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のび太「スターフォックス……?」
ギュゥゥゥゥン……! キイィィィィン……!
各々自慢の戦闘機を駆り、激戦を繰り広げる戦士たち。
ファルコ「フォックス、危ないっ!」
ウルフ「落ちろ、キツネ!」バシュッ
フォックス「しまった!」
ズガァンッ!
フォックス「うわぁぁぁぁぁっ!」ヒュルルルル…
すると──
バシュンッ!
ウルフ「ヤツのアーウィンが……消えやがった!?」
ウルフ「ライラット系にはまれに空間の歪みが生じ、
ワープホールができるというが……それに飲み込まれたようだな」
ウルフ「あのジェームズの息子ともあろう者が……無様な最期だ」
ウルフ「よし青二才のキツネは片付けたし、
コーネリア軍の基地に仕掛けられた爆弾も爆発する頃だ。全機、引き上げだ!」
レオン「この私の敵ではなかったな」
ピグマ「また会おうや、ペッピー!」
アンドリュー「ふははは、ざまあみろ!」
ギュウゥゥゥン……
ファルコ「くそったれっ!」
ペッピー「こうなっては仕方ない……我々も撤退するしかない……!」
スリッピー「フォックス……!」
………
……
…
のび太たちは、火星と木星の間にある小惑星の中から適当なサイズの星を選び、
遊び場にするために改造を行っていた。
ドラえもん「よし、これで海もできたし空気もできた」
のび太「ぼくたちの遊び場の完成だ!」
ジャイアン「よっしゃあ、この星の名前は“ジャイアン星”に決まりだぜ!」
スネ夫「センスないなぁ、“スネ夫星”の方がいいに決まってるよ」
ジャイアン「なんだと!?」
しずか「喧嘩はよしなさいよ。せっかく遊び場を作ったんだから、
みんなでドッジボールでもやりましょうよ」
ドラえもん「いいね、やろうやろう! ──ん、のび太君、どうしたの?」
のび太「ドラえもん、あそこっ!」
のび太が指差す方向には、煙を上げてふらふらと飛ぶ戦闘機があった。
しずか「そんなこといってる場合じゃないわ!
あのままじゃ、どこかにぶつかっちゃうわよ!」
ドラえもん「そうだね! ──えぇと」
ドラえもん「なんでも空港~!」
【なんでも空港】
飛行しているものを、強制的に着陸させる道具。
効力は昆虫やオバケ、果てはジェット機にまで及ぶ。
戦闘機はなんでも空港に吸い寄せられ──
ドラえもん「こっちに来たぞ、みんな離れろっ!」ダッ
無事、着陸に成功した。
スネ夫「うわぁ~かっこいい……」
ドラえもん「ようし、みんな中にいる人を助け出そう!」
ジャイアン「俺様に任せろ!」ダッ
ドラえもん「これは……」
のび太「えぇと……」
しずか「どう見ても……」
ジャイアン「キツネ……」
スネ夫「だよね……」
のび太「もしかして……チッポ君たちの仲間かな?」
ドラえもん「仲間ってことはないだろうけど、
彼らと同じようなタイプの宇宙人ってところだろうね」
しずか「気絶してるみたいだけど、大丈夫かしら……」
ドラえもん「お医者さんカバンによると、頭を強く打ってるみたいだから、
しばらくこのまま安静にしておこう」
ドラえもん「あと、この人が起きたら話を聞かなきゃいけないから、
今のうちにみんなでほんやくコンニャクを食べておこう」
ジャイアン「やれやれ、せっかく遊び場ができたってのに、
とんでもないことになっちまったぜ」
スネ夫(あの戦闘機、かっこいいなぁ……)
フォックス「うぅっ……ここは!?」ガバッ
フォックス「うっ!」ズキッ…
しずか「まだ寝てないとダメですよ!」
フォックス「……君たちは?」
ドラえもん「ぼく、ドラえもんです」
ドラえもん「ぼくたちがこの星で遊んでいたら、あなたの飛行機が飛んできたので、
救助したんです」
フォックス「ドラエモン……。そうだったのか、ありがとう」
フォックス(全く知らない種族だ……)
フォックス(ウルフに撃墜された瞬間、空間に飲まれるような感覚があったが、
どうやらワープをしてしまったようだな)
フォックス(早く仲間と合流しないと……。しかし、もうアーウィンは──)
フォックス(どうやらこの子たちは悪人ではなさそうだ。
俺の事情を話したところでどうしようもないが……
助けられた恩もあるし、ここは正直に話すべきだろうな)
フォックス「俺の名はフォックス・マクラウド。
やとわれ遊撃隊“スターフォックス”のリーダーをやっている」
のび太「スターフォックス……?」
のび太「あとドラえもん、遊撃隊って?」
ドラえもん「戦争とかで、本隊とは別行動を取る部隊のことだよ」
フォックス「俺たちを雇った惑星コーネリアは、ライラット系の中でも
もっとも豊かで平和な星だった」
のび太「ライラット系って?」
ドラえもん「多分こっちでいう太陽系みたいなものだよ。
話が進まないから、とりあえず今は黙って聞いておきな」
フォックス「しかし、ある男が宣戦布告をしてきたことで、
この星の平和は終わりを告げた」
スネ夫「せ、宣戦布告……」ゴクッ
かつて惑星コーネリアを追放された科学者だった」
フォックス「ヤツは惑星ベノムを本拠地にし、強大な軍隊を作り上げ、
ライラット系の惑星を次々に征服していった」
ジャイアン「なんてヤツだ、許せねえ!」
フォックス「そして、アンドルフの魔の手はついにコーネリアにまで及んだ。
ヤツらによって、コーネリアの都市は徹底的に破壊された」
しずか「ひどい……」
フォックス「しかし、コーネリア軍に雇われた俺たちスターフォックスが、
どうにかコーネリアからベノム軍を撃退することに成功した」
フォックス「その後、一気にベノムまで進撃しようとしたんだが──」
フォックス「その途中にある惑星フィチナで俺はライバルの“スターウルフ”に敗れ、
こうして君たちに助けられる結果となってしまった……」
ドラえもん「つまりだね、フォックスさんは悪者をとりあえずは食い止めたけど、
その後やられちゃったってことだよ」
しずか「フォックスさんが負けて、コーネリアは大丈夫なんですか……?」
フォックス「分からない……」
フォックス「かなり長い間、ワープ空間にとらわれていたようだし、
できれば今すぐにでもコーネリアに戻りたいが──」
フォックス「アーウィンがあれでは……」
スネ夫「これアーウィンっていうんだ!
すっごいなぁ~……今まで見たどんなラジコンよりかっこいいや!」
ドラえもん「ラジコンだなんて失礼な……」
フォックス「ハハハ、アーウィンは“超高性能全領域戦闘機”といわれていてね」
フォックス「反重力制御によって超高速戦闘が可能で、
機体そのものも頑丈で高熱や汚染領域などあらゆる悪条件下での
飛行にも耐えることができる」
ドラえもん(すごいなぁ、22世紀の戦闘機にも匹敵するかもしれない)
フォックス「だから、超一流のエンジニアでなければ
こいつを修理することはとてもできないんだ……」
フォックス「え!?」
のび太「ここにすんごいロボットがいるんだから! ね、ドラえもん?」
ドラえもん「この復元光線を使えば、たとえアーウィンだって直すことができます」
【復元光線】
壊れた物体を直すことができるライト。
フォックス「本当かい!? とても信じられないが──」
ドラえもん「えいっ!」ピカーッ
復元光線の光を浴びたアーウィンの機体が、みるみる修復されていく。
フォックス「す、すごい……!」
ドラえもん「念のため、試運転をしてみて下さい」
フォックス「ありがとう!」
キィィィィ……ン
フォックスはアーウィンに乗り込み、星の周りを鮮やかに飛び回った。
のび太たちはフォックスの操縦技術とアーウィンの美しさにしばし魅了された。
スネ夫(うわ、イヤな予感……)
ジャイアン「このままフォックスさんを帰しちまっていいのかよ!?」
ジャイアン「俺たちだって今まで宇宙を何度も救ってきたんだ!
なにか手伝えることがあるはずだぜ!」
のび太「うん、たしかに!」
スネ夫「なにいってんだい! あんなすごい戦闘機がバチバチやってるような
宇宙戦争に乗り込もうっての!?
いくらドラえもんの道具があったって、無謀だよ!」
しずか「たしかにね……例えばパピさんの時は敵が小さかったからよかったけど……。
相手が同じ大きさだったら、かなり危なかったわ」
ドラえもん「う~ん、いくらぼくの道具でも、あのアーウィンという戦闘機には
勝てないかもしれない……」
ジャイアン「怖気づいたのかよ!」
スネ夫「そりゃそうさ!」
ドラえもん「でも──」
ドラえもん「あのアーウィンをコピーすることは可能だよ!」
戦闘機の操縦なんか、小学生のぼくらにできるわけないじゃん!」
ドラえもん「うむむ、たしかに……」
しずか「いいえ、大丈夫よ!」
しずか「パピさんたちとPCIAと戦った時、空飛ぶ戦車を作ったじゃない!
あの時みたいにアーウィンを私たちでも扱えるように改造すればいいのよ!」
ドラえもん「そうか!」
スネ夫「ふん……問題はまだあるよ」
ジャイアン「まだあるのかよ!」
スネ夫「ぼくたち全員分の改造アーウィンを作ったとしても、
うまく連係できなきゃ、敵に各個撃破されるのがオチさ」
のび太「だったらさ、ぼくたち全員で一機のアーウィンを操縦すればいいじゃない。
ぼくってかしこ~い!」
スネ夫「お前、バカか!? どう見てもアーウィンは一人しか入れないだろ!」
のび太「むぐ……」
ドラえもん「──いや、なかなかいい発想かもしれない!」
入ることもできる!」
ドラえもん「それにぼくたち一人一人じゃとてもフォックスさんのようには
いかないだろうけど──」
ドラえもん「ぼくら五人で一人のパイロットになれば、
フォックスさんの足を引っ張らずに済むかもしれない!」
ドラえもん「タイムマシンを使えば、いくら五人で家を留守にしたって問題ないしね」
スネ夫「だ、だけどさぁ……」
ジャイアン「ふん、スネ夫。さっきからずいぶん弱気だけどよ」
スネ夫「な、なんだよ、ジャイアン」
ジャイアン「お前だって、あのアーウィンとかいう飛行機を動かしてみたいんだろ?」
スネ夫「…………」
スネ夫「もう、分かったよ! しょうがないなぁ! 好きにすればいいさ!」
ジャイアン「へっへっへ」
ドラえもん「決まったね。じゃあフォックスさんの試運転が終わったら話してみよう!」
フォックス「ありがとう、アーウィンの調子は完璧だったよ!
あとはライラット系目指してなんとか飛んでいくことにする」
ドラえもん「フォックスさん」
ドラえもん「ぼくの道具があれば、フォックスさんをライラット系まで
一瞬で連れていくことが可能です」
フォックス「なんだって!? 驚いたな、そんなこともできるのか……」
ドラえもん「だけど、条件があります。
ぼくたちにフォックスさんのアーウィンをコピーさせて下さい!」
のび太「そして、ぼくたちにもフォックスさんの手伝いをさせて下さい!」
フォックス「なっ……!」
フォックス「子供である君たちを戦いに巻き込むわけには──」
ジャイアン「頼むよ、フォックスさん!
俺たちこう見えても、何度も地球や宇宙を救ってきたんだぜ!」
フォックス(この正義感の強そうな子供に、
アンドルフとの戦いの話をしたのは失敗だったか……)
フォックス(しかし、アーウィンはたしかに直っていた。
この子たちがすごい力を持っているというのも事実ではある……!)
フォックス「だが俺としても、子供を巻き込みたくないってのは本音なんだ。
戦況次第では、すぐに帰ってもらうことになる──いいね?」
ドラえもん「はいっ!」
のび太「はいっ!」
しずか「はい!」
ジャイアン「おうよ!」
スネ夫「……帰りたい」ボソッ
まずドラえもんはスモールライトでアーウィンを小型化し、
フエルミラーにてアーウィンを一機増やし、元の大きさに戻した。
そして──
ドラえもん「天才ヘルメット~! 技術手袋~!」
【天才ヘルメット】
機械をどう改造するのが最適か、考えてくれるヘルメット。
【技術手袋】
指先がさまざまな工具に変化し、これをつけるだけであらゆる工作が可能。
ドラえもん「よぉ~し、五人で協力して改造しよう!」
フォックス「え、もう!?」
さっそく“改造版アーウィン”のお披露目が始まった。
ドラえもん「まず内部の広さ、アーウィンの大きさはそのままに
四次元技術を駆使して、ぼくたち五人が入れるようになった!」
スネ夫「コクピットも改造して、ゲームやラジコン感覚で操作できるようにしたよ!」
のび太「ビーム発射口は、パイロットが操縦だけに専念できるよう、
別の人間が担当できるようにしたしね!」
ジャイアン「さらにボム発射は、投球フォームと連動して動く、
“ジャイアンアーム”で行えるようにしたぜ!」ウイーン
しずか「できればお風呂をつけたかったけど……私は参謀として頑張るわ!」
フォックス(すごい……こんな短時間でアーウィンをここまで改造するなんて……。
スリッピーが聞いたら嫉妬するかな……いや、喜ぶだろうな)
“ジャーウィン”なんてのはどうだ!?」
スネ夫「ぼくが操縦するんだし、“スネーウィン”の方がいいよ!」
のび太「いやいや、“ノビターウィン”だよ!」
ドラえもん「ぼくの道具で改造したんだから“ドラーウィン”にすべきだ!」
ギャーギャー……! ワイワイ……!
しずか「んもう……しょうがない人たちね。
だったらフォックスさんに決めてもらいましょうよ」
フォックス「う~ん……俺が一番しっくりきたのは“ドラーウィン”かな」
(子供たちの中から選ぶと、あの三人が喧嘩しそうだしな……)
ドラえもん「やったぁ!」
のび太「うう……」
ジャイアン「ちぇっ、フォックスさんがそういうなら……」
スネ夫「しょうがないか」
こうして、ドラえもん式超高性能全領域戦闘機“ドラーウィン”が完成した。
メインパイロット 骨川スネ夫
レーザー砲撃手 野比のび太
ボム砲撃手 剛田武
参謀 源静香
機長 ドラえもん
ドラえもん「ぼくたち五人が力を合わせれば、どんな敵だって倒せるはずさ!」
ジャイアン「おうっ! ──って、なんでドラえもんが機長なんだよぉ!」
のび太「ずるいよ!」
しずか「もう……喧嘩はやめましょうよ!」
スネ夫「やれやれ……」
フォックス(早いところ、俺をライラット系に連れていってもらいたいんだが……)
ペパー「フィチナ周辺を軍に捜索させておるが、
まだフォックスが見つかったという報告は入っておらん……」
ペッピー「そうですか……」
ファルコ「ケッ、くたばったに決まってる!」
スリッピー「ファルコ、なんてこというんだよ!」
ファルコ「ふん、俺は元々アイツをリーダーだと認めた覚えはねえんだ。
あの時もあっさりと背後を取られやがって……情けねえ!」
ファルコ「こうなったら、俺が一人でベノムに攻め込んでやらぁ!」
ペッピー「ファルコ、ムチャをいうな!
とにかく今は……フォックスの安否確認が最優先じゃ」
ファルコ「……ちっ」
スリッピー「フォックス……どこ行っちゃったんだよぉ……」
バタンッ!
兵士「ペパー将軍!」
ペパー「なんだ、騒がしいぞ!」
兵士「フォックス殿が……ご帰還されました!」
フォックス「ご心配をおかけしました、将軍」
ペッピー「無事だったか! よかった……!」
スリッピー「フォックス、無事だったんだね~!」
フォックス「ありがとう、二人とも」
ファルコ「ケッ、てめえがあのウルフのヤロウにやられたせいで
フィチナの情報基地はめでたく破壊され──」
ファルコ「せっかくコーネリア、メテオ、フィチナと押し戻した戦線も、
すっかり後退させられちまった。
セクターYから、コーネリアに大艦隊が進軍してるって情報もある」
フォックス「すまない……」
ペッピー「済んだことじゃ、もうよさんか!」
ファルコ「いいたいことはまだあるぜ、フォックス」
ファルコ「お前の後ろにいるガキども……ありゃいったいなんだ?」
俺が帰ってこれたのも、彼らのおかげだ」
ファルコ「ほぉう。ベノムのサルどもに少し似てるが、敵じゃあねえようだ。
だがなぜ、そのガキどもをこんなところまで連れてきた?」
フォックス「彼らは優れた技術を持っている。助けになるなら、と思い……連れてきた」
バキィッ!
フォックス「ぐはっ……!」
ファルコ「ガキに助けられた上に、挙げ句ガキの助けを借りて戦闘だぁ?
そこまで落ちぶれちまったのかよ、フォックスよぉ!」
ドラえもん「ちがいます! ぼくらが無理をいってついてきたんです!」
ファルコ「黙ってろタヌキ!」ギロッ
ドラえもん「ぼ、ぼくはタヌキじゃ……」
(こ、怖くて言い返せない……)
スネ夫(おっかない……やっぱり来るんじゃなかった……)
ファルコ「どっちだって同じだ! ──ったく今までこんなヤツをリーダーに
してたなんて情けねえ……スターウルフ如きにやられるわけだぜ!」
ファルコ「もうお前には愛想が尽きた。俺はこのチームを──」
兵士「ペパー将軍! セクターYのコーネリア艦隊が大打撃を受けたとの報告が!
今すぐ援軍の出動をお願いします!」
ペパー「なんだと!?」
ペパー「くっ、セクターYを突破されれば、コーネリアは滅亡する……!」
ペッピー「フォックス、ファルコ、今は一刻を争う時じゃ。
ひとまず喧嘩はやめ、出撃準備に入るんじゃ!」
ファルコ「ちっ……」
フォックス「分かった、ペッピー」
ペッピー「……こちらには全く戦力が足らん、今は猫の手も借りたい時じゃ!
君たちも協力してくれるというなら、ぜひ協力してくれ!」
ドラえもん「はいっ!」
ファルコ「……いいか、フォックス」
ファルコ「もし、この戦いでもふぬけたところを晒すようなら、
俺はチームから抜ける……分かったな!」
フォックス「ああ、分かっている」
ムシャクシャしてきやがる!」
のび太「ホントだよ! フォックスさんを殴ったり、ぼくらをバカにしたり……」
しずか「でもファルコって人、フォックスさんを奮起させるために
わざとあんないいかたをしてたようにも見えたわ」
のび太「そうかなぁ」
ドラえもん「あのペッピーっていう人のいうとおり、今は時間がない!」
ドラえもん「バカにされた分は、ぼくたちのドラーウィンで返してやろう!」
ジャイアン「そうだな!」
のび太「そうだね!」
しずか「スネ夫さん、操縦よろしくね!」
スネ夫「……んもう、やるしかないんでしょ!」
セクターY宙域では、コーネリア軍とベノム軍の激しい戦闘が続いていた。
ズガァンッ!
ドゴォンッ!
バゴォンッ!
※これらの音は宇宙空間に響いたわけでなく、各戦闘機等の内部に響いている音である。
ファルコ「派手にやりやがって……サルどもが」
フォックス「味方の艦隊を援護する! 各機、ベノム軍戦闘機をもらさず撃墜せよ!」
ペッパー「了解じゃ」
スリッピー「了解っ!」
フォックス「ドラーウィンは俺たちが撃ちもらした敵を狙ってくれ!
ただし絶対に無理はしないように!」
ドラえもん「はいっ!」
フォックス「ファルコ、ムチャをするな!」
ファルコ「うるせぇっ!」
ペッピー「一匹も後ろに通すんじゃないぞ!」バシュッ
スリッピー「このオイラがそんなヘマをするわけが……って、しまった!
一機、抜けられちゃったよ~!」
フォックス「ドラーウィン! そっちに敵機が一機向かった!」
ベノム兵「ふへへへ、スターフォックスは四匹って聞いたが、ありゃ新入りか?
撃ち落としてやるぜ!」バシュッ
ズガァンッ! ガクガク……!
スネ夫「ぎゃあぁぁっ!」
しずか「きゃあっ!」
のび太「ひぃ~っ!」
ジャイアン「うおおっ!?」
ドラえもん「うわぁ~っ!」
ファルコ「一発喰らっただけであのザマか、いわんこっちゃねえ!」
フォックス「ドラーウィン逃げろ! 逃げるんだ!」
新入りとはいえ、スターフォックスをやれば俺の名も上がるってもんよ!」
スネ夫「やっぱり無理だったんだよぉ~!」
ジャイアン「すげぇ揺れだっ!」
ドラえもん「あれでもない、これでもない~!」ポイポイッ
のび太(ぼくらがもしこのまま逃げたら、フォックスさんは──)
のび太「スネ夫! なんとかあの敵を、ドラーウィンの前に持ってきてくれ!
あとはぼくが絶対に撃ち落とす!」
スネ夫「の、のび太……!」
しずか(のび太さん……!)
しずか「今、敵は真後ろにいるわ! スネ夫さん、宙返りできる!?」
スネ夫「や……やってみるっ!」
ギュルンッ!
ベノム兵「な!?」
のび太「今だっ!」バシュシュッ
──ズガァンッ!
のび太「や、やった……!」
スリッピー「おお、アイツらけっこうやるじゃん!」
ペッピー「こらスリッピー! 元々はお前のせいだろうが!」
ファルコ「ふん、あのガキどもがザコ一匹にてんてこまいしている間に、
こちとら10匹は落としてるぜ」
フォックス(ノビタ君たち……よくやった!)
フォックス「全機、全速前進! 敵艦隊の中央を突破するぞ!」
~
ベノム兵「遊撃隊スターフォックス、勢いが止まりません!」
将軍「スターフォックスか……。
くっくっく、面白い……新型の性能を試すにはちょうどよいわ!」
将軍「“サルデス2”の出撃準備だ! この俺が直々に片付けてやる!」
ベノム兵「はっ!」
ペッピー「どうした?」
スリッピー「前方に敵確認! 今までのとはちがうよ!」
~ ベノム軍戦闘ロボット サルデス ~
人型戦闘ロボ“サルデス”二体が、フォックスたちを待ち受けていた。
スリッピー「うわっ、なんだこいつら! アーウィンよりすばやく動きまわるよ!」
ファルコ「ふん、だが装甲はそこまででもねえようだ──な!」ズガガガッ
ズガァンッ!
まずファルコが、サルデスを一機撃墜。
フォックス「こっちだ!」ズガガガッ
さらにフォックスも、二機目のサルデスを撃墜した。
ファルコ「あっけねえ……これでセクターYのベノム軍はおおかた片付いたようだな」
のび太「す、すごい……」
ドラえもん「あっという間だったね……」
しかし──
「キサマら、調子に乗るなよ!」
サルデス2「先の二体はキサマらのデータを取るための捨て駒よ!
この新型“サルデス2”で、キサマらを宇宙のチリにしてくれるわ!」
スネ夫「うわぁっ! またバンダムみたいなのが出てきた!」
スリッピー「気をつけて! さっきのヤツらより性能ははるかに上だよ!」
フォックス「あなどれないな……みんな、うかつに攻めるな!」
ファルコ「お前の命令なんざ聞くかよ、この俺がすぐに片付けてやるっ!」ギュゥゥゥン
ズガガガッ!
サルデス2「無駄だ! キサマらのレーザーなど、この盾には通用せん!」キィンッ
ファルコ「んだとォ!?」
サルデス2「しかも機動性もこの通りよ!」ギュルッ
一瞬でファルコの後ろに回り込むサルデス2。
ファルコ(しまった! さっきのと同じくらいの速さだと、油断した!)
サルデス2「まずは一匹!」
サルデス2「ぬっ、レーザー!? どこから──」
ファルコの危機を救ったのは、ドラーウィンだった。
サルデス2(あんな遠くから、この俺を狙い撃ちしただと!?)
ファルコ(マジかよ!?)
ファルコ(ちっ……この俺があんなガキどもに助けられるとはな……!)
ファルコ「……すまなかったな、フォックス!
こいつは強敵だ! 一度態勢を立て直す!」
フォックス「ファルコ……!」
サルデス2「無駄だ! スターフォックス、キサマら五匹はここで死ぬのだ!」
サルデス2の機動性に、フォックスたちは苦戦を強いられる。
ファルコ(チマチマレーザーを当てても、ちっともこたえねえな!)
フォックス(どうにかヤツに集中砲火するチャンスができれば──)
のび太「ムチャいわないでよ、さっきので警戒されて全然当たらなくなっちゃった。
アイツ、すごく動きが速いんだもん」
ドラえもん「あの目まぐるしい戦いにはとても割り込めそうもないし、
今は離れたところから見守るしかないか……」
ジャイアン「ちくしょう、俺様のピッチングもここじゃ役に立たねえのか……」
しずか「…………」ハッ
しずか「そうだわ武さん、ボムよ!」
ジャイアン「ボム!? そりゃムチャだぜ、しずちゃん。
のび太でも当てられねーのに、とても当てられねえって」
しずか「ううん、当てなくていいのよ!」
ジャイアン「へ!?」
しずか「スネ夫さん、スターフォックスのみんなに通信をつないで!」
スネ夫「う、うん!」カチッ
──
───
ジャイアン「よっしゃ、俺様の記念すべき第一球、行くぜぇぇぇっ!」
ブウンッ!
ジャイアンの投球フォームと連動するジャイアンアームから投げられたボムが、
サルデス2めがけて飛んでいく。
サルデス2「バカめ、そんなものが当たるか!」ギュンッ
サルデス2「──む!?」
ドォォォォ……ン
サルデス2「遥か手前で、爆発!? しまった、爆風と光で視界を──!」
フォックス「──今だ! 全機、ヤツを集中砲火!」
ズガガガガガガガガッ!
サルデス2「お、おのれぇ……この程度で……この程度で!」バチバチ…
サルデス2「ぐわああぁぁぁぁぁっ!」
ズガァァァンッ!!!
フォックス「作戦……完了!」
<グレートフォックス>
ナウス「ドリンクデス」
しずか「ありがとう、ナウスさん!」
フォックス「ヤツを倒せたのは、君たちのおかげだ……ありがとう!」
のび太「いやぁ~そんなぁ」
ジャイアン「照れるぜぇ」
スネ夫「あれくらい大したことないよ」
スリッピー「それにしてもアーウィンを複製して、
しかも五人乗りに改造するなんて……すっごいなぁ~」
ドラえもん「えへへ、どうも」
スリッピー「頼もしい仲間ができたね、ファルコ!」
ファルコ「ふん、俺はまだそのガキどもを認めたわけじゃねえ」
ペッピー「ファルコ……たしかにあの子らはまだ危ういところが多すぎる。
だが、あの子らが単なる猫の手ではなかったということも事実じゃ」
ファルコ「ケッ、んなこたあ分かってる……」
フォックス「すでに基地を破壊されたフィチナを通るルートは、得策ではない」
フォックス「他には水の惑星アクアスか、コーネリア軍の前線基地があるカタリナに
向かうルートがあるが……」
フォックス「アクアスやゾネスにはペパー将軍がコーネリア海軍を派遣するとのこと」
フォックス「だからスターフォックスは、カタリナの救援に向かおうと思う。
あそこには……ビルもいるからな」
のび太「ビルって?」
ナウス「フォックスノ友人デス。前線基地ノ指揮官ヲ務メテイマス」
ジャイアン「へぇ~すげえ人じゃん」
ペッピー「じゃが、カタリナのコーネリア軍はベノムの大軍に苦戦していると聞く。
気を引き締めねばなるまい!」
スターフォックスは、いざ惑星カタリナへと向かう。
前線基地上空では、無数のコーネリア軍とベノム軍が入り乱れ、
激しい空中戦を繰り広げていた。
ズガァンッ! ババババッ! チュドン! バシュッ! ドォンッ!
ビル「ペパー将軍から、まもなく援軍が到着するという連絡が入った!
各隊、なんとしてもこの猛攻をしのぎきるんだ!」
「はいっ!」 「了解です!」 「はっ!」
ベノム兵「あがけ、あがけ! こちらの方が数は上なんだ!」
ファルコ「いくら数がいようと、質が伴ってなきゃなんの意味もねえぜ!」ズガガガッ
ベノム兵「うぎゃっ!?」ズガァンッ
フォックス「ビル、無事だったか!」
ビル「フォックス!? フィチナで行方不明になったと聞いていたが、
生きていたのか!」
フォックス「どうにかな」
フォックス「全機散開して、コーネリア軍を援護せよ!」
これじゃ、ぶつからないように飛ぶだけで精一杯だ!」
ドラえもん「のび太君、味方にレーザー当てちゃダメだよ!」
のび太「わ、分かってるよ!」
ジャイアン「これじゃボムは使えねーな。俺様の出番はなしか」
しずか「あ、スネ夫さん、後ろに敵が!」
ベノム兵「オラオラ、落ちやがれっ!」ピシュンピシュン
ズガガガガッ!
スネ夫「うわわわわっ!」
ベノム兵「オラオラ──うぐわぁっ!?」ズガァンッ
ファルコ「まったく、手間の焼けるガキどもだぜ」
しずか「あ、ありがとうございます……ファルコさん」
ファルコ「……礼をいうヒマがあったら、敵を落とすことを考えるんだな」
スリッピー「ファルコ、オイラも後ろにつかれたよ~!
」
ファルコ「知るか! 自分で何とかしろ!」
スネ夫「は、はいっ!」
ペッピー「たしかにこの戦場は先のセクターYとは比べ物にならんほど、
敵味方が密集しておる」
ペッピー「だが、周囲の戦闘機にいちいち気を取られていては、
戦闘どころか満足に飛行することもできんだろう」
ペッピー「君たちはこれまでにもこうした戦いを経験していると聞く。
戦場の“流れ”を読みとるのだ!
そうすれば、もっと自由にドラーウィンを操れるはずじゃ!」
スネ夫「戦場の……流れを……」
ジャイアン「やってやれ、スネ夫! ラジコンで鍛えた腕を見せてやれ!」
スネ夫「分かったよ、ジャイアン……やってやる!」グッ
ペッピーのアドバイスが効いたのか、ドラーウィンの動きが少しずつ向上する。
コーネリア軍とスターフォックスの猛反撃の前に、数を減らしていくベノム軍。
ビル(勝てる! この戦い、勝てるぞ!)
しかし──
しずか「……なにかしら、あの大きな円盤。味方かしら……?」
ビル「いや、コーネリア軍にあんなものは存在しない!」
ファルコ「ちっ、まだあんなのがいたってのかよ!」
~ ベノム軍超巨大要塞 グレートディッシュ ~
巨大円盤グレートディッシュは、基地の上空に停止すると──
ブワァァァ……
四つのハッチから、無数のベノム軍戦闘機を吐き出し始めた。
ビル「そんな……バカな……!」
ファルコ「ちぃっ……団体さんのお出ましだぜ!」
スネ夫「こんなのどうしろっていうのさ……!」
フォックス「──みんな、諦めるな!」
フォックス「敵が増えたなら、その分手柄を多く立てられるってことだ!
存分に暴れてやろう!」
ファルコ「ふっ」
スリッピー「よぉ~し、オイラだって!」
ペッピー(あのフィチナでの敗戦で成長したようじゃな、フォックス)
スネ夫「ママァ~!」
のび太「もう50機はやっつけたのに、全然敵が減らないよぉ~!」
ドラえもん「あの円盤から、敵がどんどん出てきてるからね……」
ジャイアン「こんちきしょう! どうすりゃいいんだ!」
しずか(敵が補充されてるのなら、供給元を絶つしか──)
しずか「やっぱりあの円盤をどうにかするしかなさそうね」
のび太「でもしずちゃん……あの円盤、レーザーもボムも通じないんだよ」
しずか「たしかに……でも敵を補充する瞬間──
つまりハッチが開いた瞬間なら、もしかして攻撃が効くんじゃない?」
のび太「!」
ドラえもん「な、なるほど……」
ジャイアン「さすがしずちゃんだぜ!」
スネ夫「よ、よし、今のをみんなに伝えよう!」カチッ
ファルコ「たしかにこのまんまじゃ、ラチがあかねえな」
ビル「……よし、フォックス!
今から俺たちでお前たちがハッチに向かう道を作る!」
ビル「次にハッチが開いた時、お前たち四人がハッチを破壊してくれ!」
フォックス「分かった!」
グオォォ……ン
ビル「全機に告ぐ、円盤のハッチが開いたぞ!
ドーベル隊、バーナード隊、プードル隊はスターフォックスに道を作れ!」
「了解!」 「任せて下さい!」 「やってやりますよ!」
コーネリア軍の奮戦で、開いた四つのハッチがスキだらけになる。
フォックス「今だ、ハッチを攻撃!」ズガガガッ
ファルコ「空飛ぶ皿なんざ悪趣味なんだよ!」ズガガガッ
ペッピー「ベノム軍め、覚悟!」ズガガガッ
スリッピー「オイラだって!」ズガガガッ
ズガァンッ! ドガァンッ! バゴォンッ! ズガァンッ!
のび太「やったぁ! ハッチが全部壊れたよ!」
艦長「こしゃくなマネを……!」
艦長「やむをえん、こうなれば少々危険だが円盤のコアのエネルギーを使って、
一気にコーネリア軍基地を消滅させる!」
艦長「全ての機体に、エネルギー充填までコアを死守せよ、と伝えるのだ!」
ベノム兵「はいっ!」
~
グレートディッシュの中央から、地上に向かってコアが生える。
ビル「ものすごいエネルギーを感じる……!
さてはあのコアから砲撃を放って、基地を爆破するつもりだな!」
ビル「敵円盤のコア出現! なんとしても破壊するんだ!」
だが──
「させるかよ!」 「コアに近づけるな!」 「死守だっ!」
守勢に回ったベノムの大軍によって、コアへの道は完全に閉ざされてしまった。
スリッピー「レーザーくらいじゃ、あのコアは到底破壊できないし……。
ボムなら可能かもしれないけど、それでも直撃させないととても──」
ペッピー「直撃する前に、ベノム軍にボムを撃ち落とされるのがオチじゃな」
フォックス「…………」
フォックス(ボムを直撃させれば、あのコアを破壊できるが、
その前にベノムの大軍に阻まれてしまう、か……)
フォックス(たしかにレーザーとちがい、ボムの速度はかなりゆるやかだからな……。
──だが!)
スネ夫「ジャイアン、フォックスさんから通信が入ってるよ!」
ジャイアン「え、俺にか!? ──よ、よしっ!」
フォックス「ジャイアン君、君の力を借りたい!」
ジャイアン「俺の力……!?」
ビル「もう残り一分程度で、敵円盤のコアはエネルギーの充填を完了するだろう!」
ビル「あの円盤を撃沈するには、コアにドラーウィンのボムを直撃させるしかない!
ゆえにこれより全機をもって、ドラーウィンを援護する!」
フォックス「ファルコ、ペッピー、スリッピー!
絶対にドラーウィンに敵を近づけるな!」
ファルコ「やってやるよ!」
ペッピー「了解じゃ!」
スリッピー「オッケー!」
ズガガガガッ! バゴォンッ! ビシュンッ! ギュィィィンッ!
コーネリア軍とスターフォックスは力を合わせ、ドラーウィンをフリーにする。
スネ夫「ジャイアン! 敵軍の隊形が乱れて、円盤のコアが見えた!」
のび太「頼むよ、名投手!」
ジャイアン「任せとけ……!」ドクンドクン
ジャイアン「この一投、絶対ストライクを取ってやるぜ!」
ジャイアン「うおおおおっ!」
ブウンッ!
「なんだあれは!?」 「コアに向かってる、止めろ!」 「メチャクチャ速い!」
ズガァァァァァンッ!!!
みごとコアを直撃した。
巨大円盤はあちこちから煙と炎を噴き出し──大地に沈んだ。
ドズゥ……ンンン……
~
ビル「本当にありがとう! お前たちがいなければ、
この前線基地は今頃この星からなくなっていたことだろう」
ビル「俺は隊を率いて、ベノム軍の基地があるセクターXに攻め込むが──
お前たちはどうするつもりだ?」
フォックス「ソーラに向かうつもりだ。
あの星のエネルギーをアンドルフが悪用しようとしてるらしい」
ビル「あの灼熱の星に行くのか……燃え尽きるなよ、フォックス!」
フォックス「頭を冷やして行くさ!」
フォックス「ジャイアン君、ドラーウィンのみんな、よくやってくれた!」
スリッピー「ジャイアンのパワー、スネオのテクニック、ノビタのシューティング、
シズカのブレイン、が合わさった勝利ってとこかな」
のび太「ドラえもんだけ、なにもしてないね」チラッ
ドラえもん「ぼくは機長だからいいの!」
ファルコ「ふん……だが、俺たちの死ぬ気の援護があったからできた話だろうが」
スリッピー「ファルコ!」
ファルコ「つまりお前たちには、俺たちが命を賭ける価値があるってことだ。
今までサルだのガキだのと、バカにしてすまなかったな……認めてやるよ」
シ~ン……
ドラえもん「こちらこそ!」
ジャイアン「頼りにしてるぜ!」
スネ夫「もう今日みたいな戦いは懲り懲りだけどね」
しずか「ファルコさん……ステキ」
のび太「しずちゃん!?」
ペッピー(フフフ、ようやくワシらもまとまってきたようじゃな)
グツグツ…… ゴアアアア……
星の表面はマグマで覆われ、絶えず炎が噴き出している。
フォックス「アンドルフがこの星のエネルギーを利用して、
バイオウエポンを開発しているという情報がある!」
フォックス「なんとしても見つけ出し、破壊するんだ!」
ファルコ「とんでもねえ星だな、アーウィンでも持たねえかもな」
スリッピー「アーウィンの表面温度は9千まで保証するよ!
──にしても、暑い……」
ペッピー「もっと上空を飛ぶんだ! アーウィンが焼かれてしまうぞ!」
ドラえもん「まるで太陽だよ……こんな惑星があるなんて信じられない!」
のび太「暑いよぉ~……」
ジャイアン「う~ん……」
スネ夫「頭がボーっとして、操縦に集中できない……」
しずか「もう、みんなしっかりしなさいよ!」
(でもたしかにすごく暑いわ……。汗かいちゃったしお風呂に入りたい……)
ドラえもん「世話が焼けるなぁ……エスキモー・エキス~!」
【エスキモー・エキス】
飲むと「あつい」と一回いうたびに、体感温度が3度下がる道具。
のび太「ようし、暑い、暑い、暑い、暑い、暑い……」
ジャイアン「のび太ばっかりずりぃや、俺たちにもなんか出してくれよ!」
スネ夫「ぼくがパイロットなんだからね!」
ドラえもん「あべこべクリーム~!」
【あべこべクリーム】
体に塗ると、体で感じる暑さと寒さが逆転する道具。
ヌリヌリ……
ジャイアン「ひええっ! 今度はすげぇ寒いぜ!」
スネ夫「ハーックション!」
しずか「大変よ、みんな! ……のび太さんが!」
のび太「…………」カキーン
のび太は凍っていた。
~ ベノム軍バイオウエポン サンガー ~
真っ赤な巨人が、溶岩の中で荒れ狂う。
フォックス「これが敵のバイオウエポンか……!」
ファルコ「アンドルフのヤロウ、狂ってやがる!」
スリッピー「敵シールド分析完了! モニターに表示するよ!」ピポッ
ペッピー「う~む……まずは腕を破壊して、攻撃できないようにした後、
頭部を破壊すべきじゃろうな」
フォックス「では俺とスリッピーは、右腕を破壊する!
ファルコとペッピーは左腕を破壊してくれ!」
~
のび太「あ~……死ぬかと思った……」
ドラえもん「暑いっていいすぎなんだよ、君は!」
しずか「ねえドラちゃん……テキオー灯をかければそれで済むんじゃない?」
ドラえもん「それだ!」
ドラえもん(そういえば小惑星で遊び場を作る時にかけたテキオー灯の効果は
とっくに切れてたんだっけ……すっかり忘れてた)
フォックスさんたちの援護をしよう!」
暑さを克服したドラーウィンが援護に向かおうとするが──
ズガァァァ……ン
フォックス「全機、報告せよ!」
スリッピー「やったぁ~! 絶好調だよ、フォックス!」
ペッピー「やはり頭部が弱点じゃったな」
ファルコ「まったくドラーウィンのヤツら……少し褒めてやったらすぐこれだ」
ドラえもん「…………」
ドラえもん「どうやら今回はまったく出る幕がなかったみたいだね」
のび太「ぼくなんか暑い暑いいって、凍ってただけだよ」
ジャイアン「俺も寒がってただけだぜ」
スネ夫「ぼくもさ……」
しずか「まあ、こういうことも……あるわよ」
ペッピー「さて、今後の進路はどうする? フォックス」
フォックス「さっきペパー将軍から入った情報によると、
アクアス、ゾネスと攻略したコーネリア本軍は、
セクターZでもベノム軍を敗走させたらしい」
フォックス「ビルの別働隊も、セクターXで優勢のようだ」
ファルコ「順調だな」
フォックス「そして、俺たちはマクベスのベノム軍補給基地に向かおうと思う」
ペッピー「なるほど、あそこを潰せばベノムにとっても大打撃となる」
フォックス「補給基地を破壊したら、コーネリア本軍と合流して
一気にベノムに攻め込む!」
のび太「いよいよ最終決戦が近づいてきたね、ドラえもん」
ドラえもん「そうだね」
ダダダッ!
スリッピー「みんな、大変だぁ~!」
スリッピー「今緊急報告が入って、セクターZから撤退したベノムの残党が、
オイラたちを狙ってるらしいんだ!」
ナウス「左後方ヨリ、敵軍ガ迫ッテイマス!」
フォックス「ようし! この喧嘩、買った!」
ドラえもん「ぼくたちは──」
フォックス「君たちは疲れてるだろう。
なぁに、残党くらい俺たちだけで片付けてみせるさ!」
フォックス、ファルコ、スリッピー、ペッピーがアーウィンにて出撃する。
ジャイアン「ちぇっ、今回は出番なしかよ」
スネ夫「最終決戦になったらイヤでも出番が回ってくるさ」
ジャイアン「それもそうだな」
スターフォックスは、ベノムの残党をあっという間に壊滅させた。
ペッピー「グレートフォックスに戻るとするか」
ファルコ「ケッ、この程度で俺たちに挑むたぁ100年早いぜ」
すると──
キャット「まだよ!」
ファルコ「キャット!? なんでお前、こんなところに!?」
キャット「感動の再会をやってる時じゃないわ、ファルコ。
あなたたちが倒した敵軍は、本当の狙いを隠すためのオトリなのよ!」
ファルコ「オトリだと!?」
ナウス「本当ノヨウデス、ファルコ。敵軍ニ紛レテ──
大型ミサイルガ6機、グレートフォックスニ迫ッテイマス!」
~ ベノム軍惑星間巡航ミサイル マン・ドリル ~
戦艦をも撃沈可能な巨大ミサイルが、グレートフォックスの間近まで迫っていた。
フォックス「くそっ、このままでは待機させてるドラーウィンのみんなが……!
いや、グレートフォックスを破壊されれば、俺たちは終わりだ!」
フォックス「全機、なんとしてもミサイルを破壊せよ!」
ファルコ「よっしゃ、1機ぶっ壊したぜ!」
ドゴォンッ!
フォックス「ミサイル撃破!」
チュドンッ!
キャット「フフ、ミサイルを落としてあげたわ」
ドカァンッ!
ペッピー「よし、ワシもミサイルを破壊できたわい」
バゴォンッ!
スリッピー「ふぅ……なんとかオイラも落としたよ!」
だが最後のミサイルが、グレートフォックスと衝突寸前になっていた。
ナウス「敵ミサイル接近! 距離10、回避デキマセン!」
フォックス「くそっ! 間に合わないっ!」ズガガガッ
ペッピー「なんじゃあれは!?」
ドラえもん「ビッグライトで大きくした、ひらりマントだ!
えぇ~い、どこかに飛んでけ!」
ヒラリッ
ナウス「敵ミサイル、軌道ガズレマシタ!」
ファルコ「へっ……どうやったか知らねえが、やるじゃねえか」
キャット「あんな布でミサイルの軌道をずらすなんて、ステキね」ウフッ
フォックス「今だ! 全機、ミサイルを集中砲火!」ズガガガガッ
ズガァァンッ!
マン・ドリルは全て破壊され、グレートフォックスはかろうじて難を逃れた。
ファルコ「……ん、キャットめ、消えやがった! あの気まぐれ猫め!」
スリッピー「まあまあファルコ、あの人がいなかったら本当に危なかったよ」
フォックス「どうやらミサイルが最後の攻撃のようだ。予定通り、マクベスへ向かう!」
マクベスは鉱物資源が豊富な惑星であり、
アンドルフに占領された後は、ベノム軍の重要な輸送・補給拠点となっていた。
フォックス「俺は戦車“ランドマスター”で地上から輸送列車を破壊する。
アーウィン及びドラーウィンは、空中の護衛部隊を相手してくれ!」
ファルコ「了解!」
スリッピー「オッケー!」
ペッピー「了解じゃ!」
ドラえもん「ぼくたちもフォックスさんたちに負けないよう、頑張ろう!」
のび太「うんっ!」
しずか「ええっ!」
ジャイアン「おうよっ!」
スネ夫「ま、程々にね」
死闘が始まる。
スターフォックスはもちろん、
のび太たちもいくつかの戦闘を経験したことによって成長しており、
マクベスのベノム軍を快調に撃破していった。
~ ベノム軍最新鋭凧型実験兵器 ベンジャミン ~
ベンジャミン「最新兵器の恐ろしさを味わえることになるたぁ……
お前たち、ついてるな」ニィッ
気流に乗り、上空からフォックスめがけ砲弾や槍を降らせるベンジャミン。
ヒュルルルル…… ズガァンッ! ドゴォンッ!
フォックス「くっ……!」
ペッピー(あれでは輸送列車を破壊するのは厳しいかもしれん)
ペッピー(それにワシらの武装では、補給基地を完全に破壊するのは難しい……。
やはりこの列車を補給基地に突撃させるのが理想じゃな)
ペッピー(そのためには線路のポイントを切り替えなければならん)
ペッピー(ポイントを切り替えるには、8本の安全装置を撃って、
ポイント切り替えのロックを解除する必要があるが──)
ペッピー(我々の中でもっともレーザーの命中率が高いのは、
ドラーウィン……ノビタじゃろうな)
のび太「は、はいっ!?」
ペッピー「ベノム軍の補給基地を完全に破壊するためには、
あの列車が走る線路を切り替えねばならん!」
ペッピー「かといって、ベノム軍を無視することもできん!
この先にある8本の安全装置、君が撃ち抜いてくれ!」
しずか「これは大役だわ……」
ジャイアン「のび太、大丈夫か?」
のび太「…………」
のび太「任せて下さい!」
ジャイアン「よくいったぜ!」
スネ夫「よぉし、なるべく安全装置の近くを飛ぶようにするから、絶対当てろよな!」
のび太「うん!」
ドラえもん(頑張れ、のび太君……!)
のび太(今までドラえもんやみんなと、くぐり抜けてきた戦いの数々を──
特にあの──)
『お前の……勝ちだ』
のび太(ギラーミンとの戦いを!)
バシュッ! ドシュッ! バシュッ! ガシュンッ!
ビシュンッ! ドシュンッ! バシュッ!
凄まじい集中力で、安全装置にレーザーを次々命中させるのび太。
スリッピー「すっげぇ~百発百中だよ!」
ファルコ「あのノビタって小僧、まさかあそこまでやるとはな」
ドラえもん「──ラスト一本だ、行けっ!」
のび太「えいっ!」バシュッ
ガシュッ!
しずか「やったわ!」
ジャイアン「さすが射撃の腕前だけは一流だぜ!」
ペッピー「よしロック解除! フォックス、ポイントを切り替えろ!」
ガシャンッ……!
フォックスの一撃で、線路のポイントが切り替えられ──
ベンジャミン「ま、まずいっ! このままじゃこの列車が補給基地に突っ込んじまう!
ブレーキだっ!」
キキィィィ~……!
ベンジャミン「うわぁぁぁっ! と、止まらねぇぇぇっ!」
輸送列車+ベンジャミンは、補給基地に超高速で突撃し──
ドッグワァァァァンッ!!!
大爆発を起こした。
スリッピー「やったぁ~っ!」
ペッピー「これで、ヤツらも痛手を負ったはずだ!」
フォックス「全機、グレートフォックスに帰還せよ! 次が最終決戦だ!」
ドラえもん「ファルコさん、あとはもうベノムだけなんですか?」
ファルコ「ああ、ただしベノムといっても広いからな。
コーネリアの将軍は、二つのルートからの侵入を計画している」
ドラえもん「二つのルート?」
ファルコ「ベノムに攻め込むには敵の防衛衛星ボルスを突破するルートと
エリア6っていう敵の防衛網を突破するルートがあるんだが──」
ファルコ「ボルスは今、フォックスのダチのビルってのが隊を率いて攻め込んでる」
ファルコ「んで、俺たちはエリア6に攻め込むってわけだ。
セクターZを突破したコーネリア本軍と合流してな」
スネ夫「つまりここからはコーネリアの本軍が味方ってわけか!」
ジャイアン「へへっ、もう楽勝だな!」
ペッピー「もうすぐベノムの防空圏に入る。出撃準備を──」
ビービー……! ビービー……!
ナウス「フォックス、ペパー将軍カラ緊急通信ガ入ッテイマス」
フォックス「緊急通信!?」
グレートフォックス乗組員全員が集められる。
フォックス「一体どうしたんですか、将軍!?」
ペパー『君たちより先にエリア6で戦闘を開始していた我が軍主力部隊が──
ベノム軍によって壊滅した……!』
フォックス「な、なんですって!?」
ペパー『そして──』
ペパー『ボルスに攻め込んでいたビルの隊が、あのスターウルフの急襲を受け──』
ペパー『敗北したとの報告が入った……』
フォックス「!」
フォックス「将軍! ビルは……ビルは無事なんですか!?」
ペパー『分からん……なんとか生き延びた隊員もいたのだが、
ビルの生存はまだ確認できていないようだ……』
フォックス(ビル……!)
ペパー『ワシが至らぬばかりに、すまん……!
とにかくこうなった以上、君たちだけでエリア6に攻め込むのは無謀すぎる。
すぐに引き返してくれ!』
フォックス「いくらベノムの大軍やスターウルフといえど、
コーネリア本軍やビルの部隊と戦ったならば疲弊しているはず」
フォックス「しかも、勝利して油断しきっているというオマケつきです」
フォックス「今こそが、スターフォックスでエリア6を突破し──
アンドルフの首を獲る最大のチャンスなんです!」
ペパー『本当に……大丈夫なのか。
ジェームズに続き、君にまで死なれてしまったら私は……』
フォックス「心配無用、俺にはアーウィンとグレートフォックス……。
そして頼もしい仲間たちがついていますから!」
ペパー『分かった……。君たちには本当に感謝している。
必ず生きて帰ってきてくれ……!』
フォックス「……任せて下さい!」
ファルコ「ふん、当然だ」
ペッピー「よくいった、フォックス」
スリッピー「さすがフォックス!」
フォックス(ビル、父さん……必ずアンドルフを倒してみせるからな!)
ドラえもん「うんっ!」
のび太「もちろんっ!」
しずか「……あれ、スネ夫さんがいないわ?」
ドラえもん「あ、ホントだ!」
ジャイアン「あんにゃろ、トイレにでも行きやがったのか!?」
のび太「スネ夫がいないとドラーウィンは動かせないってのに……。
なにやってんだろ、まったく」
スネ夫「なんだよ……味方はぼくらが着く前にやられちゃったとかさ……」ブツブツ…
スネ夫「無理に決まってるんだ、無理に……」ブツブツ…
のび太「スネ夫、こんなところにいたのか!
もうすぐエリア6に入るから、ぼくらも準備しないと!」
スネ夫「絶対イヤだ!」
のび太「!」
スネ夫「コーネリア軍も、ビルさんもやられちゃったようなヤツらに、
ぼくらみたいな子供が敵うわけがないだろ!?」
のび太「だけど、ぼくらがやらないとライラット系は──」
スネ夫「ライラット系なんてどうなったっていいっ!」
スネ夫「ベノムのヤツらも、次は太陽系に攻めてくるってわけじゃないんだろ?
だったら、ぼくたちにはなにも関係ないじゃんか!」
スネ夫「関係ない人のために、命をかけられるわけないだろ!」
のび太「分かったよ、スネ夫。
だったらドラーウィンの操縦はぼくが引き受ける!」
スネ夫「!」
のび太「なあに、ラジコンならぼくだってやったことあるし、へっちゃらさ!
スネ夫はナウスさんとグレートフォックスから支援を頼むね!」
スネ夫「……あ」
タッタッタ……
スネ夫(待てよ、のび太!)
スネ夫(毎日のようにラジコンにさわってるぼくでさえ、
最初のセクターY宙域ってところではひどい操縦だったんだ!)
スネ夫(ましてや、今度の敵はあの時よりずっとヤバイんだぞ!)
スネ夫(いえよ!)
スネ夫(“お前なんかに任せられるか、ぼくがやる”っていえよ!)
スネ夫「う、うぅ、う……」
ザッ……
「スネオ君」
フォックス「スネオ君、俺は今のやり取りを少し聞いていた」
フォックス「全く関係ない君たちを、こんな戦いに巻き込んでしまって──
本当に申し訳ないと思っている」
フォックス「だが……これまでの戦いで、君たちは成長し、
君たちがいなければ切り抜けられなかった場面が幾度もあった」
フォックス「俺は誓う」
フォックス「“スターフォックス”リーダーの名にかけて、
君たちのドラーウィンを絶対に落とさせはしない!」
フォックス「だからこの最後の戦い……俺たちに力を貸してもらえないだろうか」ザッ
頭を下げるフォックス。
スネ夫「ぼくなんかに頭を──……」
スネ夫(そうだ……ぼくはちょっと、肩を押して欲しかったんだ……)
スネ夫「もちろん! のび太なんかに任せておけませんからね!」
フォックス「ありがとう、スネオ君……!」
しずか「そうよ、やっぱりスネ夫さんじゃないと……」
ドラえもん「コーネリア軍も突破できない難所なんだし……」
のび太「でも死ぬかもしれない戦いを、無理強いなんてできないよ……!」
スネ夫「待ってくれ!」ザッ
のび太「スネ夫!?」
スネ夫「いやぁ~ちょっと緊張してて、決心がつくのが遅くなっちゃったよ。
ドラーウィンのパイロットは、ぼくに決まってるだろ?」
ジャイアン「心の友よ~!」ガシッ
のび太「スネ夫ぉ~!」ガシッ
しずか「ふふふ……」
ドラえもん「よし、ドラーウィン発進準備を始めよう!」
~
ペッピー「てっきりお前なら“あんな子供に頭なんか下げるな”と怒ると思ったがな」
ファルコ「あの五人がただのガキなら怒ってただろうさ。
だが、アイツらはただのガキじゃなく……仲間だからな」
ファルコ「リーダーが仲間に頭を下げるくらいは、大目に見てやるよ」
ペッピー「ふっ、お前らしい答えじゃわい」
エリア6のベノム軍はコーネリア本軍に快勝したばかりということもあり、
雰囲気が緩んでいた。
上官「様子はどうだ?」
カイマン「こちらカイマン、異常ないっスよ!」
上官「ま、当然だろ。なんたって主力部隊にあれだけの打撃を与えたんだ。
これでまたすぐ攻めてくるとしたら、よほどの大バカだ」
ズガァンッ!
カイマン「ゲ、やっぱり異常ありました!」
上官「なんだと!?」
カイマン「どうやら大バカがいたみたいっスね」
上官「バカヤロウ! なにのんきなこといってやがる!」
カイマン「え~い、緊急配備につけ!」
スターフォックス、ベノム最大最強の防衛ラインに挑む!
フォックス「うおおおおっ!」ズガガガガッ
ズガァンッ! ドゴォンッ! バゴォンッ!
ファルコ「おいおいフォックス、少し飛ばし過ぎじゃねえか?」
フォックス「らしくないな、ファルコ。
ちょっとぐらい飛ばさなきゃ、ここはとても突破できないぞ?」
ファルコ「ふっ、いってくれるぜ!」ギュウゥゥゥン
スリッピー「あの二人、ちょっとムチャしすぎじゃないかなぁ~」
ペッピー「だが、いつもよりずっといい動きをしておる」
(フォックスのリーダーとしての成長が、
フォックス自身のみならずファルコの実力も引き上げておるんじゃな)
スネ夫(フォックスさん……ぼくらの負担を少しでも軽くしようと……)
スネ夫「のび太、ジャイアン、ガンガン攻撃してくれよ!
しずちゃんは作戦を考えてくれ! ドラえもんはどら焼きでも食べてな!」
のび太&ジャイアン「おうっ!」
しずか「ええ、分かったわ!」
ドラえもん「うん」モグモグ
しずか「武さん、ボムを中に放り込んで機雷をまとめて爆破して!」
ジャイアン「まっかせとけぇ~!」ブウンッ
ズドゴォォォォ……ンンン
のび太「ジャイアンのおかげで、敵の隊形が乱れたぞ! 狙い撃ちだ!」ズガガガッ
ズガァンッ! バゴォンッ! ドゴォンッ!
ベノム兵「なめるんじゃねぇっ!」
スネ夫「宙返りするっ!」ギュルッ
のび太「今だっ!」
ベノム兵「ぐわあああっ!」ズガァンッ
カイマン「やばいっスね! メッチャ攻め込まれてます!」
上官「敵は少数だ、大型ミサイルでまとめてふっ飛ばしちまえ!」
カイマン「了解で~す!」
スリッピー「ミサイルだっ!」
ペッピー「破壊するんだ、狙われているぞっ!」
ズガァン! ドガァン! ドゴォン! バゴォン! ズドォン!
上官「やったか!?」
カイマン「いや、まだです! ミサイルは全て迎撃されちゃいました!」
上官「おのれぇ!」
~
ファルコ「ちっ、さすがにここまで深く入り込むと、
奇襲のアドバンテージもなくなってきやがるな」
フォックス「ああ、だが俺たちにできることは前進あるのみ!」
ピリリリ……!
フォックス「なんだ、ナウスからの通信か?」
フォックス「いや違う! これは……この通信は──!」
フォックス「アンドルフか!?」
ペッピー「妨害通信だ! ワシらの集中力を削ぐための罠じゃ、聞く耳持つな!」
アンドルフ『フハハハハ……! フォックスといったな。
かつてお前の父、ジェームズ・マクラウドはベノムにて命を落とした』
アンドルフ『そして、お前の親友ビルもまた、スターウルフの手でくたばりおった』
アンドルフ『次はお前の番だ』
アンドルフ『お前は私にたどり着くことなく、そこで宇宙のチリになるのだ!』
ジャイアン「やい、アンドルフ!」
アンドルフ『む?』
ジャイアン「お前なんか、俺様がギッタンギッタンしてやっからな!」
のび太&スネ夫「そうだそうだ!」
アンドルフ『お前たちがドラーウィンとやらか。
まあハエが一匹増えたところで、お前たちの運命は変わらぬ』
アンドルフ『フハハハハハ……!』プツッ…
フォックス(首を洗って待ってろよ、アンドルフ!)
上官「たかが五匹に、なんてザマだ! 撃って撃って撃ちまくれ! 敵を通すな!」
ズガガガガガッ! ピシュンピシュンピシュン! バシュゥゥゥゥッ!
さらに苛烈となる敵の砲撃。
スネ夫「当たるもんか!」ギュウン
のび太「前方の敵は、全部ぼくがやっつけてやる!」ズガガガッ
ジャイアン「俺様のボムを喰らいやがれぇっ!」ブウンッ
しずか「スネ夫さん、ここでブースト!」
ドラえもん「ムード盛り上げ楽団で、みんなを応援するよ!」
【ムード盛り上げ楽団】
その場の雰囲気に合った音楽を鳴らし、聞く人の気分を盛り上げてくれる道具。
カイマン「第二防衛ラインも、突破されました!
ダメです! ヤツらの勢いが全く衰えません!」
上官「くそぉっ!」
スリッピー「ベノムは目の前なのに、ちくしょう! あっち行けよ!」
ズガァンッ!
スリッピー「助かったぁ……サンキュー、ドラーウィン!」
のび太「どんなもんだい!」
ファルコ「おっと、お前らも後ろがお留守になってるぜ!」バシュッ
ドゴォンッ!
スネ夫「ありがとう、ファルコさん!」
フォックス「──いいってことよ、それより気を引き締めとけよ。
もうベノムは目と鼻の先だ!」
カイマン「最終防衛ラインも、突破されましたぁ!」
上官「くそっ! こうなったらヤツを投入するしかねえ!
まさかあのバケモノに、こんな少数チームの相手をさせることになるとはな!」
~ ベノム軍最終宇宙兵器 デス・ボール ~
ペッピー「なんじゃ!? なにもない空間から、いきなり敵が現れおった!」
デス・ボールは触手を繰り出し、フォックスたちを強襲する。
シュバァッ! シュバァッ!
フォックス「みんな、かわせっ!」
ファルコ「ちいっ!」
スリッピー「ダメだ! アイツ、いくらレーザー撃ってもこたえないよ!」
ペッピー「おそらくどこかにコアがあるはずじゃが……
とにかく攻撃を何度も加えて、敵の構造を探るしかあるまい」
上官「スターフォックスめ、さすがにデス・ボールには手こずっているようだな」
カイマン「そうみたいっスね」
上官「チマチマと攻撃してるのはコアを開かせようって魂胆だろうが──
コアを開かせた時こそが、ヤツらの最期だ!」
フォックス「触手が再生する前に……全機、集中砲火だ!」
ズガガガガガッ!
スリッピー「ん、ちょっと待って! コアからものすごいエネルギー反応だ!」
デス・ボールのコア部分に、エネルギーが集中する。
そして──
ズオアッ!!!
ペッピー「まずいっ!」
フォックス「かわせっ!」
スリッピー「うひゃあああっ!」
ファルコ「ちいっ!」
スネ夫「ママァ~ッ!」
上官「うわぁぁぁっ!? ヤツのエネルギー砲がこっちに──……」ボシュッ
フォックス「くそっ、またコアを閉じてしまったか……!
だが、今度コアが出てきたらあのエネルギー砲を放つ前に破壊してやる!」
デス・ボール「…………」グニャアア…
ペッピー「消えよった!」
ファルコ「光学迷彩か!?」
スリッピー「いや、ちがう! 本当に跡形もなく消えてるよ!
アイツやられそうになったから、別次元に避難したんだよ!」
ファルコ「次元って……マジかよ!」
グニャアアア……
再び現れたデス・ボールの触手に、苦しめられるフォックスたち。
すぐさま反撃に出ようとするが──
デス・ボール「…………」グニャアア…
ファルコ「また消えやがった!」
スリッピー「ちくしょう、これじゃどうしようもないよ!」
フォックス「いや……コイツを放置してベノムに乗り込むのは、
あまりにもリスクが高すぎる!」
のび太「いくらぼくでも、消えた敵にレーザーを当てられっこないしなぁ」
ジャイアン「次元だか事件だか知らねーが、きたねぇヤツだ!」
しずか(次元……)
しずか「そうだわ、ドラちゃん!
もしかして、あの敵は一時的に四次元に移動しているのかも!」
ドラえもん「!」
ドラえもん「──だとすると!」
ドラえもんは急いで四次元ポケットの中をのぞいた。
すると──
ドラえもん「いた!」
四次元ポケット内に広がる空間の中に、デス・ボールが漂っていた。
ドラえもん「のび太君に昼寝で勝負を挑むようなもんさ!」
のび太「どうせなら射撃とかあやとりにしてよ」
四次元のことなら、22世紀生まれのドラえもんの方が圧倒的に知り尽くしている。
デス・ボールはポケットの中で、スモールライトで小さくされ、
タイム風呂敷で元の部品に戻されてしまった。
ドラえもん「よし、敵をやっつけたよ!」
スリッピー「ウソ!?」
フォックス「どうやったかは分からないが……ヤツが出てくる気配がない。
やっつけたってのは本当のようだ」
フォックス「なら、もうエリア6にとどまっている理由はない!」
フォックス「ベノムの大気圏へ突入するぞ!」
カイマン「…………」
カイマン「上官もデス・ボールもやられちまった……」
カイマン「元々ムリヤリ徴兵させられてたし、田舎に帰るか……」
ついにベノムへと乗り込んだ、フォックスたち。
しずか「なんというか、暗くて淀んだ星ね……」
スネ夫「敵の本拠地だってのに、なんで敵がまったくいないわけ?」
ドラえもん「ホントだ、どうしてだろう?」
ジャイアン「なぁに、俺たちが怖くてみんな逃げちまったんだよ!」
のび太「きっとそうだよ!」
フォックス「いや、あちこちにベノム軍戦闘機の残骸が散らばっている。
……これはまさか!?」
「その通りだ、スターフォックス!」
キィィィィ……ン
ウルフ「俺たちがやったのさ……待ちくたびれてヒマだったからな」
レオン「この新しいオモチャで遊んであげよう」
ピグマ「ペッピー、そろそろジェームズのところに行きたいやろ?」
アンドリュー「アンドルフ様に逆らう下等生物は、全て撃ち落としてやる!」
フォックス「やはりスターウルフか!」
こいつらとは正々堂々ケリをつける!」
フォックス「勝負だ、スターウルフ!」
ウルフ「フィチナん時よりは少しはマシになったんだろうな?
今度こそ地獄に落としてやる! お前の親友……ビルのようになァ!」
レオン「さて、お前の相手はこの私がしてやろう。光栄に思うがいい」
ファルコ「ケッ、気色悪いカメレオン野郎が!」
ピグマ「ならわては、死にぞこないウサギの相手をさせてもらうでぇ」
ペッピー「ピグマ……! いいだろう、かかってこい!」
アンドリュー「ならばこのカエルは、アンドルフ様の名にかけて私が落とす!」
スリッピー「ふん、オイラをなめるなよ!」
のび太「こいつらが、前にフォックスさんをやっつけたっていうスターウルフか……!」
スネ夫「一騎打ちみたいになったけど、勝てるかなぁ……」
ジャイアン「なぁに、フォックスさんたちなら、楽勝に決まってるぜ!」
フォックス「もらったぁ!」バシュッ
ウルフ「甘いぜ!」グルンッ
フォックス(速いっ! あっという間に後ろに回られた!)
他のメンバーも、スターウルフが以前とは違うことに気付く。
スリッピー「前はアーウィンと互角ぐらいのスピードだったのに……
敵機の性能が格段に上がってるよ!」
ファルコ「いや、機体の性能だけじゃねえ……。
こいつら自身の反応速度も前とはレベルが違うぜ!」
ペッピー「まさか……改造手術か!?」
ピグマ「さすがはペッピー、鋭いのう!!」
ピグマ「脳をちょいといじくってのう、反応速度を極限まで高めたんや!
加えてこの、改良したウルフェン……お前らの勝機はゼロや!」
ズガガガッ! ドシュウッ! ズバァッ! バシュッ!
因縁の対決は、瞬く間にスターフォックスが劣勢となる。
スネ夫「ま、まずいよ! 明らかに敵の戦闘機の方が性能いいよ!」
ドラえもん「こっちは戦闘の連続で、機体を改良する余裕なんかなかったしね……」
しずか「どうしましょう……このままじゃフォックスさんたちが……」
ジャイアン「ちくしょう! せっかくここまで来たってのによう!」
のび太「みんな、あの四人を信じよう!」
ドラえもん&しずか&ジャイアン&スネ夫「!」
のび太「あの四人は……スターフォックスは絶対勝つ!」
ドラえもん「そうだね、こんなハイレベルな戦い、下手に手は出せないし……」
しずか「分かったわ、のび太さん!」
ジャイアン「へっ、たまにはいいこというじゃねえか! のび太!」
スネ夫「ママ……どうかスターフォックスを勝たせて下さい……」ブツブツ…
ハイパーレーザーのまま突入したときの余裕
フォックス(考えろ……こいつらに勝つ方法を!)
フォックス(悔しいが個々の力では、完全に上を行かれている。
かといってスターウルフはチームプレイも一流といえるレベルだ)
フォックス(打つ手はないのか……!?)
フォックスの頭を、ふと“ドラーウィン”がよぎった。
フォックス(──そうか!)
フォックス「ペッピー! ヤツらも改造手術や改造機に完全に慣れたわけじゃないはず!
なんとかヤツらのクセを見つけ出してくれ!」
ペッピー「うむ、やってみよう!」
フォックス「スリッピー! お前はヤツらの機体をよく観察して、
なにか弱点がないか探ってみてくれ!」
スリッピー「オッケー!」
フォックス「ファルコ! 俺とお前でヤツらをかき乱して
二人が敵を観察できるくらいのスキを作るんだ!」
ファルコ「ドラーウィンのような役割分担ってやつか。お前にしちゃ、上出来だ!」
だが、いくら全力で飛ばしても、機体の傷は少しずつ増えていく。
ズガァン! ドゴォン! バゴォン!
ファルコ「やべぇな……シールドがとうとう半分を切っちまった」
フォックス(まだか……ペッピー、スリッピー!)
そして──
ペッピー「分かったぞ!」
ペッピー「ヤツらはたしかに大幅に反応速度を上げたが──
それゆえにお前たちのちょっとした挙動にも過剰反応するようになっておる!
つまりフェイントの類には、前よりも弱いはずじゃ!」
スリッピー「オイラも分かったよ!」
スリッピー「あいつらの機体は速度も火力もすごいけど、
短期間でムリヤリ性能アップをしたから、安定性が犠牲になってる!」
スリッピー「さっきベノム軍を準備運動代わりに撃墜したっていってたけど、
それは決して待ちくたびれたからじゃない」
スリッピー「そのぐらい大がかりなウォームアップをしないと、
ヤツらの機体は安定して機能しないってことなんだ!」
フォックス「──でかした、二人とも!」
ブレーキとフェイントを多用した戦術を取れ!」
ファルコ「分かったぜ!」
スリッピー「オッケー!」
ペッピー「了解じゃ!」
従来の高速での撃ち合いを避け、あえて低速戦闘を挑むスターフォックス。
ピグマ「なんや!? いきなり戦法を変えおったで!」
アンドリュー「ふん、何をしようと無駄なあがきだ! 下等動物どもが!」
レオン「フッ、ヤケになったか」
ウルフ「くだらねぇことを……一気にケリをつけるぞ!」
速度を落とすということは、被弾しやすくなるということでもある。
ズガガガッ! バババッ! ズガァンッ!
スネ夫「こりゃまずいんじゃないの!?」
ジャイアン「みんな、敵のレーザーをどんどん喰らってるぜ!」
しずか「ド、ドラちゃん……!」
ドラえもん「でも、下手に道具で乱入すると、かえってジャマになりかねないし……」
のび太(フォックスさん、ぼく信じてます!)
ウルフ「おい、なんか機体の様子がおかしいぞ!」
レオン「うむ」
アンドリュー「お、俺もだ! 計器にもバラつきが出てる!」
ピグマ(くっ……! ヤツらの緩急をつけた戦法で、
ムリヤリ改良した機体に、ガタが出てきよったか!)
ウルフ(ちいっ……! だから俺は反対だったんだ!
改造手術や機体改良などせずとも、スターフォックスは倒せた!)
ウルフ(だが!)
ウルフ(少々調子がおかしくなったとはいえ、まだ十分に戦える!
ヤツらのアーウィンも、もうボロボロなんだ!)
ウルフ(このまま四人で力を合わせれば──)
アンドリュー「い、いやだぁぁぁっ!」
錯乱したアンドリューが、メチャクチャにウルウェンを操縦し始めた。
ウルフ「あ、あのバカ……!」
レオン「役立たずめ……落ちろ」
ズガガガガガッ!
アンドリュー「う、うわぁぁぁぁぁぁっ! アンドルフおじ──」
ズガァンッ!
煙を上げ、墜落するアンドリュー機。
スリッピー「こいつら、仲間割れしてるよ!」
ピグマ「くっ、いくらアンドルフ様の甥やからって
あんなグズをチームに入れるんやなかった! 計算が狂うたわ!」
ピグマ「潮時や! 悪いが、わては撤退させてもらうで!」
しかし──
ペッピー「今さら逃げられると思うか、ピグマッ!」ズガガガッ
ピグマ「なっ!?」
ペッピー執念の追撃により、ピグマ機も火を噴き始める。
ピグマ「なんやとォ!? こ、このわてが──!」
ドォォォンッ!
レオン「どいつもこいつも私の足を引っぱるだけのデクだったか。
こうなれば私一人で敵を片付けてやろう」
ウルフ「待て! 俺とお前で向かえば──」
レオン「うるさい、黙って見ていろ」
ファルコとレオンの一騎打ちが再開される。
レオン「こざかしいトリめ、私にひざまずけ!」
ファルコ「悪いな、てめえの動きはもう見切ったぜ!」ギュルンッ
レオン「なにっ!?」
ファルコ「これでもチームのエースってことになってるんでな……
もう逃がさねえっ!」ズガガガガッ
レオン「こ、この私が……この私がぁぁぁっ!」ヒュルルルル…
背後からレーザーを山ほど浴び、レオンのウルフェンも墜落する。
ウルフ「…………」
ウルフ(勝てる戦いだった──)
ウルフ(だが、こうなっちまったのは、俺がヤツよりもパイロットとして……
いや、リーダーとして劣っていたからということか……!)
ウルフ「アンドルフ!? 俺はまだ負けてねえぞ!」
アンドルフ『もうよい。あと数十秒でその一帯は、地中に仕込んだ大型爆弾で爆破する』
ウルフ「てめぇ! まさか俺たちは最初から捨て駒──」
アンドルフ『スターフォックスとともに散るがよい』プツッ…
ウルフ「…………」
ウルフ「おいキツネども! もうじきここら辺りは爆弾で吹っ飛ぶ!」
ウルフ「まだ戦えるヤツがいるなら、俺についてこい!」
ファルコ「なんだと!?」
フォックス(ファルコたちはスターウルフとの戦いで、傷つきすぎている!)
フォックス「ファルコ、ペッピー、スリッピーは全速力でグレートフォックスに帰還!
ドラーウィンは俺についてきてくれ!」
ジャイアン「ようやく俺たちの出番かよ!」
スネ夫「行くよ!」グオオオオッ
アンドルフの爆弾によって、まもなく戦場は大爆発を起こした。
キィィィィ……ン
ウルフ「ここをまっすぐ行けば、アンドルフにたどり着く」
のび太「ついにアンドルフとの決戦か……」ゴクッ
フォックス「だが、なぜだ。なぜ俺たちを助けるようなマネをした?」
ウルフ「あんなサルにいいように利用されるのは気にくわねえ……ただそれだけだ」
アンドルフ『なるほど……だから裏切ったというわけか』
ウルフ「な!?」
アンドルフ『敗北しただけでなく、敵を私のもとに呼び込むマネをするとは……。
飼い犬に手を噛まれるとはまさにこのことだな』
アンドルフ『だが、お前たちが裏切った時の保険はちゃんとかけてある』
アンドルフ『お前たちの機体……ウルフェンには私だけが起動できる
爆弾が仕掛けてあるのだ』
ウルフ「ふん……そんなことだろうと思ったぜ……」
フォックス「やめろ、アンドルフ!」
しずか「やめてぇっ!」
ウルフ「てめえとはもっとちゃんとした決着(ケリ)を……つけたかった」
フォックス「ウルフッ!」
アンドルフ『散れ』
ドグワァァァンッ!
無情にも、爆破されるウルフェン。
アンドルフ『さて、スターフォックスよ。
正直いって、ヤツらを倒すのは想定外だったが……』
アンドルフ『私を倒すことはできん!』
アンドルフ『さあ私の元に来るがよい。親父同様、このベノムにて砕け散れ!』
フォックス「アンドルフ……お前は必ず倒す! ──行くぞっ!」
ドラえもん「許せないっ!」
スネ夫「やってやる!」
ジャイアン「ギタギタにしてやらぁ!」
しずか「負けないわ!」
のび太「絶対に勝つ!」
フハハハハハハハ……!
アンドルフ「よく来たな……歓迎するぞ!」
ドラえもん「巨大な顔に、巨大な手が二つ……!?」
しずか「とても科学者には見えないわ!」
フォックス「おそらく自分自身を改造したんだろう……行くぞ、アンドルフ!」
スネ夫「ぼくらも行くよっ!」
のび太「うんっ!」
ジャイアン「ボムはあと三発……絶対に無駄にはできねえっ!」
アンドルフの巨大な手が、アーウィンとドラーウィンを襲う。
アンドルフの巨大な口が、アーウィンとドラーウィンを吸い込もうとする。
だが、フォックスとスネ夫は巧みに攻撃をかわす。
スネ夫「エリア6に比べれば、この程度!」
フォックス「いいぞ、スネ夫君!」
ズオオオオ……!
しずか「今だわ! 武さん、あの口の中にボムを!」
ジャイアン「おう! そんなに腹が減ってんなら、これでも食いやがれっ!」
ブウンッ!
吸い込まれたボムは──アンドルフの内部で大爆発を起こした。
ボウゥゥゥゥ……ン
アンドルフ「ぐげえぇあああああああっ!!?」
断末魔の叫びと共に、アンドルフの顔面が崩れていく。
ジャイアン「どんなもんだ!」
のび太「やったぁ!」
スネ夫「よっ、さすがジャイアン! 日本一!」
しずか「やったわ!」
ドラえもん「やっと終わったんだね……」
フォックス「父さん、ビル……やっとアンドルフを倒したよ。
ドラーウィンという頼もしい味方のおかげで……!」
フォックス「みんな気をつけろ! アンドルフはまだ生きているっ!」
のび太「えぇっ!?」
「なるほど……」
「オモチャと侮っていたが、なかなかできるようだな……」
「しかし、この宇宙を支配するのは、偉大な頭脳を持つこの私……」
煙が晴れ、アンドルフが姿を現す。
のび太「ゲゲッ!?」
スネ夫「ひぃっ!? なにあれ!」
ジャイアン「ウソだろ!?」
しずか「信じられないわ……」
ドラえもん「むき出しの巨大な脳に、目玉が二つ……浮いてる。
た、たしかに偉大な頭脳といえば偉大な頭脳だけど……」
フォックス「それが貴様の正体か! アンドルフ!」
スネ夫「ひぃぃっ、こっちに来た!」
フォックス「気をつけろ! あの目玉、アーウィン級の機動力だ!」
あっという間に両機の後ろを取り、レーザーを放つ目玉。
ガガガガガッ!
しずか「きゃあああっ!」
フォックス「くっ……!」
フォックス「だがこの目玉さえ破壊してしまえば、ヤツの視覚を奪えるはず!」
フォックス「スネオ君、十分に後ろに引きつけてから──」
フォックス「宙返りだっ!」
スネ夫「はいっ!」
ギュルンッ!
目玉の後ろを取ったアーウィンとドラーウィンが、レーザー連射で両目を破壊する。
ドラえもん「やったぁ! これであの脳みそは、もうなにも見えないはずだ!」
スネ夫「アイツはもうスキだらけだ! のび太、連射で決めろっ!」
のび太「よぉ~し」
アンドルフ「フフフ……」
フォックス「──いや、待てっ!」
グオオオオッ!
アンドルフから、無数の触手が伸びる。
アンドルフ「バカめ、あの眼球は飾りに過ぎん。
偉大なる私は目などなくても、全方位を認識できるのだ!」
しずか「ま、まずいわっ!」
ジャイアン「やべえっ!」
すると──
フォックス「リーダーとして、君たちを落とさせはしない!」ギュゥゥゥゥン
間に割って入ったフォックスが、ドラーウィンの身代わりに触手につかまった。
メキメキ…… バキィッ! ベキィッ!
触手に絡まれ、ウイングを破壊されるアーウィン。
スネ夫「げぇっ!」
ドラえもん「ああっ……!」
しずか「いやあぁぁっ!」
のび太「フォックスさん!」
ジャイアン「こんにゃろう!」ブウンッ
ズドォォォンッ!
ジャイアンのボムでどうにか脱出させるが、アーウィンはボロボロになっていた。
フォックス(くっ……なんとか飛べるが、レーザーもボムももう撃てない……!)
フォックス「ドラーウィン、逃げてくれ!」
フォックス「コイツは……命にかえても俺が倒す!」
フォックス(こうなったらアーウィンで特攻して、ヤツを倒すしかない!)
のび太「ぼくたちだって、ずっとここまで戦ってきたんです!
最後まで戦わせて下さい!」
ジャイアン「水臭いぜ、フォックスさん!」
しずか「お願いします!」
スネ夫「それに……ラジコンマニアのぼくには分かるんですけど、
もうアーウィンは飛ぶのが精一杯でしょう?」
スネ夫「ぼくたちに任せてくれた方が、合理的じゃないかと……」
ドラえもん(みんな、成長したなぁ……)ホロリ…
フォックス「フッ……そうだな」
フォックス「分かった! アンドルフの撃破、君たちに託す!」
アンドルフ(バカめ……もっとも警戒したのはアーウィンによる特攻だったが、
よりによってあのガキどもに託すだと?)
アンドルフ(すぐに触手で捕え、人質にした後、二機とも粉砕してくれるわ!)
スネ夫「このぐらい距離を取れば、安全なはずだ」
ジャイアン「こっからボムを投げつけてやるか?」
ドラえもん「いや、さっきフォックスさんをボムで助けた時、
アイツはほとんどこたえてなかったよ」
のび太「ボムが通用しないんじゃ、レーザーなんて絶対効かないよねぇ」
しずか「……ねぇ」
のび太「どうしたの、しずちゃん?」
しずか「さっきから、アンドルフはこちらの動きに合わせて回転してるのよ」
ドラえもん「それがどうかしたの?」
しずか「だってさっき、アンドルフは“全方位を認識できる”っていってたわ。
なら、回転する必要なんてないはずでしょう?」
のび太「きっと回りたい気分なのさ!」
ドラえもん「……そうか! きっとアンドルフには、
なにか回転しなきゃいけない理由があるってことか!」
しずか「えぇ! もしかしたらアンドルフは自分の弱点を隠すために
回転してるんじゃないかしら……」
ジャイアン「さっすが、しずちゃん!」
スネ夫「でもアイツ、見た目のわりに素早いから、回り込むなんてとても……」
ドラえもん「ようし」ゴソゴソ…
ドラえもん「相手ストッパ~!」
【相手ストッパー】
特定の相手を停止させる道具。
ドラえもん「アンドルフを止めろ! えいっ!」
アンドルフ「む!?」ビクッ
アンドルフ「なんだこれは……ふざけたマネをしおって!」グググ…
ドラえもん「……ダ、ダメだ!
あんなに大きいと、さすがに完全には止められない!」
スネ夫「いや……だけど回り込むには十分だ!」
ギュイイィィィ……ン!
スネ夫が駆るドラーウィンが最高速度で、アンドルフの裏側へと回り込む。
のび太「よぉ~し、一斉攻撃だ!」
ジャイアン「おうよ!」
アンドルフ「おのれぇぇぇっ!」バラバラ…
アンドルフが次々と機雷に似た塊をばら撒く。
ズガァンッ! ドガァンッ! ドウンッ! ドゴンッ! バゴォンッ!
ウイングを損傷するドラーウィン。
だが──
のび太「レーザー発射!」
ジャイアン「これでトドメだぁっ!」
フォックス(ノビタ君たち……本当にありがとう)
フォックス「決めろっ!」
もうドラーウィンは止めることはできない!
アンドルフ「バカなぁぁぁぁぁっ!!!」
ドワァァァンッ!!!
のび太「今度こそやったんだよね? また変身とかしないよね?」
アンドルフ「ぐぐ……おのれぇぇ……!」ボロボロ…
アンドルフ「だが……」ボロボロ…
アンドルフ「逃がしはせん……お前たちも私と共に滅びるノダァァァッ!!!」
ズガァァァンッ!!!
最後の力を振り絞り、大爆発を起こすアンドルフ。
スネ夫「うわぁぁぁぁっ!?」
しずか「きゃあああああっ!」
フォックス(俺たちを道連れに!? ──ここまでなのか……!)
「どんな時でも、決して諦めるな、フォックス」
フォックス「──父さん!?」
フォックスの父ジェームズが駆るアーウィンが、脱出経路を導く。
フォックス(夢なのか? 幻なのか? いや、なんでもかまわない!)
「よし……スネオ君、俺についてきてくれ!」
スネ夫「あ、あわわ……ダ、ダメだ……体がすくんで……操縦が……」ガタガタ
スネ夫「手に力が、入らない……」ガタガタ
フォックス「…………」
フォックス「決して諦めるな、自分の感覚を信じろ!」
スネ夫(自分の……感覚……!)
ギュッ!
操縦桿を強く握り締めるスネ夫。
ドラえもん&のび太&ジャイアン「スネ夫!」
しずか「スネ夫さん!」
スネ夫「フォックスさん、もう大丈夫です!」
フォックス「よし! 脱出するぞ、急げ!」
ジェームズ(フッ……私の口癖を取られてしまったか……。
強くなったな……フォックス)
ペッピー「すごい爆発じゃ……! アンドルフは倒せたのか……!?」
ファルコ「ちいっ! 大人しく待ってなんかいられるか、俺も中に入る!」
スリッピー「──待って、ファルコ! あそこから何か出てきたよ!」
ナウス「……データ照合シマシタ。アレハフォックス機とドラーウィンデス」
脱出を果たしたフォックスとのび太たちが合流する。
ペッピー「無事だったか、フォックス、ドラーウィン!」
スリッピー「すごいよ! さすがフォックスたちだ!」
ファルコ「ったく、大したヤツらだぜ。
ノビタ、スネオ、ジャイアン、シズカ、ドラエモン……そしてリーダー!」
のび太「いやぁ~でもホント危なかったね」
ドラえもん「道案内をしてくれたフォックスさんのおかげだね」
しずか「スネ夫さんの操縦もすごかったわよ」
スネ夫「これぐらいは朝飯前さ」
ジャイアン「こいつぅ!」
フォックス(ありがとう……父さん)
フォックス「これでベノム軍は滅びた……これより惑星コーネリアへ帰還する!」
スターフォックスの四人が、ペパー将軍のもとを訪れる。
ペパー「本当によくやってくれた、フォックス」
ペパー「君たちさえよければ、我が軍に入って一緒に──」
フォックス「いえ、我々にはこういう生き方が性に合っていますから」
ペパー「ならばせめて、君たちの凱旋式を開きたいのだが……」
フォックス「そちらも遠慮させていただきます」
フォックス「俺たちには次の仕事がすでに待っていますし、それに──
もう行かねばならない戦友を、見送らねばなりませんから」
ペパー「!」
ペパー「そうかあの少年たちか……彼らにも、ありがとう、と伝えてくれんか」
フォックス「任せて下さい」
四人はペパー将軍のもとを後にした。
フォックス「ビル!? 無事だったのか!?」
ビル「当たり前だ、幽霊じゃないぜ!」
ビル「といっても本当に危ないところだったんだけどな」
ビル「ボルスであのウルフってのにやられそうになり……
あと一撃で俺の機体が爆破されるってところで、ヤツら突如撤退したんだ」
ビル「あとになって分かったが、エリア6から攻め込んだお前たちの進撃が
予想以上に早かったから、ベノムを守らせるため
アンドルフがスターウルフに撤退命令を出していたんだ」
ビル「おかげで俺はどうにか不時着し、命を拾うことができた」
ビル「……俺はお前が友達だということを誇りに思うよ」
フォックス「俺もさ」
ビル「じゃあな……。今度会う時は戦場じゃなく、酒でも酌み交わしたいもんだな」
フォックス「ああ、そうだな」
どこでもドアの前に立つのび太たち。
ペッピー「名残惜しいが……達者でな」
スリッピー「元気でね! 絶対また遊びに来てよ!」
ファルコ「ま、お前らとのチームもなかなか悪くなかったぜ」
フォックス「じゃあな、みんな」
ドラえもん「ありがとうございました!」
ジャイアン「俺、絶対また来るよ!」グスッ
しずか「皆さん、お元気で……」
スネ夫「次は本物のアーウィンを操縦してみたいなぁ」
のび太「ぼく、スターフォックスのみんなのこと、本当に尊敬してます!
……さようなら!」
ガチャッ…… バタン
聞くの忘れちゃったよ!」
スリッピー「ちぇっ、しまったなぁ……」
ペッピー「まあまあ、また会う時もあるだろうし、今度会った時に聞けばいいじゃろう」
スリッピー「へへへ、そうだね」
ファルコ「さあて、出会いあれば別れあり、別れあれば仕事ありってな。
とっとと次の仕事先に向かおうぜ、フォックス」
フォックス「ああ、気持ちを切り替えないとな!」
フォックス「よし、さっそくアーウィンとドラーウィンの整備を開始する!」
スリッピー「フォックス~、ドラーウィンはもうないってば」
ペッピー「一番気持ちの切り替えができてないのは、お前さんのようじゃな」
ファルコ「ったく、リーダーだと認めてやったとたんにこれだ」
ハッハッハッハッハ……!
フォックス「まだまだ父さんの背中は遠いなぁ……」
そして物陰から、彼らを見つめる男が一人。
ウルフ「俺たちはしぶといぜ……また会う日まで、命は預けておいてやるよ。
あばよ、スターフォックス!」
<空き地>
スネ夫「ジャーン! スネ吉兄さんにアーウィンのラジコンを作ってもらったんだ!
ドラーウィンはこんな町中じゃ操縦できないけど、これならバッチリさ!」
ジャイアン「おお~すげえ! よし俺にやらせろ!」
のび太「ぼくにもやらせてよぉ~!」
スネ夫「ダメだよ、ぼくが一番だ!」
ギャーギャー……! ワーワー……!
ドラえもん「みんな、アーウィンが原因で喧嘩したら、フォックスさんが悲しむよ?」
ジャイアン「ちぇっ、そりゃそうだな」
のび太「じゃあまず、スネ夫のテクニックを見せてもらおうか」
スネ夫「よぉ~し、ドラーウィンメインパイロットの実力見せてやる!」
ドラえもん「やれやれ、これは今度の日曜にライラット系に行く話になりそうだ」
しずか「ふふ……あのラジコンを持っていけば、きっとみんな喜んでくれるわよ」
~おわり~
SSの途中でさるさん食らうは初めてってわけじゃないが
こんなに意味不明なタイミングで何度も引っかかるのは初めてだった
ちなみに
コーネリア→セクターY→カタリナ→ソーラ→マクベス→エリア6→ベノム2
は自分が最もプレイしたコース
おやすみなさい
クオリティ高くて面白かった
アサルト編もいつかやったりするのかな
Entry ⇒ 2012.11.06 | Category ⇒ 版権物SS | Comments (3) | Trackbacks (0)
しんのすけ「ねぇねぇおねいさぁんピーマン食べれる~?」長門「……」
「おらのとうちゃん足くさい~♪」
「お?」
・・・・・・・
「おぉ?何か見えるゾ?」
「女の人の絵…もしかしてエッチなほん!?」
「ほっほほぉ~い!」
「んん~何だこれ?」
「ハ、ル、ヒ、の、…漢字読めないゾ」
ペラッ
「うへぇ、字ばっかり…」
「ん~このおねいさんちょっと子供っぽさが残っていますなぁ」
「でもなかなか可愛いゾ、これからの成長に期待ですなぁえへぁ~」
「……」
「このほん、絵の部分だけ破って持って帰ったらダメかな…」
「……」
「でもぉ~落し物は交番に届けないといけないんだよね~」クルクル
「オラ、そんなに悪い子じゃないゾー?」
「…でも、少し気になるゾ」
「うーん…」
「……」
「そうだ!見終わったら元の場所に置いておけばいいんだ!」
「わーいオラあったまいい~!」
「そうと決まったら早速公園に行こうっと」
「出発おしんこー!きゅうりのぬかづけー!」
・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・
・・・・・
―――――――――――――
キョン「季節は春。地球温暖化により昨年より早く開花してしまった桜の花が舞い散る中、生徒は春独特の陽気に感化され妙なテンションに陥っている」
キョン「来月を過ぎると一つ学年が上がり、自分達がいつまでも下級生ではないという事を自覚しなければならないのだが…どうも俺にはその実感が湧かない」
キョン「それもその筈。毎日のように文芸部部室に通い人生の糧にもならないような不可解な行動をしてる内は、俺の人間的向上なんて微塵にも望めないのだろう」
キョン「まぁこんなくだらない愚痴を吐いた所で我がSOS団団長様の馬耳には届きもしないのだがな」
ハルヒ「その愚痴を私の方に向きながら言うなんていい度胸ね。そんなに死にたいの?」
キョン「いかん、冒頭の語りに集中しすぎて今自分が置かれている状況を見失っていた」
ハルヒ「アンタみたいな馬鹿の事を何て言うと思う?『馬鹿』っていうのよ。この馬鹿」
キョン「馬鹿って言葉を三回も使いやがったな。そんな事言う奴の方が真性の馬鹿なんだよ」
ハルヒ「何ですって!?そうやって馬鹿って言ったのを馬鹿って返す方がもっと馬鹿なのよ!」
キョン「また馬鹿っていいやがったな!?そうやって馬鹿馬鹿言ってる奴に限って超ど級の馬鹿なんだよ!このバーカ!」
ハルヒ「馬鹿じゃないの!?そうやってまた馬鹿って返す人間が一番馬鹿だって何度言ったら!」
谷口「(コイツ等マジで殺してぇ…)」
キョン「…ん?そういえばお前が持ってるその本、一体何だ?」
ハルヒ「えっ?あぁコレね、昨日阪中さんに借りたのよ」
キョン「ほう、お前と阪中は貸し借りをする程の仲になっているのか、意外だな」
ハルヒ「あの事件以来結構話す機会が多くなったのよ。別にいいじゃない」
キョン「いや、お前がSOS団意外の人間とコミュニケーションを取っている事に少し驚いただけだ」
ハルヒ「何よそれ…」
キョン「で、その本は何だ?どこかで見た事あるような気もするが…」
ハルヒ「ほら、アンタも小さい頃によくテレビで見てたんじゃない?」
キョン「どれどれ…ほぅ。懐かしい物を持ってきたな」
ハルヒ「私も懐かしくなってちょっと読んでたのよ。今見ても中々面白いわ」
キョン「誰もが認める国民的漫画だからな。俺も幼稚園の時に影響されてケツ振ってたもんだ」
ハルヒ「…えっ、アンタそんな事してたの?」
キョン「えっ?お前しなかったの?」
ハルヒ「する訳ないでしょ!!」
キョン「嘘だろ…数々の意味不明な行動で世間を轟かせたお前があのアニメに影響されてなかったなんて考えられん」
ハルヒ「アンタ私の事一体何だと思ってるのよ!?小さい頃は普通の生活してたって前に話したじゃない!」
キョン「そうか…お前なら幼稚園の机の上に登ってゾウさん音頭ぐらいやってると思ったんだけどな」
ハルヒ「ちょっと待ってキョン。アンタ私を女とすら思ってないの?」
キョン「何言ってやがる。どう見たってお前は女だろ。変な質問をするな」
ハルヒ「だったら少しは考えなさいよっ!女の私にぞ…ゾウさんなんて付いてるワケないでしょ!?」
キョン「……」
ハルヒ「……」
キョン「…おぉ」
ハルヒ「何よ今の間は!?」
キョン「しかし当たり障りのない日常をだらだらと描写した漫画をお前が好むなんて珍しいな」
ハルヒ「これはれっきとした非日常ストーリーじゃない。映画なんてもう別世界の物語よ」
キョン「ん…確かに」
ハルヒ「望んでもないのにこんな楽しい事に巡り合えるなんて羨ましいわ…私にもこんな奇想天外な事起こらないかしら?」
キョン「無理に決まってるだろ。大体世界観が違うじゃねぇか」
ハルヒ「そうよねぇ…平気で変身ヒーローがビーム出しちゃうんだもの」
キョン「まぁ逆に俺達の世界にコイツが招かれたら面白い事になりそうだけどな」
ハルヒ「そうね。アンタにしては中々いい事言うじゃない」
キョン「それほどでもぉ」
ハルヒ「気持悪いからやめて」
キーンコーンカーンコーン…
キョン「む、もう昼休み終わりか」
ハルヒ「何かアンタと話してたら疲れたわ…」
キョン「今日はSOS団ミーティングの日だろ?団長のお前がしっかりしないでどうする」
ハルヒ「誰のせいよ誰のっ!!」
キョン「さて次の授業は体育か。じゃあなハルヒ、フォーエヴァー」
ハルヒ「もう、アンタいつからそんなキャラになったのよ…」
―――――――――――――
むかしむかしあるところに、木こりの親子が住んでいました。
木こりの夫婦には2人の息子がいました。兄の方は今の生活に満足していましたが、弟の方は
「いつか都に出て何かどでかいことをしてやろー」
という野望を持っていました。そんなある日・・・
長門「……」ペラッ
バ チ ィ!!
???「うおわっち!!」
ドシンッ!!
???「イテテテ…んもぅコレ母ちゃんの運転より荒いゾ~」
長門「……」
???「…お?」
長門「……」
???「……」
???「よっ!」
コンコンッ
キョン「ノックしてもしもーし」
ガチャ
キョン「よう、長…門?」
長門「……」
???「いやぁまいっちゃうよね~変なごほん読んでたら急に空がくらくなっちゃって~」
???「そうしたらオラの体がビューンって飛んでっちゃったんだゾ」
???「もうおまたヒューってなっちゃった…えへぁ」
長門「…そう」
キョン「…何の冗談だこれは?」
???「お?」
長門「……」
???「アンタだれ?」
キョン「人に名を尋ねる時はまず自分からって母ちゃんから教わらなかったのか坊主」
しんのすけ「オラ坊主じゃないぞ!野原しんのすけだゾ!」
しんのすけ「よく覚えとけぃ!」キリッ
長門「……」
キョン「…マジかよ」
キョン「…おい、長門」
長門「何」
キョン「ハルヒか?またハルヒの仕業なのか?」
長門「……」
長門「おそらく涼宮ハルヒが現在所持している漫画と呼ばれる書物の登場人物が具現化した存在だと思われる」
キョン「…はぁ」
長門「その発端は貴方と涼宮ハルヒの会話による彼女の想像力の肥大化だと推測され、これは主に貴方の発言が涼宮ハルヒの想像を増幅させる内容であったt」
キョン「あーもういい、みなまで言うな」
キョン「要するに俺の何気ない一言がこの事態を招いたって事だろ?」
長門「そう」
キョン「…やれやれ、また古泉に叱られそうだ」
しんのすけ「おじさん、オラはちゃんと名乗ったゾ」
キョン「誰がおじさんだ、俺はピチピチの高校生だ」
しんのすけ「ほうほう、『ぴちぴちのこうこうせい』…」
しんのすけ「プッ、ヘンなおなまえ~」
キョン「それは名前じゃねぇ!俺の名前は
ガチャ
みくる「すみません遅れました~」
キョン「あ、こんにちは朝比奈さん。今日も一段とお美しいですね」
みくる「もうキョン君ったら…おだてても何もありませんよ?」
しんのすけ「おぉ!きれいなおねいさん!」
みくる「えっ…えぇ?」
キョン「あっコラ!いきなり大声出すんじゃ…」
しんのすけ「ねぇねぇおねいさ~んカレーには何入れるタイプ~?オラは醤油をちょびっとかけて食べるほうが~」
みくる「えっ…この子って…えぇ!?」
キョン「落ち着いてください。今説明しますから…」
・・・・・・・・・・・・・
みくる「そうだったんですか。だからこの子…」
しんのすけ「んもうキョコン君ったら水虫臭いゾ~。こんな綺麗なおねいさんがいるなんてオラ知らなかったんだよ~?」
キョン「知らないも何もついさっき顔会わせたばかりだろ。それに俺の名前は巨根じゃねぇしキョンでもねぇ」
しんのすけ「まーまー細かい事は気にしない気にしない」
キョン「俺の名前を細かい事に分類するな!」
長門「……」
みくる「あ、あの~私そろそろ着替えたいのですけど…」
キョン「おっとそうでしたね。じゃあ俺は外で待ってます」
ガチャ
みくる「じゃあ、少し待っててくださいね?」
キョン「はい、了解です」
みくるのすけ「でわ~」
ガチャン
ガチャン
キョン「お前はこっちだ」
しんのすけ「軽いジョークなのに」
ガチャ
古泉「こんにちは。…おや?見かけない殿方がいらっしゃいますね」
しんのすけ「おぉ、ひまが見たら飛びつきそうな美少年だゾ」
みくる「あっ古泉君こんにちは~」
長門「……」
キョン「あ~古泉…コレには深い訳があってだな…」
古泉「…ふぅ、大体の原因は予想できます」
キョン「…スマン」
古泉「いいですか?貴方の何気ない言葉一つが涼宮さんの思考を左右するのです」
古泉「たとえそれが微弱な改変であったとしても、いつ何処で何が起こるか予測できないのが涼宮さんという人物である事を貴方も充分おわかりになっている筈です」
古泉「貴方はもっと後先の事を想定してから自分の意見を涼宮さんにおっしゃってですね…」クドクド
キョン「…チッ、ウッセーナ」
古泉「何か言いましたか?」
キョン「別に」
古泉「ところで彼の事ですが…あのビジュアルはやはり」
キョン「あぁ、お前が5歳ぐらいによくテレビに出演していたアレだ」
古泉「やはりそうでしたか…いやぁ懐かしいですね」
古泉「僕もあのアニメを見て母親によく生意気な口を利いて怒られてましたよ」
キョン「何?お前もアレに影響された時期があったのか」
古泉「えぇ、親が見せたくないゴールデンタイムアニメNO,1ですからね」
キョン「見るなって言われたら余計見たくなっちまうのが人間の性だよな」
古泉「まぁ流石に彼の行動をマネするという愚行はしませんでしたけどね」
キョン「…えっ、マジ?」
古泉「…もしや貴方」
キョン「い、いやそんな事ないぞ!?ケツ振ったり股間に象の落書きなんてしてないぞ絶対!」
古泉「ですよねー」
キョン「は…ははは…」
しんのすけ「んでね、オラがかーちゃんにお肩スーッってするやつ塗ってあげようとしたら…」
しんのすけ「母ちゃん、避けて鼻にお薬が当たっちゃってぇ~」
しんのすけ「『ひいいいいいいいいいいいっ!!』ガンッ!『だおおおおおおおおおおおおおっ!!』」
しんのすけ「って一人で踊り始めたんだゾ~」
みくる「あはは…それはお母さん大変でしたねぇ」
長門「……」
キョン「さて、この状況を一体どう処理すればいい?」
古泉「そうですね…取り敢えず涼宮さんにだけは彼との接触を避ける必要があるでしょうね」
古泉「彼は立場上異世界人という事になりますから、涼宮さんに影響が無いとは思えません」
キョン「そうだな、昼休であれだけこの漫画の話題で盛り上がってたんだ。実物なんて見てしまった際にゃあ」
ハルヒ「凄いじゃない!まるでテレビから飛び出てきたみたいに本物そっくりだわ!!」
キョン「てな具合に満天の笑みを浮かべて興味心身に」
キョン「えっ?」
キョン「うおおおおおおおおおおおっハルヒいいいいいいいい!!?」ガタタッ!!
古泉「す…涼宮さん…何時からそこに?」
ハルヒ「えっ?たった今来たばっかりだけど…何二人揃って驚いた顔してるのよ?」
キョン「……(アウト?)」
古泉「……(…セーフだと)」
ハルヒ「それよりもあの子しんのすけそっくりじゃない!何処から連れてきたのよ!?」
キョン「落ち着けハルヒ、これは色々な事情が重なってだn」
ハルヒ「もしかして本物!?私が望んだからひょっこり出てきたんじゃないかしら!?」
古泉「」
キョン「(世 界 が ヤ バ イ)」
キョン「い、いや違うんだハルヒ!」
キョン「あの坊主は長門の生き別れの弟だ!今日からしばらく長門が面倒見ることになってんだよ!!」
ハルヒ「えっ?有希の弟?」
キョン「おう、確か名前は~…焼け野原すんのけし君だった…と思う」
古泉「(ちょっと何ですかその露骨すぎる設定と偽名は!?)」
キョン「(うるさい!咄嗟の判断がきかなかったテメェよりマシだろうがっ!)」
キョン「と、とにかくだな…あの漫画の主人公とは似て非なる存在であって実際の団体人物とは一切関係ない事もないというか…」
ハルヒ「ふぅん…まぁいいわ、実際にアニメのキャラが現実に出てくる訳ないものね」
キョン・古泉「…ふぅ」
しんのすけ「おお、また人が増えたゾ!しかもびじんさんだ~」
ハルヒ「こんにちはしんのすけ君!SOS団長として有希の弟である君を歓迎するわっ!」
キョン「(コイツ俺が考えた偽名をナチュラルに無視しやがった…)」
しんのすけ「えすおーえすだん…おぉ!何だかカッコイイ名前ですなぁ~」
ハルヒ「!!」
ハルヒ「よく分かってるじゃない!流石は有希の弟ね!アンタ中々素質あるわよ!」
しんのすけ「えへぇ~それほどでもぉ~」
ハルヒ「良かったら私達の準団員にならない?歓迎するわよ!」
しんのすけ「いえいえ、せっかくですがオラには大事な使命があるのでお断りさせていたたきますです」
ハルヒ「使命?何かしらそれ?」
しんのすけ「オラはかすかべの平和を守るかすかべぼーえいたいなんだゾ!」
しんのすけ「ワッハッハッハッハッハ~!」
ハルヒ「春日部防衛隊?どこかで聞いた事あるような…」
キョン「パオーンパオーンッ!!!」
古泉「か、彼はですね、バルブ経済崩壊後の日本の経済的衰退を防ぐために政府特別機関工作員として任命された見た目は五歳頭も五歳の」
ハルヒ「バブル経済?古泉君いつの時代の話してるのよ?」
古泉「」
キョン「お前が自爆とは珍しいな」
古泉「放っておいてください…」
キョン「と、こんな風に色々あったのだが…特に目立った閉鎖空間も発生せず、この破天荒な一日は杞憂に終わりを告げる事になったのである」
キョン「あの坊主は長門の弟という設定にしてしまったため、しばらくは長門の家に居座らせるという事に決まり…」
キョン「それと同時にアイツを元の世界に戻す方法を長門が見つけてくれるとの事だ」
キョン「幸い今回は原因がはっきりしているため、方法を見つけるのは容易な事らしいが…」
キョン「この異世界人騒動はそんな簡単に鞘に収める事はできないのだろうと、俺は密かに思うのである」
長門「貴方が何故説明口調なのか理解できない」
キョン「気にするな。いつもの事だ」
長門「……」
―長門宅―
ガチャ
しんのすけ「おっかえり~」
長門「今の発言には不適切なキーワードが含まれている」
しんのすけ「お?」
長門「私達は今帰宅をした」
長門「この場合、私達は迎えうける立場にあるため、ただいま、が適切である」
しんのすけ「ほうほう、そうともゆぅ~」
長門「貴方の発言には理解できない。この場合にはこの単語以外に当て余るケースが一つも…」
しんのすけ「まぁまぁ細かい事は気にしない気にしない」
しんのすけ「そんなにきっちりしてるとかあちゃんみたいにたんさいぼーになっちゃうんだゾー」
長門「……」
しんのすけ「ほっほぉ~い」ダダダダ
長門「貴方は手洗いをするべき」
しんのすけ「ほーい」
・・・・・
しんのすけ「かあちゃんはらへったー」
長門「私は貴方の母親ではない」
長門「食事の準備が出来ているので運ぶのを手伝って欲しい」
しんのすけ「ブッラッジャー!」
長門「…?」
しんのすけ「お?」
長門「…貴方は早く手伝うべき」
しんのすけ「ほーい」
長門「……」
しんのすけ「あーむ」
しんのすけ「んぐんぐ…」
長門「美味しい?」
しんのすけ「っんまぁぁい!」
長門「…そう」
しんのすけ「まったりぃ~でまろやかぁ~」クルクル
長門「食事中に片足で回転するべきではない」
しんのすけ「オラ、こんなに美味いカレー食べた事ないゾ~」
長門「貴方に気に入ってもらい、私という個体も嬉しいと思う」
しんのすけ「おぉ?ゆきちゃんは今喜んでるの?」
長門「そう」
しんのすけ「うーむなかなかお顔の変化が分からない喜び方ですな~」
長門「……」
しんのすけ「むむ、もしかして今流行りのアバズレというやつですかい!?」
長門「貴方の発言から推測すると、それはツンデレが適切だと思われる」
しんのすけ「ほうほう~そうともゆう~」
長門「しかし彼は私の事をクーデレに属すると言う。違いが分からないため理解不能」
しんのすけ「ほぅほぅ、何だか大人の香りがぷんぷんしますぜ親分」
長門「私は貴方を傘下に置いていない」
しんのすけ「おぉ!そろそろアクション仮面が始まる時間だぞ」
長門「…この時間帯にそのような番組は存在しない」
しんのすけ「な、なにいぃぃぃぃぃぃ!?」ガーン!
しんのすけ「そんな…アクション仮面が見られないなんて…」
しんのすけ「オラは…オラは何のために生きてるんだあぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」
長門「……vncdfvnvlgfdvbidfvb」
長門「今のは私の勘違い。その番組は今この時間に放映している」
しんのすけ「な、なぁ~んだそっか~。アハハハハハ」
しんのすけ「んもう、ゆきちゃんはちゃっかり屋さんなんだから~」
長門「今の発言はうっかりが適切」
しんのすけ「わっはっはっはっはっ!」
長門「……」ペラッ
しんのすけ「あー面白かった」
しんのすけ「お?」
長門「……」
しんのすけ「ねーねーゆきちゃん」
長門「何?」
しんのすけ「それ、今日のお昼にも読んでた本だよね?」
長門「…そう」
しんのすけ「おもしろい?」
長門「…ユニーク」
しんのすけ「ほうほう」
長門「でも、少し…分からない」
しんのすけ「どして?」
長門「……」スッ
しんのすけ「お?」
長門「ここ」
しんのすけ「おぉ!この絵本幼稚園でよんだことあるゾ!」
長門「…そう」
しんのすけ「んで、これのどこがわからないの?」
長門「……」
長門「……」スッ
しんのすけ「んん?」
長門「この絵は人間と動物が繋がっている」
長門「彼女は一度も笑った事がない」
長門「しかしこの姿を見た彼女は、笑っている」
長門「彼女は何故、笑っている?」
しんのすけ「ほうほう、なるへそなるへその尾はちょん切るもの」
しんのすけ「んん~むづかしいもんだいですなぁ」
長門「…ごめんなさい」
しんのすけ「いやぁそれほどでもぉ~」
長門「褒めてはいない」
しんのすけ「んん~オラ的には子供だましだけど…」
長門「?」
しんのすけ「きっとこのお姫様はこのへんてこりんな格好をみて笑ったんだと思うゾ?」
長門「それは理解している」
しんのすけ「ほうほう、じゃあ何がわからないの?」
長門「……」スッ
しんのすけ「お?」
長門「…これは、笑える?」
―――――――――――――――
pipipipipipi
ピッ
長門「…何?」
キョン「長門、俺だ」
長門「……」
キョン「今アイツはどうしてる?騒ぎとか起こしてなければいいんだが…」
長門「問題ない。全ては想定内の範囲で収まってる」
キョン「そうか、ならいいんだ」
キョン「こうなったのも少なからず俺の所為だからな。少し心配してたんだ」
長門「…そう」
キョン「それでどうだ?元の世界に戻す方法は見つかったか?」
長門「…まだ見つけていない」
キョン「そ、そうか。…結構難しいのか?」
長門「そうではない。貴方が望むならすぐにでも見つけ出す事ができる」
長門「ただ、今まであの有機生命体の観察を優先していたため、行動に移す事ができなかった」
キョン「観察?あの坊主に何かあるのか?」
長門「分からない。しかし貴方達とは違う個体である事はたしか」
キョン「そうか…」
長門「情報統合思念体は彼という個体にとても興味を抱いている」
長門「そのため、しばらくの間彼を涼宮ハルヒと同レベルの観察対象とする事が命じられた」
長門「期限は野原しんのすけと涼宮ハルヒの共通性を発見できるまで」
キョン「…大丈夫か?」
長門「安心して、彼は私が責任を持って保護する」
キョン「そうか、それを聞いて安心した」
長門「…私という個体もそれを望んでいる」
キョン「…ほう」
長門「何?」
キョン「いや、何だかお前が満更でもなさそうだからさ」
キョン「珍しいと思ってな」
長門「……」
キョン「…ふむ」
長門「…何?」
キョン「いや、何でもないさ」
キョン「じゃあすまないが…しばらくの間アイツの事、頼んだ」
長門「…了解した」
しんのすけ「ふぃ~いい湯であった」プラプラ
長門「タオルは肩にかけず股間を隠すべき」
しんのすけ「おお、そうでした」
しんのすけ「嫁入り前の娘もいることですからなぁ」
長門「…?」
しんのすけ「オラのかあちゃんはいつもそう言うゾ」
長門「…そう」
しんのすけ「有希ちゃんは大きくなったらお嫁さんになるの?」
長門「…分からない」
しんのすけ「オラは大きくなったらななこおねいさんを迎えにいくんだ~」
しんのすけ「んでね、オラはおねいさんの膝枕で耳掃除してもらうんだゾ」
しんのすけ『しんちゃん、痛くない?』
しんのすけ「ふっ、ななこのこと思うと胸がズキズキ痛むんだぜ」
しんのすけ『まぁ大変、じゃあ私のおむねでいいこいいこしてあ・げ・る(はぁと)』
しんのすけ「うひょおおおおおおおおおおおお!!!!」シュポポポー
長門「……」
しんのすけ「あぁななこおねいさん…そこは駄目だゾ…そんなに伸びない」
長門「…貴方は」
しんのすけ「お?」
長門「今、楽しい?」
しんのすけ「んん?」
長門「私は貴方に対して何も干渉していない」
長門「しかし貴方はとても楽しそうにしている」
長門「何故、表情の変化がこの短時間で多様なのかも理解不能」
長門「…貴方は、とても興味深い」
しんのすけ「ん~有希ちゃんの言ってる事全然分かんないけど」
しんのすけ「オラは今、とっても楽しいゾ?」
長門「……」
しんのすけ「オラの家じゃないところでお泊りなんておひさしぶりぶりだから~」
しんのすけ「かあちゃんにも怒られる事ないし~」
しんのすけ「オラはまんぞくであるっ!」
しんのすけ「ワッハッハッハッハッハーッ!」
長門「…そう」
しんのすけ「ゆきちゃん」
長門「何?」
しんのすけ「ゆきちゃんはオラといて…楽しくないの?」
長門「……」
しんのすけ「はっ!もしかしてオラにほれちゃったからおむねが痛くて泣いちゃいそうだとか!?」
しんのすけ「いやぁ~まいったなぁ~オラもつみきづくりな男だゾ~」クネクネ
長門「その心配は必要ない」
しんのすけ「あ…そなの」
長門「…貴方はとても興味深い」
しんのすけ「お?」
長門「私は貴方以上の喜怒哀楽の感情が激しい有機生命体を見た事がない」
しんのすけ「きどあいらく?」
長門「そう」
しんのすけ「それってカニがいっぱい食べれるお店のこと?」
長門「それはか○道楽」
しんのすけ「緑のもじゃもじゃ人形が二匹でCMで出てた…」
長門「愛・○球博」
しんのすけ「おぉ!最近カザマくんが見てたらくごのアニメの…」
長門「じょ○らく」
長門「……」
しんのすけ「お、おぉ…ゆきちゃんのお顔がかあちゃんみたいな鬼ババに…」
長門「…そろそろ寝る時間」
しんのすけ「ふわぁ~あ…」
長門「布団は敷いてある。好きにしていい」
しんのすけ「ほっほーい…」
ボフッ
しんのすけ「ん~このおふとんいいにおいだゾ~」
長門「それは私の寝具。貴方はこっちの…」
しんのすけ「zzz.......」
長門「……」
ファサ…
長門「…おやすみなさい」
-翌日-
ガチャ
キョン「うぃーっす」
長門「……」
キョン「ん?また長門だけ…ではないな」
長門「……」
しんのすけ「えへへ~じょしこうせいでもはったつが良い子はそそられますなぁ~」
キョン「…はぁ」
キョン「おい、あまり窓から顔出すな。誰かに見つかったらどうすんだ」
しんのすけ「ああんおねいさあん~」
キョン「長門もあまりこいつを甘やかすなよ。…まぁお前がいれば心配はないのだろうが」
長門「了解した」
しんのすけ「お?オラおじさんのおなまえ憶えてるゾ。うんとねー」
キョン「誰がおじさんだ。それにまだ本名は名乗ってない。俺の名は」
しんのすけ「ギョンくん!」
キョン「そうっ!俺は黒い球体に体を蘇えさせれらた漆黒のハンター!今日も転送され世界中の怪人を」ギョーンギョーン
キョン「ちがうっ!!」
バタンッ!!
