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男「」貞子「の、呪まーす!!」
男「」
貞子「呪まーす!!!!」
男「」
貞子「の、呪まー、す」
男「」
貞子「の、ぐすっ、呪まーぐすっ、すっ!」
http://hayabusa.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1327863291/
男「」貞子「の、呪まーす!!」
男「いや、いきなりテレビから現れて呪まーすって、反応出来ないよ」
貞子「普通うわぁーー!とかきゃぁぁぁ!!とか悲鳴あげるでしょ!!」
男「うわぁーー!!!!!」
貞子「きゃぁぁぁぁ!!!!」
貞子「ぐすっ、い、いきなり大声出されたら誰だってビックリしますよ!!」
男「うん、いやそれは俺が悪かったけど。君だれ?」
貞子「テレビから出てきて呪まーす、ですよ!?貞子です!!あの貞子ですよ!!」
男「貞子?ああ言われてみれば。髪の毛長いし」
貞子「そ、そこですか」
貞子「貴方は先程このビデオを見ましたね?」
男「ああ、友人に借りててな。あいつはビビって見ていないらしいが」
貞子「はい、それで見ていた貴方に呪いをかけました」
男「は?」
貞子「貴方の命はあと一週間です」
貞子「本当です。証拠にほら、私がテレビから出てきているじゃないですか」
男「貞子!!」バンッ!
貞子「ひっ!い、いきなり押し倒してなにを!!」
男「俺の呪いを解く方法を教えろ」
貞子「あ、ありません!!」
男「・・・本当のことを言え、呪いを解く方法は?」
貞子「あ、ありま、、、せんっぐすっ」
男「と、く、ほ、う、ほ、う、は!?」
貞子「ありませんってばぁぁ!!」半泣き
貞子「い、いきなり押し倒されて・・・びっくりした・・・」ドキドキ
男「まぁ、かけられちまったもんは仕方ねえか。貞子」
貞子「は、はいっ!」
男「とりあえずその濡れた服着替えろ。俺のシャツかしてやるから。あと風呂はいれ」
貞子「えっ!?」
貞子「えっと、お風呂は」
男「このドアの先。赤色の容器がシャンプーで青色がボディソープな」
貞子「あ、ご親切にどうも」
男「いいよ別に。あと一週間の命ならはとに優しくしていきたいからな」
貞子「・・・・すみません」カラリ
貞子「あの~、男さ~ん。シャンプーの替えはどこに」
男「しっかしあと一週間かぁ」
男「せっかくこの前大学の合格通知が来て親と喜んでたのになぁ」
男「親父には無理させてたからなぁ。俺が死んだら少しは楽になるかな?」
男「お袋は、悲しむだろうなぁ。まこればっかりはどうしようも」
貞子「す、ずびばぜん"~~~~!!!、」
男「うおっ!?ぜ、全裸の貞子さん!?」
貞子「すみません!!呪いなんかかけちゃってすみません!!!」
男「あ、聞いてたんだ」
貞子「で、でもぉ・・・」
男「そ、それよりもですね貞子さん」
貞子「?はい」
男「そろそろ前を隠していただけたらありがたいんですけど・・・」
貞子「き、」
男「き?」
貞子「きゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!」
男「え、えーとですね貞子さん。先程のものは目を逸らしていたので全然見ていなかったというか」
貞子「・・・私の胸どうでした?」
男「小さかったけど可愛い乳首とかつるぺたな胸とかドストライクでした」
貞子「バッチリ見てるじゃないですかぁ・・・・うわぁぁぁぁぁぁん!!」
男「あー、貞子さん貞子さん」
貞子「ダメ、お嫁にいけない。子供も産まれちゃう」
男「・・・貞子さん?」
男「は、はいっ!」
貞子「こ、子供は何人欲しいですか・・・?」
男「・・・貞子さん、君は子作りを根本的に間違えている」
貞子「ふえ?男さん何を言っているんですか?キスとか裸を見られたら女の人は子供が生まれちゃうんですよ?」
男「お前は小学生か!!」
貞子「ひっ!」
貞子「そ、そうだったんですか・・・」
男「それよりも、君のことだよ貞子さん。君は人を呪うだけのために出てきたのかい?」
貞子「はい!!人を殺してその魂を集めるにする。それが私達下っ端貞子の仕事です」
男「下っ端貞子、貞子にも階級があるのか」
どこで?」
貞子「えっと、別にどこでも・・・」
男「じゃあ俺の布団使って、俺はソファーで寝るから」
貞子「ええ!?だ、ダメですよ!仮にも私は貞子ですよ!?」
男「俺は幽霊だろうがなんだろうが女には優しくするようにしてんの。つべこべ言わずに寝ろ」
貞子「じゃ、じゃぁお言葉に甘えまして・・・おやすみなさい」
男「ん、みー」
貞子「」すーすー
男「夢じゃ、なかったのか」
男「昨日から始まってあと六日の命か」
貞子「ーーーーんにゃぁ」すーすー
男「・・・可愛いな、貞子なのに。貞子なのにっ!」
貞子「え、?あ、おはようございます男さん」
男「朝飯できてるぞ。早く食え」
貞子「あ、朝ご飯ですか・・・?」
男「なんだ?味噌汁嫌いだったか?」
貞子「い、いえぐすっ」
貞子「い、今までこんなにぐすっ、優しくされた事なくて・・・」
男「あー、貞子だもんねぇ。嫌われるのは当然だよな」
貞子「あ、ありがとう、ございますっ」ぐすぐす
男「・・・あのさ貞子さん」
貞子「はい・・・?」
貞子「え、あはい。井戸に住んでましたから。あかぎれとかするんですよ」
男「ちょっと待ってて」
貞子「?」
男「これ、あかぎれ用の薬。と包帯。薬塗ったあと巻いときな」
貞子「あ・・・はい、わかりました」
男「さて、今日はなにしようか。街にでも遊びにいく?」
貞子「え・・・?」
男「一週間で死ぬんだ。楽しい事して死にたいし」
貞子「すみません」
男「いいよ、謝らなくて。どこいく?服屋とか美容室とかいこうか」
貞子「び、美容室ですか」
男「髪も長くて綺麗だし。整えた方がいいと思うし」
貞子「なんで、ですか?」
男「・・・死ぬから、だよ。最後くらい一人にだけでもいい人でいたいんだよ」
貞子「・・・・」
男「さて、遊ぼうぜ。死ぬとこも忘れてさ」
男「はぐれんなよー、はぐれたらもう会えないぜ~」
貞子「うー、えいっ!」ポンッ
男「は!?貞子さん!?消えたよ!!」
ヴィーヴィーヴィーヴィー
男「着信?」
貞子「やっほー」
男「」
男「もとには?」
貞子「ここで戻したかったらテレビを探さないといけませんね」
男「服買えないじゃん!!」
貞子「ああ!!驚かそうとして忘れてた!!」
男「はぁ、まあいいか」
貞子「いいですね、白色は私好きですよ」
男「お、そうか?じゃあこれな」
貞子「はい!えっとじゃあ次は」
男「これとか似合いそうじゃねぇか?」
貞子「椿、ですか?」
貞子「お、男さんが言うなら」
男「ん、オッケー」
店員「16580円です」
男「あ、カードで」
男「別にいいよ、どうせ死んだら金とか関係ないし」
貞子「そ、それもそうですね」
男「だろ?さ、さっさと帰って服きてくれよ」
貞子「は、はいっ!!」
男「・・・すげぇ、似合ってる。白ワンピがここまで似合う奴はそうそういねぇよ」
貞子「そんなに褒めても何もでませんよ」テレテレ
男「いや、本当に。これは墓まで持っていく」
貞子「そこまで言ってくれるなら着た甲斐がありました」
男「そりゃ俺のセリフだよ」
喧嘩も問題もなく、ただ二人で遊ぶ毎日。貞子の笑顔を見るのがいつしか俺の楽しみになった。
男「あと一日、か」
貞子「短かったですね。あっという間でした」
男「俺が死んだらお前はどうなるんだ?」
貞子「テレビの中に戻ってまた誰かの手に渡るのを待ちます」
貞子「まぁ、男さんほど優しい人はもう現れないかもしれませんが」
男「ははは、ったく。死ぬってのに実感がわかねぇな」
男「・・・貞子さん」
貞子「はい?なんですか」
俺が貞子さんに抱いてる気持ちは
男「死ぬ前にいう事があるんだ」
貞子「なんでしょう。そんなにあらたまって」
たぶん、じゃなくて確かに
男「俺、貞子さんの事好きだ」
貞子「う、嘘ですよね!?死ぬ前の冗談ですよね!!あ、あははは男さんったら質のわるい冗談を」
男「本気だよ。俺は貞子さんが好きだ」
男「その黒い髪も、丁寧な口調も、可愛い笑顔も全部」
貞子「・・・ダメですよ。私なんかを好きになったら」
貞子「それは死ぬ間際にいるからです。私じゃなくても」
男「そうかもしれない、でも俺は貞子さんが好きなんだ」
貞子「・・・・・」
男「?」
貞子「私だって、男さんのこと好きですよぉ、グスッでも、私は貞子なんです!!人間と結ばれる事は出来ないんです!!」
男「・・・・いや、俺は貞子さんの気持ちがわかって嬉しいよ。それだけで俺は死ねる」
男「ありがとう。貞子さん」
貞子「ぐすっぐすっ」
男「泣かないで、貞子さん」なでなで
貞子「男さああああん!!!うわぁぁぁぁぁぁぁん!!」
貞子「なんで!!なんで私は貞子なんですか!?いつもなら憎まれて!!恨まれるだけでいいのに!!こんなにも人を好きになって!!」
貞子「私が貞子なんかじゃなかったら!!貴方とも普通の恋が出来たかもしれないのに!!どうして!!どうして!!」
男「泣き疲れたか、俺も寝ようかな」ゴロン
貞子「」むくり
男「」zzz
貞子「男さん。呪いを解く方法はありませんが、回避する方法ならあるんです」
貞子「私達の呪いは時間が決まっているんです。その時間と違う時に対象が死んでしまったら呪いは不成立。救われます」
貞子「・・・さようなら、男さん。愛してます」
貞子は包丁を左胸に突き立てた。
男「・・・・・んぁ、ここは?」
母「男!!良かった、目が覚めて・・・」
男「母さん?」
父「お前、二日前の事は覚えているか?」
男「二日前・・・?」
母「包丁が胸に突き刺さっていたのよ、あと少しで肺にとどいて手遅れになっていたらしいわ」
父「なんにせよ、生きていて良かったよ」
男「呪いが解けたのか・・・」
父「手術中何度か心臓が止まったらしい。それを死んだと言うのならお前は何回か死んでるよ」
男「・・・そうか。俺の部屋は?」
母「そのままにしてあるわ。でも」
男「でも?」
母「救急車に連絡してくれたのは誰なんでしょうかね」
お袋が実家に戻るかと言ってきたがあの部屋は俺と貞子さんの思い出が詰まっているへやだ。誰かに譲る気なんて毛頭ない。
男「久しぶりの我が家か。血だまりとかあるのかなぁ」
男「まぁ、いいや。すぎた事だ諦めよう」
男「ただいま~っ!!」ガチャ
シャワァァァァァ
男「?」
貞子「」シャワァァァァァァ
男「」
男「・・・・えっと、その~。お邪魔しました~」スススッ
貞子「きゃぁぁぁぁぁぁ!!!!」
男「えっと、貞子さん」
貞子「・・・なんですか」
男「お久しぶり、元気だった?」
貞子「私の裸見て感想はそれだけですか!?」
男「いや、だってさいるとは思わないし」
貞子「私は貞子としてやってはいけない事をしてしまったので、テレビの中に戻れなくなったんです」
男「あー、そうなんだ」
貞子「ええ、それじゃあ男さん」
男「おう」
貞子「今後とも、呪まーす!!」
終
乙
よかったよかった
祝まーす
Entry ⇒ 2012.01.31 | Category ⇒ 男女「」SS | Comments (0) | Trackbacks (0)
まどか「泣いてなんかないもん」
http://hayabusa.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1327237596/
B「おはよー!」
まどか「うん、おはよぉ」
A「今日はちょっと遅刻しちゃいそうだね、急がなきゃ」
B「急げ急げー」
まどか「あっ、まってよぉ」
まどか(わたしの上履きがない…?)
A「まどかちゃん、早くしないと遅刻しちゃうよ?」
まどか「う、うん…」
B「どうしたの?」
まどか「えっと……」キョロキョロ
まどか「…さ、先に行ってて?わたしもすぐに行くから」
B「えっ?でも…」
まどか「ね?先に行っててよ」
A「…うん、わかった」
B「まどかちゃん、どうかしたのかな?」
A「うーん…わかんないや」
まどか「どこか違うとこにしまっちゃったのかな?」
まどか「んーと…」キョロキョロ
まどか「…ないよ、どうしよう………」
まどか「誰かが間違えて履いて行っちゃったのかな…?」
C「やばっ!遅刻遅刻ー!」ドタバタ
C「ん?どしたの?そんな所に突っ立って?」
C「何か探し物でもあるの?」
まどか「そ、その…」
C「!」
C(あれ?この子、上履き履いてないじゃん)
C(…もしかして)
C「よーし、あたしも一緒に探してあげるよ!」
C「だいじょーぶ!なんとかなるって!」
まどか「あっ…」
C「どこかなー?っと…」
まどか「あ、あのっ」
C「んー?どうかした?」
まどか「わ、わたしのことは気にしないで?あなたは先に行ってていいよ」
C「それに」
まどか「それに?」
C「困った時はお互い様!」
まどか「!」
C「なーんてね、えへへ」
まどか「…あ、ありがとう」
C「うんうん!さっ、早く見つけて教室に行かなきゃね」
まどか「うんっ!」
A「まどかちゃん、遅いね」
B「そろそろチャイム鳴っちゃうよ?」
A「どうしちゃったのかな…?」
D「ふふっ、今ごろ泣いてるんじゃないの?」
E「あはは!まどかって泣き虫だしね」
F「ほんとほんと、まどかは新しいオモチャだよねー」
G「………」ジィー
C「うーん…誰かが間違えて履いたんなら、その子の上履きはあるはずなんだけど」
C「それもないしねぇ…」
まどか「やっぱり……隠されちゃったのかな」
まどか「…わたし、誰かに嫌われちゃったの……?」
C「いや、まだそうと決まった訳じゃないよ!」
まどか「だってぇ…」
C「んー…あ、そうだ!名前!」
C「そそ、あんたの名前だよ、まだ聞いてなかったよね」
C「同じ学年なのは知ってたけどさ、同じクラスになったことないし」
まどか「そ、そうだね」
C「で、何て言うの?」
まどか「…まどか」
C「そっか、まどかか!」
まどか「うん」
C(これってもしかして、まどかのじゃ…)
C「ん…しかめ?」
まどか「あっ、かなめだよ」
C「あー、そう読むんだ、ほら!あったよ!」
C「はい、かなめまどかちゃんの上履き!」
C「てへへ、いいってことよ!」
まどか「えへへ…」
C(なんであんな所に…やっぱりわざと隠してるっぽいね)
C(ただのいたずらかな…これで終わればいいんだけど)
まどか「あ、あのっ」
C「ん?」
キーンコーンカーンコーン
まどか「あっ」
C「やばっ!チャイム鳴っちゃったよ!」
C「ほらっ、急がなきゃ!行くよまどか!」
まどか「う、うんっ」
C「じゃ、あたしのクラスはあっちだから」
まどか「あの…ありがとう!」
C「てへへ、じゃーね!」
まどか「ばいばい…」
まどか(お名前、聞きそびれちゃった…)
先生「出席をとります」
D「まどか、やっぱり間に合わなかったね」
E「見つけにくいとこに隠したもんね」
F「泣いてる顔が目に浮かぶわ」
G「……鹿目さん」
まどか「…おはようございます」
先生「あら、鹿目さん。遅刻ですよ?」
まどか「ごめんなさい…」
E「おっ、きたきた」
D「裸足のまどか…ってあれ?」
F「ちぇっ、見つけちゃったか…つまんないの」
G「……良かった」
まどか「はぁ…」
まどか(なんで隠されちゃったのかな?)
A「まどかちゃん」
まどか「な、なにかな?」
B「今朝はどうしちゃったの?」
まどか「あ、え…えっと…」
A「?」
まどか「その、ちょっと…おトイレに…」
A「良かった、何か悪いことがあったのかと思ったよ」
まどか「う、うん…ごめんね」
B「ううん、良かった良かった」
G「鹿目さん…」
G(嘘をついてるの…?)
F「はぁー、つまんないのー」
G「!」
D「もっと分かりにくいとこに隠せばよかったね」
E「ねね、次は放課後までにさ、あれやらない?」
F「ん?あぁ!あれね!わかった、やろやろっ!」
D「うん、そうと決まれば早くしちゃおっか!」
F「さんせー!」
G「あっ…」
G(また鹿目さんに…どうしましょう)
G(私に…何かできれば…)
まどか「はぁ…」
まどか(今日はちょっぴり疲れちゃったな…)
まどか(あれから何も無かったから良かったけど…)
A「ごめん、まどかちゃん」
まどか「えっ?」
B「今日はわたし達、係りの仕事があるからまだ帰れないんだ」
A「だからね、今日は先に帰ってて?」
まどか「あっ、うん、わかったよ。お仕事頑張ってね」
まどか「ううん、大丈夫だよ。それじゃあ帰るね?」
A「ばいばい、まどかちゃん」
B「ばいばーい」
まどか「ばいばい、また明日ね」
まどか(今日は早くお家に帰って宿題しなきゃ)
まどか「……!」
まどか「そんなぁ…」
まどか「なんで……やっぱり、わたし…誰かに……?」
まどか「…うっ」ウルウル
まどか「……探さなきゃ」ゴシゴシ
H「ね、今度の日曜日に一緒にお買いものに行こうよ」
I「今度の日曜日?」
H「うん!」
H「えっ、そうなんだ」
I「ふふっ、久しぶりにお父さんとお母さんと3人でお出掛けするの」
H「そっか、なら仕方ないね。何処に行くの?」
I「美味しい紅茶を……あら?」
I(あの子…ずっと下駄箱で何をしているのかしら?)
I「ごめんね、先に行ってて?」
H「えっ?…うん、わかった」
まどか「…ないよぉ……」グスッ
まどか「朝のところにもないし…どうしよう……」
I「ねぇ、何か探し物をしているの?」
まどか「…わたしの靴がないの」ゴシゴシ
I(もしかして…いじめ?)
まどか「ちゃんとしまったのに…なんで……」グスッ
I「…大丈夫、きっと見つかるわ」
まどか「でもぉ…探しても見つからないもん……」
I「私も一緒に探すわ、諦めちゃダメだよ?」
まどか「………」ゴシゴシ
I「よしよし」ナデナデ
I「ふふ、それじゃあ探しましょう?」
まどか「うん」
I「靴はどんな色なの?」
まどか「ピンク…」
I「そう、わかった。私は向こうを探してくるわね?」
まどか「うん…ありがとう」
I「ふふっ、早く見つけて帰ろうね?」
I「たしか、この辺りに…」キョロキョロ
I「あった!やっぱりここに…うん、ピンクだし間違いなさそうね」
I「ちゃんとお名前も書いてあるわね、かなめまどかちゃん…か」
まどか「わたし…何か悪いことしたかな…」ウルウル
I「まどかちゃん」
I「はい、これ…よね?」
まどか「う、うんっ」
I「まどかちゃん、その…中には意地悪しちゃう子もいるかもしれないけど」
I「仲間が…お友だちがいることを忘れちゃダメだよ?」
まどか「えっ?」
I「辛いことがあっても、絶対に助けてくれる人がいるから…」
I「そのお友だちを大切にしてね?」
まどか「あ、あのっ…」
I(この子と…昔の私が重なって見えちゃった)
I「…とにかく、辛いことがあっても、きっとお友だちが助けてくれるわ」
I「だから頑張ってね?」
まどか「…うん」
H「もぉ、どうしたの?遅いから戻って来ちゃったよ」
I「あっ、ごめんね?今すぐ行くわ」
まどか「あの…ありがとう」
I「うん、頑張ってね。さようなら」
F「あーあ、なんか隠してた靴見つかったみたいだね」
D「まぁいいじゃん、今日も隠せばいいんだしね」
E「そだね…あれ?」
D「ん?何かあった?」
E「いや、まどかの下駄箱の前にずっとあいつが立ってるからさ」
G「……」
D「邪魔だね」
E「よし…ねぇ、あんた」
G「あら、おはようございます」
E「おはよ、でさ…そこで何してんの?」
G「ふふっ、少し用事がございまして」
E「用事?何時まで?」
G「さぁ…どうでしょう?」
D「何て?」
E「よくわかんないけど、邪魔だから今は止めとこうよ」
F「んー、見られたら面倒だしね」
D「仕方ないなぁ、もう」
G「……ほっ」
A「でさ~」
B「あはは!」
まどか「……」
まどか「う、ううん!なんでもないよ?」
A「そぉ?」
まどか「うんっ」
A「わかったよ、でね~」
B「そうなんだ~」
まどか「……」
まどか(また…隠されてたらどうしよう……)
まどか(良かった…今日は隠されてなかった)
G「あら、みなさん」
A「あっ、仁美ちゃん、おはよう」
B「おはよー」
まどか「志筑さん、おはよう」
仁美「はい、おはようございます」
仁美「ええ、ちょっと用事が」
A「そっか、でももうそろそろ時間だし早く教室に行こうよ」
仁美「そうですわね」
B「よーし、行こっ、まどかちゃん」
まどか「うんっ」
まどか(今日は何もなければ良いなぁ)
B「言われてみればそうかも…ね、まどかちゃん」
まどか「そうだね。志筑さんとはあんまりお喋りしたことないかも…」
仁美「…そうですわね、ごめんなさい」
B「あはは、別に謝らなくても」
A「お稽古、大変みたいだしね」
仁美「ええ、まぁ…」
B「男子には大人気だもんね、仁美ちゃんはさ」
A「この前もラブレターもらったんでしょ?いいなぁ」
まどか「うん、すごいよね」
仁美「…ですが、全てお断りさせていただきましたわ」
B「家の人がうるさいんだっけ?」
仁美「はい、小学生には早すぎるって」
A「あはは、その辺難しいよね」
仁美「…ええ」
B「ん?もしかしてラブレター欲しいの?」
まどか「ち、違うよぅ!」
A「照れない照れない」
まどか「もぉ!違うってばぁ!」
B「あははっ」
仁美「ふふっ」
まどか「も、もぅ…」
D「うん、ばっちり聞いたよ!」
F「あたし、良いこと思いついちゃった」
E「あっ、あたしもー!」
D「んじゃ、さっそくやってみますか!」
F「さんせー!」
A「ね、仁美ちゃん。良かったら久しぶりに一緒に帰らない?」
仁美「…ごめんなさい、嬉しいんですけれど、今日は急ぎの用事があって」
B「…お稽古かぁ、頑張ってね」
仁美「ええ…それでは」
まどか「志筑さん、すごいなぁ…いっぱいお稽古してるんだよね?」
B「みたいだね、何でもできて凄いよ」
A「でも大変そうだよね」
まどか「うん」
仁美「あら?」
E「後は体育館の裏で待ってるだけだね」
D「でも来なかったらどうする?」
F「その時はその時でしょ」
仁美「…体育館の裏?」
仁美(まさか…)
A「ん?何が良かったの?」
まどか「ううん、なんでもないよ」
まどか(ちゃんとある…!)
まどか(昨日のは誰かが間違えちゃっただけなのかな)
まどか「えへへ」
B「なんかご機嫌みたいだねー」
まどか「えっ?…あっ!」
B「なになに?…手紙?」
A「まどかちゃんへ。って…もしかして、これって」
B「ラブレターじゃない!?」
まどか「えっ?えっ?」
A「やったじゃん!ラブレターだよ、ラブレター!」
まどか「わ、わたしに?そんなっ、えっ?」
まどか「も、もぉ!からかわないでよぉ!」
B「ごめんごめん」
まどか「で、でもどうしよぉ…」
A「あっ、わたし達がいたら読みづらいか。先に行っとくから、ゆっくり見といでよ」
B「そうだね、んじゃお先にー」
まどか「あっ、ちょっと…」
まどか「ど、どうしよぉ…」キョロキョロ
まどか「ら、ラブレター…!」ドキドキ
まどか「だ、大丈夫…かな?」オロオロ
まどか「んと……」キョロキョロ
D「うわっ!マジで来た!」
F「まんまと騙されてやんのー」
E「よーし!それしゃ行くよ!」
D「おーっ!」
F「楽しみ楽しみ」
まどか(ラブレターは嬉しいけど…やっぱりお断りしなきゃ)
まどか(謝った方がいいのかな…?)
まどか「うーん…」
F「おまたせー」
E「ちゃんと来てくれたんだ」
まどか「えっ?」
D「あっ、そのラブレター書いたのあたしらだから」
まどか「……え?」
F「なになに?ラブレター貰って浮かれてたの?」
まどか「ち、違うよ…わたしはお断りしに……」
D「…え?断りに来たの?」
まどか「だ、だって…わたし、J君のことよく知らないし…」
E「へぇー、てっきり喜んで来ると思ったのに」
まどか「え?」
D「うん、そーゆーとこムカつくんだよね」
E「なんかぶりっ子みたいだし…だから目をつけたんだけどね」
まどか「目をつけた…?」
F「そそ、いじめのね」
まどか「!?」
まどか(えっ…そんな……)
D「うん、あたしたちがしたんだよ」
まどか「な、なんで…?」
E「なんとなくムカつくからかな?」
まどか「え…そんなのって……」
F「ま、そーゆーことだから、よろしくね」
D「まどかちゃん!」
まどか「い、いやっ…」
仁美「……!?」
まどか「や…やめてよぉ……」ウルウル
E「あははっ!」
D「もう泣きそうじゃん」
まどか「泣いてなんかないもん…」
F「泣き虫ー」
まどか「うぅぅっ……」グスッ
仁美(助けなきゃ…でもどうすれば……)
プルル
仁美(お稽古の電話…こんな時に……)
仁美(でも、鹿目さんが…)
C「ふぅー、やっと終わった」
C「仕事長引きすぎだよ、もー」
C「…ん?あそこにいるのって、仁美?」
C「仁美がこんな時間に珍しい…なんかあったのかな?」
仁美「…ごめんなさい、お友だちの方が…大事です」
仁美「…鹿目さん!」
D「ん?」
まどか「うぅ…ぐすっ……」
F「あれ?仁美じゃん、なんであんたがここに?」
E「…もしかして」
仁美「そ、そういうことはよろしくないと思います!」
まどか「…ぐすっ…志筑さん…?」
D「別にいいじゃん、仁美には関係ないでしょ?」
仁美「…関係あります」
まどか「ぐすっ…」
E「なんで?仁美とまどかは特に仲が良いわけじゃないでしょ?」
F「むしろ仁美に仲が良い友達なんて…」
仁美「…私と鹿目さんはお友だちですわ!」
まどか「志筑さん…」
F「ふーん?まぁどうでもいいけど」
仁美「……」
まどか「し、志筑さん…いいよ、わたしなんかに構わないで…」
まどか「帰って…危ないから…」
仁美「…ううん、鹿目さんはお友だちですもの、帰るわけには行きませんわ」
まどか「志筑…さん……」
仁美「ふふっ」ニコッ
D「もういいよ、まどかも仁美もやっちゃおーよ」
F「うん、そうしよっか」
E「じゃあさっそく…」
仁美「…っ」ギュッ
F「あははっ!目を瞑ったて痛みは変わらないよ?」
D「そうだ!この髪切っちゃおうよ」
F「ハサミもあるしね」
まどか「志筑さん…に、逃げて!わたしのことはいいから!」
仁美「…大丈夫」ニコッ
E「なに笑ってんの?きもちわる」
まどか「志筑さんっ!」
仁美「…」
D「何しに来たのかしらないけど、あんたもバカだよね」
F「ほんと、まどかの事なんかほっとけばいいのにね」
E「そんじゃ、切りまーす」
まどか「仁美ちゃんっ!」
仁美「…鹿目さん」
F「ほら、早く早く」
E「わかってるって」
まどか「仁美ちゃんっ…なんで…なんで仁美ちゃんが……」
D「もー、うるさいなぁ」
仁美「っ……」
まどか「誰か…誰か助けてよ…!」
まどか「パパ…!」
C「2対3なんて、相変わらず卑怯だね」
E「…ん?」
C「そんなことするのってさ、カッコ悪いよ」
まどか「あっ…!」
C「でもこれで3対3だね」
仁美「あっ…」
まどか「あなたは…昨日の…」
C「なるほどねぇ、あんた達がまどかのことを…」
C「まどか、大丈夫。あたしはまどかの味方だよ?」
まどか「味方…お友だち…?」
さやか「友だちだと思った?正解!さやかちゃんだよ!」
Cちゃんはさやかちゃんだったのかー
仁美「さやかさん…」
さやか「仁美の後をつけて正解だったよ」
D「またあんたぁ?しつこいなぁ…!」
F「美樹さやか…あんたは何も関係ないじゃん」
さやか「あんたこそ、性懲りもなくまだ虐めなんてやってるわけ?」
F「うっさい!あんたからやってやる!」
さやか「ふんだ、あんたみたいな奴に負けるわけないじゃん」
さやか「あたしのならいいよ、でも仁美とまどかの切ったら許さないよ!」
まどか「…さ、さやかちゃん」
仁美「だ、ダメっ!さやかさんは…」
さやか「関係あるって、仁美も、まどかも友だちだからね!」
さやか「友だちを見捨てるなんてできないっしょ?」
まどか「さやかちゃん…」
F「そーゆー正義の味方気取りとかいいから」
D「いっつもいっつもカッコつけちゃってさ!」
さやか「あたしは別に正義の味方なんて気取ってないよ」
さやか「でも、あたしは友だちの味方はするから!」
D「うざーい!」
さやか「ふんっ!うざいのはあんた達じゃん!」
E「もう切るよ!」
さやか「あっ…!」
E「…もー、こんどは誰?」
I「先生を呼んだわ、もうすぐ来るはずよ」
D「えっ?」
F「や、やばっ!逃げるよっ!」
E「あっ、待ってよ!」
さやか「ばーか!」
まどか「……ぐすっ」
仁美「ほっ…」
さやか「あたしは別になんともないけど…」
仁美「わ、私も大丈夫…でも」
まどか「うっ…ぐすっ…うぅぅっ……」
さやか「まどか…」
I「…落ち着くまで待ってようか」
仁美「そう…ですわね」
I「…先生を呼んだのは嘘よ、とっさに思い付いたのがあれしかなったから」
さやか「あぁ、そうなんだ…でもありがとう」
仁美「助かりましたわ」
I「…ええ、良かったわ」
I「でも……」
まどか「ぐすっ……」
仁美「私が来た時にはもう…」
さやか「くっそー!もっと早く仕事終わらせとけばよかった!」
まどか「…め…さい…」
さやか「えっ?」
まどか「ごめ…んなさい…」
仁美「鹿目さん…?」
I「どうしたの?」
まどか「ごめんなさい…」
さやか「ちょっ、ちょっと、まどか?」
仁美「迷惑だなんて、そんな…」
I「………」
まどか「でもぉ…わたしのせいだもん……」
仁美「そうですわ、鹿目さんは何も…」
まどか「でもっ…でもぉ……」
I「…ねえ、まどかちゃん」
まどか「ぐすっ…」ゴシゴシ
I「私が話したこと、覚えてる?」
まどか「話したこと…?」
I「そう」
まどか「あっ…」
I「辛いことがあっても、絶対に助けてくれる人がいるって」
I「そのお友だちを大切にして、ってね」
まどか「お友だち…」
I「うん、そのお友だちがこの子達なんだよ?」
さやか「…てへへ」
仁美「ふふっ」
I「まどかちゃんは一人じゃないんだよ」
まどか「…うんっ」
I「ふふっ」ナデナデ
まどか「えへへ…」
H「あっ、いたいた!」
K「帰ろうよー!」
L「頭使ったからケーキ食べたい」
I「ふふ、じゃあ元気でね。ばいばい」
まどか「あ、ありがとう!」
仁美「ありがとうございました」
さやか「ばいばーい」
まどか「ばいばい…!」
仁美「ありがとうございます、さやかさん」
さやか「いいっていいって!」
まどか「あ、あの…」
さやか「ん?」
まどか「ほ…本当にありがとう…わたしなんかの為に…」
まどか「まだ、名前もちゃんと知らないのに…」
さやか「ん?あっ、そっかそっか」
さやか「あたしは美樹さやか!さやかちゃんって呼んでくれたまえ!」
さやか「へへっ、いいってことよっ!」
さやか「まどかが無事で良かった!」
仁美「ええ、本当に良かった」
まどか「仁美ちゃんも、ありがとう…!」
まどか「仁美ちゃんがお友だちって言ってくれて…すっごく嬉しかったんだ」
仁美「あまりクラスのみんなとお話しすることがない私と、お話してくれますし」
仁美「それに…仁美ちゃんって、呼んでくれて」
仁美「とっても嬉しかったんですよ」
仁美「ありがとう、鹿目さん…!」
さやか「んー…仁美さぁ、鹿目さんよりも、さ」
仁美「…そうですわね」
まどか「?」
仁美「まどかさん、ありがとう」ニコッ
まどか「…仁美ちゃんっ!」
さやか「うんうん、これで良しっと!」
さやか「ん?」
仁美「何がですか?」
まどか「わたし…どんくさいし、何の取り柄もないし…」
まどか「だから…その…変な意味じゃなくてね?」
まどか「本当にわたしなんかのお友だちになってくれるのかなって…」
仁美「……」
まどか「うぅ…」
さやか「…あはははっ!」
仁美「ふふふっ」
まどか「えっ?あっ…」
さやか「なーに言ってんの?友だちになるのにそんなの関係あるわけないじゃん!」
仁美「ええ、そうですわね」
まどか「えっ…?」
さやか「でもさ、最初はみんなそうじゃん!」
まどか「あっ…」
さやか「会う度にどんどん仲良くなってくのが友だちなの!」
さやか「一度あったら友だちで、毎日あったら親友さ!」
さやか「なーんてね」
仁美「…兄弟では?」
仁美「ふふっ、たしかにそうかもしれませんわ」
まどか「さやかちゃん…仁美ちゃん…!」
さやか「ってことで!ここでさやかちゃんに提案があります!」
まどか「提案?」
さやか「これから毎日遊ばない?これも何かの縁だよ!」
さやか「運命!デッテニー!」
仁美「…デスティニー」
仁美「ふふふっ、ごめんなさい」
さやか「もぉー!」
まどか「てぃひっ!」
さやか「あー!まどかまでぇ…このこのぉー!」
まどか「きゃっ?やめてよぉ!てぃひひ!」
さやか「許さんぞぉー」
さやか「あっ、あれっ?」
仁美「まどかさん…どこか怪我を…?」
まどか「ううん…大丈夫だよ」
さやか「で、でも…泣いてる…よね?」
まどか「ううん…違うの」
まどか「泣いてなんかないもん」
まどか「…嬉しいから!」
仁美「…?」
まどか「えへへ…なんだか嬉しくって涙がでちゃったんだ」
まどか「ありがとう、さやかちゃん、仁美ちゃん」
まどか「わたし…とっても嬉しいんだよっ!」
まどか「お友だちになってくれてありがとう!」
さやか「…あたしこそ、ありがと!まどか!」
仁美「私も!」
まどか「えっ?」
さやか「昨日お小遣いもらったばっかりだしね」
さやか「ほら、最近美味しいたい焼き屋さんができたじゃん」
さやか「あれを2人に奢っちゃいますからね!」
仁美「でしたら、お金は私が…」
さやか「いーのいーの、ほらっ!行こうよ!」
まどか「あっ、待ってよぉ、さやかちゃん」
さやか「ついたー!ここってすっごく美味しいんだよ」
まどか「食べたことないや」
仁美「ええ、私も」
さやか「だから今から買ってきてあげるってば、待っててー!」
まどか「あっ…行っちゃった」
仁美「ふふ、さやかさんの明るさにはいつも助けてもらってばっかり」
仁美「お友だちになれて本当に良かったって、いつも思いますの」
まどか「そうなんだ」
まどか「さやかちゃん…!」
まどか「ありがとう、さやかちゃん」
さやか「うん。で、仁美の分」
仁美「ありがとうございます」
さやか「よし、食べよっか」
まどか「うんっ」
仁美「いただきます」
M「…いいなぁ」ジィー
モモ「お姉ちゃん…モモもたい焼き食べたい…」
N「…でも、家にはお金がないからさ」
O「…1つだけなら買ってあげるわ」
モモ「えっ?ほんと?」
O「うん、お姉ちゃんと半分こにして食べてね?」
モモ「わーい!ありがとう、お母さん!」
O「大丈夫よ、ほら、行ってきなさい」
モモ「行こうよ!お姉ちゃん!」
N「…うん、ありがとう!」
N「たい焼きかぁ…へへっ、久しぶりだな」
N「行くぞ、モモ!」
モモ「うんっ!」
まどか「うん、すっごく美味しいよ」
仁美「ええ、美味しい」
さやか「てへへ、今度も来ようね」
まどか「うんっ!」
仁美「ええ、もちろん」
さやか「これがあたし達の思いでの味だねっ!」
まどか「てぃひひ!」
まどか「うん、そうだよ。ほむらちゃん」
さやか「いやぁー、懐かしいねぇ」
仁美「あの時のことは一生忘れませんわ」
ほむら「…だからそんなに3人は仲良しなんだね」
ほむら(いいなぁ…羨ましい)
ほむら(私には…そんなお友だち…いないし…)
ほむら「えっ?私を…?」
さやか「うん、何も自慢する為に今の話をしたわけじゃないんだよね」
仁美「ふふっ」
ほむら「え…?」
まどか「ほむらちゃん、こっちだよ」
ほむら「あっ、待ってよ鹿目さん」
I「何か会わせたい人がいるって言ってたけど…」
N「だからって何でここで待ち合わせなのさ?」
N「ここたい焼き屋だぞ?」
I「ここは鹿目さん達にとって…」
まどか「マミさーん、杏子ちゃーん!」
杏子「おっ、やっと来たか」
マミ「ふふっ」
さやか「あっ、珍しく杏子が何も食べてない」
杏子「さやか達が来るの待ってたんだよ」
まどか「ごめんね、遅れちゃって」
ほむら「あ、あの…えっと……」
さやか「そうそう、んでもって今度からは親友になるんだよ」
ほむら「…えっ?」
まどか「えへへ、ほむらちゃんにも思いでの味を作ってもらいたいなって」
ほむら「思いでの味…?」
仁美「私が、まどかさんとさやかさんと作った時と同じ思いでの味ですわ」
さやか「だからここに連れてきたってわけ」
まどか「うん、わたし達の思いでの味…それを増やしたいなって」
ほむら「で、でも…私なんかが…その、お友だちになんて……」
ほむら「う、嬉しいんだけど…その…あのっ……」
まどか「ほむらちゃん」
ほむら「えっ?」
まどか「一度あったら友だちで、毎日あったら親友さ!…だよ?」
ほむら「…!」
まどか「えへへ。だから、ね」
まどか「てぃひひ!」
ほむら「えへへ…」ポロポロ
まどか「あっ」
杏子「お、おいっ?何で泣いてるんだよ?」
マミ「どうかしたの?」
ほむら「ううん…違うよ」
ほむら「泣いてなんかないよ」
ほむら「…嬉しいから!」
さやか「あはは、あの時を思い出すね」
仁美「そうですわね」
マミ「ふふっ、なんだか私も嬉しくなっちゃうな」
杏子「ああ、こう言うのも悪くないよな」
ほむら「えへへ…」
まどか「隣町の子とか」
まどか「先輩とか」
まどか「それから、転校生とか!」
まどか「あっ、もちろん、さやかちゃんとも仁美ちゃんとも仲良しだよ?」
まどか「みんなみんな」
まどか「わたしの大切なお友だち!」
おわり
時間がないから無理矢理終わらせた
ちゃんと最後まで書きためてから投下するべきだったな
ごめん
すごく良かった
みんな仲良しなのはやっぱ最強だな
Entry ⇒ 2012.01.31 | Category ⇒ まどかマギカSS | Comments (0) | Trackbacks (0)
絢辻「あたしが棚町薫で」棚町「あたしが絢辻詞」
http://hayabusa.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1327762829/
棚町「あたしに聞かれてもわからないわよ」
絢辻「夢じゃないのよね」
棚町「確かめてみる?」
グニニ
絢辻「いたっ、痛いから! つねるなら自分のほっぺをつねりなさいよ!」
棚町「どう? 夢じゃないってわかった?」
絢辻「そうね。どうやら現実みたいよ」
棚町「残念ね。あたしとしても夢だった方が嬉しかったんだけど」
絢辻「ホントどういうことなのよ。なんで、なんで……なんであたしたちの体と中身が入れ替わってんのよーっ!」
棚町「漫画じゃないんだから……と言いたいところだけど、それしか考えられないわね」
絢辻「お約束すぎるわよ」
棚町「はぁ……あなたが急に飛び出してくるから」
絢辻「あたしのせいにしないでよ! あたしは転びそうになってたアンタを助けようと思ってたのよ!」
棚町「誰も助けてなんて頼んでないでしょ。ひとりでどうにかなったわよ」
絢辻「あんな盛大に滑っといてなに言ってんのよ。パンツ丸見えだったわよ」
棚町「えっ!?」
絢辻「嘘だけどね」
絢辻「もう1回ふたりで落ちてみる?」
棚町「できればその方法以外でいきたいわね」
絢辻「たしかにね……今も体のそこかしこが痛いし」
棚町「他になにかない?」
絢辻「なんであたしに聞くのよ。頭いいんだからアンタも考えなさいよ」
棚町「考えてるわよ。ただ漫画をよく読んでそうなあなたの方がなにか知ってると思って」
絢辻「うーん、そうねぇ……雷にうたれるとか?」
棚町「不可能でしょ……」
棚町「使えないわね」
絢辻「だったらアンタがなんかいいアイディア出しなさいよ!」
棚町「う……」
絢辻「ほら見なさい。アンタだってなにも思い浮かばないんじゃないの」
棚町「も、もう授業がはじまるし一旦教室に戻りましょ」
絢辻「この状態で戻んの!?」
棚町「あたしはあくまで優等生として通ってるんだから、そのイメージを崩すような行動はしないでよ」
絢辻「ただ猫被ってるだけでしょうが」
棚町「棚町さん、わかったわね?」
絢辻「あーはいはい。わかったわよ」
絢辻「お。おーい、純一」
棚町「なっ……!?」
橘「へ……あ、絢辻さん? どうしたの?」
絢辻「は? アンタなに言って……あ」
橘「え?」
絢辻「ご、ごめんごめん。ちょっとアンタの――じゃなくて、あなたの名前を呼んでみたくなったの」
橘「そ、そうなんだ。急に名前で呼ばれたから驚いたよ」
絢辻「あ、あはは。気にしないで、橘君」
絢辻(この口調めんどくさぁ……)
棚町(早急に手をうたないと……あたしの尊厳が壊される前に)
高橋「それじゃあ絢辻さん、この問いに答えてくれる?」
絢辻「あ、あたしですか?」
高橋「ええ、いつもどおりよろしく」
絢辻「はぁい……えーっとですね……」
高橋「どうしたの? 絢辻さんならすぐわかるようなことでしょ?」
絢辻「そう言われても……お、織田信長?」
高橋「は……? 絢辻さん、受けを狙わなくてもいいのよ?」
絢辻「す、すいません、勘違いしてました! 坂本龍馬ですね!?」
高橋「……今、室町時代の話をしてるんだけど」
棚町(はやくなんとかしないと……)
橘「絢辻さん、今日はどうしたの? 調子悪いの?」
絢辻「そういうわけじゃないんだけどね……」
橘「絢辻さんが先生からの質問に答えられないところなんてはじめて見たよ」
絢辻「あたしもはじめてよ……」
橘(なんか素が出ちゃってるような気がするけど、本当にどうしたんだろう)
棚町「ねぇ、純一」
橘「ん? どうした、薫」
棚町「ちょっと絢辻さんに話があるから借りていい?」
橘「別にいいけど、お前が絢辻さんに話なんて珍しいね」
棚町「うん、ちょっとねー」
絢辻(なんでこいつは完璧にあたしを演じられんのよ)
棚町「棚町さん、あなたは午後の授業出ないでいいわ。いいえ、出ないでちょうだい」
絢辻「は? なんでよ」
棚町「あなたがあまりにバカだからよっ!」
絢辻「うわっ。急に大声出さないでよ」
棚町「あの程度の問題にも答えられないなんて……あなた、裏口入学でもしたの?」
絢辻「失礼ね、ちゃんと実力で入ったわよ!」
棚町「信じられないわね。ああ、もう最悪だわ……あたしが今まで培ってきた信頼が……」
絢辻「そんな気にしないで大丈夫でしょ。寝惚けてたと思われるだけじゃない?」
棚町「このあたしが授業中に居眠りなんてするわけないでしょ!」
絢辻「……そういえばアンタが居眠りこいてるとこ見たことないわね」
絢辻「それは構わないけど、あの優等生・絢辻さんが授業サボったりしていいわけ?」
棚町「問題ないわ。きっと先生方もあなたの間抜けぶりを見て、頭をうったんじゃないかと疑ってるだろうから」
絢辻「実際階段から落ちたしね」
棚町「それよりも明日からどうするかよ。学校を休むわけにもいかないし」
絢辻「元に戻る方法があればいいんだけどねぇ」
棚町「……棚町さん、今日の放課後空いてる?」
絢辻「今日? バイトないから大丈夫だけど」
棚町「じゃあ放課後は図書室で勉強会をするわよ」
絢辻「ええっ!? なんでそんなことすんの!?」
棚町「せめて恥をかかないくらいになってもらわないとあたしが困るわ」
絢辻「ねぇ……ホントにやんの?」
棚町「もちろんよ」
絢辻「明日から気をつけるから今日はやめない?」
棚町「気をつけてどうにかなることじゃないでしょ。もともと出来ないんだから」
絢辻「そうだけどさぁ……」
棚町「ほら、はやくペンを持ちなさい。一般常識も知らないようじゃ生きていけないわよ」
絢辻「大丈夫よ。あたし、勉強はできないけど仕事はできるから」
棚町「ダメです。はい、まずは日本史からね」
絢辻「いやぁ……」
絢辻「これわかんないんだけど」
棚町「……」
絢辻「ちょっと聞いてる? これわかんないって言ってんの」
棚町「はぁ……」
絢辻「なんでため息吐くのよ」
棚町「あなたの学力の低さに驚いているのよ。ここまでひとつも自力で解けてないじゃない」
絢辻「うっさいわね。日本史とか嫌いなのよ」
棚町「嫌いで片付けられるレベルじゃないわよ。脳の病気を疑ってしまうわ」
絢辻「アンタ、あたしのことバカにしすぎでしょ!?」
棚町「実際にバカなんだからしょうがないでしょ」
棚町「ふーん。じゃあどの教科が得意なの?」
絢辻「そうね、数学とかなら割とできるわよ」
棚町「だったらこの問題を解いてみて」
絢辻「これくらい余裕よ。こうやってあーやってこうして……どう?」
棚町「うん、正解ね。こっちの問題は?」
絢辻「んーまずは倍角で……次は合成かな……こっからは……」
棚町「その後はこうするのよ」
絢辻「あ、なるほど」
棚町「一応、数学が得意ってのは本当みたいね」
絢辻「少しは信じなさいよ」
棚町「それは判別式じゃなくて円の中心との距離を使うのよ」
絢辻「中心との距離? あ、点と直線の距離ね」
棚町「そういうこと。公式は覚えてる?」
絢辻「モチのロンよ」
棚町「じゃあ大丈夫ね。そのまま計算してみて」
絢辻「……」ジーッ
棚町「どうしたの? あたしの顔になにかついてる?」
絢辻「ううん。アンタって教えるの上手いのね」
棚町「そうかしら。あなたがちゃんと理解しようとしてるからだと思うけど」
棚町「構わないけど、あなたはそれでいいの?」
絢辻「うん。アンタが教えてくれるならできる気がする」
棚町「数学は基礎ができていたから応用問題も解けたのよ。日本史は基礎からボロボロじゃないの、あなた」
絢辻「だからアンタが基礎から教えてくれるんでしょ?」
棚町「まぁ、そのつもりだけど……」
絢辻「んじゃはやく教えて」
棚町「なによ、急にやる気になって……気持ち悪いわね」
絢辻「気持ち悪いは言いすぎでしょ!?」
棚町「今絢辻さんに勉強教えてもらってんのよ」
橘「薫がテスト前でもないのに勉強するなんて珍しいね。ん……?」
棚町「なに?」
橘「こら薫。なにが教えてもらってるだ。自分は問題集も出してないじゃないか」
棚町「こ、これには理由が……」
橘「どうせお前のことだから絢辻さんに全部やらせてたんだろう。まったく」
棚町「もうそういうことでいいわよ……」
橘「絢辻さん、あんまり薫を甘やかさないようにね」
絢辻「う、うん……」
棚町「本当ね。あなたがボロを出さないか不安でしょうがないわ」
絢辻「アンタが上手すぎんのよ。どうしてそこまであたしっぽく話せるの?」
棚町「あなたは声が大きいから、普段から話し声がよく聞こえるのよ」
絢辻「……これからは気をつけることにする」
棚町「それよりも橘君のあなたに対する保護者ぶりの方が気になるわね」
絢辻「あーあれは昔からよ。なんだかんだ面倒見いいのよね、あいつ」
棚町「きっとあなたが今まで散々無茶をしてきたからでしょうね」
絢辻「もしかして羨ましい?」
棚町「別に羨ましいわけじゃ……」
絢辻「はあぁ……久々に授業以外の時間に勉強したわ」
棚町「授業中にしっかり話を聞いてたら、もう少しマシだと思うけど」
絢辻「嫌いな教科だとどうしても聞く気にならないのよねー」
棚町「それは勉強してると言わないわね」
絢辻「アンタがあたしの家庭教師になってくれるってんならちゃんとやるわよ」
棚町「たまに教えるくらいならいいわよ」
絢辻「じゃあ早速物理の宿題のことなんだけど……」
棚町「言っておくけど、代わりに解いたりはしないからね」
絢辻「ちぇっ」
棚町「お互いの家に帰るしかないでしょ。体の方の」
絢辻「あたし、アンタんちなんて知らないわよ」
棚町「案内するからいいわよ。それよりも家での過ごし方の方が問題ね」
絢辻「そうね。トイレの場所とかちゃんと教えてよ」
棚町「あなたって能天気ね……」
絢辻「へ?」
棚町「普通、家族との接し方を気にしない?」
絢辻「ウチは9時くらいにお母さん帰ってくると思うから、挨拶するくらいでいいわよ。それまでに洗濯物取り込んで畳んどいて」
棚町「あら、あなたが家事の手伝いなんてするのね」
棚町「え……そうなの?」
絢辻「そうよぉ。あ、あとお風呂も掃除して沸かしといてね」
棚町「わかったわ。あなたは極力あたしの家族と関わらないようにして」
絢辻「話してたら絶対ボロが出るからね」
棚町「それもあるけど……まぁいいわ。部屋にいれば基本的には話しかけてこないと思うから」
絢辻「ずっと部屋にいるってのも退屈ねぇ」
棚町「我慢しなさい。細かいことは帰りながら話しましょ」
絢辻「オッケー」
絢辻「……おはよ」
棚町「おはよう。やけに元気がないわね」
絢辻「なんだか気疲れしちゃって……やっぱり人の家だからかしら」
棚町「それもあるだろうけど……あたしの家族はどう思った?」
絢辻「うーん……言っちゃ悪いけど、アンタって両親と仲悪いでしょ?」
棚町「やっぱりわかってしまうわよね」
絢辻「うん。一緒にご飯食べてるときの空気とかすごいきつかったわ」
棚町「でしょうね。昔から変わらないわ」
絢辻「ホントお姉さんだけが救いだったわよ」
棚町「……え?」
絢辻「お姉さんは話しやすくて助かったわ。アンタの言ってたとおりド天然だったけど、そのおかげでバレなかったし」
棚町「姉と話したの……?」
絢辻「話しただけじゃないわよ。お風呂入ろうと思ったらちょうどお姉さんとかち合って、一緒に入ろうって言われてさ」
棚町「……もしかして一緒に入ったの?」
絢辻「うん。あたしはひとりっ子だから、ああいうのはじめてですごい面白かったわ」
棚町「なんでそんなことしてしまったのよ……」
絢辻「特に断る理由もなかったし。いやーいいわね姉って。あたしも兄弟姉妹ほしかったなぁ」
棚町「そう……ほしいならあげるわよ、あんな姉でいいのなら」
絢辻「アンタ……なんか怒ってる?」
棚町「別に」
棚町「そうね。まず教科書や参考書の類が1冊もないことに驚いたわ」
絢辻「勉強する気だったの!?」
棚町「勝手もわからないから、それしかやることがなかったのよ」
絢辻「なんていうか……やっぱりアンタは次元の違う人間ね」
棚町「しょうがないからあなたのノートを見たけど、まったく意味をなしてないし」
絢辻「あはは……」
棚町「と言うわけで、暇つぶしに補足しておいてあげたから参考にしなさい」
絢辻「え、そこまでしてくれたの?」
棚町「言ったでしょ、ただの暇つぶしよ」
棚町「あなたは大変だったでしょう」
絢辻「そこまでじゃないわよ。親とは食事のときしか顔合わせなかったし。むしろ髪の方が大変だったわ」
棚町「ああ、洗うのがってこと?」
絢辻「そうそう。長い髪なんて今までしたことなかったから、どう洗えばいいのか悩んだわ。時間もかかるし」
棚町「あたしだってそうよ。この髪を洗うの大変だったわ」
絢辻「雨の日が一番辛いのよ」
棚町「今も頭が重いわね。いっそ切ってしまいたいわ」
絢辻「やめてよ!?」
橘「お、薫じゃないか。今日は早起きできたみたいだな」
棚町(橘君との距離が近いことだけは役得ね)
棚町「いつも早起きしてるわよ。そのままもう一度寝ちゃうだけで」
橘「それは早起きじゃなくて二度寝と言うんだぞ」
棚町「細かいことはいいじゃない。アンタだってはやくあたしに会えて嬉しいでしょ」
橘「嬉しいなんて一言も……お、おい! なんでくっついてくるんだ!」
棚町「いいでしょーあたしと純一の仲なんだから。それともイヤ?」
橘「嫌ではないけど……」
棚町「じゃあもっとくっついちゃう!」
橘「そうは言ってないだろ!」
棚町(こういうことが自然にできるんだもの、棚町さんは羨ましいわね)
橘「薫が意味もなくくっついてくるんだよ……絢辻さん、なんか言ってやってくれない?」
絢辻「棚町さん? じゅ……橘君も嫌がってるみたいだし、やめてあげたら?」
棚町「平気よぉ。だってこいつ、ホントはこういうことされて嬉しいのよ。た・と・え・ばぁ……」
ハムッ
橘「うわぁあっ!? 耳を噛むな、耳を!」
棚町「ね? 嬉しそうでしょ?」ニヤニヤ
絢辻(絶対わかっててやってるわね、こいつ……)
棚町「へぇ……なに?」
絢辻「……じゅんいち~!」
ダキッ
橘「えぇぇっ! どうしちゃったの、絢辻さん!」
絢辻「棚町さんだけじゃなくて、あたしも構って?」
棚町「ちょっと! それはあた……絢辻さんのキャラじゃないでしょ!」
絢辻「別にいいでしょー。イメチェンよ、イメチェン」
棚町「そんなの求めてないから! はやく橘君から離れなさい!」
絢辻「いーや。純一、ほっぺにキスしてあげよっか?」
棚町「きゃあぁぁああ!」
梅原「……一体なにが起きてるんだ」
田中「絢辻さんも疲れてるんだよ、きっと」
絢辻「アンタだってあたしの唇で純一の耳噛んだじゃない」
棚町「普段からしてるんだから別にいいでしょ!」
絢辻「あ、そういうこと言っちゃうんだ。だったらもっとすごいことを――」
棚町「いやぁぁぁぁあっ!? 離れる、離れるから! あなたも離れて!」
絢辻「最初からそうしてればいいのよ、まったく」
棚町「はぁ、はぁ……寿命が縮んだわ」
絢辻「あたしの体で変なことしようとするからよ」
橘(どういう会話なんだ……いつから薫の体は絢辻さんのものになったんだ)
絢辻「外でご飯食べるとやっぱり寒いわね」
棚町「ブレザー着なさいよ。あたしはそんな格好しないわよ」
絢辻「ボタンしめてリボンつけてるんだから許してよ。これだけでもなんかうざったいのよ?」
棚町「あなたの普段の服装がだらしないのよ。とにかくブレザーは着て」
絢辻「なんでよ。ブレザーくらい着なくても注意されないわよ」
棚町「胸のラインがあからさまに出ちゃうでしょ。起伏に乏しい体のあなたにはわからないでしょうけど」
絢辻「き、起伏に乏しい!?」
棚町「貧相と言い換えても問題ないわね」
絢辻「貧相ですってぇ!?」
絢辻「アンタの体だって肩こるほど胸大きくないでしょうが!」
棚町「橘君の視線を奪うくらいにはあるわよ。あなたは……聞くまでもないわね」
絢辻「成長中だからいいのよ! これから大きくなんのっ!」
棚町「成長中……? これで?」
絢辻「そ、そうよ! すぐブラを買い換えないといけないんだから!」
棚町「不思議ね。あなたの部屋にあったものは全部同じサイズだったんだけど」
絢辻「ちょ、アンタなに見てんの!?」
棚町「つけずにくるわけにもいかないでしょ」
絢辻「そりゃそうだけど……」
棚町「ひとつ忠告しておいてあげるけど、この年齢でキャラもののバックプリントはやめた方がいいわよ」
絢辻「だぁぁぁっ!? アンタどこまで見たのよーっ!」
棚町「そういうことにしておいてあげるわ」
絢辻「なんか妙に悟った対応されると余計腹が立つんだけど!?」
棚町「……ぷっ」
絢辻「笑った!? 今笑ったでしょ!」
棚町「下着の話はおいといて、もうこれ以上の成長は期待しない方がいいわよ」
絢辻「成長って……また胸の話!?」
棚町「橘君を誘惑したいなら、せめてあたしくらいはないと」
絢辻「アンタの体で誘惑したってあいつがなびくとは思えないわね」
棚町「あら、そんなことないわよ?」
絢辻「え……ど、どういうこと!?」
棚町「うふふふふ」
絢辻「答えなさいよーっ!」
棚町「棚町さん、はやく用意して」
絢辻「なんで?」
棚町「今日も勉強会をするからに決まってるでしょ。まさか昨日だけで終わると思ってたの?」
絢辻「えーまたやんのぉ……あ、それ無理よ」
棚町「どうしてよ」
絢辻「今日あたしバイト入ってるもん」
棚町「バイト、バイトねぇ……え、バイト!?」
絢辻「よろしく頼むわよ、棚町薫!」
絢辻「へーきへーき。ファミレスで普段ウェイトレスさんがやってることをそのままやればいいのよ」
棚町「それだけでできるわけないじゃない!」
絢辻「そうは言ってもねぇ……ドタキャンなんてできないし、無断で休むなんてもってのほかよ」
棚町「あなたが出なさいよ。棚町薫の代わりですって言って」
絢辻「それこそできるわけないっての」
棚町「じゃあ縮毛矯正した棚町薫ってことにして……」
絢辻「顔が違いすぎるでしょ!?」
棚町「そうね、体のふくよかさも全然違うし」
絢辻「まだそのネタを引っ張るか……」
棚町「本気……?」
絢辻「大丈夫よ。あたしの見たところ、アンタは仕事できそうなタイプだし」
棚町「だからって……ねぇ、あなたもついてきてよ」
絢辻「関係者じゃないと入れないって」
棚町「お客として席にいてくれるだけでいいから」
絢辻「それくらいならいいけど」
棚町「はぁ……やっぱりはやく元に戻る方法を見つけないといけないわね」
絢辻「どうせならテスト終わってからがいいわね」
棚町「あぁ、心配事がまた増えたわ……」
棚町「オーダーを受けたらこれに入力すればいいのね」
絢辻「そうそう。あと常にまわりを気にしとくのよ。コーヒーのおかわりとか」
棚町「わかったわ。多少ミスしてもあなたの評価が下がるだけだものね」
絢辻「下げないでもらえるっ!?」
棚町「冗談よ。精一杯やるから、おかしなところがあったらすぐ言って」
絢辻「ん、りょーかい。やらしい目で見てくる人いるけどあんま気にしちゃダメよ」
棚町「そういう人を追い出す用心棒があなたじゃないの?」
絢辻「そこまで軽口言えるなら大丈夫そうね」
客A「あっつぅ!?」
棚町「あ!? も、申し訳ございません!」
客B「これ頼んでないんだけど」
棚町「え……あ、間違いました! 申し訳ございません!」
ガッシャーン!
棚町「し、失礼致しました!」
店長「棚町君、今日何枚割れば気がすむの!?」
棚町「す、すいませ~ん……」
絢辻(仕事はすぐ覚えられたけど、意外とドジなのね……あたしの体なのに)
絢辻「おつかれ~。どうだった? はじめてのバイトは」
棚町「見ての通り、散々だったわ……」
絢辻「ま、最初は誰だってあんなもんよ。アンタの場合は研修もなかったわけだし」
棚町「ごめんなさい、本当にあなたの評価を下げてしまって……」
絢辻「気にしないでいいって。ちょっと調子が悪かったくらいに思われただけでしょ」
棚町「7枚もお皿を割っても?」
絢辻「そうよ。アンタはよくやってたわ。あたしにはわかる」
棚町「慰めでもそう言われると助かるわね」
絢辻「慰めなんかじゃないわよ。あたしは思ったことは隠さず言うから」
棚町「……ありがと」
棚町「いいわよ、あんな家に帰りたいって思う人なんていないだろうから」
絢辻「……アンタってホントに家族が嫌いなのね」
棚町「今はまだマシよ。あまり干渉してこないからね。昔はもっとひどかった」
絢辻「人それぞれ、なにかしら問題を抱えてるもんなのよね」
棚町「そうね。今さらあの人たちになにも期待してないからどうでもいいわ」
絢辻「さて、と。暗い話はここまでにしてさっさと帰りますか」
棚町「あなた、あたしの家に帰りたくないんでしょ? だったら自分の家に帰ればいいんじゃない?」
絢辻「いや、無理でしょ。あたしは今絢辻詞なんだし」
棚町「友だちが泊まりに来たってことにすれば大丈夫よ。わざわざあんな家に帰る必要ないわ」
絢辻「ふあぁ……やっぱり自分の部屋っていいわぁ」
棚町「今日はいろいろと疲れたわ……もう寝ちゃおうかしら」
絢辻「ちょっと、お風呂は入ってよ」
棚町「わかってるけど……布団の柔らかさが心地よすぎて……」
絢辻「もうはやくお風呂入って寝ちゃいましょ。ほら、起きる起きる」
棚町「あなた先入っていいわよ……あたしは待ってるから」
絢辻「そしたらアンタ絶対寝るでしょ! いいから起きなさい!」
棚町「わかったわよ……」
棚町「……だからって一緒に入る必要ある?」
絢辻「せっかくのお泊りなんだからいいじゃない。時間も節約できるし」
棚町「狭いんだけど」
絢辻「アンタの体の余計な肉のせいじゃない?」
棚町「余計? むしろ適切でしょ」
絢辻「これが?」
ムニュ
棚町「ちょっと! 乱暴に扱わないで!」
絢辻「普通に触っただけなのに……」
棚町「銭湯でも行けば存分に楽しめるわよ?」
絢辻「そういうことじゃないでしょ……小さい頃、お姉さんと一緒に入ったりしなかったの?」
棚町「あたしの記憶にはないわね。物心つく前はどうかわからないけど」
絢辻「もったいないわね。あたしにもし姉がいたら、絶対一緒に入るのに」
棚町「だからほしいならあげるって言ってるでしょ」
絢辻「アンタって姉の話になるとすぐ怒るのね」
棚町「気づいてるなら控えてもらえると嬉しいんだけど」
棚町「議論するまでもなく小さいわね」
絢辻「あ、アンタだってそんな大きくないでしょ!」
棚町「自分から振ってきといてなにを言ってるのよ。今はあなたの胸の話をしてるのよ」
絢辻「そうだけど……」
棚町「でもそこまで気にすることじゃないと思うわよ」
絢辻「いやというほどからかってきたアンタがそれを言うか……」
棚町「まあ、橘君の好みは大きい方だろうけどね。ふふっ」
絢辻「勝ち誇ったような顔すんなっ!」
絢辻「んなことしても結果的にアンタが得するだけでしょ」
棚町「大した得じゃないわ。今までも押しつけるくらいなら……」
絢辻「し、したの!?」
棚町「どうかしらね。橘君に聞いてみたらわかるんじゃない?」
絢辻「アンタって意外と大胆……?」
棚町「教室でいちゃついてるあなたには勝てないわよ」
絢辻「あれはいちゃついてるわけじゃないのよー。結局友だちのノリっていうか……」
棚町「なにをしても友だちにしか見られないのは大変ね」
絢辻「そうなのよぉ……あいつニブチンだから……」
棚町(……なんであたしが相談されてるのかしら)
絢辻「近すぎて意識してもらえないのよ」
棚町「それは贅沢な悩みね。あなたにはあたしの悩みなんてわからないでしょう?」
絢辻「家族のこと?」
棚町「橘君の話してるのになんで家族が出てくるのよっ」
絢辻「あ、わかったわ。あたしがいるせいで純一が全然振り向いてくれないのね」
棚町「そんなわけないでしょ。あなたは彼に異性として見てもらえてないんだから」
絢辻「言いすぎじゃない!?」
棚町「もうその話はいいわ。あたしの悩みわね……」
絢辻「うん……」
棚町「……彼のことを名前で呼べないのよ」
棚町「そう思うでしょ? でもね、あたしはこんな些細なことですごく悩んでるのよ」
絢辻「だって名前で呼ぶなんて……普通に呼べばいいだけでしょ?」
棚町「急に名前で呼びはじめたら不自然だわ」
絢辻「そーう? そういえばあたしはなんであいつと名前で呼び合うようになったんだっけ……」
棚町「ぜひ参考にしたいわね」
絢辻「……覚えてないわ」
棚町「はぁ……この頭は無駄に重いだけなの?」
絢辻「無駄とか言わないで! これでも気に入ってるんだから!」
棚町「どうやって?」
絢辻「アンタが細かいこと気にしすぎなだけで、あっちはきっと喜ぶって」
棚町「引かれたりしないかしら」
絢辻「ないない。きっと餌をもらった犬みたいに喜ぶわよ」
棚町「その姿は想像に難くないわね」
絢辻「ところでアンタは純一から名前で呼ばれたいの?」
棚町「か、彼から名前で……? やだ、そんな……詞だなんて……」
ボタボタ
絢辻「は……? ちょ、ちょっとアンタ! それ!」
棚町「え……」
絢辻「鼻血出てきてるわよ!」
絢辻「ホント驚いたわ。人の体で興奮しないでよ」
棚町「こ、興奮したわけじゃないわよ! のぼせちゃっただけよ!」
絢辻「純一から名前で呼ばれることを想像して興奮したんでしょ」
棚町「このあたしがその程度のことで興奮するわけないでしょ!」
絢辻「彼から名前で? やだ、そんな……詞だなんて……」
棚町「ぶっ!? な、なにを言って……!」
絢辻「もうこの台詞は一生忘れられそうにないわね。やだ、そんな……詞だなんて……ぷっ、あはははは!」
棚町「……命が惜しくないみたいね」
絢辻「やーね、ちょっとからかっただけじゃない。そんな怒らないでよ。つ・か・さ」
棚町(最悪だわ……一生の不覚よ……)
絢辻「これほど自分の布団で寝られることを嬉しいと思った日はないわ」
棚町「あたしもさすがに自分の部屋が恋しいわね……明日こそ絶対元に戻りましょう」
絢辻「戻るってどうやってよ」
棚町「最悪、またふたりで階段から落ちるしかないでしょうね」
絢辻「できれば痛くない方法がいいんだけどなぁ」
棚町「もうそんな甘いことは言ってられないわ。あなた、明日もバイト入ってるんでしょう?」
絢辻「そういえばそうね。アンタがやってくれるってんなら全然構わないわよ」
棚町「それがいやだから絶対に戻るのよ」
絢辻「慣れれば面白いのに」
棚町「用事はすんだの?」
絢辻「うん。準備オーケーよ」
棚町「さて……じゃあやるわよ」
絢辻「……自分から飛び降りるとなると怖いもんね」
棚町「下手したら死ぬわね」
絢辻「さらに怖いこと言わないでよっ」
棚町「大丈夫、きっとうまくいくわ」
絢辻「どっから出てくんのよ、その自信は……まぁいいけど。それじゃ押すわよ?」
棚町「ええ。おもいっきりやってちょうだい」
ドンッ
絢辻「ど、どう!?」
棚町「目の前に……」
絢辻「相手の顔があるってことは……」
棚町「成功よ! い、いたっ……! 肩、痛い……」
絢辻「強くぶつけたんでしょ。念のため保健室に行きましょう」
棚町「イタタタ……でも階段から転げ落ちてこれだけの怪我ですんだんだから奇跡的よね」
絢辻「そうね。きっとあなたのおかげだわ」
棚町「いや、あたしはなにも……」
絢辻「あたしの体が下にならないようにしてくれたでしょ。気づいてるわよ」
棚町(ただそのときの自分の体が下にならないようにしただけなんだけどね……)
絢辻「あ、橘君。今少し時間ある?」
橘「時間はあるけど……」
絢辻「けど……? なにか用事でもあるの?」
橘「いや、さっきの話はやっぱりやめたのかなぁと」
絢辻「さっきの話?なんのこと?」
橘「え? 自分から言ったことをもう忘れちゃったの?」
絢辻「ご、ごめんなさい。ド忘れしてしまったわ。私、なにを言ったんだっけ?」
橘「えっと……その、お互い名前で呼び合おうって話、だけど……」
絢辻「……へ?」
橘「僕としては一向に構わないというか、むしろ嬉しいんだけど……やっぱり絢辻さんはいやだった?」
絢辻「ち、違うわ。本当に忘れてただけで……これからは名前で呼んでくれる? じゅ……純一」
橘「もちろんだよ、詞。それでどうしたの? 時間ならいくらでもあるけど」
絢辻「あ、そうなの。棚町さんがさっき階段で転んで、今保健室にいるの」
橘「薫が怪我したの?」
絢辻「うん。だから保健室に行ってあげてくれる? きっとあなたが来たら喜ぶだろうから」
橘「今さら僕の顔を見てあいつが喜ぶかな……まあいいや。とりあえず行ってみるよ」
絢辻「それとね、ひとつアドバイスなんだけど……」
橘「失礼しまーす」
棚町「あら? どうしたのよ、純一。お腹でも壊した?」
橘「絢辻さんからお前が怪我したって聞いてね。大丈夫なのか?」
棚町「どういう風の吹き回しよ。アンタがあたしの心配だなんて」
橘「怪我をしたって聞いたら心配くらいするさ。なにせお前は……お、女の子なんだから」
棚町「な……なに言ってんのよ! 昔からこのくらいの怪我ならよくあったでしょ!」
橘「そうだね。だから僕はお前が心配でいつもそばにいたんだよ」
棚町「また保護者面して……」
橘「保護者なんかじゃないさ。薫は……僕にとって大切な人だから心配してるんだよ」
棚町「大切って……もう、なんなのよ急に……」
絢辻「どう? 肩の方はまだ痛む?」
棚町「痛いけど大丈夫よ。バイトには出られるわ。それよりも……純一に気持ち悪いこと言わせたのはアンタでしょ?」
絢辻「さぁ、なんのことかしら? あたしはただもう少し素直になってみたらって言っただけよ?」
棚町「ったく、余計なことして……」
絢辻「あなたのお節介のお返しよ」
棚町「あたしは元に戻ったらアンタが驚くようにしてただけだから」
絢辻「あなたも素直じゃないわね」
棚町「ふん……もうバイト行くわ。あ、それとさ」
絢辻「なに?」
棚町「テスト前になったらさ……また、勉強教えてくれる?」
絢辻「……しょうがないわね。あなただけの特別サービスよ?」
棚町「ふふっ、てんきゅ」
乙
乙
いいものだな
Entry ⇒ 2012.01.31 | Category ⇒ アマガミSS | Comments (0) | Trackbacks (0)
少女「なにこの数字?」男「HP(ヒットポイント)だよ」
男「おい、ピーマン残してるぞ」
少女「だって……」
男「いいか、俺は将来を嘱望されている若き天才科学者だ。卵だけど」
男「将来的には、数々の科学賞を総ナメにすることはまちがいない」
男「そんな俺が、なんとお前を養うために二人暮らしをしている」
男「──まぁ、それはいい」
男「問題は、そんな忙しい俺がお前のために栄養面を完璧に計算して作った食事を」
男「お前が残しているということだ」
男「よく聞け。ピーマンはビタミンCが豊富で──」
http://hayabusa.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1327665770/
少女「なにこの数字?」男「HP(ヒットポイント)だよ」
男「な……!」
少女「ピーマンくらい食べられるよ」
少女(男さんの料理を残すわけないじゃない)
男「……じゃあ、なんであんな露骨に残してたんだよ」
少女「男さんの怒った顔が見たかっただけ。かっこいいから」
男「………!」イラッ
少女「じゃあ、ちょっと二階でゲームやってくるね」
男「おい、宿題とかはやったのか?」
少女「もう終わった」
少女「誰かさんのおかげで、勉強だけはできるから」
トタタタタッ
男「くっ……」
男「ここに来た頃の健気さはもはや面影もない」
男「ご両親を事故で亡くした後、ようやく元気になったのはいいんだが──」
男「近頃俺を軽視しすぎじゃないか?」
男「軽視ならまだいいが、バカにされてる気すらする」
男「かっこいいってのは年中白衣の俺に対する皮肉か?」
男「しかもろくに洗ってないから、白衣というか灰衣といってもいいかも」
男「………」
男「なにも上下関係がどうのというつもりはないが」
男「ここらで少し俺は優しいだけの天才じゃない、と思わせるのもいいかもしれん」
男(しかし……いったいどうやって……)
少女『じゃあ、ちょっと二階でゲームやってくるね』
男「……なるほど、ゲームか」
男「決めた」
男「ここら辺に壊れた腕時計があったよな」ガサゴソ
男「いつか直そう直そうといってたやつ」
男「めんどくさくて、結局やらなかったけど」
男(ほとんど外出しないから、そもそもいらないしな)
男「どこだったかな……」
男「!」
男「あったあった」
男「よぉ~し、コイツを使って……」
男「おい」
少女「なに?」
男「お前にプレゼントがあるんだ。俺の新発明」
少女(え……)ドキッ
男「これだよ。腕にはめてみてくれ」
少女「う、うん……」ワクワク
ピッ
装置には100という数字が出た。
少女「なにこの数字?」
男「HP(ヒットポイント)だよ」
少女[HP100]「HP(ヒットポイント)?」
男「だから、ゲームキャラの気分を味わってもらおうと思ってね」
少女[HP99]「ゲ、ゲームキャラ……?」
男「お、動揺したな? 少し数字が減ったぞ」
少女[HP98]「へ、減った……?」
男「お、また減った。こりゃーまずいなぁ」
少女[HP98]「減ると、ゼロになるとどうなっちゃうの……?」
男「さぁて、な」
男「どうなっちゃうんだったか……」
男「まぁ、ゲームのキャラがHPがゼロになった場合……」
男「どうなるかってのを考えると……」
男「だいたい想像がつくだろうけどな」ニヤリ
少女[HP98]「!」ドキッ
男「興奮するなよ。ゲームとかのHPとは多少仕様が違うから」
男「ストレスを感じると、どんどん数字が下がるぞ」
少女[HP93]「は、外れない……!」グイグイ
男「無理だよ。一度つけたらもう、その装置は俺にしか外せない」
男「一時間経つか、HPがゼロにならない限りはな」
男「ゼロになったら……。あぁ~……可哀想に」
少女[HP93]「………!」ドキッ
男(よしよし、相当動揺してるみたいだな)
男「おいおい息が乱れてるぞ。落ち着けって」
男「案外イヤなもんだろ?」
男「ジェットコースターの最初の坂を上ってるあの感じに近いかもな」
少女[HP90]「くっ……!(冷静にならないと……男さんの思うツボだ)」ドクンドクン
少女[HP90]「………(リラックス、リラックス……)」
少女[HP90]「ふぅ~……」
男「お、さすがだな。HPの減少が止まった」
少女[HP90]「ようは一時間、動揺したりしなきゃいいんでしょ?」
男「飲み込みが早いというか、度胸があるというか……」
男「ま、ルールはあまり派手に暴れるのはナシってことで。家の中だし」
男「あ、あと外、トイレやベランダに逃げ込むのもナシ」
少女[HP90]「分かった」
男「逆にいえば、これくらいの攻撃はアリってことだ」ペチッ
少女[HP87]「なっ……」
男「痛くもかゆくもないだろ? でもどんどんHPは減ってくぞ」ペチッ ペチッ
男「ヒット(命中)ポイントとはよくいったもんだな」ペチッ
少女[HP81]「あ……あぁっ……!」
男「今度はグーだ」ポスッ ポスッ
少女[HP74]「や、やめっ……!」
男「数分でもう70台に入ったか。こりゃー俺の勝ちっぽいな」ペチッ
男「うおっ(クッション攻撃か)」
タタタッ
男「逃げたか……」
男「ま、焦ることはないか」
男(つーか、まさかノッてくるのは思わなかったな)
男(ふざけないで! とかいって反抗するものとばかり……)
~
洗面所──
少女[HP67]「ハァ……ハァ……」ドクンドクン
少女[HP67]「たしかに、イヤな感じ。自分の体力みたいなのを、数値で表されると」
少女[HP67]「ゼロになったら……まさか爆発とかしないよね」ドキン
少女[HP66](あ、ダメダメ。動揺したらどんどんHPがなくなっちゃう)
少女[HP66]「あうっ!?」ビクッ
少女[HP60]「くぅっ……!(びっくりした……)」ドクンドクン
男「ふっふ、今のは効いただろ」
少女[HP58]「きっ……効いてない!」ドクンドクン
少女[HP57]「ハァ……ハァ……」ドクンドクン
男「あっ、ゴキブリ!」
少女[HP57]「きゃあっ!?」
男「ウ、ソ、だ、よ」
少女[HP53]「ううう~……」ドクンドクン
男「さて次は何をしようかな……」
男「うわっ(今度はタオル攻撃か)」
タタタッ
男「二階に行ったか……」
男「ぷっ……くくくっ……」
男「あんなにビビりまくるアイツを見るのは初めてだな」
男「この試みは大成功だったようだ」
男「俺は発明の天才だが、アイディアの天才でもあるらしい」
男「チラッと見えたが、もうアイツのHPはもう残り半分くらいだった」
男「じわじわやるのは趣味じゃないし、一気に終わらせてやるか……」
少女[HP51]「ふぅ……だいぶ落ち着いた」
少女[HP51]「次は驚かされても、ビックリしないようにしなきゃ」
少女[HP51]「100あったのが、もう51しか残ってないや」
少女[HP51](……にしても、これはいったいどういう試みなんだろ)
少女[HP51](きっと男さんの研究のためなんだろうな)
少女[HP51](お父さんが恩人だったからってだけで、私を引き取ってくれた男さん)
少女[HP51](男さんのために……)
少女[HP51](もっと頑張らないと!)
