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QB「暁美ほむら、僕と契約して魔法少女になってよ!今なら・・・」
QB「この洗剤も付けちゃうよ」
ほむら「あの・・・新聞は間に合ってますから・・・」
QB「君は僕の話を聞いていなかったのかい?」
まどか「QBが余計なオプションをつけたからだと思うよ?」
QB「余計とは心外だね。人間は契約の際にオマケを渡すと聞いたからわざわざ用意して来たんだよ」
マミ「そんな話、どこから聞いてきたのよ?」
QB「さあ、暁美ほむら。君の願いはなんだい?」
マミ(あれ?スルーされたの?)
まどか「あっ、そっか。ほむらちゃんはついさっき知ったばかりだもんね」
マミ「そうね、じゃあ私が説明しt QB「魔法少女というのはだね」
QB「魔女を狩る存在さ。もちろん無償でやってもらうわけじゃない、ちゃんと見返りもあるよ」
マミ(もしかしてQBは私のことが嫌いなの・・・?いいえ、そんなはずはないわ!そんなはず・・)
ほむら「魔女、ってさっき鹿目さんたちが戦ってた怪物のこと?」
まどか「うん、そうだよ。でも怪物みたいなのは使い魔で、魔女は門みたいな方だったけどね」
ほむら「そんなっ、私あんな怖いのと戦うなんて無理です・・・」
マミ「そうね、確かに怖くないといえば嘘になるわね。でもあけm QB「そうか!分かったよ!」
QB「君はこの洗剤を普通の洗剤だと思っているんだね?」
マミ(・・・)
QB「あたりまえじゃないか」
ほむら「あ、本当だ。『インキュベーターも顔面蒼白の白さに!』って書いてあるよ」
QB「暁美ほむら、例えば君がお気に入りの洋服にケチャップとソースと醤油を同時にこぼしたとしたらどうだい?」
QB「僕には感情がないからよくは分からないけど、君はとても悲しいんじゃないかな?」
まどか「私にはそんな状況が思い浮かばないよ」
ほむら「え?うん、そうだね・・・あっ考えただけで涙が・・・」ウルウル
まどか「泣かないでほむらちゃん!」
マミ(どうしよう、会話に参加してもまたQBに邪魔されそうな気g QB「ところが!この洗剤だとっ!」
QB「全て洗い落とすことが可能なのさ!」
マミ「思考パートでさえ遮られた!?ちょっとキュゥb ほむら「それ本当ですか・・・?」グスッ
QB「もちろんさ。僕は嘘はつかないよ」
マミ「」グスッ
まどか「凄いよQB!普通の洗剤でも落とせない物まで大丈夫なんだね」
QB「その通り。もちろん服の染色もバッチリ落とせるよ」
まどか「洗剤として欠陥品だった・・・」
ほむら「あの、私別にそこまで凄い洗剤は必要ありません・・・」
QB「なるほど、君は交渉が上手いね。よし分かった、今契約してくれるならこの洗剤を3個付けようじゃないか」ポンポン
ほむら「いえその、数の問題じゃなくて・・・」
ほむら「お洋服がそんなことになってしまったら、少し悲しいですけど諦めることにします・・・」グスッ
まどか「ほむらちゃん・・・」
QB「そうかい?でも強要はできないからね」
ほむら「はい、ごめんなさい。力になれなくて」
ほむら「別のがあるの!?」
まどか「チケットっていうと、野球とかサッカーとかかな?」
『第1564回キュップぃボール世界選手権 SS指定席』
ほむら「なに・・・これ・・・?」
まどか「なに・・・これ・・・?」
QB「キュップぃボールの世界選手権のチケットさ。しかもSS指定席だよ」
まどか「そうじゃなくて、キュップぃボールってなんなの?」
QB「まどか、君は魔法少女なのにキュップぃボールすら知らないのかい?どうかしてるよ」
まどか「知らないよっ!」
ほむら「鹿目さん落ち着いてっ」
まどか「キャリア1週間のアマチュアなのは自覚してるけど、馬鹿にされたからだよ!」
QB「キュップぃボールというのはね、僕たちの星の競技なんだ」
まどか「スルーされた」イラッ
QB「流石のまどかもグリーフシードは知ってるよね?」
まどか「また馬鹿にしてるよね?魔女の卵のことでしょ」
QB「僕たちがグリーフシードを回収するとき、背中でキュップぃするんだけど」
QB「その技術を競うのがキュップぃボールだよ」
ほむら「フィギュアスケートみたいに技術点とか芸術点とかで競うんですか?」
まどか(ほむらちゃんが興味を持ってる・・・!)
QB「技の難易度を競うだけさ。ちなみに前回の優勝者の技は『72回転半ムーンサルトドリフトキュップぃ』だったね」
ほむら「ななじゅ・・・」
まどか「すごいね、私もちょっとだけ興味が出てきたよ」
ほむら「そんな技があるならきっと盛り上がるし、楽しそうだね」
まどか「そうだねほむらちゃん。チケットはともかく一緒に見に行けたらきっと楽しいよね」
ほむら(これをきっかけに鹿目さんとお友達になれるなら・・・契約してもいいかな・・・)
QB「何を勘違いしてるんだい暁美ほむら」
ほむら「え?」
QB「何度も言うけれど、僕たちには感情がないんだ。興奮したり、盛り上がったりするわけがないだろう?」
QB「確かに万単位で入場できる会場で行われるけど、誰も歓声を挙げたりせず静かなものだよ」
ほむら「」
QB「あのねまどか、キュップぃボールは娯楽じゃなくて競技なんだ」
QB「言うならばキュップぃの勉強会みたいなものだよ」
QB「君たちの好むようなスポーツみたいなものとは違うんだよ」
まどか「じゃあ私たち行く意味がないよね!なんでそういうチケット持ってくるの!」
ほむら「鹿目さん落ち着いて」オロオロ
QB「全く・・・まどか、キュップぃボールとはそもそもだね・・・」
まどか「せっかくほむらちゃんと仲良くなれるチャンスだと思ったのに・・・」ガッカリ
QB「・・・時のインキュベーター王7世が提唱し・・・」
まどか「あ、えっとね・・・その・・・」
ほむら「あの、私なんかでよければ仲良く・・・してくれるなら・・・」
QB「・・・そして5回目の技術革命が行われた際には・・・」
まどか「ほむらちゃん・・・」
まどか「うん、これからもっと仲良くしてね。ほむらちゃん!」
ほむら「鹿目さん・・・!」
QB「・・・君らで言うところの中世の時代には・・・」
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ほむら「じゃあ私そろそろ帰らないと」
まどか「うん、じゃあまた明日ね」
ほむら「うん、また明日・・・」
ほむら(『また明日』って言ってバイバイできるお友達ができた・・・!)
QB「・・・そして最近になって新たに訪れた転機が・・・」
まどか「ほむらちゃんまたねー!」
まどか「さてと、私も帰ろうかな」
まどか「って、あれ?何でマミさんそんなところで紅茶を飲んでるんですか?」
マミ「あら?お話は終わったかしら?」カチャ
まどか「もしかしてマミさん、ずっと待っててくれたんですか?」
マミ「ええ、二人が楽しそうに話してるのを見て、邪魔しちゃ悪いかなと思って」
まどか「そんなっ!すみませんマミさん、お待たせしてしまって・・・」
マミ「いいのよ鹿目さん。暁美さんと仲良くなれたんでしょ?」ニコッ
まどか「はいっ」
マミ「ふふっ、良かったわね。」
まどか「あ、マミさんが迷惑じゃないなら・・・」
マミ「迷惑な訳ないじゃない、大歓迎よ。さ、行きましょうか」
マミ「魔法で出した紅茶じゃなくて、もっとおいしい紅茶をご馳走するわ」
まどか「はーい。楽しみです」
QB「・・・という訳だよ。分かったかい、まどか?」
QB「あれ?」
カチャ
パタン
ほむら「ただいまー、って誰も居ないけど」
ほむら(今日はいろんなことがあったな・・・)
ほむら(転校した学校で、すぐにお友達ができて、)
ほむら(名前をほめてくれて、)
ほむら(ちょっと落ち込んじゃったり、)
ほむら(そしたら魔女・・・が出てきて、)
ほむら(魔法少女・・・か・・・)
『クラスのみんなには内緒だよ!』
ほむら「ごほごほっ・・・えっ?きゅ、QB!?と、鹿目さんと一緒に居た魔法少女の、えっと・・・」
マミ『巴マミよ、暁美さん』
ほむら「そう、巴さん。なんでテレビに、というか今私の言った事に返事をして・・・えぇ・・・?」
QB『だいぶ混乱しているようだね。でも、魔法を使えばこのぐらい何てことないんだよ』
マミ『ごめんなさいね、暁美さん。QBがどうしてもやr QB『さあ、今日の商品はこちら!』
QB『魔法少女だよ』
マミ(・・・)
QB『違うよ。なにを言っているんだい君は。いや君たちは、かな?まずは話を聞いてからにしてくれないかな?』
QB『ゴホン。さて・・・』
QB『君は自分というものに不満はないかい?もっと違う自分、違う未来を手に入れたくはないかい?』
ほむら「えっと、確かにもっと格好良くなれたら嬉しいかな」
QB『そんな君にはこれ!魔法少女!』
QB『どうしようもない現状を変えたい!もっと理想の自分になりたい!』
QB『キュプネットならそんな君の手伝いができるんだよ!』
マミ(楽しそうねQB・・・)
ほむら「え、凄い・・・そういえばさっきも願い事は何だ、って・・・」
ほむら「本当になんでも叶えてもらえるの?」
QB『もちろん願いの限度はあるけどね。でも君が望みそうな願いなら大抵は何とかなると思うよ』
ほむら「なんでも・・・」
QB『さあ、君の願い事はなんだい?』
ほむら「格好良く・・・なれるかな・・・?」
QB『君が望むならクールでミステリアスな雰囲気漂う美少女にだってなれるよ』
ほむら「えぇ・・・そういう感じのは私には似合わないよ・・・」
ほむら「それにやっぱり魔女と戦うのは怖いし・・・」
QB『なんと今契約すると、希望次第でベテラン魔法少女・巴マミによる特別レッスンが受けられるんだ!』
マミ『え?QB、今私のこと呼んだかしら?』
QB『マミ、何で本番中に紅茶を飲んでサボってるんだい。君はまじめにやる気があるのかい?』
マミ『え?あっ、ゴメンなさいQB』
QB『いくら僕が毎回マミの言葉を遮っているからって、それはあんまりじゃないかな』
マミ『故意にやっていたのね・・・』
QB『僕にも理由は分からないんだけど、話を進めていたらこうなってしまったんだ。マミ、分かってよ』
マミ『もう、今回だけy QB『じゃあマミ、例のVTRをお願いするよ』
ゴッ
『しばらくおまちください』
ほむら「・・・」
マミ『QBが反省してないからでしょ!』
QB『まったく、訳が分からないよ』
ほむら「あの・・・?」
マミ『あら、どうしたの暁美さん?』
ほむら「その・・・折角いろいろして頂いてるのに申し訳ないんですけど」
ほむら「私みたいなのが魔法少女になるなんて無理です・・・」
マミ『暁美さん・・・』
QB『心配は無用だよ、暁美ほむら。そんな不安を持つ少女は結構居るんだ』
QB『結論を出すのはそれを見てからでも遅くはないんじゃないかな?』
ほむら「えっと、それじゃあ見てみようかな・・・」
QB『そうこなくちゃ。マミ、例のVTRをお願いするよ』
マミ『分かったわ。じゃあVTR、ティロ・フィナーレ!』
QB『何故これから始まるのにフィナーレなんだい?』
QBボイス『昨今では実に多くの魔法少女が世界中で活躍しているんだ』
QBボイス『今日はその中の一人にインタビューしてみたよ』
QBボイス『彼女は見滝原市に住む、M.Kさん』
QBボイス『最近なったばかりの駆け出し魔法少女だ』
QBボイス『やあ、○○○。今日はインタビューに来たよ』【プライバシー保護のため名前を伏せております】
M『ティヒヒ。ほむらちゃんのためならお安い御用だよ』【音声はそのままでお送りしております】
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ほむら「鹿目さん!?目線入ってるけど鹿目さんだよね!?」
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M『えー?そうだなぁ。前より自分に自信が持てるようになったかな』
QBボイス『へぇ、それは何故なんだい?』
M『魔法少女になる前の私って、得意な学科とか人に自慢できる才能とか何もなくて』
M『このまま人の役に立てないまま生きていくのかな、って思ってたんだけど』
M『でも魔法少女の存在を知って、私でも誰かの役に立てるって思ったら嬉しくて』
M『契約するまで凄く悩んだけど、今では良かったなって思ってるよ』
QBボイス『そうかい。そう言ってもらえると、僕としても誘った甲斐があるよ』
M『でもまだまだマミさんに頼りっぱなしだし、もっとしっかりしないとね』
M『ウェヒヒ。頑張っちゃうよ』
QBボイス『あとはそうだね、これから魔法少女になろうか考えてる子に一言もらえるかい?』
M『うーん・・・、焦らずちゃんとよく考えて契約して欲しいかな』
M『って、私が言えるようなことでもないけどね ウェヒヒ』
QBボイス『ありがとう、○○○。いいインタビューだったよ』
M『どういたしましてー』
------------------
ほむら「あの・・・私や巴さんの名前が出ていたんですけど・・・?」
QB『この番組は暁美ほむら宅への独占放送だから実は問題ないよ、彼女の名前を伏せたのは気分を出すためさ』
QB『さて、じゃあここで改めてセット内容の確認をするよ』
ほむら「え?はい、お願いします」
QB『まずはソウルジェム』
マミ『これがないと始まらないわね』
QB『それぞれのイメージに合わせてカラーリングが自由に選べる上に、カラーバリエーションはほぼ無限さ』
QB『次に魔法少女服』
マミ『これも重要ね。魔法少女の命とも言えるわ』
QB『これもデザインは君の自由だ、イメージ通りの形に構築するよ』
マミ『もしどんな風にするか悩むようなら、私がいいデザインを考えるわよ』
ほむら「え、本当ですか?私、オシャレとか自信がないからお願いしようかな・・・」
QB『やめておいた方がいいと思うけどね』
マミ『QB!それどういう意味よ!』
マミ『そうね、とても重要なことよ。だからこそちゃんと考えて欲しいと思うの』
QB『以上が基本セットだね。武器とか能力は願い事や資質に左右されるからセットには含まれないよ』
QB『そして、今契約してくれるなら・・・・なんと!』
QB『この万能刺身包丁をつけちゃうよ』
マミ『えぇっ!凄いわQB!これで魚介類系の魔女が出ても安心ね』
ほむら(万能?なのにお刺身用なの・・・?)
QB『この包丁も特製だからね、とてもよく切れるから気をつけるんだよ』
QB『迂闊に使おうものなら、まな板どころかキッチンまで真っ二つだよ』
ほむら「えぇぇ・・・」
QB『そして更に!今回限りの特別奉仕!』
QB『この特製高枝切りバサミもつけるよ!これも3000mまで伸びる特別製さ!』
マミ『素晴らしいわ!これで樹木型の魔女が出ても大丈夫ね!』
ほむら(高枝切りバサミって、通販だとオマケじゃなくてメイン扱いじゃないのかな・・・)
QB『もちろんさ!と言いたいところだけど、実はちょっと厳しいんだ』
QB『だから今回限りのワンチャンス!後で「あの時契約しておけばよかった」と思っても遅いよ』
キュープネットキュープネット・・・
QB『おや、そろそろ時間のようだね』
QB『願い事が決まったら僕にテレパシーを飛ばしてね!』
QB『それじゃあ、君の契約待ってるよ』
夢のキュプネットトモエー
『ザザー』
ほむら「魔法少女、か・・・」
ほむら「でもやっぱり怖いし、願い事も・・・これといってないし・・・」
ほむら「ごめんね、鹿目さん、巴さん・・・」
ほむら「私はやっぱりそういうのは無理だよ・・・」
ほむら「それに・・・QBにテレパシーってどうやるのかも分からないよ・・・」ポロポロ
『ザザー・・・ザ・・・油断した瞬間、魔物に頭からパックリやられてしまったマミマミ!』
『果たして首は無事なのか?そして敵を倒すことができるのか?』
『次回、魔法使いマミマミ第4話「やっぱり怖いものもある」、お楽しみにね!』
ほむら「え・・・?きゃあああああっ!マミマミの再放送が終わってる!」
ほむら「そんな・・・、スーパーマミマミになる前の名シーンのある3話を見逃すなんて・・・」ガッカリ
ほむら「もう寝よ・・・」グスッ
ほむら「はぁ・・・」トボトボ
ほむら(いろいろ考えすぎちゃって結局あんまり寝られなかったな・・・)
「ほむらちゃーん!」タッタッタッ
ほむら「あ、鹿目さん」
まどか「おはよう、ほむらちゃん」
ほむら「お・・・おはよう、鹿目さん」
ほむら(凄い!『おはよう』って友達と言い合えるなんて夢みたい!)
ほむら「昨日って、もしかしてQBの・・・」
まどか「うん、見てくれたんだね!」
ほむら「その、アニ・・・テレビを見ようとしたら無理やり始まって仕方なく・・・」
まどか「え?そうなの?」
ほむら「魔法ってあんなこともできるんだね。ビックリしちゃった」
まどか「うーん、私はそういうことはできないんだけど。マミさんやQBだとできるのかなー?」
ほむら「巴さんって凄いんだね」
まどか「ウェヒヒ。私の自慢の先輩だよ」
------------------
マミ「クシュン!!」
QB「マミ、風邪かい?」
マミ「誰か噂してるのかしら・・・?」
QB「そんなアテもないのになにを言っているんだいマミ?」
------------------
ほむら「はぁ・・・鹿目さんは魔女退治に行っちゃったし、今日はまっすぐ帰ろう・・・」
まどか『ほむらちゃんも一緒に来る?』
ほむら『あ、あの私・・・ごめんなさい・・・!』
まどか『あっ・・・』
ほむら(私ってほんとバカ・・・なんで断っちゃったんだろ・・・)
「あ、ちょっとそこの君」
ほむら(え?私のことかな?)
ほむら「はい?なんでしょうか?」
QB「今ちょっとアンケートやってるんだ。時間は取らせないからちょっと協力してもらえないかな?」
ほむら「きゅ、QB!?」
QB「やあ、暁美ほむら」
QB「いや、大したことは聞いてないよ」
QB「ここじゃあれだからちょっと場所を移そうか、その先に小さな喫茶店があるんだ」
ほむら「うん、いいy・・・」
ほむら(はっ!これはもしかして英会話の教材を買わされるパターンの勧誘!?)
ほむら「あのっ、私ちょっと忙しいからまた今度にして!」
QB「え?大丈夫だよ、すぐ終わるから」
ほむら「ごめんなさい!」タッタッタッタッ
QB「行ってしまった。この勧誘方法はあまり有効じゃないなぁ」
ガチャバタン
ほむら「はぁ・・・っ、はぁ・・・っ」
ほむら(危なかった・・・)
ほむら「どうしよう、なんだかQBの勧誘がだんだん怖くなってきたよ・・・」
ほむら「このまま落ち着いてくれるといいんだけど・・・」
しかしほむらの気持ちとは裏腹にQBの勧誘は日毎にエスカレートしていった
ほむら「ただいまー、あれ?机の上に雑誌が?」
ほむら「こんな雑誌買ったかな?」
『月間魔法少女○月号』
『ベテラン魔法少女・巴マミの素顔に迫る!』
『華麗なる戦闘の秘訣とは?大ボリュームの特集120ページ』
『1からはじめるティロ・フィナーレ』
『連載小説「もう一人ぼっちじゃないんだ 第7話」』
『特別付録・ソウルジェムデコシール』
『魔法少女になりたい君は今すぐこのはがきを書いてポストにGOだ』
ほむら「・・・」
ほむら「これは月間魔法少女じゃなくて、月間巴マミじゃないかな・・・」
QB(この方法もダメか)
QB「バックナンバーは創刊号から取り扱っているよ。ちなみに創刊号は特別価格で1050円さ」
QB「もし興味があるならテレパシーで連絡してくれるかな」
カタカタ・・・コトン
ほむら「あれ?ポストに何か・・・?新聞は取ってないし、なんだろう?」
『マスケット先生魔法少女ゼミ』
『魔法少女になるか悩んでる貴女へ』
ほむら「・・・」ペリペリペリ ガサガサ
MAMI『今日から2年生!新しいクラスに新しい友達!楽しみだな!』
QB『おっと、そこの君。新学期に想いを馳せるのもいいけれど、僕と契約して魔法少女になってよ!』
MAMI『え?魔法少女って何?』
QB『魔法少女というのはだね、どうたらこうたら』
MAMI『ええっ!それは凄いよ!私、魔法少女になる!』
ほむら「・・・」
ほむら「何この超展開・・・」ビリビリー
QB(この方法も有効じゃないみたいだね)
ピンポーンピンポーン
ほむら「はーい?」
ガチャ
QB「やあ、暁美ほむら。QHKだよ」
QB「受信料の支払い手続きは済んでいるかい?」
QB「見る機会がなくても、チューナーを内蔵した機器があるだけで支払わないといけないんだ」
QB「ついでに魔法少女の契約もしようよ!」
バタン
QB「この方法も効果は見込めないな」
ピンポーンピンポーン
ほむら「はーい?」
ガチャ
QB「やあ、暁美ほむら。魔法少女新聞を取らないかい?」
バタン
QB「この方法でも無理みたいだね」
QB「これは1ヶ月ごとの契約で月々6980円だよ」
QB「3ヶ月契約だと12600円、半年契約だと23200円だよ」
QB「もし興味があるならテレパシーで連絡してくれるかな」
QB「あと僕は不良品じゃないよ、いろいろな勧誘方法を模索しているんだ」
QB「次はとっておきの方法を試してみようかな、まず張り紙をはらないと・・・」
ドンドンドンドン
QB「アケミサーン、イルンデショー?」
ドンドンドンドン
QB「オカネカエシテ、ジャナカッタ マホウショウジョニナッテヨー」
ドンドンドンドン
QB「オラァ!マホウショウジョニナレヤァ!!」
ドンドンドンドンドンドンドン
ほむら(怖い・・・誰か助けて・・・鹿目さん・・・)ガクガク
まどか「あれ?ほむらちゃん今日おやすみなのかな?通学路でも会わなかったし・・・」
さやか「え?暁美さん?」
仁美「あら、本当ですわ。暁美さんは退院したばかりですし、体調が良くない日もあるのではないでしょうか?」
まどか「うーん、心配だなぁ・・・」
さやか「お?まどかは暁美さんにゾッコンだなぁ。さやかちゃんは寂しいぞー」
まどか「えぇ!?ち、違うよー。その、ほむらちゃん一人暮らしだし何かあったらと思うと・・・」
さやか「隠すな隠すなー」ダキッ
まどか「きゃぁぅ!もうっ!ほんとに違うってばぁ」
まどか(でもほむらちゃん、本当に大丈夫かな?もし倒れてたりしたら・・・)
ピンポーン
ピンポーン
まどか(何の反応もないよ・・・どうしちゃったんだろ・・・)
まどか(というかこの張り紙はなんだろ・・・?字が汚くて読めないや・・・)
ピンポーン
まどか「ほむらちゃーん?」
ピンポーン
まどか「ほむらちゃーん」
ほむら『鹿目さん?』ドアゴシ
まどか「あ、ほむらちゃん?良かった、心配したんだよ」
ほむら『・・・』
ほむら『そうじゃないけど・・・』
まどか「あの、よかったらドアを開けて中に入れてもらえないかな?」
まどか「お見舞いにって思って、果物とか買ってきたんだよ」
ほむら『・・・鹿目さん、今一人だけ?』
まどか「え?そうだけど・・・?」
ほむら『今からカギを開けるから、そしたらすぐに入って』
まどか「う、うん?よく分からないけど分かったよ」
ガチャ
ほむら「鹿目さん!早くっ」
まどか「え、わ・・わ・・・っ」
バタン ガチャ
まどか「ど、どうしたの?ほむらちゃん」
ほむら「ごめんね、なんでもないから・・・」フラッ
まどか「っ・・・!危ない!」ガシッ
ほむら「うぅ・・・」
まどか「ほむらちゃん!大丈夫!?」
ほむら「うん、ごめんね。ちょっと眩暈がしただけだから大丈夫だよ・・・」
まどか「全然大丈夫じゃないよ!」
ほむら「鹿目さんが来てくれたから安心しちゃって、気が緩んだのかな」
ほむら「実は・・・」グー
ほむら「あっ・・・///」
まどか「もしかしてほむらちゃん、ご飯食べてないの?」
ほむら「うん、買い置きはあるんだけど食欲がなくて・・・」
まどか「私リンゴ買ってきたから剥いてあげるよ!リンゴなら食べられるよね?」
ほむら「ありがとう鹿目さん・・・」
まどか「リンゴ剥けたよー」
ほむら「うん・・・」
まどか「ちょっと形は変だけど・・・でもほら、食べて食べて」
ほむら「」シャリシャリ
ほむら「」ホムホム
ほむら「うっ・・・ひっく・・・」ポロポロ
まどか「ほ、ほむらちゃん!?ごめんね、リンゴ酸っぱかったかな?」
ほむら「ううん、違うの。鹿目さんが居てくれるのが嬉しくて・・・」
まどか「私で良ければここにいるよ。だからほむらちゃん、何があったか話してくれるかな?」
ほむら「あのね・・・」
まどか「そんな・・・」
ほむら「私がすぐに魔法少女にならなかったのが悪いんだ・・・だから今も鹿目さんにも迷惑が・・・」
まどか「違うよ!」
ほむら「」ビクッ
まどか「そんなことないよ!これはどう考えてもQBが悪いよ」
ほむら「でも・・・」
まどか「QB!どうせ侵入してその辺にいるんでしょ?出てきて!」
ほむら「出て・・・こないね・・・」
まどか「うーん、よし。マミさんの家に行ってみよう」
ほむら「え?でも・・・」
まどか「QBが居るかもしれないし、居なくてもマミさんが相談に乗ってくれるよ」
ほむら「うん・・・」
QB「」チラッ
マミ「QBがそんなことを・・・」
ほむら「おうちに居ても物音とかが怖くなっちゃって・・・」
マミ「私も通販風の時は手伝ったけど、まさかこんなにエスカレートするなんて・・・」
まどか「ごめんね、ほむらちゃん。ほむらちゃんが魔法少女になるかもしれないって思ったら」
まどか「もっと仲良くなれると思って、そしたら舞い上がっちゃって・・・」
マミ「私も仲間が増えるかと思ったら嬉しくて・・・つい・・・」
マミ「ごめんなさい、暁美さん。私たちはあなたに申し訳ないことをしてしまったわ」
ほむら「そんな・・・私こそずっと悩んでて、それが巴さんたちに変に期待させてしまって・・・」
まどか「ほむらちゃん・・・」
ほむら「ひっ!きゅ、QB!」ガシッ
まどか(ほ、ほむらちゃんが抱きついてきた!これは今までの私の人生で一番の自慢だよ!)
マミ「・・・」スッ
まどか「マミさん・・・?」
マミ「ティロ・ハリセン!」バシーン
QB「キュブシ!!」
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QB「何をするんだいマミ」
マミ「あなたには反省するという考えはないの?」
QB「反省?何のことだい?僕には反省する事が思い浮かばないよ」
マミ「ティロっ!ティロっ!ティロっ!」バシーンバシーンバシーン
QB「いたっ、ちょ、マミ、やめ、いたっ!たんなる、いたっ、紙の、った、加工物ったい、でもっ、いたっ」
ほむら「うん、ごめんね。もう落ち着いたから・・・」スッ
まどか(あぁ、ほむらちゃんが離れちゃった・・・)
マミ「ところでQB、あなた暁美さんに迷惑を掛けているそうじゃない」
QB「迷惑?何のことだい?僕には迷惑を掛けた事が思い浮かばないよ」
マミ「」スッ
QB「待って、マミ!そうだ、話を聞くよ!話し合いは相互の理解のために必要だね!」
まどか「ほむらちゃんをしつこく勧誘するのをやめてよ!」
QB「やめても何も、僕は少女を魔法少女にするのが役目なんだ」
QB「そうしないと世界は魔女に滅ぼされてしまう、その要求は聞くことができないよ」
まどか「だからって・・・、限度があるよ!ほむらちゃん、こんなに怖がってるじゃない!」
ほむら「あの、鹿目さん私なら大丈夫だから」
まどか「ほむらちゃん、私に任せて!」
QB「君と事を構えるつもりはないよ、まどか」
QB「ところでさっき暁美ほむらの家で呼ばれたけど、あえて無視したのは悪いと思っているよ」
まどか「マミさん、私にもそれ使わせてもらえませんか?」
マミ「ええ、たくさん作ったから遠慮なく使ってね」スッ
QB「ごめんよ!戸締りを厳重にされていたから、無理に侵入して出て行くのはどうかと思ったんだ!」
QB「だからそのハリセンはやめて!ほんと痛いから!エントロピー凌駕しそうだから!」
ほむら「あ、あの。もうやめてあげてください」
まどか「ほむらちゃん!?」
マミ「暁美さん・・・、いいの?QBは貴女に随分酷いことをしたのよ?」
まどか「そうだよ、ほむらちゃん。それに私たちのこともいろいろ馬鹿にしてるし、何より反省してないよ!」
ほむら「確かに酷いこと沢山されたけど、でもほんの少しだけ可哀想になって・・・」
まどか「ほむらちゃん・・・」
マミ「暁美さんがそう言うのなら・・・」
QB「そこまで言うのなら仕方ないね。全く君のわがままにも困ったものだよ」
マミ「ティロ・フィナーレ(気分だけ)」バシーン
QB「キュブシ!!」
マミ「さて、流石にQBもそろそろ反省すると思うし。紅茶とケーキでもどうかしら?」
まどか「わぁ、やったぁ!ほむらちゃん、マミさんの紅茶とケーキ凄くおいしいんだよ!」
ほむら「え、そうなの?楽しみだな・・・」
-------
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まどか「おいしー!これマミさんが作ったんですか?」
マミ「えぇ、日持ちするから明日鹿目さんと暁美さんを呼ぼうと思って作っておいたの」
ほむら「お店で売ってるケーキよりおいしいです」
QB「僕としては先週食べたガトーショコラってケーキのほうが好みだね」
マミ「じゃあまた今度作ってあげるわね」
ほむら「あの、鹿目さん、巴さん。」
まどか「なに?ほむらちゃん」
マミ「ケーキのおかわりかしら?それとも紅茶?」
QB「」ピクッ
まどか「えっ!?だってほむらちゃん、QBが怖いって・・・!」
マミ「それは自身の恐怖を置いても叶えたい願いができた、ということかしら?」
ほむら「はい」
QB「よし。さぁ、暁美ほむら。君の願いはなんだい?」キリッ
ほむら「私の願いは・・・」
まどか「願いは・・・?」
マミ「」ゴクッ
まどか「え?」 マミ「え?」 QB「え?」
ほむら「やっぱり無理でしょうか・・・?」
QB「わけがわからないよ。マミ、内容をよく理解できない僕がおかしいのかい?」
マミ「QBがしつこく勧誘しすぎたから心労で・・・。暁美さんメンタルが少し弱そうだし」
まどか「ほむらちゃん、流石にそれはおかしいよ!」
ほむら「え?え・・・?」
ほむほむ他の願いで契約しても
二度と勧誘される事は無いよ(笑)
マミ「まず、QBは何のために勧誘をしているかはわかるわよね?」
ほむら「えっと、資質のある人に魔法少女になってもらうため・・・ですよね?」
マミ「そうよ。じゃあ魔法少女に対しては勧誘する意味があると思う?」
ほむら「あ、そっか。」
ほむら「巴さんや>>114さんの言うとおり、魔法少女になれば、そんな願いをしなくても勧誘されなくなるんですね」
マミ「その通りよ」
ほむら「ごめんなさい、巴さん。私、ちょっと焦ってたみたいです」
QB「今のは流石の僕も驚いたよ・・・」
まどか「QBがしつこすぎるのが悪いんだから、ほむらちゃんは気にしちゃダメだよ」
ほむら「うん・・・。でもどうしよう、他に願い事考えてなかったよ」
さっき某スレで誤爆した人だよな?
杏子「誰も怒ってないから心配すんじゃねーぞ!」
?
QB「あのスレに魔法少女の資質を持った子が書き込みをしてそうな感じがしてね」
QB「ただ、突然脈絡のない発言をしてしまったのはとても申し訳ないと思っているよ」
QB「だから・・・・杏子もそのハリセンをしまってくれないかな・・・」
QB「君の温情、ありがたく頂戴するよ」
ほむら「でも、それだとQBが・・・」
まどか「QBは私とマミさんがなんとかするよ!だからほむらちゃんは無理しないで!」
QB「まるで僕が悪いことをしているみたいじゃないか」
マミ「貴方にとっては悪いことじゃないかもしれないけれど、暁美さんにとっては悪いことなのよ」
QB「なるほど、過度の勧誘は逆効果みたいだね」
まどか「QB、ほむらちゃんがちゃんと願い事を決めるまで勧誘するのをやめてよ」
QB「それは構わないけど、僕としては早いほうが助かるんだけどね」
QB「そういうものなのかい?でも、どうせなら今契約したほうがいいと思うんだけどな」
ほむら「?」
まどか「どういうこと?」
QB「今契約すると、この特製QBストラップ(ソウルジェム用)が貰えるよ」
ほむら「そういうのはもういいよ!」
おわり
面白かったぞ
乙
QB「魔女空間で僕と握手!というのはどうかな?」
まどか「それはバツゲームの範囲じゃないかな・・・」
マミ「魔法少女候補とはいえ、一般の人を巻き込むのは駄目よ」
ほむら「できるならもう二度とあんな場所には行きたくありません・・・」
ほむら「豪華に・・・って?」
QB「毎月付いてくる巴マミフィギュアパーツ」
QB「全て集めると等身大の巴マミが完成するよ!」
まどか「それ何年かかるの・・・」
マミ「というか本編中にも言いたかったのだけど、勝手に私を使うはやめてもらえないかしら?」
ほむら「うん、そうだね」
QB「願い事を2個にしたら現役魔法少女からクレームが来るよ」
QB「ソウルジェムを2個にしても意味はないしね」
マミ「衣装を増やしてもらえるなら私は嬉しいのだけど・・・」
まどか「あっ、それ凄くいいかも!」
QB「僕のぬいぐるみかい?」
マミ「ちょっと大きくて、抱きしめられる感じなら女の子受けはよさそうね」
QB(予備の固体を使う手はあるけど・・・、これはまだマミたちに知られたくないな)
QB「検討しておくよ」
マミ「暁美さん、何気に凄いことを言うわね・・・」
まどか「すごいよほむらちゃん!そんなこと思いつくなんて天才だよ!」
ほむら「そ、そうかな・・・?」
QB「願い事を増やす、っていうのは魔法少女の願いとしては難しいんだ」
QB「僕たちと同等の力を持つことに近いしね」
QB「余程の因果を持ってないと駄目だね」
マミ「何で勝手にそんなことをするの!?」
まどか「すごい、見分けが付かないぐらいそっくりだよ!」
QB「これをオマケにすれば契約もはかどるかな?」
ほむら「うわぁ・・・すごい・・・きゃっ」コケッ
ドン ゴロゴロゴロ
QB「あ、首はジョイントが弱いからすぐ取れちゃうよ。気をつけて」
QB「君が積極的に考えてくれて嬉しいよ」
マミ「確かに、魔法少女になっても独りぼっちってあるものね。心強そうだわ」
まどか「さすがほむらちゃん!」
QB「このアイデアはストックしておこう」
取れないのはあなたの責任ではありません。
取れる方法を、知らないだけだったのです。
そんなあなたのために、 「テレアポ」や飛び込み訪問に使える
〔心理学的ノウハウ〕をご紹介しましょう。
お申し込みはこち
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ほむら「皆さん、読んでくださってありがとうございました」
マミ「支援してくれた人や、合いの手を入れてくれた人もありがとうね」
まどか「>>1は寝ます。おやすみなさい」
QB「誤爆は本当に申し訳なかったと思っているよ・・・」
QB「ここで謝っても仕方ないけれど、あっちに顔を出すのもまた邪魔になるからね」
QB「さて、僕はまた魔法少女候補を探すために他のスレを見てこようかな」
QB「>>153は参考にさせてもらうよ!」
本当に終わり
みんなありがとう
乙乙
Entry ⇒ 2012.04.30 | Category ⇒ まどかマギカSS | Comments (0) | Trackbacks (0)
ルルーシュ「またスザクの机の上に花瓶が置かれている」
ルルーシュ「……」
スザク「おはよう、ルルーシュ」
ルルーシュ「あ、ああ」
スザク「あれ?また花瓶が」
ルルーシュ「スザク……」
スザク「いつも僕の席に置かれてるんだ。これは教卓のところにあるやつなのに」
ルルーシュ「……」
スザク「戻さないと。あ、そうだ。ついでに水も変えておこう」スタスタ
ルルーシュ(スザク……)
ルルーシュ「……」
スザク「誰なんだろうな、場所を間違えてるのは」
ルルーシュ「そ、そうだな」
スザク「1限は……あれ?」
ルルーシュ「どうした?」
スザク「おかしいな。ちゃんと持ってきてたはずなのに」
ルルーシュ「……」
スザク「教科書が全部なくなってる」
ルルーシュ「……」
スザク「忘れてきたみたいだ。ルルーシュ、悪いけど見せてくれないか?」
ルルーシュ「それは構わないけど」
スザク「ありがとう」
ルルーシュ「……」ギリッ
スザク「ルルーシュ」
ルルーシュ「どうした?」
スザク「教科書あったんだ」
ルルーシュ「どこに?」
スザク「ゴミ箱の中。誰かが間違えて捨てたみたいだ」
ルルーシュ「おい……」
スザク「ところどころ破けてるけど読めないこともない」
ルルーシュ「……」
スザク「さっきは見せてくれてありがとう。ルルーシュ。飲み物でも奢るよ」
ルルーシュ「そんなの気にするな」
スザク「次は体育だな。急がないと」タタタッ
ルルーシュ「スザク……」
スザク「あ、ルルーシュ」
ルルーシュ「どうした?早く着替えないと遅刻するぞ?」
スザク「ごめん。次の体育は休むことにする」
ルルーシュ「体調でも悪いのか?」
スザク「いや。さすがにこんな落書きされた体操服では授業に出れない」
ルルーシュ「……っ」
スザク「先生にふざけてると思われるかもしれない」
ルルーシュ「まて」
スザク「上手く言い訳しておいてくれると助かる。それじゃあ洗ってくるから」タタタッ
ルルーシュ「あ……」
ルルーシュ「はぁ……」
ルルーシュ「……」
スザク「ふんふふーん」ジャブジャブ
ルルーシュ「スザク」
スザク「ルルーシュ?!授業はどうしたんだ?」
ルルーシュ「なんて書かれていたんだ?」
スザク「え?大きく『死ね!!!!』って」
ルルーシュ「……」
スザク「体操服に恨みでもあるんだろうな」
ルルーシュ「スザク……」
スザク「体操服を殺すなら、引き裂いたほうがいいのに」
ルルーシュ「……」
スザク「ふんふふーん」ジャブジャブ
ルルーシュ(スザク……わざとか?わざとなんだろ?)
ルルーシュ(気丈に振舞っているだけなんだろ……スザク……!!)
スザク「あれ、漂白剤使いすぎたか?校章が剥げてしまった……まずいな……怒られるかも……」
スザク「あれ?」
ルルーシュ「今度はどうした?」
スザク「弁当箱がなくなってる。朝、確認したときはあったんだけど」
ルルーシュ「……」
スザク「もしかして……」スタスタ
ルルーシュ「おい」
スザク「えっと……」ガサガサ
スザク「ルルーシュ!!見てくれ!!やっぱりゴミ箱の中にあった!!」
ルルーシュ「……っ」
スザク「よかった。中身は無事だ。大方、ゴミに間違えられたんだろうな」
ルルーシュ「……」ギリッ
スザク「ルルーシュ、さ、食べようか」
ルルーシュ「あ、ああ……そ、そうだな……」
スザク「どうした?気分でも悪いのか?」
スザク「あれ?」
ルルーシュ「……」
スザク「トイレに行く前はちゃんとあったのに……椅子がないな」
スザク「どこにいったんだろう」キョロキョロ
ルルーシュ「スザク……」
スザク「教室にはないみたいだな。ちょっと探してくる」
ルルーシュ「まて」
スザク「なんだ?」
ルルーシュ「スザク、強がりはもうやめろ」
スザク「強がり……」
ルルーシュ「俺が……」
スザク「ルルーシュ。何を言っているんだ。僕は何も強がってなんかないよ」
ルルーシュ「そんなわけ―――」
スザク「じゃあ、生徒会室には先に行っててくれ。椅子が見つかったらすぐに行くから」タタタッ
だから地味な嫌がらせを続ける
ミレイ「スザクくん、遅いわねー。ルルーシュ、何か聞いてない?」
ルルーシュ「いえ……」
ミレイ「そう……」
シャーリー「……ねえ、ルル」
ルルーシュ「会長には黙っておこう」
シャーリー「でも……」
ルルーシュ「言ったところで状況が悪化するだけだ」
シャーリー「……」
カレン「でも……仕方の無いことじゃ……」
シャーリー「カレン」
カレン「彼……イレヴンだし……」
シャーリー「それは……」
ルルーシュ「カレン……」
カレン「あたしはそういうの……嫌いだけど……」
ナナリー「すっかり遅くなってしまいましたね、咲世子さん」
咲世子「はい。急ぎましょう」
ナナリー「生徒会室までお願いします」
咲世子「畏まりました」
咲世子「―――おや?」
ナナリー「どうかしましたか?」
咲世子「スザクさんが中庭で何かを探しているようです」
ナナリー「スザクさんが?あの……」
咲世子「はい。少し寄り道ですね」
ナナリー「ごめんなさい」
咲世子「いいのですよ」
ナナリー「スザクさん……何を……」
咲世子「……」
スザク「ここにもないか……。一体、どこまで移動したんだ、僕の椅子」
ナナリー「スザクさん」
スザク「え?ナナリー。どうしたんだい?」
ナナリー「あの、何かをお探しのようでしたので」
スザク「ああ。椅子をね」
ナナリー「椅子?」
スザク「僕の椅子が逃げ出しちゃったみたいで」
咲世子「なんともメルヘンな」
ナナリー「あの……それって……」
スザク「僕に座られるのが嫌だったのかもしれないな」
咲世子「きちんとお掃除してあげていましたか?」
スザク「あ、そういうことはしてなかったですね」
咲世子「それは逃げられても文句は言えませんね」
スザク「ははは、確かに」
スザク「見つけたら毎朝磨かないとな」
咲世子「では、私もお手伝いいたします。よろしいですか?」
ナナリー「は、はい。それはもちろん」
咲世子「では―――」ササッ
スザク「はやい……。あの人、只者じゃない……」
ナナリー「あの……スザクさん?」
スザク「なに?」
ナナリー「手を……私の手を握ってもらえますか?」
スザク「え……。どうして?」
ナナリー「お願いします」
スザク「……ごめん。今は椅子を探さないと」
ナナリー「……」
スザク「ほんと、どうやって逃げたんだろう。逃げ出す瞬間を見てみたかった」
ナナリー「スザクさん……」
ナナリー「……」ギュッ
スザク「なっ……!?」
ナナリー「スザクさんの手……震えています」
スザク「ナナリー、よさないか!!」バッ
ナナリー「でも……」
スザク「そうだ。生徒会室まで一緒に行こう」
ナナリー「スザクさん!!」
スザク「さ、ルルーシュもナナリーのこと待ってると思うし」
ナナリー「あの……私……!!」
スザク「急がないとな」
ナナリー「……」
ナナリー(スザクさん……)
スザク「遅れました」
ナナリー「……」
ミレイ「スザクくん。遅かったわね。どうかしたの?」
スザク「ちょっと色々と」
ミレイ「そう」
ルルーシュ「スザク、見つかったのか?」
スザク「まだ。咲世子さんが探してくれてるみたいだけど」
ルルーシュ「……」
ナナリー「あの……スザクさん……」
スザク「会長。僕の仕事はあるんですか?」
ミレイ「たーっぷりあるわよぉ」
スザク「よーし。がんばらないと」
ルルーシュ「ちっ……」
ナナリー「……」
カレン「シャーリー、顔に出すぎ」
シャーリー「あ、え?」
リヴァル「会長、そういうのすぐわかっちゃうから」
シャーリー「ご、ごめん……」
ニーナ「……」カタカタ
スザク「この資料全部に目を通すんですか?!」
ミレイ「そうよぉ!がんばってね」
スザク「はは。今日は残業ですね」
ルルーシュ「……」
咲世子「失礼いたします」
ナナリー「咲世子さん?」
咲世子「スザク様、椅子を見つけ―――」
スザク「……!!」ガタッ
ミレイ「イス?」
咲世子「え?」
スザク「会長、お手洗いに行ってきます」
ミレイ「え?あ、うん」
ナナリー「わ、わたしもっ!!」
ミレイ「えっ!?」
ナナリー「お、おもらししそうなので!!」
ミレイ「そういうことは言わなくていいから!!」
シャーリー「椅子って」
カレン「スザクの椅子でしょうね」
リヴァル「見つかったのか。よかった」
ニーナ「……」カタカタ
ミレイ「もう……どうしちゃったのかしら……」
ルルーシュ「それで、椅子は?」
咲世子「はい。スザク様の逃げ出した椅子は焼却炉のほうに」
スザク「焼却炉?」
咲世子「恐らく、この世に絶望してしまい自ら命を絶ったものかと」
ナナリー「そんな……」
ルルーシュ「下衆が……」
咲世子「しかし、ご安心を、スザク様」
スザク「え?」
咲世子「脚は3本残っていました」スッ
スザク「あ……」
咲世子「どうぞ」
ルルーシュ「咲世子!!おい!!空気を―――」
スザク「ありがとうございます、咲世子さん。大事にします」
咲世子「喜んでいただけで光栄です」
ルルーシュ「そうなんだ!!咲世子にあるのは純粋な真心だけで……!!」オロオロ
咲世子「何を仰っているのですか?」
ルルーシュ「だまっていろ!!」
スザク「いや。本当に嬉しい。なんの得もないのに焼却炉からわざわざ骨を拾ってきてくれたんだから」
ナナリー「スザクさん……」
スザク「これどこかに置いておかないとな……。とりあえず教室に置いてくる」
ルルーシュ「スザク……!!」
スザク「すぐに戻るから」タタタッ
ナナリー「……」
ルルーシュ「くっ……あいつ……!!」
咲世子「いい事をすると気分がいいですね」
ナナリー「咲世子……さん……?」
咲世子「な、なんでしょうか……?」ゾクッ
ナナリー「言葉には気をつけてください」ニコッ
スザク「うっ……っ……」
ガラッ
スザク「……!!」
ナナリー「スザクさん……?」
スザク「……」ゴシゴシ
スザク「ナナリーか。どうした?」
ナナリー「今……泣いて―――」
スザク「ごめん。すぐにいくよ」
ナナリー「あの……」
スザク「よくここまでこれ―――」
ルルーシュ「スザク」
スザク「ルルーシュ……君まで……」
ルルーシュ「少し話そう」
スザク「……あ、ああ」
スザク「何のこと?」
ルルーシュ「おい」
スザク「僕はこの学園に来れてよかったと心から思っている。不満に思うようなことは一切ない」
ナナリー「嘘……」
スザク「嘘じゃないさ。ユーフェミア様には感謝している」
ルルーシュ「それか」
スザク「え?」
ルルーシュ「ユーフェミアがここの入学を薦めたんだったな」
スザク「そうだけど」
ルルーシュ「だから、辛いことを表に出そうとしないわけか。ユーフェミアの騎士として」
スザク「ルルーシュ。今、言ったように辛いことなんてなにも―――」
ルルーシュ「俺に嘘が通じるとでも思っているか?」
スザク「……っ」
ナナリー「スザクさん……あの……辛いことは辛いとはっきりと言ってください……」
スザク「やめてくれ」
ルルーシュ「なに……?」
ナナリー「どうして?」
スザク「これは僕の問題だし、それに僕が我慢すれば丸く収まる」
ルルーシュ「ふざけるなっ!!」
スザク「僕は大真面目だ」
ルルーシュ「……っ」
ナナリー「お兄様……」
ルルーシュ「我慢してもお前がこの学校にいる限り、これは続く」
スザク「だろうね」
ルルーシュ「耐えられるのか?」
スザク「耐える必要なんてないよ。僕にはルルーシュという親友がいるから。それだけで満たされている」
ルルーシュ「おまえ……」
スザク「それじゃあ生徒会室に戻ろう。僕の仕事、山積みなんだ。急がないと学校に一泊することになる」
ミレイ「はーい。どんどん、読んでねー」
スザク「ほ、ほんとに多いですね……」
ミレイ「口を動かさず、目を動かす」
スザク「は、はい!!」
ルルーシュ「……」
シャーリー「ルル……」
ルルーシュ「考えている」
シャーリー「え?」
ルルーシュ「……」
カレン「何を?」
ルルーシュ「スザクをこの学校から追放する方法を」
リヴァル「はぁ!?」
シャーリー「な、なんで!?」
ルルーシュ「スザクはこの学校には不要だからな」
ルルーシュ「……」
シャーリー「そうだよ、ルル!何を―――」
ルルーシュ「スザクはここにいるべきではない」
カレン「それって……スザクの為?」
ルルーシュ「いいや。俺の自己満足の為だ」
ニーナ「……」カタカタ
シャーリー「ど、どうしてそんなことするの!?」
ルルーシュ「……」
ミレイ「なに?なんのはなしかなー?」
リヴァル「あ、いや……」
ルルーシュ「次の文化祭はたのしみだなぁって言ってたんです」
ミレイ「そんなことより、ちゃんと事務処理してね」
ルルーシュ「はいはい」
ルルーシュ(スザク……貴様がここに残るというなら……俺が居られなくしてやる……)
ルルーシュ「はぁ……」
C.C.「5回目だぞ」
ルルーシュ「なんの回数だ?」
C.C.「その鬱陶しいため息だ。聞かされる身にもなれ」
ルルーシュ「なら、別室に移動でもしろ」
C.C.「いいのか?ナナリーに添い寝して、女にしてやってもいいんだぞ?」
ルルーシュ「……」
C.C.「冗談だよ。怖い顔するな」
ルルーシュ「ふん……」
C.C.「何か気がかりなことでもあったのか?」
ルルーシュ「お前には関係ないな」
C.C.「そうはいかない。私はC.C.でお前の共犯者なのだからな」
ルルーシュ「……」
C.C.「ほら、話すだけ話してみろ」
ルルーシュ「何か意見でもあるか?」
C.C.「つまり、枢木スザクを退学に追い込むのか?」
ルルーシュ「奴はユフィのために通っているだけだ。自分を殺してな」
C.C.「そしてその恩を無碍にできないから辛くとも通学を続けている、と」
ルルーシュ「スザクのことだ、どう説得しても卒業まで通うだろう。ユフィのためにな」
C.C.「義理堅い子だ。頭を撫でてやりたくなる」
ルルーシュ「だから……俺がスザクをこの学園に居られなくする。それが奴を救う唯一の方法だ」
C.C.「……」
ルルーシュ「そのプランを今、考えている」
C.C.「坊や……」
ルルーシュ「簡単なのは傷害事件を起こされることだが……。スザクはそのあたりも弁えてそうだからな」
ルルーシュ「ここは痴漢でも……」
C.C.「おい。本気で言っているのか?」
ルルーシュ「当たり前だ」
ルルーシュ「そんなこと分かっている。だから、徹底的に追い込む」
C.C.「その作戦が痴漢か?バカいえ。そんなもの謹慎処分で終わる」
ルルーシュ「スザクはイレヴンだ。そういう問題が起これば謹慎では済まない」
C.C.「おいおい……」
ルルーシュ「さて……どうするか……」
C.C.「……」
ルルーシュ「じっくりと作戦を練るか……」
C.C.「……コーヒーでも飲んでくるかな」トコトコ
ルルーシュ「ギアスを使えば……女生徒は簡単に手に入る……」
ルルーシュ「あとはスザクの行動を予測して……」ブツブツ
C.C.「……」
C.C.(真性だな……ルルーシュは……)
C.C.(なんの解決にもならないよ……そんなやりかたじゃ……)
ナナリー「はぁ……」
C.C.「5回目だな」
ナナリー「え?C.C.さん?」
C.C.「眠れないのか?」
ナナリー「いつからそこにいたんですか?」
C.C.「5分前かな。お前が人の気配に気がつかないのも珍しい」
ナナリー「ご、ごめんなさい」
C.C.「あはは。謝るのは何の断りもなく入ってきた私のほうだと思うが?」
ナナリー「で、でも……気がつかなかったのは失礼なことですから」
C.C.「ふぅん。変わったやつだ」
ナナリー「あの……なにか?」
C.C.「枢木スザクのことだ。お前も気にしているんだろ?」
ナナリー「は、はい……。スザクさん……無理をしているみたいでしたので」
C.C.「みたいだな。どうだ?ここは私と手を組まないか?」
おまわりさんこの人です
C.C.「そのままの意味さ。枢木スザクを助けたいんだろ?」
ナナリー「そ、それは勿論……」
C.C.「私と手を組めば簡単だ」
ナナリー「でも、お兄様も何か考えているようですから……」
C.C.「だめだな」
ナナリー「どういうことですか?」
C.C.「ルルーシュのやりかたじゃ、何も解決しない」
ナナリー「そ、そんなことありませんっ。お兄様ならきっと……!!」
C.C.「少なくともお前とルルーシュと枢木スザクは泣くことになる」
ナナリー「それって……」
C.C.「それでもいいなら、何も言わないが」
ナナリー「……」
C.C.「どうする?」
ナナリー「私は……」
スザク「くしゅん」
セシル「風邪?」
スザク「いえ。なんでもありません」
ロイド「うつさないでね〜。今、結構大事な時期だから」
セシル「ロイドさん!!」
スザク「はい。気をつけます」
セシル「もう……。あ、ここ。数式が違うわ」
スザク「え?本当ですか?すいません」
セシル「ふふ、両立も大変ね」
スザク「いえ。全く苦ではありません」
ロイド「へ〜、学校、たのしんでるの?」
スザク「勿論です」
ロイド「君、イレヴンなのに?」
スザク「え……」
ロイド「だって、ほら、アッシュフォード学園にただのイレヴンが行くんだよ?すっごく浮くと思うんだけどね〜」
スザク「それは……」
セシル「なんてことをいうんですか?!」
ロイド「これは事実だよ。疎まれてるんじゃないの〜?」
スザク「……」
セシル「でも、友達がいるって!!」
ロイド「親友がいるから、なんとかなっているって感じじゃないの?いなかったら今頃……引きこもりなってたかもね〜」
ロイド「残念でした〜、引きこもりにならずにすんで〜」パチパチ
セシル「ロイドさん?」
ロイド「え?」ビクッ
セシル「ちょっとこちらに」
ロイド「ちょっと、今は本当に大事な時期で……骨折とかしたら―――」
スザク「……」
スザク(分かっている……。もしルルーシュが居なかったら、とっくに逃げ出していたかもしれない)
ロイド「あっ、あっ」
ユフィ「楽しそうですね」
スザク「ユーフェミア様!?」
セシル「あ、こ、これはお見苦しいところを!!」
ロイド「いたた……助かった……」
スザク「どうしたのですか?」
ユフィ「スザクの様子が気になって。迷惑だった?」
スザク「そ、そんなことは!!」
ユフィ「よかった。ねえ、学校どう?楽しい?」
スザク「はい。勿論です」
ロイド「……無理しちゃって」
セシル「……」ギロッ
ロイド「さ〜て、最終チェックしてかえりましょ〜」
セシル「……」
スザク「それだけですか?」
ユフィ「それだけって……少し酷いっ」
スザク「あ、も、申し訳ありません」
ユフィ「ふふ……。でも、よかった。もしかしたら辛い目にあってるかもって思ってて」
スザク「……」
ユフィ「ほら、イレヴンは蔑視されてるから」
スザク「自分の場合はそんなことありません。皆、よくしてくれるので」
ユフィ「そうなんだっ」
スザク「はい」
ロイド「……」
セシル「ほら。スザクくんは大丈夫だって言ってるじゃないですか」
ロイド「……大変だね。八方塞りだ」
セシル「え?」
ロイド「こういうの四面楚歌っていうのかな〜。それとも背水の陣ってやつ〜?あは〜、どっちにしても地獄だよね〜」
セシル「いえ。いつでもご見学にきてください」
ロイド「またね〜」
スザク「……」
ロイド「さて、今日はおわり〜!!みんな〜かえろー!!」
セシル「スザクくん。課題は全部、終わったの?」
スザク「あとは教科書を見ながらやります」
セシル「遠慮しないで。最後まで見てあげるから」
スザク「いえ。ホントに。あとは―――」
ロイド「教科書、みせてごらん」
スザク「え……」
ロイド「……」
スザク「それは……」
セシル「どうしたの……?」
ロイド「見せたくないのか、見せられないのか。どっち?」
セシル「えっと……」
ロイド「はやくしなよ〜」
スザク「……教科書は自室のほうにあるので」
ロイド「あっそ」
セシル「それなら仕方ないわね」
スザク「お先に失礼します」
ロイド「はーい、おつかれ〜、おだいじに〜」
セシル「ロイドさん」
ロイド「なに〜?」
セシル「何が言いたかったんですか?」
ロイド「持ち物ってさぁ、標的になるんだよね。ほら、全部を持ち歩くわけにはいかないから」
セシル「はぁ?」
ロイド「だから、ちょっと興味があったんだ〜。それだけ」
セシル「あの……スザクくんが虐めにあっていると、言いたいんですか?」
セシル「ロイドさん。それなら私が―――」
ロイド「やめたほうがいい」
セシル「でも!!本当にそんなことになっているなら!!」
ロイド「彼はユーフェミア皇女の想いを無視できないからね。君が何を言っても、彼は学校にいく」
セシル「それは……」
ロイド「だから〜ほっとけばいいの〜」
セシル「そんな無責任な!!」
ロイド「じゃあ、救えるの?大変だよ〜?僕には無理〜」
セシル「……ロイドさん……!!」
ロイド「僕たちは彼の逃げ場所になってあげればいいんだよ」
セシル「ロイドさん……意外と優しいところも―――」
ロイド「ま、大事なランスロットのパーツが壊れないように見守るのは僕の務めでもあるしね〜」
セシル「……はぁ……そうですか……」
ロイド「それしかないよ。なにいってるの?」
ルルーシュ「……」
女生徒「あの、ルルーシュくん。話ってなに?」モジモジ
ルルーシュ「ああ、ちょっと頼みたいことがあるんだ」
女生徒「な、なに……?もしかして……」
ルルーシュ「今日の16時、保健室に行って全裸になってほしい」キィィィン
女生徒「……うん。わかった」
ルルーシュ「……」
ルルーシュ(色々、考えたがシンプルな作戦で十分だな)
ルルーシュ(俺がスザクの蛮行を発見し、それを内密に処理する)
ルルーシュ(スザクも言い逃れはしないだろう……。それでミレイ会長も納得するはずだ)
ルルーシュ(事実を知るのは俺とスザクと会長、学園長だけ……。軍にもユフィにも……事実は伝えない)
ルルーシュ(これでいい……これで……)
C.C.「随分、雑な作戦だな。まるで失敗することを望んでいるように思えるのは気のせいかな、坊や?」
ルルーシュ「C.C.……」
C.C.「下手なギアスを使って……。勿体無いな」
ルルーシュ「黙れ。作戦は完璧だ」
C.C.「枢木スザクに急な仕事が入れば潰える作戦がか?笑える」
ルルーシュ「また明日、同じギアスを別の女にかけるまでだ」
C.C.「そのときも枢木スザクに予定が入ったら?」
ルルーシュ「翌日、同じことをするだけだ」
C.C.「やめろ。なんて計画性のなさだ。お前らしくもない」
ルルーシュ「黙れ」
C.C.「こんなことしても何もならない。分かっているのだろ?」
ルルーシュ「……」
C.C.「出て行くにしろ残るにしろ、結局、枢木スザクは苦しむんだからな」
ルルーシュ「だが、ここにいるよりはマシだ」
C.C.「本人に訊いたのか?」
ルルーシュ「誰の目から見てもそうだろう」
ルルーシュ「客観的な考えだ」
C.C.「お前な」
ルルーシュ「話はそれだけか?」
C.C.「ああ、もういいよ。頭でっかちには用はない」
ルルーシュ「……」スタスタ
C.C.「本当に……」
ナナリー「あの……」
C.C.「大丈夫だ。アイツを悪者にはさせないさ」
ナナリー「そうなのですか?」
C.C.「ああ。そのためにアレを借りてきたのだからな」
ナナリー「C.C.さん……貴方は……」
C.C.「このことはルルーシュには内緒だぞ?」
ナナリー「本当にやるんですか……?テロなんて……そんな上手く……」
C.C.「安心しろ。枢木スザクを正義の味方にするだけならわけないさ……多分な」
スザク「……」ジャブジャブ
ルルーシュ「スザク……またか」
スザク「うん」
ルルーシュ「……おまえ」
スザク「僕はやめないよ」
ルルーシュ「……」
スザク「ここを卒業するまでは」
ルルーシュ(このバカが……)
スザク「ユフィの願いでもあるし。僕が学生として生活することは」
ルルーシュ「……そうか」
スザク「ああ」
ルルーシュ(仕方ないな……)
ルルーシュ「それより、頼みたいことがあるんだ」
スザク「どうしたんだ?」
スザク「なに?!」
ルルーシュ「それで俺の部屋まで運んで欲しいんだけど」
スザク「わかった」
ルルーシュ「俺は生徒会の用事を済ませてからすぐに向かうから」
スザク「……」
ルルーシュ「……」
スザク「……それでいいんだな?」
ルルーシュ「それでいい」
スザク「ルルーシュ……」
ルルーシュ「頼む」
スザク「わかった。任せてくれ」タタタッ
ルルーシュ「……」
ルルーシュ「さて……行くか……」
ルルーシュ「……」スタスタ
ピリリ
ルルーシュ「俺だ」
カレン『ゼロ、グラスゴー一台。予定通り、アッシュフォード学園前に―――』
ルルーシュ「なんだそれは?」
カレン『え?昨日、輸送トラックで一台もってこいと……』
ルルーシュ「……わかった。助かる」
カレン『いえ』
ルルーシュ(C.C.……まさか……)
カレン『あれ……ちょっとあんた!!こら、なんでいきなり―――』
ルルーシュ「おい!どうした?!」
ルルーシュ「くっ……!!」
ルルーシュ「ええい!!余計なことを!!!」
C.C.「さてと……少し暴れるかな」
カレン『こら!!ちょっと!!降りて来い!!』
C.C.「黙っていろ。これはお前には関係のないことだ」
カレン『そう言うわけにも!!』
C.C.「いいからお前は逃げ惑うエキストラの学生を演じていろ」
カレン『あのね―――』
C.C.「通信終わり」ピッ
ナナリー「今の声……カレンさん?
C.C.「気のせいだ」
C.C.「さぁ、少し揺れるが我慢してくれ」
ナナリー「は、はい」
C.C.「いくぞ」
ナナリー(お兄様……許してください。私は……悪い子です……)
C.C.「ほらほら、にげろにげろー」
スザク「……誰か来るのかな」
キャー!!キャー!!
スザク「なんだ……?」
ミレイ『生徒の皆さんは屋内に非難してください!!』
スザク「え……?」
スザク「なにが……!!」
スザク「あれは……グラスゴーか!?なんで学園内に……!?」
スザク「まずい!!」ダダッ
ピリリリ
スザク「はい?!」
セシル「スザクくん?!今、どこにいるの?!」
スザク「セシルさん?」
セシル「正門のところでグラスゴーが走り回ってるけど……」
スザク「セシルさんこそ、どこにいるんですか!?」
スザク「ロイドさんまで!?」
セシル『色々と用事があって……』
スザク「はぁ……」
ロイド『それより、これ結構大変じゃないかな?』
スザク「ロイドさん!!」
ロイド『軍に通報はしておいたからすぐに来ると思うけど』
セシル『スザクくん、だから無茶なことだけは』
スザク「避難誘導をお願いできますか!?」
セシル『えぇぇ!?』
ロイド『それはちょっと』
スザク「お願いします!!僕が囮になりますから!!」
セシル『そんな!!危ないわ!!』
ロイド『そこの生徒たち、君にとって体を張るだけの価値があるの?』
スザク「なにを言っているんですか!?」
スザク「そんなことできません!!」
ロイド『そう……』
スザク「だから―――」
ロイド『相手は武装している様子はない。なんとか避難誘導はしてみるよ』
スザク「ありがとうございます」
ロイド『君は大事なパーツなんだから、死なないようにしてね〜』
セシル『もう!ロイドさん!!』
スザク「死にません。絶対に」
スザク「よし」
ガラッ
ルルーシュ「スザク!!」
スザク「ルルーシュ、行こう!!」
ルルーシュ「ああ」
スザク「やめろ!!!」
グラスゴー「なんだ、お前は?」
スザク「黒の騎士団か!!」
グラスゴー「違う。ただ、暴れたいだけだ」
スザク「そんなことで……!!」
ルルーシュ『スザク、なんとか引き付けろ。まだ東エリアの避難誘導が終わっていない』
スザク「分かった」
ルルーシュ『ああ』
スザク「もうすぐ警察も到着する!!逃げ場はないぞ!!」
グラスゴー「おっと、こっちには人質もいるんだぞ?そんなことで屈しない」
スザク「なに?!」
ナナリー『にゃ、にゃ〜』
スザク「ナ、ナナリー!?」
ルルーシュ『なんだと!?』
かわいい
スザク『ルルーシュ!!どうする?!』
ルルーシュ「スザク、なんとかコックピットを破壊できないか」
スザク『無理だ。武器がない』
ルルーシュ(C.C.のことだ。恐らく頃合を見計らって脱出するはず)
ルルーシュ(ここは適当なことを指示して時が過ぎるのを待つか……)
スザク『ルルーシュ、僕がなんとかグラスゴーに飛びつく』
ルルーシュ「なに?!」
スザク『花火でもなんでもいい。奴の気を引いてくれないか?』
ルルーシュ「無茶だ!!」
スザク『無茶でもやるんだ!!ナナリーがいるんだぞ!!」
ルルーシュ「しかし……!!」
スザク『頼む……僕を信じてくれ、ルルーシュ』
ルルーシュ「……分かった。花火ならあるはずだ。持ってくる。それまで持たせろ」
スザク『ありがとう』
スザク「やめるんだ!!!」
キャーキャー!!
セシル「みなさん!!こちらに!!」
ロイド「はやく〜!!しにたいの〜?」
セシル「でも、まさか人質がいるなんて……」
ロイド「あの輸送トラックから出てきたときには既に人質がいたってことだよね」
セシル「そうですね……。でも……何の為に……」
ロイド「……」
セシル「ロイドさん?」
ロイド「どうして武装もないグラスゴーでこんな逃げ場のないとこに現れて、しかも人質まで……」
ロイド「なんか捕まえてほしいって言ってるような気もするなぁ」
セシル「とにかく今は避難誘導を」
ロイド「はいはい」
ロイド(茶番に付き合わされてるな、これは)
ニーナ「あぁ……大変なことに……」
リヴァル「やばい……やばいってこれ……!!」
シャーリー「ルルは?!ルルはどこ?!」
ミレイ「落ち着いて、きっともう避難してるから」
シャーリー「だけどナナちゃんが人質ならきっとルルは……!!」
リヴァル「無茶なことしてなきゃいいけど……!!」
ミレイ「リヴァル。怪我人が出るといけないから準備しておいて」
リヴァル「は、はい!!」
ルルーシュ「会長!!」
シャーリー「ルル!!!」
ミレイ「どうしたの?!」
ルルーシュ「ガニメデ、借ります。キーを」
ミレイ「はぁ!?なにする気?!」
ルルーシュ「花火を打ち上げます」
グラスゴー「ほらほら〜。なんかだんだん楽しくなってきたぞ」
ナナリー『ダメです。落ち着いてください』
グラスゴー「私は破壊癖があるのかもしれないな」
スザク「こうなったら……石で……!!」シュッ
ガンッ!
グラスゴー「何をする。痛いじゃないか」
スザク「いいから大人しくしろ!!」
グラスゴー「それはできない相談だな」ウィィィン
スザク「……」
グラスゴー「まずはお前からひき殺してやるよ」
スザク「よし。それでいい」
セシル「スザクくん!!危ないっ!!」
ロイド「枢木准尉……」
ルルーシュ「このスイッチを押せば発火するんだな?」
ニーナ「う、うん。それでガニメデの両腕につけた花火の導火線に火が」
ルルーシュ「よし」
ミレイ「ルルーシュ。壊さないでね」
ルルーシュ「ピザが焼けなくなりますからね」
ミレイ「警察が来るまでじっとしててほしかったけど」
ルルーシュ「行ってきます」
ミレイ「はーい」
ニーナ「ミレイちゃん、よかったの?」
ミレイ「相手は武装もしてないし、危害を加える様子もないし、ま、大丈夫よ」
ニーナ「そ、そうかな……でも、もしイレヴンだったら……!!」
ミレイ「それみんなのために体を張ってるスザクくんに失礼よ?」
ニーナ「あ……」
ミレイ「……」
スザク「くっ……」
ルルーシュ「スザク!!!」
スザク「ルルーシュ!!それは!?」
グラスゴー「なんだ、この学園にもそんな機体があったのか」
セシル「あれって」
ロイド「ガニメデだ……」
グラスゴー「でも、そんな旧式でなにができるのかな?」
スザク「……」タタタッ
ルルーシュ「旧式でも……できることはあるのだよ。テロリスト」
グラスゴー「ほう?」
ルルーシュ「食らえ!!全弾発射!!」ピッ
ドドドドドドド!!!!!
セシル「きゃ!!」
ロイド「だいじょ〜ぶ、ただの花火。でも、かなり強力なね」
ルルーシュ「違うな。間違っているぞ。―――スザク!!」
スザク「ここを押せばハッチが開く!!」
グラスゴー「なっ?!バカか貴様!!直接、取り付くなど―――」
スザク「はぁっ!!」ググッ
プシュ……!!
ナナリー「スザクさん!!」
スザク「ナナリー!!」
C.C.「まさかこんなにも早く……」
スザク「君は……」
ルルーシュ「スザク!!パイロットは俺が取り押さえる!!お前はナナリーを!!」
スザク「わかった!!行こう、ナナリー!!」
ナナリー「は、はい!!」
ルルーシュ「―――この魔女め!!なにを考えている!?」
C.C.「いい方法だろ?これで枢木スザクは学園の英雄だ」
ナナリー「だ、大丈夫です」
スザク「よかった。とりあえず保健室にいこうか。車椅子を用意するから」
ナナリー「スザクさん……あの……」
スザク「なに?」
ナナリー「えっと……」
スザク「よし」
ガラッ
リヴァル「あ」
女生徒「……」
スザク「……」
ナナリー「え?スザクさん?何かあったんですか?」
スザク「リヴァル……君は……こんなときに……」
リヴァル「違う!!これはこの子が勝手に!!!」
ナナリー「あの……何があったんですか?」
C.C.「分かっている」
セシル「離れて!!」
ルルーシュ「な……」
ロイド「一応、軍人なんで僕たち」
ルルーシュ「……」
C.C.「まいったな。どうする?」
セシル「その人の身柄は私たちが預かります」
ルルーシュ(こうなったら……ギアスで―――)
ロイド「―――君、スザクくんとお友達?」
ルルーシュ「え?」
ロイド「どうなの?」
ルルーシュ「え、ええ……そうです」
ロイド「親友?」
ルルーシュ「それがなんですか?」
セシル「ロイドさん?」
ルルーシュ(なんだこの男……?)
ロイド「ん〜、ざんねんでした〜。セシルくんっ」
セシル「な、なにがですか?!」
ロイド「杞憂だったね〜」
セシル「はい?」
ロイド「中々いないよ。こんなことしてくれる友達。いや〜僕もほしかったなぁ」
セシル「何を言っているんですか?」
ルルーシュ「あの……」
ロイド「アッシュフォード学園ではガニメデを使ったイベントが文化祭である。今日はその実験だった。ちがう?」
C.C.(こいつ……)
セシル「え?そ、そうなんですか!?」
ルルーシュ「実はそうなんです」
ロイド「あは〜。かえって邪魔しちゃったか。警察にはうまく言い訳しとくよ」
そして騙されちゃうセシルさん…
ルルーシュ「会長」
セシル「いいんですか?」
ロイド「言いも何も、警察沙汰になるようなことはなにもなかったし」
セシル「えぇ……」
ミレイ「えっと……」
ロイド「君もスザクくんのお友達?」
ミレイ「え、ええ……そうですけど」
ロイド「スザクくんはどんな感じにうつってる?」
ミレイ「実直な人です。ただ、少し頭が固いところもありますけど」
ロイド「でも彼、イレヴンなんだけど」
ミレイ「だからなんですか?」
ロイド「あはははははは!!!!!」
ミレイ「な、なんですか、当然!?」
ロイド「いいね!これなら何も問題ない!!あはははは!!!」
セシル「あぁ、待ってください!!」
ルルーシュ「……なんだったんだ」
ミレイ「で、犯人は?」
ルルーシュ「いませんよ」
C.C.「……」
ミレイ「いや」
ルルーシュ「こいつは俺の知り合いです」
ミレイ「はぁ……そういうこと?」
ルルーシュ「はい」
ミレイ「でも、これでみんなが認めてくれるとは限らない」
ルルーシュ「やっぱり知ってたんですね。スザクのこと」
ミレイ「シャーリーとかカレンを見てればね」
ルルーシュ「だけど、スザクを守る大義名分はできました。あいつはこの学園を体を張って守ったんです」
ミレイ「学園の英雄か。うん。悪くないかも」
ロイド「いやぁ〜、楽しかったね」
セシル「でも……」
ロイド「いいじゃない。スザクくんはとてもいい友人に囲まれている」
セシル「それはそうみたいですけど」
ロイド「残念でした〜、スザクくんと一緒に居られる時間が減って〜」
セシル「そんなんじゃありません!!!」
ロイド「それに僕としても収穫はあったしね」
セシル「え?」
ロイド「実はそろそろ身をかためろってうるさかったんだよね〜」
セシル「それって……!?」
ロイド「アッシュフォード学園の生徒会長。お見合いできるかもしれない」
セシル「えぇぇ!?」
ロイド「あは〜、ちょっとしらべてみよっと」
セシル「人間に興味あったんですね……」
ミレイ「ただいまー」
シャーリー「……」
カレン「……」
ルルーシュ「どうしたんだ?」
リヴァル「あ!!ルルーシュ!!たすけてくれ!!!」
ミレイ「なに?何かあったの?」
シャーリー「……リヴァルが……」
ミレイ「リヴァルが?」
カレン「この非常時に保健室で……女生徒に悪戯をしていたみたいなの」
ルルーシュ「なに?」
ミレイ「……へえ」
リヴァル「ちがうんですよ!!会長に頼まれて傷薬とか包帯を取りにいったら、女の子が入ってきていきなり全裸になったんです!!」
ルルーシュ(すっかり忘れていた……)
ミレイ「ふーん」
ルルーシュ「えっと……」
スザク「だけど、そのすぐあと女の子は悲鳴をあげた」
ナナリー「私も聞きました」
リヴァル「おいっ!!」
ルルーシュ(正気に戻ったわけか)
ミレイ「あ、そう」
リヴァル「かいちょぉ!!信じてください!!俺がそんなことするわけないでしょぉ!!」
ミレイ「スザクくんが発見したの?」
スザク「はい」
ミレイ「その女の子はなんて言ってたの?」
スザク「気がついたら裸にされていたと」
リヴァル「あの……」
ミレイ「リヴァル。警察沙汰にはしたくないの」
リヴァル「それ、退学ってことですか!?」
リヴァル「そんなぁ!!!それはあんまりですよぉ!!!」
ルルーシュ「会長。俺もリヴァルがそんなことをするとは思えません」
シャーリー「ルル!!」
リヴァル「おぉ!!ルルーシュぅぅ!!!」ウルウル
ミレイ「でも……」
ルルーシュ「スザク、その女生徒は今はどうしている?」
スザク「かなり混乱しているみたいだったから、保健室で休むように言っておいたけど」
ルルーシュ「会長、とりあえずその女生徒と話をしてきてもらえますか?何かわかるかもしれません」
ミレイ「そうね。シャーリー、ついてきてくれる?」
シャーリー「わかりました」
カレン「男はすぐに庇いあう」
ルルーシュ「もし、その女が自ら脱いだなら冤罪だからな。慎重に調べないと」
リヴァル「そーだそーだ」
カレン「はぁ……」
リヴァル「やった!!」
スザク「どういうこと?」
シャーリー「それが初めは自分の教室にいたのに気がついたら保健室にいたらしくて」
ミレイ「どうやって保健室まで行ったのか、どうやって服を脱いだのかまるで覚えてないみたいで」
カレン「それはリヴァルが何か盛ったんじゃ」
リヴァル「おいっ!!そういう言い方やめろよ!!」
シャーリー「ううん。その子は自分から保健室に向かったみたい。結構な数の人が目撃してた」
ミレイ「あの非常時だしね、わざわざ群れから離れる人は目につきやすかったみたい」
ナナリー「じゃあ、予め約束していたのですか?」
ミレイ「まさか。あんな大騒ぎになっててそんなことをするなんてありえないでしょ」
ルルーシュ「リヴァルも会長に怪我人のための準備を頼まれなければ保健室には向かわなかったでしょうしね」
ミレイ「女の子も裸になってる自分に気づいてから、スザクくんを見て悲鳴を上げたって言ってたし」
スザク「僕ですか?!」
ナナリー「でも、スザクさんは私を抱えてくれていましたから、服を脱がせるなんてとてもできません」
リヴァル「よかったぁ……ほんとに……」
ミレイ「ただ、女生徒の精神的苦痛を鑑みて、お咎めなしはちょっとね」
リヴァル「そんなぁ……」
ミレイ「ま、退学にはならないんだけマシと思わなきゃ」
リヴァル「なんか疑いが全然晴れてないっ!!」
シャーリー「女の敵」
カレン「不潔」
ニーナ「……」
リヴァル「うわぁぁぁ!!!!」
ルルーシュ「ははは」
スザク「ルルーシュ、ちょっといいかな」
ルルーシュ「ああ」
ナナリー「お兄様?スザクさん?」
スザク「ルルーシュ……」
ルルーシュ「……」
ルルーシュ(スザク……)
スザク「ありがとう」
ルルーシュ「え?」
スザク「あのまま保健室で待っていたら、きっと僕がリヴァルの立場だっただろうな」
ルルーシュ「……そうだな」
スザク「呼びにきてくれて助かったよ」
ルルーシュ「お前がいなければ事態を収拾できないと思ったからな」
スザク「ナナリーは人質になっていたから保健室にいなかったのか」
ルルーシュ「ああ、そうだ」
スザク「……」
ルルーシュ「……」
スザク「僕のためか?」
スザク「そう言うと思った」
ルルーシュ「意味がわからないな」
スザク「ルルーシュ……」
ルルーシュ「見ていられなかった……」
スザク「……」
ルルーシュ「少しでも楽になるなら、そう思った」
スザク「なんの話だ、それ?」
ルルーシュ「独り言だよ。気にするな」
スザク「そうか。心配かけたな」
ルルーシュ「これからどうする?」
スザク「僕はこの学校に通いたい。だから、守ってくれないか?」
ルルーシュ「仕方ないな」
スザク「よろしく、ルルーシュ」
ルルーシュ「任せろ、スザク」
ニーナ「……」
ニーナ「……これを……」
ナナリー「ニーナさん」
ニーナ「!?」
ルルーシュ「スザクの席で何をしている?」
ニーナ「あ……その……」
ナナリー「……」
ルルーシュ「ニーナ」
ニーナ「だって……だって……!!!」
ルルーシュ「イレヴンを毛嫌いするのは構わない。だが、もうこういうことはやめろ」
ナナリー「お願いします。スザクさんの悲しむ顔を見たくないのです」
ニーナ「……ごめんなさい」
ルルーシュ(やはり、すんなりとはいかないか)
ルルーシュ(だが、少しずつでもこの学園がスザクの居場所になるように変えていかないとな……)
ロイド「あ〜どうしてこうなるかな〜!!」
スザク「ロイドさん、荒れてますね」
セシル「調整がうまくいってないみたい。―――ところで、学校のほうはどうだった?」
スザク「とっても楽しかったですよ」
セシル「本当?」
スザク「はい」
ロイド「当然だよね〜。あんなにいい人ばっかりなんだから〜」
スザク「ええ」
セシル「それならよかったわ」
ロイド「(……よかった。本当に)」
スザク「さ、課題を終わらせてランスロットの調整もしないといけませんね」
ロイド「はやくしてよ〜。こっちも大変なんだから」
スザク(俺は君たちを守る。だから、学校では僕を守ってくれ、ルルーシュ)
スザク(もうあそこは僕の大切な場所だから―――)
END
スザクは良い仲間に恵まれたね
面白かった
ギアス最初から見直すわ
Entry ⇒ 2012.04.30 | Category ⇒ コードギアスSS | Comments (0) | Trackbacks (0)
杏子「仲良し姉妹」
URL:http://hayabusa.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1335517153/
ピンポーン
マミ「あら…?ふふ、もう来たのね?」
ガチャッ
杏子「よっ」
マミ「いらっしゃい。今日は来るのが早かったのね」クスッ
杏子「へへ、早くマミに会いたくってねー。なんてな」
マミ「うふふ、そっか。さ、上がって?」
マミ「杏子ちゃん」
杏子「ああ!」
マミ「今日は1人で来たのね」
杏子「うん。でも後から来るってさ」
マミ「そう、なら3人分よういしなきゃね」
杏子「いつも悪いね」
マミ「いいのよ?…でも、ごめんなさい、まだケーキを作ってる途中だったの」
杏子「あぁ…いや、あたしが来るのが早かったしさ」
マミ「今から作ってくるから、杏子ちゃんは待っててくれないかしら?」
杏子「いや、あたしも手伝うよ」
マミ「そう?ふふっ、ありがとう」
杏子「いいっていいって。さっ、作ろうぜ?」
マミ「うん!」
マミ「よーし。もうすぐ出来上がるわね」
杏子「うん」
マミ「後は紅茶を準備して…」
杏子「ふふっ」
マミ「…?何かおかしかったかしら?」
杏子「なんかさ、こう…昔を思い出してね」
マミ「昔…あっ、そうね。昔からよくこうして一緒にお料理したものね」
杏子「ああ、あたしら3人でな」
マミ「うふふっ、懐かしいわね」
マミ「2人とも『マミさん、マミさん』って言ってね」クスッ
マミ「ふふ、可愛かったわよ?」
杏子「…ほんと、懐かしいな」
マミ「ええ。思えば出会ってから結構、経ったものね」
杏子「初めて会った時…か」
―――
杏子「はぁっ…はぁっ…!」
魔女「〜」
杏子「くそっ…強い」
魔女「〜!」
杏子「っ!?」
杏子「きゃぁぁぁっ!」
杏子(だ…駄目…動けな……)
杏子(あたし…こんなとこで死ぬの…?)
魔女「〜!」
杏子「モモ…!」ギュッ
シュルル
杏子「えっ?」
杏子(リボン…?)
マミ「間一髪、ってところね」
杏子「!」
マミ「でも、もう大丈夫」ニコッ
杏子(魔法少女…?)
杏子「……」
杏子(あの人…強い…!)
マミ「大丈夫?怪我はない?」
杏子「え?あっ…いや…だ、大丈夫…です」
マミ「そっか、良かった…」ホッ
マミ「見滝原の魔法少女は、わたし1人だと思ってたんだけど…」
マミ「お友だちがいたのね!」ニコッ
杏子「へっ?お友だち…?」
マミ「わたしの名前は巴マミ。よろしくね?」スッ
杏子「えっ?あ…」
マミ「てへへ」ニコニコ
杏子(この人なら…)
杏子「…よろしく」ギュッ
杏子「あたしは杏子、佐倉杏子」
マミ「よろしくね、佐倉さん!」
杏子「…えへへ」
マミ「…そっか、隣町から魔女を倒しに来たんだね」
杏子「うん…少しでも強くなって、裏からみんなを救いたかったんだ」
杏子「でも、あたし…弱かった…」
杏子「マミさんが助けてくれなかったら、あたしはきっと……」
杏子「っ…」ゾクッ
マミ「佐倉さん」ギュッ
杏子「マミさん…あたし、弱いよね?」
マミ「戦い方もよくわからなくってね?」
マミ「それに…1人で戦うのが怖かったの」
マミ「…でも、そんなわたしを助けてくれた人がいるの」
マミ「その人は…わたしの先生で、お友だちで…」
マミ「そして、大好きなお姉ちゃんなの」ボソッ
杏子「…?」
マミ「……今は離ればなれになっちゃったけどね」
マミ「あっ、ごめんなさい!今は関係ない話だったね?」
杏子「えーと…?」
マミ「ねえ。もし良かったら、これからわたしの家に来ない?」
杏子「えっ?でも…」
マミ「一緒にケーキでも食べよう?」
杏子「ケーキ…!」
杏子(最後にケーキ食べたの、何時なんだろう…?)
杏子(食べないなぁ…)
マミ「佐倉さん…ダメ?」
杏子「あっ、いや!…お、おじゃましちゃおっかな…?」
マミ「佐倉さん…!」パァッ
マミ「案内するね!ついてきて!」
杏子「う、うん!」
杏子(マミさん…か)
杏子(好い人だなぁ)
マミ「ほら、上がって?」
杏子「お、おじゃまします…!」
マミ「佐倉さん、紅茶は飲める?」
杏子「えと…うん」
マミ「そう、よかった。それじゃあ用意してくるから待ってて?」タタッ
杏子「あっ…」
杏子(紅茶も何年も飲んでないや…)
杏子(やっぱりマミさんって年上なのかな?あたしと違ってしっかりしてるし…)
杏子(部屋も綺麗に片付いてるもん)
マミ「きゃっ?」
杏子「わわっ?だ、大丈夫?」
マミ「あはは…いっつもこうなっちゃうなぁ…」
マミ「うん、大丈夫だよ。片付けるね」
杏子「あ、あたしも手伝うよ!」
マミ「そう?ありがとう、助かるよ」ニコ
杏子「えへへ…」
マミ「さ、食べよう?」
杏子「う、うん!」
杏子(ケーキ!ケーキだ!)
マミ「いただきます」
杏子「いただきます…!」
杏子「ぱくっ」
マミ「どうかな?」
杏子「おいしい…!すっごくおいしいよ!」
マミ「てへへ、やった」
杏子「マミさんが作ったの?」
マミ「うん!」
マミ「ううん、そんなことないよ」
杏子「でも…」キョロキョロ
杏子「部屋も綺麗だし、ケーキ作れるし」
杏子「強いし…」
マミ「佐倉さん?」
杏子「それに比べて、あたしは…」
マミ「…」
杏子「ううん!なんでもないよ」
杏子(あたしは…)
マミ「…そっか」
杏子「えへへ、ごちそうさまでした」
マミ「あれ?まだ半分残ってるよ?」
杏子「これはモモの分なんだ」
マミ「もも?」
杏子「あたしの妹、モモもケーキは大好きだからさ」
杏子「2人ではんぶんこにしなきゃね」
マミ「そう、佐倉さんには妹がいるんだ」
杏子「うん、大切な妹だよ」
杏子「うんっ!」
マミ「なら…ちょっと待ってて?」
杏子「?」
マミ「はい、これ全部あげるね」
杏子「えっ?いいの?」
マミ「うん、いつも多目に作ってあるの」
マミ「お姉ちゃんが何時帰ってきても大丈夫なように…」ボソッ
杏子「?」
杏子「ほ、ほんとにいいの?」
マミ「うん」
杏子「マミさん…ありがとう!」ペコッ
杏子「みんな喜ぶよ!」
マミ「仲良く食べてね」
杏子「もちろん!モモ喜ぶだろうなぁ…!」
マミ「…」ニコニコ
杏子「あのっ!今日はほんとにありがとう!」
マミ「よかったら、また来てくれると嬉しいな」
杏子「じゃあ、今度はモモと一緒に来てもいい?」
マミ「うん、いいよ」
杏子「やった!また来るよ!」
マミ「てへへ、待ってるね」
杏子「またね!」
マミ「うん、またね!」
杏子「ただいまー」
モモ「お姉ちゃん、おかえりなさい!」
杏子「モモ、これなーんだ?」
モモ「えー?…わぁ!ケーキだぁ!」
杏子「へへっ」
モモ「お姉ちゃん、どうしたの?買ってきたの?」
杏子「いや、マミさんに…友達に貰ったんだ」
杏子「うん、いいよ」
モモ「わーい、やったぁー!」
杏子「ふふっ」
―――
モモ「おいしいー」
杏子「…」ニコニコ
杏子(マミさん、ありがとう)
モモ「お姉ちゃんも食べよ?」
杏子「うん、あたしも…」
モモ「どうしたの?」
杏子(魔力を感じる…魔女だ!)
杏子「ごめん!出かける!」タタッ
モモ「えっ?お姉ちゃん?」
モモ(お姉ちゃん…この前から一人で何かしてるみたいだよね?)
モモ(何してるのかな?)
モモ(よーし!)
モモ「…」タタッ
杏子「くそっ!逃がすかー!」
魔女「〜!」
杏子(これ以上逃げられたら…もうここはマミさんの…)
モモ「きゃっ!」
杏子「な…!?」
モモ「お姉ちゃん…」フルフル
杏子「モ、モモ?何でモモがここに?」
モモ「わ、わたし…」
魔女「〜!」
杏子「あっ?」
杏子(危ない!?)
杏子「!?」
マミ「大丈夫?」
杏子「ま、マミさん…!」
マミ「てへへ、また会ったね」
―――
モモ「うぅ…」
杏子「そっか…モモはあたしを追って…」
モモ「ごめんなさい…」
マミ「…」
杏子「いや…まぁ仕方ないよ。でも、危ないからもうついてきちゃダメだぞ?」
モモ「うん…」
モモ「う、うん…誰にもお話しないよ」
杏子「そっか、わかってくれるならいいんだ」
杏子「このことは後でゆっくり話そうな?それよりも今は…」
杏子「マミさん、ありがとう…また、助けられちゃった」
マミ「ううん、いいの。2人が無事でよかった」ニコッ
杏子(マミさん…)
杏子「あたしとモモは…っ…」
モモ「うぅ…」
マミ「大丈夫、大丈夫だから…!」
杏子「…マミさん!」
マミ「なあに?」
杏子「あたしっ…あたし!マミさんの弟子になりたい!」
マミ「えっ?」
杏子「あたしもマミさんのように強くなりたい!」
マミ「……」
杏子「マミさん…」
マミ「…うん、いいよ」ニコ
杏子「ほんとっ?」
マミ「うん!」
杏子「ありがとう!」
マミ「でも今日は遅いからもう帰らなきゃね」
マミ「モモちゃんも怖がってるし、早く落ち着かせなきゃいけないよ?」
モモ「…」フルフル
マミ「わたしは何時でも待ってるから、2人で遊びに来てね」
杏子「うん。ほら、モモ…帰ろう?」
モモ「うん…」
マミ「またね」
杏子「ま、またね…!」
マミ「気を付けて帰ってね」
杏子「うん」
―――
ピンポーン
マミ「あっ…!」
マミ(お姉ちゃん?)タタッ
ガチャッ
杏子「こ、こんにちは!」
マミ「あっ…佐倉さん、遊びに来てくれたんだね!」
杏子「遊びにも来たけど…それよりも、あたしを特訓してください!」
マミ「特訓?…うん、いいよ」
杏子「あ、ありがとう!」
杏子「はぁっ…はぁっ…」
マミ「今日はこのくらいにしとこうよ、頑張りすぎると疲れちゃうよ?」
マミ「わたしの家でお休みしようよ」
杏子「うん…」
マミホーム
杏子「ふぅ…つかれたぁ…」
マミ「はい、紅茶をどうぞ」
杏子「ありがとう。やっぱりマミさんはすごいなぁ」
杏子「あたしはこんなに疲れてるのに、マミさんは疲れてなさそうだもん」
マミ「わたしはリボンとこれが武器だから、あんまり疲れないのかな?」
マミ「わたしも最初はダメダメだったんだよ?」
マミ「リボンの使い方もよくわからなかったもん」
杏子「…」
杏子(マミさんはリボンが武器…なんだよね?)
杏子(なら何で…?)
マミ「なあに?」
杏子「マミさんの武器って、ほんとはリボンなんでしょ?」
マミ「うん、そうだよ」
杏子「じゃあ何で鉄砲で戦ってるの?」
マミ「あっ、それはね?お姉ちゃんに教えてもらったからなんだよ」
杏子「えっ?マミさんにお姉ちゃんがいたの?」
マミ「うん、わたしの大切なお姉ちゃんなんだ」
杏子「わぁー。じゃあやっぱりマミさんと似てるんだ? 」
杏子「えっ?姉妹なのに?わたしとモモは似てるよ?」
マミ「たしかに、佐倉さん達は似てるし、仲良しだもんね」
杏子「うんっ!あたし、モモが大好きだよ!」
マミ「わたしもお姉ちゃんが大好き!」
マミ「…家族じゃないけど」
杏子「えっ?」
マミ「わたしのお姉ちゃんだよ」
マミ「大好きなお姉ちゃん」
マミ「ほむらお姉ちゃん…!」
マミ「これ、わたしとお姉ちゃんの写真なんだ」スッ
杏子「わぁ…!美人だね」
杏子「それに優しそう」
マミ「うん、とっても優しいお姉ちゃんなんだ」
杏子「そっかぁ…本当の姉妹みたいに仲良かったんだね」
マミ「うんっ!」
マミ「今は…離ればなれになっちゃったけど、でもっ!」
マミ「またお姉ちゃんは会いに来てくれるって約束したもん…!」
マミ「…うん。遠い、かな」
杏子「そうなんだぁ…あ、そういえばマミさんの家族は?」
杏子「本当の姉妹はいないの?」
マミ「…わたしは…一人っ子だよ」
杏子「そっか、じゃあ3人で暮らしてるんだ」
マミ「………」
杏子「あれ?マミさん?」
マミ「……わたし、一人暮らしなんだ!」ニコ…
杏子「えっ?そうなの?」
マミ「お父さんもお母さんも…もういないから」
杏子「え…」
マミ「…ごめんね、こんなお話しちゃって」
杏子「あ、いや!あたしの方こそ…ごめんなさい…」
マミ「…ね?ケーキ食べようよ」
杏子「…う、うん」
マミ「用意してくるね」
杏子(あたしに何かできないかな?)
マミ「わわわっ?」
杏子「あ、あぶないっ!」ガシッ
マミ「あ、ありがとう…」
杏子「あはは、マミさんって意外とおっちょこちょいなんだ」
マミ「う、うん…てへへ」
マミ「ん?」
杏子「明日…明日はさ!モモと2人で遊びに来てもいい?」
マミ「…うん、いいよ!」
杏子「えへへ、ありがとう」
マミ「ううん、すっごく嬉しいよ。お礼を言うのはわたしの方」
マミ「ありがとう、佐倉さん!」ニコッ
杏子(マミさんはひとりぼっちで寂しいんだ…なら…)
杏子(あたし達がマミさんを!)
杏子「ついたな、ここだよ」
モモ「ここがケーキのお姉ちゃんのお家なの?」
杏子「うん、マミさんの家。ほら、チャイム押して?」
モモ「うん」
ピンポーン
マミ「はーい」
ガチャッ
マミ「いらっしゃい!」ニコッ
杏子「えへへ、こんにちは」
マミ「こんにちは、待ってたよ」
モモ「あ、あの…こ、こんにちは!」
マミ「ふふ、こんにちは」
モモ「んっと、この前は助けてくれてありがとう」
マミ「うん、怖くなかった?」
モモ「お姉ちゃんが守ってくれたから…大丈夫だよ」
マミ「そっかぁ、良かった」
モモ「そ、それから!ケーキすっごく美味しかったです!」
マミ「てへへ、ありがとう」
マミ「ふふっ、今日はプリンを作ったの」
マミ「食べる?」
モモ「うん!」
杏子「マミさん、いつもありがと」
マミ「ううん、わたしも作りながら2人が来るのを楽しみに待っていたの」
杏子「あはは、そっか」
マミ「うんっ!」
マミ「用意を…」
杏子「あっ、手伝うよ」
モモ「わたしも手伝う!」
杏子「これ以上割ったらいけないもんね」
マミ「てへへ…うん、ありがとう」
マミ「それじゃあ、モモちゃん…でいいかな?」
モモ「うん!」
マミ「ふふ、じゃあモモちゃんはプリンをお願いするね?」
モモ「はーい」
杏子「うん、あたしの大切な妹だよ」
マミ「…そうだ!」
杏子「ん?」
マミ「妹がモモちゃんなら、お姉ちゃんは杏子ちゃんでいい?」
杏子「えっ?杏子ちゃん?」
マミ「だ、ダメかな?」
杏子「いや…ちょっと照れるけど…でもいいよ」
マミ「ほんと?」
杏子「うん」
マミ「てへへ、じゃあ早速…杏子ちゃん!」
杏子「えへへ」
杏子「うん、わかった」
マミ「こぼさないように気を付けてね?」
杏子「あはは、マミさんじゃないんだし、大丈夫だよ」
マミ「そっか」
杏子「っと…」ソォー
モモ「スプーンが無いよー」タタッ
杏子「わぁっ?」グラグラ
モモ「あっ、ごめんなさい…」
杏子「っとと…ご、ごめんなさい」
マミ「…ふふっ、無事でよかった」
杏子「モモ、走ったら危ないじゃんかー」
モモ「ご、ごめんなさい…」
マミ「まあまあ、スプーンよね?はい」
モモ「ありがとう」
杏子「マミさん、ごめん…」
マミ「何もなかったんだし、大丈夫だよ?」
マミ「ほら、2人で持って行こうよ」
杏子「うん…!」
マミ「ふふっ」ニコッ
杏子「わぁ…美味しそうなプリン!」
モモ「マミお姉ちゃんすごーい!」
マミ「てへへ、ありがとう」
杏子「マミさんは料理もできて、ほんと凄いなぁ」
モモ「そうだねー」
マミ「2人は料理をしないの?」
杏子「…あたし達は……」
モモ「しないよ」
杏子「えっ?」
マミ「2人に料理のレッスンをしてあげる!」
モモ「いいの?やったぁ!」
マミ「何でも聞いてね?」
杏子「マミさん…いいの?迷惑じゃない?」
マミ「迷惑なんかじゃないよ?3人でお料理しようよ!」
モモ「お料理ー♪」
杏子「モモ…うん、よろしくね。マミさん」
マミ「この後さっそく始めようね!」
杏子「うん!」
モモ「わーい」
モモ「マミお姉ちゃん、何を作るの?」
マミ「うーん…何かフルーツを使ったケーキがいいかな?」
杏子「フルーツ…」
マミ「2人な好きなフルーツって何かな?」
杏子「りんご!」
モモ「りんご!」
マミ「…ふふ、じゃありんごケーキを作ろうね」
杏子「えへへ、やったね」
モモ「うん!」
マミ「できたっ!」
杏子「わぁ…!」
モモ「美味しそう!」
マミ「2人とも上手に作れたね」
杏子「マミさんの教え方がうまいからだよ。な?モモ」
モモ「うん、マミお姉ちゃんすごい!」
マミ「てへへ、照れるなぁ」
モモ「ねえ?マミお姉ちゃんはいくつなの?」
マミ「えっ?」
モモ「一人でいっぱいできるから、杏子お姉ちゃんより大きいのかな?」
マミ「あっ…たしかにそうだね」
モモ「いくつなの?」
マミ「わたしは―」
杏子「えぇっ?同い年?」
マミ「ほんと?そうだったんだ!」
モモ「杏子お姉ちゃんより、マミお姉ちゃんの方がお姉ちゃんみたい」
マミ「ふふ、そっかぁ」
杏子「一緒だったんだ…年上かな?って思ってた」
杏子「う、うん…」
マミ「ならもう『さん』はつけなくていいよ?」
杏子「うーん…でも、やっぱりマミさんは『マミさん』かな」
マミ「そうなの?まぁ…杏子ちゃんの好きに呼んでくれていいんだけどね」
杏子「うん、そうするよ。マミさん!」
モモ「わたしはマミお姉ちゃんだよ」
マミ「ふふ、そうだね」
マミ「ねえ、ケーキは持って帰る?」
杏子「えっ?今食べないの?」
マミ「だって、さっきプリン食べたばっかりだもん」
杏子「そっか…モモ、帰ってから食べる?」
モモ「んーと…今食べたい!」
マミ「なら、ここで少し食べて、後は持って帰って食べて?」
杏子「うん、そうするよ」
マミ「じゃあ少しだけ切るね」
杏子「今日はありがとう、マミさん」
モモ「えへへ、ケーキもプリンも美味しかったよ」
マミ「てへへ、ありがとう」
杏子「また遊びに来てもいい?」
マミ「うん、何時でも待ってるね」
モモ「やったね、お姉ちゃん」
杏子「うん!」
マミ「ふふっ、はいケーキ」
杏子「ありがとう、いつかお礼するよ」
杏子「えっ?でも、もらってばっかりじゃ悪いよ」
マミ「ううん、杏子ちゃんとモモちゃんが遊びに来てくれるだけで十分なの」
杏子「マミさん…」
マミ「だから、また遊びに来てね!」
モモ「うんっ!」
杏子「…うん、また来るよ。本当にありがとう」
マミ「てへへ、待ってるね」
モモ「お姉ちゃん、早く行こうよ」タタッ
杏子「あはは、そんなに急ぐなって」
モモ「早くマミお姉ちゃんに会いたいんだもん」
杏子「でも走ると危ない…」
モモ「きゃっ?」ドンッ
「わわっ?」ドンッ
杏子「モモ!もぉ…危ないって言ったのに」
モモ「ごめんなさい…」
「あはは、いいって。それよりも大丈夫?怪我はない?」
「そっか、よかったよかった」
杏子「妹がごめんな?」
「へーきへーき!大丈夫よ」
モモ「あっ…マミお姉ちゃんに上げるりんご汚れちゃった…」
「ん?」
杏子「モモが走ったりなんかするからだぞー」
モモ「うぅ…」
「ねえ。もしかして、マミさんの友だち?」
杏子「えっ?まぁ、そうだけど」
杏子「ん?ならあんたもマミさんの?」
「うん!あたしは―」
「さやかちゃーん!先に行かないでよぉー!」
さやか「あはは。ごめんね、まどか」
まどか「あれ?この子達は?」
さやか「今知り合ったとこ、でもマミさんの友だちだってさ」
まどか「あっ!いつもマミさんが話してた?」
さやか「たぶんね!」
モモ「お姉ちゃんたちも、マミお姉ちゃんのお友だちなの?」
さやか「そうだよ、あたしは美樹さやか!」
まどか「わたし、鹿目まどか。よろしくね」
モモ「わたしはモモ!」
さやか「モモちゃんだね、あんたは?」
杏子「…あたしは杏子、モモの姉ちゃんだよ」
まどか「やっぱり姉妹なんだ!似てるもんね」
モモ「えへへ」
さやか「ね?今からマミさんとこ行くんでしょ?」
杏子「まあね」
まどか「てぃひひ、さやかちゃん元気だね」
さやか「そりゃ友だちが2人増えたんだもん、嬉しくて元気でるじゃん」
杏子「友だち?」
さやか「だってそうでしょ?あたし達はマミさんの友だち同士なんだから」
さやか「友だちの友だち…つまり、あたし達はもう友だちなのだぁ!」
さやか「ってことでよろしく!」
杏子「…そっか。えへへ、よろしくね」
まどか「わ、わたしも…!」
モモ「わたしもー!」
マミ「お姉ちゃん…わたし、お友だちがいっぱいできたよ?」
マミ「杏子ちゃんとモモちゃん」
マミ「それに、さやかちゃんやまどかちゃん達だって」
マミ「わたし、もう…ひとりぼっちじゃないよ」
マミ「でも…やっぱり寂しいよ…」
マミ「早くお姉ちゃんに会いたい…」
マミ「ほむらお姉ちゃん…」
マミ「!」
マミ(お姉ちゃん?それとも…)
マミ「はーい」
ガチャッ
杏子「遊びに来たよ」
モモ「マミお姉ちゃん!」
マミ「杏子ちゃん、モモちゃん!」
さやか「なんと!今日はさやかちゃんもいるのだぁー」
まどか「わ、わたしもいるよっ」
マミ「さやかちゃん、まどかちゃんも…!」
マミ「そっか、来る途中に会ったんだね」
杏子「うん」
さやか「そんでもって友だちなっちゃいました!」
まどか「てぃひひ!」
モモ「てぇひひ」
まどか「あー!モモちゃん、わたしの真似しないでよぉ」
まどか「気にしてるのに…」
モモ「わわ?ごめんなさい…」
モモ「あっ、まどかお姉ちゃんの嘘つき!」
まどか「うぇひひ!ごめんね?」
モモ「うぃひひー!」
まどか「あっ、また真似するの?」
モモ「うん!」
まどか「ふふっ、でも似てないよ?」
モモ「えー?」
まどか「てぃひひっ!」
モモ「てぃひー!」
さやか「まどかもね、たぶん自分はお姉ちゃんなのに」
さやか「自分が妹キャラなのが気になってたんじゃないの?」
マミ「ふふっ、たしかにまどかちゃんは妹みたいだもんね」
まどか「わたしはお姉ちゃんだもん!」
さやか「お姉ちゃんになったのは最近じゃん」
まどか「うぅ…でもっ…」
杏子「あれ?最近兄弟ができたの?」
杏子「そっか、弟や妹って可愛いよな」
モモ「えへへ、お姉ちゃん…」
まどか「うん!わたしに似てスッゴく可愛いよ!」
杏子「あたしもモモと似てるよ、なっ?」
モモ「うんっ!」
マミ「…」ニコニコ
マミ(弟や妹…か、羨ましいなぁ)
マミ(でも、わたしにだってお姉ちゃんがいるもん…!)
まどか「えっ?あっ…」
さやか「けしからぁん!そんなやつには…こうだぁー!」
まどか「きゃっ?あははっ!やめてよさやかちゃーん!」
さやか「うりゃぁー」
杏子「あはは…」
モモ「わたしもやるー!」
まどか「えっ?ちょっと?モモちゃ…やめ…きゃっ?」
さやか「わははー」
モモ「わははー」
マミ「ふふっ、みんな元気だね」
杏子「ほんとにね、調子狂うよなぁ」
マミ「…仲の良い本物の姉妹がいるのは羨ましいなぁ」
杏子「マミさん…」
マミ「わたしには…お父さんもお母さんも…」
マミ「それに…お姉ちゃんだって…」
杏子「……」
杏子「マミさん…」
杏子(あたしに何かできないかな?)
杏子(マミさんにはいっぱいお礼しなきゃいけないのに…)
杏子「……」
マミ「……」
モモ「うりゃぁー」
まどか「きゃっ!も、もうやめ…」
さやか「これでとどめだぁー!」
まどか「てぃひひ!ちょっ…うぇひひっ!」
モモ「てぃひー!」
さやか「うぇひー!」
まどか「…」プンプン
さやか「ご、ごめん…調子に乗りすぎたわ」
モモ「まどかお姉ちゃん…怒ってるの?」
まどか「気にしてるのはほんとなんだもん」ムスッ
さやか「あはは…いやぁーご、ごめん!マジで!」
モモ「お姉ちゃん…どうしよぉ?」
杏子「こら、ちゃんと謝らなきゃダメだぞ?」
モモ「まどかお姉ちゃん…ごめんなさい」
モモ「ごめんなさい…」
まどか「…ふふっ、うん、モモちゃんは許してあげるね」
モモ「ありがとう、まどかお姉ちゃん!」
まどか「えへへ」
さやか「あれ?さやかちゃんは?」
まどか「さやかちゃんは毎日真似するんだもん」
さやか「あー!いや、だって面白いからさぁ」
まどか「さやかちゃんのおバカ!もういいよっ!」
さやか「わわわっ?」
さやか「や、やばっ…マミさん、どうしよー!」
マミ「真面目に謝らなきゃダメだよ?」
さやか「そ、そっか…」
さやか「まどか!ほんとにごめん!もう真似しないから…」
さやか「だから許して!お願いっ!」
まどか「…」
マミ「ほら、まどかちゃんも…ね?」
まどか「マミさん…うん、そうだね」
まどか「さやかちゃん、今度はほんとに怒るからね?」
さやか「う、うん!もう真似しないから!」
まどか「なら…許してあげる」
さやか「ほんと?やったぁ!」
まどか「もぉ…さやかちゃんったら」
マミ「ふふっ」
杏子「もしかして、慣れてる?」
マミ「うん、何時ものことだからね」
モモ「そうなんだぁ」
マミ「えっ?えっと…」
さやか「何年か経つよね」
まどか「うん」
杏子「そっか…」
杏子(この2人は何年も一緒に遊んでるからマミさんと仲が良いんだ)
杏子(なら…あたし達も何年もたたないともっと仲良くなれないのかな?)
杏子(もっとマミさんと仲良くなりたい…)
杏子(仲良くなって、マミさんに寂しい思いをさせないんだ!)
杏子(そのために…何をすればいいんだろう)
さやか「お邪魔しましたー!」
まどか「今日も楽しかったよ」
マミ「てへへ、ありがとう。また来てね」
さやか「うん!」
まどか「うん!」
マミ「さようなら、気をつけて帰ってね」
さやか「はーい、ばいばーい!」
まどか「ばいばい!」
マミ「ばいばい」ニコ
マミ「もうすぐ日が暮れちゃうよ?」
マミ「魔法少女でも、暗いのは危ないから…」
杏子「…うん」
モモ「お姉ちゃん、帰ろうよ」
杏子「…マミさんっ!」
マミ「なあに?」
杏子「あたし…っ!」
杏子「……ううん、何でもないよ」
マミ「?」
杏子ホーム
杏子「よし…!」
モモ「お姉ちゃん、あの時何を言おうとしたの?」
杏子「今その事で話してきたんだ」
モモ「お母さんと?」
杏子「うん。モモ、着替えの準備しるぞ!」
モモ「えっ?」
杏子「行くんだよ」ニッ
マミ「いただきます…」
マミ「もぐ…もぐ…」
マミ「……あんまり、美味しくないや」
マミ「……仲良し姉妹…かぁ」
マミ「いつお姉ちゃんが帰ってきてもいいように、2人分作ってるんだよ?」
マミ「だから、もう帰ってきてよ…」
マミ「ほむらお姉ちゃん…」
ピンポーン
マミ「!?」
マミ(こんな時間に?もしかして…!)
マミ「お姉ちゃ…?」
モモ「こんばんは!」
マミ「モモ…ちゃん…?」
杏子「マミさん…!」
マミ「杏子ちゃんも…どうしたの?もう夜だよ?」
杏子「その…マミさんが良かったらなんだけどさ」
杏子「今晩、マミさんとこに泊まりたいな…って」
マミ「えっ?」
マミ「杏子ちゃん…」
杏子「…ダメ?」
モモ「一緒に眠ろうよ!」
マミ「…モモちゃん」
マミ「うん、いいよ!」
杏子「!」
マミ「わたしの部屋なんかで良ければ、いくらでも泊まってって!」
マミ「大歓迎よ!」ニコッ
杏子「ありがとう…!」
モモ「お風呂気持ち良かったね」
杏子「うん!」
マミ「ごめんね?3人じゃ狭かったよね?」
杏子「ううん、そんな。全然平気だって」
杏子「なっ?」
モモ「うんっ」
マミ「…そっか、ありがとう」
モモ「ご飯も美味しかったよ!」
杏子「へへっ、やっぱりマミさんはすごいよ」
マミ「…そんな」
マミ(ひとりぼっちなのが寂しくて…それを紛らわすためにしてるだけだよ)
マミ(別にすごくなんて…ないもん)
杏子「後は寝るだけかな」
モモ「わぁっ!ベッドだ!」
マミ「ふふ、でも3人は流石に狭いよね」
マミ「わたしは布団で眠るから…」
モモ「3人で一緒に眠ろう?」
杏子「狭いのはあたしも、モモも慣れてるよ」
モモ「いっつも同じ布団で眠ってるもん」
マミ「そうなの?」
杏子「だからあたし達は大丈夫だからさ」
モモ「マミお姉ちゃんも一緒に寝よう?」
マミ「…」
杏子「まあ、マミさんが良ければなんだけどさ」
杏子「マミさん?」
モモ「どうしたの?」
マミ「てへへ、なんだか嬉しくって」
マミ「ありがとう…わたしを慰めてくれてるんでしょ?」
モモ「?」
杏子「…バレちゃったか」
マミ「わたしが、ひとりぼっちだなんて言ったから気を使ってくれたんだよね?」
マミ「ありがとう、杏子ちゃん…!」
杏子「…えへへ」
マミ「ううん、3人で眠ろうね」
モモ「わーい!」
杏子「マミさん…」
マミ「てへへ…ほら、杏子ちゃんも入って?」
杏子「…うん!」
マミ「ふふ、やっぱり狭いね」
杏子「ああ、でも…」
モモ「あったかい!」
杏子「うん、モモの言う通りだ」
マミ「…うん!」
モモ「すやすや…」
マミ「モモちゃん、眠っちゃったね」
杏子「うん…今日ははしゃいでたしね」
マミ「そっか、疲れちゃったんだ」
杏子「……」
マミ「杏子ちゃん?」
杏子「ねえ…マミさん、あたし達…マミさんに迷惑かけてない?」
マミ「えっ?」
杏子「…今日もさ、急に来ちゃったし」
杏子「いっつも、ケーキとか貰ってさ」
杏子「だから…あたし…」
マミ「杏子ちゃん」ギュッ
杏子「マミさん…」
マミ「わたしね?杏子ちゃんとモモちゃんにたくさん貰ったよ?」
杏子「え?何を…?」
マミ「元気…かな?」
杏子「元気?」
マミ「うん、2人と一緒にいるとね?まるでわたしも姉妹みたいだなって」
マミ「そう思うことがあるの」
マミ「うん、わたしが次女で杏子ちゃんが三女」
マミ「そしてモモちゃんが末っ子なの」
マミ「本当にそうだったら、すごく楽しそうじゃない?」
杏子「…うん、そうだね」
杏子「でも、なんでマミさんが次女なの?」
マミ「それはね?わたしにもお姉ちゃんがいるから」
杏子「あっ…」
マミ「…ほむらお姉ちゃん」
マミ「ほむらお姉ちゃんはね?未来からわたしに会いに来たお姉ちゃんなんだよ」
杏子「えっ?未来から?」
マミ「ほむらお姉ちゃんも魔法少女だからね」
杏子「…!」
マミ「…そして、未来に帰っちゃったの」
杏子「マミさん…」
マミ「でも、わたし…ずっと待ってるの」
マミ「お姉ちゃんが帰ってくるのを、ずっと、ずっと…!」
マミ「だからほむらお姉ちゃんが帰ってきたらね?」
マミ「杏子ちゃんとモモちゃんみたいに仲良しな姉妹になりたいの」
杏子「仲良し姉妹」
マミ「うんっ!」
杏子「……」
杏子(そんなに、ほむらって人はマミさんにとってかけがえない人なんだ)
杏子(あたしやモモが、その人の代わりになんてなれるわけない…のかな?)
杏子「ねえ、マミさん」
マミ「なあに?」
杏子「その…あたしたんかが代わりになれるわけない…」
杏子「それはわかってる!でも…それでも!」
マミ「杏子ちゃん…?」
杏子「マミさんっ!あたしさ!」
マミ「う、うん」
杏子「あたし…っ…!」
モモ「なろうよ」
杏子「えっ?」
マミ「!」
モモ「仲良し姉妹に」ニコッ
杏子「起きて…?」
モモ「えへへ、途中から起きてたの」
モモ「それでね?マミお姉ちゃんのお話を聞いて思ったんだ」
モモ「わたしと杏子お姉ちゃんも、マミお姉ちゃんの仲良し姉妹になりたいって」
マミ「…!」
杏子「モモ…!」
杏子「…うん、あたしも同じことが言いたかったんだ」
杏子「さっきマミさんが言ったような、仲良しな姉妹になりたいって」
杏子「あたし達とマミさんは血が繋がってないから…
杏子「本物の姉妹にはなれないよ?でもっ…本物じゃなくても」
杏子「本物の姉妹みたいに仲良くはなれると思うんだ」
マミ「杏子ちゃん…」
モモ「なろうよ!仲良し姉妹に!」
マミ「杏子ちゃん…モモちゃん…」
マミ「うぅっ…」
杏子「ま、マミさん?」
モモ「どうしたの?大丈夫?」
マミ「うん…大丈夫…大丈夫だよ」
マミ「嬉しくって…」ニコッ
杏子「マミさん…!」
マミ「ありがとう!」
マミ「うん、わたしなんかで良かったら…本物のお姉ちゃんみたいに」
マミ「わたしをお姉ちゃんだと思って!そして…」
マミ「仲良くしてくれたら…すごく…すっごく!」
マミ「嬉しいの!」
杏子「マミさん…!」
モモ「マミお姉ちゃん!」
杏子「マミさん!ならさ!明日からも泊まりに来てもいい?」
マミ「いいよ」
モモ「毎日一緒にお菓子作ってくれる?」
マミ「いいよ」
マミ「これからも一緒に眠ってくれる?」
杏子「うん!」
マミ「一緒にお御風呂に入ってくれる?」
モモ「うん!」
マミ「杏子ちゃん…!」
モモ「マミお姉ちゃんも、杏子お姉ちゃんも大好きだよっ!」
マミ「モモちゃん…!」
マミ「うんっ!よろしくね!」
杏子「えへへっ!」
マミ「てへへっ!」
モモ「てぇひひ!」
マミ「あっ、まどかちゃんに怒られるよ?」
杏子「あたしら仲良し姉妹の内緒だね」
モモ「うんっ!」
マミ「ふふっ」
杏子「あの日からずっと3人で仲良くしてきたんだよな」
マミ「ええ。それに、まどかちゃんやさやかちゃんとも、ずっと仲良くしてこられたもんね」
杏子「へへっ。さやかのやつ、あの頃から何も変わってないよな?」
マミ「ふふっ、そうね」
杏子「まどかは…少しはお姉ちゃんらしくなったか?」
マミ「うーん…ふふ、どうだろうね?
マミ「まどかちゃんはまどかちゃんよ」
杏子「それもそうだな」
杏子「…やっぱり?」
マミ「ええ、あの出来事があってから…ね」
杏子「…ああ、あれは……」
杏子「…親父に、魔法少女のことがバレてさ」
マミ「…」
杏子「ほんと…終わったと思ったぜ」
杏子「親父はおかしくなっちまうし、あたしなんてさ」
杏子「…魔女呼ばわりだもんな」
杏子「あたしが…あたしの祈りが家族を壊しちまったんだってさ」
マミ「…」
杏子「たぶん、あたし一人だったらさ…自分のしてきたこと全部が間違いだったって」
杏子「そう思って塞ぎ込んじまったんじゃないかな」
杏子「モモが、さやかが、まどかがいてくれた」
杏子「そして…マミがいてくれたんだ」
マミ「杏子ちゃん…!」
杏子「さやかとまどかは魔法少女のこと理解してくれてたからさ、あたしを励ましてくれたし」
杏子「モモも必死であたしを庇って親父に言ってくれたよ」
杏子「…そして、マミがあたしを受け止めてくれた」
杏子「一緒に泣いてくれた、一緒に説明してくれた」
杏子「一緒に笑ってくれた」
マミ「…」
杏子「マミは…本物の姉ちゃんだった」
杏子「だからあたしは立ち直れたんだ」
杏子「それに親父も…何とか落ち着いてさ」
杏子「また一からやり直してくれるようになったんだ」
杏子「全部、マミのおかげだよ」
モモ「そうだよ!」
杏子「モモ?」
モモ「2人が話し込んでたから、勝手にお邪魔しちゃった」
マミ「モモちゃん、いらっしゃい」
モモ「えへへ。マミさん、お邪魔してます」
モモ「まどかちゃんとさやかちゃんと遊んでたら遅くなっちゃった」
杏子「モモ…聞いてたのか」
モモ「…うん」
マミ「そうね、私だけじゃきっと…」
モモ「それに、一番頑張ったのは杏子お姉ちゃんだよ」
杏子「え…」
モモ「お姉ちゃんが諦めなかったから、お父さんも解ってくれたんだもん」
マミ「うん、モモちゃんの言う通りよ」
マミ「杏子ちゃんがあの時頑張ったから、今もこうしていられるの」
マミ「だからもう大丈夫よ」
モモ「気にするのはやめよう?」
杏子「…うん、そうだな」
杏子「今も、あたし達はこうして一緒にいられるんだ」
杏子「これが一番の幸せかもな」
モモ「うん!」
マミ「ふふっ、それじゃあケーキの用意をしてくるわね」
モモ「あっ、わたしがするよ!」
マミ「そう?」
モモ「だって、マミさんすぐ落っことしちゃうんだもん」
マミ「むぅ…もう大丈夫なのに…」
モモ「えへへ、2人はここで待っててね!」タタッ
マミ「…ふふっ、モモちゃんも変わったね」
杏子「ああ、下手すりゃあたしよりしっかりしてるかもな」
マミ「ただ…2人とも『マミお姉ちゃん』って呼んでくれなくなったのは」
マミ「少し寂しいかも…ふふっ」
マミ「そうだけど…でも、杏子ちゃんの『マミさん』って」
マミ「なんだか『マミお姉ちゃん』って呼ばれてるような気がしたの」
杏子「ふーん?そっかぁ」
モモ「わたしは…ちょっと照れちゃって」
マミ「寂しいなぁー…」
モモ「でも『お姉ちゃん』って言わなくても、わたし達は本物の姉妹みたいに仲良しだよ?」
モモ「うん!そうだよ!」
杏子「まぁ『さん』は…やっぱ同い年だから言いにくいしさ」
杏子「呼び捨ての方がなんか良いじゃん」
マミ「ふふっ、それもそうね」
マミ「うん、私達は仲良し姉妹よ!」
杏子「へへっ」
モモ「えへへ」
マミ「うふふっ」
モモ「最近また人が増えてきたもんね」
マミ「そう、気をつけて帰ってね」
杏子「ああ、また明日も来るからさ」
モモ「明日はわたしとお菓子作ろうね!」
マミ「ふふっ、楽しみに待ってるわね」
杏子「じゃあなー!」
モモ「ばいばーい!」
マミ「また明日ね!」
マミ「うん、私はもうひとりぼっちじゃないんだものね」
マミ「仲良し姉妹…!」クスッ
マミ「ほんとに、あの2人にはいつも助けてもらってばっかりね」
マミ「…ほむらお姉ちゃん、私はもう大丈夫だよ」
マミ「何時でも待ってるからね?」
マミ「…ふふ、さーて!お夕飯の支度をしなくっちゃ」
マミ「買い出しにいかなきゃね」
マミ「いってきます」
杏子「んー?」
モモ「わたしね?なんだか良いことが起こりそうな気がするんだ」
杏子「へぇ?何か根拠あんの?」
モモ「ううん、何となくなんだけどね?」
モモ「凄く良いことが起こりそうな気がするの」
杏子「あはは、そっ―」
杏子「!?」
「…」ファサッ
モモ「あれ?どうしたの?」
杏子(今の人って…まさか?)
モモ「お姉ちゃん?」
杏子(そっか…やっと…!)
杏子「ああ、モモの言う通りだぜ」
モモ「えっ?何が?」
杏子「凄く良いこと、ってやつだよ」ニッ
モモ「えー?何かあったの?なになに?」
杏子「てぃひひ、内緒だよっ!」
モモ「あー!まどかちゃんの真似してるー!」
杏子「へへっ、とにかく今は秘密ってことさ」
モモ「お姉ちゃんのけちー!」
杏子(だって…あたしらが先にあっちゃ悪いもんな?)
杏子(なあ、マミ…!)
マミ「さて、早く準備…」
マミ「!?」
「―」
マミ「う…そ…?」
「マミちゃん…」
「…でも、この時間軸の巴マミがマミちゃんである確率は低い…わよね?」
「そうだったとしても、私はもう彼女と敵対したくない…」
「できれば仲間でいてほしい」
「また、お友だちって言ってほしい」
「だから…」
マミ(間違いない!間違いないよ!)
マミ(だって忘れるわけないもん)
マミ(私の大切な…!)
ポスッ
「?」
マミ「……!」
「!」
マミ(大好きなお姉ちゃん)
マミ(ほむらお姉ちゃん!)
モモ「ねー!そろそろ教えてくれてもいいでしょ?」
杏子「ああ、だから今から会いに行くんじゃん」
モモ「え?会いに行く?」
杏子「うん、未来の仲良し姉妹にな」ニッ
モモ「えっ?」
モモ「えぇっ?ほ、ほんと?ほんとなの?」
杏子「嘘じゃないぜ」
モモ「じゃ、じゃあ…凄く良いことって…」
杏子「うん、ほむらお姉ちゃんさ」
マミ「はーい!」
ガチャッ
杏子「よっ」
モモ「こんにちは!」
マミ「杏子ちゃん!モモちゃん!良いところに来たわね!」ニコニコ
杏子「へへっ、上機嫌だな」
モモ「そうだね」
マミ「ほらっ?早く上がって?」
杏子「ああ」
モモ「おじゃましまーす!」
ほむら「…!」
ほむら(佐倉杏子!それから…?)
モモ「わぁ!写真と一緒だぁー!」
杏子「あはは、そりゃ本人だからに決まってんじゃん」
杏子(この人がほむらお姉ちゃん…)
杏子(マミの大好きなお姉ちゃんで)
杏子(そして…!)
マミ「彼女は暁美ほむら」
マミ「私の大好きなお姉ちゃんのほむらお姉ちゃんよ!」
ほむら「マミちゃん…ふふっ」
マミ「そして彼女が佐倉杏子」
マミ「私の大好きな妹よ!」
杏子「同い年だけど…ま、いっか」ニッ
マミ「そしてこの子がモモちゃん」
マミ「私の大好きな末っ子よ!」
モモ「ほむらお姉ちゃん、よろしくね!」
モモ「えへへ」
ほむら(そう…杏子の妹さんね)
ほむら(いえ…杏子の妹と言うよりも…)
ほむら(私達の妹…ね!)
ほむら「ふふっ」クスッ
杏子(暁美ほむら…)
杏子(マミの大好きなお姉ちゃんで…)
杏子(そして、あたし達のお姉ちゃん…か!)
杏子「へへっ!」
マミ「仲良し姉妹よ!」ニコッ
杏子「ってこと、よろしくね」スッ
ほむら「ええ、私こそ。よろしく」ギュッ
モモ「わたしも!」ギュッ
マミ「私だって!」ギュッ
モモ「えへへ!」
ほむら「ふふっ!」
マミ「うふふっ!」
杏子(歳も血も違うけど、でも…すっごい)
杏子(仲良し姉妹と)
杏子(そして、あたし達の親友2人の)
杏子(6人の新しくて、そしてすっごく楽しい生活が始まったんだ)
杏子(奇跡も…魔法もあるんだよ)
杏子(それも最高の…な!)
杏子「てぃひひ!」
おわり
乙
Entry ⇒ 2012.04.30 | Category ⇒ まどかマギカSS | Comments (0) | Trackbacks (0)
マリク「現世に戻れたと思ったらラーがクソカードになってた」
マリク「えっ…………」
マリク「マジで…………?」
マリク「遊戯の魂が神のカードと共に冥界に行ったことが原因で」
マリク「ラーになんらかの変化が起きたのか………?」
マリク「落ち着け、活用法を考えろ…………!」
マリク「ライディングデュエルとか意味不明な物が流行っていたが、それは今関係無いな」
マリク「ただ、シンクロ召喚という召喚方法があったが…………」
マリク「俺は二回目以降のラーの召喚には回復と他のモンスターを生け贄にしての攻撃力の上昇を狙っていたが………」
マリク「シンクロモンスターは特殊召喚扱いになるため、俺が死者蘇生でラーを召喚するのと同じだが…………」
マリク「つまり………」
死者蘇生
ラーの翼神竜(一ターンで消える)
適当なモンスター
自分のライフ
マリク「これが俺の従来の戦い方だが…………」
現環境
適当なモンスター
チューナー
シンクロモンスター(ずっといる)
マリク「…………」
マリク「…………挫けそうだ」
三体リリース必要←シンクロは二体でもいい上に通常召喚したターンでも出せる。二重召喚を使えばまだ救えるが手札消費が痛い
特殊召喚出来ない←現環境には致命的
効果耐性←召喚時のみ。それ以外は死者への手向けでも死ぬ。
マリク「こんなところか…………」
マリク「…………改めて酷い」
遊星「スティーラーのSSワーウルフSS」
遊星「スティーラーワーウルフクイックロンでデストロイヤーシンクロ」
遊星「相手フィールド上のカードを2枚破壊」
遊星「シンクロキャンセルでシンクロ素材を蘇生」
遊星「俺はこのターンまだ通常召喚を行っていない」
マリク「時間を与えてはいけないということか………」
マリク「妨害…………ロックバーンがいいか?」
マリク「幸い俺のデッキはロックバーンだ。前のデッキでちょっと試すかね…………」
モブ「うああああー…………」
マリク「楽しいデュエルだったぜ………」
マリク「なるほど、戦えないことは無いわけだ」
マリク「次は…………ラーを入れて戦うか………」
マリク「…………頼むぞ」
相手:LP 1400
相手「ターンエンド!」
マリク(チッ……シンクロモンスターを並べてきやがったか………)
マリク「ドロー!」
マリク(ライトニングボルテックス………!基本的に表側表示で召喚されるシンクロモンスターには効果的だ)
マリク(コストは………)
ジュラゲド
レクンガ
ラーの翼神竜
痛魂の呪術
マリク(一番不要なカードを捨てるのが定石………ここはレクンガか………?)
マリク(…………)
マリク(不要なカード…………)
マリク(…………)スッ
マリク(いやいや…………)
マリク(…………)
マリク「俺は手札からライトニングボルテックスを発動!手札から痛魂の呪術を捨て、キサマのフィールドの表側表示モンスターをすべて破壊する!」
相手「なんだと!」
マリク「俺は手札からジュラゲドを召喚!伏せモンスターを攻撃!」
相手「ダイスポット。サイコロ振ります。6出ました」
マリク「」
ワロタwww
<ライディングデュエル!アクセラレーション!