ハルヒ「やっほー!みんないる!?…って、有希とキョンだけ?」
キョン「古泉はバイトだ」
みくる「おそくなりましたぁ」
ハルヒ「遅いじゃないみくるちゃん!団員たるもの団長の入室三十分前には部室にいる義務があるのよ!」
みくる「ふぇ!?」
キョン「三十分前は授業中だこの馬鹿」ゴツンッ
ハルヒ「いたい!よくもぶったわね!あと馬鹿ってまた言った!」
キョン「馬鹿に馬鹿と言って何が悪い」
ハルヒ「…ふ、ふふふ。キョン…アンタとは一度白黒つける必要があるみたいね…」ゴゴゴゴゴ…
キョン「奇遇だな、俺も常々同じ事を思っていたんだ…」ゴゴゴゴゴゴ…
ハルヒ「この際だから平団員から超平団員に降格してあげるわ。覚悟しなさい!」
キョン「そっちこそそのカチューシャ引っこ抜いて無理やりポニテにしてやる。覚悟しろ」
みくる「ひ、ひえぇ~何だか二人から禍々しいオーラが見えますぅ~」
しんのすけ「おぉ!オラこれ知ってるゾ!」
しんのすけ「とーちゃんとかーちゃんがいつもやってる『どたんば』ってやつだ!」
みくる「え、えぇ~....」
長門「この状況から把握すると、それは土壇場ではなく修羅場だと思われる」
しんのすけ「おぉ、そうともゆー」
長門「これ以上の闘争は悪影響を及ぼす。早急に止めるべき」
みくる「で、でもどうすればいいんですかぁ~?」
長門「今私達が介入することは許されない。第三者が横槍を入れる事は、世界の崩壊を意味している」
みくる「そ、そんなぁ~」オロオロ
しんのすけ「ねーねー」
キョン「何だ?俺達は今から食物連鎖の頂点を競い合う戦いを始めようと…」
しんのすけ「二人ともどたんばがおわったらプロレスごっこするの?」
ハルヒ・キョン「プロレスごっこ?」
しんのすけ「おらのかーちゃんととーちゃんは」
しんのすけ『あなたごめんなさい…私が悪かったわ』
しんのすけ『いいんだみさえ…お前の気持ちを分かってやれなかった俺が悪いんだ…』
しんのすけ『もう三段腹が悪いなんて言わないさ!その身体全部まとめて愛してこそが夫の務めだ!』
しんのすけ『私もあなたの足の匂いを愛してみせるわ!それこそが妻の努めだもの!』
しんのすけ『みさえ…』
しんのすけ『あなた…』
しんのすけ『んー』『んー』
ハルヒ「……」
しんのすけ「ってこんなふうにしてちゅーしてんだゾ?まったく二人ともまだまだ子供なんだから~」
みくる「で、で、その後お父さん達はどうなっちゃったのですか!?」
しんのすけ「それがさぁ~二人でお布団敷く部屋に行っちゃったんだゾ」
しんのすけ「とーちゃんが『今からママとプロレスごっこするからお外いってなさい』っていってた」
しんのすけ「オラは入っちゃだめっていわれたから公園に遊びに行ったんだゾ~」
みくる「ふ、ふえぇ~」プシュー
しんのすけ「だから二人だけでプロレスごっこで遊ぶなんてズルいゾ!オラもまぜろ~!」
キョン「するかっ!」
ハルヒ「そそそそそそうよ何でこんな奴とっ!プ…プロレスごっこなんか!」アタフタ
しんのすけ「おぉ!忘れてた!」
しんのすけ「とーちゃんたちがプロレスごっこしてるとティッシュがすぐなくなるんだった!」
ハルヒ「ひぇっ!?」
みくる「」プスプス…
しんのすけ「オラとしたことがぐったりしてたぞ。ゆきちゃんの家でもらったポケットティッシュがあるからこれ使ってね」
キョン「余計な気ぃ遣わんでいい!」
長門「……」
-その後-
ハルヒ「全くキョンのやつ…どうしてあんなに反抗的なのかしら」ブツブツ
みくる「ま、まぁまぁ、涼宮さん落ち着いて、ね?」
ハルヒ「しんのすけ君にもかなり振り回されちゃったわ…。これは団長である私の唯一の失態ね」
みくる「あ、あのぉ~涼宮さんあの子はすんのけし君で」
ハルヒ「でもあの子はかなりの潜在能力を秘めてるわ!これは時期団長として育成のしがいがあるわね!」
みくる「え、えぇ~...」
ハルヒ「有希もそう思わない?あの子の姉としてこれは誇らしい事だと思うわ」
長門「……」
ハルヒ「…有希?」
長門「何?」
ハルヒ「あ、いやね?有希はしんのすけ君の事凄いと思わない?」
ハルヒ「あんな面白い子は世界中探しても中々いないわよ!」
長門「…そう」
ハルヒ「…うーん」
みくる「どうかしました?」
ハルヒ「えっと、有希としんのすけ君って本当に姉弟なのよね?」
ハルヒ「その割りにはあまりに似てないなぁーって…」
みくる「あ、それはその…」
ハルヒ「あんなに表情豊かなの子なのに有希はいっつも無表情だから…」
ハルヒ「あ、別にそれが悪いって言ってる訳じゃないのよ?」
ハルヒ「ただちょっと気になっちゃったから…」
みくる「す、涼宮さんっ!あまり長門さんの家庭の事には…」
ハルヒ「あっ…そうね!これはあんまり首突っ込む事じゃないわ!」
ハルヒ「ごめんね有希…気を悪くしちゃったなら謝るわ。許してくれる?」
長門「…いい、気にしていない」
ハルヒ「…ふぅ、何か今日はダメね。もう帰ったほうがよさそうだわ」
ハルヒ「みくるちゃん、着替えて帰る準備して頂戴」
みくる「あ、はぁい分かりました~」
長門「……」
――――――――――――――――
しんのすけ「ふんふふんふふーん」カキカキ
キョン「しんのすけ、お前何作ってるんだ?」
しんのすけ「この前幼稚園で作ったやつー」
キョン「どれどれ…ほう」
しんのすけ「キョン君にはあげないゾ」
キョン「もしかして、長門にか?」
しんのすけ「ぴんぽーん!」
キョン「ハハッ。それはあいつも喜ぶだろうな」
しんのすけ「でしょー?組長がごほん好きな人にあげたら喜ぶって言ってた」
キョン「組…あぁ、なるほどな」
しんのすけ「キョン君にはオラとくせいのなまこのもけいあげるね」
キョン「いらん」
しんのすけ「えんりょなんてしなくていいゾ~」
キョン「…はぁ、やれやれだ」
しんのすけ「はぁ、やれやれだぜ」
キョン「真似するな」
しんのすけ「あ、ゆきちゃんだ」
長門「……」
キョン「ん?もう部活はお開きになったのか?」
長門「……」コクリ
キョン「そうか、じゃあコイツの事よろしくな」
しんのすけ「ねぇねぇゆきちゃんオラはらへったー。今日のばんごはんなにー?」
長門「…カレー」
しんのすけ「なんと!二日続けてカレーですと!?」
しんのすけ「ゆきちゃんはお金持ちですなぁ~えへぇ」
キョン「おいおい、あんまりカレーばかり食べてると身体壊すぞ」
長門「…そう」
キョン「…長門?」
長門「何?」
キョン「いや…」
キョン「何かあったか?」
長門「……」
長門「何も」
キョン「そ、そうか」
キョン「じゃあ、帰るか」
しんのすけ「アークションかめーん。せいぎのかーめーんー」
キョン「ゴゴッゴー・・・」
しんのすけ「れっつごー!」
しんのすけ「おぉ!チョンくんアクション仮面しってるの!?」
キョン「まぁな、だが俺はチョンじゃねぇ」
しんのすけ「アクショーンビーム!ビビビビビビビビ!」
キョン「ふははははは!そんなものかアクション仮面!ミミコはいただいた!」
しんのすけ「ぬおおっ!ひきょうだぞかいじんジュンくん!」
キョン「そんな引き篭もりみたいな名前じゃない!さらばだアクション仮面!はっはっはー!」
ダッダッダッダッダ…
しんのすけ「やれやれ…おとなと遊ぶのも疲れますなぁ」
長門「……」
しんのすけ「ゆきちゃーんはやくかえろー」
長門「……」テクテク
-長門宅-
長門「いただきます」
しんのすけ「いっただっきまーす」
しんのすけ「あぬうんうんうん…」
長門「……」モグモグ
しんのすけ「おぉ?今日のカレーはひとあじちがいますなぁ」
長門「…どうして分かる?」
しんのすけ「きのうはまったりまろやかぁ~だったけどぉ」
しんのすけ「きょうのはきりっとしてておとなの味だゾ」
長門「…今日は醤油を混ぜてみた」
しんのすけ「おぉ!ゆきちゃん分かってるぅ~」
しんのすけ「やっぱりカレーにはしょうゆだよねー」
長門「…私は」
しんのすけ「お?」
長門「ウスターソースが至高」
しんのすけ「おぉ!とーちゃんがいっつもソースかけてたゾ!」
しんのすけ「かーちゃんにかけすぎてよく怒られるんだ~」
長門「…そう」
しんのすけ「ゆきちゃんのカレーはソースいれてるの?」
長門「食べてみる?」
しんのすけ「いただきまーすぅ」
しんのすけ「んぐんぐ…」
長門「…どう?」
しんのすけ「んんまいっ!」
しんのすけ「こってりとしててしつこくないおあじ~」
しんのすけ「オラ、これきにいったゾ!」
長門「…そう」
しんのすけ「ん~」
長門「…何?」
しんのすけ「オラ、ゆきちゃんと一緒にいて思ったんだけどー」
長門「……」
しんのすけ「ゆきちゃん、もっとわらってたらすごくかわいくなるとおもうゾ?」
長門「……」
しんのすけ「そしたらみくるちゃんにもだんちょーさんにも負けないきれいなおねいさんになるんじゃない?」
長門「…」
しんのすけ「んでもってしょうらいはきっとないすばでいなおねいさんに…」
しんのすけ「…はっ!?オラはだめだぞ!オラにはななこというこいびとが」
長門「」
しんのすけ「…ゆきちゃん?」
長門「」ポロポロ…
しんのすけ「!?」
―――
しんのすけ「ゆ、ゆきちゃん…?」
長門「」ポロポロ
しんのすけ「どうしたの?お腹いたいの?」
長門「…分から、ない」ポロポロ
長門「理解…不能」ポロポロ
しんのすけ「ああ泣かないで!オラがなんとかするから!」
長門「……」
長門「……」ポロポロ
しんのすけ「えぇーっとええーっと…」
しんのすけ「そうだっ!」
しんのすけ「踊るケツだけ星人!あっぶーりぶーり♪」ブリブリ
長門「……」
しんのすけ「ほーらゆきちゃん、たらこのなみのりだぞ~」ウニュー
長門「……」ポロポロ
しんのすけ「ううっ…こうなったらー!」
しんのすけ「ひっさつ!」
しんのすけ「チンコプタアアアアアアアアアッ!!!!」ブルンブルンブルン!!!
長門「」
しんのすけ「うおおおおおおおおいつもよりおおくまわっておりまああああああすうううううっ!」プルンプルン
長門「……」
長門「……」ガシッ
しんのすけ「(∵)」
しんのすけ「あっちょ」
グイグイグイ
しんのすけ「そ、そんなに伸ばしちゃ…」
バチンッ!!!
しんのすけ「いやあああああああああん!」クルクル
しんのすけ「はぁ…はぁ…」
長門「……」
しんのすけ「もうおよめにいけない…」
しんのすけ「ゆきちゃんのいけずぅ…」
…クスッ
しんのすけ「おっ?」
長門「……」
しんのすけ「…ゆきちゃん、いま」
しんのすけ「わらった?」
長門「…分からない」
しんのすけ「ぜったいわらったゾ!」
しんのすけ「うわーいわーい!ゆきちゃんがわらったゾー!わーいわーい!」
長門「…これが、笑う?」
しんのすけ「やったーやったー!ぶりぶりぃ~ぶりぶりぃ~」
しんのすけ「ゆきちゃんをわらわせたゾー!ひゅーひゅー!」
長門「これが」
長門「笑う」
-翌日-
キョン「…んで、こんな朝から呼び出したのは何だ?」
しんのすけ「ん~オラまだ眠いぞ~」
長門「……」
長門「野原しんのすけを現在の次元から切り離す準備が完了した」
キョン「…そうか」
キョン「原因は何だったんだ?」
長門「おそらく野原しんのすけの世界に存在する媒体がこちらの媒体にリンクした事による情報伝達が原因」
キョン「媒体?」
長門「別世界の媒体は不明。しかしこちらの媒体は明らか」
長門「媒体は涼宮ハルヒが所有していた書物だと思われる」
キョン「…ほう」
長門「彼女は野原しんのすけをイメージし具現化をさせた」
長門「それと同時に野原しんのすけは別世界の媒体に触れ何らかのショックを与えたため、こちら側の世界にコンタクトを取る形になった」
長門「それは涼宮ハルヒ…又は私達をイメージさせる事のできる媒体であったのだと推測している」
キョン「…ん?ちょっと待て」
長門「何?」
キョン「いや…ちょっと確認したい事がある」
キョン「おいしんのすけ」
しんのすけ「なに~」
キョン「お前は俺達sos団の中で会った事のある奴がいるんじゃないか?」
しんのすけ「んもうやだなぁチュンくんったら~そんなナンパのほーほーは古臭いゾー」
キョン「…質問を変えてみよう」
キョン「お前、こっちに来るとき何か持ってなかったか?」
キョン「例えば…本、そうだ本だ」
しんのすけ「んんー持ってたような持ってないような…」
キョン「思い出してみろ。一昨日の出来事だろう」
しんのすけ「むむむ~」
しんのすけ「おぉおもいだしたゾ!」
キョン「何だ?」
しんのすけ「オラ、公園でごほん拾ったんだゾ」
しんのすけ「それにだんちょーの顔がかいてあったゾ」
キョン「…そうか」
長門「おそらくは」
キョン「あぁ、分かってる」
キョン(…ハルヒ)
キョン(お前は別世界でも有名らしいぞ)
しんのすけ「んで、そのごほんもって公園に行こうとしたら~」
しんのすけ「ゆきちゃんと会ったんだゾ?」
キョン「……」
長門「……」
しんのすけ「いやぁでもあのごほんをひろったかいがありますな~」
しんのすけ「だんちょーにもあえたしーみくるちゃんといっぱいお話したしー」
しんのすけ「あ、ゆきちゃんの笑った顔がみられたことがいちばんだったゾ!」
長門「……」
キョン「そう、か。そりゃよかったな」
しんのすけ「ねーねーゆきちゃん。今日は何して遊ぶー?」
しんのすけ「オラこの前のごほんもういっかい一緒に読みたいゾ!」
キョン「なぁ、しんのすけ」
しんのすけ「お?」
キョン「お前、そろそろ帰らなきゃいけないんじゃないか?」
しんのすけ「なんで?」
キョン「お前のかーちゃん、門限は何時だって言ってた?」
しんのすけ「うーん」
しんのすけ「はっ!五時だ!」
キョン「かーちゃん。怒ったら怖いだろ?」
しんのすけ「うっ…でも今朝の七時だゾ」
キョン「あぁ、朝の七時だ」
キョン「今日は平日だ。幼稚園には行かなくていいのか?」
しんのすけ「あ」
キョン「問題だ」
キョン「門限は午後の五時。今は朝の七時」
キョン「幼稚園バスに乗らないとかーちゃんが送り迎えをしなきゃいけない」
キョン「…かーちゃんはどのくらい怒る?」
しんのすけ「お、おおおおおおっ!!!妖怪ケツでかおばばのグリグリ攻撃だぁ~!」
しんのすけ「オラまだしにたくないぞおおおおお!」
キョン「大袈裟だな」
しんのすけ「キョン君はあの痛みを知らないからそんなのーてんきなこと言ってられるんだゾ!」
しんのすけ「あ、もしかしたらおつやのチョコビ抜きかも」
しんのすけ「ひいいいいいいいいっ!」
キョン「で、どうするんだ?」
しんのすけ「オラ、かえるっ!」
長門「……」
キョン「…だ、そうだぞ。長門」
長門「…了解した」
しんのすけ「ゆきちゃん!早くしないと妖怪ケツでかおばばが!」
長門「分かっている」
キョン「元の世界に戻る方法は?」
長門「私個人の媒体から向こうに直接コンタクトを行い、空間移動を行う」
キョン「…よく分からんが、よろしくな」
長門「…了解した」
キョン「っと、その前に」
キョン「おいしんのすけ。長門がお前に言いたいことがあるらしいぞ」
しんのすけ「お、ゆきちゃんが?」
長門「…私は何も」
キョン「そんな顔しても誤魔化せないぞ」
キョン「顔に書いてあるからな」
長門「……」ペタペタ
しんのすけ「ゆきちゃんなーにー?」
長門「……」
長門「…この二日間、あなたと行動を共にした事によって、有機生命体の観測を十分に行うことができた」
長門「特に貴方の奇怪な行動には興味深く、人間の新たな可能性を見出すことができた」
長門「情報統合思念体は貴方という異世界人を手放すには惜しいと考えている。しかし涼宮ハルヒへの過度な接触によって起こりうるとされる情報爆発は未知数なt」
キョン「……」ポカッ
長門「…何故、叩くの?」
キョン「ただの五歳児になに電波的な話をしてんだ」
キョン「もっと他に言う事があるだろ?」
長門「……」
キョン「恥ずかしがらないで言ってみなさい」
長門「……」コクリ
長門「野原しんのすけ」
しんのすけ「ほいっ!」
長門「この二日間。私という個体はとても充実していたと思われる」
長門「…ありがとう」
しんのすけ「ふむふむ」
長門「…何?」
しんのすけ「やっぱりゆきちゃんは笑ってる時の顔が一番おにあいだゾ」
しんのすけ「これからずっと笑ったらきっとしわよせになれるとおもうゾ!」
長門「…それを言うなら、幸せ」
しんのすけ「そうともいう~」
しんのすけ「ワッハッハッハッハーッ!」
長門「……」
キョン「もういいのか?」
長門「……」コクリ
しんのすけ「お、こってり忘れてた」
しんのすけ「ほいっ」
長門「…これは」
しんのすけ「オラが作ったんだゾ」
長門「…私に?」
しんのすけ「お礼は一億万円!ローンも可!」
キョン「長門、最後は気にしなくてもいい」
長門「…ありがとう。大事にする」
しんのすけ「大事にするだけじゃなくて、ちゃんと使ってよね~」
長門「…了解した」
長門「私は、これ」
しんのすけ「お?」
長門「…こんなものしか、思いつかなかった」
長門「ごめんなさい」
しんのすけ「おぉ!これオラが使ってたやつ!?」
長門「そう」
しんのすけ「ほっほほーい!ありがとござまーす!」
長門「……」
しんのすけ「さっそくかあちゃんに言ってカレー作ってもらおーっと」
しんのすけ「ゆきちゃん!大事に使わせもらうゾ!」
長門「…そう」
――――――――――――
長門「…ここを通り抜けると、元の世界に戻ることができる」
しんのすけ「……」
キョン「…ふぅ、お別れだ。しんのすけ」
しんのすけ「ねぇねぇ」
キョン「何だ?」
しんのすけ「また会える?」
キョン「……」
キョン「きっと、また会えるさ」
しんのすけ「ほんとに?」
キョン「ああ、約束でもするか?」
しんのすけ「おう!」
キョン「男同士の!」クイッ
しんのすけ「おやくそくっ!」クイッ
しんのすけ「ゆきちゃんもいっしょに!」
長門「私は女性に分類される」
しんのすけ「こまかいことはきにしないきにしない!はいっ」
しんのすけ「おとことおんなのぉーっ」
長門「…約束」
しんのすけ「これでよしっ!」
キョン「ほら、早く帰らないとかーちゃん怒るぞ」
しんのすけ「ほーい」タッタッタッ
長門「……」
しんのすけ「キョンくん、ちゃんとはーみがけよー」
キョン「お前こそ、ピーマン残すなよー」
しんのすけ「ゆきちゃーん!」
長門「……」
しんのすけ「今度来たときはカレーの玉ねぎ抜いといてねー!」
長門「…好き嫌いは、ダメ」
しんのすけ「ほーい」
「じゃ、そーゆーことでー」
―後日―
ハルヒ「うーん」
みくる「涼宮さーんできましたかー?」
ハルヒ「ちょっともみあげが気に入らないけど…まぁいいわ!完成!」
みくる「わー私これ知ってますー。トーテムポールの上の部分の顔ですよね」
ハルヒ「…これ、キョンの顔なんだけど」
みくる「えっ」
ハルヒ「……」
みくる「わ、わーホントそっくりですねー!特にこのもみあげの広がり具合とか特に…」
ハルヒ「いいのよみくるちゃん。私も薄々…」
長門「再現率99%。しかしこの彫刻を理解できる人類はこの時間帯には存在していない」
長門「貴女は隠れた芸術家、数十年後この作品は必ず世界遺産として評価されると私は」
ハルヒ「やめて有希!これ以上フォローしないで!すごく胸が痛い!」
キョン「…何やってんだアイツは?」パチッ
古泉「どうやら昔を懐かしんで粘土彫刻をしているようですね」パチッ
キョン「ふーん」パチッ
古泉「貴方は参加しなくてもよろしいのですか?」パチッ
キョン「別に」パッ
古泉「おっと、これは参りました」
キョン「弱いなお前、まぁ今知ったことじゃないが」
古泉「貴方が強すぎるのだと思いますよ?」
キョン「ぬかせ」
古泉「んっふ」
古泉「話は変わるのですが…」
キョン「何だ?」
古泉「長門さん、あれから随分と明るくなられたような気がします」
キョン「あぁ」
古泉「何か僕の知らない所で人頓着あったよですね。んふっ」
キョン「そうだな」
キョン「…確かに、長門は変わった」
キョン「いや、変わろうと努力しているのかもしれん」
古泉「努力、ですか?」
キョン「なぁ、お前金のがちょうって話知ってるか?」
古泉「えぇ、知っています」
キョン「アホな木こりがお姫様を笑わせて、なんやかんやで二人は結婚するって話だが…」
キョン「長門にとってのアホな木こりは、おそらくアイツの事だったんだろう」
古泉「長門さんをあそこまで変えてみせたのが彼の功績だと?」
キョン「あぁ。そこまで立派なことをした訳じゃあないと思うが…」
キョン「長門にとってアイツは、自分を変えようと決心するほど刺激を貰ったんだろう」
キョン「ま、恋のキューピットならぬ、笑顔のキューピットって所だな」
古泉「」
キョン「…おい古泉」
古泉「なんでしょう?」
キョン「何で後ろ向いてんだお前」
古泉「いえいえ別に、ブッ。何でも、ないです…」プルプル
古泉「笑顔の…笑顔…の、キュ、ピッ、ト」
古泉「ぶほぉww」
キョン「おいこら、古泉お前どういうことだ」
古泉「だってwwwwwだってっwwwwwwブフッwwwwwww」プルプル
古泉「すいませんwwwwww僕www少しwwwwトイレにwwwww」ダッ
キョン「逃がすか!待ちやがれっ!」ガタッ!
ハルヒ「あれ?男共は一体どこに消えたの?」
みくる「さぁ…さっき古泉くんとキョンが急いで外に行ってるのを見ました」
ハルヒ「全く、今は団活中だってのにふざけてるわね!帰ってきたら私が直々に説教をしてやるわ!」
みくる「アハハ…あれ?」
ハルヒ「どうしたの?」
みくる「長門さぁん。これ、一体何ですかぁ?」
長門「海鼠」
みくる「ふぇ?」
長門「主に棘皮動物門に属する動物の一群であり、体が前後に細長く、腹面と背面の区別がある。見かけ上は左右相称であるが、体の基本構造は棘皮動物に共通した五放射相称となっている。体表が刺や硬い殻ではなく、比較的柔軟な体壁に覆われ」
みくる「ひええぇ!わ、分かりました!もう大丈夫です!」
長門「そう」
ハルヒ「…にしても、何で海鼠なの?もっとこう普通の魚とかいろいろあったでしょうに」
長門「…気に入ったから」
ハルヒ「そ、そう…」
長門「……」ペラッ
ハルヒ「有希、栞変えたの?」
みくる「あ、ホントだ。いつもの真っ白な栞じゃないですね」
長門「…貰った」
ハルヒ「ふぅん。あっ、ちょっと待って!」
ハルヒ「この豚の絵って…アレよね!」
長門「…そう」
ハルヒ「へぇーよく出来てるわねぇ。作者が書いたみたいにそっくりだわ」
みくる「長門さーん、私にも見せてくださーい」
長門「…これは、私の」
―――――――――――――――――――
「かーちゃん!はらへったー!」
「はいはい分かってるっての!ちょっとぐらい待ちなさいよみっともない!」
「グズグズしてるとせっかくのカレーが逃げちゃうゾ!」
「心配しなくてもカレーは逃げません。はい、しんちゃんの分」
「ほっほほーいい。いっただきまーす」
「たい!たたいのお、たいやっ!」
「はいはいひまちゃんもお腹がすきましたねー」
「ん?しんのすけ。お前のスプーンってそんなにでかかったか?」
「それが聞いてよー。しんのすけったらせっかく買ったアクション仮面のスプーン使わないでこればっかりなのよ」
「アクション仮面のは幼稚園で使うやつの!カレーはこのスプーンで食べるんだゾ!」
「ほほう、しんのすけもこだわりのわかる男になったってことか!」
「こだわりってなに?カレーとウンチのちがいみたいなやつ?」
「うんこ食ってる時にカレーの話すんじゃねーよ!」
「逆よ逆!きったないわねー」
「とにかく!カレーは絶対このスプーンで食べるの!」
「はぁ、別にいいけど、何でそのスプーンじゃないとダメなのよ?」
しんのすけ「だって、これはオラの…」
『私(オラ)の、大切な宝物だから』
しんのすけ「だゾ!」
―終わり―
乙
ほんわかしてて素敵だったわ
久しぶりにしんちゃんの原作とアニメ見たくなってきた……
Entry ⇒ 2012.10.21 | Category ⇒ 版権物SS | Comments (0) | Trackbacks (0)
アックマン「ハンター試験?」
アックマン「占いババ様がぁ?」
鬼「そのハンター試験とやらに合格して、ハンター証を取って来いとの事だ」
アックマン「おい、鬼……そのハンターってのはなんだ?」
鬼「世界中に居る珍獣・怪獣の保護や狩り、希少な鉱石・宝石の入手。はたまた賞金首を狩るといった」
鬼「占いババ様のいる近辺では稀な職業らしい」
アックマン「ふぅむ……中々面白そうだな、ぬはは!」
アックマン「しかし、俺様を選んだ理由が分からんな」
鬼「お前は占いババ様の戦士の仲で腕がたつんだろ?なら、選ばれて当然じゃないか」
アックマン「それもそうか……ぬは、ぬは、ぬははは!!」
レオリオ「なんだアイツ……」
クラピカ「悪魔のコスチュームか……?」
ざわざわ……
ゴン「元気でねー!!」
ゴン「絶対、立派なハンターになって戻ってくるからーー!!」
モブ「くっくっく……立派なハンターか」
モブ「なめられたもんだな」
モブ「この船だけで(ry」
ゴン「……(あの人、背でっかいなー)」チラ
アックマン「こいつ等、ジロジロと俺様を……。ムカつく野郎共だ」
アックマン「まぁいい、はんたー証?の為だ、見逃してやるか!ぬは、ぬは、ぬははは!」
ゴン「(明るいおじさんだなぁ)」
アックマン「ふぅむ……流石は占いババ様。厳しい環境に身を置かなければならないほどハンターは厳しいのか」
モブ1「あっ!アイツ、空を飛んでやがおぼろろろろ」
モブ2「馬鹿な、何かの間違いだおぼろろろろ」
アックマン「ぬははは、俺様を見て驚いてやがる」
アックマン「どれ、いっちょライバルを減らしてみるかぁ?」
アックマン「貴様らぁ!このアックマン様の攻撃を避けてみろ!」ボウンッ
ゴン「フォーク!?」
アックマン「フォークアタック!」ビュンビュン
モブ2「フォーク形状の槍か!?どこから!?」
アックマン「槍を衝動買いしてしまった事は、マージョンには内緒にせねばならんな」
ゴン「うわっ!おっと!」
アックマン「むぅ?あの小僧……中々すばしっこいな」
アックマン「どぉれ、俺様の攻撃をどこまで避けられるか!試してやろう!」ビュビュンビュン!
ゴン「!」ヒュンヒュンヒュン!
アックマン「……!全部、避けやがった?」
ゴン「おじさん危ない!波が!」
アックマン「?」
ザバァァァァン!
船長「まぁまぁの波だったな」
船員「そうですね」
船長「今年の客はどうしてる?」
船員「例年通りですよ」
船員「ほとんど全滅です」
船長「情けねぇ連中……だ、って」
船長「おい、このフォークみてぇな槍はどうした?」
船員「槍?あぁ、それなら」
船員「あそこで倒れている男の物かと」
アックマン「……」
ゴン「ほい、水だよ。この草かむと楽になるよ」ア、スンマセン
船長「どうでもいいが、アイツの服装なんだ?」
船員「さぁ」
船長『命が惜しい奴は今すぐ救命ボートで近くの島まで引き返すこった』
ナニィィ!?ウワァァァ!
船長「結局、客の中で残ったのはこの4人か。名を聞こう」
レオリオ「俺はレオリオという者だ」
ゴン「俺はゴン!」
クラピカ「私の名はクラピカ」
アックマン「俺様は正義の悪魔!アックマン様だ!」
レオリオ「(何言ってんだコイツ)」
船長「お前ら、なぜハンターになりたいんだ?」
アックマン「それだけだ」
レオリオ「おい待てオッサン!勝手に答えるんじゃ」ジャキン
アックマン「地獄へ連れてってやろうかぁ?小僧」
レオリオ「なんでも無いです」
クラピカ「……!(ふざけた容姿だが実力はある様だな……)」
ゴン「オレは親父が魅せられた仕事がどんなものかやってみたくなったんだ」
レオリオ「……俺はあんたの顔色をうかがって答えるなんてまっぴらだから正直に言うぜ」
レオリオ「金さ!金さえありゃなんでも手に入るからな!」
レオリオ「でかい家!いい車(ry」
アックマン「(いい悪人ヅラだ)」
レオリオ「おい」
レオリオ「お前年いくつだ、人を呼びすてにしてんじゃねーぞ」
船長「そっちの兄ちゃん、お前は?」
クラピカ「もっともらしい嘘をついて……」
船長「ほーお、そうかい」
船長「それじゃお前も今すぐこの船から降りな」
船長「まだ分からねーのか?すでにハンター試験は始まってるんだよ」
アックマン「……ん?」ピクッ
ゴン「?どうしたの、おじさん?」
アックマン「小僧、よぉく覚えておけ。俺様の名前はアックマンだ!」
ゴン「アックマンさん、どうしたの?」
アックマン「いやなぁに、ちょいとアイツの……目が気になったのさ」
ゴン「目?クラピカの?」
クラピカ「!」
クラピカ「貴様、クルタ族を知っているのか!?」
船長「!!クルタ族……」
アックマン「そうそう……クルタ族。よぉーく覚えてる……怒ると目が赤色になる奴ら」
クラピカ「貴様、まさか幻影旅団か!?」
アックマン「何人かは地獄に来ていたからなぁ……殺されたらしいが」
クラピカ「質問に……答えろ!」
アックマン「俺様は別に殺してもいなければ、幻影旅団とやらも知らん」
クラピカ「なら貴様は……何者だ!?」
アックマン「聞こえてなかったか?俺様は、正義の悪魔アックマン様だ!」
船長「ムダ死にすることになるぜ」
クラピカ「……」
クラピカ「死は全く怖くない」
クラピカ「一番恐れるのはこの怒りがやがて風化してしまわないかということだ」
アックマン「死が怖くないか……ぬはは!」
ゴン「ねぇ、アックマンさん」
ゴン「アックマンさんって本物の悪魔なの?」
アックマン「んん?あぁ、正真正銘の悪魔だ」
ゴン「へーっ!アックマンさんって本物の悪魔だったんだー!」
レオリオ「(んなわけねぇだろ!?)」
アックマン「よぉし、小僧外に出な。俺様の恐ろしさを目に焼き付けてやる」
ゴン「うん!」
クラピカ「(馴染んでいる……)」
レオリオ「(馴染んでる……)」
船長「!!」
ザザァァァン!ドォォンビュウウザザァァァンン!!
アックマン「いいか、よく見ておけよ?」ボウン
アックマン「これが俺様の武器だ」
ゴン「あの時のフォークだよね!」
アックマン「いかにもぉ!俺様のフォークアタックを避けきった奴は、久しく見ていなかったぜぇ!」
アックマン「小僧、確かゴンといったか?」
ゴン「うん!ゴン=フリークスだよ!」
アックマン「そうか、お前を見ていると……何となく奴を思い出すな」
ゴン「?」
アックマン「ソイツはなぁ……」
カッツォ「ぎゃっあう」
船員「カッツォ!」
レオリオ「チイッ」
ゴン「」ダッ
アックマン「まぁったく……貴様ら人間は脆すぎる」
ゴン「!?」キィィッ
クラピカ「なっ……!?」
レオリオ「!?」
アックマン「ほれ」ポイッ
船員「うおっ」
アックマン「ソイツの手当てでもしてやれ」
アックマン「傷は浅いはずだぁ……ぬはは!」
レオリオ「本当に……悪魔なのか……?」
ゴン「すっげー……」キラキラ
アックマン「(占いババ様は……何故ハンター証が欲しいのだ……?)」
クラピカ「……先ほどの、失礼な言動を詫びよう。すまなかった、アックマンさん」
レオリオ「俺もさっきの言葉は全面的に撤回するぜ、アックマンさん」
アックマン「そうか、そうかぬははは!貴様ら気に入ったぁ!」
アックマン「今日の俺様はすごく気分がいい!
アックマン「貴様ら3人は俺様が責任もって審査会場最寄りの港まで連れて行ってやろう!」
船長「」
男「なんだアレ……」
女「人?人が飛んでるわ……」
バサッバサッ
アックマン「着いたぞ」
レオリオ「すげぇ人だな。えーとザバン市に向かう乗り物は……」
クラピカ「おそらく彼らの殆どが我々と同じ目的なのだな」
船長「(ソイツを見に来たギャラリーばっかりだろ……)」
ゴン「船長!色々ありがとう!元気で」
船長「うむ、達者でな」
船長「最後にわしからアドバイスだ」
ゴン「?」
船長「あの山の一本杉を目指せ。それが試験会場にたどりつく近道だ」
ゴン「分かったありがとう!」
ゴン「おーいアックマンさーん!あの一本杉がー……」
船長「……ジン」
船長「お前の息子はいい子に育ってる」
船長「ただアイツがいる限りハンターは無理な気がする」
レオリオ「見ろよ、会場があるザバン地区は地図にもちゃんとのってるデカイ都市だぜ」
レオリオ「わざわざ反対方向の山にいかなくても、ザバン直行便のバスが出てるぜ」
レオリオ「近道どころかヘタすりゃ無駄足だぜ」
クラピカ「彼の勘違いではないのか?」
ゴン「とりあえずオレは行ってみる。きっと何か理由があるんだよ」
アックマン「ぬははは!なら、俺様もこっちから行くかぁ!」
クラピカ「……ならば私も」
レオリオ「じゃあ、俺も行くぜ!」
クラ・レオ「(絶対に安全だからな!)」
アックマン「ぬははは!」
レオリオ「下はうすっ気味悪そうな所だなぁ、人っ子一人見当たらねーぜ」
クラピカ「すまないな、アックマンさん」
アックマン「ふん、貴様ら人間など軽い軽ぅい!」
ゴン「下に何かトラップでもあったのかな?」
クラピカ「……なぜそう思う?」
ゴン「だって下から小さいけど息づかいが聞こえるもん!」
クラピカ「(この距離で聞こえるのか……ゴンの聴力はすごいな)」
アックマン「さぁてぇ、あの山の頂上でも目指すかぁ!」
レオリオ「!道分かるのか!」
アックマン「勘だが?」
レオリオ「……」
バッサバッサ
婆「(;ω;)」
クラピカ「しかし……此処からどうすれば」
ゴン「あ!見て、小屋がある!」
レオリオ「……まさか、あそこが試験会場なんていうんじゃないだろうな」
アックマン「迷った時はなぁ、行ってみよう!」
クラピカ「そうだな、行ってみよう」
クラピカ「……静かだな」
クラピカ「我々以外に受験者は来ていないのか?」
コンコン
レオリオ「入r」
アックマン「貴様等ぁ!少し下がってろ!」
レオリオ「なっ!?」
クラピカ「二人とも伏せろ!」
アックマン「フォークアタァァァック!!」ビュン
ギィヤアァアァァァァァ
アックマン「入るぞ」
レオリオ「流石だぜ」
ゴン「かっけー……」
ガチャ
アックマン「そうか、貴様等を地獄に送ればハンター試験クリアだなぁ?」
キリコ「ガクガクブルブル」
キリコ(男)「ちちち違う!私たちは案内役で、試験官じゃない!」
ゴン「アックマンさん!この魔獣は本当のこと言ってるよ!」
アックマン「そ、そうなのか?」
アックマン「そうか……驚かせてすまなかった!ぬは、ぬは、ぬははは!」
アックマン「んでぇ?道案内はしてくれるんだろうなぁ?」ジャキン
キリコ「」
キリコ「ツバシ町の2-5-10は……と」
クラピカ「アックマンさんはやはり強いな」
レオリオ「なんせ、あの後強制的に俺達を合格にしてくれたからな」
ゴン「キリコ達、目が泳いでたね」
アックマン「なぁにお安い御用だぁ!ぬは、ぬは、ぬははは!」
キリコ「向こうの建物だな」
アックマン「流石……占いババ様直々の命令だけあって、すげぇ建物だな」
レオリオ「ここに世界各地から」
クラピカ「ハンター志望の猛者が集まるわけだな」
ゴン「(親父もこんな気持ちだったのかな……)」
レオリオ「……どう見てもただの定食屋だぜ」
レオリオ「冗談きついぜ案内役さんよ」
レオリオ「まさか、この中に全国から無数のハンター志望者が集まってるなんて言うんじゃねーだろ」
キリコ「そのまさかさ」
おっちゃん「いらっしぇーい!」
クラピカ「……」
おっちゃん「御注文はー?」
アックマン「そうだなぁ……このトンカツ定食を一つ」
キリコ「悪いけど黙ってて」
キリコ「ステーキ定食」
おっちゃん「焼き方は?」
キリコ「弱火でじっくり」
おっちゃん「あいよー」
店員「お客さん、奥の部屋へどうぞー」
ジュー ジュー ジュージュージュー
アックマン「ほう……美味そうだなぁこりゃあ」
キリコ「一万人に一人」
ゴン「?」
クラピカ「?」
レオリオ「?」
アックマン「」ガツガツ
キリコ「ここに辿りつくまでの倍率さ。お前達、新人にしちゃ上出来だ」
キリコ「それじゃ頑張りなルーキーさん達とアックマンさん」
キリコ「お前らとアックマンさんなら来年も案内していいです」カチ
ウィーーーーン
キリコ「(絶対案内しない)」
レオリオ「まるで、俺達が今年は受からねーみたいじゃねーか」
クラピカ「3年に1人」
クラピカ「初受験者が合格する確立、だそうだ」
クラピカ「新人の中には余りに過酷なテストに精神をやられてしまう奴」
クラピカ「ベテラン受験者のつぶしによって」
クラピカ「二度とテストを受けられない体になってしまった奴などざららしい」
ゴン「でもさぁ」
ゴン「オレ達にはアックマンさんがいるから安心だよね」
クラピカ「……それもそうだな」
レオリオ「俺達にはいらねー心配ってことだぜ!」
クラピカ「着いたらしいな」
レオリオ「……」
アックマン「」ガツガツ ゲェプ
ゴン「着いたよ、アックマンさん」
ウィーン
「!!」
ザワザワ…ザワザワ…
アックマン「(ふん、一体どんな化け物共が相手かと思えばぁどいつもこいつも大した事ねぇなぁ)」
アックマン「(拍子抜けって感じだなぁ!これなら楽々合格、簡単な仕事だったぜ)」
ゴン「一体、何人くらいいるんだろうね」
トンパ「君たちで406人目だよ」
トンパ「よっ、オレはトンパ。よろしく」
トンパ「新顔だね君たち」
ゴン「分かるの?」
トンパ「まーね!なにしろオレ、10歳からもう35回もテスト受けてるから」
ゴン「35回!?」
アックマン「(コイツは人の良い顔をしてるが……悪人だ、今の内に殺っておくかぁ?)」
アックマン「(……ヘタに行動して、失格になるかもしれん。やはり様子を見るか……)」
レオリオ「(いばれることじゃねーよな)」
クラピカ「(確かに)」
トンパ「当然よ!よーし、色々紹介してやるよ!」
~紹介中~
トンパ「~とまぁここら辺が常連だな」
トンパ「実力はあるが、今一歩で合格を逃してきた連中だ」
「ぎゃあああああ!」
ゴン「!」
ヒソカ「アーラ不思議♥」
ヒソカ「腕が消えちゃった♠」
モブ「お オ」
モブ「オ オオオレのォォ~~」
ヒソカ「気をつけようね♦人にぶつかったら謝らなくちゃ♠」
トンパ「44番 奇術師ヒソカ」
トンパ「去年、合格確実と言われながら気に入らない試験管を半殺しにして失格した奴だ」
レオリオ「そんな奴が今年も堂々とテストを受けれんのかよ……!」
トンパ「当然さ。ハンター試験は毎年、試験管が変わる」
トンパ「そして、テストの内容はその試験管が自由に決めるんだ」
トンパ「その年の試験管が「合格」と言えば」
トンパ「悪魔だって合格できるのがハンター試験さ」
ゴン「……」チラ
クラピカ「……」チラ
レオリオ「……」チラ
アックマン「……?」
トンパ「極力近寄らねー方がいいぜ」
アックマン「ふぅむ……」
アックマン「ではぁ、奴がどれほどの奴か俺様が試してやろう……」
アックマン「ふん!」ゴワァァァァ
ヒソカ「!?」
ヒソカ「(この気迫……!140点!!)」ビーン!
ヒソカ「(ふふふ……♥ふふふふ……♥)」
ヒソカ「(彼は絶対、僕の獲物だ♠)」
トンパ「(なんだ……コイツの気迫!?)」
ゴン「アックマンさんの周りに……気みたいなのが見える!」
レオリオ「すげぇ……禍々しい色だぜ」
クラピカ「悪魔っていうのは本当なのか……?」
アックマン「あのヒソカとかいう奴は……まぁまぁだな、ぬはは!」
トンパ「マズイのに関わっちまった」
キルア「……マジかよ」
トンパ「俺が色々教えてやるから安心しな!」
ゴン「うん!」
トンパ「おっとそうだ」ゴソゴソ ジュース!
トンパ「お近づきのしるしだ、飲みなよ」
トンパ「お互いの健闘を祈って乾杯だ」
ゴン「ありがとう!」
トンパ「(くくく、そのジュースは強力な下剤入り!)」
トンパ「(一口飲めば(ry」
ゴン「れろ」ダーー
ゴン「トンパさんこのジュース古くなってるよ!味がヘン!」
トンパ「え!?あれ?おかしいな~~?」
アックマン「やはりな……」
トンパ「え?」
アックマン「貴様を見た時から悪人だとは分かっていたが……毒を盛っていたな?」
トンパ「いや、毒じゃなくて……」
アックマン「悪魔を相手取るとはなぁ……いい度胸だ」
アックマン「その卑劣な行為を、あの世で懺悔するがいい!」
トンパ「いやちょっと」
アックマン「俺のこの目が真っ赤に光るぅ……貴様を倒せと妖しく囁くぅ……」
アックマン「いーんしつ……!」
トンパ「あ、あ、あああ」
アックマン「アクマイト光線!」
アックマン「それ!ドカン!」
ドカァァァァァァン!!
ナンダナンダ!?バクハツシタゾ!
レオリオ「な、なんだ!?」
クラピカ「トンパが……爆発した!?」
ゴン「」
アックマン「そぉだそぉだ……貴様らにはこの技の説明をしてなかったなぁ」
アックマン「俺様の必殺技アクマイト光線は、邪心を増幅させ爆発させることができるのだぁ!」
アックマン「どんなに良い子ちゃんぶった奴にも、少なからず邪心は存在するからなぁ!」
ヒソカ「(180点……ハァハァ♥)」
ゴン「かっけー……」
クラピカ「ゴン、それは違う」
レオリオ「えげつねぇな……グチャグチャだぜ」
キルア「(;ω;)」
ギタラクル「(涙目キルアの写メ撮っとこ)」パシャ
レオリオ「ジュースだって、勘違いで古くなってただけかもしれねぇぜ?」
ニコル「いえ、そこの方の行動は正解ですよ」
レオリオ「……誰だ?」
ニコル「二コル、といいます。以後お見知りおきを」
ニコル「今見たところ、トンパさんは本試験連続30出場という歴代1位の記録を持っています」
ニコル「成績上位ですが、合格できないのは別の目的に気をとられているから」
ニコル「彼は”新人つぶし”のトンパと言われています」
レオリオ「新人……つぶし?」
ニコル「だから、成績上位でありながらも合格することが出来てないんです」
クラピカ「トンパがそんな奴だったとは……」
アックマン「人は見かけによらねぇってこった!」
ジリリリリリリリリ!ジリリリリリリリリ!
サトツ「ただ今をもって受付時間を終了いたします」
サトツ「では、これよりハンター試験を開始します」
アックマン「(アイツもまぁまぁ……ってところか)」
サトツ「こちらへどうぞ」
サトツ「さて、一応確認しますが」
サトツ「ハンター試験は大変厳しいものもあり、運が悪かったり実力が乏しかったりするとケガしたり死んだりします」
サトツ「先ほどのように受験生同士の争いで再起不能になる場合も多々ございます」
ヒソカ「♠」
アックマン「ぬはは……」
サトツ「それでも構わない――という方のみついて来てください」
ザッザッ
サトツ「承知しました、第一次試験404名。全員参加ですね」
レオリオ「当たり前の話だが誰一人帰らねーな」
レオリオ「ちょっとだけ期待したんだがな」
ゴン「……」
クラピカ「おかしいな」
クッ ダダダダダダダ
レオリオ「おいおい何だ?やけにみんな急いでねーか?」
クラピカ「やはり進むペースが段々早くなっている!」
ゴン「前のほうが走り出したんだよ!」
アックマン「……」フワフワ
ゴン「あ、そっか。アックマンさんは悪魔だから飛べるんだったよね」
アックマン「ぬはは!このアックマン様に不可能はぬぁい!」
アックマン「どれ……貴様らも乗せていってやろうか?」
ゴン「いいの!?」
アックマン「大船に乗ったつもりでいけぇ!ぬは、ぬは、ぬははは!」
クラピカ「助かった」
レオリオ「ありがとうアックマンさん!」
キルア「マジで?」
サトツ「これより皆様を二次試験会場へ案内いたします」
アックマン「なにぃ?ハンター試験はまだ始まらないのか?」
サトツ「もう始まっているのでございます」
サトツ「二次試験会場まで私について来ること」
サトツ「これが一次試験でございます」
アックマン「ならば大した試験じゃない、さっさと二次試験会場へ行くぞぉ!」
ゴン「おーっ!」
サトツ「(悪魔ですかね)」
キルア「(悪魔だよな)」
ギタラクル「(悪魔だね)」
ヒソカ「……」ペロ
キルア「」スーッ
レオリオ「おいガキ汚ねーぞ。そりゃ反則じゃねーかオイ!」
キルア「何で?」
レオリオ「何でってオマ……」
レオリオ「こりゃ持久力のテストなんだぞ!」
ゴン「違うよ、試験官は付いて来いって言っただけだもんね」
レオリオ「ゴン!!テメ、どっちの味方だ!?」
クラピカ「怒鳴るな、体力を消耗するぞ」
クラピカ「何よりまずうるさい、テストは原則として持ち込み自由なのだよ」
レオリオ「~~~」
キルア「(お前らも下の悪魔みたいなのに乗ってるよな)」
キルア「……」
キルア「ねぇ君、年いくつ?」
アックマン「いくつか当ててみな」
キルア「アンタじゃない」
ゴン「もうすぐ12!」
キルア「……ふーん」
キルア「(同い年……ね)」
ゴン「?」
キルア「やっぱ俺も乗っていい?」
ゴン「アックマンさん、大丈夫?」
アックマン「少しスピードは下がるが……支障はぬぁい!ぬはははは!」
ゴン「ノリノリだから大丈夫」
キルア「さんきゅー」
ゴン「俺はゴン!」
キルア「おっさんの名前は?」
レオリオ「おっさ……これでもお前らと同じ10代なんだぞオレはよ!」
ゴン・キル・アック「うそぉ!?」
レオリオ「あーーー!ゴンとアックマンさんまで……!ひっでーもう絶交な!」
クラピカ「(離れたい)」
クラピカ「(およそ三時間)」
クラピカ「(40kmくらいは飛んでたんだろうかw)」
クラピカ「(後ろではきっと何人か脱落してるんだwろwうwがwww)」
クラピカ「(いったいいつまで待てばいいんだ?www)」
ニコル「(馬鹿な……馬鹿な馬鹿な馬鹿な!)」
ニコル「(オレが脱落!?そんな馬鹿な!)」
ニコル「いやだ……たくない……」
ニコル「ゼヒューゼヒュー」ガシャッ
アックマン「……そろそろ、何人かは後ろでリタイアだ」
ゴン「何でそう思うの?」
アックマン「あの階段を見たら一目瞭然ってわけだ!」
キルア「おー……たっけぇ(大したこと無いけど)」
レオリオ「俺たちは勝ち組だな」
クラピカ「必死に走ってる奴らざまぁww」
アックマン「あぁ、上げろ上げろ!ぬは、ぬは、ぬははは!」
ゴン「頑張れサトツさん!」
キルア「おっさーん、もっと速く走ってもいいんじゃないの?」
クラピカ「私もキルアに賛同だな、あまりにもスローペースでは時間を無駄にしてしまう」
レオリオ「よっしゃ!サトツさん……だったか?もっとスピードを上げてくれ」
サトツ「(この悪魔が試験官やった方がいいような……)」
スタスタスタスタ
アックマン「(しかしつまらんな……こんな調子じゃはんたー証など簡単に取れそうだ)」
アックマン「(少ぉし縛りルールを決めてみるか)」
アックマン「(ゴン、クラピカ、レオリオ、キルア)」
アックマン「(この4人を欠ける事無くハンターにする、たまには俺様も良いことしないとなぁ)」
アックマン「(ぬはは……そうか、これは修行の一環か)」
アックマン「(孫悟空打倒の為に、俺様を此処へ行かせたわけだなぁ……?)」
アックマン「ぬはは!上等!俺様の力を存分に見せ付けてやるぜぇ!」
サトツ「(変わった悪魔ですな)」
ゴン「?どうしたのアックマンさん?」
アックマン「俺様がライバルを……減らしてやろう!」ボンッ!
サトツ「!(槍を……具現化系の能力者?)」
アックマン「貴様らぁ……」
アックマン「悪魔に殺されたことはあるかぁ……?」
アックマン「フォォォォクアタァァァック!!」
バシュンバシュンバシュンバシュンバシュンバシュン
バシュンバシュンバシュンバシュンバシュンバシュン
バシュンバシュンバシュンバシュンバシュンバシュン……
モブ達「うわぁぁぁぁ!」
ハンゾー「うおっと!」
ヒソカ「♥♥♥」ゾクゾクゾク
ギタラクル「(あの悪魔のせいで……キルアの写真が撮れなくなった)」
ギタラクル「(殺すか)」
脱落者 187名
サトツ「(……確かに、その年の試験官が合格と言えば悪魔だって合格できるのがハンター試験)」
サトツ「(しかし……本物の悪魔を実際に見ると、どうすればいいか困りますね)」
サトツ「(と、そんな事を考えている間に出口ですか)」
ハンゾー「ふぅ、ようやく薄暗い地下からおさらばだ」
ザッ
モブ「ここは……」
サトツ「ヌメーレ湿原。通称”詐欺師の塒”」
サトツ「二次試験会場へは此処を通っていかねばなりません」
サトツ「この湿原に……」
アックマン「(まぁ、俺様の速さならぁ5分と掛かるまい!)」
アックマン「(……それにしても)」
アックマン「(後ろから妙な殺気を感じる)」
ヒソカ「♥」
ギタラクル「(殺)」
アックマン「しーっかりと捕まっていろよ?」
4人「え?」
アックマン「ぬああああっ!!」ビュウウウン!
4人「うわぁぁぁぁっ!?」
サトツ「(飛んだ……)」
ヒソカ「最悪♠」
ギタラクル「殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す……」
サトツ「(怖い)」
~上空~
アックマン「あの魔獣の時みたいに、何か小屋の様なものを探せば見つかるはずだ」
ゴン「何が?」
アックマン「二次試験会場に決まってるだろぉ?」
ゴン「あ……そうか(また小屋なのかぁ……)」
クラピカ「建物……みたいだな」
キルア「あそこが二次試験会場じゃねーの?」
レオリオ「二次試験会場か……まだ10分立ってねーよな?」
ゴン「あっという間だったね!」
アックマン「ぬはは!このアックマン様に不可能はぬぁい!」
サトツ「(続々とリタイアする者が出ていますな……しかし、その原因は)」
ギタラクル「イライラする」ビシュッビシュッ
モブ「あががぎぎぎぐぐぐ」
ヒソカ「つまんないの♦」
モブ「ぐあわわわわ」
サトツ「あの二人ですね」
サトツ「(会長に連絡した方がいいのでしょうか)」
ギタラクル「ゴワゴワする」ビシュビシュ
モブ「あががっががががっがが」
ヒソカ「(早くあの悪魔と殺りあいたい……♥」ザシュ
モブ「ぐあああああ!!」
サトツ「(80人減るんじゃないかな)」
ビーンズ「会長!ご連絡が」
ネテロ「んー?」
ビーンズ「先ほど、ハンター試験会場のサトツさんから、一次試験の時点で残り10名ほどになったと)」
ネテロ「」
ビーンズ「どうしましょう?」
ネテロ「どうしたもこうしたも……行くしかあるまい」
ネテロ「(10人?マジで?)」
アックマン「なんだなんだぁ?この奇妙な音はぁ?」
ゴン「獣の唸り声みたいな……」
レオリオ「アックマンさん、物怖じもせずに音がする方を見てるな」
クラピカ「というより、人数が大分絞られてないか?」
キルア「(ヒソカの野郎はしっかりと残ってるみてーだな)」
キルア「(その隣の針男はさっきから俺ばっかり見てるし……悪寒がする)」
ギタラクル「(キルアキルアキルアキルア)」
ゴン「あ、12時になった」
ギィィィ……グルルルルルルルギュルルルルルルル
レオリオ「!」
ブハラ「」ギュルルルルグルルルルガルルルゴォォォ
メンチ「どぉ?お腹は大分減ってきた?」
ブハラ「聞いての通りもーぺこぺこだよ」
メンチ「そんなわけで二次試験は”料理”よ!」
メンチ「美食ハンターのあたし達二人を満足させる料理を作ってちょうだい!」
キルア「料理!?」
メンチ「(本当に少ないわね……もう10人ちょいしかいないじゃない)」
~二次試験スタート~
アックマン「(豚か……孫悟空の周りをウロチョロしていたアイツも、豚だったなぁ……?)」
レオリオ「いやー正直ホッとしたぜ!簡単な料理でよ」
ゴン「豚捕まえて焼くだけだもんね」
クラピカ「しかし早く捕まえねば」
キルア「ハンター試験だし、一筋縄じゃいかねー豚かもな」
アックマン「ぬはははは!なぁに、この俺様にかかれば豚一匹など雑魚同然!」
アックマン「待っていろ、貴様等の分も合わせて30秒で狩ってきてやろう!」ビューン!
レオリオ「さっすがアックマンさんだぜ!もう姿が見えねぇ!」
ゴン「じゃ、俺たちは待っておこうか」
クラピカ「うむ、そうだな」
キルア「(こいつ等……)」
アックマン「ふぅ……なんだ、ただの豚じゃあねぇか……」
アックマン「これを持って帰って……ふん!む、重いな」
アックマン「まぁ、豚程度にてこずる俺様じゃあないがなぁ!ぬは、ぬは、ぬはははは!!」
アックマン「重い……」
ゴン「遅いねー」
レオリオ「まぁ、気長に待とうぜ」
クラピカ「まだ他の受験者も来てないしな」
キルア「(こいつ等結局スタート地点に戻ってきてるし……俺もだけど)」
ドドドドドドドド
レオリオ「おい、人が大分来たぞ」
ゴン「これってやばい?」
キルア「(行けばよかったorz)」
クラピカ「……あれは!」
アックマン「貴様等待たせたなぁ!」フラフラ
レオリオ「アックマンさん!」
ゴン「豚五頭を背負って飛んでるよアックマンさん!(ふらふらだけど)」
クラピカ「流石だな、アックマンさんは」
キルア「(こういうのを何ていうんだっけ?他力本願?)」
ブハラ「これも美味い」ムシャムシャ
ブハラ「うん、美味美味」ムシャムシャ
ブハラ「……って、もう無くなったの?」
ブハラ「物足りないな」
メンチ「全員通過」
レオリオ「よく食う奴だな……」
ゴン「ハンターって皆あーなのかな?」
クラピカ「まさか」
メンチ「二次試験後半、あたしのメニューは”スシ”よ!」
モブ「(スシ……スシとは……?)」
ヒソカ「(一体どんな料理だ?)
アモリ「分かるか?」
イモリ「いや……」
アックマン「(そうかそうかぁ……これは一見料理を作らせると見せかけ、俺様達の動揺を誘っていやがるなぁ?)」
アックマン「(つまぁり、本当は頭を使い考えるなぞなぞの様なものだな)」
アックマン「(スシ……なんて料理は聞いたことが無いからなぁ、ぬはは!)」
アックマン「(さぁてさて……ここらで俺様の悪魔的な脳細胞を活性化させて考えてみるかぁ)」
アックマン「(なぞなぞの一般的な流れだとぉ……スが4つあってスシ、なーんていう場合が多いらしいからな)」
アックマン「(テーマは料理ということもあって……答えも料理に関する物に違いねぇ!)」
アックマン「(ス……ス……酢?そうか!酢を4つで、スシだなぁ!)」
アックマン「(材料の中にも酢がある所から見て答えは……)」
アックマン「分かったぞぉ!」
「!!?」
アックマン「これとこれとこれとこれだな!どぉれ、俺様の悪魔的閃きに度肝を抜かすがいい!」トントントントン
ゴン「お酢を……4つ?」
メンチ「」
ブハラ「」
ハンゾー「」プルプル
ブハラ「酢が4つで……あーそういうこと!」
アックマン「どうだ!酢が4つでスシ、これが答えだろう!」
メンチ「……あのねぇ、あたしはなぞなぞじゃなくて料理を作れって言ってるんだけど」
アックマン「」
ハンゾー「酢がwww4つでwwwスシってwwwスシっtぶふぉああwwww」
アモリ「(コイツ知ってるな)」
~試食~
メンチ「食えるかぁぁぁ」
メンチ「403番とレベルが一緒!」
メンチ「ダメ!」
メンチ「違う!」
メンチ「ある意味惜しい!」
メンチ「酢はもういいっつってんだろうがぁぁ」
アックマン「なんだと!?」
メンチ「あーもー!どいつもこいつも!」
ハンゾー「そろそろ俺の出番だな」フッフッフ
ハンゾー「……こんなもん誰が作ったって味に大差ねーべ!?」
メンチ「お手軽!?こんなもん!?ざけんなてm(ry」
アックマン「(……む、マージョンに似ているなあの女)」
ブハラ「(出ちゃったよメンチの悪い癖……)」
ヒソカ「♥♥♥♥♥」
ギタラクル「(ヒソカがまた興奮しだしてる……本番はまだだし、まぁヒソカらしいっちゃらしいけど)」
ギタラクル「(お、キルアがご飯握ってる。写メ撮っとこ)」パシャ
メンチ「……悪!お腹いっぱいになっちった」
~ハンター試験二次試験 メンチのメニュー”スシ”~
~合格者0名!~
???『それはちとやりすぎじゃないか?』
「!!」
メンチ「!!」
???『というわけでワシが新たな試験を用意した、メンチ君。これ、やってみね?』
メンチ「え、あ、は、はぁ……」
アックマン「(どうした?あのメンチとかいう奴があれ程までに萎縮するとは……)」
アックマン「(あの飛行船の中からは、確かに中々の奴がいることは確かだが……)」
アックマン「(一応、潰しておくか)」
アックマン「フォークアタック!」ビュン
???『え?』パァン!
メンチ「あ……」
クラピカ「あっちの山の方まで落ちていってるな」
メンチ「あんた何やってんの!?あの飛行船は!審査委員会最高責任者のネテロ会長が乗った飛行船なんだぞゴルァ!」
アックマン「あ゛ぁ?そんなもん悪魔の俺様が分かるわけなかろうがぁ?」
メンチ「周りの状況と状態を見てそれくらい分かれっつってんのよ!」
アックマン「……本当なら貴様を殴り殺したいところだが、はんたー証の為だ。見逃してやろう、ぬはは!」
メンチ「(あたしに喧嘩を売るなんて……コイツ、ハンターにならなくても強いんじゃ)」
ブハラ「メンチ!とりあえず、会長の所に!」
メンチ「あ、うん!ほら、アンタ達もさっさと走れ!」
ゴン「アックマンさーん」
アックマン「任せておけぇ!」
レオリオ「俺も俺も!」
クラピカ「では私も」
キルア「じゃ、俺もー」
ゲルタ「じゃあ俺m「フォークアタック!」
~二次試験(二回目) ???スタート!~
~脱落者一名~
アックマン「ぬはは!なぁに、俺様の力をほぉんの少し出しただけさ」
レオリオ「流石だぜアックマンさん!」
クラピカ「正義の悪魔、というのも過言ではないな」
アックマン「当然!」
キルア「でもさーアックマンさん、アックマンさんって何でハンターになろうとしてるの?」
アックマン「む?いやなぁに、あるお方からのご命令なんだよ。はんたー証とかいうやつを取って来いと」
キルア「でも、それって本人じゃなきゃ使えないんじゃねーの?免許証みたいに」
アックマン「……え?」
キルア「他人の免許証持って運転してても無免許になるだろ?」
キルア「だから合格しても、多分アックマンさんしか使えないよ」
アックマン「(……じゃあ何故占いババ様は……)」
ゴン「あ!ホントだ!」
キルア「あれが会長?」
レオリオ「倒れてるな……」
クラピカ「あの歳だから腰の骨が折れてしまったんじゃないのか?」
アックマン「おいどうした!なにがあった!」
ゴン「…」チラ
キルア「…」チラ
クラピカ「…」チラ
レオリオ「…」チラ
アックマン「俺様?(……そぉいえばそうだな……まぁいいか!ぬはぬはぬはは!」
ネテロ「あいてて……無茶しおって……」
ゴン「だ、大丈夫ですか!」
クラピカ「ネテロ会長は無事みたいだな」
キルア「(あれでケガしてても拍子抜けだけど)」
ネテロ「ワシは大丈夫じゃが……ビーンズがケガを」
ビーンズ「も、申し訳ありません……」
アックマン「すまん、俺様はてっきり敵かと……」
ネテロ「活きがいいのも結構じゃが……そういう行動は以後慎んでくれたらありがたいの」
ネテロ「それより……ビーンズの手当てをしたいんじゃが医療の知識は生憎持ち合わせていなくての……」
レオリオ「そういうことなら俺に任せてくれよ!」
ゴン「レオリオ!」
レオリオ「俺はこう見えて医者を目指してるからよ、少しくらい役立たせてくれ」
クラピカ「流石だレオリオ」
ネテロ「お、役者は揃ったの」
ネテロ「じゃあ早速じゃが、二次試験最後のメニューは”ゆで卵”じゃ!」
メンチ「……!なるほど」
ネテロ「じゃあ頼んだぞメンチくん」
メンチ「はい!」
~移動そしてメンチ卵捕り成功~
メンチ「こういう風に谷から飛び降りて上手いこと糸に捕まって卵取ってよじ登ってくる」
メンチ「どう?」
アモリ「余裕だな」ピョーン
イモリ「あぁ」ピョーン
ウモリ「お、俺だって!」ピョーン
オレダッテ!ワタシモダ!
メンチ「(物怖じせずにひょいひょいと……今年の新人は期待できるわ)」
ネテロ「ほっほっほ、豊作豊作」
レオリオ「む、無理だ!こんなの、マトモな神経で飛び降りれるわけがねぇだろ!」
クラピカ「同じくだ、これは自殺行為に等しい。危ない橋はなるべく避けたほうがいいだろう」
ゴン「うりゃっ」ピョーン
キルア「よっと」ピョーン
レオリオ「」
クラピカ「」
クラピカ「アックマンさん、我々を下へ連れて行ってもらえないだろうか」
アックマン「よーしよし、任せろ!乗れ!」
レオリオ「助かったぜ!」
クラピカ「ふっ……感謝しよう」
アックマン「行くぞォォォォッ!」バサッバサッ
ゴン「よっ」ガシッ
キルア「ほっ」ガシッ
ゴン「…あの二人、上でずっと待ってたけど何で来なかったんだろ?」
キルア「ビビッてんだろ、今の今まで命の危険ってのをアイツ等は感じてなかったからな」
キルア「まぁ、自業自得だな。あいつ等はここで失格決定……」
アックマン「ぬあああああああっ!!」
キルア「」
レオリオ「しかし悪魔をこうして従え……じゃなくて、仲間にしているとはな……」
アックマン「だがしかぁし!勘違いは死んでもするなよ?俺様はなぁ、あくまで暇潰しとしてやっていることだ!あくまだけに!」
キルア「あいつ等……あの悪魔を使いやがって……」
ゴン「でも楽しそうだなー」
キルア「ゴン、悪いことは言わないから自立しろ」
ゴン「うん」
ゴン「(楽しそうだなー)」
メンチ「全員通過……って、あの三兄弟は?」
アックマン「俺様と肩がぶつかったから落とした」
アックマン「俺様とぶつかる奴は皆地獄送りだぁ!」
ハンゾー「(危ねーっ!もう少ししたら当たってたアブねーっ!)」
~回想~
ハンゾー「忍者の俺には簡単すぎる試験だなww」
アモリ「ぎゃあああ」
イモリ「何すんだお前……うわやめろばぎゃあああああ」
ウモリ「うっ、うわぁぁぁぁ!!」
アックマン「俺様と肩がぶつかってぇ……?懺悔の言葉も無いのか貴様等ぁ……?」
クラピカ「まぁまぁ、一旦落ち着こうアックマンさん」
レオリオ「そうだよ、あいつ等は落としたしすっきりしたろ?早く上に行こうぜ」
アックマン「ちっ……」ビュン!
ハンゾー「ってぬおぉぉっ!?」ヒョイ
ハンゾー「あ……危ない……」
~三次試験と四次試験は人数の都合上中止~
~こうして最終試験が始まろうとしていた~
Q、戦いたくない人は誰ですか?
ポックル「406番」
キルア「405番と406番」
ボドロフ「406番」
ギタラクル「99番、406番」
ゴン「99番、403番、404番、406番は選べないかな」
ハンゾー「406番」
キルア「405番、406番」
レオリオ「405番、406番」
ネテロ「偏ったのー……」
ネテロ「……これでよし!と」
ブハラ「……会長、これ本気ですか?」
ネテロ「大マジじゃ」フェッフェッフェ
ネテロ「最終試験は一対一のトーナメント形式で行う」
ネテロ「その組み合わせは」
ネテロ「こうじゃ!」
「!!」
アックマン「……んん?おい、俺様の番号が見当たらねぇが……?」
ネテロ「最終試験……アックマンくんと言ったか?君はワシと戦ってもらおうかの」
アックマン「……なにぃ?」
アックマン「貴様がこの試験の責任者か知らんが、死んでも責任は取らねぇぞ?」
ネテロ「勿論じゃ、さぁ始めようか」
ヒソカ「待てよ♠」
ネテロ「!」
ヒソカ「彼は僕の獲物だ♦邪魔するなら……アンタが相手でもいいけど♥」
ネテロ「……困ったな」
アックマン「俺様は別にどっちでも構わんが……」
ネテロ「……ならば、先に二人で戦ってもらおう」
ヒソカ「!!!!(キタ……キタ……)」
ヒソカ「キタキタキタキタキタキタキタキタキタキタキタキタキタキタキタキタキタ…♥♥♥♥」
ゴン「怖~(汗」
ヒソカ「ククク……クククク……♥♥」
アックマン「(君の悪い奴だ……とっとと片付けるかぁ……)」
アックマン「ふん!」イーンシツッ!
ヒソカ「230……250……290……300点!♥♥♥」
ヒソカ「やっぱり君、とってもイイ……♥」
ヒソカ「お気に入り決定だy「ふん!」バキィッ!
アックマン「貴様なら、いつでも殺してやるからさっさと負けを認めなぁ!」
ヒソカ「ククク……クククク……♥言ったね♦」
ヒソカ「約束だからね♥まいった♠」
アックマン「次は……貴様か?」
ネテロ「ほっほっほ……この気持ち、久しく感じていなかったの……」
マスタ「!(あれは……会長が本気の時に着る心Tシャツ……!)」
マスタ「(そこまで……彼は強いのか?)」
マスタ「始め!」
――無音 その瞬間辺りに響き渡る轟音
ゴン「……すっげー」
――常人には決して捉えられない動き
――ネテロとアックマンは互いの手の内を読み合い攻防を繰り広げた……
アックマン「(ほぉ……?中々やるなこのジジイ)」
ネテロ「(これで余裕の表情見せられて……黙ってられるかよ!)」
ネテロ「殺すつもりで行くぜ……!」
百式観音
壱乃掌
アックマン「!」
ドォォォォン!!
ネテロ「よぉ……アックマン……!!」
アックマン「……ハンターネテロ。貴様は確かに強かった……」
アックマン「だがしかぁし!……貴様はぜーったいに俺様にはぁ……勝てんっ!!」ゴァァァァァンン!!
ネテロ「……?」
アックマン「俺のこの目が真っ赤に光るぅ……貴様を倒せと妖しく囁くぅ……」
アックマン「いーんしつ……」ゴゴゴ・・・
アックマン「いーんしつ……」ゴゴゴゴ・・・
アックマン「いーんしつぅ……」ゴゴゴゴゴ・・・
ネテロ「!」
アックマン「アクマイト光線ーーーーー!!」ギュルルルルル!!
ネテロ「!(この能力は確か……サトツが言っていた”特質系”の能力!)」
ネテロ「(この悪魔の系統は放出系と特質系!相性は悪い……)」
ネテロ「(技のスピードも相性の悪さが影響して鈍っている……避けれる!)」
ネテロ「っと!」ヒョイ
ネテロ「……今のはヒヤヒヤしたぜ、悪魔」
ネテロ「これからお前に隙は作らねぇ……速攻で叩く!」
アックマン「ではあの世で後悔するがいい!絶対無敵のアックマン様に戦いを挑んだことを!」
ネテロ「…なっ!この光は!?」
アックマン「……アクマイト光線だぁ!」
アックマン「俺様は常に進化し続けるぅ……このアクマイト光線も、”操るということを覚えた”」
ネテロ「!!(そうか……放出系と特質系との間に空いた”操作系”という穴を埋めて……)」
ネテロ「(相性の悪かった放出系と特質系の……橋を!作ったってのか……)」
アックマン「この光線……操るってだけに爆発の有無も操れるみたいだなぁ?」
アックマン「降参するか?ハンター達の王よ」
ネテロ「……まいった」
ネテロ「ワシの――
――負けじゃ」
ブハラ「負けた……」
サトツ「……」
ネテロ「……ワシは引退する」
「!!?」
ネテロ「もっと強くなりてぇ……今回の敗因はワシの修行不足だ」
ネテロ「だから……後はよろしく」
アックマン「……」ドサッ
ゴン「!アックマンさん!」
アックマン「意識が……朦朧とぉ――
――」
サトツ「Σ」ビクッ
アックマン「此処は……?」
サトツ「おめでとうございますアックマンさんハンター試験合格ですハンター証をどうぞでは失礼します!」バタン
アックマン「……?」
~部屋の外~
サトツ「怖かった……」
メンチ「お疲れ」
アックマン「…しかしこれで、ハンター証とやらをゲットしたし、修行もできた!」
アックマン「占いババ様には感謝しても足りねぇぜ!ぬは、ぬは、ぬははははぁ!!」
アックマン「……そういえば、ゴン達はどうなったんだ?」
アックマン「円!」
アックマン「(おぉ……出来た出来たぁ…しかし、俺様に念とやらが使えたとはなぁ)」
アックマン「あのネテロとか言う奴が言ってた通りだ、ぬはは!」
アックマン「(さてさて……ゴンは……おぉ、そこか)」
ゴン「キルアに謝れ」ドガアァァァァン!!
レオリオ「な、なんだ!?」
アックマン「……何をやっているんだ貴様らぁ?俺様抜きでぇ」
ハンゾー「いやアンタが何やってんだよ」
ゴン「キルアの兄貴だよ」
アックマン「ほぉ……」
イルミ「…」
ゴン「コイツのせいでキルアが失格になったんだ」
アックマン「……なに?」
アックマン「ならば、キルアはハンターになっていないのかぁ!?」
ゴン「そうだよ」
アックマン「俺様の縛りルールが……破られてしまった」
アックマン「キルアはどうしたぁ?」
イルミ「キルアなら、俺たちのアジトに帰ったよ」
レオリオ「!アジトってどこだテメェ!」
クラピカ「キルアは何処にいる!」
イルミ「ククルーマウンテン。そこが俺たちのアジト」
ゴン「!!クラピカ!レオリオ!」
レオリオ「連れ戻しに行くんだろ!」
クラピカ「勿論だ!早く行こう!」
ゴン「あ、それじゃあ失礼しますっ!」
アックマン「……待てぇい!」
アックマン「修行のついでだ……俺様もそのキルアを取り戻しに行く手伝いはしてやろう」
レオリオ「ホントかアックマンさん!」
クラピカ「しかしいいのか?あるお方からの命令でその証を取る任務だったんじゃ……」
アックマン「……む、むぅ」
アックマン「大丈夫だ!早く行くぞ貴様らぁ!」
ゴン・レオリオ・クラピカ「アックマンさん!」
アックマン「(貴様らを見ていると……奴を思い出す)」
アックマン「……孫悟空」
ゴン「?何か言った?」
アックマン「何もなぁい!行くぞぉ!」ビューン!!ドカァァァァン!!
ネテロ「……」プルルルルル プルルルルル
ネテロ「お前んとこの戦士は、本当に強いの。同じ世界の出身か怪しく思えるわい」
占いババ『アックマンは元々地獄生まれじゃ』
ネテロ「そうじゃったな……悪魔、だったか?」
占いババ『それでアックマンはハンター証を……』
ネテロ「あぁ……なぁ、お前は何でハンター証なんk」ブツッ プープープー
占いババ「早く帰ってくるのじゃアックマン……ハンター証を売れば、七代先まで遊んで暮らせるからの」
ゴン「アックマンさん……風邪?」
アックマン「誰かが俺様の噂をしてやがるなぁ……?」
アックマン「よし、見えたぞ!ククルーマウンテンだ!」
アックマン「……ゴン!クラピカ!レオリオ!行くぞぉ!」
三人「おーっ!」
完
楽しかった
おいクソババア
むしろ占いババらしいww
>>1乙でした、面白かったよ
Entry ⇒ 2012.10.17 | Category ⇒ 版権物SS | Comments (1) | Trackbacks (0)
紗羽「ちょっと田中ー!」 田中「はい」
紗羽「は? 今なんて?」
田中「く……な、なんでしょうか」
紗羽「よろしい。口のきき方には気を付けること」
田中「はい……わかりました」
紗羽「よし。じゃあ、この鞄持って行ってくれる?」
田中「えっ、でもお前チャリじゃ……」
紗羽「お前?」
田中「さ、紗羽さまは自転車通学では?」 ピクピク
紗羽「今日、雨降ってるから電車なの。何のため思ってるの?」
田中「はい」
紗羽「わかったら、ちゃっちゃと傘をさす!」
田中「了解です……」
田中「えっ」
紗羽「当たり前でしょ。あ、もしわたしに雨がかかったら、一滴につき一発殴るからね」
田中「んな無茶な!」
紗羽「口答えするの?」
田中「……すみません」
紗羽「わかればよろしい」
――――
来夏「あ、紗羽おはよー」
和奏「おはよう」
紗羽「おはよ。今日、雨酷いねー」
田中「……おはよう……ございます」
来夏「さあ? あたし、下衆の声は聞こえないから」
田中「……」
紗羽「早く行こっか。電車乗り遅れちゃうよ!」 タッ
和奏「そうだね」 タッ
来夏「りょーかい!」 タッ
田中(あぁ……走ったら……)
――――そして学校にて。
来夏「とーちゃーく!」
和奏「思ったより余裕で着いたね」
紗羽「……20と……4……いや、5かな?」
田中「ゼー……ハー……ゼィ……」
(4人分の荷物を持ってのダッシュはキツすぎ……)
紗羽「ねえ、和奏、来夏。なんか、ストレス溜まらない?」
来夏「あー。溜まる溜まるー! なんか、暑苦しいのが近くに居る気がするんだよねー」
紗羽「でしょー? こういう時、なんかむしょーに八つ当たりとかしたくない?」
和奏「でも、どうするの?」
紗羽「ほら、ここにちょうど良いサンドバックがあるでしょ?」
田中「え……?」
来夏「ああ! でも、良いの?」
紗羽「うん。雨粒の分だけ殴っていい約束だから」
田中「そんな……全員の荷物持ってそれは無理だろ!」
和奏「それじゃ、遠慮なく」 ドコッ!
田中「うぐぉっ!」
来夏「何汚いツバ飛ばしてんの?」 ゲシッ!
田中「うぐぅっ!!」
田中「ふぐもが!?」
来夏「あっはっは。シューズ食べるなんて、気持ち悪い趣味だね」
和奏「変態」 ゴスッ
田中「ふぐぐっ!」
紗羽「……なに、その反抗的な目は」 グリグリ
田中「うぐぐ……」
来夏「……あれ? あれあれ? ちょっと紗羽、見てよ」
紗羽「ん? ……うっわ。引くわー」
和奏「どうしたの?」
来夏「ほら、ここ。膨れ上がってる」
和奏「うわぁ……女子三人に殴られて興奮してるってこと?」
紗羽「筋金入りの変態じゃん。キモイ!」 ドカッ!
田中「ふぐっ!? う……」
ドサッ
紗羽「股間蹴り上げられて昇天した、の間違いじゃないの?」
和奏「クズだね」
紗羽「ま、こんなの放っておいて早く教室行こっか」
来夏「そうだね」
和奏「ふん……」
田中「……ぅぅ……」
ウィーン「さて、画面の前の諸君。何故、大智がこんなごほ……ンンッ!」
ウィーン「こんな拷問みたいなことを受けてるか、教えてほしいところだろう」
ウィーン「とはいっても、理由は簡単なんだ」
ウィーン「ここに、たまたま! 偶然! そう、紛れもなく自然の摂理がごとく!
まるで木の枝から離れたリンゴが、真下に落ちるように、当然のこととして!」
ウィーン「僕たち合唱部の拠点、音楽準備室に仕掛けたカメラがある」 バァz__ン!!
ウィーン「ちなみに仕掛けたのは僕だ。配置も存在も僕しか知らない」
ウィーン「そのカメラがたまッッたま、捉えたこのVTRを見て頂ければ、全て納得いくと思うんだ」
ウィーン「それは、ご覧いただこう」
ポチッ
――――数日前の音楽準備室
紗羽「あー、もう最悪ー!」
来夏「帰り際に通り雨なんて、聞いてないよー」
和奏「みんなビショビショだね」
来夏「ま、とりあえずは体操服に着替えようよ」
和奏「そうだね。寒いし」
プッ プッ ……シュルリ。パサッ
来夏「……毎度毎度思うけど」
紗羽「ん?」
来夏「紗羽、何を食べたらそんなに大きくなるの?」
紗羽「はぁっ!?」
和奏「確かに……大きいよね。かなり」
紗羽「わ、和奏も結構じゃない?」
来夏「いいや。紗羽の場合は、全てが出過ぎ! お腹以外!」
和奏「不公平だよね」
紗羽「って言われても……」
来夏「ちょっとぐらい頂戴よー!」
紗羽「んな無茶な!」
紗羽「へっ!?」
来夏「和奏ナイス! それだよ。ほれほれ、ちょっとよこしなさーい!」
紗羽「ちょ、ちょっと二人とも……」
ガラッ
田中「はー。ひっでー雨だぜ、ったく……」 カチャカチャ
紗羽「え?」
来夏「ん?」
和奏「は?」
田中「…………あ」
田中「わ、悪い!」
ズルッ!
田中(うおっ!?)
ズッデーーン!!
田中「いっ!?」
来夏「……」
紗羽「……」
和奏「……」
田中「……えっと……その……」
雨に濡れた田中は着替えようと、替えのシャツが置いてある音楽準備室に足を運んだ。
もちろん、下校時刻ギリギリなので校舎内には誰もないと踏んでいる。
肌にくっつく衣服と一刻も早くおさらばしたくて、ベルトを外しながら戸を開けた。
しかし、残念なことに。
運命的に、自動的に、物語のストーリー的に、彼は着替え中の女子三人と鉢合わせてしまったのだ。
もちろん、紳士な田中は慌てて部屋を後にしようとする。
だが、それは叶わない。
結城の性を持つ某主人公のような、あまりにもあり得ない物理法則がその場に働く。
脱ぎかけのズボンに足を引っかけた田中は、足を滑らせて三人の所へ身体ごとに突っ込んでしまう。
その際、和奏の足をひっかけ転ばせ、来夏のブラジャーを右の指に通し抜き去り、紗羽の谷間へ挟むように左手を突っ込んだ。
そう。今、田中は……! 田中大智は!!
和奏の股間に顔をつっこみ、来夏のブラを握り締めつつ、紗羽の豊満な胸部脂肪(おっぱい)を手のひらに包んでいるのだッ!
どんな動きをすればそうなるのか。そこは触れてはいけない。
田中「は、はい!!」
和奏「ぁんっ!?」
紗羽「……これはもう、擁護のしようがないよね」
田中「い、いや。これは偶然だから! 事故だ事故!!」
和奏「ふぁ……! ちょっ……田中、しゃべらな……んんっ!!」
紗羽「いいから。ちょっと顔をどけて」
田中「はい……」 モゾッ
紗羽「ひゃっ!? な、何どさくさに紛れて胸揉んでんの!? さいてー!」
田中「だ、だってこうしねーと動けないだろ!!」
来夏「とか言いつつ、あたしのブラを握り締めないでくれる?」
田中「違うって!」
田中「は、はい!」
紗羽「正座」
田中「はい」
来夏「ブラ返して」
田中「あ、はい」
和奏「ん……。」 モジモジ
紗羽「さて」
田中「はい」
紗羽「言い訳は聞かない。手段は問題じゃないから。
とにかく、わたし達にとんでもないことをしたという結果だけがあればいいの」
田中「はい」
紗羽「そうだね。例えば、このことを学校に言ったら……田中どうなる?」
和奏「普通に考えれば、停学ぐらいにはなるよね」
紗羽「うん。で、田中って、確かこの前バドミントンの推薦受けてたでしょ?」
田中「はい」
紗羽「ま、それも間違いなく取り消しだよね」
田中「そっ、それは困る!」
紗羽「喋るな」
田中「はい」
紗羽「……ねえ、田中」
田中「……」
紗羽「返事ぐらいしなさい」
田中「はい」
田中「え?」
紗羽「一応ね、偶然性は認められないこともないからさ。すこーしは、可哀相だと思う気持ちあるんだよね」
田中「じゃ、じゃあ!」 パッ
紗羽「何喜んでんの? 許してあげるとは言ってないんだけど」 クスッ
田中「はい」
紗羽「……うん。決めた」
紗羽「田中、しばらくわたし達の奴隷ね」
田中「え」
来夏「つまり、体よく使っていいってこと?」
紗羽「うん」
和奏「例えば、夜中に起きて喉乾いたから水を持ってこいとか頼んで良いの?」
紗羽「うん。とにかく気のすむまでは、それだから」
田中「そんな……」
ウィーン「と、言うわけなんだ。わかったかな?」
ウィーン「事故の贖罪としては重い気もするよね。
大智も少し気の毒だが、彼は基本的にMなところがあるからね。むしろ良いと思う」
ウィーン「勝手に事情を知っている僕は、安全圏でのんびりジュースでも飲みながら観察させてもらうよ。ははっ」
ウィーン「あ、ちなみに、このVTRは僕のお宝コレクションになっている。良いだろう? あげないよ」
ウィーン「では、大智のうらやま……重罰を引き続きご覧ください」
――――放課後の音楽準備室
紗羽「あー、肩こった」
田中「……」
田中「いてっ」 ビシッ
紗羽「肩がこったって言ってるでしょ」
田中「はい」(ペン投げなくても……)
モミモミ トントン モミモミ
紗羽「……田中」
田中「はい」
紗羽「手つきがヤラシイ。やっぱやめて」
田中「なっ!?」
紗羽「もういいから。どっかいって」
田中「……はい」
ウィーン(さりげなく女子の柔肌に触れられるなんて、羨ましいよ大智!)
ウィーン(……次におまえは「ウィーン居たのかよ」と考える)
田中「はい」
来夏「ジュースこぼしちゃったから、片付けといて」
田中「はい」
田中(えっと、雑巾雑巾……)
来夏「何してんの?」
田中「え?」
ガシッ ベチャッ
来夏「早く掃除してよ。舐めとってさ」 グリグリ
田中「うぐぐ……」
ウィーン(足蹴にされているが、あの角度は間違いなくスカートの中が見えているはず!
来夏はいかんせん身長が低すぎるせいで、パンチラチャンスが異様に少ない!
それを! それを! くぅう! 何色なんだい!? 後で教えてね、大智!)
田中「ふぁい」
和奏「終わったら、ドラに餌あげといて」
田中「え。じゃあ、坂……和奏さまの家に?」
和奏「良かったら、ついでにうちでご飯食べてく?」
田中「え、いいのか?」
和奏「ま、ドラと同じものだけど。一緒に部屋の掃除もお願いね」
田中「……」
ウィーン(といいつつ、和奏の部屋に合法的に入れるだなんて!
下着は僕のと合わせて2セット奪っておいてね!)
田中にとって、こんな毎日が続いていた。
田中「あー……疲れた」 ボスッ
田中(……何させられたっけ、今日は)
田中(今日の朝の迎えは坂井で……荷物持たされて、一緒に登校)
田中(学校ついたら、沖田の宿題見てやって)
田中(宮本に購買でパン買わされて……食べ残し渡されて……)
田中(ああ、食堂の席取りもさせられたな……)
田中(沖田が手を使うの面倒だからって、飯を食べさせたり)
田中(もういらないって、坂井に飲みかけのジュースを、無理やり口に放り込まれたり)
田中(放課後は、荷物持ちって女子三人と買い物に連れていかされたり……)
田中(その後は喫茶店……。あんまり好きでもねーケーキ買って食わされたり……)
田中「散々だ……」
田中(なんで、俺ばっかり……)
田中(そりゃ、不用意な俺も悪かったけど……)
田中(……負けっぱなしってのも、癪だしな)
田中「…………」
田中(……やり返すか)
田中(そろそろ、いい加減に許されてもいいはずだ)
田中(待ってろよ……!)
―――― 一方で、喫茶店に残った三人
紗羽「……もう田中、家に着いたかな?」
和奏「ちゃんと帰れたかな?」
紗羽「大丈夫でしょ、身体だけは丈夫そうだし」
来夏「そっか」
和奏「……ところで、いつ許してあげるの?」
来夏「んー……なんか、タイミング逃しちゃった感じするよね」
紗羽「ホントは、もうそこまで怒ってないんだけどね」
和奏「私、いい加減可哀相になってきちゃったんだけど……」
来夏「あたしもー。最初はなんか良い様に使えて面白かったんだけど」
紗羽「なんだかんだ言って、色々と付き合いあったからねぇ……」
和奏「明日からは、もう普通にしてあげない?」
来夏「そうだね。今さら謝るもなんだか恥ずかしいし、普通にするだけで良いよね」
紗羽「うん。そうしよっか」
田中(今日の迎えは宮本だ。さっそく何かしらやってやる……!) グッ!
来夏「おはよー、田中」
田中(……あれ、なんか……普通?)
来夏「? どしたの? 早く行こうよ」
田中「あ、ああ」
来夏(……普通に普通に)
田中(敬語じゃなくても、別に怒らないのか)
来夏「最近、合唱練習も大変だよねー」
田中「ああ」
来夏「歌う時に踏ん張るのって、意外と大変でさー。もー、最近足がパンパンになっちゃって」
田中(……これだ!)
来夏「へ?」
田中「疲れているのでしたら、どうぞこちらへ!」 ビシィッ
来夏「こちらへ、って……背中? おんぶってこと?」
田中「ええ、来夏さまの御身足を疲れさせるわけにはいきませんので!」 キリリッ
来夏「い、いや。この年でおんぶはちょっと……」
田中「御気になさらず!」 ハクシンッ!
来夏(……んー……まぁ、これぐらいは良っか。やりたいって言ってるんだし……)
来夏「じゃあ、お願い」
田中「はっ!」 サッ
グイッ
来夏(わわっ、思ったより高い!)
田中「じゃ、行くぞ。ちゃんと掴まってろよ」
来夏「う、うん」
来夏「……」
田中「……」
ヒソヒソヒソヒソ
来夏(うっわああああ!! なんか、すっごいみんなが見てるぅうう!!
そりゃそーだよねぇ! 制服着た男女が早朝からおんぶで登校とか、ありえないもん!)
田中(ははは!! すっげえみんなが見てるぜ!! 恥ずかしかろう、宮本!
こういうのは、する方よりされる方のが目立つんだよ!!)
来夏「あ、あの……田中。もう、いいから」
田中(なに? まだまだ足りないぞ俺は。)
田中「気にするなって。これぐらい。大事な部長が、ここで倒れられても困るしさ」
来夏「田中……」
田中「だから、安心しろよ」 ニコッ
来夏「う、うん」
来夏(もしかして、本当に気遣ってくれてるのかな……?)
田中(くくく。宮本の真っ赤な顔……作戦は大成功みてえだな!)
来夏(まさか電車内でもおんぶとは思わなかった……)
田中(他の生徒にもこれで存分にアピールできただろう。へへっ)
来夏「……ありがとね。田中」
田中「え? あ、お、おう」(お礼? 何で?)
来夏「そ、それじゃ!」
タタタタ……
来夏(あー。なんかすっごい心臓ドキドキしてる。恥ずかしかったから……だよね。うん)
田中(……今になって恥ずかしくなったか? まぁいいさ。なら効果は十分だし)
田中(さて、次は……)
――――昼食時、食堂にて
和奏(お昼、どうしようかな……。さっき来夏にお菓子貰っちゃって、お腹空いてないんだよね)
田中「……ん? 坂井、飯はどうしたんだ?」
和奏「え? ああ、今日あんまりお腹空いてなくて」
田中(……これは、前の沖田と同じパターンか? ってことは、坂井のやつ、ダイエットしてると見た)
田中(させねーぞ、そんなことは! わざわざ、こうやって食堂で席確保してんだ! 無駄にはしねえ!)
田中「もしかして、体調悪いのか?」
和奏「ううん。本当に大丈夫だから」
田中「いや、大丈夫じゃねーよ。飯食えないって、結構重大な問題だろ?」
和奏「そんな大げさな……」
田中「大げさじゃない。……あー、よし。今日は俺が奢ってやるからさ、ちゃんと飯食えよ?」
和奏「え? そんな、良いよ!」(だから、食べられないってば!)
田中「……坂井。よく聞いてくれ」
和奏「へ?」
和奏「そ、そうなの?」
田中「だって、合唱なんて今まで中学校のコンクールでしかやったことねーし。
本気で取り組んでた人の指導なんて、受けたこともないからさ」
田中「素人相手にも、ちゃんと面倒見てくれるのがさ、すげー嬉しかったんだ」
和奏「……」
田中「だから、そんな大事な部員が、今ここで体調崩されたら困るんだよ! 俺だけじゃない、みんなだって!」
田中「……もう、沖田の時みてーに。一人で抱え込んでほしくねーんだ」
和奏「……そうだね」
田中「体調管理も、立派な部活動の一つだぜ? なんなら、俺が調整メニューでも考えてやろうか?」
和奏「い、いいよ。別に」
和奏「……うん」
タッ
田中(かかったな! 消化に良いもんってのは、総じてカロリーが高い!)
田中(坂井、お前のダイエットは今ここでおしまいだ! はっはっは!)
和奏(あんな真面目に、私のこと考えてくれるなんて……)
和奏(田中って意外と……)
――――放課後、音楽準備室
ガラッ
田中「……あれ、沖田だけか?」
田中「ウィーンは補修だし……。まぁ、待ってりゃ来るだろ」
紗羽「そうだね」
田中(……願ってもいないチャンス! 誰にも気づかれずに、沖田に復讐ができるじゃねーか!)
田中(何をしてやろーかなー。このじゃじゃ馬によぉー!)
紗羽「……」 パラリ
田中(……と思ったけど、ここじゃあんまり動きもねーしな……)
田中(……どうすっか。チャンスを無駄にするわけにはいかねーし……)
田中(何もないなら、何かアクションを起こせばいいだけか)
田中(……さっきから読んでる本は……英語か)
田中(英語じゃうまく釣れるもんも釣れねーしなぁ……)
田中(……まー、何かしてみっか)
紗羽「んー?」
田中「英語やってんのか?」
紗羽「うん。ちょっとね。不安だから」
田中「そっか」
紗羽「うん」
田中「……じゃ、ここでクイズだ」
紗羽「え?」
田中「この○の中に文字を入れて、読んでください……っと」カキカキ
田中「ほい」
『S○X』
紗羽(……英語覚えたての中学生か)
紗羽「田中」
田中「はい」
紗羽「キモイ」
田中「あ、アイドントキモイ!」
紗羽「邪魔しないでくれる」
田中「はい」
紗羽「……」 パラリ
田中(うーん。流石に幼稚だったかな……)
田中(というか、宮本も坂井もそうだったけど。なんか昨日までより、全然いつも通りだ)
田中(敬語つかわなくても怒らないし……普通に会話してるし……)
田中(もしかして俺、許されたのか?)
田中(さて、じゃあどうするか……)
田中(……あ、あれは、ウィーンの小道具か)
田中(よし!)
田中「なあ、沖田」
紗羽「ん。」
田中「そういえば、ウィーンにさ。小道具出しておいてくれ、って頼まれてんだ」(嘘だけど)
紗羽「うん」
田中「あいつなら届くんだけど、俺じゃ届かないからさ。手伝ってくれねえか?」
紗羽「……どれ?」 パタン
田中(よし、かかった!)
田中「あの棚の上。俺、椅子支えてやっから、沖田が取ってくれねーか?」
田中「俺たちそこまで身長もかわらねーし。だったら、下を支えるのは、力のある男の方がいいと思ってさ」
紗羽「……まあいいけど」
田中「悪いな」
ガタガタ ガタン スッ
紗羽「えっと、これー?」 ガサゴソ
田中「ああ。それと、もう少し奥にも入ってないか?」
紗羽「奥ー?」
田中「似たような箱があるはずなんだけど」
紗羽「えー? 箱ー? どこだろ……」
田中(ま、そんなのあるわけないけどな。そのまま覗き込んでてくれよ)
田中(その間に、俺はお前のスカートの中を覗き込んでやる) ソー……
紗羽(……あれ、もしかしてこの体勢だとスカートの中見えちゃう……?)
紗羽「!」 ピクリッ
田中(まずい! 気づかれた!?)
紗羽「田中、絶対上見ないで」 バッ!
グラッ
紗羽「よっ……?」
田中「沖田!?」
紗羽「ふわぁ!?」
田中「くっ!」 ガバッ!
紗羽「え?」
ガシッ!
ドッシャーン!!
紗羽「……た、田中……?」
田中「……痛つ……」
紗羽「だ、大丈夫?」
田中「……っと……。ふぅ。そりゃこっちのセリフだ。ケガ、ないか?」
紗羽「う、うん。ちょっとすりむいちゃったけど……。田中は?」
田中「別に大したことねーよ。思ったより、お前軽かったしな。抱きかかえても余裕だったし」
紗羽「なっ……」
田中「立てるか?」 スッ
紗羽「……ありがと」 グッ
田中(あぶねー。ケガさせるつもりはなかったんだけど……)
田中(お、怒ってる……か?) チラリ
紗羽「……」 ジーッ
田中(ああー。あの眼は間違いなく怒ってる! やべぇ……)
紗羽(あー! 今ここで全部、謝っちゃいたい!)
紗羽(ところなんだけど……)
ガラッ
来夏「おいーっす。遅れてごめんねー!」
和奏「あれ、どうしたの。田中も紗羽も。ケガしてるけど」
田中「ああ……これは……その……」
紗羽「田中がさ、ウィーンの小道具取れっていうから、椅子持ち任せてたんだけど」
紗羽「全然頼りにならなくって、バランス崩して落ちちゃったんだよね」
(そこを抱きかかえて、守ってくれたけど)
田中「悪い……」
来夏「ふーん」
紗羽「……でさ、ちょっと二人に提案なんだけど」
和奏「なに?」
紗羽「田中の奴隷期間……延長しない?」
来夏「え? ……ああ。うん。いいね!」
和奏「う、うん。実は、私もそれを後で言おうかな、って思ってて」
紗羽「なーんだ。みんな良いなら、文句ないよね? た・な・か?」
田中「……うぅ。わかったよ……」(今回は、俺にも非はあるしな)
和奏「じゃ、さっそく。今日は一緒にボイストレーニングね」
田中「え?」
来夏「あ、ちょっと和奏。今日はあたしが指導する日なの! 朝、そう決めたよね?」
田中「えっと……」
紗羽「その前に、このケガどうしてくれんの? ちゃんと責任取ってくれるんだよね?」
田中「その……あー、もう!」
田中「わかったから。全部つきあってやっから。順番に頼む!」(もうどうにでもなれ!)
和奏・来夏・紗羽「「「はーい♪」」」
<ちょっ、宮本ひっぱんなって!
<田中はこっち!
<坂井? なんで正座して、おいでおいでしてんの? それ関係なくね?
<なんかココも打ったみたいだから、手当お願い、田中
<ちょっ、沖田!? なんで制服脱いでんだ!?
<田中―
<田中?
<田中ぁ!
<アーモウ……ホントニ……
<ワイワイ キャーキャー
<……
――――
――
―
――
――――
「……ふぅ」
「やあ、みんな」
「設置したカメラを取りにこようとして、イチャコラ空間にうっかり入りこみそうになった……」
ウィーン「僕だよ!」 キラッ☆
ウィーン「まさか、こんなことになるなんて……まったく、大智は幸せものだね」
ウィーン「邪魔するのもアレだし。今日は帰るとするよ。前田敦博はクールに去るぜ」
<わ、わざとじゃねーって!
<良いから、早くこっち来てよー
<はいはい……。
ウィーン「…………」
パカッ
カチカチ
プルルル
ガチャ
ウィーン「あ、もしもし。田中家のを使って、壁殴り代行をお願いします」
おしまい
Entry ⇒ 2012.10.16 | Category ⇒ 版権物SS | Comments (0) | Trackbacks (0)
翔太郎「赤坂美月、か」フィリップ「ダブルキャストだね」
美月「えと……そういうこと、らしいです」
照井「今朝保護した時にはとっくにだ。精神鑑定を頼んだところ、嘘をついている様子もない。生活に関しての記憶は健在だが、自分の生まれや個人情報などのことはさっぱりだ。名前をのぞいてな」
亜樹子「え~と、赤坂美月さん、だっけ?」
美月「は、はい」
亜樹子「どこまで記憶があるのかな?」
美月「うんと……駅前で歩いてた所に、ちょっと怖い人が絡んできて、それで、警察の人が助けてくれたところまでなら」
照井「つまり刃野警部補に保護された直前まで。手掛かりはまったくなんだ」
照井「戸籍がなかった」
フィリップ「ほう、それは不可解だね」
美月「わっ!?」
翔太郎「お前、湧いて出たように現れるなっつーの」
フィリップ「何、照井夫妻が久しぶりにここにそろったから、ちょっとしたお茶菓子を買ってきただけさ」
照井「話を続けるぞ。さっきも言った通り、赤坂美月という人物についての戸籍が存在していなかったんだ。同姓同名の人物のはいくつが見つかったが、どれも顔が違う」
亜樹子「家族の戸籍とかは?」
照井「それすらもなかった。まぁ、この女が赤坂美月という名前ではない、というなら戸籍が見つからない理由も一応納得はいく」
照井「そうだ。だから俺はここにやってきた」
亜樹子「そうか! フィリップ君だったら、赤坂さんについて一発でお見通しか」
翔太郎「まっ、こんな美人さんが困ってるようなら、ほうっておけないよな。フィリップ」
フィリップ「キーワードが少なそうだが、やってみよう」
美月「調べる?」
照井「ああ、情報捜査は、こいつの専売特許だ」
美月「赤い城って書いて、後は美しい月の美月です。はい、多分」
フィリップ「ふむ……やはり個人名だから、かなりの数を絞れた。もう少し絞れそうなキーワードがほしいところだね」
翔太郎「赤坂さん、なんでもいい。何か少しでも思い出せそうな記憶とかないか?」
美月「う~ん……でも、本当にさっぱりで」
照井「身体的特徴でもダメか?」
フィリップ「ふむ、現状ではそれしかなさそうだ。特徴は――」
翔太郎「赤くて長い髪、性別は女性だ」
フィリップ「――見つけた。……ん?」
フィリップ「……情報が、損失している?」
翔太郎「はぁ? おいそりゃどういうことだ?」
フィリップ「言葉通りだ。赤坂美月についての情報は確かに存在した。存在はしているが……ところどころ、いや、大部分に渡って情報が欠けている。破かれた本のページみたいにね」
照井「地球の記憶の情報が損失? あり得るのか、そんなことが」
フィリップ「外部からの強い力によってならあり得る。だが、星の本棚に介入出来る存在は僕ぐらいしかいないはず。……いや、あり得るケースがもう一つ」
翔太郎「地球の記憶に介入……ガイアメモリっ!?」
フィリップ「その通り。彼女がガイアメモリ関連の何かしらの事件に巻き込まれたなら、一応あり得る」
亜樹子「そういえば、ガイアメモリの副作用で記憶喪失になった人もいるし……」
翔太郎「こりゃあ、ちょっと無視できない事態になっているかもしんねぇな」
フィリップ「もしかすれば、最近調べている例の組織とも赤坂美月は関連しているかもしれない」
照井「例のメモリ販売組織か……そっちの調査にも、もっと力を入れなければならないらしいな」
亜樹子「でも、情報がなくなってても、ある程度はあったんだよね?」
フィリップ「とはいっても、本当に些細な情報だけどね。赤坂美月。生年月日は9月30日。血液型は0型。身長160センチ。スリーサイズは――」
亜樹子「すとーっぷ! 乙女のプライバシーにかかわります!」
フィリップ「おっと、これはすまない」
翔太郎「まぁ、あいつの特技みたいなもんだ。でもそれしかわかんねぇのはきついな。手掛かりなんてさっぱりだ」
照井「それより、今後の彼女の処遇について相談したいのだが……左」
翔太郎「あん?」
照井「赤坂美月をここに置いてはくれないか?」
翔太郎「……はぁ!? ここって、事務所に!?」
照井「様子を見るに長期にわたる案件になりそうだ。だとするとずっと署に置くのも気が引ける。それに、ガイアメモリの事件に巻き込まれた可能性が否定できない以上、ここはスペシャリストに保護を任せたい」
翔太郎「ちょっ、待ってくれよ! だったら照井のとこで預かればいいじゃねぇか」
亜樹子「う~ん、でもウチはちょっと……」
照井「あー……んん」
照井「実はだな、最近、あいつが通販にはまりだしてだな……基本安いものばかりなので、そこまでお金に関しては困ってはいないのだが……」ボソボソ
翔太郎「あー……でも安い代わり、とにかくたくさんため込むってか」ボソボソ
照井「どうもな……今の現状を、他の人に見せたくないのだろう。正直、足の踏み場もない」
翔太郎「あいつ、結婚してからだらしなくなってないか?」
照井「家事は出来なくはないのだが……」
フィリップ「通信販売。店舗を介せずに消費者と業者が取引を行う販売手段。主にテレビ通販やネット通販が主流。確かに家事に時間を取られてしまう主婦にとっては魅力的なセールスだね」
翔太郎「おいこら、勝手に検索を始めるなっての。……まぁ、実際メモリ関連の事件に巻き込まれている可能性がある以上、俺も無視はしないが」
翔太郎「でもなぁ……亜樹子はともかく、美少女がここに泊りこむってのはなぁ」
亜樹子「ごらぁ!」
美月「えと……あのっ!」
翔太郎「ん?」
美月「あの、ボク、手伝えることがあったらなんでもします! ここって探偵事務所なんですよね? 推理なんて全然だけど、雑務とかだったら全然オッケーなので! 迷惑もかけません! ですので……」
翔太郎「……仕方ねぇか」
美月「ほんとですか!」
翔太郎「うぉ、なんだいきなり元気になって……まっ、こっちも手伝いが増えるのはありがてぇし。何よりこの男だけの事務所に花が増えるんだ。いいぜ、美人の頼みだったら断れねぇ」
美月「あ、ありがとうございますっ! ボク、一生懸命働かせてもらいますっ!」
美月「秘書?」
フィリップ「『探偵には美人秘書が付きもの』とマッキーが言っていた。これで探偵として顔が立つ。よかったじゃないか、翔太郎」
美月「そ、そんな、美人だなんてっ」
亜樹子「なんだろう、このあたしが来た時との扱いの差……」
照井「その……気に病むな」
亜樹子「竜君もなんだかんだで否定しないし」
照井「へ? あ、いや、そういうわけじゃ――」
亜樹子「竜君も赤坂さんに鼻のばしちゃって! きーっ!」
フィリップ「おおっ、あれがドラマでよく見かけられる、ハンカチを噛む嫉妬のポーズ! 生で見るのは始めてだよ」
翔太郎「実際にやる奴なんか亜樹子ぐらいだからな、そりゃ」
――
―
美月「ということで、今日からよろしくお願いしまーす!」
翔太郎「おお、朝から随分と元気だな」
美月「う~ん、なんというか……何か目的が出来たら、やる気とか出ませんか?」
翔太郎「なるほど、それも一理あるか。とはいっても、やることか……今まで俺だけでこなせたから、何も思いつかねぇな」
美月「なんでしょうね? 探偵の秘書なんですから……情報の資料をまとめたり、とか?」
翔太郎「も、情報面はフィリップがなんとかしてくれるところもあるしなぁ。じゃあ、コーヒー頼めるか?」
美月「あっ、はい! わかりましたっ」
―
美月「はい、インスタントですけど……」
翔太郎「おう、ありがとな。……んん~、やっぱり、男の朝はブラックに限る」
美月「そういえば、えと……フィリップさん? でしたっけ?」
翔太郎「ん? ああ」
美月「フィリップさんの姿が見えないのですけど」
翔太郎「ああ。あいつは別室で情報捜査中だ。喉が渇いたり腹がすいたら勝手に出てくるから、ほっといても大丈夫だ」
美月「はぁ……あの、ボクもコーヒー、いいですか?」
翔太郎「もちろんだ。依頼人が来ない限りやることも基本ないし、ゆっくりしといてくれ」
翔太郎「ああ。亜樹子が結婚してからはそうだな」
美月「フィリップさんと翔太郎さんって、どういう知り合いなんですか? 昔からの友人だとか」
翔太郎「なんていえばいいかな……ひょんなことから巡り合ったって感じだな。今では唯一無二の相棒だ」
美月「『相棒』かぁ、なんだかいいですねっ」
翔太郎「そうだな。なんだかんだで、あいつが一番頼りになる」
美月「へぇ。それじゃあ、この事務所はフィリップさんと知り合った時に建てたんですか? でも、それにしてはちょっと古いような?」
翔太郎「いや。この事務所自体は昔からあってな。ほら、ここの事務所名『鳴海探偵事務所』だろ?」
美月「そういえば、鳴海って名前が……」
美月「探偵の師匠! う~ん、なんか探偵小説みたいでかっこいいですね!」
翔太郎「ああ、おやっさんはそりゃかっこよかったんだぜ? 俺の目指すハードボイルドを体現していた」
美月「機会があったら是非会ってみたいなぁ」
翔太郎「あっ……」
美月「へ? えと……あっ」
翔太郎「ああ、気にするんじゃない。ただな……少し前、死んじまったんだ」
美月「あの……すいませんっ」
翔太郎「気にすんなって」
美月「あ、はい……」
美月「はい!」
翔太郎「俺はちょっと用事で出る。留守番を頼む」
美月「わかりました! フィリップさんにも伝えておきますか?」
翔太郎「大丈夫だ。後、昼食はそこのインスタントのやつで適当に済ませてくれ。すまねぇな、今度買い物するわ」
美月「でしたら料理は任せてくださいよ! ボク、料理は出来るらしいので」
翔太郎「おお、そりゃありがたいな。……ああ、あとな」
美月「はい?」
――
―
美月「時間になっても姿を表さなかったら、あそこの扉からフィリップさんに声をかける」
美月「時間になりましたし、仕方ないです……よね?」
美月「それにしても、こんなところに扉があるなんて、秘密基地みたい。ちょっとわくわくするかもっ」
美月「失礼しまーす……わぁっ」
美月「すごいっ! ほんとに秘密基地みたい! えと……フィリップさーん!」
シーン……
美月「う~ん……失礼しま~す」
フィリップ「地理情報から推測するに、本拠地はここにある可能性は高い。規模は小さいが、少し興味深い動きをしているね」ボソボソ
美月「あ、あれ? 寝て……は、ないよね。フィリップさーん!」
フィリップ「人員はこれほど。危険性はそれほどではなさそうだね――」
美月「フィリップさぁーんっ!」
フィリップ「っと。ん? どうしたのかな?」
美月「はぁ、はぁ……いや、さっきからずーっと呼んでるのに、どうも反応がなかったので……」
フィリップ「ああ、それはすまない。何かを考えたりしていると、夢中になってしまう癖でね」
美月「は、はぁ。……それにしても、すごい場所ですよね。まるで秘密基地みたい」
美月「おお、なんだか探偵っぽいっ」
フィリップ「……ところで、赤坂美月」
美月「あっ。えーと……美月、でいいですよ? 多分同年代でしょうし」
フィリップ「ふむ、そうか。なら美月。君にひとつ質問がある」
美月「はい?」
フィリップ「君は、『ガイアメモリ』という単語について何か心当たりがあるかな?」
美月「がいあ……めもり? そういえば、昨日の話にも出てましたけど……」
カチッ サイクロンッ!
美月「え? なんだろうこ――っ!?」
フィリップ「ん?」
美月「んっ……! いつっ……!?」
フィリップ「大丈夫か!?」
美月「っはぁ……あ、ごめんなさい。ちょっとなんか、めまいみたいな感じがしちゃって……」
フィリップ「思ったより疲労がたまっているのかもしれない。ソファで休みたまえ」
美月「ご、ごめんなさい。ちょっとだけ休ませてもらいます……」
フィリップ「ああ」
フィリップ(単語には反応はなかったが、実物を見た瞬間興味深い反応を示した。記憶の深層にメモリについての記憶が眠っているのか? どうも判断しがたいな)
――
―
【風麺屋台】
翔太郎「――そっか。まさか風都の外でも動いていたとはな」
ウォッチャマン「どうも外ではこそこそ怪しいことしてたみたいよ?」
翔太郎「なるほど。……で、実は別件で話があってな」
ウォッチャマン「新しい依頼?」
翔太郎「それがまた違ってな。……この少女についてなんだ」
ウォッチャマン「あらら! これ随分と美人さんじゃない! 何? ついに彼女が出来たの!?」
ウォッチャマン「記憶喪失? なんだ、ずいぶんと興味深い子ね。まるで小説みたい」
翔太郎「個人的な感想はいい。で、聞きたいことは言うのは、この子を見たことがあるかってことだ。これぐらいの美人さんだったら、知ってると思ってな」
ウォッチャマン「う~ん……これが知らないんだな、残念ながら」
翔太郎「ウォッチャマンでも知らない、だと?」
ウォッチャマン「こんな美人さんだったら一度見かけたら絶対覚えてるから間違いなし! 自分でも知らないってことは、多分この子、風都の子じゃないね」
翔太郎「そっか……」
ウォッチャマン「で、今度、この子の写真撮ってもいい?」
翔太郎「あー言うと思った。まっ、本人がいいって言ったらな」
―
翔太郎(風都の住みじゃないとなると……こりゃ調べるのに少し骨が折れそうだな)
~♪
翔太郎「うん? はい、こちら左翔太郎――照井?」
照井≪左。今いいか?≫
翔太郎「ああ。こっちは丁度捜査の切上げ時だ」
照井≪実はだな、先ほど例のガイアメモリ販売組織の本拠地をつぶすことに成功した≫
翔太郎「本当か!」
照井≪住宅街にまぎれるような場所にあったが、なんとか見つけてな。ドーパントによっての抵抗もあったが、それも倒せた。今は警察の方で事後処理をしている≫
照井≪それが……そうもいかないらしい≫
翔太郎「どういうこった?」
照井≪組織の構成員の一人に、財団Xの元ガイアメモリ研究者がいた。構成員の証言によれば、この組織で独自に新たなガイアメモリの研究を行っていたらしい。これの意味がわかるか?≫
翔太郎「つまり……その新しいメモリは、とっくに人の手に渡ってるのか?」
照井≪押収したメモリに、その詩作品メモリがなかった。そう考えるしかないだろう。メモリの詳細についてはまだ不明で、その研究員が目覚めしだい取り調べをするつもりだ。その研究員がドーパントに変身しなかったら、ここまで面倒なことにならなかったのだが……≫
翔太郎「詩作品のメモリ……かなり危ないにおいがプンプンするぜ」
照井≪警察はそのメモリを追跡し、回収するつもりだ。左の方も協力を頼みたくてな≫
翔太郎「もちろんだ。そっちも情報をつかんだら連絡をくれ」
――
―
ガチャッ
翔太郎「今帰ったぞ~」
美月「あっ! お帰りなさい!」
翔太郎「ああ――ん? なんだ、その写真」
美月「あっ、えーとですね、実は先ほど、お客さんがいらっしゃいまして……」
―
フィリップ「迷い猫の捜索か。名前はトラ。由来は虎猫なところかな」
翔太郎「ふむ。放し飼いにしていて、いつも帰ってくる時間になっても帰ってこなかった、と」
美月「目印になるアクセサリーとかも付けていないので、ちょっと手こずりそうですね」
翔太郎「それにしても、接客ごくろうさん。ちゃんんと働けてるじゃねぇか」
美月「えへへ~、どもども~」
フィリップ「美月、この猫について他に情報はあるかい?」
美月「え? えと、確かにメモにまとめてあったはず……魚が好きで、よく近所からお魚をもらっていたらしいですね」
フィリップ「ふむ、魚……」
翔太郎「居場所が分かりそうか?」
美月「フィリップさん、今なにやってるんですか?」
翔太郎「ああ、なんていうか……あいつのシンキングポーズみたいなものだ。あいつは人一倍記憶力がいいんでな。それに、ちょっとした裏技も持ってる」
美月「そういえば、昨日のあれすごかったですよね! なんでボクの誕生日とかわかるんだろう?」
翔太郎「まぁ、説明してもいいかな。あいつは今、地球の記憶の中で情報を調べているんだ?」
美月「地球の……記憶?」
翔太郎「地球規模の図書館だと思えばいい。フィリップに任せれば、地球上のありとあらゆる知識を教えてくれる」
美月「な、なんだかスケールの大きい話ですね」
翔太郎「客観的に見ればそうだな。あっ、あとこれは他の奴には秘密な?」
美月「はい、わかりましたっ」
フィリップ「……検索は完了した。商店街の鮮魚店の店主が大の猫好きで、よく野良猫に魚をあげているそうだ」
翔太郎「なるほど、そこにいる可能性が高いってわけか」
美月「すごいです、フィリップさん!」
フィリップ「何、朝飯前さ。よく猫が集まり始める時間は昼頃、明日の昼にその場所に行けば遭遇する可能性は高いだろう」
翔太郎「そんじゃあ……なぁ美月」
美月「はい?」
翔太郎「明日、俺達と一緒に風都散策でもどうだ?」
美月「案内してくれるんですか!」
翔太郎「もちろんそれもあるが、探偵事務所で働くからには、仕事場である風都のことを知らないといけないしな。それに、ずっと事務所の中でこもってるわけにもいかないだろ? たまには外に出て、気分転換も必要だ」
美月「ありがとうございますっ! 実はボク、この町のこと気になってたんですよ」
フィリップ「ほう、主にどこが?」
美月「そうですねぇ……駅前で歩いてた時、なんとなーく思ったんですよね、『この風、少し心地いいかも』って。夏場の夜でちょっとほてった体に、この町の風はすごく快適だったんですよ。優しい気持ちになれて……」
翔太郎「ほう、これは話が合いそうだな。期待しとけ、この町にはいっぱい楽しい場所があるからな」
美月「期待させてもらいまーす!」
フィリップ(ここに初めて来たときと比べ、目覚ましく元気を取り戻している。心身状態も安定している今、記憶を取り戻せればいいのだが…)
フィリップ(何より、気になるのはメモリを見たときの反応だ。あれが偶然か、それとも記憶喪失と関連があるのか)
―
フィリップ「詩作品のメモリ?」
翔太郎「ああ。情報がない以上、照井の連絡を待つしかないけどな」
フィリップ「なるほど、道理で美月を席から外すわけだ。それにしても、財団Xの研究員が協力していたとはねぇ」
翔太郎「さらにウォッチャマンによると、例の組織は風都の外でも密かに活動していたらしい」
フィリップ「風都の外で……? 少し怪しいね」
翔太郎「ちょっといや~な香りがするぜ。で、肝心な赤坂美月についてだが……おそらく風都の人間ではない。外から来た人間だ」
フィリップ「それは色々と面倒になりそうだ。風都に手掛かりがある線が薄いとなると、少し苦労しそうだね」
翔太郎「そうだな。明日の風都案内で、何か記憶が少しでも思い出せればいいんだが」
――
―
【風都大通り】
美月「ほんと、風車が多いですね」
フィリップ「風都はその名に恥じず風力発電が多いエコロジー都市、観光都市として有名だ」
翔太郎「あれが風都タワー。風都のシンボルだな」
美月「あの風車に顔をつけたようなキャラクターは?」
フィリップ「あれは『ふうとくん』。風都のイメージキャラクターだよ」
美月「へぇ、ちょっと可愛いかも。あっ、ストラップもあるんだ~」
翔太郎「よし、ならば美月にストラップをプレゼントしよう」
美月「え? いいんですか?」
美月「ありがとうございます!」
フィリップ「よかったじゃないか、男らしくかっこつけられて」
翔太郎「っておい、言葉にしちゃおしまいだろ。おじさん、ふうとくんストラップひとつ!」
おじさん「へいへい、ふうとくんね。色はどうする?」
翔太郎「色? そういえば、ふうとくんはふうとくんでも、見ないような色ばかりだな」
おじさん「最近の流行りよ~。みんなね、仮面ライダーの色をしてるの」
フィリップ「紫と緑、赤と銀、これは青と金だね! これはアクセルかな?」
美月「かめん、らいだー?」
美月「仮面、ライダー……ヒーローかぁ」
翔太郎「ま、まぁいいだろ。仮面ライダーについての新聞を後で見せてやるさ。おじさん、だったらこの緑と紫のもらえる?」
おじさん「お兄さんお目が高いねぇ! 毎度!」
美月「仮面ライダー……まるでテレビみたいですね。でも本当にいるんですか? 実際見たことないので、どうもにわかに信じがたいというか……」
翔太郎「いるいないは関係ねぇさ。でも……この町を泣かせたくないのは、みんな同じだよ。もちろん、俺もな」
フィリップ「少なくとも、仮面ライダーの存在はみんなの心の支えになっている。この町には危険な存在も潜んでいるが、それを打ち倒す存在も潜んでいる。この事実だけで人は安心してこの町で生活ができる」
美月「なんだか……そう考えると、素敵ですねっ!」
翔太郎「だろ?」
―
フィリップ「もうすぐ目的地だ」
翔太郎「確かに、猫の姿が多いような気がするな」
美月「ここの猫って人懐っこいんですね! おいでおいで~」
「ニャーン」ヒョイッ
美月「あーもう! かわいいなこのこの~」
翔太郎「美月も楽しそうで何よりだよまったく」
フィリップ「翔太郎!」
翔太郎「ん? あれは……」
美月「あの特徴的な額のハートマーク……間違いないです! トラちゃんですよ!」
「ニャーッ!」ダッ
翔太郎「おい思いっきり威嚇して逃げたじゃねぇか!」
フィリップ「おかしいな……」
美月「そういえば、飼い主以外の人には警戒して近づかないって言ったような……」
フィリップ「それを早く言いたまえ」
翔太郎「言い争いしてる場合じゃねぇ! 追うぞ!」
美月「まてー!」
フィリップ「こんなことなら、日頃から適度な運動をしていればよかった」
―
翔太郎「くそっ、路地裏に逃げ込まれた!」
フィリップ「いや、幸いあの先は行き止まりだ」
美月「絶好のちゃーんす!」
ダッダッダ
美月「ねこちゃーん――って、ありゃ?」
「ニー……」
翔太郎「おいおい、随分と高い場所にお座りになってるな」
フィリップ「様子を見るに、逃げた勢いで高い場所に逃げたのはいいが、どうも降りれなくなってしまったようだ。懐かしいな、ミックもよくこんな風に困っていたよ」
美月「どうやってあんなところまで……」
翔太郎「豆知識どうも。でもどうするよ、あんあところいくら俺でもジャンプで届きやしないぜ?」
フィリップ「僕たちが肩車しても……微妙だね。足場も不安定で非常に危険だ。一番の安全策は、梯子を持参して――」
美月「――ていっ!!」
「ニャーッ」
美月「――とっ!」
翔太郎「おおっ!?」
フィリップ「これはすごい……」
フィリップ「すごい跳躍だったねぇ。人間業とは思えない」
翔太郎「おいおい、あの距離で届きやがったぜ」
美月「あ、あはは~、自分でも届くとは思ってなかったので。正直びっくりです」
フィリップ「もしかすれば、美月はバレーボール部にでも所属していたのかもしれないね」
美月「そうかなぁ? 個人的にはバスケットボールの方が好きだけど」
翔太郎「まぁとにかく、これで迷い猫は確保。お手柄だ、美月」
美月「えへへ~!」
―
翔太郎「依頼者の家に寄ったら、すっかり日が暮れちまったなぁ」
美月「夕焼け……きれいですね」
フィリップ「この町の空は澄んでいるからね。夜は星もよく見える」
美月「素敵な町ですねぇ……ほんと」
フィリップ「……ああ」
翔太郎「そうだ! 美月」
美月「……」
翔太郎「美月?」
美月「へ? わたし……ごめんなさい。ぼーっとしちゃってました」
翔太郎「おいおい、しっかりしてくれよ? 今日、よかったら夕食を作ってくれないか?」
フィリップ「ほう、手作りか。それは実に興味深いね」
翔太郎「美人の手料理……男として、期待するしかねぇなこりゃ」
フィリップ「……」
翔太郎「フィリップ?」
フィリップ「済まない。僕も少し考え事をしていた」
翔太郎「おいおい、フィリップまでどうしたんだよ? 考え事は帰ってからにしてくれよ?」
フィリップ「大丈夫、わかっているさ」
美月「それじゃあ、お二人は先に帰っておいてください。場所は案内の時に教えてもらいましたし、道も覚えましたから!」
翔太郎「そうか? それじゃあ先に戻ってるぜ。とびっきりの待ってるぞ」
フィリップ「気を付けて戻りたまえ」
美月「はいっ!」
――
―
美月「~♪」
照井「預けてから三日経過したが、ここの雑務も身についてきたようだな」
翔太郎「今ではすっかりここの花形秘書さ。で、本題だが。ここにわざわざ来たってことは、捜査に進展があったのか?」
照井「そうだといいたいのだが……実は、それどころじゃなくなってきた」
翔太郎「事件か?」
照井「ああ。ここ最近、連続通り魔事件が発生しているのは知っているな?」
翔太郎「ああ。確か三日連続だっけか……被害者はどれも男性で、刃物でザックリだっけか。ギリギリ命に別状はなく、死者は出ていないって……ドーパントか!?」
照井「その可能性が高い。襲われた男性は全員、彼女や妻といった異性と一緒に歩いているところ、いきなり男だけが襲われている。そばにいた女性は無事だったので証言を取った見たところ、全員が共通して『怪物に襲われた』と証言している」
照井「傾向からしてそういう可能性が高い。それもカップル連れとなると……嫉妬に駆られた男性の犯行、ともとれるが、まだ確定ではないな。外見的な特徴が分かれば、対策は立てられるんだが、証言者はパニックを起こして記憶があいまいだから仕方ない」
美月「あのぉ……今話してるのって、例の連続通り魔事件ですか?」
照井「ああ。ちょっと面倒なことになりそうだと思ってな。現時点では死者は出ていないが、いつ死人が出るかわからない以上、警戒する必要がある」
翔太郎「美月も一応気を付けろよな。もしかすれば女性も襲う可能性も否定できないから」
美月「は、はい。気を付けますっ」
―
フィリップ「ふむ、刃物を扱うドーパントか」
翔太郎「それも刃渡りは体をやすやすと貫通するほどらしい。しかも、ここ三日間で随分な人数を襲ってる」
フィリップ「襲われた時間帯を見るに、翔太郎が外出している時間帯で発生している。それでも気付けなかったということは、相手はかなり素早いね」
翔太郎「大きな刃物を使う俊敏なドーパント。それも目撃者によれば、負傷者はかなり様子がひどかったらしい。生きてるのが不思議なくらいだ」
フィリップ「刃物を扱うドーパント。残虐性も確認できる……検索完了だ。おそらく、犯人のドーパントは『ジェノサイド』のメモリのドーパントだ」
翔太郎「ジェノサイド?」
フィリップ「『ジェノサイド』、意味は大量殺戮。その名の通り、使用者の残虐性を増幅させる危険なメモリだよ。使用者を『殺人』へと駆り立てる一面を持っている」
翔太郎「おいおい……てことは、使用者は問答無用で殺人者になるってわけかよ!」
翔太郎「なにより、それが犯人だったら、一刻も早く止めなくちゃな!」
フィリップ「……翔太郎。照井竜は『三日前から』連続通り魔事件は起こったって言ったよね?」
翔太郎「ん? ああ、丁度美月が来てからだから――っておい、まさか……」
フィリップ「その通りだ。僕の頭の中では、容疑者の一人として『赤坂美月』も考えている」
翔太郎「そんわけねぇだろ! あいつの様子を見てきたけど、メモリの力に侵されているようには見えなかった。なにより、そんなメモリを使ってるなら俺達だってとっくに……」
フィリップ「彼女が、ジェノサイドのメモリを使っていながら、その力を押えていたのだとしたら?」
翔太郎「それは……」
フィリップ「今のところ死者は出ていない。ジェノサイドのメモリを使っていながらだ。メモリに支配されているなら襲われた人間は必ず死んでいるはず。けど死者は出ていない。使用者にメモリの適性があるなら、それもあり得る」
翔太郎「けどよ……」
翔太郎「くっ……だが、まだ確定はしていないだろ?」
フィリップ「ああ。確かに彼女の行動は理性的で、メモリの力が干渉しているとは思えないのも事実。あくまでタイミングが合ったことで浮上した容疑者だ。けど……可能性はある程度高い」
翔太郎「その根拠は?」
フィリップ「通り魔の犯行は翔太郎が外出している時間帯に発生している。それもすべてだ。僕は基本この部屋にいるから、彼女の行動を把握しているわけではない。翔太郎が外出してしまえば、彼女は誰にも知られずにここから出られる」
翔太郎「くそっ、ますます怪しくなっちまったな……」
フィリップ「そういえば、美月は?」
翔太郎「今は買い物に行ってる。あいつ、俺達が飯がうまいって言ったのがうれしかったらしくてな。随分と張り切ってたぜ」
フィリップ「そうか……ますます疑うのが心苦しくなってきたね」
翔太郎「ん? はい、こちら左――照井? ……何!? 大通りでドーパントが現れた!?」
フィリップ「噂をすれば、か」
翔太郎「おいおい、大通りだったら美月も巻き込まれてるんじゃ……行ってくる!」
――
―
【大通り】
男「あ、ああ……来るな! 来るなぁっ!?」
ドーパント「ふん、そうやって女を見捨てて自分だけ逃げるなんて、最っ低! 死になさい!」
男「うわぁっ!?」
カンッ!
