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玄「彼女居ない歴0年です!」
玄「彼女居ない歴0年です!」
穏乃「うん、知ってるけど」
憧「冬にその格好は無いでしょ」
穏乃「え?ちゃんと防寒してるよ」
穏乃「手袋もマフラーもしてるし」
憧「それの前にもっと重要なところ防寒しようよ!」
憧「足とか見てて超寒い!」
穏乃「でも着込むと動き辛くなるし……」
玄「霜焼けとかしちゃうよ?」
穏乃「私そういうのは平気だから大丈夫!」
憧「信じられない……でもよく考えたら小学生からそうだった……」
穏乃「あ、12月といえば玄さん!」
玄「なに?」
穏乃「クリスマスイブの日って暇ですか?」
憧「麻雀クラブの子達とクリスマスパーティーする事になったんだよね」
穏乃「私と憧がサンタとトナカイやるんだー!」
憧「もう皆サンタとか信じてる年じゃないけど盛り上がりそうだし」
玄「多分大丈夫だと思うよ」
穏乃「やったー!」
憧「でも本当に良いの?」
玄「なにが?」
憧「だって折角のクリスマスイブだよ?」
憧「千里山の人と一緒に過ごさないの?」
穏乃「あ、そっか」
玄「……どうかな」
憧「え?予定とか話し合ってるでしょ?」
玄「ううん」
憧「何で!?」
玄「何でって言われても……話題に出なかったし」
玄「してないよ。普通に仲良しだもん」
憧「じゃあ誘ってみれば?」
玄「でももう予定入ってるかもだし……」
穏乃「とりあえず聞いて玉砕とか」
憧「玉砕したらダメでしょ……」
憧「でもしずの言うことにも一理ある」
憧「クリスマス会はダメだったらで良いし、一度聞いてみなよ」
穏乃「クリスマス会は朝から晩までやってるから、いつ来ても大丈夫!」
玄「うん……」
玄(あれからもう3ヶ月経ってるんだよね)
玄(一応名目上で恋人になってもらってるけど……)
玄(毎日メールや電話してるしお休みの日も時々一緒に遊びに行ったりもする)
玄(これ、普通に仲の良いお友達って感じだよね)ムムム
玄(本当の意味での恋人だったら躊躇無く誘えたりするんだけどなあ……)
玄(あの時は何も考えてなかったけど、考えると凄い微妙な関係だよ)
玄「文面どうしよう……?」
玄「普通に24日あいてますか?とかでいいかな」カチカチ
玄「送信っと。ふう……」
玄「断られたら断られたらですごいショックだよ!」
ブブブ……ブブブ……
玄「あ、メールきたかな……って電話?!」
ピッ
竜華『もしもし玄ちゃん?』
竜華『突然電話してもうてごめんなー』
玄「いえっ、全然大丈夫ですっ」
竜華『クリスマスの事なんやけどな?玄ちゃんその日開いてるん?』
玄「一応聞いてから埋めようかなって思ってたんですけど……」
竜華『午前中はちょっと用事あるから無理なんやけど』
竜華『午後からは予定入れてへんから、玄ちゃんがええなら一緒に過ごそー』
玄「え、良いんですか?」
竜華『どこ行くとかまだ決めてへんやろ?それちょっと話そうかー』
玄「はい!」
……
ピッ
玄「……ビックリ」
玄「OK貰っちゃった!」バタバタ
玄「午前中はクリスマス会に参加できるし!」
玄「クリスマスを2人で過ごすって如何にも恋人ってかんじ!」
玄「……まあ実際は違うんだけど」ハァ…
玄「ってことで午前中なら行けることになったよ」
憧「そう?良かったー……」
穏乃「みんな玄さん来れないかもって聞いたときのテンションの下がりっぷり凄かったよね」
憧「ほんとほんと」
玄「あはは、ちょっと嬉しいかも」
穏乃「玄さんの分のトナカイもあるから安心して下さいね!」
玄「え……私もやるの?」
穏乃「大丈夫大丈夫。玄さんにもきっと似合うから!」
玄「私もサンタさんが良かったなー」
憧「あー、ほら。玄の名前的に黒いサンタって不吉だから」
穏乃「え、そうなの?」
憧「そうそう。あくまで迷信だけど」
玄「うーん、残念かも」
憧「メリークリスマース!」
ギバ子「サンタさんだあああああ」
綾「もうそういう歳でも無いけどね」
穏乃「ケーキ開けようケーキ!」
憧「まだ始まったばっかだから!」ビシッ
晴絵「いやー、懐かしいなこの面子」ハハハ
灼「何で私まで……」
晴絵「あれ、麻雀部といえば宥の姿は見えないけど?」
灼「そういえば」
玄「あ、お姉ちゃんなら朝から居ないんです」
晴絵「何?……あいつ抜け駆けでもしたのか」
憧「もしかして白糸台の人と?」ヒソヒソ
玄「うん、多分 」ヒソヒソ
ひな「まだ私たちには早いお話の様子ー」
穏乃「ケーキ食べたいケーキ!」
ギバ子「ケーキ!」
憧「その前にプレゼント交換します!」
晴絵「ふっふっふ、私のが当たった奴は当たりだぞー?」
灼「社会人なのに学生よりしょぼいプレゼントは無いと思……」
ワイワイ オカネノカカッテルヤツガイイナー アカドサンノキニナルー
穏乃「私のは何かなー?」ワクワク
晴絵「お、玄のやつが私のじゃないか」
憧「晴絵のプレゼントって何よ」
玄「これ……本ですか?」ガサゴソ
晴絵「ふふふ、開けてみ?」
玄「えーっと……麻雀入門?」
晴絵「値段張ったんだぞー?」
晴絵「いやー、チビッ子どもにあげるつもりだったんだけどさ」
綾「え、そんなのもういらないよー!」
灼「微妙……」
穏乃「部室に常備すればいつか使えるかも!」
晴絵「あ、あれ?そんな微妙だったかな……」ションボリ
玄「あれ灼ちゃん?」
灼「特に思いつかなかったから」
ギバ子「やったあああああ」
ひな「私もボーリングしたい所存ー」
憧「お小遣いの少ない小学生にはお宝か」
晴絵(素直に図書券とかにしとくんだった…… )
玄「あ、それ私のプレゼントだよ」
憧「え、しず当たりじゃん」
晴絵「玄の手作りか?」
玄「はい。一応みんなの分も持ってきたのでプレゼントの意味無くなっちゃうけど……」
ギバ子「憧ちゃんのはー?」
憧「ふっふっふ」
憧「今からサンタさんのプレゼント争奪麻雀をします!」
玄「あ、だから交換に加わって無かったんだ」
穏乃「うおおおおお」
灼「結局麻雀なんだ」
憧「晴絵みたいに微妙なやつじゃないから安心してね」
晴絵「言ってくれるな」
灼「でも麻雀だと私達有利すぎだとおも……」
晴絵「ふふ、どーれ。久しぶりに本気出しちゃおうかなー?」
灼「大人げな……」
ギバ子「憧ちゃんのプレゼントだああああ」
……
穏乃「ロン!6400!」
晴絵「ぐああああ!」
憧「ねえ玄」ヒソヒソ
憧「もう行かなくて良いの?時間じゃない?」
玄「あ、もうそんな時間なの?あっという間だったよ」
憧「適当に言っといてあげるから行きなよ」
玄「ごめんね憧ちゃん。ところでプレゼントって結局何だったの?」
憧「あー、夢の国のペアチケットだよ」
玄「そんな高いやつ大丈夫だったの?」
憧「お姉ちゃんから貰ったやつだから平気平気」
玄「打算って?」
憧「小学生組がペアチケットなんて貰っても微妙でしょ?ていうか縛りしてたって多分私達の誰かが勝つし」
玄「憧ちゃん何だかせこいよ……」
憧「賢いって言って。ま、私が勝ったら玄にあげるから行ってきなよ」
玄「え、悪いよ」
憧「何なら宥姉のほうにあげてもいいし。ほら、時間だよ」
玄「う、うん」
玄(映画とかならまだしも、夢の国なんてハードル高いよー……)トボトボ
……
玄(約束の20分も前に来ちゃった……)
玄(いや、でもこれは電車とかが止まったりするかもしれないことを見越して来ただけであって)
玄(というか憧ちゃんが急かしたのもあるしっ)
玄(楽しみすぎて早く来たとかそういうことではないのです!)ウン!
ピトッ
玄「わひゃ!?」
竜華「だーれだー?」
竜華「あったりー」
竜華「早く来すぎたなあとか思ってたんやけど、玄ちゃんが居たからビックリしたわ」
玄「あ、え、えっと、これは電車の遅延とかを見越して来たらですね……」アタフタ
竜華「あー、今日雪降るとか言うてたしな」
玄「そう、そうなのです!」
竜華「何や、私と同じかなー思ってたのに。残念」
玄「へ?」
玄「!」
玄「あ、あの、私も、」
竜華「まあでも予定より早く会えたってことで結果オーライやんな」
竜華「早いけど、もう行こか?」
玄「はい……」
玄(私のバカ……素直に楽しみだったって言っておけば良かったのに……)ションボリ
竜華「さて、映画館に来たわけやけど」
玄「なに見るか決めてませんでしたね」
玄(今話題の恋愛小説ものとー、長編ファンタジーの一作目)
玄(あとなんか口コミで有名になったホラーに、女の子向けアニメのやつか……)
玄「何か見たいものとかあります?」
竜華「特に決めてきてないからなあ。今やってる映画も把握しとらんかったし」
竜華「玄ちゃん決めてええよ」
玄「じゃあえーっと」
>>60
玄「このホラーとかどうですか?」
竜華「玄ちゃんホラー好きなタイプなん?」
竜華「うちも怖いもの見たさでよく見るんよ」
玄「そうなんですか?」
玄(実はあまり好きじゃないんだけど……)
玄(所詮作り物だし……うん大丈夫大丈夫)
玄「口コミで有名になったらしいので、みんなそれで来たのかも」
竜華「クリスマスにホラー見るとか物好きやんなー」ハハハ
玄「それ、私達もですよ」
玄(大丈夫大丈夫)
……
「○○が行方不明?」
「どうしよう……絶対あれの仕業だよ!」
玄(始まったばかりなのに……)
玄(ううう……既に怖いよぅ……)ビクビク
ドタン!バタン! キャーーー!
「何今の悲鳴……」
「もうこんなところ居られない!私もう帰るから!」
「あ、今行ったら……!」
玄(やっ、やっぱり違うやつにしとけば良かったよーーー)ギューッ
玄(竜華さんは……?)チラッ
竜華「」ジーッ
玄(映画に見入ってる……)
玄(も、もう目を開けられない……)
「誰か、誰か居ないの!?」
「扉が開かない!!」
「ね、ねえ……あんたの肩……」
ピトッ
玄(わひゃあっ!?)ビクゥッ!!
竜華「うわっ」
玄(あ、い、今の手竜華さんのか……)
竜華「玄ちゃん大丈夫?」ヒソヒソ
玄(竜華さんはずっと見てたし、途中で出るのも悪いよね……)
玄「まだ大丈夫です……」ビクビク
竜華「そんならええけど……」ヒソヒソ
竜華「あ、じゃあ手繋ご」ギュッ
玄「え?」
竜華「実を言うと私もかなり怖いねん」アハハ
玄(……多分嘘だよね……)
玄(でもこれならまだ大丈夫かも……)
ザワザワ チョーコワカッタネー
竜華「めっちゃ怖かったなあ」
玄「今日の夜、私寝れないかも……」
竜華「最近はホラー系でハッピーエンドって見いひんもんな。今回のもそうやし」
竜華「あれきっと続編出るで」
玄「怖かったけど、続きは気になりますね」
竜華「そしたらまた一緒に見に行こか?」
玄「うっ」
玄「今度は違うやつ見ましょう!」ウン!
玄「どうしたんですか?」
竜華「いや、あれ玄ちゃんのお姉ちゃんやない?」
玄「え?あ、ほんとだ……」
竜華「また奇遇やんな?あの子らも映画見るんかな」
玄「そりゃここに居るんですし……」
竜華「どうする?話しかける?」
玄「うーん……」
>>75
竜華「そうする?おーい」
菫「!」ビクッ
宥「あ、玄ちゃん……」
玄「お姉ちゃん達も映画だよね?」
宥「うん……」
菫「」ダラダラ
竜華「?」
宥「えっとね……」
菫「ゆ、宥!もう時間だぞ!」
宥「え?あ、ほんとだ人入ってる……」ワタワタ
宥「ごめんね玄ちゃん」
玄「ううん楽しんでね」
玄「……結局何見るんだろう?」
竜華「それなら入り口の前に書いてあるんやない?」テクテク
玄「イメージ的にファンタジーのあれじゃないですか?」
竜華「あー、弘世さんに恋愛もののイメージ無いからなあ」
竜華「あ、でもギャップでそうやったらおもろくない?」
玄「それもそうですね。それにお姉ちゃん、恋愛系割とよく見るし」
竜華「2人が入ったんはあそこか。えーっと」
竜華「……プリキュア?」
玄(物凄いギャップだーーー!)
竜華「きっと小学生くらいから見とったんやな」
玄「そうですよね多分」
玄(最近お姉ちゃんが日曜日に早起きするなーと思ってたら……)
玄(これ見てたのかな?菫さん、お姉ちゃんに付き合って見てあげてるんだ。凄い)
竜華「意外なもん見たわあ……」
玄「大分外暗くなっちゃってますね……」
竜華「あの映画結構長かったしな」
玄「それに日が暮れるのも早くなったし……」
竜華「春が待ち遠しいなあ」
竜華「玄ちゃん、この後どっか行きたいとかある?」
玄「いえ、特にないですけど……」
竜華「そんなら、ちょう行きたいところあんねん」
玄「あ、それ雑誌で見たかも」
竜華「見に行かへん?ずっと見に行きたかったんやけど」
竜華「1人で見に行くのってめっちゃ寂しいやん?」
玄「私も見たいです!」
竜華「良かったー……。大分歩くけど平気?」
玄「田舎で歩きなれてるので!」
玄「……くしゅっ」
竜華「大丈夫?ちょう曇ってきたからなあ」
竜華「風邪引かんように温かくせんと……」
玄「大丈夫ですよ、私健康がとりえなので!」
竜華「そうは言うてもな……ほら」ギュッ
玄「あ……」
竜華「手、めっちゃ冷たいやん」
玄「竜華さんも大して変わらないですよ?」
玄「そこのコンビニでホッカイロとか買います?」
竜華「うーんそれもええけどな」
竜華「手ぇ繋いだら温かいで?」
玄「……どっちも冷たいですよ」
竜華「人肌が一番なんやで?ほら、行こ」テクテク
玄(でも何だか温かいかも)
玄(そういえば、誰かと手を繋いで歩くなんて最後にしたのいつだったかな……)テクテク
竜華「人めっちゃおるなー!さすが有名スポット!」
玄「ごった返してますねー」
竜華「こんだけ人おったらムードも何も無いやんなー?」アハハ
玄(……でも人は確かに多いけど)
玄(みんなカップルだよね……2人で行動してる人が殆どだし)
玄(うう、気持ち的に何か場違い感が……)
玄(表面上だけで、実際は違うし……)ションボリ
竜華「人混みとかあかんかったかな?」
玄「あ、いえ、そういうんじゃなくて」
玄「ちょっと場違い感がですね……」
竜華「場違い……ああ」
竜華「でも平気やろ?うちらも端から見たらカップルみたいなもんやで?」
竜華「手ぇ繋いどるし」
玄(端から見たら、ってだけだもん……)ションボリ
竜華「それ言われると何も言えへんなるわ」
玄「……ほんとにごめんなさい」
竜華「何?」
玄「何か私のつまらない意地に付き合わせちゃって……」
竜華「別に気にしとらんで」
竜華「いや、むしろ嬉しかったかも」
竜華「きっかけはまあ、ちょっと変わってるけどそれでも仲良うなれたわけやし」
玄「……確かにそうですね」
竜華「弘世さんとか、色々面白いもんも見れたしなあ」
竜華「もしかして玄ちゃんと結婚したら弘世さんをお義姉さん呼ばなあかん感じやんな?」
玄「!」
竜華「何かあの人怖いイメージあるから、そうなったら大変やろうなー」
竜華「実際は違うんやろうけど、大体の人は怯んでまうで?」
玄「う……確かにお姉ちゃんはどうやって仲良くなったんだろう」
竜華「世の中不思議な巡り合わせがあるもんなんやなあ」
竜華「あ、ほらイルミネーション見えてきたで」
竜華「綺麗やけど何か電気代気にしてまうな?」
玄「……確かに電気代凄そうですけど…」
竜華「まあそんなん気にしても何にもならんしな?」
竜華「素直にこれ堪能しよ」
玄(もしかしてお姉ちゃん達も映画見たら行くのかな?)
玄「お姉ちゃんとか喜びそう……」
竜華「あ、そういえば寒がりなんやっけ」
玄「はい。いつもは完全防備で……」
玄(……そういえば完全防備じゃなかったよね)
玄(……確かにデートでマスクとメガネは嫌だけど、大丈夫なのかな?)
竜華「玄ちゃん、こっちこっち」グイグイ
玄「え?でもそっち道から外れて……」
竜華「ええからええから」
竜華「もうちょい奥行くと全体が見渡せるんやってー」
玄「そうなんですか」
竜華「もうすぐ着くでー」
……
竜華「おお、確かによう見えるわ」
玄「ほんとだ!」
玄(穴場なだけあって人少ない……急に静かになっちゃった)
玄(それに完全にカップルだけしか居ない……)
玄「そうですね。人混みって案外体力を使いますし……」
竜華「私もそこまで人混み得意なわけやないから」
竜華「ここで休憩できたらなって計算もあったん。綺麗やし」
竜華「まあそれだけやないんやけど」
玄「他にも何かあったんですか?」
玄「それってここからのほうが綺麗とかじゃなくて?」
竜華「元々ここにはここらで有名なジンクスみたいなのがあるって聞いてん」
竜華「あとは願掛けみたいなのも兼ねてかな」
玄「どんなジンクスがあるんですか?」
竜華「ん、まあそれはおいおいな。ジンクスが成立するか分からんし」ボソッ
玄「??」
玄(何だかここに居ると目のやり場に困るような……)
玄(な、何も無いのに緊張してきた)ドキドキ
竜華「……きっかけはどうであれ、仲良うなれて嬉しいって言うたやん?」
玄「え、あ、はい!」
竜華「まだ短いけど玄ちゃんと一緒におると楽しいねん」
玄「それは私も……です」
玄「私もしてますよ?」
竜華「休みの日に遊びに行くんも楽しいしな?」
玄「私も楽しいです」
竜華「まあ、うん、それでそれは玄ちゃんやからやとうちは思うねん」
玄「私も竜華さんだからこんなに楽しいんだと思ってますし」
竜華「……」
玄「……??」
竜華「回りくどいんは駄目やな私」ハハ
竜華「ちゃんと言葉考えてたんやけど、頭真っ白になってもうた」
玄(……ひょっとして、ひょっとする?)ドキドキ
竜華「玄ちゃん」
玄「は、はいっ」
竜華「好きです。付き合って下さい」ペコッ
玄「え、えっと、その、」アワアワ
竜華「今までの名目だけの恋人やなくて、本当の恋人になりたい」
竜華「まだ仲良くなって3ヶ月くらいやし、いきなり好きとか言われても信用できへんかもしれんけどっ」
玄(も、もしかして竜華さんテンパってる?)ワタワタ
竜華「時間とかはこれから埋めていけると思うし、」
玄「……竜華さん」
竜華「いや、これ私が勝手に勘違いしとるだけで玄ちゃんにとっては迷惑やったかもやけどっ!」
玄「竜華さん!」
竜華「」ビクッ
竜華「……うん」
竜華「……それで、返事教えてくれると嬉しい」
竜華「駄目やったら恨むとかそんなん全然無いから、正直に答えて欲しいと思ってる」
玄「竜華さん本当は迷惑だとか思ってないのかなって」
竜華「そんなことないって!」
玄「それで、最初は皆に嘘を通せたことでホッとしてたんですけど」
玄「段々寂しくなってってる自分も居て」
玄「何でなのかなって最初不思議だったんですけど、私、」
玄「……私も竜華さんのこと、好きです」
竜華「……玄ちゃん」
玄「はい、本当に」
竜華「……」ポロポロ
玄「え!?ど、どうして泣いちゃうんですか?」
竜華「あ、これ嬉し泣きやから心配せんとって……」
竜華「ほんまはめっちゃ不安やってん……映画とか見てる時からずっと……」
竜華「人に告白なんてしたこと無いし、断られたらほんまどうしたらええんか分からなくて……」
玄(竜華さんもこうやって泣くんだ……)
玄(……最初に告白するほうが怖いんだもん。当たり前だよね)
玄「私も……ってのはおかしいですね」
玄「えっと……よろしくお願いします」ペコッ
竜華「うん。大事にする……って言い方もおかしいなあ」
玄「……それで一つ聞きたいことがあるんですけど」
竜華「ん?」
玄「ここのジンクスって何ですか?」
竜華「凄いありがちなもんやで?特別なこととか何も無いし」
玄「聞きたいです」
竜華「……ここに来たカップルはずっと一緒で居られるとかそんなん」
玄「そういうジンクス、自分にはずっと無縁なものだと思ってたんですけど」
玄「……何か凄い嬉しいです」
竜華「……うん、そやな。最高のクリスマスプレゼントになったわ」
玄「……ん?」
玄(プレゼント……?)
玄(あーーーー!)
玄(クリスマス会の時に置いてきちゃった!)アワワワ
竜華「玄ちゃん?」
玄「……ごめんなさい竜華さん 」
竜華「……え」
竜華「……それはやっぱりキャンセルとかそういう……」
玄「そういう事じゃなくてですね、プレゼント持ってくるの忘れました……」
竜華「あ、なんや、そんな事か」
竜華「今日、午前中まるまる使おうて探したんやけど見つからんくて」
竜華「せやから気にせんといて?」
玄「……でも……折角だったのに……」
竜華「ふむ」
竜華「そんなら……うーん」ムムム
玄(何で忘れてきたんだろう私……)
竜華「玄ちゃん、念の為に聞きたいことあるんやけど」
玄「何ですか?」
竜華「ファーストキスはまだやっとらん?」
玄「……したことないですけど」
竜華「ああ、そんなら良かった」
玄(……え、もしかして……)
玄「そ、それだと竜華さんはファーストキスじゃないみたいですよ」
竜華「いや、ファーストキスやで?玄ちゃんにとってのプレゼントになるか分からんし」
玄「プレゼントですよ!嬉しいです!」
竜華「そんならええ?」スッ
玄「……で、でも人目があるし」
竜華「元々ここそういう所やし。皆目の前の子ぉに夢中で周りなんか見てないで」
玄「う……」
竜華「玄ちゃん」
玄(どどどどうしよう、緊張して心臓が)バクバク
玄「わ、私も……」ドキドキドキ
竜華「そのうち慣れるとええなあ」
玄「はいっ」
竜華「目ぇ、瞑って?」
チュッ
玄「」
竜華「玄ちゃん」
玄「」ドキドキドキ
竜華「玄ちゃん、もう終わったで」
竜華「せやからキス終わったって」
竜華「でも私も冬なのにめっちゃ体火照っとるわ」フーッ
玄「私も汗かいてます……」
玄(何だか今凄い幸せかも)
玄(何だかんだいって、これは皆のおかげなのかな?)
玄「竜華さん」
竜華「うん?」
玄「これからも恋人としてよろしくお願いします!」
竜華「勿論!」
カン
恋人としてのイチャラブデート編も期待してます
真面目な竜華と玄の恋愛を書いてみたかったんだ
あとこれは宣伝になってしまうが、密かにこのSSの続きとして近いうちに渋のほうに小説上げると思う
乙!
Entry ⇒ 2012.11.19 | Category ⇒ 咲-Saki-SS | Comments (0) | Trackbacks (0)
綾乃「文化祭よ!」 まり「うに~」
綾乃「文化祭よ!」 まり「うに~」
結衣「どうしたの、まりちゃん」
まり「綾乃おねえちゃん……いつ遊びに来てくれるの?」
結衣「まりちゃんは綾乃に会いたいの?」
まり「うん♪」
結衣「うーん、まりちゃんのお願いを聞いてあげたいけど……」
京子「確か綾乃って……今凄く忙しいよな、結衣」
結衣「うん。文化祭がもう直ぐだし、その準備で生徒会は凄く忙しいはず」
京子「だよなー」
まり「ダメ……なの」ショボーン
結衣「うん。あからさまに落ち込んでいるな」ヒソヒソ
京子「だいぶ、綾乃に懐いていたしなー」
結衣「……そうだな」
京子「なぁ、結衣」
結衣「うん?」
京子「まりちゃんを文化祭に招待しようよ」
結衣「文化祭か……なるほど、それは良案だな」
京子「だろ~」
京子「ちょっちまっち」
結衣「なんだ、京子?」
京子「綾乃には内緒にしよう」ドヤ
結衣「……その理由は?」
京子「おもしr――じゃなくて、綾乃への感謝の気持ちを込めたサプライズ企画にしよう」ドヤ
結衣「……まぁ、それならいいか。だけど、私と京子だけじゃ無理だぞ」
京子「まぁ、そこらへんはあかりやちなつちゃんにも協力してもらうさ」
結衣「そうだな。あと、千歳や会長にも協力してもらおうか」
京子「なんだか、楽しくなってきたぞ」ニシシ
結衣「あはは、ごめんね、まりちゃん。一人ぼっちにして」
まり「ううん。平気だもん」
京子「お~、偉い偉い」ナデナデ
まり「えへへ」
京子「そんなまりちゃんにビッグニュース!」
まり「?」
京子「綾乃に会えるようにしてあげるよ、まりちゃん!」
まり「ほんと~?」
結衣「本当だよ、まりちゃん。ただ、来週まで待ってもらうけどね」ニコ
まり「わ~い、綾乃おねえちゃんに会える~」ニパァ
まり「ここがおねーちゃんの学校なの?」
結衣「そうだよ、まりちゃん」ニコ
まり「おお、すげぇ~」ワクワク
結衣「まりちゃんの目、輝いているな」クス
まり「ねえねえ、綾乃おねえちゃんに会えるの?」
結衣「今すぐに、という訳にはいかないけどね」
まり「そうなの?」シュン
結衣「うん。だから、取り合えずはごらく部の部室に行こう」
まり「ごらく部?」
結衣「お姉ちゃんや京子、あかりやちなつちゃんもいるところだよ」
まり「こんにちはー」
あかり「まりちゃん、いらっしゃ~い♪」
京子「お、まりちゃん、来たなー」
まり「きた~」
ちなつ「まりちゃん、久しぶりだね~」
まり「あ、ミラクるんのお姉ちゃんだ」
ちなつ「うう……名前を覚えてくれない」シクシク
結衣「まあまあ、ちなつちゃん」
京子「ちなつちゃん」
ちなつ「……なんですか」
京子「ミラクるんの衣装持ってきているよ!」ニコ
ちなつ「着ませんよ!」
あかり「あ、あかりは着てみたいな~」
あかり(コムケの時は、ガンボーだったし、人間のキャラをやりたいよぉ)
あかり「あ、あかりはスルーされたよ~!」\アッカリ~ン/
まり「……」チラッ
ちなつ「……」
まり(ミラクるんのお姉ちゃん……何だか凹んでいる?)
まり「今日は……」フルフル
ちなつ「……」ホッ
京子「そっか、残念だな~」
あかり「そ、そうだ、まりちゃん」
まり「?」キョトン
まり「そうなの?」
あかり「うん。あ、でも、あかりたちもクラスの出し物の当番があるから、交代交代だけどね」
まり「交代交代?」
結衣「うん。私も京子もあかりもちなつちゃんも、みんなクラスの出し物があるんだよ」
まり「おお~。おねーちゃんの所に行ってみたい」ワクワク
京子「おー、いいぞ。どんと来い!」
ちなつ「私達の所にも来てね」ニコ
まり「うん」
まり「」パチパチ
あかり「まりちゃんは、何処か行きたい所ある?」
まり「えーと、なにがあるの?」
あかり「食べ物屋さんがあったり、ゲーム屋さんがあったり、色々とあるんだよ~」
まり「うにぃ~♪」
あかり「うう……それは流石にないよぉ」オロオロ
まり「うにぃ~」ショボーン
あかり(ま、まりちゃんが落ち込んでいるよぉ)オロオロ
あかり「ふえ~、お姉ちゃんに、ちなつちゃんのお姉ちゃん?」
ともこ「こんにちは、あかりちゃん。あら、その子は?」
まり「……」ギュッ
あかね(くっ、あ、あかりのスカートの裾を握るなんて!)ギリッ
ともこ(ちなつにも、あんな時期があったわね)
まり「!」ビクッ
まり(あのおねえちゃん……なんだか怖い……)ビク
あかり「あ、まりちゃん。あかりのお姉ちゃんと、ちなつちゃんのお姉ちゃんなんだよ。だから、大丈夫だよぉ」ニコ
まり「……そうなの?」ギュッ
あかね(ただ子供があかりに懐いているだけ! そこに、そこに恋愛感情はないはずよ!)
ともこ(あ~、赤座さんはいつ見ても綺麗だわ)
あかり「お姉ちゃん。まりちゃんは結衣ちゃんの親戚の子なんだよぉ」
あかね「……確かに結衣ちゃんの小さい頃にそっくりね」
まり「こ、こんにちは……」
ともこ「こんにちは、まりちゃん」ニコ
あかね「うふふ、小さいのに礼儀正しいのね」ニッコリ
あかり「ところで、お姉ちゃんたちはなんでここにいるの? 今日は用事があるって言ってたよね?」
ともこ「赤座さんと一緒に、ちなつやあかりちゃんの様子を見に来たのよ」
ともこ(でも、これって……赤座さんとのデートみたいなものよね///)
あかね「ええ、二人を驚かせようと思ったのよ」
あかね(勿論、それもあるけど……私の真の目的は、あかりのメイド服姿を見るためよ!)
あかり「そうなんだ~。もう、あかりは驚いたよぉ」ニコニコ
あかね「あらあら。それは成功ね」ニコニコ
あかね「ところで、あかりは今何をしているの?」
あかり「あ、まりちゃんを案内しているんだよねぇ~」
まり「ねぇ~」
あかね(ああ、この二人で『ねぇ~』のポーズは破壊力満点だわ!!)
あかり「そ、そんなことないです」アセアセ
あかね「ふふふ。でも、私も久しぶりに母校をじっくり見学したいわ。だから、また後でね。あかり、まりちゃん」ニコ
あかり「うん。また後でね~、お姉ちゃん」ニコ
ともこ「ばいばい、あかりちゃん、まりちゃん」
まり「ばいばい」
あかり「それじゃー、あかりたちも出発だよ~」
まり「うん」ニギッ
綾乃「でも、みんなの笑顔が見ることができるのなら、ノンノンノートルダムよ!」
綾乃「あら……ひょっとして、迷子かしら?」
花子「まさか、私が迷子になるなんて、思っていなかったし」
綾乃「大丈夫?」
花子「え!?」ビクッ
綾乃「あ、驚かしちゃった?」
花子「だ、大丈夫だし……別に、迷子になっていないし」
綾乃「あらあら、そうなの」クス
花子「あっ」カァー
綾乃「誰か探している人がいるの?」
花子「……姉ちゃんを探しているし」
綾乃「そっか。なら私に任せなさい。これでも私は、生徒会の人間なのよ」ビシッ
綾乃「ええ、そうよ」
花子「あ……だったら、櫻子を知っているし?」
綾乃「櫻子さん? ああ、大室さんのことね……ひょっとして、あなた?」
花子「いつもバカな姉がご迷惑をかけているし」ペコ
綾乃「そ、そんなことないわよ」
綾乃(時々プリンを食べちゃうし、色々困らせてくれるけれど……)
綾乃「大室さんの元気な姿は、生徒会の雰囲気を明るくしてくれるわ」
花子「意外……だし」
楓「花子おねえちゃん」
花子「撫子姉ちゃんに、楓!」
綾乃「家族の方ですか?」
撫子「花子、こちらは?」
花子「櫻子と同じ生徒会の人で……名前、聞いていないだし」
綾乃「生徒会副会長の杉浦綾乃と申します」ペコリ
撫子「これはこれはどうもご丁寧に。花子の姉の大室撫子です」ペコリ
楓「えーと、楓は古谷楓って言うのー」
綾乃「古谷って……ひょっとして、古谷向日葵さんの妹さん?」
撫子「ああ、楓はひま子の妹だよ」
綾乃(ひま子? ああ、向日葵さんだからひま子なのね)
綾乃「ふふふ、楓ちゃんは古谷さんのことが大好きなのね」ナデナデ
楓「うん♪ 大好きなの~」ニッコリ
花子「うう、楓ばかりナデナデされて羨ましいし」
撫子「嫉妬か」ニヤニヤ
花子「ち、ちげぇし!」
楓「花子おねえちゃんにも、ナデナデしてあげてほしいのー」
綾乃「ええ、いいわよ。花子ちゃん、いらっしゃい」
花子「……よろしく、お願いするし」
綾乃「わかったわ」ナデナデ
花子「げぇ、櫻子!?」
撫子「よう、櫻子」
櫻子「あ、ねーちゃんも来てたのか? 暇人だな」
撫子「」プチッ
向日葵「このおバカ! 何を言っているんですの!」
楓「あ、おねえちゃん」
向日葵「楓、いらっしゃい。撫子さんと花子ちゃんもいらっしゃい」ニコ
花子「ひま姉、こんにちはだし」
撫子「相変わらず、ひま子はいい子だね。それに比べて……」ハァ
櫻子「な、なんだよ……その残念な子を見るような目は!」
向日葵「……自覚していないですのね」ハァ
櫻子「?」
櫻子「……なんで来たんだっけ?」
向日葵「……おバカにも程がありますわよ」
撫子「こんなんでよく生徒会役員なんかやっていられるな」
花子「櫻子以外が優秀なんだし」
楓「さ、櫻子おねえちゃんにも、いい所はあるの~」アセアセ
櫻子「うう、楓だけが私の味方だよ」ギュウウウウウ
楓「く、苦しいの~」
綾乃(なんだかんだ言っているけど、本当に仲がいいわね)クス
綾乃(ところで、この二人は何で私のところに来たのかしら?)
まり「綾乃おねえちゃんに会えるの?」ワクワク
京子「あー、ごめん。まだ、無理なんだ」
まり「そうなの」シュン
京子(うわ~、あからさまに落ち込んでいるな)
京子「ま、まずはあかりやちなつちゃんのクラスに行くぞ」
まり「う、うん」
まり「おー」
千歳「あら、歳納さんやないか~」
京子「お、千歳に……」
千鶴「」チッ
京子「千鶴~、ちゅっちゅ~♪」
千鶴「歳納なんたら、てめぇーなg……」
まり「……」ジー
京子「…………あれ?」
京子(いつもなら、ここで千鶴の激しいツッコミがくるはずなんだけど……)
千鶴(くっ、さ、流石に小さい子の前で殴るのは……)チラッ
まり「……」キョトン
千鶴(いくら相手が歳納なんたらとはいえ不味いよな)
京子「あ、この子はまりちゃんって言って、結衣の親戚の子だよ」
千歳「あー、ひょっとしてこの子が綾乃ちゃんが言っていた子なんやね」
千歳(そして、今日のメインの子やね)キラ-ン
まり「メガネのおねえちゃんは、綾乃おねえちゃんを知っているの?」
千歳「勿論やで。綾乃ちゃんは私の大切な友達なんやで」
京子「そういえば、千歳」
千歳「どうかしたんか、歳納さん?」
京子「綾乃はまだ忙しいの?」
千歳「うん、そうやな~。さっき一度生徒会室に戻ってきたけど、また直ぐに出て行ってしもうたでぇー」
千鶴「おい、歳納なんたら」グィ
京子「ち、千鶴……今日は積極的だな」テレテレ
千鶴「勘違いするな」
京子「あはは、分かっているよ。それで、なんだ、千鶴?」
千鶴「あ、あの子と杉浦さんと、どんな関係があるんだ?」
京子「まりちゃんと綾乃の関係か?」
千鶴「……」コクン
京子「えーと、それは……」
まり「綾乃おねえちゃん、大スキ~」ニパァ
千歳「綾乃ちゃんとまりちゃんか……………それはそれでありやで!」ポタポタ
まり「お、おねえちゃん。鼻血がでているよ!」アセアセ
京子「て、ティッシュ、ティッシュ!」
千鶴「姉さん、はい」
千歳「ありがとうな、千鶴」フキフキ
まり「おねえちゃん、大丈夫?」
千歳「まりちゃんも心配してくれて、ありがとうな~」
千鶴「あ、いつものことだから気にしないでね、まりちゃん」
まり「う、うん……」
まり(鼻血を出すことが、いつものこと?)
千鶴(ちょっと困った表情もかわいいな~)ポー
千歳「なんや、歳納さん」
京子「ひょっとして、千鶴は……いや、なんでもないや」
千歳「ん~、多分歳納さんが思っていること、間違いじゃないと思うで」
千鶴「ばいばい」
千歳「ほな、また後でな~」
京子「それじゃー、あかりたちのメイド喫茶に入るぞ、まりちゃん!」
まり「おー」
あかり「お、お帰りなさいませ、お、おじょうさま///」
ちなつ「もう、あかりちゃんってば、そんなに照れなくてもいいのに」
あかり「え?」
ちなつ「だって、京子先輩とまりちゃんだよ」クス
あかり「え、えええええええ!?」
京子「あかり。お出迎えご苦労! って、全く気付いていなかったのかよ」
ちなつ「さっきからずっと照れっぱなしなんですよ」クス
京子「まぁ、あかりらしいといえば、あかりらしいんだけど」クス
ちなつ「そうですね」
あかり「京子ちゃん! ちなつちゃん!」プンプン
まり「なぁに?」
ちなつ「私やあかりちゃんのメイド服姿……似合っているかな?」
まり「えへへ、似合っている」
ちなつ「うふふ、ありがとう」
あかり「ほ、本当? 嬉しいな~」パァー
京子「あかりはかわいいんだし、もっと自信を持ってもいいと思うぞ」
あかり「き、京子ちゃん?」
ちなつ「京子先輩……いたんですね」
京子「ひどっ!」
ちなつ「ふふふ、冗談ですよ、京子先輩」
京子「そ、そうだよ。私があかりみたいに影が薄いなんて有り得ないよな」
あかり「ひ、ひどいよ、京子ちゃん!!」
京子「ははは、冗談だよ、あかり。でも、メイド服が似合っているのは本当だぞ」
あかり「京子ちゃん///」カーーー
ちなつ「どうしたの、まりちゃん?」
まり「京子おねえちゃんはツンデレ?」
ちなつ「言われてみれば、そうかも」
ちなつ(それにしても、まりちゃんはどこでこんな言葉を知ったんだろう)
まり「うーんと、ミラクるんの同人誌でよく出てくる」
ちなつ「……同人誌?」
まり「うん」
京子「ふぎゃん!」
あかり「ち、ちなつちゃん。ぼ、暴力はよくないよぉ」オロオロ
ちなつ「まりちゃんに同人誌を見せるなんて、まだ早いですよ」
京子「??」
あかり「あわあわ」
まり「……早く席に着きたいな」ボソ
あかね「あ~、メイド服姿でおろおろするあかりもかわいいわ」ウットリ
ともこ(赤座さんとデート♪ 赤座さんとデート♪)
まり「うん」コクン
まり「何処に連れて行ってくれるの?」
ちなつ「勿論、結衣先輩のクラスよ!」
まり「おお、おねーちゃんのクラス」ワクワク
ちなつ「それに、まりちゃんが会いたがっている杉浦先輩のクラスでもあるんだー」
まり「おお」キラキラワクワク
ちなつ(結衣先輩の時より、目を輝かせているのが納得いかないけど)
ちなつ「さ、行きましょう」
まり「うにぃ~」
綾乃「気のせい……みたいね。それにしても、今日はてんてこ舞いだわ」
まり「はやく、はやく」
ちなつ「はいはい」
ガラガラ
結衣「い、いらっしゃいませ」
ちなつ「!?」
結衣「ち、ちなつちゃん?」アセアセ
まり「わ~、おねーちゃんのパンダさんかわいいよ~」
結衣「あ、ありがとう、まりちゃん」テレッ
まり「えへへ」
ちなつ「はっ! 結衣先輩、素敵です~~」
結衣「ち、ちなつちゃんもあ、ありがとう」テレ
京子「結衣はさっきから照れまくりだな」ニヤニヤ
結衣「殴るぞ」ボコ
京子「って、もう殴っているぞ、結衣」
京子「トメィトゥ」ドヤッ
まり「……」
結衣「うん、こういう反応が当然だよな」
ちなつ「それにしても、どうして京子先輩だけ野菜なんでしょうね」
京子「それは京子ちゃんが真の主人公だからさ!」
ちなつ「意味が全くわかりません」イラ
結衣「」イラ
まり「あかりおねえちゃんが主人公じゃないの?」
京子「うっ!」
ちなつ「流石の京子先輩も、子供の純真な眼差しには弱いんですね」クス
結衣「そうみたいだな」クス
まり「!?」
ナ、ナンダ、イマノバクハツハ!
ちなつ「……爆発って」タラー
ドウヤラ、リカシツデバクハツガアッタミタイダゾ
結衣「……理科室って」タラー
マタ、ニシガキセンセイガヤッタミタイヨ゙
京子「やっぱり、西垣ちゃんかよ!!」
綾乃「またですか、西垣先生!」
西垣「おお、杉浦か」
綾乃「な・に・が、『おお、杉浦か』ですか!」
西垣「怒るな、杉浦」
綾乃「怒らせるようなことをしているのは、どこの誰ですか!」
西垣「だが実験に失敗はつきものだ」ドヤ
綾乃「だからって、この忙しい時に、実験をして爆発を起こさないでください!!」
西垣「だが断る!」
綾乃「って、そんなに力強く断言しないでください」グッタリ
まり「おねーちゃん、着替えちゃったの?」
結衣「う、うん」
まり「おねーちゃんのパンダさん、とってもかわいかったもん」ニッコリ
結衣「まりちゃんも、ちなつちゃんと同じようなことを言うんだね」
まり「そうなの?」
結衣「まりちゃん、そんなことよりも」
まり(あ、おねーちゃん、話を逸らした)
結衣「お待ちかねの綾乃の所に行こうか」ニコ
まり「わぁーい、綾乃おねえちゃんに会える」ニコニコ
結衣「うん。綾乃はいつもここでみんなのために頑張っているんだよ」
まり「うん」ギュ
結衣(まりちゃんの手がすごく汗ばんでいる)
結衣「ノックするけど、心の準備はいい?」
まり「……」コクン
コンコン
結衣「失礼します」
まり「し、しちゅれいしまちゅ」
結衣(あ、噛んだ。カワイイな♪)
まり(は、恥ずかしい)マッカカ
結衣「あ、会長。こんにちは」
まり「こ、こんにちは」
りせ「……」ニコ
まり「ね、おねーちゃん? なんであの人喋らないの?」ヒソヒソ
結衣「喋れないじゃなくて、声が小さいだけなんだよ、まりちゃん」ヒソヒソ
りせ「……?」
結衣「ところで、会長お一人だけですか?」
りせ「……」コクン
まり「あ、綾乃おねーちゃん……いないの?」
りせ「……、……」フゥ
結衣「あ……ひょっとして、さっきの爆発の所為?」
りせ「……」コクン
結衣「あ、まりちゃん……」
結衣(綾乃に会うことを、よっぽど楽しみにしているんだな)
りせ「……」ナデナデ
まり「なでなでしてくれて、ありがと~」ニコ
りせ「///」キュン
結衣(……ひょっとして、会長も堕ちたたのか?)
りせ「……」ナデナデ
結衣「きっともう直ぐ戻ってくるはずだ」
まり「……本当?」
りせ「……」ニッコリ
結衣「会長も頷いているし、ここで、綾乃を待っていようよ。まりちゃん」ニッコリ
まり「うん」ニッコリ
綾乃「ありがとう、千歳」
千鶴「杉浦さん、お疲れ様でした」
綾乃「千鶴さんもありがとう」ニコ
千歳「でも、綾乃ちゃんは今日は働きすぎやで」
千鶴「姉さんの言うとおり。杉浦さんも少しは文化祭を楽しむべき」
綾乃「う、でも仕方ないでしょ。これが副会長としての役目なんだから」
千歳「それはそれとしても、綾乃ちゃんは働きすぎなのは確かなことや」
綾乃「で、でも」
千歳「綾乃ちゃんが準備から色々と頑張ってきたのは、みんな知っとる」
千鶴「だから、杉浦さんが休んでも文句を言う人はいません!」
綾乃「ありがとう二人とも。でも、まだまだ余裕ありま温泉y……」グラリ
千鶴「す、杉浦さん!?」
綾乃「だ、大丈夫よ。ちょっと、眩暈がしただけ――」
千歳「全然大丈夫じゃないやで、綾乃ちゃん!」
千鶴「姉さんの言うとおりです。休む時はしっかりと休むべきです」
綾乃「千歳、千鶴さん……そうね。貴女たちの言うとおりね」クス
綾乃「生徒会室で少し休ませてもらうわ。だから、後はお願いね」ニッコリ
千歳「任せとき」
千歳「ふふふ、それに綾乃ちゃんには待ち人がおるしな~」
綾乃「待ち人?」
千鶴(待ち人って、さっきのあの可愛い女の子のことなのかな?)チクッ
千歳「それは行ってからのお楽しみやで」
綾乃「う、うん」
綾乃(……変な千歳ね? でも、その厚意はありがたく受け取るわ)
結衣「誰からのメールだろう」
結衣「……」
まり「おねーちゃん?」
結衣「会長、ちょっといいですか」
りせ「……」
結衣「カクカクシカジカということで協力お願いできますか」ヒソヒソ
りせ「……」コクン
まり「おねーちゃん、どこか行くの?」
結衣「うん。ちょっと会長と一緒に行かないといけない用事が出来たんだ」
結衣(うう、下手な言い訳だよな。これって……)
まり「そうなの?」
まり「……うん」
結衣「まりちゃん、ごめんね」
りせ「……」ナデナデ
結衣「本当にすぐに戻ってくるからね」
まり「うん。わかった~」
ガラガラ
まり「一人になっちゃった」
まり「おねーちゃんたち……早く帰ってこないかな~」
まり「ひま……うにぃ~」
まり「おねーちゃん?」
綾乃「会長、ただいま戻りm……え!?」
まり「あ、綾乃おねえちゃ~~ん」パタパタ
綾乃「え、え、え!?」
綾乃(ななななな何で、まりちゃんがここにいるの!?)
まり「おねえちゃんに会いたかったもん」ダキィ
綾乃「!?」
まり「おねえちゃんは……まりに会えて、嬉しくないの?」
綾乃「ううん。そんなことある訳がナイ・ナイ・ナイアガラよ!」
まり「ほんとう?」
綾乃「勿論よ。私もまりちゃんに会いたかったわ」ニコ
まり「えへへ」ニコ
綾乃(あ、まりちゃんの笑顔でさっきまでの疲れが吹っ飛んでいくわ)
まり「かいちょう?」
綾乃「ああ、えーと、黒髪で小柄で大人しそうな人よ」
まり「……おねーちゃんと一緒に出かけた~」
綾乃「船見さんと?」
まり「うん」
綾乃(何か緊急の用件が発生したのかしら?)
まり「おねえちゃん」ギュ
綾乃「ところで、まりちゃんはどうしてここに?」
まり「綾乃おねえちゃんに会いにきた~」ニコ
綾乃「うふふ、それは光栄ね」ニコ
まり「おねーちゃんはそうするつもりだったけど、京子おねえちゃんがさぷらいずって言っていたー」
綾乃「歳納京子が?」
綾乃(そうなると、船見さんもこれに噛んでいると考えられるわ)
綾乃(それにさっきの千歳の言動からすると、千歳もグルであると考えるのが妥当ね)
まり「ねぇねぇ、綾乃おねえちゃん」
綾乃「なぁに?」
まり「綾乃おねえちゃんに絵本を読んでもらいた~い」
綾乃「絵本ね、いいわよ。でも、この部屋にあったかしら?」
綾乃「あら? 誰かしら」ピッ
綾乃「……歳納京子から?」
綾乃「なになに」
京子『困っている綾乃にプレゼントだよ~。会長ちゃんの机の横にある紙袋を進呈!』
綾乃「紙袋……これのことかしら?」ガサゴソ
まり「おねえちゃん、何が入っているの?」
綾乃「さぁ……あら、これは!」
まり「あ、絵本だぁ」
綾乃(歳納京子はここまで見通して、これを準備してくれたのかしら? だとしたら――)
まり「絵本以外にも、何か入っているよ。おねえちゃん」
綾乃「あら、本当だわ。こ、これは……」
綾乃「そ、そそそそんなことないわよ///」カァーー
まり「まりもおねえちゃんみたいに大きくなるのかな~」
綾乃「えーと、まだ、まりちゃんは心配するような歳じゃないわよ」アセアセ
まり「そうなの?」
綾乃「ええ、今のまりちゃんは、私がまりちゃんのくらいの年頃と全く変わらないわよ」アセ
まり「将来有望?」
綾乃「えーと……」
綾乃(ど、どう答えればいいのよ!?)
綾乃(まりちゃんは、船見さんの親戚の子よね。そうなると、船見さんみたくなるのかしら)
綾乃(船見さんって、私よりスタイル……いいわよね)ジー
まり「おねえちゃん。ジッと見られると恥ずかしい///」
綾乃「ご、ごめんなさい」アセアセ
綾乃(まだ、まりちゃんは子供よ。私は子供相手に何を考えているのよ!?)
綾乃(で、でも、まりちゃんも船見さんみたいになったら……)ズーーン
まり(お、おねえちゃんが凹んでいる!?)
綾乃「と、取り合えずは会長や船見さんが戻ってくるまでに着替え終わりましょう」
まり「は~い」
綾乃「あ、ありがとう///」
まり「おねえちゃん、おねえちゃん。まりのもかわいい?」
綾乃「え、ええ……か、可愛いわよ」
まり「うにぃ~♪」ニコニコ
綾乃(本当に幸せそうな顔をしているわね)
まり「うにになれる夢が叶った~。うにぃ~♪」
綾乃「よ、よかったわね。夢が叶って……」
綾乃(しかし、うにの軍艦巻きの着ぐるみパジャマで喜ぶまりちゃんって、ちょっと変わっているわ)
まり「うにぃ~♪」
綾乃「さぁ、まりちゃん。こっちに来て」ポンポン
まり「は~い」トテトテトン
綾乃「え!?」
まり「えへへ、おねーちゃんのおひざの上でいつも絵本を読んでもらっているの~」
綾乃「そうなの?」
まり「うん。だから、おねえちゃんのおひざの上で読んでもらいたいな~」ウワメヅカイ
綾乃(そ、その上目づかいは反則よ! 可愛すぎて、罰金罰金バッキンガムよ!)
まり「おねえちゃん……ダメ?」
綾乃「ふふふ、いいわよ」ニッコリ
まり「わ~~い♪」
綾乃「それで、まりちゃんはどの絵本を読みたいの?」
まり「えーと……これ~」
綾乃「分かったわ。それじゃ、コホン。むかーし、むかし――」
…………
………
……
…
まり「……」スヤスヤ
綾乃「あら。寝ちゃったのね」
まり「」スヤスヤ
綾乃「ふふふ、気持ちよさそうに寝ているわね」クス
綾乃「ちょっとこの角度から、まりちゃんの寝顔が拝見できないのが残念ね」
まり「おねぇちゃん……………だ~いすき~」ムニャムニャ
綾乃「私もまりちゃんのこと大好きよ」ニコ
まり「ふにゅ~い」
綾乃「何だか、まりちゃんの幸せそうな寝息を聞いていたら……」ウト
綾乃「私も……なんだか、眠く……なって……」ウトウト
綾乃「……」スヤスヤ
千歳「綾乃ちゃんが幸せそうに寝ておるな~」
りせ「……」ホッ
西垣「杉浦は働きすぎだから、丁度良かったな」
あかり「まりちゃんのうにパジャマかわいいね~」
ちなつ「でも、よくまりちゃんサイズのがありましたね」
京子「私のお手製だぞ」ドヤァ
千鶴「おまえは無駄にスペックが高いな」
櫻子「なぁ、なんで生徒会室に入らないんだ?」
向日葵「櫻子……少しは空気を読みなさい」
結衣「取り合えずは、作戦成功かな」
綾乃「まりちゃん、文化祭楽しかった?」
まり「うにぃ~♪」
おしまい
綾まりは、これでネタ的には(今の所)最後です。
今度はまりちゃんを誰と絡まそうかな。
うにかわいいように
できれば楓ちゃんとの絡みをお願いしたいうに
楓ちゃんとの絡みか。
ちょっと考えてみます。
うに~
Entry ⇒ 2012.11.19 | Category ⇒ ゆるゆりSS | Comments (0) | Trackbacks (0)
智葉「……ついてくんな!」照「……」
智葉「……ついてくんな!」照「……」
智葉「……はぁ」
智葉(一人になりたい気分だったとはいえ、ちょっと遠くに来過ぎたか)
智葉(……)
智葉(明日で全ての決着が着く)
智葉(清澄、阿知賀……そして、忌まわしき白糸台!)
