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折木「月が綺麗だな」
URL:http://hayabusa.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1339217966/
季節は秋
古典部の部室
里志「いやぁ、それにしてもすっかり秋だねぇ。」
折木「唐突だな。それがどうかしたのか?」
俺は読みかけの本にしおりを挟む
里志「いやいや特に何も無いんだけどね。」
里志「こう山々も紅葉で色づき初めて何だか風情があるねって話しさ」
える「確かに紅葉というものは良いものですね」
える「そういえば自宅の低い紅葉の木達も紅くなっていて綺麗なんですよ」
摩耶花「ちーちゃんの家のお庭立派だもんねー」
摩耶花「自宅で紅葉狩りできそうじゃない?」
里志「それは良いね。自宅で紅葉狩りなんて風情があるじゃないか」
折木「そんなもんか。」
摩耶花「まぁ感情の乏しいアンタにはわかんないでしょうね」
里志「そうだね。奉太郎の掲げるエコ主義でいえば」
里志「紅葉狩りに使用するエネルギーも無駄かもねぇ。」
二人がシシシと子供のように笑う
なんて失礼な奴らだ
俺にだって四季に趣を感じることくらいできる。
折木「馬鹿にするな」
少し声を荒げて言う
里志「ごめんごめん。でも秋と言えば月も綺麗だよね」
里志「なんだっけほら清少納言のさ…めぐりあいて…」
える「めぐりあひて見しやそれともわかぬ間に」
える「雲かくれにし夜半の月かな…ですね?」
千反田がスラスラと答える
里志「さすが千反田さん!」
摩耶花「それ知ってる!確か百人一首のやつだよね?」
える「はい。久しぶりに出会った殿方が慌ただしく帰ってしまった寂しさを」
える「雲に隠れた月に例えたんですよね。素敵な唄です。」
さすが学年TOPは違うな
これで亡者の如き知識の探求がなければ良いのだが
そう考えながら俺は千反田の顔を見る
える「!」
える「お、折木さんどうかしましたか?///」
折木「いや、なんでもない」
何故紅くなるのか
そんな俺達を見て里志がニヤリと笑う
摩耶花「折木にこの唄の良さがわかるのかしらねー」
折木「馬鹿にするなと言ってるだろうが」
里志「そうだね。ほうたろうは秋の趣がわかる人だもんね」
珍しく里志がフォローを入れる
里志「そうだ!明日休みだしそんな秋の趣がわかるほうたろうは」
里志「千反田さんのお庭を見せて貰ってきなよ」
そう里志が言い放った瞬間
千反田の目がきらきらと光り出した
える「そ、それはいいですね!」
える「幸いにもあすはお休みですし如何ですか?///」
キラキラとした大きな目がこちらに向く
これは不味い逃れられないパターンだ。
ちらりと目をそらすと里志が舌を出しながらウインクをしている
このやろうハメやがったな。
摩耶花が福部に耳打ちをする
摩耶花「ちょっと福ちゃん!どうしたのよ急に」
里志「いや、摩耶花も気づいているだろう?」
里志「氷菓の一件以来明らかに千反田さんは奉太郎を意識している」
摩耶花「なるほど…それで後押しなのね」
里志「ああ。それでデータベースから百人一首を取り出したのさ」
里志「まぁでも千反田さんが上手く食いついてくれてよかったよ。なにせ」
摩耶花「データベースは回答をだせない…でしょ?」
摩耶花「福ちゃんも素直じゃないんだから」
里志「ははは。これは手厳しいな」
向こうは向こうで夫婦らしい会話が続いている
里志め憶えておけよ
える「折木さんは何か明日予定があるのですか?無いのなら…///」
折木「いゃ…まぁ無いのは無いのだが…」
える「でしたら!」
折木「しかし俺のエコ主義がだな…」
える「折木さん…?」
折木「うっ...」
そういって少し潤んだ大きな瞳で千反田が顔を覗く
千反田は容姿も可愛らしくさらにこの涙目だ
この艶かしさに勝てる者などいないだろう
俺はふぅ。とため息を尽き
折木「わかった。なら明日お邪魔するぞ。」
える「はい!お待ちしてます!」
千反田は少女のような笑顔で言った。
その返事と同時に哀愁漂うチャイムが鳴り響く
時計の針は6時を指していた。
次の日
秋虫の鳴く夕方
千反田えるはもの思いにふけていた。
折木がくる時間までもうすぐである。
える「折木さんは私のために色々と尽力してくれました」
える「私の記憶…氷菓の思い出を取り返してくれました」
える「何故でしょう。あの時から折木のことを考えると胸がつまりそうになります」
える「このもやもやは何でしょうか、私気になります。」
ピンポーン
チャイムが鳴る
折木「よぅ千反田。今日は世話になる」
える「おはようございます折木さん」
える「どうぞごゆっくりしていってくださいね」
奥の間へと案内される
える「えと、き、今日は家族皆が出払っていまして!」
える「明日の朝まで…私だけ…です///」
折木「そ、そうか///」
える「はい///」
何だこれは
とりあえず話題を変えねば
折木「そ、そうだ千反田!庭を見せてくれるか?」