マリク「ライディングデュエル………?」
マリク「………」
マリク「ちょっと試してみるか………」
――――――
マリク「手札から魔法カード死者蘇生を発動!俺は墓地のラヴァゴーレムを特殊召喚!」
相手「スピードワールド2の効果を発動!」
マリク「えっ」
マリク「…………」ペラッ
マリク「スピードワールド2…………魔法カードを発動すればライフを2000持っていかれるカードか………」
マリク「…………ん?」
マリク「これはダメージを与える効果だから…………?」
マリク「…………!ククク………あったぜ……ライディングデュエルの裏をついたこの上なくえげつない策がなぁ…………!」
相手「えっ、ラー?あっその前にスピードワールド2の効果により、2000ポイントのダメージを与える!」
マリク「カウンター罠地獄の扉越し銃を発動!このカードは自分が効果ダメージを受けた時、相手にそのダメージを移し変える!」
相手「なっ、ぐあああああ!」
マリク win!
マリク「奴の絶望に染まった顔………思い出すだけでも快感が走るぜ!」ウヘァー
マリク「…………ん?」
マリク「結局ラーの翼神竜はどう使えばいいんだ…………?」
マリク「…………」
マリク「『振り出し』か…………」
マリク「ロックバーンよりはキュアバーンの方がいいな」
マリク「いや、何もバーンの必要は無いな」
マリク「キュアビートなんて合ってるんじゃないか……?」
店員「アッシャァッセェー」
マリク(とにかくカードだ。何か戦力になるカードを………)
マリク「オイ、ライフに関連するコンボの組みやすいカードは無いか」
店員「ェァイ、ショッショオァチクァサイ」
店員「オチラニナリアッス」
友情YU―JO
マリク「…………」
アリァッシター
マリク「あれだけは…………あれだけは使うわけにはいかねぇ………!」
マリク「どうする…………このままじゃ翼神竜がマジでよく死ぬ竜になるぞ………」
マリク「デュエル雑誌でも読んでみるか…………」
ペラッ
今でも使える!昔の嫌われたコンボ!
マリク「お……」
一つ目《八汰ロック》言わずと知れた最悪のコンボ!まずクリッ
マリク「これは別にいいな…………」
マリク「ダークキメラジャッジキル……脳トレデッキかよ」
マリク「レオウィザードパーミッション………なんでこんな微妙なのしか無いんだよ………!」
マリク「…………」ペラ
マリク「………これは……」
マリク「そうと決まれば…………」
マリク「そこのお前、デュエル(ただし闇のゲーム)しろよ」
相手「おk」
マリク「デュエル!」
――――…………
マリク「邪帝ガイウスでダイレクト・アタック!」
相手「ぐああああ」
マリク「罰ゲームは………お前が昔考えたオリカのテキストを読み上げるとしようか」
相手「や、やめてくれぇ!」
マリク「うっわwwwwww混沌の創造神カオス・ゼウスとかwwwwww神属性で攻撃力守備力無限でwwwwwwwwwww魔法罠モンスター効果を受けないwwwwwwwww星は10wwwwwwきもすぎだろwwwwww」
相手「いやぁぁぁぁぁ」
これは酷いwwwwwwww
マリク「だが、こんなものではこのデッキの真価は測れない!さらなる相手を探すぜ!」
マリク「ギラザウルスのダイレクトアタック!」
相手1「ぐああああ」
マリク「ザボルグでダイレクトアタック!」
相手2「みぎぃっ!」
マリク「ハードアームドラゴンでダイレクトアタック!」
相手3「イクッ!」
マリク「………クククク」
マリク「このデッキは実に使い心地が良い」
マリク「強いて問題点をあげるとするならば………ククク」
マリク「まだ一回もラーの翼神竜を召喚出来てない事だな…………」
マリク「ハードアームドラゴンも抜いて問題ないから4枚のデッキ圧縮になるし………」
マリク「いや何を言ってるんだ俺は…………!」
マリク「ラーの翼神竜は三幻神の頂点のはずだ………」
マリク「それがこんな結果になるなど…………!」
マリク「おい!そこのお前!デュエルだ!」
?「」
>>73までの中から対戦相手を選ぶ
マリク「そうだてめえだ!てめえは因縁染みてるのか知らねぇか妙に気に食わねぇ!デュエルだ!」
遊星「最近ここらを荒らし回ってるヤツか!いいだろう!デュエルだ!」
マリク&遊星「「デュエル!」」
マリク「えっ」
遊星「ダンディ切って中略クェーサー召喚!ターンエンドだ」
マリク「は?」
マリク「」
マリク(引いたぜ………!奴を惨殺たらしめ、俺を勝利に導くキーカードを)
遊星「はたき落とし」
マリク「サレンダーする………」パサッ
遊星「そうだな」
マリク「普通に次元帝のほうが強いしな…………」
――冥界――
ATM「こないだ冥界(ここ)の王どっか行ったよな」
ゾーク「あれシグナーとかナスカがどうしたって話らしいぞ」
ダーツ「どっか行ったって話ならマリクどこ行ったんよ」
ATM「どうしても現世行きたいらしいから闇の中からサルベージしてきた。ラーの翼神竜あげたけど弱体化したんだよなあれって」
ゾーク「へー」
マリク「カードは土産にしよう」
――冥界――
マリク「あ゙ー……」
ダーツ「お帰りー」
パラドックス「誰よコイツ?」
ATM「マリク。お前パラドクスドラゴンに乗ってたけどそれより先にこいつラーに乗ってたからな。あの時俺吹きそうになってたわ」
パラドックス「マジかwwwwww」
ダーツ「お前らモンスターと合体とか何やってんだよwwww」
ATM「お前もオレイカルコスと一体化してたろwwwww人の事言うなwwwwww」
マリク「あ、これお土産。シンクロモンスターだって」
ATM「お前今まで知らなかったのかよwwwwwwアホだろwwww」
ダーツ「ゲーがいれば基本負けないから興味無いわ……」
マリク「黙ってろオリカ厨wwww張り倒すぞwwwwww」
Z-ONE「時械神使えば普通にバウンスおいしいです」
ゾーク「やめろ。シンクロに限った話じゃねーからそれ」
マリク「うわっ遊星なんでいるんだよ…………つーか老けたな」
Z-ONE「別人だよ。よく似た」
ATM「Z-ONE知ってる?」
Z-ONE「コズミックブレイザードラゴンのはずなんだけど…………あのカード無くしたわ」
パラドックス「え?効果気になるんだけど。なんだっけ忘れたわ」
Z-ONE「いや、ちょっと俺も忘れたわ………なんだっけな………」
アンチノミー「MtGやる奴いるー?」
ATM「うーい」
ダーツ「お前ChanceEncounterで特殊勝利してくるだろ。出禁だ出禁」
ATM「えー」
終われや
面白かった
ラーへの愛を感じるいいSSだった
でもあんまでてなかったようなうわr
結論:ラーっていらなくね?
Entry ⇒ 2012.04.30 | Category ⇒ 遊戯王SS | Comments (0) | Trackbacks (0)
シャロ「安価であなたを導いてゆく」
アンリエット「ふふ、心配をかけましたわね」
シャロ「一体どこでなにをしてたんですか?」
アンリエット(憂さ晴らしに世界各地で手当たり次第盗みを働いていたなんて言えない…)
アンリエット「えっと、その、迷子になってました…」
シャロ「ま、迷子…?」
シャロ「…分かりました!アンリエットさんが迷子にならないようにあたしがあなたを導きます!」
アンリエット「えっ?」
シャロ「これからはあたしがアンリエットさんの道案内です!」
シャロ「さぁ、どこか行きたい場所はないですか?」
アンリエット「じゃあ、>>5に…」
シャロ「分かりました!『本ゲームお売りください』の看板でおなじみのブックオフですね!?」
アンリエット「えぇ、『本を売るならブックオフ』のキャッチコピーで有名なブックオフですわ」
シャロ「早速行きましょう!ブックオフはこっちですー!」トテトテ
アンリエット(シャーロックが私の前に立って…なんだか不思議な気持ちですわ)スタスタ
シャロ「アンリエットさんもブックオフに行くんですね!」
アンリエット「えぇ、たまにお宝がありますから」
シャロ「エリーさんもよく行くって言ってました」
シャロ「なんでも安く本が買えるから助かるみたいです!」
アンリエット「なるほど…」
シャロ「アンリエットさんは何を買いに行くんですか?」
アンリエット「>>11を買おうと思って…」
シャロ「アンリエットさんも漫画とか読むんですか!?」
アンリエット「私だってそれくらい読みますわ」
シャロ「ご、ごめんなさい…ちなみに何の漫画を買うんですか?」
アンリエット「ホーリーランド…格闘漫画ですわね」
アンリエット「なんでもプロの格闘家も愛読しているとか…」
シャロ「え…アンリエットさん、格闘家になるんですか!?」
アンリエット「いや、別にそういうわけでは…」
シャロ「だ、大丈夫です!あたしバリツ使えますから!」シュッシュッ
シャロ「アンリエットさんは私が守ります!だから…!」
アンリエット「……ふふっ、だからそういうわけではありませんわ」
シャロ「そ、そうですか…よかったー」
シャロ「でもでも…じゃあなんでですか?」
アンリエット「>>17」
アンリエット「お、おなかが空きましたわね!」アセアセ
シャロ「え?」
アンリエット「シャーロック、ご飯でも食べに行きましょう?」
シャロ「え…でも漫画は…」
アンリエット「漫画はいつでも買えますから!ね!?」
シャロ「…?まぁいいですけどー」
アンリエット(ふぅ…危うく私が格闘術を身に着けたい理由がばれてしまうところでした…)
シャロ「じゃああたしがアンリエットさんを導きます!」
シャロ「さぁアンリエットさん!何が食べたいですか!?」
アンリエット「シャーロックに任せますわ」
シャロ「えっ、いいんですか!?」
シャロ「じゃあ、>>23が食べたいですー!」
シャロ「とろけるチーズ…!真っ赤なトマト…!」ジュルリ
シャロ「あぁっ…!もう何か月も食べてません!」
シャロ「アンリエットさん!早く行きましょー!」グイッ
アンリエット「ちょ、ちょっと…?」スタスタ
シャロ「ピーザっ♪ピーザー♪」
アンリエット「シャーロック、ピザって…宅配で食べるものなんじゃ?」
シャロ「なに言ってるんですかアンリエットさん!」
シャロ「最近、とってもおいしいピザレストランができたってココロちゃんが言ってました!」
シャロ「一度行ってみたかったんですー…!」
アンリエット「そんなものが…それはどこにあるんですの?」
シャロ「>>29です!」
アンリエット「しゃ、シャーロック!?この場所って…!」
トーキョー
千代田区
シャロ「ここですー!」
アンリエット(日本武道館…)
シャロ「ちょっとした旅行みたいですね!えへへ…」
シャロ「あれ?ピザ屋さんすっごく混んでます」
アンリエット「これじゃすぐには入れませんわね」
シャロ「せ、せっかく来たのに…!」ガクッ
アンリエット(…なるほど、武道館でなにかイベントをやっている、だからこんなに混んで…)キョロキョロ
アンリエット(何のイベントなのかしら…?)キョロキョロ
看板「>>36」
看板「参加資格はカップルである事!歳や国籍は問いません」
看板「集まった参加カップルの中からベストお似合いカップルを決める祭典!」
看板「参加賞:ピザ(あつあつ)」
看板「優勝賞品:秘密」
アンリエット「なるほど…」
シャロ「……よし!出ましょう!!」
アンリエット「!?」
シャロ「出場すればおいしーいピザがただで食べられますー!」
アンリエット「シャーロック!?ピザなら私が買ってあげますから…」
シャロ「ピザ屋さんの行列は三時間待ちですぅ…待てません!」
シャロ「お願いしますアンリエットさん…!」
シャロ「……だめですか?」
アンリエット「>>43」
シャロ「アンリエットさん!」
アンリエット「その代り!出場するからには優勝しますわよ!!」
シャロ「はいですー!」
日本武道館内
出場者待合室
シャロ「ピザおいしいですー」モグモグ
アンリエット(ふむ、パンフレットによると…)
アンリエット(トーキョーで最もラブラブなカップルを決める大会)
アンリエット(出場カップルたちは与えられる試練を二人の力で突破していかなくてはならない)
アンリエット(戦って!戦って!戦い抜いて!最後まで勝ち残ったカップルが!)
アンリエット(『カップル・オブ・カップル』の称号を手にすることが出来る!)
アンリエット(予選競技は…>>52ですか)
シャロ「これはっ…!楽勝ですね」
シャロ「探偵二人がカップルなんです!勝ったも同然ですよ!アンリエットさん!!」
アンリエット「え、えぇ…」
アンリエット(く…これは、どうしたものでしょう…)
アンリエット(推理!今のシャーロックにはちょっと期待できませんわ…)
アンリエット(私だけでこの試練を乗り越えられるか…!)
シャロ「頑張りましょうアンリエットさん!」
アンリエット「よし…行くしかないですわ!!」
…
審判「さぁ始まりましたー!第一回カップルお似合いコンテスト!」
審判「予選第一試合!種目はズバリ!『推理』です」
審判「赤コーナー!名探偵シャーロック・シェリンフォードと探偵学院生徒会長アンリエット・ミステールのカップル!」
審判「名付けて、アンシャロコンビだーーッ!!」
審判「対する青コーナーは…>>63と>>66のカップルだッ!!」
審判「シャーロック選手と所属を同じくするミルキィホームズの名探偵!譲崎ネロと…」
審判「その実力は未知数!若き炎の怪盗、ら…ラフランスだーッ!!」
ラフランス「ラットだ!ラット!!」
シャロ「ね、ネロと…ラビットさん!?」
ラビット「だからラットだって…って!シャーロックと、アンリエット様!?」
ネロ「…様?」
ラグラージ「な、なんでもねえよ」ゴホン
シャロ「なんでネロが怪盗と手を組んでるんですかー!」
ネロ「ち、違うよ!こいつがどうしてもピザが食べたいって言うから…!」
ラクダ「俺だって!こいつがどうしても優勝賞品が欲しいって言うから仕方なくだ!」
アンリエット「…案外お似合いですわね」ニヤニヤ
ラッドウィンプス「え……」
ネロ「シャロだって!どうしてアンリエット会長と一緒にいるんだよ!?」
シャロ「それは…あたしがアンリエットさんの導き手だからです!」
ネロリエット「「!?」」
シャロ「これからは、あたしがアンリエットさんのことを引っ張って、歩いていくって決めたんです!」
シャロ「だからあたし達はこんなところで立ち止まってなんていられないんです!」
アンリエット「しゃ、シャーロック…!」
審判「おーっとぉ!素晴らしい愛だー!!加点1点!」
ラジオネーム「ハッ!そんな事はどうだっていいんだよ!」
ランドルト環「俺たちが予選を勝ち抜く…それだけだ!」
ラグランジュ(アルセーヌ様とシャーロックがくっつくなんて…認めねえ!)
ネロ「ラストリベリオン…」
ラッコ「ラットだって言ってんだろー!!!」
審判「さぁいきなり白熱した展開を見せる推理対決!」
審判「二つのカップルに解いてもらう試練…謎は、>>85事件だ!!」
審判「さぁこの事件を解決し、本戦へ足を進めるのはどちらのカップルか!?」
審判「それでは!カップルファイトォ!!」
ネロット「「レディー…!」」
アンシャロ「「ゴーーーッ!!」」
ランパート「ネロ!行くぞ!」
ネロ「おうっ!」
シャロ「行きましょう、アンリエットさん!」
アンリエット「…私はすでにこの事件の鍵を握っていますわ!」
ネロ「なにっ!?」
アンリエット「この事件の鍵となるキーワード!それは、>>100です!」
ライトエンドドラゴン「京…ちな…!?」
アンリエット「えぇ、ゆるゆりにおける…歳納京子×吉川ちなつのカップリング!」
アンリエット「普段はふざけてばかりの先輩、歳納京子と!そんな彼女を苦手に思う後輩、吉川ちなつ!」
アンリエット「あまり相性が良いとは言えず…仲も悪い二人ですが…!」
アンリエット「クリスマスデート回!キョッピーがチーナにねこくらげをプレゼントするエピソード!」
アンリエット「珍しく素直にやさしいキョッピー!デレるチーナ!手を繋ぐ二人!!」
アンリエット「行動だけでお互いの心の内を動きを描写した…素晴らしいストーリーですわ!」
アンリエット「このストーリーこそ京ちなにおける大事件!!」
アンリエット「決して深い恋愛描写ではないけれど…それこそがゆるい百合の真骨頂!」
アンリエット「詳しくは原作三巻をチェックなさい!」
ラウ・ル・クルーゼ「ぐわあああああああ!!」
ネロ「くっ…!よく分からないけどすごい百合パワーだ!」
シャロ「これは重要なファクターですー!」
アンリエット「その可能性の連続こそが大事件!!」
アンリエット「『ゆりゆららららゆるゆり大事件』とはそういうことですわ」
シャロ「アンリエットさん、すごいですー!」
アンリエット「アニメ放送後にブックオフに走ったかいがありましたわ」
ラップ音「新品で買え…!ぐふっ」ドサッ
ネロ「おいラル・グラド!?起きろよら抜き言葉ーー!!」
ラミレス「俺の名は…ラッ…」ガクッ
審判「勝者!アンシャロカップル!」
アンリエット「やりましたわ!」
シャロ「予選突破ですー!」
審判「さぁ続いて本戦第一試合に進ませてもらおう!」
シャロ「ごくり…!」
審判「次の君たちの相手は、>>118と>>121のカップルだ!」
お幸せに
お似合いだよとっても!!
審判「彼を表現するのに『俺』以外の言葉はいらない!俺選手だーッ!!」
ブー太「ラードを乗せたピザうまいブー」モッチャモッチャ
>>118「ふっ、お前らの愛が…俺とブー太の愛に勝てるかどうか、見せてもらうぜ!」
シャロ「石破ァ!!」
アンリエット「ラブラブゥ!!」
アンシャロ「「天・驚・拳ッ!!!!」」ズドーーーン
>>118「ぎにゃあああああああああああああああああ!!!!!」
シャロ「やったかッ!?」
>>118「う、生まれ変わっても…ブー太と…!」ガクッ
審判「勝者!アンシャロカップル!」
シャロ「>>118さん…!恐ろしい愛でした…!」
アンリエット「ブー太さんに向けられたその愛情の深さ…敵ながら素晴らしかったですわ」
シャロ「えぇ、>118さん…その名前、忘れません…!」
シャロ「次はいったいどんなカップルが相手なんでしょう」
審判「さあぁ!盛り上がってきた第二試合!!」
審判「赤コーナー!百合の知識と愛の力でここまでの勝利を掴んできた強豪!!アンシャロカップル!!」
審判「青コーナー…!同じく無傷で勝利を勝ち取ってきた覇者!!」
審判「>>143と>>146カップルだー!!」
シャロ「え、エリーさん!?」
エリー「そんな…シャロが、相手なの…?」
ストーンリバー「これは…!」
アンリエット(ストーンリバー!?あなた、そんな趣味が…!?)
シャロ「なんでエリーさんがストーンリバーと一緒にいるんですかー!!」
アンリエット「怪盗と探偵が手を組むなど…説明して欲しいですわね」
アンリエット(自分の事を棚に上げるのはあれですが、今はアンリエットだからセーフですわ)
シャロ「ネロとラルクアンシエルさんはいいんですか?」
アンリエット「ライドオンウィンドヘブンズドア?誰なのかしらそれは」
ストーンリバー「く…!こ、これはだな…!」
エリー「シャロ、これはね…」
エリー「>>166」
シャロ「えっ!?」
アンリエット「なんですって…」
エリー「ごめんなさい…!この人が『私とこの大会に出場しないとミルキィホームズの探偵服のスカートをあと10cm短くする』って…!」
シャロ「怪盗ストーンリバー!あなたを逮捕します!!」
アンリエット「……この変態」
シャロ「エリーさんこっちへ来てください!そんな変態の傍にいちゃだめです!!」
エリー「シャロぉっ…!」ダッ
シャロ「もう大丈夫ですよー」ナデナデ
ストーンリバー「…………!」
アンリエット(ストーンリバー…言い訳があるなら聞いてあげますわ)ヒソヒソ
ストーンリバー(あ、アルセーヌ様…!)ヒソヒソ
ストーンリバー「>>180」
アンリエット「?」
ストーンリバー「エルキュールのスカートを短くする事を約束しよう!!ただしこの妖刀でなァ!!」
エリー「ひいぃっ…!!」ビクゥッ
アンリエット「大声でなんて下品な事をっ…!」
シャロ「もう止めてください!エリーさんが泣いているじゃないですか!!」
エリー「ひっく…!ぐすっ…!」ボロボロ
ストーンリバー「黙れ!こうなったらエルキュールのスカートだけでも短くせねば…!」
ストーンリバー「かつて散って行った先人…!ミニスカ好きの紳士たちに示しがつかんのだ!!」
ストーンリバー「アンリエット・ミステール!邪魔するのなら貴様も…!」チャキッ
シャロ「あ、アンリエットさーーん!!」
アンリエット「>>190」
ストーンリバー「ぬぐあっ!!?」
審判「おーっと!アンリエット選手の鉄拳が飛んだー!ストーンリバー選手ダウーン!」
シャロ「アンリエットさん!」
アンリエット「シャーロック…大丈夫ですわ」
シャロ「トピ主っていったいなんですか?」
アンリエット「怪盗ストーンリバーは…『かつて散って行った先人』と言っていました」
アンリエット「…ネットの世界に存在する悍ましき掲示板のトピック『ミニスカ好きの集い』…恐らくそこの住人のことを指していたのでしょう」
アンリエット「その過激で犯罪的なまでのミニスカ崇拝…そのトピックの主はすぐに逮捕されました」
アンリエット「しかし、その度に『ミニスカ好きの集いは』主と名前を変え…今も存在しています」
アンリエット「ストーンリバーは現在のトピ主だったに違いありません…」
シャロ「そんなトピックが…!?」ゴクリ
エリー「怖いです…」
審判「勝者!アンシャロカップル!!」
審判「さぁさぁお待たせいたしました!第一回カップルお似合いコンテスト!!」
審判「様々な愛の形がぶつかり合い…いよいよ決勝戦を残すのみとなりました!」
審判「頂点の座を争う、二組のカップルを…紹介しましょう!!」
審判「赤コーナー!」バンッ
審判「小さいけれど愛は大きい!自称アンリエットの導き手、シャーローーーーック・シェリンフォーーード!!」
審判「今までの勝利は彼女が掴んだと言っても過言ではない!!アンリエーーーット・ミステーーーーールッ!!」
ワーワー キャー イェーイ
審判「さて…彼女たち、アンシャロカップルが挑むは優勝候補の一角と謳われた実力者!!」
審判「>>210と>>213のカップルだーーー!!」
審判「かつて数え切れないほどの事件を解決した…まさに名探偵!!」
審判「こぉばやしーーーーーっ!!オペラーーーーッ!!」
ワアァー キャーッ
シャロ「こ、小林先生!?」
小林「久しぶりだね…二人共」
小林「君達の愛の力は見せて貰った!でも僕たちもそれに負けないくらいの強い愛を持っている!」
シャロ「先生のパートナーって…?」
小林「紹介するよ…僕のパートナーを!」
審判「小林オペラのパートナーっ!!その名も…!!」
ストーンリバー「私だ!」
アンリエット「トピ主死ね!!」ガンッ
小林「あの人僕のパートナーじゃないんですけど…」
審判「すいません、呼ぶ選手間違えました」
小林「さぁ来てくれ…>>225!」
神津「俺の出番か…」
シャロ「か、か、か…神津さん!?」
神津「俺だが…」
小林「僕たちは幾度も同じ死線を潜り抜けて手に入れたんだ…友情を越えた感情を!!」
神津「この愛の強さを証明し、小林との絆を世に知らしめるまで負けるわけにはいかない…!」
小林「神津…!」
神津「小林…!」
シャロ「う…なんて強い結びつき!近寄りがたいです!」
シャロ「でもでも!愛の強さだったらあたし達も負けません!」
アンリエット「シャーロックと私の心の力を…見せてあげますわ!」
審判「さああぁああ!!テンション最高潮で始まった決勝戦!!」
審判「勝負方法は…>>236だ!!!」
うわぁ…
審判「見ているこっちが砂糖吐いてぶっ倒れてしまうようなラブラブデートを見せた方の勝ちだ!!」
神津「何回もこなしてきた事だ」
小林「よせよ、みんな見てるじゃないか」
アンリエット「…………!」
アンリエット(これはまずいですわ…私とシャーロックは本当の恋人ではない!デートなんて…!)
アンリエット(それに向こうは手馴れている様子!私たちに勝ち目なんて…!)
シャロ「…大丈夫です、アンリエットさん」
アンリエット「シャーロック…?」
シャロ「言ったじゃないですか!あたしはあなたを導いてゆくって!」
シャロ「行きましょう、アンリエットさん!」
審判「スタートッ!!」
シャロ「まずは>>245に向かいますー!!」
アンリエット「ここは…教会?」
シャロ「ふぅ、ちょっと疲れました…座りましょう!」
アンリエット「シャーロック、こんなところで何を…」
シャロ「今日はとっても楽しかったです!」
アンリエット「えっ?」
シャロ「アンリエットさんとブックオフにいったり、トーキョーまで来てピザを食べたり…」
シャロ「でも『あたしが導く』って言ったのに、カップルコンテストはアンリエットさんに頼りっぱなしですね、えへへ…」
シャロ「だから最後はちゃんとあたしが導きます!」
アンリエット「………」
シャロ「アンリエットさんと一緒にいれて本当に楽しかった…!」
シャロ「あたしにとっては今日一日全部が、アンリエットさんとのデートです!」
シャロ「えへへ…アンリエットさんも楽しかったですか?」
アンリエット「>>253」
アンリエット「ありがとうシャーロック」
シャロ「また一緒にデートしましょうね?」
アンリエット「えぇ…」
シャロ「…綺麗ですね、ステンドグラス」
アンリエット「そうですね…」
シャロ「アンリエットさん、神様の前で誓います!」
シャロ「すこやかなる時も、病める時も」
シャロ「喜びの時も、悲しみの時も」
シャロ「私はあなたを導いてゆく」
シャロ「ずっと一緒です、アンリエットさん…」
アンリエット「……はい」
…
審判「試合しゅーーーりょーーー!!」
審判「『今日一日の出来事全てが私達のデート』と言ってみせたアンシャロカップル!」
シャロ「ちょっと恥ずかしいですー!」
審判「『友情を越えた愛情のデート』を見せてくれた神ペラカップル!」
神津「年甲斐もなく張り切ってしまったよ」
小林「神津ったら…」
審判「決勝戦は観客のみなさんからの投票で勝敗を判断します!」
審判「観客の皆様!どちらのカップルのデートが、『ラブラブカップル』と言うにふさわしいでしょうか?」
…
審判「投票結果が出ました!」
審判「勝ったのは…!」
審判「>>260!!」
アンリエット「………!」
シャロ「や、やりましたーーー!!!」
審判「第一回カップルお似合いコンテスト!『カップル・オブ・カップル』の称号を手にしたのは…!」
審判「シャーロック・シェリンフォード&アンリエット・ミステールだーッ!!」
ワーワー ヒュー キェー
小林「くやしいけど…僕たちの負けだ」
シャロ「先生…」
神津「二人でいれば、それだけでデート…愛の深さを見せて貰った」
アンリエット「…私は何もしていません、シャーロックのおかげですわ」
シャロ「違います!二人で掴んだ勝利です!」
小林「まさに、愛の力だ…!」
審判「お二人共!優勝おめでとうございます!」
審判「さ、これが優勝賞品です」サッ
アンリエット「こ、これは…>>267…」
シャロ「やったーー!!白米ですー!!」
アンリエット「よ、よかったですわね…」
シャロ「みんなに思わぬお土産ができました!みんなの喜ぶ顔が見えます…!」
シャロ「さぁアンリエットさん!お米を買って帰りましょう!」
アンリエット「えぇ…」
…
シャロ「お、重いですー…!」フラフラ
シャロ「これを持ってトーキョーからヨコハマまで…ぐふっ!」フラフラ
アンリエット「いっぺんに買えるだけ買うからですわ…」
シャロ「だってこの券トーキョーでしか…!」
アンリエット「…半分持ちますわ」ヒョイッ
シャロ「あ…ありがとうございます!」
アンリエット(まったく、まだ当分は私が導いてあげないとだめみたいですわね、ふふっ…)
おしまい
よかった幻じゃなかった
毎度凄いなぁ
Entry ⇒ 2012.04.30 | Category ⇒ ミルキィホームズSS | Comments (0) | Trackbacks (0)
まどか「家族みんなで」
まどか「新しいお友達できるといいなぁ」ブルッ
そういえばもう12月だっけ?
まどか「寒い寒い…」ポチッ
暖房のスイッチを入れる。
6畳一間の空間にゆったりと温かい風が流れこむ。
まどか「よかった、ちゃんと動いてくれて」
まどか「えへへ、あったかい」
そう。
私はつい最近一人暮らしを始めました。
ずっといた故郷を離れ、新しい土地を訪れ……
明日は初めての登校日。
どんな出会いが待ってるんだろう?
まどか(う〜、昨日は緊張してよく眠れなかったよ)
さっき職員室で担任の先生を紹介されて、教室まで連れってってもらうことになったのだ。
先生は、多分ママと同じぐらいの年の女性だった。
先生「ここが教室です。鹿目さん」
先生「それじゃ、私が呼んだら入って来てちょうだい」
まどか(うわ〜、緊張してきた)
まどか(うまく話せるかな…)
…でも、なんだか楽しみだなぁ。
そう、なんていうか……
ずっとこの日を待っていたような。
長い間。
ずっと……ずっと……
呼ばれちゃった。
教室の扉をスライドさせて、小さくお辞儀をしながら入場する。
視線が一斉に集まって、予想していたより硬くなりそうだった。
トコ……トコ……
まどか(笑顔、笑顔が大事)
まどか(……あれ、あの子?)
教卓から一番手前にいる左側の生徒がチラリと見えた。
まどか(私と同じリボンしてる?)
まどか(いけない、いけない)
気をとりなおして教室全体を見渡す。
まどか「初めまして転校生の鹿目まどかです」
まどか「一昨日、こちらへ引っ越してきました」
まどか「どうぞよろしくお願いします。」
こんな感じでいいのかな?
趣味とか言ったりするんだろうか?
早乙女先生「じゃあ、志筑さんの隣が開いてるから、そこへ座って頂戴」
あ、これで終わりですか。
よかった。
恐らく志筑さんらしき人が左手を上げてくれているので間違いないだろう。
あそこが私の席か。
チラッ
私は同じリボンの子が気になって、彼女の方を向いていた。
長髪の色白の女の子が、そこにいた。
女の子「!?」///
彼女と目があった。
まるであちらのほうが転校生のように、照れている。
なんだか可愛いかったのでニコっと微笑みかけてみた。
どんな子なのかな?
すごく可愛い子だから、もしかしたらみんなにも人気があるのかもしれない。
後で友達になれると嬉しいな。
席の前までくると、志筑さんが声をかけてくれた。
なんだか、お嬢様っぽい子だと思った。
まどか「こ、こちらこそどうぞよろしく」///
いきなり声をかけられたので、少し声が上ずってしまったけど、大丈夫だろうか。
まどか(でも雰囲気がおとなしい感じの人だから、きっと気にしないでくれるかな。)
初めての授業で教科書の範囲がわからない。
すると、それを察した志筑さんが声をかけてくれたのだ。
志筑「67ページですわ」
まどか「えへへ、ありがとう。」ニコッ
志筑「礼には及びませんわ」ニコッ
ふふ。志筑さんとはなんだか仲良くなれそう。
早速お友達になれそうな子がいてよかった。
さっきのリボンの女の子が返事をする。
暁美「はい。」
まどか(暁美さんて言うんだ、あの子)
暁美さんの返事は、志筑さんとは違った意味で品があり
さっきの可愛いという印象とはちょっと……
いや、かなり違っていた。
優等生っぽくて、どこか近づきにくい雰囲気。
もしかしてこちらが、素の彼女なんだろうか?
だとしたらちょっと残念だ。
後で声をかけてみたかったのにな……
何かこう…運命的なものを感じる。
それに……
私、暁美さんに会ったことがあるような……
いや、気のせいかな。
まどか(やっぱり後で話しかけてみよう…)
まどか(それじゃあ、早速…でもなんて声かけてたらいいんだろう)
女子A「ねぇ、ねぇ、鹿目さんてどっから来たの?」
まどか(え?)
女子B「部活とかやってた?あたしバレー部なんだけどさ…」
まどか(え??)
あれ?
あれれ?
気がついたら私の机の周りを複数の生徒が囲んでいた。
まどか「ええっと…その……」
やばい、こんな時はどうすればいいんだろう?
前の席から、威勢のいい声が飛んでくる。
生徒「わわわ……」
その女の子は立ち上がり、ハエを追い払うが如く掌を返した。
「しっし、しっし……」
「へへ、お礼はいいよ。えっと…」
まどか「鹿目まどかです」
「うん、まどか。これからよろしくね。」
「私さやか。美樹さやか。呼ぶときはさやかでいいよ」
まどか「さやか……ちゃん」///
さやか「うんうん。いいよいいよ〜まどか」エヘヘ
なんだか頼りになりそうな子だ。
初めて会ったばかりなのに、かなりフランクに話しかけてくれて嬉しい。
彼女とならいい友達になれそうな気がする。
まどか(あ、暁美さん…)
暁美さんがいつの間にか私の机の前にやってきていた。
授業の時とは違って、なにやら物腰が柔らかそう…
というより、なんだか緊張しているように見えた。
まどか(さっきも私と目があった時、緊張してたような…)
さやか「ん、転校生?アンタから声をかけてくるなんて珍しいじゃん?」
転校生って呼び方に、なんだか壁を感じた。
まどか(てっきり、さやかちゃんのお友達かと思ったけど、親しいわけじゃないのか)
笑顔で挨拶する。
しかし暁美さんの方は、なんだかショックを受けたように黙ってしまった。
どうしたんだろう?
ほむら「……それじゃ、また」サッ
まどか「あ……」
そう行って暁美さんは自分の机に向かって行った。
何か気分を害すようなことを言っただろうか?
さやか「気にしないでやってくれない?別に悪い奴じゃないんだ」
まどか「……」
せっかくお友達になれると思ったのに……
……そういえば。
『暁美さん』て名前を読んだ時、なんだか違和感を感じたような。
いや、気のせいか。
だって私は彼女に会ったのは初めてなんだ。
同じリボンをしていなくても、一目見れば出会ったのを忘れないぐらい
印象の強い子だと思う。
確かに私も会ったことがある気がしただけど、初対面だ。
今度時間があるとき、私から話しかけてみよう。
〜お昼休み〜
さやか「まどかぁ〜、屋上行こうよ」
まどか「屋上?」
さやか「お昼一緒にしようってこと!」
まどか「う、うんっ!!」
さやかちゃんが誘ってくれた。
とても嬉しくなって、思わず飛び上がりそうになった。
そうだ、暁美さんも一緒に。
ちらりと、暁美さんの席を見る。
しかし彼女の姿は既になかった。
どこへ行ってしまったのだろう?
まどか「待ってね、今用意するから」
さやか「外で食べたほうが気持ちいじゃん」
さやか「学校のいろんな所につれてってあげたいし」
まどか「そっか、ありがとね、さやかちゃん」
やっぱり、さやかちゃんは優しい子だ。
早速素敵なお友達ができて嬉しいな。
トコトコ……
お弁当を両手で抱えながら、廊下を歩いて行く。
「あら、美樹さん。こんにちは」
さやかちゃんの部活の先輩だろうか?
志筑さんみたいに、品のある人だった。
さやか「あ、マミさん。こんにちは」
マミさんていうのか。
私も一応お辞儀をしておく。
マミ「その子……」
さやか「ええっと、この子は転校生で…鹿目まどかって言うんです」
マミ「そう……あの話は本当だったのね……」
マミさんて人は、顎に手を当てて、何か考えているように見えた。
マミ「そうね……」
マミさんは一瞬躊躇いがちになってから、こちらを見た。
私の気を伺っているのだろうか?
まどか「私は気にしませんので、どうぞ」
マミ「じゃあ、ご一緒させてもらおうかしら?」
マミ「ちょっと待っててね。昨日焼いたクッキーも一緒に持ってくるわ」
さやか「やったぁ〜〜!!」
マミさんは教室の方へ戻っていった。
さやか「んじゃ、先に行ってよう、まどか?」
まどか「うんっ!!」
転校初日で、いきなりいろんな人と知り合えた。
なんだかこの先も楽しいことがいっぱい待ってそうでわくわくしてきた。
屋上の重たいドアを開けると、少し強い風が校舎の中まで吹いてきた。
生徒が何名か、三角巾を広げて昼食をとっていた。
私は屋上から見る眺めの良さに、一瞬目を奪われた。
町が一望できるこの場所。
素敵…。
まどか「本当……きれいだね…」
さやか「えへ、気に入ってくれたみたいでよかった。連れてきた甲斐があるってもんよ」ニコッ
なんでだろう。
この町並みを見ていると、すごく懐かしい気持ちになった。
昔住んでいた町とどこか近いものがあるのだろうか。
実家のほうが全然田舎なんだけどな…
3人で空いている場所に座って、お弁当を広げた。
さやか「ううう、お腹へったよぉ。いっただっきまーす!」
マミ「ふふふ、美樹さんたら。」
私とマミさんは手を合わせていただきますを言った。
まどか「お二人は、同じ部活なんですか?」
さやか「えっ!?」アセッ
さやかちゃんが、なぜか困ったような顔をした。
マミ「ええ。そんなところよ。」フフ
まどか「へえ〜〜、なんだろ。さやかちゃんは運動得意そうだけど」
マミさんはどちらかというと、文化系の部活っぽいイメージがした。
まどか「えへへ。これといって」
マミ「何かやりたいことはないのかしら?」
まどか「取り立ててはないです」
私は運動系でも文化系にも属さない帰宅部だった。
さやか「えええ!そうなの?」
マミ「鹿目さんも一人暮らしなのね」
まどか「もしかして、マミさんも?」
マミ「ええ、そうよ。何か困ったことがあったら、いつでも相談してね」ニコッ
まどか「ありがとうございます!」ウキウキ
まさか、転校初日で同じ一人暮らしの生徒に出会えるとは思わなかった。
中学生でそんなことをしているのは自分ぐらいのものだと思った。
…あれ?
私なんで一人暮らしをしようと思ったんだろ。
マミさんは暁美さんを知ってるの?
生徒会か委員会か何かの繋がり…かな?
さやか「そういえば…」
まどか「暁美さんも…」
暁美さんも一人暮らし…!?
これは……これは…
なんだか私の乙女の第六感がただごとではないと言っているよ。
マミ「うふふ。彼女も鹿目さんから声をかけてもらえたら、すごく喜ぶと思うわよ」
まどか「そうですか?でも、いきなり声かけたら迷惑じゃないですか?」
さやか「まあ、転校生が誰かと仲良くつるんでるの見たことないからな…」
あ、そうなんだ。
やっぱり授業中に感じたどことなく近寄りがたいオーラが原因なんだろうか。
マミ「……やっぱり、あなたは暁美さんのこと覚えてないのね…」ボソッ
まどか「え…?」
マミ「何でもないわ、気にしないで」
まどか「いや、でも……」
覚えてないって、私が暁美さんのことを?
やっぱり、私と暁美さんはどこかで会ったことがあるのか?
さっき、暁美さんが挨拶してすぐに立ち去ったわけもそういうことか。
彼女は私のことを覚えているのに、私だけが覚えていないのがショックだったんだ。
私は暁美さんと会った覚えなんてないんだけどな……
マミ「きっと、それは貴方にしかできないことだから」
まどか「マミさんも私と会ったことがあるんですか?」
マミ「ふふふ。どうかしら。私は覚えていないわね」
さやか「マミさんあんまり、まどかをからかわないでやってよ」
マミ「ごめんなさい。少し調子に乗ってしまったかも。」
さやか「まどかも変な話気にしないでよ。」
まどか「う、うん……」
もしかして、さやかちゃんも何か知っているのだろうか?
私だけが何か取り残されているような気がした。
食後にマミさんは袋からクッキーを取り出し、それをみんなで食べた。
それはどこか懐かしい味がした。
おかしいな。
私は今日はじめて転校してきたばかりなのに……
なんでみんな私のことを知っているみたいに言うんだろう。
まどか「はっ、まさか…」
私はちっちゃい頃、ここにいたことがあって
暁美さんとは幼馴染だったとか?
実は、さやかちゃんやマミさんとも遊んだことがあった…?
う〜ん。思い出せないや。
もしどこかで会ったことがあるのなら、そのうち思い出すかもしれない。
疲れたし、もう今日は寝ちゃおう。
ポチッ
電気を消す。
まどか(なんだか、家の中が静かだな)
時計の音以外何も聞こえてこない。
私だけがこの6畳半の一間にいるのだから、それは当たり前なのだけれど…
みんなこうやって大人になっていくんだろうか…
私も一人でいる時間に慣れれば、寂しくなくなるのかな?
それっていいこと?
誰かを必要としなくても、生きていけるのはそれですごいと思う。
だけど。
私は誰かと一緒にいられる方が嬉しいな……
相変わらずさやかちゃんやマミさんは仲良くしてくれる。
けれども一向に暁美さんと話す機会が訪れない。
あれっきり一度も暁美さんは私に話しかけてきてくれない。
たまにこちらを見ているような気がするのだけど……
でも、なんだか申し訳ないな…
私は暁美さんのことを全く覚えていないのに……
でも、今日はちょっと勇気を出してみよう。
暁美さんとは友達になりたい。
私はお弁当箱を抱えて、暁美さんの机まで歩いていった。
まどか「あ、あの」///
暁美「えっ、まどか?」
いきなり私を下の名前で?
まどか「え、?」
まどか「まど??」
わ、私達ってお互いを名前を呼び合う仲だったのか!
そうだよね。覚えてなくてショック受けててたみたいだし。
でも、いきなり呼ばれたらビックリしちゃったよ。
彼女は照れながら、呼び方を訂正していた。
まどか「……」
ここ最近の彼女のイメージはクールでカッコイイという印象だった。
なのに、なんだか…初めて会った時みたいに物腰が柔らかで…
まどか「ふふふ…」
暁美「何がおかしいのかしら?」
まどか「暁美さんていっつもさやかちゃんのこと、美樹さやかって呼んでるのに」
まどか「しかもすごくクールに。」
そう。
なぜか暁美さんはさやかちゃんをフルネームで呼んでいる。
一体どういう遊びなんだろうと思っていたけど、どうやらそれが素らしい。
まどか「なんで私と話して、そんなに慌ててるのかな?」
暁美「なんでって……」
まどか「あ、もしかして…め、迷惑だったかな」
暁美「……いえ」
暁美「声をかけてくれて嬉しかったわ……」ボソッ
まどか「本当!? よかった!勇気だして声かけて」エヘヘ
でも暁美さんも、私のことを気にしててくれたんだ。
嬉しいな。もっと早く声をかければよかった。
まどか「よかったら、今日みんなで一緒にお弁当食べない?」
まどか「暁美さんともっとお話ししてみたいな」ニコッ
暁美「ええ。鹿目さんがそう言ってくれるなら」
一緒に私の机の上に持っていく。
まどか「さっきはびっくりしたよ。いきなり名前で呼び捨てなんだもん」
暁美「素敵な名前の方が頭に残ってたから、そっちが咄嗟に出てしまったのよ」
まどか「あ、ありがとう///」
本当は違うのだろう。
暁美さんは、私のことを覚えているに違いない。
……やっぱり申し訳ないな。
まどか「じゃあ、私も暁美さんのことほむらちゃんて呼んでいい?」
暁美「ええ、もちろん!」
まどか「よろしくね、ほむらちゃん」
ほむら「まどか……」
たった一瞬だだけど……
何か懐かしい響きがした。
何かを思い出しそうな……
まどか「えへへ、ナンパしてきたよ」
さやか「へぇ、やるじゃん。難攻不落のこいつをナンパしてくるなんて」
ほむら「……」むっ
さやか「じゃあ、私はマミさんと食べてくるから今日は二人で食べなよ」
まどか「え?みんなで食べないの?」
さやか「まぁなんだ。せっかくだから、二人仲良く一緒に食べなってことだよ。」
ほむら「変な気を使わなくてもいいわよ」
さやか「アンタもまどかと今まで話せてなかったみたいだからさ」
さやか「この機会にいろいろ話したいことあるんじゃないの?」
ほむら「……ありがとう」ボソ
さやか「んじゃ、私の椅子は好きに使っていいから」
さやかちゃんとほむらちゃんは仲が良くないのかなって思っていたけど…
どうやら思っていた以上に、
お互いのことをよく分かり合っているような気がした。
私が知っているよりもずっと複雑な関係があるみたいで……
まどか「えへへ、お腹へったよ〜」
ほむら「そうね。」
ほむら「ねえ、まどか」
まどか「何かな?」
ほむら「あなたはここに転校して来る前はどこにいたのかしら?」
まどか「えっと、Y県のW市ってところだよ」
ほむら「そう…結構遠くから来たのね」
まどか「うん、いるよ」
ほむら「そうなのね」
まどか「えへへ、私どっちだと思う?」
ほむら「どっちって?」
まどか「お姉さんか、妹か」
ほむら「……お姉さんなんでしょ?」
まどか「すごい。よくわかったね」
ほむら「兄妹は弟さんがいるのではない?」
まどか「そうだよ。たっくんていって……」
たっくんの顔が……思い出せない。
もやもやと霧のように顔が隠れて…
どうしちゃったんだろう。私。
ほむら「どうかしたの?」
まどか「ううん……なんでも…」
まどか「じゃあ、次のクイズね」
まどか「このお弁当の中で私が一番好きなおかずを当ててみて」
ほむら「そうね……」
ほむらちゃんは、私のお弁当を眺めている。
トマト、卵焼き、
それからレンジで焼いた冷凍食品のグラタン、ハンバーグ、シュウマイ。
パセリと、キャベツ。
ほむら「これかしら?」
ほむらちゃんは、卵焼きを指さす。
まどか「うん。よくわかったね」
ほむら「手間をかけて焼いているあたりね…」
まどか「すごいね、やっぱりほむらちゃんは頭がいいんだ」
ほむら「そ、それほどでもないわよ」///
まどか「ほむらちゃんたら、私のことなんでも当てちゃうんだよ」
さやか「どういうこと?」
まどか「私の家族のこととか、好きな食べ物のこととか…」
さやか「気をつけな、もしかしたらこいつに後ろからつけられてるかもしんないよ」
ほむら「バカなこと言わないの。たまたま当たっただけよ」
やっぱり、ほむらちゃんは私とどこかで会ったことがあるんだろうか?
ほむらちゃんを見る。
どこか切なそうな顔をしていた。
ほむら「いえ、なんでもないの」
まどか「悩んでることがあったら、何でも相談してね」
まどか「って、今日お友達になったばかりなのに、馴れ馴れしいかな?」
まどか「なんかほむらちゃんとは初めて話した気がしなくて…」
ちょっと、探りをいれてみる。
本当に会ったことがあるのなら、何か反応してくれるはずだ。
まどか「そんなわけないんだけどね。」
ほむら「………」
まどか「私も遠いところから来たし、ほむらちゃんも全然違うとこから来たんだもんね」
さやか「前世で生き別れになった、友達とか?」
まどか「そんな感じかもね」クスクス
ほむら「まどかは、ずいぶん詩人なのね?」クスクス
まどか「もう〜、笑うなんてひどいなぁ〜」
ちがう…
ほむらちゃんは、どうしてそれを隠しているんだろう?
結局ほむらちゃんは、本当のことを話してくれなかった。
さやか「おう、またね、まどか〜」
ほむら「また明日」
まどか「ばいば〜い」
さやかちゃんと、ほむらちゃんと別れた。
二人で別の道に行ってしまった。
なんだかふたりが何か隠している気がしてならない。
やっぱり思い出せない。
私とほむらちゃんは、どこかで会っているはずなんだ。
なのに、幼稚園の頃の記憶とか小学校の小さい時とか、昔すぎて覚えてないよ。
このままじゃらちがあかない。
仕方ない。
ママに小学校と幼稚園の頃のアルバムを送ってもらおう……
ピピプ…
慣れた手つきで、携帯から家に電話をかける。
すると、ノーコールで声が聞こえてきた。
「おかけになった電話番号は現在使われておりません」
あ、あれれ…間違えちゃったかな。
今度はちゃんと確認しよう。
もう一度、家の電話番号を確認しながら入力していく。
まどか(よし、今度こそ)
「おかけになった電話…」
まどか「なんで…」
まどか「なんで……繋がらないの?」
家の番号はこれで間違いない。
仕方ない。
ママにメールしてみよう。
えっと、
ママ、久しぶり。こっちでは元気にやってるよ。
あのね。ちょっと思い出したいことがあって
それで小学校と幼稚園の頃の卒業アルバムを送って欲しいんだ。
忙しくない時でいいから、お願いしていいかな?
よし。これでいい。
アドレス帳のボタンを押した。
ど、どういうこと……?
「アドレス帳にメールアドレスは登録されていません」
そんなバカな…
なんで1件もメアドがないの?
そういえば私、たっくんの顔が思い出せなかった。
ママ、パパの顔も、もやがかかったように思い出せないのだ。
身が凍りつくような不安を覚えた。
まどか「どうして?」
…そうだ。写真。
家族でとった写真がケータイの中に入っているはず。
データフォルダを検索してみよう。
中央のボタンを押して、データフォルダのところをクリックする。
データフォルダの中にデータはありません。
だって、だって…
私は友達と写真をとったり、
パパやママ、たっくんの写真を入れたりしていたはずなのに。
まどか「なんで…」ウル…
まどか「なんでこんなことに……」
そういえば、ケータイに一回も着信やメールがないことに今さら気づいた。
ママなら心配して1日に一回はメールか電話をしてきそうなものなのに。
まどか「こんなの絶対おかしい…」
言いようもない不安に押しつぶされそうになった。
部屋の中に一人きり。
誰かに相談したくても、連絡手段がない。
ほむらちゃんも、さやかちゃんも……連絡先も家もわからない。
壁の隅のほうで、膝を抱えながら思った。
もしかして…もうパパやママに会えないんじゃないかな。
なんでだろう。なんで、ほむらちゃんの顔が。
すごく会いたい。
ほむらちゃんが私のことを知っているから?
私もほむらちゃんのことを知っている。
こんな時に、一番側にいて欲しい人だった。
いつも私のことを守ってくれて……
側にいてくれた。
なのに…どうして……?
まどか「ほむらちゃんのことも…全然思い出せないよ……」
泣きつかれて寝てしまった。
顔を洗って、学校へ行く支度を整える。
家に帰りたい…
でも、怖い。
そこに自分の帰る場所がない気がして。
だから、お願い。
私に少しだけ勇気をください。
ほむら「勉強を教えて欲しい?」
まどか「……うん」
まどか「数学の進みが、前の学校より早くって…」
ほむら「そうなのね…」
本当は嘘。
私は一人でいるのが怖かった。
いろいろとよくないことを考えてしまうから。
まどか「え?いいの?」
ほむら「何もないけれど、それでよければ」
まどか「やったぁ!!ほむらちゃん、ありがとう」
誰かとの繋がりがほしい。
一人きりじゃないと思えるように。
ほむら「帰りがけに一緒にケーキでも買っていきましょうか?」
まどか「えへへ、勉強に糖分は大事だもんね」
ほむら「ええ」
今は私の直感を信じよう。
どうか私とほむらちゃんが、繋がっていますように……
〜商店街〜
ほむら「ここのケーキ屋が、私の知り合いのいきつけで…」
まどか「へぇ〜、お洒落だね。知り合いって?」
ほむら「学校の先輩よ。今度紹介するわ」
まどか「うん。」
もしかしたら、それはマミさんのことかもしれない。
マミさんもほむらちゃんのことを知っているみたいだったし。
ほむら「私はこのタルトにするけど、まどかは?」
まどか「う〜〜ん……あ…」
まどか「ほむらちゃんのおすすめを買っといて」
そのまま、お店のトイレを目指す。
これからほむらちゃんのお家に行くと思うと少し緊張してきたのか。
もし私の勘違いだったら…そう思うと不安で。
ほむらちゃんならきっと大丈夫だから……
まどか「おまたせ〜♪」
ほむら「まどか、今あなたの…」
まどか「私がどうかしたの?」
ほむら「あなたのケーキも買ったから、うちに行きましょう。」
まどか「うん♪」
なんだろう、何かほむらちゃんが言いそびれたみたいな気がしたけれど……
まどか「任意の3桁の整数の百の位、十の位、一の位をそれぞれ足して3の倍数であれば、その数は3で割り切れることを証明せよ……」
まどか「どういうこと?」
ほむら「たとえば、111だと全部の位を足したら3になるじゃない?」
ほむら「3,6,9とか3の倍数になれば、その数は3で割り切れるってことよ」
まどか「111を3で割ったら……あ、ほんとだ。37で割り切れるね」
まどか「すごい、なんでなんで?」
ほむら「それを証明するんでしょ?」
まどか「検討もつかないよ。」
ほむら「少しは考えなさいよ」
まどか「ほむらちゃん、冷たい〜」ムクッ
お手上げ状態とは、まさにこのことだ。
でも、ほむらちゃんと一緒にいるのは楽しかった。
まどか「数学なんて、私には難しすぎるよ。算数までじゃダメなのかな?」
ほむら「そうね。社会で必ず必要になる能力ではなさそうね」
ほむら「でもそんなこといったら義務教育のほとんどの科目が不要になるわよ」
ほむら「最後まで履修しても、先生か講師にならない限り、人の役に立たないもの」
まどか「みんなの役に立てる力…か」
まどか「私には何があるんだろうな」
もしかしたら私は一人きりなのかもしれない。
そんな私が、誰かの役に立てることなど、この先あるんだろうか?
自分が救われることしか、今は考えられないというのに…
足元が真っ暗で怖くて仕方ないのに…
そんな私が、誰かの役に立てることなど、この先あるんだろうか?
自分が救われることしか、今は考えられないというのに…
ほむら「……」
ほむら「あなたは、あなたでいるだけで十分よ、まどか」
まどか「……うん」
まどか「ありがとう、ほむらちゃん」
まどか「ゆっくり考えてみるよ」
ほむら「わかってくれてよかったわ」
ほむらちゃんが言うように、このままで救われるなんてことはないだろう。
だけどなぜかほむらちゃんに言われると、それが本当にそうであるように思えた。
私はこのままでも、誰かの力になれるんだろうか。
そうすれば、居場所をみつけることができるのかもしれない。
ほむら「一旦休憩して、ケーキでもいただきましょうか?」
まどか「わ〜い♪」
とりあえず今は、ほむらちゃんとの時間を楽しみたい。
まどか「ん〜〜、おいしいっ!!」ニヤニヤ
ほむら「ふふふ、気に入ってもらえてよかったわ」
もうずっと、ほむらちゃんといたいな…
ひとりきりは寂しい。
あの家に一人で帰るのは嫌だ。
ほむら「あら。洋菓子なんてたまに食べるからこんなにおいしくいただけるのよ」
ほむら「それに毎日食べてたらカロリーが気になって、心から楽しめないわ」
まどか「うぅ……」
別にそういうことが言いたいわけじゃないのに…
ほむら「でも、まどかさえよければ、いつでも遊びにくるといいわ」
まどか「ほんとっ!?」キラッ
まどか「えへへ〜、またお邪魔しちゃお〜」ニコニコ
やった。
あんまり迷惑がかからないようにしないとね。
夜遅くまでいては、ほむらちゃんも自分時間があるだろうし…
まどか「でも、将棋とかチェスはほむらちゃんに勝てる気がしないな〜」
ほむらちゃんは、私よりずっと頭がいいし運動もできる。
正直何をやっても勝てる気がしない。
ほむら「美樹さやかたちとは昔何をして遊んでたのかしら?」
まどか「ん〜〜〜。……ん?昔?」
ほむら「……」
ほむら「そういえば、まどかは最近転校してきたのだったわね」
まどか「う、うん……」キョロ
多分、別の学校にいたはずなんだ。
今となってはその記憶全てが疑わしく思えてくる。
まどか「テレビゲームとかならちょっとできるよ」
ほむら「そうなの。じゃあ、二人でできそうなゲームでも買ってきましょうか」
まどか「うん。やろうやろう」
昔、ママに買ってもらって一緒にやったことがある。
……できるはずなんだ。
3桁の数字を文字で置き換えるというヒントをもらい、なんとか解くことができた。
まどか「なるほど。だから3で割り切れるんだ!」
まどか「すっごいね〜。証明って面白〜い」
これは素直に感動した。
数学はもともと嫌いではないし、問題が解けるとうれしい。
まどか「え、ああ…もうこんな時間……」
ほむら「そろそろ帰らないと、ご飯に間に合わないのではなくて?」
そういえば、ほむらちゃんに一人暮らしをしていることは言っていなかったっけ。
でも私は今家族のことに触れてほしくないので、その話は避けるようにした。
また今度ちゃんと話そう。
まどか「……うん、そうだね」
まどか「じゃあ、今日はありがとね、ほむらちゃん」
まどか「また遊びにくるから……」
ほむら「ええ、待ってるわ」
帰りたくないな……
もう一人でいるのは嫌だよ…
エレベーターを使って、マンションから降りていく。
外に出るともう日が沈みかけていた。
あ……
せめてほむらちゃんの電話番号とメールアドレスを聞いておけばよかった。
でも、今から聞きに戻る勇気がない。
明日聞けばいいか……。
電灯があるものの、今は夜道を一人で歩くのは辛いと思った。
エントランスの先から、ほむらちゃんの部屋を見上げる。
あの窓から…私を呼んでくれないかな……
まどか「ははは…そんな虫の良い話ないよね」ウル
まどか「帰ろ、帰ろ……」
そして、車道を渡ろうとしていたその時。
ほむら「まどかぁ〜〜〜〜〜!!」
ベランダから身を乗り出して、力いっぱい叫ぶリボンをつけた女の子がいた。
通行人たちが一斉に振り返る。
…ほむらちゃん。
どうして?
嬉しい…
ほむらちゃんは、そのまま勢いよく部屋に入っていった。
ほむらちゃんが来るまでに、涙を止めてしまおう。
理由はなんであれ、
今は一秒でも、ほむらちゃんと一緒にいられればいい。
慌ててこちらに走ってくる。
まどか「どうしたの、ほむらちゃん」
ほむら「……」ハァハァ
ほむら「夕飯食べていかないかしら?」
夕食?
正直、この展開は予測していなかった。
あまりの嬉しさに、また涙が出そうになった。
ほむら「え、ええ…」
まどか「えへへ、じゃあお言葉に甘えようかな」
ほむら「でも、ご家族に怒られないの?」
まどか「それは……」
いま家族のことに触れられるだけの勇気は、私にはなかった。
まどか「パパに連絡しておけば大丈夫だよ」エヘヘ
ほむら「そう……」
ごめんね。
いつか必ず本当のことを話すから。
だから、それまでほむらちゃんの側にいさせて。
まどか「でも、びっくりしたよ」
まどか「急に呼ばれるんだもん。何か大変なことがあったのかと思ったよ」
じゃがいもの皮を剥きながら、ほむらちゃんの顔を見る。
うっすらと笑みを浮かべていた。
ほむら「そうね……ごめんなさい」
ほむらちゃんもどうして、夕食に誘ってくれたのだろう?
もしかして、一人になるのが寂しかったのかな?
だったら……ちょっとうれしいかも。
ほむら「そう。じゃあボウルの中にいれておいて頂戴」
まどか「なんだかこういうの楽しいね」エヘヘ
ほむら「楽しんでもらえてよかったわ」
まどか「いつもちゃんとお料理してるの?」
ほむら「一人だと、適当になってしまうわね」
まどか「うん、わかるわかる」
ほむら「あら、あなたはご家族と食べているのでは?」
まどか「えと…。パパもママもいないことがあるから」
まどか「そういう時は、スーパーで惣菜買ってご飯食べちゃうの」
ごめんなさい。嘘です。
まどか「ママが、女の子は料理ができる方がモテるからって…」
あ……
私、ママのことちゃんと覚えてる。
まどか「私はまだそういうのよくわからないけど」
ほむら「あなたは十分可愛いからね」
ほむら「あなたのファンクラブだってあるかもしれないわよ」
そう…ママも同じこと言ってたっけ…
まどか「………全然……そんなこと……」
ファンクラブなんて…そんなもの……あるはずないのに。
ママ……
よかった……ちゃんと覚えてる。
ほむら「玉ねぎが目にしみたかしら?」
ほむらちゃんが、心配そうに私の顔をみている。
まどか「ううん……なんかママとも同じようなやりとりしたなって」
まどか「ちょっと、懐かしくなっちゃって……」
まどか「あ、ニンジンちょっと皮むきすぎちゃったかも。ごめんね」
ほむら「それはいいのだけれど…」
あ……懐かしくなっちゃってって…のはまずかったな。
一緒に暮らしてないってバレちゃうかも。
話題かえなきゃ。
ほむら「何かしら」
まどか「そのリボンて、私のやつと同じものなんじゃないかな?」
ほむら「!?」
ほむら「い、言われてみれば確かによく似てるわね」
ほむらちゃんは少し焦っているような気がした。
もしかして、これは私とほむらちゃんの思い出の品だったり?
いや、そんなハズはないよ。
だってこれはお母さんからもらったものなんだもの。
ほむら「ええと……これは買ったのではなくてね」
ほむら「人からの貰い物よ」
え……
それってもしかして……
私のお母さんから?
ほむら「友達から貰ったの」
……なんだ。
まどか「……そうなんだ」
まどか「そっか…そうだったんだ……」
ちょっと、漫画みたいな展開を期待してしまった。
まどか「なんかお揃いなんて、恋人みたいで恥ずかしいね」エヘヘ
ほむら「こ、恋人!?」///
まどか「うんうん。ほら、鏡、鏡」
台所にあった鏡の前に、二人並んだ。
同じリボンをつけた者がそこに映っている。
恋人……いや、
……姉妹のようだというのが正直なところだ。
ま、まさかね。
ほむら「私が姉かしら?」
まどか「…同じこと考えてたんだね」
なんかほむらちゃんと心が通じてるみたい。
不思議だな。
さっきまであんなに寂しかったのに。
まどか「ほむらちゃんの妹か。うん。いいかも……」
ほむら「似てない姉妹ね」
まどか「どうせ私はほむらちゃんみたいに美人じゃないですよ」ムク
ほむら「あら、私はあなたの方が愛らしくて可愛いと思うけど」
まどか「か、可愛い…」///
ほむら「ええ。目にいれても痛くないぐらいに。」
う、嬉しい…
ほむら「あら、そうかも」
まどか「もうっ、ほむらちゃん!?」
ほむら「冗談よ。可愛いと言ったのは本当だから許して頂戴」
まどか「///」
結局ほむらちゃんに言いくるめられてしまった。
なんだかずるいな。
でも……こういう時間、久しぶり。
本当にほむらちゃんが私のお姉ちゃんだったらなぁ。
ずっと一緒にいられるのに……
二人で作ったシチューを口の中に入れる。
ほむら・まどか「あつつ……」
まどか「えへへ、ふぅふぅしないと熱いね…」
ほむら「もう、まどかにつられて、何も考えず食べてしまったわ」
まどか「え?私のせい?」
ほむら「そうね。一人ならこんなことしなかったわね」
まどか「つられるほむらちゃんが悪いんじゃないかな?」
ほむら「む…」
ほむら「だって、二人で一緒につくったものだから…」
ほむら「味わうのも一緒がよかったのよ」ボソッ
胸の奥がじわっと暖かくなるのが感じた。
ほむらちゃんがあまりに嬉しいことを言ってくれるものだから、
油断すると涙が出そうになる。
私もほむらちゃんをいじってみよう。
まどか「ほむらちゃんてさぁ」
まどか「実は結構可愛いよね?」
ほむら「なっ…」///
まどか「そういうところ、さやかちゃんとかの前で出していったらもっと仲良くなれるんじゃないかな?」
ほむら「大きなお世話よっ!?」
いや、もしかしたら私よりもずっとさやかちゃんの方が仲良しなんだろうか?
実は私の知らないところで意外と交流があったりするのかもしれない。
そんな空気が、二人の間にあることをこの前から感じていた。
ちょっと悔しいなような。
今、一瞬だけど……
ほむらちゃんが心から嬉しそうに笑っていた。
あんな笑顔を見たのは初めてかも。
まどか「ほむらちゃん笑った」
ほむら「別に普通よ」
まどか「なんだかすごく珍しい気がするよ」
ほむら「あなたのシチューをすする姿が可愛らしかったからね」
まどか「も、もう!可愛いって言えばなんでも許されると思って!」
ほむら「あら、別にバカにしてるつもりはなかったのだけど…」
まどか「それ絶対、嘘だよ」
ほむら「ふふ…バレてるなら仕方ないわね」
まどか「もう〜〜、子供っぽいって結構気にしてるんだからね!」
こちらに来てから私が一番楽しいと思ったのは、きっと今だろう。
……でも。
ほむらちゃんは、私を知っているはずなのに、
私はほむらちゃんを知らない。
もっと、もっとほむらちゃんのことを知りたい。
ほむら「唐突ね。毎日それなりに忙しいから、さほど寂しいと感じることはないけど……」
まどか「そっか。すごいね」
ほむら「当初は今よりも心許なかったのだけどね。慣れたってのもあるわよ」
慣れか……
慣れたら私も寂しくなくなるのだろうか?
いや、違う。
私の場合はそもそも家族が今どうしているのかすらわからないのだから。
寂しいどころの問題ではない。
ほむら「そうね……しばらく会ってないわ」
ほむらちゃんは遠い目をしていた。
もしかして、つらいことを思い出させてしまったのだろうか。
ほむら「まどかも家族がいるうちは、時間を大切にした方がいいわ」
ほむら「いつ会えなくなるかわからないのだからね」
まどか「うん……ホント。……その通りだね」
まさか本当に会えなくなるかもしれない日がくるなんて、思わなかった。
ほむらちゃんは、洗い物をしている。
……そろそろ帰らないといけない時間だろう。
ほむらちゃんに言わせるのも悪いので、洗い物が終わったら私から切りだそう。
今なら一人でも少しは平気な気がした。
ほむら「まどか〜、リンゴたべな〜い?」
流しからほむらちゃんの声が聞こえた。
まどか「え?剥いてくれるの?」
ほむら「ええっ…」
まどか「あ、わんちゃんだ!」ワクワク
そこには、大好きな犬たちが遊んでいる姿が見えた。
か、かわいい。
ほむら「今りんご剥くわね」
まどか「うん♪」
って、帰るつもりだったのにいいのかな?
もしかして、ほむらちゃんも私にいて欲しかったり……とか?
でも、一人でも寂しくないってさっき言ってたのに。
テレビを見ながらほむらちゃんを待っていると、お皿を抱えて帰ってきた。
ほむら「ほら、剥けたわよ」
まどか「わ〜い♪」
まどか「すごい、うさぎだぁ!」
器用だなぁ。
ちょっと食べるのがもったいないぐらい。
まどか「食べてもいいかな?」
ほむら「うん。」
まどか「いただきま〜す♪」パクッ
ほむら「……」モグモグ
歯ごたえのある食感と、甘み、酸味が口の中に広がっていく。
ほむら「うん」
不思議。
家族ともう会えない気がして昨日は、あんなに泣いていたのに。
今はこんなに笑っていられるなんて。
……ありがとうほむらちゃん。
私決めたよ。
今度時間を見つけて、実家に帰ってみる。
そしてこんなモヤモヤとした気持ち、さっさと終わらせるんだ。
私は家族と会いに行くのをまだためらっていた。
なかなか踏ん切りがつかない。
まどか「ほむらちゃん、次の土曜日暇かな?」
ほむら「そうね。特に予定はないけれど?」ホム?
まどか「じゃあ、二人でどっかお出かけしよっか?」ニコッ
ほむら「ええ。いいわよ」
ほむら「どこか行きたい場所があるのかしら?」
まどか「ううん。とりたてては……」
ほむら「なら適当に街をぶらぶらしてみましょうか?」
まどか「うん!」
よし、これを自分のご褒美にして行ってみよう。
早速家に帰って出かける準備を整えた。
祝日を使って旅に出た。
まどか「帰ってきた…」
JRを乗り継いで、ここまで3時間以上。
中々の遠出と出費をしてしまった。
駅からは田舎道をバスを使って家の近くまでいく。
別に懐かしいとは思わない。
ちょっと前まで、通いなれた場所だったのだから。
それでも私は安心していた。
地元に帰ってくれば、自然と思い出すものだなぁ。
よかった。
やっぱり私はここに住んでいたんだ。
最寄り駅まで20分ほどバスに乗っていた。
まどか「なんだか緊張するな。」
呼び鈴を鳴らす。
しばらくして、扉が開いた。
「はい、どちらさん?」
中からママが出てきた。
……あれ?
この人がママ?
私はママのことをよく知っている。
この人の名前も、性格も、思い出だってある。
でもなんでだろう?
全然私のお母さんである気がしないのだ。
「ああ、あの子の友達ね。上がってちょうだい」
まどか「え?」
やっぱり、ママではないんだろうか。
……そんな。
ここはたしかに私の家のはず。
ここ以外に私は帰る場所を知らない。
こうなったら…とことん調べるしかない。
中に案内されたので家の中を歩く。
だってここで暮らしてた記憶があるんだもん。
そういえばこの人の話だと同じぐらいの女の子が家にいるみたい。
その子なら、何かわかるに違いない。
私がなぜ、こんな事になったのか説明してもらおう。
麩を開けると、和式の部屋に通された。
まどか「あれ、ここって?」
女性「ふふ。お線香はここにあるよ」
部屋の奥には、仏壇と遺影が並んでいた。
写真には、私と同じぐらいの髪の長い女の子が映っていた。
まどか「そんな……」
おい
写真の子は、清水由衣という名前らしい。
今年の夏に東京ので一人暮らしを始めたはいいものの、亡くなったみたいだ。
死因はよくわかっていないらしいが……
清水?
ママの名前も清水由佳。
私の名前は鹿目まどか。
あれ……私……
なんの繋がりもない。
私は亡くなった由衣ちゃんとは一体どんな関係があったのだろうか?
ただ思うことは、彼女の境遇が少し私に似ているということだ。
同じ一人暮らしをしていて、同じ学校へ通っていた。
年の離れた弟がいて…
まどか「由衣さんは、私のこと何か話してませんでした?」
母親「さて…娘とは離れて暮らしてたからね…」
母親「もっと音沙汰があれば、聞けたのかもしれないんけど…」
まどか「そうですか…」
これ以上聞くのは酷な気がした。
お線香を上げて、私は家を出た。
愕然とするしかなかった。
私は帰る場所を失った。
大好きな家族は、どこにもいなかったのだ。
涙を流すことも忘れ、ただなんとなく歩いた。
あの人達と、私は過ごしてきた記憶があるのに…
それでもはっきりとわかる。
私はあの人の娘じゃない。
私の居場所はあそこではない。
まどか「何も…」
まどか「何にもなくなっちゃった…」
本当の私の家族はどこに?
みんな、どこにいっちゃったの?
会いたい……
会いたいよ……。
ママ……
もう、夜はすっかり遅くなっていた。
誰もいないあの家に、また帰らなくてはいけないのだろうか。
こんな時に、誰かいてくれたら。
まどか「……ほむらちゃん」
ほむらちゃんの顔が浮かんだ時、
後ろから肩を叩かれた。
まどか「ほむらちゃん!?」
マミ「こんばんわ、鹿目さん」
まどか「マミさん?」
どうして、こんな時間に?
マミ「あなたにお話があってね……ずっと待ってたのよ」
まどか「私に、お話?」
そういえば、この人は屋上で話した時、私のことを何か知っているような口振りだった。
まどか「全然……わからないよ」
まどか「マミさんたちは、どうして私のことを知ってるんですか?」
まどか「私は……」
まどか「私だけが何にもわからないままで……」
マミ「……」
まどか「ごめんなさい。別に、みんなが悪いわけじゃないのに…」
まどか「私、何がなんだかわからなくなっちゃって…」
マミ「とりあえず、私のうちに来ない?」
マミ「温かい紅茶をご馳走するわ」
マミ「少しは落ち着いたかしら?」
まどか「はい。ありがとうございます……」
お陰でだいぶ冷静になれた。
それに一人で家に帰るより、よっぽどマシだった。
今は誰でもいいから側にいて欲しい。
マミ「ふふ、紅茶には私もお世話になっているの」
マミ「悲しいこととかがあった時、癒してくれるからね」
まどか「……」
この人も辛いこと、いっぱいあったんだ。
優しい目を見ていると、そう思えてきた。
どことなくほむらちゃんに似たような雰囲気を、この人からも感じた。
人を寄せ付けないというか…
どこか普通の人とは違う感じ。
マミ「鹿目さんは自分の正体が何なのか、知っているのかしら?」
まどか「私の…正体?」
…もしかして、この人は全てを知っているのだろうか?
マミ「やっぱり何も知らないのね」
まどか「マミさんは、私のこと何か知ってるんですか?」
マミ「……」
まどか「教えて下さい。」
マミ「私もあなたのことを全て知っているわけじゃないの」
マミ「でも、ここ数日あなたのことについて、調べまわっていたわ」
マミ「本当にあなたは存在するか。両親はいるのか。」
なぜ……そんなことを?
マミ「確かに戸籍上、あなたは存在することになっている。」
マミ「けれど、あなたのご家族。ご両親に関することは何もわからなかった」
まどか「そんな……」
マミ「察するに、今日あなたは実家だと思われる場所に帰っていたみたいだけど…」
まどか「はい」
マミ「よければ、話を聞かせてもらってもいいかしら」
今日の出来事を、マミさんに話した。
まどか「いや、知らないってわけじゃ…」
まどか「覚えてるけど、この人は違うっていうか…」
マミ「なるほど。なるほど」
マミ「大体事情は呑み込めてきたわ」
まどか「私のことわかったんですか!?」
マミ「いいえ、まだそこまでは……」
やっぱり、もうママたちには会えないのかな。
マミ「私は真実に近づけるためのヒントを与えることができると思う」
マミ「だけどあなたはそれとは引き換えに、今まで知らなかったものを、知らなくてはいけなくなる」
マミ「それがどんな事であろうと、受け止める覚悟はあるかしら?」
まどか「私は、パパとママに会いたい!」
まどか「もし少しでも会える可能性が残っているのであれば……」
まどか「どんなことでも受け止めます」
マミ「わかったわ」
マミ「少し長い話しになるけれども、ゆっくりついてきなさい」
今までの優しい目をしていたマミさんではなく…
ただ淡々とした口調で、この世の真実を話す。
魔法少女。
自らの祈りを叶える為に、魔獣と戦うことを運命付けられた存在。
マミさんや、ほむらちゃん、さやかちゃんは、それと戦っているのだという。
実際に、魔法というものを見せてもらった。
何もないところから、銃やリボンをとり出されては信じるしかない。
マミ「そうね…そのあたりは私も確証があって言える話ではないのだけれど…」
マミ「記憶を操作したり、存在が消えたりなんて、普通はありえないことだから」
まどか「もしかして、私の家族はその魔獣ってのに…」
マミ「違うと思うわ」
マミ「鹿目さんか、ご家族が被害にあったのなら、記憶を書き換えるなんてややこしいこと奴らがするとは思えない」
まどか「じゃあ、いったい…」
マミ「今から私が言うことは、真実ではないかもしれないわ」
マミ「けれど最も考えられる可能性が高い仮説を話すわね」
そして魔法少女となった私は、その祈りに「魔女の消滅」を願った。
魔女とは、魔法少女のなれの果てで、今で言う魔獣のような存在。
魔法少女は力を使い果たすか、絶望を糧に魔女へと変わる。
世界を救う存在が、世界を滅ぼす悪へと変わる世界。
それを私は作り変えたのだという。
魔女を滅ぼす概念となり、この世から消滅した。
マミ「言ってみれば、神様のような存在よ」
まどか「そんな、そんなこと私は……」
なんの取り柄もない私が、そんなことできるはずがない。
自分の居場所を失っただけでこれほど狼狽している自分が、
世界を変えるような存在であったなんて思えない。
まどか「消えてなんかいない…」
まどか「それに世界が作り変えられたのだとして…」
まどか「どうしてマミさんたちはそれを覚えていられたんですか?」
マミ「……」
マミ「暁美さんだけは覚えていたの…」
まどか「ほむらちゃんが?」
マミ「私や、美樹さん……あなたの友達もあなたのことを忘れてしまった」
マミ「なぜ彼女だけが覚えていられたのかは私にもわからない」
マミ「けれど、彼女が言うにはあなたによって世界を再構成されたらしいの」
マミ「あなたが今日会った、家族はきっと……」
マミ「この世に存在するためのギャップを埋めるために、最適だと思われた人物の記憶を継承したのだと思う」
マミ「一人暮らしだとか、同じ学校だとか…今のあなたが存在するにはぴったりの条件だものね」
まどか「そんなのおかしい。だって…私には家族がいるのに、なんでわざわざ…」
マミ「……」
そう言うと、マミさんは黙ってしまった。
私は数秒してから、マミさんの沈黙の意味を理解した。
私はもともといなかったことになるのだから……
パパも…ママも…たっくんも私のことを覚えていない?
ギャップを埋めるとはそういう意味なのか?
私がショックを受けないように…
わざわざ偽りの記憶まで……
まどか「……マミさんもほむらちゃんの話を信じてるんですか?」
私には信じられない。
いくらほむらちゃんの話しでも、信じられないよ。
本当の自分はもうこの世にはいなくって…
神様になっていただなんて…
まどか「え?」
頭からリボンを取り外して眺めてみる。
ママからもらったリボン。
マミ「暁美さんのリボン……あなたからもらったんですって」
マミ「正確には、この世を作り替えたあなたから…」
まどか「ああ……あぁ……」
そういえば、ほむらちゃん言ってた。
このリボンは、友達からもらったって。
私以外に、このリボンを持っている人なんて偶然にしては珍しい。
やっとわかった。
ほむらちゃんが、私を知っていた理由が。
初めて会った気がしなかったのは、そういう間柄だったからだ。
世界が変わる前、私とほむらちゃんは同じ魔法少女で、一緒に戦った仲間だった。
まどか「うぅ……ほむらちゃん……」
もっと早く知りたかったな……
だって、ほむらちゃんだけだったんだもん。
この世界で私とつながっていたのは。
そしたら私……初めてほむらちゃんとお話したときに、ちゃんとお礼が言えてたのに。
覚えててくれてありがとうって。
こんな私のこと、大切に思っててくれてありがとうって。
マミ「紅茶いれなおしてくるわね…」
私はマミさんから紅茶のお代りを頂いた。
もう一度落ち着いて、マミさんと話をする。
まどか「それで、どうしてマミさんは私のことを調べてたんですか?」
マミ「もし、あなたが本当に神様だとしたら、世界に異変が起こるかもしれないもの」
マミ「あなたがここにいる理由を調査しなくては、何かあった時に対応できないから」
なるほど。
マミさんは私が神様の仕事をしてないかもって思ってるんだ。
……もしかして私、とんでもないことをしてるのかな?
まどか「私が仕事をさぼると、どんなことが起こるんですか?」
マミ「魔女が生まれるようになる」
マミ「私達魔法少女が、悪意を持って人を襲うようになる」
まどか「そんな……」
じゃあ、ほむらちゃんもいずれ……
マミ「でも、今のところ他の魔法少女たちが、魔女になったという話は聞かない」
マミ「おそらく、別のところでしっかり働いてくれているのでしょう」
まどか「よかった…」
ほむらちゃんが、魔女になったらどうしようかと思った。
マミ「あなたは神が創りだした分身かと考えたのだけれど、彼女も魔法少女であることには変わりない」
マミ「彼女の魔法であれば、必ず魔力の気配を感じるはずだもの」
私にはそれがない……と。
マミ「そもそも概念となった彼女が、この世に干渉する力があるとは思えない」
マミ「あなたが本当に鹿目まどかであるなら話は別だけれども」
まどか「私は……偽物なんでしょうか?」
マミ「少なくとも、暁美さんはそんなこと気にしてないみたいだから、安心していいわよ」
それは……喜んでいいのだろうか?
マミ「あなたが神とは独立した存在だとしても、だからと言って軽視することはできないの」
マミ「もし何か思い出したことがあるなら、報告して欲しい」
マミ「あなたも、暁美さんを魔女にしたくはないでしょ?」
まどか「わかりました。」
マミ「ふふ。ありがとう。」
マミ「うん、よし!堅い話はこれで終わりっと。」
マミさんの目にやさしい目の色が戻った。
マミ「お茶のおかわりでもどうかしら?」
まどか「いただきます」
まどか「ありがとうございます。マミさんのおかげでスッキリしました」
マミ「それならよかった。」
正直、まだわからないことだらけ。
それにこれからどうしたらいいのだろう。
ママたちを探したとしても、私のことを覚えてないのは辛すぎる。
マミ「今日はもう遅いから、泊まっていってもいいわよ」
まどか「えっ?いいんですか?」
マミ「こんな時、誰か一緒にいてくれる友人が欲しいものでしょ?」
マミさん……
魔法少女というものを、まだ私は理解していないけれど、
きっと優しい人がなれるものなのだと思った。
マミ「うん。私もずっと一人で暮らしてても、未だに寂しくなるもの」
まどか「マミさんも?」
マミ「そうね。それにこんなことをしているから、友達も恋人もつくれないし」
まどか「……大変なんですね」
マミ「別の世界では、あなたも魔法少女をしていたはずなのだけどね。」
まどか「そっか。そういえばでしたね」
私にも、魔法少女になる資格があったんだ。
それってすごいことなんじゃないかな?
ほむらちゃんと一緒に世界を守ってた…
ふふ…なんか嬉しい。
私にも、役に立てる場所があったんだ。
まどか「でも、私ってどんな願い事をしたんだろう?」
マミ「ふふ、さぁ、それはなんとも言えないわね。」
自分でも想像つかない。
だって家族も友達もいて、何もほしい物なんてなかったはずなのに
どんな願い事を叶えて、魔法少女になったんだろう?
マミ「もう遅いし、そろそろ寝ましょうか。」
マミ「布団敷いておくから、シャワーは好きに使ってちょうだい」
まどか「ありがとうございます。」
お風呂の中で、私はじっくりと考えた。
どうして私はここにいるんだろう。
なんでほむらちゃんだけが記憶を持ったままでいられたのだろう。
まどか「はぁ……全然わかんないよ」
とりえず、マミさんが良い人でよかった。
一人でも、私のことをわかってくれる人がいてくれるだけで安心する。
お風呂から上がって、髪を乾かす。
マミさんは既に、ベッドで眠っていた。
私もマミさんの用意してくれた布団で横になった。
よく考えたら、一人暮らしなのに予備の布団を持っているなんてどういうことだろう。
誰かが泊りにきたりするのだろうか?
でも、さっき恋人はいないって言ってたし。
そのあたりの話はおいおい聞くとしよう。
今はただ自分が何者なのかを知りたい。
心からそう願った。
シクシク……
シクシク……シクシク……
「泣いているの?」
「悲しいことがあったの?」
うん。
パパも……ママも……
私のことを覚えてない…
「そうだね…」
「それでも私たちは、それを望んだんだんだ」
「この世界に生まれ変わることを」
望んだ?
こんな結末を、私が?
「今、思い出させてあげる。」
まどか「私も一緒に戦うよ!」
ほむら「ダメ。せっかくここまであなたを契約させなかったというのに、その努力を水の泡にする気?」
まどか「だって…今までだって勝てなかったって…」
ほむら「それは、あなたが戦いの途中で、キュウべぇと契約をしたせいで…」
嘘。
どんな魔女かは知らないけど、ほむらちゃんだけではきっと勝てない相手なんだ。
まどか「過去の私だって、そんなこと望んでないよっ!?」
まどか「ほむらちゃんが、一人だけで命を落とさせるような真似をするなら、私は…私は……」
ほむら「…あなたがそういう子だってこと、私はよく知っている」
ほむら「だけどね……これは私が望んだことだから」
ほむら「私の願いは、あなたとの時間をやり直すことだった」
ほむら「もう一度あなたと出会いをやり直して、あなたを守れる自分になりたいと願った」
ほむらちゃんは、私の背中を抱き寄せた。
ほむら「お願い…まどか……」
ほむら「私にあなたを守らせて……」
ほむら「これで終わりにしたいの…」
ほむら「もし、私があなたを守ることができたのなら、最後にあなたの笑顔が見たい」
ほむら「頑張ったねって、私を褒めて欲しいの…」
ほむら「そのために……私……これまで頑張ってきたんだよ」
私は何も言えなかった。
ほむらちゃんの背負った物の重さに、手が震えそうになった。
私が救われることだけが、ほむらちゃんの救いだとするのなら…
私はここで何もすることはできないんだろうか?
何かあるはずなんだ。
ほむらちゃんも、私も救われるとっておきの魔法みたいな方法が。
そうだ…!
私が全てを終わらせれば……もうほむらちゃんは苦しまなくて済むんだ。
夢は姿を変え、違う場面へと移り変わった。
それにも負けず私は、まっすぐに走る。
全てを終わらせる、願いを叶えるために。
まどか「ほむらちゃん!?」
宙を舞う、一人の少女の姿が確認できた。
大きな道化師のような人形に向け、火器を打ちまくっている。
魔女の方も怯むことはなく、連弾をほむらちゃんに向かって放つ。
徐々に、追い詰められていくのがわかった。
まどか「なんで、なんでそんなに頑張るの…」
まどか「嫌だよ……ほむらちゃん…」
ワルプルギスの夜の放った炎弾の一つが、ほむらちゃんに命中した。
勢いよく、少女の身体が宙を舞う。
まどか「ほむらちゃんっ!?」
吹き飛ばされて地面にたたきつけられた。
ほむらちゃんに向かって走りだす。
ほむらちゃんの手をとった。
手首からは擦り傷だらけで、肩からは出血がひどい。
このままではとてももたないと思った。
QB「まどか、やっと契約してくれる気になったんだね?」
まどか「どんな願いでも、叶えてくれるって言ったよね?」
QB「もちろん。まどかほどの才能を持った子なら、叶えられない願いなんてないはずだよ」
よし……
終わらせよう。
私は全ての魔女を消滅させる。
これで、ほむらちゃんも、魔法少女のみんなも救われる。
世界全体が大きく変わってしまうだろう。
私もきっとただでは済まない。
…私は守りたいんだ。
これまで頑張ってきたみんなの願いを。
さやかちゃんみたいに絶望して、祈りをかけた事自体が間違いなんて…
私は絶対に認めない。
……どんなことがあっても守ってみせる。
たとえ死ぬより辛い運命を負うことになっても。
願いを込めようとした。
その瞬間……わたしの手が握られた。
うっすらと目を開けていて、引きつりながら笑いを浮かべていた。
ほむら「もう……あなたったら…」ハァ…
ほむら「またそうやって、私を一人ぼっちにする気?」
ほむら「一からやり直すのは、大変……なんだからね…?」
ほむら「ずるい子だわ……本当に……」ハァ
ほむら「ううっ!!……」
ほむらちゃんがテレパシーで話しかけてくる。
だって、どんな世界でも必ずあなたがいてくれる。
同じ教室で何も知らないあなたに出会えるのが、私の楽しみで……
今度はどんなあなたに出会えるのだろうかと思うと、胸がふくらんで……
気持ちはすれ違っても、必ずあなたは私のことをわかってくれる。
そうやって時間を刻んでいくことが…嬉しくて……うれしくって…
だから……お願い。
私のことを忘れてしまっても……
またお友達になってね。
ほむらちゃんは、ずっと楽しみにていたなんて…
私に忘れられても、私との出会いを楽しみにしてくれていて……
それなのに私…
全てを終わらせようと……
ほむらちゃんの気持ちを全然わかってあげられなかった。
ごめんっ……ごめんねっ
ほむらちゃん……
おそらく私は消えてしまうのだろう。
そしたら、ほむらちゃんの想いは?
これまで頑張ってきた、ほむらちゃんは報われるのだろうか?
嫌だ……
こんなになるまで戦ったのに…
たった一人の友達を救えないなんて……
させない。
もうほむらちゃんを悲しませたりしない。
私の願いは、それは…
まどか「魔女のいない世界でほむらちゃんの側にいること」
QB「魔女のいない世界だって!?」
QB「でも、まどか。それは2つの願いが混同しているよ。」
QB「魔女を消滅させること。」
QB「その世界で暁美ほむらに出会うことは、それぞれ全く別の性質を持つ願いだからね」
まどか「だから、私は未来の私に願いを託すの」
まどか「ほむらちゃんが出会った、別の私が魔女を消滅させてくれることを!」
まどか「私は必ず願う。魔女の存在を消すこと。」
まどか「だってほむらちゃんが、それまで諦めるはずないもの」
QB「たとえその願いを君が願うとしよう。」
QB「だけど君は家族や全ての人から忘れられた世界で生きていくことになるだろう」
QB「君の救おうとしている暁美ほむらだって、君のことを覚えているかどうかわからない」
QB「それでも、君はその願いを叶えようというのかい?」
まどか「それはほむらちゃんが今まで、経験してきたことだもん」
まどか「だからおあいこ。かまわないよ」
私はほむらちゃんなら覚えててくれるんじゃないかって…
何が起きても、私のことだけは覚えててくれる
そんな気がするんだ…
私はもう一度ほむらちゃんに、出会うんだ。
たとえ誰からも覚えてもらってなくても、
ほむらちゃんから忘れられたとしても……
力を制御できず、全ての魔力をワルプルギスの夜に使い果たし…破壊した。
魔女を倒すことはできたみたい。
気がつくとほむらちゃんの横に倒れていた。
このままではいずれ私も魔女になってしまうのだろう。
それを察したほむらちゃんは、懐から拳銃をとりだした。
そして涙を流した。
私はほむらちゃんに、笑顔で最後のお願いをした。
まどか「いつか、魔女が現れない……そんな日が来たら…」
まどか「そしたら……私を思い出してね…ほむらちゃん」
大変な運命を押し付けてしまって…
これは私が望んだわがままだ。
ほむらちゃんを救いたい…その気持ちに偽りはない。
けれどほむらちゃんが私と一緒にいたいってのと同じぐらいに
私だってほむらちゃんと、ずっと一緒にいたい。
たとえこの記憶を失くしてしまったとしても……
その想いはあなたも同じはずだよね。
一緒に見守ろう。
私とあなたと、全ての私たちで、彼女たちの行く末を。
涙。
瞼に、溜まった染みを拭き上げる。
ああ…そういうことだったんだ。
胸の奥が暖かくなるのを感じた。
私がここにいるのは、彼女たちが望んだ奇跡だったんだ。
素敵…
こうしてまたほむらちゃんと会うために、私は生まれてきた。
ほむらちゃんとお喋りしたり、一緒にご飯を食べる事自体が私の生きる意味。
日の出の光が眩しく部屋の中へ差し込んできた。
マミ「ん……うう」
まどか「あ、ごめんなさい。起こしちゃって……」
マミ「かなめ…さん? ああ、夕べ泊まったんだったわね」
まどか「はい。お陰様でよく眠れました」
まどか「私、朝ご飯作りますね。泊めてもらったお礼させてください」
マミ「ありがとう。冷蔵庫のものは好きに使っていいから」
マミ「あと、あなたの分も作ってちょうだい。一緒に朝ごはんにしましょう」
まどか「ありがとうございます!」
そう言ってマミさんは、洗面所へ歩いて行く。
冷蔵庫から使えそうな食材を取り出し、フライパンに火をかけた。
油のジリリという音が、食欲をかきたてる。
まどか「えへへ、正解です。」
マミ「ふふ。こんな光景、暁美さんが見たらヤキモチを焼きそうね」
まどか「そ、そうですかね」///
マミ「多分、羨ましがると思うわ。ばれたら後で何を言われれるかわからないわ」
まどか「もう、言い過ぎですよマミさん」///
マミ「でもあの暁美さんが、あなたにデレデレしている姿が想像つかないわね」
まどか「ほむらちゃんは、優しいですよ。今も……昔も…ずっと」
マミ「昔も?まさか、鹿目さん…あなた?」
まどか「はい。食べながらそのことについては話します。」
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今度さるったら寝かせていただきます。
まだ続くので保守をお願いしていいでしょうか。
再開は3〜4時間後で。
私は昨日見た夢の話をマミさんにした。
マミ「まさか本当に、円環の理と干渉することができるなんて」
まどか「円環の理?」
マミ「全ての魔法少女を導くと言われてて……つまりあなたのことよ」
マミ「正確には、魔女を消滅させた鹿目さんのことね」
まどか「マミさんたちに協力できることがあればいいんですけど」
マミ「まさか、魔法少女になろうだなんて言わないわよね?」
まどか「え、えと…」
マミ「そんなこと勧めたら、私が暁美さんに殺されるわ。そうでなくても、やめておきなさい」
まどか「はい…」
やっぱり、ダメなのかな。
私はどちらでも良いのだけど、ほむらちゃんが悲しむ姿は見たくない。
マミ「とりあえず、あなたが世界に影響をする存在でなくて、安心したわ。」
マミ「だけど、すごい契約を結んだものね。」
マミ「未来の自分と、暁美さんを信じて、願いを託すなんて…」
まどか「すごいのはほむらちゃんです。」
まどか「最後まで諦めなかったのは、ほむらちゃんだから…」
マミ「ふふふ、そうかも知れないわね」
マミ「諦めなければどんな願いも叶う……か」ボソッ
マミ「これまで、私もいろんな経験をしてきた」
マミ「そんなの絶対嘘だって思ってたけれど」
マミ「二人を見てるとそれが真理のように、思えてくるわ」
マミ「本当の奇跡を呼び寄せるのは、魔法なんかではないのかもしれないわね」
まどか「それが……まだ……」
まどか「なんで、顔だけ忘れちゃったんだろう」
マミ「たぶん、ギャップを埋めるために記憶操作を行った弊害…」
マミ「いえ、あなたが家族の記憶を持っている事の方が奇跡なのかもしれないわ」
マミ「本当にギャップを解消するための作用が働いたのなら、根こそぎ記憶を失くしていたとしてもおかしくないもの」
たしかに。
でも…これじゃ憶えてる分だけつらい。
それでも背負って生きていかなくてはいけないのだろうか……
まどか「それじゃ、私一旦家に帰るんで…」
マミ「また遊びにきてね。」
まどか「えへへ、その時はよろしくお願いします」
マミ「あと昨日、暁美さんがあなたの調査を私に委ねてくれたのだけどね……」
マミ「実はずっとまえから調査を進めてたの。暁美さんには内緒で。」
マミ「あの子、乗り気ではなかったみたいだから。」
まどか「なんでですか?」
マミ「さぁ。でも、本人に聞かないで欲しいわ」
マミ「こっそり、やってたことがバレたら、怒られそうだから」
まどか「わかりました」
家に制服を取り帰ったが、なんとかいつも通りの時間に間に合った。
ほむらちゃんに挨拶をしようと思ったのだけど、珍しく机の上で眠っていた。
多分、私のしらない所で色々頑張っているに違いない。
これからもよろしくね。ほむらちゃん。
ほむらちゃんの家でゲームをしていた。
昔遊んだことがあるゲーム……
私がやったことがあるのか、清水さんの記憶なのか判別できない。
それでも楽しんでやっていた。
ここ数日同じゲームばかりしていたので、二人ともバカみたいに上達してた。
気がつくと、時計は9時を回っている。
そろそろ出ていかないとおじゃまかも。
ほむら「まどか……」
まどか「なぁに、ほむらちゃん」
ほむら「今日、泊まっていかない?」
まどか「え……」ドキッ
友達の家に泊まる。なんだか、わくわくする響きだった。
ほむら「幸い明日は休みだし…そのまま一緒に明日出かけるというのはどうかしら?」
そういえば、前にほむらちゃんと出かける約束をしていたっけ。
まどか「……どうしたの急に?」
ほむら「いや、もう少しまどかと遊んでいたいと思って…」
まどか「で、でも……それだとほむらちゃんに迷惑がかかるよ…」
魔法少女のこともあるだろうし…
ほむら「別に構わないわ」
まどか「………」
夜中に魔獣が現れたり、いろいろやることもあるんじゃないか。
それに、どうして急にそんなことを言い出したのだろう。
ほむら「私だって、一人で寂しくなる時があるわ」
ほむら「そんな時まどかが居てくれると、うれしいのだけれど」
まどか「う、うん……じゃあ」///
えへへ、ほむらちゃんたら…寂しいだなんて。
それでこそ、私が生まれてきた意味がある。
なんだか今日は嬉しくて眠れないかも。
でもほむらちゃんちって、お布団二つおいてるのかな?
マミさんちにはなぜか置いてあったけど、普通2組持ってることはないよね。
もしかして…同じベッドで寝るのかも……
すごく楽しみ。
ほむら「じゃあ、お風呂沸かしてくるからその間に家に連絡しときなさい」
まどか「うん♪」
あ…。
ほむらちゃんはまだ私が一人暮らししてること知らないんだっけ。
いや、頭のいいほむらちゃんのことだ。
いくら何でもさすがにもうバレてるんじゃないか。
もしかして…私が寂しがるといけないと思って……
考えすぎかな。
でも、なんだかそんな気がしてならなかった。
まどか「え、一緒に入らないのほむらちゃん、お背中流すよ?」
ほむら「ばっ……そそんなの結構よ」///
なんだ、つまんないの。
ほむら「まどかはお風呂にはどれぐらい入るの?」
まどか「いつもはだいたい10分ぐらいかな…でも、もっと早くあがるけど?」
ほむら「ゆっくり入っていていいわよ。その間に布団の準備とかしておくから」
まどか「うん。わかったよ」
まどか「ほむらちゃん?」
ほむら「何かしら?」
まどか「ありがとね。いろいろ……」
ほむら「え…ええ……」
やっぱり、バレてる気がする…
明日遊ぶときに正直に家族のことを話そう。
未だに、ママたちのことを考えると胸が痛むけど
ほむらちゃんに黙ったままってのはダメだよね。
家族か……
もう諦めたほうがいいのかな。
結局みんな私のこと覚えてないんだろうし。
まどか「……」
なんだか切ないな…
でも、これから私の居場所はほむらちゃんの隣なんだ。
私は選んだんだ。
それを忘れちゃダメだよね。
でないと、奇跡を起こしてくれた私に申し訳が立たない。
まどか「お先に入っちゃってよかったのかな?」
ほむら「ええ。その髪型……」
まどか「ああ…いつもリボンしてるからね」
そういえば私がほむらちゃんの前で髪を下ろすのは初めてかも。
なんか新鮮なほむらちゃんの反応が見れるかもしれない。
ほむら「結構長いのね……」
ほむら「じゃあ、お風呂入ってくるから」
まどか「うん。わかった」
それだけかい!!
なんか、もう一言欲しかったな。
もしかして、別々に寝るってことかな。
……む。
せっかく、ほむらちゃんと一緒に寝られると思ったのに…
髪のことも何も言ってくれなかったし、なんか悔しい。
こうなったら、一緒に寝てやる。
それからしばらくしてほむらちゃんがお風呂から上がってきた。
まどか「ねぇ、ほむらちゃん?」
ほむら「何かしら?」
まどか「ソファーの上に毛布が引いてあるんだけど…もしかしてこっちで」
ほむら「私が寝るわ」
まどか「だ、だめ! 風邪ひいちゃうよ」
まどか「それだと電気代かかるし、喉痛めちゃうよ」
ほむら「別に構わないわよ」
まどか「とにかく、ダメなものはダメ!」
まどか「ほむらちゃんは、わたしと一緒に寝るの!!」
ほむら「え…」
まどか「そ、そういうことだから……」///
ソファーの上にあった毛布をとりあげると、ベッドの上にそれをしき直した。
まどか「……」
まどか「ほ、ほむらちゃんが嫌なら元に戻すよ」///
ほむら「別にいいわよ」
ほむら「じゃあ、部屋の電気消してもいいかしら?」
まどか「うん。お布団入ってるね……」
ちょっと強引だったかな。
変に思われてないといいけど…
でも、せっかくほむらちゃんと一緒にいられるんだ。
できるだけ近くにいたいよ。
ほむら「切るわよ」
まどか「うん♪」
ポチッ
誰かと一緒に寝るなんて、久しぶり。
まどか「温か〜い♪」
ほむら「ぬくぬくね」
まどか「えへへ、ほむらちゃんの匂いがするよ」
まどか「…いい匂い……」
まどか「ねえ、ほむらちゃん?」
ほむら「何?」
まどか「私、ほむらちゃんにお世話になってばかりだね」
昔も今もずっと…。
こうして心配をかけている。
ほむらちゃんは知らんぷりしてるみたいだけど、
きっと私が人で寂しいと思って気を回してくれたに違いない。
ほむら「ふふ、そうかもしれないわね」
まどか「いいのかな?」
まどか「このまま、ずっと、ほむらちゃんにお世話になりっぱなしで…」
まどか「私も何かしてあげたいのに、何も返せそうもないよ……」
ほむらちゃんの隣にいるだけでいいんだろうか?
ほむらちゃんだって、この先いろいろとやりたい事が見つかるかもしれない。
そうなった時、私が重荷になる可能性がある。
そんなの嫌だよ……
ほむら「……そうね」
ほむら「なら、私の妹になりなさい」
まどか「いもうと?」
ほむら「何か困ったことがあれば、必ず私があなたを守る」
ほむら「そのかわり、私が寂しくならないように、あなたは私の傍にいて」
ほむら「私はあなたが思っている以上に、寂しがり屋なの……」
ほむら「だから……」
ほむら「私の……家族になってほしい」
まどか「……家族」
それは私が失ったものだった。
この世界との繋がりが断たれ、誰も覚えている人はいない。
ほむらちゃん以外誰も。
なんとなく、そんな気がしていた。
まどか「家族の人は心配してないの?」
ほむら「たまに連絡はいれるけど、その程度。今は会えない理由があって…」
まどか「……うん」
ほむらちゃんも私と同じだったんだ。
家族に会えず、苦しんでいた。
会えない理由はわからないけど、その苦しみは痛いほどわかる。
ほむら「それぐらいじゃへこたれないぐらい、強くなれたと思っていたのにね…」
ほむら「このリボンをくれた、あの子のように…」
昔の私だ。
ほむら「ええ……」
ほむら「それでも、やっぱり……私はダメみたい」
ほむら「ここ数日あなたと過ごしてみて、わかったの」
ほむら「一人でいきていくのはあまりに辛い…」
まどか「……ほむらちゃん」
ほむら「だからどうかお願い。」
ほむら「私の側にいて…」
ほむら「私には、あなたが必要なの。まどか…」
ほむらちゃんが私を必要としてくれている。
世界が変わろうとも、ほむらちゃんだけは覚えててくれた。
私のことを忘れなかった。
それだけ深い絆が、私とほむらちゃんの間にはあったんだ。
すごい。本当にすごい。
私はこうしてただほむらちゃんの側にいるだけでいいってのが、申し訳ないくらいだ。
何があっても、離れない。
そう決意した。
ほむら「ダメかしら?」
まどか「うんう……」ウルッ
ほむら「まどか……」
まどか「違うの……」
この感動をどう伝えていいのかがわからない。
言葉が見つからなくてもどかしい。
まどか「私……わたし……うれしくって……」
まどか「うまく言えないけど……すごくうれしいんだよ。」
もう一人きりじゃない。
私は、新しい家族と一緒に進んでいけるんだ。
ほむらちゃんが、私を抱き寄せてくれた。
なんだかママを思い出す…
最後にぎゅってしてもらったのは、いつだろう。
首筋に涙が伝ってきた。
ほむらちゃんも、泣いているみたいだ。
まどか「どうしたの、ほむらちゃんまで泣いちゃって…」
ほむら「ずっと、一緒だから…」
まどか「……うん」
ほむら「ずっと、ずっと一緒にいるからね」
まどか「うん!」
そして、二人で笑い合った。
この幸せがいつまでも続くよう。
私は強く願った。
まどか「えへへ、それはお互い様だよ。」
家族か…
なんだか家族らしいことが出来ればいいな。
まどか「ねえ、ほむらちゃん?」
ほむら「なに?」
まどか「お姉ちゃんて、呼んでもいい…かな?」
ほむら「ふ……二人きりの時だけなら」///
まどか「えへへ、お姉ちゃん」ニコッ
ほむら「…」///
照れてる照れてる。
暗闇でも、白い肌が赤くなっているのがよくわかった。;
まどか「お姉さんだとしっかりしなくちゃいけないって思うから」
ほむら「今のままでも、まどかはいいお姉さんだと思うけどね」
まどか「うん…ありがと」
少しほむらちゃんに甘えてみたいくなった。
新しい、家族の絆を確認してみたいからだろうか?
一人きりの夜が寂しかったからだろうか?
わからない。
だけど、ほむらちゃんに抱きしめて欲しいという気持ちが強くて抑えられない。
なんだか恥ずかしい。
…ほむらちゃんそういうの嫌がるかな。
ほむら「う…」///
まどか(照れてるほむらちゃん、か……可愛い)
まどか「ふふ……ほむらちゃん、照れてる」
ほむら「ま、まだ慣れてないから…」//
まどか「じゃあ、名前で呼んだ方がいいかな?」
ほむら「……お姉ちゃんでいいわよ」
まどか「うん。私も慣れてないから、そなへんは適当に呼ぶね。」
なんだか、可愛いほむらちゃんを見ていたらもっと甘えたくなってきた。
さっきぎゅってしてもらった時のことが忘れられない。
すごく、あったかかったな。
勇気を出して言ってみよう。
まどか「もっかいぎゅってしてほしいな…」
ほむら「え…えっ?」
うわ、驚いてる。
別に変な意味があって言ったわけじゃないんだけど、
嫌われちゃったらどうしよう。
ほむら「……これでいいかしら」ダキッ
まどか「う、うん」///
ほむら「息ぐるしくない?」
まどか「う、うん…」///
まどか「ちょっと、恥ずかしいね」///
私は、ほむらちゃんの妹にしてもらえたんだよね。
お姉ちゃんがいたら、こんな風に甘えてみたかった。
いや……ホントは私、
ほむらちゃんにずっと甘えてみたかったのかも。
いつも守ってくれるからかな。
すごく頼りになるお姉さんみたいな子だから…
こうやって抱きしめて欲しかったのかもしれない。
恥ずかしいという気持ちもあるのだけれど、
できればずっとこうしてて欲しい。
離してほしくない。
だからほむらちゃんのパジャマの袖だけはしっかり握っていた。
私の思いが伝わったのか
ほむらちゃんが私の髪をなでてくれた。
嬉しくなって、笑みがこぼれた。
まどか「お姉ちゃんの手やわらかくて気持ちいい」
まどか「もっと撫でてほしいな…」
頭をゆっくり、ゆっくり丁寧に手がなでていく。
すごく安心する……
ここ数日の不安が嘘みたい。
まどか「どういうこと?」
ほむら「甘えん坊さんてこと」
まどか「うん…そうだね。自分でもちょっとびっくり」///
まどか「でもほむらちゃんだから…」
まどか「ほむらちゃんだからこんなに甘えたくなるんだよ」
ほむら「あら、どうしてかしら?」
まどか「えへへ、わかんない。」ニコッ
まどか「なんでだろうね?」
まどか「でも、私の中で出会った時から、ほむらちゃんは特別で…」
まどか「さやかちゃんや、仁美ちゃんとも、何か違ったんだ。」
ほむらちゃんが、特別な理由。
でもまだ内緒にしておこう。
あのことを話したら、きっと泣いてしまうに違いない。
今日は笑顔のほむらちゃんを見ていたい。
私はほむらちゃんの手をしっかりと握った。
まどか「えへへ…続けて」
ほむら「うん」
今度は背中をさするように撫でてくれた。
まどか「ふふふ、なんだか猫になったみたい…」
ほむら「確かに」クスクス
まどか「ゴロゴロ♪」
甘えると嫌がるかと思ってたけど、ほむらちゃんはいつも以上に優しくしてくれた。
もっと甘えてみよう。
えい。
ほっぺをすりすりとほむらちゃんに押し付けた。
ほむら「ふふ、くすぐったい…」
まどか「えへへ、ぬくぬくだね」
ほむら「ええ。あったかい…」
私は眠るまで、ほむらちゃんの手を離さなかった。
ほむらちゃんは、私の意識がなくなるまで頭を撫でてくれた。。
ぎゅっ……
えへへ
ぬくぬくだよ
まだほむらちゃんが起きてないから、好き放題抱きついている。
もっと、すりすりしたいけど、あんまり動くと起きちゃうかも。
ぐぅ〜〜〜。
お腹へったなぁ。
でも、いいもん。
今はほむらちゃんから離れたくない。
もしほむらちゃんが起きても、離さないんだから。
今日は学校お休みだし、ゆっくり二人で朝寝坊すればいいよね。
朝から幸せいっぱいだなぁ。
あ、あれれ…
ほむらちゃんの肩に力がはいってる。
もう起きちゃったの?
ま、まあ簡単には起こさせないよ。
寝たふりで押し通す。
……このまま寝たフリしてたら、またなでなでしてくれないかな。
ワクワク。
なんだかくすぐったくて気持ちいい。
私が起きてないか確認しようとしてるみたいだけど…
今はスルーです。
寝たフリ寝たフリ。
そうすれば、諦めてまた寝てくれるかもしれない。
まだほむらちゃんとベッドの中でゆっくりしたいんだもん。
しかし、ほむらちゃんは意地でも起きようとしていた。
ほむらちゃんの手を拘束するように抱きしめていたので、
それを解こうと手を動かす。
でも、そんなことじゃほどけませんよ。
しっかり抱きしめてるもんね。
私は思わず強く抱きしめ、それを阻止する。
ほむら「って、まどか、あなた起きてるんじゃないの!」
ちぇ、バレちゃった。
ほむら「起きるなら放してちょうだい?」
まどか「……」ブンブン
まどか「まだ寝るの…」
首を振って、そのままほむらちゃんの胸に顔を埋めた。
意地でも起きる気がないことを態度で示してやる。
……もう少しこのままでいようよ。ほむらちゃん。
ほむら「私はご飯を用意するから」
まどか「……」
ご飯なんていいのに。
そんなことより、ほむらちゃんとゆっくりしたいよ。
はぁっ…と小さなため息が聞こえて、私はすっかり嬉しくなった。
身体の力を緩めると、ほむらちゃんも力をぬいた。
えへへ、諦めてくれたんだ。
ほむらちゃんが、私の顎のあたりを指でくすぐってくれた。
気持ちいい。
もっとやって欲しいことをアピールするために、喉の奥を鳴らした。
まどか「ん〜〜〜」ゴロゴロ
こしょこしょ…
まどか「ん〜〜〜」ゴロゴロ
こしょこしょ…
まどか「ん〜〜〜」ゴロゴロ
なんだかくすぐったかったので、思わず首をふってしまった。
こしょこしょ
まどか「……」フルフル
こしょこしょ
まどか「……」フルフル
サワッ…
まどか「!?」ビクッ
なに、今の感じ?
ものすごくくすぐったくって、思わず抱きしめていた手を話してしまった。
するとほむらちゃんのからだがコロコロと回転して布団から飛び出していく。
しまった。
すぐに、ほむらちゃんの身体を抑えようと手を伸ばすが、全く届かなかった。
してやったとばかりに、ほむらちゃんは私を見て笑った。
なんだか無性に腹がたった。
ほむら「あら、それは寝たフリしてる誰かさんのことではないかしら?」
まどか「む〜〜〜」プク
まどか「お休みなんだから、もっと寝てればいいじゃん!」
ほむら「ダメよ。休みだからって、なまけていたら身体が動かせなくなるわ」
くそぉ、こまままじゃダメだ。
何かいい方法は……
そうだ。
まどか「もっと、お姉ちゃんと寝てたいな…」///
ほむら「頬を染めても、ダメなものはダメ!」
可愛く言ってもダメか…。
なんだか恥ずかしくなってきたかも。
まどか「……ほむらちゃんのバカ…」
そういうことじゃないのに…
わかってて言ってるんだろうか。
もう、意地悪なんだから。
ほむら「起きたなら、着替えて顔洗ってきなさい」
まどか「…ほむらちゃん、ママみたいだよ」ムク
悔しいから、顔を洗ってからほむらちゃんの横をピタピタくっついて歩いてやった。
ご飯を作るのに邪魔だからどきなさいと言われたが、そんなのお構いなしだ。
ほむらちゃんもまんざらではなさそうだったので、よしとしよう。
結局私も朝ごはんを手伝うということで、ずっと一緒にいました。
まどか「えへへ、お腹すいたからすごくおいしそう」
ほむら「私より早く起きてたみたいだしね…」
まどか「うん。5時には起きてたかな」
ずっとお腹が鳴ってたけれど、気にならなかった。
ほむら「1時間も早いじゃないの!?」
ほむら「言ってくれれば、もっと早くご飯作ったのに…」
まどか「そういうと思ったから起こさなかったんだよ」モグモグ
ほむら「……まったく」///
まどか「たまごおいしいね♪」
早く起きたらおきたで、ほむらちゃんと出かける時間が増えるもんね。
ほむら「まどかはお金は大丈夫なのかしら?それによってどこに行くか決めようと思うのだけど」
お金…か。
そういえばこの前、遠出したときにだいぶつかっちゃったな。
まどか「あんまり持ち合わせがないから、出来ればお金がかからない方がいいかな」
ほむら「わかったわ。じゃあ歩いていけるところがいいわね。」
ほむら「まどかはどこか行きたいところはあるかしら?」
うーん
そんなにお金をかけなくて遊べるところか。
私たちは市民体育館でバトミントンをしてきた。
昔ママに教わったことがあったので、それらしい動きができていたと思う。
まどか「楽しかったね〜〜♪」
ほむら「ハァ、ハァ……」
ほむらちゃんは、ラケットを握ったのが今回が初めてらしい。
体育の得意なほむらちゃんに、勝てたのは誇らしかった。
負けても負けても勝負を挑んでくるほむらちゃんのおかげで
2時間ずっと動きっぱなしだった。
なんだかつらそうなので、軽く気分を変えてもらおう。
バッグから白いナプキンと箱を取り出した。
まどか「ほむらちゃん、お弁当でも食べて元気出して」
ほむら「うう〜〜」
まどか「ふふふ。はい、お茶もあるよ」
ほむら「ありがとう」ホム…
まどか「ほむらちゃん、自信満々だったから、つい本気になっちゃったよ」
ほむら「あなた結構うまかったけど、正直意外だわ」
まどか「ママが昔バトミントンやってて、教えてもらったんだ」
まどか「懐かしいな……」
ほむら「………」
ママというのは、私の本当のママのこと。
その時の記憶は残っているのに、まだママの顔を思い出せない。
とうに忘れてしまってるだろう。
同じ町で暮らしているママ
これから……他人として生きていくことになるであろう人。
もし、私達が顔を合わせることがあったとしても、きっと気づくことはない。
だけど、私だけは家族のことを忘れないでいようと思う。
たとえつながりが無くなってしまっても、
二度と会えないとしても
私をここまで育て、愛してくれた人たちのことを、忘れられるわけがない。
こんな風にママとの思い出と遊んで……しっかり覚えているんだ。
ほむら「できれば御免こうむりたいわ」
ふふ、ほむらちゃんはもう嫌か。
残念。
まどか「え?もういいの?」
ほむら「ええ。十分休んだわ」
ほむら「さっ」ニギ
まどか「う、うん」
ほむらちゃんが、私の手をつかむ。
どうしたんだろう、なんだか焦っているように見える。
弁当をてきぱきとしまい、早足でほむらちゃんの手にひかれる。
一体どうしたんだろう。
私何かしたかな?
いや、なんだか何かから逃げているみたい。
もしかして、魔獣?
魔法少女が今戦っている存在。
その気配にほむらちゃんが気づいたのだとしたら…
ほむらちゃんの私を握る手が、急にこわばった。
どうしよう…
私は魔法少女じゃないからほむらちゃんの足でまといにならないようにしなきゃ。
いつでも、走り出せる準備しておいた方がいいよね。
しかし、私の予想は全く違っていた。
ほむらちゃんが逃げようとしていたのは、魔獣なんかではなかったんだ。
「まろか〜〜〜!!」
背後から呂律の回らない、幼い声が公園中響いた。
一組の親子の姿があった。
小さい男の子と、その手を握る女の人。
まどか「たっくん……」
まどか「………ママ?」
あれ……私…勝手に声が。
もしかして、あの二人が私の家族なんだろうか?
でも、ママと目があった瞬間、私は足元が凍りついた。
ママは、喜ぶでも、悲しむでもなく、ただ呆然とこちらを見ているだけなのだから。
そっか……ママは私のことをもう覚えてないんだっけ。
ほむらちゃんの手が緩んだ。
知ってたんだ。
私が、家族から忘れられていることを。
だから、私の手を引いて……
タツヤ「まろか、まろか〜〜」
詢子「お、おい…タツヤ」
ママが、たっくんに引っ張られてこっちへやって来る。
そんな経験したくない。
私は覚えているのに、ママたちは忘れてるなんて。
身体がぶるぶる震えた。
思わずほむらちゃんの方を見た。
行こうよ!
無言で訴えかける。
足が震えて動けない。
私を連れ出して。
早く……ママたちが来る前に早く。
そして、自分に言い聞かせるように彼女は言った。
ほむら「大丈夫よ、まどか」
私の目じっと見る。
ほむら「そう簡単に人は何もかも忘れることなんてできないのだから…」
ほむら「こんにちは、この前はコーヒーありがとうございました。」
詢子「お、おう…」
タツヤ「まろか〜〜!」
たっくんが私に手を伸ばしてきた。
あれ…たっくん?
私のこと……
まどか「……たっくん」
詢子「!?」
詢子「この子が…」
この前?
ほむらちゃんは、ママに会っていたの?
ほむらちゃんの方を見たが、何も言わずただ黙ったままだった。
視線の行き先がなく、私はママを見るしかなかった。
まどか「う…」
まどか「初めまして…」
詢子「あ、ああ…初めまして」
わかっていたことだけど……
早くこの場から立ち去りたい衝動に駆られた。
詢子「タツヤとは、知り合いなのかい?」
まどか「え、えと…その……」
たっくんは、なぜか私のことを覚えているようだった。
どうして忘れなかったんだろう…
詢子「多分、そっちの子と一緒に遊んでくれたんじゃないのか?」
まどか「そ、そんな感じです」
詢子「そう。ありがとな……」
詢子「…いや」
ママは、右手を額にあてながら頭を左右に振った。
詢子「いやいや、そうじゃないんだ、そうじゃ。」
まどか「え?」
詢子「アンタ、アタシとタツヤとアタシの旦那と……4人で……」
まどか「え、え?」
詢子「えと…、んと…」
詢子「くぅ〜〜〜〜〜、なんか、ここまで出かかってんのに…ああああ、わかんねえぇえええええ」
詢子「苛々するぅうううう〜〜〜!!!」
私は思わず笑ってしまった。
いつもクールでカッコイイ、ママがこんなに感情を表にだすものだから。
その光景が、昔と変わらないものだったから。
それに釣られるように、ママも私を見て笑った。
懐かしいね……ママ。
ママも覚えててくれたんだね、私のこと。
こんな風に笑い合って、まるで友達みたいな仲だったんだよ、私達。
詢子「なんだろうな。全然思い出せねぇけど、ゴメンな。」
まどか「ふふふ、いいよ。いいよ。私も同じだから……」クスクス
詢子「うそつけ、アンタ、私の顔見て、ギクッってなってたじゃんよ!」
まどか「えへへ、そうだったかな。」
詢子「まあでも、アンタが初めましてってんなら、そうなんだろうな。」
まどか「うん。間違いないよ。」ニコッ
ごめんね、ママ。
私は選んだんだ。
自分がやるべきこと。
私にしかできないこと。
それを見つけたから、今ここにいるんだ。
だから、見守ってて欲しいんだ。
私のことを。ずっと、ずっと。
詢子「でもタツヤと遊んでくれたんなら、今度ゆっくり礼がしたいね」
詢子「暇な時に、二人でうちに遊びに来な!最近は土曜なら休みが取れるから。」
まどか「わかったよ」
ほむら「ありがとうございます」
詢子「ふふふ、楽しみにしてるよ。じゃあ、またな」
詢子「あっそうそう、いい忘れてた。」
詢子「そのリボン、似合ってるよ。あげた奴は、超いいセンスしてるな」
まどか「………」
ばか……。
たっくんに向かって、手をふっていた。
ばいばい。
まどか「ふふ…自分で自分のこと褒めちゃって…」
まどか「バカみたいだよね、ホント」ウル
涙がコンクリートに落ちる。
まどか「うう…」
ほむらちゃんは何も言わず、私を支えてくれた。
まどか「覚えてて…」
まどか「覚えててくれたんだ…」
まどか「ママも……たっくんも……私のことを……」
ほむら「うん……」
まどか「もう、いないのに…」
まどか「本当の私は、もうどこにもいないのに…」
まどか「ううううう」
まどか「うううああああああああああああぁぁぁ」
ほむらちゃんが、私を忘れなかったのもきっと…
何もかもが変わってしまったこの世界で
私の大切なものは、何も変わっていなかった。
それがわかっただけで、今日は満足だった。
知りたく無かったよ…素敵な情報をどうもありがとう…
しかも本当はママが覚えていることを確信しているようだった。
もしかして、ほむらちゃんは全て知っているだろうか?
私がここにいる理由も、過去の願いも……
ほむら「ありがとう、まどか」
ほむら「私はもう二度と家族に会うつもりはなかったけれど」
ほむら「あなたを見ていたら、少し考えが変わったわ」
まどか「……」
家族に会いに行くんだ。
ほむらちゃんも、私以外に大切な人がいるんだもんね。
がんばってね。
でもどうしてだろう。
ほむらちゃん、ちょっと寂しそうに見える…
今夜も有無を言わさずほむらちゃんの布団に入っていた。
ほむら「やっぱり、一緒に寝るのね。」
まどか「何を今さら」エヘッ
今夜もぬくぬくだね。
ほむらちゃんを抱きしめようと思った、その時だった。
ほむら「ねぇ…」
ほむら「いいの?」
ほむら「こんな時に過ごすのが、私なんかでいいの?」
ほむら「あなたは家族を選ぶこともできるのよ」
ほむら「私は……きっともう……大丈夫だから」
なんかほむらちゃん、勘違いしてる?
その言い方はまるで、もうすぐ私とほむらちゃんが一緒にいられなくなるみたい。
まどか「私は選んだんだよ。」
まどか「家族を」
まどか「本当に、私を必要としてくれる人を…」
まどか「そのために私はここにいるんだもの…」
まどか「だから…」
まどか「ずっと一緒だよ、ほむらちゃん」
ほむら「嘘よ…だって、あなたは……」
ほむらちゃん私が消えると思ってるんだ。
マミさんが言ってた、ほむらちゃんが私の調査をしなかった理由もそこにあるのかもしれない。
全てを知ったら、私がいなくなってしまうって。
まどか「嘘なんかじゃないよ」
まどか「約束したよね?ずっと一緒にいるって」
まどか「私を夢や幻にしないで…」
まどか「私はたしかにここにいて。それはこれからもずっと同じで…」
まどか「ほむらちゃんが寂しくならないように、隣にいつづけるんだ」
まどか「それが、私の居場所だから」
ほむら「うぁあああああああ」
ほむら「ああああああああああああああぁぁ」
まどか「……ずっと一緒だよ」
ほむらちゃんは、私の胸の中で泣いた。
それからいろいろお話をした。
魔法少女のこと。
私の生活のこと。
でも、結局私の正体のことは教えなかった。
いつかほむらちゃんと私が、本当に家族のになれた時。
その時まで秘密にしておこう。
まどか「……」
私はそれを手にとった。
……これでよし。
リボンは結ばれ、たった一つになった。
今日で二学期が終わる。 これから冬休みだ。
ほむらちゃんといられる時間も増えて、わくわくしている私は
クリスマスプレゼントを何にしようか考えていた。
いつも私を支えてくれるほむらちゃんに、恩返しがしたい。
まどか「ねえ、ほむらちゃん」ヒソヒソ
ほむら「何かしら?」
まどか「何か欲しいものとかある?」
ほむら「今のところ、特にないかしら」
まどか「そっか…」
だよね。ほむらちゃんて、必要ないものほとんど買わないし。
あれが欲しい、これが欲しいって言ってるの聞いたことないや。
帰りに何か選んでみるか…
ほむら「あのねまど…」
まどか「ごめん、今日は先帰ってて。ちょっと用事終えたら帰るから」
ほむら「わかったわ」
さやか「これなんかいいんじゃない?」
木刀をとって、ふん、ふん、と素振りをする。
さやか「あいつにはピッタリだと思うけど。」
まどか「さやかちゃんが欲しいものじゃないんだよ。真剣に考えてよ〜」
さやか「木刀だけに……いや、なんでもない。わかってるって」
さやか「手作りとかは考えた?」
まどか「う〜ん。でも手編みとか、今からじゃ間に合わないし…」
さやか「お菓子は?」
まどか「作ったことないな…さやかちゃんは?」
さやか「ないけど?」
じゃあ、ダメか。
さやか「マミさんなら教えてくれるんじゃないかな?」
まどか「というわけなんですけど」
マミ「いいわ、教えてあげる」
マミ「でも何を作りたいの?」
そうだな……クリスマスだし……
まどか「ケーキとか?」
さやか「いいね。でも時間かかるんじゃない?」
マミ「暗くなるぐらいにはできると思うけど」
まどか「えへへ、じゃあお願いします」
ほむらちゃんには、メールで遅くなるかもって連絡しとこう。
マミさんに指示をもらいながら、材料を混ぜていく。
さやか「でもアレだよね。クリスマスなのに、友だちのためにケーキを焼く私達ってほんと献身的っていうか」
まどか「ごめんね、さやかちゃんも、マミさんも付き合ってくれて」
マミ「ふふ、鹿目さんのためだもの。別に気にしないわ」
マミ「魔法少女にクリスマスなんて、縁遠いものだもの」
さやか「マミさん、まどかの前でそのことは!?」
まどか「大丈夫だよ、さやかちゃん。私全部知ってるから」
さやか「まどか…」
まどか「さやかちゃんたちが、頑張っていること…」
さやか「……そうだったんだね」
さやか「ありがとね」
さやか「アンタが頑張ってくれたおかげで、私たちは魔女ってのにならなくて済んだんだろ」
正確には私が頑張ったからではないんだけれど…
さやか「私、自分で望んで魔法少女になったのに、それをすごく後悔したことがあるんだ」
さやか「全部間違いだった。全て無かったことにしたいって。そう思った」
さやか「もしかしたら私、魔女になってたんじゃないかって…」
さやか「だから。ありがとう。まどか」
まどか「さやかちゃん……」
親友の願いを救えたことを、どこかで聞いていて、
胸を張ってくれていたら嬉しい。
マミ「さて、後は焼くだけね」
まどか「思ったより、結構早くできたね」
さやか「待ってる間トランプでもやろうよ!」
家へと向かう。
早く顔が見たくて、急ぎ足になっていた。
ケーキが崩れないように、慎重に。
今夜は特に冷え込んでいる気がした。
ケータイのベルがなった。
ほむらちゃんからだ。
ほむら「まどか?今どこにいる?」
まどか「2丁目の本屋の前だけど…」
ほむら「じゃあ、駅まで来てもらっていいかしら?」
まどか「うん…いいけど…」
そういって電話は途切れた。
なんだろう?
とりあえず、駅に向かおう。
ここからそう遠くない。
時計台の下に、白いコートを来たほむらちゃんが私を待っている。
ケーキが倒れないように気をつけながら、坂道を下っていく。
まどか「おまたせ♪」
ほむら「ふふ、来たわね。じゃあ行こうかしら」
まどか「行く?」
ほむら「ほら…」
見覚えのある車が一台…
助手席から顔を出すたっくん、ママ……奥にはパパもいる。
みんな…
ほむら「昨日詢子さんに会ったの」
ほむら「よかったら今日、一緒に過ごさないかって」
ママが…?
詢子「おっす。アンタたち今日はフリーだったのかい?」
ほむら「まどか以外に過ごす相手なんていませんから」
知久「美人なのにもったいないね」
詢子「こら、嫁の前で中学生を口説いてんな!」
知久「ふふ、そんなつもりはないよ」
たっくんが私に向かって手を伸ばす。
その手を握ってあげたら、きゃっきゃと喜んでくれた。
やっぱり変わってない。
パパも…ママも
よかった。
詢子「ああ?」
まどか「だって、クリスマスでせっかく家族水入らずのイベントだし…」
家族……
どうやっても、私は元にはもどれない。
知久「ふふ、詢子さんは賑やかなのが好きな人だからね」
知久「みんなでわいわいやりたいんだってさ…」
パパが優しそうに、ママのことをちらりとみた。
ママがパパに向かってありがとう……と、小さな声で言ったような気がした。
ほむら「そういうことらしいから、お邪魔させてもらおう、まどか」
まどか「うん♪」
〜まどホーム〜
やっと帰ってきた。
帰ってきたんだ。
小さい時迷子になってママに見つけてもらえるまで帰れなくなったことがある。
その時と同じ気持ちになった。
心の中でただいまを言った。
今には、お父さんが作ったと思わしきご馳走ができていた。
まどか「すごい……」
知久「ほむらちゃんにも手伝ってもらったんだよね」
そうだったの?
ほむらちゃんの顔を見る。
ほむら「今日の放課後、あなたも誘おうとしたのだけどね」
そういえば…何か言おうとしていたような気がする。
まどか「椅子が3つしかない……」
ほむら「……」
そりゃそうだ。
私の席があるわけないのだから。
知久「これでいいかい?」
折り畳み式の同じ椅子が二つ敷かれた。
まどか「ありがとう…」
まどか「ほむらちゃんと同じなら悪くないね」
ほむら「まどか…」
詢子「そんじゃ、準備はいいか。みんな飲みもん持ったな?」
まどか「待って!」
詢子「どうした、まどか?」
まどか「私ね、ほむらちゃんにプレゼントしようと思ってケーキ焼いたの。」
ほむら「それで、放課後どっか行ってしまったのね」
まどか「せっかくだからみんなで食べたいなって」
まどか「いいかな、ほむらちゃん?」
ほむら「もちろん」
まどか「今出すね。」
ほむら「開けてもいいかしら?」
まどか「うん♪」
ほむらちゃんが、取り出したのは
丸くてくて大きな、チョコレートケーキ。
その上に、手をつないだ白い二人のリボンをつけた女の子が立っていた。
まどか「私達だよ。」
まどか「えへへ、ホワイトチョコで作ったんだ」
知久「これはすごい。まどかちゃんはすごく器用なんだね」
パパが親ばかみたいで恥ずかしい。
まどか「本当は、友達に手伝ってもらったんだけどね」
まどか「思ったより上手くできたから、ほむらちゃんに見てもらいたくて」
そう。
これは私からのメッセージ付きのクリスマスプレゼントだ。
これから、どんなことがあってもほむらちゃんの側にいる。
私のとなりはいつだってあなたしかいない。
ほむら「よくできてるわ…」
ほむら「本当、食べるのがもったいないぐらいに…」ボソッ
ほむらちゃんの嬉しそうな顔が見れて、私も満足だ。
詢子「それじゃあ準備は整ったな。」
詢子「みんなグラスを持て!」
さぁ、始めよう。
新しい家族みんなで、楽しい宴会を。
いつか終わりを迎える、その時まで……
おしまい。
長い間ご苦労さまでした。
保守・支援してくれた人ありがとう。
何か質問とかあれば答えます。
まどか視点だからわかることも結構あってよかった
じゃ、いっこ確認
本編まどかが魔女を消す願いで契約して、
その影響として全時間軸のまどかの存在が消滅
ところがこのSSのまどかの願い「魔女が消えた時間軸でもほむらのそばにいる」と矛盾するので
こっちの願いが有効になって存在が残った
ただしまどか本人が消えないだけで、本来存在しないはずの人間なのでつじつま合わせが発生してる
ほむらだけは覚えてる
ってことでいいんだよね?