智葉(今度こそ、と思いたいが……本当に倒せるのだろうか)
智葉(チーム虎姫、と言ったか。最後まで油断出来ない実に恐ろしい相手だ)
智葉(チーム全員が高いポテンシャルを秘めている、特に今年大将に選抜された一年が不気味だ……)
智葉(……それに、何よりも……)
智葉(あの宮永照と……彼女とまた激突する)
智葉(……今度こそ、勝てるのだろうか……?)
智葉(今の私は、彼女に本当に届いているのか……?)
智葉(……分からない)
智葉(ちょっと考え過ぎだな、私らしくもない)
智葉(頼れるチームメイト達もいるんだ、何も恐れることは無い)
智葉(……とにかく、勝負は明日だ。今弱気になっても仕方ない)
智葉(今度こそ、必ず……潰す)
智葉「……」
智葉「こんなところにいてもしょうがないし、もう少し風に当たったら帰って休むか」
智葉「しかし会場はあれだけ盛り上がっているのにこちらはまた随分と静かなもんだな」
智葉「まぁ、当然か……一人になりたくてここまで歩いてきた訳だし」
智葉「こういう東京の良さも全国から来てる奴らに少しは分かって欲しいものだ」ブツブツ
智葉「……」
智葉「ってホント、勝手にぶつくさ何言ってるんだか」
智葉「あっつ、いい加減かえろ」
智葉「ん?」
智葉「……あれは?」
照「……」
智葉(あれは……あいつは……間違いなく)
智葉(……宮永照!)
智葉(……?)
智葉(って、こんなところでなにやってるんだ、あいつ)
智葉(……なんか、悩んでる……のか?あれは)
智葉(うーん)
智葉(……声をかけた方がいいのか?)
智葉(……)
智葉(いや、やめておこう……あいつとは敵同士だし、ここで馴れ合うことはないしな)
智葉(……どうせ、大した用事でも無いんだろ)
智葉(ほっとくか)
智葉「……ん?」
智葉(お、おい……そっちは工事中だぞ)
智葉(突っ込んだら危ないが、声をかけるべきか……?)
智葉(……)
智葉(い、いや……あいつ私と同い年のはずだし)
智葉(流石にそこまで心配するのは高3を舐め過ぎだろう……だ、大丈夫だよな……)
智葉(だ、大丈夫……だよ、な……)
照「……」トットットッ
智葉(大丈夫……)
照「……」タッタッタッ
智葉「……」
この先、通行止め
照「……」
照「……えい」
智葉「……いやえいじゃねーよお前!そっち通れないから!」
照「……あなた、誰?」
智葉(……どうしてこうなったのだろうか)
智葉「……はぁ」
智葉「……辻垣内智葉、アンタに個人戦でボコボコにされた三位だよ」
照「……?」
照「……嘘」
智葉「いやなんでだよ」
照「私の知ってる去年の三位は眼鏡をしてたし髪も結わいていたと思う」
智葉「……」
智葉(ああそうか、こいつと卓以外で顔を合わせるのは初めてだったな……どうでもいいけど)
智葉「……普段は眼鏡もかけてないし、髪も結んでないだけ」
照「……そうなんだ」
照「……」
智葉(き、気まずいな……)
智葉「……と、とにかくそっちにはいけないから」
照「……!」
照「どうやらそうみたい」
智葉(今気づいたのか……)
智葉「……」
智葉「それじゃあ私はこれで」
照「……」コクン
トットッ
智葉「…………」
トットットッ
智葉「………………」
トットットットッ
智葉「……………………おい」
照「……何?」
智葉「なんでお前が私の後をついてきてるんだよ」
照「……?」カクン
智葉「何故首を傾げる」
智葉「どうした」
照「……率直に言うと」
智葉「うん?」
照「……道に迷った」
智葉「……は?」
照「……」
照「だから、道に迷った」
智葉「いや、二度言わなくていいから」
照「……」
智葉「どこから突っ込んだらいいんだ……」
照「私に聞かないで、これでも皆とはぐれてから二時間は歩いてるんだから」
智葉「……それはご苦労なことで」
照「うん」
智葉「……」
照「……」
智葉「で、私にどうしろと?」
照「ついていけば帰れるかなと、後喉が渇きました」
智葉「……私とお前は帰る場所が違うんだからついていっても無駄だぞ、そして後とか付け足して当然のように催促するのやめろ」
照「うう」
智葉「……お前、大体見たところ手ぶらのようだが財布とか持ってないのか?」
照「それが、忘れてしまって」
智葉「はぁ、ちゃんと持ち歩いておけよ……」
照「ほら、身につけてて落とすと大変だから」
智葉「そこはもう前提なんだな、というかさっき忘れたって言ってなかったか」
照「……」
照「とにかく、それで困っている」
智葉「……」
智葉「お前本当に私と同い年か?色々と呆れて物も言えないぞ……」
照「馬鹿にしないで、これでも学校の成績は悪くない方」
智葉「良いとは言わないのかよ、しかもこれでもって言うあたり自覚はあるんだな……」
照「自分のことはよく分かってるつもり」
智葉「……」
智葉「……はあぁぁぁぁ……」
智葉「……とにかく、お前の帰る場所なんて私は知らないしわざわざ飲み物を奢ってやる義理も無い」
智葉「悪いが付き合えそうもない、自分でどうにかしろ。じゃあな」
トットットッ
……トットットッ
智葉「……ついてくんな!」
照「……」
智葉(……)
智葉(……う、うーん)
智葉(無理やり振り切ってしまったが、宮永照は本当に大丈夫なのだろうか?)
智葉(……)
智葉(って何私はさっきから同じことばかり考えてるんだ!あんな奴のことどうでもいいだろ)
智葉(あいつにやられた時の屈辱を思い出せ、あいつに手を貸す必要は無い)
智葉(そもそも迷ったのだって財布を持ってきてないのだって自業自得だし)
智葉(ほっとけ)
智葉(……)
智葉(…………う)
智葉(な、なんだこの心のざわめきは……何故こんなに良心が痛む……)
ジリジリ
智葉(……)
智葉(暑い、な……)
智葉(あいつ、そういえば喉渇いたとか言ってたな……)
智葉(今年も脱水症状で倒れる人は多いって聞くし……)
智葉(……大丈夫、かな……)
智葉(……)
智葉(……ほんと、なんで私があいつの心配なんてしなきゃいけないんだよ……)
智葉(……でも気になるものは気になるし……)
智葉(……そうか!)
智葉(もしあいつがどこかで倒れたりして後で私の名前なんか出されたらこっちが困るしな)
智葉(……別にあいつのことなんてどうでもいい、あくまでこれは自分の為だ自分の為)
智葉(……)
智葉(そうと決まったら、早速様子を見に探しに行った方が良さそうだな)
智葉(まだ別れた場所から離れてないといいが……)
智葉「……」キョロキョロ
智葉(見当たらないな……どこに行ったんだ、あいつ)
智葉(あいつ、またどこか変なところに足突っ込んでないだろうか……)
智葉(……考えれば考えるほど心配になってきた)
智葉(うーん……これは不本意だがどこかで引っかかるかもしれないし)
智葉(名前を呼びながら探した方がいいかもしれないな)
智葉(あ、でもあいつのことなんて呼べばいいんだ……?)
智葉(……いや外でそれは恥ずかしいだろう、それに最悪あいつに伝わらないかもしれないし……)
智葉(……)
智葉(……て、てるー……?)
智葉(……いやいやいや!何考えてるんだ!いくらなんでも馴れ馴れしすぎだろ!)カアァァ
智葉「……こほん」
智葉「おーい、宮永……さん?いたら返事をしろー」
智葉「おーい……」
智葉(全然見当たらないな……)
智葉(まさか、もうこのあたりからは離れてしまったのか……?)
智葉(うーん、となるともう少し別の場所を探す必要があるな……)
智葉(あいつがいきそうな場所ねえ……正直卓以外じゃほとんど初対面な訳だし全然検討が付かないな……)
智葉(しょうがないな、片っ端から歩いて回ってみるか)
智葉(……)
智葉(……はぁ、ほんと決勝前日に何やってるんだろ、私……)
照「……う」
智葉(今何か聞こえたような……)
照「……う、うーん……」
智葉(……)
智葉(この声は、間違いなく……!)
智葉(……でもどこにいるんだ?見当たらないが)
智葉「おーい、探したぞー!どこに隠れてる」
照「……こ、ここ……」
智葉(……木の陰……か?)
智葉(……)
智葉(あ、間違いないな……裏から角が見えるし)
智葉「お前こんなところにいたのか、探したぞ」
照「……か、陰に入ってもあんまり涼しくない……」
智葉「そりゃあこの暑さじゃ焼け石に水みたいなもんだろ」
智葉「はぁ……」
智葉「全く、しょうがないな」
智葉「今何か飲み物買ってきてやるからそこで待ってろ」
照「……」
照「スポーツドリンクでお願い……」
智葉「……お前、抜けてる割にそういうところはちゃっかりしてるな」
智葉「ほら、わざわざお前の為に金を出して買ってきてやったぞ」
智葉「お前がお望みのスポドリだ、受け取れ」
照「……!」パアァ
照「ありがとう……」
智葉「……そりゃどういたしまして」
ゴクゴク
照「……あー、生き返る……」
智葉「はぁ、私がこなかったらどうなってたことやら」ヨッコラセ
智葉「せめて自分の事ぐらいしっかりしろよな、全く」
照「う、これからは気をつける……」
智葉「ほんと、倒れられたら困るんだからな」
照「……え?」
智葉「……っ!な、なんでもない!お前を見捨てた私が悪いみたいなことになるのが嫌なだけ!」
智葉「だから、今のは決して心配してたとかそういう意味じゃないからな!」
照「……あの」
智葉「な、何!?」
照「……そんなに慌ててどうしたの?」
智葉「あ、慌ててない!」カアァァ
照「……でも、どうしてあなたが私を?」
智葉「……だからさっきも言ったろ、お前にあの後倒れられたらまるで見捨てた私が悪いみたいになるじゃないか」
智葉「そんなのはごめんだからな……それだけだよ」
照「……」
智葉「……おい、急に黙ってどうした」
照「いや、辻垣内さんって意外と優しい人だなって……」
智葉「だーかーらー!別にそんなんじゃないって言ってるだろうが!」カアァァ
智葉「はあぁぁぁっ~……ほんと、お前といると調子が狂う」
智葉「ほら、もう少し休憩したらいくぞ」
照「行くって……どこに?」
智葉「お前、迷子になって帰れないんだろ……しょうがないから付き合ってやるよ」
智葉「……」
智葉「か、感謝しろよな……」
照「……うん」
照「ありがとう、辻垣内さん」
智葉「……ふ、ふん」プイッ
照「……?」
照「ホテルから離れる途中ではぐれた」
智葉「それじゃあ、取り合えず一度ホテルに戻れば良さそうだな」
智葉「で、そのホテルの場所は?」
照「……」ウーント
照「会場の近く」
智葉「いやその表現はちょっとアバウト過ぎだろ、もうちょっと何か無いのか?」
照「……辺境の地のことはちょっと……」
智葉「……いやここは辺境どころかど真ん中だろ!というかお前西東京代表の三年目だし!」
照「……うう」
智葉「はぁ……」
智葉「とにかくそれじゃあ一旦会場を目指すぞ、近いんだしそこまで行けばどうにかなるだろ」
照「……うん、分かった」
智葉「じゃあ私について来い……目を離すなよ」
照「……うん」コクン
智葉「……」
照「……」
智葉「……あれから結構歩いたな、一時間位か」
照「……後どの位……?」
智葉「やっと半分ってとこだろ、ぼちぼち歩くしかないな……バスも何故か通ってないし」
照「……そう、まだかかるね」
智葉「そうだな、まぁこんなところまで来た自分が悪いんだから気張って歩け」
照「……」
照「……ところで」
智葉「ん、なんだ?」
照「私は迷子になってたけど、辻垣内さんはあんなところで何を……?」
智葉「そ、それは……」
智葉(まさか目の前にいるこのぽんこつを倒せるかどうか考えてたなんて言えないよな……)
智葉「別に大したことじゃない、一人で下らない考え事をしてただけだよ」
照「……」フーン
照「……もしかして、恋の悩み?」
智葉「は、はぁ?違うに決まってるだろうが!」
智葉「天然かどうか知らんが変にからかうな!」チョップ
照「あう……ごめんなさい」
智葉「ほら、つまらないこと言ってないでしゃかしゃか歩く!」
照「……うん」シュン
智葉「しっかし暑いな、夏とはいえ暑すぎるだろ……」
照「……」
智葉「朝から大分歩いてるし、ちょっと休憩挟んだ方がいいか……?」
照「……」
智葉「おい、お前は大丈夫か?疲れてるなら少し休むが」
照「……」
智葉(あれ、反応が無い……何か嫌な予感が……)
智葉「おーい、って……宮永……さん……?」
照「……う」ガクン
智葉「ちょ、ちょっと!今度はどうした!」
照「……」
智葉「ま、マジかよ……おい!意識はあるか?」ホッペタペチペチ
照「……」
智葉「ど、どうしよう……」アワアワ
智葉「……と、とにかく考えるより一刻も早く救急車を呼んだ方がいいな……えっと携帯はどこに……」アワアワ
照「……」
照「…………」
照「………………お」
智葉「……」
智葉「……お?」
照「なかすいた……」
グウゥゥ……
智葉「……」
照「朝から何も食べてない……」
智葉「いや、朝食べてるなら十分だろ……」
照「一日三食欠かさず食べてた私は一食でも抜くと……」
智葉「……」
智葉「……抜くと……?」
照「……」
照「死ぬ」
智葉「……随分直球な表現だな」
智葉「はあぁぁぁ~……ほんとしょうがない奴だな」
智葉「……まぁでも色々言いたいこともあるが、もう二時も過ぎてるし腹が減るのは当然か」
智葉「……」
智葉「ほら、何か食わせてやるからそこのコンビ二までは頑張って歩け」
照「……!」
照「ほ、ほんと?」パアァ
智葉「ぐ、その上目遣いはやめろ……」
智葉「……ああ、だからさっさと行くぞ」
照「……うん」
照「涼しい……」
智葉「急に生き返りやがって……でも確かに外で歩き続けた私達には実際天国みたいなもんだが」
智葉「で、何食べる?買ってやるから適当に選べ」
照「……」ジー
智葉「……ん、どうした」
照「……プリン、美味しそう……」キラキラ
智葉「……」
智葉「……あのな、あくまでお前のメシを買いに来ただけであって誰もスイーツを奢るとは……」
照「……いや、美味しそうと思っただけ、誰も買ってなんて言ってない」
智葉(目が買って欲しいと頑なに語ってたような気がするんだけどな……)
照「辻垣内さんは、プリンは好き?」
智葉「なんだよ急に……まぁ嫌いじゃないけど?」
照「……そう」
照「この中でどれが美味しいと思う?」
智葉「さっきからなんだよ藪から棒に……この焼きプリンとか美味しそうじゃないか?」
照「焼きプリンも美味しいよね、でも私は普通の方が好き」
照「三個入りのだといっぱい食べられるし……最近はちょっと高めのが美味しそうで迷うことも多いけどね」
照「前に食べたこれが美味しくて……」
………………
智葉(な、なんか突然語り出したぞ……)
智葉(……)
智葉(……意外、か……)
智葉(そういえば、私は今日この日まで宮永照という人間は化け物だと思っていた……)
智葉(いや、実際彼女は化け物かもしれない……あの異能と才気、並の人間には絶対に辿り着けるものではない)
智葉(……)
智葉(……ただ、それはあくまで麻雀の中だけの話)
智葉(どこか、私は今までこいつ……宮永照が『恐かった』)
智葉(まぁこいつと打った奴は誰しもそう思っても不思議じゃないかもな、きっと私だけではないだろう)
智葉(でも……本当の宮永照は、きっとそんな恐がるようなものじゃないかもしれない……)
智葉(……だって……今は……)
智葉(……)
智葉(……って!何を考えるだ私は!まるでこれでは宮永照に気があるみたいじゃないか!)
智葉(うぅー……熱にやられたのは私の方だったりしてな……いやきっとそうだ……)
智葉「……なっ、なんだ今度は?もうプリンの話なら聞かないぞ」
照「いや……そうじゃなくて……」
照「……顔が真っ赤……大丈夫?熱でもあるの……?」
智葉「――っ!な、なんでもない!ほ、ほらさっさと選べ!プリンが食べたいんだろう?」
照「……え、でもさっきは駄目だって……」
智葉「はぁ……」
智葉(ほんと、こいつといると調子が狂うな……私も一体どうしたんだろう……)
智葉「……いいよ、買ってやるからどれでも好きなのを選べ」
照「でも……」
智葉「あーもう!私がいいって言ってるんだからいいんだよ!」
智葉「お前のプリン好きには私の負け負け!降参!……だからさっさとしろ」プイッ
照「……」
照「ありがとう……」
智葉「……決まったか?」
照「……これとこれ、辻垣内さんはどっちが良いと思う?」
智葉「だから私に振るなよ」
照「……」シュン
智葉「……う、ほんとしょうがない奴だな!」
智葉「……うーん」
照「……」クス
智葉「な、何故笑う」
照「いや……悩んでるなって」
智葉「し、仕方ないだろ……どっちも美味しそうなんだし……」
照「……そうだよね」
智葉「……」
智葉「わ、私は右のが美味しそう……かな?」
照「じゃあこれをお願いします」
智葉「……いいのかよ、私じゃなくてお前が食べるんだぞ?」
照「ううん、いいの」
智葉「……」
智葉「そ、そうか……じゃあこれな」
照「……それじゃあ早速レジに」
智葉「……」
智葉「……ちょっと待て」
照「……何?」
智葉「まだメシの方を選んで無いだろ」
照「……えっ?」
照「……」
照「でもそこまで厄介になるのは……」
智葉「はぁ、だからもうさっき私がいいと言ったらいいって言っただろ……いいからさっさとしろ」
照「……ありがとう」
智葉「だから、いいって言ってるだろうが……」
照「……んー」
照「それじゃあ、このサンドイッチ……」
智葉「はいはいこれね、それじゃあさっさと買っていくぞ」
照「……うん」
照「あの……」
智葉「……腹が減ってるのは分かるがそこの公園までちょっとは我慢しろ」
照「……そうじゃなくて、辻垣内さんの分は良かったの……?」
智葉「……いいよ私の分は……そんな腹が減ってる訳じゃないし」
照「……本当?」
智葉「本当だっての、ほらさっさと歩け」
照「……」
照「……ごめんね」
智葉「なんだよ……急に」
智葉「はぁ、今更かよ……いいよ別に謝罪なんて、もうお前には慣れたし……」
智葉「……」
智葉「それに……ちょっとは楽しかったしな……」ボソ
照「……?」
智葉「い、今のは無しだからな……」
照「……なんで照れてるの?」
智葉「て、照れてない!」
智葉「ほら、それじゃあさっさと食べろ」
照「うん……」
照「辻垣内さん、頂きます」
智葉「はいはい、どーぞ召し上がれってか」
照「……」モグモグ
智葉「……」
照「……美味しい」
智葉「そりゃ良かった」
照「……」
照「辻垣内さんも、食べる?」
智葉「いいよ、私は……腹減ってないし……」
グウゥゥ……
照「……」
照「……お腹、鳴ってた」
智葉「――っ!私のことはほっといてさっさと食べろ!」
照「いいから、食べて」
智葉「い、いやなんでお前が唐突に主導権握ってるんだよ」
照「……私も辻垣内さんに倒れられたら困るから」
智葉「お前と一緒にすんな」
照「ほら、早く……」
智葉「……う」
智葉「しょ、しょうがない奴だな!食べるからこっちによこせ!」
照「やっぱり、お腹が空いてたんだ……」
智葉「ち、違う……!」カアァァ
照「気にしなくていいのに」
智葉「うるさいな!黙って食べろ!」
照「……」ジー
智葉「人が物食べてるんだからあんまこっちジロジロ見んなよな……」
照「いや、なんだか顔が怖いし……美味しくないのかなって……」
智葉「……別にそういう訳じゃなねーよ」
照「……本当?」
智葉「……ああ、これでもちゃんと味わって食べてるから人の心配はするな」
照「そう、それなら良かった……」
智葉「いいからお前も自分の分を食えよ……そんな見られながらだと恥ずかしいだろ……」
照「……」コクン
智葉「……」モグモグ
照「……」モグモグ
照「久しぶりだな……」
照「菫や淡達以外とこうやってご飯を食べるのが、久しぶりだなって」
智葉「菫……淡……弘世菫と大星淡のことか?」
照「うん……虎姫の皆は優しいから、別に辛くは無いけれど」
智葉「……」
照「それでも……やっぱり他の人達は私のことを『恐がってる』ように見える」
智葉「はぁ、まぁあれだけ常人離れした強さを見せ付けられたら仕方ない気もするけどな」
智葉「……」
智葉「実際私もお前にビビってたし」
照「……そうなの?」
智葉「……言うつもりは無かったけどな」
照「……」
智葉「ようやく自分の本性を認めたか」
照「……それは皮肉のつもり?」
智葉「その通りだとも、特にお前は食べ物に関してはわがままを通り越して意地汚いな」
照「……むっ」
智葉「はは、否定はしないのか?」
照「……奢ってもらってる立場だし、今日は簡便してあげる」
智葉「そう言ってる割に偉そうな態度をどうにかしろ」
照「ふふ」
智葉「はぁ……」
智葉「お前はやっぱりわがままだよ」
智葉、照「ご馳走様でした」
照「美味しかったね」
智葉「いやそこで当然のように私に振るなよ」
智葉「……」
智葉「ま、まぁ美味しかったけどさ」
照「照れなくていいのに……」
智葉「照れてない!……あんまりからかうとプリンを没収するぞ」
照「あ、それは困る」
智葉「じゃあほら、つまんねーこと言ってないでプリンも食べろ」
照「うん……辻垣内さん、頂きます」
智葉「……もうさっきも聞いたしいいよそういうの、いいからさっさと食え」
照「……凄く美味しい」パアァ
智葉「……」
智葉「ふむ」
照「……?」
智葉「いや、あまりに幸せそうに食べてるなと」
照「そ、そう……?」
智葉「生きてるということの至福を感じてる顔だったな、間違いなく」
照「……」カアァァ
照「……は、恥ずかしいからあんまり見ないで……」
智葉「……ん、ああ……そ、それは悪かったな……」
智葉(な、なんだこの空気は……こっちが恥ずかしくなってきた……)
智葉「……」
照「……ねえ」
智葉「なんだよ」
照「目、つむって……」
智葉「はぁ、今度は何を言い出すかと思ったら」
照「……いいから、早く」
智葉「わ、分かったよ……ほら、これでいいのか?」
照「……うん」
照「……」
智葉「……」ドキドキ
智葉(な、何されるか分からないが緊張するな……)
照「……あーん」
智葉「あーん」
智葉「……」
智葉「ってちょっ、ちょっと待て!」
照「あっ、動かないで……折角食べさせようとしてたのに」
智葉「おい!こ、この歳になって……その……あ、あーんは無いだろ!」
照「……そう?淡とはよくやってるけど?」
智葉「いやお前らの事情なんて知るかよ!余計な気は使わなくていいから一人で食べろ!」
照「でも、元はと言えば辻垣内さんが美味しそうって選んだ物だし……」
智葉「う、それを言われると……というかまさかお前あの時ここまで考えて……」
照「ふふふ」
智葉「その不敵な笑いやめろ」
智葉「……でなければ?」
照「無理やりにでも……」
智葉「……食べさせるってか、全く呆れるな……」
智葉「……」
智葉「……く、食わせる気ならさっさとしろ!」
照「……ヤケになってる?」
智葉「なってない!」
照「それじゃあ……あーん」
智葉「……そ、そのあーんって言うのはどうにかならないのか?」
照「……駄目、ほら……あーん」
智葉「わ、分かったよ……あ……あーん」カアァァ
智葉「……」モグモグ
照「……美味しい?」
智葉「ん……あ、ああ……」
照「じゃあもう一口」
智葉「ま、まだやるのかよ……」
照「……あーん」
智葉「……あ、あーん」
照「美味しかった、辻垣内さんご馳走様」
智葉「そりゃどうも……私は凄い疲れたけどな」
照「……」
照「……ふあぁぁ……」
智葉「……」
智葉「もしかして、今度は眠いのか……?」
照「……お腹が一杯になったら、眠気が……」
智葉「……お前、本当に私と同い年なのか?」
照「失礼ね、歩きっぱなしだったしこの眠気は当然のものだと思う」
智葉「……そういうところが幼いんだよな、お前」
照「そ、そう……?」
智葉「はぁ、そうだよ」
智葉「……まぁでも、このペースだと夕方には着けそうだし……」
智葉「食休みということで一時間位ここでゆっくりしてもいいか……」
照「いいの……?」
智葉「まぁいいだろ……今更一時間ちょっと早かろうが遅かろうがどうにかなる訳でもないし」
智葉「という訳で寝たけりゃ寝ろ……ただし一時間だけだからな」
照「……ありがとう」クタッ
智葉「……」
智葉「……誰も寄りかかっていいとは言ってないけどな……」
照「……」スヤスヤ
智葉「……もう聞こえてないし」
照「……」
照「……ねえ」
智葉「もう起きたのか……まだ寝ててもいいぞ」
照「……」
照「私は……そんなに『恐い』のかな……?」
智葉「なんだよ……さっきの続きかよ」
照「……確かに、麻雀は強いかもしれないけど」
智葉「……」
智葉「いや実際強いだろ、それも……果てしないレベルで」
照「でも……だからと言って何もかもが完璧な訳じゃない」
智葉「……まぁ今日一日お前を見てそれは実によく分かったな、うん」
照「それでも皆の期待に応え続けるのって、結構辛い……」
智葉「……ま、贅沢な悩みだと思うけどな」
照「そうかもしれないけど……ううん、違う……」
智葉「……違うって、何がだよ」
照「私は……期待に応えることが辛いんじゃない」
照「正確には『皆の期待に応えるような宮永照であればあるほど私から皆が遠ざかっていく』ことが堪えられないんだと思う」
智葉「……その持ち前の強さやあの営業スマイルと言い、確かに世間はお前のことを錯覚するだろう」
智葉「どうしても、完璧な人間には近寄り難いもの……妬みだって増えるだろうし、お前の言ってることは分からないことじゃない」
照「……でも……たとえそうだとしても……私は世間を欺き続けなければいけない」
智葉「……それは、どうしてだ?」
照「……」
照「……私には、麻雀しかないから」
照「私から『それ』を取ったら……多分、私には何も残らない」
照「誰からも見向きもされず、何も出来ずに消えていく……そんな存在になるのが、私は怖い……」
智葉「……」
智葉「考え過ぎだ、例えお前がトップから降りたところでお前のその強さが揺るぐ事は無い」
智葉「お前の価値はそんな人の目から映る宮永照では無いだろうが……価値があるとするならそれはお前自身の強さそのもののはずだ」
照「……!」
智葉「……だから、あんま無理するなよ」
照「……ありがとう」
智葉「……ふん……」
智葉(う、言った後から何か恥ずかしくなってきたな……)
照「……」
照「……ねえ」
智葉「な、なんだよ……」
照「辻垣内さんは……私のことが恐い?」
智葉「……」
智葉「正直、今までは……恐かったのかも……いや、私はお前のことが恐かった」
照「……」
智葉「圧倒的な強さ……お前に私は打ちのめされてからずっとお前のことを恐れていたし、どこかで憎んでいたのかもしれない」
照「……そうなんだ」
智葉「……でも今は違うと言い切れる。少なくとも、そんな感情は微塵も湧いてこない」
照「……」
照「……それは……どうして?」
智葉「……」
照「か、からかわないで」
智葉「可愛いやつめ」ナデナデ
照「ちょっ、急に頭を撫でるのやめて……子ども扱い禁止」
智葉「お前の今日一日の行動を見て子ども扱いしない方が無理な話だと思うぞ」
照「――っ!……辻垣内さん、意外と意地が悪い……」ボソ
智葉「何か言ったか?」
照「……」
照「いえ、何も」
照(……)
照(こうやって撫でられてるのもわりかし気持ちがいいし、まぁいいかな……)
智葉(じ、自分から撫でておいてなんだが……結構恥ずかしいな、これ……)
智葉(……うーん、でも髪はサラサラだしこいつはこいつで気持ち良さそうにしてるな……)
智葉(まぁたまにはいいか……)
智葉(しかしほんと、子供というか、気まぐれなところが猫みたいな奴だな……)
智葉(はぁ……こんな奴に怖気づいて一人考え込んでたのが馬鹿みたいだな)
智葉(ああでも、あそこで悩んでなければこいつと出会うことは無かったのか)
智葉(ふふ、まぁ……こういうのも悪くない、かな……)
照「……ねえ?」
智葉「なんだよ……」
照「手」
智葉「はぁ?」
照「手が止まってる、続けて」
智葉「……お前さっきやめてだの子供扱い禁止だの言ってなかったっけか」
照「先に撫でてきたのはそっち」
智葉「う……分かったよ」
智葉「……ほら、これでいいんだろ……」ナデナデ
照「うん……」
照「……」
照「あの、辻垣内さん……?」
智葉「……智葉でいい」ボソ
照「……えっ」
智葉「ほ、ほら……つじがいとって長くて呼びづらいだろ……」
智葉「……だ、だから呼ぶときは智葉でいいっていってんの!」カアァァ
照「……」
照「……あの……智葉……?」
智葉「な、なんだよ」
智葉「う、今度はそうきたか……」
照「私がちゃんと智葉って呼んであげてるんだから、これは当然」
智葉「……はぁ、お前はいちいち偉そうだな」
照「……」
照「お前じゃなくて……?」
智葉「……あー、分かったよ!もう!……て、照……こ、これでいいんだろ」
照「……うん」
照「……それじゃあ、手……続けて智葉」
智葉「……はいはい、撫でればいいんだろ……照」
智葉「……」ナデナデ
照「……」
智葉「……それじゃあ、そろそろ行くぞ」
照「……」
照「もう行くの?」
智葉「大分ここでゆっくりしただろうが……というか本来の目的を忘れてないか?」
照「……本来の……目的……?」
照「……んー」ナンダッケ
智葉「……はぁ」
智葉「おま……照が迷子になってたからそれを私が見つけて一緒にここまで歩いてきたんだろうが」
照「ああ、そうだった」
智葉「おま……照、それはギャグでやってるのか?」
照「ふふ、冗談」
智葉「やれやれ……とにかく後少しで着くんだから、もうちょっと頑張るぞ」
照「うん」
智葉「……じゃあ、行こうか」
照「……?」
照「……この手は?」
智葉「こ、ここまできておま……照とはぐれたら台無しになるからな!」
智葉「……」
智葉「手、繋いでおけばはぐれないだろ……」
照「……そうだね、ありがと」ギュ
智葉「――っ!さ、さっさと歩くぞ!」
照「……?(智葉、なんで真っ赤なんだろう……)」
智葉「やっと着いたな……」
照「うん」
智葉「な、長かった……ここに来て急に疲れが……」
照「智葉……大丈夫?」
智葉「誰のせいで疲れたと思ってる……全く」
智葉「……さて、何はともあれ会場についた訳だが、ここから分かるか?」
照「いやそれが全然」
智葉「おい」
智葉「……はぁ、しょうがね……まぁでもここまでくれば人に聞いても分かりそうだしどうにでもなるだろ……」
照「……」
照「いや……」
智葉「ん……?」
照「見つけた」
智葉「いやだからどっちだよ……」
智葉「……あれは……」
淡「テルー?」
菫「あいつ、どこ行ったんだ全く」
智葉「……弘世菫と大星淡か、ようやく保護者が見つかったな」
照「保護者じゃないから」
智葉「じゃあ飼い主か、今度ははぐれないように首に縄でもかけてもらうんだな」
照「むぅ」
智葉「……」
智葉「……ほら、分かったらさっさといけ……照」トン
照「……うん」
智葉「……じゃあな」
照「……」
照「待って、智葉」
照「……」
照「……智葉、また会える……?」
智葉「はぁ?何を言うかと思ったら」
智葉「……明日、ぶつかるだろ……私と、照は……」
照「……」
照「そうだけど……そうじゃない……」
照「……」
照「智葉と……また今日みたいに過ごしたい……」
智葉「なっ……何をいきなり言い出すんだ」
智葉「……」
智葉「というか『今日みたいに』は流石に簡便、疲れるから」
照「ひ、ひどい……」
智葉「割と事実」
照「むむ」
照「駄目……なの……?」シュン
智葉「う……じょ、冗談だよ冗談……ほんと、しょうがないな!」
智葉「……お互い東京なんだし大会が終わってもいつでも会えるだろ……」
智葉「……」
智葉「……だから」
照「……だから……?」
智葉「……だから……決着がついて……この大会が終わったら……」
智葉「……私から迎えに行くよ、必ず」
智葉「ほんと」
照「絶対?」
智葉「絶対」
照「約束してくれる?」
智葉「くどいな……ああ、約束だ」
智葉「……ほら、小指」
照「……」
照「そういうの……子供っぽい」ボソ
智葉「照には言われたくない」
照「うう」
智葉「……」
智葉「……ほら、分かったらいけ……ずっと待ってた仲間達のことも考えろ、きっと心配してるぞ」
照「……うん」
照「……そうだね」
智葉「……」
智葉「今まで言い忘れてたが……負けないからな!」
照「こっちこそ」
智葉「……」
智葉「……じゃあな」
照「うん」
照「……」クルッ
照「……待ってるからね」ニコッ
智葉「――っ!いーからさっさといけっての!」
菫「お前、ほんとどこ行ってたんだ……」
照「いや、ちょっと迷ってしまって……ごめんなさい」
淡「ちょっとってレベルじゃないよー」
菫「これからは首に縄をつける必要がありそうだな……」
照「そ、それは簡便して」
菫「はぁ、分かったらさっさと戻るぞ……お前もお腹減っただろ」
照「……うん」
淡「いやあ夜ご飯も楽しみだなー」
菫「お前ら、少しは決勝前の緊張感というものをだな……」
照「……」
淡「テルー?」
照「……ううん、なんでもない……大丈夫」
菫「……そうか、それじゃあいくぞ」
淡「ほらほら、早く早く!」
菫「お前はもう少し落ち着け」
淡「えーだって私もう――
照「……」
照(待ってるからね……智葉……)
―――――――――
――――――
智葉「……」
照「……」
智葉「……お待たせ、照」
照「……」
照「遅い、待ちくたびれた」
智葉「はぁ?照がちゃんと待ち合わせ場所にいないのが悪いんだろうが」
照「う……」
照「……」
照「それはその……そういう趣味なの?」
智葉「……はぁ?」
照「智葉がそんな子だったなんて知らなかった……意外」
智葉「……縛り付けて家で飾ってやろうか?」
照「じょ、冗談よ、本気にしないで」
智葉「……」
照「……」
智葉「にしても……」
照「……どうしたの?智葉」
照「ふふ」
照「でも前より凄く強くなってたと思う、結構苦戦した」
智葉「……なんだその上から目線、凄いムカつく」
照「ふふ、勝者の特権」
智葉「……」
智葉「……まぁでも、優勝をかっさらっていくのがまさか清澄だったとは意外だったな」
照「……うん」
智葉「残念無念、これでトップから転落だな」
照「……ほんと、三連覇が出来なかったのは残念だった」
照「……」
照「でも」
智葉「……でも?」
照「私は……変わってないよね?」
智葉「当たり前だろ」
智葉「照の間抜けさと方向音痴さと食い意地は前と全く一緒だな」
照「……なにそれひどい」
智葉「事実だからな」クスクス
照「むぅ」
智葉「ほら、それじゃあそろそろ行くぞ」
照「……」
照「うん」
照「……今日も楽しかった」
智葉「……」
智葉「こうなることは分かっていたが、私はどっと疲れたぞ……」
智葉「相変わらずお前はすぐふらふらどっか行こうとするし食べ物に釣られるし……」
智葉「これが子供を初めて持った母親の気分なのだろうかと思う位だ、全く」
照「ふふ、お疲れ様」
智葉「……照、何か調子に乗ってきてないか?」
照「それはきっと気のせい」
智葉「……はあ、そうかい」
智葉「……」
智葉「……それじゃあ、今日はこの辺で」
照「待って」
智葉「な、なんだよ」
智葉「……べ、別にまた遊ぼうと思えばいつでも遊べるだろ……近いんだし」
照「……そうじゃなくて」
照「……」
照「……これ」
智葉「ん……」
智葉「これはまた綺麗なブローチだな、どうしたんだよ」
照「この前の……お礼にと思って……」
智葉「い、いいよ別にお礼なんて……高そうだし」
照「……大丈夫、安物だから」
智葉「そこは言い切るんだな」
智葉「でも、本当にいいよ……私には似合わないというか、勿体無いしな」
智葉「気持ちだけで十分だし、照が付けてた方がよっぽど良いと思うけど」
照「……」
照「そんなこと無い」
照「……ほら」クイ
智葉「……お、おい!」アワアワ
智葉「ちょっ、ちょっと!こら!ち、近いって!」
照「いいから、動かないで」
照「ほら、見立てたとおり……やっぱり似合ってる」
智葉「……」
智葉「……う、それは卑怯だぞ……照」
智葉「こ、こんなことされたら受け取るしゃないじゃないか……」
照「元々智葉の為に買ったものなんだから、それは当然だと思うけど?」
智葉「……相変わらず変なところが強引な奴だな」
智葉「……」
智葉「……その……」
照「……その?」
智葉「あ、ありがと……な……」
照「ふふ、どういたしまして」
智葉「……」
智葉「……大切にするから」
照「……うん」
照「……」
照「……ねえ、智葉……?」
智葉「……な、なんだよ……」
照「……」
照「今度は、私のお願い……聞いてくれる……?」
智葉「……いや、これは前のお礼のはずじゃなかったのか」
照「ねえ、駄目……?」
智葉(ぐ、なんだか照の奴急にしおらしくなったな……)
智葉「わ、分かったよ……」
智葉「……で、私にどうしろと……?」
照「……」
照「……それはね……」
―――――――――
――――――
ダヴァン「それにしテモガイトサン、最近はオフの時いっつもそのブローチ付けてマスネ」
智葉「ん……ああ、これか……?」
智葉「まぁちょっとした貰い物だよ」
ダヴァン「モライモノ……ひょっとしテ……」
智葉「な、なんだよ……」
ダヴァン「ガイトサン、マサカ……オトコデスカ?」
智葉「――っ!ち、ちげえよ!」
智葉(……よく考えると似たようなものな気はするけど……)
智葉「……」
智葉「……」
ダヴァン「……アノ……ガイトサン……?」
智葉「……ん、ああ」
ダヴァン「顔が真っ赤デスヨ」
智葉「え、ええっ……」
ダヴァン「ヤッパリオトコ絡みのようデスネ……」
智葉「ち、違うってさっきから言ってるだろうが!こ、こっち見るな!」ブンブン
ダヴァン「マタマタ」
智葉「だーかーら――
智葉(……)
智葉(あの後のことを思い出すと、否が応にも顔にほんのりとした熱を帯びてしまう……)
智葉(……だって――)
―――――――――
――――――
照「……」
照「智葉、目をつむって……」
智葉「ま、またそれか?それは嫌な予感がするんだが……」
照「……」
照「いいから、早く」
智葉(な、何故だろうか……前と全く同じ流れなのに断れないぞ……)
智葉「わ、分かったから……」
智葉「……」
智葉「これでいい、のか……」ドキドキ
照「……」
照「うん、そのままにしててね」
照(……)
照(……好きだよ)
智葉「……」
智葉「……え」
照「ち、ちょっ……」
智葉「――っ!ま、まさか……て、てるぅ!お、おま、おまええっ!」
照「ま、まだあけていいなんて言ってない!」
智葉「こ、こここ、これがあけられずにはいられるか!て……照!お、おま……」
智葉「……」
智葉「わ、私に……き、キス……を……?」
照「ち、ちがっ……これは、その……」
照「……」
照「……台無しになった、責任取って」
智葉「……」
智葉「……大体責任取れって言われても……わ、私にどうしろと……」
照「き、決まってるでしょう!それは……」
智葉「……」
智葉「そ、それ……は……?」
照「そ、それ……は……」カアァァ
智葉「……」ドキドキ
照「……」
智葉「……」
照「…………さ」
智葉「……」
照「…………さ?」
照「とは……の方から……して……」ボソッ
照「――っ!」カアァァ
照「さ、智葉の方からしてって言ってるの!」
智葉「え、え、え……わ、私の方から……?」
照「う、うん……」
智葉「て、てるに……き……キスを……?」カアァァ
照「い、言わないで……恥ずかしいんだから……」カアァァ
照「……」
照「……お願い……」
智葉「……て、照……」
智葉(……)
智葉(……はぁ、ほんと……呆れるな……)
智葉(……でも……いや、きっと……そんなどうしようもないところに私は惹かれたのかもしれないな)
智葉(……しょうがね)
智葉「分かったよ……」
智葉「は、恥ずかしいから……お前もめ、目を閉じてろ……」
照「う、うん……」
照「……ん……」ドキドキ
智葉「……」ドキドキ
智葉(しかし……き、緊張するな……)
智葉(……ん)
智葉(こいつ……照……震えてるのか……?)
照「……」フルフル
智葉(……さっきは……あれは照なりの覚悟の仕方だったのかもしれないな……)
智葉(……こいつ、態度はでかいけど臆病なところがあるからな……)
智葉(……まぁ、そこが可愛げがあるというかなんというか……)
智葉(……)
智葉(……してやるか……私から……き、キスを!)
智葉「……」
智葉「ごめんな、照……」
照「……え……?」
智葉「責任……取るから」
智葉「今度は……私からちゃんとするから……」
智葉「……」
智葉「好きだよ、照」
カン!
照のキャラが全然安定してない悲しみ
憩ちゃんもそのうち出してあげたいと思った(小並感)
お疲れ様でした
これはすばらですわ
この組み合わせ流行るといいね
すばらだったぜ
憩さん参戦も待ってる
Entry ⇒ 2012.11.18 | Category ⇒ 咲-Saki-SS | Comments (0) | Trackbacks (0)
ダヴァン「Fucking Jap」
ダヴァン「Fucking Jap」
ダヴァン「ファッキンジャップ!!本当に日本人っていうのは救えまセン!!」
ネリー「あー。ダヴァン帰って来た。おかえり~」
ハオ「どうしたアル?ダヴァン」
ダヴァン「どうしたもこうしたも無いデス!今度という今度こそ、ワタシはジャップどもを見限りまシタ!」
ハオ「はあ」
ネリー「なになに?今度はジャップ共に何されたの?本当あいつら悪魔だよね~」
ダヴァン「聞いてくだサイ!」
ハオ「まあ、私も日本鬼子共の鬼畜っぷりにはほとほと酷い目に合わされてるから、聞いてやろうアル」
ダヴァン「行きつけの、例のラーメン屋が今日潰れまシタ!」
ハオ「!!」
ネリー「!!」
ダヴァン「許せナイ!!無知蒙昧なファッキンジャップどもは、結局最後まで大将の作る煮干出汁の中華そばの深い味に理解を示さなかッタ!」
ハオ「れ、例のラーメン屋って、あの、品川のラーメン屋の事アルか!?」
ネリー「そんな!あそこのおじさん、私が行ったら、小さい子だからってナルト一個おまけしてくれるくらいナイスガイだったのに!」
ネリー「そうだったんだ…」
ダヴァン「大将、今日が最後だからって、メニュー全品半額ってやってまシタ…」
ハオ「…」
ダヴァン「許せナイのは、それで店が盛況だったコト。半額になった程度で普段来てない店に来るようになるナラ、いつも通えよ糞ジャップどもって、気分デス」
ダヴァン「それに、大将も所詮ジャップでスネ。シンプルな中華そば頼んだのに、ラーメンが鹿みたいにしょっぱくって仕方なかったでスヨ。…ハハ。最後の最後に味付け間違えるなンテ」
ネリー「ダヴァン…」
ダヴァン「しかも、私が常連だったからって、支払いの時に大将直々に挨拶に来てくれて、お会計は要らないよッテ。『お嬢ちゃん留学生でしょ?勉強頑張って』ッテ…。私は麻雀で留学してきたんだよ馬鹿な大将デス」
ダヴァン「最後の最後に精神攻撃とかマジ卑怯デス。その言葉を聞いた後、私、思わず崩れ落ちてしまいまシタ…」
ネリー「うわ…想像するだけで泣ける」
ハオ「最悪アル。最後にそんな置き土産して、私達までブルーな気持ちにするとか。流石日本鬼子アル…」
ダヴァン「取り敢えず連絡先だけは確保しておいてマス。私がステイツに帰る時、大将がまだ在野だったら、私がプロになった時の契約金でNYに連れて行って、店を構えさせるって言っておきまシタ。大将は苦笑いしてましたケド」
ネリー「おお!一風堂ごときが天下取ってるNYなら、大将が店構えたら革命だね!」
ハオ「やるアルね。それは実現したら確実に小日本の国力を削る結果になるアル。憎き小日本に一泡吹かせるためにも頑張るアルよ」
ダヴァン「ありがとう皆サン。…しかし、今日は本当に冷えますね。私もコタツにお邪魔しまスヨ」
ハオ「まったくアル。ネリーなんて、今日は智葉が持ってきたこのコタツから一歩も出れなかったアル」
ネリー「本当、ジャップは悪魔だよ~。こんな人を怠惰に貶める悪魔の兵器を生み出すなんてさ~」
ハオ「昼なんて、掃除のために一回退かそうとしたらコイツ、マジ泣きでコタツの足にしがみついて、凄い剣幕で母国語でなんかまくし立ててきやがったアル。グルジア語なんてわっかんねーアル」
ネリー「だって、あの時は本当に寒くて死ぬかと思って…」
ハオ「お前寒冷地仕様のコーカソイドだろ。アル」
ダヴァン「ネリー、前も注意しましたけど、コタツの中で寝たら駄目でスヨ?風邪をひいちゃいますカラ。私も来日当初はそれで酷い目に会いまシタ。リポDがなければ今頃どうなっていタカ…」
ネリー「ん~…」
ハオ「コラ!コタツの中に潜り込むなアル!」
ダヴァン「しかし、卓上に随分とお菓子の空箱が沢山置いてありまスネ」
ネリー(コタツの中から)「全部ハオが買ってきたんだよ~」
ダヴァン「ハァ…本当に貴女はお菓子好きでスネ。幾らジャップの食べ物がヘルシーだからって、太りまスヨ?」
ハオ「…」
ダヴァン「…」
ダヴァン「…ま、まサカ」
ハオ「…こっち来て3キロ太ったアル」
ダヴァン「Oh…」
ハオ「でもでも!私悪くないアル!悪いのは日本鬼子共の菓子アル!」
ダヴァン「確かにジャップどものお菓子が、その場に有ったらそれ全部食べるまで止まらない程度には美味しいの認めるのにも吝かではないでスガ…」
ネリー「私は果物が好き~。特に柿とか梨とか桃とか」
ハオ「止めろアル!食べたくなる!」
ダヴァン「けど、流石に自制が利かないのはジャップのせいじゃなくって自分のせいデス。私なんてこっちに来てむしろ痩せましタシ」
ハオ「ギギギ…今でもうちの寮で一番食ってる癖に、メリケンでどんな食生活してたアルかこの女…」
ダヴァン「フフン」
ハオ「…いいアル。わかったアル」
ダヴァン「?」
ハオ「貴様がそんな腹立つ事を言うなら、私にだって考えがあるアル」
ダヴァン「…何をする気でスカ?」
ダヴァン「ホウ!ヘルシーでいいでスネ」
ハオ「智葉呼ぶアル」
ダヴァン「?いいでスネ。楽しくなりマス」
ハオ「その時、アレ持ってきて貰おうアル。アレ」
ダヴァン「アレ?」
ハオ「ふははははは!そう!枝豆!!」
ダヴァン「くっ!卑怯ナ!」
ハオ「お前、枝豆食ったら止まんなくなるアルもんなぁ!私達が楽しく鍋突いてる間、お前は猿みたいに枝豆食ってるが良いアルよぉおおお!」
ダヴァン「こ、この、卑怯者ぉおおおおオオ!!…って、別に鍋捨て置くまで好きじゃ無いデスけど…」
ハオ「しかも鍋はすき焼き!!」
ネリー「やったー!」
ダヴァン「NOOOooooooooooo!!」
ハオ「割り下駄目なお前は楽しみ半減アルなぁ?」
ダヴァン「ぐっ!日本人のサトハやチャイナのお前はともかく、何故ネリーとミョンファも生卵大丈夫なノカ!」
ダヴァン「るろうに…ああ、サムライXの事ですか?フランス人ってなんで気合入ったギーク多いんでしょウネ」
ハオ「おっ。そう言えば、ミョンファ今日るろ剣の映画見に行くって言ってたアルね」
ネリー「最近バタバタしてたからね~。ようやく見に行けるって、朝から凄く機嫌良さそうだったよ。アニメ放映当初からのファンだったんだって」
ダヴァン「珍しいでスネ。あの子がアニメの実写映画化に素直に喜ぶなんて」
ハオ「電王でサトケンのファンにもなってたかららしいアルよ」
ダヴァン「電王?」
ハオ「仮面ライダー」
ダヴァン「ああ…」
ネリー「あれ面白いよね~。プリキュアと一緒に毎週見てるよ~」
ダヴァン「ハリウッドアクションに比べたら安っぽいし爽快感が無いって言ったら、ミョンファに正座で3時間説教喰らいました」
ハオ「ほんと気合入ったオタクアルねあいつ…」
ミョンファ「ファッキンジャップ!!」
ネリー「あ、帰ってきた」
ダヴァン「噂をすればなんとやらでスカ…なにやら荒れてまスネ」
ネリー「どうしたの?やっぱりアニメの邦画化は糞だった?ジャップに思い出汚されちゃった?ドラゴンボールレボリューションみたいに」
ダヴァン「さり気なくこっちの古傷抉らないで下サイ…」
ミョンファ「ノン。映画、面白かッタ」
ハオ「ほー?珍しいこともあるアルね」
ネリー「本当だね~。ジャップのアニメの実写化は大抵コケるのに。デビルマンとかキャシャーンとかキューティハニーとか鉄人28号とか」
ダヴァン「じゃあ、何をそんなに怒ってるんデス?」
ミョンファ「るろ剣、面白かったデス!期待してた以上とは行かなくても、及第点、あげてイイ!サトケン格好良い!殺陣意外と凄い!刃衛怖い!武田観柳マジ武田観柳!薫微妙!」
ハオ「へえ」
ネリー「面白いなら今度見に行こうかな~」
ミョンファ「けど、サトケン、私裏切った!!ノン!裏切る事強いられた!許せない!ジャップ!ジャップ!ジャップ!」
ダヴァン「…はぁ?」
ハオ「…いまいち訳わかんねぇアル」
ミョンファ「マエダアツコ!!私の倒すべき女の名!!」
ネリー「…」
ハオ「解散」
ミョンファ「私から良太郎と剣心奪ウ!許せナイ!」
ダヴァン「また微妙に古い上に怪しいネタを持って来られましタネ…」
ハオ「ほら。こいつまだ日本語の読み書き下手だから。多分映画見て興奮して色んなサイト見回してる内に、やっと情報得たとかじゃないアルか?」
ネリー「なんで私達の中で日本愛が一番有ったのに、一番上達遅いんだろうね~」
ダヴァン「やはり歪んだ愛だったカラ…」
ミョンファ「サトケンがあの程度の女と付き合ウ、ダメ!世界の損失!」
ダヴァン「興味ないからよく知らないですケド、その子日本のトップアーティストとかじゃないんでしタカ?お似合いなのデハ」
ミョンファ「ノン!ノン!!」
ハオ「どうでもいいアル。真実かガセとか、それすらも」
ネリー「私も~」
ミョンファ「ノン!ノン!!ノン!!!」
ハオ「や~かましいアル」
ダヴァン「サトハ何時頃に来るって言ってました?」
ハオ「ん~。7時頃までにはって言ってたし、あと30分ってとこじゃないアルか?」
ダヴァン「じゃあそろそろ鍋の準備しましょウカ」
ハオ「そ~アルね。ほれ、手伝うアル。ネリー」
ネリー「やだ~。寒ひ…」
ハオ「私だって寒いっつってんだろアル」
ネリー「私はこのコタツというジャップが創りだした悪魔の兵器に取り込まれた哀れな犠牲者ですので」
ハオ「日本鬼子のせいにしてんじゃないアル。ほら、潜ってんなアル」
ダヴァン「割り下は苦手でスガ、すき焼きは好きデス。ジューシーな牛肉に、しいたけ春菊しらたき~」
ミョンファ「ウエ~~~ン!!」
ハオ「ほれ、ミョンファもいつまでも泣いてないでさっさと支度手伝うアル。どうせ最初から異国の芸能人なんて遠い世界の存在って自覚してろアル」
ミョンファ「小野大輔も結婚した!もう生きる希望無い~~~~~!!」
ハオ「救えねぇアル…」
ネリー「あれ?それって確かガセ…まあいいや」
ハオ「あっ!ちょ、ダヴァン!?」
ダヴァン「デハ!」
ハオ「まっ…!ああああああ!逃げられた!!」
ハオ「…仕方ない、かくなる上は、3人で…って」
ネリー「コタツぬくぬく~」
ミョンファ「ビェエエエエエエエ~~~~!!」
ハオ「この使えねぇ二人、どうしてくれようかアル…」
智葉「ほう。そんな事が」
ネリー「そうそう。結局なんだかんだハオが全部鍋の準備してくれたんだよね~」
ダヴァン「適材適所デス。やはり料理はアジア人のものに限る……ん。この甘酒ってのも中々。原料米だけでこんな甘露を作り出すとは、やりまスネ日本人」
ハオ「お前だって甘酒暖める位の事は出来るだろうにアル…」
智葉「…ふふ。なんだ、慧宇お前、まだ律儀に語尾に『アル』付けてたのか」
ネリー「あはははは!!ね~?変だよねぇ~?」
ハオ「昨日の部活の最後の対局で、ビリだった奴罰ゲームって言い出したの、お前アルだろネリィィィイイイイイ!!」
ネリー「そ~だっけ?」
ハオ「…もうつかれた」
智葉「雀はもう落ち着いたのか?」
ミョンファ「ん。ごめんサトハ。心配かケタ?」
智葉「まあ、それなりにな」
ミョンファ「エヘヘ…私、もう大丈夫。失恋は女、綺麗にスルヨ…」
ハオ「アホアル」
ミョンファ「ハオ、アルってまだ使っテル」
ネリー「あはは。使ってる使ってる。てるてる~」
智葉「止めろヴィルサラーゼ。テルテルと言われると、あの仏頂面思い出して不快だ」
ハオ「人のこと言えない…ゲフンゲフン。わかった。もうアル使うの止めるよ。っていうか、こっちから願い下げだよ」
ネリー「お肉美味しい~」
ハオ「コラ!肉ばっか食べんなアル!」
ネリー「ん?」
ダヴァン「…んあ?」
ミョンファ「…ふあ?」
智葉「…おい。慧宇」
ハオ「…あれれ?」
ネリー「ウケ狙い?キャラ作り?」
ハオ「…おかしいア…おかしいな…?ん?あれ?なんかしっくり来ない…アル?」
智葉「…まさか、今までの『アル』の付け過ぎで、それが自然になってしまったか?」
ネリー「あっはっはっは!!」
ハオ「笑うな!!誰のせいアルか!!」
ネリー「もう可愛いからそれで良いじゃん」
ハオ「ふっざけんなアう……お前マジ覚えてろアル」
ダヴァン「プフッ」
ミョンファ「アハハハ」
ハオ「お前らも!笑うなアル!!」
智葉「くくっ…」
ハオ「智葉まで!?」
ネリー「ほらほら、喋ってばかりだとお肉全部食べちゃうよ~」
ハオ「おお!?」
ダヴァン「ふふ。私も肉食べたいデス」
ハオ「ちょ!」
ミョンファ「私もお肉食べタイ」
智葉「ははは…それじゃあ、私も肉を頂こうかな」
ハオ「うえ!?」
ネリー「あれ、もうお肉終わりじゃない?」
ハオ「なぁあああああ!?」
ネリー「ねぇねぇ、サトハ。明日学校も部活もお休みだよね?私、東京タワー見に行きたい!」
ダヴァン「美味しい蕎麦食べたいデス」
ミョンファ「前連れて行ってクレタ、キティーちゃんいっぱい居るトコ!」
ハオ「おい!お前ら!この鍋誰が用意したと思ってるアルか!」
智葉「また東京観光か…」
ネリー「いいじゃんいいじゃん~。帰国前にもっと、もっと!この国の事、色々見て回りたいんだもん!」
ダヴァン「私は今年で最後ですシネ…」
ミョンファ「思い出、大事ヨ?異国来た思い出もソウ、ミンナと出会えた思い出も、大事。いっぱい、いっぱい、思い出、作らなきゃ」
智葉「そうか…ふふ。まあ、そう言われては、な。世話の焼ける奴らだ」
ハオ「きぃいいいい!無視すんなアル!!」
ハオ「…へ?」
智葉「どこか行きたい場所はあるか?」
ハオ「…なんで私まで一緒に出かける話になってるアルか」
ネリー「え?」
ハオ「なんで私が日本鬼子共の街なんて観光しに…」
ダヴァン「じゃあ、留守番しマス?」
ハオ「…」
ミョンファ「サトハ、優しイヨ?お出かけ、楽しイヨ?」
ハオ「そ、そりゃあ、智葉は確かに他の日本鬼子共と違うのわかってるアルけど…」
智葉「けど?」
ハオ「…」
智葉「…」
ハオ「…は」
ネリー「は?」
ネリー「おお!箱根!!」
智葉「…ふふ。箱根ね。まあ、ちょっと遠出だが、今まで東京を出ることもあまり無かったし、それも有りかな」
ハオ「温泉入りたいアル」
ダヴァン「おー、温泉いいでスネ~。こう、露天風呂とか、温泉卓球とか、お風呂上りのコーヒー牛乳とか!」
ハオ「あと、紅葉見て…」
ミョンファ「テレビで見タ!綺麗ダッタ!」
ハオ「…あとは」
智葉「あとは?」
ハオ「…みんなと大笑いして…はしゃぎたい…アル」
ネリー「ほえ?」
ハオ「…だって、みんなと一緒だったら、何処行っても結局楽しい、し」
ミョンファ「…ふふふ。ハオ、いい子ネ。撫でてあげヨウ」
ハオ「…うっさい、触んなアル。名前だけ中国人」
智葉「…はは。なんだ慧宇。それじゃあお前」
ネリー「なんか最近毎週こんな感じだね~」
ミョンファ「サトハ!サトハ!それじゃあ私、今度北海道と沖縄と大阪と福岡と広島と京都行きタイ!」
智葉「調子に乗るな!」
終わり
が、ふと思ったらダヴァンさんと辻垣内さん意外喋ってすらいないのに気付いた
まあ、もう書いちゃたし投下しちゃったから、仕方ないよね
おやすみ
よかった
臨海SS増えて欲しいぜ
Entry ⇒ 2012.11.17 | Category ⇒ 咲-Saki-SS | Comments (3) | Trackbacks (0)
P「高槻家に軟禁された」
P「高槻家に軟禁された」
「お疲れ様でしたー!」
春香「はい!お疲れ様です!」
やよい「お疲れ様でしたー!」
スタスタ
P「春香もやよいもお疲れ。疲れたろう」
春香「私は大丈夫ですよ!まだまだやれます!」
やよい「私もですー!」
P「あはは、まぁ今日は二人ともこれであがりだからそのエネルギーは次の仕事にとっておいてくれ」
春香「えへへ、そうですね」
P「それじゃ二人とも着替え終わったら駐車場に来てくれ。俺はそこで待ってるよ」
やよい「はいー!わかりましたー!」
春香「それじゃ、一旦失礼しますね」
スタスタ……
P「……はぁ」
P「……うへぇ……」
P(やばいな……疲れが全身蝕んでるって感じだ)
P(この後事務所に二人を連れて帰って、その後は千早のレコーディングスタジオ、真と雪歩のボーカルレッスン)
P(それが終わったら次のライブのPAとステージの音響の話し合い、それから美希の化粧品CMの打ち合わせ)
P(そして皆を迎えに行って事務所に送ってそのまま事務仕事で残業か)
P(……やりがいあるけど……俺今日何時間寝れるんだ……いや、というか寝られるのか?)