少女[HP51]「残念。同じ手は通用しないからね」
男「ちっ」
男「まぁいい。そろそろ一気にケリをつけようと思ってな」
少女[HP51]「ケ、ケリ……?」
男「キックのことじゃないからな。だいたいそんな強い攻撃はルール違反だし」
男「まぁ、お前にとってはキックのがマシかもしれないが……」ニヤ
少女[HP51]「な、なに、それ……!」ドキッ
男「お前って、たしかくすぐったがりだったよな?」
男「安心しろ。ちゃんと無菌手袋をつけてあるから、清潔、清潔」
少女[HP50]「そういう問題じゃないでしょっ!」
男「心配するな……すぐ終わるから」
少女[HP50]「や、やめて……」
少女[HP50]「お願いだからっ!」
男「下手におどかされたりするより、こっちのが気楽だろ?」
男「ゲラゲラ笑ってたら、あっという間にHPがゼロになる」
男「さ、始めようか」
少女[HP50]「ダ、ダメだって……っ! ひぃっ! うぅっ……ふ、ふふふっ」
男「イマイチだな、こっちか」コチョコチョ
少女[HP47]「あっ……ひひっ……だ、だめ、あふふっ……や、やめっ──」
少女[HP43]「ひひひっ……えへっ……えっ、ちょ、ちょ……はふぅ……」
男「次はこっち」ツンツン
少女[HP41]「! あぁっ……ふひっ、ひひひ、あの……もう、やめ……」
少女[HP38]「あ、あ、あっ! ……ひぃっ! ……あ、ふふふっ、ひひっ」
男「………」コチョコチョ
少女[HP33]「ひぁっ! ……うふっ ……ちょ、あ、いひっ、あうぅ……」
男(何やってんだろ、俺……)コチョコチョ
少女[HP30]「ハァ……ハァ……」ピクピク
男「手、出しな」
少女[HP30]「………?」ピクピク
男「装置を外してやる。ゲームは終わりだ」
男「もう十分だ。ごめん、悪かったよ」
少女[HP30]「え……」
少女[HP30](私は男さんの役に立てなかったの……?)
少女[HP30]「ま、まだ終わってない!」ムクッ
少女[HP30]「決着がつくまで、最後までやるのっ!」
男「ハァ?」
男「うわっ(枕かよ)」
タタタッ
男「また一階に降りていったか……」
男「なんなんだ、アイツ……」
男「最初は装置を外そうとしたくせに……」
男(俺のくすぐりがそんなに気持ちよかったのか……?)
男(いやぁ、そんなツラじゃなかったぞ)
男(ちょっと気の毒になるくらいに笑ってたしな)
男(まさかあそこまでくすぐりに弱いとはな……。二人乗りとかできないタイプだな)
男「まぁいいや、もう十分気は済んだけど最後までやってやるか」
少女[HP30](なんで急にやめようとしたんだろう)
少女[HP30](きっとバカ笑いしすぎたから、男さんが呆れちゃったんだ)
少女[HP30](もっと私がちゃんとした被験者にならないとダメだ)
少女[HP30](大きな声出されても耐えて……攻撃もなるべくかわして……)
少女[HP30](くすぐりだって……頑張って耐えてみせる)
少女[HP30]「男さん、ゴメンね」
少女[HP30]「私、もっとちゃんとやるから」
少女[HP30]「男さんのために──」キッ
男(無菌手袋を捨てて、と……)ポイッ
男「そろそろ終わらせないとな。仕上げなきゃならん論文もあるし」
男「ペチペチ叩くのはなんか悪役だし(いや、もうすでに悪役だけど)」
男「くすぐりはさすがにもう可哀想だからな……」
男「マイルドかつすぐ終わらせられる攻撃、といったら」
男「これしかないよな」
キュッキュッ ジャ~……
男「ついにゲームも終わりの時がやってきた」
少女[HP30]「そう簡単にやられないってば」
男「この両手を見ても、そういえるかな……?」ビッショリ
少女[HP30]「!」
男「ほれ、ほれっ」ピッピッ
少女[HP27]「冷たっ──やんっ! いやぁっ!」
男「水滴攻撃。これは絶対かわせないぞ、しかもマイルド」ピッピッ
少女[HP24]「くっ……よけられないっ」
男「威力は低いが、どんどん削られていくぞ」ピッピッ
少女[HP22]「ひっ……あうぅっ……私のHP……減っていく……!」
男「よぉ~し、とうとう20を切ったな……」ピッ…
少女[HP19](も、もうダメだぁ……)
男「あれ?」シュッシュッ
男(しまった……水が切れちまった……!)シュッシュッ
男(洗面所からここに来るまでけっこう垂らしちゃったからな……後で拭かないと)
男(くそっ、あと少しだったのに……)
少女[HP19](助かった……!)
少女[HP19](なにか投げるものは、と……)
男「うおっ(空のペットボトルか)」
タタタッ
男「次はどこだ……?」
男「あっ、俺の研究室の方に向かいやがった」
男「まぁいいや、このゲームが終わったらすぐ研究再開するつもりだったし」
男(残り時間もあとわずか……決着をつけてやる)
少女[HP19]「よいしょ、と……」
少女[HP19]「一時間経過まであと少し……」
少女[HP19]「逃げ切れる可能性は薄いけど、全力を尽くす!」
少女[HP19]「! これは……」カタッ
少女[HP19]「男さんとお父さんの写真、だ」
少女[HP19](お父さんは特別に頑固な性格で、学会では孤立してたって聞いてる)
少女[HP19](そんなお父さんに一人だけ師事していたのが、男さんだった)
少女[HP19](そして今もお父さんの研究や遺志を引き継いでくれている……)
少女[HP19](そう、お父さんとお母さんはあの事故で──)
少女[HP19]「あっ──ダメっ! 思い出しちゃ!」
キキィー! ドグシャーッ!
「事故だ、事故だ!」 「うわ、車がグシャグシャだ」 「女の子だけ無傷だ!」
少女「お父さん、お母さん……」
「うわぁ~ありゃ即死だな」 「あの子どうすんだろ」 「気の毒に……」
少女「うわぁぁぁぁんっ……!」
少女[HP17]「ああ……いやぁっ……」ガタガタ
少女[HP15]「いやだぁぁぁっ! あぁっ、あぁぁっ!」ガタガタ
少女[HP13]「あ、HPがどんどん減ってる……」
少女[HP12]「これゼロになったら死ぬのかな……?」
少女[HP11]「私も天国行っちゃうかな……?」
少女[HP10]「あはっ、あははっ……」
男「いよいよアイツをやっつける時が来た」
男「タオルを結び合わせて作った、このタオル鞭で……」
男「パシパシーッと」
「……いやだぁ……」 「……ああっ……」 「……ああっ……」
男(研究室から泣き声……!?)
男(アイツ……なんか危ない薬品か器具にさわっちまったか!?)
バンッ!
男が研究室に駆け込む。
少女[HP7]「あ、男さん……」
少女[HP6]「見て、もう私のHP残りわずか……」
少女[HP5]「私も、お父さんたちのところに行っちゃうの、かな」
男「なにいってんだ! 行くわけないだろうが!」
男「HPがゼロになったら『ゲームオーバーです、残念でした』って音声が流れて」
男「変な曲が流れるだけだ!」
男「死ぬわけがないっ!」
男「ちょっとお前にゲーム感覚の意地悪をしてみたかっただけだ!」
少女[HP3]「そうだったんだ……」
男(俺はHPゼロ=ゲームオーバーってイメージだったけど)
男(そういやHPゼロって死を連想させるよな……)
男(事故のことを思い出させちまったのかも……バカか、俺は!)
男「ごめんな、変なことやらせちまって」
男「疲れちゃったか? すぐ寝室に連れてってやるから──」
少女[HP2]「男さん、今まで……」
少女[HP1]「ありが……とう……」
少女[HP0]「………」ガクッ
『ゲームオーバーです、残念でした』デロデロデ~♪
少女「」
男「──おいっ!? おいっ!」
男「あ、ああ……俺は……なんてことを……なんてことをっ!」
男「俺なんかバカにしてくれてよかったんだ……! 元気でさえいてくれればっ……!」
男「なにやってんだ、俺はっ!」
男「くそぉぉぉぉっ……! なにが天才だ、大バカがぁ……!」
男「うぐううぅぅぅっ……!」
男「かくなる上は、研究用の劇薬を飲んで俺も──!」
少女「……プッ」
男「!?」
少女「………」
男「ん……?」チラッ
少女「………」サッ
男「まさか」
男「悪趣味なゲームをさせたことは心から謝るので──」
男「生き返ってもらえないでしょうか」
少女「ばぁっ」ムクッ
男「………」
少女「男さんの蘇生呪文のおかげで生き返れたよ、どうもありがとう!」
男「……どういたしまして」
男「──っておどかすんじゃねえよ!」
男「学会のホープが、若き天才が、未来の科学界を背負って立つ男が」
男「あやうく後追い自殺するところだったろうが……!」
男「無事でよかった……!」ギュッ
少女「く、苦しい……でも……いいや、このままで……」
少女(男さん……ありがとう)
少女(でもさっきは本当に死んじゃうかと思った)
少女(お父さんとお母さんを失った事故を思い出しちゃって)
少女(今にも自分が消えそうなくらい心細くなっちゃった)
少女(だからHPがゼロになったら、私も死んじゃうのかと──)
少女(でもね、ギリギリで男さんが駆けつけてきてくれたから、私は正気に戻れた)
少女(死んだフリなんかしちゃってゴメンね)
少女(いつもいつも、男さんには助けられてばかりだね)
「あの子どうするんだ?」 「親戚もいないってよ」 「施設だろうなぁ……」
「父親も学会じゃ嫌われてたし……」 「可哀想だけどな」 「運が悪かったのさ」
少女「………」
男「あの……この子、引き取らせてもらえませんか?」
少女「!」
「君が?」 「君だってまだ若いだろうに」 「餅は餅屋っていうし、施設の方が」
男「俺はあの子のお父さんに大恩があります。あの人はすばらしい科学者だった」
男「幸い、この間取った特許が当たって経済的には問題ありませんし……」
「物好きだねェ」 「研究と二足のわらじかね、ハハ」 「君がいいならいいけど」
男「ありがとうございます」
男「よし、じゃあ行こう。辛いだろうが、くじけないようにな」
少女「うん……(……ありがとう)」
男「分量、混ぜ方、火加減、焼き時間、どれも完璧だったはずなのに……」
男「これは食べさせられないな……俺の分にしよう」
男「料理なんかやったことねーからな……実験みたいにはいかないもんだな」
男「それに、いつまでもインスタントじゃあの子も──」
少女「男さん、なにやってるの?」
男「!?」ビクッ
男「大事な実験中だ! 悪いが、夕飯はもう少し後だ」
少女「手伝おうか?」
男「子供は子供らしく、勉強して遊んでろ。ジャマだ」
少女(嘘つき……)
少女(……ありがとう)
男(もう時間がないってのに……)イライラ
少女「………」グスッ
男「ん? なに泣いてるんだ?」
少女「勉強が分からなくて……」グスッ
男「……どれ、見せてみろ」パラッ
男(あの人、忙しくて子供の勉強も見てあげられてないって、いってたっけな……)
男(この子、分からなくても質問とかできないタイプっぽいし……)
少女「ダメだよ、男さん忙しいじゃない」
男「お前に勉強教える教えないで左右されるほど──」
男「ぬるい研究はしてないから心配するな」パラパラ
男「分からなきゃ聞け。これは人生の鉄則だ」
男「あ~……これ、懐かしいな。いいか? これはだな……」
少女(……ありがとう)
男[HP200]「──で、今度は俺がこの装置をつけるわけか」
男[HP200]「しかも多めのHP200設定ときた」
少女「受け攻め交代ってやつだよ」
男[HP200]「受け攻めとかいうな」
少女「? なんで?」
男[HP200]「いや……まだ知らない方がいい」
少女「じゃあ始めっ」ダッ
男[HP200]「うわっ(のしかかってきやがった!)」
男[HP197](む、胸が……顔面にっ……!)ウプッ
少女「えへへ、どう?」ムニュムニュ
男[HP194]「えへへ、じゃねえっ!(胸あるんだな、それなりに、って俺は何を)」
男[HP189]「うっぷ、うっ、早くどけっ! 遊びで殺す気かっ!」
少女「ちぇ……残念。男さんを誘惑しようと思ったのに」サッ
男[HP185]「で、できるか、あんなムチャクチャで! ハァ……ハァ……」ドクンドクン
男[HP182]「お前はまだ俺の守備範囲じゃない……」ドクンドクン
少女「まだってことはチャンスはあるんだ」
男[HP180]「ない! 永久にノーチャンスだ!」ハァハァ
男[HP179](ヤ、ヤバイ……今のでギンギンに勃起してしまった……)
男[HP179](ここが実験器具が恋人状態な、一匹狼科学者の悲哀よ……)
男[HP179](な、なにをする気だ……?)
少女「男の人ってそこが弱点でしょ?(女もだけど)」チラッ
男[HP179](ま、まさか……この体勢は──)
男[HP178](電気アンマ!?)ギクッ
男[HP177](なんでこんなもん知ってんだ!? 学校でやってたバカがいたのか!?)
男[HP176]「バ、バカやめろっ!(今の股間にそんなことやられたら──)」
少女「男さんだって、私をくすぐったじゃない」
少女「くすぐられた時間くらいはやるからね」
男[HP175](やめてぇーっ!)
少女「えーいっ!」グリグリ
男[HP167]「ふほへへへっ! ほっほっほっ……あふへっ、えへへひっ!」
男[HP160]「やめ、って、えへっ、ふほはははっ! ……ひひっ、ひひひっ」
男[HP152]「いははっ、ほっ、ほっ、へっ、あひゃはふっ、うひひ、ひたいっ!」
少女「え、痛い?」グリングリン
少女「ちょっと弱めてあげるね」グリュグリュ
男[HP144]「だ、だめ……だって(かえってひどくなった! ヤバイって!)」
少女「──と、思わせて強くっ!」グリュンッ
男[HP131]「へべぇっ!(緩急なんかつけんな、バカッ!)」
少女「どーお?」グリングリン
男[HP122]「あ……」ビクン
男[HP0]「……ふぅ……」
『ゲームオーバーです、残念でした』デロデロデ~♪
男「……いや、大丈夫だ……。ふぅ……」
少女「大丈夫じゃないよ絶対! 私のせい? 私のせい?」
男「気にするな……生物として当然のことが起こっただけなんだ」
男「全てこんな装置を作った俺が悪いんだ……」
男(恩人の娘の電気アンマで……なんてことだ)
男(今度墓参りした時、呪われちゃうんじゃないかな……許してもらえるかな……)
少女「ちょっと、本当にどうしちゃったの?」
少女「でも顔は気持ちよさそうだよね……もっかいやる?」
男「や、やめろっ!(パンツ洗うのが先だっ!)」
<おわり>
乙
けど面白かった乙
Entry ⇒ 2012.01.31 | Category ⇒ 男女「」SS | Comments (0) | Trackbacks (0)
ヒデノリ「タダクニ、お前って妹属性ある?」
ヒデノリ「......はぁ」
ヨシタケ「だから言ったろヒデノリ......はぁ」
タダクニ「何だよお前等人の顔みてため息つきやがって!」
ヒデノリ「だって、世間じゃ今は近親相姦ブーム、近ければ近い程経済効果が現れるようになってんだぞお前」
タダクニ「いや、それと俺の性癖は関係ないだろ」
ヒデノリ「ゴチャゴチャ言わねぇでお前はおとなしく妹を落とすんだよ!」
タダクニ「は、はぁ!?」
http://hayabusa.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1327753940/
ヒデノリ「タダクニ、お前って妹属性ある?」
ヨシタケ 金髪 姉あり
ヒデノリ 茶髪 兄あり
ヒデノリ「ああ、そうだよ、あのライオンみたいなお前の妹だよ」
タダクニ「俺たちが束になって行っても五分でいけるか分からない、あの妹だぞ!」
ヨシタケ「下着類は普通に可愛いお前の妹だよ」
タダクニ「そんなのをこの俺が!?ムリムリムリムリ!やるならお前等がやれよ!」
ヒデノリ「よく言うぜ、妹様のスカートやパンツを毎度拝借してあんなことやそんなことしてるくせに」
タダクニ「お前が言えるのかっ!?」
タダクニ「サンドバックって...お前まさか...」
ヒデノリ「ああ、今日はストッキングだ」
ヨシタケ「俺は髪留め」
タダクニ「また微妙な物ハントしてきたなお前らはっ!」
ヒデノリ「まぁ、いい、ほらタダクニ、これ使え」
タダクニ「?...なんだこの袋...コンビニの袋か?」
ヒデノリ「ああ、そうだ、そこにはアイスを二つ入れてある、お前とお前の妹分だ」
タダクニ「で、これを妹にやるってのか?何だ?機嫌なんかとっても無駄だと思うぜ」
ヒデノリ「ちげぇーよタダクニ、今からお前に命令をする、お前はこれから妹とふたりっきりで、アイスを食べてこいっ!」
タダクニ「何でだよっ!」
ヨシタケ「日常的な行動でお前を意識させるんだよ」
タダクニ「ちょっと待て、俺はまだやると言った覚えはないぞっ!」
ヨシタケ「いいからいいから、俺らも遠くで見守っとくからさ」
ヒデノリ「録画準備おっけーだ!」
タダクニ「ふざけんなっ!......でも、アイス食うぐらい大したことないよな」
ヒデノリ「お、中々自信ありそうだなタダクニ」
タダクニ「まぁな、何せ俺たちは兄妹なんだぞ、そのぐらい出来なくてどうすんだよ」
ヨシタケ「ああ、タダクニが男前に見えてきた...」
タダクニ「何言ってんだ、俺は最初から男前だろ?」
ヒデノリ「よし!男前タダクニ!全身全霊をかけて妹とアイスを喰ってこい!」
タダクニ「ラジャっ!......ってだからやるって言ってねーよ!!!」
三馬鹿「「「ッ!!!」」」
ヒデノリ「ヤツが帰ってきた、急げタダクニ、このミッションを完遂できるのはもうお前だけなんだ」
タダクニ「で、でも...そ、そうだ!ヨシタケは...」
ヨシタケ「すまんタダクニ...俺は腕を...」
ヒデノリ「馬鹿野郎っ!しゃべんじゃねー!傷口が広がんだろ!」
ヨシタケ「くっ......情けなくて涙が出ちまいそうだ...」
ヒデノリ「もういい...何も言うな、ヨシタケ」
タダクニ「......分かった、俺が行ってくる...お前たちの求めた物は俺が手に入れる」
ヒデノリ・ヨシタケ「「!」」
タダクニ「シスターコンプレックスの肩書きは、俺が手に入れるっ!!!」
タダクニの妹「......何やってんの、アンタ達」
三馬鹿「「「あ」」」
妹「......何?」
ヒデノリ「お前の馬鹿兄貴が持ってるこのアイス、食べます?」
妹「...くれるんならもらう」
ヒデノリ「そ、そうですか、それじゃあコイツ、よろしくお願いしますね」
タダクニ「え!?ちょっ!待っ...!」
ヒデノリ・ヨシタケ「失礼しましたー!」
ガチャ、バタンっ!
タダクニ「......」
妹「......」
タダクニ「......アイス、食う?」
妹「食べるって言ってんじゃん」
タダクニ「お、おう」
タダクニ「......うまいか?」
妹「何で一々そんなこと言わなきゃいけないのよ」
タダクニ「そ、そうだよな...ゴメン」
妹「気持ち悪い...」
タダクニ「あ、はい...」
妹「......」
タダクニ「......」
妹「...兄貴」
タダクニ「ん?な、何だ?」
妹「そのストロベリー...ちょうだいよ」
タダクニ「え?お、俺の?」
妹「アンタのしかないじゃん......ほら早く」
タダクニ「え、えぇぇぇぇ!?」
妹「はぁ?チンタラしてないでとっとと食べさせてよ」
タダクニ「......お、おう」
タダクニ「ど、どうだ?」
妹「普通」
タダクニ「そ、そうか...普通か...はっはっは」
妹「......兄貴」
タダクニ「ん?何だ?」
妹「まさか私の事、意識してる?」
タダクニ「ななななななおおお前ばっかじゃねぇーのぉ!?」
タダクニ「なっ!べ、別に不振っぽくねーよ!ぜんぜんっ!」
妹「それに今さっき、自分でシスコン宣言してたじゃん」
タダクニ「あ、あれはだな......え、えっと...ほら!あの教会のシスターさんのことで...」
妹「......」
タダクニ「......」
妹「ま、別にいいけどさ」
タダクニ「」ほっ
妹「私もう寝るから、このゴミ捨てといて」
タダクニ「え?お、おう...おやすみ」
妹「うん」
タダクニ「......はぁ、妹相手に緊張したぁ」
タダクニ「......何言ってんだお前」
ヒデノリ「妹のお前に対する評価みたいなもんだよ、あの態度から察するにこれぐらいが妥当だろう」
タダクニ「基準がわからん」
ヨシタケ「好感度の場合、0~20が「糞兄貴まじ死ね」、21~50までが「お兄ちゃん、ご飯できたよ」、51~80までが「お兄ちゃんって...彼女さん...いるの?」、81~が「おにいちゃんっ♪だぁ~いすきっ!」だな」
タダクニ「分かりにくっ!」
ヒデノリ「まぁタダクニ、夏休みはまだ終わっていない、新学期初日にお前と妹が腕を組む姿が見れるように頑張ろうぜ!」
タダクニ「何で兄妹同士で腕組むんだよ!気色悪い!」
ヨシタケ「今日は解散するか?」
タダクニ「あ、ああ、それがいいと思うぞ」
ヒデノリ「いや、今の妹はそれなりにお前の事を意識してるぞタダクニ、後一押しすればナニがあるかもしれんっ!」
タダクニ「ねぇーよ!あったらあったでねぇーよ!」
ヨシタケ「よし、そんじゃ突撃すっか?」
ヒデノリ「おう、それでファイナルアンサーだな」
タダクニ「お、おい...またそんな勝手なことしたらどやさるぞお前等...」
ヒデノリ「何言ってんのタダクニ」
ヨシタケ「行くのは」
ヒデノリ・ヨシタケ「お前だけだぞ」
タダクニ「くっそー!息を合わせながら言われるとこうも頭にくるもんなのかよぉ!」
ヨシタケ「間違いは犯すなよ、親友」
タダクニ「お前らなんか親友じゃねーよ!馬鹿野郎!」
ヒデノリ「明日はモトハル辺りも呼んでみるか?」
ヨシタケ「それなら唐沢もだな」
タダクニ「あぁ!人の不幸を餌にお前らってヤツはぁぁぁぁぁ!!!」
ガチャっ!バタンっ!
ヒデノリ「......」
ヨシタケ「......」
ヒデノリ「よし、帰るか」
ヨシタケ「そうだな、あの馬鹿が何か起こして俺たちのせいにされても困るからな」
ヒデノリ「というか、妹に手出すとかさすがにあり得ないよな」
ヨシタケ「ああ、ないない」
コンコン...
タダクニ「...は、入るぞ」
ガチャ...
タダクニ「お邪魔しまーす...」
妹「すぅ...すぅ...」
タダクニ「......やっぱり寝てるか」
妹「すぅ...すぅ......んんっ...」
タダクニ「よし、ここは戦略的撤退...」
妹「おにぃ...ちゃん...」
タダクニ「ッ!?」
妹「嘘......つかないで...よぉ...」
タダクニ「お、おお、おにいちゃん......だと...」
タダクニ「......何言ってんだこいつは」
妹「んー...すぅ......すぅ...」
タダクニ「......おやすみ、妹」
ガチャ...バタン...
妹「.........あっ?」
妹「...誰か......居た?」
妹「......」
妹「まさかぁッ!」
タダクニ「......まいっか...これで変なことしないで済むし」
タダクニ「じゃ、俺も寝...」
妹「オォォラァァァ!!!」
タダクニ「うわっ!な、何だよっ!?」
妹「......またか」
タダクニ「ま、また?」
妹「アンタ達...また私の...」
タダクニ「な、何言ってんだよ!わ、分かんねっ...!」
妹「いい加減飽きろやこの変態共ぉぉぉぉぉ!!!」
タダクニ「げふぅ!!!」
ヒデノリ「好感度7、意識度は37だな」
タダクニ「うるせぇ!あの妹がこの俺を評価する目で見てんのか!?何様だよアイツゥ!」
ヨシタケ「今日は異常なほどヒステリックだな、タダクニ」
タダクニ「何で俺なんだよ...俺...俺ただ部屋入っただけじゃん...」
ヒデノリ「部屋入っただけなのが悪かったんじゃないのか?」
ヨシタケ「そうそう、妹起こしてラブラブチュッチュしてれば好感度も上がってたかもしれないのによ...」
タダクニ「アイツの俺への好感度上がってもうれしくねー!!!クソッタレェ!」
ヒデノリ「こりゃひどいな」
ヨシタケ「ここは助っ人たちの出番だな」
モトハル「妹いじりも大概にしとけ」
ヒデノリ「いじってねーよ、いじらしい二人の仲を俺たちが取り繕ってあげようとしてんだよ」
モトハル「それをいじってるって言うんだよ」
唐沢「でもあの妹ちゃんをタダクニが落とすなんて、おもしろいこと考えたもんだなお前達も」
ヨシタケ「だっろぉ~?」
タダクニ「言っとくが、俺はもう絶対あんなことしないからなっ!」
ヒデノリ「さて、妹よりも前にこいつをどうにかすべきだな」
モトハル「妹相手にここまでキレる兄貴っていうのもな」
タダクニ「うるっせぇ!!!......クソッ!」
タダクニ「黙れ裏切り者...お前らが居てくれば納得したよ...なのに俺だけ......俺だけ鉄拳...」
ヨシタケ「鉄拳...モトハル、鉄拳する?」
モトハル「おお、やるか」
ヨシタケ「そこ勝手に盛り上がんなよ!......はぁ」
唐沢「......ここで負けていいのか、タダクニ」
タダクニ「...お前に何が分かるんだよ、唐沢」
唐沢「ああ、俺にはお前の事もお前の妹の事もあまり分からない...だけどなタダクニ、俺は一つ、お前の事である事を知っている」
タダクニ「......何だよそれ」
唐沢「タダクニ、お前、モテたいんだろ?」
タダクニ「ッ!?」
タダクニ「ななな何で知ってんだよ!?」
モトハル「そう、そして俺らの学校は男子校、通うヤツらのだいたいが女の扱いを存じていない」
タダクニ「横から入ってくんな!おとなしく鉄拳してろぉ!」
唐沢「だが考えてもみろ、タダクニ、お前のそばには男共ばっかりだが、その中に一人、確かな異性がいるじゃねーか」
ヒデノリ「そう、それが...」
唐沢「お前の、妹だ」キリッ!
タダクニ「ッ!?」
唐沢「それになタダクニ、何も本気の恋愛をしろなんて言ってない、お前は自分の欲望のために......そう、妹を踏み台にすればいいんだよ」
タダクニ「妹を...踏み台に...」
唐沢「ああ、お前は妹を利用するんだ、そして女を扱う術を得て、お前は旅立つんだよ......ヘブンに」
タダクニ「......ゴクッ」
唐沢「分かったなら行けっ!タダクニっ!」
タダクニ「おうっ!」
ヒデノリ「んじゃ、俺らはおとなしく鉄拳でもしとくか」
ヨシタケ「あ、ここハードねぇよ、プレス○ー」
ヒデノリ「オイィィィィィ!!!」
モトハル「......アイツ、大丈夫なのかよ」
唐沢「アイツはそれなりにいい線を行く奴だからな、心配はねぇーよ」
モトハル「だといいんだが...」
コンコン...
タダクニ「入るぞ...妹...」 ガチャ...
妹「....何の用?」
タダクニ「いや...そのだな...昨日のは誤解だったんだよ誤解、俺はお前の下着なんて...とってない!本当だ!」
妹「......知ってるわよ、それぐらい」
タダクニ「へ?」
妹「後で確認してたら減ってなかったし」
タダクニ「そ、そっか...よかったぁ...」
妹「......」
タダクニ「あ、じゃあそれだけ...でもないんだけど、一旦戻るわ...じゃ...」
妹「...あ、兄貴」
タダクニ「ん?何だ?」
妹「殴って......悪かったなっ!...ゴメンッ!」
タダクニ「」
妹「は、早く出てけっ!」
タダクニ「お、おう」
ヒデノリ「ブチのめされたか?」
タダクニ「......よ」
唐沢「?...よく聞こえん、もっと大きな声ではっきり喋れ...」
タダクニ「俺の妹がデレたんだよっ!!!」
「「「「..........」」」」
M・A・J・I・D・E・K・A・!・?
ヒデノリ「ヨシタケ、ビデオカメラの準備は済んでるか?」
ヨシタケ「すまない、後4秒あれば完璧だ!」
ヒデノリ「よし!唐沢、モトハル、覚悟はいいかっ!?」
唐沢・モトハル「おう!もうビンビンだぜ!」
ヨシタケ「よし、オッケーだ!」
ヒデノリ「じゃあお前ら...」
ヒデノリ「タダクニの妹の部屋に突撃だぁぁぁぁぁぁぁ!!!」
ヒデノリ「ぶちのめされた...」
ヨシタケ「ひでぇ...俺はただかわいい妹を見たかっただけなのによ」
唐沢「残念で仕方ない...っ!」
モトハル「初めて妹ってものを知ろうとしたのに......やっぱり凶暴なのか、姉も妹もっ!」
タダクニ「はぁ...俺が後で詫びいれとくから、お前らは帰れ」
ヒデノリ「......お前何だその上から」
ヨシタケ「妹がデレたぐらいで調子のんじゃねーぞ」
タダクニ「うるせぇうるせぇ、ほら帰れ帰れ」
ヒデノリ「覚えとけよー!」
唐沢「また今度来るわ」
ガチャ...バタン
タダクニ「......ふっ、ものすごい優越感だ」
妹「あのアホ共がウチのバカ兄を...」
妹「......」
妹「くそっ!素直に謝んなきゃよかった...」
妹「......」
妹「ああ~ぁ!もう!何やってんのよ私は変態相手にぃ~!」
妹「......」
妹「明日...兄貴誘って買い物行こうかな」
妹「......!」
妹「わ、私は!あのバカ達が下着盗むから!それを買いに行くだけで!それで兄貴におごってもらうだけで!だから!...」
妹「......今日の私、絶対おかしい」
妹「......」
妹「ばか兄貴......もぅ」
ヒデノリ「好感度53、意識度78」
タダクニ「あれ?途中経過は?いきなり50まで上がるってどゆことだよ」
ヒデノリ「こっちが聞きてーよ、んじゃ今日も計画立てますか」
ヨシタケ「おーい、ワンピ借りんぞー」
タダクニ「つか今まで計画という計画立ててきたか?つかヨシタケ、お前もう飽きてんじゃねーか!」
ヒデノリ「よーし、それじゃあ...」
妹「よ、お前ら」
三馬鹿「「「!!?」」」
タダクニ「知るかよっ!妹に聞けよ!」
ヒデノリ「聞けるかよ!昨日の奴根にもっていらっしゃられたら俺の身がもたんっ!」
妹「コソコソ話してないでこっち向けよ、な?」
三馬鹿「「「......はい」」」
妹「つーか用あるのは......あ、兄貴のほうだから」
タダクニ「あっ?俺?」
二馬鹿「「ひゅー、ひゅー」」
妹「うっさい!去勢されたいのかお前らっ!」
二馬鹿「「......」」
タダクニ「お前らホントに分かりやすいな...俺もだが」
妹「......」
タダクニ「?ほら、早く話してみろよ」
妹「う、うるさい!急かすな!」
タダクニ「あ、あぁ...ゴメン」
妹「う、うん...」
ヒデノリ「え?何この雰囲気、俺ら邪魔じゃね?」
ヨシタケ「つーか、こいつらマジで兄妹?」
妹「えっと...ア、アンタ達が馬鹿みたいに私の下着かっさらっていくじゃん......だから」
妹「今日...私と一緒に下着買いに行ってよ...兄貴」
二馬鹿「「まさかのデートキター!!!」」
妹「よっしゃ、お前等股開け」
二馬鹿「「う、うわぁぁぁぁぁぁ!!!」」
ヨシタケ「戦場に赴くのと同義だぞ...タダクニ」
タダクニ「警戒しすぎだって、大したことは起きないから安心しろ」
ヨシタケ「できるか」
ヒデノリ「仕方ない、俺たちの親友の命のためだ、後をつけさせてもらう」
タダクニ「え?俺って命の危険があるくらいなことしてるの?」
ヒデノリ「当たり前だろ、やっと分かったのか」
ヨシタケ「今までの妹の態度を思い出してみろ、これは俺らを利用した罠かもしれねーぜ」
タダクニ「わ、罠......お、俺お腹痛く...」
ヒデノリ「うるせぇ、今さっきの余裕顔ぶら下げていってこい」
タダクニ「いやぁ!俺を一人にしないで!お前らも来てくれよぉ!」
ヨシタケ「一気にいつものタダクニに戻ったな」
モトハル「思い切ったな、タダクニの奴」
ヒデノリ「だろ?もうこっちはヒヤヒヤもんなんだよ」
ヨシタケ「ガチでアイツの身が心配になってきたよ......つか今の」
タダクニ「で、ど、何処行くんだよ」
妹「よ、洋服屋」
ヨシタケ「俺達のこの状況がバレたら...」
「「「「......」」」」
ヒデノリ「タダクニは最前線で生気を振り絞って頑張ってんだ...俺たちも応えねぇと...」
唐沢「そ、そうだな」
モトハル「......姉ちゃんにもう会えないのかな」
ヨシタケ「!二人の動きに変化が現れたぞ!」
ヨシタケ「......あ、歩きながら食うつもりらしい、追うぞ」
タダクニ「ん、中々いけるな」
妹「......兄貴ってさ、そういうのでいっつもストロベリー味選ぶよね」
タダクニ「ん?ああ、最近おいしさを知ってさ、こればっかりなんだよ」
妹「子供の頃...食べなかったの?ケーキのイチゴとか」
タダクニ「ああ、だって、俺がイチゴ付きのケーキとか食べるときはいっつもお前が物欲しそうに見てくるからさ、俺がそのたびにお前にあげてたんだよ」
妹「えっ...」
タダクニ「だから今までイチゴとはかけ離れた人生を送ってたんだよ、俺は」
妹「えっと...ゴメン、兄貴」
タダクニ「いいよ、もう全然気にしてないし、今おいしければそれでいいだろ」
妹「......そうだな」ニコッ
ヨシタケ「ありゃぁ...タダクニの奴覚醒しやがったか......とうとう主人公補正を手に入れたのか...」
唐沢「いつも睨みあっていた兄妹とは思えないな......寒気がっ...」
モトハル「ん?どうやら目的地に到着したらしいな」
ヒデノリ「......来たかぁ...」
ヨシタケ「俺らどうするよ?こんな大人数で行ったら流石にバレんぞ、しかもあそこはレディースしか置いてないから必然的に女装しなくちゃいけねぇし」
唐沢「いや、女装なんてするか、それに女装のための服自体...」
ヨシタケ「安心しろ、こういうことになるだろうと察して早朝、姉の衣類を借りてきた」
モトハル「えぇ!?スッゲーなヨシタケお前」
ヨシタケ「いや、事情説明したら「いいね!もっとかき乱してきなさいっ!」って...」
ヒデノリ「相変わらずだな、お前の姉貴」
ヒデノリ「普段ならタダクニの特権なんだけどな...」
ヨシタケ「アイツも頑張ってんだ、なら俺達も頑張らないといけねぇよな」
モトハル「ああ、その通りだ、だから...」
唐沢「正々堂々と...ジャンッケンッ...」
「「「「ポンッ!!!」」」」
ヨシタケ「に、似合ってるぞ」
ヒデノリ「ああ...ぷぷ...意外性もバッチリだ...」
モトハル「これからその格好で学校に通えばいいんじゃないか...」
「「「唐沢」」」
唐沢「くっ......お前らなんて嫌いだぁぁぁぁぁ!!!」
ヨシタケ「何で俺も一緒になんだよ...」
唐沢「うるせぇ、俺とお前が残ってたんだからいいだろ別に、カップルってことで」
ヨシタケ「勝ったのに何で俺は死地に立っているんだよ...」
唐沢「ん?見つけたぞ、あそこの下着コーナーだ」
ヨシタケ「マジか...ホントに行くのか...?」
唐沢「仕方ないだろ、ほら行くぞヨシタケ」
ヨシタケ「うぇ...勘弁してくれよ...」
ヨシタケ「二人で仲良く選んでるな、仲睦まじいもんだな」
妹「正直なところ、アンタはどういうのが好みよ...」
タダクニ「は、はぁ!?べ、別に女の下着の好みなんてね、ねーよ」
妹「じゃ、じゃあアンタが気に入ったのでいいから選んでよ」
タダクニ「ホ、ホントにいいのか?」
妹「いいって言ってんでしょ!殴られたいの?」
タダクニ「はい、分かりましたぁ!」
妹「......フフッ」
唐沢「.........なぁ、空しく...」
ヨシタケ「言うんじゃねぇ、言うんじゃ」
ヨシタケ「二人でイチャイチャしながら...下着類を選んでました...」
唐沢「時折、妹がタダクニにどの下着がいいか聞いておりました」
モトハル「......マジでか」
ヒデノリ「......」
ヨシタケ「あ、あいつら買い物終わったっていうのに、まだ帰る気がないらしいっ!どうするヒデノリ!?まだ続けるのか?」
唐沢「俺はもう苦痛で仕方ないっ!」
ヒデノリ「......間違えたな」
モトハル「...何をだ」
ヒデノリ「あの妹がタダクニに抱く好感度はもはや......50なんてちっぽけなもんじゃないってことだよ」
三馬鹿「「「ッ!?」」」
ヒデノリ「今からそれを証明するために俺は後をつける......お前らは好きにしろ...」
三馬鹿「「「......」」」
ヒデノリ「ああ、元はこの俺が企画したことなんだ...俺が見届けてやる」
モトハル「だがお前が苦しいだけだ...親友が女の子とイチャイチャしてる様子を指くわえて見てるだけなんて...」
ヒデノリ「ああ、俺は今も女の子モテてるタダクニを殺したいほど憎いさ...けど見届けてやる」
唐沢「今の妹にバレたら、確実に体のどこかに著しいほどの損傷が残る...それでもか?」
ヒデノリ「そんなもん...承知の上だ」
三馬鹿「「「......」」」
ヒデノリ「俺は行く...お前らはどうする...?」
モトハル「ハッ...ここまできてお預け食らうのはゴメンだ」
ヨシタケ「確かにな、俺たちは皆で一緒に見届けてきたんだ」
唐沢「ここで抜けるなんて無粋な真似、するかよ」
ヒデノリ「お前等......よしわかった行くぞ」
三馬鹿「「「おう!」」」
俺たちはここに結束した、絆の力で
そしてここで同時に、俺たちはある想いを共感した
そう、タダクニを血祭りにあげてやる...と
文学少女「......」
文学少女「今日も...風は軋んでいるのね」
文学少女「......」
タダクニ「で、このくらいでよかったのかよ」
妹「ああ、お前らがまた盗まなければ足りるわ」
タダクニ「......悪かった」
妹「いいよもう、気にしてないから」
文学少女「彼は...」
タダクニ「今日どうする?夕飯、外で食うか?」
妹「えっ!...で、でも私金持ってきてないし...」
タダクニ「はは、それくらい兄貴の俺が出すって、それに今までのお詫びとしてだよ」
妹「......うん」
文学少女「......」
文学少女「......あの二人の間に流れる風は...穏やかね」
文学少女「ふわぁっ!?」
モトハル「あっ......んんっ...」
ヒデノリ「久しぶりだな、風の民(笑)よ」
文学少女「うぅ~...」
ヨシタケ「おいおいあんまイジメんな、端から見れば俺たちすっごい怪しいぞ」
ヒデノリ「確かに、じゃあ追うぞ」
三馬鹿「「「おうっ!」」」
ヒデノリ「じゃあな!」
タッタッタ...
文学少女「......」
文学少女「たまには...荒々しい風に流されるのも...」
文学少女「......うぅ」
唐沢「人が増えるとバレる確率も跳ね上がるんだぞ、ヒデノリ」
ヒデノリ「俺かよっ!......あー、お前は帰るか土手で新しい風の使者でも探してこい」
文学少女「う、うるさい...」
ヒデノリ「あぁん?」
ヨシタケ「もういいじゃねーか、それに男しかいねーんだし、これで少しはむさ苦しいのが緩和されただろうよ」
モトハル「......確かにな」
ヒデノリ「はぁ...じゃあできるだけバレないようにしろよ」
文学少女「う、うんっ...」
妹「~~...」
ヒデノリ「ヨシタケ、この先には何がある...?」
ヨシタケ「確かバッティングセンターと......ファミレスだ」
唐沢「どうやら目的はファミレスか」
モトハル「まだ夕方だってのに...結構早めだな」
ぐぅ~...
四馬鹿「「「「...」」」」
文学少女「は、はぅ...」くぅー...
四馬鹿「「「「...」」」」
ヒデノリ「つ、ついでだ、俺たちも食いに行くか」
ヨシタケ「そうだな、うん...ついでにな」
唐沢「腹も減ってるしな、丁度」
モトハル「姉貴に連絡してくるわ、うん」
文学少女「うぅ...もぅ...」くぅー...
タダクニ「よし、じゃんじゃん頼んでいいぞ妹、今日は金も下ろしてきたからな」
妹「ほ、ホントにいいの...?」
タダクニ「ああ、バイトして無駄に金貯めてきたからな」
タダクニ(彼女ができたら使おうと思ってたんだけどな...)
妹「じゃ、じゃあ私...この...」
ヒデノリ「まさかアイツら...イクとこまでイッちまうのか...?」
ヨシタケ「ど、どうなんだろうな」
唐沢「んじゃ俺は豚骨ラーメンでも」
モトハル「俺は...こういうとこはあんまし来ないからな...」
文学少女「ドリヤ......ナポリタン......」
ヒデノリ「お前ら...」
ヨシタケ「あぁ、外はもう暗いぞ...」
唐沢「尾行も一時中断するか?」
モトハル「いや、ここで止めたら後々後悔することになるぞ...」
文学少女「あむっ...はふっ...」
ヒデノリ「食い終わってからが重要だ、そのまま帰るのか、そのまま...」
ヨシタケ「くっ...禁断の果実にタダクニの野郎が手を出したら俺アイツと友達辞めてやるっ!」
唐沢「だがまだアイツらはそこまで深い関係じゃない......はずだ、うん」
モトハル「チッ...兄妹なのにヤキモキさせやがって...」
文学少女「ふぅ...ふぅ...あちっ」
妹「兄貴、アンタデザート頼んだの?」
タダクニ「ん?おお、お前は?」
妹「わ、私は...」
タダクニ「あ、まさか太るからか?」
妹「!」
タダクニ「......まさか、図星?」
妹「う、うっさい!」
タダクニ「ご、ごめん...」
妹「......」
タダクニ「...え、えっと...」
妹「......半分」
タダクニ「は?」
妹「半分だけなら...食べても大丈夫そうだから......兄貴、半分...いい?」
タダクニ「お、おぅ」
ヨシタケ「ああ、俺もうダメだ...死にたくなってきた」
唐沢「負けるなヨシタケ!まだ、まだ耐えろ!」
モトハル「俺だって握った拳が元に戻んねぇんだよ...」
文学少女「すいませーん、チョコパフェお願いします」
ヒデノリ「お前...馴染みすぎだろ」
文学少女「えっ...あ...ごめん」
ヒデノリ「たく......ッ!デ、デザートが来たぞ!」
ヨシタケ「とうとう来たか!」
文学少女「わ、早い...あっ、私です......いただきまーす」
妹「......そんなまどろっこしいことしないよ」
タダクニ「は?じゃあどうやって食うんだよ」
妹「あ、あーん」
タダクニ「」
妹「は、早くしろ!この体勢いろいろとキツイんだぞ!あーん!」
タダクニ「わ、分かった...ほ、ほらもっと上に口向けろ...」
妹「うん...あーん...」
タダクニ「あ、あーん」
妹「んっ...イチゴ」
タダクニ「ああ、うまいだろ?」
妹「で、でもストロベリーパフェのイチゴをなんで私に...」
タダクニ「何でって、お前は昔っから好きだろイチゴ、だからだよ」
妹「.........ありがと」
ヨシタケ「なぁ、これってアイツらが俺達への逆ドッキリを仕掛けてましたってオチじゃないのかよ?」
唐沢「なら早くネタばらししてくれよ...お願いだからよ...」
モトハル「姉ちゃんの胸に飛び込みたくなってきた...」
ヒデノリ「お前は近親に逃げるなよモトハル」
モトハル「に、逃げねぇーし!」
文学少女「ごちそうさま......帰らないのかな」
妹「うん...」
タダクニ「俺勘定済ませてくるからお前は外で待ってろ」
妹「うん...」
ヨシタケ「やっとか...長かったぜ...」
ヒデノリ「俺達も出る準備するぞ」
唐沢「おう」
文学少女「あ、あの!」
ヒデノリ「ん?何だ?」
文学少女「えっと...お会計は...」
「「「「「.........」」」」」
ここで漢達は一切迷わなかった
なぜなら、彼らは本能的に分かっていたのだ
彼らは拳を握り、そしてそれを眼前の敵に突きつける
そう、彼らは戦う、己のためにっ!
ジャンケン、ポンッ!
ヨシタケ「こんな犯罪みたいな真似してんだ、贖罪の証だよ証」
ヒデノリ「うるせぇ!ならお前も一緒に償えやっ!」
文学少女「贖罪の証...ふふ...じゃないや...えっと」つんつん...
ヒデノリ「ん?」
文学少女「ごめんなさい...払わせちゃって...」
文学少女「あ、後で私が食べた分は返すから...その...」
ヒデノリ「あー、気にすんな、女の子に負担を持たせるような教育を兄貴からしてもらった覚えはないからさ、だからここは俺に持たせろ」
文学少女「あっ......は、はいっ」かぁ...
ヒデノリ「まぁ、お前らは別...って何睨んでんだよお前ら」
ヨシタケ「ヒデノリ、見損なった」
唐沢「死にさらせ」
モトハル「お前は俺達誇り高き北高生徒の汚点だ、害悪だ」
ヒデノリ「な、何なんだよお前らぁぁぁぁぁぁ!!!」
文学少女「......あ、ありがと...ヒデノリ...さん」
ヨシタケ「よし、計画変更、タダクニの前にこいつに地獄を見せてやるぞ」
唐沢・モトハル「おう」
ヒデノリ「うわっ!ちょっ!やめっ......うぎゃあああああああ!!!」
タダクニ「騒がしいな...(多分アイツらだろうけど...)」
ヒデノリ「はぁ...はぁ...7時17分...土手に...戻ってきたな...」
モトハル「土手はただの帰路なのか...それとも...」
唐沢「夜の土手、これをどう使う、タダクニ」
ヨシタケ「よく見えないな...ちょっと近づくぞ」
文学少女「......冷たい風」
ヒデノリ「さて、ここで決めるのか...どうなんだ、タダクニッ!」
妹「...何?」
タダクニ「今さっきホットココア買ってきたんだけど、ここで飲まないか?」
妹「.....うん」
タダクニ「そっか、じゃあほら」
妹「うん......あったかい」
タダクニ「ほら、座れよ」
妹「うん...」
ヨシタケ「座ったぞ!」
ヒデノリ「おい、あんまり大きな声だすな!」
唐沢「ココアか...タダクニの奴やるな」
モトハル「あぁ...ここはトラウマの地...」
文学少女「.....くしょんっ」
妹「...な、なぁ兄貴」
タダクニ「ん?」
妹「今日は......ありがとな」
タダクニ「はぁ?どうしたんだよ突然」
妹「いいから!...それと今まで不愛想な態度とってごめん」
タダクニ「いいよ、それぐらいのことをしてたんだからさ俺」
妹「でも...」
タダクニ「反省してくれただけで俺はうれしいよ、ありがとな妹」なでなで
妹「あっ...う、うん」
ヒデノリ「なでなでだと...」
ヨシタケ「何て高等魔術を...」
文学少女「高等魔術...うーん......うぅ...寒い」
妹「う、うん」
タダクニ「ほら、立てるか?」
妹「た、立てるよ」
タダクニ「じゃあ俺の手はいらないな、ごめん」
妹「あっ......ッ!」
ぎゅっ
タダクニ「うわっ...ど、どうしたんだよ」
妹「す、滑りそうだから...保険だよ保険」
タダクニ「そ、そっか保険か...保険ねぇ...」
妹「このまま帰ろ...寒いし」ぎゅっ
タダクニ「......ああ」
ヨシタケ「おう、その言葉を待ってた」
唐沢「やっと終わりか...んじゃ俺はイライラ解消に今さっきのファミレスの近くのバッティングセンターにでも行くか」
モトハル「お、いいな、俺もつき合う」
ヨシタケ「俺も俺も~」
ヒデノリ「んじゃ俺も...」
三馬鹿「「「お前はダメだ」」」
ヒデノリ「な、何でだよ!?」
モトハル「お前には、ほら」
文学少女「あっ...えっと...私...?」
唐沢「送ってこい、紳士らしくな」
ヨシタケ「任せたぞ、ヒデノリ」
ヒデノリ「......仕方ねぇ、行くか?」
文学少女「は、はい...へへ」
ヒデノリ「好感度84、意識度97だな、死んじまえこの野郎」
タダクニ「その評価、色々ショートカットしすぎじゃないか?」
ヨシタケ「それぐらいのことをお前はしでかしたんだよ、俺らじゃもう手におえねぇ」
タダクニ「お、おい!お前らにも責任の一端はあるんだぞ!」
ヒデノリ「いや、もうあのデレっぷりは俺らじゃ抱えきれないほどの責任だって」
ヨシタケ「そういうことだ、一人で悩めこのコンチクショウ」
タダクニ「はぁ...お前らと俺のことバレたらどうなるんだろうな...?」
ヒデノリ「言うな、ふざけたフラグ立てんじゃねぇ」
ヨシタケ「......物騒だろ」
タダクニ「わ、悪い」
ヨシタケ「花火大会...だな」
タダクニ「いや、俺達もう何回も行ったじゃねーかよ」
ヒデノリ「違ぇよ、お前と妹だよ、何考えてんだお前は」
タダクニ「いやいやいや、この歳で妹と花火大会はありえないって!絶対!」
ヨシタケ「うっせぇ、もうとっとと決めちまえ」
タダクニ「何をだよ!......じゃあ聞いてくる」
ヒデノリ「おう、頑張れよ、後装備は浴衣でってついでに言ってこい」
ヨシタケ「見てみたいからってセリフも忘れんなよ~」
タダクニ「あぁ、もう!うっさいなお前らは!自分で頼んでこい!」
ぎゃーぎゃー、わーわー
妹「......兄貴と花火大会...よ、よし!」
ヒデノリ「で」
ヒデノリ「いつものメンバーがまた揃ったのか、懲りないなお前ら」
ヨシタケ「お前らどんだけ暇なの?」
唐沢「その言葉そっくりお前に返してやるよ」
モトハル「姉貴が家出てるからな、飯無かったし」
文学少女「......」
ヒデノリ「ま、浴衣姿の可愛い女の子がいることだし大目に見てやるか、よし尾行始めるぞ」
文学少女「っ!......うぅ...」
ヨシタケ「お前ってホント罪作りな男だな」
ヒデノリ「はぁ?」
ヨシタケ「一緒に家から出かけないのがミソだな」
唐沢「アイツキョロキョロしすぎだろ、どんだけ妹相手にドキドキしてんだよ」
モトハル「全くだな」
文学少女「......いじらしい風ね」
唐沢「!来たぞ!」
ヨシタケ「うっわ...見違えたな...」
モトハル「す、すっげぇ...」
ヒデノリ「確かに可愛いな」
文学少女「!......むぅ...」
妹「食べ物は後にしてさ...,,,遊ぼうよ...金魚すくいとか射的とか」
タダクニ「ああ、そうだな」
妹「よし!じゃあ、射的やろ!射的!」
タダクニ「っておい、引っ張るなって!」
妹「しゃってき~しゃってき~♪」
タダクニ「......くすっ」
ヒデノリ「くすっじゃねーよ!このど腐れ野郎!」
ヨシタケ「まぁまぁ」
文学少女「......射的」
どちらかは分からないが、俺達に見せつけるかのように妹とイチャイチャしていた
射的
金魚すくい
わなげ
などと、定番物で遊んでいた妹の姿はまるで天使のようだった
その姿を端からしか見物できない俺達にとってはタダクニは親の仇以上に恨めしい存在に成り代わった
まさかあんな凶暴な妹相手にここまで堕ちるとは誰が思っただろう
あんな冷酷無比な妹があそこまで兄とラブラブチュッチュすると誰が想像しただろう
俺は歯がゆくて仕方がなかった
一番俺達に近かったであろうタダクニの妹を
異性として意識できなかった自分に
歯がゆくて...仕方がなかった...
タダクニ「~~~...」
ヒデノリ「あぁ...後悔っていう感情なくなればいいのに...」
ヨシタケ「全くだ......全くだ」
唐沢「モトハル、何か食うか?今日はおごるぜ」
モトハル「おう...悪いな」
文学少女「......皆...」
ヨシタケ「......そうだな、何か食ったりすっか」
唐沢「俺は焼きそばを所望する、急ぐぞお前ら」
モトハル「俺も腹が減って仕方ねぇ」
文学少女「よかった......あっ!」くぅー...
「「「「......」」」」
ヒデノリ「はは、お前は相変わらずだな」
文学少女「うっ......お腹が減ったのよ...悪い...?」
ヒデノリ「悪くねぇよ、ほら、何か買いに行こうぜ」
文学少女「......うんっ!」ニコッ
たこ焼き
焼きそば
かき氷
などを買い漁り、食べ尽くしていった
どうやら今の俺達は自暴自棄になっているのやもしれない
目の前の現実から目を逸らすために
だがそれでも少しは俺達にも幸運の女神というものは見守っててくれていたらしい
いいや、違う
わざわざ幸運の女神は俺達のために浴衣まで着込んで出向いてきてくれたらしい
それくらい
文学少女「んっ...おいしいっ!」
四馬鹿「「「「......」」」」
それくらい、今の俺達には彼女が魅力的に見えたんだ
ヨシタケ「何だよ」
ヒデノリ「俺たちは近くの存在に気づけなかったせいで今こんな雰囲気になっちまってるんだよな」
ヨシタケ「そうだよ、俺達が馬鹿だったから」
ヒデノリ「けどさ、俺はまた気づいてしまったんだよ...新しい近くの存在に...」
ヨシタケ「......少し遅くないか?」
ヒデノリ「ええい、うるせぇ...俺ちょっくらかましてくるわ」
ヨシタケ「ん、えらい積極的だな」
ヒデノリ「また目の前の幸せを逃したくはないんでな」
ヨシタケ「......恨まれても仕方ないからな、ヒデノリ」
ヒデノリ「ああ、失敗したら慰めてくれよ」
文学少女「次...どこ行こうかしら...」そわそわ
唐沢「ああ、俺達には責任があるからな、アイツらの仲の」
モトハル「つらいが見続けるしかねぇよ」
ヨシタケ「...だな、よし、俺も加わる」
唐沢「......ヒデノリの奴と彼女は...」
ヨシタケ「......二人仲良く離脱だ」
モトハル「あっの野郎っ!自分からこんな苦痛でしかないことを提案したくせにっ!」
唐沢「諦めろモトハル、俺達はもう妬まない方がいい......いつか色々と崩れてしまうからな」
モトハル「......すまん、熱くなった」
ヨシタケ「いい、俺達には痛いほど分かるからな」
唐沢「ああ、そうさ...一緒に頑張ろうぜ、モトハル」
モトハル「......お前ら」
モトハル「頼んだ」
ヨシタケ「後はこの俺達だけだからな、少な目で足りるはずだ」
唐沢「分かった、俺のいない間、頼むぜ」
二馬鹿「おう、すぐ戻ってこいよ」
唐沢「......当たり前だろ」
モトハル「...俺らはいい奴を友に持ったもんだ」
ヨシタケ「よせ、その言葉は全てが終わった後に...だろ?」
モトハル「はっ...だな」
???「あっ、としゆきじゃん、こんなとこで何やってんの?」
唐沢「ん?...お前は...」
唐沢「柳...」
ヤナギン「まさかアンタ一人なの~、だったら、私たちの輪の中に入れてやってもいいのよ~」
唐沢「いや、俺は...」
生島「ヤナギン~、何やってんの~......男っ!?」
羽原「あれ?としゆき?」
ヤナギン「どうやらコイツ、誰も遊んでくれる人がいないらしいのよー、可哀想よね~?」
唐沢「いや、だから違っ...」
羽原「じゃあ私達と一緒に......来る?」
唐沢「うっ......そ、そんな笑顔で俺を見るなぁ...っ!」
モトハル「アイツは変なところで真面目だからな...タダクニ達に異変は無しっと...ん?あのキャップは唐沢......ごふっ!」
ヨシタケ「ん?どうしたモトハ...ル...」
モトハル「な、なんで唐沢が...」
二馬鹿「「女を三人も侍らしてるんだよっ!」」
唐沢「......」チラッ
モトハル「こっち向いたぞ!」
ヨシタケ「あの裏切り者ぉー!絶対に許さ...んっ?...唐沢の奴、目で何か訴えて...」
唐沢『アークデーモンには...逆らえないんだよ......反抗的な態度をとるだけで傷が疼くんだ...』チラチラッチラ
ヨシタケ「......なんて悲しそうな目だ」
唐沢『だから一緒に最後まで見届けることができなくて残念だ...俺は一足先に地獄の門くぐってくるぜ...』チラチラチララ
モトハル「......アイツ...」
モトハル「絶対に許さねぇ!な、ヨシタケ?」
ヨシタケ「当たり前だろっ!あんな目で俺達を見てきやがって、余裕ぶっこいてんじゃねぇぞ!」
伝わりませんでした。
モトハル「これから空しいとか辛いとか、ネガティブな発言はNGだからな...はぁ」
ヨシタケ「ため息もな」
タダクニ「~~~...」
妹「~~~...」
ヨシタケ「もうすぐ花火が打ち上がる時間だな」
モトハル「おう、アイツらどうする気だ?」
ヨシタケ「うーん...こう人が多い場所で見られたら俺達がアイツらを見届けられないな」
モトアル「うまく人の居ない場所に誘導するしかないな」
タダクニ「あ、はい、もしもし」
ヨシタケ『お、久しぶりだな』
タダクニ「ヨシタケか...何が久しぶりだ、三時間前までは一緒だったろ」
ヨシタケ『いや、何かお前が言葉喋ってんの久しぶりな気がしてな』
タダクニ「はぁ?どういうわけだよ」
ヨシタケ『まぁ、こっちの話だ、それでさタダクニ...』
タダクニ「うん...うん......ああ、そうだな、すまんヨシタケ、ありがとな」ピッ
妹「...どうかした?」
タダクニ「妹、場所移動だ、歩けるな?」
妹「?」
モトハル「うし、んじゃ俺らも移動すっか」
ヨシタケ「おう!」
???「あれ?何やってんのモトハル?」
???「男二人でとか...我ながら悲しい弟を持ったもんだ」
モトハル「......う、嘘だろ...何で」
ヨシタケ「こんなところにいるんだよ...」
二馬鹿「「姉ちゃんっ!?」」
モトハルの姉「ねぇ、こいつらも混ぜて一緒に回ってもいいかな?」
ヨシタケの姉「さすがにカワイソだしね、いいよいいよ~」
二馬鹿「「......」」
本来の目的も誇りも忘れ、俺達は遊び倒した
そして、その時が来た
ヒデノリ「ここの近くの神社はよく見えるはずって兄貴が言ってた、行ってみるか?」
文学少女「......うん」
やなぎん「お?なんかあそこ通れそうね」
唐沢(あそこは確か...)
モトハル姉「ほらほら、しょげてないで進むわよぉ~」
ヨシタケ姉「ここら辺でよく花火が見える神社があるらしいから急ぐぞお前らー!」
モトハル姉「それって嘘?ホント?」
モトハル・ヨシタケ(ホントです...悲しい限り...)
そしていつの間にか
祭会場のそばにある古ぼけた神社に男達は
「「「「「......」」」」」
集結していた...
モトハル「お前もだろうが、ふざけやがって...こっちは女と言っても姉貴だぞ姉貴」
ヨシタケ「そーだーそーだー」
唐沢「でもモトハル、お前お姉ちゃん大好きっこなんだから構わないだろうが」
モトハル「なっ...べ、別に好きじゃねーよ...」
タダクニ「おいおい、赤くなってんぞモトハル」
ヒデノリ「笑ってんじゃねーよ!元はと言えばお前が全ての元凶なんだぞタダクニッ!」
タダクニ「いや、それお前だから!」
わいわい、がやがや
文学少女「騒がしい風ね」
生島「ねぇねぇ、やっさん、今日は彼氏と来たの?ねぇねぇ?」
文学少女「えっ...ち、違うよっ!」
生島「まったまた~」
文学少女「ほ、ほんとだからっ...!」
モトハル「お、もうすぐ花火来るぞお前らー!」
どうやら俺達の花火大会はこんなにあっけなく、女子の人数割り増しの形で終りそうだ
タダクニ「はぁ...今年の夏は怒濤すぎた...」
妹「......兄貴」
タダクニ「ん?」
妹「今日は...一緒に花火大会回れて楽しかった...ありがと」
タダクニ「いや、こんな兄貴と一緒に回ってもらってこっちが礼言いたいくらいだ、ありがとな妹」
妹「ううん...嬉しかった......兄貴とまたこんなに仲良くなれて...だからやっぱり私がお礼言わなきゃ、ホントにありがと」
タダクニ「妹...」
妹「これからも私と仲良くしてね、お兄ちゃんっ!」
タダクニ「ッ!」
特大花火が、俺達の目の前で大きく咲いた...
ヒデノリ「好感度100、意識度100でいいだろもう」
タダクニ「一気に適当臭くなってきたな」
ヒデノリ「うるせぇ!もうこれ以上計りきれねぇだろうがボゲェ!」
タダクニ「ま、飽きたなのならいいけど別に」
ヨシタケ「ふわぁ~...何で夏休み終盤なのにこんなに暑いんだよ...アイスくいてぇ~」
ヒデノリ「確かに、おいタダクニ、暇ならアイス買ってきてくれ、奢ってやるから」
タダクニ「いや何で俺が...」
妹「お兄ちゃん!私アイス食べたい!一緒に行こっ!?」ガチャッ!
タダクニ「うおっ!?話聞いてたのか...ま、いいけど、一緒に行くか妹?」
妹「うんっ!お兄ちゃんと一緒に行くっ!」
ガチャ...バタン...
ヒデノリ「もはや兄妹の壁を殴り壊したかタダクニの奴...さてと」
ヨシタケ「?どうしたヒデノリ、俺の前にいきなり座りやがって...」
ヒデノリ「いやなヨシタケ、お前ってさ......姉属性ある?」
ヨシタケ「は?」
終われ
アニメと画像しか見たことないから色々と違和感感じたと思うけど勘弁してください
保守、支援ありがとうございました
こんな長引かせて申し訳ないです
男子高校生の日常は書いてておもしろかったのでできればまた今度新しいの書いてみたいです
それじゃお疲れ
よく頑張ってくれた
おもしろかった次回作期待
唐沢がリア充なわけがない
Entry ⇒ 2012.01.31 | Category ⇒ 男子高校生の日常SS | Comments (0) | Trackbacks (0)
響「かなさんどー」
響「え?だから、かなさんど~って……」
P「かなさんど?うーん、かなサンド?」
響「あ、プロデューサー知らないんだな?」
P「ああ、さっぱりわからん。どういう意味なんだ?」
響「へへっ、教えてあげないぞ!」
かなさん どー=愛しい よー
おわり
http://hayabusa.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1327886655/
響「かなさんどー」
響「そ、そうかー?」
貴音「響…私は響を止めたりはしません
ですがきちんと避妊だけはしてくださいね」
響「ばっk!!だ!!」
貴音「痛いです、響」
響「貴音が変なこと言うからだぞ!!」
貴音「変な事を言いましたでしょうか、性交s」響「わあー!わー!」
P「何してるんだ二人とも」
みたいのはよ
貴音「なぜでしょうか」
響「こういう約束しておかないといつどこで何言うかわからないからだぞ!」
貴音「いつかどこかで何か言われて困ることがあるのですか
まさか既に男性と…」
響「ち!ちがうぞ!と、とにかく約束してくれないならもう貴音とは喋らない!」
貴音「それは大変に困ります、では約束しましょう」
響「そういう貴音こそ、そういう人はいないのか?」
貴音「私はいつそのような方と巡り会えても大丈夫なように、日々精進しております」
響「貴音はブレないな…自分うらやましいぞ」
貴音「?」
P「二人とも、そろそろ時間だから出発出来るようにしておくんだぞ」
響「う、うん分かったぞ」
貴音「承知致しました」
P「ああ、貴音?
この前勧めてくれたラーメン屋凄く美味しかったぞ」
響「…」
貴音「それはよかったです、私もお気に入りのお店です故」
響「…はぁ」
P「どうした響」
響「別になんでもないぞ」
貴音「?」
キィ…ガチャ
P「よし、今回初参加のラジオ企画だからな
二人とも気合入れていけよ!」
響「…うん、頑張るぞ貴音!」
貴音「はいっ」
~収録中~
P(最近響の扱い方がわからなくなってきたな
機嫌の浮き沈みが激しくなったというか…
仕事に戻ればいつも通りだから今の所は問題ないけど
…今度、貴音達に相談してみるか)
スタッフ「お疲れさまでーす」
貴音「響、行きましょう
ぷろでゅうさあ、仕事の都合で戻れないそうです」
響「そうなのかっ
じゃあタクシーで帰らなくちゃな」
貴音「いえ、歩いて帰りましょう」
響「うん…ってえ!?
ここから事務所まで40分はかかるぞー?」
貴音「歩く為に足はついているのです」
響「な、なんか違うような気もするぞ…
まあ貴音がそういうなら歩くのも良いかもなっ
最近運動も出来てないし」
貴音「りふれっしゅ」
響「そのポーズはなんだ…?」
貴音「気合を入れるのです、さあ響も」
響「り、リフレッシュ!」
貴音(恥らう響も可愛いです)
響「た、貴音…今携帯で自分のこと撮らなかったか?」
貴音「はい」
響「あっさり認めるのは貴音らしいなぁ…」
貴音「問題があったでしょうか」
響「いや、まあいいけど…」
貴音(ついでに待ち受けにしておきましょう)
響「こ、こらー!」
貴音「?」
響「堂々と待ち受けにするなっ!」
貴音「では、今夜密やかに待ち受けにしなおします」
響「…まあ約束させたから許してやるぞ
さ、もう帰ろう?」
貴音「はい」
響「貴音は、ぷ…プロデューサーの事をどう思ってるんだ?」
貴音「どう、と言いますと」
響「たとえば…好きとか」
貴音「好きですよ」
響「っ…!
や、やっぱりデートとかもしたのか?」
貴音「ええ(二郎に)」
響「そっか…」
貴音「響」
響「ん?」
貴音「ふぁいとです」
響「た、貴音に応援されても少し複雑な気持ちだぞ…」
貴音「私では駄目ですか」
響「駄目っていうか…だって貴音も…」
響も誘ってみては如何でしょう」
響「そ、そうなのか!?
確かに美希がそんな話をしてたのを聞いた気がするぞ…」
貴音「だから、諦めてはなりません」
響(恋敵ってこんな協力的でオープンな関係なのか…?)
貴音「響とぷろでゅうさあのでーと!なんと微笑ましい光景でしょう
想像しているだけで幸せな気持ちになれます」
響「た、貴音は私や美希がプロデューサーとデートしても嫌じゃないのかっ」
貴音「嫌がる必要がどこにあるのです
それで皆が幸せになれるのであれば真素晴らしいではありませんか」
響(他の女性でも、プロデューサーが幸せなら構わない…か
自分勝手な考えをしてる自分より、貴音のほうがずっとずっと大人だぞ)
「貴音は大人な考え方だな…
自分にはちょっと出来ないぞ…」
貴音「よいではありませんか
違う人間なのですから、違う考えを持つのが当然です」
響「うぅ…」(話せば話すほど、自分じゃ貴音には勝てないぞ!)
響「貴音は大人すぎるぞ!」
貴音「なんと!」
響「自分、貴音みたいにかっこよくないし
あずささんみたいに胸もないし
美希みたいにおしゃれじゃないし…」
貴音「自分を卑下するのはお止めなさい!」
響「ビクッ」
貴音「響は私の大切な友人です
どんな人でも、たとえそれが"アナタ"であっても"響"を卑下する事は私が許しません」
響「た、貴音…」
貴音「よしよし、私の胸でいくらでも泣きなさい」(可愛い…)
響「うわーん」
貴音「いいですか響、自分にとっての短所も相手には長所に為り得るものです
ですからどんな状況であれ、諦める必要はないのです」
響「ぐすん…貴音…
わかったよ、自分プロデューサーをデートに誘ってみる!」
貴音「ええ、是非写真を送って下さいね」
響「え?ああ…うん
美希にもあずさにも、もちろん貴音にも負けないように頑張るぞ!」
貴音「その意気です、響
りふれっしゅ!」
響「り、リフレッシュ!!///」
パチリ
貴音(それでもやっぱり恥ずかしいものは恥ずかしい
そんな響も可愛いです)
P「うん?
っぷ、なんだこれ」
春香「見せてくださいっ」
千早「これ…我那覇さん?
こんな街中で何してるのかしら…」
春香「"気合のぽーじんぐ"って…貴音さんから?」
P「ああ、収録一緒だったんだ
いやー、よかったよかった」
千早「?」
P「最近元気ないから、事務所に着いたら春香や千早にも相談しようと思ってたんだけど
この様子なら心配なさそうだ」
P「ただいまっと」
美希「おかえりいぃ!」
だき!
P「おいおい、今日は猛烈だな」
美希「だってミキ、学校でテストだったからハニーと会うの4日ぶりなの!」
千早「…」
春香「はは…ゴシップ記事に載せられないで下さいね?」
美希「春香だってうらやましいくせに!」
春香「…」
千早「春香、中学生の戯言よ」
美希「千早さんはルツペ…」P「わぁ!?」
美希「あ、あぶないの!」
千早「ごめんなさい、突然素振りがしたくなったものだから」
美希「椅子はナイの!きゃあ!」
P「おい千早あぶないから…」
春香「プロデューサーさん、危ないから私と外行きましょう」
千早「は、春香!?」
春香「プロデューサーさん、早く行きましょう」
美希「じゃあミキ左半身もらうの!」
千早「ではプロデューサーの背中は私が貰います」
美希「千早さんがくっついたってペッタンコで当たるものがないの」
千早「なんですってこの!」
美希「この人野蛮なの!ミキの事蹴ろうとするの!」
春香「プロデューサーさん!」
あずさ「あらら、おしくら饅頭みたいですね」
小鳥「…あずささん、ややこしくなりますから入っちゃ駄目ですよ」
あずさ「はい♪」
ガチャ
響「ただい…」
貴音「なんと」
うらやましいなあ
美希「ゴーヤうるさいの!」
千早「美希はプロデューサーの手を胸からどけなさい!!」
美希「自分にないからって」
千早「うるさい!」
小鳥「ああ、律子さんが帰って来る前に状況をなんとかしないと…」
貴音「あなた様」
千早・美希・春香・P「……」
貴音「話がございます
…響も来なさい」
3人Pから離れる
あずさ「あらぁ、案外あっけなく終わっちゃったわ」
~外~
貴音「あなた様はここでお待ちを」
響「な、なんだ?」
貴音「先ほど言いましたね、頑張ると
でーとに誘うのです」
春香「千早ちゃん、夕食食べに行こう」とか見た?
あれレスほとんどつかなかったから人いたかわかんなかったんだけど
響「…う、うん!」
貴音「大丈夫ですか?」
響「だ、だいじょうぶだぞ!ちょっとクラクラしてきただけだ!」
貴音「ぷろでゅうさあは都内のアパートに住んでいると話していました
お家でーとを提案するのです」
響「い、いきなり家にいくのか!?
ハードルも高いし、し、失礼じゃないかなっ」
貴音「既に見たでしょう、一気に追い抜かなくては他のあいどるに彼を食べられてしまいます」
響「食べられるって…な、なんか言い方エロいぞ」
貴音「お家でーとで、彼に料理をご馳走するのです」
響「料理…」
貴音「店で食べるより、魅力的なはずです
なにせ未来の嫁となるのですから」
響「け、けっこん!?