そうです。
まどか本人はいなかったことになるけど、
魔法少女になった時の願いだけは残ったという設定で書いてます。
さやかは存命してるのに杏子のきの字も出てこないとはww
登場させる状況を思いつかなかっただけ?存在自体はしてる?
そうですね。
最後のチョコケーキのところで出しても、この先それほど活躍できる場面とかもなかったし
すいません。存命はしてますよ。
時間軸って概念が元にあるから
終わりがいつもふわっとさせてる感じも好きだ。
勝手に想像して勝手に泣ける。
続きはこちら
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Entry ⇒ 2012.04.29 | Category ⇒ まどかマギカSS | Comments (0) | Trackbacks (0)
エリカ「タマムシはいかがですか?」カミツレ「良いところね」
スタッフ「ハイ。終わりでーす」
カミツレ「お疲れ様」
スタッフ「カミツレさんお疲れ様です」
カミツレ「ええ。お疲れ様」
スタッフ「カミツレさん。次の撮影場所決まりました」
カミツレ「どこなの?」
スタッフ「カントー地方のタマムシシティです」
カミツレ「カントー?」
スタッフ「はい」
スタッフ「さ、さあ……僕も良くわからなくて……」
カミツレ「そう……いつから?」
スタッフ「えっと……明後日には飛行機でカントーに行きますね」
カミツレ「ジムは……お休みにしとかないと」
スタッフ「思ったんですけどカミツレさんってマネージャーさんっていないんですか?」
カミツレ「秘密。じゃあお疲れ様」
スタッフ「おつかれさまでーす」
カミツレ「……というわけなの」
フウロ『へぇ〜カントーに行くんだ。お土産お願いね』
カミツレ「……何が名物なの?」
フウロ『えっと……さ、さぁ?』
カミツレ「……と、まあしばらくいないから」
フウロ『もしかしたら向こうで会えるかもね』
カミツレ「フウロも行くの?」
フウロ『配達で……だから仕事で行くから楽しめないんだよ』
カミツレ「ああ」
カミツレ「……」キョロキョロ
カミツレ「……カントー地方って思ったより田舎ね」
カミツレ「と、思ったけどヤマブキシティってところは随分と都会」
スタッフ「あ、カミツレさんこっちです」
カミツレ「あ、良かった」
スタッフ「えっと……ここがヤマブキシティなんで西に行くとタマムシシティがあるので行きましょう」
カミツレ「はぁ……撮影は?」
スタッフ「そうですね……明後日ですね」
スタッフ「明日はですね……練習を」
カミツレ「練習?」
スタッフ「ハイ。雑誌でカミツレさんに着て欲しい服装で和服がアンケートで1位だったので」
カミツレ「そうなんだ」
スタッフ「ハイ。だからタマムシシティのジムリーダーエリカさんに着かたを教えてもらってください」
カミツレ「……着させてもらえば」
スタッフ「ライモンでもショーとかやると着て欲しいとか言われると思いますよ。その時自分で着れたら素敵とかなんとか」
カミツレ「なんとかって……」
スタッフ「まあ上の話で……」
カミツレ「そう」
スタッフ「じゃあホテルはここですので、今日はこれで自由行動です」
カミツレ「わかったわ」
スタッフ「明日は朝8時からお願いします」
カミツレ「わかった。じゃあちょっと散策してくるわ」
スタッフ「わかりました。あんまり遠くに行かないでくださいよ。迷子になっちゃいますよ」
カミツレ「大丈夫大丈夫」フリフリ
カミツレ「あ、あれ?」
カミツレ「こっちはさっき通った」スタスタ
カミツレ「こっちは自転車がないと言われた道だし……」スタスタ
カミツレ「……ちっ地図があったの思い出したわ!」ガサガサ
カミツレ「……」ジー
カミツレ「……どの方向が北なのかしら?」ムムム
カミツレ「こっち? いや、あっち?」
???「まぁ、ここでは見慣れない方。どうかしましたか?」
???「そうでしたの? では、一緒に行きましょう」
カミツレ「貴女も?」
???「いえ、でも案内した方が迷子にならないでしょう?」
カミツレ「ぐ…」
???「さあさあ、行きましょう」
カミツレ「はい」
???「うふふ」
???「……」スタスタ
カミツレ(……あれが和服)
カミツレ(じゃあ、あの人が明日教えてくれる人かな?)
???「……? 何か?」
カミツレ「あ、いえ……えっと……いつも和服を着ているんですか?」
???「そうですね……ごく稀に和服以外のも着ますわよ」
カミツレ「そうなんですか」
???「はい♪」
???「……」スタスタ
カミツレ(はっ、話が続かない)
???「あ、ここですわね」
カミツレ「あ、本当だ。どうもありがとう」
???「いえいえ、どういたしまして。ではわたしは明日の準備があるので」
カミツレ「明日何か?」
???「イッシュ地方のカミツレさんに着物の着方を教えて差し上げますの。だから着物の準備をしておかないと……」
カミツレ「……そっ、そうなんですか」
???「では、また会えるといいですわね。さようなら」フリフリ
カミツレ「さっさようなら」
カミツレ「……ばっばれてないよね?」
カミツレ「……」ドキドキ
スタッフ「あれ? 緊張してます? リラックスしていいですよ」
カミツレ(昨日の事で緊張してるのよ)
スタッフ「あ、エリカさん来ました」
カミツレ「!」ピクッ
スタッフ「あ……はい。じゃあお願いします」
エリカ「はあーい。今日は良い天気ですね……あら?」
カミツレ「……きっ昨日はありがとう」
カミツレ「……」
エリカ「ああっ! 昨日の迷子の方! まあ、気付きませんでしたわ」
カミツレ(そりゃ変装してたし)
エリカ「では、改めましてわたくしタマムシジムのジムリーダーと今日の和服の着方の指導をするエリカですわ」
カミツレ「どうも……ライモンジムリーダーとモデルのカミツレです」
エリカ「カミツレさんってあのカミツレさんですわよね?」
カミツレ「? おそらく」
エリカ「まぁ! 後でサインもらえます? ジムトレの方がファンなんです」
カミツレ「それくらいなら……」
エリカ「まあ優しいお方」
カミツレ(どういう人か予測がつかない)
エリカ「実はですね。カミツレさんってモデルのお方とは知っていたのですがどういう色や柄が合うのか全然が付かなくて……」
カミツレ「付かなくて?」
エリカ「とりあえず、用意出来るだけ用意してきましたの」
エリカ「カミツレさんはどういうのが良いのでしょう? これですか?」
カミツレ「えっと……」
カミツレ(たくさんあり過ぎて……選べない)
エリカ「どれも同じレベルですよ」
カミツレ「……じゃあ私は電気タイプ専門だから黄色とかが良いかな」
エリカ「黄色ですね……ではこれとか如何ですか?」
カミツレ(なんかファッション店の店員さんみたい)
カミツレ「良いと思います」
エリカ「じゃあこれにしましょう」
カミツレ「ハイ…」
エリカ「……そんなに緊張しなくても良いんですよ」
ガタッ
エリカ「……! ワタッコ、眠り粉」
カミツレ「え?」
ワタッコ「いしいおめあたわ」ファサー
バタバタバタリ
エリカ「……」スタスタ
ガラッドサッ
カスミ「ZZZ」
ナツメ「ZZZ」
エリカ「まあ、お2人ともいけませんわね」
エリカ「同じくジムリーダーのカスミさんとナツメさんです」
カミツレ「なんで?」
エリカ「きっとカミツレさんに会いたくて来たのでしょう。ささ、着物の着付けを早く行いましょう」
カミツレ「えっとまずは何から…」
エリカ「えっとですね……まずはこれを……」
―――――
――――
―――
――
―
エリカ「一応これで着付け方は以上ですわ。お疲れ様です」
カミツレ「……そう…なの?」
エリカ「はい。後はカミツレさんが練習して頂ければ手が覚えてくれますわ」
カミツレ「そう…」
エリカ「……あ、もうこんな時間」
カミツレ「あ……本当だ」
エリカ「カミツレさん、わたくしでよろしければ一緒にご飯でも如何ですか?」
カミツレ「……お言葉に甘えて」
エリカ「そうなのですか」
カミツレ「でもどっちも楽しいから続けてられるの」
エリカ「まあ……ところでいつイッシュにお帰りに?」
カミツレ「えっと……まだなんとも明日は撮影だし……あ、エリカさんも一緒に撮影参加しませんか?」
エリカ「え? でもわたくしは他の服なんてあんまり……」
カミツレ「えっと和服でさ……その一緒に共演なんて……」
エリカ「でも……ジムの方が……」
カミツレ「う〜ん。じゃあえっとまだ私着付けが不安だから……そういうことで……出来ないかしら?」
カミツレ「……ダメかしら?」
エリカ「なんという名案でしょう。カミツレさん凄いですわ」
カミツレ「」ズルッ
エリカ「どうかしましたか?」
カミツレ「……あ、あははは。ありがと。大丈夫、なんでもないから」
エリカ「カミツレさんって可笑しな方ですわ」クスクス
カミツレ(エリカさんの方だけどなぁ)
カミツレ(エリカさん遅いなぁ)
スタッフ「カミツレさんいいですか?」
カミツレ「もうちょっと待って……エリカさんが……」
スタッフ「でも時間押してて……」
カミツレ「……ちょっと行ってくる」ダッ
スタッフ「あーちょっと……カミツレさーん!」
カミツレ「伸ばした分遅くまでやるからー!」タタタ
スタッフ「えー」
じいさん「……」ジー
カミツレ「邪魔! エモンガ!」
エモンガ「がんもえー!」バチッ
じいさん「ぬわーーーっ!!」
カミツレ「……とりあえず、この人はジュンサーさんに任せるとして」
カミツレ「エリカさんは……いるけど……」
カミツレ「直接行った方が早いわね」
ウィーン
挑戦者「じゃあバッジくれ」
エリカ「それはいけませんわ。ジムバッジは……」
挑戦者「それは聞いたよ。でも昨日待ったんだから勝負してくれよ。ドタキャンとか聞いてないぞ」
エリカ「ですが……わたくしにも時間が」
挑戦者「ジムリーダーがサボりかよ」
カミツレ「エリカさん!」
エリカ「カミツレさん」
カミツレ「これは?」
カミツレ「……しちゃえば」
エリカ「え?」
カミツレ「だってその人だけなんでしょ」
エリカ「どうなのですか?」
ジムトレ「そうですね。その人だけです」
カミツレ「じゃあパパッと終わらしちゃってよ」
エリカ「……本当に申し訳ありませんわ」
カミツレ「私は言い訳しておくから」
エリカ「お願いします……ではポケモンバトルと行きましょう」
挑戦者「……なんかサーセン」
挑戦者(あの人、モデルのカミツレさんだよな?)
エリカ「いえいえ、待たしておくのもまた悪い事なんですから……」
カミツレ「えっと……あれ? ちょっとごめん。着付け方わかんなくなっちゃった♪」テヘッ
スタッフ「え〜でも見た目は完璧な気がするんですけど……」
カミツレ「完璧に着こなさないとモデル失格よ」
スタッフ「しかしですねぇ〜」
エリカ「こんにちは」
スタッフ「あ、どうも。実はですねカミツレさんが……」
カミツレ「出来た」
スタッフ「ええっ! さっきはまだ……」
カミツレ「これで良いわよね?」
エリカ「はい。バッチリですわ」
スタッフ「あ、じゃあこちらが撮影場なので……お願いしまーす」
エリカ「きっ緊張しますわね」ドキドキ
カミツレ「そんなに緊張しなくても良いんですよ」
エリカ「そうですわね……あら? 昨日聞いたような」
カミツレ「ふふふ。昨日のエリカさんの台詞」
エリカ「まあ」クスクス
スタッフ「じゃあおねがいします。ポーズは……」
カミツレ「お疲れ様。今日はありがとう」
エリカ「いえ、朝の方が申し訳ありませんでしたわ」
カミツレ「でも予定がなくなった方が良いとおもうから」
エリカ「はい。おかげさまで」
カミツレ「……今日でなんとか撮影終わったからさ、明日はフリーで明後日帰るんだけど…」
エリカ「お早い帰宅ですね」
カミツレ「私もジムリーダーだから」
エリカ「そうでした」
エリカ「良いですわよ。わたくしでよければ」
カミツレ「本当!? ありがとう」ガシッ
エリカ「いえいえ、こちらこそ……イッシュの方とはこう話すのは初めてなもので……」
カミツレ「あ……じゃ、じゃあえっと……」ゴソゴソ
エリカ「何を……」
カミツレ「……電話番号」スッ
エリカ「え?」
カミツレ「電話番号交換しない? また私で良かったら遊ばないかしら?」
エリカ「……」
エリカ「わたくしでよろしいんですの?」
カミツレ「ええ。カントーにはエリカさんくらいしか知り合いがいなくてね」ニッ
エリカ「……喜んで」ニコッ
カミツレ「……って言う事なの」
フウロ『良かったね』
カミツレ「で、お土産なんだけど……」
フウロ『あーじゃあエリカさんのオススメで』
カミツレ「はい?」
フウロ『カミツレちゃん仲良しなら教えてくれるよ』
カミツレ「フウロ」
フウロ『それにカミツレちゃんなら電気玉とか持ってきそう』
カミツレ「……ピカチュウか…」
フウロ『ポケモンならフリーザーがいいなぁ』
カミツレ「え?」
フウロ『じょっ冗談だよ。それじゃあカミツレちゃんお休み』ガチャ
カミツレ「……明日聞いた方が良いわね」
カミツレ「……変装してきたし…周りには大丈夫よね」チラッ
カミツレ「しかし、エリカさん遅いな」
???「だ〜れだ?」ガバッ
カミツレ「ちょっ! エリカさん!?」バッ
エリカ「あら? やっぱりわかっちゃいます?」
カミツレ「あ」
エリカ「うふふ。わたくしは今日はジムをほったらかしてお忍びなのです」
カミツレ「……私服だ」
カミツレ「……いや、完璧。モデルの私が見習うくらい」
エリカ「良かった。では今日はタマムシを案内しますわ」
カミツレ「お願いします」
エリカ「ではまずはデパートから行きましょう」
カミツレ「ああ、そう言えばありましたね」
エリカ「ここで大体の品物が揃いますのよ」
カミツレ「へぇ〜」
へぇ〜
ここは〜
―――――
――――
―――
――
―
エリカ「それで、この建物の地下にロケット団のアジトがありましたの」
カミツレ「……ああ、こっちでもニュースでみたかな」
エリカ「以上ですわ」
カミツレ「ありがとう。楽しかったわ」
エリカ「タマムシは如何でしたか?」
カミツレ「良いところね」
カミツレ「あちゃーそれじゃあ私はこれで」
エリカ「カミツレさん」
カミツレ「ん?」
エリカ「もしわたくしがライモンシティに行くことになったら……案内してくださいね」ニコッ
カミツレ「ええ……必ず」グッ
エリカ「ではごきげんよう」フリフリ
カミツレ「バイバイ」フリフリ
カミツレ「そう」
フウロ「……う〜ん。これ生ものだよね」
カミツレ「生け花ね」
フウロ「……う〜ん。カーゴサービスに飾っとくかな。ありがと」
カミツレ「それじゃあ私は帰るからジムもあるし」
フウロ「お疲れ〜カミツレちゃん」
カミツレ「お疲れ」
スタッフ「おつかれさまで〜す」
カミツレ「お疲れ様」
スタッフ「カミツレさん凄いですよ。あのツーショットが写ってるファッション雑誌」
カミツレ「へ〜」
スタッフ「で、今度もまたロケで撮影して欲しいんですよ」
カミツレ「どこ?」
スタッフ「ジョウト地方です」
カミツレ「ジョウトかぁ……」
カミツレ「まあお疲れさま」
スタッフ「お疲れ様でーす」
カミツレ「……ジョウトねぇ…」
カミツレ「でも面白うそうだし」
カミツレ「モデルとしても頑張るかな」
カミツレ「さーて帰ってエリカさんと電話しよっと」
終わり
やっぱり難しいや
出来ればジョウト、ホウエン、シンオウとカミツレさんを連れてその地方キャラと絡ましたかった
読んでくれた人ありがとうございました
エリカさんの私服はポケスペみたいな服装で
Entry ⇒ 2012.04.29 | Category ⇒ ポケモンSS | Comments (0) | Trackbacks (0)
P「ピーッ!ピピッ!ピッ!ピピーッ!」
律子「何ですか、急に改まって」
社長「ふふふ、実は我が765プロの新しいプロデューサーを見つけてきたんだよ!」
春香「新しいプロデューサーかぁ……どんな人なんだろうね!」
千早「そうね、ちゃんとした人だと嬉しいんだけど……」
社長「さあて、というわけで入ってきてくれたまえ!」
ガチャピン「はーい!ガチャガチャピンピン!ガチャピンで〜す!」
ムック「よろしくお願いしますぞ〜」
Pちゃん「ピピーッ!」
アイドル「 」
ガチャピン「んふふ、よろしくね〜」
あずさ「あらあら」
社長「ガチャピンさんは恐竜の子供でムックさんは雪男の子供なんだよ、みんなよろしく頼む」
春香「ひ、人ですらないんだ……」
律子「ち、ちなみにこっちの人(?)は……」
Pちゃん「ピピーッ!」
社長「ああ、Pちゃんはアルファベット星の宇宙生物だよ、仲良くしてあげてくれ」
Pちゃん「ピピッ!ピーッ!」
貴音「面妖な……」
ガチャピン「よろしくね〜、君は確か響ちゃんだったっけ?」
響「もう名前覚えちゃってるのか!すごいぞ!
亜美「んっふっふ〜、こいつはタダ者じゃありませんなあ」
真美「なんか怪しげな臭いをプンプン感じるねぇ〜」
ムック「わわわ、私はそんなに臭くはありませんぞ」
やよい「うっうー!でもなんだか良い人そうですー!」
伊織「全くもう、こんなので本当に仕事できるのかしら」
ガチャピン「プロデューサーは初チャレンジだけど僕も頑張るよ、よろしくね伊織ちゃん!」
伊織「ふ、ふん!仕事できなかったら承知しないんだからね!」
あずさ「あらあら」
ガチャピン「うわぁ〜、プロデューサーって大変だぁ」
ムック「あわわ、私は覚えられる気がしませんぞ」
伊織「ちょ、ちょっと、本当に大丈夫なんでしょうね!?」
ムック「大体の仕事をこなすのは私じゃなくガチャピンだから、きっと大丈夫ですぞ!」
春香「えっ、じゃ、じゃあムックさんは何をするの?」
ムック「私はガチャピンの手助けや事務所の片付けなどをやりますぞ〜」
真「それってプロデューサーじゃなくて単なる事務員じゃ……」
小鳥「わ、私の仕事が……」
マジチートキャラで汚いですぞ
モップは黙ってろよ
ガチャピン「んふふー、これはエネルギーボールっていってエネルギーが入ってるんだ〜」
亜美「おお〜、これまたイカす響きですなぁ〜」
真美「なんか必殺技って感じだよね!」
やよい「うっうー!かっこいいですー!」
P「ピーッ!ピピッ!」
貴音「なんと……その様に差し迫った事情が……」
雪歩「た、貴音さん何の話してるのかな……」
真「さ、さあ……」
春香「で、でもみんな仲良くできそうで良かったよね!」
千早「そうね、悪い人(?)ではなさそうだし……」
春香「うんうん!よぉーっし!これから頑張るぞー!」
ムック「ほほほ、了解ですぞ〜」
かくしてガチャピンチャレンジ・プロデューサー編が幕を開けたのであった
真「はい!よろしくお願いします!」
ガチャピン「えへへ、僕もはじめてだから間違っちゃうかもしれないけど、よろしくね」
雪歩「うう〜、が、頑張りますぅ……」
ガチャピン「よーし、それじゃ早速チャレンジしてみよう!」
やよい「はーい!」
ムック「ほほほ、頑張るんですぞー!」
ガチャピン「それじゃムック、曲を再生してくれるかな?」
ムック「分かりましたぞ」 カチッ
< 食べちゃーうぞ 食べちゃうぞー ♪
雪歩「ひぃっ!」 ビクッ
ムック「あわわわわ、ま、間違えましたぞー」
ガチャピン「うん、真くんは上手いなぁ〜!すごいよ〜!」
真「へへっ、やーりぃ!」
ガチャピン「雪歩ちゃんとやよいちゃんは……うーん、少しミスが多かったかなぁ」
やよい「あうぅ……す、すいません……」
雪歩「う……や、やっぱり……ダンスって苦手で……」
ガチャピン「うーん、でもそこまで下手ってわけじゃないと思うけど……」
雪歩「駄目なんですぅ……私体力も無くって、いつも真ちゃんの足引っ張ってばかりで……」
真「ゆ、雪歩!そんなことないってば!」
ムック「そうですぞ!私だっていつもガチャピンの足を引っ張ってばかりですぞ!」
真「それはあんまり大声で言うべきじゃないと思います」
小鳥「プロデューサーさん頑張ってますねー、はい、お茶どうぞ」
ガチャピン「うわあい!ありがとうございます!」
小鳥「うふふ、一体どこに電話してたんですか?」
ガチャピン「えへへ、いやイベントでのバックダンサーを任せてくださいって」
ガチャピン「それで電話して仕事を引き受けたんだ〜」
小鳥「仕事をって……ええ!?昨日の今日ですよ!?」
ムック「いやぁ〜、ガチャピンは本当に何でもこなして素晴らしいですぞ!」
ガチャピン「えへへ、早いに越したことはないからね」
小鳥(ひょっとしてこのプロデューサーすごい有能なんじゃ)
雪歩「だ、ダンスって私ですか……?」
やよい「ううぅー、ふ、不安ですー……」
真「大丈夫だよ雪歩もやよいも、練習すれば……」
雪歩「だ、だって私……ま、真ちゃんみたいなダンスなんて……」
ガチャピン「大丈夫大丈夫、雪歩ちゃんもやよいちゃんも下手じゃないよー」
ガチャピン「少し練習すれば出来る筈なんだ、だからまずは苦手意識を払拭しよう!」
雪歩「で、でも……」
ガチャピン「それに小さい会場だからね、そんなに気負わなくても大丈夫だよ、さあ練習しよう!」
やよい「はっ、はい!」
雪歩「うぅー……」
真(だ、大丈夫かなぁ……)
雪歩「あっ、ま、またタイミングが……」
やよい「ううー……やっぱり私達じゃ……」
ガチャピン「そんなことないよー、真くん!さっきのとこもう一度お願い!」
真「あっ、はい!」 カチッ
ガチャピン「ほら雪歩ちゃん、ここでこう手を……」
雪歩「あっ、は、はいぃっ」
ガチャピン「はい、タンタン、タタン!」 スッ 〜♪
雪歩「たんたん、たたん……」 スッ 〜♪
ガチャピン「ほら、できるじゃないか〜!うふふ、やっぱり苦手なんかじゃないよ〜!」
雪歩「は、はい!」
やよい「うっうー!雪歩さんすごいですー!」
ガチャピン「よーし、やよいちゃんはここで足をこう……」 〜♪
やよい「やりましたー!プロデューサーすごいですー!」
真「はあ、たった一日でここまで形に出来るなんて……」
ガチャピン「えへへ、役に立って良かったよ!」
真「ははっ、ひょっとしてプロデューサーってダンスやってたんですか?」
ガチャピン「少しだけね〜、色々とチャレンジしたことはあるよ〜」
やよい「どんなことやってたんですかー?」
ガチャピン「うーん、色々やったからなあ、空手とかボクシングとかカートとか……」
ガチャピン「あ、そうそう、宇宙に行ったこともあるよー」
雪歩「す、すごいですぅ……」
真「へぇー、じゃあひょっとしてムックさんも……」
ムック「お茶がおいしいですぞ」 ズズズ
真(あ、無いな)
雪歩「そ、そんな……全部プロデューサーさんのおかげだよぉ……」
ガチャピン「いやいや、雪歩ちゃんが苦手を克服して頑張ったからだよー」
春香「そうそう!もっと自信持とうよ!」
雪歩「う、ううー……」
真美「いいなー、ゆきぴょんは仕事があってー」
美希「ねー、プロデューサー、ミキ達にも何かこうキラキラした仕事無いのー?」
ガチャピン「そうだなぁ、バラエティ番組のゲストの仕事なら取って来たけど」
真美「おー!さっすがガッちゃん!やりますなー!」
ガチャピン「後はイベントのコンパニオンとカタログの写真撮影の仕事と、あと……」
春香「な、なんか一気に予定が埋まりそうだね」
美希「ミキあんまり疲れちゃう仕事は嫌だなあ」
ガチャピン「大丈夫大丈夫、ちゃんと割り振るよー」
千早「歌は無いんですね……」
美希「テレビに写れるんならミキ頑張るの!」
真美「ミキミキ!視聴者の心をグッ!と掴んじゃおうね!」
ガチャピン「あはは、まあBSの地味な番組だから精々5分ぐらいだけどね〜」
千早「いえ、それでも仕事としてやるからには全力を尽くします」
ムック「あわわわ、千早ちゃんは真面目ですな〜」 もぐもぐ
美希「ミキ的にはもっとダラダラしててもいいと思うの」 もぐもぐ
ガチャピン「あっ、お昼のおにぎり食べちゃダメだよー」
美希「ん〜、ミキはやっぱりオシャレな店が好きかな〜、それでおにぎりがあれば文句無いの!」
司会「オシャレなおにぎりの店ですかー、そういうのはなかなか無いなぁー」
真美「んふふ〜、真美はやっぱりゲームとか楽しいところが良いかな〜」
司会「ゲームセンターってことでしょうか」
真美「んもー、違うよー、もっとこう、ワーって感じでギャーッ!って楽しめるとこー!」
司会「これまたよく分からない表現ですねー、765プロは個性的な感性のアイドルが多いんですね」
美希「ふふーん、だってミキはミキだもーん」
司会「いやはや、それでは如月さんはどのような」
千早「いえ、特にこだわりはありませんけど……」
司会「……」
千早「家の近くのコンビニです」
司会「oh...」
美希(千早さんダメダメなの……)
真美「で、でも最近はコンビニにも色々あるもんねー!」
司会「そ、そうですね!最近ではもうコンビニといってもオシャレな物が沢山です!」
司会「例えばコンビニスイーツ等ですね、765プロの皆さんはスイーツを買ったりしますか?」
美希「ミキはよくプリンとか買うよー、もう本当においしいの!」
千早「私はお弁当しか」
司会「ええいもう!カーット!!」
ガチャピン「うーん、千早さん……その……」
ムック「うむむむ、千早さん、今のはいけませんぞ」
千早「どういうことでしょうか」
ムック「視聴者が求めているのは単なる受け答えではなく面白さなのですぞ」
ムック「その為には時にアイドルとはいえピエロになることも必要でありますぞ」
ムック「まずは面白いことを言おうと努力しなければ、良い物は作れないのですぞ!!」
真美「おおー、すごいカッコいいこと言ってる……」
美希「ミキ少しあの人を見直したの」
ムック「おやおや?今まではどう思ってたのですかな〜?」
美希「んー、ちょっとカッコ悪い用務員さんって感じかなー」
ムック「あわわわわ、これはひどいですぞ〜」 アワワワ
千早「……」
司会「その名もミラクルホットケーキです!」
美希「わー、このケーキすっごいおいしそうなのー!」
真美「んぅー、このシロップの臭いがたまりませんなー!」
司会「さあて、若者に大人気のこのホットケーキ、果たして味の方は……」
美希「すっごいおいしいのー!ミキこれだったら何枚でも食べられるって思うな!」
真美「うーん、これだけ美味しいとミキミキ食べ過ぎて太っちゃうかもねぇ〜」
美希「ミキはいくら食べても太らないよーだ」
司会「いやぁー、実においしそうですねえ、如月さんはどう……」
千早「ええ、おいし……!」
ムック『面白いことを言おうと努力しなければ!』
千早(面白いこと……そうね、私も面白いことを言わないと……)
司会「如月さん?」
千早「ほ……ホットケーキのことは、ほっとけーい!!」
司会「おいちょっとカメラ止めろ」
亜美「へんじがない ただのしかばねのようだ」
律子「縁起でもないこと言わないの!!」
あずさ「あらあら、どうしたんですか〜?」
ガチャピン「いやー、それがかくかくしかじか」
伊織「ちょっと!それってあの赤いモップのせいじゃない!何してるのよ!」
ムック「アワワワワワ、申し訳ありませんぞ〜!」
真美「うーん、面白いこと言おうって頑張るのは良かったんだけどね〜」
美希「ちょっと方向を見失いすぎたの」
春香「ち……千早ちゃん……ドンマイ……」
ガチャピンプロデューサーは短期間の間に765プロの知名度を一気に上げ
そして夏、アイドル水泳大会への出場が決定した!
美希「プールなのー!」
やよい「うっうー!おっきいですー!」
春香「あっ、ねえねえ!あれってひょっとしてアイドルの……」
真「うわあ!あっちにもトップアイドル、こっちにもトップアイドルだよ!」
真美「んむぅー、まるでトップアイドルのバーゲンセールだね!」
雪歩「わ、私達こんなところにいて良いんでしょうか……」
ガチャピン「ははは、大丈夫だよ、僕たちだってもうトップアイドルに近付いてるんだからね!」
Pちゃん「ピーッ!」
貴音「ええ、Pちゃん様の言う通り、ここは心を落ち着け、堂々と勝負に臨みましょう」
律子「い、今の一言にそこまでの意味が込められてたとは思えないんだけど」
真「お、お前は!」
律子「黒井社長っ……!」
黒井「おお、怖い怖い、躾のなってない犬どもは人に対する態度を知らんなあ」
真「なんだと!?」
ガチャピン「なになに?どうしたの?」
ムック「何かありましたかな〜?」
黒井「!?」
春香「あっ、ぷ、プロデューサーさん!」
黒井「プロデュ……えっ?」
ガチャピン「はじめましてー、765プロのプロデューサー、ガチャガチャピンピン、ガチャピンです!」
黒井「お、おあ、あ、おあう」
律子(うわ、すごい戸惑ってる)
ガチャピン「そんなことないですよー、みんな良いアイドルばかりです!」
黒井「ククク、そうか?私の目にはゴミクズにしか見えんがねぇ」
真「なっ、誰が!」
黒井「クク、一つ忠告してやろう、プロデューサー生命が惜しければ我々には逆らわないことだ」
黒井「もしも調子に乗るようなことがあったら、どうなっても仕方ないと思え、あのプロデューサーのようにな!」
黒井「はーっはっはっはっは!!」
ガチャピン「あのプロデューサー?」
春香「……」
律子「例の黒井社長に対しても強気の態度で頑張ってたんですけど……」
律子「突然事故で重症を負って入院、それから事務所を辞めてしまったんですよ……」
ガチャピン「へぇー、そんなことが……」
真「あいつ僕たちを目の敵にしてくるんです!僕ああいうの許せませんよ!」
貴音「しかし下手な行動を取ればガチャピン様の身が危ういのもまた事実……」
ガチャピン「あはは、僕なら大丈夫だよ、これでも格闘技にチャレンジしたこともあるんだ!」
律子「とにかくプロデューサーも気をつけてくださいね」
ムック「あわわわわ、なんとも恐ろしい相手ですぞ〜」
ガチャピン「心配しないでもムックは襲われたりしないよー」
ムック「それはどういう意味ですかな」
着実にポイントを取り続け、成績上位で終盤を迎えた
黒井「ふうむ……奴らめ、脅しに屈しないとでも言うつもりか?」
黒井「良いだろう……それならば私にも考えがある……ククク……」
司会「水中ボール拾い!優勝者は765プロの四条貴音選手でーす!!」
春香「わあ!貴音さんやったね!」
響「よーし!次は自分だな!行ってくるぞー!」
貴音「ええ、頑張っ……きゃっ!」 ドンッ
スタッフ「うわっ!とと、し、失礼!」 ダッ
春香「あの人なんか急いでたけど、どうしたんだろうね?」
貴音「はて……何かあったのでしょうk」 ポロリ
真美「ああーっ!」
亜美「うわあ、お姫ちんの水着が切れたーっ!」
ムック「アワワワワ、ととと、とにかく急いで隠しますぞー!」
千早「くっ」
春香「ど、どうしよう……」
伊織「きっとさっきのスタッフが水着を切ったのよ!汚い真似するわ!」
律子「うーん、誰か代わりの水着持ってきてないかしら?」
千早「私は持ってきましたけど」
律子「……誰も持ってきてないわよね、貴音は最終競技の水中騎馬戦にも出る予定なのに……」
千早「くっ!」
あずさ「あらあら、どうしましょう……」
ガチャピン「ただいまー、あれ?どうかしたの?」
律子「プロデューサー……実はかくかくしかじかで……」
真美「ねぇガッちん!水着が無くても大丈夫な方法とか知らないの!?」
ガチャピン「うーん、僕は水着とか以前にいつも裸で泳いじゃうからなー」
亜美「てゆーか常に全裸だよね」
ガチャピン「水着じゃなくても水の中で平気な……水着じゃない……そうだ!」 ピコーン
貴音「?」
それ以上はいけない
黒井(ククク……出場選手の変更はルール違反、水着が無い今765プロは棄権せざるを……)
司会「さて、勝ったら有償の765プロチーム!出場選手は四条……なっ!?」
黒井「!?」
貴音「……」 シュコー
司会「ダッ、ダイビングスーツ!四条選手なぜかダイビングスーツです!」
司会「これは男性陣がっかり……じゃなくてなぜ最終種目で急にダイビングスーツを!」
貴音「実は水着が切れてしまって……」
司会「なら全裸で出ればいいじゃんチクショウ!!あっ、ちなみにダイビングスーツは別にルールには引っかかりません!!」
律子「なんとかなりましたけど……プロデューサーなんでダイビングスーツなんか持ってたんです?」
ガチャピン「えへへ、実は前にスューバダイビングにチャレンジしたことがあってね」
ガチャピン「もう夏だし今度またパラオにでも行こうかなって思って車に積んでおいたんだ〜」
真美「ヒューッ!」
亜美「さっすがはガッちんだねぃ!」
春香(ていうかプロデューサーさんは別にダイビングスーツ必要ないよね)
黒井「クソがぁっ!」
司会「さて、それではこの後はアイドル達の水着でライブです、皆さん最後までお付き合いください」
黒井「!」
黒井「クク……そうか、今に見ていろ765プロ……くはーっはっはっは!」
春香「プロデューサーさん!優勝ですよ!優勝!」
ガチャピン「んふふー、みんなが頑張ってくれたからだよー!」
やよい「えへへへ、嬉しいですー!」
スタッフ「あのー、765プロさんですか?」
律子「あ、はい、そうですけど……」
スタッフ「実は機材の不調で……765プロさんのやる筈の音源が飛んじゃったんですよー」
スタッフ「なのでライブでは765プロさんだけ飛ばして次のアイドルっていう形に……」
響「えー!?折角優勝したのにそれって無いぞ!」
律子「い、急いで直せないんですか!?」
スタッフ「え、えっと、まあ時間があれば……で、でも無理でしょう?」
スタッフ「あ、ほ、ほら、765さんの前のアイドルももう曲終わっちゃうんで……」
律子「ちょ、ちょっと!待ってください!」
スタッフ「い、いやでも」
ガチャピン「大丈夫だよ、僕に良い考えがある」
スタッフ「え?」
ガチャピン「何分ぐらい時間を稼げばいいのかな?」
スタッフ「え、え〜っと……じゃ、じゃあ10分ぐらい……」
ガチャピン「10分か……よし、行くよムック!」
ムック「了解ですぞ〜」
律子「えっ、ちょ、ちょっと!?プロデューサー!?」
「きぐるみ引っ込めやあ!!」 ざわざわ
「いおりん出せやゴラァ!」 ざわざわ
律子「ああもう!どうするつもりなのよプロデューサーったら!」
ガチャピン「はじめまして、僕ガチャピン!」
ムック「私はムックですぞ〜」
ガチャピン「今日は特別にみんなの前で歌います!ムック!」
ムック「ワンツースリーフォー!」 〜♪
律子「!?」
千早「ギター……楽器が弾けたのね……」
春香「い、意外だね……ええと、それでこの曲って……」
ガチャピン「なーつーやすみはー、やっぱりーみじかいー♪」
http://www.youtube.com/watch?v=dJV3ZHpSj0U&feature=related
夏に聞くと涙が出る
ガチャピン「ありがとうございました!」
ガチャピン「……」 チラッ
スタッフ「!?」 ブンブン
ガチャピン「よーし次の曲だ!ムック!」
ムック「わかりましたぞ!」 〜♪
真「まだやるの!?」
伊織「まだ私達の曲の準備ができてないのよ、ど、どうするのかしら……」
ガチャピン「まーいーにーち まーいーにーち 僕らは鉄板のー♪」
千早「……だけど、何だかどれも心に染みる歌ね」
春香「うん、なんだか懐かしいよね」
スタッフ(この歌……ああ、なんだこの懐かしい感情……)
スタッフ(そうだ……俺はどうしてこの業界に来たんだ、歌が好きだからじゃないのか?)
スタッフ(俺が……俺が従うのは……社長なんかじゃねえ!) カタカタ
スタッフ(俺が従うのはアイドルだ!その歌だ!圧力なんざ知ったこっちゃねえ!!) カタカタカタ ッターン
ガチャピン「じゃーんけんぽんよ 勝ったら食べろ〜 巻けたら逃げろ〜♪」
ワアアアアアアアアアアアアアア……!!
ガチャピン「ありがとうございましたー!」 チラッ
スタッフ「……!」 グッ
ガチャピン「さあ!それじゃあ次はお待ちかねの765プロだよ〜!みんなお楽しみに〜!」
ガチャピン「ふう、じゃあみんな!頑張ってね!」
やよい「はい!行って来ますー!」
伊織「みんなー!おまたせー!」 ワアアアアアアアアア!!!!
春香「それじゃ行っくよー!GO MY WAY!!」 〜♪
黒井「チッ」
ガチャピンの手腕もあり一気にトップアイドルへと上り詰めた
そして……
春香「小鳥さん!ライブですよ!ライブ!」
やよい「うっうー!すっごい大きいところでやるみたいですー!」
小鳥「そりゃそうよ、なんといっても、もうみんな立派なトップアイドルなんだから!」
伊織「ま、この伊織ちゃんが歌うんだからこのっくらいの会場は当然よね!」
あずさ「あらあら、楽しみねー」
真美「ふっふーん、それもこれもガッちゃんのおかげだね!」
亜美「うんうん、ありゃあ将来大物になるね〜!」
春香「あはは、そういえば恐竜の子供って言ってたっけ……」
雪歩「あれよりもっと成長するなんて凄いですぅ……」
黒井「あの三流プロダクションめ……高木め……!」
黒井「調子に乗りおって……くく、だがしかし、そのライブが命取りだ!」
黒井「大きいライブで重大な問題が発生したとあっては問題にならざるをえまい」
黒井「ククク、見ていろ高木!ライブ会場が貴様の墓場だ!ハーッハッハッハ!!」
社長「へっくしゅん!」
ガチャピン「風邪ですか?」
ムック「あわわ、それはいけませんな〜」
社長「いやいや、心配無用だよ、それよりライブの方はどうだね?」
ガチャピン「順調ですよ〜、もうみんな立派なトップアイドルですね!」
社長「いやいや、それというのも君のおかげだよ、ありがとう」
Pちゃん「ピーッ!ピッピーッ!」
あずさ「あら〜、春香ちゃんどうしたの?」
春香「えへへ、プロデューサーさんからあずささんを迎えに行ってくれーって」
あずさ「あらあら、流石の私でも一人で大丈夫よ〜?」
春香(それはどうだろう)
タクシー運転手「三浦あずさ様と天海春香様ですね?」
春香「あっ、はい、そうですけど……」
タクシー運転手「ライブ会場までお連れします、どうぞお乗りください」
あずさ「はぁ〜い、ありがとうございます〜」
春香「あはは、流石はプロデューサーさん……準備がいいなあ……」
タクシー運転手「ええ、それはもう……フフ……」
ガチャピン「うーん……迎えにやった筈なんだけどなあ……」
律子「ひょっとして黒井社長がまた何か……」
貴音「その可能性も有り得なくはありませんね……」
真美「そんなぁ!もうリハ始まっちゃうよ〜!?」
亜美「一曲目は全員参加だからはるるんもあずさ姉ちゃんもいないと駄目だし〜!」
ガチャピン「う〜ん……仕方ないなあ、よし!探しに行ってくるよ!」
響「あっ、じ、自分も一緒に行くぞ!」
律子「見つかったらすぐ連絡くださいね!」
ムック「頼みましたぞ〜!」
春香「あ、あの、これって道は合ってますか?」
運転手「ええ、これが近道なんすよー、本当っすよー」
トゥルルルルル
春香「あっ、もしもし?プロデューサーですか?」
ガチャピン『あっ、春香ちゃーん!今どこにいるの!?』
春香「ど、どこって、ええと、何だか田んぼとか畑が多くて……山に近く……」
運転手「うおおおおおおおおおおっ!!」 キキィーッ
春香「きゃあっ!」 ガクンッ
ガチャピン『春香ちゃん!どうしたの!?はr』 プツッ
運転手「あぶねぇあぶねぇ、めったなこと言うんじゃねーよ、ヘヘヘ……」
あずさ「あらあら」
春香「うあー、どど、どうしよう……」
響「や、やっぱり黒井社長に捕まってるんだな!くっそー!」 ダッ
ガチャピン「あっ、待ってよ響ちゃん!居場所わからないでしょー!?」
響「なんくるないさー!自分の鼻であずさ達の居場所を突き止めてやるさー!」
響「ふむふむ……」 クンカクンカ
響「えーっと……うう……うがーっ!やっぱり分からないさー!!」
ガチャピン「うーん、どうしよう……んっ、あ、あれは……!」
コニー「ジャカジャカジャン!ジャカジャカジャン!」
ガチャピン「わあ!コニーちゃんじゃないか!」
ガチャピン「うーん、実はかくかくしかじか」
コニー「なるほどね、その二人なら見たわ、でも……」
響「なんだよ!早く教えるさー!」
ガチャピン「ジャカジャカジャンケンだね……久しぶりじゃないか……」
コニー「ええ、ジャカジャカジャンケンで私に勝ったら教えるわ!行くわよ!」
響「え、え?」
コニー「ジャカジャカジャン!ジャカジャカジャン!ジャカジャカジャカジャカジャカジャカジャン!」
ガチャピン「ジャカジャカジャン!ジャカジャカジャン!ジャカジャカジャンケン!」
コニー「ジャンケン!」
ガチャピン「ホイ!」
コニー「……私の負けね、二人はそこでタクシーに乗せられて向こうに行ったわ」
ガチャピン「ありがとうコニーちゃん!行こう響ちゃん!」
響「今のやりとりは一体なんだったのさー!!」
ガチャピン「大丈夫だよ、黒井さんの連れて行きそうなところの目星は尽くし……」
ガチャピン「それに相手がタクシーならもっと早い車で行けばいいんだよ!」
響「え?それってどういう……」
ケイン「やあガチャピン、持ってきましたぞ!」 ブロロロロ
響「うわっ!な、なんだこれ!」
ガチャピン「スーパーカーだよ!これで相手を追おう!」
響「う、運転できるのか!?」
ガチャピン「大丈夫だよ!ジムカーナにだってチャレンジしたことあるんだから!」
響(じ、ジムカーナ……?)
ジムカーナhttp://www.youtube.com/watch?v=ez-dcEwplgc&feature=related
春香「も、もう完全に山だよう……どうしよう……」
あずさ「そうね、みんな心配してるわよね〜」
運転手「なあに、心配しないでもどうせもう事務所には戻れないしアイドルにも……」
ギュオオオオオオオオオオオオオン
春香「あれ?なんだろうこの音?」
運転手「あ……あれは……!?」
ギュオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオン
響「あっ!プロデューサー!きっとあの車だぞ!」
ガチャピン「よぉーし!前に回り込んで止めてやるぞー!」 ギャギャギャ
運転手「う、うおおおおおおおおお!!」
春香「うわっ!」 ガタガタ
あずさ「きゃあっ!」 ガタガタ
響「あっ!プロデューサー!あいつ山道に入ったぞ!急いで追いかけるさー!」
ガチャピン「いや、車高の低いスポーツカーじゃあんなに荒れたところは走れないよ!」
響「えーっ!じゃあどうするんだよー!」
ガチャピン「大丈夫!こんなこともあろうかと……」
ケイン「マウンテンバイクがあるからな!」 チャキーン
ガチャピン「よーし!これで追いかけよう!」
響「ぷ、プロデューサーその体格で乗れるのか?」
ガチャピン「なんくるないさ!」
響「それは自分のセリフだぞ!!」
響「うう、車を見失ったぞ……一体どこに……」
ガチャピン「危ない!」 ガシッ
響「う、うわっ!だ、断崖絶壁だ!」
ガチャピン「あっ、車がいたよ!あそこの下の方を走ってる!」
響「ううー、きっと近道か何かしたんさー!どうするんだよー!」
ガチャピン「大丈夫だよ、一流のロッククライマーにとってはこのくらいの崖は大した事ないからね」 グッ グッ
響「ロッククライマーって……プロデューサーってそういう仕事してたのか?」
ガチャピン「いや、ちょっと趣味でやってみただけだよ、ほら響ちゃんも気をつけて」 グッ グッ
響「わ、分かったさー……」 グッ グッ
響(なんかますますプロデューサーの謎が増えていくさー……)
運転手「ふう、お前ら動くんじゃねーぞ、ここまで来れば……」
ガチャピン「突撃ーっ!」 バキーッ
響「うがーっ!!」 ガシャーン
春香「プロデューサーさん!」
運転手「なっ、なにぃ!?」
ガチャピン「僕が来るのが早過ぎたかい?悪いけど僕は100mを5秒フラットで走れるんだ」
運転手「こっ、この恐竜野郎がぁっ!!」 ブンッ
ガチャピン「ふんっ!でやぁっ!!」 ボゴォッ
運転手「ごほぁぁぁっ!!」
あずさ「あらあら、プロデューサーさんってお強いんですねぇ」
ガチャピン「えへへ、まあ武道も空手とかボクシングとか色々やってたからね」
響「万能すぎるのにも程があるぞ」
響「げっ!マズいぞー!リハどころかもうライブ始まっちゃうぞ!!」
あずさ「あらあら、どうしましょう」
ガチャピン「うーん、いくらスポーツカーでもこの山から間に合うかどうか……」
ガチャピン「山……そうだ!ケインさーん!」
ケイン「どうしたガチャピン!!」
響「また出たぞ!!」
春香「えっ、だ、誰!?」
ガチャピン「ケインさんちょっと、ゴニョゴニョ」
ケイン「なるほど……よし!みんなこっちだ!」
ガチャピン「ようし!急ぐぞー!」
春香「よ、よく分からないけど着いていけばいいのかな?」
響「どのみちそれしかないさー……」
あずさ「あらあら」
真「ううーっ、プロデューサーまだなんですか!?」
やよい「あううー……し、心配ですー……」
貴音「しかし今は信じて待つ以外にありません……心を落ち着かせるのです」
真美「大丈夫だって!ガッちゃんならきっとすぐに来るよー!」
亜美「そうそう、こう空から降ってきたりとかしちゃってー!」
律子「バカねー、そんなことあるわけ……」
ガチャピン「おーい!」
律子「プロデューサー!?どこですか!?」
美希「あ、律子……さん!上!プロデューサーなの!」
律子「上って……」
ガチャピン「おーい!」 バサーッ
律子「は、ハンググライダー!?」
律子「な、なんで飛んできたんですか……」
響「なんでも前にハンググライダーもやったことあるらしいさー……」
春香「はあ、遅れてごめんなさい!」
あずさ「ごめんなさいね〜、大丈夫だったかしら〜」
真美「はるるんギリギリセーフだよーん!」
亜美「いやー、まさか本当に飛んでくるとは思わなかったね〜」
美希「かっこいいの!ミキも今度やりたいのー!」
律子「後にしなさい!それよりもみんな急いで準備準備!!」
ムック「そうですぞ!仕事が山積みですぞー!」
ガチャピン「そうだそうだ!急がないと!」
黒井「ふふふ、少しの間だけ勝利の喜びをかみ締めるが良い!ハーッハッハ!!」
ガチャピン「ええっ!?コンピュータの故障!?」
スタッフ「え、ええ、照明や曲の再生も全てパソコンで自動再生する筈でしたが……」
律子「そんな!ここまで来て……」
美希「プロデューサー!どうにかならないの!?」
ガチャピン「……そうだ!コンピューター管理が駄目なら手動で動かせば良いだけだよね!」
スタッフ「そ、それはそうですけど……」
ガチャピン「よし、そうと決まれば僕は照明の管理をやるよ!ムックは曲を……」
真「ちょ、ちょっと待ってください!プロデューサーそんなのやったことあるんですか!?」
ガチャピン「やったことなんてないよ、だけど……今までやってないからこそ、新しくチャレンジするんじゃないか!!」
千早「プロデューサー……」
ガチャピン「それがガチャピンチャレンジだよ、さあ!みんな!」
春香「……よーし!行くよ、みんな!765プローッ!ファイトーッ!!」
ワアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア……
ムック「ええと、一曲目はTHE IDOLM@STERですな、ポチッと」
「もう伏し目がちな昨日なんていらないー♪」 〜♪
ガチャピン「照明は、ええっと……」
小鳥「プロデューサーさん、頑張ってください!」
ケイン「ああ!ファイトだ!ガチャピン!」
ガチャピン「大丈夫だよ!これぐらいヒマラヤに登った時と比べたらどうってことないさ!」
「ほんの些細な言葉に傷ついてー」 〜♪
黒井(ふん……無駄なことを……)
7曲目にして遂に事件が起きる!
ガチャピン(7曲目は千早ちゃんの蒼い鳥だ、ええと、照明は青にして……)
千早「……」 スゥー……
ガチャピン(よし、ここで曲を……)
チャッチャッチャッチャチャッ チャッチャチャッチャ チャッチャッチャッチャチャッチャッチャッ
ガチャピン(!!?)
千早(!?)
ガチャピン(このイントロッ……これは……)
千早(これは……高槻さんの『キラメキラリ』!)
ガチャピン(曲のミスだ!む、ムック!!)
ムック「アワワワワワワ、ままま、間違えてしまいましたぞ〜!!」
千早「……どんな種も蒔けば目立つんです☆ まーるまるスーパースター☆」 〜♪
ガチャピン(!?)
ムック(!?)
千早「どんな芽でも花になるんです☆ はなまるスーパースタート☆」 〜♪
千早(キラメキラリで良かったわ……何故なら高槻さんの持ち歌なら全部覚えてるから……)
千早(とはいえ練習してない曲を最後までは……くっ……)
やよい「キラメキラリ☆ ずっとチュッとー地球で輝く光☆」 〜♪
千早(高槻さん!)
やよい「トキメキラリ☆ ぐっとギュゥッと私は私が大っ好きっ☆」 〜♪
千早・やよい「フレッフレッ!がんばれっ!さあ行こう♪ フレッフレ!がんばれ!最っ高♪」
ガチャピン(千早ちゃん……やよいちゃん……ありがとう!)
ムック(ふうー、やれやれ)
お互いのフォロー、仲間同士の助け合いにより、なんとか乗り切っていた!
黒井「ちぃっ、しぶとい奴らめ……こうなったら……」
社長「もうやめたまえ」
黒井「たっ、高木!」
社長「君のやったことは全て彼が話してくれたよ、来たまえ」
Pちゃん「ピーッ!ピピッ!ピーッ!」
黒井「ふん、誰かと思ったらそんなもの……」
Pちゃん「忘れたんですか?俺ですよ黒井社長」
黒井「!!?」
P「あんたに再起不能にされた……765プロ・プロデューサーだーっ!!」 バリバリーッ
黒井「悪事か……ふん、確かに私のやったことは悪事だろうな、だが……」
黒井「証拠はあるのか?全て私がやったという証拠は!!」
P「くっ……」
黒井「ふふふ、あるまい?所詮貴様ら3流事務所のやることなど……」
P「ふ……ふふ……はーっはっはっは!!残念だったなあ!証拠ならたった今できた!!」
黒井「なにぃっ!!?」
P「テープレコーダーだ!これにさっきまでの会話は全て入っている!!」
P「そしてあんたは悪事をしたと自ら認めた!これが証拠で無くしてなんとする!!」
黒井「くっ……!」
P「分かったらもう765プロに手を出すな!約束を破ったらこのテープは警察に提出させてもらう!!」
黒井「ご……ゴミムシ共が……!!」
今までずっと裏で頑張ってたんだな
社長「ははは、しかし驚いたよ、君がきぐるみを着て私に会いに来たときは」
P「黒井社長に俺だと怪しまれないで色々と調べるには変装するのが一番だったんですよ」
社長「ふうむ、で、気になってたんだがガチャピンさん達の中にも……」
P「そんなことはどうでもいいじゃないですか社長、彼らは単なる恐竜と雪男の子供ですよ」
社長「……ああ、そうだったな」
P「さあ、後はライブを楽しみましょう」
律子「えっ!?機材が直ったんですか!?」
スタッフ「え、ええまあ」
亜美「やったね!これで予定通りにちゃんとできるよ!」
真美「うんうん!それじゃありっちゃん!これ!!」
律子「えっ、ちょっ」
ムック「次の曲は律子さんで『魔法かけて!』ですぞー!」
律子「き、聞いてないわよ!ちょっとー!!」
イエェェェェェェイ!!!!!
あずさ「ふふっ、さて、それではここで再びゲストの登場でーす」
美希「ゲストって言っても今度は律子……さんじゃないの!」
律子「えっ、ちょ、ちょっと!あんた達ひょっとして……」
響「きっと見たらビックリしちゃうぞー!」
伊織「ま、意味はともかくビックリすることは確かね」
亜美「なんといっても見た目が凄いからねぇー」
真美「中身はもーっと凄いけどねー」
雪歩「で、でも765プロでとっても大切な人なんです!」
真「ダンスも上手くて何でもできて……すっごい人なんです」
貴音「ええ、あの方がいなければ私達はここまで来れなかったでしょう」
千早「彼等は私達になくてはならない人です、それでは……」
やよい「いっくよー!せぇーのっ!」
「「「プロデューサーさーんっ!!」」」
ムック「あわわわわわ、私達こんなところに出て良いんでしょうか」
亜美「んもー、良いに決まってるじゃーん、ガッちゃん達ファンの間で超有名なんだよー」
真美「なんてったって恐竜と雪男だもんねー」
春香「そうです!特別ゲストは私達のプロデューサー!ガチャピンさんとムックさん!!」
千早「今日は二人のよく歌っている曲を私達が一緒に歌います!」
ガチャピン「ええー?聞いてないよー!?」
真「へへーっ、何事もチャレンジなんでしょ、プロデューサー!」
あずさ「それじゃ行きますよー」
響「曲名は『歩いて帰ろう!』いっくぞー!」
チャッチャッチャッチャ チャッチャッチャチャッチャ
http://www.youtube.com/watch?v=Psfh-riBsE0
美希「わーい!ハニーありがとうなのー!」
春香「いたんだったらそう言ってくれれば良かったじゃないですか!」
律子「本当ですよ、私にまで黙って……」
響「貴音は知ってたのか?」
貴音「ええ、ですが他言無用ということでしたので……」
真「まったくもー、騙した罰に今日はみんなに焼肉奢ってもらいますからね!」
伊織「そうね、それっくらいは当然だわ!」
P「うぇぇ、ちょっ、ちょっと、それは……」
ガチャピン「あははは、良かったねぇ〜」
小鳥「ええ、本当にみんなで揃って……うふふ、何だか嬉しいですね」
亜美「えーっ!なに言ってんのさー!」
律子「そうですよ、うちはプロデューサーがいてこその765プロなんですよ!?」
真美「それに兄ちゃんだけじゃちょっと頼りないよー!」
貴音「確かに、真美の言うとおりですね……」
P「お、おい、お前ら……」
春香「ねっ、だからプロデューサーさん!これからもプロデュースよろしくお願いします!」
ガチャピン「みんな……よぉーし!僕もまだまだ頑張っちゃうぞー!」
ムック「ほほほ、私も一緒に頑張りますぞー!」
やよい「うっうー!嬉しいですー!」
雪歩「本当にずっと一緒にいてくれるんですか!?」
ガチャピン「そうだよ!だって僕たちみんな……仲間だもんね!!」
おしまい
ポンキッキまたやんねーかな…
乙
Entry ⇒ 2012.04.29 | Category ⇒ アイマスSS | Comments (1) | Trackbacks (0)
赤沢「ふふっ……恒一君、緊張してる?」
赤沢「大丈夫。すぐに慣れるわ」
恒一「そうかな」
赤沢「ええ。それにね、だんだん気持ち良くなってくるのよ」
恒一「え?!」
赤沢「ふふ、それじゃ、いくわよ」
―――
―
赤沢「お疲れ様。どうだった、初めての演劇は?」
恒一「緊張して台詞を読むだけでいっぱいいっぱいだよ」
赤沢「けど、案外様になってたわよ。身長があるとやっぱり栄えるわね」
恒一「そうかな。ありがと」
ダレカソコノナグリトッテ〜
コノシーンノショウメイコレデイイ?
恒一「いいよ。それに興味もあったし」
赤沢「そう言ってくれと、ありがたいわ。けど、胸の方は大丈夫?」
恒一「うん。最近は調子いいんだ」
赤沢「安心した。直前に降板されたら困るもの」
恒一「そっちの心配なんだ……」
赤沢「冗談よ。ふふっ」
恒一「きついなぁ」
赤沢「いいえ。前から部室にあったもので、たぶん卒業生の人が作ったものだと思う」
赤沢「台本決めの時、彩がこれを推薦して、そこから多数決でこれになったの」
恒一「へぇ、そうなんだ。だけど、盲目の令嬢と使用人の男の恋ってなんかロマンチックだね」
赤沢「そうなのよ。もう少し地に足ついたのものにしたかったんだけど、彩はこういうの好きみたい」
恒一「ははは。確かに綾野さんは好きそうだね」
綾野「そこ!お二人さん。話してる暇があるなら、台詞覚えた方がいいんじゃない」
綾野「特にこういっちゃんは初心者なんだから」
恒一「ごめん。そうだね」
赤沢「……そうね」
綾野「はーい」
恒一「分かった」
(赤沢芝居中)
綾野「こういっちゃん、ありがとね」ヒソヒソ
恒一「どうしたの、いきなり?」ヒソヒソ
綾野「今回の事引き受けてくれて」ヒソヒソ
恒一「さっき赤沢さんにも言ったけど、全然かまわないよ」ヒソヒソ
綾野「そっか。なら、ついでに泉美のことも任せちゃおうかな」ヒソヒソ
恒一「え?」ヒソヒソ
恒一「それって、どういう……」ヒソヒソ
赤沢「どう。何か気付いたことある?」
綾野「う〜ん、9Pのここの台詞はもっと抑えた感じの方が……」
恒一「……」
綾野「は〜い」
フーツカレター カエリドッカヨッテク?
ザワザワガヤガヤ
綾野「こういっちゃ〜ん、途中までだけど一緒に帰ろ〜」
恒一「別に構わないけど」
綾野「って泉美が言ってるんだけど」
赤沢「え、私?!」
綾野「そうそう。私は用事あるからさ、送ってあげてよ」
恒一「いいよ。一緒に帰ろう」
綾野「やった!泉美もいいよね?」
赤沢「恒一君がいいなら……」カァ
綾野(こういっちゃん、頼んだよ)
赤沢「……」トコトコ
恒一「……」トコトコ
恒一(どうしよう。何か会話を……)
赤沢「……恒一君。昨晩は何か夢をみた?」
恒一「え、夢?え〜と、最近はみないな」
赤沢「そう……。私はね、最近同じ夢をみるの」
恒一「へぇ〜、どんな夢?」
赤沢「それはっ、その……秘密」カァ
恒一「そっか」
赤沢「……恒一君は私と以前、会ったことはないのよね」
恒一「そう、だけど」
赤沢「ごめんなさい、何度も同じことを聞いて。けど、私は……」
恒一「?」
恒一「ここからは別々だね」
赤沢「そうね……」
恒一「……それじゃあ、また」
赤沢「待ってっ、あの、あ、握手しましょ!」
恒一「握手?」
赤沢「そう!……さよならの握手」
恒一「いいよ。はい」スッ
ギュッ
赤沢「さようなら」
恒一「うん。また明日」
三神「今日は赤沢さんが欠席ですね」
恒一(あれ、昨日は元気そうだったのに……)
綾野「……」
杉浦「彩、昨日泉美になにかあった?」
綾野「何も〜。部活中も普通だったよ」
杉浦「そ。なら、アタシがプリント届ける」
綾野「! ちょっと待って。それは私に任せて」
綾野「こういっちゃ〜ん!ちょい来て」
恒一「なに?」
恒一「僕が?」
綾野「そうなのよ。私達これから用事で」
杉浦「え?!アタシは」
綾野「とにかく、頼んだよ〜」ピュー
恒一「二人とも行っちゃた……」ボーゼン
―――
―
恒一「クラス名簿によれば、ここだよね……」
恒一(それにしても……大きい家だなぁ)
ピンポーン
?「はい。なんの御用でしょう?」
恒一「あの、赤沢泉美さんのクラスメイトの榊原恒一といいます。学校での配布物を届けに来たのですが」
?「……少々お待ちください」
―――
―
?「恒一様、お待たせしました。どうぞお入りください」
ギイ
恒一「お邪魔します」
恒一(中も豪華だ……)
使用人「泉美お嬢様の部屋は二階になります。それでは、用がございましたらお呼びください」
恒一「はい。ありがとうございます」
恒一「赤沢さん、入っていい」コンコン
赤沢『どうぞ……』
ガチャ
恒一「赤沢さん、もう平気なの?」
赤沢「恒一君、本当に恒一君なの?」
恒一「え?!そう、だけど……」
赤沢「……恒一君、握手しましょう。手、出して」
恒一「うん……」
ギュウ
赤沢「よかった。恒一君だぁ」
恒一「赤沢さん、もしかして……」
赤沢「そうよ。目が、見えなくなったの」
赤沢「落ち着いて」
恒一「けど、こんな大変なこと……」
赤沢「私もね、最初は驚いたわ。けど、昨日まで普通だったのに急に失明することなんてありえないでしょ」
恒一「それは、確かに……」
赤沢「そう、ありえないことなの。けど、そうだからこそ説明がつく場合がある」
赤沢「断言はできないけど、可能性は高いわ。私自身は聞いたことないけど」
恒一「そんな……」
赤沢「大丈夫。これが現象なら解く方法は必ずあるはずよ。そのための対策係なんだから」
恒一「ぷっ、……くく」
赤沢「なっ、なんで笑うのよっ//」
赤沢「それってどういう意味よ!またマッチョだって言いたいわけ」
恒一「そうじゃないよ。責任感が強いなって褒めてるんだよ」
赤沢「なんだか素直に受け取れないわ。これでも結構、不安だったんだから」
赤沢「っ?!は、早く言いなさいよ//」バッ
恒一「今気付いたんだって」
赤沢「ふんっ」
恒一「……話続けるけど、この事ご両親には言ったの?」
赤沢「両親はね、今海外にいるの」
恒一「じゃあ、あの案内してくれた人は……」
恒一「……すごいね。なんだか別の世界みたいだ」
赤沢「そんなたいそうなものでもないわ」
赤沢「そういう訳だから、両親には言ってない。あの人達には簡単にだけど、言ってあるわ」
恒一「そうなんだ」
赤沢「ええ。他の人に言うことで現象が拡大するかもとは考えたけど、流石に……ね」
恒一「そうだね。他の人の手を借りないと、この状態で生活するのはキツイよね」
赤沢「ところで、恒一君は……その、今日は自分で……来てくれたの?」
恒一「えっと、それって……?」
恒一「そういうことか。実は綾野さんに頼まれ」
赤沢「あっそ」プイッ
恒一「え、あの〜。赤沢さん……?」
赤沢「なにっ」イライラ
恒一「その……なにか怒ってる?」
赤沢「別に」イライラ
恒一(これ、やっぱり怒ってるよなぁ)
恒一「は、はいっ」
赤沢「明日は私、登校するから付き添いとかお世話よろしく」
恒一「ええ?!僕が。それに危ないよ」
赤沢「現象を解決するって言ったでしょ。私がいなきゃ始まらないじゃない」
恒一「僕も解決には協力するけど、やっぱりそれは危険だって」
赤沢「だから、明日はよろしくね」
〜翌日・赤沢宅〜
恒一「おはよう。赤沢さん」
赤沢「恒一君、おはよう。ちゃんと来たわね」
恒一「うん。けど、本当に行くの?」
恒一「うん……(やっぱり手を繋ぎながらなのか。恥ずかしいな)」ギュウ
赤沢「///」
恒一「あの、赤沢さん」トコトコ
赤沢「なに?」トコトコ
恒一「赤沢さんの目のこと、一応怜子さんに話しておいたんだ。だから、学校でいろいろ便宜は図ってくれると思う」
赤沢「いいえ。むしろ、感謝しなきゃね。ありがとう」
赤沢「恒一君のそういう所は長所だと思う」
恒一「急にやめてよ。恥ずかしい……」
赤沢「ふふっ。けど、もう少し察しが良くなった方がいいわよ」
恒一「どういう意味?」
赤沢「なんでもない」
赤沢「♪」
〜学校・廊下〜
恒一(ああ〜、遂にここまで来てしまった……。覚悟、決めなきゃな……)
見崎「……榊原君」
恒一「み、見崎?!」
赤沢「!」
見崎「……どうして、赤沢さんと手を繋いでるの?」
恒一「いや、これは、その……」アセアセ
恒一「えっと、ちゃんと訳があるんだ」バッ
赤沢「恒一君、離しちゃダメ」ギュッ
恒一「え?!」
見崎「!」
赤沢「……教室、行きましょ」スタスタ
恒一「わっ、待って。見崎、理由はちゃんと話すから〜」
見崎「………………」
見崎「…………」
見崎「ばか」
綾野「おっ、泉美おは?!ど、ど、どうしたの、手繋いじゃって?!」
綾野(これは遂に決めたな〜。こういっちゃん、やるじゃん)
恒一「え〜、これはね」
赤沢「待って。私から言うわ」
事情説明中
綾野「ええええええ?!」
杉浦「泉美、大丈夫なの?」
赤沢「ええ。他は全然問題ないから」
綾野「へぇ〜」ニヤニヤ
赤沢「な、なに?」
綾野「なんでも〜(ちょっと違うけど、これはこれでアリね。……そうだ!)」
綾野「けど、授業中は席離れちゃうね。それじゃあ、ダメだよ」
赤沢「それもそうね……」
望月「そうだね。僕は構わないよ」
恒一「いいのかな」
綾野「平気平気♪」
赤沢(彩ったら……//)
三神「みなさん、おはようございます。……ん?」ガラッ
綾野「あっ、先生実は」
赤沢「ありがとうございます」
〜授業中〜
赤沢「……恒一君、いる?」ヒソヒソ
恒一「ちゃんといるよ」ヒソヒソ
赤沢「そう……」
恒一「……」カリカリ
恒一「……」カリカリ
赤沢「……恒一君、いるわよね」
恒一「いるよ」
赤沢「……」
恒一「……」カリカリ
赤沢「こういちく」
恒一「大丈夫」テツナギ
赤沢「あ、うん……//」
杉浦(泉美……)
恒一「お昼どうしようか?」
赤沢「屋上に行きましょう」
恒一「そうだね」
綾野「おお、これはおもしろくなりそう」
杉浦「……」
見崎「……」
恒一「赤沢さんのお弁当おいしそうだね。それもお手伝いさんが?」
赤沢「そうね。(こういう時、自分で作ったって言いたかったな……)」
赤沢「それじゃあ、お願い。……あ〜ん」
恒一「ホントにやるんだ」
赤沢「ええ。ほら、はやく」
恒一「うん……。最初は卵焼きから。はい、口あけて」
赤沢「……ん、おいしい」
恒一「そう。良かったね」
恒一「それじゃあ、次は……(なんだか、雛鳥に餌をあげてるみたいだ……。正直、可愛い……)」
赤沢(恒一君にもしてあげたかったな……)
綾野「きゃあー!これは甘いよ〜」ノゾキミ
杉浦「……泉美、嬉しそう」
恒一「ここから段差があるから気をつけて」
赤沢「ありがとう」
恒一「えっと、次の授業は……」
赤沢(あ……)ブルル
恒一「どうしたの?」
赤沢「な、なんでもないからっ」
恒一「?」
赤沢「……」ソワソワ
赤沢「あ、あの、恒一君」ソワソワ
恒一「どうかした?」
赤沢「えっと、その……」ソワソワ
恒一「なに?」
赤沢「ご、ごめんなさい」ダッシュ
恒一「え?!赤沢さん、走ったら危ないって!」
赤沢「なんでついてくるのよ〜!」
恒一「そんなこと言ったて!」
赤沢「きゃっ!!」
恒一「あっ、杉浦さん」
赤沢「多佳子なの?!」
杉浦「泉美、走ったら危ない。それに目が見えないのに一人でどうするつもりだったの?」
赤沢「それは、えーと……」
杉浦「はぁ〜、アタシが付き添うから」
恒一「えっと?」
恒一「そうだったのか。気が回らなくてごめん」
杉浦「次は気をつけて。……泉美少し待ってて」
赤沢「? ええ」
恒一「……うん」
杉浦「あと、もし、泉美を泣かせたら……許さないから」ギラン
恒一「は、はい!」ビクン
〜放課後・第2図書室〜
千曳「そうか、状況はわかったよ」
恒一「それで、過去に同じような現象はありますか?」
恒一「そんな……」
千曳「役に立てなくて申し訳ない。ただ、これが現象なら何らかの……スイッチのようなものがあるんじゃないか」
恒一「スイッチ……」
千曳「そう。今までなかったということは、逆を言えばなにか特別なことをしたということだ」
恒一「いえ、ありがとうございます」
赤沢「ありがとうございます」
〜演劇部部室〜
恒一「はあ〜、空振りか。いったいどうしたら……」
赤沢「……私、ずっとこのままなのかしら……」
恒一「赤沢さん……」
赤沢「ううっ、えぐっ……このまま、多佳子や彩、パパやママに会えないなんていやよぉ……」
赤沢「それに、恒一君の……好きな人の顔が見えないのはもっといやなのぉ……」グスグス
赤沢「こう、いちくん……。う、うわあああああんっ!」グスグス
―――――
―――
―
恒一「……落ち着いた?」
赤沢「……ええ、ありがとう」
恒一「赤沢さん、その……さっきのこと……」
恒一「うん……」
赤沢「それはね、手を繋ぐ夢」
赤沢「……1年半前にね、私はいとこを亡くしたの。その人は私のお兄ちゃんみたいなひとだった」
赤沢「だから、私はとても悲しくてずっと泣いてて。その日もね、河原で泣いていたの」
赤沢「慌てて謝りにいったら、今度は私が転んじゃって……。逆にその人に心配されちゃった。おかしな話でしょ」
赤沢「……手を差し伸べてくれたその人はやさしい笑顔をしてた。それに、握った手も温かかった」
赤沢「そしてね、その人は東京から来たって言ったの……」
恒一「それって、つまり……僕のことが……」
赤沢「やっと気付いたの。馬鹿……」
恒一「ごめん。……けど、僕はやっぱり思い出せない」
赤沢「……こういう時は嘘でも憶えてるって言いなさいよ」
赤沢「え?」
恒一「赤沢さん。やっぱり嘘は吐けない。だから、ちゃんと言うよ。僕も君のことが好きだ」
赤沢「うそ……本当に……」
恒一「本当だよ」
赤沢「こんな、今の私でも……」
恒一「構わない。ずっと一緒にいよう」
パアアアアアア
赤沢「あれ?見える……ちゃんと見える。私の眼……」
恒一「ホントに?!僕の顔見える?」
赤沢「ええ!見える。こういち……く、ぐすっ、ひっく」
赤沢「ううっ、よかったぁ、うええええんっ」
―――
―
恒一「もう平気?」
赤沢「ええ。けど、なんども泣いちゃって恥ずかしいわね//」
恒一「気にしなくていいよ。だけど、どうして急に……」
赤沢「たぶん……私達の演劇が関係しているのかも」
恒一「……そうか。確かにこの台本の内容って」
恒一「なるほど」
赤沢「……恒一君、ごめんなさい。やっぱりこんな大事に巻き込んでしまって」
恒一「謝らなくていいよ。それに被害を受けたのは赤沢さんの方だし」
恒一「もう一つ?」
赤沢「今日、無理やり登校したのは……その、見せつけたかったの……//」
赤沢「皆に恒一君は私のためにここまでしてくれるって、私のものだって……//」
赤沢「私、見崎さんに嫉妬してたのかも知れない。だから、あんなことして。ごめんなさい」
赤沢「恒一君……//」
恒一「僕もね、一つ言わなきゃいけないことがあるんだ」
恒一「さっき思い出したんだけどね」
赤沢「それって、もしかして……」
恒一「聞いてくれる――――――手を繋ぐ話」
おわり
これで赤沢さんのところへ行けます
久しぶりに赤沢さんが報われて嬉しいったらありゃしない
Entry ⇒ 2012.04.29 | Category ⇒ AnotherSS | Comments (0) | Trackbacks (0)
男「親父が小学生の女の子を家に連れ込んできた」
父「―――今日からここで住むんだ」
男(親父……?帰ってきてんのか)
少女「すてきっ!!」
男「……?!」
父「そうか。気に入ってくれてよかった」
男「おい!!親父!!」
父「おお!!な、なんだ起きてたのか……!!」
男「その子、なんだよ!!どこから攫ってきたんだ!!!」
父「この子は……その……」
少女「初めましてお兄ちゃん。今日から妹になる者です」
男「え……?」
男「妹って……」
少女「実は私、孤児で。ずっと施設で生活していたんです」
男「そ、そう」
父「な、なかよくしてやってくれ」
男「……」
少女「パパ、私の部屋は?」
父「二階にある。おい、案内してやってくれ。お前の部屋の隣にある空き部屋だ」
男「俺が?」
少女「よろしく、おにいちゃん」
男「……いいけど」
少女「やった」
少女「へー、ここが私の部屋になるんだー」
男「……ねえ」
少女「なぁに?」
男「俺、親父から君が来るなんて一切聞いてないんだけど」
少女「正式な手続きはまだみたいだから、話してなかっただけじゃない?」
男「それでも……」
少女「私がここに住むのは一ヵ月後だから。4月からはよろしくね?」
男「……」
少女「あれ?私じゃ不満?」
男「君こそ、ずっと施設にいたわりには社交的っていうか」
少女「お兄ちゃんは私に優しくしてくれるって一目でわかったから」
男「そ、そう……」
少女「いっぱい甘えさせてね、お兄ちゃん?」
少女「それじゃあ、またね」
男「う、うん」
父「じゃあ、この子を送ってくるよ」
男「親父、帰ってきたら話があるから」
父「わかってる」
男「……」
少女「お兄ちゃん」
男「なに?」
少女「だーいすきっ」
男「……」
少女「バイバーイ」
父「じゃあ、留守番頼むな」
男「なんだよ。一体……」
男「……」
父「……今日、話そうと思ってたんだ」
男「いきなりすぎるだろ!!」
父「その……すまん」
男「あの子、いつから引き取ろうと思ってたんだ?」
父「一年前ぐらいから」
男「なんでそのときに相談してくれなかったんだよ!!」
父「いや、言えなかったんだ。というか、どういえば納得してくれるかわかんなくて……」
男「あのなぁ!!そんなんだから母さんにも逃げられるんだよ!!」
父「こ、このことはちゃんと母さんにも報告してるし、大丈夫」
男「そういうことはいってない!!」
父「すまん。……でもあの子、結構可愛いだろ?」
男「……」
父「すまん……」
父「その辺りはちゃんとできてる」
男「……」
父「本当だ!!」
男「もういい」
父「嫌なら、母さんのところに引き取ってもらうことになってる」
男「……なら、それでいいじゃん」
父「で、でも、私が引き取りたいんだ!!」
男「……ロリコン」
父「おぅ!?」
男「好きにしろよ。俺は面倒みないからな」
父「も、もちろんだ。全部、私が面倒を見るし、お前にこれ以上迷惑はかけない」
男「ふん」
父「……すまん」
少女「ただいまー!!」
父「はは」
少女「えへへ。パパ、部屋にいってきてもいい?」
父「ああ、いいよ。まだ荷物の整理ができてないけどな」
少女「それなら大丈夫」
男「……」スタスタ
少女「あ、お兄ちゃん。今日からよろしくね」
男「うん……」
少女「ねえねえ、お兄ちゃん。私の部屋の整理手伝ってくれない?」
男「え?なんで?」
少女「ほらほら、はやくぅ」ギュゥゥ
男「おい……」
父「……うんうん。仲良くなってくれるとうれしいなぁ」
男「……」
少女「これは下着だから見ちゃだめだよー?」
男「見ないよ」
少女「でも、ちょっとだけなら……うふっ」
男「……」ゴソゴソ
少女「むー」
男「……ん?これは?」
少女「あ、それ、大事な人形なの」
男「随分と汚れてるけど……」
少女「えへへ。昔からずっと持ってるの」
男「ふーん」
少女「みてみてー。お兄ちゃん、私のパンツー」
男「……」
少女「……あれ?」
少女「ありがと、お兄ちゃん。お礼にお風呂、一緒にはいってあげるね」
男「……じゃあ、部屋に戻る」
少女「お兄ちゃんのお部屋みせてー」
男「なんで?」
少女「いいでしょ?」
男「いや」
少女「おねがい」
男「……」
少女「妹には優しくするべきだと思うの」
男「……妹面すんな」
少女「えー?」
男「ふん」
少女「まあ、無理やり見に行くんだけどね」トコトコ
男「あ、おい!!」
少女「ここがお兄ちゃんの部屋かー」
男「……」
少女「一人っ子って感じね」
男「なんだよ。なんか文句あるのか」
少女「ふーん……ん?この写真……」
男「もういいだろ。出て行ってくれ」
少女「やだー」
男「あのなぁ……」
少女「なに?」
男「この際、はっきり言っておくけど。俺は君の面倒なんてみない」
少女「ガビーン」
男「……」
少女「お姉ちゃん派?」
男「うるさい」
男「おい」
少女「ほーら、女の体を教えてあげるよー」チラッ
男「でてけ!!」
少女「はーい」トコトコ
男「全く……何がお姉ちゃんらしくだよ」
少女「お兄ちゃんっ」
男「ん?」
少女「あいらびゅー」
男「……」
少女「私が必要になったらいつでも呼んでね」
男「早くでてけ」
少女「うん」
男「はぁ……」
男「なんなんだ……あの子……」
男「……ん?」
少女「よっと……」ジュージュー
男「なにやってんだ?」
父「今日は娘が手料理を振舞ってくれるって」
男「料理できんのか……?」
父「ああ。施設で練習していたみたいだ」
男「……」
少女「もうちょっとでできるからねー」
父「おーぅ」
少女「パパー、ビールのおかわりいるー?」
父「いるいるー」
少女「今、もっていくねー」
男「……新しい母さんじゃないよな?」
父「ぶっ!!お、おまえ!!なんてことをいうだ!!ばかもん!!」
男「……いただきます」
父「いただきます」
少女「……」ニコニコ
男「……」モグモグ
少女「どう、お兄ちゃん?美味しい?」
男「まぁまぁ」
少女「やったー!!」
父「うまいなー。すごいじゃないか」
少女「まぁ、施設ではあまりできることがなかったから、これぐらいはね」
父「そっかー」
男「……」
少女「ん?どうかした?」
男「いや……別に」
少女「……」
父「いやー、家事もできる娘はいいなぁー」
男「悪かったな。息子で」
父「別にそういう意味で言ったわけじゃないぞ」
男「ふん……」
父「いやぁ、こうしていられるのが嬉しくてなぁ」
男「……」
父「どうした?」
男「別に」
父「……お前が気にするのも分かるが」
男「何も気にしてない」
父「……」
少女「はい。洗い物終わり。お兄ちゃん、一緒にお風呂はいろっか?」
男「一人で入れ!!」
少女「ひ、ひどい……」
男(明日の講義は……)
トントン
男「はい?」
少女「おにいちゃーん」ソーッ
男「なんだよ?」
少女「みてみてー。ランドセル」
男「……」
少女「どう?かわいい?」フリフリ
男「うんうん」
少女「見てないし」
男「もう子供は寝る時間だろ」
少女「そっかー。一緒に寝る?」
男「おやすみ」
少女「ちぇ……」
男「ん……?」
少女「お兄ちゃん、あさですよー」
男「なんだよ……?」
少女「お兄ちゃんを起こす妹。健気でかわいくなーい?」
男「……」
少女「うっふん」
男「大学、午後からだから」
少女「早起きは三文のとくだよー」ユサユサ
男「……」
少女「朝ごはんはお兄ちゃんの大好きな納豆とキノコのお味噌汁だよー?」
男「なに……?」
少女「ほらほら、早くおきて」
男「ったく……仕方ないな……」
少女「えへへ。一緒にいこーね」ギュゥゥ
少女「気をつけてね、パパ」
父「ああ」
男「いってらっしゃい」
父「お前も、頼むぞ」
男「は?」
少女「お兄ちゃん、学校まで一緒に行ってくれるんでしょ?」
男「はぁ?!」
父「すまん。言い忘れてた」
男「ふざけんな!!」
少女「いえーい。お兄ちゃんと登校だぁ」
男「な……!!」
父「案内してやってくれよ」
男「……くそ」
少女「やった」
少女「ふんふーん」
男「……」
少女「そっかー。この辺りに小学校が」
男「……そういえば、何歳になるの?」
少女「お兄ちゃんとは10歳違い」
男(てことは……6年生……か?)
少女「お兄ちゃん?」
男「なんだ?」
少女「私のこと……嫌い?」
男「嫌いっていうか……」
少女「やっぱり、妹よりお姉ちゃんのほうがよかったの……?」
男「そういう……わけじゃ……」
少女「姉側のシスコンだー」
男「だまれ!!」
男「……親父になにを聞いたかしらないけど、別になんでもない」
少女「私のこと、お姉ちゃんって呼んでもよくってよ?」
男「ただの変態じゃねーか」
少女「よくってよー」
男「じゃあな、ここでいいだろ?」
少女「あぁん。教室まできてよー」
男「なんでだよ!!」
少女「今日は私だけの父兄参観ってことで」
男「ふざけんな」ペシッ
少女「いたっ」
男「……じゃあな」
少女「うん。ありがとう、お兄ちゃん」
男「ふん……」
少女「……」
男「―――てことが春休み中にあってさ」
友「いいなー!!義理の妹、最高じゃん!!」
男「いや……なんか戸惑うだけなんだけど」
友「でも、料理もできて可愛くて……それに血が繋がってない……」
男「……」
友「くぅー!!!その妹、くれ!!」
男「親父に言え」
友「しかし、お前のことをお兄さんと呼ばなくちゃならないのか……」
男「気持ち悪いこというな」
友「俺にはクソデブの姉しかいねーから、本当に羨ましいぜぇ」
男「そっちのほうがいいじゃねーか」
友「姉なんてダメダメ。ほんとに第二の母親って感じで、萌えない」
男「しるか」
男「ただいまー」
少女「おっかえり、お兄ちゃん」
男「また、飯つくってるのか?」
少女「イエース。トンカツだよー。カツどんにしてもよし、そのままご飯と食べてもよし」
男「ふーん」
少女「あと30分ぐらいで出来上がるからね」
男「わかった」
少女「ほらほら、手洗い、うがいはちゃんとしないと、春先に風邪を引く人って意外と多いし」
男「うるさいな」
少女「ダーメ。ちゃんとすること」
男「なんでそんな上からなんだ」
少女「だって、お兄ちゃんはこういう方が好きなんでしょ?」
男「年下にされたら腹が立つ」
少女「むずかしいなぁ」
少女「パパ、はい。ビール」
父「ありがとぅ!こんな娘がもてて、私はしあわせだぁー」ギュゥゥ
少女「調子にのらないで」バシッ
父「……すまん」
男「なあ」
少女「なぁに?」
男「親父と仲がいいけど、施設で出会ったときからそんな感じなのか?」
少女「まさか。初めは誰、このハゲたおっさんは?って感じだったよ」
父「なにぃ?!」
少女「いやだって……」
父「それもそうか……」
少女「でも、話をしているうちにだんだんと仲良くなったの」
父「三ヶ月はかかったな」
男「そんなに引き取りたかったのか?」
男「そりゃあ、まぁ、世間的にはアウトだし」
少女「まぁまぁ。私はここに来れて良かったと思ってるよ?」
男「え?」
少女「お兄ちゃんに会えたから」
男「……」
父「……おかわりくれ!!」
少女「はぁーい。ちょっとまってくださいねー」パタパタ
男「親父……」
父「な、なんだ……?」
男「あいつに俺のこともベラベラ喋ったみたいだな?」
父「いや、だって……現在の家庭の様子は伝えないと、ダメだろ?」
男「そうかもしれないけど。姉ちゃんがいたことまで喋ることはないだろ」
父「何か問題でも?」
男「なんか知らないけど、姉を気取ろうとしてんだよ!!」
男「俺は……」
父「分かってる。お姉ちゃんのことをずっと引き摺っているは」
男「……」
父「すまん」
男「……ごちそうさま」
父「おい」
少女「あれ。もういらないの?」
男「……美味しかった」
少女「そっか。ありがと。また、作るね」
男「……」スタスタ
少女「どうかしたの、パパ?」
父「昔のこと思い出したんだろう」
少女「昔のこと……」
男「……姉ちゃん」
男(もう10年か……)
男(親父と買い物にでかけて……そのとき、交通事故で……)
男「はぁ……」
男(確かにシスコンかもな……)
トントン
男「はい」
少女「おにーちゃーん?」
男「なんだよ」
少女「むふふ……」
男「……?」
少女「添い寝してあげようか?」
男「いらん」
少女「まぁまぁ」
少女「今日は私がお姉ちゃんになってあげるよー」
男「……」
少女「さ、たっぷり甘えなさい」
男「いい加減にしろ。君を姉とは思えないし、妹としても認めてない」
少女「なんと……」
男「もう出て行ってくれ」
少女「そんなぁ。おにいちゃぁん。いいことしよーよ」
男「……」
少女「女の秘密、おしえて、あ げ る」
男「でてけ」
少女「じゃあ、お風呂一緒にはいる?」
男「出てけ」
少女「もう……お兄ちゃんのわからずやー」
男「お前は妹がどういうのかちゃんと勉強したほうがいい」
男「俺はそういう妹は欲しくない」
少女「姉気取りの妹がほしいんじゃないの?」
男「気持ち悪い」
少女「うそー?」
男「ホント」
少女「難しいとしごろだねー」
男「……」
少女「わかりましたー。戻ります」
男「そうしてくれ」
少女「じゃ、お兄ちゃん。だーいすき」
男「はいはい」
少女「ほんとに大好きだからー」
男「おやすみ」
少女「おやすみー」
少女「今日は休日だぞー。どこかに連れて行って欲しいなぁ?」
父「うんうん」
男「……」
少女「パパー、家族でどこかにいこー?」
父「どこがいい?」
少女「富士急」
男「……」
父「そうか。じゃあ、デパートに行こう」
少女「おー!」
父「お前も行くか?」
男「今日は用事があるから」
少女「どうせ、エッチな妄想にふけるんでしょ?」
男「おまえ……!!」
父「よさないか」
男「俺はなぁ……!!」
少女「なによぉ!!」
父「こらこら」
男「とにかく、用事があるから」
少女「嘘つきー。お兄ちゃん、用事があるなんて嘘嘘ー」
男「ぐっ……」
父「なぁ、一度ぐらいいいじゃないか」
男「……」
少女「お兄ちゃんがいかないなら、私もいかないっ!」
男「なら、行かないでいいじゃん」
少女「そういうこじゃないでしょー?」
父「午前中だけでも。な?」
男「……はぁ」
少女「やった」
父「結構、込んでるなぁ」
少女「ほんとだねぇ」
男(なにやってんだか……)
少女「お兄ちゃん、手繋いでおこうね」ギュッ
男「なんで?」
少女「迷子になったら、困るじゃない?」
男「そうだな」
少女「えへへ」
父「どこから見る?」
少女「服をみたいなー」
父「服か。よし」
少女「いえーい」
男「はぁ……」
父「そうだなぁ」
少女「最近の流行って良くわかんないけど……。似合えばいいよねー」
父「うんうん」
男「……」
男(時間かかりそうだし本屋にでもいっとくか)
男「……」スタスタ
少女「―――ねえ、お兄ちゃん、これどう思う?」
少女「って、あれ?おにーちゃん?おにーちゃーん?」
父「なんだ、どこいったんだ?」
少女「……本屋」
父「え?」
少女「ちょっと呼んでくる」
父「あ、おい」
少女「パパはそこで待ってて」
男「新刊は……」
少女「まだ名探偵コナン集めてるの?」
男「おぉ?!―――なんだ、服選びは終わったのか?」
少女「お兄ちゃん!!」
男「静かにしろよ!!」
少女「妹の服選びに協力してくれてもいいんじゃないの?」
男「……」
少女「……」
男「別にいいだろ」
少女「ホント、落ち着きがないんだから」
男「なんで出会って数日の君にそんなことを言われなきゃならないんだ!!」
少女「もういいですー!!その代わりここにいて!!」
男「はいはい」
男(……そういえば、よくわかったな。俺がここにいること)
男「まぁ、どうでもいいか」
男(お、これ面白そう)
男「……」
男(妹モノか……ちょっとなぁ……)
男「他には……」
少女「どーん」
男「おぉ?!」
少女「買ったよ。早く、いこ。パパも待ってるし」
男「あ、ああ」
少女「全く」
男「お前、なんでそんな姉気取りなんだよ」
少女「お兄ちゃんは姉萌え」
男「違う」
少女「うそだー」
少女「どれにするー?」
父「そうだなぁー」
男「……」
少女「ねえねえ、お兄ちゃんはどれにするー?」
男「なんでもいいけど」
少女「またまたー。ブロッコリーが嫌いなくせに」
男「もう食える!!」
少女「あ、そうなの?」
父「マジか」
男「それぐらい伝えとけよ!!」
父「いやー。そんなの知らんし」
男「全く」
少女「へー。食べられるようになったんだ、すごいねー」
男「上から目線やめろ」
父「じゃあ、帰るか」
少女「お手洗いはいいの?」
男「別にいい」
少女「そっか。でも、途中で行きたいっていってもしらないよー?」
男「……やめろ」
少女「なに?」
男「いい加減にしろ」
少女「え?」
父「おい」
男「姉ちゃんは10年前に死んだ。俺はそのときに割り切ったんだ」
少女「……」
男「これ以上、姉を気取るなら本当に怒る」
少女「……ごめんなさい」
父「おい、やめないか」
男「……」
男(本当に姉ちゃんみたいなこといいやがって……)
男(親父も細かいことまで伝えすぎだろ……)
トントン
男「はい?」
少女「おにーちゃん?」
男「なんだよ」
少女「あの、今までごめんね」
男「……」
少女「よかれと思って……」
男「余計な気遣いだからいいよ」
少女「こ、これからちゃんと妹らしく振舞うから!!」
男「……うん」
少女「……それじゃあ、またね」
少女「おにいちゃーん、たべさせてー」スリスリ
男「自分で食えるだろ」
少女「あーん」
男「……」
父「パパがたべさせてあげるよー。ほーら」
少女「……さがってろ」
父「……すまん」
少女「おにいちゃぁん……あーん」
男「……」
少女「じゃあ、私が食べさせてあげるね?はい、あーん」
男「それが君のいう妹らしさか」
少女「可愛いでしょ?うっふん」
男「鬱陶しい」
少女「えぇ……!?」
少女「うぅ……」
父「……」
男「普通にしてろよ」
少女「それじゃあ……また、怒られそうで……」
男「え?」
少女「なんでもない」
父「ふむ……」
男「なんだよ?」
父「やっぱり、このまま黙っていてもギクシャクするだけだな」
少女「パパ!!」
男「は?」
父「やっぱり無理があったんだよ」
少女「でも……!!」
男「何の話だよ?」
男「なんだよ」
少女「パパ……」
父「信じられない話だと思うが……実は……この子……」
男「……」
父「お前の姉だ」
男「……は?」
父「お前はきっと混乱するだけだろうから、黙っていようって思っていたんだが」
男「何言ってんだ?」
少女「……」
男「親父、頭でも打ったのか?」
父「本当だ。この子は10年前に交通事故にあった、お前の姉だ」
男「いやいや」
父「……本当だからな」
男「どうしたんだよ?酔ったのか?」
男「おい」
父「と思われた」
男「え?」
父「実は生きていたんだ。意識が戻らないと診断されたがな」
男「……」
父「そのとき、医者は脳移植を薦めてきた」
男「脳移植……?」
少女「……」
男「それって……」
父「そして手術を行った……。しかし、失敗だった。そこでお前の姉は本当に死んだ」
男「まてよ!あの時、葬式だってしたし!!火葬もしたぞ?!」
少女「もう一度、脳移植をしたの」
男「は?」
父「医者は娘の脳だけを冷凍保存していた。10年後なら脳死者の脳を蘇らせることもできるかもしれないと思ったらしい」
父「私も最初は医者を問いただした。向こうは医学進歩のために協力してほしいといってきたんだ」
男「じゃあ、姉ちゃんの脳だけが別の場所にあったのか?」
父「そういうことだ」
男「……で、最近になって移植したのか」
父「一年前、実験のために娘の脳を使ったらしい。脳死した少女にな」
少女「で、見事に蘇ったの」
男「……」
父「そして少女が目を覚ますと、生前の記憶を持っていた。私の娘のだが」
男「よくわかんないけど」
父「私も良く分からない」
少女「つまり、えっと……別の子の体だけど、私はあなたのお姉ちゃんなの」
男「10年前のままか?」
少女「そのつもり。自分の状況を把握するのにすごく時間がかかったけど」
男「いやいや。なんの冗談だよ」
少女「信じられないと思うけど」
男「……」
父「というわけで、これから仲良く……」
男「そんなこと信じられるわけないだろ」
父「だが、現実にこうして」
男「だけど……」
父「本当のことだ……」
男「な……」
少女「……」
男「部屋に戻る……」
父「だが、これでどうして私がこの子を引き取りたかった分かってくれたはずだ」
男「……」
少女「あの……」
男「一人してくれ」
男「脳死……移植……」カタカタ
男(人格が変わることがある……?記憶が引き継がれる……?)
男(全部、オカルトじゃないか)
男(脳移植してそんなことありえないだろ)
男「……」
男(でも、確かに俺の好きな物を知っていたり、嫌いな物まで……)
男(じゃあ……そうなのか……?)
男(あれが姉ちゃん……?)
男「……そんなバカな、こと」
男「……」
男「……よし」
男(確かめよう)
男「……」トントン
少女「はーい?」ガチャ
男「ちょっと、いいか?」
少女「いいよ」
男「……」
少女「なに?」
男「君は本当に姉なのか?」
少女「うん」
男「俺が小学1年のとき、姉ちゃんといった夏祭りで買ったものは?」
少女「えーと、たこやき……たこやき……たこやき。なんかたこやきばっかり買ってたね」
男「……じゃあ、初めて姉ちゃんと遊んだテレビゲームは?」
少女「ドカポン。それでケンカして一週間ぐらい口きかなかったね」
男「最後に二人でお風呂に入ったのはいつ?」
少女「私が死ぬ前日まで」
少女「信じられた?」
男「……本当、なんだな?」
少女「うん」
男「ごめん。全然信じられない」
少女「だろうね。私も全然信じられなかったよ」
男「姉ちゃん……」
少女「大きくなったね……」
男「……」
少女「さぁ、胸に飛び込んできていいよ?」
男「それは……遠慮しとく」
少女「そっか」
男「なぁ……辛くないの?」
少女「でも、体が変わっただけで。年齢はほぼ一緒だし。まぁ、若干若返ったけど」
男「……」
男「まぁ」
少女「でも、これからはこの姉であり妹でもある私がいるから寂しくないよ」
男「そうだな」
少女「ふふ……お兄ちゃんって呼んだほうがいい?それとも……」
男「呼びやすいほうでいい」
少女「じゃあ、お兄ちゃんにしとくね」
男「……」
少女「あ、気持ち悪いって思ったでしょー?」
男「いや、まぁ……別に」
少女「お姉ちゃんにお兄ちゃんって呼んでもらえるなんて、あんたぐらいじゃないかなー?このこのー」
男「うぜえ……」
男(でも……なんだ……?)
男(どうしても信じられない……)
男(姉ちゃんは……)
男「いや、なんでもない。じゃあ、俺はそろそろ戻る」
少女「まってよー。もっと昔のことを話そうよー」
男「昔のことって」
少女「ほらほら、あんたが小学校三年生のとき怖い映画みてオネショしちゃったときとかー」
男「おい!!それやめろよ!!」
少女「ぷふふ。恥ずかしいよねー」
男「姉ちゃんだって、小学校にあがるまでオネショしてたんだろ!!」
少女「ぶふっ!?」
男「それぐらいは知ってるからな」
少女「わすれろー!!」
男「……あと、俺の漫画全部捨てたときもあったよな」
少女「まー、あれはあんたが全部悪いんだけどね」
男「そうだっけ?」
少女「そうだよー」
男「……」
男「……」トゥルルル
『はい、もしもし?』
男「母さん?」
『あら、どうしたの?』
男「親父から、孤児を引き取った話知ってるよな?」
『勿論。それがどうかしたの?』
男「その孤児が姉ちゃんの人格だって話は聞いてる?」
『ええ。それも聞いたわ』
男「それ、本当の話なのか?」
『どういうこと?』
男「俺、その話が全然信じられないんだけど……」
『私もその子と話して色々なことを聞いたけど、全部知ってたわよ?』
男「……」
父「それじゃあ、行ってくるよ」
少女「行ってらっしゃい、パパー」
父「行ってきます」ニヨニヨ
少女「うふふ」
男「……」
少女「どうしたの?おかわりいる?」
男「姉ちゃん」
少女「なぁに?」
男「……ごめん。なんでもない」
少女「なにー?気持ち悪いなぁー」
男「……それじゃあ、大学に行ってくる」
少女「一緒に出ようよ」
男「今日は朝一であるから」
少女「そっか。うん、行ってらっしゃい」
友「義妹ちゃんとはよろしくやってるのかぁ!?」
男「……なぁ」
友「なんだ?」
男「人間って他人に成りすますことができるもんか?」
友「はぁ?」
男「どうおもう?」
友「なんだよ、突然?」
男「例えば。俺がお前に成りすまして、お前の姉にバレないように生活ができると思うか?」
友「顔でわかるだろ」
男「顔とか関係ない。記憶をそっくりもらっていたら、できるとおもうか?」
友「そりゃ、俺と姉しか知らないことまで知ってるならできるんじゃないか?」
男「親も騙せると思うか?」
友「お前……どうしたんだ?」
男「はっきりいって、気持ち悪い」
男「妹が」
友「ブサイクなの?」
男「いや。可愛い」
友「じゃあ、なんで」
男「俺の知らないことまで知ってる」
友「はい?」
男「漫画を捨てられた記憶にないのに、妹は知っていた」
友「なにいってんの?」
男「わかんねえ」
友「なんだよー?怖いぞ、お前」
男「俺だって怖い」
友「ちょっと、落ち着けよ。詳しい話聞かせてくれ」
男「実は―――」
男「そう」
友「……いやー。それは信じられないな」
男「だろ?」
友「そもそも、その医者もおかしい。百歩譲って脳を冷凍保存しようとしたにしろ、そんなもん親父さんに一報入れるだろ」
男「……」
友「それにそんな女の子が目を覚ましたら、ニュースになるはずだ。医学会が公に発表しない理由がないし」
男「そうだな」
友「マスコミだってそんな話きいたら取材するだろうし」
男「じゃあ……あいつ、誰だ?」
友「姉の記憶があるけど、別人なんじゃないの?」
男「それって赤の他人ってことか?」
友「少なくともお前の亡くなった姉ではないんじゃないと思うけど、俺は」
男「なんだよ……それ……」
友「親父さんに詳しい話を聞いたほうがよくないか?」
少女「よっと。じゃあ、お風呂に入ってこようかな」
父「一緒に―――」
少女「あ?」
父「すまん……」
少女「ふんふーん」トコトコ
父「娘は反抗期か……」
男「親父」
父「ん?」
男「あの子、本当に姉ちゃんなのか?」
父「勿論だ。どうしてそんな嘘を吐く必要がある?」
男「脳移植って本当にしたのか?」
父「え?」
男「親父、やっぱり信じられない。あの子は姉ちゃんじゃない気がする」
父「なにを……」
父「そりゃ、お前はお姉ちゃんっ子だったからな。私が心配するぐらいに」
男「だからさ、姉ちゃんのことならなんでも知っているつもりなんだ」
父「……」
男「仕草も口調も遊び道具も」
父「それがどうした?」
男「殆ど一緒だけど違和感がある」
父「違和感なんて……」
男「親父も色々、アイツに質問したんだよな?」
父「そりゃあする。本当に自分の娘なのか確かめるためにな」
男「親父と姉ちゃんしか知らないことも知ってたか?」
父「ああ。昔、運動会で二人三脚することになってこっそり二人だけで練習したこともしっていた」
男「……なあ、親父。ちょっとアイツに聞いて欲しいことがあるんだけど」
父「なにをだ?」
男「誰も経験したことがないこと」
男「だって」
父「母さんも一緒に確認したんだ。間違いようがないだろう」
男「でも!!昔のことを覚えすぎてるし!!」
父「おい」
男「……悪い」
父「どうしたんだ?」
男「部屋に戻る」
父「分かった」
男「……」
男(そうだな。考えてみれば、こんな嘘をつく理由がない)
男(いくらなんでも考えすぎだよな)
男「……」
男「はぁ……」
男「……」ガチャ
男(最低だとは思うけど)
男(アイツの私物になにか……)ゴソゴソ
男(いや。昔の物なんて殆ど捨てられてるよな)
男(引越しもしたし、思い出の品なんて……)
男「……あ」
男「この人形……」
男「そうだ。これ……なんだ?」
男「姉ちゃん、こんなの持ってなかっただろ……」
男「この汚れた人形……親父に見せてみれば―――」
ガチャ
男「……!!」
少女「なにしてるの?」
男「え……と……」
男「……姉ちゃん、この人形いつからもってた?」
少女「さぁ?それ、ずっと前から持ってたから」
男「俺、こんなの見たことないぞ」
少女「……それは、あれだよ。あんたに見せたことがないだけで」
男「あんなにずっと一緒にいて、見たことがない姉ちゃん私物なんて……」
少女「返して」
男「お前、誰だ?」
少女「は?私はあんたの姉で、この家の長女だって」
男「脳移植されて、そんな体になってるんだよな?」
少女「そうだよ?まだ信じてないの?」
男「正直」
少女「じゃあ、なんでも質問して。あんたと私にしかわからないことも覚えてるから」
男「教えてもらったの間違いじゃないよな?」
少女「……誰に?」
少女「誰に教えてもらったっていうの?」
男「わから……ない、けど」
少女「……」
男「とにかく、お前は姉ちゃんじゃない……」
少女「まだいうの、お兄ちゃん?」
男「だって……」
少女「あんたが5歳のとき、初めて食べたポテトチップスはうすしお味で、その味にびっくりしておもしろい顔になってたね」
男「……」
少女「あんたが6歳のとき、初めてランドセルをみて、頭を中に突っ込んでたね」
男「知らない。なんだそれ」
少女「それはあんたが覚えてないだけだって。私は覚えてるよ?」
男「……」
少女「お兄ちゃん?顔が怖いよ?」
男「勝手に入って悪かった。部屋に戻るよ……」
男(誰だ……アイツ……)
男(姉ちゃんじゃない……絶対に違う……)
男(そうだ……!!)
男「……」トゥルル
『もしもし?』
男「母さん!!」
『どうかしたの?』
男「病院とか覚えてるか?」
『病院?』
男「姉ちゃんが手術したって病院」
『県立病院だけど』
男「なんて先生が執刀したんだ?」
『えっと……確か……』
男「そうだ……思い出してきた」
男(あのとき母さんに連れられてあの県立病院にいった)
男(俺は脳移植なんて話は一切聞かなかった)
男(当時は姉ちゃんが亡くなったことがショックで他のことにまで気が回らなかったけど……今は違う)
男(親父……脳移植手術なんていつしたんだよ……)
男「いた……!!こいつか……」
男「脳医学の権威……?」
男「10年前とは立場が違うのか……?」
男「こいつに話を聞かないと」
男「でも、簡単に会えるかな?」
男「……」
男「とにかく会ってみないとわからないな」
男(俺の姉ちゃんはどこにいったんだよ……)
男「で、どうにかしてその医者と会えないかなって」
友「アポとれば?」
男「電話したら、いける?」
友「とりあえずやってみろよ」
男「そうだな……」
友「……」
男「バイト面接の電話より緊張する」
友「へたれめ」
男「……」ピッ
男「……」トゥルルル
友「……」
男「もしもし、あの。是非、お会いしたい人がいるんですけど」
友「……」
男「……」
トントン
男「は、はい?」
少女「お兄ちゃん、ご飯できたよ」
男「ああ、今行く」
少女「……どうかした?」
男「え?」
少女「昨日から変だよ?」
男「別になにも」
少女「私はここの長女で、貴方の姉」
男「……」
少女「それは事実だから」
男「分かってるよ」
少女「……」
男「はぁー……」
友「なんで俺まで」
男「暇だったろ?」
友「別にいいけど」
看護師「お待たせしました。こちらにどうぞ」
男「あ、はい」
友「美人だなぁー」
男「はいはい」
看護師「こちらの部屋でお待ちください」
男「わかりました」
友「ありがとうございます」
看護師「それでは、失礼します」
男「どんな奴だろう……」
友「女医さんなんだろ?美人かなー?」
男「あ、どうも」
友「(すっげー、美人)」
男「(だまれ)」
女医「……それでお話とは?」
男「あの一年前に脳移植手術された経験がありますよね?県立病院で」
女医「ええ。私の初めての脳移植だったから」
男「俺の姉でした」
女医「なるほど。でも、あれは手術ミスではありません」
男「それは分かってます。問題はそのあとです」
女医「……」
男「最近、俺の姉が蘇りました。どういうことでしょうか?」
女医「脳移植したら、不思議な現象がおこった。それだけ」
友「でも、そんなのオカルトじゃあ」
女医「人体のことは殆ど分かっていない。まだまだ謎があるのです。という答えではダメですか?」
女医「体は別物だけど、中身は貴方のお姉さん。確かに最初は困惑されるでしょうが……」
友「あの!」
女医「なんですか?」
友「どうしてそのことを公に発表しないんですか?」
女医「プライバシー保護のためです」
友「違います」
女医「え?」
友「冷凍保存した脳を移植したら意識が戻ったってところです」
女医「だから……」
友「それってすごいことだと思うんですよ。でも、ニュースにもなってないし、BMJとかランセットにも記載されてませんでした」
男「なんだそれ?」
友「医学雑誌」
女医「日本での施術なのでそういった雑誌には載りません」
友「そんなわけないでしょうに」
友「医学会では発表できないことをしたんじゃないですか?」
女医「そろそろ診察が始まりますので、これで」
男「待ってください!!今、俺の家に姉ちゃんの記憶を持ってるのかどうかよくわからない奴がいるんです!!」
女医「……」
男「そいつが誰なのか教えてください」
女医「貴方のお姉さん」
男「そんなわけ!!」
女医「では、訊ねます。貴方の両親に来てもらい、いくつかの記憶がきちんと共有できているか確認してもらいました」
男「それは、教えただけじゃ」
女医「誰が?どのようにして?」
男「それは……」
女医「それでは失礼します」
男「……くそ」
友「……」
男「はぁ……もうなんだよ……」
友「なぁ?」
男「なんだ?」
友「お前も良く知らない記憶まで持ってるんだよな、義妹さん」
男「そう」
友「でも、カマをかけたら記憶にないことも「ある」って言ったんだよな」
男「漫画を全部捨てられた経験なんてないからな」
友「姉の記憶をそっくり貰ってたら、そんなこと言わないよな?」
男「そうだろうな。姉ちゃんの記憶をそのまま持ってるなら、そんなの記憶にないって言うだろうし」
友「……あとお前の見たことのない人形を持ってたんだよな?」
男「ああ。あれだけは見た事がなかった。しかも姉ちゃんが大事にしてたやつなら、絶対に見てる」
友「……」
男「誰なんだ……あいつ……」
友「思ったんだけど。義妹さんを姉か別人かで考えるから混乱するんじゃないか?」
友「例えばだけど、義妹さんには二種類以上の人格があるとか」
男「は?」
友「例えばな。例えば。俺とお前が合体したとするだろ?」
男「気持ち悪いぞ」
友「まあ、聞けよ。で、体は全くの別人になった。その状態で、どちらかの家族にあう」
男「……」
友「家族は本人確認のために思い出を共有できているか訊ねる」
男「……それって」
友「どっちの記憶も持ってるから家族は本人だって思う、だろ?」
男「そんなの本人が一番混乱するだろ」
友「そういう可能性もあるんじゃないかなーって、思っただけ」
男(いや……実際、混乱してたのか……?親父の顔を最初は思い出せなかったみたいだし……)
友「あの女医さんがなんかしたのは間違いないと思うけどなぁ」
男「……」
友「俺も気になるからちょっと女医さんのこと調べてみる」
男「いいのか?」
友「なんか面白いじゃん」
男「お前がいてくれて助かった」
友「なんのなんの」
男「でも、これからどうしたらいいと思う?」
友「そうだなぁ。義妹さんに色々聞いてみたらどうだ?」
男「色々?」
友「どんどん記憶にあることないことぶつけてみろ。なんか分かってくるかもしれない」
男「分かった」
友「じゃあな」
男「ありがとう」
男(色々か……)
男「……」トントン
少女「はーい?」ガチャ
男「よう」
少女「どうしたの?お兄ちゃん?」
男「少し話そうかなーって」
少女「私は貴方の姉で、ここの長女だよ……?」
男「それは分かってる」
少女「ほんとに?」
男「うん」
少女「ならいいけど」
男(色々……よし)
男「姉さん、俺が卒園するときどんな服着てたか覚えてる?」
少女「確か、紺色のスーツに赤いネクタイをしてたかな」
男「はは……よく覚えてるなぁ」
男「じゃあ、そのあとお寿司を食べに行ったよな?」
少女「えっと、行った行った」
男「なに食べたっけ?」
少女「たまごとエビと……」
男「あれ、マクドナルドだっけ?」
少女「え?えっと……ううん、お寿司であってる」
男「そっか」
少女「でも、マクドナルドも美味しかったよね」
男「……ああ。うん」
少女「えへへ。またいこっか?」
男「うん、行きたいな。そういえばデパートの屋上とかも小さいときはよく連れて行ってもらったよな」
少女「うん。そこでよくたこやき食べたよね」
男「……え?姉ちゃん、何言ってんだ?たこやきは夏祭りに買っただけで、デパートではいつもソフトクリームだっただろ?」
少女「え?そ、そうだっけ?ううん……でも、確か……いつもたこやき食べてたよ……?」
少女「ちょっと待って。確かにソフトクリームも食べてたよ……?でも、貴方とはいつもたこやきだった」
男「……そっか」
少女「もう。びっくりさせないで」
男「……じゃあ、そのあと観覧車に乗ったのも勿論覚えてるよな?」
少女「貴方と観覧車……?」
男「うん」
少女「乗った……」
男「誰と?」
少女「誰って……」
男「誰と乗ったの?あのデパート観覧車も屋上にお店もないけど」
少女「は!?」
男「この前、一緒にデパートいったとき確認しなかったの?」
少女「ま、まって……記憶が混乱してるみたい」
男「そう……」
男「姉ちゃん、いっぱいしてるな。でも、俺はそんなにしてない」
少女「私は貴方の姉で、ここの長女でしょ?」
男「……姉ちゃん、もしかしてそれ……」
少女「そうでしょ?」
男「俺に言ってたんじゃなくて、自分に言い聞かせてたのか……?」
少女「貴方とは毎日お風呂に入ってた」
男「うん」
少女「初めて遊んだゲームはドカポン……」
男「うん」
少女「あれ……ドンキーコングでも遊んだよね?」
男「それは知らない」
少女「私はここの長女。パパの顔も知ってる。ママの顔も知ってる。貴方の顔も知ってる……」
男「姉ちゃん」
少女「私は貴方の姉……お姉ちゃんなんだから……」
男「おい……」
少女「ううん。私、私は私……。ここの長女で姉……そう……」
男「大丈夫か?」
少女「お姉ちゃんの長女……末っ子じゃない……私にお兄ちゃんなんていない……」
男「あ……」
少女「ううん。お兄ちゃんはいた……いたから、弟の貴方にも抵抗なくお兄ちゃんって呼べた」
男「……」
少女「あれ……あれれ……?なに……なんで……こんなにいっぱい、思い出があるんだろう……?」
男「あの……」
少女「おにいちゃん……私……おねえちゃんだよね……?」
男「それは……分からない……」
少女「えぇ……?なんで……?私のお兄ちゃんのくせに……弟のくせに……」
男「えっと……」
少女「ごめんなさい……もう寝るから……出て行って……」
少女「……ほんと?」
男「俺との思い出とか親父の思い出、いっぱいあるんだろ?」
少女「あるよ……あるよ……」
男「なら、俺の姉ちゃんだ」
少女「そっか……そうだよね……うん……」
男「おやすみ」
少女「おやすみ、お兄ちゃん」
男「……」
男(やっぱり姉ちゃんじゃない)
男(それどころか一人の人間でもないぞ)
男(これ、親父に言うべきか……?)
男(……いや、ダメだ。問い詰ることになったら、大変なことになる)
男「……」
男(俺もあの女医のこと調べてみよう……)
男「……」カタカタ
ピリリリ
男「もしもし?」
友『よう。なんか進展あったか?』
男「とりあえず姉ちゃんじゃないことははっきりした」
友『問い詰めたのか?』
男「おかげでパニックになった」
友『やっぱり』
男「なんかわかったのか?」
友『あの女医。そうとうマッドみたいだ』
男「え?」
友『まず、あの人の卒論がエグい』
男「なにをテーマにしたんだ?」
友『二種類以上の記憶野接合で発生する人体への影響について、だ』
友『勿論、問題になってこれは研究テーマとしては認められなかったみたいだ』
男「いや、なんだよ、そのテーマ」
友『要は脳移植じゃなくて、脳の結合を試みたんだろうな』
男「脳の結合!?」
友『お前、見たことないか?頭がくっついて生まれた双子とか』
男「ある」
友『弟が握ったものを兄が感じとったり、兄が見たものを弟が記憶したりしてるらしい』
男「それで?」
友『あの女医さんはそんな脳を人工的に作ろうとしたかったみたいだ。幾人もの脳を一つにしたら、様々な知識や経験が一気に手に入るかもしれないからな』
男「じゃあ、今うちにいるのは……」
友『そのプロトタイプかもしれない』
男「……」
友『一時期、脳死者の脳をかき集めてたらしいし、間違いないと思う』
男「なんだよ……それ……」
男「これからどうすればいいんだ……?」
友『そうだよな。義妹さんが何なのか分かったところで、どうしようもないよな』
男「……もう一回、話にいこう」
友『え?』
男「とにかく、このことを話そう」
友『否定されて終わるぞ』
男「でも……」
友『なら、義妹さんも連れて行ったらどうだ?もうパニック障害みたいなの起こってるんだろ?』
男「ああ」
友『アンタの実験は失敗だーって言うしかないかもな』
男「一緒に行ってくれるか?」
友『じゃあ、義妹さん紹介してくれ』
男「化け物なのに?」
友『可愛いは正義なんだぜ』
少女「お兄ちゃん、今日はどこ行くの?」
男「ちょっとな」
少女「ふーん」
男(変に刺激しなけりゃ、普通だ。きっと姉ちゃんの記憶を引っ張り出して自我を保ってるんだろうな)
友「おーい」
男「おそいぞ」
友「悪い悪い。―――こんにちは、噂をきいてるよ」
少女「だ、だれ……?」
男「俺の友達。いい奴だけど、近づいちゃダメだ」
少女「わ、わかった……」
友「ひでー」
男「……行くか」
友「おう」
少女「……?」
看護師「では、こちらでお待ちください」
男「はい」
少女「ねえ、ここ……」
男「覚えてるのか?」
少女「うん……私、ずっとここにいたから」
友「そっか。一年ぐらいいたんだっけ?」
少女「うん。多分」
友「なんかされた?」
少女「良く覚えてない」
男「覚えてないほうがいいと思う」
友「だな」
少女「なんの話?」
女医「―――お待たせしました」
男「こんにちは」
女医「……何か?」
男「この子に見覚えはありますよね?」
女医「当然です。私が脳移植を―――」
男「違う」
女医「……」
友「卒論、読みました。すごいですね」
女医「貴方、医学生だったのですか?」
友「いえ。普通に文系です」
女医「じゃあ、理解なんてできなかったのでは?」
友「いやー、貴女の卒論はすごいですよ。だって、医学とか全然しらない俺でも、アンタの脳がいかれるのは理解できましたから」
女医「……私の崇高な研究を三流大学生が読み解けるわけありません」
男「読み解けなくてもいい。あんたは異常。それが分かれば十分だ」
女医「……」
少女「お兄ちゃん……?」
男「俺の姉ちゃんの脳だけじゃなくて、何人の脳を弄ったんだ?」
女医「モルモットの死骸をいちいち数える研究員がいると思いますか?」
男「……!!!」ガタッ
友「おい!!」
少女「え……?え……?」
友「……貴女、脳の結合の研究ずっと続けてきたんですか?」
女医「小学生のときに思いついたことだから、もう30年近いかもしれません」
男「なんでこんなことができるんだ……?」
女医「人間は脳を全て使うことができない」
男「は?」
女医「体重のたった2%の重さしかない脳を人間は殆ど使うことができない。本来なら一瞬だけ見たものでも長期記憶として保持できるのに」
友「……」
女医「私はどうしたら100%脳を使えるか、考えました。そして行き着いた結果が、脳の結合なのです」
少女「先生……?」
女医「なら、その人たちの脳のいいところを結合してしまえば、完璧な脳が出来上がりますよね?」
男「アンタ……」
友「じゃあ……記憶野だけを結合させたわけじゃないんですか?」
女医「それはただの通過点にすぎませんでした。文字通り、全ての脳を結合してこそ私の研究は完成する」
女医「彼女には記念すべき1作目の脳を提供したに過ぎません。記憶野が発達したのも、研究途中での副産物です」
少女「ど、どういうことですか……?」
女医「貴女は完璧な人間というわけです」
友「完璧って……」
女医「記憶にすぐれ、思考力も、インパルスも……全部、人間の頂点です」
男「お前……」
友「この子は誰なんですか?被験者ってことですか?」
女医「この子の肉体は孤児でした。私は結婚もしているので簡単に養子縁組が成立しました」
男「な……!?」
友「養子を弄ったのか……?」
男「親父か……!!」
友「なんのためにコイツの親父さんを?」
女医「貴方のお姉さんの記憶が一番強かったのですよ。主人格といってもいいかもしれません」
少女「先生……なにを……?」
女医「だから貴方の親御さんに引き取ってもらいました。結合した脳はちゃんと機能し、意識まで保っていたのですから」
男「……」
女医「しかし、ここまで貴方が来たということは違和感を覚えたのでしょうね」
男「ああ……」
女医「所詮は試作品でしたか。そのうちボロがでるとは思っていました」
友「アンタなぁ……」
女医「それで、用件はなんでしょうか?その子を引き取って欲しいという相談でしょうか?」
男「……」
友「……」
少女「なに……なんなの……?おにいちゃん……どういうこと……?」
女医「え?元に?冗談でしょう?」
男「おまえ!!」グッ
女医「くっ……!」
友「やめろ!!」
少女「やめてお兄ちゃん!!」
男「元に戻せ。この子を元に戻せよ!!」
女医「ふっ。これだから文系は。偉大な進歩を倫理観だけで排斥しようとするんですね」
男「なんだと……!!」
女医「彼女は人類の可能性。進化した人間。新人類」
友「……」
少女「せんせい……」
女医「私ならきっとヒトを導ける。そう。進化という希望に」
男「……アンタの奇天烈な文言はどうでもいい。とにかくこの子を元に戻せ」
女医「いいのですか?お姉さんが完全にこの世から死んでしまうということですよ?」
男「……っ」
女医「そんなこと無理ですよね?だって、彼女は間違いなく貴方の姉でもあるのですから」
友「それは……」
女医「それに彼女を元に戻すことは不可能です。―――だって、その子の脳どこかにいっちゃいましたから」
男「……!!」ガタッ
女医「……?!」
友「やめろって」ガシッ
男「離せ……」
友「義妹さんが泣きそうだぞ?」
少女「おにい、ちゃん……」
女医「もういいですか?診察の時間ですので」
友「待ってください。―――ふざけんな!!」ドガッ!
女医「ぎっ……!??」
男「お前……!?」
女医「だ、だれかー!!たすけてー!!!」
男「おい!!やばいって!!」
少女「うぅ……」
友「元に戻せよ……!!」
女医「だれかー!!!」
看護師「ど、どうされ―――ひっ!?」
女医「警備員を!!あと警察!!」
看護師「は、はい!!」
男「おい!!逃げるぞ!!」
友「元に戻せ」
女医「だ、だから……もう脳が―――」
友「このやろ!!」ドガッ!
女医「ぐっ!?」
警備員「―――やめろ!!!」
友「はなせ!!くそがぁ!!」
女医「はぁ……はぁ……」
男「……」
少女「お、おにいちゃん……」
男「……帰ったら全部話す」
少女「え……?」
男「……」スタスタ
女医「な……!?」
警備員「君……!?」
男「元に戻せよ!!」ドガッ!!
女医「ぎゃぁ!?」
男「このやろう!!!」
少女「お兄ちゃん!!やめてー!!!」
警備員「取り押さえろ!!はやく!!」
警官「―――それであの女医さんを殴ったの?」
男「そうです」
警官「……」
男「俺、反省はしてません」
警官「立派な傷害罪だけど」
男「はい」
警官「……君のお友達も同じ事をいっているそうだ」
男「だと思います」
警官「どうしたいの?」
男「裁判してください」
警官「そりゃなるだろうけど」
男「そこで今、話したこと全部いいます。それでどうなるか分からないけど、誰かに知って欲しいから」
警官「……そう」
男「お願いします」
男「ただいま」
父「……」
男「親父、ごめん」
父「おかえり」
男「姉ちゃんは?」
父「もう寝た」
男「話したい事があるんだ」
父「なんでも聞く」
男「怒らないのか?」
父「話をきいてから決める」
男「あっそ」
父「とりあえず風呂はいってこい」
男「うん」
男「……」
父「その話、どうするんだ?」
男「とりあえず俺の友達が色んなところにリークしてみるって」
父「それであの医者を追放できても」
男「うん。何の意味もないだろうな」
父「どうするんだ?」
男「どうしたらいい?」
父「私に聞くな」
男「そうだよなぁ」
父「お前はあの子をどうしたい?」
男「……」
父「このままでいいのか?」
男「とりあえず、妹の寝顔でもみてくる」
父「そうか」
男「……」
少女「……おにいちゃん?」
男「ただいま」
少女「おかえり」
男「……今から全部話す」
少女「うん」
男「……でも、先にこれだけは言っとくな。君は俺の姉であり、妹だ」
少女「そうなの……?」
男「ああ。それは間違いない」
少女「そっか……よかった……」
男「……」
少女「最近、もしかしたら私はお兄ちゃんのお姉ちゃんじゃないかもって思ってて……」
男「そんなことない」
少女「ありがとう……」
男「じゃあ、行って来る」
少女「お兄ちゃん……」
男「すぐ戻ってくるから」
少女「私は……」
男「俺の妹で姉」
少女「……」
男「それさえ分かってればいいから」
少女「うん」
父「いくぞ」
男「おう」
少女「お兄ちゃん!!」
男「ん?」
少女「大好きだから!!」
男「俺も」
『すいません。非人道的な研究を長年続けていたことに対して何か』
女医『何もありません』
『例の裁判で貴女の研究が公にされて医学会では―――』
男「おはよう」
父「おはよう」
男「またこのニュースか」
父「無断で脳死者から脳を摘出していたこともあったらしいからな」
男「いい薬だ」
父「じゃあ、そろそろ行って来る」
男「行ってらっしゃい」
『数多くの人命を奪ったことに対してなにか』
女医『私は人間の進化のために―――』
男「俺もそろそろ行くかな」
友「よっ」
男「謹慎やっととけたな」
友「ま、あれだけのことして退学にならなかったのはラッキーだな」
男「まぁな」
友「で、義妹さんは?」
男「まだ」
友「また、弄くられてるんじゃないだろうな?」
男「しばらく入院して様子を見るってだけだし。俺、毎日見舞いにいってるけど、変わった様子はねえよ」
友「本当か?」
男「ただ、一個だけ。脳への負担が大きいらしい。長くは生きられないだろうって」
友「また脳移植するのか?」
男「いいや。それは多分、アイツが一番嫌がるだろうし」
友「俺たちのやったこと意味あったのか?」
男「あの女医の研究が潰せただけでも意味はあったんじゃないか?」
男「よー」
少女「お兄ちゃん」
男「もうすぐ退院できるんだってな」
少女「うん」
男「よかったな」
少女「またお兄ちゃんと一緒に過ごせるね」
男「俺も姉ちゃんがいないと寂しいな」
少女「もう、甘えん坊なんだから」
男「帰ったら何する?」
少女「たこやき一緒に食べたいな」
男「それいいな」
少女「うん。あの夏祭りで食べたたこやき、美味しかったもんね」
男「そうだね、姉ちゃん」
少女「えへへ」
男「どうした?」
少女「一緒に観覧車に乗ったの、私のお兄ちゃんだった」
男「……」
少女「とっても背が高くて……大好きだった」
男「また乗りたい?」
少女「お兄ちゃんと乗りたいな」
男「観覧車も乗ろうな」
少女「うん……。あとね」
男「なんだ?」
少女「あの人形……。私がお母さんにもらったやつみたい」
男「お母さん?」
少女「うん……。一緒にいれないからって、あれをくれたの」
男「そうなんだ。姉ちゃんは愛されてるな」
少女「色んな人に優しくされたけど、私はお兄ちゃんが一番好きだよ?」
少女「ありがとう……」
男「なんだ、眠いのか?」
少女「うん」
男「姉ちゃん?」
少女「んー?」
男「またゲームしような?」
少女「うん」
男「おやすみ……」
少女「うん……」
男「……」
少女「……」
少女「おにいちゃーん!!あーさー!!」
男「分かってるよ……うっせーなぁ」
少女「なにぉ!?ちゃんと起こしてるんだから文句いうな!!」
男「はいはい」
父「遅刻するぞ、どっちも」
少女「ほら、早く食べる!!」
男「入院してたほうが大人しくて可愛かったのに」
少女「あーん?」
父「こらこら。やめろ」
父(もう少しだけこの光景を見ておきたいな……。姿は違えど、この二人は……)
弟「姉ちゃんは口うるさいんだよ!!それぐらい言われなくてもわかってるって!!」
姉「弟のくせに生意気!!もう朝ごはん作ってあげないんだからね!!」
FIN
やっと寝れる
いい話です
Entry ⇒ 2012.04.29 | Category ⇒ 男女「」SS | Comments (0) | Trackbacks (0)
見崎「これが……榊原君の机の角……」
http://hayabusa.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1333212369/
グチュッ
見崎「んっ!!」
モゾモゾ
見崎(すごい……気持ちイイ)
ゴシゴシ
見崎(イ、イク、イッちゃう!!!!!!)
見崎「ハァハァハァ……」
ジー
榊原「あの……見崎さん?授業中に何をしてらっしゃるんですか?」
見崎「何って……オナニー……///」
榊原「えっ、そこで恥ずかしがるの?」
その人が授業中のオナニーは気持ちいいよなって独り言を言ってくれたの
最近は満足できなくなってきてたから試してみようかなって思ったのね」
榊原「それなら自分の席でコッソリすればいいのに」
見崎「初めはそうしてた
してたんだけどまた数日したら慣れてきちゃって」
榊原「……もしかして昨日の授業中とかもしてたの?」
見崎「うん……///」
また独り言でアドバイスしてくれてね
人に見られながらすると気持ちよさそうだなって」
榊原「……それでやっちゃったの?」
見崎「……やっちゃったの」
榊原「気持ちよかった?」
見崎「とっても///」
見崎「……なんで?」
榊原「なんでって……そりゃ皆の授業の邪魔になるし」
見崎「私はいない者だから大丈夫」
榊原「気持ちよさとは別に恥ずかしさは無いの?」
見崎「あるけど……恥ずかしさも快感になってるかな」
見崎「目の毒?……目が潰れちゃうの?義眼いるなら霧果に頼んでおくけど」
榊原「いや、そういうことじゃなくて!!
僕とか他の男子にも言えることだけど、その、女の子のそういうの見せられると我慢できなくなるって言うか
もしかしたら見崎のこと襲ったりするかもしれないだろ」
見崎「榊原君は私のこと襲うつもりなの?」
榊原「襲わない!襲わないつもりだけど!もしかしたら理性が耐えられなくなるかもしれないじゃないか
見崎は僕や他の男子に襲われても構わないの?」
見崎「榊原君はともかく……他の男子はちょっと……」
っじゃなくてっ!だったらもう皆の前でこんな事しちゃダメだよ」
見崎「うん……じゃぁこれからは榊原君の前でだけにするね」
榊原「是非そうして」
榊原(よかった、どうやらわかってもらえたようだ……アレ?)