P(最後に休んだのがいつだったのかも覚えてないな……はは、これってワーカホリックって言うのかな)
P(……でもあいつらは今が頑張り時だし……俺がしゃんとしなきゃな)
スタスタ
やよい「えーと、トイレは……あれ?」
P「…………」
やよい「あ、プロデュー」
P「……はぁ……」
やよい「……サー……」
チャリンチャリン ピッ ゴトン
やよい「!」
P(……こいつに頼る事も多くなったな)プシュッ
やよい(栄養ドリンクだ……)
P「っ……ぷは」
P「……よし、まだ頑張れる……」
やよい「……」
やよい(プロデューサー……凄く疲れてそう……)
……
…
・
―事務所―
ガチャッ
「「「「ただいまぁー」」」」
P「只今戻りました」
小鳥「あ、お帰りなさい」
美希「疲れたのー……」
P「美希は今日よく頑張ったよ。えらいえらい」
美希「ねぇねぇプロデューサーさん、ミキもう疲れたからここで眠ってもいいかな?」
P「駄目だ。家に帰ってゆっくり体を休めなさい」
美希「けちなのー……」
千早「プロデューサー、あの、今日のレコーディングのお話なんですが」
真「あ、僕達も相談したい事があって――……」
雪歩「次の曲のダンスの振り付けは――……」
P「あぁ。みんなちゃんと聴くから一人ずつな」
P「お、響もまだ残ってたのか」
響「うん!実は生っすかの企画でさー」
P「なんだなんだ?あ、ちょっと待ってくれ。電話だ」prrr
P「はいもしもし。あ、あずささん。お疲れ様です」
P「はい……え!?いやいやそこは県越してますって!とりあえずそこを絶対動かないで下さい!絶対!」
ワイワイ
小鳥「プロデューサーさん、人気者ねぇ」
律子「でもあんな人数相手で大丈夫かしら……私も手伝えたらいいんですけれど」
小鳥「元気はありそうだけど……ちょっと心配ねぇ」
やよい「……うぅ、やっぱり……」
律子「あれ?やよいまだ帰ってなかったの?」
小鳥「駄目よー。ご両親が心配するわよ?」
小鳥「え?」
律子「何を?」
やよい「……社長室にいってきますー!」
タッタッタ
小鳥「……何を決めたのかしら」
律子「さあ……まぁやよいは良い子ですから悪いことでは無いと思いますけど……」
P「家が遠い奴は送って行くから早く車に――……おい亜美、真美!肩にぶら下がるのやめなさい!」
……
…
・
―事務所―
チュンチュン
P「……ん」
P「んぅぇ……やべ……」
P(寝てたのか……もう空白み始めてる)
P(30分寝てたのか……少しは楽になるもんだな……)
P(よし、再開……)
グゥゥゥ……
P(…………飯食うか)
P(冷蔵庫にウィダーあったかな……)
P「おえぇっ……っ……ぇぉっ…………っぅぅ……!!」
ジャー ゴポゴポ
P「……はぁ……」
P(やばいぞ……胃が食べ物を受け付けなくなってる……)
P(なんだっけ……体を冷やすものを摂取してると吐き気を催すんだっけか)
P(ここ最近時間がろくに無くてコーヒーとウィダーだけだったもんな……あとは栄養ドリンクか)
P(馬鹿か俺は……こんなんで体調崩したらプロデューサー失格だよ)
P(自分は体調管理も仕事の内ってアイドルに口うるさく言ってるくせに……)
P(……)
P(…………仕事、か……)
P(仕事とか関係なく……あいつらの為にも俺が踏ん張らなきゃ)
P「っよし!踏ん張れ俺!」
P(今日は確か貴音と響以外の皆はオフだから、二人のロケの連れ添いをこなせばあとは事務仕事を――……)
バターン!!
社長「グッモーニン!」
P「うぇっ!?」ビクッ
P「しゃ、社長、おはようございます……お早いご出社……ですね?」
社長「うむ、おはよう。しかしあまり無理するなとあれ程言っておるのにキミィ……」
P「い、いえ、俺の事はいいんですが……社長がこんな時間に出社されるなんて何かあったんですか?もしかして、自分が何かミスを……」
社長「いやいや。今日は少し事情が変わってしまってねぇ」
P「事情?」
社長「うむ。キミにお願いしたい仕事が入り込んできたのだよ」
P「なにか飛び入りの仕事ですか?」
ペラッ
社長「この場所に行ってもらいたいのだよ」
P「この場所……ですか。了解しました」
社長「それでは、仕度をしたまえ」
P「えっ!?今からですか!?朝10時から貴音と響のロケの連れ添いがあるんですが……」
社長「うぉっほん!心配無用!今日は私がその役を引き受けるからねぇ!」
P「………………えー……」
社長「……なんだねその顔は」
ブロロロロ……
P「……」
――――――――――――
社長『とにかく今日はここは私に任せてその仕事に専念したまえ!』
社長『なぁに!私だって昔はアイドルを一億人ほどプロデュースした男だ!大船に乗ったつもりでいなさい!』
――――――――――――
P「……ああは言ってたけど……大丈夫かなぁ」
P「ま、とりあえずこっちの仕事を頑張るか……」
P「……」
P「でもこの住所どっかで見たことあるんだよな……」
P「……あれ?」
ブロロロロ……
P「ここって……」
ブロロロロ……
P「あー……間違いないな」
ブロロロ……キィー
バタン
P「やっぱり……やよいの家だ」
―高槻家―
P「もしかして社長……渡す紙を間違えたんじゃ」
ピロリン
P「あれ……社長からメールだ」
―――――――――――――――
sub:そろそろ付く頃だろう
本文:もしそこに着いたらやよい君に連絡をする事。いいね
こっちは気にせずそっちを頑張ってくれたまえ。
健闘を祈っているよ。
ps.深爪って痛いよね。あれなんなの
―――――――――――――――
P「やよいに連絡……?」
P「もしかしてやよいのロケ……とか、そういうのなのか……?」
P「とりあえずやよいに連絡してみるか」
prrrr プツッ
『は、はひっ!』
P「お、やよいか?」
やよい『そ、そうですっ!おはよーございますっ!プロデューサー!』
やよい『はい!あの、今どこにいらっしゃいますかー?』
P「やよいの家の前だよ」
やよい『あのっ、じゃあ家にあがって下さい!』
P「え?いいのか?」
やよい『はい!まってますー!』
プツン
P「うーん……わからん。なんなんだ」
P「取りあえず……あがってみるか」
ガラッ
P「おじゃましまー……」
?「とりゃー!」
?「えーい♪」
ガシィッ!!
P「うおぉっ!!!?」
浩太郎「へっへー!」ギュウ
かすみ「つかまえたよー」ギュゥ
P「な、なんだ?どうしたんだい?」
やよい「……プロデューサー」
P「あ、やよい!おはよう」
やよい「……」
P「…………やよい?」
やよい「……プロデューサーを」
P「え?」
やよい「っ……プロデューサーを、今から“なんきん”しますーっ!」
P「…………へ」
―事務所―
ガチャッ
春香「おはよーございまーす」
小鳥「あら、おはよう……って春香ちゃん、今日はオフじゃなかったの?」
春香「えへへ、そうなんですけど……土曜日で学校は休みですし、来ちゃいました」
小鳥「ふふ……やっぱり皆同じようなものなのね」
春香「え?」
真「やっほー春香」
雪歩「春香ちゃん、おはよう」
春香「真!?雪歩!来てたんだ!」
美希「二人だけじゃないよー」グデー
伊織「休みの日まで来るとか……アンタたちどれだけ事務所好きなのよ」
千早「……水瀬さんも来てるじゃない」フフ
亜美「ねーピヨちゃんピヨちゃーん」
小鳥「どうしたの?」
真美「兄ちゃん来てないのー?」
小鳥「ええ。多分今頃は貴音ちゃんと響ちゃんの連れ添いで遠出してるはずよ」
亜美「つまんないのー」
美希「プロデューサーさんをおにぎりまみれにする計画が狂っちゃたの」
あずさ「だめよーそんなことしちゃ」
春香「でもプロデューサーさん大丈夫かなぁ」
真「え?何が?おにぎりが?」
春香「そうじゃなくて、最近プロデューサーさんが休んでるところを見た事ないからさ」
真「あー……確かにそうかもね」
千早「ずっと働き詰めよね……体調崩さないといいけど……」
律子「え?えぇと……どうだったかしら、休日もずっと出勤してるし」
小鳥「そういえば……」
春香「……」
春香(プロデューサーさん……)
ピロリンコ
春香「あれ?あ、響ちゃんからメールだ」
真「あ、お土産頼もうよ春香」
春香「…………」
真「……春香?」
春香「……やよいが」
真「え?」
春香「…………やよいが……プロデューサーさんを……軟禁……?」
一同「「「 へ 」」」
P「……やよい」
やよい「はいー、どうしましたかー?」
P「……状況がよく掴めないんだけど」
浩太郎「あはは!P兄ちゃん父ちゃんより肩凝ってる!」トントン
かすみ「浩太郎、おわったら次は私ね」
長介「プロデューサーさん、お茶置いておくね」
P「……なんで俺はやよいの弟さん達にすごいもてなされてるの?」
やよい「なんきんしてるからですー!」
P「なんきんか……なら仕方ないな?」
やよい「はい!プロデューサーは今日は私達のなすがままです!」
P「なすがままなら仕方ないな……」
P「だって何か仕事があったんじゃないのか!?俺は社長の命令で――……」
やよい「はい、お待たせしましたー!」
P「ここに来たワケで――……って、え?」
ホカホカ
P「……味噌汁に…………ふっくら卵焼きに……ほっかほかのご飯……」
P「え……これ……俺、に?」
やよい「……」
P「……やよい?」
やよい「……あ、あの……社長に、最近プロデューサーが食事もロクにとってないって……」
やよい「……もし、よければ……たべてくれませんか……?」
P「……」
P「……いただきます、やよい」
やよい「っ!はいっ!」パァァ
かすみ「うん!」
長介「それじゃ」
「「「「いただきまーす!!」」」」
P「……いただきます」
P(……大丈夫かな……吐いてしまわないといいけど……)
P「……」カチャッ
パクッ
P「……」モグモグ
P「……」モグ……
P「……」パク モグモグ
P「……」モグモグ
P「……」
P「…………うまい……」
やよい「! 本当ですかー!?」
やよい「えへへ……、嬉しいです」テレテレ
かすみ「お姉ちゃんのご飯、美味しいでしょ」
長介「これには適わないんだよな……俺も練習してるんだけど」
浩太郎「練習しても真っ黒な卵焼きしかできないんだよなー!」
長介「お前生意気いってんじゃねーぞ!」
浩司「まっくろー!」
やよい「みんな静かに食べなさい!」
かすみ「えへへ……美味しいね」
ワイワイ
P「…………」
浩太郎「姉ちゃん、おかわりー!」
やよい「はいはいちょっと待ってねー」
P「……」ズズ…モグモグ
長介「かすみ、ちょっと醤油取って」
かすみ「うん、あれ……醤油切れてる」
P「……」モグ……
浩司「んんっ」
やよい「ほら浩司、こぼしちゃってるよ」フキフキ
P「……」モグモグ……
やよい「えへへ、はい。きれいきれい」ニコッ
P「…………」
――――――――――
P『……――はい、その企画書で大丈夫です。はい。失礼します』
P『…………はぁ』
P『家に帰っても仕事か……』チラッ
P『うわ……時間無い……新しい企画書仕上げないと……飯どうするかな』
P『……昼に買ってたカロリーメイトで良いか』
P『…………』モグモグ
P『……』モグ……
P『(暖かいご飯……最後に食べたの……いつだっけ)』
P『(……最後に誰かとテーブル囲んで食事したの……いつだったっけ)』
――――――――――
P「……」
長介「え?」
かすみ「?」
やよい「へ?プロデューサー、何か嫌いな物とか――……」
やよい「…………!」
P「……っ……!」ポロポロ
やよい「……プロデューサー……」
P「こ、れは……ちがう……んだよ」ポロポロ
P「味噌、汁の……!湯気が……目に、入っちゃってさ……!」
P「あはは……!ば、馬鹿……だよな!こんな、大人にも、なって」
P「……子供たち……みんなの、前……で……!」
P「……っ……本当に……!!」
P「本当に…………バカ……だよ……俺……!!」ポロポロ
長介「……おい、浩太郎。布巾とりにいくぞ」
浩太郎「え?一人でいけよー」
長介「……俺一人じゃ重い布巾なんだよ。ほら、いくぞ」
浩太郎「わかったよー」
スタスタ
P「……すまん……!!……すぐに、止まるから……!!」
P「だから……少し……少しだけ……待ってくれ……!」ポロポロ
やよい「プロデューサー……」
かすみ「……」
P「うぇっ?」グスッ
やよい「か、かすみ!プロデューサーさんに抱きつかないの!」
かすみ「ふふ、ぎゅー」ギュゥゥ
P「か、ぐすっ……かすみ、ちゃん?」
かすみ「あのね」
P「?」グスッ
かすみ「私が悲しい時はね、お姉ちゃんがいつもこうやってぎゅーしてくれるんだ」
やよい「……」
P「……っ……ぐすっ」
かすみ「……きょうはね、プロデューサーさんは軟禁されてて、わたしたちのなすがままだから」
かすみ「……なんでもしていいなら、ぎゅーってしちゃうね」ギューッ
やよい「……」
ポフッ
P「へ……?」
やよい「…………~~っ!」ギュゥゥ
P「……やよ、い……?」グスッ
やよい「……今日は」
やよい「今日は……プロデューサーは、軟禁されてるんです……!」
やよい「だから、わたしもぎゅーってしたくなったから!ぎゅーってします!」
P「…………」
かすみ「ふふ♪」ギュゥゥ
やよい「~~っ」ギュゥゥ
浩司「?ぎゅーっ?」ギュゥ
P「……はは……は……」ポロポロ
P「軟禁なら……しょうがないなぁ……!」ポロポロ
P「……っ……暖かい……暖かい手錠だなぁ……」ポロポロ
P「…………」
やよい「こらー、そこ片付けるからちょっとどいてー」
かすみ「はーい。ちょっと浩三のおむつかえてくるね」
浩太郎「ぎゃはは!」
長介「こら浩太郎!漫画読んでないで掃除すんの手伝えっての!」
浩司「すぅ……すぅ……」
P「…………」
P「…………」
P(ハドゥカティ)
P(成人したいい年こいた大の男が子供達の前で食事中に号泣)
P(そして子供達に気を使われて慰められる始末。ハドゥカティ)
P(ついさっきまでの自分をありったけの力を込めて平手打ちしたい)
やよい「プロデューサー?」
P「ファイッ!」
やよい「どうかしたんですか?顔が赤いですけど……うぅ、具合、悪いんですか?」
P「なな、なんでもないよ!本当だよ!本当だったら!」
やよい「だったらいいんですけど……あ、プロデューサーさん!」
P「え?」
やよい「はい!敷き終わりましたー!どうぞ!」
P「え?……布団?」
P「え……なんで?」
やよい「……社長が、プロデューサーは今日あまりねむれてないみたいだって……さっきメールで」
P(ああ……社長……)
やよい「なので、どうぞ!」
P「ど、どうぞって言ったってなぁ……俺仕事あるし」
やよい「プロデューサーは今軟禁されてるんです!」
P「そ、そうは言っても」
やよい「……わたしは」
P「え?」
やよい「わたしは……プロデューサーが体壊しちゃうの……嫌です」
P「……」
やよい「!」
P「……ありがとうな。やよい」
ナデナデ
やよい「!……えへへ」
P「それじゃ……少しだけ……眠らせてもらうかな」
やよい「どうぞー!」
P「よいしょっと」モゾモゾ
やよい「よいしょ」モゾモゾ
P「はい、待とうかやよい」
やよい「はい?」
P「なんでさりげなく横に寝転がってるの」
P「あはは……やよいは良いお姉ちゃんなんだな」
やよい「そ、そんなことないですー!それよりも早くお休みになってくださいー!」
P「ああ。それじゃそうさせて――……」
浩太郎「とりゃー!」モゾモゾ
かすみ「えーい♪」モゾモゾ
浩司「わー♪」モゾモゾ
P「うわっ!?」
やよい「あっ!こら!」
長介「浩太郎!かすみ!浩司!プロデューサーさん眠れないだろ!邪魔すんなって!」
浩太郎「いいじゃんかー!うるさくしないから!」
かすみ「湯たんぽとまくらのかわりだよー」
やよい「駄目でしょー!早くどきなさい!」
P「あはは……いや、いいよ。やよい」
やよい「プロデューサー……うぅ……」
長介「騒いだら追い出しちゃうからな。かすみ、浩太郎」
やよい「それじゃ、プロデューサー、おやすみなさい」
P「あぁ、おやすみ。やよい」
パタン
浩太郎「へへー!うるさいのは行っちゃったよ!」
かすみ「でも騒いだら駄目だよ。浩太郎」
浩太郎「えー!かすみまで裏切るのかよ!」
かすみ「プロデューサーさんはつかれてるんだから」
浩太郎「あ、そうだった」
P「はは……まぁ、そんな大した事はないから大丈夫だよ」
浩司「すぅ……」
かすみ「あ、こうじまた寝てる」
浩太郎「早いなこいつ」
P「はは……よく寝る子だね」
浩司「ん……すぅ……」
P「……やよいは偉いなぁ」
かすみ「え?」
浩太郎「やよい姉ちゃんが?なんでー?」
P「ん?いや、家事も、アイドル業も……家族の事も全部きっちりやってるじゃないか」
P「まだ中学生なのに……あんなにしっかりした子はいないよ」
かすみ「……」
浩太郎「……」
P「……色々やよいの事を知ってくうちに……あいつの負担を、減らそうって……思ってたんだけどな」
P「……逆に、こんな風に気遣われて……情けないよ」
P「……って、ごめんね。君たちに言う話でもないよな」
P「あはは、ごめん、ちょっと俺、今変になっちゃってて……」
かすみ「……プロデューサーさん」
P「え?」
ギュゥ
かすみ「いつも、ありがとう」
P「……へ?」
浩太郎「あのな、P兄ちゃんにまた会ったら言おうって兄弟皆で言ってたんだ!」
P「へ?へ?何が?俺は別に何もしてないし……迷惑かけてばっかで」
かすみ「ううん、いっぱいお世話になってるよ」
浩太郎「姉ちゃんの事お世話してくれてありがとーな!」
P「……やよい、の?」
かすみ「……あのね。お姉ちゃん、プロデューサーさんと会う前まで、ずっと大変だったの」
かすみ「アイドルのお仕事もなくて、家事も学校もあって……すごく大変だったみたいで」
かすみ「でも、プロデューサーさんにお仕事を手伝ってもらうようになって……お姉ちゃん、前より笑うようになったよ」
かすみ「お仕事もうまくいって、せーかつもずいぶんらくになったって……お姉ちゃん言ってた」
かすみ「そして、全部ぜーんぶ、プロデューサーさんのおかげだって……言ってたよ」
P「……!」
かすみ「プロデューサーさんを休ませてあげたいから、手伝ってって……私達に頼んできたよ」
かすみ「お姉ちゃんに何かをお願いされたの……あれが初めてなんだ」
P「…………」
かすみ「……それだけ、お姉ちゃんはプロデューサーさんにお世話になってるんだよ」
浩太郎「だから、ありがとうな!兄ちゃん!」
P「……っ……」
モゾ
かすみ「プロデューサーさん?」
浩太郎「布団に潜っちゃった!あはは!」
P「……っ……」ポロポロ
P(俺は……本当に駄目な大人だなぁ)
P(子供達に……こんな小さな子供達にこんなに救われるものなのか)
P(本当に本当に……駄目な大人だよ)
仕事の人の軟禁
×仕事の人
○将来の義兄
カタカタ
P「はい!あ、その企画書を今作成してるんで!」カタカタ
P「はい?いえ!そっちのPAには話を通してあるんですが――……」カタカタ
P「はい、はい!また折り返し連絡させていただきます!」カタカタ
ピッ
P「企画書……っ……これ終わったら次は何だっけ……!」
カタカタカタ
カタカタカタ
カタカタカタ
カタ……
P「……」
P「……」
P「……これが終わったら……なんだっけ」
P「……何をすればいいんだっけ……」
P「……あれ」
P「この電話……誰からだっけ」
prrrrrr
P「……企画書、終わったら何をすればいいんだっけ」
P「……」
P「……」
P「……」
P「思い出せないや」
P「……」
P「俺は」
P「俺は、何のために働いていたんだ?」
P「誰のために働いてたんだっけ」
P「何のために」
P「何の、ために」
「あ!プロデューサー!次の企画は、もっとこう、可愛い、プリプリィって感じのをですね!」
「寝癖治してください……まあ、なんでもいいですけれど」
「プロデューサー、おはようございますぅ。えへへ」
「兄ちゃーん!」「ゲームしようぜー!」
「あらあら、プロデューサーさん。おはようございます」
「はいさーい!プロデューサー!今日も自分頑張るぞー!」
「プロデューサー?身だしなみも仕事のうちですよ!ちゃんとしてください!ちゃんと!」
「アンタもだらしないわねぇ。私のプロデューサーならもっとピシっとしなさいよ!」
「プロデューサー、今宵、らぁめんを食べに参りませんか」
「プロデューサーさん、おふぁよー……あふぅ」
―――――――――-----・・・
カァ カァ
P「……ん」
P「……夢……」
ムクッ
P「…………あれ……ここは」
P(……あ……そうか。そういえばやよいの家に……)
P(…………かすみちゃんと浩太郎君と浩司君は……もういないか)
P(うわ、外……もう薄暗いじゃないか……どんだけ寝てたんだ俺)
P「…………」ポリポリ
P「……やよいは……いるかな……」
やよい「……よいしょ……」ゴソゴソ
やよい「っと……よしっ」トントン
P「……買い物に行くのか?」
やよい「えっ!!?あっ!プロデューサー!」
P「あぁ、ごめん。ビックリさせて。今起きたんだ」
やよい「そうでしたか……」
P「……やよい」
やよい「はい?」
P「…………久々にぐっすり眠れたよ」
P「……ありがとう」
やよい「……!」
やよい「えへへ……だったら……良かったです」ニコ
やよい「え?大丈夫ですよー!今プロデューサーは軟禁されてるんですから――……」
P「……付いていきたいんだ」
やよい「……!」
P「……いいか?」
やよい「……」
やよい「…………はい……」
……
…
・
―土手沿い―
ガサガサ
P「はは、やっぱり家族がいると食材の量も凄いんだな」
P「一人暮らしなんて自分の分しかないから……こんな買い物、随分久しいよ」
やよい「えへへー、うちは皆いっぱいたべますからー」
やよい「えへへ……」
P「……」
やよい「……」
やよい「……あの、プロデューサー……」
P「……なんだ?」
やよい「その……あの……」
やよい「……怒って……ますよね」
P「え?」
やよい「……勝手に、お仕事お休みにしちゃって、無理やりうちにつれてきちゃって」
やよい「説明してもないのに、軟禁だーって言っちゃって」
やよい「……勝手なことして……本当にすみませんでした!」ペコリッ
P「や、やよい、やめてくれよ!ちょっと頭上げてくれ!」
P「そ、そりゃやよいが“軟禁”って言い始めた時は本当に戸惑ったけどさ」
やよい「あれ、社長が教えてくれたんですー」
P(あのおっさん)
P「…………でも、確かに、ビックリしたし、ちょっとどうしていいかわかんなかったよ」
P「いつもは仕事してる時間帯だからかな……体もしばらくそわそわしてしょうがなかったし」
やよい「……うぅ」
P「……でもさ、凄く……本当に凄く、感謝してる」
やよい「…………え?」
P「……やよい、今日は本当にありがとう」
P「体が休まった……とか、それもあるけど」
P「なんか……上手くいえないけど……何て言っていいのか、わかんないけどさ」
P「なんというか……やよいのおかげで色々と腑に落ちた気がするんだ」
P「だから………………ありがとう。やよい」
やよい「何も……何もできてないのに……」
P「……やよい?」
やよい「……わたしこそ、お世話に……お世話になってるのに」
やよい「プロデューサーが疲れてるの……あまり……気付けなくって……!」
やよい「いつも、おせわになって、ばっかりなのに、たすけてもらってばっかりなのに……!」
やよい「ぷろでゅーさーに、なにか、かえせないかなって……グスッ……かんがえたけど」
やよい「なんだか……よく、わからなくなっちゃって……!ぐすっ!!ごめんなさい……!ぷろでゅーさー……!ごめんなさい……!」
P「……やよい」
やよい「ひぐっ……!ひぐっ……!」ポロポロ
P「……」
P(なんだか、間抜けな話だ)
P(俺がこの娘を手助けしようと思ってやってきた行動が……この娘の負担になっちゃったんだな)
P(はは……なんて情けなくて、馬鹿で……果報者なんだろうなぁ……俺は)
P「ほら、ハンカチ。泣かないでくれ。やよい」ゴシゴシ
やよい「ぐすっ……む……うぅ」
P「はは……さっきと立場が逆だな」
やよい「はふ……」
P「……よし、綺麗になった」
やよい「すみません、プロデューサー……」グスッ
P「はは、よし!」
ガサッ
P「それじゃ、戻ろうか。みんなが心配するかもしれないぞ」
やよい「……」
やよい「……」
P「……明日から、多分、また始まる……仕事もさ」
やよい「……うぅ……」
P「今日のおかげで……強がりでもなんでもなくて……全部全部、乗り越えられそうなんだ」
P「……やよいや、やよいの兄妹みんなのおかげだよ」
やよい「……!」
P「だから笑って…………帰ろう、やよい」ニコッ
やよい「…………」
やよい「……っ……!」グシッ
やよい「…………はいっ!プロデューサー!」ニコッ
スタスタ
P「でも、いいのか?晩御飯まで一緒にご馳走になって……」
やよい「はい!元気がでるものを作っちゃいますから、ぜひたべていってくださいー!」
P「はは、楽しみだよ……っと、着いたな」
ガラガラ
やよい「ただいまー!」
P「おじゃましまー……ってうおっ!!?」
ズラァッ
やよい「はわわ!?凄い数の靴が玄関に!!」
P「…………まさか」
「あっ!誰か帰って来た音がしたよ!」
やよい「あれ?この声――……」
P「……居間の方からだな……」
春香「おかえりー!やよい!」
真「おじゃましてるよー!」
伊織「ちょっと!アンタやよいをこんな時間まで買い物に行かせてるんじゃないわよ!」
美希「プロデューサーさん!おひさ!昨日ぶりなの!」
ワイワイ
やよい「みんな……」
P「ちょっと待て!!何でお前らここにいるんだよ!!」
春香「いえ、実は響ちゃんから『社長から聞いたけどやよいがプロデューサーを軟禁してるらしいぞ』メールが来て……」
真美「真相を確かめに来たのさ!」
P「いやだからってこんな大勢迷惑だろ!!」
亜美「やよいっちのお父さんが『全員あがって待ってて下さい!後生ですから!』って」
やよい「おとうさん……」
伊織「だから響のデマだって何回言わせるのよ……」
あずさ「それじゃ、私達はそろそろお暇しようかしらー?」
浩太郎「えー!!姉ちゃん達もう帰っちゃうのー!?」
かすみ「やだー、もうちょっと居てよぉ」
やよい父「やだやだぁ!!」
長介「親父ちょっと納屋に閉じ込めてくるわ」
やよい「でも……みなさん、私のわがままのせいでここまで来ちゃったんですよね」
やよい「あ!そうだ!みなさんも晩御飯たべていってくださいー!」
雪歩「え?いいのかな?」
真「やーりぃ!やよいの手作りだ!」
やよい「はいー!ご飯は大勢で食べたほうがおいしいんですよー!」
P「……はは、うん。そうかもな」
やよい「じゃあお母さんに話してきますー!」
パタパタ
P「……ふふ」
春香「……プロデューサーさん?」
P「うぉっ!?な、なんだ!?」ビクッ
春香「……むー」ジー
P「……?」
春香「……ふふ。なんだか、ちょっとスッキリした顔になってるなぁって思って」
P「…………そうか?」
春香「はい。何かありました?」
P「うーん…………まぁちょっとな」
春香「……えへへ、そうですか」
―玄関―
「「「「お邪魔しましたー!」」」」
やよい「皆さん、今日はありがとうございましたー!」
春香「こちらこそごちそうさま!ありがとうね!」
小鳥「なんだか私達も呼んで頂いて、すみません」
やよい母「いえいえ、来てくださってありがとうございました」
社長「いやぁ、面目ないですなぁ」
かすみ「お姉ちゃん達、また来てね」
浩太郎「また遊ぼうなー!」
響「あぁ!いい子にして待ってろよー!」
伊織「あれ?やよいのお父様は?」
長介「さぁ……」
―納屋―
やよい父「んほぉぉぉぉ!!んほぉぉぉぉぉ!!」ガタンガタン
高槻家で監禁された
「「「「はーい!」」」」
スタスタ
P「ふぅ……それじゃ、自分もこれで。今日は大変お世話になりました」
やよい母「いえ、こちらこそやよいが毎回お世話になって……」
P「いえ、自分の方がお世話になっているくらいですよ」
浩太郎「P兄ちゃん!また来てね!」
かすみ「今度はもっといっぱいあそぼうね」
浩司「あそぶー!」
P「はは!そうだな!それまでいい子でね」
長介「プロデューサーさん。また来てね」
P「長介くんにもお世話になったね。ありがとう」
長介「いや、そんな事ないよ……でも、楽しかったよ。またね」
P「本当にしっかりした子だね……うん、またね」
やよい「……」
P「……」
やよい「あの、プロデューサー、今日は……その、なんていうか」
やよい「……その……」
P「……やよい」
やよい「え?」
P「また明日から……仕事頑張ろうな」
やよい「……!」
やよい「……はい」
やよい「……」
P「……でもさ」
やよい「……?」
P「時々、時々でいいから……」
P「疲れて、どうしようもなくなった時」
P「また……こんな日を一緒に過ごしてくれないかな」
P「……やよいが、よければ……だけど」
やよい「……」
やよい「…………」
やよい「……………………っ!」
ニコッ
やよい「はいっ!」
ブロロロロ
春香「すぅ……すぅ……」
真「むにゃ……ふふ……」
雪歩「うぅん……いぬ……いぬがぁ……」
P「みんなぐっすり寝てますね……」
社長「うむ……まぁ私も久々の現場でだいぶ疲れてしまったよ」
P「今日は申し訳ありませんでした」
社長「いや、そういうつもりで言ったのではないよ。私も久々で楽しんだからね」
P「いえ、それでも。ありがとうございました」
社長「……」
P「?……社長?」
社長「はは……いや、君の今の顔を見て今日は正解だったなぁと再確認したよ」
社長「やよい君にも礼を言わなければね……」
……
…
・
――――――――――――
翌日
―事務所―
「はぁっ……はぁっ……」
ガチャッ
やよい「おはよーございますー!」
小鳥「あら、おはよう。やよいちゃん」
やよい「おはようございます!小鳥さん――……」
「おはよう、やよい」
やよい「! プロデューサー!」
やよい「えへへ……」
P「……」
やよい「……」
P「まぁ、あれだ」
やよい「……?」
P「今日も元気に!頑張るとするか!やよい!」
やよい「っ!はい!」
小鳥「ふふ……」
やよい・P「「せーのっ」」
P「はい!」
やよい「たーっち!!」
やよい・P「「いぇいっ!!」」
おわり
…
・
―納屋―
やよい父「コフォォ、コフォォ」
終わり
書いてて死にたくなったけどね。会社滅びないかな
大儀であった
お陰で金土日仕事頑張れそうだぜ!
Entry ⇒ 2012.11.16 | Category ⇒ アイマスSS | Comments (1) | Trackbacks (0)
紬「おこたと」
紬「おこたと」
梓「ですね」
紬「クシュン」
梓「くすっ」
紬「///」
梓「早く練習はじめちゃいましょう」
紬「そうしましょうか」
梓「練習始めればちょっとは体も暖かくなりますから」
紬「そうだね」
紬「ふぅ…」
梓「いまひとつでしたね」
紬「指がかじかんで上手く動いてくれないの」
梓「暖房が直るまでの辛抱ですが‥」
紬「それまで練習になりそうにないね」
梓「はい…」
紬「ギターの練習はお休みにしましょうか」
梓「あの」
紬「なぁに?」
梓「作曲に興味があるんです」
紬「作曲?」
梓「はい」
紬「私の家にくる?」
梓「ムギ先輩の家。ちょっと気になりますね」
紬「それじゃあ決定ね」
梓「家にきませんか?」
紬「梓ちゃんのお家?」
梓「今年はおこたを出したんです」
紬「おこた!?」
梓「みかんもありますよ」
紬「行く行く! 絶対行く!」
梓「くすっ。じゃあ一緒に行きましょ」
紬「うん!」
紬「はぁー」
梓「まっしろ」
紬「えぇ」
梓「はぁー」
紬「梓ちゃんの息もまっしろ」
梓「すっかり冬ですね」
紬「そうね」
梓「寒いですね」
紬「早くおこたに入りたい」
梓「そうですね」
紬「うん」
紬「雪が降ったら不安ね」
梓「でも毎年なんとかなっちゃうんですよね」
紬「不思議ねぇ」
梓「はい」
紬「ちょっとずつ体が慣れてくのかしら」
梓「かもしれません」
紬「でも雪かぁ」
梓「積もったらまた雪合戦でもやりましょうか」
紬「かまくらも作りたいな」
梓「いいですね」
紬「中でお鍋をするの」
梓「とけませんか?」
紬「大丈夫よ」
紬「澪ちゃんが鍋奉行をやって…」
梓「私達四人が好き勝手にとりまくるんですね」
紬「うん!」
梓「困惑してる澪先輩の顔が思い浮かびます」
紬「ふふふ。きっと楽しいわ」
梓「そうですね」
紬「きっと…」
梓「着きましたよ」
紬「もう着いちゃったんだ」
梓「じゃあ上がってください」
紬「おこた!」
梓「電源を入れたところなのでまだ暖かくありませんよ」
紬「…うん」
梓「しばらくは我慢してください」
紬「ちょっと暖かくなってきたみたい」
梓「ほんとうですか?」
紬「うん」
梓「二人も入ってますから体温のせいかもしれません」
紬「そうかな?」
梓「たぶんそうです」
紬「そっかぁ」
梓「みかんをどうぞ」
紬「ちょっと緑っぽいね」
梓「ちょっと早いですから」
紬「そっかぁ」
梓「やっぱりオレンジのほうがいいですか?」
紬「うんう。緑っぽいのは食べたことないから」
梓「じゃあ試してみてください。酸味がちょっと強いですけど」
紬「うん」ムキムキ
梓「…」ムキムキ
紬「どうかしら」パクッ
梓「私も」パクッ
紬「美味しい…」
梓「思ってたより甘いです」
梓「…」ムキムキ
紬「…」ムキムキ
梓「…」パクッ
紬「…」ムキムキ
梓「ん?」
紬「…」ムキムキ
梓「白いのを全部とってるんですね」
紬「うん…」ムキムキ
梓「私もやってみようかな」ムキムキ
紬「むけた!」
梓「終わっちゃったんですか」ムキムキ
紬「はい。どうぞ」
紬「うん」
梓「悪いです…」
紬「気にしないで」
梓「じゃあ」パク
紬「どう?」
梓「美味しいです」
紬「それは良かった」
梓「はい」
紬「おこたもだいぶん暖かくなってきましねね」
梓「はい」
紬「そろそろ作曲の勉強をはじめよっか」
梓「お願いします」
紬「わかったかな?」
梓「いまひとつわかりませんでした」
紬「ごめんね」
梓「ムギ先輩のせいじゃありません」
紬「今度私の先生を紹介しよっか?」
梓「先輩の先生?」
紬「ピアノの先生」
梓「遠慮しておきます」
紬「そう」
梓「ムギ先輩に習いたいですから」
紬「そっかそっか…」
梓「また教えてくださいね」
紬「うん」
紬「そろそろ帰ったほうがいいかな?」
梓「ちょっとお話しませんか」
紬「そうね」
梓「…」
紬「…」
梓「受験勉強とか」
紬「順調だよ」
梓「ですよね…」
紬「…うん」
梓「…」
紬「…」
梓「意外と話すことありませんね…」
紬「そうだね」
紬「あっ、そうだ」
梓「どうしました?」
紬「どうして作曲を?」
梓「それは…」
紬「何かあるんだ?」
梓「特にこれといってあるわけじゃないんですけど」
紬「うん」
梓「来年から私が部長なので…」
紬「そっかぁ」
梓「はい」
紬「ちょっと不安なんだね」
梓「少し」
梓「なんで笑うんですか?」
紬「嬉しかったから」
梓「何が嬉しいんですか」
紬「梓ちゃんの弱みを知れたのが」
梓「そんなこと…」
紬「ふふふ」
梓「もう…」
紬「きっと素敵な後輩たちが入ってくれるから」
梓「そう思いますか?」
紬「ええ」
梓「そうかな…」
紬「きっとね」
紬「それがいいわ」
梓「はい」
紬「…」
梓「…」
紬「そろそろ帰るね」
梓「そうですか」
紬「もう夜も遅いし」
梓「そうですね」
紬「ばいばい梓ちゃん」
梓「さようならムギ先輩」
梓「…」
紬「…」
梓「…どうしました?」
紬「おこたの魔力って本当にあったのね」
梓「出られないんですね」
紬「えぇ」
梓「もう少しお話しましょうか…」
紬「うん」
____
___
紬「今日も寒いね」
梓「ですね」
紬「暖房はまだ直らないし」
梓「他の先輩方は受験勉強ですし」
紬「行きましょうか」
梓「はい」
紬「おこたへ!」
梓「はい」
紬「はぁー」
梓「まっしろ」
紬「えぇ」
梓「はぁー」
紬「昨日より白いみたい」
梓「ですね」
紬「こんなに寒いと…」
梓「手をつないで行きませんか」
紬「…うん」
梓「それじゃあ行きましょ」ギュ
紬「うん」ギュ
おしまいっ!
この淡々とした雰囲気嫌いじゃない
Entry ⇒ 2012.11.16 | Category ⇒ けいおん!SS | Comments (0) | Trackbacks (0)
一夏「実は俺・・・オルコッ党なんだ」
一夏「実は俺・・・オルコッ党なんだ」
一夏「メシマズとか言うな!セシリアはやれば出来る子なんだ!」
一夏「たとえ料理が壊滅的、破滅的に下手でも他の部分でカバー可能だ!」
鈴「ふーん?例えば?」
一夏「そうだな。まずグラマラススカイなプロポーション。そして余りある財力。お淑やかで、気品のある性格。結婚相手としてこれに勝るものはないだろう」
鈴「でもさ。仮にセシリアと結婚するとするじゃん」
一夏「うん」
鈴「仕事で疲れた一夏はこう思うのよ「ああ・・・早く帰って女房の美味しいご飯が食べたい。ビールとあうつまみもあれば最高だ」
一夏「はぁ」
鈴「それがあんた。帰宅してみなさい。あるのは悪臭を放つ何か。料理とは呼べない化学兵器よ」
一夏「・・・・・・」
一夏「・・・・・・」
鈴「あーあ。かわいそうに。セシリアと結婚したら、一生"美味しい愛妻弁当”は味わえないでしょうね」
一夏「セシリアの悪口はそこまでだっ!」ダンッ
鈴「っ!」ビクッ
一夏「違うんだ鈴。発想の逆転が必要なんだよ」
鈴「はぁ・・・どういうこと?」
一夏「セシリアが料理を作るというのがそもそも間違いなんだ」
鈴「ん?」
一夏「つまり、俺が料理を作ればいいんだよ」
鈴「なるほどね。あんたが台所の長を務めるわけだ」
一夏「そうだな。俺が専業主婦をやってもいい。例え共働きでも、夫がご飯を作っている家庭もある」
鈴「バットだがしかし、その論理には穴があるわ」
一夏「む?完璧だと思うが」
鈴「セシリアとの間に子供が生まれたらどうするのよ。いい?母親は離乳まで子供と一緒にいなきゃいけないのよ?」
一夏「む?なにか問題があるのか?」
鈴「セシリアが哺乳瓶の煮沸消毒とか出来ると思う?離乳食とか作れる?」
一夏「むむ・・・離乳食は・・・さすがに無理だが・・・哺乳瓶の煮沸くらいならできるだろ?」
鈴「あら?火事が起きない保証は?」
一夏「えー?セシリアってそのレベルだっけ・・・原作ではメシマズではあるものの俺んちで普通に・・・」
鈴「そもそも元栓という概念があるのか疑問ね」
金髪で可愛い子がさ
シャル乙
鈴「いやー・・・でも大変よねー・・・あんたが風邪の時は?単身赴任のときは?」
一夏「あー・・・あー・・・」
鈴「コンビニ弁当じゃまずいわよねー。子供の栄養的にも」
一夏「・・・・・・」
鈴「いい?あんたに言っておくわ」
一夏「・・・ん?」
その点フレンチ作れるし和食も勉強し始めた
従順で健気で家庭的な子が居た気がするけど?
鈴「経済的にも!栄養的にも!そして愛する夫のためにも!妻は夫のために尽くすべし!家のために尽くすべし!」
鈴「其は女の義務であり!魅力であり!定められた宿命!男女平等の風潮でも其は健在!」
鈴「女は何のために鍋を振るう!何のために箸を折る!愛する夫は何のために戦う!家を出る!」
鈴「全ては相互の関係!この社会に生まれたときから定められた共同作業だ!」
鈴「ボーヴェワールは言った!女は生まれながらにして女ではない!女となるのだ!」
鈴「女として生きる!其れは即ち、女としての義務を果たすこと!料理をすること!」
鈴「料理をしない女は、女ではない・・・性に甘んじる牝豚だ!」
鈴「生きよ!女として!生きよ!料理こそ汝の手に!」
一夏「・・・」
セシリア「そ、そうでしょうか・・・」
チェルシー『いいですか、恋は早いもの勝ちです。油断していると、どこぞの泥棒猫にカッさらわれます』
セシリア「は、はぁ・・・」
チェルシー『そうですよ、想像してご覧なさい、一夏様が他の女とキスしてるところを』
セシリア『い、いやっですわ!』
チェルシー『誘惑されて、ベッドでまぐわい、一夏様の上で腰を振る他の女』
セシリア『いやぁあああああ!聞きたくありませんわっ!』
チェルシー『ならばさっさと行動することです』
セシリア「でも・・・どうすれば・・・」
チェルシー「そうですね。とりあえず料理でも振舞ってみたらどうでしょう」
セシリア「料理ですか?私、料理は自信ありましてよ」
チェルシー「お嬢様、自分の料理を食べたことはありますでしょうか?」
チェルシー「・・・・・・お嬢様。料理は諦めたほうがいいかと」
セシリア「なにをおっしゃるの!?」
チェルシー「まずはご自分の料理を味見してからお電話お掛けください」ガチャ
ツー ツー ツー
セシリア「あっ!ちょっと・・・どういうことですの?」
セシリア「仕方ありませんわ。とりあえずシャルさんに言って、お料理部部室を使わせてもらいましょう」
セシリア「シャルロットさん。ごきげんよう」
シャル「あれ?セシリア?ごきげんよう」
セシリア「ちょっとお願いがあるのですけどよろしいでしょうか」
シャル「え?僕に?どうかしたのかな」
セシリア「ちょっとお料理がしたくて・・・料理部の部室を使わせてもらえないでしょうか」
シャル「ええ!!??セシリアが料理をするのっ!?」
セシリア「?何か問題でも?」
シャル(問題しかないとは言えない・・・)
シャル(さすがに一夏に死んで欲しくないからね・・・)
セシリア「いえいえ。自分で食べようかと。料理の練習も兼ねますし」
シャル「そ、そっか・・・それはよかった」ボソッ
セシリア「・・・何か言いまして?」
シャル「いやぁ・・・何も!それじゃあ部室に案内するよ」
セシリア「恩に着りますわ」
シャル「うわぁ・・・」
セシリア「できましたわ!」
何か「できたよー」
シャル「セシリア・・・念の為に聞くけどこれ何?」
セシリア「見てわかりませんか?日本のカリーアンドライスですわ」
シャル(あ・・・これカレーだったんだ・・・汁っ気全く無いから分からなかった)
セシリア「むー。少し水分が足りませんわね・・・コーヒーでも混ぜましょうか」
シャル「ちょ、ちょい!?どうしてそうなるの!?」
セシリア「え?なぜって水分が足りませんので」
シャル「普通に水を入れればいいんじゃないの?」
セシリア「それでは隠し味になりませんわ。料理は工夫こそ大切なのです」キリッ
シャル(うわぁ・・・)
セシリア「それでは・・・」サッ
シャル「た、たべるの!?それを?」
セシリア「はぁ・・・シャルロットさんも食べたいのですか?それならそうと」
シャル「いやいやいや遠慮します!」
セシリア「あらそうですの?それでは・・・」サッ
シャル「・・・・・・」ゴクッ
セシリア「あーん」
セシリア「・・・」パクッ
シャル「・・・・・・」
シャル(あ・・・これは・・・)
セシリア「・・・・・・っ」プルプル
シャル「セ、セシリア・・・無理しなくてもいいからね」
セシリア「・・・・・・っ!」ガタッ
シャル「・・・」ビクッ
セシリア「シャルロットさん・・・少し失礼しますわ・・・」
シャル「あ・・・うん・・・わかった。うん無理もないよね」
セシリア「お願いします」スタスタ
シャル(可愛そうに・・・・・・セシリア・・・)
セシリア「・・・・・・」スタスタ
セシリア「まさか・・・私の料理があんなに・・・」
セシリア「・・・あんなに・・・」
セシリア「・・・・・・
セシリア「美味しいなんて!」
セシリア「今まで食べたどんな料理より美味しいですわ!」
セシリア「そういえば、私の料理を食べた一夏さんが失神していましたけど、もしかして・・・」
セシリア「美味しすぎて失神していたのではありませんこと?だとしたら納得行きますわ!」
セシリア「これからは毎日一夏さんに料理を振舞ってあげなくては!」
セシリア「そうでないと宝の持ち腐れですわ!ああ!早く一夏さんの笑顔が見たい!」
セシリア「そうですわ。レシピを増やさなくては・・・将来の一夏さんの妻として・・・レパートリーを・・・それから・・・」
―――――――
――――――
箒「一夏。私と・・・」
ラウラ「嫁!私と飯を食うぞ!屋上で!」
一夏「おっ。屋上かぁ・・・久しぶりに外の空気を吸いながら食べるか」
箒「(ちぃ・・・二人きりで食事を摂るチャンスを・・・)
セシリア「あら。私もご一緒してよろしくて?」
一夏「ああいいぞセシリア。じゃあ購買に言ってパンを・・・」
セシリア「それには及びませんわ。私が一夏さんの分を作ってまいりました」
ラウラ「!!」
箒「!!」
一夏「うっ・・・」
セシリア「あら?一夏さん?嬉しいのかしら、顔が笑顔でひきつってますわよ」
一夏「ああ・・・そうだな・・・うれしいよセシリア」
箒(それは違う意味で引きつってるんだぞ・・・)
ラウラ(セシリアのバスケットから異臭が・・・そうか・・・これが新手の生物兵器)
セシリア「・・・それでは」パカッ
モーン
一夏「ううっ・・・」
箒「ああ・・・」クラッ
ラウラ「・・・・・・精神がやられる」
セシリア「さぁ!たーんと召し上がれ!今日の昼食はちゃーんとつくりこんできましたわ!」
箒「セシリア・・・時に聞くが、お前それ自分で味見したのか?」
セシリア「?当たり前じゃないですか。改心の出来ですわよ?」
ラウラ(味見しただと・・・)
箒(それでよく生きていられるな・・・)
セシリア「はい、あーん!」
一夏「うう・・・・・・」
箒「・・・・・・」ジー
ラウラ「・・・・・・」ジー
セシリア「あーん」
一夏(頑張れ俺!心鬼に!今俺は修羅となる!)
