね!それじゃ行ってきまーす!」
ガチャ バタン パタパタパタ…
舞「…もしかして私ミスった?」
高木「……だいぶ」
高木「ああ、彼女なりに少し悩んでるみたいだ」
高木(…まだ辞めるとは伝えないでおこう)
舞「……ねえ、高木さん」
高木「ん?どうした?」
舞「私がなんでアイドル目指そうと思ったかって、話したことあるっけ?」
高木「いや…そういえば聞いたこと無いな」
舞「小鳥なんだよ、私のきっかけ」
高木「…音無さんが?」
舞「うん、小鳥が初めてテレビに出たとき…その番組たまたま見ててさ」
舞「この子すごいな、一緒に競争したいなって思ったの」
高木「…まったくあの親父は……」
舞「ふふ、それでね?」
舞「自分がアイドルやってみて思ったけど、やっぱ小鳥くらいしかライバルになりそうな人いないんだ」
高木「……」
舞「だから、小鳥にはもっともっと頑張ってもらわなきゃって、それで…」
ガチャ
P「おはようござ…あ、高木さんおはようございます」
高木「ああ、おはよう」
舞「あれ?いつもより早くない?」
P「今日は大御所がたくさん集まる番組だろうが…早め早めに行動するのは当然だ」
P「帰って来てから話させてもらえ…すみません高木さん、お時間とらせて」
高木「…いや、俺も楽しかったから大丈夫だよ」
舞「とにかく小鳥には頑張れって言っといてね、高木さん!」
P「お前、言葉遣い……!」
舞「そんじゃ行ってきまーす!」
P「はぁ…すみません、それじゃ失礼します」
高木「ああ、行ってらっしゃい」
ガチャ バタン! ヨーッシシュッパーツ! オイ、ウデニダキツクナッテ!
高木「……」
ピッ prrrr prrrr
高木「…ああ、黒井か?俺だ、高木だ」
高木「ちょっと話がある」
高木「まあいいじゃないか、なかなかいい雰囲気の喫茶店だろ?」
黒井「……ふん、ブラックコーヒーをひとつ」
高木「俺はオレンジジュースで」
黒井「…相変わらずだな、その味覚は」
高木「いいだろ別に、甘いもの好きなんだし」
黒井「ふん」
高木「お前こそ電話口で開口一番『ウィ、私だ』って言う癖やめろよ」
黒井「それこそお前に指図される筋合いは無い」
高木「社長からだったらどうするんだ」
黒井「……私が社長になれば問題無いだろう」
高木「何年後の話だよ」
高木「…音無さんのことだ」
黒井「…なんだ?まさかもう一回プロデュースしたいとかじゃないだろうな?」
高木「アイドルを辞めると、彼女がそう言った」
黒井「……ふむ、そうか」
高木「…あまり驚かないんだな」
黒井「辞めると言う人間に、辞めるなと言っても逆効果だろう」
高木「それはまた違う話のような気が…」
黒井「…で、報告だけをするために呼びつけたのか?」
高木「いや、相談がある」
高木「アイドルとしての彼女を、最後に大切にしてあげたいんだ」
黒井「…これが最後の仕事だな、音無くん」
小鳥「はい、今までお世話になりました」
黒井「どうだった、これまでの半年間」
小鳥「歌のお仕事以外せずに、レッスンも歌に関することしかしないで」
小鳥「…わがまま言ってしまって、申し訳ありませんでした」
黒井「……それは私と社長と、それから高木が判断したことだ…謝る必要は無い」
小鳥「…ありがとうございます」
黒井「後悔は無いのか?」
小鳥「アイドルに関しては」
黒井「他のことに関しては?」
小鳥「……」
小鳥「……」ペコ タッタッタ
黒井「…」
黒井「……彼女をトップアイドルに出来なかったのは」
黒井「誰の責任なんだろうなぁ…」
黒井「……」
黒井「…ふん、私らしくもない」
黒井「少なくとも今後は……」
黒井「…彼女のような者は、作っちゃいけないはずだ」
黒井「……そうだろう?高木…」
公式でやったら妄想が垂れ流せなくなる
かといって公式ではどういう設定なのかも気になる
難しい
小鳥「…!」タッタッ…
舞「おーっす」
小鳥「舞、ちゃん…」
舞「あはは、ライブ前に汗かいちゃってんじゃん」
小鳥「あの…お仕事は?」
舞「んー?今日は取材だけだったからキャンセルしちゃった!」
小鳥「ぷ、プロデューサーさんがまた大変になるんだね…」
舞「ま、あの人だからそういうこと任せられるってのもあるけどね」
小鳥「…そっか、いいね」
舞「ね、小鳥」
小鳥「う…ご、ごめん…」
舞「…まあ、それが小鳥のやりたいことだって言うなら応援するし、別に今更引きとめる気も無いけどさ」
舞「後悔だけは、しないようにね?」
小鳥「……うん!」
舞「よっし!それじゃ行ってらっしゃい!」
小鳥「ありがと舞ちゃん!」
タッタッタ…
舞「さーてと…」ピッ ピピッ prrrr prrrr
舞「やっほープロデューサー…え?忙しいから電話すんな?いいじゃんすぐ終わるし」
舞「うん、すぐ終わるすぐ終わる」
舞「あのさ、結婚しない?」
高木「音無さん…もうすぐライブ始まるのに…」
小鳥「いいんです!どうしても話したかったから!」
高木「…それに俺はプロデューサーじゃあ…」
小鳥「もう!そんなのどうでもいいですってば!」
高木「う、うん…ごめん…」
小鳥「……」
高木「……」
小鳥「…じゃ、じゃあしゃべりますよ?」
高木「ど、どうぞ…」
高木「……うん」
小鳥「100点の私を、見ていってください」
高木「…うん」
小鳥「…お客さんには申し訳ないけど」
小鳥「最後の曲は、あなたのためだけに歌います」
高木「……」
小鳥「…ずっと、ずっと好きでした!」クルッ
タッタッタ…
高木「……はは、ダメだ…泣くのこらえられなかった…」
高木「ツメが甘いなぁ…本当に……」
「えーやだー」「寂しいよ小鳥ちゃーん!」
小鳥「……ありがとうございます」
小鳥「私がこれまで頑張ってこれたのも、ファンの皆さんのおかげだと思っています」
小鳥「…でも、次の曲は…ある一人のために歌います」
小鳥「その人は、私がアイドル頑張ろうっていう…」
小鳥「きっかけを、作ってくれた人です」
舞「……」
小鳥「…皆さんには申し訳ないけど、そういうつもりで聞いてくださればうれしいです」
小鳥「……最後の曲です」
小鳥「『光』」
だけど今日もまた終わってゆく
ただ自分でいたいのに ただ笑っていたいのに
だけど成れなくてもう出来なくて落ちる涙
黒井『音無くん、引退ライブのことだが…』
小鳥『はい』
黒井『新曲を用意しようかと思っている』
小鳥『へ!?い、いいんですかそんなの!』
黒井『引退ライブなのにとは思うが…社長の判断だ、私にはどうしようもあるまい』
小鳥『そ、そうなんですか…』
小さくたって あの花のように
星は光を咲かせてく
舞『へ?小鳥の新曲のタイトル?』
高木『ああ…作詞家の先生が、せっかくだからそっちで付けろっておっしゃってね…』
舞『ふーん?珍しいこともあるもんね』
高木『はは…』
高木(引退だからって言って無理聞いてもらったのは秘密だな…)
舞『そうね…今までの曲が空、花、だから…』
舞『光、なんてどう?』
高木(俺は、まだまだこの業界に残る)
高木(それでいつか…キミと追いかけた夢を叶えたい)
高木(…もしかしたらそのときはプロデューサーじゃなくて、別の立場かもしれないけど)
高木(そのときは、応援してくれるとありがたい)
高木(……今まで、ありがとう)
どうか負けないで 自分を信じて大丈夫だから
どうかやめないで 夢が朝になっても覚めないなら
明日を迎えにいってらっしゃい
カランカラン
舞「あら、ステキなお店」
黒井「キミが来たいと言ったんだろうが」
舞「だってあの人は絶対連れてってくれないんだもん」
黒井「未成年をバーに連れていく方がどうかしている…酒は絶対に頼むなよ」
舞「わかりました!どうかしている黒井さん!」
黒井「……ふん」
舞「あはは、機嫌悪くなっちゃった」
黒井「…そりゃあ事務所のアイドルがこの3カ月で2人もいなくなればな」
舞「あら、それって嫌味?」
黒井「嫌味だ」
黒井「ある意味伝説だ…人気絶頂の中、わずか1年で引退するなど…」
舞「…だって、面白くないもん」
黒井「……キミも、そういう意味では恵まれなかったのかもしれないな」
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黒井「…プロデュースできないんじゃ意味が無いからな、他の会社に移って」
黒井「近いうちに自分の会社を立ち上げる」
舞「おお、シャチョーさん」
黒井「……気付いたのだ、キミのように才能溢れる素材ばかりではないということに」
舞「あっはは、照れるなあ」
黒井「だとしたら必要なのは、事務所のバックアップ、多少強引でも露出を増やす手段…」
黒井「そのためのコネ…いろいろなものを準備しなければならない」
舞「ふーん…ま、私は引退する身だからとやかく言えないけどさ」
舞「それってアイドルの子からしたらうれしいのかな?」
【速報】 舞さん引退 ★12 (932)
もう死にたい……お嬢様アイドル最後の砦が崩れた……
俺を踏んでくれるアイドルはどこに行けば会えるんですか……
舞「本人がそれでいいならもちろんいいよ?だけどさ」
舞「自分の知らないところでコソコソやられてたらさ、それこそ面白くないんじゃないの?」
黒井「…しかし、それですべてがうまくいくかと言えばそうではないのも現実だ」
舞「……まあいいや、10年後楽しみにしとく」
カランカラン
「おや?どうして二人が…」
「あ、高木さんだ!やっほー!」
「む、なぜお前が…」
「ねえねえ、小鳥とはまだ連絡とってるのー?」
「そ、それは…」
小鳥「…へえ、舞ちゃんの子供初めて見た」
舞「もう4歳よ?愛って言うの、かわいいでしょ」
愛「ことりーーーーー!!!!!!!!!!!!!」
小鳥「う、うん…とっても元気でいいと思う」
舞「今から面接なんでしょ?頑張ってね」
小鳥「うん…まあ自分でも芸能事務所の事務なんてって思ったけど…会社の場所とかもいいしね」
舞「…芸能事務所?それなんて会社?」
小鳥「え?765プロだけど…」
舞「……へぇ~~~~」ニヤニヤ
小鳥「な、なんでニヤニヤしてるの舞ちゃぁん!」
舞「べっつに~~~、へぇ~~そうなんだぁ~~~~」ニヤニヤ
愛「あははははははははは!!!!!!!!!!」
小鳥「…あ、着いちゃった765プロ」
小鳥「うう、緊張するなあ…」
小鳥(アイドルを夢見る女の子たちのお手伝いができればいいなあって思ったけど…)
小鳥(私にそんな立派なことできるかなぁ…うー…)
小鳥(えーい、ここまで来たらやるしかない!がんばるのよ小鳥!)
トントン ガチャ!
小鳥「失礼します!本日入社面接を受けさせていただく音無小鳥です!」
高木「ああ、いらっしゃ…え?音無?」
小鳥「……え?」
高木・小鳥「……………え?」
黒井「今は961プロと名前を変えた…先代のバカ息子が会社を出ていったからな」
黒井「…まあラッキーと言えばラッキーだな、キミの残した資金を使えるのだから」
黒井「……ふむ、音無くんが?」
黒井「高木も前から社名は765プロと言っていたが…まあ音無くんが知らないのは無理もあるまい」
黒井「…別の会社になった以上、アイツは敵だ…叩きのめすつもりだよ」
黒井「…何?再デビューするときはよろしく?何を言ってるんだキミは…」
黒井「……お子さんもいるんだ、無理はしないように、ああ、ああそれじゃあ」
ガチャ ツーツー
黒井「………」
黒井(…彼女ならやりかねないから怖いな)
高木「うん……やはりバカだと思うかい?」
小鳥「そりゃあ……まあバカですよね」
高木「うぐ…」
小鳥「…社員さんもいないんでしょう?」
高木「…まだ私だけだね」
小鳥「じゃあ、私が入社してあげてもいいですよ?」
高木「むっ、こっちが社長なのに…」
小鳥「あはは」
高木「…ふふ、相変わらず面白いな音無さんは」
高木「うーん、社長と部下だからねえ…今度からは音無くんでいこうか」
小鳥「じゃあ私も社長って呼ばなきゃいけないですね」
高木「そうだね、音無くん」
小鳥「ええ、高木社長」
高木「…これから、頑張ろう」
小鳥「頑張りましょう」
高木「……」
小鳥「…ぷっ」
高木「あ、笑わないように我慢してたのに!」
小鳥「だ、だって…音無くんに高木社長って…!あは、あっはははは!」
高木「失礼だぞ音無くーん!」
春香「へえー、小鳥さんって元々アイドルだったんですね」
小鳥「そうよー、まさか社長がテレビ初出演のときのビデオをまだ持ってるとは思わなかったけど…」
真(なんだか不自然な年齢修正が入ったような…?)
やよい「でもとっても歌が上手でキレイですー!」
響「ピヨ助の意外な過去だなー!」
小鳥「もう…みんなに教えるつもりは少しも無かったのに…」
亜美「これも亜美たちが社長室を探検したおかげですな!」
真美「思わぬトレジャーでしたな!」
千早(なんだか当時の音無さんの映像に見覚えがある気が…?)
貴音「出迎える準備をしなければなりませんね…」
律子「はぁー…ようやくプロデューサーが増える…」
美希「あふぅ……まだ眠いの…」
雪歩「み、美希ちゃん…そろそろ起きないと…」
ワイワイ ガヤガヤ
小鳥「あはは…みんな元気ね…」
あずさ「音無さん、今度飲みに行きましょうね」
小鳥「へ?別にいいですけど…」
あずさ「今日は話さなかった、社長との思い出はそのときにお願いしますね」
小鳥「!!!??」
あずさ「うふふ」
高木「音無くん」
小鳥「あ、社長…おはようございます」
高木「うん、おはよう…今日は新しいプロデューサーくんが来る日だね」
小鳥「舞ちゃんの旦那さんみたいにアイドルを手籠めにしない人だといいですけど」
高木「いや、それは…うん、なんでもない」
小鳥「?」
高木「日高くんと言えば、娘の愛くんが876プロに入ったらしい」
小鳥「へえー、そっかもうそんな歳かぁ」
高木「…音無くんはどうなのかね、そろそろそういう相手とか…」
小鳥「……それセクハラです」
高木「うぐ…」
高木「それは、その…むむむ……」
小鳥「ま、別に責任取ってくれなんて言うつもりありませんけど」
高木「そう言われると何も言えないじゃないか…」
小鳥「あはは、冗談ですよ」
高木「そういう冗談はあまり…おっと、来たようだ」
ガチャ
「お、おはようございます!今日からこちらにお世話になります、よろしくお願いします!」
高木「うんよろしく、ここにいるのがわが765プロのアイドル諸君だ」
高木「それからまあ…知っているとは思うが、私が社長の高木順二朗…そして」
小鳥「はい」
小鳥「765プロ事務員、音無小鳥です!」
おわり
妄想に付き合ってくださりありがとうございました
小鳥さんの過去っていうのは想像しだしたら止まりませんね
公式でも宙ぶらりんな今の感じがたまらなく好きです
あと公式では舞さんは3年間活動したってことになってるみたいですが、今回はちょっと無視してます
気になった方もいるかもしれないので、一応補足しておきます
それでは読んでくださってありがとうございました
おつ
面白かったで
Entry ⇒ 2012.06.08 | Category ⇒ アイマスSS | Comments (0) | Trackbacks (0)
勇者(魔法使いのやつスカート短すぎだろ……)
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勇者「わかったよ……」
僧侶「すみません勇者さま、お金の問題で今日は二部屋しかとらないほうがよろしいかと」
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僧侶「いえいえ」
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魔法使い「アタシたちはこっちね、いこ、僧侶さん」
僧侶「はい」
戦士「ぐ……」ドサッ
勇者「え!?」
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戦士「ぐ……腹が……」
僧侶「お腹を痛いのですか?これは大変ですね」
戦士「ぐ……」
僧侶「勇者さま、魔法使いさま」
勇者「な、なんだ?」
魔法使い「なんですか?」
勇者「あ、ああ」
魔法使い「はい……」
僧侶「ですので、私と戦士さまで、一部屋使わせていだきます。お二人はもう一部屋で今晩ともにお過ごしください」
勇魔「えぇええぇ!?」
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魔法使い「う、うー……」
僧侶「それか、また勇者さまが外で寝ることになるかですが……」
魔法使い「あ……」
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魔法使い「い、いいわよ……」
勇者「え?」
魔法使い「風邪とかひかれても迷惑だし……今日はしなくていい……」
僧侶 ニヤ
戦士「…………」
僧侶「お疲れ様です」
戦士「あとはあいつら次第だな……」
僧侶「気になりますか?」
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僧侶「まあ、大丈夫でしょう」
戦士「…………」
僧侶「あのこたちはまだ若いですから。あんなすれ違いくらい、なんとでもなりますよ」
戦士「……そうだな……」
魔法使い(きょ、許可はしたものの、一晩こいつと一緒とか……)ドキドキ
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魔法使い「えっ!?な、ななななによ!?」
魔法使い「え……」
勇者「嫌な思い、させちゃったから……」
魔法使い「…………」
勇者「ごめん」
魔法使い「……はー……」
勇者「え?」
魔法使い「アタシも、言いすぎたし……許してあげる」
勇者「……ありがとう」
魔法使い「ん……」コク
魔法使い「え?」
勇者「もう一つ、話があるんだけど……」
魔法使い「う、うん……」
魔法使い「うん……」
勇者「…………」
魔法使い「な、なに?早く言いなさいよ」
勇者「ま、待てって、心の準備必要なんだから」
魔法使い「…………」
勇者「よし……」
魔法使い「…………」
勇者「俺は……魔法使いのことが好きです」
勇者「…………」
魔法使い「えっ!?ええっ!?」
勇者「驚きすぎだろ……」
魔法使い「な、なに言ってんのよアンタ!そんな急に、ええっ!?」
勇者「ほ、本気なんだ!」ガシ
魔法使い「あ……」
勇者「だから、俺の恋人になってくれ」
魔法使い「…………!」
勇者「ん?」
魔法使い「肩、痛い……」
勇者「ご、ごめん」パッ
魔法使い「…………」ドキドキ
魔法使い「え……?」
勇者「へ、返事は……?」
魔法使い「……ばか」
魔法使い「こ、こっちだって……アンタがいなきゃ自分の村も助けられなかったし……」
魔法使い「それ以外でも、いっぱい助けてもらったりしてるんだから……」
魔法使い「好きにならないわけ……ないじゃない……」
勇者「…………!」
魔法使い「お、お礼言うようなことじゃないわよ」
魔法使い「アタシだって、アンタのこと好きなんだから……」
勇者「魔法使い……」ギュ
魔法使い「ん……」ギュ
魔法使い「ね、ねえ……」
勇者「ん?」
魔法使い「す、好きなのはほんとだけど……すぐにその……えっちなこととかは、ダメなんだからね……」
勇者「は、はあ?」
魔法使い「そ、そういうのは、ちゃんと時間と手順踏まないと、ダメなんだもん……」
魔法使い「だってアンタ、変態じゃない」
勇者「もう勘弁してくれ……」
魔法使い「ふふ……」クスクス
魔法使い「ん?」
勇者「キスは?」
魔法使い「…………」
勇者「…………」
魔法使い「それなら……いい……」
勇者「ん……」スッ
魔法使い「しても……いいよ……」
チュッ
……くそっ
魔法使い「えへへ……」
勇者「うれしかった」
魔法使い「アタシも……うれしかった」
勇者「これからもよろしく……恋人として」
魔法使い「うん……こちらこそ、よろしく……」
勇者「さあ、出発しよう」
魔法使い「うん!」
僧侶「……うまくいったみたいですね」
戦士「……そうだな」
魔法使い「え?なんですか?」
僧侶「いいえ、なにも」
戦士「…………」フルフル
魔法使い「あ、ちょっと待ってよ」タタタ
勇者「おい、走ると危ないぞ。そこ石が」
ガッ
魔法使い「あっ!」グラ
勇者「う、うわ!?」
ドサッ!
戦士「…………」
魔法使い「いたた……あ!」
勇者「むっ、むぐっ……」
勇者(なんだ?視界が水色一色に……しかも甘酸っぱいにおい……)
魔法使い「やっ、やだあっ!」ギュウウウ!
勇者(な、なにに挟まれてるんだ!?すげースベスベでちょっとひんやりした……)
勇者「むぐぐぐ!」バタバタ
魔法使い「やんっ!息が……あつい……!」ハアハア
勇者「ぐ、むぐ?」
魔法使い「こ、この……///!」カアアー!
勇者「む!?」
魔法使い「ばかぁあぁあ!!」ドゴオ!