榊原「後ろに?何で?」
見崎「だって皆に見えないようにしないと
榊原君が勅使河原君の後ろに行って私がその間ですれば問題ないよね」
榊原「大有りだってば
声や音が皆に聞こえちゃダメ、してることを知られるのもダメ」
見崎「……それじゃぁいつもと同じ……そうだ、榊原君、放課後予定ある?」
榊原「特に無いけど……」
見崎「じゃぁ放課後残って」
榊原「……わかったよ」
見崎「じゃぁ始めるからしっかり見ててね」
榊原「……うん」
榊原(いつもはしばらく帰らない生徒も皆早々に教室から出て行ってしまった)
スルッ、ポイッ
榊原「えっ!?下着脱いじゃうの?」
見崎「もちろん
穿いたままだと汚れちゃうし布越しだとイマイチ気持ちよくなれないから」
榊原「……」ゴクッ
……いくよ」
ヌチョッ
見崎「んふぅ……授業中も思ったけど榊原君の机の角ってすごく気持ちいい」
榊原「……そうなの?……他の机と…同じだと思うけど……」ハァハァ
スリスリ
見崎「違うよ……なんだか……んんっ……榊原君の手に…触れられてる感じがするもの」
榊原「……僕の手はちゃんとここにあるよ」
ちゃんと机の上に出して見せてよ……」
榊原(まぁ椅子に座ってるし机に隠れて見えないか)
榊原「ほら、ちゃんと両手ともあるでしょ」
見崎「手のひら」
榊原「え?」
見崎「手のひらを上にして見せて」
榊原「……これでいい?」
見崎「うぁ……榊原君の手……ハァハァ……弄られてる……」
ニュルンニュルン
榊原「ねぇ、見崎」
ヌッポヌッポ
見崎「……何?」
榊原「本当にその角が僕の手と同じか確かめてみない?」
見崎「確かめ……?」
榊原「本物がここにあるんだから同じように擦り付けてみなよ」
見崎「!!!」
榊原「う、うん……僕も見崎には気持ちよくなってもらいたいしさ」
見崎「するっ!!榊原君の手で思いっきりオナニーしたい!!!!」
榊原(すごい食いつきだな……見崎にこんな面があったなんて……
とりあえず手首から先を机の縁から出しとけばいいかな)
榊原「じゃぁここから動かさないから自分で擦り付けてね」
見崎「うん!!!!!……」ドキドキドキドキ
榊原(……見崎のアソコが当たってる///……やわらかいなぁ……)
榊原「ねぇ、机と比べてどうかな?」
見崎「ちょっと黙ってて!!」
榊原「!!」ムグッ
見崎(とってもあったかくて気持ちいいよぉ……これ以外じゃ満足できなくなりそう)
もうかなりの時間続けてるしな……手もふやけてるのがわかる……)
見崎「あっ、またっ、またイク、イッちゃう!!!!!!」
ビクッビクッビクッ
榊原「……あの〜、見崎さん?そろそr」
見崎「ハァ〜ハァ〜」ギロッ
榊原「ヒッ!」
見崎「榊原君、私今とっても気持ちいいの……もし邪魔したら榊原君でも許さないから
邪魔したら腕切り落としてお持ち帰りだからね……わかった?」
榊原「……」コクコク
見崎「もっとよ……もっと気持ちよくなれるはずよ」
モゾモゾグリグリギュ~
榊原(……そうだ!)
見崎「んっ…んっ…んっ……んひっ!!!だっ…だめっ……そんなっ!!」
クッチャヌッチャグリグリ
榊原「どう?僕が指を動かしたほうが気持ちいいでしょ?これは邪魔じゃないよね?」
プッシャー
ビクンッビクンッビクンッ
榊原「……見崎?」
見崎「……」ビクッビクッ
榊原「お〜い」
見崎「……」ヒクッヒクッ
榊原(これで少しは休めるな)
この手で見崎のアソコを……あったかくてやわらかくてグショグショだったな……)
チラッ
榊原(手に感触はあるのにずっとスカートで隠れて見れなかったな
今なら少しくらい捲って見ても気付かれないよね)
ギー、ガタ、ソー
メクリッ
榊原(うわっ……はじめてみた……お尻の穴まで丸見えだ……)ジロジロ
見崎『榊原君はともかく……他の男子はちょっと……』
ゴクリッ
榊原(見崎はああ言ってたけど意識が無いのに入れちゃうのは……さ、触るだけなら……)
ソー、ムニッムニッ
見崎「……んんっ」
ビクッ
榊原「……見崎?」
見崎「……」
サワサワナデナデ
榊原(かなり小ぶりだな……胸に比例するのかな?
このまま割れ目に沿って撫でて……)
ツー
見崎「……」ビクッ
榊原(お尻の穴を弄るッ!)
モミモミスリスリグイッ
見崎「……んっ……ん……」ヒクヒク
榊原「ちょっと足を開こうね〜」
カイキャクッ
榊原(よしっ、これで前のほうもよく見れる
……見崎、まだ生えてないのか///
まずは手のひら全体で前から覆ってみよう)
ピトッ
ナデナデモミモミ
榊原(触ってみると薄っすら産毛の感触があるな)
榊原(!?……なんだ?今の感触……)
クリュックリュッ
見崎「んぁっ!……ぁ……ん……」
榊原(……ワレメの中みたいだな……ちょっとほじってみるか)
クパァホジホジ
榊原(お、なんか出っ張った部分が……)
クリクリックリクリッ
見崎「ひゃぁ!……えっ!?何?」
クリックリッ
見崎「あっ!だっだめっ!待って!!」
榊原「どうしたの?」
見崎「そこっ!」
榊原「ここがどうかした?」
クリクリ
榊原「あ、気持ちいいの?」
見崎「そうだけどっ、そうじゃなくてっ、あっ、ちがっ!!」
榊原「じゃぁ続けるから好きなだけ気持ちよくなってね」
見崎「あっあっいやっあ゛ぁぁぁあ゛っあ゛ぁぁぁぁぁあぁ!!!!!!!!!」
プシャップシャップシャッ
榊原「うわっ、派手にイッたな〜
顔にまで飛んできてビショビショだよ
相当気持ちよかったんだね」
見崎「うぅ〜ばかぁ〜」
榊原「えっ!?何で泣くの?」
見崎「も〜しらない〜」
そんなに敏感な所だなんて知らなかったんだよ」
見崎「む〜、次からはちゃんと優しく弄るって約束して」
榊原「するっ、約束するから」
榊原(次、あるんだ……)
見崎「……じゃぁ今日だけ特別に許してあげる」
榊原「ホント?よかったぁ」
榊原「う゛っ……説明しなきゃダメ?」
見崎「ダメ」
榊原「……僕も見崎のアソコを触ってたから……その……興奮……しちゃってさ
手に感触は残ってるのにずっとスカートで見れなかったからちゃんと見てみたくて……」
見崎「興奮したの?」
榊原「した」
見崎「襲いたくなった?」
榊原「……なった
けど、見崎は意識が無かったから我慢したよ!」
榊原「いや、そんな状況じゃ襲わないよ!?
大体僕になら襲われてもいいみたいなこと言ったのは見崎じゃないか」
見崎「うん、榊原君になら襲われてもいいよ……今から襲う?」チラッ
榊原「……襲うって言うか……さっきも言ったけど僕も凄く興奮したんだよね
で、そのまま溜め込んでるから僕も気持ちよくはなりたいかな……って……」チラッ
見崎「気持ちよく?」
榊原「うん」
榊原「……できれば見崎に気持ちよくしてもらいたいんだけど……」
見崎「……わかった……私が……榊原君を………………襲うね」
榊原「は?……見崎、何を」
ブチブチブチッ
榊原「ちょっ、シャツのボタン!」
見崎「観念しなさい……泣き叫んでも止めてあげないから」
見崎「ダメよ、それじゃぁ私が興奮しない」
榊原「そんなっ!むぐっ」
チュバッレロッレロッジュルルル
見崎「っぷはぁ……さぁ、まずは乳首を責めてあげる」
グイッ
見崎「……ふぅん」ニヤニヤ
榊原「な、なに?」
見崎「少し立ってるよ……キスで感じてたの?それとも期待しちゃった?」
榊原「そっ、そんなこと無いよ!」
見崎「どうかな」
榊原「はぅん!」
見崎「ほら、あっという間にビンビンだよ……こっちも……こっちも」
ギュッ
榊原「みっ、見崎っ、そこは!」
見崎「榊原君の……とってもおっきぃね……私の体でもちゃんとこんなになるんだ?」
榊原「あ……当たり…前…だよ…」
榊原「男は……我慢…してたら…誰でも……」
見崎「へ〜、そうなんだ
私の下着と一緒だね
これからは最初にズボン脱がしてあげるね」
カチャカチャ、ジー、ズルッ
見崎「うわぁ〜パンツのシミ凄いことになってるよ〜
これ穿いて帰れないからもう捨てたほうがいいよ
って言うか今捨てるね」
榊原「えっ?ちょっと待って!!」
ポイッ、ヒラッヒラッ
見崎「ざんね〜ん、もう窓の外で〜す」
榊原「そ、そんな〜」
榊原「そんなまじまじと見ないでよ
恥ずかしいよ」
見崎「恥ずかしいんだ?なら近くでもっとよく見ようっと」
シャガミッ
見崎「先っちょがテラテラ光ってる……これさっきシミになってたのだね」
榊原「う、うん……興奮すると出てくるんだ……」
見崎「ふ〜ん……」
チョイッ
榊原「あうっ」
見崎「ふふっ、触ると跳ねるんだね」
見崎「ん〜?やめて欲しいの〜?
でも言ったよね?泣いても叫んでもやめないって……ねっ!!!」
ニギリッヌルヌル
榊原「あっ、あっ、そんなっ、激しっ……」
見崎「……クリ責められてた時私も言ったよね?それで榊原君はやめてくれたかな?」
ギュッギュッ
榊原「痛っ」
見崎「っと……痛いの?」
榊原「うん……強くされると快感でつらいとかじゃなく痛みになるんだ」
見崎「そっか……なら優しくしてあげるね」
ニュルンニュルン
見崎「榊原君、とっても気持ちよさそうだね」
榊原「ハァ、ハァ……もう少しで……」
見崎「イキそうなの?」
榊原「ハァ、ハァ」コクン
見崎「ならラストスパートだね」
ヌルヌルニチャニチャ
榊原「うぁぁぁああ」
見崎「あ、眼帯ずれちゃった、直さないと」
榊原「えっ?」
見崎「ちょっと待ってね〜」
榊原「ハァ、ハァ……」
見崎「あ〜、片手しか使えないとやり難いな〜」
榊原「……見崎」
見崎「う〜ん、もう少しだから〜」
榊原「……早く……」
見崎「……うん、これでよし
お待たせ〜」
榊原「ハァ、ハァ、ハァ、ハァ……あ、そろそろ……」
見崎「イケそう?……ちょっと待って!」
ピタッ
榊原「ふぇぇ?」
見崎「静かに……今誰かの声がした気がする」
榊原「!!!」
シーン
カッチコッチカッチコッチ
見崎「……気のせいだったみたいね
続けましょう」
榊原「ハァ、ハァ、ハァ、ハァ……」
榊原(……あと少しで……今度こそ……)
見崎「……なんだか手が疲れてきちゃった
一度休憩にしようか」
榊原「そんなっ!!」
榊原君があとどのくらいでイクのかもわかんないし」
榊原「もうイク!すぐイクから!!」
見崎「え〜、本当に〜?」
榊原「本当だからっ!お、お願い!お願いしますっ!」
見崎「お願い?何をお願いするの?ちゃんと言ってくれないとわかんないかも」
榊原「もっと触って僕がイクまで気持ちよくしてください!!お願いします!!!!」
見崎「え〜、もっと触るの〜?なんかヌルッとしたのが手についちゃうから嫌だなぁ」
榊原「そんなっ!お、お願い!お願いしますっ!何でも言うこと聞くから!!」
見崎「ふ〜ん、そこまで言われたらしょうがないかな……」
榊原「あ……ありがとうっ!見崎っ!!」パァァァ
榊原「ハァ、ハァ、ハァ、ハァ……」
見崎「ふふふっ、快感に打ち震える榊原君、とってもかわいいよ」
チュッチュッチュバッレロレロ
榊原(……もうすぐ……頭が……ハァハァ……)
見崎「それじゃぁ特別気持ちよくしてあげるね」
アーン、パクッ
レロレロジュッボジュッボ
榊原「くぁあぁああぁぁああ!!!!!」
ドビュッビュックビュックビュッ
ゴクリゴクリゴックン
見崎「っはぁ……凄い量が出るんだね」
榊原「ずっと我慢してたから……それより飲んだの?」
見崎「飲んだよ……私はただ榊原君を気持ちよくさせてるんじゃない……襲ってるんだから」
榊原「……確かに主導権は握られっぱなしだね」
榊原「それって……」
見崎「お互い相手を気持ちよくさせたことだし、今度は一緒に気持ちよくなろう」
榊原「そんなっ!いくらなんでもまずいよ!
ここ学校だし、皆今日僕らがどんなことしてるかわかってるし」
見崎「何でも言うこと聞くから」
榊原「!?」
見崎「さっき榊原君言ったよね?」
榊原「それは……」
見崎「言ったよね?」
榊原「……うん、言った」
榊原「そんな……」
見崎「さ、観念してするわよ」
榊原「……ハイ」
見崎「あ、榊原君にアレを使うの忘れてた」
榊原「アレ?」
見崎「そう、あの人にもっと気持ちよくなれるからって貰ったの」
見崎「あった!」
榊原(飲み薬?)
見崎「はい、これ飲んで」
榊原「これ何?」
見崎「とってもエッチな気分になって気持ちよくなる薬よ
私も最初に飲んだけどもう切れてるみたいだからもう一度飲んでおくね」
ゴックン
榊原(あのオナニーの激しさはそう言う事か……
怪しい気もするけど……お互いあの激しさで見崎と……)ゴクリッ
見崎「ほら、早く飲んで
何でも言う事聞くんでしょ」
榊原「……わかったよ」
ゴックン
榊原(!?……なんだ?これ……)
ギンッギンッ
見崎「ふふっ、やっぱりよく効くね」
榊原(……み・さ・き……)
ガバッ
見崎「ちょっと!私が襲ってるんだから私が上よ!!」
榊原「ハァ、ハァ、ミサキ、ミサキ!」
ブチブチブチッ
見崎「んもう!」
見崎「……いいよ……そのかわり……一度入れたらちょっとやそっとじゃ離さないからね」
ズンッ
見崎「いったぁ〜」
榊原「ハッ、ハッ、ハッ、ハッ……」
ズッズッズッ
見崎「もう少し優しくしてよ……って聞こえてないか……」
見崎「くぅっ……奥まで……きたっ……」
ギュッギュッ
榊原「くぁっ!締まるッ!!」
ズルッズンッズルッズンッヌルッズブッヌルッズブッ
見崎「ハァッ、ハッ、ハッ……」
ヌルーズッチュンヌルーズッチュン
榊原「っ!!!出るッ!!!!!!」
見崎「うんっ!!!」
ドッビュッドッビュッドッビュッ
見崎「まだよっ!このまま続けて」
榊原「もちろんっ、こんなのじゃ全然足りない!!」
────────
──────
────
川堀「コイツなんかの病気で入院してたんだろ?
あの薬使って大丈夫なのか?」
水野「さぁな……でも何かあっても構わないさ
都会者は薬物常習者でも珍しくないんだろうからさ
姉貴が恨んでなけりゃ呼び寄せないだろうしな」
藤巻「しっかし、この子のオナニー現場に遭遇したときはこんなことになるなんて思いもしなかったなぁ」
江藤「他の子なら写真とって売りやらせたりできるけどいない者じゃねぇ」
川堀「授業中にオナりだしたときは薬のことがバレるんじゃないかとヒヤヒヤしたぜ」
水野「まぁ、あの様子じゃもう授業中はやらないだろうし大丈夫だろ」
川堀「次から1錠1000円くらいは取れるんじゃないか?」
江藤「5000円でもいけるんじゃないかな」
藤巻「ま、いくらで売ってもいい金蔓ができたことに違いないよ」
完
鳴(誰も来ないよね…)キョロキョロ
鳴「よしっ……!」
鳴「んっ……」スリスリ…
鳴(あ…気持ちいいかも…)
鳴「はあ…はあ…」
テクテク…
鳴(!誰か来た)
ガラッ!
鳴(とっさにロッカーの中に隠れたけど机から離れれば良かっただけな気がする…)
ダレモイナイワヨネ…
鳴(この声は……)
赤沢「……」キョロキョロ
鳴(赤沢さん?)
赤沢「これが恒一君の机…」
赤沢「んっ…あ…」スリスリ
鳴(!榊原君の机に身体擦り付けてる…!)
赤沢「恒一君もっとぉ……」スリスリ
鳴(変態みたい…しかも私がしてたのと同じ場所だ)
赤沢「はあ…はあ…!」スリスリ!
鳴(これは何って言うんだろう?間接キス…じゃないし)
鳴(早くなってく…)
タッタッタッ…
赤沢・鳴(!)
赤沢「やばっ!」キョロキョロ
赤沢「!あ、あそこに!」ダッ
ガチャ
鳴「あ…」
赤沢「えっ…」
タッタッタッ…!
赤沢「近づいてる!入るわよ!」
鳴「えっ、ちょっ…」
ムギュッ
鳴(うぐっ…狭い)
ガラッ!
赤沢(お願いだから我慢して!と言うか何でいるの!?)ヒソヒソ
鳴(……かくれんぼかな?)
赤沢(かな?って何よかな?って)
鳴(うっ…)
赤沢(……怪しいわね隠れるような事してたんでしょ)
鳴(うぐぐ……変態の癖に)
赤沢(///っ!あれは違う!違うのよ)
赤沢(あれは…えっーとあーあれは…)ヒソヒソ
鳴(………はあ)
赤沢(あ、歩いてたら恒一君の机にね!、ぶつかって痛みで動けなかっただけでね…)
鳴(いいよ別に…)
赤沢(えっ?)
鳴(何もしてないんでしょ?)
赤沢(え、…ええそうよ)
鳴(なら別にいいよ)
鳴(うん)ヒソヒソ
赤沢(………ありがとう)ボソッ
鳴(何か言った?)
赤沢(な、なんでもないわよ)
鳴(………)
鳴(どういたしまして)
赤沢(っ!聞こえてたんじゃない!)
鳴(『なんでもないわよ』)
赤沢(もうっ……)
鳴(ふふふ……)
鳴(………)
鳴(入って来た人はまだ出てないの?)
赤沢(ん?ああ貴女の位置じゃ見えないわね、ちょっとまってーー!?)
鳴(?どうたの?)
赤沢(綾野が…)
鳴(綾野さんが?)
赤沢(全裸で恒一君の机に股擦り付けてる……)
鳴(はい?)
綾野(装備:なし)「こういっちゃん!こういっちゃん!」スリスリ!
綾野(裸☆族)「駄目だよ見つかっちゃうよ!」ピチャピチャ
綾野(産まれたまま)「あっあっあっ!」ジャブジャブ
綾野(無修正)「見つかっちゃいそうで恐いよ!気持ちいいよぉ!」ランランラン
赤沢「」
鳴「」
鳴(声だけでも凄いね…)ヒソヒソ
トマラナイヨー!
鳴(かっぱえびせん食べたい)
赤沢(今食べ物の話題はよして)
モットーモットー
鳴(……凄いね)
赤沢(人は見かけに寄らないって本当ね…)
アッアッアッイグゥー
赤沢(うわぁ)
鳴(どうしたの?)
赤沢(潮吹いて恒一君の机ビショビショに…)
鳴(塩?)
赤沢(ええ…)
鳴(塩…???)
鳴(あ、誰か近づいてる)ヒソヒソ
赤沢(えっちょっ!ヤバいわよ綾野まだ擦り付けてる!)
イッタノニトマラナイヨー
鳴(どうしよう…)
赤沢(どうしようもこうしようも早く止めないと!)
タッタッタッ!
ガラッ!
鳴(あ)
赤沢(あ)
綾野「あっ…」
???「あ…」
榊原「綾野…さん?」
赤沢(ええ…最悪の展開ね可哀想に、中尾辺りなら三人でしばいて全裸の写真取って脅せばいいけど……)ヒソヒソ
綾野「こっこっこっ、こういっちゃん!?」
榊原「うわぁ!綾野さん何で裸!?///」
赤沢(オナニーしてたからよ……)
鳴(全裸がスタンダードなの?)
赤沢(いやぁ…)フルフル
綾野「きゃっ!み、見ないで///」
榊原「あっ!ご、ごめん!……ん?何で僕の机濡れてるの?」
赤沢(終わったわね…)
鳴(私なら現象のせいにする)
赤沢(どんな現象よ)
テクテクテク…ガシッ!
綾野「キャッ!」
榊原「綾野さんの手も濡れてるね…綾野さんコレ、何?」
綾野「あっ…あっ…」
赤沢(恒一君が怖いわ…)ヒソヒソ
鳴(一歩間違えば我が身…)ヒソヒソ
赤沢(いや綾野は十歩ぐらい走った挙げ句ジャンプした感じよ)
綾野「わ…分からない!分からないよ!」
榊原「分からない?全裸で人の机汚して分からないって何?」
綾野「うぅ…ゆるしてぇ…きらいにならないでぇ…」グスッ
綾野「あ……ごめんなさい…ごめんなさい!」
榊原「うんまずは謝らないとね……まあ謝ったからって許すかどうかは別だけど」
赤沢(綾野骨は拾ってあげるからね…)ヒソヒソ
鳴(助けないの?)ヒソヒソ
赤沢(無理無理今の恒一君怖い超怖い)
綾野「お願い許して出来る事なら何でもするからぁ…」
榊原「ふーん何でも…何でもね…」
榊原「じゃあさ…まずは手退けて」
綾野「えっ…?」
榊原「残った手で身体隠してるでしょ?その手退けてって言ってるんだよ」
榊原「別にいいよ嫌なら…許して欲しくないなら…ね」
綾野「っ!分かった分かったから…ううう…」グスン
スススッ…
榊原「うんよしっいいよ、それで次は綾野さんの口から言って貰おうかな何をしてたか」
赤沢(恒一君意外にSかしら…?)
鳴(おとなしい子ほど起こったら怖いって言うしそっちかも)
綾野「わ、わたしは…」
榊原「綾野さんは?」
綾野「こういっちゃんの机で…ゴニョゴニョ…してました」
榊原「…聞こえないよちゃんと言って」
綾野「っ!うう…っおな///オナニーしてました!」
綾野「うん…///」
榊原「綾野さんってなんだ変態だね」
綾野「ううぅ……」
榊原「でもおかしいよね?」
綾野「え?おかしいって…?」
榊原「だってさ普通オナニーに机なんか使わないよね?」
綾野「それは…」
榊原「だからさ」
榊原「よく分からないから実演して見せてよ机使ったオナニー」
赤沢(oh…)
鳴(ちょっと興奮して来た……)
榊原「はあっ…嫌ならいいっていったよね?」
綾野「うう…ううぅ…分かった…するから嫌いにならないでぇ…」
榊原「綾野さんが素直ないい子なら僕は嫌いになんかならないよ」
綾野「うん…じゃあするね…」
榊原「うん見ててあげる」
綾野「ううっ///」
スリスリ…
綾野「あっ…!(なんかさっきより気持ちいい…)」
榊原「可愛いお尻がいやらしく動いてるね綾野さん」
綾野「だめ!いわないで…」
鳴(ん……)スリスリ
赤沢(!?ちょっと何してんの!止めなさい!)
鳴(手を離して)ヒソヒソ
アヤノサンキモチイイノ?
ウン…キモチイイノ…ハァ…ハァ
赤沢(何考えてるの!?)
鳴(だって興奮するもの)
アヤノサントロトロダネ
アッアッ…コウイッチャンミチャダメェ…
赤沢(だからってシないでよ!)
鳴(後から来たくせに…)
……モウガマンデキナイ!アヤノサン!
エッ!コウイッチャン!?アアー!
赤沢(そう言う問題じゃないでしょ普通学校でオナニーなんかしないわよ)
鳴(………)ジトー
鳴(別に…)ヒソヒソ
アヤノサンアヤノサン!
コウイッチャンコウイッチャン!
鳴(そう言えば榊原君達どうなってる?)
赤沢(忘れてた!えっーとね)
榊原「綾野さん!中に出すよ!」
綾野「来てぇー!こういっちゃん来てぇー!」
ドピュッ!ドクッドクッ…!
赤沢「」
鳴「」
綾野「はぁ…はぁ…」
鳴(なにコレ……)
赤沢(私が聞きたいわよ……)
綾野「こういっちゃんの汚れちゃったね…んっ」
榊原「綾野さん汚いよ…あっ舌が…」
チュパペロペロ
綾野「うう不味いよー…」
榊原「もうっ大丈夫?」
綾野「さっきので気分が乗ってたけど不味いものは不味いね…失敗失敗あはは」
榊原「今日は変な事させちゃってごめんね」
綾野「んーそれはなんと言うか…ア、アタシもノリノリだったし…ね///」
綾野「も、もう!こういっちゃん顔がオッサンみたいになってるよ!」
榊原「お、オッサン!?」
綾野「学校でするのは今回だけだからね!…だから次はまたこういっちゃんちで…ね?」
榊原「う、うん(オッサン……)」
綾野「もう!オッサンは冗談だから気にしないっ!さっ服着ちゃうから一緒に帰ろ♪」
ーーーーーーーーーーー―
ガチャ…
赤沢「………」
鳴「………」
鳴「………」
赤沢「…どういうこと?」
鳴「…プレイ?」
赤沢「…………」
鳴「…………」
赤沢「うふ」
鳴「あは」
赤沢「うふふふふ…」
鳴「あはははは…」
赤沢「なによコレ…」
鳴「なんだろうね…」
赤沢・鳴「………」
鳴「…帰ろっか 」
赤沢「ええ…」
赤沢「おはよう見崎さん」
鳴「赤沢さんおはよう」
赤沢「昨日一晩考えたけどまだ終わってないわよね」
鳴「ええむしろ始まり」
赤沢「恒一君を」
鳴「榊原君を」
「寝取ってみせる!」
赤沢さんと鳴ちゃんの誘惑が榊原君を魅力すると信じて! 完
御愛読ありがとうございました!
二人とも乙
Entry ⇒ 2012.04.28 | Category ⇒ AnotherSS | Comments (1) | Trackbacks (0)
ルルーシュ「アーニャが可愛すぎるな」ロロ「兄さん……」
http://hayabusa.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1335402050/
ルルーシュ「……」
ロロ「兄さん、何見てたの?」
ルルーシュ「ロロか。いや、ちょっとな」
ロロ「モニターに映っているのは……ナイトオブラウンズ?」
ルルーシュ「ああ、アーニャ・アールストレイムだ」
ロロ「この子がどうかしたの?」
ルルーシュ「可愛い」
ロロ「え?」
ルルーシュ「アーニャが可愛すぎるな」
ロロ「兄さん……」
アーニャ「……」トテトテ
アーニャ「蝶々……」
アーニャ「記録……」パシャ
アーニャ「……」トテトテ
地下室
ルルーシュ「……」
ロロ「兄さん、そろそろ授業が」
ルルーシュ「……欲しい」
ロロ「え?」
ルルーシュ「俺の傍に置いておきたい」
ロロ「……」
ロロ(アーニャ・アールストレイム……兄さんの心を惑わす敵……)ギリッ
ロロ「……」
ヴィレッタ「ルルーシュ、頼まれていた資料だ」
ルルーシュ「きたか」
ヴィレッタ「しかし、急にどういうことだ?アーニャの個人データなんて……」
ルルーシュ「この経歴は偽造ではないんだな?」
ヴィレッタ「本当のところは良く分からない。手続き上、問題がないだけだ」
ルルーシュ「なるほど」
ヴィレッタ「……」
ルルーシュ「よし」
ロロ「どこいくの、兄さん?」
ルルーシュ「ちょっと懐柔してくるんだ……くくく……」
ヴィレッタ「……」
ロロ「……」
アーニャ「ネコ……」
アーニャ「きろ―――」
ルルーシュ「アーニャ、ちょっといいか?」
ネコ「……」タタタッ
アーニャ「あ……ネコ」
ルルーシュ「悪い。邪魔したか」
アーニャ「邪魔」
ルルーシュ「……」
ルルーシュ(やはり手ごわいな。俺を見れば赤面する女子のほうが圧倒的多数だというのに)
アーニャ「なに?」
ルルーシュ「話がしたいんだ。ダメか?」
アーニャ「ダメ」
ルルーシュ「……」
アーニャ「……」
アーニャ「……記録」パシャ
ルルーシュ(記録……)
ルルーシュ「アーニャはいつも写真を撮っているよな?」
アーニャ「うん」
ルルーシュ「その写真見せてくれないか?」
ルルーシュ(ここから話を広げてやれば……くくく……)
アーニャ「イヤ」
ルルーシュ「な……!?」
アーニャ「それじゃあ」トテトテ
ルルーシュ「……」
ルルーシュ(ここで焦ってはダメだ。よく考えてから接近したほうがよさそうだな)
ルルーシュ(C.C.に訊いてみるか)
C.C.『そんなことで連絡をくれるとは、嬉しくて狂ってしまいそうだよ』
ルルーシュ「いいから答えろ。この手の女は何を望んでいると思う?」
C.C.『……』
ルルーシュ「どうした?」
C.C.『その女にはあまり近づかないほうがいいと思うが』
ルルーシュ「違うな。間違っているぞ」
C.C.『は?』
ルルーシュ「俺は手に入れるといったら、なんとしても手に入れるのだよ。ふはははは」
C.C.『アホめ』
ルルーシュ「さぁ!いえ!!ああいうタイプはどうされたら喜ぶのかを!!」
C.C.『……耳元でずっと可愛いって言ってみればいいんじゃないかな?』
ルルーシュ「なるほど。わかった」
C.C.『あ、こら。本気にするやつがある―――』
ルルーシュ「よし。いってくるか」
アーニャ「雲……」パシャ
ルルーシュ「ここにいたか」
アーニャ「ルルーシュ」
ルルーシュ「……」スタスタ
ルルーシュ(くくく……年下ということもあって、話しかけやすいな)
アーニャ「なに?」
ルルーシュ「耳をかしてくれ」
アーニャ「……?」
ルルーシュ「お前、可愛いな」
アーニャ「……」
ルルーシュ「可愛い。可愛いぞ。本当に可愛い。ふはははは」
アーニャ「うざい、きもい」
ルルーシュ「な……!?」
アーニャ「……」パシャ
アーニャ「何か、用事?」
ルルーシュ「いや、お前に可愛いって言いにきたんだが」
アーニャ「それだけ?」
ルルーシュ「あ、ああ」
アーニャ「ふーん」
ルルーシュ「……」
アーニャ「……」
ルルーシュ「あの……」
アーニャ「それじゃあ」トテトテ
ルルーシュ「なんだと……!!」
ルルーシュ「くそ!!くそ!!!ふざけるな!!!」
ルルーシュ(なんだこれは……くそ……こんな惨めな思いは始めてだ!!)
ルルーシュ(俺の言い方が悪かったのか……?)
ルルーシュ「よし……」
シャーリー「ふんふふーん」
ルルーシュ「シャーリー」
シャーリー「ルル」
ルルーシュ「耳を貸してくれ」
シャーリー「え?なになに?」
ルルーシュ「可愛いな、お前」
シャーリー「……!!」バッ
ルルーシュ「どうした?」
シャーリー「い、いい、いきなり、なんてことをいうのよ!?」
ルルーシュ(この反応……やはり、俺の言い方は正しかったようだな)
シャーリー「もう……そんな……こんなところで言わなくてもぉ……」モジモジ
ルルーシュ(では、何がいけなかった……)スタスタ
シャーリー「あ、あのね……ルル……実は見たい映画が―――」
シャーリー「……あれ?ルルー!?どこー!?」
ルルーシュ「……」
ヴィレッタ「何をしている?―――って、またアーニャをモニターに映して盗撮か」
ルルーシュ「監視だよ。―――ヴィレッタ先生?貴方の将来は俺が握っていることを忘れていないか?」
ヴィレッタ「ぐっ……すまない……」
ルルーシュ「それでいい」
ヴィレッタ「はぁ……」
ルルーシュ「おい。ちょっと耳を貸せ」
ヴィレッタ「今度はなんだ?」
ルルーシュ「―――可愛いな」
ヴィレッタ「なっ!?」
ルルーシュ「嬉しかったか?」
ヴィレッタ「むむ、虫唾がはしるっ!!」
ルルーシュ「……なんだと?」
ヴィレッタ「あ、いや、すごく嬉しかった……」オロオロ
ヴィレッタ「正直な?」
ルルーシュ「ああ。俺に可愛いといわれてどう思った?」
ヴィレッタ「……わ、悪い気はしない」
ルルーシュ「ほう?」
ヴィレッタ「だが、その……可愛いはなんか……違うというか……」
ルルーシュ「……綺麗だ。のほうがよかったというわけか?」
ヴィレッタ「年齢的にはそうだろうな」
ルルーシュ「なるほど」
ヴィレッタ「……懐柔、うまくいってないのか」
ルルーシュ「その通りだ」
ヴィレッタ「お前も写真を始めたらどうだ?」
ルルーシュ「……写真?」
ヴィレッタ「ああ。同じ趣味をもっていると知れば、向こうから寄ってくるかもしれない」
ルルーシュ「なるほど……ふははは……それはいい……いいぞ……!!」
アーニャ「花……」パシャ
ルルーシュ「これはなんて美しい花だ!!!写真に収めないとなぁ!!!」
アーニャ「……」
ルルーシュ「ふははははは!!!こっちもいい!!こちらもだ!!!」カシャカシャ
ルルーシュ(これだけ露骨にやればさすがに一言ぐらい声を―――)
アーニャ「ねえ」
ルルーシュ(きた!!)
ルルーシュ「ふっ。なんだ?」
アーニャ「鬱陶しい」
ルルーシュ「……」
アーニャ「……バイバイ」トテトテ
ルルーシュ「……うっとうしい……」
ルルーシュ「そんな言葉……いわれたこと……ない……」ウルウル
ルルーシュ「く……そ……」ポロポロ
ロロ「兄さん、食事は?」
ルルーシュ「いらない」
ロロ「でも……」
ルルーシュ「いらないっていっている!!!」
ロロ「……っ」ビクッ
ルルーシュ「はぁ……はぁ……」
ロロ「ご、ごめんなさい……」
ルルーシュ「くそ……」
ルルーシュ(俺もまだまだだな……。こんなことで冷静さを失っていては……)
ルルーシュ(ナナリーと……ナナリーと話せたら……)
ルルーシュ(アーニャのことを聞けるのに……)
ルルーシュ「……」
ルルーシュ(リスキーだが……試してみる価値はあるか……)
スザク「え?アーニャに聞いて欲しいことがある?」
ルルーシュ「ああ。どうにも俺は嫌われているようだ」
スザク「一体、どういうことを?」
ルルーシュ「好きなこと、嫌いなこと。その辺りを」
スザク(どういうつもりだ……)
ルルーシュ(怪しまれるかもしれないが、これが最も確実だ)
ルルーシュ(怪しまれたところで今のところ問題もないしな)
スザク「でも、あまり喋ってくれないからな」
ルルーシュ「じゃあ、総督に話して総督から訊ねてもらうことはできないか?」
スザク「総督に?!」
ルルーシュ「歳も近いみたいだし、立場上話さないわけにもいかないだろ」
スザク「どうしてそこまで?」
ルルーシュ「スザクに嘘はつかない。―――どうしても彼女が欲しいんだ」
スザク「ルルーシュ……。わかった。そこまでの覚悟があるなら、やってみよう」
スザク「アーニャは……」
アーニャ「草……」パシャ
スザク「いたいた。アーニャ」
アーニャ「スザク」
スザク「ちょっといいかな?」
アーニャ「なに?」
スザク「アーニャの好きなものとか嫌いなものとか教えて欲しいんだけど」
アーニャ「どうして?」
スザク「ルルーシュが知りたがっていて」
アーニャ「……」
スザク「ダメかな?」
アーニャ「うん」
スザク「そうか」
スザク(恐れ多いけど総督に話してみよう)
スザク「失礼いたします」
ナナリー「スザクさん」
スザク「ナナリー総督、折り入ってお願いがあるのですが」
ナナリー「はい、なんでしょう?」
スザク「アーニャ・アールストレイムの嗜好を知りたいのです。そこで総督から聞いてもらえればと……」
ナナリー「私からですか?どうして?」
スザク「いえ。本当に瑣末なことなので、お断りしていただいても……」
ナナリー「えっと……スザクさん、アーニャさんのこと好きなんですか?」
スザク「はっ。同じナイトオブラウンズとして信頼しています」
ナナリー「違います。そういうことではなくて、嗜好を知りたいってことはその……女性として……好きなのでしょうか……」
スザク「ああ、いえ。自分ではなく友人が特別な感情を抱いているようで」
ナナリー「友人……?」
スザク「はい」
ナナリー(お兄様……?)
確かリバルとかいうのがいたような気がしないでもない
ナナリー「どうぞ、こちらへ」
アーニャ「なに?」
ナナリー「あの……ルルーシュという人物について聞きたいのですが」
アーニャ「うん」
ナナリー「えっと……お知り合いですか?」
アーニャ「同じ学校にルルーシュっているけど」
ナナリー「……お友達ですか?」
アーニャ「知らない。向こうから付き纏ってくる」
ナナリー「……」
ナナリー(お兄様と同じ名前だけど……お兄様はそういうことはしない……)
ナナリー(人違いですね)
ナナリー「分かりました。あと少しお聞きしたいことがあるのですが」
アーニャ「うん」
ナナリー「貴方の好きなものってなんですか?」
ナナリー「え……えっと……」
アーニャ「……」
ナナリー「スザクさんのご友人が……知りたいって仰っているようで」
アーニャ「ジノ?」
ナナリー「そこまでは……」
アーニャ「わかった。直接伝えてくる」
ナナリー「え?あの……」
アーニャ「……」トテトテ
ナナリー「あ……行ってしまいました……」
ナナリー「どうしましょう……」オロオロ
ナナリー「……」
ナナリー「私……何をやってもダメですね……」
ナナリー「お兄様……」
ジノ「スーザク!!」
スザク「だから、もっと貴族として……」
ジノ「まぁまぁ。いいじゃん」
アーニャ「ジノ」
ジノ「お。アーニャ。どうした?」
アーニャ「アイスクリーム」
ジノ「え?」
アーニャ「花」
ジノ「ちょっ……」
アーニャ「写真」
ジノ「な、何の話だ?」
アーニャ「それだけ」
スザク「……なにかあったの?」
ジノ「さぁ」
ルルーシュ「無理だったのか」
スザク「ああ。総督でも聞き出せなかったみたいだ」
ルルーシュ「ちっ……」
スザク「でも、今日不思議なことがあった」
ルルーシュ「不思議なこと?」
スザク「ああ。ジノに対していきなりアイスクリーム、花、写真って言い出して」
ルルーシュ「なに?」
スザク「ジノも良く分かってなかったみたいだ」
ルルーシュ「……」
ルルーシュ(何の関連性もない単語だな……)
ルルーシュ(一体、どういう……)
スザク「じゃあ、ルルーシュ。これで」
ルルーシュ「ああ、悪かったな」
スザク「気にするな」
カレン『はぁ?!』
C.C.『なんだ、それは?』
ルルーシュ「わからないからきいている」
C.C.『そういう意味じゃない』
カレン『ちょっと!!本業忘れてない!?』
ルルーシュ「忘れていない。俺はゼロだ。だが、ルルーシュでもある」
カレン『……』
C.C.『お前……』
ルルーシュ「それにこれは無駄なことではない。ナイトオブシックスを仲間にできれば大幅な戦力アップだ」
カレン『そうかもしれないけど……』
ルルーシュ「で、この3つの単語の意味するところはなんだと思う?」
C.C.『私たちに訊く前にそれらを持っていけばいいだろう』
カレン『というか、女遊びなんてしてないで―――』
ルルーシュ「C.C.の言うとおりだな。まずは手渡してみるか」
C.C.「全く。あんな女のどこがいいのか」
カレン「ホントだよ」
C.C.「……カレン」
カレン「同じこと考えてる?」
C.C.「多分な」
カレン「よし、じゃあ、早速準備しよっか」
C.C.「うむ」
カレン「扇さーん!!ちょっと出かけてきまーす」
C.C.「私もでる」
扇「どこにいくんだ?」
カレン「えっと……」
C.C.「夫を迎えにいくんだよ。なぁ?」
カレン「え?!いや、まだ……そんな関係とかじゃ……」
C.C.「……」
アーニャ「噴水……」パシャ
ルルーシュ「アーニャ」
アーニャ「……」
ルルーシュ「アイスクリームだ」
アーニャ「ありがとう」
ルルーシュ「花束だ」
アーニャ「……うん」
ルルーシュ「さ、笑って笑って」
アーニャ「……」
ルルーシュ「はい、チーズ」カシャ
アーニャ「……」
ルルーシュ(くくく……これで堕ちたな……完璧に……)
ルルーシュ「さ、アーニャ。向こうで話さないか」
アーニャ「気色悪いから近づかないで」
アーニャ「ルルーシュ、キモイ」
ルルーシュ「な……?!」
アーニャ「ウザイ。ストーカー」
ルルーシュ「やめろ……!!やめろぉ……!!!」
アーニャ「ロリコン」
ルルーシュ「ちがう!!ちがう!!!」
アーニャ「……」
ルルーシュ「そんな目でみるなぁ!!!」
ロロ(兄さん……!!)キィィィン
アーニャ「」
ルルーシュ「え……」
ロロ「兄さん、大丈夫?」
ルルーシュ「ロロ……」
ロロ「こんなやつ、殺しちゃおうよ」
ロロ「だって、兄さんのことすごく傷つけた!!」
ルルーシュ「やめろ!!ロロ!!」
ロロ「でも……!!」
ルルーシュ「お前が俺の心配をしてくれているのは嬉しい」ギュッ
ロロ「あ……にいさ、ん……」
ルルーシュ「だけど、お前にそんなことはさせられない」
ロロ「だけど、兄さんが苦しんでいるところなんて見たくないんだ」
ルルーシュ「大丈夫。俺は大丈夫だ……ロロ……」
ロロ「兄さん……」
アーニャ「―――あ」
ルルーシュ「ロロ……」ギュゥゥ
ロロ「兄さん……」ギュゥゥ
アーニャ「ホモ……」パシャ
ルルーシュ「!?」
ルルーシュ「まて!!それをどうするつもりだ!!!」
アーニャ「ブログに掲載する」
ルルーシュ「!?」
ロロ「兄さん……」ギュゥゥ
ルルーシュ(まずい……そんなことになったら……!!)
ルルーシュ(アーニャはおろか、多くの者から蔑視されてしまう!!)
ルルーシュ(かくなるうえは……!!!)
ルルーシュ「ロロ!!」
ロロ「なに、兄さん?」
ルルーシュ「あの携帯を奪え!!」
アーニャ「え?」
ロロ「分かったよ」キィィン
アーニャ「―――あ」
ロロ「はい、兄さん。奪ったよ」
ルルーシュ「さて……データを消しておくか」
アーニャ「え?」
ルルーシュ「えっと」
アーニャ「やめて」トテトテ
ロロ「邪魔はさせないよ」
アーニャ「むかつく……」
ルルーシュ「ここを選択するのか……」ピッ
アーニャ「あ……あ……」
ルルーシュ「……」
ルルーシュ(動揺しているな……まさか……)
アーニャ「かえして……お願い……」
ルルーシュ「すまない、アーニャ。全消去してしまった」
アーニャ「……!!!!」
ルルーシュ(表情が一変した。やはり、これは弱点か。あはははは!!!これはいい!!最高のカードを手に入れた!!)
ルルーシュ「え?」
アーニャ「……」ポロポロ
ルルーシュ「アーニャ……!?」
アーニャ「うっく……ぐすっ……」ポロポロ
ルルーシュ(泣くほどのもか……これは益々使えるな……)
ロロ「兄さん、どうするの?」
ルルーシュ「アーニャ……」
アーニャ「……」ポロポロ
ルルーシュ「ご、ごめん……まさか、そんなに大事なものだったのか?」
アーニャ「……」ポロポロ
ルルーシュ「俺ならデータの復元を行えるが、どうする?」
アーニャ「……!?」ピクッ
ルルーシュ(目の色が変わったな。くくく……第一条件はクリアだ)
ロロ「……」
ルルーシュ「本当だ。だから、涙を拭いて」
アーニャ「うん……」ゴシゴシ
ルルーシュ「俺が消してしまったからな、なんとしても復元してみせる」
アーニャ「おねがい、ルルーシュ」
ルルーシュ「ああ。じゃあ、少し借りてもいいかな?部屋でしかできないから」
アーニャ「ついていく」
ルルーシュ「……それは構わないが」
アーニャ「……」
ルルーシュ(よしよし。前提条件はクリアしたな)
ロロ「あの僕は……」
ルルーシュ「しばらく、部屋に戻ってくるな。今が大事なときなんだ。分かるな?」
ロロ「う、うん……」
ルルーシュ「よし、いい子だ」
アーニャ「はやくして」
ルルーシュ「さ、入ってくれ」
アーニャ「……」トテトテ
ルルーシュ(くくく……ついに……部屋に招き入れることに成功した。完璧だ……!!!)
ルルーシュ「何か飲むか?」
アーニャ「いい。それよりも復元」
ルルーシュ(作業をしているフリでもするか)
ルルーシュ「それもそうだな。じゃあ、準備にとりかかる」
アーニャ「……」
ルルーシュ(本当は一枚も消していないんだけどな。ふはははは)
ルルーシュ(どんなものを撮っているか見れば、おのずとアーニャの趣味嗜好が分かるはずだ)
ルルーシュ(そこから得た情報をもとに会話をすれば、俺の好感度はうなぎ上り)
ルルーシュ(勝ったな……)
アーニャ「……」ソワソワ
アーニャ「うん」
ルルーシュ(にしても、写真データを閲覧したものの、写真の種類に統一感がまるでない)
ルルーシュ(まるで目にしたものをとりあえず撮っているだけのような)
アーニャ「まだ?」
ルルーシュ「まだだ」
アーニャ「そう」
ルルーシュ(ちっ。やはり復元できればすぐにでもここから出るつもりか)
ルルーシュ(だが、お前は蜘蛛の巣にかかった蝶だ。逃げ出すことなどできない)
ルルーシュ「アーニャは写真を撮るのがすきなんだろ?」
アーニャ「……」
ルルーシュ「俺もそうなんだ」
アーニャ「……」
ルルーシュ「……」
ルルーシュ(ちっ。徹底抗戦の構えか……。やってくれる……!)
アーニャ「……」
ルルーシュ「俺の手元に置いておきたいぐらいだ」
アーニャ「復元は?」
ルルーシュ「……まだだ」
アーニャ「そう」
ルルーシュ「……」ギリッ
ルルーシュ(わかった。無表情だから気づかなかったが、こいつかなり怒っているな)
ルルーシュ(そう言う態度なら言葉で責めても何も変わらないか)
ルルーシュ(仕方ない。あまり使いたくない手段だったが)
ルルーシュ「そろそろ復元できたかな……?」
アーニャ「……」ピクッ
ルルーシュ「どれどれ……?」
ルルーシュ「あ……」
アーニャ「なに?どうしたの?」
アーニャ「なに?」
ルルーシュ「データの改竄を行った所為で、過去データを閲覧するために特殊なコマンドが必要になってしまった」
アーニャ「コマンド?」
ルルーシュ「ああ」
アーニャ「どういうの?」
ルルーシュ「……知りたいか?」
アーニャ「教えて」
ルルーシュ「条件がある」
アーニャ「それはルルーシュが消した所為。条件とかおかしい」
ルルーシュ「それは違う。間違っているぞ!!」
アーニャ「……」
ルルーシュ「確かにデータを消失させてしまった。謝ろう。しかし、俺は復元をした!!!それで貸し借りはない!!」
アーニャ「え……」
ルルーシュ「特殊コマンドについてはまた別の話。そうだろう?」
ルルーシュ「ふっ。アーニャ。まだ、分かっていないようだな」
アーニャ「なにを?」
ルルーシュ「俺の所為でデータは消失した。だが、俺だからこそ迅速に復元できたのも事実だ」
アーニャ「……」
ルルーシュ「それ以上のものを望むなら、君も対価を支払うべきだと思うが?」
アーニャ「……」
ルルーシュ「もちろん、このまま返してもいい。だが、特殊コマンドの解析に少なくとも1日以上はかかるだろうな」
アーニャ「……っ」
ルルーシュ「俺なら、今すぐ教えてやれるぞ?どうする?ふははははは」
アーニャ「……わかった」
ルルーシュ「……ほう?」
アーニャ「条件、なに?」
ルルーシュ「くくく……そうだ。それでいい。君は最善の選択をした」
アーニャ「早く教えて」
アーニャ「……」トテトテ
ルルーシュ「……」ギュッ
アーニャ「なに?」
ルルーシュ「抱きしめたんだ」
アーニャ「これが条件?」
ルルーシュ「いや。これは第一条件だ」
アーニャ「第一……」
ルルーシュ「いい匂いだ……アーニャ」
アーニャ「……キモイ」
ルルーシュ「立場が分かっていないようだな?俺はいつでもデータを消せる」
アーニャ「やめて。おねがい」
ルルーシュ「お願い、しますだろ?」
アーニャ「おねがい……します……」
ルルーシュ「そうだ。それでいい。可愛いな、アーニャ……くくく……」ギュゥゥ
ルルーシュ「よし。では、条件を告げよう」
アーニャ「うん」
ルルーシュ「俺の妹になれ」
アーニャ「……」
ルルーシュ「どうだ?悪い条件ではないはずだ」
アーニャ「でも……」
ルルーシュ「俺もそれなりに高貴な家柄だ。問題などない」
アーニャ「……」
ルルーシュ「写真……失いたくないのだろう?」
アーニャ「……うん」
ルルーシュ「ならば、今日からここに住め。正式に妹になるにはそれなりに時間もいるし、心の準備もいるだろう」
アーニャ「わかった」
ルルーシュ「……」
ルルーシュ(条件は全てクリアされた!!!あははははは!!!!!手に入れた!!!ナナリーに次ぐ妹を!!俺は!!!)
ルルーシュ「アーニャ、お茶を」
アーニャ「うん」トテトテ
ミレイ「ルルーシュ?」
ルルーシュ「なんですか?」
ミレイ「アーニャちゃんになにかしたの?」
ルルーシュ「なにかって?」
ミレイ「いや、気のせいかもしれないけど、急に従順になったというか」
ルルーシュ「なら、気のせいですよ。会長」
ミレイ「そう?」
アーニャ「はい」
ルルーシュ「ありがとう。アーニャ」ナデナデ
アーニャ「……」
シャーリー「むぅ……」
スザク「あれ?ルルーシュとアーニャじゃないか」
ルルーシュ「スザクか。どうした?」
アーニャ「……」
スザク「どうしたんだ?手なんか繋いで」
ルルーシュ「ちょっとな」
スザク「仲良くなれたのか?」
ルルーシュ「ああ」
スザク「そうか、よかったな」
ルルーシュ「ありがとう」
アーニャ「ルルーシュ」グイッ
ルルーシュ「わかっている。それじゃあ、これからアーニャとアイスクリームを食べないといけないから」
スザク「そ、そうか」
ルルーシュ「それじゃあ」
スザク「ああ……」
スザク「……」
ジノ「どうした?」
スザク「実はアーニャのことなんだけど」
ジノ「なにかあったのか?」
スザク「ルルーシュと急に仲が良くなったみたいで」
ジノ「なんか気でもあったんじゃないのか?」
スザク「そうならいいけど」
ジノ「なんだよ?」
スザク「いや……」
スザク(もし、ルルーシュに記憶が戻っていて……アーニャにギアスを使っていたとしたら……)
スザク(こちらの情報は筒抜けに……)
スザク(でも、確証が……)
スザク(どうする……)
カレン「そんなに危ない女なんだ」
C.C.「ああ。そもそもルルーシュが手を出してはいけない奴だな」
カレン「じゃあ、尚更ルルーシュを止めないと」
C.C.「ああ、そうだな」
カレン「スザクもいるみたいだから、慎重にね」
C.C.「分かっているさ」
カレン「―――やばい、人だ」
ルルーシュ「おいしいアイスを食べような」
アーニャ「……」
ルルーシュ「……楽しいか?」
アーニャ「……」
カレン「ルルーシュ……」
C.C.「手は繋いでいるが無視されているようだな。少し安心したよ」
アーニャ「ふーん」
ルルーシュ「味はなにがいい?」
アーニャ「バニラ」
ルルーシュ「わかった。少し待っていろ」
アーニャ「……」
ピリリリ
アーニャ「……はい?」
スザク『アーニャ、今どこにいる?』
アーニャ「アイスクリームショップ」
スザク『ルルーシュも一緒か』
アーニャ「うん」
スザク『何か困ったことはないか?』
アーニャ「……脅迫されてる」
スザク『なんだと!?』
スザク『なんとかならないのか!?』
アーニャ「無理。ルルーシュが全部握ってるから」
スザク『妹になれってだけしかいわれてないのか?』
アーニャ「うん」
スザク『その……何かの組織に入れとかは?』
アーニャ「言われてない」
スザク『そうか……分かった』
アーニャ「どうしたらいい?」
スザク『嫌なのか?』
アーニャ「うん」
スザク『よし。すぐに助ける』
アーニャ「分かった」
ルルーシュ「―――アーニャ、お待たせ」
アーニャ「別に待ってない」
アーニャ「……」ペロペロ
ルルーシュ「……」
アーニャ「……」ペロペロ
ルルーシュ「俺には妹がいたんだ」
アーニャ「……」
ルルーシュ「もう会えないかもしれないがな」
アーニャ「ふーん」
ルルーシュ「だからかな……アーニャとその妹がすごく被る」
アーニャ「……」
ルルーシュ「すごく……」
アーニャ「写真データを人質にしてまで妹が欲しかった?」
ルルーシュ「ああ……酷いことをしたと思っている……すまない……本当に……」
アーニャ「……」
ルルーシュ「もう少しだけでいい……俺の妹でいてくれ……頼む……」
ルルーシュ(ふふふ……まずは同情を誘う……これで)
アーニャ「……」ペロペロ
ルルーシュ「……」
ルルーシュ(バ、バカな……!!これで心が揺れないのか……!?)
アーニャ「……ねえ」
ルルーシュ「な、なんだ?!」
アーニャ「食べたから帰りたい」
ルルーシュ「……そうか。ああ、帰ろう」
アーニャ「……」
ルルーシュ「このあとは?」
アーニャ「仕事」
ルルーシュ「そうか」
アーニャ「……」
ルルーシュ(くそ。こいつに情というのものがないのか……!!)
ルルーシュ「……」
ヴィレッタ「どうだ、新しい妹は?」
ルルーシュ「中々心を開いてくれないな」
ロロ「あの……兄さん……」
ルルーシュ「なんだ?」
ロロ「僕の部屋は……」
ルルーシュ「クラブハウスを提供してやっただろ」
ロロ「……?!」
ヴィレッタ「諦めたほうがいいんじゃないか?」
ルルーシュ「馬鹿をいうな。やっとここまで漕ぎ着けたんだ。易々と手放せるか」
ヴィレッタ「そういうものか……」
ロロ「……」
ロロ(ナイトオブシックス……アーニャ……!!)
ロロ(兄さんを篭絡させて……兄さんと僕の未来を潰すつもりなの……?)ギリッ
アーニャ「……」トテトテ
スザク「アーニャ!!」
アーニャ「……」
スザク「何かされたか?」
アーニャ「何も」
スザク「そうか……」
アーニャ「……」
スザク「とにかく手を打ってみるから」
アーニャ「……」
スザク「もうしばらく我慢してくれ。あと、何かされそうになったら」スッ
アーニャ「なにこれ?」
スザク「スタンガンだ」
アーニャ「……」バチバチ
スザク「それで身を守るんだ。いいな?」
ルルーシュ「はぁ……アーニャ……」
C.C.「おかえり」
ルルーシュ「C.C.?!」
カレン「あたしもいるよ」
ルルーシュ「お前たち、何を……!!」
C.C.「悪いことは言わないから、あの女から手を引け」
ルルーシュ「何を言い出すかと思えば」
カレン「ヤバイらしいよ、あいつだけは」
ルルーシュ「ふん。それは俺が判断することだ」
C.C.「お前、私の言うことが聞けないのか」
ルルーシュ「黙れ魔女。アーニャの悪口は許さん」
C.C.「ルルーシュ……」
カレン「そ、そんなに好きなの?!」
ルルーシュ「愚問だな。愛しているからこそ、俺は固執している」
ルルーシュ「ナナリーと比べることではない。アーニャは既に別次元のものだ」
カレン「どういうことなの……?」
C.C.「女として愛しているのか?」
ルルーシュ「ふっ。どうだろうな」
C.C.「はぐらかすか」
ルルーシュ「これだけは言える。―――俺は必ずアーニャをものにしてみせる」
カレン「……」
C.C.「お前ってやつは……」
ルルーシュ「もういいだろ。早く戻れ」
C.C.「坊やの決意はよくわかったよ。でも、私はそれを許すわけにはいかない」
カレン「あ、あたしだって!!」
ルルーシュ「では、どうする?俺を寝取るか?」
C.C.「そんなことはしないさ。坊やが最も苦しむ方法をとる」
ルルーシュ「面白い。やってみろ」
C.C.「考えがある。私に任せろ」
カレン「う、うん」
C.C.(ルルーシュ……すまないが邪魔させてもらう)
カレン(ルルーシュって年下がいいのか……)
ルルーシュ(ふっ。C.C.が如何なる方法を取ろうとも、俺の心は揺らがない)
ルルーシュ(とはいえ、対策は取っておいたほうがいいかもしれないな)
ルルーシュ(まぁ、この学園で行動が制限される二人に選択肢は多くない)
ルルーシュ(何をしようとも俺の手のひらの上でしかないぞ……C.C.……)
ルルーシュ「ふはははははは!!!!!」
アーニャ「ただいま」パシャ
ルルーシュ「おかえり」
アーニャ「なに笑ってるの?キモイ」
ルルーシュ「そんなこというなよ。哀しくなるだろ?」
アーニャ「……」
ヴィレッタ「通信……?こんな時間に?」ピッ
C.C.『私だ』
ヴィレッタ「お前は……」
C.C.『ルルーシュのことで相談がある』
ヴィレッタ「なんだ?」
C.C.『アーニャという女についてだが』
ヴィレッタ「それがどうした?」
C.C.『奴は色々と都合が悪い。ルルーシュにはな』
ヴィレッタ「何がいいたい?」
C.C.『簡単に言うと、引き離したい』
ヴィレッタ「なんだと?」
C.C.『そこでお前の力を借りたいんだよ』
ヴィレッタ「私の……?」
スザク「会長、ちょっといいですか」
ミレイ「どうしたの?」
スザク「実は―――」
ルルーシュ(スザクのやつ、何か企んでいるのか……?)
ルルーシュ(C.C.の動向も気になるが……)
シャーリー「あ、あの!ルル!!」
ルルーシュ「どうした?」
シャーリー「週末なんだけ―――」
アーニャ「ルルーシュ、お茶」
ルルーシュ「ありがとう」ナデナデ
アーニャ「……」
シャーリー「あ……え……」
ルルーシュ「シャーリー?週末がどうした?」
シャーリー「あ、いいの!!大したことじゃないから!!」
スザク「今回はちょっと事情がありまして」
ミレイ「オッケー。なんか楽しそうだし、やりましょうか」
スザク「ありがとうございます」
リヴァル「会長、またなにかやるんですかー?」
ミレイ「ええ。ちょっとね」
ルルーシュ(スザク……何をする気だ……?)
ヴィレッタ「ルルーシュはいるか?」
シャーリー「先生、どうかしたんですか?」
ルルーシュ「……」
ヴィレッタ「ちょっとこい」
ルルーシュ「わかりました。単位は足りているはずですけどね」
ヴィレッタ「いいから」
ミレイ「さーて、じゃあ、次の面白企画なんだけどー」
スザク(アーニャ……待っていてくれ……君を助けてみせる)
ルルーシュ「C.C.?」
ヴィレッタ「暗殺してほしいと」
ルルーシュ「……ロロではなくお前に言ってきたのか?」
ヴィレッタ「ああ」
ルルーシュ「……」
ヴィレッタ「C.C.の言い分としては、アーニャがスパイ工作を行う危険性があるとのことだったが」
ルルーシュ「何を馬鹿な。そんなことあるわけない」
ヴィレッタ「どうする?この学園内でナイトオブシックスが変死したら……」
ルルーシュ「分かっている」
ルルーシュ(C.C.め、何を考えている……)
ルルーシュ(情報が漏れることを考えていないわけではないだろう)
ルルーシュ(いや、違うな。これは漏れることを前提にしている……)
ルルーシュ(奴の狙いは……)
アーニャ「……」トテトテ
ミレイ「え?もう?」
ルルーシュ「ちょっと用事ができたので」
ミレイ「そう」
シャーリー(また二人で……)
リヴァル「最近、ホントに仲いいよな」
ミレイ「でも、恋人って感じはしないのよねー」
スザク「……」
ミレイ「じゃあ、このスザクくんプレゼンツは明後日の放課後に開催ってことで」
リヴァル「はやくないですか?!」
ミレイ「まぁ、別に大した準備はいらないしね」
スザク「会長、感謝します」
ミレイ「ふふ……気にしないで。私も興味あるし。―――この兄弟強奪ゲーム」
スザク「……」
アーニャ「え?」
ルルーシュ「なるべくこの部屋から出ないようにしろ」
アーニャ「でも」
ルルーシュ「できるだけ俺が守る。仕事にいくときはスザクに守らせる」
アーニャ「……」
ルルーシュ(C.C.の狙いは暗殺ではない)
ルルーシュ(本気ならロロに依頼するはずだ……)
ルルーシュ(だが、万が一もあるために俺の行動は制限されてしまうな)
アーニャ「……」
ルルーシュ「アーニャ、心配するな。俺が守ってやるから」
アーニャ「スザクに何か言われた?」
ルルーシュ「いいや」
アーニャ「そう」
ルルーシュ(アーニャまで失ってたまるか……!!)
ルルーシュ「アーニャ、今日は一緒に寝るぞ」
アーニャ「……なんで?」
ルルーシュ「いいから」
アーニャ「……」トテトテ
ルルーシュ「よし」ギュゥゥ
アーニャ「ウザイ」
ルルーシュ「我慢しろ。少しの辛抱だ」
アーニャ「……」
ルルーシュ(C.C.の狙いが明確で無い以上は、俺が……!!)ギュゥゥ
アーニャ「……」
ルルーシュ「おやすみ」
アーニャ「鬱陶しい」
ルルーシュ「お前のためなんだ」
アーニャ「……」
カレン「でも、そんなこと」
C.C.「アイツの弱点だよ。妹のことになると我を忘れるのはな」
カレン「……それで、それが引き離すことに繋がるの?」
C.C.「ああ。間違いない」
カレン「どうして?心配してくれるなら、むしろ好意を持つんじゃ」
C.C.「普通に守ってくれる分にはな。ただ、ルルーシュの場合、はっきり言って重い」
カレン「重い?」
C.C.「慕われすぎるのも考え物だよ」
カレン「そんなものなんだ」
C.C.「奴の愛情を一手に受けて、嫌悪しないのはナナリーぐらいなものだろう」
カレン「じゃあ、アーニャは?」
C.C.「リアルタイムで嫌っているだろうな」
カレン「それが狙いなんだ」
C.C.「狙われていないと分かるまでそれほど時間はかからないだろうが、アーニャが突き放すまでは十分だろう」
ヴィレッタ「はぁ……全く。暗殺なんて……」
ロロ「暗殺?」
ヴィレッタ「寝ないのか?」
ロロ「それより、今の話は?」
ヴィレッタ「いやなんでも―――」
ロロ「―――話してください」チャカ
ヴィレッタ「お前……時を奪ったな……」
ロロ「さぁ……早く。じゃないと撃ちますよ?」
ヴィレッタ「……C.C.がアーニャを暗殺して欲しいといってきたんだ」
ロロ「暗殺?」
ヴィレッタ「ルルーシュにとっては害でしかないということでな」
ロロ「そうですか」
ヴィレッタ「銃をおろせ」
ロロ「……ありがとうございます」
ルルーシュ「あれ?会長は?」
シャーリー「え?聞いてないの?」
ルルーシュ「なにを?」
リヴァル「明日、面白いゲームをするんだ」
ルルーシュ(また会長の悪ふざけか)ギュゥゥ
シャーリー「ところで、ルル?」
ルルーシュ「なんだ?」
シャーリー「な、なんでさっきからアーニャちゃんを抱きしめてるの?」
ルルーシュ「別にいいだろ?」ギュゥゥ
アーニャ「あつい」
シャーリー「嫌がってるよ!!やめてあげなよ!!」
ルルーシュ「ええい!!これでいいんだ!!」
スザク「ルルーシュ、話ってなんだい?」
ルルーシュ「スザクか」
ルルーシュ「ああ。外を出歩く際でいい」ギュゥゥ
アーニャ「……」
スザク「何かあったのか?」
ルルーシュ「ちょっと気になることがあってな」
スザク「……」
ルルーシュ「だめか?」ギュゥゥ
スザク「それ以前にアーニャを―――」
ミレイ『―――はーい!!全校生徒のみなさーん!!生徒会からのお知らせでーす!!』
ルルーシュ「ん?」
スザク「なんだ?」
ミレイ『明日の放課後、兄弟姉妹ゲットゲームを開催しまーす!!』
ルルーシュ「また、会長は……」
ミレイ『当日、生徒会からバッチを配布します。制限時間内に先輩あるいは後輩のバッチを手に入れることができれば、その人と兄弟姉妹の関係になれまーす』
ルルーシュ「……は?」
ミレイ『バッジはどんな方法で奪ってもよし!!話し合い、力ずく、なんでもござれ!!』
ロロ「……」
ミレイ『ちなみに本当の兄弟関係であってもバッジを奪わない限りは兄弟になれませーん』
ミレイ『兄弟姉妹が欲しかった人は大チャーンス!!もう兄弟とかいらねと思っていた人も大チャーンス!!』
ミレイ『バッジを奪って可愛い妹を手に入れるもよし!綺麗な姉をもらうも良し!!』
ミレイ『可愛い弟が欲しい人、かっこいい兄が欲しい人!!がんばりましょう!!』
ミレイ『ちなみに恋人ってわけじゃないから、一線を越えるときはそれなりのアバンチュールを感じてねー』
ヴィレッタ「何をいっているんだ……」
ロロ「……」
ロロ(兄さんのバッジは絶対に渡さない……)
ロロ(そして……彼女のバッジも……僕が……!!)
ロロ(僕と兄さんの未来のために……)
ヴィレッタ(何事もなく終わればいいが)
スザク「悪い、ルルーシュ」
ルルーシュ「スザク……!!」
スザク「アーニャは僕の妹にするよ」
ルルーシュ「なに……!?」ギュゥゥゥ
アーニャ「くるしい」
スザク「今、どうしてそう言う状況になっているのか、あえて聞かない。でも、アーニャはそんなこと望んでいない」
ルルーシュ「しかし……」
スザク「脅しているなら尚更だ」
ルルーシュ「くっ……」
ルルーシュ(アーニャがリークしていたか。まあ、当然だな)
スザク「アーニャを返してもらうよ。ゲームを通してね」
ルルーシュ「できるかな。お前に」
スザク「やってみせる」
アーニャ「……」
ミレイ「よし」
シャーリー「あ、あの!!」
ミレイ「なにかな?」
シャーリー「バッジって同級生からは無理なんだですか!?」
ミレイ「うん。かならず年上、年下のバッジだけね」
シャーリー「はぁ……」
ミレイ「ま、今回は恋人探しってわけじゃないから」
シャーリー「ですね」
リヴァル「じゃあ、俺、会長のバッジを奪ってもいいんですか?!」
ミレイ「いいわよ。がんばってね」
リヴァル「よっしゃぁ!!!」
シャーリー「あぁ……ルル……」
ミレイ「―――裏技だけど、同級生のバッジを真っ先に奪って、誰にも取らせないようにするって作戦もアリかな」
シャーリー「……!!」ガタッ
ルルーシュ「アーニャ、明日のゲームだが」
アーニャ「所詮はゲーム。それで兄妹ごっこ終わり?」
ルルーシュ「少なくとも、この学園内では兄妹でいられなくなるな」
アーニャ「……」
ルルーシュ「……」
アーニャ「ルルーシュから逃げ切れば人質、返してくれる?」
ルルーシュ「データは既に閲覧可能だろう」
アーニャ「……うん」
ルルーシュ「俺は明日、本気でアーニャのバッジを奪いに行く」
アーニャ「……」
ルルーシュ「そして名実共にお前を妹にしてみせる……いいな?」
アーニャ「分かった」
ルルーシュ(障害はスザクのみ……!!)
ルルーシュ(なんとしても……アーニャを……!!)
ロロ「……兄さんのバッジを真っ先に奪取して……」
ロロ「そして……ナイトオブシックスのバッジを……」
ロロ「……」
ロロ「奪うときに殺してみせる……」
ロロ「……確実に……」
ロロ「アーニャさえいなければ……僕は……兄さんに……冷たくされることもなかった」
ロロ「黒の騎士団も暗殺を容認しているし……」
ロロ「明日……決着をつけてやる……」
ヴィレッタ「……」
ヴィレッタ(まずいな)
ヴィレッタ(学園内でナイトオブラウンズが死んでは大問題になる)
ヴィレッタ(だが、どうする……ロロの能力が絶大だ……)
ヴィレッタ(ここは……)
ミレイ『はーい!では兄弟姉妹ゲットする準備は整いましたかぁー?』
ルルーシュ(アーニャ)
シャーリー「……」
スザク(いける……)
ミレイ『スタートは自分の教室から〜。では、カウントダウン開始』
ルルーシュ(まずは真っ先にアーニャのところへ……)
スザク(ルルーシュは運動が苦手だ。余裕で勝てる)
ミレイ『―――3、2、1』
ルルーシュ「……」
スザク「……」
ミレイ『―――スタート!!!』
ルルーシュ「よし!!」ダッ
シャーリー「ごめん!!ルル!!!」バッ
ルルーシュ「シャーリー!?どうして俺のバッジを!?」
ルルーシュ「くっ……!!アーニャに渡すはずだったのに……!!」
ルルーシュ「まぁいい。今はアーニャのところに……!!」
シャーリー「はぁ……はぁ……!!」
シャーリー「はぁ……」
シャーリー「ルル、追いかけてこないなぁ」
シャーリー「……とはいえ、これ、どうしよう……」
ミレイ「シャーリー」
シャーリー「あ、会長」
ミレイ「ご苦労さま」バッ
シャーリー「え?!それルルのバッジ!?」
ミレイ「ああいえば、きっとやってくれると思ってた」
シャーリー「じゃあ、初めから……!?」
ミレイ「それじゃあね」
シャーリー「待ってください!!」
スザク「……くっ。いない」
ジノ「よお」
スザク「アーニャは!?」
ジノ「俺も探してるけど、みつかんねーんだ」
スザク「そんな……。待っておいて欲しいっていったのに……」
ジノ「俺は外を探してみる」
スザク「わかった。僕は校内を」
ルルーシュ「咲世子、アーニャの現在地は?」
咲世子『中庭に』
ルルーシュ「よし!!」
ルルーシュ(くく……スザク。この勝負もらったぞ……!!)
ロロ「いた……兄さん」
ロロ「……」キィィィン
ロロ「まさか……もう……?」
ロロ「先にアーニャを探すしかないか……!!」
ルルーシュ「―――よし。中庭にいくか」
ミレイ「ルルーシュ」
ルルーシュ「会長?」
ミレイ「今日から私の弟ってことで」
ルルーシュ「俺のバッジ?!」
ミレイ「返してほしい?」
ルルーシュ(ここで時間を食ってはアーニャのバッジを諦めることになる……)
ルルーシュ(それだけは……!!)
ミレイ「どうしたー?」
ルルーシュ「分かりました。会長が持っていてください」
ミレイ「え?弟になっちゃうけどいいの?ほんとに?」
ルルーシュ「あとで取り返します」
アーニャ「……どうしよう」
ルルーシュ「アーニャ!!」
アーニャ「あ……」
ルルーシュ「バッジを」
アーニャ「……」
ジノ「まちな。ランペルージ卿」
ルルーシュ「ちっ。邪魔をするな!!」
ジノ「スザクがもうすぐここにくる。それまで辛抱できるだろ?」
ルルーシュ(ふざけるな……スザクと真っ向からでは勝負にすらならない……!!)
アーニャ「……」
ルルーシュ「アーニャ!!早くバッジを!!」
アーニャ「えっと……」
ジノ「そうはさせるか!!」ダダッ
ルルーシュ「!?」
ジノ「紳士らしく、もう少し待とうぜ!!」ガシッ
ルルーシュ「くそ……!!」
スザク「ルルーシュ!!」
ルルーシュ「スザク……」
ジノ「来たか」
ルルーシュ「ちっ……」
スザク「アーニャを貰う」
ルルーシュ「わたさん!!」
アーニャ「……」
ロロ「……見つけた」
ロロ(この位置なら……)
C.C.「させない」
ロロ「な……!?」
C.C.「そんな乱暴なことをしなくても、アーニャはルルーシュから離れていく」
ルルーシュ「果たしてそうかな?」
スザク「なに?」
ルルーシュ「戦では戦力よりも戦術なのだよ」
スザク「何を……」
学生「はっ!!!」バッ
スザク「!?」
ジノ「なんだ!?」
学生「スザクさん。貴方のバッジを頂きます!!」
スザク「だ、誰だ君は!?」
ルルーシュ(いいぞ、咲世子。そのまま足止めしていろ)
ルルーシュ「さ、アーニャ」
アーニャ「……」
ルルーシュ「渡してくれ」
アーニャ「……じゃあ、ルルーシュのバッジもちょうだい。交換」
アーニャ「対価を払えってルルーシュがいった」
ルルーシュ「そ、それは……?!」
アーニャ「交換してくれないと、渡さない」
ルルーシュ(くっ……会長が持っている……今から探しにいっても……)
アーニャ「私はここで待つ」
ルルーシュ「ぬぅ……!!」
ルルーシュ(ここはロロに頼むしか―――)
ロロ「兄さん」
ルルーシュ「ロロ……!!」
スザク「何故ここに……!?」
ロロ「……」キィィィン
ジノ「」
アーニャ「え」
ロロ「今、この場で動けるのは僕とあなただけ。―――死んでもらいます」
ロロ「もう動けるようになったんですか……!!」
アーニャ「なに、これ……」
C.C.「逃げろ!!」
アーニャ「……」テテテッ
ロロ「しまった!!」
C.C.「お前、死にたいのか!?」
ロロ「兄さんと僕の未来のためです!!」
C.C.(重症だな……)
ロロ「くっ!!」
ルルーシュ「―――!?」
ルルーシュ(C.C.……!?)
スザク「C.C.か……!こんなときに、こんなところで……!!」
ロロ「どいてください!!」ドンッ
C.C.「くっ……」
C.C.「……」
ルルーシュ(ここで会話を交わせば、記憶が戻っていることを告げるようなものだ……!!)
C.C.「おい!!枢木スザクとそこの童貞顔の学生」
スザク「なんだ?」
ルルーシュ「なんだと……!?」
C.C.「奴を追え。あいつはアーニャを狙っている」
スザク「なに……?!ジノ!!」
ジノ「まかせろ!!」
ルルーシュ「スザク!!俺も手伝うぞ!!」
スザク「C.C.……」
C.C.「今は私よりもロロだと思うが?」
スザク「……ルルーシュに接触しにきたのか」
C.C.「まさか。私はロロに興味があっただけだよ」
スザク「……」
スザク「ルルーシュ!!」
ルルーシュ「スザク……」
スザク「どうする?指示をくれ」
ルルーシュ「お前……」
スザク「はやく」
ルルーシュ「―――よし。ジノはこのまま真っ直ぐロロを追ってくれ」
ジノ「おう」
ルルーシュ「スザクを俺とこっちにこい。ロロの行く手を遮る」
スザク「わかった」
ルルーシュ「俺のスピードに合わせる必要はないからな」
スザク「え?どうして」
ルルーシュ「いいから」
スザク「わかった。先に行っている」
ルルーシュ(ああ。それでいい。スザクはそれでな)
ロロ「はぁ……はぁ……しつこい……」キィィィン
ジノ「―――あれ!?また差が開いた?!」
ロロ「もう少し……!!」
アーニャ「はっ……あっ……」
ロロ「……」キィィィン
アーニャ「」
ロロ「よし……終わりです」
アーニャ「―――え?」
ロロ「これで!!」
スザク「やめろぉ!!!」
ロロ「……!?」
スザク「アーニャは渡さない!!」
ロロ「ふっ」キィィィン
スザク「」
ロロ「今度こそ……」
ルルーシュ「ロロぉぉ!!」ダダダッ
ロロ「え?!にいさ―――?!」
ルルーシュ「……っ」ガッ!!
ロロ「ぐっ……!?」
ルルーシュ「お前……」
ロロ「僕は……兄さんのために……」
ルルーシュ「……」
スザク「あ―――」
ルルーシュ「スザク!!アーニャは任せる!!」
スザク「いいのか?」
ルルーシュ「はやくしろ!!」
スザク「わかった。行こう、アーニャ」
アーニャ「うん」
ロロ「はぁ……はぁ……」
ルルーシュ「大丈夫か?」
ロロ「兄さん……」
ルルーシュ「無茶をするな。俺のためにがんばるのはいいが、死んでは意味が無い」
ロロ「ご、ごめんなさい……」
ルルーシュ「今日はもう休め」
ロロ「兄さん……僕……」
ルルーシュ「悪かった。少しお前に冷たかったかもしれない。だけど、俺はお前を愛している」
ロロ「兄さん……」ギュッ
ルルーシュ(そうだ……こんなところで死んでもらっては困るんだよ……ロロ……!!)
ルルーシュ(お前にはもっともっと……活躍してもらわないといけないからなぁ……!!)
ロロ「兄さん……兄さん……」
ルルーシュ「……」ナデナデ
ルルーシュ(ふはははは。ロロ、まだまだボロ雑巾には程遠いぞ……あははははは!!!)
ルルーシュ「はぁ……」
C.C.「残念だったな。坊や」
ルルーシュ「ふん……」
C.C.「とはいえ、これはただのゲームだ。また恐喝でもすればいい」
ルルーシュ「アーニャがあの携帯を手放すわけないだろ」
C.C.「……え?お前、アーニャの携帯を人質にしていたんじゃないのか?」
ルルーシュ「していない。あれは妹になるという条件で返した」
C.C.「ちょっとまて、じゃあ、アーニャはずっと自由の身だったのか……?」
ルルーシュ「もう消えろ。お前は目立つ」
C.C.「……そういうことだったのか。どうやら私の目は節穴みたいだ」
ルルーシュ「……」
女子「あ、ルルーシュくんだ」
ルルーシュ「ちょっといいかな?―――何が何でも会長から俺のバッジを取り返してきてくれ」キィィン
女子「うん」タタタッ
ルルーシュ「ありがとう」
ルルーシュ「……はぁ……」
アーニャ「……」
ルルーシュ「どうした?」
アーニャ「バッジは?」
ルルーシュ「ここにある」
アーニャ「私のも」
ルルーシュ「スザクに渡したんじゃなかったのか」
アーニャ「渡してない」
ルルーシュ「そうか」
アーニャ「……」
スザク「ルルーシュ……話は聞いたよ」
ルルーシュ「なんのことだ?」
スザク「一緒に住むとアーニャが決めたと同時に自由の身にしてたんだな」
ルルーシュ「脅迫はした」
スザク「ルルーシュ……」
アーニャ「……」
スザク「アーニャは好きでルルーシュのところにいたんだろ?」
アーニャ「違う。脅迫されて」
スザク「じゃあ、バッジ。僕に渡してくれないか」
アーニャ「……いや」
スザク「そうか」
ルルーシュ「アーニャ……」
アーニャ「ルルーシュ……これ」
ルルーシュ「いいのか?」
アーニャ「もう妹だから」
ルルーシュ「違うな。間違っているぞ。今度は自ら俺の妹になるということだぞ?今回、俺は一切脅していないからな」
アーニャ「あ……」
アーニャ「……」
スザク「アーニャ?無理に交換しなくても……」
アーニャ「うぅ……」
ルルーシュ「いいのか?奪うぞ?」
アーニャ「……どうぞ」
ルルーシュ「そうか」
アーニャ「……」
ルルーシュ「それじゃあ……」
アーニャ「まって。ルルーシュのバッジも」
ルルーシュ「ああ。そうだったな。―――はい」
アーニャ「私から先に奪う」
ルルーシュ「はいはい。我侭な妹だ」
アーニャ「……」バッ
アーニャ「……やった……記録……」パシャ
アーニャ「……」ブルブル
ルルーシュ「なんだ、震えるぞ?」
アーニャ「は、はやく」
ルルーシュ「はいはい―――」
ミレイ『はい!!しゅーりょー!!!』
ミレイ『終わりでーす!!今、持っているバッジの人が貴方の兄妹でーす!!』
スザク「あ……終わったちゃったな」
ルルーシュ「ふっ……そうか」
アーニャ「……」
ルルーシュ「とりあえずアーニャは俺の妹になったのか」
アーニャ「違う」
ルルーシュ「え?」
アーニャ「ルルーシュは私の兄様だけど、ルルーシュは私のバッジを奪えなかったから違う」
ルルーシュ「な、なに!?じゃあ、俺はアーニャの兄だけど、アーニャは俺の妹じゃないっていうのか?!」
スザク「なんだ……それ……」
ルルーシュ「ええい!!そんな兄妹がいるか!!」
アーニャ「ここにいる」
ルルーシュ「ぐっ……!!」
スザク「……ルルーシュ」
ルルーシュ「なんだ?」
スザク「ギアスは使ってないんだね?」
ルルーシュ「ギアス?なんのことだ?」
スザク「……ごめん。なんでもない」
ルルーシュ「……」
アーニャ「それじゃあ……ルルーシュお兄様」
ルルーシュ「え?」
アーニャ「記念……」チュッ
ルルーシュ「なっ……」
アーニャ「……」
ルルーシュ「お前……?!」
ジノ「おーい!!緊急連絡が入ったぞー」
スザク「わかった!!アーニャ、行こう」
アーニャ「うん」
ルルーシュ「アーニャ」
アーニャ「またね」
ルルーシュ「ああ……」
ルルーシュ「……」
ルルーシュ(結局、兄妹ごっこはここまでか)
ルルーシュ(ま、楽しかったし……いいか……)
ルルーシュ(だが……俺は諦めていないぞ……アーニャ……!!)
ルルーシュ(ナナリーともども手に入れてやる……!!)
ルルーシュ「ふふふ……ふはははは……あーっはっはっはっはっはっは!!!!」
ミレイ「くそう……なんか変な下級生に疾風のごとく奪われちゃった……」
シャーリー「天罰ですよ。天罰」
ミレイ「そんなこといったって……」
ルルーシュ「シャーリーに奪わせて自分だけ美味しいところを取ろうとするからですよ」
ミレイ「いいじゃないべつに……」
シャーリー「よくありませんっ!!」
ミレイ(でも、なんか面白かったし今度は恋人争奪ゲームでもしようっと……)
ルルーシュ「また、よからぬことを考えてませんか?」
ミレイ「よからぬことじゃなくて、良いことを考えてます」
ルルーシュ「はいはい」
リヴァル「会長……どこ探してもいないとか……はぁ……弟になるチャンスだったのに……」
ルルーシュ「会長の弟になっても、立場は変わらないと思うぞ?」
リヴァル「うるせぇ!!」
ルルーシュ「C.C.を呼んだのはやはりお前だったか」
ヴィレッタ「独断だったのは認める」
ルルーシュ「いや。結果的に助かった。あいつがいなければ今頃……」
ヴィレッタ「それで妹はどうなった?」
ルルーシュ「俺の妹は一人だけです。今は」
ヴィレッタ「ふん……」
ルルーシュ「さてと……定時報告は以上だな、カレン?」
カレン『そっちは楽しそうね』
ルルーシュ「そうでもない。気苦労が耐えない現場だ」
カレン『ふん……』
ヴィレッタ「拗ねているのか?ゼロの妹になれないから」
カレン『な……!?なんで?!』
ルルーシュ「なんだ。そういうことか。いいぞ、カレン。ゼロお兄ちゃんと呼んでもな」
カレン『ふ、ふざけるな!!通信終わり!!!』
ナナリー「どうぞ」
アーニャ「……アーニャだけど」
ナナリー「どうかしましたか?」
アーニャ「……兄ってどういう存在なの?」
ナナリー「私のお兄様は優しくて頼りがいがあって、賢くて……私のことをいつも気にかけてくれている人です」
アーニャ「それは妹だから?」
ナナリー「いいえ。お兄様だからです」
アーニャ「そうなんだ」
ナナリー「はい」
アーニャ「それなら、安心」
ナナリー「え?」
アーニャ「はい、これ」
ナナリー「え?これは……バッジ……ですか?」
アーニャ「妹の証。あなたにあげる」
アーニャ「渡してきた」
スザク「そう。よかったのか?」
アーニャ「うん」
スザク「どうして?」
アーニャ「だって……妹だと結婚できない」
スザク「なっ?!」
アーニャ「記録」パシャ
スザク「アーニャ!!!」
アーニャ「それじゃあ」
スザク「全く……」
スザク(ルルーシュ……)
スザク(アーニャは大変だと思うけど……裏切らないであげてほしい)
アーニャ「……」トテトテ
アーニャ(ルルーシュのところに行こう)
ルルーシュ「―――で、来たのか」
アーニャ「うん」
ルルーシュ(理性が飛びそうだ)
アーニャ「ルルーシュはお兄様じゃないから」
ルルーシュ「誰にやったんだ、あのバッジは」
アーニャ「……秘密」
ルルーシュ「まぁいいけど。で、これからなにを―――」
アーニャ「新居……記念……」
ルルーシュ「なっ……!?おい?!顔を近づけるな……!!」
アーニャ「―――大好き」
ルルーシュ(なんだ……もう完全に堕ちていたのか……!!ふふふ……ふはははは!!!あははははは!!!!!)
ルルーシュ(アーニャ……これから存分に可愛がってやるぞ……。ナナリーを取り戻しても可愛がってやるっ!!)
アーニャ「ルルーシュ……好き……キモイけど……」
END
面白かった
乙
これは新手のツンデレなのだろうか…?
初めから
おつおつ。アーニャの可愛さ再確認したわ
Entry ⇒ 2012.04.28 | Category ⇒ コードギアスSS | Comments (0) | Trackbacks (0)
ハルヒ「黒の騎士団に入るわよ!」
http://hayabusa.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1334734116/
ハルヒ「あぁ〜暇だわ!キョン、何か面白い話して!!」
キョン「急にどうした?無茶ぶりにも程があるぞ」
ハルヒ「だって最近本当退屈なんだもん!はぁ、何か面白い事ないかしらねぇ」
古泉「待ってるだけでは何も起こりません、今週末辺りにまた不思議探しをする
というのはいかがでしょう?」
キョン「(余計な事を言うな古泉!)」
ハルヒ「不思議探しねぇ・・・何かもう飽きちゃったわ」
古泉「・・・!」
キョン「意外な反応だな、いつもならすぐに乗り気になるだろうに
まぁ、ああも毎回徒労の連続じゃ飽きて当然だが」
みくる「え?じゃあもう不思議探しはやらないんですか?」
ハルヒ「飽きたけど完全に終わりにするつもりじゃないわ!
今はそういう気分じゃないからやりたくなってだけよ」
キョン「そりゃ残念だ」
ハルヒ「あー退屈退屈!!何で世の中ってこんなにつまらないのかしら!
漫画やアニメみたいな非現実的な出来事が何で起きないの!?」
その辺の欲求は今お前が言った漫画やアニメで補完すればいい」
ハルヒ「そんなのつまらないわ!!私は現実の世界で不思議な事件を見たり
聞いたりしたいの!」
キョン「あぁそうかい」
ハルヒ「本っっ当退屈!退屈すぎて頭おかしくなりそうだわ!
はぁ・・・現実世界が駄目なら、せめて夢の中だけでも面白い事に巻き込まれてみたいわ・・・」
キョン「夢?そういえば昔ドラえもんの映画でのび太が似たような事言ってたな」
ハルヒ「何それ?」
古泉「ありましたね、確か夢幻三剣士という映画です。
辛い現実に嫌気がさしたのび太が、夢の中だけでも格好良くなりたいと言って
ドラえもんがその望みを叶える、いや〜懐かしいですね」
ハルヒ「へー、私ドラえもんとかってあんまり見なかったんだけど
のび太って意外と話せる奴かもしれないわね。
で、ドラえもんはその望みをどうやって叶えたの?」
古泉「確か好きな夢を自由に見る事のできる道具を使ったと記憶しています」
ハルヒ「好きな夢を自由に見れる道具!?羨ましいわ・・・そんな道具があったら
この退っっ屈な日常も耐えられるんだけどなぁ」
キョン「諦めろ、その道具だってドラえもんというアニメの中の話で
一般的に見たら非現実的なんだからな」
最後の人、ちゃんと鍵閉めてってね!!」
バタンッ
みくる「は、はぁ〜い・・・」
キョン「・・・ったく、今日はいつにもましてご機嫌斜めだったな
特にやる事もないし、俺達も帰るか」
古泉「ちょっと待ってください、お話が」
キョン「ん?何だ?」
古泉「ここ最近の涼宮さんをどう思いますか?」
キョン「どうと言われてもな・・・取り敢えず不機嫌なのは確かだが
あいつの情緒は常に不安定だからよく分からん」
古泉「えぇ、確かに不安定なのは間違いないのですが、ここ最近は特に顕著でして・・・
閉鎖空間の発生頻度も日に日に高まっていってます」
キョン「またあの気味の悪い空間を作っちまってるのかあいつは・・・」
古泉「いつもなら現実世界で不思議探しなどをして気を紛らわす事で
涼宮さんの中にある様々な鬱憤を少しずつ解消する事が出来るのですが
どうやら今回はそれすらもさせてはもらえないようで・・・正直お手上げです」
キョン「あー、あれはビックリしたな。まさかあいつが恒例の不思議探しを断るとは」
飽きたと一蹴した・・・これは正直かなり危険なサインです」
キョン「なにがどー危険なんだ?」
古泉「また以前のように、閉鎖空間と現実世界を入れ替えようとする恐れもあります」
キョン「・・・そうなったらまた俺だけあいつと残る事になるのか?」
古泉「恐らく。まぁそうなったらあなたが以前涼宮さんにした事を
もう一度していただければ解決するかもしれませんが」
キョン「断る!」
古泉「そう言うと思いました。では何か対策を立てなければいけませんね
そうならない為にも」
キョン「なぁ長門、お前の目から見ても今のハルヒはヤバイ状態なのか?」
長門「・・・そう」
キョン「はぁ〜」
古泉「あまり深刻になっても仕方ありません、取り敢えず今日はここまでにして
明日また話し合いをしましょう。何か良い手立てがないか、みなさん各自
家で考えてきてください、よろしくお願いします。」
キョン「分かったよ」
みくる「分かりましたぁ」
キョン「はぁ〜、ハルヒの不平不満を少しでも晴らす為の手立てねぇ・・・
まずい、なにも浮かばん・・・」
キョン「まぁ、俺の頭に浮かびそうな考えなんざ古泉の奴ならとっとと思いつくだろうし
考えるだけ無意味だな。よし、もう遅いし寝よう!」
キョンは布団に入り眠りについた
?「キョン・・・・キョン」
キョン「Zzz」
?「キョン、いつまで寝てる気だい?早く起きてくれないかな?」
キョン「んん?まだ朝じゃ・・・・・・・って何だこれは!!」
目を覚ましたキョンは自分が今いる場所に驚いた
四方八方見渡す限り星空。そこはまるで宇宙空間のようだった
そして目の前にいたのは
キョン「さ、佐々木?何でお前が・・・・ていうかここは何処だ!?」
佐々木「やれやれ、やっと起きてくれたか」
俺は自分の家の自分のベッドで寝ていたはずだぞ!」
佐々木「まぁ当然の疑問だね。でも残念、僕はそれらの答えを持ち合わせていないんだ
僕に与えられた仕事は、ここで君に別の世界へ行くにあたっての簡単な説明を
するという事であって、それ以外の事は何も分からないんだ」
キョン「別の世界?説明?お前は何を言っているんだ佐々木?」
佐々木「ククク、そりゃいきなりこんな事を言われたんじゃそんな顔にもなるよね
改めて言うけど、君にはこれから別の世界へ行ってもらう!
そしてそこで待ち受けてる様々な問題を解決してきてくれ」
キョン「・・・あぁ、なるほどな。俺って奴は頭がどうかしてたぜ
こりゃいつも見てるアホな夢じゃないか。目を覚ましたらそこはわけの分からん場所で
目の前には佐々木がいて意味不明な事を言ってる、完全に夢だ」
佐々木「ククク、まぁ解釈は自由だよ」
キョン「えーっと、何だっけ?あぁ、別の世界に行かなきゃならないんだったな?
じゃあさっさと連れてってくれ、睡眠の時間は限られてるんだ
別の世界とやらへ行く前に目が覚めちまったんじゃつまらんからな」
佐々木「随分と乗り気だねキョン」
キョン「アホな夢とは言え俺の夢だからな、出来るだけ楽しむさ
さぁ、早く連れてってくれ」
キョン「あぁ、そういえばそれがお前の仕事だったな」
佐々木「さっきも言った通り君はこれから別の世界へと行くわけだけど
急に何も知らない世界へと放り込まれても困るだろ?
だからその世界に関する一般的な知識や周りの人間に関する情報を
これから脳に記憶させる」
キョン「おう、何でもやってくれ」
佐々木「じゃあおでこ出して」
キョン「こうか?」
キョンは手で前髪を上げ佐々木にでこを出した
すると佐々木は右手人差し指をキョンのでこに当て
なにやらブツブツと呪文のような言葉を呟いた
佐々木「終わったよ」
キョン「は?もう終わりなのか?いくら夢とは言え適当すぎるだろ・・・」
佐々木「でもどうだい、これから行く世界の情報、関わる人間の事など
頭の中に入ってるだろ?軽い問題でも出してみるか
君がこれから行く世界の3分の1を支配している国の名前は?」
キョン「神聖ブリタニア帝国」
キョン「アッシュフォード学園」
佐々木「君はその学校でどんな立場だい?」
キョン「生徒会役員」
佐々木「生徒会に所属している人の名前は?」
キョン「俺に生徒会長のハルヒ、古泉に長門、朝比奈さんにリヴァル、シャーリーにルルーシュ
カレン、スザク」
佐々木「完璧だね!でも今入れた情報はあくまで基礎的な知識だけなんだ。
いざ向こうの世界へ行ったら知らない事も多いから油断は禁物だよ」
キョン「あぁ、それにしても凄いなこれ・・・当たり前の事のように自然と答えが出てくる!
流石は俺の夢、都合が良いいな・・・ん?ちょっと待てこの夢にはハルヒ達まで出てくるのか!?」
佐々木「勿論」
キョン「orz・・・夢の中くらい解放されたいもんだ」
佐々木「それと、これが一番重要な事なんだけど」
キョン「何だ?」
佐々木「君は向こうの世界で特殊な力を使う事ができる」
佐々木「面倒だろうけどこれに関しては口頭で説明させてもらうよ」
キョン「あぁ、構わん」
佐々木「能力の名前はギアス、絶対遵守の力だ」
キョン「ぜったいじゅんしゅ?」
佐々木「簡単に言うと、君の命令した事に誰も逆らう事ができない能力って事だよ」
キョン「おお!そんな能力が使えるのか俺は!最強じゃないか!」
佐々木「ただこの能力にはいくつか制約があってね、まず相手の目を見ないと使えない
そして同じ相手に二度は使えない」
キョン「能力の内容の割りに楽な制約だな、流石は俺の夢だ
俺が困らないようにできてる」
佐々木「ククク、そうだね。以上で説明は終わりだ。じゃ、頑張って」
キョン「おう、いろいろとありがとな!」
佐々木「じゃ、飛ばすね」
佐々木がそう言った瞬間、キョンは激しい目まいに襲われた
いつぞやに朝比奈みくるとタイムリープした時のようなあの感覚
そんな中、かすかに佐々木の声が聞こえてくる・・・
それと、君のギアスは他の能力者にだけは効かないからねぇぇ」
キョン「ん?何言ってるんだ佐々木の奴は?」
------
---
--
-
?「キョン、起きなさい!何寝てんのよアンタわ!!」
キョン「へ?」
?「へ?じゃないわよこの馬鹿!状況を考えなさい、寝てる場合じゃないでしょ!」
キョン「ハルヒか・・・?」
ハルヒ「・・・・あんた寝ぼけてんの?私以外に誰だってのよ!」
キョン「あ、いや何でもない!いやーすまんすまんつい寝ちまった」
古泉「この状況下で睡眠がとれるなんて羨ましいかぎりです
大物感に溢れてますね」
ハルヒ「ただ馬鹿なだけよ!全く信じられないわ!」
キョン「この状況この状況って、今どんな状況な」
みんなで放課後に新宿ゲットーを探索してたらブリアニア軍が来て・・・)」
古泉「急に日本人を襲い始めた為、我々は廃ビルの陰に隠れているというわけです」
キョン「連中がゲットーでやってるのは軍事演習だけじゃなかったのか?」
古泉「表向きはそう言ってますが、どうやら実情は違ったようですね
そういえば聞いた事があります、軍の中には演習と銘打ってゲットーに住んでいる
日本人を狩りと称し虐殺してる野蛮人がいると」
キョン「何だそれ・・・いくらなんでも酷すぎるじゃねーか!」
ハルヒ「クズもいいところだわ、許せない!」
みくる「あのぅ・・・それじゃ私達も殺されちゃうんですかぁ?」シクシク
ハルヒ「安心しなさいみくるちゃん!この私がいる限りは何の心配もないわ!
ブリタニア軍なんてコテンパンにやっつけてやるわ!」
キョン「やっつけるったってな、向こうはナイトメアを使ってるんだ
生身の俺達が勝てるわけがないだろう」
ハルヒ「そんなのやってみないと分からないじゃないの」
キョン「いいや、分かる!」
古泉「彼の言う通りです、残念ですが我々に勝ち目はありません
かと言って下手に逃げ回るのも危険です、背を向けて逃げる日本人など
狩人にとっては格好の獲物ですからね」
ハルヒ「有希、何か良い考えない?」
長門「・・・・・・・・」シーン
古泉「両手を挙げて保護を求めるしかありませんね。不本意ではありますが
我々は名誉ブリタニア人として国民IDも持っています、これを見せて
きちんと保護を求めれば、流石に殺される事はないかと」
キョン「なるほど・・・逃げたり戦ったりよりは確かに助かる可能性は高い」
ハルヒ「冗談じゃないわ!私は嫌よ!あんな連中に保護を求めるなんて!
あいつらは罪のない日本人を虐殺してるのよ!?」
キョン「気持ちは分かるが、ここで全員が助かるにはそれしかない
逃げるにしても戦うにしても、お前は何とかなるかもしれんが運動能力の低い
俺や朝比奈さんはどうなる?」
みくる「キョンくん・・・」シクシク
ハルヒ「・・・・・」
キョン「会長なら自分の事だけじゃなく、生徒会全員の事を考えた上で判断を下すべきだ」
ハルヒ「うるさいわね!そんな事アンタに言われなくても分かってるわよ!
・・・・いいわ、保護を求めましょう」
キョン「ありがとよ」
古泉「では次にそこの道をナイトメアが通ったら
全員で両手を挙げて保護を求めましょう」
キョン「分かった!」
古泉「出来ればライフルを装備していないナイトメアがいいですね
見られた瞬間発砲されたんじゃ保護を求めようもないですから」
ウィーーーン
キョン「来たぞ!ブリタニア軍のナイトメアだ!!」
古泉「ライフルは装備していないようですね、しかもサザーランドと比べ旧型のグラスゴー
武器はスタントンファーとハーケンのみ・・・・・行きましょう!」
キョン「よし!」
キョン達は隠れていた場所から飛び出し
走行するグラスゴーの前に姿を見せた
グラスゴーパイロット「ん?何だあいつらは?イレヴンか?」
パイロットはグラスゴーをキョン達の前で停止させ
音声を外に流し話し始めた
Gパイロット「貴様等、こんな所で何をしている!?見たところ学生のようだが・・・」
キョン「そうなんだ、そしたらあんたらが演習を始めてそれで・・・」
Gパイロット「帰るに帰れなくなったというわけか?」
古泉「えぇ、僕達は名誉ブリタニア人です、IDカードも所持しています
ご確認の後保護をお願いしたいのですが」
みくる「お、お願いしますぅ〜」シクシク
Gパイロット「ふっ、ふははははwww何が名誉ブリタニア人だ、笑わせるな!!
そんな者ブリタニアには必要ない!!つまり、俺がお前等を保護する必要もない!」
キョン「な、何だと!?」
古泉「・・・・外れでしたね、まさか純潔派の方だったとは」
キョン「純潔派?」
古泉「ブリタニアはブリタニア人だけで構成すべきだという考えを主張している方々の事です
彼らはナンバーズだけでなく名誉ブリタニア人も毛嫌いしていますからね
IDを持っていようがいまいが関係ないのでしょう」
キョン「なっ・・・」
ハルヒ「ちょ、ちょっと何よそれ!?私達は名誉ブリタニア人なのよ!!
ちゃんと保護しなさいよ!」
弱い弱いイレヴンだろうが!!立場をわきまえろ糞が!!」
ハルヒ「な、なんですってー!!」
キョン「お、おい止めろハルヒ!敵う相手じゃない!」
古泉「相手が純潔派ではもうどうしようもありませんね、作戦を考えたのも
保護を求める相手を選んだのも僕です、責任はとります
囮になりますので、みなさんはその隙に逃げてください」
キョン「おい、何言ってんだお前!?」
ハルヒ「そうよ、団員を見捨てるなんて事できないわ!みんなで逃げるの!
いいわね古泉くん!!」
古泉「しかし全員で一緒に逃げてもすぐに攻撃されて全滅です!」
キョン「(そうだ!!そういえば俺はギアスとかいう能力が使えるんだった!!
あれを使えばこの状況も簡単に打破できる!!)」
Gパイロット「何をごちゃごちゃ言ってやがんでイレヴン共!!
皆殺しにしてやる、覚悟しやがれ!!」
キョン「あ・・・・・駄目だ、直に相手の目を見ないといけないんだった・・・こりゃイカン」
ハルヒ「考えてる暇はないわ、みんな逃げましょう!」
キョン「お、おう!!いくぞ古泉!!」
グラスゴーが逃げるハルヒ達に迫る
キョン「くそ、もう駄目だ!」
みくる「ふぇぇぇぇ」
Gパイロット「死ね!!」
万事休すかと思ったその時、どこからかスラッシュハーケンが飛んできて
キョン達を襲っていたグラスゴーの右足を弾き飛ばし
バランスを崩した機体はその場に横転した
ドスンッ!!
Gパイロット「ぐわっ!!!」
キョン「ハァ、ハァ・・・た、助かった・・・朝比奈さん、大丈夫ですか?」
みくる「ふぇぇぇぇんキョンくぅぅぅん!!怖かったですー」シクシク
古泉「どうやら我々を助けてくれたのは、あのナイトメアのようですね」
ハルヒ「あの赤いのって、黒の騎士団のエース機じゃないの!?」
キョン「本当だ、黒の騎士団が来てくれたんだ!朝比奈さん、もう大丈夫ですよ!」
みくる「ふぇぇぇぇ・・・」
赤い機体から外部音声で声が響き渡る
キョン「そ、そうだな!朝比奈さん、もう少し走れますか?」
みくる「ふぇぇ・・・なんとか」
古泉「急ぎましょう!」
ハルヒ「全速力で行くわよ!!みんなちゃんとついて来なさいよね!」
ハルヒを先頭に全員その場から走り出した
赤い機体のパイロット「(ふぅ、良かった・・・それにしても、何でみんなが
こんな所にいるのかしら?)」
Gパイロット「糞がっ!逃がさねーぞイレヴン共!!」
赤い機体のパイロットが油断した瞬間、グラスゴーのパイロットは横転したまま
スラッシュハーケンを逃げるハルヒ達のすぐ横にある廃ビルへと打ち込んだ
バシュッ!!
赤い機体のパイロット「はっ!しまった!!」
ズガーン!!
ハーケンは見事ビルに命中し
大量の瓦礫がハルヒ達目掛けて降り注ぐ
古泉「しかしこうも広範囲では・・・」
みくる「ふぇぇぇぇ!!」
ハルヒ「嘘でしょ・・・きゃああああああ」
長門「・・・・・」
キョン「うわあああああああああ」
ガラガラガラドカーン!!
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-
キョン「うわああああああああああ!!!」ガバッ
チュン チュン チュン
キョン「ハァ、ハァ、ハァ、ハァ・・・・・・・・・・・・へ??ここは??」
キョン妹「キョンくーん、朝だよー!!あれ?キョン君珍しく起きてる?」
キョン「・・・・・・へ?朝?」
キョン妹「そうだよー、キョン君どうしたのぉ?汗ビッショリだよぉ?」
キョン「い・・・いや、何でもない。分かったから先に下降りてなさい」
キョン妹「はーい」
ガチャッ
キョン「・・・・・・・・・・・ゆ、夢か・・・・・・」
キョン「・・・・・・・・・」
キョン「ぬおおおおおおおおお!!なんちゅー夢を見てたんだ俺は!!
最初の方は夢だって自覚してたのに後半は完全に忘れちまってた!!
かぁーっ、フロイト先生も爆笑だっぜ!!」
国木田「あっ、おはようキョン」
キョン「あぁ・・・・」
国木田「どうしたんだい?朝だっていうのに疲れきった顔して?」
キョン「いや、ちょっとな」
国木田「もしかして夜遅くまで勉強してたのかい?」
谷口「国木田、キョンがそんな事するわけないだろ
精々深夜のエロイ番組でも見てたって所だな」
キョン「お前と一緒にするな」
谷口「残念だったな、俺は録画してるから起きてる必要はないんだ(キリッ」
キョン「あぁそうかい」
キーンコーンカーンコーン
国木田「そろそろ先生が来ちゃうね、じゃあキョンまた後でね」
キョン「あぁ」
国木田、谷口と別れたキョンは自分の席に着席した
取り敢えず話しかけてみるか)」
キョン「ようハルヒ、今日もイライラが顔に出てるぞ」
ハルヒ「はぁ!?何よ朝っぱらからうるさいわね!余計なお世話よ!!」
キョン「(どうやら当りのようだ)」
ハルヒ「別にイライラなんてしてないわよ!昨日変な夢見たから
それでちょっと変な気分なの!」
キョン「変な夢?奇遇だな、俺も昨日飛びっきり変な夢を見たばっかりだぞ」
ハルヒ「だから何?私とアンタの夢を同列にしないでちょうだい!」
キョン「へいへい」
ハルヒ「最初の方は凄くドキドキして、面白い夢だったのに
最後の最後で最低な終わり方したのよ!あー思い出すだけで気分が悪いわ!!」
キョン「ったく、前日の夜に見た夢の内容によっていちいち機嫌を変えられたんじゃ
周りの人間はいい迷惑だぜ・・・」
ハルヒ「何か言った!?あ、そうだ!今日ちょっと用事があるから私部活いけないの
みんなに伝えといてね」
キョン「へいへい(朝から放課後の話かい!)」
ガチャッ
キョン「うーっす」
古泉「おや?今日は涼宮さんは御一緒ではないのですか?」
キョン「今日は用事があるとかで欠席するとさ」
古泉「そうでしたか、それは都合が良いですね」
キョン「都合?何の都合だ?・・・・・ん?あ、朝比奈さん!?」
みくる「キョンくーん・・・・」シクシク
キョン「な、何で泣いてるんですか朝比奈さん!?おい古泉、まさかお前!」
古泉「か、勘弁してください。都合が良いと言ったのは、朝比奈さんが泣いている
理由を説明するのに都合が良いと言う意味です」
キョン「(何だか激しく嫌な予感がする、朝比奈さんが泣く時というのは
決まってハルヒ絡みだと相場が決まっているからだ・・・)」
古泉「流石ですね、正解です」
キョン「はぁ・・・で、今度は何をやらかしたんだあいつは?」
キョン「何だ?」
古泉「昨日、どんな夢を見ましたか?」
キョン「昨日?・・・・・・人に話すにはかなり勇気のいるアホな夢だったから
あまり言いたくないのだが」
古泉「では僕が当ててみせましょう」
キョン「なに?んな事できるわけないだろ」
古泉「お忘れですか、僕は超能力者ですよ?」
キョン「現実では力が使えないエセ超能力者だろ」
古泉「ふむふむ・・・・見えます」
キョン「付き合ってられん」
古泉「あなたが昨日見た夢、それは新宿ゲットーという場所で
我々SOS団がブリタニアという国の軍隊から逃げ回るという内容ですね?」
キョン「!!?」
古泉「途中黒の騎士団が助けに入るも、最後は瓦礫の下敷きになり全滅・・・違いますか?」
キョン「な、何で分かるんだ!?」
古泉「いいえ、先程のは冗談です」
キョン「じゃあ何で分かった!?」
古泉「簡単ですよ、僕も全く同じ夢を見ていたんです」
キョン「・・・・言っている意味が分からんのだが」
古泉「僕だけじゃありません、そこにいる朝比奈さんと長門さん
そして涼宮さんも、昨日あなたが見たモノと全く同じ夢を見ていたんです」
キョン「何でそんな事が言える?」
古泉「僕も今日ここに来るまでは何も気がつきませんでした
これらの事実を教えてくれたのは長門さんです」
キョン「長門が?」
古泉「えぇ、勿論僕がそれらの事を信じたのはきちんと裏付けをとってからですが」
キョン「おい長門、昨日俺達全員が同じ夢を見てたって言うのはマジなのか?」
長門「厳密に言うと夢ではない、昨日の夜私達は全員別次元の地球に飛ばされていた」
キョン「夢じゃない?別次元の地球?」
キョン「・・・すまんが、もう少し分かりやすく説明してくれ」
長門「私達が今生活しているこの世界とは別の歴史を辿っている並行世界
私達は昨日そこに飛ばされていた」
古泉「つまり、パラレルワールドですよ!」
キョン「飛ばされてたってのはどういう意味だ?」
長門「そのままの意味、昨日の出来事は寝ていた時に見た夢ではなく
実際に起きていた事」
キョン「するとなんだ、瓦礫の下敷きになったあれは実は夢じゃなく
本当に下敷きになってたって事か?」
長門「そう」
キョン「でも俺もお前も、ハルヒだって何ともないじゃないか?
あれが夢じゃなかったなら俺達は無事でいられるはずがない」
長門「それは涼宮ハルヒがあっちの世界を夢だと認識しているから」
キョン「ハルヒが夢だと思い込んでるから、その並行世界とやらで瓦礫の下敷きになっても
こっちの世界で目が覚めて身体には何の影響もなかったって事か?」
長門「そう」
夜な夜な我々を別の世界へと飛ばしている原因は勿論彼女の力によるものです
現状明確な対処法はありません、恐らく今日の夜も飛ばされるでしょう」
キョン「あいつは何が悲しくてそんな事をしてるんだ?」
古泉「昨日のここでの会話をお忘れですか?」
キョン「ん?」
古泉「『せめて夢の中だけでも』という話をしていたではありませんか」
キョン「ドラえもんの映画のくだりか・・・」
古泉「えぇ。涼宮さんは無意識の内に、夢の中だけでも面白い体験をしたいという
願望を具現化してしまったようです」
キョン「今日も飛ばされるって言ったな?いったいいつまで続くんだ?」
古泉「涼宮さんの気が晴れるまでは永遠と続くと思いますよ」
キョン「orz・・・・・朝比奈さんが泣くのも無理ないな」
古泉「飛ばされた先の世界で涼宮さんが満足するくらい面白い体験が出来れば
恐らく解放されるでしょう、我々がやるべき事はそれです」
キョン「ハルヒを満足させりゃいいわけか・・・簡単なようで難しそうだな」
古泉「飛ばされる世界自体、一筋縄ではいかないような場所ですしね」
古泉「いいえ、同じ場所だそうです」
キョン「何で分かるんだ?」
長門「こっちの世界と向こう世界を繋ぐ超空間がまだ存在してる
普通では絶対にあってはいけないもの、それがあるという事は
今夜もそこを通って同じ場所に行く可能性が高い」
キョン「なるほど・・・ん?でも待てよ、俺たちは向こうの世界では
確かに瓦礫の下敷きになったんだぞ?まさか向こうの世界に行った瞬間
瓦礫の下で瀕死の状態からスタートするのか?」
長門「それはない、涼宮ハルヒが事実を改竄した」
キョン「改竄した?」
古泉「あの時、夢の中であるという認識があったにしろ涼宮さんは
『死にたくない!』と強く願ったんですよ、だから向こうの世界でも
我々は瓦礫の下敷きにならず、あのまま軍から逃げ切ったという風に
歴史を書き換えたんです」
キョン「ハルヒパワーは別の世界でも健在なのか・・・
ていうか、何でそんな事まで分かるんだ?」
長門「情報統合思念体が調べた」
キョン「こういう不足の事態の時は本当に役に立つな、お前の親玉は」
キョン「大丈夫ですよ朝比奈さん、俺達みんな一緒なんですから!
それにほら、向こうの世界でどんな怪我をしようが、ハルヒが夢だと認識している以上
こっちの世界では身体に傷一つつかないんですから」
古泉「夢だと認識している内は確かにそうですが、あまり時間がかかると
涼宮さんが夢である事を忘れ、それを現実だと認識してしまうかもしれません
そうなったらあちらの世界とこちらの世界が入れ替わってしまうでしょう」
キョン「そうなったらどうなる?」
古泉「夢ではなく現実なのですから、向こうで受けた傷はそのまま残りますね
死ねば本当に死にますし、それ以前にこちらの世界へ戻る手立ても失われます」
みくる「ふぇぇぇん、キョンくーん」
キョン「だ、大丈夫ですよ・・・・こっちにはギアスもあるんですし!」
みくる「ふぇ・・・ギアス?」
古泉「何です、そのギアスというのは?」
キョン「ん?お前昨日の夢見る前に佐々木に説明受けなかったのか?
同じ夢を見ていたんだろ?」
古泉「ほぅ、あなたの方には佐々木さんが出てきたのですか」
キョン「お前は違うのか?」
思い入れの深い人物が出てきていたようですね」
キョン「(特に思い入れが強いとも思わんが・・・付き合い自体もそんなに長くないし)」
古泉「ところで、そのギアスというのが何なのか説明していただけますか?」
キョン「あぁ、えーっと確か・・・」
キョンは古泉達にギアスの説明をした
古泉「絶対遵守の力・・・なるほど、確かにこれは我々にとって大きな武器に
なるかもしれませんね」
キョン「本当にお前には何の説明もなかったのか?」
古泉「えぇ、僕だけじゃなく朝比奈さんと長門さんもそういった能力の存在については
何も聞いていません。恐らくこの力はあなたにだけ与えられた特権なのでしょう」
キョン「何で俺だけなんだ?」
古泉「涼宮さんがそう願ったからです」
キョン「・・・・・」
古泉「やはり今回もあなたがキーマンになりそうです。頼りにしてますよ」
キョン「はぁ・・・・」
まずは涼宮さんがあちらの世界で何をしたいのかを知る事から始めましょう」
キョン「やりたい事が分からないんじゃ満足させようがないしな」
古泉「かなり骨の折れる作業になると思いますが、みなさん頑張りましょう」
みくる「・・・はい」
キョン「あぁ」
------その日の夜
キョン「・・・・・・・・・・・・よし、寝るか。はぁ、寝るのがこんなに憂鬱なのは初めてだぜ全く」
----------
------
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--
-
---アッシュフォード学園生徒会室
ハルヒ「起きなさい馬鹿キョン!!!」パコンッ
キョン「イテッ!!」
ハルヒ「これから会議が始まるってのに居眠りしてるアンタが悪いのよ!」
キョン「たく、どうして俺だけいつも叩き起こされる所から始まるんだ」
ハルヒ「ん?何か言った?」
キョン「いいや(よし、古泉達もいるな)」
ルルーシュ「何を決める会議なのか知らんが、早くやって早く終わらせよう
俺は他にやる事があるんだ」
キョン「(こいつはルルーシュ・ランペルージ、妹ナナリーと一緒に
学園内のクラブハウスに住んでる生徒会の副会長・・・分かる、分かるぞ
まるでずっと前から知り合いだったかのように分かる)」
シャーリー「やる事って、どうせまた賭け事でしょ?」
キョン「(シャーリー・フェネット・・・ルルーシュに思いをはせる同級生)」
ルルーシュ「いや、もう賭け事は止めたんだ。他に面白いものを見つけたからね」
シャーリー「面白いもの?」
リヴァル「おいルルーシュ何だよその面白い事って?俺も混ぜてくれよ!」
スザク「ルルーシュ、まさか法に触れるような事をやってるんじゃないだろうね?」
後者は名誉ブリタニア人でありながらユーフェミア皇女殿下の騎士にまで登りつめたイレヴンの英雄)」
ハルヒ「ありえるわね!詐欺だわ、詐欺でしょ!?アンタいったい誰を騙してるの?」
シャーリー「えぇ!?ルルそんな事してるの!?」
ルルーシュ「勝手に話を進めるな!法に触れるような事俺がするわけないだろ!」
カレン「どうかしら・・・じゃあ何で最近生徒会に顔を出さないの?
それどころか授業に出る回数も減ってるじゃない」
キョン「(カレン・シュタットフェルト、親父さんはブリタニアの一流貴族
学園一の超御嬢様だが、身体が弱くて学校は欠席する事が多い)」
ルルーシュ「少なくとも君よりは出席日数も、生徒会に顔を出す機会も多いと思うが」
カレン「・・・むっ」イラッ
ハルヒ「いいや、駄目よ!ルルーシュ、アンタ最近怠けすぎよ!!
授業はともかく生徒会の活動には必ず顔を出しなさい!!」
ルルーシュ「会議の時はいつも顔を出してるだろ、それに俺よりもカレンやスザクの方が
生徒会に来る回数は少ない」
ハルヒ「カレンは身体が弱いんだから仕方ないじゃない!スザクは軍の仕事があるし
アンタは何もないじゃない!それに副会長という役職に就いているんだから
毎日来て会長である私のサポートをしなさい!」
リヴァル「そうだそうだ、毎日来い!」
ハルヒ「しょーがないじゃない、他に出来そうな人がいなかったんだから」
ルルーシュ「古泉がいるだろ!!」
古泉「まぁまぁ、その辺にしてそろそろ会議を始めませんか?」
ハルヒ「そうね!じゃあ始めましょう」
リヴァル「いや、始めましょうって言われても・・・」
シャーリー「今日は何の会議なの?」
ハルヒ「会議って言うか、実はアッシュフォード学園生徒会の名を世界中に轟かせる為の
活動目標が決まったからそれを発表しようと思っただけなの!」
ルルーシュ「世界中に轟かせる・・・お前はまだそんな事を言ってるのか・・・」
キョン「(活動目標・・・・これだ!これがハルヒがこっちの世界でやりたい事!
それを達成できればこの夢から解放される!)」
ハルヒ「何をするか聞きたいでしょルルーシュ?きっとビックリするわよ!」
ルルーシュ「どうせくだらん事だろうが、言ってみろ」
ハルヒ「フフーン♪我がアッシュフォード学園生徒会は、ゼロの正体を暴きます!!」
ルルーシュ「!!?」
シャーリー「ゼロの?」
リヴァル「ゼロって、あのゼロだろ?」
ハルヒ「そうよ!ゼロの正体なんて今世界中の人が関心をもってる事だし
暴いたらこの生徒会の名が一気に知れ渡るわ!」
キョン「(これがハルヒのやりたい事か・・・やっぱり一筋縄じゃいきそうもないな)」
ルルーシュ「単純に暴くと言っても何か具体的な方法がなければ絵に描いた餅だ
何か作戦はあるのか?」
ハルヒ「勿論あるわよ!」
ルルーシュ「ほう、言ってみろ」
ハルヒ「まずはゼロに近づく事が第一ね!相手の懐に入って油断したところを襲うの!
公に募集なんてしてないけど、黒の騎士団は常に団員を求めてるって言うし
中に入り込む事自体はそんなに難しくないと思うわ!」
キョン「相手は仮にもテロリストだぞ?お前はゼロの正体を暴く為ならテロリストにも
なるっていうのか?」
ハルヒ「別にいいわよ」
スザク「いや、危険だから止めた方がいい!」
シャーリー「そうだよ、テロリストなんかになってもし捕まっちゃったら・・・」
それにゼロは・・・・黒の騎士団は普通じゃない!絶対に関わっちゃ駄目だ!」
カレン「むっ・・・」イラッ
リヴァル「スザクの言うとおりだと思うぜ、流石にテロリストに関わるのはまずいって」
ルルーシュ「そうだな、ただの学生が手を出していいような相手じゃない」
ハルヒ「・・・・・ったく、何真に受けてんのよ!冗談に決まってるじゃない!
ブリタニアンジョークよブリタニアンジョーク!」
キョン「お前はブリタニア人じゃないだろ!ていうか、ジョークだと?」
ハルヒ「いくら何でもテロリストに近づこうとなんてするはずないじゃない!冗談よ」
シャーリー「はぁ、良かったぁ」
ルルーシュ「くだらん冗談に付き合ってる暇はないんだが?さっさと本題に入ってくれ」
ハルヒ「本題?うーん、今日はもういいわ!解散!」
キョン「なに?解散?」
ハルヒ「そ、もうみんな帰っていいわよ!あっ、キョンと古泉くんと
みくるちゃんと有希は残ってね!」
ルルーシュ「・・・・何の為にここに来たんだ俺は・・・」
スザク「はは、会長らしいね」
ハルヒ「よし、みんな帰ったわね!」
キョン「何だってんだ、俺達だけ残して?」
ハルヒ「さっきは誤魔化したけど、私は大マジなの!
ここにいるメンバーでゼロの正体を暴く為、本日から動き出すわよ!」
キョン「はぁ、やっぱりそういう事だったのか・・・」
みくる「で、でも相手はテロリストなんですよぉ・・・大丈夫なんでしょうか」
ハルヒ「心配ないわ!私がいるから!」
キョン「(お前がいるから心配なんだ!)」
古泉「しかし、何故我々だけなのですか?他の方々は?」
ハルヒ「スザクは軍人だから黒の騎士団に潜入なんてできないだろうし
カレンは病弱だし、リヴァルは・・・・・地味だし」
キョン「おい、最後おかしいぞ」
みくる「あの、シャーリーさんは?」
ハルヒ「シャーリーみたいな天真爛漫な良い子をこんな危険な事に巻き込めないわ!」
キョン「じゃあ朝比奈さんもはぶくべきだ」
みくる「む、むむむ無理ですぅ〜!!」
ハルヒ「うーん、まぁ仕方ないわね!今回は相手が相手だし
いいわ、みくるちゃんは外しましょう!」
みくる「よ、良かったぁ〜」
ハルヒ「一応聞くけど、有希は大丈夫よね?」
長門「・・・」コクリッ
ハルヒ「決まりね、じゃあ私、キョン、古泉くんに有希の四人でやりましょう!」
古泉「個人的にはルルーシュさんも入れたほうが良いと思うのですが」
ハルヒ「あいつは駄目よ!」
キョン「何でだ?」
ハルヒ「私ね、実はルルーシュって黒の騎士団の関係者じゃないかって思ってるの!」
キョン「何を根拠に言ってるんだ?」
ハルヒ「根拠なんてないわ!勘よ、勘!!最近いつも出かけてるし
朝帰りばかりしてるのよ?だから私達が中に潜り込んでその真意を確かめるの!!
これは生徒会の仲間を更正させる為の活動でもあるのよ!」
キョン「もし本当にそうだったらの話だろうが」
キョン「それはいいが、どうやってゼロの正体を暴こうっていうんだ?」
ハルヒ「さっき説明したじゃない!」
キョン「俺達が黒の騎士団の内部に入り込むってあれか?んなもん無理に決まってるだろ
だいたいどうやったら黒の騎士団なんぞに入ることができるんだ?」
ハルヒ「心配ないわ、もう応募してあるから!」
キョン「・・・・は?」
ハルヒ「もうここにいるメンバー分の書類を送ってあるの!
審査が通れば後日連絡をくれるらしいわ!」
キョン「そんな話初めて聞いたぞ!だいたいんなもん何処に送ったんだ?」
ハルヒ「何処って黒の騎士団の関係者に決まってるじゃないの」
キョン「何でお前がその関係者とやらの連絡先を知ってるんだ?」
ハルヒ「調べたからに決まってるじゃないの、ゲットーに行けば
その手の情報はゴロゴロ転がってるわよ!」
キョン「ゲットーって・・・あの後もお前一人で行ってたのか?」
ハルヒ「そうよ!」
キョン「はぁ・・・」
こうも簡単に見つけてしまうとは、流石涼宮さんですね」
キョン「ハルヒが流石というより、黒の騎士団が甘いんじゃないのか?」
古泉「あのゼロのことですから、そういったところからは決して足がつかないように
かなり警戒してるはずです。それを見つけてしまうんですから
やはり涼宮さんを流石と評するのが的確ですよ」
ハルヒ「確かに警戒心はかなり強いわね、入手した情報の9割はトラップかガセ
みたいだったし!」
キョン「よくもまぁ正解の1割にたどり着いたもんだな」
ハルヒ「当たり前じゃない!私に不可能はないの!」
みくる「あ、あのぉ〜」
ハルヒ「何?みくるちゃん」
みくる「さっき全員の書類を送ったって言ってましたけど・・・
私に関する書類も送ったんですかぁ?」
ハルヒ「えぇ、勿論送ったわよ!」
みくる「こ、困りますぅぅ!」
キョン「朝比奈さんは外すとさっき決めただろ!どうするんだ?」
ハウヒ「そんなの適当に誤魔化せば大丈夫よ!みくるちゃん、心配しなくていいのよ」
ハルヒ「まずは黒の騎士団の内部に入り込んでゼロの信用を得るの!
そしてゼロが油断した瞬間を狙って仮面を剥ぎ取る!完璧な作戦だわ!」
キョン「完璧かどうかはさておき、まず書類審査とやらが通らないと話にならないぞ?
そこら中にいるただの高校生をテロリストが欲しがるとは思えん」
ハルヒ「大丈夫、きっと通るわ!私を信じなさい!」
キョン「どこから湧いてくるんだその自信は・・・」
古泉「何やら面白くなってきましたね」
キョン「何処がだ」
みくる「あの、みなさん気をつけてくださいね・・・」
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ルルーシュの部屋
C.C「ルルーシュ、腹が減ったぞ。ピザを頼め」
ルルーシュ「俺は今忙しいんだ、食べたいなら自分で電話して頼め」
ルルーシュ「入団希望者のリストを見てるんだ、そろそろ人員を補充する必要があるのでな」
C.C「まだ団員を増やすのか?組織というのは大きくなりすぎると
統率がとれにくくなるものだぞ」
ルルーシュ「無能な人間が上に立ってる場合はな。俺は違う」
C.C「ふふ、そうだといいがな」
ルルーシュ「きたるべき東京決戦を迎えるには、もう少し駒がいる
シュナイゼルが動き出した以上、もうあまり時間が無い
これが最後の補充だ、だからできるだけ有能な人材が欲しい」
C.C「それで自ら選別してると言うわけか、ご苦労なことだ」
ルルーシュ「ん?これは・・・」
C.C「どうかしたのか?」
ルルーシュ「・・・入団希望者の中に、生徒会メンバーの名前がある」
C.C「ほう」
ルルーシュ「ありえない・・・租界に住むただの一般人がどうやって書類を・・・
あれほど入り組んだダミーやトラップを全て見破ったとでも言うのか・・・」
C.C「租界に住む一般人が黒の騎士団に入団を希望する事とはそんなに
難しいことなのか?」
様々なトラップを幾重にも張り巡らせてある。租界からの希望者は
やはり念入りに振るいにかける必要があるからな」
C.C「ほう、ではそれを突破したそいつらは相当優秀なようだな」
ルルーシュ「(涼宮がこれらのトラップを突破したなど考えられない
となると、やはり古泉か)」
C.C「で?どうするんだ?前は生徒会の人間は出来るだけ巻き込みたくないと言っていたが」
ルルーシュ「(あの五人はイレヴンだ、ブリタニアと戦う理由はある
それにこれはゼロの正体を暴く為の策に基づいての行動
向こうの目的がはっきりしてる以上、スパイだと疑う必要もない)」
C.C「おい、聞いてるのか?」
ルルーシュ「(相手の懐に入って油断したところを、とあいつは言ってたな
その為にはまずゼロの信用を得る事が第一。表では忠誠を近い
裏では常に俺の仮面を狙っているというわけか)」
ルルーシュ「フフフ、面白い。入れてみよう!」
C.C「ほう、意外な判断だな」
ルルーシュ「確かに出来る事なら友人は巻き込みたくはない!が、あのトラップを
掻い潜った知力、そして行動力は賞賛に値する!逃すには惜しい人材だ」
C.C「やれやれ、カレンといいお前といい、生徒会の殆どがテロリストとは
学園の行く末が心配になるな」
ハルヒ「ちょっとキョン、アンタちゃんと地図見てたんでしょうね!」
キョン「穴が空くほど見てただろ!!ここが指定された場所で間違いない」
ハルヒ「でもアジトどころかなーんにもないただの更地じゃないの!!」
キョン「確かに・・・・まさかガセだったのか?」
ハルヒ「何よアンタ、私が掴んだ情報を疑うわけ!」
キョン「そうは言わんが・・・」
古泉「指定された場所だからと言ってそこに黒の騎士団の施設があるとは考えにくいでしょう
恐らくここに出迎えが来て、そこから移動という手順だと思いますよ」
ハルヒ「なるほど!流石古泉くんだわ!!や〜い、キョンのアホ〜!」
キョン「はぁ・・・」
古泉「と、言っていたら来ましたよ」
黒塗りの車がハルヒ達の近くで停車し
中から大柄な男が降りてきた
扇「君達が新入団員だな?」
ハルヒ「そうよ!!」
キョン「え?いやそれはその・・・」
ハルヒ「途中で怖くなって逃げ出しちゃったのよ!だから私達だけで来ました!」
扇「そうか・・・まぁいい、取り敢えず車に乗りなさい。アジトまで案内する」
ハルヒ「はーい♪行くわよ有希!」
長門の手を引っ張ってハルヒは勢いよく車に乗り込んだ
扇「はは、元気な子だな」
キョン「騒がしくてすいません」
扇「気にしなくていいさ、暗いご時世にはあのぐらい元気なくらいが丁度良い
さ、君達も早く乗りなさい」
キョン「あ、はい」
ハルヒ達を乗せ車は黒の騎士団のアジトへと走り出した
カレン「え?新しい団員ですか?」
ゼロ「あぁ、今日ここへ来る予定になっている」
カレン「ここへですか?でもここは黒の騎士団の中でも初期のメンバーや
上層部の人達しか入れない場所ですよね?