まままままってよ貴音!話が早すぎるぞ!」
響「貴音の冗談はどこからどこまでかわからないぞ…」
貴音「ですが、美味しい店で食べたら思う事は"また一緒にどこかで食べたい"で止まるとは思いませんか?」
響「?」
貴音「店での食事の最中に、相手の手料理の事を考えることは考え難いと思うのです」
響「た、確かに…」
貴音「しかし手料理を振舞えば"また手料理が食べたい"という思いに変わり
次のデートも店ではなく自宅になるのです!」
響「貴音頭いいな!」
貴音「こうして一個一個の上げ幅を高めていけば、彼女達をもすぐに追い抜けるでしょう」
響「じ、自分なんだか行けるような気がしてきたぞ!」
貴音「その意気です!りふれっしゅ!」
響「り、リフレッシュ!」パチリ
貴音(ふふふ、また一枚…)
正直デートの手順とかわからんから、萎えるような展開だったらすまんね
P「え?」
響「ぷぷぷぷろでゅーさ!」
P「おい、顔真っ赤だぞ、熱あるんじゃ…」
響「だだだだだいじょうぶでごわす!」
P「ごわす!?」
ジーー…
貴音(ああ、巣立つ雛を見届ける気持ちです…
ちゃんと録画できているでしょうか)
P「なあ、貴音?
お前に伝言してもらった方が早いんじゃ…」
貴音「男ならじっと待つのです」
P「あ、ああ…わかった」
~事務所のドア~
美希「まだ帰ってこないの」
春香「狭いよ千早ちゃん」
美希「千早さんは省スペースなの」
ゴン!
美希「むぅ」
響「すぅ、はぁ…プロデューサー」
P「(いよいよか)何だ」
響「…」プルプル
P「な、なぜ泣く!?」
貴音(か、可愛い!!申し訳ありません響…
私はいずれ私の為に響を泣かす日が来てしまうかもしれません)
P「ほら、泣くな、な?
何でも欲しいもの買ってやるからえーとほら、飴食べるか?」
響「ん!」
泣きながらあーん、する響
貴音(もっと近くで撮りたいのですが、響の巣立ちを邪魔する訳には…)
P「はい」
コロコロ
響「…美味しいぞ」
P「落ち着いたか?」
響「ごめんなさい」
P「良いんだ、言いたい時に言えばいい」
P「よしこい!」
響「自分…プロデューサーに手料理を振舞いたいぞ!!」
P「そうか!
え!?」
響「だ、駄目だったか…?」ジワ
P「いやいや!すごく嬉しい!
(響ってこんなに涙もろかったっけ…?)」
響「じゃ、じゃあ食べてくれるんだな!自分の沖縄料理!」
P「あ、ああ!」
響「よ、よかったー、断られたらどうしようと思ってたぞ…」
P「ちなみに場所は…」
響「プロデューサーん家!」
P「やっぱりか…」
P「いや、迷惑っていうより
バレたら変な記事書かれるかもしれないぞ」
響「そういう心配はもっと自分をもっと売れっ子にしてからしてほしいぞ!」
P「はい、精進します
それじゃあ、俺の家で問題ないか」
響「やった!」
P「でも、ゴーヤー売ってないんじゃないのか?」
響「ちゃんとどの時期でも育つぞ!
あんまり売ってないけど、家族に送ってもらうから大丈夫だ!」
P「そうか、楽しみにしてるよ」
響「(楽しみに…////)」
P「それじゃ、そろそろ事務所に戻ろうか
あんまり遅いと律子がうるさいぞ?」
響「う、うん!」
貴音(一安心ですね…)
春香「何の話をしてたんですか!」
P「いや、なんでもないよ」
千早「怪しいです」
ガヤガヤ
響「ニコニコ」
貴音「ご機嫌ですね」
響「うん!今はプロデューサーにまとわりつこうと気にしないぞ!」
貴音「よきかなよきかな
不動の精神は大切です
しかし、響」
響「ん?」
貴音「避妊だけは…」
響「わわわわ!!!」
貴音「もぐもぐ」
響「手を食べるなー!」
響「それじゃあ、貴音
わざわざお見送りありがとうな」
貴音「響、避妊だけは…」
響「し、しつこいぞ!」
貴音「…これは真剣な話です」
響「う…」(マジ顔になった…)
貴音「恥ずかしがらずに、お答えなさい
彼と繋がりたいと思っているのですか」
響「繋がるって…確かにほんのちょっとだけ、そうは思うけど…
ほ、ホントのホントにちょっぴりだけだぞ!!」
貴音「わずかには、あるのですね」
響「う、うん…」
貴音「響の最初は一度きりだという事を忘れないでください
…ですが、それだけ響が彼を好きだという事は存じました
確かに、愛を語る上で外せないものです
私に響のそれを止める権利などありません」
貴音「それで二人が幸せなら、それはよろこばしい事です」
響「でも…そんなの間違ってると思うぞ!」
貴音「?」
響「だって…!自分は貴音にも負けないように料理の練習頑張ったのに!
貴音は、貴音は勝ちを私に譲っちゃうのかっ!?」
貴音「ひ、響…どうか私の言う事を」
響「貴音は友達だけど、そんなのよくないぞ!!間違ってるぞ!!」
貴音「響、勘違いが…」
響「そんな広い心持ってる貴音こそ…プロデューサーと付き合うべきなんじゃないのか!」
貴音「私は彼を愛していません」
響「…え?」
貴音「友人として、仕事仲間として、上司として、です」
響「こ、こんなの…ちょ、超はずかしいぞ…」
貴音「…クス」
響「じゃあ、私もっと頑張っていいんだな!」
貴音「響」
響「ん?」
貴音「私は贔屓が好きではありません」
響「うん、知ってるぞ」
貴音「でも、響は一番可愛いです」
響「うぅ、照れるぞ…」
貴音「響なら、大丈夫です
何があっても、彼は響にめろめろです
ですから、自信を持ってお行きなさい」
響「…うん!!」
飯、よろしければ保守お願いします
響「遅れてごめんだぞ、プロデューサー
ちょっと貴音と…」
P「大丈夫、気にしてないよ
ずっと前から響は貴音と仲良しだったのか?」
響「うん、貴音に一番最初に声をかけたのも私だぞ」
P「そうなのか、響は色々な事に積極的だもんな」
響「ただ、貴音の場合は自分もちょっと戸惑ったぞ
事務所の誰とも話そうとしないから、話しかけたら逆に嫌われるんじゃないかって」
P「それでも声をかける辺りは流石だな、凄い事だぞ響」
響「じ、自分はただ…友達は多いほうがいいと思うから…」
P「それで、最初の頃響と貴音はどうだったんだ」
響「貴音は今と変わらないなー
行動はちょっと無愛想だったけど」
P「ブレないか、貴音らしいな」
P「可愛い所?」
響「ずっと自分についてきてくれる」
P「その言い方はちょっと貴音が幽霊みたいだぞ」
響「ははっ
貴音は幽霊みたいな顔色してるからなっ
…でも、本当に」
P「…」
響「ついてくる人物に自分を選んだのは、きっと最初に声をかけたから
その辺りは妙に合理的で、貴音らしいんだけど
仕事の選びに迷いがないんだ
律子やプロデューサーが色々な応募企画を持ってきてくれた時、貴音は一瞬で仕事を選ぶ
昔聞いたんだ、"何を基準に選んでるの?"って」
P「響か」
響「自分もびっくりしたぞっ
まだそんなに仲良しでもなかったのに
真顔で"響と受けられるように2人以上募集しているものを選んでおります"って言うからなっ」
P「はは、貴音は最初からブレないな」
響「だから貴音は…親友だ」
P「響は、貴音の私生活の事とか何か知ってるのか?」
響「…いや、向こうから言わない事は聞かないようにしてるよ
プロデューサーは、知らないままなのは変だと思うか?」
P「普通ではないよな、不思議な気持ちじゃないか?
家も学歴もわからない親友っていうのも」
響「その分、私の事を知ってもらうだけさー」
P「響も、響だな」
響「ん!?今の妙な納得は気になるぞー!?」
P「ああ、こら
俺の可愛いボロ車を事故にあわさせないでくれよ」
響「新車買うチャンスだぞ!」
P「冗談じゃないっ!
こいつを買うためにどれだけ食事を減らしたことか!」
一応チェックしてはいるけど、私が混じってたら見逃してくれ
響「マニュアルっていうのも、珍しいなー」
P「まあ、高級車でもないマニュアルはただの面倒な車だからな」
響「どうしてオートマじゃないんだ?あっちの方が簡単なんでしょ?」
P「よし、見てろ
変身!!」ガチャガチャ!
響「おぉ」
P「まあ、ただのギアシフトだけどな
でもカッコイイだろ?」
響「かっこいいぞ!」
P「このシフトレバーをカクカクするのが夢だったんだ
燃費も良いから財布にも地球にも優しいしな」
響「と、止まったら自分もやってみていいか!?」
P「いいぞ、女の子がマニュアルって滅多に居ないけど
俺は凄くいいと思う」
響「じゃ、じゃあ自分、将来マニュアル免許取ろうかな」
P「え?」響「なーんちゃって」
P「着いたぞ」
響「ガチャガチャさせて!」
P「ああ、忘れてた…」
響「おぉ
自分運転席座るの初めてだぞ(椅子温かい…)」
P「やっぱり身長的にキツいな」
響「むぅ、やっぱりもっと大きくなりたいぞ…
160は欲しいぞ」
P「一番左のペダルを踏んで動かすんだ」
響「お、おお!」
P「こっちがロー、これがセカンド、サード、トップ、リバース」
響「っ…!(て、手が重なってるぞ!)」
P「発車する、はいロー!はい合図!」
響「合図!?」
P「ウィンカーだウィンカー」
響「えっと…えっと…あうぅ」
さ、出ておいで」スッ
グイ
響「あ、ありがとう、プロデューサー…」
P「よし、それじゃあ料理楽しみにしてるぞ!」
響「はいさい!自分精一杯頑張るぞー!」
~料理中~
P(やっぱり、高校生となるともう女の子だな
台所に立つ目つきが主婦だ)
P「手馴れてるな」
響「そりゃいっぱい練しゅ…んん、自分は料理が得意だからなっ」
P「うん、上手だ上手
これならいつでもお嫁いって恥ずかしくないぞ」
響「およ…わ、わあ!?」
ガラン!
P「お、おい大丈夫か」
響「プロデューサーが変な事言うからだぞ!!」
P「悪い悪い」
響「あ、チャンネルそのままがいい」
響「いや、その芸人沖縄出身なんだぞ」
P「そうなのか、あまり見ない人だな」
響「でも、少しでもテレビに出ようと頑張ってる
地元の家族だっ」
P「そうだな、響もいっぱい頑張ってるぞ」
響「じ、自分はまだまだで…うぅ
褒められると上手に切れなくなるから褒めないで欲しいぞ…」
P「…そうか?わかった」
響「…や、やっぱり褒めて!!」
P「響、偉いぞ」
響「(ほくほく)」
P「今日は一段とコミカルだな」
ゴーヤーチャンプル!アーサ汁!ゴーヤーのおひたし!糸瓜の味噌煮込みだぞ!!」
P「おお!これはマジで豪華だな!
ハイタッチ!」
響「いぇい☆
ってこれ自分のネタじゃないぞ!」
P「悪い、ちょっと上がったテンションにあわせてみたんだ
響の料理で嬉しくなっちゃったからだぞ」
響「そういう照れる事は言わなくていいぞ…
は、早く食べて!」
P「え!?あ!うん!今なんか凄い可愛かった!」
響「うるさい!いい年した大人なんだから黙って食べる!」
P(顔真っ赤…からかいすぎたか、あとで謝ろう)
P「あの、響さん」
響「っ…
もくもく」
P「無言で食べ続けられると、扱いに困るんだけど」
響「もくもくもくもくもく」
P「せめて口の中のもの飲み込んでから次の入れなさい」
響「もぐっごほっごほ」
P「ほら言わんこっちゃない、ほら水」
響「ごくごく、ぷは」
P「大丈夫か」
響「だい、じょうぶ」
P「さっきからずっと下向いてるじゃないか
耳めっちゃ赤いし、体調悪いんじゃないか」
響「大丈夫です!」
P(…敬語っ!?)
響「あわわ…!!」
ボン
P「おい、響…響!?」
~寝室~
P(気絶する人見たのいつ振りだろう
随分と前、雪歩が一回気絶したくらいしか覚えてないな
まさか響が…男性恐怖症だったとか…?)
響「うぅん…」
P「起きたか?」
響「ひゃぁ!?」
P「俺の顔見てそんな反応されると地味に傷つくな…」
響「ご、ごめんなさい…」
P「具合はどうだ?」
響「自分は、全然大丈夫」
P「なあ、真剣に答えて欲しい、男性恐怖症だったのを無理に我慢してたのか?」
響「ち、ちがうぞ!
自分はただ…」
響「うぅ…」
P「キッチン片付けてくるよ
気持ちの整理、出来るように」
ガシ
響「自分、プロデューサーにはここに居て欲しいぞ」
P「そ、そうか?」
響「…(よし、告白しよう!)」
P「なあ、響」
響「っ」
P「鈍感で悪かったな」
響「プロデューサー…?」
P「ずっと前に言われてたんだよ、律子に
女の子は皆真剣ですよって」
響「う、うん」
P「でも、俺にはなんだか信じられなくて
やっぱり、響や他の皆を見てるとその好意は感じられるんだ」
ポロポロ
P「響、皆と違ってお前はアクションを起こさず
少しずつ皆に埋もれていくようで、すごく怖かったぞ」
響「…うん」
P「一番怖かったのは俺自身だ
皆とは少し違う、言い寄る事もしてこないで悩んでいる
そんな響に迫られた時、断ったら響がつぶれてしまうんじゃないかって
…不安で、色々な打開策を考えた
そうしていくうちに、だんだんとお前が気になっていく自分が一番怖かった」
響「プロデューサーは…気付いてたのか…
はは、なんだか自分、バカみたいだぞ…ぐす」
P「黙ってて悪かった」
響「…ぐす、でも!貴音には嘘ついたけど
自分の初めても、プロデューサーにあげてもいいんだぞっ!
こんなに、こんなに好きなんだぞ!」
ダキ!
響「それなのに…それなのに駄目なのか…」
P「すまない」
貴音には悪いけど、やっぱり自分じゃ足りない部分はいっぱいあったんだ…」
P「…」
響「ごめんなさいだぞ、プロデューサーの家でこんなに泣くつもりなんて…なかったのに」
P「送るよ」
って思ったけど現実のほうは手を出しまくりだなそういや
P「そうか、気をつけてな」
響「それじゃ…」
バタン
バタン
P「響!!」
響「…自分、泣いちゃってるから振り向きたくないぞ」
P「響…本当に、申し訳ない」
響「謝られたって…困っちゃうぞ」
P「響が、車を運転出来るような年齢になったら
もう一度俺のことを思い出してみてくれ
きっと、その頃までに響をトップアイドルにしてみせる」
響「2年間…」
P「長い年月だけど
今、ここで響を受け入れる訳にはいかない
お前の夢を、俺なんかで潰して欲しくないんだ
…2年立ったら、俺が響の全てを受け入れる
P「待てるか、響」
響「プロデューサー!」
だき!
P「よしよし、悪かったな
どうしても、トップアイドルの夢だけは潰させたくなかったんだ」
響「プロデューサー」
P「ん?」
響「彼女にしてください」
P「…響、今までの話聞いてたか?」
P「だから2年…」
響「2年たったら結婚してくれるんでしょ?」
P「え?」
響「だからそれまでは恋人でいたいぞ
いいよね?プロデューサー!」
P「いや、まあいいと言えばいいんだが…
あくまでゴシップにつかまれないようなひっそりとした恋人生活になるぞ?」
響「うん!」
P「よし!それじゃあ律子達に殴られる恋人宣言しに行くぞ!」
響「はいさい!」
おわり
かなさんどー
Entry ⇒ 2012.01.30 | Category ⇒ アイマスSS | Comments (0) | Trackbacks (0)
勇者「久しぶりだな、魔女」
勇者「俺が死ねないのは知ってるだろ」
魔女「あら?そうだったかしら」
勇者「はぁ……お前と話すのは、疲れる」
魔女「だったら、早く私を殺してくだされば良いのに」
http://hayabusa.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1327849237/
勇者「久しぶりだな、魔女」
魔女「どうしてかしら。私を殺せば、貴方にかけられた呪いは解ける。永遠の生から逃れられるのよ」
勇者「はぁ……死ぬなら勝手に死んでくれ」
魔女「嫌よ。貴方が殺してちょうだい」
魔女「相変わらず釣れないわね。それでも世界を救った勇者様」
勇者「一体何百年前の話だよ」
魔女「428年前よ。忘れてしまった?」
勇者「……いいや、覚えてるよ」
魔女「……そう」
勇者「……じゃあな」
少女「……ここまで来れば」
少女「お父さん……」
ザッ
少女「っ……誰?」
勇者「……あん?」
勇者「えっと……」
勇者「……旅人?」
少女「……」
勇者「あー……そう警戒されても困るんだが」
少女「……怪しい人」
少女「……」
勇者「そう睨むなよ。君こそこんな所でどうしたんだ?」
少女「……」
勇者「あー……」
少女「……お父さんが」
勇者「ん?」
勇者「……」
少女「わ、私……怖くって……お、お父さんを置いて、一人で……どうしよう……お父さんが」
勇者「あー……分かったよ。もういい」
少女「お父さんが死んじゃったらどうしよう……」
勇者「はぁ……」
少女「ふぇ……?」
勇者「どいつもこいつもビビって近づこうとしないから知らないが、大抵の魔物は食えるんだ」
少女「えっと……」
勇者「それともうひとつ。俺は今、腹が減って死にそうなんだ」
勇者「どこかに食べ物があると助かるんだが」
少女「……!」
魔物「グルルルル……」
男「ここまでか……すまん……」
少女「あそこ!あそこに!」
男「っ!どうしてここに!?」
勇者「あれか……なかなかデカイな」
魔物「グルァ!?」
勇者「悪いな。恨みはないが」
魔物「グァ……ルァ……」
勇者「ふぅ……」
男「なんだ……何が……」
勇者「絞め殺した」
男「えっ」
男「お、おいあんた!待ってくれ!」
勇者「ん?」
男「何がなんだかわからんが、助けてくれたんだろう?お礼をさせてくれ」
勇者「あー……いや、別に」
少女「行っちゃうんですか……?」
勇者「あっと……忘れてた」
少女「え?」
勇者「食料調達。手伝ってもらっただろ」
少女「だ、だってそれは!」
勇者「あー……まあ、そんな感じで。それじゃ」
男「お、おい!」
男「行っちまった……」
少女「……」
勇者「魔女か。久しぶり、じゃないよな」
魔女「見てたわよ」
勇者「……何を」
魔女「とぼけちゃって」
魔女「腹が減って死にそうなんだ」
魔女「だったかしら?」
魔女「死なないくせに」
勇者「……腹が減るのは本当だ」
魔女「そう?」
勇者「はぁ……」
魔女「ねえ、勇者様」
勇者「嫌だね。何度同じやり取りを繰り返すんだ」
魔女「どうしてそこまで強情なのかしら」
勇者「それはこっちの台詞だ。お前は、俺と違って」
勇者「死ねないわけじゃ、ないだろう」
勇者「死ぬなら、自分で死ね」
勇者「……どうして」
魔女「これも、呪いかしら」
魔女「貴方のとは、違う呪い」
勇者「……そうか」
勇者『……』
『貴様は、なぜ殺す』
勇者『それが俺の役目だからだ』
『私は人間との争いを望まぬ』
勇者『貴様が何を望もうと、奴等は人を喰らう』
『分かり合うことは出来んか』
『今ならまだ間に合う。過ちを悔いて、やり直すことは出来るはずだ』
勇者『それは奪われた者の言う言葉だ!貴様が口にしていいものではない!』
『奪われたのは我らも同じだ』
勇者『そうとも。だから俺は、そんな言葉は口にしない』
『勇者よ。私は』
『私はお前となら―――』
勇者「……嫌な夢だ」
勇者「俺は……」
勇者「俺も、あんたとなら……」
勇者「……馬鹿か俺は」
村人B「汚い身なりだなぁ。浮浪者かぁ?」
勇者「はぁ……」
勇者「腹減った……」
勇者「ん……」
勇者「水と、食い物を。一番安いので良い」
店主「はい」
勇者「はぁ……」
勇者「そろそろ金も底をつくな……」
勇者「ああ……」
勇者「……」
勇者「……美味いな」
店主「貴方は」
勇者「ん?」
店主「旅の方ですか?」
店主「どちらから?」
勇者「……どこだったかな」
勇者「どこか、遠い所ですかね」
店主「そうですか」
勇者「……」
店主「私も」
勇者「……」
店主「私も旅の者でした」
店主「故郷には、妻と子が。それから、気の良い友人達が」
店主「皆、殺されました」
店主「私は、行く当てのない旅を続けました」
店主「魔物に襲われ、何度も死にかけた」
店主「彼らは皆、大切なものを失って」
店主「それでもひた向きに生きていました」
店主「旅路を共にすることもあった」
店主「けれど、旅の果てで、ここにたどり着いたのは私だけでした」
店主「……すみません。こんな話を」
勇者「……俺も」
勇者「俺も、魔物に大切なものを奪われた」
勇者「あの頃の魔物は今と違って、確固たる意思を持って人を殺していた」
勇者「奴らは、俺の大事な人をなぶり殺しにした」
勇者「奴らにとってそれは、ゲームだった」
勇者「憎くて」
勇者「憎くて」
勇者「憎くて」
勇者「憎くて」
勇者「俺は奴らを殺し続けた」
勇者「何かを喰らわねば生きられない奴らも確かにいた」
勇者「でも俺は、許せなかった」
勇者「人を傷つけずに生きてる奴もいた」
勇者「だけど俺には、そんなことは関係なかった」
勇者「俺は戸惑った。そいつを殺せなかった」
勇者「気付いてしまった。俺が奪ってきたものが何なのか」
勇者「魔物を殺す時、いつも俺は笑っていた」
勇者「俺は、俺の大切なものを奪った奴らと変わらなかった」
勇者「本当の俺は、ただの殺戮者で」
勇者「だからせめて、本物の勇者になろうとした」
勇者「殺した。殺した。殺した。殺した」
勇者「俺は……俺は」
勇者「いや違う」
勇者「信じたかったんだ!そうすれば許される気がした!」
勇者「俺はっ……!」
店主「……お客さん」
勇者「邪魔したな」
店主「いえ……」
勇者「……」
勇者「……魔女か」
魔女「怖い夢でも見たのかしら?」
勇者「……」
勇者「…………お前は」
勇者「……お前は、俺を」
魔女「……」
魔女「……」
魔女「……もしも」
魔女「もしも貴方が、過去を悔いているのなら」
勇者「……」
魔女「ねえ……私を殺して?」
魔女「……」
勇者「俺はお前を殺さない」
魔女「どうして?」
勇者「約束、したから」
魔女「誰との約束なの?」
勇者「……」
勇者『誰だ、あんた』
『どこかの誰か』
勇者『馬鹿にしてるのか』
『そんなつもりは無いさ』
勇者『……あんたは』
勇者『あんたは、優しい目をしてる』
『そこがどんな世界だとしても―――』
「グルルルル!!」
魔物「グルルルルァ」
勇者「……」
魔女「……殺してなかったのね」
勇者「……」
「キュゥゥ」
勇者「……!」
魔女「子供がいたのね」
子魔物「キュウ」
勇者「そうか……」
勇者「良かったな……本当に良かった……」
『……』
勇者『俺は貴様を殺す』
『そうか』
『なあ、勇者よ』
『貴様は、なぜ殺す』
魔女「話……?」
勇者「やっと分かった気がするんだ」
魔女「……何を分かったって言うの?」
勇者「俺も、お前も、生きてるってことさ」
勇者「なあ、魔女。お前はどうして生きているんだ?」
魔女「……前に言ったでしょう。私は呪われているのよ」
勇者「その呪いをかけたのは誰だ?」
魔女「……」
魔女『何を言ってるの……?』
『もうじきここにやってくる男がいる』
魔女『何の話……?ねぇ……』
『彼に殺されるか、あるいは生き残ったとしても、私の体はもう、戦いに耐えられるほどに強くない』
『どうか彼を、あの悲しい目をした男を憎まないで欲しい』
『お前は、生きてくれ』
『いつか自分が、生きていて良かったと想える日まではせめて』
『自分で命を断つようなことは、しないで欲しい』
魔女『何を言ってるのか全然分からない!死ぬなんて嘘よね?ねぇ……』
『これはきっと残酷な願いだろう』
『だけど、どうか頼む。命を終える日を、自分で決めないでくれ』
魔女「ただ、それだけなのよ」
魔女「だからっ……だから私を殺してよ!」
魔女「自分の死を望めない私をっ……救って……」
勇者「俺はお前を殺さない」
魔女「何よそれ……そんな……そんなことっ」
魔女「偉そうに何よ!貴方が奪ったくせに!」
勇者「そうさ。俺が奪った」
勇者「あいつが死んで、そのせいで魔物たちは心を失った」
勇者「俺は過ちを犯したんだ」
勇者『俺はきっと、死んだ方が良いんだ』
勇者『このまま』
魔女『ふざけないで!』
魔女『そんなこと許さない』
魔女『この呪いがある限り、貴方は生き続ける。死んで終わりなんて許さない』
魔女『絶対に……!』
勇者「生きてなきゃ過ちを嘆くことも出来ないんだ!」
勇者「俺は、あいつと約束したんだ」
『そこがどんな世界だとしても―――』
勇者「俺は何も奪わない」
勇者「思いを奪わないってことだろ?」
勇者「人は思われていれば、『生きられる』んだ」
勇者「だから、話をしよう」
勇者「どんな形でも、お互いに思い合おう」
勇者「そうすればきっと」
勇者「生きていて良かったって思える」
魔女「良いわ……貴方と生きてあげる」
勇者「……」
魔女「この先何百年か、私が生きていて良かったと思えるまでは」
魔女「だからその時は」
魔女「私を殺してね、勇者様」
勇者「ああ、そうだな」
勇者「俺がお前を、殺してやる」
終わり
乙
Entry ⇒ 2012.01.30 | Category ⇒ 勇者魔王「」SS | Comments (0) | Trackbacks (0)
橘純一「にゃんにゃん!ごろにゃーん!」
http://hayabusa.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1327827007/
タタタタ……
橘「ひびきちゃーん!」
塚原「ん?……橘君?」
橘「にゃんにゃ~ん!ごろにゃ~ん!」ダキッ
塚原「ちょ、ちょっと!何するの!?離れなさい!」
橘「うりうり~!」
塚原「み、見られてるから!周りに見られてるから!」
橘「ひびきったら、相変わらずいい身体してるじゃない……ゴクリ」
塚原「た、橘君………////」
森島「み、見つけた!」
森島「せ、先輩!?人の身体だと思って馬鹿なことをするのやめてください!」
橘「あ~、もう見つかっちゃったか~」
塚原「えっ?えっ?」
森島「は、はい。さっき曲がり角でぶつかってしまって」
橘「お互いに頭をぶつけたら、入れ替わっちゃってね!」
塚原「……そ、そんな馬鹿なことがあるはずないでしょ!?」
森島「そんなこと言われても……」
橘「常識にとらわれて、今こうして現実に起こってることから眼を背けるのは愚かしいことじゃない?」
塚原「どうせ入れ替わったふりをして、私を陥れようって魂胆だよね?」
橘・森島「………」
森島「ち、違いますよ!?」
橘「そ、そうよ!そんなわけないじゃない!?」
塚原(……今の間は何?)
橘「こんな馬鹿なことでひびきちゃんを陥れられたら苦労しないわ!」
塚原「……証拠」
橘・森島「へ?」
塚原「二人が入れ替わったって証拠を見せて?」
森島「証拠ですか?」
橘「証拠って何すればいいの?」
塚原「そうね……はるかは知っているけど、橘君は知らないであろうことを答えてもらうとか」
橘「……そんなことでいいの?」
塚原「えぇ」
橘「え~とね、じゃあ」
橘「ひびきちゃんの身体の恥ずかしい部分に黒子があるって話でいい?」
塚原「!?」
森島「せ、先輩!詳しくお願いします!」
森島「ふむふむ」
塚原「わ、わかったから!もうやめて!」
橘「え~、それじゃあ証拠にならないでしょ?」
森島「そ、そうですよ!塚原先輩!」
森島「ですから!森島先輩もっと詳しくお願いします!!」
橘「でね、ひびきったら実はあんなところに」
塚原「私が悪かった!疑った私が悪かったから、もうやめて!?」
橘「信じてくれる?」
塚原「し、信じるから!」
森島「……詳しく聞きたかった」
橘「そうなの」
森島「身体が入れ替わったとわかるやいなや、森島先輩が走ってどこかにいってしまった時はどうしようかと思いましたよ」
橘「だって、せっかく橘君の身体なんだから、普段できないような悪戯しないともったいないかなって」
塚原「だからってね、私にやらなくてもいいじゃない?」
森島「そういう意味では大成功ですね」
橘「……私は意外と満更でもないひびきちゃんの反応にショックを受けたけどね」
塚原「……!?」
橘「本当は嬉しかったんでしょ~?このっこのっ!」
塚原「そ、それは……////」
橘「そんなことじゃないでしょ?どうなの?どうなの~?」
塚原「しつこいよ、はるか?」
橘「は~い、ごめんなさい」
塚原「身体の入れ替わりにはよくある話なんだけど」
塚原「……あなた達、これからどうするの?」
森島「え?何がですか?」
塚原「入れ替わりに比べたら些細な問題かもしれないけど」
塚原「その……お風呂とかトイレとか」
橘・森島「あ」
森島「何てことだ……入れ替わってしまったことに動転してそこまで考えてなかった……」
橘「悪戯することしか考えてなかったわ……」
塚原「やっぱりね」
森島「……あの森島先輩の身体」
森島「……ゴクリ」
橘「た、橘く~ん?よからぬことを考えちゃダメよ?」
森島「ぼ、僕!」
森島「ちょっと男子生徒の夢を叶えてきます!」
タタタタタタ
橘「こ、コラ!橘くん!?」
塚原「追いかけないと大変なことになりそうね……」
橘「ひびき、行こう!」
森島「失礼しまーす!」
男子生徒A「え?森島先輩?」
男子生徒B「何で二年教室に?」
男子生徒C「どうせ橘だろ?」
ザワザワ……
森島「……う、梅原君?」
梅原「あ、森島先輩。こんにちは」
森島「……あのね?」
梅原「大将……橘なら見ての通り、今はいませんよ?」
梅原「何か急ぎで用事がありましたか?」
森島「違うの!」
森島「私ね……その……」
森島「ちょっと一緒に来て!」
梅原「どうしたんですか?」
梅原「……もしかして、橘のことで何か相談でも?」
森島「相談……といえばそうなんだけどね」
森島「君、橘くんと仲がよかったよね?」
梅原「えぇ」
森島「じゃあさ……彼の下着の好みとか知ってるかな?」
梅原「それは知ってますけど……って、えぇ!?」
森島「あのね、私が今日着けてる下着、橘くんの好み的にはどうかなって」
森島「ちょっと、見てもらいたいんだけど……」
梅原「せ、先輩!?」
森島「梅原君にだったら……見せても……ううん、違う」
森島「私ね、梅原君に見てもらいたいの!」
梅原(な、何だ、この展開!?)
森島「だ、ダメかな……?」
森島「そうだよね、ダメだよね」シュン
森島「梅原君……私ってそんなに魅力ないかな?」
梅原(な、何だ何だ!?)
梅原(そんな目で俺を見ないでくれ!)
梅原(……チクショー!大将はいつもこんなことをしてるのかよ!?)
塚原「あ、いたよ!はるか!」
橘「だ、ダメー!」
森島「……あ、見つかっちゃった」
橘「き、きなさい!」
塚原「橘君?君が私にそこまで説教されたいとは知らなかったよ」
森島「は、ははは……」
森島「ぼ、僕は!森島先輩の魅力をもっと多くの人に知ってもらおうと!」
橘「私はあんなキャラじゃないよ!?」
橘「そ、それに……今日の下着はちょっと見せられないかな~って」
森島「えぇ!?」
塚原「はるか、余計なことを言わないで?」
塚原「で、橘君?」
森島「……ごめんなさい」
橘「まぁ、未遂に終わったし、今回は許してあげる」
橘「でも、二度とこんなマネしちゃダメよ!?」
森島「は、はい!すみませんでした!」
塚原「……はるかも橘君の身体を悪用しちゃ駄目だからね?」
橘「は~い」
塚原「戻り方がわかるまで、しばらく入れ替わってなきゃいけないと思うけど」
橘「……私気付いたんだけどね」
森島「どうしたんですか?」
橘「家に帰れば美也ちゃんが私を待っているのよね!?」
森島「そうですね」
塚原「家族は厄介かもしれないね」
橘「一つ屋根の下に美也ちゃんと……」
橘「だ、ダメよ、美也ちゃん……私達兄妹なんだから……」ハァハァ
塚原「悪用するなっていったばかりでしょ!」
橘「……ダメかな?」
森島「ダメです!僕の身体で美也と一線を超えるような真似は控えて下さい!」
塚原「正体を隠すのが下手そうなはるかは……とりあえず、今日は私の家に泊まるってことで」
橘「え?」
森島「ぼ、僕の身体ですよ!?」
塚原「あ、大丈夫。今日は家族が出払ってるから」
森島「そ、そういう問題じゃ」
塚原「変なことなんてしないから」
森島「は、はぁ」
橘「じゃあさー、お風呂一緒に入ったりしちゃう!?」
塚原「さ、さすがに中身がはるかでもそれは……/////」
森島「自分の家ってどっちのですか?」
塚原「橘家の方に」
森島「……美也のところにお泊りにきたって設定ですか?」
塚原「飲み込みが早くて助かるわ。一晩くらいなら何とかなるでしょ?」
塚原「さすがの橘君でも、いきなりはるかの家族を欺くのは難しいでしょ?」
森島「は、はぁ……そうですね」
塚原「じゃあ、そんな感じでね」
橘「おじゃましまーす!」
塚原「はるか!玄関先で騒ぐなっていつもいってるでしょ!?」
塚原「……私は着替えてくるから、適当に寛いでて?」
橘「はーい!」
橘(さて、と)
橘(いやー、まずいことになったなぁ……)
橘(ここまで上手くいくとは思わなかった)
橘(……現実的に入れ替わりなんてあるわけないじゃないか!)
橘(だけど、今更言い出せないよなぁ……)
さすが変態紳士とラブリー
橘(そして……!演技とはいえ、あまりにもお互いを理解してる行動が怖い!)
橘(全部ぶっつけ本番だよ!)
橘(……しかし、塚原先輩って恥ずかしい所に黒子があるのか)
橘(あの時はもう駄目だと思って適当なことを言ってみたけど、意外と当たるものだなぁ)
橘(そのせいで森島先輩にいらぬ弁解しなきゃいけなくなったけど)
橘(……怖かったなぁ、あの眼)
橘(明日適当に元に戻ったことにして、有耶無耶にしよう)
橘(その為には……)
塚原「お待たせー、はるか」
橘(今晩を乗り切らなくては!)
塚原「はい、これ」
橘「ジャージ?」
塚原「お父さんが運動するって言い出して買ったんだけど、結局一度もきなかったヤツ」
塚原「多分、サイズはぴったりだと思うから」
橘「わお!さすがひびきちゃんね!」
橘「その心遣い、さすが私のお母さんと言われてるだけはあるわ!」
塚原「はいはい」
塚原「あ、ご飯どうする?」
橘「え?ひびきちゃんが作ってくれるんじゃないの?」
塚原「……はるかにしてはいい感じの嫌味をいうわね」
橘(し、しまった!)
塚原「それとも、実験台になってくれるの?」ニヤニヤ
橘「やだなぁ~、本気にしないでよ!」
塚原「……私の料理なんて、いくら中身がはるかでも橘君の身体に食べさせる訳にはいかないからね」
橘「も、もう!ひびきったら!聞いてるこっちが恥ずかしいよ!」
塚原「というわけで、出前にするけど」
塚原「何か食べたいものある?」
橘「そうだな~」
橘「ピザ!ピザがいいな!」
塚原「あら?橘君の為にダイエット中じゃなかったの?」ニヤニヤ
橘「わ、私の身体じゃないからいいの!」
塚原「わけのわからないはしゃぎ方しないでよ」
塚原「橘君の影響なの?最近、輪をかけて酷いよ?」
橘「そ、そうかな!?ひびきったらひど~い!」
橘(……ぼ、僕ってそんな変なはしゃぎ方してるのか)
橘(明日からは自重しよう)
塚原「さて」
橘・塚原「いただきます」
橘「う~ん、美味しい!」
塚原「…………」
橘「ん?どうしたの?美味しいよ?」
塚原「はるかって……猫舌じゃなかったっけ?」
橘「……え」
橘(や、やってしまった!自分の卑しい食欲が憎い!)
橘(どうする?どうする?)
橘(仕方ない……力技で押し通る!)
橘「こ、こういうのは気分の問題なの!」
塚原「き、気分の!?」
橘「それにそこまで熱くないよ?」
橘「チーズが沸騰してるってわけでもないしね!」
塚原「……それもそうね」
塚原「冷めない内に食べちゃいましょうか」
橘(危ない、危ない……気をつけよう)
橘「わーい!一緒に入ろ!」
塚原「だ、だからね!一緒になんて入らないっていったでしょ!?」
橘「え~、いつも一緒に入ってるのに」
橘(……ぼ、僕……とんでもないこと言ってないか?)
橘(だけど……口が勝手に動いてしまうよ!)
橘「橘君の裸を見るいい機会だと思うけどな~」
橘「じゃあ、私はあとでじっくりと……」
塚原「ず、ずるいよ!?」
橘「え?」
塚原「……じゃなくて!」
橘「み、水着!?」
塚原「水着を着て一緒に入る!」
橘「えぇ!?」
塚原「は、はるか!?勘違いしないで?」
塚原「こ、これは……そ、そう!」
塚原「あなたが橘君の身体に変なことをしないか見張る為なんだからね?」
橘「う、うん」
橘「で、でも……私は何を着れば?」
塚原「そ、それもそうね……」
橘(僕だって見境なく見せつけるような分別のない男ではないからね……それには賛成だな)
橘(……でも急にどうしちゃったんだろう?)
橘(もう!いやらしいひびきちゃんなんだから!)
橘(……おっと、心の声まで森島先輩にする必要はないよね)
塚原「はるか~?入るよ?」
橘「……あれっ?」
橘「ひ、ひびきちゃんが……」
橘「競泳でもスクールでもない水着を着てる!?」
橘(び、ビキニ!?ビキニって!)
橘(これは一大事だよ!)
橘(と、とりあえず……)
橘「ひびきちゃんったら!だいた~ん!」
塚原「や、やめてよ!はるか!」
橘「それどうしたの?」
塚原「去年の夏に着ようかな~、と思って買ったんだけどね」
塚原「結局、恥ずかしくて着れなかったんだけど」
塚原「せっかくだから、着てみようかなって」
塚原「似合わない?」
橘「ううん、すっごく似合ってるよ!」
橘「これは男どもが放っておかないぞ~?」
塚原「も、もう!」
橘(見られたら「このっ!このっ!」じゃすまされないよ!)
橘(告発したいのは君だけ!君だけ!)
橘(……って笑えないよ!)
橘(……よし!ここは梅原とのしっぽりとした関係でも想像して乗り切ろう!)
シュン……
橘(……よし!効果はバツグンだぞ!)
塚原「はるか……背中洗ってあげるね?」
橘「う、うん!」
ムニュ……
橘(む、ムニュ!?ムニュって何!?)
塚原「どうしたの?」
橘「な、何してるの?」
塚原「え?背中を洗ってるだけだよ?」
橘「そ、そうじゃなくて!」
塚原「……いつもこうやって洗ってってせがんでくるじゃない?」
橘(い、いつも!?森島先輩と塚原先輩っていつもこんなことしてるの!?)
橘(つ、塚原先輩の柔らかい何かが僕の背中に……!?)
橘(何かって何だろうね、ははっ)
橘(……だ、ダメだ!橘純一!現実と向き合うな!)
橘(妄想の世界へ逃げるんだ!)
橘(うおぉぉぉぉん!梅原ぁ~!)
橘(……お陰で何とか乗り切れた)
橘(かなり危ないところだったよ!)
橘(……さて、あとは)
塚原「はるか?ちょっと早いけどもう寝よっか」
橘「う、うん!」
橘「でも、私はどこで寝ればいいの?」
塚原「あら?一緒に寝るって言い出さないの?」
橘「さ、さすがにそれはね!橘君の身体だし!」
塚原「……あなたの線引きがわからないわ、はるか」
塚原「でも、そうね」
塚原「あなたって寝相が悪いから一緒に寝たくないし」
塚原「う~ん、お父さんの布団でいいか」
塚原「夜中に『ひびきちゃぁぁ~ん、寂しいよぉ……怖い夢見ちゃったよぉ……』って起こされたくないしね」
橘「も、もう!そんなことしないって!」
塚原「ふふっ、オネショも駄目よ?」
橘「しないもん!」
塚原「それじゃ、電気消すよ?」
橘「う、うん!お休み、ひびきちゃん」
塚原「……お休み、はるか」
橘(……一睡もできなかった)
橘(塚原先輩の寝息とか、寝返りする時の衣擦れの音とか……)
橘(僕の脳天を直撃しっぱなしで、とても寝られる環境じゃないよ!)
橘(ん?待てよ……これを言い換えれば)
橘(……塚原先輩に寝かせてもらえなかった?)
橘(何てことだ……いやらしい女だったんですね、塚原先輩……)
橘(……さて、馬鹿なこと考えてないで起きなきゃ)
ゴソゴソ
塚原「……橘く……いや、はるかだったわね」
塚原「もう起きるの?」
橘「一回橘君の家に帰って、学校の準備しなくちゃいけないし」
塚原「……それもそうね」
塚原「私もそろそろ起きなきゃ……七咲の朝練に付き合う約束してるし」
橘「ただいま」
美也「あ、お帰り」
森島「おかえり~」
美也「……って凄いクマできてるし!」
美也「お兄ちゃん、どこで何してたの!?せっかくお兄ちゃんの大好きな森島先輩が泊まりに来てくれてたのに」
橘「ははっ……ちょっと梅原と徹夜で語り明かさなきゃいけないことがあってね」
美也「ふ~ん?どうせいやらしいことなんでしょ?」
橘「ち、違うよ!?」
美也「ま、何でもいいけど」
美也「私は用事があるから、もう家出るけど」
美也「戸締りよろしくね?」
橘「わかったよ」
橘「……はい」
森島「その……ね、うん」
森島「お疲れさま!」
橘「先輩……もうこんな悪戯はやめましょう?」
森島「えぇ?まだ続けるんじゃないの?」
橘「か、勘弁してください!この通りです!」
森島「ふふっ、冗談よ。冗談」
橘「は、はい!」
森島「ひびきとは……何もなかったのよね?」
橘「な、何もないです!」
森島「ふ~ん?」
森島「じゃあ、その目の下のクマはどうしたのかな?」
橘「こ、これは……その……」
橘「き、緊張して眠れなくて!」
森島「本当に?何か二人でしてたんじゃないの?」
橘「違いますって!」
森島「……ウソはついてないみたいね」
橘(朝からラブリーチェックは辛い!)
橘「え、えぇ!?」ギクッ
森島「演技とはいえ、そんなこと口走ってたからね」
森島「どうなの?ねぇねぇ?」
橘「……正直にいうと入りました」
橘「で、でも水着着用で!」
森島「……それ橘くんの提案?」
橘「いえ、塚原先輩の提案です!」
森島「わお……ひびきが……あのひびきがアホなことしてる!?」
森島「あの子にそこまでさせるなんて、さすが橘くんね!」
橘(……なんか褒められちゃったぞ!)
森島「ひびきちゃんったら橘君とお風呂入ったんだ……ズルい!」
橘「せ、先輩!?」
橘「あの~、先輩?」
森島「あ、冗談だよ?顔真っ赤にしちゃって可愛い~!」
橘「も、もう!やめてくださいよ!」
森島「さて、と」
森島「一緒に学校へ行こうか、橘君?」
橘「先輩は一度家に帰らなくて大丈夫ですか?」
森島「うん、問題ないよ?」
橘「僕ちょっと準備してくるんで、少し待ってて下さい」
森島「うん!」
橘「は、はい!僕の家の前でまたぶつかってしまって」
森島「頭をズガーン!とね」
塚原「全てが唐突だね、あなた達は」
橘「でも戻れてよかったですよ」
森島「本当よね!自分の身体って最高!」
塚原「あら?はるかはわりと橘君の身体を楽しんでなかった?」
塚原「『すご~い!男の人の身体ってこうなるんだ!』って」
森島「……え?」
塚原「『ひびきちゃんも触ってみてよ!凄いよ!』って」
森島「……えぇ!?な、何してるのよ!?」
橘「そ、そんなことしてないですよ!?」
塚原「……やっとボロを出したわね」ニヤリ
森島「……うん、怖かったね」
橘「どこからバレてたんですかね?」
森島「あの様子だと最初からわかってて付き合ってくれてたのかもね」
橘「じゃあ泊まりに来いってのも」
森島「わかっててやってたんじゃない?」
森島「私が止めに入らなかったのは計算外だったと思うけど」
橘(塚原先輩……わかっててお風呂で……)
森島「とにかく、今回のことでわかったことがあるわ」
橘「ですね」
橘・森島「ひびきちゃんは意外と大胆でいやらしい!」
完
安定の橘さんで安心した
Entry ⇒ 2012.01.30 | Category ⇒ アマガミSS | Comments (0) | Trackbacks (0)
闇子「だからっ……トイレの闇子さんなのっ!!」
闇子「その花子さんのライバルなのよっ!」
男「いや…そんなの知らんよ」
闇子「知らないですって!?花子さんの話を知ってたら普通知ってるものでしょ!」
男「知らんもんは知らんし……っていうか君さっきから五月蝿いな……夜の学校なんだからもっと静かにしてくれんか」
闇子「そうね、悪かっ……あんた何で夜中に小学校の女子トイレにいるのよ!?」
http://hayabusa.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1327834708/
闇子「だからっ……トイレの闇子さんなのっ!!」
闇子「変態っ!変質者っ!」
男「……変態で何が悪い」
闇子「何開き直ってんのよ変態っ!」
男「小学生女児が好きで何が悪いっ!言ってみろ!」
闇子「小さい女の子が好きだなんておかしいでしょ!」
男「おかしくはないだろ。小さいものは可愛い。女の子は可愛い。小さな女の子はとても可愛い。好きになるのも当然だろ。おれはおかしくない」
闇子「……そ…それは確かに……ってあんた夜中の学校に忍び込んでるじゃない!普通に犯罪者よ!」
闇子「うるさいわね。変態犯罪者。警察を呼んでやるんだから」
男「ま、待て!話し合おう!まだ結論を急ぐのには早すぎる!」
闇子「いいえ、今すぐ呼んであげる。警察を…………」
男「……どうした?考え直してくれたのか?」
闇子「あはは……警察なんて呼べるわけないのよね……私おばけだから」
他にも10人くらいいなかったっけ?
闇子「私ったらドジね」
男「ふはははははははははははははは!」
闇子「何よ!?急に笑い出して気持ち悪い」
男「確かにそうだったな!君は花子さんと同じおばけだ。君には警察は呼べない」
闇子「そうよ……それがどうかしたの?」
男「大事なのは君がおばけだと言うこと。人間の法律なんて適応外。つまり君に何をしようと犯罪にならない」
闇子「なっ…何を言っているのよ!私はおばけよ!」
男「おばけでも小学生女児には変わりないだろ?」
男「おっと、逃げるのか?トイレの花子さんのライバルなんだろ?」
闇子「逃げるもなにもないでしょっ!こんな変態の相手なんてしてらんないわよっ!」
男「ぐへへへっ、逃がさないぞ。合法小学生女児め」
闇子「なによ合法って!?犯罪よ犯罪!」
男「おばけを襲っちゃだめって犯罪はありませーん」
闇子「や…やめなさいよ…くるな…こないで……きゃああああああああ!」
ガバッ スカッ
男「………あれっ?」スカッ
スカッ スカッ
男「……………あれっ?」
男「え?なにそれ?聞いてないんだけど。ちょっと!ねえ、ちょっと!」スカッ
スカッ
闇子「見苦しいわね。あなたは今、トイレの怪談、トイレの闇子さんの前にいるのよ」
男「な、なんだよ!さっきまで涙目で悲鳴あげてたくせに、急に余裕だしやがって」
闇子「さ、さっきのは忘れなさいっ!」
男「いやだね。脳内HDにキチンと保存してやったよ。それをおかずにして毎晩楽しんでやる」
闇子「な、なによっ!毎晩楽しむって!」
闇子「いいから忘れなさい!忘れないとひどいわよ!」
男「なにがひどいんですかー?」
闇子「あら…知りたいの?」
男「………え?何急に雰囲気醸し出しちゃってんのかな?」
闇子「私はおばけ、トイレの闇子さんなのよ?とっても怖いおばけ」
男「…お…おい」
闇子「暗い…汚い…そして怖いトイレから生まれた怪談なのよ」
ギィ バッタン ギィ バッタン ギィ バッタン
男「と…扉が勝手に……」
闇子「ふふふっ…ねぇ怖いの?怖い?怖い?怖い?ちびっちゃいそう?」
男「あわわわわわわわわわわわ」
闇子「怖いでしょう?あなたはこの汲み取り式の汚い便器へと引きずり込まれるのよっ!」
男「…………は?今何て言った」
闇子「だから…この汲み取り……えっ!?なにこれ?」
男「水洗式便所」
男「水洗式便器だって」
闇子「そんな……確かに汲み取り式だったはずなのに……」
男「そんな学校今時殆どないよ。改装されたんだろうね」
闇子「だ、だって、この旧校舎には……」
男「旧校舎?何を言ってるんだ?」
闇子「それは私のセリフよ!ここ旧校舎よね?」
男「そんなもんとっくの昔に取り壊されたけど」
闇子「そ…そんな……」
闇子「仕方ないじゃない……出てくるのなんて十数年ぶりなんだから」
男「そうか。なら仕方ないな」
闇子「…ここ、新校舎だったのね。改めて見回すとキレイなトイレね」
男「よかったじゃないか。住処がキレイになって」
闇子「……よくないわよ。こんなトイレじゃ怖くないじゃない。暗い、汚い、臭い、行きたくない。そして怖い場所だからこそ私みたいな怪談話が生まれるのよ」
男「でも…君みたいな可愛い女の子に汚い場所は似合わないよ」
闇子「………あなた」
男「君にはこのキレイなトイレが似合ってるよ」
闇子「ありがとう………なんて言うわけないでしょっ!!何なのよあんた!死ね!死になさいよっ!」
ポイッ ポイッ
男「や、やめろ!紙は貴重な地球の資源だ!そんな粗末に扱ってはいけない!」
男「あんだけ暴れたんだからそりゃね」
闇子「もうどうでもよくなったわ……」
男「そう気を落とすなよ」スカッ
闇子「…さりげなくボディタッチしようとしないでよ」
男「じゃあさ、朝までお話しようよ。女子小学生と会話できるだけでも幸せを感じれるんだ俺は」
闇子「…嫌よ。もう寝るわ」
男「え?寝るの?おばけって寝るものなの?」
闇子「………」ギィ バタン
男「ちょっ、個室に立てこもらないでよっ!ちょっと!」
闇子「…うるさい」
男「闇子さん!せめて寝顔を見せてよ!闇子さん!闇子さーん!」ドンドンドン ドンドンドン
闇子「うるさいわね……」
男「やーみこさー!」ドンドンドン
闇子「………そういえば、闇子さんを呼び出すおまじないってこんな感じだったかしら。ドアを何回叩くかは、忘れちゃったけど」
男「やーみーこーさーんー」ドンドンドン
闇子さん「あの頃は良かったわね……皆が私を怖がってくれて……」
ピーポーピーポー
男「やべぇ!!サツだ!」
男「畜生っ!」
警官A「不審者を見つけたぞ!」
警官B「そっちに逃げたぞ!」
警官C「捕まえた!確保ー!」
男「ち、違う!俺はやましいことなど何もしていない!トイレの闇子さんとお話していただけだ!」
女児B「なにそれー」
女児A「昨日の夜、この学校に不法侵入した男がいたらしいんだよ」
女児B「いやだ、こわーい」
闇子「………はぁ、今はおばけより、生きてる人間を怖がる時代なのね。嫌になっちゃうわ」
闇子「……まったく、近頃の子供はトイレをまったく怖がらないんだから」
ピカピカ
闇子「……なんて言っても仕方ないわね。こんなに明るくて清潔感溢れるトイレを怖がるほうがどうかしてるわ」
コンコンコンコン
「やーみこさん」
闇子「あら?これって確か……」
ガチャ
男「久しぶり。闇子さん」
闇子「………」
男「保護観察処分中です」
闇子「…それで、こりもせずにまた忍び込んできたの?」
男「………闇子さんに会いたくて」
闇子「……とっても嬉しくないわ」
男「いやね、闇子さんを呼び出す方法とか色々調べたんだよ」
闇子「…そうなの」
男「三番目の個室と迷ったんだけどね」
闇子「三番目は花子さんよ。ちなみに男子トイレの二番目は太郎くん。学校によって色々変わったりするけど」
男「えっ!?花子さんもいるの?」
闇子「残念、ここには私しかいないわよ」
闇子「……なわけないでしょ」
男「なんかさっきから元気ないけど。前なら今みたいな事いったらキーキー言ってたのに」
闇子「……今の世の中、私を怖がる子供なんていないのよ。」
男「どうしたの急に」
闇子「子供はおばけだけを怖がっていればよかったのよ……今の世の中、おばけより怖いものが増えすぎたの」
男「……物騒な世の中だからね」
闇子「その代表であるあんたが………人事みたいに何言ってんのよっ!!」
闇子「うるさいっ!」
男「五月蝿いのは闇子さんのほうじゃないか………」
闇子「……はぁ、本当に嫌になっちゃうわ。久しぶりに出てきたら、こんな変態に会うわ。私の居場所はなくなってるわ」
男「まぁ、そう落ち込まないで」ポンポンッ
闇子「気安く触らないで」パシッ
闇子「だいたい誰のせいで………え?」
男「どうしたんだよ本当に」
闇子「何で私に触れるようになってるのよっ!」
男「いやね、知り合いに寺生まれの奴がいてね。
俺、今回捕まったじゃん?そいつが、煩悩を断つために一から修行したほうがいいって言って無理やり修行させられたんだよ」
闇子「修行って何よっ!?」
男「そしたら何かね。おばけとか触れるようになったんだよ」ワキワキ
闇子「なっ、何よその気持ち悪い手付き!?煩悩払えてないじゃない!」
闇子「……じゃ、じゃあ何でこっちに来るのかしら」
男「これは愛だ!純粋な愛!」
闇子「愛なんて欲望の塊よ!」
男「まぁ、そんなのどうでもいい。素直にペロペロクンカクンカさせるんだ闇子さん」
闇子「嫌に決まってるでしょ!」
闇子「ふふふっ、私がこの数ヶ月間ただぼーっと過ごしてただけだと思ってたのかしら?」
男「ん?」
闇子「新しい必殺技を考えておいたのよ!その名もトイレットペーパーミサイル!」
男「………闇子さん」
闇子「何よ?」
男「必殺技名が小学生レベルなとこが可愛い」
闇子「うっ、うるさいわね!」
男「トイレットペーパーがミサイルになったところでたかが知れてると思うんだけど……」
闇子「甘いわね。トイレットペーパーミサイルの真価は束縛力にあるの。通常の強度を遥かに超えたペーパーがあなたの動きを封じるの」
男「闇子さん……」
男(必殺技が出来たのがよっぽど嬉しかったのかな?自分からそんなに説明しちゃって………可愛いなぁ)
闇子「くらいなさいっ!トイレットペーパーミサイル!」
ヒュン ヒュン ヒュン ヒュン
男「破ぁ!!」
バシュン
闇子「…………はい?」
男「俺にもわからん」
闇子「何でそのよくわからないもので、私のトイレットペーパーミサイルが撃ち落とされているのよっ!」
男「……一言で言うと、寺生まれって」
闇子「あなたは寺生まれじゃないでしょっ!!」
闇子「や…やめて…こっちに来ないで…」
男「断る」
闇子「あわわわわわわわわわわ…」
男「いただきまーすっ!」ガバッ
闇子「いやぁああああああああああああああああ」ジタバタ
男「暴れるな!ペロペロできないだろ!」クンカクンカクンカ
闇子「やめてぇえええええええ」ジタバタ
男「こらっ!だから暴れるな!」チュチュチュチュ
数分後
闇子「………」グッタリ
ペロペロペロペロ
男「クンカクンカやチュチュのほうが良かった?」
闇子「どれも嫌よ!」
男「つまりスーハースーハーなら……」
闇子「……はぁ。昔はこんなんじゃなかったのに」
男「昔?」
闇子「昔は皆、私を怖がっていたわ。最後に怖がらせた男の子なんて震えてその場で腰を抜かしてたんだから」
男「……ああ、多分それ俺だ」
闇子「…………は?」
男「うん」
闇子「…いや、あんた私のこと知らないって」
男「だから、花子さんだと思ってたんだって。皆もトイレの花子さんだと思ってたよ」
闇子「…え?じゃあ昔から私は」
男「トイレの花子さんと間違われてたんだね」
闇子「…そ…そんな……何かの間違いよ……」ガクッ
男「どうした?」
闇子「あなた!昔は私のことを怖がってたんでしょ!何かそこは嬉しいわ!」
男「………怖がる?」
闇子「怖がってたじゃない!震えてたじゃない!腰抜かしてたじゃない!」
男「いや、あのときは、あまりの可愛さに腰抜かして震えてただけだし」
闇子「何でそんなくだらない嘘をつくのよ!確かに怖がってたはずよ!」
男「いや、だって小学生女児好きに目覚めたのそのときだし」
闇子「嘘よ嘘!」
男「その時の俺の表情覚えてる?」
闇子「………小学生だとは思えないほどに気持ち悪いにやけ面だったわ」
男「嫌がらせなんて」
闇子「してるじゃない!!私の体触りまくってたじゃない!!」
男「え?嫌だった?」
闇子「あの反応で喜んでると思う!?馬鹿なの!?」
闇子「責任?死んでくれるの?そうでしょ?早く死んでよ」
男「学校の怪談なりそういうものっていうのはな。人に忘れられると消えてしまうんだ」
闇子「知ってるわ。だから人を怖がらせてその存在感を保つのよ。犠牲を出すにしても必要最小限。
噂話をする人間を残してやらなきゃ意味はないから。
大量虐殺をする怪談話がないのもそのためね」
男「で、君はもう消えようとしている」
闇子「わかってる。だからと言ってどうこうしようとも思わないけど。何?まさかあなた、私の話を宣伝でもしてくれるつもり?」
闇子「ふうん。じゃあどうするつもりよ」
男「君を式紙として使役しようと思う」
闇子「…………………は?」
男「個人で使役するぶんには公のルールも無視できる」
闇子「いやいやいやいや!ちょっと待ちなさいよ!そもそもあなたが修行したのってお寺なんでしょ?」
男「寺生まれに不可能はない」
闇子「だから!あんたは寺生まれじゃないって言ってるでしょ!」
男「時間がない。急がないと」
闇子「第一、あんたなんかに使役されたくないわよ!」
男「毎日ペロペロしてあげるからね」
闇子「嫌ぁあああ!絶対嫌!消えるほうがマシよ!」
闇子「陰陽道じゃないの!?第一使い方あってるの?絶対間違ってるわよ!」
男「ははは、闇子さんはもの知りだなぁ」スッ スッ
闇子「次に何で十字をきってるのよ!絶対適当でしょ!」
男「破ぁ!!」
闇子「結局それじゃない!それでどうとでもなるんでしょ!もう好きにしてっ!」
バシュン バシュンバシュン
闇子「……で?どうなったわけ?何か変わったの?」
男「トイレの外に出てみてくれ」
闇子「トイレの外?……馬鹿じゃないの?私はトイレの闇子さんよ。なんてね。普通に出れるのは知ってるわよ。ここはその逆パターンでしょ?逆に出れない…」ガチャ
闇子「あ……普通に出れたわ…」
闇子「………」ダダダダダッ
男「あっ……逃げた」
闇子「馬鹿!死ね!変態!インチキ仏教徒!もうあんたの顔なんて二度と……」
男「………闇子さんお越しください」
シュワンッ
闇子「見たくなかったわよ……」
男「つまり、いつでも呼び出せるんだよ」
闇子「ああああああああああああ」
男「毎日が幸せすぎてこわいな。闇子さんをいつでもペロペロできるなんて……ふんっ」ブボッブリリリ
闇子「ふんっ…いくら自宅のトイレだからって、トイレの闇子さんの住む家のトイレで呑気にしてるなんて間抜けね」
カチッ
男「おわっ!?急に真っ暗になった」
闇子「ふふふっ、トイレの闇は闇子さんの指先一つで自由自在なのよ」
男「闇子さんお越しください」
シュワンッ
闇子「何読んでるのよ!?って臭っ!?臭いわよ!何食べたらそんなに臭くなるのよ!」
闇子「あんたのが特別臭いのよ!こんなとこいられないわっ!」ガチャッ ガシッ
闇子「離して!離しなさいよ!」
男「排便しながらトイレの闇子を抱きしめるって風流じゃないかな?」ギュッ
闇子「離せ!離せって言ってるでしょ!臭いのよっ………って何かお尻に当たって…いやぁあああああああああ放して離しなさいよ!」
闇子「助けて!トイレの花子さぁああああああああああああん!」
しまい
ちょっと小学校のトイレに行ってくる
Entry ⇒ 2012.01.30 | Category ⇒ その他 | Comments (0) | Trackbacks (0)
あかり「君がため」
http://hayabusa.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1327578833/
前→あかり「瀬をはやみ」
「ちょ、ちょっと待ってぇ」
高校生活最初の一日が終わってすぐ、駆け寄ってきたちなつちゃんに腕を引っ張られる。
まだカバンに荷物しまってないのに…。
「ほら、結衣先輩の活躍を見るんだから!」
「う、うん…」
ちなつちゃんに引っ張られて教室を出ると。
「二人とも、迎えに来たぞー!」
廊下に響き渡る元気な声。
「邪魔しないでください京子先輩!私達は…」
「結衣見に行くんでしょ?」
「そうです!だから漫研には…」
「私も行くよー」
「…え?」
意外な答え。
てっきり漫画研究部に連れて行かれるのかと…。
「グラウンドにいると思うから、行こうぜー」
「……」
「……」
「結衣先輩…」
結衣ちゃん、あんなにたくさんいる人の中で先頭を走ってる…。
…なんだか、凄く楽しそう。
「…かっこいいね」
「…うん」
「……」
「…あ、走り終わったのかな」
「…あれ?」
いよいよ完結編か
メラッていう効果音が、隣から聞こえた気がする…。
「……誰よ、あの子」
ちなつちゃん、顔怖い…。
「結衣、足速いしかっこいいから…モテモテなんだよね」
「……」
「部活中じゃなければ私が結衣先輩の汗を舐めとりに行くのに…!」
「そ、それはどうかな!?」
「うー…」
なんだか悔しい。
傍に居られないことが。
「……」
「よーし!次は漫研に行こう!」
「あ、私茶道部見に行きたいです」
「そっかー。残念」
「すみません」
「それじゃあまた明日!」
「またね、ちなつちゃん」
「……」
「京子ちゃん、どうしたの?」
「正直、ちなつちゃんに漫研は危険だ…」
「あはは…」
「ここが漫研の部室でーす!」
「お、お邪魔します…」
「…あれ?」
誰もいない…。
「…ここ使う人、あんまりいないんだよね」
「そうなの?」
「一人で静かに漫画描きたい人が多いみたい」
「そうなんだ…」
「評論会みたいなのやるときは、皆集まるよ~」
「現在四人だ!」
「そっか…」
四人。
でもそこにはあかりも結衣ちゃんもちなつちゃんもいないんだよね。
皆を少し、遠くに感じる。
「ね、あかり」
「…なぁに?」
「ちょっと手伝ってってよ」
「うん、いいよ~」
「へへ、さすがあかりっ」
「ここは何番?」
「そこはねぇー…」
前回と同じように、トーン貼りのお手伝い。
なんだか漫画家さんになったみたいで、凄く楽しい。
「今度はさ、ベタ塗りとかやってみる?」
「ベタ?」
「前に結衣がやってたやつだよ」
「だ、大丈夫かな…?」
「あかりなら大丈夫!」
そう言ってくれると嬉しいな。
「じゃあ、やってみようかなぁ」
「うんうん」
なんだか京子ちゃんも楽しそう。
漫画描くの、本当に好きなんだね。
「いやー、助かったよあかり」
「あかりで良ければいつでもお手伝いするよぉ」
「これは奢りだ。ありがたく飲むがよい」
「わぁい、ファンチグレープっ」
「おいしい~」
「……」
どうしたんだろう京子ちゃん。
ニコニコして…。
「んー…」
なんだか気まずそうに目を逸らして。
「目と鼻と口?」
「それは普通だよぉっ」
「あははっ」
「もぉー…」
「あかり」
「漫研…どうする?」
「……」
「もう少し、考えさせてくれる…?」
「ん、分かった」
「どう思う?」
「ど、どうかな…」
やりたいことも見つからないまま一ヶ月が過ぎて。
ちなつちゃんは茶道部に入った。
やりたかったことをやっているちなつちゃんは、凄く輝いて見える。
そんなちなつちゃんが、結衣ちゃんに告白すると言い出した。
「だってぼやぼやしていられないじゃないっ」
「結衣先輩目当てで陸上に入部した子もいるみたいだし!」
「…そうなの?」
「恋する乙女の情報収集能力を甘く見ないことね!」
ちなつちゃんのこういうところ、素直に凄いと思う…。
「……」
複雑な気持ち。
ちなつちゃんは大切なお友達だ。
幸せになってほしい。
でも、あかりの気持ちは…。
「……」
「あかりちゃんってさ、結衣先輩のこと好きなの?」
「えぇ!?なな、なんで…」
「やっぱりそうなんだ…」
「カマかけてみただけなんだけどね」
「あぅ…」
ちなつちゃん、ずるい。
「考えてみれば、結衣先輩達の受験シーズンからあかりちゃんの様子が変だったし」
「ちなみに京子先輩ってセンは最初から考えてません」
なんかひどいこと言われてるよ、京子ちゃん…。
「……」
「なんか、ごめんね」
「え?」
「私、自分の気持ちばっかりで…」
「結衣先輩のこと好きなあかりちゃんに、応援してね!なんて…」
「でも、遠慮しないから」
「私にはあかりちゃんみたいに時間のアドバンテージがないもの」
「正々堂々結衣先輩をモノにしてみせるから!」
「ちなつちゃん…」
その夜。
ただ一言、短いメールがちなつちゃんから届いた。
―――ダメだった。
「結衣せんぱーいっ!おはようございますっ!」
「おはようちなつちゃん」
「ちなちゅ~」
「やめてくださいっ」
「おいこら」
「……」
あれ?あかり夢でも見てるのかな?
「え!?…な、なんでもないよぉ」
「そお?」
「う、うん…」
「ふふ、変なあかりちゃん」
なんで結衣ちゃんもちなつちゃんもいつも通りなんだろう…。
「ね、ねぇちなつちゃん…?」
「なぁに?」
「えと、告白…したんだよね?」
「したよー」
そ、そんなあっさり…。
「それで…」
「もうっ!メールしたじゃない」
「あ、うん…」
じゃあなんで…。
「結衣先輩ね、好きな人いないみたいだよ」
「え…?」
結衣ちゃんは京子ちゃんのことが好きなんじゃ…?
「今は恋よりも陸上なんだって」
「……」
「まだ諦めたわけじゃない」
「今はダメでも、きっと…」
そっか。
普段から結衣ちゃんのこと好き好きって言ってるから、ちなつちゃんが諦めないなら今までと何も変わらないんだ…。
「…う、うん」
結衣ちゃんは京子ちゃんが好きなんだと思ってた。
もしちなつちゃんの言うとおり、今結衣ちゃんに好きな人がいないなら…。
あかりは、結衣ちゃんへの気持ちを抑え続けていられるかな…。
「凄かったねぇ、結衣ちゃん」
「うん、凄くかっこよかった」
富山県高校総体陸上競技。
結衣ちゃんは女子200mで三位に入賞した。
「いやー、あそこまで早くなってるとはねー」
「しばらく見ないうちにやるようになったもんじゃ…」
「誰ですかそれ…」
「結衣はワシが育てた!みたいな?」
「京子ちゃん凄いっ」
「いや、嘘でしょ…」
「待っててくれたの?」
「当然じゃないですか結衣先輩っ」
「凄かったですかっこよかったです!」
「…本当に、おめでとうございますっ」
「結衣ちゃんおめでとうー」
「結衣おめでた!」
「おい最後」
「でも…ありがとう」
「これから皆でご飯行こうぜー!」
「いいですね!お祝いしましょうっ」
「わぁい、皆でご飯なんて久しぶりだよぉ」
「そういえば、そうかもね…」
中学生のときは皆ずっと一緒だった。
今が楽しくないわけじゃないけれど、思い返すと時々寂しくなったりもする。
「よし、今日は私が奢ってやろう」
「何企んでるんですか京子先輩…?」
「ひどいなー、ちなつちゃん」
「お前、お金あるのか?」
「この間のイベントで少し稼いだからね!」
「そうなんだぁ、京子ちゃんも凄いっ」
「将来は漫画家さんだね!」
「どうだろ…。でも…」
「好きなこと仕事にできたら幸せだよね~」
「あ…」
「どうしたの?あかりちゃん」
「…ううん、なんでもないよぉ」
自分のやりたいことをやっている結衣ちゃん、京子ちゃん、ちなつちゃん。
じゃあ、あかりは…?
あかりのやりたいことってなんだろう?
焦りや不安が、少しずつ大きくなっていくような。
そんな気がした。
漠然としていた気持ち。
それは全校集会のときにはっきりと形になった。
皆の前で表彰される結衣ちゃんが、とても遠くにいるように見えて。
同じ学校に居るのに…。
先に高校へ行ってしまった、あの時より…ずっとずっと遠く。
また、置いていかれちゃう…。
何か見つけなきゃ、何か…。
あかりの、やりたいこと…。
「京子ちゃんっ!」
「おー、あかり…どした?」
「えと、漫画のお手伝いしたいっ!」
「まじ?」
「うんっ」
「なんかあかり、やる気だね」
「結衣ちゃんにも京子ちゃんにもちなつちゃんにも、負けてられないよぉ」
「…そっか」
「よーし、そうと決まれば出発だー!」
「あ、京子ちゃん…ちょっと待っ…」
「よっしゃいくぞー!」
あかりの腕を掴んで、走り出す京子ちゃん。
「ゆ、結衣ちゃんまたねー!」
「うん、またね」
「あかり、ここもベタお願い~」
「うん」
「……」
「できたよぉ~。これでいい?」
「…うん、おっけ~」
「わぁい」
「……」
「次は何をすればいいかな?」
「京子ちゃん?」
「あかりさ、焦ってない?」
「えっ?」
「無理にやりたいこと探さなくてもいいんじゃないか?」
「……」
でも、それじゃあ結衣ちゃんの隣には居られない。
あんなに頑張ってる人の傍に、何もしてないあかりは釣り合わない。
「まぁ、あかりがそれでいいならいいけどさ…」
「…私は、嫌だな」
「あかりが無理してるのは、なんか嫌だ」
「京子ちゃん…」
「結衣に追いつきたいんだよね?」
「え…?」
な、なんで知って…?
「なら、良い方法があるよ」
「ちょ、ちょっと待って京子ちゃ…」
「告白して、付き合っちゃえばいいのだ」
「えええええええ!?」
「え、だってあかり…結衣ちゃんが好きだって…」
「わかるよ、それくらい」
「だって私は…」
「……?」
「まぁなんだ」
「急いだほうがいいよ?」
「ど、どうして…?」
「この間の表彰式で結衣の人気が急上昇してるからね」
「陸上にも新入部員がいっぱい入ったみたい」
そういえば、ちなつちゃんがそんなようなこと言ってたっけ…。
「…え?」
「でも結衣ちゃんは京子ちゃんのことが…あっ…」
つい言っちゃった…。
まずかった…よね…。
「……」
「私さ、昔は結衣とあかりの後ろをくっついて歩いてたじゃん?」
「…うん」
「で、今は私が結衣とあかりより前にいて…」
「う、うん…」
「ほら…」
「いつも結衣の隣に居たのは…あかりじゃん」
「結衣はさ、寂しがりなんだよ」
「いつも隣に居てくれる子のこと好きになるほうが…自然じゃない?」
「でも、結衣ちゃんいつも京子ちゃんのこと見て…」
「私は今も昔も危なっかしいからさ~」
「目が離せないだけだよ、多分」
「…でも…」
そうだとしても、今のあかりじゃ…。
「あかりには、笑っててほしい」
「京子ちゃん…?」
「あかりのこと、好きだから」
「……」
「本当だぞ!あのときからずっと…」
「あの、とき…?」
「昔…あかりが風邪引いて倒れて、一人で寝てたとき…」
「私と結衣でお見舞いに行ったじゃん」
あのときから、ずっと…?
「無性に守ってあげたくなった…っていうか…」
「とにかく!理屈じゃないんだよ!」
「…あれからじゃん。私が今みたいになったのって」
そういえば、そうかも…。
「結衣には、対抗心のほうが大きかったな」
「あかりのことも、守ってやるって言うからさ」
「あかりを守るのは、結衣じゃなくてこの私だー!ってね…」
…。
―――あかりのことも、守ってやるから!
あかりが、結衣ちゃんを好きになった理由…。
『けほ、けほ…』
『あかり、本当に大丈夫…?』
『うん…大丈夫…』
『お昼ご飯も食べたし、お薬も飲んだし…』
『お姉ちゃんが帰ってくるまで…ずっと寝てるから…大丈夫だよぉ…』
『そう…?』
『気をつけてね…お母さん…』
『じゃあ、行ってくるけど…』
『ちゃんとお布団で寝てなさいね?』
『うん…』
『……』
『あんまり…眠くないや…』
ピンポーン
『……』
ピンポーン
『…誰、だろ…』
ピンポンピンポンピンポン
『うぅ…』
『あかり!』
『結衣ちゃん…?』
『お見舞いに来たよ、あかり!』
カチャ
『結衣ちゃん…京子ちゃん…どうして…』
『お母さん達が、あかりが一人で寝てるって電話で話してたから』
『だめだよ…うつっちゃうよぉ…』
『あかりちゃん…大丈夫…?』
『京子ちゃんも…風邪うつっちゃうから…』
『私にうつってあかりが治るなら別にいい!』
『行くぞ!京子隊員!』
『う、うん!』
『あ、二人ともっ…』
『あかり、してほしいことがあったらなんでも言うんだぞ』
『私も、何でもするから…』
『うつっちゃうから、帰って…』
『それはできない』
『どうして…?』
『あかりが心配だから』
『あかり大丈夫だよ…?風邪でも一人でお留守番できるよ…?』
『私達が心配なの!』
『あかりちゃん、心配…』
『結衣ちゃん…』
『あかりは我慢しすぎだよ』
『あかりのことも、守ってやるから!』
『…風邪から?』
『風邪もだけど…』
『一人じゃ、寂しいじゃん…』
『だから、寂しいのから守るんだ!』
『京子も…あかりも!』
『結衣ちゃん…』
『ありがと…』
「懐かしいなー」
「うん…」
「あのときは、ありがとうね京子ちゃん」
本当は、二人が来てくれて凄く嬉しかった。
あかりは、寂しがりだから。
あのときも本当は凄く心細くて、不安で、眠れなかった。
だから、あかりを寂しさから守ってくれるって言ってくれた結衣ちゃんを、好きになったんだ。
「学校でも何度もお礼言われたのにまだ言うかっ」
「…でも、あかりの恋もあのとき始まってたんだな」
「…うん」
「私の恋は、始まった時から終わってたのかー…」
「…じゃあ、私と付き合ってくれる?」
「え…と…」
「…あかりの悪い所だな」
「気を遣いすぎるのは良くない!」
「……」
「私にもちなつちゃんにも、結衣のファンにも遠慮することなんてないからな」
「もちろん、結衣本人にも!」
「私はあかりが笑ってくれるならそれでいい!」
「京子ちゃん…」
「…結衣ちゃんが?」
「陸上部では大会で入賞したから期待されまくってるし…」
「先輩も同級生も後輩も結衣に猛アタックしてるみたいで、気が休まらないんじゃない?」
そういえばさっきも少し元気なかったような…。
「私さ、あかりと居ると、安心するんだよね」
「それはきっと結衣も、ちなつちゃんもそう」
―――だから、あかりと居ると安心する。
いつか、結衣ちゃんから聞いた言葉。
「あかりにしか、できないことだから」
「結衣のところに行ってあげて」
「…うんっ」
あかりにも、できることがあるんだ。
校門で、結衣ちゃんを待つ。
辺りはもう薄暗くなり始めていた。
それでも。
「あかり?」
結衣ちゃんは、あかりを見つけてくれた。
「結衣ちゃん…お疲れ様」
「ありがと」
「…もしかして、私のこと待ってた?」
「うん。一緒に…帰らない…?」
「京子と一緒に帰ったのかと思ったよ」
「えへへ、今日は結衣ちゃんと帰りたいなって…」
結衣ちゃんと並んで歩くのも、久しぶりな気がする。
ごらく部の部室で二人きりになって以来かも…?