ドーパント「ん?」
アクセル「間一髪ってところか」
男「か、仮面ライダー!」
アクセル「今すぐ逃げろ!」
ドーパント「待て!」
アクセル「させるかっ!」
カンッ!
ドーパント「くっ!」
アクセル「手首から生えてる刃……お前が例の通り魔か」
ドーパント「お前が仮面ライダー……目ざわりだ! 消えろ!」
アクセル「俺は消えるわけにはいかない。仮面ライダー、だからな」
―
アクセル「はぁっ!」
ドーパント「遅いっ! はぁっ!」
アクセル「ぐぁっ!? くっ、速い……」
ドーパント「ふんっ! 貧弱な男……これだから男は」
アクセル「なぜ男ばかりを狙う? 嫉妬か? 恨みか?」
ドーパント「強いて言うなら、恨みよ! 男は女を騙して、暴力を振るって、女を不幸にする! わたしは女を助けるために男を皆殺しにするのよ!」
アクセル「では、なぜカップルばかりを狙う! 男なら風都にもごまんといるはずだ!」
ドーパント「うるさい! 速く黙りなさい!」
カンッ! キィンッ!
アクセル「ぐあっ!? 力勝負でも勝てないとは、こいつ、強い!」
ドーパント「はぁぁ!!」
「トリガーエアロバスター!」
バシュンッ! バシュンッ! バシュンッ!
ドーパント「うあっ!」
W(翔太郎)「ふぅ、間一髪だなおい」
アクセル「来てくれたか、W」
W(翔太郎)「ああ。だが……照井でも苦戦するとは、油断できねぇなおい」
W(フィリップ)「む? どういうことだ?」
W(翔太郎)「どうした? フィリップ」
W(翔太郎)「そうじゃないのか? 手首から刃も生えてるし……」
W(フィリップ)「だが、外見が大きく違う。ジェノサイド・ドーパントにはあんな大きな角は生えていないはずだが……」
W(翔太郎)「とにかく、今はあいつを倒すのが先だ!」
アクセル「そうだな。これ以上犠牲者は増やさせない」
ドーパント「そうか、お前が二人目の仮面ライダー……わずらわしい! 男はみんな消えてしまえばいい!」
W(翔太郎)「おいおい、随分と物騒なこと言ってくれるじゃねぇか」
アクセル「あいつの力と速さは油断できないぞ」
W(フィリップ)「しかしジェノサイド・ドーパントは防御力がないはずだ。そこをつけばなんとかなる」
W(翔太郎)「だったら、熱々のランチを持っていけ!」
【HEAT/METAL】
キィンッ!
W(翔太郎)「っと! 確かに力はあるが……こっちの勝ちだな! おりゃっ!」
ドォンッ!
ドーパント「ぐぅっ!?」
アクセル「俺も忘れるな、よ!」
キィンッ!
ドーパント「うぁ! こんのぉっ!」
ダッダッダッ!
W(翔太郎)「おいおい! あの角で突撃なんて洒落になんねぇぞ!」
カキィンッ!
ドーパント「はぁぁ!」
W(翔太郎)「ぐぅぅ!」
アクセル[バイクフォーム]「はぁぁっ!!」
ドゴォンッ!!
ドーパント「うがぁっ!!」
W(フィリップ)「助かった、感謝する」
アクセル「何、相手が冷静さを失っているから出来た」
ドーパント「ぐぅぅっ……」
W(フィリップ)「さっきの突撃が効いているようだ」
W(翔太郎)「なら、いっきに『ツインマキシマム』いくか?」
アクセル「それがいいだろうな。逃げられる前に」
ドーパント「こ、このぉっ!」
W(翔太郎)「これで決まりだ!」
【TRIGGER MAXIMUM DRIVE】
アクセル「これでゴールにしてやる」
【ACCEL MAXIMUM DRIVE】
ドーパント「はぁぁ!」
W(翔太郎)「俺に合わせろ!」
アクセル「了解した!」
W「トリガーフルバースト!!」
アクセル「はぁぁっ!!」
バァンッ! バァンッ! バァンッ!
ドーパント「あぁぁっ!?」
アクセル「たぁっ!!」
ドーパント「ぐぁぁぁっ!!?」
アクセル「ああ、これで通り魔も――」
W(フィリップ)「待ってくれ!」
ドーパント「ぐ、ぐぅぅ……」
アクセル「メモリブレイクされないだと?」
W(翔太郎)「ツインマキシマムを受けたのにか!?」
W(フィリップ)「いや、ダメージは充分なはずだ。だがどういうことかメモリが排出されない」
ドーパント「ぐ、ぐぉぉ!」
バシュッ! バシュッ!
アクセル「なっ!?」
W(翔太郎)「あいつ、翼生えやがった!」
ドーパント「くっ……」
バサッ バサッ
W(翔太郎)「あっ、おい! 待ちやがれ!」
カシュン ヒュゥーン
翔太郎「さすがに空を飛べられたらな。けどやばいな」
照井「ああ。おそらくまた犯行に及ぶだろう。せめて予防策があればいいのだが……」
翔太郎「せめてメモリの所持者が分かればいいんだがな」
翔太郎(メモリの所持者……か)
――
―
翔太郎「ただいま」
美月「あっ、おかえりなさい!」
翔太郎「美月! 帰ってたのか」
美月「ええ。けどさっきニュースで大通りで事件があったって聞いて不安で……。大丈夫でしたか?」
翔太郎「ああ、俺は大丈夫だ。美月は?」
美月「わたしは、事件と運よくすれ違ったので……」
フィリップ「美月。ちょっといいかな?
フィリップ「開発用の材料が不足していて、早急に買い物に行きたい。荷物持ちに付き合ってもらえないかな?」
美月「わかりました、そういうことでしたら」
翔太郎「おいおい、随分と急だな。荷物持ちだったら俺でもいいだろ?」
フィリップ「今はいつドーパントが現れてもおかしくない。だったらここで待機して、どこで現れても対応できるようにしてほしい。いざとなって一人で変身出来るのは一人なんだしね」
翔太郎「……わかった。だがドーパントが現れてもおかしくないのはそっちも同じだかんな。気を付けろよ」
美月「はいっ!」
フィリップ「では、行ってこよう」
アッー
詩作品→試作品、ですね
脳内保管をお願いします……
―
翔太郎「にしても、なぜあのドーパントはメモリブレイクされなかったんだ? ツインマキシマムを受けて無事なはずが――」
ダンダンッ
翔太郎「ん? どうぞ」
ガチャッ
柏原「あ、あの……鳴海探偵事務所でいいんでしょうか?」
翔太郎「はいこちら鳴海探偵事務所! どんな依頼もハードボイルドに解決いたします」
柏原「はぁ……」
翔太郎「で、どんなご用件でしょうか?」
柏原「っと、そうだ。えーとですね……人捜し、なんですけど」
――
―
美月「売ってるところまで、随分と遠いのですね」
フィリップ「僕の発明品は特殊だからね。その筋の店で買う必要があるんだ。それにしてもすまない。もう夕刻に入っている時に付き合わせてしまって」
美月「構いませんよ! わたしもあの事務所の一員なわけですし、好きでやってるんですから」
フィリップ「それは非常にありがたい。……そうそう、実は美月に大事な話があったんだ」
美月「大事な?」
フィリップ「実はだね。僕と翔太郎は――」
――
―
翔太郎「――おいおい、そりゃマジかよ!」
柏原「でしたら、今その人は危険です! 特に今は夕日がある!」
翔太郎「おいおい! 早く連絡を――」
ピョインッ! ピョインッ!
翔太郎「ん? ……フロッグポッド?」
フロッグポッド「――!」
翔太郎「……録音データがある?」
――
―
美月「――お二人が、仮面ライダー……?」
フィリップ「仮面ライダーW。二色の色を持つ風都のヒーローだ。ドーパントという、ガイアメモリの力を持つ怪物を相手に戦っているんだ」
美月「……すごいですね。ただの探偵さんとは思わなかったけど、まさかみんなのヒーローだなんて」
フィリップ「改めてそう言われるとうれしいものだね。ということで、事件にもあった怪物に出会ったら、迷わず連絡してくれ」
美月「ええ……そうさせてもらいます」
フィリップ「それじゃあ、早く向かおう。翔太郎が今日の夕食に待ちくたびれているはずだからね」
美月「ええ。……今日も、腕によりをかけますよ」
フィリップ「それはうれしいな――」
ブンッ!
美月「ふんっ!」
美月「なにっ!?」
フィリップ「やはり期待通りの働きを見せてくれるね、ファング」
ファング「――!」
美月「なんなのよ、そいつ!」
フィリップ「この子はファング。僕のSPみたいなものかな? それにしてもなんなんだろうね? ファングは僕の命の危険を察知しないと現れないんだけれど……それと、その左手に持っている岩はなにかな?」
美月「こ、これは……」
フィリップ「ついに正体を現したか、赤坂美月。……本当は嘘であってほしかったけど」
美月「仕方ないか……仮面ライダー、わたしの邪魔をする憎き男! ここでわたしが殺す!」
【GENOCIDE/GOAT DOUBLE CAST】
カチッ シュイーン
ドーパント「ここで死ね! 仮面ライダー!」
フィリップ「ダブルドライバー……どうやら僕も準備ができたようだ。翔太郎!」
翔太郎≪ったく、無駄に心配させやがって。『スタッグフォンが鳴ったら、ドライバーを装着してくれ』っていうフロッグポッドのメッセージ、聞いてなかったらどうしてたんだ?≫
フィリップ「心配ない。僕のメモリガジェットは優秀だからね。もちろんファングも」
翔太郎≪あまり無茶はしてほしくないが、今は説教をやってる場合じゃないな!≫
フィリップ「行くよ、ファング!」
ファング「――!!」
フィリップ・翔太郎「変身!!」
【FANG/JOKER】
W「さぁ、お前の罪を数えろ!」
【ARM FANG】
ダブルキャスト・D「はぁぁ!」
W(フィリップ)「させない! たぁっ!」
ダブルキャスト・D「ぐぁっ!」
W(翔太郎)「フィリップ! 赤坂美月についての正体が判明した! さっき美月の関係者が来てな、隅々まで教えてもらったぜ」
W(フィリップ)「赤坂美月の関係者?」
W(翔太郎)「ああ。そもそも正確には彼女は赤坂美月ではない。彼女の本名は『赤坂志穂』。赤坂美月ってのは志穂の双子の姉だ!」
W(フィリップ)「双子の姉? では本物の赤坂美月は?」
W(翔太郎)「……自殺したそうだ」
――
―――
翔太郎「赤坂美月は自殺している?」
柏原「はい。……美月と志穂は、二人暮らしをしていました。ですが、ある日姉の美月に男ができたんです。それだけなら、いい、それだけなら」
翔太郎「よくある恋愛話じゃ済まなくなった、てか」
柏原「僕も、人伝から聞いた話なんですけど……その男がたいそうひどくて、金はせびるわ暴力は振るうわ……結局それに耐えきれず別れ、美月の精神はボロボロになってしまいました。と、同時に、男に対してとてつもない『敵対意識』も美月に生まれたのです」
翔太郎「そりゃあひでぇ話だ……その男、許せねぇ」
柏原「その敵対意識は半端なものではなく、美月は一切男を寄せ付けなくなりました。……それは、妹である志穂にも飛び火しました。
妹を不幸にしまい、二の舞は踏ませない、と志穂の周囲からも男という男を跳ね除けました。志穂が誰か男性の人と少しでも接触すると、虐待すらしてしまうようになってしまったようで……」
翔太郎「赤坂美月はどんどんすさんでいった……で、その終局が、自殺か」
柏原「お風呂場でのリストカット。第一発見者は他でもない赤坂志穂。度重なる虐待でストレスがたまっていた矢先、姉の自殺現場を目の当たりにしてしまった志穂は、あまりの心的ショックによって――」
W(翔太郎)「彼女が持つ人格は専門家によると三つ。ひとつは普段の生活を過ごしている赤坂美月。ひとつは志穂に近寄る男を殺しさえもしてしまう志穂が投影した残忍な姉、赤坂美月。さらに、表に滅多にでることのない、本人格である赤坂志穂」
W(フィリップ)「なるほど、メモリ使用者に見られる感情の高ぶりが感じ取れなかったのは、メモリを使う人格が違っていたから。たびたび『ボク』や『わたし』といった一人称に違和感があったのは、人格が変わっていたからか」
W(翔太郎)「残忍な姉である赤坂美月の人格は非常に危険で、近づく男は殺すこともためらわない。おそらくメモリによって、その残忍性が増幅されてしまったんだ」
W(フィリップ)「大体理解は出来た。そして、相手がかなり厄介なこともね」
W(翔太郎)「そういえば、ジェノサイド・ドーパントとは違うってフィリップ言ってたな」
W(フィリップ)「ああ。あれは『ダブルキャスト・ドーパント』だ」
W(翔太郎)「ダブルキャスト?」
W(翔太郎)「ああ、覚えてるぜ。あのどんぶりドーパント、見た目の割に妙に強かったぜ」
W(フィリップ)「簡単に説明するなら、あれの強化版だ。『ダブルキャスト』のメモリは、ふたつのメモリの特性を合体し、一つのメモリにすることができるんだ。
まさか理論段階だったあれが完成するなんてね」
W(翔太郎)「ってことは、かなり厄介なんじゃ……」
W(フィリップ)「ああ。親子丼ドーパントみたいに、弱いメモリ同士の合体じゃない分、強力になる。しかしそのメモリの特殊性故、適正者が現れるのはありえなかったんだ。
『ダブルキャスト』は二面性のメモリ。同じ二面性を持つ人にしか惹かれないはずだからね」
W(翔太郎)「なるほど、多重人格である美月にはもってこいのメモリってわけか!」
W(フィリップ)「偶然が重なりあった結果、強力なドーパントがうまれたわけだ。合体したメモリは『ジェノサイド』と『ゴート』。
『大量殺戮』と『羊』だね。逃走の際に見た飛行能力は、羊が悪魔の象徴であるための能力だろう。『ゴート』の能力が、『ジェノサイド』の影響を諸に受けている」
W(翔太郎)「相変わらず、ガイアメモリはなんでもありだなこんちくしょう!」
W(フィリップ)「うぅっ!」
W(翔太郎)「大丈夫かフィリップ!?」
W(フィリップ)「くっ、明らかに力が増幅している。赤坂志穂に近しい男と戦っているための執念もあるが、メモリとの適合が徐々に進んできている。メモリとの適性が高すぎるんだ!」
W(翔太郎)「ってことは、暴走するかもってことか!?」
W(フィリップ)「だから、暴走する前に早く勝負を付ける!」
「その通りだ。この町で暴れさせるわけにはいかない!」
キィンッ!
ダブルキャスト・D「ぐぅ! 来たか、赤い仮面ライダー!」
アクセル「すまない、遅くなった」
W(フィリップ)「いや、また助けられたようだ。ありがとう」
ダブルキャスト・D「ふんっ! まぁ二人がかりでもいいわ! 今のわたしは誰にも止められない!」
W(翔太郎)「けど、実際厄介なのは間違いねぇし。なによりメモリブレイクされないんだぜ! フィリップ、何かいい方法はないか?」
W(フィリップ)「メモリブレイク出来なかったのは、おそらくふたつのメモリが合体している状態だからだ。方法は……ふたつのメモリを分離させて、同時にブレイクするしかない」
アクセル「そんなことができるのか?」
W(翔太郎)「同時にブレイクってのは、俺達とアクセルなら問題ねぇ」
W(フィリップ)「だが、問題なメモリの分離だ。メモリは赤坂美月のふたつの人格に依存しているはず。外から精神世界へ呼びかけるしかない!」
W(翔太郎)「言葉で語れ、か。説得あるのみだ!」
ドゴンッ!
アクセル「くっ! なんて馬鹿力だっ」
W(翔太郎)「おい! 美月! 聞こえるか!」
ダブルキャスト・D「ぴーぴーうるさいわね、この!」
W(フィリップ)「ぐあっ!」
W(翔太郎)「耐えてくれ、フィリップ! 美月! お前、この町の風は心地いいって言ってくれたな! なんだか優しい気持ちになるって!」
ダブルキャスト・D「うる、さいっ!」
カキィンッ!
アクセル「左の邪魔はさせない!」
ダブルキャスト・D「くぅっ!」
W(フィリップ)「赤坂美月! この声を覚えているかな?」
柏原≪美月? 美月か! 俺だ、柏原だ!≫
ダブルキャスト・D「柏原さん……?」
柏原≪今ちょっと探偵さんの電話を借りてるんだ。美月! お前がいきなり姿を消して、みんなが心配してたんだぞ! 部長や映研のみんな! 森崎先生もだ! みんな美月の帰りを待ってる!≫
ダブルキャスト・D「あ、ああ……」
柏原≪俺は世界で一番お前のことを心配してるつもりだ! だって、だって……≫
ダブルキャスト・D「や、やめろぉ! これ以上、あの男の声を――ぐっ!?」
W(フィリップ)「美月の人格が分離し始めている! 人格の力関係を覆そうとしているんだ!」
W(翔太郎)「美月! お前、風都の風が好きなんだろ? 何より、お前を待ってくれている人だっているじゃねぇか! なのに、なのに――」
ダブルキャスト・D「やめろって言ってるんだよぉ!」
W(翔太郎)「お前がこの町を、待ってくれている人たちを泣かせてどうするんだ! 戻ってこい!!」
シュゥゥーン
ジェノサイド・D「あ、あぁ……」
ゴート・D「あぁっ!」
W(フィリップ)「メモリが分離した!」
ジェノサイド・D「お、おのれぇぇぇ!!」
ガシッ!
ジェノサイド・D「何っ!?」
ゴート・D「翔太郎さんたちに、怪我なんてさせないっ!」
W(翔太郎)「美月! 美月なんだな!」
ジェノサイド・D「放せぇ! お前なんか、わたしでも志穂でもないただの取り繕いの人格のくせにぃ!」
ゴート・D「たとえ本当はない人格でも! 柏原さんや翔太郎さん、フィリップさんと……みんなと生きてきたから! 短い間でも、みんなと過ごしてきたから!
だから、大事な人達を守るのは当たり前でしょ!」
ジェノサイド・D「この出来そこないがぁ!!」
W(フィリップ)「おそらく彼女は気づいているのか……メモリブレイクされた瞬間、完全にメモリに寄生した人格も消えると」
W(翔太郎)「なにっ!? そ、それじゃ、美月は……」
ゴート・D「迷ったらだめ! だって、あなたたちはこの町を守る仮面ライダーでしょ! あの店のおじちゃんも、みんなも、守らなきゃいけないんでしょ! だから――」
W(翔太郎)「美月……」
アクセル「フィリップ、左。行けるか?」
ゴート・D「……伝えてください。柏原さんに。……『ありがとう』って」
W(フィリップ)「そのメッセージ、僕の本棚にしっかりと記録した。行くよっ、ツインマキシマムだ!」
アクセル「二人同時に……たたく!」
ガションッ! ガションッ! ガションッ!
【FANG MAXIMUM DRIVE】
アクセル「お前の憎しみ、恨み。……俺が振り切ってやる」
【ACCEL MAXIMUM DRIVE】
ジェノサイド・D「や、やめろぉぉ!!」
ゴート・D「……」ギュッ
W・アクセル「はぁぁ!!」
W・アクセル「ライダーツインマキシマム!!」
ズドンッ! ズドォンッ!!
ジェノサイド「いやぁぁぁ!!」
ドォォン……
―――――
――――
―――
――
―
こうして、『赤坂美月事件』は終結した。
赤坂志穂はほどなくして目を覚ましたが、その時には幸いにも残酷な姉の人格である赤坂美月はきれいさっぱり消えていたという。
……そう、もう一人の赤坂美月も。
柏原が言っていた赤坂志穂の行方不明は、例の組織の研究員の仕業だった。
名前だけ出ていた試作品のメモリ――『ダブルキャスト』のメモリの被検体として赤坂志穂を見つけ出した研究員は、
志穂が入院していた病院から半ば無理やり風都の病院に移送。
秘密裏に行うため研究員個人でやっていたところ、メモリの力によって志穂及び美月は脱走。
しかしメモリとあまりにも適性値が高く、人格の力関係が完全に変動。
治療によって抑えられ始めていた姉・美月の人格が上位となってしまう。
強大すぎるメモリの力が、本棚にも影響を与えていたとは驚きを隠せない。
やはりメモリについてはまだ未知数な点が多そうだ。
赤坂美月の記憶喪失に関して、犯人は姉・美月で間違いないだろう。
姉。美月が生活に溶け込むために、美月の人格の記憶に制限をかけていたのだ。これも解離性同一性障害の症状の一つらしい。
そしてこの事件の中心人物ともいえる赤坂志穂についての処遇であるが……これに関しては心配ないらしい。
赤坂志穂のカルテも発見、研究員が削除していた戸籍も復活。
その人物の特殊性故少しばかり議論があったらしいが、研究員の違法な実験に巻き込まれた被害者であるという点と、強制的に使用されたメモリによる犯行である点だということから、彼女自身は無罪放免となった。
しかししばらくは精神病棟でちょっとしたリハビリをしなければいけないらしい。今回は死者も出ていない、幸い後遺症が発生した被害者もいないので、比較的丸くおさまったといえよう。
猫を助けるときに見せた人間離れな跳躍……思えば、あれはメモリの力が浸食していた結果だったと推測できる。
だが、おそらく美月は……赤坂美月は、最後まで姉・美月に抵抗していた。
ジェノサイドの力を使いながら、なぜ姉・美月は一人も殺せなかったのか……。
これは、美月がメモリの力を、姉・美月を最期まで抑えていたから。
彼女がいなければ、この事件も解決できていなかったであろう……。
風都の風がいざなった、とある夏のむなしい事件だ。
フィリップ「一人の少女に宿るふたつの人格……ダブルキャストだね」
翔太郎「……プレゼントしたふうとくんが、泣いてるように見えるぜ」
フィリップ「そうかな?」
翔太郎「ほう、じゃあフィリップにはどう見えるんだ?」
フィリップ「……安堵。彼女は大事なものを守れたんだ。風都の風を愛する者として、ね」
翔太郎「……そうだな」
ダンダンッ
ガチャッ
志穂「えと……」
柏原「どうも」
柏原「はい。署での取り調べも終わったので。担当医の森崎先生のところに」
志穂「その……色々と、ありがとうございました」
翔太郎「何、俺は依頼を遂行したまでさ」
フィリップ「君たちの幸せを、心から祈っているよ」
柏原「あはは……」
翔太郎「……志穂、これを受け取ってくれ」
志穂「これって……確か風都のマスコットキャラ、でしたっけ?」
翔太郎「まぁ、俺達からの選別ってこった。……向こうでも、がんばれよ」
志穂「……ありがとうございますっ!」
――
―
フィリップ「よかったのかい?」
翔太郎「何がだ?」
フィリップ「あのふうとくん。彼女との唯一の形ある思い出じゃないのかい?」
翔太郎「……何、あいつが持っていた方がいいって思っただけだ。あれさえそばにいれば、あいつの『お姉さん』も安心して妹を見守れる……そう願っただけさ」
フィリップ「……ふぅ。慣れないことはしないほうがいいよ? まさか翔太郎が一瞬だけハードボイルドに見えてしまうとは」
翔太郎「なっ! 俺は正真正銘のハードボイルドだっつーの!」
フィリップ「はいはい」
―FIN―
保守してくれた人達に感謝感謝
PSゲーム「ダブルキャスト」、中古で発売中
乙
懐かしかった
Entry ⇒ 2012.10.13 | Category ⇒ 版権物SS | Comments (1) | Trackbacks (0)
木胡桃「横浜デート!」
なぜ、こういうことになったかというと
マリーさんが、言っちゃいけないことを言ったから!
*・゜゚・*:.。..。.:*・゚・*:.。. .。.:*・゜゚・*
木胡桃「友達に写メ送っちゃおうかなー」
魔梨威「友達ぃ?」
木胡桃「・・・・・・」あぅぅ
*・゜゚・*:.。..。.:*・゚・*:.。. .。.:*・゜゚・*
木胡桃「遅いよマリーさん」
木胡桃「10分の遅刻だよ!」
魔梨威「いやー、途中まで順調に来てたんだけどさぁ」
魔梨威「なんか武蔵溝ノ口に寄んなきゃって気になっちまって」
木胡桃「もう、そのネタは散々やったから!」
京浜東北線沿線以外の人を
光の彼方に置き去りにしつつ
女の子達の差しさわりのないデートを
お楽しみいただくSSです
木胡桃「バツとして、お茶はマリーさんの奢りに決定!」
魔梨威「えー」
木胡桃「えー、じゃないよ!」
木胡桃「こーゆとこに女のコ一人でいると」
木胡桃「ジロジロ見られて、ヤなんだから!」
魔梨威「あー、いやー」
木胡桃「だいたい!」
木胡桃「わたしが、誰か知らない人に連れてかれちゃったら」
木胡桃「どうするつもりだったの!?><。」
魔梨威「知らない人に着いてくなよ!」
魔梨威「その前に、アタシが異人さんに連れてかれた時」
魔梨威「追っても来なかったじゃんか!」
木胡桃「その赤い靴伝説のある、山下公園!」
魔梨威「伝説じゃねーよ!」
魔梨威「童謡だよ、童謡!」
木胡桃「ということで!」
木胡桃「マリーさんがまた連れてかれないように」
木胡桃「手を繋ぎましょう!」
魔梨威「なんでだよ、恥ずかしいだろ!」
木胡桃「今日はデートなんだよ!?」
木胡桃「手を繋ぐくらい、当然でしょ!」
魔梨威「で、でもさぁ」
木胡桃「・・・・・・」じわっ
魔梨威「わかった、わかりました!!!」
木胡桃(フッ、ちょろい)
木胡桃「そこはもう、元町商店街♪」
魔梨威「へー、アタシ初めて来るよ」
魔梨威「この辺だと、中華街で豚まん食べるか」
魔梨威「球場の外野席でビール飲んで野次るかだからね」
木胡桃「・・・だから、オッサン言われるんだよ」ぼそっ
魔梨威「オッサン、言う・・・」
木胡桃「どうせ柿ピーとか食べてたんでしょ?」
魔梨威「ぐっ」
木胡桃「マリーさん、怒ったの?」
魔梨威「・・・・・・」
木胡桃「ねー、マリーさんってば!」
魔梨威「・・・・・・」
木胡桃「もー、しょうがないなー」
木胡桃「じゃあ、腕を組んであげます!」
ぎゅっ
魔梨威「待て、待て、待て!」
魔梨威「それはキグの望みだろ!?」
木胡桃「ほら、こっちのがデートっぽいよね♪」
魔梨威「聞けよ、人の話!」
魔梨威「へ?」
魔梨威「洋服屋とかじゃないの?」
木胡桃「子供の頃は、よくここでシール買ったりしたんだよ」
木胡桃「ビーズの種類もいっぱいあったし」
木胡桃「いまはデコの材料にも事欠かないよ」
魔梨威「そんなん、ユザ○ヤでいーじゃん」
木胡桃「だから、オッサンって言われるの!」
魔梨威「オイ!それは一部の地域的にケンカ売ってるぞ!」
魔梨威「ユザ○ヤとキシ○ォートつったら」
魔梨威「あの地域じゃ、聖域なんだよぉ!」
魔梨威「あ、あたしだね」
魔梨威「はいって、え?」
魔梨威「はい、はい」
魔梨威「・・・・・・」
魔梨威「色々すいませんでしたー!」
木胡桃「どしたの、マリーさん」
魔梨威「いや、怒られちまったよ」
魔梨威「うちは全国展開、だってさ」
魔梨威「あと、吉祥寺的にも怒られた」
木胡桃「なんでだろうね」
木胡桃「これぞ元町ブランドって感じだよ!」
魔梨威「ちなみにここは、カ・・・」
木胡桃「カメラは、売ってない!」
魔梨威「ツッコミはえーよ!」
魔梨威「芸人ゴロシかよ!」
木胡桃「んー、やっぱりお嬢様っぽいバッグ多いよねー」
木胡桃「ちゃんとした場所用に、1つは欲しいとこだよ」
魔梨威「ちゃんとした場所って、区役所とか?」
木胡桃「・・・・・・」
魔梨威「なんでここまで来て、ジョナ○ン?」
木胡桃「だって、公園入っちゃうと店少ないし」
魔梨威「それにしたって、ファミレスにしなくても」
木胡桃「いーの!」
木胡桃「ここで、カフェキャ○メルパフェ食べるのが通なの!」
木胡桃「てゆか、なんでデ○ーズ潰れちゃったの!?」
魔梨威「ファミレス入るのは、百歩譲っていいとしよう」
魔梨威「しかし、なんでアタシら恋人座りなんだい!?」
木胡桃「マリーさん」
木胡桃「今日がデートだって、忘れたの?」
魔梨威「いや、いねーから!」
魔梨威「いまドキ、恋人座りなんていねーから!」
木胡桃「だって、こっちのがアーンしやすいよ?」
魔梨威「ゴーモンかよ!!!」
木胡桃「・・・言う通りにした方がいい気がするなぁ・・・」
魔梨威「今度は、脅迫かい!?」
木胡桃「ってことで、食べさせてください!」
木胡桃「はい、あ~ん♪」
魔梨威「いやいや、ちょっと待ちなって」
木胡桃「あ~ん♪」
魔梨威「うぅ」
魔梨威「えーい、ままよ!」
ぱくっ
*・゜゚・*:.。..。.:*・゚・*:.。. .。.:*・゜゚・*
木胡桃「んーっ」
木胡桃「おいひぃ」
*・゜゚・*:.。..。.:*・゚・*:.。. .。.:*・゜゚・*
魔梨威「!?」
魔梨威「こうやって食べさせてると、自分の子・・・」
木胡桃「そのオチは、もういらない!」
魔梨威「先手を打たれた!?」
木胡桃「これはデートって言ってるじゃん!」
木胡桃「もっと恋人らしくして!!!」
魔梨威「ちょっ、声が!」
ざわっ ざわざわっ
木胡桃「!?」
魔梨威「あたしのせいか!?」
木胡桃「マリーさんが素直にあーんしてくれれば」
木胡桃「こんなことには、ならなかった!><。」
魔梨威「り、理不尽さが半端ないけど」
魔梨威「悪かったよ」
木胡桃「じゃあ、公園でアイス奢ってください!」
魔梨威「立ち直りはえーな、オイ!」
魔梨威「公園あんま居なかったけど、良かったのかい?」
木胡桃「山下公園は、アイス食べてー」
木胡桃「散歩してるワンちゃん、もふもふする場所なんだよ」
木胡桃「あ、ついでに花火観るとこ」
魔梨威「い、色々と楽しみ方が間違ってる気がする」
木胡桃「・・・・・・」ぶるっ
魔梨威「寒いのかい?」
魔梨威「冷たいもの連続で食べるから」
木胡桃「けっこう、海は風あるからだよ」
木胡桃「じゃあ、わたし手すりにつかまってるから」
木胡桃「マリーさんは、わたしの後ろから手を回して・・・と」
魔梨威「なんか、すげー恥ずかしいカッコなんだけど!?」
木胡桃「わたしが温かいから、いーの!」
魔梨威「いや、こうしてるとさぁ」
木胡桃「もう子供オチはいらない!」
魔梨威「い、いや」
魔梨威「キグって、いい匂いすんだな」
木胡桃「!?///」
木胡桃「・・・ばか///」
魔梨威「そういえば、こっち側ってあんまり来ないなー」
木胡桃「ホテル側だからねー」
魔梨威「お、そろそろお昼だな」
木胡桃「いい所があるよ!」
木胡桃「ちょっと歩くけどね!」
木胡桃「ここにケータイクーポンがあるから!」
魔梨威「いやいや」
魔梨威「どうせなら横浜らしくさ・・・」
木胡桃「じゃあ、聞くけど!」
木胡桃「横浜らしい食べ物って、なに!?」
魔梨威「え、そりゃあさ」
魔梨威「中華とか、こじゃれた食べ物なんじゃないの?」
木胡桃「中華は池袋とか神戸でも食べれる!」
木胡桃「あと、こじゃれた食べ物とか」
木胡桃「下北とか代官山に任せとけばいーの!」
魔梨威「お前は横浜の格を落としたいのか!」
木胡桃「って言ってる間に、お昼で並び始めたけど」
魔梨威「・・・入るか」
苦来「・・・どうも、暗落亭苦来でございます」
苦来「なぜ、わたしの出番がないの!!?」
苦来「・・・・・・」
苦来「・・・という訳で、無理やり出て来ました」
苦来「先ほどマリーさん達が使っていた、こじゃれたですが」
苦来「本来、小戯れる(こざれる)から来ており」
苦来「ふざけているという意味合いで使われるものです」
苦来「まあ、最近は意味が違って来た言葉も多いですよね」
苦来「・・・以上、楽屋からお送りしました」
*・゜゚・*:.。..。.:*・゚・*:.。. .。.:*・゜゚・*
木胡桃「わざと黄身を崩してるんじゃない?」
魔梨威「その労力を、他に活かせないものなのかね」
木胡桃「形を残す方が大変なのかも」
魔梨威「まー、どうでもいいけどさ」
木胡桃「だねー」
魔梨威「・・・・・・」もぐもぐ
木胡桃「・・・・・・」もぐもぐ
魔梨威「口に入れちゃえば、変わんないなー」
木胡桃「だねー」
魔梨威「・・・・・・」もぐもぐ
木胡桃「・・・・・・」もぐもぐ
魔梨威「あー、なんか分けて食べるかなー」
木胡桃「ふーん」
魔梨威「・・・・・・」もぐもぐ
木胡桃「・・・・・・」もぐもぐ
木胡桃「あれ?」
木胡桃「あーんするの忘れた!」
魔梨威「残念だな、完食しちまったよ!」
木胡桃「うー」
木胡桃「マックシェイク買って来る!><。」
魔梨威「それを、どうやってあーんするんだよ!」
魔梨威「・・・・・・」
木胡桃「どしたの?上なんか見上げちゃって」
魔梨威「改めて見ると、デケーなって思って」
木胡桃「ランドマークタワー!」
木胡桃「なんか、他のビルよりどっしりしてるよね」
魔梨威「重量感あるよな!!!」
ぐっ
木胡桃「・・・なんでドヤ顔?」
木胡桃「マリーさん、こんな天気いいんだよ?」
木胡桃「もったいないから、観覧車乗ります!」
魔梨威「それ、天気関係・・・」
木胡桃「・・・・・・」
魔梨威「あるじゃんかよ!」
木胡桃「わたしが怒られる意味が分かんないよ!」
魔梨威「行き場を無くしたツッコミの恐ろしさ」
魔梨威「とくと思い知りやがれ!」
木胡桃「そんなの知らない!」
木胡桃「意味不明だけど許してあげます」
魔梨威「なんだよ、素直じゃん」
木胡桃「だって、マリーさんが普通に手を繋いでくれたから!」
魔梨威「え、あれ!?」
木胡桃「にひひー」
魔梨威「怖い!」
魔梨威「慣れって怖い!!!」
木胡桃「マリーさんは、このデートで一皮むけたんだよ」
木胡桃「言うなれば、新型マリーさん!」
魔梨威「なんかどっかで聞いたような」
ヒュオオオオオン
魔梨威「な、なんだい、この風は!」
木胡桃「頭の上だけ黒い雲が掛かったよ!?」
ひ と の ネ タ と ら な い で ー
*・゜゚・*:.。..。.:*・゚・*:.。. .。.:*・゜゚・*
魔梨威「き、聞きなれた声がするぞ!?」
木胡桃「怖い!」
木胡桃「こんなの持ちネタと思ってる執念が怖いよ!!!」
*・゜゚・*:.。..。.:*・゚・*:.。. .。.:*・゜゚・*
!?
*・゜゚・*:.。..。.:*・゚・*:.。. .。.:*・゜゚・*
木胡桃「あれ、急に雲がなくなった」
木胡桃「なんでだろう?」
魔梨威「・・・精神攻撃は基本だからな」
魔梨威「今頃、楽屋が大変なことになってそうだ」
丸京「泣いた!」
丸京「意味不明のこと叫んだと思ったら、今度は泣いたぞ!」
手寅「どんな夢を見ているのかな」
丸京「悪夢かも・・・起こすか?」
手寅「うーん」
手寅「やめとこう!」
手寅「なんか面倒くさくなるかもだから」にこっ
丸京「・・・それもそうだな」
テトちゃん、安心の危機回避能力
*・゜゚・*:.。..。.:*・゚・*:.。. .。.:*・゜゚・*
魔梨威「横浜なのに、なんでこんな場末感が漂ってんだよ」
木胡桃「あー、この遊園地ね」
木胡桃「花や○きを新しくしましたーって感じはあるよね」
魔梨威「みなとみらいってことは」
魔梨威「まさに、未来の花やしき!?」
木胡桃「狙ったわけじゃないだろうけどね」
魔梨威「まー、でも」
魔梨威「この観覧車は、さすがに浅草にはないな」
木胡桃「浅草にこんなのあったら」
木胡桃「さすがに雰囲気ぶち壊しじゃない?」
魔梨威「なんでだよ」
魔梨威「京都駅とか京都タワーのが、よっぽどだろ」
木胡桃「京都方面にケンカ売っちゃダメー!」
魔梨威「だったら、傘回しに例えれば良くないか?」
魔梨威「いつもより多く回しちゃう的な!」
木胡桃「そんなに回しちゃったら降りられないよ」
木胡桃「その前に、ゴンドラを回すボールにしちゃったら」
木胡桃「1個しか付けらんないじゃん!」
魔梨威「やっぱり隣に座るんだな」
木胡桃「じゃあ、膝の上に座ろっか!」
魔梨威「・・・すいません、隣でお願いします」
木胡桃「よろしい♪」
魔梨威(だ、ダメだ)
魔梨威(今日はキグに勝てる気がしねー!)
木胡桃「さっき居た山下公園が、あんなちっちゃい」
魔梨威「ほえー、ほんとだ」
魔梨威「水上バスだとあっという間だったのになー」
木胡桃「よいしょっと」
こてんっ
魔梨威「な、なにしてんだ!?」
木胡桃「膝枕に決まってるじゃん」
魔梨威「そりゃ見ればわかるって」
木胡桃「いいよね、膝枕!」
魔梨威「いいよねって、景色が見えないだろ!」
木胡桃「マリーさんの顔が見れるよ?」
魔梨威「ぐっ」
魔梨威(か、勝てる気がしねー!)くぅぅ
なでなで
木胡桃「むー!」
木胡桃「なんで頭をなでるんですか!」
魔梨威「え?」
魔梨威「いや、なんとなく」
木胡桃「また子供扱いしたー!><。」
魔梨威「違うって」
魔梨威「ほんとに、なんとなくだって!」
魔梨威「ほんとだって」
木胡桃「ほんとに、ほんと?」
魔梨威「嘘なんかついて、どーすんだよ」
木胡桃「じーっ」
魔梨威「い、いや、だからさ」
木胡桃「しょーがない、信じてあげます!」
木胡桃「その代わり」
木胡桃「観覧車降りたら、腕組んじゃおっと!」
魔梨威「・・・容赦ねーな、オイ」
魔梨威「なんでウインドーショッピングが横浜駅地下街?」
木胡桃「だって、そ○うとかマ○イって高いんだもん」
木胡桃「ここだと、なにかにつけてセールやってるしね!」
魔梨威「・・・いやー」
魔梨威「今日一日で、横浜にケンカ売りまくってるなー」
木胡桃「横浜のいーところも、たくさんあるよ?」
木胡桃「例えば」
木胡桃「ヨド○シ横浜のガチャの品揃えが半端ない!」
魔梨威「それ、逆効果だろ!」
魔梨威「言われてみれば」
木胡桃「はいはい!」
木胡桃「わたし、パスタがいいです!」
魔梨威「あー、任せるよ」
魔梨威「どんな店あるか知らないしね」
木胡桃「よかったー」
木胡桃「牛丼とか言われたら、どうしようかと思っちゃった」
魔梨威「言わねーよ!」
魔梨威「いい加減、オッサン扱いやめやがれ!」
木胡桃「あ、あそこの店、すぐ座れるかも」
魔梨威「スルーかよ!」
木胡桃「パスタだから、あーん出来なかった!」
魔梨威「どう考えても無理だろ」
魔梨威「ドリンクにストロー2本差しとか」
魔梨威「やりかねないと思ったけどな」
木胡桃「・・・あ」
木胡桃「次は、あっちのド○ール行きます!」
魔梨威「やめろー!」
魔梨威「ド○ールはなぁ、ス○バとかエ○セルシオールとか」
魔梨威「おされなとこ入れないおっちゃん達の」
魔梨威「最後の楽園なんだよぉ!」
木胡桃「普通に、若いコ達もいるよ!」
木胡桃「どしたの?」
魔梨威「キグ、そこハネちゃってるぞ?」
木胡桃「ウソ?さっきのパスタ!?」
木胡桃「うわーん、どうしよう」
木胡桃「これ、お気に入りなのに!><。」
きょろきょろ
魔梨威「キグ、あの店入るぞ」
木胡桃「え、なんで?」
魔梨威「サイズはMで大丈夫だよな?」
木胡桃「あ、うん」
魔梨威「キグに似合うのはっと」
魔梨威「んー、こんなんかなー」
木胡桃「それ、割と好きな感じかも」
魔梨威「んじゃ、これくださーい」
魔梨威「あと、着ていきたいんだけど」
魔梨威「やっぱ全部は落ちないかー」
魔梨威「あとは漂白剤つけて洗濯して・・・って」
魔梨威「なに鏡見てボーっとしてんだ?」
木胡桃「だって、マリーさんのプレゼントだもん!」
魔梨威「ぷ、プレゼントとかじゃねーよ!」
木胡桃「プレゼントでしょ!」
魔梨威「だ、だから」
木胡桃「誰がなんと言おうと、プレゼントなの!」
魔梨威「・・・う」
魔梨威「じゃあいいよ、プレゼントで」
木胡桃「うん!」
木胡桃「ありがと、マリーさん!」にこっ
魔梨威「!?///」
魔梨威(さ、悟っちまった)
魔梨威(たぶん、キグには一生勝てねー!)
がっくり
木胡桃「あれ?」
木胡桃「お礼言ったのに、なんで落ち込むの?」
魔梨威「ふいー」
木胡桃「電車座れて、良かったね」
魔梨威「なんだかんだで、歩いたからなー」
こてっ
魔梨威「電車の中もかい!」
木胡桃「・・・・・・」zzz
魔梨威「も、もう寝たのかよ」
木胡桃「むにゃ・・・マリーさぁん」
木胡桃「次はろこでデートするんれすかぁ」zzz
魔梨威「・・・はぁ」
魔梨威「そうだなぁ、今度はどこに行くかねぇ」
魔梨威「なんだか・・・あたしも眠く・・・」
総武快速線でした
お後がよろしいようで
Entry ⇒ 2012.10.10 | Category ⇒ 版権物SS | Comments (0) | Trackbacks (0)
田中「沖田、本当に行っちまうんだな」
紗羽「うん。一応、卒業扱いだけどね」
有田「えー!? じゃ、卒業式も出れないの!?」
紗羽「ごめんね。もう、決めちゃったから」
奥都「うそー……マジなんだ……」
有田「紗羽の隠れファンクラブ会員たちが泣くよ?」
紗羽「そんなの居ないって! もー。」
田中「……」
田中「……いや、別に」
来夏「なになに、田中くん。いっちょ前に寂しがってんの?」
田中「……なんのことだよ」
来夏「だって、田中のその眼。完全に、飼い主に置いてけぼりくらう犬みたいだよ」
田中「なんだそりゃ」
来夏「まー、あんた達もいいコンビだったからねぇ」
和奏「いつも無神経なこと言ってた印象だけどね」
田中「いきなり出てきてひでぇこと言うな、坂井」
ウィーン「……来月……までなんだね」
来夏「ウィーンまで。どうした、にくレッドの情熱は!」
ウィーン「……うん。」
来夏「ん? なに?」
田中「お前は、寂しくねぇのか?」
来夏「……」
和奏「田中、それは……」
来夏「寂しいよ」
田中「!」
来夏「寂しくて仕方ないよ。けど、だからって、暗くなる必要はないでしょ? 寂しがる表現って、一つじゃないと思うし」
来夏「あたしがもし、逆の立場だったら。どんより、悲しい雰囲気のまま、学校生活を終わらせたくない。」
来夏「だから、紗羽にそう思って欲しくないから。明るく、楽しく過ごすの」
和奏「……」
田中「……悪い」
田中「……そうだな。わかったよ、つるぺた」
来夏「そうそう、そんな風にチビって……つるぺたぁ!? なんじゃそれ!?」
田中「事実だろ」
来夏「むきー! チビって言われるよりよっぽど腹立つんだけど!」
ウィーン「和奏、つるぺたって?」
和奏「あー……えっと……」
紗羽「何騒いでんの?」
来夏「あ、紗羽! 聞いてよ! 田中がセクハラしてきた!」
紗羽「セクハラ?」
紗羽「うわー、それはサイテーだわ」
田中「いや、それは……その……ノリっつーか……」
紗羽「モジモジしてキモイよ。なに、田中は大きい方が好きなの?」
田中「なっ……! ば、バカかお前!?」
紗羽「じゃ、小さい方?」
ウィーン「……ねえ、来夏。大きいとか小さいとか、どういうこと? 来夏に関係しているの? 来夏はどっち?」
和奏「それは……あはは。ね、来夏」
来夏「ウィーン。天然であたしにダメージ与えるのやめてくれるかな……」
田中「どっちでもいいだろ! ったく……」
来夏「よくない! かなり重要だから、そこ!」
田中「はいはい」
来夏「いいね! ……っていきたいところなんだけど」
和奏「受験、もうすぐだしね」
ウィーン「和奏も、受験勉強してるの?」
和奏「うん。私の学力じゃまだ厳しいんだけど、一回受けてみるのも良いかも、って」
来夏「驚きだよね、この発言があの教頭先生から出て来たんだよ?」
紗羽「白祭終わってから、そんなもんじゃない?」
田中「あの冷血漢が、よくあそこまで穏やかになったもんだよな」
和奏「冷血『漢』じゃないけどね」
紗羽「ウィーンと田中は?」
来夏「何買うの?」
ウィーン「パークスの本を。」
和奏「パックス?」
ウィーン「パークス。平和の神様の名前だよ」
来夏「ふーん。流石は正義と平和のヒーローだね」
田中「俺は暇だぞ。特にやることないし」
和奏「さすが推薦合格者……」
来夏「おや~? って、ことは二人きりで下校ですか? ふふふ」
田中「は!?」
紗羽「何変なこと考えてんの。友達なんだから、別にいいじゃない」
田中「ああ……そう……だな」
ウィーン「じゃ、僕も」
来夏「はー。初っ端から世界史かー。眠たくなるなー……」
紗羽「受験生がそんな愚痴言わないの。ほら、席戻りなよ」
来夏「はーい」
紗羽「それじゃ、田中。放課後よろしくね」
田中「おう」
田中(友達……か。そりゃそうだよな。俺が宮本や坂井と同じことになったら、きっと同じように言うだろうし)
田中(そもそも。俺だって、沖田のこと意識し始めたのも最近だし)
田中(今までは、普通に男女の友達って関係だったんだから。当たり前だろうな)
田中(…………沖田、本当に行っちまうんだな)
田中(友達も、家も、全部置いて。自分の夢を叶えるために)
田中(……かっこいいよな。すげえよ。俺には絶対選べない道だ)
田中(だったら、やっぱり応援……しねえとな)
――――放課後、駐輪場にて。
紗羽「そういえば、田中もチャリ通だったよね」
田中「ああ」
田中「は?」
紗羽「自転車使うより、かなり早く来れたんだよね」
田中「あー……そういやお前、一回馬で来たことあったな」
紗羽「馬で きた」
田中「……なんだ、そのヤンキーみてーなポーズ」
紗羽「知らない? ネットで有名な画像なんだけど」
田中「あんま見ねーから、わからん」
紗羽「そっか」
田中「うし、じゃ帰るか」
紗羽「あ、自転車乗っちゃうんだ」
田中「え? そりゃそうだろ」
紗羽「こーいう時は、歩いて帰るもんじゃない?」
紗羽「うん。なんとなく。雰囲気の話だけど」
田中「……ま、それがいいなら。それで」
紗羽「うん」
――――――――
田中「……」
紗羽「……」
田中「……なぁ」
紗羽「ん?」
田中「前から思ってたんだけど」
田中「ち、ちげえよ!」
紗羽「なんだ、残念。で?」
田中「お前さ。何で、指定の靴履かねぇの?」
紗羽「ああ。だって動きにくいじゃん。革靴って」
田中「そりゃ、運動するためのもんじゃないし」
紗羽「と言ってる田中も、スニーカーでしょ?」
田中「革靴じゃ、自転車が漕ぎにくいからな」
紗羽「結局、わたしと同じ理由じゃない」
田中「……たしかに。」
紗羽「わたしね、毎朝サブレと散歩してから学校来てるんだ」
田中「へえ。サブレって、お前んちの馬だよな?」
紗羽「うん。だから、いちいち靴取り換えるの面倒で」
紗羽「うわっ。なんか、田中が言うとエロく聞こえる」
田中「なんだそれ」
紗羽「……まぁ、後は踵の厚みがないからかな」
田中「? どういう意味だ」
紗羽「そのままの意味」
田中「スポーツやる人間からすると、だけど。踵ってすげえ負担かかるから、ぶ厚い方が良いと思うぞ」
紗羽「そうだね。でも、こっちはスポーツ関係なし」
田中「ますますわからん」
紗羽「あえて言うなら、わたしが指定靴はいたら」
スッ
紗羽「こうやって、下から覗きこむのも難しくなるよ?」
田中(ちっ、近い近い!)
田中「そっ、そういや……そうだな」
紗羽「……親のせいにするつもりはないんだけどさ」
田中「ん?」
紗羽「この年になって、初めて思った。もっと背が低かったらなー、って」
田中「……宮本が聞いたら、キレるぞ?」
紗羽「ふふ。かもね」
――――――――
田中「……」
紗羽「……」
紗羽「……あ。綺麗だねー、夕日」
田中「そうだな」
田中「たしかにな」
紗羽「……そうだ」
田中「?」
紗羽「田中、今日バドミのラケット持ってる?」
田中「ああ、あるけど。ってか略すな」
紗羽「えー……。部活もないのに持ってきてるんだ……」
田中「聞いたのお前だろ。なんでそこで引くんだよ……」
紗羽「一本だけ?」
田中「いや、練習用とか試合用とか合わせれば三本ある」
紗羽「三本も!?」
田中「それぐらい普通だし」
紗羽「ふーん……じゃあもちろん、羽根もあるんだよね?」
田中「シャトルか? そりゃ、もちろん」
田中「?」
紗羽「ちょっとだけ、やってかない? バドミントン」
田中「え?」
――――――――
シュパァン! パシュッ!
紗羽「うわっ! 変な動きした! 素人相手にカーブかけるの!?」
田中「バドミントンにカーブは、ないぞー」
紗羽「そうなのー?」
田中「むしろ、シャトルが軌道を変えたら壊れてる証拠だ! ほっ!」
紗羽「そうなんだ。知らなかったー!」
紗羽「じゃあ、こんな海岸の近くで潮風に煽られてやるのってー、間違ってる?」
田中「だから言った、ろッ! 風で曲がるからやりにくいって!」
紗羽「そうなんだー。ま、面白いからいいけどー」
田中「面白いか?」
紗羽「面白いよー。勝ち負けじゃなくて、単に打ち合ってるだけなんだもーん!」
田中「俺はいつもみたいに動けなくて、少しやりにくい!」
紗羽「足場は砂浜だしねー!」
田中「……まー、いいけどよー! 良い運動には、なっからッ!」
紗羽「……」
スパァン! シュパァン!
紗羽「というか!」
パシッ!
紗羽「ごめん。でも、これ、すっごい疲れるじゃん!」
田中「当たり前だろ。バドミントンなんだし」
紗羽「こんな激しいスポーツだったっけ……」
田中「一応、沖田でも打ちやすいように打ってるつもりなんだけど」
紗羽「そうなの?」
田中「ラリー続かない方がつまんねーし」
紗羽「そうなんだ。優しいね、田中」
田中「…………。いいから、再開してくれ」
紗羽「あ、ごめんごめん」
ヒュッ、スパァン! パァッ!
田中「んー?」
紗羽「バドミントンで、プロになりたいんだよねー?」
田中「……まーな」
紗羽「ずっと、言いそびれてたんだけどー」
田中「?」
紗羽「田中さ、わたしが騎手になるって言った時にー!」
田中「ああー!」
紗羽「カッコいいって、言ってくれたよね!」
田中「そうだっけー?」
紗羽「そうだよー。それがさ、わたし、すっごく嬉しかったんだー!」
紗羽「だから、ありがとねー!」
田中「……おー! 気にすんなー!」
田中「んー?」
紗羽「結構、カッコいいよー!」
田中「!」
ブォン!
紗羽「あ、全国ベスト8が空振った!」
田中「か、風で軌道が変わったんだよ」
紗羽「ほんとにー?」
田中「ったく……あー汚れちまった」
紗羽「わたしのせいじゃないよ?」
田中「はいはい。俺のせい。」
紗羽「ふふ。」
紗羽「うん。でも、そろそろ日も落ちてきちゃったね」
田中「ああ、それもそうだな」
紗羽「次のラリー終わったら、帰ろっか」
田中「……わかった。じゃ、いくぞ」
紗羽「こい!」
シュッ、パン! スパァンッ!
紗羽「あー、やっぱ動きにくい!」
田中「スニーカーだろ、お前」
紗羽「普段、こんなところでスポーツしないじゃん!」
田中「それもそうだなー」
紗羽「ほっ! よっ!」
田中(……もうすぐ終わりか)
田中(もう、ひと月もすりゃあ沖田は……居ないんだな)
田中(遠い国で、必死で騎手になるため、行っちまうんだ)
田中(俺が同じ条件なら……絶対、諦める気がするし)
田中(やっぱ、この思いきりの良さはすげーわ)
田中(宮本が言ってたように。暗い雰囲気で、送り出されたら)
田中(ただでさえ不安なのに、たまんねーよな)
シュパン! スパン!
田中(だから、明るく……せめて、楽しく)
田中(送り出して……)
紗羽「あはは。やっぱスポーツって楽しいよねー!」
田中「…………ッ」
ポトッ
田中「……」
紗羽「シャトル、汚れるよ?」
田中「……沖田」
紗羽「ん?」
田中(やっぱり、俺は……!)
田中「俺、さ」
紗羽「うん」
田中「沖田に…………行って欲しくない」
田中「せっかく、仲良くなっただろ。なのに、すぐまた離れちまうのって……」
田中「すげぇ……寂しいと……思う」
紗羽「……」
田中「……悪い。いきなり、こんなこと……」
紗羽「ううん。ありがとう」
紗羽「みんなさ、意地っ張りなんだよね」
紗羽「暗くなったり、別れを悲しんだら、わたしがためらっちゃうから」
紗羽「だから、みんな無理して、明るく振る舞ってる」
田中「……知ってたのか」
紗羽「見てればわかるよ、そんなの。特に来夏なんかね」
田中「……でも、それは」
紗羽「わたしを思いやって、考えてくれてることもわかってるよ」
紗羽「でもさ。それでも、やっぱり言って欲しいことって、あるんだよね」
紗羽「寂しいとか、行って欲しくない、とか」
田中「……」
田中「……俺は……」
紗羽「あ。そうだ。わかってるだろうけど、言うね」
田中「え?」
紗羽「それでも、わたしは行くよ」
田中「……」
紗羽「夢だったから。出来る可能性は、全部試したい。納得できるまで」
田中「……そうだな。」
紗羽「だから田中も、頑張ってね」
スッ
田中「……?」
紗羽「なにしてんの、ハイタッチでしょ。ほら」
紗羽「お互い、絶対に夢をかなえようね」
田中「ああ。俺は世界に、沖田は日本に、行けるように」
紗羽「……なんか変な感じ」
田中「大きな夢には、変わりないだろ」
紗羽「そうだね。約束だよ。破らないでね」
田中「おう。沖田こそな!」
パァン!
おしまい
書き溜めしてから投下のスタイルなので、投げっぱなしジャーマンにはなりません。
この距離のまま〆るとはよくわかってるジャマイカ
二人のお話(というか紗羽側)が動くなら、やっぱり空港イベントの後からかな、と
TARI TARIのSSは結構少ないので、もっとみんなもやってくれたら嬉しいな、って思ったり
こういう雰囲気いいな
Entry ⇒ 2012.10.10 | Category ⇒ 版権物SS | Comments (0) | Trackbacks (0)
シェリー「ここはマール王国よ」ほむら「マール王国・・・」
ほむら(それに少しずつ世界も変わっている)
ほむら(これ以上こんなことしてていいのかしら・・・)
ほむら(まどかが死ぬのは運命なのかしら)
ほむら(いいえ、ここで終わらせたら全てが終わる・・・)
ほむら(今度こそ・・・)
ほむら(ここはどこかしら・・・)
ほむら(明らかに病院じゃ無さそうだけど)
???「あっ、目が覚めたのね!」
ほむら「誰!」
シェリー「あたしはシェリー、シェリー・エスポワールよ」
シェリー「あなたの名前は?」
ほむら「私は暁美ほむら・・・・・・」
シェリー「そう、じゃあほむらちゃんね!」
シェリー「暁美ちゃんじゃ違和感感じるし・・・」
ほむら「いえ・・・あまり名前で呼ばれなかったので・・・」
シェリー「あらあら、ほむらちゃんかわいい」ナデナデ
ほむら「・・・・・・」カアァ!
シェリー「そういえばあなた、不思議の森で倒れてるのを保護したんだけど」
シェリー「あなた、この時代の人間じゃないでしょ」
シェリー「・・・今は言えないのね」
シェリー「大丈夫、今は安静にしててね」
ほむら「・・・恐らく私はここから遥か未来から来たわ」
ほむら「私はそこで親友を助けるために何度も戦った」
ほむら「でも、何度やっても結果は変わらなかった・・・」
シェリー「そう、すごく苦労したのね」ギュッ
ほむら「あなたに何が分かるの!」
シェリー「分かるよ!」
シェリー「大切な人が死んで行くのはとても悲しいよね・・・」
ほむら(ああ、なんて悲しそうな目)
ほむら(彼女もそんな経験をしたのね・・・)
ほむら「うわああん!!!」
シェリー「よしよし、今は少し立ち止まって良いのよ」ナデナデ
シェリー「そしてまた歩き出して行けばいい」
シェリー「その時はこの言葉を覚えていて欲しいの」
シェリー「『女は行動力』ってね」
シェリー「そう、覚えておいてね!」
ほむら「・・・うん」
シェリー「よく言えました!」ナデナデ
ほむら「シェリー曰く、いつ帰れるか分からないそうなので」
ほむら「このまま居候というわけにはいかないからです」
ほむら「そして問題はそれからしばらくして起こったのです」
魔女「ウガガガガガガア!!!」
ほむら「ハア・・・ハア・・・」
ほむら(ここの魔女は全体的に強いのは少ない)
ほむら(しかし数が多い)
ほむら(そうなると起こる問題は・・・)
ほむら(この国の技術でそんな物は作れないはず・・・)
ほむら「・・・・・・・」
ほむら「とりあえず教会に行こう」
オレンジ村
シェリー「ほむらちゃん!」
ほむら「シェリー、どうしたの!」
シェリー「ちょっとついてきて!」ギュッ
ほむら「えっ」
ほむら「あの男の人がどうしたのよ」
シェリー「あの男の人はカールっていうの」
シェリー「数年前は彼に何度も求婚されたものよ」
シェリー「あの時は元気だった・・・・・・・」
シェリー「首筋に変な紋章が出てるし・・・」
カール「・・・・・・・」スッ
ほむら(あれは拳銃じゃない!)
ほむら「早く彼を止めるのよ!」
シェリー「わかったわ!」
ナイトスポーノ「承知した・・・・・・」メテオ!
カール「グハッ!」
シェリー「カール、あなたはなんて馬鹿なことをしてるの!」
カール「放してくれ!私はセバスティアンを殺してしまった!」
カール「私に生きてる資格は無いんだ!」
シェリー「どうゆうことなの、周りの景色も変わってるし」
ほむら「ここは魔女が張った結界の中」
ほむら「普通ならここに入った時点で生きて帰って来れないわ」
シェリー「じゃあどうやってここから出るの?」
ほむら「この奥にこの結界を作った者がいるからそいつを倒せばいいの」
ほむら「私たちはそれを魔女と読んでいるわ」
カール「そうだったのか・・・」
ほむら「私は今からここの魔女を倒しに行くわ」
ほむら「あなた達もついて来て」
シェリー「分かったわ、カールは大丈夫?」
カール「ああ、大丈夫だ・・・」
ほむら(にしてもこの国の結界はやたら同じような景色が広がってるわね)
シェリー「ところで一つ聞きたいんだけど」
ほむら「あら、何かしら」
シェリー「ここに来てからやたら高笑いする魔女見たの?」
ほむら「見たけど、あれとは少し違うわ」
ほむら「あっ、やっと見えて来たわ」
ほむら「くっ、強い!」
ほむら「まさかここに来てこんなに強力魔女と戦うとは・・・・」
ほむら(弾も少なくなって来たし、本当にまずいわ)
シェリー(・・・・やるしかないのね)
ほむら「シェリー、しっかりして、あなたのお腹には子供がいるんでしょう!」
カール「そうだ、彼女の言う通りだ、しっかりするんだ!」
シェリー「ううん・・・大丈夫、それより今のほむらちゃんの格好は一体・・・」
ほむら「それはこっちのセリフよ!」
カール「私からすればどっちもどっちだよ」
ほむら「そしてシェリーも・・・」
シェリー「・・・・・・という訳よ」
カール「もう私の理解の範疇を越えてきたよ・・・」
ほむら「ということはいつ帰れるか分からないって言ってたのは・・・」
シェリー「そう、あたしが実際に経験してるからよ」
シェリー「ここに来た方法もあれだし」
ほむら「そうね・・・・・・」
カール「・・・・」
カール「ところでほむら君、君は私に頼みたいことがあるのだろう」
ほむら「どうしてそれを!」
カール「だから君は重火器などを使って戦っている」
カール「だが、その重火器なども未来のものなのでもう残りが少ない」
カール「だから君は、ローゼンクイーン商会の援助を受けたい」
カール「そんなところだろう」
ほむら「ええ、その通りよ」
ほむら「本当ですか!」
カール「君たちがいなければ私はきっとここにいなかっただろうしね」
ほむら「ありがとうございます!」
ほむら「最初こそ使いづらかったがすぐに改善され、」
ほむら「それの繰り返しで気が付けば現代の兵器のレベルに到達していた」
____
__
カール「やあほむら君、この前渡したマシンガンはどうだい?」
ほむら「ええ、もう私のいた時代と同じレベルに達してるわ」
カール「そうか、それは良かった」
カール「・・・・・・」
カール「戦争が終わるそうじゃないか」
ほむら「ええ、でもシェリーは相当落ち込んでたわ」
カール「あの古代兵器のことか」
カール「ああ、彼は絶対アレを政治利用するだろう」
カール「ほむら君、君はもしかして・・・」
ほむら「シェリーのために古代兵器を破壊する!」
ほむら「方法は簡単、時を止めて城に忍び込み」
ほむら「古代兵器の所に行く!」
カール「それからどうやってあれを壊すんだ」
ほむら「時を止めて重火器を大量に放つ、それだけでなんとかなるわ」
ほむら「明日の夜に行うわ」
カール「そうか、ならば君に渡したい物がある」
ほむら「これは・・・・・・・」
カール「これはローゼンクイーン商会の技術をフルに使って作られた小銃」
カール「エトワールだ」
カール「このエトワールという名前は近いうちに産まれる私の娘に付ける名前だ」
ほむら「そう、いい名前ね」
カール「それじゃあ健闘を祈るよ」
ほむら「この城の中に古代兵器があるのね」
シェリー「ちょっと待ったぁ!!」
ほむら「えっ、なんであなたがここにいるの?」
シェリー「カールから聞いたわ、今からこの城に入るのね」
ほむら「というよりあなた、体は大丈夫なの?」
ほむら「あなたのお腹には子供がいるのよ!」
シェリー「それにあなたは古代兵器のある場所を知らないでしょう」
ほむら「そういえばそうだったわね」
シェリー「さあ、古代兵器のところまで行こう!」
ほむら「遂に着いたわ・・・・・・」
ほむら「シェリー、少し放れてて」
シェリー「分かったわ」
ほむら(最初はこのカールからもらった銃で!)パアン!!
古代兵器「プシュューーーー」プスプス
ほむら「・・・・・えっ」
ほむら「・・・・・みたいね」
ほむら「こうしてゴロンゾの野望は終わった」
ほむら「エトワールという一丁の銃によって・・・」
______
___
ほむら「あれから数年が経った」
ほむら「シェリーに女の子が生まれ、私たちは幸せに過ごしていた」
ほむら「まどかの事を忘れてしまうほどに・・・・」
ほむら「でも神様はそれを許してくれなかった・・・・・」
ほむら「エトワールちゃん!本当なの!」
エトワール「コルネットちゃんが・・・とつぜん・・きえちゃって・・・」ヒック
ほむら「大丈夫、お姉ちゃんが必ず助け出すから」
エトワール「うん・・・・」
ほむら(ああ、一番恐れていたことが起こってしまった!)
シェリー「キュウべえ、ここでいいのね!」
キュウべえ「ああ、ここに君の娘がいるはずさ!」
ほむら「」
キュウべえ「・・・君は初対面の人間にそういう態度を取るのかい」
シェリー「キュウべえこれには事情があって・・・」
シェリー「・・・・・・という訳でほむらちゃんは未来から来たのよ」
キュウべえ「なるほどね」
シェリー「そうよ!ほむらちゃん、早く入るわよ」
ほむら「そうね、あの子は絶対寂しがってるわよ!」タッタッタ・・・
キュウべえ(行ったか・・・)
キュウべえ(まさか、こんなところで強力な魔法少女の資質を持つものに出くわすとはね・・・)
結界内部
ほむら「ハア・・・ハア・・・」
シェリー「ハア・・・ハア・・・」
シェリー「回復は大丈夫?」
ほむら「ええ、なんとか・・・」
シェリー「ええ・・ほむらちゃんがあんなに言っていれば普通に躊躇うよ・・・」
ほむら「そう・・・良かった」
ほむら「・・・にしてもこの使い魔、アレに似てるわね」
シェリー「ええ、まるで古代兵器に・・・そりゃそうさ!」
ほむらシェリー「!!!」
キュウべえ「考えてみなよ、古代兵器に関わっていて現在行方不明な人物を・・・」
シェリー「・・・ゴロンゾのことね」
キュウべえ「そうさ、彼は魔法少女だったのさ!」
シェリー「なんだって!」
キュウべえ「その通りさ!」
シェリー「でもゴロンゾは何を願ったの?」
キュウべえ「彼は古代兵器を作るために僕と契約したんだ!」
シェリー「それであんなにすんなり行ったのね」
キュウべえ「そしてアレは壊されてしまった」
キュウべえ「暁美ほむらというイレギュラーによってね」
ほむら「じゃあ・・・こんなことになったのは私のせい・・・」
キュウべえ「まあ、そうとも言えるね」
ほむら「そんな・・・私がコルネットを・・・・・・」
シェリー「・・・・・・」
シェリー「ほむらちゃん、しっかりしろー!!」
ほむら「えっ」
シェリー「あれは壊さなきゃいけないものだった」
シェリー「それにほむらちゃんが壊さなくてもあたしが壊してた!!」
シェリー「これはしょうがないことなのよ・・・・・・」
シェリー「だからね、悲しまないで・・・」ギュッ
ほむら「・・・・・・うん」
ほむら「ええ・・・」
魔女「ドレ、モットチカズイテミンカ」
シェリー「コルネット!」
コルネット「お母さん!」
ほむら「とにかく今はこの魔女を倒すのよ!」
シェリー「ええ!!コルネット・・・頑張って!!」
_____
__
成竜フレール「グエェェェ!!」ボオォォォ!!
魔女「コノワシノヤボウガ・・・・」
シェリー「終わったの?」
ほむら「コルネット!!」
魔女「ウゴゴゴゴゴゴ!!!」
シェリー「危ない!」
ほむら「ただ、私をかばって死にかけているとしか」
コルネット「お母さん!」
ほむら「シェリー、しっかりして!」
ほむら「あなたが死んだらコルネットはどうなるの!」
シェリー「うっ・・・・・・」
キュウべえ「なんだい、シェリー」
シェリー「あたしと・・契約して・・・」
ほむら「ダメよ、それは絶対にダメ!!」
シェリー「大丈夫、ここで・・・・死ぬよりかは・・・マ・・シだか・・ら」
シェリー「それ・・に、前にい・・・ったで・・しょ、『女は行動力』って」
キュウべえ「ちなみにこの肉体はもう回復しないから別の肉体を用意してね」
キュウべえ「それじゃあ、君の願いはなんだい?」
シェリー「私の願いは・・・・・・」
_______
____
ほむら「ナイトスポーノは未来に送っといたわよ、シェリー」
ほむら「とりあえずコルネットが16歳になる頃にポストに入ってるわ」
クルル「もう、これからはシェリーじゃなくてクルルだって言ってるだろーが!」バシン!!
ほむら「ううう、そうだったわね」
クルル「ちょっとだけね、でもほむらちゃんを助けなかったら」
クルル「あたしはもっと後悔してたと思う」
ほむら「そう・・・」
コルネット「お母さん・・・・・」ムニャムニャ
ほむら「・・・・・・・・・・・」
ほむら「恐らく今のクルルじゃ出来ないと思うの」
クルル「・・・・・・・」
クルル「うんうん、確かにほむらちゃんならいいお母さんになれそうよね」
クルル「でもそれは出来ない、だってほむらちゃんはもう未来に帰っちゃうもん」
ほむら「・・・えっ」
クルル「このまえキュウべえに聞いたの、『ほむらちゃんはいつ未来に帰れるのか』って」
クルル「そしたらキュウべえ、今日の夜に未来へ戻っていくって言ってたの」
ほむら「そうだったの・・・・」パアッ
ほむら「あっ、手が消えてきた・・・」
クルル「大丈夫よ、コルネットはあたしが何とかするよ!」
クルル「カールにもうまく言っとくし」
ほむら「でも!でも!私はここからいなくなりたくない!」
ほむら「コルネットも、カールも、みんな大好きだから!」
クルル「ほむらちゃん・・・・」
クルル「それは、『コルネットが幸せになるまで見守っていたい』って言う願いだよ」
ほむら「そうだったの・・・」
クルル「それと、もしチェロって言う男の子に出会ったら伝えといて・・・」
クルル「『いろいろあったけど幸せな人生だった』って」
ほむら「分かったわ・・・」
ほむら「じゃあね・・・シェリー・・・ありがとう」
______
___
ほむら「ということがあったの」
まどか「そんなの絶対おかしいよ!!」
まどか「キュウべえ!」
キュウべえ「確かに彼女にはすごい資質があった・・・」
キュウべえ「でも彼女は願いの通りにコルネットが結婚して幸せになったら」
キュウべえ「すぐ天国に行ってしまったからエネルギーの回収は出来なかったけどね」
ほむら「ええ、もう行かなくては・・・・」
まどか「ほむらちゃん、大丈夫なの?」
ほむら「ええ、女は行動力よ」
_______
____
杏子「おせーぞ!!ほむら!」
ほむら「あら、ごめんなさい」
マミ「あなたも早く戦いなさい、今回は楽な戦いではないわよ」
ほむら「ええ」
ほむら(あなたがよく言ってた『女は行動力』という言葉の通りね)
ほむら(そしたら、これまでのループの中で最良の結果となったわ)
ほむら(まどかと美樹さやかは魔法少女にならず、誰も死ななかったわ)
ほむら(だからシェリー、見てて・・・)
ほむら「女は行動力よ!!!!」
完
Entry ⇒ 2012.10.09 | Category ⇒ 版権物SS | Comments (2) | Trackbacks (0)
ハニー・ポッター「私が、魔法使い?」
ハグリッド「……」
ダドリー「ブヒィー!ブヒィー!」
ピアーズ「踏んでください!踏んでくださいハニー姐さん!!」
バーノン「小娘、やめろ!やめろ!また方々に頭を下げんといかんだろうが!ダドリーの友達をかかとで踏みつけるのはやめんかぁああああ!」
ペチュニア「ダドちゃん!坊や!そんな小娘の靴を舐めちゃダメ、ダドちゃん!!」
ハグリッド「……こりゃぁおったまげた。見た目はリリーに……中身はジェームズそっくりになっちょるとは」
ハグリッド「……お、俺も踏んじょくれるか?ハニー?」
ハニー「えぇ。なるほど。中々魔法界もやりやすそうね?」
ハニー「何よ、散々のけものにしてきてくれたくせに」
バーノン「だまらっしゃい!貴様こそ、散々わしらに迷惑をかけておいて!」
ハニー「あら、ダドリーはこの上なく至福の時を過ごしているようよ?ねぇ?」
ダドリー「ご褒美です」
バーノン「えぇいうるさい!お前はこのままタレント養成学校に入って!その無駄にいい見た目でトップスターになってわしらに恩返しを……」
ハニー「ハグリッド、やっちゃって」
ハグリッド「俺の――前で――アルバス・ダンブルドアを――バカにするな!!!」
バーノン「誰だそれhぐっほぁあああああ!!」
ペチュニア「バーノーーーーーン!!!」
ピアーズ「ブヒィー!ブヒィー!」
ハグリッド「おう、聞いちょらんか。それはそうか、あの偏屈マグルど一緒だったんだものな」
ハニー「そう。どんな人だったの?」
ハグリッド「そりゃぁもう、お前さんそっくりさ」
ハニー「褒められた気がしないわ」
通行人マグル「あの子、なんで大男の肩に座ってるんだ……?」
ハニー「どうだか。大方この捻くれた性格のことを言っているんじゃない?」
ハグリッド「違うんだ!そりゃジェームズはちっとばっか難しい時期もあったが、そりゃぁ良い奴で」
ハニー「ふんっ」
ハグリッド「あー、ハニー。俺ぁお前さんにそんな顔されるとどうすればいいんか分からねぇ。ハニー、頼む……」
ハニー「じゃぁ、このリストに書いてある……ふくろうを買ってくれる?」
ハグリッド「お安いご用だ!」
ハニー「あなたは使える豚ね、ハグリッド」
リリーだ!
リリーが帰ってきた!!
ハニー「こんにちわ、始めまして。娘のハニーよ?」
天使だ!!!
天使が魔法界に帰ってきた!!!
今日はポッター記念日だ!!
トム「ハグリッド、なんだいその首につけてるものは」
ハグリッド「ハニーが作ってくれたんだ!待っちょれ、今にお前にもくれるはずさ。何せハニーは優しい子だからな!」
トム「作るって……私にはどうも、首輪にしか見えんのだが……」
ハグリッド「ほれ見ろ!みんなお前さんのことを知っちょったろう!?」
ハニー「えぇ、それに全員私印の首輪を着けたわね。幸先がいいわ」
ハグリッド「あぁ、何せお前さんは特別だからな!」
ハニー「私が特別なのはまごうことない事実だけれど、あなたの言うそれは別のことのようね?」
ハグリッド「うっ……す、すまん。聞かんかったことに……」
ハニー「ハ、グ、リ、ッド……?」フーッ
ハグリッド「お前さんはむかーしど偉く悪ぃ最低の魔法使い、それ!『ヴォルデモート』!を赤ん坊の頃にぶっ倒しちまったんですはい!!」
ハグリッド「や、やめちょくれハニー!あいつの名前を言うのは今でも恐れられちょる……」
ハニー「私が恐れるのは退屈と体重計だけ。何よ、たかが名前に。それに、私に指図するの?」
ハグリッド「お、お前さんの呼びたいように呼んじょくれ!」
ハニー「えぇ、それじゃぁあなたを偶に豚と呼ぶことにするわ」
ハグリッド「光栄だ!」
ハニー「つまり、あなたの人生全ての運を二度使い切ったと思っていいわね」
オリバンダー「まっこと、そうとも言えましょうな。どれ、杖腕はどちらかな?」
ハニー「あなたもプロなら、それくらい教わらずに分かりなさい」
オリバンダー「なるほど、随分とお父様に似たようで」
ハニー「やりにくいわ、あなた」
ハグリッド「オリバンダー!ハニーをわずらわせると俺が黙っとらんぞ!」
オリバンダー「わしの杖を無様に折られた馬鹿者は黙っとれ」
オリバンダー「えぇ、そうでしょうとも……柊の木、十八センチ。不死鳥の尾の羽が入っております」
ハニー「不死鳥、へぇ。それは綺麗なわけ?」
ハグリッド「お前さんほどじゃねぇがな」
ハニー「そう、ならいいわ。で、『そうでしょう』とは?オリバンダー老?」
オリバンダー「なるほど、聡いのもお父様譲りですな」
ハグリッド「は、ハニー?俺の時と違うんじゃねぇか?あれ?」
ハニー「敬意を払う豚と、愛玩する豚は違うの。文句がある?」
ハニー「ふぅん。ヴォルデモートって奴なのね?」
ハグリッド「は、ハニー!」
ハニー「さっきから何、豚は豚らしくヒンヒン鳴いてなさい」
ハグリッド「ヒンヒン!ヒン!」
オリバンダー「あなたのその、額に走る稲妻型の傷。それをつけたのは、この杖の兄弟杖だというのに。あなたは、これを選ばれた」
ハニー「そ。じゃぁ、私はどこまでもそいつが気に食わないわ。おかげでいつまでも、前髪を変えられないんだから」
ハグリッド「その髪は似合っちょるぞ、ハニー!ヒンヒン!」
ハニー「大丈夫よ。あなたの大罪は、この私の杖を作ったことで全て許されたわ。誰あろう、この私にね」
ハグリッド「オリバンダー、杖の金だ。じゃあな、俺達は買い物を済ませっちまわねぇと」
オリバンダー「確かに」
ハニー「またね、オリバンダー老。次会う時は、ヴォルデモートの杖をお土産にしてあげる」
オリバンダー「あなたなら冗談にならなそうですな」
ハグリッド「おう!お前さんにそんな重ぇもんを持たせるわけにいかねぇからな!」
ハニー「理解が早い豚は好きよ?」
ハグリッド「おっほー!そ、そいじゃぁ俺はひとっ走りしてくるで、またな!ヒンヒン!ヒン!」
ハニー「扱いやすくて助かるわ。さ、って。制服はここね、『マダム・マルキンの洋裁店』」
マダム・マルキン「ごめんなさいねお嬢さん。私は、自分の手で測らないと気がすまないの」
ハニー「そう、私が魔法を覚えたのなら、そんな手間なことは絶対にしないわ」
???「……ね、ねぇ。あなた、今の言い方……ひょっとして、あなたもマグル生まれなの?」
ハニー「? そうだけど、あなた、誰?」
???「あっ、ごめんなさい!」
ハーマイオニー「私、グレンジャー。ハーマイオニー・グレンジャーよ!」
ハーマイオニー「あぁ、良かった!私、これまでマグル生まれの子に会ってなくて、とっても心細かったの!」
ハニー「そうよね。私も、案内してくれる豚がいなかったら不安だったろうわ」
ハーマイオニー「豚? ねぇ、あなた、どこの寮に入りたい?私、ホグワーツの事を知ってから、色々読んで勉強してみたの!」
ハニー「えぇ」
ハーマイオニー「勇気ある者が入るグリフィンドール、野心ある人が入るスリザリン、知恵ある者が入るレイブンクロー、優しさある人が入るハッフルパフ!」
ハーマイオニー「あぁ、私、できればレイブンクローがいいのだけれど。でも、名のある魔法使いの多くはグリフィンドールのようだし、困ったわ!」
ハニー「そうね」
ハニー「さぁ、その口ぶりだと、有名な魔法使いってところかしら」
ハーマイオニー「えぇ!ホグワーツの、校長先生なの!とってもとっても有名だそうよ……あぁ、それから」
ハーマイオニー「ハニー・ポッターは知ってるかしら?あのね、どうやら、私たちと同じ学年……」
マダム「はい、お嬢さん終わりましたよ」
ハニー「どうも、マダム」
ハーマイオニー「あっ……」
ハニー「ごめんなさいね、人を待たせているの。店の前でヒンヒン鳴かせておくのは迷惑だし、もう行くわ……」
ギュッ
ハーマイオニー「えっ、えっ!?な、なにを!?」
ハニー「また、きっと会いましょう?ハーマイオニー」フーッ
ハーマイオニー「あ、あ、あぁ……え、えぇ!きっと、絶対、絶対だわ!///」
ハニー「(少し前歯が気になるけれど、この子は磨くととてつもなく光るわね。しっかりつばをつけておかないと)」
ハグリッド「もちろんだ、ハニー!よ、っと」
ハニー「あなたの肩の乗り心地は堪らないわね。誰も彼も見下ろすことができるし」
ハグリッド「そうか、それだけで俺ぁデカブツで良かったと思えっちまうぞ。ハニー、なんぞ良い事があったかい」
ハニー「そう見えるかしら」
ハグリッド「おう!俺とかあの豚みたいないとこを踏んづけている時とおんなじ顔をしちょる!」
ハニー「まぁね、ふふっ」
ハグリッド「おー、ハニー。そうプレッシャーをかけんどくれ、俺ぁそいつにめっぽう弱い……」
ハニー「怖がらないで、ハグリッド。さぁ、あなたの隠したそれを……私に見せてみて?簡単でしょう?」
ハグリッド「あぁ、ハニー、いけねぇ、いけねぇ……これは……」
ふくろう「ピィーッ!」
ハニー「可愛いふくろうを用意できたじゃない、褒めてあげるわ」
ハグリッド「お前さんと駅で別れる時にビックリさせてやろうと思っちょったのに……」
ハニー「回りくどいのは嫌いよ、覚えておきなさい。さっ、白豚、主人の顔をキチンと覚えるのよ?チキンになりたくなければね」
ふくろう→白豚「ピピィー!?」
ハニー「9と4分の3番線……そんなもの、どこにもないじゃない」
ハニー「あの豚、何か伝え忘れたわね……次会ったら全力でシカトだわ」
ハニー「豚の処遇はともかく、どうすれば……」
ハニー「……あの赤毛の集団、怪しいわ。先頭は、籠にふくろうなんて入れているし」
パーシー「ロン、ロン!お菓子を食べながら歩くんじゃない!君も今日からホグワーツの一員なんだ、監督生の僕に手間をかけさせないように……」
フレッド「おぉーぅ完璧パーフェクトパーシーはいう事違うぜ全くさ。鼻高々でダンブルドアにも負けないくらい伸びきっちまうんじゃないかい?」
ジョージ「ロニー坊や、お菓子を食べないと不安かい?大丈夫さ、組み分けはちょっとばっかり痛い目にあうだけ、死にはしないさ、きっと多分な」
ロン「パース、僕は子供じゃないんだ!ジョージもうるさいぞ、マーリンの髭っ!!」
ハニー「……」
ロン「あいたっ!?」
ハニー「あら、ごめんなさい……あぁ、あなたのお菓子が足元に」
ロン「いったたた……あー、ごめんよ。僕の方こそ兄貴たちと口論をしていたせいで。すぐに拾うよ、お世話様」
グシャッ
ハニー「……私の靴に、チョコがついたわ」
ロン「えっ……あー、どっちかと言うと、君が踏んだように思うんだけれど。なんのつもりだい、君……君、は……」
ハニー「ごちゃごちゃ言わずに、舐めとりなさい。ロニー坊や」
ロン「……」
ロン「もちのロンさっ!!!!!」
ロン「一応訂正させてくれよ。僕は、ロナルド・ウィーズリー。ロンって呼んでよ、豚でもいいさ」
ハニー「覚えておくわ。私は、ハニー・ポッター」
ロン「……は、ハニー・ポッターだって!?冗談きついよ、ハ、ッハ、ハさ!」
ハニー「主の言葉が信じられない豚なんていらないのだけれど?」
ロン「ごめんなさい!でも、へぇ、君が……おったまげー。こんなに可愛い女の子だったなんて」
ハニー「えぇ、それで可憐で完璧で知的で儚げでね。よく言われるわ」
ロン「そりゃそうさ、だってホントのことだもんね」
ハニー「あなた、ダドリー以来にしっくりくるわ」
ロン「うん、あと妹が一人」
ハニー「道理で鍛えられているはずだわ、性根の話ね」
ロン「なんのことだかさっぱりだけど、君に褒められて光栄さ」
ハニー「素直に尻尾を振ってヒンヒン言っておけばいいのよ。さぁ、それが出来たらご褒美にこの首輪をあげるわ」
ロン「やったぜ!」
ハーマイオニー「な、なぁに、あれ……って、あの子は……」
ハニー「あっはは、よく鳴く豚ね。可愛いわ」
ガラガラッ
ハーマイオニー「ちょ、ちょっと!やめなさいよ、男の子にそんな真似をさせるなんて……」
ハニー「うん?これはロンが好きでやっていることなのよ……あら」
ハーマイオニー「……見間違いであって欲しかったけれど、やっぱりあなたなのね」
ロン「誰だい、君。ハニー・ポッターになんのようさ」
ハーマイオニー「なんにも……は、ハニー!?ハニー、ポッター!?だ、誰が!?あなたなんていう冗談は止めて頂戴よ!?」
ロン「赤毛しか合ってないさ、あぁ。違うよ」
ハニー「私よ、私がハニー・ポッター。紹介が遅れてごめんなさいね?」
ハーマイオニー「……」
ハニー「私はいつも自分に正直に生きているの」
ロン「だから君は輝いているってわけだね」
ハニー「だから全部ホントよ、あなたと学校で会いたかった、っていうのも、ね。早々に、叶ったようだけれど……」
ハーマイオニー「近寄らないで!……あんなに憧れたハニー・ポッターが、あなたがこんな人だなんて、がっかりだわ」
ハニー「……」
ハーマイオニー「……あなたとは、お友達になれるって思ってたのに。失礼するわ、赤毛の女王様」
ガラガラピシャンッ!!
ロン「あー……ありゃなんだい?中々、ネーミングセンスはあるみたいだけどさ」
ハニー「ロン、さっき山ほど買った百味ビーンズ全味制覇でもしてなさい」
ハニー「……」
ロン「そして君の僕に対するリアクションもこれまた無味無臭、全くゾクゾクするね、あぁ」
ハニー「あなた訓練されすぎよ」
ガラガラッ
??「やぁ。ここに、ポッターがいるって?なんだか出っ歯のマグルもどきがわめいていたけれど」
ロン「なにさ、次から次に。僕とハニーのプレイを邪魔しないでくれよ」
ハニー「……何かよう?悪いけど私、少し気分が悪いの」
???「おやおや、これは失礼」
ドラコ「僕はドラコ。ドラコ・マルフォイさ」
ドラコ「僕の名前がおかしいかい?君の名前なんて聞く必要もないな、ウィーズリー。貧乏赤毛のコソコイタチめ」
ドラコ「あぁ、君の赤毛をバカにしたように聞こえたらごめんよ、ポッター。なに、君がバラなら、さしずめこいつは干からびたミミズさ」
ハニー「……」
ドラコ「そのうち君も、良い家柄と悪い家柄の区別が分かる。まぁそれまでは、この僕が教えてあげよう」
ハニー「……」
ロン「は、ハニー……?」
ハニー「歯ぁくいしばりなさいよ童貞」
ドラコ「な、なnごっッフォォオオオオイ!?!?」
ロン「いったー!いったー!ハニー姐さんの黄金の右ストレートやー!!!」
ドラコ「は、はなっ、はなせっこのぉおおおお!!!」
ハニー「語尾にフォイはどうしたの?」
ドラコ「んなっ!?だ、誰がそんnイタタタタタタタタ!はな、放してくださいフォォオオオオイ!!」
ロン「アッハハハ!ざまぁみろよマルフォイ、僕の父さんを一家総出で悩ませてる罰かもな!」
ドラコ「く、っそふざけるなウィーズリーイタタタタタタタタタやめ、やめてぇフォォオオオオオイ!!!」
ハニー「こんなことで褒められても嬉しくないわ」
ロン「でも、良かったのかい?あいつ、見るからにヘタレだろ、僕と同じで」
ハニー「えぇ、あなたと同じへタレ童貞豚の臭いがプンプンしたわ」
ロン「ご褒美さ、あぁ。で、あいつも君の豚に加えなくて良かったのか、ってことさ」
ハニー「あの童貞にも言ってやったけれど、友達なら自分で選べるわ。それに、勘違いしないことね、ロン。私は男なら誰でも豚にするっていうわけではないの」
ロン「えっ」
ハニー「敵か味方か、敬意を払う豚か愛玩する豚か。誇りなさい、ロン。あなたはこの私に選ばれたのだから」
ロン「一生ついていくよ、ハニー!」
ハニー「もとよりそうさせるつもりよ」
ザワザワザワ
グリフィンドール生「今年は、ポッターが来るらしいぜ!?」
グリフィンドール生「グリフィンに来てほしいよな!!」
マクゴナガル「ただいま戻りました、ダンブルドア校長。一年生はあちらに待たせてあります」
ダンブルドア「うむ、ご苦労じゃったのうミネルバ……ほっほ、どうやら生徒達は、ハニーの話題で持ちきりのようじゃな?」
フリットウィック「リリーに大変似ているそうで!スネイプ先生、楽しみですな?」
スネイプ「……」
マクゴナガル「それでは、呼びましょうか……一年生、前へ!」
ガチャッ!
ザワザワザワザワ!
グリフィンドール生「な、なんだあれ!?」
グリフィンドール生「あ、赤毛の美少女が、男たちの人体矢倉に担がれながら運ばれているー!?」
ハニー!ハニー!! 僕らの女王ハニー!
ロン「こら、やめろよ!ハニーの足元は僕だぞ!そうだろ、ハニー!?」
ハニー「えぇ、ロン。良い眺めね、褒めてあげるわ」
ダンブルドア「おぉう、まっことリリーの生き写しじゃ」
マクゴナガル「そこですかアルバス!?!?」
ダンブルドア「ジェームズの血を引いている以上、ある程度派手なのは想定しておかんとのぅ、ミネルバよ」
フリットウィック「しかしそっくりですな、スネイプ先生、どうで……」
ダンッ!!!!
スネイプ「……」ダクダクダクダク
フリットウィック「す、スネイプ先生!?ご自分の手の甲にフォークを突き刺して、なにを!?血、血が溢れていますよ!?」
スネイプ「あれはリリーではないあれはリリーではないあれはリリーではない耐えろセブルス誓っただろうリリーを生涯あいsあれはリリーではないリリーではないのだ耐えるのだ我輩ぃぃぃぃぃぃぃぃぃ」
スネイプ「あの流れるような赤い髪透き通るような風になびく美しい髪は我輩の脳裏に焼きついて離れないあの軌跡と同じだがあれはリリーではない」
スネイプ「あの陶器のように艶やかで美しい肌はリリーが我輩の手を握ってくれた時と同じキメ細やかさを誇って見えるがあれはリリーではない」
スネイプ「あの笑顔、全ての人を虜にするような、誰もが彼女を愛してやまないようなあの笑顔もまるでリリーのようだ、ようだが、あれはリリーではないのだ」
スネイプ「リリーではない、リリーではないのだ抑えろ、静まれ我輩の、我輩のスニベルスぅううううう!」
フリットウィック「……ダンブルドア校長?」
ダンブルドア「ミネルバよ、セブルスは組み分けの儀式を欠席するようじゃ」
マクゴナガル「えぇ、そうでしょうとも。そうさせましょうとも、まったく」
ロン「組み分けがの方法が、喋る帽子を被ることだなんてな」
ハニー「寮の特色は、大体前にあなたが言っていたのと同じようね?グレンジャー?」
ハーマイオニー「……話しかけないでいただけるかしら。あなたと同類だと思われたくないもの」
ロン「おいおい、ハニーになんていい草さ。大体それってめちゃくちゃ光栄なことじゃないか、なぁハニー?」
ハニー「あら、あの時はあなたの方から一生懸命話かけてくれたのに」
ハーマイオニー「知らないわ!」
ロン「ハニー、ハニー!僕はいつだって君に話しかけるよ、あぁ!いつだってね!」
生徒「あぁ、可愛いけどあれ、みたろ?」
ハニー「……」
生徒「多分、スリザリンだよな。女王様って感じだし」
生徒「今年はスリザリン総獲りかもなぁ」
ハニー「……」
ロン「ハニー、僕は君がどこに入ろうとついていくよ!」
ハニー「えぇ、ロン。そもそも主がいないと豚は生きていけないでしょ?」
ロン「その通りさ!」
マクゴナガル「名前を呼ばれた生徒から前にでて、帽子を被りなさい!アボット・ハンナ!」
ロン「うっひょー!いいよ、なんだい!?」
ハニー「スリザリンって、どういうところ?」
ロン「闇の魔法使いの出身者が多いよな、うん。『例のあの人』とか」
ハニー「ヴォルデモートね」
ロン「!?!?あ、あの人の名前を言うなんて、ほんと、君っておったまげー」
ハニー「もういいわ、大体分かったから。それじゃ、ご褒美ね……」フーッ
ロン「!?!?み、みみみみっ耳にいいいい息なんてそんあハニーあのそくぁwせdrftgyふじこ」
マクゴナガル「グレンジャー・ハーマイオニー!」
ハーマイオニー「はいっ!」
ハニー「張り切っちゃって。でも返事はいらないみたいよ?」
ハーマイオニー「あ、あなたは黙ってて!」
ロン「あ、君を嫌ってるにっくいあんちくしょうは、グリフィンドールみたいだよ」
ハニー「えぇ、良かったわね。彼女らしいわ」
ロン「随分、あの子につっかかるじゃないか」
ハニー「そりゃぁね。だってあの子……」
マクゴナガル「ポッター・ハニー!」
ザワザワザワ
ロン「ハニー、頑張って!残った僕らで君を応援してるよ!」
うぉおおおハニー! ハニーガンバレー!!!
ハニー「ふふっ、ありがとう可愛い豚さんたち」
組み分け「うむむ、これはこれは」
ハニー「なによ、どうせ決まりきっているんでしょ?」
組み分け「ふむ?決まっている、とは?」
ハニー「回りくどいのは嫌いよ。さっさと言いなさい、スリザリンって」
組み分け「ほぉー、君はスリザリンに入りたいのかね?」
ハニー「……別に。でもあなたはさっき、言ってたわ。スリザリンは狡猾で野心家、手段を選ばないって」
ハニー「周りの皆も大体、そう思ってるみたい。そりゃそうよね、だって私は自分のしたいようにしてる」
ハニー「ほら、早く。待たされるのは、好きじゃないの」
ハニー「でしょ?だったら……」
組み分け「だが、君は知恵もある。知恵をつけたいという願望もある。レイブンクローでだって、上手くやれるだろう」
ハニー「……」
組み分け「しかし君は同時に、優しさも持ち合わせている。周りの者にはいびつに見えるそれも、私は良く知っているよ。君はハッフルパフでだって、上手くやれる」
ハニー「……」
組み分け「もっとも、一番上手く行くのはやはりスリザリンだろう。君はあそこに入れば偉大になれる、間違いなく偉大な、魔法界に名を残す魔法使いに」
組み分け「だから私は、このまま君をスリザリンに入れるのが正しいのだろう」
ハニー「……」
組み分け「君が心を偽り続けるのならば、そうするしかないのだろう」
ハニー「……」
組み分け「私は歌ったね?包み隠さず話してごらん~♪ ここでは君の声は、私にしか聞こえない。どうだね、少し君の本音を、漏らしてみれば」
ハニー「私は誰からも望まれない子供だった。生まれた時から両親はいなかった。いるのはいじわるなおじとおば、それにいとこだけ」
ハニー「いつもビクビクしてた。今日はなにをされるだろう、なにをすればいいんだろうって」
ハニー「でもあるとき、ヘンテコなローブを被ったおばさんに言われた。『あなたはリリーにそっくりで、とっても美人さんね!』って」
ハニー「一度も褒められたことなんてなかったから、びっくりしたわ。思えばあれは、こっちの世界の魔女なんでしょうね」
ハニー「それから、私は少し自分に自信が出来た。笑う練習をして、オドオドした態度もやめて」
ハニー「で、気づいたら」
ハニー「私の足元で豚がヒンヒン鳴いてたわ」
組み分け「……(ジェーズの子共だなぁ)」
ハニー「それからよね、たくさんたくさん豚を、私のことを崇拝してくれる人を大事にしていったのは」
ハニー「でも……自信がついたはずなのに、楽しいはずなのに。いっつも不安なの、怖いのよ」
ハニー「この人たちは、私の本当の……オドオドした、わたしのことを知ったら離れていっちゃうんじゃないかって」
ハニー「そんな不安を押し殺すために、もっともっと躍起になった。豚も増えていった」
ハニー「……でも本当は、やよ。こんな関係じゃなくて、本当のわたしを見てほしい」
ハニー「贅沢かもしれないけど、私が始めたことだけど……でも、怖いの。受け入れられなかった、ときが」
ハニー「……知識なんていらない、優しさなんていらない、偉大になんか、なれなくっていいわ」
ハニー「私は、たった少しの勇気がほしい」
ハニー「……ねぇ、組み分けさん。わたしは……グリフィンドールでは、やっていけないの、かな」
組み分け「…………」
ハニー「っ!!」
ワァアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!
フレッド「ポッターを獲った!ポッターを獲った!!」
ジョージ「優勝杯は戴きだ!!ポッターを獲った!!」
ハグリッド「おぉおおおおハニー!!!お前さんの、お前さんの嬉しい顔が見れて幸せだぁーーーーー!!」
ハニー「は、っは……組み分けさん?」
組み分け「最後に決めたのはあなただ、お嬢さん」
ハニー「……当然じゃない、このボロ帽子。この私を、誰だと思っているの」
ハニー「ハニー・ポッター。グリフィンドールで、天下を獲る女よ」
ウォオオオオオオオオオオ!ハニーーーーーーーー!!
組み分け「……」
ダンブルドア「ほっほ……先は長いようじゃな」
興味がないふりをしているが、実は授業でミスしてハニーに罵られるたびにイってる
とうていあのラストの活躍するとは思えんぞwww
ハーマイオニー「……」
ハニー「どうも、えぇ。首輪は後であげるわ。私、疲れたの。もう座るわ。あぁ、椅子にならなくて結構よ、お世話さま」
ハーマイオニー「……」
ハニー「ハァーイ、グレンジャー。グリフィンドールおめでとう」
ハーマイオニー「……レイブンにするべきだったわ、私、今から組み分けに……」
ハニー「一度決められたことを反故にするの?私との約束と同じで?」
ハーマイオニー「それは、あなたが!!!」
ハニー「えぇ、そういうことにしてあげる、もちろんね。あら、ロンの番みたいだわ」
ロン「おい!!おい!!!僕はグリフィンドールだろ!!おい!!!僕はウィーズリーだ!グリフィンドールだよな、おい!?」
組み分け「アズカb」
ロン「笑えないよやめろよっ!!!マーリンの髭っ!!!!!」
ハニー「正確にはマットね、まったく、ロン。あなたは使える豚だわ」
パーシー「あー、ハニー。君がここに来てくれて監督生としては大変光栄だけど、その。僕の弟をそういう扱いは……」
フレッド「面白いんだからよせよ、パース。やぁハニー、麗しの君。そっちの赤毛の兄貴だよ」
ジョージ「うちのロニーがお世話様。これ、ロニーの恥ずかしい写真アルバムだ、使ってくれ」
ロン「おい!ハニー以外が僕をいじるのはやめろよ!!!」
ダンブルドア「新入生、入学おめでとう!上級生、おかえり!歓迎会を始める前に、二言三言!そーれわっしょいこらしょどっこらフォーーイ!」
ドラコ「!?!?」
ロン「あぁ、あの人ちょっとおかしいのさ。あの、ダンブルドアって人はね」
ネビル「ね、ねぇ君、苦しくないの?それ」
ロン「うん?何を言っているのさ、ご褒美なのに。君は?」
ネビル「ね、ネビル。ネビル・ロングボトムで……」
ハニー「へぇ……?」
ネビル「ひぃっ!?っちょ、ちょっと僕、トイレ!」
ロン「あっ、行っちまった……ハニー、ありゃどうだい?」
ハニー「ヘタレ具合は一級品だけれど、私を怖がるタイプね。徐々に慣れさせるわ」
ハーマイオニー「お料理が美味しくなくなるから、頭の痛くなる会話をやめていただけるかしら」
ロン「あ、僕知ってる。ほとんど首なしニックだ!」
ハニー「ほとんど首なし?」
ほとんど首なしニック「……坊ちゃん、呼ぶのならばポーピントン郷と呼んでいただきたく……」
ハーマイオニー「どうして『ほとんど』、なの?」
ほとんど首なしニック「どうしたも、こうしたも、あー……こういう具合でして」グイッ、ポロッ
ロン「あー……少しだけ残った首の皮で、ちょうつがいみたいになってら。首切りに失敗でもされたの?」
ほとんど首なしニック「そういうわけでして、私のことは……」
ハニー「ねぇ、ポーピントン郷」
ほとんど首なしニック「な、なんですかなお嬢さん!?嬉しいかな、生徒にその呼び名で呼ばれたのはいつぶりか……」
ハニー「この首輪で隠せばどうかしら。その代わり、私の物になるけれど」
ほとんど首なしニック「一生憑いていきます!」
ハニー「笑えないわ」
ロン「生きてないじゃないか、やめろよ!ハニーに一生ついていくのは僕だ!」
パーシー「そういうわけで、ここがグリフィンドールの談話室だ。男の子の寝室はあっち、女の子はこっち。四人部屋だから、扉の前の張り紙をしっかり確かめて」
ハニー「なんだかあなたと同じ部屋のような気がするわ、グレンジャー?」
ハーマイオニー「眠ってもないのに悪夢にうなさせるのはやめて」
ロン「まったく君ってハニーにとっても優しくて思いやりがあるよな。さっ、行こうかハニー」
ハニー「えぇ」
ハーマイオニー「待ちなさい」
ロン「なんだい、もう。君は一々ハニーのやることにケチをつけたいのか?どれだけ大好きなのさ、負けないけど」
ハーマイオニー「だだ、誰が!あのね、あなたは男の子でしょう!?どうしてハニーと一緒に女子寮に入ろうとしているの!?」
ハニー「どうしても何も、ロンは私の私物よ?」
ロン「君、ペットの持ち込みは可っていうの、見ていないのかい?」
ハーマイオニー「あなたにはかわいいのにとっても不憫な名前のふくろうがいるでしょ!?」
白豚「ピィー……」
パーシー「あっ、ロン!ちょっと待て!」
ロン「なんだいパーシー、君まで……」
パーシー「いや、そうじゃない!男が女子寝室の階段を登ろうとすると……!」
ロン「何さ、僕はもう何段か登ったけど、なにmウワッ、あーーーぁ!?」
ハーマイオニー「……滑り台みたいに変わって、床に叩きつけられたわね」
ハニー「ロン、見送りありがとう。足拭きマットになってくれるなんて、あなたは出来る豚ね?」
ロン「光栄、光栄さ、ハニー。うぅ、ちくしょう、ちくしょう」
ロン「というか実際何度か城がぶっ壊れっちまった。熱狂的なハニーファンとかのせいで」
ハニー「美しいって罪ね」
ロン「全くさ」
ハーマイオニー「ふんっ」
ハニー「……まだダメかしら。あの子に負けないくらい、授業も頑張っているつもりなのだけど」
ロン「そんなハニーの授業態度をマットとして見守る僕さ。何?羨ましいって?ハハハ、ペットの特権だからね、代われないよ」
ハニー「次は、『魔法薬』の授業ね。ロン、地下の教室だそうだから、暖かくしておいて」
ロン「もちのロンさ!ちょっと校庭100周してくる!」
ハニー「ウサギ飛びを忘れちゃダメよ。終わったら、良いことをしてあげる」
グリフィンドール生男子 シーン
スネイプ「……グリフィンドール生の不真面目な態度に、グリフィンドールから二十点減点」
ハニー「なにも全員やることないじゃない」
ハーマイオニー「バカばっかりだわ」
ハニー「素直って言ってあげてよ、可愛い豚さんじゃない」
スネイプ「私語は慎むように。ぽ、ポポポポポッター。君は英雄だのなんだのと言われ、図にのっておるようだな?我輩が、二、三、もしくは百個ほど、質問を……」
ハニー「あら、なぁに先生。いじめてほしいの?」
スネイプ「……」
ハニー「?」
スネイプ「……目……あの、目……全部、リリーなの、に、目が、目がポッターああああああわぁああああああああああああ!!!!!」
バシャーーーン!!
ドラコ「せ、先生が煮えたぎったなべの中に投身自殺した!?!?」
ハグリッド「ようハニー!俺んちに来てくれてありがとうよ!本当ならお前さんの下に俺が馳せ参じて靴をペロペロしねぇといけねぇってのに」
ハニー「いいのよ、大事な豚がどんなところに住んでいるのか把握していないとね」
ロン「おいハグリッド、行っておくけどハニーの一番の豚は僕だぞ。そうだよね、ハニー!?」
ハグリッド「どっこい、ハニーの魔法界での一番初めの豚は俺だ。そうだろ、ハニー!?」
ハニー「二人とも大事な大事な私の豚さんよ。はい、ヒンヒンお鳴き?」
ロン「ヒンヒン!」
ハグリッド「ヒンヒン!ヒン!」
ハグリッド「そ、そうか?気のせいだろ、うん!それよりロン、おめぇさんの兄貴のチャーリーはどうしてる?奴さん、ドラゴンの研究の……」
ハニー「ハ、グ、リ、ッド?」フーッ
ハグリッド「スネイプはジェームズのことを嫌ってたんですはい!!」
ロン「ジェームズって、ハニーのお父さんのことかい?あぁ、目が似てるとかどうとか」
ハニー「へぇ。じゃぁ私のパパの憎い目を思い出して動揺した、そういうことね?」
ハグリッド「お、おう」
ハニー「……隠してることがあったら、それが分かった時、ひどいわよ?」
ハグリッド「……おう」
ロン「ダメだ、ハニー。ハグリッドのやつ、ゾクゾクしてやがる」
ハニー「鍛えられすぎなのよあなたたち」
ハグリッド「あー、どうもそうらしい」
ハニー「私のお金も預けられていたところね、小鬼は可愛くなくて豚にはしなかったわ」
ロン「君には僕がいるよ、ハニー!へぇ、当日、泥棒が侵入した金庫は持ち主によってすでに空にされていたので、被害はなし、っと」
ハニー「そういえばあすこで、クィレル先生にも会ったわね。負け犬根性丸出しだったわ」
ロン「あぁ、闇の魔術に対する防衛術の……あんなやつターバンが汚いただのターバンだよ、やめておきなよハニー!」
ハグリッド「そうだ、ただのターバンだ!」
ハニー「おかしいわね、豚が何か言っているわ。豚は言葉なんか喋らないはずなのだけれど」
ロン「ヒンヒン!」
ハグリッド「ヒンヒン!ヒン!」
ハニー「お茶が美味しい、いい午後ね」
ロン「今日の午後は飛行訓練だね、ハニー」
ハニー「飛ぶのは楽しみだわ。馬代わりとかはしてもらったけれど、さすがに私を背負って飛べる人っていなかったもの」
ロン「僕ならいけるよハニー、任せてよハニー!」
ハーマイオニー「……相変わらずなのね、あなたたちって」
ネビル「僕のばあちゃんがくれた『思い出し玉』で、飛行ってどうやればいいのか思い出せないかなぁ……あっ、な、なにするのさ、えーっと、フォイフォイ?」
ドラコ「マルフォイだ!!!このチビ、僕に向かってなにを……」
ハニー「あなたこそ、私の豚候補に何をしてるのかしら、糞童貞フォイフォイ野郎」
ネビル「豚候補!?」
ロン「ウエルカムさ、ネビル」
ハニー「サル山でフォイフォイ言ってるあなたに言われたくないわね、ゴリラの集団を引き連れた童貞さん。豚にも劣るわ、あなたの連れって」
グラッブ「……」
ゴイル「……」
ドラコ「う、うるさい!こいつらだって役にたつぞ、えーっと、風よけとか!」
ロン「情けないな」
ハーマイオニー「マットのあなたがそれを言うの?」
ネビル「いたい、うぅ、いたいよぉ」
フーチ「あぁ、腕の骨が……全員そのまま待機していなさい!勝手に飛んだら退学です!さぁネビル、肩をかしますから……」
ロン「ネビルのやつ、慌てすぎて箒ごとぶっとんじゃうなんてな」
ドラコ「あっははは!見たかよ、あのロングボトムの情けない顔!」
スリザリン生 ゲラゲラゲラゲラ!
ドラコ「あいつがばあさんからもらったこの糞玉で、元から知恵遅れなのが幼児レベルに……」
ハニー「いい加減にしなさいよ、マルフォイ。また痛い目にあいたいの?」
ドラコ「ふんっ、ポッター。何か言いたいのなら……ほら、来いよ。空で話しをきいてやろうじゃないか」
ロン「あ、あいつ、箒で空中に」
ハニー「上等だわ」
ハーマイオニー「や、やめなさい!先生がおっしゃっていたこと、聞いてなかったの!?勝手に飛んだら、あなたまで退学よ!?」
ハニー「あら……ふふっ。あなたはむしろ私にそうなって欲しいんじゃないの?グレンジャー?」
ハーマイオニー「なっ……か、勝手に、勝手にすればいいわ!知らない!!」
ハニー「えぇ、そうさせてもらう……ありがと」
ハニー「仰るとおりです、先生」
マクゴナガル「あんな、初めての飛行の授業で!勝手に飛び出して!」
ハニー「申し訳ありません、先生」
マクゴナガル「何メートルも上空から!あんな小ささの玉を!ダイビングキャッチする、なんて!」
ハニー「必死で、何がなんだか。でも体が勝手に動いたんです、先生」
マクゴナガル「ポッター、さぁ、ポッター!退学か、グリフィンドールのクィディッチチームの一員になるか、どちらがいいですか?」
ハニー「はい、先生。それはもちr先生?」
ハニー「よく分からないのだけれど、これは凄いことなのね?」
ロン「もちろんさ、ハニー!さすが僕らのハニーだよ!」
ハーマイオニー「……規則破りをして、得した。そう思っているみたいね」
ハニー「そんなことないわ、勇気を出して行動した結果って言えない?」
ハーマイオニー「勇気と無謀を履き違えておいでのようね」
ハニー「厳しいわね」
ロン「おい、ハニーになんて言い草だよハーマイオニー!言っておくけど嫉妬できるレベルじゃないからな、君とハニーじゃぁ……」
ハーマイオニー「ぶっとばすわよ」
ハニー「ロン、あなたちょっと眼球取り出して丸洗いしてきなさい」
ロン「も、もちの、僕さ!」
ネビル「あ、ハニー!聞いたよ、僕の代わりにフォイフォイを……ロン、ローン!?死んじゃう、そんなことしたら死んじゃうよーーー!?」
ハニー「童貞フォイフォイから決闘を申し込まれたわ」
ロン「君が退学にならなかったのが気に食わないんだろうね。僕はハニーの豚としてお供するとして、なんで君がここにいるのさ」
ハーマイオニー「これ以上あなたたちが規則破りなんてしないように、よ」
ハニー「真夜中にこんなところにいるあなたはどうなの?」
ハーマイオニー「私の説得に耳を貸さないあなたたちのせいで、私は締め出されちゃっただけ!」
ハニー「だってあなたが必死に喋るのって懐かしくって」
ハーマイオニー「だから、いつの話しをしているの!」
ロン「なぁ、静かにしなよ。せっかくの奇襲を掛けられるチャンスなマルマルフォイフォイなんだ」
ハニー「ゴキブリホイホイみたいに言わないで頂戴」
ハーマイオニー「管理人のフィルチをあなたの、その、ぶ、豚とかにすればよかったじゃない!」
ハニー「あのね、私も豚にする人間くらい選ぶわ……行き止まりね」
ロン「くっ、ハニー!僕がフィルチに捕まる!君はその隙に逃げるんだ!」
ハニー「見上げた豚根性ね、見直したわ、ロン。でも、まだ手はあるみたい」
ハーマイオニー「あっ、ここに、扉……!どいて!『アロホモラ!』」
ロン「おったまげー。君、開錠の呪文を使えるのかい?」
ハニー「ありがとう、グレンジャー」
ハーマイオニー「いいから、今は早くここに入って!フィルチが来てしまうわ!」
ハーマイオニー「あ……あ……ここ、立ち入り禁止の、四階の廊下、だわ」
三頭犬「グルルルルルルル グルルルルル グルルルルルルフォイ」
ロン「三つ目なんか言ってる」
ハニー「何を怖がっているの、二人とも?たかが犬でしょう?」
ハーマイオニー「たかが、って!あのね、この廊下の天井まで届くような大きさの、どこがただの犬なの……」
ハニー「犬は犬よ、どんな見た目でも性根は変わらないわ。さぁ、イヌ?伏せ」
三頭犬「グルルルルルルルルルルルル」
ハニー「この、私が。伏せと言っているのだけれど?」
三頭犬「……クゥーン」
ロン「すっげぇやハニー!ついでに僕も伏せたから踏んでくれよ!」
ハーマイオニー「もうわけがわからないわ……」
ハーマイオニー「ふんっ!」
ロン「むしろ以前にも増して、ぷりぷり怒っているよな、君を見て。全く失礼な奴さ」
ハニー「まぁ私は、クィディッチの練習が始まったからあまり気にならないのだけれど」
ロン「兄貴たちが驚いてたよ、ブラッジャーが避けて、スニッチが向こうから手の中に飛び込んでくる選手なんて君くらいだ、って。ハニーは凄いなぁ」
ハニー「意思があるもの万物全て私の豚よ、当然じゃない」
フリットウィック「ウィンガ~ディアムレヴィオーサ、ビューン、ヒョイの動きですよ。いいですか?」
ロン「ウィンガーディアム、レビオサー?」
ハーマイオニー「違うわ!発音も、杖の振り方も!あぁ、なんでペアがあなたなのかしら」
ハニー「大変そうね、ロンは……あぁネビル、ほら、杖は、こう。こう、握るみたいよ?」
ネビル「はひっ!あ、あああありがとうハニーあぁハニーの手ぇ柔らかい」
ロン「ちゃんと言ってるじゃないか!ウィンガーディアムレビオサー、だろ?」
ハーマイオニー「いーえ!いい?レヴィオーサよ!あなたのはレビオサー!」
ロン「なんだよ、その言い方!いい加減にしろよ、ハニー以外が僕をいじるのはやめろよ!!」
ハーマイオニー「なによ!あなたこそ、それでもちゃんとした魔法使いなの!?」
ハーマイオニー「そのまんまよ!あなた、恥ずかしくないの!?魔法使いのお家の子供なのに、こんな簡単な呪文も出来ないなんて!」
ロン「はぁ?関係ないだろ……君、何を言ってるのさ」
ハーマイオニー「あるわ、あるわよ!何よ、いつもは影で、私がマグル生まれだって、バカにしている人がたくさんいるくせに、こういうときだけ!」
ロン「おい、誰だよそれ。そんなことを、君に……」
ハーマイオニー「もういいわ!あなたなんか、どうせ!あの子の豚で、ブヒブヒ言ってるのが、お似合いの……」
パシンッ!!!