入ったばかりの団員を入れるのは危険では・・・」
ゼロ「問題ない、スパイの類でない事は既に確認済みだからな
それに、これからここへ来る連中はただの一般団員とは違う」
カレン「どう違うんですか?」
ゼロ「即戦力になりうる人材だ、だから最初からアジトに入ってもらう事にした」
カレン「そうなんですか・・・あの、ナイトメアのパイロットもいるんですか?」
ゼロ「経験者はいないだろうが、何人かはナイトメアにも乗ってもらう予定だ」
カレン「え?経験者はいないんですか?」
ゼロ「あぁ、即戦力というのは何も戦闘においての意味だけじゃないぞカレン」
カレン「そ、そうですよね、すいません!」
ゼロ「心配しなくても紅蓮二式は君の専用機だ。これから来る連中や
藤堂や四聖剣にパイロットを替える予定はないから安心しろ」
コンコン
扇「ゼロ、俺だ。新入団員を連れてきた」
ゼロ「そうか、入れ」
ガチャッ
カレン「えっ・・・・・ええ!?」
扇「この子達が新しく入団する」
ハルヒ「カ、カレン!?何であなたがこんな所にいるのよ!?」
カレン「それはこっちの台詞よぉ・・・」
キョン「カレン・・・・本当だ、雰囲気は違うが確かにあのカレンだ!」
扇「何だ、お前達知り合いだったのか?」
カレン「学園の友達なの」
扇「そうだったのか・・・じゃあカレンがここにいて驚くのは無理もないな」
ハルヒ「ど、どういう事なのカレン!?何で病弱なアンタが!」
カレン「これが私の本当の姿よ、シュタットフェルトじゃなく
紅月カレンとしての私」
小泉はともかく長門が制限なく能力使ったらブリタニアなんて話にならんぞ
カレン「私はブリタニア人と日本人のハーフなの、紅月が日本名で、私の本当の名前よ」
キョン「そうだったのか・・・」
ハルヒ「全く気付かなかったわ!まさかカレンに日本人の血が流れてるなんて!
何か嬉しいわね!!」
カレン「ありがとう、そう言ってくれると助かるわ」
古泉「病弱な名家の御嬢様というのは世を忍ぶ仮の姿だったというわけですか」
カレン「そっ、驚いた?」
キョン「そりゃもう・・・」
ハルヒ「全然見破れなかったわ・・・何か悔しいわね」
扇「ちなみにカレンは紅蓮二式のパイロット、つまり黒の騎士団のエースだ」
キョン「なんですと!?」
ハルヒ「あの赤いののパイロットなの!?凄いじゃないカレン!!」
古泉「という事は、いつぞや新宿ゲットーで我々を助けてくださったのは
カレンさんだったというわけですか」
カレン「そうよ、感謝してちょうだよね!正直ビックリしたわよ
まさかあなた達がゲットーをうろついてるなんて思わなかったし」
カレン「別にそんな、照れるから言わなくていいわよ」
ゼロ「盛り上がってるところ申し訳ないが、そろそろ話してもいいかな?」
キョン「うわっ、ゼロ!!」
ハルヒ「ちょ、ちょっと急に出てこないでよ!ビックリするじゃない!!」
古泉「いえ、彼はずっと部屋の中にいましたよ」
ゼロ「一つの事に夢中になると回りが見えなくなるタイプのようだな
まぁいい、ところで人数が足りないようだが?もう1人はどうした?」
扇「それがどうやら直前になって一人辞退したそうだ」
ゼロ「そうか・・・(朝比奈みくるは自重したわけか)」
キョン「(これがゼロか・・・実際に会ってみると、威圧感というかオーラが凄いな
本当にこんな奴の仮面を剥がす事なんて出来るんだろうか・・・)」
ゼロ「君達の資料は読ませてもらった、それを踏まえた上で所属する部隊を分けたので発表する
以降は配属された部隊での活動となる。涼宮ハルヒ、君には零番隊でナイトメアに乗ってもらう!」
ハルヒ「本当!?やったわ!!私ずっと前からナイトメアに乗ってみたいって思ってたのよねぇ!!」
カレン「零番隊って事は私と同じか」
ゼロ「カレンは零番隊の隊長だ、ナイトメアの操縦方法など指導を受けるといい」
ハルヒ「隊長!?黒の騎士団のエースであり隊長でもあるなんて
あなたって本当に全然学園でのキャラと違うのね!」
カレン「まぁね、嫌いになった?」
ハルヒ「いいえ、個人的には今のカレンの方が断然好感が持てるわ!」
カレン「そう、ありがと」
ゼロ「続いて長門有希、お前もナイトメアに乗ってもらう
所属するのは壱番隊だ」
キョン「長門もパイロットか・・・」
ゼロ「そして次は」
ハルヒ「キョンよ!」
ゼロ「・・・・何だ?」
ハルヒ「こいつはキョンって読んでくれればいいわ!
みんなそう読んでるし、呼びやすいでしょ?」
キョン「おい、それがいちいちカットインしてまで言う事か!」
ハルヒ「アンタだって本名で呼ばれるよりこっちの方が良いでしょ?」
ゼロ「フン、まぁいい。では私もキョンと呼ばせてもらう事にする
キョン、お前には私の側近として雑務などをこなしてもらいたい」
キョン「側近?俺がですか?」
扇「ゼロ、いくらなんでも入ったばかりの彼では」
ゼロ「問題ない、やってくれるな?」
キョン「え、えぇ」
ハルヒ「(ナイスよキョン!ゼロの側近なんて、仮面を剥がすチャンスが広がるわ!)」
ゼロ「そして古泉一樹、君には媒体情報管理の方を担当してもらいたい」
古泉「媒体情報管理?」
ゼロ「情報全般の整理及び管理は勿論、広報、諜報、渉外など様々な点で
黒の騎士団を支える部署だ、励んでくれたまえ」
古泉「なかなか大変そうですね」
ゼロ「では早速研修といこう。扇、藤堂達の準備はできてるな?」
扇「あぁ、問題ない」
カレン「?これから何かやるんですか?」
相手は藤堂と四聖剣だ」
キョン「なっ・・・・」
ハルヒ「なになに、いきなりナイトメアで戦えるの?最高だわ!!」
カレン「い、いきなり模擬戦だなんて無茶です!この二人はナイトメアの騎乗経験すら
ないんですよ?まずは基礎からみっちり教えるべきじゃないでしょうか?」
ゼロ「模擬戦の中で基礎を学んでもらう。実際に戦ってみての経験こそが一番貴重だ
それにゆっくり教えるほどの時間もない、多少荒っぽいかもしれんが
この二人をいち早く戦えるパイロットにする為の判断だ」
ハルヒ「素晴らしい判断だわゼロ!心配しなくても私と有希ならすぐに
即戦力になってみせるから安心しなさい!」
キョン「毎度の事ながら何処から湧いて出るんだその自信は・・・」
ゼロ「フン、それは心強い。カレン、二人のサポートは君に任せる
君がいるからこそこのような判断が出来たんだ。頼むぞ」
カレン「はっ、はい!!頑張ります!!」
扇「じゃあ三人は俺についてきてくれ!模擬戦をやる場所まで案内する」
ハルヒ「はーい♪行きましょう有希、カレン!」
キョン「お、おいハルヒ!あんまり無茶はするなよ!」
ゼロ「古泉一樹、君は下の会議室に行け。そこにディートハルトという男がいるから
彼の指示に従って行動してくれ」
古泉「承知しました、ではまた後で」
キョンを横目で見て古泉も部屋を後にした
ゼロ「さて、後はお前だけだな」
キョン「あの、側近のする雑務って具体的にどんな事なんです?」
ゼロ「実は私には君の他にもう一人側近がいてな。君にはその者の身の回りの世話を任せたい」
キョン「・・・・・えーっと、つまりは側近の世話係ですか?」
ゼロ「まぁ簡単に言うとそういう事になる。だが気を抜かない事だ
ある意味では涼宮ハルヒや古泉一樹よりも、仕事に関してはお前のほうがキツイかもしれん」
キョン「・・・・・その側近とやらはどんな奴なんです?」
ゼロ「会ってみれば分かる」
キョン「はあ・・・」
ウィーン
C.C「遅かったな、ん?そいつは誰だ?」
ゼロ「さっき話した新入団員だ」
キョン「ど、どうも・・・(この人がゼロのもう一人の側近で
俺がこれから世話を焼かなにゃならん人か、まさか女だとはな)」
C.C「そうか、では何故その新入団員をこの部屋に連れてきた?」
ゼロ「彼をお前の世話係に任命した、欲しがっていただろ?
身の回りの世話をしてくれる人間を」
C.C「ほう、気が利くではないか。しかしいいのか、こいつがここにいると
お前はアジトの中で仮面を外せる場所がなくなるぞ?」
キョン「(!?ゼロはこの人の前では素顔を晒しているのか・・・・)」
ゼロ「別に構わん」
C.C「そうか、ならばありがたくいただいておこう。おいお前、名前は何て言う?」
キョン「あっ・・・えっと」
ゼロ「キョンだ」
C.C「キョン?変わった名前だな」
ゼロ「みんなそう読んでいるそうだ」
C.C「そうか、では私もそう呼ぶとしよう。おいキョン!」
キョン「何でしょう?」
C.C「さっそくで悪いが、肩を揉んでくれ」
キョン「・・・へ?」
C.C「聞こえなかったのか?肩だ肩、最近疲れが溜まっていてな
それが終わったら私の服の洗濯、部屋の掃除、一階トイレの電球の取替えを頼む」
キョン「・・・・・・」
ゼロ「だから言っただろう、ある意味ではお前が一番キツイと」
--------ゲットー(外)
扇「ここで模擬戦を行う」
ハルヒ「広いところねぇ、サッカー場か何か?」
カレン「そうよ、今ではただの廃墟だけどね。誰も近づかないから
ナイトメアの訓練をする時はいつもここでやってるの」
長門「・・・・・」
扇「二人にはこれからあそこにいる四聖剣の四人と戦ってもらう
とは言え流石にいきなりじゃナイトメアを動かす事さえできないだろうし
最初に一時間程度操縦方法などを学んでから」
ハルヒ「あ、それいらない!今すぐ戦わせて!」
扇「な、何言ってるんだ?騎乗経験もないのにいきなりナイトメアを動かせるわけがないだろ!」
カレン「そうよハルヒ!」
ハルヒ「ゼロも言ってたじゃない、模擬戦の中で基礎を学べばいいって!
だから面倒な事は省いちゃっていいわ!今すぐ戦わせてちょうだい!」
扇「確かにゼロはそう言ったが、操縦方法や起動の仕方なんかは
基礎以前の問題だ、流石にそれくらいは理解してからじゃないと
模擬戦なんて到底不可能だ」
ハルヒ「大丈夫よ、ここに移動するまでの間車の中でカレンがくれたマニュアル読んだし!」
扇「いや、しかしだな・・・」
ハルヒ「有希も大丈夫よね?」
長門「・・・・」コクッ
藤堂「ここまで言ってる事だし、いいじゃないか扇」
ハルヒ「藤堂?この人があの藤堂将軍なの?」
藤堂「教本を読んでいるなら起動の仕方くらいは分かるだろうし
後は模擬戦の中で学ばせてやればいい」
扇「わ、分かりました」
ハルヒ「なかなか話の分かる人みたいね!私涼宮ハルヒよ!よろしくね!」
カレン「ちょ、ちょっとハルヒ!!敬語使いなさい」
藤堂「ははは、構わんさ!なかなか面白い娘だ。しかし、我々は手加減せんぞ?」
ハルヒ「望む所だわ、私が即戦力になれる逸材だってところを見せてあげる!」
藤堂「ふむ、楽しみにしているぞ」
藤堂は自分のナイトメアがある場所へ向かって歩き出した
カレン「ちょ、ちょっとアンタあんな事言って・・・・知らないわよ!藤堂さんって
物凄く強いんだからね!勿論四聖剣の人達も!」
ハルヒ「大丈夫よ、まぁ見てなさい!・・・ていうか、私たちが乗る機体はどれなの?」
扇「あそこに置いてある無頼という機体だ」
ハルヒ「旧型ね・・・・まぁいいわ、乗れるんだったらなんでも」
ライフルの中に入っているのは勿論実弾ではなく着色弾だから安心しろ」
ハルヒ「え?そうなの?なーんだ」
カレン「アンタに実弾入りのライフルなんて撃たせたら死人が出る恐れがあるしね」
ハルヒ「確かに出るわね、向こうにいるシセイケンとかいう連中の中から♪」
カレン「・・・・・相変わらず凄い自信ね」
扇「模擬戦は涼宮と長門の二機VS四聖剣だ。四聖剣のナイトメアが縦一列に並び
それを前から順番に戦っていくという内容だ。つまり二対一になるわけだな
まぁ無いと思うが、四機突破したら最後に藤堂さんと戦えるぞ」
ハルヒ「面白そうね!」
扇「お前達は相手に一打でも攻撃を命中させる事ができれば勝ちだ
攻撃が当たった段階で受けた側は戦闘を中止することになっているから
そしたら君達は次の敵に向かっていけ」
ハルヒ「何だ、楽勝じゃないの!」
扇「君達の敗北条件は操縦不能になった場合のみとする
まぁ胸をかりるつもりでぶつかっていけ、初めての騎乗なら
勝敗はともかく得るものも多いだろうからな」
ハルヒ「だからさっきから負けないって何度も言ってるじゃないの、全く!」
扇「説明は以上だ。まもなく模擬戦を開始する、ナイトメアに乗ってくれ」
ウィーーン
古泉「失礼します」
ディートハルト「ん?君がゼロの言っていた新入か」
古泉「はい、古泉一樹といいます」
ディートハルト「ディートハルト・リートだ。ここがどういった事をする部署かは
ゼロに説明を受けたかい?」
古泉「えぇ、だいたいのことは」
ディートハルト「ならば今更私が説明すべき事は何もないか
何か質問があるなら聞くが?」
古泉「では一つだけよろしいでしょうか?」
ディートハルト「言ってみたまえ」
古泉「見たところあなたはブリタニア人のようですが、どうして黒の騎士団に入ったんです?」
ディートハルト「ブリタニアを良く思ってないのは何もナンバーズだけではないという事だ
ブリタニア人でありながら黒の騎士団に所属している者は私以外にも沢山いる
それにつまらんだろ?」
ディートハルト「ブリタニアは既に完成された素材だ、そんなものを見ていても
何の面白味もない。だがゼロや黒の騎士団は違う、まだまだ未完成であり
だからこそ面白い!私はゼロによって引き起こされる世界の変化を
一番近いところで見ていたいのだよ」
古泉「なるほど、ブリタニア人というのはみな祖国への忠誠心が高い
国民だと思っていましたが、全員が全員そうというわけではないんですね」
ディートハルト「それはそうさ。国への忠誠ほど馬鹿らしいものはない」
古泉「では組織や個人への忠誠はどうです?」
ディートハルト「ん?」
古泉「黒の騎士団という組織と、ゼロという個人への忠誠ですよ、どう思いますか?」
ディートハルト「どちらも組織をまとめる上では必要なことだ
私個人には忠誠という言葉自体が無縁だが」
古泉「ではアナタはゼロや黒の騎士団への忠誠心はないと?」
ディートハルト「私が黒の騎士団に入ったのはさっきも言ったがゼロに興味を持ったからだ
ここでの行動の原理は全てがそれであり、忠誠などという気持ちは微塵もない
つまらん存在に成り果てるような事があれば、次の素材に乗り換える、それだけだ」
古泉「実に分かりやすい回答です。ありがとうございました」
古泉「えぇ、もう結構です」
ディートハルト「そうか、ではこれから静岡へ行くから君もついて来なさい」
古泉「静岡?」
ディートハルト「他の団員にはまだ発表していないが、近いうちに大きな作戦があるのだよ」
古泉「その作戦予定地が静岡というわけですか?」
ディートハルト「あぁ、今回はその下見というわけだ。別に私一人でも構わんがどうする?」
古泉「行かせていただきます」
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-----ゼロの部屋
バリンッ
キョン「うわっ・・・・あ〜あ、やっちまった」
C.C「どうした?皿でも割ったのか?」
キョン「えぇ、すいません」
キョン「わ、分かりました(どんだけこき使うんだこの女は・・・)」
C.C「ん?おい、手から血が出てるぞ」
キョン「え?・・・あっ、本当だ!ちきしょー皿の破片か」
C.C「仕方ない、医務室で絆創膏でも貰ってきてやるか」
キョン「え?ありがとうございます(何だ、意外と良いところもあるんじゃないか)」
ウィーーン
ゼロ「ん?何処へ行くんだC.C?」
C.C「キョンが手を切ってしまったようでな、医務室に絆創膏をとりに行こうとしていた所だ」
ゼロ「ほう、珍しく優しいじゃないか。だが残念だがそれは後だ
これから格納庫で集会を行う、他の団員はもう集まっている。お前達も早く来い」
C.C「だそうだだが、血は大丈夫か?」
キョン「えぇ、これくらいなら何とか」
ゼロ「では格納庫へ」
ハルヒ「あっ、キョーーン!!こっちよこっち!!」
キョン「んなでかい声を出さんでも聞こえてるよ
しかし凄い数だなこれ・・・何人くらいいるんだ?」
カレン「団員の殆どが来てるからね!ちょっと前までは
これの10分の1にも満たない人数しかいなかったのよ?」
キョン「へー、それが今ではこの大所帯か。凄いもんだな
それよりハルヒ、お前ナイトメアでの模擬戦はどうだったんだ?」
ハルヒ「フフーン♪よくぞ聞いてくれたわねキョン!!」
キョン「何だその顔は?まさか勝ったんじゃないだろうな?」
ハルヒ「そのまさかよ!四聖剣の四人も藤堂将軍も完膚なきまでに叩きのめしてやったわ!」
キョン「どうして今日始めて操縦桿を握った奴が軍人相手に勝てるんだ・・・」
カレン「本当に凄かったのよハルヒと長門さんの動き!とても初めてとは思えなかったわ
特に藤堂さんの三段突きを交わした時の反応なんて、ラウンズクラスよ!」
ハルヒ「あ〜あの攻撃ね、割と簡単に回避できたわよ?ねぇ有希」
長門「・・・・」コクッ
カレン「味方なんだし頼もしい限りだけど、エースとして私も負けてらんないわね!」
ナイトメアに乗った奴が四聖剣や藤堂鏡四郎相手に勝つなんておかしい」
長門「そういった事はしていない、涼宮ハルヒは自分の力で戦っていた」
キョン「なっ・・・・それで勝っちまったってのか?」
長門「そう」
キョン「運動神経はやたらと良い奴だが、まさかそんな才能があったとは・・・」
ハルヒ「何ボソボソ喋ってんのよ!アンタはどうだったの、ゼロの側近としての仕事」
キョン「え?あぁ、そうだな・・・まぁ普通だったよ」
ハルヒ「アンタ分かってんでしょーね!ゼロの仮面を剥がす為には
側近に任命されたアンタの活躍が一番重要なのよ!」
キョン「わーってるよ」
カレン「ん?何の話?」
ハルヒ「こっちの話よ、それより集会って何をするの?」
カレン「基本的にゼロが次に予定してる作戦内容を発表したり説明したりするのよ
たぶん今日もそうじゃないかしら」
キョン「お、ようやく出てきたぜ」
扇「それがディートハルトと新入りが一人まだ来てないんだ」
ゼロ「あの二人はいい、私が仕事を与えた」
扇「仕事って何のだ?」
ゼロ「それはこれから話す事を聞けば分かる」
玉城「おーいゼロ、何か話しがあるなら早くしてくれよ!!」
ゼロ「今日集まってもらったのは、近日決行する作戦をみなに説明する為だ!」
藤堂「作戦?」
ゼロ「ここ数ヶ月副総督であるユーフェミアが妙な動きをしている
週に何度も東京と静岡の間を往復している」
藤堂「ユーフェミアは静岡で何をしているんだ?」
ゼロ「現在調査中だが、その際ダールトンやギルフォードなどを同行させている事からみても
政治的な何かをする為の行動である事は間違いない!これは我々にとって最大の好機だ!
ブリタニア軍はこの間の九州戦役で疲弊しきっている!そこへ来て皇女である
ユーフェミアが租界を離れるのであれば、つけ入る隙があるというものだ」
扇「しかしユーフェミアって事はあの白兜もいるんだよな?」
ゼロ「あぁ、だがユーフェミアが静岡へ行く日程やルートなどは既に調査済みだ!
この二つのが分かっている以上、いくらでも事前に策を講じられる」
ランスロットの動きを止める事も容易かもしれんな」
ゼロ「あの騒ぎの後すぐに九州の件があったからな、連中はゲフィオンディスターバーの
対策は殆ど出来ていないはずだ、ならばもう一度あの策が生きる
白兜など恐れる必要はない、あの機体は無力化しパイロットを捕虜にする」
ラクシャータ「そしたらあのナイトメア私にくれない?いろいろとイジってみたいのよねぇ」
ゼロ「好きにしろ」
藤堂「この作戦の最終目標はユーフェミアを捕虜にする事か?」
ゼロ「そうだ、ユーフェミアさえこちらの手に入ればコーネリアとはいくらでも交渉ができる
皇族が捕虜になったとあらば連中もこちらの要求を無視できないだろう」
扇「要求?何を要求するつもりだ?」
ゼロ「前に言っただろう、東京に独立国を作ると?」
藤堂「いきなりそんな要求をするつもりなのか?
いくらなんでもそれでは連中交渉のテーブルにすらつかんぞ?」
ゼロ「いいや、絶対につくさ。こちらがユーフェミアを捕虜にしている以上必ずな」
玉城「んで、いつ決行なんだ?」
ゼロ「詳しい日時や作戦内容は日を改めて発表する。まだ検討しなければならない
部分が多少残っているのでな、だがこの作戦自体は必ず決行する!
ナリタとベイエリア、式根島での忘れ物を取り戻すぞ!!」
コンコン
ディートハルト「ゼロ、私です」
ゼロ「入れ」
ウィーーン
ディートハルト「ただ今戻りました」
ゼロ「御苦労だったな、で?何か分かった事は?」
ディートハルト「はい、何の目的があってかは分かりませんが
どうやらブリタニアは富士山周辺に一つの街のようなものを作っているようです」
ゼロ「街?」
古泉「街とは言っても、仮設住宅のようなものがいくつも建設してある程度です
あと大きなスタジアムのようなものも作ってました」
ゼロ「いよいよ連中が何をしようとしているのか分からなくなってきたな」
古泉「中華連邦から難民を受け入れようとしているのではないでしょうか?
先日の九州戦役、表向きは旧日本軍による攻撃となっていますが
実際は中華連邦の傀儡軍でありその事は国民の中ですら周知の事実です
移民を受け入れる事で中華を大人しくしようとしているのでは?」
他国から難民を受け入れるなど・・・」
ディートハルト「いずれにしても奇妙な行動である事は事実です
引き続き今後も調査を続けます」
ゼロ「ブリタニアが何の目的があってそのようなものを作っているのかは知らんが
この際その理由はどうでもいい。大事なのはユーフェミアが租界を離れているという事実
これを逃す手はない・・・・・・よし、来週作戦を決行する!!
ディートハルト、来週ユーフェミアが静岡に行くのは何曜日だ?」
ディートハルト「水、木、金の三日間です」
ゼロ「よし、では金曜にしよう!明日もう一度全団員を集めさせろ!」
ディートハルト「承知しました」
ゼロ「疲れただろう、もう下がっていい。お前も御苦労だったな
入ったばかりなのにいきなり外回りじゃ不満もあるだろう」
古泉「いえ、不満なんてとんでもない。実に有意義な時間でしたよ」
ゼロ「君には期待している、これからもよろしく頼む」
古泉「承知しました」
古泉とディートハルトが部屋を出る
ルルーシュ「あぁ、今度の作戦でユーフェミアとスザク、両方同時に攻略してやるさ」
C.C「まだあの男をこちらに引き込もうと考えているのか?」
ルルーシュ「いや、あいつは何があってもこちらに鞍替えするような事はしないだろう
だがブリタニア側にいられると厄介な戦力なのは事実だ、だから捕虜にする」
C.C「捕虜にするといっても相手はランスロットだ、そう簡単ではないぞ」
ルルーシュ「またゲフィオンディスターバーに活躍してもらうさ
それにナイトメアでの戦闘になったとしても、今の戦力ならスザクを倒す事も可能だ」
C.C「カレンと藤堂だけで事足りると?」
ルルーシュ「そこに涼宮ハルヒと長門有希が加われば足りるさ」
C.C「入団したばかりの女二人に何を期待している?取り付かせて自爆でもさせるつもりか?」
ルルーシュ「スザクは勿論あの二人も生徒会の仲間だ、そんな事させるわけないだろう・・・
あの二人、初めての模擬戦で藤堂と四聖剣を倒したそうだ」
C.C「馬鹿な、そんな事できるわけがないだろ」
ルルーシュ「事実だ。藤堂はどうだか知らんが四聖剣の四人は相当悔しがっていたそうだぞ
初めての騎乗であの五人を倒す・・・・もしかしたらスザクやカレン以上の逸材かもしれん」
C.C「なるほど、それでお前はさっきから上機嫌なわけか」
ルルーシュ「あれだけの戦力が二枚も加わったんだ、上機嫌にもなるさ
それに古泉一樹もやはり使えるようだしな」
C.C「さっきの奴だろ?私はあまりああいうのは好かんな。終始にやけてて気持ちが悪い」
ルルーシュ「そこは同意するが、俺があいつを評価してる点は頭の中だから問題ない」
C.C「今日入った新人の中で一番使えるのはどう考えてもキョンだろう
あれはなかなか見込みのある男だぞ?何しろ私に従順だしな」
ルルーシュ「気に入ってもらえたようで何よりだ」
C.C「そうだ、明日はあいつにピザでも作らせよう!」
ルルーシュ「(これから大変だな、あいつ・・・)」
------アッシュフォード学園学生寮(キョンの部屋)
キョン「ふぁ〜、今日はどっと疲れた・・・もう寝よう」
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キョン妹「キョンくーん!!起きてー!!」
キョン妹「朝だよキョンくーん!!」
キョン「んぅぅ・・・・分かったから下に降りてなさい」
キョン妹「あれー?キョンくん血が出てるよー?」
キョン「なに?」
キョン妹「ほらー、指から出てる!絆創膏持ってくるねぇ!」
キョン「なっ・・・・・・こりゃいよいよまずいな・・・・」
:
:
その日の放課後(文芸部室)
ガチャッ
キョン「うーっす」
古泉「おや?今日も涼宮さんはお休みですか?」
キョン「あぁ、面白い夢の続きを見る為に帰って寝るとさ」
古泉「夜な夜な我々が別世界へ飛ばされるようになって今日で丁度一ヶ月ですね
それは涼宮さんが部室に顔を出さなくなってからの日数でもあるわけですが」
古泉「お陰様で、涼宮さんがあの夢を見始めるようになってからは一度も出現
していません。相当満足なさっているのでしょうね、あの世界での生活に」
キョン「そりゃ結構な話だ。しかし向こうの世界で寝た瞬間こっちの世界で
目が覚めるっていうシステムは何とかならんのか?
ここ一ヶ月間体感的に全く休めてる気がしないのだが・・・」
古泉「それは仕方ありませんよ、無事にこちらの世界に帰ってこれるだけまだマシです
事態が悪化した場合、それが出来なくなる可能性があるのですから」
キョン「それなんだがな、どうやらその事態とやらは確実に悪い方向に進んでるようだぞ」
古泉「どういう事です?」
キョンは切った指を古泉に見せる
古泉「何かで切ったのですか?」
キョン「昨日向こうの世界でな。皿を割った時に切っちまったんだ」
古泉「・・・・その傷が治りませんか」
キョン「あぁ、治るどころか一度は血が止まったはずなのに
こっちで目が覚めた瞬間またふきだしてきやがった」
古泉「これは確かにまずいですね・・・あまりに楽しい夢であるがばかりに
涼宮さんは現実世界と向こうの世界を入れ替えようとしているのでしょう
一ヶ月程度でここまで来てしまうとは・・・そろそろ何とかしなければなりませんね」
古泉「今のところはそれで間違いないでしょう。途中で変わってしまう可能性もありますが」
キョン「気紛れだからなぁ、あいつは」
古泉「側近ならばゼロの仮面を取る隙もあるのではないですか?」
キョン「いーや、全くない。常に警戒してる感じだ
ギアスを使おうにも仮面を被られたんじゃ使えんしな」
古泉「ゼロの素顔については他の団員も誰一人分かっていないようですしね
ある程度予想はしていましたが、トップがあの状態のままで組織が成立しているというのは
なかなか凄い事だと思いますよ」
キョン「いや、一人だけゼロの素顔を知ってる人がいる」
古泉「誰です?」
キョン「C.Cっていう女の人だ。もう一人のゼロの側近」
古泉「ほぅ、明かしてる人物もいるのですか・・・」
キョン「まぁ難しいが何とかするしかないだろう
そうしないと本当に向こうの世界とこっちの世界が入れ替わっちまう
ようやく黒の騎士団までたどり着いたんだしな」
古泉「えぇ、頑張りましょう」
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-
静岡付近(G1ベース内)
ダールトン「殿下、そろそろ静岡に到着します」
ユーフェミア「分かりました」
ダールトン「日程的に今日と来週で視察は終了ですね
御不満な点がありましたら何でも申し付けてください」
ユーフェミア「ありがとうダールトン。あなたが毎週付き添ってくださってくれるお陰で
私も現場のみなさんも安心して作業に取り掛かれました」
ダールトン「何と勿体無い御言葉を・・・私は将軍として当然の事をしたまでです」
ユーフェミア「でも毎週G1ベースとナイトメアを引っ張り出すのはどうかと思いますけど!」
ダールトン「それは黒の騎士団や他のテロリストから殿下の身を御守りする為に
必要な事です!租界から離れる以上警備は厳重にしなければなりません」
ロイド「だからってあんなに何機もナイトメアを搭乗させなくても
僕のランスロット一機で十分ないのに」
ダールトン「枢木とランスロットの力は認めている、だが流石にそれだけでは駄目だ
黒の騎士団を、ゼロを甘く見てはいけない」
スザク「僕も同感です」
ロイド「うふふ〜ん、何でそんな事が分かっちゃうの?」
ダールトン「ロイド、口のききかたに気をつけろよ」
ユーフェミア「私には分かるの・・・」
ギルフォード「そういえば、貴公は以前九州の件でゼロと共闘していたな?」
スザク「は、はい」
ギルフォード「あの時の事は忘れるんだ、ゼロは皇族殺し。ブリタニアの敵だ」
スザク「分かってます」
その時艦内に警報音が鳴り響いた
ピーピーピー
ダールトン「何だ!?どうした?」
軍人「艦周辺に熱源多数・・・・ナイトメアです!」
ダールトン「何だと!?黒の騎士団か・・・・何機だ?」
軍人「27機です!!」
ギルフォード「27か・・・艦に多くのナイトメアを乗せていて正解でしたね!」
スザク「イエス・マイロード!」
ユーフェミア「スザク、気をつけて!」
スザク「はい!」
スザクとダールトン達は格納庫へと向かった
ロイド「いやぁ〜勘が外れましたねぇ、ここで黒の騎士団が攻めてくるとは」
ユーフェミア「そんな・・・(ルルーシュ・・・)」
---ガウェイン(コクピット内)
ゼロ「藤堂、聞こえるか?」
藤堂『ゼロ、読み通りナイトメアが出てきたぞ!どうする』
ゼロ「予定通りそのままG1ベースを取り囲め
出てきた雑魚は叩き、四方からG1ベースに向け砲撃を行う!
ランスロットが出てきたら、分かってるな?」
藤堂『あぁ』
ゼロ「よし!ギルフォードとダールトンはお前と四聖剣に任せる
私はガウェインで空中から狙撃を行う!下は任せたぞ」
ピッ
ルルーシュ「さて、後はスザクが出てくるのを待つだけだ」
C.C「随分と余裕のようだな、油断していると足元すくわれるぞ」
ルルーシュ「藤堂が加わってからは作戦行動中も幾分楽になったからな
それにこの作戦はG1ベースを囲った段階で成功したも同然
既に条件はクリアされている」
C.C「ラクシャータはもうスタンバイさせてあるのか?」
ルルーシュ「あぁ、後はスザクが出てきたら例のポイントでゲフィオンを起動させればいいだけだ
援軍要請は出しただろうが最寄の基地からでも50分はかかるだろう
この勝負、決着がつくまでにそこまで時間は必要ない」
C.C「それにしても相手のナイトメアちょっと多くないか?
お前の想定ではランスロットを合わせても5機程度だったはずだが・・・
パッと見た感じでも20機以上はいるぞ?」
ルルーシュ「恐らくダールトン辺りの指示だろう、相当臆病になっているようだな
何機いようが問題ない。ユーフェミアがいる以上連中はG1ベースを守りながらでしか戦えない
こちらの包囲網を突破する事は不可能だ!」
黒の騎士団のナイトメアが攻防を繰り広げていた
ハルヒ「もーーらい!」
サザーランドパイロット「し、しまった!!」
ドカーン!!
ハルヒ「あっ!有希、後ろから狙ってるのがいるわよ!気をつけて!」
サザーランドパイロット「もらったー!!」
長門「・・・・」
長門は瞬時に操縦桿を動かし攻撃を回避し
振り返って敵ナイトメアの両脚部を切断した
ズバンッ!!
サザーランドパイロット「ば、馬鹿な!!早すぎる!!」
ハルヒ「ナイス有希!それにしても張り合いのない連中ね!
初めての実戦なんだからもう少し楽しませなさいよ!」
卜部「何て奴等だ、一瞬で四機も撃破したぞ・・・」
千葉「模擬戦のときよりも動きが良くなってる、機体性能が上がったからか?」
藤堂「ふふ、頼もしい限りじゃないか!遅れをとるな、我々も行くぞ!」
サザーランドパイロット「う、うわぁぁぁ!!」
ドカーーン!!
ハルヒ「凄いわねあの攻撃・・・あれが紅蓮二式の輻射波動」
カレン「なに呆けてるのハルヒ!先に行くわよ!」
ハルヒ「カレンには負けてらんないわね・・・私たちも行きましょう有希!」
カレン、ハルヒ、長門の大車輪の活躍により
防衛に出てきたサザーランドは見る見るうちに破壊されていった
サザーランドパイロット「ば、化物だ!!あの赤いのと二つの青い機体は強すぎる!」
カレン「アンタで最後よ!!」
サザーランドパイロット「だ、誰か助けてくれぇ!!」
カレンがサザーランドを攻撃しようとした瞬間
G1ベースから出てきたランスロットが紅蓮目掛けてハーケンを打ち込んだが
カレンは瞬時に反応し回避した
サザーランドパイロット「ハァ、ハァ・・・た、助かった・・・」
スザク「カレン・・・・・戦場で会った以上手加減はしない!」
カレン「藤堂さん、ランスロットが出てきました!それとグロースターが二機!」
藤堂「確認した、これより第二段階に入る!各機後退しろ!」
スザク「ん?何だ、相手の機体が下がっていく・・・」
ギルフォード「深追いはするな枢木、我々をG1ベースから離そうとしているんだ!
援軍が到着するまで離れず相手の砲撃を回避しつつ応戦すればいい」
ダールトン「罠に誘い込もうという魂胆が見え見えだ、この期に及んで
わざわざ部隊を下げる必要などないのだからな」
スザク「分かりました、上にガウェインもいるので御二人共気をつけてください!」
ゼロ「やはり誘いには乗ってこないか・・・だがそれでいい
全ては計画通り、後は連中がG1ベースから離れないよう遠距離から
砲撃し続ければこちらの勝ちだ!」
藤堂「各機、砲撃を開始しろ!!全弾撃ちつくしても構わん!!
あの三機をG1ベースに釘付けにするんだ!!」
私の狙撃の腕前見せてあげるわ!覚悟しなさいブリタニア!
あ、でもランスロットにはスザクが乗ってるんだから有希もカレンも手加減しなきゃ駄目よ!」
長門「・・・・」
カレン「あいつに手加減なんかしてたらたちまちやられちゃうわよ!」
黒の騎士団による砲撃がG1ベース目掛けて嵐のように降りかかる
--------G1ベース内
ドドドドドドド
ユーフェミア「きゃっ」
セシル「だ、大丈夫ですか殿下!」
ユーフェミア「大丈夫です、ありがとう」
ロイド「う〜ん、本格的にやばくなってきたねこれ。降伏した方がいいかも」
セシル「何言ってるんですかロイドさん!!」
ロイド「でもねぇ、いくら僕のランスロットでもこの大きな艦を守りながらじゃ
まともな戦いはできないし、このままだと遅かれ早かれチェックをかけられると思うよ」
ユーフェミア「・・・・」
ロイド「殿下、このままだとランスロットも相手の砲撃でボロボロになっちゃうし
個人的には降伏もやむなしだと思いますよ」
ユーフェミア「・・・・ロイドさん、この艦に放送機材はありますか?」
ロイド「放送機材?ありますけど・・・そんなもの使って何しようって言うんですか?」
ユーフェミア「スザク達を助けるのに必要なんです!協力してください!」
ロイド「えぇ勿論、現状が打開できるのなら何でもしますよ」
-------外
ドドドドドドドド
スザク「くっ・・・・シールドだけじゃ防ぎきれない」
ダールトン「クソ、このままではらちがあかん・・・・よし、敵陣へ突っ込むぞ!」
スザク「えっ?」
ギルフォード「しかしそれではG1ベースががら空きになってしまいます!」
ならば一か八か敵陣へ突っ込み、一機でも敵を減らす方が良い!
それにランスロットの突破力なら敵包囲網を崩せるかもしれん」
スザク「ダールトン将軍・・・・」
ダールトン「頼むぞ枢木、お前が頼りだ」
スザク「分かりました!!では僕が先頭になります御二人は後ろからついて来てください!」
ギルフォード「了解した」
-------ガウェインコクピット内
C.C「おいルルーシュ、ランスロットが動き出したぞ!」
ルルーシュ「このままでは負けると悟って強攻策に出たか
だが残念だったな、もう少し早くその決断をとっていれば
或いは勝てたかもしれんが、もう遅い」
藤堂『ゼロ、G1ベースと白兜がエリア内に入ったぞ!』
ルルーシュ「確認した。これで終わりだスザク・・・・ラクシャータ!!」
ラクシャータ「はいは〜い」ポチッ
ゲフィオンディスターバーが作動し、エリア内にあるG1ベースと
全てのナイトメアは起動を停止した
ギルフォード「き、機体が動かない!」
スザク「式根島の時と同じだ・・・」
------ガウェイン
ゼロ「フハハハハ、やはりG1ベースの動力源にもサクラダイトが使用されていたか
これでもう連中には打つ手はない、降伏するのみだ」
藤堂『ゼロ、連中の足は完全に止まったぞ!』
ゼロ「あぁ、分かっている。砲撃を止め少しG1ベースとの距離を詰めろ
間違っても効果範囲内には入るなよ、あの装置は無差別だ
こっちまで身動きがとれなくなっては話にならないからな」
藤堂『承知した!』
ゼロ「ユーフェミアにスザク、ギルフォードにダールトン・・・一気にこの四名を
捕虜に出来た事の意味は今後の戦いにおいて非常に大きい!
コーネリア、周りの者達を奪われる苦しみを知るがいい」
C.C「まだ捕虜にしてないだろ、そういう事は実際にそうしてから言うものだ」
ゼロ「この状況下で逃げられるわけがないだろう。
向こうに与えられた選択肢は二つだ。降伏するか、その場で自決するか
ユフィは俺の正体を知っている、降伏し話し合いの場を持とうとするだろうから
後者はありえないし、まず周りの者がさせないさ」
スザク「はい、ロイドさんが言っていました」
ダールトン「機体が動かなくなったのはそのせいか・・・
しかし連中はいつそんなものを設置したんだ・・・」
ギルフォード「静岡に行くまでのルートがバレていたという事か
恐らく黒の騎士団は前もって我々の進路上にその装置を設置していたのでしょう」
スザク「でも効果範囲はそんなに広くないはず・・・まさかG1ベースごと止めるなんて」
ダールトン「我々が出てきた途端隊を引いたのも、罠を警戒しその場に留まるであろう
心理を読んだ上での作戦か・・・そして隊を引いた後すぐに一斉砲撃」
ギルフォード「結果我々はG1ベースに釘付けになり、このザマか・・・」
ダールトン「クソ!!」
ゼロ『聞こえるか、ブリタニアよ!!』
スザク「ゼロ・・・・・・」
ゼロ『この戦い、既に我々がチェックをかけた!現在ガウェインのハドロン砲の照準は
諸君等の母艦に向けられている、5分やろう。降伏し、我が軍門に下れ!!』
ダールトン「くっ・・・・これでは降伏するしか他に手はない」
ギルフォード「この状況でハドロン砲など撃たれたら、我々は勿論
ユーフェミア様の御命まで・・・」
玉城「よっしゃああ!!流石ゼロだぜ!!完全勝利だwww」
扇「気を抜くな玉城!まだ終わってない」
藤堂「だがこうなった以上彼等は降伏する他道はないだろうな」
カレン「ランスロットの脅威も無くなるし、これで大分この先が楽になるわね」
ハルヒ「残念だわ、一度スザクのランスロットとは戦ってみたかったのに」
カレン「アンタはあいつの鬱陶しさが分かってないからそんな事が言えるのよ!」
朝比奈「と、藤堂さん!モニターをテレビに、チャンネルBに切り替えてください!
ユーフェミアが出ています!!」
藤堂「なに!?しかし今ユーフェミアはあの艦の中にいるはずじゃ・・・」
ハルヒ「あの中から中継してるんじゃないの?」
扇「中継って、この状況でなにを考えてるんだ?まさかテレビの電波を使って
救出でも訴えるつもりなのか・・・」
藤堂「・・・・いや、そんな無意味な事をするはずがない」
カレン「じゃあ何を始める気なのかしら?」
玉城「降伏宣言だろww決まってるじゃねーかww」
キョン「ふぅ、これで一安心だな。それにしてもここまで上手く行くもんかね」
古泉「ゼロの立てた作戦が見事だったと言う事でしょうね
こちらの死傷者は0、ほぼ無傷で貴重な捕虜とナイトメアを得る事が出来たわけですし」
キョン「ハルヒや長門も大活躍のようだったしな」
古泉「こちらの集計ですと涼宮さんは4機、長門さんが5機、カレンさんが7機落としてますね
流石というべきか、あそこまで自在にナイトメアを動かせるのはちょっと羨ましいですね
僕なんてゼロ曰く適性0だそうですから尚更です」
キョン「何でんなもん集計してたんだ?」
古泉「それも僕の仕事です」
キョン「そら大変な仕事だな」
南「おいディートハルト、チャンネルBにユーフェミアが映ってるぞ!!」
ディートハルト「なに!?映像を回せ!」
キョン「本当だ、この状況でなに考えてるんだあの人は?」
古泉「降伏までに与えられた5分、この間に出来る事は限られてますが
流石にテレビを使ってする事は何も浮かびませんね・・・」
ディートハルト「嫌な予感がする・・・この放送ジャックできないか!?」
少なくともこの場の環境で出来るような事ではありませんね」
キョン「皇室専用チャンネル?んなもんあるのか?」
古泉「えぇ、ブリタニア本国は勿論、統治しているエリア全域に放送されてます」
ディートハルト「黙って見ているしかないというのか・・・」
---------ガウェイン
C.C「この期に及んで悪あがきか?テレビを使って何をするつもりだ?」
ゼロ「さぁな、まぁいいだろう。少しでもおかしな事を言ったら一斉砲撃すればいい
ユーフェミア本人があそこにいる以上、放送自体を止めさせる事は容易い
個人的には何を言おうとしているのか、そっちの方が興味深い」
C.C「始まるぞ」
ユーフェミア「神聖ブリタニア帝国エリア11副総督、ユーフェミアです!今日は私から
皆様にお伝えしたい事があります!」
玉城「へ、小娘が何を偉そうに!」
ユーフェミア「私、ユーフェミア・リ・ブリタニアは富士山周辺に行政特区日本を
設立する事をここに宣言いたします!」
スザク「日本を・・・認める」
ディートハルト「やられた!!この手があったか!!地域制限付きとは言え・・・」
ユーフェミア「この行政特区日本ではイレヴンは日本人と言う名前を取り戻す事になります
イレヴンへの規制ならびにブリタニア人の特権は特区日本には存在しません
ブリタニア人にもイレヴンにも平等な世界なのです!」
ゼロ「(止めろ、そのケースは考えた・・・しかしそれはただの夢物語だ)」
ユーフェミア「聞こえますか、ゼロ!!」
ゼロ「!?」
ユーフェミア「あなたの過去もその仮面の下も私は問いません!
ですからあなたも特区日本に参加してください!」
ギルフォード「馬鹿な、それではクロヴィス殿下が・・・」
ユーフェミア「ゼロ、私と一緒にブリタニアの中に新しい未来を作りましょう!」
ゼロ「・・・・・・クソ、やられた」
扇「おいゼロ、どうするんだ!?砲撃するか?それとも」
ゼロ「撤退だ!!」
玉城「えぇ!?何でだよ!?目の前にユーフェミアがいるんだぜ!?捕まえないのかよ!」
玉城「はぁ!?どういう意味だよそれ!?」
古泉「ブリタニアが特区日本に黒の騎士団とゼロの参加を求めている以上
こちらが強行に出た場合我々はたちまち悪役になってしまう」
キョン「つまりここは撤退するしかないって事か・・・」
ハルヒ「行政特区日本・・・・本気なのかしら」
カレン「・・・・・ッ」
ゼロ「聞こえなかったのか!?撤退だ!!ルートAを使って全機撤退しろ!
間違ってもブリタニア側に攻撃などするなよ!!」
玉城「ちきしょー!!ここまでやったのに!!」
ゼロ「やられた・・・これでは参加するか否か、どちらを選択しても黒の騎士団は終わりだ
参加すればまず平和という名目で武装を解除され、参加しなければ自由と平等の敵となり
民衆の支持を失う・・・こんな簡単な事であっさり潰されてしまうというのか・・・」
C.C「静岡に建設している施設というのはその特区日本の為のものだったと言う事か」
ゼロ「特区日本・・・ブリタニア側からそれを提案する事など考えもしなかった・・・・
ユーフェミア・・・」
扇「特区日本・・・信用できるのだろうか」
玉城「できるわけねーだろ!!どうせ罠に決まってる!!」
朝比奈「同感、でも周りの反応はかなり良いんだろ?」
古泉「インターネット上ではユーフェミア殿下を賞賛する意見が多数を占めてますね
この様子ですと、特区日本に参加したいという考えの人は大勢出てくると思います」
藤堂「日本人が特区日本を支持するのであれば、我々もどちらかを
選択しなければならないだろうな・・・」
古泉「黒の騎士団は日本人は勿論その他ブリタニアに統治されている
多くのナンバーズの支持によって成り立っていると言っても過言ではありません
参加を拒否したら我々はその支持を失う事になりますね」
藤堂「どちらを選んでも終わりか、ユーフェミア・・・とんでもない手を打ってきたものだ」
玉城「クソ、みんな騙されてるとも知らずに!何が特区だ!!」
扇「だがこの特区構想は俺たちの抵抗活動が実を結んだ結果じゃないのか?
なら胸を張って参加してもいいと俺は思う・・・」
玉城「おい、お前それ本気で言ってんのかよ!!」
古泉「扇さんの言ってる事は正しいですよ、何もしなければブリタニア側から
特区日本などという言葉は永遠に出てこなかったでしょうからね」
扇「何が賛成派だ、仲間を分断するような表現を使うな!」
玉城「うるせー!!俺は反対だからな!ブリタニア何か信じられるかってんだ!!」
古泉「その意見も実に良く分かります、何せ日本はこれまでブリタニアに
騙されっぱなしでしたからね」
キョン「だが今回は皇室チャンネルを使って皇族が堂々と宣言したんだぞ?
にも関わらず騙まし討ちだったら国際社会から一気に非難されるんじゃないか?」
古泉「圧倒的な軍事力でそれすらさせないのがブリタニアじゃないですか
非難を受けようが関係ないですよ、あの国にはね」
藤堂「では今回もやはり嘘だと?」
古泉「それは何とも・・・」
藤堂「いずれにせよ我々は何らかの答えを出さねばならない
ゼロはどう考えているのだろうか・・・」
-----アッシュフォード学園(ルルーシュの部屋)
ルルーシュ「特区日本・・・どうしたものか」
C.C「参加したら武装を解かれ、参加しなければ民衆の支持を失うだったか?」
長期化すると組織の統率に支障が出るだろうな」
C.C「だったらその二つを天秤にかけて重い方を選ぶしかないだろう」
ルルーシュ「どちらか一つでも失ったら終わりだ!!」
C.C「だがどちらかを選ばなければいけないのだろ?」
ルルーシュ「いや・・・まだ時間はある。どちらも失わない方法を考えてやるさ」
C.C「二兎を追うものは何とやらという諺があるが、どうなる事やら」
ルルーシュ「(いざとなったらユーフェミアにギアスをかける事も考えなくてはな・・・)」
------------
------
--
数日後、アッシュフォード学園生徒会室
キョン「はぁ・・・」
古泉「お疲れのようですね」
キョン「こう何度もこっちの世界と元の世界を行き来してたら誰だって疲れるさ」
古泉「同感です。が、そういった愚痴はなるべきこちらの世界にいる時は控えてください
昔から壁に耳あり障子に目ありと言いますからね」
意見はまとまりそうなのか?」
古泉「反対派と賛成派が真っ二つのまま平行線です
未だゼロが明確な考えを示してないのが原因と言えますね」
キョン「それなんだがな、何でゼロは未だに何も言わないんだ?」
古泉「さあ、僕には分かりません。何か考えがあっての事でしょうけど・・・
そういえば、あなた1回でもギアスを使用しましたか?」
キョン「ギアス?あぁ、そういえば何だかんだで一度も使用してないな・・・」
古泉「その力は必ず役に立ちます、ぶっつけ本番では心もとないので
何度か適当に使ってみてはいかがです?」
キョン「使ってみろったってなぁ・・・誰に何を命令すりゃいいんだか」
ガチャッ
リヴァル「あれ?今日はまだ二人だけ?なーんだ急いで来て損した」
古泉「良い機会です、彼にかけてみてはどうでしょうか?」
キョン「リヴァルに?何て?」
古泉「そうですね・・・少々喉が渇いたので、ジュースでも買ってきてもらいましょう」
キョン「またベタな命令だな・・・まぁやってみるか」
リヴァル「ん?何だよキョン?」
キョン「喉が渇いたんだ、悪いけどジュース買ってきてくれ!」キュイーーン
キョンの左目に赤い鳥のような形をした紋章が浮かび上がる
リヴァル「・・・・・っ」
キョン「・・・・あれ?もしかして欠陥能力か?」
リヴァル「あぁ分かった!」
タッタッタ
リヴァルは部屋を出て行った
キョン「おぉ・・・こりゃ凄い」
古泉「絶対遵守の力・・・やはり使えますね」
キョン「だが残念ながらゼロの仮面を外させる事には使えないぞ
ずーっと仮面被ってるからな」
古泉「しかしその能力、正直ゼロに教えてあげたいくらいですよ
その能力さえあれば、いかなる難局も乗り越えられるでしょうし
現在の特区日本問題も速やかに解決できるでしょうからね」
キョン「この能力を使ってどうやって解決できるんだ?」
コーネリアと会談の席を設け、その際相手に『日本人を騙せ』とギアスをかける
そうすればブリタニアは特区日本を騙まし討ちに利用する事になり
結果日本国民は憤慨し黒の騎士団は戦う理由を得る事ができる、なんてのはどうでしょうか?」
キョン「どうでしょうかじゃねー!この鬼が!!金輪際お前を人とは思わん」
古泉「あくまで一つの例を出しただけですよ、僕はそれが出来る状況下にあったとしても
絶対にそんな事はしません」
キョン「どうだかな」
ガチャッ
ハルヒ「やっほーー!!みんな遅くなってごめんねー!!・・・ってあれ?
二人しかいないの?」
キョン「随分と遅かったな、カレンは病欠、スザクは仕事、シャーリーは水泳部の練習
長門は不明、リヴァルはジュース買いに行って、ルルーシュはサボりだ」
ハルヒ「何よそれ!!集まり悪いわね!!みくるちゃんは!?」
キョン「園芸部に入ったらしく花壇に水を撒きに行ってるよ」
ハルヒ「園芸部!?そんな話初耳よ!!」
キョン「仕方ないだろ、俺達最近黒の騎士団の方ばかり優先してて
生徒会の方が疎かになってたんだから、朝比奈さんだって退屈してたんだよ」
ハルヒ「ったく!!まぁいいわ、それより今日は二人に大事な話があるの!!」
ハルヒ「違うわよ!ねぇ、二人は特区日本の件についてどう思ってるの?」
古泉「どうとは?」
ハルヒ「参加に賛成か反対か・・・・どっちが日本の為になると思う?」
古泉「難しい質問ですね・・・個人的には参加した方が良いと思います」
ハルヒ「何で?」
古泉「参加すれば武装を解除され、黒の騎士団は抵抗勢力としての力を失いますが
特区日本構想が嘘でないのであればそもそも武力は必要ないですし
仮に我々を嵌める為の罠だったとしても、その後は民衆の支持を得た状態で
またブリタニアと戦う事も可能だからです」
ハルヒ「なるほどね、キョンは?」
キョン「ん?俺も古泉と同じ意見だ。参加した方がいいと思ってる」
ハルヒ「理由は?」
キョン「この間ので実感した、もう戦争は懲り懲りだ
戦わずに問題が解決する可能性があるならそっちに賭けてもいいと思う
勿論騙される可能性もあるが」
ハルヒ「二人共素晴らしいわ!!流石はアッシュフォード学園生徒会メンバーね!!」
キョン「って事はお前も参加賛成派なのか?」
キョン「意外だな、お前の事だからもっとナイトメアで戦いたいだの何だのと
文句をつけて平和的解決を拒みそうなもんだが」
ハルヒ「アンタ私の事なんだと思ってるわけ?平和的に解決できるなら
それに越した事はないわ!まぁ確かにナイトメアで戦いたいって気持ちも多少はあるけど」
キョン「あるのかよ!」
ハルヒ「とにかく、私は行政特区を成功させたいの!!
特区が実現すれば間違いなく多くの日本人が救われるわ!絶対に参加すべきよ!」
キョン「まぁ待て、お前がどんなに特区を成功させたいと思っても
ブリタニア側は単に俺達を罠に嵌めようとしてるだけって可能性もあるんだぞ?」
ハルヒ「分かってるわよそんな事!もしそうだったらさっき古泉くんが言った通り
もう一回戦えばいいだけよ!」
キョン「というかな、俺やお前が声高らかに特区に参加すべきだと言ったところで
黒の騎士団の最終決定はゼロが下すんだぜ?入ったばかりの新入りの意見なんて
誰が聞いてくれるんだよ」
ハルヒ「そこを何とかするのがアンタの仕事でしょ!ゼロの側近なんだから!!」
キョン「正しくはC.Cの側近だ」
ハルヒ「あの人いっつもゼロの近くにいるんだし、似たようなもんじゃない!!」
そんな事考えてたってどうせどっちか選ばなきゃいけないのよ?
だったら平和的に解決する可能性が少しでもある方を選ぶべきよ!!」
キョン「いや、そりゃ確かにそうだけどさ・・・どうやって黒の騎士団を特区参加の方向に
持っていくんだって話だよ。今現在も意見は真っ二つに割れてるんだぞ?」
ハルヒ「真っ二つって事は半々なんでしょ?だったらそんなに難しい事じゃないわ
反対派を根強く説得すればいいだけの話よ!」
キョン「その説得とやらは誰がするんだ?」
ハルヒ「勿論私達でやるのよ!!」
キョン「orz」
古泉「面白いですね、どうせそこまでするなら特区参加の是非を多数決で決めてもらうよう
僕がゼロに進言しておきますよ」
キョン「多数決?」
古泉「そうです!多数決ならば我々が反対派の説得に成功した場合
賛成派が多数となり特区参加が簡単に決まりますし、その後の遺恨も残りにくい
極めて民主的な方法じゃないですか。勿論ゼロがOKを出してくれればの話ですが」
ハルヒ「いいわねそれ!やりましょう!じゃあ古泉くんゼロへの説得任せたわ!」
キョン「反対派への説得が失敗したらどうする?」
古泉「大丈夫ですよ、絶対に成功します」
ハルヒ「いい、絶対に特区日本を成功させるのよ!!その為にはまず黒の騎士団を
特区に参加させる事から始めないと駄目なの!!ぜーたいに参加させるわよ!!」
キョン「分かったよ。それよりお前、当初の目的忘れてるんじゃないだろうな?」
ハルヒ「当初の目的?何だっけ?」
キョン「おいおい、ゼロの正体を暴くんだろ!?」
ハルヒ「あぁそれね!もうそんな事どうだっていいわ!とにかく今は特区日本よ!!
これは多くの日本人を救う事のできる最大のチャンスなのよ!?
ゼロの正体なんかよりもずっと大事な事よ!!」
キョン「(割と難しそうな方向に目的が変わっちまった・・・)」
ハルヒ「私今からアジトに行ってカレンにも同じ事話してくる!あの子ならきっと
私たちに協力してくれるだろうから!じゃあまた明日、最後の人鍵閉めてってね!」
バタンッ
キョン「・・・・・聞いたか?目的が大きく変わっちまったぞ」
古泉「そのようですね」
キョン「今ハルヒが一番やりたい事、それは特区日本を成功させる事・・・
つまり特区日本が成立さえすれば」
古泉「我々はこの世界から解放される・・・可能性が高いですね」
古泉「そこに関しては断言はできませんが、涼宮さんを満足させる事が
この問題を解決する一番の近道である事は間違いありません
涼宮さんが特区日本を成功させたいと言うのであれば、我々はその目標に向かって
馬車馬の如く働くしかないんですよ」
キョン「はぁ・・・」
古泉「ただゼロの正体を暴くという目的よりは圧倒的にこちらの方が簡単だと思いますよ」
キョン「そうか?俺には全く逆に思えるが」
古泉「今だから言えるのですが、後何年近くにいても恐らくゼロの正体など暴けないでしょう
それくらい彼には隙がありません」
キョン「特区日本を成功させる事だって同様に難儀な事だと思うがね
だいたい反対派を説得するって段階で厳しいと思うぞ」
古泉「それは大丈夫です!あなたのギアスを使えば余裕です」
キョン「ん?・・・・・おぉ!!その手があったか!!だからお前さっきから強気だったのか!」
古泉「えぇ、あなたのギアスを使えば多数派を作り上げる事など簡単に出来ますからね
あとはゼロを説得できれば、黒の騎士団の特区参加は決まったようなものです」
キョン「ゼロにはギアスは使えないしな、その説得はお前に任せるぞ」
古泉「えぇ、任せてください」
キョン「あぁ・・・疲れた。今日はアジトへ行かず帰って寝よう
まぁ寝たところで元の世界で目が覚めるだけなんだが・・・」
ルルーシュ「ん?こんな所で何してるんだ?もうとっくに授業は終わってるはずだが?」
キョン「ルルーシュ・・・・あのな〜、俺は最近誰かさんが殆ど顔を出さないもんだから
溜まりに溜まった生徒会の仕事をこの時間まで消化してたんだよ!」
ルルーシュ「あぁ、そうだったのか。それはすまなかったな」
キョン「たまには顔出して仕事してくれよ・・・お前や古泉なら10分で終わるような事でも
俺やリヴァルだと1時間以上かかるんだからな」
ルルーシュ「・・・それは偉そうに言うような事じゃないぞキョン」
キョン「実はまだちょっとだけ残ってるんだが、面倒だから途中で抜けてきたんだ
お前今から代わりにやってきてくれないか?」
ルルーシュ「悪いが俺はこれから野暮用があってな」
キョン「野暮用?(そうだ、ギアスでも使ってみるか!)」
ルルーシュ「あぁ、野暮用だ」
キョン「(友達に仕事を強制するのは忍びないが、いつもサボってるお前への
ささやかな罰だ!くらえルルーシュ!!)」
ルルーシュ「ん?どうした?」
キョンの左目に赤い鳥にような紋章が浮かび上がった
ルルーシュ「なに!?お前その眼はまさか!!?」
キョン「さぁ、とっとと生徒会室へ行った行った」
ルルーシュ「・・・・・・・・・・・」
キョン「ん?あれ?どうした?・・・もしかしてミスったか?」
ルルーシュ「・・・・・・・・・・・分かった、今からやってくる」
スタスタ
キョン「ふぅ、一瞬ヒヤッとしたぜ・・・」
ルルーシュ「(間違いない!今のはギアスだ!!何故あいつがギアスを扱える?C.Cが契約したのか?
あの物言いからして、恐らく俺と同種の能力だろうが、何故俺には効かなかった!?
俺が同じギアス能力者だからか?いや、だがマオのギアスは俺も効果対象だったし
俺のギアスもマオには効いた・・・・・では一体何故・・・キョン、あいつはいったい何者なんだ・・・)」
キョン「さて、帰って寝るか」
ゼロ「多数決?」
古泉「えぇ、黒の騎士団に所属しているメンバー全員に決をとり
その結果で特区の件を決めるというのはどうでしょうか?」
ディートハルト「古泉、何を馬鹿な事言っている?特区に参加するかどうかは
ゼロが決める事だ!決をとる必要などない」
古泉「しかし今回ばかりは流石にリーダー一人の意見で決めていい事ではないと思います
現在黒の騎士団は特区参加賛成派と反対派で二つに割れています
ゼロがどちらかに決めたとして、片方は納得したとしても、もう片方は納得しないでしょう
それでは組織内に亀裂が生まれる恐れがあります」
ゼロ「だから多数決で決めようと?」
古泉「はい、多数決で決まった事ならばその後に遺恨を残すような事はないでしょうし
少数派だった方々も納得した上で先に進む事ができます」
ゼロ「なるほど・・・確かに今後の事を考えると、組織内に亀裂や遺恨を残すような事は
極力避けたいところだ。・・・・いいだろう、お前の案を採用しよう」
ディートハルト「ゼロ、しかし!」
ゼロ「構わん。古泉の言う通りこの問題はリーダー一人で決めて良いような事ではない
ここは民主的な方法でどちらかを決めるとしよう。安心しろ、どちらに決まったとしても
私には双方に策がある!こちらが貧乏くじを引くような事にはならん」
ディートハルト「・・・わ、分かりました」
準備は全てお前に任せる、いいな?」
古泉「それなんですが、決をとるのは多数決をすると発表した三日後にしませんか?」
ゼロ「何故間隔を空ける必要がある?」
古泉「いきなり全員集めて多数決をとると言っても、みなさん戸惑うでしょうし
各々数日考える時間があった方が、身のある決断が出ると思うんです」
ゼロ「三日か・・・まぁいいだろう、好きにしろ」
古泉「ありがとうございます」
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-
翌日(クラブハウスルルーシュの部屋)
ウィーーン
C.C「やっと帰ってきたか、連日朝帰りとは・・・まるでホステスだな」
ルルーシュ「C.C、俺の質問に答えろ!」
C.C「何だやぶから棒に、答えられる質問とそうでないものがあるぞ?」
C.C「好きな食べ物はピザだ」
ルルーシュ「そんな事は知っている」
C.C「片付けは苦手だ」
ルルーシュ「それも知っている!!俺が聞きたいのはそんな事じゃない!
お前、俺とマオ以外の人間にもギアスを与えた事はあるか?」
C.C「あるぞ」
ルルーシュ「そうか、やっぱりお前の仕業だったのか・・・」
C.C「何を勘違いしてるのか知らんが話は最後まで聞け
ある事はあるが、それは大昔の話だ。現世に生きている人間で
私がギアスを与えた者はお前だけだ」
ルルーシュ「なに!?ではあいつは一体誰から・・・」
C.C「あいつ?・・・まさか他の能力者に会ったのか!?」
ルルーシュ「その言い方だと、この世界には他にも能力者がいるようだな
という事はお前以外にもギアスを与える事のできる者もいるわけか
つまりキョンはそいつと契約したという事か・・・」
C.C「キョン!?あいつがギアスを使えるというのか?」
ルルーシュ「あぁ、間違いない。あれはギアスだ」
ルルーシュ「能力は俺と同種の物と見てまず間違いない。ただおかしな事に
俺には何故か効果が無かった。あいつにギアスをかけられた後も
俺は自分の意志で行動できていた。前後の記憶障害もない」
C.C「あいつはお前にギアスをかけたがお前はそれにかからず
キョンの眼の光を見てそれをギアスだと認識したという事か?」
ルルーシュ「そうだ」
C.C「ギアスが効かない人間というのもいるにはいるが、それは限られた者だけだ
お前が相手のギアスを無効化できるはずはないのだがな・・・」
ルルーシュ「だが俺はかからなかった・・・どういう事だ?」
C.C「ならば恐らくあいつの制約が関係してるのだろう
お前のギアスに制約があるのと同様、あいつにも何らかの縛りがあるはずだ」
ルルーシュ「同じギアス能力者には効果がないとかそんな制約か?」
C.C「恐らくな。あいつはお前が能力者だなんて微塵も思っていないだろうから
その制約の事を考えずお前にギアスを使用したのだろう」
ルルーシュ「なるほど、確かにその解釈が一番しっくりくるな」
C.C「しかし驚きだな、まさかあいつが能力者とは」
ルルーシュ「ギアスを与えた者に心当たりは?」
ルルーシュ「フン、魔女が!」
C.C「それより行政特区の件はどうするつもりだ?あまり決断を遅らせると
団員の中にゼロに対する不信感が生まれるぞ」
ルルーシュ「その問題はもう解決した。多数決で決める」
C.C「多数決?また随分と古典的な決め方だな」
ルルーシュ「民主的と言ってもらおう」
C.C「民主主義は結構だが、それではどちらに転ぶか分からんぞ?大丈夫なのか?」
ルルーシュ「いや、もうどちらが多数派になるかは分かっている」
C.C「ほう、票読みでもしたのか?」
ルルーシュ「票読みなど必要ないさ。多数決というのは古泉が提案してきた事でな
これには涼宮ハルヒやキョンが関わっている」
C.C「あの二人が?」
ルルーシュ「あぁ、そしてやはり中心にいるのは涼宮ハルヒだ!
あいつの思考を読めば特区参加に賛成か否かはすぐに分かる」
C.C「で、あの破天荒娘はどっち派なんだ?」
反ブリタニア感情もさほど高くない、争い事以外での解決策があるなら
必ずそちらを支持するはずだ」
C.C「あの娘は玉城タイプだと思っていたが、実は真逆なのか」
ルルーシュ「涼宮はいつでも我を通さないと気が済まない人間だ
つまりなんとしても黒の騎士団を特区に参加させたいと考える
その結果出た結論が多数決というわけだ」
C.C「だが多数決だと必ず賛成派票が多数になるは限らないぞ?」
ルルーシュ「古泉は決をとる日を多数決をとると発表した三日後にしようと提案してきた
つまりあいつはその三日間の間に反対派票を賛成派票に移させるつもりだろう
キョンのギアスを使ってな」
C.C「ほぅ、つまりキョンがギアス能力者であるという事を古泉と涼宮は理解しているという事か」
ルルーシュ「あぁ。ギアスを使えば多数派を作り上げる事など朝飯前だ
間違いなく数日後の多数決では特区参加賛成派が多数となる
そうなると確信したからこそ俺はあいつの意見を採用したんだ」
C.C「という事はお前自身も賛成派なのか?」
ルルーシュ「そちらの方が考えた策を使いやすいからな!
ゼロは団員の意見を採用し、多数決によって特区参加を決めた
この事実は後にゼロに対する忠誠心に繋がる、涼宮ハルヒ様様だな」
C.C「どんな策を考えたか知らんが、また血を見そうだな。やれやれだ」
玉城「何だよこんな所まで呼び出しやがって!!
お前ら後輩だろーが!!何で俺が出向かなきゃならねーんだよ!!」
キョン「まぁまぁ落ち着いてください」
玉城「落ち着いていられるかっつーの!こっちは明日の多数決に向けて
賛成派の説得に回ってて忙しいんだ!!お前等の相手なんかしてる暇は」
古泉「その必要はないと思いますよ」
玉城「あん!?どういう意味だそりゃ!?」
古泉「お願いします」
キョン「玉城さん、明日は賛成に票を入れてください」キュイーーン
キョンの左目に赤い鳥のような紋章が浮かび上がる
玉城「・・・・・あぁ分かった」
スタスタ
キョン「ふぅ、今ので213人目・・・そろそろ安全圏じゃないか?」
古泉「昨日今日とお疲れ様でした、これだけやればもう十分でしょう!
後は明日を待つだけですね」
扇「賛成428票、反対209票!賛成多数により、黒の騎士団は特区日本に
参加する事に決まった!」
ワー ワー ワー
玉城「チクショー何でだ!?あんなに必死に勧誘したってのに!!
こんなに差が開くなんてありえねー!!」
カレン「決まった事なんだからいつまでもウダウダ言ってんじゃないわよ!
特区に参加する事に決まったんだから、アンタもこれからは
そのつもりでちゃんと活動しなさいよね!」
玉城「けっ、わーってるよ!!」
ハルヒ「やったわね!キョン、アンタどうやって反対派を丸め込んだの!?
まさかこんなに差が開くなんて思ってなかったわ!」
キョン「ま、俺の巧みな話術を持ってすればこのくらい朝飯前って事だ」
ハルヒ「巧みな話術ねぇ・・・まぁいいわ!良くやったわよキョン!」
カレン「キョンが反対派を説得したの?凄いわね、いったいどんな魔法を使ったのかしら」
キョン「はは・・・・まぁいろいろとな」
C.C「文字通り魔法を使ったんだろう」
キョン「!?」
C.C「ちょっと前まで半々だった特区参加に関する意見がたかが三日でここまで
片寄るのは妙だ。何か人知を超えた力でも使ったのなら話は別だがな」
キョン「なっ・・・・」
カレン「何いってんのよ、そんな力がキョンにあるはずないじゃない」
ハルヒ「そうよ、この冴えないキョンにそんな力あるはずないわ!」
キョン「冴えないは余計だ」
C.C「ま、瑣末な事だ、気にするな。ではな」
スタスタ
古泉「・・・・」
ハルヒ「いつも風変わりだけど、今日は特に変ねあの人」
キョン「はい、お前が言うな」
カレン「特区参加が決まったからには、何としても成功させたいわね
後はブリタニアの出方次第だけど・・・・」
キョン「まぁ信じるしかないだろうな、ユーフェミアを」
きたるベく行政特区日本設立記念式典に向けての対策会議を行っていた
扇「設立記念式典か・・・・」
古泉「スタジアムに参加申請をした日本人の一部を集め、かなり盛大に行うようです
テレビカメラも入れるたしく、世界中に生中継される予定です」
藤堂「正式な参加表明はもうしたのか?」
古泉「えぇ、多数決が終わった後ゼロの指示でブリタニア政府に対し
特区日本に参加するという主旨の文を送りました」
扇「参加すると言った以上、俺達もこの式典に出席すべきだよな?」
ディートハルト「ブリタニアの真意も分からないのにですか?
流石にそれは危険です、数人を代表という形で式典に参加させれば十分でしょう
何が起こるか分かりません、他の団員は別の場所で武装し待機するのが一番です」
扇「武装?いくらなんでもそれはやりすぎじゃないのか?参加すると言った以上
こちらはあまり相手を刺激するような真似はしない方がいいと思うが」
ディートハルト「あなたはブリタニア側がこの式典において非武装だとお思いですか?
そんな事はありえません、必ずナイトメアや戦闘機を待機させているはずです
もしもの事態に備え、それらに対抗できるだけの武力を忍ばせておくのは当然の事です」
ゼロ「ディートハルトの言うとおりだ、まだブリタニアの罠だという可能性も捨て切れてない
いかなる場合に備えておくべきだろう、0番隊から7番隊まではスタジアム付近で待機
勿論目立たない所でだぞ」
ディートハルト「それは誰でもいいでしょう、適当な団員を数人選べば
大事なのは黒の騎士団が式典に出席したという事実だけですからね」
古泉「では新入りですし僕が行きましょうか?」
ディートハルト「君は駄目だ、当日も私の方を手伝ってもらう」
古泉「そうですか、では誰にしましょうかね」
ゼロ「式典には私が出る!」
藤堂「なに!?本気か?」
ゼロ「あぁ、もし当日何か異変が起こったらすぐに合図を送る
そうなった場合はお前が指揮をとりスタジアムに突っ込め」
藤堂「分かった!」
古泉「しかしゼロ一人でというのは流石に心配ですね・・・」
ゼロ「問題ない、C.Cとキョンも連れて行く」
古泉「二人を?」
ゼロ「あぁ、一応私の側近だからな。心配するな、何か異変があったら
すぐ対処できるよう脱出ルートは確保しておく」
古泉「分かりました」
ウィーーン
キョン「おっ、やっと終わったのか。待ちくたびれたぞ」
古泉「おや?待っていてくれと言いましたっけ?」
キョン「ちょっと気になる事があったんでな、お前に相談しようと思ってよ」
古泉「それはもしかしてC.Cさんの事ではないですか?」
キョン「正解だ、よく分かったな」
古泉「あなたが気になっているというのは昼間彼女が言ったあの発言の事ですね?
人知を超えた力・・・・妙に核心に迫る物言いでしたので僕も気になっていたのですよ」
キョン「あぁ・・・もしかしてあの人は知ってるのか?ギアスの事を?」
古泉「どうでしょうか、その可能性もあるにはあるでしょうが・・・
ただの冗談である可能性の方が大きいと思います」
キョン「でもあの言い方がどうも引っかかるんだよな・・・」
古泉「そんなに心配なら本人に聞いてみましょう」
キョン「は?」
古泉「ですから、本人に聞いてみるんです。ギアスを使って
『ギアスという能力を知っているか?』とね」
古泉「今彼女は何処にいるのでしょう?」
キョン「ゼロの部屋にいるはずだ!」
古泉「ゼロはまだ会議室の中・・・ギアスをかけるなら今がチャンスですね」
キョン「あぁ、急ごうぜ!」
-------
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-
ゼロの部屋
ウィーーン
C.C「ん?どうしたキョン?もう帰ったんじゃなかったのか?」
キョン「いや、それがちょっと忘れ物をしましてね」
古泉「僕は付き添いです。中に入ってもよろしいでしょうか?」
C.C「構わんぞ、だがゼロの机には触るなよ。あいつは神経質だから
ちょっとでも私物が動くとすぐに分かるからな」
古泉「分かりました。それにしても、あなたは随分とゼロに関して御詳しいですね」
古泉「なるほど、ではゼロの仮面の中も見たことがあるのでしょうか?」
C.C「あぁ、あるぞ」
古泉「そうですか・・・ちなみにゼロは男性ですか?それとも女性ですか?」
C.C「・・・・何を言ってるんだお前は?」
古泉「そのリアクションですとやはり男性なのですね。いや、念のために一応と思いまして」
C.C「面白い事を知りたがる奴だな。女だったら口説き落とすつもりだったのか?」
古泉「恐れ多くてそのような事はできませんよ」
C.C「おいキョン、忘れ物とやらは回収したのか?」
キョン「えぇ・・・・・あの、C.Cさん」
C.C「何だ?」
キョン「・・・・」チラッ
キョンが古泉に視線を送る
古泉「・・・・・」コクッ
古泉はうなずく
キョン「C.Cさん、俺の質問に答えてくれ!
アンタはギアスという能力を知っているのか!」キュイーーン
キョンの眼に赤い鳥のような紋章が浮かび上がった
C.C「・・・・・・」
キョン「さあ、答えてくれ」
C.C「・・・・・フフフ、断る!!」
キョン&古泉「!!!?」
C.C「相手が悪かったな、今お前達は最もギアスを使用してはいけない人間に
ギアスを使用してしまったんだぞ?これで二回目だ、もう少し慎重になるべきだったな」
キョン「どういう事だ・・・ギアスが効かない」
古泉「その物言いですと、やはり知っているのですね?ギアスという力の存在を?」
C.C「知っているもなにも、私はその能力を与える側の人間だ」
キョン「なに!!?」
古泉「与える側・・・なるほど、だからあなたにはギアスが通じないというわけですか」
C.C「そういう事だ」
C.C「答える義務はない、自分で考えることだな」
古泉「ギアスを他人に与える事が出来るあなたがゼロの側近としてここにいるという事は
もしかしてゼロも彼同様ギアス能力者なのでしょうか?」
C.C「さて、どうだろうな。もういいだろう、私は忙しいんだ」
古泉「では最後に一つだけ!あなた自身もギアスを使用する事はできるのでしょうか?」
C.C「いい質問だな坊や。答えはNoだ」
古泉「そうですか、ありがとうございます。あと、できればここでの事はゼロに内密に
してもらいたいのですがよろしいでしょうか?」
C.C「あぁ、別に構わんぞ」
古泉「ありがとうございます。では、我々はこれで。行きましょう」
キョン「ん?あ、あぁ・・・」
キョンと古泉は部屋を出た
C.C「フフ、なかなか鋭い坊やじゃないか」
ルルーシュ「だから言っただろ。全く余計な事をペラペラと・・・・」
奥の部屋からルルーシュが姿を現す
ルルーシュ「古泉に放った言葉全てが余計だ。あれだけヒントを与えれば
あいつの事だ、遅かれ早かれゼロの正体の真相に近づくだろう」
C.C「正体がバレるのが怖いのか?」
ルルーシュ「怖い?違うな、俺は優秀な駒を失いたくないだけだ
あいつがゼロの正体を知ったら、俺はあいつを消さなければならない
そんな事をしたくないだけだ、一応生徒会の仲間でもあるしな」
C.C「そうか、それはすまなかったな。以後気をつけるよルルーシュ」
ルルーシュ「お前、さてはわざとあいつにヒントを与えるような事を言ったな・・・」
--------アッシュフォード学園学生寮
キョン「まさかC.Cさんにあんな秘密があったとは・・・」
古泉「十中八九ゼロはギアス能力者でしょうね。彼女が傍にいる以上
既に能力を与えてると考えるのが自然です」
キョン「だが本人は否定も肯定もしなかったぞ?」
古泉「否定も肯定もしなかった事がこの場合肯定したと言えるでしょう
それに、ゼロがこれまで起こしてきた奇跡の数々
これらの事もギアスという能力を前提に考えると納得できるんですよ」
かけていたと考えると、その後のジェレミア卿の理解し難い行動も納得できます」
キョン「つまりオレンジなんて言葉には何の意味も無かったって事か?」
古泉「えぇ、ブリタニア政府は勿論マスコミも意味の無いオレンジ発言ばかりに気をとられ
その後コーネリア総督が着任するまでエリア11は大混乱でした。あれもゼロの狙いでしょう」
キョン「ゼロの知能に何でもありのギアスか、最強だな」
古泉「そして最も気になるのは先程C.Cさんが言った『これで二回目だ』という発言です」
キョン「二回目?何が二回目なんだ?」
古泉「『今お前達は最もギアスを使用してはいけない人間に
ギアスを使用してしまった。これで二回目だ、もう少し慎重になるべきだったな』
覚えてらっしゃいますか?」
キョン「あぁ、確かにそんな事言ってたな。ん?まてよ、二回目?」
古泉「そう、そこです!我々がこんなミスを犯したのはあれが初めてのはず
しかし彼女はそれを二回目と表現しました。これはつまり、我々が自覚していないだけで
過去に同様のミスを犯し、ミスをおかした際にギアスを使用した相手が
C.Cさんにその旨を報告したという事です」
キョン「C.Cさんに報告?でもあの人はゼロの側近で基本他の人とはあまり
絡まないはずだが・・・・という事は」
古泉「そうです!過去に間違ってギアスをかけた相手
それは素顔を晒した状態のゼロです!」
ギアスを使用していたって事なのか?」
古泉「そうとしか考えられません。あなたがギアスを使用した者の中に必ずゼロがいます!
思い出してみてください、怪しい反応を見せた人物はいませんでしたか?」
キョン「いや、でもギアスが効かなかったのは間違いなくC.Cさんだけだ!
他にかけた連中はみんなちゃんと言われた通りの行動をとってたはずだ」
古泉「かかったフリをしていたのでしょう。あなたが能力者であるという事実だけを得て
ギアスにかかったフリをしてその場を離れ、C.Cさんに相談した。
これまでにギアスをかけた相手はどれくらいいるのですか?」
キョン「特区参加反対派の団員と、学園ではリヴァルにルルーシュ・・・・・
あと教師にも何人かかけたな」
古泉「教師?」
キョン「はは、来週のテストの問題用紙くれってさ」
古泉「あなたという人は・・・こちらの世界のペーパーテストなどどうでもいいでしょうに・・・」
キョン「仕方ないだろ、進級が危ないんだ!」
古泉「・・・まだ5月ですが、あなたはあと何ヶ月この世界と現実を行ったり来たりするおつもりですか?」
キョン「・・・・と、とにかく!俺がこれまでにギアスをかけたのは
さっき挙げた人達だけだ!この中にゼロがいるんだろ?いったい誰なんだ?」
彼らには行動を起こす理由がないですからね。となると、特区反対派の中・・・・」
キョン「組織のトップでありながら、たまに仮面を外して一般団員と化してるって事か?」
古泉「その可能性が高いですね、末端の声を聞くには自らがそこに入るのが一番でしょうし
意外と部下思いの上司という事でしょうか。少々印象が変わりましたね」
キョン「あの中にゼロが・・・・一応聞いとくが、玉城さんは」
古泉「絶対にありえません」
キョン「はは、だよな」
古泉「しかしよくよく考えてみると、我々がゼロの正体を追求する必要はもう無いんですよね」
キョン「あぁ、ハルヒの目的が別のものにシフトしたからな
でもまぁ出来る事なら暴いてみたいぜ、ゼロの正体」
古泉「同感です。同時進行でやりませんか?勿論涼宮さんの件に
支障が出ない範囲でですが。ここまで来たら僕も彼の正体を知りたい」
キョン「おう、まぁ疲れない程度にな」
古泉「我々の推理が正しければゼロは特区参加反対派という事になる
となると、特区参加賛成派が多数となった現状を好ましく思っていないかもしれない・・・
式典当日、何かをする可能性がありますね」
キョン「何かって何だ?」
キョン「まさか・・・」
古泉「あくまで可能性です。しかし、我々の目的は特区日本の成功です
万が一ゼロが特区を壊すような真似をした時は、あなたが何とかしてください」
キョン「ちょっと待て、何で俺だけなんだ?」
古泉「式典に参列するのはゼロと側近の御二人のみと決まったんです
つまりあなたとC.Cさんです。現場で彼を静止できるのはあなただけしかいません
C.Cさんはどちらかと言えばやはりゼロ寄りのようですしね」
キョン「はぁ・・・・ゼロを止めれる自信なんて俺には微塵もねーぞ・・・・」
古泉「大丈夫です、あなたにも彼同様ギアスがある」
キョン「仮面被った相手にギアスはかけれないし、仮面を被って無くても
ゼロにはギアスが効かないんだろ?無意味じゃねーか・・・」
古泉「そこはゼロのように頭を使ってください!あなたならできるはずです」
キョン「お前は俺の偏差値を知らんのか・・・はぁ、気が重いぜ」
キョン「はぁ、いよいよ明日か・・・」
古泉「おや?何か不安な点でもあるのですか?」
キョン「お前はいいよなぁ、アジトで待機なんだからよ」
古泉「現場でのことは全てあなたに任せます。頑張ってくださいよ」
キョン「はぁ・・・」
古泉「そういえばゼロの正体の件ですけど」
キョン「何か進展があったのか?」
古泉「あなたがギアスをかけた特区参加反対派の方々、計213人の中には
どうやらゼロはいないようです」
キョン「何でそんなことが言い切れるんだ?どうやって調べた?」
古泉「昨日全団員を集めた集会がありましたよね?実はあれは僕が提案した事なんですが
ゼロが演説してる間も全員いたんですよ、あなたがギアスをかけた反対派の人達全員がね
一人でもいない者がいればその者がゼロだと確信できたのですが」
キョン「よく200以上の人間の存在の有無をあの短い集会の中で確認できたな・・・
でもそれだけじゃまだあの中にゼロはいないとは言い切れないんじゃないか?
ゼロが影武者を使ってる可能性だってある」
疑っているという事をゼロが認識している場合、確かにそれもありえますね
別の人物にギアスをかけ壇上で喋らせ、自分は聴衆側に回る」
キョン「あぁ、まぁその場合俺達はいろいろとヤバイ状況かもしれんが・・・」
古泉「えぇ、ですのでその可能性は考え無い事にしましょう」
キョン「おい!」
古泉「ここ数日反対派の方々を観察していましたが、正直あの中にゼロがいる
とは思えないんですよ。勿論一般団員に見せかける為、凡人のフリをしている
のかもしれませんが、それにしてもちょっとゼロの印象とは程遠い方ばかりで・・・」
キョン「最初に反対派の中にゼロがいるって言い出したのはお前だろうが・・・
じゃあ何だ、ゼロは学園の教師かリヴァルかルルーシュだってのか?
こっちの方がお前の言うゼロの印象とかなり遠いと思うぜ」
古泉「そうでしょうか?雰囲気的に実に良く似ている人物が一人いるではありませんか」
キョン「・・・まさかルルーシュとか言い出すつもりじゃないだろうな?」
古泉「残った選択肢の中で一番可能性があるのは彼です
いや、よくよく考えれば反対派を合わせた中でも彼が一番そのイメージに近い」
キョン「でもあいつには理由がないだろ?ブリタニアと戦う理由も、日本を解放させる理由も!」
古泉「そこなんですよね、その辺りは検討もつきません。しかし、彼がゼロであるのであれば
必ず理由があるはずなんです。意味も無いのに行動を起こすような人ではないですし」
古泉「9割方あっていると思います、他に思い当たる人物がいませんし」
キョン「で、どうする?確かめてみるか?」
古泉「どうやって確かめるのです?」
キョン「ここまで来たら本人に直接聞いてみるしかないだろ!」
古泉「止めた方がいいと思いますよ、こちらはもう既に彼に対しギアスを使用していますが
あちらは恐らくまだ我々にギアスは使っていないでしょう。下手に追い込んだりしたら
何をされるか分かりません。彼は自分がゼロだという事実は絶対に守ろうとするはずです
その為なら我々を消す事だっていとわないでしょう」
キョン「・・・・それもそうだな」
古泉「これまで全く分からなかったゼロの正体に関して、9割方この人物であろうという人間を
見つけることができたんです。それだけで十分ですよ。本人にその事を確認する必要は
ありません、先程も言った通り危険ですからね」
キョン「まぁお前がそれでいいなら俺からは何も言う事はないさ
じゃあ後は明日の式典と、特区日本を成功させるだけだな!」
古泉「えぇ、明日は頼みましたよ」
キョン「ま、やるだけやってみるさ」
ハルヒ「ふふ〜ん♪」
カレン「ご機嫌ねハルヒ、何か良い事でもあったの?」
ハルヒ「別にないわよ!ただ明日の式典が楽しみなだけ!」
カレン「行政特区日本か・・・もし成功したら、ハルヒは特区に住むの?」
ハルヒ「勿論そうするわ!名誉ブリタニア人なんて胸糞悪い名前から
日本人に戻れるんですもの!カレンだってそうするんでしょ?」
カレン「え?うん、まぁね。でもゼロはどうするのかしら・・・」
ハルヒ「そういえばゼロって日本人じゃないんだっけ?」
カレン「えぇ、前に本人がそう言ってたわ」
ハルヒ「別に元々日本人だった人だけしか住んじゃいけないってわけじゃないんだし
ゼロだって特区の住人になる事は可能なんじゃない?ていうかゼロの場合は
特区成立後はそこの代表になるだろうし」
カレン「そ、そうよね!うん、きっとそうよ!あぁ良かった」
ハルヒ「・・・ねぇ、前から思ってたんだけど、もしかしてカレンってゼロの事好きなの?」
カレン「は、はぁ!!?な、何言ってんのよアンタ!?///」
ハルヒ「顔真っ赤よ・・・・分かりやすいわね」
頭良いし凄い人だってのは分かるけど、顔も見たことないんでしょ?
よくそれで惚れられたわね!」
カレン「うるさいわね、余計なお世話よ!アンタだってキョンが好きなんでしょ?
知ってんのよ私!あんなリヴァルに毛が生えたような男の何処がいいのよ!」
ハルヒ「な、何であたしがキョンなんかを好きにならないといけないのよ!!」
カレン「赤くなってきたわよ、顔」
ハルヒ「だ、だいたいアンタはルルーシュが好きだったんじゃないの!?
それをいきなりゼロに乗り換えるだなんて気が多いにも程があるわ!」
カレン「な、何でそこでルルーシュが出てくるのよ!?」
ハルヒ「シャーリーが言ってたわよ、最近ルルとカレンが怪しい仲だって」
カレン「うぅぅ・・・・シャーリー・・・・あれほど違うと言ったのに・・・・」
ハルヒ「二兎を追うものは一頭も得ず!どちらかにしなさいカレン!!」
カレン「だから違うって言ってんでしょ馬鹿ハルヒ!!」バコッ
ハルヒ「イタッ・・・・やったわねー!!!」
ワーキャー ワーキャー ワーキャー
扇「全く騒がしい連中だな・・・明日は大事な日だって言うのに・・・」
C.C「いよいよ明日だな」
ルルーシュ「あぁ」
C.C「本当にやるのか?この間言っていた策を?」
ルルーシュ「そうしなければ黒の騎士団は終わるからな、俺をここまで追い込んだのは
他の誰でもないユフィ自身だ・・・・だから彼女には責任をとってもらう
ユフィにギアスをかけ、俺を撃たせる!」
C.C「黒の騎士団とゼロに対し参加を呼びかけた特区日本の提唱者が
式典に参加したゼロに対して引き金を引く、確かに一気に反ブリタニア感情が爆発するな
おまけに特区構想は頓挫し、民衆の黒の騎士団に対する支持は強まる」
ルルーシュ「あぁ、そしてその勢いのまま東京租界へ進軍する!」
C.C「東京租界へ?本気か?」
ルルーシュ「勿論、既に策は打ってある。東京租界へ進軍し、今度こそコーネリアを潰す!
そして政庁陥落の映像と共に独立宣言をすれば、嫌でもあの男が出てくる・・・ブリタニア皇帝が!
直に会うことさえできれば、後は奴にギアスをかけるだけだ」
C.C「・・・・」
ルルーシュ「特区日本を提唱したユフィに悪気など無い事は分かっている
悪気どころかむしろ俺とナナリーの事を考えての結論だろう
しかし、俺達兄妹にとってその優しさは最早罪でしかない・・・・
だから俺は修羅になってでも特区日本を阻止する!!ナナリーの為にも・・・」
アナウンサー「こちら行政特区日本開設記念式典会場です!
会場内は大勢のイレヴ・・・・失礼しました、大勢の日本人で埋め尽くされています
会場の外にも入場できなかった日本人が沢山式典が始まるのを待っています!」
アナウンサー「しかし、特区日本への参加を表明した黒の騎士団のトップであるゼロは
依然姿を見せておらず、式典が始まるまでに姿を現すのかどうか
その動向が注目されています」
ガヤ ガヤ ガヤ ガヤ
スザク「このまま来ないつもりなのでしょうか?」
ダールトン「かも知れんな。しかしそれでも構わん、奴等が特区に参加するしないに関わらず
こうなった以上どちらを選んでも黒の騎士団は終わりなのだからな」
ユーフェミア「(ルルーシュ・・・私は信じてます)」
ダールトン「ユーフェミア様、そろそろ御時間です」
ユーフェミア「・・・・はい」
「ゼロだ!!!」
ユーフェミア「え?」
視線の先にはガウェインの肩に乗ったゼロがおり
こちらに向かってきていた
ダールトン「負けを認めたか!」
指令部「相手はゼロだ、不審な動きを見せたら即座に射殺しろ!」
狙撃犯「イエス・マイ・ロード」
ゼロの乗ったガウェインが式典の壇上へと着陸する
ユーフェミア「ようこそゼロ!行政特区日本へ!」
ゼロ「ユーフェミア・リ・ブリタニア、折り入ってあなたとお話したいことがあります」
ユーフェミア「私と?」
ゼロ「はい、あなたと二人っきりで」
ゼロがナイトメアから降り、操縦席からキョンとC.Cも出てきた
スザク「キョン、何で君がここに?・・・・そうか、君もカレンと一緒に」
キョン「そういう事だ、黙ってて悪かったな」
スザク「いや、僕だって最初は技術部だと嘘をついていた。これで御相子だ」
キョン「そう言ってくれると助かるぜ、正直なところここでお前に正体を晒す事が
一番億劫だったからな」
C.C「久しぶりだな」
スザク「やっぱり君は黒の騎士団の関係者だったのか」
キョン「俺とこの人はゼロの側近なんだ。あとついでに言っておくが
ハルヒと古泉も黒の騎士団の団員なんだ」
スザク「会長と古泉も・・・・」
キョン「あぁ、だからこれまで戦場でお前とも何度か戦ってる」
スザク「そうか・・・でも、特区日本が上手く行けば、僕等はもう争わなくても済む!
君や会長達と争うのなんて僕は嫌だ」
キョン「俺だって嫌さ・・・・・上手く行くといいな、特区日本。いや、俺達で上手く行かそう!」
スザク「キョン・・・」
ダールトン「話し合いならこの場でしてもらおう、二人だけの状況は悪いが作れん」
ゼロ「こちらは特区に参加すると表明し、武器も持たずこちらに出向いたのだ
平和的解決の為に必要な事なのだが、それでも申し出は許可されないのかな?」
ダールトン「何が武器も持たずにだ!ガウェインに乗って来たではないか!」
ゼロ「あくまで移動の手段として使用したまでだ、武装は全て外してある
調べてもらっても構わんぞ」
だから二人っきりにさせてください」
ダールトン「しかしユーフェミア様!!」
スザク「この男と二人になるのは危険です、せめて自分だけでも!」
ユーフェミア「大丈夫ですスザク!私を信じてください!」
スザク「(ユフィ・・・)」
ユーフェミア「ダールトン」
ダールトン「・・・・分かりました、では下のG1ベースでよろしいでしょうか?」
ユーフェミア「はい」
ダールトン「お前もいいな?」
ゼロ「あぁ」
ダールトン「悪いが案内する前に検知器を通ってもらう
凶器を持っていられては敵わんからな」
ゼロ「構わん、それで君達が安心するのならいくらでも協力しよう」
ダールトン「G1の入り口付近にこちらの兵を一人置かせてもらう
枢木、お前が行け」
スザク「え?自分でよろしいのですか?」
必ずユーフェミア様を御守りしろ!」
スザク「イエス・マイ・ロード!!」
キョン「そういう事なら俺も一緒に行きたいんですが・・・」
ダールトン「ん!?何だお前は!?」ギロッ
キョン「え?いやぁ・・・俺はその」
ゼロ「私の側近だ。可能なら彼を枢木卿と同じ場所に置いておきたいのだが?」
ダールトン「いかがなさいますか?」
ユーフェミア「構いませんよ」
ゼロ「ありがとうございます」
ダールトン「では枢木、G1へ案内してさしあげろ」
スザク「分かりました、こちらです」
キョン「(よし、これでゼロに近いポジションゲット!何か不測の事態が起こっても
トラブルが起きる前に対処するんだ!頑張れ俺!)」
スザクを先頭に四人は会場の外に停めてある
G1ベースへと足を運んだ
ゼロは中に入ると同時にG1ベース全ての電源を落とした
ユーフェミア「用心深いのね、カメラは全てオフにしてあるのに」
ゼロ「いつも隠れて生活しているのでね、何処かの帝国のお陰で」
ゼロは仮面を外しふところから銃を取り出す
ルルーシュ「竹とセラミックで加工したニードルガン、これは検知器でもヒットしない」
ユーフェミア「何の冗談ですか?ルルーシュ、あなた撃たないでしょ?」
ルルーシュ「あぁ、俺は撃たない。撃つのは君だよ、ユフィ」
ユーフェミア「え・・・・?」
---------会場付近
扇「ゼロは上手くやっているのだろうか・・・」
藤堂「ユーフェミアと二人だけで会談か・・・こんな事は予定になかったが」
扇「いったいゼロは何を考えているんだ」
藤堂「(我々をここに待機させてある上にラクシャータやディートハルト、古泉も
別働隊として行動させている・・・もしや、ゼロはユーフェミアを・・・)」
スザク「キョン、ゼロはユーフェミア様に一体何の話をしているんだ?」
キョン「さぁ、何を話しているのやらさっぱりだ」
スザク「君は何も聞いていないのかい?」
キョン「俺に限らず黒の騎士団のメンバーの殆どが何も知らされてないと思うぜ」
スザク「じゃあやっぱり君もゼロの正体は知らないのか」
キョン「あぁ・・・(ゼロがルルーシュかもしれないなんて言ったらこいつは
どんなリアクションをとるのだろう?)」
スザク「キョン、悪いけど僕は中で何かが起きたらすぐにゼロの身柄を取り押さえるよ」
キョン「あぁ、そんときは好きなようにしてくれ」
スザク「君はそれでいいのかい?ゼロは君の上官だろ?」
キョン「お前と格闘しても勝ち目はないし、それに俺は特区日本を成功させたいんだ!
万が一ゼロがそれを阻害するような行動をとるなら守ってやる義理はない」
スザク「はは、君は分かりやすいね。うん、特区を成功させたいと思う気持ちは僕も同じだ
お互いに頑張ろうキョン!」
キョン「(ゼロが何か企んでいるのなら俺がその企みを阻止しなきゃならん・・・
何をしでかすか分からんし阻止できる自信もない、ないが!!やるしかない!)」
ユーフェミア「私が・・・ルルーシュを?」
ルルーシュ「そうだ」
ユーフェミア「何を言っているのですルルーシュ?私はそんなことしないわ!」
ルルーシュ「君の意志は関係ない、俺がそうさせてやる!」
ユーフェミア「?」
ルルーシュ「この式典は全世界に中継されている、そこでブリタニアの皇女である君が
ゼロを撃ったらどうなると思う?」
ユーフェミア「暴動になるんじゃないかしら?」
ルルーシュ「あぁ、騙まし討ちされたとなれば、ゼロは殉教者となり
君とブリタニアの信望は地に落ちる」
ユーフェミア「何ふざけてるんですか?私と一緒に日本を」
ルルーシュ「もう全ての条件はクリアされた、ゼロは生死を彷徨い
奇跡の復活を遂げ称えられる。民衆は理屈ではなく、奇跡に弱いものなんだ
さぁ、銃を受け取りたま・・・・・ウッ!!!!」
ルルーシュは左目を押さえその場にうずくまった
ユーフェミア「ルルーシュ!?どうしたのです、大丈夫ですかルルーシュ!?」
俺は自分の力で手に入れてみせる!その為には汚れてもらうぞユーフェミア・リ・ブリタニア!!」
ユーフェミア「その名は返上しました!」
ルルーシュ「なに!?」
ユーフェミア「いずれ本国から発表があると思います!皇位継承権を放棄しました」
ルルーシュ「何故・・・まさかゼロを受け入れたからか?」
ユ−フェミア「わがままを通してもらったのですから仕方ありません」
ルルーシュ「何故特区日本の為にそこまでできる・・・スザクの為か?」
ユーフェミア「それもあるわ。でも、一番はナナリーの為」
ルルーシュ「ナナリー?」
ユーフェミア「あの子言ったの、お兄様さえいれば他に何もいらないって
だから決めたの、特区を成立させようって」
ルルーシュ「そんな事だけで決めたのか?」
ユーフェミア「そう、そんな事だけで決心がついちゃったの!」
ルルーシュ「・・・フッ、フハハハハ!!全く、君は大馬鹿だよ」
ユーフェミア「そりゃあ、昔からルルーシュにはゲームでも勉強でも勝てなかったけど・・・」
ユーフェミア「ルルーシュ、お願いです!私と特区日本を・・・私に協力してください!
あなたとナナリーの事は誰にも言いません、だから・・・」
ルルーシュ「・・・・・・・・・・・・・・・・・君は、俺にとって最悪の敵だったよ
いいだろう、行政特区を生かす形で策を練ろう。あぁ、部下になるわけじゃないからな」
ユーフェミア「ルルーシュ!!」
ルルーシュ「俺達で特区を成功させよう、ブリタニアを中から変えるんだ」
ユーフェミア「はい!それにしても私って信用ないのね、あんな言葉で
騙そうとするなんて!心外です!」
ルルーシュ「あぁ、あれか。俺が本気で命令すると、誰も俺に逆らう事ができないんだ」
ユーフェミア「またからかってるの!?」
ルルーシュ「本当さ、例えば俺が『ゼロを撃て』、『スザクを解任しろ』、『日本人を殺せ』
と命令すれば君は」キュイーーーーン
ユーフェミア「・・・・・・・・い、いや・・・そんな事したくない」
ルルーシュ「ん?ユフィ?」
ユーフェミア「そ、そんな事、したくない!!」
ルルーシュ「おいどうしたんだユフィ!?眼のふちが赤い・・・・まさか!?」
ルルーシュ「ギアスが発動している・・・・まさかマオのように暴走しているのか!!?」
ユーフェミア「いや・・・そんな事したくない!!」
ルルーシュ「さっき言った内容のどれかがギアスとして飛んだのか!!
まずい・・・・ユフィ、落ち着け!!俺の眼を見ろ!!」
ユーフェミア「いや・・・・そんな事」
ルルーシュ「クッ・・・・またさっきの痛みが!!」
ルルーシュは再び眼を押さえてうずくまった
ユーフェミア「・・・・・・・・・・そうね、日本人はみな殺しにしましょう!」
ルルーシュ「クッ・・・・よりによってその命令か・・・止めろユフィ!!」
ユーフェミアはルルーシュの銃を奪い会場へ向け走り出した
ルルーシュ「ユフィー!!!」
キョン「・・・随分長いな」
スザク「話し合いが上手く行っていないのかもしれないね」
キョン「はぁ〜、頼むから上手く行ってくれよ」
ガチャッ
キョン「ん?やっと終わったか・・・・って、ユーフェミア様一人だけ?」
ユーフェミア「あら?あなたはさっきの」
キョン「あの〜、ゼロはどうしたんです?」
ユーフェミア「ゼロならまだ中にいますよ!私はやらなければならない事があるので
先に出てきたんです!」
キョン「は、はぁ・・・そうなんですか」
スザク「ユーフェミア様、やらなければならない事というのはいったい?」
ユーフェミア「日本人を殺すんです!」
キョン「・・・・・・・・・・・は?(今この人物凄い事言わなかったか?)」
スザク「ユ・・・・・・ユフィ?」
ユーフェミア「私は日本人を殺さないといけないんです!」
スザク「ユフィ!!何を言ってるんだ、君は行政特区日本を」
ユーフェミア「特区なんてもうどうでもいいんです!今は日本人を殺す事だけを
考えなければなりません。さあ、御二人とも道をあけてください!」
スザク「違う!特区構想は純粋に日本人を助ける為にユフィが考えた事だ!」
キョン「じゃあこの状況はどう説明する気だ!?」
スザク「ユフィ、目を覚ますんだ!!君はそんな事を言ってはいけない!!」
ユーフェミア「スザク・・・どうしてあなたが私の邪魔をするのです?」
ユーフェミア「・・・・そういえば、あなたも日本人でしたね!」
ドンッ!!!
銃弾を受けたスザクはその場に倒れた
ドサッ
スザク「うぅっ・・・・」
キョン「おい大丈夫かスザク!!・・・・銃弾が貫通してやがる
な、何とかして血を止めないと!!」
ユーフェミア「?何故血を止める必要があるのですか?」
キョン「お前狂ってんのか!?スザクはお前の騎士だろ!!
なのに殺そうとするなんて・・・」
ユーフェミア「仕方ないんです、日本人は殺さなければならないの・・・」
キョン「何だとこのや・・・・」
涙を流すユーフェミアの顔を見て、キョンは少しだけ冷静になった
キョン「(泣いてる・・・しかもあの眼・・・・この豹変ぶり・・・・・・
そうか、これはギアスだ!!ゼロの奴がユーフェミアにギアスをかけたんだ!
『日本人を殺せ』と・・・・)」
キョン「(くそ、どうすりゃいいんだこの展開・・・このままユーフェミアを会場に行かせたら
間違いなくとんでもない事になる・・・おい古泉、俺はどうしたらいい?)」
スザク「くっ・・・・キョ、キョン・・・ユ、ユフィを・・・・ユフィを止めてくれ・・・」
キョン「スザク!?じっとしてろ、喋るな!すぐに医務室に運んでやるから!」
スザク「ユ・・・・ユフィはきっと・・・何かに操られてるんだ・・・だから彼女を助けてくれ・・・」
キョン「(あぁ分かってるさ、これはこいつの本意じゃない!ギアスに操られてるが故の行動・・・
でもどうすりゃいい!?ギアスの命令は絶対だ・・・ゼロが日本人を殺せと命令した以上
仮に力ずくで取り押さえてもその後の事を考えると何の解決にもならない・・・どうすれば」
ユーフェミア「スザクもあなたも、ここで死んでいただきます!」
キョン「(まずい・・・・もう一発撃たれたらスザクは本当に死んじまう!
何とか、何とかしないと・・・)」
ドンッ!!
ユーフェミアはスザクに向け発砲したが
その銃弾はスザクを庇ったキョンの背中に命中した
スザク「・・・・キョン・・・・・」
キョン「(イテー、痛すぎる!!死ぬ死ぬ死ぬ!!うわっ、何だこの血の量・・・
終わった、こりゃもう駄目だ、俺はここで死ぬ。ゲームオーバーだ・・・)」
ユーフェミア「あら〜、庇わなくたってちゃんと二人とも殺しますのに」
キョン「(思い返してみると、高校入学以降ハルヒのお陰でこの手のトラブルには
何度も遭遇したっけな・・・・全部あいつのせいだ・・・ったく、何で死ぬ時まで俺は
ハルヒの事を考えちまってるんだ・・・)」
ユーフェミア「さようなら、二人とも」
スザク「・・・・ユ、ユフィ・・・止めるんだ・・・」
キョン「(ちきしょー・・・・ちきしょーちきしょーちきしょー!!こんな所でくたばってたまるかよ!
俺は80歳くらいに老衰で苦しまずにあの世へ行く予定なんだ!こんな所で死ねるか!!)」
キョンはゆっくり立ち上がった
背中と腹から大量の血が噴出す
ユーフェミア「まだ立てるんですか?じゃああなたから行きますね!」
キョンの左目に赤い鳥のような紋章が浮かび上がる
ユーフェミア「何をなさっているのです?」
キョン「俺のギアスとゼロのギアス、どっちが上か白黒つけてやる!
何度でも命令してやる!!正気に戻れユーフェミア!!!」キュイーーーン
キョンの両目に赤い鳥のような紋章が浮かび上がる
ユーフェミア「・・・・・・・・・・・・」
キョン「ハァ、ハァ・・・・・はは、もう駄目だ」バタンッ
キョンはその場に倒れた
ユーフェミア「・・・・・わ、私はここで何を・・・・・ス、スザク!!?
それにゼロの側近の方まで・・・どうしてこんな事に!?誰がこんな事を!!?」
と、最後にツッコミを入れてキョンの意識は飛んだ
ユーフェミア「凄い血だわ、待ってて!すぐに御医者様を連れてきますから!」
ゼロ「ユフィ!!」
部屋からゼロが出てくる
ユーフェミア「ゼロ!!見てください二人がこんな事に」
ゼロ「スザク!!?キョン!!?」
ユーフェミア「私は御医者様を呼んできます、ゼロはここで二人をお願いします!」
ユーフェミアはG1の外へ走っていった
ゼロ「・・・あの様子だと俺がかけてしまったギアスはもう解けているのか?
しかしいったいどうやってそんな事を・・・」
ゼロ「・・・・そうか。キョン、お前がやってくれたのか・・・」
ルルーシュは意識を失っているキョンのまぶたを指で少し開けギアスをかけた
ゼロ「生きろ!!!」キュイーーン
ゼロ「ギアスで傷口は癒せない・・・しかし、生きたいと強く願う気持ちさえあれば
人は死なないはずだ、きっと・・・・もうすぐ医者が来る、それまで二人とも頑張ってくれ!」
-----------
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-
数日後
カレン「あっ、やっと目が覚めた!ったく、心配させるんじゃないわよ!」
キョン「カ、カレン・・・・?」
カレン「そうよ、もしかして寝ぼけてる?」
キョン「ここは・・・病室?そうだ、俺はスザクと一緒に撃たれたんだ!!」
カレン「そっ、あなたとスザクは撃たれたの。特区に反対してたブリタニアの過激派にね」
キョン「・・・・へ?過激派?」
カレン「そうよ。やっぱり撃たれた相手見てなかったんだ。まぁ仕方ないわよね
あなた後ろから撃たれたみたいだし」
キョン「(俺は確かユーフェミアに撃たれたはずだが・・・・そうか、ゼロが情報を隠蔽したのか
でも何でゼロがそんな事を?ユーフェミアに日本人を殺させようとしてたあいつなら
そんな隠蔽しないでありのままを発表した方が都合が良いだろうに・・・)」
カレン「ゼロやユーフェミアに感謝しなさいよ、あなた達が助かったのは
二人が迅速な処置を施したからだってお医者さんが言ってたわ」
キョン「(ユーフェミアは分かるがゼロが?これも隠蔽か?)っていうか二人って事は!?」
今はもう退院して仕事に戻ってるわよ」
キョン「何て奴だ・・・・・ていうか、特区日本はどうなったんだ?」
カレン「大成功よ!多くの日本人が特区への移住を開始してるわ!
今現在も参加申請が大量に来てて、黒の騎士団のみんなはそっちの仕事にてんやわんや」
キョン「そうか!!そりゃ良かった!!」
カレン「まぁまだ課題は沢山あるんだけど、それはこれからゼロを先頭に私達と
ブリタニアとで話し合いをしながら解決していけばいいわ」
キョン「あぁ・・・・そうだな」
カレン「じゃ、私はこれで!邪魔者は消えるわ」
キョン「邪魔者?できればもう少しいろいろと話を聞きたいんだが?」
カレン「下に寝てる子に聞いたら?ず〜とあなたに付き添ってたのよ!
ちゃんと御礼言ってあげなさいよね!じゃ、お大事に」
バタンッ
キョン「下に寝てる子?」
キョン「・・・・・・・・・ハルヒ」
ハルヒ「zzz」
キョン「・・・・・・・顔に落書きは・・・・・止めといてやるか」
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次の日
ガチャッ
キョン「今度はお前か・・・・」
古泉「その御様子ですと、かなりの人数が面会にいらしたようですね」
キョン「黒の騎士団の仲間だけならまだしも、何故かブリタニアの政府関係者まで来たぞ」
あちらも責任を感じているのでしょう」
キョン「過激派ねぇ・・・」
古泉「おや?違うのですか?」
キョン「いいや、その通りだ」
古泉「それにしても意外でしたね、あのゼロが何も仕掛けてこないとは・・・
僕の予想では特区をぶち壊す為に何か手を打ってくると思っていたのですが
どうやら杞憂だったようですね」
キョン「(実際そうだったんだがな・・・)」
古泉「しかしそのお陰で特区日本は無事成功しました!
これで涼宮さんの目的は達成された事になります」
キョン「これでこの現象から解放されればいいんだがな」
古泉「えぇ、涼宮さんが新たに他の目的を見つけないことを祈るばかりです。
そういえば、彼女はどちらに?ずっとあなたに付き添っていたはずですが?」
古泉「そうですか、しかしあなたが羨ましいですよ」
キョン「去年はナイフで刺されて、今年は銃で撃たれた俺の何処が羨ましいんだ?」
古泉「そういう意味ではありませんよ、常に心配してくれる人が傍にいるという事が羨ましいんです」
キョン「お前が同じ立場になったとしても、ハルヒは心配してくれると思うぞ」
古泉「なら良いのですが」
キョン「するさ、あいつは絶対に」
--------
----
--
-
ガチャッ
キョン「C.Cさん・・・」
キョン「お陰様で」
C.C「背中を撃たれたと聞いた時は無理だと思ったが、なかなかの生命力だな」
キョン「まだ動くと少しだけ痛いんですけどね」
C.C「・・・・・」
キョン「どうしたんです?」
C.C「お前には礼を言っておかねばならないな」
キョン「礼?俺何かしましたっけ?」
C.C「ユーフェミアを止めた件だ」
キョン「あぁ・・・C.Cさんは知ってるんですか」
C.C「まぁな、大体のことはゼロから説明を受けた」
C.C「いいぞ、今回は何でも答えてやる。スリーサイズか?」
キョン「いや、そうじゃなくて・・・(それも確かに気になるが)
ゼロはどうしてユーフェミアにギアスをかけたんです?あのまま俺が何もできなかったら
たぶんとんでもない事になっていたと思うんですが」
C.C「あれはゼロの意志ではない。あいつのギアスが暴走した事によって起きた
いわば不幸な事故だ」
キョン「故意じゃないんですか?」
C.C「勿論だ、故意にやったとするならお前や枢木スザクを撃った犯人を
ブリタニアの過激派などと改竄する必要はないだろ?」
キョン「確かにそうですね・・・そうか、事故だったのか」
C.C「ゼロもお前には本当に感謝していたぞ。その内ここに顔を見せるだろうが
その時は小言の一つでも言ってやれ。故意でないにしろ、あいつのミスが原因で
お前は撃たれたわけだからな」
C.C「お前がユーフェミアを止めていなければ、ゼロも、この世界もとんでもない
方向へと歴史を進めていただろう。本当に感謝するぞキョン
これからもあいつの事を支えてやってくれ」
キョン「は、はい」
C.C「ではな、御大事に」
--------
-----
--
-
ガチャッ
キョン「ゼロ・・・」
ゼロ「体調の方はどうだ?」
キョン「まだちょっと背中が痛いですかね」
キョン「いいですよ、C.Cさんから聞きました。ギアスが暴走したんですよね?」
ゼロ「あぁ、日本人を殺せとというギアスがユーフェミアにかかってしまってな・・・
お前が止めてくれなければ、とんでもない事態になっていただろう
礼を言う、ありがとう・・・・キョン」
キョン「別にいいですよ、あの場面は俺も我が身大事で必死でしたし」
ゼロ「そうか」
キョン「でも良かったですね、特区日本が成功して」
ゼロ「あぁ、だがこれから先解決していかなければならない問題は沢山ある
キョン、これからも俺に力を貸してくれるな?」
キョン「えぇ・・・まぁ」
ゼロ「微妙な返答だな・・・まぁいい、俺がお前を信用する証としてこの仮面を外そう」
キョン「え!?んな事しちまっていいんですか?」
ゼロ「構わん、俺とお前は互いにギアスという能力を持ち、その秘密を共有しあった仲間だ
今更素顔を晒すくらい何ともない。それに、大体の予想はできてるんだろ?」
キョン「っ・・・・・・やっぱりルルーシュ、お前だったのか!」
ルルーシュ「そうだ、俺がゼロだ」
キョン「何でお前がこんな事を・・・・ブリタニアに反旗を翻すような真似をしてるんだ?」
ルルーシュ「それらの質問には後でゆっくり答えてやるよ。それよりも、さっきの件だが」
キョン「さっきの件?」
ルルーシュ「俺に力を貸してくれるかという問いに関してだ」
キョン「あぁ、その事か」
ルルーシュ「ゼロではなくルルーシュ・ランペルージとしてお願いする
キョン、これからも俺に力を貸してくれ」
キョン「・・・・分かったよ。俺の屁みたいな力で良かったらいつでも貸してやる」
ルルーシュ「ありがとう・・・では、俺はこれで失礼する」
ルルーシュ「そうだ、キョン」
キョン「何だ?」
ルルーシュ「ゼロの正体、古泉には内緒だぞ!」
キョン「あぁ、分かったよ」
バタンッ
キョン「ふぅ〜・・・まさか本当にゼロの正体がルルーシュだったとはな
・・・・ん?何だか急激に眠くなってきたぞ・・・・・う〜ん、寝るか」
-------------
------
---
-
キョン妹「キョンくーん!朝だよぉ〜!!」
キョン「んん?あぁ、こっちの朝か・・・」
キョン「分かったから布団の上から降りろ・・・動けん」
キョン妹「はぁ〜い」
-------
----
--
------学校
キョン「ふあぁぁ〜、眠い・・・・」
バンッ
キョン「イテッ!!何しやがる!!」
ハルヒ「朝から何だらしない顔してんのよ!一日の初めはもっとシャキっとした顔しなさい!」
ハルヒ「ん?何よ?私の顔に何かついてる?」
キョン「いや・・・・最近あまり元気がないようだったのに、今日は随分元気だなと思ってよ」
ハルヒ「別に元気が無かったわけじゃないわよ、ここ数日ず〜っと面白い夢を見続けてたから
現実の学校とか授業がちょっと鬱陶しかっただけ」
キョン「夢?あぁ、前に言ってた何ヶ月も同じ夢の続きを見てるっていうあれか」
ハルヒ「そっ!それが昨日で終わったの!
と〜っても楽しい夢だったわよ!!1から説明してあげようか?」
キョン「結構。ていうか、終わったって何でそんな事が言えるんだ?」
ハルヒ「何でって言われても、何となくもうあの夢は見ないんだろうなって思うのよねぇ」
キョン「ほぅ・・・」
ハルヒ「でも本当に楽しい夢だったわ〜!あの夢のお陰で私の鬱憤も解消できたし
キョン、涼宮ハルヒ完全復活をここに宣言してもいいかしら!?」
キョン「は?・・・・・し、したら?」
全校に向け謎の復活宣言をしたのであった。
キョン「何故全校生徒に聞かせる必要がある・・・」
--------文芸部室
ガチャッ
古泉「お待ちしていましたよ」
キョン「何だ、気持ちの悪い」
古泉「無事今回の問題は解決されたようです。長門さんが確認してくれました
こちらの世界とあちらの世界を繋ぐ超空間は、今朝消滅したそうです」
キョン「そうか・・・・・はぁ〜、良かった」
古泉「お疲れ様でした」
みくる「キョンくん、お疲れ様でした!」
キョン「朝比奈さん、ありがとうございます」
キョン「いいんですよ朝比奈さん、ちゃんと分かってますから」
みくる「ありがとうキョンくん」
キョン「長門も御苦労だったな」
長門「・・・・・疲れてない」
キョン「そうかい」
古泉「長い戦いでしたが無事何事も無く解決して何よりです
あなたの撃たれた傷も、もう完治していますよね?」
キョン「そういえばそうだな、全く痛みを感じない・・・」
古泉「あちらの世界が涼宮さんの中で夢だと認識された結果です」
キョン「なぁ、俺達はもう二度とあの世界に行く事はないんだよな?」
それがどうかしたんですか?」
キョン「いや、向こうの連中は急に俺達が消えてなんて思ってるのかなと思って
みんな心配してるんじゃないか?」
古泉「問題ないでしょう。我々があちらの世界にいたという事実そのものが
消去されてるでしょうからね」
キョン「消去?何でそんな事が分かるんだ?」
古泉「長門さんの受け売りです」
キョン「長門、統合思念体がそう言ったのか?」
長門「そう。向こうの世界の人々の頭から私達の記憶は完全に消去された
故に変化に気付く者は出ない」
キョン「そうか・・・・何となく寂しい気もするが、まぁ仕方ないよな
特区日本、ちゃんとこの先上手く行くだろうか・・・」
古泉「大丈夫だと思いますよ、日本にはゼロとスザクさんがいますからね」
キョン「あぁ・・・・そうだな」
キョン「ん?何だ?」
古泉「ゼロの正体ですよ、恐らくルルーシュさんだろうという予測は立ちましたが
結局確証は得られず終い・・・・何となくモヤモヤしますね・・・・
やはりあの時本人に問いただしておくべきでした」
キョン「ははっ」
古泉「気になる笑いですね・・・まさか、あなたゼロの仮面の下を見たんですか?」
キョン「さぁ、どうだろうな」
古泉「教えていただけませんか、このままでは夜も眠れそうにない・・・
僕の仲では99%ルルーシュさんなのですが・・・どうしても残り1%を埋めたいんです」
キョン「悪いが無理だ、ゼロに他言しないと約束しちまったからな」
古泉「そうですか・・・それは残念です」
キョン「落ち込んでる暇はないぞ、朝の放送聞いただろ?」
古泉「復活宣言でしたっけ?ちゃんと聞きましたよ」
古泉「涼宮さんが元気でいられるのであれば、僕は何でもしますよ」
ガチャッ
ハルヒ「やっほーー!!!」
キョン「噂をすればだ・・・」
ハルヒ「みんな久しぶりね!暫く部活お休みしてたけど、今日からまたSOS団を再開するわよ!」
キョン「お前一人がいなかっただけで、SOS団自体は毎日活動していたんだが」
ハルヒ「うるさいわね!私がいないんじゃ意味がないのよ!!いい、今日から完全復活よ!!
朝の放送聞いたでしょ?SOS団完全復活!!まずそれを世間に知らしめてやらないと駄目ね・・・」
キョン「何故知らしめる必要がある・・・」
キョン「orz」
みくる「あぅぅ〜、またですかぁ」
古泉「・・・」ニコニコ
キョン「(こりゃ向こうの世界の心配してる場合じゃないな・・・)」
シャーリー「スザクくん最近凄く忙しそうだね!」
スザク「うん、特区日本の件でやる事が多くてね」
リヴァル「でも良かったじゃん、特区日本成立して!」
スザク「あぁ、今まで虐げられてきた人達も特区ではみんな凄く幸せそうに暮らしてるよ」
シャーリー「それもこれも、スザクくんが頑張ったお陰よね!」
リヴァル「だな」
スザク「いや、僕は何も・・・・ユーフェミア様とゼロのお陰だよ」
リヴァル「またまたー、謙遜しちゃって!」
スザク「(何だろう、何かが足りない気がする僕にとって物凄く大切な何かが・・・
分からない、いったい何だろうこの感じは・・・)」
カレン「支度できましたか?」
ゼロ「あぁ」
カレン「ブリタニア皇帝がお待ちです、急ぎましょう」
ゼロ「分かっている・・・・それよりカレン」
カレン「はい?何でしょうか?」
ゼロ「何か・・・・何か違和感を感じないか?誰かが足りないような、そんな違和感を」
カレン「じ、実は私も最近そんな感じがするんです!何なんでしょうねこれ?」
ゼロ「お前もそうなのか・・・・フン、まぁいい、いつか解決するだろう
それよりも今日の会議は非常に大事なものだ、気を引き締めろよカレン」
カレン「は、はい!」
ゼロ「(特区日本・・・これを生かして救えるだけの人間を救ってみせる・・・
大丈夫だ、俺にはユフィやスザク、それにカレンや黒の騎士団がついてる
それにあいつらも・・・ん?あいつら?)」
ゼロ「あぁ!!」
C.C「フフフ、全く・・・・結局あいつらは何者だったんだか
急に現れたかと思えば急に消えた・・・・この世はわけの分からん事だらけだ」
ゼロ「おいC.C!!何をしている、さっさと行くぞ!」
C.C「分かった分かった、そう急かすな(キョン、お前の事は忘れずに覚えておいて
やろう、またいつか会える事もあるかもしれんからな)」
カレン「ちょっとアンタもっと急ぎなさいよ!遅刻しちゃうじゃない!」
C.C「はいはい」
------
---
-
キョン「ハルヒ!!映画撮影は止めよう!!」ジーーー
ハルヒ「・・・・・・何よ、じっと人の目を見て気持ち悪いわね!嫌よ、絶対にやるからね!!」
キョン「・・・・・はぁ〜、やっぱギアスは使えないか」
完
次回は猿規制やら水遁やらもう一度調べてから投稿しようと思います・・・
ドラえもん「よし、黒の騎士団を迎え撃とう」 ドラえもん「エンドレスエイト!?」
ルルーシュ「SOS団?」 転載してくれた人本当にありがとう!
おっつおつ
Entry ⇒ 2012.04.28 | Category ⇒ 涼宮ハルヒSS | Comments (0) | Trackbacks (0)
橘純一「決めた!僕は紳士になる!」
http://hayabusa.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1335457040/
橘「……僕さ、このままではいけないと思うんだ」
梅原「お?急にどうしたんだ?」
橘「お宝本に目がなくて、女の子を見ればすぐに際どい妄想をして……」
橘「自分で言うのも何だけどさ、まさに女性の敵って感じだよね……」
橘「今年こそは、と息巻いてたけど……こんなダメな男に振り向いてくれる女の子なんているわけないよ……」
田中「うんうん、橘君なんて早く逮捕されちゃえばいいのにね!」
橘「だからさ……僕、ちゃんとしようと思って」
梅原「ほう?」
橘「ぼ、僕!紳士になろうと思う!!」
橘「煩悩まみれの生活とはサヨナラするんだ!」
梅原「……いや、無理だろ」
田中「あはは、頭大丈夫?」
橘「とりあえず、お宝本コレクションは処分するよ」
橘「……というか、実はもう処分してきたんだ」
梅原「な、何だって!?俺に一言も言わずにか!?」
橘「うん、ごめんね?」
橘「……今さ、焼却炉から煙が上がってるだろ?」
梅原「ま、まさか……?」
橘「うん、そのまさかなんだよ」
橘「今日、朝一番で登校して全部放り込んできた」
梅原「な!?も、勿体ねぇ!?」
橘「これは僕の決意表明なんだ!そう、退路は自分で絶った!」
田中「橘君のお宝本を燃やした煙を吸ってたかもなんて……頭がクラクラしてきた」
橘「うん、でもこれはまだまだ序の口さ!」
橘「まずね、生活態度を改めてようと思ってて」
橘「登校時間を少し早めにして、授業の予習でもしようかと思うんだ!」
橘「もちろん、放課後は図書室でその日の復習をするよ!」
橘「紳士たるもの、やっぱり皆のお手本にならなきゃいけないよね!」
梅原「何だか絢辻さんみたいだな」
田中「きゃ、キャラ被りはご法度だよ!?」
梅原「リアクション大きいもんな、大将」
田中「うん、最早リアクション芸の域だよね」
橘「だけど、いきなりそんな鋼の心臓を手に入れるのは無理だろ?」
橘「……だからさ」
橘「少なくとも、突発的な情事……そう!ラッキースケベに対しては平常心を保てるよう努めようと思うんだ!」
梅原「な、何だって!?それって……」
田中「か、考え直して!?ね!?」
橘「いや!最初に言ったけど、僕は煩悩とサヨナラするんだ!」
橘「色欲まみれのままじゃ紳士には……なれない!」
橘「僕は!紳士になるんだ!!」
生徒A「何だか……最近の橘君って凄いよね?」
生徒B「うんうん、前とは別人というか……格好良くなったよね!」
生徒C「え?私は前から格好いいと思ってたよ?」
ワイワイガヤガヤ
梅原「……本当に変わっちまうとはなぁ、大将」
田中「……うん、何だかね?」
絢辻「あら?喜ぶべきことじゃないの?」
絢辻「私の仕事も減ったし、クラスの雰囲気も前よりよくなったし」
梅原「いやさ、確かにそうなんだけどな?」
田中「毎日の生活に張りがないというか……」
棚町「最近のアイツ、つまんないのよ!」
絢辻「……あ、確かに面白味はなくなったわね」
田中「あー、さっき森島先輩に呼ばれて教室出て行ったよ?」
棚町「あらあら、早速紳士効果があったのかしらねぇ?」
絢辻「……何それ、面白くない」
梅原「ん?どうした?絢辻さん?」
絢辻「面白くない!はっ?何それ!?」
絢辻「……あたし、少し様子見てくる」
棚町「あ、ならアタシもご一緒しちゃおうかな?」
橘「森島先輩?お話というのは……?」
森島「うん、あのね?」
森島「……橘くんさ?私のこと嫌いになっちゃった?」
橘「……えっ?」
森島「だ、だって最近の橘君何かよそよそしいよ?」
森島「私がふざけても冷静に流しちゃうし……」
橘「そ、それはですね……」
森島「ねぇ!?私、何かした!?」
森島「謝るから!悪いことしちゃってたなら謝るから!」
橘「いえ、先輩に何かされたということはないのですが……」
森島「じゃあ何でなのよ!?」
橘「そ、それは……」
・
・
・
橘「えぇ、紳士になると決めたんです」
森島「うーん、紳士かぁ……橘くんらしい発想ではあるわね」
森島「でも、私は……前の橘くんの方が素敵だったと思うし、好きだよ?」
森島「あ!ねぇねぇ?紳士の橘くんとしてはさ?」
森島「えい!」ピラッ
森島「こ、こうして私が膝裏とか見せちゃったらどうするのかな?」
橘「え?いや……そのですね?」
森島「むむむっ……やっぱり反応小さいなぁ」
森島「……私決めた!」
橘「な、何をですか?」
森島「私が卒業するまでに、橘くんを前の橘くんに戻してやるわ!」
橘「えぇ!?」
橘「そ、そんな……僕、紳士になるために今日まで毎日頑張ってきたのに……」
森島「ふふふっ、私が全身全霊を持ってキミを前の可愛い子犬ちゃんに矯正しちゃうんだから!」
森島「覚悟なさい!?」
橘「か、覚悟!?僕、何をされるんですか!?」
絢辻「あ、森島先輩?あたしもそれ、協力します」ヌッ
棚町「アタシも協力しま〜す」ヌッ
橘「あ、絢辻さん!?薫!?」
絢辻「よく考えたら、あたしが勝ち取ってきたポジションを橘君風情に奪われるのは不愉快だし」
棚町「アンタねぇ、素直に前の純一の方がよかったことを認めなさいよ?」
森島「わぉ!三人寄ればなんとやらね!」
棚町「そうね、昼休みに食堂でご飯でも食べなから話し合いますか!」
森島「うんうん!そうしよ!そうしよ!」
絢辻「あ、橘君?紳士なあなたならまさかやらないとは思うけど」
絢辻「盗み聞きなんてしにきたら……埋めるわよ?」
橘「う、埋める!?どこに!?」
キーンコーンカーンコーン
絢辻「あ、チャイムなっちゃった」
棚町「ヤバッ!そういえば次の授業移動教室じゃん!?」
森島「わ、私は体育だったわ!」
絢辻「……急ぎましょう」タタタッ
棚町「えぇ、さすがにマズイわ」タタタッ
森島「じゃあね、橘くん!また後で!」タタタッ
橘「は、ははっ……僕どうなっちゃうの?」
橘(こうやって朝一番に登校するのも慣れればなんてことないよね)
橘(そういえば、結局昨日はあの後何もなかったなぁ……)
橘(いや、何もないに越したことはないんだけども)
橘(……僕、何かを期待しちゃってるのかな?)
橘(さて下駄箱に着いたことだし、上履きに履き替えますか)
ガチャッ
橘(……ん?何か入ってるな?)ゴソゴソ
橘(……よっと、何だろうこれ?)