「…私と?」
「…うん、結衣ちゃんと」
「……」
「あのね…」
「やりたいこと、見つけたんだ」
「…やりたいこと?」
「あかりね、結衣ちゃんの傍に居たい」
「え?」
「結衣ちゃんを笑顔にしてあげたいの」
「……」
「…結衣ちゃん、前に言ってくれたよね?」
「あかりと居ると安心するって」
「だから、あかり…」
「いつも傍に居るだろ?」
「最近は、そうでもないか…」
「そうじゃ、ないの…」
言うんだ。
ずっとずっと隠してきた、この気持ちを。
誰のためでもない、あかりのために。
「あの日、結衣ちゃんがあかりのことも守ってやるって言ってくれたときから、ずっと…」
「もしかして、風邪のときの…?」
「…あ、あんな昔のこと…」
「覚えててくれたんだ…嬉しいなぁ」
「…まぁ、約束だし…」
「それから、何度も結衣ちゃんに助けてもらって…」
「どんどん結衣ちゃんのこと好きになって…」
「結衣ちゃんが小学校を卒業する時も、中学を卒業する時も、あかりは結衣ちゃんと離れるのが嫌で泣いたんだよ」
「…そう、だったんだ…」
「だから、あかり…」
「もう結衣ちゃんと、離れたくない」
「遠くに…行ってほしくない…」
「別に、今すぐ答えがほしいわけじゃないから…その…」
あ…遠慮するなって京子ちゃんに言われたばっかりだった…。
ど、どうしよう…。
「私、さ…」
「まだ好きって気持ちがどういうものか、よくわからなくて…」
「あかりに対する気持ちも、京子に対する気持ちも、ちなつちゃんに対する気持ちも、どれも同じくらい大切で…」
「……」
「それでも、今は…」
「あかりの優しさが、欲しい」
「あかり」
体が、結衣ちゃんの方に引き寄せられる。
「あ…」
「…よろしくね、あかり」
結衣ちゃんの体温。
結衣ちゃんの匂い。
「結衣ちゃん…」
…嬉しい。
その日、あかりは結衣ちゃんと恋人同士になった。
「……おはよう、結衣ちゃん」
「おはよ、あかり」
あのあと。
結衣ちゃんの家にお泊りして。
「朝ご飯作っておいたよ」
「ありがと~」
「わぁ、オムライスっ」
「ふふ、好きでしょ?」
「うんっ」
「…朝練?」
「うん、もう出ないと」
「そっかぁ…」
「帰りも、また遅いから…」
「うん…」
一緒に登下校は、難しいのかな…。
「だから、これ」
「え?」
「今度、合鍵作りに行こう?」
「……」
そ、それって…。
「ふふ、顔赤いよ」
「だ、だって…!」
「じゃあ、行ってきます」
「…気をつけてね、結衣ちゃん」
「あかりもね」
「あかりちゃん、何か良いことでもあった?」
「え?どどど、どうしてかなちなつちゃん」
「わかりやすすぎ…」
「うぅ…」
「まぁそこがあかりちゃんの良いところだけど」
そうかなぁ…。
結衣ちゃんに、しばらく皆には内緒って言われたのに…。
これじゃバレちゃうよぉ…。
「はぁ…。そっかー…」
「え?なにが…?」
「好きな子がいないっていうのも、今は恋より陸上っていうのも、私を傷つけないための…」
「ちなつちゃん…」
「でも、これで勝ったと思わないことね!」
「あかりちゃんが隙を見せたら横から奪っていっちゃうんだから!」
「だ、だめだよぉー!」
「あ、やっぱり付き合い始めたんだ…?」
またしても…。
あかりのばかばかっ。
「ふふ…」
「もぉっ!」
「頑張ってね、あかりちゃん」
「結衣先輩のこと、幸せにしてあげてね」
「…うん」
「ただいま」
「あ、結衣ちゃんおかえり~」
「えへへ、お掃除とお洗濯しておいたよぉ」
「ありがと」
「ご飯はもうちょっと待っててね?」
「……」
「どうしたの結衣ちゃん?」
「…癒されるなぁと思って」
「…えへへ」
「ど、どうかな…?」
あかりの作ったオムライス。
結衣ちゃんのオムライスには負けるかもしれないけど…。
でも、愛情はたっぷり込めた。
「うん、美味しいよ」
「本当?」
「本当」
疑ってるわけじゃないけど。
でも…。
「…嬉しい」
「ふふ…」
「それじゃあまた明日ね、結衣ちゃん」
流石に二日連続でお泊りはできない。
二人でご飯を食べた後、結衣ちゃんに別れを告げる。
「送っていくよ?」
「明日も早いんだよね?あかりなら大丈夫だから」
「でも…」
「慣れた道だもん。大丈夫!」
「…そう?」
「うんっ」
「おやすみなさい、結衣ちゃん」
「おやすみ、あかり」
「赤座さん、ありがとね~」
「えへへ、どういたしましてー」
「……」
「凄いね、あかりちゃん」
「え?」
「他のクラスからあかりちゃんに頼みごとしにくる人がいるなんて…」
最近何だか色々なことをお願いされる。
どうやら噂になっているみたいで…。
「す、凄いかな…?あかりは当然のことをしてるだけで…」
「て、天使って…」
「あかりはただ、結衣ちゃんや京子ちゃんやちなつちゃんからもらったものを、他の人にも分けてあげてるだけで…」
「…やっぱり天使じゃない」
「そうなの、かな…」
「私なら結衣先輩からもらった愛は独り占めするもん!」
「そ、そっかぁ…」
あかりだって独り占めにしたい。
でもあかりの中の幸せな気持ちが、独り占めさせてくれない。
「うーん…」
ちょっと考えてしまう。
「ふふ…」
「どうしたの?」
「やりたいこと、見つかったんじゃない?」
「あ…」
「生徒会、ですか?」
「ええ、赤座さんは授業態度もいいし、普段の生活態度もいいし…」
「人助けまでしてるそうじゃない」
先生の耳にまで入ってるんだ…。
女子高だから噂が広まりやすいのかな?
「生徒会は全校生徒のためにあるんだから、赤座さんにぴったりだと思うけど」
「……」
生徒会。
中学のときあかりは入らなかったけど、お姉ちゃんが生徒会長だったという話を聞いたことがある。
「夏休み明けに選挙があるから、よく考えてみてね」
「…はい」
夏休み。
結衣ちゃんも京子ちゃんもちなつちゃんも部活があるみたいで、なかなか会う機会がない。
そんなわけで…。
「おっす!あかりちゃん!」
「櫻子ちゃん久しぶりっ」
「えへへ、久しぶり~」
挨拶が終わったとたん抱き締められて、ぐりぐりされた。
「あ、暑いよぉ…」
「久しぶりのあかりちゃん分を補給するのだ」
「あかり分って何…?」
「小動物可愛い!みたいな…?」
「そ、そっかぁ…」
「最近向日葵ちゃんとはどう?」
「うーん…」
「実はあんまり会ってないんだ」
「そうなの?」
「向日葵の学校少し遠くて、通学時間が結構あるみたいで…」
「朝は早いし、夜は遅いし…」
「私も生徒会やってるし、お姉が家出てったから家事もやらないといけないし…」
「た、大変だね…」
「でも、これで良かったと思ってるんだ」
「え?」
「いい加減向日葵から自立しないとさ」
「胸張って向日葵の隣に居たいから…」
ちなつちゃんが二人を見て微笑んだ理由が、やっと分かった気がする。
「あ、これ誰にも言わないでね…!」
「あかりちゃんだから、つい話しちゃったっていうか…その…」
「大丈夫、言わないよぉ」
「…そ、そっか」
「そういえば櫻子ちゃん、生徒会やってるんだ?」
「うん。向日葵には負けてられないからね!」
「楽しい?」
「皆のため…かぁ」
「あかりちゃんみたいになりたいんだ」
「あかりみたいに?」
「中学の時はいっぱい助けてもらったじゃん?」
「そ、そうだっけ…」
「そうだよ」
「皆のために、お礼を言われないようなことまでやってさ」
「すげーかっこいいって思った」
「かっこいいよ、あかりちゃん」
「……」
「ありがとう櫻子ちゃん」
「え、何が?」
「ふふ…内緒だよ」
「えぇー…?」
櫻子ちゃんの言葉で。
あかりは、決心した。
「ただいまー…」
「あ、お姉ちゃんおかえりなさい」
「あかり…」
「お、お姉ちゃん…」
また、抱き締められちゃった。
お姉ちゃんもあかり分…足りないのかな?
「……」
「…疲れてる?」
「…少しだけね」
いつも笑顔だったお姉ちゃんが、少し疲れた顔をするようになったのは就職活動が始まってからだ。
でも、内定はもう貰っているはずなんだけど…。
「あかりの…?」
「そう。あかりがいるから、私はいつだって笑顔でいられる…」
「お姉ちゃん…」
あかりの存在が、いろんな人に元気をあげられているなら…。
それは凄く嬉しいことだ。
「一緒に、頑張ろうね」
「あかりも、頑張れそうなこと見つかった?」
「うんっ」
「うふふ…」
「その笑顔で一年は戦えそうだわ…」
「お、お姉ちゃん凄い…」
「お待たせ!結衣ちゃん!」
「…あかり」
今日は結衣ちゃんとお祭り。
平日はあんまり会えないし、休日はいつも結衣ちゃんのお家だったから、初めてのデートだ。
「ど、どうかな…?」
新しく買った、少しだけ大人っぽい浴衣。
結衣ちゃん、気に入ってくれるかな?
「…似合ってるよ、凄く」
「本当?」
「本当」
「えへへ…」
「結衣ちゃんも似合ってるよぉ」
「ありがと、あかり」
「行こうか」
「何か欲しいものとか、やりたいこととかある?」
「うーん…」
「結衣ちゃんと一緒ならなんでもっ」
「…遠慮してない?」
「してないよ?」
「あかり、結衣ちゃんと一緒ならなんでも美味しく食べられるし、どんなことでも楽しめるよぉ」
そう、結衣ちゃんの傍に居られるだけで。
「……」
「じゃあ、私に付き合ってもらおうかな」
「お供します、隊長っ」
「ふふ、懐かしいなそれ」
あの頃からずっと、あかりの居場所は結衣ちゃんの隣だから。
「ここ、穴場なんだ」
「わぁ…」
「蚊もたくさんいるけど…」
「あかり虫除けスプレー持ってるよぉ」
「さすが、用意がいいね」
「えへへ」
「花火まで…あと少しかな」
「楽しみだねぇ」
「うん」
「ん?」
「あかり、もう一つやりたいこと見つけたよ」
「ほんと?…何やりたいの?」
「それはねぇー」
「それは…?」
「内緒だよっ」
「えー…。気になるじゃない」
「新学期になったら教えてあげるね」
「……」
「分かった、楽しみにしてるよ」
夜空に綺麗な花が咲いた。
「わぁー…」
「……」
「綺麗だねぇ結衣ちゃん」
「…そうだね、綺麗だ」
「また来年も、見に来たいな…」
「あ、でも結衣ちゃん大学受験かぁ…」
「一日くらい、なんとかなるよ」
「本当?」
「本当」
「じゃあ、楽しみにしてるね!」
「あかりちゃん、今日から生徒会?」
「うんっ」
夏休みが明けて。
あかりは生徒会役員に立候補した。
演説は凄く緊張したし、噛み噛みだったけど…。
たくさんの人に応援されて、無事に当選することができた。
―――あかりちゃんの人望があれば余裕だよ。
生徒会に立候補すると打ち明けた時にちなつちゃんがそう言ってくれたように、かなりの票が入ったみたいで。
最近は上級生もあかりに頼みごとをしてくれるようになった。
誰かの役に立っている、それが凄く嬉しい。
結衣ちゃんとの時間がその分減って、少し寂しいけど。
―――応援してるよ、あかり。
結衣ちゃんは、そう言ってくれた。
だからあかり、頑張るからね!
生徒会の仕事にも少し慣れてきた。
相変らず休み時間や放課後に頼みごとをされたりもして。
結衣ちゃんは冬の駅伝大会の練習が忙しくて、なかなか二人の時間を取れなくなってしまったけど。
充実してる。
毎日が楽しい。
「それじゃあお先に失礼しますっ」
生徒会のお仕事が終わって。
今日で一週間も終わり。
土日は久しぶりに結衣ちゃんに会いたいな…。
でも、練習があるのかな…?
そういえば、合鍵貰ってたんだ…。
お掃除とかお洗濯とか、やってあげよう。
「ふぅ…」
土日の分の宿題を手早く終わらせて。
少し量が多かったけど、結衣ちゃんに会いに行きたいから。
「あ、結衣ちゃんの家でやっても良かったんだよね…」
「…まぁいっか」
そろそろご飯の時間だ。
ご飯食べたら、結衣ちゃんのお家行っちゃおうかな…?
スーキースーキーダーイスーキー
「あ、電話だ」
…公衆電話?
…誰だろう?
『……』
「あ、あの…?」
『あか…り…』
「京子、ちゃん…?」
『結衣…結衣が…』
「……え?」
七森病院。
病院は、あんまり好きじゃない。
匂いとか、雰囲気とか。
でも、今は…。
「京子ちゃんっ!!」
「あ、あかり…」
「結衣ちゃんは?どうして事故になんて…」
「ご、ごめ…私の…せいで…」
…まるで、昔の京子ちゃんだ。
「京子ちゃん…」
不安になる気持ちを、抑えて。
「大丈夫だから…」
「何があったのか、教えて?」
『おーっす結衣!』
『何しに来た』
『つれないなぁ結衣にゃん』
『あ、これお土産のラムレーズン』
『どうせお前が食べるんだろ』
『へへ、お見通しで』
『当たり前だ』
『練習どうよ?』
『きつい、かな…』
『あかり分、足りてないかも』
『本人に言えばいいのに』
『あかりだって生徒会のこととか…色々あるだろ』
『そうだけどさ…』
『あかりはやっとやりたいこと見つけたんだ』
『重荷には…なりたくないから』
『ねぇ…なんでそういうふうに思っちゃうの?』
『なんで、って…』
『……』
『まだ自分の気持ち、はっきりしない?』
『この間一緒に花火見に行ったときは…』
『綺麗になったな、って思ったけど…』
『それだけ?』
『…一緒に居ると、安心する』
『それだけ?』
『どういう…意味だよ…』
『私から見れば分かりやすいんだけど…』
『……』
『結衣がそんなんじゃ、あかりが可哀想だよ』
『…なんで京子にそんなこと言われなきゃいけないんだよ』
『だって、私あかりのこと好きだし』
『え?』
『なんだよー。結衣も気付いてなかったのかよー』
『だってお前はちなつちゃんが…』
『あれは…複雑な乙女心というか…』
『だってあかりは結衣のこと好きだったし…』
『ちなつちゃんが私のこと好きになってくれたら、あかりは気兼ねなく結衣と…』
『……』
『私はあかりに笑ってて欲しいんだよ』
『結衣がそんななら、私があかり貰っちゃうよ?』
『……』
『…なんで、嫌だって一言言えないんだよ…』
『……』
『もういいよ、知らないから』
『きょ、京子…』
「それで、結衣の家飛び出して…」
「車、気が付かなくって…」
「結衣が…追いかけてきてて…私のこと…庇って…」
「だ、大丈夫だよ京子ちゃん」
「大丈夫…だから…」
「ごめん…あかり…」
結衣ちゃん、大丈夫だよね…?
あかりを…あかり達を、置いていったりしないよね…?
どれくらい時間が経っただろう。
京子ちゃんは、少し落ち着いたみたい。
そんな京子ちゃんの手を握りながら、あかりはずっと結衣ちゃんのことを考えていた。
今頑張ってる結衣ちゃんに、あかりは何もしてあげられないのかな…?
「結衣先輩っ!」
「あ、ちなつちゃん…」
「あかりちゃん、結衣先輩はっ!?」
「まだ、わかんない…」
「さっき結衣ちゃんのお父さんとお母さんがきて、今先生から話聞いてるみたい…」
「………そう」
「でも、どうしてこんなことに…」
「…それは」
「京子先輩…?」
「京子ちゃんそれは…」
「いいの。本当のことだし」
さっきと同じように、ちなつちゃんに説明する京子ちゃん。
少し落ち着いたのか、さっきよりはっきりとした口調で。
「……」
「だから、私のせいなんだ」
「京子先輩…」
「あかりは頑張ってるじゃん!」
「結衣が、あかりに遠慮するから…」
「それなのに学校じゃたまにイライラしてるみたいで…」
「会いたいなら、会いたいって…言えばいいのに…」
「それで、結衣先輩を挑発したんですか…」
「……」
「もう、しょうがないですね京子先輩は…」
「だって…」
「あかりも結衣も大事な幼馴染だから…」
「京子ちゃん…」
お話が終わったのか、結衣ちゃんのお父さんとお母さんが出てきた。
「あ…」
「あの、結衣ちゃんは…?」
「大丈夫よ」
「意識もハッキリしてるから」
「心配させちゃって、悪かったね」
「「「よ、よかったぁ…」」」
三人の声が揃う。
本当に、よかった。
「ただ…」
「…え?」
その先の言葉は、誰のことなのか、誰に対して言ってるのか、全然分からなかった。
結衣ちゃんが事故に遭ってから、一週間。
あかりは毎日結衣ちゃんのお見舞いに来ていた。
学校が終わったらすぐ病院へ来て、結衣ちゃんのお世話。
面会時間が終わったら結衣ちゃんの着替えを持って結衣ちゃんの部屋へ行き、お掃除とお洗濯をしたあと家に帰る。
その頃には日付も変わっていて。
朝早めに起き、休み時間中に終わらせられなかった宿題をやって、また学校へ。
体が休まる気はしなかったけど、でも…結衣ちゃんのためだから…。
「…結衣ちゃん」
「…あかり」
「お着替え、持って来たよ」
「うん…ありがと」
「……私のため、か」
「何か言った?」
「いや、なにも…」
「……」
「あかり、生徒会は?」
「え、えと…今日は…活動なくて…」
「昨日もそう言ってなかった?」
「そ、そう…だっけ…」
「私のことはいいからさ」
「せっかくやりたいこと見つけたんだから…」
「でも…」
「どうせリハビリしても…」
「そんなことわかんないよっ!」
「……」
「きっとまた、走れるようになるから…」
結衣ちゃんは、もう走れない。
―――足に後遺症が残るかもしれないんだって。
あのとき結衣ちゃんのお母さんが言った言葉。
でも、あかりはそれを信じたわけじゃない。
あかりが言った言葉を繰り返す結衣ちゃん。
卑屈になっちゃってる…。
あかりが、なんとかしなきゃ。
「結衣ちゃん、あかりも一緒に頑張るから…」
「いいんだ、もう…」
「あかり」
「別れよう」
「え…?」
「あかりの重荷になりたくないんだ」
「で、でも…あかり…」
「…違うか」
「え?」
「あかりが傍に居たら、辛い」
―――あかりと居ると安心する。
「あかりの優しさが、辛い」
―――あかりの優しさが、欲しい。
「結衣…ちゃ…」
「ごめん、一人にしてくれないか」
「……」
「結衣ちゃん、また―――」
「もう、来なくて…いいから」
「……」
「あかり、おかえりなさ―――」
「……」
「あかり?」
「……」
「どうしたのあかり?泣いて―――」
「……」
ごめんねお姉ちゃん。
でも…今は…。
階段を駆け上がり、自分の部屋に逃げ込む。
どうして、こんなことに…。
「ん…」
「あれ、寝ちゃってた…」
楽しい夢を見てた気がする。
あかりと結衣ちゃんと京子ちゃん、三人で遊んでいたころの夢。
中学に入って、ちなつちゃんや生徒会の人達と遊んだ夢。
結衣ちゃんと、恋人になってからの夢。
「夢…じゃ、ないんだよね…」
―――あかり、別れよう。
「結衣ちゃん…」
―――もう、来なくて…いいから。
「いやだよ…」
でも、あかりが隣に居ると結衣ちゃんが辛い思いをする。
どうしたらいいの?
…どうしようも、ないの?
「……」
涙も枯れ果てて。
「……」
こんなときでも、お腹が空く。
人間って不思議だ。
「…はぁ」
きっともう、お父さんもお母さんもお姉ちゃんも寝てるよね。
あれ…?
リビング、電気ついてる…?
「あかり…?」
「お、お姉ちゃん…」
「ご飯、温めてあげるね」
「ど、どうして…」
「……」
冷めてしまったお料理をレンジに入れて、温めてくれるお姉ちゃん。
目元が少し、赤い気がした。
「ほら、こっちきて座って?」
「…うん」
「……」
「…そう」
「結衣ちゃん、あかりと一緒に居ると辛いって…」
「あかり、もうどうしたらいいのか…」
「分からない?」
「…うん」
「あかりは、どうしたいの?」
「あかりは…」
「あかりがしたいようにすればいいの」
「でも、それは結衣ちゃんを苦しめるだけで…」
「どういう、こと…?」
「お姉ちゃんの口からは、言えないかな…」
「でも、これだけは覚えていて」
「あかりが結衣ちゃんを想うように、あかりも色んな人から想われてるの」
「……」
「どんな決断をしても、後悔しないようにね」
京子ちゃんも、ちなつちゃんも、あかりのことを応援してくれた。
櫻子ちゃんは学校が違ってもあかりのことを友達だと思ってくれてる。
色んな人に応援されて、あかりは生徒会に入った。
そして、お姉ちゃんはきっとあかりのために泣いてくれたんだ。
でも…。
結衣ちゃんはあかりのこと、どう思ってるのかな…。
翌日。
今日が土曜日で良かった。
こんな顔じゃ学校行けないもんね…。
台所で遅めの朝食をとる。
今日はお父さんもお母さんもお姉ちゃんも出かけてるみたいだ。
正直、ほっとした。
「何して過ごそうかな…」
結衣ちゃんの顔が、頭をよぎる。
「お見舞い…行けないよね…」
「……」
「とりあえず、着替えてから考えよう…」
「赤座あかりぃー!!」
着替え終わったあと。
リビングでぼーっとテレビを眺めていたら、突然の櫻子ちゃんの訪問。
「…さ、櫻子ちゃん?」
「…こんなとこで何してんの?」
「こんなとこって、ここあかりのお家だよっ」
「ていうか、どうやって入ったの!?」
鍵はかけてたはずなのに…。
「そんなことはいいから」
「そ、そんなことって…」
「あかりちゃんには、行かなきゃいけないところがあるでしょ?」
「…!」
「で、でも…」
「好きな人に遠慮なんてすることない!」
「櫻子ちゃん…」
櫻子ちゃんが言うと凄く説得力がある…。
「あかりちゃんが一番やりたかったことって何?」
「そ、それは…」
…忘れるわけない。
結衣ちゃんの傍に居ること。
結衣ちゃんを、笑顔にすること。
「行かないと、絶対後悔するよ」
「……」
「あかり、行ってくるね…」
「あかりちゃん!頑張って!」
病院への道を走る。
足がもつれて転びそうになっても。
結衣ちゃんに、会いたい。
もうそれしか考えられなかった。
大通りに出て、横断歩道を渡り、そして…。
病院に入ると、ちなつちゃんがいた。
「何しに来たの?あかりちゃん」
なんだか怖い。
「何って…」
「結衣先輩から聞いたんでしょ?」
「あかりちゃんと居ると辛いって」
「……」
「結衣先輩を苦しめに来たの?」
「あかり、結衣ちゃんに元気になってほしくて…」
「…本当に?」
「……」
本当に?
本当に結衣ちゃんのため?
「……」
「どうなの?あかりちゃん」
「あかりが…結衣ちゃんの傍に居たいから、ここに来たの」
「……」
「ほんとに、あかりちゃんも結衣先輩も世話が焼けるんだから…」
「二人とも望んでることは同じなのに、お互いに遠慮しあうなんて」
「…まぁある意味お似合いなのかも…」
「ちなつちゃん…」
「私じゃ、だめだから…」
「結衣先輩のこと、今度こそ幸せにしてあげてね」
「うんっ」
「頑張ってね、あかりちゃん」
船見結衣。
そう書かれたネームプレートがある部屋。
昨日の出来事が、鮮明に蘇る。
「……」
深呼吸をして、ノックを二回。
「……」
息を整えて、待つ。
「…どうぞ」
…伝えるんだ。
あかりの気持ちを。
「あかり、なんで…」
「結衣ちゃんが、心配だから」
「…私なら、別に」
「身の回りのことだって、両親が来てくれるし―――」
「あかりが心配なの!」
「あかり…」
「好きな人の心配しない人なんていないもんっ!」
「結衣ちゃん、我慢しなくていいんだよ…」
「でも、それじゃあかりが…」
「あかりに迷惑かけたくないんだよ…」
「あかりは、迷惑だなんて思わないもん」
「どんなに辛くても、結衣ちゃんと一緒なら…なんだって乗り越えられるよ」
「それでも、走れなかったら…」
「そのときは、あかりが結衣ちゃんおんぶして走るよ!」
「……」
「なんだよ、それ…」
「ほ、本気だよ!」
「人生全部あげたっていいもん」
「…あかり、一晩で頑固になったな…」
「結衣ちゃんの頑固に勝つためだもん…」
「そっか…」
「ごめんね、辛い思いさせて…」
「迷惑かけるけど…私…」
「あかりが好きだ」
「傍に、居てほしい」
やっと聞けた。
結衣ちゃんの気持ち…。
「…うん」
「嫌だって言っても、離れないからねっ」
こんどこそ、あかりは結衣ちゃんと恋人同士になった。
あの日櫻子ちゃんがあかりの家に来たのは、京子ちゃんとちなつちゃんの差し金だったみたい。
―――あかりちゃんを素直に応援できるのは櫻子ちゃんだけだからね。
京子ちゃんは結衣ちゃんを、ちなつちゃんはあかりを挑発。
それぞれの本音を聞きだすところまで計画していたみたいで。
驚いたことに、全てを計画したのはお姉ちゃんだった。
でも、そのお陰で…。
「はい、あ~ん」
ウサギさんの形に剥いたリンゴを結衣ちゃんに差し出す。
「ま、待ってあかり…。それは…」
「結衣ちゃんは、こういうの嫌…?」
「い…嫌じゃない…けど…」
「けど…?」
「あ~あ~、妬けちゃいますね!」
「ずるいぞあかり!私にも!」
「だめだよぉっ!結衣ちゃんのために用意したんだからっ!」
結衣ちゃんのお世話は三人で一日ずつ交代ということになった。
四人で話し合って決めたことだ。
あかりは毎日でも良かったんだけど、結衣ちゃんはやっぱりあかりが生徒会を続けることも望んでるみたいだから。
そして…。
「結衣ちゃん、きたよぉー」
「あかり、いらっしゃい」
「はい、頼まれてた雑誌」
「ありがと」
「お着替えも持ってきたよ~」
「ここに置いておくね」
「…あかり」
「なぁに?」
「え?」
「リハビリ頑張れば、また…走れるようになるって」
「……本当?」
「……本当」
「結衣ちゃん…」
「一人じゃ頑張れないかもしれないから…」
「あかり、一緒に頑張ってくれる…?」
「…も、もちろんだよっ」
「一緒に…頑張ろうね。結衣ちゃん」
これから先、大変なことはいっぱいあると思う。
だけど、二人一緒ならきっと…。
おしまい!
しかし手っ取り早く結衣ちゃんを挫折させるために事故らせるしかなかったのが辛かった
支援ありがとでした!
最高だった
素晴らしかった
最高だ
Entry ⇒ 2012.01.30 | Category ⇒ ゆるゆりSS | Comments (0) | Trackbacks (0)
DQN「今日も体育倉庫なwww」幼馴染「うん…」
http://hayabusa.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1327580905/
幼馴染「分かった」
男「…おい」
DQN「あんだよwww」
男「幼馴染と…いつも何してんだよ」
DQN「見に来れば良いだろ…放課後に体育倉庫だよ、覚悟があるならな」
…
幼馴染「DQN君おそいなー…」
男「幼馴染っ!」
幼馴染「な、なに?」
ガラガラ
男「大丈夫か?……え!?ドアが…あ、開かない」
幼馴染「…ど、どうしよう(密室で…二人っきり///)」
DQN「ちょっと強引な手段だったかな…」フゥ
幼馴染「え?…何が?」
男「何がって…DQNになんかされてるんだろ?」
幼馴染「え?」
男「隠さなくて良いから…もう大丈夫だから…」
幼馴染「DQN君は手伝ってくれてるだけだよ?」
男「え?」
幼馴染「いつもね、部活の道具出すの手伝ってくれるの」
幼馴染「女バレの道具って奥の方じゃない…結構疲れるんだ」
男「お、おう…そうか…そうかそうか」
幼馴染「あんなにあわててどうしたの?」
男「…お、幼馴染が乱暴されてるんじゃないかって」
幼馴染「心配してくれたんだ…」ドキドキ
男「そうだよ!…だって俺、幼馴染の事……」
DQN「よし、こんなもんだな」
副会長「…」モジモジ
会長「…ぁ、あの」モジモジ
DQN「ういーっすwwww」
副会長「な、なんだ君は…」
DQN「同じクラスですけどwwwDQNですけどwwww」
会長「…」
副会長「それは知ってるんだけど…何しに来たんだよ」
DQN「うるせぇメガネwwww会長ww会長に用があるのwwww」
会長「な、何でしょう」
DQN「こんな堅物メガネほっといてさwww遊びに行こうよwwww」
副会長「…」
会長「いや、あの…私は…」
DQN「いいからいいからwwww」
副会長「おい、嫌がってるだろ」
会長「仕事があるので…」
DQN「そんなこと言ってるとこのもやしみたいになっちゃうよwww」
副会長「君は…」ギギギ
DQN「ほらほらwwwこんなつまらない勉強フェチほっとこうよwwww」
会長「勉強好きで…何が悪いんですか」ボソッ
DQN「なになに?www聞こえないよwwww」
会長「副会長の事を悪く言わないでっ!!」
副会長「…」
会長「堅物で何が悪いんですか!眼鏡も似合ってるじゃないですか!」
会長「副会長は…つまらなくなんかないっ!!」
DQN「わ、悪かったな」
会長「何にも知らないくせに!良いとこ一つも言えないくせに!」
会長「一緒に居れば楽しいもん!ドキドキするもん!!!」
DQN「会長怖すぎワロタwwwww」フゥ
オタク「…」チラッ
文学少女「…」チラッ
オタク「…!」
文学少女「…!」ドキドキ
DQN「あざーっすwwww」
チャラ男「おらーっすwwww」
ギャル男「オライッオライッwwwww」
DQN「あ?オタクじゃねーかwwwwん?なんだこの本」
DQN「モテモテな僕は~~(泣)wwwwwww」
DQN「(泣)wwwwwwなwwwきwwww」
オタク「あ、いや…」
DQN「第二回このラノ大賞じゃねーかwww」
ギャル男「古すぎwwww」
チャラ男「せめてソードアート読めよwwww」
DQN「まぁいいやwwwwどけどけwww」
オタク「あ…え?」
DQN「ここは俺らが使うからwwww」
オタク「あ、他にも…その、あ、空いてますよ?」
DQN「あ゛?」
オタク「ど、どきますね!」ソソクサ
DQN「そっちも使うからwwww」
オタク「え?あ…はい、すいません」
DQN「ばーかwwwwあそこに空きがあるだろwwwww」
文学少女「…!」
オタク「…し、失礼します」ガタッ
文学少女「ど、どうぞ…」
チャラ男「日本書紀読もうぜ」
ギャル男「俺今昔物語集にするわ」
文学少女「な、なんでひょう」
オタク「(噛んだ…)いつも…ここに居ますね」
文学少女「オタクさんだって…」
オタク「あ…名前…知ってたんだ…」
文学少女「あ、いや…あの、すいません…」
DQN「後は…何とかなるだろ」フゥ
ギャル男「…」ペラ
チャラ男「…」ペラ
野球部「wwwwwww」
サッカー部「wwwwwww」
ギ、チ、D「うるせえぞハゲ!!」
野球部「…」
サッカー部(俺ハゲてない…)
不良「…うるせーな」
委員長「私が教えてあげるから…ね」
不良「お前に教えてもらうことなんてねえよ!」
委員長「昔は不良ちゃんに教えてもらってたのにね…」
DQN「じゃーんwwwwDQNですwwwww」
不良「おう、DQNじゃん、遊び行くか?」
DQN「珍しいなwww最近付き合い悪かったのにwwww」
委員長「…」
不良「俺だってやることあるんだよ…」
DQN「そんなことより昨日図書館で何してたんだよwwwww」
不良「ば、バカ!!」
DQN「でっかいカバン持って入ってったじゃんwww」
委員長「…?」
委員長「どうしたの?」
不良「やめろ!やめろって!!」
DQN「俺も図書館に用があったんだけどさwwww」
委員長「うんうん」
不良「殴るぞ!おい!!」
DQN「コイツ勉強してんのwwww一人wwwwひとりwwww」
委員長「!」
不良「おらぁ!」ブンブン
DQN「3時間wwww閉館までみっちりwwwww」ヒョイヒョイ
委員長「不良ちゃん…どうして私に言ってくれなかったの?」
不良「くそっ……だってお前…難しいとこ狙ってんだろ?」
不良「俺なんかに…時間使ってんじゃねえよバカ」
委員長「ふふっ…私より頭悪い癖に…ばかはどっちよ」
DQN「不良…また遊ぼうな…」フゥ
ぼっち「…」モグモグ
DQN「尿が漏るwwwwやべえ、漏るwwww」
ぼっち「!」
DQN「ん?…なんか良いにおいwwww」
ぼっち「…」ドキドキ
DQN「うんこのにおいかな?…ってそんなわけねーかwwwww」
ぼっち「…」
DQN「ウインナーと海苔のにおいwwwww弁www当www」
ぼっち「…」アセアセ
DQN「もしもーしwwwおべんと中ですかーwwww」
ぼっち「は、入ってまーす」
DQN「ぼっちwwwぼっちの声wwww」
ぼっち(しまった!)
DQN「ばらされたくなかったらwwww飯おごれwwwww」
ぼっち「…」ガチャ
DQN「学食いくぞwwww」
…
DQN「え、なに?金がwwwないとかwwww」
ぼっち「え、いや…あの…あります、けど」
DQN「しょうがねえなーwww今日だけは俺が払ってやるからwww」
DQN「明日は持ってこいwwwか、な、ら、ず、だぞwwww」
ぼっち「あ、はい…分かりました」
DQN「逃げるなってwww俺一人で食わせる気かよwwwww」
ぼっち「え?」
DQN「弁当残ってるだろうがwww食ってけよwww」
ぼっち「…はい」ビクビク
DQN「…ヴァイスwwwシュヴァルツwwwww」
ぼっち「あ、いや…これは」
prrrr
DQN「あ、チャラ男?学食集合wwww」
DQN「おーいおまえらwwww」
「「「?」」」
DQN「トリオサバイバルやろうぜwwwww」
チャラ男「ちゅっす!」
…
「ぼっち強ぇな…」
「すげぇ…」
「次は絶対勝つからな!」
ぼっち「…う、うん」
DQN「…次はぼっちとタイマンだな」フゥ
みんな多趣味だな
もはやオタク趣味もある調子良い奴じゃねぇかwwwwwwww
不登校「…」ピコピコ
DQN「ふー寒ぃwww雪降ってきたよwwww」ガラッ
不登校「!?」
DQN「暖けぇwwwwぬくぬくwww」
不登校「え…あの、どうやって…」
DQN「窓開いてたwwww」
不登校「ここ…5階だよ…?」
DQN「構わん構わんwwww」
不登校「え?いや…そういうことじゃなくて」
DQN「何お前wwwこの格ゲー得意なの?wwww」
不登校「そうだけど…いや!そうじゃなくて!!」
…
不登校「…弱っ」ポチポチ
DQN「…俺アーケードのほうが得意だからwwwコントローラー()とか無理wwwww」
DQN「あ゛?よし、表へ出ろ、駅前のゲーセンな」
不登校「負け犬って何言っても哀れだよね」
…
DQN「…」ガチャガチャ
不登校「…クソッ」
DQN「ハハッwwww3連敗乙ですwwwww」
不登校「もう一回!」
…
不登校「やった!勝った!!」パァァ
DQN「…可愛い笑顔wwwできるじゃんwwww」
不登校「ぇ、ぁ…」
DQN「そのまえにうっとおしい前髪切れwww」
不登校「…」
DQN「皆待ってるwwwwそんなわけないwwww」
不登校「…そ、そうか」
DQN「俺は待ってるけどなwwwコントローラーのコツおしえろよwwww」
不登校「あ…」
DQN「ボコボコにしてやるからなwwww」
不登校「…帰る」
DQN「今日は俺の勝ちなwwww」
翌朝
DQN「おいっすwwww」
不登校「お、おはよ…///」
DQN「ギャル男ーwwwコイツコイツwww」
ギャル男「あ?こんな可愛らしい女の子が俺に勝てるって豪語してるわけ?放課後駅前な」
不登校「え?…あ、うん…で、でもDQN君も…ね?///」
DQN「それでもギャル男なら…ギャル男ならなんとかしてくれる」フゥ
松葉杖「…」ハァ
松葉母「そんなに、気を落とさないようにね?」
松葉杖「…無理だよ、そんなの」
松葉母「バスケットだってできるようになるわよ…」
松葉杖「…」
松葉母「じゅ、ジュースでも買ってくるわね…」アセアセ
DQN「お?何それ?wwwwかっけぇwwww」
松葉杖「え?」
prrrr
DQN「おうお前ら、病院前来てみろwwwww」
チャラ男「ちょっす!」
ギャル男「オライッ」
松葉杖「え?来るのはやい」
DQN「ちょっと片方貸してwwwww」
松葉杖「あ、ちょっと…」
DQN「これ見てみろ…」
チャラ男「銃みたいだな…」
ギャル男「スナイパーライフルだな…」
DQN「ずぎゅーんwwwww」
チャラ男「ぐふっ」バタッ
ギャル男「がはっ」バタッ
松葉杖「え?」
DQN「ずぎゅーんwwwwずぎゅーんwwww」
ギャル男「待て待てwww俺にもやらせろwwww」
松葉杖「待って…せめて片方…」
チャラ男「ちょwww俺だけ丸腰かよwwwww」
ギャル男「ずぎゅんずぎゅんwwww」
チャラ男「ぐふ、かはっ…ちょ、ちょwwwww武器くれよwwww」
DQN「チャラ男www弱すぎwwwww」
チャラ男「ばかwww江田島平八か俺はwwwww」
松葉母「ちょっと!あんたたch…」
松葉杖「…ふふっ」
松葉杖母「…あ」
松葉杖「あははははっ!」
チャラ男「助けてwwwなんか武器無いの?wwww」
松葉杖「ありませんよー」アハハッ
…
DQN「今日はありがとwwwwまた貸してねwwwww」
松葉杖「またきてねー」ブンブン
松葉母「…」
松葉杖「お母さんごめんね…ありがと、私リハビリ頑張るよ」ニコッ
DQN「女の子には笑顔が似合うな…」フゥ
ピザ「う、うん…」
DQN「さんくすwwww」
ピザ(今日もお昼代取られちゃった…)
ピザ「コポォwww…フォカヌポゥwwww」
ピザ(もう…笑えてきた…)
放課後
DQN「鬼ごっこしようぜwwwww友達だろ?wwww」
ピザ「え?…またやるの?」
DQN「俺捕まえられたらこれまでの金全部返してやるからwww」
ピザ「む、無理だってば…」
DQN「追ってこなかったら料金倍にするからなwwww」
ピザ「ヒュー…ヒュー」
DQN「今日もダメだったなwwww」
DQN「おいwwwお友達料金くれwwww」
ピザ「は、はい」
DQN「どもwwww」
1ヶ月後
DQN「やせたなお前wwww爽やかwww」
ピザ「昼飯は食べられないし…放課後走らされるし…」ブツブツ
DQN「まぁいいやwww鬼ごっこやるぞwwww」
…
ピザ「やった!!捕まえた!」
DQN「しくったwwwじゃあこれ、全部返すわwwwww」
ピザ「あ、こんなに…ほ、ホントに返してくれるの?」
女子「あ、あの…」
ピザ「え?」
DQN「あとは…あいつ次第だな」フゥ
坊主「お前って生きてて楽しいの?wwww」バキッ
ピアス「良く頑張って学校来るよなwwwww」ゴスッ
DQN「やべえwwwwうんこ出るwwww」
DQN「ん?」
坊主「あ、おう…DQNか」
ピアス「お前もコイツ殴ってく?」
DQN「いいのか?wwww」
坊主「やってけやってけ」
DQN「でもちょっとうんこしてからなwwww」
ピアス「ごゆっくりどうぞwwww」
根暗「…」ビクビク
…
DQN「ふー…」
坊主「増岡www弘wwwww」
ピアス「似てるな…」
根暗「ひっ」ビクッ
DQN「おらぁwwwww」
坊主「ひでぶ」
DQN「喰らえwwww」
ピアス「たわば」
根暗「…え?」
DQN「そういやお前の下敷きソーニャだったよなwwww」
根暗「あ、いや…あの」
DQN「どしたのわさわさwwww」
根暗「!……あ、ありがとう」
DQN「今度アニメイト行こうぜwwwww」
DQN「全く…暴力ダメ、ゼッタイ」フゥ
DQN「お?コミュ障じゃんwwwなにwww」
コミュ障「これ、お、落としましたよ」
DQN「ん、さんきゅ!…そういやお前ゲームとか好きだったよな?」
コミュ障「あ、いや…別に、そんな、ことは…」
DQN「おまえらーwwwwちょうど良い奴いたぞwwww」
コミュ障「あ、いや…だから」
チャラ男「コミュ障か、ちょっと聞いてくれよ」
ギャル男「コイツvitaがオワコンだ、負けハードだなんて言うんだけど」
コミュ障「あ…え?は?」
チャラ男「コイツ分かってねえよなwwww」
コミュ障「ホントに分かってないな…」
DQN「カサカサカサカサうるせえなwwwwゴキブリは絶滅しろwwww」
コミュ障「何を言ってるんだ!!!」
――
コミュ障「分かってくれてたみたいだな…」
チャラ男「お、おう…」
ギャル男「いやーお前は話してみると面白いんだなwww」
DQN「思ったより喋るんだなwwww」
コミュ障「え?あ…いや、ゲームは…すき、だから」
DQN「今度の合コンお前も参加なwww」
コミュ障「あ…待って…無理、むりですから」
…
コミュ障「ちーっすwww」
コミュ障「あれ?髪型変えた?…ううん、似合う似合う」
コミュ障「そのネックレス綺麗だねwww」
DQN「また一人…眠れる獅子を目覚めさせてしまった」フゥ
俺の獅子はいつ目を覚ますのか・・・
DQN「ふー…今日も悪行三昧だったなぁ」
ガチャ
妹「!…」ダダダッ
DQN「おうおう、ただいまただいま」
妹「…お、おかえり」
DQN「ちょwww慌てるなwwww」
DQN「今夕飯つくるからwwww」ナデナデ
妹「…ん」
DQN「~♪」トントン
…
DQN「よし、食おうぜwwww」
妹「いただきます…」
妹「ううん、まだまだ」
DQN「そっかwwwもっと練習しないとなwwww」
妹「おにいちゃん…あのね?」
妹「あんまり危ないことしちゃ…だめだよ?」
DQN「だいじょぶだいじょぶwwww」
妹「でも…お兄ちゃんに何かあったら私もう…」ウルウル
DQN「心配するなって…俺はずっと一緒に居るから」
妹「ホント?嘘じゃない…?」
DQN「絶対に、嘘じゃない」
DQN(父さん母さん…もう心配はいりませんから…)
DQN「明日は、お墓参り行こうか…帰りはデパートでクレープ食おうな」
妹「うんっ!」
おしまい
ついでに思い出もないです
ありがとうございました
おつ
おつおつー
Entry ⇒ 2012.01.30 | Category ⇒ 幼馴染「」SS | Comments (0) | Trackbacks (0)
カイジ「は・・・?たけのこの里・・・?」
坂崎「ただいま・・・」
カイジ「おう・・・おっちゃん・・・」
坂崎「今日も誰もうっとらんかったよ・・・沼・・・」
カイジ「そりゃ、そうだろう・・・そう簡単に手は出せない・・・あれは・・・」
坂崎「フーッ・・・まぁ・・・適当にお菓子でも・・・ほれ・・・」
カイジ「ああ・・・ん・・・?」
坂崎「どうしたの・・・?」
カイジ「これ・・・」
坂崎「え・・・?たけのこの里だけど・・・?」
http://hayabusa.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1327750917/
カイジ「は・・・?たけのこの里・・・?」
カイジ「いや・・・甘いものは好きだけど・・・」
坂崎「じゃあ、ほれ・・・遠慮せず・・・」
カイジ「え・・・?おっちゃん、まさか・・・たけのこ派なわけ・・・?」
坂崎「・・・は・・・?」
カイジ「たけのこ派なのかって聞いてんだよ・・・おっちゃん・・・」
坂崎「たけのこ派って・・・どういうこと・・・?」
カイジ「は・・・?」
カイジ「(何も知らねぇのかよっ・・・!おい・・・!)」
戦争だろうがっ……!
カイジ「きのこの山・・・知ってるよな・・・」
坂崎「ああ・・・そりゃ・・・」
カイジ「どっちが好きだ・・・?」
坂崎「え・・・?」
カイジ「きのこの山とたけのこの里・・・どっちが好きかって・・・聞いてんだよっ・・・!」
坂崎「(は・・・?何・・・キレてるの・・・?)」
カイジ「どうなんだよっ・・・!おいっ・・・!」
坂崎「ちょ、ちょっとちょっと・・・落ち着けって・・・カイジ君・・・!」
カイジ「・・・!!」
坂崎「え・・・?」
カイジ「あっ・・・あっ・・・」
坂崎「カ、カイジ君・・・?」
カイジ「なんでっ・・・!なんでそうなるかなぁ・・・!もぉ~っ・・・・・・!!」
坂崎「え・・・?え・・・?」
カイジ「分かってない・・・!何も分かってないっ・・・!おっちゃん・・・!」
カイジ「見えてない・・・!見えてないんだっ・・・!物事の本質・・・重要な部分が・・・!」
坂崎「おいおいっ・・・大げさすぎっ・・・」
カイジ「そんなんじゃ当然だろっ・・・!負けて・・・!
当然だっ・・・!あのときの敗北はっ・・・!」
坂崎「や、やめろっ・・・!その話は・・・忘れようっ・・・!」
カイジ「うるせぇんだよっ・・・!たけのこ厨っ・・・!」
坂崎「お、おいっ・・・!」
遠藤「どうした、騒がしいな・・・?」
坂崎「え、遠藤はん・・・!」
カイジ「え、遠藤さんっ・・・!丁度良かった・・・!」
遠藤「は・・・?どうした、カイジ・・・?」
カイジ「見てくれっ・・・!コレを・・・」
遠藤「ん・・・?たけのこの里・・・?これがどうした・・・?」
カイジ「どうしたもこうしたもねぇっ・・・!」
遠藤「おいおいっ・・・!見えねぇぞ、話が・・・」
カイジ「あんたはどうなんだ・・・!きのこなのか・・・たけのこか・・・」
遠藤「・・・」
カイジ「遠藤さんっ・・・!」
遠藤「・・・ああ、なるほど・・・」
カイジ「・・・え・・・?」
遠藤「フフ・・・クックックッ・・・!」
カイジ「は・・・?何・・・?」
遠藤「そういうことか・・・!カイジっ・・・!クククッ・・・!」
カイジ「は・・・?」
遠藤「きのこ派・・・!お前だけさ・・・!そんな軟派・・・愚図・・・下劣な輩は・・・!」
カイジ「・・・・・・・えっ・・・・・・?」
遠藤「たけのこ派だよ・・・!俺も・・・!」
カイジ「・・・・・・・」ぐにゃぁ~・・・
立木「その時、カイジに電流走る!
絶望!仲間に裏切られ、谷底に突き落とされるような絶望!!
力なくへたり込むカイジ!あざ笑う遠藤!忘れられる坂崎!」
カイジ「・・・う、嘘だ・・・」
ガチャッ バタン
坂崎「あ・・・!カイジ君・・・!」
遠藤「クククッ・・・!カッカッカッ・・・!」
~~~
カイジ「はぁ・・・」
カイジ「(何か飛び出してきちゃったけど・・・どうしよ・・・)」
カイジ「・・・5スロでも打と・・・」
カイジ「(終わっちゃったけど2000枚ちょっとか・・・悪くないな・・・流そう)」
店員「余り40枚どうされますか?」
カイジ「じゃあ、そこの・・・」
カイジ「そこの・・・」
カイジ「・・・」
カイジ「・・・え・・・?」
カイジ「(なんで・・・たけのこの里があるのに・・・きのこがないの・・・?)」
カイジ「・・・」
カイジ「・・・じゃ、じゃあ・・・ライターで・・・」
坂崎「ああ、おかえり・・・」
カイジ「・・・ほらっ・・・土産・・・!」
つビール
坂崎「おっ・・・悪いね・・・」
カイジ「・・・フーッ・・・遠藤さんは・・・?」
坂崎「帰ったで・・・さっき・・・」
カイジ「・・・そう・・・」
坂崎「・・・」
カイジ「(クソッ・・・!クソッ・・・!)」
坂崎「(カイジ君・・・)」
一条「いらっしゃいませ・・・」
カイジ「いいのかよ・・・!問題児じゃねぇのか、俺は・・・」
一条「もう水に流しましたとも・・・あんなこと・・・」
一条「どうぞどうぞルーレットでもバカラでもお好きなものを・・・」
カイジ「・・・」
坂崎「カイジ君・・・?」
一条「・・・?」
カイジ「(一条・・・一応・・・確認しとくか・・・?)」
一条「え・・・?」
カイジ「・・・これ、なんだかわかるか・・・・?」
つ【きのこの山】
一条「・・・?それがどうしました・・・?」
カイジ「お前・・・どっちだ・・・?」
一条「は・・・?」
カイジ「どっち派なんだって・・・聞いてんだよっ・・・!」
遠藤「・・・」
一条「・・・クク・・・そんなことですか・・・」
カイジ「え・・・?」
カイジ「え・・・?」
一条「小汚い・・・きのこ厨の愚問になど・・・」
カイジ「・・・!」
カイジ「・・・て、てめぇっ・・・!一条っ・・・!」バッ
遠藤「や、やめろっ・・・!カイジっ・・!」ガバッ
一条「カカカ・・・!ダメさカイジ・・・!ダメダメ・・・!」
一条「いくらたけのこの人気が妬ましいからって・・・ダメさ・・・!暴力は・・・!」
カイジ「い、一条ぉ~・・・!」
一条「これだから野蛮なきのこ厨は・・・!カカカ・・・!」
カイジ「沼を打ちたい・・・!磁気チェックだっ・・・!早くしろっ・・・!」
村上「は、はい・・・!」
一条「(当たるはずがないっ・・・!あんな・・・地の底の野良犬・・・!
きのこ厨の野良犬がっ・・・!)」
一条「どうぞ・・・!カイジ様・・・!」
カイジ「・・・」ギュッ
坂崎「・・・カ、カイジ君・・・?」
カイジ「・・・こうしようぜ・・・一条・・・!」
一条「は・・・?」
どちらかが地獄に落ち・・・もう一方が生き残る・・・!」
カイジ「俺が勝ったら・・・今日持ってきたきのこの山・・・!」
カイジ「お前に一つ残さず・・・食ってもらうっ・・・!」
村上「な・・・何を・・・!そんな無茶苦茶が通るかっ・・・!」
カイジ「だがもし俺が負けたら・・・!俺はたけのこの里・・・!その一箱を残さず食ってやる・・・!
どうだ・・・一条・・・!」
一条「・・・いいだろう・・・」
村上「て、店長・・・?」
一条「(負けるはずがないっ・・・!こんな野良犬・・・下種にっ・・・!)」
一条「(・・・バカがっ・・・!もう拾った金だっ・・・!それは・・・!)」
~その頃~
兵藤「制裁っ・・・!」
黒服「え・・・?」
兵藤「今・・・"きのこ"と口にしたお前・・・制裁っ・・・!」
黒服「そ、そんなっ・・・!私はそんな・・・!」
兵藤「いくら兄弟とはいえ・・・!あるのだ・・・禁忌・・・タブーは・・・!」
黒服「か、会長っ・・・!」
カイジオワタ
カイジ「ひ・・・引き分け・・・」
一条「あぁ・・・?」
カイジ「引き分けで手を打たないか・・・?」
一条「はぁ・・・?」
カイジ「ここに残っているのが・・・あと・・・100玉ちょっと・・・」
カイジ「これを換金して・・・地下行きは免れないが・・・!」
カイジ「せめて、あの・・・たけのこを食うのだけはっ・・・!」
一条「・・・クズ・・・!クズがっ・・・!」ドカッ
カイジ「ひっ・・・!」
カイジ「(あ・・・!終わっ・・・!終わっちまうっ・・・!おわるっ・・・!)」
カイジ「た、弾・・・弾がっ・・・!」
カイジ「ひ・・・!ひっ・・・・!」
一条「カカカ・・・!」
カイジ「(い、嫌だっ・・・!地下も嫌だ・・・!たけのこも嫌だっ・・・!
ひ・・・!ひっ・・・!)」
カイジ「ま、まだだ・・・!まだ終わっ・・・!」
ビーッ ビーッ
カイジ「 」
ゆ、夢だ・・・夢に決まってる・・・」
一条「ところがどっこい・・・夢じゃありません・・・!
現実です・・・!これが現実っ・・・!」
カイジ「あ・・・」
一条「おいっ・・・!」
村上「はっ・・・!」
つ【たけのこの里】
一条「さぁ・・・食ってもらおうか・・・!敗者に・・・!」
カイジ「・・・!」ビクッ
カイジ「ひ・・・!ひいいっ・・・・!」
カイジ「・・・え・・・?札束・・・?」
一条「だ、誰だっ・・・!」
坂崎「一条はん・・・あんた酷い人や・・・!」
~中略~
カイジ「いけっ・・・!押し込めっ・・・!もうハズレはねぇっ・・・!
ジャンプも必要ねぇ・・・!押し込むだけだっ・・・!」
一条「か、カイジいっ・・・!やめろぉ~っ・・・!」ポロポロ
一条「カ、カイジ・・・!ひ、引き分けで・・・!わかった、引き分けでいいっ・・・!」
カイジ「もう遅いっ・・・!愚図・・・!愚図なたけのこ厨めっ・・・!」
一条「か、カイジぃ~・・・!」
カイジ「(下すっ・・・!醜いたけのこ厨にっ・・・!天罰・・・天誅をっ・・・!)」
カイジ「いけぇ~っ・・・!」
グググッ・・・
コトン・・・
一条「・・・・・・・・・・・・・・・・・・え・・・・・・・・・・・・?」
キュイーン!キュインキュインキュイーン!
カイジ「はっ・・・おっちゃん、頼むっ・・・」
坂崎「え・・・?ああ・・・」
一条「うっ・・・!うううっ・・・!」
カイジ「・・・一条・・・」
一条「ひっ・・・!か、カイジ・・・」
カイジ「忘れてねぇよなぁ・・・!あの賭け・・・!」
一条「ひ・・・ひいっ・・・!」
カイジ「食ってもらうぜ・・・!このきのこの山一箱・・・!」
カイジ「これ一箱・・・下の口でなっ・・・!」
一条「・・・・・・・・・・・」
一条「・・・・・・・・・えっ・・・・・・・・・?」
カイジ「ほらっ・・・!来いよ、一条・・・!」
一条「ひ、ひいっ・・・!」
~男子トイレ個室~
カイジ「・・・」
ガチャガチャ ズルッ
一条「ひゃっ」
カイジ「へぇ・・・結構立派じゃねぇか・・・一条・・・!」
一条「み、見るなっ・・・クズがっ・・・!」
ズニュッ・・・
一条「ふえっ!? あ・・・!」
カイジ「良い声じゃねぇか・・・!オラッ・・・!」
グニュ
一条「ああっ!? や、やめ・・・!」
カイジ「よく味わえよっ・・・!たけのこ厨・・・!」
ズプッ
一条「あ、あぁ~・・・!!」
立木「狂気!まさに狂気の沙汰!
アナルにチョコレート菓子を付きこまれ、悶絶する一条!
その一条を見て悦ぶカイジ!
悪魔!悪魔の愉悦!」
カイジ「だって、俺、ヒーローだし・・・」
黒服「ああ、ほらっ・・・!」
カイジ「・・・え・・・?」
黒服「・・・三万ある・・・!合流してこいっ・・・!」
カイジ「え・・・これ・・・帝愛が・・・?」
黒服「帝愛じゃねぇっ・・・!俺がやるって行ってんだっ・・・!」
カイジ「あ・・・ありがとうございますっ・・・!やさしいおじさん・・・!
忘れません・・・!このご恩は一生っ・・・!」
黒服「行けっ・・・!いいからっ・・・!」
黒服「内緒だぞ・・・会長には・・・」
モブ「わかってます・・・」
黒服「・・・」
モブ「ところで黒服さんって・・・きのこ派でしたっけ・・・?
だからカイジを・・・?」
黒服「そんなんじゃねぇ・・・!菓子を食うのに・・・派閥も何もあっちゃいけねぇんだよ・・・本来・・・」
モブ「はぁ・・・」
黒服「・・・クソッ・・・俺は何を言ってるんだ・・・忘れろ、もう・・・!」
モブ「はい・・・」
後藤「カイジさん・・・!カイジさんだっ・・・!」
カイジ「みんなっ・・・!」
~~
三好「ところでカイジさん・・・」
カイジ「ん・・・?」
三好「その、カバンに出てるのって・・・もしかして・・・」
カイジ「ああ・・・きのこの山だけど・・・食うか・・・?」
後藤「・・・は・・・?」
三好「・・・え・・・?まさかカイジさん・・・きのこ厨なの・・・?」
カイジ「・・・・・・・・えっ・・・?」
┼ヽ -|r‐、. レ |
d⌒) ./| _ノ __ノ
http://www.youtube.com/watch?v=aGsgvgsrnXY
棒を突っ込んできのこを出した後に出たモノをカイジに無理やり食べさせられて
きのこのチョコを塗りたくったチンポをカイジに挿入される展開とか書こうかと思ったけど流石に濃厚すぎるからやめとく
ちなみに>>1はたけのこ厨っ・・・!圧倒的たけのこ派っ・・・!
はやく
Entry ⇒ 2012.01.29 | Category ⇒ 版権物SS | Comments (0) | Trackbacks (0)
P「最近視線を感じる」
P「はい、誰かに見られているような」
P「悪寒を感じるというか」
小鳥「それってただ風邪を引いてるだけじゃなくてですか?」
P「熱はないんで風邪ではないんですけど…」
小鳥「そうですか…」
http://hayabusa.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1327589808/
P「最近視線を感じる」
千早「…ふぅ」
春香「千早ちゃんお疲れ」
春香「昨日の仕事どうだった?」
千早「いつも通りね」
春香「そっかー」
美希「あ、今日は確か美希なの」
春香「美希も仕事気をつけてね」
美希「もちろんなのー」
P「俺ですら視線の原因がなんだかわかってないんだし」
P「…まぁ俺の考え過ぎってこともあるしな」
P「今日も冷えそうだし早く帰るか」
P「うー今日も寒いなぁ」
P「早くこたつはいって暖まるか」
P「…」
P「窓から視線…」
P「まぁそんなわけないよな」
P「ここマンションの3階だし」
美希「うー今日も寒いの」
美希「早く暖房つかないかな」
美希「…」
美希「えへへ、ここは特等席なの」
美希「あ、望遠鏡っと」
美希「…」ジー
P「一応今日はカーテン閉めておくか」
P「お、なんか快適になったな」
P「カーテン閉めると暖房効果もあるのか?」
P「視線も気になんなくなった気がするし」
美希「…」
美希「あ!」
美希「これは報告なの」
美希「一応ノートにも書いておこう」
P「おはようございまーす」
小鳥「おはようございます」
P「…はぁ」
小鳥「昨日はどうでした?」
P「やっぱり視線を感じましたよ」
小鳥「ストーカーですかね?」
P「…なんで俺なんかに」
小鳥「しっかり身を守れるようにしてくださいね?」
P「わかってますよ」
小鳥「よろしい!」
P「あはは…」
美希「いつも通り…あ、違うの変化があったの」
春香「変化?」
美希「うん、なの」
千早「詳しく聞く必要があるみたいね」
小鳥「…」ジー
P「小鳥さんの視線以外」
P「なんで今日はそんなに見るんですか!」
小鳥「もしかしたら今でもストーキングされてるかもしれませんから!」
P「さすがに事務所内ではないですって」
小鳥「そうですかね?」
美希「はい、カギ」
春香「ありがと」
美希「一応昨日の事は詳しくノートに書いてあるの」
春香「ちゃんと確認するよ」
千早「もし何か動きがあったら連絡ちょうだいね」
春香「動きがあってもそれが見れるかわからないけど…わかったよ」
P「仕事も終わったし帰るか!」
小鳥「今日も気をつけてくださいね?」
P「大丈夫ですって、今日ははじめからカーテンも閉めますから」
小鳥「そうですか」
P「はい、それじゃあ先に失礼します」
P「近所のスラロープが凍ってたからビックリした…」
P「そんなに寒いのか」
P「こたつこたつ~」
P「うー温い」
春香「今日はっと…」
春香「その前に美希が書いてくれたノート確認…」
春香「ふむふむ、今日は大丈夫かな?」
春香「…」ジー
春香「大丈夫みたい」
P「は、こたつで寝てしまってた」
P「あ、カーテン…今更感だけど閉めるか」
ピーンポーン
P「ん?こんな時間に誰だろ」
P「はーい」
ガチャ
P「誰もいない…」
P「ん?下になにか」
P「煮物?」
P「手紙付き…」
P「なになに、作りすぎたのでよかったらどうぞ」
P「なんだ、大家さんか」
P「前もくれたもんなぁ」
春香「!」
春香「あぁ…見えなくなっちゃった」
春香「ノートに書いてっと」
春香「後は報告っと」
小鳥「どうでした?」
P「いやー昨日はこたつでつい寝ちゃって」
P「あ、でも視線は感じなかったですね」
小鳥「それはよかったです」
P「まぁあと変わった事といえば…大家さんに煮物貰いました」
小鳥「味はどうでしたか?」
P「おふくろを思い出しました」
春香「二人にメールした通りだよ」
春香「いい感じだったのにやっぱり見えなくなっちゃって」
千早「…そう」
千早「今日は私ね」
千早「粘ってみるわ」
春香「頑張って!」
美希「ファイトなのー!」
P「よし、仕事終わったし俺は帰ります」
P「小鳥さんもよかったら一緒に帰りませんか?」
P「途中まで送りますよ」
小鳥「あ、私はまだ仕事がたっぷり残ってるのでいいです」
P「事務仕事って大変そうですね」
小鳥「そんなことないですよ~」
P「まぁ俺は先にあがりますんで」
P「はぁ、ここ数日凄く寒いけど空気が澄んでていいな」
P「東京でも星がよく見えるし」
P「…視線は」
P「大丈夫みたいだな」
ピンポーン
P「また?」
P「はーい」
ガチャ
P「…今度は」
P「肉じゃが?」
P「大家さん…俺が寂しい男だと思ってるな」
P「…美味しい」
P「ん?また手紙付き」
P「隣に新しい入居者か」
P「まぁそのうち挨拶に来るだろう」
千早「…今日はいつにもましてダメな日ね」
千早「早めに撤退しましょう」
千早「…はぁ」
P「いやー昨日は何事もなかったですよ!」
小鳥「それはよかったです」
P「でもまた大家さんがお裾分けを」
P「まぁとっても美味しかったからいいんですけどね」
小鳥「大家さんはご結婚なさってるんですか?」
P「はい、もう老夫婦ですけどね」
P「あ、それと隣に入居者がはいったそうです」
P「はい、男性か女性かまだ知らないんですけどね」
小鳥「挨拶もきてないんですか?」
P「まぁ俺も帰ったの遅かったですから」
P「あ、社長から聞いたんですけど音無さんも引っ越したそうですね」
小鳥「はい、とってもいい場所に」
P「社長から住所は聞けなかったですけど今度遊びに行っていいですか?」
小鳥「いいですよ、近いうちにどうぞ」
春香「昨日もダメかー」
美希「難しいの…」
春香「私達まったくの素人だもんね」
美希「でも今日こそ!」
春香「あ!今日は3人で行こうよ」
千早「今日は早く上がれそうだからもちろん」
美希「美希もなのー」
P「そうみたいですね」
小鳥「じゃあ私はお買い物してから帰りたいのでそろそろ帰りますね」
P「小鳥さん料理できるんですね」
小鳥「もー馬鹿にしないでください!」
P「ははは、すみません」
P「今度作ってください、なんて」
小鳥「…」
小鳥「はい!」
P「遅くなっちゃったな…」
P「うわ、ドアノブになにかぶら下がってる…」
P「あ、お隣さんからか」
P「悪い事しちゃたなぁ…夜も遅いし今から訪ねるのも迷惑だから」
P「今日はいいか」
春香「私にも見せて」
春香「本当だ~」
千早「…みんなで見るというのもいいわね」
美希「美希、すっごく楽しいの!」
春香「私もだよ~」
P「カーテンももう開けていいか」
P「…今日も星がきれいだ」
P「って隣の人の洗濯物がウチの方に…」
P「塀があるのにうまくここにのったな…」
P「うわ、ブラジャー!」
P「下の隙間から返しておこう…」
P「お隣は女性か…」
P「…いいオカズに」
春香「あ!動きがあったよ」
千早「私にも見せて」
千早「…」
美希「…うわー」
美希「すっごいたくさんなの」
千早「…私も」
春香「本当すごいんだね」
千早「えぇ、待っていたかいがあったわね」
美希「みんなに教えたいの」
春香「じゃあ明日皆に教えよっか」
美希「うん!」
P「ということで視線はなくなりました」
小鳥「問題解決ですね」
P「えぇ、あ、そうだ」
P「隣にこしてきた人は女性でしたよ」
小鳥「どうしてわかったんですか?」
P「…えーと、直接あったんで」
小鳥「そうだったんですか」
小鳥「って、そうですよね~」
真「うー僕も見たかったなぁ」
雪歩「私も…」
美希「やっぱり実際見れると感動なの」
春香「真達も暇ならきなよ~」
雪歩「行きたいんだけど…」
真「親がね…」
千早「私もそう思うわ」
春香「じゃあまた暇ができたらね」
真「うん」
雪歩「頑張って説得してみるね」
美希「キラキラってしてホントきれいだから一緒に見ようね!」
美希「星!」
千早「えぇ」
美希「伊織も一緒にみれればよかったのにね」
千早「しょうがないわよ」
千早「水瀬さん達は竜宮小町で忙しいのだから」
美希「だよねー」
P「え?いきなりなんですか?」
小鳥「今度ウチにくるときに作ってみようかなぁって」
P「あぁそういうことですか」
P「俺の好物はオムライスですよ」
小鳥「プロデューサーさんって意外とお子様なんですね」
P「いいじゃないですか」
P「小鳥さん今日も早いですね」
小鳥「今日もお買い物行きたいので」
P「買いだめしてないんですか?」
小鳥「ちょっと最近よく食べちゃって」
P「あ、もしかして彼氏でも出来たんですか?」
小鳥「…」
小鳥「内緒です♪」
P「でも小鳥さんの手料理食べれる人ってうらやましいですよね」
小鳥「!」
小鳥「いきなり何を…」
P「あ、あぁ…今のは気にしないでください」
P「まぁ今度食べれるしいっかー」
小鳥「…」
P「はい、気をつけて帰ってくださいね」
小鳥「はーい」
小鳥「あ、楽しみにしててくださいね?」
P「?」
P(今度手料理を作ってくれるってことか)
P「はい」
P「おーい、春香達も気をつけて帰れよ~」
春香「わかってますよ」
P「あと星の見過ぎで風邪引かないようにな」
美希「大丈夫なの」
P「千早、ふたりを頼むぞ」
千早「はい」
P「昨日よりは早く帰れたな」
P「…夕飯どうしよ」
P「…視線まったく感じなくなったな」
P「…下着またあるし」
P「…ちょっと持っておくか」
P「向こうが悪いんだ」
ピンポーン
P「とりあえず下着は隠しておいてっと」
P「はーい」
「すみません、隣に引っ越してきたものですけど」
P「あ、今開けますね」
ガチャ
「…オムライスです」
P「…」
「あ、それとなんで今まで私の視線に気付いてくれなかったんですか?」
「だから隣にこしてきちゃいました」
「それと、私の下着…持ったままでもいいですよ?」
P「…」
P「…小鳥さん」
おわり
まるでホラー
小鳥さんサイドから見ると甘酸っぱい純愛として見られるな
Pサイドからだと完全ホラーだが
途中まですっかり騙されてたわ
Entry ⇒ 2012.01.29 | Category ⇒ アイマスSS | Comments (0) | Trackbacks (0)
セイバー「きりつぐー♪」切嗣(セイバー、うざいな……)
http://hayabusa.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1327626195/
切嗣「これが……セイバー?」
アイリ「女の子……なのね……」
切嗣「……いこう。アイリ」
アイリ「ええ……」
セイバー「……マスター、ですね?」
切嗣「……」
セイバー「なるほど。なるほど」ギュゥゥ
切嗣(なんだ……?どうして腕にしがみつく……)
切嗣「……」スタスタ
セイバー「……」ギュゥゥ
アイリ「セイバー?」
セイバー「なんでしょうか?」
アイリ「その……切嗣から離れてくれない?切嗣も歩きにくそうだし……」
セイバー「そうなのですか?」
切嗣「……」
セイバー「違うようです」
アイリ「……あのね、私、この人の妻だから、そんなにべったりされると……」
セイバー「なにか?」ギュゥゥ
切嗣(小ぶりな胸が当たってる……)
切嗣「……」
アイリ「切嗣?」
セイバー「マスターは構わないということでしょう。このまま体を密着させていても……」
切嗣「……」バッ
セイバー「あ……」
切嗣「行こう、アイリ」
アイリ「ええ」
セイバー「……」トコトコ
セイバー「……」ギュゥゥ
切嗣「……っ」
アイリ「セイバー!!」
セイバー「なんですか?」
アイリ「だから、離れて!!」
セイバー「私はサーヴァント。常にマスターの身を案じています」
セイバー「うぐぐぐ……!!」
切嗣「……」
アイリ「はなれなさいぃ……!!」グググッ
セイバー「やめてくださいぃ……!!」
切嗣(何がしたいんだ……セイバーは……)
アイリ「はぁ……はぁ……」
セイバー「むぅ……」ギュゥゥ
アイリ「別にくっつく必要はないでしょ!?」
セイバー「敵がいつ来ても大丈夫です」
アイリ「なにを……!!」
切嗣「アイリ、少しでかけてくる」
アイリ「え、ええ……セイバーはどうするの?」
切嗣「置いていく」バッ
セイバー「あ……」
切嗣「……」スタスタ
セイバー「……」トコトコ
切嗣「……?」
セイバー「探しましたよ、マスター?」ギュゥゥ
切嗣「……」
セイバー「さ、行きましょう」
切嗣(歩きにくいな……)
セイバー「このままでも剣は振れますからご安心を」
切嗣(何の話だ……)
セイバー「さあ、どこからでもかかってくるがいい」ギュゥゥ
切嗣(鬱陶しいな……)
切嗣「ただいま」
アイリ「おかえ―――」
セイバー「どうも」ギュゥゥ
アイリ「え……」
切嗣「アイリ、これからのことを話そう」バッ
アイリ「ええ……」
セイバー「あ……マスター」トコトコ
切嗣「……」
セイバー「私もご一緒します」ギュゥゥ
切嗣「……っ」
アイリ「セイバー、いい加減にして」
セイバー「何故です?」
アイリ「切嗣が困ってるでしょ?」
セイバー「ですが、こうしていても表情一つ変えません。きっとまんざらでもないのでしょう」
切嗣「……」バッ
セイバー「あ……」
切嗣「行こう」
アイリ「ええ」
セイバー「……」
セイバー「嫌なのですか?」
切嗣「……」スタスタ
セイバー「マスター、答えてください!」ギュゥゥ
アイリ「……どうしてすぐに抱きつくの?」
セイバー「マスター!!」
切嗣「……」バッ
セイバー「そうですか……すいませんでした……」
切嗣「……」スタスタ
セイバー「マスター……」
切嗣「イリヤ、外に行こうか」
イリヤ「うん!」
切嗣「今日もいつもみたいに―――」
セイバー「おはようございます」
イリヤ「セイバー、おはよう」
セイバー「外に出られるのですか?」
切嗣「……」スタスタ
セイバー「お供します」ギュゥゥ
切嗣「……」
イリヤ「なんで抱きつくの?」
セイバー「マスターを守るためです」
イリヤ「そうなんだ。じゃあ、私もー」ギュゥゥ
切嗣「イリヤ……」
切嗣(いい加減、離れてくれないかな……)
イリヤ「ほんとだー」
切嗣「イリヤ、そろそろ離れてくれないかい?歩きにくくて……」
イリヤ「セイバーはいいの?」
切嗣「え……」
イリヤ「ふーん。セイバーはいいんだ」
切嗣「あ、いや……」
セイバー「マスター、見てください。あそこです」ギュゥゥ
切嗣「……」バッ
セイバー「あ……」
切嗣「これでいいかい?」
イリヤ「……」
セイバー「よっ……」ギュゥゥ
切嗣(うざいな)
切嗣「そろそろ寝るか……」
セイバー「そうですか」ギュゥゥ
切嗣「……」
セイバー「マスター……」ギュゥゥ
アイリ「セイバー……ちょっときて」
セイバー「なんですか?」
アイリ「切嗣を離してからきて」
セイバー「しかし……」
アイリ「……」
セイバー「では、しばしお待ちください」
切嗣「……」
アイリ「……ねえ、どうしてそんなにいつもくっついてるの?」
セイバー「何か問題でもありますか?」
アイリ「切嗣は嫌がってるの。もうやめてあげて」
アイリ「抱きつく必要性がわからないわ」
セイバー「奇襲に対応するためですが」
アイリ「別に抱きつかなくても……」
セイバー「密着していればそれだけ安全性があがります」
アイリ「そんなわけないでしょ。どっちも動き辛くなるし、余計に危険だと思うわ」
セイバー「そうですか?」
アイリ「そうよ」
セイバー「では、試してみましょう」
アイリ「え?」
セイバー「今から街に出て敵をおびき出しましょう。私の作戦がいかに有効か分かっていただけると思います」
アイリ「切嗣は不必要に外にでないけど」
セイバー「そうなのですか」
アイリ(セイバーの考えがよくわからない。本当に主のことを心配しているだけ……?)