える「あ、はい!ではご案内しますね///」
俺達は庭へと出ることにした
庭にて
折木「しかし庭も広いなぁ」
折木「やっぱり庭師に頼むものなのか?」
える「そうですね。さすがにカバーできないところは」
える「お願いしているそうですが。あ、後古い木は樹木医さんに」
折木「まぁそうなるよな。しかし見事な庭だ。」
折木「紅葉だけでなく色々な植物が秋色に染まっている」
折木「こうも自宅で季節の変化を楽しめるところは無いだろ」
える「ありがとうございます!」
える「そうですね。縁側から見るだけでも季節がわかりますし」
える「自慢の庭ですよ」
折木「さすが名家だけはあるな」
折木「季節が変わるとまた綺麗なのだろう」
える「庭先の梅の花が春はとても綺麗なんですよ?」
える「来年の春に古典部の皆さんで見ると良いかもしれませんね」
折木「あぁ、それは良い案かもな」
それから俺たちは
他愛もない会話を続けながら
庭を見て回った。
氷菓についての話
学生生活について
古典部の部長としてどうあるべきか
楽しい時間が過ぎていく
える「ということは折木さんは私と話していて」
える「楽しかった…ということでしょうか?///」
折木「ああ。まぁ否定はしないでおこう」
える「えへへ///」
折木「さて、そろそろ夜も遅いし帰るか」
える「あ、せっかくですから夕飯召し上がって行きませんか?」
千反田が再度聞く
折木「良いのか?」
える「はい!一人での食事は寂しいですしね。」
折木「そうか。なら悪い世話になろう。」
える「いえいえ。それでは支度をしましょうか」
俺達は台所へと向かう
男子厨房に入らずと
昔の言葉にあるが
こうして料理をしている女性を家族以外でまじまじと見たことがない俺は
楽しそうに料理を作る千反田を見て
自らが掲げるエコ主義には無縁の感情を
少しだけ感じたのだった。
しかしどうにも落ち着かない。
折木「なぁ千反田。何か手伝うことはないか?」
しびれを切らし声をかける
える「お気遣いありがとうございます折木さん」
える「そうですね、ではこの野菜を食べやすいように切っていただけますか?」
折木「あぁ、まかせろ」
そう言うと俺は千反田の隣に達包丁を動かし始めた
トントンと心地良い包丁の音
グツグツと鍋を回す千反田
今気づいたがこの状況は
折木「あれだな」
える「はい?どうかされましたか?」
折木「いや、その、なんだ」
折木「こうして二人で料理しているのと」
折木「新婚とはこんな感じなのかと思ってな」
我ながらなんと恥ずかしいことを言っているのだろうか
俺の言葉を聞くと千反田は紅くなりうつ向く
頬が紅葉のようだと少し詩的な印象を受けた
しかしすぐにこちらを向いて
千反田は言った。
える「そうですね。」
える「このような雰囲気が新婚なのならば」
える「私も早く結婚したいです」
える「今とても幸せな時間なので」
千反田が笑う
折木「そういうものか」
える「はい。」
える「そういうものです。」
える「折木さんはどうなんですか?」
折木「俺にはよくわからん」
折木「ただ、嫌ではないのかもな」
逃げるように俺は千反田から視線を外し
鍋の蒸気で曇った窓ガラスを見つめ言った。
しばらくして
える「これを盛りつけて完成ですね」
える「折木さん取り皿を並べていただけますか?」
折木「あぁ、わかった」
皿を並べ終え、盛り付けを済ます
える「では頂きましょう。」
える「お口に合うかわかりませんが」
折木「いや、美味そうだ。頂きます。」
根菜の炊き込みご飯
白身魚の焼き物
肉じゃが
サラダと漬物
いかにも千反田家らしい和風な食卓だ。
しかも美味い。
える「ど、どうですか?」
折木「あぁ普通に美味いよ。おにぎりの時も思ったが」
折木「千反田は料理が得意なんだな」
える「えへへ///これでも女の子ですからね」
折木「良いと思うぞ。千反田は良い嫁になりそうだ」
える「よ、よよ嫁ですか!?///」
あたふたと慌てる千反田
何かの小動物のようだ
える「それは、き、気が早いというか…ゴニョゴニョ」
折木「?」
える「なんでもありません!///」
このような談笑を交えつつ
俺たちは食事を終えた。
食後に千反田の淹れた茶を啜っていると
千反田が提案をしてきた。
える「そうだ。月も出ていますし少しお月見しませんか?」
折木「ほう。それは良いな。」
える「先に縁側へ行っていてください、お茶を淹れ直してあと菓子を持っていきます」
折木「悪いな、なら先に行く。夕飯ご馳走様でした。」
える「はい。お粗末さまです」
千反田が優しく答え、二人だけの月見をすることとなった。
折木「今日一日で秋を満喫した気がする」
折木「少しエコ主義を無視しすぎている気もするが」
える「良いじゃないですか。紅葉狩りに月見と」
える「この時期でしかできないですし」
折木「そうか。たまにはこういうのもいいのかもな。」
える「はい。なんというか風情がありますね」
折木「全くだ。しかし月が綺麗だな」
える「!」
える「あ、あの!もう一度言ってくれませんか?///」