橘「……こ、これは!?」
橘「僕が涙を流しながら焼却炉に放り込んだ、お宝本ランキング一位の『飛び出す温泉』じゃないか!?」
橘「な、何でここに……?」
橘(紳士はうろたえない!輝日東の紳士はうろたえないッ!)
橘(……そっか、これ森島先輩達の仕業か)
橘(まさかお宝本ランキング一位を下駄箱に忍ばせておくなんて……)
橘(……ってなんで僕のお宝本ランキングが把握されてるんだ!?)
橘(……)ゴクリ
橘(でも、どうしよう……このお宝本)
橘(ここに放置するわけにもいかないし……)
橘(よし、取り敢えず鞄に入れておこう)
橘(か、勘違いしないでよね!?べ、別にお持ち帰りして読んだりしないんだから!)
橘(うぅっ……鞄に入ってるお宝本のせいで、予習に全然集中できないよ)
橘(な、なんていうか……引き裂かれた自分の半身を見つけてしまったような……)
橘(い、今は教室にいるの僕だけだし……)
橘(気分転換に読んじゃおうかな?)
橘(……ってイカン、イカンなぁ!)
橘(煩悩は捨てたはず!僕は紳士なんだ!)
橘(こ、こんなお宝本……!)
橘(仕方ないな、梅原の机にでも入れておこう)
橘(こ、これは逃げなんかじゃないぞ!?)
橘(決して!『後で借りればいっか!』とかそういうことではございませんから!)
橘(よ、よし!そうと決まれば早速行動だ!)ゴソゴソ
絢辻「あら?今日も早いのね?感心感心」
橘「!?」
絢辻「おはよう、橘君」
絢辻「プレゼントは気に入ってもらえたかしら?」
橘「プ、プレゼント?」
絢辻「あら?下駄箱に入ってたでしょ?」
絢辻「お・た・か・ら・ぼ・ん」
橘「あ、絢辻さんが入れたの!?」
絢辻「えぇ、あたしが入れましたけど。それが何か?」
絢辻「あれ買うの、ものすっごく!恥ずかしかったんだから」
絢辻「気に入ってもらえると嬉しいな?」
橘「いやだなぁ、絢辻さん?僕は紳士を目指してるんだ」
橘「いくら絢辻さんが恥を忍んで買ってきたとはいえ、こんなもの受け取るわけには……」
橘「……って、絢辻さんが買ってきたの!?」
絢辻「えぇ、あたしが買いましたけど?」
絢辻「普通の書店じゃ置いてないみたいだから、少しいかがわしい本屋の暖簾もくぐり抜け……」
絢辻「やっと買えたのが、その『飛び出す温泉』よ?」
絢辻「……ちなみに制服で買いに行ったわ」
橘「制服で!?」
絢辻「本来18歳未満閲覧禁止の不適切な図書だけど、店員さんもさすがに苦笑いして売ってくれたわ」
絢辻「あの笑顔……あたしが穢されたようで屈辱だったけどね」
橘「な、なんてことだ……絢辻さんがそんな思いをしてまで……」
橘「そのシチュエーションをかんがえるだけで……僕、僕!」
橘「……って、その手には乗らないぞ!?」
絢辻「あら?十分面白い反応してくれたじゃない?」
絢辻「ふふっ、効いてる効いてる」
橘「よかった……お宝本を大事に抱えた女子高生はいなかったんだね?」
絢辻「えぇ、それは梅原君に借りたの」
橘「何だ……梅原も持ってたのか」
絢辻「あなたはあの時いなかったから知らないだろうけど」
絢辻「『う、梅原君!?私にお宝本を貸して欲しいの!!』って叫びを教室中に響かせてやったのよ?」
橘「ど、どっちにしろハードなことになってる!?」
絢辻「そんなあたしの痴態の上に成り立ってるお宝本を……受け取ってくれないんだ?」
橘「だ、だって……僕は……」
絢辻「そう……もっと恥ずかしいことをしろっていうのね?」
橘「えっ?」
絢辻「じゃあ、これも橘君にあげるわ」ゴソゴソ
橘「え〜と……これはお宝漫画?」
絢辻「さっきね、すぐそこのコンビニで買ってきたの」
橘「そ、そんな!?学校の近くのコンビニで!?朝ご飯を買うようなカジュアルな感覚でお宝漫画を!?」
絢辻「……店員さんのニヤついた笑いが凄く気持ち悪かった」
橘「……すっかりお宝女子高生じゃないか」
絢辻「……ねぇ?まだ足りない?足りないなら今からもう一冊買いに……」
橘「だ、ダメだよ!?そろそろ一般生徒の登校時間だ!」
橘「よ、よくないよ!」
絢辻「こんなのあなたにやられた、あの時の恥ずかしさに比べたら大したことないわ」
絢辻「……あたしね、以前のあなたを取り戻す為なら何でもしようって誓ったの」
絢辻「……だからっ」
橘「わかった!わかったよ!」
橘「とりあえず、このお宝本達は受け取るから!」
橘「それ以上いけない!」
絢辻「……仕方ないわね、今回はこれで引き下がってやるわ」
絢辻「……次、覚悟しておきなさい?」
橘(絢辻さん……あの目)
橘(こ、怖い!次は何をされるんだ!?)
橘(でも、僕は!紳士になるのを諦めないぞ!)
棚町「ねぇねぇ?純一?」
橘「うん?」
棚町「アタシ、ちょっとバイトのし過ぎか肩が凝っちゃってて」
橘「……お疲れ様です」
棚町「ちょっと!?アンタ紳士なんでしょ?こうなったら紳士的に判断して揉みなさいよ!?」
橘「……ここは紳士的に拒否をしたいんだけど」
棚町「あ、ありがとう!さすが紳士を目指してるだけあるわね!」
橘「話を聞いて?ね?」
棚町「ここじゃなんだし、二人っきりにらなれるところいこっか!」
橘「だから!僕の話を聞いてくれないか!?」
棚町「れっつごー!」
橘「……ごー!」
橘「……何でポンプ小屋?」
棚町「いや〜、はははっ。ここなら確実に二人っきりでしょ?」
橘「……うん、そうだね」
橘(ご丁寧に椅子まで準備しちゃって……確実にここで何かを仕掛けてくるな?)
橘(いいだろう!その挑戦、紳士的に受けてやる!)
棚町「……んしょっと」ゴソゴソ
橘「薫?何で髪を上げてるんだ?」
棚町「え?肩揉むのに邪魔にならない?」
橘「そういうものなのか?」
棚町「そういうものよ」
棚町「さ、揉んでちょうだい!」
棚町「んっ……あっ……気持ちいい〜!」
橘(このわざとらしいリアクション!)
橘(それに……髪を上げることでうなじまであざとく見せてきちゃって)
橘(『か、薫のうなじ……こ、これは!?』)
橘(……とでもいうと思ったか!?)
橘(残念だったな!薫?お前の企みなど、紳士の僕には明け透けて見えるよ!)
橘「お力加減はいかがですか?」
棚町「んっ……も、もっと強くして!」
橘「かしこまりました」モミモミ
棚町「あっ……いいっ!その力加減凄くいい!」
橘(ふふふっ、効かぬわ!薫よ、その程度か!?)
・
・
棚町「ふぅ、アンタのお陰でだいぶ楽になったわ」
棚町「……ねぇ?素敵な紳士さんにもう一つお願いがあるんだけど?」
橘「え?何?」
棚町「バイトって立ちっぱなしの動きっぱなしだから、足にも疲れが溜まってて」
棚町「だから足もマッサージしてくれない?」
橘「……確かに。薫の職場じゃ足にも疲れが溜まっちゃうよね」
橘「うん。この際だし、ついでに足もマッサージするか」
橘「……って足!?」
棚町「んふふっ、お願いね?」
橘「で、でも……」
棚町「何?スカートが気になるって?」
棚町「あははっ!あんた紳士なんでしょ?紳士はスカートの中を覗いたりしないはずじゃない?」
棚町「だから何も問題ないし……ほら!さっさとやりなさい?」
橘(くっ……こっちが本命だったんだな!?)
橘(さっきのわざとらしい演技は、僕を油断させる為に……意外な伏兵がいたもんだ!)
橘「薫の言う通りだ、紳士は覗きなんてしない!」
棚町「じゃ、足の裏から頼むわね?」
橘「わかったから、足だせよ!」
棚町「は〜い!」
棚町「気持ちいいよぉ……純一ぃ……」
橘(わ、悪ノリが過ぎるんじゃないか!?)
橘(それに……スカートを意識しなくても……)
橘(視界にパステルピンクが!桃色の布地がチラチラと!)
橘(……だ、ダメだ!こんなことで負けるわけにはいかない!)
橘(平・常・心!平・常・心!)
橘(煩悩は……ここから出ていけ〜!)
棚町「ね、ねぇ?次はふくらはぎを……」
橘「ふ、ふくら!?……わかった、任せてよ」
棚町「お願い……ね?あ、あん!」
橘(うぅっ……長期戦になりそうだ……)
・
・
橘「さ、さぁ!他に揉んで欲しいところはないのか!?」
棚町「ん……もうないわね」
棚町「すっごく気持ちよかったよ?純一?てんきゅ!」
橘(や、やっと終わった……)
棚町「ま、『今日の所は』だけどね」
橘「つ、次もあるの?」
棚町「は?当たり前でしょ?バイトはほぼ毎日あんのよ?」
棚町「ん〜、今日は身体も軽くなったし、思いっきり働けそうね!」
橘(必要以上に思いっきり働いて疲れを溜めてくるんだな?そうなんだな!?)
棚町「あ、昼休みも終わっちゃうし戻ろっか」
橘「そうだな、そろそろ戻ろう」
橘(ふぅ、今日の授業も終わりか)
梅原「大将?今日も図書室で勉強していくのか?」
田中「紳士の嗜みしてくの?」
橘「うん、日課になってるし」
橘「それに何だか最近勉強するのが楽しいんだよね」
田中「えぇぇぇ!?どうしよう!?今日は傘持ってきてないよ!?」
梅原「か〜っ!やっぱり変わっちまったんだな!」
梅原「じゃあな、橘!勉強頑張ってな!」
田中「えへへ、今度色々教えてね?」
橘「うん。じゃあ、また明日」
森島「橘く〜ん!」パタパタパタ
橘「あ、森島先輩。どうしたんですか?」
森島「ねぇねぇ?今から時間あるかな?」
森島「ちょっと買い物に付き合って欲しいんだけど」
橘「え、え〜と……」
橘(図書室で勉強するつもりだったんだけど……)
橘(森島先輩……僕が急に変わろうとしたせいで傷ついちゃったみたいだし……)
橘(あの時の森島先輩……泣きそうな顔をしてたな……)
橘(女性を泣かせるなんて、それこそ紳士失格だよね?)
橘(でも、勉強もしたいし……)
橘(よ、よし!こうなったら!)
森島「えぇ!?……マジメ君なんだから!」
森島「せっかく、今日はひびきの勉強会お休みだから誘いに来たのに……」
森島「フンだ!橘くんなんて、もう知らない!」
橘「待って下さい!ぼ、僕に一時間……いえ、30分でいいんで時間を頂けますか?」
森島「え?時間を?」
橘「はい!その時間で復習して、それが終わったらお買い物にご一緒しますので!」
橘「……ダメですか?」
森島「も、もう!仕方ないなぁ!」
森島「わかったわ、一時間だけ待ってあげる」
森島「でも、それ以上は一秒も待ってあげないんだから!」
橘「は、はい!ありがとうございます!」
・
・
橘「……先輩?お待たせしました」
森島「ん……?あ、もう一時間経ってたんだ?」
橘「はい、約束通りちょうど一時間です」
森島「ふわぁ〜、私寝ちゃってたのね?」
橘「大丈夫ですか?お疲れみたいでしたが……」
森島「うん、平気。それに橘くんと買い物に一緒に行けると思うと元気が湧いてくるわ!」
橘「ははっ、それは光栄です」
森島「じゃ、行きましょっか!」
橘「あ、そういえばどこへ買い物をしに?」
森島「ふふ、着いてからのお楽しみよ!」
・
・
橘(僕は!完全に油断していたッ!)
橘(そうだよ!そもそも紳士をやめさせるって、森島先輩が言い始めたことじゃないか!)
橘(なのに、ホイホイと着いてきちゃって……)
橘(よく考えれば、森島先輩とお買い物……この組み合わせから出てくるのは一ヶ所しかないだろ!?)
森島「わぉ!ねぇねぇ?この下着可愛くない!?」
橘「……ははっ、そうですね」
森島「もう!紳士なんだったら、このくらいでうろたえないでよ!?」
森島「それとも?橘くんは紳士廃業かな?」
橘「な!?僕は紳士です!廃業した覚えなどありません!」
森島「このブラとこっちのブラ、どっちが私に似合うかな?」
橘(なんてことだ……ラブリーなの?セクシーなの?どっちが好きなの?だなんて……)
橘(……って、何番煎じかわからない、くだらないことを考えてる場合じゃない!)
橘(ここは紳士的に……そう、あくまで紳士的に客観性を踏まえて選択しなくては!)
橘「え、えーっと、そっちの大人っぽい黒いのも素敵なんですが……やはり先輩にはこっちのちょっと可愛らしいヤツの方が」
森島「うんうん!私もそう思ってたところよ」
森島「よし!これ試着してくるね?」
橘「は、はい」
森島「……あれ?橘くんは下着売り場で一人になっても平気なのかな?」
橘「そ、それは……辛いですね」
森島「でしょ?でも、一緒にくれば解決よ!」
橘「な、なるほど!」
橘「……って、えっ?」
橘(そんな『森島はるかプレゼンツ!わぉ!ドキドキ生着替え!でもここから先は通行止めなの!このっ!このっ!』なんてあるわけないじゃないか……)
橘(……うん?何で僕は残念がってるんだ?)
橘(イカン、イカン!気を引き締めなくては!)
森島「橘くーん?ちゃんとそこにいる?」
橘「は、はい!ここにいますよ!」
森島「あのさ?ちょっと見て貰えるかな?」
橘「み、見るって……」
森島「うん?実際に身につけたところを見て欲しいんだけど?」
橘「……えぇ!?」
森島「え?それは恥ずかしいけど……」
森島「橘くんさ?紳士なんでしょ?下心満載のいやらしい目で見たりしないんでしょ?」
森島「……だったら、別にいいかなって」
橘「で、でも!さすがに……」
森島「もう!紳士を目指すなら女の子に恥をかかせないの!」
橘(た、確かに!一理ある!)
橘(そ、そうだよ!別に僕はいやらしい気持ちで先輩の下着姿を見るわけじゃない!)
橘(ただ紳士的に似合ってるかどうか教えてあげるだけだ!)
橘(そこには何の問題ないよ!むしろ問題があると思う方が汚れた考えなんだ!)
橘(……なら、迷うことなんてない!)
橘「せ、先輩……見せていただけますか?」
森島「……うん。私を見て?」
橘「で、ではカーテンの隙間から……」
橘(こ、これは!)
橘(やっぱり森島先輩はスタイルが……違う!そこじゃなくて!)
橘(紳士的に!あくまで紳士的に見ろ!橘純一!)
森島「ねぇ?黙ってないでさ……何か言ってよ?」
橘「……いいと思います。先輩の魅力をよく引き立てているというか」
橘「すごく……綺麗です」
森島「……うん、そう言って貰えると嬉しいな」
森島「じゃあ……これ脱いで制服着るから」ゴソゴソ
橘「は、はい!失礼しました!」
橘(し、紳士的に振る舞えたよな!?大丈夫だよな!?)
・
・
森島「んー!橘くんのお陰でいい買い物ができたわ!」
森島「早速明日つけて学校に行かなくちゃ!」
橘「はははっ、お役に立てたようでよかったです」
森島「……でも、橘くんの心にはズッガーンとこなかったかな?」
橘「ズッガーン、ですか?」
森島「うん。ショック療法で戻そうと思ってたんだけど」
森島「もうちょっと別の方法を考えなきゃいけないみたいね」
森島「よーっし!お姉さん頑張っちゃうぞ!」
橘(えっ?絢辻さんといい、薫といい……)
橘(まだ続くの?こんなことが?)
橘(……いや、これは紳士になる為の試練に違いない!)
橘(この際だ!僕の中の悪いものを出し切ってしまおう!)
橘「………おはよう、梅原」
梅原「おう、今日も朝からお勉強とは学生の鑑だねぇ!」
梅原「……って、おい。何か日に日にやつれ過ぎじゃないか?」
橘「ふふふっ……朝は絢辻さんが、昼は薫が、放課後は森島先輩が、毎日毎日僕の中のよくないものを刺激してくるんだよね……」
梅原「う、噂には聞いてたけどよ?相当過酷みたいだな?」
橘「う、うん……」
梅原「……なぁ?無理すんなって」
橘「む、無理なんかしてない……よ?」
梅原「いやいや、そんなにやつれた顔で言われても説得力ないぜ?」
橘「梅原……」
梅原「『紳士たるもの模範的であれ!』とはいうけどよ、少しは休むことも大事だぜ?」
橘「で、でも……僕は……」
田中「そうだよ!橘君は少し休んだ方がいいよ!」
橘「田中さん……いたの?」
田中「そんな頑張り方してたら、紳士になる前に死んじゃうよ?」
橘(べ、別にみんなが僕に変なちょっかいを出さなければいいだけなんじゃ?)
梅原「というかな、大将?こんな考え方もあるぜ?」
梅原「煩悩を捨て去るってのは、ストイックで格好いいんだけどよ?」
梅原「橘の周りにいる女の子にしてみれば、『お前に魅力などない!』って言われてるのと同じなんじゃないか?」
橘「そ、それは……」
梅原「……紳士ってのはよ、自己満足の為に女の子に失礼なことをするのか?」
橘「!?」
梅原「いつも斜め上だったお前ともう一度遊びてぇなって、我儘を言ってるだけなんだけどな、俺は」
橘「梅原っ……僕っ、僕!」
梅原「どうした?」
橘「自分の中の出来すぎた紳士像に囚われて、大事なことを忘れてた気がするよ……」
橘「そうだよ!僕はみんなともっと仲良くなる為に『ちゃんとしなきゃ』と思ったわけで……」
橘「みんなと距離を作る為に紳士を志したんじゃない!」
橘「……というわけで、梅原?」
橘「今日は休む!紳士休業だ!」
梅原「おう!……と、くれば?」
橘・梅原「お宝本しかないだろ!」
田中「えぇぇぇ!?き、切り替え早過ぎるよ!?」
梅原「おいおい!全部大将の好みど真ん中じゃねぇか!」
梅原「絢辻さん……さすがだぜ!」
橘「よし!このお宝本達で新しいランキングをだな……」
梅原「早速かよ!?どれだけ溜まってたんだ!?」
橘「ふふっふー、慣れないことはするもんじゃないよね!」
梅原「まったく調子がいいヤツだな!」
橘・梅原「ハーッハッハッハー!」
田中「うわぁ……極端すぎるてびっくり」
田中「でも、橘君の目が久しぶりに生き生きとしてる気がするよ」
田中「うん!よかった、よかった!」
橘「こ、これはね?絢辻さんが僕にくれたお宝本達が魅力的過ぎて我慢できなくてさ!」
絢辻「や、やめて!声が大きいって!」
ザワザワ……
絢辻「ちょ、ちょっと来なさい!話があるわ!」ガシッ
橘「ちょ、絢辻さん!?」
絢辻「行くわよ!?」ズルズル
橘「ひ、引っ張らないで!?」
橘「梅原!?黙って見てないで助け……うわぁぁぁぁぁ!!」
梅原「……絢辻さん、生き生きとしてんな」
田中「あははー、丸く収まった感じだね!」
・
・
橘「……というわけで、私橘純一はオンとオフを使い分けられる大人の紳士を目指そうかと思いまして」
絢辻「……どうせオフの時の方が多いんでしょ?」
棚町「えぇ、間違いないわね」
森島「わぉ!あの橘くんが帰ってきたのね!?」
橘「それでね、みんなには迷惑をかけちゃったからね。紳士として、何か埋め合わせをしたいんだけど……」
絢辻「ふふふっ、あたしなんてお宝ハンターの二つ名を得てしまったんだから……覚悟しなさいよね?」
棚町「そ、そんな!うちのファミレスに一ヶ月通うなんてしなくていいのに!純一ったら!」
森島「えー?じゃあ、私はね!」
橘「……紳士ってやっぱり大変なんだな」
完
乙
梨穂子の出番…(´;ω;`)ウッ…
Entry ⇒ 2012.04.28 | Category ⇒ アマガミSS | Comments (0) | Trackbacks (0)
鳴「死者は誰!!!!!!!!!!!!!」
http://hayabusa.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1335186870/
チンッ
恒一「(おっ、ちょうど良いタイミングっ!)」
恒一「(ん?先客がいたのか――)」
鳴「!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」
恒一「」
恒一「……」
恒一「(眼帯をしている……怪我でもしているのか……確かあれは夜見北中学の制服……それに抱いているのは人形?いや、それ以前に……)」
鳴「!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」
鳴「!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」
恒一「(なんだろう……とても煩い……)」
恒一「え、あっ」
恒一「(どうしよう……絡まれた……)」
鳴「なんなのよ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」
恒一「あ、いや、あの、その」
鳴「はっきりしなさいよ!!!!!!!!!!!!!!男でしょう!!!!!!!!!!!!!」
恒一「あ、はい……ごめんなさい……」
恒一「(あれ?なんで僕、怒られているんだろう?いや、無言でじろじろ見ていたからか……)」
鳴「もうっ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」
恒一「(それにしても煩いなぁ……)」
鳴「そうよ!!!!!!!!!!!!!!!!!」
恒一「あ、そうですか、はい」
恒一「(はいって……なんだよ……僕……。なんかこの子の近くに居ると、調子狂うなぁ……)」
チンッ
恒一「あっ」
鳴「何よ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」
恒一「あ、いや、あの、僕、此処で降りるんで……」
鳴「いきなり叫ばないでよ!!!!!!!!!!!!!!!びっくりするじゃない!!!!!!!!!!!!!!」
恒一「ご、ごめんなさい……」
恒一「(どの口が言うんだよ……)」
鳴「待ちなさいよ!!!!!!!!!!!!!!!!」スタスタ
恒一「(えー……付いて来た……)君は何か用事があったんじゃないの……?」
鳴「届け物があるの!!!!!!!!!!!!!!!!!でも別に急ぐ必要はないわ!!!!!!!!!!!!!!」
恒一「そ、そっか……」
恒一「(僕としてはこれでお別れしたかったんだけど……)」
鳴「貴方は入院しているの!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!?????????????」
恒一「あ、はい……ちょっと気胸で……」
鳴「お大事にね!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」
恒一「あ、うん……ありがとう」
恒一「(ひょっとして良い人?)」
恒一「……そんなことないよ。あの、君の名前、聞いても良い?」
鳴「ミサキメイ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」
鳴「もしかしてナンパ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」
恒一「ち、違う!そんなつもりじゃないって!」
鳴「何よ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!だからいきなり叫ばないでよ!!!!!!!!!!!!!!!」チンッ
恒一「あ、ほら、エレベーターが来たから、ね?早く行ってあげた方がいいんじゃないかな?」
鳴「それもそうね!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」
恒一「(ミサキメイ、か……)それじゃぁ、また」フリフリ
鳴「!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」フリフリ
恒一「(悪い人じゃないって言うのは分かったけど……なんかなぁ……)」
恒一「(うるさかったなぁ……)」
久保寺「今日はまず転入生を紹介しましょう」
恒一「ええとあの、榊原恒一で――」
鳴「!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」
恒一「」
恒一「(うわ……あの子が居る……同じクラスだったんだ……うわぁ)」
恒一「(クラスの空気が変なのは……絶対あの子の所為だよな……)」
恒一「(堅苦しさ……緊張感……皆、あの子が気になって仕方ないんだろうなぁ……)」
恒一「(僕でさえ……こんなに離れているのに……あんか煩いからなぁ……)」
鳴「!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」
鳴「!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」
恒一「(……一応、後で挨拶だけはしておこうか)」
恒一「(なんか中庭の方が煩いけど……まさか、ね)」
勅使河原「よう、転校生」
風見「やぁ」
恒一「え?」
勅使河原「ちょっといいか?校内案内してやるよ」
恒一「へぇ……それじゃぁ二人は付き合い長いんだね勅使河原君……」チラッ
勅使河原「ん……あぁ、まぁな……腐れ縁ってやつだよ……なぁ」チラッ
風見「あ、あぁ……まぁ、そんなところ」チラッ
勅使河原「つーか、俺のことは別に呼び捨てでいいから……」チラチラ
恒一「あ……うん……」チラチラ
風見「……」チラチラ
鳴「!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」
恒一「やっぱり居たよ……」
風見「えっ!?……だ、だれのことかなー……ハハッ」
榊原「?誰って、あそこにいるミサキメ――」
榊原「あれ?いない……」
鳴「何よ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」
榊原「うわっ!?びっくりした……いつのまに此処に……」
鳴「ちょっと!!!!!!!!!叫ばないでよびっくりするじゃない!!!!!!!!!!!」
恒一「あ、そうでしたね、はい、すみませ」ガシッ
勅使河原「榊原!いない者の相手はよせ!!!!」
鳴「何よ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」
勅使河原「なんなのよ!!!!!!!!!!!!!!!!!」
風見「ちょっ!!!!!!!!!!!」
勅使河原「あんたこそ叫ぶんじゃないわよ!!!!!!!!!!!!!!!!!!」
風見「ちょっと!!!!!!!!!!!!!!!!!!」
勅使河原「何よ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」
鳴「なんなのよ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」
風・鳴・刺「「「もうっ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」」」
恒一「あれ、実は仲良し……?」
風見「仕切らないでよ!!!!!!!!!!!!!」ダッ
榊原「えっ?うわっ!?ちょっと、引っ張らないでよ!!」
勅使河原「黙りなさいよ!!!!!!!!!!!!!!!!!!」
風見「良いから付いて来なさい!!!!!!!!!!!!!!!!」
恒一「えー……」
鳴「!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」
風見「大丈夫かい、榊原君……そういえば君は肺が……ごめん、走らせたりして」
恒一「あ、戻ったんだ……なんかもう、それなら別に良いや……」
勅使河原「……なぁ、榊原」
恒一「なに、勅使河原?」
勅使河原「……お前、霊とか祟りって、信じる方?」ザワッ
恒一「……」
恒一「えっ?」
風見「え?」
勅使河原「……え?」
風見「鳩が豆鉄砲な」
恒一「いや……この流れでちょっとシリアス醸されたから……少し驚いた」
勅使河原「な、流ってなんだよ!!」
風見「何よ!!!!!!!!!!!!!」
恒一「それそれ」
勅使河原「それはもう良い!」バンッ
教室を出て中庭にやってきたときから今までの記憶が完全に無い……。ともかくだ榊原君。心霊現象、超能力、UMAとかは信じる方?」
勅使河原「おっ、風見ナイス!」
榊原「(なんだこのコント……)ええと、まぁ、どうしても否定出来ない証拠が出てきたら、流石に信じるよ」
勅使河原「証拠ねぇ……」
風見「……」
榊原「……あっ、ところで勅使河原。さっき彼女の事を『いないもの』って……あれ、何?」
勅使河原「!!!!!!!!!!!」
風見「……」バンッ
榊原、ともかくだ。『いないもの』の相手はよせ」ガシッ
榊原「だからその『いないもの』ってなんなんだよ……」
勅使河原「……」
風見「この馬鹿が……」
キンコンカーンコーン
榊原「あ、チャイムが」
勅使河原「やっべぇ!教室もどらねーと……榊原、とにかくだ。大丈夫か?しっかりしろよ」
風見「お前こそ、頭は大丈夫か?」
榊原「(この中学の人たちは大丈夫なのだろうか……)」
榊原「(そのうち、僕もあの三人のようになってしまうのか……)」
桜木「榊原君」
榊原「え?あ、桜木さん……君も体育は見学?」
桜木「はい。ちょっと先日、転んでしまって」
榊原「そうなんだ……」
桜木「裏門の坂道じゃなくてよかったです」
榊原「?何それ?」
榊原「へぇ……」
桜木「田舎っぽいって、思いました?」
榊原「え?あぁいや、向こうの方でも、学校の七不思議とかあるから、そんなことは……」
桜木「へぇ、そうなんですか。向こうの人たちでもそういうの、やっぱり信じるんだぁ」
榊原「そういうのはもう、何処とか関係ないんだろうね」
桜木「……そっかぁ……あの、ところで榊原君」
榊原「何?」
桜木「昼休み、風見君と勅使河原君に校内案内受けましたよね」
榊原「あ、うん……」
桜木「二人から、話は聞きました?」
桜木「……」ビクッ
榊原「あと……勅使河原がやけに『いないもの』の相手をするな!って言っていたかな……
ねぇ、桜木さん、『いないもの』って一体……?」
桜木「……」ブルブル
榊原「?」
桜木「……『いないもの』の相手はしないでください」
榊原「え?」
桜木「絶対にしないでください……お願いします!私からそれしか言えません!決してイジメとかそういうんじゃないんです!
とにかく、相手をしては駄目なんです!一つ空けないと、大変なことになっちゃうから!」
桜木「ありがとうございます。……」チラッ
榊原「……」チラッ
桜木「……」チラッ
屋上
鳴「!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」
恒一「ねぇ、出来ているの、それ?」
桜木「な、なんのことでしょうか……さっぱりわかりません」
恒一「……まぁ、良いけど」
恒一「(あの子を『いないもの』って絶対に無理だと思うんだけどなぁ)」
望月「ご、ごめんなさいっ!」
恒一「(レモンがひしゃげている……やっぱりこのクラスには変な奴しかいないのか……)」
望月「この前三神先生がね、僕の絵ほめてくれたのー」
恒一「(こいつ……可愛い顔して年上狙いか……)」
勅使河原「おっ、なんの話してるんだよ!俺も混ぜろ!」
勅使河原「不安ってそりゃもう!呪われた三年三組になっちまったからなぁ……」
望月「勅使河原君!」
恒一「(君なら大丈夫だろ……勅使河原……)」
勅使河原「サカキ……これは昨日から話そうと思っていたんだが……」
望月「ちょっと、それはもう!
「!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」
勅使河原「図書室から……」チラッ
望月「……」チラッ
恒一「ねぇ、本当にこれって意味があるの……?」チラッ
勅使河原「俺に聞くな……」
望月「僕は正直……もう無理だと思ってる」
恒一「だよねぇ」
勅使河原「……だよなぁ……」
ガラッ
鳴「何よ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」
びっくりするじゃない!!!!!!!!!!!!!!!」
鳴「あんたたちがこっち見てるからでしょ!!!!!!!!!!!!!!!変態!!!!!!!!!!!」
勅使河原「なんですって!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」
鳴「何よ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」
勅使河原「なんなのよ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」
望月「どきなさいよ!!!!!!!!!!!!!!!!!」
鳴「ちょっと!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」
望月「絵を見せなさい!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」
鳴「勝手に見るんじゃないわよ!!!!!!!!!!!!!!!!!!」
望月「あら巧いじゃない!!!!!!!!!!!!!!!!!!!腕は衰えてないわね!!!!!!!!!!!!」
鳴「あんまり褒めないで!!!!!!!!!!!恥ずかしいじゃない!!!!!!!!!!!!!!!!!!!///」
勅使河原「あたしにも見せなさいよ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」
鳴「その子には後で翼を生やす予定よ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」
望月「良いセンスね!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」
鳴「ありがとう!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」
千曳「君たち、もう授業始まっているよ」
恒一「あ、はい……ええと」
千曳「私は千曳、この図書室を管理している」
恒一「先日転校してきました。三年三組、榊原恒一です」
千曳「……そうか。三組に……大変だろう」
恒一「はい」
恒一「はい……お気遣いありがとうございます」
鳴「良い話じゃない!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」
望月「気の利かないあんたたちとは大違いね!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」
勅使河原「何よ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」
鳴「なんなのよ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」
勅・望・鳴「「「もうっ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」」」
恒一「はいはい、教室戻るよー」
千曳「(榊原恒一君……見た目にそぐわずたくましい子だ……)」
レーちゃん「レーチャン、ドーシテ、ドーシテ」
恒一「(こいつは絶対に見崎達に逢わせられないなぁ)」
病院
恒一「エレベーター、壊れたんですね」
水野「うん。なんでもワイヤーの老朽が激しかったみたいでさ。安全装置も古くなってたみたいでねぇ。
でもま、人が居なくてよかったよ」
恒一「実は水野さんが壊したんじゃないんですか?」
水野「おっ、言うなホラー少年!」
鳴「どきなさいよ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」
水野姉「!!」
恒一「あれ、見崎さん?」
恒一「見崎も病院に用事?」
鳴「ええ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!貴方も!!!!!!!!!!!!!!」
恒一「うん。最後、だと良いけど、診察でね。もうだいぶ良くなったってお墨付きもらってきたところ」
鳴「そう!!!!!!!!!!!!!!!!良かったわね!!!!!!!!!!!!!!!!」
恒一「ありがとう。見崎はこの間の人へのお見舞い?」
鳴「えぇ!!!!!!!!!!!!!!!まだ様子見の入院をしているの!!!!!!!!!!!!
でももうすぐ退院だって!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」
恒一「早く退院すると良いね、その人」
鳴「ありがとう!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」
恒一「それじゃぁ、僕はこれで」フリフリ
鳴「またね!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」フリフリ
水野姉「……なんていうか、院内では、お静かに」
恒一「貴女が言えることじゃねーよ」
恒一「(帰る前にちょっとだけぶらぶらして行こうかな)」
恒一「(……ん?あれは……)」
『夜見のたそがれの、うつろなる蒼き瞳の。』
恒一「(長いなぁ……なんのお店だろ?)」スタスタ
恒一「人形……」
恒一「……」
恒一「(え、それだけ?)」
恒一「(……それだけで良いのか、僕……)」
恒一「(精巧で、それがなんだか恐ろしさを醸していると解かるのに……びっくりできない)」
恒一「……早くも、僕もこの街に染まりつつある、ってことかなぁ……はぁ」
見崎「榊原君!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」
恒一「あ、見崎」
恒一「え、此処見崎の家なんだ」
見崎「そうよ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」
恒一「人形屋さん?」
見崎「ええ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」
恒一「へぇ……」
見崎「気になる!!!!!!!!!!!!!!!????????」
恒一「ん、まぁ少し」
見崎「入ったらどう!!!!!!!!!!!!!!!??????????」
恒一「良いの?」
見崎「えぇ!!!!!!!!!!!!!!!!展示用の人形とかあるから!!!!!!!!!!!!!!」
恒一「それじゃぁ、少しお邪魔させてもらおうかな」
見崎「ゆっくりしていってね!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」
大叔母「御代はいいよ、ゆっくりしていきな」
恒一「ありがとうございます」
鳴「!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」グイッ
恒一「へぇ、色々な人形があるんだねぇ」
鳴「怖い!!!!!!!!!!!!!!!?????????」
恒一「うん、でもまぁ、なんだろう……なんかそういうのはもう、慣れた」
恒一「それよりも、この人形を作った人がどれだけ器用な人なのかとかを考えてしまうよ。
僕にはとても真似は出来ないとかね」
鳴「そう!!!!!!!!!!!!!!!」
『こちらにもどうぞ→』
恒一「あ、あっちにもあるんだ、行っても良い?」
鳴「好きにしなさいよ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」
鳴「!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」
恒一「(見崎にとてもそっくりだ……)」
鳴「似てるって――思った!!!!!!!!!!!!!!!!!?????」
恒一「あ、うん」
鳴「でもこれは私の半分だけ!!!!!!!!!!!!!!!!それ以下かも!!!!!!!!!!!」
恒一「どういう意味……?」
鳴「昔話をするわ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」
恒一「そうか、君の従妹――いや、双子の妹が、あの病院に入院しているんだね」
鳴「えぇ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」
恒一「でも、なんだか家庭の入り組んだ情報を、僕なんかが聞いても良かったの?」
鳴「榊原君になら構わないわ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」
恒一「えっ?」
恒一「(見崎……それはどういう……?)」
見崎「他に何か訊きたいことは――!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」
ガチャッ
霧果「鳴、居るの?」
鳴「お母さん」
恒一「え?」
恒一「??」
霧果「あぁ、いらっしゃい。珍しいわね、鳴が友達を家に連れてくるなんて。
この子学校の話とかしてくれないから。クラスの友達?美術部の仲間?」
恒一「(一体、何が起きているんだ……!?一度に情報が撒き散らかされて乱雑になっている……!
完全にうぬぼれていた……!僕はまだ未熟だったのか……!)あ、ええと」
鳴「榊原君、そろそろ帰らないと……」
鳴「――それじゃぁ私、ちょっと送っていきます。彼転校生で、まだ、道に不慣れだから」
霧果「そう、気を付けてね。榊原君、いつでもまたいらっしゃい」
恒一「は、はいっ」
鳴「何が!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」
恒一「(戻ってる……)君、本当は普通に」
鳴「見せてあげようか!!!!!!!!!!!!!!この眼帯の下!!!!!!!!!!!!!!」
恒一「いや、それよりも――」
鳴「私の左目は<人形の目>なの!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」
恒一「(無理やりねじこまれている……つまり彼女は追及を望まない、か)」
恒一「へぇ」
鳴「時々見えなくていいもの見えるから!!!!!!!!!!!!!!眼帯している!!!!!!!!!!!!!!!」
恒一「大変なんだねぇ」
鳴「!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!ありがと……」
恒一「うん――え?」
鳴「なんでもないわ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!さぁ話の続きよ!!!!!!!!!!!!!!!!」
恒一「あ、はい」
千曳「そうか……」
恒一「大変ですねぇ」
千曳「あぁ……あぁ!?」
恒一「!?ど、どうしたんですか?いきなり……」
千曳「……いや……君は、やはり意外にも豪胆な人間なんだなぁ、と」
恒一「そうですかね?だとしたら、それは見崎のおかげかもしれません」
千曳「あぁ……うん、なんとなく解かった」
恒一「ははは」
千曳「はは」
なによ急に!!!!!!!!!!!!!!
びっくりするじゃない!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!
千曳「だろうと、私は推測しているよ。だが……警戒は怠らない方が良いだろう。
この現象というのも、どれほどの脅威を秘めているのか、正直私も解からない……。
今起こっていない、気付いていないというかけで、もしかしたらもう、始まっているのかもしれない……」
恒一「……でも、クラスメイトやその二親等内で、人が死んだというのは聞いてませんね。それに何よりあの見崎が、
『いないもの』の存在を全うしているとは思えない」
千曳「あぁ……先日の図書室でのやり取りを見せられたら、とても……無い年、としか思えないなぁ……」
恒一「ですよねぇ」
千曳「……だが、まだ五月だ……何が起こるか解からない」
恒一「……それじゃぁ」
千曳「いつもどおりに落ち着くしかないよなぁ……」
恒・千「「はぁ」」
榊原「おはよう、勅使河原、望月」
望月「おはよう、榊原君……」
榊原「……望月?元気ないね」
望月「ちょっとね……」
勅使河原「……大丈夫だって望月!お前ならな!」
望月「ははっ……勅使河原君ってさ、なんだか長生きしそうだよね」ニヤァ
勅使河原「あ、いや、俺はそっちの気はないぞ!?」
望月「良い男じゃない!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」
勅使河原「やめて!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」
風見「ちょっと!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」
望月「いきなりなんなのよ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」
風見「先日の会議で決まったわ!!!!!!!!!!!!!!!!!!あたしら皆纏めていないものよ!!!!!!!!!!!!!!!!」
望月「なんですって!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」
勅使河原「じゃぁゲーセン行くわよ!!!!!!!!!!!!!!!!!!」
見崎「ちょっと!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」
恒一「おはよう。どうしたの、見崎?」
見崎「私も行くわ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」
勅使河原「付いて来られるかしら!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」
見崎「やってやるわ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」
風見「授業は定期テストだけ出れば問題はない。榊原君、君が頼りだ」
恒一「僕だって、そんなに頭が良いわけじゃないよ。風見君なら教科書だけで十分さ」
風見「何言っている。都会の教育様様だよ。君はもしかしたら夜見北の教師陣よりも
高い学力を有しているんじゃないかな?」
恒一「さすがにそこまでは……」
望月「困った時は頼むね、榊原君」
恒一「望月まで……」
恒一「にしても……」
勅使河原「あんたち早く来なさいよ!!!!!!!!!!!!!!!!!!」
鳴「置いていくわよ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」
恒一「あの二人、案外仲良いよなぁ」
望月「ないない」
恒一「風見君。勅使河原は望月のだよ」
望月「なんでそうなるのさ!僕にはちゃんと好きな人がいるんだからね!」
風見「そうだったのか……勅使河原と望月が……」
望月「ちょっと風見君!悪ノリしないでよ!」
風見「ははは――ってあれは……」
恒一「?どうしたの、風見君?」
風見「――ごめん、僕は失礼するよ」ダッ
恒一「……?」
望月「あれは……風見君のお母さんかな?知らないけれど」
恒一「自転車であの荷物……危ないなぁ。僕も行こうかな」ダッ
望月「あ、じゃぁ僕も!」
恒一「まさか桜木さんのお母さんだったとは」
望月「よく知っていたねぇ、風見君」
風見「委員会で遅くなったとき、送ったことが会って、その時に顔を見知った、それだけだ」
恒一「その眼鏡は伊達じゃなかった、というわけか」
望月「将を射んとすればまず馬を射よ……それがあの勅使河原君の傍に居た男の手腕ってことだね」
風見「人をあの馬鹿大将の参謀みたいに言うなよ……はぁ」
恒一「しかし、風見君が桜木さんかぁ」
風見「違うっ!僕が彼女に抱いている感情は別にそんなんじゃ……!」
望月「案外お似合いかもね」
風見「えっ!?」
恒一「そうだよね。お互いクラス委員長だし、どっちも真面目だし」
望月「うんうん」
風見「そうかな……い、いや、だから僕は別にそんなんじゃなくてだな……」
恒一「全部が終わったら、告白すれば?」
恒一「いや、そんなつもりはないよ。ひやかしとかじゃなくて、本当に心から君を応援しているんだ」
望月「僕もだよ、風見君。友達の恋路を笑い物にしようだなんて思ってないさ。寧ろ同志とさえ思っているよ、僕はね」
恒一「お前はあきらめろ」
望月「えぇ!?」
風見「望月と同類は流石にないな」
望月「ちょっと二人とも!!それはいくらなんでもひどい!僕だっていつか彼女と……」
恒一「ハハハ」
風見「アハハハ」
望月「何笑ってるのさ――ってあ、あれ……」
恒一「やけに騒がしいな……」
風見「あの様子……事故でもあったんじゃないか?」
望月「怖いなぁ――でも、もしかして……」
風見「あぁ……一応、調べた方が良さそうだ」
恒一「(彼がクラスの誰かの親族である可能性は、名字からはない。
だが不気味だな……『いないもの』増えた即日に人が死ぬ……)」
恒一「……どうか、呪いではありませんように」
六月五日
恒一「五月の死者はあの運転手だけ……か。いや、寿命とか、名字重複とか、把握していないだけかも」
風見「しかし忌引き、もしくは、本人が死ぬということは起きていない……」
望月「だけど、高林君は危なかったねぇ」
高林「全くね!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」
鳴「真似しないでよ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」
高林「なによ!!!!!!!!!!!!!!!!!フェアじゃないわね!!!!!!!!!!!」
勅使河原「あんたたち、ゲーセンに行くわよ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」
鳴・高・勅「「「もうっ!!!!!!!!!!!!!!!!!!」」」
高林「でもあれから体調が良いのは本当よ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」
鳴「なんですって!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」
勅使河原「すごいじゃない!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」
高林「あなたも初めてはいかがですか!!!!!!!!!!!!!!!??????????????」
鳴・高・勅「「「眼帯のマークが目印です!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」」」
恒一「二人はやらなくていいの?」
風見「うん」
望月「うん」
恒一「(良いんだ……)」
恒一「え、誰?」
綾野「!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」
望月「知り合い?」
風見「いや……」
綾野「酷い!!!!!!!!!!!!!!!!!二人して酷いよ!!!!!!!!!!!!!
今まで殆どっていうか全く話してなかった転校生ならともかく今まで同じクラスだったじゃない!!!!!!!!!!」
望月「いたっけ……?」
風見「……いや」
綾野「!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」
コミックには綾野さんも小椋さんもいませんでした。
恒一「え、なんで?」
綾野「だってこっちの方が面白そうなんだもん!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」
「「「!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!聞き捨てならないわね!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」」」
綾野「!?」
鳴「あんたみたいな毛も生えそろってないガキが『いないもの』ですって!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」
勅使河原「『いないもの』をなめてんじゃないわよ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」
高林「こんのっ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!アバズレ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」
綾野「うっ、うあぁ……」ブワァ
鳴「!?ちょ、ちょっと!!!!!!!!!!!!何泣いてんのよ!!!!!!!!!!!!!!!!!!」
勅使河原「そんなんで泣いてんじゃないわよ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!ほらハンカチよ、使いなさい!!!!!!!!!!!!」
綾野「てっしー……ありがとう……」チーン
勅使河原「鼻かんでんじゃないわよ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」
綾野「うっ……ごめんなさぁい……」
鳴「ちょっとあんた!!!!!!!!!!!!!!!苛めてんじゃないわよ!!!!!!!!!!!!!!!!!」
高林「本当最低ね!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」
勅使河原「待ちなさいよ!!!!!!!!!!!なんであたしだけが悪い空気になってるのよ!!!!!!!!!!!!」
鳴「何よ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」
高林「なんなのよ!!!!!!!!!!!!!!!!」
鳴・高・勅「「「もうっ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」」」
綾野「うわぁ……すごぉい……」パチパチ
鳴「話を逸らし始めたわ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」
高林「さすがの屑ね!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」
勅使河原「うるさいわねあんたたちは黙ってなさいよ!!!!!!!!!!!!!!!!!!」
綾野「うん……てっしーの言うとおりだね……私、甘かったよ……――だから私、頑張って『いないもの』になる!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」
鳴・高・勅「「「!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」」」
高林「(まるで!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!そうまるで!!!!!!!!!!!!!!!!!!)」
勅使河原「(ま!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!まるで!!!!!!!!!!!!!!!!!!!)」
勅使河原「――た、滝を昇る鰻のよう……?」
綾野「私鰻大好き!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」
勅使河原「(よしっ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!)」
鳴・高「「……」」
レーチャン「ドーシテ」
怜子「うるさい!!」
恒一「(その程度で?)」
街路
恒一「(ん……?あれは……)」
赤沢「っ!……」スタスタ
恒一「……誰だっけ、見たことあるはずなんだけど……」
鳴「榊原君!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」
恒一「あ、見崎。おはよう」
鳴「おはよう!!!!!!!!!!!!!!!勅使河原君の話って何かしらね!!!!!!!!!!!!!!!」
恒一「だねぇ」
鳴「行きましょう!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」
恒一「うん」
※恒一には大体このように感じられています
勅使河原「ゲーセン飽きたしどうせ俺たちいないんだしどっか行こうぜ」
高林「悪くない」
鳴「良いと思う」
綾野「さんせーい」
勅使河原「何処に行く?」
鳴「私の家、海沿いペンションがあるの」
高林「そこ僕らみんなでいける?」
鳴「お願いしてみる」
綾野「水着買いに行こうね、めーちゃん!」
鳴「うんっ!」
※
見・綾・勅・高「「「「!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」」」」
望月「そういやこの間、久保寺先生が『いないもの』志願して早退したときに、
坂道でサイドブレーキを惹き忘れた重機を軽自動車で支えたって、あれ、もしも
久保寺先生がやってなかったら大変なことになってたらしいね」
風見「大人しそうな顔してやる人だなぁ」
赤沢「……」
小椋「私ちょっといないものになってくるわ」
赤沢「えっ?」
桜木「あ、それじゃぁ私も……風見君が居るし///」
赤沢「ちょっ!?」
中尾「赤沢さん、俺は一緒だから安心してね」
杉浦「元気出しなさい泉美(中尾がいないものになるんだったら私……良いよ……)」
赤沢「うー……」
望月「それは当然、三神先生じゃない?」
風見「……望月?」
望月「え、何、風見君?だって三神先生は……」
望月「あれ……?」
風見「……」
望月「……」
風見「……(なんだ、これ……)」
望月「……三神先生は副担任だから当然……」
恒一「夜見北に副担任なんて制度……あったっけ?」
風・望「「えっ?」」
風見「そうだ、それで副担任だったはず……」
望月「間違いない、それで間違いない筈だ……」
恒一「三年三組にだけ……?」
風見「三年三組にだけ……!」
望月「そうだ……三神先生は生きている……僕は、僕は三神先生のことが……!」
鳴「榊原君」
恒一「……見崎?」
鳴「行きましょう……貴方の家に」
鳴「……」スタスタ
恒一「どういうことなんだ見崎……これは……僕と望月君、風見君の認識がおかしいんだ……
怜子さん――三神先生が副担にんだという彼らと、ただの美術教師だと思っている僕……間違って
いるのはどっちなんだ……」
鳴「……どちらも、間違ってなんかいないんでしょうね」
恒一「……?」
鳴「昔話をするわ」
鳴「絵が本当に好きで、特に油絵が大好きな彼女の話。……でも、その話は終わったはずだったのに」
鳴「けれど無粋な現象は、彼女の話に汚らしく泥を塗ろうとしている」
鳴「ようやく解かったの……今年の死者が誰なのか」
恒一「……まさか……そんな……!」
鳴「私はずっと、避けられていたから気付かなかった」
鳴「だって彼女は私にとって、一昨年に死んだ人だったから」
鳴「――三神怜子はもう、死んでいるのよ、榊原君」
――そう痛切に突き刺さる彼女の言葉――
――あの時の痛みがどれだけ僕の心の奥を抉ったのか証明する疼き――
――それを僕に確信させる節が何個も――
――無かった!!!!!!!!!!
鳴「でしょうね!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」
恒一「シリアスなんて無理無理!!!!!!!!!!!!!!!!!」
鳴「伏線なんて女々しいのよ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」
鳴「彼女は活気を強く拒否するのよ!!!!!!!私たちの記憶の祖語はおそらくそれが原因!!!!!!!!!!!!!
私たちじゃ彼女に会えない!!!!!!!!!!!!!!だから逃げ道を殺すわ!!!!!!!!!!!!!」
恒一「どうするのよ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」
鳴「どうしましょう!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」
恒一「何よ!!!!!!!!!!!!!!!!何も考えていなかったのね!!!!!!!!!!!!!!!」
鳴「ごめんなさい!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!だってずっと死んでるって思ってたもの!!!!!!!!!!!!!!!!!」
恒一「仕方ないわね!!!!!!!!!!!!!!!!!!許すわ!!!!!!!!!!!!!!!!!!」
爺「話は聞かせてもらったわ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」
恒一「じいちゃん!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」
鳴「おじい様!!!!!!!???失礼しました!!!!!!!!!!!!!!!!!」
爺「若気の至り!!!!!!!!!!!!!許すわ!!!!!!!!!!!!!!!!!!」
恒一「良い話じゃない!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」
爺「眠いからさっさと行くわよ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」
爺・鳴・恒一「「「応っ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」」」
怜子「ぐあああ休まる場所が無いぃ……」シュゥゥゥゥゥゥゥ
鳴「!!!!!!!!!!!!!!!!!」ガシッ
爺「!!!!!!!!!!!!!!!!!」ガシッ
恒一「良い話じゃない!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」
――そして、僕たちの現象が終わった――
綾野「もっと気合いれなさいよ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」
小椋「な――何よ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」
綾野「もっとよもっと!!!!!!!!!!!!!鰻が滝登りするくらい気合いれなさい!!!!!!!!!!!!!!!!」
小椋「鯉じゃないの!!!!!!!!!!!!!!!!!!??????????????」
勅使河原「鰻よ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」
高林「鯉よ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」
多々良「何よ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」
有田「なんなのよ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」
皆「「「「「「「「「「「「「「もうっ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」」」」」」」」
ガラッ
鳴「……煩い」
皆『』
高林「どういうことよ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」
鳴「煩い……静かにして……質問攻め嫌い……」
綾野「めーちゃん、何かあったの?失恋?」
鳴「ばーか……」
小椋「え、つまりどういうことなの?」
恒一「僕から説明するよ」
勅使河原「頼んだぜ!」
綾野「めーちゃん……」ウルウル
勅使河原「まさか、見崎お前……一人で現象と戦うだなんて……かっこよすぎるだろぉ!」ウルウル
高林「流石です、見崎さん!」ブワッ
鳴「そんなんじゃない……半分は『いないもの』にされたのが腹立ったから当てつけ……」
望月「確かにあれからだもんね、見崎さんがああなったのって……」
風見「でなければ、彼女を『いないもの』になんかしようなって言わないさ」
桜木「智君……その言い方はちょっと酷いよ……イジメみたい」
風見「本当に申し訳なかった。対策係として謝罪する」ドゲザ
鳴「……良い。もう、終わったから」
鳴「……うん。でも、それよりも何より……大切な人が死ぬのは、皆嫌だもんね」
綾野「めーちゃん!」ダキッ
小椋「冷たい人だと思っていてごめんなさいっ!!良い子や、この子ええこや!!」
鳴「うぅ……苦しい……助けて、榊原君……」
恒一「二人とも……見崎が死んじゃうから……」
勅使河原「しっかしそれならそうと言ってくれれば……気合で現象なんとかしようとするんだったら俺だって手伝ったのに」
鳴「まさか成功するとは思わなかったから……それにこんなことになるなんて……」
風見「まぁともかく、無事見崎さんの従妹?えっと、妹さんは退院出来たんだよね?なら良かったじゃないか」
鳴「うん……本当に……良かった」ニコッ
恒一「……っ!」ドキッ
赤沢「皆おはよう!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」
望月「……ええと?」
赤沢「私も『いないもの』になることにしたわ!!!!!!!!!べ、別に寂しいからとか海行くとか羨ましいってわけじゃないんだからね!!!!!!!!!!!!!!」
綾野「あの……」
小椋「ねぇ……」
赤沢「何よ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!私だけ仲間外れにする気!!!!!!!!!!!???????
そうは行かないわよ!!!!!!!!!!!!!!!!私だって海に行きたいのよ!!!!!!!!!!!!!!」
桜木「……」
風見「……」
恒一「……」
鳴「……」
鳴「……誰?」
赤沢「!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」
風見「君、クラス間違えてない?」
赤沢「どきなさいよ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」
恒一「早く自分のクラスに戻った方が良いよ?」
赤沢「どういうことよ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」
久保寺「はいそれでは皆さん授業を始めますよ――おや、君、もう自分の教室に戻りなさい」
赤沢「!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」
赤沢「何よ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」
赤沢「なんなのよ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」
赤沢「もうっ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」
――それからすっぱりと、三年三組で現象は起きなかったという。
高林「終わりよ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」
五、六時間掛けて結末これかよと思う人許して、ね☆
そんじゃ失礼します。漫画はあとゼロ巻だけだけど、DVD、全部買おうかな……
Entry ⇒ 2012.04.28 | Category ⇒ AnotherSS | Comments (0) | Trackbacks (0)
榊原「彼女にフラれた……」
http://hayabusa.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1334933026/
書いていきます
勅使河原「おう、サカキ! どうしたんだ? ヤケにテンション低いじゃねーか」
榊原「実はさ……」
勅使河原「なんだ?」
榊原「昨日、東京にいる彼女にメールでフラれちゃったんだ……」
赤沢「」ガタッ
小椋(泉美……)
榊原「うん……なんか好きな人ができたんだって……」
勅使河原「うわ……」
榊原「遠距離になっても何時までも仲良くしようって言ったのに……」
勅使河原「……」
榊原「所詮はこの程度にしか思われてなかったんだよ……。口では調子の良いこと言って……」
勅使河原「お、おい、サカキ……」
勅使河原「やべーな、こりゃ…」
赤沢(チャンスだと思ったのに……面倒くさいことになったわね……)
赤沢(いや………)
―――……
赤沢『恒一君』
榊原『あ、赤沢さん……どうしたの?』
赤沢『大丈夫?』
榊原『……大丈夫そうに見える?』
赤沢『見えないから、心配して声をかけたんじゃない』
榊原『……いいよ、そんな心配しなくて。どうせ口だけなんでしょ?』
榊原『あ、赤沢さん……』///
赤沢『私は恒一君が好き……だから本気で心配してるのよ』
榊原『でも……』
赤沢『私は恒一君だけが好き。その子とは違うわ』///
榊原『……嬉しいよ』
赤沢『恒一君……』
榊原『泉美!』ギュー
……―――
赤沢「ふふふ」ニヤニヤ
小椋(泉美が気持ち悪い…)
勅使河原「そ、そんな気を落とすなよ! サカキならもっと良い女が見つかるって!」
赤沢(いいわよ、勅使河原)
榊原「そんなことないよ……」
勅使河原「ほら、このクラスにだってレベル高い女子はいっぱいいるだろ!」
榊原「うん……そうだけど」
勅使河原「サカキなら自然と誰か寄ってくるさ」
榊原「はは……」
赤沢(そろそろ出番かしら……)
赤沢「恒一く……」
見崎「榊原君」
榊原「あ……見崎」
赤沢「」
勅使河原「早速か……」
榊原「……大丈夫そうに見える?」
見崎「見えないから心配してるの」
榊原「……いいよ、そんなに心配しなくても……。どうせ口だけなんでしょ?」
見崎「そんなことない…」
榊原「……」
見崎「……」
榊原「……ごめん、言いすぎたよ……でも、今はほっといて」
見崎「…」
赤沢(あ、危なかったわ……今のタイミングじゃ話しかけても駄目だったみたいね……)
榊原「ふぅ……」
勅使河原「よし、飯だ飯!」
勅使河原「一緒に食おうぜ、サカキ!」
榊原「……うん、そうだね」
赤沢(私もご飯に誘うべきかしら……)
赤沢(もし誘ったら……)
赤沢『恒一君』
榊原『赤沢さん、どうしたの?』
赤沢『私と一緒にご飯食べない……?』
榊原『うん、じゃあ一緒に食べよっか』
〜屋上〜
榊原『凄いね、赤沢さん……これ全部自分で作ったの?』
赤沢『ええ……恒一君に食べてほしくて』
赤沢『恒一君のためにしか作らないわ』
榊原『え?』
赤沢『私の料理は一生恒一君にだけ食べて貰うから』///
榊原『嬉しい……泉美!』ギュー
赤沢『恒一君!』ギュー
―――……
赤沢「ふ、ふふ」タラー
赤沢(あ、完璧すぎて鼻血がでたわ…)
榊原「うん、いいじゃないかな…」
赤沢(ま、マズいわ……このままじゃ行っちゃう!)
赤沢「こ、恒一く…」
綾野「こういっちゃん!」
榊原「え……あ、綾野さん」
赤沢「」
綾野「私も一緒に行っていいかな?」
榊原「え、別にいいけど……」
勅使河原「……」
勅使河原「……あ、悪い、サカキ! そういや課題のことで先生に呼び出しにくらってたんだよ」
榊原「え……」
勅使河原「だから、2人で食っといてくれ、悪い!」
綾野「じゃあ、行こっか♪」
榊原「う、うん」
綾野「こういっちゃんのお弁当美味しそう…… 手作りなの?」
榊原「うん……そうだよ」
綾野「一口ちょうだい」
榊原「はい、どうぞ」ヒョイ
綾野「……」
榊原「?」
綾野「分かってないなーこういっちゃんは……」
榊原「……どういうこと?」
綾野「あーん」
榊原「え……」
綾野「食べさせてほしいの! あーん!」
榊原「……はい、どうぞ」
榊原「……どう?」
綾野「美味しい!」
榊原「ホントに……?」
綾野「うん、毎日食べたいくらい美味しいよ!」
榊原「……」
榊原(東京の彼女に料理をこんな誉められたこと無かったな……)
榊原(それどころか『料理が趣味なんて止めてよ、もっと男っぽい趣味をさぁ〜』とか言われたりしたな……)
綾野「? どうかした?」
榊原「……ううん、なんでもないよ」
榊原「そうだね……」
綾野「……ねぇ、こういっちゃん」
榊原「?」
綾野「また、一緒にご飯食べてくれる?」
榊原「うん、それくらいなら全然いいよ。なんなら綾野さんの分もお弁当作ってきてあげよっか?」
綾野「ほんと? ありがとう、楽しみにしてるね」
勅使河原「おい、サカキ! 一緒に帰ろーぜ!」
榊原「うん、そうだね」
勅使河原「お、ちょっと元気でてるじゃねーか……ははーん」
榊原「な、なに?」
勅使河原「さては綾野と何かあったな?」
榊原「? 別に何もないけど」
勅使河原「隠さなくて良いぜ、サカキ……」
榊原「?」
赤沢(で、でも、まだ大丈夫!)
赤沢(ここで一緒に帰る約束をすれば……)
榊原『え、僕と?』
赤沢『ええ、一緒に帰りたいの。いいでしょ?』
榊原『う、うん』
赤沢『じゃあ、はい』スッ
榊原『?』
赤沢『手を繋ぐのよ』
榊原『え……ちょっと恥ずかしい……』
榊原『わ、わっ』///
赤沢『そんなに驚かなくてもいいじゃない……』
榊原『い、いや違うんだ……』
赤沢『?』
榊原『赤沢さんと手を繋いでると凄くドキドキしちゃって……』///
赤沢『恒一君…』
―――……
赤沢「こういうのもアリね」ニヤニヤ
小椋「榊原君、もう帰ってるよ……」
榊原「……おはよう」
勅使河原「お、おい、サカキ…… なんでまたテンション下がってんだよ……」
榊原「実はさ……」
勅使河原「どうした?」
榊原「元彼女がまた付き合おうって……」
勅使河原「え、良かったじゃねーか!」
榊原「……好きな人に告白したら断られたんだって」
勅使河原「……」
勅使河原「そりゃ、そうだろ」
榊原「……そしたら逆ギレされて、悪口言われまくり」
勅使河原「……」
榊原「……どうやら僕は裏でかなり悪口を言われてたらしい」
勅使河原「あ、あのさ……」
榊原「……もう信じない……女なんてどいつもこいつも……」ブツブツ
勅使河原「駄目だ、流石にダメージが大きすぎてどうしようもねー……」
赤沢(もう少し様子を見ましょう)
榊原「……」ブツブツ
勅使河原「どうすんだ、これ……」
綾野「あれ、どうしたの?」
勅使河原「あ、綾野……サカキをどうにかしてやってくれ……」
綾野「? よく分かんないけど……」
赤沢(馬鹿ね、今話しかけても無駄だわ)
榊原「……綾野さん」
綾野「大丈夫じゃなさそうだね……何かあったの?」
榊原「……聞いてどうするの?」
綾野「え……」
榊原「……どうせ、僕のことなんて考えてないくせに」
綾野「そ、そんなこと」
榊原「……分かってるよ。表では優しくしてても、裏では悪口言いまくって笑ってるんだよね」
綾野「ひどいよ、こういっちゃん……」
榊原「……酷いのはそっちの方だ」
榊原「……出たよ……なんなの? 泣けば許してくれるとでも思ってるの?」
綾野「……」グスッ
榊原「……女ってみんなそうだよね」
綾野「こういっちゃんの馬鹿!」
パシーン
榊原「……鬱陶しいよ」
赤沢(あ、あれが恒一君? なんであんなことに……)
小椋(彩……)
榊原「……」ブツブツ
勅使河原「ヤバいぞ、こりゃ……俺が話しかけても反応ねーよ……」
綾野「……」
勅使河原「綾野もかなりヘコんでるし……」
勅使河原「どうすりゃ、いいんだよ……」
小椋「……」スクッ
赤沢「え?」
小椋「榊原君、ちょっと屋上まで来てくれる?」
榊原「……別にそれぐらいなら」
勅使河原(頼む、小椋! なんとかしてやってくれ!)
榊原「……で、話って?」
小椋「彩のことなんだけど……あんな言い方ってないと思うの」
榊原「……あー、やっぱりね…」
小椋「……」
榊原「……それで謝れとか言うんでしょ? そのパターンは飽きたよ」
小椋「ちゃんと、謝ってあげてほしい……彩は真剣なんだから」
榊原「……どいつもこいつも同じような事ばかり」
小椋「……」
榊原「……それで周りの圧力に耐えられないから、嫌々付き合ったのに……何故か最後は僕がフラれるんだよ」
榊原「……もう女なんて嫌いだ」
パシーン
小椋「ふざけないでよ……」
小椋「彩と私をそんな人と一緒にしないで……」
榊原「……一緒だ、僕からしたら鬱陶しいだけなんだよ」
小椋「違うよ! 榊原君は彩の思いを踏みにじった!」
小椋「いつもの榊原君ならこんなことは……」
榊原「……いつもの僕ってなんだよ。僕はいつもどおりだ」
小椋「……もういい」
榊原「……帰ろう、勅使河原」
勅使河原「お、おう」チラッ
綾野「……」
小椋「……」
勅使河原(小椋でも駄目だったか……)
赤沢(いったいどうなってるの……)
榊原「……勅使河原?」
勅使河原「サカキ」
榊原「……なに」
勅使河原「お前ってホモなのか?」
榊原「!?」
榊原「な、何だよ、急に」
勅使河原「いや、今日やたらと女が嫌いって言ってたから……」
榊原「そんなわけないよ!」
ザワザワ
榊原「別に女の子みんなが嫌いとは言ってないよ!」
勅使河原「つまりは女が好きなんだな?」
榊原「そうだよ!」
榊原「はっ……」
ザワザワザワザワ
榊原「勅使河原……」キッ
勅使河原「冗談だよ、冗談」
勅使河原「でも、今ので分かっただろ、サカキ……」
榊原「……?」
勅使河原「お前、今自分で言ったじゃねーか……女みんなが嫌いなわけじゃないって……」
勅使河原「女にも良い奴はいる、そう思ってんだろ?」
勅使河原「なのに、今のお前は元カノを意識しすぎて、女なら誰でも否定してしまってるんだ」
榊原「……」
勅使河原「少なくともこのクラスにはそんな女いないぜ? みんな真剣にお前の事を考えてくれるはずだ」
榊原「……」
榊原「あ、綾野さん……」
勅使河原「な、サカキ?」
榊原「……うん」
榊原「ごめん、綾野さん!」
榊原「綾野さんは本気で僕のこと心配してくれてたんだね……」
綾野「……うん」///
榊原「嬉しいよ、ありがとう…」
綾野「……」///
小椋「良かったね、彩」
小椋「私は全然気にしてないよ」
榊原「でも……」
小椋「だって思いっきり叩いちゃったし……」
小椋「ね?」
榊原「うん…」
勅使河原「良かったな、サカキ」
赤沢(あれ?)
勅使河原「そうだな」
綾野「私はこういっちゃんと2人っきりで帰りたいなー」チラッ
榊原「あ、綾野さん……」///
小椋「えー……そしたら私勅使河原と2人っきりになっちゃうよ……」
勅使河原「なんだよ、その言い方……」
榊原「と、とりあえずみんなで帰ろうよ」
赤沢(あ、あれ?)
榊原「おはよう……」
勅使河原「おう、サカキ…って何でまたテンション下がってんだよ」
榊原「実はさ……」
勅使河原「またこのパターン……」
榊原「昨日、元カノになんでもう一回僕と付き合いたいの? って聞いたんだ……そしたら……」
榊原「顔が良いからに決まってんじゃん、だって……」
勅使河原「あぁ……」
榊原「僕は顔以外見られて無かったんだよ……」
榊原「女の子は顔しか見てないんだよ……」
勅使河原「あ、あのな、サカ…」
綾野「おはよー、こういっちゃん!」
小椋「おはよう、榊原君」
榊原「あぁ、おはよう……」
綾野「また、テンション低いね……どうしたの?」
綾野「いいよ、なに?」
榊原「……僕の一番良いところってどこかな」
勅使河原(嫌な予感が……)
綾野「うーん……顔かな」
榊原「」ガクッ
勅使河原「さ、サカキ!」
綾野「いや、やっぱり優しいとこ……ってこういっちゃん!?」
勅使河原「やっちまったな……」
榊原「僕は顔だけの男……僕は顔だけの男……」ブツブツ
勅使河原「おい、綾野……どうすんだよ」
綾野「うぅ……ごめん」
小椋「最初から優しい性格って言ってれば良かったね……」
赤沢(どうやら、チャンスが来たようね)
赤沢(ここで性格が好きって言えば……)
赤沢『恒一君』
榊原『あ、赤沢さん……』
赤沢『恒一君は顔だけの男じゃないわ』
榊原『そんなこと……ないよ』
赤沢『少なくとも私は恒一君の優しいところが好き……』
榊原『赤沢さん…』
榊原『え?』
赤沢『私のどこが好き……?』
榊原『ぼ、僕は……』
榊原『真面目で優しくて頼りになるところが好きかな……』///
赤沢『嬉しいっ!』ギュー
―――……
赤沢(よし、話しかけましょう)
榊原「……赤沢さん?」
赤沢「恒一君は見た目だけの男なんかじゃないわ!」
榊原「……は?」
榊原「……何なの、急に」
榊原「そんな口先だけの慰めいらないんだけど。どうせ赤沢さんも僕の見た目だけしか見てないんでしょ?」
赤沢「え、え…?」
榊原「やっぱり否定しないんだね。そういう人だと思ったよ。はっきり言って赤沢さん、うざいよ」
赤沢「う、うぅ……」
榊原「……勅使河原ご飯食べよう」
勅使河原「で、でもよ」
榊原「……いいから」
勅使河原「おう…」
綾野「あの、私たちもいい……?」
榊原「……来なくていいよ」
綾野「あぅ……」
小椋「……」
榊原「……帰ろう、勅使河原」
勅使河原「お、おう……」
勅使河原(やべーな、こりゃ……もうどうしようもねぇ……)
見崎「榊原君」
榊原「……なに?」
見崎「ちょっと屋上に来て」
榊原「……僕、早く帰りたいんだけど」
見崎「いいから」ガシッ
榊原「……」
( ゚д゚) ガタッ
/ ヾ
__L| / ̄ ̄ ̄/_
\/ /
榊原「……で、なに?」
見崎「言いたいことがあるの」
榊原「……早く、言ってよ」
見崎「最近の榊原君、ウザい」
榊原「え……」
見崎「何なの、彼女にフラれたくらいで騒いじゃって」
見崎「全部相手のせいにしてるけど、フラれた原因が自分にあるかもって考えないの?」
見崎「見た目だけの男って言われるのも納得。そんな性格だから言われたんじゃない?」
榊原「」
榊原「……」
〜翌日〜
勅使河原「おいおい、サカキいつもより遅くねーか」
綾野「確かに……大丈夫かな、こういっちゃん……」
小椋「若干、彩のせいでもあるからね…」
綾野「うぅ……」
ガラッ
榊原「おはよう、勅使河原」ニコッ
勅使河原「お、おう……サカキどうかしたのか?」
榊原「え? 別に何にもないけど」
綾野「こういっちゃん……」
榊原「あ、綾野さんと小椋さんもおはよう」ニコッ
綾野「あ……」ドキッ
小椋「……っ」ドキッ
榊原「昨日はあんな言い方してごめんね、2人とも……」
これがお前と恒一きゅんの差だ雑魚
うるせぇ無能赤沢www
榊原「ううん、そんなことないよ。やっぱり僕には内面に魅力が無かったんだよ」
榊原「あんなウジウジしてさ、なんか吹っ切ったら馬鹿みたいに思えてきたよ」
綾野「こういっちゃん……」
勅使河原「やっと元のサカキって感じだな」
小椋さん「良かった……」
見崎「どうしたの、榊原君?」
榊原「……ありがとう」
見崎「? 私は何にもしてない」
榊原「そんなことないよ、見崎のおかげで吹っ切れたんだから」
見崎「そう、なら良かった」
榊原「あとさ、もし良かったらなんだけど……」
見崎「……?」
榊原「こ、今度一緒に遊びに行かない?」
見崎「……別にどっちでもいい」プイッ
榊原「……あれ、ひょっとして照れてる?」
見崎「そ、そんなことない」
綾野「こういっちゃん私もー」
小椋「私も行こっかな」
榊原「えー……まぁ、いいけどさ……」
見崎「私は行くとは言ってない」プイッ
榊原「ははっ……楽しみだね、見崎」
見崎「……うん」
赤沢(わ、私は……?)
お
わ
り
本当にありがとうございました
こんな適当な終わり方ですいません
※ホントは赤沢さんendを考えてました
赤沢さん不憫かわいい
うん、ゴホン、まぁ、なんだ…赤沢さんエンドとやらを書いてもいいんだぜ…?
Entry ⇒ 2012.04.27 | Category ⇒ AnotherSS | Comments (0) | Trackbacks (0)
ほむら「見るんじゃないわよ」さやか「あんたを見たわけじゃない」
http://hayabusa.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1334675267/
さやか「!…別に転校生を見てたんじゃない。自意識過剰なんじゃないの?」
ほむら「じゃあこっち向くんじゃないわ。あなたの顔なんて見たくないから」
さやか「それはこっちのセリフ!話もしたくないね!」
ほむら「ふん…!」
さやか「……」
ほむら(私ったら…またこんな酷いことを言っちゃった…嫌われたかしら…?)
さやか(ただ話しかけようと思っただけなのにどうして意地張っちゃうんだろ…ああ!あたしの馬鹿!)
まどか「どうしたのさやかちゃん?元気ないね」
さやか「いやね…あたしってほんと嫌な子だなーって思ってさ…」
まどか「そんなことないよ?さやかちゃんはとっても優しいじゃない」
さやか「まどかに言われる程じゃないよ…まどかから優しさをとったらなにが残るのってくらいまどかは優しいんだから」
まどか「あれ?私誉められたの?馬鹿にされたの?」
まどか「てぃひひ。私なんてぜんぜんだよ」
さやか「そだ。まどかはいつも転校生とどう接してるの?」
まどか「ほむらちゃん?どうって言われても普通だけど…」
さやか「あたしにはその普通ができないのよー…」
まどか「?ほむらちゃんと喧嘩でもした?」
まどか「てぃひひ、そうだね。いつもだよね」
さやか「売り言葉に買い言葉というか…顔を合わせるたびに言い合いになってさ」
まどか「でもなんか仲が良さそうで端から見るぶんには楽しそうだよ?」
さやか「いや仲が悪いから口喧嘩しちゃうんでしょおが」
まどか「そうかなぁ?私は口喧嘩なんてあんまりしたことないから…」
さやか「まぁまどかだしね」
まどか「ぶー。どういう意味?」
まどか「さやかちゃんもほむらちゃんもいい子だよ?」
さやか「はいはい。まどかにとっては誰であろうといい子に見えるんでしょ」
まどか「そんなことないもん」
さやか「だってあたしがいい子じゃないから転校生と喧嘩しちゃうんだよ、多分」
まどか「…どっちも素直じゃないからね」
さやか「え?」
まどか「なんでもないよ。仲が悪いなら仲良しになればいいじゃない」
さやか「それができれば苦労しない」
まどか「大丈夫だよ。私に任せなさい」エッヘン
ほむら「どうしたのまどか?」
まどか「今日は学校のあと暇?」
ほむら「えぇ。特に用事はないわ」
まどか「なら私の家にお泊まりにこない!?」
ほむら「お泊まり?どうしたの突然」
まどか「ほむらちゃんともっと仲良くしたいなぁって思って。駄目かな?」
ほむら「まどか…ありがとう。是非お世話になりたいわ」
まどか「決まりだね!今日は仲良しパーティーだよ!」
ほむら「じゃあまどか。私は先に帰って準備してからまどかの家に向かうわ」
まどか「うん!楽しみにしてるね!」
ほむら「ふふ、私もよ」
さやか「なに話してたの?」
まどか「てぃひひ、なんでもないなんでもない」
さやか「んー?なににやついてんだまどかー?」ワキワキ
まどか「きゃ、きゃはは!くすぐったいよさやかちゃん!」
さやか「今日のまどかはお泊まりに誘うし一人でにやついてるし、へんなの」
まどか(私が二人の友達として、仲良くなるきっかけをつくんなきゃね。がんばるぞっ)
さやか「学校からそのままきちゃったけどいいのかな?」
まどか「だいじょぶ。着替えなら私のがあるし」
さやか「あぁ、あの胸が苦しい…むぎゅ」ガッ
まどか「さやかちゃん…?」
さやか「黙ります黙ります…」
まどか「うん。ただいまパパー!」ガチャンコ
シーン
まどか「…あれ?いないのかな?」
さやか「ま、まどか…ここにメモが…」
まどかへ
ママが突然出張になってしまったのでタツヤ連れてついていくことにしました
探さないでください
まどか「なんてこと…!」
さやか「ど、どうしようまどか!」
まどか「私たちの晩御飯がないっ!」
さやか「…………」
まどか「…………」
さやか「まどか、作れる?」
まどか「私には荷がおもいよ」
さやか「あれ?誰かきたよ?」
まどか「はいはーい!今開けますー」ガチャンコ
ほむら「きたわ。まどか」
まどか「どうぞ入って!」
さやか「え…」
ほむら「…は?」
さやか「まどか…なんで転校生までくるのさ」
ほむら「美樹さやかがいるなんて聞いてないわよ?」
まどか「あらやだ。偶然だね!」
さやほむ「いやいや」
まどか「友達同士、仲を深めようよ!ね!」ニコニコ
さやか(なるほど、そういうことか…)
さやか(まどかに相談したのは失敗だったかな…にやにやしちゃってちくしょー)
ほむら「まどか…美樹さやかも一緒なら最初から言ってくれないと」
まどか「まぁまぁ同じクラスの友達なんだから遠慮しないで!ね!」
仁美「くしゅん…」
さやか「トランプ」
まどか「ババ抜き」
ほむら「二人でやるゲームじゃないでしょ…」
さやか「まー飽きてきちゃったね」
まどか「なにしよっかぁー?」
さやか「そういうのは誘ったまどかが用意してくれないと」
まどか「んぅ。ごろごろする?」
さやか「わ、適当」
ほむら「トランプの続きでもやりましょうか…?」チラッ
まどか「ほむらちゃんちょっと遊びたかったでしょ」
ほむら「な、なんのことかしら」ファサッ
ほむら「早く引きなさいよ」
さやか「わかってるよ!これだっ」
まどか「やった。ばばばいばい」
さやか「うぐぁー!」
ほむら「あなたは顔に出るからすぐわかるわね。単純
さやか「う、うっさい!」
さやか(あ…あたしったらまたこんなことを言って…)
さやか「」シュン
ほむら(あら…?もしかして落ち込んでる…?しまったわ…)アタフタ
まどか(やっぱり端から見ると面白いなぁ)オセンベパリパリ
さやか「もう飽きた。どうせ勝てないし…」
まどか「もおさやかちゃんったら。いじけないの」
さやか「いじけてないっ」
ほむら「な、ならじゃんけんとかする?あっちむいてほいとか…」
さやか「え…そんなの面白くないよ」
まどか「てぃひひ、ほむらちゃんったら面白い」
ほむら「ご、ごめんなさい…私友達と遊ぶことなんて滅多にないから…なにをしていいか…」
さやか「…よーし、まどかの部屋でも探索しますか」
まどか「えぇ!?それは勘弁してよ!」
ほむら「楽しそうね…」
まどか「ほむらちゃんまでっ」
まどか「当たり前だよ!ゴミ箱なんだからっ!」
さやか「まどかの鼻かんだティッシュか…!マニアにはいくらで売れるだろうか…」
まどか「きゃあぁっ!?そんな変態さんいないよ!」
ほむら「!まどかのタンスから下着を発見したわ」
まどか「ほむらちゃんー!?」
さやか「どれどれ?…水玉、フリルにしましま…うんうんまどかにぴったりの子供ぱんつだ」
ほむら「五万はいけそうね…いえ、ものによってはもっと…」
まどか「変な考察しないでよぅ!」
ほむら「なにかしら」
さやか「その友達のぱんつを被ることだ!」
ほむら「……!」
さやか「ぱんつとは一番大事なところを守る衣服…」
さやか「そんなぱんつを被ることによりまどかとの心の壁をぶち壊し、より親密な仲になれるんだ」
ほむら「な、なるほど…!じゃああなたもしたのね…?」
さやか「もちろん。あの時はまどかの動物ぱんつを首にひっかけて走り回ったもんさ…」
まどか「こら!嘘ついちゃいけません!」ポコン
さやか「ぐはっ…!」
ほむら「……」ソーッ
まどか「被っちゃいけません!」
まどか「もー…当たり前でしょ?」
ほむら「美樹さやかのせいね…」
さやか「転校生だって楽しかったでしょ?」
ほむら「……」プイン
まどか(んー…さっきは息ぴったりだったのに今はぎこちないや)
まどか(まぁそのうち仲良くなるよね、うん)
さやか「さって…そろそろ夕方になってきたね」
まどか「あははー、夕日がきれいだねー」
さやか「現実逃避はやめて夜ご飯の準備するよまどか」
さやか「3人ならまともなの作れるって」
ほむら「まかせて。きっちり3分計れるわ」
さやか「いやカップラーメンは作らないから」
ほむら「でも私、普段はめんどくさくて家事なんてあんまりやらないわよ」
まどか「私もパパに任せっきりで…」
さやか「女子としてそれはどうなのよ!いやあたしも似たようなもんだけど!」
まどか「こんなとき、家庭的な彼女がほしいよね」
ほむら「ほんとね」
QB「まだかい?マミ」
マミ「もうちょっとよー」
QB「お腹がすいたよ。待ちきれないよ」
ピンポーン
QB「おや?」
マミ「今手が放せないからQBお願い」
QB「やれやれ…すきっ腹に響くから動きたくないんだけどね…」
QB「誰だい?」
杏子「ごはん」
杏子「ご飯食べに来た」
QB「君が食べるご飯はここにはない。帰ることを推奨する」
杏子「うるせー食うぞ」
マミ「あら?佐倉さんじゃない」
杏子「よっ。食いにきたぞ」
マミ「あらあら、二人ぶんしか作ってなかったから…」
QB「そうだ!君は今すぐ帰れ!」
マミ「QBのぶんはキャットフードでいいかしらね」
QB「え…」
マミ「あなた雑食じゃないの」
QB「そうだけど!どうせならマミの心がこもった美味しい料理が食べたいじゃないか!」
杏子「残飯でもくっとけ」
QB「やかましい!僕とマミの時間を邪魔するな!きゅっぷい!」
マミ「QB?あんまりうるさいと押し入れに閉じ込めるわよ?」
QB「そ、そんな!あんまりだよマミ!」
マミ「じゃあいい子にできるわね?」
QB「うぅ…」
杏子「ざまー」
杏子「うっひょー!いただきます!」
QB「僕の分なのに…」
杏子「なに見てんだ。やらねーぞ」
QB「君の施しを受けるつもりはないよ!」プイン
マミ「ふふ。QBこっちきなさい?」
QB「マミ?」
マミ「私と半分こしましょ?」
QB「マミ…きみって子は…!」
マミ「ほらお膝に座ってQB。食べさせてあげる」
QB「マミー!」ピョンッ
マミ「はい、あーん」
QB「きゅぷっ!なんてできた子なんだい。僕は鼻が高いよ」
杏子「鼻ねーじゃん」
まどか「さやかちゃんすごーい」
さやか「材料だけはまともにあったからねぇ…まどかのパパさんのおかげだよ」
ほむら「まぁ人間1つでも取り柄がないとね」
さやか「ほう。あたしには他に取り柄がないと?」
ほむら「あなたの馬鹿さ加減も取り柄と言えば取り柄ね」
さやか「まどか。こいつ全然仲良くする気ねーよ」
まどか「てぃひひ、気軽にからかえるのも仲がいい証拠だよ」
さやか「からかうどころか喧嘩売ってるでしょ…」
ほむら「ナカヨクシマショウミキサヤカ」
さやか「むっかー!」
さやか「だね。いただきまーす」
まどか「まーす!」
ほむら「ほぐほぐ…」
さやか「どう…?」
まどか「おいしい!おいしいよさやかちゃん!」
さやか「はは、まどかも手伝ってくれたしね」
ほむら「…まあまあね」
まどか「もうほむらちゃんったらー素直においしいって言わなきゃ」
ほむら「…じゃあ正直、毎日作りに来てほしいくらいおいしいわ」
さやか「それ自分で作るのめんどくさいだけだろ」
ほむら「どうかしら」
マミ「お粗末様」
杏子「しかしあんたたちはそれしか食わなくて足りんのか?」
QB「誰のせいだと思ってるんだい」
マミ「佐倉さんのが特別多かったのよ」
杏子「そうかぁ?」
マミ「私はそんなに食べないから」
杏子「ダイエットか?」
マミ「そ、そんなことないわよ?」
QB「杏子!マミが気にしていることを言わないでくれ!マミは最近太ったばかりで…」
マミ「QB!お黙り!」
マミ「あら、ゆっくりしてっていいのよ?」
QB「マミ。杏子には杏子の生活があるんだ。関与しちゃいけないよ」
杏子「いいのか?」
マミ「えぇ。なんならお泊まりしてって」
QB「いや、それは逆に迷惑なんじゃないかい?杏子にだって帰る寝床くらい…」
杏子「やった。朝ごはんも食えるぞ」
マミ「…あなたはご飯のことしか考えてないのね」
QB「…………」
さやか「それじゃお風呂でも沸かそっか」
まどか「お願いしゃやかちゃん……くー」コテッ
ほむら「おとと」
さやか「まどかが一番自由だな…かわいいからいいけどさ…転校生まどかお願いね」
ほむら「えぇ」
まどか「ほみゅらちゃんありがとぉ……くー」
ほむら「ふふ」ナデナデ
まどか「んぅ…先入っていいでしゅよ…」
ほむら「駄目よ。このままだと本格的に寝ちゃうわよ?」
まどか「あとごふん…」
さやか「やむおえん。転校生足もって」
ほむら「あなたは腕ね」
さやか「よっこらせ」
まどか「ふにゃー?」フワッ
ほむら「軽いわ、まどか」
まどか「わぁー…私とんでるー…」
ほむら「な、なにやら悪いことしてる気分ね…」ドキドキ
まどか「…くー…」
さやか「よし、せーのっ」
ボチャーン
まどか「ぷふぁっ!?」
さやか「目覚めたー?」
まどか「覚めたよ!お風呂に投げるなんてひどいよ!」
まどか「あ、でもあったかくて気持ちいい…」
ほむら「御風呂の中で寝ちゃダメよ?」
まどか「ふにゃあ」
つか怪我するだろ
ほむら「……手伝う?」
さやか「すぐ終わるしいいや」
ほむら「そう…」
さやか「……」ジャー
ほむら「……」
さやか「……」ジャー
ほむら「……」
さやほむ「あの…」
さやか「な、なに?」
ほむら「あなたこそ…」
ほむら「…用がないなら話しかけないでほしいわね」
さやか「あ、あんたは何の用だったのさ」
ほむら「…………と、特にはないけど…」
さやか「なんだよ!人のこと言えないじゃん!」
ほむら「あ、あんまり大声出すんじゃないわ。余計馬鹿に見えるわよ」
さやか「なにー!?大体あんたはー…」
さやか(おっと…またあたしは余計なことを言うとこだった…こんなだからいつまでたってもなかよくできないんだよ…)
ほむら(あ、あら…?突然黙ってしまったわ…私ったらまた美樹さやかをからかったりして…)
ほむら「え…な、なに?」
さやか「その…あたしって転校生の言う通り馬鹿だし余計な意地張っちゃうし、転校生にとってはうざいかもしれないけどさ…」
さやか「あたし…えっと、前から言おうと思っててさ…」
ほむら「な、なにを…?」
さやか「…な、仲良くしたいなー…なんて…」
ほむら「……」
さやか「……」
ほむら「…ふ、ふくく…」
さやか「…え」
ほむら「ぷっあははは!その自信のなさそうな頼りない顔…!あなたらしくない!」
さやか「な、なんだよー!」
ほむら「ふふ…でも、私も安心したわ」
さやか「え?」
ほむら(私は美樹さやかに嫌われてたわけじゃなかったのね)
ほむら「ふふ、えへへ」
さやか「て、転校生が笑ってる…あの常に仏頂面の転校生が…」
ほむら「ほむら」
さやか「ぅえ?」
ほむら「ほむらって呼びなさい、さやか」
さやか「…!」
さやか「転校生…」
ほむら「ほむら」
さやか「ほ、ほむら…」
ほむら「私ね。あなたをからかうといつも反応してくれたから…少し楽しみだったの」
ほむら「でもあなたが嫌なことはもうしないわ」
さやか「いや…ではないかな…ほむらと話すことといえばいつも悪口ばかりだったし…それがなくなるのはちょっと寂しいし」
ほむら「そう…?ありがとうさやか」
さやか「…うん。えへへ…」
まどか「はにゃあ…」ユッタリ
まどか「…はっ!いけない!私は今二人を仲良くする任務中だったよ!」
まどか「お風呂でまったりなんかしてられない!早く出て二人を…」
まどか「…………」
まどか「あとごふん…」ユッタリ
まどか「へにゃあ…」ユッタリ
QB「どう!だい!?マミ!きも!ちい!かい!?」ピョンピョン
マミ「そこそこ…はぁ…QBのマッサージはいいわねぇ…」
QB「それ!は!よかっ!た!」ピョンピョン
杏子「ふー…極楽だったー…」ポカポカ
マミ「湯加減はどうだったかしら?」
杏子「最高だ。コーヒー牛乳あるー?」
マミ「冷蔵庫よ」
杏子「QBはなにやってんの?新体操?」ゴクゴク
QB「なん!だと!?マミ!を!馬鹿に!するな!」ピョンピョン
QB「たし!かに!マミ!の!せな!かは!トラン!ポリン!みたい!だけど!」ピョンピョン
マミ「QB!お仕置きするわよ!?」
マミ「お布団?なにに使うの?」
杏子「なにって…布団といえば寝るために使うに決まってんだろ」
マミ「ダメよ。佐倉さんは私のベッドで寝るんだからね」
杏子「は?」
QB「マミ!それはよくないよ!杏子なんかどんな病気をもっているか…!」
杏子「ぶっころすぞ」
マミ「あ、そうだ。QB用のお布団敷くわね?」
QB「え…僕もベッドで…」
マミ「ダメ」
マミ「だーめ。うふふ、朝まで佐倉さんは私の妹なんだから」
杏子「なんだよそれ…とにかくあんま抱きつくな…」
マミ「だって佐倉さんあったかいんだもの…抱き枕にぴったりね」
杏子「この…人を枕扱いしやがって…はーなーせー!」
マミ「ぎゅー」
杏子「ふぐ…胸があたんだよ…!」
杏子(はぁ…マミが寝付くまでまつか…)
QB「ひとりでーおやすみー…」
QB「きゅっぷい……」
まどか「もちおんだおー」グテー
さやか「結局お風呂で爆睡…救助に駆けつけたときにはすでにゆでダコだったとさ」
まどか「うぅーもうしわけないー」グテー
ほむら「まどかをベッドまで連れてきたはいいけど、私たちはどこで寝るの?」
まどか「わたしのべっどつかってもらうよていだったんだけどー」グテー
さやか「これじゃあね…」
まどか「うんごめん。おおきめのおふとんしいて。さやかちゃんはばしょわかる?」グテー
さやか「うん。…布団一個しかないけど」
まどか「ふたりでつかってね。てぃひひー」グテー
さやか「…ほむら、寒くない?」
ほむら「えぇ…しかし大きい布団とはいえ狭いわね…」
さやか「一人用だしねぇ…」
ほむら「こんなに近いと…わりと恥ずかしいものね…」
さやか「だね…寝息とかうるさくても笑わないでよ?」
ほむら「笑わない自信はないわ」
さやか「ですよね…あんたはそういうと思ったよ」
ほむら「私のことよくわかってるじゃない」
さやか「…………ま、友達…だからね…」
ほむら「…………」
さやか「だ、黙らないでよ!恥ずかしい!」
ほむら「ふふ…」
さやか「……」
ほむら「…なによ」
さやか「別に…」
ほむら「見るんじゃないわよ」
さやか「あんたを見たわけじゃない」
ほむら「…ぷっ…」
さやか「…あははっ…」
ほむら「…ずっと友達でいてね、さやか」
さやか「うん。こちらこそ」
まどか「むにゃむにゃ」
終わり
ほむら「さやか。朝は私がご飯用意したのだけど…」
さやか「おっ!おいしいじゃん!ほむらはやればできるこだねぇ」
まどか「あれ?二人ともいつのまにこんなに仲良くなったんだろ…」
まどか「でもよかったよかった!私が頑張ったかいがあったね!」エッヘン
ほむら「あ、パンくずがついてるわよ?」
さやか「うそ?とってー」
ほむら「はぁ、しょうがないわね」ヒョイ
さやか「へへ、ありがとぉ」
まどか「…………」
まどか「仲良くなりすぎだよ!私もかまってかまって!」ジタバタ
終わり
おやすみ
Entry ⇒ 2012.04.27 | Category ⇒ まどかマギカSS | Comments (1) | Trackbacks (0)
ウィッチ「棚の修理は進みましたか?」シェゾ「ああ」
http://hayabusa.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1335286088/
ウィッチ「あら、シェゾにしては仕事が早いですわね」
シェゾ「……」
ウィッチ「なんですのその目は? あなたが売り物の魔法薬が入ったビンを割ったのが悪いんでしょう?」
シェゾ「ちっ……」
ウィッチ「あーら、わたくしとしては壊した分の代金を頂ければ構いませんでしたのに。弁償する代わりに労働して貰ってるんじゃない」
シェゾ「もういいだろう。オレは帰るぞ」
ウィッチ「あっ……ま、待ちなさいよ」
シェゾ「お茶だあ?」
ウィッチ「紅茶一杯飲んでいくくらいの暇はあるでしょう。というより、いつも暇でしょう?」
シェゾ「オレは忙しいんだ! 魔導力を上げるために文献を読んだりダンジョンに潜ったりな!」
ウィッチ「あらそうですの。言っときますけど、損失分は今日の労働だけじゃとても賄えませんからね」
シェゾ「な……」
ウィッチ「さっき計算してみたところ、あなたが無駄にした魔法薬はざっと一週間分の労働で得られる金額に相当しますわ」
シェゾ「おい、一週間働き続けなきゃいけないのかよ!?」
ウィッチ「そういうことになりますわね」
ウィッチ「わたくしも鬼じゃありませんから、労働の後にはちょっとしたサービスも用意して気遣ってさしあげてるのですわ」
シェゾ(ねぐらに置いてある本や道具を売って金を作るか……いや、どれも必要なものばかりだ)
ウィッチ「お湯も湧いたみたいですわ。さあ、大人しく私の厚意を受取りなさいな」
シェゾ「くそ……用意してあるなら早く持ってこいよ」
ウィッチ「ふふ……まあ、お待ちなさいな」
―――
―
ウィッチ「どうですか?」
シェゾ「何がだ?」
ウィッチ「紅茶の味に決まっているでしょう! どれだけ鈍いのかしらね」
シェゾ「飲めないレベルではないな」
ウィッチ「ふん!」ゲシッ!
シェゾ「いてっ!……脛けるんじゃねえよっ!!」
ウィッチ「せっかく人が淹れてあげたのにそんな物言いはないでしょう! 礼儀も知らないのかしらこのヘンタイは!」
シェゾ「ヘンタイじゃねえし、そもそもそれとこれとは全然関係ねえだろうが」
今回はシェゾウィッチアルルくらいしか出て来ないんだ
ごめんね
シェゾ「で、明日からはいつ来ればいいんだ?」
ウィッチ(紅茶がそもそも好みじゃないのかしら? 意外とカフェオレとか飲んでるのかも……)
シェゾ「おい、ウィッチ」
ウィッチ「はっ……何かしら?」
シェゾ「オレは一週間おまえにこき使われることになったんだろう。これからはいつ来ればいいんだ?」
ウィッチ「そうですわね……じゃ、じゃあ、店じまいしてからでお願いしますわ」
ウィッチ(開店しているときに脇で動かれたら変な噂が立ってしまうかも知れませんからね)
ウィッチ「明日遅れたら承知しませんわよ!」
シェゾ「分かってるわい!」
バタン!
ウィッチ「ふう……嫌がってた癖に自分から働く時間を聞いてくるなんて、シェゾも意外と律儀なところがありますわ」
ウィッチ「明日もアイツと二人きりで……」
ウィッチ「……」カアァァ
ウィッチ「ま、まあたっぷりと働いて貰いますわ! 荷物運びに掃除に陳列に……」
アルル「あれ、シェゾじゃん」
カーバンクル「ぐー」
シェゾ「アルルか。こんな夜遅くに何やってんだ?」
アルル「ボクはね、基礎の呪文を練習してたのさ」
シェゾ「……いつもだったら魔力を奪ってやるところだが、今のオレはそんな気分じゃない。幸運だったな」
アルル「……どうかしたの? なんか元気ないみたいだけど」
シェゾ「おまえには関係無い」
アルル「あ、わかった〜。拾い食いでもしてお腹壊したんでしょ? シェゾいつもギリギリな生活してるもんね!」
シェゾ「……おまえって奴は本当にお気楽で能天気なガキだな。羨ましくなることはないが」
シェゾ「いてえっ! 脛蹴るなよ!」
アルル「シェゾが馬鹿だから悪いんだよ! 行こうカーくん! こんなヘンタイほっといてさ!」
カーバンクル「ぐー!」
シェゾ「ちっ……くそ……今日はいつもにもましてツイてねえ!!」
――――――
―――
―
アルル(話す気が無いようだったからちょっとした冗談で場を和ませてからから聞くつもりだったのに)テクテク
アルル「ああ、もう、思い出したらまた腹が立ってきた!!」
アルル(……ん? でもこんな時間まで何してたんだろ? 来た道はダンジョンの方じゃ無かったし)
アルル(確か……シェゾが歩いてきた道を辿ればウィッチの店に着くよね?)ピタッ
アルル「…………」
カーバンクル「ぐー?」
アルル「あ、ごめんカーくん。足止めちゃってたね」
カーバンクル「ぐぐっ?」
アルル「うん、大丈夫。心配してくれてるんだね、ありがとう」
【ウィッチの店】
アルル「ウィッチ、これくれないかな」
ウィッチ「はいはーい」
アルル「…………」チラッ チラッ キョロキョロ
ウィッチ「……どうされましたの? 落ち着きなく店内を見回されて」
アルル「あ、いや、なんでもないよ! ところでさ、ウィッチ……」
ウィッチ「なんですの?」
アルル「昨日特訓の帰りにシェゾに会ってさ。とってもデリカシーないこと言われちゃったよ!」
ウィッチ「そうですの。まあ、シェゾが唐変朴なのは私も存じておりますけど……」
ウィッチ「そ、そうですの……」
アルル「いつも困らされてるのにね。ウィッチもうんざりでしょ?」
ウィッチ「そうですわね。昨日も……あ」
アルル「?」
ウィッチ「いえ、なんでもありません」
アルル「! まあいいや。そろそろいくね」
ウィッチ「はい。ありがとうございました」
ウィッチ「そう邪険にするほど悪いヤツでは……」ボソッ
アルル「ん、なんか言った?」
ウィッチ「いえ、なんでもありません! お気をつけて!」
アルル「……うん」
バタン
アルル「ウィッチも昨日……シェゾと何かあったんだ……!」
アルル「くっそー……なんかモヤモヤするなあ。気付くとウィッチとシェゾのことばっかり考えてる」テクテク
アルル「ボクってそんなに噂好きな方じゃないのになあ……あっ」テクテク
シェゾ(もうそろそろ仕事の時間だな。ウィッチはうるさいから少し早めに行くか)
アルル「シェゾ!」
シェゾ「うおいっ! アルルか、驚かせるな!」
アルル「こんなところで会うなんて奇遇だね。勝負しようよ!」
シェゾ「……悪いな。今はそんな気分じゃねえんだ」
シェゾ「今は時間がないんだ」
シェゾ(あいつの店で働かされてるなんて知られたらオレの沽券に関わるな)
アルル「そんなこと言って〜〜本当はボクのこと怖いんでしょ。
奮発して魔導力を増加させる薬を買ったから試させてよ!」
シェゾ「へえ。値が張るのによく買えたな」
アルル「そうだよ、ボクはキミと違って貧乏って訳じゃ……って、なんで高いものだって知ってるの?」
シェゾ「! そりゃ、ウィッチの店に置いてあったもんだから……」
アルル「……ボクは今日初めて見かけたんだけど、結構前から置いてたのかな」
シェゾ「オレも知らんが多分そうだろ。ていうかもういいだろ。あばよ!」
フッ
アルル「あっ! テレポート……」
パッ
シェゾ「ふう……」
シェゾ「店内に直接ワープしたが……ウィッチはどこだ。閉店時間にはまだ早いはずだが……」
「ふんふんふ〜ん♪」
シェゾ「風呂場か。そういや、店の奥に居住スペースがあるんだったな。でもなんでこんな時間に……」
【風呂場】
ウィッチ(今日はシェゾをまた二人きりになりますからね。あんなヤツとはいえ男ですから、汚れたところは見せたくありませんわ)ゴシゴシ
ウィッチ(〜〜♪)
ウィッチ(今日はカフェオレでも出してやりましょうかしら……♪)
「おーい」
ウィッチ(シェゾの声!?)
ウィッチ「ちょ、ちょっとなんで既にここにいるんですの? 約束の時刻より大分早いですわよ!」
「いいだろ、別に!」
ウィッチ「ぜ、絶対にこっちに来てはいけませんわよ! 来たらメテオの刑ですわよ!!」
ウィッチ(あああ! きっと遅刻ぐらいしてくると思ってましたのに!)
―――
―
ウィッチ「お待たせしましたわ」
シェゾ「こんな時間に風呂かよ? 女ってやつはよく分からんな」
ウィッチ「お、お店で働いているときに汚れてしまったのですわ!」
シェゾ「それで仕事にならなくなって閉店時間を繰り下げたのか」
ウィッチ「そうですわ!」
ウィッチ(本当は汚れてなんかいませんでしたけど、そういうことにしておきましょう)
シェゾ「ま、お手柔らかに頼むぜ。で、今日の仕事は」
ウィッチ「商品の陳列を頼みますわ。需要が減ってきたものは取り除いて、売れ筋をより目立つように。
利益率が高いものはその隣に置いて目に付くようにします。店内用のポップも作りたいのですが……これは私がやりますわ」
シェゾ「……結構本格的に営業してるんだな。いろいろ考えてるわけだ」
ウィッチ「な、なんですのその意外そうな目は! わたくしだって遊びでお店を開いてる訳ではないんですからね!
ヘンタイ魔導師には分からない世界でしたかしら!?」
シェゾ「ちっ。そう突っかかってくんなよ。並べる品は奥だな? まずは需要が低いものを取り除こうぜ」
ウィッチ「……そ、そうですわね」
シェゾ「商品入れる木箱なり籠なりがあるだろ。どこにある」
ウィッチ「ああ、それなら―――」
―――
―
シェゾ「ふいー……疲れた」
ウィッチ「お疲れさまでしたわ! はい、どうぞ。カフェオレですわ」
シェゾ「お……」
ウィッチ「シェゾ、今日はありがとう。陳列だけやって貰うつもりだったのに、棚の配置換えまでやって頂いて……」
シェゾ「時間が余ったからついでに片づけただけだ!」
ウィッチ「ふふふ。結構いいとこあるじゃない」
ウィッチ(塔でおばあちゃんを助けてくれたときといい、シェゾってば妙に面倒見がいいところがありますわね)
シェゾ「それより作業中ずっと気になってたが、おまえは風呂上りにそんな薄着でいいのか? 薄い生地に半袖で……」
ウィッチ「もう春ですから大丈夫ですわ。わたくしだっていっつもあの服装というのは暑くて困りますからね」
シェゾ「どうした。ぼーっとして……熱でもあるんじゃないか?」
ウィッチ「い、いえ! それよりもうそろそろお帰りにならなくていいのかしら!?」
シェゾ「……なあ、ウィッチ」
ウィッチ「なんですの……?」
ウィッチ(まさか……「今日は帰るつもりはない」とか…………)ドキンドキン
シェゾ「カフェオレおかわりあるか?」
ウィッチ「へ?」
―――
―
シェゾ「ふわぁあ……柄にもなく熱心に働いちまったな」
シェゾ「もうテレポートで帰るか。昨日みたく風に当たって気を鎮めたい気分でもないし……お?」
カーバンクル「ぐっぐー!」
シェゾ「げ、おまえか。一人か? アルルはどうした?」
カーバンクル「ぐぐっぐー!」ゲシッ
シェゾ「いてっ! 脛蹴るなって!」
シェゾ「やめろっつってんだろうが!! この……」ハッ
シェゾ(蹴り飛ばしてやりてえがアルルに恨みごと言われて面倒なことになるかも……)
シェゾ「くそっ……」
カーバンクル「ぐぐっ……ぐっ!?」
ドカッ
カーバンクル「ぐうっ!?」
てのりぞう「ぱおーん!」ドカッ
シェゾ「お、おまえかあ! 面倒見れないから逃がしたのに」
てのりぞう「……」コクリ
フッ
カーバンクル「ぐぐぅ」
「カーくん、いくらシェゾでもいきなり蹴ったらダメだよ」
カーバンクル「ぐー」
アルル「うん? ボクを困らせるからだって? あ、気付かれてたかあ……」
アルル「やっぱり、ウィッチの店の方から歩いてきたよね……二日連続で……」
アルル
【ウィッチの店】
アルル「こんにちは」
ウィッチ「おいっす!」
アルル「ちょっと、昨日買った薬のことで聞きたいんだけどさ」
ウィッチ「はい」
アルル「これっていつ頃から店先に並べてあったものなの?」
ウィッチ「ああ、それならアルルさんがお越しになられた日の朝に店の奥から出したものですわ」
アルル「そっか。ところで昨日はシェゾは来たのかな?」
ウィッチ「は……い、いえ」
アルル「ふーん……」
ウィッチ「な、なんでそんなことをお尋ねになるのかしら?」
ウィッチ「そ、そうですの……くしゅん!」
アルル「どうしたの? 風邪?」
ウィッチ「風邪というほどのことでは……くしゅん!!」
アルル「なにか身体を冷やすような真似でもしたの?……はっ」
アルル(まさかシェゾと……)ポワポワポワ〜ン
アルル(な、何を考えてるんだよボクは!!)カアァァァ
ウィッチ「またのお越しを……くしゅん!!」
バタン
アルル「絶対だよ! 絶対シェゾとウィッチは二人でなんかやってる!!」
カーバンクル「ぐぐっ?」
アルル「べっつにシェゾが誰と何してようが構わないけど、なんかイライラするなあ……」
アルル「……そうだ! もういっそのことウィッチの店を張ってようかな!
どうせボクの想像なんて外れてるに決まってるんだし、それを確かめるだけだよ」
カーバンクル「ぐー!」
アルル「そうだよ、うん。精神衛生上の問題になってるからね」
アルル(でも、もし……想像通りの関係だったら……ボクは……)チクリ
―――
―
【ウィッチの店】
パッ
シェゾ「よう」
ウィッチ「ひゃあ! 突然現れるから驚きましたわ! テレポートは控えて!」
シェゾ「歩いていこうとすると面倒なヤツに会うんだよ」
ウィッチ「まあ、いいですわ。今日の仕事は……くしゅん! ううぅ」ブルブル
シェゾ「おい、風邪か? 大丈夫かよ」
ウィッチ「心配には……くしゅん!……及びませんわ……」フルフル
シェゾ「……無理すんなよ」
ウィッチ(やってくるシェゾが見たかったからなんて言えませんわ)
ウィッチ「今日の仕事は……そうですわね、お掃除でも頼みましょうかね」
シェゾ「ああ……顔真っ赤だが、平気なのか?」
ウィッチ「道具は……っ」フラッ
シェゾ「! おっと!」トサッ
ウィッチ「はぁ……はぁ」
シェゾ「おい、大丈夫か!?」
ウィッチ「……ふぅ……はぁ……」フルフル
シェゾ「持ち上げるぞ。よっと」ヒョイ
ウィッチ「シェ、シェゾ……」
ギュッ
シェゾ「ど、どうした!?」
ウィッチ「行かないでね……」
アルル「やっぱりボクの思い過ごし?」
アルル「きっとそうだよね。帰る前にちょっと窓を覗いていこっと……」トテトテ
シェゾ「わかったわかった。居てやるから。じゃあベッドに行くぞ」
ウィッチ「そっと運んでね……」ギュッ
シェゾ「おう。でも服を掴むなよ……」
アルル「…………………………!!」
ウィッチ「アルルさん……!? み、見られ……」ボンッ!
シェゾ「ちっ!」
【ウィッチの部屋】
シェゾ「下ろすぞ」
ポスッ
ウィッチ「……うう……うううぅぅ」カァァァァ
シェゾ「こりゃひどい熱だ。顔もますます紅潮してるな」
ウィッチ(それは別の理由ですわ……)ドキドキドキ
ウィッチ「ありがとう……」
シェゾ「安静にな」
バタン
シェゾ(アルルに知られちまったかもな……こんなカッコつかねえところを……くそ)ゴソゴソ
シェゾ(思えば俺は『神を汚す華やかなるもの』だったはず……どうしてこんな真似してるんだろうな)
シェゾ「あった。水を汲んで持っていってやるか」
―――
―
シェゾ「落ち着いたかよ?」
ウィッチ「ええ。薬に毛布に氷枕に……助かりましたわ……くしゅん!」
シェゾ「水、また入れて来てやろうか?」
ウィッチ「お願いできますかしら」
シェゾ「ああ」
バタン
ウィッチ(アルルさんには、やはり前々から疑われていたんでしょうね)
ウィッチ(先ほどのアルルさんの顔……単純な驚きだけが浮かんでいるのではありませんでした)
ウィッチ(ごめんなさい……シェゾと一緒にいたいのは私だけではなかったのですね)
アルル(思わず走って逃げ出しちゃった)
アルル「やっぱり想像した通りだった。外れてて欲しかったけど……的中しちゃった」
カーバンクル「ぐぐっ……」
アルル「二人ともボクには黙ってたのに! はぐらかしたり嘘ついたりさ!」
アルル「どうして本当のことを言わなかったんだよ! ボクには関係ないことなのにどうして……」
アルル「目立つ関係になるのが嫌だったから? それとも単に面倒だったから?」
アルル(まさか、ボクの気持ちに気付いてて……それで……二人で笑ってたのかも……!?
秘め事のときにボクを笑って話の肴にしてたのかな)
アルル「いや、そんな訳ない! でも、嫌な想像ばっかり湧いてくるよっ……!」
カーバンクル「ぐぐっ……ぐっ!」
アルル「うん? どうしたの? ……え?」
ウィッチ「ねえ、シェゾ。悪いんだけど着替えを置いてくれませんか?」
シェゾ「き、着替えだと? 構わねえけど、お、おまえはいいのかよ!?」
ウィッチ「ええ。そこの箪笥の下から二段目にパジャマが入っていますの
間違っても一番上の段は開けないでくださいね」
シェゾ「お、おう。この箪笥だな」
シェゾ「…………」ゴソゴソ
ウィッチ「……なにか想像してませんか?」
シェゾ「なわけねえだろ!」
ウィッチ「ええ……そうだ。シェゾ、退勤時間を大幅にオーバーしていますわね」
シェゾ「そうか。もう深夜になるな」
ウィッチ「……」ドキドキ
シェゾ「…………」
ウィッチ「もう、帰ってもいいですわよ。あなたに風邪が移るかもしれませんわ」
シェゾ「いいのか? いや、おまえが『行かないでね』なんていうからよ。帰るタイミングがつかめなかったのも事実だが」
ウィッチ「な! わたくしがいつそんなことを!?」
シェゾ「倒れたときだよ。俺の服掴みながら呟いてたじゃねえか」
シェゾ「帰らせてもらえるならありがたい。明日は大人しくしてろよ。店も開けるなよ」
コンコン
シェゾ「ん? 来客か?……まさか」
ウィッチ「……」
シェゾ「どうする?」
ウィッチ「シェゾは下がってて。店の主人はわたくしですから」
ガチャ
アルル「ウィッチ! 大丈夫!?」
ウィッチ「え? は、はい。なんとか」
アルル「風邪ひいてるんでしょ!? 果物とかよく風邪に効く草を持ってきたよ!」
カーバンクル「ぐー」
てのりぞう「ぱうぅぅ」パシャ
ウィッチ「え、ええ!?」
アルル「おかゆ作ってあげるね。ささ、大人しくベッドに戻って!」
アルル「やあ、シェゾ。お勤めご苦労さま。もう二度とお店のもの壊しちゃだめだよ!」
シェゾ「は? おまえ、俺がここで働いてることを知ってるのか」
アルル「うん! この子が教えてくれたんだ」
てのりぞう「ぱおー」パシャ
シェゾ「こいつが?」
アルル「シェゾ〜〜キミ、この子に写真取られてることに気付かなかったの?
ビンを割ったシーンとか棚作ってるシーンとか、珍しいシェゾがたくさん見られたよ!」
シェゾ「そっか……」
シェゾ(まあ、てのりぞうのおかげで拗れずに済んだのは事実か)
栄養が付く野菜も入れてるから、不摂生なシェゾにはぴったりだよ」
シェゾ「そういや、オレも腹が減ってるな。ごちそうしてもらえるとはありがたい」
ウィッチ「アルルさん……」
アルル「ふんふんふ〜ん♪」トントントン
アルル(まったく、本当のこと知ったら拍子抜けしちゃったよ。
てのりぞうくんが言ってたことをカーくんに翻訳してもらわなかったら、ずっと勘違いしたままだったなあ)
アルル「え〜と、お鍋は……」
ウィッチ「あ、しばらく使わなかったもので天井近くの棚に置いていますわ」
アルル「あそこかあ。う〜ん、背伸びしてもギリギリか……なかなか取れない」グイグイ
ズボッ
アルル「あっ!」フラッ
シェゾ「!」トサッ
てのりぞう「ぱおーん!」パシャ
―――
―
〜二日後〜
シェゾ「ふう! 予定より早く解放されたぜ!」
てのりぞう「ぱおーん!」
シェゾ「しかし、どうしてだろうな? やっぱりウィッチが風邪ひいたとき長時間働いたからか?」
てのり「……」パシャ
シェゾ「そういや、おまえのおかげで面倒ことが増えるのを避けられたんだよな。ありがとよ」
アルル「やあ、シェゾ」
シェゾ「アルルか。むう……今日は見逃してやる。行け」
アルル「ボクだって戦う気はないよ」
シェゾ「なら好都合だ。オレはこれ以上女どもに掻き乱されるのは勘弁だぜ」
アルル「ふん、ベーだ!」
アルル「さてと、カーくんはてのりぞうくんと遊びに行ったし」ゴソゴソ
アルル「シェゾがボクを支えてくれた写真をじっくり見れるね!」パッ
アルル「ふふ、シェゾってばいいとこあるのに、もったいないなあ。顔も悪くないのに」ニコニコ
【ウィッチの家】
ウィッチ「てのりぞうから譲って貰ったこの写真……いつ見てもいい気分になりますわ」
ウィッチ「その代わりシェゾを閉店後の労働から解放するよう頼まれましたけど、安いものですわ」
ウィッチ「うふふふふ……カッコいいですわね。交渉に手間取った甲斐がありましたわ。
王子と言っても通用するのに、なんでああも抜けてるんでしょうか」
アルル「滅多に見れないけど、いいとこあるんだよね」ニコニコ
シェゾ「ふう……」
シェゾ「ゆっくり休むのも久しぶりな気がするな。そして……」ゴクリ
シェゾ「うむ。やはりカフェオレはうまい」
おしまい
これで心置きなく眠れる
ぷよ魔導系のSSでこういうの読みたいっていうのある?
コンパイルは時代の先見過ぎ
今でも通用する設定のキャラをずっと昔に世に出してたんだよな
凄い楽しめた、機会があれば次もよみたいな
Entry ⇒ 2012.04.27 | Category ⇒ 版権物SS | Comments (0) | Trackbacks (0)
小鳥「微妙に若返る薬」
http://hayabusa.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1335003782/
小鳥「ふふふ・・・ついに念願の若返り薬を手に入れたわ!!これでPさんと・・フヒッ。」
社長「あー音無君ちょっといいかね。今月の予算の話なんだが・・」
小鳥「ピヨッ!!ちょ、ちょっと待って下さい!今行きますー!」コトッ
・・・・・・・・・・・・
P「邪っっ!おはようございます!!・・・って誰もいないのか?・・・ん?なんだこのドリンク」
P「ちょうど喉乾いてたし有難く飲んじゃおう。」ゴクゴク
P「うっ・・か、体が・・・・・あつぃ」バタッ
春香「おはよーございまーす!」ガチャ
P「おう!春香おはよう!今日も可愛いな!」ニコッ
春香「ん?えーっと・・どちら様ですか?もしかして新入さんですか?」
P「は?何言ってんだよ?俺だよ俺、Pだよ」
春香「は?え?」 ピヨー!!!
春香「いや、今来たばっかりなんで・・何のドリンクなんですか?」
P「あーあれ小鳥さんのだったんですか。喉乾いたんで飲んじゃいました」アハハ
小鳥「(え・・何このイケメン・・ってあのドリンクを飲んだ!?ってことは・・)」
小鳥「・・・もしかしてあなたPさん?」
P「ええ。」
春香「」小鳥「」
P「まぁ仕事が出来ない訳じゃないんで取り合えずいつも通りで仕事は頑張るから、改めて皆よろしく!」
貴音「(年の頃は17,8と言ったところでしょうか、、にしてもこれは・・)」
美希「(信じられないイケメンさんなの・・ドキドキが止まらないの・・)」
千早「私のことはちー姉と呼んでください!」
P「お、落ち着け二人とも。それより今日の予定は真と響きのレッスンの付き添いだったな。」
響「そ、そうだぞー!さぁ早速出発するさぁー!!」ギュッ
真「あ!ずるいぞ響!(ギュッ) じゃあ行きましょう!」
P「あ、こら引っ張るな!って二人とも胸が当たってるって!」バタン
美希「ぐぬぬ」
雪歩「・・・」
千早「ふふ・・照れちゃって」
真「きゃるるーん!」シュタクルクル
P「二人とも相変わらず凄いキレだなー。これなら次のライブも成功間違いなしだ」ウンウン
真「プロデューサー!折角だから一緒に踊りませんか?しゃるうぃーだんす!なんちゃって☆」
P「お!いいのか?これでも昔は結構運動神経良かったんだぞ。リズムに乗るぜ!!」
真「ははは!お手柔らかにお願いします!」
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
P「フハハハ!!体が軽い!軽いぞぉー!」シュバババババ
響「ぜぇ・・ぜぇ・・二人がかりでも付いて行くのがやっとさぁ・・」ハァハァ
真「も、もうだめー」
真「ホント凄かったですよ!途中から見とれてましたもん!」シャツドウゾ
P「はは。おだてても何も出ませんよっと。んしょんしょ。」ヌギヌギ
真・響「!!!!!!!?」
真「(何て綺麗な腹筋!!ってか体綺麗すぎでしょ!)」
響「(あのイケメン顔でこの体は卑怯だぞ)」ジュン
P「んどうした?顔真っ赤だぞ。ちょっと今日は飛ばし過ぎたかな。無理はいけないからな、今日終わりにしよう。」
亜美「にしても兄Cホントにイケメンさんだったんだね→。」
真美「うん///かっこよかったね///」
あずさ「思春期特有のフレッシュなオーラがたまらなかったわねぇ〜。誘惑しちゃおうかしら〜」
春香「あれだけイケメンならアイドルとして十分通用しそうだよね。」
貴音「ええ、不本意ながら見惚れてしましました。」
千早「(ああっ!だめよプロデューサー君!!横の部屋には弟がいるの!!)」ハァハァ
雪歩「ち、千早ちゃん?」
美希「ハニー!!どうしたのその格好?」
P「ん?これか、なんか折角若くなったんだし昔の服着てみたんだよ。つっても学生服だけどね。」
美希「すっごーくカッコイイの!ねぇねぇ、美希も今日は制服だしこのままデートに行くの!」
P「ん〜悪い。今日は千早と春香のボイトレに付き合うことになってんだ。埋め合わせは今度するよ」ニコッ
美希「はうっ///分かったの。・・ちょっとトイレなの」
P「さてと、じゃあ千早、春香行こうか。」 ハニー!ハニー!モットハゲシク!・・ンアーナノ!
千早「宜しくお願いします(キタ―!!!)」
春香「宜しくお願いしまーす!!」
千早「んあー」
P「おいおい、どうした二人とも。今日は声の張りがないぞ。」
千早「(くっ!いつものプロデューサーなら大丈夫だけど同年代の男の子に見られてるのは恥ずかしい!)」
春香「え?どこか悪かったですか?」
P「う〜ん。何て言ったらいいかなぁ、ちょっと俺が歌ってみるな。」
P「〜〜〜〜♪」
千早「(天使の歌声だよぉぉぉ)」ビクンビクン
春香「ふわぁぁ」
P「〜〜〜〜♪ってな感じかな。ん?どうした二人とも」
春香「凄いですよプロデューサさんの歌声!ね、千早ちゃん!」
千早「(しゅごいのぉぉぉPの声しゅごぃぃぃ)」ビクンビクン
春香「ち、千早ちゃん!?」
P「久々のオフがぁ・・・きたー!!今日は体からカビが生えるまで寝てやる!!」ベッドイン
ガンガン!!!
P「うるせ―!!俺は今日ベッドと一体化してんだ!押し売りはかえれYO!」
ガチャガチャ・・・ギィー・・バタン
P「え・・今ドア開いた・・・」
黒服「」ゾロゾロ
P「え!?ちょ、ちょっと何!!何入ってきてんの!!」
黒服「ターゲット発見。連れて行け。」
P「な、何をするだーーー!!」
伊織「おはようだーりん。パジャマ姿も素敵ね。」
P「何だ伊織か。ってから用があったなら普通に呼べよ。」
伊織「だって・・その・・恥ずかしいじゃない。」
P「(やべぇちょっとドキッっときた)」キュン
P「あー、んんっ!で、何の用なんだ?」
伊織「今日は折角のオフなんでしょ?この伊織ちゃんが買い物に付き合ってあげるわ!感謝しなさい!」
伊織「なにブツブツ言ってんのよ。次はこれを着なさい!」
P「さっきから試着させすぎだろ。てかなんで写真撮ってんだよ。」
伊織「フヒヒ。もちろん部屋中に張る為よ(何勘違いしてんの!アンタを撮ってるんじゃなくて服を撮ってるの!)」
P「もう好きにして・・・ってあれは貴音?あ、こっちに気づいた。」
貴音「こんにちはP君!こんな所で会うなんて運命的だねっ!これから一緒にお昼ご飯でもどうかな?」
伊織「ちょ、ちょっとアンタがなんでこんな所に居るのよ!てかキャラがブレブレじゃない!」
貴音「はっ・・。申し訳ありません。少々取り乱してしまいまして。改めておはようございます貴方様。いえ、P君。」
P「お、おう。おはよう。貴音は今日はオフだっけか?」
貴音「ええ。らあめんを食べに来たのですが、貴方様・・いえP君の気配がしたものですから。」
P「そうか。ならこの後一緒に飯でも食うか?いいよな、伊織。」
伊織「しょ、しょうがないわね!じゃあさっさと行くわよ」ギュッ
貴音「ふふ。では参りましょうか。」ギュ
P「わっほい!」
P「おはようやよい!はいたーっち!」
やよい「たーっち!えへへお兄ちゃん会いたかったです!」
P「ああ、俺も会いたかったぞ。やよいは可愛いなぁー」ナデナデ
やよい「えへへお兄ちゃん大好きです!」
律子「今までは犯罪臭のする光景だったけど流石にあの見た目だと微笑ましいですね」
あずさ「ええ、とっても良い光景ですね(青い果実って良いわねぇ。)」
P「ちょ抱きつくのはやめて下さいって!!な、撫でますから放して下さい!」アセアセ
律子「あ、ずるいですよ。私もお願いします。」
P「はいはい。んじゃあいきますよ。まずはあずささんから」ナデナデ
あずさ「ん・・・あっ・・ふぁ・」
P「(エロい・・・)じゃ、じゃあ次は律子な」ナデナデ
律子「こ、これは中々良いですね。癖になりそうです。」
P「ははっ。こんなのでよければ何時でもやってやるよ。律子には世話になってるしな。」
律子「えへへ。ありがとうございます。」ギュッ
P「おうふ」
春香「どうしたんですか?何かあったんですか?」
小鳥「それがプロデューサーさんがあの姿になってからやたら仕事がはいるようになってね。まぁそれ自体はいいんだけど。」
小鳥「依頼主が女性ばっかりなのよね。明日の打ち合わせも別にメールで済むような内容なのに。」
春香「イケメン恐るべしですね。」
小鳥「むぅ。私のプロデューサーさんに色目を使わないでほしいピヨ」
春香「ですよねー。あとプロデューサーさんは私のです。」
小鳥「ピヨ・・」
社長「いやぁやっぱり私の目に狂いは無かったよ!」
P「ありがとうございます。自分でもびっくりですよ。」
律子「まさかのアイドルデビューですもんね。しかもあのジュピターを抑えてまさかのデビューシングル200万枚ですもん。」
美希「これで一緒のステージで美希とラブラブ出来るね!ハニー!」
伊織「何言ってんの。ダーリンは私と二人でユニットを組むのよ!」
あずさ「あらあら〜。じゃあ私とは夜のデュエットをおねがいしようかしら〜」
貴音「ふふ。もちろん本妻はわたくしですよね。貴方様(はぁと)」
響「ずるいぞ貴音!じゃあ自分はプロデューサーのぺ、ペットになるぞ!」
真「流石にそれはないんじゃないかな?ところで腹筋舐めさせてください!」
やよい「うっう〜!妹は譲らないですよー。」
亜美「いーや、妹枠は亜美で決まりだね!」
真美「真美に決まってるよね?兄(C)」
春香「あ、えーとんじゃあ私はー」
小鳥「こうして伝説のアイドルが誕生しましたとさ。おしまいピヨ」
妄想吐き出せてすっきりです。
雪歩出番なくてごめんな!