勇者「ぐふあぁああぁ!?」
おわり
終始ニヤニヤが止まらなかった
魔法使いかわええ
Entry ⇒ 2012.06.08 | Category ⇒ 勇者魔王「」SS | Comments (1) | Trackbacks (0)
結衣「綾乃はごらく部を潰すんじゃなかったのか?」
綾乃「…えっ?」
結衣「えっ、じゃないよ」
結衣「なに平然とごらく部でお茶飲んでるんだよ」
結衣「違うだろ! それは綾乃の本来とるべき行動じゃないだろ!?」
結衣「私だって、綾乃とは仲良くなりたいと思ってたよ?」
結衣「けどさ、それはあくまでごらく部に敵対意識を持ってた頃の綾乃なんだよ」
結衣「今の綾乃からはなんのオーラも感じないんだよ! わかる?」
綾乃「え、ええ…。なんとなく、私が船見さんに怒られてるのは分かるわ」
綾乃「え、ええ…。まぁ、好きと言えば…好きかしら?///」モジモジ
結衣「違うだろ! そこは『そ、そそそんな訳ないでしょー!!?///』だろ!?」
結衣「もうバレバレだからって開き直っちゃ駄目なんだよ、そこは」
綾乃「は、はあ…」
結衣「綾乃はいつまでもツンデレキャラでいなきゃ」
結衣「それが綾乃の魅力の8割をしめてるんだから!」
綾乃「そ、そうね…。そうかもしれないわ」
綾乃「だ、だって! 私が歳納京子に告白したら、関係が崩れちゃうじゃない!?」
結衣「それは綾乃が気にすることじゃないよ」
結衣「フラれるのが怖いっていうなら別だけどさ」
綾乃「うぅ…」
綾乃「船見さんは私にどうしろって言うのよ」
結衣「なんとかしろって言ってるんだよ」
結衣「このままだと恋人にもライバルにもなれず、ただの友達で終わるよ」
綾乃「ただの…友達……」ゾワッ
結衣「綾乃だって、急に千歳辺りに告白されたら困るだろ?」
綾乃「そ、そんなこと有り得ないわよ!!」
結衣「ほら、そうなるだろ?」
綾乃「……っ」
結衣「私は別にそれで構わないんだけどさ」
結衣「綾乃はいい友達だし」
綾乃「船見さん…」
綾乃「分かったわ! 私、歳納京子に告白してみる!!」
綾乃「どうせ駄目もと、当たって砕けろよっ!!!」
結衣「おお、さっきまで腑抜けてたのが嘘みたいだ」
綾乃「ひっ!!?」ビクッ
京子「おんや~? 結衣と綾乃が2人きりなんて珍しいね?」
結衣「今日は京子が遅れたからな」
京子「へへへ、面目ないッス★」
綾乃「はわわわわわわ…///」カァァ
綾乃「(ふ、船見さん!!!)」
結衣「(なに? 私は手助けしないぞ)」
綾乃「(えぇぇ!!?)」ガーン
結衣「(ここで私が焚き付けたら綾乃が引き返せなくなっちゃうだろ?)」
結衣「(無理だと思うなら告白しなくていいから)」
綾乃「(そんなぁ…)」
綾乃「ひぃぃぃぃぃ!!!///」ビクッ
京子「京子ちゃんを差し置いてヒソヒソ話なんて、罰金バッキンガムよぉ~」
綾乃「ちょ、ちょっと! あなた、人が一生懸命考えたギャグを無断で――」
京子「んん~?」ジトッ
綾乃「あう…///」ボッ
結衣「はぁ…。駄目か」
結衣「ほら、2人ともいつまでも立ってないで座りなよ」
京子「うん、そだね。ほれ、綾乃も♪」グイッ
綾乃「あぁ~もう、引っ張らないでよぉ…」
京子「ぷはぁ~、生き返るぅ~♪」フルフル
結衣「おいコラ、おっさんか」
結衣「ていうか、よくお茶をそんな飲み方出来るな」
京子「お茶なら余裕っしょ? もしこれに炭酸でも入ってたら分からないけど」
結衣「炭酸茶…。これはひどい」
綾乃「……」
京子「…綾乃、前から気になってたんだけどさぁ」
綾乃「な、なによ?」
京子「私と結衣と綾乃の3人きりだと急に無口になるよね。なんで?」
綾乃「そんな、なんでって言われても…」
京子「はぁ~?」
京子「なんだよ、水くさいなぁ~。そんな遠慮要らないよ」
京子「だって私たち、友達同士だろ?」
綾乃「」
結衣「うわぁ…」
京子「えっ? えっ? 私、なんか変なこと言った!?」
結衣「いや、別に京子は悪くないよ」
結衣「ただ、京子の何気ない言葉が綾乃に重くのしかかってるようで」
京子「?」
綾乃「あはははは…手遅れ、手遅れだわ……」
綾乃「そうね、さよならね。ふふ…」
結衣「はぁ…」
結衣「京子は先帰ってて、私は綾乃と少し話してくから」
京子「えぇ~!? そんな、私に1人で帰れって言うの!!?」
結衣「1年の教室に行けば、あかりやちなつちゃんが居るだろ?」
京子「おっと、そうでした」
京子「いや~、最近1年組は放課後もなんかやってるみたいで顔出さないよね」
京子「みんな、なにやってるんだっけ?」
結衣「なんか、社会の宿題で近場のお店の調査とか…」
結衣「私もよく分かんないから、その辺聞いてきなよ」
京子「了解です、結衣隊長!! ばっびゅ~~ん★」ダッ
ガラピシャ
綾乃「あぁ、あそこで私があともう少しだけ勇気を出して告白していれば――」
結衣「仕方ないよ。まさか、さっきのがラストチャンスだなんて誰も思わないし」
綾乃「終わっちゃったのね。私の恋…」
結衣「いや、綾乃が本気ならまだ分からないよ」
綾乃「どういう…こと?」
結衣「一度、今の関係を壊すんだよ。友達をやめて、京子のライバルに戻ろう」
綾乃「…そんなこと、出来るかしら?」
結衣「大丈夫だよ。綾乃は綾乃なんだから、やり直せるよ」
綾乃「船見さん…」
綾乃「分かったわ! 私は歳納京子の友達をやめて、歳納京子を倒してみせる!!」
結衣「うん、綾乃はそうでなくちゃ」
千歳「あっ…」
綾乃「戻ったわよ、千歳!」
千歳「綾乃ちゃん」
千歳「戻ったって、ごらく部の子らと帰らなくてええの?」
千歳「せっかく仲良くなったんに…」
綾乃「ああ、それなんだけど」
綾乃「私、ごらく部を潰すわ!!」グッ
千歳「……」
千歳「…へっ?」
綾乃「大体、あそこは元々茶道部の部室でしょ」
綾乃「いくら廃部したからって勝手に使っていい道理は無いわ!」
綾乃「そんな行為はこの生徒会副会長杉浦綾乃が許さないんだから!!」
綾乃「部室の無断使用は罰金バッキンガムよっ!!!」
千歳「綾乃ちゃん!」パァァ
千歳「あぁ…、綾乃ちゃんが輝いとる」
千歳「歳納さんにデレデレな綾乃ちゃんもええけど」
千歳「やっぱウチは生徒会副会長としての綾乃ちゃんが好きやねん!」
綾乃「当たり前よ!」
綾乃「これでまた情けをかけたら、益々ナメられちゃうわ!!」
綾乃「私の目指すべきものは友達じゃなくて、ライバルなのよっ!!!」
千歳「はは~ん、歳納さんのライバルに戻ってから告白する気なんやね?」ニヤニヤ
綾乃「な、なに馬鹿なこと言ってるのよーーっ!!?///」カァァ
ビターン
千歳「あぁ…、綾乃ちゃんビンタも衰えてへん」ピクピク
千歳「ウチ、お供するで! 今の綾乃ちゃんにならどこまでも着いて行くわ!!」
綾乃「見てなさいよ、歳納京子!」
綾乃「私を友達扱いしたことを後悔させてあげるから!!」
京子「うぅ…。誰か私の噂でもしてんのかな~?」
結衣「…あれ、京子?」
京子「おー、結衣ー! やっと来たかー!!」
結衣「やっと来たかって…」
結衣「なに? 私のこと待ってたの?」
京子「うん!」
結衣「どうして?」
京子「いや~、私があかり達と帰ったら結衣が1人ぼっちになっちゃうしさ」
結衣「京子…」
京子「えへへ、惚れ直した?」
結衣「調子に乗るなよ、馬鹿」コツン
京子「てへっ」
結衣「…でも、ありがと」
京子「ふふふ。口元緩んでるぞ、結衣にゃん♪」ツンッ
結衣「なんの替え歌だよ、それ」
京子「ところで、綾乃とはなに話してたの?」
結衣「綾乃と私の2人の秘密」
京子「えぇぇぇぇぇ!!?」ガーン
結衣「気になる?」
京子「べ、別に~」
結衣「言わないよ」
京子「いいよー、後で綾乃から聞き出すから」
結衣「あー、うん。それがいいかも…」
京子「?」
京子「だって私たち――」
結衣「『友達同士じゃないのかよー!?』だろ?」
京子「……」
結衣「…当たりか。まぁ、そうだよな」
京子「結衣…?」
結衣「んっ?」
京子「なんでもない」
京子「なんでもないけど、隠し事されたのムカつくからやっぱ1人で帰る!!」ダッ
結衣「なんだよ、それ!?」
結衣「おいコラ! 待てよ、京子!! 京子!!!」ダッ
結衣『――いつか、私たちの関係にも答えは出るだろうからさ』
結衣『それまではいいよな。…綾乃』
お わ り !
Entry ⇒ 2012.06.08 | Category ⇒ ゆるゆりSS | Comments (0) | Trackbacks (0)
橘純一「ほら?今日って僕の誕生日らしいだろ?」
田中「私は覚えてたよ!」
田中「誕生日おめでとう!橘君!」
橘「た、田中さん!」
田中「橘君!」
橘・田中「うぇーい!」
橘「……とね。茶番はここまでにして」
田中「うんうん」
橘「さっきから、ずっと気になってたんだけど」
田中「どうしたの?」
橘「何であそこのワカメはリボンで可愛くラッピングされてるんだろうね?」
田中「あはははっ、私にもわからないことくらいあるよ?」
橘純一「が、頑張ってみた結果がこれだよ!?」
橘純一「うぅ……バレンタインか……」
橘純一「た、田中さんに彼氏が出来たって!?」
橘純一「GWッ!その素敵な好奇心が僕をッ!」
橘純一「夏っていいよね!みんな薄着になるし!」
橘純一「秋といえば、読書!読書の秋だよね」
田中「あ、そうかも!何が流行るか分からない世の中だもんね」
田中「海草にリボン……あると思うな」
橘「おや、ワカメがこっちに流れてきたぞ?」
田中「あーワカメきたワカメ」
棚町「な、何よ!?人のことを珍獣でも見るような目で見て!」
田中「薫?……珍獣じゃなくて、海草だよ?」
棚町「そんな訂正いらないわよ!」
橘「……で、何の真似なんだ?」
棚町「えっ?」
橘「そのリボンは何の真似なんだと、僕は訊いてるんだ」
棚町「こ、これはね!?」
田中「ボケを説明させちゃうなんて、さすがに薫に失礼だよ!?」
橘「そ、それもそうだね!」
田中「……というわけで、薫?」
橘「ささっ、予定通り好きなだけボケ倒してくれよ」
棚町「……あ、あのさ!純一って今日誕生日でしょ!?」
棚町「だから……そのね?」
田中「『プレゼントは、あ・た・し!』」
田中「……なんてうすら寒い事を、まさか薫がやるわけないよね?あははっ……」
橘「それはさすがに失礼だよ、田中さん」
橘「あ、ごめん。話の腰を折ってしまったね。続けて?」
棚町「……うぇーい!その通りよ!」
田中「ごめん……」
棚町「や、やめて!あたしをそんな哀れみの視線で見ないで!?」
棚町「い、一度やってみたかっただけなのよ?そ、そう!魔が差しちゃってね!?」
橘「……薫?追い打ちをかけるようで悪いんだけど」
棚町「な、何よ?」
橘「そのネタは、もう愛の伝道師こと森島先輩が使ったよ?」
棚町「えっ!?嘘!?」
橘「昨日の夜……うちに訪ねてきてね?」
棚町「そ、そんな……。フライングだなんてズルいわ……っ!」
田中「はい!その話を詳しく!」
田中「場合によっては……」
橘「く、詳しく話すから!落ち付いて?ね?」
橘「……これまたラブリーなリボンをお胸元にお召しになられてて」
田中「そこは頭じゃないんだ?」
橘「迷ったらしいんだけどね、カチューシャを外したくなかったんだってさ」
棚町「トレードマークだしね」
橘「うん。……それでね?今度は何を企んでるんだろうと思って」
橘「『何をしてるんですか?』って素っ気なく訊いてみたんだよ」
橘「そしたらさ……『橘君!誕生日おめでとう!』ってね」
橘「隠し持っていたらしい、クラッカーをパーン!と」
田中「ご、ご近所迷惑だよ!?」
棚町「うわっ……やりたい気持ちはわかるけど」
田中「薫?出張バイト?」
棚町「あ、あたしは関係ないでしょ!?」
橘「安心しろ。薫の方がモジャモジャしてるから」
棚町「!?」
田中「よかったね、薫!」
棚町「くっ……それで?あんたはその後どうしたの?」
橘「玄関で立ち話もアレだし、これ以上うちの玄関先でクラッカーを鳴らされるのもご近所迷惑だったから、家に上がってもらったんだけど」
田中「そう、そこから!そこからが問題なの!」
棚町「ほら、さっさと話しなさいよ!」
田中「け、結論から言えば!?」
棚町「ま、まさか……アンタ!?」
橘「森島先輩はね……お茶漬けを食べて御満悦の表情で帰っていったよ」
田中「へ?」
棚町「どういうことよ?」
橘「ほら、京都の方だと帰って欲しい客にお茶漬け出すらしいだろ?」
橘「……僕、どうしても一度やってみたくてっ!」
橘「森島先輩なら、こんな失礼なボケも許してくれる!そう思ったら、ついっ!」
橘「……問題は『わおっ!ちょうど小腹が空いてたの!気が利くわね!』って、僕のボケが全く通じてなかったことなんだけど」
橘「2杯もおかわりもしていったしね……はははっ……」
橘「う、うん。そこは僕を信じて欲しいな」
橘「森島先輩もさ、薫と同じで『一度やってみたかったのよね!うふふっ!』だったらしくて、あの行動に特に深い理由はなかったらしいんだ」
田中「そうなんだ」
棚町「あたし、あの人と同類か……」
橘「でもさ、色々と大変だったんだよ!?」
橘「急に『で、でも!本当に橘君に求められたら……私っ!私っ!!』って発作が始まってさ!」
棚町「ほ、発作!?」
橘「床にお茶漬けこぼすわ、周りを確認せずに頭を抱えてダイナミックにゴロゴロするわで!」
橘「あんな酷い目にあったのは、夏にあった家庭内スイカ割り大会以来だよ!」
田中「あはははっ……お疲れ様」
棚町「本当、苦労してんのね……」
橘「うん……」
橘「まさか、ここまで続くとは思わなかったよ!本当に一生続く気すらする!」
棚町「……前から思ってたんだけどさ、それってプロポーズの言葉よね?」
橘「えっ?」
田中「……私もそう思うよ?」
橘「えっ……えぇぇぇぇ!?」
橘「そ、そうなの!?」
棚町「はぁ。……恵子、気を付けなさいよ?」
棚町「今の森島先輩が純一のことをどう思ってるのかは知らないけど、万が一があるからね?」
田中「う、うん!寝取られとか笑えないよね!」
橘「ね、寝取られ!?そんなのもあるのか!?」
棚町「……あのさ、わかってると思うけど、一番気をつけるのはさ、純一よ?」
橘「う、うん……」
橘「あ、絢辻さん!?いつの間に!?」
絢辻「『私は絶対に浮気はしません!』」
絢辻「はい、大きな声で元気よく!……そうね、オマケして10回くらい復唱して貰おうかしら?」
橘「こ、ここ教室だよ!?」
絢辻「あら?場所は関係ないでしょ?」
絢辻「それとも……誓えないのかしら?」
田中「か、薫~……うぅっ」
棚町「あ、アンタ!?恵子を泣かせる気なの!?」
橘「わかったよ!誓う!誓うよ!」
絢辻「はい、それでは!どうぞ!」
・
・
橘「私は絶対に浮気はしません!!!!!!!!!!」
絢辻「その言葉に嘘、偽りは?」
橘「ありません!!!!!!!!!!!」
絢辻「はい、ご苦労様」
橘(くっ……みんなの視線が痛い!)
棚町「ぷっ……くくっ……よかったわね、恵子?」
絢辻「えぇ、こんなに田中さんを想ってくれてるらしいわよ?……って田中さんん」
田中「……」
棚町「あ、ダメだこりゃ。恥ずかし過ぎて気絶してる」
絢辻「あらあら、田中さんったら」
棚町「ま、とりあえず?」
絢辻「……そうね。やっとこうかしら」
絢辻・棚町「うぇーい!」
絢辻「はい。橘君?誕生日おめでとう!」
橘「こ、これは……」
絢辻「あたしからのプレゼントよ」
橘「あ、ありがとう!さすが絢辻さんだ!細かい気配りも忘れない!」
絢辻「どういたしまして」
絢辻「……といっても、それの中身はネクタイだけど」
橘「えっ?ネクタイ?」
絢辻「ほら、あたしが引っ張り続けたせいで一本ダメになったでしょ?」
橘「はははっ、そんなこともあったね」
絢辻「……さすがに申し訳ないからね。せいぜいあたしに引っ張られないよう、大事に使ってね?」
橘「……それって引っ張らなきゃいいだけじゃ」
絢辻「えっ?何?何か言った?」
橘「な、何でもないよ!大事に使わさせてもらうね!」
橘「お前のプレゼントは『あ・た・し!』なんだろ?」
棚町「アレはネタよ!ネタ!もう終わったことをグチグチと……アンタは京都の女子か!」
橘「そこまで陰湿になった覚えはないよ!」
棚町「……はい、あたしからはこれよ?」
橘(うん?本屋の袋……?)
棚町「恵子が気絶してるうちに、中身を確認してみなさいよ?」
橘「こ、これはっ!?」
棚町「……欲しかったんでしょ?それ?」
橘「か、薫!?これ……っ!」
棚町「か、買うの恥ずかしかったんだから!心して読みなさいよ!?」
橘「あ、ありがとう!薫!」
橘(ま、まさか!薫が僕にお宝本をプレゼントしてくれるなんて!)
絢辻「……あ、読み終わったらいいなさいよ?燃やすから」
橘「……ですよねぇ」
絢辻さんは鬼だ!
橘(あ~、今日は皆に祝われちゃって祝われちゃって……最高の日だったよ!)
橘(……それに、まさかみんながプレゼントを準備してくれてたなんて!)
橘(僕は今日この日を一生忘れないぞ!)
橘(しかし、プレゼントってその人の人となりが出るというか……面白いよね)
橘(この中多さんから貰った枕!びっくりする程ふかふかだよ!)
橘(この枕で眠ったら、きっといい夢を見れるね!間違いない!)
ピンポーン
橘(……ん?こんな時間に誰だろう?)
橘(ま、まさか!?また森島先輩か!?)
橘(……昼間のことのせいで、何だか変に意識しちゃうなぁ)
橘(で、でも!出ないわけにはいかないよな!)
橘「はいは~い!ただいま~!」
橘「た、田中さん!?どうしたの?」
田中「あ、あのね?プレゼントを……学校で渡せなかったからね?」
橘「え?じゃあ、わざわざ?」
田中「こ、これでも橘君の彼女だからね?」
田中「……ちゃんとしなきゃな~って」
橘「田中さん……」
田中「あ、あのさ?お家にお邪魔してもいいかな?」
橘「う、うん。どうぞどうぞ」
田中「えへへっ、お邪魔しま~す!」
橘「はははっ、ごめんね?」
田中「それで……プレゼントなんだけどね?」
田中「そ、その……」
田中「……ねぇ?純一?目を閉じて貰えるかな?」
橘「目を?」
田中「うん。お願い」
橘「……」スッ
田中「わ、私からのプレゼントは……」
田中「えへへっ、リボンとかで綺麗にラッピングはされてないけどね?」
ギュッ
田中「……私、だよ?」
橘「け、恵子!?」
田中「ま、まだ!目を開けないで!!」
田中「……でも、私もやってみたくなっちゃって」
橘「はははっ、僕も散々バカにしたのに」
橘「……好きな人にやられると、意外といいものだよね」
田中「じゅ、純一……っ!」
田中「わ、私の初めてを……貰ってくらるかな?」
橘「け、恵子?いいの?」
田中「うん……貰って欲しいな?」
田中「あっ!や、優しく……してね?」
橘「恵子……」
田中「純一……」
ギュッ
橘「……あ、あのさ!折角のムードを壊すのは大変忍びないんだけどね?」
田中「……うん、わかってるよぉ」
田中「ベランダにもいないよ!」
橘「ま、まさか!ベッドの下に!?」
田中「だ、大丈夫!いないみたいだよ!」
橘「ふぅ……何でこんなに疑心暗鬼にならなきゃいけないんだよ」
田中「の、覗き屋さんが毎回いるからねぇ」
橘「こうさ!ベタにドアの裏で聞き耳を立ててたりして?」
ガチャッ……ドササッ!
絢辻「あら?奇遇ね?」
棚町「あ、あたし達のことは気にしなくていいから!続けなさいよ!?」
美也「にぃにのエッチ!」
・
・
橘「え~と、キミたちが正座させられてる理由はわかるよね?」
絢辻「いえ、全くわからないから説明をしてくれるかしら?」
橘「はははっ、絢辻さんは意外とお馬鹿さんなんだなぁ!」
田中「や~い!ばーか!ばーか!」
橘「……毎回!毎回!僕と田中さんがいい雰囲気になる度に覗き行為をしてるからに決まってるだろ!?」
田中「薫!?いい加減私も堪忍袋の緒が切れるよ!?」
棚町「ち、違うのよ!まさか今回、恵子がこんなに積極的になるとは思わなくて!」
美也「にぃにが!エッチなにぃにが悪いんだよ!?」
橘「うるさい!黙れ!」
棚町・美也「ひ、ひぃ!」
絢辻「あ、あのね?く、クラス委員としては!不順異性交遊を見逃せなかったというか!」
田中「……え?何か言ったかな?」
絢辻「……すみませんでした、もうしません」
田中「森島先輩みたいに!森島先輩みたいに!」
棚町「そ、そういうことなら……サラサラっといただいちゃおうかな!」
絢辻「……た、棚町さん?ここは素直に帰りましょう」
絢辻・棚町「お、お邪魔しましたー!」
絢辻「いいっ!あ、足が痺れて!」
棚町「あ、絢辻さん!しっかり!」
ドタバタドタバタ……
美也「……ねぇ?取り残されたみゃーはどうすればいいの?」
橘「美也はもうしばらく正座な」
美也「えぇぇぇ!?も、もう足の感覚ないよ!?」
田中「えへへっ、美也ちゃんの痺れてる足をグリグリしちゃおうかな」
美也「え?や、やめ……みゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!?」
・
・
田中「あ、そろそろ私も帰るね?」
田中「……なんだか、そういう雰囲気じゃなくなっちゃったし」
橘「あ、家まで送るよ」
田中「うん、お願いしていいかな?」
橘「……というわけで、美也?」
美也「……うん、いってらっしゃい」
橘「さ、田中さん?行こうか?」
田中「うん!お邪魔しましたーっ!」
橘・田中「うぇーい!」
美也「……にぃにと田中先輩、手を繋いで出てちゃったよ」
美也「……うぅ、もう内通者なんて絶対にやらない!」
橘「う~ん、僕の誕生日も終わったし……年内に残ってる行事といえば!」
田中「うん!クリスマスだね!」
橘・田中「今年は一人じゃないから、寂しくないもん!うぇーい!」
棚町「あ~、もう!純一も恵子も!爆発しちゃえばいいのに!!」
絢辻「……ねぇ?忘れてない?クリスマスって模試の日よ?」
橘・田中「えっ……」
絢辻「ふふっ、せいぜい世の中の不条理を恨むことね」
橘「そ、そっか……模試なら仕方ないな」
田中「う、うん……受験生の辛いところだよね」
橘「よし!ここは原点に返ってだな!」
田中「か、空元気だね!?」
橘・田中「うぇーい!」
完
乙
田中さんうぇーいかわいい
Entry ⇒ 2012.06.08 | Category ⇒ アマガミSS | Comments (1) | Trackbacks (0)
見崎「今年もよろしくね、榊原君」
【4月25日】
病室
榊原「君は……誰?」
見崎「榊原君。もしかして私の事、覚えていない?」
榊原「ごめん、前にどこかで会ったことある?」
見崎「いいえ、覚えていないならそれでいいの」
見崎(去年の記憶は全てない……?)
榊原「いや、生まれたのはここらしいけど……自分の覚えてる範囲では……。それより君は誰なんだい?」
見崎(なるほど……ということは他の『死者』は今どうなっている?)
見崎「あなたの同級生になる予定の者、とだけ言っておくわ」
榊原「そ、そうなんだ。わざわざお見舞いに来てくれたの?ありがとう」
榊原「え?」
見崎「『現象』や『災厄』という単語に聞き覚えはある?」
榊原(この立て続けにされる質問には何の意味が?)
榊原「いや、ないけど」
見崎「そう」
見崎(まあ、この方が都合がいいのかな。計画を進める上では)
榊原「え?え……ああ、うん」
見崎「じゃあね」テクテク ガラッ
榊原「君!名前は……(って…もう行っちゃった……)」
榊原「何だったんだろう。今の子は」
……
榊原「はい…」
風見「僕は風見といいます、風見智彦。こっちは桜木さん」
桜木「…はじめまして。桜木ゆかりです」
風見「こっちは」赤沢「赤沢泉美」
榊原「あの、何か」
……
見崎(病院内を見てああなっているってことは……おそらく……)
【4月26日】
榊原(……っとエレベータが)スタスタ
榊原(!……この子は)
見崎「……」
榊原「……また会ったね。今日はお見舞いか何か?」
見崎「まあ」
見崎「…届け物。眠っているから。可哀想な私の半身が」
榊原(え?)
ガラッ
スタスタ
榊原「ねえ君!…前も訊こうと思ったんだけど、名前はなんていうの?」
見崎「メイ。…ミサキ……メイ」
スタスタ
榊原「……」
【教室】
勅使河原「一時はどうなることかと思ったけど、今年は『ない』年で良かったよな」
望月「ほんとそうだよ」
赤沢「…もともと現象は『ある』年と『ない』年があるようだけど…どういう理屈なのかしら」
杉浦「あまりそういう事を考えても仕方ないと思う」
榊原(本当に……本当にこれでいいのか?)