一夏(オルコッ党員の一員として俺は・・・セシリアの全てを受け入れる・・・)
一夏(風に身を任せろ。大地の地動を感じろ・・・地球と一つになるのだ)
一夏「・・・」パクッ
セシリア「ど、どうですか?」ドキドキ
一夏「・・・」
箒「一夏?」
ラウラ「・・・」サッ
ラウラ「・・・・・・息してない」
一夏「・・・・・・」
一夏「あ、ああ・・・ありがとう」
シャル「ねぇ・・・鈴・・・」
鈴「ええ、わかってるわシャルロット。言いたいことはわかる」
セシリア「今日のお弁当は煮込みフライドチキンですわ!」
一夏「ああ・・・うん・・・楽しみだな。ははは」
シャル「い、一夏が死んじゃうよぉ・・・」プルプル
鈴「無理よシャルロット。一夏は言ったの。俺が行く道が例え死につながっていても、決してセシリアを悲しませる真似はしない、と」
シャル「そ、そんなぁ・・・」
セシリア「一夏さん!屋上へ!」
一夏「ああ・・・セシリア・・・嬉しいなぁ。嬉しいなぁ」
一夏「・・・・・・」フラフラ
のほほん「ねぇ・・・最近のおりむー大丈夫かな」
クラスメイトA「そうよね・・・声かけても空返事しか返ってこないこともあるし」
一夏「・・・・・・ぁ・・・」フラフラ
箒「なぁ・・・一夏・・・大丈夫か?」
一夏「・・・・・・ん?お前誰だ?」
箒「はぁ?私は篠ノ之箒だ。忘れたのか?」
一夏「ん・・・ああ・・・箒か・・・いかんな。最近物忘れが激しくて」
箒「大丈夫かお前・・・」
セシリア「あ!一夏さん!」
一夏「ひっ!」
一夏「あぁ・・・・・・セシリア」ガクガク
箒(う・・・一夏の体が拒否反応を・・・)
一夏「俺は・・・もう限界だ・・・セしりあぁ・・・」
セシリア「あら?実習で疲れてらっしゃるのね。私のお弁当で癒されてくださいな」グイッ
一夏「あぁ・・・助けてぇ」ビクビク
シャル「あっ!一夏。織斑先生が呼んでたよ!」
一夏「はぁ・・・はぁ・・・え?」
シャル「至急連絡することがあるんだって!」
セシリア「あら・・・そうですの・・・仕方ありませんわね」
シャル「ははは。ごめんね。一夏行こっ」
箒「ほら。一夏。しっかりしろ」
一夏「ぁあ・・・・・・ぁあ」
一夏「ぁあ・・・あれ・・・ここは?」
シャル「ごめんね一夏嘘ついちゃった。織斑先生が読んでたって言うのは嘘なんだ」
一夏「え・・・?」
鈴「いーちか」
ラウラ「嫁・・・辛かったな」
一夏「お、おまえら・・・どうしたんだ一体」
箒「お前をセシリアから解放させてたくてな」
シャル「皆でご飯作ったんだ」スッ
モクモク ホクホク
一夏「あぁ・・・・・・ここは・・・天国かぁ・・・」
箒「和食は私」
鈴「中華は私よ」
ラウラ「私も微力ながら汁物を少々な」
「たーんと召し上がれ!」
一夏「・・・」パクッ
一夏「・・・・・・」パクパク
一夏「・・・ぁうう・・・」パクパクパク
シャル「ど、どうかな?」
箒「む、無理しなくてもいいんだぞ」
一夏「ぇぐ・・・うぅ・・・」ポロポロ
ラウラ「よめぇ・・・」
一夏「おぃしいなぁ・・・おいしいなぁ・・・えぐ・・・」ポロポロ
鈴「一夏・・・」
箒「て、照れるなぁ」
一夏「この洋食・・・味付けも最高で・・・全然しつこくない・・・母性を感じる、シャルの料理だなァ・・・」
シャル「あはは」テレテレ
一夏「この中華、熱々で、頬張るたびに唾液が止まらなくなるよ。鈴の親父さん、元気かなァ・・・」
鈴「元気でやってるわ」
一夏「この汁物。無骨だけど、仲間を大切にする想いが伝わるよ、これがドイツ軍仕込みなんだなァ・・・」
ラウラ「べ、別に・・・材料を切り刻んで放り込んだだけだ・・・誰でもできる」
一夏「うぅ・・・旨いぞぉ・・・最高だぁ・・・俺はこんな料理が食べたかったんだぁ・・・」
箒「一夏・・・お前が我慢することはない」
ラウラ「そうだ。私たちからセシリアに直接言う」
鈴「そうね。一夏。あんたはもっと自分を大事にすべきだわ。あんたの優しさは時に残酷よ。もちろんセシリアにとってもね」
一夏「だが・・・俺は」
シャル「元はといえば僕がセシリアを止められなかったのが悪いんだ」
シャル「セシリアの料理はまずいって、あの時ちゃんと言えていれば・・・」
ラウラ「シャルロット。お前のせいではない。それにこれは皆で解決すべき問題だ」
一夏「ち、千冬ねえ」
千冬「オルコットの味覚は筆舌に尽くしがたい。舌だけにな。既にこいつにはわからせておいた」
セシリア「あう・・・」
一夏「セシリア・・・お前」
セシリア「すいませんでした、一夏さん。私、一夏さんがそんなに苦しい思いをしていたとは知りませんでしたの」
一夏「・・・・・・」
千冬「オルコット。お前は謝罪ではなく、別のもので織斑に返す必要がある」
千冬「おいおい、ここにいるじゃないか。お前に必要なものを補ってくる奴らが」
シャル「・・・」
箒「・・・」
鈴「あら」
ラウラ「ほう」
セシリア「あぁ・・・皆さん」
千冬「ほら、さっさと土下座でもなんでもしろ」
セシリア「皆さん・・・この私めに・・・
料理を教えてくださいまし!」
箒「ばかかっ!どうして味噌汁にゼリーを入れるやつがある!」
セシリア「は、はい!」
グツグツ
シャル「ちょ、ちょっと!ちゃんと火を見て!吹きこぼしちゃってるよ!」
セシリア「は、はい!ただいま!」
ジュー ジュー
鈴「ちょっと!練習もしないうちに手首でフライパン返ししないの!下手くそ!」
セシリア「はひぃ!」
ラウラ「いいか・・・ナイフの持ち方はこうだ」
セシリア「こ、こうでしょうか」
ラウラ「ちなみに相手の後ろを取ったときはこう、逆手に持つ」
セシリア「はぁ・・・こうですか」
ラウラ「そうだ・・・そして相手に向けて突き刺すときは」
鈴「ちょっとラウラ。関係ないでしょそれ」
一夏「お、おい・・・セシリア。お前最近疲れてないか?」
セシリア「・・・一夏さん。そんなことありませんわ。私はもっと頑張らなくては」
一夏「あんまり頑張りすぎも良くないんじゃ・・・」
セシリア「一夏さんのためを思うなら・・・こんなもの屁でもありませんわ」
一夏「屁ってお前・・・」
セシリア「それでは、失礼します」フラッ
セシリア「・・・・・・ほうれん草を茹でる時間は・・・」ブツブツ
一夏「・・・セシリア」
一夏「ああ、正直心配だ。セシリアが倒れでもしたら」
のほほん「あれれ~?おかしいぞ~?おりむーだってあんな感じでふら~としてたよー」
一夏「え?そうだったのか?」
のほほん「むしろあれよりひどかったかも。人を見ているようでみていなかったよー」
一夏「のほほんさんは知らないのさ・・・あの時のセシリアの料理を」
のほほん「あははは。セッシーの頑張りは、その時のツケをとりかえしてるのかもねー」
一夏「ははは・・・」
一夏「いや・・・わからないな」
のほほん「好きな人のためなら。なんだってやれちゃうからだよ!女の愛は男のそれよりもずっと深いんだから!」
一夏「へぇ・・・それとセシリアと何の関係が?」
のほほん「おりむーはダメだなー」
一夏「えー?なんだよ」
のほほん「しらなーい」
一夏「えー」
一夏「ん?あるぞ。どうした?」
セシリア「私の料理を・・・」チラッ
シャル「・・・」グッb
ラウラ「・・・」謎のサイン
セシリア「た、たべてください!」
一夏「(ついに来たか)」
一夏「ああ。いいぞ」
セシリア「ほ、本当ですの!では・・・一夏さんのお部屋で待っていてください」
一夏「ああわかった。待ってるよ」ニコッ
セシリア「が、がんばりゅ、がんばりますわ!」ガチガチ
箒「・・・(噛んだな)」
鈴「・・・(かわいい)」
一夏「はい・・・ああセシリアか」
セシリア「はい!ご、ご飯を持ってまいりましたわ」プルプル
一夏「おい、大丈夫か・・・なんかちょっと零れてる気が」
セシリア「すみません・・・途中で緊張から転びそうになって・・・」
一夏「ああ・・・(大丈夫かな)」
セシリア「それじゃあ・・・召し上がってください」
一夏「ああ、そうだな・・・」スッ
セシリア「・・・・・・」ドキドキ
一夏「あー」アー
セシリア「・・・」ドキドキドキドキ
一夏「あむ」
セシリア「・・・」ゴクッ
一夏「・・・・・・」パクパク
セシリア「・・・どうでしょうか・・・」
一夏「んー・・・普通に旨いんじゃないか」
セシリア「本当ですのっ!?」パァッ
一夏「うん。味付けをもうちょっと工夫したほうがいいけど。全然食べられる」
セシリア「はふぃ・・・よかった」ヘナヘナ
一夏「うん。なかなかだ」
セシリア「うぅ・・・えぐ」ポロッ
一夏「え?セシリア?」
セシリア「また嫌われたら・・どうしようかと」ポロポロ
一夏「え?鈴お前どっから出てきた?お前まさか・・・ずっとベッドの下に」
ラウラ「ふむ。練習の成果だな」ドン
一夏「えー・・・・・・机の下に・・・」
箒「これで料理音痴も卒業だ」ガチャ
一夏「クローゼット・・・」
シャル「ボンジュール」ガチャ
一夏「シャワールームですね。わかります」
セシリア「皆さん」カァ
シャル「まったくだね。本当に片時も目が離せなかったよ」
鈴「まあまだ人参をみじん切りににするのに10分くらいかかるけど、いい調子よね」
ラウラ「ああ、確かに以前包丁の切れ味を生かしきれてないが、及第点といったところか」
一夏「よく頑張ったなセシリア」ナデナデ
セシリア「あう・・・///」
箒(う、羨ましいぞ・・・)
シャル(ずるい・・・)
ラウラ(私も頭を撫でて欲しい)
鈴(まあ今くらいはいいかな)
セシリア「い、一夏さん!これを気に・・・私を・・・一夏さんのよ、よめこうほ
四人「それはダメ(だ)」
一夏「えっ」
箒「そんなわけがなかろう」
ラウラ「嫁は私のだ、異論は認めん」
セシリア「何をおっしゃいますの?教えてくださったことは心より感謝しますが、欠点のなくなったわたくしに敵はございませんでして
シャル「セシリア。それは料理で僕たちを追い越してからいいなよ」ニコッ
セシリア「ひっ」ビクッ
鈴「あらあら。まだまだ出藍の誉れと呼ぶには道のりが遠いんじゃないかしら」ニヤリ
一夏「まぁ・・・まだ和食では箒には適わないな」ボソッ
セシリア「え?」
一夏「洋食もシャルの味付けには達してないかな」ボソッ
セシリア「ん?」
一夏「中華も鈴の腕には遠いかなぁ」
セシリア「・・・」ズーン
ラウラ「嫁っ、私は?」
一夏「ああラウラはかわいい」
ラウラ「よめぇ・・・///」
セシリア「」
箒「ふむ?あのセシリアが?」
セシリア「そうです!英国淑女たるもの、全てにおいて優秀でなければなりませんわ!」
シャル「セシリア・・・無理しなくていいんだよ」
セシリア「むきー!今に見ていなさい!」ダッ
鈴「あらあら。いっちゃったわね」
ラウラ「よめぇ・・・///」ナデナデ
一夏「まぁ・・・味噌汁はこの中で一番美味かったかなぁ」ボソッ
四人「「「「!!」」」」
セシリア「チェルシー!特訓ですわ!」
セシリア「世界一のシェフを呼びなさい!私絶対にギャフンと言わせてみせます!」
セシリア「もう二度とメシマズとはよばせませんわーーーーー!!!」
完
乙
「ああ・・・綺麗だねセシリア」
リゾート地に借りたコテージの二階、遠くまで広い海と、煌くように光る砂浜が見渡せるバルコニーで、俺とセシリアは肩を寄せ合っていた。
「ふふふ、私を娶っていただいたのに・・・こんな旅行まで計画してくれるなんて」
「綺麗な君には、綺麗なリゾートがもってこいだろ」
「お上手ですわね。一夏さんたら」
澄み渡る青空。
カモメの影がバルコニーの隅を横切る。忘れていた感覚が蘇る。以前、修学旅行で俺はこんな海を見たんだった。
セシリアの艶かしい肌にサンオイルを塗った感触を思い出す。
柔肌を滑らせた手のひら。蹂躙しつくしたい感覚を押し切って、恐る恐るオイルを肌になじませたものだ。
「あっ・・・どうしましたか、一夏さん」
「別に・・・セシリアに触りたくなった」
「もうっ・・・」
「なぁ・・・セシリア」
「なんですの」
「今ここでお前を抱きたい」
「・・・・・・」
無言の肯定。目をつぶる。ふと脳裏にあることが浮かぶ
最初にキスした時、俺は首を右に傾けたか、左に傾けたか。
「んっ、ちゅ・・・んむっ」
「はぁっ!あぁつっ!いっ、ちかぁさん!ああ!」
パンパンパン!パン!
セシリアに腰をぶつける。いや、叩き込むと言ったほうがいいかもしれない。
既に俺の理性は消滅していた。ただ一心不乱に、セシリアの膣肉を貪り、彼女の乳房を手で変形させる。
さながら、遺伝子の命令。ただこの女を蹂躙し、相手を欲するだけのセックス。
「んあぁあっ!!もっ・・・ぉう!だっめぇええ!」
ズチュン!ズチュン!
口は乾きを求める。後背位で思う存分腰をセシリアに叩き込んでいた俺は、セシリアの顔を振り向かせ、舌を口内に侵入させる。
「んっ・・・ちゅっ・・・んふぅ!」
温かい。舌の感触はさながら、美味しい霜降り肉。最高に脂身の乗った特上ステーキだ。
思う存分舐めまわす。美味しい。セシリアの歯の裏。歯茎。舌の奥。すべてを蹂躙する。
俺は足首を伸ばし、自身の顔をセシリアの唇により接触させる。
唾を飲ませる。唾液をセシリアの喉に流し込む。
「んぐっ・・・ごくっ・・・ちゅ・・・はぁ・・・」
俺の唾液で喉鳴らすセシリア。なんとも艶めかしい。男の征服欲が満たされる感覚。セシリアの体内に俺の体液が、唾液が、今なお送り込まれる。密着する身体。腕で足で、全身で、セシリアを抱きしめ、口を犯す。喉を犯す
「はふぅ・・・んんっ!!んっ・・・んむぅうう!」
それでも腰を振るのを忘れない。右手はセシリアの腰に手を回し、左手は乳房に思い切り鷲掴む。体はセシリアの背に密着させ、唇を貪る。合体という言葉で言いあらせない。男と女の根源的な交配だ。
パンパンパンパン!!
セシリアは体を状態にそらし始める。立っていられないのか。セシリアの腰から下の方へと力が抜けていいく。
腰で交わるのが男と女のまぐわいだとすれば、俺とセシリアのものは全身での交わりだ。
互の汗が目に入り、耳に入り、胸板にふれ、乳房に触れ、俺のペニスとセシリアの膣内で体液が交換される。
ああ最高だ。官能的とはこのことだ!
後ろから犯しているために、激しく揺れるセシリアの乳房を間近で見れないのが少し悔しい。
豊満な胸を両手をクロスさせて揉みしだく。
右手で左の乳首をつまみ、左手で右の乳房を掻き抱く。
大きな胸だ。Fカップはあるだろうか。この大きく、道行く男を振り返らせる胸が俺の手の中にある。
セシリアは・・・俺のものだ。誰にも渡さない。セシリアの胸を掻い抱く手に力を込める。
腰を持って黙らせる。セシリアの尻の感触が俺の下腹部に伝わり、その性の信号が脳を興奮へと誘う。
この大きな尻。忘れるものか。思い切り腰をぶつける。やわらかく、すさまじい弾力。
どうして女の尻はこうもエロいのか。子供をお腹で育てるだけに発達した訳ではないのだろう。
男を、理性を、性欲を掻き立てるためだけにあるような尻。
吸い付きたい。おもいきりしゃぶりつきたい。その衝動を代わりに腰をぶつけることで昇華させる。
膣内を蠢く俺の陰茎。締まる膣。ひだをひきずりまわす俺。それに呼応するように腰をくねらせるセシリア
「ああ!っ!ぁう!ぅ!ああ!!っ・・・ああ!!」
ズン!ズン!ズン!パン!
汗が頬を伝う。
prrrrrr prrrrrr
「はぁ・・・hぁ・・・え?」
突如電話が鳴った。セシリアの携帯。おそらく、彼女の会社の者からだ。
「いいさ。とればいい。重要な電話かもしれないだろ?」
「えっ・・・はぁ・・・はぁ・・・でも・・・」
「ほら・・・俺は動かないから」
pi
「えっ・・・あっもしもし・・・なんですの」
ゆっくり、ゆっくり腰を動かす。陰茎の皮が、着々と膣壁の抵抗でひろげられていく感触。
「その件でしたら・・・んっ・・・事前に連絡したはずでっ、すわ・・・ぁ・・・」
セシリアがキッと俺の方を睨む。なんともそそられる。こういう時の女の目は、悪戯に男の加虐心を煽るだけだというのに。
俺はそっとセシリアの胸に手を伸ばし、腰を小刻みに動かし始めた。
「んっ・・・ぁ・・・ぉ・・・はい。・・・ぁ・・・はい・え?なんです・・・っ!」
舌でセシリアの背中のなぞる。文字を書くように舌を転がす、縦に舌をゆっくり動かすと・・・膣内が急に激しく締まり出す。感じている証拠だ。
「ん・・・はあ・・・・・・・その件はですから事前にっ・・・いいましたようにで・・・んん!!!!」
しまった・・・つい強くピストンしてしまった
(やめてください!)
セシリアは電話口を抑え、俺に小声で非難する。
(ははわかったよ)
俺はピストンをやめ、セシリアの膣奥を中心に、陰茎を子宮に押し付ける運動に変えた。
「んっ!(ちょ、っちょ!)・・・そ、それで・・・?次の件は・・・」
子宮口に、ペニスを擦りつける。俺のカウパーをその入口になすりつけるように。
俺が右に子宮口をつくと、それに対応して右前に腰を逃げるように動かす。嫌がる腰をさらに引き寄せ。ぐりぐりと。
このまま精液をぶちまけてしまいたい衝動。セシリアという一人の女の中に精を放ち、女として孕ませる。そうできたらなんと最高なのだろう。
そろそろいいかな!
パン・・・パンパン・・・パンパンパン!!!
セシリア「!!!っ~~~~~!!!っ~~!!」
必死に声を抑えるセシリア。せまりくる感覚は洪水のような快感だろう。頭は真っ白。既に電話口を手で押さえ、目を瞑り、快感に抗っている表情。
声を抑えるセシリアと対照的に、腰と腰を激しくぶつける速度を上げ、肉と肉が弾ける音がバルコニーに響く。
既にその肉音は先ほどの比ではない。もはや打ち込む腰に加減というものがなかった。
そのはちみつ色の髪を揺らし、バルコニーの手すりに手を預け、俺にされるがままに。携帯電話の電話は入ったまま。
「っ~~~っぁ~~~!!!~~~っ・・・~~~!!」
ああ・・・最高だ。声を我慢する反動で、腰はひくひく動き、俺の陰茎を思い切り締め上げてくる。体全体で膣に集中しているかのようだ。よく声を我慢できているな、セシリア。俺はもう我慢の限界だ。
こんな青空の下で、これほどまでに背徳的な快感を得られることに俺の脳は酔いしれている。
セシリアの腰に向かって、ななめ下から上へと突き上げる。力強く、体液が飛び散る。その際、思い切りセシリアを抱きしめ、その背中の汗をおもいきりすする。
「~~~っっっっ!!!ぁあ~~~~~っっっ!!あああ!!」
『もしもし!?セシリア専務??もしもし!?」
パンパンパン!!パンパンパン!
「ああぁ~~~!!!っぃううああ~~~んんああっっっ!!!」
もはや電話など関係がなかった。ここに居るのは男と女。仕事上の立場など無視し、快感に身を委ねるだけのセシリアと俺だけだった。
パンパンパンパンパンパンパン!
ズチュン!ズン!ズパン!
腰の駆動率、セシリアの膣を摩擦するペニスのピストンを速める。日差しが眩しい。そよ風が二人の汗を持っていく。
「出すぞ!セシリアアアアアッッッ!」
「ああッッッ!んぁああ~~~ッ!はぁあ~~~ッ~~~~ッ!!!」
もうセシリアに思考能力など残っていなかった。よだれをたらし、ただ吐精に向けて待ち構えるだけの存在。
女として男の遺伝子を己へと吸い上げる搾取機。
膣内が俺を欲するかのように躍動する。セシリアの腰もすでに力なく俺のピストンを受け入れる。
俺はセシリアの腰に回してに力を込めた。
汗。汗。汗。
たまらなくしたたり落ちる汗。セシリアの尻が弾けるたびに飛ぶ汗。偉大な汁感。肉体の交錯。頭がとろけ落ちる。
パンパンパンパン!!
「いくぞっ!!ああああッッッ!!!!!!!」
「んあああ~~~~ッッッ!!だめええええッッッ!!」
パンパンパン!・・・・・・パン!!!
ドクン・・・ドクン・・・
「ぁあ・・・あっ・・・ぁあ・・・」
ビュルル!ビューーー!!ビュクンビュクン!ビュルルルル!!!
「はぁ・・・ふああぁ・・・ふあ・・・~~ッッ!!」
思い切りセシリアの中に射精する。精液がセシリアの子宮にこびりつく、汚す。匂いを残す。
送り込める精子。子宮の壁に当たる勢いで射精する。一突きするたびに漏れるセシリアの声。
すでに二人は、孕み孕ませるだけの関係だった。
搾り取られる精液。刈り取られる意識。なおも収縮を続ける陰茎がセシリアの腰に搾取される。
崩れ落ちるセシリアの腰。それを逃すまいとバルコニーの手すりに俺のピストンでセシリアを追い詰める。
孕みたくないと逃げる腰に止めを刺すような一突き。最後の射精。
ドクン ドクンドクン
ああぁ・・・なんとも最高な気分だ。
『・・・セシリアさん!大事な会議が迫ってるんですよ!応答願います!』
「ふぁわああ・・・っ・・・ぁああ」
俺の耳にも、セシリアの耳にも、そんな携帯の声など微塵もはいらずに
ただ、セシリアは続く絶頂に。俺は気だるい、最後の一滴を絞り尽くす射精感に身をゆだね、ただただ性を貪る動物へと還っていったのだった。
「ぁあ・・・いちかさん・・・すきぃ・・・」
完
Entry ⇒ 2012.11.16 | Category ⇒ インフィニット・ストラトスSS | Comments (0) | Trackbacks (0)
P「美希がジョジョにハマった」
P「美希がジョジョにハマった」
美希「おはようなのー」ガチャ
亜美「ミキミキおっはー」
真美「おはおはー」
美希「あれ?まだ二人だけ?」
真美「そーだよーん。今日は真美達が一番乗り!」
亜美「律っちゃんと兄ちゃんは打ち合わせでどっか行ってるー」
美希「ふーん……あれ?二人共何読んでるの?」
亜美真美「「ジョジョ!」」
美希「ジョジョ?」
真美「オーマイガーッ!『理解不能ッ!!』」
美希「名前しか知らないの……どんな話なの?」
真美「人間賛歌はッ!」
亜美「勇気の賛歌ッ!!」
亜美真美「「って感じ?」」
美希「まったく情報が伝わってこないの……」
真美「うーん……あ、読んでみる?」
亜美「百聞は一件のシカ,sって言うしね!」
美希「それ、なんか違うって思うな」
真美「百聞は一点のシラス……じゃないっけ?」
小鳥「亜美ちゃん真美ちゃん。それを言うなら百聞は一見にしかず、よ」
美希「うわっ!小鳥、いきなり来るとびっくりするの!」
真美「うわあ!ピヨちゃん!?いたの!?」
亜美「こ、これは……!スタンド攻撃を受けているッ!?」
小鳥「ずっと奥の方にいたわよ……?」
美希「存在感薄いの」
小鳥「ピヨ……」
ジョジョ立ち銀の車輪アヌビス二刀流ピースを決めてくるなんて
真美「あー!すっかり忘れちゃってたYO!」
亜美「ジョジョの話だったっけ?」
小鳥「ジョジョ……ッ!」
美希「小鳥もジョジョ知ってるの?」
小鳥「知ってるどころじゃあないわッ!」
小鳥「単行本は当たり前!諸々のフィギュア!グッズも持ってるわッ!」
真美「おおー!ピヨちゃん凄い!」
亜美「ジョジョラーって奴だね!」
美希「な、なんか凄いの……」
小鳥「美希ちゃんは読んだこと無いの?」
美希「男の子が読むような漫画は読んだことないの」
小鳥「もったいないわ!!」クワッ!
美希「こ、小鳥……近いの……」
亜美「あ、じゃあピヨちゃんミキミキにジョジョ貸したげてYO」
真美「真美達の貸してあげられればいいんだけど、まだ読んでるからさー」
小鳥「もちろんよ!布教用の奴を貸してあげるッ!」
美希「布教用?」
亜美「おお!保存用、布教用、観賞用って奴だね!?」
真美「流石ピヨちゃん!真美達に出来ないことを平然とやってのけるYO!」
亜美「あ、確かに」
真美「ミキミキ正論だね」
小鳥「……と、とにかく!明日にでも事務所に持ってくるわね!」
真美「とりあえず一巻だけでもパラパラっと読んでみる?はいこれ」
美希「ふーん」パラパラ
小鳥「あ、それ文庫版?」
真美「そーだYOー」
亜美「文庫の方は『何をするだァーッ!!』じゃないんだよねー」
小鳥「文庫もいいんだけど、やっぱり単行本の方が表紙を堪能できるのよねー」
亜美「うーん。ジョジョラーらしい意見だねー」
真美「ミキミキどんな感じ?」
美希「なんか絵が濃くってちょっと気持ち悪いの」
小鳥「」プッツン
亜美「あ」
真美「言っちゃいけないことを……」
美希「こ、小鳥?」
小鳥「絵だけで漫画を忌避する!これほど愚かなことはないのよ!冗談じゃあないわ!」
亜美「火点いちゃったね」
真美「マジシャンズ・レッドだね」
小鳥「いいかしら美希ちゃん!?ジョジョを読まないで絵だけで判断しちゃ駄目なのよ!」
美希「小鳥怖いの……」
亜美「マニアってそんなもんだYO」
真美「真美も『シーザーって服にシャボン液染み込んでるから洋服ベッチャベチャなんだろ?wwww』って言われたときは我を忘れて怒り狂ったYO」
真美「まあ読む前に『絵が受け付けない』って言う人はかなりいるけど、『読んでみたけど面白くなかった』って人はあんまいないYO」
美希「えーと……とりあえず読んでみるの……」
小鳥「是非!」
~三日後の事務所~
P「おはようございまーす」
美希「やかましいッ!うっとおしいの このアマッ!」ガルッ
P「え……何これ」
亜美「おはよー兄ちゃん」
真美「兄ちゃんはろはろー」
P「お、おう……おはよう」
P「ああ、音無さん。おはようございます。で、何ですかこのザマ」
亜美「兄ちゃん。これこれ」
P「んん……?ジョジョか……なるほど」
千早「プロデューサー、おはようございます」
P「千早か。おはよう」
千早「美希、朝からずっとあんな調子なんですよ」
小鳥「チョット前に単行本を貸したんです」
P「で、ハマっちゃったと」
美希「『ブッ殺す』と心の中で思ったならッ!その時スデに行動は終わっているのー!」
P「アイドルがブッ殺すとか言うんじゃあないの」
小鳥「美希ちゃんがしっかりハマってくれて、私嬉しいわ!……ちょっとセリフの使い方変な時あるけど」
P「また余計なことを……」
小鳥「ピヨ……」
P「ん?ああ。学生時代は漫画大好きでいろいろ読んでたなあ。ジョジョも好きだよ」
千早「私はそういうのよく分からなくって……さっきから全然話についていけないわ……」
亜美「千早お姉ちゃん漫画とか読まなさそうだもんねー」
美希「ハニー!ジョジョってすっごい面白いの!」
P「良かったなー」
美希「もう!反応が薄いのー!」
亜美「兄ちゃんは何部が好きー?」
P「俺?俺は四部かなあ。一番完成度が高いと思う」
小鳥「私は断然!五部です!」
真美「んっふっふ~ じゃあブチャラティみたいにピヨちゃんのほっぺ舐めたげようかー?」
亜美「この味は!……嘘をついている味だぜピヨちゃん!年齢方面で!」
小鳥「酷いわ!わ、私は年齢を公表してないだけで、詐称なんかしてないわよ!」
亜美「亜美は二部!」
真美「真美も二部が好きかなー!」
P「あー、確かにお前らなんかジョセフっぽいわ……」
亜美「頭が切れるって点ではジョセフにかなう奴いないっしょー!」
ワイワイガヤガヤ
千早(私だけなんか仲間はずれね……)
P「しかしなんだなあ。女の子でもジョジョ好きっているんだなあ」
律子「女子にも結構ファンはいますよ」
P「うおお!?律子!!」
P「だっていきなり出てくるから……」
亜美「律っちゃんもジョジョ知ってんのー?」
律子「知ってるわよ。一応全部読んでるわ」
真美「律っちゃんはやっぱ眼鏡だからギアッチョ?」
亜美「根掘り葉掘りにキレるの?」
律子「氷漬けのカッチカチにしてあげましょうか」
ガチャ
伊織「なんか騒がしいわね。なんなのよこの騒ぎ」
あずさ「あらあら~賑やかでいいわね~」
亜美「おー!いおりんにあずさお姉ちゃーん!」
真美「いおりんも一緒にジョジョの話する?」
伊織「はあ?ジョ……なに?」
真美「ありえないっしょー!」
伊織「知らないわよ!なんなのよそれ!」
美希「デコちゃんは呪いのデーボなの」
伊織「は?」
小鳥「ぶふぅ!?」
美希「その内、そのうさぎのぬいぐるみが『かみ切ってやるぜーッ!メーン!』って言い出すの」
あずさ「まあ!うさちゃん意外と過激なのね~」
伊織「言わないわよそんなこと!」
P(冷蔵庫から伊織が出てくるのか……)
小鳥(『このトンチキがァー!』って言うのかしら)
真美「いおりんのあそこ以外が切り刻まれちゃうんだね……」
亜美「いおりん、『再起不能(リタイア)』」
律子「で、この波紋っていうのが特殊な呼吸法で太陽のエネルギーを生み出すのよ」
千早「なるほど……呼吸法ね……歌に生かせないかしら」
P「それは無理だと思う」
ガチャ
真「おっはようございまーす!」
雪歩「おはようございますぅ」
P「おーう二人共、おはよう」
真「プロデューサーおはようございます!なんだか賑やかですね?」
P「ああ、実はな」カクカクシカジカ
美希「意外なの。真君ならサッカーしながら『蹴り殺してやるッ!このド畜生がァーッ!』とか言いそうなの」
真「な、なにそれ……」
雪歩「……」
P「あと来てないのは貴音と響、それに春香、やよいか。今日はなんだか皆ゆっくりしてるなあ」
律子「ええ。今日は珍しく午前中は皆フリーですからね。午後からはバラバラに仕事が入ってますけど」
美希「やれやれなの……ミキはそんなブ男に引きずりだされないの」
亜美「んっふっふ~。このモハメド・亜美ドゥルの手にかかれば!ムゥン!レッドバインドー!」
真美「ああー!ミキミキの身体に炎の縄がー!」
美希「うおおおおーー!!ミキはもう知らないのー!」
P「あっちはうるせえな……」
あずさ「楽しそうでいいわね~」
小鳥「留置所から承太郎を引き出すアヴドゥルごっこですね」
律子「なんでそんな場面を……」
千早「フムフム……気化冷凍法……すごいわね」
真「楽しそうだなあ。ボク全然ついていけないや。雪歩は分かる?」
雪歩「え?う、うんちょっと……」
亜美「ミキミキ!次は亜美がDIOやるから花京院やってYOー!」
美希「えー。髪の色的にミキがDIOだって思うな」
亜美「いいじゃーん!半径20mエメラルドスプラッシュをザ・ワールドで返すごっこやりたいんだYOー!」
美希「だって花京院ってまともに勝ったのはお爺さんと赤ちゃんだけだし、なんかあまり強い印象ないの」
雪歩「」ピクッ
美希「最初に変な絵書いてたり、変な操り人形持ってたのもなんだかなって感じなの」
美希「花京院はちょっとかっこ悪いの」
雪歩「か、花京院はかっこ悪くなんかありません!!!」
一同「」ビクッ
真「ゆ、雪歩……?」
千早「そんな……!髪の毛で攻撃するだなんて……意外すぎるわ……」
P「千早はマイペースだなあ」
あずさ「読みふけってるわね~」
美希「ゆ、雪歩……?ちょっと落ち着くの……」
真美「雪ぴょん……?」
亜美「どしたの……?」
雪歩「それに!」
美希「」ビクッ
亜美真美「」ビクッ
雪歩「DIOの能力に気付いたのも花京院だし、死に際にヒントを残さなかったら皆やられちゃってたかもしれないんですよ!?」
雪歩「花京院がいなかったら、ジョジョは成立しないんですぅ!!!」
伊織「雪歩がすっごい声張ってるわ……」
あずさ「雪歩ちゃんすごいわ~」
真「あずささんはブレないなあ」
雪歩「花京院は弱くなんかありません!かっこ悪くなんかありません!!」ハァーハァー
P「よし。雪歩、一旦落ち着こう。皆引いちゃってるから」
律子「雪歩、どうどう」
雪歩「ハッ!?ご、ごめんなさい……私つい……」
小鳥「いいえ、雪歩ちゃん。素晴らしいわッ!」
P「え」
花京院いいやつだし好きだわ
小鳥「あなたの花京院への愛!確かに受け取ったわ!」
小鳥「そうよね……承太郎やポルナレフだけじゃない。花京院だって立派なのよ!」
雪歩「うう……小鳥さん……ありがとうございますぅぅぅ……」
美希「雪歩……ミキも悪かったの」
亜美「ごめんね雪ぴょん……」
真美「でも、花京院を悪く言うつもりはなかったんだよ?ほんとだよ?」
雪歩「いいの……私分かってるから……!ありがとう……」
P「いい話だなあ」
律子「絆がより一層深まりましたね」
真「どうしよう。全然わからない」
あずさ「私も全然分からないわ~」
千早「あぁっ!ツェペリさんが……!ジョナサンに最期の波紋を託して……」フルフル
P「千早は本当にマイペースだなあ」
伊織「鈍感っていうんじゃないかしら」
響「はいさーい!」
いぬ美「ばう!」
やよい「おはようございますー!」
P「おーう。おはよう」
律子「今日はいぬ美も一緒なの?」
響「いぬ美と一緒に収録なんだ!」
P「動物番組の収録なんだよ」
美希「イギー!イギーがきたの!」
小鳥「どっちかといえばダニーじゃないかしら」
雪歩「ひっ!?いぬうううう!!!????」
律子「はいはい。雪歩はちょっと台所に避難してきなさいねー」
あずさ「あらあら~いぬ美ちゃん。おはよう」
いぬ美「ばう!」
伊織「相変わらずデカいわねえ」
響「おかげ様ですくすく元気に育ってるぞ-!」
P「これ以上育てるのか……?」
美希「イギー!砂!ザ・フールを使うの!」
亜美「ヘイ!ガムあげちゃおうイギー!」
真美「クチャクチャ食べんしゃい!」
響「こ、こらー!変なもの食べさせるなあ!」
千早「う、うう……ジョナサンの最期……かっこいいわ……」グスッ
亜美「あ!お姫ちーん!おっはー!」
貴音「はい。おはようございます」
真美「これだよこれこれー!」
貴音「……?じょじょの奇妙な冒険……ですか?」
響「あ、ジョジョだ」
小鳥「あら、響ちゃん知ってるの?」
響「ああ!にぃにが持ってたからな!読んだことあるぞ!」
やよい「漫画ですかー?」
小鳥「面白いのよー」
真美「やっぱワニが出てくる6部?」
響「自分は7部だ!SBRが一番好きだぞ!」
美希「7部ってなんかジョジョっぽくないって思うなー」
響「あ?」ギロッ
小鳥「あ?」ギロッ
美希「ごめんなさい。嘘です」
P「すげえや。美希を一瞬で黙らせたぞ」
律子「二人共、養豚所の豚を見るような目をしてましたね」
貴音「響のあのような顔、初めて見ました……」
小鳥「絵柄?絵柄がちょっと変わったからなの美希ちゃん?リンゴォ戦とかちゃんと読んだ?」
美希「」
やよい「二人共怖いです……」
亜美「亜美、6部と7部はお話難しくてちょっと分かんないとこあったYO」
真美「真美も一巡した世界とかよく分かんなかったYO」
P「5部後半くらいからちょっと複雑になるからなあ」
律子「一巡して名前が変わった皆が自己紹介するところで、唯一エンポリオだけが『僕の名前はエンポリオです』っていう所が最高に熱いんですけどねえ」
あずさ「響ちゃん、すっごく好きなのね~」
響「ジョジョは元々好きだけど、SBRの隠れた主役は馬だからなー!」
伊織「あんたそういうとこまで動物馬鹿なのね……」
千早「!?ストレイツォが裏切り!?そんな……どうして……」
真「千早読みふけってるなあ。ボクも読んでみようかなあ」
貴音「わたくしも……そういった、かるちゃぁには疎いもので」
やよい「私もよく分かんないですー」
P「無理に分かろうとする必要はないけどなー」
真美「言葉じゃなく心で理解するものだからね!」
亜美「亜美、ペッシが最後にゲス野郎になっちゃったのが残念だなあ」
ガチャ
春香「おはようございまーす!」
小鳥「あ、春香ちゃん。おはよう」
春香「おはよう雪歩!なんでそんなところにいるの?」
真「いぬ美が事務所にいるんだよ」
春香「あー、なるほど」
伊織「いぬ美なら何度も見てるじゃない。いい加減慣れなさいよ」
雪歩「無理だよぉ……」
美希「来たの……肉体(ボディ)!」
春香「へ?」
響「なんか始まったぞ」
貴音「ぼでぃ?」
千早「ナチスの科学力ってすごいのね……」
亜美真美「「な、なんだってー!?」」
やよい「そうだったんですかあ!?」
春香「やよい!?違うからね!?」
伊織「ああ。自分の体じゃないから良く転ぶのね」
春香「伊織まで!?」
真「何の話?」
雪歩「春香ちゃんが肉の芽を出すっていう話じゃないかな」
あずさ「美味しそうねえ~」
小鳥「美味しくはないかと……」
P「やっぱりリボンが本体だったんだなあ」
律子「プロデューサー殿まで……」
春香「ちょちょちょ、美希!?なにするの!?」
亜美「観念しな……はるるん」
真美「フィルムだッ!真っ黒焦げに感光しろッ!」
P「ワムウが逆に思い切り仰け反ったのってすごいですよね」
小鳥「戦闘の天才ですから」
律子「ちょっとあんた達暴れないの!」
美希「律子……さん……!律子、SUN!?これなの!」
律子「は?」
美希「律子、さんはザ・サンなの!」
真美「なんと!やはりその眼鏡が!?」
亜美「律っちゃん、石投げて眼鏡カチ割っていーい?」
律子「いいわけ無いでしょ!」
小鳥「何気にすっごい強いですよね。あれ」
あずさ「春香ちゃんが引っ張られていくわ~」
千早「ジョ、ジョセフが!真!ジョセフがついにエシディシを倒したわ!」
真「いや、ボクに振られても……」
伊織「めんどくさいわね……」
雪歩「でも名シーンなんだよ?」
やよい「千早さん……真剣です……」ゴクリ
P「やよいは純粋だなあ」
貴音「!? あなた様、このちぇりーをれろれろするのには一体どんな意味があるのでしょうか!?」
響「意味なんて無いと思うぞ……」
P「貴音、それ真似しようとするなよ」
貴音「なんと……」
春香「邪悪の化身ってなに!?」
真美「さあ!律っちゃん早く!復活する前に!」グイグイ
美希「早くしないと復活しちゃうの!」グイグイ
律子「ちょ、やめなさい!悪ノリが過ぎるわよ!」
千早「ワムウ……」スッ
真「千早が泣きながら敬礼してる……」
雪歩「分かる……!分かるよ千早ちゃん……!」
伊織「わからないわよ……」
やよい「千早さん……」グスッ
P「やよいは純真だなあ」
小鳥「良いシーンなんですよお」グスッ
P「音無さん、泣くほどじゃないでしょ」
小鳥(扱いの差が酷い……)
真「ボクも手伝うよ」
いぬ美「ばう!」
雪歩「うひぃ!!?」
響「いぬ美!めっ!」
小鳥「雪歩ちゃんのお茶は本当に『ンまぁーーーーいッ!』ってなっちゃうのよねえ……」
伊織「まあ確かに美味しいわよね」
あずさ「雪歩ちゃんのお茶楽しみだわ~」
貴音「!? あなた様!わたくしもこのいたりあんを食べたいです!」
P「内臓飛び出ちゃうから駄目」
響「トニオさんの料理は身体の不調がグロく治るのが難点だな……」
P「おー、もうこんな時間か」
あずさ「雪歩ちゃんのお茶を飲んだらお仕事ですね~」
響「よーし!今日も頑張るさー!」
やよい「頑張りますー!」
小鳥「うふふ。気合バッチリね!」
伊織「それはいいけど、あっちの騒ぎをどうにかしなさいよ……」
美希「春香の敗因はただ一つなの……」
真美「てめーは俺を怒らせた……」
亜美「ロードローラーだよはるるん!」
春香「ちょ、なに!ほんとなんなの!」
律子「あんた達いい加減にしないと……」
雪歩「お茶が入りましたぁ」
雪歩「真ちゃん!?み、美希ちゃん、暴れちゃ危ないよ!」
美希「オラオラオラオラなのー!!」
春香「美希、危ない!ほんと危ないから!」
真美「うああ!ミキミキ!そっち駄目!」
亜美「雪ぴょんとまこちんがお茶持ってt」
春香「うわあ!?」ドンガラガッシャーン
雪歩「きゃああ!?」
真「うわっ!?」
ジャッバー
亜美「あーあ……」
真美「やれやれだYO……」
美希「は、春香!雪歩も真君もごめんなの……」
律子「美ィィィィ希ィィィィィ……」ゴゴゴゴゴゴゴ
美希「ひっ……」
やよい「だ、大丈夫ですか!?」
小鳥「アバ茶……」
響「ぴよ子、それ駄目」
貴音「律子嬢、火傷はありませんか?」
千早「よかった……ジョセフが生きてて本当に良かった……」グスッ
P「なんかもうここまでくるとマイペース通り越してるな」
伊織「だから鈍感なのよ。鈍感」
あずさ「あらあら~」
律子「美希……」
美希「は、はい!」
律子「亜美と真美も……」
亜美「え!?亜美達も!?」
真美「そりゃないYO!」
律子「やかましい!うっおとしいぞ!てめーらッ!」
亜美「ゆ、許して……」
律子(NO!NO!NO!NO!)
真美「じゃ、じゃあ一思いに右でゲンコツを……」
律子(NO!NO!NO!NO!)
美希「ひ、左?」
律子(NO!NO!NO!NO!)
亜美「りょ、りょうほ~ですかああ!?」
律子(YES!YES!YES!YES!)
美希「もしかして……」
美希・亜美・真美「「「オラオラですかーッ!?」
律子(YES!YES!YES!YES!)
P「オーマイゴッド」
律子オラララオラオラオラオラオラオラァァァァ!!」
TO BE CONTINUED
小鳥「はい、何でしょう社長」
社長「ジョセフの声は私に似てると思わんかね」
小鳥「今は杉田なので」
社長「そうか……」
おわり
アイマスってキャラ多いから動かすの大変だね!
ハッ!
Entry ⇒ 2012.11.15 | Category ⇒ アイマスSS | Comments (1) | Trackbacks (0)
煌「スバラーメン作ってみましたが」
煌「スバラーメン作ってみましたが」
優希「そんなものよりタコスバラをつくるんだじぇ!」
和「ラーメンのことならいい知り合いがいますが紹介しましょうか?」
煌「本当ですか和?ぜひよろしくお願いします」
優希「私もなかなか味にはうるさいんだじぇ」
煌「では、優希にも協力してもらいますよ?」
和「こっちも連絡がつきました。明日4人でくるそうです」
煌「それはすばらです!」
煌「では、私は今のうちにネタの最終段階をしておきます」
和「しかし、どうして急にラーメンなんて作ろうとしてるんですかね?」
優希「博多ラーメンに感化されたんじゃないのか?」
和「本当にそれだけなんでしょうか?」
和「あの花田先輩ですよ?もっと別の理由があるはずです」
優希「そんなことはないと思うじぇ。花田先輩は意外と単純なんだじぇ」
和「そうなんでしょうか」
優希「まぁ、細かいことは気にするなってことだじぇ!」
和「そういえば優希、花田先輩のラーメンを食べたことあります?」
優希「ないんだじぇ。明日が楽しみなんだじぇ」
しず「のどかー!遊びにきたよー!」
和「皆さんも、お久しぶりです」
憧「やっほー」
玄「お久しぶりです!」
宥「はじめまして……かな?」
和「直接お話するのは初めてですね」
和「少し急かされているので急ぎましょう」
しず「しかし、ラーメン楽しみだよ!」
玄「何味なの?」
和「私も食べたことないですからわかりませんね」
玄「あっ、優希ちゃんだ!」
優希「おぉー玄ちゃん久しぶりだじぇ!」
煌「しばらく、時間がかかるのでゆっくり話しておいてもかまいませんよ?」
しず「楽しみにしてます!」
煌「その心意気すばらっ!」
しず「しかし、どんなラーメンが来るのかな!?」
憧「しずってば本当にラーメンのことになると変わるよね」
しず「だって楽しみじゃん!スバラーメンと、キラメーン!」
和「そうですね。私も少し楽しみだったりします」
憧「和までそう思ってるんだ……」
しず「あこは楽しみじゃないの?」
しず「そうだよね!」
優希「ほぉー、この人玄ちゃんのお姉さんだったのかー」
玄「そうなのです!」
宥「私、試合出てたけど、見てない?」
優希「ご、ごめんだじぇ……その時の時間が飛んでる気がするんだじぇ」
宥「それなら……しょうがないね」
玄「すみません!すこしおトイレに!」
和「突き当りを左です」
玄「ありがとう和ちゃん!」
玄「えー、と突き当りを左だったよね」
玄「おーあったあった!」
<スバラスバラスバラスバラスバラバラバラバラバラバラバラッ
玄「花田さんなにか歌ってるのかな?」
玄「……少し見てみよっかな」
煌「あれ?どうしたんですか松実さん?」
玄「ひゃあぁ!」
煌「うおっ!急に叫ぶのはすばらくないですね!」
玄「あ、あれ?台所にいたんじゃ?」
煌「さっきまでおトイレに行っておりましたよ?あっ!もちろん手は綺麗に洗いますよ!」
玄「おトイレ……あっ、私おトイレに行くんだった!」
煌「そんなこと忘れたら駄目ですよ!」
玄「えへへ、ごめんなさい」
優希「おっ、玄ちゃんが帰ってきたじぇ!」
和「迷子になってなかったんですね」
玄「迷子になんてならないよー」
優希「玄ちゃんはなんかそそっかしいじぇ」
宥「クロチャーは頑張れば……出来る子だよ?」
玄「そうなのです!」
憧「そんなことでいばらない!」
優希「そうだじぇ……ちょっと遅すぎるじぇ」
和「少し見てきましょうか」
煌「皆さんお待たせしました!スバラーメンです!」
しず「きたー!」
煌「では、私はキラメーンを作ってきます!」
煌「味は後で教えてください!」
しず「まぁ、早速いただきまーす」
しず「……なんかびみょーだね」
宥「私はあったかくて好きだけど……」
玄「味が薄いのです!」
憧「あー、なんとなくわかるね」
和「でも、まずくはないですよ?」
優希「……」ポロポロ
優希「は、花田先輩は……やっぱりいい人なんだじぇ……」
玄「どうしたの?」
優希「うっすらとだけど、タコスの味がするんだじぇ……」
しず「えっ!本当ですか!……本当だ……」
優希「うぅ……私のリクエストに答えてくれて、わざわざ薄味にしてくれたんだじぇ」
しず「なるほど、ラーメンの味でタコスの味を消さない為にこの薄味にしたのか……」
憧「それってどれくらいすごいの?」
しず「役満しかあがれない人ぐらいすごいことだよ!」
しず「うん!さっきびみょーって言ったけどやっぱりおいしい!」
しず「気付かない人にしか気づかないおいしさ!」
優希「私にとってはとってもおいしいんだじぇ!」
優希「花田先輩に感謝してくるじぇ!」
しず「まってください!」
優希「どうしたんだじぇ?」
しず「きっと、花田さんは今凄い集中をしていると思います!」
しず「さっき急いでいたのは、多分私達がお腹が減ったのに気づいて料理を放置してきたからだと思います!」
和「つまり、今はその時間を挽回しているということですか?」
しず「そうなるね」
宥「これ一杯食べたらお腹いっぱいになるね……」
憧「あとで、食べればいいじゃない?」
優希「麺が伸びるんだじぇ」
憧「私は伸びたのが好きなんだけど……」
和「人それぞれ違いますね」
玄「いざとなったら私が食べる!」
憧「うん、よろしくね玄」
玄「あこちゃんのも食べるの!?」
優希「ぷはぁー、食ったじぇ!」
しず「ごちそうさまでした!」
宥「二人とも凄いね……」
優希「今日の為にお腹をすかしてきてたからだじぇ!」
しず「おぉ……見ているだけで食欲を誘われる!」
優希「花田先輩さっきはありがとうだじぇ!」
煌「気づきました?急に味を変えたんで少し心配だったんですが」
優希「一口目から気づいたじぇ!」
煌「それはすばらっ!」
宥「これも、あったかいね……」
和「ラーメンは温かいものですからね」
煌「私ですか?食べたいのは食べたいんですが」
煌「この髪が汁に浸かってしまいますからねー」
優希「切ればいいんだじぇ!」
煌「私のトレードマークはそう簡単に切れませんよ!」
和「言ったら失礼かも知れませんけど、その髪で器挟めそうですね」
煌「挟めません!」
しず「では、いただきます!」
煌「どうですかね?」
和「こ、これは」
しず「麺と絡みあう汁!絶妙な味の濃さ!麺の固さ!おいしい!」
憧(私としずも絡み合う!)