セイバー「……」
切嗣「……」スタスタ
セイバー「……」トコトコ
切嗣(きたか……)
セイバー「おはようございま―――」
切嗣「……」バッ
セイバー「む……」
切嗣「……」スタスタ
セイバー「はっ」
切嗣「……」バッ
セイバー「マスター、どうして避けるのですか?」
切嗣「……」スタスタ
セイバー「……」
セイバー「むぅ……」
イリヤ「おはよう」
イリヤ「どうしたの?」
セイバー「切嗣が私を避けている……」
イリヤ「ふーん」
セイバー「……」
イリヤ「ねえ……ひょっとしてなんだけど」
セイバー「なんでしょうか?」
イリヤ「セイバーって誰かに抱きついてないと駄目なの?」
セイバー「いいえ」
イリヤ「そう」
セイバー「私が抱きつくのはマスターだけですから」
イリヤ「でも、避けられてるんでしょ?」
セイバー「困ったものです」
イリヤ「どうしても抱きついていたいの?」
セイバー「勿論です。私はマスターの剣であり、盾でなければなりませんから」
切嗣(アーサー王の過去に抱擁癖があるという事実はない)
切嗣(なにが原因だ……?)
切嗣「わからないな……」
ガチャ
イリヤ「キリツグー?」
切嗣「イリヤ。どうしたんだい?」
イリヤ「セイバーのことなんだけど……」
切嗣「え?」
イリヤ「マスターに抱きついていたいらしいわ」
切嗣「マスターに?」
イリヤ「だからね……」ゴニョゴニョ
切嗣「なるほど……」
イリヤ「ね?」
切嗣「それでいこうか……」
アイリ「これからはそういうことになるわね」
セイバー「しかし……」
アイリ「これも作戦よ。作戦」
アイリ(私がマスター代行になれば……セイバーが抱きつく対象は私になる)
アイリ(切嗣も考えたわね)
セイバー「そうですか」
アイリ「さ、どうぞ」
セイバー「どうも」ギュゥゥ
アイリ「しっかり守ってね?」
セイバー「分かりました」
アイリ「……」
セイバー「……」ギュゥゥ
アイリ(なんか恥ずかしい……)
セイバー「どちらへ?」ギュゥゥ
アイリ「散歩」
セイバー「そうですか」
アイリ(すっごい力……)
切嗣「アイリ、でかけるのかい?」
アイリ「庭に出るだけ」
切嗣「そうか」
セイバー「切嗣」ギュゥゥ
切嗣「……っ」
アイリ「セイバー……!?」
セイバー「私がお二人の鎹になれば問題ありませんね」
アイリ「いや、二人同時に腕を絡ませるなんて……」
セイバー「庭でしたね。行きましょう」ギュゥゥ
切嗣「……」
切嗣「……」バッ
セイバー「あ……」
アイリ「セイバー?」
セイバー「なんでしょうか?」
アイリ「今ので確信したわ。貴女は主を守る為にそういうことをしているのではないのね?」
セイバー「どきっ」
アイリ「……」
セイバー「な、なんのことですか?」ギュゥゥゥ
アイリ「いたい!!」
セイバー「す、すいません……」
アイリ「話してくれる?」
セイバー「実は……」
アイリ「うん」
セイバー「私は不完全なサーヴァント。体を密着させることでしか魔力供給が十分にできないのです」
アイリ「それって、繋がってないってこと?」
セイバー「一応、マスターの魔力は流れてきていますが、十分ではありません」
セイバー「宝具を一度使用すれば空になるでしょう」
アイリ「じゃあ、それを補う為に?」
セイバー「はい」
アイリ「最初に説明してくれないと」
セイバー「申し訳ありません。言うと……捨てられるかと思って……」
アイリ「セイバー……」
セイバー「……すいません」
切嗣(出来損ないのサーヴァントか……)
アイリ「でも、密着させていれば……いいのね?」
セイバー「はい。他のサーヴァントにも遅れをとることはありません」
アイリ「私でも大丈夫?」
セイバー「マスターを代行されるのでしたら、恐らく」ギュゥゥ
切嗣「そういう体質……というか、仕様なら仕方ない。アイリに任せてもいいかな?」
アイリ「ええ。聖杯戦争を生き抜くためにはこうするしかないもの」
セイバー「アイリスフィール……」ギュゥゥ
アイリ「よしよし」
切嗣「……少し複雑だけど、頼むよ」
アイリ「まかせて」
セイバー「こうしているとアイリスフィールのぬくもりが伝わってくるようです……」ギュゥゥ
アイリ「はいはい」
切嗣「僕は少しでかけてくるよ」
アイリ「わかったわ」
切嗣「……」
セイバー「あいりすふぃーるぅ……」
アイリ「こら。そんなにくっつかないの」
切嗣(大丈夫だろうな……)
イリヤ「……」
アイリ「セイバー、歩きにくいから」
セイバー「いいではありませんか」
イリヤ「……」
アイリ「あ、イリヤ。どうか―――」
イリヤ「……」タタタタッ
アイリ「あら……?」
セイバー「寝るときもこうしていたいのですが」
アイリ「それはちょっと……」
セイバー「いいではありませんか」
アイリ「魔力が充填されるまでどれくらい抱きついておく必要があるの?」
セイバー「ベストの状態で戦うためには戦闘が起こる瞬間までなるべくこうしているほうがいいでしょう」
アイリ「そ、そうなの?」
セイバー「食事のときも、入浴のときも、寝るときも……ずっと。でないと、私が困ります」
セイバー「あの……やはり……嫌ですか?」
アイリ「嫌というか……」
セイバー「申し訳ありません」
アイリ「ううん。こうしていれば常に絶好調でいられるなら分かりやすくていいわよ、うん」
セイバー「アイリスフィール……必ず御身は私が守ります」ギュゥゥ
アイリ「いたた……」
セイバー「あ、すいません」
アイリ「いいのよ、気にしないで」
セイバー「さて、これからどうしましょうか?」
アイリ「そうね……」
セイバー「……」ギュゥゥ
アイリ「しばらく暇だから本でも読みましょうか?」
セイバー「はいっ」
アイリ「……」ペラッ
セイバー「あ」
アイリ「まだ読んでた?」
セイバー「はい。あと3行ほどでした」
アイリ「じゃあ、戻すわ」ペラッ
セイバー「そんな!!私のペースに合わせることはありません!!」
アイリ「いいから。いいから」
セイバー「ありがとうございます」
アイリ「ふふ……」
セイバー「はい。次のページに行きましょう」
アイリ「ええ」ペラッ
セイバー「……」ジーッ
アイリ(本当に一時も離れないのね)
アイリ(これから先、どうなるのかしら……)
セイバー「……」ジーッ
アイリ「セイバー?退屈じゃないの?」
セイバー「いいえ。こうしているのが私にとって至福なので」
アイリ「そうなの」
セイバー「アイリスフィールの魔力は温かい……。好きです」
アイリ「え……」
セイバー「……」
アイリ「な、なにいってるの……もう……」
セイバー「さ、次のページに」ギュゥゥ
アイリ「え、ええ……」
セイバー「ところで、この青年はどうして彼女の気持ちに気づいてあげられないのですか?好意を寄せているのは明らかなのに……」
アイリ「そのすれ違いを楽しむ物語だからね」
セイバー「なるほど。しかし、このように愚鈍な男、現実にいれば斬り付けています」
アイリ「そ、そう……」
アイリ「はいはい……」
ガチャ
切嗣「アイリ」
アイリ「切嗣、どうかした?」
切嗣「今日の夜、セイバーと出かけてくれ」
アイリ「なにか掴めたのね?」
切嗣「ああ」
セイバー「アイリスフィール!!青年の告白を受けた彼女が気になります!!」
切嗣「僕と舞弥も付く」
アイリ「ええ。わかったわ」
セイバー「アイリスフィール!!」ギュゥゥ
アイリ「いたた!!」
切嗣「仲良くなったのかい?」
アイリ「まあ、うん……」
セイバー「向こうからサーヴァントの気配がします」ギュゥゥ
アイリ「行きましょう」
ランサー「―――ようやく骨のある者があらわれたようだな」
セイバー「貴公は……」ギュゥゥ
ランサー「この獲物で想像がつくだろう」
アイリ「……その傍らにいる人は?」
ランサー「……」
ソラウ「あぁ……ランサー……」ギュゥゥ
ランサー「我が魔貌の虜になってしまった」
セイバー「なるほど」
ソラウ「一緒に戦いましょう……」ギュゥゥ
ランサー「危ないですから……はなれてください……」グググッ
ソラウ「うぎぎぎ……!!!」
アイリ(ランサー陣営も同じような状況というわけね)
アイリ「……」
ランサー「ふっ……セイバーとお見受けする。いい闘いになりそうだ」
ソラウ「らんさぁ……」ギュゥゥ
ランサー「……」グググッ
ソラウ「やみゅて……!!!」
セイバー「いつでもどうぞ」ギュゥゥ
アイリ「セイバー、離れないとだめでしょ……!!!」ググッ
セイバー「ぐぅぅぅ……!!!」
アイリ「戦えないでしょ……!!」ググッ
セイバー「たたきゃえまふぅ……!!」
ランサー「離れてください……戦えません……!!!」グググッ
ソラウ「しゃぽーとしゅるかりゃ……!!!」
アイリ「……お互い、大変ね」
ランサー「全くだ」
切嗣『駄目だ。アレだけ密着されては銃弾はランサーに弾かれるだろう』
舞弥「では……」
切嗣『しばらく様子見だ』
舞弥「了解」
切嗣『……』
舞弥「それにしても今夜は冷えますね」
切嗣『そうだな』
舞弥「……」ススッ
切嗣「……」
舞弥「こうして身を寄せ合えば……」ギュゥゥ
切嗣(勘弁して欲しい……)
ランサー「よし……」グググッ
ソラウ「うにゅぅぅぅ……!!!」
ランサー「くそ……離れない……!!!」
アイリ(いつ戦うのかしら……)
ライダー「―――やっておるのう!!!」ゴォォォ
アイリ「え!?」
セイバー「貴様は……!!」
ライダー「ほれ、お前も顔を出せ」
ウェイバー「やめろ!!高い!!!高いから!!!」ギュゥゥ
ライダー「情けないな、全く。それでも余のマスターか」
ウェイバー「かんけいないだろぉ!!!」ギュゥゥ
アイリ「……」
セイバー「何用か?」
ライダー「いや、このままではいつまでも闘いになるまいて。見かねて出てきただけだ」
ライダー「ええい!!抱きつくな!!」
ウェイバー「じゃあ、おろせよ!!!ばかぁ!!!」ギュゥゥ
ランサー「そちらも状況は似ているな」
ライダー「マスターがこのざまでは死闘もままならんだろう。ここは互いに退かぬか?」
セイバー「しかし……まだ、刃を交わしてすらいません」
ランサー「ああ」
ライダー「では、そうして抱きついた者を庇いながら戦えるか?余は怖くてできんなぁ」
ランサー「確かに……」
ライダー「勢い余って潰してしまうかもしれん」
ウェイバー「こわいこというなぁ!!」ギュゥゥ
アイリ「私もセイバーに殺されてしまうかもしれないわね」
ランサー「よし。ここは互いのために退こう」
セイバー「それがいいでしょう」
アイリ「セイバーがいうことじゃないけど……」
切嗣「そうだな」
舞弥「……こうしていると温かいですね」
切嗣「そろそろ離れてくれ」
舞弥「もう少しだけ……こうしていられるのは今だけですから……」
切嗣「……」
ランサー「それでは」
ソラウ「ランサー、ツタヤによっていきましょう?」ギュゥゥ
ランサー「寄り道しては怒られます」
ソラウ「もう……いじわる」
ランサー「はぁ……」
ウェイバー「おろしてぇ!!」ギュゥゥ
ライダー「ではな!!」ゴォォォ
セイバー「……では、私たちも帰りましょう」ギュゥゥ
アイリ「うん」
綺礼「……アサシン」
アサシン「はい」ギュゥゥゥ
綺礼「報告を聞こうか……」
アサシン「はい。えー」ギュゥゥゥ
綺礼「その前に」
アサシン「なんでしょうか?」
綺礼「暑苦しい」
アサシン「失礼しました」
綺礼「お前たちは数が多い。そうわらわらと寄って来られては困る」
アサシン「ですが……」ギュゥゥ
綺礼「なんだ?息苦しい」
アサシン「こうして耳打ちするには近づくしか」
綺礼「お前たちはバカなのか?」
アサシン「いいえ。そんなことはないと思います。では、報告を―――」ギュゥゥ
切嗣「おかえり」
アイリ「先に帰ってたのね」
切嗣「ああ」
セイバー「どこもお怪我がないようで安心しました」ギュゥゥ
アイリ「戦ってすらいないけどね」
切嗣「しかし、どこも同じような状況であるようだ」
アイリ「どこも?」
切嗣「他のマスター……遠坂と間桐のところに出していた使い魔からの映像を見る限りは」
アイリ「え……」
セイバー「ということは、アサシン陣営以外は全く同じことに?」
アイリ「そういうことになるわね」
切嗣「厳しい闘いになると思う」
アイリ「……」
セイバー「がんばります」ムフー
アーチャー「では、外を見てくるとするか」
時臣「やめてください!!王!!!」ギュゥゥ
アーチャー「なにをするか!!」
時臣「もう出歩かないでください!!!」ギュゥゥ
アーチャー「はなせぇ!!我の行いを邪魔するか!!」
時臣「私にも予定があるんです!!」ギュゥゥ
アーチャー「しらん!!今日は……今日こそは外にでる!!!」
時臣「この通りですからぁ!!」ギュゥゥ
アーチャー「くっ……!!!」ズンズン
時臣「あぁぁ……!!!」ズルズル
アーチャー「離れろ!!!我の衣服に手垢をつけるつもりか!!」
時臣「王よ……どうか、どうか家に……!!」ギュゥゥ
アーチャー「おのれ……時臣……!!寝る間も惜しんで我を引き止める根性だけは認めてやろう……!!」
時臣「うぅ……」ギュゥゥ
雁夜「……」ギュゥゥ
桜「……」
雁夜「桜ちゃん……桜ちゃん……」スリスリ
桜「……」
臓硯「おい」
雁夜「ああ……いい匂いだ……」
桜「……うざ」
臓硯「こら。はよいけ」
雁夜「わかっている」ギュゥゥ
桜「……」ググッ
雁夜「桜ちゃん……」スリスリ
桜「……」
臓硯「もう三日だ。いつまでそうしている?」
雁夜「黙れ」
アイリ「セイバー、はい」
セイバー「どうも……」モグモグ
アイリ「どう?」
セイバー「ええ。美味です」
アイリ「そう……ふふ」
セイバー「アイリ、もっとください」アーン
アイリ「はいはい」
切嗣「……」ズズッ
イリヤ「……」
切嗣「イリヤ?」
イリヤ「ふん……」タタタッ
切嗣「……」
セイバー「アイリスフィールぅ……」スリスリ
アイリ「こら、変なところ触らないの」
セイバー「そうですね」ギュゥゥ
切嗣「アイリ」
アイリ「え?」
切嗣「マスター代行は終わりにしよう」
アイリ「どうして……?」
切嗣「セイバーと仲良くなりすぎだ」
アイリ「やきもち?」
切嗣「そうじゃない」
アイリ「でも……」
セイバー「……」ギュゥゥ
切嗣「アイリ……」
アイリ「大丈夫。心配してくれるのは嬉しいけど、私とセイバーならやれるから」
切嗣「イリヤとは話をしているかい?」
アイリ「それは……」
アイリ「だけど、聖杯戦争なんだし……」
切嗣「それでもそれだけいつもひっついていると、盗られたと思っても仕方ないと思う」
アイリ「……」
セイバー「アイリスフィール?」ギュゥゥ
アイリ「そうね……」バッ
セイバー「え……」
アイリ「セイバー、ここまでにしましょう」
セイバー「そんな……!!」
アイリ「切嗣……まかせるわ」
切嗣「ああ」
セイバー「待ってください」
アイリ「どうかした?」
セイバー「私はアイリスフィールが好きです」
切嗣・アイリ「?!」
アイリ「セセセセセイバー!?」
セイバー「どうか、引き離さないでください」
アイリ「ちょっと……どうして!?」
セイバー「切嗣よりもアイリスフィールが好きなのです」ギュゥゥ
アイリ「な……」
セイバー「どうか……このまま……」
アイリ「きりつぐぅ……」
切嗣「……好きにしたらいい」
アイリ「ちょっと!!!」
セイバー「切嗣……感謝します」
アイリ「まって!!ねえ!!」
切嗣「……」スタスタ
アイリ「切嗣……」
セイバー「アイリの魔力……心地いい……」ウットリ
切嗣「……」
舞弥「―――つぐ?」
切嗣(少し目を離してしまったばっかりに……)
切嗣(くそ……僕のせいか……)
舞弥「切嗣」
切嗣「え?」
舞弥「しっかりして」
切嗣「あ、ああ。すまない」
舞弥「では、ランサー陣営の居場所についてですが」
切嗣「いこう」
舞弥「……」
切嗣「聞いていた」
舞弥「そうですか」
切嗣(切り替えないと……闘いは続いている……)
アイリ「ねえ、セイバー?」
セイバー「なんでしょうか?」
アイリ「やっぱり、切嗣と一緒に行動でしてほしいの」
セイバー「ですが、私はアイリスフィールのことが……」
アイリ「うん。それは嬉しい……嬉しいけど……」
セイバー「……」
アイリ「ごめんなさい」
セイバー「そうですか……」ギュゥゥ
アイリ「……いたぃ」
セイバー「それでも私はこのまま戦いたいのです」
アイリ「戦闘にならないじゃない」
セイバー「それは相手も同じです」
アイリ「理由になってないから」
セイバー「そうですか?」
セイバー「仕方ありません……」
アイリ「よかった……」
セイバー「では、もっと効率の良い魔力供給の方法をとりましょう」
アイリ「え?」
セイバー「それなら抱きつく必要もなくなりますから」
アイリ「そんな方法があるの!?」
セイバー「ええ」
アイリ「なんだ。それならそうと言ってくれれば」
セイバー「この方法は私としてもあまり好ましくないので……」
アイリ「ど、どんな方法なの?」
セイバー「……接吻です」
アイリ「……」
セイバー「唾液も絡ませると魔力の充填はより迅速に―――」
アイリ「なんてこと……」
舞弥「使い魔を用いて行方を追ってみます」
切嗣「頼んだ」
切嗣「ふぅ……」
アイリ「……」フラフラ
切嗣「アイリ?」
アイリ「あ……きりつぐ……」
切嗣「セイバーは?」
アイリ「ごめんなさい……」ウルウル
切嗣「え?」
アイリ「もう……私は貴方に愛される資格がないの……」ポロポロ
切嗣「ど、どうした?」
アイリ「ごめんなさい……!!」タタッ
切嗣「アイリー!」
切嗣「なにがあった……?」
セイバー「ここにランサーが?」
アイリ「ええ……切嗣の情報だとそうらしいわ」
セイバー「そうですか」
アイリ(あの日以来、まともにセイバーの顔を見れない……)
ランサー「―――やはり、来たか。セイバー」
セイバー「ランサー」
ソラウ「……」
アイリ(向こうも抱きついてない……)
ソラウ「ランサー……早く終わらせて……続きを……」モジモジ
ランサー「……」
セイバー「なるほど。そちらも魔力の貯蔵は十分ということか」
ランサー「ああ。その所為で我が主は自決しかけた」
セイバー「いきます!!」
ランサー「こい!!」
ランサー「がはぁ!!」
ソラウ「ランサー!!!」
セイバー「勝負ありですね」
ランサー「くっ……!!」
アイリ「セイバー……」
ソラウ「ランサー!!ランサー!!!」
セイバー「流石はランサー……。これほどまでに消耗してしまうとは……」
アイリ「だ、だいじょうぶ?」
セイバー「ええ……」スッ
アイリ「な、なに……?」
セイバー「魔力を……」
アイリ「まって―――んんっ!!!」
セイバー「んっ……んっく……」
アイリ「ん……うぅん……!」
舞弥「なるほど。あれがセイバー流の魔力供給なのですね」
切嗣「……」ヘナヘナ
舞弥「切嗣!?」
切嗣「そんな……アイリとセイバーが……」
舞弥「しっかり!!」
切嗣「……僕のせいだ……僕の……」
舞弥「切嗣!!」
セイバー「―――ふぅ」
アイリ「ぷはぁ……はぁ……はぁ……」
セイバー「ありがとうございます」
アイリ「……」ヨロヨロ
セイバー「アイリスフィール?」
アイリ「かえいりまほ……ここにいてもいみないわ……」ヨロヨロ
セイバー「はい。私が付き添います」
ライダー「ランサーがやれたのか?」
ウェイバー「ああ。間違いない」
ライダー「そうか……で、さっきから地図を開いてなにをやっている?」
ウェイバー「マスターの居場所を探しているんだよ」
ライダー「そうか」
ウェイバー「なんだよ?」
ライダー「いや、感心しているところだ」
ウェイバー「ふん。……ん?」
ライダー「どうした?」
ウェイバー「ここが怪しいな……」
ライダー「いくか?」
ウェイバー「そうだな……行こう」
ライダー「よし、のれ!!!」
ウェイバー「あ、安全運転でいけよ!!」ギュゥゥゥ
ライダー「ここか……」
ウェイバー「この感じ……キャスターかな?」ギュゥゥ
ライダー「こら。そんなにしがみつくな」
龍之介「だんなぁぁぁぁ!!!!クゥゥゥルだぁぁぁ!!!最高にCOOLだよぉぉぉ!!!!」
ライダー「向こうか」
ウェイバー「ちゃ、ちゃんと守れよ……」ギュゥゥ
ライダー「どれどれ?……んん??」
ウェイバー「え……?」
キャスター「リュウノスケは本当に触手プレイが好きですね」ギュゥゥゥ
龍之介「んほぉぉ!!!!そこを締め上げるとか……わかってるぅぅぅ!!!!」
キャスター「さあ、締め付けが強くなりますよ?」ギュゥゥゥゥ
龍之介「かはぁ……!!!もっと……!!もっと……!!!」
ウェイバー「これって……!!!」
ライダー「見るな!!目の毒でしかない!!」
龍之介「もっと……もっと強いのくれよぉぉ!!!だんなぁぁぁ!!!」
ライダー「随分といい趣味をもっておるな」
キャスター「全部、リュウノスケの考えです」
ライダー「そうか」
キャスター「貴方は?」
ライダー「余は征服王イスカンダル」
ウェイバー「名乗るなよ!!バカバカ!!」ポカポカ
ライダー「やめい」
キャスター「なるほど……つまりここを潰しにきたということですね?」
ライダー「ついでにお前らには脱落してもらおうか」
キャスター「それは面白い……」
ライダー「いくぞ」
ウェイバー「気をつけろよ!!死ぬなよ!!」
龍之介「だんなぁぁ!!!もっときつく締め上げてくれよぉ!!!」
キャスター「あぁぁぁ……」
ウェイバー「やった……!!」
ライダー「ま、こんなものよのう」
龍之介「だんなぁ!!もっともっと極太のそれで俺を蹂躙してくれぇぇ!!」
ウェイバー「あいつは……どうする?」
ライダー「放っておくしかあるまいて。快楽に溺れ、既に自分を見失っている」
ウェイバー「そっか……」
ライダー「帰るぞ」
ウェイバー「う、うん」ギュゥゥゥ
ライダー「しっかり掴まれ」
ウェイバー「……」ギュゥゥゥゥゥ
ライダー「いくぞぉ!!!」ゴォォォォ
ウェイバー「うわぁぁぁぁぁぁ!!!!スピードおとせぇぇ!!!!」ギュゥゥゥ
アーチャー「くそ……」ズンズン
時臣「もうすこしだけ……まってください……!!」ズルズル
アーチャー「離れろ……雑種め……!!!」グググッ
時臣「むぐぐぐ……!!!」
アーチャー「ふん!!」ドン
時臣「あんっ!」
アーチャー「我の行く手を遮るなど許さん」
時臣「そんな……」
アーチャー「今晩こそは外界を満喫する!!」
時臣「私の予定は……」
アーチャー「しらん!!」
時臣「待ってください!!王よ!!」
アーチャー「さらばだ!!」ダダッ
時臣「ああ!!」
アーチャー「いつまでも時臣が借りてきたノンフィクションの映画ばかりでは体も嗜好も訛ってしまうわ」
アーチャー「さてと……どこから行こうか……」
アーチャー「……ん?」
アーチャー「ふふん……。雑兵の猛りが聞こえるな」
アーチャー「向こうか」シュッバ
ライダー「さてと。これで二組が脱落したわけか」
ウェイバー「たかい!!たかい!!たかいぃぃ!!!」ギュゥゥ
ライダー「こら!!離れろ!!手綱が上手くにぎれんであろう」
ウェイバー「もっと高度さげろぉ!!1メートルぐらいでとべよ!!」
ライダー「無茶いうな」
ウェイバー「うわぁ!!おちる!!おちる!!!」ギュゥゥ
ライダー「おちん!!」
アーチャー「―――随分と賑やかだな。祭りの帰りか?」
ライダー「……当たらずも遠からずだな。貴殿は何者か?」
ライダー「そうか。では余から。余は―――」
ウェイバー「真名はいうなぁ!!」ギュゥゥ
ライダー「むぐぐ!!」
アーチャー「まあ、見ればわかる。ライダーといったところか」
ウェイバー「お、お前は……」
アーチャー「喚くな。我の機嫌が一度傾けば、一瞬にして灰にしてやるぞ?」
ウェイバー「ひぃぃ!!」ギュゥゥ
ライダー「……それは困る。これでも大事なマスターなのでな」
アーチャー「ふん。関係あるまい。我よりも高くいる者は許さん。我の先に行く者も許さん。そして、我の気分を害した者は殺す」
アーチャー「ただ、それだけだ」
ライダー「面白い趣向だな」
アーチャー「さて、我は今、最高に気分がいい。一つだけなら許してやってもよかったが、貴様は三つも犯している」
ライダー「では、どうする?」
アーチャー「知れたこと……消すだけだ」パチンッ
ウェイバー「やばい!!高度さげろ!!僕は降りる!!!おりるぞぉ!!」
ライダー「では、飛び降りろ」
ウェイバー「ころすきかぁ!!?」ポカポカ
ライダー「めんどうなやつだの」
アーチャー「いくぞ?」
ライダー「むぅ……少し待ってはくれんか?」
アーチャー「王が下民の声を聞くとでも?」
ライダー「それはないな」
アーチャー「話が分かるやつで安心した。ゲート・オブ・バビロン」
ライダー「くるか……!!」
ウェイバー「うわぁぁぁ!!!」ギュゥゥ
ライダー「耳元でわめくな!!」
アーチャー「いくぞ!!」
ライダー(厳しい闘いになるな……)
アイリ「そう……」
切嗣「舞弥に確認をとらせた。既にライダー陣営は敗走したようだ」
アイリ「まさか一晩で二組も……」
セイバー「あのライダーが……」ギュゥゥ
アイリ「これからどうするの?」
切嗣「もう少し情報を集めてみるよ」
アイリ「わかったわ」
切嗣「舞弥、行こう」
舞弥「はい」ギュゥ
アイリ「……」
セイバー「さてと、アイリ?」
アイリ「え?」
セイバー「魔力を……」
アイリ「また―――んっ……!!」
アイリ「はぁ……はぁ……」
セイバー「アイリスフィール?」
アイリ「なに?」
セイバー「体調が優れないのですか?」
アイリ「いいえ……平気よ」
アイリ(キスされるたびに魔力を持っていかれるからっていうのもあるけど……)
セイバー「誰だ?」
アーチャー「……セイバーか?」
セイバー「あなたは……?」
アーチャー「昨日の余韻がまだ残っていてな……。熱冷ましには丁度いい」
セイバー「なに?」
アイリ「セイバー、気をつけて」
セイバー「はい」
アーチャー「いくぞ?」
時臣「今日も王は帰ってこない……」ウロウロ
時臣「一体……どこでなにを……」ウロウロ
切嗣「一人のようだな……」
舞弥「狙いますか?」
切嗣「よし」
綺礼「―――まて」
切嗣「!?」
舞弥「え……なんだ!?あの黒い人だかりは!?」
綺礼「こら、アサシンたち。息苦しいから」
アサシン「マスターの身は我らがお守りします」ギュウギュウ
綺礼(ハズレのサーヴァントを引いてしまったな)
切嗣「どこにマスターがいるんだ……」
舞弥「中央では?」
切嗣「では手榴弾でも投げ込んでみるか」ポイッ
綺礼「おぉ……」
ドーン
舞弥「なるほど。アサシンに担がれながら移動する……。斬新な移動方法ですね」
切嗣「……」
綺礼「おろせ」
アサシン「はい」
綺礼「お見苦しいところをみせてしまったな」
切嗣「いや」
綺礼「衛宮切嗣だな?」
切嗣「言峰綺礼か」
綺礼「会いたかった」
アサシン「……」ギュウギュウ
切嗣「言峰綺礼、どこだ?」
綺礼「ここだ。ここにいる」
アサシン「「「マスターを傷つけさせない!!」」」サササッ
綺礼「……」
ドーン
切嗣「いた」
綺礼「降ろしなさい」
アサシン「はい」
舞弥「何の用ですか?曲芸を見せるなら他を当たってもらいたい」
綺礼「話がしたかった」
切嗣「……舞弥。あれだけのアサシンを同時に相手にはできない。離脱するぞ」
舞弥「はい」
綺礼「まて!!」
アサシン「……」ギュゥギュゥ
綺礼「くっ……!!!うごけん!!!」
アーチャー「ふはははは!!!!」ドォォォン
セイバー「くっ!!こうなったら―――」
アーチャー「む?」
セイバー「エクス―――」
アーチャー「あれは……。そうか、貴様はアーサー―――」
セイバー「―――カリバァァァ!!!!!」ドォォォン
セイバー「はぁ……はぁ……」
アイリ「やった……?」
セイバー「いえ……」
アーチャー「なるほどな。中々の威力だ」
セイバー「よけられたか……」
アーチャー「だが、当たらなければ意味がないぞ」
セイバー「アイリ!!キスを!!」
アイリ「え……」
アイリ「でも……」
セイバー「ふっ!!」ガッ
アイリ「きゃ!!」
セイバー「んっ……じゅるるる……」
アイリ「んぐっぐぅぅ……!!」
セイバー「―――よし」
アイリ「あぁぁ……」ヘナヘナ
アーチャー「斬新な魔力供給だな」
セイバー「だが、完璧だ」
アーチャー「そこの人間を殺せば、貴様に勝ち目はないということか?」
セイバー「そんなことさせない」
アーチャー「では、守ってみせよ。―――無様になぁ!!!」
セイバー「くっ……!!!」
アイリ「はぅ……」
アイリ「待って!!」ガシッ
セイバー「アイリスフィール!?今は戦闘中ですよ?!」
アイリ「ちゃんと狙って……お願い……」
セイバー「大丈夫です」
アイリ「絶対?絶対よね?」
セイバー「はい」
アイリ「信じてるからね……」
セイバー「―――カリバァァァ!!!」ドォォォン
アーチャー「無駄だ!!!」ササッ
セイバー「くそ!!」
アイリ「セイバー!!!」
セイバー「アイリ……んっ……」
アイリ「だめ―――んぅぅぅん!!!」
アーチャー「……」
アイリ「ごほ……ごほ……」
アーチャー「流石の我もそこの人間が少し不憫に思えてきたぞ?」
セイバー「同情ですか?やめてください」
アーチャー「いやいや」
セイバー「いくぞ……!!エクス―――」
アイリ「ごほ……あ、ちゃんと……ねら―――」
セイバー「カリバァァァ!!!!」
アーチャー「……」ササッ
セイバー「なんて俊敏……!!」
アイリ「……」
セイバー「アイリ……」
アイリ「やだ……!!もういや……!!!キスは―――」ウルウル
セイバー「んぐ……んっ……」
アイリ「むぐぅ……ぐぅ……んぅ……」ポロポロ
セイバー「さあ、再開だ」
アーチャー「……」
セイバー「エクス―――」
アーチャー「やめろ!!!」シュン
セイバー「カリ―――」
アーチャー「ふん!!」ガシッ
セイバー「何をする!!離せ!!!」
アーチャー「やめろ……!!どうせ撃つなら絶対に当たる至近距離でやれ。見るに耐えん!!」
セイバー「敵に情けをかけるとは余裕ですね、英雄王」
アーチャー「お前……」
セイバー「ではお言葉に甘えて……!!!」バッ!!
アーチャー「な……!!」
セイバー「エクスカリバァァァ!!!!」ドォォォォン
アーチャー「しまっ―――!!!」
臓硯「……」
雁夜「桜ちゃん……桜ちゃん……」ギュゥゥ
桜「おくち、くさい……」
臓硯「雁夜、いい知らせがある」
雁夜「なんだ?」ペロペロ
桜「あぅ……」
臓硯「アーチャー……つまり遠坂は敗退した」
雁夜「なんだと……!?」
臓硯「そうやって10日以上も桜を愛でていれば、先を越されて当然」
雁夜「なんてことだ……!!誰が……誰がやった……!!?」ギュゥゥ
桜「はな、して……!!」ググッ
臓硯「セイバー陣営のようだ」
雁夜「なるほど……わかった」ギュゥゥ
桜「もう……すきに、し、て……」グッタリ
アイリ「はぁ……はぁ……」
セイバー「この魔法陣の中にいれば大丈夫なのですね?」
アイリ「ええ……少し楽になったわ……」
セイバー「早く魔力を……」
アイリ「だめ……やめて……今、キスされたら……死んじゃう……」
セイバー「……」
舞弥「マダム。体調は?」
アイリ「ええ、今はなんとか。切嗣は?」
舞弥「遠坂が敗退したことで残る陣営がどう動くか警戒しています」
アイリ「そう……」
舞弥「あと……」
アイリ「なに?」
舞弥「マスター代行……私が務めます」
アイリ・セイバー「え!?」
アイリ「確かにそうだけど……大丈夫?」
舞弥「これでも知識はあります」
アイリ「そうじゃなくて……体力とか……」
舞弥「自信あります」ムフー
アイリ「……栄養ドリンクを箱買いしておいたほうがいいわよ?」
舞弥「わかりました」
アイリ「じゃあ……譲渡を……」
舞弥「では……」
セイバー「うむ……」ギュゥゥ
舞弥「な、なんですか!?」
セイバー「舞弥の魔力も悪くないですね」
舞弥「ど、どうも……」
アイリ「枯れないでね」
舞弥「え?」
綺礼「セイバーを生け捕り?」
時臣「そうだ。まだ令呪もある。ここで遠坂が敗北するわけにはいかない」
綺礼「しかし……」
時臣「……ところで、どこにいる?」
綺礼「ここ、ここです」
アサシン「……」ギュゥギュゥ
時臣「ああ。中央にいたか。セイバーさえ、手に入れれば……もう一度……」
綺礼「……分かりました」
時臣「頼む」
綺礼「移動するぞ」
アサシン「「「わっしょい!わっしょい!!」」
綺礼「……」
時臣「……」
時臣「楽しそうだな」
セイバー「切嗣は?」
舞弥「この街を一望できる場所にいます」
セイバー「そうですか」
舞弥「ところであれほど弱りきるとは……貴女、一体なにを……?」
セイバー「―――話は後にしましょう」
舞弥「敵……!?」
セイバー「誰だ。そこにいるのだろう?」
雁夜「……お前がセイバーか」ギュゥゥ
桜「離して……」
舞弥「少女を小脇に抱えている……?」
セイバー「その少女は?餌ですか?」
雁夜「失敬な。守るべきものだ」ギュゥゥ
桜「うぅ……」グッタリ
セイバー「意味がわかりませんが、大切にしているのは伝わります」
舞弥「な!?」
セイバー「バーサーカーだと!?」
バーサーカー「……」ズゥゥン
雁夜「やれ……今日が初戦だ。暴れろ!!!」
バーサーカー「■■■■―――!!!!!!」
セイバー「下がってください!!!」
舞弥「―――切嗣。対象が現れました」
切嗣『こちらでも確認した』
舞弥「狙えますか?」
切嗣『少女が邪魔だな……同時に撃つしかない』
舞弥「……」
雁夜「ごほ!!!おえ!!!」ビチャビチャ
桜「うわぁ……」
雁夜「ふふ……桜ちゃんのためにがんばるから……」
セイバー「ベンチを持ち上げた……?」
バーサーカー「■■■■―――!!!!!!」ブンッ
セイバー「ふっ!!」ギィィン
セイバー「これは……!?」ビリビリ
バーサーカー「■■■■―――!!!!!!」
セイバー「くっ……!!!まさか……!!!」
バーサーカー「■■■■―――!!!!!!」ブゥン!!
セイバー「やはり……もった物を宝具に変換している……!!!」
舞弥「そんな……」
セイバー「流石だ、バーサーカー。その力は侮れない」
バーサーカー「■■■■―――!!!!!!」
雁夜「ふふ……俺の恨みは時臣に向けられていたのに……お前たちが倒すから……悪いんだ……!!」ペロペロ
桜「くさい!!!はいたくちでなめないで……!!!」
雁夜「くく……おぇぇ!!!」ビチャビチャ
舞弥「おぉ……」
セイバー「距離をとって……エクスカリバァァ!!!」ドォォン
バーサーカー「■■■■―――!!!!!!」
セイバー「はぁ……はぁ……」
雁夜「くく……甘い……甘いぞ……」ペロペロ
桜「……」グッタリ
バーサーカー「……」
セイバー「当たりが浅かったか……!!」
舞弥「セイバー!!」
セイバー「魔力をお願いします!!」
舞弥「えっと……」
セイバー「舞弥……んっ……んぐ……じゅるる」
舞弥「んーーーーー!!!!!!」
バーサーカー「……」
セイバー「そんな……舞弥では十分な回復が……もっとお願いします」
舞弥「だめ……これ以上は死んじゃう……」
セイバー「ですが、宝具が使えなければどちらにせよ死にます」
舞弥「やめ……」
セイバー「んっ……んふ……んっ……」
舞弥「ふにゅ……ぅ……んぐっ……!!!」
セイバー「ぷはぁ……まだ、8割ですが……これ以上は舞弥が死んでしまいますね」
舞弥「……」ピクピク
セイバー「これで勝てるか……?」
バーサーカー「……」
雁夜「んー……」
桜「いや!!いや!!!キスはいや!!!いや!!いや!!!!」ググッ
雁夜「ほっぺだから……」
桜「いやぁぁぁぁぁ!!!!!」
雁夜「ふふ……やれ、バーサーカー」
バーサーカー「■■■■―――!!!!!!」
セイバー「エクスカリバーはあと一撃だけ……。どこまで温存できるか……はぁぁ!!」
桜(こんな世界……壊れたらいいのに……)
切嗣「舞弥、応答しろ。舞弥」
切嗣「やはりセイバーに根こそぎもっていかれたか……」
切嗣「―――!!」バッ
アサシン「……」ワラワラ
切嗣「このアサシンの群れは……言峰、綺礼……」
綺礼「ここにいたか」
切嗣「……」
綺礼「衛宮切嗣……セイバーを渡してもらおう」
切嗣「なに?」
綺礼「そして……私が抱く疑問にも答えてもらおうか……」
バーサーカー「■■■■―――!!!!!!」
雁夜「おええ……!!!」ビチャビチャ
桜「うわ……顔にはねた……」
雁夜「舐め取ってあげる」ペロペロ
桜「……」
セイバー「懐にはいった!!」
バーサーカー「……!?」
セイバー「終わりだ!!!エクスカリバァァァ!!!」ドォォォン
バーサーカー「■■■■―――」
雁夜「な、に……!!?」
セイバー「勝負あった」
雁夜「そんな……そんな……!!!」ペロペロ
桜「……」
雁夜「うわぁぁぁぁぁ!!!!!」ペロペロ
綺礼「アサシン。今ならセイバーを捕らえられるだろう。いけ」
アサシン「しかし……」ギュゥゥ
綺礼「邪魔だ」
アサシン「わかりました……」シュン
綺礼「ふぅ……これで話せるな」
切嗣「えい」ポイッ
綺礼「無駄だ」カンッ
ドーン
綺礼「アサシンがいなければ手榴弾は当たると思ったか?」
切嗣「ふっ!!」
綺礼「ぬ……!?」
切嗣「……」ドガァ
綺礼「くっ……!!」
切嗣「お前にセイバーを渡さなければ、この聖杯戦争は終わりのようだ」
舞弥「……こ、こないで……」
セイバー「ですが……」
アサシン「ふふ……どうやら力を使い果たしているようですね」
セイバー「アサシン……!!」
アサシン「今なら……勝てる……」
セイバー「キスを!!早く!!!」
舞弥「やめて……もう……無理……切嗣……切嗣に……!!」
セイバー「切嗣……!?どこに……!?」
舞弥「あ、あっち……」プルプル
セイバー「わかりました!!」シュッバ
アサシン「まて!!」シュッバ
舞弥「切嗣……あとは……まかせました……」ガクッ
雁夜「う……うごぉ……くそ……ここまでか……!!」ガクリッ
桜「……」
綺礼「はっ!!」ドガァ
切嗣(化け物か……!!)
綺礼「む……!?」
セイバー「―――きりつぐ!!!!」
切嗣「!?」
セイバー「んぐぅぅ……!!!」
切嗣「んっ……!!?!!」
セイバー「―――よし」ツヤツヤ
切嗣「ぐ……ここまで魔力を……」ヘナヘナ
綺礼「しまった……!!!」
セイバー「エクス―――」
アサシン「「「みつけたぞ!!!」」」バッ
セイバー「一塊で行動しているのが仇になりましたね……!!―――カリバァァァ!!!!」ドォォン
アサシン「「「うわ―――!!!」」」
セイバー「切嗣……もう一度……んっ……じゅるる」
切嗣「?!?!?!!」
綺礼「させるか!!」
セイバー「くっ!!情事の邪魔をするとは……いい度胸ですね」
綺礼「もう手遅れか……聖杯が姿を現す……」
セイバー「そうか……今ので……!!!」
セイバー「やりました!!切嗣!!!私たちの勝利です!!」
切嗣(そうか……アイリはこうやって弱っていったのか……)
切嗣(セイバー……許せない)
セイバー「願い事を―――」
切嗣「セイバー……令呪を用いて命令する」
セイバー「え?」
切嗣「聖杯を……破壊しろ」
セイバー「な……どうして……!!!」
切嗣「……」
セイバー「これは立派な裏切りです!!」
セイバー「私は今まで騎士として尽くしてきたのに……!!」
切嗣「その所為で……アイリも舞弥も失った」
セイバー「……」
切嗣「……」
セイバー「切嗣……私は悲しい……」
切嗣「……」スタスタ
セイバー「きりつぐぅ―――!!」
切嗣「アイリ……すまない……」
切嗣「だが……これで終わりじゃないな……」
切嗣「セイバーのエクスカリバーで一面、焼け野原だ……」
切嗣「死人も多いだろう……」
切嗣「……」
士郎「そうか……切嗣が……」
セイバー「はい。話せたのは最後だけでした」
士郎「……」
セイバー「では……士郎」
士郎「まて……」
セイバー「先の戦闘で消耗してしまっているので」
士郎「いや……」
セイバー「失礼します」
士郎「まってくれ―――」
イリヤ「セイバー!!!!!」
セイバー「?!」
士郎「え?!」
イリヤ「見つけたわ……セイバー……!!」
セイバー「イリヤスフィール……?」
バーサーカー「■■■―――!!」ドォォン
セイバー「シロウ!!下がって!!」
士郎「イリヤ……!!」
イリヤ「やっぱりここにいたのね……ふふ」
セイバー「直接乗り込んでくるとは……いい度胸です」
イリヤ「お母様の仇よ……」
セイバー「は?」
イリヤ「殺しちゃえ!!バーサーカー!!!!」
バーサーカー「■■■■―――!!!!!!」
セイバー「シロウ!!キスを!!!」
イリヤ「させないで!!!」
バーサーカー「■■■■―――!!!!!!」ドォォォン
セイバー「ぐはぁ!!!」
士郎「セイバー!?」
セイバー「シロウ……き、す……を……」
士郎「あ、ああ……」
イリヤ「お兄ちゃん?」
士郎「え……」
イリヤ「ん……」
士郎「んぐ……!?」
セイバー「な……に……」
イリヤ「ふふ……」
士郎「……」
セイバー「シロウ……!!!シロウ!!!」
イリヤ「お母様もキリツグも駄目にした貴女を……私は許さないわ……」
セイバー「な、んのことですか……!?」
イリヤ「バーサーカー?」
バーサーカー「■■■■―――!!!!!!」プチッ
士郎「ああ」
イリヤ「セイバーとキスするよりも私としたほうが絶対に気持ちいいから……」
士郎「そうだな……」
イリヤ「バーサーカー、帰るわよ」
バーサーカー「……」コクッ
イリヤ「じゃあね……キス王さん」
セイバー「ぐふっ……」
イリヤ「……これでいい」
イリヤ「もう私は何もいらないわ……」
イリヤ「シロウ、これからはずっと一緒だよ?」
士郎「うん……そうだな……」
―――BADEND
Entry ⇒ 2012.01.29 | Category ⇒ FateSS | Comments (0) | Trackbacks (0)
アスカ「(つ・ω・)つ」
アスカ「だっこ神拳」
シンジ「え。なに??」
アスカ「この構えを取られると、シンジはだっこせずにいられないという―――」
シンジ「……」
http://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/internet/14562/1326213430/
アスカ「(つ・ω・)つ」
シンジ「えっと……あのさ。アスカ」
アスカ「(つ´・ω・)つ」
シンジ「はぁ……だっこするからこっち来て」
アスカ「ほーら効いた。もう、バカシンジはしょうがないわね~」
アスカ「んー」ゴロゴロ
シンジ「アスカ、そのナントカ神拳だけど」
アスカ「ん?」
シンジ「僕が忙しい時は使わないでね? ご飯の前とかさ」
アスカ「なんでよっ」
シンジ「お願いだから」
アスカ「むぅ。ま、勘弁してやるわ」
シンジ「ありがと……」
アスカ「んんー」ゴロゴロ
ガラガラ
アスカ「ふぁぁ。ミサトは?」
シンジ「昨日は遅かったみたいで、まだ寝てる」
アスカ「(つ・ω・)つ」ヤッタ!
シンジ「……いや、ほら。朝は時間無いから。ね?」
アスカ「(つ・ω・)つ」チョット
シンジ「……」
ぎゅぅ
アスカ「ふふ」
シンジ(アスカ、さすがに授業中は大人しくて助かった。ヒヤヒヤしたけど)
シンジ(……屋上、いつでも入れるってどうなんだろ。この学校って安全管理が結構いい加減だよな)
シンジ(おかげで日向ぼっこできるからいいか―――)
ギィ
シンジ「?」
アスカ「シンジ。こんなとこいたのね」
シンジ「うん。なに?」
アスカ「別にぃ」
シンジ「……」
アスカ「⊂(・ω・⊂)」
シンジ「やっぱり」
アスカ「じゃ、いいわよ。そのまま寝てても」
ドサッ
シンジ「ぶげっ」
アスカ「なによぶげって。失礼ねー、私が重いみたいじゃない」
シンジ「だって……もう少し丁寧に乗っかってよ!」
アスカ「身体鍛えなさいよ。ん~」ゴロゴロ
シンジ「はぁ」
アスカ「……」ゴロゴロ
シンジ「……」ナデナデ
ミサト「お疲れさま、3人とも。もう上がっていいわよ」
更衣室
シンジ「アスカ、まだ?」
アスカ『女子の着替えを急かすんじゃないわよ、スケベ』
シンジ「スケベは関係ないだろ」
アスカ『おし。シンジ、ちょっと入ってきて』
シンジ「更衣室に?」
シンジ「なにアスカ」
アスカ「(つ・ω・)つ」アチョー
シンジ「……まぁそんな予感はしたんだ。構えたまま待ってるとは思わなかったけど」
アスカ「(つ`・ω・´)つ」アチョチョー
ぎゅぅ
アスカ「ふぁ」
シンジ(うっ。女子更衣室で女の子だっこしてると、ちょっと意識しちゃうな……)
アスカ「にゃふ」グリグリ
プシュッ
シンジ「ッ!?」
アスカ「あ」
レイ「……」
シンジ「あ、いやあの! これはっ」
アスカ「ファースト、あんた帰ったんじゃなかったの!?」
レイ「忘れ物―――なにしてたの?」
シンジ「えっと……」
アスカ「勘違いしないでよねスケベなことじゃないんだから! だ……だ、だっこ神拳よ」
レイ「? なにそれ」
アスカ「なにって。構えられると……バカシンジはついだっこしちゃうっていう……拳法で」
シンジ(アスカ真っ赤だ。改めて説明するとすごく恥ずかしいもんな……)
レイ「それをすると、さっきみたいになるの?」
アスカ「ま、まぁ。そういう事」
レイ「……」
シンジ「え?」
レイ「だっこ神拳。それをすると、碇君にだっこしてもらえるのね?」
シンジ「えええ」
アスカ「ダメぇっ!」
レイ「どうして?」
アスカ「どうしてじゃないわよ。あんたはダメ」
レイ「なぜ? 碇君にだっこしてもらうだけなのに」
アスカ「うっさい! ダメったらダメ!!」
レイ「私が碇君にだっこされると、あなたに不都合があるの?」
アスカ「うっ……別に……誰がシンジにだっこされたって……」
レイ「なら邪魔しないで」
アスカ「う、ぐぅぅ」
レイ「(つ・ω・)つ」コウ?
アスカ「うー、うー」
シンジ(ど、どうしよう。これは……だっこしてもマズいけど、神拳効かないってのもマズいような)
レイ「(つ・ω・)つ」マダ?
シンジ(どうしようどうしようどうしよう)
アスカ「だ……だから! それじゃダメなの!!」
レイ「?」
アスカ「だっこ神拳はそんな簡単なものじゃないんだからっ」
シンジ「へー」
レイ「そうなの?」
シンジ「え。うん……多分まぁ。そうみたい」
アスカ「残念だったわねーファースト」
レイ「師匠」
アスカ「……は?」
レイ「今日から弐号機パイロットのことを師匠と呼ぶわ」
アスカ「し、師匠!?」
レイ「私にだっこ神拳を教えて。師匠」
アスカ「師匠……」
シンジ(うわ。アスカの目がキラキラしてる)
レイ「よろしくお願いします」
アスカ「うむうむ。苦しゅうない」
シンジ「なんだこれ」
レイ「で、何をすればいいの?」
アスカ「え……? そーねえ。とりあえず今日は帰りなさい、遅くなるし。修行は明日から」
レイ「早く覚えたいわ」
アスカ「師匠の言うことに逆らわない!」
レイ「……はい。碇君、師匠、さよなら」
プシュッ
アスカ「ふっふっふ。とうとうあのファーストを支配下に置く日が来たのね」
シンジ「ねえアスカ。いいの? 教えるなら、最終的には綾波のこともだっこしなくちゃいけないけど」
アスカ「あ……」
アスカ「いただきまーす」
シンジ「どうぞ」
アスカ「(´・ω・`)」モキュモキュ
シンジ「……アスカってもきゅもきゅって感じで食べるよね」
アスカ「なにそれ。バカにしてんの?」
シンジ「違うよ。どっちかって言うと、可愛いなーと思って」
アスカ「ふん」
シンジ「……」
アスカ「(´・ω・`)」モキュモキュ
シンジ(もきゅもきゅしてる)
シンジ「ところでさ。綾波に修行つけるって、何するか決めてるの?」
アスカ「あったり前じゃない! バッチリ考えてあるわよ」
シンジ「ふーん」
アスカ「(´・ω・`)」モキュモキュ
アスカ「じゃ、始めるわよファースト……いえ、レイ!」
レイ「はい」
アスカ「私の弟子の練習のために、特別にこんな物を用意したわ」
ガサッ
シンジ「何これ?」
アスカ「バカシンジの身代わり」
シンジ「身代わりって。ただのダンボールじゃないか」
アスカ「はっ、あんたバカぁ!? 裏っかわ見てみなさいよ」
シンジ「……紙が貼ってある」
シンジ「……」
レイ「……」
アスカ「どー見てもバカシンジの身代わりでしょ?」
シンジ「ただ貼ってあるだけ!?」
アスカ「なによ文句あるの? だっこ神拳継承への道は険しいんだから」
レイ「私―――やります。師匠」
アスカ「うむ!」
レイ「(つ・ω・)つ」コウ?
アスカ「(つ`・ω・´)つ」シンジ!
シンジ「はいはい」
ぎゅっ
アスカ「はぅ」
レイ「(つ・ω・)つ」…
アスカ「ほら、レイは身代わりシンジに抱きつく!」
レイ「はい」ガサッ
シンジ「はぁ」
アスカ「(つ・ω・)つ」アチョー
レイ「(つ・ω・)つ」アチョー
ぎゅぅ
アスカ「ふにぁぁ」ゴロゴロ
レイ「……」ガサガサ
アスカ「なぁにぃ♥」
シンジ(上機嫌だな……)
シンジ「これってなんだかさ、綾波が……その」
レイ「……」ガサガサ
シンジ「可哀想って言うか……僕が言うのもヘンだけど」
アスカ「しょーがないじゃない修行なんだから」
レイ「……ありがとう碇君。碇君にだっこしてもらえるよう、私頑張る」
シンジ「綾波。でも」
レイ「師匠、続けてください!」
アスカ「う……っ」
レイ「はい」
ぎゅぅぅ
ガサガサ
アスカ「ん~」
レイ「……」
アスカ「んん~」
レイ「……ぁ」ポタッ
シンジ「!?」
レイ「私……泣いてる。これが涙」
シンジ「綾波っ」
レイ「大丈夫。まだやれるわ。師匠、お願い」
アスカ「う、ぅぅっ」
シンジ「アスカぁ」
レイ「師匠!」
アスカ「ああもう! 分かったわよっ、免許皆伝してシンジにだっこさせてあげるわ!」
レイ「はいっ」
シンジ「……」
アスカ「なによその顔」
シンジ「ううん、なんでも無い」
シンジ(その条件ってほとんど意味ないっていうか、どーせほぼ一日中アスカと一緒なの忘れてるな)
アスカ「ふ。私って弟子想いね」
アスカ「(つ・ω・)つ」チョンワ
シンジ「よいしょ」
ぎゅぅ
アスカ「んふ~」
レイ「⊂(・ω・⊂)」コッチモ
シンジ「順番にね」
ぎゅぅ
レイ「はぁぁ」
アスカ「(つ・ω・)つ」コウタイ!
シンジ「はいはい」
シンジ(ふう。さすがにちょっと、腕疲れてきたな)
アスカ「シンジー」ゴロゴロ
レイ「碇くん……」ゴロゴロ
シンジ(……ま、いいか)
ミサト『三人とも、聴こえてる?』
レイ「はい」
アスカ「バッチリ」
シンジ「はい!」
ミサト『目標の使徒は、5時間前から観測でもこれといって動きも見せていないわ。でもこちらかの遠距離射撃も効果がない』
アスカ「突っ込めば?」
ミサト『そうしたいところだけどね』
シンジ「ダメなんですか?」
ミサト『近距離では、エヴァの装甲でも役に立たないこわ~い武器を持ってることを確認済みよ』
アスカ「じゃあどうすんのよ」
リツコ『悪いけど、目標を監視しつつしばらくその位置で待機』
アスカ「え~」
ミサト『今、仕掛けるきっかけを作るための無人機を戦自から調達させてるわ』
シンジ(使徒がそれまで待っててくれるとも限らないし)
~~~~
アスカ「ミサト! まだなの?」
ミサト『戦自が渋ってんのよ。悪いけどまだしばらく―――ただ、緊張は解かないで』
シンジ(……待つだけって、結構キツいや)
アスカ「うぅ~~っ」
シンジ(アスカ。だいぶイラついてる……な!)
弐号機「(つ・ω・)つ」
ミサト『な、なに??』
シンジ「アスカぁ!?」
マヤ『零号機も動き出しましたっ』
零号機「⊂(・ω・⊂)」
シンジ「綾波までっ!?」
零号機「⊂(・ω・⊂)」ダッコナノ
ミサト『なにこれ、なんなの???』
弐号機「(つ・ω・)つ」アチョー
零号機「⊂(・ω・⊂)」アチョチョー
シンジ(あ、あれしたらだっこしてもらえるって―――二人は(勝手に)信じてるわけで……)
シンジ(でも今の状況でされてもっ! でもいまさら期待を裏切るのもっ!)
弐号機「(つ´・ω・`)つ」
零号機「⊂(´・ω・`⊂)」
シンジ「あああああああ……」
ミサト『酢?』
シンジ「す、す、隙ありいいいいいいいいっっ!!!」
ドダダダダダダッ!
ミサト『えええ?』
リツコ『特攻!?』
ミサト『ちょっ。シンジ君、どうしたのッッ!?』
シンジ「うぉぉぉああぁぁぁぁぁーーー!」
ザシュッ!
シンジ「ぐぅっ…………く。このぉぉっっ!!」
ガキッ! ザクッッ!
シンジ「あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!!」
―――ぐしゃっ
マヤ「も……目標、沈黙しました」
青葉「隙がどうとか叫んでましたね」
日向「使徒と直接対峙してきたパイロットにしか理解できないような隙があったってことか?」
マヤ「まさか」
リツコ「ひょっとして……」
マヤ「先輩?」
リツコ「シンジ君は、天と地と万物を紡ぎ相補性の巨大なうねりの中で自らエネルギーの疑縮体に―――」
ミサト「あーはいはい」
リツコ「―――純粋に人の願いを叶える、ただそれだけのために」
ミサト「ま、赤木博士ぇの発作は置いといて。当のシンちゃんは?」
日向「使徒を殲滅直後、初号機から飛び出て走って行きました」
ミサト「はぁ??」
アスカ「シンジ」
レイ「碇君。大丈夫?」
シンジ(エヴァの陰なら人に見られない……かな?)
ぎゅっ
アスカ「ん、にゃふふ」
シンジ「ほら。綾波も」
ぎゅっ
レイ「あぁ♥」
シンジ「……」
シンジ「……」
レイ「どうかしたの?」
シンジ「あのさ……僕、言っておいただろ!? 忙しい時は神拳ダメだって」
アスカ「だって忙しくはなかったわよねー、レイ。じっとしてただけだし」
レイ「むしろ退屈だったわ」
シンジ「はぁ……もうっ!」
アスカ「むぅ。シンジが部屋に閉じこもっちゃった……」
レイ「あの後葛城三佐と、碇司令からも厳重注意を受けたみたい」
アスカ「おっかしーわねー、何がいけなかったんだろ」
レイ「やっぱりあのタイミングでだっこ神拳は……」
アスカ「あんたもやったじゃない」
レイ「師匠が先にやったから」
アスカ「……」
レイ「……」
レイ「どうするの?」
アスカ「そうねぇ。誰かを喜ばせるにはまず、自分がされて嬉しいことを考えればいいんじゃない?」
レイ「されて嬉しいこと……」
アスカ「シンジー」
レイ「碇君。起きてる?」
シンジ『……しばらく休ませてよ。疲れちゃった』
アスカ「だから癒しにきてあげたのよ」
シンジ『?』
ガラガラ
シンジ「……なに?」
アスカ「ふっふふ。いっつもだっこさせてるから、たまにはあんたをだっこしてあげる」
レイ「あげるわ」
アスカ「なぁに遠慮してんのガキのくせに」
シンジ「同い年だろ」
アスカ「だっこされてるとねー、心が『フワ~』っとなるんだから」
シンジ「ふわー……」
アスカ「ってことでホラ、あれやんなさい」
シンジ「あれって…………アレを!? 僕も!?」
レイ「碇君ならきっとすぐ出来るわ」
シンジ「えぇぇ……」
アスカ「さぁっ、さっさとする!」
アスカ「は・や・く!」
シンジ「ううっ」
アスカ「……」ジーッ
レイ「……」ジーッ
シンジ(に、逃げられない。逃げちゃダメ、なのかなぁ)
レイ「上手!」
アスカ「よし。いい感じよシンジ。も少し指をぴんとして、それで『アチョー』って」
シンジ「(つ・ω・)つ」ア、アチョー
アスカ「よく出来ました! はいだっこー」
むぎゅぅ
シンジ「うわっ!?」
アスカ「んふふ。いーこいーこしてあげますからねーシンちゃん」
シンジ(む、胸が、顔にっ。ムニってうぁぁ)
アスカ「……」ナデナデ
シンジ「///」
アスカ「却下! これは絶対私だけなの」
レイ「……そう。なら私は、師匠にだっこされてる碇君にだっこされてるわ」
シンジ「え。でもどうやって」
レイ「こうして……」
むぎゅぅ
レイ「はぁ。碇くん」スリスリ
アスカ「あ、ちょっとコラっ」
レイ「碇くん……」スリスリ
アスカ「レイ、それただ抱きついてるだけじゃない! シンジ癒しに来たんでしょ!?」
レイ「……駄目?」
シンジ「い、いやまぁ……構わないけど」
アスカ「どぉシンジ。癒される?」
シンジ「ぅ……うん」
アスカ「ホワァ~ってなるでしょ」ナデナデ
レイ「あったかい」スリスリ
シンジ「……」
シンジ(いい匂いがする―――二人共、柔らかくてあったかくて)
シンジ(なんだか、ホントにほわぁってしてきた……)
ミサト「たっだいまー」
ペンペン「クェェ!」
ミサト「ただいまペンペン。シンジ君たちは?」
ペンペン「クェッ」
ミサト「ん?」
トタトタ
ミサト「……おやまぁ」
レイ「スゥ」
シンジ「スー、スー……」
ミサト「見事にひと塊で寝てるわねぇ。仲のよろしいことで」
ペンペン「クエェ?」
ミサト「あ。起こさなくていいわよ、ペンペン。それより布団かけてあげなくっちゃ」
おわり
よかった
新しく出来たSS深夜VIPのSSです
いろんなSSがあるので是非見てください!
SS深夜VIP
Entry ⇒ 2012.01.29 | Category ⇒ エヴァンゲリオンSS | Comments (0) | Trackbacks (0)
星奈「えへへ~♪夜空だーいすき!」夜空「や、やめろ肉!!」
星奈「よ~ぞ~ら~♥」
小鷹「なんだこの新鮮な光景は…」
理科「あーこれたぶん理科のせいだと思います」
小鷹「は?」
理科「フフフ…ついに完成しましたよ【ヒトメデスキニナールZZ(ダブルゼータ)】!!」
理科「見た目は普通のコ力・コーラ…だがしかしその実体は!飲むと最初に目に入った人物を死ぬほど好きになってしまうトンデモ薬!!」
理科「これを机に放置し、小鷹先輩が最初にやって来て飲んだ瞬間!クローゼットから飛び出し先輩の視界に入れば!」
理科「先輩は理科の虜になる…ふふ、完璧です」
理科「ではしばらく隠れて待ってみましょう」
理科(こ、小鷹せんぱ……ってあれ?星奈先輩?)
星奈「あ、コーラあるし。ちょうどノド渇いてたのよねー」ゴクゴク
理科(なん…だと…)
星奈「え、なにこれ…なんか身体が熱くなってきちゃ…」
ガチャ
夜空「……ん?」
星奈「あ。よ…ぞら…」フラリ
星奈「夜空………スキ」
夜空「ぶっ」
夜空「き、貴様何を言って」
星奈「大好き……愛してる、夜空///」
夜空「」
小鷹「なるほど、その変な薬を飲んだ星奈が最初に見たのが夜空だったってわけか」
理科「いやーまさかこんな展開になるとは」
理科「まーでも意外とこういうのも理科的にはアリかなと思ったり」ニヤ
小鷹「お前絶対楽しんでるだろ…」
星奈「ねぇーぎゅってして!よぞらぁ~♪」
夜空「するかバカ!!」
夜空「あーもうやかましいぞ駄肉が!!」
ベチコン!←ハエ叩きの音
星奈「よ、よぞr」
ベチコン!!
夜空「まったく鬱陶しい腐肉だ…」
星奈「い、いひゃい……」ウルウル
夜空「へ」
夜空「ちょ」
理科「あー夜空先輩泣かしたー」
夜空「いや待て!これは肉が身の程をわきまえずになれなれしくしてきたからであって」
小鷹「でも星奈のヤツ本気で泣いてるみたいだぞ」
星奈「ひぐっ……ひっく、ひっく」ポロポロ
夜空「ぐ…」
星奈「ふぇ?」
~~~~~~~~~~~
夜空「……どういうつもりだ?」
星奈「夜空ぁ……スキ♪」ベタベタ
夜空「それはもういい!!」
夜空「ふざけるのも大概にしろ。私は貴様の戯れに付き合っている暇はないのだ」
夜空「まったく……肉は肉らしくいつも通り気持ち悪いニヤケ顔で破廉恥なゲームでもしてればいいものを」
星奈「……かえる」
夜空「ああ、さっさと帰れ、豚肉」
星奈「あたし、夜空といっしょに帰る!!」
夜空「…………は?」
星奈「……」ウルウル
夜空「捨てられた子犬のような目で私を見るなっ!!」
星奈「……」ウルウル
夜空「う、ぐぐ……ぐ……」
夜空「チッ……仕方ない。い、一回だけだからな!後にも先にも一回だけだぞ!!」
~~~~~~~~~
夜空「というわけで、先に帰る」
星奈「えへへ、よぞら~///」デレデレ
小鷹「よ、夜空と星奈が二人で帰る、だと…」
理科「明日は地球終了するんじゃないですかね…」
夜空「……」←不機嫌
星奈「~♪」←すごく上機嫌
夜空「はぁ……どうしてこのバカ肉と帰らなきゃならないのか」
星奈「よーぞーらー♪」ギュ
夜空「え」
星奈「えへへ、夜空の手あったかーい///」
夜空「な、なななななにをする変態肉!!!」
夜空「脂ぎった手で気安く私の手を触るんじゃないっ、こ、この油肉!!」ドキドキ
星奈「むー」
夜空「だ、だいたい女同士で手をつなぐとか……いったい何を考えて…///」
星奈「えへー♥」ギュ
夜空「話を聞け!!」
星奈「~♪」
生徒A「ね、ねぇあの二人ひょっとして」ヒソヒソ
生徒B「金髪と黒髪の美少女のカップル…実に絵になりますわね」ヒソヒソ
夜空(め、めちゃくちゃ注目されてるしっ///)
夜空「お、おい走るぞ肉!!」ダッ
星奈「よ、よぞら?」
夜空「まったく、今日は災難な日だ…っておい肉、貴様バス逆方向だろう」
星奈「だってあたし夜空と一緒に帰りたいもん」
夜空「知るか!!……ついてくるなよ、いいか絶対ついてくるなよ」
バス車内
夜空「……」
星奈「~♪」←ちょっと離れたところで上機嫌にしている
夜空(に・くぅぅぅぅ……)
夜空「……」チラ
星奈「えへへへ♪」
夜空「ついてくるなと言っただろう!このアホ肉め!!」
星奈「!」ビクッ
星奈「よ、よぞらぁ……」ウル
夜空「う……と、とにかく私はこれから本屋に用があるのだ!これ以上貴様の相手をする気はない」
星奈「…」
夜空「ふん」スタスタ
夜空(少し小腹も空いたな…ファミレスにでも寄るか)
ファミレス
店員「いらっしゃいませー!何名様ですか?」
夜空「1名」
夜空(ふっ…一人ファミレスはもうとっくに慣れてしまった)
夜空「は?」クルッ
星奈「ついてきちゃった♪」
夜空(こ、このぞぬ肉め…!)
夜空「………………1名で」
店員「えっと……」
星奈「……」ウルウル
夜空「あーっ!もう2名でいい!!」
星奈「あたしこのスペシャルストロベリーパフェ!!」
夜空「……ショートケーキのセットで」
店員「かしこまりました」
夜空「はぁ……」
店員「お待たせいたしました。スペシャルストロベリーパフェでございます」
夜空「また無駄に派手なデザートだな…貴様に相応しい残念スイーツと呼んでやろう」
星奈「いただきまーす♪」
夜空「……」ズズズ←コーヒー飲んでる
星奈「ねー夜空?」
夜空「あ?」
星奈「はい、あーん♥」
夜空「ぶっ!!」
星奈「ふぇ?」
夜空「な、なぜ貴様に…その、あ、あ~ん…をしてもらわないといけないのだ」ドキドキ
星奈「……?」
星奈「じゃあ、あたしにあ~んしてくれるの?えへへ♪」
夜空「するかっ!」
夜空「はいはい、うるさいうるさい」
星奈「ねぇ~やってよ~」
夜空(一体こいつは何を考えているのだ…今時普通のカ、カ、カップルですらそんなことしないぞ…)
星奈「ねえってばー」
夜空「……」ズズズ
星奈「や~だ~!あ~んしてくれないとやだやだやだやだやーだー!!」ジタバタ
夜空「駄々っ子か貴様は!!」
夜空(…はっ!まずい…こんな場所で変に注目されるなんて冗談じゃない)
星奈「やだやだやだ」ジタバタ
夜空「静かにしろバカ肉!く…うぐ……しょうがない……」
夜空「はなはだ不本意で…まったく気が進まないが…と、特別に貴様に食べさせてやる」
星奈「ほんとにっ!?」
夜空「あ、ああ…」
夜空「あーもううるさい。さっさとやるぞ」
星奈「♪」←口を開けて待っている
夜空(なんという嬉しそうな表情…というかまさか私が肉にあーんをする日が来ようとは…)
夜空「ほ、ほら」ドキドキ
星奈「むー。それじゃダメ!…あ~んってやって?」
夜空「こ、このワガママ挽き肉め…」
星奈「♪」
夜空「あ、あ~~ん………」ソローリ
夜空(なんだこれ…は、はずかしすぎる…///)
星奈「はむ」パクッ
星奈「おいふぃ♥」モグモグ
夜空(顔が火照ったように熱い…なんなのだこの感情は…)ドキドキ
夜空(わ、私が肉に対して変な気持ちを抱くなんて万が一にもありえない)
星奈「えへへ!お返しに夜空にもあ~んってしてあげる♪」
夜空「い、い、いいいいいるかそんなもの!!」
夜空「だ、だいたい私たちは女同士なのになんでそんなキモイことを」アセアセ
星奈「夜空……あたしのことキライ?」
夜空「うぐっ!」
夜空「あ、ああ嫌いだ!そもそも私は今まで一度たりとも貴様に好意を持ったことはない!」
星奈「え」
夜空「まったく貴様と同じ空気を吸ってるだけで嫌気が差す…憎憎しい肉だ」
星奈「……ひぅ……ぐすっ……」ポロポロ
夜空(ってまた泣・い・て・る・し!!)
夜空「あ、いや、その…」
夜空「嫌い、ではあるんだが、その、本気で嫌いというわけではなくて、だな」アセアセ
星奈「じゃあスキってこと!?」
夜空「どうして貴様はそうポジティブに物事を考えられるのだ…」
星奈「恥ずかしがらなくてもいいのに♪はい、夜空、あーん♥」
夜空「ああ、もうっ!」
夜空「……早くしろ」
星奈「えへへ!はい、あ~ん♪」
夜空(うう……は、恥ずかしくて死ぬ……!///)
星奈「どう?」
夜空「…///」モグモグ
星奈「夜空、あたしと間接キスしちゃったね♪」
夜空「ぶふっ!」
星奈「あ、あたしたちキス…しちゃった…///」
夜空「【間接】を抜くんじゃない!こここ、この変態肉!!」ドキドキドキ
~離れたテーブル席~
理科「うわーゆりゆりじゃのう」
小鷹「こっそりついてきてみたらとんでもないものを見てしまった…」
理科「にしても夜空先輩と星奈先輩、どっちが受けなんですかね?」
小鷹「しらねえよ…」
店員「ありがとうございましたー」
夜空「はぁ…」
夜空(結局、ケーキの味もほとんどわからなかった…周囲の客共は興味津々で見てくるし…)
星奈「ねーねー夜空!次はどこ行くの?」
夜空「私は本屋に行くつもりだが、貴様はついてくるな…と言ったところでどうせ無駄なんだろうな」
星奈「♪」ワクワク
夜空「やれやれ…」
夜空(いつもここの店は空いてるな。人が多いとそれだけで息苦しく感じるからな…ありがたい)
夜空(さて、あのファンタジー小説の新刊は、と)
星奈「じー」
夜空「な、なんだ肉…」
星奈「ねー夜空ってこういうのは読まないの?」ヒョイ
夜空(パ、パンツ丸出しの女が男に抱きついている…破廉恥な…。ライトノベルか?)
星奈「ふぅん。じゃあ夜空はどんな本が好きなの?」
夜空「少年まんg…じゃなくて!ファ、ファンタジーとかミステリーとか…まぁそういうジャンルの一般小説だな」
夜空「貴様もライトノベルばかり読んでないで、普通の小説も読んでみたらどうだ?そしたらその残念な脳みそも少しは改善されるかもしれないぞ」
星奈「むー」
夜空(あ、これは太宰の…)
夜空(……)
夜空(ふぅ…走れムロスはやはりいいものだ)
星奈「夜空っ♪」ヒョコ
夜空「うわっ!…ってびっくりさせるな、このアホ肉!」
星奈「それあたし知ってる!確か主人公が友達との約束を果たすために一生懸命走るのよね!」
夜空「別に走ることが主題ではないんだが…というかこの有名作品を知らない日本人なんていないだろう」
夜空(互いに信頼しあえる友達……か)
星奈「?」
夜空「さて用も済んだし、帰るk」
星奈「♪」ワクワク
夜空「まだついてくる気か貴様は…もうほとんど日も暮れているというのに…」ウンザリ
近くの公園のベンチ
星奈「パパに電話したら、おっけーだって!」トテトテ
夜空「ああそう…」
夜空(親にいちいち許可を取るとか…私としては肉に問答無用のNGを突きつけて欲しかったが)
星奈「となり、いい?」
夜空「……勝手に座れ」
星奈「えへへ♪」チョコン
夜空「さむっ!」
夜空(なぜ私はこんなクソ寒い中、肉と一緒にベンチに座っているのだろう…)
夜空「……」スッ
星奈「どこいくの?」
夜空「ちょっとコーヒー買ってくるだけだ」
夜空「……ほれ、肉」ポイッ
星奈「わっ?……夜空?」
夜空「私のおごりだ、ありがたく思え」
星奈「えへへ、ありがと~♪」
夜空「だ、だから抱きついてくるなと言ってるだろう!///」
星奈「あ、そうだ!」
夜空「?カバンから何を…」
星奈「じゃーん!」
夜空「マフラーか…で、それがどうしたというのだ?」
夜空「な、なにをする肉!っておい、こ、こら!」
星奈「えへー、どう?」
夜空(い、一本のマフラーを二人で…って距離が近い!)ドキドキ
星奈「まるでカップルみたい♥」
夜空「な、な、なにバババカなことを言っているのだ貴様は!///」
夜空(しかし…悪い気はしない…なぜだ)ドキドキ
夜空「へ」
星奈「夜空の髪、さらさらしてるー♥」
夜空「バ、バカ!!やめろ!!///」
夜空(さらさら…当然だ。これでも髪には結構気を遣っている…店員はウザイが、美容院にも行ってるし)
夜空「まったく…許可もなく勝手に私の髪に触れるとは。ゆるさん」
夜空「貴様の髪もくしゃくしゃにしてやる」ワシャワシャ
星奈「わ!わふ~♥」
夜空(犬かコイツは…)
なんだこれ
ニヤニヤしちまうじゃねーか
夜空「……今から言うことは、ただの独り言だ。聞き流せ」
星奈「?」
夜空「ある学校に一人の美少女がいました」
夜空「彼女はクラスでは孤高の存在でしたが、ある日偶然にも10年ぶりにかつての親友と再会を果たしました」
夜空「聡明な彼女はかつての親友と二人きりで過ごす時間を作るために、新しく部活を始めることにしました」
夜空「この素晴らしいプランは、何事もなくうまくいく…はずでした」
夜空「少女はその邪魔者をたいそう憎みました。そりゃもう肉肉しいくらいに」
夜空「彼女は、そいつをイジり倒しました。1日に必ず1回はイジり倒さないと気がすまないレベルでした」
夜空「……しかし、驚くことに、部活を続けるうちに彼女の心の中で感情の変化が起こってきました」
夜空「最初はただの邪魔者でしかなかったそいつが…彼女にとって、何か特別な存在になってきたのです」
夜空「彼女は、そいつがいないと何か物足りない…満たされない。そう思うようになりました」
夜空「本当は、そいつのことが…」
星奈「夜空?」
夜空「……///」
星奈「ひょっとして、そいつって……あたしのこと?」
夜空「べべ別に誰とも言ってないだろう!!というか独り言に野暮な質問をするな!!」アタフタ
夜空「うぅ…」
星奈「…………ちゅっ♥」
夜空「え」
夜空「ひ、人のデコに何をするのだ貴様は!!!///」
星奈「夜空がかわいすぎるから、デコチューしちゃった!」
夜空「なんというは、破廉恥な…むぐ、あうぅ……///」ドキドキ
夜空「おい、肉!!」
星奈「なにー?」
夜空「…………………好きだ」
星奈「えっ」
夜空「お前のことが……大好きだ」
星奈「ふぇ?よ、よぞ、ら?」
おせーよ
夜空「ああ」
星奈「ちょ、ちょっと待って、あ、あたし…///」
夜空「って嘘に決まってるだろう!騙されたなバカめ!!HAHAHA」
星奈「えー!!」
夜空「普通に考えれば私が貴様を好きになるはずがないだろう!この単細胞肉め!!」
星奈「もー!ばかぁ!!」ポカポカ
星奈「え?」
夜空「ふ、ふん…」←髪の毛いじってる
星奈「うん、あたしも楽しかった!ありがと、夜空♪」ニッコリ
夜空「…///」
夜空(だ、だからなんで肉の笑顔ごときでこんなにドキドキしないといけないのだ!!)