見崎(……)
ガラッ
千曳「HR始めるから、席に着け―」
「はーい」
千曳(またこの話をしているのか……)
千曳(しかし……私にはどうこう言う権利はない……)
…………
ガラッ
榊原「千曳先生」
千曳「……そろそろ来るころだとは思っていたよ」
榊原「先生は……止める気はないんですか?あれを」
千曳「……教師という立場から言わせてもらえば、この状況では学校に来てくれるだけでもありがたい」
千曳「……それ以上のことは望むべくもない。あれで気持ちが落ち着くというのであれば」
千曳「……それにもう『終わった』話なんだ。君の説明によれば。違うかい?」
榊原「それはそうですが……」
【10月某日】
榊原(今日も相変わらず全員元気にしている、か……)
榊原(この状況を逆手に取ったりできないのだろうか)
榊原(それに『現象』についてもまだまだ不明な点は多い)
…………
見崎「どうしたの?改まって二人だけで話なんて」
榊原「うん。ちょっと今後の方針についてね」
見崎「今後の方針?」
榊原「見崎は、地元の高校に進学するんだよね?」
見崎「そう。榊原君は東京に戻るんだったかしら」
見崎「……私が一人でやれば済む話。始業式に顔を出して確認すればいいってだけ」
榊原「もし来年度が『ある年』だったら……」
見崎「死者を死に還すわ」
榊原「……やはりそうするつもりなのか。僕は……君にそんな事をして欲しくない」
榊原「…それもうまくいくかどうかは五分五分……」
見崎「榊原君が気にする問題ではないと思う」
見崎「少なくとも今年については私に責任の一端があったことには間違いがない。だから……」
榊原「だから死者を殺す、と?」
見崎「そうよ」
見崎「同じ事を繰り返すだけ」
榊原「見崎!」ダンッ 見崎 ビクッ
榊原「僕は……僕は自分と同じ苦しみを見崎に背負わせたくない」
見崎「同じ所で見ていた時点で同罪よ」
榊原「……何も見崎が手を下す必要はないだろう」
見崎「……榊原君。まさかあなた……」
榊原「見崎にやらせるくらいなら、僕がやるよ」
見崎「榊原君は、東京に戻らなきゃいけないんじゃなかったの?」
榊原「そうだよ」
見崎「ずっとここに留まり続けて……あなたが死者を死に還す、と?」
榊原「詳しい事情は知らないけどね」
見崎「そんな……」
榊原「これ以上、災厄によって人が死ぬのは見たくないんだ」
榊原「今の3年3組の状態だって異常だという他ないだろう?」
見崎「それはそうだけど…………いいの?自分のことは」
榊原「自分がやらなきゃ他の人がやらなきゃいけない。それなら……」
見崎「私も……榊原君にこんな事させたくないんだけど……」
榊原「まあ、とはいってもずっとここに留まる必要があるかどうかはまだ分からない」
見崎「……」
榊原「僕に考えがある」
見崎「!……」
―――――
榊原「見崎は、どう思った?僕の考えについて」
見崎「…面白い考えだと思ったわ。実際のところどれくらいの期間現象を止められるかは未知数だけど」
榊原「……見崎は……その……協力してくれる気は…ある?」
榊原「…よかった。……とはいえこの計画にはクラスメイト全員の協力が必要だけど」
見崎「それは多分……大丈夫」
榊原「…どうして分かるの?」
見崎「それは………………………今の榊原君の言うことだったら多分みんな信用してくれると思うから」
榊原「僕たちの言ったことは本当だと思ってくれてはいるようだけど…」
見崎「……大丈夫だから」
榊原「まあ……見崎がそういうのなら…」
見崎「あとさっきの話に戻るけど……」
榊原「?」
榊原「…何?」
見崎「私が協力するのは、榊原君の言ったことがおそらく本当であると私が確信できている時だけ」
榊原「……どういうこと?」
見崎「……私はまだ……完全には……安心できないから」
榊原「わかった。……とりあえず、今のところはどうなの?」
榊原「そっか」
見崎「あと、もう一つ」
榊原「えっ、まだあるの?」
見崎「これは榊原君の計画とは直接関係なくてね」
見崎「…………単に私の願望を実現するために交換条件にしたいだけ」
榊原「?」
見崎「その……私と………つきあってくれる?」
見崎「こ……恋人になって欲しいってこと」
榊原(……耳まで赤くなってる……)
榊原「…残念だなあ」
見崎「えっ」
榊原「あっ……いや…僕のほうから言いたかったのに、それ」
見崎「もう……ビックリさせないで」
見崎「…『僕でよければ』なんて言わないで。私がいいのは……榊原君だけだから」
榊原「うん……ありがとう」
見崎「私も…ありがとう。残りの時間……短いのに……半年しかないのに…OKしてくれて」
榊原「半年?……計画がうまくいけば1年半だけど」
見崎「え?…ああ、そうね……」
見崎「えっと……その…せっかく恋人同士になったんだし」
榊原「ん?」
見崎「……名前で呼んでもいい?」
榊原「いいよ。僕も…名前で呼ぶことにするよ、鳴」
見崎「私がいいって言う前に呼ばれちゃった」
見崎「ダメじゃないけど……名前で呼ぶのは二人きりだけの時にして…恥ずかしいから…その…恒一くん」
榊原「…そういうことか。わかった」
見崎「……結構話し込んじゃったし……そろそろ帰ろうか」
榊原「そうだね、最近は日も短くなってきたし」
榊原「……いつも一緒に帰ってるけど、……今日から恋人同士だし…」
見崎「?」
榊原「手、つないでもいい?」
見崎「……いいよ」スッ
ギュッ
見崎「恒一くんの手は……温かいね」
見崎「そう?……気温が低いからかな」
榊原(そういうものなのか?…………)
見崎「恒一くんもそう思うんなら…………温めてくれる?私の手」
榊原「!…うん、もちろんだよ。でも……いいの?」
見崎「何が?」
見崎「そんなこと、言ったかも」
榊原「僕としては、できれば鳴を安心させたいから……」
見崎「!……確かに、今も……つながってない方が安心…なのかもしれない」
見崎「でもね……今はそういう安心とか不安とか関係なく、ただ恒一くんと一緒にいたい、つながっていたい」
見崎「ううん、そうじゃない、そうじゃないの……これは……私自身の問題だから…」
榊原(鳴は……一体何が不安なんだろうか)
榊原「鳴が今感じてる不安っていうのは……その…漠然としたもの?それとも何か具体的な…」
見崎「ごめんなさい……今はまだ…」
見崎「いつか、ね。……とりあえず、その時が来ればちゃんと話すから。約束する」
榊原「そっか。…何か他に僕にできることがあれば……いつでも言ってね」
見崎「ありがとう。今は……なるべく恒一くんと一緒に時間を過ごしたい」
榊原「…うん」
教室
榊原「ねえ、見崎のことについてなんだけど」
勅使河原「なんだ?またのろけか?勘弁してくれよ、もうそういう話は」
榊原「違うって」
望月「じゃあ、何?」
榊原「勅使河原や望月は、どう思う?最近の見崎を見ていて」
勅使河原「う~ん、前よりいいんじゃないか?」
榊原「そう?そうか……」
勅使河原「どうした?まさかサカキにだけ冷たいとか」
榊原「違うよ。そんなんじゃない」
望月「恋人にだけ見せる顔っていうのもあるんじゃない?」
榊原「……そうなのかな。でもなあ……」
勅使河原「何だ、サカキ。男ならハッキリ言え!ハッキリと!」
榊原「それが悪いとはいわないし……むしろいいことだよね」
榊原「その分なんというか……マイナス方向の感情もすぐに分かるようになってしまったというか」
勅使河原「なんだ?怒ったり泣いたりでもしてんのか?」
榊原「いや、基本僕といるときは嬉しそうだよ」
榊原「でも、ふと視線が外れた時に……時々すごく悲しそうな顔をするんだよ」
勅使河原「悲しそう?なんでだ?」
榊原「それが分かってたらこんな相談してないよ」
望月「う~ん……幸福すぎて不安になる……とか?」
勅使河原「幸福すぎて不安?なんじゃそれは」
榊原「……今が幸福ってことは、いずれ不幸になると考えてるわけか」
勅使河原「でもなあ、そんなこと考えてたら一生幸福なんて思えないぞきっと」
望月「…だよね。榊原君はどう思う?」
勅使河原「何か心当たりでもあったか?」
榊原「『つながってると不安なのは今でもそうだけど、それでも一緒にいたい』って言ってた」
勅使河原「それ露骨にそういうことなんじゃないか?」
望月「…見崎さんにそれとなく訊いてみたら?」
望月「単純に今僕たちが喋ったことを一般論的に言って、同意するか尋ねてみればいいんだよ」
榊原「なるほど」
勅使河原「否定しなきゃ、まず当たってるってことか?」
望月「そうなるかな」
榊原「ありがとう望月、勅使河原。今日ちょっと帰るときにでも話してみるよ」
勅使河原「…といえば?」
榊原「なんかいつも別れ方が大げさというか」
望月「ふ~ん?どんな風に?」
榊原「何度もキスをせがまれて」
勅使河原「やっぱのろけじゃねえか!いい加減にしろサカキ!少しは俺の気持ちも」
望月「て、勅使河原君、落ち着いて。……それで?」
勅使河原「俺には単なるバカップルの話としか思えん!」
望月「榊原君はなんでそれがそんなに気になるの?」
榊原「なんでだろう?……やっぱりその時も……悲しそうだからかな」
望月「見崎さんは……あまり自分のことを話したがらないからね」
望月「それは恋人である榊原君に対しても変わらない。だからこそ……気になるんじゃないかな」
榊原「……そうだと思う。でも、あまり踏み込むわけにもいかないんだよなあ」
勅使河原「なんでだ?」
望月「しっかり先にくぎを刺されてるね」
勅使河原「だいたいサカキ、そもそもお前はそういうところが好きになったきっかけじゃないのか?愛しの鳴ちゃんをさ」
榊原「…否定できない……」
榊原「う~ん……そうだね」
望月「やっぱり半分くらいはのろけだったね」
榊原「…ごめん」
勅使河原「まあ、いいっていいって!仲がいいことに越したことはないしよ!」
勅使河原「俺は協力するぜ」
望月「僕もいいよ」
榊原「ほんと?」
勅使河原「…正直言って、俺も今のクラスの状況は良いとは思ってなかったからな」
勅使河原「むしろ、これを利用して来年以降が良くなるのなら協力しない理由はねえ」
榊原「まあ計画自体うまくいくかどうかは分からないけどね」
勅使河原「…多分うまくいくさ」
榊原「どうしてそう思う?」
勅使河原「男のカンってやつ?」
望月「それを言うなら女のカンでしょ」
勅使河原「とりあえず俺からも他のクラスメイトに話つけてみるよ。全員分必要なんだろ?」
榊原「そうだよ」
望月「まあ協力してくれると思うけどね。計画が成功したらもしかしたらもう一度……」
榊原「望月」
望月「…ごめん」
望月「…わかってる」
榊原(とは言ったものの、実際には難しいよなあ……期待するなっていう方が無理だ)
榊原「僕からも話してみるけど、いちおう頼めるなら頼んだ」
望月「うん!」
勅使河原「おう!まかせとけ!」
榊原「そういうわけで、とりあえず勅使河原と望月は協力してくれるみたい」
見崎「そう、良かったわね」
榊原(あれ……なんだかあまり嬉しそうに見えない…もしかして……)
榊原「あのさ……もし鳴が嫌なら……計画のこと、断ってもいいんだよ」
見崎「…?どうして急にそんなこと言うの?」
見崎「ごめんなさい、私……顔に出てた?」
榊原「うん……」
見崎「もしかして……それって今だけじゃなくて……前から?」
榊原「…そうだね」
榊原「ねえ、今日望月や勅使河原とこういう話をしたんだ」
見崎「何?」
榊原「人って幸せすぎても不安になるもんなのかなって」
見崎(!…これって明らかに最近の私の様子から類推した話よね……)
見崎「…あると思うよ。……というより、それって私の話でしょ?」
榊原「ハハ……バレてた?」
見崎「バレバレ」
榊原「つまり鳴も……そういうことでいいの?」
見崎「……そういうことでいい」
榊原「わかった……なんか余計な心配だったみたいだね」
見崎「いえ、私が余計な心配をさせてるだけだと思う。ごめんなさい」
榊原「!…いや、いいんだ。理由が分かったから安心したよ」
見崎「そう……良かった。恒一くんもその……一緒にいるときに私がそういう顔をしても…心配しないでね」
榊原「わかった。たださ……」
見崎「ただ?」
榊原「さっきの計画の話なんだけど……もしかして藤岡未咲さんのこと…気にしてる?」
見崎「いえ、そのことはもう大丈夫。そもそも彼女の場合、実際に計画が始まらないとなんともいえないし」
見崎「恒一くんは本当にそれでいいのかな……と思って。これも実際のところ記憶がどうなるかわからないし」
榊原「言いだしっぺのことを心配する必要はないよ。君に話した時点で覚悟はできているさ」
見崎「そうなの?……恒一くんももし気が変わったらすぐに言った方がいいよ」
榊原「…わかった」
見崎の家
見崎「……着いちゃったね。いつもの……」
榊原「うん…」
チュッ
見崎「………もう一回」
榊原「あ、あのさ」
見崎「何?」
見崎「私にとってはいつも新鮮。私とキスするの……嫌だった?」
榊原「い、嫌なわけないよ。ただ……」
見崎(…恒一くんが戸惑うのも仕方ない……か)
見崎「わかった。今日は1回でいいよ。それより……」
榊原「?」
榊原「え?」
榊原(見崎の勉強を僕が見るっていう名目でよく僕の家に来るのはいいけど)
榊原(いや勉強自体はしてるからそれはそれでいいんだが)
榊原(最近は3~4日に一度くらい……いくらなんでも頻繁過ぎる)
榊原(………泊まりに来ることもあるし)
榊原(おまけに…………いやこれ以上は)…いちくん!」
見崎「恒一くん!」
榊原「え?あ、ごめん。考え事してた」
見崎「ふ~ん………妄想でもしてた?まあいいけど」
見崎「顔、赤いよ」
榊原「え!?」
見崎「…で、返事は?」
榊原「い、いいですよ」
見崎「そう……良かった」
ガチャリ
見崎「…ただいま」
霧果「…おかえりなさい。……榊原君とは、うまくいっているの?」
見崎「はい。おかげさまで。最近は勉強も教えてもらっています」
霧果「そのようね。成績も良くなっているみたいだし」
見崎「榊原君には……感謝してもし切れません……それと……」
霧果「?」
霧果「!……どうしたの?藪から棒に」
見崎「いえ………榊原君と…その……家族の話をしていて」
見崎「榊原君には……お母さんがいないから……」
霧果「…ごめんなさいね……今まで…あまり母親らしいこと…できなくて」
霧果「そう言ってもらえると……私も嬉しいわ」
霧果「私も……榊原君に感謝ね」
見崎「え?何故ですか?」
霧果「娘が素直になってくれたから」
見崎「!…もう……知りません」
ガチャッ パタパタ…
見崎(あ~あ……柄にもないことを言ってしまった……)
見崎(……どうせさっき言ったこともいずれは……)
見崎(いつかまた、同じような事を言える日は来るのかな)
見崎(『いつか』か…………恒一くんの質問に何度かそうやってはぐらかしてたっけ)
見崎(恒一くん…………お母さん……)ポロポロ
見崎「うっ……うう……」
見崎「……ごめんなさい…………」シクシク
……
千曳「榊原君、今日の放課後話があるから私のところに来なさい」
榊原「あ、はい」
見崎「……」
放課後
千曳「君の計画、学校側からも受理されたよ」
榊原「本当ですか!ありがとうございます」
榊原「前言っていた、人数的な問題は……」
千曳「…それはいいんだが……」
榊原「?」
千曳「本当に……君はこの計画を実行するつもりかね?」
榊原「千曳先生、いまさら何を言ってるんですか」
千曳「下手をすれば、再び君たちを辛い目に合わせてしまうかもしれない」
千曳「そうかい?」
榊原「……それに、実際にその時にならないと実行可能か分からないですし、その前に頓挫する可能性もあります」
千曳「そうだったね。君も……仮に計画が先に頓挫したとしても……」
千曳「……わかっているならそれでいい。私から言いたかったのはそんなところだ」
榊原「…失礼します」
ガラッ
「「!」」
榊原「見崎!いたの?」
見崎 コクリ
見崎「……待ち切れなかったから」
榊原「学校のある間はいつも一緒にいられるじゃないか。それに」
見崎「…上手くいけばあと1年は…ってこと?」
榊原「そうそう」
見崎「それはそうかもしれないけど……年が明けたら一度、東京に戻るんでしょ?」
見崎「あ……うん、まあね。直接訊いたじゃないから恒一くんに……」
榊原「ああ、そういうことか」
見崎(危ないところだった……)
榊原「それに2~3日で戻るから、すぐだよ。進級試験といっても形式的なものだし」
見崎「私も東京…………行きたいな」
見崎「そうだよね……ごめんなさい。急にそんなこと言って」
榊原「…春休みになったら行こうか」
見崎「3月中にして欲しいんだけど、いい?」
榊原「…いいよ」
榊原「何か……変な感じ……」
榊原「いや、前までは僕の方から誘う事の方が多かったのに……いつの間にか逆転してるから」
見崎「……出来るだけ……一緒にいたいから…恒一くんと」
榊原「そ、それは…ありがとう。僕も……出来ればずっと……一緒にいたい」
見崎「ありがとう……その……年明けの話はダメになったけど」
榊原「?」
榊原「うん」
見崎「最近はこっちが訪ねる事が多かったから、私の家に来てもらっても……いい?」
榊原「いいよ」
見崎「…渡したいものもあるしね」
見崎「いいよ、最近まで計画の事で結構忙しかったしね……それに」
榊原「?」
見崎「私、恒一くんと一緒にいられれば………他には何も……」
榊原「やっぱり………なんか……性格がちょっと変わってない?前はそんな感傷的な…」
榊原「状況?」
見崎「……まあ、今は家族含めて一応人間関係は順調だし」
榊原「そうなの?」
見崎「うん…だからあまり気にしないで」
榊原「…わかった……」
榊原「じゃあ、いってきます、おばあちゃん」
祖母「いってらっしゃい。あまり遅くなるようなら連絡するんだよ」
榊原「とりあえず、今日は大丈夫だから」
祖父「恒一、今日も病院かね」
祖母「お爺さん、もう恒一ちゃんの気胸は治ってますよ」
祖父「そうなると……お見舞いか。気をつけて行ってきなさい」
祖父「健康が一番、健康が一番だな」
榊原「い…いってきます…」
ガラガラッ
榊原(何でお爺ちゃんは僕が病院に……?)