後は好きに書くなり落とすなりしてくれ。
おやすみ。
Entry ⇒ 2012.04.27 | Category ⇒ アイマスSS | Comments (0) | Trackbacks (0)
杏子「突撃!隣町の晩御飯!」
http://hayabusa.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1334319362/
マミ「えっ!?佐倉さん!?」
杏子「美味そうな匂いがしたんで来ちゃったよ」
マミ「えっと、これは、その…」
杏子「さあ今日の晩飯は………」
ジュウジュウ… ジュウウウ…
杏子「一人焼肉…だと…」
マミ「いっいつもこんなもの食べてるんじゃないわよ!?」
杏子「にしたって一人って…一人って…」
マミ「…それ以上は言わないで……」
杏子「呼んでくれたらよかったのに…」
マミ「月に一度の自分へのご褒美なの…」
杏子「…なんか、悪かった。ごめん」
ほむら「あら、杏子何か用?」
杏子「腹が減ったんで来ちゃったよ」
ほむら「困ったわね…」
杏子「さあ今日の晩飯は…」
杏子「『からあげ弁当 表示価格より半額』…?」
ほむら「近くのスーパーで買ってきただけのお弁当よ」
杏子「お前…案外苦労してんだな…」
ほむら「貴女ほどではないわよ…はいこれ」
杏子「いや、もらえねぇよさすがに…」
ほむら「いいのよ、どうせいつも半分残してるんだから」
杏子「いままで犯してきた罪の数を数えろぉ!!」
まどか「あれ?どうしたの杏子ちゃん」
杏子「腹減ってさぁ、なんか食いモンないかい?」
まどか「ちょうどよかった、今からご飯だから一緒に食べよ?」
杏子「さあ今日の晩飯は…」
杏子「…非の打ち所がねぇ」
知久「お褒めに預かり光栄です」ニコッ
まどか「えへへ、パパのご飯美味しいでしょう?」
杏子「こんなに美味い飯を出す家庭を私は他に知らない…」
タツヤ「あかいーあかいー」バタバタ
ガシャンッ
まどか「あーもうタッ君ったら仕方ないなぁ」
杏子「こんなに美味いモンを…この幸せ者がぁぁぁぁぁぁぁ!!」
知久「ちょっちょっと落ち着いて!ね!?」
さやか「よっ、杏子どしたの?」
杏子「さっきまどかの家で飯ご馳走になったんだけどさ、これがめちゃくちゃ美味くってさ!」
さやか「あー、まどかのお父さん料理上手だもんね」
杏子「それでお前のとこの飯と比べに来たんだけど」
さやか「イヤな言い方するな…ようするにまだお腹減ってんでしょ?上がりなよ」
杏子「さあ今日の晩飯は…」
杏子「ごめん、やっぱいいや」
さやか「コラちょっと待て」
杏子「この飯作ったのって…」
さやか「あ・た・し・だ・よ、文句ある?」
杏子「ダメだ、魅力たっぷりだったら腹一杯でもイケると思ったんだけど」
さやか「あんた本当に何しに来たの!?」
恭介「君は…?」
杏子「さやかの友達だ。よかったら飯を恵んでくれねぇかい?」
恭介「へぇ…さやかは顔が広いなぁ、大したもてなしは出来ないけどどうぞ」
杏子「さあ今日の晩飯は…」
杏子「家の建て構えの割にはシンプルっつーか地味っつーか少ねぇっつーか」
恭介「…豪勢な家だからっていつも豪華なものを食べてるとは限らないんだよ?」
杏子「なーんだ、ハズレかよぉ」
恭介「さやかも苦労してるんだな…今度話くらい聞いてあげなきゃな…」
天然女たらしじゃないすかーやだー
仁美「あら、どちら様ですの?」
杏子「さやかとまどかの友達だ、なんか食わせてくれないかい?」
仁美「お二人のご友人…でしたら粗野に扱うわけにも参りませんね、どうぞ」
杏子「さあ今日の晩飯は…」
杏子「…この家は海草しか食べられない呪いでも受けてんのかい?」
仁美「あら、髪の美しさを保つには欠かせない食品ですのよ?」
杏子「そうか…一時期リンゴばっか食べてたもんなぁあたし…」
仁美「人の話を聞いておりますの?」
早乙女「誰かしらあなたは、見滝原中の生徒じゃありませんね?」
杏子「すんません、腹減ってるんでなんか食わせてもらえないですか?」
早乙女「うーん…さすがに見も知りもしない人を家に上げるようでは主婦になれそうもないし…」
杏子「………」スッ
早乙女「ん?なにかしらこれ?」
『女の魅力はここで魅せる! オトす手順完全マスターガイド』
早乙女「…わかってるじゃない、どうぞ」
杏子(ほむらの言うとおりだった…ありがとう)
杏子「さあ今日の晩飯は…」
杏子「嫁入り修行、やり直したほうがいいんじゃねぇの?」
早乙女「ちくしょーーーーーー!!!」
中沢「え?誰?」
杏子「さやかとまどかの友達だ、なんか食いモンくれないかい?」
中沢「美樹さんと鹿目さんの?俺あんまり話したこともないんだけど…」
杏子「どっちでもいいじゃん、話した事あろうとなかろうと」
中沢「まぁそうなんだけど…」
杏子「さあ今日の晩飯は…」
杏子「…リアクション取りづらい……」
中沢「味も濃すぎず薄すぎず、さっぱりしていないけどしつこくもない、凄く不味くも無いけど美味くもないだろ?」
杏子「食いモンがここまで成長に関わるとは…」
中沢「まあそんなこともどっちでもいいよ」
ショウ「…キミだれ?中学生?」
杏子「えーと…口実も思いつかないけど、あたし腹減ってんだ」
ショウ「人の家に上がりこんでそれとは…将来大物になるよきっと」
杏子「お世辞言うなら飯をくれ」
ショウ「そうだな…こんなものしか無いが…」
杏子「さあ今日の晩飯は…」
杏子「なんか腹を満たすだけってカンジの飯だな」ケップ
ショウ「まかない飯だからな、美味い飯は外で女に奢らせてるし」
杏子「飯ぐらいちゃんと作れたほうがいいんじゃねーの?」
ショウ「必要なことに必要なだけ使うだけでも足りないんだ、時間をそんなところに割けるかよ」キリッ
杏子(こいつ…カッコいいこと言ってる自分に酔うタイプか…)
マミ「あら…いらっしゃい、佐倉さん…」
杏子「なんかまだ匂い残ってるなぁ」スンスン
マミ「お願いだから…忘れてちょうだい…」
杏子「忘れてやるからよぉ、お前の手料理食わせてくれよ」
マミ「え?」
杏子「ここ何日か色んなとこで飯食ったけど、やっぱあたしにはマミの飯が一番合うよ」
マミ「佐倉さん…」
杏子「ダメかい?マミ」
マミ「…ううん!今腕によりをかけて作るから待っててね!」
杏子「へへっ…楽しみだ!!」
おわり
単発ネタに付き合ってくれてありがとう
ほのぼのしてて良かった
Entry ⇒ 2012.04.27 | Category ⇒ まどかマギカSS | Comments (0) | Trackbacks (0)
高田純次「ふーん、ここが夜見北中? 中学生がいっぱいいるね」
http://hayabusa.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1334847116/
風見「高田純次君、だよね? 僕は3組のクラス委員をやってる風見智彦。よろしく」
桜木「同じくクラス委員の桜木ゆかりです。こちらは……」
赤沢「対策係の赤沢泉美よ」
高田「僕はトム・クルーズっていうんだ。よろしくね」
桜木「……急な病気で入院してるって聞いて、皆から御見舞いに行こうって話になったんです。私達は代表として来ました」
高田「そうなんだ、花束まで持ってきてくれてありがとう。今度看護婦さんを口説くときに使うよ、それとも君に使おうかな?」
風見「……東京の私立高から来たんだってね。夜見山に来たのは、初めて? 住んだことはない?」
高田「君メガネ似合ってるね。僕がメガネドレッサー賞に推薦してあげるよ、何の縁もないけど」
桜木・赤沢・風見(なんだこいつ……)
高田「助かるね〜、どれどれ……うわ、何書いてるのかわかんないや。レベル高いんだね君達の学校って」
風見「え?」
高田「あ、逆だった。ごめんごめん」
赤沢「……5月には学校に来れるんですってね。早く登校出来ることを願ってるわ、よろしく、純次君」スッ
高田「? こちらこそよろしく」ニギッ
風見・桜木「……」
赤沢「純次君、改めて訊くけど、夜見山に住んだことはない?」
高田「君みたいなおっぱい大きい子見ちゃったら絶対忘れないと思うから、たぶんないと思うよ」
赤沢「!?」バッ
高田「可愛い子ならたくさんいるから忘れちゃうんだけど、可愛くておっぱい大きい子は中々いないもん、ね?」
風見(こっち見るなよ……)
桜木(これは死者であってほしい……)
高田「フフフ〜ン♪ っと、勝手に閉まらないでよ、困るな全く」
ガタッ ガー……
高田「フンフンフ〜ン♪ ん、おかしいな? 上りのエレベーターに乗ったはずなんだけど……」
見崎「……」
高田「おっと失礼。あれ、夜見北の制服じゃない。可愛いね、僕今度夜見北に転校するんだ。一緒に登下校しない?」
見崎「……」
高田「なんでまた地下二階なんかに?」
見崎「……待ってるから。かわいそうな私の半身がそこで」
高田「へえ、僕は屋上に行くんだ。可愛い看護婦さんが待っててくれれば良いんだけど、いないんだよね。残念」
見崎(変な人にからまれた……早く降りたい……)
ガチャン
高田「君、名前はなんていうの?」
見崎「……鳴、見崎鳴」
高田「鳴ちゃんか。良い名前じゃない、同じクラスだといいね」
見崎「……」スタスタ
高田「僕は高田純次。石田純一と間違えたらダメだよ? ま、同じくらいカッコいいから間違うのも無理はないけどさ」
見崎(絶対に同じクラスになんてなってほしくない)
久保寺「とにかく皆と仲良くしてください。何かあったら相談してくださいね。私なり、三神先生にでも」スタスタ
三神「よろしくね、高田君」
高田「4階はないんですね、この学校。やっぱり縁起が悪いから?」
三神「そ、そうでしょうね」
高田「ま、三学年しかないんだから3階しかないのが普通でしょうけどね」
久保寺(おかしなことを起こさないといいのですが……)
教室
高田「高田純次と言います。父の仕事の都合でこちらに来ることになりました。どうぞよろしく」
生徒「……」
高田「13歳から25歳までがストライクゾーンです。ただ、入院したことによって26歳にまで広がる可能性が出てきました」
高田「それでも三神先生が対象になるかはわかりませんけど」
三神「なっ!」
クスクス ヘンナヤツダナ... ドストライクダロ、ナニイッテンダコイツ フェアジャナイネ
高田「はーい」スタスタ
高田(あっ、鳴ちゃんだ)フリフリ
見崎「……」フイッ
高田(あれぇ? ……そうか、周期ってあるもんなあ)
見崎(最悪……)
高田「今度アメリカの大統領選に出ようと思うんだ。ヒゲを生やしたら大統領になれた人がいるくらいだしね」
綾野「あはは、何それー?」
勅使河原「東京からこんな田舎に来るってのも面倒なことになったよなあ」
高田「東京なんて大したことないよ。東京に行ったことないおじいちゃんが言ってた」
勅使河原「おいおい……」
望月「三神先生の家に御世話になってるんだってね」
高田「うん。ところで君は処女?」
望月「えっ!?」
勅使河原「気持ちはわからんでもないが、こいつは男だ」
高田「知ってるよ、それくらい」
望月「もう……」
綾野「じゅんじっちゃんってなんていうかテキトーだよねぇ」クスクス
風見・桜木(溶け込んでる……)
高田「このクラスにツインテールでおっぱい大きい子いるでしょ。あの子は今日どうしたの?」
勅使河原「赤沢か? あいつなら休みだよ。ていうかそんな呼び方本人の前ではやめろよ、気難しいヤツだから」
高田「じゃあなんて呼べばいいのかな、ジュリアン・ムーアに似てる子とか?」
勅使河原「そういう話じゃねえよ……ま、いいや、昼休みに校内案内してやろうか? 話したいこともまだまだあるしな」
高田「可愛い女の子もついでによろしく。あ、このクラスだけで間に合いそうだね」キョロキョロ
勅使河原「ははっ、東京に比べたらそうでもないだろ?」
高田「田舎の中学生はまだギリギリスレてないから処女が多いじゃん」
桜木(うわぁ……)
高田「じゃ、僕は授業始まる前にトイレにでも行ってこようかな」
勅使河原「すぐ戻ってこいよ」
高田(さてと、鳴ちゃんを待つか)
高田(来ないなぁ、保健室にでも行ったのかなあ)
久保寺「高田君、授業が始まりますよ」
高田「ちょっと痔が悪化したので保健室に行ってきまーす」タッタッ
久保寺「は、はぁ?」
高田(とはいったものの保健室がどこにあるかなんてわかんないしなあ……うん、屋上に行って寝ようか)
屋上
見崎「……」
高田「あれ、鳴ちゃんもサボリ? 奇遇だね、どうせだからおじさんと日向ぼっこしない?」
見崎(嫌だ……)
高田「絵描いてるんだ。僕もゴッホは好きだよ。ゴッホしか知らないんだけど」
見崎「そういう適当な話し方、嫌い」
高田「昔オランダに行ったけど皆あんまり絵が上手くないんだよね、ゴッホはあんなに上手いのに」
見崎(いっそ現象で死んでもらいたい……)
高田「何を?」
見崎「……何も知らないのね。私には近寄らないほうが良い、話すのも、もうやめたほうがいい」
高田「えぇ、無理だよ。僕一日女の子と話さないだけで7時間しか眠れなくなっちゃうんだから」
見崎「……とにかくその内わかってくるから。じゃあね、た・か・だ・君」
高田「今の良いね、もう一回言ってくれない? Mっ気がくすぐられそうだよ、おじさんはSとMでいったらLだけど」
見崎(現象とか関係なく死んでもらいたい)
高田(どうやら鳴ちゃんはクラスの皆に無視されているみたいだけど、その理由は鳴ちゃんをはじめ誰も教えてくれない)
高田(イジメられてるのか、でもそんな悪いヤツらには見えないし……)
赤沢「じゃあ夜見山には出生した時以来一度しか来てないのね?」
高田「そうだね、でもなんでまた?」
赤沢「あなたと一度会った気がするのよ、人違いの可能性も含めてはっきりさせておきたいの」
高田「そういえば子供の頃可愛い子と遊んでたな。結局おっぱい小さい子に育っちゃったんだけどね」
赤沢「……」ワナワナ
桜木「あ、赤沢さん、落ち着いて……」
見崎「……」スタスタ
高田(あ、鳴ちゃんだ)
高田「じゃ、僕ポケモン観たいからこれで」
赤沢「あ、ちょっと!」
高田(家に行くのかな? ちょっとお邪魔させてもらおうか)
『夜見のたそがれの、うつろなる蒼き瞳の。』
高田「ごめんくださーい……暗いなぁ。店か何かやってるのかな?」
天根「いらっしゃい。おや、若い男の子とは珍しいね」
高田「お客自体珍しそうですけど」
天根「中学生かい? なら半額で……」
高田「お嬢さん暗いから見えないけど、綺麗な顔してますね」
天根「……ごゆっくり見てお行き」
高田(人形屋さんなのかぁ、悪い雰囲気じゃないねえ。でも絶対繁盛しないよ、するかもしれないけど)
高田(この人形なんか腕がもげちゃってるし、廃棄品ってやつか)
高田「ん、これって、鳴ちゃん……?」
見崎「なぜここにあなたがいるの?」
高田「あ、こっちにも鳴ちゃん」
見崎「……似てるって思う?」
高田「似てるけど出来はよくないよね。だって鳴ちゃんの可愛さが再現できてないもの」
見崎「そ、そういうこといわないでっ」
高田「そうか、人形が悪いんじゃないのか。鳴ちゃんが可愛すぎるんだねえ」
見崎(やっぱりこの人嫌い……)
見崎「……やっぱりそう思う?」
高田「そこのところ、はっきりさせてほしいな」
見崎「……」フイッ
高田「目を背けないでよ。これって僕自身にも関わる問題だからさ」ガシッ
見崎「っ!」
高田「僕はあんまり考えたくないんだよね、クラスの連中がそんなことをするヤツらだなんて」ジッ
高田「それに、鳴ちゃんほど可愛い子がこんな目にあってるだなんて見てて可哀想で仕方ないんだよ」
見崎(なんで今更真面目に……でもこの人の目は……)
見崎「イジメではないわ。それは信じて。クラスの皆のためにも」
高田「そう、ならいいんだ」パッ
見崎「……」フイッ
高田「ん、電話か……もしもし? え、ユンゲラーがスプーンを曲げた? へえ凄いね」
高田「それならそろそろ飛行機も曲げられるんじゃないかな。うん、それじゃ」ピッ
高田「ま、今日はイジメがないってわかっただけでも安心したよ」
見崎「何にも知らないのね、高田君。教えてあげられるだけのことは、教えてもいいんだけど」
高田「そう? じゃあスリーサイズを教えてよ」
見崎「!」バッ
高田「ははは、冗談冗談」
見崎(やっぱり信じきれない……)
高田(クラスメートからは詳しいことは訊けず、そうこうする内に定期試験がやってきた)
生徒「……」カリカリ ケシケシ
高田(鳴ちゃんまた廊下に出ちゃったか)ガタッ
ガラッ
勅使河原(おいおい、もしかして……)
赤沢「……」ギリッ
久保寺(はぁ、どうせ彼のことだから……いや、全部埋まっている。それに回答も……?)
廊下
高田「鳴ちゃん、頭良いんだね。昨日もさっさと廊下に出ちゃってたし」
見崎「あなたのテストは大丈夫なの?」
高田「勉強よりも大事なことはあるよ。例えば……ん、なんだろう? ごめん、やっぱり勉強は大切かもしれないや」
見崎「……私はいいの。いない者だから。皆には、私のこと、見えてないから」
高田「……それって僕にはイジメにしか見えないんだけどな」
見崎「……」
桜木「はっ、はっ」タッタッ
高田「ゆかりちゃん、どうしたの?」
桜木「あっ!? ……っ!」クルッ
高田「ゆかりちゃん、今日のパンツはピンクなんだね」
桜木「えっ!?」バッ
高田「当たりなんだ。今日は雨だから廊下も階段もよくすべるし、転んじゃ大変だよ。パンツは見えてもいいけどね」
桜木「っ!」ダッ
桜木(お母さんが事故に遭ったっていうのに、こんな……!)
桜木「あっ!?」ツルッ ガシッ
桜木(あ、危なかった、手すりにつかまったおかげで……ううん、高田君が注意してくれたおかげで……?)
桜木(……私が怪我したら本末転倒だ。きっと大丈夫。大丈夫……!)
見崎「たぶん、始まったんだと思う。いや、もう始まってる……」
高田「……」
高田(後で訊いたところによると、ゆかりちゃんのお母さんが交通事故にあって病院に搬送されたのだという)
高田(検査の結果命に別条はなく怪我自体も1ヵ月ほどで治るものだそうだ)
高田(それから6月になったが、3年3組の噂のことはわかっていない)
高田「まあ、そういうわけで」
水野「ふうん、なかなかやっかいな話ね……」
高田「他にもやっかいなことはあるんですけどね。その鳴ちゃんでさえも何も話してくれない、ってこととか」
水野「へー、テキトー少年はその鳴ちゃんのことが好きなんだ?」
高田「好きですね、ええ。でも水野さんも好きですよ」
水野「えっ!」ガタッ
高田「僕はナースが好きなんですよ。ナース服をまとってお世話してくれるっていうのがいい。いっそナース服だけでもいい」
水野「……それって私は関係ないってことかな?」
高田(とはいえ、6月になったら詳しく教えてもらえるってことで約束してるんだけどね)
綾野「あれー? じゅんじっちゃんどうしたの?」
高田「おー彩ちゃん。そっちこそサボリかい? たまにハメ外すのはいいよね、たまにハメるのもいいけどさ」
綾野「ん、ん〜? ……ま、サボりはサボりだけどねえ、ちょっと観たい舞台があるもんでねえ」
高田「そっか、彩ちゃんは演劇部だったか。僕も演技はやりたいんだけどねえ」
綾野「じゃあ今からでも演劇部に入っちゃえばいいじゃん」
高田「僕の目指すところはハリウッドなんだよ」
綾野「またまたぁ」
高田「タイタニックのオーディションに行ったらすんごい俳優がいるもんで譲っちゃった。本気出したら僕が主役だったのにね」
綾野「あはは、ほんといっつも適当だよねー。頭どうなってるの?」
高田「覗いてみる? なんなら全部さらけ出しちゃってもいいよ?」プチプチ
綾野「ちょっと、なに服に手をかけてんのさっ」
高田・綾野「!」
高田「おお、ガラスが粉々に……」
綾野「……こ、怖いねー、もしあそこにでも立ってたりしたら……」ガクガク
高田「大丈夫? 膝笑ってるけど」
綾野「え? あ、あぁうん……」ガクガク
高田「立って仕方ないっていうのならともかく、立ってるだけでもやっとってどんな状態だろうね」
綾野「なにいってるかわかんないよ……」
高田「彩ちゃんって鎖骨綺麗だねえ」
綾野「えっ、そうかな……ってどこみてんのさっ!?」
高田「ハナから見えるから見るのよ。隠れてても見ようと頑張るけどね」
綾野「もー、何言って……ああもう、なんかどうでもよくなっちゃった」
高田「それは隠すことがどうでもよくなったから見せてくれるってこと?」
綾野「そっちじゃない! ガラスのこと!」
勅使河原「すまん、ジュン。今月に教えるって言ったけど、やっぱあれ無しにしてくれ」
高田「ええ? 困るよぉ、てっしー」
赤沢「状況が変わったのよ」
勅使河原「そう、状況が変わったんだ」
高田「えぇ……まあ結婚の誓いが日々を重ねればないがしろにされる世の中だしねえ」ケロッ
赤沢「……」イラッ
勅使河原(お、おい落ちつけっ!)
高田(しょうがないなあ、たぶん学校の連中からは大したことは訊き出せないんだろう。今日は水野さんのとこにでも行くか)
高田「僕、これから病院に行かないといけないから。連絡よろしく」スタスタ
赤沢「ちょっ!? 待ちなさい!」
高田「僕痔だから座ってるだけでも辛いんだよねえ」スタスタ
水野「あれ、純次君じゃない。今日は検査なんてないはずだけど、どうしたの?」
高田「水野さんって何歳だったっけ、って気になったのよ」
水野「失礼な……本当の理由を教えなさい、どっちみち私の歳は教えないけど」
高田「いいよ、当ててみるから。26から35の間ですよね? 僕のストライクゾーンからは外れちゃう売れ残りの年代」
水野「まだハタチよ! ……って、はぁ……疲れるわ、君といると」
高田「僕は癒されますよ。ところで、やっぱり手がかりが見つからないものでして」
水野「あぁ、それならそうと最初からいいなさい。ちゃんと調べておいたんだから……」
ガタァンッ!
高田・水野「!」
「な、なんだ!?」「どうしたの、ねえ! ちょっと!」「え゛ぇ〜ん! びぇ〜ん!!」
水野「お、落ち着いてください! 今原因を確かめに参りますので、せめてお静かに……」
高田「あっちから音がしたねえ、いってみようか」
水野「あ、ちょっと!」
高田(幸い乗客は誰もいなかったが、水野さんは病院の職員共々後始末に追われ、詳しい話は電話で訊くことになった。)
高田(どうやら鳴ちゃんは本当にいない者として扱われているらしい。そして夜見北の噂は事実だった)
高田「でもはっきり言って進展はないよねえ」
高田「てっしーが約束破って以来どこかクラスメートの態度もよそよそしいし……」
高田「田舎の集まりって厳しいらしいしなあ、東京でも大して変らないかもしれないけど」
高田「となるとこっそり待ち受けて帰り道で、ってことになるか……」
見崎「……」
高田「あ、鳴ちゃん。いっしょに帰らない? 何も奢ってあげられないけど。奢られるのは大好きなんだけどね」
見崎「勝手にすれば」
高田「それはどこまで許してもらえるの? あ、待ってよ」
高林「……やっぱり、フェアじゃないよね」
望月「仕方ないよ、僕達に降りかかってくることだってあるんだから……」
高林「でも……うっ!」
望月「高林君!?」
これは一体
高田(すぐに保健室で処置して救急車で搬送した結果一命は取り留めたが、しばらく学校には来られないみたいだ)
高田(加えてあれから自分なりに色々と調べてみたところ、僕の母親も夜見北の生徒だったことを知った)
高田(うっすらながら、このクラスは死に近づいているクラスであることがわかってきた)
高田「うーん、とはいえそろそろ限界も見えてきたなあ、やっぱりクラスの皆の協力が……」
高田「あれ、だれもいないや。今日って休みだっけ。なら仕方ないよね、よし、水野さんのとこに……」
久保寺「今日は通常通り授業がありますよ、高田君」
高田「ところで先生はナースは白が良いと思います? ピンク? はたまた青?」
久保寺「……皆は美術室にいるはずです。それから、くれぐれもクラスの約束は守るように」
高田「この間約束を破られたばっかりなんですけどね。破るのは記録とアレだけで十分だと思うんだけど」
久保寺「……」スタスタ
高田「やぁ、おはよう。君肌黄色いね、日本人だから当然だけど」
和久井「! ……」
高田「あれ?」キョロキョロ
望月「!」フイッ
桜木(高田君……ごめんなさい)
綾野(まだ人は死んでないのに……)
赤沢「……」
廊下
高田「……てっしー」
勅使河原「……すまねえ」
高田「この間貸した『ちちまる子ちゃん』だけは返してね」
勅使河原「そんなもん借りてねえよ! あっ……くっ」クルッ
高田(ははーん……)
高田「どうやら僕もいない者になっちゃったみたいだよ」
見崎「やっぱり……」
高田「まあ良いけどねえ、サボれるし痔に苦しむことはないし、それに鳴ちゃんと一緒にいられる」
見崎「適当なこと言ってても、耐えられるものじゃないと思うけど」
高田「いや、最後は本心だよ。ずっと一人だった鳴ちゃんの隣に、これで堂々といられることになる」
高田「ずっと半端なままだった気持ちに踏ん切りがつくわけだ。それに僕だって鳴ちゃんがいるなら、耐えられるよ。きっとね」
見崎「……」フイッ
高田(それから鳴ちゃんは僕を家に招いて詳細を話してくれた。3年3組には代々伝わる災厄があるという)
高田(それは26年前に死んだ夜見山岬をきっかけとするもので、毎年クラスの生徒および親族が死ぬというものだった)
高田(おそらく僕の母親も犠牲者の一人だ。その対処法として、誰かをいない者として扱う一貫で、鳴ちゃんが選ばれた)
見崎「毎年机が増えてるんだって。有り体に言えば、死者の霊の分だけ増えてるってこと」
高田「諸々の記録も改竄されてわからない。で、それを修正するためにいない者が必要ってことか」
見崎「理不尽でしょう?」
高田「まあね。でもそれに簡単に負けたらその理不尽を肯定したことになる。徹底的に抗わないとね」
見崎「……あなた、どっちが本当の顔なの? 適当に振る舞ってる方なのか、今の顔なのか」
高田「どっちでもいいじゃない。目に腕に足に乳首に、人間二つ持ってるのが同然なんだから性格も二つないと」
見崎「……はぁ」
高田「あら、お母様ですか? 鳴ちゃんと並べたいほどお綺麗だ。はじめまして、高田純次と申します」
霧果「これはご丁寧に。私は霧果、この子の母です」
高田「僕のストライクゾーンは30から40なんですよ、もしかしたらお母様も引っかかるかもしれません」
霧果「あら残念ね、私は18歳よ」
高田「あらぁ、これは一本取られた」
見崎「……高田君、そろそろ帰った方が良いんじゃない?」
高田「ん? 普通5時からが勝負どころでしょ、お母様なんかはもっと遅い時間でしょうけど」
霧果「ふふふ、鳴、送っていってあげなさい。高田君、鳴と仲良くしてくださいね」
高田「鳴ちゃんと仲良くすることでお母様とも仲良く出来るなら、それはそれは」
見崎「……高田君、行こう」
見崎「それは見た目だけよ。本当は、あまり良いお母さんじゃない。放任主義って言うか、私にも手を掛けないし」
高田「……そっか。でも完璧にほっとかれるってわけでもないんだろう?」
見崎「完璧にはね。でも手料理とかは作ってくれないし、昔から話もほとんどしない」
見崎「それでいて、私の嫌いな携帯電話を持たせてまで管理下には置こうとする。よくわからないわ」
高田「僕には立ち入った話はできないけどね。でも他人のことなんて基本的にわからないものだよ」
高田「でも、その中でわからないなりにお母さんも答えを探そうとしてるんじゃないかな」
高田「鳴ちゃんも完全に拒絶はしてないみたいじゃない。これからわかってくるはずだよ」
高田「そんな風にこの間みのさんが相談に応えてたしさ」
見崎「……」
高田「僕にだってわからないことはいっぱいある。でも、わからないってことだけはわかってるね」
見崎「……ホント変な人」
久保寺「一口に比喩といっても様々なものがあります。直喩、暗喩、換喩……」
高田(いない者でも授業は受けないと出席とかやばいしなあ、でも痔が辛いから立ってもいいかなあ)ガタッ
金木「!」ビクッ
高田(もしここで脱いだらどうなるんだろう? あんまり大きすぎて反応させちゃうかな?)スタスタ
江藤(後ろからのプレッシャーが……)
高田(逆にあ、大したことない……って思われるのがオチだったりして。それに脱いで笑いを取るのはもう古いか……)
高田「探し物はなんですか〜見つけにくいものですか〜♪」ボソッ
勅使河原(小声ながら歌うなよ!)
王子(でも結構いい声だ……)
高田「鞄の中も、机の中も、探したけーど見つからないのに♪ 探し物はなんですか〜見つけにくいものですか〜♪」ボソボソ
柿沼(歌詞知らない!?)
杉浦「……」イライラ
高田「鞄の中も、机の中も、探したけーど見つからないのに♪ うふっふー♪ うふっふー♪」ボソボソ
佐藤(メロディーだけは知ってるんだ……)
川掘(歌詞知ってんのかよ!)
高田「夢の中へ、夢の中へ、行ってみたいと思いませんかっ……あれっ?」ボソボソ
辻井(メロディ間違えたな)
高田「……ふぅ」スタッ
勅使河原(なんだったんだ一体……)
赤沢(後ろで一体何が……)
高田(案外退屈しないな、これ)
見崎(夢の中へー……夢の中へー……)
高田「プレゼントくれて、どうもありがとう♪ 楽しんでくれて、どうもありがとう♪」
見崎「……」モグモグ
高田「手を振ってくれて、どうもありがとう♪ 気遣ってくれて、どうもありがとう♪」
見崎「最初のありがとうはいつも、その次は本当に」
高田「知ってるなら歌ってよ」
見崎「……」モグモグ
高田「サンドイッチだけだと健康に悪いよ。サンドイッチマンを見るのはやぶさかじゃないけどね」
見崎「……?」
高田(そうだ、僕の母親が夜見北の生徒だったってことは叔母さんが何か知ってるかもしれないな)
怜子「うん、私も3組だったわ。けれど、何故だかよく覚えていないの……」
高田「男にまつわる辛い思い出があるんですね。僕もわかりますよ。そっちのケはないけど」
怜子「……ごめんなさい、ちょっと頭が痛いの。この頃疲れてるし……」
レーちゃん「レーチャン、ゲンキダシテ、レーチャンドーシテドーシテ」
怜子「あぁうるさいっ! 私あの鳥嫌い……」
高田「新しい言葉でも覚えさせましょうか。ジュンジーセクシィ、ジュンジーアサカライイオトコ、スミマセンアサカライイオトコデ」
レーちゃん「レーチャン! レーチャン!」
高田「ダメだなこりゃ。イタリア語の方が覚えるのかな? グラッチェ、チャオ、ペニストテニスハニテル」
レーちゃん「ドーシテ! ドーシテ!」
高田「よく考えれば僕イタリア語話せなかったな」
怜子「……」ズキズキ
高田(今日は何して遊ぼうかなぁ……)
ガラッ
久保寺「……」フラッ フラッ ドンッ
久保寺「みなさん、私はどうにかみなさんを3月に穏やかに卒業させてこようと頑張ってきました……」
久保寺「ですが、もう限界のようです……」
高田「いい包丁持ってますね、先生」ガサゴソ
久保寺「!?」
高田「神田川さんも使ってそうですね? 僕宝石しか鑑定できないからよくわからないけど」
風見「た、高田君! 先生から離れるんだ!」
高田「えっ?」
久保寺「返せぇっ!」
高田「おっと」ヒョイ
桜木「み、みんな逃げてっ!」ガタッ
ガラッ
千曳「久保寺先生、やめるんだっ!」
高田「誰?」
風見「勅使河原! 先生を抑えよう!」ガシッ
勅使河原「お、おう!」ガシッ
久保寺「放せぇぇぇっ!!」ジタジタ
高田「あ、刃がちょっと欠けてる、やっぱり大したものじゃないんだ」
赤沢「……」
高田(先生の母親は自宅で死体が見つかった。先生の手によるものだろう。そして先生はそっちの病院におくられたみたいだ)
屋上
勅使河原「そういうことでいない者の効果はなくなったから、お前はクラスに復帰ってわけだ」
高田「じゃあてっしーから『美少女戦士ブルセラムーン』を返してもらえるってわけだね」
見崎「……」ジト
勅使河原「借りてねえっての!」
ガチャッ
赤沢「……」ギロッ
高田「……」
赤沢「あなた達のせいよ」
高田「うん、わかってる」
勅使河原「お、おいおいちょっと待てよ!」
勅使河原「それだったら俺らにだって……」
高田「もしかしたら僕の母親も災厄の犠牲になったのかもしれないんだしね。他人事じゃないよ」
見崎「……」
赤沢「勘違いしないで、別にあなたを責めようって魂胆はないわ。ただ、そういう目を向けられることは覚悟して、ってこと」
高田「つまり僕の注目度があがるってわけだね」
勅使河原「……あのなぁ」ハァ
見崎(もう慣れた)
赤沢「無能の誹りを受けても仕方ないわ」
高田「うん、無能だね」
赤沢「なっ!?」
高田「まず鳴ちゃんみたいな可愛い子をいない者にしちゃダメだよ、僕みたいなのがくっついてきちゃうんだから」
見崎「……無能」
赤沢「……」プルプル
勅使河原「……」ハラハラ
高田「こんな風にすっきり言ったほうがいいよね、何事も」
見崎「……」コクコク
赤沢「勅使河原……あたしもう耐えられない……っ」
勅使河原「待て、おちつけぇっ!」ガシッ
高田(三神先生によると八月に合宿を開くことになったそうだ。なんでも一度だけ災厄が止まった年があるらしい)
高田(伝えられる所では、合宿先にある神社にお参りをすれば災厄は止まるのではないか、とのことだ)
プルルル……プルルル……
高田「はいもしもし、高田純次です。すいません朝から良い男で」
勅使河原『おう、お前イノヤってわかるか? 望月の姉ちゃんがやってる喫茶店なんだけど』
高田「あぁイノヤね、あのおっぱいは小さいけどスタイルはよくて黒髪ロングの清楚な子がいるパブ」
勅使河原『黒髪ロングの子はいないけど茶髪のベッピンさんはいるぜ。ちょっと話したいことがあるんだ』
高田「今日は痔の調子が良いんだけど腰が痛いんだよなあ……なんでだと思う?」
勅使河原『なんだったら見崎も連れてこいよ。災厄に関することだからそれなりの人数は揃えたいんだ』
高田「どっちみち僕鳴ちゃんの電話番号知らないんだけどね」
高田「へえ、東京とは違った風情がある店だね。僕の喫茶店番付のなかで3位には入るよ」
赤沢「1位と2位は? 今度連れて行ってもらいたいわね」
高田「あまり良い店がないから空白のままなんだよ。ていうか赤沢さんじゃない、どうしたの。てっしーは?」
赤沢「私も勅使河原に呼ばれたのよ、でもまだ来てないみたい」
高田「災厄に関することっていうんだからなんのことやらと思ったんだけど」
赤沢「そういえばあなた、私に対しては赤沢さん、よね」
高田「何が?」
赤沢「他の女の子に対しては名前じゃない、ゆかりとか、彩とか」
高田「ああ、それねえ。小学校四年生の時のクラスにイズミって子がいたんだよ」
赤沢「へえ、やっぱりどこかで……」
高田「特に可愛くもなかったし、これといって思い出もないんだけどね」
赤沢「……」
赤沢「ええ、この間話した転校生の高田純次君です」
高田「はじめまして、高田純次と言います。純粋の純に、つぎ、と書きますね」
高田「純粋を失ってしまった次は変態になるしかないという証拠のような男です」
智香「……聞きしに勝る口達者な子ね」
赤沢「ええ……」
智香「私は望月智香、あなたの同級生の優矢の姉よ」
高田「なるほど、もっちーのあのルックスは姉譲りだったわけだ」
智香「ふふふ」
高田「ところでもっちーは女の子みたいな顔をしながらも男の子なわけですが、お姉さんもそうだったりするんですか?」
智香「……ご注文を」
高田「えっ? 口移ししてくれるの?」
赤沢「二杯よ!」ドンッ
智香「……かしこまりました、少々お待ちください」
高田「赤沢さんと同じもの飲めるだけでもうれしいけどさ、どんなものなの?」
赤沢「ハワイコナエクストラファンシー、一味どころか一度飲んだらやめられないコーヒーよ」
高田「河合美智子がエクスタシーでファンタジー? すごいコーヒーだね」
赤沢「ハワイ!コナ!エクストラ!ファンシー!」
高田「うるさいなあ、コーヒーにもうるさいのに声もでかいって救いようがないよ」
高田「ふーん、これがハワイコナ」クンクン
赤沢「いい香りでしょ。味も絶品よ」
高田「どれどれ」ズズッ
高田「おお、味が違う。さっき飲んできた水道水なんかとは段違いだよ」
赤沢「……」ビキビキ
赤沢「はあ……あなたといるだけでどっと疲れるわ」
高田「災厄のことなんだけどさ、死者をどうにかすればいいんじゃないか、って僕は薄々睨んでるんだよ」
赤沢「へえ……でも誰が死者だと?」
高田「それがわかったら苦労はないよなあ、実際に死んでもらったらわかるんだけど。そんで生き返ってもらってさ」
赤沢「……あなたが死者だったとしたら?」
高田「え?」
赤沢「あなた、死者かもしれないわよ?」
高田「幽霊になったら女湯覗き放題じゃん。なんでわざわざ蘇る必要あるの」
赤沢「……」ググッ
智香(泉美ちゃん、我慢しなくていいのよ)
高田「そうかぁ、触れないのはやだもんねえ。でも、なにを根拠に?」
赤沢「はい」スッ
高田「?」チュッ
赤沢「!?」バチィン!
高田「手を差し出したらキスするのが礼儀でしょ」ヒリヒリ
赤沢「ここは日本よ!!」
赤沢「はぁ……今ちょっと触れられただけでもわかったけど、あなたの手は暖かいのよ。死者の手は、冷たいみたい」
高田「迷信っぽいけどなあ」
赤沢「それだけじゃない、あなたとは前に会ったことがある」
赤沢「この手……体が覚えてるのよ」
高田「前も言ったけど、君みたいな子とセックスしたら絶対に覚えてるはずなんだけどなあ」
バシィーン!
勅使河原「おーっす……ってどうしたんだその顔」
高田「田んぼ道歩いてたら蚊に刺されちゃってさ、田舎ってこれだから大変だよね」ヒリヒリ
赤沢「……」ムスッ
勅使河原(おおよそわかる気がするけど、何も言わんでおこう……)
高田(てっしーによると、ここイノヤを訪れる客の中に夜見北の秘密を知っている人間がいるのだという)
高田(もっちーの姉がその人の勤務先だけでも掴めたとのことで、皆で話を訊きに行くことに決まった)
見崎「私は行けないわ。家族て別荘に行くことになってるの」
高田「なんだぁ、今からでもそっちに鞍替えしようかなぁ」
見崎「大したものじゃないよ。お父さんが家族サービスの真似事をするだけの、つまんないお出かけ」
高田「てことは、お父さんがその気になればサービスの一貫として鳴ちゃんとお風呂に入ったりするの?」
見崎「しないっ」
高田「……ともあれそんな風な形でも、頑張ろうとはしてるんだろうね」
見崎「……」
高田「気が変わったらいつでもこっちにおいでよ。皆鳴ちゃんと本当は打ち解けようと思ってるんだからさ」
見崎「……うん」
高田「本人がぶつくさ言ってたみたいですよ、信頼できるんじゃないかな。僕には及ばないだろうけど。何か覚えてます?」
怜子「……15年前に合宿に行ったことは覚えてるし、確かに何かがあったんでしょうけど……」
高田「流石に15年前ともなるとね、僕もほとんど覚えてませんよ。あ、生まれてもいないや」
高田(ん、てことは……)
怜子「ごめんなさい、つくづくふがいないわね」
高田「いえいえ。怜子さんはよく頑張っていらっしゃいますよ。朝からあんな濃い化粧してまで
怜子「……マツには私が話をつけてくる」
高田「無理はしないでくださいね。あんまり化粧しちゃうと、お肌がね」
高田「どしたのその荷物。中に女の子でも入ってるの?」
勅使河原「色々準備してきたからな」
望月「赤沢さん達はまだなんだね」
高田「お、なにやら大層な車が。ヘイタクシー!」
キキッ ガチャッ
赤沢「おまたせ」
高田「歌舞伎町まで千円で行けたりする?」イソイソ
ゲシッ
高田「僕はピンピンしてるよ、PをBに代えても大丈夫なくらいにね」
中尾「うっぷ……」ゲッソリ
高田「君誰だっけ? 背中さすってあげようか?」
中尾「あぁすまねえ……」
高田「ほいじゃまあ、よっと!」バン! バン!
中尾「うぇっ! ゲロゲロォ」
高田「僕はハイヒール履いてる女の子にやられて嬉しかったんだけどなぁ」
杉浦「……緊張感がまるでないわね」
中尾「いや、朝から調子が悪いんだ……転んで頭ぶつけたせいかな、でも皆で遊べるのなんてそうないし」
高田「思い出なんて今だけ生きてれば必要ないものだよ。休むか医者に行きなさい。呼んであげるから」ピッ
中尾「お、おい!」
高田「もしもし、お名前は? ミキちゃん、僕はニコラス・ケイジっていうんだ。歳は? 25? へぇもっと若く見えるよ」
高田「救急車って何番だっけ?」
杉浦「……」
高田(朝転倒した際に頭を打ち付けたのが原因だそうで、すぐに処置したおかげが致命傷は避けられたみたいだ)
ブロロロロ……
怜子「ふぅ、これで夜見山を越えたわね」
望月「何事もなくてよかった……」
怜子「さってと……チンタラ右側走ってんじゃないわよっ」ガチャッ
ブゥーン!
望月「ひっ!」
高田「怜子さん?」
怜子「なに?」
高田「速い方が基本的には良いですよね、婚期とか」
怜子「……」ガチャッ ガチャッ
ブゥオオオッ!
高田「赤沢ちゃんは見かけどおりって感じだけど」
赤沢「ふうん、私ってどんな風に見える?」
高田「何もかもデカいよね、胸も態度も声も。きっとあの時もデカい声を出す」
赤沢「……あんたねえ」
高田「んでも可愛いからいいんじゃない? だってブサイクでデカいなんてそれだけしか取りえがなくなっちゃうし」
高田「可愛いなら他に見るべき所も出てくるしね」
赤沢「褒められてるのかしら、それ。あまり嬉しくないわ」
高田「褒められて伸びる子っているけど、さわられて伸びる子の方が多いよね」
高田「路地裏で女の子を連れてるおじさんがいたけど、他人のを見るのは楽しくないよね」
赤沢「そういう話じゃない! 感謝してるのよ。これだけはちゃんと伝えたかった」
高田「カンシャって一歩間違うと大変だよね。他にもサンポとかさ」
赤沢「……あなたって素直じゃないわね」
高田「うん、左に曲がってる。だから左肩がちょっと重い」
高田「赤沢ちゃんは両肩が重そうだよね」
赤沢「……」
怜子「訊いてみたんだけど、今日は来てないみたい。後で来るって連絡があったんだけど……」
勅使河原「それまで時間があるよなあ、ってことでっ」
杉浦「夜見山の外なら災厄は及ばないしね」
高田「僕水着なんて持ってきてないんだけど」
怜子「買ってあげるわよ」
高田「モザイクがつきませんもんね」
赤沢「あ、ちょっと待ちなさい!」
高田「日本もヌーディストビーチを取り入れないかなあ……あれ?」
鳴(ヒトデ、ヒトデ♪)ツンツン
高田「鳴ちゃん、奇遇だね」
鳴「……高田君」
高田「その麦わら帽子、ワンピースの真似? ワンピースに麦わら帽子って本当に良い取り合わせだよね」
鳴「……」
赤沢「きゃっ! やったわね……えいっ」ボンッ
勅使河原「どこに打ちあげて……」
杉浦「せーのっ」バシャアッ ビシッ
勅使河原「うげっ」ゲシッ
赤沢「あははっ!」クスクス
高田「君上手いね、なんかスポーツでもやってるの?」
杉浦「ううん、別に」
高田「あ、やっぱり? そう見えるんだよ」
杉浦「嘘よ、本当はやってるわ」
高田「ん?」
高田「いいよぉ、じゃあ拘束具を外して……」ゴソゴソ
望月「ぬ、脱がないでよっ」
高田「脱いだら遅くなるんだけどね。なぜかは想像に任せるよ」
赤沢「はぁ……」
杉浦「でも気が楽ね、高田君がいると」
赤沢「色んなことがどうでもよくなってくるわね。正直5月までは重苦しいことばっかりで滅入っちゃいそうだったんだけど」
杉浦「高田君のおかげもあって今のところ死者に限れば一人だけ、か。このまま行けばいいんだけど」
見崎「……」
高田「お城でも作るの? 別荘、近くなんだね」イソイソ
見崎「うん」
高田「お父さんはどんな人?」
見崎「詳しくは知らない。ほとんど日本にいないから。家族と言っても、ほとんどつながっていない感じ」
高田「ふーん、年がら年中つながりっぱなしっていうのも辛いだろうけどね。痙攣しちゃうこともあるみたいだし」
高田「死者なんだけどさ、そいつをいない者にするっていうのはどうかな。淋しくて勝手に死んじゃうかもしれないじゃない」
見崎「ダメだと思う。もう始まってるから。今から帳尻を合わせても……あっ」サワッ
高田「四六時中つながってるっていうのも面倒だけどさ、たまには僕のことも頼ってよ」ギュッ
高田「大体暇だからさ、呼べばいつも来るよ。いつもはつながってないけど、肝心な所ではつながってる。そんな関係も良いと思わない?」
見崎「……」ギュッ
高田「おじさんは何より鳴ちゃんともっと深くつながりたいよ」
見崎「っ!」ザッザッ
高田「ちょっとぉ、足で踏みつぶさないでよ!」
松永「らしいな。だけど正直良く覚えてないんだ……」
赤沢「合宿中に事故が起きたそうですね」
松永「ああ、そうだが、君は?」
赤沢「対策係の赤沢です」
高田「僕? この間木村拓哉に似てるって言われました、彼を6としたら僕が7ですね」
怜子「気にしないで、こういう子なの」
松永「……ともかく、合宿中に神社にお参りに行って、そこで事故が起きたんだが……」
見崎「伝えなきゃいけないことがあって何かを残した、と訊きましたが」
松永「ううん……」
高田(あのボートデザインいいなあ、赤沢ちゃんが寝そべってたら似合いそうだなあ)
イノヤ
勅使河原「教室に、か」
高田「そうみたいだね。15年前というと、おそらく旧校舎なんじゃないかな」
勅使河原「ふぅん……それじゃ皆で旧校舎に探索といくか。夏休みだし、人はいないし」
高田「そういえば昔学校で肝試しやったことがあるんだよ。驚かす側に回ってね」
勅使河原「へえ、このクラスでも……って縁起でもねえな」
高田「結構倒れてくれたよ。バッと出てバッとやってさ、僕のカッコよさにびっくりしちゃったんだろうね」
望月(本当だとしたら余程変なことしたんだろうな……)
望月「いくら旧校舎でも見回りは来るからね、手際はしっかりとしないと」
高田「よくよく考えるとそんなの穴場じゃない。誰かと誰かがイチャイチャしてたりしたらどうしよう?」
勅使河原「撮ればいいんじゃねえの、儲かるかもしれねえし」
高田「クラスメイトに似てる子だけでも気が引けるのにクラスメイトそのものはなあ」
勅使河原「でもクラスメイトとやるのは最高なんだよな」
望月(勅使河原君が染まり始めてる……)
勅使河原「おう、ジュン。寝坊でもしたのか」
高田『永沢君の家を燃やしたのは誰か考えてたら夜ふかししちゃったんだ。藤木説が本命だけど、野口さんも捨てがたいね』
勅使河原「案外まる子の可能性もあるぞ。それはともかく、まだ望月の部活も終わってないからいいんだけどさ」
高田『そうなの? じゃゆっくりと行くよ。発情期のネコの交尾でも見ながらね』
勅使河原「おう、それじゃあな」ブツッ
綾野「あ、てっしーじゃん。帰宅部のエースがなんでまた?」
勅使河原「ん? ああ、いやあ、その、なぁ」
綾野「まだまだだねー、じゅんじっちゃんだったらうまいこと切り返す所だろうね、そこ」クスクス
勅使河原「あいつなぁ、想像つかねえよな」
小椋「想像してもろくなことにならなそう……」
高田「おっ、ショベルカーじゃん。僕も昔はパイロットになろうとしたもんだ」
作業員「ん? なんだいボウズ」
高田「このショベルカーって会社のもの? 大きいね、ちなみにお兄さんのはどれくらいまで大きくなるの?」
作業員「じゅう……って何言わすんだよ!」
高田「ははは、ちょっと乗せてもらってもいい? 一度ショベルカーって乗ってみたかったのよ」ガチャッ
作業員「お、おい!」
高田「ん、ちょっとこれ動いて……」ズズッ
作業員「あぶねえっ! ……はぁ、サイドブレーキ忘れてたのか」
高田「よかったじゃない、誰かの家に突っ込んだりしなくて。それじゃ僕はこれで」タッタッ
作業員「お、おい、待てガキ!」
綾野「じゃあ、あっちにいったら連絡するね」
小椋「うん、またいつか、ね……」
タッタッ
二人「?」
高田「雨降ってきちゃったよぉ、濡れて透けるのは女の子だけで十分だっていうのにさぁ」
綾野「じゅんじっちゃん、どうしたの?」
高田「おっ、ちょうどいいところに女の子が……ってベスト着ちゃダメじゃないのよ」
綾野「もうっ、ホントスケベなんだから」
小椋「うへぇ……」
小椋「あー……」チラッ
綾野「……いいね、行こうっ。ゲームセンター近くにあるしさ」
小椋「えっ?」
綾野「あっ、そういえばてっしーがじゅんじっちゃんのこと待ってるって言ってたよ、ほんとにどうしたの?」
高田「ん〜、夏休みの部活に精を出す皆の姿を見て僕達も精を出そうかって話になったんだよ」
綾野「へぇ〜感心だねえ」
小椋(うわぁ……)
高田「ま、そんなわけだからさ、別に行っても行かなくてもいいのよね。どっち行くの?」
綾野「うん、こっちだよ」
小椋「私はパス……」
カァンッ コロコロ…… ガタッガタッ
綾野「うわぁ、すごいねナインボール全部入っちゃった」
高田「玉を入れちゃホントはだめなんだけどね」キュッキュッ
綾野「? 入れなきゃだめじゃないの?」
高田「棒を突くってのは同じなんだけど」
綾野「じゅんじっちゃんってたまにわからないこと言うね」
高田「たまだけにたまーにね」
高田「好きだよぉ、でも彩ちゃんのことも好きだね」カァンッ
綾野「……そっかぁ、私にもチャンスはあったってことかぁ」
高田「日本の外には一夫多妻制の国があるみたいだよ。イスラムとか。ところでイスラムってどこにあるんだろうね?」キュッキュッ
綾野「んー、エッチなところがなければ即決したんだけどなあ」
高田「たとえ鳴ちゃんが僕になびいた上で彩ちゃんに言い寄られても僕は二人とも愛せる自信があるよ? もっと女の子が増えてもね」
綾野「えっ、あっちはまだ振り向いてないの?」
高田「そうっぽいんだよなあ」
綾野「……こんな風に浮気性だから信用してもらえてないんじゃないの?」
高田「でも仕方ないんだよなあ、だって僕の魅力がそうさせるんだから。その責任はちゃんと取らないと」
高田「あらぁ……というとやっぱり」
綾野「仕事の都合、っていうのが本当のはずなんだけど、日が経つにつれて、やっぱり怖いからなんじゃないかな、って思う」
綾野「裏切り者に見えちゃうよね。みんな、怖いはずなのに」
高田「なんでまた、それが普通だよ。逃げられる理不尽はちゃんと逃げたほうがいい」
高田「それに、裏切り者なんていうヤツがいたら僕がやっつけちゃうよ」
綾野「……じゅんじっちゃんは転校生なのに、どうしてさっさと逃げなかったの?」
高田「君みたいな可愛い女の子がいるからだね」
綾野「……はぁ、なに訊いてもちゃんと答えてくれないんだろうな」
高田「やぁてっしー。犬の交尾ってすごいね、出した時に大きくなったのが丸わかりだったよ」
勅使河原『軽く二、三発くらいは行けるようになりたいよなあ、で、なにやってんだ』
高田「彩ちゃんとデート」
勅使河原『はぁ……まあいいや、望月も来たし、見崎にも会ったんだ。先行ってるからな』
高田「鳴ちゃんもいるの? 先に言ってよぉ」
ブツッ ツーツーツー……
高田「てことで行かなくちゃならないみたいだよ」
綾野「うん、なんかすっきりした。ありがとう、じゅんじっちゃん。またいつか」
高田「そう、ならよかった。すっきりするのは大事だよ。こっちからも連絡するからね、それじゃ」タッタッ
綾野「……ふぅ」
高田「あ、どこに引っ越すの? それわかんないと連絡のしようがないよねえ」
綾野「由美とか泉美は知ってるから、訊いてあげてよ」
高田「ごめーん、遅くなっちゃって。でも遅れて来るから主役の証だよね」
勅使河原「わけわかんないこと言ってないで一緒に探せ―」
見崎「空気が悪いわね、窓をあけましょう」
高田「こらこら危ない」ヒョイッ ムニッ
見崎「!?」
ガシャ-ンッ!
望月「わっ!?」
勅使河原「な、なんだぁっ!?」
見崎「高田君、その、胸……」
高田「え? あぁ、これ胸なんだ。やけに柔らかいあばらだなあと思ったよ」ムニムニ
勅使河原「お前失礼だな……乳首でわかるはずだろうよ」
高田「ん? あぁホントだ。ごめんごめん」サワサワ
見崎「……」ピクピク
望月(あの見崎さんが感情を露わに……)
高田「でかしたてっしー」ヒリヒリ
見崎「……」ムスッ
望月(二人のみならずなんで僕まで見崎さんの言いなりに……)
ビリッ ビリッ
勅使河原「なんだこれ、カセットテープ?」
高田「ガムテープの中にカセットテープって、僕でも言わないよ、そんなダジャレ」
勅使河原「とにかく再生してみないとな。どこに行けば……」
見崎「放送室があるわ、そこに行けばラジカセもあるはず」
望月「じゃあ行こうか」
ガチャッ ジィー……
松永『俺は今年、確かに人を殺した。これからするのは罪の告白』
松永『それから、3年3組の災厄を止めるために、後輩に託すアドバイスだ』
松永『俺たちは合宿に行って、ボロボロの神社を掃除した上でお参りをして御利益を得ようとした』
一同「……」
高田「……」
松永『その帰り道、いきなり雨が降り出して来たんだ。雷も鳴って、全員必死で逃げた』
松永『その中に傘なんか差してるやつがいてさ、いうまでもなく、雷に打たれて、死んだ』
松永『そのショックだったんだろうな、逃げてる途中で女子が滑落しちまって、翌日死体が発見された』
松永『で、大事なのはこれからなんだ。俺の記憶によればそこで三人死んだはずなんだが、死体は二つしか見つからなかったんだ』
勅使河原「……」ゴクリ
高田「ぐぅ、かぁっ……」スヤスヤ
見崎「寝ないで」ビシッ
見崎「ダメ、ちゃんと聴くの」ヒソヒソ
望月「緊張感って言葉がつくづく似合わないね……」ヒソヒソ
高田「他人の話に興味がないんだよ。自分のことで手一杯なのになんで他人に興味がわくんだか」
勅使河原「ん……?」
カツカツ
勅使河原「やべえ、隠れろっ!」ガチャッ
望月「わっ!」
見崎「!」サッ
高田「あらぁどうも」
教師「お前、3組の高田だったか。なんでこんなところにいるんだ」
高田「女の子とかくれんぼしてるんですよ。ご褒美も込みでね。先生も一緒に探しませんか? まさにワリカンというやつです」
教師「ふざけたことを言ってないで、用事がないならさっさと帰れ」
高田「はぁい」スタスタ
ガチャッ
一同「……」
教師『まったく、三神先生の甥だというのに……』
高田『甥だったら結婚できるんでしたっけ?』
勅使河原「た、助かった、のか?」
望月「よくわかんないけど、そうみたいだね」
見崎「……ほんとよくわかんない」ハァ
見崎「わかめ」
望月「うーん……これくらいなら、直せると思うよ」
高田「それはすごいねぇ」
望月「い、いつのまに!?」ビクッ
高田「それよりこの間外国人に会ってさ、興味本位にレットイットビー! って声かけちゃったんだよ。意味はわからないんだけど」
見崎「……」ハァ
『今日の午後3時頃から落石により一時通行止めになっていた……』
勅使河原「え? 綾野が転校?」モグモグ
高田「みたいだね。今日には出発するんだってさ」モグモグ
望月「でも今日は市外に出る道路が……あ、もう通行止め解除されたのか。となると、もう行っちゃったんだろうね」
見崎「……」モグモグ
勅使河原「合宿も、そんなに人が来ないかもな」
高田「お姉さんこのナポリタンおいしいね、きっと本場イタリアと同じ味なんだろうね」モグモグ
智香「ナポリタンは日本独自の料理よ」
カーン
高田「いったっ! 十円ハゲできちゃったらどうすんのよ」
赤沢「あっ、ご、ごめんなさ……わっわっ」フラッ
ドサッ
赤沢「い、いたぁ……」ジワッ
高田「大丈夫? あら、可愛いじゃない。可愛い子の涙は確かに綺麗だけど、たたき売りしちゃダメだよ」スッ
赤沢「うっ……」ギュッ
高田「理由があるんだろうけどさ、おじさんに話してみない? 楽になるよ」
赤沢「……その、大事な人が亡くなって……」パッパッ
高田「なんだ、僕と同じじゃない」
赤沢「えっ?」
高田「うん。そういえばこっちの郷土料理っておいしいね、そばつまんこ、っていうんだっけ? 危うい名前だよねえ」
高田「でもおいしかった。ペロリと平らげちゃったよ、ペロリと」
赤沢「……そんな大事な人じゃ、なかったんですか」
高田「ううん、大事な人だったよ。僕は母親が早くに亡くなってね。遠くからではあるけど、いつも気にかけてくれる人だった」
赤沢「……じゃあ、なんで」
高田「最初は泣いたよ。結構泣いた。でも数日経っても実感がなくてさ」
高田「よくわからないんだよね、大事な人が亡くなったってどういうことか。だからいつも通りやってみるのよ」
高田「そこからなんか違う所が出てこないかなーって思ってるんだけど、さっぱりだね」
高田「死って思った以上に素っ気ないんだね、女の子だってもっと愛想良いよ」
高田「うん、大変だよ」
赤沢「顔はそう見えないんですけどね。でも、いつも通りにするって、そういうことなのか……」
高田「生きてる方がしみったれて死に近づいちゃったら意味ないもんねえ」
赤沢「……そもそも誰かが死んだって本当ですか?」
高田「誰かを亡くした時、人は嘘をつきたがるみたいだよ」
赤沢「なにそれ……」クスッ
・
・
・
赤沢「……夢?」
勅使河原「望月、あれ持ってきたか?」
望月「うん、ばっちりだよ」
高田「僕も持ってきたよ、0.05ミリの薄々」
勅使河原「よし……やっぱり欠席者はいるねえ」キョロキョロ
望月「高林君も中尾君もまだ来れないみたいだしね……せっかくの臨時行事だったんだけど」
見崎「しかたないわ。事情が事情だもの」
高田「自慢するわけじゃないけどこのベルトイタリア製なんだ。自慢するわけじゃないんだけど」
有田「へ、へえ、すごいね」
前島「……メイドインイタリアって書いてる、カタカナで」
勅使河原「……正直大丈夫な気しかしないんだけどなあ」
望月「あはは……」
高田「カッコよく撮ってよぉ」
勅使河原「元がカッコよすぎるから写真なんかじゃ再現できやしねえよ」
高田「んっふっふ」
桜木(扱い慣れてきたなあ……)
勅使河原「おーい、望月もっと寄れっ。ジュンはくっつきすぎた! 見崎が困ってる」
勅使河原「だからって杉浦にくっついてどうすんだよ! ……よぉし、ハイチーズ!」パシャッ
望月「じゃあ今度は僕が……」
望月「そうだね」
赤沢「……」ジッ
見崎「……出来るだけ他の人に聴かれない場所で聴きましょう」
高田「赤沢さん、そのリボン僕の好みだよ。気をつけてね」
赤沢「なっ!?」
高田「こんな豪勢なお屋敷に泊って、っていうのはなかなかのシチュエーションだと思うけどね」
赤沢「あんたには前からいっておきたかったんだけどね、そんな不潔なこと言ってると……」
小椋「……泉美」
赤沢「ふんっ!」クルッ
松永『やっとの思いで下山したんだが、その時、それが起きた。(ブツッ)っていう奴と、掴みあいのケンカになったんだ』
松永『それで、気がついた時にはあいつが動かなくなって、木の枝に刺さって死んでいた』
松永『落雷や滑落の件もあったし、警察も来たけど、俺は何も言えなかった。怖かったんだ。ただ……』
松永『死体は見つからなかった。そもそもあいつの話なんてまるで出なかった。あいつのことを訊いてみても、誰だよそれ、って言われるだけだった』
松永『そこで俺は気付いた。あいつが死者だったんだ、って。でも、人を殺した事実に変わりはない。だからここで告白しようと思った』
松永『俺はまだ(ブツッ)のことを覚えているけれど、まもなく忘れてしまうかもしれない』
松永『どうやったら災厄を止められるか。いいか、死者を死に返せ。死者を死に返すんだ。それが災厄を止める方法だ』
一同「……」
高田「あ、終わった?」
見崎「……また寝てたの?」
高田「ううん、JAPって「ジュンジ・あいからわず・プリティ」のことかなあ、って思ってた」
望月「死者って、他の人と見分けがつかないんだよね……」
見崎「仮にもう一人がわかったとしても、殺せる?」
高田「無理だね、鳴ちゃんの体で悩殺できるわけがない」
見崎「……」ゲシッ ゲシッ
高田「いたいいたい」
勅使河原「……とにかく、その時は覚悟しなくちゃいけないんだろうな」
望月「もっとも、見分けられてからの話だけどね」
カチャ カチャ……
赤沢「ちょっと良いでしょうか、先生? この際ですから、言っておきたいことがあるんです」
三神「……どうぞ」
赤沢「まず、最低限に抑えられているとはいえ、5月から度重なる不幸が起こっているのは事実です」
赤沢「対策係として、いくつかの不手際をお詫びします」
高田「やいムノウー」
赤沢「こ、こいつっ!」
杉浦「落ち着いてっ!」
高田「そうそう、落ち着いて。そもそもこれって誰かのせいにしたってしょうがないじゃない。僕のせいじゃないから言えるんだけどさ」
赤沢「ぐっ……」プルプル
高田「第一今無能って口走ってみたけどさ、雰囲気が悪くなるだけだよね。不毛だよ、中学生だけに」
高田「あっ、生えてる子もいるか」
小椋「……?」
高田「でも過去に比べたら差は歴然としている。赤沢ちゃんがなにをしてるのかは、よくわかんないけど」
赤沢「あ、あのねえっ! ここではっきりさせておくけど、あなたのその態度で現象がおこった可能性だって否定できないのよ!」
勅使河原「落ちつけ、言い争ったってこいつには勝てねえ」
赤沢「フーッ、フーッ……」
望月「待ってよ、高田君のおかげでクラスの雰囲気が良くなっている面もあるじゃないか!」
桜木「そうです! 皆が危なくなっても助けてくれました」
高田「いざ事実を言われちゃうと照れちゃうな。事実なんだけどね」
赤沢「ぐぬぬ……っ」
一同「!?」
和久井「ハァーッ、ゼェッハァッ……」
風見「和久井、大丈夫か!?」
千曳「ぜんそくか、吸入器……カラかっ!」
高田「僕だってぜんそくはなんとも出来ないね」
千曳「救急車を!」
管理人「それが、先日から電話の調子が悪くて……」
千曳「……携帯も駄目か」
勅使河原「みんなの携帯も軒並みダメみたいだな、くそっ」
高田「みんなで手をつなげば交信できるんじゃない? どこにつながるかは保証できないけど」
千曳「それでは、皆のことをお願いします」
三神「わかりました」
ブゥーン……
高田「大丈夫ですか?」
三神「……きっと大丈夫よ」
高田「それもありますけど、三神先生が」
三神「……気にしないで、それよりも皆のことが」
高田「こんな雨では、お化粧が……」
三神「……」
高田「てことはああいう話?」
見崎「……高田君のことを信じたうえで聞いてほしいことがあるの。死者を見分ける方法が、あるかもしれない」
高田「……よし、わかった」
見崎の部屋
見崎「この左目、前も見せたけど……」
高田「綺麗だね、絶対に鑑定できないほど綺麗な目だ。僕は義眼の鑑定なんて出来ないけど」
見崎「夜見山岬が写ってる写真、これを左目で見るとね、死の色が見えるの。他の人にはみえない、独特な色」
高田「……」
見崎「簡単に言えば、これを使って死者を見れば、間違いなく判別出来る」
高田「それをいままで隠していたのは、鳴ちゃんの優しさ、なのかな」
見崎「……信じてもらえないだろう、っていうのもあるわ。でも今は違う。高田君がいる」
見崎「高田君はおちゃらけているけれど、誰かを疑ったことはない」
見崎「私がいない者になった時も、私だけでなくクラスメイト全員のことを思いやってくれていた」
高田「買いかぶられたものだね、んふふ」
高田(鳴ちゃんの話では、元々彼女は双子として生まれたが、母親の妹の霧果さんに子供がいなかったから養子になったのだという)
高田(妹の未咲ちゃんとの交流は保たれていたが、今年の4月、未咲ちゃんの死によって絶たれた)
見崎「本当は信じたくなかったわ、理不尽な現象なんかのせいで、未咲が死ぬなんて」
見崎「でも、目を背けていたってしょうがない。真っ向から立ち向かって、ここで決着をつけてみせる」
高田「よく言った。それでこそ女だ……うん、さてと、その死者っていうのは、この合宿に来てるんだよね?」
見崎「それは……」
ガタァン!
勅使河原「ジュンッ! 俺、やっちまったかもしれねえ!」
高田「赤沢ちゃんを?」
勅使河原「あぁ……それならどれだけ良かったことか……」
見崎「……」
勅使河原「この手にあの大きくてやわらかそうなおっぱいの感触がぁ……」
見崎「バカ言ってないで早く事情を」
勅使河原「あ、あぁ……その前に、お前ら、風見智彦って知ってるか? メガネをかけて、クラス委員の」
高田「誰だっけ?」
勅使河原「俺、風見と言いあいになって、それでもしかしたら死者じゃないか、って思って……」
勅使河原「ただ、不可抗力だったんだ、あいつが二階から落ちていったのは。じゃないと、俺も……」
高田「なるほど、弁護士の役作りにはうってつけの場面だね。じゃ、六法を枕にしてみようか」
見崎「落ち着いて、この高さなら死なない可能性のほうが高い。たぶん、突き落してから確認もしなかったんでしょう?」
勅使河原「あ、あぁ、そういえば……」
高田「ちゃんと確認しないとダメじゃない、穴開けられてないかとか」
見崎「とにかく風見君の許に」
勅使河原「ああ……」
高田「んー、風見君がいなくなっちゃったから探すって言っても、僕にそんな義理はないんだよねえ」
高田「ん、調理室の扉がすこし開いてる」
高田「行ってみよ……」ガシッ
前島「逃げろ、高田っ……」
高田「誰? うわ、なにつけてんのさ、ケチャップ爆発させちゃった?」
前島「行くな、そこは、だめだっ……」
高田「あ、これ血か……無理はしないで、ここで休んでなさい」
高田「それに行くなって言われたら行っちゃうよ。オープン・ザ・セサミ!」
ガタッ ゴオォォォ……
高田「……マンモスの丸焼きでも食べさしてくれるのかな?」
管理人夫「」
高田「あれは……いわずもがな、か」
高田「消防に連絡はつかないんだよね。とにかく外に出るのが先決だろう」
高田「それと前島君が倒れてるんだ、てっしーは彼の処置を。僕は皆にこれを伝えてくる」
勅使河原「わ、わかった」
赤沢「どうしたの、高田君?」
高田「お、赤沢ちゃん」
赤沢「多佳子がいないの、部屋中が血だらけになって……それに、火事?」
高田「落ち着いて、泉美ちゃん。状況を整理しよう。管理人の奥さんが夫を殺して火をつけたみたいだ」
高田「おそらく多佳子ちゃんは彼女にやられたのだろう、でも、いないってことはどこかにいるはずだ」
高田「今は皆を速やかに外に出すことだ。ここはもうじき全焼してしまう」
赤沢「う、うんっ」
ガチャッ
望月「!」
高田「もっちー、調理室で火事が起きた。早く逃げよう」
望月「え、ええっ!?」
高田「とにかく外に」
望月「ひ、非常口は、こっちに……」
管理人妻「……」ギラッ
高田「やれやれ、今度は殺陣の稽古か」
高田「滅茶苦茶な太刀筋だなっ、見破るのがかえって難しいよっ」ヒョイッ
高田「でもー? 後ろがお留守になってたりしないかなぁ〜?」
望月「うわあああっ!」ドンッ
管理人妻「ぐあっ!?」ドサッ
高田「よくやったもっちー! 女の子を殴れるなんてそれでこそ女の子だよぉ」
望月「なこと言ってないで早く手伝ってっ」ギシギシ
高田「亀甲縛り? 背面合掌縛り? おじさんどっちも出来ちゃうよ?」
管理人妻「あ゛あぁぁぁ!!!」ジタジタ
桜木「粗方伝え終わりました、けれど風見君が……」
高田「多佳子ちゃんもいないみたいだね」
杉浦「私はここにいるよ?」フラァ
赤沢「多佳子! 生きてたのね、よかった……」
杉浦「泉美を置いて死ねないわよ……」ニヤァ
見崎「! 離れてっ!」
杉浦「ちっ」キラッ
赤沢「多佳子、あんた、何持って……」
杉浦「言ったでしょ? そこにいる見崎さんが死者なんだって……死者を死に返せば、災厄は止まるって……」
杉浦「死者を死にぃ!」ブゥン!
見崎「!」
高田「おじさん落ち着かせる方法は知らないんだよなあ、興奮させる方法はいっぱい知ってるんだけど」ググッ
杉浦「!(こいつ素手で……っ)」ギギッ
杉浦「ふざけるなぁっ!」ドゴッ
高田「ぐっ! 足は踏みつけるだけにしてよ……」
杉浦「このぉっ!」ブゥンッ
高田「おっと!」ガシッ
杉浦「離せぇ!」ジタジタ
高田「こんな形で女の子に抱きつく時が来ようとは……皆逃げてっ!」
赤沢「た、多佳子……」タジ、タジ
杉浦「ぐっ、ぬぁぁ!」
高田「ぐっ、なんて馬鹿力だっ」ドサッ
杉浦「お前との決着はあとでつけてやる……泉美、後ろの子もちゃんと始末してあげるからね……」ダッ
赤沢「どうして、こんな……」
高田「……今は多佳子ちゃんを追おう」
赤沢「……望月君からテープを聴かせてもらったわ。それに多佳子の記憶だと、小学生の頃眼帯をしていない見崎さんを見たことがあるらしいの」
高田「それは誤解だね。もっとも、今の彼女が聞き入れてくれるかはわからないけれど」
杉浦『3年3組のみなさん、こんばんは。まずはこちらをお聞きください』
赤沢「多佳子!?」
高田「『思い出のアルバム』をよろしく。あれはいつ聴いてもジーンと来ちゃうんだ」
松永『いいか? 死者を、死に返せ。そうすれば災厄は止まる』
高田「あんなコとーこんなコとーあったでしょうー♪」
杉浦『私の記憶では小学生の頃の見崎さんは眼帯を付けていなかったはずです。
杉浦『けれど、彼女の言う所ではもっと幼い頃に眼帯をつけはじめたのだそうで。これはどういうことでしょう?』
赤沢「多佳子……!」ダッ
高田「鳴ちゃん、逃げたほうがよさそうだ」
見崎「……うん」
杉浦『殺せえぇぇぇぇっ!!』
見崎「……!」
川掘・辻井「……」
有田・柿沼「……」
一同「死者を死に!!」
三神「やめなさい! 生徒同士で殺しあうなんて、そんな……」
高田「映画化すれば売れそうですけどね、でも僕もそれに出演したいので死ぬのは勘弁だ」
辻井「邪魔するなぁ!」ブゥン
三神「あっ……!」フラァ
ドサッ
高田「!」ダッ
辻井「!(は、はや……)」
ドゴォッ!
高田「安心しなさい、峰打ちだよ」
高田「このっ」ケリッ
川掘「つあっ!?」コケッ
高田「三神先生……鳴ちゃん、こっちだ!」
見崎「っ!」ダッ
小椋「死者を死にィ!」ギラッ
高田「うわっ、女の子が僕のために刃を? 出来れば状況を変えてほしいところだなぁ」
小椋「おらぁ!」ブンッ
高田「やむなしっ」ダキッ
小椋「わっ! はなせ変態! この、こんな抱きつかれるみたいなっ!」ジタジタ
高田「え、この感触背中じゃないの?」
小椋「殺す! 殺すっ!」ジタバタ
見崎「……」タッタッ
渡辺「げ、元気出して……」
踊り場
高田「いったい何の話をしてたのかわかんなくなってきたな……」
見崎「いざ話を逸らされると案外弱いのね」
高田「反らすのは得意なんだけどねえ」
杉浦「それ、一生反らせないようにしてあげようか」グサッ
高田「! 危なかった、ゴムの束が守ってくれた……やり手だね、多佳子ちゃん」
杉浦「くそっ!」キーンッ!
高田「ふぐぅっ!? だめだよ、そこは舐められると格別なんだけど……」ジィーン
杉浦「あんたは後で殺してあげる……見崎さんの死に様を見せたうえでね」
見崎「くっ……」ジリッ
勅使河原「よせ杉浦っ!」ドンッ
杉浦「あぐっ!?」ドサッ
高田「てっしぃ〜久しぶりぃ〜」
勅使河原「お前ばっかりにいいカッコはさせないぜっ」グッ
杉浦「くそぉ……」ググッ
高田「多佳子ちゃんは背面合掌縛り似合いそうだよねえ」
見崎「風見君は?」
勅使河原「見つからねえ。今千曳先生が戻ってきて前島とかを保護してるんだけど、来なかった。たぶん外にはいないんだろう」
勅使河原「ただ、火がロビーにも回り始めた。長居はできねえな」
見崎「……」ダッ
高田「鳴ちゃん? どこ行くのさ?」
見崎「ついてきちゃ駄目……私がやらないといけないから」
高田「つきたいんだけどなあ」
金木「こっちよ!」
松井「まって、杏ちゃん!」
高田「あの二人は……あぁ、禁断の花園か」
高田「ん?」
風見「……」フラァ
高田「えーっと、よくわかんないけどてっしーが探してる人」
勅使河原「風見!」
風見「勅使河原……ひどいじゃないか、僕を突き落としたりして」
勅使河原「あれは悪かった、話は後だ、今はここから出よう!」
風見「杉浦さんのアナウンス、聴いたよ。でも死者は見崎さんじゃない……そこにいるそいつだ」
高田「?」キョロキョロ
高田「ここの人たち刃物好きだね、でも刺すのが好きだったら金物屋も雇ってくれないよ?」ヒョイッ
勅使河原「やめろ、風見……ッ!」ガシッ
風見「離してくれ勅使河原、こいつを殺せば全て終わるんだ……!」
勅使河原「お前は見た目の割に冷静じゃなくなることがあったけど、ここまで狂うことはなかったはずだぜ……」
風見「そんなの関係ない、こんな状況でまともにいられる方がおかしいんだ。だからこいつが……」
赤沢「純次君は死者なんかじゃないわ……」
高田「泉美ちゃん」
千曳「! 君達なにをしているんだ! 早く逃げなさい!」
高田「火事だっていうのに人多すぎだよぉ」
勅使河原「わかった、見崎を無事に連れ戻してこいよ」
風見「高田ぁッ!」
赤沢「待てっ!」ダッ
千曳「やめなさいっ!」ガシッ
赤沢「くっ! 窮地から逃げた臆病者が今更何を……渦中で苦しむ人間の心がわかってたまるか!」
千曳「確かに私は逃げた。だが今ここで苦しむ人々だけは助けられるからこそ口を出す」
高田「赤沢さん、鳴ちゃんは死者なんかじゃない。それは信じてよ」
赤沢「信用しろっていうの……あなたみたいな適当な人間を……」
高田「僕を信じるんじゃない。鳴ちゃんを信じてほしい。あの子は、今重い責任を背負ってるんだ。僕はそれを助けないといけない」
高田「お願いだ、泉美ちゃん」
赤沢(あれっ、これって……)
赤沢『……うん』ギュッ
高田『僕は東京に戻っちゃうけどさ、君ならきっと一人でも立ち直れるよ。誰かのために泣けるってことは、それだけ思いが強いことだものね』
高田『きっとそのおっぱいもまだふくらむだろうし』
赤沢『!?』バッ
・
・
・
赤沢「……あなた、本当に私と昔会ったことない?」
高田「そこまで言うなら会ったのかもね。でも、もうどうでもいいでしょ。過去がどうとか、そんなことに証拠を求めるなんて」
高田「大切なのは今ここにあることを信じることさ」
赤沢「……そう」クタッ
千曳「高田君、くれぐれも無事で戻ってくるんだよ」
高田「わかってますって」
高田「携帯……海に行く前に番号教えてもらってよかったな。こんな形で使うことになろうとは……感動的だなあ」
プルルル……プルルル……
高田「……じらされるのも僕は好きだよ、鳴ちゃん」
プルルル……プルルル……ガチャッ
見崎『もしもし、高田君?』
高田「見なくてもわかるよ、可愛い顔してるんだよね、鳴ちゃん?」
見崎『……』
高田「いったいどこに?」
見崎『高田君は、来ないほうが良い。きっと後悔することになるから』
高田「僕に過去と未来はないんだ、今しかないんだよね。だから大丈夫だと思うよ」
見崎『……その冗談が本当でも、きっと悲しむことになるから』
ブツッ
中庭
ゴオッ! ボウボウ……
高田「……鳴ちゃん」
見崎「高田君、来ちゃダメって言ったのに」カラカラ
高田「おおむね理解は出来たよ」
怜子「た、高田君……助けてっ……」
高田「三神……いえ、怜子さん。あなたが……」
見崎「ずっと引っかかってたの。三神先生を見てると、目に浮かんでくる光景がある。男の人と女の人がもつれあう姿」
見崎「川に落ちていく女の人、それをうすら笑いすら浮かべて見やっている男の人」
見崎「もっとも、証拠はない。そんな事件があったっていうことも、消えちゃっているみたい」
見崎「けれど、この目は確かに知っているの。信じて、高田君」
怜子「そんなこと信じられるわけがないじゃないっ、高田君……!」
見崎「……」グッ
高田「そのツルハシを僕に渡してくれ。もしそれを振りおろしてしまったら、君が苦しむ」
高田「何より、僕は君のことを、信じたうえで恨んでしまうかもしれない」
見崎「……」スッ
高田「……」グッ
怜子「やめて、お願い……」ジッ
ゴオォォォ……
高田「今思いだせたよ。その死を受け止めきれないまま、僕はずっと適当に生きてきた」
高田「そして忘れてしまった時も、喉につかえるものがありながら、この性格のせいでなおざりにしてきた」
高田「でも、今は確かに思い出せている。そしてこの今と向き合わなければいけない」
高田「やっぱりしっかりと責任は取らないといけないみたいだ」グッ
怜子「っ!」
高田「ごめん、怜子さん。ちゃんとした形で、今までこの言葉を言えなくて」グアッ
ガシャァンッ!
高田「……さよなら」ブンッ
見崎(生徒による傷害も取り上げられるべきだったのだろうけれど、署の職員に元3組の人がいたおかげで取り調べだけで済んだ)
見崎(現象の効果はすさまじく、死に深くかかわった私と高田君以外はみんな三神先生にまつわることを全て忘れてしまった)
見崎(写真も、名簿も。思慕を寄せていたらしい望月君だって、例外ではない)
見崎(災厄を止めたことだけはハッキリしているので、高田君はちょっとしたヒーローとして扱われている)
見崎(もっともあの夜の記憶は残っているから、いまだ距離を置いている生徒も何人かいるのだけど)
高田「ゆかりちゃん風でスカートめくれたんだって? スカート履いてて良かったねえ」
桜木「もうっ、何言ってるんですかっ!」
高田「いっそスカート履かなければいいんじゃない? パンツだけになっちゃうけど」
勅使河原「ははっ、そりゃいいや。わざわざ抑える必要もなくなるしなぁ」
高田「アレの日なんかは注意が必要だけどね」
望月「まったく……」
見崎(高田君は、教室ではあの夜のことをうかがわせる顔は見せていない)
前島「前島だよ」
高田「知ってるよ。怪我はもういいの?」
前島「ああ、傷口はまだうずくけどな」
有田「よかったわね。そういえば、杉浦さんはどうだった?」
和久井「風見君も……」
前島「怪我は両方治ってるらしいけど……色々とあるみたいでな」
高田「今度僕がナース服で御見舞いにいこうかな」
王子「きっついなぁ……」
勅使河原「じゃあ望月ならどうだ?」
柿沼「それは個人的にも見てみたい……」ジロリ
望月「え!? なんでみんな見てるのさっ!」
高田「ほら、どうぞ」ヒョイッ ムニッ
小椋「う、うわっ!? どこ触ってんのよ!?」
高田「胸だけど? いくらなんでもわかるよぉ」
小椋「ていうかあんたが取ればいい話でしょ!」ドキドキ
多々良「高田君って、黙ってればカッコいいのにね……」
藤巻「え、あんた頭おかしくなった?」
江藤「いやあ、まあ顔は良いと思うよ。でもそんな感情を抱くこと自体……」
多々良「えっ? えっ?」
高田「常に元気で困っちゃって困っちゃって。収めてほしいところだな」
綾野『あはは、またわけわかんないこと言ってる』クスクス
高田「そっちはどう? ボーイフレンドは? ま、僕以上にカッコいい人なんてそうそういないだろうけど」
綾野『じゅんじっちゃんくらいの人は中々ねー、カッコいいけど面白い人ならいるんだけど』
高田「ええ、なにそれぇ、僕はどっちにも該当しないと?」
綾野『えへへっ』
高田「赤沢さんお赤飯でも食べた?」
赤沢「……誰のせいでこんなに怒る必要があるのかしら」ビッショリ
高田「Eカップある人はTシャツに水ぶっかけて着なきゃ駄目だよ」
赤沢「……」ワナワナ
中尾「……高田、殴られるなら俺も混ぜてくれ」
高田「そう? じゃあ代わりによろしく」スタスタ
赤沢「待てこらテキトーヤロー!」
桜木「あ、赤沢さん、せめて長袖着てっ」
見崎「……」
高田「……」
見崎「今日も、いるんだ」
高田「忘れないようにね」
見崎「どう? やっぱり後悔してない?」
高田「全部わかってるつもりでやったからね。その辺のことは全く。けれど、なんだろうな、思い出すたび悲しくなる」
高田「泣けはしないんだよね。でも処理しきれない途方もない感情があるんだ」
高田「僕には母親がいないからさ、ちょっとした母親代わりを得た期間だったわけだよ、怜子さんと過ごした時間って」
高田「だけどそれが、あんな酷い形で終わることになるなんて、とか、良い所を探しても、それもやがて忘れていくんだろうな、とか」
高田「死んだこと自体は、自分で始末をつけたわけだから納得してるんだけど」
高田「怜子さんが生きていた時間は上手く処理できないまま残ってる。そして処理できないものがやがて消えていく」
高田「それはそれですっきりするんだろうけど、それを想像しただけでも、悲しい」
見崎「……」
高田「しゃべりすぎだね、僕。しゃべってないと寝ちゃうタイプだからさ」
高田「へえ、誰?」
見崎「忘れた」
高田「あらら」
見崎「でも、そんな風に今を送りながら折り合いをつけていく余地が与えられているはずなのに、それさえ出来ないのは……」
高田「……」
見崎「泣きたい時は、泣けば良いと思うわ」
高田「僕はハリウッドを目指してるんだ、涙くらいコントロール出来ないと駄目だよ、うん」
見崎「適当の適は適材適所の適でもあるわ。今は涙を流すのに適当な時じゃないの?」
高田「あらら、一本取られた」
高田「……でも涙が出てこないからやっぱり泣かない」
見崎「……そう」
・
・
・
・
「僕の中学校の頃に可愛くておっぱいの大きい子がいたのよ、モテモテでさ」
「僕も好きだった、けれどそっけなくあしらわれてね、でも今僕が独身ならきっと付き合ってくれると思うよ」
「向こうも60で可愛くなくなってるだろうしおっぱいも萎びれてるだろうけど」
「あはは、ひどーい」
ハハハハハ……
「おっぱいの大きい子はおっぱいしか覚えてないでしょ? 可愛い子は顔しか覚えてない」
「その二つがそろってやっと僕は人間のことを覚えるのよ」
「えー、じゃあ私は顔だけー?」
「えっと、ごめん、見たことない顔だね」
ハハハハハ……
「御苦労さま。ファンレターか、これくらいの女の子持ってきてくれればいいのにねえ」
「これだけはファンレターじゃないのね。ん、この名前……」
『天も地もすっかり春のよそおいをこらしてきましたが、ますますご健勝のことと存じます』
『高田君が一年だけ夜見山の地にお住まいになり、卒業して東京にお戻りになって以来、五十年の月日が流れました』
『芳しくない思い出もあるとはいえ、きっと忘れられない思い出も多いかと存じますが、いかがでしょうか』
『この春も夜見山北中学から多くの卒業生が送り出されました。もちろん、あの三組からも、です』
『今年の卒業生は三十五名、進級した当初揃った全員が無事卒業したそうです。いつしかあの災厄は、無くなったと聞きました』
『こんな話題を持ち出したのは、このたび同窓会を開催することをご報告いたしますためです。開催日は高田君の転校してきた五月と決まりました』
『近頃は大変ご活躍になっているので、ご多忙かとは存じます。ですが、皆が高田君のことを心待ちにしています』
『長々とした文章をご覧に入れてお時間をとってしまうのも心苦しいので、筆を擱きます。良い返事をお待ちしております』
『三年三組卒業生 見崎鳴』
「ねえ、スケジュール見せてくれる? あ、開いてるね。この日ちょっと東京出るよ」
「ちょっとね、それじゃここだけは何も入れないで。よろしく」
END
ネタから展開から、考えるのも一苦労でしたけど、参考のためにコントや名言集をちょこっと見るだけでも笑えたことは楽しいひと時でした
ここまで付き合ってくれた方々、ありがとうございました。それから高田純次様、これからもがんばってください
おもしろかった!
良かった
あかざーさんはセーフだったのか
Entry ⇒ 2012.04.27 | Category ⇒ AnotherSS | Comments (0) | Trackbacks (0)
一夏「安価で女の子の機嫌を取る!」
http://hayabusa.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1335091611/
一夏「ここらで挽回しないと命が危ぶまれるからな」
一夏「まずは>>5に会いにいこう」
一夏「思えばラウラほどではないにしろ、初対面の印象は悪い方だったからなぁ」
コンコン ハーイ
一夏「セシリアいるかー?」
セシリア「い、一夏さんですか!? 急にどうされましたの?」
一夏「ちょっとな、部屋に入ってもいいか?」
セシリア「どうぞどうぞ、入ってください!」
セシリア「あ、あのう、一夏さん?」ソワソワ
一夏「なんだ?」
セシリア「今日はどのようなご用件でこちらへ?」
一夏「ああ、>>13」
セシリア「え? わ、わたくしの手料理をシャルロットさんに? どういうことですか?」
一夏(いきなり何言ってんだ俺ーー!)
一夏「い、いやぁ、これにはわけがあってだな?」
一夏 >>20
1.「お前の飯がまずいからシャルに教わってこい」
2.「シャルとご飯でも食べようと思ってたんだ」
GJ
一夏「だからさ、おすそ分けってことでシャルに渡せばみんな幸せだろ?」
一夏(はい逝った、俺の胃袋逝った!)
セシリア「いいい一夏さん!? ラブラブだなんて、そんな……///」キュン
セシリアの好感度が上がった
一夏「そういうわけだから、料理作ってもらえないかな?」
セシリア「喜んでお作りいたしますわ♪」
一夏「いや、奇跡が起きてうまい飯が食えるかも……ねーよ」
一夏「セシリアが料理作ってる間に誰かと時間潰してくるか」
一夏「お、あそこにいるのは>>31」
束さんに白式を(最終回に出てきた)女の子にしてもらう
束「おやおや〜? いっくんだー!」
一夏「こんなところで奇遇ですね」
束「んー、箒ちゃんに会いに来たんだけどね? なかなか見つからないんだよね〜」
一夏「そうでしたか、もしよければちょっと俺と>>39でもしませんか?」
なにしたいんだよwww
一夏(う、視線がどことなく冷たくなった気がする……)
一夏「じょ、冗談ですよ冗談! 束さんならできるのかなーって思って、つい」
束「それはもうお安い御用だね、ちーちゃんがいなければあっという間だと思うよ!」
一夏「さすが千冬姉――ってほんとにできるんですか!?」
束「まあね〜。……ねえいっくん?」
一夏「?」
束「いっくんが本気なら実践してみようか?」
一夏「>>46」
一夏(誰のことだよ! てかどんな奴だよ!)
束「ふんふん、なるほどねー。他ならぬいっくんの頼みだし、ちょっとばかし頑張っちゃおうかな?」
一夏(やる気だーー!!)
束「ではいっくん、私は早速準備してくるよ!」
一夏「え、ちょ、たb」
束「用意ができたら呼びに行くからね! じゃーねー」タタタタタッ
一夏「」
束の好感度が??した
一夏「束さんのことだから今日中にまた会えるだろ。その時までに考えておこう」
一夏「もう少し時間潰してくるか。>>56のところに行ってみよう」
あと原作4巻まで読んでる途中だから簪よくわからんけどいいかね? 無口キャラだっけ
原作でしか出てないキャラだったと思う
簪「あ……一夏」
一夏「突然悪いな、邪魔だったらすぐ出て行くけど」
簪「別に……どうしたの?」
一夏「ちょっと暇でな。>>68しようぜ」
一夏(さっきから死亡フラグだらけじゃねーか!)
一夏「ま、まあな! あの千冬ね、織斑先生から一本取れたら大したものだろう?」
簪「……」
一夏「馬鹿なこと言ってるように思ってるだろうけど、ちょっと手を貸してくれないか?」
簪「一夏のお手伝い?」
一夏「ああ、蹴るのは俺だ。お前はサポートでいいから、ちょっと付き合ってくれ」
簪「つ、つきあ……///」ポッ
簪の好感度が少し上がった
一夏「よし、じゃあ付いてこい!」
一夏(ええいヤケだ!)
簪(……一夏)
一夏(なんだ?)
簪(私は何をしたらいいの?)
一夏(そうだな、囮になってくれたらいい。単純だけど、織斑先生に話しかけてきてくれ)
一夏(その隙に俺がやってやる)
簪(……わかった)トテトテ
一夏(そろそろかな。気配を殺して……)
一夏(いまだ!)
>>81
1.防がれる
2.まさかのクリーンヒット
なにやったらそうなるんだよwww
ズガアアアアアンッ――!!!
千冬「がっ――!」
簪「……!」ビクッ
一夏「一夏くん、相手のゴールネットを突き破りましたー!」
一夏「もの凄い威力です……」
一夏「ってキャプツバごっこやってる場合じゃねぇ! 大丈夫か千冬姉!」
千冬「く、一夏……貴様っ――」
一夏「うわー!! ごめんなさいごめんなさい!! てっきり軽く防がれると思ってたんだ!」
千冬「言い訳はあとだ、まずは、抜けッ……!」
一夏「>>92」
千冬「ぐあっ! い、一夏、何を――」
一夏「今までの暴力の分、きっちり返させてもらうぜ千冬姉!」
一夏「うおおおおおおおおおおおお――」
千冬の好感度がかなり下がった
簪の好感度が下がった
一夏(まあ千冬姉のことだ、明日には元気になってる、よな?)
一夏(そろそろセシリアのところに行こう)
セシリア「お待たせいたしました! 料理はできてますわ!」
一夏「そうか、ちょうどよかったみたいだな」
一夏(見た目は大丈夫そうか……?)
セシリア「ところで一夏さん、せっかくですので他の方にも味わっていただきませんか?」
一夏「え?」
セシリア「わたくし達の愛でできた料理を、シャルロットさんにだけ召し上がって頂くのは勿体ないですわ!」
一夏「あー、>>104」
セシリア「そ、そうですわね。ふふっ、わたくし達の愛を生徒のみなさんに……♪」
セシリアの好感度が少し上がった
一夏「じゃあ俺はシャルを呼んでくるから、セシリアは食堂に少し置いてきたらどうだ?」
セシリア「わかりました! では後ほど、一夏さん♪」
一夏(さて、シャルを呼ぼう)
>>114
1、電話
2、部屋まで呼びにいく
――――
――
一夏「シャルー、いるかー」コンコン.........ガチャッ
ラウラ「嫁か。シャルロットに用事でもあるのか?」
一夏「まあな。シャルいないのか?」
ラウラ「今はな。急ぎの用事であれば、シャルロットは今頃>>121にいると思うぞ」
ラウラ「先程向かったばかりだ。追いかければ間に合うと思うぞ」
一夏「そっか、サンキュー。あれ、でもラウラは何してたんだ?」
ラウラ「私がどうかしたのか」
一夏「お前がいるのにシャル1人で飯食いに行くって珍しいなと思ってさ」
ラウラ「……そうだな。今私は>>128をしていて手が離せなかったから仕方ない」
ラウラ「まあ、クラリッサに勧められてな。これも社会勉強の一環らしい」
一夏(ドイツ軍って暇なのか?)
ラウラ「そうだ、嫁もやらないか? 金さえ積めばすぐ私のキャラのレベルに追いつくぞ」
一夏「ちなみにそれってどういうゲームだ?」
ラウラ「>>136」
一夏「」
ラウラ「私のレベルでようやく一晩に5人孕ませられるのだ」
ラウラ「今はスキルをあげて『くやしい、でも感じちゃう』と言わせるために戦っていた」
一夏(何と戦うんだよ!)
一夏「そ、そうか。でも俺PC持ってないし、今急いでるからまた今度な」
ラウラ「そうか……気が向いたら私に言うのだぞ?」シュン
ラウラの好感度が少し下がった
一夏「それじゃあシャルを探してくる」
ラウラ「ああ、またな」
?(>>145)「試食品? 美味しそう――」パクッ
セシリア「お昼時ですものね、シャルロットさんがまだお昼を食べていなくてよかったですわ♪」
シャル「……ねぇ一夏、どうして僕はセシリアの部屋に連れてこられたの?」
一夏「ちょっとな、セシリアの作った料理を食べてみてほしくて」
セシリア「一夏さんのリクエストですの♪ わたくし達の愛をあなたに召し上がって頂こうって♪」
シャル「へー、そーなんだー。ふうん……」
一夏(う、シャルの視線が明らかに冷やかだ……)
シャルの好感度が下がった
シャル「まあいいけど。変なものじゃないよね?」
セシリア「そんなはずはありませんわ! 一夏さんのために腕によりをかけましたもの!」
シャル「……ばか一夏。もういいよ、いただきます」パクッ
シャル(これは……>>155)
セシリア「ちょ、突然何を仰いますの! そんなはずがありませんわ!」
シャル「じゃあ一夏、これ食べてみなよ! セシリアとの愛なんでしょう?」
一夏「青酸カリって、そんな大げさな……あれってアーモンドみたいな臭いがするんだろ?」
一夏「……」スンスン
一夏(oh...)
一夏「……これ、食堂に置いてきたんだよな?」
セシリア「そうですけど、青酸カリだなんt」
一夏「ちょっと俺食堂行ってくる!」 ガチャッ バーン!
一夏(よし着いた! なんだ、人だかりができてる?)
一夏「まさか……! あそこに倒れてるのって鈴じゃないか!」
一夏「鈴! どうした鈴! おい、目を開けてくれ!」
一夏「鈴ーーーー!!!」
>>165
1.急いで医務室へ
2.実はただの死んだふり
てめぇの血は何色だぁぁぁ
よく見ろ、まだ死んでないぞ
悪かった
素直でよろしい
一夏「……え? 鈴? 大丈夫なのk」
鈴「いいから、そのままあたしを抱っこしてここから離れなさいよ馬鹿」ボソボソ
一夏「お、おう」 オレ、イムシツツレテイキマス! キャーオリムラクンカッコイイ! ガヤガヤ
鈴「ここなら人気も無さそうね。さて、一夏? なんであんなものが食堂にあったのかしら?」
一夏「そ、それはだな……」
鈴「あんなもの作れるのセシリアしかいないでしょ? あんたまた女の子たぶらかして何してんのよ」
一夏「くっ……ごめん。まさかこんな劇薬が出来上がってたなんて思わなかったんだ」
鈴「あたしはともかく、他の子が食べてたらどうなってたかしらねぇ」
一夏「悪かったよ、これは俺の責任。……ごめんな」
鈴「ま、まあ>>178してくれた許してあげてもいいけど?」ゴニョゴニョ
鈴「ああ、あとで教えるからまずはセシリアのところに行くわよ! まったく、どうしてくれようかしら?」
一夏「なんだ、元気そうだな。それじゃあそろそろ抱っこしなくても平気か?」
鈴「ふぇっ? あ……そうだった///」カァーッ
鈴「だ、だめよ! 一夏のせいでもあるんだから、このまま連れてきなさい!」
一夏「そう言われると弱いな……ほら、暴れるなよ?」
鈴「う、うん……(お姫様だっこ、お姫様だっこ♪)」
鈴の好感度が少し上がった
シャル「ある意味才能だよね、これ……」
鈴「お花畑が見えたわよ、もう」デレー
一夏(心なしか幸せそうな顔してるな鈴、なんでだ?)
一夏「ま、まあその辺で許してやってくれ。セシリアも悪気はなかったんだ、きっと」
セシリア「反省してますわ……」
鈴「ま、あたしはもう気にしてないけどね。一夏、あんたの部屋でさっきの話の続きしましょ?」
一夏「ああ、おちb」
鈴「シーッ!」
シャル「……、待って一夏。僕には何もないの?」
一夏「え? あ、ああそうだな。鈴ばっかりじゃ不公平だもんな」
シャル「そうだよ。>>190とかしてほしいなぁ」
シャル「サッカーの方ではないかな。えっと、すぐ終わるからさ、だめ?」
一夏「わかった。じゃあ鈴には先に俺の部屋に行かせておくよ」
ワイワイキャピキャピ キャッキャウフフ アーオリムラクンダー サッキカッコヨカッタヨネー
一夏「周りの視線を感じる……」
シャル「この辺でいいかな。さあ一夏、僕に向かってタックルしてきてね」
一夏「なあシャル、なんでそんなことさせたがるんだ?」
シャル「いいから早く。全部一夏が悪いんだからね?」
一夏(仕方ないか、女の子にタックルとか気が引けるけど)
一夏「それじゃあ、いくぞ!」
ドンッ!
一夏「うわっ!」 ドテーン
一夏(こ、これは――)
一夏(もしかしなくても、俺がシャルを押し倒してるかのような構図になってる!?)
キャー! オリムラクンガデュノアサンヲオソッテルワー! ソコニシビレル、アコガレルゥッ!
一夏「うわぁ、みんなこっち見てる! 今どくからなシャr」キュッ
シャル「も、もう少しだけ……もう少し、ね?///」
一夏(まさか俺を性犯罪者にしたてるつもりなのか、シャルーー!)
シャルの好感度がかなり上がった
好感度
鈴「おそーい! シャルロットと何してたのよ!」
一夏「なあ鈴、俺はもうこの学園にいられないかもしれない」
鈴「は? それよりさっきの話なんだけど、その……///」
一夏「ああ、おちビンだっけ。どうすればいいんだ?」
鈴「まずは……一夏が服を脱ぎます」
一夏「」
鈴「うん、そうそう。もっと腰使って?」
一夏「こんな感じか?」バチーン
鈴「あふっ、そ、そうね。もっと力を込めて」
一夏「……なあ鈴」バチコーン
鈴「ひゃんっ! な、なによ?」
一夏「どうしてこんなことさせるんだ?」ズバーン
鈴「んくっ// そ、それくらい自分で考えなさいよ!」
一夏(鈴にはこういう性癖があるってことか?)
鈴(ふ、ふふっ、こんなことされちゃったら、一夏には責任取ってもらわないとね!)
一夏「なあ、もういいか?」バチバチーン
鈴「あはぁっ/// も、もうちょっと……」ゾクゾクッ
鈴の好感度がかなり上がった
一夏(こんなんで機嫌なんて取れるのか?)
trrrrrrrr trrrrrrrrr
一夏「ん? 誰かだろう」 pi
束『やっほー! いっくんいっくん、IS学園潰しのことなんだけどねー?』
一夏(忘れてたーー!)
束『準備ができたから>>211まで来てくれるかな?』
今はイオンに変わっちまってるよ!
束『そうだよ、学園内にいたら巻き込まれちゃうからね〜』
一夏(それはそうとなぜジャスコ?)
束『それとね? いっくん言ったよね、学園を潰さないと守れない人がいるって』
一夏「ええと、たしか、はい」
束『先にジャスコで待ってるから、いっくんの大事な人をちゃんと連れてきてね!』
一夏「あ、あの束さん?」
束『じゃーねー♪』
『ツー ツー ツー』
一夏「切れちまった。と、とりあえずジャスコに行かないといけなさそうだ」
一夏(俺の大事な人か……>>222ならとりあえず一緒にきてくれるかな?)
trrrrrrrrr trrrrrrrrr trrrr pi
弾『おう、一夏か?』
一夏「よう。悪いけど蘭にかわってもらえるか?」
弾『はあ? い、いいけどよ、変な真似すんなよ?』
ナーニーアニキー エッイチカサン!? ハヤクカセッ!
蘭『い、いいい一夏さん!? どどどどうしたんですか!?』
一夏「急に悪いな。実は頼みたい事があるんだけど――」
一夏「学園潰すために一緒に来てくれなんて言われて困惑してたしなぁ」
一夏「あまり束さんを待たせるのも怖いし、時間をかけてられないな」
一夏「今日の様子で俺と一緒に来てくれそうな人……>>229」
一夏(ほんとにIS学園潰されても困るしなぁ、あの人ならやりかねないし、なんとかごまかそう)
一夏「よし、急いでジャスコに行くぞ! ……というか今ジャスコなんてあるのか?」
IS学園付近、ジャスコ店内
一夏「探せばあるもんだなぁ」
束「――っくーん、こっちこっち〜」
一夏「束さんの声だ。行ってみよう」
束「あれ? いっくん1人で来たの?」
一夏「じ、実は俺の大事な人は束さんだったんだ……」
束「私? へー、いっくんが私を、ふーん」
一夏(おかしいな、笑顔のはずなのに目が笑ってない気がする……)
一夏「え? あ、はい……そう言われるとそうですね」
一夏(言われなくても変なことしかしてないぞ今日の俺!)
束「いっくんの事は私も好きだよ? でもね、どうしてちーちゃんにはあんな酷いことしたのかなぁ」
一夏「あれは、その――」
束「それに箒ちゃんとは今日一回も会ってないよね。いっくんはちーちゃんも箒ちゃんも嫌いなのかな」
一夏「う……」
束「いつもの優しいいっくんはどこにいっちゃったんだろうね? それとも君はいっくんじゃないんじゃない?」
一夏「た、束さん?」
束「そんないっくん、いや、君に学園潰せなんて言われても、はいそうですかーってなると思う?」
束「ちーちゃんが大好きなはずの君はどこにいるんだろう?」
束「箒ちゃんが一番大切に想ってる君はどこへいっちゃったのかな?」
一夏「……」
一夏「どういう、意味ですか?」
束「んー、やっぱりナノ単位まで分解してみればわかるんじゃないかな?」 ガシッ
一夏(! しまった、束さんの移動型ラボか! アームに身体を拘束されちまってる!)
束「優しかった君なら、こんなところでIS使うわけにもいかないよね? ねー♪」
一夏「く、くそっ! 待ってくれ束さん! 俺はそんなつもりじゃ――」
束「うーん、でも万が一暴れられたら困っちゃうな。ちょっと薬で眠っててね」 プシュッ
一夏(な、なんだこれ! まさか催眠……ガス…………?)
束「君のことは隅々まで調べてあげるからゆっくり眠ってるといいよ」
束「なにせ私は天才だから。この程度夕飯前なのさっ」
束「まあ、私がいかに天才だったとしても」
束「分解したら元に戻せないけどね」
安価とか伏線?とか全部回収したからゆるしてヒヤシンス
そんなわけでシャルを無理やり高くあげたのは正直すまんかった
モッピーエンドとか観たかったな、箒じゃなくてモッピー
一夏「なんだか全身がスースーする。悪い夢でも見たのか俺は……」
一夏「そ、それより大事な人を連れていくって約束だったな!」
一夏「俺と一緒に来てくれそうな人は……>>272」
のほほん「ほえ? おりむーそんなに急いでどうしたのー?」
一夏「はあっ、はあっ……ごめん、ちょっと俺の話を聞いてくれないか?」
のほほん「いいよ〜♪ なにかななにかな〜?」
一夏「ああ、実は束さんに――」
一夏「というか俺の話が理解できてなかったんじゃないか?」
一夏「まあ、いきなりあんな話されてから俺についてきてくれなんて言われてもな……」
一夏「っと、まずい。束さんを待たせるわけにはいかない!」
一夏「誰かを探すのは>>281で最後だ」
一夏「くそっ、どこにいるんだよ……箒」
一夏(もう時間がない。俺一人で行くしかないのか)
一夏「ちくしょう……!」タッタッタッタッ
束「おやおやいっくん、そんなに慌ててどうしたの?」
一夏「うわっ! って、束さんか……」
束「束さんだよ〜♪ それよりもいっくん、ここへは1人で来たのかな」
一夏「……すみません。大事な人なんてわからなくて」
束「そうなんだ。じゃあ、いっくんにはあの学園にいる必要はないみたいだね」ポチッ
一夏「た、束さん? 今何か、変なことしませんでした?」
束「これのことー? いっくんも押してみる?」
一夏「いや……それよりも」
「それ、何のボタンなんですか?」
「んー? これはね――」
もちろんその事を知っているのは、俺と束さんだけになる。当然だ。
どこの国の仕業か、どこの機構の陰謀か。世界は揺れに揺れ、治安は乱れに乱れた。
俺は今や、どこの軍事組織からも狙われる身へとなってしまった。
それはそうだ。俺はどこの国の候補生でもなかったのだから。帰る場所などどこにもなかった。
力はより強い力を恐れ、俺と白式を求めての争奪戦は、いつからか織斑一夏の殲滅へと変わっていった。
時折、思う。今もどこかで俺を笑いながら見てるであろう天才は、この世界をどう思っていたのだろう。
こんな簡単に世界を2度も変えてしまった天才のことなんか、俺には理解できないかもしれない。
そう、俺には――
「あーあ、また退屈になっちゃったなぁ」
一夏・BADEND
やり直しはもうないのかい?
1.セシリア
2.鈴
鈴「ん、一夏? あたしに何か用?」
一夏「今から大事な話をする。よく聞いてほしい」
鈴「ちょ、い、いきなり何言いだすのよ馬鹿一夏!///」
一夏「いいから聞いてくれ。IS学園の命運がかかってるんだ」
鈴「……はあ? ねえ、あんた何言ってるの?」
一夏「いいから聞けって。まずは今からジャスコに行くぞ」
鈴「ジャスコ? ジャスコなんてまだ残ってたっけ」
一夏「ある、はずだ。そこで束さんが待ってる」
鈴「ますますわけがわからないわね。ま、まあ、あたしと出かけたいってならついてってあげるわよ?」
一夏「よし、それじゃ来てくれ!」ガシッ
鈴「あ……(手、繋がれてる……)///」
一夏「わからない。けど、束さんのことだからひょっとしたらと思って」
鈴「あー、あの人ならやりかねなさそうよね。何か変だし、IS作るような天才だし……」
一夏「そうだ。だから、束さんの言う通りにしてお前を連れてきたんだ」
鈴「それって、その……一夏の大事な人、のこと?」
一夏「ああ。お前なら来てくれると思ってな。……嫌だったか?」
鈴「い、嫌なわけないでしょ! あんたがあたしを頼ってくれたんだもん」
鈴「嫌なわけ、ないじゃない」
一夏「そっか。ありがとな」
鈴「//// この話はもうおしまい! ほら、あれがジャスコなんじゃないの?」
一夏「そうみたいだな。中に入って束さんを探そう」
一夏「そうみたいだ。っ、束さーん」
束「おー、いっくんさっき振り〜! それと、この人誰?」
鈴(うわっ、本気でどうでもよさそうな扱いね……あたし候補生なんだけど)
一夏「俺の大事な人だよ。一緒に来てもらった」
鈴「一夏……///」
束「そっかー。ふーん、この人がね〜。おっぱい小さい子が好みなの?」
鈴「ぶはっ!!」ゲホッゲホッ
一夏「なんですか?」
束「今もいっくんはIS学園を潰したいと思ってる? その子と一緒に過ごしたIS学園を」
束「私もあんまり勝手なことするなってちーちゃんに怒られちゃうからね〜」
一夏(千冬姉に怒られるだけじゃ済まないだろ!)
束「それで、どうするの? もし潰せるものなら、潰したい?」
鈴「一夏、よく考えなさいよ。あたしはあんたが決めるなら大人しく従うから」
一夏「……。俺は、>>319」
1.IS学園を潰す
2.そんなことできない
3.
鈴「俺はそんなことできない、だっけ? あの時あんたが言ったの」
一夏「そりゃそうだろ。もし束さんが冗談のつもりだったとしても、そんなこと口が裂けても言えるかってんだ」
鈴「ふーん。じゃあさ、他に理由はないの? 潰れたら困る理由っていうか」
一夏「いろいろあるけど、真っ先に考えたことならあるぜ」
鈴「なによ、言ってみなさい。聞いてあげようじゃないの」
一夏「……お前と」
鈴「……えっ?」
一夏「いや、何でもない。さーて腹減ったな、料理という名の青酸カリじゃなければ何でもこいだ」
鈴「ちょっと、続きは? 今なんて言おうとしたの! ねえ!」
一夏「何でもないよ。ほらっ、先に食堂行ってるからな!」
鈴「あ、ちょっと待ちなさい、一夏! 待ちなさいってば、いちかぁぁぁ――――」
鈴・GOODEND
気が向いたらまた安価スレやろうかね、今さらISハマっちまって色々つらい
読んでくれた人と安価してくれた人乙乙。おやすみ
IS学園潰すなんて出たから束さんラスボスになっちゃった
次回も期待してるぞ
Entry ⇒ 2012.04.26 | Category ⇒ インフィニット・ストラトスSS | Comments (0) | Trackbacks (0)
マミ「大好きなお姉ちゃん」
http://hayabusa.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1335088963/
マミ「なあに?」
杏子「マミさんの武器って、ほんとはリボンなんでしょ?」
マミ「うん、そうだよ」
杏子「じゃあ何で鉄砲で戦ってるの?」
マミ「あっ、それはね?お姉ちゃんに教えてもらったからなんだよ」
杏子「えっ?マミさんにお姉ちゃんがいたの?」
マミ「うん、わたしの大切なお姉ちゃんなんだ」
杏子「わぁー。じゃあやっぱりマミさんと似てるんだ?」
杏子「えっ?姉妹なのに?わたしはモモと似てるよ?」
マミ「たしかに、佐倉さん達は似てるし、仲良しだもんね」
杏子「うんっ!わたし、モモが大好きだよ!」
マミ「わたしもお姉ちゃんが大好き!」
マミ「…家族じゃないけど」
杏子「えっ?」
マミ「わたしのお姉ちゃんだよ」
マミ「大好きなお姉ちゃん」
マミ「ほむらお姉ちゃん…!」
ほむら「ここは…?」
ほむら「見たところ、見滝原のようだけど…雰囲気が違うわ」
ほむら「それに目覚めた場所も病院じゃなくて公園…ね」
ほむら「……どうやら、今回はイレギュラーのようね」
ほむら「私の魔法も完璧じゃないのかしら?」
ほむら「…こんなんじゃ…私は本当にまどかを救うことができるの…?」
ほむら「まどか…」
ほむら「!」
A「おーい、2人とも早く早くぅー!」
B「うぅ、まってよぉー」
C「そんなに走ったら危ないですわ」
ほむら「…あの子達は……!」
A「あはは、だいじょーぶ、だいじょ…」
A「きゃっ?」ドテッ
B「あぁっ!だいじょうぶ?」
C「お、お怪我は…?」
ほむら「…」
A「うぅっ…」ウルウル
C「ど、どうしましょう…」
A「ぐすっ…痛くなんかないもん…」
B「で、でも…」
C「えっと…」
ほむら「ちょっといいかしら?」
A「ふぇ…?」
ほむら「…傷、見せてくれる?」
A「う、うん…」
ほむら「ありがとう…少し擦りむいてるようね」
A「うぅっ…」
ほむら「この程度なら少し消毒して…」
ほむら「これで大丈夫よ」
A「あ、ありがとう…!」
ほむら「次からは気をつけなきゃダメだよ?」
A「う、うん!」
ほむら「ふふっ」
C「あ、あの…」
ほむら「ん?」
B「だ、だいじょうぶ…だよね?」
B「ほんと?」
A「お姉ちゃんが治してくれたから、だいじょうぶだよ!」
B「よかった…!」
ほむら「お友だちが心配なの?」
B「うん」
ほむら「ふふっ、優しいんだね」
B「だって、さや」
ほむら「!」
ほむら「ごめんなさい、もう行かなくちゃいけないの」
C「えっ?」
ほむら「ごめんね」
A「あ、あのっ!ありがとう!」
B「お姉ちゃん…」
ほむら「ふふっ、お友だちを大切にしてね」
B「うんっ!」
ほむら「…さようなら」タタッ
B「あっ…」
ほむら(どうやらここは数年前の見滝原のようね)
ほむら(…時間を巻き戻し過ぎた…と言うことかしら?)
ほむら(今までにそんなことはなかったのに…)
ほむら(何で…?)
ほむら(………)
ほむら(…考えるのは後にしましょう)
ほむら(今は魔女を倒さないければ…!)
A「うん!」
B「お名前…聞きたかったなぁ」
A「そうだね……あれ?」
C「どうかなさいました?」
A「お姉ちゃんがくれたハンカチに名前が書いてあるよ!」
B「あっ、ほんとだ!えっと…」
A「…?ひ?うーん…読めない…」
C「これは、私とおなじ漢字ですわ、そしてこちらがお名前ですわね」
A「だねぇ」
B「ほむら…」
B「ほむらお姉ちゃん…!」
ほむら「そう言えば…今の見滝原の魔法少女は誰なのかしら?」
ほむら「…もしかして、巴マミ?」
「ぐすっ…怖いよぉ…」
ほむら「ん?」
「わたしが…ぐすっ…やっつけなきゃいけないのに…」
ほむら「…!」
「怖い…」フルフル
マミ「えっ?」
ほむら「あっ…」
ほむら(間違いない、巴マミだわ…!)
ほむら(こんなに小さいのに、もう魔法少女に…)
マミ「あ、あのっ…」
ほむら「…」
マミ「あ、あなたも…魔法少女…なの?」
ほむら「…そうだよ」
マミ「!!」
ほむら「巴マミ…」
マミ「…わたし、魔女と戦うのが怖くて……」
ほむら「…」
マミ「そ、そのぉ…わたし…ひとりぼっちだし…」
マミ「キュゥべえも会いに来てくれなくて…」
マミ「だから…あの……」
マミ「うぅっ…」
ほむら(…そうよね、この歳でもう巴マミは一人で……)
ほむら(…正直、巴マミのことはあまり好きにはなれなかった)
ほむら(だって、彼女のせいでまどかは…!)
ほむら(……でも)
ほむら(…昔、私を助けてくれたのは、まどか)
ほむら(そして巴マミ…ううん、巴さん…だった)
ほむら(…まどかのことしか考えていなかったけど、私は巴さんにも……)
ほむら(なら、今がその恩返しする時…なのかしら?)
ほむら(…よし)
マミ「えっ?」
ほむら「私が…お姉ちゃんが一緒に戦ってあげるわ」
マミ「あっ…」パアッ
マミ「ほんとう?」
ほむら「うん。だから2人で魔女を倒そう?」
マミ「うんっ!」ニコッ
ほむら「ふふっ」
魔女「〜」
マミ「うぅっ」フルフル
ほむら「大丈夫よ、あなたはここからマスケット銃で攻撃していればいいわ」
マミ「え?」
ほむら「その隙に私が…」
マミ「ますけっとじゅう?」
ほむら「えっ?あなたの武器はマスケット銃でしょう?」
マミ「ううん、違うよ?」
ほむら「…もしかして、リボン?」
マミ「うん!」
ほむら(なるほど…てっきりマスケット銃がメインだと思っていたのだけど)
ほむら(本来の武器はリボンだったのね)
ほむら(それなら…)
魔女「〜!」
マミ「きゃぁっ?」
ほむら「はぁっ!」パァン
魔女「〜」ヨロッ
ほむら「今よ」
ほむら(時間停止)
ほむら「ふぅ…」
マミ「わぁ…!」
マミ「す、すごい…あっという間に倒しちゃった!」
ほむら「…ふふっ、そうだね」
マミ「お姉ちゃんは強いんだね」
ほむら「……そんなことないわよ」
マミ「えっ?でも…簡単にやっつけたし…」
ほむら「…」
マミ「……わたし、まだ一回も魔女をやっつけたことがないの」
マミ「んと……この前」
ほむら「そう…」
ほむら(巴マミはたしか事故で…なら家族はもう…)
ほむら(巴マミはこれから何年も1人で戦い続けて、そして最期は…)
ほむら「っ…」
マミ「?」
ほむら(わたしは…巴マミを少なからず嫌っていたわ……)
ほむら(…だけど彼女だって辛い思いをしてきたのよね?)
ほむら(でも…私とあなたは……)
マミ『飲み込みが悪いのね、見逃してあげるって言ってるの』
マミ『またあなたね、暁美ほむら』
マミ『あなたの言うことを信じられると思って?』
マミ『みんな死ぬしかないじゃない!』
マミ『あなたも…!私もっ!』
―――
ほむら「……っ」
ほむら(巴マミ…私とあなたはすれ違ってばっかりで……)
ほむら(……でも)
―――
マミ『間一髪ってところね』
マミ『私の名前は巴マミ』ニコッ
マミ『まあ!鹿目さんのクラスに転校してきたばっかりなの?』
マミ『私も見滝原中なの、3年生だけどね』クスッ
マミ『ふふっ、遠慮なんていらないわよ?だって私たち』
マミ『お友だちでしょう?』ニコッ
マミ『時間停止…ねぇ。うーん…使い方次第では…』
マミ『ううん、すっごく助かるわ!暁美さんが仲間になってくれるのなら百人力よ!』
マミ『今日から私と鹿目さん、そして暁美さんの3人で頑張りましょう!』
マミ『暁美さんっ!』ドンッ
マミ『きゃぁぁぁっ!』
マミ『だい…じょうぶ…?ふふ…よか…た…』
マミ『ほむ…ら…さ…は…たい…せつな…おと…も…』
マミ『だ…ち………』ニコ
―――
ほむら(………)
ほむら(他にも私は巴さんに何度も助けてもらったわ)
ほむら(私を助けてくれたのは、まどかだけじゃない…)
ほむら(そう…わかってるはずなのに、私は…彼女に冷たくしてしまって……)
マミ「――――ん」
ほむら「…」
マミ「お姉ちゃん?」
ほむら「!」ハッ
ほむら「…なあに?」
マミ「わ、わたしっ!その…助けてくれたお礼がしたくって…」
ほむら「…」
マミ「まだお料理上手じゃないけど…お礼がしたくって…」
マミ「ダメ…ですか?」
ほむら(巴マミ…あなたは……)
ほむら「…」
ほむら「…いいよ」
マミ「あっ…!」
ほむら「よろしくね」ニコ
マミ「うんっ!」パアッ
マミホーム
マミ「ど、どうぞ!」
ほむら「おじゃまします」
ほむら(懐かしいな…何度も紅茶とケーキをご馳走になったっけ)
ほむら(でもそれは昔の話…最近は……)
ほむら「………」
ほむら「うん、知ってるよ」
マミ「えっ?」
ほむら「あっ…いや、ふふっ」
マミ「?」
ほむら「…私の名前は暁美ほむらだよ」
マミ「あけみほむら…じゃあ、ほむらお姉ちゃんだね!」
ほむら「…うん」クスッ
ほむら「じゃああなたは……マミちゃん、かしら?」
マミ「わぁ…!うんっ!」
マミ「あ、あのっ…紅茶…飲みますか?」
ほむら「うん、お願いするね」
マミ「じゃあ、持ってくるね」タタッ
ほむら「…マミちゃん、か」クスッ
ほむら(今は昔のことを考えるのはやめましょう)
ほむら(今は巴マミに…マミちゃんに恩返しすることを考えなくちゃ)
マミ「はい、どうぞ」
ほむら「ありがとう、いただくわ」
マミ「うん!」
マミ「よかった…」
マミ「あっ!ケーキもあるよ!持ってくるね!」タタッ
ほむら「ふふっ」クスッ
ほむら(可愛いわね)
カシャン
マミ「きゃっ?」
ほむら「あら…?」
マミ「ぐすっ…」
マミ「うん…でも、ケーキが……」
ほむら「…落っことしちゃったのね」
マミ「うぅっ…頑張って作ったのに…」
ほむら「えっ?手作り…なの?」
マミ「うん…キュゥべえが遊びに来た時にあげようって頑張っての」
マミ「なのに…」ウルウル
ほむら「……大丈夫だよ」
ほむら「ふふっ、おいしい」ペロッ
マミ「あっ…き、汚いよ!」
ほむら「…そうだね、じゃあ新しく作ろっか」
マミ「え?」
ほむら「お姉ちゃんと一緒に、ね?」
マミ「お姉ちゃん…!」
ほむら「2人でケーキ作ろうね」
マミ「う、うんっ!準備するね!」
ほむら「私も手伝うわ」
マミ「ありがとう」
マミ「お姉ちゃんもケーキ作れるんだね」
ほむら「うん、昔教えてもらったんだ」
マミ「誰に?お母さん?」
ほむら「ううん…好きだった先輩…お友だちに、かな」
ほむら(巴さん…)
マミ「好きだった?今は好きじゃないの?」
ほむら「…ふふ、どうなのかな」
ほむら(巴マミ…)
ほむら「…ほら、作ろう?」
マミ「…うん!」
マミ「できた…!」
ほむら「美味しそうに作れたね」
マミ「うんっ、じゃあお皿持ってくるね」
ほむら「うん」
ほむら(…思い返せば、私は巴さんにいろんな思い出をもらったわ)
ほむら(ケーキ作りの他にも、私とまどかと3人で一緒にたくさん…)
ほむら(なのに…何時から敵対してしまうようになったのかしら…?)
ほむら(本当は敵対なんてしたくないのに…)
ほむら「巴さん…」
マミ「えっ?」
ほむら「あ、いえ…何も…」
マミ「お姉ちゃん?」
ほむら「…美味しそうだね、食べよっか」
マミ「うん!」
ほむら(…マミちゃん、私…今度は頑張るから)
―――
ほむら「ごちそうさまでした。凄く美味しかったわ」
マミ「てへへ、よかった」
ほむら「ふふっ」
マミ「大丈夫だったら、もっとお話したいなぁ…って」
ほむら「…うん、大丈夫だよ」
マミ「ほんと?やった!」
ほむら「何でも話して?遠慮はいらないから」
マミ「ありがとう!その…魔法少女のことでお話があるの」
ほむら「魔法少女の…わかったわ、話して?」
マミ「うん、わたし…魔法少女なのに、魔女がすごく怖くって…」
ほむら「…」
マミ「わたしが見滝原を守らなきゃいけないって…」
マミ「だから…わたしが魔女をやっつけなきゃいけないのに…」
マミ「怖くって…寂しくて…」ウルウル
ほむら「マミちゃん…」
マミ「学校じゃ誰にも話せないし…ううん、話したらバカにされちゃって…」
マミ「魔法少女や魔女なんているわけないって…ほんとはいるのに…」
ほむら「…」
マミ「だから学校も楽しくなくて…でも家に帰っても…」
マミ「お父さんも…お母さんも…うぅ」ウルウル
マミ「うぅっ…ぐすっ…」
ほむら「マミちゃん…」ギュッ
マミ「お姉ちゃ…お姉ちゃんっ…お姉ちゃぁぁぁん…」
マミ「わたし…寂しよぉ…ひとりぼっちは嫌だよぉ…」
マミ「ぐすっ…うわぁぁぁぁんっ」
ほむら「……マミちゃん」
マミ「すぅ…すぅ…」
ほむら「…」ナデナデ
ほむら(泣きつかれて眠っちゃった)
ほむら(…そうよね、家族もいないのにずっと一人で…)
ほむら(背負うものが大きすぎる…)
ほむら(どの時間軸の巴マミもみんなこの子と同じなのよね…)
ほむら(…たしかに、まどかや美樹さやかを仲間にしたくなるわけだわ)
ほむら(私は…どうすれば良かったのかしら?)
ほむら(巴マミをひとりぼっちにしないで、寂しい思いをさせない方法は…?)
ほむら(……そうだわ!)
マミ「ん…」パチッ
マミ「んん…あれ?わたし…」
マミ「あっ!お姉ちゃん!ほむらお姉ちゃんは?」
マミ「お姉ちゃんっ…」キョロキョロ
マミ「いない…」
マミ「ほむらお姉ちゃん…」グスン
マミ「もう夜だから帰っちゃったのかな?」
マミ「またひとりぼっち…」
グツグツ
ほむら「〜♪」
マミ「お姉ちゃん…?お姉ちゃんっ!」
ほむら「あら、おはよう」
マミ「お姉ちゃん…帰ってなかったんだ!」
ほむら「うん、あのね?マミちゃんにお願いがあるの」
マミ「お願い?」
ほむら「お姉ちゃん、マミちゃんと一緒に暮らしたいの」
マミ「えっ?えぇっ?」
ほむら「ダメかな?」
ほむら「うん」ニコッ
マミ「わぁ…!」
マミ「わたし…ひとりでご飯食べなくてもいいの?」
ほむら「うん」
マミ「ひとりでお風呂に入らなくてもいいの?」
ほむら「うん」
マミ「ひとりで眠らなくてもいいの?」
ほむら「うん」
マミ「わたし…もう、ひとりぼっちじゃないの?」
ほむら「うん…!」
ほむら「ふふっ、今夕食作ってるから、2人で食べようね」
マミ「うんっ!」
ほむら(私は決めたわ)
ほむら(なぜこの時間軸に来たのかはわからない…)
ほむら(でも、1ヶ月もすればまた時間を巻き戻せるはずよ)
ほむら(ならこの1ヶ月で何をするか…これが今の私の道標)
ほむら(そしてその道標が、巴マミに…マミちゃんに恩返しをすることよ)
ほむら(私がこの子をひとりぼっちにならないようにしなきゃ)
ほむら(せめて…この時間軸の巴マミにだけでも、一人で辛い思いはさせたくないから…!)
ほむら「おそまつさまでした」
マミ「あ、あのっ!凄く美味しかったです!」
ほむら「そう、よかった。ありがとう」
ほむら(あの時とは逆ね…あの時は私がご馳走してもらったから)
ほむら「さて、次はお風呂にしましょう?もう準備はできているわ」
マミ「うん」
ほむら「私は後から入るから、マミちゃんは先に入ってて?」
マミ「あっ…」
マミ「あ、あの…えっと…」
ほむら「どうしたの?」
マミ「い、一緒に…」
ほむら「えっ?」
マミ「な、何でもないです!」タタッ
ほむら「…何だったのかしら?」
ほむら「まあ、いいわ…早く食器を洗わなきゃ」
ほむら「…」カチャカチャ
マミ「…」ソーッ
マミ「ほ、ほむらお姉ちゃんっ!」
ほむら「うん」
マミ「あのっ…わたしと一緒に…」モジモジ
ほむら「ん?」
マミ「わたしと一緒にお風呂に入ってください!」
ほむら「えっ?」
マミ「うぅ…」
チャポン
マミ「てへへ、ありがとう。お姉ちゃん」
ほむら「うん」
ほむら(ま、まさか誰かと2人っきりでお風呂に入る日が来るなんて…)
ほむら(ま、まぁ…相手は小学生だし…大丈夫よね?)
マミ「…やっぱりこの歳で誰かとお風呂に入るのは変かな?」
マミ「お友だちはみんな一人で入ってるって言ってるの…」
ほむら「…」
マミ「わたしは…まだお母さんと一緒に入ってたのに…」
ほむら「マミちゃん…」
マミ「お姉ちゃん…わたしっ…」
ほむら「…大丈夫だよ、私も…お姉ちゃんも、お母さんと一緒に入ってたから」
マミ「えっ?ほんとに?」
ほむら「う、うん」
ほむら(しかも割りと最近まで…)
ほむら(もう中学生なのに、ハンカチに名前書いたりして…過保護なのかしら?)
ほむら(も、もちろん魔法少女になる前の話よ!)
ほむら(お母さん…元気にしてるかな?)
ほむら「…」
ほむら「…ふふっ、そうだね」
ほむら(ただ…)
ほむら「…」ジィー
マミ「?」
ほむら「…」チラッ
ほむら(負けた…まだ小学生なのに…)
ほむら「不公平よ…」ショボン
マミ「お姉ちゃん…?」キョトン
―――
マミ「わたしがこっちで、お姉ちゃんがこっちだよ!」
ほむら「ふふ、はいはい」
マミ「てへへ、寝よっ?」
ほむら「うん」
ほむら(今度は一緒に寝よう…か)
ほむら(お風呂といい…意外と年齢の割りには幼いのね)
ほむら(いえ…私の中のイメージがお姉さんで固まってるからなのかしら?)
ほむら(まだ小学生…だものね)
ほむら(マミちゃん…)
ほむら「ん?」
マミ「ほんとに…ほんとに一緒に暮らしてくれるの?」
マミ「お姉ちゃんは何処にも行ったりしない?」
ほむら「うん、大丈夫。お姉ちゃんは何処にも行かないから」
ほむら(この1ヶ月は、ね…)
マミ「キュゥべえはいなくなっちゃったから…わたし、怖くて」
マミ「たぶんキュゥべえはわたしが弱いから…泣き虫だからわたしを嫌いになっちゃって…」
マミ「いなくなっちゃったんだと思うの…」
ほむら「……」
ほむら(キュゥべえまでいないとなると、本当にマミちゃんはひとりぼっち…か)
ほむら(なら私が…!)
ほむら「大丈夫…大丈夫だから」
マミ「お姉ちゃん…」
ほむら「だから今は安心して?」
マミ「…うん」
ほむら「さぁ、眠りましょう?」
ほむら「うん、おやすみ」
マミ「…すぅ…すぅ…」
ほむら「…ごめんなさい、私も何時までも一緒にはいられないわ」
ほむら「でも…」
マミ「ん…」ギュッ
ほむら「あっ」
マミ「いか…ないで…」ムニャムニャ
ほむら「…うん、私は…お姉ちゃんは出来る限りのことはするからね」
ほむら「マミちゃん…!」
マミ「ただいま!お姉ちゃん!」
ほむら「おかえりなさい」
マミ「てへへ、久しぶりに『おかえりなさい』してもらった!」
ほむら「ふふっ、学校は楽しかった?」
マミ「……」フルフル
ほむら「マミちゃん…」
マミ「だって…魔法少女のこと話してから…みんなバカにするから…」
ほむら(そう…よね…普通ならあり得ない話だもの)
マミ「えっ?いいの?」
ほむら「もちろんよ、ついてきて?」
マミ「うんっ!」
公園
マミ「ねえ、何するの?」
ほむら「ふふ、ちょっとね」
ほむら(私の勘がただしければ…)
ほむら(来た!)
A「2人ともおそーい!」
B「まってよぉー」
C「また転んでしまいますわよ?」
A「だいじょーぶ!」
ほむら「ふふっ」
マミ「仲良さそう…いいなぁ…」
ほむら「マミちゃん、ちょっと待っててね」
マミ「?」
A「あっ、昨日の…」
B「ほむらお姉ちゃん!」
ほむら「!」
ほむら(何で名前を?)
C「こんにちは」ペコッ
ほむら「ふふっ、こんにちは」
マミ「お姉ちゃん……」
A「お姉ちゃん、昨日はありがとう!ハンカチは今度返すね!」
ほむら「うん、ありがとう」
ほむら(そういえばあのハンカチにも名前が…ちょっと恥ずかしいわね)
ほむら(だから名前もわかったのね?)
ほむら「うん、今日は遊びにきたの」
ほむら(そして…)
A「ほんと?やったぁ!」
ほむら「ふふっ」
A「あっ、そうだ!自己紹介しなきゃ!」
さやか「あたしはさやか!みきさやか!」
まどか「わ、わたし、鹿目まどか…!」
仁美「志筑仁美です。よろしくお願いします」
ほむら「私は暁美ほむら」
ほむら「そして…」ゴニョゴニョ
ほむら「いい?」
まどか「うん…!」
さやか「うん!わかったー!」
マミ「…」オロオロ
ほむら「マミちゃん、おいで」
マミ「あ、あのっ…」
さやか「あっ、学校で見たことあるー!」
ほむら「マミちゃん、この子たちに自己紹介して?」
マミ「えっ?」
マミ「え?あっ…」
さやか「別のクラスの子かな?遊ぼうよ」
まどか「い、一緒に遊ぼ?」
仁美「よろしくお願いしますわ」
マミ「あ…遊んでくれるの?」
さやか「うん!」
まどか「わ、わたしなんかで良かったら…」
仁美「ふふ」
マミ「あっ、えと…と、巴マミ…です!よ…よろしくね…!」
まどか「よろしくね…!」
マミ「あ、ありがとう!」
ほむら「よかったね」
マミ「うんっ!」
仁美「お姉さんも一緒に遊びましょう?」
ほむら「えっ?」
まどか「あ、あの!ほむらお姉ちゃんも一緒に遊んでくれたら」
まどか「それはとっても嬉しいなって…!」
まどか「わぁ…!やったぁ!」
ほむら「ふふっ」
ほむら(まどか…!)