星奈「えへへへ♪」
夜空「う…むぅ…///」ドキドキ
夜空(昨日はいろいろ大変だったな…最後は肉の家の執事が迎えに来てくれて助かったが…)
夜空(まぁ、薬の効果はさすがに切れてるだろう)
ガチャ
星奈「……」←パソコンでエロゲやってる
夜空(はぁ……よかった)
夜空(だがなぜだろうか…ほんの少し残念な気がしなくもない…)
星奈「あっ!やっと来たわね理科!!あんた昨日あたしに変な薬飲ませたでしょ!!」
理科「いや、そんなキレられても…星奈先輩自分からグイッと飲んだじゃないですか」
星奈「やっぱりあんたの仕業だったのね!あれ飲んだら突然身体が熱っぽくなって、気付いたら家のベッドで寝てたし…なんなのよいったい!」
夜空「……なに?」
星奈「なによ」
夜空「肉……貴様もしかして覚えてないのか?」
星奈「は?何のことよ?」
夜空「…………ちょっと来い」
星奈「な、なによ急に!?ていうかあたし今夏海ルート攻略してる最中」
夜空「駄肉の分際で口答えするな。早く来い」
夜空「貴様、薬を飲んだ後まったく何も覚えてないのか?」
星奈「しっつこいわねー、記憶にないって言ってるでしょうが」
夜空「なん…だと…貴様が豹変してから私は大変な目にあったのだぞ…」
星奈「へ?豹変?あたしあんたに何かしたの?」
夜空「わ、私がとてつもないショックを受けたというのに貴様だけケロッとしているなど許しがたい!いいだろう、教えてやる…貴様の残念すぎる振る舞いを…」
星奈「は、はあああああ!?あ、あたしがあんたにデレデレでゾッコンで手つないだりあーんしたり!?」
夜空「ああ」
星奈「しかもそのうえあんたのおでこにキ、キ、キキキキスしたですって!?」
夜空「そうだ。しかも非常に嬉しそうなスマイルをしていた」
星奈「ありえないし!絶対ありえないから!!てゆーかあんたにキスとかうわーキモ!キモッ!!」
夜空「それはこっちのセリフだっ!!あ、あんなこと…思い出すだけで気持ち悪くなる!」
夜空「嘘をついたところで私に何の得があるというのだ…」
星奈「ぎゃあああ~~~~~~~~~!!」
夜空「あれほど残念な肉は見たことがない…恐らく今後もアレを越えるものはないだろう」
星奈「た、確かにあたしあんたのことキライじゃないし、その、ほんのちょっぴりスキ、かもしれないけど…」ボソボソ
夜空「あ?」
星奈「でもさすがに…キスはちょっと…///」
夜空「顔が赤いぞ肉…もしかして貴様、ま、まさかキス以上のことをしたかったのか…普通に引くぞ…」
夜空「ふん……エロゲー脳の貴様のことだ。どうだか」
ギャーギャー
理科・小鷹「……」コソーリ
理科「元の状態に戻っちゃったみたいですね。理科的にはレズレズルートでもよかったんですけど」
小鷹「いや、そのルート行ったら隣人部えらいことになると思うぞ。マジで」
~~~~~~~~~~
星奈(はぁ……それにしても)
星奈(もしあのとき夜空のおでこじゃなくて、唇にキスしていたら…どうなってたのかしら)
星奈(あたしとしては、べ、別にそれでも…///)
夜空(う、背中に妙な寒気が…)ゾクゾク
おわる
星空のイチャイチャをかいてみたかった
あと、無駄に長引いてごめんなさい、保守ありがとうございました。
乙
Entry ⇒ 2012.01.29 | Category ⇒ 僕は友達が少ないSS | Comments (0) | Trackbacks (0)
杏子「さやかが消滅してもうひと月か…」
http://hayabusa.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1327652490/
マミ「そうね…未だに、魔獣との戦いの時になるとどこからか美樹さんが現れるんじゃないかって思うことがあるわ」
ほむら「……」
杏子「こうして、形だけの墓は作ってやったけど…虚しいもんだな」
マミ「美樹さん…どうかゆっくり休んでね……」シュボッ
杏子「………」
マミ「………」
杏子「さ、お参りも終わったし、帰ろっか」
マミ「ええ、そうしましょう」
杏子「そういや、さやかが魔法少女になった時に助けた男って、今はどうしてるんだ?」
ほむら「上条恭介のことね。彼なら、無事退院して今は学校に復帰しているわ」
杏子「恋人にはなれなかったとは言っても、そいつはさやかの親友だったんだろ?」
ほむら「そうみたいね。わたしも彼のことは詳しくないのだけれど」
杏子「そいつはさやかのこと、どう思ってんのかな……」
マミ「一応、世間的には美樹さんは行方不明ということになっているわ。上条さんも、心配しているんじゃないのかしら?」
ほむら「………」
杏子「そいつ、さやかが死んだって知ったらどう思うのかな……」
マミ「親友ですもの、やっぱり悲しむでしょうね」
ほむら「何?」
杏子「そいつにはさ、ちゃんと説明してやった方がいいんじゃねえのかな?」
ほむら「上条恭介に?」
杏子「ああ。」
ほむら「説明って……魔法少女のこととかも、全てってこと?」
杏子「ダメか?」
ほむら「信じてもらえないと思うわよ?」
杏子「そんときゃそん時だ」
マミ「そうね、わたしもそれには賛成よ」
杏子「なんだよ?」
ほむら「言い出したのはあなたなんだから、あなたが責任を持って彼に全てを説明してあげなさい」
杏子「ああ、わかった。明日の放課後、公園で待ってる。そこまで来てくれるように、伝えてくれ」
ほむら「ええ、わかったわ」
ほむら「上条恭介」
恭介「ん?あ、えーと……暁美さん、だったっけ」
ほむら「ええ、暁美ほむらよ。ほむら、でいいわ」
恭介「うん、ほむらさん。それで、僕になにか用?」
仁美「………」ギュッ
ほむら「……ごめんなさい、志筑さん。上条くんと二人で話したいことがあるの。席をはずしてもらえないかしら?」
仁美「え、あ……」チラッ
恭介「僕なら大丈夫だよ」
仁美「……わかりましたわ」
恭介「それで、話って何かな?」
ほむら「…美樹さやかが行方不明になっているのは知ってるわね?」
恭介「! ほむらさんはさやかのこと、何か知っているの?」
ほむら「ごめんなさい、わたしの口から説明は出来ないわ。今日の放課後、公園であなたのことを待っている人がいるわ。そこまで行ってあげてほしいの」
恭介「……どういう、こと?」
ほむら「あなたと話がしたいって人がいるの。大丈夫よ、あなたにはちゃんと彼女がいるってことも知っている人」
恭介「その人が……さやかのことを知ってるってこと?」
ほむら「ええ。美樹さんのことを知りたかったら、そこまで行ってあげて。悪いようにはしないから」
恭介「………」
仁美「さあ、恭介さん、帰りましょう?」
恭介「ごめん、仁美さん。この後、ちょっと用事があるんだ。先に帰っていてもらえるかな?」
仁美「……今朝、暁美さんと二人で話した事と、関係のあることですの?」
恭介「…うん。さやかのことを知りたかったら、放課後公園まで来てくれ、って」
仁美「さやかさん!?彼女、見つかりましたの!?」
恭介「そういうわけじゃないと思うんだけど……何かを知っている風だったから」
仁美「わたくしも一緒に行ってはダメなのでしょうか?」
恭介「僕にだけ話すってことは、何か意味があると思う。だから、僕一人で行くことにするよ」
仁美「わかりましたわ。それでは恭介さん、また明日」
恭介「ごめん、仁美さん」
そりゃ仁美なんてまったく掘り下げられてもないのにいきなりでてきて奪ったように見えるんだから当然だろ
杏子(考えてみりゃ、さやかの惚れた男に直接会うのは初めてなんだな)モグモグ
杏子(どんな色男が来るんだ……?)モグモグ
恭介「……公園のどこに行けばいいのかがわからない……」
恭介「ん?ベンチに座ってる人がいる……。あの人、かな?」
杏子「……ん?」モグモグ
恭介「こ、こんにちは」
杏子「誰だ、お前?」モグモグ
恭介「えっと……上条恭介、です」(ちょっとガラが悪い……)
恭介「僕の名前を知ってるってことは……ほむらさんが言っていたのは、やっぱりあなたのことですね」
杏子「ああ、待ってた。っと、自己紹介しないとな。あたしは佐倉杏子。杏子でいい」
恭介「はい。僕のことも、恭介でいいですよ」
杏子「敬語なんか使わなくていいって。タメ口で話してくれ、こっちの肩がこっちまう」
恭介「はい…あ、いや、うん。隣、座ってもいい?」
杏子「ああ。」スッ
恭介「……」ストンッ
さやかの遺体が見つかった後、絢子と和子の会話で出てたよね
マミ(とか言って、こうして木の陰に隠れてるってことは、あなたも少なからず心配してるってことじゃないの)
ほむら(あ、当たり前でしょ。一般人に魔法少女のことを話すなんて、心配じゃないわけないわ)
マミ(ふふ、そうね)
恭介「それで……さやかのことで、話したいことがあるって聞いて来たんだけど……何か、知ってるの?」
杏子「ん……まぁ、色々とな。あいつとは短い間だったけど、仲間だったし、友達だったから」
恭介(『だった』……?)
杏子(……さやかが魔法少女になる時に、こいつの手を治すよう願ったんだったか……)
恭介「なに?」
杏子「その……変なお願いかもしんねぇけどさ……ちょっと、手ぇ見せてもらってもいいかな?」
恭介「手?」
杏子「さやかからお前の話は聞いてるんだ。事故で怪我を負って、それから奇跡の復活をした……って」
恭介「ああ……うん、そうだね。さやかにもまた、僕のヴァイオリンを聞かせてあげたかったなぁ……。どこにいるんだろう」
杏子「………」(さやか…)
恭介「うん、いいよ。はい」スッ
杏子(……)スッ
杏子(まだ……微かに、さやかの魔力が残って……っ)ポロポロ
恭介「っ!? え、ちょ、杏子さん!?」
杏子「あっ…ごめっ……」ポロポロ
杏子「さやかのことっ…思い出しちまってっ……!」ポロポロ
杏子「うぅっ……さやかぁっ……」ギュッ
恭介「………?」
恭介「いや……。」
杏子「んで、さやかのことだったな」
恭介「杏子さんは、何か知ってるんだよね?」
杏子「ああ……まぁ、知ってると言えば知ってるが……」
杏子(いざとなったらなんて言ったらいいのかわかんなくなっちまった……)
杏子「……今からする話を、信じるか信じないかはあんた次第だ。だが、他言だけは絶対にすんじゃねーぞ?」
恭介「う、うん」
杏子「ちっとばかしショックな話になっちまうが、構わないな?」
恭介「お、お手柔らかに……」
ほむら(やっぱり、あの手にはまだ美樹さんの魔力が残ってるのね)
マミ(ええ……そうみたいね)
ほむら(よかったじゃないの。美樹さんがこの世に確かに存在した証が残ってるってことよ)
マミ(佐倉さんにとってはつらいだろうけど、そう考えると確かによかったのかもしれないわね)
ほむら(あとは上条恭介が、それについてどう思うか、ってことね)
マミ(………)
恭介「まっ、魔法少女?」
杏子「ああ」
恭介(いきなり何を言い出すんだこの人は……)
杏子「………」
恭介(でも……すごい真剣な顔をしている……本気で言ってるのかな……?)
恭介「ごめん……にわかには信じられない」
杏子「ま、それが普通の答えだわな。あたしだって、いきなりこんなこと言われても信じられねぇし」
恭介「それが、さやかの行方不明と関係あるの?」
杏子「あぁ。関係あるってか、それそのものなんだけどな」
恭介「どういうこと?」
杏子「あたしにほむら、一個上の先輩のマミ、それにさやか……あたしらが、その魔法少女ってやつだ」
恭介「………さやか、も?」
杏子「ああ」
杏子「魔法少女になる時に、どんな願いでもひとつだけ叶えてもらうことが出来るんだ」
杏子「さやかももちろん例外なく、願いを叶えてもらった」
恭介「………」
杏子「その願いの対象が、あんただ、恭介」
恭介「……え?」
杏子「身に覚えはないか?最近、自分の周りで起きた不思議なこと」
恭介「ごめん……特に、思い当たることはないよ」
杏子「…そっか。ま、これはあたしの口から言うようなことじゃねえな。あんたがこの先、生きてくうちに気付くべきことだ」
杏子「魔法少女ってのはみんな、このソウルジェムってのを持ってるんだ」スッ
恭介「……」(綺麗な宝石にしか見えない…)
杏子「これに穢れがたまって……濁りきると、あたしたち魔法少女は消滅しちまうのさ」
恭介「………え?」
杏子「ここまで言えば、想像はつくだろ?」
恭介「ま……まさか、さやかは……?」
恭介「そんな……まさか………さや、か…が…?」
杏子「………」
恭介「う、嘘……だよね?」
杏子「言ったはずだ。信じるか信じないかは、あんた次第だ……って」
杏子「もし今の話を信じる気になれたなら……また、ここに来な」
恭介「………」スクッ フラフラ…
杏子「………さやか…」
杏子「マミ、ほむら……。なんだよ、隠れて様子を窺ってたのかよ」
マミ「ええ、ごめんなさい」
ほむら「彼は大丈夫なの?酷くフラフラしながら歩いて行ったけれど」
杏子「さぁな……親友が死んだなんて話を聞きゃ、そりゃフラフラもするだろうさ」
マミ「彼…自棄にならないといいけれど」
杏子「それよりあたしはあいつに失望したよ。まさか、自分の身に起きたことに覚えがない、なんてな」
ほむら「魔法少女の願いって言うのは、文字通り奇跡だもの。余程のことじゃないかぎり、気が付くことはないと思うわよ」
杏子「でも……あまりにもさやかが可哀想じゃねえか……」ポロポロ
恭介「さやかが……死んだ、なんて……」フラフラ
恭介「………」フラフラ
ほむら(上条恭介は……今日は欠席…ね)
ほむら(無理もないかもしれないわね。ショックが大きすぎたのね)
仁美「あの、暁美さん」
ほむら「志筑さん?」
仁美「恭介さん、今日はお休みですの。昨日、何かありましたの?」
ほむら「ええ、色々と」
仁美「恭介さんをいじめたんじゃありませんの!?」バンッ!
ほむら「!」
ほむら(困ったわね……)
仁美「あなたが何かしたとしか考えられませんわ!」
ほむら「ごめんなさい、仁美さん。あなたには話せないの」
仁美「!」
ほむら「でも、信じて。わたしを、じゃない。上条くんを、信じてあげて」
ほむら「彼は、あなたの思うような弱い人ではないって」
仁美「ど、どういうことですの?」
ほむら「理由は言えないのだけれど、彼は今酷くショックを受けている」
ほむら「あなたは、彼の恋人なのでしょう?なら、彼を信じて、そして元気づけてあげてちょうだい」
ほむら「彼がショックから立ち直ったら……あなたにも、全てを話してあげる」
ほむら「ごめんなさい。わたしからはそれくらいしか言えないわ」
仁美「っ……もういいですわ」
ほむら(………)
ほむら「はぁ……」
杏子「どうした、ほむら?珍しくため息なんてついて」
ほむら「いえ、なんでもないわ」
杏子「ふ~ん…?」モグモグ
ほむら「それより、今は上条恭介を待たなきゃダメでしょう?」
杏子「昨日の様子じゃ、すぐには立ち直れなさそうだけどな……」
マミ「美樹さんが好きになった人だもの、きっと立ち直ってくれるわよ」
杏子(ったく、軟弱な野郎だ。さやかはあんな男のどこを好きになったんだが)
一週間後、学校―――
早乙女「さて、それじゃ出席取るよー」
ガラッ
早乙女「はい、君は遅刻…って、上条くん!?」
恭介「す、すみません、遅くなりました……」
ほむら(一週間ぶりの登校ね……でも、見て取れるくらいに元気がない)
早乙女「い、いやそれはいいよ。ほら、席について」
恭介「はい……」
仁美(恭介さん…)
仁美「恭介さん、大丈夫ですの?」
恭介「うん、ごめんね仁美さん。心配かけて」
仁美「わたくしのことはいいんですの。恭介さんが元気になってくれさえすれば……」
恭介「ありがとう。……」チラッ
ほむら「…」ジッ
恭介「……」サッ
ほむら「!」(明らかに視線を逸らした…)
仁美「あ、そうそう!前に恭介さんが……」
ほむら(佐倉さん…これはダメかもしれないわよ)
仁美「それじゃ、恭介さん。帰りましょう」
恭介「う、うん。……」チラッ
ほむら「…」スクッ スタスタスタ
恭介「…そうだね、帰ろう」
仁美(……)
恭介「………」
仁美「あの、恭介さん?」
恭介「! え、ああ、何、仁美さん?」
仁美「いえ、なんだか上の空という感じでしたので…」
恭介「ああ、僕なら大丈夫だよ、僕なら……っ」ポロポロ
恭介「ごっ、ごめんっ…なんでもないんだ、なんでもっ…」ポロポロ
恭介「は、ははっ…僕は、欲張りだよね……」ポロポロ
仁美「何の話、ですの…?」
恭介「こうして無事に退院出来て、ヴァイオリンもまた弾けるようになって、更には仁美さんみたいな綺麗な恋人が出来たって言うのにっ……」ポロポロ
恭介「その上、僕の親友が帰ってきてほしい、なんて思うなんてっ……!」ポロポロ
仁美「……さやかさんのこと、ですの?」
仁美「………さやかさんは、相変わらず行方知れず、ですものね…」
恭介「違う、そうじゃないんだっ……」ポロポロ
仁美「え?そうじゃないってどういう意味ですの?」
恭介「さやかはっ・・・もう、帰ってくることはないんだってっ……思うと…っ」ポロポロ
仁美「……一週間前に暁美さんから聞いた話、ですの?」
恭介「っ…うん」
恭介「ある人に、他言無用って言われてるんだ……」
恭介「………」
仁美「さやかさんは……もう、二度と帰ってこないんですのね」
恭介「……そうみたいだ」
仁美「さやかさんとは、よきお友達だっただけに、残念ですわ…」
恭介「ごめん仁美さん……ちょっと、寄って行きたいところがあるんだけど、いいかな?」
仁美「ええ、もちろんですわ」
マミ「やっぱり、今日も来ないみたいね……」
杏子「もう、待つだけ無駄じゃねぇのかな」
ほむら「わたしも佐倉さんの意見に同意ね」
マミ「……もう、手遅れなのかしら……」
杏子「……ん?おい、あいつ……」
恭介「……」
仁美「……」
ほむら「……上条、恭介……」
杏子「全くだ。こっちはもう二度と現れねえんじゃねえかって思い始めてたところだよ」
仁美「………」
杏子「…今日は、彼女も同伴か」
恭介「うん……仁美さんも、さやかの友達だったから」
仁美「志筑仁美です、初めまして」
杏子「ああ。あたしは佐倉杏子だ」
杏子「んで、恭介。ここに来た…ってことは、あたしの話、信じる気になったってことでいいのか?」
恭介「でも、杏子さんは嘘をつくような人にも見えなかったんだ」
杏子「……」
恭介「だから……さやかが、僕たちの手の届かない所に行ってしまったんだってことだけは、なんとなく理解出来たよ」
杏子「……そっか。そっちの、志筑さん…だっけ?あんたは、さやかの話を知ってんのか?」
仁美「わたくしは、何も聞かされていませんわ」
杏子「あたしとの約束は、ちゃんと守ったみてぇだな」
杏子「いいぜ、連れて行ってやるよ……さやかの墓に、な」
ほむら(…ええ、そうね)
マミ「ごめんなさい佐倉さん、わたしと暁美さんは先に帰ってるわ」
杏子「ん、ああ。あたしも後でマミの家に行くからな)
マミ「ええ。……美樹さんにも、よろしく言っておいて」
杏子「了解。んじゃ、行くぞ、二人とも」
恭介「……うん」
仁美「……」
マミ「ただいまー……っと」
QB「おかえり、マミ。どうだい?彼は姿を現したかい?」
マミ「キュゥべえ。ええ、後は佐倉さんに任せてきたわ」
QB「よかったじゃないか。でも、ちょっと残念だな」
ほむら「なにがかしら?」
QB「その志筑仁美、だっけ?その人も、契約してくれるかなってちょっと期待していたんだけど」
マミ「それはダメよ、キュゥべえ。魔法少女は、あたしたちだけで十分」
QB「まぁ、無理強いをするつもりはないさ」
杏子「よぉ、さやか。連れて来たぜ、お前の親友……」
恭介「……」
杏子「ほら、恭介。さやかの墓だ。と言っても、遺体はねぇから形だけの、だけどな」
志筑「……あの、佐倉さん?」
杏子「ん、なんだ、志筑?」
志筑「ここは、恭介さんとさやかさんの二人きりにさせてあげたいのですけれど……」
杏子「…そうだな。恭介、あたしたち、ちょっと離れてるからな」
恭介「さやか……」
杏子「…聞こえてねぇか」
杏子「ああ、あたしのことは杏子でいいよ」
仁美「そうですか。ならわたくしのことも、仁美、とお呼びください」
杏子「ん、わかった」
仁美「それで、杏子さん……」
杏子「なんだ?」
仁美「杏子さんは……さやかさんのこと、どこまで存じておりますの?」
杏子「………。そうだな、真っ直ぐな奴だった」
杏子「自分の信じたことを貫く様な、そんな奴だったよ」
杏子「ああ、それも知ってる。恭介のことが、好きだったんだろ」
杏子「ホントに……なんで、こんなことになっちまったんだろうな」ポロポロ
仁美「……」
杏子「自分が死んじまったら、どうにもなんねぇだろうが、さやかの馬鹿っ…!」ポロポロ
仁美「さやかさんは……亡くなられてしまったのですね」
杏子「っ……あぁ。自分の想いに殉じて、消滅して行ったよ」
仁美「ごめんなさい、さやかさんっ……!」ポロポロ
杏子「仁美……」
仁美「うっ……ううぅぅっ……」ポロポロ
杏子「……さやかが消滅したのは、誰のせいでもねぇよ」
杏子「だから、謝るのは無しだ。な?」
仁美「はっ…はいっ……!」
恭介「こんなところにいたんだね、さやか……」
恭介「君が行方不明になって、僕も仁美さんも…それだけじゃない。クラスの人たち、みんな心配してたよ」
恭介「ねぇ、さやか……」
恭介「どうして、いなくなったのかな、さやかっ…」
恭介「君が毎日のようにお見舞いに来てくれて、すごくうれしかったんだっ…!」
恭介「もうっ…君に会うことは、出来ないのかなっ…?」
恭介「っ…っ、さやか…ぁっ……!」ポロポロ
杏子「…そろそろ、さやかと恭介のところに戻るか」
仁美「はい、そうですわね…」
仁美「恭介さん……?」
杏子「……」
恭介「ねぇ、杏子さん…」
杏子「…なんだ?」
恭介「魔法少女のさやかの姿ってさ、どんなだったのかな……?」
杏子「……剣を持ってて、体はビスチェ風の服、それにマントをつけてたな」
恭介「っ……あぁ、やっぱり…」
杏子「?」
杏子「どういうこと、だ?」
恭介「まだ僕が入院していた時の事だった…。なんだか、手に不思議な、あったかいような物が触れた感覚がしたんだ……」
杏子「………」
恭介「それと同時に、視界の端を白いマントがちらついたんだ……。最初は気のせいだと思ってた」
恭介「でも、今ようやくわかったよ。僕の手は、さやかが治してくれたんだね……」
仁美「さやかさん……」
恭介「はは……僕はホントに馬鹿だ。今更になってから気付くなんて……」
恭介「なに…?」
杏子「勘違いしないでほしいのは、さやかはただ単にお前を心配してたからってだけじゃねぇんだ」
恭介「………」
杏子「野暮なことを言うつもりはねぇけどさ……あんたも、それはなんとなくわかってんだろ?」
恭介「……そうだね…。さやかには、感謝してもし足りないよ」
杏子「ん、わかってんならいいんだ」
恭介「さやか……ありがとう、君に治してもらったこの手、大事にするよ」
恭介「うん、ありがとう杏子さん。なんだか、すごくすっきりしたよ」
杏子「そっか。なら、帰ろうか」
恭介「それじゃあ、ね。さやか。また会いに来るよ」
仁美「わたくしも、また会いに来ますわ、さやかさん」
恭介「今度来る時は、ヴァイオリンも一緒に持ってくる。さやかに治してもらった手で、また僕の演奏を聞かせてあげる」
杏子「そうだな、そうしてくれ。さやかも、喜ぶと思う」
仁美「あの、杏子さん」
杏子「ん、どうかしたか、仁美?」
仁美「えっと…暁美さんに、ひと言謝っておいてもらえませんか?わたくし、何も知らずに暁美さんに酷いことを言ってしまって……」
杏子「ああ、そんくらいおやすい御用だ。ほむらも、気にしちゃいねえと思うぜ?」
仁美「わたくしの口からも、謝らないといけませんわ。」
杏子「ま、それが一番かもしんねぇな。」
仁美「……はい」
杏子「ただいまー…っと。ま、あたしの家じゃねえけどな」ガチャ
マミ「おかえり、佐倉さん。どうだった?」
杏子「ああ。二人とも、さやかとの別れをきっちり済ましてきたよ」
マミ「そう、よかったわね」ニコッ
ほむら「どうなるかと思ったけれど……丸く収まったみたいね」ズズッ
杏子「あ、ほむらてめぇマミのケーキ食ってやがんのか!?マミ、あたしの分は!?」
マミ「ふふ、心配しなくてもちゃんと残してあるわよ」
杏子「そ、そっか。よかった…」
ほむら「卑しいわね、佐倉杏子」モグモグ
杏子「うるせぇ!マミのケーキは別腹だ!」
恭介と仁美は、あれ以降は頻繁にさやかの墓参りに行ってるみたいだ。
円満解決ってわけにはいかねぇけど、これでよかったんじゃねぇのかな。
そういや、恭介の奴が「さやかと仲の良かった人がもう一人いたような気がする」って言ってたけど、結局そいつのことはわからずじまいだ。
仁美もそれについては何か思い当たる節があったみてぇだけど、やっぱり思いだせないらしかった。
……実を言うと、あたしにもなんだかそんな気がした。でも、例のごとく思い出せず。
その事をほむらに話すと、ちょっとだけ泣きそうな顔をしてたけど、ありゃなんだったのかな。)
杏子「はぁ、さやかがいねぇとやっぱ寂しいな」モグモグ
杏子「でも、なんか妙に清々しい気分だな」
杏子「さって、今日も元気に魔獣狩りと行きますか!」
終わり
ええはなしやった
一応参考画像。これを見て今回の話を思いついて書いた。
この画像については広いものなんで、詳細とかはわからぬ
これだな
サンクス、pixivだったんだな
これ見るとすごい泣きそうになる・・・
Entry ⇒ 2012.01.28 | Category ⇒ まどかマギカSS | Comments (0) | Trackbacks (0)
京子「結衣と綾乃がいなくなった」
http://hayabusa.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1327662345/
京子「結衣~綾乃~?進路って決った?」
結衣「うん、私はC高校へ行くつもり」
京子「そっかー、千歳は地元の高校受けるらしいし……綾乃は?」
綾乃「わ、わたしは、あの……私より、歳納京子はどうなのっ!」
京子「うーん、結衣がC高校へ行くつもりなら、私もそっちかなあ?」
綾乃「そ、そうなの、偶然ね、私も、C高校にしようと思ってるのよ」
結衣「うーん、京子、そういう決め方するのはどうかと思うよ、将来の事にも影響して来るんだし」
京子「え、結衣にゃん、私達と一緒の高校へ行くのが嫌なの?」
結衣「そういう訳じゃないけど……ほら、私だって別にC高校しか行けない訳じゃないし」
結衣「頑張れば上の高校狙えるかもしれないから、さ」
結衣「だから、二人が狙えそうな範囲の志望校をちょっと聞いておきたいなって」
京子「私は本当に何処でもいいんだけどね、行けそうなのはA高校……かなあ」
結衣「綾乃は?」
綾乃「え、あ、私は……えっと、狙える範囲の中で言うなら、B高校よ……」
結衣「そっか……」
京子(一番難しいのがA高校、その次がB高校、最後がC高校)
京子(やっぱり、本当の志望校は、みんなバラバラなんだなあ……)
綾乃「歳納京子、いきなりどうしたのよ?」
京子「だってさー、ヘタすると私達、全員別々になっちゃうわけでしょ」
京子「既に千歳とは別れる事は決まっちゃってるわけだし」
京子「そんなのやだよ、ずっと一緒にいたいよ……」
結衣「京子……」
京子「子供っぽい我がままだってのは、わかってるんだけどね~」ハァ
結衣「またそんな夢みたいな話を……」
綾乃「そうよ、それに宝くじが当っても、数億程度よ?」
綾乃「それだけでは一生遊んで暮らせるって訳じゃないんだから、やっぱり進学は必要よ」
京子「う、ううー……じゃあ、油田を発見するとか、徳川埋蔵金を掘るとか……」
結衣「はぁ、もう、京子はしょうがないなあ……」
京子「え、まじ?」
結衣「うん、今から精一杯頑張れば、何とかなる気がする」
綾乃「……私も、試すって意味で、あの、受けてみようかしら」
京子「おお!じゃあ、一緒の高校行ける可能性高くなるね!」
綾乃「べ、別に、歳納京子と同じ高校へ行く為に受けるわけじゃないんだからねっ!」
京子「あははは、それでも嬉しいよ、綾乃、結衣っ!」
結衣「京子がそんな事を言い出すなんて、珍しいな」
京子「だって、絶対同じ高校に行きたいからさ!」
京子「皆で一緒にがんばろよっ!」ニコッ
結衣「京子……」
綾乃「歳納京子……」
結衣「けど、駄目だ」
京子「え」
結衣「気持ちは嬉しいんだけど、京子と一緒に勉強すると、絶対に集中して取り組めない」
京子「え、えええーっ」
綾乃「……それもそうね」
京子「綾乃まで!?」
結衣「京子、別にコレは仲間はずれしてる訳じゃないんだ」
結衣「あの、京子が居ると、どうしても、楽しくなっちゃうだろ」
綾乃「そ、そうね、多分、雑談の楽しさに負けちゃいそう……」
京子「じゃ、じゃあ、黙ってるから、黙って勉強だけしてるからっ!」
結衣「本当か?」
京子「うんっ!」
綾乃「……じゃあ、ちょっと今から試してみましょうか」
京子「任せて!」
京子「うん!」
綾乃「わかったわ」
京子「……お、綾乃、その消しゴム可愛いね」
綾乃「え、ええ、昨日、小物店で買ってきたの」
京子「綾乃って、そういう可愛いのを見つけてくる才能あるよね~」ニコ
綾乃「そ、そんな事無いわよっ///」
結衣「開始10秒でもう脱線してるじゃないかっ!」
綾乃「ええ、船見さん、一緒に頑張りましょう!」
京子「う、うう、なかまはずれ……」シクシク
結衣「もう、京子、拗ねないでよ、日曜日は一緒に遊べると思うから、ね?」
京子「ほ、ほんと?」
結衣「うん、ほんと」
京子「綾乃も、遊んでくれる?」
アヤノ「え、ええ、仕方ないわねっ///」
京子「やった!二人とも、ありがと!」ニコー
結衣「……」
綾乃「……」
京子「う、うわあ、あの、二人とも、目の隈が凄いんだけど……」
結衣「あ、ああ、ちょっと夜遅くまで頑張っちゃってね……」
綾乃「さ、さすがに、眠いわ……」
京子「も、もう、二人とも、無茶しちゃ駄目だよ?身体壊したら、元も子もないんだし……」
結衣「う、うん、気をつけるよ、京子……」
綾乃「ふ、ふふふ……」
京子「ふ、二人とも、本当に大丈夫?」
結衣「ら、らいじょうぶ、ね、あやにょ」
綾乃「ふふふふ、色々な物が見えてくるわ、凄いのね」
京子「あ、明日は日曜日だからさ、勉強の事は忘れて、パーッと遊ぼうよ!ね?」
京子「だから、今日はちゃんと寝ないと駄目だよ!」
結衣「うん、らいりょうぶ、このあと、西垣しぇんしぇいのところに相談にいかにゃいと」
綾乃「知ってる?歳納京子、地球の真ん中は実は空洞でね、ふふふふっ」
京子(大丈夫なのかな、この二人……)
京子「ありゃりゃ、ちょっと遅刻しちゃったかな」
京子「あ、二人ともベンチに座って待っててくれてる、おーーいっ!」トテトテ
京子「あ……」
結衣「……」zzz
綾乃「……」zzz
京子(二人とも、仲よさそうに寄り添って寝てるや)
京子(ほんとに疲れてるんだなあ……)
綾乃「なに、ふなみさん……」zzz
京子「……」
京子(よし、ちょっと予定は狂うけど、二人が起きるまでは寝せといてあげよう……)
京子(私で力になれるのは、これくらいなんだし……)
結衣「あ、あれ」
京子「あ、結衣起きた?」
結衣「わたし、寝ちゃってたのか……」
結衣「あ、あやの、起きてっ」ユサユサ
綾乃「なによ、船見さん、あさごはん……?」ショボショボ
結衣「いや、朝御飯はまた明日作ってあげるから、起きてって」ユサユサ
京子(ん?朝御飯?)
結衣「綾乃、よだれ垂れてるっ」
綾乃「あ、ご、ごめんなさい、船見さん……」ゴシゴシ
京子「綾乃、おはよっ」
綾乃「え、歳納京子……あっ!」
綾乃「わ、わたし、どれくらい寝てたのっ!?」
京子「えーと、6時間くらい?」
結衣「そ、そんなにかっ!」
綾乃「もう夕方じゃない……」
結衣「京子、起してよ……」
京子「あんなに安らかな顔で寝てたら、起せないよ~」
京子「ま、こういう日があってもいいでしょ?また来週、つきあってよ!」
綾乃「来週……」
京子「綾乃?」
結衣「……京子、この時間からでも、まだ行ける所はあるよね」
京子「あ、うん、ゲーセンとかなら別に問題ないと思うけど……」
結衣「よし、じゃあ、行こうよ、京子」
綾乃「そうね、行きましょ、歳納京子、折角のお休みだもの、楽しまないと!」
京子「……うん!」
~ゲーセン~
結衣「京子は相変わらずUFOキャッチャーが上手いなあ」
綾乃「ぬいぐるみ、かわいいっ///」ギュッ
京子「えへへ///」
綾乃「と、歳納京子、私、もうひとつ、このぬいぐるみ、取りたいんだけど……」
京子「あ、取ってあげよっか?」
綾乃「い、いや、あの、私が自分の力で取りたいから……あの、アドバイスして貰えると、た、助かるわ」
京子「ん、わかった」ニコ
綾乃「こ、こうかしら……あっ」
京子「お、惜しいっ」
綾乃「も、もう一度!」
京子「綾乃、もう20回やってるよ?やっぱり私が……」
綾乃「だ、だめ、これは私が取るのっ」
京子「もう、綾乃って、強情だなあ」
綾乃「だって……」
京子「仕方ないから、終わるまでつきあってあげる!」
綾乃「あ、ありがと、歳納京子……」
綾乃「あ、あとは、穴まで運べれば………」
ポトンッ
ガシャンッ
綾乃「や、やった!やったわ!やったったわ!!」
京子「綾乃、おめでと!」
結衣「うん、頑張ったね、綾乃」
綾乃「え、ええ、そうね、船見さん」
京子「よーし!じゃあ、私が真ん中だー!」
綾乃「ちょ、歳納京子、押さないでっ」
結衣「こら、京子、暴れるな、大人しくしろ、スイッチ押すぞ」
京子「いえーーーーいっ!」
カシャッ
綾乃「そうね、良く撮れてるわ」
結衣「うん……」
京子「と、もうこんな時間だ……今日は、もうお開きにする?」
結衣「うん……綾乃、もういかな?」
綾乃「え、あ、いいわよ、船見さん」
京子「ん、それじゃ、帰ろうか?」
結衣「私と綾乃は、ちょっと明日からの勉強の事で相談があるからさ、京子は先に帰っててくれない?」
京子「はいはい、まーた私だけ仲間はずれかー……」
綾乃「……」
京子「え、あの、二人とも、そこで黙らないでよっ、冗談だからっ」
結衣「まったく、しょうがないなあ、京子は」クスッ
綾乃「ほんと、相変わらずよね、歳納京子は」クスクス
京子「どうせ私はいつも能天気ですよーだ!」
京子「じゃ、また明日ね、二人とも!無理すんなよー!」タッ
結衣「うん、京子、またね……」
綾乃「歳納京子、またね……」
綾乃「それは、もう昨日応えたはずよ、船見さん」
結衣「そうだね、ごめん……」
綾乃「じゃ、行きましょうか」
結衣「うん……」
綾乃「さよなら、歳納京子」
結衣「ばいばい、京子……」
京子「おっはよー!」
千歳「歳納さん、おはよう」
京子「千歳~、昨日は楽しかったよ~!千歳も来ればよかったのに」
千歳「ごめんなあ、どうしても実家に行かなあかん用事があって……」
京子「じゃ、来週は四人で集まろうよ!」
千歳「せやね」
千歳「綾乃ちゃん、朝は一番に来るんやけど……何かあったんかなあ」
キーンコーンカーンコーン
京子「あ、チャイムだ……」
千歳「二人はお休みなんやろか」
京子「ちょっと携帯に電話してみよっと……」ピッ
ツーツーツー
京子「だめだー、繋がらないや」
~娯楽部~
京子「結局、結衣と綾乃は無断欠勤かぁ」
ちなつ「結衣先輩……心配ですね」
あかり「京子ちゃん、どうする?」
京子「ん、ちょっとお見舞いに行こうか、最近無茶な頑張り方してたし、もしかしたら倒れてるのかも」
ちなつ「そ、そうですね!」
京子「よし、そうと決れば出発だ!」
ピンポーン
ちなつ「……結衣先輩、出ませんね……」
あかり「どうしよう、もし本当に倒れてたら……」オロオロ
京子「んー、仕方ない、これを使うか~」キラッ
ちなつ「え、京子先輩、その鍵どうしたんですか?」
京子「あいかぎー」
ちなつ「え!?」
京子「結衣の部屋には時々泊まってたし、鍵が一つだと不便だろうって事で作ってもらったの」
ちなつ「ぐぎぎぎ、何時の間にっ」
京子「……よし、開いたっ」
ちなつ「結衣先輩!」
あかり「結衣ちゃん!大丈夫!?」
シーーーーンッ
京子「あれ、誰も居ないや……」
ちなつ「結衣先輩、実家の方に帰ってるんじゃ?」
京子「いや、さっきそっちには電話したんだけど、帰って無いらしいんだよね」
京子(何だろ、何か嫌な予感が……)
次の日、船見家と杉浦家から警察に捜索願いが出た
「二人同時に行方不明なんだって」
「二人とも、部屋の荷物は整理してあったらしいよ」
「じゃ、事件に巻き込まれたとかじゃなくて、自発的に?」
「最近、二人、仲がよかったから」
「え、じゃあ、あの、駆け落ちって事?」
「ちょっと、声が大きいって」
「歳納さん、可愛そうに」
「そりゃ、ショックだよね」
千歳「歳納さん……」
京子「ちとせ」
千歳「元気出して、な」
京子「……ちとせもね」
千歳「うちは、大丈夫」
京子「そっか……」
京子(どうして、私に何も言わずに行っちゃったの)
京子(わたし、そんなに、頼りにならなかったのかな)
京子(それとも二人のことを大切に思ってたのは、私だけだったってことなのかな……)
京子(結衣、綾乃、教えてよ……)
京子「……今日も、帰ってないや」
京子「……」グゥ~
京子「……結衣の部屋に来ると、反射的におなかが空いてくるな」
京子(結衣はもういないのに……)
京子「冷蔵庫に何かないかな……」カチャッ
京子(空っぽだ……は、はは、本当に全部整理して行っちゃったんだ……)
京子「う、ううっ、ゆいぃ、あやのぉ……」ウルッ
京子「しょうがないなぁって言いながら」ヒック
京子「こっちの冷凍庫の方から……」カチャ
京子「……」
京子「え」
京子「ラムレーズンが、残ってる?」
京子「冷凍庫いっぱいに、ラムレーズン残ってる……」
京子「ど、どうして?結衣、出て行っちゃったのに、どうして……」
京子「……こんなの、いらないよ、ゆい」
京子「私は、二人が居てくれた方が、嬉しいのに、こんなの、こんなの……」ヒック
京子「こんなの、無いよ……」グスン
京子「こ、こんなのっ」ヒックヒック
京子(泣いてても、仕方ないよね)
京子(結衣が残してくれた、ラムレーズン、大切にしないと……)
京子(少しずつ、食べよう……)
京子「……あれ、一緒に何か紙が入ってる……」
京子「ま、まさか、書置き!?」
「プレゼント、物置の中」
京子(物置って、これのこと、かな)スッ
京子「……あ」
京子「ラッピングされた箱が……」
京子「な、なんだろ、これが、プレゼント?」
京子「……」ビリビリ
『私、もうひとつ、このぬいぐるみ、取りたいんだけど……』
京子「あの時の、ぬいぐるみだ……」ギュッ
京子(結衣と綾乃、私と楽しそうに遊んでたあの時から、もう、私を置いてけぼりにするって、決めてたんだ……)
京子(そう、だよね、だって、だって)
『朝御飯はまた明日作ってあげるから』
京子「二人は、そういう仲に、なってたんだもんね……」
京子「私なんかが、邪魔しちゃ、いけなかったんだよね……」
京子「ごめんね……」
京子「だから、私が苦しむのは、当たり前なんだ……」
京子(それでも、優しい二人は、私にプレゼントを残してくれた……)
京子(ありがとう、結衣、綾乃……)
京子(ありが、と……)
京子(わたし、がんばるから、ひとりでも、がんばるから……)
………
……
…
~数ヵ月後~
京子「櫻子ちゃん、ひまっちゃん、書類できた~?」
向日葵「はい、出来てますよ、歳納先輩」
櫻子「も、もうちょっと!もうちょっとで終わりますから!」
京子「あはは、ゆっくりでいいよ、櫻子ちゃん」
櫻子「で、できたー!」
千歳「二人とも、お疲れさん」
京子「綾乃が居なくなったのは私のせいだからさ、私がその穴を埋めるのは、当たり前だよ」
千歳「歳納さん……」
京子「さ、仕事も終わったし、久しぶりに娯楽部に顔を出しますか!」
千歳「……二人は居なくなったんは、歳納さんのせいやないと思うよ」
京子「……ん、ありがと、千歳」
ズドーンッ
京子「う、うおっ、化学室から爆音が……」
西垣「ごほっごほっ……お、歳納じゃ無いか」
京子「西垣ちゃん、またへんな実験してたの?」
西垣「変じゃないぞー、凄い実験だ」
西垣「今度の爆弾は凄いぞ?完全指向性の爆弾だ」
西垣「一方向にだけ爆発エネルギーを放出できるから、例えば洞窟の中でだって落盤の危険性なく爆破させることが出来る」
西垣「しかも、火薬は使用して無いから、引火の可能性もないときたもんだ」
西垣「どうだ、完璧だろ?」キリッ
西垣「どうした、歳納、元気が無いようだが」
京子「……!」
京子「え、そ、そんな事無いよっ」
京子(変なところで鋭いんだよね、西垣ちゃんは)
西垣「まあ、何か悩み事があるなら、一人では溜め込まんことだ」
西垣「お前には、頼りになる仲間が沢山居るんだろ?」
京子「……そう、だね」
京子(一番頼りになる仲間は、もういないんだけどね……)
京子「おはよー!諸君!がんばっとるかねー!」
ちなつ「あ、京子先輩、おひさしぶりです」
あかり「京子ちゃんだー、もう生徒会のお手伝い、終わったの?」
京子「うん、櫻子ちゃん達が頑張ってくれてるからね、もう私の手助けとかはいらないかも」
ちなつ「じゃ、じゃあ、また娯楽部に戻るんですよね?」
京子「おや、私が居なくて寂しかったのかな、ちなつちゃんはっ!」
ちなつ「……そりゃ、寂しいですよ、結衣先輩が居なくなって、京子先輩まで戻ってこなかったら……」
あかり「ちなつちゃん!」
ちなつ「あ、ご、ごめんなさい、結衣先輩の話題は……止めて方がいいですよね……」
京子「へ?あ、いいっていいって!別に気にして無いしさ!」
ちなつ「そ、そうですか……」ホッ
あかり「え、ええー!また!?」
ちなつ「ふふふ、京子先輩らしいですね」クスクス
京子「あかりのお団子を10個くらい増やしてみたらどうだろ!」
キャッキャウフフ
~結衣の部屋~
京子「ただーいまー」
シーーーンッ
京子「ふう、今日も頑張った自分に御褒美を、と」カチャッ
京子「……ラムレーズン、もう、残り一個か……」
京子「……」コトン
京子「……」ペリッ
京子「いただきます……」
京子(もう、二度と自分でラムレーズンを買おうとは思えないし)
京子「甘くて、ちょっぴり苦味がある……ラムレーズン」
京子「好きだったのに、どうして、あんまり美味しくないんだろ……」
京子「……結衣、ごちそうさま」
京子「七森の歴史を調べよう……か」
京子「もう図書館も閉まってるし、どうしようかなあ……」
京子「あ、そうだ、結衣のパソコンがあるから、これ使わせてもらって調べようっと」
カチッ
ヴーン
京子「……」カタカタカタ
京子(結衣と綾乃が事前に準備して出て行ったのなら)
京子(ひょっとして、ネットで行き先の情報を調べたりしてたんじゃないかな)
京子(もしかして、履歴とか調べれば、何か判るんじゃ……)
京子(数ヶ月前の事だから、もう無理かもしれないけど……)
京子「……」カタカタカタ
≪A高校受験概要≫
≪難問突破!高校受験!≫
≪絶対無理な希望校に入学する方法≫
京子「この辺までは、まあ普通だけど、なんだろ、これ以降の履歴」
≪絶対確実!宝くじが当る方法!≫
≪徳川埋蔵金は嘘だった≫
≪地球の歩き方≫
≪地球は実は空洞だった!?≫
≪100年間人間を拒み続ける永久岩盤≫
京子「えっと、関連記事があるから、それを辿ってみようっと……」
≪永久岩盤の下に油田が?≫
≪永久岩盤を突破できた者には油田使用権利の半分を譲渡!≫
京子「油田?」
京子「んーと、岩盤の下に油田があるのが判ってるけど、岩盤を突破出来ない」
京子「だから、土地の持ち主がこういう募集をかけてる……って事かな」
京子「まあ、確かに宝物があるのが判ってても掘り出せなかったら意味は無いしね」
京子「えーと、続きは……」
≪例の二人がとうとう岩盤の初期層を突破した件について≫
≪永久岩盤13層目を突破!≫
≪可燃性ガス噴出により14層目突破を断念≫
≪日本より空輸した指向性爆弾で14層目突破!≫
≪永久岩盤から石油キターーー!≫
≪【動画】油田の使用権半分を入手した彼女達のコメント入手に成功≫
京子「動画?」ポチッ
『発見者は年齢不詳の日本人女性HさんとSさんで……』
京子「ぶふーっ」
京子(え、この映像の2人、結衣と綾乃だよね!?どうして……)
ピンポンピンポンピンポンピンポンッ
京子「え、お客さん?ここ、結衣の部屋なのに、誰だろ……」
京子「は、はーい」トテトテ
『我々取材班は、現在、当地に宮殿を建設中の2人からコメントを得る事が出来ました』
『今からお姫様を迎えに行く、との事です』
『このコメントの直後、2人は日本への航空機を買い取り……』
結衣「ふ、ふふふふふ」
綾乃「あは、あははは」
結衣「むりだよ、綾乃、これ無理、というか京子はどうしてこんな問題解けるの」
綾乃「私も無理、出来るかなって思ったけど、絶対無理よねこんなの」
結衣「深夜3時まで続けて1問も解けないとか、ないわあ」
綾乃「ふふふふふふふっ」
結衣「そ、そうだな、もう藁にもすがる気持ちで……」カタカタカタッ、ターンッ
≪△△高校受験概要≫
≪難問突破!高校受験!≫
≪絶対無理な希望校に入学する方法≫
結衣「綾乃!わかったぞ!」
綾乃「判ったの!?凄いわ!」
結衣「私達ではA高校合格は無理だって言う事が判ったw」
綾乃「あははははははw」
綾乃「いやよwとしのーきょーこが悲しむじゃないw」
結衣「京子が悲しむのはいやだなw」
結衣「京子は絶対に幸せにしてあげたいw」
綾乃「そうよねw何か他の方法を考えましょうw」
結衣「そやなw」
綾乃「あははははははははははw」
結衣「えwそりゃ京子といちゃいちゃしながら高校生活を送るにきまってるだろw」
綾乃「その後の事よw」
綾乃「日本の法律では女の子同士では結婚できないものw」
結衣「じゃあ日本の法律を変える事から始めるかw」
綾乃「そんな事より他所の国に移り住んだ方が早いわよw」
結衣「そんなお金ないよねw」
綾乃「そうwお金よwお金なのよねw問題はw」
結衣「そやなw」
綾乃「他にも、取り合えずお金を稼ぐ方法があれば進学できなくてもとしのーきょーこを幸せにできるはずよw」
結衣「よしwしらべようw」
≪お金を稼ぐ方法≫
≪絶対確実!宝くじが当る方法!≫
結衣「綾乃!判ったぞ!」
綾乃「ほんと!?凄いわ!インターネット!」
結衣「元になるお金が無いと無理だw」
綾乃「あははははははははははははははははははははw」
綾乃「そうねwついでに調べてしまいましょうw」
綾乃「日本で油田掘るのは現実味が無いから世界も視野にいれましょうかw」
結衣「グローバルw」
≪徳川埋蔵金は嘘だった≫
≪地球の歩き方≫
≪地球は実は空洞だった!?≫
≪100年間人間を拒み続ける岩盤≫
綾乃「なになにw船見さんw」
結衣「岩盤を突破したら油田使用権半分もらえるんだってw」
綾乃「こんなの無理じゃないのw」
結衣「いやwうちの学校には岩盤突破できそうな攻撃力持った人居るだろw」
綾乃「ああ西垣先生ねw」
結衣「あれwこれいけるんじゃねw西垣先生に明日聞いてみるかw」
綾乃「そうねw船見さん油田掘りに行きましょうw」
~翌日~
西垣「え?進学諦めて油田堀りに行く?」
結衣「はい」
綾乃「私達、本気です」
西垣「やぱっ、この二人、かっこいい……」
西垣「よし!全面的に協力するぞ!任せろ!」
結衣「あ、あやの!」
綾乃「ふ、ふなみさん!」
「「やったー!やったー!!」」
【今から考えると、私達、受験勉強のし過ぎでちょっと頭がおかしくなってたんだと思う】
西垣「渡航手段やパスポートも用意しておいた」
結衣「ありがとうございます、西垣先生、何から何まで……」
綾乃「私達、頑張ります!ぜったい!ぜったい油田を掘り当てます!」
西垣「うん、頑張れ……何かあったら、私に連絡するんだぞ?」
「「はい!!」」
綾乃(歳納京子、少しだけ待っててね……)
結衣(必ず幸せにしてやるからな……)
~第14層目~
結衣「だ、だめだ、幾らやってもこの壁を越えられない……」
綾乃「可燃ガスのおかげで爆発物も使えないわ……」
結衣「くっ、ここまできて!」ガンッ
綾乃「船見さん、私達、間違ってたのかしら……本当は、素直に受験勉強しておくべきだったんじゃ……」
結衣「綾乃の馬鹿!」パンッ
綾乃「……!」ヒリヒリ
結衣「京子を、京子を幸せにするって誓ったあの日の事を忘れたの!?」
綾乃「そ、そうね……わたし、わたし弱気になってた!」
綾乃「ごめんなさい!船見さん!」
結衣「結衣でいいよ、綾乃」
綾乃「結衣!」
綾乃「ええ、これを使えば、あの壁を突破できるはず……!」
結衣「頼む!成功してくれ!」ポチッ
ズドーン
ゴゴゴゴゴゴゴ
綾乃「こ、この振動は!?」
ドシューーーーッ
結衣「で、出た!石油が、出たぞ!」
綾乃「やったわ!やったわよ結衣!」
「「ばんざーい!ばんざーい!」」
~結衣の部屋~
京子「はーい、ちょっと待ってね~」ガラッ
結衣「京子」
綾乃「歳納京子」
京子「……え、ゆ、ゆい?あやの?」
結衣「待たせて、ごめんね、迎えに来たよ」
綾乃「行きましょう?私達が作った宮殿へ」
京子「きゅ、宮殿?」
京子「け、けど、いいの?私がそんな所に行っても……結衣と綾乃の、邪魔にならない?」
綾乃「ならないわよ、私と船見さんが歳納京子の為に作った場所だもの」
京子「わたしの、ために……」
結衣「うん、京子の為に」
京子「ゆ、ゆいぃ、あやのぉっ!」ガバッ
結衣「京子……」
綾乃「歳納京子……」
京子「わ、わたし、ふたりに、おいていかれたとばかりっ!」グスン
京子「だから、ずっと寂しくて、悲しくて」ヒック
綾乃「これからは、ずっと傍に居るから、私達二人がずっと傍に居るから、ね?」ギュッ
京子「ほ、ほんとう?」グスン
結衣「うん、本当だよ、京子」
綾乃「だって、私達は」
「「京子の事が、好きだから」」
京子「あ、ありがとう、ゆい、あやの……」
京子「わ、わたしも、二人の事が、好き、大好きっ!」
バッキンガム宮殿を模したこの宮殿では
お互い結婚しあった三人の女の子たちが幸せに暮らしているという
完
【ゆるゆり】船見結衣ちゃん応援スレ
899以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします2012/01/12(木) 16:22:24.79 ID:/xWjzsdGO [1/3]
船見さん二人でアルプスに油田を掘りに行くわよ!
900以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします2012/01/12(木) 16:24:58.08 ID:5wQyAFah0
こうして船見結衣と杉浦綾乃は海外へと飛んでいった……
901以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします2012/01/12(木) 16:25:46.09 ID:8l4AJpmI0 [16/28]
そして見事油田を掘り当てた結綾の二人は京子のためにラムレーズン宮殿を…
902以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします2012/01/12(木) 16:27:10.51 ID:UthmCWkjO [10/11]
数年後、二人が石油女王となって京子ちゃんを妃に迎えることを今はまだ誰も知らない
面白かった
ちょっと罰金バッキンガム宮殿へ観光しに行ってくるわ
Entry ⇒ 2012.01.28 | Category ⇒ ゆるゆりSS | Comments (0) | Trackbacks (0)
ルルーシュ「……C.C.、合コンとはなんだ?」
http://hayabusa.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1327676629/
C.C.「……ほ、ほぉー」
Pi pi pi ♪ Pi pi pi ♪
ルル「スザクか……」
ピッ
スザク『僕だよルルーシュ』
ルル「知ってるよ、画面を見たら表示されるだろ?」
スザク『ははっ、そうだったね、それより当日のメンバーが決まったよ』
ルル「当日……あぁ、合コンの事か?」
スザク『そうそう、まず男のメンバーからだけど、>>5と>>8と>>10が来てくれるってさ』
ルル「スザク、今星刻と聞こえたんだが……」
スザク『ん?星刻だよ?あれ、ルルーシュ知ってるの?』
ルル「いや……まぁいい、他のメンバーを教えてくれないか?』
スザク『ん、>>17と>>19が来てくれるってさ』
スザク『リヴァル、それにロイド伯爵が来てくれるって』
ルル「リヴァルは良しとして伯爵だと……お前、どういうつもりだ」
スザク『それがこの間話を聞かれちゃって、断れなかったんだ』
ルル(リヴァルはまぁいいだろう……しかしどうして星刻……それに伯爵だと……?)
スザク『それで次は女子なんだけど、>>26と>>27と>>28と>>29と>>30が来てくれるってさ』
ルル「待てスザク、今なんて言った?」
スザク『え?だからコーネリア殿下と…』
ルル「コーネリア殿下だと……?」
スザク『ユフィ誘ってみたらOKしたんだけど、お姉さんも心配らしくてね』
ルル「だ、ダメだそれは……!それだけは…それよりどうして王女が合コンなんかに……」
スザク『あ、もうキャンセルとか出来ないよ?予約しちゃったしねw」
ルル「ま、待て!お前、俺の事情を…」
スザク『リヴァルに明日迎え頼んでおいたからw来なかったら許さないよwじゃーねルルーシュ』
ツー ツー ツー
ルル「…………」
C.C.「どうした?死んだ魚のような目をしているぞ」
ルル「事態は最悪だ……いや、災厄だ……C.C.……」
C.C.「そ、そうか……そ、そのルルーシュ……どうしてもお前が私を連れて……」
ルル「俺はもう寝る……お前も早く寝ろ」ゴロン
C.C.「…………」
――――
――
―
―当日―
リヴァル「……お前、どうしてマスクと帽子なんてしてるんだよ?」
ルル「あ、あぁ……風邪をひいてだな……ゴホッ」
リヴァル「平気かよお前?そんな事よりさ、今日はすごい美人達が来るらしいぜ!」
ルル「お前……ミレイ会長はどうしたんだ」
リヴァル「いや、会長には婚約者が居るしな……いい加減俺も踏ん切りつけないと」
ルル「……そうか」
リヴァル「よっしゃ!それじゃー早く行こうぜ!」
―
――
―――
スザク「やぁルルーシュ、遅かったね?どうして帽子とマスクなんてしてるんだい?」
ルル「スザク……お前って奴は……!」
ロイド「君がスザク君のお友達かい~?」
ルル「初めまして……ミレーシュです」
リヴァル「リヴァルって言います!」
スザク「何を言ってるんだい?君はルル…」ムグ
ルル「お前は黙っていろ、今日はミレーシュだ」コソコソ
星刻「黎星刻だ、今日は宜しく頼む」
ルル「あ、あぁ……こちらこそよろしく」
ユフィ「みなさーん!おまたせしましたー!」
コーネリア「ほらユフィ、あまり大声を出すな……それとあまり走ると転んでしまうぞ?」
カレン(……どうして私がブリタニア人と合コンなんてしなくちゃいけないんだ)トボトボ
咲世子「……」ペコリ
アーニャ「……」カシャ
ルル(コーネリアにユフィ……それにナイトオブラウンズまでか……)
リヴァル「うっひょー!すげーなこりゃ!」
星刻「まさか、ブリタニアの王女と話す日が来るとはな……」
ユフィ「おまたせしました!私の名前はユフィです、今日は宜しくお願いします」
コーネリア「コーネリアだ、ユフィに少しでも卑劣なマネをしたらその時は……」
カレン「……カレンです」
咲世子「篠崎咲世子と申します」
アーニャ「……アーニャ、よろしく」
星刻「黎星刻だ、今日は宜しく頼む」
リヴァル「リヴァルって言います!」
ロイド「んふふ~、まさか殿下とプライベートでお話ができるなんてね~、あ、僕はロイド、よろしくね」
ルル「ゴ、ゴホン、ゴホン……ミ、ミレーシュです」
スザク「さっきから何を言っているんだいw君はルルーシュだろ?」
ルル(スザァァァク!!!!!!)
ユフィ「え……?」
コーネリア「ルルーシュだと……?」
カレン(はあ……ってルルーシュ!?どうしてこんな所に!?)
咲世子(いけません……これでは……)
アーニャ「……」カシャ
星刻「ルルーシュ?さっきはミレーシュと名乗っていたが……」
ロイド「ルルーシュルルーシュ……あぁ、あのブリタニア皇帝シャルルの!」
リヴァル「え?え?」
スザク「はは、昔からルルーシュは照れ屋だな~、ほら、マスクと帽子を取ってちゃんと挨拶しなよw」
ルル「お、おい!待て!ひっぱ……」 バサッ
ルル「…………」
ユフィ「ル、ルルーシュなの……?」
コーネリア「ルルーシュ……お前、生きていたのか……」
アーニャ(………この写真、やっぱり……)カチッ
カレン(やば……どうするのよ……?)
咲世子(……不覚)
リヴァル「ま、待て?どういう事?俺全然話についていけないんだけど」
星刻「……なるほど、まさか死んだはずの兄妹が合コンで会うとは、奇跡の対面だな」
スザク「改めて紹介するよ、ルルーシュ・ランペルージって言うんだwほら、挨拶は?」
ルル(こうなったら最終手段だ……)
ルル「ルルーシュ・ヴィ・ブリt「ギアスキャンセラー(物理)だよルルーシュw」
ルル「スザァァァアアアク!!!!」ズキズキ
戦争当時の子供時ならまだしも、あのくらいなら別に公表してもいいんじゃない?
ナナリーがこれ以上政治に利用されないようにするためじゃなかったっけ
ルルーシュ「スザク……お前……!」ズキズキ
スザク「まぁ落ち着きなよルルーシュ、それより君の妹とお姉さんだよ?」
スザク「そんな簡単にそれを使うなんて、なんか寂しいとは思わないかい?」コソコソ
ルル「……」
コーネリア「ルルーシュ……」
ルル「……お久しぶりです姉上、元気にしていましたか?」
コーネリア「……生きていたんだな……本当に……」ダキッ
ルル「……姉上、皆が見てますよ」
ユフィ「ルルーシュ!」ダキッ
ルル「……ほら、離れてください」
カレン「……」ムスッ
ロイド「う~ん、感動だね~」
スザク(死ねばいいのに、ルルーシュ)
ルル「さて、興も冷めてしまったし、今日はこの辺でまた後日…」
スザク「待ちなよルルーシュwせっかく皆に来て貰ったのにこのまま帰ってもらうなんて悪いだろ?」
ユフィ「そうよ!スザク、ありがとう!最高のサプライズだったわ!」
スザク「ははっ、これくらい礼には及ばないよwね?ルルーシュw」
ルル「……」
リヴァル「ル、ルルーシュがシャルル皇帝の息子で……どうなってんだ……?」
カレン「ハァ……心配して損した……それで、どうするのよ?」
星刻「そろそろ行くとしよう、予約した店を待たせるのはあまり関心しない」
コーネリア「そうだな、ルルーシュと話したい事がたくさんある」
ロイド「ん~!じゃ~しゅっぱ~つ!」
アーニャ「……しゅっぱ~つ」カシャ
咲世子(一件……落着……?)
――
―――
コーネリア「そうか……ナナリーは元気か」
ルル「はい……会いたがってましたよ、姉上達に」ニコッ
ユフィ「ほんと!?今度会いたいわ~」
スザク「僕はたくさん会ってるけどねwナナリーとはもうマブダチだよw」
コーネリア「ナナリーとルルーシュの為だ、この事は黙っておくことにする」
ルル「ありがとうございます、姉上」
コーネリア「堅苦しいからやめろルルーシュ、せっかくこうして話しているんだ、昔のように喋ってくれ」
ルル「そ、それは……」
ユフィ「ふふ、来て良かったですね、お姉さま」
リヴァル「…ていうか咲世子さん、合コンとか来るんですね」
咲世子「……私が来たら、変でしょうか?」
リヴァル「い、いや……そうじゃなくて、意外だなーって思ってさ」
咲世子「ふふ、人生は歯車のようなものです、たまには私にも潤いが必要ですよ?」
リヴァル「ははは、そうですか……」
ロイド「僕って実はランスロットの開発してるんだよね~」
カレン「へ、へぇー……そうなんですかー」
星核「ほう……興味ある話だな、それは」
ロイド「ん~ふふ~、ランスロットを改造するのが面白くてね~、実は…」
カレン(悔しいけど……少し興味あるわね……)ゴクリ
アーニャ「……記録」カシャ
スザク「さて、そろそろ皆も打ち解けて来ただろうし、ゲームでもして盛り上がろうよ」
ユフィ「ゲーム……ですか……?」
ルル(今度はなにをするつもりだ……スザク)
スザク「そう、ジノに教えてもらったんだ、王様ゲームっていうゲームが定番らしいよ」
「「「「!?」」」」」
コーネリア「王様ゲーム……?」
ユフィ「王様……?」
リヴァル「おぉー!たまには良い事言うじゃんー!」
アーニャ「……」
カレン「アンt……スザクさん?自分が何を言っているかわかってるんですか?」
スザク「ははw顔が怖いよカレン、言動と顔が合って無いじゃないかw」
ルル(この馬鹿……)
ロイド「王様ゲームねぇ~……何年ぶりかな~、僕」
スザク「ルールは簡単さ、長い棒……そうだな、割り箸に番号と赤い印書いて赤い印を引いた人が王様」
スザク「王様は番号を指定できて、一つ命令ができるんだ」
ユフィ「なるほど……おもしろそうなゲームですね」
星刻「上に立つものを決めて、下に命令するのだな?」
コーネリア「……いいだろう枢木スザク、戦とは誇りと命の奪い合いだ」
スザク「だからと言って、殺しとかはダメですよ?殿下」
コーネリア「そ、それくらい知っている、馬鹿者!」
カレン(はぁ……私、帰ろうかしら……で、でも……!ここでルルーシュと……いや、ゼロと……)
カレン(……って何考えてるのよ!しっかりしろ!紅月カレン!)
アーニャ「……」カシャ
リヴァル「それじゃー早く用意してやろうぜー!」
咲世子「割り箸ならここにありますよ」シュパッ
スザク「それじゃーいくよw赤い印が付いている割り箸が王様だからね?」シャカシャカ
スザク「さぁ、皆1本ずつ持って」
「「「「「……」」」」」
アーニャ「……」
ロイド「これよこれ!昔を思い出すね~!」
スザク「王様、だーれだ!!!!」
>>128
アーニャ「……王様は、私」
コーネリア「む……私は5だな」
ユフィ「……お姉さま、このゲームは多分番号を言ってはいけないかと……」
コーネリア「な、わ、私は5ではないからな!」
ルル(アーニャか……アーニャなら変な事はしないと思うが……)
ルル(それに人数は多い、当たる確率も低確率だ)
ロイド「んふふ~、最初の命令は一体なにかな~?」
スザク『な な ば ん だ よ あ - に ゃ 』
アーニャ「……7番が王様に膝枕」
ルル「なにっ!?馬鹿な……!」
スザク「いや~wルルーシュが7番だねwほら、行ってきなよw」
ルル(ま、まぁ1回くらい当たるとは予想していた……)
カレン(何よ……アーニャの奴……)
星刻「しかし椅子か……横になるのは少し辛そうだな……」
ユフィ「そうねー、ちょっと難しいと思うわ」
ルル「アーニャ様、星刻様やユフィ姉様が仰っているように椅子ですよ?」
ルル「寝難いだろうしこの命令は…」
スザク「あ、僕たちをソファーがあるラウンジに連れて行って貰えますか?」
店員「はい」
ルル(スザァァアアアアク!!!お前って奴はぁぁぁあああ!!!!)
―
――
―――
ルル「……気分はどうですか?アーニャ様」
アーニャ「……悪くないかも……でもちょっと固い……」カシャ
ユフィ「いいなー、私もルルーシュの膝枕したいなー」
コーネリア「ユフィ、このゲームは勝者が敗者に命令を下せる、勝つしかないぞ」
スザク「ルルはもやしだし僕の膝枕のほうが気持ちいいよユフィw」
ユフィ「もう、そういう事言わないの!ルルーシュはシャルルお父様の息子よ?」
スザク「やだなーwユフィw僕とルルーシュはもう何年も友達をしているんだよ?w」
ルル(…………)
カレン(はぁー……いいなー……)
咲世子「ふふ、羨ましいです、アーニャ様」
リヴァル「ちっきしょー!羨ましいぞルルーシュの奴ー!」
ルル「……そろそろ終わりにしましょうか」
アーニャ「……残念かも」
スザク「さて、次の準備はもう出来てるよ」シャカシャカ
ロイド「んん~、僕が王様になったらどんな命令しようかな~」
星核「私も今のうちに決めておくとしよう」
スザク「それじゃー行くよー、王様だーれだ!」
>>150
ルル
ルル「俺が王様か……」
ユフィ「ちぇー、王様になるのって難しいですね……」
リヴァル「今度こそ俺に来い!」
ルル(悪いがそれは出来ないな、リヴァル……)
ルル(入る時に設置した小型の両面テープが裏に貼ってある鏡……スザクはユフィの隣に座るだろうな)
ルル(そして室内に入る順に計算すると……スザクの椅子はあそこになる)
ルル(この勝負……どうやら俺の勝ちのようだ、スザク!)
スザク「さてwルルーシュが王様だよwなににするんだい?」
ロイド「ふふふ~、あんまりキツいのはやめてよね~」
ルル(さて、スザク……お前の番号を見せてもらおうじゃないか)
ルル(ほう……1番か……ククッ)
スザク「まだかいルルーシュ?」
ルル「では、そうだな……1番が王様の……」
ルル「足を舐めろ、王様の命令は絶対だ」ニヤッ
リヴァル「ひえー……鬼だな、ルルーシュ」
星刻「だが王の言う事は絶対だ」
ルル(ふはははは!!!どうだスザク!!お前は俺の足を舐めるんだ!!)
コーネリア「1番は……私だ」
ルル「……?」
コーネリア「……だから1番は私だ」
ルル(……ま、待て!どういう事だ!?確かにスザクの割り箸は……)
スザク「あwこれゴミなんで捨てておいてくださいw」
店員「……かしこまりました」
ルル(まさか……そんな……)
ルル「ま、待て!スザクが捨てた…」
スザク「どうしたんだいルルwwwwwwww王様の命令は絶対だよwwwwwwwwwwww」
ルル(スザクが2本持っていた……つまり俺の作戦は……)
スザク「ルルーシュ、僕は君と何年の付き合いだと思っているんだい?wwwwwwwwwwwww」
ルル(スザァァアアアアアアク!!!!!!!!!!!)
コーネリア「……」
ルル(これはまずい……姉上に足を舐めさせたりしたら……!)
ルル「すまない、間違えた……訂正していいか?」
スザク「そうだねwwwwww番号の入れ替えくらいなら大目に見てあげるよwwwwwwwww」
ルル「……王様が……この俺が、1番の足を舐める!!!」
コーネリア「なっ!」
星刻「ほう……」
ユフィ「……ルルーシュ、そんな趣味があったの?」
カレン(ちょ、ちょっと!これは流石に……)
咲世子(立派にご成長なされましたね……ルルーシュ様……)
ルル「そういうわけで姉上、足を舐めさせてもらってもよろしいですか?」
アーニャ「……」カシャ
ルル「流石に姉上に足を舐めさせるわけには、いきませんからね」
コーネリア「ルルーシュ、別に無理しなくても……」
スザク「ダメですよコーネリア殿下w王様の命令は絶対ですw」
コーネリア「くっ……なんというゲームだ……王様ゲーム」
リヴァル「す、少し羨ましいかも……」
ルル「さぁ、靴と靴下を脱いでください、姉上」
コーネリア「……お前のその覚悟、受け取ったぞ」
シュルシュル……
ロイド「ん~、僕はノーコメントで~……」
星核(ほう……これはぺろぺろしたい生足だな)
ルル「……ではいきます、姉上」
コーネリア「あぁ、こちらも覚悟は出来ている」
ペロ
コーネリア「んっ……」
アーニャ「……記録」カシャッ
ユフィ「まぁ……気持ち良さそうですね……」
ルル「……どうでしたか?」
コーネリア「あ、あぁ……とてもよかったぞ、ルルーシュ」
カレン(……むー……)
スザク「喜んでもらえてよかったねルルーシュw」
ルル(今度こそ勝って見せる……待っていろよ、スザク!)
スザク「あ、もうこんな時間だねwそろそろお開きしないと」
ルル「な……まだ……!」
スザク「だってもうこんな時間だよ?ユフィやコーネリア殿下もそろそろ戻らないと…」
ユフィ「そうですね……もう少し居たかったですが、そろそろ時間です」
コーネリア「そうだな、ルルーシュ、ナナリーによろしく伝えておいてくれ」
星刻「そろそろ天子様のおトイレの時間だ……ゴハッ…・…この身も長くない……」
星刻「俺は先に帰らせてもらう、ではな」
カレン「私も帰りますね、今日はありがとうございました」ニコッ
ロイド「僕もランスロットの研究に戻ろうかな~、今日は楽しかったよスザク君~」
咲世子「そろそろナナリー様の夕食の時間ですね、私もそろそろ帰らせていただきます」
ユフィ「ナナリーによろしくね?ルルーシュ」
コーネリア「必ずまた会おう、ルルーシュ」
リヴァル「一人もメルアド聞けなかったけど、楽しかったしいいか……ルルーシュ、俺達も帰ろうぜ!」
リヴァル「じゃー俺バイク出してくるからさ、早く来いよルルーシュ」
ルル「…………」
ガチャッ
スザク「さてと、ルルーシュ、僕たちも帰ろうか」
ルル「どういうつもりだスザク……ユフィとコーネリアに……!」
スザク「ごめんごめん、でもさ、最近ルルーシュずっと笑って無かったから」
スザク「ナナリーだって心配してたよ?最近お兄様が心から笑って無い気がするってね」
ルル「ナナリーが……?」
スザク「あぁ、だから今日はルルが心から楽しめる日にしようと思ってたんだけど」
スザク「少しテンション高くなりすぎちゃったな、僕」
ルル「…………スザク」
スザク「それじゃー僕らも行こうか、ルルーシュ」
ルル「あぁ、そうだな……咲世子に連絡して、今日はナナリーの好きな食べ物を咲世子と作ってあげるか」
end
乙
Entry ⇒ 2012.01.28 | Category ⇒ コードギアスSS | Comments (0) | Trackbacks (0)
幼駄染「今飲み物持っていくからねっ」
幼駄染「きゃ」ズテン ガシャン
男「」ビチャビチャ
幼駄染「あわわ…拭くもの拭くもの…」アタフタ
男「…」
幼駄染「あっ、これで良いや!」フキフキ
男「ちょ、それが何なのか良く見ろって!」
幼駄染「何って私のパン……ツ」
男「…」
幼駄染「はわわ…」カァァ
男「良いから…な?座っててくれ」
幼駄染「ごめん……なさい」
男「俺が飲み物持ってくるから…」
幼駄染(折角男が家に来てくれたのに…もぉやだよぉ…)シュン
みたいな
http://hayabusa.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1327395754/
幼駄染「今飲み物持っていくからねっ」
幼駄染「ありがと…ってあれ?」
男「ん?紅茶じゃないの?」
幼駄染「あ、いや…紅茶は大好きなんだけど、クッキー置いてなかった?」
男「クッキー?」
幼駄染「あのね?一緒にクッキーを食べようと思ってね」
幼駄染「が、頑張って焼いてみたんだけど…」
男「???」
幼駄染「あ、あれ?なかった?」
男「うん…多分」
幼駄染「おかしいなー…」トテトテ
男「あ、おい」
幼駄染「ぎゃ」ズテン
男「…」
幼駄染「あはは…」
男「ごめん、見落としてたのかな?」
幼駄染「もー、こんな分かりやすいとこに置いてあるのに」
男「今度はコードに引っかからないようにな」
幼駄染「バカにしてる?」
男「心配してる」
幼駄染「…」
男「ん?なんか変なにおいしないか?」
幼駄染「そうかな?…はい、クッキー」
男「っ!?」
幼駄染「どうしたの?」
男(生ゴミじゃ…無かったのか…)
幼駄染「どうぞっ!」ドキドキ
男「…あ、ちょっとトイレに」
幼駄染「そっち玄関だよ?」
幼駄染「そっちは庭」
男「お?おぉ…そうか」
幼駄染「どうしたの?昔はよく来てたじゃん」
男「あ、あーそうか…思い出した思いだした!こっちだったな」ガチャ
幼駄染「そこは勝手口だって!」
男「」
幼駄染「…」
男「…」
幼駄染「も、もしかして…食べたくない?」
男「いや、そんなことはありませんけれども少しお腹の調子が悪くて」
幼駄染「見た目はちょっとアレだけどね?私頑張ったから、ね?」ウルウル
男「食べます!今食べます!!」
幼駄染「ホント?良かったぁ!」パァ
男「」
男(お父さんお母さん、僕にはこの子が何を言っているのか分かりません)
幼駄染「男和食好きでしょ?昔っから納豆ばっかり食べてるの知ってるんだから」エッヘン
男(ダメだこれ、味見してないパターンですよ、むりですよ)
幼駄染「で、こっちのが何も入ってないから比べてみてね!」
男「もらったぁああぁあぁあぁああぁ!!!」バクバク
幼駄染「あ、そんなにがっつかなくても…」
男「…」
幼駄染「男ったらそんなにクッキー好きなんだ…ま、また作ってあげるから落ち着いて」
男(こっちが…本命だったとは……策士め)フラッ
幼駄染「男?…あれ?倒れちゃってどうしたの?…ねえねえ」ユサユサ
男「」
幼駄染「おとこー!!!」
男「」
幼駄染「…」カリッ
幼駄染「おえっ…げろしゃぶ……」
―――
――
男「…」
幼駄染(あ、あんなにまずいもの出しちゃった…どうしよう)アセアセ
幼駄染(その上男は起きないし…あぁもぉ…どうしよどうしよ)
男「ん…」
幼駄染「おとこ!起きて起きて!頑張って!!」
男「幼駄染?」
幼駄染「良かったぁ…男全然起きないから心配しちゃって」
男「なんで俺は包帯巻かれてるんだ?」
幼駄染「倒れちゃったからだよ!」
幼駄染(もしかして、覚えてない?)