榊原(確かに手術後は何度か通っていたけど……)
榊原(最後に行ったのももう1カ月以上前の事だし……)
ガチャリ
見崎「どうぞ」
榊原「…おじゃまします」
榊原「ごめんね、今日はたぶんあまり長居はできないと…」
見崎「わかってる。……ちょっと雪も降り始めちゃってるしね」
榊原「…あれ?他の家族の人は?」
見崎「出払ってるよ」
見崎「今は東京に戻ってるお父さんの所に行ってる。まあ……一応私は受験が近いという名目で…」
榊原「留守番というわけか。……さすがにここに並んでるご馳走は……」
見崎「多少は私が作ったのもあるけどね。なかなか急にうまくなるものでもないし」
見崎「先に食べちゃおうか。……渡すものはその後でってことで」
榊原「そうだね」
「いただきます」
パクパク
榊原「……これ、買って来たにしても鳴が全部、というわけではないよね?」
見崎「そう。おばあちゃんとかもね……私じゃさすがに七面鳥とか買おうとは思わない」
榊原「でも、いいの?二人しかいないのにこんな豪勢な……」
見崎「見崎家から恒一君へのプレゼントとでも思って……だって。お母さんとおばあちゃんが」
見崎「私も含めてだけどね……恒一くんには本当に感謝してる。あなたのおかげでその……」
榊原「?」
見崎「…私と家族の関係も良くなったと思うから」
榊原「え?でも僕は鳴以外に直接何かをした覚えは……」
榊原「…そうか……それは良かった」
榊原「正直言って……少し心配なところはあったんだよね」
見崎「何が?」
榊原「君と……その周りの身近な人との関係の事で」
榊原「……そうだね。でも今の話を聴いて少し安心したよ」
見崎「そう?まあ……もともと無用な心配だったのかもしれない……」
榊原「え?それはどういう……」
見崎「ごめんなさい、何でもないから。気にしないで」
見崎「と…とりあえず冷めちゃう前に食べましょ」
榊原「う、うん」
……
榊原「ふ~、色んなご馳走にケーキまで……こんなに食べたのは久しぶりかも」
見崎「私も……」
榊原「ごちそうさま。ありがとう」
見崎「こちらこそ……お粗末さま」
見崎「今日はこっちが招いてるのに……片付けとか手伝ってくれて……」
榊原「いいよ、別に。家事の類は慣れてるから。それに……」
見崎「?」
榊原「鳴一人に任せておくと……なんだか危なっかしい気もしたしね」
見崎「そ…そんなことない。私は大丈夫」
榊原「君の言う『大丈夫』はどうもあてにならない気が前からしてた」
榊原「あ!いや……鳴を困らせるつもりで言ったんじゃなくてさ」
見崎「…じゃあ何?」
榊原「こっちとしてはもうちょっと……頼って欲しいというか」
見崎「私としては充分頼ってるつもりだったけど」
榊原「頻度的なものじゃなくて……なんだろうな」
見崎「?」
見崎「たぶん今の私から一番近いのが恒一くんだよ」
榊原「それはなんとなく分かってる。ただ……」
見崎「ただ?」
榊原「僕は君ともっと……近づきたいのかもしれない。心理的に」
見崎「あまり近づき過ぎると……私は……別れの時が辛くなると思うから……」
榊原「!………ごめん…」
榊原「でも……僕は今の事しか考えてなくて君に負担をかけてしまったのかも」
見崎「負担のかからない人間関係なんて存在しないわ」
榊原「その……あまり無理しないでよ……色々と」
見崎「色々……まあ、確かに恒一くんの言う事は当たっているのかもね」
榊原「?」
見崎「恒一くんに……あげるものがあるんだった」
榊原「!あ、そういえばプレゼントのこと話しこんでてすっかり忘れてたよ」
榊原「…僕から渡した方がいいのかな。喜んでくれるかどうかわからないけど」
スッ
見崎「開けてもいい?」
榊原「いいよ」
ビリッ
ガシャガシャ
見崎「!これって……」
榊原「……見るの好きって言ってたから」
見崎「でも、この辺りじゃ買えないんじゃない?この画集……」
榊原「すぐ手に入る物をあげてもしょうがないしね」
榊原「ちょっと東京の友達におつかいを頼んで、送ってもらった」
榊原「喜んでもらえたみたいで、何よりだよ」
見崎「……どうしよう……」
榊原「何が?」
見崎「私のプレゼントは……ちょっと……恒一くんが喜んでもらえると……確実にはいえないから」
榊原「どういうこと?」
見崎「だから……受け取りたくなかったら、返してもいいよ」スッ
榊原「(意味がよく分からないな…)…とりあえず、開けるね」
見崎 コクリ
ビリビリ…ガサッ
榊原「!」
榊原「……どうして……これが僕の気分を害するかもって…思ったの?」
見崎「……嫌なことも……思い出させてしまうと思ったから」
榊原「…なるほどね………ねえ……もっと近くに寄っていい?」
見崎「え?あ…はい……(…って私を抱きしめてる!?)」
見崎「…うん」
榊原「忘れたくなんかないよ。だから……ありがとう鳴、僕の大切な人の事を描いてくれて」
見崎 コクリ
榊原「…この絵は……君にしか描けないものだし……」ポロポロ
見崎「……泣いてるの?…やっぱり私…」
見崎「うん……」
榊原「……」
見崎「……」
榊原「……」
見崎「……少し、落ち着いた?」
榊原「…ああ、ありがとう」
見崎「え?」
榊原「止められるのなら……」
見崎「恒一くん!」
榊原「は、はい」
見崎「恒一くんも………無理しちゃダメ」
榊原「そうでしたね……ハハハ」
見崎(余計な事しちゃったかな……そろそろ……)
……
榊原「じゃあ、行ってくるね」
見崎「行ってらっしゃい。2~3日で戻るんだよね?」
榊原「その予定だよ」
見崎「私も東京……行きたかったな」
榊原「もう少しの辛抱だよ」
見崎「……こんな事になるなら、最初から推薦狙いにすればよかった」
見崎「…だよね」
榊原「……1学期の成績は……お世辞にも良いものとは言えなかったし」
見崎「結構ズバズバ言うのね」
榊原「今の成績が良いからこそ言えるんだよ」
見崎「榊原先生のお教えの賜物でございます」
見崎「もうなんとでも言って下さい」
榊原「珍しいね。そんなに下手に出るなんて」
見崎「…帰ってきたらわかると思うよ」
榊原「何かサプライズでもあるの?」
見崎「さあ」
榊原「まあ、いいや。そろそろ電車の時間だから……」
見崎「うん」
……
見崎「どうだったの?進級試験は」
榊原「特に問題はなかったよ」
見崎「そう……それは良かった。これで東京に戻ったとしても大丈夫ってことね」
榊原「一応そうなるかな」
見崎「いいえ……そうなるのよ」
榊原「?」
榊原「え?何故?今のところ計画が頓挫したという話は」
見崎「計画は私が破棄させた」
榊原「え……………………え!?」
────────
────────────────
榊原「僕に考えがある」
榊原「一時的に『現象』を止める方法についてだ」
見崎「!……」
榊原「これはまだ推測の域を出ていない話だけど……」
見崎「さあ。超自然的な自然現象にどの程度理屈が通るのかはわからないし」
榊原「そうだね。ただ一応、これまでに原因は分からなくとも対策方法についてはわかっているわけだ」
榊原「それらしい理屈がないともいえない」
榊原「そう。とりあえずこの『現象』についてはクラスの人数を合わせることは重要なことのようだ」
見崎「それはそうね」
榊原「そして、『現象』によって増える人数は一人と決まっているみたいだ」
榊原「増えた人間は、これまでの『災厄』によって命を落とした者」
見崎「そう。まだ榊原君の話がよく分からない……」
榊原「……こう考えてみたんだ。『現象』は実は毎年起こっている」
見崎「え?」
榊原「にも関わらず、『ある年』と『ない年』がある」
榊原「『ある年』だとわかるのは始業式以降。ということはそれより前に……」
見崎「……」
榊原「『災厄』によって死者本人が死に還った」
榊原「だから『災厄』は起きないし、誰にも『現象』が起こったことがわからない」
榊原「その通り」
見崎「なんだか自作自演みたいな話ね」
榊原「そうだね。それにこれがもし本当だと確認できれば、さらにもう一歩踏み込んだことができるかもしれない」
見崎「?」
榊原「その通り」
見崎「なんだか自作自演みたいな話ね」
榊原「そうだね。それにこれがもし本当だと確認できれば、さらにもう一歩踏み込んだことができるかもしれない」
見崎「?」
見崎「榊原君。あなたの考えていることって……」
榊原「わざと『現象』を起こして死者を蘇らせ、『現象』の力によってその死者を死に還す」
榊原「もしこれができれば、実質的な『災厄』の被害は発生しない」
見崎「……榊原君は……本当にそんなことが可能だと思っているの?」
見崎「じゃあ、どうして……?」
榊原「今のクラスの状況をどう思う?」
見崎「異常ね」
榊原「……最初は自分もそう思って、どうにかしてみんなにやめてもらえないか、とも考えた」
見崎「それが普通に考えることだと私も思う」
榊原「まあ、過去の当事者だから自分にはその権利がないと考えるのも無理はない話だけど」
見崎「………じゃあ逆にこの状況を何かにつかえないか」
榊原「…そういうこと。こんな事をしていたら、また死者が蘇るかもしれない。そう考えるのが当然だ」
榊原「もしかしたら、来年度は今年度の死者が蘇る可能性もある」
榊原「増える死者は毎年ひとり。……でも、もし意図的に特定の死者を蘇らせることが出来たとしたら?」
榊原「そして、その死者を『災厄』によって再び死に還すことができたとすれば?」
見崎「もう私たちが直接介入しなくても済む、と?」
見崎「?」
榊原「来年度は今年度の再現をするんだ。今年度生き残った3年3組が、来年度も3年3組のメンバー」
榊原「そうすることによって蘇らせることの可能な人数も把握できる」
榊原「仮に記憶や記録が改竄されたとしても、それは死者に関することだけ」
榊原「『現象』は『現象』そのものが検証、解明されるところまでは踏み込んでいない」
榊原「そうだったとしたら、『いない者』対策なんていうのも無理だった」
榊原「念のため、今の自分の考えも複数の記録媒体に保存してあるよ」
榊原「実際に『現象』が始まったら今年度の記憶は改竄されるだろうし」
見崎「それで……それでとりあえず1年といったのね」
榊原「もし複数の人間を蘇らせることができたら、逆に次年度以降の『現象』を本当に止められるかもしれない」
見崎「1年に1人死者が現れるのをまとめて蘇らせる事で、逆に次年度以降の死者の人数あわせをするのね」
榊原「そういうこと。今年度のクラスの死者はX人」
榊原「仮にクラスの構成員全員を蘇らせる事が出来たら、次の年からX-1年間は『現象』が止まるかもしれない」
榊原「うまくいかなかったら、その時はここに留まるほかないけどね」
榊原「…僕の考えはこんな所だよ。千曳先生にはこのことは先に話してある」
榊原「クラスメイトの了承が得られれば、出来る限り協力してくれるみたい」
見崎「…そう」
見崎「…………考えさせて」
────────────────
────────
────
榊原「鳴は計画に協力すると言ってたけど……何故今頃になって?」
見崎「破棄というのは正確じゃなかった。正しくは計画は………現在実行中なの」
榊原「!?」
榊原「え?2000年…………………あれ?」
見崎「私たちは98年度の3年生だから、本来は1月なら99年じゃないとおかしい」
見崎「でも、誰も気づいてない。いえ……それどころか昨年度1年分の記憶がみんな丸々なくなってる」
榊原「そ……そんなはずは……いくら『現象』と言ったって」
見崎「特に物理的な事はね。例えば、8月にやった合宿の場所は違っているし。全焼してしまったから」
見崎「まあ直せる範囲の物はそのままだったようだけど。水野君のお姉さんの乗ったエレベータとか」
榊原「!…あ……『現象』ってそんなことも可能なのか」
榊原「家族も蘇った者に含まれていたから……誰も気づかないのか……」
見崎「それだけじゃないけど……まあそういう理由もある」
榊原「でも……何故鳴……君だけは……」
見崎「去年の記憶を維持しているのかって?…それは私も分からない。ただ……」
榊原「ただ……?」
榊原「……!そうか……君の左目で……死者が何人もいるとわかるから…記憶を改竄されても、いずれ気付くのか」
見崎「そう。それに誰も気づかないままだったら、永遠にループしちゃうでしょ?この3年3組を」
榊原「とりあえず今の状況は理解したよ。結論から先に訊いてもいいかな?計画はうまくいったの?」
見崎「……………………うまく……いったよ……」
見崎「去年と同じことが起きていった……それで……死者は災厄によって死に還っていった……」
見崎「!……いいよ。昨年度にこの話が出てから……覚悟してた事だから」
榊原「しかし、結果的に……二度も……君の姉妹を……」
見崎「……最初から分かっていた事だった。それに……他のクラスメイトが計画に協力したのも……」
榊原「『もう一度逢いたかった』か……」
榊原「そうかもしれない。災厄を止めるという大義名分はあったにしろ……僕はもう一度怜子さんに…」
見崎「でも……だからこそね……この方法はもう……使うべきじゃない」
榊原「死者をむやみやたらに蘇らせるもんじゃないよね……」
榊原「約束?」
見崎「私は記憶を持ったままだったから……どうしても我慢できなくて……その……未咲に話してしまったの」
見崎「もちろん最初は驚いていたけど……」
見崎「でもね、やっぱり双子だから……言っている事が本当かどうかくらいはわかるんだよね」
榊原「怒られた?」
見崎「『こんな……偽りの生をもらっても嬉しくない』」
見崎「『鳴はいつまでも死んだ私にとらわれていないで、今本当に生きている人を大切にしてあげて』って」
見崎「私……何も言い返せなかった……彼女の言ってる事…それ以上に正しい事なんてないように思えた」
榊原「そうだったのか……こうなる事は予測できていたのに……僕は鳴に辛い目を」
見崎「!……私のことはいいから。それよりも……」
榊原「……僕ももうこんな方法を使おうとは……思わないよ」
見崎「良かった……」
見崎「大丈夫……だと思う」
榊原「それは何か根拠とかは……」
見崎「ない……けど…少なくとも今までの榊原君の仮説は正しかったからこれもたぶん……」
榊原「そうかな……どっちにしろこれも来年度にならないと分からないか」
見崎「その時は……」
榊原「…ごめん、鳴。結局自分って嫌な役回りを押し付けてるだけのような気が……」
見崎「大丈夫。きっと……止まると思うから……」
見崎(止まらないと……私も困る……)
見崎 コクリ
榊原(……最近感じていた鳴への違和感はこれでだいたい……説明できるのか?)
榊原(鳴は最初からあと半年しかないと分かっていたから……?)
榊原(本当にそれだけなのか……何か……見落としているような……)
見崎「あ~あ、やっと受験も終わったし、後は自由の身ね」
榊原「はは……そうだね」
榊原(鳴が予定を年度末までにこだわる理由……)
榊原(ちょっと鎌をかけてみるか)
榊原「あのさあ、春休みの予定の事なんだけど」
見崎「え?うん……」
見崎「え!?なんで!?」
榊原「え……」
見崎「あ……ごめんなさい…少し驚いて…」
榊原「う、うん…(…何故そんなに驚く?)」
見崎「前から3月って言ってたのに……どうして?」
榊原「その……いざ東京に戻るとなると…色々やらなくちゃいけない事が増えちゃって」
榊原「……だから、その用事を済ませてからにしたいんだ。…ダメかな?」
見崎「…ダメ……」
榊原「ダメ?鳴は4月頭は予定入ってる?」
見崎「入ってないけど……」
見崎「!…………榊原君の気のせいだと思う」
榊原「そう?……じゃあ美術館巡りは4月に入ってからにするけど、いい?」
見崎「それは……(これ以上理由を言わずに食い下がっても…)…わかった」
榊原「楽しみは後に取っておいた方がいいと思わない?」
榊原「まあ、ただとりあえず今回のことについてはさ……」
見崎「いいよ。榊原君の好きにすればいい」
榊原(なんか怖い……表情が……)
見崎「それで……3月末に先に榊原君が東京に行って……私が後から合流するのね」
榊原「……そういうことになるかな」
見崎「……そう」
榊原「?」
見崎「その日……榊原君に伝えなきゃいけない事があるの。だから……」
見崎「必ず携帯電話を忘れないように」
榊原「え?直接言うのはダメなの?」
見崎「……ダメ」
榊原「?……わかった」
3年3組は、あの出来事のせいで生徒が幾人か少なくなっていた。
だが同級生がその生徒達を『いる者』と扱って、また校長の配慮もあり全員が卒業した事になった。
千曳先生と、僕、見崎鳴以外はまだ計画の破棄を知らない。わざわざ言う必要もないからだ。
生徒を載せる計画など破棄された所で誰も知りようがない。
見崎鳴の予測、いや願望にも近いが……来年度は『ない年』であると……信じたい。
とにかく来年度にならない限りは……この時はそう思っていた――――
夜見山の駅
榊原「わざわざお見送りなんてしなくても……数日経てばまた会えるんだし」
見崎「私は数日間会えないだけでも……寂しいから」
榊原「そ……それはどうも……ありがとう」
見崎「さっきも言ったけど……」
榊原「携帯の電源でしょ?入ってるよ、ちゃんと」
榊原「そんなに重要な事なら直接言えばいいのに」
見崎「重要な事だからこそ……言えない事も…ある」
榊原「それに電車に乗ってる時は……トンネル入ってたりしたら電波届かないし」
見崎「そこは頃合いを見計らって……ね」
榊原(確かに鳴には予め電車の時間を伝えてあるからそういうことは可能ではある)
榊原(何か特定の時間帯に伝えたい……ということか?)
榊原「ん?…いやなんでもない」
榊原(どうにも気になる……鳴がそういう考えなら、こっちにも考えがある)
榊原「…そろそろ時間だから」
見崎「いつものやつね」
榊原「え?ここでやるの!?」
見崎「大丈夫。今は周りに人いないから」
チュッ
見崎「……ありがとう」
ポロポロ
榊原「!……鳴…涙が……」
見崎「え?……ほんとだ……どうしてだろ……ちょっとしたらすぐ会えるのに…」
榊原(何かある……よな……)
見崎「うん……」
榊原「…じゃあ、僕はもう行くから」
見崎「また、会えるよね?」
榊原「そんなの当たり前でしょ」
見崎「…そうだよね……」
……
ヴィーッヴィーッ
榊原(鳴からだ……このタイミングで来るという事は)
見崎『もしもし、榊原君』
榊原『もしもし』
見崎『もう……新幹線に乗り継いだ?』
榊原『う、うん…まあそんなところ』
見崎『そう……私、榊原君に謝らなきゃいけない事があるの』
見崎『榊原君の考えた計画の本当の弊害……それを言ってなかったから』
榊原『本当の……弊害……』
見崎『あの方法はやっぱり……危険だった……』
見崎『一時的とはいえクラスをより死に近づけるやり方だから……』
見崎『それに災厄を起こすには新たに蘇った人間がいる事が重要だったみたい』
榊原『あ…ああ……(まさか……)』
見崎『私は……私が…………今年度、災厄によって新たに蘇った人間だった』
見崎『だからね、今の自分を左目で見ると……『見える』よ』
榊原『そ……そんなはずは……鳴……悪い冗談はやめてくれ』
見崎『ウソじゃない。……そもそも、何故あなたは去年の春に気胸が再発したの?』
榊原『え?そ、それは……その……転校して環境が変わったりしたからストレスとかで』
見崎『それは一昨年の話でしょう』
榊原『え?あ……ああ、そうか。僕には昨年度の記憶がないから……』
榊原『いや、そんなまさか』
見崎『急に脇の道路から車が飛び出してきて、私がはねられそうになったの。でも榊原君がとっさに私を突き飛ばした』
見崎『でも、その車は突き飛ばす前に避けようとして……私のほうにハンドルを切ってしまった』
見崎『……倒れた私からもあなたがうずくまる所が見えた』
見崎『すぐ二人とも救急車で病院に運ばれたんだけどね』
見崎『そうか。私が『災厄によって蘇った人間』だから、榊原君の記憶にも改竄が起こったのね』
榊原『『今年度蘇った』って……おかしいだろう……それじゃあ去年の災厄は終わってなかったって事に』
見崎『終わってなかったというより……『イレギュラーな災厄』とでも呼んだ方がいいかもね』
見崎『死者を死に還した後に続けられた、複数の人間を対象とした『いる者ごっこ』』
見崎『同じ年度を再現する事で意図的に現象を起こすという『計画』』
見崎『現象が起こるには人数のズレが必要』
榊原『君は……最初から……分かっていたの?』
見崎『私だけは去年の記憶を持ってたし……左目の事もあるしね……』
見崎『明らかにおかしかったもの。3月末に事故で重傷を負ってるのに4月になったらピンピンしてるって』
榊原『僕は……そんなことも知らずに……今年も暢気にそんな『計画』の話をしてたというのか……』
見崎『榊原君は悪くないよ。もともと災厄を止めようとやった事だし』
見崎『そもそもこの計画自体、2学期以降の3年3組の『いる者ごっこ』を良い方向に使おうとしただけ』
見崎『それも……私の事を心配してやったことだから……』
榊原『なんて馬鹿な事を……君が生きていなきゃこんな事しても何の意味もないのに』
見崎『でも……でもね、そういう榊原君が……私は好きだった』
見崎『私は未咲が死んでしまった後、自暴自棄になっていたのかもしれない』
見崎『クラスメイトの死に対してもどこか諦念の観があった』
見崎『『いない者』にされる自分に対しても特に残念と思うこともなかった。でも榊原君はそうじゃなかった』
見崎『私が『死の見える目』を持ちながら、行動を起こさなかったのとは大違いね』
見崎『もともと好奇心旺盛っていう面が影響していたのも否定できないけど』
見崎『私はそういう榊原君にだんだん惹かれていった』
見崎『……だから、今回の『計画』を昨年度に知った時も私は「榊原君らしい」と思ったよ』
見崎『もちろん協力するつもりだった。でも、さすがに深入りし過ぎたようね』
見崎『『災厄』のことがこれ以上分からなくても『対策』はあるし、いざとなれば『死者』を死に還すという方法もある』
見崎『結局あなたにその仕事を押し付けるような形になって………本当にごめんなさい』
見崎『私の『目』は……榊原君が自由にして下さい』
榊原『…………』
見崎『……そんなに落ち込まないで。もし私が『災厄』によって死んだのなら、いずれあなたにまた会えるかもしれないし』
見崎『私は他の災厄による死者と同じように『還るべき場所』に還らなきゃいけない』
見崎『…ありがとう……最後まで話を聴いてくれて。榊原恒一くん…………さようなら』
榊原『僕は…………認めない、こんなこと。今からそっちへ行く』
榊原(様子がおかしいから新幹線に乗る前でちょうど良かった。ここなら折り返して2時間あれば戻れる)
榊原(……わざわざ時間を指定したって事は事故に遭う時刻も……決まっているはず)
榊原(新幹線に乗ったのを確認させたという事は……逆に言えば乗る前なら間に合うということ)
榊原(駅から僕の家か鳴の家の経路のどこかか……)
榊原(携帯はあれから通じないか……)
榊原(どうか……間にあってくれ……)
タッタッタッタッ
榊原「見崎!……見崎!」
榊原(どこにいるんだ……)
榊原(そんなに長距離ではないから……探せば見つかるはず……)
ハァハァハァ……
榊原(河川敷には……いない)
榊原(公園にも……)
……
榊原(…結局彼女の家の前まで来てしまった……)
榊原(他の不可解な状況……まだ……決めつけるのは早い……)
榊原(しかしこれはもはや自分の力でどうこう出来る問題では……)
榊原(待つしかない……のか?)
榊原「!」
榊原「見崎!…見崎!」
見崎「………榊原君?どうして……」
榊原(間にあった…………でも質問したいのはこっちだよ)
榊原「それより何だよあの電話。ウソ……とは言わないけど、でも……」
見崎「……!」
榊原「!見崎、危な
キキィィィィィィィィ ドガッ
……………………
病室
榊原(……ここは……)
榊原(……病院、か…………)
榊原(事故にあった……んじゃないなこれは)
榊原(さすがにもうこれで打ち止めにしてほしいよ、気胸は……)
榊原(……!)
見崎「目は……覚めた?」
見崎「あの………ごめんなさい。余計な心配をかけさせてしまって……」
榊原「いいよ……どっちにしろあの時点では判断するのは不可能だった…」
榊原「ウソは言ってないしね、ウソは……あの時鳴は自分の事を『災厄によって蘇った』と言ったが……」
見崎「『自分が死者だ』とは言っていない」
榊原「確かにな。ついでに死の色が見える、とも言ったが……」
見崎「どういう風に見えるかは言っていない」
榊原「死の色が見えるから……死んでいるわけじゃない」
榊原「まったく……本当に『イレギュラーづくしの災厄』だったな」
見崎「私も……生きたまま別の形で蘇るなんて……想像できなかった……」
榊原「本当の鳴は去年の事故で1年間昏睡状態……」
見崎「だから、今の私も車椅子……」
榊原「僕が気胸が治った後も……なんで病院に通っていたのかやっと分かったよ」
見崎「その記憶は……本来、というか今の恒一くんにはない記憶のはずじゃ?」
榊原「おじいちゃんが時々言ってたんだよ……98年度の時も……改竄されてなかったことがあったし」
榊原「どうやらそういうことらしい」
榊原「……よくよく考えてみたら……本当に鳴が死者だったら99年度も災厄が続いてもおかしくなかった」
見崎「このケースにどの程度通常の現象の話が通用するかはおいておいてもね」
榊原「ともあれ………本当に無事で良かった」
見崎「恒一くんも……ね」
榊原「あ……そういえば今日はもう…………」
見崎「……安心して。今年は『ない年』だから。私……確認してきたから」
見崎「そうね」
榊原「必ず…………戻って来るから。約束する」
見崎「……うん……私も恒一くんと一緒になれるように頑張るから」
榊原「……それまで少しの間、辛抱だね」
見崎「少しの間…ね」
……………………
さすがに99年度があんなことになって……といっても事情を知る者はごくわずかしかいないが……
ともあれ予測通り、あれ以降X-1年間は現象は起こらなかった
ただし、また現象が起こったとしても対処方法はわかっている
『いない者』対策とは違って2人の共同作業だ
今年ももうすぐ新学期の時期
幸いにも今年も僕はこのセリフを聴く事が出来る―――――
鳴「今年もよろしくね、榊原君………………いいえ、榊原先生」
恒一「こちらこそ。……見崎先生」
おわり
作者じゃないので当たってるかは分かりませんが(上の方にも書いたけど)
98年度(アニメ)の災厄停止後に死んだ人を居る者として扱う→鳴事故→SSの最初~現在(99年度の2度目の3年生)
最初の恒一は改竄を受けているので鳴の事が分からない
鳴は生きているけど蘇っていて98年度の記憶がある(生霊的な?)
鳴自身が自分が災厄で死んで蘇ったか確証が持てないのでSS後半の様にこれでお別れみたいな状態になっているのかと
綺麗に終わったな
>>277
98年3月末の事故で鳴が1年間昏睡状態(その後車イス)→99年の再現では鳴がケガ無しで甦る
→死に近いので自分に死の色が見える
これで合ってる?
>>282
基本的にはそうです。死者の数を曖昧にしたのは各媒体で違ってるというのもありますが
Entry ⇒ 2012.06.07 | Category ⇒ AnotherSS | Comments (4) | Trackbacks (0)
P「は、はるるん…」
春香「い、いきなりどうしたんですかプロデューサーさん」
P「すまん、なんでもないんだ」
春香「そうですか…」
春香(今プロデューサーさん、はるるんって言ったよね?)
千早「ただいまもどりました」
P「あ、おかえり千早」
春香「千早ちゃんおかえり!ちょっとこっち来て!」
千早「春香、どうかしたの?」
春香「あのね、何だか知らないけどプロデューサーさんに『はるるん』って言われちゃった!」ヒソヒソ
千早「まぁ、あの真面目なプロデューサーが…。驚きね」ヒソヒソ
春香「私も驚いちゃった!どうしちゃったんだろうね、プロデューサーさん」ヒソヒソ
千早「ふふ、なんにしても良かったわね春香」ヒソヒソ
春香「うん!」
P「ああ、行ってらっしゃい」
千早「行ってらっしゃい、春香」
P「うーむ……」
千早「プロデューサー?どうしたんですか難しい顔をして」
P「いやぁ、いまいち春香と仲良くなれてないなぁ…と」
千早「え?」
P「2人での移動の時とか、気まずそうにしてるし…」
P「前は普通に話せてたような気がするんだがな…」
千早「もしかしてプロデューサー、それで春香のこと『はるるん』って…」
P「げっ!?聞いちゃったのか!」
P「あ、あだ名で呼べばもっと仲良くなれるかなと思って…」
P「まぁ俺には無理だったが…」
千早「そうだったんですか」
千早(プロデューサー、少しかわいい)
千早「ふふ、そういうことなら私も考えておきますね」
P「本当か?助かるよ千早」
千早「はい。それでは次の仕事に向いますね」
P「おう、行ってらっしゃい」
春香「えへへ……」
千早「春香」
春香「あ、千早ちゃん。どうしてここに?」
千早「私、隣のスタジオだから。今、大丈夫かしら?」
春香「うん、休憩時間だから大丈夫だよ」
千早「プロデューサーのことなのだけれど…」
千早「本当なの、春香?」
春香「え!?プロデューサーさんが!?」
春香「確かに2人きりの時はあまり話とかできてないかも…」
千早「どうして?」
春香「だ、だって…緊張しちゃって…話せないんだもん…」
千早「そういうことなのね」
春香「りょ!?両想いだなんて…そんな…」
千早「違うの?」
春香「…違わないです…」
千早「なら早く実行に移した方がいいと思うわ」
千早「今の感じが長引くとその分仲良くなりずらくなると思う」
春香「そうかなぁ…そうだよね…」
春香「私いままで男の人と付き合ったりしたことないし…」
千早「初めては誰にでもくるものよ、春香」
千早「それにプロデューサー、最近になって急にモテ始めたそうよ」
春香「え!?そうなの!?」
千早「ええ。元々かっこいいし、今までは縁が無かっただけなんでしょうね」
千早「だから今のままだと他の人にとられちゃうわよ?」
千早(たとえば美希とか…)
春香「あわわわわ」
千早「落ち着いて春香。まずはちゃんと話せるようにしましょう」
春香「そ、そうだよね」
千早「あらかじめ話題を用意しておけばいいんじゃないかしら」
春香「あ、それよく聞く方法だね」
春香「あ、うん頑張ってね!」
千早「ありがとう、春香も仕事と恋、どっちも頑張ってね」
春香「うん!」
スタッフ「天海春香さんお願いしまーす!」
春香「はーい!」
春香(頑張らなくちゃ!急がばまっすぐ進んじゃお!)
春香(つ、ついに二人きり…千早ちゃん、頑張るよ!)
春香(えーっと、まずは…どうすればいいんだっけ?)