さやか「マミちゃん、こっちだよー!」タタッ
マミ「あっ、まって…!」タタッ
ほむら(うん、そうよ…いっそのこと、この時点でこの子達を仲良くさせておけば良いんだわ)
ほむら(まだ、まどかに因果はないはず…だからキュゥべえにだって…)
ほむら(これは賭けよ…もしかしたら逆効果かもしれない)
ほむら(でも、私はマミちゃんに賭けるわ)
ほむら(マミちゃん…!)
さやか「今日は楽しかったねぇ!」
マミ「うん!」
仁美「また明日も遊びましょう?」
マミ「うんっ!」
まどか「ほむらお姉ちゃんもまた遊ぼ?」
ほむら「ふふ。うん、いいよ」
まどか「わーい」
さやか「今日はありがと!帰るねー!」
仁美「さようなら」ペコッ
まどか「それじゃ、またね!ばいばい!」
マミ「ば、ばいばい!またね…!」
ほむら「どう?楽しかった?」
マミ「うん!すっごく楽しかった…!」
ほむら「そっか、よかった」クスッ
マミ「明日も楽しみだなぁ」
ほむら「ふふっ」
マミ「あっ…!」
ほむら「!」
マミ「お姉ちゃん…」オロオロ
ほむら「魔女…ね」
ほむら「大丈夫よ、マミちゃんは強いわ」
マミ「そんな…わたし、怖くて何もできないよ?」
ほむら「ううん、マミちゃんの射撃の腕は私以上よ?」
マミ「えっ?」
ほむら「ついてきて?」
―――
ほむら「私から離れないでね?」
ほむら(時間停止!)
魔女「」
マミ「わわ?止まっちゃった?」
マミ「す、すごい…!わたしはリボンだもん…」
ほむら「ううん、リボンだけじゃないよ?」
マミ「えっ?でもっ…」
ほむら「これが何かわかる?」
マミ「んーと…鉄砲?」
ほむら「うん、まぁ…そんな感じね。これはマスケット銃って言うのよ」
マミ「ますけっとじゅう…」
ほむら「…これは私が先輩…お友だちから貰った御守りでもあるの」
マミ「おまもり?」
ほむら「うん」
マミ『爆弾が危ない…か。まぁ美樹さんの言うことも分からなくはないわ』
マミ『あっ!ち、違うの!何も暁美さんを否定してるわけじゃないわ!』
マミ『うふふっ。当然よ、だって暁美さんは大切なお友だちだもの』
マミ『…ねぇ、もし良かったらこれを使ってみない?』
マミ『私のマスケット銃よ!』
マミ『あっ…でも、一発しか撃てないのよね…』
マミ『えっ?御守りに?ふふっ、ありがとう』
マミ『私が射撃のレッスンをしてあげるわ』
マミ『大丈夫、暁美さんはセンスあるから』クスッ
―――
ほむら(…だから、今度は私の番。私がマミちゃんにレッスンする番よ)
マミ「このますけっとじゅうをどうするの?」
ほむら「ふふ、マミちゃんの魔法でマスケット銃を作るの」
マミ「えぇっ?」
ほむら「ほら、祈ってみて?」
マミ「ん、んっと…」
マミ「わぁっ、でたっ!」パッ
ほむら「ほらね、言ったでしょう?」
マミ「う、うんっ!」
ほむら「いい?マミちゃん、両手で持って、よーく狙うの」
マミ「こ、こうかな?」
ほむら「そうそう、上手よ」
マミ「てへへ…」
ほむら「さて、私もバズーカで…マミちゃんから離れないようにしてね」チャキッ
マミ「お姉ちゃん!」
ほむら「ん?」
マミ「お姉ちゃんの必殺技ってあるの?」キラキラ
ほむら「…え?」
ほむら「あはは…えーと…」
ほむら(な、ないわよ!大体必殺技を作ってる魔法少女なんて私は1人しか知らないわ)
マミ「…ないの?」
ほむら「えっと…ほ、ほむほむバズーカ!」
マミ「え……」
ほむら「い、いいから早く攻撃するのよ!」
マミ「う、うん!」
―――
マミ「や、やった!やっつけた!」
ほむら「頑張ったわね」
マミ「うん…これなら戦えるよ」
ほむら「次からも頑張ろうね」
マミ「うんっ!」
マミ「お姉ちゃんも、もっとカッコいい必殺技作ろうね?」
ほむら「な、なによ!別にいいじゃない!」
マミ「てへへ、ごめんなさい」
ほむら「もう…」
ほむら「…」クスッ
マミ「お姉ちゃん」
ほむら「ん?」
マミ「ありがとう、お姉ちゃんが来てくれて、ほんとに…」
マミ「ほんとによかったの、嬉しいの…!」
ほむら「マミちゃん…」
マミ「ほむらお姉ちゃん、ほんとにありがとう」
マミ「大好きっ!」ニコッ
ほむら「…私もだよ」
ほむら「マミちゃん」ニコッ
マミ「てへへっ」
ほむら「ふふっ」
ほむら(もうすぐ1ヶ月になるわね)
ほむら(そろそろ、私も本来の時間軸に帰る時…か)
ほむら(マミちゃんにどう別れを告げるか悩んだまま…)
ほむら(結局、今日まで過ごしてしまったわ…)
ほむら「…」
マミ「お姉ちゃん、どうしたの?元気ないよ?」
ほむら「マミちゃん…」
ほむら(一緒に起きて、朝ごはん食べて)
ほむら(マミちゃんを学校に送って)
ほむら(帰ってきたら、まどかちゃん達と一緒に遊んで…)
ほむら(魔女も2人で倒したわ)
ほむら(いつの間にか、ティロ・フィナーレを使い出したのには驚いたけどね)
ほむら(小さくても、やっぱりマミちゃんは巴マミなのね)
ほむら(その後はやっぱり2人でお風呂に入って)
ほむら(そして一緒に眠るのよね)
ほむら(まるで本物の姉妹みたいね)
ほむら(…忘れていた大切な何かを思いだせた気がするわ)
ほむら(マミちゃんを助けるつもりでいたけど)
ほむら(案外、助けられていたのは私…なのかもね)
ほむら「…ねえマミちゃん、学校楽しい?」
マミ「うん!」
ほむら「…!」
マミ「だって学校には、さやかちゃん、まどかちゃん、仁美ちゃんがいるもん!」
マミ「それに、クラスのお友だちともまた仲良くなれたの!」
ほむら「…そう、よかった」
マミ「てへへ、今は毎日が楽しいよ」
マミ「学校も楽しいし、家に帰ったらほむらお姉ちゃんが待っててくれるんだもん」
ほむら「マミちゃん…」
ほむら「…」
マミ「これからも、ずっと一緒にいてね!」
ほむら「マミ…ちゃん…」
マミ「てへへっ」
ほむら「っ…」
マミ「…お姉ちゃん?」
ほむら「ごめんね?」
マミ「えっ?」
ほむら「お姉ちゃん…そろそろ行かなきゃ」
マミ「…え?」
ほむら「……」
マミ「う…うそ?うそだよね?」
ほむら「…ごめんなさい」
マミ「だって!お姉ちゃんは何処にも行かないって言ってくれたのに…!」
ほむら「マミちゃん…」
マミ「なのに…なんで…?」
ほむら「…」
マミ「また…ひとりぼっちになっちゃうの?」
マミ「嫌だよ…寂しいよぉ…」
ほむら「……ごめんね」
マミ「行かないで…」
マミ「わたしを1人にしないで…!」
マミ「何でもするから!良い子にするから!」
マミ「ひとりぼっちはもう嫌…」
ほむら「…マミちゃんはひとりぼっちじゃないよ」
マミ「えっ?」
ほむら「だって、まどかちゃんやさやかちゃん、仁美ちゃん」
ほむら「それにクラスにもお友だちがいるでしょ?」
マミ「それは…でも違うもん!」
マミ「ほむらお姉ちゃんは1人しかいないもん!」
ほむら「マミ…ちゃん…」
マミ「お姉ちゃんっ!」ダキッ
ほむら「…」
マミ「お願い…行かないで…!」
ほむら「…ね、お姉ちゃんのお話、聞いてくれる?」
マミ「うん…聞くから…だから行かないで…!」
ほむら「……ありがとう、話すね」
マミ「お姉ちゃんっ…」
ほむら「マミちゃん…私ね?」
ほむら「お姉ちゃんはね?」
マミ「うん…」
ほむら「未来から来たんだよ…!」
マミ「えっ…未来…?」
ほむら「うん…」
ほむら「マミちゃん…あなたに会うためにここにやってきたんだよ」
マミ「わたしに会うために…?」
ほむら「うん、マミちゃん…あなたとの出会いをやり直すために、ね」
マミ「えっ…?」
ほむら「きっと…長いループの間にできた、私とあなたとのすれ違いを治すために」
ほむら「あなたとの出会いをやり直すために、仲良くなるために」
ほむら「私はここに来たんだと思うの」
ほむら「きっと、何処かの優しい神様が私を助けてくれたのかな」
マミ「お姉ちゃん…?」
ほむら「憧れの先輩だった」
マミ「…」
ほむら「でも…いつの間にか、あなたと私はすれ違うようになって…」
ほむら「いつの間にか、友だちどころか…仲間でもなくなって…」
ほむら「互いに敵対視するようになって…」
ほむら「本当は嫌だったの!私だってあなたとは仲間でいたかった!」
ほむら「友だちでいたかった…なのに…」
ほむら「私はっ…」
マミ「ほむらお姉ちゃん…」
ほむら「私はただ、まどかを…ううん、みんなを不運から助けたいだけなのに…」
ほむら「助けるどころか…誰一人守れなくて…」
ほむら「結局、何度も繰り返して…」
ほむら「私はどうすればよかったの?わからない…」
ほむら「わからないよっ…」
マミ「…」
ほむら「気づけば私はひとりぼっちで…友だちもいなくて…」
ほむら「寂しかった…みんなと仲良くしたかった…」
ほむら「でも…もう元には戻れないのよ…」
ほむら「マミちゃん…」
マミ「わたしは…マミは、ほむらお姉ちゃんのお友だちだよ?」
ほむら「…!」
マミ「わたし、お姉ちゃんと会えてほんとによかったよ!」
マミ「だって、あなたは…」
マミ「大好きなお姉ちゃん」
マミ「だから…!」
マミ「お姉ちゃんは…未来のわたしと会ったことがあるんだね」
ほむら「…うん」
マミ「じゃあ、お姉ちゃんが帰っても…また、会えるよね!」
ほむら「えっ?」
マミ「あと何年なのかはわかんないけど…でも!」
マミ「わたし、ずっと待ってるから!」
マミ「6年生になっても、中学生になっても!」
マミ「ずっと…ずっと!」
ほむら「マミちゃん…」
マミ「だから泣かないで?」
マミ「大丈夫…わたしは待ってるから」
マミ「だって、お姉ちゃんはわたしの大切なお姉ちゃんだもん!」
ほむら「―!」
―――
マミ『ほら、暁美さん…泣かないで?』
マミ『うふふっ。世話のやける後輩ね』
マミ『でも大丈夫、私はずっとあなたと一緒にいるわ』
マミ『だって私たち、お友だちでしょ?』
―――
マミ「えっ?」
ほむら「巴さん…巴さんっ…!」
マミ「…お姉ちゃん」
ほむら「ごめんなさい…私はあなたに…」
マミ「大丈夫、大丈夫だから」
マミ「わたしは何時までもお姉ちゃんの味方だよ?」
ほむら「巴さん…」
マミ「お姉ちゃん…」ギュッ
ほむら「あっ…」
マミ「わたし、とっても楽しかったよ」
ほむら「マミ…ちゃん…」
マミ「…ねえ、また会えるよね?」
マミ「ずっとずっと…何時までも待ってるから」
マミ「だからお姉ちゃん…また会いに来てね?」
ほむら「マミちゃん…」
マミ「ね?」
ほむら「うんっ…」
ほむら「うん…」
マミ「また一緒にお風呂に入ろうね?」
ほむら「うん…」
マミ「また一緒に眠ろうね?」
ほむら「うん…」
マミ「そしてまた、一緒に暮らそう?」
ほむら「うん…!」
マミ「てへへ、やったぁ」
ほむら「マミちゃん…」
マミ「…お姉ちゃん」
ほむら「慰めるつもりが逆に慰められちゃって」
ほむら「やっぱり…あなたは私の憧れの先輩なのね」
マミ「てへへ、そんなこないよ」
ほむら「…うん、約束するわ」
ほむら「いつか必ずマミちゃんに会いに行くわ」
ほむら「絶対に、ね?」
マミ「うん!」
マミ「んと…」
ほむら「?」
マミ「お姉ちゃんに、これあげるね」
ほむら「マミちゃんの髪飾り…?」
マミ「うん、お母さんが誕生日に買ってくれた、わたしの宝物だよ」
ほむら「えっ?なら貰うわけにわわ…」
マミ「ううん、宝物だからお姉ちゃんに貰って欲しいの」
ほむら「マミちゃん…」
マミ「それをわたしだと思ってつけてくれたら嬉しいな」
マミ「てへへっ」
ほむら「これをつけてマミちゃんに会いに行くね」
マミ「うん、約束だよ」
ほむら「うん、約束するね」
マミ「てへへ…お姉ちゃん」
マミ「わたしは何時でも何処にいてもお姉ちゃんなことが大好きだからね」
ほむら「ありがとう、マミちゃん」
ほむら「私もマミちゃんが大好きよ」
マミ「てへへっ」ニコッ
ほむら「ふふっ」ニコッ
―――
ほむら「…」パチッ
ほむら「…何時も通りの病院ね」
ほむら「あれは夢だったのかしら?」
ほむら「それとも…?」
ほむら「!」
ほむら「いや、夢じゃないわ」
ほむら「これを付けて行かなきゃね」
ほむら「マミちゃんに会いに…!」
ほむら「…ついたわ」
ほむら「ふふっ」
ほむら(私の帰りが遅かった時は、あの子が出迎えてくれたのよね)
―――
マミ『お姉ちゃん、おかえりなさい!』
マミ『今日はわたしがご飯作ったんだよ』
マミ『わぁ?ケーキだぁ!いいの?ありがとう!』
マミ『てへへ、美味しいね』
マミ『お姉ちゃん大好きっ!』
―――
ほむら「…でも、この時間軸の巴マミがマミちゃんである確率は低い…わよね?」
ほむら「そうだったとしても、私はもう彼女と敵対したくない…」
ほむら「できれば仲間でいてほしい」
ほむら「また、お友だちって言ってほしい」
ほむら「だから…」
ポスッ
ほむら「?」
ほむら「!」
ほむら(巴マミ…!)
ほむら(荷物を落として…どうしたのかしら?)
ほむら(…私が部屋の前に立ってるから驚いたの?)
ほむら(今は私服だから見滝原中の生徒かもわからないだろうし)
ほむら(まあ…知らない人がそうしていれば驚くのは無理もないわよね)
ほむら(自己紹介…しようかしら)
マミ「ほむら…お姉ちゃん…?」
ほむら「えっ?」
マミ「お姉ちゃん…ほむらお姉ちゃん何だよね…?」
ほむら「まさか…あなたは…」
マミ「私の髪飾り、約束通り付けてきてくれたのね!」
ほむら「マミちゃん…?」
マミ「ええ!私よ…!」
マミ「ほむらお姉ちゃん!」
ほむら「マミちゃん!」
マミ「本当に帰ってきてくれたのね?」
ほむら「ええ…!」
マミ「嬉しい…本当に嬉しいわ!」
ほむら「ごめんなさい…何年も待たせてしまって」
マミ「うふふっ。今じゃ私の方がお姉ちゃんね」
ほむら「ふふ、そうね」
マミ「ねえ…なら、ほむらちゃん。って呼んでいいかしら?」
ほむら「うん、あなたの好きにして構わないわ」
マミ「てへへ、じゃあ遠慮なく」
マミ「ほむらちゃんっ」
ほむら「ふふっ」
ほむら「ええ、もちろんよ」
マミ「ふふ、ありがとう」
マミ「あの後…ほむらちゃんが帰った後もね?」
マミ「私、まどかちゃんやさやかちゃんと毎日遊んだの」
ほむら「そう…!」
マミ「今も3人とは仲良しなのよ?よく遊びに出掛けるわ」
ほむら「よかった…」
マミ「ふふっ、これもあの時ほむらちゃんがいてくれたからなのよね」
ほむら「ええ。でも、その後も仲好くいられたのはあなたの力よ」
マミ「ふふ、そうかしら?」
マミ「…うん!」
ほむら「ふふっ」
マミ「あっ、魔法少女のお友だちもできたのよ!」
マミ「佐倉杏子ちゃん。って言うの」
マミ「彼女もとっても素敵なお友だちよ」
ほむら「そっか」
ほむら(佐倉杏子とも良い関係のままていられたようね)
ほむら(よかった…!)
ほむら「うん、そうね」
ほむら(私、この子を…マミちゃんを少しは助けることができたのよね?)
マミ「私、こんなに仲良しなお友だちができて本当に嬉しいの」
ほむら「ふふっ、よかったわね」
マミ「でも、一番嬉しいのは…」
ほむら「?」
マミ「また、あなたと会えたことなの!」
ほむら「マミ…ちゃん…」
マミ「ずっと…ずっと待ってたんだから…」
マミ「会いたかった…やっぱり寂しかった…」
ほむら「…」
マミ「…今じゃ私の方が歳上だけど…でも」
マミ「やっぱり…ほむらちゃん、あなたはお姉ちゃんだよ」
マミ「私の大切なお姉ちゃん…!」
ほむら「マミちゃん…」
マミ「それに魔法少女だって、杏子ちゃんがいてくれるわ」
マミ「でも…やっぱり寂しかった…」
マミ「だって、あなたは私のお姉ちゃんだから…!」
ほむら「…そっか」
ほむら「ごめんね…遅くなっちゃって…」
マミ「ううん、いいの」
マミ「だって…今また、こうして一緒にいられるんだから…!」
ほむら「マミちゃん…!」
ほむら「うん、ただいま…!」ニコッ
マミ「てへへ、やっぱり嬉しいな…」
ほむら「そうだね」
マミ「あっ、そうだ!美味しい紅茶とケーキの用意をしなきゃ」
マミ「待っててね」タタッ
ほむら「…ふふっ」
ほむら(やっぱり彼女はマミちゃんなのね)
ほむら(私…帰ってきたんだ)
ほむら(私とマミちゃんが2人で過ごしたここに…!)
マミ「きゃっ?」
ほむら「あら…?」
マミ「…またやっちゃった」
ほむら「大丈夫?怪我はない?」
マミ「うん…でも、ケーキが…」
ほむら「ふふっ、ならまた作りましょう?」
マミ「…うん!」
ほむら「ふふっ、大きくなっても変わってないのね」
マミ「てへへ…」
ほむら「できたわね」
マミ「あっ、最後にこれを書かせて?」
ほむら「?…いいわよ」
マミ「ふふっ、ありがとう」
マミ「…よーし、完成ね」
ほむら「これは…?」
ほむらお姉ちゃんへ
おかえりなさい
ほむら「マミちゃん…」
マミ「うふふっ」
マミちゃんへ
ただいま
マミ「…ありがとう!」
ほむら「ふふっ。さ、食べましょう?」
マミ「うん!」
マミ「……」
ほむら「どうしたの?」
マミ「…また、これから一緒にいてくれるよね?」
ほむら「…ええ、約束したものね」
マミ「わぁ…やった!」
ほむら「ふふっ」
マミ「ありがとうっ!」
ほむら「うん…!」
ほむら(これまでの私は…まどか以外のことは全て諦めてた)
ほむら(それどころか、まどかのことすら…)
ほむら(でも、今の私にはわかるわ)
ほむら(本当は巴マミも…マミちゃんも、まどかに負けないくらい大切な存在)
ほむら(私の憧れの先輩でお友だち)
ほむら(そして…私にとってもマミちゃん、あなたは…)
マミ「なあに?」
ほむら「私にとっても、マミちゃん…あなたはね?私の…」
ほむら「大切なお姉ちゃん」
マミ「!」
ほむら「…本当はずっと憧れてて、だけど諦めてて……」
ほむら「…でも、今は自分の気持ちに素直になれるわ」
ほむら「私は、あなたと仲好くしたい!」
ほむら「仲間で…友だちでいてほしいの!」
ほむら「だから…!」
ほむら「マミちゃん、これからも、また…よろしくね!」
マミ「うんっ!」
マミ「よろしくね!ほむらお姉ちゃん!」
ほむら「うん!マミ…マミお…」
マミ「大丈夫、遠慮はいらないわよ?」
ほむら「…マミお姉ちゃん!」
マミ「うふふ、良くできました」
ほむら「…ふふっ、やっぱり照れるわね」
マミ「うん…でも嬉しいかな」
ほむら「ええ…!」
ほむら「なっ…?さ、流石にそれは遠慮しておくわ!」
マミ「ふふっ、冗談よ」
ほむら「…でも」
マミ「ん?」
ほむら「また…一緒に生活したいかなって…」
マミ「…」
ほむら「その…私も一人暮しはやっぱり寂しくて…」
マミ「…ふふっ」
ほむら「あっ、いや!今のは…!」
ほむら「えっ?」
マミ「また、あの時のように本物の姉妹の用に暮らしましょう?」
ほむら「…!」
マミ「ね?」
ほむら「うん…!」
ほむら(この時私は確信した)
ほむら(今の私たちに怖いものは何もないって)
ほむら(ワルプルギスにだって、きっと…)
ほむら(まどかも守ってみせる)
ほむら(どんなに大きな壁だって乗り越えて見せるから…!)
ほむら(明日信じて…祈って…!)
ほむら「!」
マミ「大好き!」
ほむら「…うん!」
マミ「てへへ」ニコッ
ほむら「えへへ」ニコッ
おわり
gjでした
ありがとう
よかったよかった乙乙
Entry ⇒ 2012.04.26 | Category ⇒ まどかマギカSS | Comments (0) | Trackbacks (0)
佐藤「さかきばらくんはわたしのもの」
http://hayabusa.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1333419831/
―― 3年3組 教室 ――
恒一「東京からやってきた榊原恒一です。よろしくお願いします!」
女性陣「///」
佐藤「・・・・・・」
久保寺「・・・では、榊原くんは空いている佐藤さんの隣の席に座ってください」
恒一「あっ、はい」
恒一「えっと、佐藤さん・・・だよね? これからよろしくね(ニコッ)」
佐藤「・・・よろしく」
恒一「あ、うん。今のところは大丈夫だよ。心配してくれてありがとう♪」
赤沢「そ・・・そう//」
有田「ところで榊原くんってイケメンだよね〜! 東京でもモテたでしょ?」
恒一「そ・・そんなことないよ//」
有田「じゃあお近づきの印に、放課後にでも私と一発ヤっちゃう!?」
恒一「ヤっちゃわないよ(苦笑)」
赤沢「ちょっと有田さん!初対面なのにいきなり下品なこと言わないの!」
有田「でへへ//」
江藤「あれ、佐藤、どうかしたのか?」
佐藤「・・・ちょっとトイレ」
渡辺「じゃあ私も付き合うとしよう」
江藤「じゃ私も行くわ〜」
綾野「おやおや、こういっちゃんはあぁいう子が好みなのかな?」
恒一「いっ・・いや// せっかく席が隣同士だから仲良くなりたいしね」
桜木「佐藤さんは・・・そうですね〜。どちらかというと大人しい人ですね」
有田「ん〜・・・ちょっと何考えてるか分からない時があるよね〜」
赤沢「ま、江藤さんや渡辺さんが彼女と仲が良いみたいね。気になるなら彼女たちに聞いてみたら?」
恒一「なるほど、そうしてみるよ!」
ジャ〜〜 バタン
江藤「ふぅ〜、すっきりしたぁ!」
渡辺「・・・ところで佐藤、何かあったの?」
佐藤「・・・転校生」
江藤「あー榊原ってやつ? 男のくせにちょっとナヨっちいよな〜」
渡辺「ふふっ、江藤は相変わらずバッサリ切るな」
江藤「ま・・まぁでも見た目は悪くはないけどな//」
江藤・渡辺「「えっ?」」
佐藤「わたし・・・さかきばらくんとむすばれる運命にあるとおもうの」
江藤「えっ・・・えぇ〜〜〜〜!??」
渡辺「おや・・・これは面白いことになってきたな(笑)どうしてそう思ったんだい?」
江藤「何となくかよ! でっ・・・でもまぁ、ここは親友として応援させてもらうぜ!」
渡辺「そうだね。佐藤が男に興味を持つなんて初めてのことだしね」
渡辺「ふふっ・・・それにちょっと面白いことになりそうだしね(チラッ)」
江藤「(?)」
佐藤「・・・ありがとうふたりとも」
江藤・渡辺「(?)」
桜木「ちょっと榊原くんからお話があるみたいですよ?」
江藤「さっ・・・榊原が私にっ!?」
渡辺「ふむ・・・ありがとう、桜木さん。榊原くんのところに顔を出しておくよ」
桜木「はいっ(ニコッ)」
恒一「あっ、江藤さん、渡辺さん!ちょっと良いかな?」
江藤「な・・・何だ? 転校生」
渡辺「(・・・さん付けだとフルネームで呼ばれてる気がしてちょっと落ち着かないんだよな)」
恒一「ちょっと佐藤さんのことについて教えてほしいんだ」
渡辺「佐藤の? ・・・ふむ」
江藤「まっ・・・まさかお前、佐藤に気があるのか!?」
江藤「な・・何だそういうことか・・」
渡辺「ふふっ。佐藤は・・・そうだな、まぁクラスの中では大人しい部類に入るだろうね」
恒一「あっ、それはもう聞いたよ」
渡辺「そうか。・・・あとはそうだな、ネコ好きだね」
恒一「ネコ?」
渡辺「ふふっ、そうだね。・・・良い機会だし、今度の日曜にでも佐藤と遊んできてはどうだい?」
江藤「・・・それって、でっ・・・デートか!?」
渡辺「ま・・そうなるかもね」
恒一「でっ・・・でも、僕なんかと本当にデートしてくれるのかな?」
佐藤「!!・・・デート・・・いく・・・!!」
渡辺「ちょうど良かった。じゃ佐藤、そういうことだから今度の日曜空けておくようにね?」
恒一「よろしくね、佐藤さん(ニコッ)」
佐藤「(コクッ)」
江藤「あんまり佐藤にちょっかい出すんじゃねーぞ、転校生!」
渡辺「ふふっ」
渡辺「良かったね、佐藤。これで榊原くんとの距離が縮まるかもしれないね」
佐藤「・・・うんっ」
江藤「そういや、デートに行くなら服ぐらい用意しといた方がいいんじゃないのか?」
渡辺「おぉ、江藤にしては良いこと言うね」
江藤「私にしてはってどういう意味だ!!」
渡辺「で、佐藤。服はどんなの持ってるんだ?」
佐藤「・・・ジャージ」
渡辺「ほっ・・他にはないのか?」
佐藤「・・・パジャマとか・・・着ぐるみとか・・・」
江藤「まっ、私も家じゃほとんどジャージだけどな!」
渡辺「・・・オホンッ。明日土曜だし、3人で服を買いに行かないか?」
江藤「ま、そうなるわな」
佐藤「・・・わたしはふだんぎでも」
渡辺「・・・おいおい、好きな男とデートに行くんだからちょっとぐらい洒落ておかないと相手に失礼だよ?」
江藤「私も欲しい靴とかあったし、せっかくだから行っとこうぜ!」
佐藤「・・・わかった」
江藤「おおっ、服がたくさんあるな!」
佐藤「・・・かわいい着ぐるみあるかな?」
渡辺「(・・・さすがに二人ともジャージは浮くから、制服でこさせて正解だったな・・・)」
渡辺「おぉ、桜木さんか!(・・・桜木さんの私服は中々いけているな)」
佐藤「(ペコッ)」
江藤「よぉ桜木!お前も服買いにきたのか?」
桜木「えぇそうなんですよ(ニコッ)今、季節品が安いらしいですから♪」
渡辺「ちょうど良かった、桜木さん。この二人に服を見繕ってやってくれないか?」
桜木「私で良いんですか? それなら喜んで♪」
渡辺「(・・・これで明日のデートは何とかなりそうだな)」
恒一「佐藤さーん、もうきてたんだね! もしかして待たせちゃった?」
佐藤「あなたを待たせちゃいけないから・・・」
恒一「あっ・・・ありがと// ところで佐藤さん、その服とても良く似合ってるね!」
佐藤「そ・・・そう・・・?」
恒一「うん! 佐藤さんって清楚なイメージがあったから、白のワンピースがとても似合うよ!」
恒一「ありがとう//」
恒一「(佐藤さん・・・確かに服は似合ってるけど・・・白だから下着が透けて見えてる//)」
佐藤「(?)・・・どうかしたの?」
恒一「な・・・なんでもないよ// じゃ行こうか?」
佐藤「・・・うん!」
渡辺「・・・下着が透けて見えるのは誤算だったな。いや・・・ある意味ラッキーというべきか・・」
江藤「榊原のやろう・・佐藤をエロい目で見やがって・・」
渡辺「まぁまぁ、男だから仕方ないだろう。それに、うまくいけば榊原くんが欲情して佐藤を押し倒す・・・なんてことも」
江藤「おっ押し倒す!? 佐藤が榊原にれ・・れいぷされちゃうのか!?」
渡辺「ま、あくまで予想だよ。というか何で江藤が焦っているんだ?」
江藤「べっ・・・別に私は焦ってなんか・・・! 佐藤が榊原に汚されないか心配なだけだ!」
渡辺「ふふっ。あ、早くしないと二人とも行ってしまうよ!」
江藤「わっ分かった!」
――――
『・・・きっとまた猫の事務所の扉は開くだろう!その時までしばしの別れ!!! 』
『さよなら! ありがとーーーーーーー!! バロン!トトさん!・・ムタさんもねー!!!』
・
・
・
恒一「良い映画だったね」
佐藤「うん・・・バロン・・・かっこよかった」
恒一「あはは、僕なんかじゃ敵わないな(苦笑)」
佐藤「でも・・・さかきばらくんの方がかっこいいよ」
恒一「そっ・・そんなこと無いと思うけど// でも・・・ありがと・・//」
渡辺「はいはい、これで涙拭きなさい」
渡辺「それにしても良い雰囲気だったね。ちゃんと佐藤のエスコートも出来ているし、案外良い男かもしれないね?榊原くんは」
江藤「・・・まさか渡辺、榊原に気があるんじゃないだろうなー・・・?」
渡辺「なっ・・何を馬鹿なことを!? ほっ・・ほら、二人とも行ってしまうから早く出よう!」
江藤「・・・はいはい」
恒一「お昼どうしよっか。 佐藤さんは何か食べたいものとかある?」
佐藤「さかきばらくん」
恒一「・・・えっ!?」
佐藤「たべたい」
恒一「そ・・それは反応に困るな// ま・・まぁ無難にファミレスにでも寄ろうか」
佐藤「・・・うん」
・
・
恒一「(料理食べている時の佐藤さん・・・無邪気でかわいいなぁ//)」
佐藤「さかきばらくん」
恒一「どっどうしたの?」
佐藤「たべさせてあげる」
恒一「えっ・・・さすがにそれは恥ずかしいと言うか・・・//」
佐藤「・・・そう(シュン)」
佐藤「・・・うんっ。口・・・あけて?」
恒一「う・・・うん・・・//」
佐藤「おいしい?」
恒一「おいしいよ//」
佐藤「・・・よろこんでくれてよかった(ニコッ)」
恒一「(かっ・・・かわいい//)」
江藤「まーな。あんな目で見られたら男は大抵落ちそうだな」
恒一「それじゃこれからどうする?」
佐藤「ネコ喫茶・・・いってみたい」
恒一「分かった、じゃひとまず出ようか」
江藤「なんか私飽きてきたなー・・・そろそろ帰らねー?」
渡辺「そうだな・・・もう二人とも随分仲良くなってるみたいだし・・・これ以上は野暮かもね」
江藤「だなー。じゃ帰るかー」
ナンパ男A「よぉそこの姉ちゃん!そんなひょろい男とくっついてないで俺たちと一緒に遊ばねー?」
佐藤「あなたたちは・・・興味ない」
ナンパ男B「まぁそう言うなって、一緒に遊ぼうぜ!??」
佐藤「・・・いや!」
恒一「ちょっと・・・やめてくれますか? 彼女嫌がってるじゃないですか!!」
ナンパ男A「あぁ? 男には興味ねーよ。おっ、それより見てみろよこの女のケツ!」
ナンパ男B「うおっエッロ! スカートんとこパンツが浮き出てるじゃねえか!!」
ナンパ男A「大人しそうな面して男誘ってるんじゃねーの? へっへっへ」
恒一「・・・ボソッ(佐藤さん・・・合図したら走って!)」
佐藤「・・・!(コクッ)」
ナンパ男B「何二人で内緒話してんの?俺たちも混ぜてくれよ」
恒一「・・・佐藤さんいくよ!」
佐藤「・・・うんっ」
タッタッタッ
ナンパ男A「ちっ・・・逃げられちまったか」
ナンパ男B「まぁそう慌てなさんなって。次のカモでも探しに行こうぜ」
佐藤「・・・だいじょうぶ?さかきばらくん」
恒一「ごっ・・・ごめんね。久しぶりに走ったから・・・ちょっと・・・ね・・・」
佐藤「・・・たすけてくれてありがとう」
恒一「う、うん。それより佐藤さんが無事で良かったよ・・・(ニコッ)」
佐藤「・・・」
恒一「えっ?」
佐藤「・・・わたしのスカートが透けてたこと」
恒一「あっ・・・うん・・・ごめんね、早く教えるべきだったよね・・・」
佐藤「・・・ううん。さかきばらくんになら見られても平気だから・・・それに・・・知ってたから」
恒一「えっ・・・?」
佐藤「さくらぎさんに、『ワンピースを着る時は下になにか重ねて履いたほうがいいよ』って言われてたから・・・」
恒一「そっ・・そうなんだ。 って・・・ここは・・・」
佐藤「・・・いいよ」
恒一「え・・・?」
佐藤「さかきばらくんと・・・したいの」
恒一「佐藤・・・さん・・・」
江藤「はっ・・・離せこのやろーー!!!」
渡辺「やっやめろ・・・!!!」
―――
恒一「こっ・・・この声は・・・!?」
佐藤「ゆうちゃん・・・?さんちゃん・・・!?」
恒一「佐藤さんはここに居て!!(ダダダッ)」
佐藤「えっ・・・!?」
ナンパ男A「へっへっへ、大声出すんじゃねえよ! (ベリベリ)・・・これでよしっと。大人しくしてたらすぐ終わるからよ?」
ナンパ男B「こいつは上玉だな! うまそうだ・・・げへへ」
江藤・渡辺「んんんーー!!!??」
ナンパ男A「俺はこっちのショートカットな!」
ナンパ男B「じゃ俺はこっちの姉ちゃんいっとくか!」
ナンパ男A「うほっ、身長の割にたまんねーケツだな! クンカクンカ・・・あぁ・・・小便くせぇ白パンツも最高だなぁ譲ちゃん♪ 」
江藤「んーーーー!!!(やめろー!!!)」
ナンパ男B「(ビリッ)おっ、こっちは中々の乳だぜ! おほっ柔らけぇー♪ 甘ったるいメスの匂いがたまんねぇなぁ♪」
ナンパ男B「 こっちも邪魔なスカートを脱がせてっと。・・・っておい、こいつもうパンツが湿ってやがるぜ! 胸触られただけで発情しちまったか(笑)」
渡辺「・・・(涙)」
ナンパ男A「あぁ?ってまたさっきのガキかよ!今良いところなんだから邪魔すんな!!」
ナンパ男B「今なら見なかったことにしてやるが・・・もし邪魔するってんなら・・・ただじゃおかねぇぜ?」
恒一「・・・」
江藤・渡辺「んーーー!!(助けて!!)」
恒一「・・・その子たちを離せよ」
ナンパ男A「はっ・・・命知らずなガキだな。ってこいつ足が震えてるじゃねーか(笑)」
ナンパ男B「ちっ・・・さっさと片して続きしよーぜ?」
・
・
佐藤「・・・(ベリベリ)」
江藤「・・・ぷはっ!佐藤!?」
佐藤「しっ! ヒソヒソ(・・・はやく服を着て)」
渡辺「ヒソヒソ(助けてくれてありがとう、佐藤)」
江藤「ヒソヒソ(でもまだ榊原が・・・)」
佐藤「・・・(心配そうな顔)」
渡辺「ヒソヒソ(ひとまず助けを呼びに行こう!)」
・
・
ナンパ男A「へっ、所詮ガキだな!」
ナンパ男B「ちっ意外としぶとかったな。あーあ、つまんねぇ時間使っちまったぜ」
恒一「・・・(ニヤッ)」
ナンパ男A「・・・っ!そんなぼろぼろの状態で何笑ってやがる! 殴られすぎて頭でもイかれちまったか!?」
ナンパ男B「・・・!!おい!!女が居なくなってるぞ!!?」
ナンパ男A「なんだと・・・!?」
江藤「こっちに榊原が!!!」
警察「おいお前たち!何やってる!!」
ナンパ男A「げっ・・・やべぇ・・・ずらかるぞ!!」
ナンパ男B「お・・・おう!・・・って動けねぇ!?」
恒一「・・・逃がすかよ」
ナンパ男A「くそっ!こいつまだこんな力が・・・!」
警察「さぁお前たち観念しろ!!!」
・
・
江藤「だっ・・・大丈夫か、榊原!?」
渡辺「・・・わざわざ私たちの為に・・・」
恒一「あ・・はは・・・さすがにちょっと・・・疲れちゃった・・かな・・・。・・・」
江藤・渡辺「「さ・・榊原(くん)!??」」
佐藤「・・・だいじょうぶ、気を失ってるだけ。・・・びょういんまでつれていこう」
恒一「んっ・・・こ・・・ここは・・・?」
佐藤「・・・びょういんだよ」
恒一「あっ・・・佐藤さん」
佐藤「・・・まだ寝てなきゃだめ」
恒一「江藤さんと渡辺さんは・・・?」
佐藤「・・・けいさつで事情をきかれたあと、家にかえったよ」
恒一「そっか・・・皆無事でよかった・・・」
恒一「えっ・・・?」
佐藤「あなたが・・・ぶじじゃない!!(ポロポロ)」
恒一「・・・佐藤さん・・・? ・・・泣いてるの?」
佐藤「・・・泣いてなんかない! おねがいだから・・・もう無茶なこと・・・しないで・・・」
恒一「・・・」
佐藤「あなたは・・・わたしのものなんだから・・・」
佐藤「・・・(ゴソゴソ)」
恒一「ちょっ・・・佐藤さん!? 何服脱いでるの!? ・・って布団に入りこんできてるし!?」
佐藤「・・・さっきのつづき」
恒一「・・・さっきのって?・・・あっ」
佐藤「・・・(グイッ)」
佐藤「(むちゅっ・・・れろれろ・・・ぴちゃっ・・・)」
恒一「・・・むぐむぐ(し・・・舌が絡まって・・・さ・・佐藤さんの唾液・・・甘い・・・// ま・・まずいっ・・・アレが!!)」
佐藤「ぷはっ・・・。(サワサワ)さかきばらくんの・・・おおきくなってる・・・かわいい。つぎは・・・」
恒一「佐藤さん・・!? ・・・まさかっ//」
佐藤「・・・つぎはどうやるの?」
恒一「(ガクッ)さ・・・佐藤さん・・・一応ここは病院だから・・・ね?」
佐藤「・・・うん」
水野「ドキドキ(・・・って本番やらないんかいっ!?)」
水野「し・・失礼するわね〜、気分はどう?恒一くん」
恒一「あっ、水野さん。ええ、おかげさまで大分痛みがひきました」
佐藤「・・・しりあいなの?」
恒一「うん。前に気胸で入院してた時に、とてもお世話になった看護師さんだよ!」
水野「ふっふっふっ、もっと感謝してくれたまえ// ところであなたは恒一くんのクラスメイトなのかな?」
佐藤「・・・つまのさとうかずえです」
水野「ぷっ! 面白いわね〜あなた。でも恒一くんは私と結婚することになってるのよ?」
佐藤「・・・(ジロッ)」
恒一「ちょ・・・ちょっと水野さん!? あまりからかわないで下さいよ・・・//」
水野「ふふっ。ところで恒一くん、女の子たちを守るのに随分無茶したんだって?」
恒一「・・・はい。あの時はもう必死で・・・」
水野「んー、結果的には解決したみたいだけど、体もあまり丈夫じゃないんだし・・・これからはあまり無茶しないようにね?」
恒一「はい・・・(シュン)」
佐藤「・・・さかきばらくんをいじめていいのはわたしだけなの(ムスッ)」
水野「あらっ、これは失礼(クスッ)じゃ、私はひとまず退散するわね」
恒一「あっ、あの、水野さん!」
水野「ん?」
恒一「その・・・いつもありがとうございます(ニコッ)」
水野「うっ・・うん、気にしないで//」
・
・
コンコン
江藤「さっ・・・榊原っ、お見舞いにきてやったぜ!//」
渡辺「かっ・・・体はもう大丈夫なのかい?//」
恒一「あ、二人とも来てくれたんだ! ・・・って、もう大丈夫なの? その・・・さっきは怖かった・・よね・・・?」
江藤「・・・そりゃ怖かったよ!変態に尻の匂いかがれるし!!」
渡辺「わっ私も・・・胸をもみしだかれて・・・さすがに怖かったよ・・・」
江藤・渡辺「「・・・でも」」
江藤「こ・・・今度お礼するからさ・・・私にできることがあったら何でも言ってくれ//」
渡辺「わたしも・・・できる限りのことはさせてもらうよ//」
佐藤「・・・さかきばらくんにはわたしがいるからだいじょうぶなの(ダキッ)」
恒一「さっ佐藤さん・・・!?//」
江藤・渡辺「「さ・・・佐藤!?(汗)」」
江藤「そ・・・そうだよな・・・ごっごめん)」
渡辺「さ・・・さすがに私も空気読めてなかったな・・。佐藤の気持ちも考えず・・・すまない」
恒一「いや・・・そこは否定してもいいはずなんだけど・・・(汗)」
佐藤「・・・つまはわたし。でもゆうちゃんとさんちゃんなら・・・おめかけさんにしてあげてもいいよ」
江藤・渡辺「「へっ・・!?」」
江藤「!? ・・・さ・か・き・ば・ら〜〜〜〜〜!!!」
渡辺「はぁ・・・こんなところで獣になるなんて・・・見損なったよ、榊原くん」
恒一「いっ・・いや・・・これは・・その・・・(汗)」
佐藤「ゆうちゃん、さんちゃん、やり方・・・わからないから一緒におしえて?」
江藤・渡辺「!!!」
江藤「なっ・・・まっ・・・まぁそういうことなら・・・//(スルスル)」
渡辺「さっ佐藤の頼みなら・・・しっ・・・仕方ないな//(スルスル)」
恒一「えっ江藤さん?渡辺さん!?なんでっ・・・!?(汗) って・・・もう二人とも服脱いでるし!//」
渡辺「かっ・・・体なら家で綺麗にしてきたから・・・ね・・・?//」
佐藤「・・・それじゃ、みんなでさかきばらくんをたべよう」
江藤「いっ・・・痛くするなよ?//」
渡辺「はっ・・・初めてだから優しくしてくれると助かる//」
恒一「いっ・・痛くするなって・・・ぼ・・・僕ケガ人なんですけど・・・(汗)」
佐藤「もんどうむよう。つまのいうことはぜったいなの。・・・それじゃ」
佐藤・江藤・渡辺「「「いただきまーす!」」」
恒一「ちょっ待っt・・・あぁぁぁぁ///」
水野「(はぁ・・はぁ・・青春っていいわね・・・//)クチュッ」
終わり
目立たないモブなので中々イメージが付きにくかったかもしれませんが・・・
次回があれば綾野さんか長編の無人島ハーレムを書こうと思うのでよろしくお願いします
乙!
Entry ⇒ 2012.04.26 | Category ⇒ AnotherSS | Comments (0) | Trackbacks (0)
綾乃「たった一つのお願い」
http://hayabusa.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1334074568/
綾乃「んー…」
時刻は放課後の部活活動時間、生徒会室副会長は生徒会室の長机で頬杖をつきながら悩んでいた
千歳「どないしたん?綾乃ちゃん」
綾乃「…」
千歳「あ、歳納さん絡みやろ?」
綾乃「…え?ま、まぁね…」
千歳「やっぱりなぁ、うちなら話聞いたるよ?」
綾乃「ありがとね千歳」
千歳「ええってええって、話してみ?」
『テストで私が勝ったら茶道部部室から退去してもらう』と。
千歳「で、勿論綾乃ちゃんは歳納さん達から本当に部室を取り上げようなんて思てる訳なく…」
綾乃「でも折角勝てたんだから何かしたいじゃない?」
千歳「そうやなぁ…」
あかり「ドロー2!」
京子「ドロー2!」
結衣「ドロー2」
ちなつ「ドロー2」
あかり「うう…酷いよぅ…」
結衣「あかり不憫な子」
京子「手札が20枚超えてるのなんて始めて見た…」
ちなつ「あかりちゃん、少し泣きそうになってます」
あかり「ごめんねみんな、あかりが弱すぎるんだよね…」
京子「あかりは前向きだなー」
京子「我輩は飽きたぞ!」
結衣「数秒の間に何があった」
ちなつ「確かにやることないですもんね」
京子「なんか楽しいことないかねぇ」
結衣「うーん…」
結衣「お泊り会でもするか?」
千歳「『私の言う事なんでも一つ聞きなさい!』とかどや?」
綾乃「まずは鼻血を止めなさいな」
千歳「あはは、冗談や」
綾乃「でもそれなら歳納京子と少し近づける、かな…」
千歳「ま、そう早よう決めんくてもいいんちゃうかな?」
綾乃「そうかもしれないわね…」
千歳「そやそや、とりあえず仕事片付けてからまた考えよや」
綾乃「そうね、さて…」
ダダダ ガラッ
京子「綾乃~っ!」
綾乃「とっとと歳納京子っ!」
千歳「歳納さんどうしたん?」
『お泊り会しようぜ!』
千歳「で、綾乃ちゃんはどうするん?」
綾乃「船見さんの家、と言っても歳納京子と一夜を共にするのよね…」
千歳「一夜って…」ブファ
綾乃「ちょ!千歳鼻血の量が半端じゃないわよ!?」
千歳「だ…大丈夫や…」ガタガタ
綾乃「とっ…とりあえず…」
千歳「行くん?」
綾乃「そうね…」
ちなつ「お泊り会なんて楽しみすぎますぅ~!」
結衣「ちなっ…ちなつちゃん腕痛いよ」
あかり「あかり、結衣ちゃんが一人暮らししてるなんて始めて聞いたよぉ」
京子「実は私はよく泊まりに行ってるんだけどね!」
結衣「お前は押し掛けてるだけだろ」
ちなつ「うふふ…結衣先輩のお家…愛の巣…ぐふふ…」
あかり「ちなつちゃん、目が怖いよぉ…」
結衣「まぁとりあえず買い出しとか色々しなくちゃいけないよね」
綾乃(買い出しにみんなで行く事になったけど…)
綾乃(歳納京子が来たらなんて挨拶すればいいのかしら… おはよう! っていうのもなんか…)
千歳「綾乃ちゃん?」
綾乃「はぇ!?」
千歳「まーた歳納さんのこと考えてたんやろ?」
綾乃「…」
千歳「顔真っ赤やで?」
綾乃「もう、千歳ったらからかい過ぎよ!」
千歳「あはは、許してや」
京子「おーい、綾乃ーっ」
綾乃「!」
結衣「ちなつちゃん、だから腕痛いよ…」
ちなつ「えへへ…結衣先輩のお家…」
京子「おはよう、綾乃ー」
綾乃「おっ…おおお遅かったじゃない!」
京子「え?そうかなぁ…」
結衣「お前が起きるの渋るからだぞ、京子」
京子「何を言っているか分かりませんな」
結衣「おいこら」
千歳(綾乃ちゃん、相変わらずやなぁ…)
あかり「いいお天気だなぁ」
.
.
.
京子「レッツゴー!」
あかり「おーっ!」
七森スーパー
京子「何にする~?結衣」
結衣「綾乃と千歳は何が食べたい?」
千歳「そうやなぁ…ここは人数おるしホットプレート出すのなんかどやろか?」
結衣「千歳がそういうのは珍しいな」
千歳「そやろか?」
京子「んじゃ、綾乃は何食べたい?」
京子「?そんなにホットプレートがいいの?」
綾乃「え、ええまぁ」
綾乃(あなたが焼いてくれたのが食べたいわ、なんて言えるわけないわよね…)
京子「あかりとちなっちゃんもそれでいいー?」
ちなつ「結衣先輩の作ってくれるものならなんでも食べますぅ!」
結衣「あはは、どうも…」
あかり「あかりもそれがいいなぁ」
京子「んじゃ、食材探しに行くかー」
綾乃「…」
京子「たっだいまーっと」
結衣「お邪魔します、だろ」
ちなつ「綺麗で広くていい匂いですね!流石結衣先輩のお部屋…」
あかり「わぁ~凄いねぇ結衣ちゃんのお部屋」
千歳「それにしても一人暮らしなんて凄いわぁ、船見さん」
結衣「でも殆ど毎日京子が泊まりに来るから一人暮らしってわけでもないかも」
京子「えへへ、結衣にゃん一人だと泣いちゃうもんね?」
結衣「いや泣かねえよ」
ちなつ「京子先輩ずるいです!卑怯です!」
京子「はっはっはっ、結衣と私は家族みたいなものなのだからねー」
あかり「結衣ちゃんと京子ちゃんって昔から本当に仲いいもんねぇ」
綾乃(私も…昔から歳納京子と友達だったら…)
京子「さて、これは困りましたね結衣さん」
結衣「流石にホットプレート出すにはベランダ小さすぎるな…」
千歳「そんならキッチンでフライパンつこうてやればええんちゃう?」
結衣「んー…仕方ないかな…みんな、それでいい?」
ちなつ「問題なしです!」
あかり「あかりはみんなとご飯食べられるならいいよぉ」
綾乃「え…ええ」
千歳(これは助け船を出す必要があるようやな…)
京子「でもみんなで料理するにはちょっと狭くない?」
結衣「んー…キッチンは2人が限界かもな」
千歳(ここやッ!)
千歳「歳納さんが焼いたんが食べたくなってきたなぁ!急になんでやろなぁ!」
京子「え?私?」
千歳「そやそや、船見さんが料理出来るんは綾乃ちゃんに作ってもろたおかゆで知っとるし、ここは歳納さんの作ったんも食べてみたいなぁ思てな」
結衣「言われてみればそうだな」
ちなつ「結衣先輩にいつもまかせっきりでしょうしね、羨ましいです…」
千歳「な?歳納さん頑張りー」
京子「ええー…まぁ焼くだけだからなんとかなりそうだけど…」
綾乃「え!?ちょっ…千歳何言って‥」
京子「おお!確かに綾乃なら結衣くらい料理できそうな感じするし…」
綾乃「そっそそそんなことは…」
京子「いいからいいから!キッチン行こうぜー!」
綾乃「ちょっ…」
綾乃(歳納京子が私の手を…)
京子「んじゃ、皆の衆待っているがいい!」
あかり「待ってるよぉ」
千歳( 計 画 通 り )
京子「さて、キッチンに到着!」
綾乃(キッチンが狭くて歳納京子が近い…)
京子「あ、綾乃これ」
綾乃「これって…?」
京子「エプロンだけど?いつも料理する時結衣が着けてるからねー」
綾乃「そ、そうなの?あ…ありがと」
京子「エプロン装着完了しました!」
綾乃「…」
京子「んー?どしたの綾乃」
綾乃「可愛い…」ボソッ
京子「え…あ…ありがと」
綾乃「!い、今私なんか言ったかしら!?」
綾乃「あわわわわわ…」
京子「そんなにあたふたしなくても…」
綾乃(おおち落ち着くのよ…杉浦綾乃)
京子「?まぁいいや、早速焼こうぜー!」
綾乃「そ…そうね」
一同「ごちそうさまでしたー!」
あかり「お野菜美味しかったぁ」
千歳「色々美味しかったわぁー」
結衣「京子も料理出来るんだな」
京子「焼いただけで褒められるのもあれだな」
ちなつ「お腹いっぱいでなんだか眠くなってきました…」
京子「牛になるよー、ちなつちゃん」
ちなつ「牛になったら結衣先輩にお世話してもらうからいいですよーだ」
結衣「えぇ…?」
千歳「あれ?綾乃ちゃん?」
綾乃「…」
千歳(完全に固まってしもてる…一緒に料理は少し刺激が強すぎたみたいやな…)
結衣「あ、もうこんな時間か」
京子「さぁちなつちゃん!お風呂入ろうか!ね!」
ちなつ「いやです!絶対京子先輩とは入らないです!」
京子「そんなに恥ずかしがらなくてもいいのにぃ」
ちなつ「恥ずかしがってないですし顔近いですよ!」
ちなつ「私が裸を見せるのは結衣先輩だけですからね…」
結衣「いや見せなくてもいいよ…」
京子「ちぇー…んじゃ一人で入って来るからいいよーだ」
あかり「いってらっしゃーい」
.
.
.
千歳「結局綾乃ちゃんは恥ずかしゅうて歳納さんとお風呂いかれへんかったの?」
綾乃「流石に…無理よ…」
千歳「…」
綾乃「千歳が私のために頑張ってくれてるのは凄く分かるし、ありがたいけど…」
千歳「んー」
綾乃「千歳?」
千歳「私的にはすこーし残念やけど、綾乃ちゃんが一番幸せな方法で歳納さんと仲良うなるんが一番やしな」
綾乃「…うん、ありがとね、千歳」
綾乃「うん…その…」
千歳「?どないしたん?」
綾乃「これからも、よろしくね、千歳」
千歳「…なにいうとんのや、当たり前やろ?」
綾乃「うん、そうね」
京子「おーい、お二人さん!寝ないのかーい?」
あかり「ベランダにいると風邪引いちゃいますよぅ」
結衣「ちなつちゃん、1人用の布団に2人はちょっとキツイと思うよ…」
綾乃「もう!愛しのって…」
千歳「あはは、すまんすまん …あ」
綾乃「どうしたの?」
千歳「冷蔵庫に食後に食べよう思てたアイスクリーム入れっぱなしやったわ」
千歳「ええねんええねん、明日の朝食べるわ」
綾乃「?」
千歳「さ、お布団行こうやー」ガラガラ
京子「お、おっかえりーん」
結衣「そろそろ電気消すぞー」
あかり「おやすみぃ」
ちなつ「結衣先輩…あったかいですぅ…zzz」
綾乃「…」
千歳「zzz」
綾乃(…やっぱり寝れないわ…)
綾乃(歳納京子が近くで寝てると思うと…)チラ
綾乃(あれ、歳納京子がいないわ…)
綾乃(んー…ベランダに座ってるのは…)
綾乃「歳納京子」
京子「ん、綾乃か」
綾乃「そ、そんなところに座ってたら風邪引くわよ?」
京子「んーどうも月明かりが気持ち良くてね」
綾乃「た、確かにいうほど寒くはないけど…」
京子「綾乃もここに来なよ」
綾乃「へ!?わ、私は別に…」
京子「えーいいじゃん、ホラ」
綾乃「ちょ、ちょっとトイレ!」バタバタ
京子「…ん」
綾乃(ベランダに体操座りで月明かりに照らされつつなんかすっごい遠い目してるし…)
綾乃(…でもこ、こここっ告白するなら…)
綾乃(今しかない…かも…)
綾乃(千歳に相談出来ればいいんだけど…寝ちゃってるし…)
綾乃(自分じゃどうやって話せばいいかなんてわかんないわよ)
綾乃(歳納京子…)
綾乃(と、とりあえずアイスでも食べて心を落ち着かせましょう、そうしましょう)
綾乃(買っておいたアイスはっと…)
綾乃(…?これ千歳のアイスかしら)
綾乃(なんか紙が貼ってあるけど…)
綾乃「たっただいま…」
京子「あ、持ってるのアイス?丁度食べたかったんだよね」
綾乃「あの…その…」
京子「ん?どうしたの?」
綾乃「その…スプーンは二つあるんだけど…」
京子「だけど?」
綾乃「肝心のアイスが1つしかなくて…」
綾乃「ラムレーズンなんだけどね…だから…その…」
綾乃「いっ…い、いい一緒に…」
京子「一緒に食べよ?」
綾乃「え?あ、そう!それよ!それ!」
京子「おっけーおっけーい、それじゃ、スプーン頂戴?」
綾乃「ええ…」
京子「さ、座って座って」
綾乃「お、お邪魔します…」
綾乃「そう…ね」
京子「何回食べても飽きないや」
綾乃「いつも食べてるわよね」
京子「よくみてるねー、もしかして私のファン?」
綾乃「え!?いいい一体突然なにを…」
京子「あはは、なんつってなー」
綾乃「まったくもう…」
京子「あ、綾乃」
綾乃「?」
綾乃「え!?」
京子「えへへ、一回こういうのやってみたくてさー」
綾乃「しっ…仕方ないわね」
京子「…?顔真っ赤にしてどうしたの?」
綾乃「なんでもないわよ…」
京子「…ほら、あーん」
綾乃「あーん…」
京子「どう?美味い?」
綾乃「そっ、それなりに世界で一番美味しかったわ!」
京子「…プッ あはは!言ってることがメチャクチャだよ」
綾乃「え…私今なんて!?」
京子「それなりに世界で一番美味しかったわ! って」
綾乃「…」
京子「…」
京子 「あのさ」
綾乃「な…なによ?」
京子「綾乃さ、」
京子「私のこと好き?」
綾乃「…は?」
綾乃「いや、あの、え?」
京子「私は、好きだよ、綾乃のこと」
綾乃「好きって…言っている意味が…」
京子「だから、好きだよって」
綾乃「好きって、あなたが、私を…?」
京子「うん」
綾乃「っでも!船見さんは…」
京子「結衣?結衣は好きとかそういうのじゃないというか…」
京子「小さい頃から一緒だと、もう家族みたいなものっていうかね」
綾乃「つまり…?」
京子「私が、女の子として好きになったのは綾乃が始めてというか…」
綾乃(状況が理解できないわ)
綾乃「ん?というと歳納京子は私の事が…?」
京子「うん、大好き」ニコ
綾乃「…ビックリしすぎて驚きたくても驚けないわ…」
京子「でも、綾乃が私のことが好きじゃないならそれでもいいの、気持ちを伝えられただけで十分」
京子「それとも女の子が女の子を好きになるのって気持ち悪いかな…?」
京子「うん、何?」
綾乃「この前の定期テスト、私が勝ったら茶道部室から退いてもらうわよって言ったじゃない?」
京子「えへへ、コムケ前だったから惨敗だったね」
綾乃「それでね、茶道部室からは出て行かなくてもいいわ…」
京子「うん」
綾乃「その代わり…その代わりね…」
京子「…」
綾乃「え…?」
京子「…綾乃、こっち来て?」」
綾乃「うん…」
ギュ
京子「頑張って、綾乃」
綾乃「…うん」
京子「うん」
綾乃「中学に入りたての頃、一人ぼっちだった私に声をかけてくれたあなた」
京子「ははは、懐かしいね」
綾乃「娯楽部なんて部活勝手に作って、楽しそうにしてるあなた」
綾乃「私も入りたかったわよ…」
京子「それじゃ、今からでも…」
綾乃「それは無理」
京子「…千歳、ね」
京子「親友以上恋人未満家族、みたいなね」
綾乃「そして千歳と一緒に、あなたと一杯思いで作ろうって頑張ったり」
京子「うん…」
綾乃「そして今」
綾乃「だからね、聞いて?」
京子「…何?」
綾乃「部室退去なんてしなくてもいいわ…」
綾乃「その代わり…お願い一つ聞いてくれてもいい?」
京子「うん…勿論」
綾乃「私と…」
京子「…」
綾乃「キスしてください」
終わり
乙
おつでした
Entry ⇒ 2012.04.26 | Category ⇒ ゆるゆりSS | Comments (0) | Trackbacks (0)
橘純一「クリスマスは田中さんと過ごしてみよう!」
http://hayabusa.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1335271612/
田中「うん?」
橘「田中さんってクリスマスに予定あるかな?」
田中「あはは、それ聞いちゃうの?」
棚町「も、もし何も予定がなかったら……僕とデートしてくれないか!?」
梅原「えぇぇぇ!?わ、私でいいの!?」
棚町「も、勿論だよ!僕は田中さんじゃなきゃダメなんだ!!」
梅原「う、嬉しい!橘君が誘ってくれるなんて嘘みたい!」
橘・田中「…………」
橘「……ないな」
田中「えぇ!?ないの!?」
橘「あ、ありだったの!?」
田中「う、うん」
棚町「何よ?焦れったいから、あたしがあんたの気持ちを代弁してあげたんじゃない?」
梅原「ちなみに俺は田中さんの気持ちを代弁したぜ?」
橘「……話が進まないから、バカ二人は放っておこうか」
田中「そ、そうだね!」
棚町「ば、バカとは何よ!?」
梅原「そうだぜ!?名演技だったろ!?」
橘「あー、それでね?田中さん?」
橘「もしクリスマスに予定がなかったら、僕と創設祭を一緒に回って欲しいんだ」
田中「えぇぇぇぇ!?」
棚町「結局デートのお申し込みなんじゃないのよ!?」
梅原「お、おい!俺たちの見てる前でそんな大胆な!?」
橘「うん。むしろ田中さんしか考えられないよ!」
田中「……橘君」
橘「……田中さん」
棚町「おーおー、見せつけてくれるじゃない?」
梅原「そんな……なんで大将ばっかり!」
橘「田中さん……返事を聞かせて貰えるかな?」
田中「も、もちろん!OKだよ!」
橘「よかった!……これで絢辻さんに怒られずにすみそうだよ!」
田中「えっ?」
橘「本当は僕と絢辻さんで各部活の出店とか展示物を取材する予定だったんだけど」
橘「当日のタイムスケジュールが思ったよりも混み入っちゃって、絢辻さんが手を離せなくなっちゃってさ」
橘「そこで、急遽白羽の矢がたったのが……」
田中「私ってわけなんだね?」
橘「うん」
棚町「なんだ、つまんないの!」
梅原「俺……一人置いていかれたかと思ったぜ?」
田中「あはは、何だ。びっくりしちゃったよ!」
棚町「そういえば、何で恵子なの?」
梅原「そう言われてみれば……なぁ?何でなんだ?」
橘「そ、それは……」
棚町「そりゃそうよ」
梅原「おう、間違いないな」
橘「……うん。だから、薫とか梅原と回ればいいかって思ってたんだけど」
橘「僕一人より収集つかなくなるからダメって言われちゃってさ」
棚町「ちょっと!失礼ね!!」
梅原「おいおい!絢辻さん!?そりゃねーぜ!?」
橘「そこで……こうなったら田中さんしかないな、と絢辻さんが結論を出してさ」
田中「私って意外と絢辻さんに信頼されてたんだね!」
棚町「ぐぬぬぬ」
梅原「こういっちゃ悪いけどよ?そこで田中さんになる意味がわからないぜ?」
田中「えぇぇぇ!?わからないの!?」
棚町「悪いけど、あたしもわからないわ」
田中「か、薫!?」
田中「うんうん!橘君?この二人に私の凄さを教えちゃってよ!」
橘「……絢辻さんがいうにはね、『田中さんは特に問題ないから』だってさ」
田中「えっ」
棚町「そうね……さすが絢辻さん。その通りだわ」
梅原「……普通の代名詞だもんな、田中さん」
田中「ちょ、ちょっと!?」
田中「た、橘君!?絢辻さんには言い返したんだよね!?私の魅力を伝えてくれたよね!?」
橘「も、もちろんだよ!僕は必死に田中さんの魅力を語ったさ!」
田中「で!?それで絢辻さんは何て!?」
橘「『そ、そんなに田中さんが好きなら、田中さんと行動するのに何も問題ないでしょ!?この馬鹿っ!!』って何故か怒り出しちゃってさ……困ったものだよね!」
棚町(うわぁ……)
梅原(さ、さすがだぜ……大将)
田中「そ、そっか!何かごめんね?」
橘「遠くにいるやたらセクシーな女の子より、近くで微笑んでくれる素朴な女の子!!」
田中「えっ」
橘「そう!田中さんの魅力は!僕が手が届きそうな気がする、絶妙なラインに立っている普通さ!」
橘「これは最近のアイドルには欠かせないものでね!」
(省略)
橘「……それでいて、占いの的中率がほぼ100%という無駄なキャラ立ち!このギャップ!これが可愛くないわけがない!!」
橘「以上が田中さんの魅力さ!!」
橘「ふぅ……熱弁したら汗をかいちゃったよ!」
田中「た、橘君の……っ!」
橘「うん?」
田中「橘君のバカ!変態!!」ダッタタタタ……
橘「た、田中さん!?」
棚町「いいから、謝ってきなさい!!このド変態ッ!!」
梅原「……今のはお前が悪いよ、うん」
コンコンコン
橘「田中さん?準備はいい?」
田中「う、うん……準備は出来たんだけど」
田中「ほ、本当にこの格好で取材するの?」
橘「腕章つけてるよりも分かりやすいし、客寄せにもなるだろうからいいだろうって絢辻さんの提案だったんだけど……」
橘「やっぱり恥ずかしい?その、ミニスカサンタって?」
田中「は、恥ずかしいよ!」
田中「うぅ……やっぱり制服でやらない?」
橘「ダ、ダメだ!そんなのダメ!!」
田中「えぇぇぇぇ!?」
橘「たとえ絢辻さんが許可しても、僕が許さないぞ!!」
田中「な、なんでそんなに必死なの……?」
ヒロイン達にモテまくる状況より
ウメハラみたいな良いやつが親友ってのが見てて辛い 羨ましい
本当にそれは思う梅原いいやつすぎる
橘「田中さんは自分の魅力に気付いてないにもほどがあるよ!」
田中「そ、そんなこといわれても」
橘「田中さんの魅力!その1!!田中さんは!!!」
田中「わ、わかった!ミ、ミニスカサンタで取材に行くから!!大きな声で私の魅力を説くのはやめて!?」
田中「……そっちの方が恥ずかしくて死にそうだから」
橘「田中さん……ありがとう」
田中「うぅ……すっかり橘君のペースだよ」
田中「ど、どうかな?」
橘(こ、これは……!)
橘「田中さん……仕事とはいえ、創設祭を田中さんと回れることの喜びに僕の身体は打ち震えてるよ……」
田中「そ、そんな」
橘「今年のミスサンタは田中さんで決まりだ!!」
田中「橘君!?さすがに大袈裟だよ!?」
田中「でも……ありがとう」
橘「さ、田中さん!回るところは沢山あるから、ドンドン行こう!」
田中「う、うん!張り切っていこう!!」
橘「今、少しお時間よろしいですか?私達、創設祭実行委員の者で……」
七咲「あ、橘先輩」
橘「何だ、七咲か。屋台の方はどう?」
七咲「お陰様で今年も大入りですよ」
七咲「……そんなことより」
七咲「やっぱり、変態ですね。先輩は」
橘「な、何で僕いきなり変態呼ばわりされてるの?」
七咲「そんな女の子にコスプレさせて創設祭を連れ回すなんて……信じられません!」
橘「ち、違うんだよ!?これにはワケがあってね!?」
田中「た、確かに橘君は変態だけど!これは!」
七咲「……ふふっ、二人とも焦り過ぎですよ?」
七咲「で、創設祭実行委員のお仕事中なんですよね?」
橘「あ、そうそう!実は取材をしてて……」
橘「ありがとう、七咲!これでいい記事を書けそうだよ!」
田中「あ、ありがとうございました!」
七咲「ふふっ、ちゃんと真面目で面白い記事を書いて下さいね?」
七咲「……そういえば。そちらのミニスカサンタの方のお名前をうかがってませんだしたよね?」
田中「ご、ごめんなさい!私は田中恵子!田中恵子です!!」
橘「田中さんは僕のクラスメイトで、今日は急遽取材を手伝ってもらってるんだ」
七咲「田中先輩……ですね」
七咲「あ、私は水泳部一年の七咲逢といいます」
田中「よ、よろしく!七咲さん」
七咲「田中先輩?もしこの変態に何かされそうになったら、すぐに助けを呼んで下さいね?駆け付けますから」
橘「な、七咲!?」
田中「あはは!実はもう何かされたあとだったりして」
七咲「!?」
橘「ははは……田中さん?そういう冗談はよした方が」
田中「えっ?ものすっごく恥ずかしかったんだよ?なのに橘君が無理矢理……」
七咲「ど、どれだけ手が早いんですか!?この変態!!」
七咲「……まぁ、二人の仲についてとやかく言うつもりはありませんけど」
橘「ふ、二人の仲!?」
七咲「クリスマスに二人仲良く取材して回ってるってことは、そういうことなんじゃないんですか?」
田中「えぇぇぇ!?」
田中「わ、私と橘君は本当にただのクラスメイトで……」
橘「そ、そうだよ!僕と田中さんはそういう関係じゃないよ!?」
七咲「……なのに恥ずかしいことを強要したわけですね?」
田中「な、七咲さん!冗談!さっきの冗談だから!!」
橘「そ、そんな……」
七咲「田中先輩、どうぞ」スッ
田中「えっ、これ……いいの?」
七咲「はい、配布用に多めに作ったおでんなので」
田中「あ、ありがとう!」
橘「七咲?僕のおでんは?」
七咲「ありませんよ?」
橘「な、何で!?」
七咲「ですから、お仕置きです」
橘「そ、そんな……」
七咲「そ、そんな顔してもダメなものはダメです!」
七咲「あ……また混み始めてきたんで、そろそろいいですか?」
橘「あ、うん。じゃあ、僕らはこの辺で失礼するよ」
田中「おでんありがとうね!七咲さん!」
・
・
橘「ふぅ、大分取材したね!」
田中「茶道部の甘酒で酔っ払った高橋先生に絡まれた時はどうしようかと思っちゃったよ」
橘「でも、お陰で面白いネタが色々と仕入れられたよね」
田中「えぇぇぇ!?高橋先生の恋愛観なんて記事にしたら、大変なことになっちゃうよ!?」
橘「ははっ、さすがに僕も怖くてそんなことは出来ないかな」
田中「うんうん!だよね~!」
アナウンス「只今よりミスサンタコンテストを……」
橘「あ、忘れてた!ミスサンタコンテストも取材しなきゃいけないんだったよ!」
田中「い、急がなきゃ!」
橘「うん!行こう!」
・
・
司会「エントリーナンバー五番!やはり今年も優勝してしまうのか!?森島はるかさんです!」
森島「わぉ!私の出番ね!」
森島「みんな~!今年もよろしく~!」チュッ
会場「うぉぉぉぉぉぉ!!」
橘「さすがだなぁ、森島先輩」
田中「うんうん。これは今年も優勝間違いなしだね!」
田中「私なんかとは格が違うよ」
橘「え?」
田中「だから、森島先輩は私なんかとは格が違うって」
橘(こ、これは!チャンスだ!)
橘(そう!全校生徒に田中さんの魅力を伝えるチャンス!!)
橘(僕は田中さんの魅力をもっと沢山の人に知ってもらいたいんだ!)
橘(……こ、こうなったら!)
橘「ちょ、ちょっと待った!!」
橘「まだここに!ミスサンタ候補がいるじゃないか!!」
田中「え?どこどこ?」
橘「田中さんのことだよ!」
田中「わ、私!?私のことなの!?」
司会「で、ですが……時間の問題がありまして」
生徒A「別にいいんじゃねーの?」
生徒B「カタいこというなよ、実行委員!」
生徒C「そうだ!そうだ!」
司会(実行委員長?ど、どうしますか?)
絢辻(いいんじゃない?面白そうだし)
司会「で、では!ステージまでどうぞ!!」
橘「お、落ち着くんだ!田中さん!!」
橘「僕が熱弁した通り、田中さんは魅力に溢れている可愛い女の子だ!自信を持って!!」
田中「そ、そんなこと言われても!」
司会「あの~、そろそろよろしいですか?」
田中「あわわわわわっ……」
橘「こ、こうなったら!僕がステージ上で田中さんの魅力について演説を!」
田中「や、やめて!それだけはやめて!!」恥ずかしくて死んじゃう!!!」
田中「……あれ?」
田中「それに比べるとステージに立つなんてそんなに恥ずかしいことじゃない?」
田中「……私、行ける気がする!!」
田中「は、はい!!」ツカツカツカ
田中「わ、私!二年生の田中恵子!田中恵子です!!」
田中「と、特技は占いで……そう!必ず当たると評判なんです!!」
田中「私……普段は地味なんで!こ、こんなステージに立つことなんてないと思ってましたが、とある変態さんのせいでこんなことになってしまいました!」
田中「で、でも……その変態さんには少し感謝してて……」
田中「あ、私は変態じゃないですから!」
田中「そ、その……こ、こんな私ですけど!よろしくお願いします!!」
田中「え、え~っと……」
田中「えいっ!」チュッ
田中「……い、以上です!」
・
・
森島「ちょっと!橘くん!?こんなにカワイイ子がいるなんて聞いてなかったわよ!?」
橘「も、森島先輩!」
田中「森島先輩!優勝おめでとうございます!」
森島「ねぇねぇ?この子お持ち帰りしてもいい?」
田中「えぇぇぇ!?」
橘「だ、ダメです!」
森島「えぇ~、優勝賞品的な?ダメかな?」
橘「ですから、ダメです!」
森島「むむむ!そこまでして渡したくないとは……二人はデキてるのね!?」
橘「ち、違います!田中さんと僕はまだ創設祭の仕事があるんです!!」
田中「あ、森島先輩!ミスサンタ優勝者に取材なんですけど……」
・
・
田中「ふぅ、やっとお仕事終わったね」
橘「絢辻さんめ……取材だけって聞いてたのに、まさか撤収作業まで手伝わせるとは……」
田中「ヘトヘトだよ~」
橘「あ、田中さん」
田中「ん?」
橘「その……ミスサンタコンテストさ」
橘「準優勝おめでとう!」
田中「うん、ありがとう」
橘「もうちょっと票が伸びると思ったんだけどなぁ」
田中「ううん、森島先輩相手にあそこまで迫れただけで私は満足だよ」
田中「……ごめん、やっぱり悔しいかも。あははっ」
橘「来年!来年も出れば、きっと優勝だよ!」
田中「うん!私、来年こそは優勝するよ!」
田中「……ありがとう」
橘「え?何が?」
田中「強引だったけど、ミスサンタコンテストに出場させてくれて」
田中「私……今まで自信が持てなくて、やりたくても踏ん切りがつかないことが沢山あったんだけど」
田中「橘君のお陰……ううん、橘君のせいで、私吹っ切れちゃった!」
田中「だから、ありがとう!」
橘「う、うん」
田中「ねぇ?橘君?何であんなことしたの?」
橘「そ、それは……」
橘「ぼ、僕の好きな田中さんの魅力をより多くの人に知って貰いたくて……」
田中「……って、えぇぇぇぇぇぇぇ!?」
田中「た、橘君?それって……?」
橘「僕は田中さんが好きだ!大好きだ!!」
田中「!?」
橘「……うん、僕もやっと吹っ切ることが出来た気がするよ」
田中「うぅ……橘君と一緒にいると恥ずかしいことばっかりで心臓がドキドキ言いっぱなしだよ」
田中「だけど、今ドキドキしてるのは恥ずかしいのだけじゃなくて……」
田中「橘君……私も橘君のことが……」ギュッ
橘「田中さん……」
梅原「うぉーい!大将!!ここにいたか!!……ってあれ?」
棚町「……おほほ!お邪魔だったかしらね!?」
田中「み、見られてた!?」
田中「~~~~~~~~ッ!!」
フラッ……
橘「た、田中さん!?」
梅原「お、おい……田中さん気絶してないか!?」
棚町「け、恵子!?……きゅ、救急車!117に電話!」
橘「落ち着け!薫!それは時報だ!!」
梅原「と、とりあえず!橘!運ぶぞ!!」
橘「う、うん!!」
棚町「ごめん、恵子……悪気はなかったのよ?」
田中「でねでね!橘君が!!」
梅原「もう無理!聞いてるこっちが恥ずかしい!!」
棚町「恵子……もうお腹一杯なんだけど?」
田中「えぇぇぇ?まだ半分もきてないよ?」
梅原「なぁ?田中さん?気付いてると思うけど、一番悶絶してるのは……」
橘「恥ずかしいよぉ……やめてよぉ……」プルプル
田中「まだまだ!ここからだよ!?」
田中「続きまして!橘純一の魅力!その16!!」
橘「も、もうやめて!僕の魅力は十分に伝わったはず!!」
田中「えぇぇぇ?ダメだよ?もっとみんなに橘君の魅力を知ってもらわなきゃ!!」
完
次は七咲で書かんかい
Entry ⇒ 2012.04.26 | Category ⇒ アマガミSS | Comments (0) | Trackbacks (0)
P「プロデューサー争奪戦企画書……?」
http://hayabusa.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1334409566/
Entry ⇒ 2012.04.26 | Category ⇒ アイマスSS | Comments (0) | Trackbacks (0)
妹「兄さん、貴方は童貞なのですか?」
http://hayabusa.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1333344513/
妹「!? どういう事です!?」
兄「アナルセックスだけした事があるのだ」
妹「随分とマニアックなのですね」
兄「いくら何でも眠っている妹の処女を奪うのは抵抗があったからな。アナルで我慢したのだ」
妹「!?」
以下腹筋スレ
兄「でも気持ちよかったし、寝ながら喘ぐお前も可愛かったぞ」
妹「…」
兄「おい、どこ行くんだ」
妹「話しかけないでください」
兄(本気にしてるのか…)
妹「…」
バタンッ
妹(お尻、お尻…)スリスリ
妹(こんなものなのでしょうか…?)
妹(うぅ、ぅぅ)スリスリ
…
兄(トイレに閉じこもってしまった)
兄(…)
兄「さっきの嘘だぞ」
「…」
兄「ごめんな、許してくれ」
「嘘だ!」
「兄さんの嘘つき!」
「もう私は兄さんの言うことなんか信じません!」
「私のお尻が…、お尻が…」
兄「…」
「もういいですっ、どこか行ってください!」
兄「…」
兄「あのなぁ、普通、尻にこんなもん挿れたら、誰だって気付…」
「疲れていて熟睡していたから気付かなかっただけですっ」
「もう言い訳は止めてください、せめて兄さんは兄さんらしく、かっこよく…」
「うぅ」スリスリ
兄「…」
兄「どうしたら許してくれる?」
「許しません!」
「お尻が、お尻…」
兄「じゃあ、どうしたら嘘だって信じてくれる?」
「信じません…っ」
兄「お前の好きな、なでなでも、ぎゅーぎゅーもしてやるぞ」
「…」
兄「最近してやれてなかったしな」
兄「…なんなら、童貞を捧げてもいい」
妹「…」
兄「やっと出てきてくれたか」
妹「最後のは意味不明ですが…」
妹「1時間のなでなでぎゅーぎゅーを所望します」
妹「この心の傷は簡単には癒えません」
兄「…了解」ギュ
妹「…」
兄(気持ちよさそうで何よりだ)
妹「…ところで兄さん」
兄「ん?」
妹「さっきの、童て…」
妹「何でもありません、早く続きをお願いします」
兄「…」ギュゥ
兄(妹も女の子だな)
兄(柔らかくて、あったかい)
妹「…」
妹「貴方は、この行為中に、私から女の子の部分を感じて興奮するような、」
妹「変態な兄さんではありませんよね」
兄「勿論」モミモミ
妹「ん…っ」
妹「肩もみですか…、続けてください」
妹「私は大変なんです、兄さんの妹なんです」
兄「…」モニュ
妹「ふぁ」
兄「こんなのがぶら下がってるからですか?」モニョ モニョ
妹「うぁぁぁっ!!」
「うぅ」
兄「ごめん、ごめん、冗談だよ」
「冗談で、妹の胸を…」
「変態です、まさか兄さんにおっぱいバージンを奪われるなんて…」
兄「おっぱいなんか一緒に寝てるときいつも揉んでるから問題ない」
ガチャッ
妹「本当ですか?」
兄「妹がお兄ちゃんの布団に潜り込むという行為は、つまり俺に体を預けたも同じ」
兄「存分にもみもみしてあげたぞ、おかげで最近大きくなってきただろ?」
兄「好きな人に揉まれるとデカくなるらしいからな」
妹「本当ですか?」
兄「うそです」
妹「どこまでが本当ですか?」
兄「前半のみです」
兄「…はい」
妹「私が、兄さんの布団で寝てる間に?」
兄「…少し」
妹「…」
妹「柔らかかったですか?」
兄「え?」
妹「気持ち良かったですか?」
兄「え…、ま、まぁ」
妹「揉み心地は?」
兄「最高でした」
妹「…」
兄(ここは俺も反撃しなければ)
兄「お前、見た目より以外とボリュームあるよな」
兄「鷲掴みにして驚いた、指の間からはみ出るおっぱいに」
兄「いやらしいカラダだよな、是非一度、あのおっぱいの乳頭を拝んでみたいものだ」
妹「…」
妹「いいですよ」モゾモゾ
兄「え?」
妹「…」モゾモゾ
妹「何でですか?」
妹「見たいんでしょう?」
妹「見せてあげますよ」スルスル
兄「ぎゅーぎゅーしてあげるから」
妹「おっぱいをですか?」
兄「いきなり態度変わりすぎだろ」
妹「いえ、身の危険を感じたので…」
兄「は?」
妹「おっぱいで満足してくれれば、安いものなんです、これで性欲が抜けてくれるなら」
妹「膣に手を出されるとまずいので…」
兄「…」
妹「ということで、ブラも取りますね」
兄「甘いな」
妹「!?」
兄「むしろ増幅するのだ」
兄「絶頂に達するまでは…!」
妹「!!」
妹「だめですっ!」
兄「何?」
妹「絶頂に達するまで増幅するのなら、おっぱい→膣となるに決まってます!」
妹「私の処女まんこは誰にも渡しま…」
妹「ハッ」
兄「お前、処女なのか」
妹「うるさいです!童貞!童貞!」
兄「…待てよ」
兄「お前の処女、俺の童貞、どちらの肩書きも同時に消し去ることのできる技があるぞ」
妹「…!」
兄「そう、アレだ」
妹「…」
妹「本気で言っているんですか」
兄「いや、方法の一つとしてある、と言いたかった」
妹「…」
妹「私のお尻の穴だけで満足せずに、膣まで…」
妹「…」
妹(私の処女まんこに、兄さんの童貞おちんちんが…)
妹(…)
兄「何を想像している?」
妹「!」
兄「ん?」
妹「今夜も一緒に寝ましょう」
兄「え、ああ」
兄「毎晩一緒に寝てるのに、なぜ改まって言うのか」
妹「…」
妹「お風呂入ってきます」
…
兄「では寝るか…」
ガチャッ
妹「…」
兄「こんばんは」
妹「はい」
妹「眠いんです、今日散々兄さんの相手させられましたから」
兄「そうか、じゃあ寝るか」
妹「…」
兄「布団に…」モゾモゾ
妹「はい」
兄「お前も早く入れよ、寒いだろ」ピッ
妹「…」
兄「おい、電気消したぞ?」
妹「分かってます」
妹「ちょっと待って下さい」
兄「…?」
妹「…」
妹「……」
妹「では失礼します」モゾモゾ
兄(何だったんだ、今の間は)
兄「ん…」
兄(あったかいな…)
兄(あれ、何かいつも以上に、ぬくもりが…)
兄(…?)
ぷにゅ ぷにゅ
兄「?」
むにゅぅぅ
兄「??」
兄(この、いつも以上の柔らかい感触は…?)
妹「…」ぎゅぅ
兄「…」
兄(おっぱいだけじゃない、全身が、柔らかく、あったかい…)
兄(こ、これは…)
兄「…」ソーッ
ぷにゅ
妹「んぁっ…」
兄(…全裸!?)
兄(息も荒くなってる…?)
妹「妹の胸を触るなんて、変態すぎます」
妹「しかも、生のおっぱいを…」モジモジ
兄(やっぱりか…!)
妹「…もっと触ってください」ギュッ
兄「!!」
妹「兄さん…」グイッ
兄(俺の腕を持って…!)
モニュ
妹「んっ…!」
モニョ モニョ
妹「柔らかいですか…?」ハァ ハァ
兄「うぁぁ…」
妹「誘ってきたのは、兄さんですよ…?」
兄「…っ?」
妹「私と、せっくす、するんでしょう…?」
妹「兄さん」ギュゥ
妹「優しくしてください…」
兄「い、いや、あの…」
妹「冗談で済ませる気ですか?」
妹「もう、そんなのいやです」ギュッ
兄「!!」
妹「それに合わせて過ごすのも楽しかったし、嫌いではなかったんです」
妹「でも…」
ギュッ
妹「兄さんが、好き…」
妹「だから…」
兄「妹…」
妹「うぅ…」ギュ
妹「もう冗談ばっかりはイヤです」
妹「まっすぐ私を見てください」
妹「兄さん、兄さん…」
妹「…?」
兄「ごめんな」
兄「そんな風に思ってたんだな、ごめんな」
妹「…」
兄「…」ギュッ
妹「ふぁ…」
兄「俺も好きだよ」
妹「っ」ビクッ
妹「…だから、兄さんと…」
ギュッ
妹「うぁ」キュゥ
兄「…」
兄「ほら、お前も」
妹「…」
妹「…」ギュッ
兄「あったかいな」
妹「…」コク
兄「どんな気持ちだ?」
妹「…」
妹「幸せ、です…」
兄「…」ナデナデ
妹「ん…」
兄「な?」
妹「…」
兄「俺は、そんな軽い気持ちで、お前のカラダに傷つけたくない」
兄「…もうちょっと大人になったら、な?」
妹「…」
ギュッ
「ぐすっ、ぐすっ…、泣いてまぜん」
「悔しかったのか?ごめんな」
「違いますっ…ぐすっ」
「とても、とっても…」
「嬉しかったんですっ…」
「…」
「そうか、そりゃ良かった」
「ぐすっ、ぐすっ…えへへ…」
「これからもずっと、傍にいます…」
「また、なでなで、ぎゅーぎゅーしてくださいね…?」
「えへへ…、ぐすっ」
「やっぱり、兄さんは変態です…」
ギュッ
「変態だけど、誰よりも大好きな、お兄ちゃんです…」
チュッ
おわり。
Entry ⇒ 2012.04.25 | Category ⇒ 兄弟姉妹「」SS | Comments (0) | Trackbacks (0)
P「あずささんの腋汗がやばい」
http://hayabusa.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1334757128/
あずさ「え、えぇと…なんでもないです」
あずさ「ち、ちょっと化粧室いってきますね…」
P「わかりました でももうそろそろ収録再開するんで急いでくださいね」
───────────────────
P「腕組みによってより強調されるな…」
P「でも手を腋に挟んでいたってことは…ってそんなことないよな」
P「それよりあずささん迷子になってないよな」
────────────────
あずさ「あら?ここはどこかしら?」
あずさ「えっと…スタジオは5階…だったかしら」
あずさ「携帯電話でPさんに…ってそういえば控室においてるのよね…」
P「探しにいかなきゃ間に合わない気もするし…いくか」
収録再開まであと10分
あずさ「えっと…案内板みたいなものはどこかしら」テクテク
────────────────────
P「スタジオは5階で控室は7階だったよな…」
P「たぶん登ったり降りたりってのはわかると思うんだけど…大丈夫か?」
P「やべっ 時間内に見つけ出せるか不安になってきた」汗タラーン
あずさ「収録再開まであと8分しかないのね…」
あずさ「早く戻らないとプロデューサーさんに迷惑かけちゃうわね」ジワジワ
────────────────────
P「さすがに下には行ってないと思うから登っていこうと思う」
P「まずは6階だな できればここにいてほしいんだが…」
P「あずささーーーん!いたら返事してくださーい!」
シーン
あずさ「少し覗いてみようかしら プロデューサーさんの声に少し似てた気もするし」
────────────────────
P「いないみたいだな…一応この階を見回っておこう」
あずさ「少し覗いてみようかしら」ソー
あずさ「ここってスタジオ…?小道具とか見覚えあるし…」
────────────────────
P「あずささんが控室にもいなかった」
P「収録再開まであと2分しかないってのに…」
P「しょうがないギリギリまで探すか」
ディレクター「あ、三浦さんどこにいってたんですか?もうそろそろ収録再開するんで急いでくださいね」
あずさ「はい~ ところでプロデューサーさんの姿がみえないんですけれど…」
ディレクター「?そういえばいませんね トイレじゃないですか?」
あずさ「そうなんでしょうか…?」
ディレクター「おっと すぐに収録再開するんで早く入ってください」
あずさ「は、はい」
あずさ(結局何もできずに休憩終わっちゃったわ…どうしようかしら)
────────────────────
P「くそ…全然見当たらない」
P「もう収録始まってるかな…一度戻るか」
P「仕方が無いスタジオに戻るか 最悪俺が怒られたらいい」
────────────────────
司会「三浦さんの失敗談とかってあります?」
あずさ「そうですねぇ…」
あずさ(もしかしてプロデューサーさん私を探しにいってるんじゃ…)
あずさ(悪いことしちゃったな…)
────────────────────
P「戻ってきたらあずささんいるじゃないか」
P「心配するだけ無駄だったみたいだな」
P「ん?」
P(もしかして腋汗?それをなんとかしようとしてたのか)
あずさ(プロデューサーさん戻ってきたのね…迷惑かけてごめんなさい)
あずさ(ってこっちを凝視してる?もしかして気づかれちゃったのかしら…)
P(腋汗なら上に一枚薄手のものを着れば良いのになぁ)
P(それよりあずささんの腋汗か…少し嗅いでみたい気もするな)
あずさ「すみませんプロデューサーさん 私を探してくれてたんですか?」
P「そのことなら気にしないでください 自分が勝手にやったことですから」
あずさ「いえ…それでもなぜそんなに私のために?」
P「なぜって俺の大事な事務所のアイドルですからね 攫われたりしたら大変でしょう?」
P(あずささん腋を隠すの忘れてる それにしてもすごいことになってるな)
あずさ「それだけ…ですか」
P「えっと…」
P(やばい見てる場合じゃなかった 何か考えなきゃ…)
あずさ「え…それって」
P「ウチの事務所の中で1番な大切な人です」
あずさ「そ…そんなこと言われたら私どうしたらいいか…」
P(上手くかわせた気がするがとんでもないこと言ったようなきがする)
あずさ「私も…」
P「え?」
あずさ「私もプロデューサーさんは私にとってい…と、とても大切な存在なんですよ?」
P「は…はぁ…」
P(あれ?もしかしてあり得ない方向に話が進んでないか?)
P「あずささん…」
あずさ「プロデューサーさんどうしたんですか?」
P「俺が大切な人…なんですか?」
あずさ「はい…王子様のようにも思っていたかもしれません」
P(よし、今ならいける気がするぞ!)
あずさ「え?ええええぇぇぇぇぇぇ!!!?」
あずさ「そ、それはまだ早いと思います! それにこんなところで…」(控室)
P「いいじゃないですか 逆に言えば誰もいないし鍵さえかければ誰も入ってこれないですし」
あずさ「で、でも…」
P「それでこそあずささんです!さぁ目を瞑ってください」
あずさ「は、はい…」スッ…
P(よし…これで…)
P「いきますよ…あずささん」
あずさ「はい…」
P(グヘヘ…あずささんの腋汗…)ススス…
ピト←鼻を腋に当てた音
P(うわあああああぁあぁぁぁぁぁぁぁぁあぁ!凄く蒸れてる!少しツンとした匂いが凄くいい感じを醸し出してる!一生嗅いでいたいほどの良い匂いだ!)スーハー
あずさ「あ、あの~…プロデューサーさん?何をしてるんですか?」
P「何って腋の匂いを嗅いでるんですよ」スーハー
あずさ「え…えっと…目を瞑ってって言ってましたよね?」
P「はい言いましたね」スーハー
あずさ「き…キス…とかするんじゃなかったんですか?」
P「いやだなぁあずささん アイドルがプロデューサーとキスなんてしたら名前にキズが付くじゃないですか」スーハースーハー
P「はい」スーハー
あずさ「恋愛感情じゃないんですか?」
P「いや あくまで事務所の中で、っていう話ですから」スーハー
あずさ「…」
P「どうしたんですか?あずささん」スーハー
あずさ「い…いえ…なんでも」
あずさ「も、もうそろそろやめてもらえませんか?」
P「えー」スーハー
P「それはやめてください」スーハー
あずさ「やめてください」
P「すごく良い匂いだから惜しいんですよねぇ…」スーハー
あずさ「…の………た…ん」
P「え?」スー…
あずさ「この変態さん!」
P「!」ビクンッ
あずさ「ふぅ…やっと離れてくれましたか…」
P(少し気持ちよかった…?もしかして…)
P「すみませんあずささん もう一度」
あずさ「え?」
あずさ「えっと…言ってる意味がよく…」
P「そのままの意味です おねがいします!」
あずさ「でも…」
P「叱ってくれないならもう一度嗅ぎます」
P「…」スッ
あずさ「!」ピクンッ
P「…」ジリジリ
あずさ「…」ススス…
P「…」
あずさ「…」
あずさ「!?」
ピト
あずさ(お…押し倒された上に腋に鼻をくっつけられてしまったわ…)
P(ふわぁぁぁぁあぁああぁあぁぁぁあぁぁあぁ!この匂いクセになる!ヤバイ!一生嗅いでいたい!)スーハースーハー
あずさ「やめなさい!この犬!」
P「ハァハァ…」ビクンビクンスーハースーハー
あずさ(そんな…離してもくれないなんて…)
あずさ(どうすればいいのかしら…)
P「あずささん」スーハー
あずさ「はい…」
P「好きです(この匂いが)」スーハー
あずさ「え…え?」
P「一生一緒にいたいです(この匂いと)」スーハー
あずさ「…」
P(反応がない…怒らせちゃったか?それでもいいんだけど)
P「はい」スーハー
あずさ「私覚悟を決めました」
P「はい?」スーハー
あずさ「私はプロデューサーさんのことが1番好きです」
P「はい」スーハー
あずさ「プロデューサーさんの1番はなんですか?」
P「あずささんの腋汗の匂いです」スーハー
あずさ「はっきりきましたね…」
P「なんですか?」スー
あずさ「結婚しましょう」
P「えっ」ハ…
あずさ「それなら私は好きな人と一緒になれてプロデューサーさんは好きなものと一緒にいられる…」
あずさ「どうですか?いい条件だと思いませんか?」
あずさ「…」
P「あずささん」スー
あずさ「はい」
P「これからお願いします」
あずさ「!」グッ!←拳を握る音
周りに悟られずに理由を説明するのは大変だった
あずささんはアイドルをやめて俺は765プロでマネージャーとして働いている
あずささんはというと…
あずさ「あなた…早く寝ないと…ン…仕事が…」
てな具合に腋を嗅がれることが気持ち良くなってきたみたいだ
俺は腋の匂いを嗅ぐだけでドピュッとできるまでに到達した
これから先もあずささんと2人で頑張っていこうと思う
こんなん書いたのはじめてだし即興だったから適当だったわ
感動した
Entry ⇒ 2012.04.25 | Category ⇒ アイマスSS | Comments (0) | Trackbacks (0)
あかり「結衣ちゃん、ひざ枕してあげる!」 結衣「……えぇ」
http://hayabusa.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1334936876/
結衣「いやだって無理してそんな事してもらわなくても……」
あかり「……いやなの?」
あかり「そうだよね、あかりのひざ枕なんて魅力ないもんね」
あかり「座布団のほうがいいもんね、分かるよ」
あかり「結衣ちゃんはあかりより座布団が好きなんだもんね……」
結衣「……あぁもう、やさぐれモードに入ってしまった」
結衣「分かった、それじゃせっかくだしお願いしようかな――」
あかり「わーい!」ポスン
あかり「ぇへへ、結衣ちゃんにひざ枕してもらえるなんてあかり幸せだよぉ……」スリスリ
結衣「……おいコラ」
結衣「ちょ、ちょっとあかりどう考えてもおかしいよね!」
あかり「ぇへへ、結衣ちゃんのおひざすべすべだよぉ」
あかり「まるでお餅みたいにすべすべで、ちょっとひんやりして……」
あかり「もう病みつきになっちゃうかも……」
結衣「あ、うん、喜んでもらえてなによりだけど」
結衣「……ふふ」
あかり「でもでも結衣ちゃん、急にひざ枕してくれるなんてどうしたの?」
結衣「あ、あれ?」
あかり「だからあかりも疑問に思ってたんだけど……」
あかり「それよりなでなでしてもらえるかなぁ?」
あかり「あ、でもそんなの贅沢だよね……」
結衣「そんなことないよ、それくらいお安い御用だよ」
結衣「……ふふ」ナデナデ
あかり「あ、ぇへへ、ゆいちゃ~ん……」
結衣「もう、わんわんみたいだなあかりって」
結衣「人懐っこくて甘えん坊で、好奇心旺盛で……」
あかり「わんわ~ん♪」
結衣「ふふ、上手上手」
結衣「ん?なにかなぁ、私のひざ枕居心地悪いとか?」
あかり「ううん、結衣ちゃんのおひざは文句なしの100点なんだけどね」
結衣「へぇ、あかりのお墨付きか良かった良かった」
結衣「けっこうひざ枕の評判いいんだよね、ちなつちゃんも喜んでくれたし」
結衣「……ふふ、悪い気はしないな」
あかり「ぇへへ、それよりどうして結衣ちゃんはあかりにひざ枕してるの?」
結衣「……」
結衣「あ、あれ?」
結衣「でも私は遠慮しておくって、そしたらあかりがすねて」
あかり「ううん違うよぉ、最初にね結衣ちゃんがこう言ったの」
結衣『あかり、今日は2人きりだから私とイチャイチャしような』
あかり「ぇへへ、もう結衣ちゃんってば可愛い女の子ならガツガツしちゃうんだね」
あかり「あのね、女の子同士って最初はおかしいと思ってたけど……」
あかり「別に結衣ちゃんだったらそれでも悪くないかなぁ、なーんて!」
あかり「も、もう結衣ちゃんってば冗談をだからね今のは!……ぇへへ」
結衣「……えっと、わたしなんであかりにひざ枕してるんだろう」
結衣「???」
あかり「もう、自分で言ったことくらい覚えててよぉ!」
結衣「あれ……」
結衣「なんか、記憶があいまいになってきた……」
結衣「私があかりにひざ枕しようかって、言ったのかな……」
あかり「ゆーいちゃん、今日はお泊りするって約束だったけど?」
結衣「……んん?」
あかり「うぅぅ、やっぱり覚えてなかった、あかりの優先順位なんて低いもんね……」
結衣「あ、えっともちろん覚えてるよ!!」
あかり「……ぇへへ、良かった~」
結衣「そ、そんな約束したっけ?」
結衣「えっ!?」
あかり「……うぅぅ、自分で言ったのに」
結衣「あ、あぁ!思い出した思い出した!」
結衣「一緒に入るって約束したもんな、忘れるわけないよ」ナデナデ
あかり「うんうん、それでこそあかりの結衣ちゃんだよぉ」
結衣「おーい、いつからあかりの所有物になったんだよ」
あかり「……覚えてないの?」
あかり「去年の2月29日にしっかり言ったよね、船見結衣は生涯あかりのものですって」
結衣「は、はぁ!?」
結衣「きょ、去年に私がそんなこと言ったのか……」
あかり「やっぱり覚えてないんだ、あかりはしっかり頭に残ってるのに」
あかり「そうだよね、あかりのことなんてどうでもいいもんね」
あかり「影がうすい~とか、キャラが弱い~とか……」
あかり「あはは、今日はお家に帰ったらアリさんと遊ぼうかな」
結衣「あ、あぁもう!!」
結衣「覚えてるよ、ぜんぶしっかり覚えてるから!」
結衣「だからそのうじうじするの止めてくれ……」
結衣「なんからしくないっていうか、あかりは笑ってた方が可愛いと思うし」
あかり「……ぇへへ、ありがと結衣ちゃん」
結衣「……えっと、今年がオリンピックだからうるう年で」
あかり「あ、えっと、結衣ちゃんあのね!」
結衣「はいはいちょっとお口にチャックしててね」ギュッ
あかり「むぐぐぐぐぐもごごごご……」
結衣「去年は2月29日ないよな、あかり」
あかり「……あるもん!」
結衣「……私、船見結衣は生涯あかりのものですって言ってないよね」
あかり「……言ったもん!」
結衣「どうして嘘付いたのかな、あかり?」
あかり「……」
あかり「あ、あかりが嘘付いちゃったから……?」
結衣「そうだね、ウソに嘘を塗り重ねて私を騙したんだあかりは」
あかり「だ、だって、あかり、あかりはっ……」ジワッ
あかり「あかりだって結衣ちゃんと、あそびたいのにっ、うっ、ひっく……」
結衣「それでもあかりはしてはいけないことをしたの」
あかり「うっ、うぅぅぅぅぅ……」ポロポロ
結衣「泣いてもダメ、あかりにはしっかり罰を受けてもらうからな」
あかり「……う、いやだよ、ごめんなさいっ、結衣ちゃん」
結衣「……そうだな、ちょうどいい罰があるよ」
あかり「……」グスッ
あかり「い、痛いことするの?怖いことするの?」
結衣「そうだな、もしかしたら痛くて泣いちゃうかもしれないね」
あかり「ひっ……」
結衣「あかりはまだお子様だから、耐えられるか分からないけど」
あかり「い、いやだよぉ、もうこんなことしないから!」
あかり「お願いだから、結衣ちゃん許して……」グスッ
結衣「……悪いけど、私は本気だからな」
結衣「さぁあかり、早くそこの座布団にしっかり座って」
あかり「うっ、うぅぅぅ……」
あかり「ね、ねえ結衣ちゃん、あのこれって……」
結衣「ふふ、ウソついた罰はしっかり取ってもらわないとね」
あかり「……ぇへへ、そっかそうだよね」
結衣「誰かにひざ枕してもらうなんて一度もなかったからな」
結衣「……これはなかなか、悪くないな」
あかり「ふふ、結衣ちゃんってネコさんみたいだよね」
結衣「にゃんだよ、藪から棒に……」
あかり「あはは、いまにゃんだよって言ったよね~」ナデナデ
結衣「……っさい、あとあまりなでなでするな」
あかり「2人きりになると、たちまち寄ってきてすりすりすりすり」
あかり「ふふ、ほんとはかまってほしいんだよね」
あかり「可愛い黒ネコさんそっくりだよぉ、よしよし」
結衣「あーもう……」
あかり「首輪なんか付けちゃったりするの?鈴付の可愛い首輪!」
あかり「ぇへへ、案外似合いそうだよね」
結衣「似合うワケないだろ、お馬鹿」
あかり「そうかなぁ、結衣ちゃんなら何でも似合いそうな気がするけど」
結衣「……さすがに首輪はないから」
あかり「結衣にゃんにゃん」
結衣「くそ……」
あかり「ぇへへ、大人しくなっちゃった」
あかり「ちょっといじわるしすぎたかなぁ、ごめんね結衣ちゃん」
結衣「も、もうひざ枕はいいからありがと」スッ
あかり「ううん、どういたしまして!」
結衣「ほら帰るから早く支度して、あかり」
あかり「あ、そうだねもうこんな時間だ……」
あかり「ゆ、ゆいちゃ~ん、歩くの早いよぉ!」
結衣「……」スッ
あかり「わぷっ!?」
あかり「いたたたたた、急にとまったりしたら危ないよ……」
結衣「ぜ、絶対に言うなよ!」
あかり「へっ?」
結衣「だ、だから、私がにゃんだよって言ったこと!」
あかり「……」ニコニコ
結衣「……はぁ、もうやだ」
結衣「……ったく」グイッ
あかり「結衣ちゃんの手温かいね、ぽかぽかだよぉ」
結衣「そりゃどうも、あかりもぽかぽかするね」
あかり「……一つ歳が違うだけでこんなに雰囲気ちがうものなのかなぁ」
あかり「結衣ちゃんは落ち着いてて、大人っぽくて……」
あかり「あかりはいつもあたふたして、子供っぽいのが抜けなくて……」
結衣「……あかりはあかりでいいところいっぱいあるよ」
結衣「私ならあかりのいいところは10個言えるかな」
あかり「……ぇへへ」ギュッ
結衣「あ、えっと、10個は言い過ぎたかも……」
あかり「……」ジトッ
結衣「わ、分かったよ10個捻り出すから、その薄目睨みつけるのやめてくれ」
あかり「うぅぅ、捻り出すとか言わないでよぉ……」
結衣「……いつもにこにこ、誰にでも優しい、裏表がない」
あかり「うんうん!」
結衣「……お裁縫が上手い、可愛い、笑顔が可愛い」
あかり「か、かわいい……」
結衣「ちょっとしょんぼりしてるのも可愛い、ちょっと怒ったときも可愛い、拗ねてるときも可愛い」
あかり「ちょ、ちょっと結衣ちゃんストップ!!」
結衣「ほらな、これで10個言えただろ」
あかり「た、確かに10個だけど……」
あかり「ぜんぶ10個ほんとにそう思ってるの?」
結衣「もちろんだよ、全部胸を張って言えるけど」
あかり「……ぇへへ」
結衣「何だかんだ言って、一番いいお嫁さんになるのはあかりだと思うけどね」
あかり「そ、そんなことないよぉ……」モジモジ
結衣「ま、相手が見つかればいいけどね」
あかり「ちょ、ちょっと結衣ちゃん!?」
あかり「ご、ごめんなさい……」
あかり「そうじゃなくて、相手が見つかればいいねってどういうこと!」
結衣「そのまんまの意味だけど……」
あかり「分かった、結衣ちゃんはヤキモチ妬いてるんだね」
結衣「……はぁ?」
あかり「あかりが将来いいお嫁さんになっちゃうから、苦し紛れの一言ってことでしょ」
結衣「……いや、だからなんていうか」
結衣「相手が見つからなかったら、私のところにおいで……って言いたかったんだけど」
あかり「……」
結衣「そうそう、なかなか日本語って難しいよな」
あかり「そうだね、日本語って難しいよね!」
結衣「……」
あかり「……」
あかり「あ、あかりは売れ残ったりなんかしないよぉ!」
結衣「あぁそうだな、だから私のところに来るなんてありえないね」
あかり「……そういうことじゃなくて!」
結衣「ほらほら、早く帰らないと寒くなってきちゃうよ」
あかり「結衣ちゃんがもらってくれるんでしょ!!」
結衣「なっ……」
あかり「結衣ちゃんがお嫁さんにもらってくれるんでしょ!」
結衣「は、はぁ?」
<ひそひそ <かわいい、お嫁さんだってー <若いっていいわねぇ……
<そういえば、iPS細胞というので同性の間でも子供ができるらしいです
結衣「あ、あぁ……!」
あかり「ねえねえ、あかりがずっと相手見つからなかったら結衣ちゃんが……」
結衣「い、いいから早く行くぞ!」ガシッ
あかり「ひょえっ!?」
あかり「あっ、う、ごめんね結衣ちゃん……」グスッ
あかり「あかりが変なこと言って、結衣ちゃんが恥かいちゃったもんね」
結衣「……」
結衣「いいって、最初に変なこと言ったのは私のほうだし」
あかり「ううん、でもあかり嬉しかったよ」
あかり「結衣ちゃんがお嫁さんに貰ってくれるって言ってくれて!」
結衣「……あー、その」
結衣「あかりが他のいい人見つかるまで私は恋人とか作らないから」
結衣「ま、まぁだから、売れ残ったら……ね」
あかり「……ふふ、結衣ちゃんは素直じゃないなぁ」
結衣「……そっか」
あかり「ぇへへ、それなら結衣ちゃんがもらってくれるんでしょ?」
結衣「もちろん、でも他の人がほうっておかないと思うけどね」
あかり「そうかなぁ、あかりってそんなにモテるの?」
結衣「……」ナデナデ
あかり「わーい、もっとなでろなでろー!」
結衣「ふふ、なんだかんだ言ってモテる要素はあるだろあかりは」
あかり「……も、もう褒めすぎだよぉ」
結衣「お婆ちゃんになるまで、かな」
あかり「ちょ、ちょっと結衣ちゃん!」
結衣「冗談だよ、高校を卒業するまで1人だったら考えておくからね」
あかり「……ぇへへ、その言葉忘れないでね」
結衣「私はウソ付いたりしないって、あかりは忘れそうだけど」
あかり「むむむ、あかりは結構辛抱強いんだから」
結衣「ふふ、全然そうは見えないけど?」
あかり「ぶー……」
・・・
・・
・
・・
・
京子「結衣ー、高校の進学先どうするの?」
結衣「あぁ私は県外に出ようかなって思ってるんだ」
京子「え、県外に行っちゃうの……」
結衣「親戚のお姉さんが私立の女子高で陸上のコーチやってて、一緒にやってみない?」
結衣「って、ずーっと前から言われてたんだ」
京子「……陸上、か」
結衣「まぁ推薦使うワケじゃないし、偏差値もそれなりだから勉強しないといけないけど」
京子「あかりもちなつちゃんもきっと悲しむだろうな」
結衣「……」
結衣「……京子、今まで私はずーっとお前のワガママ聞いてきたよね」
京子「えへへ、何だかんだ言って世話になりっぱだったもんな」
結衣「だから、私の最初で最後のお願い聞いてくれるかな」
結衣「それくらいしてもらっても、罰は当たらないよな」ニコッ
京子「うっ……笑顔が怖いんだけど」
結衣「ふふ大丈夫だよ、べつに京子を取って食おうとかするわけじゃないし」
京子「……うーん、それなら内容次第だけど」
結衣「ん、じゃあちょっと耳貸してくれる?」
京子「ほいほい、どれどれ」
・・・
・・
・
ちなつ「……先輩方、また3年生やってくださいよぉ」グスッ
結衣「ふふ、ちなつちゃん泣いちゃうなんて可愛いなぁ」
あかり「大丈夫だよぉちなつちゃん、すぐ近場に進学するんだから」
あかり「ぇへへ、ちなつちゃん頑張って2人と同じ高校に行こうね!」
ちなつ「うんっ、うん……」
京子「……」
あかり「ゆーいちゃん、あの約束のこと覚えてるよね?」
結衣「ん、あぁえっと……もちろん覚えてるよ」
あかり「うんうん、覚えてるなら結構結構!」
結衣「なぁ京子、みんなで記念撮影しようよ」
ちなつ「ふふふそうですね、お家からデジカメ三台ほど持ってきたんです!」
あかり「ちなつちゃん、気合入れすぎだよぉ!」
結衣「あははは、それなら何百枚も撮れるね」
京子「……ほんとに、それでいいのかよ」
京子「なら私はなにも言わないよ、結衣」
京子「結衣の最初で最後のお願いは絶対その日まで守るから」
あかり「京子ちゃーん!セルフタイマーはやくはやくー!」
京子「おー、分かってるよ!」
パシャ!
結衣『何だよ久々の電話だってのに、そんな出だしか』
あかり『ぇへへ、だって心配なんだもん』
結衣『ふふ、まぁそっちのほうがらしいけどな』
結衣『大丈夫だよ、部活も頑張ってるし、友達もたくさんできたよ』
あかり『ふふふ、そっか良かったぁ』
あかり『ねぇねぇ、今度結衣ちゃんのお家にいってもいい?』
結衣『あ、えっと、ゴメンな部活が忙しくてなかなか……』
あかり『ぇへへそんなの分かってるけど一応聞いてみただけ~』
結衣『……』
結衣『もうしつこいな、メールでも何回も聞いてきて』
結衣『あかりがその時まで独り身だったらね』
あかり『ぇへへ、あかりは結構モテモテだから困っちゃうなぁ』
あかり『新しいクラスでも、毎日花瓶のお世話とかしてるんだよ』
結衣『……ふふ、あかりはいつまでもあかりのままだな』
あかり『ぇへへ、それでねそれで……!』
結衣『あ、えっとなあかり、これから忙しくなるからメールとか電話返せなくなるかも……』
あかり『……そっかぁ』
結衣『そ、そうだな、練習がなければ……』
あかり『……そうだね、結衣ちゃんも忙しいもんね』
あかり『えへへ、でも久々に声が聞けて安心しちゃった』
結衣『……うん』
あかり『結衣ちゃん、声がとっても辛そうだけど大丈夫?』
結衣『大丈夫だよ、ちょっと疲れてるだけ』
あかり『うんうん、ならあかりみたいにぐっすり寝てね!』
結衣『……うん』
あかり『ばいばい結衣ちゃん、またね!』
結衣『……さようなら、あかり』
あかり「眠たいけど勉強しなきゃね、京子ちゃんと結衣ちゃんと同じ高校に行きたいもん」
あかり「……ふぁ~」
あかり「ふふふ、高校入ったら陸上部のマネージャーでもやろうかなぁ」
あかり「結衣ちゃんにスポーツタオルでも渡して……」
あかり「なーんちゃって、ぇへへ」
あかり「絶対一緒の高校に行くもんね、頑張るよあかり……」
あかり「……」カリカリ
あかり「ふんふん、ここがこうなって……」
あかり「京子ちゃーん!」ガバッ
京子「ちょ、ちょっといきなり飛びついてくるなよ!」
ちなつ「ふふ京子先輩、中学卒業から半年経っても相変わらずって感じですね」
京子「うんうん、相変わらずの美少女ってところかな」
ちなつ「そういうところが相変わらずです……」
京子「あははは、ちなちゅも変わらず可愛いよん」スリスリ
ちなつ「ああもう、結衣先輩たすけてー!」
京子「……あ、えっと結衣は今日部活で来れないって」
ちなつ「えぇ!?」
あかり「そうなんだぁ、残念だよぉ……」
ちなつ「わぁそれ楽しそう!遠くから見るくらいならいいですよね?」
京子「あ、えっと……」
京子「今日は確か遠征でいないんだよ、あいつ」
あかり「えぇぇ……」
ちなつ「そうですか……それならしょうがないですね」
京子「それより今日は私が直々に勉強を教えてしんぜよう!」
あかり「うんっ!あかりたくさん勉強して2人と同じ高校に進むんだから!」
ちなつ「えへへ私もですよ~」
京子「2人、か……」
題 久しぶりだね、結衣ちゃん!
『結衣ちゃん、今日はね京子ちゃんと久々に会ったの
ちなつちゃんも結衣ちゃんに会いたがってたよぉ
最近電話しても出てくれないから、あかり寂しいなぁ
でもしょうがないよね、結衣ちゃんも忙しいからね
あかりはまだ昔の約束覚えてるからね、えへへ
風邪に気を付けてね、ばいば~い!』
あかり「ふふ、ちょっと長文になっちゃったかなぁ」
あかり「それでも久々のメールだもん、いいよねべつに!」ポチッ
あかり「ぇへへ、なんかメールが返ってくるまでの時間って苦手……」
あかり「勉強しなきゃね、あとちょっとで入試だもん」
あかり「……」カリカリ
あかり「一緒の高校に入ったらね、またなでなでしてくれるよね」
あかり「いっぱいぎゅーってしくれるよね、結衣ちゃん」
あかり「だからね、勉強がんばるよあかり」
あかり「頑張ったなあかりって、褒めてくれるよね」
あかり「ぇへへ……」カリカリ
あかり「……メールまだ返ってこないよね、さすがに」
あかり「もう12時だ、そろそろ寝ないと明日がキツイもんね」
あかり「……結局メール返ってこなかった」
あかり「遠征だもんね、きっとメール返す暇もないのかなぁ」
あかり「おやすみなさい、結衣ちゃん」
あかり「……」zzz
・・・
・・
・
・・
・
あかり「……おはよう、ちなつちゃん」
ちなつ「おはようあかりちゃん、来週が入試だね」
あかり「うん、勉強の方はばっちりなんだけど」
ちなつ「むむむ、自信たっぷりじゃないあかりちゃん!」
あかり「……」
ちなつ「なんか元気無そうだけど……」
あかり「ううんそんなことないよぉ、元気元気!」ニコッ
ちなつ「そっか、……ほらこのメール結衣先輩から昨日来たんだけどね」
あかり「えっ……」
あかり「……どうして」
ちなつ「あ、あかりちゃん顔色絶対悪いよ!」
あかり「……どうして、あかりにはメールを返してくれないの」
ちなつ「えっ?」
あかり「ううん、なんでもないよぉ」
あかり「それよりちなつちゃん、ここの数学の問題ってどうやるの?」
ちなつ「えっとね、ここがBの円周角で……」
あかり「……うんうん」
・・・
・・
・
題 明日はついに入試だよ
『結衣ちゃん、忙しいからメールも返せないんだよね
忙しいから、あかりの電話に出てくれないんだよね
あかりのことを嫌いになったってことではないよね……
まだ覚えてるよ、結衣ちゃんがお嫁さんにもらってくれるって約束
最近夜に中々眠れないの、結衣ちゃんのことばかり考えて
結衣ちゃんの声が聞きたいな、寂しいよ
でも忙しいんだよね、あかりはワガママ言わないから
……お休みなさい』
結衣「……」
題 Re:明日はついに入試だよ
『ごめんなあかり、余計な考え事させて
メールも電話もずーっとしたかった、あかりのことを考えなかった日はないよ
でもそんなことしたら、私があかりへの想いを抑えられなくなるから
あかりならきっと大丈夫だよ、絶対にいい結果になるさ
あの日の約束は覚えてるよ、忘れるわけがない
とにかく今はゆっくり寝ること、分かった?
……おやすみなさい、あかり』
あかり「……ふふ、あかりだって忘れるわけがないよぉ」
あかり「おやすみなさい、ありがとう結衣ちゃん」
ちなつ「あ、あか、あかかかあかりちゃん……」
あかり「ちなつちゃん、ちょっと落ち着いてよぉ!」
ちなつ「だ、だって今日は入試なんだよ?」
あかり「ふふふ、大丈夫だよぉここまで頑張ったんだもん」
あかり「ちなつちゃんの努力はあかりが一番知ってるよ」ニコッ
ちなつ「……ふふ、その顔見たらなんか安心しちゃった」
あかり「ちなつちゃん、絶対に合格しようね!」
ちなつ「うん!」
・・・
・・
・
・・
・
京子「こほん、えーキミ達は念願かなって晴れて七森高校に入学できたワケだが……」
あかり「あははは、京子ちゃんってば先輩風吹かせちゃって!」
ちなつ「もうほんとですよ、ご高説はいいですから」
京子「あかり、ちなつちゃん、よーく頑張ったね!!」ガバッ
あかり「わーい、もっと褒めろ褒めろ!」
ちなつ「もう、今日だけは特別ですからね」
京子「……ほんとに頑張ったね、おめでとう」ナデナデ
あかり「えへへ、ありがとう京子ちゃん」
ちなつ「……京子先輩がたまに勉強見てくれましたもんね、当然ですよ」
京子「へへへ、ちなちゅも丸くなったなぁ」
ちなつ「はぁ、久しぶりだなぁ結衣先輩に会うの」
京子「あ、えっと、結衣は……」
京子「……」ジワッ
あかり「きょ、京子ちゃんどうして涙ぐんでるの?」
ちなつ「そうですよ、私たちが合格して嬉しいのは分かりますけど」
京子「違うくてねっ、あの、結衣は……」
京子「結衣は県外の高校に進学して、七森高校の生徒じゃないんだ……」
あかり「え……」
「ねぇ、京子ちゃんいつもの冗談なんでしょ!!」
京子ちゃんは悪くないのに、つい声を荒げちゃって
そこのお掃除のロッカーからひょいと出てくるんじゃないかって思ってた
「ごめんっ、わたしが結衣を止めてれば……」
ねえどうして京子ちゃんは泣いてるの、いつもみたいに言ってよ
引っかかった、あははって笑い飛ばしながら
「結衣と約束してたんだ、2人には内緒にしておくって……」
……結衣ちゃんはどこ?
あかりは七森高に入れたんだよ、いっぱい勉強して
結衣ちゃんとまたお話ししたくて、たくさん勉強したんだよ
家族の皆がそう言ってあかりを褒めてくれた
綺麗にデコレーションされたケーキ、奮発してくれた特上のお寿司
「ぇへへ、お父さんお母さん、お姉ちゃんもありがとう!」
あかりは七森高に入れて、本当に嬉しかったのかな?
結衣ちゃんになにか騙されたような気分だった
『結衣は陸上がやりたいから、県外の私立に……』
京子ちゃんはそう言ってくれたけど
結衣ちゃんは、あかりのことが嫌いだったんじゃないかなって思った
だから遠くの県外に進学しちゃったんだよね
「そうすれば、あかりの顔なんて見る必要なくなるもんね……」
思わず本音がこぼれちゃった
普段なら大喜びするのにね、どうしてだろう
「……はぁ」
原因なんて分かりきってるよ、ぜんぶ結衣ちゃんのせい
入学祝にお姉ちゃんに買ってもらった、朱色のスマートフォン
『メールも電話もずーっとしたかった、あかりのことを考えなかった日はないよ』
この結衣ちゃんのメールだけは前の携帯から移したんだっけ
考えれば考えるほど、結衣ちゃんの意図が分からなくなる
あかりのことを好きなのにどうして、離れていっちゃうの?
「分からないよ、結衣ちゃんの考えてることが」
だってまた無視されるのが怖いし、また傷つきたくなかったもん
それでも結衣ちゃんの声がまた聞きたい気持ちが、ごちゃごちゃになって
何回もスマートフォンを置いては覗いてを繰り返してた
「もう疲れちゃったなぁ……」
せめて夢では結衣ちゃんと仲良くなれたらな、好きだって伝えられたら
それくらいの贅沢は許されるよね?だって1年間勉強たくさんしたんだもん
・・・
・・
・
・・
・
「いやぁ、まさか現役で医学部に受かるとは思わなかった……」
京子ちゃんが柄にもなく照れくさそうにしている、ほっぺもほんのり赤いね
でもでも、医学部って本当にスゴイよね!?
「なんというかこの人はほんとに、なんなんですか!」
ふふ、ちなつちゃんも本当に嬉しそうだよぉ
最後に結衣ちゃんと連絡を取ってから、もう何年も経っちゃった
それでもあかりは覚えてるよ、高校卒業して独り身だったらお嫁さんに貰ってくれるって
忘れるわけないもん、大切な約束だから
それでも京子ちゃんもちなつちゃんもどこか寂しそうだった
「噂には聞いてるよちなちゅ、茶道部の部長になったんだよね!」
「ふふ、ごらく部で鍛えたお茶の腕は健在ですから」
「……また、4人で集まれる日が来るよね、京子ちゃんちなつちゃん」
そう言った途端、場の空気がピシっと引き締まったというか
……う~ん、凍っちゃったというか、でもでも滑ったワケではないよね!?
「次会ったときは一回結衣先輩のほっぺたをムニムニしちゃおうかな、勝手に行った罰!」
「ふふ、そうだよねまた4人できっと集まれるよね」
みんな待ってるんだよ結衣ちゃんのこと、だってごらく部は4人でごらく部だから
京子ちゃんとちなつちゃんの言葉を聞いて安心しちゃったなぁ
「あーそうだあかり、今日家に帰ったらいいモノがあるぞ」
「……いいモノ?」
「なんかその言い方とーっても気になりますね、食べ物ですか?」
「むふふ秘密だよん、ちなちゅには私からのチューを!」
「ぎゃー!」
いいモノってなんだろう、でもいたずら好きの京子ちゃんのことだからなぁ……
だってだって!いいモノとか言われたら誰だって気になるよね?
「ただいまお姉ちゃん、お外寒かったよぉ……」
「あら、お帰りなさいあかり。そう言えば郵便受けに手紙があったわよ」
「わぁ、あかりにお手紙だね……」
「船見結衣さんからね、懐かしいわね結衣ちゃんとは仲が良かったものね」
「ゆ、結衣ちゃんからのお手紙!?」
「そ、それじゃあ結衣ちゃんが直接ココに来たってことかな?」
「ええ、それしかないわね」
えっと、えっと、ちょっと待ってね、あかりはいま混乱中だから
結衣ちゃんがあかりのお家にお手紙持ってきたんだよね
ずーっと音沙汰なしだったのにどうしたんだろう……?
「ふふ、あかりったら本当に嬉しそうね、そんなニコニコして」
「ひょえっ!?」
うぅぅ、気付いたら頬が緩みっぱなしだよぉ
中身がどんな手紙なのか分からないのに、それでも嬉しかった
……まだあかりのこと覚えてくれたんだって
結衣ちゃんのお手紙を前にすると少しドキドキしちゃうな
本人が目の前にいるってワケじゃないのに、なんか緊張しちゃう
「あかりにとっていい内容でありますように」
ふふ、こんなこと言っても中身が変わるワケじゃないのにね
真っ白でキレイな封筒、なんか結衣ちゃんのイメージ通りかなぁ
『拝啓、ようやく春めいた今日このごろで……』
ちょ、ちょっと結衣ちゃんもう少し肩の力抜いてもいいのに!
……でも2年ぶりだもんね、しょうがないか
まずは結衣ちゃんの高校生活について、陸上とかのお話だね
スゴイよね、結衣ちゃん陸上でインターハイに出たんだって!
それから次は結衣ちゃんが県外へ行った本当の理由
あかりはてっきり陸上がしたいものばかりだと思ってけど、どうも違うみたい
なんとなく、結衣ちゃんの葛藤が分かってきたかもしれない
『あかりをお嫁さんに貰うって約束はしたけど、本当に私でいいのかなって』
『……あかりにはもっと相応しい人がいるんじゃないかな』
『そう考えたら、急に弱気になっちゃってね』
『ただ逃げていただけなんだ、あかりに好きだって言うのも怖くて』
『傷つくのが怖かった、もし否定されたらどうしようって』
『だから……』
「結衣ちゃんは大馬鹿だよぉ、1人で勝手に結論出しちゃって」
でも本当に嬉しかった、あかりのことでこんなに結衣ちゃんが悩んでくれて
結衣ちゃんは不器用で素直じゃないけど、そんな結衣ちゃんが好きなんだなって
この気持ちが改めて分かってとっても嬉しかった
『明日にはもう東京へ行ってるから、最後にあかりに会えたらなと思って……』
『あかりにその気があったらそこの公園に来てほしい』
「あ、えっと、ちょっと話が急すぎるよぉ!!」
ほんとに結衣ちゃんってば自分勝手なんだから……
お外は雪降ってるのに、結衣ちゃん何時間待ってるんだろう
ってそんなことより早く公園に行かないと!
結衣「……へぷちっ!!」
結衣「やっぱりきてくれないよな、あんなに自分勝手なことしたんだから」
結衣「最後にあかりの顔を見たかったな……」
あかり「うーん、他は完璧なのにその自分で完結するのが性格としてはネックかなぁ」ギュッ
あかり「でもでも、ルックスとしても申し分ないし……」
結衣「……」
結衣「2年ぶりに会っていきなりダメ出しとは参ったな」
あかり「2年じゃないよ、2年とうんヶ月もずーっと待ちぼうけだからね」
結衣「ごめん、としか言いようがないかな……」
結衣「あ、あかり、そのここに来たってことは手紙を……」
あかり「ぷっ、あははははははははは!」
結衣「なっ!?」
あかり「もう結衣ちゃんってば、頭に雪積もってるよぉ」クシクシ
結衣「んっ、じゃなくてあの手紙読んでくれたんだよね」
あかり「もう、いい女の子が拝啓なんて出だしはどうなの?」
結衣「だ、だっていきなり連絡とるから緊張しちゃって……」
あかり「……」ギュッ
結衣「おっと……」
結衣「謝ってすむことじゃないのは分かってるけど」
結衣「それでもゴメン、本当にゴメンなあかり」ギュッ
あかり「……絶対に、許さないから」
結衣「でもさ、見ない間に本当に綺麗になったね」
あかり「当たり前だよぉ、3年もあれば人は変わるんだから!」
結衣「ふふ、自信満々だなぁ」ギュッ
あかり「……結衣ちゃんも可愛くなったね」
結衣「そうだな、ちょーっと化粧してるし」
あかり「うそっ!?」
あかり「むむむ……」
あかり「なんかズルいよぉ、結衣ちゃんだけ大人になっちゃって」
結衣「ふふ、そうかなあかりも身長伸びて私と同じくらいだし」
あかり「あ、ほんとだね、ふふふ」
結衣「あかりが好きって気持ちは、あの日から変わってないからね」
結衣「……あれ、でもあかりもしかして恋人とかいたり」
あかり「んーん、だって結衣ちゃんと約束したもんね」
あかり「高校卒業まで独り身だったら結衣ちゃんがお嫁さんに貰ってくれるって」ニコッ
結衣「……律儀なやつ」
あかり「へっ、なにか欲しいモノでもあったの?」
結衣「あかり、ちょっと左手出してくれるかな」
あかり「うんっ!」
結衣「あと目もしっかり閉じてること」
あかり「……?」
結衣「えっと、あれ、なかなか上手くいかないな……」
あかり「あ、これって指輪……」
結衣「ま、まぁほんと安物のペアリングですけど」
あかり「……ぇへへ」
結衣「その時まで高いのは我慢してくれるかな」
あかり「……ふふ~ん」
あかり「結衣ちゃん、ちょっと向こう側向いててくれる?」
結衣「あ、あぁうん……」
あかり「あかりからのお礼だよっと」チュッ
結衣「……なんだ、ほっぺか」
あかり「そ、その言い方はひどいんじゃないの!?」
結衣「ふふ、冗談だよほら私からもあげるよ」チュッ
あかり「……なんだ、ほっぺかぁ」
結衣「いや、さすがに口は恥ずかしいから……」
あかり「うん、恋人なんか作っちゃダメだからね」
結衣「分かってるよ、あかりはまだ進学先とか決めてないの?」
あかり「あかりも東京の大学を狙おうかなぁ、京子ちゃんもいるし」
あかり「ちなつちゃんも東京に行くって言ってたし」
結衣「……そっか、それなら待ってるからね」ギュッ
あかり「わぷっ……」
結衣「ふふ、将来のお嫁さんなんだからツバ付けておかないとな」ナデナデ
あかり「毎日電話しちゃうから、結衣ちゃんは寂しがり屋のウサギさんだし」
結衣「そうだな、期待して待ってるよ」
あかり「……結衣ちゃん、あかりを好きになってくれてありがと」
結衣「お互いさまだよ、これからもずっと一緒だからね」
あかり「うんっ!」
おしまい!
ヘタレな結衣ちゃん可愛い
乙
あかりちゃんがちなつちゃんの恋心をスルーしているようなのが気になったかな
だからぶっちゃけ結あかとかありえないんだけどね
無理やりくっ付けたけど、次は気を付けます
ここにあるよぉ
Entry ⇒ 2012.04.25 | Category ⇒ ゆるゆりSS | Comments (0) | Trackbacks (0)