ハーマイオニー「……えっ。痛っ……あっ」
ハニー「……私の豚のことを、私意外が悪く言うのはやめてもらえるかしら。グレンジャー」
ハニー「そんなことだから、あなた。友達がいないのよ」
ハーマイオニー「っ!!!」
フリットウィック「あー、そ、その。終業、です」
ハーマイオニー「っ、っ!!」
ネビル「あっ、ハーマイオニー!鞄も持たずに、どこに行くんだい!?」
ロン「……ハニー」
ハニー「大丈夫、ロン?まったく、あの女。困ったものよね」
ロン「……良かったのかい?」
ハニー「なぁに。まさかあなたが、私に口答えするはずはないわよね?」
ロン「……もちのロンさ」
クィレル「トロール、トロールが、地下室に……」バタッ
ダンブルドア「みなの衆、急いで寮に戻るのじゃ!駆け足!」
ロン「トロール、でかくてくさいゴイルみたいな汚い化け物さ。一体全体、どこの誰がこの城に入れたんだろ」
ハニー「さぁ。ともかくそんな醜いのは豚にする気もないから、パーシーについていきましょ……っ!」
ロン「どうしたんだい、ハニー?おぶさるかい?今の僕なら君ために飛べる気がするよ」
ハニー「……あの子は、このこと。この城に今トロールがいること、知らないわ」
ロン「……トイレにこもっちまったんだものな、ハーマイオニーの奴。そのうちどっかのゴーストみたくなるんじゃないか?」
ロン「助けに、行かないの?」
ハニー「……冗談。なんでこの私が、あんな子のために」
ロン「……」
ハニー「私の豚を愚弄したのよ?許せるはず、ないじゃない。さ、ロン。続きなさい。行くわよ……ロン?」
ロン「あぁ、ハニー。そうしたいのは山々さ、だけどね、ハニー」
ロン「僕は君の、自分のしたいようにする姿が大好きなんだ」
ロン「ううん、そう見せようとして、頑張って無理してついてる嘘が、好きなんだ。そんな姿が愛らしくてたまらない」
ハニー「!?」
ロン「でも、今の君のその嘘は。僕が心から尽くしてあげたい君の嘘じゃない。そんなの、僕は聞けないよ。あぁ、たとえ君の命令でも、さ」
ロン「ハーマイオニーに好かれようと必死になってる君は素敵だ」
ロン「僕に必死になって、言いたくもない悪態をつく君がいじらしい」
ロン「心の中でごめんなさいって言いながら僕を踏む君がたまらない」
ロン「でもさ、ハニー。今の君は全然、君らしくない。僕の好きな君でも、君の本当の優しい顔でもない」
ロン「僕は、君を本当の嘘つきになんてしたくない」
ハニー「……」
ロン「ハニー。僕のために彼女を怒ったのはとても嬉しい。けど、もう意地は張らなくたっていいんだ」
ロン「ハーマイオニーは、君を許してくれるよ」
ハニー「……ほんと?」
ロン「あぁ」
ハニー「わたし、あんなに酷いこと、言ったのに?」
ロン「今の君の言葉なら。豚じゃなくても、イエスとしか言えないよ。あぁ」
ハニー「行くわよ、ロン。私についてきなさい!」
ロン「あぁ、ハニー。強情で強気でか弱くて弱虫なハニー。それでこそ、君さ。ヒンヒン!」
ハニー「……ねぇ、いつから気づいていたの」
ロン「僕は君の一番の豚だぜ?それくらい分からなくって、つとまるはずないだろ?」
ハーマイオニー「……酷いわ、ハニー」
ハーマイオニー「私、あなたと……友達になれるって、信じてたのに。ずっと、ずっと……あれから後も、ず、っと……」
ハーマイオニー「……でも、私が悪いのよ、ね」
ハーマイオニー「……ロンにあんなことを言うべきじゃ、なかった。八つ当たりも、いいところだわ」
ハーマイオニー「ハニーは……あぁ見えて、ロンを本当に……大事に、思ってるのよね」
ハーマイオニー「私は、どうして……あぁなれなかったのかしら」
ハーマイオニー「どうして、ハニーにあんな態度しか……とれなかったの」
ガシャン!ドタバダガシャンッ!
ハーマイオニー「!?な、何の音!?ちょっと……トイレで、何を……」
トロール「……」
ハーマイオニー「」
キャアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!
ハニー「!ハーマイオニーの悲鳴!急ぎなさい、ロン!」
ロン「ヒンヒン!あぁ、君のウサギ足の特訓のおかげで今の僕はスニジェット並みだぜ!」
ハーマイオニー「あ……っ、ぁ」
ロン「!トロールが目の前に……腰が抜けちまってる!」
ハニー「ロン、あなたはヒンヒン言いながらトロールの気を引いて!私は、あの子のとこに!」
ロン「もちのロンさ!ヒンヒン!おいウスノロ!デカブツ!ハニーの豚を舐めるなよ!!」
ハニー「大丈夫!?立てる!?」
ハーマイオニー「あ……は、ニー。ハニー……私、わた」
ハニー「ダメね……大丈夫、私を誰だと思ってるの?ほら、手をかして」
ギュッ
ハニー「グリフィンドールのハニー・ポッター。闇の魔法使いだかなんだかをぶっ倒した英雄よ?その私が、こんなのに。まけるはず、ないじゃない!」
ハーマイオニー「……ハニー」
トロール「……ボァア?」
ハニー「っ、間抜け面ね、貴方は畜生以下の気持ち悪い化け物よ!」
トロール「……」イラッ
ロン「は、ハニー!君が気を引いてどうすんだ!?く、っそ!僕の力でこのへんの木片を投げたところで、あいつには少しも……」
ハーマイオニー「っ!っ!!」ブンブン!
ロン「は、ハーマイオニー何を悠長に手話なんてやってるのさ!?え!?なに!?杖!?杖で、なにをしろって……ビューン、ヒョイ?……あっ!」
ハニー「なぁに、その反抗的な目。この私を誰だと思ってるの、あなた」
トロール「ボァァ……!」
ハニー「あなたの小さい脳みそに、よーく刻んでおきなさい!私の名前はハニー・ポッター!分かったら……」
トロール「ボァアアアアアッ!」ブンッ!!
ロン「ウィンガ~ディアム、レヴィオ~サ!棍棒、浮けっ!!!」
トロール「……ぼぁ?」
ハリー「跪きなさい、この豚ぁあああああああ!!!」
ボクッ!!……バターーーーーーン!!
ハニー「……ふ、っふふ。やった、わね。ロン、褒めて……あげる」
ハーマイオニー「……ハニー」
ハニー「どう、グレンジャー?この私の勇姿、惚れ惚れしたんじゃない?なんなら、あなたも」
ハーマイオニー「ハニー……ハニー」
ハーマイオニー「あなたの、手……とっても、震えて、たわ」
ハニー「……」
ハニー「あたり前でしょ!!!こんなの怖いに、決まってるじゃないの!!」
ハニー「魔法界の英雄!?いいえ!!ついこの間まで魔法のマの字も知らなかったのに、そんなのもっと知らないわよ!」
ハニー「赤毛の女王様!?いいえ!!ほんとはみんなともっと普通に仲良くしたいわよ!!」
ハニー「英雄じゃなくっても、女王様じゃなくっても、私が、ここに、来た理由!あなたを、助けた、理由!!」
ハニー「わたし、あなたに謝らなくっちゃ、って!だか、ら!だから……」
ハーマイオニー「いいの、ハニー。ごめんなさい、私も、私のほう、こそ……誤解していて、ごめんなさい」
ハーマイオニー「あなたって……とっても、勇気がある人だわ。ハニー……あなたは、私にとっての英雄よ?」
ハニー「そんなの、やだぁ。わたし、ハーマイオニーと、友達になるのぉ」
ハーマイオニー「うんうん、うん。ありがとう。そのために頑張ってくれたのね。うん」
ハニー「女の子の友達なんて、いなかったのぉ。だからぁ、初めてはハーマイオニーがいいのぉ!」
ハーマイオニー「えぇ、もちろんよ。私も、丁度友達がいないの。お願いしていい?」
ハニー「うぅぅ、ハーマイ、オニー……!」
ハーマイオニー「ハニー、ハニー……!」
ロン「……」
ロン「おっと、こりゃ僕はお邪魔のようで」
ハーマイオニー「はいはい。ふふふっ」
ハニー「忘れなさい!忘れなさい忘れなさい忘れなさい忘れろ!」
ロン「な?分かると滅茶苦茶微笑ましいだろう?」
ハニー「うぅ、こんなのおかしいわ。華麗に救って、グレンジャーには気づかれることなく、雌豚一号になってもらうつもりだったのに!」
ハーマイオニー「はいはい、そうなのよねーそのつもりだったのよねー」
ハニー「ちょっと、ロン!私の豚のくせにどうしてグレンジャーの味方をするわけ!?」
ロン「何を仰る僕らのハニー。僕はいつだって君の味方さ、色んな意味でね」
ハーマイオニー「私でちょっとずつ素直になっていきましょうね、ハニー。まずは私のことをいつでも『ハーマイオニー』って呼ぶこと!」
ハニー「んな、そんなの、恥ずかしい……」
ハーマイオニー「それじゃ、私もあなたにヒンヒン言うことにするわ?」
ハニー「や、やよ!そんなのいや!」
ロン「あー、どうしよう。どうしようねこれ、僕は今後7年間で枯れちゃうんじゃないかな、うん。何がとは言わないよ」
ハーマイオニー「えぇ、ハニー」
ハニー「そ、それから、ロン。私の豚」
ロン「うん、ハニー。豚って呼んでごめんなさいは脳内で再生してるよ、大丈夫」
ハニー「うー、うーーー!!!もう知らないわよ!私、一度自分のものになったら絶対、絶対手放さないんだから!」
ハニー「私が、ホグワーツ皆を、ヒンヒン言わせるまで!付き合ってもらうわよ!」
ロン「もちのロンさ!それから先もずーっと僕は君の一番の豚だけどね!」
ハーマイオニー「みんなと友達になりましょうね、ハニー。私は最初の女友達だけれど、ね」
ハニー「わ、わたしそんなこと言ってないわ!もう!……もうっ」
完
ドラコ「スネイプ先生、容態はどうですか。先生がいないと、授業が出来なくて困るフォイ……」
スネイプ「……ヒンヒン」
ドラコ「!?」
今度こそ、完
是非ともシリウスを出したいところやで!
ラドクリフお大事に!
じゃあの!
ハリー・ポッター シリーズ
一巻~七巻まで
世界的大ヒット発売中!
2014年後半 USJにて
ハリポタアトラクション建設決定!!
Entry ⇒ 2012.10.08 | Category ⇒ 版権物SS | Comments (1) | Trackbacks (0)
クッパ「ガッハッハ、珍しいカメだな」宇水「何が可笑しい!!!」
宇水(……どこだ、ここは?)
宇水(いよいよ国盗りが始まるというから)
宇水(私は琉球から京都に向かっていたはずなのだが……)
宇水(どういうわけか、いつの間にやら)
宇水(周囲から聞こえてくる音という音が、聞き慣れぬものばかりになってしまった)
宇水(私はちゃんと京都に向かえているのか?)
宇水(いや、そもそもここは日本なのか……?)
宇水(む、足音が聞こえる)
宇水(二足歩行……身長はかなり低い……人間ではない?)
宇水(背中にティンベー、じゃない甲羅を背負っている?)
宇水(亀か? いや亀は二足歩行はしないはずだが……)
ノコノコ「なんだ、お前は」
宇水(しゃべれるのか!?)
宇水(これまでに私が得た情報をまとめると、目の前にいるのは──)
宇水(二足歩行の、人の言葉をしゃべる、亀!?)
宇水(わけが分からん!)
ノコノコ「はっはーん、もしかしてお前、クッパ様の軍団に入れてもらいに来たんだろ」
ノコノコ「いいぜ、俺がクッパ城まで連れてってやるよ」
宇水(心拍数や挙動からは、緊張や敵意は感じられんな)
宇水(これが亀だとして、私のティンベーを見て、仲間だと勘違いしたか?)
宇水(こいつからは全く強さを感じられん、殺そうと思えば簡単に殺れるだろうが)
宇水(自分がどこにいるかも分からん以上、今は情報を集めるべきだろう)
宇水(いざとなれば、クッパとかいう首領格を殺してしまえばいい)
宇水(心眼を会得した私にとって、その程度はたやすいことだ……)
宇水「よかろう、連れていってもらおうか」ニィッ
ノコノコ「カメック様」
カメック「どうした?」
ノコノコ「クッパ軍団に入りたいというカメがいるので、連れてきました」
ノコノコ「なんでも名前をウスイ、というそうです」
カメック「ほう?」
カメック(ウスイ? 聞いたことがない名前だな……)
宇水「音の反響具合からして石造りか、なかなか立派な城だな」ズイッ
カメック(な、なんだコイツは!?)ゾクッ
カメック(全身にいっぱい目があるカメなど、初めて見た!)
宇水(この新手の亀は、私の恐ろしさに気付いたようだな)
宇水「クックック、お前のような三下に用はない」
宇水「我が心眼の前では、隠しごとは不可能」
宇水「私には貴様が“怯えている”ということが、手に取るように分かるのだよ」
カメック「!」ビクッ
カメック(なんで私が怯えていると分かったんだ!? まさか、魔法使いか!?)
カメック(うむむ……私の手には負えんかもしれん)
カメック「ま、待っていろ……今クッパ様をお呼びする!」
宇水(ふん、この分ならクッパとかいうのも大したことはなかろう……)
宇水(な、なんだ!?)
ズシン、ズシン……
宇水(この足音、十本刀“破軍”の不二のような重量感……!)
ズシィン、ズシィン……
宇水(これが──クッパ!? とんでもない怪物ではないか!)
宇水(く……心眼を会得した私が心を乱してどうする!)
クッパ「ほぉう、ワガハイの軍に入りたいというのはオマエか!?」
宇水(この心拍数、完全に私を見下している……!)ピクッ
宇水(まだ両目を失っていない頃、私と対峙した志々雄のように……!)ピクピクッ
クッパ「マリオのようなヒゲを持ち、全身に目がついたカメか」
クッパ「ガッハッハ、珍しいカメだな」
宇水「何が可笑しい!!!」
宇水「もういい、気が変わった」ザッ
宇水「帰る手段など、適当に亀を殺しまくって吐かせればいいことだ」
宇水「クッパとかいったな、貴様はこの場でブチ殺してくれよう!」バッ
クッパ「突然怒り出すとは、よく分からんヤツだな」
クッパ「まぁよい、かかってくるがいい! ガッハッハッ!」
宇水「すぐに笑えなくしてやるわ!」シュザッ
宇水「宝剣宝玉百花繚乱!」
ズババババッ!
宇水(バ、バカな……全ての突きをまともに喰らったはず……!)
クッパ「ではこっちからいくぞ!」
宇水(ふん……おそらくこの巨体を生かした技を繰り出す気だろう)
宇水(どんな技だろうと、ティンベーでさばいて──)サッ
ゴオオアァァァッ!
宇水(口から……高熱……炎!? しかもなんだこの量は!?)
ボワァァァッ!
宇水(ティンベーがあっという間に焼け焦げて──)
宇水「ぐっ、ぐわぁぁぁぁ──……」
ギャラクシーとか普通に宇宙規模で戦争ふっかけてきてない?
残念ながら俺の知ってるクッパは
スーパーマリオブラザーズとマリオRPGのだけだ
宇水(生涯二度目の敗北……)
宇水(いや……三度目か)
宇水(志々雄に光を奪われ、復讐を誓い心眼を会得したのも束の間──)
宇水(私以上の生き地獄をくぐり抜けていた志々雄に、私は戦わずして敗北した)
宇水(挙げ句、こんなどことも知れぬ場所で、怪物に殺されることになるとは……)
宇水(私の人生とは、いったいなんだったのだ……)
宇水「私は……生きている!?」ガバッ
クッパ「目が覚めたか」
宇水「貴様……クッパ!?」
クッパ「オマエのような根性あるカメは久しぶりだったぞ」
クッパ「合格だ!」
クッパ「キサマの我が軍団への入団を認めよう!」
クッパ「ガッハッハッハッハ……!」
宇水「利用されてやろうではないか」
宇水「だが、私は貴様に焼かれた屈辱を忘れてはおらん」
宇水「スキあらば、私は貴様を殺す! それを忘れるなよ!」
クッパ「ガッハッハ! よかろう!」
宇水(く……私はまた同じことを繰り返すのか……)
クッパ「あ、あとオマエの甲羅を焼いてしまったから代わりのを用意しておいたぞ」
宇水(トゲゾーとかいう亀の甲羅らしいが、本当にトゲが生えておる)
宇水(触れてみるか)チクッ
宇水「痛ッ!」
宇水(丸みはあるが、こんなトゲがあって、うまく敵の攻撃をさばけるだろうか)
宇水(まあ、そもそも敗北したのに贅沢はいってられまい)
宇水(これからはこのトゲのついた甲羅が私のティンベーだ)
宇水(とりあえず……名前は“新ティンベー”とでもしておくか)
宇水「目的……?」
クッパ「ワガハイの目的は色々あるが、やっぱり一番はピーチ姫と結婚することだ!」
宇水「なんだ、ピーチ姫というのは」
クッパ「キノコ王国の姫君でな、ぜひともワガハイのお嫁さんにしたいのだ」
宇水「理解できんな、貴様なら女一人さらうぐらいわけないであろうが」
クッパ「うむ……だがいつもいつもあと少しというところで、ジャマをされるのだ」
クッパ「あの……マリオとルイージに!」
宇水(なんだと!? このクッパよりも強い奴がいるというのか!?)
宇水「クッパよ」
クッパ「む?」
宇水「そのマリオとかいう奴らの居場所を教えろ」
クッパ「どうするつもりなのだ?」
宇水「決まっている」
宇水「この私が、二人まとめて始末してやろう」
宇水(クッパが手こずる敵を、私の手で殺す)
宇水(てっとり早く自信を回復するには、これしかあるまい!)
宇水(ここがキノコ王国か……)
宇水(至るところに頭の大きなコビトの気配がするが……これがキノコ族というやつか)
宇水(まったくおかしなところに来てしまったものだ)
宇水(しかし今はそんなことを気にしている場合ではない)
宇水(マリオとルイージとやらを血祭りに上げ、クッパに死体でもくれてやる)
宇水(そうすれば、クッパに敗れたことに対する面子も立つ)
宇水(日本に帰る方法を教えてもらうのは、それからだ)
キノコ住民「はいはい?」
宇水「マリオとルイージとやらは、どこにいる?」
宇水「答えねば──」ギラッ
キノコ住民「ああ、マリオさんたちならお城にいるはずですよ」
キノコ住民「今日はキノコ王国のキノコ料理パーティーでしてね」
キノコ住民「ピーチ姫が料理をいっぱい作っているんですよ」
キノコ住民「行けばだれでも入れると思いますよ」
宇水(ふん、こうもあっさり見つかるとはな)
宇水(さっさとマリオたちを殺って、日本に戻らねばならん)
ピーチ「マリオ、ルイージ。お料理はたくさん用意したから、いっぱい食べてね!」
マリオ「ありがとう、ピーチ姫」モグモグ
ルイージ「おいしいね、兄さん!」ムシャムシャ
ヨッシー「どれもこれも、みんなおいしいよ!」ペロン
キノピオ「ヨッシーさん、皿ごと食べないで下さい!」
すると──
「マリオとやらはいるか!?」
「うわぁ、目がいっぱいあるぞ……」
「なんだ、あの不気味なカメは!?」
「きっとクッパの手下だ!」
宇水「……ふざけるな、私はクッパの手下などではない」
宇水「目的のため、奴にあえて利用されてやってるだけのこと」
宇水「マリオとルイージとやら、いるのならば名乗り出ろ!」
宇水「さもなくば、この国の住民を皆殺しにしてもかまわんぞ?」ヒュッ
ズシャアッ!
ピーチ「ああっ!」
キノピオ「姫が作った料理が!」
ルイージ「ぼくたちがマリオとルイージだ!」ザッ
宇水「ほう……お前たちか」
宇水(ふむ……気持ちの昂ぶりはあるが、かなり落ち着いている)
宇水(なるほど、それなりの使い手ではあるようだ)
宇水(だが、骨格も筋肉も平凡、クッパのような威圧感はまるでない)
宇水(まともな戦闘では、私の敵ではなかろう)
宇水(おそらくクッパは実力ではなく、策略で敗北しているのであろう)
宇水(しかし、初めて出会う私に対し、策を持ち合わせてはいないはず)
宇水(つまり……私の勝利は間違いないということだ!)
宇水「マリオとルイージ、相手にとって不足無し」ズゥゥン
宇水「ここで死んでもらう」
ルイージ「うん!」ピョイン
宇水「!?」
宇水(た、高いッ! なんという跳躍力だ!)
宇水(だが──)
ルイージ「よくもパーティーを台無しにしたな、許さないぞ!」
宇水「微温(ぬる)いわ!」サッ
グサッ!
ルイージ「ぐぅっ……!」
ルイージ(踏みつけを、トゲ甲羅でガードされた……!)ドサッ
マリオ「このカメ、トゲゾーの一種だったのか……!」スタッ
ルイージ「う、うん……なんとかね」
宇水「クックック、この新ティンベーに敵などないわ!」
マリオ「よぉし、こうなったら……!」
ボッ!
宇水「え?」
ボッ! ボッ! ボッ!
宇水(な、なんだ!? 私の耳がたしかなら、手から……火の玉が出ている!?)
宇水(志々雄の秘剣のようなものなのか!?)
ボッ! ボッ! ボッ! ボッ! ボッ!
宇水(大きさはクッパの炎ほどではないが、数が多い!)
宇水(いったいどういう原理で!? こいつ妖術使いか!?)
宇水(──だが! 新ティンベーに火の玉が当たる瞬間!)
宇水(素早くさばけば、火の玉をかき消すことは可能!)バシュッ
宇水(……可能ではあるのだが)
ボッ! ボッ! ボッ! ボッ! ボッ!
宇水(火の玉が止まらん!)バシュッ
宇水(こいつは何発火の玉を撃てるんだ!? まさか……無限!?)バシュッ
ヨッシー「えぇ~い!」ビュッ
キノピオ「今だっ!」ブンッ
宇水(しまった! 横から──でかい卵と、野菜!?)
グワッシャッ!
宇水「ま、またしても心眼が……敗れる……とは……」
宇水「悪夢だ……」ドサッ
キノピオ「お城のベッドです」
キノピオ「あなたの分もキノコ料理を用意しましたから」スッ
キノピオ「これに懲りたら、二度とこういうことはしないで下さいね」
宇水「…………」
宇水(志々雄と瀬田宗次郎を除けば敵などいない私が、二度も敗北するとは……)
宇水(……悪くない匂いだ)クンクン
宇水(もう、どうにでもなれ)モグモグ
宇水(ほう、なかなかの味だ。体から馬力が湧き出てくるようだ)モグモグ
宇水(しかし、失われた自信が戻ることはなさそうだ……)モグモグ
宇水「戻ったぞ」
クッパ「ガッハッハ、どうだった? マリオはやっつけられたか?」
宇水「いや……」
クッパ「だからいっただろう! ワガハイですら奴らには何度もやられているのだ!」
クッパ「これからはワガハイの命令に従ってもらうぞ」
宇水「ああ、分かった……」
宇水(これほどの醜態をさらしておいて、とても志々雄たちの顔など見られん)
宇水(元々私は国盗りなどに興味はないし、しばらくここで過ごすとするか……)
クッパ「ウスイよ、今度マリオたちと戦うことになった」
クッパ「オマエにも参加してもらう」
宇水「ほう、いよいよ戦闘か」
宇水(ここにいる間も腕は磨いたが、まだクッパやマリオに勝てる気はせん)
宇水(しかしやるとなれば、なんとしてもこいつらに一矢を報いねば……)
クッパ「いや、レースだ」
宇水「!?」
クッパ「レースとは、カートで誰が一番早くゴールにつくかを競い合うことだ」
宇水(カート? なにをいっているんだ、こいつは)
宇水「なんだ、カートというのは」
クッパ「ウスイ、オマエ……カートも知らんのか!?」
クッパ「ガッハッハッハッハッ!」
宇水「何が可笑しい!!!」
たくさん目があるって言ってたから模様を本物と勘違いしてるかと
宇水「う、うむ」
宇水(蒸気も出さず、馬に引かせもせず、車が走るとは信じがたいが……)
宇水(この世界に来てからは信じがたいことしか起こっておらんしな)
宇水「えぇと……右を踏むと進み、左を踏むと止まるんだったな?」
クッパ「そうだ」
宇水「どれ、踏んでみるか」グッ…
ドギュゥゥゥゥンッ!
宇水「!?」
ドガッシャーンッ!
クッパ「おお、いきなりロケットスタートとは! オマエは才能があるぞ、ウスイ!」
宇水「が、がは……っ!」
<マリオサーキット>
ジュゲム「本日はこの1レースのみ、行います!」
ジュゲム「正式なカップ戦ではありませんが、上位入賞者には賞品が出ますので」
ジュゲム「優勝めざして頑張って下さい!」
パチパチパチパチ……
宇水(猛特訓の末、どうにかカートとやらの運転と)
宇水(聴覚だけで、競争に使用する道路の内と外の区別ができるようになった)
宇水(だが……なぜ敵同士でこんなのんきな遊戯をやるのだ?)
宇水(この間会ったマリオやルイージ、ピーチとかいう女の声も聞こえる)
宇水(あと……巨大な猿らしき生物もいるな)
宇水(まったくわけが分からん……)
マリオ、ルイージ、ピーチ、ヨッシー
クッパ、ドンキーコング、キノピオ、魚沼宇水
ブロロロロ……
宇水(全員が開始地点に着いた途端、気配が変わった!)
宇水(な、なんだこの張りつめた空気は!?)
宇水(あの頃を……幕末を思い出す!)
宇水(そうか、こいつらにとっては遊戯といえど死闘ということか!)
宇水(面白い! ならば、この“盲剣”の宇水も全力をもって挑んでくれるわ!)
マリオ「…………」
ピッ
ルイージ「…………」
ポォーン!
ブォォォォンッ!
ジュゲム『各車、一斉に飛び出したぁっ!』
ジュゲム『先頭におどり出たのは……なんとレース初参戦のウスイだぁーっ!』
宇水(ロケットスタート……成功!)
宇水(この妙な塊に触れれば、道具を一つ入手できるんだったな)
宇水(これはなんだ!?)ニュルッ
宇水(私の道具は──バナナとかいう果物の皮か!)
宇水(……私の真後ろに、巨大猿の車がついておるな)
宇水(喰らえッ!)ポイッ
ドンキー「ウホッ!?」ズルッ
ドンキー「ウホォォォ!」ギュルルルッ
ジュゲム『ウスイ、後ろを見ることもせず、背後のドンキーをバナナの皮で滑らせた!』
宇水「フハハハハ! 我が心眼の前に敵はない!」
ルイージ(あのウスイってカメ、すごいや!)
ルイージ(ドリフトといいアイテムの使い方といい、とても初レースとは思えないぞ!)
ルイージ(ただの悪者ガメというわけじゃなかったのか!)
ルイージ(でも、ぼくの緑甲羅は避けられまい!)
ルイージ「いけっ!」ビュッ
宇水「無駄だ!」ヒョイッ
ルイージ「そんな、ミラーの死角から投げたのに!?」
宇水「バカめ、こんな鏡など最初から見ておらんわ!」
宇水「心眼でお前の筋肉の動きを読み取っただけのこと! 我が心眼に死角なし!」
クッパ「ウスイよ、なかなかやるではないか」
宇水「む」
クッパ「だが、初レースで優勝させてやるほど、ワガハイも甘くないぞ」グンッ
ガシッ! ガシッ!
宇水「おのれぇっ!」
ジュゲム『クッパのタックルで、ウスイはコースアウト寸前だ!』
ジュゲム『これでは重量で劣るウスイが、不利か!』
宇水「……ふん、クッパよ」
宇水「私に体当たりをしかけるなど、愚策にも程がある!」
クッパ「なんだと!?」
宇水「私のもう一つの武器を忘れたか!?」
宇水「ティンベーと対をなすこの手槍、ローチンで突く!」ブスッ
クッパ「ぬわぁ~っ!?」ギュルルルッ
ジュゲム『ウスイ、ローチンでクッパのタイヤをパンクさせたぁっ!』
ジュゲム『ラスト一周!』
ジュゲム『トップはウスイ! ほとんど独走状態です!』
ジュゲム『2位にマリオ、3位はルイージ!』
ジュゲム『4位はピーチ、さらにキノピオ、ヨッシーと続きます!』
ジュゲム『ウスイにやられたクッパとドンキーはかなり遅れているっ!』
マリオ(なんてドライビングテクニックだ!)
マリオ(彼はおそらく目ではなく、他の感覚で風や他のカートの動きを読んでいる!)
マリオ(だから速い!)
マリオ(これほど差がついては意味はないが、温存していたアイテムを使うか……)
マリオ「サンダー!」
バリバリバリバリッ!
宇水(突然の轟音で、どこを走ってるのか分からなくなってしまった!)
ドカァンッ!
宇水「ぐわぁっ!」
ジュゲム『ウスイ、土管に激突してしまったぁっ!』
ジュゲム『急に運転がおかしくなりましたが、いったいどうしたんだ!?』
ジュゲム『あ~っとウスイ、どんどん後続に抜かれていく!』
宇水(くそっ、あらかじめ心の準備をしておけば、あの音にも耐えられたものを……)
宇水(バナナの皮や甲羅だけでなく、あんな道具があったとは……!)
1位 マリオ
2位 ルイージ
3位 ピーチ
4位 ヨッシー
5位 魚沼宇水
6位 キノピオ
7位 ドンキーコング
8位 クッパ
宇水(全速力で追い上げたが、入賞は逃してしまった……)
宇水(クッパに実力を見込まれ参加しておきながら、情けない……!)
マリオ「いいレースだったよ! 君はすばらしいレーサーだ!」
宇水「え?」
マリオ「まさかあそこから5位まで追い上げるなんて……」
ルイージ「いやぁ、すごかった……調子を崩さなきゃ絶対優勝してたよ」
ピーチ「また一緒にレースをしましょうね!」
キノピオ「なかなかやりますね、次は負けませんよ!」
ヨッシー「楽しかったよ、ウスイ!」
ドンキー「ウッホォ~!」
宇水「…………」
クッパ「ガッハッハッハッハ!」
クッパ「さすがだウスイ、ワガハイが見込んだだけのことはある!」
宇水「ふん、こんな遊戯などなんの意味もないわ」
ブロロロロ……
宇水「もっと曲がる時の技術に磨きをかけねばな……」ギャルルッ
宇水「道具の性質も覚えて、効果的に使用せねば勝利は掴めん……」
クッパ「ガッハッハ! ウスイよ、なんだかんだいってカートにハマったようだな」
宇水「何が可笑しい!!!」
クッパ「今度はテニスなのだ、ウスイ!」
宇水「ボレーとスマッシュの基本的戦法を味わわせてくれる!」
~
ルイージ「君のコインはいただきだ!」
宇水「なんだと!? 私の小判が根こそぎ奪われてしまった……!」
~
宇水「フハハハハ! ローチンを扱うより容易いわ!」パシュッ
マリオ「まさか、このコースでバーディーを取るとは……」
クッパ「おい、ウスイ!」
宇水「どうした、クッパ?」
クッパ「オマエのスマッシュブラザーズへの参戦が決定した!」
宇水「なんだと!? この私が!?」
クッパ「オマエのティンベーとローチンを、他の世界の奴らに見せつけてやるのだ!」
宇水「面白い」ニヤッ
マルス「盾を防御だけでなく、受け流すことに使うなんて……」
ガノンドロフ「おのれぇぇ……!」ビキビキッ
宇水「いくらでもかかってこい!」
宇水「この新ティンベーで、相手の武器をさばき、視界を封じ!」
宇水「さらに対となる手槍、ローチンで突く!」
宇水「これが我が故郷、琉球に伝わる王家秘伝武術のひとつ」
宇水「ティンベーとローチンの基本的戦法!」
………
……
…
宇水(カートにテニス、ゴルフにパーティーに野球……色んなものを知った)
宇水(さらにはスマッシュブラザーズという、戦闘を楽しむこともできた)
宇水(飯はほとんどキノコだが、味は悪くない……それどころか上等といってよかろう)
宇水(私としたことが、すっかり居心地がよくなってしまった)
宇水(だが……本当にこのままでいいのだろうか)
宇水(私が……)
宇水(私が本当にやりたかったのは──)
宇水「クッパ」
宇水「お前はあのマリオ兄弟に負け続けているな」
クッパ「ま、負け続けているわけではないぞ! いつか必ず──」
宇水「なぜ、立ち向かえるのだ?」
クッパ「え?」
宇水「自分を負かした相手に、再び立ち向かう」
宇水「簡単なようで……なんと難しいことよ」
宇水「なのになぜ貴様は、立ち向かうことができるのだ?」
クッパ「マリオをギャフンといわせたいから……」
クッパ「ピーチ姫をワガハイのものにしたいから……理由は色々あるが」
クッパ「なぜ立ち向かえるのかと聞かれたら──」
クッパ「ワガハイには大勢の部下や仲間、がいるからだろうな!」
宇水「!」
クッパ「なんとしてもみんなに、マリオに勝利するワガハイの姿を見せたい……」
クッパ「だから、ワガハイは何度でもマリオに立ち向かうことができるのだ!」
宇水「私の知り合いに、こんな男がいた」
宇水「その男はある敵に惨敗し、必ず強くなって復讐してやると誓った」
宇水「だが……再び出会った時、敵との差はさらに開いていた」
宇水「怖気づいた男は戦いを挑むことすらせず、敵の軍門に下った」
宇水「する気もない復讐をいつか必ず行う、と虚勢をはりながら……」
宇水「そんな小さな男であったが、生まれて初めて仲間というものを持った」
宇水「男は……少し勇気をもらえたような気がした」
宇水「さて質問だ」
宇水「この男は……再び敵に立ち向かえると思うか?」
クッパ「もちろんだ!」
クッパ「その男はずいぶん回り道をしたようだが」
クッパ「今からでも遅くはない!」
クッパ「立ち向かえるはずだ!」
宇水「フ……回り道、たしかにな……」
宇水「ありがとうよ、クッパ」
宇水「これで決意が固まった」
宇水「私は……元の世界に戻ろうと思う」
クッパ「だってオマエはカメだろう!? この世界の住人だろうが!」
宇水「いや、私は亀ではない」
宇水「貴様に焼かれたあの甲羅は、私の自前などではないのだ」
宇水「私は……人間だ」
宇水「それもこことはまったく違う世界のな」
クッパ「!」
クッパ「そ、そうだったのか……」
宇水「黙っていてすまなかったな」
クッパ「いやかまわんぞ! ちょっとビックリしただけなのだ!」
クッパ「だが、それならなぜ、この世界にやってきたのだ?」
宇水「うむ、話せば長くなるのだが──」
クッパ「多分、オマエは土管に入ってしまったのだろう」
宇水「土管?」
クッパ「この世界の土管には、生き物のように伸びたり動くものがあってな」
クッパ「ごくまれに、この世界とどこか別の世界を繋ぐ土管が生まれたりもするのだ」
クッパ「いわゆるワープ土管というやつだ」
宇水「ふむ……そういうことだったか」
宇水(たしかに京都に向かう途中、雨宿りのため大きな土管に入ったような気がする)
宇水(あれがおそらく……ワープ土管、とやらだったのだな)
クッパ「今からマリオのところに行き」
クッパ「オマエの世界に繋がる土管のありかを教えてもらうことにしよう」
宇水「ありがとう」
クッパ「……しかし、オマエがいなくなるとさびしくなるな」
宇水「フ……よせ。私は初対面で、お前を殺しにかかった男だぞ」
マリオ「──お安い御用だ、ウスイ」
ルイージ「ぼくたちは国中の土管を熟知しているからね」
ルイージ「ちょっと調べれば、君をこの世界へと導いた土管も分かるはずだよ」
マリオ「さっそくだけど、君が元いた世界は、いつのどこだ?」
宇水「明治時代の日本だ」
マリオ「明治時代の日本……」パラパラ…
マリオ「おぉ! それならクッパ城の近くにあるはずだ!」
マリオ「……しかし、こんな急に帰るのかい?」
マリオ「もう一晩くらいゆっくりしていっても──」
宇水「いや、決意を鈍らせたくないのでな」
マリオ「……そうか、なら仕方ない。今すぐワープ土管に向かおう!」
やっぱり生死観が違うのか
一回死んでもすぐ生き返る人たちですから
宇水「……これが、明治時代の日本に繋がる土管か」
宇水「マリオ、ルイージ、感謝する」
マリオ「こちらこそ」
ルイージ「楽しかったよ、ウスイ」
宇水「クッパ、世話になったな」
クッパ「ガッハッハッハッハッ! またいつでも来い!」
クッパ「城のオマエの部屋は、空けておくからな!」
すると──
ピーチ「急に帰るなんてつれないじゃない、お土産にキノコを持っていって!」
キノピオ「また一緒にレースをしましょう!」
ヨッシー「今度来る時は、そっちの料理も持ってきてね~!」
ドンキー「ウホッ、ウホッ、ウホッ!」
ノコノコ「あばよ、新入り!」
カメック「君は怖かったけど、いなくなると寂しくなるなぁ」
ワリオ「俺だよ、ワリオだよ!」
ワアァァァァァッ!
マリオ「クッパ、君が呼んだのか?」
クッパ「まさか! マリオ、オマエが呼んだんだろう?」
ルイージ「きっとどこかからウスイが帰るって情報がもれて、こんなに……」
宇水「…………」
宇水「さらばだ!」ザッ
──
───
宇水(……間違いない)
宇水(ここは……日本だ)
宇水(私はようやく戻ってきたのだな……)
宇水(クッパのいうとおり、ずいぶん長い間回り道をしてしまった)
宇水(だが決して悪くはない“回り道”だった)
宇水(すっかり遅くなってしまったが……京都に向かうとするか)
宇水「久しいな」
方治「宇水! 貴様、いったいどこでなにをやっていた!」
方治「貴様のせいで、一週間も予定をずらすことになったんだぞ!」
宇水「!」
宇水(たった一週間の遅れで済んでいるのか)
宇水(向こうとは時間の流れがちがうのか、あるいは土管のせいなのか……)
方治「いくら腕が立つといっても、こんな勝手は──」
志々雄「いいじゃねぇか、方治。遅れはしたが、こうして到着したわけだしな」
方治「志々雄様……!」
宇水「そういうことだ」
方治「ぐっ……!」ギリッ
志々雄「どこでなにをやってたか、ってのは教えてもらいてぇな」
志々雄「甲羅の盾……ティンベーだったか。形状がえらく変わっている」
宗次郎「あ、ホントだ! 鋭いトゲがついてますね!」
志々雄「問題は盾だけじゃなく、お前自身のまとう空気もずいぶん変わったってコトだ」
志々雄「一週間の到着遅れとも、おそらく無関係じゃねえだろう」
志々雄「宇水……どこでなにをやっていた?」
宇水「…………」
宇水「……少しの間、妙な世界に行ってきたのだ」
志々雄「ほう、なんのために?」
方治「は?」
宇水「これがその妙な世界でもらったキノコだ」ドサッ
宇水「よかったら食ってみるか?」
宗次郎「あ、じゃあボクいただきます」
由美「ちょっとやめなさいよ、ボウヤ! 相手はあの宇水なのよ!?」
由美「あんな派手な色のキノコ、毒に決まってるでしょ、毒に!」
宇水(派手な色なのか、このキノコ……)
宇水「──ま、冗談はこれくらいにしておくか」
志々雄「もう一度問うぜ。宇水、なんのために妙な世界とやらに行っていた?」
宇水「無論」
宇水「志々雄、貴様を倒すためだ」
宇水「否、貴様の命をつけ狙うふりは、もう終わりだ」
宇水「志々雄、今すぐ貴様と立ち合いたい」
宗次郎「おお~」
由美(違う! 今までの宇水とはまるで違うわ!)ゾクッ
方治「──ふっ、ふざけるな、宇水!」
方治「ただでさえ計画が遅延しているのだ、これ以上余計なことに時間を──!」
志々雄「ハハハハハハハハハハッ!!!」
方治「!?」
志々雄「礼をいうぜ、宇水」
志々雄「抜刀斎、国盗りの前に、面白い余興がさらにひとつ増えた」
志々雄「嬉しい誤算というやつだ」
宇水「ここで私に殺られてしまうようでは、国盗りなど夢のまた夢……」
宇水「そうだろう?」
志々雄「そのとおりだ」
志々雄「所詮この世は弱肉強食、強ければ生き、弱ければ死ぬ」
志々雄「ここで俺がコイツに殺られたなら、それまでの男だったというだけのハナシだ」
方治「ですが……!」
志々雄「どうせやるなら、観客は多い方がいいだろ」
志々雄「宗次郎、アジトにいる十本刀、全員呼んでこい」
宗次郎「はい」
方治「くぅ、この大事な時に……宇水の奴め……!」ギリッ
安慈「…………」
鎌足「志々雄様……大丈夫かしら」
蝙也「ふむ……」
夷腕坊「ぐふっ、ぐふふふふっ!」
才槌「ひょひょひょ、これは興味深い対決じゃわい」
由美「ねぇボウヤ! 志々雄様が勝つわよね!?」
宗次郎「う~ん、今までの宇水さんが相手なら、志々雄さんが勝つでしょうけど」
宗次郎「宇水さんもなんか雰囲気変わりましたし、危ないかもしれないですね」ニコッ
由美「危ないかもしれないですね、じゃないわよ!」
宇水「来い、志々雄」
志々雄「立場をわきまえろよ。挑戦者は──お前だろ?」
宇水「フ……そうだな」
志々雄「ッシャアアアッ!」シュバッ
ギュルッ!
安慈(志々雄殿の鋭い斬撃を盾でさばいた!)
宇水「はぁっ!」
ズギャアッ!
由美「ああっ!」
方治「盾での殴打だと……!」
志々雄「腕を上げたな……」ニッ
宇水「新ティンベーで攻撃をさばき、そのまま新ティンベーのトゲで殴る!」
宇水「これぞティンベーの新戦法!」ザンッ
志々雄「わめくな、方治」
志々雄「元々このナリなんだ、今さら傷がひとつふたつ増えようと大して変わらねぇよ」
宇水(ふむ、いささかの動揺も感じ取れん)
宇水(さすがは──志々雄真実!)
志々雄「壱の秘剣、焔霊!」
ボワァッ!
宇水(ついに出たか! だが、炎に惑わされてはならん)
宇水(クッパから授かった新ティンベーを信じろ!)
ギュルッ!
志々雄(焔霊さえもさばくとは!)
宇水「ローチンと新ティンベーを組み合わせた新技、見せてくれる!」
宇水(左右同時に宝剣宝玉百花繚乱を繰り出す!)
宇水「宝剣宝玉二百花繚乱!」
ズガガガガガッ!
ドザァッ!
志々雄「ちっ……」バッ
宇水「はああああっ!」ダッ
キィンッ! ギュルッ! ザクッ! ギュルッ!
鎌足「志々雄様っ!」
由美(これほどまで苦戦する志々雄様なんて、初めて見たわ!)
方治(いかん!)
方治(宇水のあの新しい盾、前のものとはちがい非常に頑丈だ)
方治(だから志々雄様の速い斬撃に多少反応が遅れても、破壊されることなく──)
方治(攻撃をさばくことができる!)
方治(このままでは──)
英雄マリオですら踏んだら死ぬレベルだし
方治「な!?」
方治「お前には分からぬのか、あの宇水の強さの秘密が──」
宗次郎「たしかに宇水さんはすごいです」
宗次郎「だけど、志々雄さんもあんなものじゃありませんから」
ギュルッ! ザシュッ! ギュルッ! ドズッ!
宇水(これほど攻撃を加えても、志々雄の動きは全く衰えを見せん!)
宇水(むしろ勢いを増している!)
志々雄「シャアアアアッ!」シュバッ
宇水(無駄だ! 斬撃は通用せん!)サッ
ガシッ!
宇水(新ティンベーのトゲを……左手で掴んだ!?)
志々雄「やっと捕えたぜ」
志々雄「焔霊の炎をあれだけ浴びたんだ、ずいぶん脆くなっているはず」
志々雄「つまり今のコイツなら──弐の秘剣で破壊できる」
ボッ
志々雄「弐の秘剣、紅蓮腕!」
ドグァァンッ!
宇水(し、しまった……! 新ティンベーを爆破された……!)
志々雄「新ティンベーはお前の攻撃と防御の要──」
志々雄「つまり新ティンベーを失ったお前の戦力低下は、半減どころじゃねえはずだ」
宇水「ぐっ……!」
宇水「まだ終わってはおらん!」
志々雄「終わってんだよッ!」
ザシュッ! ズシャアッ!
宇水「が……は……っ!」
宇水「ま、まだだ……!」ヨロッ
志々雄「こんなに楽しめたのは、明治に入ってからは初めてかもしれねぇ」
志々雄「褒美をやろう」
志々雄「終の秘剣……わずかだが冥土の土産にくれてやる」
ギャリッ……!
ブオアアアァァッ!
志々雄「終の秘剣、火産霊神(カグヅチ)」
志々雄「俺の無限刃の発火能力を……半分ほど開放させた」
宇水(半分でこれほど巨大な炎なのか……!)
宇水(これが志々雄真実……!)
志々雄「地獄への送り火にしちゃあ、少々派手かもしれねぇが」
志々雄「華々しく散りな」
宇水「……やれ」
グオオアアアアッ!
宇水(私の体が燃え尽きてゆく……)
宇水(志々雄……)
宇水(奥の手を一端でも見せてくれたこと、心から感謝するぞ)
宇水(クッパ……再会は……できそうも、ない……な……)
宇水(さら、ば……)
宇水(…………)
方治「こ、これが……志々雄様の終の秘剣……!」ゴクッ
安慈(まるで地獄の炎を現世に召喚したかのようだ……)
鎌足「志々雄様……すごい……」
蝙也「なんという強さ……まさに弱肉強食の体現者……!」
夷腕坊「ぐふっ、ぐふふふふっ!」
才槌「こりゃたまげたわい……」
由美「よ、よかった……さすがは志々雄様ね!」
由美「宇水は……残念だったけどね……」
宗次郎「う~ん、おかしいなぁ……」
由美「ん、どうしたのボウヤ?」
宗次郎「いえ、宇水さんは今間違いなく死んじゃったはずなんですけど」
宗次郎「なぜか、あそこに宇水さんがいるんですよ」
由美「え!?」
方治「な、な、なんで宇水が生きているんだ!? しかも無傷で!?」
安慈(輪廻転生……? いや、いくらなんでも早すぎる)
鎌足「ちょっとアンタ、どうなってんのよこれ!?」グイッ
蝙也「俺に聞かれても分かるか!」
夷腕坊「し、死人が蘇るなどありえん! ──あ、ぐふふふふっ!」
才槌「うむむ、いくら論理的考察を重ねても、納得のゆく答えが出てこんわい……!」
宗次郎「生き返るなんて、宇水さんすごいなぁ。ちょっとずるい気もしますけど」
由美「なに呑気なこといってんの! どーなってんのよコレ!?」
志々雄「殺し損ねたか、生き返ったかは知らねぇが……たしかなことは」
志々雄「まだ勝負はついてねぇってことだな!」ニヤッ
宇水「どうやら、そのようだな」ニイッ
ザシュッ!
宇水「はぁっ!」
ギュルッ!
志々雄「ッシャアアアアアッ!」
ボワァッ!
宇水「ぬんっ!」
ザシュッ!
………
……
…
志々雄「う……ぐっ」
志々雄(ち、戦っているうちに少しずつ傷をもらい、十五分もとうに過ぎた……)
志々雄(体が……ピクリとも動きやしねぇ)
志々雄「幕末から……明治にかけて、数えきれねぇほど人を斬ったが──」
志々雄「斬っても斬っても死なない……いや生き返る奴と戦ったのは初めてだ」
志々雄「宇水……お前の体はいったいどうなってんだ?」
志々雄「なんか変なもんでも食ったのか……?」
宇水「ハァ、ハァ、ハァ……」
宇水(そんなことはこちらが知りたい)
宇水(向こうの世界では、毎日キノコを食べていたが──)
宇水(多分関係あるまい)
志々雄「所詮この世は……弱肉強食……」
志々雄「俺はてめぇに敗れた……それが自然の摂理だ」
宇水「…………」
由美「ダメです、志々雄様っ!」
鎌足「志々雄様っ!」
宇水「…………」
宇水「断る」
志々雄「!」
宇水「狂おしいほど欲した、貴様への復讐、貴様からの勝利……」
宇水「今こうしてその好機を手中に収めたというのに、全く実感がないのだ」
宇水「私はかつて、貴様に両目を切り裂かれ、生き地獄を味わった」
宇水「ならば私も報復として、貴様にも生き地獄を味わわせてやりたくなった」
宇水「虚栄まみれだった男に地に伏せられ、見逃される、という生き地獄をな」
宇水「私はいずれまた、貴様のもとに現れるだろう」
宇水「次こそは一度も死せることなく、貴様を殺す実力を身につけて、な」
志々雄「ちっ……」
志々雄「次に会う時は、俺はこの国の覇権を握っていることだろうぜ」
宇水「ククク、その方が殺しがいがあるわ」
志々雄「フフフ……ハッハッハ……」
宇水「クックック……ハッハッハ……」
志々雄&宇水「ハーッハッハッハッハッハッハ!!!」
宇水「何が可笑しい!!!」
志々雄「なんでてめぇがキレるんだよ」
方治「ま、待て、宇水!」
方治「貴様のような危険人物を、むざむざ野に放てるものか!」
宇水「ほう、では力ずくで止めてみるか?」ニィッ
方治「う、ぐっ……!」
宗次郎「やめときましょうよ、方治さん」
宗次郎「なんたって殺しても生き返るんですし、多分ボクでも止められませんよ」
宇水「そういうことだ、ボウズ」
宇水「次に会う時は志々雄の下で、高級官僚くらいにはなっていろよ」
方治「と、当然だ!」
方治「西洋列強にも劣らぬ強力な軍隊を作り上げ──」
方治「貴様如きでは、志々雄様に指一本触れられぬようにしてくれる!」
宇水「フッ……期待しているぞ」
宇水(どれ、一つキノコを食うとするか)モグ… ピロリロリン♪
安慈「宇水殿」
宇水「……安慈か」
安慈「変わられたな、宇水殿」
宇水「変わったというなら、お前とてずいぶん変わったのだろう」
宇水「廃仏毀釈で寺を焼かれた怒りから、“明王”になったと聞いているぞ」
安慈「……どこに行かれる」
宇水「さあな。なにも考えてはおらん──が」
宇水「ひとまずはこの見えぬ目で、世界中を見て回ろうと思っている」
安慈「そうか」
安慈「達者でな」
宇水「フフ……お前にいわれるまでもない」
この後、日本はおろか世界各地で目玉模様の服を着て、
眼帯をつけた男が目撃されるようになるが──
これが宇水本人かどうかは定かではない。
そして──
宇水「クッパよ、久しぶりだな」ザッ
クッパ「おお、ウスイではないか! 向こうの世界での用事は済んだのか!?」
宇水「まぁな」
宇水「今は修業を兼ねて、世界各地を旅して回っているところだ」
クッパ「そうか、ならばせっかくだからレースに参加するといい!」
クッパ「ちょうど今日は、スペシャルカップの開催日なのだ!」
クッパ「オマエならば、飛び入り参加も認められるだろう!」
クッパ「なんとしても、ワガハイたちでワンツーフィニッシュを飾るのだ!」
宇水「クックック……よかろう」
宇水「ロケットスタートとドリフトの基本的走法を見せてくれるわ!」
~おわり~
乙でした
ネタかと思って開いたらまさかこんなことになるとは思ってもなかったぜ
Entry ⇒ 2012.10.06 | Category ⇒ 版権物SS | Comments (0) | Trackbacks (0)
ハリー「宿題で潰れる休日」ロン「全く、ホグワーツってステキだよな」
ロン「優しい先生に楽しい授業、それに、やり応えのある山のような宿題」
ハリー「いたせりつくせりだよ、あぁ」
ロン「アンブリッジなんて、君に熱心な指導をするあまり、『僕は嘘をついてはいけない』って拳に直接刻ませちゃうんだもんな」
ハリー「教師の鑑だね」
ロン「おまけに奴さんの授業の方も、マーチン・ミグズがおったまげるようなハラハラドキドキの教科丸写しときた」
ハリー「心臓がいくつあっても足りないよ、我慢の限界って意味でね」
ハーマイオニー「……ねぇ二人とも。アンブリッジに不満があるのも分かるけれど、口より羽ペンを動かしていただけないかしら」
ハリー「不満なんてもんじゃないよ、ハーマイオニー。マーリンの、あれさ」
ロン「髭だね、もちのロンで」
ハーマイオニー「やる気がないのなら、帰らせていただくわよ?」
ハリー「勘弁してよ、ハーマイオニー」
ロン「君がいないと僕らは、この宿題を終わらせるまでの間に七年生になっちまうぞ」
ハーマイオニー「だったら真面目にやって頂戴!もう!」
ハーマイオニー「一週間も前に出された宿題なのよ?やる気があれば、その日に終わったはずなのに」
ハリー「1メートル20センチなんてレポートを早々に書き上げられるのは、ハーマイオニー。君くらいだよ、きっと」
ロン「あぁ、ビンズじいさんもここにきて面倒なもんを出してくれたよな」
ハーマイオニー「私達は『ふくろう(普通魔法試験レベル)テスト』を控えた学年なのよ?これくらい、当然じゃないの」
ハリー「そうは言っても、君がいなかったら僕らはこのレポートを前に『姿くらまし』していたかもしれないよ」
ロン「僕もハリーもクィディッチ選手になっちまったせいで、宿題なんてしている時間はないものな。クィディッチの選手!になったからさ、僕」
ハーマイオニー「去年までのお暇だったはずの終業後も、あなたは全く手をつけていなかったように思うわ、ロン」
ハリー「例えば?」
ロン「ハニー・デュークスの新作お菓子をチェックしたりだとか、さ」
ハーマイオニー「あら、お口が正に無駄な動きをしているようだけれど、私は帰っていいのかしら」
ロン「悪かったよ……お詫びに、ほら。新作のチョコをあげるから勘弁してくれよ」
ハリー「クィディッチ選手になっても、新作チェックはかかさないんだね」
ロン「他になにをしろっていうのさ」
ハーマイオニー「素敵な素敵な宿題なんてどうかしら」
ロン「そうなのかい?僕にはマグルの基準は、よく分からないけど」
ハーマイオニー「原稿用紙の枚数で指定されたりは、あるわね。でも……こんな風に、自由に書くような宿題はそう無いと思うわ」
ロン「ありがたいことじゃないか」
ハリー「これでもかってほど、大きく書いて稼いでるものね、僕ら」
ハーマイオニー「言っておくけれど、あまりにも内容が少ないと減点されるわよ?」
ロン「僕らなんてまだ、いいほうさ。この間、ゴイルのレポートをチラッと見たんだ」
ハリー「どうだった?」
ロン「文字の大きさも、汚さも。まさにゴイルだったね」
ハリー「トロール並み?」
ロン「評価もTに違いない」
ハリー・ロン「「HAHAHA!!」」
ハーマイオニー「あなたたちも同じ穴の狢よ、このままでいくのなら」
ロン「ビンズじいさんめ、アンブリッジのご機嫌伺いでもしてるのかな」
ハーマイオニー「アンブリッジが制定した法案だものね……でも先生に限って、それはないと思うわ」
ハリー「そういうことを気にしそうな人じゃないものね。そもそも人じゃないけど」
ロン「あぁ、マイペースの塊みたいなものだもんな。死んだことにも気づかなかったんだっけ?」
ハーマイオニー「ゴーストって、そんなに簡単になれるものなのかしら。いつか、城にいるゴーストたちに聞いて回って調べたいわ」
ロン「そりゃいいや。きっと連中、快く答えてくれるだろうさ。場合によっちゃ君にも是非って言うかもな」
ハリー「笑えないよ、ロン」
ハーマイオニー「今に始まったことじゃないわ」
ロン「あぁ、真面目に考えるとしようか……『反・人狼法の制定により、魔法界は……』どうなったのさ?」
ハーマイオニー「書ききるまで教えるはずないじゃない」
ロン「そんな!それじゃぁ君はなんのためにここにいるのさ、だ!」
ハーマイオニー「あなたたちがきちんと宿題をこなすように、よ!」
ロン「ハリー、君までハーマイオニー側に行かないでくれ」
ハーマイオニー「それってどういう意味かしら」
ハリー「君は知的で最高ってことさ」
ハーマイオニー「あら、ありがとう」
ロン「ハリー、ハリー!僕はどうだい!?」
ハリー「チェスが強いね」
ロン「……まあね!」
ハーマイオニー「それでそこまで得意げな顔ができるあなたが、ここまで来ると微笑ましいわ」
ハリー「ともかく、ロン。僕らにとって身近な人のことで、考えてみようよ」
ハリー「今のところ、他に僕らの知り合いで月に一度けむくじゃらになる人はいないね」
ハーマイオニー「早々いてもらっても困るわ、ハリー」
ロン「ハグリットはいっつも毛むくじゃらだけどね」
ハリー「そういえばハグリットって、昔、自分のベッドの下で狼人間を育てようとしてた、って言ってたっけ」
ハーマイオニー「……三つ子の魂百まで、ってことかしら」
ロン「狼人間と人狼って、どう違うのかな」
ハリー「水中人と人魚みたいなものじゃないかな。ともあれ、リーマスのことさ」
ロン「リーマスは仕事につくことが難しくなった、って言ってたっけ」
ハーマイオニー「スナッフルがそう言っていたわね。アンブリッジいついて、私達に聞かせられないくらい罵ってる、って」
ハリー「結論、僕のおじさんの主食がドッグフードになる」
ロン「ペットショップは大繁盛ってわけか」
ハーマイオニー「ハリー、それは結論じゃなくて極論だわ」
ハリー「……この前、手紙で嘆いていたんだ」
ロン「まぁ僕が思うに、スナッフルもその仕打ちをされるくらい我がまま放題なんじゃないかな」
ハリー「基本シリウスは悪食だからなんでも食べるらしいけれど」
ロン「逃亡生活で必要に迫られたんだろ」
ハーマイオニー「ネズミを食べてた、って。去年言っていたわね」
ハリー「昔はトースト一枚にもフォークとナイフを使うお坊ちゃんだったのに、ってリーマスが嘆いてたよ」
ロン「今じゃもう鷲掴みだろうな」
ハーマイオニー「ハリー、スナッフルの話もいいけど宿題の話題に戻ってくれるかしら」
ロン「そういえばあの二人と揃って話すのは、三年生の時以来だったんだものな」
ハーマイオニー「それは素晴らしいことだけれど、きっと今後たくさんあるじゃない。それより今は目先の宿題よ」
ハリー「うん、そうだね。スナッフルともよく、スナッフルの無実が証明されたらどんな生活をしようか話し合うよ」
ロン「微笑ましいなぁ」
ハーマイオニー「分かった、分かったわ。あなたたち、とことん宿題をしない気ね?私、ようやく分かったわ」
ハリー「君にしては時間がかかったね。ロンの羽ペンなんて、最初から綿飴羽ペンさ」
ハーマイオニー「ペンだけじゃなくって、私のことも舐めきっていた、ってわけ?」
ハリー・ロン「「HAHAHA!!」」
ハーマイオニー「二つの意味で冗談じゃないわ」
ハリー「まぁまぁ。ほら、最近三人でゆっくりできなかっただろう?」
ロン「僕はクィディッチのメンバーになっちまったしね。クィディッチの、キーパーに」
ハーマイオニー「過ぎるくらい存じてるわよ」
ハリー「いい天気だったし、部屋に篭りきりな君を連れ出そうと思って」
ハーマイオニー「……ふぅ。そうね、息抜きも……たまーには、いいかもしれないわ」
ロン「そうこなくっちゃ」
ロン「ハリー、今のは君の作り話の中でも五本の指に入ると思う」ヒソヒソ
ハリー「あとでチョコを頼むよ」
ハリー「うん、そういう約束だから」
ハーマイオニー「ハリーの後見人だものね、スナッフルは」
ハリー「ゴドリックの谷の、父さん達の家を立て直すんだ」
ロン「そりゃいいや」
ハーマイオニー「素敵ね」
ハリー「それで、スナッフルには大きな屋根のついた、立派な犬小y」
ロン「ハリー、ストップ」
ハーマイオニー「リーマスが茶々をいれたのね、おそらく」
ハーマイオニー「あなたとスナッフルが楽しそうに話す光景と一緒に、リーマスが静かにスナッフルを睨んでいる姿が見えたわ」
ロン「凄いじゃないか。君、トレローニーにとって代われるんじゃない?」
ハーマイオニー「冗談。私が『占い学』の教授になったら、まずは水晶玉を叩き割ることから始めるわ」
ハリー「今よりよっぽど楽しいだろうね」
ロン「ふやけた茶色いものをいっぱい眺めてるよりはマシだよな、あぁ」
ロン「そうなるだろうね」
ハーマイオニー「私とハリーが二人で話している時のあなたのようだわ」
ロン「どういう意味さ!」
ハーマイオニー「心が狭いということよ。リーマスは偶に、のようだけれど」
ハリー「喧嘩はやめれくれよ」
ロン「僕はハリーとフォーメーションについてだったり、色々話すことがあるんだよ!」
ハーマイオニー「私だって、D・Aについて山ほど話し合うことがあるんだもの!」
ハリー「……なんだか不思議と疎外感がないのはなんでだろう」
ハーマイオニー「収入が心配ね」
ロン「……ハーマイオニー、夢の話にそういうのを持ち込まないでくれよ。僕にまで飛び火しちまう」
ハリー「その辺は大丈夫、僕が成人するまでは父さんの遺産とスナッフルの財産があるから」
ハーマイオニー「ダメな大人なんだか計画性があるんだか分からなくなってきたわ、スナッフルのこと」
ロン「いざとなったらネズミを食べて凌げるしね」
ハリー「家計が助かるね」
ハーマイオニー「スナッフルをどうしてもペット枠にしたいの、ハリー?」
ロン「へぇ?」
ハーマイオニー「意外ね。どうして?」
ハリー「僕が、そっちの方が慣れているんじゃないか、って」
ロン「ハリー基準だなぁ」
ハーマイオニー「そうね、あの二人ならそんな気がするわ」
ハリー「でも僕は魔法界にいたいし、マグルといったらダーズリーんとこしか思い出がないから、どうだっていいんだ」
ロン「寧ろ自由になって一番最初にスナッフルは乗り込みそうだよな、君のおじさんのとこ」
ハーマイオニー「犬の姿でそうしたんじゃなかったかしら?」
ハリー「うん、あの時その事情を聞いていたら、十数年ぶりにお腹一杯になれただろう、って言ってたよ」
ハリー「ほら、スナッフルはあそこ、嫌いだから」
ハーマイオニー「私達があんなに頑張って掃除したけれど、陰湿な雰囲気は抜けきらなかったものね」
ロン「クリスマスあたりには明るくなってるといいよな」
ハリー「僕が冬に帰るって言ったら、スナッフルもやる気を出すかな」
ロン「そりゃもう、クリーチャーがダンスローブに身を包むほどだろうさ」
ハリー・ロン「「HAHAHA!!」」
ハーマイオニー「クビという意味なのか、それほどまでに綺麗にされるだろうということなのか、分かりかねるわ」
ロン「どっちもさ。あ、君の『反吐』としては、前者の方がいいのかな?」
ハーマイオニー「S・P・E・W!反吐じゃないったら!」
ロン「まぁ安定だよな」
ハーマイオニー「お父様やお母様も喜ばれると思うわ」
ハリー「うん、それにシリウスもグリモールドプレイスよりよっぽど地元のようなもの、って言ってたし」
ロン「いりびたってたんだろうなぁ、ハリーの両親のところに」
ハーマイオニー「戦争中だったみたいだもの、それはどうかしら」
ハリー「僕が生まれた後、何度父さんにたたき出されたか数え切れなかった、って言ってたよ」
ハーマイオニー「戦争ってなんだったかしら」
ロン「ハリーの前じゃふわふわの小さな問題だったんだろうさ」
ロン「君なら余裕すぎてお釣りに『マグル製品不正使用取締局局長』って役職まで着いてくるだろうさ」
ハーマイオニー「ロン、あなたのお父様のお仕事をそんな風に言うものじゃないわ」
ハリー「そうだよ、おじさんは立派だ……それで、二人にもたまに手伝ってもらいながら、僕も仕事になれていくのさ」
ロン「『例のあの人』の時代に騎士団だった二人だもんな、あぁ」
ハーマイオニー「並大抵の魔法使いにあ遅れをとらないでしょうね」
ハリー「それで、僕も大人になって……で」
ロン「うん」
ハーマイオニー「えぇ」
ハリー「僕が……あー、誰かと結婚することになったら……ってとこで、スナッフルは急に犬になって戻れなくなるし、リーマスも『急に発作が!!!』って、どこかに行っちゃうんだ……」
ロン「……まぁ」
ハーマイオニー「……予想通りだわね」
ハリー「えーっと、僕は親とか、兄みたいに思っているけど」
ハーマイオニー「ハリー、多分それは二人に言わないほうがいいわ」
ハリー「どうしてだい?」
ロン「二人をカラッカラのミイラにしちまいたいんなら止めないよ」
ハーマイオニー「あぁ、スナッフルがちぎれんばかりに尻尾を振る姿が容易に想像できるわ……」
ハリー「? なんだか今日の君は詩的だね」
ハーマイオニー「あなたのお父様がいたころはもっと騒がしかったんでしょうね、ハリー?」
ハリー「あぁ、うん。マクゴナガルの眉間の皺の9割は私達のせいだ、って言ってたね」
ロン「スネイプのトラウマは?」
ハリー「手の指ってどうして10までしか数えられないんだろうね」
ハリー・ロン「「HAHAHA!!」
ハーマイオニー「そういう扱いが今のスネイプ先生のあなたへの態度に現れてるんだと思うわ、ハリー」
ハーマイオニー「……どうかしら。さっきも言ったけれど、『例のあの人』全盛期の時代でしょう?」
ロン「さっきも聞いたけど、あまり気にしてなさそうだよ、スナッフル達は」
ハリー「同感」
ハーマイオニー「……なんだかそんな気もするわ」
ハリー「現に僕らも、気楽なものじゃないか。普通に学校で、優しい優しい先生のもと楽しい授業に励んでいるよ」
ロン「あぁ、特にあのカエルババァなんて最高さ、正に『S・P・E・W』が出るね」
ハーマイオニー「『反吐』!『S・P・E・W』じゃないったら……あ」
ロン「……へぇ?」
ハリー「……」
ハーマイオニー「……」
ロン「へーぇ?」ニヤニヤ
ハリー「ロン、それ以上は、僕はやめた方がいいと思う」
ハーマイオニー「いいえ、ハリー。もう遅いわ。さぁロン、小鳥と蝙蝠の鼻くそ、どちらがいいかしら」
ハリー「あーぁ、ロンの顔がソバカスだらけから糞だらけに」
ハーマイオニー「自業自得だわ。さっ、スナッフルたちの興味深いお話もひと段落したところで、本格的に楽しい宿題の時間といきましょう?」
ロン「あー、ハーマイオニー。僕らはほら、君の息抜きのために、さぁ」
ハーマイオニー「えぇ、とっても粋な計らいをありがとう。お礼にしっかり指導してさしあげるわ」
ハリー「……ロン、諦めよう。ほら、羽ペンだ。スナッフルとリーマスにこの課題について意見を聞く手紙を送るからさ」
ロン「そうしてくれよ……もちの僕でね」
ハーマイオニー「言いたいだけね、今の。早く始めるの!」
ハリー「『スナッフルへ スナッフルが今ホグワーツにいたら、もっと楽しかったでしょうにね』っと」カキカキ
ハーマイオニー「ハリー、私の苦労が二乗どころで済まなくなるからやめて頂戴」
ハリー「糞まみれに、ね」
ハーマイオニー「それに関しては自業自得です、ってば。いいじゃない、ジニーにかけらそうになったときの心構えが分かったでしょう?」
ロン「……ジニーにこの呪いを教え込んだのって、まさかとは思うけど」
ハーマイオニー「さぁ、もちのあなたと言わせてもらうわ」
ハリー「諦めよう、ロン。スナッフルも言ってたよ、母さんの思い出を語るときに」
ロン「なんだって?」
ハリー「魔法使いは、どこまでいっても魔女に敵いっこないのさ」
ロン「違いない」
完
シリウス「リーマス、どうだ!私も……ワフンッ、僕もまだまだ学生でいけるんじゃないか?」
リーマス「……シリウス、三十路過ぎのおっさんがクローゼット引っ掻き回して何をしているのさ。あ、でもそのタイは残しておいてくれるかい?君の今度からの散歩用リードはそれにしてあげようじゃないか」
今度こそ、完
次はもっと長くやるからここらで
ラドクリフお大事に
じゃあの!
ハリー・ポッター シリーズ
一巻~七巻まで
世界的大ヒット発売中!
2014年後半 USJにて
ハリポタアトラクション建設決定!!
おもろかった
Entry ⇒ 2012.10.06 | Category ⇒ 版権物SS | Comments (0) | Trackbacks (0)
球磨川(女装)「ねえねえ善吉ちゃん、超大好きなんだぜ?」
球磨川「あれ、おかしいな。僕の声が聞こえなかったのかな?」
球磨川「ならもう一度告白してあげるよ、あのね、善吉ちゃ───」
善吉「いや、待ってくれッ! いやいや待ってください球磨川先輩ッ!
そのアンタの格好に対しても突っ込みが追いついてませんから!」
球磨川「おいおい。僕と善吉ちゃんの仲じゃあないか、
そんな他人行儀な謝礼行儀な口調と呼び名はやめてよ」
球磨川「──気軽に禊きゅんって呼んでくれても構わないんだよ?」
善吉「」
犬がエメラルドマウンテン登って頂上を拝んだような顔をしてるけど」
善吉「……はっ!?」
球磨川「──熱でもあるのかな、どれどれ」ぴとっ
善吉「っ!?」
球磨川「よかった大丈夫みたいだね、熱も無いし、具合も悪くなさそうだし」すっ…
球磨川「いつもの善吉ちゃんのようで安心したよっ!」ぐっ
善吉「」ぞわぁ!
球磨川「ん?」
善吉「───俺から離れろォ! 球磨川禊ぃいいいい!!」ドガァッ!
球磨川「キャー」ドコォ!
ぱたーん
善吉「はぁっ……はぁっ……!」
球磨川「…酷いなぁ、まったくもって酷いよ」ゆらり
球磨川「フツー告白してきた娘に対して本気の蹴りを食らわせる?
フツーに死んじゃうぜ、今の善吉ちゃんの蹴り食らっちゃうと」
善吉「あ、アンタは何処をどう見ても、今も昔も現状も普通じゃないからいいだろうがっ!」
球磨川「あはは、言うねぇ善吉ちゃん」
球磨川「…だけど、まあ、そういった精神はこの際に横へと置いといてさ」
善吉「…」
球磨川「流れて流れて、今の僕の現状までに流れ落ちて、
僕とイチャイチャしようじゃあないか、ね?」
善吉「い、嫌だ」
球磨川「どうしてかな? んー、もしかして僕のことが嫌いだから?」
善吉「そ…それもあるが、それ以前に! アンタどうしてそんな事言うんだよっ!?」
球磨川「……そんなことって」
善吉「そんなことだろ!? ど、どうして俺に……す、すすすきとか! 言うんだ全くわからねぇだろ!」
球磨川「……」
球磨川「だって善吉ちゃん、男の姿で告白してきたら割かし引いちゃうだろ?」
善吉「十全で引くわ! どっちでも全力で引く!」
球磨川「そりゃないぜ……僕の気苦労が水の泡として消え去るようなこと言わないでくれよ、はぁ~」
善吉「だっ、だったらその泡が消え去る前に今自分がしてることをよーく考えろよ!?」
球磨川「……」
善吉「……」
球磨川「密かに思う乙女心から……肉食系女子の弾ける思いへ、クラスチェンジ!」びしっ
善吉「その思い弾け飛べッ!」グォッ!
がっきぃいいん!
球磨川「───あっはは、楽しいなぁ善吉ちゃん
僕はこうやってきみとイチャイチャできて楽しくてしょうがない」
球磨川「!」
善吉「はぁっ……アンタが言ってることが、全部全部虫酸が走る!
今までにないほどに、これでもかってぐらいに! 寒気がヤバイんだよ!」
球磨川「…つれない事いうなよ善吉ちゃん、僕だってけっこうアレなんだぜ?」
善吉「な、なんだよ」
球磨川「…………」
くるっ
球磨川「……その、恥ずかしいんだよ、言わせるな恥ずかしい」
ちらっ
球磨川「きゃっ」
善吉「」ぞわぁああ!
ここまで何の躊躇も無くやってのけた、今の僕の姿は?」
善吉「ただの女装してる、変態だ!」
球磨川「その通り、実にその通りだよ善吉ちゃん。矛盾だらけでこれといった法則性も無い。
今ある現状だけがこの場の解決への手がかりだね、実に困った、その通りすぎてね」
善吉「な、なにが言いたいんだよ球磨川先輩…」
球磨川「じゃあ聞くけど善吉ちゃん」
球磨川「───どうして僕の声に〝虫唾〟が走るのかな? ん?」
善吉「え…?」
球磨川「君はある程度まで、僕の嫌悪感の塗りたくられた言葉に──きちんとした耐性があるはずだ」
球磨川「だが今の善吉ちゃんには、どうもその耐性とやらが発動できていない用にみえるんだけど…」
球磨川「…なるほどね、やっぱり、そういったことになるんだ」
球磨川「ザ・シンキングターイム……一体全体どうしてきみは対抗できない?」
善吉「っ…」
球磨川「僕の言葉にたいして、最も人間の中で信ぴょう性のない僕に対して───」
球磨川「───どうしてそこまで〝本気になって嫌悪感を持てるんだい?〟」
善吉(どうしてって…そりゃ球磨川先輩の言ってることは誰にだって信用されない。
それほどまでコイツの言っている発言は不確定で、虚無に等しい責任皆無なんだから)
球磨川「……」にやにや
善吉(…だけど、球磨川先輩が言っている通り今の俺は最上級に嫌悪してしまってる。
コイツの顔を見たくないほどに、視線を絶対に合わせたくないほどに)
善吉(だってそれは───コイツの言ってることは気に障るから、気に触って、そして気を掴んでしまうから)
善吉(だから俺は球磨川先輩の言ってることを無視できない、対抗できない───いや、待てよ?)
球磨川「──はい、終わり。さて答えを聞こうか善吉ちゃん?」
球磨川「理由はわかったかい? 自分の気持ちの整理はきちんと片付けたかい?」
球磨川「それでは聞こうかきみの答えを……さあ、聞かせて頂戴」
善吉「……」
球磨川「? どうしたの?」
善吉「……」ガクガク…
球磨川「ねえ、どうしたの善吉ちゃん? あはは──」すた…
球磨川「──そんなに濡れたような犬のように、震えてしまって」すたすた…
善吉「……」ガクブル…
球磨川「見てるとこっちまで可哀想になってくるじゃあないか、くすくす」すたすた
すた
球磨川「──ねえ、善吉ちゃん。きみの答えを聞かせてよ、その可愛い口から教えてくれないかな」
善吉「あ、あんた……」
球磨川「うん?」
善吉「か、括弧……つけてないの…?」
善吉「」
球磨川「あははっ、もうもう! 遅いぞ善吉ちゃん!
いくらなんでも初めに合った瞬間から気づいたとしてもおかしくない程に不自然だったろ?」
くるくる
球磨川「何処をどう見ても僕という今の人間は──不自然の塊なんだから!」
球磨川「見てくれよこのスカート! 短すぎやしないと思わない? あとこのカツラ!」
球磨川「善吉ちゃんが好きだろうとロングにしてみたんだけど、どうかな? あとで感想教えてよ!」
球磨川「あーでも、やっぱり善吉ちゃんから感想言われちゃうとなー照れちゃうからなー」
ぴた
球磨川「…あとで僕の下駄箱に感想を書いた手紙を入れておいてよ、お願いだよ?」
球磨川「ね? 善吉ちゃん?」
善吉「」
善吉「っ」
球磨川「だからどうだい、ここはひとつ提案なんだけど──」くいっ
球磨川「──僕も我慢するから、必死に我慢するから、全力で恥ずかしがらないから」
球磨川「僕の今の姿に対する、ひとつ感想を言ってみては如何かな?」
善吉「いや、球磨川せんっ…!」
球磨川「答えろ」
善吉「っ……!!」びくぅ!
球磨川「……僕が手放しに本気で言っている言葉だ、
これがどういった意味でどういった配慮なのかわかってるのかい」
善吉「っ……そ、それは……その……」
球磨川「早く言えよ」
善吉「ッ~~~……ええっと、きもいです…はい…」
善吉「すっごく…気持ち悪いですっ…ヤバイぐらいに…吐きそうなぐらいに…!」
球磨川「………」
善吉「今すぐにでも…球磨川先輩を殴り倒して…それから教室へと走り逃げ去りたいです…!」
球磨川「………」
善吉「こ、これが俺の……本音です…!」
球磨川「………あっそ」ぱっ
善吉「うっ……っとと……」
球磨川「…ふーん、そうかい。善吉ちゃんはそう思ってたのか、それはそれは」
善吉「あ、あの……球磨川先輩…?」
球磨川「確かにそれは……『仕方ないことだよね、だって普通なことじゃないし、決して許されるようなことでもないから』」
球磨川「『語ったりとか思ったりとか片思いとか恋しくなったりとか蒔くったりとか恋慕とか』」
球磨川「『そんなこと全部ひっくるめて吐き気が催す程に気持ち悪くて、信じられないほどに嫌悪が満載で』」
球磨川「『たとえそれが僕という人間だからなんて、そんな言い訳が通じないほどに───』」
球磨川「『僕という人間は気持ち悪くて善吉ちゃんに嫌われるような人間なんだなあって、大丈夫、僕も気づいてるよ』」
くる…
球磨川「『…あはは、善吉ちゃんも素直だなあ。言えって言ったら直ぐに応えちゃうんだから、もう』」
善吉「…球磨川先輩?」
球磨川「『なんだよ、こっち見るなよ。気持ち悪いと思ってるんだろ』」
善吉「…ま、まあ」
球磨川「『だったら僕に近づくなよ、慰めようとかするなよ、ふざけるなよ』」
球磨川「『………』」
善吉「勝手に悲しがるなら、どうぞご勝手にと…はい」
球磨川「『………』」
善吉「そんな感じです…」
球磨川「『───だよねー!』」くるっ
球磨川「『善吉ちゃん、まさにその通りなんだよ! あは、実に明快その通り!』」
球磨川「『今きみが言った言葉は……正しすぎるほどにこの場の答えなんだから!』」
球磨川「『そう! 善吉ちゃんがしなければならなかったのはただひとつ、それは僕への明確な拒否!』」
球磨川「『何時になったら言ってくれるのなーなんて、僕らしく無く気長に待っちゃったよ、あはは』」
球磨川「『おめでとう、善吉ちゃん。これでこの場の謎は全て解決だ。これにて一件落着』」くるっ…
球磨川「───なわけないだろ、善吉ちゃんのばかっ!」だだだだっ!
球磨川「ばかー!」だだだ…
善吉「……」
善吉「……何だったんだ、一体全体…」
「───いやはや、なんともおぞましくも面白いことに首を突っ込んだねぇ…人吉くん」すた
善吉「この声は……安心院さん!」
安心院「やあ、お久しぶり」
善吉「お久しぶり? いや、さっきの時間に廊下であったじゃないですか」
安心院「おっと、そうだったね。これは失敬、忘れてくれよ人吉くん」
善吉「は、はあ…」
安心院「それよりも、そんなことよりも…なあなあ、なにがあってこうなってるんだい」
安心院「ちょいとこの安心院なじみさんに、ご相談しては如何かな?」
安心院「───ヘェー……あの彼がそんなことを」
善吉「そうなんですよ…いやね?
俺が思うにあの人、どっかで頭を打ったか殴られたかしたと思うんです」
安心院「それはどうかな、彼は当たり前に不死身で頑丈で卑屈な男なんだよ?」
安心院「彼のようなマイナスな人間は死を経験するほどのものでない限り──
おっと、死という概念すら彼には生ぬるかった、これは安心院さんも失念失念…」
善吉「確かに、あの人不死身でしかも死ねないですしね…」
安心院「それはさておき、人吉くん」
善吉「なんですか?」
安心院「僕が思うにね、こういう事情ってものは結構いとも簡単に解決するもんなんだよ」
善吉「本当にですか!? 本当に解決できるんですか安心院さん!?」
安心院「くっく、必死だねぇ…それほどまでに嫌悪してたのかい?
これは流石にあの球磨川くんだったとしても可哀想になってくるよ」
逃げられてしまったら、その…欠片も思わないことは、無いですけど」
善吉「俺は…今までの、球磨川先輩のほうが…断然いいです!」
安心院「…ふむ、確かにキミの言ってることも一理ある」
安心院「あのような球磨川くんは見てて楽しすぎて腹が捻じれ千切れてしまいそうになるけれど」
安心院「僕という存在が一度は認めかけた、そして期待しかけた人間だから」
安心院「彼という人間性をどうにか元に戻したいという気持ちはあるんだよね」
善吉「ほ、本当ですか…!?」
安心院「ああ、安心していいよ人吉くん(安心院さんだけに)」
安心院「───キミの抱えている、後生大事に腹の奥底に抱えているその思い……」
安心院「この安心院なじみが、どうにかしてあげようじゃあないか げらげら」
善吉「………」
善吉「……だ、大丈夫だろうか」
善吉「デビル不安でしょうがねぇよ! ……例えあの安心院さんであっても、相手は球磨川先輩だしなぁ」
~~~
安心院「人吉くん、キミはこれから普通に教室に戻っていいよ」
善吉「だ、大丈夫なんですか?」
安心院「平気平気、その間に僕が彼をどうにかさせておくからさ」
安心院「──キミは平然と気楽に、普段通りの学校生活を送ればいいんだよ」
安心院「──さすればそのとおりに、今の間違った現状もその流れに付き添ってくれるはずだからね あはは」
善吉「は、はあ……わかりました」
~~~
善吉「よくわかんねー言い方だったけど、まあ、あの人が言うことだから大丈夫だよな…うん!」
がらっ
ドドドドドッドドドド!
善吉「…んあ?」
善吉(な、なんだこの教室に溢れかえるっ…この重圧感…!?)
ドドドドドドッド!
善吉(っ……いや、違う! これはコレは、ただの所謂漫画的効果音ではなくて…!?)
ドドッドドドドドドド!
善吉「──この教室にいる奴らの、鼓動の…音だと!?」
「やあやあ、善吉ちゃん。遅かったね、心配しちゃったよ」
善吉「──え」
「どうしたんだい、犬が初めて別の品種を目撃したような顔をして……」
「…くす、もしかして、もしかすると善吉ちゃん───」
球磨川(女)「───この僕に見惚れちゃったとでも、いうのかな?」
善吉「───………」
球磨川「イェイ☆」パチッ
善吉「……あ、アンタ…球磨川先輩…?」
球磨川「それ以外にどんな人物だって思うんだよ、こんな可愛らしい女の子なんて他に居ないだろ?」
善吉「じ、自分で可愛いって……それ、本心で言ってるのか…?」
球磨川「あはは、じゃあ試して実践して賭けてみようか善吉くん──」
球磨川「───この僕の瞳を、十秒間見つめ続けてみてよ」ずいっ
球磨川「んー? どうしたの? ねえねえ、善吉ちゃん?」
球磨川「もっともっと、善吉ちゃんの顔を見せてくれよーねぇーってばー」ぐいぐいっ
善吉(顔が近いっ…!)
球磨川「くすくす、どうしたっていうんだよ。おいおい、人吉善吉ともあろう男が───」
球磨川「──女の子一人に手間取るなんて、らしくなくて可愛くて笑顔になってしまいそうだ」ニコ
善吉「ッ~~~───!?」
球磨川「さあさあ…わかってるんだろ? こんな風に密着しあって」
ぎゅっ
球磨川「…息がかかりそうな距離で喋り合って」
はぁー…ふぅー…
球磨川「僕と善吉ちゃんは、見つめ合ってるんだぜー?」
この現状もそうだがッ…そんなことよりも球磨川の言葉に!)
善吉(テンパッて頭の整理が追いつかねえよ! どうしたの俺!? どうしちゃったの俺!?
落ち着け落ち着け、まずはこの場を把握しねえと───)
善吉(───教室にいる奴らは…なんだ、異様にこっちを見てるような…いや違う!)
善吉(《球磨川先輩だけを見続けてる》のかこれ…!?)
善吉(ど、どうしてんなことっ…いや、わかるけども! そうじゃなくて!)
球磨川「ふぅー…」
善吉(というか息がくすぐったい!)
球磨川「あのさー、善吉ちゃん。周りにいる生徒の様子を確認するだけじゃなくって───」
球磨川「──もっと僕の姿を見てくれよ、ねえねえって」ぎゅうっ
むにゅむにゅ
善吉(柔っ!? 二つの弾力が柔っ!?)
球磨川「………善吉ちゃん」ぎゅっ
善吉「ッ…!?」ドッキーン!
球磨川「……ふふっ」
善吉(わ、分かった! 初見から一発で見抜けたけどやっぱりわかった!)
善吉(何故か先ほど変わって、いつも通りの学ラン姿!
しかしそれとは変わってスラリとした体格は表れておらず!)
善吉(その内側から浮き出る…女性特有のラインを持った美しい脚線美!)
善吉(抱えたら思わず崩れてしまうかのような、均等の取れた腰つき!)
善吉(雪崩れるように背中まで伸びた、黒よりも黒に染まった繊細な髪質!)
善吉(そして! もともと童顔だった顔がさらに丸美を帯びて可愛らしさの質上がった顔立ち!)
善吉(……そして現状を持ってして、形を変え続ける二つの膨らみ)
善吉(この全ての情報によって至らしめている───今の現状は!)
善吉「…どうして、女になってるんだ…?」
球磨川「今更過ぎる質問だよ、善吉ちゃん」
善吉「え、ちょっ…どうして俺の制服に顔を押し付ける!?」
球磨川「ぁう……ん? だってホラ、欠伸をしている顔なんて見られたくないじゃあないか」
球磨川「だから善吉ちゃんの制服に顔を押し付けて、欠伸したんだ」
球磨川「…それとも僕の欠伸顔、見たかったかい? ふふっ」
善吉「み、みたくねえよ!」
球磨川「そっか、それは残念。もしかしたら僕の欠伸が移って善吉ちゃんの欠伸顔を拝めると思ったのに」
球磨川「あはは、見たかったなぁ善吉ちゃんの欠伸顔……今度、僕だけに見せてくれない? だめ?」
善吉「だ、ダメに決まってる! いや、そうじゃない…ノセられてどうするんだ俺…!」
善吉「だぁー! 猫みたいにひっついてくるんじゃねえっ!」バッ!
球磨川「おっとと…」
善吉「はぁっ…はぁっ…もう一度聞く! アンタ本当に球磨川禊なんだなっ!?」
球磨川「何度もそう言ってるじゃあないか、相変わらず把握能力が乏しいなあ…まあ、そんな所も可愛いって僕は思うけど」
善吉「か、可愛いとかいうな!」
球磨川「照れてる照れてる」
善吉「照れてない!」
球磨川「まあ、そういうなって───お、ジャスト十秒だぜ」ぴっ
球磨川「…それでどうだい、善吉ちゃん。今あるきみの懐の気持ちは」
球磨川「──その心臓の高鳴りは、はたして嘘偽りなのかどうなのかってさ」
球磨川「そうだよねぇ、うんうん。言わなくたってわかる、大丈夫、だって男の子だし」
球磨川「女の子の身体にここまで密着されれば、清く正しく美しい男子高校生であれば──ね」
球磨川「……まあだって、その逆を言うなれば」ちら
球磨川「──僕だって実の所物凄くヤバイぐらいに恥ずかしいんだから」
球磨川「つまりコレといった僕に罪はなく、その善吉ちゃんの胸の高なりに対して…」
球磨川「僕は悪くない」
善吉「…そ、それは…!」
球磨川「だってそういうモンだろ? 善吉ちゃん」
球磨川「──今は男と女だ、その感情に罪も嘘も仮も偽も負も腐も辞も血も体も性も──」
球磨川「関係は全くないんだぜ?」
球磨川「?」
善吉「うっ…嘯くじゃねえ! 球磨川! 例え確かに何らかの理由があってお前が女になったとしてもだっ!」
善吉「お前が元が男だってことは、俺の中でキチンとした記憶があるんだぜっ!?」
球磨川「………」
善吉「今のお前の姿は女だ! だがな、俺は決してそんなふうに
テメーの口車に乗せられるほど馬鹿なヤツじゃねーんだよ!」
球磨川「………」
善吉「お前のわけのわかんねー真っ黒な企みがあるのは、重々承知の上でこの発言だ!」
善吉「もういいだろ!? ここまで俺を辱めたんだ! そろそろ本音とやらを言いやがれよ!」
球磨川「…企み?」
善吉「ああ、そうだっ…! お前は絶対に理由なしにこんな事をしないはずだからな!」
球磨川「…おい」
球磨川「…おいおい、おいおいおいおい」
球磨川「あのさ、善吉ちゃん」
善吉「な、なんだよ……」
球磨川「………待ってくれよ、そりゃないぜ、本当にさ」
球磨川「何を口にだすのかと思えば……球磨川禊が企み? っは、はは」
善吉「…な、なにがおかしい!」
球磨川「やれやれ、何言ってるんだこの善吉ちゃんはってさ、本当にばかわいいなぁって思ってるところ」
球磨川「可愛くて可愛くて──どうしようもなりそうなぐらい、愛おしくて」
球磨川「分かって貰えてなかった怒りよりも、知ってほしいという愛情のほうが上回ってしまうじゃあないか」
善吉「っ……な、なんだよ! 何が言いたい…!?」
球磨川「───球磨川禊という女に、企みは無い」
球磨川「もう一度言ってあげようか? しょうがない、じゃあいうよ?」
球磨川「球磨川禊という女に、策略や謀略、その他に渡る暗躍的情景は一切ない」
球磨川「──まあ、ぶっちゃければ善吉ちゃん大好きー!」ぎゅうっ!
球磨川「ってことかな? えへへ」ぎゅうう~…!
善吉「ふぁあっ!?」
球磨川「んーん~! あ、善吉ちゃんってもしかして僕と同じボディソープ使ってる?」くんくん
善吉「か、かぐんじゃねえ!」
球磨川「いいだろ別に、気にするなって。寧ろ気にしてくれるのかい? いいねえ、感謝するよ」
善吉「や、やめろって!」
球磨川「あーもう、暴れたから匂いが飛んじゃうだろ。大人しく僕に抱かれておけって、ね?」
球磨川「…しょうがないなー」
ぞぞぞぞぞんっ!
球磨川「──これでどうだい、善吉くん…あはは、見事に貼り付けだ」
善吉「なっ…!」
球磨川「きみが暴れるから致し方ないしと、僕も不承不承ながらも心鬼にしてやったことだから」
球磨川「僕は悪くないよ?」ニコ
善吉「わ、悪いわ! は、はなせっ…床に貼り付けやがって──って、おいっ…どうして俺にもたれ掛かる!
やめろ! 俺の上に乗りかかるな! 女豹のポーズをとるんじゃねえ!」
球磨川「善吉ちゃん…大丈夫だって、大人しくして、全部のことを僕に任せればいいから」ごそごそ
善吉「な、なにをだよ!? なにをするきだよ球磨川───!!!」
「───時を操るスキル『時感作用』タイムバニー」
善吉「………え?」
「──いやはや、これには安心院さんもびっくりだぜ……」
善吉「あ、安心院さん!」
安心院「天井から失礼するよ、人吉くん……よっと」とん…
善吉「あ……安心院さん……っ!」ぱぁああ!
安心院「よしよし、怖かったねぇ人吉くん。きみの気持ちもよーくわかる」
安心院「しかし人吉くんの貞操の危機はさほど現状では問題にならないんだな、これが」
善吉「えっ…?」
安心院「うん、まあ、今この教室の時を少し止めてるんだけど───」
球磨川「」ぎぎぎぎぎ
安心院「──やっぱりきみは動くと思ったよ。流石は僕が見込みかけた男だ」
安心院「さて、完全に時を嘘っぱちにされる前に…人吉くん、ほら、逃げるよ」
善吉(螺子が触れること無く抜けていく……)
安心院「そしてきみにはやってもらいたい
ことがあるのだから、ここで間違いを起こしてもらっちゃー困るんだよ」
善吉「…やってもらうこと?」
安心院「そうとも、だがここでは出来ない相談だから、まずは逃走を図る」ぐいっ
善吉「うぉっ?!」
安心院「さてさて、どうにもこうにも儘ならないことばかりだぜ……」
ぎゅんっ!
~~~~~~
安心院「走りながらだけど、つまりどういうことかを説明するよ、人吉くん」
善吉「あががががががが」
安心院「あの球磨川禊は───正真正銘、本物の球磨川禊だ」
安心院「彼は実の所……まあ、ぶっちゃければ僕が色々とスキルで弄ってあげたんだよね あはは」
安心院「どうして、と思うかい? そうだろうねぇ、きみは彼を元の彼に戻して欲しいと願ったはずなのに」
安心院「いやはや、だからと言って不安に成らなくてもいいんだよ。
ちゃんときちんと安心院さん的にウィークポイントを残しておいたさ、やるなあ僕」
安心院「とどのつまり、彼はきみへの欲求に飢えている──それは決して認められるようなものではなく、
そして一般的に現状の関係性ではその欲求を日々耐えて行かなければならない」
安心院「それは球磨川禊という人間には───まさに拷問の日々。常日頃から心はささくれ、
筋の通った、通りすぎて筋が弓なり曲がっていた彼の自己意識は崩壊を迎え──」
安心院「──キミの前へ、女装をして現れることとなった」
安心院「可哀想にねぇ、なんていじらしいんだろう。彼は決してきみから良い返事とやらを貰うつもりはなかったらしいよ」
安心院「ただただ、きみへ自分の想いをぶつけたかっただけなんだろうと、僕は予想しているよ」
安心院「しかしそれでも、現状は打破されない。彼の想いは常に降り積もってゆくばかりだし、
その想いに踏ん切りをつけるほどに彼の強さは強くなく、そして弱者らしく諦めもしない」
安心院「ところがどっこい、僕みたいなチート女子がいたもんで」
安心院「その彼の──執拗的な根性に──横槍を入れるがごとく」
安心院「僕という存在で、彼の悩みを解決させてあげようと思ったんだ」
安心院「結論からいっちゃうけど、人吉くん」
安心院「──球磨川禊(女)を、キミの力で満足させるんだ」
安心院「そうすれば、さすればもしくは、いや完璧に、じゃなくても十全に」
安心院「彼の繋がらない想いは霧散霧消する予定にしておいたんだぜ?」
安心院「まあ、言っちゃえばそれだけの話し。無論、頑張ってくれると思ってるぜ人吉くん」
安心院「頑張れよ、それなりに応援してやっておくからさ」ぱっ
安心院「んじゃこれで。…あ、それと今回のこと解決させれば人吉くんの記憶も消してあげなくもないよ、ばいばい」
善吉「う、ううん……」
善吉「……あれ、ここは…?」
「──おや、目覚めたのかな善吉くん」
善吉「ああ、おう……なんだか悪い夢をみてたような…」
「………」
善吉「だけど、それでもちょっと柔らかくて…嬉し──って、なんだぁ!?」がばぁ!
球磨川「わあ」ぱっ
善吉「…!? …!?!?」
球磨川「やるじゃあないか、善吉ちゃん。把握能力が向上したみたいだね」
善吉「なっ…なななな! なんで俺!? 球磨川先輩とベットで添い寝してんの!?」
球磨川「……ちょっとちょっと、そんなにも毛布をめくらないでくれよ」
球磨川「……僕が今、裸なのがバレちゃうだろ」
球磨川「……」ちら
善吉「み、みせんじゃねぇええ!!!」ばばっ!
球磨川「あれ? みないの?」
善吉「みっ…みっねーよ!! 誰がお前みたいな貧相な身体をっ…!」
球磨川「………」
球磨川「『……そりゃーまぁ、僕の身体はめだかちゃんに比べてメリハリ少なくて突出部分も少ないよ…』」もぞっ…
善吉「っ……ああ、そうだな! お前みたいなお子ちゃまな身体なんて! これっぽっちもみたかぁーないね!」ちら
球磨川「『………』」くるくる…もぞもぞ…
善吉「……その、なにやってるんだ?」
球磨川「『みのむしのまね』」
善吉「…拗ねてるの?」
球磨川「『な、なわけないだろっ……ふざけるなよ、善吉ちゃん。僕だって怒ることもあるんだからね、言って良いことと悪いことを考えろよ』」
つぅーかみのむしって、それ毛布が体全体に巻き付いてるだけで、体のラインが浮き彫りになって逆にエロ──)
善吉「──げほっこほっ、んんッ!」
球磨川「?」
善吉「あー……えっと、球磨川先輩?」
球磨川「『…禊』」
善吉「はい?」
球磨川「『禊って呼んでほしいなー……僕』」
善吉「い、いい…嫌だ!」
球磨川「『じゃあこの格好のままに、全力で全身全霊をかけて叫んでやる』」
善吉「それだけはやめてくださいお願いします」
球磨川「『じゃあ呼んでよ、禊ってさ』」
もぞっ…
球磨川「…だめ?」ちら
球磨川「……」じっ
善吉「っ……あ……ぐっ……」
善吉「……その、えっとっ………」
善吉「…………み、禊…」ぼそっ
球磨川「っ~~~~~~!!」ぱぁああ!
球磨川「も、もう一回言って!」
善吉「禊……」ぽりぽり…
球磨川「~~~!! も、もう一回……」
善吉「だ、だめだだめ! もう言わないぜ! デビル言わない! そう決めた!」ぷいっ
球磨川「『えー……なんだよそれ、善吉ちゃんが恥ずかしがる顔が見れないだろー』」
善吉「っ…! そっちかテメーの狙いは!」
球磨川「『あははー! 善吉ちゃん顔真っ赤だぜ?』」
球磨川「えっ? あ、いやっ…そ、そ『そんなことないだろ、何を言ってるんだよ善吉ちゃんは』」もぞっ!
善吉「いーや! お前のほうが顔が赤かったぜ! この目は嘘を付けねえからな!」
球磨川「………」
善吉「ほらほら~? どうした、んん? 毛布に顔隠してないで、しっかりこっちに見せやがれって」
球磨川「『ば、馬鹿だろ善吉ちゃんは。こんなこと女の子にするなんて、本当に最低だぜ』」
善吉「別にいーじゃねえか、あはは…なんか知らねえけど俺も段々と慣れてきたようだ」
球磨川「『………』」
善吉「そうだ、そうなんだ。別に女の姿だからって、球磨川禊って人間に変わりはないんだ」
善吉「…俺のほうが常に強気であれば、どうにか切り抜けられる問題ってことだろ! カッ! ひよってかっこ悪いぜ俺!」
球磨川「『……なあ、善吉ちゃん』」
善吉「なんすか球磨川せんぱーい?」
善吉「あー? きこえないっすよ、もっと大きな声で言ってもらわないとさ~」
球磨川「…ねえ、ちょっとこっちきてよ善吉ちゃん」
善吉「あ?」
球磨川「上手く聞こえないんでしょ? じゃあもうちょっと此方においでよ」
善吉「いいっすけど~、まあかったるいんで、長いこと喋るのやめてくださいねほんっと」すた…
球磨川「……」
善吉「んで、なんすか? 早いとこパパっと喋っちまって───」
球磨川「えーいっ」がばぁっ!
善吉「──んぁああっ!?」
ばさあ……
善吉「え、急に毛布の中に引きずり込まれ………て……」
球磨川「……」
善吉「……は……」
球磨川「…そんなに見るなよ、恥ずかしいだろ、もう」
球磨川「おっと、欲視力で僕の視界にしたって無駄だぜ?」すっ
善吉「ぶはぁっ!?」
球磨川「──ようは僕が自分の体を見ればいいって話だろ?
どうだい小ぶりだけど、中々綺麗なおわん型をしてると思わないかな?」
善吉「くっ……」キュウン…
球磨川「ん、それでいいんだよ善吉ちゃん」
善吉「……アンタ、一体俺に何をしたいんだよ」
球磨川「え? 特に何も?」
善吉「……」
球磨川「しぃーて言うなら…そうだね、まさに今。って感じかな」
球磨川「──球磨川禊は、今の現状を今まで散々に砕け散るまでに」
球磨川「待ち望んで、欲して欲していたんだろうね、あはは善吉ちゃん!」
球磨川「禊」
善吉「……禊」
球磨川「えへへ、なにかな?」
善吉「その…その、アンタはどうして……そこまで…」
球磨川「………」
善吉「お、俺のことを……俺のことが───」
がらり!
球磨川「!」
善吉「!?」
「───失礼する、ここに生徒会役員の人吉善吉書記がいると聞き…」
めだか「…来たのだが、ふむ」
球磨川「…しぃ、静かに」
善吉「!? !?」
球磨川「…今、僕達がかぶっている毛布の存在感を嘘にしたから。
いくらめだかちゃんでも中にはいってる僕達には気づかないはずだよ」
善吉(そ、そうじゃねえよ! 抱きついて! アンタ抱きついてるから俺に! ふ、膨らみがががが!)
球磨川「あ、ちょ……だめだって、ば…善吉ちゃんっ」
めだか「?」
めだか「…今声が聞こえた気が」すた…
球磨川「………そんなに欲しいの? 別にいまじゃなくっても、あ! そういうスリリングが欲しい感じ?」
善吉(ちっげえええええええよ!!)
めだか「…この辺か」
シャアアア…
めだか「──失礼する、突然開け放って済まないが…」
めだか「む?」
めだか「……誰もいないな、おかしい。確かに声が聞こえたはず」
善吉「っ……っ……」
めだか「? ?」
球磨川(『まさかめだかちゃんも、天井に張り付いてるとは思わないだろうね。
いやはや、螺子で毛布ごと天井を突き刺す音を嘘にすればの簡単なことだったけれど…』)
球磨川(……いや、マジで怖かった)
善吉「っ…」ちょんちょん!
球磨川(ん、どうしたの善吉ちゃんそんなに暴れてさ……あれ? 螺子、外れそうになってない?)
善吉「っ……っ…」こくこくっ
球磨川(わお)
善吉「っ……わお、じゃねーよ! ばか!」
球磨川&善吉「あ」
びりっ! びぃいいいいいいいいいいい!!
どっしゃああああああああん!!
善吉「けほっ…! こほっ…! あ、いやいやいや!
違うんだめだかちゃん! これはそういったことじゃなくて!」
「──男らしい間抜けな弁解をしてないで、さっさと逃げてくれないかな人吉くん」
善吉「へ…?」
安心院「本当に世話の掛かる主人公だ、それでもハーレムを作ろうとした身なのかい」
善吉「安心院……さん?」
安心院「そうだよ、安心院さんだ。だけど、悠長に自己紹介を四回目する暇はないんだぜ」
がががががががが!!
安心院「──今僕の『僕』たちがめだかちゃんを止めてるから、はやくここから出るんだ」
善吉「と、止めてるって…?」
安心院「いいから早く、彼女は既に事の半分を闘いながら把握しつつあるよ」
善吉「!?」
安心院「もって後……二秒かな、僕もご参加願えるなら───十二時間持たせてあげよう」
安心院「だけど、言うなれば……あ、ちょっと待って。ん、そうだね…じゃあ次は腕を飛ばそうかな」
善吉「アンタ今不吉なこと言わなかったか!?」
安心院「違う違う、今のは僕の分身に向かっていった言葉で。特にそういった意味合いは……あちゃー、バレたか」
善吉「ば、バレた…?」
安心院「うん、バレたぜ人吉くん。こうなれば箱庭学園じゃ行えないなあ、うん、じゃあ次のステップに行こうか」
安心院「そこで頭を打って伸びてる球磨川くんに服を着させて、外に連れ出すんだ」
安心院「デートコースはこちらで用意しておく、気兼ねなく楽しみ給え」
安心院「ではこれで、ああ──ちょっとまってくれめだかちゃん、こっちをそんなにも睨まないでくれると嬉しい」
安心院「平気さ、今の現状はさらに楽しいことになりつつある──あはは げらげら …な?」
ががががががががががg!!
善吉「っ……一体なんだっていうんだよっ! くそっ!」だっ
善吉「──行くぞ禊! とりあえず服の調達だ!」だだだっ
善吉「……」
球磨川「僕、こういうところ来るの実は初めてなんだよ」
善吉「…そうか」
球磨川「善吉くんは以前、来たことある感じ?」
善吉「うん、まあ…それなりに」
球磨川「そっかー、それじゃあそれなりに甘えさせてもらってもいいかな?」ぎゅっ…
善吉「…おう、エスコート任せろ」
球磨川「うんっ!」
~~~~
赤「はいこれ?」
善吉「え、これって…女の子の服?」
赤「そう、これきてさっさと箱庭学園からでてってくれたら」
球磨川「おー」
赤「…本当に女の子になってるのね?」
赤「……」
球磨川「『?』」
善吉「い、いいから服を着てくれ…! 毛布だけじゃ、さっきから眼のやり場に困る!」
球磨川「はーい」
赤「…あとこれペアチケット」
善吉「…ペアチケット?」
赤「そう、あとは任せたわよ。本当に箱庭学園無くならないうちに」
善吉「わ、わかった」
~~~~~~
善吉「…はぁーあ、なんだかとんでもねぇことになってきたんじゃねえかこれ…」
球磨川「あはは、おーい! 善吉ちゃーん!」ぶんぶん!
善吉「……」ふりふり
善吉(球磨川の奴はメリーゴーランドでお楽しみ中だし……なんか、俺、すごいことやってるんじゃねえのか)
球磨川「──あー、意外にも年甲斐なく楽しんでしまったぜ。ふぃー」
善吉(全力で楽しそうだ…)
球磨川「善吉ちゃんは乗らなくてよかったのかい?」
善吉「え? いや、俺はいいんで…」
善吉(全然楽しむ余裕がねえよ……)
球磨川「………」じっ
善吉「えっと、なんすか? 俺の顔見つめて…」
球磨川「……むー」ぷくぅー
善吉「っ」
球磨川「…善吉ちゃん、ぜんぜん楽しそうじゃないじゃないか」
善吉「…それは、まあ」
球磨川「どうして?」
球磨川「そうなのかい?」
善吉「ええ、だからというのも言い訳っぽく聞こえますけど。
あんまり女子と二人で楽しむ遊園地ってのも、その……苦手つーか」
球磨川「それはそれは寂しい人生を送ってきたんだね、善吉ちゃん」
善吉「………」
球磨川「『でも、僕は違うんだろ?』」ぐいっ
善吉「えっ…?」
球磨川「『正直な善吉くんのことだから、まだまだ僕のことを掛け値なしに女の子と見てないきみなら』」
球磨川「『──この僕のことを、うまい具合にエスコートできるんじゃあないかな』」
善吉「べ、別に俺はそんな事思って…! だから、球磨川せんぱ……あっ」
球磨川「……くす」
球磨川「ほらほら、行こうぜ善吉ちゃん。楽しい時間は待っててくれないんだぜ?」
球磨川「そら、早く」くいくい
善吉「あ、うん……」
すたすた…
ジェットコースター
球磨川「うひゃー! 高いよ凄いよ善吉ちゃん!」
善吉「お、落ちる落ちるっ…もう落ち───」
球磨川&善吉「──うわぁあああああああああああああああああああ!!」
コーヒーカップ
球磨川「あはははははは!」ぐるぐるぐる
善吉「おぇっ……おぇええええええ!!」
射的
球磨川「螺子で捻り飛ばしたほうが良くない?」
善吉「だ、駄目だ! 俺が取りますからおとなしくしててください!」
善吉「っはぁー…っはぁー…デビル疲労感ッ…!」くたー
球磨川「くすくす」ニコニコ
善吉「はぁ…その人形、そんなにも取れて嬉しいですか」
球磨川「うん!」
善吉「…そうっすか、それなら取った方もまんざらでもないですね」
球磨川「『いやはや、すげーぜ善吉ちゃん。射的のセンスが合ったなんて、見なおしたぜ、チューしていい?』」
善吉「…やめてください、冗談は」
球磨川「お? 流石に気づき始めたようだね」
善吉「ええ、まあ……アンタの口調とトーンで括弧つけてるパターンがあるって」
球磨川「やるねぇ、流石は僕が惚れた男だ」
善吉「…素直に受け止めておきます」
善吉「……今日は、楽しかったですか」
球磨川「うん? 当たり前に決まってるだろ、馬鹿言うなよ善吉ちゃん」
球磨川「きみと過ごせる時間は全て、喜怒哀楽が全てさ」
球磨川「本当に飽きさせない人間だよ、善吉ちゃんってさ~」
善吉「…そりゃ、良かったです」
球磨川「どうして? あはは、別に善吉ちゃんが気にすることじゃないだろ?」
善吉「……そうかもしれない、けれど」
球磨川「?」
善吉「俺は、アンタの……その、貴方の……」
善吉「っ……貴女の想いを、ちゃんとわかってるのかなって…思って」
球磨川「………」
善吉「俺は……そういうの、わからないんですけど…やっぱり」
善吉「苦しかったんですか? 自分だけの想いにして、ひた隠しにしてた現実は…」
善吉「貴女にとって、重くて苦々しいものだったんですか…?」
球磨川「………」
善吉「……言いたくなければ、答えたくなければ別に、いいです」
善吉「というか答えたくないでしょうけどね、俺に対する悩みですし──」
球磨川「『それは…』」
善吉「………」
球磨川「『…ううん、そうじゃあないな』」
球磨川「──それは、そうだよ。苦しかったさ」
球磨川「どうして僕はこうなんだろうと、今ある現実は一つなのに。
なのにどうして僕はここまで──苦しんでいるんだろうと」
球磨川「体が不死身であっても、性格が捻れていても、質がマイナスだったとしても」
球磨川「努力が嫌いだったとしても、天才や秀才を嫌悪していたとしても」
球磨川「人として大事なものが大きく欠けていた人間でさえも───」
球磨川「───人を心から、好きでたまらないと感じてしまうんだと」
球磨川「僕は、それに気づいてしまったんだぜ、善吉ちゃん」
善吉「……そうなんですか」
球磨川「そう、だからきみがそこまで重く受け止める必要はない」
善吉「……」
球磨川「差し出された役割を最後まで演じ続ければいいだけ──それでオシマイ、全て解決だ」
球磨川「それが善吉ちゃん、『正しい選択』なんだよ?」
球磨川「ふぅー、本当にきみは人のためにならなんだってしそうだから恐いよね」
善吉「…俺は別にそこまでの人間じゃ」
球磨川「人のために死を選ぶほどなのにかい?」
善吉「……」
球磨川「あれは痛かったよね、ハブハブ、マジで死んじゃうかと思った」
善吉「ええ…アレは痛かった」
球磨川「だけどね、善吉ちゃんの前蹴りのほうがすごかったよ? 肋骨バッキバキだったし」
善吉「…よく言うよ、アンタの螺子だって肺を突き破ってたぞ」
球磨川「あはは、でもちゃんと無かったことにしたじゃあないか」
善吉「あの時の痛みとトラウマは忘れようがないんだが…」
球磨川「そうなのかい? あ、だったらそうだね、あの時の───」
善吉「ええ、いや! あれはアンタが────」
球磨川「けっこうお喋りしちゃったね、どうする?」
善吉「そうだなぁ…とりあえず最後になにか乗るか?」
球磨川「うん、乗りたいね」
善吉「だけど大半の乗り物はもう……あ、あれがあったぜそういえば!」びしっ
球磨川「おー」
善吉「───観覧車、最後に乗って行こうぜっ?」
観覧車
球磨川「『い、意外と高いなぁ。どうしてくれよう、いや、僕としては別に高い所は平気なんだけどさ』」
善吉「声がぶるっぶるだぞさっきから…」
球磨川「『そ、そんなわけないだろ! ばか! ばか善吉!』」
善吉「はいはい…」
球磨川「『あれは……その、まさに燃える闘士で周りが見えてなかったというかね』」
善吉「本当の所はどうなんだ?」
球磨川「………」
善吉「顔見れば一発とか凄いな」
球磨川「…イジワルなことはしないでくれると嬉しいな、僕は」
善吉「すみませんでしたー」
球磨川「よろしい、あはは」
善吉「…カッ」
球磨川「……なんだかあれだね、こういった話とか、普段の僕らなら地球が滅んでもしなかっただろうね」
善吉「まさにその通りとしかいいようがないぜ」
球磨川「死んだって認め合おうともしなかったくせに、なんていうか、神様は残酷だって思った」
球磨川「───善吉ちゃんと観覧車にも乗れないなんて、残酷だよ」
善吉「……別に乗ればいーじゃねえか」
球磨川「え?」
善吉「色々と終わって、すっきり片付けて、それからまた一緒に乗ればいいだろ」
球磨川「…でも、それは」
善吉「何か悪いってのかよ。別に悪い要素一つもないだろうが」
球磨川「………」
善吉「思うんだがよ、つかマジで本音ぶっちゃけると、今回のことで重く受け止めてるのは……その…」
善吉「…禊のほうじゃねーかっ」
球磨川「っ……」
善吉「俺よりも禊、だろ……色々と深く悩んじまってるのは」
球磨川「この思いが! どれだけの人を不幸にするか考えてもみればいいッ!」
善吉「…だからって、禊の想いを無くしてもいいのかよ」
球磨川「詭弁だね、そんな事を言えば誰もが不幸になるだろ」
善吉「……あーそれだ、不幸不幸、それだよ禊」
球磨川「………」
善吉「そこが俺が一番気になってたことだな。禊みたいな奴が、どうして人の不幸を心配するんだ」
善吉「──お前みたいな人間が、立派に生きようとするから間違いなんだ」
善吉「なにらしくないことやっちゃってんの? カッ、わらえねーぞ」
善吉「球磨川禊って奴は、俺が知っているそんなマイナスな奴はよ!」
善吉「人にどうこう言われたことを、他人にとやかく言われたことを」
善吉「──いちいち気にして生きてきた奴だったか? 違うだろ?」
善吉「事実、その通りだったろうが。例えそれが禊の括弧つけだったとしてもだ」
善吉「禊自体の根本的なマイナスは──絶対に変わらねえ、それは今までの経験で事実として語れるよな」
善吉「それなのに、お前はその根本を…馬鹿みたいに他人のために変えようとしちまってる!」
善吉「…それなら苦しいはずだぜ、変われないことを消せないことを無理やり消そうと努力してたわけだろ?」
善吉「その努力を……俺のためにしてたわけなんだろ、禊」
球磨川「それはっ……それは……」
善吉「んだよ、言ってみろ正直に」
球磨川「『…それは違うよ善吉ちゃん、きみがこの小さな観覧車で言い放ったことは』」
球磨川「『大半が間違いで、ミスだらけの回答だよ』」
球磨川「『馬鹿言っちゃいけないよ、僕がどうして努力なんてしなきゃいけないんだい?
ふざけるなよ、いやふざけてないからこそ僕は苛ついているのかもしれないね』」
僕は色々と昔の自分とは変わった事は自覚してるつもりだし、だから素敵なアドバイスをひとつきみに送るよ』」
球磨川「『──マイナスな人間を理解しようとするのは、時間と青春の無駄だよ?』」
球磨川「『事実、きみも経験してるじゃあないか。僕達マイナス十三組が関わったことによって。
まったくもって高校生活の貴重な時間が無駄に浪費されてしまったことを』」
球磨川「『僕らという存在がなかったのなら、決してあの夏休みはもっと良い青春を遅れたはずだったのに』」
球磨川「『僕らマイナスと関わったばかりに、かかわり合いを持ってしまったばかりに』」
球磨川「『きみらの大切な時間を根こそぎ奪ってしまったじゃあないか』」
球磨川「『忘れてはいけないよ、これは本当にあったことなんだ。
だから善吉ちゃん、きみはきみの楽しい時間を過ごしていけばいいんだよ』」
球磨川「『なにも人生をマイナスにする必要な無いんだ、だからこそ、これからはプラスに生きて向上心を上げ続ければいいんだ』」
球磨川「『そうなれば、もはや時の流れによって加速されたプラスは留まることを知らず───』」
球磨川「『──善吉ちゃんを悪くない方向へ持っていくはずだから』」
球磨川「『だとすれば、ほら、僕もこのセリフを言えるだろう?』」
球磨川「『僕は悪くない』」
球磨川「『理解してくれとは言わないよ、優しい善吉ちゃんのことだ、理解も何もちゃーんと把握してると思ってる』」
球磨川「『だからさ、そうやって僕に優しくするのはもう……やめろよ』」
球磨川「『迷惑だからさ、こっちも』」
善吉「……───」
善吉「──そっか!」
善吉「なるほどな、うん、わかった。確かにお前の言いたいこと、よーくわかったぜ」
善吉「じゃあ最後に、観覧車も今が頂上間近だし」
善吉「お前に向かって言う言葉も、これがラストにしてやろうじゃねーか」
球磨川「『うん、なにかな?』」
善吉「おう! なあ禊、ひとつ言いたいんだが───」
善吉「───ちょっと括弧つけずに、『』付けづに言ってみろ」
善吉「──聞いててやるぜ、ちゃんと最後までな」
「 『……』 」
「 『』 」
「────好き」
球磨川「──好き!! 善吉ちゃんのこと大好きで大好き!!」
脳みそがからっぽになってしまうんじゃないかって! 善吉ちゃんのことだけが頭の中いっぱいで!」
球磨川「なにもかも自分のステータスを捨て去ってもいいぐらいに!!」
球磨川「この好きって想いを大切にするためになら、努力だって天才にだって頼って!!」
球磨川「惨めで弱ったらしく、汚れた心のままただひたすらに君のことを思えるように!!」
球磨川「ずっと好きでいたいんだよ! 例えそれが悪かったとしても!!」
球磨川「多大な人を不幸にしたって!! そうだったとしても僕は……!」
球磨川「僕はっ…きみを、善吉くんをっ……好きで、好きでありたかったんだよぉっ…!」
球磨川「ぐしっ…それの何が悪いんだよ! 僕が人を好きになっちゃだめだっていうのか!?」
球磨川「僕だって人間だ! 人だよ! 恋する男子だ!!」
球磨川「それなのにっ…僕は、それがっ…!」
球磨川「ダメだって……知ってるから…!」
球磨川「僕は……悪いやつだってことを、しってしまったからっ…!」
球磨川「……もう、後戻りは…できないんだよっ……」
善吉「──おっと、それまでだぜ」ぎゅっ
球磨川「ふぇっ…?」
善吉「そこまでだって言ってるんだ、禊」
善吉「…そこからは、その言おうとしていた言葉は───」
善吉「──お前にとって、マイナスにしかならないからな」
球磨川「どういう、こと…?」
善吉「言ったよな俺は最後まで聞いてやるって。
そしてそれにお前は答えてくれた、堂々と、自分の中で燻らせていたその…」
善吉「…俺への想いを、そのプラスを、きちんと話してくれた」
球磨川「ぷらす…?」
善吉「ああ、そうだぜ。だけど、そんな自分のプラスを…否定しようとしたろ、お前」
善吉「だったらそれは、ただのマイナスだ。んなもん、言わせるかよ俺が」
善吉「違う、プラスだ」
球磨川「わからずやっ……違うって言ってるだろ!?