P「…今日は道路混んでるなぁ…」
春香「え!?そそそそうですね!略して道混ですね!」
P「え?まぁ、そうだな」
春香「あはは…」
春香(何言ってるんだろう私…)
P「……」
春香「……」
春香(あああ、そうだ携帯のメモ欄から話題を!)
春香「プロデューサーさんは好きな人とかいるんですか!?」
P「え?」
春香「」
P「いきなりなんだ?」
春香「いえ、なんでもないんです…忘れてください…」
P「好きな人ねぇ…」
春香「ソウデスヨネイナイデスヨネ…え?」
P「最近は仕事が楽しくてそういうのは無いな」
春香「じゃあ付き合ってる人とかも?」
P「もちろんいない」
春香「そうなんですか」ホッ
P「春香の方はどうなんだ?」
春香「私ですか!?」
P「年頃の女の子なんだし好きな子くらいいるんじゃないのか?」
春香「私は…」
春香「はい……います」
P「やっぱりいるんだな。相手はどんな奴なんだ?」
春香「えっとですね…とっても真面目で、優しい人なんです」
P「へぇ…格好いい奴なのか?」
春香「そうですね、かっこいいと思います。本人は気づいてないみたいですけど」
はるかさん....
あざと可愛いだろ!
春香「そうらしいです。私も最近気付いたんですけど」
P「何か好きになるきっかけとかあったのか?」
春香「きっかけ、ですか…」
__
____
______
P「春香、迎えに来たぞ~」
春香「うっ、えぐっ……」
P「は、春香!?どうしたんだ!?」
スタッフ「あ、プロデューサーさんですね。春香ちゃん、今回の声のお仕事が上手くいかなくて」
スタッフ「監督に怒られちゃったんです。あの監督結構キツイ性格ですからね…」ヒソヒソ
春香「ひっ、ひぐっ…」
P「そうだったんですか……ご迷惑おかけして申し訳ありません」
スタッフ「いえいえ…こちらこそ」
三 ̄ ̄ ̄\
三 ⌒ ⌒ ヽ ,rっっ
三 ( ●)(●) | .i゙)' 'ィ´
三 (__人__) } { ) 丿 うーっす
三. ` ⌒´ ヽ/'ニ7
三"⌒ ヽ /
三 /
三 ィ二 ___|__ ___ _____
三::.:::三::三ンィ⌒ ̄" ̄ ̄ ̄  ̄ ̄  ̄ ̄ ̄  ̄ ̄  ̄ ̄ニ≡─‐ー-,!
三::.::.三 三/ ≡''=三≡ ;;;;(( 三iiii_iiiiiii)))))i..-
三::::.三 三 _____=≒=ー────;‐‐ ̄  ̄  ̄" ̄`' >>監督
''三三 三、 ー ィ⌒/ ;;;;;;:: :゛;.・:゛∴;.゛;.
ヽ ̄ ̄ ̄;`∵: ;`;.: ;
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ヽ_| ┌──┐ |丿
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P「春香……」
P「しょうがないよ。声の仕事なんて滅多に来ない仕事だし…」
春香「えぐっ、でもっ…」
P「俺は知ってるぞ。たっくさん練習してたこと」
P「春香は頑張ったよ、頑張った」ヨシヨシ
春香「プロデューサーさん……」スンスン
P「落ち着いたか?」
春香「はい…すいません、泣いちゃったりして…」
P「泣くのは悪いことじゃない。泣ける時に泣いた方がいい」
春香「ありがとうございます…」
P「仕事がうまくいかないことはこの先もあるだろう。俺も何度も泣いた」
春香「プロデューサーさんがですか?」
P「ああ。落ち込んで立ち直っての繰り返しだよ」
P「落ち込んでどうしようもなくなった時は、遠慮なく電話でもしてこい」
P「おう、流石に仕事中は無理だろうがな」
P「時に春香、俺は仕事の鬱憤がたまった時はカラオケに行くことにしてるんだ」
春香「へ?」
P(あの監督……)
P「というわけで行くか」
春香「は、はぁ…」
春香「これぞっプロでしょっ~♪」
P「おおー」パチパチ
春香「えへへ、ありがとうございます」
春香「大声で歌うと気持ちいいですね」
P「そうだろうそうだろう」
春香「次はプロデューサーさんですよ」
P「ああ」
春香「プロデューサーさんの歌聞くの初めてですね、楽しみです」
P「全然上手くないぞ。それより今日はこの曲を春香に聞いて欲しくてな」
イントロ~♪
春香「あ、これ聞いたことあるかも…」
僕は知ってるよ~♪ ちゃんと見てるよ~♪
頑張ってる君のこと~♪ ずっと守ってあげるから~♪
君のために歌おう~♪
春香「……」ジーン
P「ははは、やっぱり下手だよな」
春香「そんなことないです!私、プロデューサーさんの歌大好きですよ!」
P「そ、そうか、ありがとう」
春香「だから、もう1回今の曲、歌ってください!」
P「え?同じ曲をか?」
春香「はい、お願いします!」
P「わかった…じゃあもう1回」
______
____
__
春香(そのあたりから、プロデューサーさんとまともに喋れなくなっちゃったんだよね…)
P「春香?」
春香「あ…秘密です♪」
P「なんだよ気になるじゃないか」
春香「えへへ、私の恋が成就したら教えてあげます」
P「そうか」
P「応援はするけど、付き合う場合は絶対にバレないように頼むな」
春香「はい……あ」
春香(私、今プロデューサーさんと普通に話せてた…)
小鳥「あら、おかえり春香ちゃん」
千早「おかえりなさい春香」
春香「千早ちゃーん!」ガバッ
千早「は、春香!?一体どうしたの?」
春香「あのね、プロデューサーさんと普通に話せたの!」
千早「よかったわね、春香。何を話したの?」
春香「えっとね…」
春香「えへへへ~結果オーライでよかったよ~」
小鳥「春香ちゃん、もうすぐで近くの店で取材でしょう?」
春香「あ、そうでした、行ってきます!」
P「ただいま~」ガチャッ
春香「きゃっ!」ドンッ
P「おおっとっ」ガシッ
春香「え…」
小鳥「まぁ…」
春香「あわわわ」カアァ
春香「大丈夫です!それじゃあ行ってきます!」ダッ
P「あ……行ってしまった」
P(やはり少し嫌われて…)
千早「プロデューサー」
P「お、おう千早、ただいま」
千早「春香とはどうだったんですか?」
P「ああ、普通に話せたよ。ただ、今の感じを見るとあまり好かれてもいなさそうだな…」
千早(はぁ…)
P「そうかなぁ…」
千早「大丈夫ですよ。それより春香とプロデューサーの仲良し大作戦のことですけど」
P「まんまだな。それで?」
千早「どこか遊びに誘ってはどうでしょうか?」
P「遊びに、かぁ…来てくれるだろうか…」
千早「大丈夫です、さあどこへ誘うか決めましょうか」
P「はい」
P「待てよ、これよく考えなくてもデートでは…?」
P「……」
P「ええい、ままよ」ピッ
ピリリリリリリ♪
春香「電話?…あっ!?」
ケータイ『プロデューサーさん』
春香「ぷぷぷプロデューサーさん!」
春香「仕事の連絡は普段メールだけなのに…」
春香「落ち着いて、落ち着いて…」スーハースーハー
春香「よし…」ピッ
春香「も、もしもし…」
P『こんばんは、今大丈夫か?』
春香「はい、大丈夫です!」
P「えっとだな……」
春香「……」
春香「ぷ、プロデューサーさんと、…」
春香「っっっっ~~」ゴロゴロジタバタ
春香「わー!」
春香「……」
春香「千早ちゃんに報告しなくちゃ」ワキワキ
春香「はぁ……」
春香(緊張しちゃって今日まで事務所とかでもあまり喋れなかった…)
春香「でも、今日で挽回しなくっちゃ!」グッ
P「なにを挽回するんだ?」
春香「ヴぁい!プロデューサーさん!?」
P「悪い、待たせたか?」
春香「い、いえいえ!私も今来たところですから!」
P「そっか。じゃあ、早速行くか」
春香「はい!」
春香「プロデューサーさんはどれが見たいですか?」
P「俺はなんでも割と楽しめるから、春香が選んでくれて構わないぞ」
春香「いいんですか?じゃあ、やっぱり…これで」
P「恋愛ものだな、じゃあチケット勝手くるよ」
春香「あ、お金」
P「いいよ、今日は俺が誘ったんだし」タッタッタッ
春香「あ……」
春香(プロデューサーさん、どうして今日誘ってくれたのかな…?)
『春香はプロデューサーと両想いの関係になりたいのよね』
春香(両想い……)
春香「そんなわけ、ないよね…」
P「なかなかいい話だったな」
春香「はい、えぐっ、よがったです」
P「ははは、感動して泣いちゃったか」ヨシヨシ
春香「ぐすっ、すいません…」
P「そういえば、いつだったかこんな感じで春香が泣いた時があったな」ヨシヨシ
春香「はい、私も、思い出しました」
P「春香は意外と泣き虫なんだな~」ヨシヨシ
春香「そうなんでしょうか……それより、プロデューサーさん…」
P「ん?」ヨシヨシ
春香「ちょ、ちょっと恥ずかしいです…」モジモジ
P「あ、すまん」パッ
春香「あ、はいえっと、私…」
春香「あれに乗ってみたいです」
P「あれ?ああ、観覧車か。確か空調もついてるんだよな?」
春香「はい、私一度乗ってみたかったんです」
春香(ホントは千早ちゃんと乗ったことあるんですけどね)
P「よしきた、行こう」
春香「はい!」
P「ほーこれはすごいな」
春香「そ、そうですね」
P「都会の景色もなかなかいいもんだな」
春香「そうですね」
P「天気もいいし」
春香「そうですね」
P「……」
春香「……」
P(またこの感じか…)
春香(何か、何か話さなくちゃ!)
P「はい」
春香「えっとえっと…」
春香「今日は、どうして誘ってくれたんですか?」
P「あ~、それはだな…」
P「えーと…」
P「たまたま映画を見たい気分になったんだ」
P「一人で見に行くのも寂しいし」
春香「そう、だったんですか…」
P「あ、ああ…」
春香「……」
P「……」
春香「え?」
P「この際だから言っておくよ」
P「春香ともっと仲良くなりたかったんだ」
春香「え…?」
P「いまいち春香と仲良くなれてないと思って」
P「むしろ嫌われてるんじゃないかって…」
P「ほ、本当か?」
春香「本当です!」
P「そっか…安心したよ」ホッ
春香「あ、あの!」
春香「この際だから私も言っちゃいます!」
P「はい」ビクッ
春香「私がプロデューサーさんと2人きりだと黙っちゃうのは」
春香(千早ちゃん、私もう言っちゃうね!)
春香「緊張しちゃうからなんです!」
春香「はい…」
P「えーと、それって…」
春香「はい…」
春香「私……」
春香「プロデューサーさんのことが」
春香「好き、なんです…」カアァ
P「そう、だったのか」
春香「……」
P「……」
P「俺は…」
P「恋愛とかは、正直よくわからん…」
春香「……」
P「だが…」
P「春香のことを好きになりたい、って思ったよ」
P「もちろん今でも好きだけどな」
春香「プロデューサーさん…」
春香「…私、今はそれを聞けただけでも、すっごく嬉しいです」
P「そうか…」
P「いつか…ちゃんと返事をするな」
春香「はい。あ、いつのまにか下まで来ちゃいましたね」
P「さて、美味いもん食いに行くか」
春香「はい!」
P「ただいま帰りましたー!はるるーんただいま!」
春香「あ、おかえりなさい」
P「いやー最近めっきり暑くなったなー」
春香「ふふふ、そうですね。はい、おしぼりですよ」
P「おお、ありがとう春香」
春香「拭いてあげますね」フキフキ
P「ああ~気持ち~」
千早「ふふふ、プロデューサー、春香と一緒になってからすっかり変わっちゃいましたね」
小鳥「社長が春香ちゃんを事務員として、雇い直しなんてするから…」
P「ありがとう春香。春香のおかげで仕事も前以上に楽しいよ…」
春香「えへへ、私もですよ、あなた」
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おやすみ
はるるんよかったね
良かった
Entry ⇒ 2012.06.07 | Category ⇒ アイマスSS | Comments (0) | Trackbacks (0)
恒一「有田さんはかわいいなぁ!!!」
風見「男子諸君、今日君達に集まってもらったのには、意味がある……」
恒一(え? なにこれ? 何で皆真剣な顔なの?)
風見「そうだ、ついに完成したのだ」
恒一「て、勅使河原君……何が起きてるの?」
勅使河原「黙って聞いてな、サカキ。今は、声を出すべきじゃねぇ」
恒一(えー……)
風見「三年三組の男子の技術力が異様に上昇する現象を利用した、我々の最高傑作……」
風見「三年三組の女子生徒を攻略する恋愛シミュレーションゲーム『アナガミ』が、完成したっ!!!」
一同「うおおおおおおおおお!!!!!!」
恒一(え、えぇ……)
望月「……苦労したよ。本当に苦労した。僕以外に絵のスキルが上がった人が、もう少しいればもっと楽だったのに……でも、今は喜びばかりだ。三神先生ルートをやりたくてしょうがないよ!」
恒一「くっ……て、勅使河原君!」
勅使河原「ゲームの内容に、俺は関われなかった。だが、ハードやディスクの作成は、俺の仕事だった……放課後、一人で工場へ行き黙々とし続けた作業、その結果をもうすぐ見れるんだな……」
恒一「ダメか……」
一同「はい!!!」
風見「このプロジェクトに、こうして関われて、僕は嬉しい!! 最後に、感謝を言わせて欲しい。皆、ありがとう!!」
一同「ありがとう!!!」
恒一(このクラスの男子は、やけに帰るのが速いんだなと思ってからはや一カ月……わけがわからないよ)
恒一「いや、もらったけどさ……これ、どうみても企業レベルだよね?」
恒一「勅使河原君、普通に工場とか言ってたけど、え? 工場あるの?」
恒一「転入初日に、そういう現象があるとは聞いていたけど、こんなにレベル高いの?」
恒一「というか、PSPって何?」
恒一「まあ……もらったからには、やってみるけどさ……えっと、電源電源……これか」
恒一「えっと、これかな?」
多々良『貴方の名前を入力してね』
恒一「えっ!? 喋った!?」
恒一「女子も制作に参加してるの? ……いや、今の音声、少しだけ、本当に少しだけおかしかった気がする……」
恒一「もしかして……日頃の会話を録音して、それを加工したっ!?」
恒一「て、手間が掛かってるなぁ……」
恒一「主人公設定選択? えっと、委員長モード、運動部モード、文化部モード、帰宅部モード……あ、ちゃんと転入生モードもある」
恒一「……なんというか、皆ありがとう。転入生モード、だよね」
恒一『東京から来ました、榊原恒一です』
恒一「あ、さすがに僕の声は出ないか」ホッ
久保寺「榊原君はうんたらかんたら」
恒一「あ、プロローグ終わった」
恒一「……というか、選べる場所多すぎだよっ!!!」
恒一「これ、クラスどころか、怜子さんまで攻略できそうじゃないか! 僕にはわかるぞ、この職員室のイベント、明らかにシルエットが怜子さんじゃないか!!」
恒一「うーん……こういうときは、どうしよう。あ、このボタン押すと、ランダムに出来そうだな……」
恒一「まあ、最初くらい、ランダムで良いよね?」
夕方、道路
恒一『転入初日に、ちゃんと友達も出来たし、クラスの皆は可愛い子ばかりだ! これから、楽しい毎日が始まりそうだなぁ!!』
恒一『さて、でも困ったなぁ……』
恒一「いきなり困るなよ!!」
恒一『迷子になっちゃった……』
恒一「おい、僕」
恒一「たしかに、恥ずかしいね……」
??「榊原君? どうしたの、こんな所で」
恒一『あ、有田さん!』
恒一「あ、有田さんだ」
有田『良かったぁ、名前覚えてくれてたんだね』
恒一『一応、クラスメイト全員はね』
恒一「そういえば、実際の所は有田さんとあんまり話したことが無いなぁ」
恒一『ううん、実は迷子になっちゃって……』
有田『それは大変だね! 家はどっちの方なの?』
恒一『えっと……』
恒一「今更だけどさ、これ、ちゃんと有田さんの特長を掴んだ立ち絵って言うかさ、最初僕、写真かと思っちゃったよ……背景もよく見たら絵だし……」
怜子さん√だけあれば満足なのに良い奴だ
恒一『そんな、悪いよ。大体の方角を教えてくれたら、大丈夫だから……』
有田『私も、スーパーに行き忘れちゃって……だから、丁度良かったんだ。むしろ、榊原君を助けられて良かったくらい』
恒一『そっか……じゃあ、お願いしようかな』
恒一「優しいなぁ……」
有田『えっと、あっちの方だよ。そこの角を曲がって……』
恒一『あぁ、あそこなんだね。ありがとう、今日は本当に助かったよ!』
有田『ううん、どういたしまして。それじゃあ、また明日学校でね!』
恒一『うん、またね!』
恒一「このゲーム……実際夜見山の地理に対応してやがる……」
恒一『ふぅ、朝は眠いなぁ……』
有田『おっはよー! 榊原君っ!』
恒一『あ、有田さんおはよう。朝から元気だね』
有田『あはは……今日は日直なのに、いつもの時間に来ちゃったから、大急ぎなんだ……空元気?』
恒一『それは、ドンマイだね』
有田『うん、だから、先に行くね! また後でね、榊原君っ!』
恒一「あ、朝は強制イベントで四つの時間とは違うんだね」
恒一「うーん、他の子との出会いイベントもあるけど……有田さんのイベントともあるなぁ……」
恒一「ま、まあ、とりあえず有田さんのイベントをやろうかな!」
恒一『今朝のチラシ……有田さん急いでたし読んでないかな』
恒一『せっかくだし、教えようかな! 有田さーん!』
有田『うん? どうしたの、榊原君』
恒一『今日、スーパーが安売りなんだって、有田さん、朝急いでたから、確認してるかなぁって』
有田『え? 本当っ!? うぅ……見逃してたよぉ……』
恒一『チラシ、みる?』
有田『あるのっ!? 見る見る! 見せてっ!』
有田『うぅ……持てるかなぁ……』
恒一『(有田さん、困ってるみたいだなぁ……)』
●荷物持ち、しようか?
●買うもの、一杯あるんだね
恒一「選択肢か……これは間違いなく上だね。下は強制イベント避けかな」
恒一『荷物持ち、しようか?』
恒一『この前の恩返しだから、ね』
有田『そっか……じゃあ、お願いしようかな』
恒一『うん、じゃあ放課後にね!』
恒一「うん、予想通りだ!」
恒一「そういえば、こういうのって出会いイベントが強制かと思ったんだけど、違うんだね。まあ、ヒロインの数が数だし、しょうがないか……」
恒一「というか……この様子だと、有田さんだけでも結構なシナリオ量ありそうだな……」
恒一「とりあえず、有田さんのイベントを消費しよう!」
有田『ねえ、榊原君。ちょっとお話しない?』
●うん、言いよ
●今はちょっと……
恒一「上以外選ばせる気が無いでしょ」
恒一『うん、言いよ』
恒一「はっ、これは、話題を選べと言うのか……『世間話』『運動』『勉強』『恋愛』……色々あるな……」
恒一「これ、『エッチ』は絶対罠だよね……うーん……」
恒一「無難に世間話かなぁ」
有田『ドクターフィッシュ? 医者のお医者さん?』
恒一『まあ、あんまり間違ってないけれど、ちょっと違うかな。ドクターフィッシュはね、人の皮膚の老廃物を食べるんだ』
有田『皮膚の老廃物を食べるの?』
恒一『そう、病気になった皮膚も食べてくれるからドクターフィッシュなんだって』
有田『そうなんだ、すごいね!』
恒一「お、なんかいい感じじゃないか!!」
恒一『有田さんってさ、どんな男性がタイプなの?』
有田『た、タイプ!? うーん、あんまり、考えた事が無いかな……でも、話が合う人ではあってほしいかな』
恒一「話が合う人かぁ……話した事がそもそも無いんだよなぁ……」
恒一「次は……『勉強』かな」
有田『ねえ、榊原君。数学を教えてもらってもいい?』
恒一『数学?』
有田『円周角って、わけがわからないんだ……』
恒一『えっとね……ここはこうして……』
有田『あ、本当だ! ありがとう、榊原君っ!』
恒一「ふっふっふ、いい感じじゃないか!!」
恒一『ねえ、有田さんはどんな料理が好き?』
有田『うーん、和洋中なんでも好きだよ? でもそうだなぁ、和食の方がどれかと言われると好きかな?』
恒一『肉じゃがとか?』
有田『肉じゃがも好きだよっ!』
恒一『じゃあ、今度作ってこようか? 僕、肉じゃが得意なんだ』
恒一「何で知ってるの!?」
有田『本当にっ!? じゃあ、楽しみにしてるねっ!!』
恒一「まあ、良いだろう……五ターン目、『エッチ』だっ!!!」
有田『え、ええっ!? そそ、そんな事ないよっ!!』
恒一『ほら、このスカートから見える足とか、物凄い細いし、なんか守ってあげなきゃって思うんだ』
有田『あ、あう……うう……』
恒一『発育に不安を持ってるかもしれないけれど、僕はそんな事気にするべきじゃないと思う。有田さんは、今のままで良いんじゃないかな』
有田『そ、それ以上は恥ずかしいからダメっ!!!』
恒一「ちくしょう、罠だった!!!」
怜子「恒一くーん、ごはんだよー?」
恒一「あ、はーい、今行きまーす!」
恒一「ここまでか……セーブをしてっと……夜にもやろう」
恒一「全ての準備は整った! 僕は、有田さんの荷物持ちをしなきゃいけないんだ!!」
昼休み(ゲーム)
恒一「と、その前に昼イベントか……あ、有田さんのイベントがない……」
恒一「今更、他の人との出会いイベントをやるのもなぁ……スキップしようかな」
有田『ご、ごめんね、待たせちゃった?』
恒一『ううん、そんなに待ってないよ。それに、有田さんに日直の仕事があるのは、わかってたから』
有田『でも、私から頼んだのに待たせちゃったら悪いし……』
恒一『それも、迷子の僕を案内してくれた恩返しだから、気にする必要は無いんだよ』
有田『ううん、でも……』
恒一『それより、せっかくの大安売りが売り切れてたら寂しいから、行こうよ』
有田『うん! そうだね! 今日は宜しくお願いします!』
恒一『うわぁ……嵐の後みたい……』
有田『……ううん、まだだよ。まだ残ってる物は残ってる』
有田『榊原君はここで待っててっ! 私はめぼしいものの確保をしてくるねっ!!』
恒一『う、うん……』
恒一『(有田さん、慣れてるんだなぁ)』
恒一『あの状況で、よくこんなに見つけたね』
有田『あはは……あのお店は、たまに大特価のものをこっそり置くから、それを買っただけだよ』
恒一『いつもスーパーで買い物するの?』
有田『うん、私の家、両親がどっちも出張が多くてさ、今も二人とも海外にいるんだ。だから、料理や節約も自分でしないといけなくて……』
恒一『へぇ、そうだったんだ。僕も両親が海外なんだ。夜見山へ来たのも、二人がインドに入っちゃったからなんだ』
恒一「……これ、思いっきり僕の個人情報だよね? まあいいけど」
有田『そう、あんまり綺麗じゃないけど、キッチンまで運んで貰っても良い?』
恒一『もちろんだよ』
キッチン
恒一『よいしょ、いつも特売の日は、こんなに持って帰るの?』
有田『うん、重いけど頑張ればどうにかなるから、頑張ってるよ!』
有田『でも、今日は榊原君が居てくれて助かったよ! 本当にありがとねっ!』
恒一『ううん、全然良いんだよ』
有田「おはよう悠ちゃん」
江藤「おはよう松子ちゃん」
恒一(有田さん、リアルでも少しくらいは話せる仲になりたいな)
恒一「おはよう有田さん」
有田「おはよう榊原君」
恒一(凄いナチュラルに挨拶だけだった……)
江藤「ねぇねぇ松子ちゃん、今日○○スーパーで特売だって」
有田「ええっ!? 本当っ!? 行かなきゃっ!!!」
恒一(あ、本当っぽい)ヌスミギキ
恒一(どうしようかなぁ……とりあえず、アナガミクリアしようかな)
恒一「ふっふっふ、有田さんのイベントをひたすらやり続けて、好感度がスキまで来たぞっ!!!」
恒一「怜子さんに不審に思われたり、怜子さんに見つかりかけたり、怜子さんに睨まれたりしたけど、PSPは無事だっ!!」
恒一「さあ! 有田さんとイチャイチャしよう!!」
恒一『有田さんの料理って、おふくろの味だよね』
有田『もう、そんな事ないよぉ。私なんて、まだまだだよ……』
恒一『それこそ、そんな事ないよ。僕は毎日だって食べたいくらいだね』
有田『え、ええっ!? それって……』
恒一『どうしたの? 有田さん』
有田『……鈍感』
恒一「むっとしながらも、好感度は上がる有田さんはかわいいなぁ!!!」
有田『どう言うこと?』
恒一『ほら、友達以上恋人未満って言うけどさ、その時点で恋してるよなって、僕はそう思うんだ』
有田『……私もそう思うな。仲が良くなって、気がついたら好きになってるって事も、あると思う』
恒一「これは、あきらかに僕が鈍感すぎるよね! 有田さんが可哀想だよ、早く気づいてやれよ!!」
有田『頬に? ……うん、榊原君なら良いよ』
恒一『やっぱり、有田さんの肌はスベスベだね』
有田『もう、スベスベじゃなかったらガッカリしたの?』
恒一『日頃からじっくり観察してたからね。スベスベじゃないはずなんて無かったんだよ』
有田『さ、榊原君……』
恒一「僕としては、付き合う前にこういう事するのは、どうかと思うけど……ゲームだから良いよね」
恒一『ん……』チュッ
有田『榊原君……ん……』
恒一「良いよねっ!! ハッピーになるよね!! イベントCGにもかなり気合い入ってるね!!!!」
恒一「さあ、これがラストのイベントだ……」
恒一『有田さん、僕、君のことが好きなんだ。迷った僕を助けてくれたり、料理を作ってくれたり、お節介なくらい僕に優しい有田さんが、大好きなんだ!!』
有田『榊原君……私も、私も榊原君の事が大好きっ!! 荷物を運んでくれたり、料理を教えてくれたり、お節介なくらい私に優しい榊原君が大好きだよっ!!』
きーらきーらきーらめーく♪
恒一「終わった……」
恒一「今の僕なら、リアルの有田さんとも、仲良くなれる……かな!」
恒一「ふぁあ……寝よう」
恒一(朝は、ただ挨拶をしただけだった……でも、朝はそれだけでいい)
恒一(食後のこの時間に、僕は有田さんとの距離を縮める!!)