折木「ん?なんだ俺は月が綺麗ですねと言ったんだが…」
える「ありがとう…ございます///」
折木「?」
折木「どうかしたのか?」
える「いや、なんでもありませんよ」
える「えへへ///月が綺麗ですよねぇ」
折木「ああ、そうだな。」
二人は月をぼんやりと見ていた。
かなり夜もふけて
折木「それじゃ、今日は世話になったな」
える「いえ、とんでもありません!」
える「またいらしてくださいね///」
折木「あぁ。一人なんだし戸締り気をつけてな」
える「ありがとうございます。」
える「さようなら折木さん。おやすみなさい///」
折木「あぁ、おやすみ千反田」
別れの挨拶をかわす
こうして俺は千反田家を後にし
帰路についたのである。
1: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/06/09(土) 13:59:26.42 ID:phflwwyB0
季節は秋
古典部の部室
里志「いやぁ、それにしてもすっかり秋だねぇ。」
折木「唐突だな。それがどうかしたのか?」
俺は読みかけの本にしおりを挟む
里志「いやいや特に何も無いんだけどね。」
里志「こう山々も紅葉で色づき初めて何だか風情があるねって話しさ」
2: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/06/09(土) 14:00:51.09 ID:phflwwyB0
える「確かに紅葉というものは良いものですね」
える「そういえば自宅の低い紅葉の木達も紅くなっていて綺麗なんですよ」
摩耶花「ちーちゃんの家のお庭立派だもんねー」
摩耶花「自宅で紅葉狩りできそうじゃない?」
里志「それは良いね。自宅で紅葉狩りなんて風情があるじゃないか」
5: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/06/09(土) 14:02:45.46 ID:phflwwyB0
折木「そんなもんか。」
摩耶花「まぁ感情の乏しいアンタにはわかんないでしょうね」
里志「そうだね。奉太郎の掲げるエコ主義でいえば」
里志「紅葉狩りに使用するエネルギーも無駄かもねぇ。」
二人がシシシと子供のように笑う
なんて失礼な奴らだ
俺にだって四季に趣を感じることくらいできる。
6: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/06/09(土) 14:04:42.93 ID:phflwwyB0
折木「馬鹿にするな」
少し声を荒げて言う
里志「ごめんごめん。でも秋と言えば月も綺麗だよね」
里志「なんだっけほら清少納言のさ…めぐりあいて…」
える「めぐりあひて見しやそれともわかぬ間に」
える「雲かくれにし夜半の月かな…ですね?」
千反田がスラスラと答える
8: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/06/09(土) 14:06:57.52 ID:phflwwyB0
里志「さすが千反田さん!」
摩耶花「それ知ってる!確か百人一首のやつだよね?」
える「はい。久しぶりに出会った殿方が慌ただしく帰ってしまった寂しさを」
える「雲に隠れた月に例えたんですよね。素敵な唄です。」
さすが学年TOPは違うな
これで亡者の如き知識の探求がなければ良いのだが
そう考えながら俺は千反田の顔を見る
10: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/06/09(土) 14:09:24.42 ID:phflwwyB0
える「!」
える「お、折木さんどうかしましたか?///」
折木「いや、なんでもない」
何故紅くなるのか
そんな俺達を見て里志がニヤリと笑う
12: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/06/09(土) 14:11:52.78 ID:phflwwyB0
摩耶花「折木にこの唄の良さがわかるのかしらねー」
折木「馬鹿にするなと言ってるだろうが」
里志「そうだね。ほうたろうは秋の趣がわかる人だもんね」
珍しく里志がフォローを入れる
里志「そうだ!明日休みだしそんな秋の趣がわかるほうたろうは」
里志「千反田さんのお庭を見せて貰ってきなよ」
13: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/06/09(土) 14:16:10.40 ID:phflwwyB0
そう里志が言い放った瞬間
千反田の目がきらきらと光り出した
える「そ、それはいいですね!」
える「幸いにもあすはお休みですし如何ですか?///」
キラキラとした大きな目がこちらに向く
これは不味い逃れられないパターンだ。
14: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/06/09(土) 14:21:52.94 ID:phflwwyB0