男「…」
幼駄染(で、でも私のクッキーってそんなに…)シュン
男「なあ…なんか元気ないな」
幼駄染「あ、いや、ちがうの…男が起きてくれて安心しただけ」
男「で、どうして俺は倒れたんだっけ?」
幼駄染「それはね…あのね…えっと…」
幼駄染「よ、良く分からないの!」
男「分からない?」
幼駄染「トイレから帰ってこないなーって思ったらね…倒れてて」
男「包帯巻かれてるってことは…どっか怪我してたのかな?痛みは無いんだけど」
幼駄染「そんなことないよ」
男「え?」
幼駄染「?」
幼駄染「倒れてたから包帯巻いたんだよ?」
男「じゃあどっか怪我してたんだろ?」
幼駄染「ううん」
男「?」
幼駄染「?」
男「じゃあなんで包帯?」
幼駄染「包帯巻いたらすぐ治るんでしょ?」
男(あぁ…もう、こいつは……)
幼駄染「?」
男「いいか、包帯巻いたら何でもかんでも良くなるわけじゃないぞ?」
幼駄染「えぇ?」
男「馬鹿」
幼駄染「なんて言った?」
男「馬鹿」
幼駄染「馬鹿じゃないもん!」
男「あーほ」
幼駄染「そ、そんな幼稚な言葉じゃ私何とも思わないもん」
男「まぬけー」
男「ばーか」
幼駄染「ぬわーーーーーーっ!!!」
男「ハハッ、ちょろいな」
幼駄染「男の馬鹿ぁ!」ゴスッメキョ
男「い、痛い痛い!まって、ごめん!ごめんなさい!!」
幼駄染「誰が許すかー!」ポコポコ
男「…うわ、ちょ」
幼駄染「お、男がいきなり倒れるから…」ジワ
幼駄染「初めてだけど頑張って包帯巻いたのに…」ウルウル
幼駄染「ば、馬鹿ってなによぉ!」
幼駄染「だめ」
男「ちょっとからかっただけだってば」アセアセ
幼駄染「許さない」
男「なぁ…」
幼駄染「無視する」
男「…」
幼駄染「…」
―10分後
男「ところで幼駄染」
幼駄染「なにかな?」
男「なんで俺は倒れてたんだろう」
幼駄染(覚えてないみたいだな…よし)
幼駄染「わ、分からないなー」
幼駄染「そ、そうかもねー」
男「今度病院行かないと…はぁ…またお金が」
幼駄染「大丈夫!病院には行かなくても大丈夫だから!!」
男「なんで?」
幼駄染「思い出したの!男はドアで頭を打って動かなくなって!」
男「おぅ…そうかまぁいいや、ありがとな」
幼駄染(罪悪感が…うぅ)チクチク
男「そろそろ遅くなるから帰ろうかな…」
幼駄染「そっか…また来て…くれる?」
男「読んでくれればいつでも」
幼駄染「!」パァ
男「ところで無視はしなくていいのか?」
幼駄染「…あ、明日からだもん!ばか!!!」
男「じゃあなーまた明日学校で」
幼駄染「おはよー!」
男(こいつは…)
男「おはよ…なんか思いだすことない?」
幼駄染「?」
男「…」
幼駄染「…ないよ?」
男「ならいいや…」
幼駄染「はっ!男の事無視するんだった!」
男(思いだしたか…)
男「幼駄染ー」
幼駄染「…」
男(がんばるみたいだな)
教師「よーし、じゃあ宿題黒板にやってくれー」
幼駄染「私当たってるんだった!」
男「…」
幼馴染「…」チラッ
男「…」
幼駄染「お、おとこぉ」オズオズ
男「…」
幼駄染「…ごめんなさい」
幼駄染「な、なんだよもう!笑うな!」
男「いや、早かったなって思って」
幼駄染「くそぉ…」
男「はははっ、まぁまぁ…教えてあげるから」
幼駄染「ありがと…」
クラスメイト一同(またやってやがる…)
教師♀(30)独身(のろけやがってクソ…)
クラスメイト一同(先生…)
幼駄染「zzz」
男「おい…おい」
物理教師「じゃあここ、幼駄染ー」
幼駄染「…んぁ?」
物理「わかるかー?」
幼駄染「分かりません!」
物理「先生寂しいから寝るなよー」
男「なんで物理選択したんだよ…」ヒソヒソ
幼駄染「だって…男が…」ヒソヒソ
男「俺は物理楽しそうだから来たんだよ」
幼駄染「男に教えてもらえればいいかなって思って」
男「ホント幼駄染はダメだな…」
幼駄染「…」ボー
女「幼駄染ちゃん行ったよー!」
幼駄染「…」ゴッ
女「あ…」
幼駄染「…痛い」プルプル
女「だ…大丈夫?」
幼駄染「おとこぉ…」ウルウル
女「男くんならいないよ?落ち着いて…」
幼駄染「お、男なんて言ってないから!」
女「はいはい保健室いこっか?」
幼駄染「行かない!!」
女「ホントに?」
幼駄染「私ダメじゃないもん!」
女(だめだめって呼ばれてるの知ってるのかな…)
幼駄染「ファーストペンギン…」ウルウル
男(何やってんだこいつは…)
幼駄染「よく飛び込んだねえぇぇええぇえええ01!」
現代文「幼駄染、うるさいからグラウンドに立ってろ」
幼駄染「はい゛!わがりま゛じたぁ!!!」
…
ペンペエエエエエエエン
ウワアアアアアン
男(…あれ?なんで俺が恥ずかしいんだよクソッ)
男(…)
幼駄染「はふはふ」バクバク
男「…」
幼駄染「今日も美味しいなぁ…」ウットリ
男「なんつーか、アレだな」
幼駄染「?」
男「授業中は寝てて、昼休みは元気に美味しそうに弁当食べるってさ」
幼駄染「な、何が言いたいの?」
男「ホントにダメ人間だな」
幼駄染「」
男「そういやおでこのとこどうしたの?」
幼駄染「体育の時に…ボール当たって…」
男「ホント駄目だなぁ…幼駄染は」
男(お?…お?)
幼駄染「私だって頑張ってるんだよ?」
男「…」
幼駄染「授業寝てた分夜遅くまで勉強して」
幼駄染「朝早く頑張って起きて…それで眠いんだもん」
幼駄染「だからまた寝ちゃうんだもん…頑張ってるもん…」
男「授業受けて夜早く寝ればいいじゃん」
幼駄染「それができたら苦労してないってば!」
男「ちょっと無理して生活リズム変えてさ、それができないのはやっぱ駄目だよ」
幼駄染「」
男「それで頑張ってるって言われても…なぁ」
幼駄染「うわあああああん!」
男(ちょっとやりすぎたな)
男「ごめんごめん…悪かったよ」
幼駄染「もう許さない…」
男「もうしないから」
幼駄染「ホント…?」
男「うん」
幼駄染「はっ!また騙されるとこだった!」
男(ダメか)
幼駄染「まったく…何回このセリフを聞いたか…」ブツブツ
男(今日は頑張るな…)
小学生かよ!!
幼駄染「行ってない…」
男「どうして?結構腫れてるじゃん」
幼駄染「だって…また男にだめだめって言われると思って…」
男「へー…すごいすごい!幼駄染も成長したなぁ」ナデナデ
幼駄染「ほ、褒めてくれた!!!えへへ…」ニコニコ
男「…」
幼駄染「ダメダメ!…もう騙されるところだった」
幼駄染「なでなでは卑怯だよ男はもう…」ブツブツ
男(手ごわいな…)
幼駄染「私は怒ってるんだから!!」
男「まぁまぁ」
幼駄染「な、何!?騙されないからね!」
男「昨日は楽しかった、ありがと」
幼駄染「あ、うん…」
男「幼駄染」
幼駄染「なによ!話しかけないでっ!」
幼駄染「私…ダメだから…また騙されちゃうから」
男「そんなに怒ってるの?」
幼駄染「毎日毎日いじわるされたら当然でしょ!」
幼駄染「な、なに?」
男「今日も遊びに行って良いかな?」
幼駄染「…」
男「…」
幼駄染「………」
男「…」
幼駄染「…………良いよ」コクン
おわり
後日談もあると嬉しい
Entry ⇒ 2012.01.28 | Category ⇒ 幼馴染「」SS | Comments (0) | Trackbacks (0)
ほむら「美樹さやかが増えた…」
http://hayabusa.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1327646068/
ほむホーム
ほむら「(明日は待ちに待ったワルプルギス戦……絶対に負けられないわね)」
ほむら「(今回は今までと違って巴マミや佐倉杏子、それに美樹さやかも一緒に戦ってくれる)」
ほむら「(正直負ける気がしないわ……)」
ほむら「さて、明日に備えて今日はもう寝るとしましょうか」
ピンポーン
ほむら「?こんな時間に……誰かしら」
ガチャン
さやか「「「「「「「よ、転校生!!!元気?」」」」」」」
ほむら「」
ほむら「な、なな、な……!?」
「「「「「「「何驚いてんのさ、転校生?」」」」」」」
ガチャン
ほむら「夢ね。私疲れてるんだわ、早く寝ましょう」
ガラッ
「「「「「「「ドア閉める事ないでしょうがー!!」」」」」」」
ほむら「ひいっ!?窓から覗き込んで来た!?」
「「「「「「「いやあ、ごめんごめん」」」」」」」
ほむら「っていうか近所迷惑よ……」
――――――――――
ほむら「…………で、何で増えてるのよ。というか部屋に入りきってないじゃない」
「気付いたらこうなってた」
「元からこうじゃなかったっけ?」
「転校生ーこの部屋狭いー」
「転校生の視野も狭いね」
「転校生、良識狭ーい」
「転校生って、狭い」
ほむら「何で途中から侮辱に変わってるのかしら」
ほむら「はあ……明日は大事な決戦だっていうのに……頭痛いわ」
「転校生、頭痛いの?」
「頭が?」
「頭大丈夫?」
「頭悪いの?」
「頭弱いの?」
「頭イっちゃってるの?」
「頭おかしいんじゃないの?」
ほむら「最後の辺りの美樹さやかども、ちょっと屋上来なさい」
ほむら「ところで巴マミや佐倉杏子に所には?まさか真っ先に家に来た訳じゃないでしょうね」
さやか「行ったけどいなかった」
ほむら「ああ、貴女が代表の美樹さやかなのね……って、は?」
さやか「だから居なかったんだってば、マミさんも、杏子も」
ほむら「」
ほむら「(ま、まさか決戦前に全員失踪?何が起こってるのよ……)」
「「「「「「「暗い顔するなって、転校生!!」」」」」」」
ほむら「誰のせいだと思ってるのよ!」
ほむら「……」カチャ
さやか「って、転校生。盾なんかに手掛けてどうしたのさ」
ほむら「時間遡るわ、さよなら」
さやか「ちょーーーーっっと待ったああああああ!!」ガシッ
ほむら「!?離せ、美樹さやか風情が!」ジタバタ
さやか「今だよ皆、盾奪っちゃって!」
「「「「「「「うおおおおおおおおおおおお」」」」」」」
ほむら「キモッ!」
ウオオーテンコウセー! ホムァァァァァ
…………………
さやか「落ち着いた?」
ほむら「ええ、美樹さやかだらけの景色に思わず発狂しかかったけど」
さやか「えへへ…」
ほむら「何で今照れたのかしら」
ほむら「はあ……とにかく、現状を何とかするしかないわね」
ほむら「貴女たち、ついてきなさい。巴マミのマンションに行くわよ」
さやか「マミさんの所?だからいなかったってば」
ほむら「いいえ、巴マミに用事は無いわ。あるのは……あの陰獣によ」
―――――――――
夜道
ほむら「……」スタスタ
さやか「…」
さやか「…」
さやか「…」
さやか「…」
さやか「…」
さやか「…」
さやか「…」
さやか「…」
さやか「…」
.
.
.
ほむら「端から見ると、とんでもない光景なんでしょうね」
ほむら「そういえば、代表のさやかを見失ったわね」
ほむら「さやかー」
エッワタシ? イヤワタシデショ
ブサイクハヒッコンデナサイヨ
さやか「いやーごめんごめん後ろの方にいた、何?」
ほむら「いえ、こんなにも美樹さやかがいると貴女を見付けにくくて……」
さやか「ああ、そういうことね」
さやか「それなら大丈夫、あたしは他のさやかには無い特技があるから、それで見分けてよ!」
ほむら「へえ、何かしら」
さやか「モノマネ!」
ほむら「……」
ほむら「……どうぞ」
さやか「ア゛ァ゛ァ゛ァ゛ァマ゛ドカ゛ァ゛ーー」
さやか「どう?」
ほむら「ぶっ殺すわよ」
マミホーム
ほむら「ここね。入りきらないからさやか達はここに居てって……さやかはどこかしら」
「私だ」
「さやかちゃんは、この私」
「アホ面どもは黙ってなさいよ!」
ほむら「さやか、アレやって頂戴」
さやか「ア゛ァ゛ァ゛ァ゛ァ゛マ゛ドカ゛ァ゛ーー」
ほむら「そこにいたのね」
―――――
ほむら「さて……出てきなさいよ。いるんでしょう?」
QB「……やれやれ、今更僕に何の用だい?暁美ほむら」
ほむら「とぼけないで、美樹さやかの事……貴女が何かしたんでしょう?」
QB「美樹さやか?言っている意味がよくわからないけど、それでわざわざここまで来たのかい?」
ほむら「ふん……。いいわ、言い逃れできなくしてあげる」
ほむら「おいで、美樹さやかども!」
「「「「「「「お邪魔しまああああああああす!!」」」」」」」
QB「なんだかさやかの声が重複して聞こえるね、僕疲れてるみたいだ」
ほむら「くっ。まだとぼける気なのね……」
ゾロゾロ
「いやあQB久しぶり!」
「元気そうだね、QB」
「そもそもコイツに元気とかあるの?」
「いやあるっしょ、生物的に」
「勘違いしてるさやかがいるわね、コイツは異星人よ。常識は通用しないわ」
「ということは?」
「QB可愛いってことだね!」
「いやJBも中々……」
QB「」
ほむら「ふん、どうかしら。これで逃げも隠れも……」
QB「いやちょっと訳が分からないんだけど。割とマジで」
ほむら「このっ……いい加減に」
QB「いやマジで。あんまりにも突然の出来事で僕感情芽生えちゃったんスけど」
QB「これがアレっスね、恐怖って感情っすね」
ほむら「……え?」
ほむら「いや、ちょっと待って。貴女美樹さやかが増えた事に何か関与してるんじゃ……」
「そもそもQBの可愛さとは……」
「いや何であれ恭介には敵わないんで、はい論破」
「まだ恭介厨がいるのかよ、いい加減目覚ましなさいよ」
「いやQB厨には言われたくないんで」
「なによ?やるっての?」
「上等よ、美樹さやかの頂点を決める時が来たわね」
QB「いや知らないッスよwwwwwwwそもそも僕がさやか増やして何の得があるんすかwwwwww」
QB「どうせ増やすならエントロピー的に鹿目まどかを増やしますってwwwwwwwww」
ほむら「」
ほむら「じゃ、じゃあアレって……」
QB「さあ?全くわからないッス」
ほむら「……」
「私の恭介はねー……」
「QBといったらやっぱりあの顔でしょ!」
「いやいやそこは……
……………………
ワルプルギスの夜襲来、当日
ほむら「……結局、いるのは貴女達なのね」
「「「「「「「見滝原の平和は、この魔法少女さやかちゃんが守りまくっちゃいますからね!」」」」」」」
ほむら「もういいか、なんか面倒臭いし」
ほむら「とりあえず、兵器だけは待機させときましょう……」
さやか「それで美樹さやか20034はあそこに行ってだね」
「ふむふむ」
ほむら「いよいよね……負けられない」
5
ほむら「……」
4
「「「「「「「「……」」」」」」」」」
3
さやか「ん?何だこのスイッチ」ヒョイ
2
ほむら「おまっそれ兵器の起動スイッt」
1
ワルプルギス「アハハ、アーハハハハハハハハハ」
ほむら「けほっ……予定は狂ったけどこのまm」
さやか「今だよ皆!全軍打ち合わせ通り全軍突撃いいいい!!!」
「「「「「「「これで止めだああああああああああああああああああああ!!!!!!」」」」」」」
チュドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドド
ほむら「……」
――――――――
ほむら「……はっ!」パチリ
ほむら「ここは、私の部屋……あれは、夢?」
ほむら「……ふ、ふふ。そうよね、美樹さやかが増えるなんて……私ったらどんな夢見てるのかしら」
ほむら「さて、そろそろ支度して……」
ピンポーン
ほむら「……無いとは思うけど、出ましょう。きっとまどかだわ」
ピンポーン
ガチャ
ほむら「おはよう、まど……か…」
さやか「おはよー転校生!昨日はよくねむ……って泡吹いて倒れた!?しっかりしろ転校生!」
ほむら「」
さやか「転校生ェェェェェェェ!!!」
まどかの今日の日記
ほむらちゃんが寝坊したから皆で起こしに行ったら、何故か泡吹いて倒れちゃった。
驚かそうと思って皆さやかちゃんのお面付けてたのが、そんなに怖かったのかな……
おわり
面白かった
Entry ⇒ 2012.01.28 | Category ⇒ まどかマギカSS | Comments (1) | Trackbacks (0)
弟「お姉ちゃんってよく見たら美人だな」
友「確かにお前の姉ちゃんはクラスでも評判な美人だよな」
弟「実は血繋がってないんだよね」
友「まじかよ!?義理の姉なのか」
http://hayabusa.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1327144033/
弟「お姉ちゃんってよく見たら美人だな」
友「おいおいいくら義理っていってもな」
弟「分かってるよ!一線を越えちゃだめだってことくらいさ!」
友「分かればいいんだよ」
友「何が?」
弟「普通に胸大きいし細いし肌白いしさ」
弟「マジでやばいってこれ」
友「おいおい」
弟「まじかよー」
弟「どん引きだわいい加減にしろよ」
友「いやごめんね。でも俺以外でもしてるやついると思う」
弟「萎えるわーお姉ちゃんよりお前のオカズを知ったことに失望するよ」
友「そうため息つくなよ」
友「ていうかお前はオカズにしてないの?下着とかあるんだしさ」
弟「ねーよ」
弟「お姉ちゃんが美人なのに気づいたのが今のことだから」
弟「彼氏とかいるのかなー」
友「もう高3なんだろ?今はいなくても経験はあるんじゃね?」
弟「うるせーよお前黙ってろよ」
弟「あーもう少し早く気づいたらなー」
弟「俺がお姉ちゃんのジョジョ奪えたかも」
弟「処女だよバカ。変な聞き間違いするな」
友「ごめんごめん。ていうよりもうそんな目線でみてるのか」
弟「まぁな」
友「美人だと気づいたらすぐ性の対象にするとかお前中々すごいな」
友「そうか」
弟「お前の妹は?」
友「いやあのさ?まだ5歳なんだけど?」
弟「え?全然いけるじゃん」
友「は?ふざけんなよお前。マジで怒るぞ」
弟「冗談だって冗談。アハハ」
友「本当かよ」
友「なんだよ」
弟「お前さ。人の姉をオカズにしておいて自分の妹は嫌がるんだな」
友「あたりめーだろバカ」
弟「いやいやおかしいって。だって考えてみてよ。人の姉を許可なくオカズにしておいてお前の妹をオカズにしてはいけないっておかしくね?」
友「歳が違うだろ」
弟「いやいや関係ないって。元から人のストライクゾーンなんて人それぞれなんだから関係ないだろ」
友「いやいや常識的に考えてだな」
弟「この場合の常識ってなんだろうな」
友「は?」
弟「人の姉をオカズにしてるのに常識を語る奴ってなんなんだろうな」
友「え?なに?お前怒ってるの?」
友「いやさ、だって5歳だよ?お前の姉ちゃんは18だろ?」
弟「いや、それはお前の物差しで測ってる場合だろ?」
友「は?何物差しって」
弟「いや例えだって」
友「認めたくはないけどお前のお姉ちゃんをオカズにしたから認めざるをえないな」
弟「だろ?だからお前の妹をオカズにしたって何にも問題ないわけだろ?」
友「はぁ…じゃあお前さ」
弟「なに?」
弟「え?」
友「いやだから俺の妹で性的興奮するのかって話」
弟「いやしないけど」
友「だろ?ていうかお前殴るよ?」
友「なんで興奮もしないのにオカズにしようとするの?ねぇなんでなの?」
弟「いや何か仕返しっていうかやり返しっていうか」
友「姉が犯されたわけでもなくオカズにされただけで友達の妹オカズにしたがるって…」
友「だけどお前はどうだ?興奮もしてないのに仇の為にオカズにするなんておかしくないか?」
弟「ごめん…」
友「分かればいいんだよ。俺もオカズにしてごめんな」
友「なんだよ」
弟「犯された…」
友「は?」
弟「俺の姉ちゃん犯されたよ…」
友「はい?」
弟「最悪だよ…」
友「え?ちょっと待って説明して?」
友「いやいやそれはおかしいって。だったらお前だって俺の妹」
弟「いやまだしてねーし。未遂だし」
友「え?何それ絶対におかしいって」
弟「おかしくねーよ妄想レイパー」
友「おかしいだろ!っていうか変な名前でよぶなよ」
弟「いや…処女膜が再生するわけじゃないし」
友「それは俺じゃねーって!ていうか憶測だろ!」
弟「お前から経験してるって言ったんだろ」
友「憶測だって!」
弟「ん?」
友「ここからどうやって出るんだよ」
友「いや、ただの現実逃避じゃん。早い所でないとここで死ぬぞ」
弟「分かってるよ」
友「マンホールに落ちたなんて馬鹿みたいだよな」
弟「さっきから声出しても誰も来ないもんな」
弟「今は日が沈んでないからいいけど夜になったら真っ暗だよな」
友「よりによって二人とも携帯の電池ないなんてな」
弟「俺喉疲れたわ」
友「しっかりしろよ。とにかく所持品の確認しようぜ。暗くなると見えなくなるからさ」
弟「オッケー。これ俺のバッグな」
・携帯電話(電池切れ)・財布(小銭のみ)
・定期入れ・教科書・ノート
・ペンケース・ハンカチ
友のバッグ
・携帯電話(電池切れ)・トランプ
・新聞・ノート・ペンケース・ライター
・靴紐・鍵
どういうことだってばよ
友「こういう時には役にたつだろ?」
弟「まぁ灯りを灯すマッチ、寒さも凌げる。暇つぶし用のトランプ、新聞。」
友「中々だろ?」
弟「どうやって出る?」
友「靴紐が何かに使えそうだな」
友「お?どうした」
弟「ノートに落ちてしまった。助けてくれと書いて上に紐をつけて投げ込むんだ!」
友「紐で繋がってるから風で飛ばないし信じられるな」
弟「そういうこと!マッキーでデカく書けば目に止まるだろ」
友「よし!書こうか」
弟「あ、そうか」
弟「あ!閃いた!小銭をノートで包んでテープで止めて重石にすればいいんだ!」
弟「俺の財布には小銭がクソみたいにあるからな!」
友「おお!お前結構頭いいな!」
弟「じゃあ、頼むぞ」
友「任せろ!」
友「野球部球拾い王の実力見せてやるぜ!!」ビューン
弟「いったー!」
友「まじかよ」
弟「しかもテーピング崩れて小銭が落ちてくるぞ!」
友「うわあああ!!!」ズガズサズガ
弟「こいつ使えねえな」
弟「おいおい勘弁してくれよ。野球部のお前が無理なら希望ないじゃんか」
友「いや、次はいける!」
弟「テーピングの強度上げるか」
友「テープも残り少ないな」
弟「セロハンだから強度は無いんだな」
友「よし行くか二投目!」
弟「届いても乗せなきゃ意味ないからな」
弟「おおっ!」
友「越したっー!!!」
弟「風も吹いてるぞ!」
友、弟「乗れええええっ!!!」
友「だああああああああっ!!!」ズガズガビシズシ
友「な、中の小銭を減らそう」
弟「いや、だめだ」
友「なんでだよおおおおおっ!!!」
弟「中の小銭の減らして風で乗るようにするってことは乗っても風で落ちる可能性があるっていうこと」
弟「元から重石の役割なんだから風に頼るのはよくない」
友「ち、ちくしょう…」
弟(友のダメージが大きい…!)
弟「友、大丈夫か」
友「あ、ああ…」
弟(それに加えて小銭の雨…!今友のダメージはとても大きい筈…!)
弟「高さはクリアしてるんだ!後はどうやって上に乗せるか!」
友「ち、ちくしょう…」
弟「まずは小銭のダメージを抑えよう」
弟「袋をノートの紙から俺のハンカチに変えてクリップでノートの紙と固定させよう」
弟「これで小銭の落下は防げるはず」
友「日が暮れる前に上に乗せないと!」
弟「俺が考えるのはまずSOSサインを
垂直に飛ばす」
弟「それからその垂直に飛んだサインに何かをぶつけて軌道をズラし乗せるしかない!」
友「それは越えるだけじゃ無くもっと高く飛ばさなくてはいけないのか」
弟「そうだ。頑張ってくれ」
友「でも、何をぶつけるんだよ。固くて小さいものなんて無いぞ」
弟「ある。携帯電話だ」
友「なるほど!」
友「携帯は二個しかないから頑張ってくれよ」
弟「靴紐はスペアの一個だからサインにしかつけられない。携帯に紐はつけられないから下手したら消失してしまう」
友「よし!行くぞ!」
弟「ああ!3、2、1のサインでいくぜ!」
友「おお!」
弟、友「3!!!!」
弟、友「2!!!!」
弟、友「1!!!!」
ビュン!
友「おいいいいいいいっ!!!」
友「何で同じタイミングで投げてるんだよおお!!!」
弟「やっちまった!」
弟(サインに携帯をぶつけるんだからタイミングはサイン→携帯なのに!)
友「凄い高さで飛んでいる!」
弟(二つとも同時に凄い高さだ!マンホールの上は越した!)
弟「!!!!!」
友「うおおおお!!!!」
友「すげええええ!!!!」
友「でも、何でだ!」
弟「分かったぞ!」
弟「ほぼ、同時にマンホールを越した二つの物は風に当たったんだ!」
弟「当然、重石がついているSOSサインは風じゃビクともしない」
弟「けど、携帯電話は違った!」
弟「携帯電話は風に流されて軌道が変わったんだ。そして携帯はSOSサインにぶつかって上に乗ったんだ!」
弟「あ、携帯が落ちてくる!」
ひゅーーーー
ガツン!
弟「友ももももおおおおお!!!!」
友「………」
落下してきた携帯は友の頭に直撃した
ダメージを前から受けていた友は倒れてしまった
弟「ふざけんなよ!起きろよおお!!」
弟「いくらでもお姉ちゃんオカズにしていいからよおおお!!!」
友「………」
弟「ともおおおおお!!!」
弟「だけど乗ったんだ!待ってろよ!今から人が来て助けてくれるさ!だから死ぬなよ!」
友「…………」
弟「なんでだああああ???」
弟「サインが落ちてくるっ!!」
弟「あっ!クソガキが蹴りやがった!!」
弟「待てやクソガキっ!!!人を呼べっ!!!」
弟「うぐあああああああっ!!!!!」
弟「がああああっ!!!!」
弟「ちっちくしょおおおあおおっ!!!!!」
友「いってええええっ!!!」
弟「あ、起きたか」
友「な、何するんだよ」
弟「あ、ごめんちょっと怒っちゃって」
友「あ、それよりもサインが!」
弟「そうなんだよ。クソガキが蹴りやがった」
友「これでまた振り出しかー」
友「あれ、おい!見ろよ!」
弟「あっ!人が落ちてくる!」
弟「避けなきゃ!」
ドスン!
弟「おい、ブタ吉じゃねーか」
ブタ吉「い、痛いブヒ」
友「ブタ吉が落ちてくるなんてな」
ブタ吉「え?どうしてお前らがいるブヒ?」
弟「俺達も落ちたんだよ」
友「そう」
ブタ吉「よ、よかったぁ」
弟「こっちもよかったぜ」
ブタ吉「あっ分かったブヒ」ブヒ
ブタ吉「あ、あれ?無いブヒ」
友「は?もっとちゃんと探せよ」
ブタ吉「な、ないブヒ…」
弟「ま、まさかお前!今日に限って忘れたのか!?」
友「ありえねえよコイツ!」ガスッ
ブタ吉「痛いブヒ!」
ブタ吉「あ、でも食べ物はあるブヒ」
友「パン一つじゃねーか」
弟「お前の分はねーぞ」
ブタ吉「そ、そんな…」
弟「そう!どうやってここから出るんだ!」
ブタ吉「ど、どうしましょうかね…」
友「肩車で誰か一人が出て誰か呼ぶっていうのはどうだ?」
弟「身長の高いブタ吉が来たとしても人数が足りない」
弟「後3人は必要だ」
友「くっそー」
友「お前なんて事考えるんだよ!」
弟「いや、でも的をえている」
弟「誰かが落ちてくれば肩車で繋げる!」
友「落とすって俺達が落ちているんだぞ」
弟「靴紐を飛ばして足をかけるしかない」
友「それをブタ吉が受け止めてか」
弟「その人の携帯電話で出られるかもしれないし、やるしかないよ」
友「ブタ吉!肩車だ!」
ブタ吉「は、はいブヒ」
ひゅん
友「よしっ!手応えあった!」
弟「落ちてくるぞー!」
ドスン!
男「い、いてえ…」
友「大丈夫ですか?」
男「え?どういうことですか?」
友「私達も落ちてしまっているんですよ」
弟「携帯電話があれば連絡できますね」
男「あっあります」
男「あっ!壊れてる!」
ブタ吉「真っ二つ…」
友「ちくしょう!!」
弟「いや、でもあと二人だ。この人に説明しよう」
弟「かくかくしかじか」
男「え?じゃあ故意で私を落としたんですか?」
弟「本当にすいません」
男「まぁ仕方ないですよ…次の人の携帯電話に期待しましょう」
ホームレス「……」
弟「携帯電話、持ってませんよね?」
ホームレス「はい…」
弟「うん、仕方ない」
友「あと、一人だ!」
弟「オーケー任せろ!」
弟「ん?あれって」
友「あ」
弟「姉ちゃんじゃん!」
友「いや、落とせよ?」
弟「いやだよ!」
友「いやいや」
友「いや、この場合誰とか関係ないだろ!」
弟「あるだろ!じゃあお前の妹が来ても落とすのか?」
友「俺の妹は背低いし、携帯持ってないから普通にパスだろ」
弟「はあああああああ????」
弟「いや、やめろよ!」
弟「ありえねえだろうが!!」
友「なんでだよ!助かることが優先だろ!」
友「ここは人通り少ないんだぞ!」
弟「いやだあああ!!」
友「貸せよ!」
弟「あっ!」
ドスン!
姉「いてて…」
弟「姉ちゃん!」
姉「お、弟?なんで弟と友達がいるの?」
弟「俺達も落ちたんだよ!」
弟「じゃあ、携帯電話」
姉「あっ今持ってない」
友「え?」
姉「散歩してただけだから…」
弟「はぁ…」
弟「よし」
連結!
弟「もう少しで届くぞ!」
友「ブタ吉!もう少しピシッと立て!」
ブタ吉「わ、わかったよぉ!」
姉「弟!」
弟「届いたああっ!お姉ちゃんのおかげで届いたぁ!!」
ブタ吉「いや、僕の」
弟「あっ!さっきのクソガキ!」
弟「お前の妹かよ!ちゃんと躾しろ」
弟「蹴ってきてる!!!お前の妹蹴ってきてるぞ!」
弟「やめろおおお!!」
ブタ吉「も、もう限界だよお」
弟「崩れるうう!!!」
弟(妹をおいはらわねば!何か武器は)
友「俺のトランプを使え!」
弟「そうだ!トランプがあった!」
弟「くらえ!」シュビ
弟「ヒソカ!俺はヒソカだ!」シュビシュ
妹「い、痛いよお!」ウワアアン
友「ああっ!俺の妹泣かせやがったなああああ!!!」
友「じゃあお前の姉も!」ガスッガスッ
姉「痛い!やめて!」
弟「くううおおおらああああっ!!!」
弟「何やってんだよ友!!」
友「うるせええ!!俺の妹をよくも!」
ブタ吉「崩れちゃうよ!」
男「や、やめてください!」
ホームレス「……」
姉「私のことはどうでもいいんだね」
弟「ち、ちがうって!ああああめんどくせええええ!!!」
友「ユルサン…ユルサン…」ガスガス
弟「く、狂ってる!」
姉「も、もうダメっ!」
男「崩れる!」
弟「俺から友までは一人分空いてる!直接攻撃はできない!」
弟「!!俺はヒソカだ!くらえトランプ!!」シュッ
友「めがああああっ!!!」
弟「しまった!やりすぎたか!」
男「こいつ手をはなしやがった!」
ブタ吉「崩れるっ!」
弟「と、届かないっ!」
弟「ともおおおお!!!しっかりしろおおお!!!」
友「はっ!」
弟「しっかりつかめえ!!」
友「正気に戻ったぜ相棒!すまなかった!」
弟「戻ったか相棒!」
男「セーフだ!いける!」
姉「立て直ったわ!ブタ吉さん!もう一回ピシッとたって!」
ブタ吉「う、うううおお!!」
弟「ナイスブタ吉!」
弟「と、届くぞ!俺達の未来へ!」
友「いけええええっ!!!」
ガスッ!!
弟(この蹴り音は友の蹴りそのもの…!だけどこれは友ではない!)
弟「友の妹の蹴りだ!!!」
男「バランスがっ!」
妹「ケヘヘヘヘヘ」
妹「ケヘヘヘヘヘ」
弟「蹴りは完全に友の物を受け継いでいるる…!しかもこの歳でこの蹴りは天才的だ!」
友「やめろ妹!プリン食べたのは謝るから!」
男「くそおっ!プリンのせいで!」
男「両手が空いているのは弟くんだけだ!」
弟「くそおっ!怒ったぞ!」
友「弟!やってしまって構わない!」
弟「うおおおおおおっ!!!」
弟「来たな蹴りっ!受け止めてやるぜっ!」
弟「震えるぜハート!」
弟「燃え尽きるほどヒート!」
弟「刻むぜ血液のビート!」
弟「ブルーオーバードライブ!!」ドゴオオオッ!!
友「波紋の流れる音だ!手応えあったな!」
妹「う、うぐぐぐ」
男「妹を倒したぞー!!」
友「弟っ!お前だけでも上へ上がれっ!」
弟「届いたっ!」
男「崩れるぞおっ!」バラバラ
姉「きゃあああああっ!!」
ブタ吉「うわああああ」
妹「よ、よくも…」
弟「まだ立ち上がる体力があったか!」
弟「トランプをくらえっ!」シュッ
弟(オーラを込めたトランプ!当たれば一撃だ!友よ…すまない)
妹「当たるかっ!」
弟「かわされたっ!」
弟「ぐわあおっ!!」
弟(あぶねえ…落ちる所だった…)
弟(何て野郎だ…俺の全オーラを込めて放ったトランプ数枚を交わすとは)
弟(そしてオーラで守られていない俺の身体にオーラを込めての蹴りっ!)
弟(ギリギリでオーラを込めたが効いたぜ…)
弟「友と同じ強化系か」
妹「また落としてやるっ!」シュッ
弟「何度も当たるかっ!」
男「今上で戦っているぞ!」
ブタ吉「弟が落とされればもう希望はない」
友「弟…頑張ってくれ」
弟「攻撃がなんて早いんだっ!」
弟「避けるので精一杯だ!攻撃なんててまきないっ!」
妹「ケヘヘ!攻撃する隙を与えないのさ!」
弟「なら!お前の動きを止めるまでだ!」
男「蹴りが入った!」
妹(オーラで受け止めたかっ!ならもう片方の足でっ!)シュン!!
男「ふんっ!」パシッ!!
妹「受け止めたっ!?」
妹(なぜだ?一発目の蹴りを受ける為のオーラを消費したのだから受け止められるはずがないっ!)
男「フフフ、俺は全オーラを腕にこめたのさ」
妹「なっなんだとっ!じゃあ一発目は素の防御で受け止めたというのか!?」
男「その通りだ!もうにげられないぜ!」
妹「逃げられないのはお前の方だっ!」
妹(ここからラッシュを叩き込めるっ!)バババ
弟「どうかなっ!」シュシュッ!!
妹「後ろからカードがっ!」
弟「バンジーガム。ガムとゴムの両方の性質を持つ。隠で隠しておいたのさ!」
妹「くそ…」バタッ
弟「た、倒した!」
友「勝ったのか!弟!」
姉「よかった!流石私の弟よ!」
ブタ吉「すげえブヒ!」
男「中々の戦いでしたね」
ホームレス「……」
友の妹は軽い怪我ですんだみたいでよかった
姉とはより仲良くなれたし、俺は更に強くなれた
あのマンホールも、悪いことばかりではなかったと思う
友「で、どうなのよお姉ちゃんとは」
弟「うっうるせー!」
終
最初は姉と弟のエロssにしようとしたのですがよくよく考えれば自分にはそんな文章力が無いことに気づき時間稼ぎの予定変更をしている内にこんなssになってしまいました。
スレタイで期待された方は本当にすいませんでした
おい文章力無くてもいいから書け
早く練習しなさい
乙
Entry ⇒ 2012.01.28 | Category ⇒ 兄弟姉妹「」SS | Comments (0) | Trackbacks (0)
岡部「ラボメンで花見にいったら大変なことになった」
岡部「どうした、まゆり」
まゆり「もうラボメンって8人になったんだよね?」
岡部「まあ…そうだな」
まゆり「ならまゆしぃは一度みんなでお食事でもしたいのです!」
ダル「お、僕も賛成だお」
岡部「んん…確かにそういう行事も必要だが、ラボはそんな大学生の飲みサーみたいなとこではないぞ」
ダル「とかいいつつ、招集するのが面倒なだけじゃないの?もしくは皆集まってくれないパターン」
岡部「な、なにを抜かすか!ラボメンの長であるこの鳳凰院凶真がそんなこと…」
まゆり「なら決定だね!」
http://hayabusa.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1327582454/
岡部「ラボメンで花見にいったら大変なことになった」
ダル「おお牧瀬氏ナイスタイミング」
まゆり「あ、クリスちゃん!いまね、3人で話してたんだけど、今度ラボメンの皆でお食事でもどうかなーって。ね?クリスちゃんもやりたいでしょ?」
紅莉栖「私はいいけど…あの海万音さんがね……」
岡部「そうか、コミュ力の無い助手は対人関係に不安と…」
紅莉栖「だれがコミュ障じゃ!阿万音さんが一方的に…」
岡部「まあ確かに、言われてみればラボメン全員がそろったことはないな…。よし、次の休日あたりにでも招集させよう」
ダル「でも具体的になにすんの?ここで飯?」
紅莉栖「それもそっけないわね…」
まゆり「じゃあお花見行こうよ!近くの公園で有名な桜のスッポトをまゆしぃはしっているのです!」
紅莉栖「いいわね、そういえば私お花見したことないわね」
ダル「お、じゃあお花見でいんじゃね」
岡部「ふむ、ならばその案件で実行しよう。作戦名は…」
紅莉栖「いらん」
岡部「…で、では各自予定を開けておくように」コホン
チュンチュン
岡部「ん…朝か…」
岡部「いや……昼!?」バッ
岡部「いかん!今日は花見の当日ではないか!!」
岡部「すっかりラボで寝過してしまった」バタバタ ガチャ
Mr.ブラウン「おい岡部ぇ!!」
岡部「み、Mr.ブラウン!?す、すまない、今はそれどころでは…」
岡部「だから今その花見に遅れそうで…」
Mr.ブラウン「いいもんやるよ。ほら、もってけ」
岡部「これは…酒ではないか」
Mr.ブラウン「花見に酒はつきものだろ、遠慮するなよ、ビールもあるからよ」
岡部「一応大半は未成年だが…まあ厚意には感謝します」
Mr.ブラウン「まあおめぇも若いんだから、楽しんでこいよ!」
Mr.ブラウン「若いってのはいいねぇ」ニヤニヤ
まゆり「オカリンおそいよー」
岡部「す、すまん。つい寝坊を…」
ダル「この大事な日に遅刻とはマジすかオカリン」
紅莉栖「とんだマッドサイエンティストね」
岡部「うるさい!そのかわりに、今日は酒を用意してやったぞ。ほれ」
ダル「ついにオカリンが厨二病からDQNに進化した件について」
紅莉栖「とりあえず自分飲めますアピールですね分ります」
まゆり「ツイッターとかでつぶやいたらだめだよ?」
岡部「なら貴様ら飲むなよ!で、用意は完璧か?」
紅莉栖「とりあえずドクぺね、それからおかずもいろいろ」
ダル「僕はピザだお」
るか子「僕は…重箱のお弁当を…」
萌郁「私も…お弁当」
フェイリス「フェイリスはパーティーセットだニャン」
鈴羽「私は食べれそうな雑草と鳩」
全員「おい」
全員「いいよー」
岡部「えーではここに、ラボメン全員がそろったことを記念して、この鳳凰院凶真が…」
まゆり「かんぱーい!!」
全員「カンパーイ!!」
岡部「」
ワイワイガヤガヤ
岡部(にしてもラボも大きくなったもんだ。ここまで繁栄するとはな…)
岡部(昔は細々と地味にやっていただけだったが…)
紅莉栖「岡部ぇー!ドクぺが切れたー!」
岡部「はあ?あれだけあったろう!」
岡部「んな!何故俺が!?」
紅莉栖「んー、今日遅刻した償いね」
岡部「く…いけばいいんだろう行けば!」
紅莉栖「はやくねー、そこのコンビニでいいから」
岡部「く…助手め、最近丸くなったと思ったらこれだ…」
岡部「店を回ったおかげで時間はかかったが、ここの店はドクぺの品ぞろえが実に良いな」
岡部「クリスティーナよ!ほらドクぺだ!買ってきてやったぞ!」ドサ
紅莉栖「…………」
岡部「おい助手よ!礼の一言くらいは…」
紅莉栖「………ありがと///」
岡部「は…?まあいい、食事の続きだ」
岡部(なんか助手が妙な態度に…、それに顔もなんだか…。ん?そういや酒くさい…)
紅莉栖「………////」
まゆり「オッカリ~ン?どおお~したの~?」
岡部「ああまゆり、さっきここにあった酒が…って酒臭いぞまゆり!?」
まゆり「まゆしぃはね~覚醒したのですよぉ~wwwwwwwww」トランザム
岡部「まゆり!?まさか酒を飲んだのか!?」
まゆり「大丈夫だよう~オカカリン~wwwwwww」ベロンベロン
岡部「カが多い!というか何故飲んだ!」
岡部「んな!あの酒はMr.ブラウンが飲むレベルの酒だぞ!まゆりなんかが飲んだら一発で酔うに…」
岡部「おい紅莉栖!まゆりが例の酒を…」
紅莉栖「や…そんな…岡部こんなとこで…やっ…ふぁぁ///」アン
まゆり「まゆしぃニャンwwwwwwニャンwwwwwww」
岡部「」
岡部「ということは…、もしや全員…飲んだのか…、あの量を…」
ワイワイガヤガヤ
岡部「紅莉栖!大丈夫か…?」
紅莉栖「くあ…ち、近いよ岡部ぇ…//」
岡部(なんだこいつ)
岡部「す、好きな人!?マ、マッドサイエンティストに恋愛沙汰など…」
紅莉栖「へえ…カッコイイんだね……//////」
岡部「」
岡部(ダメだ…岡部倫太郎…負けるな…色々と負けるな…!)
??「おらあああ!!岡部ぇぇええええ!!!」ドス
岡部「ぐふぁ!?誰だ!!」
岡部「るか子ぉぉ!!!」
るか子「最近調子に乗ってんじゃねえか?ええ!?」
岡部「るか子!目をさま…」ゴフ
るか子「そういうキャラ作りがうざってえんだよ…」メリメリ
岡部(男の握力)メリシコ
岡部「いやるか子さん…あのここは公園ですしその…」
るか子「いいから脱げやオイ…オイ!」
岡部「か、勘弁してください!!」ダッ
るか子「オイ岡部ぇ!!!!」
岡部(あれはるか子ではない、そこらのおっさんの霊がとりついたのだ…)
岡部(しかしるか子であの状態となれば…酔ったとき一番恐ろしいのは…)ゴクリ
岡部(満場一致でダルだな。酔った勢いでもうパトカーの中でも不思議ではない…)
ダル「…………」
岡部「よかった、ダルは飲んでいないようだな」ホッ
ダル「オカリン」
岡部「ん、なんだ?」
ダル「オカリンはいつも凄い、一人でラボを立ち上げ、本格的な発明までこなし、これだけの人をまとめ上げている…」
岡部「」
ダル「君のその才能は天性か…、それとも勝ちとったものかい?君は万人に一人の逸材、そりゃあ短期間でこれだけの女性が集まるわけだ」フッ
岡部(賢者モード越えてイケメンモード入ってるううううううううううううううううう!!!!!!
岡部(イケメンに見えてきたあああああああああああああああ!!!!!!)
ダル「だから人は愛することをやめない、それをやめた時は……」
岡部(ダルは酔っぱらうとこうなるのか……)ゴクリ
岡部(ほかのラボメンの様子はどうだ!?さすがに通報されるような奴はいないだろうが…)
岡部「おお閃光の指圧師か。よかった大丈夫そうだな、まあ指圧師は二十歳を超えているし無用な心配で…」
萌郁「岡部クンは、初体験いつ?」
岡部「」
萌郁「もしかして、童貞さん?」ウフフ
岡部「シャ、シャイニングフィンガー?萌郁?」
萌郁「じゃあ…お姉さんといいことする?」ウフフ
岡部(痴女スイッチ来たあああああああああああ!!!!!!!!!)
岡部「んままままま待てえい!!!!!何故脱ぐぅぅぅ!?」ドキドキ
萌郁「あれえ、まだ怖いのかな~?」サワ
岡部「さ、さりげなく下腹部を触るな!!ば、場所を考えろ!」
萌郁「じゃあ暗~くてベッドが一つあるお部屋なら、大丈夫なのかな?」
岡部「だだだだだだからそそそそういうことではなくてええ」ドキドキドキ
萌郁「私の心臓もバクバク…感じてみる?」シュル
岡部「ひ、左乳首を触るな!!!も、もう勘弁してくれえ!!!」ダッ
萌郁「もう…草食系ね」
岡部(さ、さすがにこんな形で童貞を喪失するわけにはいかないぞ…)バクバク
岡部(桐生萌郁、一体どんな人間なのだ…)バクバク
フェイリス「……」
岡部「ん、フェイリ、調子でも悪いか?」
フェイリス「フェイリスは悪い子です…」
岡部「は…?」
フェイリス「留未穂は悪い子です、お仕置きしてください留未穂は悪い子です、お仕置きしてください留未穂は悪い子です、お仕置きしてください留未穂は悪い子です、お仕置きしてください留未穂は悪い子です、お仕置きしてください」
岡部「」
岡部(これが本性か…)
フェイリス「うう…お仕置きを……」
岡部「……」ペシ
フェイリス「ニャンッ!!」ビクッ
岡部「……」ペシ
フェイリス「ニャンッ!!」ビクッ
岡部(おれは何をやっているんだ)
フェイリス「ダルニャン…」メソメソ
ダル「自分が悪いと思うなら反省をする。人に迷惑をかけたら謝る。できるね、フェイリスたんなら」ニコ
フェイリス「ダルニャン…、留未穂がんばる!」ウルッ
岡部(ダルは常に酔わせていたほうがいいようだな…)
岡部「バ、バイト戦士よ、ここにいたか…」
岡部(覚悟はしている…)
鈴羽「ああ、岡部倫太郎じゃん。どうしたのそんな顔してさ」
岡部「鈴羽…お前無事なのか?酔っぱらっていないのか!?」
鈴羽「お酒のこと?なーに言ってんの、私は薬物耐性の訓練も受けてきたからお酒くらいじゃビクともしないよ!」
岡部「よ…ようやくまともな奴が見つかった…」ウルッ
岡部「ああ、もうこの先どうなるかと思ったよ…」
鈴羽「岡部倫太郎も苦労人だねー。あ、ちょっと私時間だからいい?」
岡部「ん、時間?バイトか?」
鈴羽「ちょっとお風呂の時間だよ。ほら、もう湧いたから」ヌギヌギ
岡部「だから脱ぐなぁぁぁぁぁあああああ!!!!そして風呂などないぞ!!」
鈴羽「え?どう見てもお風呂だけど…」
岡部「あれは池だ」ザットイズイケ
岡部「……」
鈴羽「じゃあちょっと気晴らしにトイレにでも…」ヌギヌギ
岡部「だあああああかああああらああああ脱ぐなあああああああ!!!!」
鈴羽「え?これ便器じゃないの?」
岡部「これは弁当箱だ」ディスイズベントゥーバコ
鈴羽「アハハハハハ、まあそういことも……」
岡部「ない」
鈴羽「じゃあちょっと気晴らしに…」
岡部「もう動くな!!!」ビシッ
鈴羽「うっ…はぁい…」シュン
るか子「オラ!オラァ!こうかあ!」ビシバシ
フェイリス「ニャアアアン!!///」ビクッ
ダル「~だから鈴羽も良い子にするんだよ」ニコ
鈴羽「へえ~そうなんだ。あ、父さんちょっとそろそろ尿検査の時間だから行ってくるね」ヌギヌギ
ダル「ハハハハ、鈴羽は愉快の女の子だなあ。父さんはうれしいぞ」ニコ
紅莉栖「でねえ、岡部がそこで私のことを…///」
萌郁「男の子なんてみんな狼よ。その欲望を沈めてあげなきゃ、ね」
紅莉栖「うん…分ったわ萌郁さん、私がんばってもっと岡部を…///」
まゆり「からあげさんが空を飛んでるのですぅーwwwwwwまゆしぃも飛べるですーwwwwwwww」
岡部(ダメだこいつら…。早くなんとかしないと…)
岡部「ほ、ほら皆!もう夕方だぞ、もう帰るぞ!」
まゆり「まゆしぃはお空に帰るですぅwwwwww」
ダル「けど、大丈夫かな、オカリン」
岡部「何がだ?」
ダル「こんな泥酔状態で帰宅なんてできないだろう」
岡部「…たしかに…」
ダル「そこでだ、今日くらいはみんなラボに泊まらせていってもいいんじゃないか?」
ダル「だからこそでしょう。オカリンなら間違いなんて起こさないだろうし」
岡部「のおおおおおおおおおおお」
ダル「仕方ないよ。もとはと言えばお酒を持ってきたオカリンが悪いんだしね」フッ
岡部「………」
ダル「なんとかここまで来れたね」
岡部「あ、ああ…」
ダル「さすがに全員分の寝具はないけど、寝るスペースくらいならあるから、大丈夫だよ」ニコ
岡部「あ、ああ…」
ダル「じゃあ、僕は帰るよ。オカリン後はよろしく」スマイル
岡部「あ、ああ…」バタン
岡部(それにはしゃぎ切った女どもはいまはすやすや眠っている。このまま少し早いが、床に就けばいいだけだ……)
岡部(おやすみ…)
ガサゴソ
岡部「!?」
紅莉栖「おかべぇ…寝れないの…」
岡部「どどどどどどどどどうしたというのだじょじょじょ助手よぉぉ」バクバク
紅莉栖「岡部の体、温かい…」ピタ
岡部(ぬほおおおおおおおおおおおお!?!?!?)
紅莉栖「Zzz…」スヤスヤ
岡部(ね、寝たか…)
岡部「ひいいいいい!」
るか子「にゃむあむ……Zzz」
岡部(寝言か…)
萌郁「岡部クン、寝れないの?」
岡部「ね、眠たいぞ!俺は凄く眠たいぞ!!」ギンギン
萌郁「興奮してるなら、私が鎮めててあげようか?」モゾモゾ
岡部「いいいいいいや!ちょっとトイレに行ってくる!!」バッ
ジャー
岡部(ホントにこんな状況で一晩をすごせるものだろうか…)
萌郁「Zzz…」スヤスヤ
岡部(寝たか…)
フェイリス「Zzz…」スヤスヤ
岡部(寝言レベルじゃないだろ)
鈴羽「……」ムク
岡部「ん…鈴羽どうした?」
鈴羽「身体検査次私の番だから」ヌギヌギ
岡部「頼むから寝ろ」
まゆり「緑でジュルジュルのからあげさんおいしですぅーwwwwwwwww」
岡部(寝れねぇぇぇぇえええええええええええええええええええ!!!!)
岡部「…………」ギンギン
紅莉栖「…ってあれ!?なんで岡部が私の隣に!?///」
るか子「あれ…僕んで上半身裸で…」
萌郁「衣服が…凄い乱れてる…」
フェイリス「体中が痛むニャン」
鈴羽「あれ、どうして検尿セットが…?」
まゆり「ジューシーからあげナンバーワンの夢をみたのです」
ダル「おはー、ってなんじゃこのハーレムはぁ!!!」
岡部「…」
ダル「オカリン!この状況はどういうこと!説明してもらおうか!こんな展開そこらのクソラノベでもないお!!」
岡部「…」
紅莉栖「岡部!まさかあんた…//」
るか子「そんな…岡部さんが…」
萌郁「……//」
フェイリス「特にお尻が痛いニャン」
鈴羽「あれ、服がなんか違う…」
まゆり「オカリン、まゆしぃのからあげ……」
ダル「オカリン!」
紅莉栖「岡部!」
岡部(俺はいくつもの世界線を渡った、)
るか子「岡部さん!」
萌郁「岡部君…」
岡部(孤独の観測者。そう、これが)
フェイリス「キョーマ!」
鈴羽「岡部倫太郎!」
まゆり「オカリン!」
岡部「これが運命石の扉≪シュタインズ・ゲート≫の選択だ!!!」
全員「」
完
寝ます
ではノシ
・・・でも、そこで終わりかいwwwwww
Entry ⇒ 2012.01.28 | Category ⇒ シュタインズゲートSS | Comments (0) | Trackbacks (0)
あかり「瀬をはやみ」
http://hayabusa.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1327236005/
前→あかり「しのぶれど」 次→あかり「君がため」
「うん、勉強しなくちゃ」
「ちょっと分からないところがあるから、教えてくれる?」
「えへへ、任せてよぉ」
まだ三年生になったばかりだけど、受験勉強は早く始めて損はないよね。
あかりも、絶対結衣ちゃんと同じ高校に行くんだから。
「ここなんだけどね…」
「ここはねぇ…」
二人だけの、静かな部室。
あかりの声と、ちなつちゃんの声、シャープペンがノートを擦る音しか聞こえない。
ごらく部と生徒会の人達で送別会をやった日が、ずっと昔に思える。
「なるほど…」
「…あかりの説明で、分かった?」
「そ、そうかな…?」
人に教えるには、教えられる側の三倍理解してないといけない…なんて聞いたことがあるけど。
「あかりちゃんは分からないところとか、ある?」
「うーん…今は大丈夫かなぁ」
「そっか」
「ありがと、ちなつちゃん」
「うん」
一人だったら、この寂しさに耐えられなかったかもしれない。
だから、ちなつちゃんとお友達になれて本当に良かった。
「……」
「……」
「あかりちゃんは…塾行かないんだよね?」
「うん。お家に迷惑かけたくないから…」
「そっかぁ…」
「うん。櫻子ちゃんと向日葵ちゃんもいるよ」
「そうなんだ…」
「でも、仕方ないよね」
「ごめんね…」
「謝ることないよ?」
「分かんない所があったら教えてあげるからね!」
「…えへへ、ありがとぉ」
ちなつちゃんはやっぱり優しい。
皆に置いていかれないように、頑張らないと。
「あかりちゃん、面談どうだった?」
「……えっと」
「あんまり…良くなかった…?」
「今のままじゃ厳しいかも、って…」
「でも、あそこそんなに難しいかな…?」
「まぁ…まだ一学期だし、あかりちゃんなら大丈夫だよ」
でも。
先生にそう言われてしまうと不安になる。
塾に行かずに合格できるのかな…。
もう少し、勉強時間増やそうかな…。
「あかり…朝からずっと勉強してるけど、大丈夫?」
「うん…大丈夫だよ」
夏休みだもん。
いっぱい勉強しなくちゃ。
「…本当?」
「顔色が悪いように見えるけど…」
「あかりは…頑張り屋さんだものね…」
「でも、頑張りすぎはだめだからね?」
「うん」
頑張らなきゃ。
あかりは何をやっても平凡だから、人一倍頑張らなきゃ。
「やった!番号あった!」
「うおお…私もあった…」
「私が教えたのですから、当然ですわ」
「私の実力だ!はっはっはー!」
「またこの子は調子に乗って…」
「あかりちゃんは?」
ない。
あかりの番号…ないよ…?
「赤座さん?」
「あかりちゃんどしたの?」
「…もしかして…」
どれだけ探しても…。
結衣ちゃんと同じ高校、行きたかったな…。
皆で合格したかったな…。
「赤座さん…」
「あかりちゃん…」
「あかり…」
「あかりっ!」
「あかり、大丈夫?」
あれ、ここ…?
あかりの部屋…?
「凄くうなされてたよ?」
「…ほら、涙拭いて」
結衣ちゃん…?
どうして…。
そうだ。
確かお姉ちゃんとお話してて…。
でも、どうして結衣ちゃんだけ…?
「寝不足だって。どんだけ勉強してたのさ…」
手、あったかい…。
「大丈夫?まだ寝ぼけてる?」
ずっと、手繋いでてくれたの…?
「ゆ、結衣ちゃぁん…」
「よしよし」
「…あかりは、頑張りすぎだよ」
「ぐす…、高校…落ちる夢見ちゃって…」
「あかり…」
「今のままじゃ…厳しい…って…」
「なるほど、それでか」
「……」
「学校の先生は合格確実な所を勧めたがるんだよ」
「あかり、五教科の合計点数どれくらい?」
「期末試験で400点くらい…」
「もちろん範囲は期末の比じゃないけどね…」
「あかりは今までもちゃんと勉強してきたんだから、大丈夫だよ」
「…うん」
結衣ちゃんの笑顔、安心する…。
「だから、今までどおり九時に寝ること」
「いきなり五時間も睡眠時間減らすなんて、無謀だよ…」
「ごめんね、心配かけて…」
「手のかかる妹みたいだ」
妹、かぁ…。
「今日は泊まっていくよ」
え…?
「また勉強始められたら困るしさ」
「し、しないよぉ」
どきどきする。
「あかり、寝ていいよ?」
「まだ眠いでしょ?」
「…うん」
「…結衣ちゃん」
「ん?」
「お願い、聞いてもらってもいい…?」
「手、このまま繋いでて…?」
「…分かった」
「ありがとう…結衣ちゃん…」
「ふふ、あかりも甘えん坊だな」
でも、いいんだ。
結衣ちゃんの手…あったかい。
凄く、安心する。
「おやすみ、あかり」
「…おやすみ、結衣ちゃん」
「うあああああ、わかんねえええええ!」
「こら、櫻子!」
「だってぇ…」
「あなたはまだ合格ラインに届いてないんだから…」
「しっかり勉強しないと合格できませんわよ?」
「でもぉ…脳みそ疲れたぁ…」
確かに、もう四時間は勉強してる。
「ちょっと休憩する?」
「あ、手伝うよ」
「なら私も…」
「ねぇ向日葵~。これなんだけどさ~」
「……」
「すみません、お二人ともお願いしますわ」
「うん」
「櫻子ちゃんも頑張ってるね」
「皆で合格したいもんね~」
「櫻子ちゃんの場合、向日葵ちゃんと、って言った方がいいと思うけど…」
「そうだね。仲良しだもんね~」
「ふふ…」
なんだか意味深なちなつちゃんの笑顔。
「な、なんで笑うのぉ!?」
「あかりちゃんらしいな、って思って」
あかりらしいって、何だろ…?
「わーい、ポテチうめぇ!」
「櫻子!食べかすこぼしてますわよ!」
「やっぱり勉強のあとのお菓子は格別だね!」
「もう!」
「…すみません、赤座さんのベッドが…」
「あはは…」
「あとでお掃除するから、気にしないでね」
「すみません…」
「んーと、期末は300点くらいだったかな…」
前は確か、250点にも満たないって言ってたっけ…。
「大分点数上がってきてますわね」
「塾行ってるし、上がってなかったら困るけどね…」
「私だってやればできるのだ!」
「結衣ちゃんが360点くらいあれば合格できるって言ってたよぉ」
「むぐぐ…」
「見てろよ!満点とって合格してやるからな!」
「ふふ、楽しみにしてますわ」
「え?お、おう…」
「ふふふ…」
ちなつちゃん、また意味深な笑顔…。
何がおかしいのか、ちょっとよくわからないや。
でも、皆が楽しそうだから、つられて笑顔になっちゃう。
この四人で、合格できたらいいな。
「文化祭?」
『うん、今度の土曜日は一般開放日だから』
『ちなつちゃんと一緒においで』
「うんっ」
嬉しい。
久しぶりに結衣ちゃんと京子ちゃんに会える。
四人で、遊べるんだ。
「結衣ちゃん達のクラスは何やるの?」
『じ、じつは…』
「おばけ、やしき…」
「…どうする?やめとく?」
ちなつちゃんの怖がりはあかり以上だ。
あかりとしてはちなつちゃんのお陰で少し怖さが和らぐんだけど…。
「ゆ、結衣先輩達は…?」
「……」
「や、やめようか?」
「…入る!」
「驚かしてきた結衣先輩に抱きついて…うふふ…」
「ちなつちゃん…声に出てるよ…」
「結構本格的だね…」
「結衣先輩結衣先輩結衣先輩結衣先輩結衣先輩…」
「ち、ちなつちゃん怖いよ…?」
「あかりちゃん!手!離さないでね!」
「しがみつかれてるから離せないよぉ…」
凄く歩きにくい…。
転んじゃわないように、気をつけないと…。
「い、痛い痛い!ど、どうしたの…?」
「…これ、こんにゃく…?」
ベタな仕掛けだよぉ…。
「…大丈夫?戻る?」
「結衣先輩に会うまでは…」
こんなに震えてるのに…。
でも、会いたい気持ちは分かる。
「…うん」
怖いけど、でも…。
「どーん!!」
「「きゃあああああああああああ!!」」
「…いやー、驚きすぎだよ二人とも…」
この声…。
「きょ、京子ちゃん…?」
「見て見てー!衣装もメイクも本格的だろー?」
確かに。
絵に描いた幽霊がそのまま出てきたような…。
衣装は京子ちゃんが作ったのかな?
「京子、やりすぎ…」
「二人とも大丈夫?」
「あ、結衣ちゃん…」
「結衣かっこいいだろー?吸血鬼!」
こんな吸血鬼さんだったら血を吸われてもいいかなぁ。
「牙あって話しづらいんだけど」
「我慢しなさい」
「ゆ…」
「結衣せんぷぁーい!!」
「おっと…」
「怖かったですぅー!ふぇぇぇぇぇん!」
「よしよし」
あかりもあんな風にアピールできたら…。
「……」
京子ちゃん、結衣ちゃんのことじっと見て…。
やっぱり、この二人の間には入れないよね…。
「おい結衣!私のちなつちゃんをとらないでよ!」
「いつからお前のものになったんだ」
「生まれたときからさ!」
「ねーよ」
「二人とも、うちの学校どう?」
「素敵な学校ですね!」
「広くて迷っちゃいそうだよぉ」
「あっかりーん!」
「もぉっ!それはやめて!」
「あはは~」
ごらく部にいたころを思い出すなぁ。
「あ、そうだ」
「ごらく部作ったの?京子ちゃん」
「いや~?」
「作ってないんですか?」
「何をするかよくわからない部活はだめって言われてさ」
「ケチだよなぁー…」
「そうなんだ…」
残念。
また四人で遊びたかったのにな。
「でさ、結衣のやつ陸上部に入ったんだよ」
「そうなんですか!カッコイイです!」
「そういう京子は漫研に入っただろ」
「漫研!…漫画研究部…だっけ?」
「そうそう」
「京子ちゃん絵上手だもんねぇ」
「お絵かき大好き!」
「それ私の…。いえ、なんでもないです」
「本当ですか!」
「…でも」
…やっぱり、四人一緒がいいよね。
「…うん」
「仕方ないよ」
「あかりは何かやりたいこととかないの?」
「うーん…」
「やりたいこと、かぁ…」
でも、あかり足速くないし…。
マネージャーならできるかなぁ…?
でもでも、どっちにしろ陸上部に入ったら結衣ちゃんのことが好きってバレちゃうかも…。
ていうか、これやりたいことって言わないよね…。
半端な気持ちで部活なんて…。
「まぁ部活入らなくちゃいけないわけじゃないしさ」
「そのうちやりたいことも見つかるよ、きっと」
「そう…かな…」
「あかりちゃん、ちゃんとお願いした?」
「うん、四人一緒に合格できますようにって」
ちなつちゃん、櫻子ちゃん、向日葵ちゃんと初詣。
ここは学業の神様がいる神社みたい。
近場なのに、全然知らなかった。
「櫻子は人一倍お願いしておきなさいよ?」
「うるさいぞおっぱい魔人!」
「こんな場所で大声でそんなこと言わないで!」
「あいたっ」
「「よくない!」ですわ!」
息ぴったりだよぉ…。
「ねぇねぇ、おみくじ引いていこ?」
「わぁいおみくじっ」
「凶が出たら向日葵にやるよ」
「のしつけてお返ししますわ」
「どうだった?」
「私中吉!」
「あかり凶だよぉ…」
幸先悪いなぁ…。
受験大丈夫かなぁ…。
「わーい!大吉!」
「あら、交換してくださるのよね?」
「誰がやるか!」
「向日葵はどうだったの?」
「それっていいの?悪いの?」
そういえば、どうなんだろう。
「吉がついてるからいいんじゃないかな…?」
適当なこと言っちゃった。
「ふーん…」
「ま、受験失敗しても落ち込むなよな!」
「あなたが一番心配ですわ…」
「340点だよ!」
「おお、凄い。頑張ってるねー」
「へへーん」
「模試のほうはイマイチでしたけどね…」
「模試だって点数上がってきてるもん!」
「ふふ、そうですわね」
「絶対満点合格してやるからな!」
「櫻子ちゃん頑張ってるもん。絶対大丈夫だよぉ」
「えへへ、ありがとあかりちゃん!」
絶対に、四人で…。
「……」
周りから聞こえる。
「……えーと」
喜ぶ声、泣いている声。
「うーん…」
でも、今は自分のこと。
306番を探すんだ。
「え、ほんと?」
「あったよあかりちゃん!」
「おめでとうちなつちゃんっ」
「…あかりちゃんのは?」
「んと…」
301…303…304…。
あ…。
「あったよ306番!」
「や…やったぁー!」
「うぐ…ち、ちなつちゃん苦しい…」
「だって嬉しくて…」
「そうだ、向日葵ちゃんと櫻子ちゃん」
確か番号が離れちゃって、向こうのほうに行ったはず。
「櫻子ちゃーん」
「……」
「……」
あれ?
二人とも、どうしたの…?
合格、だよね?
「……」
「え…と…」
じゃあ、どうしてそんなに悲しそうなの?
「…番号、ない」
…え?
…うそ…。
あんなに、頑張ってたのに…。
「うぐ…うぅ…ぐすっ」
「櫻子…」
「やだよぉ…。向日葵と…同じ高校…」
「行きたいよぉ…」
「櫻子ちゃん…」
「頑張ったのに…」
「そうね、櫻子はよく頑張りましたわ」
「ひまわりぃ…」
「うわぁぁぁぁぁん」
「仕方ないですわ」
「今までずっと一緒だったことのほうが不思議なんですから」
「でも…でもぉ!」
「そうだけど…!」
「…ひまちゃんと…離れたくないんだもん…」
「…三年間、我慢しましょう?」
「ぐす…さ、三年…?」
「ええ」
「大学は同じ所へ行きましょう…必ず」
「ちゃんと勉強して、向日葵と同じ大学行くから!」
「ふふ、休みの日もみっちり教えて差し上げますわ」
「えぇー…?」
「同じ大学へ行くんでしょう?」
「…うん」
「絶対だからな!」
「え?」
「あかりちゃん?」
「瀬をはやみ 岩にせかるる滝川の」
「われても末に 逢はむとぞ思ふ」
「なに?それ…」
「和歌…ですか?」
「「障害を乗り越えて、必ず再会しよう」っていう歌だよ」
「会えなくなるわけじゃないから、ちょっと違うけどね…」
「道が別れちゃって、違う道を行かなきゃならなくても…」
「きっとまた…」
「一つに…」
「うん」
「あかりも、櫻子ちゃんの気持ち分かるから…」
「あかりちゃん…それって…」
「あ、えっと…」
「な…なんとなくだけど…」
危ない。
バレちゃうところだった。
「…ありがとあかりちゃん」
「私頑張るよ!違う高校行っても友達だからね!」
「うんっ」
「んしょ…」
今日から高校生。
また、四人で一緒に登校できる。
結局向日葵ちゃんは推薦で私立に行ってしまった。
櫻子ちゃんがそうしろって言ったみたい。
「あかり、それ七森中の制服じゃない?」
「えぇ!?…って、高校の制服だよぉ!」
「もぉっ!お姉ちゃんったら!」
「ふふ…」
お姉ちゃんの笑顔。
でも、どこか悲しそう…?
「頑張ってね、あかり」
「え?…うんっ」
「気をつけて行ってらっしゃい」
「行ってきまーす!」
「遅いぞあかり!」
「おはようあかり」
「二人ともおはよ~」
「ちなつちゃんはまだ?」
「うん」
「嬉しいよぉ~」
「そうだ」
「あかり、やること見つかってなかったら漫研に来るんだぞ!」
「え…どうして?」
「アシスタントを募集中なのだ!」
「そっかぁ。考えておくね」
「あんまりあかりを困らせるなよ?」
「大丈夫だって!」
「不安だ…」
「あかり、嫌なら断っていいんだからね?」
もしかして結衣ちゃん、心配してくれてる?
それとも…。
なんとなく、もやもやする。
「ならいいんだけど…」
「こいつのあかり弄りは時々過剰だからな…」
「愛情表現です!」
「あ、愛!?」
「適当なことばっか言うな」
「適当じゃないもん!」
なんか京子ちゃん、やけにムキになってるような…?
「お待たせしました~」
「結衣せんぱ~いっ」
「あ、ちなつちゃんおはよう」
「おはようちなちゅ~」
「やめてくださいっ」
気のせい…かな?
「あかりちゃん…いたんだ?」
「ひどいっ!?」
また、こんな毎日が続くんだよね。
やっぱり、嬉しいな。
「なぁに?」
「なんですか?結衣先輩っ」
「入学、おめでとう」
「おめでとー!」
「これからも、よろしくね」
「京子たんをよろしく!」
二人とも、ちゃんと待っててくれたんだ。
「嬉しいよぉ~」
「……」
「京子先輩、台無しです」
「ちなつちゃんひどっ!?」
「でも…」
「ありがとうございますっ」
「よっしゃいくぞー!」
「おいこら」
これから、どんな毎日が待っているのかな?
期待に胸を膨らませて。
あかりの長い高校生活が、始まった。
次回に続く!
まさか続きを書くことになるとは思わなかったよ!
支援ありがとうございました!
続きは長くなりそうだから期待しないで待っててね!
遅くまでありがとでした!