優希「キラッて感じだじぇ!」
宥「そういえば具が入ってないね……」
煌「スープに味が入ってますからね!」
玄「おいしいです!」
煌「優希、さっき言ったように私はラーメンが食べれないんですよ?」
優希「私が食べさせてあげるじぇ!」
煌「おぉぅ……それはなんか恥ずかしいですね」
優希「恥ずかしがることはないんだじぇ!」
煌「で、では一口……」
優希「あーんだじぇ」
煌「あ、あーん」
煌「……じ、自分で言うのもなんですが、すばらっ!」
しず「すばらっ!私も是非弟子入りさせてください!」
和「そんなオカルトありえません!」
憧「ほんとだ……温かい」
宥「あ、あれ?味も変わってる気がする?」
和「だからそんなオカルトありえまえん!」
優希「のどちゃん……科学では証明できないこともあるんだじぇ」
しず「くぅ、残しておけばよかった!」
憧「しず、私の食べてもいいよ?」
和「温かいなんて……そんなオカルト……」
優希「認めるんだじぇ!花田先輩の愛の力だじぇ!」
玄(ん?んん? 花田さんが優希ちゃんに向けて作ったラーメンだから)
玄(花田さんは優希ちゃんが好きなのかぁ……)
玄「ふぅ~む、なるほどなるほど」
宥「なにに納得してるの?」
玄「なんでもないよ!」
煌「きてくださいますかね?」
優希「間違いなくくるじぇ!」
しず「あっ、ごめんあこ。全部食べちゃった……」
憧「別にいいよ」
宥「これ、持って帰ろうかな……」
煌「さすがに食べて帰ってくださいね!」
しず「いえいえ、こちらこそおいしいものを有り難うございました!」
宥「そろそろ、電車の時間だね……」
しず「名残惜しいですが、これでさようならですね……」
煌「ふっふっふ……私がお店を出せばいつでも会えますよ!」
玄「さようならー!」
煌「また来てくださいね!」
憧「すばらでした!」
煌「すばらっ!」
和「いえ、私たちは当然のことをしただけですから」
優希「そうだじぇ!花田先輩には感謝してるじぇ!」
煌「この行為を当然と言えるとは、すばらです!」
煌「おっと……もうこんな時間ですか」
優希「もう少し遊ぼうじぇ……」
煌「わがままを言ってはいけませんよ優希」
煌「それでは、お二人ともさようならです」
和「はい、また今度」
優希「グスッ……バイバイだじぇ!」
和「優希、見てくださいこの記事」
優希「なんだじぇ?」
『今話題のラーメン
スバラーメン!キラメーン!』
優希「こ、これ花田先輩のだじぇ!」
和「そうですよ。つまりもしかしたらこっちに来るかもしれません」
優希「そ、そうなのか!?」
ピンポーン
和「今出ますよ」
煌「どうも、お店をだしてる花田煌です!売り上げに貢献おねがいしますね!」
優希「うぅ……花田せんぱーい!」
優希「そんなこと関係ないじぇ!」
優希「スバラーメン一つ下さいだじぇ!」
和「私はキラメーンでお願いします」
煌「残念ですが……優希に上げるスバラーメンはもうないのです……」
優希「え……どういうことなんだじぇ……」
煌「優希には私が特別作ったこれ、タコスバラッをあげましょう!」
優希「ほ、本当に作ってくれたんだじぇ……」
煌「えぇ、優希が食べたいって言ってたので、知らぬ間に出来ていたんですよ」
和「そんなオカルトありえますか?」
和「あっ、追加で三人分頼みます。咲さんたちにも食べさせてあげたいので」
煌「わかりました!」
優希「」スイー
煌「こ、こらっ優希!そんなに顔近付けたらいけませんよ!」
優希「ちょうど挟まれそうだじぇ……」
煌「挟めませんから!」
優希「すばらだじぇ!」
煌「すばらっ!」
宥「あっ、花田さんのラーメン……」
憧「本当にお店出したんだ……」
あらた「これがみんなが言ってたラーメン?」
玄「そうなのです!」
しず「ウぅ……はやく奈良までこないかな!」
あらた「玄もラーメンとか作ってみれば?」
玄「お任せあれ!」
『新発売!ドラメーン!
これを食べればあなたもドラ7確定!』
照「私これ食べたことあるけど……」
菫「ん、本当にドラが来たのか?」
照「焼き鳥になった……」
淡「テルを焼き鳥にするなんて凄いね!」
亦野(食べなくて良かった……)
カン!
Entry ⇒ 2012.11.15 | Category ⇒ 咲-Saki-SS | Comments (0) | Trackbacks (0)
響「こたつはあったかいさー」
響「こたつはあったかいさー」
響「沖縄では要らなかったんだけどなー」
P「まぁそうだろうな」
響「こたつはプロデューサーの近くにいれるから好きさー」
P「こいつめー」ナデナデ
響「えへへ」
P「ん?」
響「隣行ってもいい?」
P「おぉ、おいでおいで」
響「わーい」
響「自分な、やっぱりプロデューサーと一緒にいる時が一番好きだぞ」
P「なんだ急に」
響「ねぇ、プロデューサーは?」
P「そりゃ俺も」
響「うん」
P「響と一緒の時が一番幸せだよ」
響「えへへへ」
響「なになに?」
P「来週雑誌のグラビア撮影だな」
響「やっぱり今だと冬服?可愛いの着たいさー!」
P「いや、例のプールで水着」
響「えー!?なんでまだ水着なんさー!?」
P「需要があるから……かなぁ……」
響「うー……自分、プロデューサー以外に水着姿見せたくないぞ……なんて……」
P「OK任せろ」
響「計画通りさー」
P「どうした?おねむか?」
響「んー……ちょっとだけ」
P「腕枕しようか」
響「うがっ!?は、恥ずかしいぞ……」
P「じゃああっちのソファー使う?寒いぞー」
響「うぅ……寒いのは嫌だぞ……腕枕で」
P「おう」
響「えへへ、プロデューサー……大好き!」
P「くうぅぅ!」
響「!?」
P「不意打ちはずるいぜ響……」
響「ふっふーん!おやすみさー」
P「zzz……」
響「あ、プロデューサー寝ちゃってる」
響「ふふ、可愛いなぁ」
響「いつも頑張ってくれてありがと、これからもよろしく頼むさー!」
P「いやいや、お前のためならなんてことないさ、こちらこそよろしくな」
響「いいいつから起きてたさ!?うがー!恥ずかしいぞー!」
P「あ、プロデューサー寝ちゃってる…のあたりかな」
響「ひーどーいーぞー!もう起きるー!」
P「まだだめー」ギュッ
響「んぅ……!し、仕方ないさー」
P「んー?」
響「自分、なんでもできるし、完璧だけど」
P「スタイルもいいしな」
響「茶化すなー!……だけどね、自分が完璧なのはプロデューサーがいつも傍にいてくれるからなんだぞ」
P「響……」
響「だから……その、えと……うがー!とにかく!プロデューサーは自分の傍にずっといること!わかったかー!」
P「あぁ、当たり前だ!響が嫌だって言ったってトップアイドルにするまでプロデュースしてみせる!」
響「それでこそ自分のプロデューサーさ!」
P「でもこれ抱き合いながら話すことじゃないな?」
響「これじゃ自分たちバカップルみたいさー」
P「いいじゃないか?」
響「も、もー……」
響「と、泊まってってもいいんだぞ!その、自分ペットのみんなと一緒に寝れるように布団とか大きいから大丈夫だぞ!」
P「そ、その状況の何が大丈夫だっていうんだ!俺の理性が持たないだろ!」
響「獣の扱いは慣れてるんだぞ!なんて…だめ?」
P「ぐぬぬ……いやしかしプロデューサーとアイドルが一夜過ごすってだめだろ……」
響「大丈夫さー!自分口は堅いぞ!!」
P「俺が何かするって前提を止めようか……」
響「いーからいーから!なんくるないさー!」
響「電気消すよー」
P「あ、あぁ……」
P(あぁやばい。静かだと息遣いとかがすごい耳に残る)
響「ね、プロデューサー」
P「ふぁいっ!?」
響「ふふ、自分なら……大丈夫だぞ、心配しないでいいからな」
P「ど、どういう……んっ」
――――――――
――――
――
小鳥「あら響ちゃんおはよう。今日は早いわね?」
響「ちょっとなー!今日も頑張るぞー!」
P「おはようございまーす」
小鳥「あ、プロデューサーさんも。おはようございます!ふぅん……」
P「太陽はとっても明るいのにどうしてこんなに眠いんだ……」
小鳥「プロデューサーさん、プロデューサーさん」
P「どうしました?」
小鳥「ちゃんと社会人としての自覚と責任を持つんですよ、うふふ」
P「え……?」
響「さ、プロデューサー!仕事だぞ!」
P「うおぉ!引っ張るな響!」
終わり
Entry ⇒ 2012.11.15 | Category ⇒ アイマスSS | Comments (0) | Trackbacks (0)
亜美「兄ちゃんのこと好きなんだろー」真美「ち、ちげーし」
真美「はぁ!? そ、そんなんじゃねーし」
亜美「うっわ~顔赤くなってるー! やっぱぜってぇー好きなんだぜコイツー!」
真美「ばっ、やーめ、やーめろって!」
亜美「けーっこん、けーっこん!」ヒューヒュー
真美「もー! やーめーろーよー!」
クラス
亜美「事務所のみんなに言ってやろー」
真美「……ぜ、全然好きじゃねーし!」
亜美「嘘だー」
真美「嘘じゃねーし! に、兄ちゃんのことなんか、全然、なんとも思ってねーし! むしろ嫌いだし!」
真美「あう……」
亜美「ホントにそーなの?」
真美「ううん……それこそ嘘っぽいよ……嫌いになるわけないっしょ」
亜美「そっか~。んっふっふ~、知ってたけどね!」
真美「もー、亜美に相談した途端これだよ~! 真美達はもう中学生なんだよ!」
亜美「でもでも~、真美もノリノリだったっしょ?」
真美「まーね! んっふっふ~」
P「」
小鳥「あら? プロデューサーさん、そんなところに立って、どうかしたんですか? 顔面蒼白ですけど……」
P「あ……音無さん……」
小鳥「ま、まぁまぁ落ち着いて……それで、なんでしたっけ」
P「ま、真美が……俺のこと、嫌いだって……」
小鳥「……」
P「ぜ、全然……好きじゃないって……」
小鳥「そ、そうですか」
P「うわああああ!!」
小鳥「ちょちょ、泣かないでください、良い年して」
P「だって、だって! ふぇええええ!」
小鳥「……もしかしてプロデューサーさんは、真美ちゃんのこと、好きだったんですか?」
P「はぁ!? ち、ちげーし! ぜ、全然、好きなんかじゃねーし!」
小鳥(よほどショックだったのね。精神年齢がずいぶん低くなっているわ)
小鳥「あ、はい」
P「好きか嫌いかで言えば、どっちかで言えば……」
小鳥「ふんふん……」
P「そりゃあ、愛しています」
小鳥「ふんふ……えっ?」
P「だってそうでしょう、真美はあんなに可愛いし、素直だし、優しいし」
P「ちょっと子どもっぽすぎるところもあるけど、そこがまた、成長した体とのギャップもあってグッとくるし」
P「目と目が逢う瞬間ティンと来たんですよ。ああ、この子を生涯プロデュースしよう、って」
小鳥「そ、そうですか」
P「でも、それで……これまでふたりで頑張ってきたのに……まさか、真美は全然、俺のこと……」
小鳥「……」
P「うぅ……」
小鳥(本気の涙を流している……)
亜美「まぁまぁ、亜美にまっかしといてよ!」
真美「あ、亜美~! ヨケーなことしなくていいから!」
P「!」ドキッ
小鳥「あ、ふたりとも。もう社長室で遊ぶのは終わりにしたの?」
亜美「んっふっふ~! ウォッホン! ピヨちゃんくん、ちょ~と、席を外してもらえるかな?」
小鳥「はいはい。あんまり、プロデューサーさんをからかわないようにね」
亜美「うあうあー! ピヨちゃん、これは亜美達にとってはシンセン勝負なんだよ~!」
小鳥「真剣勝負、ね。ほら、亜美ちゃん。行きましょう」
亜美「うん! 真美、がんばってね!」ポンッ
真美「う、うん……」
P「……」
真美「ね、ねえ兄ちゃん」
P「な、なんだ?」
真美「あのさ、今週の日曜、ひま?」
P「ああ、特に予定はないけど……」
真美「それじゃさ、いっしょにコンサート行こうよっ!」
P「コンサート?」
真美「うんっ! 亜美がね、今度遊園地のステージでやる、竜宮小町のライブのチケットくれたんだ~」
P「……」
P(俺なら、チケットなんかなくても中に入れるんだけど……こ、これってもしかして……)ドキドキ
P「あ、ああ、もちろん! 真美が誘ってくれたなら喜んで――」
亜美「おっ? んっふっふ~、兄ちゃん達、もしかしてデートってやつ~?」ヒョコ
P・真美「「そ、そんなんじゃねーし!!」」
亜美(ありゃ? おジャマ虫だった?)
真美(そりゃそうっしょ! つい、さっきみたいなお芝居の続きをしちゃったじゃーん!)
P「……ど、どうしてもっていうなら行ってやってもいいぜ」
真美「え!? ……べ、べつに真美だって、どーしてもってわけじゃねーし!」
真美「ただ他に、誰も暇な人がいなかっただけだし!」
P「お、俺だって、本当は暇じゃねーし」
真美「そ、それならいいし。ひとりで行くから……」
P「あ……」
真美「ふーんっだ! はるるんあたりを誘っていこーっと!」
P「……」
真美「……」チラ
P「……し、しかたねーなし。春香だって休ませてやらなきゃだし、一緒にいってやるし」
真美「えっ、ホント!?」パァ
P(あ、かわいい……)
真美「はぁ!? べ、別によくねーし、普通だし」
亜美「まーたそんなこと言っちゃって~。ホントは嬉しいんでしょ?」
真美「や、やーめーろーよー!」
亜美「顔真っ赤になってんじゃーん! デュクシ、デュクシ!」
チョンチョン
真美「あっ、いたっ! このー、やったな~!」
ワイワイ
P「……ふ、ふふ」
小鳥「プロデューサーさんも、嬉しそうですね♪」
P「はぁ!? べ、別に嬉しくねーし」
小鳥(めんどくさい人ね、もう)
P「それにそもそも……真美は俺のことなんて……」
小鳥「……うーん……」
P「え……勘違い、ですか?」
小鳥「ええ。真美ちゃんがプロデューサーさんを嫌いになるわけ、ありません。それに――」
亜美「おっと」
ポスン
P「っとと……大丈夫か、亜美」
亜美「うあうあー! 兄ちゃん菌がついた~!」
P「」
亜美「たーっち!」
真美「うあうあ~! バリアー!」
亜美「バリア無効です~」
真美「や、やーめ、やーめーろーよー!」
P「やっぱり嫌いなんじゃないですか……!」
小鳥「あ、あはは……」
小鳥(もう、みんなして……まるで小学校ね)
小鳥「はい……」
P「デートには、行きます。し、しかたないですからね。真美もどうしてもって言うし」
小鳥「……ふふっ。やっぱり、デート?」
P「ちち、ちがいます! 間違ってそう言っちゃっただけです」
小鳥「そうですか♪ 楽しんできてくださいね」
P「くっ……こ、こらこらお前達! もう遊んでないで、レッスンに行きなさい!」
真美「はーい」
亜美「亜美はもう、今日のお仕事終わっちゃったもーん」
P「でもそうやって真美の邪魔ばっかりするなら、律子先生に言いつけるぞ!」
亜美「うあうあ~! 兄ちゃん、それはズルっしょ~!」
真美「うーん……」
亜美「ねえ真美ー、まだ決まんないの?」
真美「だってだって~!」
亜美「いつもの格好でいいじゃーん。はやくマリオの続きやろーよー。次、真美の番だよ」
真美「でもそんなんじゃ、バカにされちゃうっぽいよ~!」
亜美「そうかな~?」
真美「……兄ちゃんなら、そんなことしないと思うけどさ。でもでも」
亜美「っていうか、こんなに早く決めなくてもいいっぽくない?」
真美「でもでも~! うあうあ~!」
真美「うん……」
亜美「でも、だいじょーぶだよ、真美」
真美「え? なにがだいじょーぶなの?」
亜美「んっふっふー! 亜美、知ってるもん。兄ちゃんは、いつも通りの真美が一番好きっぽいってこと」
真美「えぇえ!? す、すす……!?」
亜美「おやすみなさーい」モゾモゾ
真美「うあうあ~! ちょっと待ってよ亜美~!」
真美「い、いつも通りの真美……?」
真美「おっはよーだぴょーん!」
P「ああ、おはよう、真美」
真美「うあっ!」
P「な、なんだよ」
真美「……」
P「……ま、真美?」
『亜美、知ってるもん。兄ちゃんは、いつも通りの真美が一番好きっぽいってこと』
真美(うあうあー! あんなこと言われたら、ヨケーにいつも通りにできなくなっちゃうよ~!)
P「あ、ああ。えーっと……今日の予定は、午前中に新曲の衣装合わせ、午後からレッスンだな」
真美「ふーん」トタタ
P「あ、ちょっと真美!? どこに行くんだ?」
真美「べっつに~! 兄ちゃんにはカンケーないっぽいよ~!」
P「あ……」シュン
真美「あ……」シュン
P「……9時までには、戻ってきてくれよ」
真美「……うん……」
小鳥「へぇ~。そんなことが……」
P「ズビッ、ズビビ……」
小鳥「なるほど……真美ちゃんが反抗期、ですか」
P「……ヒッグ」
小鳥「ふふっ、大丈夫、そんなことはないですよ。ああいう年頃の女の子には、よくあることです」
P「グス……?」
小鳥「そうです。私にも、多少は親に向かってそういう態度取っちゃった時期もありますし……もう随分昔のことですけど」
P「……」
小鳥「きっと、時間が経てば元通りです。だから、ね?」
P「……エグ……ウッ、ウッ……」
小鳥「いいえ♪ これくらい、おやすい御用ですよ、プロデューサーさん」
真美「……」
ペラ、ペラ……
真美「ふんふん」
真美「なるほど~……」
ペラペラ
真美「年上のお兄さんとデート☆特集……参考になるっぽいね!」
真美「こーいう格好がいいのか~……」
おまわりさん「ちょっと、君」
真美「え?」
おまわりさん「見たところ、中学生だね。こんな朝早くからコンビニで立ち読みとは良い度胸だ」
おまわりさん「学校はどうしたんだ? もう登校時刻だろう」
真美(うあうあ~!)
P「はい……ええ……すみません、こちらの管理不足でした」
真美「ごめんなさーい……」
P「……はい、芸能活動については、ちゃんと学校に許可を受けていますので……今日もこれから……」
真美「……」
P「ですから、どうか……大事には……はい、ありがとうございます! 以後、気をつけます」
真美「気をつけまーす……」
P「それでは……失礼します」
真美「こんなピチピチの年でおまわりさんにお世話になるとは思ってなかったよ~」
P「こら」
ポカン
真美「あ痛っ!」
P「本当に反省してるのか、こいつめ……」
P「……」
P(何を話したらいいんだろう……)
真美(兄ちゃんに怒られちった……)
P(ついつい、いつものノリで頭をポカンとやってしまった……また、嫌われてしまったかも)
真美(兄ちゃん……こんな真美のこと、嫌いになっちゃうよね……)
P(……音無さんに、時間を置け、と言われていたのに)
真美(……でも、ずーっとこんなんじゃダメっぽいよね)
P・真美(……とにかく!)
P・真美「「……あのっ!」」
真美「えっと……」
P「ま、真美からどうぞ」
真美「に、兄ちゃんから言ってよ」
P「いや、でも……」
真美「……それじゃあ」
真美「兄ちゃん……あのね」
P「うん……」
真美「ごめんね」
P「……」
真美「また、メーワクかけちゃった……」
真美「う……」
P「ああでも! 結果、何事もなかったんだし……それに」
真美「え? それに?」
P「……ビックリしたのは、あの電話だよ」
『兄ちゃん兄ちゃん! 真美、おまわりさんに捕まっちゃったよ~! お助け~!』
P「――って。真美が何かの事件に巻き込まれたのかと思ったら、心配で心配でしかたなかったんだ」
真美「……!」
P「だから、今度からは気をつけてくれよ」
真美「……うん」
P「ん? まだ何かあるのか?」
真美「……ごめんね」
P「謝るのは、さっきもしただろ? もう大丈夫だよ」
真美「うあうあー、それとは違くて~! えっと……」
P「違う……?」
真美「あの……さっき、そっぽ向いちゃったこと」
P「!」
真美「……真美、いつも通りにしなきゃって思ったんだけど、なんか、モヤモヤしちゃって」
P「……」
真美「だからね、ごめんね……」
P「……いいよ」
P「今度はどうした?」
真美「あのね……」
P「うんうん……」
真美「……真美のこと、嫌いになっちゃ、やだよ?」
P「……」
キュン
P(おや、今の感情の起伏は)
P「き、嫌いになんてなるわけ……」
真美「ホント……?」
P「ああ、ホントだって。むしろ俺は、嫌いどころか……」
真美「え?」
P「ああいや、なんでもない!」
P「い、いやいや! べ、べつに、好きとかそーいうんじゃねーし!」
真美「ま、真美だってべつに、兄ちゃんのこと好きじゃねーし!」
P「そんなの、言われなくたって知ってるし!」
P・真美「「ふんっ!」」
P「……なあ真美」
真美「なーに」ツーン
P「好きじゃないってことは……やっぱり……嫌いか?」
真美「……そだよ」
P「……!」ガーン
真美「……兄ちゃんと同じくらいね」
P「え?」
真美「うあうあー! だから~! 兄ちゃんが真美を嫌いなのと同じくらい、嫌いだって言ってんの!」
P「でも、俺、真美のこと嫌いじゃないって今……」
真美「もーお仕事の時間っしょ! いこいこ!」
P「それじゃあ、この子をよろしくお願いします」
スタッフ「はい。それじゃあ真美ちゃん、行きましょう」
真美「うん! お願いしまーす♪」
P「さて……」
あずさ「あら? プロデューサーさ~ん」パタパタ
P「え? ああ、あずささん!」
あずさ「おはようございますー。今日は真美ちゃん、ここでお仕事なんですか?」
P「ええ。衣装合わせだけですけどね」
あずさ「いえ、今日は私だけです~」
P「え!?」
あずさ「? どうかなさったんですか?」
P「い、いえ……」
P(何を考えているんだ、律子……あずささんをひとりにするなんて)
あずさ「少し、衣装の胸のあたりがキツくなっちゃって、それでサイズ変更をですね……」
P「……」ゴクリ
あずさ「っと、それはともかく……プロデューサーさん?」
P「あ、ああ、はい。なんですか?」
あずさ「ふふっ、亜美ちゃんから聞きましたよ? 今度のお休み、真美ちゃんとデート、するんでしょう?」
P「……あ、あはは」
P「……」
あずさ「……?」
P「……はぁ」
あずさ「先ほどから、どこか浮かないお顔ですけれど……なにかあったんですか?」
P「……あずささん、ちょっと、聞いてもいいですか? その、でで、デートという件なんですけど」
あずさ「ええ、私でよければ……ふふっ。何かお悩みですか?」
P「はい……実は……」
あずさ「はい」
P「……何を着ていったらいいか、わからなくて」
あずさ「はい……えっ?」
あずさ「んー……」
P「そして俺は、冴えない成人男性です。一見したら犯罪の香りがしますよ」
あずさ「そ、そうでしょうか?」
P「だからどういう格好なら、真美と一緒にいても自然かどうか……わからないんです」
あずさ「……いつも通りで、良いと思いますよ?」
P「いつも通りって……1900円の、カレーの染みが付いたパーカーでもいいってことですか?」
あずさ「そ、それは確かに、考え物ですけれど……」
P「それとも、営業で着るようなスーツ?」
あずさ「それだと、より一層……いえ、なんでもありません」
P「……はぁ。それに、適当な格好で行って、真美を恥ずかしい気持ちにもさせたくないし……」
あずさ「……」
あずさ(……プロデューサーさん、真美ちゃんとのデートのこと、真剣に考えていらっしゃるのね)
P「え? な、なにが……?」
あずさ「ふふっ、そういうことなら、私達にまかせておいてください!」
P「私達?」
あずさ「私と、律子さん。今日のお仕事が終わったら、見繕ってさしあげます~!」
P「ほ、ホントですか!? それは助かります!」
トテトテ
真美「兄ちゃんにいちゃー……」
あずさ「だから、今日の夜……――時に、事務所で……」
P「わかりました。それじゃあ、よろしくお願いします!」
真美「え……」
真美(あずさお姉ちゃん? それに、夜?)
P「ん? おお、真美!」
あずさ「ふふっ、おはよう、真美ちゃん」
真美「……うん」
あずさ「素敵な衣装ね~。これで今度の新曲も、バッチリね?」
P「うんうん。よく似合ってるぞ」
真美「……」
P「……真美? どうした、お腹でも痛いのか?」
真美「……なんでもないですよーだ! べー!」
P「え……」
真美「兄ちゃんのおバカさん!」トタタ
P「あ、ちょ、真美!?」
真美「着替えてくるだけだから、こっち来ないで~!」
P(その後……真美はレッスン中も、どこか不機嫌な顔を浮かべたままだった)
P(気が付かないうちに、また俺は何かしてしまったのだろうか……?)
P「さ、さあ真美。今日の活動はもう終わりだけど……」
真美「……」
P「えーっと……じゃんけんでもするか? それとも、声真似ゲームとか……」
真美「そんなのいいもんっ! ふんっ、そんなので真美がいっつもゴキゲンになると思ったら、大間違いなんだかんね!」
P「う……」
真美「お疲れちゃーん!」タッタッタ
P「あ、ああ……お疲れさま」
小鳥「プロデューサーさん……またため息、ですね」
P「音無さん……」
小鳥「なにかあったんですか?」
P「えっと、実は……」
小鳥「って、あら? ……そこにいるのは……」
真美「……」コソコソ
小鳥「……なんとなく、わかりました。真美ちゃんとのことですね」
真美(しー! しー!)
小鳥(ふふ、わかってるわよ、真美ちゃん。あなたがそこに隠れてるのはナイショなのね)
P「いやぁ……音無さんはなんでもお見通しですね」
小鳥「プロデューサーさんが、まわりを見れていないだけです」
P「え……」
小鳥「なんでもありません♪」
律子「お疲れ様でーす」
小鳥「あら、律子さん。お疲れ様です。それに、みんなも……」
伊織「はぁ~……もう今日は疲れちゃったわよ……って」
P「おつかれ……」ズーン
伊織「そんな顔しちゃって、どうしたの、ドロリコン」
P「なっ!? 帰ってくるなり、し、失礼なことを……」
伊織「だってそうでしょう? 聞いたわよ、真美とのこと」
P「……亜美」
亜美「んっふっふ~! 楽しいことはみんなで知ったほうがいいっしょ?」
P「まったく……いや、いいけどさ」
P「ああ、そうさせてもらい……たいんだけど、な」
伊織「なんなのよ、もう。いつもみたいな張り合いがないわねぇ……」
あずさ「伊織ちゃん、プロデューサーさんはね……」
P「あ、あずささん! あのことはなるべく……」
伊織「なになに? ……って」
真美「……」コソコソ
伊織「……真美? そこでなにを――」
もがもが
伊織「……! ……!」
P「内密に……って、あれ? 伊織? それに亜美も……どこに行ったんだ?」
P「え、ええ」
律子「まったく、なんで私まで……」ブツブツ
P「すまないな、律子。嫌だったら無理にとは言わないけど……」
律子「……いーえ、着いていきます。あずささんとふたりにさせて、万が一ということがあったらたまりませんし」
あずさ「ま、万が一って……まぁ」ポッ
律子「なんですかその顔……それに、あの子のためでもありますから」
P「あの子って……真美?」
律子「ええ。真美があなたのこと――」
あずさ「り、律子さん!」
律子「……ごほん! じゃなくて……怪しい格好をした人が担当プロデューサーなんて、真美がかわいそうでしょう?」
P「う……怪しいって、そこまで言わなくても」
律子「さ、そーと決まったらちゃっちゃと行きますよ! ふふふ、覚悟しといてくださいね!」
律子「さーて、と……」
あずさ「次は~……あ、あそこなんていいんじゃないかしら!」
P「あの、ふたりとも……」
律子「どうしたんです? 浮かない顔ね」
P「いや……そんな、ここまでちゃんとしたところの服じゃないといけないのか?」
律子「もう、わかっていませんね、相変わらずあなたは」
P「え? どういうことだ?」
律子「たとえ真美とは言え、女の子なんです。だから、安っぽい格好では、呆れられちゃいますよ?」
P「うーん……それはなんとなくわかるんだけどさ」
律子「さ、さ! 次、行きますよ~!」
あずさ「ふふっ、律子さん。なんだかんだ言って、楽しそうですね?」
律子「そりゃそうですよ。こんなに好き勝手いじくれるのは、小さい頃、涼にした以来……」
P「いじくる……?」
律子「あ、いえいえ。こういう機会、めったにありませんからね! あはは……」
P「わ、わかりましたわかりました」
亜美「……真美隊長。目標は次のブチスライムに入った模様。おーばー」
真美「了解した亜美隊員。我々はこのまま追跡を続ける、おーばー」
伊織「……」
真美「あれ? いおりん?」
伊織「……色々言いたいことはあるけど……まず、ブチスライムじゃなくて、ブティックね」
亜美「そだっけ? んっふっふ~、まぁそんな細かいことはいいっしょ!」
伊織「ええ、そうね。確かにそれは細かいことだわ」
真美「じゃあさ、どったの? なんだかオデコが元気ないけど~……」
伊織「うるっさいわね、おでこは関係ないでしょ!!」
亜美・真美「「うあうあ~! いおりん、おっきい声出したらバレちゃうっしょ!」」
伊織「あ、ご、ごめんなさい……じゃなくて! と、とにかく!」
伊織「……なんで私達、尾行ごっこなんてしてるのよ!?」
亜美「いおりんはいいの? このままじゃ兄ちゃん、あずさお姉ちゃんのエロエロぼでーにノックアウトされちゃうよ?」
伊織「私としては、本当にどうでもいいんだけどね……」
真美「いおりんのヒトデ!」
伊織「誰がヒトデよ。人でなしって言いたいの?」
真美「そんな感じ!」
亜美「まぁまぁいおり~ん。ここは真美のためにもさ、一緒にがんばろーよ」
真美「今度オレンジジュース買ってあげるからさ~」
伊織「……あんたたち、それで私が『それはいいわね! 着いてくぴょん!』って、素直に言うこと聞くと思ったら大間違いよ」
真美「いおりんは、やなの?」
伊織「トーゼンじゃない。こんな、コソコソと人の秘密を嗅ぎまわるようなマネ、みっともないわよ」
真美「……そっか~……」
伊織「……」
亜美「うん……そうだね」
伊織「……う……」
真美「……それじゃあ、いおりんとはここでお別れだね」
亜美「短い間だったけど……楽しかったよ。ありがとね、いおりん」
伊織「……え、ええ」
真美「それじゃあ……亜美」
亜美「うん……いこっか、真美」
テクテク
伊織「……」
真美・亜美「……」チラ
伊織「……あーもう、わかったわよ! 着いていけばいいんでしょ、着いていけば!」
真美・亜美「んっふっふ~!」
伊織「ったくもう……」
――
―
P「……こ、こんなもんでいいでしょうか」
あずさ「んー……、そうですね!」
律子「今日はこれくらいにしといてあげましょうか」
P「今日は!? ……というか、絶対、一週間は着まわせるくらいたくさん買ったよな……」
律子「精々三日でしょう。それで一週間はさすがに持ちませんよ」
P「え、だって……ズボンは毎日違うのを穿くわけじゃないし……」
律子「……はぁ~。先が思いやられるわね」
あずさ「まあまあ律子さん。男性と女性では、色々と違うところもありますから」
P「う……なんだか、やんわりとバカにされてる気がする……」
律子「いーえ♪」
あずさ「お安い御用です~。ふふっ、私達も楽しかったですし」
P「しかし、今日だけで随分散財してしまったな……はは」
律子「私なら、絶対にこんなに服にお金は使えませんね」
P「え!? そ、それを買わせたのか……」
律子「まぁ、私の財布ではないですし……必要経費、ですから」
P「経費?」
律子「あなたと真美にとっての、ね」
P「……ありがとう」
律子「ふふっ、いいんですよ! それじゃあこのあとは……」
コソコソ
真美・亜美・伊織「「「……」」」
亜美「兄ちゃんって、やっぱりああいうのが好きなのかな?」
真美「ああいうのって、おっぱい?」
亜美「うん! ボイーンでデデーンでフッカフカで!」
真美「うあうあー! 真美にはないモノすぎるっしょ~!」
伊織「なんでそうなるのよ……胸とか、そういうのじゃなくて、あれでしょ」
真美・亜美「あれ?」
伊織「オトナ、ってやつ。律子もあずさも、あのだらしない男よりはずっとしっかりしてるじゃない」
伊織「ま、もちろん、この伊織ちゃんだって負けてないけどね! にひ――」
真美「あっ! 兄ちゃん達行っちゃう! いこいこ!」
亜美「うん!」
伊織「ひっ、って……ちょ、ちょっと待ちなさいよ! そういうところ、落ち着きが足りないって言ってんの!」
律子「そうですね。あ、でも、おごりとかじゃなくていいですよ」
P「いや、でも……」
律子「そういうお金は、真美とのデートのために取っておいてください。今日はもう、随分使わせちゃいましたし」
P「……わかった」
あずさ「ふふっ、それじゃあ次は、お食事をしながらデートの作戦タイム、ですね!」
P「さ、作戦って……あ、いや、やっぱり必要ですね。よろしくお願いします」
あずさ「はい、喜んで~♪」
P「ふんふん……なるほど」
律子「ふふ、これで真美も、きっと喜んでくれますよ!」
P「そ、そうだといいんだけどな」
【レストラン外】
真美・亜美「……」ペットリ
伊織「ちょ、ちょっとふたりとも! 窓に顔くっつけるのはやめてよね!」
伊織「他のお客さん、奇異な目線でこっちを見てるじゃない!」
真美「でも~……」
亜美「兄ちゃん達、楽しそうだね」
真美「うん……こっから何話してるか、聞こえないかな~」
伊織「聞こえるわけないでしょ! こ、こっちまで恥ずかしいわ、もう……!」
P「――ふたりとも、重ね重ね、今日はありがとう」
律子「お礼なら、日曜が終わったあとでもいいですよ」
あずさ「うふふ、がんばってくださいね。私達も、ステージの上から、お二人のことを応援していますから」
P「ええ……とりあえず、まだ一日ありますから、色々と自分でも考えてみることにしますよ」
プォォー……
P「っと……電車が来たみたいだな。それじゃあ、ここらへんで」
律子「はい! お疲れ様です」
あずさ「お疲れ様ですー、プロデューサーさん、律子さん。それでは……」
テクテク
律子「って、あずささん!? あなたの家はそっちの路線じゃないでしょう!?」
あずさ「あ、あら? 私ったら……」
律子「まったく……心配ですから、私もついていきます」
あずさ「ごめんなさいね、律子さん……」
P(あはは……相変わらずだな、あのふたりは)
真美「……」
伊織「……? どうしたのよ、真美」
亜美「突撃しないの~? やいやい、どーいうことだー! ってさ」
真美「……今日はやめとくよ~」
伊織「今日は、って……」
真美「そ、それよりいおりん! 真美、おなかすいちゃった。ご飯食べに行こーよ!」
伊織「うーん、あんたがそれでいいなら、それでもいいけど……って、真美?」
真美「ん? ど、どったの?」
伊織「あんた、顔が……」
亜美「うあうあー! 真美、どうしたの!? 真っ赤になってるよ~!」
真美「え? そ、そうかな……けほ、こほ」
真美「……」
伊織(バカなのは、ひとりで見張るんだって言った真美を、あのまま外にほっといた……私もだけど)
伊織「……しかたないわね、もう」
ポパピプペ
伊織「……あ、もしもし新堂? ええ。今から帰るから、迎えに来てちょうだい」
伊織「ゲストがふたりいるから、遅れないようにね。それじゃあ……」
ピッ
真美「いおりん……?」
伊織「あんた達は今日はそのまま帰りなさい。送っていってあげるから」
真美「……ごめんね」
伊織「いいわよ、そんな言葉」
伊織(バカな私には、もったいないわ)
新堂「おまたせしました、お嬢様」
伊織「ええ。さ、ふたりとも。中に入って」
真美「おじゃましまーす……」
亜美「うあうあー! めっちゃ広いね! 事務所の車とは全然違うよ~!」
伊織「にひひっ、トーゼンでしょ! ……って、こら亜美! 寝っ転がらないの!」
亜美「だって~。フッカフカなんだもん!」
伊織「ったく……いーい? そこにはね……」チラ
真美「……?」
伊織「……真美を、寝かせてあげなさい」
亜美「! そ、そうだね……ごめんね、真美」
真美「……うん」
伊織「……ねぇ、真美。寝ながらでいいから、聞いてちょうだい」
真美「ん……?」
伊織「どうして、ここまでがんばるの?」
真美「……わかんない」
伊織「……そう」
亜美「いおりん、真美はね、兄ちゃんのことが……」
伊織「わかってるわよ、そんなこと。だけど、これだけはまだわかんないの」
伊織「……恋って、そんなに大切なこと? 体を崩してまで、あの変態のことを見張っていることが必要なの?」
真美「……わかんない。わかんないけど……でも」
伊織「……」
真美「言葉じゃ、うまく言えないけど……嬉しいよ」
伊織「嬉しい?」
伊織「褒める?」
真美「真美がオーディションに受かったときとか、レッスンを頑張ったときとか」
真美「めっちゃ、めーっちゃ……もういらない、ってくらい、褒めてくれるんだよ~」
伊織「……そうなの」
真美「んっふっふ~! それに、イタズラしたって、兄ちゃんならドーンと受けてくれるし」
真美「いっしょにいて、いつだって楽しいって言うか……」
真美「次はどんなことをしたら、兄ちゃんはどんなリアクションをしてくれるのか、って……気になって」
亜美「真美……」
真美「……そんでね。いつからか、わかんないけど……」
真美「兄ちゃんが、他の子と仲良さそうにしてたら、やだなって思うようになったんだ~」
亜美「……亜美だって、前に真美に怒られちゃったもんね」
真美「兄ちゃんは、亜美のじゃなくて、真美の兄ちゃんだもん! トーゼンっしょ?」
伊織「……!」
真美「兄ちゃんのことが……」
伊織「……もう、いいわ」
真美「……」
伊織「はい、ハンカチ。そのみっともない顔、拭きなさい」スッ
真美「……ありがと……」
グシグシ
真美「……とにかくね、そう思えるのは、なんか……嬉しい」
真美「兄ちゃんのためなら、どんなことでも、めっちゃがんばろーって気持ちになるんだよ~」
伊織「……そう。でも、ストーカーまがいなことは、もうやめなさいよね」
真美「えへへ……」
伊織「今日みたいにあんたが体を壊したら、あんたの大好きなアイツが、どう思うかくらい……わかるでしょ?」
真美「……うん」
――
―
真美「……けほ」
亜美「真美、だいじょぶー……? ほら、つかまって」
真美「うん……」
亜美「送ってくれて、ありがとね、いおりん」
伊織「気にしないでいいわ。……それより、亜美?」
亜美「んー?」
伊織「真美のこと、ちゃんと休ませてあげるのよ」
亜美「……うん」
伊織「それじゃ、また明日ね」
亜美「……ねぇ、真美」
真美「んー……?」
亜美「明日、お休みしちゃおーよ」
真美「……ダメっしょ~。お仕事、入ってるもん」
亜美「でもでも~……」
真美「兄ちゃんに、またメーワク、かけちゃうから」
亜美「……」
真美「……おやすみ、亜美」
亜美「うん……おやすみ、真美」
P「……」ソワソワ
P(なんだろう……ソワソワして落ち着かないな)
P(昨日あんなことがあったから、真美と顔を合わせるのが恥ずかしいのか?)
P(それとも……)
ガチャ
P「!」
真美「お、おはようございまーす……」
P「あ、ああ。おはよう、真美」
真美「……」
P「……?」
P(どうしたんだろう、なんか、いつもより元気がない気がする……)
真美「ん、なに、兄ちゃん」
P「その、だな……昨日は、すまなかった」
真美「え? な、なんのこと?」
P「……正直に言うよ。実は、自分でもよくわかっていないで謝ってる」
真美「……」
P「でも、確かに昨日の午後から、真美の様子はおかしかっただろ?」
P「きっと、俺が何かしてしまったんだと思う……どうか、わけを教えてくれないか?」
真美「……えへへ」
P「え? な、なんで笑って……」
真美「兄ちゃん! そんなのはもう、昨日の話っしょ?」
真美「真美は過去にとらわれない女なんだよ~。だからもう、だいじょうぶい!」
P「……許して、くれるのか?」
真美「……うん!」
P「ん、ああ……えーっと、今日はこのあと、13時までレッスン……」
真美「うんうん……」
P「それから、新曲のレコー……って、真美!?」
真美「え……?」
P「お前、どうしたんだ、その顔!」
真美「か、顔? んっふっふ~……いつもどおり、かわいいっしょ?」
P「いや、そりゃそうだけど……」
真美「……」カァァ
P「さらに真っ赤になったじゃないか……!」
P(これ……もしかして、風邪か?)
P「……なあ、真美」
真美「えー……?」
P「体調、崩してるんじゃないか?」
真美「そ、そんなことないっぽいよ! 真美はいつも以上に、フルパワーで……」
P「……ちょっと、おでこさわるぞ」
ピト
真美「ひゃあっ」
P「……」
P(やっぱり、少しばかり熱があるみたいだ。それほど大熱ってわけでもないけど……)
真美「うぅ……に、兄ちゃん! もういいっしょ!」
P「……ああ」
真美「えぇ!? だ、ダメダメ! そしたら……」
P「レコーディングのことなら、俺が連絡をつける。レッスンだって、一日くらい休んだって問題はない」
P「それより……俺は、真美がこれ以上具合が悪くなるのを、見ていられないんだよ」
真美「で、でも~……!」
P「……大丈夫、なんの心配もないよ。テレビとかの収録じゃなくて助かった」
真美「そんなんじゃなくって!」
P「っ!」
真美「けほ、こほ……」
P「……なぁ、真美」
真美「え……?」
P「お前……なんでそんなに、頑張ろうとしてるんだ……」
P「……」
真美「兄ちゃんに、褒められたいから……」
P「ほ、褒める?」
真美「そだよ。兄ちゃんに褒められたら、真美は、すっごく嬉しくなるんだから」
P「……無理して頑張ったって、俺は褒めてやることは出来ないぞ」
真美「でも……っ!」
P「でもじゃない!」
真美「兄ちゃんのわからずやっ!」
P「わからずやなのはどっちだ! いいから、送っていくから、今日は家に帰って――」
真美「真美はねっ!」
真美「……真美はね、兄ちゃんのことが好きなんだよ!」
真美「けほ、こほ……」
P「な、何を急に言って――」
真美「……――が、一番知ってるんだから」
P「え……?」
真美「真美の気持ちは……」
P「……」
真美「……ねぇ、兄ちゃん」
P「あ、ああ……なんだ?」
真美「レッスンは、その……おやすみするよ。だから……」
P「……」
真美「午前中、休むからさ……治ったら、午後のお仕事、行ってもいい?」
P「……わかった」
真美「……うん」
P「いま、常備薬を持ってくるからな。あと毛布も……」
真美「……ごめんね」
P「……俺は、真美のプロデューサーだぞ。これくらい、当たり前だ」
真美「そっか……そう、だよね」
P「……」
P(……真美)
P(俺は……自分のことで浮かれて、こんなことにも気づかずに……)
真美「……ありがと。んく、んく……」
P「……」
真美「……ぷは。……ねぇ、兄ちゃん」
P「ん?」
真美「あの、さ……さっきの、どう思った?」
P「……さっきの、好きだ、ってやつか?」
真美「うん……」
P「……俺も好きだよ。真美のことは」
真美「! そ、それじゃあ……」
P「それ以上は、体調が治ってから、言う。だから……今は眠っておいてくれ」
真美「……うん」
――
―
真美「……すぅ、すぅ……」
P「……」
ガチャ
ピポパ……
P「……あ、もしもし。いつもお世話になっております、私、765プロダクションの……」
P「ええ、はい……実は、本日のレコーディングなんですが……担当が体調を崩してしまいまして」
P「……はい、はい……申し訳ありません、ご迷惑をおかけします」
P「それでは……はい、失礼します」
ガチャ
P「……さて、次は……」
ガチャ
P「さて、と……」
グイッ
真美「んむぅ……zzz……」
P「……はは、重くなったな、こいつめ」
小鳥「……プロデューサーさん」
P「……音無さん」
小鳥「お家、行かれるんですね」
P「ええ……こんなところじゃ、治る体調も治りませんからね。送っていきます」
小鳥「ふふっ、きっと、その背中の子、怒ると思いますよ?」
P「……わかっています。でも……」
小鳥「……」
P「俺は、プロデューサーですから。アイドルの体調管理は、俺の仕事です」
P「そうですよ、それ以外、何者でもありません」
小鳥「ふふっ、そうですね。たとえ……、担当の子じゃなくても、あなたはみんなのプロデューサーさんです」
P「ええ、もちろんです」
小鳥「行ってらっしゃい」
P「……行ってきます」
P「……さ、帰るぞ。亜美」
真美?「……うぅん。ゆ~れ~るぅ~」
P「っと、起こしちゃったか」
真美?「……兄ちゃん? あれ? ここどこ?」
P「車の中だよ」
真美?「あ、もしかして、もうお仕事の時間になっちゃってた?」
P「いや……そうじゃない」
真美?「……?」
P「今から、お前の家にいくんだよ。帰らせるためにさ」
真美?「え……えぇ!? なな、何で!? 約束と違うじゃん!」
P「……悪いな。でも、レコーディングなんてどうせ出来ないだろ?」
真美?「そ、そんなことないもん!」
P「いーや、そんなことある。だって、歌えないだろ? たとえいくら全快したって、お前には歌えない。だって……」
P「これは、真美の曲だから。亜美には歌えない」
真美?「……!」
P「……正直、最初はわからなかった」
亜美「……」
P「でもさ、さっき……」
『……真美はね、兄ちゃんのことが好きなんだよ!』
P「って、言われたときから……なんとなく、へんだなって思ったんだよ」
亜美「へん……?」
P「ああ、そうだ。だって、最近の真美なら、俺のことを素直に好きだなんて言わない」
亜美「……」
P「あいつならきっと……好きじゃねーし、ちげーし! って言うだろう」
P「何を思ったのか、最近はときどき、真美はそんなキャラになるからな」
亜美「んっふっふ~……そうかもね! でもそれ、最初は亜美がやり始めたんだよ?」
P「はは、そうだったのか……」
亜美「それでバレちゃったんだ……」
P「というか、バレないとでも思ったのか? 入れ替わるにしても、適当すぎるぞ」
亜美「えへへ……けほ、こほ」
P「……でも、亜美だって体調を崩しているのは確かだ。横になって、寝てなさい」
亜美「……うん」
ポスン
亜美「いおりんのお家の車と、ゼンゼン違うね。固すぎっしょ~」
P「悪いな。もっと良い車を買えるように、お前のプロデューサーに頼んでくれ」
亜美「んっふっふ~……律っちゃん、ケチンボだからな~」
P「あはは、違いない」
P「ん?」
亜美「……さっきの、あれ……」
P「あれ、って……」
亜美「……ごめんね」
P「……どうして謝るんだ? 俺は別に、怒ってなんか……」
亜美「兄ちゃんが怒ってなくても……」
P「……」
亜美「……ごめんね」
亜美「ごめんね……真美……!」
亜美「亜美……、亜美は……」
亜美「うぅ……」
P「お前は、姉思いの、立派な妹だ……俺が保証する」
亜美「で、でもっ……」
P「……心配しなくても、誰も、不幸になんかならないよ。もしそうなったら、俺のこと思いっきり殴ってくれていい」
亜美「……イタズラ百連発でもいい?」
P「ああ、もちろん」
亜美「んっふっふー! 自信満々っぽいね、兄ちゃん」
P「そりゃそうだ。だって俺は、あの真美のプロデューサーだぞ」
亜美「そうだね……えへへ」
P「……家に着くまで、もう少しある。寝てなさい」
亜美「はーい……」
亜美「……ねぇ、兄ちゃん」
P「ん?」
亜美「最後に……」
亜美「兄ちゃんのこと、亜美は、本当にだいすきだよ」
P「……」
亜美「……真美の大好き、とは、違うかもしんないけど」
P「……ありがとう。俺も、亜美のことは大好きだぞ」
亜美「えへへ……だから時々は、真美だけじゃなくて、亜美とも遊んでね?」
P「ああ、もちろん」
亜美「ぜったい……やくそく……だか……」
P「……」
亜美「んね……」
P「……おやすみ、亜美」
亜美「……zzz……」
P「……ここか。おーい、亜美~」ユサユサ
亜美「んん~……」
P「家に着いたぞ。起きてくれ」
亜美「んも~……あと五十分~……」
P「どれだけ寝るつもりなんだ……ほら」
グイッ
亜美「うひゃあ! に、兄ちゃんのエロエロ~!」
P「ひ、人聞きの悪いこと言わないでくれ! ちょっと腕を掴んだだけだろ!?」
亜美「うあうあ~! 亜美が弱っているところにつけこんで、オトナの関係せまろうとしてるんだ~!」
P「まったく……それだけ元気なら、もうひとりで部屋に帰れるな?」
亜美「……あ……」
P「えー……」
亜美「亜美、もう熱でうなされて死んじゃうから、おんぶ!」
P「それなら、病院に行ってぶっとい注射を打ってもらわないといけないな。双海クリニックに行くか?」
亜美「うあうあ~! 亜美は妹だから、兄ちゃんにおんぶしてもらったら治んの!」
P(言ってる意味がわからない……けど、まぁ)
P「……わかったよ、ほら」
亜美「!」
P「どうした、乗りな」
亜美「……う、うん」
ポフン
亜美「……兄ちゃんの背中、でっかいね」
P「そうか?」
亜美「うん……やっぱり、いいなぁ。真美……」
P「……」
P「あれ? 出ないな……」
亜美「いま、パパもママもいないはずだから……これ、鍵」
P「……お、おう」
亜美「……兄ちゃん、へんなこと考えてるっしょ~?」
P「そ、そんなわけないだろ? まったく……」
ガチャ
P「おじゃましまーす……さて、お前達の部屋は……」
亜美「ねぇ、兄ちゃん」
P「ん?」
亜美「……真美に、顔出してあげて」
P「……ああ」
P(……これまで、はっきりとは聞いてなかったけど……)
P(やっぱり、亜美が体調を崩したのは……真美にうつされたのが原因か……)
亜美「……そこが、亜美達の部屋だよ」
P「あ、ああ」
亜美「よい、しょっと……」
スタン
P「亜美? どうしたんだ」
亜美「……亜美はオジャマ虫っしょ?」
P「いや、そんなことは……」
亜美「ここまでおんぶしてくれて、ありがとね、兄ちゃん!」
亜美「そこのママの部屋で寝てるから、帰るとき教えてね~! そんじゃっ!」トタタ
P「あ、ちょっと!」
P「……」
P「ひとりで真美とご対面とか……マジか……この状況で……」
P「……」
真美「……すぅ、すぅ……」
P「……真美」
真美「……むにゃむにゃ……」
P(寝ている……)
P(天使かよ)
P(かわいい)
P(ムラムラしてk……ああじゃない、そうじゃない)
P「……」
真美「……うぅん……にいちゃ~ん……」
P「……」ドキドキ
P(……顔色は……思っていたより、悪くないみたいだ)
P(さすが医者の娘……いや、関係ないだろうけど)
P「……」
真美「……zzz……」
P(下心はない。だから、今から真美のおでこに手を載せるのは)
P(ただ、熱がないかどうか確認するだけで……)
P(それだけなんだからね)
ピト
真美「うぅ~ん……」
P「……」
真美「……ん?」
P「!」ドキッ
P「……や、やあ真美」
真美「兄ちゃん……」
P「具合はどうだ?」
真美「にいちゃんがいるから、もう元気だよ~……えへへ」
P「そ、そっか」
真美「ん~……」スリスリ
P「!?」
真美「んっふっふ~……あったか~い」
P「お、おう」
真美「サイコーな夢っぽいよ~……」
P「……夢?」
真美「うん……」
P「……」
真美「頭、撫でて~」
P「あ、うん……」
ナデナデ
P「……さらさらだな。亜美はちょっとクセがあるのに、真美にはないんだ」
真美「んっふっふ~……髪、伸ばしたからね。毎日ちゃんとお手入れしてるもん」
P「そっか……」
真美「……えへへ。気持ちいー……」
P「……なぁ、真美」
真美「んー?」
P「これは、夢だ」
真美「そうだね~……これは夢だよ~」
P(夢なら、何が起きても……許されるよな)
P(閃いた)
真美「うん……なあに、兄ちゃん……」
P「……俺、さ」
P「真美のこと、愛してる」
P「……アイドルとしての真美もそうだし、いつもの、ありのままの双海真美も大好きだ」
真美「……」
P「いつも思ってるんだ」
P「なんでお前はもっと早くに生まれてなかったんだろう、って……」
P「13歳なんて……犯罪だからな」
真美「……え、えぇ……?」
P「生まれ変わったら、真美の中学校のクラスメイトになりたい。それが今の俺の最大の願いでもある」
P「そして真美のことを、影ながら……ずっと見てるんだ。席替えとかで席が近くになったら、きっとそれだけで小躍りするだろう」
P「というかいつも、こんな風に考えてるんだ。あー真美のクラスの男子全員爆発しないかなーって」
真美「に、兄ちゃん!?」
P「……それくらい、真美のことが大好きなんだ」
真美「……」カァァ
P「結婚してくれ。生涯養うから」
真美「うぇええ!?」
P「……夢だよ。だから、言えるんだ」
真美「……」
P「真美は……その、どうだ?」
真美「どう、って……」
P「……俺のこと、やっぱり嫌いか?」
真美「な、なんでそんな……」
P「だって、真美、こないだこんなこと言っていただろ?」
『に、兄ちゃんのことなんか、全然、なんとも思ってねーし! むしろ嫌いだし!』
P「――ってさ」
真美「あう……あ、あれは……」
P「……そっか」
真美「ホントの真美は……」
P「……」
真美「真美……は……」
ポロポロ
P「……真美」
真美「あ、あれ? なんだろ、なんか……」
真美「……ここは、夢の中、なのに……」
真美「それに、嬉しくて、嬉しくて、しかたないはずなのに……」
ポロポロ……
真美「止まんない……!」
真美「……好き」
P「……!」
真美「だいすきだよぉ……兄ちゃん……!」
真美「兄ちゃんと、ずっとずっと、離れたくないんだもん」
真美「だから……真美も、いっしょ、なんだよ」
真美「兄ちゃんといっしょで、真美も……兄ちゃんのこと、大好き」
P「……よかった」
真美「え……?」
P「ははは……俺さ、こないだ、音無さんの前で泣いちゃったんだよ」
P「真美に嫌われた、って勘違いしてしまって……」
真美「……んっふっふ~。真美が兄ちゃんのこと、嫌いになるわけないっしょ?」
P「……」
真美「だって、真美と兄ちゃんは……これまでずーっと、いっしょだったもんね!」
P「……! あ、ああ、そうだな……!」
真美「それに……これからだって、そうっしょ?」
P「ああ、もちろんだ……」
P「ん?」
真美「……これ、夢なんだよね」
P「……ああ」
真美「それじゃあ、もうすぐ覚めちゃう?」
P「うん……そうだな。シンデレラはベッドで寝る時間だ」
真美「じゃあさ、じゃあさ……最後に、真美のお願い、聞いてくれる?」
P「お願い? ああ、いいぞ」
真美「んっふっふ~! それじゃあ……ちょっと、顔、こっちに近づけて?」
P「え? こう、か――」
真美「……おやすみ、兄ちゃん」
P「……あ、ああ」
真美「また、ね……」
P「……おやすみ、真美」
P「さて、と……これからどうするかな」
P「まず、亜美に帰ることを伝えて……それから一旦、事務所に寄っ……て……」
亜美「……」
P「おやおや、亜美ちゃんじゃないか」
亜美「そういう君は、兄ちゃんくんではないか」
P「ははっ! いつからそこにいたんだい?」
亜美「んっとね、兄ちゃんがおでこに手を載せたあたりからかな~」
P「そっか……そっかそっか」
亜美「え、えへへ……」
P「くぃどぅるるるるる」
亜美「に、兄ちゃん! お、落ち着いて~!」
亜美「……んっふっふ~。真美ったら、オトナの階段のぼっちゃいましたなぁ~……」
P「……見た?」
亜美「ばっちし!」
P「……」
亜美「真美と兄ちゃん……ちゅーして――」
P「ちょ、ちょっと、捕まっちゃうから、大声で言わないでくれ!」
亜美「うあうあ~!」
P「まったく……それで、体調はどうなんだ?」
亜美「うんっ! もうばっちりっぽいよ! 車で起きたときには、ホントはもう元気いっぱいだったもん」
P「そうか……ということは、嘘ついておんぶさせたんだな?」
亜美「あ……えへへ」
P「……まぁ、いいけど」
亜美「ねぇねぇ、それより兄ちゃん。明日、どうすんの?」
P「明日って……あ」
亜美「あー、やっぱりデートのこと、忘れてたっぽいね~」
P「すっかり……あはは」
亜美「んっふっふー! そんだけ、真美のことが心配だったのかな?」
P「……」
亜美「結婚してくれ。生涯養うから……」
P「やめてくれ……恥ずかしくて死んじゃう」
亜美「そっか~……」
P「今日のことは、律子にも報告しとく。真美と入れ替わってレッスンサボったってな!」
亜美「うあうあ~! 兄ちゃん、それはズルっしょ~!」
P「はっはは! それが嫌だったら、さっきのアレは黙っておくんだな」
亜美「ぐぬぬ……ちぇっ、しょうがないなぁ~」
…
亜美「そんじゃーね! ばいばい、兄ちゃん」
P「ああ。亜美も、油断せずにちゃんとあったかくして寝ろよ?」
P「明日、体調が少しでも悪いなと感じたら、すぐ俺か律子に連絡するんだ」
亜美「うん! でもだいじょぶだよ~、きっと。ちゃーんと、コンサートできるもんね!」
P「期待しておくよ。それじゃあ……」
亜美「ばいばーい!」ブンブン
トテトテ
ガチャリ
亜美「まーみー」
真美「……」モゾモゾ
亜美「んっふっふ~。亜美だよ→☆」
ユサユサ
真美「…………風邪、うつっちゃうっぽいから、部屋に入っちゃダメっしょ」
亜美「えー? でも、もう治ってるっしょ?」
真美「そ、そんなことないもん!」
亜美「……」
亜美「にいちゃんがいるから、もう元気だよ~……えへへ」
真美「うあうあ~!!!!」
真美「な、なんのこと?」
亜美「んっふっふー! 言ってもい・い・の?」
真美「うぅ……」
亜美「おじゃましまーっす」
モゾモゾ
真美「うぇ!? あ、亜美~!」
亜美「……」
ぎゅぅぅ
真美「あ、亜美……?」
亜美「……ほんとに……」
亜美「よかったね、真美……!」
ぎゅぅぅ
亜美「わぷ」
真美「だいすきだよ……」
亜美「……うん。亜美もだよ~」
真美「えへへ……最近はあんまり、こういうこと言わないから、ちょっと恥ずかちいね」
亜美「次は、ちゃんと兄ちゃんにも言うの?」
真美「……わかんない」
亜美「そっか~……」
真美「夢の中のことにされちったかんね……」
亜美「でも、もう答えもわかってんじゃん」
真美「……でも、中学生に手を出したら、犯罪なんだよ~?」
真美「え? な、なに?」
亜美「……昔、えらい人がこう言いました」
『スリルのない愛なんて 興味あるわけないじゃない。わかんないかな』
『タブーを冒せる奴は 危険な香りまとうのよ。覚えておけば?』
真美「……!」
亜美「ね!」
真美「お、オトナっぽい……!」
亜美「んっふっふ~!」
真美「そっか~……時代はスリル……タブーを冒せない兄ちゃんなんて、ダメダメっぽいね!」
亜美「そうだよ~!」
P「……」
P(本当は、真美の体調を考えて、中止にしようかと思ったけど……)
P(真美から、絶対行くから、と連絡がきてしまった)
P(それで、中止なんかになったら、兄ちゃんのこと嫌いになると……)
P「そう言われたら、しかたないよな……」ソワソワ
真美「に~いちゃん♪」ヒョコ
P「! お、おお、おはよう、真美!」
P(今日もかわいい! 私服がまぶしいよ、真美!)