恒一「有田さん、ちょっとお話しない?」
有田「うん、いいよ!」
恒一「あのさ、こういう話があってさ……」
恒一「……ってわけなんだ」
有田「すごいねっ! そんな事があるんだね」
恒一(有田さんがどうすれば喜ぶか、僕にはわかるっ!!)
恒一「この前の数学の時間なんだけどさ……」
恒一「……ってわけなんだ。数学って凄いよね」
有田「へぇー、数学って難しいけれど、見方を変えると簡単になるんだねっ!」
恒一「あ、もう時間だね」
有田「うん、じゃあまたねっ!!」
恒一「うん、授業でわからない所があったら、すぐに呼んでいいからね」
有田「あはは……それはすぐに呼んじゃいそうだなぁ……」
恒一(……有田さんと仲良くなったぞ!)
恒一(よし、これからは僕も自分で料理をしよう!!)
恒一「えっと、ケチャップは……」
有田「あれ? 榊原君?」
恒一「有田さん? 偶然だね」
有田「ケチャップならあっちの棚だよ。榊原君も料理するの?」
恒一「うん、東京では料理クラブだったからね」
有田「すごいなぁ、私も一応やるんだけど、まだまだで……」
恒一「僕に教えれる範囲なら、教えようか?」
有田「いいのっ!? なら、お願いしちゃおうかな!」
恒一「お安いご用だよ」
恒一宅
恒一「有田さんの家に行ってきまーす!」
怜子「また料理指導?」
恒一「うん、今日は一緒に肉じゃがを作る事になってます」
怜子「そう……怪我させないようにね……」
恒一「はーい!」タタタタ
怜子「恒一君は、女の子を落とす技術が、異様に上昇しちゃったか……まあ、浮気してないからいいけれど」
恒一「うん、おいしいよ!」
有田「本当っ!? 良かったぁ……」
恒一「これなら、毎日食べたっておいしいだろうなぁ」
有田「!? わ、私は毎日作っても……良いんだよ?」ボソッ
恒一「うん? 何て言ったの?」
有田「ううん、何でもないっ! 片付けしてくるね!」タタタタ
恒一(聞こえちゃったじゃないか。……まったくもう)
恒一「有田さんはかわいいなぁ!!!」
Aritar
おわり
アマガミでは七咲が好きです
anotherでは有田さんと江藤さんが好きです
有田さんはかわいいなぁ!!!
乙
次回の有田さんにも期待‼
Entry ⇒ 2012.06.07 | Category ⇒ AnotherSS | Comments (0) | Trackbacks (0)
綾乃「生徒会から全校生徒にお知らせする事があります」
~2-5教室~
結衣「お、綾乃の放送はじまったね」
京子「ああ、例の遅刻撲滅週間の放送だっけ?綾乃も頑張るなあ」
千歳「生徒会のみんなで持ち回りで放送するんよ~」
京子「お昼ご飯とかどうするの?」
千歳「んー、お昼休みが終わる5分前にもう一回放送せなあかんし」
千歳「放送室で食べることになるやろね」
京子「ふーん」
結衣「ほら、綾乃の放送聞いてあげようよ」
『その状況を踏まえ、今週は遅刻撲滅週間とすることにしました』
『お昼休みは1時までですが、5分前には注意を促す放送を流しますので』
『それまでには教室へ戻るようにしておきましょう』
『生徒会からのお知らせでした』
『それではみなさん、良い昼食を』
ガタンガタンッ
京子「へへへーん」
結衣「……え、なんでお前が得意げなの?」
京子「だって私のライバルだもんね~♪」
千歳「……ふふふ」ホンノリ
『ふぅ……何とか無事に終わったけど、緊張したわ』
京子「……ん?」
結衣「あれ……?」
『こんな調子だと、2回目の放送で失敗しちゃうかも……』
結衣「……京子、これって」
京子「うん、放送切り忘れてるみたいだね~」
千歳「綾乃ちゃん、おっちょこちょいやなあ……」
結衣「はぁ……どうする?今から放送室に行って綾乃に教えてあげる?」
京子「うん、このままじゃ綾乃可哀そうだし」
千歳「じゃあ、うちが……」
『そうだ、アレをしてリラックスしよっと……』ゴソゴソ
『えっ、と、歳納京子、どうしてここにっ!?』
京子「……え」
結衣「え……」
京子「わ、私まだ教室にいるのに……え?」
『へへへー、綾乃が頑張ってるから応援に来ちゃった!』
『そ、そんなの、必要ないわよっ!』
『ふーん、ほんとに?』
『ちょ、と、歳納京子……顔が近いわ……』
『本当は、緊張してガチガチだったんじゃない?』
『そ、それは……』
京子「な、なにやってるの、綾乃っ///」
『……大丈夫だよ、綾乃、私が緊張の解けるおまじないしてあげるから』
『……と、歳納京子……何を……』
『綾乃の可愛い唇に……おまじないしてあげるの……』
『あっ……』
『……ほら、顔をあげて』
『……としのう、きょうこ……』ンッ
『……』
『……』
『……』チュ
結衣「な、なにこの沈黙」
『どう?緊張解けた?』
『え、ええ……あ、ありがと』
『ふふふ、キスされた時の綾乃の顔、可愛かったよ……』
『そ、そんな……わたし、可愛くなんて……何時も、怒ってるし』
『……なら、笑ってよ、綾乃、私の為だけに……』
『としのうきょうこのためだけに……?』
『……うん、いいでしょ?』
『も、もちろんよ……だから、だから、もう一回……』
『もう、綾乃は甘えん坊だなあ』
『……』
『……』チュッ
向日葵「///」プルプル
ちなつ「///」プルプル
あかり「///」プルプル
櫻子「す、杉浦先輩、すげえ///」
櫻子「ね、ねえ、向日葵、私たちも、ああいう事やんないといけないのかな!?」
向日葵「え、な、なに言ってるんですのっ///」
『……ふぅ』
『そんな展開になってくれれば苦労しないんだけどね……』ハァ
『緊張は解けたけど……歳納京子のお人形相手にこんな事をしても、むなしいだけよね……』ポイッ
『……』
『……こんなに歳納京子の事が好きなのに』
『……』
『どうして気づいてくれないんだろ……』
西垣「ははは、杉浦、なかなかやるなあ」
りせ「///」
『はぁ……今頃、歳納京子は船見さん達と楽しく食事してるんだろうなあ……』
『……私も、船見さんみたいに歳納京子を甘やかせてあげたい……』
『お家に泊めてあげて、ご飯作ってあげて、一緒にお風呂入って、一緒の布団で寝て』
『そうやって、新婚さんみたいに2人っきりで過ごせたらなあ……』
クラス「「「…………」」」ジー
結衣「ち、違う、新婚さんとかじゃ無いからっ!」
結衣「きょ、京子からも何か言ってよっ!」
結衣「って、あれ、京子?」
『けど……周りの子が本当に困ってると、ちゃんと優しくしてくれる……』
『頭が良くて、明るくて、元気で、笑顔が可愛い……』
『歳納京子……』
『それに引き換え、私は、何時も怒ってるし、素直になれないし、成績だってずっと勝てないし』
『私なんかのことを、好きになってくれる可能性なんて無いわよね……』
『……はぁ』
バーンッ
京子「あやの!」
綾乃「ふえ!?と、歳納京子!?」
京子「……」トテトテ
綾乃「な、何しに来たの?お昼ごはんは?」
京子「……綾乃」
綾乃「な、な、な、なによ、顔が、ち、近いわよ///」
綾乃「は、はいっ///」
京子「何時も、頑張ってる綾乃が好き」
綾乃「……え」
京子「目標に向けて、一生懸命努力してる綾乃が好き」
綾乃「と、としのう……」
京子「私が忘れ物をするとさり気無くフォローしてくれる綾乃が好き」
綾乃「……きょうこ?」
京子「綺麗なポニテも好き、ずっと触りたいと思ってた」
京子「怒ってる顔も好き」
京子「たまに向けてくれる笑ってくれてる顔も大好き」
京子「注意してくれてる厳しい声が、最後は優しい声になるのも大好き」
京子「私なんかとは、釣り合わないかなと思ってた」
京子「けど、けど、大好きな綾乃ともっと一緒に居る時間を増やしたくて、それで……」
京子「プリントとか、わざと忘れて、綾乃に迷惑かけちゃってたの……ごめん……」
綾乃「と、歳納京子が……私のことを……」
京子「うん、全部、ぜーんぶ、好き」
京子「だーーーいすき!」
綾乃「……!」
京子「綾乃」ギュ
綾乃「あっ……」
京子「綾乃の気持ちは、もう知ってるの……」
綾乃「ふえ、わ、私の気持ちを……?」
京子「うん……」
綾乃「私が……あの、歳納京子の事が好きだって、事を?」
京子「……うん」
綾乃「ど、どうして……」
綾乃「……は?」
京子「だから、さっきから全校放送で全部流れてるし」
綾乃「……あの、歳納京子、ごめんなさい、何を言ってるのか、意味が……」
京子「綾乃が架空の私といちゃいちゃしてる様子とかも全部流れてたよ?」
綾乃「な、な、な……」
『なん!』
クラス「「「///」」」
結衣「///」
千歳「……」ドクドク
『です!』
あかり「///」
ちなつ「///」
向日葵「///」
櫻子「///」
『ってー!』
西垣「うん、シメサバうまい」
りせ「///」
京子「綾乃、落ち着いて、どうどう」
綾乃「こ、これが、落ち着いてられますかっ///」
綾乃「う、うそでしょ、わたしの、わたしの秘密の楽しみが全校放送でっ///」
京子「まあ、いいじゃない、綾乃だけじゃかわいそうだったから私も付き合ってあげたんだし」
綾乃「え?」
京子「私の愛の告白も、放送されちゃってるから、ね?」
綾乃「あ……」
綾乃「え、け、けど、私、生徒会副会長だし、そのっ、そ、そんなっ……///」モジモジ
京子「綾乃は、私とカップルになるの、イヤ?」
綾乃「え、そ、そんな……い、いやじゃないわよっ///」
京子「じゃ、いいよね……」
綾乃「ちょ、だから、歳納京子、顔が……」
京子「ね?」
綾乃「近い……わ……」
チュッ
『んっ、ちゅっ、あっ……としのうきょうこっ』
クラス「「「//////」」」
結衣「//////」
千歳「……」ドクドクドクドク
『綾乃、可愛い……ちゅっ』
あかり「//////」
ちなつ「//////」
向日葵「//////」
櫻子「//////」
『だ、だめっ、やっ、くすぐったいわ、としのうきょうこっ』
西垣「ん?松本、羨ましいのか?」
りせ「//////」ブンブンブンッ
西垣「あははは、松本は照れ屋だなあ」
綾乃「も、もう、しょうがないわねっ///」
京子「あのね、綾乃」
綾乃「……なあに、歳納京子」ナデナデ
京子「これからはプリントとか忘れないようにするよ……だから……」
綾乃「じゃあ、私は、歳納京子がプリント忘れてなくても会いに行くことにするわ……」
京子「うん、ありがと……」スリスリ
綾乃「私の方こそ……来てくれて、ありがとう、歳納京子……」ナデナデ
その日の放課後、京子ちゃんと綾乃ちゃんは生徒指導室で一杯怒られました
京子「いやあ、昨日は大変だったよね~」
結衣「ああ、千歳も病院に担ぎ込まれたりしてたしね……」
結衣「というか、良く怒られるだけで済んだなあ……」
京子「うん、西垣ちゃんや会長さん、それに他の生徒の子達も応援してくれたしね」
結衣「そっか……」
あかり(うう、思い出しちゃうから京子ちゃんの顔まともに見れないよ///)
ちなつ(京子先輩、大人!大人ですっ///)
京子「ありゃ、綾乃、どったの」
綾乃「……」トテトテ
京子「ん?」
綾乃「もう、放課後は生徒会室に来てくれるって言ったじゃないっ」ペタッ
京子「あっ……」
綾乃「忘れちゃったの?」ギュ
京子「あ、綾乃、あの、皆見てるし、その、抱きつくのは、ね?」
綾乃「何言ってるのよ、あんな放送流れたんだから、今さら照れること無いわよ」ムギュー
結衣「///」
あかり「///」
ちなつ「///」
京子「わ、判ったから、綾乃、生徒会室に行こ、ね///」
綾乃「ええ、一緒の椅子を2人で使いましょ?そうすれば仕事しながらぎゅって出来るし」
京子「え、え、生徒会室にはひまっちゃんとか櫻子ちゃんとかいるんだよね!?」
綾乃「え、そりゃあ居るわよ、生徒会室だもの」
京子「う、うう///」
綾乃「歳納京子は、私にぎゅっとされるの、嫌?」
京子「い、いやじゃないけど///」
綾乃「私のこと、大好き?」
京子「う、うん、大好き///」
綾乃「私も、私も歳納京子のこと、大好き……!」ギュー
毎日毎日、いっぱい愛されて
綾乃ちゃんがいないと暮らしていけない身体にされましたとさ
めでたし、めでたし
Entry ⇒ 2012.06.07 | Category ⇒ ゆるゆりSS | Comments (0) | Trackbacks (0)
P「やよいが実はエロかったなんて…」
やよい「どうしたんですか、プロデューサー?」
P「ん、いや……なんでもない。気にしなくてもいいぞ」
やよい「そうなんですかー?」
P「……やよいはかわいいなぁ」
やよい「?」
P「いや、なにも言ってないから気にしないでくれ」
やよい「そうなんですかー? ……あっ、そういえば差し入れって」
P「ん、そういえばそんなのもあったな。見てみるか? フルーツ盛り合わせとかあるぞ」
やよい「ありがとうございますーっ! ……あっ! プロデューサー!」
P「どうした?」
やよい「みてくださいこれ、おっきいバナナですーっ!」デデン
やよい「どうしたんですかー?」
P「ん、あぁいや……なんでもない。食べたいのか?」
やよい「はい! もらってもいいですかー?」
P「あぁ、いいとも。食べなよ」
やよい「ありがとうございます……じゃあいただきまーす!」ススッ
P(手慣れた手つきで皮をむいている……おいしそう)
やよい「んあっ……んんっ……」ペロペロ
P「!?」ガタッ
やよい「んむっ……あまいれすぅ……」レロッ
P「や、ややや……やよい?」
やよい「んちゅっ……どうしたんですか、プロデューサー?」チュパッ
P「いや……その……」
P「その……なんでバナナを舐めてるんだ?」
やよい「あっ……その……ごめんなさい……」
P「いや、別にせめてるわけじゃなくてだな」
やよい「えーっと……齧っちゃうとすぐなくなっちゃうかなーって……」
P「そ、そうか……なるほどな?」
やよい「だ、だめですか……?」
P「いや、その……いい。いいんだけどな……うん……」
やよい「どうしたんですか?」
P「いや、なんでもない……うん」
P「お、おう? どうした」
やよい「かじったほうがいいんですか……?」ジッ
P(上目づかいでバナナを口元に……なんだこれは! やよいがかわいいのは知ってるがこれは……!)
P「い、いや。むしろそのままでいい。齧らないでもうゆったり舐めてやってくれ」
やよい「……? わかりました、じゃあゆっくりあじわっちゃいますーっ!」ニパッ
P(うん、そう……そうだよな。この笑顔が俺の知ってるやよいだ……でも)
やよい「うっうー! バナナなんてほんとうにひさしぶり……ごめんねみんな……」スッ
P(家族に内緒で自分だけ食べるっていうのに後ろめたさを感じてるのか……憂いを帯びた背徳的な表情が……)
やよい「んあっ……んちゅぅ……んっ……」
P(小さな口に……大きなバナナをほおばって一生懸命舐めている……!)
P(齧って減ってしまわないように……細心の注意を払ってるのがわかる……ベロを突き出してバナナを舐めてる)
やよい「んちゅっ……あっ、すじが……んっ……」
P(バナナの表面の繊維がはがれてきたのを舌で舐めとっただと!?)
やよい「んっ……やっぱりあまいです……おいひい……」ニコッ…
P(普段は太陽のように明るい笑顔が、どことなく淫靡な雰囲気をまとってる……!)
やよい「おいひぃ……んふっ……あっ……ん、ちょっとかじっちゃいました……」
P(残念そうな表情……普段ならすぐさまフォローにはいるがこの状況でのその表情はむしろ……)
やよい「……ん、もっとゆっくり舐めないと……なくなっちゃいそうです……」
P(アカン)
P(お……普通に、かじるのか? そうだよな。こういうのは……)
やよい「あー……んぐっ……ぢゅっ……んんっ……」
P(奥の方までくわえやがっただと!?)
やよい「んふぅ……んんんっ……んぷっ……」
P(何故だやよい! なぜそのままバナナを前後させてるんだ!)
やよい「ん……んぐっ……んぁっ……あっ……けほっ」ジュルッ
P(そしてなぜ自分の喉を突いてるんだ、やよい!?)
やよい「ぷはぁっ……口の中が……とっても甘くておいしい……」ニコォ…
P「」
バナナ舐めても美味しくねえだろ
やよい「はわっ……ど、どうしたんですかプロデューサー?」
P「やよいは、やよいだよな?」
やよい「え、えーっと……わ、私は高槻やよいですよ……?」
P「うん、そうだよな? そうなんだよな?」
やよい「は、はい……?」
P「いや……そのだな。バナナはいつもそうやって食べるのか?」
やよい「そ、そうです……変でしたか?」
P「いや、むしろ……じゃなくてだ。なんであんな……なぁ?」
やよい「えーっと、かじっちゃうとすぐなくなっちゃうかなーって……」
P「いや、まぁそれはわかる。わかるが……その、舐め方とかがだな……」
P「変というか……その……なぁ?」
やよい「……ダメ、ですか?」
P「いや、ダメじゃない。ダメじゃないんだけどな? その……」
やよい「えーっと……よくわかんないですー……プロデューサー」
P「なんていうかな……その……あー!」
やよい「じゃあ……プロデューサーがお手本をみせてください」スッ
P「え?」
やよい「あの……私がなめてるのが変ならお手本を見せてもらえばだいじょうぶかなーって……」
P(目の前に突き出されているのは、やよいのよだれでべとべとになっているバナナ)
やよい「あっ……私がなめちゃったのはいやですか……?」
P(若干不安そうにこちらを見つめるやよい)
P(アカン)
やよい「家族みんなでわけることもあるからだいじょうぶです。プロデューサー……」
P「おう……あ、あのな……やよい……」
P(やよいのよだれでぬらぬらと光を反射してるバナナ……これは……)
P「バ、バナナの正しい舐め方はだな……」
P(あとちょっとで……間接キス……!)
やよい「は、はい……」
P(担当アイドルに見つめられながら、直前までアイドルの舐めてたバナナを舐める……これは罰ゲームなどではない)
P(御褒美という言葉ですら足りない……そう、天恵……!)
P「こう……だな……」
ガチャッバターン
真美「ただいまー! あーもう! 超つかれた→!」
P「ふぁっ!?」
真美「あれあれ兄ちゃんとやよいっち、なにやってんの→?」
真美「……え?」
P「あ、いや……」
やよい「私の舐め方が変みたいだから教えてくれるって……真美?」
真美「兄ちゃん……なにやってんのさ」ジトー
P「ち、違う! そうこれは違うんだ!」
やよい「真美も舐める? 甘くておいしいんだよ?」
真美「バナナはかじるもんっしょー……やよいっち……」
P「い、いや違う! バナナは実は舐めたほうがおいしいんだ!」
真美「えっ、そうなの?」
やよい「はわっ、それははじめてきいたかも……」
P「唾液に含まれる酵素で分解されることで糖度が増してだな……」
真美「そうだったんだ……別にバッチくはないの?」
P「大丈夫だ、唾液には抗菌作用もあるからな。全く問題ないぞ」
P(真美にまで……その、これを教えてアレな感じになるのもなんだし……)
P(悪いがこの場をどうにか離脱しないと……そうだ)
P「……あぁ! やよい、大変だ!」
やよい「はわわっ!? どうしたんですかプロデューサー!」
P「大変な用事を思い出した、ついてきてくれ!」
やよい「わ、わかりましたーっ!」
P「あっ、バナナはもったままでも大丈夫だ」
やよい「は、はいっ!」
ガチャ バタン
真美「ちょ、ちょっと兄ちゃん……いっちゃった」
真美「バナナ……なめたほうがおいしいって……ホントかな……?」
真美「えっと……よだれで甘くなるっていってたし……全部をなめたほうがいいのかな?」
真美「んべ……ん。 ゼンゼン甘くないよ……なめてたら甘くなるかな? んー……」
やよい「あの……プロデューサー、それで用事って?」
P「あ、あぁ。さっき電話で確認したら勘違いだったよごめんな?」
やよい「えーっ! それじゃあ事務所にもどるんですかー?」
P「いや……まぁちょっと一息入れてもいいんじゃないかな」
やよい「……そうですか?」
P「うん。ほら……バナナの舐め方の話とかでもしよう」
やよい「わかりましたー! あの、プロデューサー」
P「ん、どうした?」
やよい「プロデューサー用のバナナも、実はさっきもってきちゃいました」スッ
P「あ、あぁ……なるほど、ありがとう。やよいはかしこいなぁ」ナデナデ
やよい「えへへ……」
P「……まぁ、こうゆっくり舐めてみたりだな」
やよい「こうれふか……?」レロッ
P「あ、あぁ……後は舌に力を入れて少しだけ削いじゃうとかもありか」
やよい「……んっ、おいひいれふ……ぁっ……でもこれだとすぐなくなっちゃいそうかなーって……」グイッ
P「まぁ、基本はこんな感じだろうな……おおむねのテクニックは身についたか?」
やよい「はいっ! ありがとうございますプロデューサー!」ニパッ
P(俺は……こんな天使のようなやよいをだましていったい何をしてるんだろうか……)
P「あぁ……やよいは筋がいいぞ。一流のペロリストにだってなれるさ」
P(俺は……)
P「……なぁやよい」
やよい「なんですか?」
P「バナナを舐めて食べるのはな……」
やよい「プロデューサーのおかげでおいしい食べ方がよくわかっちゃいました! ありがとうございますーっ!」
P「いや……やよい。あれだけバナナを舐めて食べる方法を教えておいていうのもなんだが」
やよい「……? どうしたんですか?」
P「普通バナナは舐めて食べたりしない!」
やよい「はわっ!?」
P「あれはなんとなく言ってみただけだ」
やよい「なめたほうがバナナはおいしいって……」
P「あれは嘘だ」
やよい「そ、そんなぁ……どうして……」
P「やよい……いいか、今のやよいの食べ方はな……」
やよい「お行儀が悪かったんですか……?」
P「いや、純粋にエロかった」
やよい「はわわっ!?」
やよい「……えっちにみえたんですか?」
P「あぁ、あんなの人前でやっちゃいけないってレベルにな」
やよい「いっぱいおしえてくれたのに……」
P「それは……まぁ、見てて楽しかったというか、よかったというかさ……」
やよい「……へぇー、プロデューサー」
P「……?」
やよい「プロデューサーも、ヘンタイさんなんですね……?」
P「ん……まぁ確かに……って、え? 『も』ってなんだ?」
やよい「こういうことです……!」
P「んんっ……!? あまっ……これって」
P(やよいが舐めてたバナナ……!)