ちらりと目をそらすと里志が舌を出しながらウインクをしている
このやろうハメやがったな。
摩耶花が福部に耳打ちをする
摩耶花「ちょっと福ちゃん!どうしたのよ急に」
里志「いや、摩耶花も気づいているだろう?」
里志「氷菓の一件以来明らかに千反田さんは奉太郎を意識している」
摩耶花「なるほど…それで後押しなのね」
15: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/06/09(土) 14:28:58.02 ID:phflwwyB0
里志「ああ。それでデータベースから百人一首を取り出したのさ」
里志「まぁでも千反田さんが上手く食いついてくれてよかったよ。なにせ」
摩耶花「データベースは回答をだせない…でしょ?」
摩耶花「福ちゃんも素直じゃないんだから」
里志「ははは。これは手厳しいな」
16: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/06/09(土) 14:33:28.88 ID:phflwwyB0
向こうは向こうで夫婦らしい会話が続いている
里志め憶えておけよ
える「折木さんは何か明日予定があるのですか?無いのなら…///」
折木「いゃ…まぁ無いのは無いのだが…」
える「でしたら!」
折木「しかし俺のエコ主義がだな…」
19: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/06/09(土) 14:39:26.31 ID:phflwwyB0
える「折木さん…?」
折木「うっ...」
そういって少し潤んだ大きな瞳で千反田が顔を覗く
千反田は容姿も可愛らしくさらにこの涙目だ
この艶かしさに勝てる者などいないだろう
20: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/06/09(土) 14:42:53.64 ID:phflwwyB0
俺はふぅ。とため息を尽き
折木「わかった。なら明日お邪魔するぞ。」
える「はい!お待ちしてます!」
千反田は少女のような笑顔で言った。
その返事と同時に哀愁漂うチャイムが鳴り響く
時計の針は6時を指していた。
22: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/06/09(土) 14:49:28.59 ID:phflwwyB0
次の日
秋虫の鳴く夕方
千反田えるはもの思いにふけていた。
折木がくる時間までもうすぐである。
23: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/06/09(土) 14:56:27.51 ID:phflwwyB0
える「折木さんは私のために色々と尽力してくれました」
える「私の記憶…氷菓の思い出を取り返してくれました」
える「何故でしょう。あの時から折木のことを考えると胸がつまりそうになります」
える「このもやもやは何でしょうか、私気になります。」
25: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/06/09(土) 15:03:43.33 ID:phflwwyB0
ピンポーン
チャイムが鳴る
折木「よぅ千反田。今日は世話になる」
える「おはようございます折木さん」
える「どうぞごゆっくりしていってくださいね」
奥の間へと案内される
27: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/06/09(土) 15:06:46.91 ID:phflwwyB0
長い廊下が続く
折木「しかし広い家だな。」
折木「そういえば家族を見たことがないがいるのか?」
える「ちゃんといますよ。ですが…」
折木「ですが…?」
嫌な予感がする
折木「しかし広い家だな。」
折木「そういえば家族を見たことがないがいるのか?」
える「ちゃんといますよ。ですが…」
折木「ですが…?」
嫌な予感がする
30: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/06/09(土) 15:12:24.11 ID:phflwwyB0
える「えと、き、今日は家族皆が出払っていまして!」
える「明日の朝まで…私だけ…です///」
折木「そ、そうか///」
える「はい///」
31: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/06/09(土) 15:16:26.28 ID:phflwwyB0
何だこれは
とりあえず話題を変えねば
折木「そ、そうだ千反田!庭を見せてくれるか?」
える「あ、はい!ではご案内しますね///」
俺達は庭へと出ることにした
33: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/06/09(土) 15:19:56.22 ID:phflwwyB0