僕がかっこつけずに言ったことは、醜くてどうしようもなくて、最低で…!」
善吉「それのどこがマイナスだ、馬鹿言うんじゃねーよ」
善吉「それはプラスなんだよ禊、何度だって、いくらだってお前に言ってやる」
善吉「それはマイナスじゃねえ! プラスだ!」
球磨川「っ…じゃあどうしてそんな事を言えるんだ! プラスだと! どうしてそれがいいことだって言えるんだよ!」
善吉「そんなの俺が喜んじまってるからに決まってるだろッ!!」
球磨川「……え」
善吉「い、言わせるなよっ…こんなこと! そうとしか言えねーだろうが!」
善吉「お前が言ってくれた言葉全部! 俺のとっちゃー……なんだその、あれだよあれ! 嬉しかったよばーか!!」
括弧付けずに言ってみろよ
善吉「はぁっ…はぁっ…んだよ、なんか言えよっ」
球磨川「う……うれしかったの?」
善吉「そ、そーだよ何が悪い!? 嬉しかったよ、色々とデビル複雑だぜ全く!」
球磨川「う、うん……だ、だけど」
善吉「……わーってるよ、それってつまり、さっきの告白は───」
善吉「───女の体だからの告白ではい、と言いたいんだろーが」
球磨川「…………」
善吉「今更だろ。もう最後まで正直に話せって」
球磨川「っ………」
球磨川「……うん、その通り…だよ」
球磨川「だけどっ……それなのに、善吉ちゃんはっ……僕の言った言葉を…?」
善吉「ああ、プラスだと言ってやるよ」
善吉「そしてコレも言ってやる、俺が言うのも何だけどな」
善吉「お前は悪くない」
善吉「まったくもって、何一つお前は悪くない」
善吉「それを俺が、お前に言ってやるよ禊」
球磨川「っ……っは…ぜん、きちっ……ちゃん……」
善吉「…おいおい泣くなよ、もっと辛くなっちまうぞ」
球磨川「だ、だめ…泣いちゃうよ…僕、本当にこれ…感じたことのないぐらいに胸がいっぱいで…っ」
善吉「大袈裟だって、もうちっと落ち着け」なで…
球磨川「ふぁ…」
善吉「な?」
球磨川「…うん」
善吉「…色々と、考えなきゃいけないことあると思うけどよ」なでなで…
球磨川「……」
善吉「大丈夫、へーきへーき! 俺が最後までちゃんと一緒にいてやるよ!」
善吉「…バレたか」
球磨川「バレバレだぜっ……でも、嬉しいよ…うんっ!」がた…
ぎゅうう…
善吉「おっとと、急に抱きつくなよ…!」
球磨川「『いやいや、ここは抱きつく場面だぜ…っ?』」
善吉「…ボロボロと泣きながらカッコつけられても、正直なぁ」
球磨川「あははっ…そりゃあ止まらない…よ、あれだけの……大切な言葉を…」
球磨川「僕に向かって、言ってくれたんだからね……?」ぎゅう…
善吉「…そっか、がんばる」
球磨川「うん…頑張ってくれ、僕も……また頑張るからさ」
善吉「おう、楽しみだぜ…禊の頑張りとやらを───」
球磨川「んっ」
ちゅっ
善吉「っ~~~~!!? ッ!? ッ!?」
球磨川「んーーーーーーーーーーー」
善吉「っ! っ! っ!」
球磨川「んっんっんっ!」
善吉「っ───」
球磨川「『…ぷはぁ、よし頑張った!』」ぐっ
善吉「」
球磨川「『しかしキスっていうものは正直な所、非常にやりにくいなあ。
何度も前歯が当たるし、口内の状況を確かめようにも食いしばってちゃ無理だし』」
善吉「」
球磨川「『まあそうだったとしても──』──やっぱり、嬉しいなあ!」
球磨川「あはは、どうしよう嬉しくて楽しくって本当に幸せなのに───」
「───そういう終わり方なんだぜ、球磨川禊くん」
球磨川「うんっ! わかってるよ、十分さこれで!」
善吉「ハッ!?」
善吉「こ、ここは……教室?」
「そういうことになるね、そして五度登場───」
安心院「安心院さんだぜ、よっと」すとん
善吉「安心院さん!」
安心院「いぇーい! もう物語も終りに近いし、目立ちに入っていくよ」
善吉「そ、そうなんですか…?」
安心院「まあね、キミには関係ないことだからね。つまるところ忘れてくれていい」
善吉「は、はあ…」
安心院「はてさて、どうやら無事に終わったようで心休まるばかりだよ。
途中で何度も遭遇しそうになっためだかちゃんを遠ざけるのに骨を折ったよ、物理的に」
安心院「すぐに治ったから別に平気だけどさ! いぇーい☆」ぴーす
善吉(あれ? なんだ、さっきから何か…忘れてるような…?)
安心院「ああ人吉くん、それは大丈夫だよ、今キミが思い出そうとしていることは…」
安心院「…いずれきちんと脳内から抹消されるはずだから
──記憶のスキル『記憶操失』メモリーソート──実に万能なスキルだからね」
善吉「………」
安心院「しかし、それでもキミの中にある──実は不確定用のものがさ」
安心院「彼の事実を憶えている可能性があるんだよね、これまた不思議なもんで」
安心院「人は一般的にこう呼ぶんだろうね……それは『心』というもの」
安心院「例え記憶から完全に抹消したとされても、それを思い返させる媒体が脳に残ってないとしても」
安心院「やっぱりそれは、スキルでさえも消し得ない絶対的な『想いの強さ』というものが存在し得るんだ」
安心院「だけど僕は抜かりなくこの計画を立てたつもりだ」
安心院「心? 想いの強さ? くっく 笑わせるなよ、笑ったけど」
善吉「………」
安心院「見事だったと思うよ、人吉くん。キミが成し遂げた一人の人間の変化…」
安心院「…単純な言葉だけでは決してなりえなかっただろうね、
その強さと根性と、そして類まれぬ勇気が彼というマイナスをほんの少しだけプラスにしたんだ」
安心院「人吉くん、きみは誇っていい。死を持ってしても変われないと謳われた彼を───」
安心院「───たったひとつのキスで、変えたんだよ結局は」
安心院「惜しみない拍手を送るよ…」
安心院「…あ、僕の腕折れてたんだった。じゃあ口で言おう、ぱちぱちぱち」
安心院「そして治すと、うんおっけいおっけい」
安心院「更にそしてついでとばかしにぃ? その心に残るやも知れない想いも──」
安心院「──粉々に消し飛ばしておこうかな」
安心院「一目惚れさせるスキル『私だけの凹滋様』カルチャーショックネーム」
安心院「つまり球磨川がキミに好意を寄せてたのはこのせいだよ げらげら」
安心院「──はは、これまた色々と考えさせられるスキルだと思わないかい?」
安心院「例えばマイナスがプラスに惹かれるとすれば」
安心院「…このスキルを使えばマイナスは他の誰かに惹かれる場合もあるんじゃあないかって話だよ」
安心院「そして成功、僕ってやっぱり天才だね」
安心院「はてさて、どうだい、この覆しようもない事実というものは」
安心院「───きみの中にある、その強さと根性と類まれぬ勇気を……」
安心院「…見事に断ち切る、無残な言葉だと思わないかい?」
安心院「ふむ、どうやら効果は抜群のようだね。思ってもないほどお絶大な浸透力だぜ」
安心院「時期にこの世界も閉じて、この物語も終焉となるだろう」
安心院「事実、この世の全ては変わること無く。
ことさらに激化していく物語に支障をきたすことはないのだから」
安心院「一夜だけの華麗に輝く物語───楽しんでいただけたかな?」
安心院「それでは『僕』たち、また来週にでもお会いしようじゃあないか」
ぷちんっ!
「『───そう簡単に、終わらせるかよ…』」
「『───なにが一夜限りの物語だっ…んなこと、勝手に言わせてたまるかよ…!』」
安心院「………」
「『なあ安心院さん! 俺はアンタにひとつだけいいたいことがある!』」
「『そんなうそっぱちのスキル! 誰が信用するかよ!!!』」
「『大した捻りもねぇ、馬鹿みたいに頭固い野郎が一時間頑張って考えたような名前が!』」
「『本物の訳がねえだろ! わかってんよそんぐらい! カッ!』」
安心院「…おやおや、マイナスだねえ。この僕の言葉を信用しないとは」
安心院「だがそれを蔑にし、茶番とも断言できるこの醜い助演を行おうとでも言うのかい?」
「『──そうだねぇ、安心院さん』」
「『確かに貴女の言う通り、僕らが無駄に伸ばすこの時間はただの無粋にしかならないよ』」
「『だけどね、安心院さん』」
「『だからどうしたっていうのかな?』」
安心院「……」
「『無粋に続き、邪険に扱われ、無音に終わる』」
「『これこそが僕たちが紡ぐ〝マイナスな物語〟───つまり…』」
「『…過負荷な物語なんだぜ?』」
「『だけど、それは確かにそこにあるんだ』」
「『例え誰一人として俺たちのマイナスを見てなかったとしても!』」
「『しかしながら、僕たちという物語はそこにあったんだ』」
「『ふざけんじゃねーぞ、そう簡単に終わらせるかよ!』」
「『最後までどうかあがいて見せようじゃあないか』」
「「『『アンタが作った物語は、全て! フィクションで終わらせてやる!』』」」
安心院「………」
安心院「…こりゃまいった」
安心院「……思うにきみたち、あれかな」
安心院「つまり、この物語は以前として───」
~~~~~
球磨川「ばかー!」だだだ…
善吉「……」
善吉「……何だったんだ、一体全体…」
「───いやはや、なんともおぞましくも面白いことに首を突っ込んだねぇ…人吉くん」すた
善吉「この声は……安心院さん!」
安心院「やあ、お久しぶり」
善吉「お久しぶり? いや、さっきの時間に廊下であったじゃないですか」
安心院「おっと、そうだったね。これは失敬、忘れてくれよ人吉くん」
善吉「は、はあ…」
安心院「それよりも、そんなことよりも…なあなあ、なにがあってこうなってるんだい」
安心院「ちょいとこの安心院なじむさんに、ご相談しては如何かな?
善吉「そうなんですよ…いやね?
俺が思うにあの人、どっかで頭を打ったか殴られたかしたと思うんです」
安心院「それはどうかな、彼は当たり前に不死身で頑丈で卑屈な男なんだよ?」
安心院「彼のようなマイナスな人間は死を経験するほどのものでない限り──
おっと、死という概念すら彼には生ぬるかった、これは安心院さんも失念失念…」
善吉「確かに、あの人不死身でしかも死ねないですしね…」
安心院「それはさておき、人吉くん」
善吉「なんですか?」
安心院「僕が思うにね、こういう事情ってものは結構いとも簡単に解決するもんなんだよ」
善吉「本当にですか!? 本当に解決できるんですか安心院さん!?」
安心院「くっく、必死だねぇ…それほどまでに嫌悪してたのかい?
これは流石にあの球磨川くんだったとしても可哀想になってくるよ」
逃げられてしまったら、その…欠片も思わないことは、無いですけど」
善吉「俺は…今までの、球磨川先輩のほうが…断然いいです!」
安心院「…ふむ、確かにキミの言ってることも一理ある」
安心院「あのような球磨川くんは見てて楽しすぎて腹が捻じれ千切れてしまいそうになるけれど」
安心院「僕という存在が一度は認めかけた、そして期待しかけた人間だから」
安心院「彼という人間性をどうにか元に戻したいという気持ちはあるんだよね」
善吉「ほ、本当ですか…!?」
安心院「ああ、安心していいよ人吉くん(安心院さんだけに)」
安心院「───キミの抱えている、後生大事に腹の奥底に抱えているその思い……」
安心院「この安心院なじみが、どうにかしてあげようじゃあないか げらげら」
善吉「待った!」
善吉「待ってくれ……いや、違うな言い方が違う」
善吉「『ちょっと待ってくれないか、安心院さんよう』」
安心院「な、なんだい…その喋り方は?」
善吉「『え? わからないのか? そりゃこまったぜ、アンタが一番知っているもんだと思ってたが』」
善吉「『いやー、まあいいや。それよりもちょっと聞きたいことがある』」
安心院「…い、いいよ。なんでも安心院さんに聞くがいいさ」
善吉「『アンタ、俺の前に何回目の登場だ?』」
安心院「っ!」
善吉「『教えてくれ』」
善吉「『安心院さん、俺という存在に対して───』」
善吉「『───この物語にいる俺という存在に対して、一体全体何回目の安心院さんなんだ?』」
善吉「『さあ? 俺にもわっかんねーけど、どうにもこうにもしっくりとこないんだ』」
善吉「『まるでシナリオどおりに進めべきだったものを、途端にやめてしまったような』」
善吉「『見ていたかった映画を途中で変えてしまったような』」
善吉「『買っていた犬が死んでから猫だと気づいてしまったような』」
善吉「『恐ろしく取り返しのつかないことのはずなのに、だけどそれを望んでしまっている俺がいる』」
安心院「っ……つまり、それは?」
善吉「『俺はここで、嘘をつかなきゃいけない気がするんだ』」
善吉「『物語自体を大きく変換させてしまうほどの、大きな大きな──』」
善吉「『───大嘘憑きを』」
安心院「──却本作りで、自分と同等のマイナスにしてやがったな!」
安心院(しかしなぜ、この時間帯の人吉くんは未来の終わった人吉くんとは別人!)
善吉「あっ……そうか…」
安心院(じゃあどうして彼がマイナスにっ…? 何処か見落とした所は───)
安心院「あっ……僕?」ころ…
安心院「……。あっはは、コレは参った。本当に本当に、無粋にもほどがあるだろ球磨川くん!」
安心院「『僕』という存在に却本作りをしやがったな!」
安心院「そして僕が人吉くんに関わる時、その瞬間発動するよう計算しておいて!」
安心院「あはははははは! どうしてそんな微細な調整ができるんだい」
安心院「本当にきみはどうしようもないやつだよ、とんでもねえやつだ」
僕が人吉くんがマイナスになることを、この瞬間に望むようにセットしていた!」
安心院「くっく、すげーぜ尊敬するぜマジでぱねぇよ球磨川くん」
安心院「……」
安心院「……で? どうなんだいマイナスの人吉くん?」
善吉「『………』」
安心院「そろそろ、何だか色々と思い出してきそうなんじゃあ無いのかい?」
善吉「『…確かに』」
善吉「『面倒くさいぐらいにややこしい感情が、どろっどろ俺の中に入り込んでくる』」
安心院「そうだろうねぇ…彼が僕に仕掛けた却本づくりは……」
安心院「あの時の、不幸に散った球磨川禊のステータスなんだからねぇ」
安心院「その却本をそのままキミに渡してしまったんだ、無意識に、いや自意識にかもしれないねぇ…くっく」
安心院「さて、僕の物語はたったひとつの思い入れに『なかったことに』されたワケだけど───」
安心院「───これからどうしたい? 人吉くん?」
善吉「『…そうだな、安心院さん』」
善吉「『とりあえず、俺が貴方に言いたいことはただ一つだけだ』」
安心院「げらげら 一体それはなんだい?」
善吉「『ああ、言わせてもらう』」
善吉「『──これから大事な奴と会うんだ』」
善吉「『めだかちゃんの移動範囲の制限、あと遊園地のチケットをもらおうじゃねえか』」
安心院「女体化スキルはいらないのかい?」
善吉「『カッ! ……馬鹿言えよ安心院さん』」
善吉「『俺の』……いや、俺のあの時の気持ちは」
善吉「なにがあろうと、なかったことにはできねーぜ!」
その二つを使ってイチャイチャさせたら可愛いかなっと思って書いた
ただただ、それだけなんだぜ
支援ありがとう
うんこして寝る
おもしろかった
Entry ⇒ 2012.10.03 | Category ⇒ 版権物SS | Comments (0) | Trackbacks (0)
魔梨威「私は目先の利益に騙されてなどいない!」
木胡桃「わぁい!お昼だぁ!」
手寅「まぁ、コンビニでなんだけどね。色々買ってきたから好きなの選んで?あ、飲み物もあるから」
木胡桃「えっとー、私メロンパン!」
丸京「弁当でいいかな」
苦来「テトラちゃんは何食べるの?」
手寅「私?私は余ったのでいいよ」
苦来「そう……じゃあ私はおにぎり」
魔梨威「じゃあ私サンドイッチなー」
魔梨威「なんだよ、私がサンドイッチ食べちゃ悪いかよ」
手寅「悪くはないけど、確かにちょっと似合わないかも」
魔梨威「じゃあ何なら似合うんだよ?」
丸京「立ち食いそば」
苦来「牛丼」
木胡桃「焼き鳥」
魔梨威「全部オヤジくせーなオイ!」
全員「いただきまーす!」
魔梨威「っただきまーす」ぱくっ
魔梨威「!?おい、これ……」
木胡桃「マリーさんどうしたんですか?」もふもふ
魔梨威「このサンドイッチ、具がほとんど無いじゃないか!」ぺらっ
苦来「本当、表から見えるところにしか具がない」
魔梨威「くそう、騙された!!具沢山だと思ったから選んだのに!!」
魔梨威「食事ごときで本質だの考えるかよ普通!」
手寅「そうよガンちゃん。普通考えないわよ」もぐもぐ
木胡桃「テトちゃん……その肉まん、すごく具沢山じゃないですか?」
手寅「そう?」
魔梨威「ホントだ、肉がやけに多い…!」
苦来「そういうのって、品質一定なんじゃないの?」
丸京「考えずともアタリを引くテトは置いといて、実際問題、見た目で騙される事はどこにでもあるんだよ!」
手寅「実際のハンバーグとか、かなり薄っぺらかったりするよね」
丸京「実際のオムライスがふわふわじゃなくてカチカチだったり」
木胡桃「実際のパフェ、アイスかと思った部分がクリームだったり」
魔梨威「実際のナポリタンとか立ってねーもんな」
苦来「…え?」
丸京「食品サンプル通りに立ってると思って注文する奴はいないだろ」
魔梨威「え?いないのか?私だけ?」
手寅「あー、わかるわかる。お店の明かりのせいで綺麗に見えたりするよね」
木胡桃「家で着ると微妙なのは、照明のせいだったんですね」
丸京「照明だけじゃない。洋服屋の鏡は、痩せて見えるように出来ているらしい」
魔梨威「なんかズルいなそれ……」
手寅「あとネット通販で買う物って、イメージと微妙に違ったりするよね」
苦来「勝手に良いほうにイメージしちゃう自分も悪いんだけど」
丸京「騙してるわけじゃないだろうけど、騙された気はするよな」
魔梨威「何?今ケータイを変えると一万円キャッシュバックだって?」
丸京「お得に見えるだろう?」
苦来「それって一万円は戻っても、結局機種代はうん万円するじゃない」
魔梨威「はぁ?何言ってんだよ。何も戻らないよりは一万円戻るほうが得だろ?」
苦来「まぁ、それはそうだけど……」
魔梨威「じゃあケータイ変えても良いじゃないか!」
木胡桃「目先の利益に騙された!」
魔梨威「私は目先の利益に騙されてなどいない!」
手寅「騙されてるじゃない」
・綺麗事のマニフェスト
→(実行しない)
・可愛い自撮り画像
→(角度が違うと微妙)
・可愛いアニメアイコン
→(中身はオタク)
・事故率の高いヘリ
→(配備された型の事故率は低い)
・100円パソコン
→(当社ブロードバンド契約時)
・昔のゲームのHDエディション
→(中身は前と同じ)
・ムービーの綺麗なゲーム
→(中身は一本道)
・漫画:ヤス
→(原作はシモネタ漫画家)
丸京「所詮、誰もが見た目で……顔で相手を選ぶんだよ!」
木胡桃「でもやっぱり、顔含めての第一印象は大事です!」
木胡桃「はい、ピンク色で甘くて美味しいです!」
丸京「それならよかった」ニヤリ
木胡桃「え…?なんですか!何が言いたいんですか!?」
丸京「成分に コチニール って入ってないか?」
木胡桃「入ってますけど……」
丸京「それ、虫を潰して作った色素だよ」
魔梨威「マジかよ!?」
丸京「見た目に可愛らしいピンク色は、実は虫を潰して作った色なんだよ!!」
木胡桃「うわああん!もういちごミルク飲めないぃ!!」
丸京「ほーら、いくら第一印象が良くても、本質に近づくと恐ろしくなったろう!」
苦来「でもその話って割と有名よね。多分蚕の糞よりは」
手寅「まぁ、どっちも天然由来の色素だから合成着色料よりは安全らしいけど」
苦来「赤色○号とか、いかにも体に悪そうだしね」
木胡桃「…え?まさかこれも」
丸京「そう、コチニールは布地の染色にも使われている。ピンクの服に使われている可能性は十分にある!」
木胡桃「うわぁぁん!!」
丸京「更に追い打ちするなら、化粧品の赤色。口紅や頬紅にもコチニールはよく使われている!」
木胡桃「いやあああああああ!!!」
魔梨威「おい丸京、あんまりいじめるなよ!キグが泣いちゃうだろ!?」
木胡桃「うぅ…」グスン
魔梨威「よーしよしキグ、大丈夫だぞー?きっと虫は虫でも可愛い虫だからな!」
魔梨威「そうだとも!きっとバグズ・ライフくらい可愛い虫だよ!」
木胡桃「あれは可愛くないです……」
魔梨威「えー?アンツよりは可愛いだろ?」
苦来「ジャイアント・ピーチくらい可愛くないとダメでしょ」
丸京「スターシップ・トゥルーパーズ!」
苦来「それはキモいから!全然毛色違うし…!」
手寅「あ、コチニールの原料。今調べたらこんな虫らしい」
(閲覧注意)
http://blog-imgs-55.2nt.com/s/s/h/ssh123/Cochineal_drawing.jpg
木胡桃「いやああああ!!思いっきり虫です!!!」
魔梨威「一番デカい追い打ちするなよ!!大丈夫だよキグぅ!」
苦来「……マリーさんの服も赤いけど、やっぱり使われてるのかな…?」
木胡桃「…!」ススッ
魔梨威「おい!引くなよ!」
魔梨威「引いてるだろ!?…どうしてくれるんだ丸京!」
丸京「どうもこうも、私は真実を、そして見た目に騙されるなと教えただけだ」
木胡桃「見た目に騙されない…?」
手寅「そう。マリーさんの羽織は赤く見えるけど、実際は赤じゃないかもしれない!」
魔梨威「なんだよそれ」
手寅「自分の見ている色と他人の見ている色は、同じではないかもしれない!」
苦来「あぁ、クオリア?」
手寅「自分の見ている放送版と他人の見ているBD/DVD版は、同じではないかもしれない!」
丸京「いや、それは実際にほんの少し違うから」
苦来「ほんの少しだけ違う話はともかく、放送版ですら違った十二話とかどうなるんだろう」
丸京「領有権主張してきたら楽しそうだな」
手寅「あのカレーは、本当は温めるだけのレトルトかもしれない!」
苦来「だとしたら爽快かも……」
手寅「マリーさんは本当に男の子かもしれない!」
魔梨威「いや、それはないから!」
手寅「でもそう考えると、いざマリーさんが本当に男でも 騙された! とは感じないじゃない?」
魔梨威「そうだけど、男じゃないからな?本当に!」
手寅「見た目に騙されたくなければ、色んな角度から物を見れば良いのよ」
木胡桃「色んな角度から?」
魔梨威「なんだよ?」
手寅「マリーさんを後ろから見ると……」つつ…
木胡桃「わ!後ろだけ裸!」
丸京「びんぼっちゃま君かよ」
魔梨威「えぇぇ!!?なんだよこれ!!いつやったんだよぉ!?」
苦来「マリーさん、私達を騙してたのね!」
魔梨威「騙してねーよ!っていうか逆に私が騙されてるだろコレ!」
魔梨威(よく考えたら、いつもいつも私は尻を晒したり、尻を晒したり、はたまた尻を晒したり……)
魔梨威(色んな角度から考えると、こいつらもしや私の敵!?)
手寅「どうしたの?マリーさん」ニコニコ
木胡桃「考え事ですか?」ニコニコ
苦来「顔色悪いよ?」ニコニコ
丸京「尻色も悪いぞ?」ニコニコ
魔梨威(まただ…!また笑いながら私を陥れるつもりだ…!)
魔梨威「ダマサレルモノカ ダマサレルモノカ…」ブツブツ
手寅「ちょっとマリーさん、本当にどうしたの?」
魔梨威「……やられる前に」ボソ
丸京「何?」
魔梨威「やられる前に、やらいでか!!!」ぐわばっ!
木胡桃「きゃあああ!!!」
魔梨威「ダマサレルモノカ ダマサレルモノカ…」ブツブツ
医者「マリーさん、気分はどうですか?」
魔梨威「サイアクだよ!四六時中電磁波で攻撃されてるからな!」
魔梨威「それよりお前か!?私を監視しているのは!電波で悪口を言うのはお前かぁ!?」
丸京「マリーさん、すっかり疑り深くなってしまった」
手寅「色んな角度から見てるんだね!」
苦来「それ被害妄想っていう一つの角度だから…!」
木胡桃「赤色怖い…赤色怖いよぉ…!」
おわり
駄文ですいませんでした
さては本人だな
ご苦労様です
アニメじょしらくBD/DVD一巻発売中です
買わない客はただの客と言ってましたが、どうぞ気にせずにお買い求めください
じょしらくコミック第5巻、アニメDVD付き限定版が2013年2月8日発売予定です
限定版は数に限りがございますので、ぜひご予約してお買い求めください
Entry ⇒ 2012.10.03 | Category ⇒ 版権物SS | Comments (1) | Trackbacks (0)
リンク「うわあぁぁ怖いよナビィぃぃいいいい」
リンク「ん~……」
ナビィ「おーきーて! デクの樹サマがお呼びなの! 一緒に来て!」
リンク「ん……よう……せい……?」
ナビィ「私、妖精のナビィ! 貴方の相棒よ、よろしくね」
リンク「僕の……僕の相棒……!?」
リンク「うっぐすっ……うわあぁぁあああん」
ナビィ「っ!? ど、どうしたのいきなり泣き出して」
リンク「もっミドにっいじっぁっくえっうっ」
ナビィ「く、苦労してるのね……」
ナビィ「ほら、泣き止んで! いそぎましょ!」
リンク「うん……」グシグシ
サリア「やっほーリンクー!」
リンク「ざり゛あ゛ぁ……づいに、づいに僕のと゛ごろにも」
サリア「ついにリンクのところにも妖精が来たのね! おめでとう」
リンク「うん……うん……」
リンク「うん……サリアのおかげで、ミドとその子分以外からはいじめられてないっていうか……」
リンク「サリアがいなかったら、僕、今頃死んでた……」
ナビィ「あら……」
ナビィ(こんないじめられっこが、ハイラルの運命を握ってるなんて本当なのかしら……?)
ミド「ここを通りたかったら剣と盾くらい持ってこいや」
リンク「え……刃物なんて危ないよ」
ミド「とにかくもってこいっつってんだよ! じゃなきゃ通さねーからな!」
リンク「……ぐすっ」
リンク「どうしてこの岩転がってるの!? 物理法則を無視してるじゃんかうわああああああ」
ナビィ「ほらあそこ! 宝箱があるわよ!」
リンク「うわああああああギャッ!」ドゴォッ
ナビィ「きゃあああリンク大丈夫!?」
リンク「いだい……痛いよ゛ぉ……」
ナビィ(本当に大丈夫なのかしら……)
リンク「剣は手に入れたけど……」
リンク「触るの怖いよ、怪我しそうだし……」
ナビィ「とりあえず、振る練習をしましょ」
リンク「うん……」
リンク「5ルピー足りない……あっ」
ナビィ「どうしたの?」
リンク「しっ」
リンク「……レジのすぐ横に落ちてた」
ナビィ「えっと……ラッキーね」
リンク「よし、剣も盾も手に入れた!」
ナビィ「これでデクの樹サマのところにいけるわね!」
リンク「ミドに復讐できる!」
ナビィ「えっ」
リンク「冗談だよ! 人に剣を向けたりはしないよ……復讐はしたいけど」
ナビィ「…………」
リンク「自分がこの剣で切られる可能性は考えた?」
ミド「えっ……ひっひいいいいいい弱虫の癖に偉そうに!」ダダッ
リンク「あ、行っちゃった……ちょっと意地悪し返してやろうと思っただけなのに」
ナビィ「けっこう怖いわよ今の」
ミド「……モンスターがいるから、親切で持って来いっつってやったのに」
ミド「けっ」
ナビィ「デクの樹サマを助けたくはないの!?」
リンク「助けたいよ! でも僕には無理だよ! なんか中暗そうだし!」
)谷(「お願いじゃ……リンク……お前にしか成せぬことなのだ」
リンク「うっ……ぅぅっ……わかり……ました……」
リンク「うわ……モンスターがデクの樹サマの中に……」
ナビィ「その剣と盾を使って倒すのよ!」
リンク「ひっ……」ガクガク
ナビィ「待ってリンク! スタルウォールが」
リンク「っうわあぁぁぁあああ! あいたたた……」
リンク「なんか紫になって襲ってきたよおおおおお」
ナビィ「パチンコを使って倒すのよ!」
リンク「パチンコって最初の文字を伏せると大変な単語になるよね」
ナビィ「…………」
ナビィ「さあ勇気を出して!」
リンク「いやだよおお他の手段探そうよ!」
ナビィ「リンクなら大丈夫よ!」
リンク「いやだああああああ」
ナビィ「……いい加減にしなさい!」ドンッ
リンク「えっ……うわあああああああああああああああ」
ナビィ「……あ゛」
リンク(穴からズレた! やばい! 地面にぶつかるううううううう!!)
リンク「あうぃぃぃ……」
ナビィ「……骨折くらいするかと思ったら擦り傷程度じゃない!」
ナビィ「その異常なまでの丈夫さがあれば平気よ! ワンモア!」
リンク「うっ……ナビィが怖いよおおぉぉ」
ナビィ(私だって……私だって本当はこんなことしたくないのに……)
リンク「なんとかクモの巣は破れたけどやっぱり落ちたら痛いよ……」
ナビィ「よく頑張ったじゃない! さあ、奥へ進みましょ!」
リンク「なんか金色のクモまでいるし何なんだよもう……」
ナビィ「幼生ゴーマよ! ほら、剣で攻撃して!」
リンク「い……いやだ……こっちこな……で……うわああああ!!」ブンブン
リンク「はあ、はあ……怪我しちゃった……痛いよ……」
リンク「助けてサリアぁ……」
ナビィ「リンクは頑張ってるよ!」
ナビィ(弱虫にもほどがあるわ……)
タマゴが落ちて来る前に、あらかじめパチンコで破壊しておけば戦闘は避けられたのだが
彼にそれを知る由はなかった
リンク「でもなんか変な音してる……」
ナビィ「リンク、上よ!」
リンク「え? ひっうわあああああ」
(÷)「キシェアアアアア」
ナビィ「呪いの元凶だわ!目を狙って!」
ナビィ「今よ! パチンコで目を討って!」
リンク「外しちゃったよおおおおお」
ナビィ「ああ……幼生ゴーマが……」
リンク「うっぐすっ」
ナビィ「泣いたら視界が悪くなるわよ!」
リンク「剣が重くて上手く使えないよ……あ、そうだデクの棒!」
ナビィ「やったねリンク!」
リンク「あれ? 幼生ゴーマが親に群がってる……」
ナビィ「……倒さないと」
リンク「モンスターでも、家族を亡くしたら悲しいのかな」
ナビィ「それでも敵よ。呪いの元は断たないと」
リンク「……ごめんね」
ザシュ
リンク「…………」
リンク「デクの樹サマ、僕勇気なんて無いです!」
)谷(「魔物を倒したのじゃ……おまえならできる!」
リンク(無理だよ……)
)谷(「外の世界に行くのだ!」
リンク「外の……世界……?」
リンク「外に行けば……僕、もうミド達にいじめられなくて済むの!?」
)谷(「うむ……まあ、物理的な距離は離れるからの……」
リンク「やったああああああ」
リンク「ちょ、違……」
少女「ねえ……リンクがデクの樹サマを殺したって本当?」
少年「ミドのアニキが言ってたんだぜ……」
少女「やだ……まさかいじめられていた腹いせに……?」
リンク「…………」
リンク「こんな森出てってやるうううううう!!」ダダッ
ナビィ「り、リンク!」
リンク「サリア……サリアは信じてくれるよね? 僕、デクの樹サマを助けようと思って……」
サリア「わかってるよ! サリアはリンクの友達だもん」
リンク「サリア、あり……がと……」
サリア「このオカリナ、あげる」
サリア「リンク、他のコキリの皆とはどこか違うなって思ってたの」
サリア「でも、そんなの関係ない。私達はずっとトモダチでしょ!」
リンク「うん……うん!」
ナビィ(一応理解のある友達はいるのね……)
リンク「なんだか自分がはじけ飛んで、消えてしまいそうで怖い……」
ナビィ「さ、早くお城に行きましょ!」
リンク「さっきのケポラゲボラって一体何者なんだろ? 鳥なのに喋るなんてさ」
ナビィ「そうねえ……」
ババババババババ
リンク「うわっ何あのおっきいの!」
ナビィ「ピーハットよ! 下の方にある突起を狙って!」
リンク「待って、怖い! 無理! うわああああああ」
リンク「って、木に引っかかって追って来れなくなってる! ラッキー!」
ナビィ「ここで倒して剣の練習をしてほしかったんだけど……」
ナビィ「ほら見えてきたわよ! あそこ!」
リンク「あっほんとだ!」
リンク「よし、ついt」
ガラガラガラガラ
リンク「閉まらないでえええええ!」
ガシャン
ナビィ「あちゃあ……」
リンク「地面からガイコツが沸いてきたよナビィ!」
大スタルベビー「」ブンッ
リンク「でかっ! うわああああ!」ボシャン
リンク「……あ、こいつら水の中に入って自滅してる!」
リンク「一晩中川に入っていれば安全だ!」
ナビィ「溺れないようにね」
コケコッコー
リンク「くしゅんっ! けほけほ」
ナビィ「風邪ひいちゃったわね……」
リンク「じゃあ僕が探してくるよ! これから城に用があるからさ」
ナビィ(この子、直接兵士さんに相談しに行った方が良いんじゃ……)
リンク「何回挑戦してもお城に入れないよナビィ」
ナビィ「せっかく保護色な服を着ているんだから上手く奴等の目を掻い潜りましょ」
リンク「……お堀に入るの? 水の音で気づかれない?」
ナビィ「そっと入るのよ」
リンク「この水臭いよ……」
リンク「熱っぽいし……・ヘックション!」
ドサッ
リンク「いたたっ木から何か落ちてきた!? うわあクモだ……」
ナビィ「倒しちゃいましょ」
ナビィ「木から落ちてきた黄金のスタルチュラにぶつかるなんて、運が悪いわね……」
リンク「この人がマロンのお父さんかな?」
リンク「……やっぱり大人の人だなあ。僕、街に入るまでは大人なんて見たことなかったからさ。憧れるんだ」
リンク「城下町に入ったらたっくさんいたからびっくりしちゃったし」
リンク「僕も大人になれたらなあ……」
ナビィ「コキリ族はずっと子供だもんね」
ナビィ「起きないわね……」
リンク「何て名前なんだろうね? マロンのお父さんで丸っこい体系だから、マルオだったりして!」
ナビィ「ちょっと失礼じゃない?」
リンク「そうなの?」
兵士「まだ子供じゃないか! 追いだせー!」
リンク「ひいいいいいい」
ナビィ「リンクー……もうちょっと上手く兵士に見つからないようにできない?」
リンク「も……だめ……くらくらして……きた…………」バタン
ナビィ「リンク? リンク!? しっかりして!」ユサユサ
リンク「……ぅ…………」
ナビィ「リンクー!」
リンク「……あれ? ここは……」
インパ「やっと気がついたか」
ナビィ「リンク、良かった……」
リンク「ええと、僕は確か……」
インパ「お前に会いたがっているお方がいる。ついて来い」
リンク「は、はあ……」
リンク(この人怖い……)
リンク(ただでさえ大人の人は体がおっきくて怖いのに)
ナビィ「偉い人の肖像画じゃないかしら」
リンク「へええー! 緑色のトカゲみたいなのと、金髪の女の人と、赤い帽子を被った人が描かれてるね」
インパ「このお方だ」
リンク「っ!」
リンク(かっ、かわいい……)
ゼルダ「貴方が、妖精を連れた……森からの使者ですか?」
リンク「え、あ、はい! リンクっていいます!」
ゼルダ「リンク……不思議……懐かしい響き」
リンク(でもちょっと電波なのかな?)
ナビィ「帰りたくはないのね……」
リンク「だって僕、デクの樹サマ殺しの疑いをかけられてるし……うっ」
ナビィ「思い出さない思い出さない! さ、山に登りましょ!」
リンク「ハイリアの盾?」
兵士「なンでも屋って店に行って買って来た方が良いぞ」
リンク「戻るの大変だなあ……でもやっぱ怖いし手に入れておこうか」
ナビィ「まあけっこう近いしね」
墓荒らしをすればタダで手に入れられるということを、純粋無垢な少年が知る由はなかった
リンク「うわああいてっ!」
ナビィ「岩がたくさん転がってきてるね。気をつけて」
リンク「ううっ……また化け物と戦ったりすることになったら嫌だなあ」
ナビィ「あんなおっきな岩にぶつかってもかすり傷くらいしかつかないリンクなら大丈夫よ」
リンク「体がだめでも心が死んじゃうよお……まだ風邪治りきってないし……」ジュルジュル
リンク「うわっ岩が動いてる!」
ナビィ「ゴロン族よ。石を食べる種族なんだよ」
リンク「ええー……石を……」
リンク「どうしよう……どうにかして機嫌を取りたい」
ナビィ「う~ん……」
リンク「あれ? あちこち火がついてない燭台があるよ。付けてみよう」
リンク「わー中央のおっきいのが回ってる! 僕も回る!」グルグル
ナビィ「楽しそうね」
リンク「目が回った……」フラフラ
ナビィ「もう……」
ナビィ「行ったところでどうするの?」
リンク「サリアがノリの良い曲をよく吹いてたんだ! きっとその曲があればダルニアさんも機嫌を直すよ」
ナビィ「んなあほな」
ケポラ「音のする道を行くのが良いじゃろう」
リンク「うんわかってる! 多分、サリアはよく一緒に遊んだ場所にいるはずだし!」
リンク「って何でこんなところに狼がああああうわあああああひっかかれたああああああ」
ナビィ「ウルフォスよ!」
リンク「オコリナッツもたくさんいる……サリアは一体どうやってここを通ったんだろう」
ナビィ「リンクよりも強いんじゃない?」
想像したらワロタww
ナビィ「まあまあ……疲れたし、ちょっと里で休んでいかない?」
リンク「……ぐすっ」
ナビィ「あ、ごめん、そうだったね……」
ダルニア「この熱いビート!!」
リンク(うわあ……)
リンク「よし、岩は壊したし、中に……入りたくないけど行こっか」
ナビィ「ここから飛び降りたらすぐ入り口に着くわね」
リンク「え? 嫌だよ、もう飛び降りるのは嫌だよ!」
ナビィ「つべこべ言わない! 勇気を出すのよリンク!」
リンク「わああああスカートの中身見られちゃうううううううう」
ナビィ「叫んだら舌噛んじゃうよ」
ナビィ「端っこのほうなら大丈夫よ」
リンク「いやいや火傷しちゃうって! ブーツが焦げるよ!」
ナビィ「進むのよ!」
リンク「うう……うぁああ……」
ナビィ「泣き虫なんだから、まったく……」
リンク「わわっ地面から何か出てきた!」
ナビィ「ベビードドンコよ」
リンク「えいっ!」ザシュ
リンク「あれ、意外とよわ……えっ」
ナビィ「リンク、敵が!」
リンク「えっ何コイツ! 魔物なのに剣持ってる!」
リンク「待って待って!」キンキン
ナビィ「ハイリアの盾で亀さんごっこしてるだけじゃ勝てないよ!」
リンク「でも無理だよぉおおおお」
ナビィ「まあまあ落ち込まないで」
リンク「ううっ僕はもう駄目だ」
ナビィ「あ、その石像に不用意に触ると」
リンク「え? うわあああああああああああああああ」
アモス「ブゥゥ」ダンッダンッダンッダンッ
ナビィ「デクの盾買えて良かったね、リンク」
リンク「……この穴に飛び込むの?」
ナビィ「勇気を……勇気を出すのよ!」
リンク「やだよ! 他のルート探そうよ!」
ナビィ「マップには他の道なんて載ってないよ! さあ!」
リンク「うう……ごめんサリア、僕死んじゃうかもしれない」
ナビィ「デクの棒を使えばすぐだったね」
リンク「でもあいつおっきくて怖かったよ……ちょっとちびっちゃったし」
ダルニア「リンク、よくやったゴロ!」
リンク「やったぁ! 炎の精霊石GE……っと……」
ゴロン達「オラたちキョーダイ」ザッザッザッザッ
リンク「ひっ! う、うわあああああああああ」
ナビィ「ハイリアの盾で防いだらどうかな」
デクの盾を構えながら走っても無傷で行けるが、臆病な少年には到底不可能だった。
大妖精の泉
リンク「王家の紋章……? ゼルダの子守歌を吹けばいいのかな」
リンク「わあ、綺麗な女の人だね、ナビィ!」
ナビィ「う、うん」
ナビィ(怖がると思ったのに)
リンク「やった! 僕魔法が使えるようになったよ!」
ナビィ「やったねリンク!」
カカリコ村
リンク「ううっ……ケポラゲボラに連れてきてもらったのは良いけど」
ナビィ「良い景色だったわね」
リンク「怖いし酔うしでそれどころじゃなかったよ……」
ナビィ「ああ、飛び慣れてないもんね」
タロン「マロンの婿にならないだか?」
リンク「え? う、うん?」
タロン「冗談だーよ、子供にはまだわからないだ」
リンク「ねえナビィ、ムコって何?」
ナビィ「旦那さんのことよ」
リンク「だんなさん?」
ナビィ「外の世界の人は、男の人と女の人が結婚して家庭を築くの」
リンク「そういえば、外の人ってどうやって仲間を増やすの?」
ナビィ「あ、えーと、それは……」
リンク「ナビィでも知らないことがあるの?」
ナビィ「ええっと」
リンク「外にはデクの樹サマみたいな存在はいないのかな?」
ナビィ「男の人と女の人が結婚すると子供が生まれてくるんだよ」
リンク「ふうん? ……どうやって?」
ナビィ「う、う~ん……」
リンク「半漁人だあ!」
ナビィ「王様はお姫様がいなくなったせいでまともに話ができない状態だし……どうしよう」
リンク「潜水ゲームだって! やってみようかな」
ナビィ「リンクの苦手な飛び降りだよ?」
リンク「下に水があるから大丈夫だよ」
ナビィ「この高さじゃあ水に落ちてもかなり痛いと思うけど……」
リンク「まさか水面に飛び出てる岩にぶつかるなんて……」
ナビィ「もう、ドジなんだから。止血しないと……」
リンク「キングゾーラ、どくの遅いよ」
ナビィ「シッ!」
リンク「もう三十秒くらい経ってるよね……」
ジャブジャブ様のお腹
リンク「うわっ気持ち悪い……見た目も臭いも……」
ナビィ「きついね」
リンク「喉チンコ討ったら扉が開くって一体どんな仕組みなんだろう」
リンク「この妙に硬いシャボン玉も一体何なんだ……」
ルト「何か言ったゾラ?」
リンク「なんでもないです」
ルト「さっさと母上の形見を見つけ出すゾラ!」
リンク「もう……投げ捨てて良いかなこの子」
ナビィ「リンク、がまん」
リンク「やばい皮膚が融けてきた」
ナビィ「一刻も早く見つけて此処を出ないと!」
リンク「うわっあの丸が連なったの何!?」
ナビィ「テールパサラン。まだ倒せないから逃げて!」
リンク「うわ、ちょ、来ないでええええ!」ビリビリ
ルト「何をやってるゾラ……」
ナビィ「うっかり吸いこんじゃったんじゃない?」
リンク「あのでっかい棒みたいなの何?」
ナビィ「寄生虫の触手よ」
リンク「しょくしゅ?」
ナビィ「根元の細くなってるところをブーメランで攻撃して!」
リンク「うん、わかった!」
ナビィ(やっと少しは度胸が身に付いてきたかな)
ルト「ジャブジャブ様の中にあんなものがあるなんて気味が悪いゾラ……」
リンク「ひいいいい電撃避けれない! 無理!」
ナビィ「横っ飛びでどうにかするのよ!」
リンク「ブーメランで狙いを定めながらそんなことするなんて無理いいいいいい」
ナビィ「なんだかんだでできてるじゃない!」
ナビィ(運動神経は本当にすごいのにこんなに気が弱いなんて一体どうしてかしら)
リンク「ねえナビィ、ふぃあんせって何?」
ナビィ「婚約者ってことよ。結婚する約束をした人」
リンク「えっじゃあ僕とルトの間に子供ができるの!?」
ナビィ「う~ん……種族が違うから無理なんじゃないかしら」
リンク「種族が同じじゃないと子供はできないの?」
ナビィ「詳しいことは旅が終わってから教えてあげるから、今はゼルダ姫の元へ急ぎましょ!」
リンク「うん……」
リンク「ゼルダ!?」
ゼルダ「リンク…………!」ブンッ
リンク「うわ、今すごい力でオカリナを投げてたよ!」
リンク「壊れないのかな?」
ナビィ「大丈夫だから投げたんでしょ、多分」
ガノンドロフ「小僧、今、白馬が走って行っただろう。どっちへ行った?」
リンク「え、あ、いや、知りません」
ガノンドロフ「知らないはずがあるものか!」
リンク「ほんとに知らないんです! ほんと! ほんとに!」
リンク「あー……怖かった」
ナビィ「情けないよ、リンク……」
リンク「いや、だってあそこで死んだら元も子もないし……」
ナビィ「リンクってさ、サリアともゼルダ姫とも間接キスしてるよね」
リンク「かんせつきす?」
ナビィ「あーうん、なんでもないよ」
ナビィ「うん。……さあ吹いて、時の歌を!」
ゴゴゴゴゴゴゴゴ
リンク「……すっごくゾクゾクする!」
ナビィ「あれは、伝説の剣……マスターソード!」
リンク「この剣があれば、弱虫な僕でも、きっとガノ……何て名前だったっけ、あいつ」
ナビィ「ガノンドロフよ」
リンク「この剣があれば、弱虫な僕でも、きっとガノンドロフを倒せる!」
ナビィ「うん……多分ね」
目覚めよ……
選ばれし勇者、リンクよ!
リンク「あ、れ……?」
リンク「僕、大人になってる? どうして?」
ラウル「お前は時の勇者となるには幼すぎた。故に、七年の間眠り続けていたのだ」
リンク「七年……? 七年も!?」
リンク「というか僕が勇者になんてなれるはずがない」
ラウル「ならばその手の甲を見よ!」
リンク「これは……」
リンク「絵の具か何かで細工したんだ!」
ナビィ「そんなことしても何にもならないよ……」
リンク「嘘だ嘘だ嘘だ! 大人になってること自体おかしいのに!」
シーク「おい」
リンク「ううっ何かの間違いだよぉ人選ミスだよぉ……」
シーク「なあ」
リンク「ぐすっサリアぁ……」
シーク「時の勇者」
リンク「何で僕白タイツなの? ラウルって賢者の趣味なの?」
シーク「いい加減気付け!」
リンク「わわっ!」
シーク「ああ。……どうか頑張ってくれよ」ピカッ
リンク「うわっ消えた!? ちょっと待ってよ!」
リンク「カカリコ村で何すれば良いんだよぉ……」
ナビィ「とりあえず行ってこようよリンク」
リンク「怖い目に遭ったら嫌だなあ……」
シーク「……ヒントは墓地だ」
リンク「え、あ、ありがとう!」
リーデッド「キイイイイイイイイ」
リンク「うわあああこっち来ないでえええ」
ナビィ「リンク、そっち路地裏……」
リンク「うわ兵士の死体だあああ」
兵士「まだ生きてるぞ……」
リンク「す、すいません」
兵士「君は……そうか、七年前に城に侵入してぶっ倒れて」
兵士「インパ様に保護された、あの少年か……」
リンク「恥ずかしいので忘れてください」
兵士「その剣……そうか、伝説の剣か。どうか、ハイラルを……」
リンク「ちょっ……あ、あの」
ナビィ「……こと切れたみたい」
リンク「よりにもよって幽霊だよおおおおおおお」
ナビィ「落ち着いてリンク!」
リンク「ううっ走れば良いんだろう走れば!」
リンク「あちちっ! この火、ヒントにはなるけどそれ以上に危険だよ……」
リンク「……見失っちゃった……どうしよう……」
リンク「あ、ルピーだ! 目印かな?」
リーデッド「キィィィイイイイ」
リンク「うわああああああ」
姫川 明のやつ?
うん
時オカはミドが適度に活躍しててよかった
ゲームでも確か路地裏行けばいるはず
リンク「何でこんなに広いの? リーデッドがいるの?」
リンク「もう帰りたいよ……あれ? 僕の帰る場所、どこだっけ」
リンク「もしかしたら噂も風化して、コキリの皆にも優しくしてもらえたり……」
ナビィ「リンク……」
リンク「そうだ、サリアに連絡してみよう!」
ファラシーファラシー
リンク「もしもしサリア?」
サリア「リンク……リンクなの!? 良かった、生きてたのね」
いるよ 少年時代で時のオカリナ拾った後に1回だけ話せる
そうでした
サリア「聞いて! 今森が……きゃあああ!」
プツッ ツーツー
リンク「サリア? サリア!」
ナビィ「サリアに何かあったの?」
リンク「危険な状態みたいだ……急がないと!」
リンク(何だろう……股間がムズムズしてきた)
ナビィ「リンク? どうかしたの?」
リンク「いやっその」
リンク「……一人で考え事をしたいなって」
ナビィ「あ、そっか……久しぶりに里に帰るんだもんね」
リンク「…………」
リンク(何か気持ち良かったけど一体何だったんだろうあの衝動……)
リンク(暗くてあまりよく見えなかったけど、何か白くてドロドロした液体が出てきたし)
リンク(何かの病気だったらどうしよう)
リンク(僕死ぬの? 死んじゃうの!?)
ナビィ「リンク……調子でも悪いの?」
リンク「いやっ何でもないんだっ!」
リンク(ナビィには……女の子には言っちゃいけないことのような気がする……)
リンク(けどもし本当に病気だったら……)
ナビィ(冷や汗かいてる……やっぱり森に帰るのが怖いのかな?)
ナビィ「デクの樹サマがいなくなったから好き放題やってるんだよ!」
リンク「皆は……サリアは無事なのかな」
リンク「ミドは……痛い目見ててもざまあとしか……」
ナビィ「でも流石に死んでたりしたら悲しいでしょ?」
リンク「う~ん……けっこう酷くいじめられたし」
ナビィ「……」
リンク「とりあえず家に入って情報を集めよう」
ナビィ「……」
リンク「ただ体が大きくなっただけで、僕は何も変わってないのに」
リンク「僕……やっぱりコキリ族じゃなかったのかな」
リンク「マスターソードを捨てれば、子供に戻れるのかな」
ナビィ「……サリアを助けに行こう、リンク」
リンク「僕は……僕は一体…………」
リンク「…………」
ミド「サリアと約束したんだ、ここは誰も通さない!」
リンク「どけよ」
ミド「なっ」
リンク「どけって言ってんだよ!」ガッ
ミド「うわっ!」
リンク(こいつ、僕がリンクだって気付かなくても、まだ僕に……!)
ナビィ「落ち着いて!」
ミド「あれ、そいつ……リンクが連れてた妖精じゃねーか」
ミド「にーちゃん、あいつを……あいつを知ってんのか!?」
ミド「それ以来帰ってきてなくてさ……」
リンク「……知ってるよ」
ミド「本当か!? 今、あいつはどこに」
リンク「死んだ」
ミド「え……」
リンク「死んだよ」
ナビィ「…………」
リンク「コキリ族は外では生きていけない。知ってるだろ?」
リンク(コキリ族の僕は、自分をコキリ族だと思い込んでいた俺は、もう……死んだんだ)
リンク「……」
ナビィ「ねえ、リンク……」
リンク「俺さぁ、自分がリンクだって言うのが怖いんだ」
リンク「あいつらが知ってる俺と、俺が知ってる俺はもう違うんだから」
ナビィ「…………」
リンク「あいつ、俺が死んだって聞いて後悔してるだろうな! 自分がいじめたせいでリンクが死んだって思うだろ?」
リンク「一生罪の意識に苛まれれば良いんだよ! ははっ!」
リンク「お前、スタルフォスにならないの?」
リンク「俺以外の外の人間が森に入ったら化け物になるはずじゃん」
シーク「……」
リンク「まあいいや」
リンク「サリアって、どうやってこの神殿の中に入ったんだろ?」
リンク「俺はフックショットがないと入れないのに」
ナビィ「さあ……」
リンク「まあ、サリアは精霊と話をしたり、どこか不思議なところがあったからな」
リンク(声が変わったのに、サリアだけは俺がリンクだって気付いてくれた)
リンク(俺を受け入れてくれるのは、もう……サリアだけ……)
ナビィ「怖がりは相変わらずのままなのね」
リンク「うわっ何で近づいたら絵が消えるの? 怖っ!」
リンク「何でスタルフォス復活してくるの!? ちょ、一回倒せばもう十分じゃん!」
ナビィ「できるだけ素早く倒して!」
リンク「もうやだ……」
リンク「どう配置すれば良いのかわかっても重すぎて普通に間に合わないよ」
ナビィ「頑張ろうよ、サリアを助けるんでしょ?」
リンク「うん……」
地下
リンク「この壁意外と軽い」
ナビィ「リンクが力持ちなんでしょ、部屋全体の壁を動かせるなんて」
リンク「何だろこの部屋……絵ばっかり」
シャキン
リンク「俺情けなく謝りまくっちゃったからあんまり顔合わせたくないんだけど……って幻影かよ」
ナビィ「絵の中から出てくる瞬間を狙って!」
リンク「やばいはずsうわあああああ」
バリバリバリバリ
ナビィ「上手いこと回転アタックで避けられないかな……」
第二形態
リンク「うわっ弾打ってくるだけかと思ったら突撃してきた!? 怖っ!」
ナビィ「満身創痍だよ! 気をつけて!」
リンク「怖い……けど、サリアのためなら戦い抜いて見せる!」
リンク「何でだよ! サリアがいなくなったら、俺は……」
サリア「歌を吹けばいつでも話せるよ。それに」
サリア「離れていても、ずっと……私達はトモダチ。そうでしょ?」
リンク「……」
サリア「ミドとも、もう一度話をしてあげて。貴方がいなくなってから、ずっと悔やんでたから」
リンク「……森の賢者として目覚めた。もう帰って来ない」
ミド「そ……んな……」
ミド「あいつもいなくなって、サリアまで……」
ミド「ちくしょう……ちくしょう!」
ミド「なあ、俺が悪いのか? 俺があいつに意地悪ばっかりしてたから!」
リンク「……」
ミド「あいつ……サリアといつも仲良くしてたから……それで……」
リンク「…………」
リンク「……………………死んだなんて、嘘だよ」
リンク「驚かせて、ごめん」
リンク「リンクは生きてるよ」
ミド「ほんと……なのか?」
リンク「ああ、もしかしたらまた会えるかも」
ミド「……そしたらさ、あいつに伝えてくれないか」
ミド「意地悪して、ゴメンってさ」
リンク「ミドがサリアと仲良くしたいって気付いてたのに、ずっとサリアとベタベタしまくったりさ」
ナビィ「リンク……」
リンク「小さい頃なんて、よくサリアと一緒に寝てたし」
リンク「嵐が酷い夜なんて特にさ」
ナビィ「…………」
リンク「妖精なしって馬鹿にしてたのも、本当に妖精がいないことを理由に言ってたんじゃなくって」
リンク「もしもっと早くナビィが来てたって、同じようにいじめてきていただろうし」
リンク「それに、たかが子供のいじめでうじうじしてるなんて大人気ないだろ?」
ナビィ「リンク……」
ナビィ(成長したんだね……)
リンク「うわぁああ!!」
デクの樹の子供「ボク、デクの樹の子供DEATH!」
リンク「そっか、やっぱ俺、ハイリア人だったんだな」
ナビィ「…………」
リンク「吹っ切れたよ、色々」
リンク「ところで君さ、ハイリア人の生態とか詳しい? 体の仕組みとかさ!」
デクの樹の子供「何DEATHか?」
リンク「その…………」
リンク(大人っていろいろ大変なんだな……)
ナビィ「何の話してたの?」
リンク「な、何でもない!」
ナビィ「?」
リンク「まあ、大人の体にも大分慣れてきたしこれから頑張るよ」
ナビィ「そっか」
ナビィ(コキリ族じゃないんなら、性教育とかしてあげるべきかな……)
リンク(本当に何の話してたかとか気付かれてないよな? な?)
リンク(どうやって女の人のめしべ的なところにくっつけるんだろう)
リンク(気になる…………)
ナビィ(女の人と間違いを起こしたりしなければ良いんだけど……)
ナビィ「うん、ずっと気になってたんだけど」
リンク「行ってみようか。他の賢者がいるかもしれない」
ゴロンシティ
リンク「全然ゴロンがいない……」
ナビィ「あ、あそこ。転がってる!」
リンク「爆弾当たらないんだけど」
ナビィ「う~ん……」
リンク「くそっ……」
ナビィ「それだけ気に入られてるってことだよ」
リンク「ダルニアに子供がいるってことはさ、奥さんもいるのかな?」
ナビィ「多分そうだと思うけど」
リンク「ゴロン族って、どうやって子孫を残すんだろうね?」
ナビィ「う、うん……」
ナビィ(やっぱりそういうことに興味あるのかな)
リンク「ねえ、あそこに宝箱あるけど重要なのかな? 無視できないかな」
ナビィ「一応見て行った方が良いよ。ハンマーかもしれないし」
リンク「足場細いな……いや、ここでこそ勇気をdうわファイアキースやめ」
リンク「ちょうわあああああああ」
リンク「あの高さから落下するのは流石の俺でもキツイ」
ナビィ「頑張って! 今度は先に敵を殲滅しておきましょ!」
リンク「制限時間に間に合わない……」
リンク「5回くらい落ちたけどまだ辿り着けない」
リンク「……泣いていい?」
ナビィ「がんばろ、リンク」
リンク「こいつの炎やばいって!」
リンク「うわっ岩落ちてきたし! やばいやばい死ぬぅぅうううう」
ナビィ「頑張って避けて!」
リンク「何か効率のいい倒し方ないの!?」
ナビィ「とにかくハンマーだよ!」
リンク「絶対的な安全地帯があったりはしないのかよおおおおお」
リンク「妖精がなければ死んでたよ俺……」
ナビィ「よく頑張ったよリンク、昔ほど怖がらなくなったし!」
リンク「うん……まあ大人になったわけだし、みっともないことはしない方が良いかなって……叫ぶ癖はまだ治らないけどさ」
リンク「やっぱり俺、外の世界の人間なんだ」
リンク「……ナビィは、俺がコキリ族じゃないってわかっても、まだ相棒だと思っててくれてる?」
ナビィ「もちろんだよ! ナビィはずっとリンクの妖精だよ」
リンク「うん……ありがとう」
ゾーラの里
リンク「うわ……氷漬けになってる」
リンク「昔の感覚で飛び込んだりしたら一大事だ」
ナビィ「リンクなら少し怪我するだけで済むと思うけど」
リンク「いちいち凍らされて凍傷だらけなんだけど」
ナビィ「無理しちゃだめだよ!」
リンク「とりあえずブリザドは爆弾で攻撃しよう」
リンク「ディンの炎だと魔法力の消費が大きいし、囲まれた時だけ使うよ」
ナビィ(頭が良くなってる……!)
キングゾーラ「助けてくれた礼にゾーラの服を」
リンク「あ、すみませんもう買いました」
キングゾーラ「ならば余の熱いキッスを……」
リンク「えっと……昔から気になってたんだけどキスって何? ナビィ」
ナビィ「口と口をくっつけることよ」
リンク「え、ちょ、遠慮しておきます! すみません!」ダダッ
キングゾーラ「つれないゾラ……」
ナビィ「嫌がられはしないと思うよ! だってリンクは勇者なんだもん」
リンク「勇者……か、ははは。俺、本当に勇者らしくなれるのかな」
ナビィ「なってきてるよ! リンクならきっとハイラルを救えるよ!」
リンク「そっか」
リンク(俺ならきっと、か)
リンク(……大丈夫、きっとやれる)
マロン「そうなの……牛たちに乱暴はして欲しくないのに全然大切にしてくれないし」
マロン「馬も……ただのお金儲けの道具としか見てないみたいで」
マロン「ここまま、魔王に従い続けるのかと思うと、私……」
リンク「……」
リンク「俺がきっとどうにかしてみせるよ! インゴーさんの目を覚まさせてみせるから!」
ナビィ(リンク……頼もしくなって)
ナビィ(このままこの調子が続いてくれれば良いのだけれど)
リンク(多分内側に回った方が有利だ)
リンク(もし追い抜かされても、隙を狙ってコースの内側から追い抜き返せば多分勝てる!)
二回戦目
リンク「 負 け た 」
ナビィ「早かったもんね……でも何回でも挑戦しようよ!」
リンク「そうだね! 俺めげないよ!」
リンク「スタートダッシュマジ大事」
インゴー「ガノンドロフ様に献上するはずの馬をよくもおおおお」
リンク「エポナは俺にしか乗りこなせないよ! なんせ暴れ馬だからな!」
リンク「というか可愛い女の子にあんなゲルドの大男が乗ること自体おかしいって」
リンク「エポナはメスだもんなー俺が好きなんだもんなー」ナデナデ
エポナ「」スリスリ
リンク「閉じ込められたのに華麗にジャンプで脱出。マジかっこよくね?」
ナビィ「カッコ良いカッコ良い!」
インゴー「少しくらい欲望持ったっていいじゃねえかよ……」
リンク「ああ、つらかったんですね……」
リンク「でも、昔通り真面目に仕事をすればきっと報われますよ!」
リンク「人々を苦しめている魔王に従うのはやっぱり良くないです」
インゴー「うう……」
リンク「ねえ、ナビィ」
ナビィ「何?」
リンク「インゴーさんがマロンと結婚して牧場を継げば何もかも解決じゃないか?」
ナビィ「年の差大き過ぎない?」
リンク「そうなの? コキリ育ちだから、外の世界の年齢感覚がつかめなくて……」
リンク「あ、うん。でももし無理なら野宿するけど」
マロン「牧場を救ってくれたのに、野宿なんてさせるわけないでしょ!」
マロン「だから、その…………」
リンク「……?」
マロン「頑張って料理するね! ロンロン牧場の牛乳を使った料理はほんとおいしいんだから!」
リンク「ほんと? やった! 旅をしていたら硬い干し肉を食べることがどうしても多くなるからさ」
リンク「手料理はありがたいよ」
リンク「世話になったよ。ありがとう」
マロン「ううん。……また来てね」
リンク「近くを通ったら寄るよ。じゃあまた!」
マロン(結局何もしないまま行っちゃった)
マロン(私の王子様……だと思ったんだけどなあ)
リンク「マロン、顔を赤くすることが多かったけど一体どうしたんだろ?」
ナビィ「このニブチン!」ポカッ
リンク「いてっ! 何するんだよナビィ」
ナビィ(まあ、間違いを起こさなかっただけ良かったかな)
ルト「おおリンク、生きておったゾラか!」
リンク「ルト、久しぶりだね」
リンク(相変わらず全裸……恥ずかしくないのかな)
リンク「ねえナビィ」
ナビィ「どうしたのリンク」
リンク「この神殿、いまいち方向感覚がつかめないんだけど」
ナビィ「うん……苦しいね、ここ」
リンク「やばい。次何処行けばいいの」
ナビィ「しらみつぶしに探索しよう」
リンク「ルトは何処に行ったんだよ……」
ナビィ「素早く上のリフトに上がるのよ!」
リンク「ちょ、照準合わない! やばい!」
ナビィ「流される前に早く!」
リンク「急かさないでくれええええええ!」
ナビィ「扉はあるけど鉄格子で守られてるね……あれ? リンク……」
リンク「どうしたの?」
ナビィ「影が……リンクの影が消えてる……」
リンク「え……? ?だろ……? 俺死んじゃったの……!?」
ナビィ「どうしよう!リンクが死んじゃったら世界は終わりだよ!」
リンク「まじやばい! うわ俺いつの間に死んだんだよ自覚ねえよおおおおおおおまだ回復の妖精だってあるのに!」
リンク「ぐすっいやだぁ……俺死にたくなかったよお……」グスグス
ナビィ「リンク、泣かないで……って、あれ? あの木の下に誰かいる?」
ダークリンク「くくく……」
リンク「真っ黒で目だけが赤く光ってて怖いけど……」
ナビィ「モンスターの気配がするよ! こいつ、モンスターだよ!」
ダークリンク「俺はダークリンク。お前の影だ」
リンク「俺の……影?」
リンク「なら俺、死んだわけじゃなかったんだ。良かった……」
ダークリンク「安心してる暇はないぜ!」シャキン
リンク「うおっ!」
ダークリンク「その扉をくぐりたければ、自分自身を倒すんだな!」
ブンッ キィィィン!
リンク「くそっ真似ばっかしやがって!」
ダークリンク「言っただろ? 俺はお前の影だ」
リンク「でもハンマーは持ってないみたいだな!」ゴンッ
ダークリンク「ゴフッ」
リンク「地面の中に落ちた?」
ナビィ「リンク、後ろ!」
リンク「っ!?」
ダークリンク「油断大敵だぜ? くくっ」
リンク「俺より声が低くてかっこいいのがむかつく」
あれステータスまで同じなのか
リンク「壁を背にすれば、俺の背後をとれないためどうやら奴は木の下から復活するらしい」
ナビィ「良く気付いたね!」
ダークリンク「くそっ……なあ、時の勇者さんよぉ。おかしいと思わねえか?」
リンク「な、何をだよ」
ダークリンク「いきなり七年間という大事な大事な時間を奪われ、一人で扱き使われて」
ダークリンク「故郷に帰っても、誰もお前が誰だか気付かない」
リンク「っ……」
ダークリンク「危険な仕事は全部お前に任せてさぁ、一緒に戦おうとする奴は一人もいないなんて明らかにおかしいだろ?」
ダークリンク「まあ仲間と言えば精々その妖精くらいか」
ダークリンク「本当にガノンドロフの支配から逃れたいなら、お前一人に押し付けず、旅に協力しようとする戦士がいるのが普通じゃないか?」
ナビィ「リンク、耳を貸しちゃだめ!」
ダークリンク「だってそうだろ? 大人っつってもまだ10代のガキだ」
ダークリンク「何で誰もお前を助けようとしないんだろうな?」
リンク「俺は選ばれた勇者だから、頑張って戦って、ハイラルを救わなくちゃいけなくて……」
ダークリンク「一人でもか? 孤独でもか?」
リンク「俺は一人じゃない!」
ダークリンク「お前は一人だ。どんなに頑張って表現したって一人と一匹だ」
ナビィ「馬鹿にしてるの!?」
ダークリンク「この国の民はな、他力本願なんだよ。そんな奴等に助ける価値なんてあるのか?」
ダークリンク「帰る場所すらないお前に、本当にこの国を救えるのか?」
ダークリンク「どうなんだよ、時の勇者さんよぉ……?」
ナビィ「リンク、惑わされないで! これは罠よ!」
ダークリンク「どうしてそんなに自分の気持ちがわかるのかって顔してるな」
ダークリンク「言っただろ? 俺はお前の影だって」
ダークリンク「器だけじゃない。お前の心の闇そのものなんだよ」
リンク「あ……ああ…………」
リンク(気にしないように、してたのに)
リンク(忘れようと、してたのに)
リンク「僕は、僕は…………」ガクガク
ダークリンク「怖かったよな、苦しかったよな、寂しかったよな」
ダークリンク「弱虫のお前に無理矢理仕事押し付けた奴等のことなんて忘れちまえよ」
ナビィ「リンク、リンク!」
ダークリンク「あいつらはさ、お前をただの道具だとしか思ってないんだよ。自分達が救われるための道具だって」
リンク「やめ……て……くれ……」
ダークリンク「こっちに来いよ、心の闇に身を任せちまえ」
リンク「……い…………」
ダークリンク「何なら俺が今此の場で楽にしてやるよ。そしたら俺こそが本物だ」
リンク「うるさいうるさいうるさい!」
ナビィ「来ないでダークリンク!」
ダークリンク「へへ……」シャキ
リンク「う……うぅ……ぁぁぁ……」
シーク「――――リンク!」
リンク「しー……く……・?」
シーク「心の闇を、倒すんじゃない。受け入れるんだ」
リンク「でも、僕は、僕は……」
シーク「……君には、あまりにも重すぎる運命を押し付けてしまった」
シーク「だが、君にしか成しえないことがあるんだ」
ダークリンク「チッ……」
シーク「自分を人生を顧みるんだ」
シーク「……助けたい者や、助けたかったのに助けられなかった者が、いるだろう」
リンク「…………」
リンク「……俺には、ナビィ以外の協力者なんていらない。自分から求めなかったんだ」
リンク「いや、仲間は欲しかったけど、巻き込みたくなかったんだ」
リンク「だから俺は、ナビィと賢者達がいればまだ戦える」
ダークリンク「や……めろっ……」
リンク「帰る場所がないなら探せば良いさ!」
ダークリンク「自分から戦おうとしない奴等のために……お前自身を犠牲にしようってのか!?」
ダークリンク「お前を! 俺を!」
ダークリンク「やめろっ!」
リンク「大体、戦う力を持った男とかは僕が寝てる間にかなり死んじゃったらしいから仕方ないし……」
リンク「そりゃ、あまりにも理不尽な人生で何もかも投げ出したくなったりはするけど」
リンク「その感情も、抱えて生きていかなくちゃいけないんだ!」
ダークリンク「やめ…………」
リンク「お前がここにいるのは、僕が自分の汚い部分を拒絶したからだと思う」
リンク「だから、僕はお前を……迎え入れる!」
ダークリンク「ちく、しょう…………勇者らしくなりやがって……」
リンク「……はあ」
ナビィ「やったよリンク!」
シーク「いや……君一人に使命を負わせてしまった事は事実だ」
ナビィ「私もいるよ!」
リンク「俺、頑張るよ。俺も人間だからさ、思わず見返りが欲しくなったりすることがあるんだ」
リンク「それもあって勇者に向いてないんじゃと思ったこともあった」
リンク「けど、俺は勇気のトライフォースに選ばれたんだ」
リンク「何の意味も無しに、選ばれるはずはない」
リンク「……デクの樹サマは、俺が宿命を負っていることを感じたから育ててくれたらしいけど」
リンク「理由がどうであれ、大切にしてもらったことは事実だし」
リンク「…………デクの樹サマを助けられなかったのは、本当に悔しかったし悲しかった」
リンク「だから、俺は後悔しないように、皆のために戦う」
リンク「え? うわああああ痛い痛い!」
リンク「あ……でもマッサージされてるみたいでちょっと気持ちい」
ナビィ「早く抜け出して!」
リンク「はいはい」
ナビィ「あっ……///」
リンク「? どうしたの?」
ナビィ「……自分の体を見てみて」
リンク「? うわああああ全裸になってるう! まさか服が下着ごと全部食べられるなんて!」
ナビィ「やだ……変態みたい」
リンク「俺そんなんじゃないよ…・・!」
リンク「コイツの核、壁の隅に追い詰めたらすぐ倒せたよ」
リンク「触手に捕まった時はどうしようかとおもったけど」
ナビィ「水が干上がっていくよ!」
リンク「このプールの中の水、全部あいつの体だったんだ……」
リンク「じゃあ俺あいつの体の中泳いでたの? やだなあ」
リンク「ねえナビィ、夫婦の契りって?」
ナビィ「まあまあ」
リンク「宿命を負ってるのは俺だけじゃない。賢者達だって、元の世界では生きられないっていうとても苦しい運命を背負ってるんだ」
リンク「俺ばっか弱音吐いてちゃだめだよな」
ナビィ「でも、愚痴くらいなら聞くからね!」
リンク「ありがとう、ナビィ」
ナビィ「急ぎの旅ではあるけど、ストレス解消にちょっとだけ釣堀い行こっか」
リンク「え? 良いの!? やったあ!」
ナビィ「勇者の心が死んじゃったら元も子もないからね」
釣堀
リンク「ねえねえナビィ、あそこ、水面に少し木が出てる所があるでしょ?」
ナビィ「うん」
リンク「あそこに上って釣ってみてもいいかな?」
ナビィ「足を滑らさないようにね」
リンク「あ、ちょうどすぐそこにおっきいのがいる!」
リンク「村が……燃えている!?」
ナビィ「大変!」
シーク「下がっていろ、リンク」
リンク「一体何が……」
シーク「っ!? うわぁぁぁああああ!」」
ナビィ「シークが揺れてる廻ってる!?」
リンク「魔物がいるのか!?」
リンク「ってちょ何これ不気味怖い!」
リンク「あれ……俺、倒されちゃったのか。参ったな」
シーク「リンク……聞いてくれ。井戸の底に封じていた魔物が復活したんだ」
シーク「以前まではインパの力で封じていたのだが……」
リンク「封印が解けたのか」
シーク「彼女は再び封印をするために闇の神殿に向かったが、このままでは危険だ!」
シーク「この村は僕がなんとかする。どうかインパを助けてくれ!」
リンク「わかった。必ず助ける!」
ナビィ「ああ……」
――――――――七年前
リンク「この家荒れてるけど空き家かな……?」ギイィ
ナビィ「リンク、勝手にはいっちゃだm」
リンク「うわあああ大スタルチュラだうわあああああ!!」キンキン
クモ「シェギャァァアア」クルクルクル
リンク「うわあああああああ」
――――――――
リンク「そういえば、『女の人の隠れた穴に反応して震える悶え石』っていうのを20匹倒した後で貰ったんだけど」
リンク「一体どういう道具なんだろ?」
ナビィ「そんな怪しいもの貰ってたの!? ダメ! 捨てなさい!」
リンク「えー……」
リンク「七年間を奪われたって、ダークリンクは言ってたけど」
リンク「普通に七年前に戻れるんじゃんか」
ナビィ「さあ、はやくカカリコ村に行きましょ!」
おじさん「まわる、まわる……あれ、まわりすぎ?」
リンク「どうして風車が早く回ったら井戸が涸れるの?」
ナビィ「村にそういう仕組みがあるんでしょ」
リンク「どういう仕組みかって聞いてるのに……」
リンク「……ここ、何だか怖くない?」
ナビィ「怖くない怖くない!」
リンク「いかにも幽霊系の魔物が出てきそうだし!」
ナビィ「この部屋に漂ってる魂の声……」
ナビィ「『まことの目を求めよ』だってさ」
リンク「やっぱり成仏できずに霊が漂ってるの!? いやだあああああ」
ナビィ「シャキッとしなさい! ほんとは私だって怖いんだから!」
リンク「嫌だあああ手を放してよおおおお!!」
ナビィ「きゃあああ!」
リンク「顔恐い顔恐い! 何で手に捕まらないと出て来ないんだよ!?」
ナビィ「爆弾とかでおびき出せないかなぁ」
リンク「こいつの見た目が無理! 怖い! やだ!」
リンク「わっ!? 変なところまで掴むなよ! くすぐったい!」
ナビィ「早く手から逃れないと攻撃されるよ!」
ナビィ「ナビィもちょっと……精神的に来てる……」
ナビィ「まあ、マスターソードを抜けば、刺した直後の時間に行けるわけだしちょっとくらいゆっくりしても良いと思うの……」
リンク「宝箱屋でズルして罪悪感」
ナビィ「まあ……うん」
お面屋「信じなさい……信じなさい……」
ナビィ「……新興宗教?」
リンク「お面教?」
リンク「井戸の底みたいな、怖い死んでんじゃなければ良いんだけど」
ナビィ「……いかにも怖そう」
目が光っている壁「闇の神殿……それはハイラルの血塗られた闇の歴史……欲望と怨念の集まりし所……」
リンク「やっぱ無理っ……いやみっともなく叫んだりはしないっ」
デドハンド「ショギャァァアアア」
リンク「またこいつかよおおおおおおおおおおおうわあああああああ」
ナビィ「なかなか癖って治らないものね」
リンク「針付きの落ちてくる天井もあるし」
リンク「ここ、神殿と言うより牢獄だったんじゃ……」
ナビィ「この美しいハイラルの裏側、闇の歴史をギュギュっと詰め込んであるのよ……」
リンク「一体何があったんだよこの国……」
リンク「わっ船の上でスタルフォスとかマジねーよ!」
ナビィ「頑張って!」
リンク「水の中に落としてやる!」ボシャン
ナビィ「あら上手」
リンク「スタルベビーも水が苦手だったから、もしかしたらこいつらもかなって」
リンク「ってやばいこの船沈む沈む!」
ナビィ「さあ……見られるのが恥ずかしいんじゃないかな?」
※C↑を押すと奴は消える
リンク「いきなり左右からトゲが生えた壁が迫ってくるとかマジビビった……」
ナビィ「七年間のリンクなら確実に挫折してたね」
リンク「足場安定しないしまともに弓矢使えないよおおお」
リンク「ホバーブーツ履いても上手くいかないし!」
ナビィ「縁の方はまだ振動が弱いわよ!」
リンク「もう片方の手を狙ってたら先にはたかれた……」
リンク「ってかまことのメガネであいつの姿見たらマジグロイやばい攻撃したくない」
ナビィ「我慢! ナビィだって我慢してるんだから!」
リンク「何で首に目が埋め込まれてるんだよ……」
リンク「本当に……!?」
ナビィ「いったいどこにいらっしゃるのかしらね」
リンク「今は分からないけど、きっとまた会える! 希望が湧いてきたよ」
村人A「あ、リンクだ!」
村人B「勇者様!」
村人C「村を救ってくださってありがとうございますありがとうございます……」
リンク「怪我人とかって……」
子供「軽い火傷を負った人はいるけど大丈夫だよ!」
リンク「そっか……良かった」
リンク「いや、当たり前のことをしただけだし」
ナビィ「『一晩中水に浸かって、風邪ひいてぶっ倒れていた小僧がよくここまで成長したものだ』って、褒められてたね!」
リンク「褒め言葉だったのかな、それ……」
リンク「君とって、インパは特別な存在なの?」
リンク(いつもは冷静なのに、けっこう必死に頼んでたし……)
シーク「……いや、ハイラルを救うために必要だったから君に頼んでいただけだ」
リンク「…………そっか」
リンク「大工の仲間はこれで全員助けたんだよね?」
ナビィ「うん!」
リンク「また捕まってたりして」
ナビィ「……可能性が無いとは言い切れないけど」
ゲルド「お前、なかなかやるじゃないか」
ゲルド「どうだ、一晩……」
リンク「え……」ドキッ
ナビィ「……まだ知らなくて良い事よ」
ナビィ(いや、もしかしたら教えた方が良いのかもしれないけど)
ナビィ(歪んだ理解をして、リンクが変な子になっちゃったら困るし……)
リンク「えー教えてよー!」
ナビィ「…………」
リンク「にしても、何回矢で討っても復活するゲルドの女の人達ってすごいね!」
ナビィ「ああ……そうね」
いや何でもない
たまに城下町へボーイハントしに行くってゴシップストーンさんが言ってた
まことのお面・・・!!
確かにそんなこと行ってたな!夢が広がりんぐwwww
>>1の時オカ愛が素晴らしい
ナビィ(他の種族の良い男を狙うのよね……それで純粋なゲルドの子が生まれるから不思議)
リンク「会員証貰ったら、あの毒々しい赤いスープ飲ませてもらえたよ」
※バック転で中に入るとルピーが手に入る。ゴロンの服を着ればダメージを受けずに済む
ナビィ「えっ……おいしかった?」
リンク「香辛料が多くて辛かったけどなんとか食べれた」
リンク「にしてもさ、感謝してもらえるって嬉しいね」
リンク「村の人達や、大工の人達から感謝してもらえて、俺嬉しかった」
リンク「頑張って戦って良かった」
ナビィ「そう……」
読んでて楽しいよ>>1
リンク「うわああ幽霊……って、道案内してくれるみたいだ」
ナビィ「ついていきましょ!」
巨大邪神像
ナビィ「あれ? あそこ、ひび割れしてる……」
リンク「爆弾で壊してみようか」
リンク「相変わらず大妖精は美人だなあ」
ナビィ「う、うん、そうね」
リンク「ネールの愛GET」
ナビィ「うん」
リンク「……魂の神殿ってさ、いかにも幽霊出そうな名前じゃない?
ナビィ「ああ……まあ闇の神殿みたいな雰囲気ではないし行ってみようよ」
ナボール「もしとって来てくれたらさ……イイコトしてやるよ!」
リンク「うん!」
リンク「ねえナビィ、イイコトって何かな?」
ナビィ「う~ん……何だろうね?」
ナビィ(健全な内容なら良いんだけど……)
ナビィ「普通の魔物ならもう怖くない?」
リンク「怖いけど、ちゃんと戦えるよ」
対アイアンナック
リンク「こいつ攻撃力やばい! マジやばい!!」
ナビィ「一撃一撃が重い代わりに隙が大きいわ! 斧が床に刺さってる時を狙って!」
ケポラ「リンクよ、お前はすっかり勇者の風格を身に……付けたな?」
リンク「疑問形だと自信なくすんだけど……」
ケポラ「この先、お前の勇気にハイラルの全ての民の未来がかかっておる」
リンク「わかってるからプレッシャーかけないで……!」
ナボール「アタイを何処へ連れて行く気だい!? 放せっ!」
ナビィ「!? 今の声は!」
ナボール「てめえらっガノンドロフの一味だなっ!」
ナボール「リ、ンクっ……逃げろ!」
リンク「ナボール! 渦みたいなのに飲み込まれてるよ! 助けないと……」
ナボール「こいつら、妖しい魔法を……」
ナビィ「……一歩遅かったみたいね」
リンク「くそっ……!」ダンッ
リンク「助け……られなかった」
リンク「七年寝るんじゃなくて修行した方が強くなれるよね俺」
ナビィ「まあそうだけど……眠っている間は安全だから、保護の意味もあるんじゃないかしら?」
リンク「ナボール……この神殿の何処かにいるはずなんだ……」
スイッチ「我に光を!」
リンク「やっぱりこのスイッチ悪趣味だよなあ」
コウメ「ヒッヒッヒ……そのようですねぇ、コタケさん」
リンク「こいつら、ナボールを連れ去った……!」
ナビィ(コマツさんはいないのかしら……?)
リンク「またアイアンナックだ……でも、今は大人だから、もっと上手く戦えるはず」
ナビィ「でも、普通の敵じゃないみたい……」
リンク「ナボール!」
コタケ「おや、おや……正気に戻ってしまったようですよ、コウメさん」
コウメ「たかが小娘とは言え、こいつを慕う輩もいますからね、コタケさん」
コタケ「もう少し、ガノンドロフ様の役に立ってもらいましょう……ホッホッホ」
コウメ「ではもう一度、洗脳し直してあげましょう……ヒッヒッヒ」
シュバッ
ナボール「キャァァアアア!」
リンク「あっ……」
ナビィ「消えちゃった……」
リンク「嘘だろ……ちくしょう!」
リンク「あいつら……絶対倒す!」
リンク「攻撃が直撃したり、床に当たったりしたらかなり危険だけど」
リンク「ミラーシールドで受ければ平気だ!」
第二形態
リンク「が、合体した……!?」
ツインローバ「セクシーダイナマイツアタ~ック!」
リンク「ねえナビィセクシーってどういう意味!?」
ナビィ「そんなこと言ってる場合じゃないでしょ!」
リンク「な、なんかその姿だと切りづら」
ナビィ「倒すんでしょ! 躊躇わないの!」
リンク「躊躇いはしてないけどさ!」
リンク(何か変な声も出してるし女の人ってわけわかんないよ!)
ナボール「あの時の約束……守ってやりたかったね……」
リンク「結局イイコトって何だったんだろう……」
ナビィ(逆にほっとした……)
リンク「ついにガノンドロフとの決着を付ける時が来た、か……」
リンク「……俺、勝てるかな?」
ナビィ「勝てるよ! そう信じなきゃ何もできないよ!」
リンク「……そうだね! よし、ラウルが言っていた通り、時の神殿に行こう!」
リンク「…………俺を待ってる人、かあ」
リンク「シーク?」
シーク「リンク……よく、数々の苦難を乗り越え、六賢者を目覚めさせてくれたね」
リンク「俺を待ってる人って……君?」
シーク「…………ついにガノンドロフとの対決の時を迎えようとしている」
シーク「だが、その前に……君だけに話しておきたいことがあるんだ」
シーク「シーカー族に伝わる、神話を……」
シーク「奴は、残りのトライフォースを持つ二人の人物を探し始めた」
シーク「一人は、勇気のトライフォース宿りし者、時の勇者リンク」
シーク「そしてもう一人……知恵のトライフォース宿りし者」
リンク「……まさか」
シーク「賢者の長となる、七人目の賢者……」
リンク「トライフォースが光って……!」
ゼルダ「この私……ハイラルの王女、ゼルダです」
リンク「…………!」
リンク「せっかく……せっかく再会できたのに!」
リンク「ガノンドロフに連れ去られるなんて……くそっ!」
ナビィ「助けに行こう!」
リンク「ああ! ……あいつ、俺が戦って来られたのは、俺の力じゃなくて勇気のトライフォースの力だって言ってた」
リンク「……すっげー悔しい」
リンク「あいつを倒して、ゼルダを……そしてハイラルを救ってみせる!」
ナビィ「一体ずつ倒しましょ!」
リンク「……ごめん。二体とも目を覚ましちゃったみたい」
ナビィ「え」
リンク「やばいやばいやばいやばいやばい!」
リンク「はあ、はあ……」
ナビィ「もう……もうすぐ敵の親玉と戦うんだから、体力は温存しなきゃだめだよ!」
リンク「ごもっともです」
…………
ガノンドロフ「返してもらうぞ!」
リンク「トライフォースを渡すものか!」
リンク「ハイラルも、トライフォースも、お前が好き勝手にして良いものじゃない!」
リンク「奪われた物を取り戻すのは……こっちだ!」
リンク「つらかったら離れてて! 大丈夫、俺一人でもなんとかするさ!」
ナビィ(リンク……立派になったんだね)
ナビィ(もう、ナビィがお世話しなくても大丈夫なくらいに……)
リンク「やばいやばい五連発打ち返しきれない!」
ナビィ(やっぱだめかも……)
リンク「何で血が緑色なんだ!?」
リンク「ガノンドロフって虫!? 虫だったのか!?」
ナビィ「ああ、うーん……」
リンク「血が銅でできてるのかな……」
ナビィ「それよりはやく脱出しよう!」
リンク(シークの身体能力があるなら、もっと早く走れないのかなゼルダ……)
リンク「いてっ!」
リンク(ゼルダのすぐ後ろに付いていったらやけに瓦礫が落ちてくるし)
リーデッド「キイィィィイイイイイ」
リンク「やばい動けないうわあああ」
ナビィ「頑張ってリンク!」
リンク「こいつを回避する方法無かったの!?」
ナビィ「気合よ気合!」
※タイミングに合わせて回転アタックすれば逃げられる
ナビィ「ナビィもう逃げない! 一緒に戦う!」
リンク「ナビィ……無理はしないでくれな!」
リンク「こんな醜い姿に……トライフォースが暴走すると俺もこうなるのかな」
ナビィ「リンクはそんなことにはならないよ!」
リンク「くそっ……弱点どこだよ!」
リンク「ん、尻尾だけ色が明るい……よし」ザンッ
ナビィ「やった 効いてるよ!」
リンク「これが……最後の一撃だ!」
ガノン「ギャァァアアアアアア」
リンク「終わっ…………た…………」
リンク「これで、全部……」
ゼルダ「時の扉を閉ざせば、時を旅する道も閉ざされてしまいます」
ゼルダ「……ですから、どうか七年前に帰り、失った時間を取り戻して」
ゼルダ「貴方がいるべきところへ……貴方があるべき姿で」
帰りたくない気持ちと、七年間を取り戻したい気持ちの両方があった。
七年前に戻って、俺のやってきたことの結果が見えなくなったって、ナビィがいればきっと楽しく旅ができる。
そう思ってた。
なのに
どうして消えちゃったんだよ、ナビィ
俺、ナビィがいなくても旅をするよ。
というより、君を探すための旅なんだけどさ。
リンク「ねえナビィ、俺さ、あいつと……ガノンドロフとは、言いようのない因縁を感じたんだ」
リンク「きっとあいつはいつか復活して、再びハイラルに厄災をもたらすだろう」
リンク「こっちの世界でだって、例え俺が時のオカリナを持ってこの国を離れても、何らかの形で奴はトライフォースを手に入れるんじゃないだろうか」
リンク「なんの根拠もないけど、なんとなくそう感じるんだ」
リンク「七年後の世界のトライフォースは俺の手から放れたのに、俺には新しくこっちの世界のトライフォースが宿っていた」
リンク「これこそ、俺とあいつとの因縁の証なんじゃないかなって思うんだ」
リンク「でも、本当にガノンが復活したとしても俺は何度でも戦うよ」
ナビィ『リンクを見てたら、そうじゃないなって思えるようになったんだよ』
ナビィ『恐れを知った上で、必死に振り絞った勇気こそが本物なんじゃないかなって』
ナビィ『リンクにいろいろ教えてあげるはずが、ナビィがリンクからいろいろ教わっちゃったよ』
リンク「エポナ、俺と一緒に来てくれる?」
リンク「ナビィを探すんだ!」
END
リンク「ねえエポナ、俺さ、ナビィがいなくなった理由を仮定してみたんだ」
リンク「そのいちー!」
リンク「大妖精に昇格が決まった!」
リンク「ナビィなら、きっと他の誰よりも可愛い大妖精になれるよ!」
リンク「う~ん、でもナビィが大妖精になる理由ってあるのかな?」
リンク「七年後の功績も、こっちの時代じゃないことになってるし」
リンク「やっぱり可能性低いかな?」
エポナ(いつもナビィと喋ってたから、誰かと話してないと落ち着かないのね……私もリンクと会話ができたらなあ)
リンク「命が尽きた」
リンク「最終決戦で、ナビィは無理に闇の波動に耐えて戦ってくれた」
リンク「もし、その闇の波動が、妖精の命に係わるほど有害なものだとしたら……?」
リンク「………なんだろう、ありえそうで怖い」
リンク「もし、このまま旅をしても見つけられなかったら……」
リンク「やだよ……そんなのやだぁ……ぐすっ」
リンク「この説は考えないでおこう」
リンク「安心して隠居生活開始!」
リンク「俺がちゃんとした勇者になれたからナビィもほっとして休んでるんだ」
リンク「……それなら一言くらい伝えてから去るよなあ……」
リンク「まあ考え込んでても仕方ないや」
リンク「エポナ、森も深くなってきて足場も悪いけど大丈夫?」
リンク「いつか、またナビィと再会できますように」
おやすみ
久しぶりにゲームやりたくなっちゃうじゃねえか…
久しぶりに時オカやりたくなった
リメイクって結構オリジナルと変わってんのかな
ヒントくれる石が各所に配置されただけで全然変わってない
裏ゼルダもあるからお得
64は初期版しかやってなかったから3DSのはある意味新鮮だった
微妙に変わってるけどほとんど一緒
3DS版の方が、デクの樹サマの周りのゴシップストーンの所に行きやすくなってる
Entry ⇒ 2012.09.30 | Category ⇒ 版権物SS | Comments (0) | Trackbacks (0)
リンク「マスターソードから誰か出てきた……」
リンク「誰なんだ一体」
ファイ「申し遅れました、マスターソードの精、ファイと申します」
リンク「『退魔の剣』って呼ばれたこの剣に精なんて居たのか」
ファイ「この剣の所有者、つまりマスターが存在する限り、ファイは存在します」
リンク「そうなのか……つまり、俺よりも前にも所有者が居たと」
ファイ「イエス、初代マスターから数えて貴方は、2代目です」
リンク「2代目……ちなみにその初代マスターと最後に話したのはいつなんだ」
ファイ「ファイは長い眠りについていました。様々なことがあり、大地は育ち、国が出来、やがて『退魔の剣』と呼ばれるようになったのはつい最近のことです」
リンク「どれくらい眠ったか覚えてないのか」
ファイ「その確率が95%、いずれ思い出すかもしれません」
リンク「途方も無い話しだな、まず……俺はなんで成長したんだ?」
ファイ「それは、賢者が説明してくれます、それではマスター暫くファイは、マスターソードにて眠ります、何かありましたら十字キーの下を押してください」
リンク「あ、ちょ、おい!賢者って……」
ラウル「目覚めたかリンクよ」
リンク「えっと、十字キー下だっけ、パートナー二人になったな」
ナビィ「心強いよね、マスターソードの精なんて」
ファイ「お呼びでしょうかマスター」
リンク「話しの続きをしたいんだけど」
ファイ「イエス、マスター。賢者にてマスターは使命を聞いたとファイは把握しております」
リンク「この世界の何を知っているんだ、君は」
ファイ「ハイラル国家が創られる前の時代からです」
ナビィ「凄い、それって……リンク歴史得意?」
リンク「さっぱり、昔コキリの森でデクの木様がハイラルの歴史とか話してくれたけど、あんまり覚えてないなぁ」
ナビィ「リンクって居眠りしてそうだもんね」
ファイ「マスター、今後の為にも歴史について把握しておきますか?」
リンク「7年後にもなって知識が子供ってのもなぁ、お願いするよ」
ファイ「イエス、マスター」
リンク「それはデクの木様から最近聞いたから覚えてるし、さっきも少し聞いたな」
ファイ「その女神こそが、黄金の大三角、トライフォースを作り出しました、しかし女神自身はその力を使うことは出来ません」
リンク「自分で作ったのに自分で使えないのか」
ファイ「イエス、マスター。女神は、最初『空』にトライフォースを隠しました。正しき人が使うように、女神は試練を与えて」
ファイ「その試練を乗り越えた人物こそ、初代マスターです」
リンク「本当に途方も無い話しだな、空になんて、今飛んで行けるのはゴシップストーンくらいだろ」
ファイ「そして、マスターソードとして確立したのもその時です。マスターソードは女神の剣でした、しかし初代マスターがマスターソードへと進化させたのです」
リンク「そりゃ、その時のマスターには感謝しないとな。そのおかげで、賢者復活、魔王討伐の可能性が出来上がったんだから」
ファイ「イエス、マスター。ファイはマスターが台座から剣を抜いた時に覚醒をしました、しかし覚醒をしてみて、見てみたらとても幼い少年」
ファイ「その時、ファイは一時的にマスターを封印することが出来ました」
ファイ「7年もの封印です。これは初代女神様に使ったものと同じもの……」
ナビィ「私も?」
ファイ「イエス、貴方もです」
リンク「一瞬の出来事にようにしか思えない」
ガノンとかゼルダが全作品に出てくるのは何故なんだぜ?
ガノンは同一人物
ゼルダはSSから初代まで転生し続けてるとかなんとか
リンク「ふーん……」
ファイ「まだ続きを聞きますか?」
リンク「ああ、もうちょっとだけ」
ファイ「イエス、マスター。ハイラルという地には女神の恩恵を受けている地なのです。まずマスターソード、そして賢者が居ることにより安定をしている」
ファイ「ファイが得た情報によりますと、現在ハイラル国家を手にした『ガノンドロフ』はゲルド族の住人、外部の人間こそがこの地を不安定にさせている確立が90%」
ファイ「しかし、その不安定を安定させるのが、マスターなのです」
リンク「ラウルの言ったような感じかぁ……とにかく、今は賢者を復活させないと行けないんだよな」
ファイ「イエス、マスター。先ほどの『シーク』という男が言っていたようにカカリコ村に次に進む為の道具がある確立75%」
リンク「それじゃあカカリコ村に向かうか」
ナビィ「り、リンク、ナビィも忘れないでね!」
リンク「もちろんだ、しっかりターゲットよろしくな」
ナビィ「うん!」
ファイ「マスター、マスターソードがガノンドロフの魔法を跳ね返す確立が95%」
リンク「そうか、じゃあファントムガノンと同じようにやればいいんだな」
ファイ「イエス、マスター。ご検討を」
リンク「ああ!」
そして、トドメの一撃。
ガノン城は崩れだし、ゼルダとリンクは外へと向かう。
行く手を阻む物も蹴散らしながら、外へと到着。
力のトライフォースの暴走により―――
リンク「やっぱりまだ終わりじゃないか」
ファイ「しかし、これが本当の最終決戦である可能性が85%。気を引き締めていけばマスターは必ず勝てます」
リンク「おう!」
パリーン
リンク「おわっ!?ファイ!!」
ナビィ「リンク!よそ見しちゃダメだよ!他の剣使わないと!?」
リンク「お、折れたナイフとコキリの剣しかない……」
ナビィ「だからダイゴロン刀にしよって言ったのに!」
ガノン「ぶぉぉぉおおおおお」
リンク「って今はそんな言い合いしてる場合じゃないって!!良いよハンマーで叩くから!」
ナビィ「そ、そっか!ハンマーもあったね!」
リンク「どりゃ!」
ガノン「ぶぁああああああ」
リンク「ナビィ、尻尾を狙えば良いんだな!」
ナビィ「うん!効いてるよ!!」
ガノン「ぶぎゃああああああ」
ゼルダ「リンク!マスターソードを!!」
リンク「分かった!!」
ファイ「暫しの間マスターの元に居られなかったことをお許し下さい」
リンク「いや俺が悪かったしな、盾かまえておけばよかったんだけど」
ガノン「ぶぉぉぉおおおお」
リンク「それじゃあトドメだ!!」
リンク「剣が光った!?」
ファイ「トドメを」
ナビィ「リンク!!」
リンク「うぉぉぉぉおおおおお!!!」
ザシュザシュパーン
ガノン「ぶひぃ……」
リンク「終わった、か」
――――――
―――
―
―
ファイ「マスター」
リンク「あれ、ここは……」
ファイ「マスターはこの世界においてやるべきことを果たしました、おめでとうございます」
リンク「そうか、本当に終わったんだな」
ファイ「これからゼルダ姫のオカリナで、時を超えます」
ファイ「イエス、マスター。マスターソードを時の神殿へと戻してください」
リンク「え、それって……」
ファイ「マスターの考えている通り、ファイはまた永い眠りにつきます」
リンク「それはダメだ!ガノンが死んだからと言って、また新たな悪が出てくるかもしれない!マスターソードはまだ必要なんだ!」
ファイ「……いいえ、仮に新たなる悪が現れたとしても、それは次のマスターのやるべきこと。マスターとファイがやるべきことというのは終わったのです」
リンク「そんな、ここでお別れなんて、嫌だ!」
ファイ「マスター、マスターは救われた世界で安息を過ごしてください。ファイは―――マスターと共に世界を救えたことを、以前のマスターに教わった『喜び』である確立が98%」
リンク「ファイ!」
ファイ「さようなら、マスター」
リンク「ファイイイイイィィイ」
――――――
―――
―
「……ンク……リンク……」
リンク「あ、れ……」
リンク「あ、ああ……ここは」
ゼルダ「ここは空の上。女神ハイリアが用意した、安息の地……私は女神の子孫として全てを思い出しました。この地に何があったか、魔王ガノンは生まれ変わりであることも」
リンク「……と言うことは、ここがスカイロフトがあった所?」
ゼルダ「それは分かりません、でもその剣が語ってくれたように、もう時の勇者リンクと退魔の剣マスターソードの役目は終わりました」
リンク「……さっきファイから聞いたよ」
ゼルダ「私が時のオカリナで、貴方を元の世界に戻します。そしたら……時の扉は開かずに、ガノンドロフを処刑してください。大丈夫、きっとこの出来事により元の世界の私も女神としての記憶が戻るでしょう」
リンク「分かった、必ずやってみせる」
ゼルダ「リンク……」
リンク「……」
ゼルダ「ありがとう……」
――――――
――――
――
―
ファイ「マスター、最後に……剣を台座に」
リンク「……分かった」
サクッ
ファイ「また永い眠りに……おやすみなさい、マスター」
リンク「おやすみ、ファイ……」
リンク「……」
リンク「……ナビィ?」
ナビィ「ごめんね、私も……行かないと」
リンク「ナビィ!?」
ナビィ「ばいばい、リンク。ありがとう」
リンク「な、なんでナビィまで!!??」
リンク「……そうか、これが時の勇者、か」
リンク「ゼルダに言われたことをしないと」
ゼルダ「ええ……私は全てを把握しました。リンク、またハイリアの地に戻ることはありますか?」
リンク「分からない、でも……それが時の勇者最後に使命だと思うから。ナビィをゆっくり探すよ。きっと、どこかに居るって信じてるから」
ゼルダ「分かりました、時の勇者リンク……あなたにこれを授けます。きっと、また……」
リンク「うん……エポナ、行こう」
――――――
――――
―――
――
―
ファイ「ここで少し解説をしましょう」
ファイ「ファイはこの物語上、時の勇者は勝利をし、魔族であるガノンは封印をされました」
ファイ「後にこれは封印戦争とされ、受け継がれていきます」
ファイ「しかし、封印戦争があったのは大人になったマスターが居た世界」
ファイ「封印戦争のあった世界と、封印戦争の無い世界が存在します」
ファイ「それにより……世界線は別れました、しかし」
ファイ「時間をも司るマスターソードにおいて、出来事などは全て共通化されます」
ファイ「敗北した世界を、ディンの世界」
ファイ「勝利した世界を、フロルの世界」
ファイ「封印戦争が無い世界を、ネールの世界」
ファイ「以後は、そのように語っていきましょう」
ファイ「この物語は、ファイの経験した物語……」
ファイ「最初に、時の勇者が敗北した、ディンの世界から、語りましょう」
※尚、木の実とか夢島とかはやってないから語れないし、初代とリンクの冒険はかじった程度なので、一つの物語しかファイは語ってくれません
ファイ「……承認しました、おはようございます、新たなるマスター」
リンク「うわっ!?な、なんだ……」
ファイ「マスターソードを抜くことにより、マスターソードの精であるファイは覚醒しました。ファイはマスターと共に使命を果たしていきます」
リンク「そ、そうか……とにかく今はアグニムがゼルダを闇の世界へ連れて行こうとしている!早く城へ行かないと!」
ファイ「イエス、マスター。ペガサスの靴を用いて、最速で城へと向かいましょう」
―――――
―――
――
アグニム「もう遅いんですよ、目の前で賢者が闇の世界へと連れて行かれるのを見ているがいい!!」
ゼルダ「リン……ク……」
リンク「やめろおおおおおお!!!」
プワァァァン
リンク「アグニムゥゥゥウウ!!」
アグニム「ではさようなら」
リンク「逃がすかぁ!!」
ファイ「マスター、奴の魔法弾を弾き返せる可能性が95%、これはファイの経験則です」
リンク「そ、そうか!よし、弾き返す!!」
アグニム「何っ!?」
リンク「自分の魔法にやられる気分はどうだ!?」
アグニム「ぐっ……き、貴様も闇の世界へと行ってしまえ!!!」
リンク「う、うわぁぁぁぁあああああ!!!」
「聞こえるか、リンク、サハスラーラじゃ。今リンクの居る世界は闇の世界、魔王が創りだした世界だ」
「賢者はそこの世界に封印されている、封印を解かない限り、元の世界も魔王に支配されてしまう」
「以下略」
リンク「これが闇の世界かぁ……」
ファイ「イエス、マスター。マスターは賢者の封印を解き、賢者の力で魔王討伐をしなければなりません」
リンク「賢者の中にゼルダも居る……助けないといけない」
ファイ「なるほど。少しばかり、世界は変わっているようですね」
ファイ「イエス、マスター。ファイはマスターソードの精、そしてマスターは3代目のマスターになります」
リンク「3代目……そうだったのか」
ファイ「初代マスターがマスターソードに仕上げ、2代目マスターは……この世界を終わらせてしまいました」
リンク「どういうことだ?」
ファイ「2代目がこの剣を手にした時に、ファイも同じように覚醒をしました。その時も同じように賢者は封印をされていて、封印を解いていったのです」
リンク「ふむ」
ファイ「そして、最終決戦……そこで、2代目マスターは息絶えてしまったのです」
リンク「……負けたってことか」
ファイ「イエス、マスター。同じように、その場に居たゼルダ姫も死亡。女神としての魂は転生されたようですが、魔王の支配下により転生されるのが遅れた模様」
ファイ「元盗賊であり、魔王ガノンドロフはトライフォースを手にし、この世界を手に入れました」
リンク「闇の世界を、か」
ファイ「イエス、マスター。そして、この世界も世界を支配する段階でしかありません。この世界に賢者の子孫を封印することにより、ガノンドロフの恐れているものが全て無くなります。
ファイ「つまり世界を支配しやすい環境である可能性が70%」
リンク「残りの30%は?」
リンク「ん、待てよ?2代目マスターとやらが死んだ時マスターソードはどうなったんだ?」
ファイ「魔王ガノンは退魔の剣を触れることすら出来ませんでした」
リンク「退魔の剣だもんな」
ファイ「イエス、マスター。よって魔王ガノンではこの剣を破壊することが出来なく、仕方なく魔王ガノンは深い深い森の中に封印をしました」
リンク「そうか、それで……3つの紋章を集めないとマスターソードは抜けなかったんだな」
ファイ「紋章を各地に隠したのは、魔王ガノン。それによりなんとか封印したようですが、今こうして封印は解かれ、魔王討伐をすべく体制が整っています」
ファイ「そして、マスターこそが勇者。真にトライフォースを手に入れるべき存在です」
リンク「……そっか、でもへブラ山に居た奴らも言ってたけど、その黄金の力を手に入れる時に争いが起こったみたいなんだ。みんな欲が強くてさ」
ファイ「その噂を広げた人物こそ魔王ガノン。いえ、その手下アグニムです」
リンク「そうか……ちょっとでも可能性のある人間を減らしたかったんだな」
ファイ「闇の世界へと誘い、人間を少しずつ封印していったようです」
リンク「やり方が遠まわしに見えるな……だけど、好都合か」
ファイ「イエス、マスター。それでは第一の神殿へと向かいましょう」
リンク「ああ!」
7人賢者の封印は解かれ、デスマウンテンの頂上にあるガノン城にてアグニムを撃破
ピラミッドの中に逃げ込んだガノンを追いかけ……
リンク「追い詰めたぞ魔王」
ガノン「ふはは!何を言っている、黄金の力を持つ者に勝てるわけがないだろう!」
リンク「それはどうかな、今ここには……退魔の剣と、銀の矢がある」
ガノン「なっ!?何故それを……!?大妖精は封印したはずだ!」
リンク「爆弾一つで開いたぞ、特注だけどな」
ガノン「ぐぬぬ……しかし、道具が揃ったとしても、使えなければ意味がない!」
リンク「ハートのかけら必死に集めたんだ!負けるわけないだろう!!魔法の薬だって用意した!!うおぉぉぉぉ!!!!」
討 伐 完 了
ガノン「……」バタッ
ファイ「さぁ、マスター……奥の部屋へ、トライフォースが呼んでいます」
リンク「……ああ」
「黄金の力を手に入れし者よ、願いを」
ファイ「マスター、どんな願いを?」
リンク「そうだな……平和な世界を。そして、この力は封印するのではなく王家で管理してくれ」
リンク「もう魔の手に落ちないように……」
ファイ「イエス、マスター。トライフォースが願いを叶えます……」
――――――
――――
――
―
リンク「おじさん!!」
おじさん「おお!リンク!!わ、私は一体どうなったんだ?世界は」
リンク「世界は救われたよ、平和になったんだ」
おじさん「平和に、そうか……オマエは本当に、勇者だったんだな」
リンク「おじさん?覚えてるの?」
おじさん「ああ、なんとなくだけどもな」
ファイ「マスター」
ファイ「森へと向かいましょう、ファイを……マスターソードを封印しに」
リンク「え、マスターソードも王家で管理をしないとダメじゃないか?」
ファイ「マスター、もしもの話をしましょう」
ファイ「今後トライフォースが何らかの形、王家での管理しきれない穴のようなもので暴走した時に」
ファイ「暴走をした手の中にファイ、つまりマスターソードが存在した場合」
ファイ「誰がその暴走を、止めるのでしょうか」
リンク「……そうか、そうだよな」
ファイ「イエス、マスター。この事については後ほど、ゼルダ姫にお伝えください。ゼルダ姫は今女神としての記憶が戻っています。ハイラル王もきっとそれを把握するでしょう」
リンク「分かった、それじゃあ……また封印を」
ファイ「イエス、マスター」
こうして、神々のトライフォースとしてファイの勤めは終わった。
ファイは今後の世界、リンクの冒険やゼルダの伝説(初代)に出てくることはありません。
しかし、勇者の覚醒は様々な事件を目の当たりにしています
リンクの冒険では、王家に管理されていたトライフォースが暴走し、ゼルダ姫は眠りにつき、勇気のトライフォースを求めて勇者が旅立ちます
ゼルダの伝説では、トライフォースを失ったハイラル国家は衰退し、またガノンに力のトライフォースを取られ、その世界を救うなどで描かれています
ファイ「マスター、剣の強化を行うのですね」
リンク「ああ、鍛冶屋にやってもらうよ」
ファイ「イエス、マスター。少しばかり強くなったマスターソードをお楽しみください」
リンク「うん」
ファイ「マスター、マスターソードをどうするつもりですか?」
リンク「え、泉に投げ捨てようかと」
ファイ「……」
リンク「だ、大丈夫だよ大妖精が拾って強くしてくれるから」
ファイ「ファイの情報にはそのような情報はありません。強化出来る確立30%」
リンク「攻略wikiに書いてあったから、えいっ」
ファイ「あっ」
神トラ編終わり
ファイ「都合上、ファイは『ムジュラの仮面』のマスターを知りません」
ファイ「何故ならば金剛の剣とかいうふざけた剣によって役目を奪われたからです」
ファイ「ファイにはあのような金ピカに光る剣のどこが良いのか理解し兼ねます」
ファイ「なので、ムジュラの世界は語りません」
ファイ「強いて語るならば、スタルキッド……ムジュラの仮面の力によりハイラルはタルミナに変化」
ファイ「地形そのものが変わりますが、人の姿、形などは変わらず、まったく別人になりました」
ファイ「元マスターである、リンクはムジュラの仮面に打ち勝ち、勝利」
ファイ「尚、鬼神リンクになった際に持っている剣はビームが出る模様」
ファイ「ビームはマスターソードの特権なので、マスターソードであった確立が25%」
ファイ「……」
ファイ「それでは、トワイライトプリンセスを語りましょう」
リンク「わんわん!」
ファイ(今度のマスターは犬、と思ったら違うようですね……元に戻しましょう」
リンク「あ、あれ…………」
ザシュッ
ファイ「……承認しました、おはようございます、マスター」
リンク「う、うわっ!?」
ミドナ「……剣が認めた」
ファイ「イエス、マスター。只今現状を把握しております、少々お待ち下さい」
リンク「どういうことだ、君は誰なんだ」
ファイ「申し遅れました、マスターソードの精、ファイです」
リンク「ファイ……」
ミドナ「おいおい、なんだよ、こんなの聞いてないぞ。剣が認めたとは思ったけど、具現化までされているなんて」
ファイ「ファイはあまり知られていない存在、マスターソードとしては語られますが、ファイはなかなか語られませんので」
リンク「そうか……」
リンク「あ、ああ、凄いなそんな事まで分かるのか」
ファイ「マスターの記憶を元に把握しました」
ミドナ「……そうか、分かった!お前がファイか!!」
ファイ「? 何か?」
ミドナ「聞いたことがある、単なる言い伝えだと思ったけど……ふん、まぁいいや。さっさとゲルドの砂漠から行かないと」
リンク「ミドナ、ファイのこと知ってたのか?」
ミドナ「知ってるも何も、魔族の敵だよ、敵」
ファイ「……なるほど、把握しました。では、その言い伝えは」
ミドナ「そうだよ、初代魔族長ギラヒムからさ、影の世界にも入ってきたからね」
ファイ「この時代においてその名前を聞くとは、これも何かの縁でしょうか、マスター」
リンク「さっぱりだ、設定すっ飛ばしすぎだろ」
ミドナ「だから、そんなことどうでもいいって!今はこの世界どうにかしないとダメだろう?」
リンク「そうだった」
ファイ「この世界は……魔王の復活した世界なのですね」
ファイ「この質問は何度目でしょうか、ファイは大地が栄える前の時代より知っています」
リンク「凄いな……そんな時代からあったのか」
ファイ「イエス、マスター。初代マスターはマスターソードに仕上げ、大地を救い、大地を栄えさせました」
ファイ「そして2代目マスターは、未来でハイラルの地を救い、魔王ガノンを討伐、その後元の世界に戻り、未来の知識により元の世界も救いました」
リンク「途方も無い話しだな。そんな話さっぱりだ、ゼルダ姫くらいじゃないか、知ってるのは」
ファイ「この世界のゼルダ姫はもう女神としての記憶があると?」
リンク「さぁ、どうなんだろうな。そのへんもさっぱりだ」
ファイ「……」
ミドナ「おいおい、飽きられてるぞ」
ファイ「いえ、マスター少しずつ把握しましょう」
ファイ「まずガノンドロフは一度賢者に処刑されかけましたが、ガノンドロフが最後の力を振り絞り、賢者の1人を圧倒しました」
リンク「……もしかして、それってこれから聞くんじゃ」
ファイ「ここで聞いても同じ模様、賢者達はとっさの判断で、ガノンドロフを影の世界に封印」
ミドナ「厄介なもん封印しやがって」
リンク「はしょりすぎだろ」
ファイ「記憶がいまいち安定しないので」
リンク「だ、誰のだよ!?」
ミドナ「まぁいいじゃん、もう一回プレイすれば」
リンク「メタ発言かー」
ファイ「ということで、いつも通りご検討を」
リンク「しょうがない、ミドナ復活させて、城に乗り込むか……」
―――――――
――――
――
―
城へと乗り込み、最終決戦
最後に、リンクはガノンドロフに『とどめ』を刺す
ガノンドロフ「……」
リンク「……」
ゼルダ「……」
ガノンドロフ「ふっ……」
リンク「……」
――――
――
―
リンク「ガノンドロフは最期まで倒れることはなかった」
リンク「膝をつくことすら……」
ゼルダ「……ええ」
リンク「……あれは、光の精」
リンク「……ッミドナ!?」
ミドナ「……」
ミドナ「なんだよ」
リンク「ミドナなのか?」
ミドナ「そうだよ、綺麗すぎてビビったか?」
リンク「……」
ミドナ「そこは綺麗って言っておけよ」
リンク「はは……ミドナ、だな」
ゼルダ「貴方が影の姫君……」
ミドナ「そうだよ……だけどな、私は帰らなければいけない」
リンク「……!?」
ミドナ「そんな顔をするな、光と影は交わってはいけないんだ」
ゼルダ「……」
ミドナ「処刑場へ行こう」
リンク「……」
ミドナ「私が元に戻れたのは、お前のおかげだ」
リンク「……」
ミドナ「そっちの姫さんを大事にしてやってくれ……」
ゼルダ「……影は光が無くては存在しない、同時に光も影が無ければ存在しない。どちらがかけていてもお互いは両立しないのですね」
ミドナ「そうだな……ゼルダ、あんた、良いヤツだな」
ミドナ「あんたみたいな奴がハイラルに溢れていたら」
ミドナ「……もっと良くなったかもな」
ゼルダ「……」
ファイ「……」
ミドナ「そういや、あんたも居たな」
ファイ「イエス」
ミドナ「あんたにも世話になったな、あんたが居なかったらガノンは死んでないしな」
ファイ「礼には及びません」
ファイ「性格?」
ミドナ「ああ」
ファイ「ファイには……性格などというものはありませんが、しかし……ファイも少しずつ変わっていっているのかもしれませんね」
ミドナ「無いってことはない、マスターソードにも影はある。影あるものに性格有り」
ファイ「イエス」
ミドナ「……リンク」
リンク「……」
ミドナ「ま……」
ミドナ「またな……」
リンク「ぐっ……ミドナ……」
ファイ「ファイはその後、マスターに手によって、元の森の聖域に戻されます」
ファイ「余談ですが、スマッシュブラザーズXにて、マスターがマスターソードを抜きますが」
ファイ「再度、亜空の使者終了後に、マスターソードを返還している模様」
ファイ「その後に世界については、まだ未確認」
ファイ「今後どうなるかは、分かりません」
ファイ「そして、最後に、ネールの世界へと……」
ファイ「行きましょう」
リンク「こんな海の中にあったなんて……」
ザシュッ
ファイ「……承認しました」
リンク「うわぁ!?」
ファイ「マスター、おはようございます」
リンク「び、びっくりした?!」
ファイ「驚かせて申し訳ございません。マスター、剣を掲げてください」
リンク「……ッ!」キーン
ファイ「……」
リンク「も、もういい?」
ファイ「イエス、この世界においてスカイウォードは発生しないと確認。封印がされているようです、またマスターソードの劣化も確認。真のマスターソードになるには鍛錬が必要である確立が95%」
リンク「そうなんだ……」
ファイ「イエス、マスター。この世界は、物凄い世界です」
リンク「どういうこと?」
リンク「うん、この格好もそうだし」
ファイ「イエス、マスターが着ている服は初代マスターも着ていた服です」
リンク「言い伝えは本当だったんだ」
ファイ「イエス、このハイラルの地が証拠です」
赤獅子の王「へいっ」
リンク「うわっ!な、何!?」
赤獅子の王「リンク、マスターソードは手に入れたか?手に入れたなら、地上へ行き、魔獣島へ行くぞ」
リンク「ちょ、ちょっと待って」
ファイ「マスター、先に移動を優先。王と共に話しましょう」
リンク「わ、分かった」
―――
―
赤獅子の王「マスターソードの精か、初耳だな」
ファイ「イエス、ファイの存在は言い伝えに残っていません」
赤獅子の王「今回の覚醒が最初ではないんだな」
ファイ「今回は3度目……これは時系列からすると、ですが」
赤獅子の王「ふむ」
ファイ「2代目勇者は、ハイラルを救った後に、旅に出ました。もちろん、ゼルダ姫によって『精神は』元の世界へと戻りました。しかし、残った抜け殻は7年後残ったまま」
ファイ「よって、言い伝えでは『旅に出た』とされています。これは王家の隠蔽の為です」
赤獅子の王「そこまで知っているのか」
ファイ「イエス、その当時のマスターと共にガノンドロフを討伐しました」
赤獅子の王「なるほど……生きる歴史書だな」
ファイ「その後、ガノンドロフは復活。リンクは存在しない為に、ハイラル王は封印を施しました」
赤獅子の王「海の底に沈めてな」
ファイ「イエス」
ファイ「イエス、マスター。見たところマスターは歴代マスターよりも幼い模様、少しずつ把握していきましょう」
リンク「う、うん」
ファイ「次に向かう場所は魔獣島。妹の奪還、成功を祈ります」
リンク「うん!絶対助けるぞ!!」
―――そして、無事妹を救出。
その後賢者と共に、マスターソードを鍛えなければいけないと分かったリンクは、賢者を探し出し、マスターソードを真のマスターソードへと進化させた。
そうして、ハイラルの地の先にあるガノン城へと向かい
歴代のボスを倒した
そして―――。
リンク「うん、頑張る」
ファイ「また、知恵のトライフォースを持った子も発見した模様」
リンク「え?」
テトラ「え?」
ハイラル王「……テトラ、お前こそがこの地の姫君、ゼルダ姫の子孫なんだよ」
テトラ「え、はぁ!?」
ハイラル王「お前はゴシップストーンで出来た通信出来る石を持っていた、そこから私は把握した」
ハイラル王「そして、リンク。お前もまた、勇者として、魔王討伐をしなければならない」
ファイ「イエス、マスター」
ハイラル王「……マスターソードを使ってな」
―――――
―――
――
―
リンク「いい加減諦めろ!何度封印されていると思っている!」
ガノンドロフ「ハイラルは戻す、戻して支配する。この俺がな」
リンク「絶対にさせない、今の世界は……海のある世界は、このままで良いんだ!」
ガノンドロフ「たわけ!!」
テトラ「リンク!」
リンク「光の矢で頼む!」
テトラ「分かった!リンク!リンクを狙うから、リンクは……分かるね!?」
リンク「ッ!! ああ、分かった!」
ファイ「マスター、テトラの光の矢がミラーシールドで跳ね返せる確立85%」
リンク「了解!」
―――そうして。
ガノンドロフ「あ、が……が」
リンク「……」
ガノンドロフ「……フフ…フ、風が……吹いておる」
リンク「ッ!?」
ゼルダ「石化していく……」
リンク「くはぁ……」
ゼルダ「リンク!」
ハイラル王「わが子らよ」
ゼルダ「ハイラル王……」
ハイラル王「私は、この世界に、このハイラルの地に縛られていた」
ハイラル王「前を向いてはいけない、後ろを、ハイラルの地を、見ていた」
ハイラル王「お前たちには、向いていて欲しい……前をな」
ゼルダ「一緒に、向けば良いじゃないか!一緒に、なぁ?行けば、良いじゃないか。船もある!」
ハイラル王「そこは、既にハイラルではない……」
ザーーーーーーーー
ファイ「……マスター」
リンク「ファイ!」
ファイ「そして、ハイラル王」
ハイラル王「……」
ファイ「ファイも、このハイラルと共に……」
リンク「そ、んな!?」
ファイ「この地にはもう、トライフォースも、マスターソードも必要ではありません」
リンク「……」
ファイ「いいえ、もしかしたら……」
ファイ「存在したからこそ、争いがあったのかもしれませんね」
ハイラル王「……辛い思いをさせたな」
ファイ「いえ、お気になさらず」
リンク「……」
ファイ「同じように、ファイも復活をするでしょう」
ファイ「その時にまた、マスターが存在すれば」
ファイ「ファイもまた存在するのです」
リンク「でも……」
ファイ「マスター……」
ハイラル王「そろそろだ、そろそろ崩壊する」
ファイ「さようならマスター。そして……」
ハイラル王・ファイ「新たなる国の反映を」
ザアアアアアアアアアア
ハイラル王「我、種子を放てり……」
ファイ「……ああ、永い永い役目も終わりを告げます」
ハイラル王「ご苦労だったな、よくぞこのハイラルの地を守ってくれた。安らかに眠れ」
ファイ「イエス……ハイラル王……」
―――――
―――
ファイ「ここまでがファイの知る物語です」
ファイ「ファイはマスターソードが存在する限り、存在します」
ファイ「どんな時間、次元、時系列を超えても」
ファイ「そして……この世界にも」
ファイ「ファイはマスターが呼べば出てくる存在です」
ファイ「……ああ」
ファイ「また……」
―――――――――
―――――
―――
―
ファイ「承認しました……マスターおはようございます」
「……君は」
ファイ「初めまして、マスターソードの精、ファイです。この世界では……」
おしまい
魔族の世界と影の世界と闇世界は同じ場所と考えていいのかね
そこら辺は曖昧かな
光の世界にも闇の世界にも魔物は存在するし、影の世界のほうが魔物は多いだろうからって思う
トワプリ影の世界≠神トラ闇の世界、ってのはどっかで見た気がする
ただ、ミドナがファイの存在知ってたら面白いなぁって思ったから書いたんですけどもwwww
時オカのナビィ
ムジュラのチャット
風タクの赤獅子の王(ハイラル王)
トワイライトプリンセスのミドナ(黄昏の姫君)
スカイウォードソードのファイ(マスターソードの精)
ナビィだけが謎だよな本当
ナビィ=ファイ説も考えたんだけど、このSS成り立たないからやめた
あと説明ありがとう!結構もう忘れてるw
ゼルダは思い出ですよね、本当
ファイが現世に現れるたびに説明してるって考えると、結構めんどうですよねwww
よく出来た秘書さんだ
いやあったでしょう
ただ、時の勇者が7年前に戻ったから勇者が居なくなった世界なだけで
じゃあトワプリの次元は時の勇者がかえらなかったってことか?