ジロシロ
スンスン
真美「え? な、なになに?」
P「……うん、お前は間違いなく真美だな」
真美「そうだけどー、なんで? 一目見たらわかるっしょ?」
P「う……すみません」
真美「なんで謝んの~!?」
P「あ、いや……ほら、そろそろ開園だし、行こうか」
真美「うあうあー! 待ってよ兄ちゃーん!」
ぎゅっ
P「……!?」
真美「……えへへ」
P「ま、真美……その、手」
真美「つないでちゃ、ダメ?」
P「い、いや……そんなことはないけど」
真美「だよねっ! さー行くよ、兄ちゃん!」
P(嬉しい、嬉しいけど……)
P(本当に……タイホされないだろうな……俺……)
P(ぷにぷにしたくなるな……)
真美「兄ちゃん?」
P「は、はいっ!?」
真美「なんかちょっと……、そんなにプニプニしてたら、くすぐったいっしょ?」
P「あ、ああ、ごめん」
真美「……」
P「……えーっと……」
真美「ねぇ、兄ちゃん。昨日はお仕事サボって、ごめんね」
P「あ、いや、大丈夫だよ……亜美から、ちゃんと連絡きてたし」
P(という設定にしておいてある。真美は昨日、俺が自宅にいったこと、知らないはずだからな)
真美「……兄ちゃんは、優しいね」
P「そりゃそうだ。俺はお前のプロデューサーだぞ」
真美「そっか~……」
P「なんで風邪なんて引いちゃったんだろうな。前日はあれだけ元気だったのに」
真美「うむ、それにはピヨちゃんの小皺よりも深く、あずさお姉さんのムネムネくらい高い理由があるんだよ~」
P「そうすか……あとで音無さんに謝っておけよ」
真美「んっふっふ~!」
テクテク
真美「……ねぇ、兄ちゃん。聞いてくれる?」
P「うん、どうした?」
真美「……真美ね、昨日、夢を見たんだ」
真美「うん! すーっごい、ちょー素敵な夢だった!」
P「……そっか」
真美「夢の中ではね、兄ちゃんも出てきたんだよ」
P「ははは……こりゃ、出演料をいただかないとな」
真美「……真美がオトナになったら、払ったげる」
P「オトナ?」
真美「うん。……16歳になったら、ね!」
P「……っ」
真美「ほらほら、兄ちゃん兄ちゃん! もうすぐ、亜美達のステージ、始まるっぽいよ!」
P「あ、ああ……」
P(今の、真美の顔は……)
P(俺が今まで、見たこともないほど……大人っぽくて、美しい顔だった)
P(……ずっと子どもだと思っていたけど……知らないうちに、真美は一歩一歩、成長しているんだな……)
ざわざわ……
真美「兄ちゃん」
P「ん?」
真美「えへへ……一回しか言わないから、よく聞いてね」
P「なんだなんだ、誰かのモノマネか?」
真美「うあうあー! そんなんじゃないって~!」
ざわ、ざわ……
『みーんなー! 今日は、この伊織ちゃんのために集まってくれて、ありがと~!』
『うあうあー! いおりんのためだけじゃないっしょ~!』
『あら、そうかしら? でも亜美目的の人が仮にいたとしても、そんなの、ほんのちょびーっとだけじゃない?』
『まぁ、ふふっ……伊織ちゃんったら、そんな風に言っちゃダメよ~?』
『にひひっ♪ ジョーダンよ、ジョーダン!』
P「……」
『ま、そんなお決まりのやりとりもこのへんにして……それじゃあ、さっそく行くわよっ!』
『うん! そだね! せっかくみんな来てくれたのに、つまんないって言って帰っちゃうかもだしね!』
真美「……これからも、ずっと、ずーっと、一緒にいてね!」
P「……ああ、もちろんだ!」
真美「えへへ……兄ちゃん兄ちゃん!」
P「ん、今度はなんだ?」
『それでは皆さん、聴いてくださいね~! 私達、竜宮小町の新曲……』
真美「……だーいすきっ!!」
『ハニカミ! ファーストバイト!』
――…… 今日は初めてのウェディング バージンロードにご入場 ……――
――…… わたしもパパと できるかな? ……――
――…… ハニー ハニー ハニーなdish シュガーシュガーシュガーなkiss……――
――…… めくるめくの 愛の味 ……――
―――
――
―
――
―
小鳥「……以上、あの伝説の竜宮小町による、今日だけの復活ライブでした!」
パチパチパチ……
小鳥「いいですよね、『ハニカミ! ファ-ストバイト』……」
小鳥「……ふふっ、私もいつかはこんな風に……って、違う違う」
小鳥「おっほん! えー、それでは続きまして、新郎新婦のご友人代表として……高木順二郎から、ご挨拶を……」
P「ははは……相変わらずだな、音無さんは」
真美「えへへ……そうだね、兄ちゃん」
真美「んー?」
P「……夢、叶っちゃったな」
真美「……そだね」
P「どうだ、気分は」
真美「……夢みたい」
P「俺もだよ……」
真美「でも……」
P「ああ」
P・真美「夢じゃない!」
P「どうした?」
真美「今度は、ホントのホントに、言うかんね。あのときみたいに、聞こえないフリしちゃ、やだよ?」
P「……あ、あはは……うん」
真美「……兄ちゃん」
真美「……だーいすきっ!!」
終わり
乙
真美ぺろぺろ
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雪歩「黄金の月」
雪歩「黄金の月」
―――車内―――
雪歩「……プロデューサー」
P「ん? どうした?」
雪歩「ちょっとだけ、いいですか? このあたりで少し、外の空気に当たりたくって」
P「具合でも悪いのか?」
雪歩「いえ、特に具合悪くはないんですが……」
P「………」
P「なぁ、雪歩。撮影の調子はどうだ?」
雪歩「えっと…上手く行ってますよ。」
P「そうか、ならよかった。」
P(出会った頃は、俳優との撮影はずっと戸惑っていたけど、今はそういうこともなさそうだ)
P(ここ最近は、雪歩もドラマに起用されることが多くなった)
P(アイドルというよりもむしろ、中途半端な仕事をしない、女優としてしっかりとした地位を築き始めている)
P(時々ぼんやりと、昔の雪歩と重ねてしまう……本当の意味で大人びた彼女と。)
雪歩「はい?」
P「あ、ああ、いやこっちの話だ」
雪歩「あ、お茶、なくなっちゃいましたね。また淹れてきます」
P「ああ、ありがとう」
―――
P「お帰り、美希」
小鳥雪歩あずさ「おかえりなさい、美希ちゃん」
P「そっちも撮影だったな。どうだった?」
美希「ばっちりなの! プロデューサーも、今日はあと終わり?」ニコッ
P「あー、書類だけ整理したら終わりかな。でもそんなにはかからないさ」
美希「それならよかったの! 最近、ちょっと疲れた顔してたから、早く帰って休むの!」
P「ありがとう、美希」
P(俺の事も、ハニーとは呼ばなくなってから、二年近く経っている)
P(丁度そのころから、アイドルとしての仕事よりも、女優としての活動が中心になっていた)
P(最初の頃はさみしかったにせよ、彼女が『芸能人』である意識を持ち始めたからだと、すんなり受け入れた)
P「……皆それぞれが、大人になっていくんだなぁ」ボソッ
小鳥あずさ「 」ビクッ
P「?」
あずさ「ねぇ、美希ちゃん?」
美希「なぁに?」
あずさ「……最近、プロデューサーさんのこと、……その。。」
美希「?」
あずさ「呼び方、変わっちゃったのは、どうしてかなぁって思って……」
美希「ハニーって呼ばなくなった理由?」
あずさ「え、ええ。ちょっと気になって……」
美希「うーん、それはきっと……あずさもとっくにわかってる気がするの!」
あずさ「!」
あずさ「……」
美希「ミキは……ハニーの事大好きだけど、、、なんだろう、お父さんとお母さんをみてる感じ?」
美希「ミキには、ハニーの事を全部わかってあげることはできないし、もちろんそれは雪歩も同じだけど……」
美希「きっと、雪歩の方が上手に…プロデューサーのことを大事にしてあげられる気がするの!」
あずさ「……そう」
美希「でもね、あきらめたつもりはないんだよ? 大好き!っていうのを今は言わないでいて、いつかは……」
美希「いつかは、必ずまたハニーを振り向かせてやるの!」
あずさ「……ふふっ。。ありがとう、私も元気がでたようなきがするわ」
美希「えへへ! どういたしましてなのー!」
…………
雪歩「……6月にしては、すこし、涼しいですね」
P「……ああ、そうだな」
雪歩「雨が降らなくって、よかったですね」
P「………そうだな、最後に、いい気持ちで終われたな」
雪歩「ふふっ」
P(そう軽く笑ったきり、雪歩はぼんやりとしている。)
P(徐々に女優の仕事が膨大になっており、アイドルとして活動することが負担になっていた)
P(来年以降の予定もドラマや映画の撮影で追われることを見越して、地方ではあったが、ホールでソロライブを企画した)
P(表向きにはしていないにせよ、『アイドルの雪歩』はこれを最後に、休止することを、決意していた)
P(おそらくそれを察していたからこそ、遠路からもたくさんのファンが訪れてくれた)
P「そうかな。あれこれ、道のりは長かった気はするけど」
P(思い出したように、俺の問いかけに答えた)
春香「プロデューサーさん!」
P「どうした、春香?」
春香「……雪歩と、上手く行ってますか?」
P「? ああ、順調だよ。」
春香「……2人の仲が、ですよ」
P「…いや、いつも通りだが……」
春香「そろそろ、気づいてはいるんでしょう?」
P「……!」
P「……そうか。。ちゃんと、考えるよ」
春香「ならよろしい」ニッコ
P「こいつめ」コツン
春香「あいた」
P「じゃあな、またあとで」
春香「はい!」
春香「……プロデューサーさんの、ばーか」ボソッ
P(気づいてはいる)
P(雪歩が俺に、特別な感情を抱いていることは)
P(そして少なくとも、俺も雪歩といることに、落ち着きを覚えている。)
P(でもそれは、お互いに深く踏み込むこともなく、干渉しすぎるでもなく、2人でいつも事務所で過ごしていることが当たり前になってしまったからだ)
P(どこかのタイミングで、どちらかが好意を言葉にしてしまえば、上手く実を結んだだろう)
P(………でも今更、どんな言葉で、伝えればいいんだろう)
―――――――
P「ええ」
P「俺の実力に、限界を感じてはいるのです。というかむしろ――」
社長「彼女らの、新しい分野を上手く切り開ける自信がない、のかな」
P「…! ――はい」
P「女優業に関しては、俺よりも律子の方がずっと専門的です。実際、あずささんを成功させたのも彼女です」
P「雪歩や美希は、もうそろそろ律子にバトンタッチしてもいい頃合いかと」
社長「……しかし、雪歩くんは……、受け入れると思うかね?」
P「……」
社長「なぁ、Pくん。私にも、あるアイドルがどんな気持ちで君をみているのか、ある程度は予想がつくんだよ」
社長「それd
P「それでも」
P「雪歩を成功させることは、俺ではもう難しいと思うのです」
――――――
P(………)
P「! なんだ、雪歩?」
雪歩「ここの道、私今でも覚えてるんです」
雪歩「ビルもなくって、車通りも少なくって。人も時々しか見当たらない、この道路」
P「前にも、ライブで来たっけ、な」
雪歩「ええ」
雪歩「でも、たぶんここぐらいなんですよ。地方で覚えてるところ」
雪歩「やっとソロライブができるようになった頃、ツアーで回って……」
雪歩「この道路辺りを走ってる時に、プロデューサーが、物凄くほめてくれたの、覚えてるんです」
雪歩「何をどう誉められたのかは、記憶が薄いんですけど、その時の風景が、写真みたいに焼付いてる……」
雪歩「こんなことって、あるんですね」ニコッ
P「焼き付けるにしては、少し殺風景すぎるかもしれないけど、な」ニコ
雪歩「もう……でも、今夜はあの時とは違いますね。だって、すごく綺麗な月……」
P「本当だ……」
P「…?」
雪歩「プロデューサーが、私の担当をはずれちゃうってこと」
P「…! ……誰から、聞いたんだ」
雪歩「誰でもないですよ。私…なんとなく感じ取っちゃったんです。」
雪歩「少しずつ、距離感みたいな、すごく微かだけど、遠くなってるようなきがして」
P「そんなつもりはなかったんだが、な」
雪歩「ふふ、女の勘はよくあたるんですよ」
雪歩「本当は、最後のライブをしたいって言ったのも、きっとこのままいたら、プロデューサーが困っちゃうだろうなって思ったからなんですよ」
雪歩「女優業の方だけになれば、きっとプロデューサーさんも……」
雪歩「安心して、他のコの面倒を見れる、かなっ…て」クルッ
P(ああ、これはなんだか知っている感覚だ。なんだろう)
P(そうだ。。かつての恋人と、最後の電話をしたときに、似てる)
P(彼女の方が、どんどん大人になっていったような気がして、止められないまま……)
P(ちがう、違うんだ。本当はもっと伝えたいことがあるんだ。でもそれを…)
P(それを言葉にしてしまっても……)
P(雪歩の未来に、何もできやしない)
P「あ、いや、その……」
雪歩「違うんです」
雪歩「私、どうしてもプロデューサーに、本当に二人っきりになれる時に、言いたかったことがあって…」
雪歩「私……」
P(……違う。今それを、君は言ってはいけない。それを言われたら、俺は君の未来を守れない……)
P「雪h
雪歩「私!!」
P「!」
雪歩「……私。。」ギュッ
P「………」
雪歩「男の人も……誰でも大丈夫、とは、言い切れないですが……平気になれました」
雪歩「前みたいに、穴掘って埋まることも無くなりましたし………」
雪歩「ずっとずっと、自分に自信が持てるようになり、まし、た……」ポロッ
雪歩「それ、もっ…プロデューサーのおかげ、で・・・・」ボロボロ
雪歩「えへへ、ダメですね。強くなったって言ってるそばから・・・」グスッ
雪歩「で、でもっ、もう私、ちゃんと一人でもお仕事できます!」
雪歩「だから、プロ、デューサー、は……私みたいに、埋もれてたコを、助けてあげて、くだざい!」グスッ
P「……違う」
雪歩「! え、な、なんです、…か?」
P「違う、と思うんだ。雪歩が、本当に言いたかったこと」
雪歩「……」グス
P「なぁ。ずっと待たせてしまったな。でも、今度は俺が言う番だ」
P「……」ギュウ
雪歩「えっ…あっ…///」
P「……雪歩、一緒にいてくれ」
雪歩「ぷ、ぷろ……」
P「……ずっと、知らないふりをして、2人で、やり過ごしてしまったな」
P「でも、こういうのは、俺の方から言うべきだと、やっと気づいたよ」
P「……俺はお前のプロデューサーだ。トップアイドルの座を手に入れたなら、今度はもっと上を目指そう」
雪歩「…!」ポロ
P(俺はずっと恐れてたんだ。雪歩の手が、いつか離れてしまうのを。だから、ずっとどっちつかずの関係を守ってきたんだ)
P「お前と、一緒にいたい。…これが、どういう意味か、分かる、な?」
雪歩「……う、あぁ、…は、はいぃ……」グスッ
雪歩「プ、プロデューサぁ……」ボロ
雪歩「ずっと、…ずっと待ってたんですよ……」ボロボロ
雪歩「こわくって、こわくって………」ボロボロ
P「……つよく、なったんだろ?」
雪歩「…そんな、こと、いっても……いっても……」
雪歩「プロデューサーだって、泣いてるじゃないですかぁ……」
P「ああ……」ポロ
P「雪歩、目を閉じて」
雪歩「……はい」
P 雪歩「………………」
――――――
P「夜空に光る 黄金の月などなくても」
―終―
お気づきの方もいる通り、スガシカオの「黄金の月」という、素晴らしい名曲を下地にしてコソコソ書いてみました。
http://www.youtube.com/watch?v=aQBG8e-DYFo
コノユビトマレとかでもアイマスSS書けそうだよね
>>50
コノユビトマレ、千早で書いてみたいな。あとは、スガシカオならば七月七日を貴音で……とか、
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淡「中間試験?」
淡「中間試験?」
菫「そうだ。一週間後だから明日から部活は休みだ。休みの間しっかり勉強しろよ?」
淡「嫌ですよ。淡には麻雀があるから勉強なんかしなくても推薦で大学行けますし」
菫「あのなぁ大星…」
淡「だいたい虎姫のみんなだって推薦で大学行けるんですから勉強なんてしないでその分麻雀の練習しましょうよー。淡勉強なんて嫌ですー。照も何か言ってよー」
照「私に振られても困る」ペラッ
淡「照は部活休みになってもずっと家で本読んでそう」ボソッ
照「私だって試験前くらいは勉強する」ペラッ
菫「照だってこう言ってるんだからお前も勉強しろいいな?いくら麻雀で大学に行けるからといって、高校生の本分は学業だ。最低限の教養くらいは身に着けておかないと大学に行って恥を晒すぞ。だいたい私たちはチーム虎姫として全国的な注目集めているんだ・・・」ウンタラカンタラ
淡…(大体なんで私だけ…)
尭深「・・・・」ズズー
誠子「腕立て腕立て蛙跳びっと」ハァハァ
菫「おい大星聞いてるのか?おい?」
淡「あー、ほんと菫の話は毎回長いなー。早く終わらないかなー」
淡…(嫌だなー。聞いてるに決まってるじゃないですかー)
尭深「淡ちゃん逆」ズズー
菫「いいな、明日からちゃんと勉強するんだぞ。もし追試なんかに引っかかったら分かってるよな?」ゴッ
淡「ひぃー。分かりました。ちゃんと勉強しますよー。」
照「sinがsakiに見えてきた」
照「sinθを求めよ?」
照「咲ーお姉ちゃんだよー。咲ー」ハッ
照「だめだ数学はやめよう。咲の事を考えてしまって集中できない…」
尭深自室
尭深「今日届いた茶葉をさっそく飲み比べてブログ更新しないと」ズズー
尭深「明日からは部活休みだし。新しいお茶を飲むのが捗りそう」ズズー
尭深「あーこのお茶美味しい」ズズー
誠子「はぁはぁ…995 996 997 998 999 1000 ふぅ」
誠子「腕立て1000回終わり。あと2セットやって次は腹筋だ」
誠子「明日から部活休みだし。釣りにも行きたいなぁ」
淡自室
淡「菫はあんな事言ってたけどやっぱ勉強したくないよー」ゴロゴロ
淡「あと30分テレビ見たら勉強しよ」ゴロゴロパクパク
30分後
淡「あと30分だけ。うん後30分だけなら」
3時間後
淡「結局勉強できなかった…。まあ明日からやればいいよね」
淡「やっと試験終わったよもー。あー疲れたー。これでも後半はちゃんと勉強したんだよもー」
淡「慣れない事をしたせいで変な口癖がついちゃったよもー」
淡「さあ部室行って久しぶりにみんなと会おう」
ガチャッ
淡「おつかれー」
淡「みんな試験どうだったー?」
照「咲のおかげで完璧」(震え声)
菫「ばっちりだ。私は前から計画的に勉強してたしな。だいたいお前らは直前から勉強しようとするから・・・・」クドクド
尭深「しっかり点数を収穫できた」ズズー
誠子「よし次は背筋だ」ハッハッ
淡「あ、淡もちゃんと勉強しましたし余裕でしたよ」
菫「では今日の部活を始めるか」
担任「先日の中間試験の結果が出たから返すぞー。追試の者は一週間後に行うからしっかり勉強して臨むように」
部室前
照尭誠淡「・・・・・・まさか追試に引っかかるなんて・・・・・・」ズーン
淡「ど、どうしよう菫にバレたら。菫にバレるのだけは避けないと」
照「部室で試験の話しは今後一切禁止いい?」
淡堯誠「了解」
菫「おい、お前らなんで部室に入らないんだ?」
照尭誠淡「ビクッ」
淡「いやー。部室前でたまたまばったり遭遇ってやつー?あはは、さあ部活部活ー♪」
菫「まあいいか早く部活始めるぞ」
淡「照~」ダキッ
照「おい淡そんなにくっつくな」ペラッ
淡「いいじゃないですかー」キャッキャ
菫「お前たちいい加減にし」コンコン
菫「誰だろう。入っていいぞ」
モブ「私生徒会のモブと言います。先日の中間試験の追試の日程が変更になったのでお知らせに来ました。えっと対象者は宮永照さん、渋谷尭深さん、亦野誠子さん、大星淡さんですね。こちらのプリントをどうぞ。では失礼します」
照尭誠淡「」カタカタカタカタ
照「実は今日通院の日だったのを思い出してな。診察の予約に遅れると私の先生えらい怒るからなぁ」
淡「はい、その病弱アピール辞め!」
堯深「・・・・・」ズズー
誠子「腹筋腹筋」ハッハッ
菫「・・・・・・」プルプル
照「まあ菫これでも食べて」
菫「これは黒糖?食べやすいのに風味があって美味しいな」ポリポリ
照「それが自慢」ニコッ
菫「ニコッじゃなくて、お前ら全員ここに正座!」
菫「はぁ。あれだけ一週間前に勉強しろって言っておいたのに。やっぱり今回も追試か…」
淡「えっ?今回もって事は?」
菫「大星は今回が初めての試験だけどそれ以外は一年の頃から毎回追試の常連だよ。ほんとなんでこいつらは学ばないかねぇ、はぁ」タメイキ
照「ごめん菫、今回は、その咲の事考えてて」
菫「それは毎回じゃないか。まあいい。他の奴らが何してたのかもだいたい想像がつく」
菫「説教するこっちもこう毎回だと疲れるしな。今回は何の科目が追試で何が原因だったのかをはっきりさせよう。そうすれば追試に向けての勉強もしやすくなるだろう?」
照「なるほどなるほどー」
照「ええと科目は現国なんだが、科目は関係ないんだ。問題は私の能力と関係している」
菫「と言うと?」
照「私は能力の影響で、試験を受けると前回の科目よりも点数を上げていかないといけないんだ。だから最初に受ける科目の得点を低めにしておかないと最終科目まで保たなくなる。今回の一科目目は現国だったからたまたま現国が赤点になってしまった。それだけ」
菫「お前の能力は試験でも影響があったのか。そんなの初めて聞いたぞ」
照「今まで黙ってきたから…。菫分かる?最終科目を受けてる時の私の気持ちが!右腕の風で問題用紙が吹き飛んでいきそうになるのを必死に抑えながら問題を解いてる私の気持ちが!」
菫「なんかすまなかったな、素直に同情するよ」
照「分かってくれればいい」グスン
誠子「私は保健体育の試験なんです。得意科目なんですがちょっと試験中に問題がありまして」
菫「ほう、何があったんだ?」
誠子「試験を受けてる時に、その、いきなり、したくなってきて、保健室に行こうと思ったんですが我慢できず教室で////」
尭深「///////」ズズー
誠子「筋トレを始めてしまいました/////」
誠子「だって保険体育の試験が悪いんですよ。問題用紙に筋肉なんて書いてあったら嫌でも意識しちゃいますよね?私達そういう年頃じゃないですか?」
菫「何がそういう年頃だ!お前にはほんとに呆れたよ。いいか、追試で筋トレは禁止だからな」
誠子「はい気をつけます」フッキンフッキン
尭深「はい。私は日本史の試験です。私も得意科目なんですが試験中にちょっと問題が」
菫「渋谷は何があったんだ?」
尭深「実は30分前に問題を解き終わり暇だった私はお茶を飲み始めたんです。そしたらそのお茶をマークシートに零してしまって、そのまま失格になってしまいました…」
菫「渋谷は試験中にお茶禁止な。まあ得意科目なら追試は心配ないだろう」
尭深「はい。追試では気をつけます」ズズー
淡「淡は数学です。数学だけはどうしても苦手でその赤点を取ってしまいました…」
淡「サインコサインタンヤオってなんなんですか?私サインもコサインも知りませんよ。だからローカル役は混ぜるなって言ってるんです。だいたい三辺の長さに1、9があったらタンヤオは求められないじゃないですかー。うがーーー!!」
菫「大星。数学は麻雀じゃないぞ…。他の三人とは違ったベクトルでお前も残念だよ。いいか追試までにしっかり勉強しろよ?きっと何とかなると信じてるからな」
淡「うぅ…。頑張ります…」
菫「わ、私は別に大した事ないぞ。もちろん追試じゃないがな」
淡「えー気になるじゃないですかー」
照「誠子」
誠子「ラジャッ」ヒュッ
誠子「菫先輩の試験結果を鞄から取って来ました」↑↓この間約1秒
照「ご苦労」
菫「おい亦野、部室で瞬間移動するの禁止」
誠子「すみません、でも宮永先輩の命令なんで…」
淡「菫すごすぎぃ、まさかここまでのレベルだったなんて」
照「せやろー、すごいやろー?」ドヤァ
菫「照お前は黙れ」
淡「ねー菫ー。私に勉強教えてよー。菫の協力があれば絶対追試で合格できるって」
淡「お願い!菫の力が必要なの!」
菫「大星。勉強は積み重ねが大事なんだよ。日頃からさぼってきて試験前だけ勉強して得点が取れる訳ないだろ?まあ私も鬼じゃないから今回だけは助けてやる。問題用紙を見せてくれ」
淡「さすが菫だね。はいこれ問題用紙。間違えたのこれとこれと・・・・・・・・ほとんど全部。4択だから適当に選べば当たるって思ったけどだめだったみたい…」
菫「問1はこれ、問2はこっち、問4は・・・・」
菫「ふぅ、だいたいこんな感じか」
淡「嘘、もう解き終わったの!?」
照「いくら一年の範囲とはいえこれは速すぎる」
尭深「まるで弓が標的を射抜くよう…」ボソッ
照誠淡…(弓?・・・・・・・・・・!!)ハッ
淡「何でそんなに慌ててるのかな菫。いや『シャープシューター菫』さん」ゴッ
菫「な、何のことだ。私はこれからプリキュアの再放送があるから帰らないといけないんだよ」アセアセ
照尭誠「・・・・・・・」ゴゴゴゴゴ
淡「これからゆっくりお話しようか」ニッコリ
菫「おいやめろ離せ。私はこれからプリキュアを見るんだ、うわあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ」
【カン】
淡って一人称かわいかった
乙
その通りです。菫さんは能力で全部の問題を解いてました
マークシートじゃなかったら詰みなのか?
それは菫さんの名誉ために答えないでおきます(震え声)
Entry ⇒ 2012.11.14 | Category ⇒ 咲-Saki-SS | Comments (0) | Trackbacks (0)
P「カップラーメン美味いな」 貴音「ええ、真に」
P「これはハマる」モグモグ
貴音「あなた様にこの幸せを理解していただける日が来ようとは」チュルチュル
貴音「嬉しい限りです」モグモグ
亜美「またカップラーメン食べてるよ」
真美「最近いつも食べてるね」
貴音「ほぉむらん軒の醤油味でございます」
P「明日はホームランだー!ってか?」
貴音「? あなた様、明日は野球をなさるのですか?」
P「いや、伝わらないなら良いんだ」
P「うん、シーフード美味いよシーフード」モグモグ
貴音「最近ぶいやべぇす風の物も出たと聞きますが」
P「あー、あれな、あんまり好みじゃなかったかなー、不味くは無いけど」
貴音「!」
P「うわっ、なんだよいきなり」
貴音「……っくは」
P「?」
貴音「新作のちぇっくは2人ですると決めていたではありませんか!」
貴音「……」ツーン
貴音「まずは食べるのをやめてくださいまし」
P「だって伸びちゃうし」
貴音「…それもそうでございますね」チュルチュル
貴音「さて、あなた様…」
P「はい……」
貴音「お説教の時間でございます」ゴゴゴゴ
P(背景が歪んで見える…そんなに食べたかったのか、ブイヤベース風シーフード)
貴音(せっかくあなた様と2人で過ごせるはずの時間を……)
響「あれ絶対何か食い違ってるぞ」
小鳥「食べ物の話題だけに?」
響「……」
小鳥「ごめんなさいピヨ」
貴音「~♪」
P(直ったというよりむしろ機嫌が良くなったような気もする)
P(女心は複雑である)
貴音(でぇと、これはでぇとの約束にございますね、あなた様♪)
響「やっぱり食い違ってる」
小鳥「まぁこれはこれで」
P「そうだな、仕事も終わったし」
P「貴音ってさ」
貴音「はい」
P「怪人で例えるとメダリオだよね」
貴音「褒め言葉として受け取っておきましょう」
貴音「それでは、社長は…?」
P「キングフロシャイム」
貴音「ああ…」
P「…カップラーメンでも食べるか」
貴音「そうでございますね」
小鳥「やだ、マニアック」
律子「きんぐふろしゃいむ…?」
千早「プロデューサー、そこは俺はカーメンマンって言わないと」
P「うむ、今日は醤油だな」
貴音「珍しいですね、いつもはかれぇかしぃふうどのどちらかでございますのに」
P「やはりラーメンの基本は醤油だからな、うん、スープが美味い」
貴音「醤油が基本…真、そのように思います」チラチラ
P「一口食べるか?」
P「ふぅふぅ、ほら、口あけて」
貴音「あ、あなた様///」クラッ
P「大丈夫か」
貴音「はっ!だ、大丈夫でございます、それでは」パクッ
貴音(緊張で味など分かろうはずもありません、ですが)ドキドキ
貴音「私は今、無上の喜びを感じております」
P「はっはっはっ、貴音はおおげさだなぁ!」
小鳥「あーあ、爆発しないかなぁ」
春香「右に同じです」
貴音「はい」
P「俺、お茶漬け良く食べるんだよ、永谷園の」
貴音「私もよく食べます、鮭茶漬けもまた美味でございますね」
P「それで、そのお茶漬け食べるときにだな」
貴音「はい」
P「一緒に牛乳を飲むんだ」
貴音「なんと」
P「こう、しっかりとお茶漬けを飲み込んだ後にだな、牛乳を飲む事によって甘みが引き出されて実に美味い」
貴音「面妖な……」
P「でも誰も理解してくれない…どちくしょう」
貴音「確かに、常識に囚われるあまり世界が狭まるという事もあるのやも知れませんね」
P「奥深いな」
やよい「うっうー!いい事を聞きましたー!」ピョンピョン
伊織「うーん、お茶に牛乳?」
貴音「はい、ございますね」
P「食った事はないんだけどさ、あれって最初から残りのスープにご飯突っ込んだんじゃダメなのかな」
貴音「量の問題もあるのでしょうが、やはり体面を気にしてのことではないでしょうか」
P「?」
貴音「残りのすぅぷにご飯を入れて食べるのははしたないと思う人も居るでしょう」
P「ふむ」
貴音「最初からそのような商品であればそのような心配をする必要もないのでは?」
P「なるほど」
貴音「ふふ、そうでございましょう?」
P「しかしこの時分だといささか寒い」
貴音「あなた様、こうして寄り添えば少しは寒さも和らぐかと」
P「……綺麗だな」
貴音「月が、でございますか?」
P「さぁ、どうだろうな」
P「ああ、お疲れ様」
貴音「して、今日はどのようなかっぷらぁめんに致しましょうか?」
P「今日はカップラーメンは止めよう」
貴音「? 何か予定がおありでしょうか?」
P「いや、連れて行くって言ったじゃん、ラーメンデート」
貴音「!」パァァ
P「とびっきり美味しいところ見つけたからさ、行こうぜ」
貴音「はい、喜んで♪」
おしまい
お姫ちんかわいいよ
Entry ⇒ 2012.11.14 | Category ⇒ アイマスSS | Comments (4) | Trackbacks (0)
えり「今度結婚することになりました」咏「えっ」 side-B
えり「小鍛治プロです」
咏「」
ここから咏ちゃんとこーこちゃんが手を組んで互いの想い人を奪還する感じてよろしく
えり「それは、その……」
えり「……………」
えり「こ、心の準備がありまして、と言うか……」
えり「…………な、なんだか、気恥ずかしくて……」カァァ
咏「」
咏(やべぇ、この反応はマジだ……)
えり「…………」コクリ
咏「えっ……ええええええ!?」
えり「実は、数ヶ月前に小鍛治プロに……こ、告白……され、まして…」モジモジ
咏「…お、オッケーしたんだ……?」
えり「は、はい………///」
咏(すこやん……そうだったん……?)
えり「最初は、私なんかが小鍛治プロとなんて、と思っていたんですが……」
えり「その……なんというか……」
えり「一緒にいると、お互い自然体でいられるというか……」
えり「……ああ、もう。何言ってるんだろう、私……」カァァ
咏(………かわいい………///)
えり「………うぅぅ………///」
咏(この表情は……すこやんがさせてて……すこやんが、えりちゃんをこんなに可愛くしてて……)
咏(っつーことは…私では、ないわけで……)ズキッ
咏(………出遅れちまったか………)ズキズキ
えり「三尋木プロ……?」
咏「…………ん?」
えり「どうなさったんですか?顔色が優れないようで…」
咏「な、なんでもないよ」
えり「しかし、」
咏「なんでもねーっつーの!」
えり「っ!」ビクッ
えり「い、いえ……」
咏「き、急な話で、こっちもビビっててさ。つい…」
えり「私も、言うのが遅くなってしまって……すみません」ペコリ
咏「い、いいんだよ。心の準備ってやつがあったんでしょ?」
えり「………………」
咏「そ、それにしてもすこやんか~真面目そうなのがくっついたねぃ~」
咏「二人の子どもは、きっとめちゃくちゃ真面目なのができるんだろーなぁ~」
えり「こ、子どもなんて、そんな……まだ婚約したばかりで……///」
えり「先週、す……こ、小鍛治プロに…ゆ、指輪…を……」
えり「……~~~っ///」
えり「そんな根掘り葉掘り聞かないでください。さっきも言いましたが、…恥ずかしいんですよ……?」カァァ
咏「………………」ムカッ
咏(………あーあ、もう。……祝うしか、ないのかねぃ……)
えり「…でも、良かった。ちゃんと話せて」
咏「え?」
咏「………」
えり「今までずっと、仕事のパートナーとしてお世話になりましたから」
咏(…仕事の、ねぇ…)
えり「これから……小鍛治えりとして、お仕事は続けていきます」
えり「これからもご迷惑かけることが多々あるかと思いますが、よろしくお願いします」ペコリ
咏「お、おう………」
咏(小鍛治、えり……)
咏(……えりちゃんには、三尋木えりのが一番合うだろうが……)
夜 とある飲み屋
咏「はぁぁ………」ゲンナリ
恒子「はぁぁ………」グッタリ
咏「……どうよ」
恒子「……どーもこーも」
咏「だよねぃ………」
恒子「………あの二人が、なぁ………」
咏「………いっつの間に、そんな進んでたんだろーねぃ………」
恒子「今まで、ずっと恋人同士だったんだなぁ…」
恒子「私たちの扱いは?」
咏・恒子「「仕事のパートナー」」
咏・恒子「「………………」」
咏・恒子「「はぁぁ………」」
店主「ヘイお待ち!ビールと熱燗、枝豆、唐揚げ!」
咏「うぃっす」
恒子「あざっす……」
店主「なんだいなんだい、元気ないねェ!」
咏「いやー知らんし。なんもかんもわっかんねーって」
店主「失恋でもしたのかい?」
恒子「う゛っ」
咏「…あーもわっかんねー全てがわっかんねー。酒でも飲まねーとやってらんねー」グビー
店主「そーだそーだ、呑んじまえ。常連さんにそんなショボくれた顔されてちゃ、他の客まで暗くなっちまう」
恒子「んなこと言ったって大将~コレキツイっす~」
店主「はっはっは!人生色々!男も女もイロイロってねぇ!」ケラケラ
咏「いやもうマジ笑い事じゃねーって」
店主「で、どーするんだ?」
恒子「何が?」
店主「なーに言ってんだよ」
恒子「えっ……」
咏「ムリムリ、相手は婚約してんだぜ?」
店主「まだ籍入れてないじゃねーか」
恒子「カンタンに言ってくれるね~」
店主「お前らだから言ってんだろうが」
咏「あン?なんだそりゃ」
店主「俺の知ってるトッププロとスーパーアナウンサーは、そう簡単に諦めるような人間じゃなかったけどな」
恒子「……いや、だってエンゲージリングまで……」
恒子「ちょッ」
咏「…そーれを言うのはどうかと思うぜ?大将」
店主「エンゲージだかソーセージだか知らねぇが、惚れたヤツにアタックもせずに結婚させんじゃ女が廃るぜ?」
恒子「だ、だって………だって…………」グスッ
店主「だって?恋に理由も何もねーだろ?」
咏「……………」
店主「……ま、散々言ったが、これはお前らの問題だから、俺がとやかく言えるわけでもねーか」
咏「……大将」
店主「ンン?」
咏「……キッツいのちょーだい。酒」
店主「ヘイ、まいどあり」
咏「………婚約、か………」
恒子「……すこやん……」
咏「……………」ガッ
恒子「え」
咏「んぐっんぐっんぐっ………」グビグビー
恒子「ちょ、それ私のビール……」
咏「プハーッ!」ドンッ
恒子「もー、一気とか!相変わらず呑むの早いなぁ!」
咏「で、どうするよ」
恒子「え?」
恒子「いや、私のビール勝手に飲んだのは?」
咏「取り返そう」
恒子「おい無視……、……え?」
咏「告らずに終わってんじゃ示しがつかないからねぃ~」
恒子「…………!」
咏「忘れてたよ。私は三尋木咏」
咏「欲しいモノは、どんな手を使ったって手に入れる」
恒子「……三尋木プロ……」
咏「うぃっす!」
店主「あとイカリングな」
恒子「え?イカリングは頼んで……」
店主「サービスだ。…しっかりやれよ?」ニカッ
恒子「……………」
恒子「やってやろうか!」ニッ
咏「そー来なくっちゃねぃ!」
恒子「タイショー!ビールおかわりーッ!」
店主「まいどォ!!」
咏「……ぜってー、諦めねーからな」
咏(私のモノにしてやんよ。……えりちゃん)
針生宅
えり「…………」
健夜「どうしたの?窓の外なんて眺めて」
えり「あ、い、いえ。別に……」
健夜「……あ。空綺麗だね」
えり「……星が、見えますね」
健夜「……ふふ」
えり「………?」
健夜「意外と、ロマンチストなところあるよね」
えり「そうですか…?」
えり「あ………」
健夜「夜空は綺麗だけど、冷たいから…」
健夜「私は、綺麗で暖かいえりちゃんの方が好き」ボソッ
えり「ん………」
健夜「…えりちゃんは?」
えり「?」
健夜「…私だけに、こんな恥ずかしいセリフ言わせるの?」
えり「……健夜さん?」
健夜「なぁに?えりちゃん」
えり「……だいすき、です」
健夜「ふふ……知ってる」ニコッ
(隙間すら)ないです
健夜「ん?どうしたの?」ニヤニヤ
えり「………は、離してくれませんか………?」
健夜「どうして?」ギュー
えり「離して、くれないと……その……」
健夜「…ん?」
えり「…………じゃ、ないですか……」ボソッ
健夜「なぁに?聞こえないよ」
えり「後ろから、抱きしめられたら……」
えり「私が、あなたに……」
えり「………抱き、つけないじゃない………」ボソッ
健夜「…………」ニコッ
えり「あ……」
健夜「…ほら、おいで?」テヒロゲ
えり「え………」
健夜「えりちゃん?」
えり「…………」
ギュ
健夜「よしよし」ナデナデ
えり「…………///」ギュー
健夜「ね、えりちゃん」
えり「…なんですか…?」
えり「…幸せ、ですよ。健夜さんは?」
健夜「もちろん。とっても幸せだよ」
えり「…………」ギュー
健夜「えりちゃん……こっち、向いて?」
えり「…………?」
チュッ
えり「んっ……」
健夜「……えへへ」
えり「…もう!勝手に…」
えり「…急にそんな事する健夜さんは、嫌いです」プイッ
健夜「えー、ごめんごめん。嫌いにならないでよ」
えり「……………」ムー
健夜「ねーえりちゃーん」
えり「知りません」
健夜「……………」
グイッ
えり「きゃっ…!」
えり「んん……っ」
健夜「ん、…チュ…」
えり「ふ、ぁ……っ」ピクンッ
えり(舌…入ってきて……)
健夜「ンン……ピチャ……」
えり(ぁ……だめ、力…ぬけちゃ……)
健夜「ん……ふぅ」ツゥ
えり「っ……ぅ…はぁ…はぁ……」クタッ
健夜「…嫌いなんて、言わないでよ」
健夜「また、その口塞ぐよ?」
えり「…そういうところが、き」
グッ
えり「あッ……」
ドサッ
健夜「…無理矢理でも、好きって言わせるから」
えり「すこ……っんん……」
健夜「……優しくできないよ?覚悟してね」
えり「あ……ぅ……」カァ
咏「………んん~?」
咏「…ここはどこ……っ、いててっ」
咏「なんで机に突っ伏して……おお」
恒子「すかー……」zzZ
咏「……あー。そかそか、思い出した」
咏(昨日飲み屋で散々騒いで、ふくよんが酔っ払っちゃって…)
咏(タクシーでふくよん家まで送ったら、無理矢理上がらされて…)
咏(……そのまんま寝ちまったのか)
咏「う……変な体勢で寝てたら、首が……」コキコキ
恒子「ん~……ムニャ」zzZ
咏「ムニャじゃねーよ。さっさと起きろや酔っ払い」ユサユサ
恒子「あとごふ~ん……」
咏「うるせーよ」グニッ
恒子「ほひゃっ!?」
咏「目ぇ覚ませ~」ギュウウウウ
恒子「いひゃい、いひゃいっすみひろひふろ!」
咏「あっはは。ほっぺた伸びるねぃ!」ミョーン
恒子「いひゃいっつーのっ!!」
咏「何言っちゃってくれてるのかねぃコイツは」
恒子「こちとら二日酔いで頭ガンガン……あれ」
咏「あン?」
恒子「いーつの間に帰って来たかなぁ」
咏「覚えてねーのかよ!」
恒子「あれ、なんで三尋木プロがウチにいるの?」
咏「だから」
恒子「……不法侵入?」
咏「てめータクシー代返せ」
恒子「もーしわけありませんっした!」ドゲザ
咏「ったく……飲み屋も全部私が払ったんだぜ?感謝しろよ?」
恒子「あざっす三尋木さま!」
咏「おう。…ところで今日は?」
A.恒子「今日はオフっす」
B.恒子「今日は仕事っす」
安価>>61様
お選びください
咏「え?そうなん?」
恒子「え?」
咏「仕事だろうから起こしたんだけど」
恒子「いやいや、休み」
咏「なんだぁ。じゃ無理矢理起こさねーほーが良かったかねぃ」
恒子「それは、もしや私を心配して…?」
咏「寝てる間にコッソリ帰ればラクだったのに」
恒子「ひでえ!」ガーン
恒子「えーつまんなーい」
咏「シャワー浴びてぇんだよ。ずぅっと付き合わされて着替えもできてねーし」
恒子「……スミマセン」
咏「そんなら、後で会場の近くのファミレスでな」
恒子「?」
咏「なにキョトンとしてんだ…作戦会議だよ、作戦会議」
恒子「なんの?」
咏「えりちゃん奪還作戦」
恒子「…ええっ!?」
咏「えーっと……」キョロキョロ
恒子「こっちこっち」フリフリ
咏「お、いいねぃ。端っこの席」
恒子「一応我々有名人ですから!」
咏「あんまり気にしたことないけどね~」
恒子「…ま、そうなんですけど」
咏「なのにえりちゃんはすっげーの」
恒子「ほう?」
恒子「へぇ~、ちょっと意外かも」
咏「んでそれがさ、大抵ナンパね」
恒子「…マジでか」
咏「マジマジ。しかもナンパした方は声かけてからえりちゃんって事に気づくんよ」
恒子「美人さんが歩いてたから声かけてみたら、そのヒトはアナウンサーの針生えりだった、みたいな?」
咏「そーそー!さっすがえりちゃ……」
咏「………………」
恒子「どうしました?」
恒子「……あ……」
咏「………今度、小鍛治えりになるらしいぜ?」
恒子「…あはは、針生健夜じゃないんだ?」
咏「…おー…プロポーズも、告白も…すこやんだとさ」
恒子「……そっか……」
咏「…………」
恒子「…………」
咏「……ん?」
恒子「すこやんから話を聞いたとき……すこやん、めちゃめちゃ幸せそうだった」
恒子「もう、込み上げてきた気持ちの全部が諦めに変わるくらい…楽しそうだった」
咏「…こっちも、さ。すっげー甘ったるい話で…ココアとチョコ、食べてるみたいな」
咏「……えりちゃん、チョコレートみたいにトロトロ溶けててさ。…なんか……」
恒子「…ねぇ、……やっぱりイケない事なんじゃないかな……奪還作戦、なんて……」
咏「でも!」
カランカラン
店員「いらっしゃいませー」
店員「ご案内します」
恒子「!?」
咏「なッ!?」
健夜「ごめんね~……」
えり「いいですから。気にしないでくださいよ」
健夜「でも…」
えり「これからゆっくり覚えましょう?」
健夜「うぅ、お料理って難しいなぁ」
恒子「うわぁ出たっ!」ボソボソ
咏「噂をすればってやつ?」コソコソ
えり「知ってますよ、結構几帳面ですよね」
健夜「そ、そうかなぁ……えへへ」
えり「その点、私はズボラなところがありますから…」
健夜「そんな事ないよ?」
えり「手を抜くところが巧いだけてす」
健夜「あ、自分で言っちゃう?」
えり「ええ。…だって、私が手を抜いているところに、健夜さんは気づいていませんから」クスッ
健夜「えっ!ど、どこどこ?」
えり「ナ・イ・ショ」
健夜「も~ケチ」
えり「ふふ……」ニコッ
恒子(甘ああああああああい!!!)
咏(こっちに気づいてないみたいだけど……見せつけてんのか?見せつけてんのかコンニャローッ!)
咏(『おかえりなさい、あなた』とかやって貰えるのかなぁ……)
咏「…………へへ」
咏(ぜってー私のモノにしてやる……)メラメラ
恒子(あっちもアツアツだけど、こっちもアツい……飛び火って意味で)
ピンポーン
店員「ご注文お決まりですか?」
咏「ハンバーグステーキ、あとビール」
恒子「昼間っから!?」
咏「しー!声でけぇよ!」
恒子「あ、さーせん。…私パスタで」
店員「畏まりました~ごゆっくり~」
店員「いらっしゃいませー」
?「……えっと……」キョロキョロ
店員「お一人様でよろしいでしょうか?」
?「は、はい!」ビクッ
店員「おタバコは…」
?「す、すわないです…」
店員「では、お席までご案内します」
店員「あ、どうぞ」
?「ありがとうございます……」コソコソ…
恒子「……なんか明らかにおかしい人が」
咏「いや知らんし。ファッションかもよ?」
恒子「マスクにサングラスにサイズがデカいロングコートが!?」
咏「シーッ!声でけぇっつの」
恒子「むむ……」
咏「お、メニュー決まったみたいだねぃ」
咏「んじゃ、えりちゃんはドリアだな。賭けてもいい」キリッ
店員「ご注文お決まりですか?」
健夜「えっと、オムレツと…」
えり「グラタンで」
店員「畏まりました~」
恒子「な……っ」サァァ
咏「……勝敗の分け目は、白いご飯だったか……」ガクッ
店員「おまたせしましたーハンバーグステーキとパスタになります」
咏「……小ライス、追加で」
店員「畏まりました~」
咏「はふはふ……」モグモグ
?「……………」コソコソ
恒子(………ん?)