庭にて
折木「しかし庭も広いなぁ」
折木「やっぱり庭師に頼むものなのか?」
える「そうですね。さすがにカバーできないところは」
える「お願いしているそうですが。あ、後古い木は樹木医さんに」
折木「まぁそうなるよな。しかし見事な庭だ。」
36: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/06/09(土) 15:26:28.30 ID:phflwwyB0
折木「紅葉だけでなく色々な植物が秋色に染まっている」
折木「こうも自宅で季節の変化を楽しめるところは無いだろ」
える「ありがとうございます!」
える「そうですね。縁側から見るだけでも季節がわかりますし」
37: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/06/09(土) 15:30:08.94 ID:phflwwyB0
える「自慢の庭ですよ」
折木「さすが名家だけはあるな」
折木「季節が変わるとまた綺麗なのだろう」
える「庭先の梅の花が春はとても綺麗なんですよ?」
える「来年の春に古典部の皆さんで見ると良いかもしれませんね」
折木「あぁ、それは良い案かもな」
38: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/06/09(土) 15:38:16.45 ID:phflwwyB0
それから俺たちは
他愛もない会話を続けながら
庭を見て回った。
氷菓についての話
学生生活について
古典部の部長としてどうあるべきか
楽しい時間が過ぎていく
39: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/06/09(土) 15:45:25.57 ID:phflwwyB0
しばらくして
折木「ふぅ。随分と話し込んでしまったな」
折木「時間が過ぎるのが早く感じる」
える「相対性理論ですか?」
千反田が顔を覗きこみ聞く
折木「ふぅ。随分と話し込んでしまったな」
折木「時間が過ぎるのが早く感じる」
える「相対性理論ですか?」
千反田が顔を覗きこみ聞く
40: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/06/09(土) 15:49:31.14 ID:phflwwyB0
える「ということは折木さんは私と話していて」
える「楽しかった…ということでしょうか?///」
折木「ああ。まぁ否定はしないでおこう」
える「えへへ///」
折木「さて、そろそろ夜も遅いし帰るか」
える「あ、せっかくですから夕飯召し上がって行きませんか?」
千反田が再度聞く
42: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/06/09(土) 15:54:23.78 ID:phflwwyB0
折木「良いのか?」
える「はい!一人での食事は寂しいですしね。」
折木「そうか。なら悪い世話になろう。」
える「いえいえ。それでは支度をしましょうか」
俺達は台所へと向かう
46: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/06/09(土) 16:01:58.21 ID:phflwwyB0
台所
千反田は鼻歌を歌いながら
台所に立ち料理をしている。
前に古典部におにぎりを振舞ったときのように
ながい髪を束ねポニーテールにしている
それが鼻歌と共に小刻みにゆらゆらと揺れていた。
千反田は鼻歌を歌いながら
台所に立ち料理をしている。
前に古典部におにぎりを振舞ったときのように
ながい髪を束ねポニーテールにしている
それが鼻歌と共に小刻みにゆらゆらと揺れていた。
47: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/06/09(土) 16:05:13.57 ID:LvnA9HFW0
夫婦やないか
48: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/06/09(土) 16:08:03.89 ID:phflwwyB0
男子厨房に入らずと
昔の言葉にあるが
こうして料理をしている女性を家族以外でまじまじと見たことがない俺は
楽しそうに料理を作る千反田を見て
自らが掲げるエコ主義には無縁の感情を
少しだけ感じたのだった。
49: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/06/09(土) 16:11:43.93 ID:phflwwyB0
しかしどうにも落ち着かない。
折木「なぁ千反田。何か手伝うことはないか?」
しびれを切らし声をかける
える「お気遣いありがとうございます折木さん」