帰ってきたんだよ、だから封印戦争が起こらなかった
その前にガノンドロフを処刑しようってなって、処刑したところが砂漠の処刑場
・風タク世界
封印戦争に勝利した時の勇者リンクが元の時代に帰ったあとに残った世界
封印戦争が終わった瞬間に時勇リンクが行方不明になっただけで世界はそのまま
以後は風タク劇中で語られてる通り
・トワプリ世界
封印戦争を終えて時勇リンクが帰ってきた世界
先手を打ってガノンの反乱を未然に阻止←ここで歴史が変わって風タク√と分岐
その後ムジュラに続き、更にその後時勇リンクはどっかの誰かと結婚
何代か後の子孫がトワプリリンクになる
ありがとう
ゼルダの伝説って結構深いんだな
こういう話になっていたとか全然知らんかった
Entry ⇒ 2012.09.28 | Category ⇒ 版権物SS | Comments (2) | Trackbacks (0)
田中「……沖田ってさ」 紗羽「ん~?」
ザーザー
ガチャリ
紗羽「雨すごいねー……あれ、田中だけ?」
田中「沖田か。他のやつら休みだってよ。メール来てたぞ」
紗羽「あれ、そうなんだ」
田中「宮本はなんかCD買いに行くって。坂井は夕飯の準備、ウィーンは……わかんね」
紗羽「今日ケータイ忘れちゃったんだよね。田中帰んないの?」
田中「カッパ持ってきてないんだよ。ラケット濡らして帰りたくねーし。お前傘持ってる?」
紗羽「持ってない……予報じゃ晴れっていってたのに」
田中「そのうち止むだろ」
紗羽「みんな大丈夫かなー」
田中「うん?」
紗羽「もう音取れた?和奏の曲」
田中「ウィーンと歌えばなんとか。あいつ歌うまいよな」
紗羽「しっかりしてよね。和奏なんかソプラノ一人だよ」
田中「坂井はレベルが違うだろ」
紗羽「まあね……。歌って弾けるスーパー和奏」
田中「なんだそりゃ」
紗羽「なんでもいいのー」
紗羽「よく声出てるよね。さすがドイツ帰り」
田中「関係あんのか? 別に音楽やってたわけじゃないだろうし」
紗羽「細かいことは気にしなーい」
田中「ニクレッドだしな」
紗羽「海外にも戦隊モノってあるのかなあ」
田中「いや……どうだろ。今度聞いてみるか」
紗羽「何、あんた来夏のこと好きなの」
田中「ちげーよ、何でそうなるんだ」
紗羽「だって田中だし」
田中「話をきけよ……」
紗羽「はいはい。で、来夏がどうかした?」
田中「なんつーか、元気だよな」
紗羽「なにそれ」
田中「いやだってさ、あいつ声楽部やめて合唱部作っただろ。俺らまで集めて」
紗羽「まあ確かに行動力はあるよね」
田中「ちっさいくせにがんばるよな」
紗羽「時々ウザいけどね」
田中「嫌いじゃないけどな」
紗羽「やっぱり好きなの?」
田中「人としてはな」
紗羽「ほんとにそれだけ~?」
田中「しつこいっての」
田中「夕飯当番だからだと」
紗羽「そっか、お父さんと二人だもんね」
田中「あいつも、大変だよな」
紗羽「うん。でも今は合唱部のためにがんばってくれてるし」
田中「そうだな。俺たちもがんばんねーと」
紗羽「ね」
田中「しかし、坂井が料理してるとこ想像できないな」
紗羽「そういえばお弁当もお父さんが作ってるみたいね」
紗羽「さすがにそれはないでしょー」
田中「でも坂井だぞ」
紗羽「それは和奏に失礼…うーん」
田中「ウィーンち行ったとき、暖炉でなんか燃やそうとしてたぞあいつ」
紗羽「……」
田中「な?」
紗羽「まぁ……和奏だし」
田中「坂井だしな」
紗羽「うん」
田中「おう」
紗羽「……退屈」
田中「筋トレでもすっか」
紗羽「しない。どんだけ筋トレ好きなの」
田中「女子だってダイエットばっかしたがるだろ」
紗羽「うるさいクズ」
田中「ハァ……だんだん慣れてきたよ」
紗羽「罵倒されて喜ぶとかキモイ」
田中「喜んでねーよ!」
紗羽「二人だけでも練習する?」
田中「伴奏は無いけどな」
紗羽「それはしょうがないでしょ。じゃあ最初から」
田中「おう」
♪ ♪ ♪
紗羽「うーん、やっぱり二人じゃ物足りないね」
田中「……」
紗羽「何、どうかした?」
田中「いや、さ。沖田って器用だよな。普通に歌うまいし」
紗羽「そりゃ田中よりはねー」
田中「どーせ俺はバドだけだよ」
紗羽「はいはい、いじけないの」
紗羽「ほめてもなんもでないよー?気持ち悪い」
田中「気持ち悪いは余計だ」
紗羽「ふっふーん」
田中「お前バク転とかできるだろ。バドやってみりゃいいセンいくんじゃねーかな」
紗羽「バドはやらなーい……ん?」
紗羽「あれ、あたしアンタの前でバク転見せたっけ?」
紗羽「おい」
田中「……前に商店街でバイトしたときに」
紗羽「ウソ。あのときそんなアクションなかったじゃん」
田中「じゃあ見間違えだ、うん」
紗羽「怪しい……。今なら来夏と和奏には内緒にしてあげよう」
田中「なんもしてねーだろ!?」
紗羽「つまり田中は合唱部に居場所がなくなってもいいんだね」
田中「お前が言うと冗談に聞こえねーよ…」
紗羽「じゃあ白状しなさい。どこで見たの」
田中「……お前が音楽室で振り付け考えてたとき」
田中「はい」
紗羽「あたしそのときスカートだったよね」
田中「いやでも、タイツだったからセーフというか、」
紗羽「田中」
田中「……はい」
紗羽「覗きとかないわー」
田中「邪魔しちゃ悪いと思ったんだよ!」
紗羽「こっそり見てたんだ。ふーん」
田中「わ、悪かったよ」
紗羽「キモい」
田中「ぐっ……」
田中「ん?」
紗羽「いっつもそんなこと考えてるの?」
田中「そんなこと?」
紗羽「だから……その、スカートとか、エロいこと」
田中「考えてねーよ!」
紗羽「まったく?」
田中「…………まぁ、たまには」
紗羽「うわー……」
田中「聞いてきたのそっちだろ!」
紗羽「正直に答えるとは思わなかった」
田中「くっ……」
田中「あのな、あいつだってお前らが考えてるほど紳士ってわけじゃないぞ」
紗羽「え?」
田中「おっと、ここまでだ。男と男の約束は破れねえ」
紗羽「ちょ、ちょっと、ウィーンがなんなの?!」
田中「……」
紗羽「きーにーなーるー!」
紗羽「くそっ。……じゃあ田中の好みは」
田中「なんでそうなるんだよ」
紗羽「べっつにいいじゃん、減るもんじゃなし。あ、もしかして来夏?」
田中「もうそれはいいっつの」
紗羽「じゃあ和奏」
田中「あのな……選択肢狭すぎるだろ」
紗羽「同じ部活に美少女が3人もいるんだよ?もしかして田中ってソッチ系なの?ウィーンと仲いいもんね」
紗羽「え、なにそれ初耳なんだけど」
田中「前にそんな話をしたことが……がんばってるところがチャーミングとか何とか」
紗羽「それ好きってことなの?」
田中「わからんけど、坂井とかお前よりは好きなんじゃね」
紗羽「ちょっと。ちゃんときいといてね、明日もっかい聞くから」
田中「はいはい」
紗羽「む、田中のくせに」
田中「はいはい」
紗羽「雨やまないなー」
田中「……雨女」
紗羽「なんか言った?」
田中「なーんにも」
紗羽「……」
田中「……」
紗羽「……雨男」
田中「聞こえてんじゃねーか!」
紗羽「ふーんだ」
田中「……沖田ってさ」
紗羽「ん~?」
田中「どうなんだよ」
紗羽「なにが?」
田中「タイプとか、好きな、やつとか」
紗羽「……なんでそんなこと聞くの?」
田中「……別になんでもねーよ」
紗羽「……」
紗羽「あたしはさ」
田中「ん」
紗羽「……」
田中「……なんだよ」
紗羽「運動とか、できる人がいいな」
田中「は?……ああ、さっきの話か」
紗羽「……あとイケメン!」
田中「なんだそりゃ」
田中「な、なんだよ」
紗羽「田中は」
田中「え?」
紗羽「田中のタイプ。まだ聞いてない」
田中「…そんなん聞いてどうすんだよ」
紗羽「べっつにー」
田中「……」
紗羽「……へえ、ふーん。そうなんだ」
田中「おう」
紗羽「ふーん」
田中「なあ」
紗羽「あのさ」
紗羽「…なんであやまんの」
田中「あのな、えーと」
紗羽「……」
田中「つまりだな、」
ピーンポーンパーンポーン
“まもなく完全下校時間です。校内に残っている生徒は帰宅してください…繰り返します…”
田中「……」
紗羽「…えっと」
田中「お、おお、雨止んだな」
紗羽「あ、うん、そうだね」
田中「……帰るか」
紗羽「そう、だね、うん」
田中「お前んちどっちだっけ」
紗羽「坂下って左だけど」
田中「送ってくわ。もう暗いし」
紗羽「でも、田中んち反対でしょ」
田中「いいって。チャリだし」
紗羽「ラケットは?」
田中「準備室置いてきた」
紗羽「そ、そんなに私と帰りたいのかーしょうがないなぁ田中は」
紗羽「え、あの、」
田中「とりあえず乗れって」
紗羽「……?」
田中「うしろ」
紗羽「あ、うん、お邪魔します」
田中「よっと」
紗羽「……重くない?」
田中「別に。ぜんぜん軽いって」
紗羽「……ばーか」
紗羽「……しっかり漕いでよねー田中!」
田中「うわ、おい揺らすなって!」
紗羽「あははっ!ねえ田中ー!」
田中「なんだー?」
紗羽「明日一緒に登校しよっか!」
田中「はぁ?!」
紗羽「いいでしょー!迎え来てよ!セクハラされたことバラすよ!」
田中「セクハラって…わーかったよ、行けばいいんだろ、行けば!」
紗羽「わかればよーし!」
田中「だから揺らすなっつーの!」
紗羽「ふふっ。 田中のばーか!」
終われ
乙
サラッと読めて内容もサラッとしててよかった(小並感)
Entry ⇒ 2012.09.27 | Category ⇒ 版権物SS | Comments (0) | Trackbacks (0)
手寅「音楽をやった方が良いと思うの」
丸京「けいおん!ネタはもうやったじゃん」
木胡桃「今からやっても放課後ティータイムなんとかには勝てないよっ」
苦来「キグちゃん、ボカせてない」
手寅「でも私たちも音楽でもやって明るく盛り上げないといけないのよ」
丸京「まぁ基本この部屋で愚痴言ってるだけだしな」
苦来「盛り上げないとマズイのは確かね…(売上的にも)」
木胡桃「でも私たち楽器出来ないよっ」
丸京「その前に楽器買う金もない」
苦来「ドラムセットとか高いらしいしね…」
手寅「声だけって事?」
丸京「ちょっと前はアカペラで歌うの流行ったな」
苦来「ハモネプ全盛時は録画してたなぁ」
魔梨威「口の中でドゥクンドゥクン音出すアレカッコイイよな!」
手寅「ボイスパーカッションの事?」
丸京「ヒューマンビートボックスじゃなかったっけ?まぁ似たようなもんか」
木胡桃「でもあんな技誰も出来ないよっ」
魔梨威「なんかいやらしいなオイ///」
丸京「一日やそこらで身に着く技術じゃないだろうな」
苦来「お風呂入ると練習したくなる…」
木胡桃「じゃあハモネプ出るのも無理じゃんっ」
丸京「まぁ出なくて良いよ」
苦来「お台場だし……」
手寅・魔梨威・丸京・木胡桃「……だね」
魔梨威「演歌ぁ~?」
手寅「不服そうにしてるけどマリーさん、右手がマイクで左手がコブシきいてるよ?」
丸京「演歌も駄目だ。金がかかる」
木胡桃「お金かかるの??」
苦来「紅白見れば分かるよ」
丸京「衣装代だ」
魔梨威「小林幸子、衣装代自分持ちだったのかよ!」
苦来「それときな臭い付き合い多いし……」
丸京「芸能界の闇だな…」
丸京「駄目だな」
木胡桃「なんでー?」
丸京「童謡ってのは子供達が歌うわけだ」
苦来「有名になれば小学生の教科書に載る」
丸京「子供達にとって近しい存在になるというわけだ」
魔梨威「それの何が悪いんだい!」
丸京「小学生が歌う歌を作る奴がしょっちゅう尻を出す露出狂じゃ駄目だろ!」
手寅「あぁもう!マリーさんが下品なせいで!」
魔梨威「大半はお前が脱がせてるだろうが!」
魔梨威「流行るか!」
木胡桃「デスメタルはっ?」
丸京「もうやっただろ」
苦来「お経は?」
手寅「音楽なの!?」
丸京「ラップ音は?」
魔梨威「心霊現象だ!」
苦来「正しくは木造建築が原因」
魔梨威「だから心霊現象だって」
丸京「そっちじゃなくてHIPHOPの方だろ」
木胡桃「YO!YO!って感じ?」
丸京「間違いではないな」
苦来「最近?ていうかここ10年くらいはロックバンドとかもラップの要素取り込みだしてるね」
魔梨威「あぁ。突然曲の雰囲気変わりまくるよな」
丸京「KREVAは慶応だしね」
苦来「MC宇多丸は早稲田だしね」
木胡桃「笑点の司会のお祖父ちゃん頭良いんだね!」
魔梨威「そっちの歌丸さんじゃねーよ!」
手寅「とにかく高学歴のラッパーが多いんだよね」
魔梨威「優等生の方が言葉たくさん知ってるし、韻踏んだ歌詞を書けるんじゃねーの?」
丸京「かもね」
魔梨威「だな!韻踏みまくってやろうぜ」
丸京「東京生まれ落語育ち、地味そうな奴は大体友達ってとこみせてやろう!」
苦来「そんなもの見せつけられても……」
木胡桃「でも韻踏むってどういう意味なの??」
木胡桃「うんうん」
手寅「『合わせ技』って言葉は『あ あ え あ あ』の音じゃない?」
木胡桃「うん」
手寅「じゃ次は『流れ弾』って言葉があるじゃない?これも『あ あ え あ あ』って音だよね」
木胡桃「『合わせ技』と同じだっ!」
手寅「こういう似たような音の言葉を並べると耳に気持ち良く入って来るんだよ」
魔梨威「なるほど。似てる言葉、近い響きの言葉、言い回しを使うんだな」
丸京「似たような言葉並べて韻踏むくらいは私にも出来るんじゃないか?」
木胡桃「ゲームみたいで楽しそうっ」
手寅「一回やってみようか」
魔梨威「じゃあ最初は『落語』でスタートな!」
手寅「何その手拍子?」
魔梨威「合いの手だよっ!ほら『落語』!」パンパン
手寅「『マグロ』!」パンパン
木胡桃「おぉテトちゃん凄い!えーっと、えっと、全部の文字同じじゃなくても良いよね!?」
手寅「口ずさんで似てたらOKだよ」
木胡桃「『タラコ』!」パンパン
丸京「『タラオ』!」パンパン
苦来「『カツオ』」パンパン
手寅「ちょ、ちょっと待って、何でサザエさんのキャラが連続するの!?」
丸京「偶然だろ」
木胡桃「今、テトちゃんが止めたからテトちゃん×一個ねー」
手寅「なにそれ!?」
苦来「三回アウトで罰ゲーム」
魔梨威「絶対に負けられない戦いが始まるぞっ」
丸京「次は手寅から初めていいぞ」
魔梨威「いきなり難しくなったな!」
木胡桃「えーっと『マウスパッド』」パンパン
丸京「『アウトレット』」パンパン
苦来「『アウトプット』」パンパン
魔梨威「えーっと、えっと、ちょっと待て、3秒、3秒くれっ!」
手寅「はいアウトー」
苦来「時間切れー」
魔梨威「お前の『アウトプット』なんて丸京の『アウトレットのほぼパクリじゃん』!」
丸京「似た言葉だからアリだ。基本発音してみて最後の音が同じならありだ!」
木胡桃「マリーさんも1バツだねー」
手寅「次はマリーさんからだね!」
魔梨威「せーの!『マリー』!」パンパン
手寅「『ラリー』!」パンパン
木胡桃「『パーティ』!」パンパン
丸京「『パンティ』!」パンパン
苦来「ティ、いや、リー、えっと『リッツパーティ』!」パンパン
魔梨威「アウト!今回の苦来はアウトだろ!」
丸京「いや、今回のゲームの性質上、それを許すと何でもありになってしまう」
手寅「苦来ちゃん、諦めなよ」
木胡桃「苦来ちゃんもバツ一個目ねーっ」
魔梨威「じゃあ次は苦来るからだなっ!」
苦来「私からか……気合い入れていかないと」
魔梨威「重っ!『盲腸』!」
手寅「『早漏』!」パンパン
木胡桃「じゃ、じゃあ『遅漏』!」パンパン
丸京「さりげなく何言ってんだお前ら!『長老』」パンパン
苦来「『白鳥』」パンパン
魔梨威「『脱腸』!」パンパン
丸京「何でマリーさんは腸関係ばっかなんだよ!『ダチョウ』!」パンパン
手寅「『隊長』!」ケイレイ!
木胡桃「えと、『体調』!健康面の方の!」パンパン
苦来「有りだけどちょっとずるいっ『埋葬』」パンパン
手寅「『アイダホ』!」パンパン
丸京「ちょっと韻踏むの上手くなってる!」
木胡桃「『ユネスコ』!」パンパン
魔梨威「キグの口からそんな難しい言葉が!」
木胡桃「それどういう意味っ!?」
丸京「『パチスロ』!」パンパン
苦来「『チンチロ』!」パンパン
魔梨威「苦来丸京から影響受けすぎだろ!セーフだけども!『ちんすこう』!」パンパン
木胡桃「やんっ!マリーさんえっち!///」
魔梨威「何が!?」
木胡桃「『不登校』はぁ。タイムマシン欲しい」ズーン
丸京「自分で言ったんだろ!?なぁ!?ってあぁ!?私の番か!えっと、えっと、あぁー待て!」
苦来「はい丸ちゃんアウトー」
木胡桃「うし…っ!」
手寅「あぁキグちゃんが黒い!」
魔梨威「これで丸京も一回ミスだな!」
魔梨威「ほら早く始めろよ!」
丸京「せーっの!『暴力』!」パンパン
苦来「『韓国』!」パンパン
木胡桃「苦来ちゃんにしては声大きいっ!?」
魔梨威「『最悪』!」パンパン
手寅「『ゴミクズ』!」パンパン
木胡桃「み、皆目が怖いよっ!って私の番か!あぁ韻踏むうんぬんじゃなくて特定のどこかの国の話になってない!?」
丸京「はいキグもアウトー!」
苦来「『偽造』とか『チ○カス』とか」
丸京「『ゲロ以下』とか『ゴキブリ』とか」
木胡桃「韻踏んでない!?」
手寅「今のお題に関してはガンちゃんの答えでも勢いでスルーしてたね」
木胡桃「えぇー!?」
魔梨威「このお題に関しては韻なんか無視してDISるのも正解だろうが!」
木胡桃「『地球に必要のない生き物が住んでる国』とかでも良いの?」
丸京「長いが大丈夫だ!」
苦来「正解」
丸京「次ミスったら一気にリーチか…辛いな」
手寅「集中しないと…」
苦来「私は脱ぎキャラじゃないからまずい……」
木胡桃「私みたいなチビッ子が脱いでも誰も喜ばないよ!」
丸京「いや、キグ。世の中っていうのは意外と変態は多いぞ」
丸京「『トッポ』!」
苦来「『ポッポ』!ポケモンの!」
魔梨威「『パイポ』!」
手寅「『相棒』!」
魔梨威「『愛棒』とかいやらしいなオイ///
手寅「そっちじゃないよ!水谷さんの方だよ!」
丸京「『とぐろ』!」パンパン
苦来「『ノドグロ』」パンパン
魔梨威「『巻き糞』!」パンパン
丸京「今日一で酷いな」
手寅「『満ち潮』!」パンパン
木胡桃「『引き潮』!」パンパン
苦来「『粗塩』」パンパン
魔梨威「『押尾』!」パンパン
手寅「『学』!ってしまっ!?」
手寅「マリーさんずるいよ!今の流れだとどうしても犯罪者の名前を言いたくなるよ!」
木胡桃「テトちゃんそんなモロな言い方したら駄目だよ!」
苦来「そうよ!キメセクかましたり、いけないお薬を渡したり渡されたり、放置したり放置した人なんだから!」
魔梨威「とにかく!手寅はもうリーチだからなー」
手寅「だ、駄目だよ!マリーさんは脱いでもギャグにしかならないけど私は、そのっ」
魔梨威「な、なんだその言い草は!それじゃ私の尻には色気が無いみたいなじゃないか!規制が入ってないみたいだろ!!」
丸京「いや、マリーさんの尻規制ゆるいよ」
苦来「マリーさんのお尻ゆるゆるだよ」
魔梨威「ゆるくねーよ!」
丸京「まぁ私のボディーラインが一番悩ましいがな」
手寅「そんな風に言うならガンちゃんが脱ぎなよ!」
丸京「断る。私の裸は無料で公開するような安いものじゃない」
魔梨威「じゃあいくらなんだい?」
丸京「500円~1000円は月々もらおう」
木胡桃「ニコニコかよ!」
苦来「FC2ですか」
手寅「うぅ。今日は大変だなぁ。家帰ったらお酒飲もう。せーの『ビール』!」パンパン
木胡桃「『ヒール』!」パンパン
丸京「『ニヒル』!私のように」パンパン
魔梨威「そうか?」
苦来「『苦来』私自身」ドヤ
丸京「ドヤるな」
魔梨威「『アヒル』!」パンパン
丸京「ファイティングポーズすな」
木胡桃「『アパレル』!」パンパン
丸京「『キル・ビル』!」パンパン
魔梨威「ちょっ、刀振り回すなよ!」
苦来「『カラメル』」パンパン
魔梨威「『セフィロス』!」パンパン
苦来「マリーさんは白髪似合わなそう」
手寅「『ラクロス』!」パンパン
木胡桃「『セクロス』!」パンパン
手寅「ルール上なんの問題もないよ!もう時間切れでしょう!マリーさんもツーアウトだよ!」
苦来「『セクロス』の後に手拍子でパンパン音するとすごくいやらしい」
丸京「まぁキグもお年頃だからな」
木胡桃「ち、違うもん!ついうっかり言っちゃっただけだもんっ////」プシュー
丸京「とにかくマリーさんも崖っぷちだ」
魔梨威「くっ、キグめ。とんだスケベ十代だ」
木胡桃「スケベじゃありません!//」
丸京「根っからのBガールである私に死角はない」
木胡桃「Bー?何のB?」
苦来「暴力のB」
丸京「黙れBカップ」
苦来「酷いっ…」
手寅「ほら早く始めようよ!」
魔梨威「ぶっこんでいくんで夜露死苦ー!」
手寅・木胡桃・丸京・苦来「夜露死苦ー!!」
魔梨威「はい、せーのっ『フジテレビ』!」パンパン
手寅「『つまらない』!」パンパン
木胡桃「『マジでゴミ』」パンパン
丸京「えーっと、カス、売国、害電波、嫌なら見るな、うーん、迷うな」
苦来「はい、ガンちゃんアウトー」
丸京「はっ!?しまった!つい罵りたい気持ちが大きすぎて迷ってしまった」
手寅「無理にDISらないで適当に韻踏めば良かったのに」
丸京「だって、フジテレビだぞ?DISらない訳にはいかんだろ!」
丸京「ぐぬぬ……」
木胡桃「ガンちゃんおっぱい大きいから良いじゃん脱いでもっ」
丸京「だ、駄目だ!最近処理を怠ってるからっ」アセアセ
手寅「処理…?」
丸京「あっ、いやっ……むしろ死にたい……////」ボーン
魔梨威「わははっ。丸京は密林なのかなー??」ニマニマ
丸京「黙れ寸胴ツルぺタ。お前なんて変態にしか需要はないんだ!」
魔梨威「なんだとっ!私だって!」
手寅「私だって?」
木胡桃「えっ?マリーさん彼氏いるの???」
手寅「大丈夫だよマリーさん!私もだから」
苦来「『こういう世界観』のキャラは皆処女だから安心してっ」
丸京「あぁ。男出るだけでキレる奴いるからな」
木胡桃「キレる若者だね」
苦来「いや、結構中年もいると思う」
手寅「童貞?こじらせると色々大変らしいからねー」
苦来「『新聞』」パンパン
魔梨威「『回文』!」パンパン
手寅「『雷雨』!」パンパン
丸京「お前だけどんどん上手くなるな」
木胡桃「『台風』!」パンパン
苦来「『タイフーン』!」パンパン
手寅「またしてもちょっとズルイ!」
魔梨威「『風雨』!」パンパン
手寅「『暴風雨』!」パンパン
苦来「テトちゃんのそれはちょい足しじゃないの!?」
木胡桃「『積乱雲』!」パンパン
魔梨威「眼鏡にしては上手いっ」
苦来「『アンサンブル』」
魔梨威「『バイリンガル』!」
手寅「『ハイビスカス』!」
木胡桃「『マダガスカル』!」
丸京「『まだ助かる』!」
苦来「あぁ~!?それ私も考えてたのに~っ!あぁもうそれ以外考えてなかったから無理だよ…」
魔梨威「これで苦来も後が無くなったな」
魔梨威「泣くなよ苦来。ようは勝てばいいんだ」
苦来「全員殺すくらいで頑張る」
丸京「いや、それは頑張りすぎじゃ」
苦来「せーの『殺す』!」パンパン
魔梨威「『ライス』!」パンパン
木胡桃「マリーさんナイス!一瞬でほっこりした空気に戻した!」
手寅「『ライム』!」パンパン
魔梨威「あぁずるっ!ラッパーっぽいフレーズ!」
丸京「『トラブル』」パンパン
苦来「『猛毒』!」パンパン
魔梨威「『家族』」パンパン
丸京「またマリーさんがほっこりライミングしたっ!」
手寅「『テキサス』!」パンパン
木胡桃「『サーカス』!」パンパン
丸京「『フォーカス』!」パンパン
苦来「『ファック』!」パンパン
魔梨威「『LOVE』!は、はずい///」
丸京「苦来のダークさをマリーさんが緩和させまくってる」
木胡桃「天才ほっこりラッパーだよ!」
木胡桃「えー?英語分かんないよ!?ライム?ライス?あぁこれはもう言ったよね???あぁもう」
丸京「なぜ英語にこだわった?とにかくキグ、タイムアップだ」
魔梨威「キグもリーチ」
苦来「すなわち…」
手寅・魔梨威・丸京・木胡桃・苦来「次で決まるっ!!!!!」
丸京「『制作』!」パンパン
苦来「『奈落』!」パンパン
魔梨威「『極楽』!」パンパン
手寅「『常夏』!」パンパン
魔梨威「おっさんくさ!」
丸京「『恍惚』っ…んっ////」パンパン
魔梨威「なんでちょっとセクシーに言ったの??」
苦来「『灼熱』!で焼き殺したいなぁ…」パンパン
手寅「苦来ちゃんさっきから怖いよ!」
魔梨威「『滑舌』!芸の基本だぜっ」パンパン
手寅「『卓越』!芸を極めないとねー!」パンパン
丸京「『上越』!」パンパン
苦来「『亀裂』」パンパン
魔梨威「『モーレツ』!」アハ
丸京「うざい!」
手寅「『パイレーツ』」パンパン
魔梨威「そこまで巨乳じゃないだろ」
木胡桃「『おパンツ』!」パンパン
丸京「『オーパーツ』!」パンパン
手寅・魔梨威・木胡桃・丸京「えっ?????」
苦来「ハイ次の人!」パンパン
魔梨威「ハイ次!じゃねぇよ!」
苦来「ご、誤魔化してないよっ」アセアセ
木胡桃「ほとんど言語じゃなかったよ!」
手寅「じゃあ何て言ったの?」
苦来「それは…そのっ」
魔梨威「これは決まりかなー?」
手寅「そんな事はしないよっ!」
苦来「ほんとう?」ウルウル
丸京「本当だ」
魔梨威「しかしどんな罰ゲームにするかな」
苦来「皮膚抉ったりしない」
魔梨威「そんな事するか!」
丸京「何か大変な事、というより困っている事を苦来に解決してもらいたいなー」
魔梨威「何か思いついたのかっ?」
苦来「あんま無茶は言わないで…」
手寅「ほら?私達って全員彼氏いないじゃない??」
魔梨威「んなっ!?」
丸京「確かにいないが……それがなんだ!」
木胡桃「彼氏さんなんて私にはまだ早いかもっ///」
苦来「私もいない」
手寅「私だっていないよ?」
丸京「わ、私も…『今』はいないんだ」アハハ
苦来「『今』はねー。うん。最近出会いがなくて…」
木胡桃「私は彼氏さん出来た事ないっ!」
手寅「まぁそこの三人に当てはまるか分からないけど……処女とか童貞の人、恋愛経験無い人は『今は』って言うらしいよ?」
魔梨威・丸京・苦来「」ギクッ
木胡桃「へぇー!そうやって虚勢を張るんだね!」
丸京「彼氏いない歴=年齢で何が悪い!」
苦来「時代が悪い!」
手寅「私もそうよ!高校卒業してすぐ落語家だもん!」
木胡桃「皆美人さんなのに意外っ」
手寅「そう!我々に出会いがないのはチャンスが少ないから!運が悪いから!」
魔梨威・丸京・苦来「そうだー!!!」
苦来「ちょ、そんなの無理よ!?」
魔梨威「頑張れ!逆ナンかまして来いよ!」
丸京「わ、私は余った男で良いからな、余ってしまった優しくて私に凄く優しくしてくれて頭ナデナデしてくれる人程度でいいからな!」
木胡桃「ガンちゃん地味に欲張り!」
手寅「苦来ちゃん可愛いから大丈夫だよ!」
苦来「で…でも男の人に何て声かけたら」
手寅・魔梨威・丸京・木胡桃「だまらっしゃい!敗者め!」
苦来「うぅ。もういいっ。私が一番イケメンの人の隣座るもん」
魔梨威「とにかく行ってこい苦来!」
苦来「行ってくるね……男漁りの旅にっ」
手寅「セッティング出来たらメールしてねー!」
こうして苦来は逆ナンの旅に出たのである
今回培ったHIPHOPセンスを生かし男に声をかけるのであろう
終わり
Entry ⇒ 2012.09.26 | Category ⇒ 版権物SS | Comments (1) | Trackbacks (0)
ウサミ「日向クンがらーぶらーぶし過ぎて修羅場でちゅ」
日向「希望船ウサミ号が完成したぞ」
ウサミ「おめでとうございまちゅ。学級目標を達成したご褒美におでかけチケットあげまちゅ。これで皆さんと仲良くお出かけしてくだちゃいね。らーぶらーぶ」
日向「チケットか……誰と一緒に……」
ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ
日向(な、なんだ……背後から強烈な視線を感じる……)
罪木「えへへ…ひ、日向さん。こんなところで会うなんて奇遇ですね」
罪木「ここで会ったが百年目!!」
罪木「あ、今のは違うんですぅ!うぅ……偶然を装って声かける方法を5000パターン用意してたのに……」
日向「そうだ。罪木。今暇か?丁度チケットがあるし、良かったら一緒に……」
西園寺「日向おにぃ!!」
日向「西園寺?どうしたんだ?」
西園寺「ねえ、日向おにぃはわたしとの約束忘れたの?」
日向「約束?そんなものしたっけ?」
西園寺「チケットが手に入ったらデートするって約束したの忘れたの!?」
日向「いや、そんな約束はしてないはずだ」
西園寺「うわあああああああ!!!約束忘れるなんてひどいよおお!!」
日向「お、おい……泣くなよ」
罪木「西園寺さん。日向さんが困ってますし、嘘泣きはやめましょう」
西園寺「黙ってろ!ゲロブタ女!邪魔するな!日向おにぃに嘘約束押し付けたことがバレたらどうするんだ!」
罪木「ふえぇぇ……ご、ごめんなさい。ゲロブタ女ですみません」
日向(おい。今、自分から嘘だって認めたぞ)
罪木「で、でも、日向さんとのデートは譲れません!」
西園寺「はぁ?あんた何言ってんの?」
ウサミ「はわわわわ……喧嘩はダメでちゅ。皆仲良くらーぶらーぶ」
西園寺「うっさい!耳引きちぎんぞ!」
罪木「中の綿を取り出す手術しますよー?」
ウサミ「ガーン。そ、そんな……西園寺さんはともかく罪木さんまで……」
日向(なんかまずいことになってきたな。2人がウサミに気を取られている間に逃げ出して……)
狛枝「おーい。日向クン!」
日向「ゲェ!狛枝!」
狛枝「ねえ、こんなところで何してるの?」
西園寺「日向おにぃ!罪木なんてデブスよりわたしとデートしてくれるよね?」
罪木「日向さんが最初に誘おうとしたのは私です!」
日向(ま、まずい。狛枝が声をかけてきたせいで完全に逃げるタイミングを逃した)
狛枝「日向クン。希望は修羅場という絶望を乗り越えて輝くとは思わない?」
日向「は?お前なに言ってるんだよ」
狛枝「ボクはね。キミだったらこの絶望的修羅場を乗り越えられるって信じているよ……だから、最高の舞台を用意してあげたよ!」
小泉「えっと……日向?撮影を手伝ってくれない?」
ソニア「御機嫌よう。日向さん。今日はいい天気ですし、デートをするには最適ですよね」
澪田「おっす!創ちゃん!唯吹と一緒に部活するッス」
七海「ふぁあ……ねみー……あ、日向くんいたんだ。この状況は…………うん。修羅場…だと思うよ」
狛枝「えへへ。連れて来ちゃった」
日向「狛枝ァ!!」
狛枝「ごめんね。日向クンが怒るのも無理ないよね……終里さんは弐大クンにアレされてるし、辺古山さんは九頭竜クンと一緒にいるから連れてこれなかったんだ……女子全員連れてくることが出来ないとかボクはなんて無能なんだッ!」
日向「違う!そうじゃない!!」
狛枝「いやあ、日向クンのお陰で退屈だった修学旅行が面白くなりそうだよ。ハハハ。殺人が起きない分、こういうので埋め合わせするってのも悪くないかもね」
日向(狛枝の奴……後で覚えてろよ。でも、今は狛枝に構っているヒマなんてない。この状況を打開しないと……)
狛枝「日向クン。キミの希望はこんなところで倒れたりしないよね?」
―ノンストップ議論―
罪木「最初に日向さんを発見したのは私です。だから、私とデートするべきです」
西園寺「はあ?何言ってるの?日向おにぃはわたしの奴隷だから私と一緒にいる義務があるんだよ!」
小泉「日向は頼りないんだから、アタシがちゃんと面倒見ないといけないの」
ソニア「あらあら。困りましたね。わたくしとしても、祖国の未来のために英雄の日向さんを渡すわけにはいきません」
澪田「創ちゃん。モテまくりっすね。でも、唯吹とバンドを組んでることは忘れてないっすよね?」
七海「そんな風に争わなくても」
???「破壊神暗黒四天王」
七海「皆で仲良くゲームでもすればいい…と思うよ」
日向「それに賛成だ!」
狛枝「誰だ。今の」
日向「な、なあ。一旦おでかけチケットのことは忘れて七海の言う通りゲームでもして落ち着こう」
罪木「わ、忘れられるわけないじゃないですか!」
西園寺「そうだよ!ゲームなんてホテルに帰ってからでもできるじゃん!」
小泉「あんたねえ。男らしく1人に決められないわけ?」
日向(くっ。こんな一気に反論されたら言葉を切り返す余裕なんてない……)
澪田「オロオロ。創ちゃん論破失敗っすね」
ソニア「マカンゴぶつけますわよ!」
小泉「ちょ…な、なんてこと言ってるの」
澪田「うひょー。ソニアちゃん大胆っすねー」
日向(だからマカンゴって何だよ!ぶつけられるものなのか!?)
狛枝「流石の日向クンもこんな人数に反論されたら絶望するしかないのかな?おっと…ボクの日向クンがそう簡単に絶望するわけないか。だってキミは希望の象徴だからね」
狛枝「今のこの絶望的な状態も日向クンと日向クンとデート出来る女子が最後に希望を手に入れるための踏み台にしか過ぎないんだ!ワクワクするよね?」
日向(こうなってしまった以上は、比較的冷静な七海を起点に何とかするしかない)
日向「七海!」
七海「zzz」
日向(こいつ立ったまま寝てやがる……!)
狛枝「ねえ、皆。このままだと埒が明かないからここはくじ引きで決めたらどう?」
小泉「は?」
ソニア「何でくじで決める必要があるんですか?」
日向(また狛枝が余計なこと言い始めた……)
狛枝「まあ、そう言わずに……ほら、こんなこともあろうかとくじを用意したんだ。丁度6本あるよ」
罪木「でも、くじで決めるなら公平だと思いますけど……」
小泉「仕方ないわね」
澪田「たはー!結局くじで決めるんかい!」
罪木「うぅ……当たってください。日向さん日向さん日向さん日向さん日向さん日向さん日向さん日向さん日向さん」
西園寺「ぶつぶつうるさい!ゲロブタ女!」
狛枝「よし。皆、くじを選んだね。それじゃいっせいので引くよ」
澪田「ぐぎぎぎ!外れた」
ソニア「そ、そんな……」
小泉「べ、別にくじが外れたって悲しくなんか……」
西園寺「うわああああああ外れちゃったよおおおお」
罪木「え?あれ?私も外れ……?」
狛枝「皆外れたみたいだね。じゃあ、余ったくじが当たりってことはボクが日向クンとデートすることになるんだね」
日向「それは違うぞ!(論破)」
狛枝「え?違うって何が?」
日向「そのくじは七海のものじゃないのか!」
狛枝「それは違うよ(反論)」
狛枝「冗談はやめてよ。なんでくじを手にしてない七海さんが参加してることになるのさ」
日向(正論だが……このままだと狛枝とデートすることになってしまう……まさか、狛枝の狙いは最初から俺だったのか!?)
日向「そ、それは……七海は寝ているから、くじ引けなかっただろ」
狛枝「引いてないなら彼女のものじゃないよね?」
日向「ぐぬぬ……」
狛枝「このくじは最終的にボクの手元にあった。ってことはこのくじはボクのものだね」
狛枝「ボクはなんてついているんだ!超高校級の幸運なんてゴミみたいな才能でも日向クンとデート出来るのに役立つなんて最高だよ」
七海「……おはよう。あれ?まだやってたんだ」
日向「七海からも何か言ってくれよ」
七海「何かって何が?」
狛枝「ボクが日向クンとデートすることになったよ」
七海「……うん…おめでとう」
狛枝「ありがとう」
日向(でも、考えようによってはこのまま女子とデートして下手に禍根を残すよりは、狛枝と一緒にいた方が安全と言えば安全か……)
日向(って俺は何を考えているんだ。相手はあの狛枝だぞ。何をしでかすかわからない)
罪木「…ぁれっ?」
罪木「あれあれあれあれあれー?」
罪木「私思いついちゃいましたぁ。日向さんを私の介護なしじゃ生きられない体にしちゃえばいいんだってー」
小泉「ちょっとアンタ何言ってんの?」
罪木「ぽわわ~ん。そうすれば日向さんを独占できますよね?」
日向「な、なあ罪木落ち着けよ」
日向(この状況をなんとかしないと……相手が罪木だけだったら適当に結婚申し込めば何とかなるくらいちょろいけど……周りに他の女子がいるなら余計にややこしくなるだけだ)
狛枝「なるほど。そう来たか……そういえば、今回の学級目標ってなんだっけ?」
日向「学級目標か……?希望船ウサミ号……まさか!!」
狛枝「そう気づいたみたいだね。これから起きる惨劇について」
澪田「惨劇ってなんすか?」
狛枝「わからないの?Nice bort.だよ」
七海「見立て殺人ってやつだね?」ドヤ
西園寺「だ、だめだよ!日向おにぃは私の奴隷だよ!主人の私は奴隷を守る義務があるの!罪木なんかに殺させないよ」
罪木「ふふふふふふふふふふふ。殺すなんて一言も言ってませんよ」
狛枝「なんだ。つまらない」
ウサミ「ちょっと待つでちゅ!過度な暴力は修学旅行の規則に違反するでちゅ」
罪木「えへへ…違いますぅ。ちょっとドラッグストアから拝借した怪しいお薬を日向さんの料理に混ぜるだけですよ。これなら許してくれますよね?ね?」
ウサミ「それなら許ちまちゅ。薬を盛ってみんな仲良く。らーぶらーぶ」
日向「待て!その理屈はおかしい!」
花村「ちょっと!ぼくの料理に薬混ぜるのやめてよ!味が台無しになっちゃうよ!」
花村「でも、媚薬だったらむしろオッケー」
小泉「花村…あんたいつからいたの?」
花村「なにやら修羅場の香りがしたからさ。面白そうだから来てみたんだ」
花村「もう皆ヒドイよ!ぼくだって日向君を狙ってるんだから声かけてくれたっていいじゃない!」
日向(なんでこの島にはホモが多いんだ)
西園寺「バカじゃないの?男同士が付き合えるわけないじゃん」
罪木「ふゆぅ…そうですよ。そんなの医学的におかしいです」
花村「んっふっふ。男とか女とか気にするのはナンセンスってやつだよ。それに男子同士の方がほら、アーバンな香りがするでしょ?」
狛枝「なるほどね。男子にもモテる……それが日向クンの超高校級の才能なんだろうね」
日向「そんな才能嫌すぎる…」
狛枝「もちろんボクも日向クンのことが好きだよ」
狛枝「弱ったなぁ。花村クンが参戦したってことは公平性を保つためには、さっきのくじは無効にするべきかな。花村クンにも機会を与えないといけないし」
ソニア「それに賛成です」
西園寺「花村。あんたもたまには役に立つじゃん」
狛枝「とりあえず、日向クンの希望も聞いてみた方がいいかな?今晩誰と寝たいかを……」
日向「ま、待て。話が飛躍しすぎだ!お出かけチケットのペアを選ぶって話じゃないのか?」
狛枝「あのさぁ……日向クン?ここまで来てその理屈は通用しないよ。そもそも、キミが男女問わずに手当たり次第に色目使ったのが原因じゃないか」
日向「俺は色目なんて使ってない!」
狛枝「そう?だったら、どうしてキミはこれだけの人数に好かれているのかな?キミが積極的にフラグを立てたとしか考えられないよ」
小泉「アタシは日向にこの島から出たらごにょごにょする約束したんだから!」
日向「それは違うぞ!小泉がカメラくれるって約束しただけだろ!」
罪木「わ、私だって日向さんにあんなことやこんなことされました……うふふふふ」
日向「それは違うぞ!動くこけしとボールギャグをプレゼントしただけだ!」
ソニア「わたくしもマカンゴを捕まえる約束をしました!」
日向「そうかも知れないな……」
花村「なななな、なんとマカンゴですとぉ!?王女様の口からそんなはしたない言葉が出るなんて……今夜のオカズに決定」
ソニア「あら、いやですわ。わたくしったら」
七海「………………ごちそうさま」
狛枝「ほらね。彼女たちもそう言ってるよ?キミはただのたらしだよ」
日向「その矛盾撃ち抜く!」
日向「狛枝。修学旅行の規則を覚えているか?」
狛枝「え?規則って?」
日向「この修学旅行の目的は希望のカケラを集めることだ。そのためには。皆と仲良くならなければならない」
ウサミ「そうでちゅよ。日向クンはちゃんと希望のカケラを集めて目標を達成しました。らーぶらーぶ」
日向「そう。これは希望のカケラを集めるための不可抗力だ!」
狛枝「なるほど。キミは希望のカケラのために、より強い希望を手に入れるために女子の気持ちを踏みにじったというわけだね」
日向「あ、悪意のある言い方はやめろ!」
罪木「そ、そんな……私の気持ちを裏切るんですか?日向さんも結局私を受け入れてくれないんですか?日向さんを好きになることすら許してくれないんですか?」
小泉「な、なによそれ……結局はカケラ目当てだったってこと?最低!」
日向「違うんだって!狛枝が勝手に変なことを言ってるだけだ!」
澪田「散々浮気しといて、付き合った彼女全員裏切る……うん。いい歌詞ができそうっすね。歌が完成したら創ちゃんに聞かせてあげるっすよ。唯吹のフラれた怨念をたっぷりこめて」
西園寺「わぁい!澪田おねぇの歌が聞けるんだ」
日向「俺は遠慮しとく……」
狛枝「女子を踏み台にして日向クンは最高の希望の耀きを手に入れたんだね」
狛枝「いや、女子だけじゃなくてボクの気持ちも踏みにじられた。日向クンの希望のための踏み台になれるなんて嬉しすぎて頭がフットーしそうだよ」
日向「お前はもう黙ってろ!」
狛枝「………………」
ソニア「結局日向さんは誰と寝たいんですか?」
小泉「男らしくビシッと言いなさいよ」
西園寺「そうだよ。日向おにぃが好きな人を言ってくれないとわたしだって納得できないよ」
花村「日向くんがぼくを抱いてくれないなら、ぼくから抱きにイクだけだけどね」
日向(誰と寝たいかだなんて……仲間内の前でこんなこと堂々と言いたくないけど仕方ない。やるしかないんだ)
寝たいと思う人物を指名しろ
>>27
日向「お前しかいない」
日向「西園寺」
西園寺「な、何?」
日向「お前のことが好きだ!」
西園寺「ふ、ふん。もう、おにぃのバカ!最初からそう言ってよ…そうしたらこんなに不安になることもなかったのに」
澪田「創ちゃんってロリコンだったんすね…」
ソニア「これはアグネスさんをお呼びした方がよろしいでしょうか?」
花村「日向くん。ロリは二次元だけにしといた方がいいって」
ウサミ「2.5Dだからセーフでちゅ」
澪田「ここでまさかのメタ発言っすか!」
小泉「良かったね日寄子ちゃん」
西園寺「小泉おねぇ…」
小泉「折角だから写真撮ってあげようか?」
西園寺「ありがとう……でも……」
小泉「アタシに気を使わなくてもいいからさ」
狛枝「あ、ちょっといいかな?」
西園寺「何よ?」
狛枝「いや、大したことじゃないんだけどさ。日向クンがもらったチケットって何枚あると思う?」
西園寺「何言ってんの?今はそんなこと関係ないじゃん」
狛枝「うーん。明日から日向クンが誰にチケット使うのか気になって」
日向「お、おい今は関係ないだろ!」
狛枝「ここでハッキリさせとかないと、またチケットの使い道で揉めるかもよ?」
西園寺「そんなの全部私に使うに決まってるじゃん!」
狛枝「本当にそれでいいの?」
日向「お前は何が言いたいんだ」
狛枝「キミが日向クンを独占したら、小泉さんはどうなるんだろうね」
西園寺「ぐ……」
狛枝「妹のように可愛がっていたキミに日向クンを寝取られるなんて絶望以外の何物でもないよね?」
小泉「ちょっと!やめなよ狛枝!アタシのことは関係ないでしょ!」
狛枝「違うよ。ボクはただ皆に希望を持って欲しいだけなんだ。希望の象徴であるキミたちが絶望するなんて、こんなに悲しいことはないからね」
狛枝「ただ、西園寺さんが日向クンを独占しちゃったら、ボクのこのちっぽけな願いも叶わないんだろうなって思っただけ」
小泉「それ以上言うと怒るよ!」
西園寺「おねぇ……」
小泉「気にしなくて大丈夫だから」
西園寺「わかった。じゃあ、明日は小泉おねぇがデートしていい」
小泉「え?」
日向「いいのか?西園寺」
西園寺「日向おにぃの顔って毎日見てたら飽きそうなんだよねー。これくらいで丁度いいよ」
狛枝「で、実際チケットは何枚あるの?」
日向「9枚だ」
狛枝「それじゃあ残りの7枚の配分はくじ引きで決めるってのは」
ソニア「なしに決まってます!」
七海「狛枝くんのくじはロクなことにならない…と思うよ」
狛枝「くじ引きがダメってことは……やっぱり残りの7枚の配分の決定権はさっきみたいに日向クンにあるってことでいいのかな?」
西園寺「ちょっと何勝手に決めてるの!日向おにぃはわたしを好きって言ったんだよ!だったら、チケットはわたしに使うしかないの」
狛枝「あれ?おかしいな。さっきは快く小泉さんに譲ったのに」
西園寺「小泉おねぇとその他大勢は違うの」
狛枝「うーん……ってことはやっぱり選ばれなかった相手は絶望しかないのか。悲しいな」
日向「狛枝。お前、さっきから希望とか言って引っ掻き回しているだけじゃないのか?そうやって、余計にややこしくするのが狙いだろ」
狛枝「あ、バレた?やっぱり日向クンは鋭いな」
日向「あのなあ…」
狛枝「まあ、既に手遅れだけど」
日向「は?」
罪木「まだ7枚ある……まだ7枚ある……まだ7枚ある……まだ7枚ある……」
澪田「そうすよね。諦めるのはまだ早いすよね」
ソニア「あたぼうです!付き合う相手が決まったと思ってもそこからどんでん返しがあるのが昼ドラのお約束ですから」
七海「うーん……恋愛ゲームは苦手だからここからどうやって攻略していけばいいのかわからないな」
狛枝「流石は超高校級と称される皆だね。チケットの残り枚数という希望を聞いただけで、一度敗れ去った希望がまた復活している」
日向「と、とにかく今日のところは俺は西園寺と出かけるからな」
西園寺「そうだね。いつまでも狛枝おにぃと話していても仕方ないし」
狛枝「じゃあ、楽しんでおいでよ。2日後にはもう修羅場に戻ってると思うから」
日向「お前のせいだろ!こんなやつ放っておいていくぞ西園寺」
西園寺「うん」
お出かけ先指定:>>45
ジャバウォック公園
砂浜
図書館
映画館
遊園地
軍事施設
日向(映画館に着いた)
西園寺「ねえ、今の時間帯だと何がやってるの?」
日向「そうだなホラーかアニメかラブストーリーだな」
西園寺「わたしホラーがいい」
日向「夜寝れなくなっても知らないぞ」
西園寺「ふん。何さ。子供扱いしないでよ……それにどうせ今夜は日向おにぃが寝かせてくれないんでしょ?」
日向「お、お前それ本気にしたのか?」
西園寺「えー?日向おにぃってもしかしてビビってるの?据え膳食わぬは男の恥だよ」
日向「あのなあ……」
西園寺「わたしだって、それなりの覚悟してるんだよ……そうでもしなかったら、日向おにぃ取られちゃうかも知れないから」
日向「狛枝の言うことは気にするな」
西園寺「だったら約束してよ。残りの7枚のチケットは全部わたしに使うって」
日向「おう、考えてやるよ」
日向「そろそろ上映時間だぞ」
西園寺「うん」
日向「ウオアアアア!!」
西園寺「ちょっと日向おにぃ怖がりすぎ」
日向「べ、別にビビってねーし」
西園寺「くすくす。本当かな?」
日向「本当だって」
西園寺「わ!」
日向「うお!!」
西園寺「あはははは日向おにぃ面白い!」
日向「映画に集中できないからやめろ!」
西園寺「あー面白かった。日向おにぃがあの映画に出演したら真っ先に殺されるタイプだね。だって、序盤からビビりっぱなしだったし」
日向「ほっとけ。それより日が落ちてすっかり暗くなったな」
西園寺「本当だ。そろそろ帰った方がいいかも」
日向「な、なあ。西園寺。流石に夜道を一人で歩くのは危ないから俺と一緒に帰ろうか」
西園寺「どうしよっかなー。別にこの島は全然危険じゃないし」
日向「いや、万一ってこともあるし」
西園寺「日向おにぃが一人で帰るのが怖いだけじゃないの?」
日向「それは違うぞ!」
西園寺「ま、まあ。ホテルまで抱っこしてくれるなら一緒に帰ってあげてもいいけど」
日向「わかった。抱っこしてやるから一緒に帰ろう。な?」
西園寺「落とさないでよ」
日向「はいはい」
日向「……ん……あれ?ここはどこだ?俺の部屋じゃないぞ」
西園寺「……すー……すー……」
日向(何故、西園寺が俺の隣で寝ている。しかも着物が乱れている)
日向「あれ?何で俺は服を着てないんだ?」
日向(昨日、ここで何があったか考えてみる必要があるようだな)
―ロジカルダイブ―
西園寺と映画を観た後どうした?
○西園寺と帰った
×一人で帰った
日向が泊まった部屋は?
○西園寺の部屋
×日向の部屋
西園寺の着物が乱れた理由は?
○事後
×お風呂
日向「推理は繋がった!」
日向「お、俺はなんてことをしてしまったんだ」
西園寺「んー……あ、日向おにぃ。おはよう」
日向「な、なあ西園寺。ど、どうして俺はここにいるんだ?」
西園寺「何って泊まったからに決まってるじゃん」
日向「そ、そうなんだけどさ」
西園寺「もう……昨日の日向おにぃは激しすぎだよ」
日向「」
西園寺「日向おにぃってもしかして童貞だった?」
日向「どどどど童貞ちゃうわ」
西園寺「そうだよね。仮に昨日まで童貞だったとしても今日からは童貞じゃないもんねー」
日向「」
西園寺「それよりどうしよう。わたし一人じゃ着付けできないのに日向おにぃが無理矢理脱がすから着物が乱れたままになっちゃった」
日向「お、俺のせいなのか」
西園寺「何言ってるの?あそこまでしといて責任取らないつもり?」
日向(あそこまでってどこまでだよ!全く記憶にない……記憶にない?そうか!)
日向「おい、ウサミ!いるんだろ?」
ウサミ「はーい。なんでちゅか…って、何ちてるでちゅか!修学旅行中に生徒同士で許ちませんよ!」
日向「それよりお前、俺の記憶奪っただろ?」
ウサミ「えぇえええぇえ!な、なんのことでちゅか?」
日向「記憶が不自然に抜け落ちるなんていくらなんでも不自然すぎる!」
ウサミ「い、いやでちゅね。あちしがそんなことするわけないじゃないでちゅか」
日向「やっぱり、この修学旅行には裏があったんじゃないか」
ウサミ「これは皆さんのことを思っての……」
日向「言い訳なんて聞きたくない!」
ウサミ「そんな~」
日向「なあ、お前の目的は何なんだ」
ウサミ「えーっとそれは……」
日向「何のために昨夜の俺の記憶を奪った?」
ウサミ「え?昨夜?あちしはそんなの知らないでちゅよ。あちしが奪ったのは皆さんのがくえ…あ!」
日向「え?なんだって?」
ウサミ「な、なんでもないでちゅよ」
西園寺「それよりさ。あんたいつまでここにいるつもりなの?」
ウサミ「へ?」
西園寺「折角、日向おにぃと2人きりなのにアンタみたい豚が一緒の空間にいると雰囲気ぶち壊しなんだよね」
ウサミ「ひ、ひどい。呼び出したのは日向クンなのに……うわあああああん」
日向(どうやらあの様子だと俺の推理は外れたようだ……)
日向「で、西園寺。これからどうしよう」
西園寺「どうするって?何が?」
日向「着付けだよ。小泉に頼むにしても不自然すぎるだろ」
西園寺「わたしが日向おにぃと寝たのバレちゃうかな?」
日向「少なくても着物を脱いだ理由は問い詰められるだろうな」
西園寺「うーん。着付けのこともあるし、いっそのこと次からは小泉おねぇと一緒に3Pするなんてのは」
日向「それに賛成だ!」
西園寺「ちょっと何賛成してるの!」
日向「すまん。つい」
日向(とりあえず、着付けは西園寺が小泉を誤魔化してやってくれたみたいだけど……)
狛枝「やあ、日向クンおはよう。新しい朝だね。希望の朝だね」
日向「狛枝。今日は調子いいみたいだな」
狛枝「そんなことないよ。昨夜はお楽しみだった日向クンに比べたら全然だよ」
日向「ど、どうしてそれを!」
狛枝「え?当たった?冗談のつもりで言ったのに」
日向(しまった)
狛枝「ああ。ついに日向クンが一線を超えてしまったんだ」
日向「狛枝。このことは皆には」
狛枝「分かってるよ。黙っていればいいんでしょ?」
日向「本当に黙ってるんだろうな」
狛枝「ボクがキミを困らせるようなことをしたことがあるかい?」
日向「あるから言ってるんだろ!」
日向(狛枝はこっち見てニヤニヤしてくるし、女子の視線が怖い。特に心なしか七海の視線が冷たい気がする)
ウサミ「はーい。それじゃあ、今日の作業は終了でちゅよ」
日向「終わったか。小泉。今日は何処にいく?」
小泉「ねぇ。本当にアタシでいいの?」
日向「西園寺がいいって言ってるんだ」
小泉「そうじゃなくて、アンタの意思はどうなの?アタシとのデートは嫌じゃない?」
日向「ああ構わないさ。俺と小泉は固い絆で結ばれているんだからな」
小泉「そっか……うん。折角、日寄子ちゃんがくれたチャンスだし今日は思いっきり楽しもうかな」
お出かけ先指定:>>76
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砂浜
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日向(砂浜に着いた)
日向「とりあえず脱ごうか」
小泉「…………」
日向「無言でカメラを構えるのやめろ」
小泉「あはは。アンタのヌード写真って案外需要がありそうだからさ。シャッターチャンスを逃すわけにはいかないよ」
日向「需要って誰にだよ」
小泉「日寄子ちゃんなんて喜ぶんじゃない?アンタの裸なんて見たことないだろうし」
日向「お、おおう。そ、そうだな」
小泉「という訳で早速脱いでみよっか」
日向「お前は脱がないのか?」
小泉「残念だけど水着持ってきてないんだよね」
日向「そうなのか?残念だな」
小泉「べ、別にアンタのヌード写真を撮るのに専念したいからって訳じゃないからね」
日向「そもそもヌードになるなんて言ってない」
小泉「えー」
日向「大体にしてなんで俺だけ脱ぐんだよ」
小泉「じゃあ、アタシも脱げばアンタも脱いでくれるの?」
日向「脱げばな」
小泉「わかった。じゃあ、そこの岩陰に移動しよう」
日向「マ、マジかよ」
小泉「ほら、誰かに見つかったら困るし、人気が少ない内に早く行くよ」
日向(本当に脱ぐのかよ)
小泉「恥ずかしいからあっち向いてて」
日向「なあ、どうせ後で見せるなら恥ずかしがる必要もないと思うけど」
小泉「それでもダメなものはダメだよ」
日向(やばい。布の擦れる音がする。小泉が脱いでいるのかと思うと興奮する)
小泉「……こっち向いていいよ」
日向(ほ、本当に裸になっている……しかし、西園寺よりはあるとはいえ小泉って貧…)
小泉「ちょっと、アタシが脱いだんだからアンタも脱ぎなさいよね」
日向「わ、わかったよ」
日向「あ、あれ?何か硬いものに引っ掛かってズボンがうまく脱げない」
小泉「もう。しょうがないわね。アタシが脱がしてあげるから」
日向「あ…」
パオーン
小泉「これが日向の…………」
日向「そ、そんな近くで見るなよ」
日向(その後、立ち会いは強く当たって後は流れで小泉とヤッてしまった)
日向「その……すまん。なんというか魔が差した」
小泉「アタシ初めてだったのに……こんな外で……もう、変な性癖ついちゃったら日向に責任とってもらうからね」
日向「えぇ!?」
小泉「当然でしょ?いくら砂浜で開放的な気分になったからっていきなり襲うのってないよ」
日向「反省します」
小泉「……まあ、日向だったから嫌じゃなかったけど」
日向(西園寺に続いて小泉とも……あれ?よく考えたらこれまずくないか?)
日向(そうか!これはきっと狛枝の罠だ。俺が二股をかけるように仕組んだに違いない。全部狛枝が悪い)
日向「そして次の日が来てしまった……」
日向「残りのチケットどうしよう……」
澪田「うぃーす創ちゃん!」
日向「あ、あれ?澪田?どうして俺の部屋にいるんだ?鍵をかけたはずなのに」
澪田「鍵ならぶっ壊したっす」
日向「壊すなよ!」
澪田「それより、今日の創ちゃんは誰と過ごすのか気になったりして。チラッチラー」
日向「お前には関係ないだろ」
澪田「創ちゃんがデートしてくれないなら、この場で歌うしかないすね」
日向「は?」
澪田「唯吹の歌に酔いしれて考え直すってやつすかね」
日向「お、おい。歌ってまさか……あの滅びの歌か」
澪田「では聞いてください」
日向「や、やめろ!朝っぱらからお前の歌はきつい」
澪田「創ちゃんがッ!デートしてくれるまでッ!唯吹は歌うのをやめないっす!」
日向「わかった。どこでも好きなところに連れてってやるから落ち着け」
澪田「マジすか?流石創ちゃん」
日向(つい、勢いで約束してしまったけど大丈夫だろうか……)
…ん?
西園寺「日向おにぃ!今日はどこ連れてってくれるの?」
日向(罪悪感で死にそう……)
西園寺「ん?さっきから黙ってどうしたの?」
日向「な、なあ西園寺」
西園寺「えへへ。昨日は日向おにぃとデート出来なかったから、今日は凄く楽しみ」
日向(早く言い出さないと……余計に言い出し辛くなるぞ)
西園寺「そういえば、昨日は小泉おねぇと何して遊んだのかな?」
日向「あ…えーっと……」
西園寺「小泉おねぇは教えてくれなかったけど何かあったの?」
日向(胃が痛い……)
澪田「創ちゃん!今日のデートは何処にいくか決まったっすか?」
日向「あ、バカ…」
西園寺「はぁ?なんで澪田おねぇが出てくるわけ?日向おにぃはわたしのものだよ!」
澪田「あれ?おかしいな。今日は唯吹と約束してたはずっすけど」
西園寺「日向おにぃ!どういうこと!?」
日向「西園寺…すまない」
西園寺「え……うわああああああああん!日向おにぃが裏切ったあああああ!!日向おにぃの浮気者!!!」
小泉「」ビク
日向「本当に悪かった。でも、この埋め合わせは今度するから」
西園寺「やだよおおおおお!!今日がいいよおおおお!!」
小泉「日寄子ちゃん。今日はアタシと遊ぼう。ホラ、昨日は相手できなかったし」
西園寺「ぐす……わぁい。小泉おねぇ大好き」
小泉「日向!余り日寄子ちゃんを泣かせるようなことしないでよ」
日向「ああ……」
西園寺「日向おにぃのバーカ!」
日向(言い返せない)
澪田「なんか大変なことになっちゃったすね」
日向「人事みたいに言うなよ!」
日向(このチケットを西園寺以外に使うのは今回限りにしよう。ついでにらーぶらーぶなことも出来る限り控えよう)
お出かけ先指定:>>105
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駄目ならkskst扱いで
日向「やっぱりやめよう」
澪田「なぬ!」
日向「西園寺に悪い気がして」
澪田「そうっすね。唯吹も日寄子ちゃんを見てたら罪悪感が沸いてきたっすから」
日向「西園寺はどこだろう……」
澪田「見つからないっすね」
日向「探し疲れたから一旦部屋に戻ろう」
澪田「唯吹もお供するっす」
日向「なんでお前まで俺の部屋に来るんだよ!」
澪田「創ちゃんの部屋の鍵壊したし修理しようと思って」
日向「直せるのか?」
澪田「やってみないとわからないっす」
澪田「ぐぎぎ!!直れー!」ガチャガチャ
日向「お、おい。無理そうなら左右田に頼んで直してもらうから……」
バキィ
澪田「あ……」
日向「どうした?」
澪田「今度は逆に開かなくなったっす」
日向「お前何してんだよ!」
澪田「あちゃー。これ完全に密室っすね」
日向「どうすんだよこれ……」
澪田「っつーかこれからっしょ!」
日向「なあ。もう夜になったな」
澪田「そうっすね」
日向「自分の部屋に戻らなくていいのか?」
澪田「戻りたくても戻れないっす」
日向「じゃあ、泊まっていくか?」
澪田「むしろ、それしか選択肢がないっつーか!」
日向「それじゃあ、先にシャワー使っていいぞ」
澪田「お言葉に甘えさせてもらうっす」
日向(あれ?嫌な予感しかしない)
日向「ふぅ……」
澪田「いやあ、創ちゃん。いい演奏だったっすよ」
日向「そ、そうか?」
澪田「唯吹も超高校級の軽音部なんて呼ばれてるけど、楽器の気持ちになったのは初めてっす。これも創ちゃんのお陰っすかね」
日向(またヤってしまった……)
澪田「それじゃ、今度は唯吹が創ちゃんを演奏する番っすね。いい音色出すっすよ」
日向「うわっ……やめ、まだ出したばっかなのに……」
ウサミ「はわわ……もう、鍵が壊れたんなら先生に言ってくだちゃいよ。すぐに直せまちたのに」
日向「壊れたっつーか、壊されたっつーか……」
日向「はぁー……それにしても疲れた。なんだろう。連日ヤリすぎた反動かな……今日は休息が必要な気分だ」
罪木「日向さぁん!大丈夫ですか?」
日向「罪木?どうしたんだ?」
罪木「えへへ……日向さんの看護をしようと思いまして」
日向「そうか。ありがとう」
罪木「いえ、私が役に立てるのはこれくらいですから。そ、その何かあったら何でも言ってくださいね!死ぬ以外のことなら何でもできますから」
日向「ん?今何でもするって言ったよね?」
罪木「ふゆぅ…あのぅ…本当に私のおっぱいで疲れが取れるんですか?」
日向「ああ。最高だよ。三回連続貧乳だったし」
罪木「三回連続って何がですか?」
日向「あ、なんでもない。こっちの話」
罪木「日向さん?なんかえっちな気分になってきませんか?」
日向「そ、そういえば体が熱いような……」
罪木「実は日向さんにこっそり媚薬を盛ったんですよ」
日向「な、なんだって!」
罪木(このまま既成事実を作れば……ふふふふふふふ)
日向(これ以上既成事実が増えるのか……)
日向(西園寺・小泉・澪田・罪木。既に女子の半数とヤってしまったのか……)
日向(昨日も西園寺と会わなかったし、あいつ怒ってるだろうな)
西園寺「…………」
日向「西園寺」
西園寺「あれれー?約束破った嘘つきがいるよー」
日向「今日こそはちゃんと約束守るからさ」
西園寺「ふん。どうだか。どうせ昨日だってあのゲロブタに鼻の下伸ばしてたんじゃないの?」
日向(それは違うぞ!伸ばしてたのは鼻の下だけじゃない!)
西園寺「まあいいよ。一緒にいた相手が罪木だったからデコピン百発で許してあげる」
日向「百発って…わかった。それで西園寺の気が済むんだったらいいよ」
西園寺「相手が、小泉おねぇや澪田おねぇや罪木だったらまだ許してあげてもいいけど」
西園寺「もし、ソニアと一緒にいたら本気で怒るからね」
日向「ハハハ……気をつけるよ」
日向(何だろう。何かのフラグが立った気がする)
ソニア「日向さ…ど、どうしたんですか!?西園寺さんが抱っこちゃん人形みたいに日向さんにくっついてます」
西園寺「ふん。わたしが常に日向おにぃにくっついていれば、浮気されることなんてないし」
ソニア「それは大変ですわね。日向さん重くないですか?」
日向「おm…」
西園寺「…………」
日向「重くない!全然重くない!」
西園寺「こんな可愛いわたしが重いわけないじゃん!」
ソニア「それは失礼いたしました」
ソニア(弱りましたね。このままでは、日向さんを奪うことはできません)
西園寺(クスクス。いくらあんたが図に乗って日向おにぃに近づこうとも、わたしがいる限りは絶対に日向おにぃは渡さないんだから)
西園寺「わぁい!蟻たん潰すの楽しい!日向おにぃも一緒に潰そうよ」
日向「え…いいよ俺は」
西園寺「蟻たん潰す楽しさ知らないなんてカワイソー」
日向(西園寺が楽しそうで良かったな)
西園寺「うーん……おにぃ……」
日向「あーあ。遊び疲れて寝ちゃったか。ったくしょうがないな。ホテルまで運んでやるか」
ソニア「また会いましたね日向さん。」
日向「ソニア?どうしたんだ」
ソニア「あのですね…実はわたくしの部屋に……ゴキブリが出てしまいました……だから、怖くて部屋に戻れません」
日向「そうか。それは大変だな」
ソニア「日向さん!わたくしの部屋に来て、あの黒い悪魔を退治して下さい」
日向「しょうがないな」
日向「ゴキブリなんてどこにもいないぞ」
ソニア「きっと物陰に隠れてしまったんですわ。ああ、恐ろしいですわ」
日向「どこかに逃げたんじゃないか?」
ソニア「で、でも。あの黒い悪魔が部屋にいる可能性があるって考えただけで、わたくし怖くて眠れません」
ソニア「だから、日向さん。お願いです。今夜はわたくしの部屋に泊まってください。日向さんが一緒にいるだけで安心して眠ることができます」
日向「ゴキブリが出たんじゃしょうがないな」
日向「ソニアのマカンゴ凄かったよ…」
ソニア「いやですわ。日向さんったら」
日向「……ふぅ」
日向(ヤってしまったものはしょうがない。西園寺にバレなければ全て丸く収まる)
日向(今回の反省を活かして、次から気をつければいい。希望を持って前に進めばそれでいい。そうすれば必ず未来は創れる)
七海「………………」
日向「おーい。七海?どうしたんだ?」
七海「あ、ごめん。寝てた」
七海「ちょっとゲームの攻略法を徹夜で考えていてロクに寝てないんだよ」
日向「何のゲームだ?」
七海「日向くんには教えない」
日向「なんだよ。教えてくれたっていいだろ」
七海「あんまり私と話していると西園寺さんが嫉妬しちゃうよ……」
日向「それもそうだな」
七海「ねえ、日向くん。ちょっとだけ質問いい?」
日向「なんだ?」
七海「もし、日向くんが自分とは住む世界が違う人間を好きになったらどうする?」
日向「住む世界が違う?」
七海「うん。もう二度と会えなくなる日が来るってわかってる相手を好きになったら、日向くんはその人に想いを伝える?」
日向「うーん……俺だったら、ちゃんと自分の想いは伝えるかな。後悔したくないし」
七海「日向くんはむしろ伝えすぎて後悔する方が多いんじゃない?」
日向「そ、それはそうだけど。伝えなくて後悔するよりは全然マシだ」
七海「うん。ありがとう。参考になったよ」
ウサミ「コラー!日向クン。キミは性が乱れすぎてちゅ!」
日向「ウサミ!?」
ウサミ「七海さんには手を出させませんよ!」
日向「いや、俺はまだそんなつもりは」
七海「いいよ。ウサミちゃん」
ウサミ「ほえ?」
七海「日向クンならいい」
七海「子供を作る方法はお父さんに教わったけど、どんな時に作りたくなるのかまではわからなかった」
ウサミ「な、何を言ってるでちゅか!」
七海「でも、日向クンに会ってやっとわかった気がする。私のこの気持ちは日向くんと子供を作りたがってる…と思う」
七海「……私に子供が作れるかわからないけど」
日向「だったら試してみればいいんじゃないか?」
七海「うん。そうだね。私もそう思ってた」
ウサミ「がーん。最近の高校生は性が乱れすぎでちゅ…」
日向(…………次から気をつけようと思った矢先の出来事だったけど……あれは七海に子供ができるかどうかの実験だから、ノーカンだな)
辺古山「日向?久しぶりだな」
日向「ああ。確かに辺古山とは最近会ってなかった気がする」
辺古山「ぼっちゃ…九頭龍を見かけなかったか?」
日向「見かけなかったな」
辺古山「そうか。邪魔したな」
日向(そういえば、花村が前に辺古山みたいなタイプは意外にガードが甘くて落とせるとか言ってたような気がするな……)
日向(うん。これは実験だからノーカンだな)
日向「なあ、辺古山。お前って好きな人いるのか?」
辺古山「な、何をバカなことを言ってる!そ、そんな人いるわけなかろう!」
日向「本当にそうなのか?」
辺古山「…………私は道具に過ぎない。道具に感情を持つことは許されないんだ」
日向「それは違うぞ!」
辺古山「何!」
日向「辺古山は道具なんかじゃない!」
辺古山「何を根拠にそんなことを……」
日向「これで証明できる」
辺古山「ちょ…うわ、なにをする!やめろ!私はあの人の道具だ!」
日向「そうだ。道具だったら、普通は持ち主は選ばない」パンパン
辺古山「な、なんだと…」
日向「お前は好きな人がいるんだろ?その人に尽くしたいって感情があるんだろ?」パンパン
日向「だったら道具じゃない!」ドピュ
辺古山「そうか……そうだったのか……私はあの人と同じ立場でいていいんだな……」
辺古山「そうか……そうだったのか……私はあの人と同じ立場でいていいんだな……」
辺古山「礼を言うぞ日向。お陰で大事なものを見失わずに済んだ」
日向「なあに。礼を言われるようなことはしてないさ」
日向(結局、辺古山を落とすことには失敗したか……だけどこれでいいんだ)
日向「なんだかんだでチケット余ったな……これをどうやって処理しようか」
終里「チケットって何だ?食えるのか?」
日向「食い物じゃないぞ」
終里「なんだ。つまんねえの」
日向「でも、このチケット持って映画館いけばホットドッグ食えるぞ」
終里「マジで!?じゃあくれ」
日向「おう、いいぞ」
終里「あれ?よく考えたら男の尻尾とホットドッグって似てるよな?」
日向「下ネタかよ」
終里「よし、日向。お前のホットドッグを食わせろ!」
日向「ま、待て……ヒギイイイイイ」
おわり
このまま話進めるとホモルート直行しかない
面白かった
せめて西園寺を放置したままにしないでおくれよ
え?西園寺ルート?
ヤっちゃうよ?いいんすか?ヤっちゃっても
日向「いてて……酷い目にあった」
西園寺「ふん。浮気ばっかしているからバチが当たったんだよ」
日向「……そうかも知れない」
西園寺「これに懲りたら、二度とわたし以外の女に手を出さないこと。特にソニアとかソニアとかソニアとか」
日向「違うんだ。これには訳があるんだ。例えば、俺の中に絶望を抱えた人格があるとするだろ?そいつが14人もいたとしたら、それぞれ好みのタイプが違うはずだ」
日向「つまり、これはそれぞれの人格がそれぞれの女子を愛してしまったことによる不可抗力なんだよ」
西園寺「あははは。日向おにぃって言い訳が下手だね」
日向「なあ、西園寺。俺はいつまでお前を抱っこしていればいいんだ?」
西園寺「日向おにぃの腕が痺れて使い物にならなくなるまでかなー」
日向「マジかよ」
西園寺「簡単に許したら、また日向おにぃは浮気するじゃん」
日向「もうしない!」
西園寺「その根拠は何?」
日向「西園寺。結婚しよう」
西園寺「……えぇ!!け、結婚って」
日向「今すぐじゃないけどな」
西園寺「それ本気で言ってるの?」
日向「ああ。俺は本気だ」
西園寺「ふん。今の言葉忘れないからね」
西園寺「そうだ!日向おにぃがプロポーズしてくれたって皆に言いふらそう」
日向「やめろ!恥ずかしいだろ!」
西園寺「何?皆にバレて都合が悪いことでもあるの?」
日向「ないけどさ……」
西園寺「だったら別にいいじゃん」
日向「ああ。もうわかった。お前の好きなようにしろ」
西園寺「わぁい!」
西園寺「わたしと結婚するってことになると日向おにぃは婿入りしなくちゃいけないよ」
西園寺「だったら苗字が変わって日向おにぃじゃなくなるね…ってことはこれからは創おにぃって呼ばないといけないかな」
日向「西園寺に名前で呼ばれるとなんか変な感じがするな」
西園寺「……西園寺じゃなくて、日寄子って呼んでよ」
日向「え?」
西園寺「だから、結婚するんだから苗字で呼ぶのはおかしいでしょ?創おにぃもわたしのこと日寄子って呼んでよ」
日向「ああ。わかったよ……日寄子」
西園寺「……うぅ。確かに変な感じがする」
日向(日寄子と結婚の約束をしたってことが皆に広まってしまった)
狛枝「素晴らしいよ。超高校級の希望同士が結婚するなんて。正に希望と希望のぶつかり合いが毎晩行われるってことだよね?」
花村「その希望同士のぶつかり合いには興味がありますな」
小泉「二人ともおめでとう……結婚式の時はアタシが写真撮ってあげるね」
澪田「出し物は唯吹のライブするしかないっすね」
西園寺「ありがとう。小泉おねぇ。澪田おねぇ」
罪木「えっぐ……おめでとうございますぅ」
終里「結婚ってなんだ?食えるのか?」
ソニア「残念ながら、日向さんは英雄ではなかったのですね……予言が外れてしまいました」
田中「ソニアよ。過去に作られた予言よりも、今を生きている我々の方が強い力を持つ。特に俺様の圧倒的な力の前では予言など何の意味も持たんわ。フハハハハハハ!!!!」
ソニア「田中さん…」
ウサミ「皆さん。ついに今日でこの島とお別れの日がやってきまちた」
日向「修学旅行もこれで終わりか。色々あったな」
西園寺「ねえ、この島を出たら創おにぃはどうするの?」
日向「まだ何をするか決めてないけど……日寄子、お前と一緒ならどんな未来だって創れると思う」
西園寺「もう……未来とかそんなことより、結婚はいつするつもり?」
日向「日寄子が大きくなったら……かな」
西園寺「なにそれ!ひどーい!ふん。すぐ大きくなってみせるから」
日向「ハハハ。気長に待ってるよ」
七海(気長に待つ必要はない……と思うよ)
―希望更生プログラム終了―
日向「あ、あれ?ここはどこだ?」
西園寺「創おにぃ?」
日向「えーっと。どちら様ですか?」
西園寺「酷い!わたしのこと忘れたの?うわあああああん」
日向「え?まさか、お前日寄子か!?」
西園寺「そうだよ……」
日向「だって、お前のその体……」
西園寺「あれ?創おにぃって背縮んだ?」
日向「お前が伸びたんだよ!」
苗木「そのことについてはボクから説明するよ」
日向「その声は狛枝か!?なんてことだ。今度は狛枝の背が縮んだ!」
苗木「それは違うよ!ボクは狛枝クンじゃなくて、苗木誠だ」
日向「なるほど。俺たちは入学当時の状態で希望更生プログラムを受けていたのか」
苗木「そういうことだね。だから、あの島での西園寺さんは現実の西園寺さんより小さかったんだ」
西園寺「創おにぃ。島での約束覚えているよね?大きくなったら結婚するって」
日向「まさかこんなに早く大きくなるとは思わなかった……けど、約束だ。日寄子今すぐ結婚するか」
西園寺「わぁい!」
日向(沈静化したとはいえ、世の中にはまだ絶望の残党がいる。そんな状況でも日寄子との絆があれば、未来を創ることはできるんだ)
おわり
乙
乙
Entry ⇒ 2012.09.25 | Category ⇒ 版権物SS | Comments (0) | Trackbacks (0)
聖「……みずき、もう少し真剣に練習しろ」
聖「……」パスッ ヒュッ
みずき「やっぱり、いざ先輩達がいなくなると……」パスッ ヒュッ
聖「そんなことを言うものじゃない」パスッ
みずき「分かってるけどさぁ」
聖「気持ちは分からないではないが、練習に身が入っていないこととは話は別だ」
みずき「むー」
聖「……はっきり言うが、今の状態だと手塚の方がエースに相応しいぞ」
みずき「そーかもね……はぁ……」
聖(なんとかならんかな……)
※みずき サボりぐせ取得
練習後
みずき「おつかれー」
聖「おい、この後はミーティングが……」
バタン
聖「……はぁ」
円谷「えーっと……ドンマイ?」
手塚「橘の奴……大丈夫かなぁ」
聖「まだ大会には時間があるが……このままではな」
円谷「去年の夏は帝王とあかつきが潰し合ってくれたからよかったけどねー」
手塚「組み合わせ次第じゃ両方と戦わないといけない……ウチの地区は何かおかしい」
聖「文句を言っても始まらん。とにかく、手塚とみずきの両看板が仕上がらないことには、万全とは言えん」
手塚 B(70) B(75) 146km スライダー3 カーブ3 フォーク2 安定感4
みずき A(85) C(60) 139km オリジナル5 スクリュー3 対ピンチ2 ケガしにくさ4 タイムリーエラー ムラッ気 人気者
こんな感じ
大正義恋々高校^p^
聖「加藤先生……すいません、私がもっとしっかりしていれば」
円谷「そういうことは言わないの!」
手塚「そうそう、橘のことはチーム全体で考えていこう。先輩達が抜けて何か物足りないのは、みんな一緒なんだから」
聖「お前達……すまない」
加藤「ふふふ、どうやら心配することはなさそうね。近い内に『彼』もやってくるし……」
聖「『彼』?何のことですか?」
加藤「すぐに分かるわよ。さて、ミーティングを始めましょう?」
「「「???」」」
※円谷・手塚 チームプレイ○
円谷 CDBCBB 弾道2 送球○ 盗塁4 走塁4 守備職人 サブポジ○ チームプレイ○
くらい。大正義恋々ry
数日後 教室
みずき(最近練習出来てないなぁ。自分でサボってるんだから当たり前だけど)
みずき「……先輩達が部に居た頃は、毎日毎日楽しかったのに……」
キーンコーンカーンコーン
みずき(……いっそ授業もサボっちゃおうかしら)
教師「えー、HRを始める前に連絡がある」
みずき(あーあ、ほんとに何か面白いことでも起きないかなぁ)
教師「今日からこのクラスに転校生がやって来る。みんな仲良くな」
みずき(転校生ねぇ。私が漫画の主人公なら、ここで『あー!!?』とか言って立ち上がったりするんだろうな。ま、あり得ないけど)
教師「君、さっそく自己紹介を」
??「はい」
みずき「あー!!?」ガタッガタン
教師「どうした橘?」
??「……」
みずき「アンタ……友沢!?」
友沢「……漫画のキャラか、お前は」
教師「野球部に入部希望らしいし、ちょうど席も空いてるから橘の隣な」
みずき「な゛ー?!」
みずき「……ちょっと」
友沢「何だ」
みずき「屋上まで着いてきなさい」
友沢「……やれやれ」
クラスメートA「あれ、告白か何か?」ヒソヒソ
クラスメートB「何かただならぬ関係みたいだしな、朝の反応的に」ヒソヒソ
クラスメートC「勝気な美少女とクールっぽいイケメン……YESだね!」ヒソヒソ
クラスメートD「小生のみずきタソを返せー!」
友沢「……周りの反応はどうにかならんのか」
みずき「……あきらめなさい。私は慣れた」
※みずき・友沢 精神ポイントが下がった……
友沢「……で?」
みずき「で?じゃないわよ!何でアンタが転校してくるわけ?!」
友沢「……」
みずき「……だんまりとはね。カッコつけてるつもりかしら」
友沢「……そう受け取ったなら、それでもいい」
みずき「ふん、そういうすかした態度が気に食わないのよ」
友沢「勝手に言ってろ」
みずき「……でも、本当にどういうこと?帝王のアンタがライバル校に転校して、当然のように野球部志望だなんて」
みずき「何よ?」
友沢「お前、最近サボっているらしいが、今日は来い」
みずき「なっ……よ、余計なお世話よ!ていうか何でアンタがそのことを知ってるワケ?!」
友沢「……本当にサボってたのか。意外だな」
みずき「……色々あんのよ、乙女にはね」
友沢「乙女ね……ま、俺がここに居る理由も含めて、部活に顔を出せば分かると思うぞ。じゃあな」
みずき「むむ……わけわかんない……」
みずき(なんだか友沢に説得されたみたいで癪だけど、結局大会には出たいし勝ちたいのは間違いないのよね)
みずき「サボりも潮時、か。先輩達が居なくて物足りないのは変わんないけど」
聖「それでも練習に顔を出さないよりはずっとマシだな」
みずき「聖……その、ごめんなさい」
聖「いいさ」
手塚「先輩達が居なくなってつまんないっていうのはみんな一緒さ」
円谷「でもそこは俺達自身で、これから何とかしていこうぜ」
みずき「あんた達まで……うん。それもそうね。いつまでも後ろ向いてても始まらないわ」
※みずき サボりぐせ 解消
友沢「……」
加藤「すでに知っている人も多いと思うけど、今日から野球部に新たな仲間が加わります」
部員A「あれって帝王の……」
部員B「だよなぁ」
加藤「さすがの知名度ってところかしらね……亮君、改めて自己紹介を」
友沢「今日から入部する友沢亮です。ポジションはショート」
みずき「は?!」
友沢「よろしくお願い……」
みずき「待ちなさい!何でアンタがピッチャー希望じゃないのよ?!」
友沢「……」
加藤「それについては私から言わせて貰うわ。そこら辺は、彼がウチの高校に来た理由でもあるから」
聖「というと?」
加藤「……数ヶ月前、妹から相談を持ちかけられたの。『ある優秀な野球少年』の体について、ね」
友沢「……」
手塚「確か監督の妹さんって……」
円谷「近くの総合病院の看護婦さんでしたっけ」
加藤「そう。妹……京子と私は同じ先生の元でスポーツ医学を学んでいたのだけれど、得意分野が少し違うの」
聖「なるほど。その『ある優秀な野球少年』の検査を妹さんから頼まれた、ということですか」
加藤「そういうこと。まぁ、私達の先生にお願いしてもよかったんだけど、多少過激なことも辞さない性格の人で……
まぁそれは置いておきましょう。最終的に施設だけ借りて、私が精密検査を行ったわけ」
みずき「……検査の結果は?」
加藤「限りなく黒に近いグレー、という所ね。少なくとも、医学を志す者として看過出来るような状態では無かったわ。
その子が身を置いている環境が、過酷な練習と熾烈な競争を是とする帝王野球部だからこそ、
尚のこと放っておくことが出来なかった。それ程に稀有な才能の持ち主なのよ」
聖「つまり、その野球少年というのは」
友沢「……特に肘がボロボロでな。決め球のスライダーが、もうまともに投げられないらしい」
みずき「……アンタ、ってわけね……」
加藤「現状の帝王の練習及びシステムだと、どうしても亮君の選手生命に危険が及んでしまう。
そこで私は、帝王の監督や私の先生、そして亮君本人と、何度も話し合った末に、彼の転入を提案したの。
ウチなら設備の整った総合病院にも近いし、メニューの調整なんかも柔軟に対応出来るからね」
円谷「……よく帝王側も本人も納得しましたね。悪い言い方だけど、戦力の引き抜きみたいなもんだし」
手塚「練習環境が変わるのもリスクだと思うんですけど」
友沢「……実際そこら辺は悩んだけど、プロ入りする前に体を壊しちゃ人生計画がパーだからな」
聖「ビッグマウスはほどほどにな……と言うべきところだが、友沢ならまぁ間違いなくプロからオファーが来るだろうな」
加藤「現3年のパワプロ君や早川さん、あかつきの猪狩君、帝王の山口君に引けを取らない注目度であるのは間違いないわ。
そこら辺も考慮しているからこそ、帝王の監督もこちらの提案を受け入れてくれたのよ。
『戦力的に大きな打撃にはなるが、野球界の為と思えば致し方ない』ってね。『覚悟するように』っても言われたけれど」
手塚「『覚悟しておくように』って……当たったらラフプレーとかしてきたり?」
友沢「ラフプレーはさすがに無いだろうが、執拗にマークされるのは間違いないだろうな。
お前たちには正直申し訳ないと思うけれど、その分実際のプレーで貢献していくつもりだ」
聖「ふむ……ショート希望ということなら、ちょうど不足していたポジションだし、
戦力的には大幅なパワーアップということになりそうだな。問題は体の方だが……」
友沢「転入手続きのゴタゴタの間に体は休ませておいた。加藤先生からの指導は勿論、
京子さんにもリハビリの面倒を見てもらったから、今すぐにでも動きたい所さ。
……しかし意外だな。守備に定評のある恋々でショートが不足だなんて」
円谷「これでようやく本職セカンドに戻れそうだなぁ。正直助かるよ、俺一人だったし」
友沢「……一人?しかもサブポジション?何かの間違いじゃないのかそれ」
手塚「しょーがないんだよね、そこら辺の事情は」
聖「……聖域(JK)」
友沢「……?」
聖「……みずき?」
みずき「ごめん、やっぱり今日は私練習パスするよ」
聖「は?」
みずき「加藤先生、ごめんなさい、後でサボってた分まで罰は受けますから、今日は……」
加藤「うーん……ま、分かったわ。覚悟しておきなさい」
みずき「ありがとうございます……友沢、みんな、ごめん。お先」
手塚「あれれ、一目散だ」
円谷「せっかく久しぶりに来たのに……」
聖「……本人がああ言ったんだ。明日からは問題なく来るだろう」
聖(それにしては、複雑な表情をしていたけれど)
加藤「……亮君、やっぱり今日の練習禁止」
友沢「えっ?!久しぶりだから特別に動いていいって……」
加藤「あぁ、えっと……野球の練習は、ってこと。監督としてウォーミングアップを命じます」
友沢「はぁ、まぁ、動けるならいいですけど……」
友沢「校門出て左に10分ってとこでしたっけ……アップにも物足りない気がしますけど」
加藤「また故障寸前まで行きたいのかしら?」
友沢「うっ……りょ、了解しました」
加藤「素直でよろしい。他のみんなも、しっかり準備運動とアフターケアを怠らないように!」
友沢出発後
聖「……加藤先生」
加藤「何かしら?」
聖「神社はランニングコース外のはずですけど、どうして友沢君に?」
加藤「……勘よ」
聖「は?」
加藤「六道さんにも、その内分かるわよ。ふふ」
聖「???」
みずき「……何でアンタがここに来るのよ。帰るにしても家は反対方向でしょ」
友沢「今日は軽いアップまでって言われたんだ。神社まで走って来いだと」
みずき「ふーん」
友沢「……お前こそ、どうしてここに居るんだ。お前の帰る方向だって逆だろう」
みずき「別に……なんとなく、よ」
友沢「……」
みずき「……」
「なぁ」「ねぇ」
友沢「……何だ?先に言えよ」
友沢「質問によるな」
みずき「アンタ、隠し事してない?こっちに来た理由、あれだけだと思えないんだけど」
友沢「……さすがに腐れ縁ってわけか」
みずき「不本意だけどね。その……家族のこととか、そこら辺について、何も言ってなかったし」
友沢「それは別に隠そうとは思わないし、かといってひけらかして同情を誘うつもりもない」
みずき「でも……」
友沢「……屋上でお前に転入の理由を話さなかったのは、お前が俺の家の事情をある程度察しているからだ。
他の部員に前もって話したりされたら、俺がやりづらくなるだけだしな」
みずき「そんなデリカシーの無い事しないわよ?!」
友沢「どうだか。お前、お節介だし」
友沢「……まぁ、バッサリと言うとだな。母さんの看病と弟たちの面倒見るのとバイトとの兼ね合い……」
みずき「はぁ?!アンタ、あれだけ私が言っておきながらまだバイト増やすつもりなの!?いい加減に……」
友沢「耳元で怒鳴るなよ!?しかも逆だ逆。バイトはこれから減らせるんだ」
みずき「そうなの?」
友沢「理香さん達の先生が『出世払いでいいデース』って言って、母さんの治療費とか俺の検査費用を負担してくれたんだよ。
おかげで無理にバイト増やしたりする必要も無くなったんだ」
みずき「うさんくさっ?!」
友沢「そう言いたくなる気持ちも分かるが、実際大助かりさ。母さんも京子さんの勤務してる近くの病院で診てもらえることになったんだ。
帝王だと電車を使わざるを得なかったけど、ここなら自転車で十分だし、翔太たちの学校も近い。
壊れる寸前だった体も、何とか持ち直させてくれたし、いいこと尽くめで怖いくらいだよ」
友沢「……まぁ、な。少なくとも、スライダーを試合で放ることはもう無いだろう」
みずき「……そっか……ごめん、嫌なことまた聞いちゃって」
友沢「……気にするな。これでも、自分の中では一応けじめをつけたつもりだし」
みずき「……」
友沢「……お前の質問には答えたんだから、今度はこっちの番だ」
みずき「……いいわよ」
友沢「どうして今日もサボった?最初は普通にやる気みたいだったが」
友沢「……分かった、約束する」
みずき「……そもそも最近何でサボってたか、アンタは分かるかしら?」
友沢「理香さんから少し聞いていたくらいだったから、理由までは」
みずき「……さっきもちょっと思ったんだけど、理香さんって名前呼びなのね」
友沢「?話に関係あるのか?」
みずき「……無いわね。続けましょう。私が練習をサボりがちになったのは……
先輩たちが部活に来なくなったから。間違いなくこれが理由ね」
みずき「そうね。年末までは来てくれてたんだけど」
友沢「なんだ、むしろよく来てくれてたくらいじゃないか」
みずき「うん。他の先輩達も、何人かはちょくちょく顔を見せてくれたわ。今でもたまに来る人は来るし」
友沢「ならそれで」
みずき「よくないのよ、私にとっては」
友沢「……先輩たちが現役だった頃がよかったというわけか」
みずき「……暇を見つけては遊ぶくせに、ヘッドスライディングだけ気合入れてたダメガネは嫌いじゃなかった。
みんなの人気者で、おどおどしてる雅先輩をからかうのが日課だった。
簡単そうに私のボールを受けるパワプロ先輩を尊敬してたし、ちょっとだけあの才能が妬ましかった。
パワプロ先輩とのキャッチボールを心底楽しそうにやってたあおい先輩が大好きだった。」
みずき「でも、分かりきってたことだけど、それは部のみんなが思ってることで……
私だけいつまでも甘ったれてるなんていうのも、おかしな話。だから、それはもう解決したの」
友沢「じゃあなんで今日は休むんだ?」
みずき「うー……アンタが原因っていうか、えっと」
友沢「俺?」
みずき「アンタは何も悪くないんだけどね。私が勝手に、色々考えてて……」
友沢「……」
みずき「アンタは私のこと意識したこと無かったかもしれないけど、私はアンタをずっと
ライバルだと思ってたっていうか……あぁっもう、恥ずっ!恥ずい!」
友沢「ふむ」
何か、その、変な気持ちになっちゃってさ。すごく辛くて、やるせなくて……
自分のことじゃないのに、何言ってんだろうね、私。わ、笑いたければ笑いなさいよ」
友沢「……まさか。笑ったりなんてしないさ。最初に約束したし」
みずき「うぅ、そういえばそうだったわ……」
友沢「……それから、俺もお前はライバルだと思ってるよ」
みずき「そう、なの?」
友沢「あぁ。お前の周りが凄過ぎて、俺のことなんてシニアで争っただけ、もう過去の人間扱いだろうと思ってた」
みずき「……あんだけ投げ合っておいて『だけ』とか過去の人だなんて思ってるわけ無いでしょうに……
今でも思い出すわよ……ほら、去年だって練習試合でさ……」
矢部(どんな状況でやんすかこれ)
矢部(神社の軒下にコツコツ貯めてきたエロ本を回収しようと思って来てみれば、
みずきちゃんとどこかで見たことのあるイケメンが楽しそうにお喋りしているでやんす。
明らかに不純異性交遊でやんす。不潔でやんす。爆発しろでやんす)
矢部(これはあえて空気を読まないで参上して、雰囲気をぶち壊してやるでやんす。
そしてみずきちゃんからゴミカスを見るような視線を受けてそれを今夜のオカズにするでやんす。
名づけてAKY721作戦でやんす。完璧でやんす!)
矢部「デュフフ……コポォでやんす……」
チョンチョン
矢部「なんでやんす?今取り込み中でやんす」クルッ
ゲドー君「」ギョギョー
矢部「」
友沢「それでその時山口先輩がさ……」
みずき「えー?!あの人そんな人だったんだ……意外」
加藤「コラコラ亮君!」
友沢「げ!理香さん?!すっ、すいません!サボりじゃなくて、ええと……」
加藤「その呼び方は診療中だけよ?全く、遅いから心配して来てみれば……青春真っ只中って所かしら?」
みずき「そ、そんなんじゃないですよ!」
加藤「……ま、いいわ。どうせ亮君用のメニューは明日から始めるわけだし」
加藤「ええ。体に出来るだけ負担をかけない特訓、っていう矛盾したオーダーで組むのは中々骨が折れたけどね」
友沢「う……すいません、ありがとうございます」
加藤「そ・こ・で!橘さん!」
みずき「はい?」
加藤「度重なる部活の無断欠席……いくら私が野球に関しては素人監督とはいえ、
到底見過ごせるものじゃないわ。このままじゃ、懸命に練習に励んでいる他の子達に示しが付きません」
みずき「うぅ……すいません、ごめんなさい」
加藤「謝って帳消しにならないのは分かっているでしょう?チームのエース格とはいえ、それ相応の罰を受けてもらいます」
みずき「はい……私に出来ることなら、何でも」
加藤「いい覚悟ね。非常によろしい。では、あなたには罰として……」
加藤「亮君のトレーニングパートナーを命じます!」
友沢「えっ」
加藤「亮君の要望に応えて、『通常練習後』『可能な限り長時間』の特別メニューを組んでおいたから、
亮君と一緒にこれを年度が変わるまでの間、きっちりみっちりしっぽりこなしなさい」
みずき「ええええええええ!?れ、練習後に長時間って、体を痛めつけるだけじゃないですか?!」
加藤「さっき言ったわよ?『体に出来るだけ負担をかけない特訓』って。
一見矛盾したオーダーでも、ダイジョーブ医学にかかればどうってことないわ。
それに、あなた達二人の経過を観察して、随時メニューは調整していくから安心しなさい」
友沢「まぁ、り……加藤先生が組んでくれるんだから、間違いは無いだろう。
理由はどうあれ、サボってたお前が悪いっていう面もあるし、あきらめろ」
加藤「あら、亮君と食べればいいじゃないの。ふ・た・り・で♪」
みずき「だっ、な、ななな」
友沢「……すまん、甘いのはそこまで得意じゃない」
みずき「何でそこでまともな反応なのよ?!」
加藤「これは監督命令です!……あ、首尾がよければ来年度の部のメニューに組み込む予定だから、
そこら辺もよろしくね。ある意味責任重大よ?」
みずき「もういやー!?」
※みずき 負け運
みずき「ふぇぇ……また増えてるぅ……」
友沢「元々俺のリハビリも兼ねてるんだ、メニューが段々きつくなるのは仕方ない」
みずき「そうはいっても今日のは増えすぎよ!ウェイトの時間が2倍近いじゃないの!?」
友沢「……ま、女のお前にはきびしーかもなー」(棒読み)
みずき「むぎぎぎぎぎ……しゃーどんとこいオラー?!」
友沢(相変わらず誘導しやすいなこいつ)
みずき「なんて言うと思った?!もうその手には乗せられないわよ!?」
友沢「ちっ」
みずき「舌打ち禁止!……あーもう!あんなにサボるんじゃなかったー!!」
友沢「自業自得、だな」
みずき「むきー!!」
みずき「誰がこんな奴と!」
友沢「……理香さん、こいつの言うとおり、実際今日のメニューは増えすぎな気がしないでもないんですけれど」
加藤「もう、名前で呼ぶのは二人の時……診察の時だけって言ってるじゃないの」
友沢「あ、すいませんつい……」
みずき「……」ビキビキ
加藤「うふふ……まぁともかく、確かにそろそろ根を上げる頃だとは思ってたわ。
最近の橘さんは基礎練習を疎かにしがちだから……まだパワプロ君たちが現役だった頃は、どんな練習も熱心だったんだけど」
みずき「……あおい先輩分が足りない……」
友沢「うわぁ……」
みずき「……冗談よ。真に受けないでよね」
これなら基礎練習よりはモチベーションが上がるんじゃない?そうね、例えば……スライダー系のボールとか」
みずき「!」
友沢「!」
加藤「亮君にも手伝ってもらいなさい。彼のスライダーは、間違いなくプロレベルだった。
きっと良いアドバイスをしてくれるはずよ。勿論、亮君には投げさせないけど」
みずき「ちょっと待って下さい!それだと友沢が……」
加藤「……もう亮君は、野手として第二の野球人生を始めたと言っても過言じゃない。
でもこの程度でうじうじする様なら、プロになんてなれないでしょうし、なったとしても活躍は厳しいでしょう。
投手としての自分を冷静に振り返ることが出来るかどうか、それが一つの分岐点だと私は考えるわ。どうかしら、亮君?」
友沢「……」
みずき「友沢……」
加藤「……ええ、いいわ」
友沢「……ちょっと走ってきます。すぐ戻るんで……あぁ、橘は休んでてくれ」
みずき「ちょっ、待ちなさ……加藤先生、私も!」
加藤「はいはい、どうぞいってらっしゃい」
みずき「ついでにウェイト免除で!」
加藤「それは却下ね」
みずき「あう」
※みずき 寸前×
神社
みずき「はぁ、はぁ……やっぱりここよね……はぁ」
友沢「橘……」
みずき「やっぱジョグで流せばよかった……はぁ、はぁ、とんだピエロだわ……」
友沢「どうして、ここだと?」
みずき「……簡単よ。アンタが野球馬鹿だから」
友沢「……何だそりゃ」
みずき「この神社、どうしてかは知らないけどみんな練習場にしてるのよね。
パワプロ先輩も、あおい先輩も、雅先輩も、手塚も円谷も聖も……
もちろん私もね。ほら、野球馬鹿ばっかり。だからアンタもここに来るって寸法よ」
友沢「……」
みずき「まぁ、実際当てずっぽうって言えばそうなんだけどさ。私の目に狂いが無かったってことね」
みずき「……誰でもそんな気分になる時はあるんじゃないかしら」
友沢「この前『けじめはつけた』とか言ったのにこのザマは無いだろう」
みずき「私はそうは思わないわ。逆に、平気な顔して『分かりました、さぁスライダーの特訓だ』
とか言われてたら、アンタのことぶん殴ってたかも」
友沢「む……」
みずき「……アンタがピッチャーやってる姿、私はよく覚えてるわ。
いつも強気でグイグイ攻めてて……変な言い方だけど、ちょっと癪に障るような、
憎たらしいアンタらしくて、でも気持ちがボールに乗ってて、清々しかった。
こいつは本当に楽しくて投げてるって、そんな風に見えて、嫌いじゃなかったの」
友沢「……お前」
みずき「あんなに全力で投げてたアンタが、そう簡単にピッチャーをあきらめられるわけ無い。
その証拠に、気持ちの整理をもう一度したいから、アンタはここに来た。違う?」
友沢「………………違わない、な」
友沢「ふ……何でもお前に見通されてるみたいで、ちょっとむかつくが」
みずき「気にしてやってる分だけ感謝しなさいよ、全く」
友沢「はは、そうかもな……お前の言う通り、俺、ピッチャーやってるのは好きだったよ。
それなりに自信もあったし、この腕一本で家族を食わせていくんだって思ってた。
それがもう投げられないなんて、悪い冗談だと思いたかったさ。
野球が続けられるって分かった後も、自分がピッチャーだった時のことを、
何とか忘れようとするばっかりで、ちゃんと向き合おうとしなかった」
みずき「……まだ逃げる?」
友沢「まさか。里香さんの言う通り、ここで立ち止まってたらプロでやっていけるわけが無い。
それに、今の俺にはパートナーがいるんだ。そいつには貸しを作ったり、
迷惑かけたくない。なんてったって、後が怖そうだからな」
みずき「よく言うわよ」
友沢「……俺のピッチング、褒めてくれてありがとうな」ニコッ
みずき「?!べ、別に褒めてなんかないし!?嫌いじゃないってだけで……あ、アンタのことも別に」
友沢「は?なんでそういう話になるんだ?」
みずき「ぐっ……な、なんでもないわ!ふん!」
友沢「???」
友沢(復活) 弾道3 ABBABC AH PH サブポジ○ ポーカーフェイス
またまた数日後、スライダーの特訓中……
みずき「えいっ」ククッ
スコーン
みずき「ふぅ……少しは様になってきたかしら」
友沢「そうだな、そろそろ本格的に実戦に近い練習をしてもいいんじゃないか。
次からは聖に残ってもらって、ボールを受けてもらおう」
みずき「……アンタ、いつから聖のこと呼び捨てにしてるの」
友沢「え?いや、昨日話してたら『名前で良い』って本人がな。
……それがどうかしたか、橘?」
みずき「……ふーーーんだ。何でもありませんよー……えい」クッ
スコーン
みずき「えっ、ちょっ……」
友沢「前も言ったと思うけどお前は腕の振りが甘いんだよ。もっとこう手首まで使って……」
みずき「う、うん……」
みずき(近い近い近い!?)
友沢「……あれ、もしかしてサイドだからもっと重心低い方がいいのか……?
腰をもっとこうして……いやでもこれだとちょっと負担が……」
みずき「……ッ!……ッ!」
みずき(真剣過ぎて何も言えないじゃない……!えっち!スケベ!!変態!!!)
※みずき 低め○
……いつもこんな感じなら、少しは可愛げが出るだろうに)
友沢(……首、白くて細いな……ていうか、体全体細いんだな、やっぱり女の子か)
友沢(……せっけんの良い匂い……)
友沢(……あ)
友沢「ま、まぁこんな感じのフォームでいいんじゃないか!うん」パッ
みずき「えっ?!あ、ああ。うん、分かったわ。さ、サンキュー」
友沢「お、おう」
みずき「こほん……気を取り直して……えいっ!」グググッ
スコーン
友沢「?!」
みずき「……凄い変化したわね今」
※みずき スライダー系オリジナル変化球取得 クロスファイヤー取得
友沢 弾道が上がった! ポーカーフェイス消去
帰り道
みずき「疲れたー!!」
友沢「お疲れ」
みずき「今日は大収穫ね。あんなに曲がるスライダーをマスターするなんて、さすが私」
友沢「確かにあれには驚いたな」
みずき「……でも投げ過ぎでかなり疲れちゃった。早いとこ帰って休もうっと」
友沢「迎えでも頼んだらどうだ?」
みずき「……それだとアンタが一人になっちゃうじゃないの」
友沢「……もしかして、今までそれで律儀に一緒に帰ってくれてたのか、お前」
みずき「ふん。感謝しなさいよね」
友沢「何故無駄に偉そうなんだ……」
友沢「二人乗りは危険だろ、もう真っ暗だし」
みずき「男がそんな細かいこと気にしないの!」
友沢「あっ!コラ!俺も疲れてるんだからそんないきなり……うおっ!!」フラフラ
みずき「あはははは!楽しいわねこれ!」
友沢「……ったく……バランスとるの難しいんだから、しっかりつかまってろ」
みずき「私みたいな美少女に抱きつかれてる気分はどうかしら?」
友沢「言ってろ」
みずき「ふふふ」
※みずき 積極打法 積極走塁
みずき「……いきなり何よ、かしこまっちゃって」
友沢「こっちに来てから、お前に助けられてばっかりだなと思ってさ」
みずき「……私が好きでやってるんだからいいの。アンタとの特別メニューも、
なんだかんだで結構楽しいし、練習不足も解消出来たし。結果オーライってやつよ」
友沢「……そういうもんか」
みずき「……」
友沢「……」
みずき「……ねぇ」
友沢「あっ!」キキー
みずき「わぷ?!……いったぁ……ちょっと!止まるなら合図とか……」
友沢「す、すまん……でも、ほら!上見てみろ!」
みずき「はぁ?……あっ!!流れ星!」
壁が足りん
みずき「迎えを頼んでたら見られなかったわね、これは。正に結果オーライだわ」
友沢「珍しいこともあるもんだ……」
みずき「……流れ星……!そうだ!」
友沢「どうした?」
みずき「今日のすっごい曲がるスライダーの名前が決まったわ」
友沢「は?いや名前ってお前子供じゃないんだから」
みずき「名付けて『シューティングスター』よ!」
友沢「……中二?」
みずき「うるさい!」
特訓の成果によりみずきと友沢がパワーアップしました
みずき A(85) C(65) 140km クレッセントムーン5 スクリュー3 シューティングスター4 負け運 対ピンチ2 ケガしにくさ5 タイムリーエラー 寸前× ムラッ気 低め○ ノビ4 キレ4 クロスファイヤー
人気者 積極打法 積極走塁
友沢 弾道4 AABABB ケガしにくさ4 AH PH 送球○ サブポジ○
(二人とも厨キャラじゃ)いかんのか?
その後みずきちゃんと友沢の仲が進展したりしなかったり
ゲドー君に連れ去られた矢部君がシーズン前半だけ超強化されたりされなかったり
パワプロ君が新人(笑)として大正義化したり
恋々が甲子園優勝したりしなかったり
とりあえず終わりです
読んでくれた人ありがとー
厨キャラ最高や!!
女性でこの能力は恐ろしすぎる…
面白かった
気が向いたらまた書いてくれ~
乙
Entry ⇒ 2012.09.22 | Category ⇒ 版権物SS | Comments (2) | Trackbacks (0)
橙子「君は動物に例えるとうさぎらしいな、式」式「…え?」
― 朝・伽藍の堂 ―
橙子「……」ボケーッ…
式「……」
橙子「式……頼みがある。すまんが、コーヒーを一杯淹れてくれないか……」
式「……それくらい、自分でやれよ」
橙子「まあ、そう言うな。見ての通り今忙しくてな……そっちまで手が回らん」ボケーッ…
式(これの、どこが……?)
橙子「淹れてくれたら面白い話聞かせてやるから……」
式「……」
橙子「黒桐の事だぞ」
式「……」ピクッ
橙子「……」
式「……」
式「ブラックで良いんだな?」
橙子「分かり易いなぁ、おまえ……」クスクス…
……………………
式「……」
橙子「……」ゴクゴク…
橙子「うん……やっぱり朝はこれを飲まんとしゃっきりせんな」
式「トウコ。話って」
橙子「ああうん、分かってる。まあ本当の事言うと、どうでも良い話なんだがな」
式(さっきと言ってる事が違うじゃないか)
橙子「あれは一週間程前の事だったかな……」
――――――――
橙子「式って動物に例えたら何になるんだろうな」
幹也「――どうしたんですか、唐突に」
鮮花「……」カリカリ
橙子「最近さ、動物占いとか言うのが流行ってるだろう」
幹也「はぁ。人の性格を動物の枠に当てはめると……って奴ですね」
橙子「そう、それそれ。それを聞いてふと思ったんだが……式の性格を動物に当てはめたら何になるのかなって」
幹也「……何で急にそんな事を?」
橙子「何って……そりゃ暇潰し」
幹也「――暇だっていうんなら仕事、手伝ってくださいよ。書類仕事全部僕に押し付けて……」
橙子「今は無理だ。見ての通り、君の妹に魔術の修行を付けている最中だからな」
鮮花(修行って言っても魔術書の写本ですけどね……)カリカリ
橙子「ちなみに鮮花は式を動物に例えたら何になると思う?」
鮮花「……」
――――――――
橙子「『シュミの悪い泥棒猫』、だってさ」
式「鮮花の奴……そりゃあお互い様だろう」
橙子「シュミが悪い事自体は否定しないんだな。……まあ、確かに良いとも言えんが」
式「……それで?」
幹也「泥棒猫って……そりゃあ式にはなんだかんだいって人の物を獲るクセがあるけど……それでも、最近は大分マシなんだぞ」
鮮花「――そうじゃなくって……」
幹也「?」
橙子「まあ、式がネコ科というのは私も同意見だ。泥棒猫なんて可愛いものじゃなくて、獅子や虎の類だと思うがね」
――――――――
式「……オレがライオンって、どういう事だよ」
橙子「だってホラ。おまえって、腹が減ったら人でも喰いかねんし」ハハ
橙子「分かった。分かったから無言で首元にナイフを突きつけるのは止めてくれ。怖い」
式「……」
橙子「全く……相変わらず気が短いな」
式「……おまえの話は長いんだよ」
橙子「分かった、黒桐が何て言ったかパパッと教えるから」
――――――――
橙子「で……黒桐は何になると思う?式を動物に例えると」
黒桐「うさぎです」
――――――――
式「……え?」
橙子「即答だったぞ」
――――――――
橙子「ほぉ……どうして?」
幹也「どうしてって……だって、式といえばうさぎでしょう。僕は昔からずっとそう思ってますけど」
――――――――
橙子「人に懐かない所やら、遠くからこっちをじーっと見てる姿やらがうさぎに似てるんだと」
式「……」
――――――――
橙子「……」
幹也「サンドイッチをちびちびかじる仕草が小動物みたいで……」
橙子「黒桐、黒桐……」
幹也「前にいきなり冷たい物を食べた時なんか……はい、何ですか橙子さん」
橙子「不用意に質問した私も悪かったが……もうその辺にしておいてくれ。鮮花が……」
鮮花「」
幹也「あれ……鮮花?」
――――――――
式「……」
橙子「あんな物を延々と聞かされるこっちの身にもなれ……鮮花なんかぶっ倒れてしまったぞ」
式「――知るか。元はそんな質問をしたおまえが悪いんじゃないか」
橙子「まあ、そうなんだが……」
橙子「……」
橙子「――でもまあ。君がうさぎというのもあながち間違いじゃないな」
式「はぁ……?」
橙子「うさぎは寂しいと死ぬって良く言うだろ。だから」
式「――オレは別に寂しがってなんかいない」
橙子「ほぉ? では黒桐が出張して一週間、毎日ここに通いつめて帰りを待ってるのは誰だ」
式「……」
橙子「そう言えばおまえ……前にあいつが免許を取りに一月ほどこの町を離れた時も、目に見えて不機嫌になっていたな」
式「……」
橙子「……やれやれ。あいつがどこに行ったか知りたいのならば、素直に聞けば良いのに」
式「……」
橙子(意地が邪魔をして聞けない、か。最も、私もここまで出張が長くなるとは思わなかったが。……行き先で何かあったか?)
橙子「全く……いつになったら帰ってくるんだろうね、うちの坊やは」
何かのパロディ?