?「…………」ジー
恒子(あの人……)
?「………………」ジー
恒子(ずっと、すこやんたちの方見てる……?)
店員「小ライスになります」
咏「どーもどーも」
健夜「はーい」
えり「…久しぶりですね。二人で外食なんて」
健夜「えりちゃんのお料理美味しいんだもーん」ニコッ
えり「……これからは……」
健夜「ん?」
えり「これからは毎日……あなたの為に、作りますから……ね?」
健夜「…~~~っ」
えり「………///」
健夜「えへへ…///」
恒子(イチャイチャしやがって…)
咏「モグモグモグモグモグモグ」モクモク
えり「?」
健夜「…………」ジー
えり「…………」ニコッ
えり「一口、食べます?」
健夜「ぅえっ!?なんでわかったの?」
えり「そんな目でジッと見られたら、誰だって解りますよ」クスクス
健夜「む……」
えり「本当に、気持ちが顔に出ますね」クスクス
健夜「むぅ……」
健夜「あーん」
えり「え……」
健夜「あーん、して?」
えり「あ………///」
えり「えっ……と……」カチャカチャ
健夜「…………」
えり「ふぅー…」フーフー
えり「……あーん」
健夜「あーんっ」パクッ
健夜「えへへ、おいし」モグモグ
えり「…もう」
恒子「もおおおおおおおおおお」(小声)
咏「見せつけてくれるじゃねーのっ!」ボソボソ
恒子「うぐぐぐぐ」ギリギリ
?「」オロオロオロ
恒子「……………?」
?「………っ…」ワタワタ
店員「お客様?」
?「ひゃい!?」
店員「ご注文は……」
?「あ、え、えっと!チーズケーキで!」
店員「畏まりました~」
?「…………はぁ」
恒子「………怪しい」ボソッ
恒子「ほら、さっきのマスクさん」
咏「あー。ファッションセンスがイマイチな」
恒子「いやだからファッションでは……まぁいいや」
咏「そのマスクマンがどうしたって?」
恒子「あの人、すこやんたちをずっと見てる」
咏「ふーん?えりちゃんかすこやんのファンなんじゃね?」
恒子「そ、そうかな……でも……」
店員「おまたせしました、チーズケーキになります」
?「あ、ありがとうございます」
?「…………」パクッ
?「………!」モグモグ
?「………ん」
?「…おいし☆」
恒子「!!」ガタッ
咏「ばか、おまっ!」
恒子「あ、す、すいませ……」
?「!」
恒子「あ、ちょっ」
?「お勘定、ここに置いておきますねっごちそうさま!」
店員「あ、ありがとうございました…」
恒子「うわ逃げた!こら待てっ!」
咏(…お勘定って…そんな単語ひっさびさに聞いたなぁ……)
健夜「あれ、こーこちゃん?」
恒子「あ」
えり「え?……あ、三尋木プロまで」
咏「……言わんこっちゃねぇ…」
恒子「………さーせん」
恒子「いやー、フツーに昼ごはん食べに…ね」ポリポリ
咏「…そーそー」
恒子「二人は?………デート?」
咏(おい、自分にダメージ与えてどーする)
恒子(何言ってんだ私……)
えり「で、デートなんて、そんな……」
健夜「か、からかわないでよ。こーこちゃん」
恒子「……おーおー。お熱いことで」
咏「……わっかんねー……」
咏「べっつにぃ~?なんでもいーっしょ」
えり「………はぁ」イラッ
恒子「いやーたまには、食事どう?なーんて誘ってみてですねー、ははは、はは…」
健夜「?」
えり「お食事は済んだのですか?」
恒子「ま、まぁ」
咏「デザート食ってねー」
恒子「えっ」
咏「デザート。これなんか美味そーじゃん?」
恒子「ま、まだ食べるんすか……」
えり「…………」クスッ
えり「いえ。前に、一緒にお食事した時を思い出しまして」
咏「…………」
えり「あのときも、こんな会話したなぁ…と」
咏「あ…………」
~
えり『そろそろ、行きますか?』
咏『デザート食ってねー』
えり『えっ』
咏『デザート。これなんか美味そーじゃん?』
えり『ま、まだ食べるんですか……』
~
咏「…………」ズキッ…
恒子「あ、うん…じゃあね」
えり「では……」ペコッ
咏「…………うん」
恒子「…………」
咏「…………」
店員「ありがとうございましたー」
健夜「この後、どうする?」
えり「…思い切って、お部屋の模様替えしようって話、本当にしません?」
健夜「じゃあ…家具?」
えり「はいっ」ニコニコ
健夜「じゃあ、行こっか」ギュ
えり「……♪」ギュ
カランカラン…
恒子「あぁ~………食らったぁ……」グッタリ
咏「……くそっ……」
恒子「………デザート。たべる?」
咏「…………」ピンポーン
店員「はい?」
咏「ビール、まだ?」
店員「あ……申し訳ありません!今すぐに…」
咏「グラスワイン追加で」
店員「畏まりました」タッタッタ…
咏「……知らんし」
恒子「ま、気持ちはわかりますけど」
咏「うがああああああっ!!」
恒子「…ま、昼間のファミレスではアレっすけど」
恒子「夜にでもまた居酒屋行きますか。三尋木プロ」
店員「おまたせ致しました、ビールとグラスワインになります」
咏「…ほれ、ふくよん」
恒子「え?」
咏「このくらいならいいだろ?グラスワイン」
恒子「あ、ああ…あざっす」
恒子「か、かんぱーい」
チンッ
咏「んぐっんぐっんぐっ……」グイー
恒子「………」ゴクッ
咏「……ぷはっ」
恒子「…三尋木プロ?」
咏「…いーよ。もう、咏で」
恒子「……………」
恒子「ういっす、咏ちゃん」
咏「おっけ。……覚悟しな、居酒屋ハシゴすんぞ」
恒子「……程々に頼んます」
恒子「………」ゴクッ
咏「…奪還作戦、考えようか」
恒子「!」
咏「んぐっんぐっ……」グビー
咏「……ぷはっ」
恒子「………ほんっとに、もう……」
恒子「いー性格してるね、咏ちゃん」ニッ
咏「……諦められっかよ……」
恒子「もちろん」
咏「…決めたんだよ。…えりちゃんには…」
咏「“三尋木えり”のが合ってるから」
咏「おうよ。……ふくよんも、だろ」
恒子「…あたぼうよぉ!」
咏「……へへっ」ニカッ
恒子「……それに……」
咏「……ん?」
恒子(あの人……あの、マスクマン……)
恒子(問い詰める必要があるかな?)
健夜「でも……いいの?」
えり「なにが…ですか?」
健夜「えりちゃんの家に、住んでも」
えり「ええ。…私は、貴女と違って一人暮らしですし?」
健夜「う゛っ」
えり「ふふふ………」クス
健夜「…言うね、えりちゃん」
えり「健夜さんだけですよ。…新居、というのも良いですけど…」
健夜「そう?気、使ってない?」
えり「…健夜さんがそっちのが良いなら…」
健夜「ううん。えりちゃんの家好き」
えり「そう…ですか?」
健夜「えりちゃんの匂いがする。…えりちゃんが、何が好きか、とか…えりちゃんの全部を感じられるから」ニコッ
えり「……っ///」
えり「い、言いますね…健夜さん」
健夜「えりちゃんだけ、だよ」
えり「誰のせいですか……」
健夜「わたしー♪」
えり「うぅ………」
健夜「かーわいい♪」
えり「……うるさいですよ」
健夜「しーらない」
?「……………」
?「ど、どうしよう………」ドキドキドキ
?「なんとか…なんとか、しないと……」
咏「あーあーあーあー、もーわっかんね。ぜんっぜんわかんね」
恒子「ういっす。…それと、なんでウチで飲んでるんすか。居酒屋ハシゴって」
咏「タクシー代」
恒子「う゛っ」
咏「また酔いつぶれたやつを送るの嫌だかんな?」
恒子「…面目ないっす」
咏「しっかしさぁ………ねぇ?」
恒子「ねぇ、って?」
恒子「ああ…すこやんと、針生さん」
咏「そそ。絡み合ったっけ?」
恒子「私たち結構四人でご飯行ったりしたじゃん?」
咏「まーそーだけど…二人だよ、二人」
恒子「…そう、言われると…たしかに」
咏「っしょ?しかも聞けば、数ヶ月前から恋人同士とかなんとか」
恒子「…意外と、前からそんな関係にあったんすね」
咏「…おー…」
恒子「…………」
咏「………あ、そういえば」
恒子「ん?」
咏「ふくよんさ、あのマスクマンを追いかけようとしてたじゃん?」
恒子「あ、ああ…逃げられちゃったけどね」
咏「なんで?」
恒子「…あの人、ずっとすこやんたちみてたじゃん?」
咏「おお、そうらしいね。知らんけど」
恒子「なんか知ってんじゃないかなーって」
恒子「そうかなぁ…」
咏「ほら、あれかも。パパラッチ?トッププロ小鍛治健夜熱愛発覚!お相手は真面目系清純派美人アナウンサー!」
咏「……みたいな」
恒子「あ、違う違う」
咏「ん?」
恒子「あのマスクマン、パパラッチじゃないよ」
咏「じゃあなにさ」
恒子「…ま、明日一緒に問い詰めに行きま しょうや」ニヤリ
咏「焦らすねぃ」
恒子「一応ね。確証があるわけじゃないから」
咏「……ふーん?」
恒子(大体検討は付いてるけどね)
恒子(でも、なんであの人が…)
針生家
えり「…………」カチャカチャ
健夜「えーりーちゃんっ」ギュ
えり「きゃっ!」
健夜「きゃ、だって。かーわい」
えり「…もう!脅かさないでくださいよ」
健夜「だって、……ねぇ?」
えり「わかりませんー」
健夜「抱きしめたかったから?」
えり「…洗い物、終わったら……ね?」
健夜「やーだよ」ギュー
えり「だ、ダメですってば…っ」
えり「ぅ……」
えり「…私まだ……お風呂、入ってない……」
健夜「別にいいよ?」クンクン
えり「ちょっと、やめてくださいっ」
健夜「いー匂いだよ?」クンクン
えり「く、くすぐったいですよ…」
健夜「ほらほら、気をつけないと食器落としちゃうよ」
えり「あ、……」
えり「だめ、ったら…だめっ」
健夜「…ちぇー」
えり「まったくもう……」
健夜「…えへへ」ニコニコ
えり「…なんですか?」
健夜「もーすぐ、えりちゃんは私のお嫁さんになるんだなぁ~て」
えり「………あ………」
健夜「……ね、えりちゃん」
えり「?」
健夜「お風呂、一緒に入ろ?」
えり「はいッ!?」ビクッ
えり「そ、それは、……その……///」
健夜「恥ずかしがることないと思うけどなぁ~?今まで、えりちゃんのもっと恥ずかしいところをたくさ」
えり「やっやめてええええっ!」
健夜「だから、ね?」
えり「うぅ…ぅー……っ……」
健夜「お願いっ」
えり「………ヘンなこと………しないなら……良いですよ……?」
健夜「それってどんなこと?」
えり「健夜さんッ!」
健夜「ふふ。先に入って待ってるからね~」パタパタ
えり「……ったく、もう……」ハァ
えり(洗い物、早く終わらせないと…)
すばらっ!
お風呂あがり
えり「………っ」フラフラ
健夜「大丈夫?」
えり「っ…誰の、せいで……っ!」
健夜「そんなに良かった?」
えり「健夜さぁんッ!」キッ
健夜「ごめん、つい……」タハハ…
えり「身体、持ちません……」
健夜「養ってあげるから」
えり「…………」ムー
健夜「……あのね?えりちゃん」
えり「?」
健夜「見せたいものがあるんだけど……」
健夜「せっかくだから…どうかなって……///」
えり「け、結婚式場の…カタログ…?」
健夜「式は別にやらなくてもいいかなって、思ったんだけど……」
健夜「その……思い出に、ね?」
えり「健夜さん」
健夜「や、やっぱりいy」
ガバッ
健夜「おっと…」
えり「健夜さん……っ」ギュー
健夜「うん…」キュ
えり「……どうしよう…わからないの……」
健夜「……なにが……?」
健夜「………」ナデナデ
えり「すこ、…すこや、さんの……っ」ギュー
健夜「…私の?」
えり「ばかっ!」
健夜「えぇっ!?」
えり「ばかっ……ばか、ばか、ばかぁっ…!」
健夜「な、な、なんで?」
えり「……っぅ……ヒック……こ、……グスッ…こんな、……~~っ」
えり「こんな、気持ちに、…させたのもっ!ヒック…こんなに、っ…泣かされたのもっ!」
えり「あなたが、はじめてですよ……っ!」
えり「すこやさんの……っばかぁぁ…っ!!」
えり「いいんですっばかっ」
健夜「はいはい、ばかですよー」ギュー
えり「うぅぅ………」
健夜「……それで?どんな気持ち?」
えり「……ドキドキ……します」
健夜「それと?」
えり「……凄く、恥ずかしいです」
健夜「うん。…あとは?」
えり「……多分……」グスッ
えり「……凄く、幸せです」
えり「………」
健夜「………」
えり「……~~~っ」
健夜「?」
えり「………っ」パッ
健夜「え?」
えり「………すいません」
健夜「ずっとくっついてていいんだよ?」
えり「……冷静になりました」
健夜「冷静になったらどうしたの?」
えり「………凄く、………」
えり「はずかしく、……なりました」ボソッ
健夜「ふふふ……」クスクスクス
えり「…………」
健夜「えりちゃん?」
えり「…なんだか、…夢みたいで」
健夜「…………」
えり「私は、…貴女と、結婚するんだなぁ…って……」
健夜「なにを、今更」
えり「そ、そうなんですけど…現実味が無くて……」
健夜「…実は、私もなんだ」
えり「健夜さんも……?」
健夜「それで…告白して、コイビトになって……それで、プロポーズして」
健夜「…短い期間で、色々やりすぎて…いろんな事しちゃって。それで…時間がたつのが、早くて」
健夜「もう、頭がついていけてるのかわからなくて。フワフワしちゃってる」
健夜「………あはは、焦り過ぎたかな…プロポーズ」
えり「…………」フルフル
えり「私達なら、大丈夫ですよ」
健夜「…そう?」
えり「ええ」ニコッ
えり「はい?」
健夜「大好きだよ」
えり「………私も」
健夜「……ね、子どもは何人ほしい?」
えり「え、えぇっ!?」
健夜「二人はほしいよね~」
えり「そ、それは、その、まだ……」ゴニョゴニョ
健夜「四の五の言わない。…それとも、今する?」
えり「………ッ///」
健夜「ん?」
えり「………へんたい」
えり「ん……」
健夜「………あ、でもいっか。変態でも」ドサッ
えり「す、すこやさ……っ」
健夜「でも、えりちゃんの中の私は、ばかでヘンタイなんだー?」チュッチュッ
えり「んんっ…そ、です……」ピクンッ
健夜「へぇ?」ペロッ
えり「ひゃ、…ばかで、へんたいです…っ」
健夜「でも、好きなの?」チュゥゥッ
えり「あぁぁっ………っ///」ビクッ
健夜「ねぇ…」ボソッ
えり「っ、ぁ…す、きぃ……すき、だいすき……っ」
健夜「……ん。かわいい……」ギュ
会場
?「………」コソコソ
?「………」キョロキョロ
?「…………!」サッ
えり「はぁっ……はぁっ…はぁ、はぁ…」タッタッタ
健夜「ぎ、ギリギリ、セーフ?」ゼェゼェ
えり「健夜さんの、ばかっ」
健夜「…うん、言い訳できない…ごめんなさい」
えり「……激しすぎ、ですよ……」ボソッ
健夜「あはは……」
?「………!?」
?「こ、これは………うー……」
恒子「なにが?」
?「!?」ビクッ
恒子「どーも~昨日ぶりっす」ニコッ
恒子「…瑞原プロ」
はやり「あ………」
恒子「しらばっくれるのはノンノン。別にどーこーする気はないですからね」
はやり「じゃ、じゃあ……?」
恒子「すこやんと、針生さんのことで」
はやり「!」ビクッ
ダッ
恒子「あ、ちょっと!」
咏「させるかぁぁーー!!」ガシッ
はやり「きゃうっ!?」
恒子「で、認めます?」
はやり「うぅー……簀巻きなんてー……」クスン
咏「悪いねぃはやりん。なりふり構ってられねーんだ」
はやり「むー……認めます。昨日ファミレスで変装してえりちゃんと健夜ちゃん見てたのははやりですー」
はやり「だからこれほどいてー」ウゴウゴ
咏「いーや!だめ」
はやり「どーしてー咏ちゃんもふくよんも実況の仕事はー……?」
咏「変わって貰った」
はやり「えっ」
恒子「………なりふり構ってられないんですよ、マジで」
えり「……おやすみ?三尋木プロが?」
スタッフ「え、ええ…なんだか随分焦っていたみたいで……」
えり「で、では私は……」
スタッフ「そろそろ来るかと……あ、来たきた」
スタッフ「ありがとうございます、大沼プロ」
大沼「どうも、遅くなりまして」
えり「」
大沼「そちらが、アナウンサーの?」
えり「……は、針生えり…と申します」
大沼「ふむ。よろしく頼むよ、美人さん」
えり(や、やりにくい………!)
健夜「……おやすみ?福与さんが?」
スタッフ「え、ええ…なんだか随分焦っていたみたいで……」
健夜「じ、じゃあ私は……」
スタッフ「そろそろ来るかと……あ、来たきた」
スタッフ「ありがとうございます、白石アナ」
白石「どうも、遅くなりました」
健夜「」
白石「本日はよろしくお願いします、小鍛治プロ!」
健夜「は、はぁ…よろしくお願いします…」
白石「まさか自分があの!小鍛治プロと仕事ができるとは!恐縮です」
健夜(か、絡み辛い………!)
咏「まず、はやりんはどっち目当て?」
はやり「へ?」
咏「しらばっくれんなよ~?」
はやり「い、いや、えっと、目当て……?」
咏「そうだろ?あんなストーカー行為」
はやり「すっ、ストーカー!?」ガーン
恒子「だって、そうでしょ?」
はやり「違う違う違うよぉ!」ウゴウゴ
咏「じゃあなにさ?」
はやり「だから、その…話しかけるタイミングを測ってて……」
咏「ストーカー!」
恒子「ストーカーだ!」
はやり「違うのおおおおおおおお!!」
はやり「ふえぇぇええ!?」
恒子「ちなみにすこやんだったら更に簀巻きで放置するよ!?」
はやり「更にってナニ!?」ガーン
咏「で、どっちが目当てなのかい!?」
はやり「うぅ!えりちゃんにもすこやんにも言わなきゃイケない事があr」
咏「両方だとぉおぉぉ!?」
恒子「この欲張りさんめぇぇええぃッ」
はやり「話聞いてよおおおお!!」ナミダメ
咏(やべっ、泣かしちまった)
恒子(やっべ、やりすぎた)
はやり「咏ちゃんもふくよんも酷い……そんな人には、何にも話さないー」プイッ
咏(やべっ)
恒子「す、すいません…今解きますから…ね?
」
はやり「…………むー」
シュルシュル…
はやり「……もうっ」パンッパンッ
咏「…ごめん、はやりん」
恒子「…すみません……」
はやり「…………」
はやり「それが、ヒトにモノを頼む態度かな~?」
恒子「!」
はやり「とりあえず、…頭、高いんじゃないかな☆」
咏・恒子「「」」イラッ
ギュウウウゥゥゥゥ
はやり「にゃああああごめんなさいごめんなさい喋るからぁぁぁぁ!!」
はやり「はやりも、すこやんも、えりちゃんも会場に居た日―――」
―――数ヶ月前
はやり「つ、ついに……ついに、届いた!」
はやり「両想いになれる特別ななんかよくわからないけどすっげー効くクッキー!~身体に問題はないよ☆~」
はやり「これさえあれば…ふふ…☆」
はやり「んーと?…わぁ、ハート型!か~わいい☆」
はやり「説明書はいいや☆面倒だし…とにかく、このクッキーを好きなヒトと、自分が食べればいいのね~☆」
はやり「……ん?」
はやり「…なんか、縁起悪そう…真っ二つのハート…」
はやり「……5枚入りだし……た、高かったけど…これは、仕方ない。誰かにあげちゃおっと」
はやり「……あ☆ちょうど良いところに……☆」
はやり「えりちゃーん!」
えり「はい?…あ、瑞原プロ」
はやり「はやりからのプレゼントだよっ☆」
えり「え?…これは…クッキー?」
はやり「うん☆美味しいんだよ~♪」
えり「頂いてもよろしいのですか?」
はやり「もちろんっ☆」
えり「…では、お言葉に甘えて。ありがとうございます」ニコッ
はやり「うんうん☆真面目ちゃんだね~ホントにっ」
えり「そんなことありませんよ」
はやり「またまた~」
えり「っと…そろそろですので、失礼しますね」
はやり「頑張ってね~☆」
はやり「……う~ん!良いことしたあとは、気持ちがいいなぁ~☆」
はやり「それで、えりちゃんが休憩時間になって、えりちゃんは会場の自動販売機前の、休憩できるスペースで…」
――――
えり「はぁ……」ガコンッ
えり(………本日の仕事、終了)カシュッ
えり(…………)ゴクッ
えり「ぅ………」
えり(やっぱり、コーヒーって苦手……でも、紅茶…売り切れだし…)
えり(…あ、そういえば、瑞原プロから…)ゴソゴソ…
えり(クッキー……)
ゴソゴソ…
えり(……ハート、真っ二つ……)
健夜「あ」
えり「!……あ、小鍛治プロ」
えり「いえ、大丈夫ですよ」ニコッ
健夜「……んーと……」ピッ
ガコンッ
えり「…………小鍛治プロは、コーヒー大丈夫なんですね」
健夜「う、うん…針生さん、コーヒー苦手?」
えり「…恥ずかしながら、苦手ですね」
健夜「へぇ、ちょっと意外」
えり「そうでしょうか?」
健夜「…それは?」
えり「あ、ああ…先ほど、瑞原プロに頂いたクッキーです」
健夜「クッキー……」
えり「……半分、いかがですか?」
健夜「え?いっ、いや、悪いよ」
えり「遠慮せずに。…どうぞ?」
えり「ええ。美味しいらしいですから」
健夜「いただきまーす」
えり「では私も……」
サクッ
―――――
はやり「……という、わけなのです……」ヨヨヨ
咏「………は?」
恒子「………んん?」
はやり「あーっ信じてないでしょーッ!」
恒子「…………ねぇ?」
はやり「いーもーんっ!はやりは事実を言ったもーん!」プリプリ
咏「あー…じゃあさ、それが本当だったとして…」
恒子「……元凶、アンタじゃないですか……」
はやり「………」ピヒューピヒュー
咏「おい、口笛できてねーぞ」
はやり「……んー、と…偶然の、成り行き?☆」
咏・恒子「「」」イラッ
ギュウウウゥゥゥゥ
はやり「うなぁぁぁぁあごめんなさぁぁぁい!!!」
はやり「うん……事故なんだよぅ……」
恒子「ん?でも、瑞原プロは?」
はやり「?」
恒子「そのクッキー、使ったんですよね?でも、瑞原プロに恋人なんて……」
はやり「」グサッ
咏「え?いないの?」
はやり「」グサグサッ
はやり「……………」
はやり「ううぅぅぅうう!!」ウゴウゴウゴ
咏・恒子「「!?」」ビクッ
咏「ばーかばーか」
はやり「うなぁぁぁぁあ!!」
恒子(仲いいなぁ…)
はやり「…はぁ。説明書をゆっくり読んでみたんだけど…はやり、使い方間違えちゃったみたいで…」
恒子「と、言うと」
はやり「……一人一枚だと思ってて……」
恒子「……ああ……」
咏「まぁ。なんというか、…さ。ドンマイ?」
はやり「その憐れみの目やめてええええ」
はやり「なーにー…?」
恒子「その惚れ薬、どうしたら解けるんですか!?」
はやり「え………」
咏「はやりん!」
はやり「…………」
はやり「……たしかにね、はやりも…思ったよ?…それは、ホンモノの恋じゃないって。何度も、言おうとした」
恒子「でしょ!だから…ッ」
はやり「でも!…見てて、わからない?あの二人を……」
咏「……なにが、言いたいの」
咏「……ッ!」
はやり「たしかに、きっかけはクッキーだったかもしれない!…でも…もうあの二人は、愛し合ってる」
恒子「く……ぅ…ッ…」グッ
はやり「…それを邪魔するなんて…はやりには……できないよ……」
咏「……………」
恒子「………………」
はやり「…まぁ、一応…クッキーの効果を無くす方法は教えておくけど……」
はやり「……するかどうかは、アナタ達次第だからね」
針生家 夜
えり「~♪」コトコト
ガチャッ…
えり「!」
えり「健夜さん」パタパタ
健夜「あ、ただいまーえりちゃん」
えり「おかえりなさい」ニコッ
健夜「あれ、良い匂い…」
えり「晩ご飯の準備していたんです」
健夜「ありがとう」ニコッ
健夜「用意周到だね~」
えり「その、えっと……」
健夜「?」
えり「お、おかえりなさい」
健夜「うん、それはさっき…」
えり「ご、ご飯にしますか?お風呂にしますか?」
えり「そ、それとも……その…///」
えり「わ、……わたし………?」
健夜「」
健夜「えりちゃんっ!」ギューッ!
えり「きゃぁっ!?///」
健夜「えりちゃんにするっ!えりちゃんっ!」
えり(ど、どうしよ…考えてなかった……)
健夜「えーりちゃーん」ギュー
えり(…よ、よしっ)
グイッ
健夜「えっ」
えり「………ッ」
ちゅっ
えり「…お、おかえりなさいの…ちゅー、で……」カァ
健夜「~~~!んもぅー、えりちゃーん!」ギュウゥ
えり「く、苦しいですっ健夜さんっ///」ワタワタ
健夜「おデコにチューってのがまた高得点だよ!疲れも吹っ飛ぶよ!」
えり「……な、なら、良いんですけど……」
福与家
恒子「……………」
咏「……………」
恒子「…今日も、泊まってくの?」
咏「……わりぃかよ」
恒子「…いや、別にいいけどね」
咏「じゃーいーじゃん」
恒子「…………」
咏「…………」
恒子「どう、するよ」
咏「………わっかんね」
恒子「………」
恒子「…ですよね」
咏「……わかってる」
恒子「婚約したってことは、リミットまで……」
咏「わかってるってばッ!!」
恒子「っ」ビクッ
咏「んなことくらい…わかってんだよ……ッ」
咏「でもッ……でも…っ…」ジワ…
咏「わかんねーよ……わかんねー……ぜんぶ、ぜぇんぶ、わかんねぇ……!!」グスッ
咏「………ッ!」グイッ
恒子「……………」ウルッ…
恒子(好きなヒトの……幸せを取るか……)
咏「…ッ……く、ぅ……っ!!」ゴシゴシ
咏(全てを元に戻して…自分勝手な気持ちを、さらけ出すか……)
恒子(選択肢は二つ)
咏(どちらを選んでも構わない)
はやり『ただし』
はやり『タイムリミットは―――』
――――二人の、結婚式
はやり『結構、神様頼りにしているところがあるんだ。だから……』
はやり『神様の前で誓いをたてたら、一生あのまま』
はやり『元に戻ることはなくなって…二人は、ハッピーエンドを迎えるの』
はやり『例えば…そう。結婚式での、誓いのキス…とかね』
えり「気が早くありませんか…?」
健夜「うぅん!今すぐにでもしたいくらいだよ?」
えり「そう、ですか…?」
健夜「うん。早く…小鍛治、えりになって欲しくて……」
えり「あ……」
健夜「そうしたら…えりちゃんは、私のモノ。なんてね」ニコッ
えり「……名前なんて……良いじゃないですか」
健夜「?」
えり「わたしは、………あなたの…モノ…ですから……」
えり「………~~~ッ///」カァァァァ
健夜「………えりちゃん…………」
えり「いっ!今、こっち見ないでくださいねっ!?」プイッ
健夜「どうして?」
えり「そっ…それは……その……えっと……」
健夜「見せてよ」
えり「やですっ」
健夜「見せて……」グイッ
えり「あ……っ…」
えり「く……ぅぅぅ………///」
健夜「顔、真っ赤」クスクス
えり「っ…だから、いやだって……!」
健夜「んもーかわいいなぁー食べちゃいたいっ」
えり「そっそんなことよりぃッ!」
健夜「そんな事ってどんなこと?」スルッ
えり「ゃ…ちょ、ちょっと……!」
健夜「ね、どんなことかなー?」
えり「だめです、だめっ…」
えり「ぁ……」
健夜「式の話だったね。えっーと…」
えり「…………」
健夜「えりちゃん?」
えり「え?…あ、はい…」
健夜「なぁに?期待しちゃった?」
えり「違いますッ!」
健夜「またまた~」ニヤニヤ
えり「ぅ……」
健夜「…それで!式の話だけど……」
えり「…………とで……」ボソッ
健夜「?」
えり「…あとで……して?」ジッ
健夜「~~~~ッッ!!」プルプル
えり「……反撃…です」ニコッ
健夜「…生意気になったね」
えり「健夜さんのせいですよ」
健夜「えー?そうかなぁ」
えり「そうですとも」
健夜「…でも、許可も貰ったし…いただきまー」
えり「あ・と・で」メッ
健夜「むー…」
えり「話、戻しますよ」
健夜「……来週末、ここの式場で」
えり「え?」
えり「ちょ、ちょっと、」
健夜「二人ともオフ、大安吉日、式場も空いてる」
健夜「異議のある人は挙手!」
えり「い、異議あり!異議あ……」
健夜「却下」ガバッ
えり「きゃあッ!?」
健夜「可決。本法廷は終了しました」
えり「え、えええええ!?」
健夜「それに、さっき誘ってきたのはえりちゃんだし」
えり「それはっ…」
健夜「終わった裁判への口出しは無効。…ペナルティを与えます」
えり「ゃ、ぁ、あっ……」
…………………
咏・恒子「「来週末ぅ!?」」
健夜「う、うん……」テレテレ
えり「…………」カァァ
咏「だって、そんな、スグじゃん!」
えり「そうですよね…急ですよね…ねぇー健夜さん?」
健夜「ん?…何の話カナー?」メソラシ
えり「まったくもう……」
咏「……………」
恒子「………………」
えり「お二人には、来て頂きたくて……」
咏「……そう、だねぃ……」
恒子「………んー……」
咏「…わり、保留ってことにしといてくんない?」
えり「保留?」
咏「考えておくってこと」
えり「は、はい。そうですね、かなり急な話でしたから……」ジー
健夜「……………」メソラシ
健夜「うん、わかった。ごめんね、こーこちゃん」
恒子「…なんで、謝るの?」
健夜「え?いや、急な話振っちゃったから…頭の整理追いついて無いかなって」
恒子「ひどっ」ガンッ
健夜「でも、大丈夫みたいだね」
恒子「………おう」
恒子「だいじょぶに、決まってんじゃん……」フルフル…
健夜「……こーこちゃん?」
恒子「……ごめ、ちょっと…トイレっ!」ダッ
健夜「えっ?……あ、ああ……」
咏「……………」
えり「三尋木プロ…?」
咏「ん?」
えり「どうしたんてすか?」
咏「…なにがさ」
えり「顔色が悪いので……それに、この間も実況の仕事に来なかったし…」
咏「あー…」
えり「…どこか、体調が?」
咏「……いや、知らんし」
えり「…………」
咏「……にーしても?この前の実況は傑作だったねぃ」ニッ
えり「へ?」
えり「あ、ああ……あれは……なんというか……」
咏「わけわかんねーもんな、あのジーさん」
えり「そんな言い方、失礼ですよ」
咏「いや知らんし」
えり「…もう。貴女って人は…」ハァ
咏「…………」
えり「?」
咏「……んじゃ、帰るわ。じゃねー」フリフリ
えり「は、はい……お気をつけてー」
咏「んー!」フリフリ
咏「…………」スタスタ
咏「…………」タッタッタ…
咏「…………」タッタッタッ
咏「っ…はぁ…はぁっ…」タッタッタ!
バンッ
咏「ふくよん!」
恒子「……あ……」ウルウル
咏「ふく…よん…」
恒子「咏ちゃ……うた、ちゃん……もう、どうしよう…!」
恒子「私…決められないよぉ……!」ポタポタ
咏(悔しい。寂しい。嬉しい。やっぱり悔しい)ジワ
咏(えりちゃんの笑顔が好きだ。えりちゃんの声が好きだ。えりちゃんの真面目なところも好きだ。怒ってるえりちゃんも好きだ)
咏(えりちゃんが、……)
咏「えりちゃんが、……すき、なんだよ……ッ!」ポロポロ
咏「でもっ…でも……っ!!」
咏「幸せそうなえりちゃんが…すき……で……っ……」
咏「えりちゃんを、幸せにできるのが、……私、じゃ……なく…て…ッ」
咏「ぅ……っ……ヒック……わかんねーよぉ!!」
咏「どーしたらいーの!?ねぇ、ふくよん!教えて……わかんねー……わかんねーよ……」
恒子「……………」
咏「たすけてよ……もー、どーにかなっちまいそーだ…」
恒子「………」グスッ
恒子「…ね、うたちゃん…」
咏「ぅ……?」
恒子「一回、思いっきり泣こ?…枯れるまで泣いてさ。…泣いたあとの自分に、全部丸投げしちゃお」
咏「……ヒック……それ……なんか、意味ある……?」
恒子「さぁ?……でも………でも……っ…」
恒子「今、私、が…グスッ…そうしたい、だけかも……っ」ジワ…
恒子「……っぅ……すこやん…ヒック…すこやーん……!…あいし、てる…ぞー……」ポロポロ…
恒子「うぅ…あいし、て…………ぅ、うぅぅぅ……!!」
咏「………いい…ね、それ………へへ」グスッ
咏「…えりちゃーん…だいすきだよー……ヒック…っ…あいし、てる……っ」
恒子「ぅ……うたちゃあああんっ…!!」ギュー
咏「ふくよおおん……!やばっ…いって、これ……グスッ…なみだ、とまんねぇ……」
恒子「わたしもだよおおおお!すこやあああん」
咏「えりちゃ………さみしいよ……えりちゃん……っ置いて、行くなよ……おまえには、…みひろぎ、えり…のが……」
咏「ぜーってー…あうっつーの……」
……………………
恒子「………おちついた?」グスッ
咏「……たぶん…ヒック…」
恒子「…目ぇ、真っ赤」
咏「…人のこと、言えるか?」
恒子「……いー大人が、なにしてるんでしょーね」
咏「だよ…なぁ……」
恒子「でも、さ………」
咏「……ん……」
恒子「ほんのちょっぴり、スッキリしたでしょ?」
咏「……まぁ、ねぃ」
咏「…なにが」
恒子「家ばっかじゃなくてさーたまには咏ちゃん家行ってみたいんだけど」
咏「…あン?」
恒子「トッププロ様なら、たっけー酒とか持ってんじゃないの?」
恒子「ヤケ酒で、開けちまおうよ」ニッ
咏「…………」
咏「……しゃーねーな」ニッ
恒子「うっし。ゴチっす!」
咏「とっておき、開けてやんよ」
恒子「後のことは、未来の自分に任せりゃいーのさ」
咏「…ふくよんってさー」
恒子「ん?」
咏「テストとか、一夜漬けするタイプだろ」
恒子「あ、バレた?」
数日後
健夜「ねぇ、これなんかどうかな?」
えり「ちょ、ちょっと露出が……」
健夜「ん~……じゃあ、これっ!」
えり「それは、派手じゃないでしょうか…」
健夜「むー。えりちゃんワガママ~」
えり「す、すみません」
店員「いいんですよ、ワガママで。一生で一番の思い出になるんですから、気に入ったものを着ていって欲しいですね」
健夜「そういうもんかぁ……」
えり「私だけでなく、健夜さんのも見ましょう?ね?」
健夜「えー……」
えり「えーって言われても…」
健夜「せっかくだから、先に見たいんだよ」
健夜「ウェディングドレス姿のえりちゃん!」
健夜「そーそー!」コクコク
えり「は、はぁ……」
健夜「じゃーあー、どーれがいいかな~♪」
えり「…………」ジー…
健夜「……あ……」
えり「?」
健夜「これ、どう?」
えり「…そ、それなら…いいかも…」
健夜「えりちゃんの好みにピッタリでしょ?」
えり「……ええ……素敵……」
健夜「さ、試着試着ぅ~♪」グイグイ
えり「あ、ちょっと…」
店員「畏まりました~」
えり「あ、あの…っ」
店員「ふふ…モデルがいいから、おめかしのし甲斐がありますね…」ジュルッ
えり「ひっ……」
店員「お肌も綺麗…肌が白いから、紅い口紅が栄えるでしょうね」スゥ…
えり「あ、あの、…ちょっと…」
店員「スタイルも……あら勿体無い!せっかくのプロポーションなのに、そんなカッチリした服じゃもったいないわ!」ナデナデ
えり「ど、どこを触っ……」
店員「お姉さんに任せて。…美味しくお料理してあげる」
えり「すっ健夜さん助けっ…ひゃあああああぅ!!?」
健夜「さーてと、自分の選ぶかな~」
健夜「ふふ、大丈夫ですよ」
~その頃
えり「じっ、自分でできますから!自分でできますからっ」
店員「動かないの…口紅がはみ出ちゃう」
えり「メイクだけでどうしてそんな顔を近づけるんですかああああ!!」
~戻って
健夜「多分あーゆーの、慣れてますから」
店員b「は、はぁ……」
店員b(慣れてるって、何?)
店員b「針生様にはどのようなものを?」
健夜「細身で、肩が出てて…フリルはあんまり無いけど、リボンをあしらった、シンプルなドレスを…」
店員b「なるほど…それなら、リボン系統でお揃い、なんていかがでしょう?」
健夜「なるほど…」
店員b「もしくは……そうですね。たまに、女性でもタキシードをお召しになる方が増えています」
健夜「タキシード?」
えり「……はぁ」ゲンナリ
店員「よくお似合いですよ~」
えり「…それは…どうも」
店員「ほら、あっちに全身見える鏡がありますから。ささっ」
えり「は、はぁ……」
店員「こちらになりま~す♪」
えり「どうも……、」
えり「………………」
店員「いかが?」
店員「ええ。正真正銘あなたです」
えり「……でも……」
店員「正真正銘、Dカップで白い下g」
えり「いやああああああっ!?///」
店員「…の、…あなた、ですよ」ニコッ
えり「うぐ……」
店員「…お綺麗ですよ」
えり「……ありがとう、ございます……」
えり「あ………」
えり「……………」
えり(き、緊張する……)ドキドキ
えり「すぅ……はぁ……」
えり「…よし」
カチャ
健夜「あ、えりちゃ――」
えり「健夜さ―――」
健夜「…………」
えり「…………」
えり「……………」ジー
店員「はいはいっ」パンパンッ
健夜・えり「「!」」ビクッ
店員「見とれてばっかりじゃいけませんよ?」
健夜「あ、えっと、そのっ!」
健夜「……凄く、綺麗……///」
えり「あ、ありがとうございます……///」
えり「す、健夜さんは、あの、その……」
えり「……何故、タキシード……?」
店員「」ズルッ
店員b「……」ニガワライ
健夜「だ、第一声がそれ?」
えり「えっ!?」
健夜「っ……ふふふ……」クスクス
えり「な、なんですかっ」
健夜「んー?…別に?」
えり「ぅ……」
健夜「タキシードはね、特別に着させて貰っただけなの。だから、式ではドレスだよ?」
えり「あ、そうだったんですか……」
健夜「……どうかな?」
えり「……素敵、です……」
健夜「……良かったぁ……」ニコッ
えり「………」
健夜「えりちゃん」
えり「え?わ、私?」
店員「これ、花束」ナゲッ
えり「あっ……とと、」キャッチ
店員b「はい、こっち向いて~」
えり「?」
店員b「はい、チーズ」パシャッ
えり「えぇっ!?」
えり「え、あ、きゅ、急にそんなこと言われましても…!」
健夜「つべこべ言わなーいっ」
店員b「もっとくっついてー」
健夜「はーい」グイッ
えり「あ……」
店員b「いきますよー1+1はー?」
健夜「にーっ♪」ニコッ
えり「……に」ニコッ
パシャッ
恒子「ねーうたちゃーん」
咏「おー。なにー?」
恒子「どーしよっかー?」
咏「……なーにがー?」
恒子「わかってるくせにー」
咏「…………知らんしー」
恒子「あのねーうたちゃーん」
恒子「私ねー、たしかにテストは一夜漬けだったけどー」
咏「おー」
咏「……おー」
恒子「そーゆーときは、ぜーんぶ友達に教えてもらってさー」
咏「それがどーかしたんー?」
恒子「……今がその時なわけよー」
咏「……わかんねー」
恒子「えー」
咏「つまりどーゆーことなのさ」
恒子「…えっとー」
咏「……おー」
恒子「あと…3日とか、そのくらいなわけさー」
咏「…そう、だっけー。知らんけどー」
恒子「行くか行かないかはさー」
咏「おー」
恒子「全部、咏ちゃんに任せるねー」
咏「おー………お?」
咏「…ナニ言ってんの、ふくよん」
咏「そりゃお前、私だって…」
恒子「…どっち選んでもさー……いいんだよ、私は」
咏「…………」
恒子「ただ、両方にケジメがつかないだけなんだ」
恒子「……二つの選択肢、私は…ケジメさえつけば、どっちもできる」
恒子「ただ、…キッカケが欲しい。それだけなんだよ」
咏「ふくよん……」
咏「……………」
恒子「どっち選んでも…文句は言わない。むしろ…ごめん」
咏「……………」
咏「………ったく、何勝手に話進めてくれちゃってんだよ………」ポリポリ
恒子「……ごめん」
咏「…謝られてもねぃ」
恒子「……でも、ごめん……」
咏「………………」
咏(すこやんと、……えりちゃんの……結婚式…)ズキッ
咏(行って、祝福するか……)
咏(それとも……)
咏(………………)
小鍛治健夜・針生えり 結婚式に……
A.行く
B.行かない
少し長めに>>397まで多数決
分からんけど、咏ちゃんの台詞と、やっぱり参加してほしいし、A
咏「……あんなとこ、行かねーよ……」
恒子「………ういっす」
咏「あの二人の結婚なんか、誰が祝福なんてするもんか」
恒子「…………?」
咏「……いいか?私たちは結婚式なんて行かない。ただ……」
恒子「……ただ?」
咏「……花嫁に、用があるから、偶然通りかかるだけだ」
恒子「……!!」
咏「決めてんだよ…えりちゃんには」
咏「三尋木えりのが、似合うんだ」ニッ
咏「…ここで行かなきゃ、女が廃るってんだ」
咏「イカリングの借りも、あるしねぃ」
恒子「…………」
咏「っつーわけだ、ふくよん」
恒子「…………」
咏「どうする?止めるなら今のうち…」
恒子「……誰がやめますか」
恒子「ここで行かなきゃ女が廃る!着いていくよ、咏ちゃん!」
咏「……サンキュー、ふくよん」
恒子「……こちらこそ」
ギュッ
式 当日
えり「……………」ソワソワ
えり「……………」ソワソワ
係員「どうされたんですか?」
えり「あ、いや、その……」
えり「なんだか、落ち着かなくって…」
係員「ふふ…大丈夫ですよ」
えり「へ、変じゃないですか…?」
係員「ええ。お綺麗ですよ」
えり「そ、そうですか……?」
係員「もちろん」
えり「……………」ソワソワ
係員「……ふふ」クスクス
えり「う…ぅぅ……///」
健夜「……………」ソワソワ
健夜「……………」ソワソワ
係員B「そんなに緊張なさらないで」
健夜「えっ…えっと……」
健夜「…はい、そうですね…緊張してます」
係員B「あなたがそんなじゃ、お相手も不安になってしまいますよ?」
健夜「そ、そうはいっても…」
係員B「深呼吸して?」
健夜「すぅ…はぁ……」
係員B「少しは落ち着いた?」
健夜「…あんまり」
係員B「…あらま」
健夜「ここが…………」
健夜(ここが、ヴァージンロード……ってやつかぁ……)
健夜父「…健夜」
健夜「ん?」
健夜父「…幸せになれよ」
健夜「…うん、絶対に…幸せになるよ」
「新婦の入場です」
健夜「!」
えり父「えり…綺麗になったなぁ…とーさんは、とーさんは嬉しいぞぉ……!」
えり「…お父さん、ちゃんとエスコートして。…あと、恥ずかしいから」
えり父「うぐぐ、中身は変わらないなぁ…」
えり「……ったくもう」
えり「……あ……」
健夜「…………」ニコッ
えり「……ドレス……」
健夜「えりちゃんには、初お披露目だね」
えり「当日までのお楽しみ、とか、言ってましたね」
健夜「……どう?」
えり「……お綺麗です」
健夜「……その言葉が、聞きたかったんだ」
健夜「……ふふ」
えり「?」
健夜「えりちゃん、歌上手だね」
えり「…健夜さんは、低い音苦手ですか」
健夜「よくわかったね?」
えり「…まぁ、なんとなく」
神父「ゴホンッ」
健夜「おっと」
えり「!」
神父「……では、始めましょうか」
健夜「はい」
神父「あなたは針生えりさんを妻とし、共にその生涯を送りますか。あなたは、この女性を愛し、慰め、敬い、支えることを誓いますか」
健夜「…誓います」
神父「針生えりさん」
えり「…はい」
神父「あなたは小鍛治健夜さんを妻とし、共にその生涯を送りますか。あなたは、この女性を愛し、慰め、敬い、支えることを誓いますか」
えり「…誓います」
神父「では、誓いのキスを……」
えり「は、はい……」
スッ…
えり「健夜、さんも……」
健夜「お願い」
スッ…
えり「…………」ドキドキ
健夜「えりちゃん?」
えり「……?」
健夜「愛して―――」
バンッ
恒子「その結婚!」
咏「ちょっと待った」
健夜「…………は?」
えり「…………へ?」
健夜「え、な、ちょ、こーこちゃん!?」
恒子「おー、おーおーおーすこやーん!似合うよ~」
健夜「あ、ありがと…じゃなくて!」
えり「み、三尋木プロまで!?一体なにを!」
咏「おっすえりちゃん!なになに?キレーだねぃ~ウチに嫁に来ない?」
えり「何言ってるんですか!?」
咏「とりあえず……そんじゃ、さっそく」
恒子「いっときますか」
はやり『…まぁ、一応…クッキーの効果を無くす方法は教えておくけど……』
はやり『……するかどうかは、アナタ達次第だからね』
恒子「さーて、すこやん?」
健夜「いやもうほんとに意味わからないんだけど!何これっ!?ドッキリ?」
はやり『まず!クッキーには神様頼りなところがあるって言ったでしょ?』
咏「えっりちゃ~ん♪」
えり「何しに来たんですか!?」
はやり『だから、解くにも神頼み…というか、誓いが必要なの』
咏「ん~と、強いていうなら…」
咏「花嫁泥棒?」
咏「そうそう」
恒子「やっぱ、諦めてきれなかったもんで」
健夜「なにが?」
恒子「……すこやん」
はやり『その誓いを口にして…』
咏「えりちゃん……」
健夜「え、あの…ちょ、ちょっと、」
えり「な、なに…なにを、する気でっ……」
はやり『唇を、重ねればいい』
チュッ
はやり『そうしたら…クッキーによって起こされた恋愛感情は……』
健夜「ぁ……え……?」
えり「…ぁ……」
ドサッ…
はやり『すべて、失われる』
……………………
………………
…………
えり「……ん……」
えり「……あれ……ここ……?」
咏「おはよう、えりちゃん」
えり「え……?」
咏「…おはよ」
えり「みひろぎ、ぷろ……いッ…つつ…」
咏「ダメだよ、まだ安静にしていないと」
えり「えっと…ここは、どこですか?」
咏「病院。…えりちゃん、倒れたんだぜ?」
えり「た、倒れた……わたしが?」
咏「おうよ」
咏「…………」
えり「たしか………私は、……あれ?式場に、いた…?どうして?」
咏「…………」
えり「……あ……」
咏「…………」
えり(左手の、薬指に…指輪…。じゃあ、式場で、結婚式をあげていたのは……)
えり「私と………誰、だっけ……」
咏「…えりちゃん…」
えり「ええと……?」
健夜「………ふにゃ?」
恒子「あ、起きた?」
健夜「ん~……あれ、こーこちゃ………ここどこ?」
恒子「病院のベッド。すこやんったら急にぶっ倒れるんだから~」
健夜「え?……そ、そうだっけ」
恒子「そうそう」
健夜「そうな……いっ…つぅ……」
恒子「大丈夫?」
健夜「ん…なんか、頭…いたくて…」
恒子「倒れた時に打ったのかなぁ」
健夜「わかんない……何かを思い出そうとすると、霧がかかったみたいにモヤモヤして……フワフワしてる……」
健夜「もうちょっとで思い出せそうなんだけど……」
健夜「なんか……ノドに突っかかってると言うか……ここまで来てるんだけど、出てこないというか……」
恒子「アルツハイマーってやつ?あれたしか歳を取るとかかりやすく……」
健夜「そんなに歳行ってないよ!!」
恒子「……………」
恒子「……やーい、アラフォー」
健夜「アラサーだよ!って何急に!?」
恒子「……ううん」
健夜「……こーこちゃん……?」
恒子「…先生に、すこやんが目覚ましたこと報告しなきゃ」カタン
健夜「あ、ああ…そっか。お願い」
恒子「うん。………すこやん」
健夜「…………?」
恒子「……ごめん」
健夜「何が?」
恒子「あと、…………」
恒子「おかえり、なさい……っ」
健夜「え?……えーっと……」
健夜「ただいま?」
咏・恒子「「はぁ………」」
咏・恒子「「!」」
恒子「……針生さんは?」
咏「目ぇ覚ました。…今はまだ、そっとしておこうと思ってさ」
恒子「……そ、っすか。なるほど」
咏「そっちは?」
恒子「瑞原プロが言ってたやつ。…混乱してるみたい」
咏「恋愛感情がなくなっても、記憶は失くならない…」
恒子「ただ、少し思い出しにくくなるだけ……」
恒子「かなり長い期間、コイビトやってましたからね。…記憶がなくなるーとかは、無理なんでしょうよ」
咏「……どうするよ」
恒子「………これはこれで、なんとか、ね。……咏ちゃんの……自分の選んだ答えがハズレなんて、絶対イヤだし」
咏「……あーあ。わっかんねーなー」
恒子「なにが?」
咏「そりゃあ……愛だの、恋だの、さ」
咏「答えなんて、ねーんだろーけどさ」
恒子「…それでいーんじゃないの?」
咏「ん?」
恒子「いつか、わかるんじゃないかな。多分」
咏「……またあれか。お得意の」
咏・恒子「「未来の自分に、丸投げ」」
咏「…………」
恒子「…………プッ」
咏「っ……ククク……」プルプル
咏「あはははっ!なーにやってんだろーねぃ!」ケラケラ
恒子「ぷくく…すっげーよ、花嫁泥棒なんてしちゃったよ」クスクス
咏「どんだけガチなんだよってねぃ!」
恒子「もーめちゃめちゃ怒られるんだろーなー!」
咏「そりゃそーでしょー、もうさ、バカだよ。私たち」
恒子「バカで上等。いーじゃないの。バカで」
咏「それもそっかぁ!」
看護師「あの、病院内ではお静かに…」
咏「おぅふ」
恒子「す、すんません…」
コンコン
えり「はい?」
?「しつれーします☆」
えり「あ……瑞原プロ」
はやり「はぁい、えりちゃん☆」
えり「どうも」
はやり「体、大丈夫?」
えり「ええ、もうすぐ退院できるそうで」
はやり「そっかぁ☆えーっとぉ、えりちゃん?」
えり「はい?」
はやり「…すこやんの病室、一緒に来てくれない?」
えり「…!」
はやり「…二人に、謝らないといけないことがあるの」
えり「……………」
はやり「ごめん……私……」
えり「……わ、……わかり、ました……」
えり「…いつかは、会わなければいけませんから…」
はやり「えりちゃん……」
えり「…………」ギュゥ
はやり「しつれーします☆」
健夜「あれ、瑞原さん!来てくれたの?」
はやり「うん☆それと…」
えり「……失礼、します」
健夜「あ…………」
えり「……こんにちは。…健夜、さん…」
健夜「えり…ちゃん…」
えり「……お体の具合は、どうですか?」
健夜「う、うん、ボチボチ…かな。そろそろ退院、できるみたい。…えりちゃんは?」
えり「私も……」
健夜「そ、そっか……よかったね、お互い」
えり「ええ………」
はやり「………あーんもーッシメっぽぉい!はやりこういうのムリーッ!」
健夜「は、はひっ!?」
はやり「えりちゃんッ!」
えり「は、はいっ!」
はやり「ごめんなさい!!」ペコッ
健夜・えり「「…………え?」」
~~~~~~~
健夜「………惚れ薬入りクッキー!?」
えり「そっそんなオカルトがあるわけっ」
はやり「…事実、体験したでしょ?お・ふ・た・り・さん☆」
えり「……あ……」
健夜「…………そっか」
健夜「……………///」
はやり「およ?」
えり「な、なんと、言いますか…」
健夜「……えっと、…えりちゃん!」
えり「は、はいっ」
健夜「あ、あの…たしかにね、瑞原さんの言うとおり、前みたいな、その……恋愛感情は、残ってないんだけど……」
えり「……はい」
健夜「でもっ、でもね!楽しかった!だから、だから……」
健夜「後悔だけはっ……したく、ないし…して、ほしくも……ないの」
えり「……はい。……私も……同じ、気持ちです」
健夜「だから……だから、」
えり「…それ、以上は……言わないでください。わかっていますから…」
健夜「……ぁ…うん……そう、だね……」
健夜「………」
えり「たとえ、偽物の感情だったとしても…私は、幸せでした…」
健夜「……うん……私も、…幸せだった…」
えり「だから……謝らないで……私も、謝らない、から……」
健夜「…………うん」
えり「今まで、本当に…ありがとうございました…健夜さん」
健夜「……こちらこそ。えりちゃん」
はやり「……ところでぇ~……」
えり「ふぁいッ!?」ビクッ
健夜「あれ、まだいたのッ!?」
はやり「…はやり、泣いちゃうぞ?」
えり「まだ問題は沢山残っていますがね…」
健夜「お父さんとお母さんになんて言おう…」ズーン
えり「……携帯電話を見るのが怖い…」プルプル
健夜「帰りたくない………」ドンヨリ
はやり「だぁかぁらぁ!はやり、まだ言ってないことがあるんだけどぉっ!」
えり「まだなにか?」
健夜「ていうかさ、もっと早く言ってよ…瑞原さん」
えり「そうですよ。早く言ってくだされば良かったのに」
はやり「あぁんっイタイとこ突かれたァ~…」
はやり「クッキーの効果を解くなんて思わなかったしぃ……」
健夜「………効果を、……解く……?」
はやり「あ、そうそう、その話ね。二人は、いつ効果が解かれたかわかる?」
えり「倒れる…直前?」
はやり「それって?」
健夜「……あ……」
はやり「…クッキーの効果を永遠にするためには、神様の前で…誓いのキスをすればいい」
はやり「逆もまた然りで…クッキーの効果を解くためには、神様の前で…誓いを」
咏・恒子『『愛してる』』
チュッ…
健夜「え………」
えり「な………」
健夜・えり「「えええええええええ!?///」」
健夜「だって、こ、こーこちゃんが、そんな、いやだって、えええええ?」
はやり「え?それ本気の反応?」
えり「そりゃそうですよ!だって、そんなわけ、ねぇ!?」
健夜「そー!そうそうそう!」コクコクコク
はやり「……ありゃりゃ……☆」ハー
はやり「あのねぇ…結婚式邪魔してまであの二人、クッキー魔法解除したかったんだよ?」
はやり「神様の前で、って条件だったからあの日あの時を逃したらチャンスはなし」
はやり「あの二人なりに考えた結果が、アレ。……ここまで言って、まだわからないかな?」
健夜「うぐ………///」
えり「ぅぅ………///」
えり「…………」
健夜「…………」
はやり「……ごめん。はやりが、説明書読むのを面倒くさがったばっかりに、こんなこと……」
はやり「正直、謝っても謝りきれないんだけど……」
えり「そう、ですね…」
健夜「じゃあ…罰ゲームでもしてもらおうかな……」
えり「あー。それでスッキリするなら、まぁ」
はやり「え゛」
健夜「そうだなぁ……」
えり「あ、あれなんかどうですかね」
健夜「なになに?」
えり「えっと……」コソコソ
えり「ま、ちょうど良いんじゃないですかね」
健夜「そうだねー」
はやり「は、はやりは、何をするのかなー?☆」ドキドキ
えり「えーっと、瑞原プロ」
はやり「は、はいっ」
健夜「今すぐ、好きなヒトに愛の告白をしてきてください」
はやり「………へっ」
えり「クッキーの力なんて借りずに、会って直接目を見て、自分の気持ちを正直に言ってきてください」
はやり「ええええっ!?でもっそんなっ」オロオロ
えり「行ってらっしゃいませ」グイグイグイ
はやり「ち、ちょっと、押さないでっ…」
健夜「良い報告、期待してますよー」
はやり「そんn」
パタンッ
えり「……よし」
健夜「ふふ。恋には恋で制す?」
えり「なんですか、それ」
健夜「恋に笑うものは恋に泣け、みたいな」
えり「……つまり?」
健夜「クッキーなんて反則使わないで、少し、味わったほうがいいよね。…恋の、ツラさを」
えり「………」クスッ
えり「いや、ホント……見かけによらず、いい性格をしていますよね」クスクス
健夜「…この罰ゲーム考えたのはえりちゃんだよ」
えり「そこまで深く考えていたわけじゃありませんから」
健夜「む」
えり「………さて、と」
健夜「?」
えり「…私も、勇気を出してみようかな」
健夜「……ああ……」
健夜(……咏ちゃん……か……)
えり「あぁ…嫌になっちゃう」ドンヨリ
健夜「そんなに?」
健夜「まぁ、それはね……」
えり「どう言えば良いんでしょうね…」
健夜「……自分の、正直な気持ちを言えばいいんだよ」
えり「正直な……言えるかなぁ……」
健夜「もう、さっき瑞原さんに自分で言ってたじゃない」
えり「あ、あれはまた少し違いますよ」
健夜「そう?同じなんじゃないかな?」
えり「…そうですかぁ?」
健夜「そうそう。……あの、なんでそんなに疑うのかな」
健夜「えりちゃんを疑うようなこと、しないと思うけどなぁ」
えり「…それは…でも、これは、少し種類が違うじゃないですか」
健夜「種類?」
えり「なんというか…オカルトチックな…」
健夜「?…クッキーのことだよね?」
えり「ええ」
健夜「知ってるんじゃない?」
えり「え?」
健夜「だって、解き方知ってたし」
えり「……あの。誰の話してます?」
健夜「えっ?」
えり「えっ?」
えり「いや、あの…私がしていたのは、両親の話で…」
健夜「えっ」
えり「…携帯電話の電源を入れたら、メールとか着信…凄いことになってそうだなぁ…と」
健夜「あ…っ……」
えり「……………」
健夜「……………」
えり「………っ…ふふふ…」クスクス
健夜「プッ…あははははっ」
えり「すごい、会話が噛み合って……」クスクス
健夜「もう!早く言ってよぉ~」
えり「健夜さんが早とちりしただけですー」
えり「涙目、なってますよ?」
健夜「えりちゃんが泣かせたー」
えり「何を言ってるんですか、もう」
健夜「ふふ。……えりちゃん」
えり「はい?」
健夜「ありがとう、…大好きだよ」
えり「……ええ。私も好きです」
健夜「……私たち、親友だね」ニコッ
えり「…もちろん」ニコッ
えり「うぐ……まぁ、あれは、その」
健夜「コイビトが出来たら一番に教えてね?えりちゃんの弱いところ、全部伝授するから」
えり「なッ!?///」
健夜「まずはー唇のここをー」
えり「ちょ、ま、やめっ」
健夜「舌で、こう…」
えり「いやぁああぁああぁ!!!///」
看護師「あの、病院内ではお静かに」
えり「すっすみません!」
健夜「ほらーえりちゃん注意されちゃったー」
えり「誰のせいでっ……うぅー……っ!」
退院 当日
えり「お世話になりました」ペコッ
健夜「ありがとうございました」ペコッ
医師「お大事に」
咏「おっ!えりちゃーん!」
恒子「すこやーん!」
えり「あ…」
健夜「咏ちゃん…こーこちゃん…」
咏「退院おめっとー!」
恒子「むっかえに来ーたよーっ♪」
えり「あ……わざわざ、ありがとうございます」
健夜「ありがとう、こーこちゃん」
恒子「なんのなんの」
健夜「お邪魔しまーす」
咏「ほれっえりちゃん!となりっ!」ポフポフ
えり「は、はぁ……」
恒子「んじゃ、シートベルト締めたー?」
咏「オッケェイ!」
恒子「んじゃ、しゅっぱーつ!」
咏「ひゃっはー」
えり「………三尋木プロ?」
咏「んー?なになに?えりちゃん」
えり「別に良いですよ?」
咏「なーにがぁ?」フリフリ
咏「げっ」
えり「……不器用ですね」クスッ
咏「………知らんしー……」
えり「なにか言うことは?」
咏「うぐ……」
健夜「こーこちゃんも、なんか無いかなー?」
恒子「む………」
咏「…ちぇー、スッキリした顔しやがって。どこまで知ってる」
えり「さぁ?」
咏「むむむ……」
えり「……本当に反省してます?」
咏「反省はしてるぜ?…後悔はしてないけどな」
えり「……貴女って人は」ハァ
咏「知らんしっ」プイッ
恒子「私からも…ごめんなさい」シュン
健夜「……おお」
恒子「な、なにさ」
健夜「こんなにショゲたこーこちゃん、初めてみた」
恒子「…結構、反省してるんだよ…?」
えり「ですって。三尋木プロ?」
咏「だからっ反省してるっつーのっ!」
えり「なに、とは?」
咏「なんだ、その……酷いこと、しちゃったから……」
恒子「…………」
咏「……どんな罰でも、受ける……よ」
恒子「…うん。なんでも、する」
えり「…罰、ですか」
健夜「どーしよっか?」
えり「そうですねぇ……」
咏「…………」グッ
恒子「…………」ドキドキ
健夜「……ねぇ、こーこちゃん?」
恒子「なっ…なに?」ビクッ
恒子「ぐっ」グサッ
えり「…両親には顔向けできないし?」
咏「ぐはっ…」グサッ
健夜「挙句入院させられてるし?」
恒子「おぶっ」グサグサッ
えり「…携帯電話が凄いことになってるし?」
咏「アウチッ」グサグサッ
健夜(えりちゃん…両親が苦手なんだろうか…)
えり「なによりも、…幸せな新婚生活が全部、パァですし?」
咏・恒子「「ひでぶっ」」グサグサグサッ
恒子「ほんっと、申し訳ないっす…」
えり「………ふふ」クスッ
健夜「でもね、よく考えたの。今、私達には恋愛感情はなくて…結婚もナシ」
恒子「…聞いたの?クッキーの話」
えり「ええ。瑞原プロが」
咏「はやりん…」
健夜「…それでさ、一番最初と比べて何を失って、何が残ったと思う?」
恒子「………?」
えり「私と健夜さんがこ、……こ、コイビト……にっなる前…です!」カァ
咏「そりゃあ、……ん?」
健夜「…何にもなくなってないでしょ?」
恒子「え?ほんとに?」
咏「えっと……多分?わかんねーけど」
えり「多少あったとしても、基本何も失っていないんです。でも…」
健夜「騒動のあと、私とえりちゃんはもっと仲良くなれた」ニコッ
えり「……………」ニコッ
健夜「そりゃあ、時間とか、あとは物理的なものは変わったかもしれないけど…」
健夜「私達は、ほとんど振り出しに戻っただけ」
えり「私たちの誰も悲しまない、一番良い状態だと思いませんか?」
咏「……それで、いいの?」
えり「ええ。私たちは、私たち。これまでも、これからも」
恒子「…………」
咏「……………」
恒子「……うん。違うよ」
健夜「え……?」
えり「…………」
咏「勝手に仲良しグループにされちゃ、あんなことまでした意味がねーんだ」
恒子「そーそー。…ま、言ってくれたコトは嬉しいけどね」
健夜「……こーこちゃん……」
咏「さっきも言ったけどさ…後悔だけは、したくねぇんだ」
えり「……三尋木プロ……」
健夜「!」
咏「えりちゃん!」
えり「っ……」
恒子「私、すこやんのことが――」
咏「ずっと、えりちゃんのことが――」
咏・恒子「「好きd」」
パァァァァァァァァァ!!