やよい「わ、私だって……家族以外にたべかけをあげたりなんてしませんよ?」
P(やよいの唾液まみれでところどころ薄く歯形がついてるバナナまじうまい)
やよい「でも……プロデューサーにならいいかなーって……」
P(やよいのちっちゃな歯形がついてる部分を舌で舐めるとまるでキスしてる錯覚すら覚える)
やよい「だからバナナならちょっとわけるっていうだけで変じゃないと思って……」
P(乾きかけの部分からはやよいの身体の奥底のにおいがする。甘いようなすっぱいような)
やよい「だけど、バナナをなめるのは変だったなんて……私はずかしいですーっ……」
P(そして何よりやよいの唾液まじ甘い。メープルシロップとかはちみつとか比べ物にならない。ホットケーキにかけたい)
やよい「でもでも、プロデューサーもヘンタイさんなら私……その……」
P「……ん?」
P「!?」
P(鼻の頭を舐められただと!? こんなおじんを舐めてなんになるっていうんだ! 甘くはならんぞ、態度以外!)
やよい「わ、私は……変ですか? 好きだと……なめちゃいたくなってくるんです……」
P「……へ?」
P(好きだと舐めたい? なにが? 俺をなめた? おいしそうだからかな? カニバリズム?)
やよい「長介も、浩太郎も、浩次も、浩三も、かすみも……でも」
やよい「やっぱりプロデューサーをなめたいんです……」ギュッ
P「やよ……い……?」
やよい「ん……」ペロッ
P「うおっ!?」
やよい「プロデューサーの耳、おいしい……」
P(なんだこれ)
やよい「プロデューサーを……もっと、なめたいんです……もっともっと……」
やよい「ぷろでゅうさぁ……んっ……」ペロッ
P(キスはしてこないけど顔中唾液まみれだぞ!? いや、まぁご褒美だけど)
やよい「んん……んちゅっ……」
P(舌でおしてきたり、顔をなでたり……さっき教えた通りの……)
やよい「んー……ぷろでゅうさぁ……」
P(こんな……こんな……)
P「やよいが実はエロかったなんて……」
おわり
こっからじゃねーのか!!
P(さんざん舐められて、やよいが満足した風になったから家にまで送ったよ!)
ガチャッ
P「うーす、おはよう……ん? はやいな真美」
真美「うん、あのね兄ちゃん」
P「どうした? ……あ、昨日のことならだな」
真美「真美、バナナうまく舐めれるようになったんだよ……みてて……」スルッ
P(アカン)
本当におわり
これ以上書いてるとたぶんPがPを舐めたりするミスが大量に増えるので勘弁してください
ここからもりあがるぜー! って思っても頭が働かんのよ。おやすみ
Entry ⇒ 2012.06.07 | Category ⇒ アイマスSS | Comments (0) | Trackbacks (0)
真尋「ニャル子を無視し続けたらどうなるか」
真尋「大体ニャル子が原因でいままで事件に巻き込まれてきたし、土日の間くらい強行的に無視したら何も起きないんじゃねえかな…」
真尋「大丈夫、2日くらい、土日くらいなら何も起きないはずだ、無視すれば何とか休めるはず、明日起きたら決行だ」
真尋(・・・・・・目が覚めたはいいがやばくね、これ無視できなくね、ツッコミいれないとキス・・・されてしまう・・・)
ガチャ
クー子「……少年、おはよう・・・・・・もうご飯だから早く起きて、私お腹すいた」
真尋(よし、なんか知らんがナイスだクー子)
ニャル子「チッ、クー子も来ましたか仕方ないですね、さぁ真尋さん起きてくださいな」
真尋「おはようクー子、先いっといてくれ」
クー子「・・・・・・うん」
ニャル子「あれれ・・・つれないですね真尋さん、おはようございます」
真尋「さてご飯ご飯」
ハス太「はい、シャンタッ君、にんじんだよっ」
シャンタッ君「みーみー」
真尋(相変わらずこの小動物コンビは心が癒されるなぁ、ニャル子もこれくらいとは言わないがクー子くらいに落ち着いて・・・はいないか、まぁ静かにしてくれればいいのに・・・)
頼子「おはようヒロ君、さぁ朝ごはんは準備できてるから」
真尋「ありがとう、母さん、いただきます」
ニャル子「今日は私もご一緒にお手伝いさせて頂きましたからね、どれを作ったか当ててみてくださいな」
クー子「・・・・・・それはききづてならない、少年のお母さん、いただきます」
頼子「はーい」
ニャル子(おかしいですねぇ、いつもならこのあたりで「今度はいったい何の宇宙生物をつかったんだー」とかツッコミがはいるんですがねぇ)
ニャル子(まぁ最近色々ありましたし、疲れてるんでしょうかね)
ニャル子「おーっと待ってください真尋さん、幻夢郷行きましょう、温泉とか如何ですか、ここにチケットがあるんですけど」
真尋「ゲームするから部屋に戻っとくね」
ニャル子「えー温泉行きましょうよ温泉、英語でいうとホットウォーター」
クー子「・・・・・・少年、私も久々に一緒にゲームやりたい」
真尋「ん、そうか、別にかまわないぞ」
クー子「・・・・・・ありがとう少年、愛してる」
真尋(こいつもなんか段々僕に対する好意のレベル上がってないか、まぁいいか、妹みたいなもんだし)
ニャル子「なーんか怪しいですねぇ、まさかクー子と・・・?」
ニャル子「あの二人どーも怪しくないですかねぇ、真尋さんに至っては私がキスを迫ったらとっさに起き上がってフォーク突き刺すレベルでしたのに」
ニャル子「そして何よりあの愛しのツッコミスキルがまったく発動されません、これは一体・・・」
ハス太「うーん、でもなんか北極行ったり宇宙に意識ある状態で行ったりしたし、疲れてるんじゃないかなぁ」
ニャル子「それにしたって変ですよ、やっぱり、ちょっと覘いてきます」
ハス太「だめだよ、ニャル子ちゃん!覘きなんて・・・ああでも真尋君の部屋、たまには入りたいかも、僕も一緒に行くよ」
ニャル子「そうと決まれば善は急げです、いきますよハスター君」
ハス太「ああっ、待ってよニャル子ちゃん」
クー子「・・・・・・少年はRPGが好きって言ってたけど、RPGは2人じゃできない、残念」
真尋「いやいや、流石に2人でやるもんじゃないだろう」
クー子「・・・・・・MMORPGなら2人どころか6人くらいざらに協力プレイできる」
真尋「さり気なく僕をネトゲ廃人の道に導かないでくれ」
クー子「・・・・・・ネトゲを馬鹿にしてはいけない、少年、この繋がりはなかなか深い・・・・・・」
真尋(そういえばこいつのネトゲ仲間はどうしてこう便利な人ばかりなのだろう、宇宙で人気のケーキ屋の店員やってたりするし)
真尋「まぁネトゲはまた今度な、この中にあるのから適当に選んでくれ」
クー子「・・・・・・協力プレイ、最近じゃネットでつないだ顔も知らない人ばっかりだったから2人で並んでやるのもいい」
真尋「といっても僕も最近あんまりゲームやる暇なかったからな、高校生でなんだかんだ忙しかったし、余市とどこかに行くことも多かったし」
ニャル子(なにやらいい感じですねあの二人・・・)
クー子「・・・・・・じゃあ少年、この赤い帽子かぶったパーティやろう」
真尋「あれ、協力プレイじゃなかったのか、いやまぁ別にいいけど」
ニャル子「ちょっと会話の内容ききとれませんねぇ、宇宙盗聴器を私の部屋から取ってくるべきでしょうか」
ハス太「僕が空気操ってききとりやすくするよ」
ニャル子「つくづくチートキャラですね、ハスター君は・・・ってあー!あの二人キスしてませんか!してませんか!」
ハス太「おちついてニャル子ちゃん、ばれちゃうよ・・・」
ニャル子「キーー、突入しますよハス太君、ダイナミックエントリー」バキッ
ハス太「ちょ、ニャル子ちゃん!」
真尋「ああコラ、ハス太、ドア壊すなよ」
ニャル子「ああ、すいませんつい早合点で、すいません、今すぐ直しますんで、クロックアップして直しますんで許してください」
ニャル子「ってあれ?」
ハス太「えーっとえーっと、うんごめんね真尋君」
真尋「ああ、うんまぁ用がないならたまにはゆっくりしたいからあんまり騒がしくしないでくれな」
ニャル子「真尋さーん?真尋さん?おーい、おーい、あれ真尋さん?」
ハス太「う、うん・・・」
ニャル子「どーにも腑に落ちませんねぇ、私もしかしてステルスモードにでもなってるんでしょうか、ハスター君、私のこと見えてますよね」
ハス太「うん、見えてるよ、どうかしたの?」
ニャル子「いや、億が一にもありえないことなんですけど、真尋さん私の事スルーしてません?」
ハス太「気のせいじゃない?」
ニャル子「いやこれもしかして気のせいじゃないかもですよ、私なんて大体土属性なんていわれてますからねぇ」
ハス太「いきなりどうしたの?」
ニャル子「フンッ、風属性はいいですよ、思いっきり主人公ポジじゃないですか、あのクー子の奴にしたって炎属性でバリバリ目立ちまくりですよ」
ニャル子「おかしいんですよ、主人公の私が土属性なんて、地面とか岩とかどうしてあんな微妙なポジションが多いんですか」
ニャル子「序盤で攻撃力と耐久もっててちょっといいポジなんて思わせて起きつつ、中盤にでてくる速い敵に翻弄されてやられるかませポジで落ち着くじゃないですか」
ハス太「ちょっと何いってるかわかんないんだけど・・・」
ハス太「え?何の話?」
ニャル子「いやなんでもありません、フルフォースフォームが不評なはずありませんよ・・・私が一番テンションあがる格好なんですから、格好よさ満点ですよ」
ニャル子「とにかく、今の状況、逆に使わないとだめですね、真尋さんがいつまで無視できるか逆にもてあそぶチャンスですよ、我慢比べです」
ハス太「えーっと、協力しないと・・・だめ?」
ニャル子「当たり前田のクラッカーに決まってるじゃないですか」
珠緒「あーもしもし?ニャル子ちゃんどうしたの?どこか甘いものでも食べに行く?それともまた八坂君が何かやらかした?」
ニャル子「いえ、そのちょっと倦怠期みたいなもので、刺激がほしいんですよ、何かいい案ありませんか、反応の鈍くなった彼氏が燃え上がるようなこう、何か」
珠緒「んーー、そうだねぇ、じゃあたまには緩急つけてみたらどうかな?」
ニャル子「緩急ですか?具体的にはどうすれば?」
珠緒「いつも押せ押せだしたまにはこう、控えめに行ってみるとか」
ニャル子「なるほど、わかりました、ありがとうございます、ニャル子いっきまーす」
珠緒「うん、がんばってねーおあついの期待してるよー」ブチッ
ニャル子「さて行きますか、真尋さんの部屋に」
クー子「・・・・・・A連打しすぎて爪が・・・・・・」
真尋「宇宙でもその連打方なのか?アクセル弁当使えよ」
クー子「・・・・・・あれは大事なときだけしか使わない、使いすぎると体から灰がでる」
真尋「ん、ああそうなのか・・・まぁどうせその設定もどこかに放り投げるんだろう?」
クー子「・・・・・・少年はいつまでも細かいことまで覚えすぎ、そんなだと女の子に嫌われる」
ガチャッ
ニャル子「・・・」
真尋「・・・」
マンマミーヤ
クー子「・・・・・・ニャル子?」
ニャル子(どうしましょう、何も考えてませんでした、引くってどういうことなんですかねぇ)
ニャル子(で、何で服ひっぱってるんでしょうかね私は・・・これだから喪女とかネタにされちまうんでしょうか)
ニャル子「クッ、一時撤退です」スタスタ
マンマミーヤ
クー子「・・・・・・少年?イージーミスなんて珍しい」
真尋「いや、大丈夫、ちょっと集中力が途切れただけだ」
ニャル子「だめです、珠緒さん、引くってなんですか、万有引力の中心にでも成ればいいんですか?」
珠緒「えーっと、何?バミューダ?」
ニャル子「いや、すみません取り乱しました、とりあえずいつもと違う感じでせめて見ましたけどうんともすんともいいませんでした」
珠緒「うーん、じゃあもういつもどおりやるしかないんじゃないかなぁ」
ニャル子「そんなぁ、今戦争中ですよ!相手に計画ばれたまま作戦開始なんて下の下です」
珠緒「っていわれてもなぁ、どうして八坂君はあれでコロリと言っちゃわないのか不思議だよ」
ニャル子「そうですよねえ、不思議ですよねぇ、私の体のどこに不満があるんでしょうか」
ニャル子「もしかして胸控えめのほうが好きなんですかねぇ」
珠緒「えーっと、私はどうリアクションとれば、小さいほうからは何も言えないんだけど」
ニャル子「大丈夫、私は光の角度で大きさの変わる胸のニャルラトホテップです、すいません、もう一度仕掛けてきます、また電話しますそれではアデュー」
珠緒「・・・切れちゃった」
ハス太「えーっと何をすればいいの?」
ニャル子「ちょっと胸小さくするので、クー子と同じくらいになったら教えてくださいな、客観的な判断で」
ハス太「うん、いいけど、どうして?」
ニャル子「いやもしかしたら真尋さんが貧乳好きかもしれないじゃないですか」
ハス太「それじゃあ僕にもチャンスが」
ニャル子「いやそれはないですね、流石にそれはまずいでしょう色々」
ハス太「・・・グスン」
ハス太「ああ、うんストップ、それくらいだと思うよ、がんばって・・・はいシャンタッ君、にんじん」
ニャル子「さて次はどうせめましょうかねぇ」
クー子「・・・・・・8コイン差、私がこのまま勝つ」
真尋「なーにこのミニゲームで勝てば逆転だ」
ニャル子「まっひろさーん、いつもニコニコあなたの隣に這い寄る混沌あなたの嫁ですよー」
ニャル子「えい」
ニャル子(さぁ、あなたの大好きな(たぶん)ナイチチですよ、どうですか、たまらんでしょう)
・・・
真尋(うん・・・?なんかいつもより硬いな、ちょうどクー子にヘッドロックかけられたときのような感触・・・)チラッ
クー子「・・・・・・少年余所見してる場合じゃない、羨ましい、そこ代わって」
真尋「ああ、いや別にそういうわけじゃ・・・」
真尋(いかんいかん、思い出して赤面してる場合じゃない)
ニャル子(もしかして本当に貧乳好き・・・?まじですか・・・ナンテコッタイ)
スタスタバタン
真尋「え、いつそんな約束・・・」
クー子「・・・・・・1億年と2000年前に決めた」
真尋「ハァ、別にいいけどさ、プリンくらい」
クー子「・・・・・・それにしても少年はおかしい、ニャル子と何かあった?」
真尋「いや別に、たまにはゆっくりしたいから面倒なことに巻き込まれないように無視してみたらどうなるかなって」
クー子「・・・・・・そう、じゃあそれで愛想付かされたらニャル子は本格的に私の本妻、もちろん少年は愛人」
真尋「あーはいはい、じゃあ次別のやろう」
珠緒「ええ!?そうなの?」
ニャル子「なんか嬉しそうですね」
珠緒「き、気のせいだよ、それでどうするの?」
ニャル子「とりあえず真尋さんとクー子がラヴコメをはじめる前に阻止したいです、断固阻止」
珠緒「んー、でも邪魔すると邪険に扱われかねないしなぁ、やっぱり誘惑するしかないんじゃないの」
ニャル子「といわれてもなんだか今日は、真尋さん私の事をスルーしようとするんですよ、もしかして放置プレイかと思ったんですけど」
珠緒「放置プレイ・・・?なにそれ」
ニャル子「すみません何でもないです」
ニャル子「私もその手の経験は皆無ですからなんとも」
珠緒「んー、あ、そうだ、知人の人にどうやって迫ったか聞いてみるね、ちょっと切るね」
ニャル子「あーはい、すいませんね」
トゥルルルル
クー音「はい、もしもし、師匠どうしたんですか」
珠緒「あーあの悪いんだけど、好きな人が他に好きな人がいるって言ってたけど、あのときってどうしたの?掘り返すようで悪いんですけど」
クー音「あ、あの件はちょっと思い出したくも・・・えーっと素直に負けを認めて・・・グスン」
珠緒「あーごめんね、本当ごめん、ありがとう、じゃあまたね」ブツッ
クー音「どうして私が虚弱貧弱無知無能の人間に負けなければ・・・」ブツブツ
ニャル子「最初から負けなんて認めませんよ、何度だって這いよってやります」
頼子「えーっと、ニャル子さんはなんだか忙しそうね、ハス太君、2人呼んできてくれない?もうお昼だから」
ハス太「はーい、いこっシャンタッ君」みー
真尋「ああ、うんわかった、いくぞクー子」
クー子「・・・・・・少年、また負けたから何か条件足す」
真尋「あーわかったわかった、いいから早く行くぞ、飯食ってる途中で考えろ」
クー子「・・・・・・少年のお母さんのご飯はやっぱりおいしい」
頼子「そう?ありがとう、おかわりもあるからね」
シャンタッ君「みーみー」ガツガツ
ニャル子「真尋さんがクー子と・・・いやまだ放置プレイの可能性も」ブツブツ
ハス太「にゃ、ニャル子ちゃん・・・?怖いよ・・・?」
クー子「・・・・・・少年、思いついた、私にプリンあーんして」
ニャル子「はああああああ?」ガタッ
クー子「・・・・・・何、ニャル子、これは少年が負けたから罰ゲーム、ついでに少年の分のプリンもくれる約束」
ニャル子「いやいやそうじゃないでしょう、それは不公平でしょう、私もまだ片手で数えるほどもしてもらってませんのに!」
クー子「・・・・・・罰ゲームは絶対、安価と同じくらい絶対、これは宇宙の真理」
ニャル子「やっかましいですよ!大体おかしいんですよなんで真尋さんはクー子とばっかりおいしいイベントするんですか、私にだってたまにはくださいよ!」
真尋「まぁそれくらいなら別にいいか」
ニャル子「」
クー子「・・・・・・かまわない」
真尋「あーん」
クー子「・・・・・・うん、おいしい」
ニャル子「くううううううううう」ギリギリ
ニャル子「覚えときなさいよ!」ダッ
ニャル子「珠緒さん・・・クー子の強さで私が泣いた・・・」
珠緒「どうしたの?ニャル子ちゃん」
ニャル子「すみませんこっちの話です、ちょっと真尋さんが強敵すぎます、目の前で私以外との甘々イベントまで見せ付けられました」
ニャル子「この屈辱、あのポケモンもらいにきた女の時以来ですよ」
珠緒「え、ポケモン?」
ニャル子「すいませんそれもこっちの話です」
珠緒「うーん、それじゃあちょっと一緒にどこかでお茶しない?一回頭冷やしたほうがいいよ」
ニャル子「そうですね、ええ、七森喫茶店で、ええわかりました、すぐ行きます」
真尋「おまえも結構はずかしいことさせるのな」
クー子「・・・・・・少年のお母さんごちそうさま、少年、ゲーム続きしよう?」
頼子「はい、お粗末様、ひろ君もあんまりニャル子さんのこといじめちゃだめよ?」
真尋「あーはいはい、別にいじめてないってば、行くぞクー子」
ニャル子「こんにちは珠緒さん、またバウムクーヘンとラムレーズンですか?」
珠緒「ニャル子ちゃんもどう?」
ニャル子「いえ、遠慮しておきます、私は普通に何か冒涜的な炭酸飲料でも」
珠緒「それで、八坂君はどうなの?電話越しだとニャル子ちゃんよりクー子ちゃんのほうに気があるみたいにとれたけど」
ニャル子「珠緒さん、もしかしてエスパーか何かですか?」
珠緒「いや自分で言ってたよ・・・ニャル子ちゃん・・・」
珠緒「フォーク?それって刺さるものなの?」
ニャル子「すいませんなんでもないです、それはおいといて、今日は完全スルーなんですよね」
ニャル子「で、あの電話の前に抱きついたときはまぁ少しは反応してくれたんですけど」
珠緒「うーん・・・」
珠緒「じゃあやっぱり、夜這いしかないんじゃないかな、流石に何らかのリアクションとるでしょ」
ニャル子「あーでも朝、お目覚めのキスしようとしたら軽く回避されたんですよ」
珠緒「だからこそだよ、八坂君が寝た隙にこっそり入っちゃって突っ込みを入れさせればニャル子ちゃんの勝ちってことで」
珠緒「うん、じゃあそれで、それでもだめなら明日もどうせやることないし電話してね」
ニャル子・珠緒「「ぐっへっへっへ」」
真尋「なんかよからぬこと考えてないだろうかニャル子の奴」
クー子「・・・・・・少年?」
真尋「いやなんでもない」
ハス太「あ、あれ?」
ニャル子「どうしたんですか、ハスター君、あなたまで紅王症候群ですか、ボスなら今頃無限に死に続けてるはずですよ?」
ハス太「え?え?ああごめん」
真尋「じゃあおやすみ母さん」
頼子「ちょっとまって、寝る前にムスコニウム補給させて」ダキッ
真尋「もういいでしょ、今度こそおやすみ」
頼子「尋君おやすみなさい」
ニャル子「さてとりあえず部屋に戻りますかね」
クー子「・・・・・・ニャル子、一緒に寝よ?」
ニャル子「あんたはさっさと自分の部屋で寝なさい!」
クー子「・・・・・・グスン」
真尋「zzz」
ニャル子「ニッシッシ、明日が楽しみです、おやすみなさいマイダーリン」
クー子「・・・・・・そうは問屋が卸さない、ニャル子・・・」
ニャル子「真尋さん、今お腹の子が動きましたよ」
ニャル子「真尋さん・・・」
ニャル子「真尋さん・・・」
真尋「うわああああああああああああああああああ夢にでやがったあいつうううう」
真尋「ってか暑いななんだこれ、まだ6月だってのに、ああもう朝か、完全に目が覚めてしまった」
真尋「っておいクー子何やってんだ、この暑いのはおまえのせいか」
クー子「・・・・・・少年が寝相で襲ってくれるのを期待したのに、残念、少年はToloveれない」
真尋「何の話だ、まぁいいやとりあえず顔洗ってリビング行こう」
ニャル子「・・・」
ニャル子「改心の作戦だったのにこれじゃあ無視だとかそういう以前の問題じゃないですか、完全に気づかれてないじゃないですか」
ニャル子「あ、ちょっとひっかかって出れないですねこれ」
ニャル子「・・・どうすれば真尋さん元に戻ってくれるんですか・・・」
クー子「・・・・・・ニャル子が特撮タイムに起きてこないのは珍しい、起こしてくる」
真尋「ああ、うん任せた」
真尋(にしても昨日はなかなかゆっくりできたかもしれない、あいつ等来てから初じゃないかこれ)
真尋(あいつら常に這い・・・もといハイテンションだからなぁ休むときはしっかり休んでほしいものだ、また風邪でも引かれたら困るし)
クー子「・・・・・・いない」
<ガタン
クー子「・・・・・・どうしてニャル子が少年の部屋で布に絡まってるの?食べていいの?」
ニャル子「だめにきまってんでしょーが、ちょっと手を貸してくださいな」
クー子「・・・・・・私のせいにしないでほしい、ニャル子はもっと引くことを覚えるべき、遊びじゃないんだよ」
ニャル子「けっこれだからネトゲ廃人の言うことは・・・引くこと?」
クー子「・・・・・・ニャル子はがっつきすぎ、少年は疲れてる」
ニャル子「あんたが人の事言えるんですか、一日中真尋さんとゲームしてたじゃないですか」
クー子「・・・・・・そうじゃない、少年は優しいからなんだかんだで危険も承知で宇宙なんかまで付いてきてくれている」
クー子「・・・・・・たまには休ませてあげるべき」