ボーパルバニーでググればいろいろ出てくる
ゲーム「ウィザードリィ」に出てくる序盤のモンスター
即死攻撃をする可愛いうさぎ
なるほどー
最初に読んだときは何かの伏線かと思ってた
(プルルルル……プルルルル……)
式「……」
橙子「……」カチャ
橙子「はい、蒼崎ですが………………あら、幹也くん」
式「……!」ピクッ
橙子「どうしたの? 連絡もないし、心配してたのよ。…………え?」
式「……」
橙子「……へぇー。うん……うん……そんな事があったんだ。なるほどねー……」
橙子「うん、じゃあさ。ビールと……後お土産買ってきて。うん、ハイ、ヨロシクゥ!ハイ」
(ガチャッ)
式「……」
橙子「……」カチャ
橙子「朗報だ。黒桐が帰ってくるぞ、式」
式「――そう」スタスタ
橙子「何だ、もう帰るのか? 出迎えは? その為に毎日ここで待ってたんじゃないのか、君は」
式「……」
橙子「一言『お帰り』と位は言ってやっても良いんじゃないか」
式「……」ボソ
橙子「?」
式「あいつ……この一週間どこに行ってたんだ」
橙子「ちょっと他県まで。仕事でな。本当なら一日で帰って来れるはずだったんだが……何やら長引いたようだ」
式「……」
橙子「連絡が無かった事に怒ってるのか?」
式「どの県に行ってたかは知らないけど。電話が出来ないって事はないだろう」
橙子「何でも凄く忙しかったらしい。それに、もしかしたら電話さえ通じてない場所に行く破目にあっていたのかもしれない」
式(そんな場所、今時あるか?)
橙子「黒桐の奴、声を聞く限り凄く疲れてそうな印象を受けた」
式「……」
橙子「こういう時、君に一言声を掛けてもらうのが一番元気が出るんじゃないのか、あいつ」
橙子「…………あ。……ちょっと待ってろ、すぐ戻ってくる」
式「……?」
………………………………
橙子「という訳で……ホラ、式」
式「トウコ」
橙子「黒桐が君をうさぎに例えた事はさっき言ったな。だから……」
式「ちょっと待て」
橙子「君が、このバニーコスであいつを出迎えてやれば、黒桐は凄く喜ぶと思うんだ」
式「……」
橙子「……」
式(前から思ってた。トウコって、実はすっごく頭悪いんじゃないのかって……)
橙子「さあ、着てみろ式」ズイッ
式「何でオレがそんな事しなくちゃならないんだ」
橙子「黒桐が喜ぶ」
式「……知るもんか、あんな奴」プイッ
橙子「……黒桐が、おまえに無断で居なくなった事が、そんなに許せないか?」
式「……」
橙子「君が前に姿をくらませた時、黒桐も散々心配してたんだがな」
式「……っ」ピクッ
橙子「その時の事あいつにもう謝ったか? まだだろう? ならこれは、その時の侘びも兼ねてだ……」
式(……私の避けている事ばかり突いてくる、この女は……)
………………………………
橙子「……」オォー…
式「……」
橙子「…………素晴しい」
式「……ッ! やっぱり止めだ、こんなのっ!」
橙子「おっと待て待て。悪かった。でも本当に似合ってるぞ」
式「……こんなの、似合ってるなんて言われても嬉しくない」
橙子「それもそうか。しかしなぁ……」ジロジロ
式「……」
橙子「何か足りないよなぁ……あっ、そうだ。物は試し、これも付けてみろ」
(すぽっ)
式「……」
橙子「おー、やっぱり。黒桐はうさぎだと言ったが、君にはやっぱりネコも合うな」
式「トウコ、おまえいいかげんに」
橙子「黒桐のためだぞ」
式「~~~っ……」
式「……おい、トウコ。おまえ、さっき忙しくて他に手が回らないって言ったよな?」
橙子「あれは本当。どうやって暇を潰すか考えるのが忙しくて、他の事に手が付かなかった」
式(こいつ……!)
橙子(……ん?)ピクッ
橙子「思っていたより大分早いな……もう帰って来た」
式「―――!」
式(幹也が……帰って来た……?)
(…………こつこつこつ)
橙子(階段を昇って……真っ直ぐこの部屋に向かって来てる)
橙子「一週間ぶりのご対面だ。心の準備は出来てるか、式」
式「……」ドクン…ドクン……
(……こつこつこつ)
橙子「……このまま普通に対面しても良いんだが。それだとちょっと面白みが足りないな……よし、式」
式「……何」
橙子「一旦台所に隠れててくれ。私が合図を送るから、その時出てくればいい。後……」ゴニョゴニョ……
式「――えっ……!?」
橙子「ちょっとしたサプライズだ。さ、早く隠れろ」
式(……お詫びにビックリさせるってどういう事だろう)タタタ…
(ぎいいい……)
橙子「―――遅いよ。お帰り、黒桐」
幹也「……遅れてすみません。黒桐幹也、ただいま帰ってきました」
式「……!」
橙子「本当に、偉く長い出張だったな。どうしたんだ、連絡も入れないで?」
幹也「ええ、最初はすぐに戻る予定だったんですが……ちょっと用事が出来ちゃいまして」
式(幹也の声だ……)
橙子「まあ募る話もあるだろうが、とりあえず今はゆっくり……」
幹也「『でも良いから、早く土産を見せろ』でしょ」
橙子「いや、そんな事は無いぞ?」
幹也「……だと良いんですが。はい、これ」トサッ
橙子「……」
橙子「これが、そうか?」
幹也「はい、そうです」
橙子「ハーゲンダッツのストロベリー……か」
幹也「あんまり文句は言わないで下さいよ。僕交通費以外すっかりおけらで……大体さっき電話した場所も近場だったじゃないですか」
橙子「少し安上がりだが……まあ君が無事戻ってきただけ良しとしよう。お疲れさん、黒桐」
幹也「そう言っていただけると助かります。……ところで橙子さん」スッ…
橙子「……」
幹也「……」
橙子「ん? 何だこの手は?」
幹也「こんな時に言うのも不躾だとは思うんですが……今日、給料日です」
橙子「……」
幹也「お給料払ってください、今日、ここで」
橙子「……」
幹也「……」
橙子「え?」
幹也「え?」
式(……?)
橙子「……」
幹也「え……だって……先週にちゃんと……聞いたじゃないですか」
幹也「橙子さん。今月はちゃんとお給料出ますよね?」
橙子「何だ黒桐。藪から棒に」
幹也「いえ……今月ちゃんとお給料出るのかなーってちょっと不安になりまして」
幹也「何せ、橙子さんには百飛んで十二万の振込金を一日で使い果たした前科がありますから……」
橙子「それ、飛んでないぞ。……あれは突然の出物だったから、つい」
幹也「『つい』で一度に何十万も使われたら堪りませんよ。……今月は大丈夫、ですよね?」
橙子「大丈夫だ。……私が信じられないか、黒桐?」
幹也「いえ……じゃあ、信じますよ……」
――――――――
幹也「って、話したじゃないですか。ちゃんとありますよね?」
橙子「……」
橙子「あっ! あんな所に空飛ぶ吸血生物(きゅうけつなまもの)が!」
幹也「え……?」チラッ…
橙子「……ッ!」ダッ
トウコは逃げ出した。
……しかし、回り込まれてしまった!
幹也「逃がしませんよ」
橙子「……」
幹也「……」
幹也「……橙子さん。……まさか、まさか」
橙子「黒桐……人は何故、出逢うんだろうね」
幹也「難しい事言って誤魔化そうとしても駄目です」
橙子「……」
幹也「……」
幹也「……もしかして」
橙子「あっ! あそこ、蛇女が自転車で曲乗りを!」
幹也「え……?」チラッ……
橙子「……ッ!」ダッ
しかし、回り込まれてしまった!
幹也「逃がさないって言ったでしょう!」
橙子「……」
幹也「……」
橙子「……」スッ…カチッ…
橙子「……」シュボッ…
橙子「……」フゥー…
幹也「……」
橙子「……無い」
幹也「あなたって人はあぁぁぁーーー!!!」
橙子「落ち着け、黒桐」
幹也「これが落ち着いていられますか! 何をしたんですか橙子さん!?」
橙子「いやな……どうしても……どうしても今しか買えない掘り出し物が、ダークアマゾンにあったんだ……」
橙子「で、気が付いた時にはそれをポチッと……」
幹也「ポチッとじゃないでしょう!!」
橙子「それがこの何でも願いを叶えてくれるとか言う聖杯のレプリカなんだが……」
幹也「……」
橙子「いやあ、こりゃ完全にバッタ物だ。何の効果も無い」ハハ
幹也「……また無駄な買い物をしたぁ……! 止めようとしたのにぃ……!!」
橙子「すまなかった。今回ばかりは、本当に反省している」
幹也「嘘ばっかりっ……」
橙子「……」 ←『良く分かったな』という表情
橙子「今回は『金貸してくれ』何て言わないからさ」
幹也「……当たり前ですよ。大体、どこの世界に社員に金をせびる社長が居るんですか」
橙子「ここ」
幹也「あぁぁ……」
橙子「まあ、金の方は近日中に何とか工面するから……それより黒桐」
幹也「……何ですか?」
橙子「お詫びといっては何だが……君に、見せたい物がある。それを見れば、きっと君も喜んでくれると思う」
幹也「……はぁ……?}
橙子「だからさ……ちょっとだけ、あっち向いててくれないか?」
幹也「……良いですけど」クルッ
橙子(よし……待たせたな。出番だぞ、式)
式(―――)
橙子「――もう、こっちを向いても良いぞ」
幹也「……」クルッ
式「……」
幹也「…………え…………?」
式「……っ」
幹也「し…………き…………? え…………」
幹也(バニーコスチューム? え? 何でこんな 猫耳
何て白い肌 久しぶり 顔が赤い )
式(……恥ずかしくて、死にそう―――)
橙子(良し、今だ式。さっき教えた通りに)
式(……もう、ここまできたらどうにでもなれ―――)
式「に、にゃー。幹也、お帰りにゃさい…………」
幹也「…………」
式「…………」
橙子「…………」
幹也「…………」
式「……?」
橙子「……、あ……」スタスタ
幹也「…………」
橙子「…………」ブンブン
式「み、幹也……?」
橙子「衝撃の給料未払いの後に、式のバニー姿は威力がありすぎた……意識が真っ白になっているようだ」
式「……なんて、こと」
幹也「…………」
橙子「うむ……提案した私が言うのもなんだが……」
橙子「さっきのアレは、流石に無いな」ハハ
式「ふざけるなっ!!」
橙子「しかし……まさか本当にやってくれるとは思わなかったぞ、式」
式「―――っ……!」
橙子「いくら黒桐の為とはいえ、良くあそこまで……」
式「ビークアイエットッ! 出て行けッ!!」
橙子「え? いや、しかし」
式「出て行けと言っているッ!」
橙子「……分かった」
式「くどいッ!!」
橙子(ちゃんと出て行ってるんだが……英語下手だなぁ、こいつ……)タタタッ……
…………………………
……………………
………………
幹也「……ぅうーん……」
幹也「はっ……ここは……?」
式「……気が付いたか?」
幹也「あ、式……」
幹也「…………」
幹也「式、どうしたのその格好……?」
式「聞くな……」
……………………
― 伽藍の堂・人形部屋 ―
橙子「…………」
(バタンッ)
鮮花「―――橙子さんっ……!」
橙子「おお、来たか鮮花」
鮮花「来たか、じゃなくて……、幹也はどこですか!?」
橙子「……ん?」
鮮花「出張から帰って来た途端に倒れたんでしょう? 大丈夫なんですか……」
橙子「……まあ、大事には至ってないと思う。今、付きっ切りで看てくれている奴が居るから」
鮮花「付きっ切りで、看病? …………まさか」
『幹也。何か飲むか?』
鮮花「……!」ビクッ
『え……良いよ。式に悪いから、自分で淹れます』
鮮花「……これって」
『……いいから。さっさと言え』
『……じゃあ、コーヒー。ミルクと砂糖もちょっとずつ……』
『―――分かった』
橙子「うむ……暇だったんで前に事務所に仕掛けてみたんだが」
鮮花「……」
橙子「いわゆる、盗聴器という奴だな」
鮮花「犯罪じゃないですか!!」
橙子「む……失敬な。そりゃあ赤の他人の家に盗聴器を仕掛けるのは犯罪だろうがね、ここは私の住まいだ。自分の家を盗聴して何が悪い」
鮮花「屁理屈だって事は分かってます……」
『サーッ!』
橙子「……」
『……ほら。淹れて来たぞ』
『ああ、ありがとう』
鮮花「……」ピクッ
橙子「……何だかんだいって興味が無い訳じゃないんだな」
…………………………
幹也「……」ズズ…
式「……」
幹也「うん……美味しい……」
式「……そんな甘いの、良く飲めるな」
黒桐「うん、この甘さが良いんだよ。それに……やっぱりブラックは、胃に悪いしね」
式「コクトーなのにな……」ボソッ…
幹也「え?」
式「……何でもない」
幹也「……?」ズズ
式「……」
式「やっぱりオレも飲む……貸せ」
…………………………
橙子「…………」
鮮花「…………」
『……あったかい』
『うん……』
橙子「堂々とした間接キスだな……」
鮮花「あの女ぁぁぁ!!」
橙子「待て、鮮花。落ち着け」
…………………………
式「…………」
幹也「…………」
式「……おまえさ」
幹也「うん」
式「どこ、行ってたんだ」
幹也「ちょっと違う県に、仕事で。本当は一日で帰って来れるはずだったんだけど……」
式「実際は、一週間掛かったと」
幹也「うん。……僕、さっきから『うん』しか言ってないな……」ハハ
幹也「ちょっと出かけた先で用事が出来ちゃって……」
式「……どうせ、人捜しかなにかだろ」
幹也「……分かる?」
式「分かる。おまえの事だから」ギロッ
幹也「……」
式「……どうして」
幹也「……?」
式「どうしてこの一種間、何も連絡を寄こさなかった。電話位出来るだろう」
幹也「それが……その捜し人、電話線も通ってない山奥にいて……」
式(……そんな所に居る奴をどうやって見つけたんだろう)
……………………
鮮花「…………」
橙子(……あいつの情報収集力は留まる所を知らないな……)
幹也「それより式の方こそどうしたの、その格好……?」
式「……っ!」
『だって、式といえばうさぎでしょう。僕は昔からずっとそう思ってますけど』
式「……」
『人に懐かない所やら、遠くからこっちをじーっと見てる姿やらがうさぎに似てるんだと』
式「……おまえが」
式「おまえがオレの事『うさぎみたい』だなんて言うからっ。だからっ……」
幹也「それって、この前の……」
……………………
鮮花「え……今の、一体どういう……?」
橙子「ああ、鮮花は式の姿を見ていなかったな。つまり―――」
……………………
橙子「―――という訳だ」
鮮花「式の奴……バニーガールになって幹也を―――」
……………………
幹也「なるほど……そういう事だったんだ」
式「…………」
幹也「…………」
幹也(……なら、何で猫耳なんだろう……?)
式「…………」スタスタ
幹也「…………」
式「…………」ポスッ…
(ぴたっ……)
幹也「…………」
式「…………」
式「知ってる、コクトー? うさぎはさ、淋しいと死ぬんだって」
幹也「……うん」
式「うさぎはさ、……独りだと、生きていけないんだって」
幹也「……うん、知ってる」
式「…………」
幹也「…………」
幹也「ごめん。今度からは、ちゃんと連絡するから」
式「……そうしろ。莫迦」
……………………
橙子「…………」
鮮花「…………」
橙子「いい雰囲気だな……」
鮮花「……っく……ぅ……」
……………………
式「…………」
幹也「…………」
式「熱い……やっぱり離れるか」
(ばっ……)
幹也「うんっ……、……?」チラッ
幹也(――――!?)
式「……? どうした幹也」
幹也「えっ? あ、いや……えっと……」
式(急に挙動不審になったな……)
幹也「…………」
幹也(忘れてた……式は今、所謂バニーコスチュームだったんだ……)
式「暑いな……」ダラダラ…
幹也(大して胸も無いクセに……そんな派手で、露出の多い服を着るから……だから―――!!)
式「おい幹也……どうした?」
幹也「……」プイッ
式「……?」
幹也(隣に座ると……横から、見えちゃいそうなんだよ……)
式「……本当にどうしたんだ?」
幹也「……何でもないよ。それより、カップ片付けなきゃ……」ムクリ…
(ふらっ……)
幹也(……あれ?)
(がしっ……)
式「おい……」
幹也「…………」
式「大丈夫か……? 大丈夫か……?」
幹也「……、大丈夫……」
式「……疲れが溜まってるんだ。オレがやるから、おまえは座ってろ」
幹也「うん……」
式(にしても……本当に暑い。もう日も沈んだっていうのに……)
幹也「…………」グッタリ
式(―――汗が、止まらない……)
…………………………
鮮花「幹也っ……大丈夫でしょうか橙子さん……?」
橙子「…………」
鮮花「橙子さんってば!」
橙子「ん? ああ、大丈夫だ。実を言うと、アレはな……」
式「…………」ハァ…
式(暑苦しい……熱帯夜って訳でもないのに、どうして――――)スタスタ
幹也「…………」ハァ…ハァ…
式「…………」
式(さっきからぐったりして……息も荒い。幹也の奴、山の中で変な病気にかかったんじゃないだろうな……)
式「幹也。立てるか?」
幹也「…………ごめん、ちょっと今は無理かも……」
幹也「…………」ハァ…ハァ…
式「…………」
式(……駄目だ。こいつの死を……意識して視る、なんて……そんな事、私には耐えられない……)
式「……仕方ない」
(がしっ……)
幹也「……ん……」
式「トウコの所に行こう。……憎たらしいけど、あいつならきっと何とかしてくれるだろう」
幹也「……ごめん。ありがとう」
式(……足に全然力が入っていない。早く誰かに看てもらわないと……)
(ふらふら……)
式「――――っ」
幹也「…………」グッタリ…
式(幹也だけじゃ、ない……。私も……体が、重い……)
(ふらふら……)
式「くそ……熱い……」ハァ…
式(元々、式は暑さにも寒さにも強いはずなのに……どうして……)
(ふらりっ……)
式「―――あっ……」
幹也「…………」
……………………
『サーッ!』
鮮花「え? 睡眠薬……ですか?」
橙子「うん……」パキュッ…
(ぷしゅーっ…)
橙子「さっき黒桐から電話が掛かってきた時、偉く疲れてそうだったからな……それで、だ」
(コポコポコポ……)
鮮花「それで……?」
橙子「…………」ゴキュ…ゴキュ…
橙子「っはぁー……ビール、ビール!! 冷えてるなぁ、これ……」ッフゥー…!
鮮花「そ れ で ?」
橙子「ああ、帰ってきてすぐにここで快眠できるよう、台所にある砂糖に細工をしておいたんだ」
橙子「あいつ、帰ってきたらまず真っ先にコーヒーを飲むだろうと思ってね。結果、目論みは当たった訳だが……」
鮮花「…………」
橙子「まさか、式まで一緒に飲むとはな……あいつはコーヒーに砂糖を入れないから、安心してたんだが……」
橙子「黒桐の飲んでる最中コーヒーを横から掻っ攫うとは思わなかった。これは私の落ち度だ」
鮮花「……やっぱり泥棒猫ね、あいつ……」
橙子「式には眠る黒桐に膝枕でもしてもらおうかと思ってたんだが……」
(コポコポコポ……)
『ハァ……ハァ……』
鮮花「でも、こんなに息が荒くなるって……それって本当に、睡眠薬なんですか?」
橙子「…………」ゴキュ…ゴキュ…
橙子「ああ、キンキンに冷えてる……」…フゥー!
鮮花「湯気の立つビールってそれはそれで乙な物だと思いません? 橙子さん」
橙子「分かった分かった。真剣に答えるからそれだけは止めてくれ鮮花」
鮮花「…………」
橙子「…………」
橙子「まあ、結果的には眠くなって……最終的に快眠できるんだから、睡眠薬と読んでも差し支えは無いだろう」
鮮花「それ、全くの別物じゃないですかあぁぁぁーーー!!!」
橙子「…………」
橙子「やっぱり兄妹だけあって叫び方が黒桐に似てるなぁ、鮮花」
鮮花「ああ、何て緊張感の無いコメントっ!」
『ハァ……ハァ……ハァッ……』
鮮花「どんどん息が荒くなっていってる……!――橙子さんっ!!」
橙子「うむ……元々式が睡眠薬(大嘘)を飲むのは想定外だった訳だしな……よし鮮花、行って見てきてくれるか」
鮮花「はいっ!バッチリです」
橙子「うん、良い返事だ。……ああ、そうそう。どうせ看病するのなら……」
橙子「これに着替えて行ってやれば黒桐も喜ぶぞ」
鮮花「こ、これは……!!」
橙子「…………」オォー…
鮮花「……」
橙子「…………素晴しい。病人の介護する者にとって、それ以上似合うコスチュームなど有りはしないだろう」
橙子「観布子市立病院……式と黒桐が何度も世話になった所だ」
橙子「君は今、そこのナース服を着用して看護を行なう……つまり、あの病院の看護婦になったも同然だ」
鮮花「理屈は良く分かりませんけど、褒められてると思っていいんですね!?」
橙子「勿論。……意外と看護婦向いてるかもな、おまえ」
鮮花「そ、そうですか……///?」
『バタンッ!!』
鮮花「ッ!!」
橙子「行け、鮮花。行って二人を速やかに救って来い」
鮮花「はいっ!」タタタッ ← 『でも元はと言えば橙子さんのせいでこうなったんですよね』と思っているが口には出さない
(バタンッ)
橙子「…………さて」
……………………
(ふらりっ……)
式「―――――っ……!」
幹也「…………」
『バタンッ!!』
……………………
幹也「…………」
式「……っ………」
式(咄嗟に……自分を下にした……けど……)
式「……っ……ぅ……」ズキッ…
式(……二人分の体重が掛かっちゃ……流石に、痛いな……。満足に受身も取れなかった……)
幹也「……、式……? 君、大丈夫……?」
式「……大丈夫だよ。式の体は幹也の何倍も頑丈に出来てる」
幹也「……でも。君は女の子なのに……」
式「…………」
式(……今、気付いた。この体勢……3年前の、あの時と一緒だ)
幹也「……大丈夫? 重く、ない?」
式(今は……あの時とは逆で幹也が上になってるけど……あの時より、密着してる……)
式「…………」
式「…………」
式「…………///」
式「だから、大丈夫だって。でも重いのは確かだから……どいてくれると、助かる……」
幹也「ああ、うん……分かった。じゃあ、腕を使って起き上がってみるから……式は、下から押し上げてくれる?」
式「……分かった」
幹也「―――よし、じゃあ……」
(がしっ……)
幹也「あっ……」
式「………ッ! 幹也、どこ触ってっ……!!」
幹也「あ、いやっ、今のは不可抗力で……。ごめん、離れるから……」
式「ばかっ、この体勢で手を離したら……」
幹也「……え? あっ……」
(がくん……)
式「うわっ……」
…………………………
(タタタタタ……バタンッ!)
鮮花「兄さーんっ!! と式。助けに来ました! 後はもう私におま……」
鮮花「か……せ……」
鮮花「…………」
幹也と式の看病に事務所兼橙子さんの私室に馳せ参じたナース、鮮花。
彼女がそこで目にした物とは……?
式「ちょっと……幹也、苦しいっ……」
幹也「ごめん、すぐ退くから……もうちょっとだけ、我慢して……」
(もぞもぞ……)
鮮花「」
……事務所の床で式に覆い被さる兄と、その兄を必死で押し退けようと涙目で奮闘する式の姿だった。
式(顔が……幹也の顔が、近すぎる……)
幹也(……どうしよう。腕立ての要領で起き様にも……肝心の、腕が痺れて動かない……まいった……)
(もぞもぞ……もぞもぞ……)
鮮花「…………」
鮮花(そうですか、橙子師……これが、あの睡眠薬の正体ですか……)
鮮花「もう……兄さん、起きて下さい」
(ぐいっ)
幹也「―――おっ……」
式「あ……」
幹也「起き上がれ……た……?」
鮮花「兄さん」
幹也「あ……鮮花。どうして、ここに……?」
鮮花「どうしても何も……橙子さんに呼ばれて来たんですよ」
幹也「そ、そうなんだ。……今の、ありがとう鮮花……」
鮮花「兄さん。あなたは今、床で、式と何をしていたんですか?」
幹也「え……何、って……」
式「…………」
幹也「……式と一緒に倒れちゃったから、頑張って起き上がろうとしてたんだけど」
鮮花「へぇ……じゃあ、今のはあくまで倒れたから起き上がろうとしていただけで……他意は一切無い、と……」
幹也「そうだよ」(便乗)
式「…………」
鮮花「……パンチッ!!」
(ドグォッ)
幹也「あいたっ!」
鮮花「ただコケて起き上がろうとするだけであんなにモゾモゾするはずが無いでしょうがっ!!」
幹也「あ、いや、それは……」
鮮花「絶対何か下心があったはずですっ!!」
幹也「…………」
幹也「…………」
幹也「…………」
幹也(完全に潔白だと言い切れない所が悲しい。不可抗力とはいえ、式の胸触っちゃったしな……)
鮮花「それに……だったら何で式が必死に兄さんを押し退けようとしてたんですかっ!!」
幹也「それは、僕が重くて式が息苦しかったから……」
鮮花「その位の事で式が涙目になる訳ないでしょうがぁっ!!」
式「……」
幹也「まあ、そうだけど……」
鮮花「……もっかいパンチッ!」
(ドグォッ)
幹也「ぐわっ!」
……………………
橙子「…………」
(こつこつこつ……)
鮮花「AzoLto……喰らいやがれぇぇぇ!!」
幹也「ぐおぁぁっ!!」
鮮花「へっ、燃えたろ……?」
式「…………」
幹也「…………」
鮮花「……手加減はしておいたわ……別に、式を乱暴に押し倒したのは幹也本人の意思って訳でも無さそうだし……」
式「…………」
式(別に、あのままでも良かったんだけどな……)
式「…………」
鮮花「……何でちょっと不満げなのよ、あんたは……」
結構理不尽な理由でボコられる黒桐君なのであった
なお、この後鮮花は一転睡眠薬(大嘘)の効力が抜けた式と一緒に自ら幹也の看病を行なった
そして、約束通り黒桐君の給料は近日中に支払われた。
幹也「給料が出た事は嬉しいんですけど……橙子さん。このお金、どうやって作ったんですか?」
橙子「ん? いや、何かビールが飲みたかったから、古い人形を売り払って……」
幹也「……橙子さんの中だとビール代の方が僕の給料の支払いより優先順位高いんですか?」
橙子「そうだよ」(便乗)
橙子さんマジ非道
投げやりEND
こんなオチでごめんなさい、お疲れ様でした
式って公式でうさぎ設定なんだからバニー姿披露してくれても良いじゃん…(震え声)
らっきょSSもっとふえろー
本かな
映像ではわからないあれこれがある
その後で映画見ると「おーあのシーンはこんな風だったのか」って思える
Entry ⇒ 2012.09.17 | Category ⇒ 版権物SS | Comments (0) | Trackbacks (0)
メビウス「うんたん♪」ゼロ「はぁ?」
メビウス「地球で流行ってる挨拶だよ」
セブン「異星人なのだから文化の違いは当たり前だ、お前は強いがその辺りがまだ解っていない」
メビウス「ゼロも地球に行くときの為に勉強しておいた方が良いよ。僕も苦労したから」
セブン「ちょうどDVDを全巻持ってきている。ナディアから咲まで選り取り見取りだ」
ゼロ(だからお袋に逃げられんだよ)
ゼロ「好み?」
セブン「ツンデレとかロリ妊婦とか大雑把なのでいいぞ」
ゼロ「わけわかんねぇよ」
メビウス「やっぱり基礎としてハルヒを押さえておくべきでしょう」
セブン「いやメビウス、お前の判断は若すぎる。まずはナウシカで」
ゼロ(どうでもいい……)
セブン「いつ観ても泣けるな」
メビウス「名作ですね」
ゼロ「もっと派手にドカンドカンって感じのは無いのか?」
セブン「感受性が無いのかお前は?」
ゼロ「いや要するに争いはダメって事だろ?いいよそんな説教くせぇの」
セブン「わかってない……」
メビウス「素人」
ゼロ「あぁ?」
セブン「地球人の心の機敏を理解出来ねば、到底地球では暮らせんぞ」
セブン「心を鍛えろと言ってるんだ」
ゼロ「いやだから……」
メビウス「次はガンダムにしましょう。普遍的な話題だから必須ですよ」
セブン「解ってるなメビウス」
ゼロ「話聞けよ」
スタンダップトゥーザヴィクトリー!
セブン「お前の好きそうな派手なシーンだぞ」
ゼロ「おいなんで戦艦がバイクなんだよ?」
メビウス「知らないよ」
ゼロ「おいおい、女ばっかりの部隊とかバカじゃねぇの?」
セブン「黙って観ていろ」
ゼロ「なぁ今の特攻意味あったのか?」
メビウス「うぅ……ぐす……オリファーさん……」
ゼロ(うわ泣いてるし)
オトモダチニデモナリニキタノカイ
ゼロ「こいつ頭おかしいだろ」
セブン「富野節を理解出来んとは……お前はレオと何をやっていたんだ!」
ゼロ「え、キレられるとこ?」
メビウス「で、感想は?」
ゼロ「突っ込みどころしか無かった」
セブン「ふむ、いきなりヴィクトリーはハードルを上げすぎたか」
メビウス「Ζでジャブを入れるべきでしたね」
ゼロ(帰ったらスラッガー代わりに投げよう)
メビウス「さぁお待ちかねの二千年代ですよ!」
セブン「うむ、一つの頂点だな」
ゼロ「帰っていいか?」
セブン「目の前の戦いから逃げて、ウルトラ戦士が名乗れるものか!」
?「待てメビウス!」
メビウス「ジャック兄さん!」
ジャック「安易に萌えに走るな!取り込まれるぞ!」
セブン「お前の好きなエヴァなど萌えの火付け役みたいなものだろう」
ジャック「ガノタのセブン兄さんには解らないみたいですね、あの高尚な世界観が」
セブン「なん……だと?」
ジャック「涸れたハゲでも信仰しといて下さいよ。スラッガー外した誰かさんみたいな」
ゼロ「おい親父達は何を言い争ってんだ?」
メビウス「それを説明するには三日間ほどかかるよ」
タダノニンゲンニハキョウミアリマセン!
ゼロ「面白いなこいつ」
メビウス「ゼロもやっと地球文化が解ってきたね」
ゼロ「ははは、宇宙人は来いってよ。俺達を見たらどうなるんだろうな」
カンタンナンダヨコンナノ♪
メビウス「~♪」
ゼロ「何踊ってやがる」
メビウス「ガイズではこれが入隊試験だったんだよ」
ゼロ「確かにこの滑らかな身のこなし……ただ者じゃねぇ」
セブン「作画しか売りのないエヴァ信者は黙れ」
ジャック「バンク戦闘お疲れ様です」
セブン「SEEDはガンダムではない!」
メビウス「ちょっと兄さん達、静かにしてください」
ゼロ「おいなんか戦闘始まったぞ」
メビウス「あぁ、朝倉さんにはコアなファンがついてるんだ」
ゼロ「……」
メビウス「気に入った」
ゼロ「いや青髪とか現実的に無いだろ」
セブン「俺達が言えた話か」
ゼロ「あと俺、刃物持つ女とか嫌いだし」
ミ、ミ、ミラクル
メビウス「あ、この回はいいや」
ゼロ「続けろ」
ミックルンルン♪
セブン「母性愛が恋しいか?」
ゼロ「……別に」
ミクルチャンハオモチャ!
ゼロ「こいつ!」
メビウス「……」
ゼロ「おいなんだその目は、俺が地球文化なんぞに影響されるはずないだろ」
メビウス「うん」
ゼロ「主役なのにつまんねー奴だな」
メビウス「名前すらないからね」
ゼロ「可哀想な奴だな」
メビウス「まぁそこそこ楽しいみたいだよ」
ゼロ「ていうか一言で喋れないのかこいつは?会話なんてジュワとかデュワで充分だろ!イライラするぜ」
メビウス「普通人だから」
ゼロ「そうか」
メビウス「神回!神回きたよこれ!」
ゼロ「急にテンション上げんなや」
メビウス「このライブシーンを観てると、自然とバーニングブレイブになってしまう……」
ジャック「確かに神作画だ」
セブン「作画厨は物語を見ないから困る」
ゼロ「おい歌うのはこいつと無口だけか?」
メビウス「そうだよ」
ゼロ「未来人のシーンになったら起こしてくれ、寝る」
メビウス「待つんだゼロ!ライブアライブを見逃すなんてさせない!」
ゼロ「ブレス向けるな!」
セブン「神人だな」
ゼロ「……」
セブン「どうした?」
ゼロ「いや、お喋りニヤケ野郎が俺らみたいな赤い球に」
セブン「学ぶのだゼロ。何でもパクリ扱いは元ネタ厨として現地人からは忌み嫌われるぞ」
ジャック「オマージュとの見分け方がまた難しい」
メビウス「個々人の感性の尊重……複雑ですね」
ゼロ(なんで急に真面目になってんだ?)
ゼロ「まぁまぁだな。やっぱ新しい方が良いわ」
ジャック「ゆとり」
セブン「ゆとり」
メビウス「懐古兄さんは置いといて、二期を観よう」
?「待たんかメビウス!それは危険だ!」
メビウス「ゾフィー兄さん!?」
ゾフィー「せっかくゼロが少しは興味を示したのにエンドレスエイトなどみせたら終わりだぞ!」
ゼロ(そんなやべぇもんなのか……ギガバトルナイザー並に危険な臭いがするぜ)
ゾフィー「二千年代アニメと言えばギアスだ」
ジャック「出た」
セブン「兄さんそれは……」
ゾフィー「ゼロが見るゼロ、ぷくく」
メビウス「……」
ジャック(めんどくせぇ)
セブン「ゼロにはまだ邪気眼は早過ぎます!」
ゾフィー「いやこれも試練だ」
ゼロ(邪気眼?必殺技か何かか?)
ワガナハゼロ!
ゼロ「おい……」
セブン「仕方ない事だ。名前の被りはある程度避けられない」
ゾフィー「お前も宣言するか?」
ゼロ「ぶっ飛ばすぞ?」
ゾフィー「……」
ジャック(ビビるなら言うなよ)
ゼロ「おいこいつ命令ばっかりで自分で戦わないのか?」
メビウス「頭は良いけど、操縦は下手だし、身体能力も低いんだ」
ゾフィー「組織の長はそれで良いんだ」
メビウス「一部ではウザクって呼ばれてるけどね」
ゼロ「なぜだ?」
メビウス「ルルーシュの邪魔ばっかりするから」
ゼロ「だってガリガリカマキリは悪い奴なんだろ?」
メビウス「いやそれはそうなんだけど」
ゼロ「スザクがガリカマ倒したら終わる話じゃねぇか……つまんねー」
メビウス「それを言ったら元も子もないよ」
ゼロ「飯食ってくるわ、全然ロボット出ないし」
ルルー!
ゼロ「……やっぱ出前で良いわ」
セブン(ゼロは茶髪ロングで優しげかつ、巨乳が好きか)
ゼロ「何笑ってんだよ」
セブン「時代は黒髪ロングだぞ息子よ」
ゼロ「?」
ヤハリボーヤダナ
メビウス「CCは良い……」
セブン(こいつはマゾ気味だな。よく死にかけてるのも今思えば……)
メビウス「……」
セブン「……」
ジャック「……」
ゼロ「……気のせいだろ」
ゾフィー「まぁ私は持ってきた弁当を一人で食べる」
ゼロ「お、ガリカマもやっとロボット乗ったか」
メビウス「操縦はCCだけどね」
ゼロ「こういう生意気な女ムカつくわ」
メビウス「僕は嫌いじゃないけど」
メビウス「いや二期に続くよ」
ゼロ「なんだ驚かせんなよ、次見せろ次」
セブン「お前はシャーリーが好きなんだろ?」
ゼロ「あ?いや別にそんなんじゃねぇし、続き気になるだけだし」
ジャック「見ない方が……」
ゾフィー「いや見せよう、8話くらいまで一気にいこう」
ゼロ「早くしろよ」
ゼロ「弟のが強いんじゃね?」
ゼロ「ナナリー、ナナリーうるせぇ」
ゼロ「文化祭行きてぇ」
ゼロ「お、ガリカマとスザクとシャーリーで出掛けるのか」
ゼロ「スザク、ガリカマを一発殴れ」
ゼロ「テロ?おいガリカマ!しっかりしろ!」
ゼロ「良いぞスザク!引っ張り上げろ!」
ゼロ「…………おい弟今更何を……」
ルルノホントウニ……
ゼロ「くそがぁぁぁぁっ!!」
セブン(その怒りと悲しみ……戦士としてまた一つ成長したなゼロ)
ゾフィー「シャーリーが死んでしまうとは……」
ゼロ「貴様!知っていたな!!」
ゾフィー「隊長殴ったら追放」
ジャック(腐ってやがる)
メビウス「まぁまぁ、落ち着くんだゼロ。そんなに入れ込むなんて、地球文化にハマってきたね」
ゼロ「ハマってなんかねぇ!俺は……俺はただ……シャーリーに幸せになって欲しかった……」
ゼロ「いい……もう見れない……」
?「無駄にシリアスな物を見せるからそうなる」
メビウス「エース兄さん!」
エース「娯楽とは肩の力を抜いて楽しむ物だ。暇つぶし程度で何が悪い」
セブン「一理ある」
ジャック「ゆるさを求めるのはゆとり」
エース「いやジャック兄さん、私が言いたいのはウルトラ戦士にも休息は必要ということです。ゆるさも大事ですよ」
メビウス「つまり……」
エース「らきすただ」
ゼロ「……」
メビウス(ダメだ塞ぎ込んでる)
セブン「ヤマカーンなる地球人がまだ元気だった頃か」
エース「彼の演出は切れ味鋭いですよ」
セブン「無駄に喧嘩売るから好きではない」
ステータスダキショウカチダ
ゼロ「……」
エース「こなたに反応を示さないとは……」
ジャック「これは重傷だ」
オネエチャーン!
ゼロ「……!」ガバッ
エース「ゆたかに食い付くとはなかなかやるな……さすがセブン兄さんの息子だ」
ゼロ「こいつは俺が守ってやらないとダメだ……」
ジャック「なんか危なくないですか?」
セブン「ふむ、どうやらゼロは可憐な花……つまり典型的な『女の子』が好みのようだ」
メビウス「ツンデレとかはむしろ殴りそうですね」
ゾフィー「こいつ自身がツンデレだからな」
メビウス「うん」
ゼロ「だがやはり俺の肌には合わない」
ジャック「ワガママだな」
ゼロ「もっと単純にドンパチやる方が好きだ」
セブン「結局そこか」
ゾフィー「ならばダブルオ……」
エース「それだけはダメです兄さん!」
?「俺の出番だな」
メビウス「タロウ兄さん!」
タロウ「戦士が観るのはただ一つ!」
ゾフィー「なんだ?」
タロウ「我々の盟友にして最大のライバル……」
セブン「仮面ラ……」
タロウ「二人はプリキュア!」
ヒント:宮野守
てか、ゼロにリリカルなのは視せたら、シリーズ追う毎にイライラしそうだwwwwww
エース「タロウ!なんてものを勧めるんだ!」
セブン「いとことして悲しいぞ」
メビウス「目を覚まして下さい兄さん!」
ゾフィー「そうだそうだ!」
タロウ「ええい、とにかく観るんだ!幸いフレッシュはワンシーズンしかやっていないからすぐに済む!」
ゼロ「いやまだ観るとか言ってない……」
ジャック「そこまで言うなら」
セブン「みせてもらおう」
エース「幼児向けアニメの」
ゾフィー「実力とやらを!」
ゼロ「…………好きにしてくれ」
メビウス「キャッチーな曲ですね」
ジャック「電波だろ」
ワイハタルトヤデー
エース「バーチカルギロチン当てたい」
キュアピーチ!
ゾフィー「なんて酷い変身だ」
キュアベリー!
セブン「同い年には見えんな」
モギタテフレッシュ!キュアパイン!
ゼロ「こいつ戦いを舐めてるだろ」
タロウ(ふふふ……典型的な反応ですね)
ゼロ「なんか背中がくすぐったい、なんとなく」
ウェスター!
エース「……ぷ!」
タロウ「敵の幹部がまた良い味出してるんですよ」
ドウブツサンタチ……
ゼロ「こいつやっぱり戦い向いてないって。こういう女は家で男の帰りを待つべきなんだよ」
ミンナデシアワセ
セブン「…………ゲットダヨ」
ジャック「ん?何か言いましたか?」
セブン「いや」
アタシカンペキ
ゾフィー「いや中学生でこれはけしからん。実にけしからん」
メビウス「全くです」
タロウ(さぁそろそろ例の話ですよ!)
セブン「まるでウルトラファイトだな」
ジャック「せっかく仲良くなれたのに……」
エース「せっちゃん……」
ゼロ「おい止めろ」
ゾフィー「あぁっ!イースが!」
メビウス「そう言えば僕もはじめはヒカリと戦った事もあったな……」
タロウ「良いところに目を付けたなメビウス、さすが私の弟子だ」
ゾフィー「ラビリンスの企みは粉砕したが……」
ゼロ「けっ!後味悪いぜ……」
タロウ「ふふふ……全員カラータイマーを光らせて観ろ!」
ジャック「ん?」
エース「まさか」
ゾフィー「この展開は!?」
セブン「来るというのか!」
メビウス「ゴクリ」
ゼロ「震えが止まらねぇ……」
キュアパッション!
ジャック「きたぁぁぁぁっ!」
エース「せっちゃんが……」
ゾフィー「プリキュアに!」
セブン「良い!実に良いぞ!」
メビウス「これが絆なんだ!」
ゼロ「くそっ……目からエメリウムが出やがる……」
ゾフィー「ラブせつはガチだな」
メビウス「ベリーの弟になりたい」
エース「愛すべき敵だな、ヤプールとは大違いだ」
ジャック「私はあえてイースにこだわりたい」
セブン「とりあえずシフォンにワイドショット」
ゼロ「ブッキー……俺が守ってやるからな」
タロウ「……聞いてる?」
メビウス「ヒカリ!」
ヒカリ「ウルトラマンでありながらなんという体たらくだ!」
ゼロ「くっ!返す言葉も無ぇ」
セブン「反省」
ジャック「確かにふざけすぎた」
ヒカリ「そうじゃない!」
ゾフィー「なに?」
ヒカリ「我々ウルトラマンがファンタジーなど観るなと言っている!」
タロウ「と言うと?」
ヒカリ「人間の心を学ぶにはより現実的なドラマ……つまり、恋だ」
エース「何かあるのか?」
ヒカリ「俺のとらドラだ」
ゼロ「ほんとか?」
メビウス「あの人頭固いから思い込みも激しいんだ。だから洗脳ばっかり……」
ヒカリ「私語は慎め!」
ゾフィー「童貞の恋愛厨ほどウザいものはないな」
ヒカリ「うるさい!」
セブン「だがヒカリの言うことも全てが間違いではない。俺も地球で……」
ゼロ「おい親父、お袋が出て行ったってのはまさか」
セブン「ヒカリ、見せてくれ」
ゼロ「聞けコラァ!」
ジャック「電波過ぎる……」
ヒカリ「神曲だ!」
ゼロ「なんだこのチビ、生意気過ぎるだろ」
ヒカリ「大河をバカにするな!」
メビウス「こんな言動してたら周りから浮いちゃいますよ」
ヒカリ「みのりんは女神!」
エース「うーむ、この子には優しさが足りない」
ヒカリ「あーみんは良い子!それがわからん奴はにわか!」
タロウ(うっせぇ……)
ヒカリ「まぁ最終的には大河とくっつくんだけどな」
ゾフィー(ネタバレするなよ……)
メビウス「はしゃぎすぎ」
ゼロ「お前が言うか」
ヒカリ「くうっ!自販機横のあーみんは最高だ!」
ジャック「絵は可愛いのにお前がうるさくて集中出来ない」
ヒカリ「わかる、わかるぞ!俺にはみのりんの痛みがわかる!」
ゾフィー「自分の痛さに気付けよ」
ヒカリ「大河……大河……タイガ……たい……が…………くぎゅうぅぅぅぅぅぅ!!」
ゼロ「怖ぇぇぇ!!」
ゼロ「何なんだ今度は」
ヒカリ「ふぅ……君たち、アニメも良いが、戦士としての本分を忘れるなよ」
ゼロ「急に落ち着いた!?」
ヒカリ「では俺はパトロールに戻る!」
シュワッチ!
タロウ「信者って怖いですね」
ジャック「あぁ……勉強になったな」
ゼロ(俺も地球に行ったらあんなのになってしまうのか……)
セブン「そうだな、もう十分勉強になっただろう」
ゼロ「レオとの修行より疲れた……」
?「待て!」
メビウス「マン兄さん!」
マン「一番大事なものを忘れているぞ」
メビウス「もしかしてそれは」
マン「うむ、言わずともわかるな。けいおん!だ」
ゼロ「まだ観んのかよ」
マン「まだまだだなゼロ。本質を見極めるんだ」
ゼロ「はいはい」
タロウ「やはり元気な律っちゃんが一番」
エース「デコじゃないか」
タロウ「そこが良いんですよ、髪を上げて下げて二倍楽しめるじゃないですか」
エース「ふむ、俺には無い属性だ」
タロウ「三巻は自分用、保存用、布教用、食べる用にいっぱい買っちゃいました」
メビウス「タロウ兄さん……」
タロウ「なんだメビウス、文句があるのか」
メビウス「一冊売って下さい」
タロウ「というより、ある意味別物として考えています。4コマ漫画を三十分にしてるわけですから」
マン「うん、良い心掛けだな。成長したなタロウ」
メビウス「僕も早く兄さんに追い付きたいです!」
エース「ははは、その意気だメビウス」
ジャック「お前ももうルーキーじゃないからな」
セブン「しっかりな」
ゾフィー「頼んだぞ」
メビウス「はい!」
ゼロ(何この空気)
マン「では始めるぞ」
ゼロ「やかましい曲だな」
メビウス「地球では上位にランクインしてたよ」
ゼロ「終わってるな」
コノママジャニートヨ!
ゼロ「ったく、部活くらいスパッと決めろや」
マン「良いんだ、唯ちゃんは自由で良いんだ」
ゼロ「おいおいこいつ楽器出来ないのに音楽やるのかよ」
メビウス「せーの……」
一同「うんたん♪」
ゼロ「……」
ゾフィー「空気読め」
ゼロ「死んでもやらん」
ゼロ「そうだな……始まったばかりでよくわからん」
メビウス「本命は後半に出てくるよ」
マン「梓か」
タロウ「律っちゃんが至高」
セブン「俺の息子なら澪を選ぶはずだ」
マン「やはりここは王道の唯」
エース「憂もあり」
ジャック「和も捨てがたい」
ゾフィー「ムギ」
一同「どーぞどーぞ」
メビウス「このアニメの影響で楽器がたくさん売れたんだよ」
セブン「特に澪の奴がな」
ゼロ「地球人……アホだろ」
マン「私も思わずギー太を購入してしまった」
ゼロ「え」
メビウス「唯ちゃんは自分のギターにギー太って名前を付けてるんだ」
ゼロ「なんで?」
メビウス「可愛いから」
ゼロ「頭足りてないのか?」
マン「カラータイマー割るぞ?」
ジャック「汗臭いシーンなんか誰が観たいんだ」
エース「そうだ、癒されんぞそんなもの」
タロウ「律っちゃんの汗ならバケツ何杯でもいけます」
マン「そういう話じゃない」
マン「まぁそういうな。そろそろ合宿回だ」
セブン「うーむ……澪のワガママボディはけしからんな」
ゾフィー「ムギのムチムチな太ももをM87でこんがり仕上げたい」
ゼロ「殺す気か?」
ゾフィー「水着の日焼け跡の良さが解らんか……」
タロウ「律っちゃんの引き締まったヒップにウルトラダイナマイト」
マン「あぁ……海なんて行かなくてもウルトラ水流でプールを作ってあげるのに」
ゼロ(地球のガキが聞いたら泣くぞ……)
セブン「そうだ、澪が大活躍するぞ」
ゼロ「陰気な女は嫌なんだよな……ブッキーみたいに華やかなのが良い」
セブン「親子の縁を切ってやろうか?」
ゼロ「ふわふわ時間!?なんだこのセンス!!」
セブン「いい加減にしろよ」
ゼロ「さっさと衣装決めろよ、面倒な女だな」
セブン「おい……」
ゼロ「おいおいパンツ晒したぞ!アホでー」
セブン「アイスラッガー!」
ゼロ「痛ぇ!」
メビウス「とうとうあずにゃんが出ますよ!」
ゼロ「進級か、唯と律はよく上がれたな」
タロウ「律っちゃんはその危なっかしいところが良いんだ」
マン「黒パンストは正義。光の国を黒パンストで包むべき」
メビウス「静かに!」
アズニャーン!
ゾフィー「唯と梓はセットだな」
ゼロ「……」
エース「どうしたゼロ?」
ゼロ「何でも……ない」
ゼロ「お前年上系が好きなんじゃなかったのか?」
メビウス「いやあずにゃんの場合は好きと言うより親近感」
ゼロ「はぁ?」
メビウス「アホな先輩に囲まれる後輩……まるで地球にいた頃の僕みたいだ」
マン「アホな先輩というのは」
セブン「いったい」
ジャック「誰の事だ?」
メビウス「最後のライブもあるよ」
マン「で、気に入ったキャラはいたか?」
ゼロ「特別にはいない。俺にはブッキーしかいない」
ゼロ「だがなぜだ」
ゼロ「メンバーが揃った途端に……」
ゼロ「この部室が掛け替えのない空間に思えてきた……」
セブン「ゼロ……」
ゼロ「この中で誰か一人を贔屓目で見るなど俺には出来ない」
ゼロ「今はただ……一秒でも多くこいつらを見ていたい」
マン「…………ニヤリ」
ゼロ「そうだ走れ!いや、飛べ!こうだ、こう!」
ゼロ「転んでんじゃ……いやいや、よく踏みとどまった!」
ゼロ「バカヤロー!お前は何も無くなんかねぇ!」
ゼロ「ちゃんと……自分の道を……」
ゼロ「へっ……ダメだなこのテレビ、画面が滲んでやがる」
ゼロ「ライブか……終わるんだな」
ゼロ「良いもんをきかせてもらったぜ」
ゼロ「あと一話か。感動の最終……」
ジカイトクベツヘン
ゼロ「回……」
マン「そうだ」
ゼロ「う、嘘だろ!早すぎる、早すぎるんだよ!もう一話見せろよ!」
メビウス「と、特別編も面白いから!」
ゼロ「くそがぁぁぁっ!13話あるって言ったのにぬか喜びさせやがって!」
マン「落ち着け、我等も通った道だ。話題作りとして必要だったのだ」
ゼロ「汚ぇ……汚ぇよ地球人……」
ゾフィー「ゼロ、今こそ勇気を持って立ち上がる時だ」
タロウ「共に行くぞ」
マン「せーの……」
全員「うんたん♪うんたん♪」
ゼロ「エメリウムスラッシュ!」
怪獣「ギャース!」
男「あのウルトラマン凄い強さだ!」
女「なんて名前なのかしら」
ゼロ(予習はバッチリだぜ!完璧な挨拶で地球人のハートを掴んでやる、行くぞ!)
ゼロ「ウンタン!ウンタン!」
男「え」
アナウンサー「新たに現れたウルトラマンはその発声から『ウルトラマンウンタン』と呼称する事を政府が発表しました」
ゼロ「全然流行ってねぇじゃねぇか!メビウスのばかやろぉぉぉっ!!」
サクッと終わらせるはずがどうしてこうなった
Entry ⇒ 2012.09.16 | Category ⇒ 版権物SS | Comments (4) | Trackbacks (0)
木胡桃「わたし、落語家になったんだよ」
落語家をやってます
女のコが落語家なんて珍しい
そう思う人が、多いかもしれません
でも
わたしが落語をやるのには、理由があるのです
がらっ
木胡桃「おはようございまーす」
魔梨威「おはよーさん、今日も元気だねぇ」
この人は、蕪羅亭魔梨威さん
同じく落語家をしています
そう
わたしが落語家をしている理由
それは、この人にあるんです
~数年前~
木胡桃「うぅ、今日こそは学校行こうと思ったのに」
木胡桃「また、さぼっちゃったよ」
この頃
わたしは不登校をしていました
いろんな悩み
いろんな不満
少しづつ、少しづつ積み重ねていったわたしは
ある夏
ついに、それらを爆発させてしまったのです
木胡桃「それにしても」
木胡桃「今日は、高校のコ達が多いな」
木胡桃「なんかあったのかな」
木胡桃「あ、ごめんなさいっ」
生徒A「んだよ、いってぇな」
生徒B「って、あれ?」
生徒B「こいつ、どっかで見たことね?」
木胡桃「・・・あ」
その人達は
わたしが極力、関わりを避けてきた女のコ達でした
生徒A「あー、そういえばいたよな、一学期には」
生徒B「急に来なくなっちゃって、どしたん?」
木胡桃「そ、それより、なんでこの時間に?」
生徒A「ただいま、テスト期間中~♪」
生徒B「テストなんて、かんけーねーもんな」
生徒A「いいよなー、引きこもりは」きゃはは
木胡桃「・・・わたしだって、好きでやってんじゃないし」ぼそっ
生徒A「あ?」
生徒B「いま、なんか言ったか?」
木胡桃「な、なにも」
生徒A「そーだ」
生徒A「学校こねーってことは、悩みとかあんだろ?」
生徒A「それをうちらが、聞いてやるとかよくね?」
生徒B「おー、いいじゃん」
生徒B「カラオケとかどーよ?」
生徒A「おい」
生徒A「話聞いてやるっつーのに、なんだその態度」
生徒B「ほら、怒らせんじゃねーって」
生徒B「どうせ、時間あんだろ?」
生徒A「もちろん、金もなー」
木胡桃「あ・・・あ」
そこに居たのは
見たことのない制服の
見たことのない女のコでした
生徒A「なんだてめー」
生徒B「うちらは、友達なんだ」
生徒B「邪魔してんじゃねーよ」
生徒A「な、うちら友達だよな?」
木胡桃「え、あの」がたがたっ
木胡桃「え?」
魔梨威「違うなら違うって、ちゃんと言え!」
魔梨威「嫌なら嫌って、ちゃんと言え!」
魔梨威「あんたの口は、なんの為についてんだい!」
みんなが呆気にとられていました
わたしにとっても
知らない女のコに怒られるなんて
初めての経験だったし
だけど
その一言は、わたしの忘れてたなにかを
思い出させてくれたのです
木胡桃「それくらい、自分で言えるもん!」
木胡桃「わ、わたしは、わたしはっ」
ぐっ
木胡桃「あんた達なんかと、カラオケなんか行きたくない!」
木胡桃「行きたきゃ勝手に行け、バーカ!!!」
生徒A「なっ!?」
生徒B「てめー、ナメんのもいい加減に・・・」
がしっ
生徒B「!?」
魔梨威「こっからは、あたしの出番だな」
魔梨威「ケンカなら、買ってやるよ」
魔梨威「一発、いいのもらっちまった」
木胡桃「あ、あの、大丈夫ですか?」
魔梨威「心配なら、あっちの心配してやりなって」
魔梨威「それに、散々脅しつけてやったから」
魔梨威「もう、悪さなんてしないだろ」
木胡桃「なんで、わたしの為にこんな」
魔梨威「別に、あんたの為じゃないよ」
魔梨威「あーゆーのって、ムカツクじゃんか」
魔梨威「な、なんで笑うんだい!」
木胡桃「だって、そんなことだけでケンカしちゃうの?」
木胡桃「それに、その話し方って」
魔梨威「これかい?」
魔梨威「あたしは、落語家に憧れてるんだよ」
木胡桃「落語家?」
魔梨威「あたしのしゃべりで、みんなが笑顔になる」
魔梨威「素敵なことだと、思わないかい?」にっ
その女のコは去って行きました
聞けたのは
県外から、テスト休みで法事に来たこと
そして
落語家に憧れてること
それだけでした
ほどなく
わたしは、学校に行くようになりました
あの二人がわたしにちょっかいを出すことは
もちろん、ありませんでした
来る日も来る日も
落語と名のつくHPを漁り
来る日も来る日も
書店に並んだ雑誌に、目を通したりしました
そして
ついに見つけたのです
蕪羅亭魔梨威
彼女は、夢をかなえていました
そこに載っていた写真は
あの時の笑顔のままでした
木胡桃「そして、わたしも頑張って」
木胡桃「ようやく同じとこに、わたしの旗竿を立てることが出来たよ」
木胡桃(あなたの憧れた世界が)
木胡桃(どんな所なのか、知りたかったから)
木胡桃「ま、マリーさんはあの時のことなんて」
木胡桃「ぜんっぜん、覚えてないみたいだけど」
くるっ
木胡桃「・・・あ」
生徒A「お、お前は」
生徒B「なんだよ、そのカッコ?」
木胡桃「・・・・・・」
*・゜゚・*:.。..。.:*・゚・*:.。. .。.:*・゜゚・*
魔梨威『あんたの口は、なんの為についてんだい!』
*・゜゚・*:.。..。.:*・゚・*:.。. .。.:*・゜゚・*
木胡桃「・・・うん」
木胡桃「わたし、落語家になったんだよ」
木胡桃「よかったら、一席聞いてってよ」
木胡桃「損はさせないからさ」にこっ
木胡桃「マリーさん!?」
魔梨威「あの頃から、ちっとは成長したってことかねぇ」
木胡桃「・・・あの頃?」
木胡桃「あの頃って、まさか!」
木胡桃「マリーさん、気付いてたの!?」
魔梨威「これでも、記憶力はいい方なんだぞ?」
木胡桃(・・・気付いてた)
木胡桃(マリーさん、覚えてくれてた)
木胡桃(覚えてくれてたんだ!)
木胡桃「・・・・・・」じわっ
魔梨威「き、キグ!?」
魔梨威「なんで泣くんだよ、おい」おろおろ
魔梨威「勘弁してくれよ」
魔梨威「なんでだよぉ!」
落語家をやってます
女のコが落語家なんて珍しい
そう思う人が、多いかもしれません
でも
これが、結構やりがいあるんです
いま
わたしには夢があります
それは
マリーさんの口から、こう言わせることです
*・゜゚・*:.。..。.:*・゚・*:.。. .。.:*・゜゚・*
魔梨威『バカにすんなよ』
魔梨威『キグの気持ちなんて、とっくに気づいてたぞ?』
*・゜゚・*:.。..。.:*・゚・*:.。. .。.:*・゜゚・*
お後がよろしいようで
Entry ⇒ 2012.09.15 | Category ⇒ 版権物SS | Comments (0) | Trackbacks (0)
横井「関くん駄目だよ!そんなことしたら流石にばれちゃうよ!」
横井「だ、駄目だってば!!」
関「…?」シコシコシコ
横井(なんでそこで不思議そうな顔を…!!)
関「…!」シコシコシコ
横井「…?」
関「…」ジー
横井「な、なんでこっち見てるの…」
関「…」シコシコシコシコ
横井(も、もしかしてオカズにされてる!?)
関「…」シコシコシコシコシコ
横井「うぅ…関くんやめて…」ポロポロ
関「…!!」シコシコシコシコシコシコシコシコシコシコ
横井「いやああぁ!!」
関「!?」ガタッ
横井「あっ、い、いえなんでもないです…」
先生「はぁ…最近たるんでるんじゃないか?」
横井「す、スミマセンスミマセン…」ペコペコ
関「…!!」
関「…!!」シコシコシコシコシコシコシコシコシコシコ
横井(うわぁ…)
関「…」シコシコシコ
横井(そうだ!)
横井「…」ガバッ
関「!?」
横井(教科書で顔を隠しちゃえば…!!)
横井(フフ…手が止まったようね関くん…!)
関「…ッ!」
横井(…)スッ
関「…ッ!!」
横井(…)スッ
横井(無駄よ関くん…!)
横井(顔を隠しちゃえば、その場所からじゃ私の顔は絶対に見えない!!)
関「…ッ!!」ブルブル
関「!」
横井「?」
関「…!!」ガタッガタン
横井「!?」
横井(い、椅子の上に立った!?)
関「…!!」シコシコシコシコシコシコシコシコシコシコ
横井(ひ、ひいい!!駄目だよ関くん教室から丸見えだよおぉ!!)
横井(あ、ああっ!しまった…出しちゃった!!)
関「…」ガタッ
関「フーッ…」
横井(くそう…やりきった顔して…なんだかくやしい!)
関「………」
関「…!?」ガタッ
横井「…?」
前田「…」ベットリ
横井(前田君の背中に大量のザーメンが!?)
関「…!?」
横井「うわぁ…ばれたら怒られるよ関くん…」
関「…!?…!?」オロオロ
横井(まぁ…いい薬かも…)
関「…!」
横井(…?何か閃いたのかな…?)
関「…」ゴソゴソ
関「…!」ジャキン
横井「そ、それは…!?」
関「…」シュッシュッ
横井(臭いはごまかせるかもしれないけど…)
関「…」シュッシュッシュッ
横井(あ、緑茶の香りが…)
関「…」シュシュシュシュシュシュシュシュシュ
横井「関くんかけすぎ!かけすぎだってば!」
関「…?」シュシュシュシュシュシュシュシュシュ
横井(あぁ…前田君の背中がびしゃびしゃに…)
幸い、前田君が鈍かったおかげで関くんが授業中にオナニーしていたことはばれませんでした。
~おわり~
横井「やだなぁ…走るの苦手だし…」
横井「でも流石にマラソンなら関くんも授業をサボるにサボれないよね…」
関「…」
横井「はぁ…はぁ…」
横井「あ、あと何週だろう…」
関「…ハァハァ」
横井(あ、関くんが後ろから迫ってきた…)
横井(関くんも真面目に走ってるみたい…)ホッ
横井(あぁ…駄目だ、関君に抜かれちゃう…)
関「…ハァハァ」ジー
横井「はぁ…はぁ…ん?」
関「…ハァハァ」シコシコシコ
横井「うわあぁぁ!!抜いてる!?」
関「…ハァハァ」シコシコシコ
横井(う、うぅ…またオカズにされる…)
横井(少しペースをあげて引き離さないと…!)
横井「はぁ…はぁっ…」プルンプルン
関「…!?」
関「…ハァハァハァハァ」シコシコシコシコシコシコシコシコシコ
横井「ひっ!?ペースが上がってる!?」
横井(うぅ…並走されてる…)
横井(しかも走りながらオナニーなんて…流石に器用すぎるよ関くん…)
関「…ハァハァ」シコシコシコシコシコ
横井(もっと…もっとペースをあげないと…)
横井「よし…はぁっ…はぁっ…」
関「…!」シコシコ
横井「はぁ…はぁっ…はぁっ…はぁっ…んっ…」
関「…!!」シコシコシコシコシコシコシコシコシコ
横井「なっ…なんでぇっ?…はぁ…はぁっ…」
横井「ひっ…はぁっはぁっ…んくっ…ふっ…はぁ…っ!」
関「…!!…!!」シコシコシコシコシコシコシコシコシコ
横井(だ、駄目だ…これ以上ペース上げられない…)
横井「はぁっはぁっ…もうっ…無理ぃ…」
関「…?」シコシコシコシコシコ
横井「もう…駄目ぇ…関くん、私…はぁっ…限界…っだから…」
関「!?」シコ
横井「おねがいっ…もうっ…ゆるしてっ…せきくんっ…」
関「…!?」
横井「あっ」
関「…」
横井「…」
横井「い、今だっ!!」ダッ
関「!?」オロオロ
先生「すごいな横井、去年よりかなり良いタイムだぞ」
横井「はぁはぁ…そ、そうですか…ありがとうございます…」
横井(あれ…何が目的だったんだっけ…)
先生「おらー関ー!手ぇ抜かないで走れー!」
関「…!?」
結局関くんは余計な体力を使ったおかげで学年ワースト3位になっていました。
~おわり~
Entry ⇒ 2012.09.09 | Category ⇒ 版権物SS | Comments (2) | Trackbacks (0)
恭介「ボウリングをしよう」 真人「は?」
真人「わけがわからねぇよ!」
恭介「そのままの意味さ。十柱戯…すなわちボウリングで勝負する」
恭介「チーム名は…リトルバスターズだ!」
理樹「わざわざ十柱戯って言い換えた意味がわからないんだけど…」
鈴「アホだな」
恭介「旅先でボウリングの無料券をもらってな」
真人「何でまた」
恭介「フッ…話せば長くなる…聞きたいか」
理樹「いや別に」
恭介「そう、それは俺がプロボウラーのマイケルと出会ったところから始まる…」
理樹(なんか語り始めた…)
『なに、遠慮するな。一緒にピンチを切り抜けた仲じゃないか…おっと、だからといってピンまですり抜けて女の前で恥をかかないようにな』…とな」
理樹「別にうまくないからね」
真人「くっ…泣けるぜ…」
謙吾「まさかマイケルにあんな過去があったとは…」
恭介「まぁここに無料券がある、ときたら行かないわけにはいかないだろ?
というわけで明日みんなで行く。昔は5人でよく行ったじゃないか」
真人「まぁ確かに…」
謙吾「真人は10フレーム全部9本だったこともあったな」
理樹「ある意味すごいよ」
鈴「あれは大爆笑だったな」
真人「うるせぇ!テメェは毎回ガターなしでピンボールみてぇになってたじゃねぇか!!」
鈴「う、うっさい!手元が狂っただけじゃ!」
恭介「投げるたびにそう言ってたからな、おまえ」
謙吾「フッ…プロボウラーの座は、俺のものだ!」
理樹「盛り上がってるところ悪いけど、月曜日に数学のテストがあること忘れてないよね?」
真人「…は?」
理樹「いやいやいや…そもそもテスト対策のためにここに集まってたんじゃん…宿題もたくさん出てるし」
恭介「ありゃ、そうなの?」
理樹「今日中に宿題終わらせて、明日みんなで来ヶ谷さんに教えてもらう予定だったんだけど」
理樹「好きなだけできるでしょ…」
来ヶ谷「こんなこともあろうかと、おねーさんが数学教師の過去の出題傾向から今度のテストの予想問題を作っておいた
これさえやれば90点以上は保証するよ」スッ
理樹「おお、これはすごい…きれいにまとまって…ってうわぁ!?」
来ヶ谷「人の顔を見るなり『うわぁ』とは失礼だな少年」
理樹「い、いつの間に!?」
来ヶ谷「恭介氏が帰ってきたと聞いてな。久しぶりに戻ってきて何もない、なんてことはないだろうと思ったわけだ。みんなも一緒だ」
小毬「お邪魔しま~す。恭介さんお帰り~」
鈴「こまりちゃん!」
西園「失礼します」
葉留佳「やはー」
佳奈多「……」
真人「結局全員集合かよ…」
理樹「二木さんまで…」
佳奈多「何よ、文句あるの?」
理樹「いやないけど…また葉留佳さんに付いて来たんでしょ」
佳奈多「なっ…そんなことないわよっ!私は風紀委員として…」
葉留佳「いいじゃんいいじゃん!お姉ちゃんも一緒でさ!」
佳奈多「は、葉留佳…!」
西園「…ご馳走様です」
鈴「笹の葉さらさら!!」バッ
佐々美「さ・さ・せ・が・わ・さ・さ・み ですわっ!!何ですのその軒端に揺れてそうな名前は!?」
鈴「お前の名前だろ」
佐々美「きぃ~~~っ!!今日という今日は許しませんわっ!!」
鈴「なんだ、やるか!?」ババッ
恭介「…というわけで、ボウリングでバトルだ!!」
一同「…は?」
恭介「来ヶ谷のお陰でテストの心配はなくなったわけだ。宿題もこの後やれば問題ない」
葉留佳「いいっすネ!やろうやろう!」
クド「ぼう…りんぐ…?棒なのですか?それとも輪っかなのですか?」
恭介「いや、どちらでもないが…」
小毬「クーちゃん、ボーリングっていうのはねぇ…地面に穴を開けて温泉を掘ったり、地質を調査したりすることなのです」
小毬「…って恭介さん、そんなことやるですかー!?」
クド「やるですかー!?」
恭介「いや、やらんが…」
葉留佳「ボウリングとボーリングを間違えるなんて使い古されたネタでつまんないですネ」
小毬「が、ガーン…つまらないのかぁ…」
理樹「いやまぁ…小毬さんのは素だと思うけど…」
クド「ボウリング…とても外国っぽいのです!是非プレイしてみたいのです!」
佐々美「棗鈴!今こそ決着をつけましょう!」
鈴「ふん…いいだろう」
真人「そんなこと言ってていいのか?お前ノーコn」ドゴォ
鈴「黙ってろ」
真人「」
葉留佳「ダイジョブダイジョブ!ただの玉転がしだって!」
小毬「私10フレームとも1本しか倒せなかったことあるんだぁ…」
理樹(ここにもある意味すごい人がいた!)
佳奈多「でも学生だけでそんなところに行くなんて…」
来ヶ谷「なに、私や恭介氏がいれば問題ないだろう」
佳奈多「それもそう…ってあなたたちも学生でしょう」
理樹「まぁ2人とも学生の枠に収まりきらないポテンシャルの持ち主だけど…」
恭介「よし、決まりだな。久々に腕が鳴るぜ!」
理樹「あんまりはしゃぎ過ぎないようにね」
………
……
…
葉留佳「よーし、ボウリングだボウリングだー!!」ダッ
クド「わふー!レッツ・ボウリング!なのですー!」ダッ
理樹(って早速はしゃぎ回ってるし!)
葉留佳「あ、ゲームコーナーがあるよ!誰かエアホッケーしようよ!」
理樹「いやいや、ボウリングやろうよ…」
葉留佳「あぁ、そっか。すっかり忘れてましたヨ」
理樹「3秒前までボウリングボウリングって大騒ぎしてたじゃん…」
謙吾「なんだと…?もう金を入れてしまったというのに…」チャリーン
理樹(うわ!こっちもか!)
真人「仕方ねぇ謙吾、ボウリングの前哨戦といくか!!」
謙吾「いよっしゃあ!!」
鈴「アホばっかだな」
来ヶ谷「うむ」
西園「履き替えるんですか」
謙吾「剣道着にこのシューズか…」
理樹「あれ、お帰り。早かったね」
真人「パックをぶっ壊して怒られた」
理樹(うわぁ)
恭介「よし、みんな準備はいいか?早速チームを決めるぞ」
理樹「…は?チーム?」
恭介「言ってなかったか?今回は2人一組で勝負する」
理樹「初耳なんだけど…」
そこは各チームの作戦次第だな。さて、そのチーム分けだが…」
真人「理樹、俺と組もうぜ」
謙吾「俺と組んでくれるか、理樹」
理樹「……」
恭介「…とまぁこうなることは予想していたがな…ダメだ。パワーバランスを考えて、野郎同士で組むのは禁止だ」
真人「何だと!?」
理樹「いやそこまでショックを受けなくても…」
来ヶ谷「なら理樹くんが女装して女の子として参加する、というのはどうか」
真人・謙吾「…それだ!!」
理樹「しないから」
西園「…残念です」ガサッ
理樹「…ちょっと、その紙袋は何さ」
西園「これですか」
西園「……」
西園「……ぽ」
理樹(これ以上は詮索しないでおこう…)
真人「恭介っ!そこをなんとかぁっ!」
鈴「おまえらキショい!…理樹、あたしと組もう」
理樹「う、うん、よろしく」
真人「うおおおおおっ!ジェラシィィーーーーッ!!」
クド「い、井ノ原さん、私でよろしければご一緒しますっ!元気を出してください!」
佐々美「み、宮沢様、わたくしと組んでくださいませんかっ?」
謙吾「已むを得まい…」
小毬「恭介さん、一緒にしませんか~」
恭介「おまえに俺のパートナーが勤まるかな!?」
来ヶ谷「西園女史、組まないか」
西園「はい、よろしくお願いします」
葉留佳「もちろん私はお姉ちゃんとですヨっ!」ダキッ
佳奈多「ちょっと、そんなにくっついたら…!」
恭介「適当に…チーム恭介、チーム理樹、チーム真人、チーム来ヶ谷、チームはるかな、チーム謙吾、の順でいいか」
葉留佳「ねぇねぇ、罰ゲームとかないの?」
謙吾「また余計なことを…」
恭介「もちろんあるとも。最下位のチームにはこいつを飲んでもらおう」ドン
佐々美「な、何ですのそれ!?」
真人「あっ!そいつは俺が作った『マッスルエクササイザー~春風と共に~』じゃねぇか!!」
理樹「何その副題…」
佳奈多「こんなおぞましいもの飲めるはずがないでしょう!」
恭介「だから罰ゲームなんじゃないか」
鈴「だが真人なら平気で飲めるんじゃないか?」
恭介「なら真人は一週間筋トレ禁止」
真人「死ぬだろっ!!」
理樹「死なないと思うよ」
小毬「おぉ~~おいしそう~!」
理樹「水瀬家って?」
恭介「以前行き倒れているところを助けてもらってな。その土地ではもう雪が積もっていて凍死寸前だったんだ」
恭介「で、その家を去るときに水瀬夫人に自信作だから是非持って帰って仲間と食べてくれと言われてな。ありがたく頂戴したんだ
まったく、至れり尽くせりだったぜ」
来ヶ谷「なるほど。主婦の味、か。後学のために是非食してみたいものだ」
恭介「ただ気になることがあってな…」
理樹「?」
恭介「その場で味見しようとしたらそこの長女が『私止めたからね。それでも貰うんだったら帰るまで決して開けないで』と言ってきたんだ」
理樹「何その浦島太郎的な展開…」
クド「きっと食べ始めたら止まらなくなるほどおいしいに違いありませんっ!」
謙吾「ヒィィイヤッホォォォウ!!」
小毬「私からかぁ…みんなに見られてると緊張するよ~」
鈴「こまりちゃん、がんばれ!」
佐々美「棗鈴、敵の応援をするとは…確かにライバルが強ければ強いほど燃え上がりますわ…神北さん、しっかり!ですわ!」
鈴「?」
真人「鈴には深い意味は無さそうだぞ」
葉留佳「まぁまぁ、楽しくやろーよ!」
来ヶ谷「そうだな…負ける気はないが」ギラッ
理樹(この人本気だ!)
恭介「さぁ…バトルスタートだ!!」
小毬「よ~し…」
理樹「小毬さんか…野球は上達早かったけど、ボウリングはどうなんだろ」
恭介「なんとなく読める気もするがな…」
謙吾「ああ…」
小毬「…えいっ」シュッ
コロコロ…
真人「…遅っ!!」
ポコ
小毬「ふぇえええ~~~ん!1本しか倒れなかったぁ~~~!」
葉留佳「デスヨネー」
小毬「ありがとりんちゃん~…恭介さん…ごめんなさい…」
恭介「フッ…まぁ心配するな」
来ヶ谷「お手並み拝見といこうか、恭介氏」
恭介「お手柔らかにな」
西園「恭介さんはやはりお上手なのですか?」
理樹「うん、昔は僕たちの中で一番うまかったよ」
佳奈多「何だってできるのね…」
謙吾「ヤツの力が衰えてなければな」
真人「まぁ恭介のことだ…」
恭介「…はっ」シュッ
カコーン!
葉留佳「おおーーっ!スペアだぁ!!」
クド「わふーーっ!流石恭介さんなのです!!」
理樹(それに…)
小毬「恭介さんすご~~い!」
恭介「ああ…おまえの期待通り、俺はこれからもスペアを取り続けるだろう。だがな小毬、いや、だからこそ小毬、この勝負はおまえにかかっている」
小毬「ほぇえ!?わ、私!?」
恭介「ああ。来ヶ谷をはじめ、他のチームの二投目を担当する者たちも喰らいついてくるだろう。となれば、スペアを取った次の投球で何本倒すかが重要になってくる」
恭介「いくら俺がスペアを出そうとも、おまえが1本しか倒せないままだと得点は伸びない。この勝負はおまえがいかに多く倒すかにかかっている…おまえの力が必要なんだ」
小毬「そっかぁ~…ようしっ!私がんばるっ!」
恭介「その意気だ小毬!」
理樹(パートナーのやる気を引き出すことも忘れない…!)
理樹(でも僕だって鈴と『あの過酷』を乗り越えたんだ…僕も鈴をリードして…!)
ガコン
鈴「んなぁーーっ!?」
真人「やっぱりガターじゃねーか!」
佐々美「おーっほっほっほ!そんなノーコンじゃ勝負になりませんわね!」
鈴「う、うっさい!手元が狂っただけじゃ!」
謙吾「またそれか…」
鈴「なんだ、文句ある…」
理樹「……」
鈴「の…か…」
理樹「鈴…」
鈴「…なんだ、文句あるのか!!」
理樹(うわ、結局切れられた!!)
真人「理樹、お前がなんとかするしかねぇみてぇだぜ」
謙吾「一投入魂だ、理樹!」
クド「リキー!ファイトです!」
葉留佳「がんばれ理樹くーん!」
恭介「理樹…勝負だ」
理樹「!」
理樹(これは恭介が考えた『遊び』だけど…だからこそ恭介は本気だ!)
理樹(僕だって…負けたくない!)グッ
理樹「…えい!」シュッ
カコーン!
一同「おおーーーっ!!」
真人「スペア…だが実質ストライクじゃねーか!!」
小毬「理樹くん上手~!」
謙吾「イヤッホォォォウ!!理樹最高!!」
佳奈多「やるわね」
来ヶ谷「ふむ…理樹くんにも要注意か」
恭介「…おもしろくなりそうだぜ」ニッ
理樹「ありがとう、みんな」
鈴「……」
理樹「あ、鈴…」
鈴「…なかなかやるな。でも1回うまくいったからって油断するんじゃないぞ」
理樹「なんで鈴が上から目線なの」
クド「では私からですっ!初めてのボウリング、とても楽しみです~!」
真人「クー公…俺の命が懸かってるんだからな…絶対ミスするんじゃねぇぞ…」
クド「わ、わふーっ!?楽しんでる場合じゃないのですっ!?」
理樹「だから筋トレしないだけで死んだりしないから…仲間にプレッシャーかけてどうするのさ…」
鈴「馬鹿のことは気にせず楽しめ、クド」
クド「で、では…!えいっ!」シュッ
コロコロ…
恭介「お、スピードはないが真っ直ぐいってるんじゃないか?」
カコン…カコン…
謙吾「ドミノ式に倒れていくな…」
クド「わふーっ!9本倒しました!」
小毬「クーちゃんすごいすご~い!」
クド「井ノ原さん、よーく狙ってくださいっ!」
真人「うおりゃぁぁーーーーっ!!」ブンッ
ゴッ…ドーン
真人「あ」
理樹「クドとまったく同じコースにいったね…」
鈴「クドがよく狙えって言ってただろーーーっ!!」ドゴォ
真人「うっ!申し訳ありませんでしたぁ!…ってテメェに言われたくねぇーーーっ!!」
真人「くそぅ…」
恭介「力任せにやればいいってもんじゃないぜ」
理樹「というか真人は二投目に向いてないんじゃ?」
真人「なにぃ!?」
クド「どういうことですか?」
来ヶ谷「初めに大雑把な真人少年が持ち前のパワーで根こそぎ倒し、残った数本を器用なクドリャフカ君が処理する、とした方が良いのではないか、という意味さ」
真人・クド「それだっ!(ですっ!)」
理樹「初めからそうしてればよかったのに…」
鈴「理樹やきょーすけが二投目だったからそうしたんだろ」
西園「……」
一同「……」
西園「……」
一同「……」
西園「……」
一同「……」
西園「……」
真人「…早く投げろよっ!!」
西園「い、いえ…それが…」
西園「ボールが重くて…片手で振れないんです…」
真人「マジかよ!?」
来ヶ谷「これ以上軽いものはないぞ…」
小毬「みおちゃ~ん!見て見て~」
クド「向こうにこんなものがありましたよ!」
デーン
西園「これは…!ボウリング用滑り台ですか…!」
理樹「いやいや、それ幼児用だから!!」
理樹「絵的にひどいことになるからやめた方が…」
真人「ったく、非力だなぁ。だから筋肉を付けろってんだよ」
西園「……」
来ヶ谷「ふむ…ならばこうしてみてはどうか…」ヒソヒソ
西園「……」
西園「…やってみましょう」スッ
葉留佳「あれ?これ使わないの?」
カコーン!
一同「おおっ!!」
佐々美「8本も倒しましたわ!」
恭介「いけるじゃないか、西園!」
西園「ありがとうございます」
理樹「さっきなんてアドバイスしたの?」
来ヶ谷「ボールを真人少年の生首だと思って思いっきり放ってみろ」
真人「西園こぇぇーーーーっ!!」
謙吾「だが残ったピンを見てみろ…」
理樹「! スプリットだ!」
鈴「なんだ?それは」
理樹「ピンが隣り合わない状態で残ることだよ。ほら、ピン2本が離れたところにあるでしょ」
恭介「しかも残ったのは一番奥の7番ピンと10番ピンときた。来ヶ谷、どう料理する?」
来ヶ谷「では、もし2本とも倒したらどうする?」
真人「へっ!そんときはそこの自販機まで逆立ちしてジュースを買ってきてやるぜ!」
来ヶ谷「ほぅ…言ったな…?」ギラッ
真人「へ?マジでスペア狙うのか?」
来ヶ谷「……」ゴゴゴゴゴ
葉留佳「な、なんか変なオーラが出てますヨ!?」
真人「へ、へへ…い、いやまさか…」
恭介「ま、まぁ流石にな…狙ってできるもんじゃねぇよ…」
謙吾「あ、ああ…」
理樹「……」
グオッ
謙吾「右側のピンを…!?」
ガッ!
恭介「はじいた!!」
カコン!
一同「に、2本とも倒したーーーーーーっ!?」
真人「」
来ヶ谷「はっはっは」
理樹(化け物だ…)
小毬「ゆいちゃんすご~い!」
来ヶ谷「いや、ゆいちゃんと呼ぶのはやめろと…」
来ヶ谷「ではジンジャーエールを所望する。他の客の迷惑にならないようにな」
「ーケーオ」人真
鈴「こんな筋肉ダルマが逆立ちして歩いてたらかなり迷惑だろ」
理樹「行っちゃった…」
???「うわっ!?何コイツ!?変態!?あなた変態なのね!?」
「!ぇせるう」人真
理樹「さっそく迷惑かけてるし…」
恭介「次いくか…」
葉留佳「よーし私の番だね!」
理樹「葉留佳さんはこういうの得意そうだよね」
葉留佳「風紀委員から逃げるときのビー玉転がしで日々修行を重ねてますからネ!」チャッ
佳奈多「反省の色が見えないわね…」
葉留佳「あ…や、やはは…今は固いこと言うのは無しですヨ…」ゴソゴソ
理樹「こんなところで出さないでよ…落としたら危ないよ」
葉留佳「ではでは気を取り直しまして…」
葉留佳「はるちん!超ウルトラスーパーダイナミックミラクルハイパーアルティメットグローバルエクセレントデリシャス…」
佳奈多「早く投げなさいっ!!」
葉留佳「ちぇ~」シュッ
恭介「6本だな」
葉留佳「みおちんに負けた!?」
西園「……フ」
葉留佳「くそーーっ!なんだその勝ち誇った顔はーーっ!6本も8本も変わんないじゃん!」
西園「…6本は一番微妙な本数です」
葉留佳「え」
葉留佳「う…」
西園「5本のようにちょうど半分でもなく、ネタにもなりません」
葉留佳「うう…」
西園「かと言って7~9本のようにけっこう倒した、とも言えません。ストライクは言わずもがなです」
葉留佳「…うわーん!!お姉ちゃ~~~ん!!」
理樹「流石西園さん、キレのいいツッコミだね…」
西園「…冗談だったのですが」
葉留佳「そんな真顔で言わないで~!」
「……」人真
来ヶ谷「おや、お帰り。ちゃんと買えたか?」
真人「…ってそもそもどうやって金を入れればいいんだよっ!!」
理樹(行ってから気づいたのか!)
葉留佳「お姉ちゃん、頼みましたぜ!」
理樹「あれ?二木さんはボウリング初めてなんじゃないの?」
葉留佳「ああ、昨日あの後ネットでボウリングについて調べまくってましたからネ。鏡を見ながら投球フォームの研きゅ…むぐっ!?」
佳奈多「黙ってなさいっ」
理樹「……」
恭介「なんだ、可愛いところもあるじゃないか」
来ヶ谷「5萌えポイントをやろう」
佐々美「何ですの、それ…」
佳奈多「~~~っ!投げるわよっ!見てなさいっ!」シュッ
カコーン!
葉留佳「やったー!スペアだー!」
クド「佳奈多さん、練習した甲斐がありましたねっ!」
佳奈多「もう忘れてぇっ!」
佐々美「棗鈴!わたくしの実力、とくとご覧あれ!!」
理樹「笹瀬川さんも謙吾も運動神経いいからな…」
葉留佳「このチームが一番強そうですネ」
鈴「おまえボウリング得意なのかっ!?」
佐々美「愚問ですわね。このわたくし、球技ならなんでも御座れですわっ!!…いきますわよっ!!」
来ヶ谷「ふむ…タマの扱いがうまい、と…」
理樹(この人が言うとエロく聞こえる…)
カコーン!
佐々美「おーっほっほっほ!」
鈴「くぅっ…」
謙吾「残り1本か?よし、後は俺に任せておけ」ザッ
佐々美「み、宮沢様っ…!」
真人「くるか…謙吾!」
理樹(すごい…集中しているのがこっちまで伝わってくる…!)
真人「おーい謙吾、『筋肉さんがこむらがえった』しようぜー」
葉留佳「謙吾くーん、こんなところに魚編の漢字が書かれまくった湯飲みが落ちてるよー?」
理樹(真人と葉留佳さんがそんなこと御構い無しに茶々を入れる!)
謙吾「……」
クド「まったく動じてませんっ!?」
恭介「無駄だ。いくらバカになっていようと、剣道で培った集中力は変わらない」
真人「ちっ…だが、一度助走に入ったらどうかな?」
葉留佳「隙が生まれるはずですヨ!」
鈴「お前らそこまでして邪魔したいのか」
真人「…何!?あの体勢のまま移動してやがる!?」
恭介「まさか…日本剣道の歩行術…『すり足』か!?」
理樹「いったい何の意味が!?」
鈴「馬鹿だ!!」
謙吾「…見えた!!」シュッ
ゴッ
謙吾(フッ…このコースは…決まったな)クルッ
カコーン!
一同「……」
謙吾「ん?なんだおまえら、俺には拍手もくれないのか?」
理樹「いや…もう1本残ってるんだけど…」
謙吾「な、なにぃぃ!?」クルッ
理樹「手前のピンの真後ろにもう1本隠れてたみたいだね…」
佐々美「ド、ドンマイですわっ」
クド「わ、私も残り1本かと思ってましたし!」
小毬「そういうこともあるよ~」
葉留佳「『…見えた!』だってさ!ぷふふーーーっ!」
鈴「投球まで引っ張っただけにかなり恥ずかしいな」
恭介「かっこワリぃ」
西園「最悪です」
佳奈多「最低ね」
来ヶ谷「クズ」
謙吾「何でそこまで言われなくちゃならないんだーーーっ!!!」
謙吾「うう…真人ぉーーっ!!」ダキッ
鈴「キショいわおまえら!!」
西園「美しくないです」
恭介「さて、これで一巡したな。もう1フレームだけ様子を見るか」
理樹「今のところ僕、恭介、来ヶ谷さん、葉留佳さんのチームはスペア、真人と謙吾のチームは9本、と」
真人「ここから逆転だぁーーっ!!」
クド「わふーっ!がんばるのですっ!」
カコン
小毬「うーん…4本しか倒れなかったよ…」
恭介「いや、これは大きな進歩だ。さっきより3本も多く倒したんだからな。この調子で次は7本。そして…!」
小毬「その次はストライクかぁ~!私がんばるっ!」
恭介「その意気だ!二投目は任せておけ!」
小毬「うんっ!」
真人「…なんかすげぇいい雰囲気じゃね?」
謙吾「もう完全に恭介の流れだな…」
恭介「どうだ!」
小毬「やった~!」
佳奈多「ホントにうまいわね…」
理樹(やっぱり恭介はすごいや…)
理樹『あれ…?僕男の子なのに…この気持ちはなんだろう…恭介を見てると…胸が苦しくなるよ…』
理樹「…ってそんなこと思ってないから!耳元で変なこと囁かないで!」
西園「ダメですか」
理樹「駄目に決まってるよ…」
恭介「さぁ、次はおまえの番だぜ、鈴」
鈴「ふん…見てろ…」
理樹「ちょ、ちょっと待った」
鈴「なんだ?あたしなら心配ないぞ」
理樹「よくそんな自信満々に言えるね…」
鈴「謙吾の投球を見ていて気づいたことがあるんだ」
真人「まさかすり足か?」
鈴「そんなアホなことするかっ!」
真人「じゃあ何だよ?」
鈴「もしあたしがお前らに劣っている点があるとすれば…それは集中力」
理樹「他にも色々あると思うけど…」
鈴(集中だ…集中するんだ…そして心を無に…!)
理樹(鈴がめずらしく集中してる…って)
鈴(…おお?これはなかなかいいんじゃないか?これが『無』なのか?)
理樹(…ん?…あっ!)
鈴(あたしは今まさに『無』だ…!いける…いけるぞ…!)グッ
理樹「鈴、ストップ!」
鈴「ふかーーーーっ!!!」
理樹「う、うわ、ごめん!お、落ちついて!」
理樹「いやいや、そんなことより手を見せて!」
鈴「なんだ!?お前手フェチなのか!?」
理樹「違うし仮にそうでもこの場面で自分の欲望をさらけ出したりしないから…そうしたらボールを持ってみせて」
鈴「わけわからん!これで満足か!」グッ
理樹「な、何で人差し指が穴に入ってるのさ…」
真人「うお、マジだ!」
恭介「お前今まで親指、人差し指、中指で握ってたのか!?」
鈴「なんだ?違うのか?」
謙吾「普通穴に入れるのは親指、中指、薬指だ…そりゃガターまっしぐらなわけだ…」
鈴「なにぃ…」
理樹「人に教わるのを嫌がるからこんなことになるんだよ…」
佐々美「勝負以前の問題でしたわね…」
鈴「なんだか違和感があるな…」
小毬「りんちゃんファイト~」
葉留佳「鈴ちゃんがんばれー!」
鈴「…ていっ!」シュッ
真人「お?」
謙吾「おお?」
恭介「おおお!?」
カコーン!
クド「わふーーっ!ストライクですーーーっ!!」
理樹(ええぇーーーーっ!!)
鈴「み、見たか!?お、おまえら!?」
理樹「自分が一番驚いてるし…」
鈴「ま、まぁな!本気を出せばこれくらいよゆーだ!」
真人「よく言うぜ…」
鈴「あれだ、脳ある爪は鷹を隠すってやつだ」
理樹「すごい爪だね」
佐々美「い、一度ストライクを取っただけで調子に乗るんじゃありませんわ!」
鈴「……ふ」
佐々美「きぃ~~~!!」
鈴「理樹、もうお前の出番はないかもな」
理樹「いやいやいや…」
真人「鈴なんかに負けてられねぇ…俺もストライクを狙うぜ!」
クド「がんばってください!」
真人「うおらぁぁーーっ!!」ブンッ
ゴッ…パッカーン!!
来ヶ谷「すごいパワーだな…ピンが弾け飛んだぞ」
西園「…そんな中でも1本残っていますが」
真人「うおぉぉぉーーーっ!?なんで全部倒れねーんだよっ!?」
理樹(哀れだ…)
真人「クド公…絶対倒せよ…!でないと俺の命が…!」
クド「わ、わふーーっ!?やっぱり責任重大なのですっ!?」
理樹「だから仲間にプレッシャーかけてどうするのさ…」
鈴「馬鹿のことは気にせずがんばれ、クド」
クド「で、では…えいっ!」シュッ
コロコロ…
恭介「スピードはないが…精確な投球だ!」
カコン
クド「やりましたーーっ!スペアですっ!」
理樹「やったねクド」
葉留佳「なんだかんだ言ってみんな上手じゃないッスか!?はるちん平均以下!?」
来ヶ谷「それにしても真人少年はクドリャフカ君におんぶに抱っこだな」
佳奈多「情けないわね」
恭介「これなら野郎同士で組ませてもよかったかもな」
真人「」
謙吾「真人…今度は俺が筋肉を貸す番だ」
真人「うう…謙吾ぉーーっ!!」ダキッ
鈴「だからキショいんじゃおまえらーーっ!!」
西園「美しくないです」
西園「……」
真人「い、今まさに西園は俺の生首を投げる気でいるのか…」
西園「……」スッ
葉留佳「あ、みおちん!」
西園「…はい?」
葉留佳「あ、ゴメンゴメン気のせいでしたヨ」
西園「……」スッ
葉留佳「ああっ!みおちんっ!」
西園「…はい?」
葉留佳「やはは、これまた気のせいでしたヨ」
西園「……」
葉留佳「あああーーっ!みおち…あ、あれ…」
西園「……」シュッ
パカーン!
恭介「おおっ!また8本!」
謙吾「やるな…」
真人「西園こぇぇーーーーっ!!」
葉留佳「いやぁ参りましたヨ、真人くんの生首効果は絶大ですネ」
西園「いえ、今のは三枝さんの生首です」
葉留佳「みおちん怖いーーーっ!!」
カコン!
謙吾「来ヶ谷は難なくスペアか…」
小毬「ゆいちゃんかぁっくい~!」
来ヶ谷「だからゆいちゃんと呼ぶのはやめろと…」
西園「……」
鈴「ん?どうしたみお?」
西園「もう…腕が痛くて…」
理樹「はやっ!」
来ヶ谷「ならこれ以降は滑り台を使うといい」
西園「…そうします」
真人「ホントに使うのかよ…」
恭介「来ヶ谷が先に投げる、という手もあるんだぜ?」
来ヶ谷「それではつまらないだろう。なに、いいハンデさ」
葉留佳「てぇいっ!!」シュッ
カコーン!
恭介「また6本だな」
葉留佳「そんなぁーーーっ!?これじゃまるで真人くんだよ~!」
真人「どういう意味だよっ!?」
西園「……」
葉留佳「う…」
西園「……」
葉留佳「…うわーん!!お姉ちゃ~~~ん!!」
西園「まだ何も言ってません」
佳奈多「私もまたうまくいくとは限らないわよ…?」
理樹「まぁまぁ、昨晩がんばってれんしゅ…」
佳奈多「……」ギロッ
理樹「…何でもないです」
クド「大丈夫ですよ佳奈多さん!練習は裏切りませんっ!」
佳奈多「クドリャフカぁ…!」ギロッ
クド「わ、わふーーーっ!?何か気に障るようなことを言ってしまいましたか!?」
カコーン!
小毬「あー…惜しい~」
葉留佳「1本残っちゃったか…」
佳奈多「まぁそんなにうまくいかないわね…ごめんなさい、葉留佳…」
葉留佳「やはは…でもお姉ちゃんとボウリングできてすっごくうれしいですヨ」
佳奈多「は、葉留佳…!」
佐々美「次いきますわよ」
佐々美(棗さんに負けていられませんわ…宮沢様のためにも、ここはわたくしもストライクを…)
謙吾「フレー!フレー!…」
佐々美(! み、宮沢様がわたくしの応援を!?)
謙吾「させっ…し…がわー!!」
佐々美「……」シュッ
カコーン!
理樹「ストライクだ!」
小毬「さーちゃんおめでと~」
鈴「くぅ…お前もストライクだと…」
恭介「…にしてはあまりうれしくなさそうだな」
真人「『どうです棗鈴!』とか言いそうなのにな」
佐々美「無の一球でしたわ…」
謙吾「美しい投球だったぞ」
佐々美「! お、お褒めに預かりまして光栄ですわ!見まして!?棗鈴!」
理樹「あ、戻った」
恭介「よし、それじゃあここからはどんどん進めるぞ!それぞれのレーンでがんばってくれ!」
一同「おおーーーーっ!!」
葉留佳「や、やったぁーー!ついに7本倒したーーー!!」
西園「喜びすぎです」
4フレーム目
小毬「わぁ~~!ストライクだよ~~っ!」
恭介「やるじゃないか!」
5フレーム目
真人「…っしゃぁーーっ!!俺もストライクだーーーって誰も見てねぇーーーーっ!!!?」
理樹「みんな飲み物買いに行っちゃって…」
クド「…ていっ!!」チラッ
来ヶ谷「(ほう…クドリャフカ君があんな下着を…)ってしまった!!」シュッ
佳奈多「く、来ヶ谷さんがガター!?」
7フレーム目
謙吾「ボウリングのボールかと思ったら…三枝のビーだマーーーーーン!!」
鈴「笑わすなボケェーーーーっ!!」
佐々美「おーっほっほっほ!!」
………
……
…
謙吾「…はっ!」シュッ
カコーン!
佐々美「ナイススペアですわ!!」
真人「いよいよ終盤だな…!」
理樹「みんなだんご状態の混戦だね…」
恭介「つまり、最低でも二投目でスペアが取れなかった場合、負けが決定するということだぜ?」
理樹「…!」
クド「わ、わふ…」
来ヶ谷「フフ…」
佳奈多「……」
謙吾「望むところだ」
小毬「それ~!」シュッ
カコーン!
恭介「む…」
謙吾「スプリットだ!」
小毬「うわ~ん!恭介さんごめんなさい~!」
理樹「…恭介自分で言ってたよね。これを取らないと恭介たちが優勝するのは難しくなるよ」
恭介「ほう…この俺にプレッシャーをかけようとするか、理樹」
理樹「……」
恭介「…いいだろう」ニッ
理樹(残ったのは6番ピンと7番ピン…最初の来ヶ谷さんのように並行に残ったわけじゃないけど…それでも十分難しいはず…!)
理樹「……」
理樹(でも恭介のことだ…)
恭介「…はっ!」シュッ
カッ…カコン!
真人「おおっ!?2本とも倒しやがった!?」
理樹(そうくるよね…!)
恭介「さぁ、次はおまえらの番だ」チラッ
鈴「うみゅう…」
恭介「あんな状態の鈴とで俺たちについてこれるかな?」
理樹「……」
鈴「……」
恭介「鈴、ここでおまえがストライクを取ればかなり優位に立てるぜ?」
鈴「わわわかっとるわ!プレッシャーかけようとしてもむむ無駄だぞ!!」
真人「思いっきりびびってるじゃねぇか…」
理樹「大丈夫だよ、鈴」
鈴「理樹…」
理樹「例え失敗しても僕がなんとかする。鈴はいつも通り…というか今日の2フレーム以降の通り投げればいい。それにほら、楽しまないと!ね」
鈴「…わかった」
恭介(……)フッ
カコーン!
クド「9本ですっ!!」
鈴「くぅ…理樹、頼む…!」
理樹「よし…!」
恭介「…理樹、わかってるよな」
理樹「…この僕にプレッシャーをかけようとする気かい…恭介!」
恭介「フッ…女の前で…恥をかくんじゃないぞ」
葉留佳「何なんですかねこの少年マンガの最終回近い展開は」
恭介(これはいったな…)フッ
カコーン!
クド「スペアなのですーーーっ!!」
小毬「やったぁ理樹くーん!!」
理樹「あはは…」
恭介「……」スッ
理樹「!」
恭介「…ナイススペア」
理樹「恭介…!」スッ
パンッ
~完~
真人「…ってちょっと待てぇ!!」
葉留佳「へ?何か?」
真人「何が『完…』だ!!まだ終わってねぇっつーの!!」
葉留佳「いやぁマンガとかならこの辺で終わりかなーと思いまして」
真人「まだ10フレーム目が残ってるだろ!!それに次はこの俺の番だ!!」
鈴「じゃあ早く投げろ」
真人「関心なさすぎじゃね!?」
来ヶ谷「まぁいつものことだろう」
真人「おまえら…気づいてねぇのかもしれねぇが…ここで俺がストライクを出せば、俺のチームの優勝は決まったも同然になるんだぜ!!」
一同「!?」
理樹「しかもここまで真人は平均9本は倒してきてる…」
恭介「ここで真人がストライクを出し、最終フレームでもまたストライクやスペアを取られたら…」
一同(真人とクドに負ける!?)
真人「そこまでショックかよ…」
クド「複雑な気分なのです…」
真人「まぁいい…ここで俺がこの戦いに終止符を打ってやるぜ!どきな!」ドン
葉留佳「わぁ!もー乱暴だなぁ!」ポロッ
コロ…
理樹「あ、あの真人が集中してる!?」
鈴「気色悪いな…」
理樹(…鈴のときも思ったことは黙っておこう)
真人(集中だ…この俺の筋肉をもってすれば…いける!)
謙吾「もしかして…もしかするのか!?」
恭介「こいつは大番狂わせだぜ…!」
真人(いける…!いける…!!)
佳奈多「!! ちょ、ちょっと!あれ!」
理樹「え?…!?」
コロコロ…
葉留佳「わ、私のビー玉!?」
恭介「お、おい…真人の前に転がっていくぞ…」
葉留佳「ちょ、真人くん!ストップ!!」タッ
小毬「あ、危ないよ~!?」
真人(へっ…邪魔しようとしても無駄だぜ…!)
真人「…見えた!!」ダダダッ
ズルッ
真人「…は?」
一同「」
真人「ア――――――――――――――ッ」ツツー
客A「お、おい隣見ろ!人がレーンを滑っていくぞ!?」
客B「!?」
ドガシャーーーーーーーーン!!!
理樹(ま、真人ぉぉーーーーーーっ!!!)
佐々美「きゅ、救急車ですわーーーっ!!」
クド「た、大変ですーーーーっ!!」
恭介「無事か真人ーーーーっ!!」ダッ
真人「き、筋肉のおかげで…助かった…ぜ…」ピュー
理樹「助かってないから!!頭から血が噴き出てるから!!」
謙吾「死ぬな、真人ーーーーっ!!」
真人「へへっ…こんな馬鹿と過ごしてくれて…ありがとな…」
鈴「ああ、真人…見事なストライクだったぞ」
理樹「言ってる場合かーーーーっ!!」
謙吾「行ったか…」
小毬「真人くん大丈夫かな…」
来ヶ谷「頑丈さが取り柄の真人少年だ、安静にしていればすぐに治るだろう」
佳奈多「あなたがビー玉なんて持ってくるから!」
葉留佳「ゴメンナサイ…」
クド「そうですね…」
鈴「結局決着は付かなかったな」
佐々美「また次の機会にいたしましょう…」
恭介「だが、もうこのボウリング場には来れないな」
理樹「というか真人はボウリング自体がトラウマになったんじゃ…」
理樹「はぁ!?真人の入院が延びた!?なんで!?」
恭介「例のジャムを舐めた途端に泡を噴いて倒れたらしい…」
鈴「こわっ!!」
謙吾「何なんだそのジャムは…」
病院
名雪「母のジャムがたいへんご迷惑をおかけしました…」
真人「…誰だお前」
終わり
アニメ楽しみですね!
Entry ⇒ 2012.09.07 | Category ⇒ 版権物SS | Comments (0) | Trackbacks (0)
アイアンマン「おいブルース!コロッケパン買って来い」
ホークアイ「あ、ついでに焼きそばパン頼むわww」
ハルク「い、いいよ…」
フューリー「では私はTVブロスとジャムパンを頼む」
ウィドウ「あたし午後ティーねww」
ハルク「はい…」
ソー「おれホットドッグな!」
ハルク「わ、分かったよ…」
キャップ「ブルース…大丈夫か?」
ハルク「キャプテンさん…」
キャップ「荷物が重くなるが頑張れよ」
アイアンマン「5分で帰って来いよ!金はいつか返すから立て替えといてwww」
ハルク「う、うん、分かった…行ってきます」
ハルク「ハァ…なんで僕だけ…」
ハルク「みんな、僕が温厚だからって調子に乗ってさ」
ハルク「…ハッ、5分で戻らなきゃいけないんだった。急がなきゃ!」
修行の成果とご都合主義で多少制御がきく
ハルク「あれ?扉が開かない」
ハルク「明かりはついてるのに…中がよく見えないな」
ハルク「5分過ぎちゃった…どうしよう…この辺りにはここにしかコンビニがないのに」
ハルク「…仕方ないか、開いてなかったんだから…」
ハルク「ちゃんと話せば許してもらえるよね」
ハルク「急がないと!」
70年前にハワードがキャプテンの友人として出てきたから結構歳いってるくね?
40代前半
ハワードの高齢時の子ども
やっぱ結構歳食ってるんだな社長
ホークアイ「遅れて帰ってきた上に焼きそばパンなしとかふざけんなよ」
ソー「ガラス割ってでも買って来いよ」
ハルク「で…でも店員さんの姿も見えなかったし」
フューリー「どういうことだ、コンビニが閉まっているなんて普通に考えてありえないだろう」
ウィドウ「そーよ!あのコンビニは年中無休24時間営業よ」
ハルク「でも…本当に」
キャップ「分かった。では私が行って確かめてこよう」
アイアンマン「お前は甘すぎだよキャップ」
フューリー「しかしバナー博士の言っていることがもし本当なら少し心配だ」
ウィドウ「そうですね」
ソー「??なんでだよ」
フューリー「もしあのコンビニが閉店するとしたら?困るなんてものじゃないぞ」
ホークアイ「確かに。仕方ねえ、この際だからみんなで行こうぜ」
アイアンマン「嘘だったらどうなるか分かっているんだろうな」
ハルク「だから本当だって…」
アイアンマン「なんだよやってんじゃねーか」
ハルク「違うよ!僕が来たときも明かりはついてたけど…誰もいなかったんだ」
ウィドウ「ん、自動ドアが開かないわね」
ホークアイ「店員はいるか?」
ウィドウ「ここからじゃよく見えないけど…見当たらないわ」
フューリー「まさか本当に閉店…」
ソー「おい嘘だろ困るよ!飯買うだけで15分も車を走らせるなんて嫌だぞ!」
アイアンマン「面倒だ、私が店ごと買い取ってやる」
ホークアイ「いーじゃねーかそれ!俺たちは当然タダなんだろ?」
アイアンマン「ふざけたことを言うなよ」
ホークアイ「チッ」
キャップ「本当に買い取るにしても…誰も人がいないんじゃ話もできないぞ」
ウィドウ「ねえ!誰かいないのー!?」ガンガン
ハルク「やめなよ…ガラスが割れちゃうよ」
アイアンマン「仕方ない…」プルルル
アイアンマン「出ないな」
ソー「なんなんだよ!!いい加減腹が減って死にそうだぞ!」
フューリー「仕方ない…今日の昼は外食しよう。ここにはまた改めて確かめに来るとして」
ソー「早く行こうぜ!もう身体が持たねえ」
ウィドウ「何食べに行く?」
ホークアイ「俺麺類がいい」
ホークアイ「麺類」
アイアンマン「十字路のマズいピザ屋に行こうぜ」
ホークアイ「麺類」
アイアンマン「早く車乗れー」
ホークアイ「麺類…」
ハルク「い、行こうよバートンくん…」
ホークアイ「…うん」
フューリー「…しかし気になるな」
ウィドウ「コンビニですか?」
フューリー「ああ…」
アイアンマン「しかし買い取るにしても人がいないんだよな…」
ホークアイ「ここのピザは本当にマズいな」
キャップ「あのコンビニがないと本当に困るぞ!それは私たちだけでなく市民の皆さんも同じだろう」
ハルク「明日またみんなで行ってみない?」
ハルク「…」
アイアンマン「そういえばお前なんでこっちにいるんだよ」
ソー「実家にいたらジジイが働けってうるせーんだよ」
ホークアイ「働けよ」
ソー「飯うまいし地球マジ最高」
ホークアイ「ここのピザはまずいけどな」
キャップ「おい店長に聞こえるぞ」
――
?「ふっふっふ…」
ロキ「このコンビニは…私が乗っ取った!わはははは!!」
ロキ「店員は洗脳済み!ここを私専用のプライベートコンビニにしてやるー!!」
ロキ「どうだ!困るだろう!このコンビニを使いたくば私にひざまずけ!わははははははははは!!」
ロキ「………なんか言えよ」
店員「えっ」
ロキ「ひざまずけよ!」
店員「はっはい!」サッ
店員「はい」
―翌日
ロキ「……遅い…」
ロキ「私の計画ではそろそろあのアホどもが泣いて土下座しにくる頃のはずなのに」
ロキ「『おお我が王よ、この卑しい平民にもコンビニを』とか言って」
ロキ「…早く来ないかな」
ロキ「眠くなってきた…昨夜はわくわくして眠れなかったしな」
ソー「めんどくせえ…」
ホークアイ「どうせなら飯時に行こうぜ。今日は開いてるだろ」
ウィドウ「そうねえ…」
アイアンマン「zzz」
キャップ「そうだな…みんなこんな感じだし、もし開いていなくてもまた外食になるだけだ」
フューリー「バナー博士も少し休んだらどうだ」
ハルク「まだ朝ごはん食べたばかりじゃないですか…」
ハルク「…ねえ、そろそろ行かない?」
アイアンマン「ふぁ~…そうだな…腹減ってきたし」
ハルク「(ずっと寝てたじゃないか…)」
ソー「今日の昼飯は何にしようかなあ」
ホークアイ「今日こそ焼きそばパン食べたい…」
フューリー「…では行くか」
ウィドウ「は~い」
キャップ「了解」
ロキ「…zzz…zzz…ハッ」
ロキ「寝ちゃった…ヤバイもう昼すぎてる!」
ロキ「おい!なんで起こしてくれないんだよ!」
店員「いや…疲れてるみたいだったので」
ロキ「あいつら来た!?もう帰った!?」
店員「まだ誰も来てませんよ」
ロキ「来てないのかよ!!」ズコー
ロキ「愚民どもめ…!」
ウィドウ「ねえー!今日もいないのー!?」ガンガンガン
ロキ「来たっ!!!!!」
ハルク「だからガラスが割れちゃうって…」
ロキ「ふふふ…どんなカッコイイ登場をしようか」
フューリー「これは…本当に閉店なのかもしれないな」
ソー「そんなの困る!おいスタークなんとかしろよ!」
ロキ「困れ困れクソ兄」
アイアンマン「だから店長がいれば買い取るって言ってんだろ」
ロキ「効いてる効いてるwwwww」
キャップ「そうだな。今日の運転係は誰だい」
アイアンマン「お前だよ」
キャップ「だから何度も言ってるだろう。私はオートマ車は運転できないんだ」
ウィドウ「またそうやって逃げるのね」
ホークアイ「まあいいや、今日は俺が運転するから行こうぜ」
全員「おう」ゾロゾロ
ロキ「しまった…!登場の仕方を考えてる間にあいつら行ってしまう」
ロキ「かくなる上は」
ロキ「わははははは!このコンビニを使いたくば私にひざまずけー!!」
ロキ「…あれ」
アイアンマン「…またおまえか」
ホークアイ「もうちょっと登場の仕方とか考えたらどうだ?ダッセエなあ」
ウィドウ「屋根に仁王立ちはないわ」
キャップ「くそ…私たちのコンビニを返せ!」
ソー「あー…いいよ。ほっとこうぜ」
ロキ「えっ」
ソー「ラーメンラーメン!早く行こうぜー」
ロキ「えっえっ、ちょっ待っ」
ソー「いーんだよ。あいつは無視するのが一番効くんだ」
ウィドウ「とんだかまってちゃんね」
アイアンマン「いい迷惑だ」
ホークアイ「お前の弟クズだな」
ソー「反抗期なんだよ」
キャップ「歪んだ弟を持って大変だな。さあラーメンだ!」
ソー「しばらくほっとけばあのコンビニは放り出すと思うぞ」
フューリー「それまでは外食か…」
ロキ「クソが…」
ロキ「なんで!なんで!なんで!みんなが私を無視する!」
店員「あの~」
ロキ「お前はもういいよ…こんな小さいコンビニに私の支配はもったいない」
店員「あ、そうですかじゃあ開店しまーす」
店員「いらっしゃいませー」
ロキ「ふん!私はもう出てくぞ!」
店員「あっ、あの」
店員「今持ってるそのパン、レジ通してないですよね?」
ロキ「……私は神だから金など持ち歩かないのだ」
店員「いいです僕おごりますよそれくらい」
ロキ「…ありがと」
店員「気をつけて」
ロキ「うん」
ウィーン
店員「不憫な人だ」
ロキ「あいつらはまだ分かっていない。私が本気になったらどうなるか…」
――
prrrrr...
アイアンマン「はいはい」ピッ
アイアンマン「は?なんだそれ…ん?うん、うん、行ってみるわ」
ウィドウ「何、どっか行くの?」
アイアンマン「ペッパーからちょっと報告があってな、お前らも来い」
アイアンマン「いいから来い」
フューリー「私もか」
アイアンマン「もちろん。全員だ」
アイアンマン「今日の運転係はブルースお前だよな?」
ハルク「ええ…君の用事なのになんで…」
アイアンマン「あ?」
ハルク「…分かったよ…」
キャップ「なんだ、買い物かい?」
アイアンマン「いや…」
ブロロロ…ギッ
バタン
フューリー「…ッ!」
ホークアイ「これは…!」
ソー「…ロキの軍隊だ」
ロキ「ははははははは!!」
アイアンマン「チッ…やはりか」
ロキ「ははははは!!どうだ、これ以上に困ることはないだろう!」
ハルク「すごい数の兵だ…敷地を取り囲むように並んでる」
アイアンマン「さっきのペッパーからの電話はこのことについてだ。ジャスコも閉まってるわよ、だと」
ホークアイ「おいどうすんだよ!コンビニ閉店どころの騒ぎじゃないぞ!」
キャップ「そうだ!市民の皆さん全員が困るんだぞ!何より映画が見られなくなる!」
ソー「ジャスコがなくなったらジェーンの誕生日プレゼントはどこで買えばいいんだよ!」
ロキ「わははははは!もっと困れ!ひざまずけ!」
ソー「どうするって、今回はシカトで済みそうにもないし」
アイアンマン「なら戦うしか…ないだろう」
ハルク「ちょっと待って!この場で無闇に戦うのは危険だよ、ジャスコが崩壊してしまう!」
ホークアイ「それに軍隊はあの大人数だ…なめてかかると危ない」
キャップ「しかし一刻を争う事態でもあるぞ…!」
キャップ「なにしろ明日からバットマン&ロビンMr.フリーズの逆襲が公開されるんだ。封切り一番上映で見ると決めてるのに!」
ウィドウ「あなたずっと楽しみにしてたものね」
キャップ「ああ!だから今日中にこれを片付けてしまわないと…」
ソー「任せろ!俺が雷一発ドカンと落として」
ハルク「それはだめだ!そんなことしたらジャスコまで丸焦げだ」
ソー「じゃあどうすんだよ!一人ずつ潰すなんてそれこそ何日かかるか」
アイアンマン「しかもブルースは戦えない」
ハルク「ごめん…でも“もう一人”が現れたらこのあたりは瓦礫の山になってしまう」
ホークアイ「明らかに戦力が足りねえぞ…」
?「アベンジャーズ!俺も協力しよう」
キャップ「…!!あなたは…」
キャップ「本物のバットマン…!?握手してください!」
バットマン「光栄だ、キャップ!」ギュッ
スパイダーマン「僕も一緒に戦う!メイおばさんがいつもここで買い物してるんだ」
デッドプール「俺ちゃんもいるよ~ん」
アイアンマン「なんだあの変態仮面は」
スパイダーマン「…ごめん…勝手についてきたんだ」
デッドプール「読者のみんな見てるう~?俺ちゃんの新作ゲームよろしくね♪」
デッドプール「http://www.youtube.com/watch?v=XqORbzbEfoM
」
キャップ「…彼は何を言ってるんだ?」
デッドプール「キャップ!アベンジャーズ見たぜ!面白かったよ~」
キャップ「???」
バットマン「あいつは無視しよう。とにかくジャスコ奪還だ」
フューリー「そうだな…本部に連絡して彼らのスーツも持って来させよう」
アイアンマン「君、どうして我々に協力してくれるのだ」
バットマン「ゴッサムにはジャスコがないからな…困るのだ」
アイアンマン「…そうか」
バットマン「それに俺がバットモービルで乗り付けたときも…ジャスコの店員は快く優先スペースに駐車させてくれた」
ホークアイ「スーツと武器が届いたらすぐ踏み込もうぜ」
ハルク「みんな集まって。これが各フロアの見取り図だ」バサッ
ハルク「東西南北から一気に挟み撃ちにしよう。二人一組で行動するんだ」
ハルク「僕と長官はここで全体の指揮」
フューリー「うむ」
ハルク「北はロマノフとソー」
ソー「おう!」
ウィドウ「分かったわ」
キャップ「憧れのバットマンと…!」
バットマン「尊敬するキャップと…!」
デッドプール「おい!何で俺ちゃんがキャップとじゃないんだよ!」
ハルク「変態仮面はスタークと西を頼むよ」
アイアンマン「嘘だろ…」
ハルク「で、東はバートンくんとスパイダーマン」
ホークアイ「了解」
スパイダーマン「わかった!」
フューリー「スーツと武器が届いたぞ!」
キャップ「早く装備しろ!」
ハルク「全員配置に就いてくれ!」
――
ハルク「みんな、聞こえてるかい?」
全員「ああ」
ハルク「僕がここから無線で指示を出す。みんなは状況報告を頼む」
ハルク「バットマンの透視スコープによるとロキは4階の映画館だ。そこを目指してくれ」
ハルク「じゃあ幸運を祈るよ……スマッシュ!!」
ウィドウ「いいから4階を目指すのよ!」バキィッ
ソー「バナー!これじゃキリがない!雷を…」
ハルク「だめだ!建物を傷つけないようにしてくれ」
キャップ「くそ…キリがない」ザシュッ
バットマン「しかしあいつらには飛び道具がない!距離をとりつつ潰して行くんだ」
キャップ「聞こえたかブルース!?」
ハルク「ああ!今君たちが入り口付近にいるのも見えるよ!」
デッドプール「やっだよーん!このまま足掴んでるから4階まで飛んでくれよ!」
デッドプール「君も空飛ぶ俺ちゃんの活躍見たいだろ?どう?カッコイイ?銃も撃ちまくり!バーン!」バンバン
アイアンマン「お前は誰に喋ってるんだ!!」
ホークアイ「おい…なんかここ他より兵の数が多くないか」
スパイダーマン「うん…なんか壁が厚い気が」
ホークアイ「バナー!東側にヘリを回して様子を見てくれ」
ハルク「了解!………!?…これは…」
ソー「おいそりゃ何体倒しても意味ないってことか!」
キャップ「どうりで入り口から全く進めないわけだ!あいつらが次々追ってくる!」
アイアンマン「操ってるのは間違いなくロキだ…大本を叩くしかない」
ホークアイ「そんなこと言ったって近づくこともできないんだぞ!」
ウィドウ「この人数では食い止めるにも限界が…!」
ハルク「ちょっと待って。そっちに向かって何かが飛んでる!」
全員「――!?」
バットマン「来ないのかと思ったぞ!」
アントマン「我々もいるぞ!」
フラッシュ「共に戦う!」
リドラー「ナゾナゾ対決だ!」
キックアス「なんでお前がいるんだよ。皆さん、サインください!」
ウルヴァリン「お前もだクソガキ。家に帰れ、引き裂くぞ」
シルバーサーファー「私も空から援護しよう」
ハルク「すごい…あんなに仲間が」
バットマン「俺たちもここに残って敵を食い止める」
デッドプール「え?俺ちゃんも?ヤダヤダもっと出番欲しい~!!」
スパイダーマン「建物には一人も兵を入れないよ!安心して行ってくるんだ」
アイアンマン「ああ…!終わったらバーベキューでもしようじゃないか」
ソー「ここは任せたぞ!」
ウィドウ「…行きましょう」
ホークアイ「4階だ!」
キャップ「この扉を開ければ映画館だ!」バンッ
ソー「ロキ…!ぶん殴ってやる!」
アイアンマン「待てっ迂闊に近づくな!」
ドガッ
ソー「うあっ!」
タスクマスター「フッ、人間相手になんと弱い。それでも神か?」
ウィドウ「だから油断するなって言ったじゃない…」
ブルズアイ「おっ、と。その場から動くなよ?」
サンドマン「映画見たいんだろ?なら言う通りにしろ」サラサラ
ホークアイ「くっ…仲間がいたのか」
ロキ「仲間?笑わせるな。ただの部下だ」
タスクマスター「雇われたのだ」
ロキ「…まあ、あの緑の怪物がいないと知っていればこいつらなど必要なかったがな」
ハルク「…聞こえてるよ?」
アイアンマン「無線が繋がっている」
ロキ「ふん、だからどうした」
ハルク「…」
デスストローク「それどころか理性すら無いと聞く」
ハルク「……」ピクッ
ブルズアイ「それじゃただの動物だな」
ハルク「………」ビキッ
フューリー「あ…バナーくん?落ち着いて」
ハルク「や、やだなあ長官!こんなことで鍛錬を重ねた僕がキレるわけ」
ドッギャハハハハハハキモーイ
ハルク「 」
――ぷちん
ハルク「ウ…ア、ア…」ビキビキ
ハルク「ウオアアアアアアアアアアアア!!!!!!」
フューリー「このヘリはもうすぐ墜落する。みんな、飛び降りろ!」
パイロット「はいっ!」
ハルク「ウォオオオオオオオオオオオオオオ!!!」
ハルク「ハルク、あいつ コロす!!」
ダッダッダッダッ
バットマン「おい、なんだあれは…」
ハルク「ウガアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!」
ガシッポイッ
ウルヴァリン「おいフラッシュが投げられたぞ」
シルバーサーファー「えっ」ドォン
バキッ――ドンッ
ウルヴァリン「おいフラッシュがシルバーサーファーを墜落させたぞ」
スパイダーマン「…逃げようか」
バットマン「ああ…全員退避!」
スーパーマン「分からないが…向こうの方で大きな物音がしたな」
アントマン「何かあったのかもしれない。一旦退避だ」
デッドプール「うん…でも俺ちゃんまだ暴れ足りないな~」
ドドドドドド
デッドプール「えっ?なん
ドォン
アントマン「あれ?デッドプールは?」
スーパーマン「向こうで壁にめり込んで泣いてるよ」
ドンッバキィッ
メリメリメリメリ
アイアンマン「おい、足場が壊れるぞ!飛べる奴につかまれ!」
ソー「窓から脱出するぞ!しっかりつかまってろよ!」
ッバリーン
ハルク「ハルク、あいつら コロす!」
キャップ「映画館が…」
ホークアイ「ジャスコが…」
ソー「瓦礫の山だ…」
ブルズアイ「ぶっ」
バキッ
デスストローク「ぎあっ」
メキョ
タスクマスター「んぎっ」
ジャリッ
サンドマン「うごっ」サラサラ
ハルク「あいつ いない!ハルク、あいつ コロす!」
ハルク「ハルク、みつけた!」ガシッ
ロキ「!?」
ハルク「ハルク、こいつ ちぎる!」
メリッ
ロキ「ぐああっ…!」
キャップ「まずいぞ…本気でやるつもりだ!」
アイアンマン「止めろ!」
ソー「ロキ…!今助けるぞ!」
ゴロゴロ…
ピカッ…ドーン
プシュゥゥゥゥ…
キャップ「ソー…これはやりすぎじゃないか…」
ソー「大丈夫だよ死なないから」
フューリー「そういえば軍が引いたな」
アイアンマン「ロキに余裕がなくなってからだ」
ウィドウ「ねえ、あんたの弟もあっちで焦げてるけど?」
ソー「あ…ロキー!」
ホークアイ「あいつはホンット弟に甘いよな」
アイアンマン「まあ…ただ一人の弟だからだろう。迷惑な話だ」
ロキ「あ…兄上…」
ゴツン
ロキ「!?」
ソー「てめえ自分が何さらしたか分かってんのか!!!」ボゴッ
ソー「いつもいつも迷惑ばっかかけやがって」ゴスッ
ソー「そんなに俺が困ってるの見て楽しいか!?アァ!?」ドゴッ
ソー「お兄ちゃんに恥かかすんじゃねえよクソガキがよォ!!!」ドガッ
ソー「お前はバルスームに追放だこのクズ野郎が!!!」バキィッ
ロキ「 」
ソー「す、すまん、ついやりすぎて」
ロキ「 」
フューリー「気絶してるな…連行しろ」
ウィドウ「そういえばブルースは?生きてる?」
アイアンマン「もう元に戻ってるよ。向こうで正座してバットマンたちに説教されている」
フューリー「…とりあえず彼には服を用意しよう」
ホークアイ「あ…帰ってきた」
ハルク「しかも気がついたらジャスコが全壊してるし…もうなんて謝ったらいいか…」
アイアンマン「分かった、もう謝らなくていい」
ハルク「でも!街のみんなに申し訳なくて…」
アイアンマン「もういいと言ってるだろ。この店舗は私が買い取ることにした」
ハルク「えっ…」
アイアンマン「一刻も早く再オープンできるよう明日から工事に取りかかろう」
アイアンマン「しばらくは不便だが、リニューアルとでも思えばいい」
ハルク「スターク…」
ハルク「……」
ホークアイ「…腹へったな」
キャップ「結局昼ごはん食べてないからね…」
アイアンマン「私のビルでバーベキューでもしよう。招待する」
スーパーマン「ほう、興味深い」
デッドプール「じゃあ読者が一緒に肉を焼きたいヒーローNo1の俺ちゃんがBBQ奉行やってあげるよ~!」
キックアス「やった!スタークタワーでバーベキューだ!」
アイアンマン「誰だお前」
バットマン「だめ」
フラッシュ「だめ」
アイアンマン「誰だお前」
リドラー「 」
ソー「あれ?ロキは?」
フューリー「ん…?あれ、いない」
ソー「えっ」
ホークアイ「おい…まさか…逃げたのか?」
ロキ「ふん、所詮人間などこの程度か」
ロキ「この私が子供向けショッピングモールなどで満足すると思ったか!」
ロキ「次は女性文化の中心…阪急百貨店を牛耳ってやる!」
ロキ「わはははははははは!!」
ロキ「はははは…は…………」
ウィドウ「阪急がなんですって?」ジャキ
ハーレークイン「ホントにぃ~?殺したいくらいふざけてるっ♪」
ヒットガール「アァ?本当に言ったのか?」
インビジブルウーマン「あら?焦ってるわね?」
ロキ「あ…あはは…」
ロキ「……すいませんでした」
ソー「あ、いたぞー!また逃げ出して!ダメじゃないか!」
ソー「ダメだ。みんなにちゃんとごめんなさいしろ」
ロキ「じゃあそれ終わったら帰りましょう」
ソー「分かった分かった。ほら行くぞ」
アイアンマン「あいつ…またやるな」
ホークアイ「あれだけ甘やかされればな…」
キャップ「めんどくさい兄弟だな…」
アイアンマン「ついに本音が出たか」
アイアンマン「そうだな…ああなんかバーベキュー面倒になってきた…」
キャップ「言い出しっぺは君だろう…みんな楽しみにしてるぞ」
アイアンマン「あんな変人コスプレ集団を会社に連れてくのか…」
キャップ「それを私の前で言うのかい…」
ホークアイ「帰ろうぜ…」
アイアンマン「ああ…」
―翌日
キャップ「ただいま…」
キャップ「聞かないでくれ…」
ウィドウ「ああ…つまらなかったのね」
キャップ「せっかく早起きして隣町まで見に行ったのに…」
ウィドウ「まあ…残念ね。ずっと楽しみにしてたのに」
キャップ「あ、でも!来週もまた楽しみにしてた映画が公開されるんだ!」
ウィドウ「そう、面白いといいわね。なんて映画?」
キャップ「 デ ビ ル マ ン って映画なんだけどさ!」
おわり
読んでくださってありがとうございました
乙でした!