える「そうですね、ではこの野菜を食べやすいように切っていただけますか?」
折木「あぁ、まかせろ」
そう言うと俺は千反田の隣に達包丁を動かし始めた
50: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/06/09(土) 16:16:13.18 ID:phflwwyB0
トントンと心地良い包丁の音
グツグツと鍋を回す千反田
今気づいたがこの状況は
折木「あれだな」
える「はい?どうかされましたか?」
折木「いや、その、なんだ」
折木「こうして二人で料理しているのと」
折木「新婚とはこんな感じなのかと思ってな」
我ながらなんと恥ずかしいことを言っているのだろうか
52: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/06/09(土) 16:20:48.92 ID:phflwwyB0
俺の言葉を聞くと千反田は紅くなりうつ向く
頬が紅葉のようだと少し詩的な印象を受けた
しかしすぐにこちらを向いて
千反田は言った。
える「そうですね。」
える「このような雰囲気が新婚なのならば」
える「私も早く結婚したいです」
える「今とても幸せな時間なので」
千反田が笑う
53: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/06/09(土) 16:24:39.23 ID:phflwwyB0
折木「そういうものか」
える「はい。」
える「そういうものです。」
える「折木さんはどうなんですか?」
折木「俺にはよくわからん」
折木「ただ、嫌ではないのかもな」
逃げるように俺は千反田から視線を外し
鍋の蒸気で曇った窓ガラスを見つめ言った。
54: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/06/09(土) 16:33:55.27 ID:phflwwyB0
しばらくして
える「これを盛りつけて完成ですね」
える「折木さん取り皿を並べていただけますか?」
折木「あぁ、わかった」
皿を並べ終え、盛り付けを済ます
える「では頂きましょう。」
える「お口に合うかわかりませんが」
折木「いや、美味そうだ。頂きます。」
55: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/06/09(土) 16:37:56.57 ID:phflwwyB0
根菜の炊き込みご飯
白身魚の焼き物
肉じゃが
サラダと漬物
いかにも千反田家らしい和風な食卓だ。
しかも美味い。
56: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/06/09(土) 16:40:34.81 ID:phflwwyB0
える「ど、どうですか?」
折木「あぁ普通に美味いよ。おにぎりの時も思ったが」
折木「千反田は料理が得意なんだな」
える「えへへ///これでも女の子ですからね」
折木「良いと思うぞ。千反田は良い嫁になりそうだ」
える「よ、よよ嫁ですか!?///」
あたふたと慌てる千反田
何かの小動物のようだ
59: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/06/09(土) 16:45:39.77 ID:phflwwyB0
える「それは、き、気が早いというか…ゴニョゴニョ」
折木「?」
える「なんでもありません!///」
このような談笑を交えつつ
俺たちは食事を終えた。
食後に千反田の淹れた茶を啜っていると
千反田が提案をしてきた。
62: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/06/09(土) 16:51:19.33 ID:phflwwyB0
える「そうだ。月も出ていますし少しお月見しませんか?」
折木「ほう。それは良いな。」
える「先に縁側へ行っていてください、お茶を淹れ直してあと菓子を持っていきます」
折木「悪いな、なら先に行く。夕飯ご馳走様でした。」
える「はい。お粗末さまです」
千反田が優しく答え、二人だけの月見をすることとなった。
65: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/06/09(土) 16:59:23.76 ID:phflwwyB0
縁側
風にススキが揺れ、空には丸い月が登っていた。
千反田と俺は茶を啜りながら話していた
える「名月をとってくれろと泣く子かな」
折木「小林一茶か?」
える「はい、子供ならあの月が欲しいと言ってしまうのも仕方ないですよね」
折木「確かにな。この月の美しさは子供にだってわかるものだろう」
風にススキが揺れ、空には丸い月が登っていた。
千反田と俺は茶を啜りながら話していた
える「名月をとってくれろと泣く子かな」
折木「小林一茶か?」
える「はい、子供ならあの月が欲しいと言ってしまうのも仕方ないですよね」