クー子「・・・・・・何の話?とりあえずご飯たべよう、もうすぐあれが始まる」
ニャル子「そうですよ、真尋さんも大気圏突破したときくらいもうちょっとテンション上がってもいいもんですよ、宇宙キターくらいノリノリで言ってくれてもいいじゃありませんか」
クー子「・・・・・・うん、いつものニャル子に戻った」
ニャル子「おはようございます真尋さん」
真尋「n」ピクッ
真尋(あぶね)
ニャル子「まーだ放置プレイ続行ですか、かまいませんよ、一日くらいなら待ちますから」
真尋(放置プレイってなんだよこいつ、あんまり堪えてないのか)
真尋「母さん、ご馳走様、ちょっと変な夢みてよく眠れなかったからちょっと寝てくる」
頼子「あんまり食べてすぐ横になるのはだめよー?」
真尋「ごめんごめん、30分くらいは寝ないから」
真尋(それにしても最近余市とも遊びにいってないな、たまにはあいつとも遊びたいけど、また気を使うだろうし、どうなんだろう)
真尋「zzz」
クー子「・・・・・・どうしたのニャル子、少年は私の愛人、ニャル子は本妻」
ニャル子「だーかーらそれですよ、それ、真尋さんは私のものですー誰にもこれっぽっちもあげたりしません」
クー子「・・・・・・ニャル子が悪い、ニャル子が私のものにもっと早くなっていれば少年に興味はわかなかった」
ニャル子「そんなのお断りです、誰があんたなんかに貰われますか」
クー子「・・・・・・ニャル子は欲張り、やっぱりがっつきすぎ」
ニャル子「・・・私だって駆け引きの仕方を知ってればこうはなりませんよ、大体おかしいじゃないですか、なんで私がこの中で一番扱いひどいんですか」
ニャル子「言うようになりましたね、本妻の余裕ですか」
クー子「・・・・・・本妻はニャル子」
ニャル子「埒があきませんね、私は結局どうすればいいんですか」
クー子「・・・・・・私は添い寝されればそれでいい、たぶん少年もそれでいい」
ニャル子「そんなうまい話があるもんですかねぇ」
ニャル子(結局やってることはひたすら夜這いじゃないですかこれ)
真尋「zzz」
ニャル子「寝ている顔も格好いいですよね、本当・・・」
ニャル子「ではちょっと失礼して」
ニャル子「だからこんな風に突き放したんですよねつれない態度だったんですよね、謝ります」
ニャル子「ではおやすみなさい真尋さん・・・」
真尋「んーそろそろ起きるか・・・ってニャル子、なんでこいつ添い寝してやがるんだ」
ニャル子「んー真尋さんごめんなさい、ごめんなさい、真尋さん」
真尋「ん・・・」
真尋「にしてもこの体勢ちょっとまずいな離れられない」
真尋「おい、起きろニャル子」ユサユサ
ニャル子「んん、おはようございます、真尋さん」
真尋「いいからとりあえず離れろ」
ニャル子「!」
真尋「はやくしろ」
真尋「なんだそのテンションは」
ニャル子「ああ、いえいえ、なんでもないです」
真尋「それより早くこのホールド状態解除してくれ」
真尋(非常にいかがわしい絵になってそうだ)
ニャル子「あ、すみません、えへへ」
ニャル子「それでーその・・・どうして無視したりしたんですか」
真尋「う、あーそのあれだ、うん、おまえがなんか話す度に妙なフラグ立てやがるから、しゃべらなければ何もおきないかなって、その・・・」
真尋「僕も最近色々あって疲れたから、まぁたまにはゆっくり自分の部屋で休みたいかなって」
ニャル子「・・・クー子の言ったとおりじゃないですか、なんですかそれ・・・」ブツブツ
真尋「え?なんだって?」
ニャル子「うう・・・グスン」
真尋「おい、ニャル子?」
真尋「おいだから泣くなって」
ニャル子「すいませんすいません」
真尋「ほらティッシュ」
ニャル子「チーン」
真尋(なんだか台無しな気がする)
ニャル子「大体真尋さんが貧乳好きだなんてことにも今まで気づかずにこんなに胸まで盛っちゃって」
真尋「は?」
ニャル子「は?」
ニャル子「だっておかしいじゃないですか、唯一反応したのがあの時なんですもの」
真尋「いやごめん、意味わかんない」
ニャル子「えー・・・じゃあ大きいほうが好きなんですか?」
真尋「うっ・・・いや普通そういうこと聞くか?」
ニャル子「言わないなら今からでも二人で混浴温泉いきますか?真尋さんの好みのサイズになるまで調整しますよ」
真尋「だぁもうわかったよ・・・・大きいほうが好き・・・だと思う・・・」
真尋「普通逆じゃないか?僕恥ずかしい思いしただけじゃないか」
ニャル子「私だって結構はずかしいんですよ、ええ、恥ずかしいついでにひとつです」
ニャル子「納得いかないので私にも食後にプリンあーんしてください」
真尋「なんだそういうことか・・・わかったよ、やればいいんだろ、ほらもうちょうどお昼だし、下いくぞ」
ニャル子「ふふ・・・はーい」
真尋「ぐ、あ、あーん」
ニャル子「あーん、モグモグ、おいしいですね、真尋さん」
真尋「あああああ冷静になってみると結構恥ずかしいなこれ」
クー子「・・・・・・少年、ずるい、私もニャル子にあーんってしたい」
ハス太「僕も真尋君にあーんってされたい」
ニャル子「ふふ・・・真尋さん・・・」
真尋「なんだよ・・・」
ニャル子「なんなら今からでも子作りしますか!もう恥ずかしいついでにどこまでも行きましょう!」
ニャル子「久々にでぃーっぷなキスでもかまいませんよ!ええ、バッチコイですよ真尋さん!」
ニャル子「・・・真尋さん?あのちょっと・・・真尋さん?ねぇ、ちょっとなんでフォークだしてんですか、さっきまでスプーンだったじゃないですか」
ニャル子「ええーっとすいません調子乗りすぎましたー!」
真尋「ニャル子おおおおおおお」
ニャル子「ぎゃあああああ」
終わり
良いものを見せてもらった
ニャル子がだんだんおかしくなっていくのも見たかったけど
この終わり方もニャル子っぽくて好き
面白かった
Entry ⇒ 2012.06.06 | Category ⇒ ニャル子さんSS | Comments (1) | Trackbacks (0)
さやか「甘えんぼの親友」
まどか「ねね、さやかちゃん」
さやか「んー?」
まどか「これから何か予定ある? よかったら帰りにどこか寄り道したいなぁ」
さやか「あ…ごめんまどか、今日も用事があって…」
まどか「…上条君の、お見舞い?」
さやか「そんなとこかな、あっはは…」
まどか「むー」
さやか「本当にごめんね、この埋め合わせは今度必ずするからお許しをまどか様」
さやか「さすがまどか、心が広い!」ダキッ
まどか「っ!」カァァ
まどか (近い、近いよさやかちゃん)
さやか「おっとこうしちゃいられない」パッ
まどか「あっ…」
さやか「じゃあねまどか! 帰り道気を付けるんだよー!」タタタ
まどか「う、うん! じゃあねー…」
まどか「…………はぁ」シュン
まどか (またか…もう)
まどか「あ、仁美ちゃん」
仁美「どうかなさったのですか? 酷く落ち込んでいるように見えますが…」
まどか「うん…聴いてもらっていいかな?」
仁美「勿論ですわ」
――
仁美「つまり、最近構ってもらえないということですの?」
まどか「うん…前まではよく遊びに行ってたんだけど」
まどか「上条くんが入院してからは全然なの」
仁美「そうなのですか…」
仁美「ふふ、本当にさやかさんがお好きですのね」
まどか「えっ、いや、その…あぅぅ」カァァ
仁美「とってもお似合いだと思いますわ」
まどか「や、やだなぁ仁美ちゃん…そういうのじゃないってば」テレテレ
仁美「わたくし、真剣に応援しますわ」
まどか「だから違うってばぁ」テレテレ
仁美「本当ですの?」
かっこよくて、頼れる子で、面倒見よくてね、
しかもとっても優しくて…勇気があって、
でもたまに失敗して、それでもすぐ立ち直って。
いつもみんなの中心にいてみんなを笑わせてくれる、そんなすごい子なの…
だからさやかちゃんは、わたしの憧れなの…」
まどか「…さやかちゃん///」
仁美「ふむふむ…」キマシキマシ
仁美 (このご様子だと…自覚するのも遅くないですわね)
まどか「はぁーぁ…」ボフッ
まどか (…今度っていつなんだろ)
まどか (あ、でもさっき抱きしめられちゃった…てぃひひ)
まどか (さやかちゃん、いい香りだったな)
まどか「………」
まどか「さやかちゃん…」
まどか (一緒にお茶したり、お洋服みたり…)
まどか「ティヒヒヒ、待ちきれないよー///」ゴロゴロ
ゴンッ
まどか「あいたた…」
まどか「…」
まどか「明日、誘ってみようかな…」
まどか「おやすみ、パパ」
知久「おやすみ、まどか」
・
・
・
ガチャ
パタン
まどか「ふぅ」
まどか (寝る前に声が聴きたいな…)
まどか (でももう22時だしさやかちゃん寝ちゃってるかな)
まどか (起こしちゃったらどうしよう、でも…)
まどか「…」ポチポチ
prrrr… prrrr…
まどか (ちょっとだけ、ちょっとだけならいいよね)
まどか「…こ、こんばんは」
さやか『どしたー?』
まどか「あの、あのね、今日の宿題なんだったかなーって…」
さやか『あーちょっと待ってて』
まどか (ごめんねさやかちゃん、実はもう終わってるんだけど…)
さやか『お待たせ』
まどか「あっ、ごめんね」
まどか「うんうん」
さやか『もうテンパりまくちゃっててさ』
まどか「それでどうなったの?」
さやか『それがなんと――』
まどか「あははっ」
まどか「ううん、大丈夫だよ」
さやか『あと今日は悪かったね、せっかく誘ってもらったのに』
まどか「わ、わたしから急に誘ったんだし気にしなくていいよ」
さやか『ありがと。にしてもやっぱやっさしいなー! まどか大好き!』
まどか「…っっ///」
まどか「あ……ぅ、うん…おやすみなさい…」
プツッ
まどか「~~!」ゴロゴロ
まどか「さやかちゃんが、さやかちゃんが、好き、って」
まどか「えへへ、えへへへ…///」
まどか「嬉しいな…嬉しいよ…」
まどか「」ハッ
まどか「もしかして、わたし…」
まどか (さやかちゃんに…)
――
「ふふ、本当にさやかさんがお好きですのね」
――
まどか「…」プシュー
まどか「わ、わたし…わたし…」
通学路
まどか「…」チラッ
さやか「?」
まどか「!」フイッ
さやか「…?」
まどか「…///」
仁美 (まどかさん、初々しいですわ…!)
仁美「わたくしは存じ上げておりませんわー」ヒソヒソ
さやか「怪しい…怪しすぎる…」ヒソヒソ
仁美「とりあえずいつものようにするのが一番ですわ」ヒソヒソ
さやか「いつも…か。よし」
さやか「まーどかぁー」
まどか「ど、どうしたの?」
まどか「ひゃっ!」
さやか「んーやっぱりまどかは気持ちいいですなー」サワサワ
まどか「やっ…さやか、ちゃっ…///」
さやか「ここがええんかー?」
まどか「っ!」ビクッ
さやか「ほらほら、仁美に見せつけちゃおうぜーあたしたちの仲を!」
まどか (息が、首筋に…)
仁美「あらあら、うらやましいですわ」
まどか「も……やめっ、んんっ…さやかちゃぁん…」カァ
さやか (なにこの色っぽいまどか)
モブ「さやかー! 任せたよ!」
さやか「おっけー!」
さやか「…はっ!」バシッ
ダーーンッ
ワーーッ
まどか (さやかちゃん、すごい…!)
モブ「さっすが!」
さやか「いぇーい!」
パンッ
まどか (いいなぁ、ハイタッチ)
さやか「まどか! そっちいったよ!」
まどか「え?…きゃっ!」バンッ
モブ「大丈夫、まどかちゃん?」
まどか「ごめんね、失敗しちゃった」
さやか「まどか! 大丈夫?」
まどか「ありがと、大丈夫だよ」
さやか「ほら、手出して」
まどか「?」
パンッ
さやか「へへ、ドンマイドンマイ!」
まどか「…うんっ!」
仁美「いいですわね…色々な意味で…」
さやか「はぁーー張り切りすぎた」
仁美「さやかさん大活躍でしたわね」
まどか「すごかったね、さやかちゃん」
さやか「もうこりゃ次の授業はダメだね、たはは」
仁美「あら、それはいつものことですわ」
さやか「うぐっ…仁美がいじめる」
まどか「てぃひひっ」
仁美「まったくですわ」
さやか「こんな時学校ってめんどくさいよねー」
まどか (でもわたしはさやかちゃんと会えるから…えへへ)
さやか「よっし少しゴロゴロしますか」
仁美「あら、それならまどかさんのお膝が空いてますわ」
まどか「えぇ!?」
さやか「お、いいねぇ」
仁美「まどかさん…頑張れ、ですわ」ボソッ
まどか (仁美ちゃん!?)
――
―
仁美「ふふ」
さやか「あー楽ちん楽ちん」
まどか「さ、さやかちゃんってば///」
さやか「なんか久しぶりだね、こういうのって」
まどか「そう…だね」カァァ
まどか (頭、撫でていいのかな…)
さやか「あれまどか、顔赤いよ、大丈夫?」
まどか「た、体育の後だから暑くって」
仁美 (わたくしはそっと立ち去りましょう、あとは頑張れですわまどかさん!)
まどか (さやかちゃん可愛い…)
まどか (わたし…やっぱりさやかちゃんが好き…)
まどか (もっとわたしを見てほしいな)
まどか (ううん…さやかちゃんとお付き合いしたい)
まどか (これがわたしの気持ち…だよ、さやかちゃん)
まどか (でもさやかちゃんは上条君のことが…)
まどか (やっぱり……わたし、変だよね…)
まどか (女の子が女の子を好きになるなんて…)
まどか (やっぱりこの気持ちは伝えられそうにないよ…)
まどか「あ、おはようさやかちゃん」
さやか「おはよー…そろそろ教室戻るかー」
まどか「うん、そうしよっか」
まどか (でも、気持ちは伝えられなくても…)
まどか (せめて、さやかちゃんの側にいたいよ)
まどか (さやかちゃんの特別になれなくてもいいから、時間を共有したいな)
さやか「まどかー」
まどか「!」ドキッ
さやか「寄り道、しよ」ニコッ
まどか「う、うん!」
さやか「よし! あたしアイス食べたいな、あのお店行かない?」
まどか「わたしも…行きたいな」
さやか「へへ、ほらほら早く行こ」グイッ
まどか「きゃっ引っ張らないでよぉさやかちゃん」
まどか「……えへへ///」
仁美 (応援してますわ、まどかさん!)
まどか「んー…苺のアイスにしようかな」
さやか「うし、それじゃバニラと苺のアイスを一つづつください」
店員「かしこまりました、二つで660円となります」
まどか「えーっと340円…」
さやか「これでお願いします」つ1000円
店員「1000円からでよろしいですか?」
さやか「はい!」
まどか「わ、悪いよさやかちゃん」
さやか「いーっていーって!」
まどか「本当にいいの?」
さやか「いいのいいの、まどかが喜ぶのが見たいんだから」
まどか「…あ、ありがと」カァァ
まどか (さやかちゃん…)
まどか「でも、何かお返ししたいなって」
さやか「うーん…それじゃ、あたしの金がない時にジュースでも奢ってもらおうかな、へへ」
まどか「…うん、約束するね」ニコッ
さやか (まどかは優しいなぁ)
さやか「まどか、一口ちょーだい」
まどか「うん」
さやか「ん…やっぱりここのストロベリーはうまいねぇ」
まどか (さやかちゃんの食べた跡…)ゴクリ
さやか「あたしのもはい」
まどか「そんな、悪いよぉ」
さやか「遠慮しないでほれほれ」
まどか「う、うん、それじゃあもらうね」
まどか (さやかちゃんの食べかけのバニラ…)
まどか「…」カァァ
まどか (どうしよう、意識しちゃうよ)ドキドキ
まどか「あ…えへへ、もらうね」
まどか「んー…」
ペロ…
さやか「どう?」
ペロ、レロ、レロ、レロ…
まどか「ん、おいひい…」
さやか「…」ゴクリ
レロ…ジュル…
さやか (な、なにこのなんとも言えない感じ…)
まどか (さやかちゃんと間接キス…)
まどか (反対側も…)
さやか「ちょ、まどかストーップ!」
まどか「ふぇっ!?」ビクッ
まどか「あ、ご、ごめんね」
さやか「ふふー、まどかのもう一口もらうよん」
さやか「あ、ここ溶けかけてるよ」ペロペロ
まどか (間接キス、しちゃった…)
さやか (最近のまどかってなんか色っぽいな…)
さやか (表情っていうか、仕草っていうか)
さやか (あ、これはもしかして、もしかしなくても)
さやか「ねね、まどか」
まどか「ん…なぁに?」
さやか「まどかって、誰かに恋…してる?」
まどか「…?」
まどか「…!?」ポロッ
ベチョ
まどか「きゃっ」
さやか「あっ」
まどか「つ…冷たいよぉ」
さやか「あーあー…こりゃひどい」
まどか「ど、どうしよう…」
―
さやか「よし、これで乾燥機を使えば夜までに乾くはず」
まどか「ごめんねさやかちゃん…」
さやか「気にすんなって! 失敗は誰にでもあるから」
まどか「うん…」
まどか (さやかちゃんのお家…久しぶりだな)
まどか (そういえば上条君が入院して以来、かな)
さやか「とりあえずお茶飲む?」
まどか「うん、ありがと」
まどか「…えっ?」
さやか「実際いるんでしょ? 好きな人」
まどか「…………ぅ…うん…」カァァァ
さやか「やっぱりねん」ニヤニヤ
さやか「どこのどいつかは知らないけど…まどかはあげたくないな、あっははは」
さやか「でもさやかちゃんとしてはちょーっと気になっちゃいますよ」
まどか (ここで言っちゃう? いやでもさやかちゃん困っちゃうだろうし)
まどか (でもここで言わなかったらいずれ…上条君と付き合っちゃうよね)
まどか (でもこの気持ちは本物だもん…嘘じゃないもん)
まどか (わたし、さやかちゃんが好きなんだもん…!)
まどか (でも…さやかちゃんに拒否されたら怖いよ…やだよぉ…)
まどか「……うぅ…」
まどか「ううぅ…あぁぁぁぁぁ…」ポロポロ
さやか「ちょ、まどか!?」
まどか「ごめん…さやか…ちゃっ… ひぐっ、ぐすっ…あぁぁぁぁ…」
さやか「お、落ち着いて、まどか」ヒシッ
まどか「さやか…ちゃん…!」ダキッ
さやか「ごめんね…無理に聴いちゃったりして」
さやか「あたしが無神経だった…ごめん」
さやか「え…?」
まどか「わたし、うっ、変、なの……おかしいの…!」
さやか「そ、そりゃー恋すると情緒不安定になるしそれが普通だよ」
まどか「………叶わない、恋なの」
さやか「…そんなの、ありえないよ!」
まどか「そう…だもんっ……う…うああぁぁぁぁん…!」
さやか「大丈夫、まどかは可愛いもん! 愛らしくていい子だし! あたしが保障するよ!」
さやか「もっちろん!」
まどか「それ、なら…わたしのことも、愛してくれる?」
さやか「…? あたしはまどかを愛してるけど…」
まどか「あの、その……」
まどか「っ……恋人、として」
さやか「!!」
さやか「ま、まどか…もしか、して」
まどか「うん…わたし、わたしはね」
まどか「さやかちゃんが…好きなの」
まどか「あっ…あの、ええと、わたし、だからね」
まどか「えーーっと…///」
さやか「…何も言わないでいいよ、まどか」ギュッ
まどか「ご、ごめんね…もう心がいっぱいいっぱいなの」
さやか「まどかみたいな可愛い子があたしなんかを…」ナデナデ
まどか「き、気持ち悪いよね、わたし」
さやか「好きって気持ちに男女は関係ない、って仁美も言ってたし、あたしもそう思う」
まどか「でも、でも…」
さやか「すっごく嬉しいよ、まどか」
まどか「……さやかちゃん…!」ギュッ
さやか「落ち着いた? まどか」
まどか「もうちょっと…このままでいい?」
さやか「ん、いいよ」
まどか「ん…大好き…大好きだよ…」
さやか「て、照れるなぁ///」
さやか「そ、そうかなー?」
まどか「ずっとこうしてみたかったんだ」
さやか「まどかは甘えんぼだねぇ」
まどか「さやかちゃんが好きなんだもん」
さやか (なんだろう、この気持ち)
まどか「もっとぎゅーってしてほしいな」
さやか「お、おう…りょーかい」
さやか「何を?」
まどか「さやかちゃんが上条君を好きなこと」
さやか「えっ!?」
まどか「ティヒヒ、ばればれだったよ」
さやか「ま、参ったなぁ」
まどか「ちなみにクラス全員知ってるよ」
さやか「まじか」
さやか「…」
まどか「でもね、いいの。さやかちゃんに気持ちを伝えられたから…」
まどか「わたしはただ、こうやって一緒に過ごしたかっただけなの」
さやか「あたしは――」
まどか「あっ、言わないで…」
さやか「…っ」
さやか「うん、いいよ」
まどか「これからも、わたしと親友で…いてくれる?」
さやか「もちろん!」
まどか「あ、あと…たまにぎゅーって抱っこしてくれる?」カァァ
さやか「ふふ…さやかちゃんはしつこいぜぇ…」
まどか「…うぇひひひ///」
さやか「へへっ」
まどか「あと…わたしからも、抱っこしたいなって」
さやか「まどかわがままー」
まどか「さやかちゃんに似たんだよー」
さやか「なにおう!? …でもまあ、まどかの元気が戻ってよかった」
まどか「心配かけちゃって、ごめんね」
さやか「まどか…もうあんたって子は…」
さやか「あははっ」
さやか「…」
さやか「まどか…はっきりさせておくね」
まどか「うん」
さやか「あたしはまだ、まどかへの気持ちが分からない」
さやか「恭介も…まどかの言うとおり、好き…かな」
まどか「うん…」
さやか「でもね、あたし思うんだ」
まどか「なにを?」
さやか「まどかを可愛がりたいって」
まどか「…」カァァ
さやか「それにいい反応してくれるし」
まどか「もう…ひどいよさやかちゃん」
さやか「それに触り心地抜群だしね、あっはは」
まどか「……もっと、触ってもいいんだよ」
さやか「おおう…まどかさん本気の発言ですな」
まどか「…………」
さやか (ど、どうしよう)
まどか「なーんて、冗談、だよ」
さやか「……も、もうまどかったら…そういうのうまくなりやがって」
まどか「ティヒヒヒ」
さやか「あたしをからかう子にはーこうだ!」
まどか「あっ、やっ、あははっ、くすぐったいよぉ!」
さやか「ははははー」
まどか (さやかちゃん…ありがと)
学校
仁美「それで、結局まどかさんとはお付き合いしませんの?」
さやか「んーまーそうなるかなー」
仁美「でも今さやかさんに抱っこされてるのは…」
さやか「んーまーそうですねーはい」
仁美「まぁ、これはこれでありですわ」
まどか「えへへぇ///」
まどか「やだー」
さやか「もう30分たったじゃん」
まどか「ウェヒヒ、延長ね」
仁美「わたくしも同意見ですわ」
さやか「ちょ、仁美まで」
まどか「さやかちゃん、さやかちゃん」スリスリ
さやか「もう…全く可愛い奴めー」ナデナデ
おわり
読んでくれた方ありがとおやすみなさい
乙…
まどさやのまどかの切なさは良いね
Entry ⇒ 2012.06.06 | Category ⇒ まどかマギカSS | Comments (0) | Trackbacks (0)