ハルクいじめSSとかじゃなくてよかったぜ…
乙
Entry ⇒ 2012.09.07 | Category ⇒ 版権物SS | Comments (0) | Trackbacks (0)
戦刃「接待プレイ…」苗木「えっ」
戦刃「…そういうのがあるって、聞いた」
戦刃「それで、私が接待プレイをされてるって…」
苗木(…戦刃さんゲーム弱いからなー)
苗木(FPSは引くくらい強いんだけど、そこは超高校級の『軍人』だからかな…)
苗木「…ちなみに、誰から?」
戦刃「盾子ちゃん」
苗木(だろうと思った)
戦刃「それで…」
苗木「えっ?」
戦刃「みんな私に接待プレイを…?」
苗木「いや、そんなことは…ないと思うけど…」
戦刃「………」ウルウル
苗木「ち、ちょっと戦刃さん!」
戦刃「そうなの…?私の端っこからPKサンダー戦法がいけないの…?」ウルウル
苗木「いや、ちょ…戦刃さん!」
舞園「あ、苗木くんじゃないですか!戦刃さんも」
苗木「あ、舞園さん!」
苗木「そうだちょうどいいよ!舞園さんで確かめてみようよ!」
戦刃「…!」
舞園「え?私に何か用ですか?」
苗木「とりあえずコントローラー持って!」
舞園「え?ええ?」
戦刃「……」キラキラ
舞園「え?これはどういう…」
苗木「いいから、ほら」
苗木(事情は後で話すからさ…)ヒソヒソ
舞園(は、はぁ…)ヒソヒソ
苗木「とりあえず、スマブラをしよう」
舞園「は、はぁ…苗木くんがそこまで言うなら…」カービィ!
戦刃「…負けない」ネェス!
苗木「プププランドでいいよね?」
戦刃「うん」
戦刃「…ふふ」ドヤガオ
苗木「う、うわぁ負けちゃったよ!」
舞園「あら…負けてしまいました」
戦刃「気に病むことはない」ドヤァァ
苗木(戦刃さん凄いドヤ顔してる…)
舞園「ふふ、戦刃さんは強いんですね」
戦刃「…それほどでもない」
苗木(…さて、舞園さんに聞いてみるか )
苗木「あの、舞園さんちょっといい?」
舞園「はい?なんでしょう?」
苗木「今の戦いだけどさ…」
苗木「舞園さん…手を抜いたりしてない?」ヒソヒソ
舞園「!!!」ビクッ
苗木「えっ?」
舞園「や、やですよ苗木くん!わわ私がそんな接待プレイなんてするわけ…」
戦刃「えっ…」
苗木(ま、舞園さん…)
舞園「え、えっと…あ、私少し急用を思い出しました!また後で!」タタタタッ
苗木「ま、舞園さん!?」
戦刃「あ、ばいばい…」
苗木(行ってしまった…)
苗木(にしても舞園さん、嘘下手過ぎだろ…)
戦刃「…また、二人になっちゃった」
苗木「そ、そうだね…」
戦刃「…二人で、する?」
苗木「うん、じゃあ僕はフォックスで…」
苗木(それにしても舞園さんも、接待プレイしてたのか…)
苗木(一番ないと思ってた舞園さんが、なぁ…)
戦刃(苗木くんと…二人…)
苗木「今回は僕の勝ちだね」
戦刃「…ぐぬぬ」
桑田「お、苗木に戦刃じゃん」
苗木「やぁ桑田くん」
戦刃「!……」
桑田「お?スマブラか、懐かしいな」
苗木「桑田くんもどう?」
戦刃「…………」
桑田「んー、やりてー所だが、今はちょっと用事があるからやめとくわ」
苗木「そっか、じゃあまた今度」
戦刃(……)ホッ
桑田「にしても、苗木よ」ヒソヒソ
苗木「え?」
桑田「戦刃の機嫌取るのも大変だな」ヒソヒソ
苗木「なっ…?」
戦刃「?」
桑田「葉隠から聞いたけど、戦刃ってゲーム…」ヒソヒソ
苗木「あぁ、うん…」
桑田「…まぁ、頑張れ」ヒソヒソ
苗木「…ありがとう」ヒソヒソ
桑田「あぁ、じゃあな」
戦刃「…苗木くん」
苗木「えっ!?」
戦刃「…今、桑田くんと何話してたの…?」
苗木「あ、いや、えーと…」
苗木「FF7についてだよ!うん!」
戦刃「…そう」
苗木「そ、そうなんだ、うん」
戦刃「…あれは、名作」
戦刃「確かに」
戦刃「興味ないね、って言わせたい」
苗木「そ、そうだね」
苗木(そういうキャラじゃない気がするけど…)
戦刃「あと、ザケルって言わせたい」
苗木「ああ…」
不二咲「あ、苗木くん!」
大和田「と、戦刃じゃねーか」
苗木「あ、不二咲くんに大和田くん、何してるの?」
大和田「暇だからフラフラしてんだよ!見りゃわかんだろ!」
苗木「あ、あはは…そうなんだ…」
不二咲「あ、それは…スマブラをやってるの?」
苗木「あ、そうなんだ。よかったら二人もどう?」
不二咲「それじゃあご一緒させてもらおうか?」
大和田「チッ、オメェが言うなら…」
戦刃「……チッ」
大和田「兄貴とグラバトやってたくれーだな」
苗木(絶対あのキャラなんだろうなあ…)
大和田「因みに俺はウソップ使いだ!」
苗木(まさかの)
不二咲「じ、じゃあ僕がフォローするよ」
大和田「おう!背中は任すぜ不二咲!」マリオ!
不二咲「…えへへ」ヨッシー!
戦刃「…ブッツブス」
ウィナー!ヨッシー!
苗木「…………」
戦刃「…………」
大和田「クソ!不二咲つえーなお前!」
不二咲「えへへ、そんなことないよぉ…」
苗木「あは、あははは…」
苗木(ハメ技使われた…)
戦刃「…もう一度」
ウィナー!ヨッシー!
ウィナー!ヨッシー!
ウィナー!ヨッシー!
ウィナー!マリオ!
戦刃「…………」
大和田「よっしゃ!今回は勝ったぜ!」
不二咲「あー負けちゃったよぉ…」
苗木「…………」
苗木(僕と戦刃さんを速攻で落として)
苗木(大和田くんとタイマンに持ち込んで、やられたようにみせかけて自爆…)
苗木「あはは…」
戦刃「…………」フルフル
戦刃「…ゲーム、変えましょう」
苗木「えっ?」
不二咲「え?何のゲーム?」
戦刃「…これ」
苗木(007…戦刃さん、本気だ)
大和田「どんなゲームだそりゃ?」
苗木「簡単に言うと銃の打ち合い、かな?」
大和田「おお!ドンパチやるわけだな?」
苗木(ちょっと違うけど、まぁいいか)
戦刃「…どう?」
大和田「おう!面白そうじゃねーか!」
戦刃「じゃあ、決まり…ね」ニヤァ
苗木「あ、うん…」
苗木(戦刃さんの顔が凄いゲス顔になってる…)
苗木(まぁ、自分のホームみたいなもんだしなぁ…)
苗木「…あ、ペイントボールオンにしてね」
戦刃「…無論」
デーレッテレー
大和田「んだコラぁ!直ぐ死ぬじゃねーか!」
戦刃「ヘッドショット」ドヤァ
苗木(さっきと違って戦刃さん輝いてるなあ…)
不二咲「大和田くん、防弾チョッキをとった方がいいよ」
大和田「ん、そうなのか?ありがとよ!」
不二咲「えへへ///」
苗木(そしてなんだろう、少し居心地が悪い…)
大和田「クソがぁ!」
不二咲「お、大和田くん!」
戦刃「よそ見してると、死ぬ…」
デーレッテレー
不二咲「あっ…」
苗木(うわぁ…)
戦刃「」フン ドヤァァア
苗木(戦刃さん…水を得た魚みたいだな…)
不二咲「…………」
大和田「ちくしょー俺がビリか!」
苗木(…あれ?不二咲くんの様子が…)
大和田「え、あ、おお…」
戦刃「代わりにやるのは、ズルい…」
苗木(……?)
不二咲「そ、そんなんじゃないよ…あ!みんなあれは!?」
全員「!?」
不二咲「」カチカチカチカチカチッ
無敵モード ピコッ
苗木(!?)
戦刃「人騒がせ…」
不二咲「ご、ごめんなさい、冗談だよぉ…」
大和田「はっ、おめーも冗談とか言うんだな!」
不二咲「ふふふ…あ、コントローラー返すね」
不二咲「ちょっと接触が悪かったみたいだよ」
大和田「ん、おお…ありがとな!」
不二咲「えへへ…///」
苗木(…今、大和田くんの画面に無敵モードって出てた気が…)
大和田「おぉわっ!?クソが!」
戦刃「!?」
苗木(大和田くんのキャラ…)
苗木(ダメージの挙動はあるけど、体力が減らない…!?)
戦刃「そ、そんな筈は…」
大和田「っと!反撃だ!」ダスン
デーレッテレー
戦刃「あっ…!」
大和田「お、やったぜ!」
不二咲「凄いよ大和田くん!ゲームも強いんだね!」
戦刃「…………」
苗木(無敵モードってそういうことか…)
戦刃「そんな…おかしい」バララララッ
大和田「おらくらえ!」バッショーン
デーレッテレー
戦刃「くっ…」
不二咲「あれ、戦刃さん調子悪くない?」
戦刃「問題…ない…」
苗木(不二咲さん…)
大和田「おめーもだ苗木ぃ!」
苗木「あっ!」デーレッテレー
-----------
不二咲「じゃあそろそろ僕たち、行くね?」
大和田「おう!楽しかったぜ苗木!戦刃!」
苗木「う、うん…」
苗木(あのあと、無敵モードに気づかず何度もカモられた戦刃さんは何度もビリになった)
苗木(空気を読んで僕がビリになろうとしたが、不二咲くんがそれを許してくれなかった)
苗木(お陰で…)
戦刃「…………」ズーン
苗木(完全に…心を折られてる…)
戦刃「………解せぬ、解せぬ…」
苗木「それはほら、不二咲くんと大和田くんのコンビネーションがさ…」
苗木(無敵モードの件は言わない方がいいよなぁ…)
戦刃「…………」ドヨーン
苗木(戦刃さん、負け続けるとこうなるからなぁ…)
苗木(ていうか不二咲くん、きっと確信犯だよな…)
戦刃「007なら…負けない自信あったのに…」ドヨーン
苗木「戦刃さん…」
苗木「…………」
苗木「い、戦刃さんほら!モーション爆弾でしようよ!ほら!」
戦刃「…………」
苗木「あれー?トイレスタートでダクトから出れないなー」
苗木「これは大チャンスだなー」チラッ
戦刃「……」ピクッ
苗木「あーどーしようかなー」
戦刃「………」カチャカチャ
シャッ
ドカーン
デーレッテレー
戦刃「…//」ドヤァ
苗木(チョロいなあ)
苗木「あ、山田くん」
戦刃「……」シャッ シャッ
苗木「あ、戦刃さん!いろんな所に爆弾仕掛けるのやめてよ!」
戦刃「…兵法」シャッ シャッ
山田「流石FPSをやる時の戦刃むくろ殿は生き生きとしていますなあ」
苗木「そうだけど僕じゃ相手にならないんだよね…」デーレッテレー
山田「なるほど…それは確かに…」
苗木「山田くんもどう?」
山田「ふむぅ…ありがたい申し出なのですが、拙者はこれから中国の呪われた泉に用事が…」
苗木「え?ち、中国に行くの!?」
山田「まぁ取材旅行という奴ですな!」
山田「これからしばらく留守にするので、その挨拶に回っていた所でして…」
苗木「そ、そうなんだ…」
苗木(なんというか、凄まじいな…)
戦刃「あ、お土産、よろしく…」
山田「ぬぁっ!?クーデレの戦刃むくろ殿のデレ頂きました!これは直ぐにでも旅立たざるを得ないッ!」
苗木「あ、あはは…」
山田「そうだ、ゲームの相手をお探しなら石丸清多夏殿とやす…セレス殿はいかがかな?」
山田「先ほど話した時、彼等は暇だと言っておりましたぞ!」
苗木「そうか、ありがとう山田くん!」
山田「それでは拙者はこれにて!また会う日まで!失敬!」ドヒューン
苗木「あ、山田く…行っちゃった」
苗木(水を被ると女になる山田くんとか見たくないなぁ…)
苗木「で、石丸くんとセレスさんが暇なのか…」
苗木「僕一人じゃ戦刃さんの相手は限界があるし、二人を呼んでみようか」
戦刃「………」ムスッ
苗木「い、戦刃さん?なんか怒って…」
戦刃「怒って、ない」ムスッ
苗木(どうみても怒ってるよな…)
苗木(僕が弱かったのがそんなに嫌だったのかな?)
苗木「とりあえず、二人は…っと」
石丸「やぁ!苗木くんに戦刃くん!」
セレス「お招き頂き光栄ですわね」
苗木「来てくれてありがとう、二人とも!」
石丸「遊びもいいが、学生の本分は勉強だ!それを忘れるんじゃないぞ!」
苗木「あ、あはは…肝に命じておくよ」
セレス「それで、私を呼んだからには勿論何かを掛けるんですわよね?」
セレス「目玉、あるいは耳とか…」
苗木「どこの賭博黙示録!?そんなことしないよ!」
セレス「あら、それは残念ですわね…」
戦刃「………」ムスッ
苗木「とりあえず、始めようか」
苗木「ずっと007だったし、スマブラでいいかな?」
戦刃「……」コクッ
石丸「スマブラか!僕はスマブラには自信があるぞ!」キャプテンファルコン!
セレス「懐かしいですわね…以前賭けスマブラをした時を思い出しますわ」リンク!
苗木(か、賭けスマブラってなんだろう…)
戦刃「……」ネェス!
苗木(思わずスマブラをチョイスしてしまったけど)
戦刃「………」カチャカチャ
苗木(戦刃さん、スマブラは弱かったんだよなぁ…)
石丸「むっ、セレスくん!ブーメラン連打はズルいぞ!」
セレス「立派な戦法ですわ」
苗木(幸い二人は二人で戦ってるし、それに乱入して二人を倒して…)
苗木(戦刃さんと擬似タイマンに持ち込めばいいかな)
戦刃「………」PKサンダー!ウワアッ!
戦刃「……//」ガッツポーズ
苗木「あー負けちゃった…」
苗木(よし、石丸くんはそんなに強くないぞ)
苗木(セレスさんは流石に強いけど…石丸くんとかかればなんとかなりそうだ)
苗木(やっぱり二人とま戦刃さんと比べたら…)
セレス「久々にやるとなかなか面白いですわね」
石丸「くっ…僕が負けるとは!」
戦刃「もう一回…やる…?」
石丸「無論だ!」
ウィナー!ネェス!
ウィナー!ネェス!
戦刃「ふ…ふ…」
苗木(こんなもんかな…?)
セレス「ふぅむ…」
セレス「先程からずっと思っていたのですが、苗木くん?」
苗木「な、なんだいセレスさん?」
セレス「あなた…」
セレス「戦刃さんを勝つように仕向けていませんか?」<●><●>
苗木「ええっ!?」
戦刃「!?」
苗木「ぼ、僕はそんな…!」
セレス「先程からの苗木くんの動き、少々不自然でしたわ」
セレス「石丸くんと私が戦っている所にブラスターで攻撃、後ダメージが溜まった所を撃墜」
石丸「た、確かにその間戦刃くんはふらふらしていただけ…」
セレス「正々堂々、戦刃さんを狙うべきではありませんでしたか?」
苗木「そ、それは戦法だよ!」
セレス「果たして本当にそうでしょうか?」
苗木「そ、そうだよ!僕はそんなこと…」
セレス「戦刃さんもそれ程強くないようですし、あなた方が組んでいた、というのは」
セレス「充分に考えられますわ」<●><●>
石丸「なに…苗木くん!君はなんという卑怯な真似を!」
苗木「ち、ちょっと待ってよ!」
苗木(この展開はマズイぞ…僕が悪者になってしまう…)
苗木(それどころか)
戦刃「あの…喧嘩は…」オロオロ
苗木(接待プレイしていたのがバレてしまう!)
セレス「仮に二人が組んでないにしろ、苗木くんが戦刃さんを勝たせようとしていたのは明白ですわ…」
セレス「これは所謂、接待プレイというものですわね?」
石丸「く…苗木くん!君はそんな事をして…」
苗木「ちょ、僕はそんな…」
石丸「そんな…そんなことをして!」
石丸「戦刃くんが喜ぶと思っているのか!」
戦刃「」ビクッ
苗木「こと…えっ?」
セレス(負け過ぎてイライラして適当に言ったのですが…)
セレス(これは面白くなりそうですわ)
石丸「戦刃くん!君も苗木くんに言いたまえ!」
石丸「お情けの勝利ではなく、正々堂々と勝利を掴むと!」
戦刃「」
苗木「ち、ちょっと石丸くん!何を言い出すんだよ!」
セレス「いいえ、違いますわ石丸くん…」
石丸「! 違うとはどういう事だ!」
苗木「セ、セレスさん…?」
セレス「苗木くんの反応からすると、接待プレイをしていた事も明らか…」
セレス「ということはつまり戦刃さんは…」
セレス「進んで接待プレイを受けていた可能性がある、ということですわ!」<●><●>カッ
苗木「」
石丸「な、なん…だと…」ガガーン
石丸「戦刃くん!それは本当なのか!」
苗木(やばい)
戦刃「………」プルプル
苗木(戦刃さんの表情が…)
セレス「さぁ、はっきりと認めなさい」
セレス「『私は接待プレイをされていた負け犬です』と…」
石丸「やめたまえセレスくん!」
石丸「戦刃くん!はっきりと言うんだ!接待プレイをやめて正々堂々戦ってくれと!」
石丸セレス「「さぁ!」」
戦刃「」
苗木(どうしてこんなことに…)
戦刃「………」ポロポロ
セレス「おや…」
石丸「い、戦刃くん!?」
苗木「戦刃さ…」
戦刃「ひっく…ぐすっ…」
戦刃「うえぇぇん!」ダダダッ
苗木「い、戦刃さん!?」
苗木(戦刃さんは両手で顔を多いながら出て行ってしまった…)
苗木「ちょ、戦刃さん!」
苗木(って、もう見えないし…)
苗木「二人ともこんな…やり過ぎだよ…」
石丸「ぼ、僕はただ…」
セレス「…………てへ☆」
苗木「と、とにかく戦刃さんを追わないと…」
石丸「そ、そうだな」
セレス「仕方がありませんわね…」
苗木「手分けして、戦刃さんを探すんだ!」
----------
タタタタッ
ドンッ
苗木「わっ!」
大神「むっ…」
朝日奈「ちょっと!廊下は走るな…って苗木?」
苗木「あっ、朝日奈さんに大神さん!」
朝日奈「そんな走って危ないじゃん!さくらちゃんが怪我したらどうすのさ!」
苗木「ご、ごめん…」
大神「我は大丈夫だ…それより苗木よ、急いでいたようだが急用でもあるのか?」
苗木「それが…」カクカクシカジカ
大神「なるほど…」
苗木「そういうことなんだ、だから…」
朝日奈「ん…あ、むくろちゃんなら植物園の方で見たかも!」
苗木「植物園だね!ありがとう!」
朝日奈「でもちょっと前の話だから…ってあ、ちょっと、苗木ー!」
大神「行ってしまったようだな…」
----------
苗木「はぁ…はぁ…」
葉隠「おー苗木っちじゃねーか!どーしたん?そんなに息を切らして!」
苗木「葉隠くん!あの…ここに戦刃さんが…」
葉隠「あー来た来た!なんかちょっと泣いてたっぽかったけど…なんかあったべ?」
苗木「会ったの!?」
葉隠「お、おう…なんか一人になれる場所を探してるって言ってたけど…」
苗木「それで、どこに行ったかわかる?」
葉隠「んーちーっとわかんねえなぁ…あ、なんなら占ってやろうか?」
苗木「はは…え、遠慮しとくよ…」
葉隠「なんでだべ!俺の占いは三割当たるぞ!」
葉隠「しかも今なら友情割引の五万円だべ!」
苗木(お金取るのか…しかも割引して五万円て…)
苗木「あはは…そ、それじゃ!」
葉隠「ちょ、苗木っち!…行っちまったべ…」
----------
苗木「それにしても、戦刃さんはどこへ…」
苗木「とりあえず片っ端から探すしかないか…」
十神「…なんだ、苗木か」
苗木「と、十神くん…戦刃さん、見なかった?」
十神「ふん、貴様と同系列の愚民の居場所などこの俺が知るわけないだろう」
苗木「そ、そっか…そうだよね…」
十神「…なんだ、戦刃に用でもあるのか?」
苗木「う、うん…ちょっとね…」
腐川「白夜さま~!」
苗木「あ、腐川さん…」
十神「チッ…面倒な奴が…」
腐川「びゃくー…って苗木、な、なんであんたが白夜様と一緒にいんのよ…」
苗木「いや、たまたまここで会って…」
腐川「たまたま?たまたまで白夜様とあんたが会うなんて…わ、私は会いたくても白夜様に会えないこともあるのに…」ギギギギ
苗木「そ、そんなこと言われても…」
十神「…おい腐川」
腐川「は、はいなんでしょう白夜様!」
十神「戦刃を見かけなかったか?」
苗木「!」
腐川「戦刃…?なんで…」
十神「いいから答えろグズが…」
腐川「わ、私は見てないけど…さっきまでアイツだったから、もしかしたら…」
十神「ならさっさと変われ…理解の遅い愚民め」
腐川「は、はい!」
ヘブシッ
ジェノサイダー翔「呼ばれて飛びててぇ!ジャッジャジャーン!ジェノサイダー翔でっす!☆」
ジェノサイダー翔「白夜様にまこちん、何か御用かしらぁ?」
十神「黙れ…貴様は俺の質問にだけ答えればいいんだ…」
ジェノサイダー翔「あらぁ?相変わらずドS全開の白夜様!ケドそんなところがいいんだけど!」
十神「…戦刃むくろを見かけなかったか?」
ジェノサイダー翔「むくろちん?あーさっき武道場の前でちらーっと見たけど?」
ジェノサイダー翔「っつーかあいつ暗くね!?なんかあいつ見てるとなんか辛気臭くなってさ!美少年とか殺りたくなっちゃう気分になるっつーかさ!ゲラゲラゲラゲラ!」
十神「…だそうだ」
苗木「…!ありがとう、十神くん!」
十神「勘違いするなよ、貴様如き愚民に貸しを作ったなど…」
ジェノサイダー翔「ってー、まこちんもう行っちゃったみたいだけど?」
十神「くっ…プランクトン風情が…」
ジェノサイダー翔「スルーされて怒る白夜様も可愛い!殺したくなっちゃうわぁ!」
十神「いいからその薄汚い口を閉じろ」
ジェノサイダー翔「りょうっかーい!ゲラゲラゲラゲラ!」
十神「…ふん」
----------
戦刃「うぅ…ぐすん」
江ノ島「あらぁ残姉ちゃん?こんなとこで一人ぼっちで何してんのぉ?」
戦刃「盾子ちゃん…?」
江ノ島「そう、私は江ノ島盾子!超高校級の『ギャル』でー!超高校級の『絶望』でーっす!」
戦刃「………」パチパチ
江ノ島「拍手されちゃったし!全然絶望的じゃなーい!いや、ある意味絶望的だけど!」
江ノ島「何しに…って決まってんじゃねーか!我が残念な姉上様が一人で絶望的に残念な顔でびーびー泣いてるから遊びに来たんだよ!」
戦刃「…励ましにきてくれたの?」
江ノ島「はぁ!?どう聞けばそんな解釈になるわけ!?残姉ちゃんは頭まで残念なの!?絶望的ィ!」
戦刃「盾子ちゃん…ホントは優しいから…」
江ノ島「んなわけねーだろ!…って、ホント残姉ちゃんと一緒だと調子狂うわ…ったく」
戦刃「ありがと、ね…」
江ノ島「感謝してんじゃねーしぃ!」
江ノ島「それで、うちの残念なお姉様を泣かせたのはどこのどいつですか?」
戦刃「泣かされた…わけじゃ…」
江ノ島「実際監視カメラで全て見ていたので事のあらましは知っていますが、一応建前として聞いてみました」
戦刃「…そう」
江ノ島「そうです」
江ノ島「ま、たかがゲームであんだけマジになるのもどーかと思うけどさー」
戦刃「…うぅ」
江ノ島「何?苗木のバカに接待プレイされてたのがそんな嫌だったの?」
戦刃「そういう…わけじゃ…」
江ノ島「なら言っちゃえよ!『接待プレイをしてくださってありがとうございます!これからも末長くご贔屓に!』ってさぁ!」
戦刃「うー…」
江ノ島「…あーもう!絶望的にイライラするなぁ!」
江ノ島「苗木が好きなら好きって言っちまえよ!」
戦刃「!?」
江ノ島「好きなんだろ!?」
戦刃「そんな、わたし…は…///」
江ノ島「じゃあなんのために毎日毎日まーいにち!飽きもせずに苗木とゲームしてたんだよ!」
戦刃「…あぅ…//」
江ノ島「あーもうホント絶望的に残念だな残姉ちゃんは!」
戦刃「残姉ちゃんて…言わないで…」
江ノ島「事実だからしゃーねーだろーが!」
江ノ島「ったくよぉ…言いたい事があるならはっきり言えや!」
戦刃「ひぅ…」
…イクサバサーン
戦刃「!?」
江ノ島「おら来たぞ!しっかりやれよ!」
戦刃「や…やるってなに…!?」
江ノ島「告白でもキスでもSEXでもなんでもいーわ!ホント絶望的に残念過ぎ!」
戦刃「じ、盾子ちゃ…」
戦刃「い、行っちゃったし…」
苗木「戦刃さん…やっと、見つけた…」
戦刃「なえぎ、くん…」
戦刃「…はぅ///」
苗木(ん?戦刃さんの顔が赤いけど…何かあったのかな)
苗木(熱でもあるのかな…っと、それより!)
苗木「戦刃さん、その…えっと…」
戦刃「え…?」
戦刃「…え?」
苗木「…接待プレイのこと…」
戦刃「………」
苗木「僕…接待プレイ、してた」
苗木「さ、最初はそんなつもりじゃなかったんだけどさ…」
苗木「なんか、何時の間にかそうなってて…」
苗木「今度からはスマッシュとB技も使うようにするから…」
戦刃「…………」
苗木「その、謝って許してもらえるとは思わないけど…許してもらえるならなんでもするから!」
戦刃「今、なんて…?」
苗木「え、あ、その…気がついたら…」
戦刃「…その後」
苗木「あ、謝って許してもらえるとは…」
戦刃「その後!」
苗木「え?…な、なんでもするから…」
戦刃「…………」
戦刃「本当に、何でも?」
苗木「えっ?」
戦刃「何でもするって、言った…」
苗木「う、うん…」
苗木(ぐ、軍隊式のオシオキとかされるのかな…)
戦刃「…じゃあ、目、瞑って」
苗木「…え?」
戦刃「早く」
苗木「う、うん」スッ
戦刃(…ありがとう、盾子ちゃん…)
戦刃「…………」ゴクリ
苗木(な、何されるんだろう…)
戦刃「…………」トテトテ
苗木(う…め、目の前に来たぞ…)
ギュッ
苗木「!?」
戦刃「……////」ギュッ
苗木「いいいい戦刃さん!?」
戦刃「何でもって、言ったから…」
苗木「言ったけど、これはその…」
戦刃「…だめ?」
苗木「だめじゃないけど、その…」
苗木(柔らかいし、なんだか良い匂いがする…///)
戦刃「…撫でて」
苗木「えっ!?」
戦刃「…頭」
苗木「あ、うん…こんな感じ、かな…?」ナデナデ
戦刃「んっ…////」
苗木(なんだか戦刃さん、可愛い…)
苗木「あ、痛かった!?」
戦刃「それは大丈夫…続けて…」
苗木「あ、うん…」ナデナデ
戦刃「これからも私と…して、くれる…?」
苗木「えっ?」
戦刃「ゲーム…」
苗木「う、うん」
戦刃「してくれる…?」
苗木「も、勿論だよ!」
戦刃「そう…よかった…///」
苗木「あの、戦刃さん…」
戦刃「…けど、接待プレイはやめてね」
苗木「わ、分かったよ…それより戦刃さん?」
戦刃「…なに?」
苗木「そろそろ離れてくれても…」
戦刃「……いや」
苗木「あ、うん…」
オシテルノハハガクレデショ!?
ヨクミエマセンワ
フ、フケンゼンダ!
オオキナコエヲダシタラバレテシマウゾ…
オイキサマライイカゲンニ…
ガターン!
苗木「!?」
戦刃「!?」
葉隠「お、俺は押してないべ!押したのは石丸だべ!」
石丸「なっ…葉隠くん!人のせいにするのか君は!」
セレス「まったく、お洋服が汚れてしまいますわ」
桑田「つーか、バレちまったぞ…」
十神「うぐっ…なんでもいいから貴様ら!どけ!」
腐川「十神くんの上に乗ってる…ふふ、ふふふふふ」
苗木「」
戦刃「」
苗木「み、みんな…見て、たの…?」
大神「…我はやめろと言ったんだがな」
大和田「食い入るようにして見てたのによく言うぜ…」
大神「……………」
大和田「な、なんだ!?やんのかおい!」
不二咲「け、喧嘩はよくないよう…」
セレス「と言うか、これでも戦刃さんは離れないのですね」
戦刃「!!!/////」バッ
朝日奈「ほぇー…むくろちゃん、顔、真っ赤だよぉ…」
舞園「先を越された先を越された先を越された先を越された先を越された先を越された先をry」
苗木「」
てんやわんやになったが、とりあえず騒ぎは収めることが出来た。
包丁(のようなもの)を持って暴れまわる舞園さんを抑えるのには特に苦労した。
…まぁ戦刃さんがなんとかしてくれたんだけど。
それで、みんなニヤニヤしながら僕の事を冷やかすようになったんだ…
でも、不思議と悪い気はしなかった。
それで、その後なんだけど…
----------
戦刃「…苗木、くん」
苗木「あ、うん。スマブラだね?」
戦刃「…そう」
苗木「…ねぇ戦刃さん?」
戦刃「なに…?」
苗木「…離れてくれないとコントローラーが持てないんだけど」
戦刃「…オシオキ」
苗木「え?」
戦刃「…接待プレイ、したことの…////」
苗木「えっ」
おしまい
----------
江ノ島「あー残念な姉を持つとホントに苦労するわ!絶望的に!」
江ノ島「まぁ一応上手くいったからいいんだ、け、ど…?」
霧切「おかしい…こんなの絶対おかしいわ…」ポロポロ
江ノ島(…絶望的過ぎて声が掛けられない)
ホントにおわり
支援保守ありがとうございましたです!
戦刃むくろちゃんは残念可愛い
らーぶらーぶ
Entry ⇒ 2012.09.03 | Category ⇒ 版権物SS | Comments (1) | Trackbacks (0)
ビュティ「すぅ…すぅ…」ボーボボ「寝たか」
首領パッチ「ふぁ…今日も疲れたなーっとぉ…」
天の助「…………」
ボーボボ「どうした天の助?早く寝ようぜ」
天の助「あ、あぁ…そうだな…」
首領パッチ「んごぉぉぉぉ…」
天の助「…………」
天の助「…………」スッ
ビュティ「すぅ…すぅ…」
天の助「…………ごく…」
天の助「……ビュティ…」
ビュティ「すぅ…すぅ…」
天の助「ビュティ…ビュティ…はぁ…はぁ…」
天の助「………うっ……」
天の助「…………今日もやっちまった…畜生…」
ビュティ「…………」
天の助「俺は仲間で何してんだよ…俺のクズ野郎が…」
天の助「すまん…ビュティ…」スッ
ビュティ「……まって」
ビュティ「…まって、天の助くん…」
天の助「ビュ…ティ…?お前…いつから起きて…!?」
ビュティ「……ついさっきだよ」
天の助「そ、その…えっと…」
ビュティ「……いつもこんなことしてたの?」
天の助「う……それは……」
ビュティ「答えて」
天の助「…………すまん…」
天の助「……軽蔑したろ」
ビュティ「…少しだけね」
天の助「……お前に嫌われても仕方ねぇよな…それだけのことをしたんだ…」
ビュティ「…………」
天の助「……ボーボボ達に言うのか?」
ビュティ「いわないよ」
ビュティ「うん」
天の助「じゃあなんで言わねぇんだ!」
ビュティ「だから、だよ」
天の助「…………」
ビュティ「…天の助くんがいなくなると…寂しいよ…」
天の助「…ふざけんなよ」
天の助「ふざけんなよ!普通は気持ち悪がるだろ!近づきたくねぇだろ!」
ビュティ「…………」
天の助「…本当のこと言えよ…今さら俺みてぇなクズに気を使うな…」
ビュティ「違う…」
ビュティ「私は本当に天の助くんがいなくなるのやだよ」
天の助「……っ!」
ワロタ
クソワロタ
ビュティ「きゃっ…」
天の助「おら!どうだ怖いだろ!?なら叫べよ!助けを呼べよ!」
ビュティ「よ、呼ばない…」
天の助「なんでだ…!?なんでお前は…そこまで…」
ビュティ「…天の助くんがすっきりしてくれるなら…私、我慢するから…」
天の助「……ま、また明日もやるかもしれねぇんだぞ…?」
ビュティ「……うん」
ビュティ「…………」
天の助「…おそっちまうぞ…?」
ビュティ「…………」
天の助「……くっ……」プルプル
ビュティ「……っ!?」
天の助「もう…叫んだっておせぇからな…後悔してもしらねぇぞ…!」プルプル
ビュティ(手足が…動かせない…!)
ビュティ「む……く…っ!」
天の助「お前が…ビュティが……っ!」
ビュティ「っ…!…んっ……!」
天の助「ビュティ……ビュティ……っ!」
ビュティ「つぅ…!…ぅぅぅ……!」
天の助「ビュティっ……!!」
ビュティ「…ーーーっ!!」
天の助「…はぁ…はぁ……」
ビュティ「……はぁ……はぁ……」
ビュティ「…………天の助…くん…」
天の助「……ん…?」
ビュティ「満足、してくれた…?」
天の助「……馬鹿野郎…」
ビュティ「……いたかったぁ…」
天の助「……ごめんな」
ビュティ「ううん。いいの」
ビュティ「天の助くんの役にたてたなら、嬉しいから」
ボーボボ「おら起きろこんぺいとうが」ゲシ
首領パッチ「ふぁ……」
ビュティ「ボーボボ、へっくんおはよう」
ヘッポコ丸「お、おはようございます!」
ビュティ「天の助くんもおはよう」
天の助「お、おう…」
ヘッポコ丸「どうしたお前?なんか変じゃないか?いつも変だけどさ」
天の助「うっせぇなへっこき丸が」
ボーボボ「おう、おやすみ」
天の助(1日経ったけど…結局ビュティのやつは俺のことバラさなかったな…)
ヘッポコ丸「ん?やっぱ変だぞ天の助。なにかあったのか?」
天の助「うるせぇな…何もねぇよ」
ボーボボ「いや、話してみろよ天の助。気持ち悪いんだよ」
天の助「…………」
ボーボボ「言えねぇのか?気持ち悪い…」
ボーボボ「お前気持ち悪いよ」
ヘッポコ丸「たしかに気持ち悪いですけどその辺にしといてやってくださいよ」
天の助「…………」
ビュティ「……ん、天の助くん…今日もきたんだね…」
天の助「…………」
ビュティ「私、声出さないから…好きにしていいよ」
天の助「ビュティ…」
ビュティ「いいよ…天の助くん…」
天の助「………っ!!」
ビュティ「ん…また手足を拘束しちゃうの…?」
天の助「…いや…今日はせめてお前も…」プルプル
ビュティ「え…!?わ、私はいいよ天の助く……んんっ…!」
天の助「……」プルプル
ビュティ「あっ…そ、そんなとこ…駄目だよ…やめて…」
天の助「…………」プルプル
ビュティ「私はいいから…っ!天の助くんがすっきりすればいいからぁ…!」
天の助「…最低だよな、俺…」
ビュティ「え…?」
天の助「ビュティを気持ちよくしたところで俺の罪は消えないのに…」
ビュティ「天の助くん…」
天の助「だけど…ビュティを気持ちよくしてやれば…罪悪感が少しでも晴れる気がして…」
ビュティ「…………」
天の助「…やっぱり俺…もうこんなことはやめるよ」
ビュティ「え…?」
天の助「それで、俺のしたことを全部ボーボボに打ち明ける」
ビュティ「だ、駄目だよ!そんなことしたら…」
天の助「二度とビュティとは合わせてもらえないだろうな…」
天の助「もう俺が耐えられないんだ!」
ビュティ「う…」
天の助「もうこんなこと…お前にしたくない…」
天の助「…ビュティ。順番が遅れたけど…俺…」
天の助「お前のことが好きだったんだ」
ビュティ「天の助くん…」
天の助「だからもうお前を傷つけたくない」
ビュティ「だからって…私天の助くんとお別れなんてやだよ!」
天の助「…頼むからビュティ…自分を大切にしてくれ…」
ビュティ「そんな…」
天の助「人のことより自分のことだけ考えろ…俺みたいなクズに自分を差し出しちゃいけねぇよ」
ビュティ「…なにそれ…私にこんなことしたの…天の助くんなのに…」
天の助「…そうだ。俺みたいな奴は消えた方がいい」
ビュティ「いやだよ…いかないでよ天の助くん…」ポロポロ
天の助「…………」
ボーボボ「なにやってんだ天の助!?」
ビュティ「ボーボボ!これは違うの!」
ボーボボ「なにが違うんだ!服をなおせビュティ!」
ビュティ「あっ…」
ボーボボ「天の助…てめぇ!」
ビュティ「ボーボボ!落ち着いて!」
ボーボボ「落ち着いていられるかよ!こいつはお前を…」
天の助「そうだ…犯した…」
ビュティ「天の助くん!」
天の助「俺が無理やりビュティを襲ったんだ」
ボーボボ「ふざけんな!」シュルルル
天の助「ぐぁ…!」
ビュティ「やめてボーボボ!鼻毛しまって!」
ボーボボ「ビュティ…お前にも後で話は聞くが…今はもう寝ろ」
ボーボボ「俺はこいつとしっかり話をつける」グイッ
天の助「う…」
ビュティ「ボーボボ…」
天の助「…話せも糞もねぇ…俺がビュティを無理やり…」
ボーボボ「本当にか?」
天の助「…………」
ボーボボ「ビュティは…何故かお前を庇ってた…」
ボーボボ「なにか理由があったんじゃないのか?全部話せよ天の助」
天の助「…話したところで…俺の罪が消えるわけじゃねぇ…」
ボーボボ「それはてめぇが決めることじゃねぇ…話を聞いて、俺が決めてやる」
天の助「…………」
天の助「ビュティは悪くねぇんだ…悪いのは全部俺だ」
ボーボボ「当たり前だろ…お前が悪い」
天の助「あぁ…」
ボーボボ「…だが…お前がビュティのことを好きだってのは俺たちも気づけなかった…それはすまん」
天の助「…………」
ボーボボ「たしかにお前の立場だったら辛いかったかもしれんな…だが」
ボーボボ「ビュティはまだ子供だぞ!?歳を考えろよ!」
ボーボボ「あとお前ところてんじゃねぇか!」
天の助「……すまん…」
ボーボボ「はぁ…もういい。やっちまったもんは仕方ねぇ…」
天の助「仕方なかねぇよ!責任はちゃんととる!煮るなり焼くなりしろよ!」
ボーボボ「お前煮ても焼いてもまずいんだよ」
天の助「こんなときにふざけてんじゃねぇ!俺みたいなクズ、さっさとお前の手でぶっ殺してくれ!」
天の助「俺に…罪を与えてくれよ…」
ボーボボ「この馬鹿野郎が!」
天の助「……!」
ボーボボ「お前はこれ以上ビュティを苦しませるつもりなのかよ!?天の助!!」
天の助「……う…!」
ボーボボ「……お前が罪を償う方法があるとすれば…1つしかねぇんだ…」
ボーボボ「ずっとビュティのそばにいてやれ…」
天の助「う…うぅぅ…うわぁぁぁぁぁぁ…!」ポロポロ
首領パッチ「いいこと聞いちまったぜ…」
ビュティ「…天の助くん…」
ビュティ「天の助くんは自分を責めるけど…」
ビュティ「私だって…拒めなかった…」
ビュティ「天の助くんが喜んでくれるなら…私も嬉しかった…」
ビュティ「ただそれだけなのに…どうしてこうなっちゃったんだろ…」
首領パッチ「まだ寝てなかったのか?ビュティ」
ビュティ「首領パッチくん?どうしたの?」
首領パッチ「いやな…ビュティに用があってよ」
首領パッチ「あぁ…お前、天の助と寝たんだろ?」
ビュティ「え…!?」
首領パッチ「あぁ否定しなくてもいいぜ。全部知ってるからよ」
ビュティ「なんで…そのこと…」
首領パッチ「そんなんどうだっていいじゃねぇかよ。それよりよ、どうだった?」
ビュティ「な、なにが…?」
首領パッチ「だから膜破っちまった気分はどうだって聞いてんだよ」
首領パッチ「おぉ赤くなっちまって…初々しいねぇ」
ビュティ「なんでそんなこと聞くの!?」
首領パッチ「へへ…ウブな面して本当はアンアンよがっちまってたんじゃないかって思ってよぉ」
ビュティ「な…な…」
首領パッチ「どうだったんだ?天の助のテクはよ?ん?」
ビュティ「い、言いたくない!」
首領パッチ「へっ…俺よりも上手いのかどうか…比べてみてくれよ?」
首領パッチ「やめるわきゃねーだろ」
ビュティ「来ないで…!」
首領パッチ「あんだぁ?あのところてんとかヤっといて俺様とはヤれねぇってのか?あ?」
ビュティ「あんたもこんぺいとうじゃない…」
首領パッチ「この…!てめぇいい気になってんじゃねぇぞクソアマァァァァァ!!」ガッ
ビュティ「きゃっ!?」
首領パッチ「よぅし…前戯は無しだ糞女。てめぇはただ使われるだけの道具だ」
ビュティ「た、助けて…!誰か助けて!」
ビュティ「やめて…!お願いだから…!」
首領パッチ「おーら首領パッチソードっとぉ!」
ビュティ「っっ!!」
ボーボボ「天の助…落ち着いたか?」
天の助「あぁ…迷惑かけたなボーボボ…」
ボーボボ「全くだ…だが謝るのは俺にじゃねぇだろ?」
天の助「…あぁ」
ボーボボ「きっとまだ起きてんだろ…早く会いにいってやれよ」
天の助「あぁ、わかった…」
ビュティ「…………」
首領パッチ「やっぱまだできあがってねぇのな。俺のモノでよがらねぇなんてよ」
ビュティ「…………」
首領パッチ「まぁ今日からは俺が毎日慣らして…具合がよくなるまで使い込んでやるよ!ぶははははは!」
ビュティ「……そんな人だとは…思わなかった…」
首領パッチ「こっちも毎日身体張って色々溜まってんだよ。ツッコミしかできねぇんだからこのくらい使わせろよ」
ビュティ「…………」ポロポロ
首領パッチ「あーあー…1回やんのも2回やんのも同じじゃねぇか…めんどくせぇな」
天の助「なにやってんだ…お前…?」
ビュティ「…天の助…くん…」
天の助「お前…ビュティになにしてんだよ…」
首領パッチ「何ってナニだよ!お前がしたことと同じじゃねぇか!」
天の助「て、てめぇ…」
首領パッチ「あぁお前旅から抜けないことになったんだっけ?ならこれから穴兄弟ってことになるな。仲良くいこうぜ天の助」
天の助「てめぇ!!ぶっ殺してやる!!」
首領パッチ「……は?誰に口聞いてんのお前?」
首領パッチ「チッ…人が仲良くしようっつってんのに…女取られたくらいで切れてんじゃねぇよ」
ビュティ「もうやめて首領パッチくん…!これ以上天の助くんにひどいことしないで…」
首領パッチ「お前次第だなぁ…明日からお前が俺専用になるっつんだったら考えてやってもいいぜ?」
ビュティ「…………」
首領パッチ「どうすんだビュティ?こいつ粉々にしちまうぞ」
天の助「やめろ…ビュティ…俺はどうなってもいいから…」
ビュティ「て、天の助くん…」
首領パッチ「ところてんが喋んなよカス!」
天の助「ガハッ…」
天の助「ビュティにはもう…なにもしないでくれよ…」
首領パッチ「てめぇが真っ先に手出したんだろうがぁ!」
天の助「そうだ…だから…これからは俺が責任をとって…」
天の助「ビュティを一生守るつもりだ」
ビュティ「!」
首領パッチ「守る…?ひゃはは!全然守れてねーじゃんお前!」
首領パッチ「いいか天の助よぉ。力のない奴は女取られても文句言えねぇんだよ。てめぇは指でもくわえてズリセンこくのがお似合いだぜ」
天の助「そうだな。お前も俺と同じ最低のクズ野郎だよ」
首領パッチ「雑魚がいつまでも調子のんなよ…!」
ビュティ「同じじゃないよ」
天の助「ビュティ…」
ビュティ「天の助くんは私に優しくしてくれたよ」
ビュティ「私ね。天の助くんだから拒まなかったんだよ」
天の助「…………っ!」
ビュティ「…私も、天の助くんのこと好きだよ」
ビュティ「だって私のことずっと守ってくれるって言ったじゃない」
天の助「…あぁ。ずっとそばにいるよ」
ビュティ「うん!」
首領パッチ「なんだてめぇらぁ!イチャコラしてんじゃねぇぞオラァ!」
天の助「ビュティ。下がれ。こいつは俺が食い止める」
ビュティ「う、うん!」
天の助「首領パッチ…てめぇは少しやりすぎた…ダチだと思ってたのに残念だぜ…」
首領パッチ「お前が俺に勝つ気かよ?冗談はその身体だけにしやがれ!」
プルプル真拳奥義・アメーバ空域!!
天の助「お前チビだから面積足りたわ」プルプル
首領パッチ「くそ…動けねぇ…!」
天の助「どうだよ?散々舐めてた相手に捕まっちまう気分はよ?」
首領パッチ「あぁ!?俺がまだ本気出してねぇってわからねぇのか!?」
ビュティ「ど、首領パッチくんが本気で怒ったら…!」
ボーボボ「首領パッチ!!」
首領パッチ「チッ…ボーボボも来やがったか…!」
首領パッチ「なんだよボーボボ…天の助は許して俺は許さないってんじゃねぇだろうな?」
首領パッチ「1度最初にヤったのは天の助だぜ!?穴を空けたのは天の助!俺は空いた穴に入れただけだ!」
首領パッチ「それがなんだってんだこの童貞野郎!」
ボーボボ「お前!人が気にしてることを!」
天の助「俺は許されるつもりはねぇさ。……だがな、お前は俺が絶対に許さん」
首領パッチ「この…!」
ボーボボ「よく言った天の助。その火の玉野郎を抑えとけよ」
ボーボボ「冗談じゃねぇ」
首領パッチ「俺がいなくなってこれからやっていけんのか!?俺のおかげで今までやってこれたものじゃねぇかよ!!」
ボーボボ「問題ねぇ。食費が浮くだけだ」
首領パッチ「チッ!おいビュティ!」
ビュティ「……ごめんね首領パッチくん。もう君のこと人として見れないよ」
首領パッチ「く、くそ!」
ボーボボ「歯ぁ食いしばれゴミクズが!鼻毛真拳奥義!」
ボーボボ「処刑!!処刑!!処刑!!!!」
首領パッチ「ぎゃぁぁぁぁぁぁぁあ!!」
天の助「俺ごとぉぉぉぉぉぉぉ!?」
天の助「」
ボーボボ「おい天の助起きろ。ところてんのお前が真っ二つくらいで死ぬわけねぇだろ」
天の助「そう だな」ムクッ
ビュティ「二等分になってる!?」
ボーボボ「お前気持ち悪いよ…ゴキブリ並の生命力じゃねぇか…」
天の助「引く なよ」
ボーボボ「まぁ今ので俺からの罰はおしまいだ。後はお前がビュティに償っていけ」
天の助「あぁ…」 勿論だ」
ビュティ「とりあえずのり付けしなきゃ…」ペタペタ
ビュティ「え…?」
天の助「お、おれは…お前のこと…好きだ」
ビュティ「……!」
天の助「お前はどうだ…?」
ビュティ「…私も、好き」
ボーボボ「はぁ…お暑いこって…」
漬物「1度はヒヤヒヤしたもんだがな」
ボーボボ「お前なにしにきた」
漬物「1枠空いちまっただろ?だから仕方ないけどこれからは俺が…」
ボーボボ「てめぇは駄目だ漬物」
漬物「!!!!」
ボーボボ「今ではプルプルのダルンダルンだった身体も引き締まり、ガッチガチの超合金の助になっちまったよ」
ボーボボ「だがそこのあなたもこいつのようにきっとなれる!」
超合金の助「最初は怪しいものでしたけど使ってみるうちにメキメキ鍛えささりましたよ。モテるようになりましたし毎日ウハウハです。もう手放せませんね」
ボーボボ「鼻毛印の超合金!今なら大特価87000000円!!」
超合金の助「それはお買い得だ!」
ボーボボ「奥さん!買うなら今だよ!!」
首領パッチ「ちょっとどきなさいよ!私が買うんだから」
ボーボボ「はいはい押さないで押さないでー」
ビュティ「……せーのっ」
ビュティ「今までの全部テレビ通販かよっ!!!!」
終わり
乙!
乙
Entry ⇒ 2012.08.30 | Category ⇒ 版権物SS | Comments (1) | Trackbacks (0)
ナビィ「リンク…お願い…しっかりして…」
ナビィ「リンク…」
リンク「フゥwwwハwwwwでやーwwwwwwwwwwww」
ナビィ「はぁ…」
リンク「……」
メドリ「あの…」
リンク「……」
メドリ「はぁ…」
リンク「……」
ミドナ「…おい!」
リンク「……」
ミドナ「人が珍しく褒めてんだぞ!無視すん」
リンク「ィェアアアア!?」
ミドナ「ヒッ!?」
リンク「……」
ミドナ「…な…なんなんだよ…」
リンク「?」
ファイ「…いえ…なんでもございません」
リンク「…?」
リンク「…」ニコ
ナビィ「どうしてナビィにリンクを任せたのですか…?」
パリン
兵士「おい!勝手に人の家の壺を割るんじゃない!!やめろ!!」
リンク「デヤァアアアアアアアアwwwwwwwwwwwwwww」
パリンパリンパリン
ナビィ「…はぁ……」
リンク「……」
メドリ「あの…リンク…さん?」
リンク「……」ヨイショット
メドリ「いや…岩じゃなくて私を担いで…」
リンク「ほっ!」
バコン
リンク「でや!」
バコン
リンク「やぁ!」
バコン
バコン
バコン
メドリ「…リンクさん、そろそろ」
リンク「………」チラ
メドリ「うっ」
リンク「…ハァ~…」
メドリ「…え…いや…あの…」
メドリ「……その……」
メドリ「…すいません…
リンク「エァァァァァアアア!!?」
ミドナ「うるさい!普通に返事しろよ!」
リンク「アアアアアア!!」
ミドナ「なんなんだよこいつはもう!!」
リンク「?」
ファイ「あのモンスターの糞害に憤慨する確率95%」
リンク「…?」ソンナニオコルカナ?
ファイ「マスター、ファイが言いたいのはそこじゃありません」
リンク「?」
ファイ「糞害に憤慨…です、マスター」
リンク「……?」
リンク「…!」ナルホド!
リンク「ハハ」ニコ
ファイ「…」キュン
リンク「ハァwwwwwフゥwwwwwwwハァwwwwwwwww」
ナビィ「お願いリンク!前転しないで!みんな見てるヨ!?」
リンク「ハァwwwwwwハァwwwwwwwフワwwwwwwww」
ナビィ「お願い、普通に歩いて…」
リンク「ほっ!」
メドリ「きゃぁ!?」ドン
メドリ「…わ、わたしはへいきれ~す、もういっかいやってくらさ~い」ピヨピヨ
リンク「……」
リンク「……ゴクリ」ムラムラ
リンク「……」
ミドナ「その顔のおかげで得してるところもあるかもな!お前やお前の幼馴染とかさ!」キャハハ
リンク「……」
ミドナ「あーあーいいねぇモテる男は、周りにもチヤホヤされるしさ」キャハハ
リンク「……」
ミドナ「…相変わらず無愛想だなお前は、ほらほらもっと笑えよ!」キャハハ
リンク「…」ニコ
ミドナ「…へ…///」
リンク「?」ニコ
ミドナ「や、やめろよ!そんな顔で私を見るな!」
リンク「フフ…」ニコ
ミドナ(…なんでアタシこいつの顔見てドキドキしてんだ!?)
ミドナは元に戻らないほうがかわいいしエロいしでやる気が出たわ
うん
確かにあっちのほうがエロいし可愛かった
ファイ「マスターがファイに笑顔を向けてもファイにはわかりません」
リンク「……」ウーン
リンク「!」ピコーン
ファイ「マスター?」
リンク「♪」ニコ
ファイ「…こうですか?」ニコ
リンク「♪」ウン!ニコ
ファイ「これが…笑顔…ですか…」
ファイ「……」ニコ
リンク「アァーwwwwwwwwwデヤァーwwwwwwwwwwwwwwwwwwww」
ラウル「……」
リンク「ハァwwwwwwwwwwwwwwシャァァwwwwwwwwwwww」
ナビィ「…もういや…」
メドリ「さぁ、今度こそあの崖の向こうへ投げて下さい!」
リンク「……」ムラムラ
メドリ「…ん…?リンクさん?」
Cスティック↑主観
メドリ「…あの…なにして…ひゃう!?」
リンク「……」ハァハァ
メドリ「リ、リンクさん、見ないで下さい!い、息がかかって…!」
リンク「……」ワーオオ
メドリ「いやぁ…」
はちのこを手に入れた!
リンク「へへ…」
ミドナ「お前それどーすんの?」
リンク「……」
ゴックン
ミドナ「イィ!?」
リンク「プハ」
ミドナ「うげぇ…虫食べやがったコイツ…気色悪い…」
デンデデデデーン
スープを手に入れた
ミドナ「おい!そのビン虫入れてたやつだろ!洗えよ!」
リンク「ゴク、プハ」
ミドナ「うげ…どんだけ野生児なんだよお前…ぶっちゃけ不潔…」
リンク「アアアアアアア!!!??」
ミドナ「ご、ごめん」
ファイ「……」
ファイ「…マスター…」
ファイ「…早く、戻ってきてください」
ファイ「ファイは…ここであなたの帰りを持ち続けます…」
ファイ「…だから…マスター……」
ファイ「………」
リンク「wwwwwwwwwwww」
ピポパピポピープエー
ナビィ「リンクのオカリナ…雑菌だらけなのに…分からないの…?」
リンク「wwwwwwwwwwwwwwww」
ピプピプピププピー
ナビィ「…分からない…よね…」
ナビィ「…はぁ…」
ポワワンワ
メドリ(操られているんですけど意識はちゃんとあるから高いところとかはちょっと怖い…)
メドリ(…ん?…ちょっ!?)
メドリ(リンクさん!?なんで下着を脱がすんですか!?)
メドリ(うぅ…リンクさん…なんで…)
メドリ(たくし上げてる…コモリ様の前でもこんなことしたことないのに…)
メドリ(ぐす…)
ミドナ「最後の光の雫は…と…ん?」
ミドナ「ギャー!!でっかい虫ー!」
ミドナ「私はああいうブヨブヨしたやつは苦手なんだよ!」
狼リンク「ガルル」
ミドナ「うわ~近づきたくもない、さっさと倒そうぜ…」
狼リンク「ガブブ!!」
グチャグチャグチャ
ミドナ「ヒィィィ!馬鹿!お前が噛んだせいで変な汁が付いただろ!!」
狼リンク「ガブブ!」
グチャグチャグチャ
ミドナ「おわ、やめろお前!ふざけんな汁が」
グチャグチャグチャグチャグチャ
ブチ
ミドナ「うげええええええええええ」
ファイ「…?」
ファイ(どうしてファイはそのようなことを考えているのでしょう…?)
ファイ(それがファイにとって何の意味が…)
ファイ「……」
ファイ「ファイがマスターに…」
リンク「?」ドシタノ?
ファイ「…なんでもありませんマスター」
ファイ(…好意を持っている確率…)
風タク:変態
トワプリ:野生児
スカイ剣:ファイの淡い恋
なんだこの違いは・・・
ゴロゴロッピー
ナビィ「七年前のロンロン牛乳飲んでリンクがお腹壊しちゃった…」
ナビィ「だけどなんでだろう…」
ナビィ「もしかしたらリンクが死ぬかもって思った瞬間、なぜかほっとしちゃった…」
ナビィ「おかしいよね…本当なら心配するはずなのに…」
ナビィ「もうナビィ…デクの樹サマに怒られちゃうヨ…」
ナビィ「ごめんなさい…」
リンク「ハァハァ」
赤獅子「へいリンク!」
リンク「ホギャァ!?」
赤獅子「いい加減にしないか!メドリの気持ちも考えろ!」
リンク「……」チェ
メドリ「…た、助かった…」
赤獅子「安心しろ、この石には録画機能もある、今までの映像はすべて記録済みだ」
メドリ「ちょ!?」
リンク「イェイ!」
メドリ「うぇ…コモリ様…グス…」
ミドナ「前々から思ってたけどさ、お前すっごい力あるよな」
ミドナ「ただの人間のくせにゴロン族投げ飛ばすわ重そうなチェーンハンマー振り回すわ…」
ミドナ「磁力で張り付いた鉄の靴引き剥がしながら天井歩くわ…」
ミドナ「一体どんな体してんだお前?」
ミドナ「そういやお前トアル村の村長とに相撲教えてもらうとき上脱いでたけど」
ミドナ「なんつーか…すっげー引き締まってたなお前の体」
ミドナ「…なぁ…」
ミドナ「ちょっと触っていいか?」
ペタペタ
リンク「……」
ミドナ「ん…?なんだお前、もしかしてあたしに触られて気持ちいとか!?」キャハハ
リンク「……」プイ
ミドナ「な、なんだよお前、もうちょっと触っていいだろ!」
リンク「……」
ミドナ「…嫌われたか、キャハハ」
ミドナ「……なんだよもう」
リンク「…!」パァァ
ゼルダ「ありがとう…リンク!」
ファイ「…マスター…」
ファイ「……」
ファイ「ファイの役目も…もう少しで終わりです…」
ゴシゴシ
リンク「ぐ…うあぁ…」
ナビィ「……」
ゴシゴシゴシ
リンク「うっ!」
ナビィ「…いっぱい出たねリンク、拭くからちょっと待っててネ」
リンク「ハァ…ハァ…」
ギュウ
ナビィ「…リンク?」
リンク「…ナビィ…ナビィ…!」
ナビィ「…!リンク…私の名前…!」
リンク「いかないで…ナビィ…!一人にしないで…」
ナビィ「リンク…喋れるようになったんだね…うれしい」
ナビィ「大丈夫だヨ…ナビィはどこにもいかないヨ…」
メドリ「みなさん、ただいま…って…あれ?」
ザワザワ
メドリ「どうしたんですかみなさん?」
メドリ「…!これ…!?あの時の私の写真…!?」
メドリ「まさかリンクさんが…」
コモリ「メドリ」
メドリ「コモリ様!違うんですこれは!」
コモリ「こういうのもなんだけど………最ッッッ高だったよ」ハァハァ
メドリ「 」
コモリ「僕の部屋に映像が入ったテープも置いてあったけどまさかメドリが自分から脱ぐ子だったなんて」
メドリ「ち、違うんです!あれは私だけど私じゃないんです!」
コモリ「またまた、僕への脱引き籠りのお祝いテープなんだろう?本当にメドリはスケベだなぁ」ハァハァ
メドリ「違うんです…コモリ様ぁ…グス…ヒック…」
リンク「……」
真ミドナ「フフフ…」
リンク「チェンジ」
真ミドナ「へ?」
リンク「もっかい元に戻れ」
真ミドナ「え…な…なんで…」
リンク「ちっちゃいほうが可愛い」
真ミドナ「え…そうなの?」
ゼルダ「はい」
真ミドナ「じゃ、じゃあ元にもどるよ」
ボン
ミドナ「え、じゃ、じゃあさ、この姿だったらお前と結婚して光の世界でお前と暮らしていいんだな!?」
リンク「いや俺アゲハさんもいるしアッシュさんもいるしゼルダ姫もイリアも山羊たちもいるから一人にだけってのは無理」
ミドナ「なんなんだよちくしょおおおおおおおおおおおおおおお!!!!
ファイ(ファイはあなたと一緒に旅をしてきたことを誇りに思います)
ファイ(ファイは剣と共に永遠の眠りにつきますがあなたとの思い出は忘れません)
ファイ(あなたの魂とあなたを受け継ぐ者たちの中にファイは生き続けます)
ファイ(だから寂しくなんかありません)
ファイ(最後にもう一度言わせて下さい)
ファイ(マイマスターリンク)
ファイ(ありがとう)
ゼルダ「はいリンク、あーん♪」
パク
ゼルダ「おいしい?」
リンク「♪」
ゼルダ「うふふ♪」
ファイ(……)イラ
ファイ(…今度出会うときはあの人以上に親密な関係になりますように…)
ファイ(次のマスターの手はやたら涎まみれですね)
終わり
ぶっちゃけ立て逃げするつもりだったからめちゃくちゃだわ
ふぅ…
Entry ⇒ 2012.08.30 | Category ⇒ 版権物SS | Comments (0) | Trackbacks (0)
橙子「式って普段ノーブラだったんだな」幹也「…は?」
幹也「え……あ、あの……橙子さん?」
橙子「夏場は蒸れなくて涼しそうだが……しかしなぁ……胸が痛くならないのかな、式は……」
幹也「もしもーし、聞こえてますかー?橙子さーん……」
橙子「ん? ああ、聞こえているよ黒桐。何だ、給料なら上げんぞ」
幹也「今回はその事じゃありませんよ。橙子さん、今何か……おかしな事口走りませんでした?」
橙子「おかしな事って……どんな?」
幹也「だから、その――式の……下着がどうした、とか……」
橙子「……」
幹也「……」
橙子「黒桐……君が式を好きなのは分かるがな……ここは職場で、今は勤務時間中だ」
幹也「はぁ……」
橙子「君はそこらの区切りはしっかり出来てる方だと思っていたんだが」
幹也「仕事中にいきなり独り言始めたのは橙子さんの方ですけどね……で、どうしたんですか?」
橙子「何が?」
黒桐「何がって……つまり、式の下着……」
橙子「……そんなに気になるのか?」
幹也「え?」
橙子「私は今勤務時間中だと念押ししたが……それでも式の事について聞きたいんだろう、君は」
幹也「……」
幹也(これは……はいと言っても、いいえと言っても……多分、黙っていても僕の分が悪くならないか?)
橙子「……」ククク
幹也「以前、小川マンションの件の時に鮮花に似たような質問をされましたが……ああいうの、橙子さんが鮮花に教えてるんですか?」
橙子「さて」(すっとぼけ)
幹也「……」ハァー…
幹也「気になるか気にならないかで言えば……気になります」
橙子「ふむ。つまり君にとっては、仕事より式が下着を着けているかどうかの方が重要だと」
幹也「聞こえの悪いように言わないで下さい。大体なんで急にそんな事言い出したんですか」
橙子「ん、いやね。思い返してみれば――私は、あの子が着物以外の服を着ている姿を殆ど見た事がないんだ」
幹也「え?」
橙子「いや、厳密には違うんだが……とにかく、式が着物以外を着ている姿を私は殆ど知らない。お前はどうだ」
幹也「そう、ですね。高校の時、休みの日に式と何度か遊びに行った事がありますけど……そういう時も基本はずっと着物でした、式は」
橙子「学校生活なんかは?着物で来てたのか?」
幹也「うちは私服登校だったんです。あ、でも体育の授業がありましたから、その時に何度か体操着姿を見た事があります」
橙子「式の体操着は可愛かったか?」
幹也「ええ、もちろんっ」
橙子「……」
幹也「……」
橙子「黒桐は式の体操着萌え……、と。今度式に会った時教えてあげよう」
幹也「ちょっ……所長!? 何言ってんですか!! 止めてくださいよ本当っ……」
橙子「落ち着け黒桐、暴れるな」
幹也「別に暴れてませんけど……」
橙子「今のは冗談だ、式には内緒にしておく」
幹也「本当ですか……?」
橙子「勿論だ。……私を信じられないか、黒桐?」
幹也「……」ジーッ…… ←不信の眼差し
橙子「まあ、それは置いておくとして」
幹也(不安だなぁ……)
橙子「もしかして式は……着物以外の服を持っていない、のか?」
幹也「そういう訳じゃないと思いますけど……家の人に用意してもらった洋服も、式は一度も袖を通した事がないそうです」
橙子「単に着物が好きなのか、極端な洋服嫌いなのか……どちらにしろ筋金入りだね」
幹也「……はは」
橙子「にしても……学生時代、男とデートする時も一貫して着物だったのか、あいつ……」
橙子(ん?学生時代……デート……学生……学校……)
橙子「あっ、そうだ」
幹也「?」
橙子「黒桐、前に礼園で起きた事件の事、覚えてるか?」
幹也「あの、妖精の?」
橙子「ああ。……私もあそこのOGだが……何でこの事忘れてたかなぁ……」
幹也「どういう事ですか?」
橙子「分からんか?あそこは全寮制で、生徒には制服の着用が義務付けられている。鮮花をみれば分かるだろう」
幹也(礼園……妖精事件……制服の着用義務……)
幹也「あっ」
橙子「もう分かっただろう。私は以前、鮮花の“目の代わり”にあそこへ式を送り込んだ事がある。その時にだ……」
橙子「……一度、目にしたんだよ。式があの制服を着ている姿を」
幹也「……良いなぁ」ボソッ…
橙子「いや、あれは実に―――素晴しかった」
幹也(ちょっと楽しみにしてたのに……結局、僕だけ一度も見られずじまいだったんだよな……式の制服姿)
橙子「あの制服、式は今どうしてるかな。もう一度着ている姿を見たいものだが……」
幹也「……」
橙子「黒桐、おまえ知らないか?」
幹也「え?何で僕が」
橙子「いやな――私には結局一度しかその姿を拝ませてくれなかったが――」
橙子「君になら、式も悦んで制服姿を見せ付けているかもしれないじゃないか」
幹也「い、いやー……」
橙子「え、どうなんだ実際? あの制服で君に迫ったりしないのか、式は?『黒桐くん、良くってよ……』なんて――」カチャッ…
幹也「と、橙子さんっ!」
橙子「……」クスクス
幹也(一瞬だけ眼鏡をかけて……器用な事するな、この人はー……)
幹也「――あいにく、僕も礼園服の式を見た事はありません」
橙子「なんだ、つまらん」
幹也「……」
橙子「式はあの制服どうしたかな」
幹也「捨ててなければ、秋隆さんが大切に保管しておいてくれているかもしれませんね」
橙子「うむ……」カチッ…シュボッ
橙子「……」フゥー…
幹也「……」
橙子「……あっ」
幹也「?」
橙子「制服と言えば――式って、中学時代はどうしてたんだろうな」
幹也「―――」
橙子「高校は私服登校だったかもしれんが、中学もそうとは限らん。案外あいつ、中学の時は普通にセーラー服を着てたんじゃないか」
幹也「……おぉ……」
橙子「黒桐、ちょっとイメージしてみろ」
幹也「?」
橙子「初めて君が出会った……それより少し幼い式の、セーラー服姿を」
幹也「―――」
橙子「……」
幹也「……何とも、可愛らしいですね」
橙子「だろう?」
幹也「今の式も十分可愛いですけど」
橙子「……」
橙子「式はまだ中学の時の制服を持ってるかな……」
幹也「秋隆さんなら、きっと……」
橙子「そうか……」
幹也「……」
橙子「……」フー…
橙子「話が逸れたな……」
幹也「逸らしたのは橙子さんご自身ですけどね」
橙子「だから。式は着物以外の服を滅多に着ないが、着物を着る時は普通下着を着けないものなんだろう? だから――」
幹也「式も、普段は下着を着けていないと……?」
橙子「その可能性は、十分ありえるって事さ」
幹也「……」
橙子「それがどうも気になって……昨日、私は一日中式の胸を観察していたんだがな」
幹也「は?」
橙子「これが良く分からん。普通、胸が服に擦れれば痛そうな素振りをしても良いはずなのに、式にはそれがなかった」
幹也「それってつまり、式は下着をしているって事なんじゃないですか?」
橙子「……ないんだ」
幹也「は……?」
橙子「だから。ブラをすれば出来るはず膨らみがなかったんだ、式の着物には」
幹也「――」
橙子「という事は……式は下着を着けていないという事になる訳だが……黒桐」
幹也「はい?」
橙子「君さ、式が普段下着を付けてるかどうか、知らない?」
幹也「――知りませんよ。何で僕がそんな事を知ってるんですか」
橙子「本当か?」ズイ
幹也「……」
橙子「おまえは、本当に、式のあの着物の下がどうなってるのか、知らないのか?」
幹也「……」
橙子「……」
幹也「……」
幹也「……ノーコメントで」
橙子「……何とも無難でつまらん返し方だなぁ」
ガチャ……ギイイイ……
橙子「おや、噂の張本人がやって来たようだ」
幹也「え……?」
式「……」
幹也「あ……」
橙子「……」クスクス
式「……」
幹也「や……やあ。おはよう、式。今日もいい天気だね」
式「これから曇るそうだけど。……おはよう」
橙子(こりゃ相当慌ててるな……天気予報くらい家で観てきただろうに)ククク
幹也「今日はどうしてここに?学校は?」
式「今日は休みの日だよ。……なんだ、オレはここに来ちゃいけないって言うのか?」
幹也「い、いや……そんな事ないけど」
式「……ふん」スタスタ
橙子(……これは面白いモノが観れそうだ)
幹也「式、コーヒー飲まない?」
式「……淹れてくれるなら飲むけど。何だ、おまえ今仕事中じゃないのか」
幹也「堅い事言わないで。別に良いですよね、橙子さん?」
橙子「構わんよ」
幹也「よかった。じゃ、淹れてくる」スタスタ
式「……? 何だあいつ……」
橙子(男と言うのは、浮気の最中余所余所しい程家族に優しくなるそうだが……ふむ)
幹也「お待たせ。ブラックしかなかったけど、いいかな?」
式「……甘いのよりは、こっちがいい」
橙子(後ろめたい気持ちがあるんだろうな……さて、どうなるか)
…………………………
橙子「……」パラ…パラ…
式「……」グテー…
幹也「……」ソワソワ
幹也(式は今……ジャンパーを脱いで、ソファーでゴロゴロしている……)
式「……」ゴロゴロ…ゴロゴロ…
幹也「……」チラ…チラ…
式「?」
橙子「……」ククク
幹也「……」
幹也(――本当に。式は今、着物の下に下着を付けてないんだろうか)
式(あいつ……何でさっきからこっちをチラチラ見てくるんだろう?)
幹也(もし橙子さんの言った事が真実なら……式はここまで、ずっとノーブラで歩いてきた事になる)
幹也(幸い式の家はここから近いから……痴漢に遭ったって事もなさそうだけど、しかし……)
幹也「……」ウーン…
式(……何か、服に変な物でも付いてるのかな?)
幹也(それでもやっぱり、心配だよな……歩いている最中、擦れ違い様に触ろうとする痴漢が居ないとも限らないし……)
式「?」
幹也(式に直接聞ければそれが一番なんだろうけど、聞いた途端に拳が飛んできそうな気がする……参った)
橙子「……ああ、もう昼か。式、腹減らないか?」
式「ん? ……ああ、腹減ったな」
橙子「この辺に、上手い和食料亭が最近オープンしたそうだ」
式「へぇ、それで……?」
橙子「三人で食いに行かないか?勿論私が奢ろうだ」
幹也「……え?」
式「……トウコの言う事にしては偉く太っ腹だけど。どういう風の吹き回し?」
橙子「いや……普段から世話になってる君達への礼だと思ってくれ」
式「……」
橙子「純粋な好意だよ、これに裏はないから安心しろ」
式「……分かった」
この日支払われた食事代は、こっそり黒桐くんの給料から天引きされていた
橙子「じゃ、今日は一旦仕事を引き上げて……あっ、そうだ。おい、黒桐」
幹也「え……な、何です?」ドクン…
橙子「おまえさっき式が部屋に入った時チラチラ見てただろ」
式「……」ドキ…
幹也(と、橙子さん、何を……?)
幹也「いや、見てないですよ」
橙子「嘘吐け絶対見てたぞ」
幹也「……何で見る必要なんかあるんですか」
式「……『なんか』?」ピクッ
幹也「あっ……」
式「おまえ幹也さ、さっき仕事してる時、中々手が動いてなかったよな」
橙子「そうだよ」
幹也「い、いや、そんな事……」
幹也(ちょっと橙子さん……! 何言ってるんですか!)
橙子(いや……君、さっきから式が下着を着けてるか着けてるかどうか凄く気にしてたんだろう? だから……)スッ…
橙子「見たけりゃ見せてやろう、式」ガシ
式「え?」
幹也「あっ……!」タタタ
音も無く式の背後を取った橙子さん。その手は既に式の肩口にかかっていた……
橙子「―――」
式「―――」
幹也「―――」
(ふにっ……)
幹也(あれ……?)
橙子さんは式の肩口に手をかけた。手をかけたが……それ以上何もしなかった。
一方、このままでは式の着物が引き下ろされると判断した黒桐くんは、橙子さんの手を抑えるべく走った、が
幹也「……」
式「……」
橙子「……」
幹也(引き下ろされて……ない?え……じゃあ今、僕の手の中にあるこれは……)
(ふに……ふに……)
幹也(柔らかい……けど、これは素肌じゃないな……何かで覆ってる……さらし……?)
ギイイイ……バタンッ!
鮮花「橙子さーん!兄さんと一緒に料亭にお昼食べに行くって本……当……」
いいぞもっとやれ
鮮花「……」
幹也「……」
幹也「あざ……か……? どうして、ここに……」
橙子「ああ、あらかじめ電話で私が呼んでおいたんだ。食事って言うのは人数が多ければ多いほど楽しいものだろう?」
幹也「はは……」
式「……」
鮮花「……」
幹也「……」
橙子「……」カチッ…シュボッ…
橙子「どうでもいいがな、黒桐、おまえいつまで式の胸掴んでるんだ」
幹也「―――」
式「―――――ッ!!」
(バチンッ)
幹也「あいたっ」
式「―――っ……!」タタタ
ガチャッ……バタンッ!
橙子「腰の入れ方といい、スナップの掛け具合といい……見事な平手打ちだったな」
鮮花「……」ユラリ…
幹也「あ、あの……鮮花……?」
鮮花「ふ……」
鮮花「ふ……ふふ……ふ……」
幹也「……?」
鮮花「喰らいやがれぇーーーッ!!(Azolto)」
(ドッ……グォンッ……)
幹也「……」
鮮花「―――ッ……」タタタ…
橙子「驚いた。鮮花の奴、ここまで強力な発火能力が使えた、とは……」
幹也「何て火力とパワーだよ……あいつは……」ガクッ…
幹也「……」
橙子「おい、黒桐。大丈夫か?」
幹也「……」ガクッ
橙子「あ、気を失ったか……。まあ多少は役得も有ったんだ、それくらいは我慢しなきゃな」
橙子「……思春期には辛い事もある。だが、皆そうやって大人になっていくんだよ……式、鮮花、黒桐……」
と、若い三人の心と体に深い傷を植えつけた張本人は言い放つのであった
この後、走り去った式と鮮花は幹也が頭下げて連れ戻し、改めて四人で料亭へと向かった
鬱憤を晴らすかのような式と鮮花のやけ食いは凄い物で、流石の幹也も声を失ってしまった。そして……
幹也「あ、あれ……今月やけに少なくないですか橙子さん?」
橙子「さあ?気のせいじゃないか」
黒桐くんの給料は、大幅に下げられてしまったのだった。
完
おい
元々らっきょにエロは合わないけど橙子さんの鬼門っぷりは異常
Entry ⇒ 2012.08.29 | Category ⇒ 版権物SS | Comments (1) | Trackbacks (0)
アスナ「なんか凄そうなアイテムドロップした」キリト「?」
アスナ「でもこれなんなんだろう?」
アスナ「呪われたりとかはなさそうだしちょっと付けてみようかな」
アスナ「……ん?」
アスナ(スキルが増えた?)
アスナ「なっ!?」
キリト「?」
アスナ(の、覗き見スキルレベルMAX!? なにこれ!?)
アスナ「う、ううんなんでもない!」
キリト「そうか、じゃあ先に行こうぜ」
アスナ「う、うん」
アスナ(このアイテムはまさか装備した人が覗き見スキルを得られるスキル用アクセサリなの?)
アスナ(にしたってMAXってどんだけよ)
アスナ(どんなことができるのかしら……少し興味があるわね)
キリト「おーい、今日は引き上げようぜ」
アスナ「あ、うん」
アスナ「あ、待って!」
キリト「どうしたんだ?」
アスナ「今日はもう遅いしあそこの宿で一泊しない?」
キリト「いや、帰るくらいなんでもないけど」
アスナ「いいから! それに少し明日も付き合って欲しいし!」
キリト「明日も!? 大丈夫なのか? 俺はソロだけどアスナはギルドがあるだろ?」
アスナ「だ、大丈夫よ」
キリト「まあそういうならいいけど」
アスナ「……キリト君、寝たかしら」
アスナ「……覗きスキル、開始」
アスナ「お、おおー、本当に壁が透視できる」
アスナ「これ凄いわ!」
アスナ「キリト君の部屋は……あ、いたいた」
アスナ「キリト君は寝てる寝てる」
アスナ「はぅ~キリト君の寝顔可愛いわぁ♪」
アスナ「あ、今寝返りうった」
アスナ「口が動いてる動いてる」
アスナ「猫みたいに顔をこすってwww……キリト君可愛い~」
アスナ「ん? 寝言言ってる?」
アスナ「確か覗きスキルの中に……あった!」
アスナ「盗み聞き発動」
キリト「……っ」
アスナ「?」
キリト「……チ」
アスナ「ち?」
キリト「……サチ」
アスナ「さち?」
アスナ「……サチ?」
アスナ「サチって誰?」
アスナ「聞いたことない名前……」
アスナ「でも、男の名前じゃ……ないわよね」
アスナ「……」
アスナ「キリト君に私以外にも女の知り合いがいる?」
アスナ「……それも寝言で呼んでしまうような間柄……」
アスナ「……」
アスナ(昨日はあれからほとんど眠れなかった)
アスナ(サチ)
アスナ(サチって一体誰なの?)
アスナ(……モヤモヤする)
キリト「アスナ? どうかしたか?」
アスナ「……ううん」
アスナ(キリト君には聞けない……)
アスナ(盗み聞きなんて、言えないし……)
アスナ(あれからサチってプレイヤーを探したけど全然見つからない)
アスナ(どうなってるの? もしかしたらモンスター名? それともNPC?)
キリト「アスナ? 珍しいなこんなことこで」
アスナ「っ!? キ、キリト君!?」
キリト「ああ、こんな低い階層にいるなんて珍しいな」
アスナ「ちょ、ちょっと気分転換にね」
アスナ(サチっていうNPCを捜して虱潰しだなんて言えないわ……)
キリト「そうか」
アスナ「で、でも今日も遅いしよかったら一緒にどこかに泊まらない?」
キリト「え……」
アスナ「?」
アスナ「どうかした?」
キリト「あ、いや……この階層の宿には……ちょっとな」
アスナ「?」
クライン「お? ようキリトじゃねぇか!」
キリト「クライン? 久しぶりだな」
クライン「おうよ! まさかまたこの階層で会うとはな」
キリト「……」
クライン「あ、わり……」
アスナ「?」
クライン「そ、それにしてもお前が他のプレイヤーといるなんて珍しいな!」
キリト「あ、いや……アスナとはたまにパーティを組むくらいで……俺は相変わらずソロだよ」
クライン「そうか……けどそれでもいいことだろ?」
キリト「……どうなのかな」
クライン「少なくとも俺はお前が他のプレイヤーといるのは嬉しいぜ。あの時以来、かたくなだったお前が……」
キリト「っ」
クライン「っと、悪いな、今日はどうも口が辺に滑っていけねぇや。どうだ? 一緒にメシでも」
キリト「……いや、この階層には長くいたくないんだ。悪いな」
クライン「……そうか」
キリト「それじゃあな、アスナも。また」
アスナ「え、ええ」
クライン「あいつはまーだ引きずってやがんのか」
アスナ「ねぇ」
クライン「ん?」
アスナ「キリト君のこと何か知ってるんですか?」
クライン「ん、まぁな。そういうあんたはどこかで見たことがあるな……」
アスナ「私はアスナ、血盟騎士団のメンバーです」
クライン「血盟騎士団のアスナって……閃光の!?」
アスナ「……そう呼ばれてもいます」
クライン「かーっ、キリトも凄い人と知り合いだなあ」
アスナ「そ、そんなことよりよかったらキリト君のことを教えてください!」
クライン「キリトに何があったのか、かい?」
クライン「あんまり人に言うようなことじゃないんだが……」
アスナ「他言はしません」
クライン「まぁ、あんたなら大丈夫かな。あいつがビーターだってのは……」
アスナ「知ってます」
クライン「あいつはそのことを引きずっててな」
アスナ「それもなんとなくわかってます」
クライン「そんなあいつでも、一度ギルドに入ってたことがあるんだよ」
アスナ「……え」
クライン「初耳だろ?」
アスナ「え、ええ」
クライン「経緯とか全部知ってるわけじゃねぇけど、確かにあいつは一度ギルドメンバーに入った。確か名前は月夜の黒猫団だったかな」
アスナ(月夜の黒猫団? 聞いたことが無い……でもキリト君がいたのに有名じゃないはずは……)
クライン「……あいつは本当は優しくていい奴なんだよ」
アスナ「? それはわかってます」
クライン「そうかい、ならいいんだが……」
クライン「何があったのか、あいつはちゃんとは俺にも言ってくれなかった」
クライン「だが、あいつ以外のギルドメンバーは全滅した」
アスナ「!?」
クライン「あいつの端々の台詞と偶然の目撃者からおおよその経緯はこうだろう」
クライン「その日、資金がたまった月夜の黒猫団はリーダーがギルドホームを買いにいき、他のメンバーはレベル上げに向かった」
クライン「しかし、そこでなんらかの罠にかかるかしてしまい、メンバーはキリトを残して全滅してしまった」
クライン「一つ確定情報なのは、そのリーダーがそれを知った時、キリトを蔑んで自殺したって話だ」
アスナ「……そんな」
クライン「それからあいつはかたくなさをより一層増したよ」
アスナ「そんなことがあったなんて……」
アスナ(じゃあサチっていうのは、その時のメンバー?)
クライン「それから少しして、クリスマスイベントがあった」
アスナ「あ、確か蘇生アイテム……」
クライン「そうだ……あいつはそれに躍起になってた」
クライン「協力しようと言ったがあいつはかたくなにソロでいることにこだわってな」
アスナ「……」
クライン「オマケに闇ギルドにも目をつけられちまった」
クライン「だがあいつは結局そのアイテムを入手した」
アスナ「……え、だってあのアイテムは……」
クライン「ああ、蘇生は死亡してからわずかな時間しか有効じゃなかった」
アスナ「……」
クライン「絶望してたよ。俺にそのアイテムをよこしてキリトはまた何処かへいっちまった」
アスナ「……そうでしたか」
クライン「なあ、キリトはあんたのとこのギルドに入れてやれねぇのか?」
アスナ「……私は何度も誘ってます」
クライン「そうか」
クライン「あいつはさ、俺の恩人、師匠みたいなもんなんだ」
アスナ「?」
クライン「初めてSAOやった日、一目でβテスターだって思ってな、いろいろ教授してもらったんだ」
アスナ「……」
クライン「そのあとみんな広場に集められて、これからのことを知った時も、あいつは俺を連れて行ってくれようとした」
アスナ「!?」
クライン「けどな、俺にも他に約束してた仲間がいた。俺一人ついていくわけにはいかかった」
クライン「キリトもそこまでの大人数を抱え込むのには不安があったんだろう。当然だ」
アスナ「……」
クライン「結局、俺はあいつの誘いを断った。あいつは泣きそうな顔でまたな、って言ってくれたよ」
アスナ(キリト君……)
クライン「なあ」
アスナ「はい……」
クライン「頼みがあるんだ」
アスナ「?」
クライン「そんなことがあったあいつだからきっと人一倍誰かと一緒にいるのを怖がってるんだと思うんだ」
アスナ「そう、でしょうね」
クライン「けど、アンタとはパーティを組むことがあるんだろう?」
アスナ「私が半ば無理矢理にさそってるんですけどね……」
クライン「それでいい、それでいいからあいつを一人にしないでやってくれ。俺はあいつに死んでほしくないんだ」
クライン「頼むよ……!」
アスナ「……」
アスナ「まさかキリト君にそんなことがあったなんて……」
アスナ「キリト君がソロにこだわるのは……」
アスナ「もうこんなことにならないように……」
アスナ「でも、そんなの寂しすぎるよ……」
アスナ「キリト君……」
アスナ「貴方は一体どんな時間を過ごしてきたの……?」
キリト『この階層には長くいたくないんだ』
アスナ「! まさか……この階層にその時しばらくとどまって……あ、だからクラインさんも……」
アスナ「……よし!」
アスナ「この階層の宿は少なくて助かったわ」
アスナ「覗き見スキル発動」
アスナ「このスキル、本当は内部分裂や犯罪抑止のためのものなんでしょうね」
アスナ「まさか過去にあったことまで覗き見できるなんて……」
アスナ「でもいいわ。私がキリト君の歩んだ軌跡をたどって彼を知ることができるなら、今はそんなことどうでもいい」
アスナ「まずはこの宿……えっとキリト君がいた時のみ再生、これでいいのかしら?」
アスナ「出たっ!」
アスナ「ん? プレイヤー名サチ? この人が?」
アスナ「やっぱり同じギルドメンバー……え?」
アスナ「な……な……!」
アスナ「……」プルプル
キリト『……』
サチ『……』
アスナ「一緒のベッドに入ってるとか……これ、まさか、もう、そんな、えっと、え?」ジワッ
アスナ「二人はもしかして……恋人?」ウルッ
アスナ「……じゃあキリト君は……」グスッ
アスナ(……見るんじゃなかったかも……ううん、これはきっと覗き見なんてした私への罰ね)
アスナ(……)
アスナ「……キリト君にはもうお相手がいたのね……はぁ」
アスナ「……ううん、たとえそうだとしても最後まで見届けなくっちゃ」
アスナ「……行為を始めたら見るのはやめよう、うん」
アスナ「……」
アスナ「……」
アスナ「……」
アスナ「……」
アスナ「なんで二人ともなにもしないの!?」
アスナ「それともこれって実は事後なの!?」
アスナ「……なんだか一気に疲れたわ」
アスナ「でもこの後ギルドメンバーがみんなそろって狩りにいって……」
アスナ「楽しそう……この頃の私なんて攻略のことしか頭になかったのに」
アスナ「こうやって楽しくSAOをやっていられたら、今とは少し違ったのかな……」
アスナ「あ、そろそろクラインさんの言ってた話みたい」
アスナ「リーダーが転移して、みんなでレベルとお金稼ぎ、か」
アスナ「でもこの時のキリト君ならこの階層なんて敵じゃないんじゃ……」
アスナ「それにしても周りは少しあぶなっかしいな」
アスナ「……あ、サチさんまたキリト君に助けられた……」
アスナ「……いいなぁ」
アスナ「あ、あの人随分先に行ってるけど」
アスナ「え? 隠し扉? 隠しダンジョンなんてこんなところにあったかしら……っ! キリト君が止めてるのに行っちゃ……!」
アスナ「罠!?」
アスナ「この敵はここの階層に見合う敵じゃない!」
アスナ「あ、ああ、あああああ……っ!」
キリト『サチ!』
サチ『……ありがとう、さよなら』
キリト『───────!』
アスナ「キリト君……」
アスナ「この後のキリト君の足取りは……」
アスナ「ここか……クラインさんの言ってた通りね」
キリト『』
『ビーターのお前が!』
キリト『……っ! あ』
キリト『っ!』
キリト『~~~~~~っ!!!!!!!!!!』
アスナ「キリト君……なんて、なんて悲しい経験をしてるの……」
アスナ「……これが、これがキリト君の過去……」
アスナ「これがキリト君の背負うもの……」
アスナ「……私の事じゃないのに胸がキリキリ締め付けられる」
アスナ「キリト君は一人で平気なの? ううん平気なはずがない」
アスナ「クラインさんも言ってた」
アスナ「私が、私がキリト君のそばにいなきゃ!」
アスナ「……友達、親友としてでも」
アスナ「それでも、私、彼の支えになりたい!」
アスナ「キリト君!」
キリト「アスナ?」
アスナ「今日のダンジョンは終了でしょ?」
キリト「ああ、まぁ」
アスナ「じゃあウチにご飯食べに来ない?」
キリト「ええ? いやでも……」
アスナ「何か用事が?」
キリト「そういうわけじゃないが……」
アスナ「そうよね、あるわけないもんね。友達いなさそうだし」
キリト「っ」
アスナ「だから私がキリト君の用事作ってあげる」
キリト「……へ?」
アスナ「さあどうぞ」
キリト「話には聞いてたけど、凄いな」
アスナ「まあね、趣味も兼ねてるけど」
キリト「十分凄いよ、俺なんて戦闘用スキルしかないようなもんだから」
アスナ「楽しくないでしょ? それじゃ」
キリト「まぁそうだけど」
アスナ「キリト君が言ってたじゃない。風が気持ちいいから寝る、って」
キリト「……そうだな」
アスナ「私も、そういうの必要だって思うよ」
キリト「……ああ」
アスナ「キーリートー君!」
キリト「わっ!? なんだ?」
アスナ「明日私とパーティ組んで最前線行くからね!」
キリト「は、はぁ!? 俺はソロで……」
アスナ「聞こえなーい!」
キリト「いや俺は……」
アスナ「この前の食事代として」
キリト「う」
アスナ「別にギルドに入って、ってわけじゃないから。ただコンビ組んで中にもぐりたいだけよ」
キリト「最前線はキツイぞ?」
アスナ「ほほう? それで?」ジロッ
キリト「……なんでもないです」
アスナ「キリト君、スイッチ行くよ!」キィン
キリト「ああ!」ズバッ
アスナ「ふぅ」
キリト「……」
アスナ「ん? どうかした?」
キリト「いや、一人手練れがいるとだいぶ安定するなって」
アスナ「そうでしょー?」
キリト「ああ」
アスナ「やっぱり一人より二人よね!」
キリト「……」
アスナ「あ、別にギルドに誘ってるわけじゃないよ? もちろん入りたいならウェルカムだけどね」
キリト「……ああ」
アスナ「キリト君! 60層の町でお祭りイベントあるんだって!」
キリト「祭りイベント?」
アスナ「一緒にいってみない?」
キリト「何かレアアイテムでももらえるのか?」
アスナ「もう! ただ面白そうだからよ!」
キリト「は、はあ……でも攻略が遅れないか?」
アスナ「……」ジロリ
キリト「う」
アスナ「行くの? 行かないの?」
キリト「……行きます」
アスナ「よし♪」
アスナ「キリト君ー!」
キリト「今いくよ!」
キリト「やれやれ、このところやたらアスナに付き合わされるな」
キリト「……いつぶりだろうな」
キリト「こんなに一人じゃないのは」
キリト「……いつぶりだろう」
キリト「こういうのもいいや、って思えるのは」
キリト「……」
アスナ「はーやーくー!」
キリト「ああ!」
「おいあれアスナ様じゃないか?」
「すげー本物だ」
「可愛いなー」
キリト「大人気だな」
アスナ「もう、ただのお客として来てるだけなのに」
アスナ「なんだか有名になって、こういうのがあると少し嫌だな」
キリト「そんなもんだよ、俺だってアスナはよくやってるって思うし」
アスナ「そう?」
キリト「ああ、それにプレイヤーの中でもトップクラスに可愛いと思うよ」
アスナ「っ///」
キリト「?」
アスナ「お、お世辞はいいから!」
キリト(お世辞じゃないんだけどな……)
アスナ(……キリト君にはサチさんが……)
キリト「あ、お祭り始まるみたいだぞ」
アスナ「ほんとだ。っていうかSAOの中なのに普通に日本のお祭りなのね」
キリト「お祭りっていうか盆祭り、みたいな?」
アスナ「そうそう、なんか懐かしいって思える食べ物一杯おいてるわ!」
キリト「そうだな、クレープとかフレンチドックとか」
キリト「まさかSAO内で大阪焼きを見れるとは思ってなかった」
アスナ「来てよかった?」
キリト「ああ、ありがとうアスナ」ニコッ
アスナ「っ」ドキッ
キリト「あ、なんかイベントあるみたいぞ?」
アスナ「ほんとだ」
NPC「そこのカップル! 参加してみないか?」
キリト「俺たちのことか?」
アスナ「そうみたい……きっと男女ペアに無作為に話しかけてるのね」
NPC「カップルで踊る盆踊り選手権! 優勝賞品はレアアイテムだ!」
アスナ「レアアイテムか……」
キリト「俺たちはカップルじゃ……」
アスナ「出るわ!」
キリト「いいっ!?」
アスナ「いいでしょ別に。減るものじゃないんだし」
アスナ(ごめんね、でもこれくらい許してね、サチさん)
キリト「お、おい!」
アスナ「何よ、まだ文句あるの?」
キリト「そうじゃなくて! 俺踊りなんて知らないぞ!」
アスナ「適当でいいんじゃない?」
キリト「いや、周り結構レベル高いぞ!?」
アスナ「え」
アスナ「わ、ほんとだ」
アスナ「あわわわわ……ど、どうしようキリト君?」
キリト「何も考えずに参加したのか……」
アスナ「う、だって……」シュン
キリト「ぷっ、あははははは!」
アスナ「な、何よぅ! 笑わなくてもいいじゃない!」
キリト「ごめんごめん」クスクス
アスナ「もぅ、まだ笑って……」
アスナ(あれ? キリト君が笑ってる? そういえば、私ちゃんとキリト君が笑ってるの、初めて見た気がする……)
アスナ(良いこと、なのかな。良いこと、だよね!)
キリト「アスナ、俺に一つ考えがある」
アスナ「?」
キリト「」ニヤリ
NPC「さあ、お次は……この二人だ!」
キリト(いいか?)
アスナ(ええ)
キリト(せーの)
アスナ「そいっ!」キィン
「なんだ!? 剣を出した!? 戦ってるぞ!?」
「す、すげー! 早いぞ目でおえねぇ!」ザワザワ
キリト「スイッチ!」
アスナ「はっ!」
キリト「ふっ!」ピタッ
アスナ「やっ!」ピタッ
シーーーーン
「おおおおおおお! すげー!」
「かっこいーーーー!!!」
「すてきーーーーー!!!」
キリト「」チラ
アスナ「」チラ
キリト(上手くいったな)
アスナ(そうね)フフ
アスナ「あーあ、優勝は無理かープレイヤーに受けは良かったのになー」
キリト「しかたないさ、あの祭りがシステム上のものだから、剣舞はイベントの対象外になってたんだろ」
アスナ「でもあれだけ盛り上がって拍手もらって0点ってねー」
キリト「確かにな。でも……」
アスナ「ん?
キリト「俺は楽しかったよ、こういうの、こういう気持ちになれるの、なんか久しぶりな気がするんだ」
アスナ「ん、そっか。じゃあいいか」
キリト「ああ」
キリト「アスナ、今度少し付き合ってくれないか?」
アスナ「ええ」
アスナ(キリト君からお誘いをもらうようになった)
アスナ(なんだかんだで凄く仲良くなれたし彼の笑顔も増えた)
アスナ(でも……)
アスナ(私はこれ以上を望んじゃいけないんだよね)
アスナ(……)
アスナ「最近攻略が進まないわね……」
キリト「……隠しダンジョンが多くなってる」
アスナ「……」
キリト「隠しダンジョンは階層でいうと3~4階層分は上な敵がいるのもザラだ」
キリト「一度通り超えてから行ったほうがいいのに……」
アスナ「……そうね」
アスナ(……キリト君にとってはつらいよね)
アスナ(私がなんとかしなくちゃ)
キリト「最前線か……やはり敵もそれなりに強いな……」
アスナ「いいですか! 今日はマッピングが主です! 絶対に余計なことはしなように!」
騎士団員A「了解」
アスナ(今日はソロの人やギルドメンバーなど総勢十数人でのダンジョン攻略)
アスナ(ここまで人が多いのは稀だけど逆に安心もできるわね)
騎士団員B「あれ? こんなところに抜け道? あ、隠し部屋だ」
アスナ「!?」
キリト「そこは開けるな!」
騎士団員B「ビーターのお前の言うことなんか聞けるか、どうせほんとはここに何があるかも知ってるんだろ? レアアイテムか?」ガチャ
アスナ「やめっ」
騎士団員B「あ……?」
70層ぐらいまできたらβテスターとかかんけいなさそうなのに
74層まで来ても一部のやつには嫌われてるからな
騎士団員B「なんだ、5階層くらい下の雑魚ばかりじゃないか」
アスナ「ちょっと! あなた何やって……」
騎士団員B「見てくださいよ。こんなやつらなら楽勝……」
キリト「……………違う! 離れろ!」
騎士団員B「え?」
アスナ「っ!?」
騎士団員A「モンスターから煙……こいつはそんなことしないはず!?」
騎士団員B「う……」バタリ
アスナ「くっ」フラッ
キリト「! アスナァァァァァッ」
騎士団員A「くそ! どうしてこんなことに!」
キリト「……」
医者「これは……ひどい毒だな。普通の薬では治らない」
キリト「っ!」
騎士団員A「Bの馬鹿野郎が!」
医者「総勢6人が毒にかかってるな。治療にはその敵が必要だろう」
キリト「どういうことだ?」
医者「今までにも何回かは似たことがあった」
医者「その場合、たいていは敵から解毒剤をドロップするか俺みたいな医療スキルを上げてるやつがその敵から解毒剤を作るかなんだ」
医者「だが、この調子では持って二日だな」
キリト「二日!?」
医者「この毒は特別性だ、通常の回復では回復できない」
医者「体力は時間経過とともに等間隔で減り続けてるからおそらく」
キリト「……くそっ」
医者「最前線の隠しダンジョンとなれば本来なら3層は余計に上った奴が調査すべき場所」
医者「今の皆のレベルじゃきついな」
キリト「……」
騎士団員A「くそおおおお!」
キリト「……」スタスタ
キリト(……アスナ)
キリト「……」
アスナ「……」
キリト(こうしているだけでアスナのゲージが減って行ってる……)
キリト(……このままアスナを死なせるわけにはいかない。もう、誰も死なせたくない)
キリト(アスナは、アスナは……ようやく俺が一緒にいたいと思える人で……)
キリト(いつも気にかけてくれてて……)
キリト(いつも俺をほうっておかなくて……)
キリト(ずっとそばにいてくれて……)
キリト(だから……今度は俺がアスナを助けに行くんだ)
キリト「俺は……アスナが好きだから」
アスナ「……」
キリト「ん……?」
キリト「これは結構前にアスナがドロップしたアイテム?」
キリト「そういえば結局なんなのか聞いてなかったな」
キリト「あれ?アスナが持ってるのに所有権を放棄してるのか? なんで?」
キリト「……これはスキルアイテム? 覗き見……そりゃアスナも所有権を放棄するか」
キリト「でも未だに持ってるってことはこれを使ってたのか?」
キリト「……使ってみるか」
キリト「……な」
キリト「アスナがこれを使った時を覗き見、ってしてみたら……これは……」
キリト「俺の過去を見てたのか……?」
キリト「はは、なんだ、そういうことか……」
アスナ『クラインさんも言ってた』
アスナ『……友達、親友としてでも』
キリト「そうだよな……俺にそんな資格はないんだ」
キリト「ビーター、か」
キリト「俺は哀れまれて、情けをかけられていたんだな」
キリト「でも、それでも君だけは助けるよ……それが、君の俺へかけてくれた情けへの恩返しだ」
キリト「……ここだな」ギィ
キリト「うおおおおおおおおおお!!!」
キリト「ぐぅっ!」
キリト「やっぱり、見た目は似てても全然違う!」
キリト「強い!」
キリト「それでも!」
キリト「でやああああああああ!!!!」
キリト「ぐっ! 毒か!」
キリト「知ったことかああああああああ!!!!!」ズバッ
キリト「……医者の読みは当たってたな……くっ」
キリト「……倒すと必ずドロップか……」
キリト「しかし、同時に六体はさすがにきついな……うぅ」
キリト「でもこれで六個そろった……全員分……全員?」
キリト「うぐっ!」
キリト「は、ははっ……全員、全員か……確かに、全員分ではあるよな」
キリト「良いんだよな、これで」
キリト「……」
医者「お、お前ひとりでこれを!?」
ザワザワ
スゲー
ケッビーターガ
キリト「これでみんなを頼む」
医者「あ、ああ!」
キリト「……っ!」
キリト(やばいな……ゲージが危険域だ)
キリト(……とりあえず、ここを離れるか)
アスナ「……あれ、私」
医者「おお、目を覚ましたか!」
アスナ「あ、私攻略中に毒で……」
医者「未だ見たことない新しいタイプでな、強力で街中でも均等に体力ゲージが減っていく代物だった」
アスナ「……そう、解除方法は?」
医者「今のところ敵からの解毒剤ドロップしかない」
アスナ「え、じゃあ誰かがこれを?」
アスナ「まさかキリト君!?」
医者「いやあ、彼は凄いな。疲れた顔をしながらも全員分六個の解毒剤を……」
アスナ「六個!? 六個ですって!?」
アスナ(あの場には六匹しか敵はいなかった! 固定数のはず!)
アスナ(毒をくらわずに攻略は現状では不可能!)
アスナ(それに隠しダンジョンによるドロップは一度しかできないし誰かがドロップしたらしばらくは復活しない!)
アスナ(まさかまさかまさかまさかまさか!!!!)
アスナ「どこ? どこにいるのキリト君!」
アスナ(嫌だよ? 死んじゃ嫌だよ!?)
アスナ「キリトくん……っ!」
アスナ「どこなの……!!」
キリト「ハハ、やばいな、みるみるゲージが減っていく」
アスナ「キリト君!」
キリト「アスナ? どうしてここが?」
アスナ「フレンドリスト! 居場所検索!」
キリト「あ、そっか……しまった、うっかりしてた」
アスナ「馬鹿! なにやって……ゲージが!」
キリト「はは……ちょっと無理しすぎたかも」
アスナ「あ、そんな……!」
キリト「アスナ……」
アスナ「な、なに!? なんでもいって!」
キリト「今まで、ありがとうな」
アスナ「な、なに言って……」
キリト「哀れみでも、情けでも、優しくされるのは、割と嫌じゃなかった」
アスナ「哀れみ? 情け? 何を言って……」
キリト「良いんだ、アスナが俺を調べたことはわかってる」
アスナ「っ!」
アスナ「違う、あれは……」
キリト「いいんだ」
アスナ「死ぬ気、なの……?」
アスナ「だからここに来たの?」
アスナ「目の前で彼が自殺した場所だから!?」
キリト「……そう、かもね」
アスナ「っ!」
キリト「俺はビーターだ、きっと、そういう最後になるって、決まってたし、覚悟もしてた」
アスナ「そんな、そんなの……!」
キリト「このまま一人だったら、ゲージがなくなる前に飛び降りようと思ってたんだけど……はは、まいったな」
アスナ「そんな、そんなの認めない!」
キリト「だよ、なあ……」
アスナ「だって、私、私……私なんかのために……!」
キリト「君が助かって……本当に良かった」
アスナ「良くない! キリト君が死んだら何も意味ない!」
キリト「そう、言ってもらえるだけで、うれしいよ」
アスナ「っ! う、うぅ」
アスナ「何か、何かないの!?」
アスナ「アイテム、アイテムアイテム!」チャラリン
アスナ「回復アイテムは……」
キリト「この毒で受けたダメージは回復アイテムじゃ回復できなかった……」
アスナ「そんな……」
キリト「いいんだ、最後に守りたいものを守れたから……」
アスナ「ダメだよ……キリト君がいなくなったら、私……私!」
キリト「……」
アスナ「キリト君!?」
アスナ「いや、だめ……ゲージ、減らないで、減らないでよ!」
キリト「死ぬ、ってこんな感じなのかな」
アスナ「いやいやいやいやいやいやいやいやいや!」
キリト「……ごめん」
アスナ「なんで、あやまる、のよ……」グスッ
アスナ「あやまるくらいなら……死なないでよ!」
キリト「泣かせたかった、わけじゃないから……泣かせちゃって、ごめん」
アスナ「っ!」
キリト「ああ、サチもきっと、こんな気持ちだったのかなあ」
アスナ「!」
キリト「アスナ、ありがとう」
さ よ な ら
アスナ「~~~~~~~~っ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」
クライン「これ持って叫べ! 早く!」
アスナ「え? これ!? っ!」
アスナ「蘇生! キリト!」
パアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!
キリト「あ……れ……」
クライン「よおキリト。預かりモンを返しに来たぜ」
キリト「クラ、イン……? 俺、生きて……」
アスナ「~~~っ! ばかぁ! ばかぁ!」ポカポカ
キリト「わっ! アスナちょっとタンマタンマ!」
アスナ「いやぁ! いやぁ! ばかぁばかぁ」グスグス
キリト「アスナ……」
アスナ「う、うぅ……キリト君……キリト君キリト君……!」
キリト「あの……アスナ? そろそろ離れてくれると……」
アスナ「いやぁ」ダキッ
キリト「い、いやって、あのそのだから……」
アスナ「私、情けでも哀れみでもないもの」
キリト「え」
アスナ「キリトがサチさんが好きでも、恋人を忘れられなくても、私キリト君が好きだもん……好きなんだもん!」
キリト「う……あ……?」
アスナ「たとえキリト君が振り向いてくれなくても好きなんだもん!」
キリト「あ、その、あり、がとう……ってか」
アスナ「うぅ」グスグス
キリト「別にサチとは恋人じゃなかったけど」
アスナ「」
アスナ「え、ええ!? だって一緒にベッド入って……」
キリト「そこまで見たのか……」
アスナ「あっ!?」
キリト「サチは結構怖がりでさ、俺のところに来てたけど、そういう関係じゃなかった」
アスナ「そうなの?」
キリト「もしかしたら、あのままいってたら、そういう関係になってたかもしれないけど」
アスナ「むぅ」プクッ
キリト「俺が今好きなのは、アスナだから」
アスナ「ふぇっ!?」
クライン「あー……ゴホン、青春してるとこ悪いんだが……俺しゃべっていい? それとも帰ります?」
キリト「あ、ああそういやお前に助けられたんだったな、ありがとうクライン」
クライン「気にスンナ、それはもともとお前のものだ」
アスナ「あ、私///」カァァァ
クライン「おーおー可愛いねぇ、ところで言いにくいんだけどさ」
キリト「?」
アスナ「?」
クライン「お前らのさっきからの会話全部、血盟騎士団に届いてるんだが」
キリト「はああああああああああああああ!?」
アスナ「えええええええええええええええ!?」
クライン「いや、俺に血盟騎士団の医者から連絡がきてな」
クライン「医者は攻略に行ってなかったが、他にも攻略にいってった奴がキリトの分の解毒剤がないってことがわかったらしくて」
クライン「いちはやく気付いた副団長が先走ったはいいが自分たちになすすべが思いつかない」
クライン「そんなとき誰から聞いたのか団長さんが俺が蘇生アイテムを持ってることを知ってて俺に連絡が来たんだ」
クライン「慌ててフレンドリストの検索で駆けつけてみればまさに間一髪だったわけよ」
クライン「まあその際、顛末をみんなが知るために音声を向こうにも届くようにしてたんだが……完全に裏目に出ちゃったっぽいな」
キリト「」
アスナ「」
悪口言った相手に命かけて助けられたわけだが 舎弟じゃ済まないよな
だな
アスナ「あわわわわ、どうしよう……告白までしちゃったのみんなに聞かれちゃた……」
キリト「いや、これはその……なんていうか、どうしよう?」
クライン「さあ?」
キリト「いや、さあってオマエな……」
クライン「好きにしたらいいんじゃねぇの。かわいこちゃん首からぶら下げてそんなしょげた面すんなって」
キリト「あ、これは……」
アスナ「」ギュム
キリト「う」
アスナ「……うん、決めた」
キリト「?」
アスナ「私血盟騎士団抜ける、ソロ……ううん、キリト君とコンビ組む」
キリト「えええええ!?」
アスナ「あ、あんなこと言った後にあそこに戻れないし」
キリト「いや、だけど……」
アスナ「……それに、離れたく無い」
キリト「アスナ……」
アスナ「もう勝手に死ぬなんて許さないから」
キリト「……それはこっちの台詞だ」
アスナ「ふふ、私は死にません絶対に」
キリト「なんで絶対なんて言いきれるんだよ」
アスナ「キリト君がいれば、その自信があるから」
キリト「う」
キリト「じゃあ俺が死んだら?」
アスナ「私も死ぬ」
キリト「はああああああ!? 何言ってんだよ!」
アスナ「キリト君がいないなんて、意味ないもの」
キリト「ア、アスナ……」
アスナ「責任重大だからね、キリト君。これでキリト君は簡単に命を諦められなくなったんだから」
キリト「……ふぅ」
アスナ「なによぅ、嫌なの?」
キリト「いや、重たいと思っただけさ」
アスナ「……キリト君が嫌なら」
キリト「俺は、そういう重荷があったほうが、生きてるって実感できるみたいだ」
アスナ「あ」パアアア
キリト「よろしく、アスナ」
アスナ「うん!」
クライン「俺と、メンバーにも繋がってるのまた完全に忘れてるなこいつら」
クライン「……ま、いいか。よかったな、キリト」
クライン「一人じゃないってのはそれだけでいいもんだぜ」
クライン「まあこれで大団円……」
アスナ「ところでキリト君」
キリト「?」
アスナ「サチさんとは恋人じゃなかったそうだけど……どこまでいってたの?」
キリト「いっ?」
アスナ「この前ちょっと見えちゃったんだけど、どうにも女の子の知り合いが多いよねキリト君」
キリト「い、いやそんなことは……」
アスナ「……」ジロリ
キリト「……サチとはなんでもなかったし、他の人とだってただ知り合っただけだよ」
アスナ「……結婚の経験は?」
キリト「あるわけないだろ」
アスナ「……そっか、よかった」
キリト「……そういうアスナは?」
アスナ「申し込まれたことは何度かあるけど、受けたことはないわ」
キリト「申し込まれたことはあるのか……」
アスナ「私、結婚って現実でもそうだけどそう簡単にしないと思ってた」
アスナ「ましてやこのSAOの中ではね」
アスナ「でも、キリト君となら良いと思う」
アスナ「……キリト君となら結婚、したい」
キリト「……」
キリト「……アスナの家は400万コルくらいだっけ?」
アスナ「え? ええ」
キリト「俺もちょうどそれくらいは溜まってる」
アスナ「?」
キリト「……よかったら、家を買ったら、一緒に住んでくれ」
アスナ「!」
アスナ「そ、それって……///」
キリト「ああ、そのまあ……うん」
クライン「おーい、盛り上がってるとこ悪いが」
アスナ「!」
キリト「!」
クライン「そろそろ逃げた方がいいぞー」
キリト「?」
アスナ「?」
クライン「今の話聞いてた連中がわんさかおしかけてくるっぽい」
アスナ「!」
キリト「!」
キリト「行こう! アスナ」ギュッ
アスナ「うん!」
クライン「達者でなー」
アスナ「ところでキリト君?」
キリト「うん?」
アスナ「い、家っていつ買うの?」ワクワク
キリト「え、えっと……そのうち、かな」
アスナ「もう、何よそれ!」プクッ
キリト「でも……この手は家を買わなくても離さないつもりだよ」ギュッ
アスナ「……うん、ところでどこへ向かってるの?」
キリト「どこだっていいさ、アスナがいれば」
アスナ「……私も。大好きだよキリト君」
SAO編 END
ALO編も期待してるよー
やはりアスナさんは可愛い
ありがとう ありがとう
はたから見てると百合にしか見えないシーンもあるよ!
Entry ⇒ 2012.08.27 | Category ⇒ 版権物SS | Comments (0) | Trackbacks (0)