折木「確かにな。この月の美しさは子供にだってわかるものだろう」
66: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/06/09(土) 17:02:47.71 ID:phflwwyB0
折木「今日一日で秋を満喫した気がする」
折木「少しエコ主義を無視しすぎている気もするが」
える「良いじゃないですか。紅葉狩りに月見と」
える「この時期でしかできないですし」
折木「そうか。たまにはこういうのもいいのかもな。」
67: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/06/09(土) 17:05:08.91 ID:phflwwyB0
える「はい。なんというか風情がありますね」
折木「全くだ。しかし月が綺麗だな」
える「!」
える「あ、あの!もう一度言ってくれませんか?///」
折木「ん?なんだ俺は月が綺麗ですねと言ったんだが…」
える「ありがとう…ございます///」
68: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/06/09(土) 17:08:46.88 ID:phflwwyB0
折木「?」
折木「どうかしたのか?」
える「いや、なんでもありませんよ」
える「えへへ///月が綺麗ですよねぇ」
折木「ああ、そうだな。」
二人は月をぼんやりと見ていた。
69: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/06/09(土) 17:09:28.27 ID:LvnA9HFW0
なにこの夫婦
70: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/06/09(土) 17:11:33.67 ID:phflwwyB0
かなり夜もふけて
折木「それじゃ、今日は世話になったな」
える「いえ、とんでもありません!」
える「またいらしてくださいね///」
折木「あぁ。一人なんだし戸締り気をつけてな」
える「ありがとうございます。」
71: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/06/09(土) 17:13:58.71 ID:phflwwyB0
える「さようなら折木さん。おやすみなさい///」
折木「あぁ、おやすみ千反田」
別れの挨拶をかわす
こうして俺は千反田家を後にし
帰路についたのである。
72: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/06/09(土) 17:19:08.70 ID:phflwwyB0
折木が帰った後千反田はまた縁側に行き
今日一日折木との時間を思い出し顔紅くしていた。
える「あひ見ては後の心に口ぶれば」
える「昔はものを思はざりけり…ですか」
唄を口ずさみながら
千反田は自分の気持ちに答えを見つけたのだった
おわり
今日一日折木との時間を思い出し顔紅くしていた。
える「あひ見ては後の心に口ぶれば」
える「昔はものを思はざりけり…ですか」
唄を口ずさみながら
千反田は自分の気持ちに答えを見つけたのだった
おわり
73: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/06/09(土) 17:19:37.45 ID:phflwwyB0
-=彡`¨¨¨¨ ヾ
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):.:.:.:イ _/ フニニ\ 駄文に付き合ってくれた皆様に敬礼
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75: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/06/09(土) 17:20:19.50 ID:nVutkd/8O
乙
77: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/06/09(土) 17:21:24.13 ID:LvnA9HFW0
乙でしたー
80: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/06/09(土) 17:22:53.48 ID:jlLUKINsi
乙!
86: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/06/09(土) 18:00:20.62 ID:7fu6WCeX0
乙
すごく良かった
すごく良かった
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- 名無しさん - 2012年08月22日 23:58:17
面白かったけど。