恒子「いッ」ビクッ
健夜「うぁ!?」
えり「えっ」
「おいっ信号とっくに変わってんぞ!」
恒子「えっ!ぇ、あ!すっスミマセーン!!」
咏「…………」
えり「…………」
健夜「…………」
咏「てめー、ふくよん……」
恒子「……あはは……ヤバイヤバイ」
健夜「こーこちゃん……ちょっとどうかと思うよ……?」
えり「…………」プルプル
恒子「笑わないでくださいよー、ちぇー。どっかで止めりゃー良かった」
えり「だって、もう…四人もいて、だれも…気づかな……っっ……」クスクス
健夜「……ふっ……くく……」クスクス
恒子「ちょっとすこやんまで!?」
健夜「っ、ごめ……感染して…あはははははっ!」
咏「あっははー」ケラケラ
恒子「ちょっと咏ちゃんまで!?酷くね!?」
えり「ふふ…ええ、楽しいです」ニコッ
咏「まぁねぃ~♪」
恒子「ちょっとー私も楽しみたいー」
健夜「そんじゃ、このまんまどっか行こうよ」
咏「おー良いんでね~?」
えり「もう、シリアスな空気はどこへやら…」
健夜「一番最初に笑ったのはえりちゃんだよー」
えり「そうでしたっけ?」
咏「そーそー」
健夜「なーに?えりちゃん」
えり「私、今…幸せです」
健夜「…うん。実は、私も」ニコッ
咏「なーなーふくよーん」
恒子「なんすかもう…どーせ私はちゃんと前見ないでクラクション鳴らされるドライバーですよーっと」
咏「そうショゲんなよ。気づかなかったこっちも悪かったって」
恒子「ちぇー」
恒子「ん?」
咏「…どっちが先に結婚するか、勝負しねぇ?」
恒子「……ほほう?」
咏「どうよ」
恒子「いいねぇ…その勝負、受けて立つ」
咏「…ま、勝つのはこっちだけどねぃ?」
恒子「何を仰る、スーパーアナウンサー舐めるとイタイ目見るぜ?」ニッ
咏「上等だ」ニッ
prrrrr
えり「あ、私の携帯ですね……」ピッ
えり「え、ぁ、瑞原プロ?ちょっと、声のボリュームを……え?本当ですか!?おめでとうございます」
健夜「瑞原さん?」
えり「ええ、…例の罰ゲーム、なんとオーケーを貰ったそうで」
健夜「え、ホントに!?」パァ
えり「瑞原プロ、クッキー使ったりなんかしてませんよね?……ふふ。冗談ですよ。…あ、健夜さんならすぐここに…代わりますか?」
えり「…あ、はい。わかりました、伝えておきますね。…いいえ、私は何もしていませんよ。…はい、……はい。本当におめでとうございます」
健夜「なんだって?」
えり「“色々ありがとう、はやり、幸せになるね”…と」
健夜「ふふ…素敵だね~♪」
えり「あ、それと……瑞原プロ」
えり「結婚式には、呼んでくださいね?」
おわり
とてもすばらでした
すごい面白かった!
皆様支援応援ありがとうございました
お昼食べてきて、スレが残ってたら
>>389の分岐をやろうかな…
Entry ⇒ 2012.11.14 | Category ⇒ 咲-Saki-SS | Comments (0) | Trackbacks (0)
魔法少女まどかフロンティア 5
魔法少女まどかフロンティア 5
麒麟「まず、最初にお話ししておきましょうか」
麒麟「アセルスさんは、妖魔の君オルロワージュに打ち勝ちました」
まどか「ほ、本当に!?」
ほむら「……人間として?」
麒麟「はい。驚くべき事ですが」
ほむら「……そう、よかったわ」
まどか「やった! アセルスさん! 勝ったんだよ、ほむらちゃん!」
ほむら「そうね、強い人だわ」
まどか「ほむらちゃん、もっと喜んでもいいんだよ~?」
ほむら「……」
まどか「あ、もしかして泣きそう?」
ほむら「ち、違うわ!」
まどか「大丈夫だよ。私が受け止めてあげるから!」
ほむら「……その時は、元の大きさに戻してくれる?」
まどか「駄目。もう少し私の手の内に!」
麒麟「……」
麒麟「零姫とは古い友人。ここで匿っていたこともありました」
ほむら「ああ、オルロワージュから……」
まどか「それじゃあ、ここにいる子どもたちも、誰かに追われているんですか?」
麒麟「いえ、あの子たちは訳あって身寄りの無い境遇なのです」
麒麟「私は彼らを引き取って育てています」
まどか「そうだったんですか……」
ほむら「なんて良い人、いえ良い麒麟」
麒麟「それほどでも」
ほむら「……それもしかして広まってるの?」
麒麟「いえいえ、私は空術を司る身。トッキーとは相反する立場ですが、それゆえつながるところもあります」
ほむら「トッキーって……」
まどか「絶対仲いいでしょ」
麒麟「何を言うのです。トッキー&麒麟は相容れないものです」
まどか「……」
ほむら「突っ込んだら負けね」
ほむら「もしかして、問題あった?」
麒麟「いえ、これは定めというものでしょう。あなたの選択を私も受け入れました」
ほむら「……そう」
麒麟「それで、先日私のもとにブルーと名乗る若者がやってきました」
ほむら「ブルー……。ルージュさんの双子の片割れ……」
麒麟「空術の資質を与えろと、随分殺気立った様子でしたが」
まどか「……」
ほむら「資質、あげたの?」
麒麟「はい。ブルーも驚いていたようですね」
まどか「戦わずに済んだんですね……」
麒麟「ええ。平和裏に終わった事は、喜ぶべきでしょう」
まどか「で、でもルージュさんとそのブルーさんが資質を揃えたってことは……」
ほむら「……雌雄を決する時が」
まどか「……」
麒麟「ふむ、あなたたちの方が事情に通じているようだ」
ほむら「どういう意味?」
麒麟「時術と空術を、あの双子にもたらしたのはあなたです。その意味はあなたが見届けるべきなのです」
まどか「それって、ほむらちゃんが二人の戦いを……」
麒麟「いえ、それはもう終わった事」
ほむら「終わった? まさか……」
麒麟「決着は既に。ですが結末には未だ至ってはおりません」
まどか「ちゃんと教えてください!」
麒麟「……ですから、見届けるべきなのですよ。ほむらさん」
麒麟「行きなさい、宿命の場所に!」
ほむら「!」
まどか「!」
まどか「ほむらちゃん!? ほむらちゃんをどこにやったんですか!?」
麒麟「心配なさらず。すべてが終われば、またここに呼び戻します」
まどか「で、でもほむらちゃんちっちゃいままですよ!?」
麒麟「あ」
まどか「あ、じゃないですよ!? 早くほむらちゃんを返してください!」
麒麟「は、はい。すぐに……」
麒麟「……?」
まどか「ど、どうかしたんですか?」
麒麟「……これは、干渉できない? 時術と空術、それに魔術の類い……」
麒麟「こんなことができるのは……」
まどか「何物憂げになってるんですか!」
麒麟「痛! 待ってください! すぐになんとかしますから!」
…………
マジックキングダム
魔法科学の発達したリージョン
多くの術士が暮らす
地下には……
ヒューズ「おいおいおい、どうなってんだよ!?」
ドール「無駄口たたいてる場合!? 死にたいの!?」
ヒューズ「これが黙ってられるかよ! 何だ、何があった?」
ラビット「マジックキングダム地下から、多数のモンスターが出現している模様。詳細は不明です」
サイレンス「……!……!」
ヒューズ「しゃべれや!」
コットン「キュ!」
ドール「一般人の退避が済むまで、ここは絶対に抜かせないで!」
ヒューズ「こんなもん、IRPOだけで対応できるか!? 軍はどうした!」
ドール「モンドの余波で、なかなかすぐには動かせないわ。トリニティも最近騒がしいみたいだし」
ヒューズ「冷静に言いやがって……。こんな時でもアイシィドールかよ」
サイレンス「……! ……!」
ヒューズ「だからお前、声……」
サイレンス「……??」
ヒューズ「何だ? 頭?」
ヒューズ「おい、何だよ」
ドール「……あなたの頭の上、妖精がいるわ」
ヒューズ「ああ!? お前大丈夫かよ?」
ドール「いや、だって……」
ヒューズ「え、待てよ。マジなのか?」
コットン「キュ?」
ほむら「あのー、こんにちわ……」
ヒューズ「おい、ラビット」
ラビット「現在照合中……。確認、暁美ほむらです」
ヒューズ「いや、そうじゃなく、これが幻覚じゃないかっていう……」
ヒューズ「暁美ほむら?」
ほむら「……よ、よろしくお願いします」
サイレンス「………」
ヒューズ「はああああ!?」
ほむら「あの、あなたたちは私のことを……?」
ヒューズ「ああ、知ってるぜ。俺らはIRPOだからな!」
ほむら「IRPO……。麒麟さん、何してくれてるのよ……」
ヒューズ「まさかの妖精サイズか……、見つからない訳だぜ……」
ドール「ヒューズ、後にして! 敵が来る!」
ヒューズ「くそっ、何でこんな時に!」
ラビット「残弾、ありません。支給願います」
ヒューズ「こっちも無いんだよ! 我慢しろ!」
ドール「このままじゃ、ヤバいわね……」
ほむら「ちょ、揺らさないで! 先に私降ろして!」
ヒューズ「待てよ……」
ドール「ヒューズ!」
ヒューズ「暁美ほむら、お前モンドからぶん捕った武器、まだもってんのか?」
ほむら「ええ、まあ」
ヒューズ「……俺らに協力するつもりは?」
ほむら「協力すれば、私はIRPOから追われないのかしら」
ヒューズ「それは虫がよすぎる……が!」
ほむら「が?」
ほむら「何言ってるの?」
ヒューズ「そして行方をくらましたのは、なんか縮んだからだ……」
ヒューズ「行ける、行けるぞ! 何なら減給取り消しもいける!」
ほむら「……なんとなく、読めてきたわ」
ヒューズ「……話は聞いた通りだ。お前は武器と口裏合わせ、俺は代わりにお前を無罪放免にする」
ドール「ちょっと! そんなこと許されるわけが……」
ヒューズ「ほむら、どうする」
ほむら「……受けましょう。このままじゃ私も危ないし」
ヒューズ「よし、契約は成立だ。お前は俺のティンカーベル的な何かとして、武器を提供しろ!」
ほむら「……契約って言わないで」
ほむら「それじゃあ、どうぞ」
ヒューズ「うお!? 頭にバズーカ!?」
ほむら「仕方ないじゃない。今の私じゃ手渡しなんてできない」
ほむら「はい、次」
ヒューズ「いやだから頭に……」
ヒューズ「……リーサルドラグーンか。良い趣味だぜ」
ドール「全く勝手なことばかり……」
ほむら「ああもうまどろっこしいわ。適当に出すから、適宜拾って頂戴」
ヒューズ「!? お、おいやめろ! 俺の上で……」
ドール「武器に埋まった……」
「封印が破られた……」
「すべてははじめから、このために」
「俺、いや僕の人生の意味は……」
「……」
ヒューズ「ヒャッハー!! 撃ちまくれ! ぶっ壊せ!」
ほむら「は、走らないで!」
ヒューズ「ぐお!? お前、髪を引っ張るな! ハゲたらどーすんだ!」
ほむら「うるさいわ! あなたなんてハゲたら良いのよ!」
ヒューズ「! 新手だ! 武器プリーズ!!」
ほむら「武器パス!」
「……いや、あれは」
「ふふ、二代目、また会えたね」
ヒューズ「おい、なんかデカいのはねーのか? ドールとコットンが囲まれてる」
ほむら「……じゃあ、ハイペリオンを」
ヒューズ「うお!? こんなもんまで!?」
ほむら「そして、タイムリープ」
ヒューズ「……お前何者なんだ?」
ほむら「……あなたの部下じゃなかったかしら」
ヒューズ「はっ、食えないガキだぜ」
ほむら「え、あなた知らないの?」
ヒューズ「パトロールは陽子ロケットなんて使いません!」
ほむら「中学生でも知ってるのに……」
ドール「言ってる場合? 早く援護を!」
コットン「キュキュ!」
サイレンス「………!」
『ヴァーミリオンサンズ』
ヒューズ「うお!?」
ほむら「ルビーがモンスターを圧殺していく……」
ドール「……あなたの術?」
ほむら「いえ、私じゃない」
サイレンス「………!」
ほむら「いやグッジョブじゃなくて。私じゃないってば」
「皆さん、ありがとうございました。後は任せてください」
ヒューズ「誰だ?」
ルージュ「うん、ルージュだよ。ブルーでもあるけれど」
ほむら「……勝ったの?」
ルージュ「勝った。だけどもうそれはいいんだ」
ほむら「?」
ルージュ「すべては、仕組まれた宿命だったから」
ほむら「ルージュさん?」
ルージュ「……地獄を滅ぼす」
ヒューズ「は? 何言って……」
ルージュ「この命に代えても」
ほむら「ルージュさん! あなたの宿命って……まさか!」
ルージュ「最強の術士を生み出すための、茶番だよ。僕が幕を引く」
ほむら「あなたは……」
ルージュ「君たちとの昼食、楽しかったよ。きっとあれが僕とブルーの差だったんだろう」
ほむら「……」
ドール「止めようにも、無理ね。術士のレベルが違う……」
ラビット「民間人の退避を確認しました」
サイレンス「…………」
コットン「キュキュ!」
ほむら「……パトロールにも敬礼ってあるの?」
ヒューズ「あ? ああ……」
ほむら「それじゃあ……」
『敬礼!』
IRPO本部
ヒューズ「……そうか、御苦労さん」
ほむら「……マジックキングダムからの通信ね。一体なんて?」
ヒューズ「モンスターは全滅、地下の空間も消滅」
ヒューズ「事態は収束だ」
ほむら「……ルージュさんは?」
ヒューズ「……さあな。見つからなかったとさ」
ほむら「……」
ほむら「……何?」
ヒューズ「IRPOの臨時ライセンスだ。一応俺の部下になってるからな」
ほむら「話はついたのかしら」
ヒューズ「ああ、お偉いさんもとっとと終わらせたかったらしい」
ほむら「……そう」
ヒューズ「……」
ヒューズ「で、お前はどうすんだよ?」
ほむら「とりあえず、まどかと……」
まどか「ほむらちゃぁぁん!!」
ほむら「!?」
まどか「よかったぁ、無事だった……!!」
まどか「って、何でヒューズさんの頭の上に!?」
ほむら「え、いや普通に歩いたら大変だし……」
まどか「降りて! そして私の方に!」
ほむら「ああ、私もまどかがいい……っていうか元に戻して?」
まどか「も、もうちょっと! 今度はちゃんと守るから!」
ほむら「複雑だわ……」
まどか「ヒューズさんがほむらちゃんを保護してくれてたんですね」
まどか「ありがとうございました!」
麒麟「それでは失礼します」
ヒューズ「おーい!」
ヒューズ「なんだったんだよ……」
ドール「ヒューズ、報告よ」
ヒューズ「なんだ? 俺はもう帰りたいんだよ」
ドール「マジックキングダムで使った武器の量、聞いた?」
ヒューズ「は?」
ドール「あの子、まだ大量に持ってるわよ」
ヒューズ「……」
ヒューズ「揉み消せ!」
ドール「あら、ほむらちゃんに愛着ができた?」
ヒューズ「ふっざけんな! また俺が減給されるだろうが!」
ヒューズ「おい、まだその辺にいるだろ! 連れ戻してこい!」
ドール「さっき、あの麒麟とかいうのがどこかに連れて行ったけど?」
ヒューズ「……揉み消してくださいお願いします」
ドール「ふん、まあいいわ。今回だけよ」
クーロン イタリア料理店
ルーファス「前回のミッションでキューブ、そしてジョーカーの動向が判明した」
ルーファス「もはや一刻の猶予もない。これより総力をもってヨークランドに向かうぞ」
さやか「うーん、仕方ないですね。ちょっと待ったらみんなに手伝ってもらえそうだけど」
エミリア「これは私たちの戦いよ。それに、多分私の……」
アニー「エミリア?」
ライザ「……」
ルーファス「今回は衣装を用意する暇ない。すぐに出撃する」
ライザ「いえ、衣装はあるわ」
さやか「?」
ルーファス「何だと……?」
ヨークランド 町外れの丘
リュート「だからよー、なんでこんなとこで酒飲むんだよ」
ゲン「ああん、分からねえのかよ? 無粋な奴だな」
リュート「酒なんてどこで飲んでも同じだろ? 俺ちょっとかあちゃんに会いに行こうかと……」
ゲン「止めとけ止めとけ、母親なんてのは息子がダラダラしてんのが一番嫌いなんだ」
リュート「だったら何でヨークランドに連れてけなんて……」
ゲン「酒飲むんだよ、酒。お前は道案内だ」
リュート「チクショー、かあちゃんに会わす顔がないぜ……」
アニー「ただの酔っぱらいでしょ? それよりこんなとこに本当にキューブがあるの?」
さやか「いい景色ですけど、そんなすごいものがある感じじゃないですね」
ライザ「礼拝堂があるんだったかしら」
ルーファス「俺も疑問だったが、ここはモンドの故郷だ」
さやか「もんど?」
ルーファス「奴が何かを隠していたとしても不思議ではない」
さやか「その人何者なんですか?」
ルーファス「トリニティの司令、だった。軍事クーデターを企んでいたらしいが頓挫した」
さやか「そりゃまたどうして」
ルーファス「とある魔法少女に根こそぎ武装を奪われてね。俺は彼女を引き入れるつもりだったのだが……」
さやか「あー、ほむらの言ってたのってそれかぁ」
さやか「……ていうか、ほむら目当てだったんですね」
ルーファス「ああ。だが今は君が味方でよかったと思っている」
さやか「へ?」
ルーファス「? 何がだ?」
ライザ「エミリア、ちゃんと持って来た?」
エミリア「う、うん。でも……」
アニー「いいのいいの。折角だから着ちゃいなよ」
さやか「これは……」
ゲン「おいおい、リュート。今日は結婚式でもあるのか?」
リュート「はあ? こんなとこで誰が……」
ゲン「けどあれは花嫁さんじゃねえのか?」
リュート「……本当だ。ウェディングドレスの別嬪さんだ」
リュート「こんなとこで?」
ゲン「結婚式ってことは、いい酒と食いもんだな」
リュート「ゲンさん、まさか潜り込むつもりかい?」
ゲン「……ふへへ、いくぞリュート!」
リュート「もう酔ってんだろアンタ! 自重しなよ……」
アニー「そうだね。綺麗だよ」
ルーファス「こんなことをしている場合では……」
さやか「こんなこと?」
ライザ「これだからあなたは……」
エミリア「私、レンと小さな礼拝堂で式を挙げようって言ってたの……」
さやか「エミリアさん……」
アニー「じゃあ、ちょうどいいじゃん。ちょっとボロい所だけど、それで式を挙げて、もう忘れよう」
エミリア「アニー……」
ルーファス「待て、ジョーカー迎撃の準備を……」
ライザ「ルーファス、もう黙って」
さやか「私もいつか、こんなドレスで……」
ルーファス「いかんな、緊張の糸が切れている……」
ゲン「何だあ、誰もいねえじゃねえか」
リュート「そりゃあこんなとこじゃあな……」
ゲン「んだよ、詰まら……」
ゲン「何だコイツ?」
リュート「おいゲンさん、勝手に触らない方が……」
ゲン「ふぅん、変わり種の仏像か何かか?」
リュート「叩くなよ……」
リュート「誰としゃべってんだよ? もう行こうぜゲンさん」
ジョーカー「……」
リュート「お? アンタいつから居たんだい?」
ゲン「何か気持ち悪い仮面だな。外した方がいいぞ」
ジョーカー「……お前たち、グラディウスか?」
ゲン「グラ? 何だ?」
リュート「俺たちは酒飲みとプー太郎だぜ? 怪しいもんじゃない」
ジョーカー「……ルーファスの作戦か」
リュート「はあ?」
ジョーカー「もういい。やれ!」
ゲン「うお! こいつ動くのか!」
アニー「ルーファス! あなた神父役やってよ!」
ルーファス「私がか? 何をしろというのだ」
さやか「あれですよ、永遠の愛を誓いますか、って!」
ライザ「サングラス外してね」
ルーファス「馬鹿な!」
エミリア「みんな……」
ルーファス「待て、まだやるとはいってない!」
さやか「その辺の花でブーケ作りましょう!」
アニー「お、ナイスアイデア!」
ライザ「歌も歌う?」
さやか「おお! いいですねえ!」
リュート「ぎゃあぁぁ! すみません! 俺たち出て行くから!」
ゲン「ああん? リュートお前なにビビってんだ? 俺を誰だと思ってんだ?」
リュート「いや無理だって! あいつもう手いっぱいあるし! 武器持ってるし!」
ゲン「ワカツ生まれの剣の冴え、目に焼き付けろ!」
VS ディーヴァ
『ブレード』
ゲン「甘い!」
『ディフレクト』
リュート「ゲンさん!? アンタ何者だい!?」
ゲン「……!」
『濁流剣』
リュート「ゲンさぁん!」
ルーファス「なんだか騒がしいな……」
ライザ「さっきの酔っぱらいかしら」
エミリア「!」
エミリア「ジョーカー!」
さやか「え!?」
エミリア「礼拝堂の裏に!」
ルーファス「……皆、準備はいいか? いい訳無いか」
アニー「良いに決まってんでしょ!」
ライザ「ドレスまで着たのよ?」
ルーファス「……女というのは分からんな」
さやか「行きましょう!」
ジョーカー「チッ……間の悪い奴らだ」
エミリア「ジョーカー!」
エミリア「……いえ」
エミリア「あなたなんでしょ! レン!」
さやか「え……?」
アニー「エミリア!?」
ライザ「まさか……」
リュート「お? おーい! あんたらこのマスクマンの知り合いかい? 止めさせてくれよ!」
ゲン「まさかこんな奴とチャンバラとはなぁ!」
アニー「エミリア?」
エミリア「答えてよ、レン!」
ジョーカー「……やれ、ディーヴァ」
ルーファス「! 来るぞ!」
さやか「……ここは私たちが! エミリアさんはジョ……」
さやか「……レンさんを!」
エミリア「……ごめんなさい」
アニー「……行ってこい!」
ライザ「あなたの答え、見つけて来なさい」
ルーファス「……仕方が無い、か」
ゲン「お? 奥の手か?」
ディーヴァ「……!」
『天罰』
リュート「おいおい、これやばいんじゃないか?」
ルーファス「礼拝堂が崩れる! みんな逃げろ!」
さやか「エミリアさんは奴を!」
エミリア「……!」
ライザ「離れて!」
さやか「ぐぐう、さやかちゃんじゃなきゃ瓦礫の下でダウンだよ……」
リュート「な、なんで俺がこんな目に……」
ルーファス「生きていたか、青年」
ゲン「……さすがに酔ってもいられないか」
アニー「エミリアは!?」
ライザ「奴を追ったわ!」
タァン!
ルーファス「まさか……」
ルーファス「アニー、ライザ! エミリアを頼む!」
さやか「もう行きましたよ! それより前、前!」
ルーファス「まずいことに……ぶふぉお!?」
ディーヴァ『魔人三段』
さやか「ル、ルーファスさん!」
リュート「サ、サングラスの人ぉ!」
ゲン「……そこの青い嬢ちゃん、剣が使えるのか?」
さやか「は? いやまあ、そこそこ……」
ゲン「よし、嬢ちゃん。あのデカブツを倒すぞ」
さやか「……?」
『風雪即意付け』
『三花仙』
さやか「うわ、すご……」
ゲン「ふん、やり損ないだ。そうそう連続でできるもんじゃない」
ゲン「……が、動きは覚えたな?」
さやか「ええ~……」
ゲン「いーからやれ。どれか一つでいい」
さやか「はあ、まだ酔っぱらってんじゃないの……」
さやか「って、またやる気!?」
ゲン「……おい、リュート!」
リュート「な、何だよ」
ゲン「歌え」
リュート「は?」
ゲン「歌え」
さやか「はあ?」
ゲン「お前の歌はあれだからな、奴の注意を引ける」
リュート「アレって何だよ!?」
ゲン「いいから、思いっきり歌え!」
さやか「何か知らないけど、歌ってください! ギター持ってるじゃないですか!」
リュート「ああ、もう! どうなってもしらないからな!」
ゲン「よし。行くぞ、嬢ちゃん!」
さやか「こうなりゃ、なんでもやるわよ!」
デンデデッデデレデンデデッデデレデンデデッデデレデンデデッデデレ
さやか「!?」
リュート「~♪」
ヘェーラロロォールノォーノナーァオオォー
ディーヴァ「!?」
さやか「い、いける! あいつ隙だらけだ!」
ゲン「……俺の技の繋ぎを頼む」
さやか『風雪即意付け』
さやか「で、できたの?」
ゲン「上出来だ!」
『三花仙』
『乱れ雪月花』
リュート「ラロラロ……ってやったのか!?」
ディーヴァ「……!」
ゲン「しつこい奴だな」
さやか『神速三段突き』
さやか「
Entry ⇒ 2012.11.13 | Category ⇒ まどかマギカSS | Comments (0) | Trackbacks (0)
桃子「ステルス講座を開講したら予想外に人が集まったっす」
美穂子「…………」
竜華「…………」
憧「…………」
塞「…………」
和「…………」
桃子「なんだかみんな目付きが怖いっす……」
モモ「えーっと、今日は遠路はるばるお集り頂きありがとうっす」
モモ「まさかこんなにも人が集まるとは思ってなかったから正直驚いて……」
憧「先生、そういうのいいから」
モモ「えっ」
和「早くステルスになれる方法を教えてください」
竜華「そうや。ウチらは遊びに来たわけやないんや」
モモ「あ、あの……ちょっと訊いていいすか?」
モモ「皆さんはどういう目的でこの講座に……?」
照「理由や事情は人それぞれ」
照「プライバシーに関わる事でもあるから詮索するべきじゃないと思う」
モモ「そ、それもそうっすね。それならあんまり詳しくは訊かないっす」
モモ「それじゃあ早速第一回講座を……」
美穂子「先生、その前に一つ質問よろしいでしょうか?」
モモ「はい。なんっすか?」
美穂子「この講座を受ける事でどのくらいステルスになれるんでしょうか?」
憧(確かにそれは気になる……)
モモ「真面目に講座を受ければ、同じ部屋にいても存在に気付かれないくらいにはなると思うっす」
「「!!??」」
塞「ま……マジですか?」
和(そんなオカルト……)
モモ「素質がある人なら人に触れても気付かれないレベルにまでなれるかもっすね」
竜華「ふ、触れても……気付かれへんって……」
美穂子「すごい……そんなことが……」
照「存在感を限りなくゼロにするくらいなら、誰でも出来る?」
モモ「はい。そこは保障するっす」
憧「でも、流石に真正面から姿見られたら気付かれるよね?」
モモ「声出したり踊ったりしない限りは気付かれないっすよ」
塞「正直、すごすぎて信じられないんだけど……」
和「同感です……」
モモ「信じるか信じないかは任せるっす。お金取ってる訳でもないっすしね」アハハ
モモ「もちろんっす。私はこの道を極めてるっすから、みんなに注目されてる状態でも消えられるっすよ?」
竜華「そ、そんなことが本当に……」
照「……」ゴクリ
モモ「それじゃあ早速消えるっすね」スッ
憧「なっ!?」
塞「ほ、本当に消えたっ……!?」
和「こ、こんなことって……」
モモ「ふふ、どうっすか? これがステルスっす」ドヤ
和「こ、声は聞こえているのに……」
憧「姿が見えない……」
塞「もはやちょっとしたホラーだね……」
モモ「このレベルのステルスは歴が無いと無理っすけどね」アハハ
モモ「触られても見えないっすよ?」サワッ
竜華「ひゃっ!?」
モモ「こーんなことしても見えないっす」サワサワ
照「ひゃああ!?」
美穂子(何をされているんでしょう……?)
憧「きゃぁ!? ま、真後ろに……!?」
塞「こ、ここまでされたら流石にね」アハハ
和「この目で見てしまうと……信じる以外あり得ないです」
竜華「でも先生ホンマにすごいわ! これと同じことが出来るようになると思うと……」
モモ「私とまったく同じレベルっていうのは、努力と才能がいるっすけどね」アハハ
モモ「でも存在感を消すくらいなら誰でもいけるっすよ!」
照「それだけでも十分です先生、ぜひご教授ください」ペッコリン
竜華「う、ウチも!」
モモ「あ、頭なんて下げてくれなくてもちゃんと教えるっすから」タハハ
モモ(悪用されるとダメっすから、ちゃんと一人一人事情を訊きたいんすけど……)
憧「この力さえあればシズに……」ブツブツ
和「咲さん……ふふ、ふふふ……」
美穂子「上埜さん……待っていてくださいね……」
モモ(じ、事情を訊く気になれないっすね……)
モモ「え、えっと、それじゃあ早速第一回講座を始めるっすね」
モモ「テキスト配るっすから全員に回してくださいっす」
モモ(初めての講座から数ヶ月)
モモ(最後の講座も先日終了。全員がステルスを習得したっす)
モモ(授業態度も全員超真面目で、教えるこっちにプレッシャーがかかるほどでした)
モモ(あの人たちならステルスを悪用しないとは思うっすけど……面接もしてないんでやっぱり心配っす)
モモ(ここは師としての責任を果たすためにも、一人一人こっそり様子を伺うことにするっす)
モモ「まずは……>>38さんのところに行ってみるっす」
6人の中の誰かでお願いします
憧「ふふ、遂にこの時が来たわね」ザッ
憧「あの日からどれだけこの日を待ち望んだことか……」
憧「ステルスになれるかの確認は済んだことだし、ふふ。早速、実践させてもらいましょう」
憧「いざ高鴨家へ!!」ピーンポーン
モモ(さ、早速不法侵入すか……)
モモ(新子さん……受講していた時から危ない気配は察していたっすけど……)
シズ「はい、どなたでしょうか?」
憧「宅急便でーす」ウラゴエ
シズ「あ、分かりました。今出まーす」
憧「ふふ……」スッ
シズ「お待たせしました……ってあれ?」
シズ「誰もいない……」キョロキョロ
憧(部屋着のシズ可愛い……)
シズ「イタズラかなぁ……たっく、どこの悪ガキだよー……」ハァ
憧(ふふ、お邪魔しまーす♪)バタン
シズ母「誰だったのー?」
シズ「誰もいなかったー。イタズラー」
憧(靴は分かりにくい場所に隠してっと)
モモ(あはは、計画的っすね……)
憧(シズはリビングに行ったみたいだし……部屋に行ってみよう)テクテク
モモ(物取ったりしなきゃいいんすけど……)
憧「ふふ、お邪魔しまーす……」ガチャ
モモ(さっきの人の部屋……?)
憧(シズの部屋……今この状況は、なんでもし放題……)
モモ(い、一体何を……?)
憧「シズのベッド……」トサッ
モモ(こ、これはまさか……)
憧「シズぅ……」クンカクンカ
憧(あぁ、これヤバい……頭おかしくなりそう……)
モモ(なるほど……そういうことっすか……)
憧「んん……」モゾモゾモゾ
モモ(これが新子さんの目的……分かるっす。分かるっすよその気持ち!)
憧「あ、シズの枕……くんかくんか……ふぁぁぁ……これっ、すごいぃ……」ギュウウ
憧「シズを抱きしめてるみたい……」
憧「ふふっ……えへへ……頑張ってよかったなぁ……」
モモ(新子さん幸せそうっす……)
憧「シズぅ……」ギュウ
シズ「はぁ、宿題めんどくさいなぁ……」ガチャ
憧「ふきゅっ!?」
シズ「ん?」
憧(やっば……!)
シズ「……?」
シズ(なんか、憧の声がしたような……)
シズ「ってあれ? さっきベッドの上綺麗にしたはずなんだけど……」
憧(ヤバいヤバいヤバい……!)
モモ(はは、新子さん絶対絶命っすね……)
シズ(なんでだろ……)
憧(お願いそれ以上疑問を持たないで……!!)
シズ「うーん……」
シズ「まあいいや。宿題しよ」
憧(……せ、セーフ……)ハァ
憧(すっごいドキドキしてる……心臓に悪い……)
モモ(新子さんは優秀だったんで、そのレベルじゃ気付かれないっすよ)
憧(と、とりあえず無駄な物音とか立てないようにしなきゃ)
憧(……そういえば今、シズと同じ部屋で二人きり……)
憧(き、緊張する……)ドキドキ
モモ(その気持ち分かるっすよ新子さん……私も初めて忍び込んだ時は緊張でガチガチでした)
モモ(特に本人が目の前にいるときなんて……)
憧(……)ジーッ
シズ「……」カリカリカリ
シズ「……」ウーン
憧(意外だな……机に向かってるイメージなんて全然ないから……)
シズ「……」カリカリカリ
憧(私の知らない、シズの一面……)ポーッ
憧(これからもっと、色々なこと……)
モモ(眺めてるだけなんて本当に初々しいっす)
モモ(馴れて来るともっとすごいことするようになるっすからね……)
シズ「うーん……」
モモ(さっきからずっと悩んでるっす)
憧(問題分かんないのかな? 教えてあげたいけどそんなわけにもいかないし……)
シズ「……」ピッピッピ
憧(携帯触りだした……)
モモ(誰かに聞くつもりっすかね?)
シズ「……送信っと」ピッ
ブーブーブー
憧「っ!?」
シズ「えっ?」
モモ(こ、これは……)
シズ「バイブ音……?」
憧(はは、早く止めないと……!)
シズ(私の携帯じゃない……てかどこで鳴ってるんだろ……)キョロキョロ
モモ(絶体絶命その2っすね……)アハハ
シズ「あ、聞こえなくなった……」
シズ(憧にメールした瞬間に鳴ったけど……)
憧(おお、お願い不審に思わないで……!)
シズ「確かこの辺で鳴って……」スッ
憧「わわっ!」
憧(あ、あっぶな……!! ぶつかるとこだっ……)
シズ「……今、憧の声……」
憧(しまっ……)
憧(はわわわわ……!!)
シズ「憧……?」
憧(いませんいません誰もいません……!)
シズ「……あれ。ここ、憧の匂いがする」スンスン
憧(ふぇええ!!?)
モモ(に、匂いとはやるっすね……)
シズ「なんでだろ……」スンスンスン
憧(ちょ、顔ちかっ……!!)
憧(動いちゃダメ動いちゃダメ……)ドキドキドキ
モモ(新子さんのステルス、なかなかやるっすね……あの距離でも見えないとは……)
シズ「憧の匂いがする場所……私の部屋にこんな不思議スポットが……」スッ
憧(は、離れて……助かった……)ハァ
シズ「よし、本人にも知らせよう!」ピッピッピ
憧「」
憧(や、やっば……!!)
ブブブブブ……ブブブブブ……
シズ「えっ……?」
憧(はは、早くとめっ……)
シズ(さっきよりも音が大きいような……)
モモ(余計なことしない限りは見つからないと思うっすけど……)
シズ「どこから音してるんだろ……めちゃくちゃ近いんだけどなー……」ウーン
憧(今止めてもさらに怪しまれるだけ……どうすれば……)
憧(そうだ……携帯をどこかに隠せば……!)
モモ(ん? 何か思いついたみたいっすね……)
シズ「ベッドの辺りかなぁ」ゴソゴソ
憧(と、とりあえずベッドの下に置いて……)
モモ(なるほど……忘れ物に思わせる作戦っすか。考えたっすね)
シズ(絶対にここだ……でも無い……ベッドの下……?)
シズ「あーー! あった!!」
シズ「ってこれ憧の携帯……なんでこんなところに……」
憧(ここで不審がられたら終わりだけど……)
シズ「……忘れ物? でも今日、普通に携帯弄ってたし……」
憧(しまっ……!!)
モモ(発想は良かったっすけど、痛恨のミスでしたね。新子さん)アハハ
憧(これ、取り返し付かないかも……)アワワワ
シズ(私がいないときに憧、ここに来たのかな)
シズ(今日は麻雀部早退してたし、そのときに忘れたとか……)
シズ(一体何のために……そもそもどうして私がいないときに……)ウーン
憧(うぅぅ、めちゃくちゃ不審がってるし……)
シズ母「シズー、お風呂入っちゃってー!」
シズ「あ、はーい!」
シズ「まあいいや。考えても分かんないし、明日憧に訊いてみよ」タタ
憧(……た、助かった?)
モモ(見つからない限りは大丈夫っすよ、新子さん)
憧(良かったぁ……)ハァ
モモ(ステルスするときの基本っすよ。って教えたはずっすけど……)アハハ
憧(はぁ……めちゃくちゃドキドキしたなぁ……)
憧(でも、このスリルもちょっとクセになるかも……)フフ
シズ「っと。着替え忘れてた」ガチャ
憧「っ!?」ビクゥッ
モモ(あはは……精進あるのみっすよ、新子さん)
シズ「……」ゴソゴソ
憧(し、シズ……そ、そういえば、今からお風呂って……)
憧「……!」
モモ(遂に踏み入れてしまうっすか……その禁断の領域に……!)
シズ「ふんふふーん♪」
憧(こ、これは流石に……で、でも……)チラ
シズ「設定温度は……」ピッピッピ
モモ(まだ理性が残ってる感じっすね、新子さん)
モモ(でも……甘い誘惑には勝てないんすよね)
シズ「さて……」ヌギヌギ
憧「!!」
シズ「……」ファサッ
憧「……」ジーッ
モモ(あはは……)
シズ「よっと……」ヌギッ
憧(あっ……ぱ、パンツ……)
憧「……!!」カァァァァ
モモ(新子さん顔真っ赤す……でも目は離さないんすね……)
シズ「ふんふーん♪」バタン
憧「……」
憧(見ちゃった……シズの裸……)ドキドキドキ
憧「ふふ……ふふふ……」ニヘラ
モモ(幸せそうで何よりっす)アハハ
憧「……」ジー
モモ(ま、まさかやっちゃうすか新子さん!?)
憧(別にいい、よね……? 私、今まで頑張ったんだし……ちょっとくらい、ご褒美……)
憧「……ん」
モモ「!」
憧「すぅ……はぁ……すぅ……はぁぁ……」
憧「シズぅ……シズぅ……」クンカクンカ
モモ(お、おお……)
憧「シズの、えっちな匂いっ……いっぱい、いっぱい……」
モモ(も、盛り上がってるっすねー……でも、気持ちはよく分かるっす……)ドキドキ
憧「ん……」
シズ「っと、シャンプーシャンプー」ガラッ
憧「!?」
憧(し、シズ……!)
シズ「うーんと、確かこの辺に……」
憧(め、目の前にシズがいるのに……私、シズのぱんつ、嗅いで……)ドキドキ
シズ「……」ゴソゴソ
シズ「あったあった」バタン
憧「はぁ……はぁ……」
憧(これ、クセになったら絶対ヤバいっ……)
モモ(ハマっちゃうと相手のこと襲いたくなっちゃうっすからね……やり過ぎ注意っす)アハハ
憧(これ以上こんなことしてたら、本当にどうにかなっちゃう……)
憧(あ、頭と体冷やそう……)
モモ(新子さんは理性的っすね……回を重ねるとどうなっちゃうかは分からないっすけど……)
憧「はぁ……」
憧(シズの部屋に戻って来たけど……これからどうしよう……」
憧(もう帰ろうかな……なんか、シズの匂い嗅いでると変な気分になっちゃうんだよね……)
憧(さっきもすごく体がうずうずしたし……)ドキドキ
憧(今も……)モジモジ
モモ(頭は理性的でも体がどんどんその気になってるって感じっすね……)
憧(ど、どうしよう……シズぅ……)
憧「!」ビクッ
モモ(さて、ここからどうなるか見物っすね……)
シズ「……」
憧(お風呂上がりのシズ……やっぱり可愛い……)ポー
シズ「……ふわぁ」
シズ(眠くなってきた……まだまだ寝る時間でもないんだけど……)
シズ「ん……」ゴロッ
憧(ベッドの上で、あんなにも無防備に……)
憧「……」ジーッ
モモ(あ、新子さん。流石にそれは……)
憧(そ、そんなこと……絶対に……)
シズ「んぅ……」
憧(でもシズ、寝ようとしてるみたいだし……そのあとなら、ちょっとくらい……)
シズ「むにゃ……」
憧「……」ジーッ
モモ(機を待つつもりっすね、新子さん……果たしてどこまでするのか……)
憧「……」
シズ「すぅ……すぅ……」
憧「……寝た、よね……」
憧「シズ……?」
シズ「むにゃ……」
モモ(遂に動くっすか……!)
憧(抱きしめたら、流石に起きるよね……)
憧(でも、起きた瞬間にすぐ離れて、ステルスになれば……)
憧(それに、そう簡単には起きないと思うし……)
憧「……」ギシッ
モモ(! ベッドの上に上がるとはアグレッシブっすね……!)
シズ「ん……ぅ……」
憧(私のすぐ目の前に、眠っているシズが……)
憧(もう、ダメ……我慢できないっ……)
憧「シズ……」ギュウ
モモ(おお……遂に……)
シズ「ん、んぅ……」
憧(あったかい、やわからい……良い匂い……シズの匂い、いっぱい……)
憧「シズ……シズ……」サワサワ
シズ「んっ……」
モモ(あ、新子さん……あんまりやりすぎたら起きるっすよ……そこは慎重に……)
憧(シズの体、本当に柔らかい……肌もすべすべでもちもちしてるし……)スリスリ
憧(……唇も、柔らかいんだろうなぁ……)ジーッ
モモ(あ、新子さんっ……)
シズ「んぅ……」