続き期待
次回も期待しているぜ
続きも楽しみだ
Entry ⇒ 2012.01.27 | Category ⇒ ゆるゆりSS | Comments (0) | Trackbacks (0)
まど神「ほむらちゃん、ガサ入れだよ!」
http://hayabusa.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1327055694/
理屈などをすっとばして、今日もほむらの家に居座る概念鹿目まどか。
ほむらは手に持った本をしまいながら、今日も神様の相手をする決意を固めた。
「まどか、何を言ってるのかしら」
「何ってガサ入れ、家宅捜査だよほむらちゃん。私は概念として、そして一人の魔法少女として、ほむらちゃんの自室をガサ入れする必要があるんだよ」
「要するに暇なのね」
今日もクールな転校生、暁美ほむらは鋭い。
「ほむらちゃんに奪われたまどパン、全て回収しないと…」
「取ってないし、何かと私を変態キャラにするのはやめてくれないかしら」
「とか言って『このタンスはまどパンスペースよ、グフフ』とかやってるんでしょこの変態!近寄らないで!!」
「話を聞いて頂戴」
とりあえず場をまとめる。
「でもほむらちゃんの部屋って実はボロくて狭いよね」ガサゴソ
「失礼ね…。でもちゃんとあるものは揃ってるし、気にしてないわ。住めば都よ」
「まだ若い瑞々しい女子中学生が一人暮らし…妄想が捗るね、ほむらちゃん!」
「何の話よ…ってまどか、そこはっ!」
「これは……日記帳?ほむらちゃん、日記つけてたんだ」
「……ええ。貴女を救う間にね。日記というよりも、記録帳に近いかしら」
「ふーん……」ペラペラ
「!こ、これは…!」
「な、何かしら。そんな大した事書いてない筈だけど…何か書いてあったかしら?」
「『○月×日晴れ。またまどかを救えなかった。何がいけなかったんだろう。今度こそ必ず貴女を救ってみせる。必ずだ』」
「………」
「……ほむらちゃん、私のためにずっと戦ってくれたんだよね。…本当にありがとう」
「……いいのよ。その、結局私は貴女を救えなかった訳だし…」
「うん……」
少しの沈黙。
だがそこに気まずい空気は無く、むしろ居心地のよさすらほむらは感じていた。
「あれ、これまだ続きがあるね」
「ちょっ。まどかもうやめ」
ペラペラ
しかし気付いてしまったまど神様の手はもう止まる事を知らない。
「『○月○日曇り。今日のまどか。水溜まりに突っ込んで水濡れになってしまった。可愛い』」
ペラペラ
「『○月△日。今日のまどか。自室で宿題をするまどか。寝顔とポニテが可愛いかった』」
ペラペラ
「『○月□日。今日のまどか。トイレで用を足すまどか。可愛い』」
ビリビリ
「『○月?日。今日のまどか。お風呂でプロポーションを気にするまどか。可愛い』」
ビリビリビリビリ
「私の繰り返した一ヶ月があああああああ!?!?」
「どういうことかな、ほむらちゃん」
思わずほむらの胸ぐらを掴むまどか。
後ろからは火のようなオーラが見えるが、これも概念の成せる技なのだろうか。
「ほむらちゃん、大丈夫…?」
「ええ…。怒りのあまり筋肉バスター決められそうになった時は死ぬかと思ったけど……」
「ティヒヒ!ごめんね?」
天使のような笑顔でまどかは頭をコツン☆と叩く。
どこまでが計算された行動なのかわからないところが、彼女の恐ろしさと言えよう。
その行動にほむらが若干の悪寒を感じたその直後だった。
窓から一つの光球が入り込んでくる。まどかはそれを見て何かを思い出したように言った。
「あーさやかちゃん。ごめん忘れてたよ」
「それ美樹さやかなの!?」
流石のクール転校生、暁美ほむらも驚きである。
「ちょっと、美樹さやか!」
「んー何さ転校生、しばらく見ない内に大きくなったねえ。……胸の方は一向に変わらないけど」プークスクス
「そこは今関係ないでしょう!というか貴方が小さくなってるのよ!」
さやかのサイズは、どこぞのねんどろいどサイズくらいまで小さくなっていた。
「ほむらちゃん、驚かせちゃったみたいだね」
「まどか…これは一体どういうことかしら」
まどかはしばらくどう説明したものか悩む。
なにせ彼女は概念で、さやかはその理に導かれたもの。
きっと一個人には計り知れないような事情が、そこにはあるのだ。
やがて、彼女の口が開いた。
「持ち運びに便利だったから」
「えらく省略したわね」
普段から鍛えられているほむらは、もはやこの程度では驚かない
「でも美樹さやか、貴女はいいの?そんな姿になって」
「いやいやむしろ便利だよ。今ならQBの気持ちがわかるね」
「そ、そうなの…」
「恭介の家に忍び込んでパンツ盗んだり恭介が体育でいない間に制服の匂い嗅いだり恭介が仁美とイチャコラしてる隙に真上から胡椒振り撒いたり」
「まどかもだけど貴女もよっぽどね」
円環の理に引かれただけあって、さやかにも素質があったのかもしれない。
「なんだよ転校生、人の事言えないくせにー」アハハ
「だから私を変態キャラにするのは……まあいいか。貴女も本当に変わらないわね」
「そっちもね、元気そうで安心したよ」
アハハ ウフフ
「むー……」
「ほむらちゃんとさやかちゃん、これ以上くっつくの禁止!!」プクー
「え……何故かしら。何かいけなかった?」
「駄目も駄目、絶対禁止だよ!こういう展開になると必ず私がかませになるか空気嫁になるかがお約束なんだから!」
「まどか…。言っている意味はよくわからないけど、ごめんなさい。放置させちゃったわね」
「そうだよ!後少しでハイパーまどかアローで見滝原を火の海にしそうだったよ!」
「やめてくれないかしら」
そして更に場を改める
「そういえばここに向かう途中、マミさんに会ったよ」
「マミさん!そういえばしばらく会ってないなあ」ガサゴソ
「何か話したの?」
「うん、伝言預かってる。……『ふ、親愛なる時間転移者(クロノス)暁美ほむら、そして円環の慈愛神…鹿目まどか。久しぶりね。貴女達の活躍には私も感嘆の意を評しているわ。まさにそれは闇夜に咲く一閃の銃弾(ティロ・フィナーレ)…』」
「相変わらずそうで安心したわ」
「むしろ何かこう病気的なのが悪化してるね……」
見滝原に君臨する一凛の華とは、彼女のことだ。
最近の趣味はQBに感情を芽生えさせるため、あらゆる手を尽くす事だとかなんとか。
「でもマミさん、以前より更に素敵になったよね!私やっぱり憧れちゃうなあ」
「ふ、ふん。あんなののどこがいいのかしら。巴マミなんかより私のが役に立つわ」
「へぇ……」
まどかはジロジロと嫌らしい目付きでほむらを品定めする。
「な、何かしら」
「じゃあさ、ほむらちゃんはどんな所がマミさんより役に立つ…いや、魅力的だと思うの?」
「!それ、は……」
ガチャン
「あーほむらー。冷蔵庫のハム食べていい?」
「まず……私の方がお姉さんっぽいわ!」
「ふむふむ」
「そして文武両道、才色兼備……。おまけに一途ときたわ。まどかのためだけにずっと戦って来たんだもの。加えて一人暮らしで家事がこなせるポイントも見過ごせないわね。あと真実を知って突然やってくる転校生というのもポイント高いんじゃないかしら。それから……」
ポンッ
まどかがほむらの肩を叩いた。
突然の事に驚くほむら。よく見るとまどかの目からは涙も窺える。
「もういい、もういいんだよほむらちゃん……」
「まどか……」
「例えマミさんより劣っていても、ほむらちゃんはほむらちゃんなんだよ。自分の今の姿にどんと、胸を張ればいい。……あー、ほむらちゃんには難しいこと言っちゃってるね、ごめんね」
「結構酷いわね、まどか」
「お、チーカマあるじゃん。やったね」モグモグ
「大体、それを言うなら一番の被害者は私なんだよほむらちゃん!」
「どういう事かしら」
「マミさんのように大きすぎず、かつほむらちゃんみたいに小さすぎない、至って普通の中学生サイズ…。これはつまり、特徴がないことを意味してるんだよほむらちゃん!!」
「わ、わかった!わかったから揺さぶらないで!」ガクガクガクガク
「はあ、はあ……」
「気持ちはわかるわ。要するにコンプレックスを持ってるのよね?」
「うん。私概念だけど……やっぱりスタイル良くなりたいんだよ……神様である前に、一人の少女だから」
「まどか……」
「なら、一緒にスタイル良くなりましょう?」
「グスッ……ほむらちゃん?」
「大丈夫よ、まどか。第二次成長が遅い子は大体、16くらいで発育しだすっていうじゃない。だから今から頑張れば…きっと大丈夫よ」
「ほむらちゃん…。私、私!」グスッ
「いいのよ何も言わなくて。私は貴女の最高の友達。いつだって無条件で…味方なのよ」ニコッ
「ほむら……ちゃん……」
「まどか……」
「マドカァー!」
「ホムラチャン!」
「マドカァー!」
「ホムラチャン!」
二人の掛け声が近所迷惑も無視して部屋に響き渡る。
お互いの友情を再確認した二人の表情は、とても晴れやかであった。
…………………
「でもまどかって神様だし自分の容姿くらい思うがままに変えれるよね」
「流石に空気読もうよ、さやかちゃん。そんなんだから上条くん盗られるんだよ」
「えへへ…」
「そこ照れるところじゃないよね?絶対おかしいよ」
「まどか……今の話は本当なのかしら?」ユラリ
「えっあっほむらちゃん……」
「私を、騙したの……?」
「えと、それはその、なんていうか……」
あまりの気迫に押されるまどか。
普段の主導権はまどかが握っているのだが、こういう時ばかりはそれも厳しい。
今、裁きの鉄槌が下される。
「………えへっ?☆」
「まどか、今日晩御飯抜き」
「いやだよおおおおおおおおおおおおおおお」
こうして暁美ほむらの受難は続いていくのでした
おわり
テンポいいし面白かったぞ
いいふいんきだったんだが寂しいな
Entry ⇒ 2012.01.27 | Category ⇒ まどかマギカSS | Comments (0) | Trackbacks (0)
佐藤、著莪 「「月桂冠?」」
http://hayabusa.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1327539342/
現在時刻は午後8時10分、あと20分ほどで半値印証時刻だ。
自動ドアをくぐると店内には落ち着きのあるBGMが流れている、そのメロディーを聴きながら青果コーナに向かい同時に彼等の気配を探る…
2… 4… 6人か。
その中に1人、知り合いの気配がある
一瞬そちらに行こうかと考えたが… 今は獲物の確認のほうが先決だ。
青果コーナーから鮮魚、精肉コーナーを抜け、お惣菜、弁当コーナーへと向かう。
棚に惣菜はほとんど残っていなかった、特に揚げ物は壊滅的と言って良い、そこにはチクワ、かきあげ、その他もろもろ… いつも目にしている相棒達の姿はなかった。
唯一コロッケが3個残っているだけ、今日はこの店の需要と供給のつり合いが比較的上手く取れたのだろう。
普段お世話になっている身の上としてはスーパーが商売繁盛ってことは喜ぶべき事なんだけど、 …その反面、素直に喜べない自分も同時に存在している訳で…
だがそれは今宵、獲物が獲れなかったときに初めて関係することだ。ようは獲れれば問題ない、獲れれば…ね。
いよいよ弁当コーナーの前に来た、立ち止まることなく横目で見る。今宵の神の恵みは5つ、内2つが同じものだ。
一つ目はチーズカレー弁当、電子レンジで温めることを計算に入れてかカレーの上に粉チーズが降りかけられている。量も申し分ない。
2つ目はオーソドックスな幕の内弁当、3つ目もこれまた定番といえる鮭弁が2つ。
これ1つで2人前くらいの量があるんじゃないだろうか?そんなことを考えながら近場の鳥棚へと歩を進める。
至って健康かつ食べ盛りな僕としてはチーズカレー、特盛オムライス、当然ながらこの2つの内どちらかを狙うべきなのだが、う~む… 定番には定番の良さがあるしな~
二階堂「来たか、佐藤」
前者の2つはみんな狙ってきそうだし、 …いや、あの特盛具合は半端じゃなかったぞ、それをまじめに狙う奴なんて本当にいるのか?
二階堂「おい、佐藤?」
佐藤「うわっ!先輩!?」
二階堂「ようやく気づいたか」
考え事をしていて忘れていたが、スーパーに来たとき気配で彼がいることには気づいていた。
二階堂連、丸富大学の2年で僕と著莪の先輩にあたる人だ。
あの初勝利の翌日にスーパーで声をかけられて以来、共闘したり、いろいろなスーパーの情報を教えてくれたりと、お世話になっている。
佐藤「すみません、どのお弁当にしようか考えていたもので…」
二階堂「食べ盛りのお前が好みそうなのが2つ、そして安心と信頼の定番が3つだからな」
迷うのも無理はない。そう先輩は言ってくれた。
二階堂「おまけに狼の数も少ない」
8人の需要に対して供給は5、比較的、獲物を奪取できる確率は高いといえた。
二階堂「今日は、お前1人か?」
佐藤「いえ、アイツは友達の家に行ってその足で直接ココに来るみたいです」
二階堂「そうか、ならば俺たちも気を引き締めて望むとしよう」
俺達と複数形なのは先輩の後ろにガブリエルラチェットのメンバーが2人ほど控えているからだ。
《ガブリエルラチェット》主だったメンバーは丸富大学で先輩が所属している庶民経済研究部の人達で構成された組織で、先輩はそのまとめ役みたいなものなんだとか…
二階堂「なにせ脅威のルーキーだからな」
デビューしてからこの1週間、その内弁当が半額になる事5回、著莪の戦績は4勝1敗。
唯一の負けはあせびちゃんが来店したデビュー戦のときだけで事実上、彼女は負け知らずなのだ。ちなみに僕の戦績は1勝4敗と、著莪とは逆であの初戦以来、弁当を手にしていない…
二階堂「初戦の黒星もあの死神が居たのではいた仕方ないだろう」
《死神》とは、あせびちゃんのことで彼女は1度も半額弁当を手に入れていないにも拘らず、二つ名を得るという偉業を成し遂げていた。
著莪が弁当にありつけなかった2日はあせびちゃんがスーパーに来たときで、彼女が来店すると重傷者が出る、もしくは弁当が半額になる前に売り切れたり…
やっぱり、あの子にはアレが憑いているんだろうな…
それにしても、あせびちゃんに《死神》の二つ名をつけた先輩はネーミングセンス抜群だな。
ついでにどうでもいい事だがジョニーのお見舞いに行くのを忘れていた…
二階堂「ところで結局お前は何を狙うか決めたのか?」
佐藤「それなんですよね、何にしようか…」
グ~と、腹の虫が空腹を告げる、コイツはいつだって正直だな。
佐藤「チーズカレー弁当にします」
二階堂「そうか、お互い頑張ろう」
先輩は別のものを狙うようだ、正直ありがたい。
と言うのも僕が弁当を獲ることが出来ずにいる理由の大半は先輩とガブリエルラチェットに行く手を阻まれることが多いからなのだ。
だからこそ今回、先輩と獲物が被らなかった事が素直にうれしい。
そんなことを考えていると携帯がメールの着信を告げる。
たぶん送り主は著莪だろう。
〈先に謝っとくわ、ごめん佐藤〉
瞬間、背中に嫌な汗が流れる…
他の人がこのメールを見ても何の事だか分からないだろうが、僕には分かる、従姉弟がなぜ謝っているのかその理由を。
二階堂「どうした?顔色が悪いぞ」
佐藤「先輩… すみません」
二階堂「いきなり謝られても対処できんのだが…」
佐藤「多分ですけど、今日ココにいる狼は全員弁当にありつけないと思います…」
二階堂「どういう事だ?」
理由を説明しようと僕が口を開きかけたとき、自動ドアが開き著莪の姿が見えた。
向こうも僕に気づいたらしく弁当のチェックをせずに直接こちらにやって来る。
二階堂「お前が遅れてくるとは珍しいな、弁当の確認はしないのか?」
著莪「佐藤、説明した…?」
佐藤「これからするところ…」
二階堂「?」
著莪「そっか… でも、もう必要無いんじゃない?」
佐藤「やっぱり来ちゃったんだ…」
著莪「うん… 止められなかった」
二階堂「何の話だ?俺にも説明を…」
先輩が言い終わる前に店の自動ドアが開く。 僕はポケットに手を突っ込み、お守りを握り締める、この前近場の有名な神社で初老の神主さんからこれが良いと進められた物だ。
ちなみにえらく大柄でゴツイ体をした神主で、もしこれで着物の下に刺青という名のアートが有ったらリアルでセガの名作シリーズ『龍が如く』だな。 みたいな事を考えたんだけど…
至って平凡な僕の身近にそんな非日常がある訳ないよね。
視線を彼女から先輩に戻すと、たった今ご来店した人物が誰なのか気配で察したらしく…… 大量の脂汗を流していた。
佐藤「…顔色が悪いですよ、先輩」
二階堂「悪くもなるさ…」
佐藤「ですよね…」
あせび「あっ、洋く~ん」
手を振りながらこちらに来る彼女の名は井ノ上あせび、僕と著莪のクラスメイトにして《死神》の二つ名を持つ者。
あせび「2時間ぶりだね~」
あせびちゃんのトレドマークでもある猫耳帽子の耳の部分がピコピコと動いていた。
いつも思うが一体どんな仕組みなのだろうか?どこぞの高校の心霊現象調査研究部の連中が見たら小躍りして喜びそうだが…
あせび「どうしたのぉ、洋くん?」
佐藤「な、何でもないよ、うん」
首をかしげて僕を見るあせびちゃん、彼女にアレが無ければ躊躇無く抱きしめているところだ。
期待している
先輩を見ると、なるほど…顔面蒼白だった。さすがは情報通の二階堂先輩だ、あせびちゃんのことをよく分かっていらっしゃる…
あせび「二階堂先輩、だいじょうぶぅ?」
二階堂「あ、ああ、大したことは無い…」
あせび「そうだ、あっちお薬持ってるからあげるね♪」
二階堂「えっ」
先輩の顔がみるみる絶望に染まってゆく。ちなみに先輩の後ろに控えていた2人の姿がこの時点で消えていた、実に素早い。
あせび「はい、どうぞ♪」
二階堂「あ、ありがとう… 帰ってから飲むよ…」
震える手で薬を受け取る先輩… 彼の1人この場に取り残されたその姿に僕はとっさに、先輩ここは僕が代わりに引き受けます! …と、心の中で叫んだ。
あせび「その、お薬は即効性なんだって、だから今ココで飲んだ方が良いよぉ?」
二階堂「…」
あせびちゃんはポケットからペットボトルのお茶を取り出した… もう止めてあげてぇぇぇぇぇぇ!!!!!
帽子の猫耳がみるみる垂れ下がってゆく、というかあせびちゃん… 君がそんなことを言うと先輩の退路が断たれて…
二階堂「…いや、そんなことは無い。」
ありがとう… 先輩はそう言うとあせびちゃんからペットボトルを受け取りキャップを開け、手に持っていた薬(錠剤)を口に含むと …一気に煽った。
著莪「何もおこんないね…」
佐藤「ああ、だが油断は禁物だ…」
その会話から、およそ20秒後……… 先輩はトイレの住人と化していた。
著莪「なあ、佐藤… コレ…」
著莪が差し出したのは先輩がトイレに駆け込む際に落とした薬の包みで…
佐藤「僕の目がおかしいのかな? 下剤って文字が見えるんだけど…」
著莪「安心しろ佐藤、私にもそう見えてるから…」
あせびちゃんの方を見ると彼女は、二階堂先輩、大丈夫かな~?、と心底心配のご様子だった。
佐藤「著莪… 今、僕等に出来ることは先輩が自らを犠牲にして守ったあせびちゃんの笑顔を絶やさないようにすることだけだ」
著莪「…そうだね、コレはあせびの目に触れないように処分しておくよ」
僕と著莪はトイレに向かって敬礼した…… 二階堂先輩、あなたの勇姿は一生忘れません。
翌朝、パンの焼ける匂いで目が覚めた。
目をこすりながらリビングに行くとパジャマにエプロン姿というなんとも斬新な格好の従姉弟がいる。
著莪「おっ、起きたか。佐藤おはよう♪」
佐藤「おはよう…」
著莪「顔洗ってきなよ、もうすぐ卵も焼けるしさ」
佐藤「ん~了解」
基本、家事などは当番制だが結局は僕が著莪の当番のときも代わりにやることが多いため彼女がこうして台所に立っている事は稀だ…
それ故、結構悪戦苦闘しているようで、彼女が手に持っていたフライパンの中にはおそらく目玉焼きになり損ねたと思しきスクランブルエッグが入っていた。
朝食を済ませ僕は2人分の食器を片付けてリビングで寛いでいた。著莪は脱衣所の方で制服に着替え中…
著莪「ごめん佐藤、私の部屋からブラ取ってきてー」
脱衣所から顔だけ出した状態で著莪はさも当たり前のように言い放つ。
佐藤「なんだよ、また持って行かなかったのか?」
今週に入ってもう3回目だぞ……ひょっとしたら彼女は若年性アルツハイマーなのか?
佐藤「ふ~やれやれだぜ…」
著莪「頼む佐藤、一生のお願い」
佐藤「お前にはいったい幾つ一生があるんだよ… まあ、いいけどさ。で、今日はどのブラを持ってくればいいんだ?」
著莪「こないだ買ったやつ」
佐藤「カップの縁にフリルの付いてるやつ?」
著莪「そう、それそれ」
佐藤「オーケー」
著莪「お礼に私のブラどれか1つあげようか?」
佐藤「アホか」
著莪「またまた~そんなこと言ってホントは興味津々の癖に~」
佐藤「お前はどんだけ僕を変態にしたいんだよ」
著莪「だって佐藤は昔からブラが好きだったじゃん、ほら、小学校の修学旅行のちょっと前n「セガのゲームは世界いちぃぃぃぃぃ!!!!!!」
僕がセガのゲームへの気持ちを絶叫し、ゼーゼーと肩で息をする姿を見て著莪はアッハッハッと、笑う。
あの件のことを出されてはどうやってもアイツに太刀打ち出来ない、チクショウ… これ程までに若き日の自分を恨む日が来ようとは…
え~と… あった、これだ。
首尾よく目標を確保、……しかし著莪のやつ、いつの間にこんな立派に成長したんだろう
その、 ……乳房的なものが。
アイツは最近のその種の高性能サイズ偽装商品などではなく実力と素質でこの高みまで上り詰めたというのか!?
我が従姉弟ながらすげえ……
改めて手にしているブラのサイズを確認する。
一瞬、見間違いかと思い視線を外して深く深呼吸、スーハー………落ち着け、まだ慌てるような時間じゃない。
再びソレに目を向ける… うん、間違いなくデカイ。
ここ半年で驚異の成長振りだ、…さすがはイタリア人とのハーフ。
純正の日本人でこのサイズに到達する者は多分少ないんだろうな…
著莪「うん、これこれ。サンキュー」
脱衣場のカーテンの端から顔と手だけを出し、ブラを受け取る著莪。
著莪「なーんかちょっと遅かったからてっきり私のパンツでも被って『変態仮面参上!』とかやってるのかと思ったよ」
佐藤「さすがにそこまではちょっと…石岡君じゃあるまいし」
著莪「そうだよね、石岡の奴じゃあるまいし、佐藤はそこまではしないか」
実は割と本気でやってみようと思ったりしたんだけどね…
石岡君が昔、身体測定のときに、かの有名な三沢の乱で一躍世界にその名を知らしめた三沢君の白ブリーフを被り、『変態仮面参上! うっ… ブリーフのせいでパワーダウンが…』とか、やっていたのを思い出し正気に戻る事が出来た。
ありがとう、石岡君。ありがとう、変態仮面。おかげで僕は人の道を踏み外さずにすんだよ。
著莪「とか考えてない?」
佐藤「…」
僕の従姉弟はエスパーなのか?
今日もまた生徒会長の沢桔梗さんと副会長の沢桔鏡さんが止めてくれたおかげで何事も無く終わったが、いずれオッちゃんとは決着をつける日が来るだろう。
そうなれば無論、僕も無傷では済むまい ……具体的に言うとケツが。
教室の扉を開けると今日も著莪の周りに例の三人がたむろしているのが見え おっと、今日は2人か… クックックッ、バカめ、まんまと罠に掛かりやがった。
僕は常日頃から自分の席に勝手に誰かが座らないようにアレ仕掛けているのだ。
著莪の前の席に行きイスから残りの画鋲を回収して座る、すると斜め後ろの席に座っていたあせびちゃんが「おはよう~」と、いつもと変わらぬ笑顔で挨拶してくれる、相変わらず帽子の猫耳が動いていた。
そんな彼女に挨拶を返し空の鞄を机の横に掛けると後ろの席でなんとか2人を捌いていた著莪がやって来て僕に耳打ちする。
著莪「遅いぞ佐藤、朝話した通り実行するからな」
言うが早いか、彼女は家でいつもやっているみたいに後ろから抱きつくと僕の肩に自分のあごを置いてくつろぎ始めた。
教室の和気藹々とした空気が一瞬で凍りつが、すぐにチャラ男3人を始めとしたクラスの男子達から発せられる怒気のおかげで氷解してゆく。
女子連中はヒソヒソと時折こっちを見ながら会話しているし…… クラスメイトからの熱い(男子からは殺意の篭った)視線を全身に浴びながら僕は朝に著莪と交わした会話を思い出していた…
著莪「最近いい加減、あの3人に付き纏われるのが億劫になってるんだよ、あいつ等しつこ過ぎ…」
佐藤「ああ、あの他のクラスのチャラそうな奴等のこと?」
著莪「大抵のやつ等はやんわりとお断りすればそれまでなんだけどね… あいつ等のしつこさは石岡並みなんだよ」
佐藤「だったら警備員のオッちゃんに報告したらどうだ?単1電池片手に迅速に排除してくれるんじゃないか?」
著莪「それも考えたんだけどね、なんか丸富に入ってから急に私に寄ってくる奴が増えたと思わない?」
佐藤「…確かに、でもしょうがないんじゃないか? お前ってその容姿だから目立つしさ」
著莪「…」
佐藤「小中学校のときは周りの面子がほとんど代わることが無かったから1回断られた奴はそれっきりだっけど高校は、ほぼ全員が初対面だしな」
著莪「この際、あの3人も含めてよってくる連中を一掃出来ないかな?」
佐藤「それだと対象が多いからいくらオッちゃんでも難しいだろ」
佐藤、著莪「「う~ん…」」
こんな感じの会話がしばらく続き、結局対策として著莪が打ち出したのは… 僕と家でいつもやっている事を学校でもしよう。コレだけだ。
言われてみれば家や部室で2人きりの時以外は抱きついてきたりしなかったな…
佐藤「僕は構わないけど、ホントにそんな事で効果があるのか?」
著莪「よし、そんじゃあ決まりって事で!」
佐藤「お前が良いと言うならいいけどさ…と言うか、そろそろ僕の膝の上から降りてくんない?」
著莪「なんだよ~人の髪に後ろから顔突っ込んでクンカクンカしてる佐藤に気を使って動かないでやったのに~」
佐藤「…ってのは嘘でホントのところは?」
著莪「ココ座り心地がいいんだもん♪」
以上、回想終わり。なるほど… それでか。
家でいる時と同じようにって条件だし… なら特に構うこともないかな。
あの後、大猪が1度に3人も現れて狩場が地獄絵図と化した事や、先輩がいつまで経ってもトイレから出てこないので泣く泣く放置して帰った事… 等々。
そんな他愛も無い会話を続けていると著莪はいよいよ家で居るときのようにリラックスしてきたらしく僕の顔に頬ずりをし始めた。
それを目撃していたチャラ男3人組がすごすごと教室から出て行くのを視界の端で確認する。
あと、どうでもいいが先ほどから教室の後ろの方で、ついこの間ファミ部に入部してきた山崎君が青い顔をして壁を殴っている。
時折、コレは夢だ… 夢に違いない… 早く覚めなきゃ… と、ブツブツ呟いているのが地味に怖い…
それともう1つ、ちょっと前から僕の耳には幻聴が聞こえていた。
具体的に言うと、校門の警備員詰め所の中で今まさにこの教室の様子をモニター越しに目を血走らせながら見ている『奴』のものと思しき絶叫が…
「嘘やぁぁぁぁぁぁあ!!!!!!!、こんなん嘘に決まっとるぅぅぅぅぅぅぅう!!!!!!!」
「あのボンクラァァァァァ!!! 俺のあやめちゃんになんちゅー事をォォォォォォ!!!!!」
「そうか!アイツ何かあやめちゃんの弱みを握りそれにつけこんでこないな… こないな事!!!」
「うおおぉぉぉぉぉぉぉぉお!!!! 許さん!!もう許さへんでぇぇぇぇぇぇぇ!!!!!」
「コイツには単1電池でも足りん!! バッテリーや!バッテリーでチャージしたるぅぅぅぅぅぅぅう!!!!!!!!!」
「捻じ込んだらぁぁぁぁぁぁぁァァァァァァァアァ嗚呼ァァあ!!!!!!!!!!!!!!」
うわ・・・すご… どこぞのスーパーの半額神が作る弁当名の非じゃないくらい『!』が大量に使用されている…
今あのスプリガンに遭遇すると僕のお尻の門と直腸の形が変りかねない、 冗談抜きで……
著莪「何か言ったか?佐藤」
佐藤「そろそろ離れろよ、先生が来るぞ」
著莪「ん~…名残惜しいけどしょうがない、また休み時間にな」
当初の目的は達した訳だし、もうやる必要は無いと思うんだが…
なんだかんだで放課後。
僕は今部室塔の屋上に居る、…かれこれ1時間ぐらい。
昼休みに二階堂先輩かメールが入ったからだ。
《放課後ファミリーコンピューター部のある部室塔の屋上に来い》
用件だけのいかにも先輩らしい文だ、たまには絵文字でも入れればいいのに。
そんな訳で放課後、屋上に来るも先輩の姿はナシ。で、今に至ると… まさか今もスーパーのトイレに居るってオチじゃないよな?
♪~♪~
おや電話が…
?『…』
佐藤「もしもし?」
?『…』
悪戯か?
二階堂『…1人置き去りにされた者の気持ちが分かったか?」
先輩だった… 昨日の事をかなり根に持っているようだ…
佐藤「お、お元気ですか…?」
二階堂『おかげさまで、心置きなく休めたからな… トイレで」
ご立腹のようだ、やはり著莪の言うとおり正露丸の差し入れをしておくべきだったのか?
二階堂『まあ、この件はコレぐらいで勘弁してやる』
本題に入ろう… そう言って先輩が話し始めた内容は新参の狼である僕にとって、とても興味を引くものだった。
僕はファミ部であせびちゃんと『桃鉄』をしていた著莪に、先ほど先輩に聞いた特別な半額弁当の話をした。
著莪「ふ~ん、じゃあ今夜その店でそのお弁当が出るんだ…」
佐藤「絶対とは言い切れないみたいだけど毎年かなりの確率で月桂冠が出るらしいんだ」
佐藤「先輩の話だとガブリエルラチェットの人達が1時間おきに店に行って目標の弁当が残ってるかどうかチェックしてるらしい」
著莪「こんな事言うのはアレかもしんないけどさ… ガブリエルラチェット人達って暇人の集まりなのかな?」
佐藤「考えてみれば弁当1つに対して凄い労力が掛かってるよな…」
著莪「佐藤、今度それとなく聞いてみてよ」
佐藤「嫌だよ、メンバー全員が学生とかならまだしも、仮に無職の社会人とか居たらどうすんだ。気まずいって」
著莪「……確かに。げっ! またサイコロの目が1だ、これでもう10回連続だぞ。絶対これプログラムがバグってるって!」
あせびちゃんのアレのせいだろうな… と思いつつ僕もゲームに加えてもらう。 そして1時間後…
佐藤「………」
あせび「わぁ~ またサイコロの目が1だぁ、洋くんついてないね~」
著莪「アハハハ!13回連続とか出来すぎだって!」
僕がゲームに加わってからというもの、それまで著莪に憑いていたアレの効力が僕の方に移動したらしく…
あと30~40分で半値印証時刻になる筈だった。
著莪「ココで間違いないよな?」
佐藤「ああ、間違いなくココが先輩の言ってたスーパーだ」
著莪「二階堂の奴、昨日の事まだ根に持っていて違う店を教えたとか無いよね?」
昼間の事があるから絶対とは言い切れないけど…
二階堂「ほう、俺はお前達からそんな風に思われていたわけか」
佐藤「!?」
著莪「き、来てたんだ!? てっきり昨日のアレで寝込んでいるのかなー?と…」
二階堂「そうだな、お前達からしてみれば敵は1人でも少ない方がいいからな」
佐藤「そ、そんな!敵だなんて… な、なあ著莪?」
著莪「うえっ!?こっちに振るなよ! こんなグラスハートどう扱えば、あ…」
佐藤「あ…」
二階堂「…」
争奪戦の前なのにかなり消耗した気がする、著莪もゲンナリとしていたが…… そういえば今日の先輩はガブリエル・ラチェットのメンバーを連れてきていない、昨夜の一件で先輩の求心力が落ちてしまったのだろうか?
気を取り直して3人仲良くスーパーの自動ドアをくぐり店内へ…
入店するとさっそく狼達の殺気立った視線が突き刺さる。
佐藤「さすがに月桂冠が出るかも知れない時は空気が張り詰めてますね…」
著莪「すごい殺気だな」
二階堂「数は9といったところか…」
今からこの雰囲気を意識していたらとてもじゃないが身がもたない、僕は意識を店の方に向ける。
外観を見る限り比較的小さい店という印象を受けたが、店内に入ると思ったより広く感じる。その事を先輩に話すと…
二階堂「この店は確かに建物そのものは小さい、だから余り動くことのない商品を置かないことで陳列棚を少なくし、ゆったりとしたスペースを確保しているんだ」
著莪「ホントだ、生活雑貨なんてゴミ袋とか最低限の物しか置いてない」
二階堂「オープンしたての頃はしょっちゅう売れ筋をリサーチしては商品を入れ替えていたぞ、最近はそんな事は殆ど無いがな」
二階堂「この店の両隣がそれぞれ八百屋と鮮魚店だったろう?」
佐藤「ああ、そういえば…」
二階堂「だから最初からその2つは無い」
普通スーパーに来ると大抵青果コーナーから回り込むようにして弁当コーナーを目指すのだが… 心成しか少しさびしい。
会話をする事で幾分か緊張が和らいだ。
店の外周に設置されている陳列棚の前を通り奥へ行くと精肉コーナーが見える。
なんだか酷く懐かしいものを見たような気分だ。そしていよいよ…
二階堂「だがオープンしてから今まで変らないものが1つある、それが惣菜、弁当コーナーの規模だ」
二階堂「ホントは通常の店とそれほど変らない広さなんだがな、鮮魚コーナーが無いからそう感じるんだろう」
まるでマっちゃんの店に居るような… そう思わせるほど値札が書かれているプレートの数が多い。
1時間ほど前には様々な種類の惣菜が並んでいたことだろうが現在それらの場所に惣菜は殆ど残されていなかった、売れたのだろう。
二階堂「この場に広がっている揚げ物の残り香は腹の虫を刺激するにはもってこいだろう?」
佐藤「はい…」
著莪「腹減った…」
言った直後、腹の虫が空腹を告げる。
二階堂「ハハッ、聞くまでもなかったか。ほら、もう弁当コーナーの前だぞ」
いつものように立ち止まらずに横目で獲物を見定め、その足で近場の鳥棚に向かう。
二階堂「5つか…」
佐藤「全部、散らし寿司でしたね」
著莪「でも1個だけ違う容器のがあった…」
二階堂「それが毎年、月桂冠になる弁当だ」
佐藤「あれが月桂冠に…」
そして残る1つは先程の四角い容器を3分の1くらいカットしたような大きさの容器が2段重ねとなっている、こちらにはガリの入った容器が付属していない。
肝心の中身については見ただけで違いが分かる、前者は散らし寿司の表面に桜でんぶがあり。後者… 月桂冠候補の弁当には桜でんぶ代わりにシラスがふりかけられていた。
二階堂「ココの半額神の作る散らし寿司弁当は月桂冠にならないものでも凄く旨いんだ、だから…」
佐藤「先輩、目の前により旨い弁当があるのにソレを置いて他を獲るなんて事…… 僕達がすると思いますか?」
著莪「佐藤、良いこと言った♪」
二階堂「…そうだな、悪かった忘れてくれ」
そう言うと先輩はククッと笑い、それにつられて僕と著莪も笑った。
もしかしたら先輩は初めて月桂冠を目の前にする僕達を少しでもリラックスさせようとしてくれているのかも知れない。
そのときバタンという音と共に店内に緊張が走る、著莪と2人で目配せをし先輩を見る、彼は無言で頷いた… ソレを見て確信する。
この店の半額神が降臨したのだ。
この位置から姿は見えないが、その行動は耳に入る音で容易に想像できる。
僅かに残った惣菜を棚に並べ直す音、油性ペンで値札に横線を引く音、ポケットから新しい値札を取り出すパサリという音。
半額神の足音が少しずつ弁当の置いてあるスペースに近づいてくる…… そしてついに半額神が僕達の前に姿を現す。
佐藤「お婆ちゃん?」
桜ではなく櫻という昔の字を名前に持つ割烹着を着たお婆ちゃんの半額神は柔和な顔でゆっくりと、しかし決して遅いとは感じないペースで弁当に半額シールを貼ってゆく。
そして最後に残ったあの弁当に割烹着のポケットから別のシールを取り出し、それを…
貼った!
その瞬間、店内が歓喜の気配で一杯になる。
僕も、著莪も、先輩も、今この店に居るすべての狼達もこの瞬間が来ることを待ちわびていたのだ。
お婆ちゃんはポケットにシール等を仕舞うと、なぜか僕達の居る方に顔を向け… 微笑んでくれた。
著莪「佐藤… 今あのお婆ちゃん…」
佐藤「僕達に微笑んでくれたような…?」
二階堂「ほう、良かったな。お前達は半額神に気に入られたようだ」
佐藤「…」
著莪「佐藤、絶対にあの月桂冠は私達で獲ろうな」
佐藤「ああ、もちろん」
僕達は今まで以上にあのお婆ちゃんの作った特別なお弁当が食べたくなった。
続いて衣擦れの音、深々と1礼している姿が頭に浮かび… 自然、僕も頭を下げる。
顔を上げると隣で著莪もまた頭を下げていた。彼女は顔を上げ僕を見ると。
著莪「えへへ…なんか自然とこうなっちゃってさ」
佐藤「僕もだよ」
そうして僕と著莪はクスリと小さく笑った、お互いに気持ちは充実し、腹の虫の加護も十分。
半額神の足音がスタッフルームの向こうに消えてゆき、続いて扉が……
……閉まる。
すぐ後ろに意識をやると著莪と先輩が続いているのが分かった、今なら2人に邪魔されることも無いと思い月桂冠に手を伸ばす。おいおい、楽勝だな…
だが後ろを気にしたその一瞬で他の狼達も最前線にたどり着いていた。
僕の手があと少しというところで横に来た男に弾かれ、さらに続いて背後から著莪のミドルキックが僕の脇腹に突き刺さる。
横に居た2人を巻き込みながら最前線から弾き出されてしまう、くそっ!
立ち上がろうとするも予想以上のダメージですぐに立ち上がることが出来ない… みんな月桂冠のおかげでいつも以上に力が出せるのか。
こんなのをあと2,3発も食らったら間違いなく戦闘不能になるぞ…
すでに4人ほどが乱戦の外に転がっていた、起きる気配が無い。
考えようによっては好都合かもしれない、今日の戦闘では攻撃を食らう=気絶、もしくは何らかの動けない状態に陥る訳だから敵は減る一方だ。
但し自分がそうなる可能性も十分あるので素直には喜べないが…
これが普段ならこのまましばらく成り行きを見ている手もあるのかも知れない。
だが今日の獲物は月桂冠ただ1つ、こうしている間にもし他の誰かに取られてしまったら?
自分を叱咤し立ち上がる。よし、やれるぞ!
思った矢先にまた1人、戦闘不能になった者が僕の前に横たわる。
そんな彼を飛び越え再び乱戦の中へ…
戦線復帰した僕はまず著莪を…… 後ろから攻撃しようとしていた長身の男に先程の著莪が僕にやったのと同じヤツをお見舞いした。
まともに食らい吹っ飛ぶそいつを見て、やはり今日はいつも以上の力が出せていることを実感する。
これで残る狼は僕を含めて、あと5人。
なんとか1人、倒すことに成功する。
残るは僕達2人と先輩、そして恰幅の良い大男の計4人。
さすがにここまで残るにあたって全員が満身創痍だ。
特に著莪の疲労は色濃く、月桂冠のおかげでパワーアップしている今日の狼の攻撃をあと1撃受けたら間違いなく立ち上がれないだろう。
著莪「私が二階堂と戦るよ、佐藤はあの大男をお願い」
佐藤「まあ、それが妥当だろうな…」
今のコイツに大男は荷が重過ぎるだろう、でも先輩相手なら何とかなるかも知れない。
二階堂「いいだろう、受けてやる。…来い」
著莪「佐藤、お前はちゃんと弁当獲れよ。 んで少しアタシにちょうだい。」
ハグしてやるから、そう言って彼女は僕の顔を見て微笑むと、次の瞬間には先輩に肉薄していた。
バシッ!と、著莪の放った拳を受け止める先輩。
うん、あれだけ動ければアイツは大丈夫かな… 僕は僕で、こっちを何とかしないと。
彼がまず動く、その巨体の全体重を乗せた右フック。
その攻撃は例え月桂冠の懸かっていない状態のものであっても1撃で食らった相手を戦闘不能にするだろう。
ましてそれに今日のようにいつも以上の力が上乗せされているとすれば、おそらく即入院3ヶ月コースだ。
但し… 当たればだけど。
大振りの上に攻撃にいまいちキレが無い、幾ら表面上、呼吸を整えようとダメージは残ったままなのだ。
僕は勢いよく彼の懐へ飛び込み攻撃を無力化させると同時に目の前に迫るドテッ腹目掛けて渾身の1撃を放つ。
ドドン!!という音が店内に響き渡り大男の体がくの字に折れ曲がる、だが流石に恰幅の良い巨体なだけあって吹き飛ぶことは無くその場に崩れ落ちる。
素早くバックスッテプをとり押し潰されるのを回避。ふ~危ない…
これで残るは著莪と先輩と僕の3人か、ん? そういえば僕が放った攻撃は1発のはず… なのに効果音は複数形のドドン!!、一体何故?
…はっ!もしかしてスタンドか!?
そうか僕はいつの間にかスタンド使いとして覚醒していたんだ! やったぞ!
幼い頃から親父と一緒に血の滲むような訓練を重ね、足や背中を攣らせて床をのた打ち回った成果が今日…… ついに花開いたんだ!
佐藤「著莪、やったぞ!ついに僕にもスタンドが…」
そう言って振り返った僕の目に真っ先に飛び込んできたのはスタンドでも、ましてや足や背中を攣らせて床をのた打ち回る親父の姿でもなく…
店の床に横たわる従姉弟の姿だった。
正直なところ先輩が著莪を倒すなんて想像もしていなかった、僕の中での先輩のイメージといえばガブリエルラチェットの人達をうまく使って半額弁当を獲るって感じで…
二階堂「狼として戦うのは久しぶりだが、やはり楽しいな」
佐藤「…」
二階堂「そうか、お前達は知らなかったんだな、俺も昔は1匹の狼としてスーパーを駆けていたんだよ」
そう言って先輩は笑った、これまで僕が見たことの無い… イキイキとした顔で。
二階堂「お前達には感謝しているよ、おかげでこうして最高の舞台で思い出すことが出来た、狼として戦う事の楽しさをな」
先輩のその言葉を聴いたとき不思議と、ある感情が僕の胸に沸いてくる。 …この人と戦ってみたい。
佐藤「僕も… 先輩と、著莪を倒すほど強い先輩とこうして戦えるのが楽しみですよ」
二階堂「…そうは言っても、俺はもう余り体力が残っていない、お前もそうだろう?」
佐藤「さあ、どうですかね?」
先輩は、いや… 今や1匹の狼に戻った二階堂連は構えを取ると僕にこう告げた。 1撃勝負だ、と… 僕も構えてそれに答える。
佐藤「分かりました、手加減はしませんよ?」
二階堂「フン、生意気な後輩だな。もちろん全力で来い」
僕達は少し笑うと、お互いに深呼吸を1度… 次の瞬間、空気が振るえ店内に炸裂音が響き渡った。
先に膝を着いたのは僕の方だった。
佐藤「いけるかと思ったんですけどね…」
二階堂「今に至るまでのダメージの蓄積が勝敗を左右したんだろう、ほんの少しお前の方が俺よりダメージを受けていたというだけさ」
佐藤「でもまだ立つ事ぐらいは出来ますよ…」
二階堂「しぶとい奴だな、だがその程度なら俺の勝ちだ」
佐藤「どういうことですか…?」
二階堂「俺は《ガブリエル・ラチェット》の頭目だ、そしてガブリエル・ラチェットに所属する者達は俺の命令を絶対に守る。例え床の上を這ってでもな」
佐藤「?」
二階堂「…ソイツを死んでも離すな」
瞬間、腰周りを締め付けられたような衝撃が走る。
二階堂「悪いな、月桂冠は俺が頂く」
なんてこった!普段メンバーは常に先輩の周りにいたせいでそれがあたりまえだと勝手に思い込んでいた、普通に考えれば狼達の中に紛れ込んで居る事だって十分に考えられたのに…
先輩が月桂冠に向かって近づいて行く、その距離あと5メートル。
何か、何か方法は無いのか? 知恵を振り絞れ! 佐藤洋!!
先輩がまた1歩目標に近づく、あと4メートル。
駄目だ!諦めちゃ駄目だ! 某有名バスケットボール漫画の主人公チームの監督も言ってたじゃないか! 諦めたらそこで試合終了ですよ。って…
馬鹿な事を考えてる間に先輩が!先輩が!! あと3メートル!!!
思い出せ、親父も言ってたじゃないか、ゲームを途中で投げ出すのは最低だって。そう言う自分は白昼堂々、息子の前であんな事をしようとして危うく人生を途中で投げ出しかけたと言うのに…
ああ!?親父のせいで先輩がー!!! あと2メートル…
はあ~ なんか親父が出てきたおかげで逆に頭が冷えてきた気がする… ん? 変だな…
そういえば僕もそれに先輩も月桂冠のおかげでいつも以上に腹の虫の力を引き出しているはず。
そんな状態の渾身の1撃をお互いまともに受けてなお、どうしてこんなに動けるんだ? 同時KOになっててもおかしくないはずなのに…
あと1メートル。
今なら誰も邪魔するものは居ない。
最後に組織の力を使って佐藤を抑えた事に若干後ろめたさを覚えたが…
一応は直接対決で佐藤を下した事を思い出し、まあ、良いか。という気分になった。
あとは狼なら1度は手にしたいといわれるこの月桂冠を…
……そのとき彼は後ろの方で、ブチッ!という音を聞いた。
思わず音のした方に顔を向ける… 瞬間。 ………彼にかつて無いほどの衝撃が走る。
気持ちの面と… 物理的な面の両方に。
確か二階堂の一撃を受けて… その割には余り体に痛みが無い。
そーいや昔、佐藤の親父さんが、ホントにいい所に1撃を入れれば案外簡単に人は気絶するんだぞ。とか言ってたっけ。
そのあと佐藤はその話が本当か嘘なのか石岡辺りで実験するんだとか言ってたな、結果はどうだったんだろう?
とにかく立ち上がんなきゃ・・・ よっと、さすがに弁当はもう無いだろうな…
まあ、最悪、佐藤が獲ってればソレを分けてもらうかな、そんでもって約束通りハグしてやろう。
万一、ソレが月桂冠だったらどうしようかなぁ? そうだ、キスしてやろう。それも思いっきりディープなやつ♪
そんな事を考えながら立ち上がろうと目の前の陳列棚に手を伸ばす、すると何かが指先に触れた。
なんだろうと思い、触れたソレを手でしっかりと掴む。
手触りからすると… どうやら弁当の容器らしい。
著莪「おっ! 残ってたよ、ラッキー♪」
ガラス越しに店内を見ると何処に居ても目立つ偽物みたいに綺麗な金髪頭の従姉弟が弁当をレンジで温めながら、お婆ちゃんの1日半額神と楽しそうに話しているのが目に留まった。
本当は自分も一緒に話をしたいところだが、そこは今回の絶対的勝者である彼女の特権だと思いやめておく。
そう、アイツは僕の意図した通り月桂冠を手に入れたのだ。
いくらダメージがあったとはいえ戦う事を最優先にして腹の虫の加護を失っていた先輩の攻撃がそこまで著莪に効いたとは思えなかった。
たぶん昔親父が、ホントにいい所に1撃を入れれば案外簡単に人は気絶するんだぞ。とか言ってた通り先輩の1撃がピンポイントで決まったんだろう。
あの話を聞いた後、散々石岡君を使って実kゲフンゲフン…石岡君と協力して調べた結果、親父が言っていた事は真実だと突き止めた僕が言うんだから間違いない。
しかしそこは流石というかなんと言うか。
手に取ったのは月桂冠だった。
その幸運があれば、お守り無しであせびちゃんに対抗出来るのではなかろうか?
おっ、温めと話が済んだらしい。ん?著莪の顔が心なしか赤いような…あっ、お婆ちゃんが僕の方を見て微笑んでくれた。
軽く頭を下げながら思った、やっぱり話をしてみたかったなぁ……
ところで、何か忘れている気がするんだけど…… 確か昨日もスーパーで…
「お待たせ♪佐藤、行こう。腹減った」
著莪の声で思考は途切れてしまう、まあ、いいや。
そんなに大切な事ならきっと思い出すだろうし、このまま思いださないようなら… それはさして重要じゃないんだろう。
著莪「おっ、ベンチ発見」
周辺に街灯は無いが月明かりがあるので問題なさそうだ。
著莪「満月の明かりの中での食事とかシャレてるじゃん、しかも桜の花が残ってるし花見も出来て一石二鳥。ココにしようよ佐藤」
佐藤「そうだな、空腹も限界だし…」
花より団子ってやつ?、そんなやり取りをしながらベンチに腰を下ろしレジ袋の中身を確認、袋の中には三つの容器が入っている。
その内の二つはメインの散らし寿司、どちらも外見上はさして換わらないように見える。
残りの一つは半額神がレジで直接入れてくれたらしい、お手製のガリか…
弁当は片方だけを温めるように半額神から言われたそうだ。
著莪「じゃあ、まずは温めた方の容器から開けよっか…」
著莪はそう言うと温めた方の弁当を取り出しフタを開ける
湯気とともに美味そうな匂いが広がった。 しかし、この香りは…?
佐藤「きっちり半分ずつだからな。食い過ぎるなよ…」
著莪「わかってるって」
言い終わるや否や一口…
佐藤「…」
咀嚼する彼女の横顔を凝視する、1秒が1分にも1時間にも感じられた… 遅い…
なぜ何かを待っているときは時間の経過が遅くなるように感じるのだろうか…
例えば修学旅行の夜、広部さんのグループの部屋を覗kゲフンゲフン、遊びに行こうと画策してみんなが寝静まるのをを待っていたとき然り…
石岡君の家の玄関に仕掛けたトラップに石岡君が引っかかるのを今か今かとワクワクしながら待っていたとき然り…
まさか…スタンド? スタンドの攻撃を受けているとでもいうのか!?
なんてこった、今までまったく気づかなかったぞ。チクショウ…
かくなる上は僕のジョジョ立ちで…
著莪「はい、こんどは佐藤が食べる番…… なにしてんの?」
佐藤「いや… スタンドがいたんでジョジョ立ちを…」
著莪はいつのまにか食べ終わっていた。 が… 僕の気のせいだろうか?
彼女のひざの上に置かれた弁当容器の中身はすでに半分以上が無くなっているような…
僕がほんの少し考え事をしている隙に半分以上も食われている… だと…
佐藤「貴様、もしや…」
著莪「あ~はいはい… スタンドでもジョジョ立ちでもなんでもいいから。いるの?いらないの?」
佐藤「いただきます!」
著莪「ん、オッケー、はい、あ~ん」
佐藤「あ~ん…」
口に入れた瞬間、香りの正体の予想は確信に変わる。
この散らし寿司は …お酢の代わりに柑橘類の絞り汁を使っているのだ。
容器の原材料表を見ると[完熟スダチ絞り汁]と、ある。
なるほど、よく熟れたスダチを使用しているから酸味がありながら甘みもあるわけか…
さらに咀嚼する。
定番の具であるレンコン、我が家で食べていた歯ごたえの無いものとは違いコリコリとした歯ざわりがあるのがうれしい。
他に甘く煮付けてあるカンピョウ、シイタケ。
彩を豊かにするために細かく刻んで入れてある人参、煎りゴマに錦糸卵…
そして仄かな塩味のシラス…だがここで飲み込んでしまった。
すぐさま横を向き口を開ける、すると著莪が絶妙のタイミングでつぎの分を差し出してくる。
間髪いれずにそれを食べる…どちらかといえば比較的甘い味になりがちな散らし寿司。
だがそれに塩味のついたシラスを加えることで上手く釣り合いが取れるようにされていて、甘味と塩味の相乗効果でさらに次が食べたくなる。
僕は2口目を飲み込むと急いで横を向き、著莪に次を口に入れてるよう催促した。
僕が食べ終えると彼女はすぐにレジ袋からもう1つの弁当を取り出そうとする、…だが2度も先手を渡すわけにはいかない。
佐藤「待て、こんどは僕が先に食べる」
著莪「え~」
ブーブーと抗議の声を上げる著莪を無視して温めていない方の弁当を手に取る。
著莪「きっちり半分ずつだからな!」
佐藤「わかってる」
先ほどのやり取りの逆を言い合い一段落ついたところでフタを開ける
こんどは湯気もなく温めていないのでそこまで柑橘系の香りはしない。
散らし寿司に箸を入れて一口分を取り、口に運ぶ。
暖めていないので先程のようにフタを開けただけでは香りこそあまりしなかったものの、やはり口に入れるとスダチの酸味と甘味が口の中に広がる。
冷めている分こちらのほうがより味がわかりやすいようだ、最初に食べたほうに比べてスダチの甘味をよく味わうことができる。
うん、こっちも旨い。
口の中が甘い散らし寿司の味に支配されてゆく、塩味。…もしくはピリリと締まるような辛味がほしい。
そうだ、ここであの付け合せのガリを…
袋からガリの入った容器を取り出してフタを開ける、ショウガ特有の匂いが鼻をついた。
早速それを1切れ口に入れると酸味と塩味が広がる… それも普通のガリより味が濃厚だ。
この味は……梅酢!
この弁当専用にお婆ちゃん半額神が自ら作った梅酢… それにショウガを漬け込んだ特製のもの。
確かにこれなら冷えて甘味が強くなった酢飯の味にも負けることはないだろう。
いや、むしろさらにメインの散らし寿司に箸が伸びる.
止められて気がついたときには弁当は半分ちょっと無くなっていた、…さすがは月桂冠、一味も二味も違う。
著莪「こんどは私の番だかんな!」
そう言って口を開ける著莪…
佐藤「……なにやってんだ?」
著莪「さっきやっただろ?… あ~ん、だよ。あ~ん」
ああ… 思い出した
佐藤「はいよ… ほら、あ~ん」
著莪「あ~ん」
こうして僕達はそろって月桂冠を堪能した。
著莪「どうした佐藤?」
佐藤「食べるのに夢中でお花見って感じじゃなかったなって…」
著莪「あ~ホントだ、すっかり忘れてた」
佐藤「まさに花より団子」
著莪「アハハッ、じゃあ今からやる?」
佐藤「もうなにも残ってないんだが」
著莪「飲み物だけで良いんじゃない?」
佐藤「僕は全部飲んじゃったよ、今から買いに行くのも面倒だし…」
著莪は立ち上がるとこちらを向いて、しょうがないな、私が買ってきてやるよ。何がいい?…そう僕に聞いてきた。
本日最高の笑顔で…
佐藤「…お言葉に甘えます」
著莪「うん、素直でよろしい♪」
そう言って彼女は走っていった。まだ僕が何を飲むか聞いていないのに…
まあ…任せても大丈夫だろう、お互い相手の好みは把握しているし。
近くの桜の木下がちょうど芝生だったのでそこに寝転がる、脳裏には先程の著莪の笑顔が焼きついていた。
出来ることなら時間を巻き戻してもう一度あの笑顔を見たいと思ったが。時は残酷である…
学校でもよく告白されていたし、やっぱりアイツは美人なのだろう。
今までずっと一緒にいたせいであまり意識する事も無かったんだけど…すごく綺麗だった。
なんというか、心を奪われるっていうのはこういうことを言うのだろうか?
目をつぶって暫し考える。
そして思うのだ。……これは、やられたかもしれない、と。
著莪「あれ、まだ居たんだ?」
二階堂「最後に佐藤の捨て身タックルを受けてな、情けない話だが少し前までソコの床の上で伸びていた」
著莪「ああ、そういえば私等がレジに行くときに伸びてたっけ」
二階堂「丁度良かった、お前達に話したい事があるんだが。…佐藤はどうした?」
著莪「レイクパークって公園に居るよ、これからお花見の予定なんだ。私はその買出し、二階堂も来る?」
二階堂「そうだな、行こう… 2人揃っていた方が都合が良い」
著莪「もしかして愛の告h「ちがう狼としての話だ」
著莪「そんなに邪険にしなくてもいいじゃん」
本当に物怖じしないヤツだ、誰とでも気さくに話しすぐに打ち解けるようだし。
《ガブリエル・ラチェット》のメンバーの中にもコイツに好意を寄せている者が多いようだが。
…アイツが居るのではそれも叶わないだろう。
さり気なく危ない事をいう奴だ、それに北と言っても色々ある。 ……まさかあの国、…無いな。
著莪「居た居た、そこの桜の下で寝ている」
夜の公園に男子高校生が1人、芝生の上で寝転がっているのはシュールだ。
佐藤「zzz」
二階堂「お疲れのようだな…」
著莪「そうみたいだね…」
起きる気配は無し、…か。
著莪「よいしょっと。ふぅ… 人間の頭って重いんだな、動かすのも一苦労だよ」
……前から思っていたがコイツ等は本当にただの従姉弟なのか?どう見ても…
二階堂「仲が良いんだな」
著莪「そうかな、普通だと思うけど?」
普通、従姉弟同士というだけであたりまえのように膝枕はしない筈だが…
まあ… 自覚の無い者にいくら言っても無駄か。
…顔に出ていたか。
著莪「そんなふうに自分の言いたいことを言わずにいるとそのうち後悔する事になるかもよ?」
ふん、…馬鹿なことを。
著莪「例えば好きな人を他の誰かに取られるとか」
二階堂「なっ!?」
著莪「…ひょっとして図星?」
二階堂「…」
著莪「わかりやすい奴だな~ もう少し突っ込んで聞きたいとこだけど…」
二階堂「……」
著莪「今日は止めとくよ、ところで話って何?」
空気も読めるようだな、…助かったが、もう話をする気分ではない。
二階堂「今日はもういい、俺は帰る…」
ココに来たときと帰る方向が逆だし、このあと公園の外周を迂回してバイク取りに行くんだろうな…
佐藤「zzz」
それにしても、…よく寝てるな。
著莪「佐藤…ホントに寝てる?」
佐藤「zzz」
著莪「ふっふっふっ、コノコノ~」
佐藤「う…んん…」
これだけいじっても起きないとは…
はっ!しまった、二階堂に油性ペンを持ってないか聞いとけばよかった。
せっかくこんなに無防備に寝てるんだから額に肉って書いてやる絶好のチャンスなのに。
そういえばコイツに今日のお礼をしてなかったな、え~と、確か月桂冠ならディープキスだっけ?
でも結局、実際に月桂冠を獲ったのは自分で、佐藤はアシストだったし …普通のキスいいか。
スーパーでは佐藤に背後から捨て身の一撃を受けたおかげで気絶してしまい月桂冠はおろか惣菜すら取れず…
公園では著莪あやめに古傷を抉られ…
おまけに、…コイツと鉢合わせするとは。
毛玉「まあ、人生そんな日もあるって、元気出せよ」
自称、歩くニュースペーパーを謳ったおり、サングラスにアフロヘアーがトレードマーク。
こんな時には絶対に会いたくない相手だった…
二階堂「黙ってろ、《毛玉》」
毛玉「つれねーなー兄弟、そんなにあの子に言われたことが効いたのか?」
二階堂「なっ!? お前見ていたのか?」
毛玉「ああ、バッチリとな。最近話題の美人ルーキーと《ガブリエル・ラチェット》の頭目であるアンタのツーショット。情報屋としては興味深かったんでね」
こんなふうに妙なところで鼻が利くからイヤな奴なのだ。
二階堂「語尾を延ばすな気色悪い。あと、そんなとこまで見てたのか?…悪趣味だぞ」
毛玉「なに言ってんだか、アンタだってガン見してたろ?」
二階堂「ガン見はしていない…」
毛玉「見てはいたよな?」
二階堂「…」
そうなのだ、あのとき二人と別れてすぐに自分がバイクが置いてある所と反対の方角に来ていると気づきバツが悪いが引き返した。
そして少々遠めではあったが見てしまったのである…
著莪あやめが佐藤にキスをしているのを。それも結構長い間…
満月の明かり、桜の花びらが舞散る中でのその光景は彼女のボリュームのある金髪と相まって、まるで映画のワンシーンを見ているかのようだった。
毛玉「噂ではただの従姉弟って話だったが、どう見ても恋人同士… いや、あれは夫婦だな」
二階堂「それについでは俺も同意見だな」
毛玉「でなけりゃ、あんなに長いことブチュ~とはやらないよな」
口をタコのように突き出しながら毛玉は言う。
こんな奴と意見が合うのは甚だ不本意だがしかたあるまい、 …あんなことを平然とやってのける佐藤達の方がおかしいのだ。
二階堂「あいつ等のデビュー後の戦績は聴いているか? 正確には著莪あやめの方だが」
毛玉「5戦4勝だったか? 男の方は5戦1勝だが…女の方は間違いなく大物ルーキーだよな。」
二階堂「唯一の1敗はあいつ等のデビュー戦で《死神》が降臨した為だ、ちなみに佐藤の唯一の1勝がその時のもの」
毛玉「2人合わせて5戦全勝、今日の勝利も合わせて6戦全勝か… まあ、男の方は戦績もさほど芳しいとはいえないし、並みの狼がいいとこだろう」
二階堂「著莪あやめは今までの戦績だけでも十分評価に値するが、加えて今日の月桂冠」
毛玉「おい、まさか、お前…」
二階堂「二つ名を与えられるには十分だ」
毛玉「…そうだな、デビューしてから6戦中5勝、内1勝が月桂冠。1週間でというのは異例の早さだが、狼は実力がものをいう世界だからな… 良いんじゃねーか」
毛玉「しかし《ガブリエル・ラチェット》の頭目であるアンタがここまでご執心とはね」
二階堂「今回、ガブリエル・ラチェットは関係ない、俺個人としての興味だ」
毛玉「だが周りの連中はそうとは取らないかもしれないぜ?」
二階堂「そんな輩もあいつ等とやりあえば納得するだろう」
毛玉「確かに」
なにせ自ら《帝王》の犬であることを受け入れていた俺に再び狼としての気持ちを芽生えさせた奴らだからな…
二階堂「一応本人にも希望を聞こうかと思っていたんだが、もう必要なくなった」
毛玉「どんな名前なんだ?」
二階堂「今回はひとまず、より実績のある著莪あやめにのみ二つ名を付けることにする」
毛玉「勿体ぶんなよ」
あの人目を引く容姿、はじめて獲った月桂冠を食べていた公園の名前…レイクパーク。
加えて先ほど自分が見た光景で自然にソレが頭の中に浮かんだ。
「《湖の麗人》」
こんなときは、やたらと騒ぎ立てるアイツは便利なものだ、おそらく奴が言う明後日にはこの周辺はおろか西区、ひょっとしたら隣町の狼達の耳にも入っているかもしれない。
結局、毛玉には話していない事のほうが多かったのだか本人が満足して帰っていったのだからこれで良いだろう。
佐藤達にはもう一つ話す予定だったものがある、帝王率いるガブリエル・ラチェットが計画している例の作戦のこと…
だが、今は話さずに済んで良かったと思っている。
佐藤達のことだ、きっと話を聞けば何らかの形で首を突っ込もうとするに違いない。
あんな個人の欲望を満たすためだけの計画にあの若い2人を巻き込みたくはなかった。
それともう一つ…
毛玉の奴は佐藤の方は並の狼がいいとこ、と言っていたが、あの二人の戦いをデビュー戦以外の戦闘すべてを間近くで見ていた俺の意見は違う。
著莪あやめは獲物である半額弁当を常に意識して戦っているが佐藤の方はエンジンのかかりが遅いタイプなのか、よく被弾したり、弁当コーナー最前列から離れるように動いたりと効率が悪い。
当然それが結果に現れる。ただ、…違和感が少し。
そして二度目実際に争奪戦の中に入り佐藤を観察しているとなんとなく違和感の正体が分かる。
ある時点から佐藤の動きが格段に良くなったのだ。そう、…彼の従姉弟、著莪あやめが獲物を獲った時を境にして。
その時点でかなりダメージがあるにも拘わらず、脅威的なタフさだ…おそらく見た目以上に体は鍛え上げられているのだろう。
次の日から、そのコトを意識して佐藤を見ていると、やはり 少なくとも自分の目には佐藤が常に著莪あやめが動きやすいようにサポートをしているように見えた。
もちもんあからさまにではなく、こちらが余程注意して見ていなければ分からない程度の些細なこと。
だが、その程度の些細なことで結果が変わるのがあのフィールド。佐藤の行動により、確実に著莪あやめは戦いやすくなっている。
普通あの場では他の人間を助けている余裕は無い筈だ、…それでもアイツはそうする事があたりまえの様に。
なんとも微笑ましいものだ、ただの従姉弟の為に自分のことを後回しにするとは。
今は自分とガブリエル・ラチェットのメンバーで袋叩きに出来ているが、今日のように直それでも抑えられなくなるだろう。
もし佐藤の奴がこの先さらに実力をつけ従姉弟に構う事がなければ…
あの《魔導士》とも互角以上に渡り合えるかも知れない。
しかもそれを成し遂げるかもと考えた人物は現、東区最強の狼《帝王》こと遠藤 忠明ではなく、新人の狼、佐藤 洋なのだ。
まだ1勝しかしていない目立った活躍も無い、ただの狼。
だが不思議とそれを疑う気は起こらなかった、何よりもなぜこうも自分の心が躍るのか?
思わずニヤケそうになるが何とかこらえる。
夜に公園の前で1人薄ら笑いをしている男など… 誰かに見られたら即座に通報されかねない。
最初は面白い新人が居ると聞いて、あの計画に加担しているというストレスから少しでも離れたい… 気晴らしになればという程度の軽い気持ちで見に行っただけ。
それが今はどうだ、あの暗澹としていたつまらない毎日が嘘のようだ。あいつ等が現れなければ自分はこの先どうなっていたことだろう…
まったく、大変な後輩が出来たものだ。
ベルトを引き千切ったおかげでズボンがずり落ちパンツ姿を衆目に晒していた佐藤の姿を……
今度はダメだった、笑いを堪えきれずに盛大に噴出してしまった。
しかも間の悪いことに通行人の女子高生が自分の目の前に3人… 内2人は顔を青くして立ち尽くし、残る一人は今まさに文明の利器である携帯電話を取り出そうとしている。
まず弁解しよう頭では考えているのに体の方はまるで独自の意思を持つかのように、急いでバイクに跨りエンジンを指導させるとウイリーをかましかねない勢いで… 逃げた。
後方で「もしもし、警察ですか?今レイクパークっていう公園の前で不審者が…」とか聞こえた気がする、いよいよマズイ…
日本は世界に誇る法治国家で、その象徴たる警察は市民の味方で頼もしい存在だ。…犯罪者には容赦しない。
くそっ!どうしてこんなことに!? ともかく今は一刻も早くこの付近から離脱しなければ、…テレビか新聞の地方ニュースに名前が、…下手したら顔が写るかも知れない。
事の元凶である佐藤の顔を思い浮かべる。先ほどの良い印象はどこへやら、今は忌々しい顔という印象しかなかった。
今度会ったら、今回の腹いせにアイツのことを《変態》と呼ぶことにしよう。
二階堂連はそう強く決心してアクセルをさらに開ける、先程からパトカーのサイレンがどんどん近づいている気がした。
…はたして自分は無事にこの難局を乗り切れるのか?
嫌な汗を流しつつ、二階堂連という名の狼は夜の街を駆ける。
著莪あやめは呟いた、場所はこの春から住んでいるアパートの一室、佐藤の部屋のベッドの中である。
あのあと寝ている佐藤で遊んでいたらさすがにやりすぎたのか彼が起きてしまい結局ココに帰ってくることに相成ったのだ。
横を見るとこの部屋の本来の主である従姉弟が寝息を立てていた。
帰宅後、シャワーを浴び、いつもどおりコイツに髪をやってもらいベッドに入る。
シャワーを済ませ自分の部屋にきた佐藤だったが余程疲れていたのか何も言わずにベッドに入り、すぐに寝てしまった…
その彼の顔を見つめながら彼女は思い出す、今日スーパーで二階堂に捨て身の攻撃を加えた後によろよろと立ち上がった彼の姿を。
決まったと言わんばかりの顔をして親指を立て……… ズボンがずり落ちたせいでパンツ姿を衆目に晒していた従姉弟の姿を。
やばい、思い出したらまた笑いが… こんなときはアレだ、佐藤の親父さんのことを思い出すんだ!
「…」
オーケー、収まった。
自分で言うのもなんだが私はそこらの男子より遥かに強いと思う、だからスーパーでも正直そこそこは勝てると考えていた。
自分の予想では2回に1回は勝つ感じ、それが今のところ5戦4勝… 唯一弁当が獲れなかったときもあせびが居たからであって負けたという感じじゃないし。
著莪「これってやっぱりお前のおかげなのか?」
聞いてみても目の前の従姉弟は答えない。
昔からいつもそうだった、バレンタインの時には毎年家で一人になるはずだった私のところに来てくれたり。
高校進学のときも私の提案を跳ね除けて、烏田高校に行くことも出来たはず。
佐藤はいつも私の傍にいてくれたり気にかけたりしてくれている、それからいくと今回のスーパーでの異常ともいえる勝率も佐藤のおかげなのだろう。
同居人の横顔を見ていてふと、ある事を思いつき…彼の鼻先を人差し指で押してみる。
やはりというか、思った通りだ。
著莪「ブルドッグみたい…」
またしても弄り過ぎたせいかブルドッグ佐藤が薄目をあける、チッ、起きたか。ケータイのカメラで今の顔を撮ってやろうと思ってたのに…
佐藤「良い匂い…」
著莪「匂い?あぁ…佐藤、好きだもんね、このシャンプーの匂い。」
ママの実家から送られてくるヤツで、私自身はもとより佐藤の奴がシャンプーの香りを事のほか気に入っている。
いつも風呂上りに髪をやってもらうときに後ろから髪に顔を突っ込んで嗅いでるくらいだしな、…ん?そーいや、今日は嗅いでこなかったっけ。
著莪「嗅ぐ?」
佐藤「うん」
ベッドに横になったままクルリと身を反転させ佐藤に背を向ける。
すると少し間を置いて、……佐藤の顔が私の髪にゆっくりと埋まってゆくのを感じた。
再度体を反転させると案の定、その瞳は閉じられてる。
昔からこの顔を見ているだけで不思議と心が安らぐ。暫く瞼を閉じた彼の顔を見ていると、………いつのまにか無意識のうちに佐藤と唇を重ねていた。
佐藤の鼻息があったて少しくすぐったい、けれど嫌というわけでもなかった、出来る事ならこのままずっとこうしていたい…が、そうもいかない。
名残惜しいが唇を離す。
相変わらず、その瞳は閉じられたままで…… なんだか見ていると胸の奥が苦しくなった、ぎゅ…と、締め付けられたような感じ。
それと同時に湧き上がる、この気持ち…
ふと今日のスーパーでのことを思い出す、弁当を温めている間あの1日半額神のお婆ちゃんと話していたときの事を。
一通りの説明を終えたお婆ちゃんは何故か佐藤の事を聞いてきた。
私とアイツの関係、私が普段抱いているアイツの印象。
1つ目の質問には当然、従姉弟と答え。2つ目の質問には…
著莪「一緒にいても1人の時のような気楽さ、でも、一緒にいれば1人の時のような寂しさがない。……そんな、う~ん…そうだ、ペット。…ペットみたいな奴かな?」
…と、答えた。アレは自分でも言ってて可笑しかったなぁ…
しかし、3つ目の質問をされたときには言葉が詰まった、 なにせ…
半額神「あやめちゃんが将来結婚するとしたらどんな男の人を選ぶのかしら?」
コレには心底参ってしまった、しかも考えに考えた結果、出てきた答えに何よりも驚いた……
顔を赤くしている私を見てお婆ちゃんは、あらまあ…と、言って微笑んでいたっけ。
半額神「こんなお年寄りが図々しくあんな事を聞いちゃってごめんなさい、でも老婆心ながら最後にもう1つだけ言わせて?」
そう言うと、お婆ちゃんは私の顔をさらに熱くさせるようなことを口にした……
半額神「相手が、たとえそれが従姉弟や自分の両親であっても口に出して言わないと伝わらない事もあるのよ?」
彼女は気付いているのだろうか? 僕が起きている事に…
正直あれだけ顔を弄られて起きない奴はいない。
起きてるって言えば良いんだけどなんというか…… こうなったら狸寝入りを決め込もう、みたいな意地を張っちゃってさ…
著莪「…佐藤……ホントは起きてるでしょう?」
僕の従姉弟はエスパーなのか?
著莪「エスパーじゃないけどさ、佐藤のことならなんとなく…ね」
どうりで昔から僕の英知が結晶されたような秘蔵本の隠し場所を幾度となく暴けたわけだ……
著莪「起きなくても良いからさ、聴いて欲しいんだ…」
頬を赤く染めた彼女を見て、僕にも今だけは著莪の考えていることがなんとなく分かる気がした、だとすれば僕の返事は既に決まっている。
なにせ今日の公園、そして今まさにこの瞬間。僕は彼女に… やられてしまったのだから。
著莪「いつも傍に居てくれてありがとう、大好きだよ、佐藤」
そう言って著莪は僕に今日3度目の少し長いキスをするのだった…
〈了〉
少しでも暇つぶしになっていればいいのですが。
原作読みたくなった
乙!!
Entry ⇒ 2012.01.27 | Category ⇒ ベン・トーSS | Comments (0) | Trackbacks (0)
P「ハンバーグソムリエPVS春香特製ハンバーグ」春香「!?」
今日も朝早くから所属アイドルたちが次々と出社してきていた!!!!
春香「おはようございまーす!!」
亜美真美「あ、はるる~ん」
あずさ「おはよう春香ちゃん」
春香「おはようございますあずささん、亜美、真美。あれ、プロデューサーさんは?」
あずさ「もう律子さんといっしょに打ち合わせに出かけたわよ。入れ違いになっちゃったわね~」
真美「いつもの、『おはよう春香!今日も可愛いな!!』とか、『あー朝も早よから春香と結婚したくなってきた!!!!』とかが聞こえないとなんか寂しいねー」
あずさ「うふふ、そうね~」
春香「あはは…」
春香「プロデューサーさん、お昼には帰ってきてくれるかな…」
http://hayabusa.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1327493875/
P「ハンバーグソムリエPVS春香特製ハンバーグ」春香「!?」
春香「え!?えーっと…そ、そうなんだけど…」
あずさ「うふふ、春香ちゃんはプロデューサーさんに会いたかったのよね?」
春香「うぇえっ!?あ、あずささん!!!何を////」
亜美「ええっ!はるるん、それってこれってもしかして!!」
春香「ち、違うんだよ、亜美~///」
真美「え~、気づいてなかったの亜美?はるるんが兄ちゃんのことちょ→大好き☆って、めっちゃバレバレじゃーん」
春香「も、もうっ///真美ってば/////」
亜美「うあうあー!はるるんちょ→顔真っ赤だよ」
あずさ「うふふ、あらあら」
春香「うぅ~/////」
春香「ちょ…亜美、それはさすがに失礼だよ…」
あずさ「そうよ亜美ちゃん。私はプロデューサーさんにセクハラされたことなんて一度もないもの」
亜美「うーん。じゃあ事務所で、はるるんの目の前で雑誌のグラビアを切り抜いてスクラップしながら、『春香…またちょっとお尻が大きくなったなぁ…素晴らしいなぁ…』とか言うのはセクハラじゃないのかぁ」
春香「…」
あずさ「…」
亜美「セクハラじゃないのかぁ」
真美「めっちゃセクハラだよ」
春香「あ、あんなって…真美、プロデューサーさんはああ見えていいところたっくさんあるんだからね!」
亜美「ああ見えてって」
真美「わあ、聞きたい聞きたい!はるるんと兄ちゃんの恋バナ聞きたい!!」
春香「こ、恋バナって/////そんなんじゃないってば…まだ//////」
真美「ひゅうひゅ→う」
あずさ「まあ、それなら私も聞きたいわ~//」
春香「も、も~///あずささんまで…」
キャッキャッ
千早「春香…」
律子「プロデューサー、番組ディレクターちょっと遅れるそうです」
P「お…春香、腰周りがちょっと細くなってるか…うんうん、レッスンの成果が出てるなぁ…へっへっ」ジョキジョキ
P「む…この水着はやっぱりちょっと派手すぎたか…お父さんゆるしませんよ…」ジョキジョキ
律子「…」
律子「プロデューサー、なんでスタジオで春香の水着グラビアをスクラップしてるんですか…いつもはわざと春香の目の前でやるのに」
P「いやなに…春香は俺がふざけるとちょっぴり傷つくらしいから…春香の前では、な…」ジョキジョキ
律子「はぁ…?」
P「うおおおお!!!春香春香春香ああああああああ!!!!!!」ジョキジョキジョキジョキ
律子「プロデューサー…」
律子「身内のそれは格が違うでしょうに…でも、どうしたんですか本当に。いつもは春香のいないところでは割と普通なのに」
P「いやぁ…」
律子「あ、もしかして、春香と何かあったんですか?」
P「…まぁ」
律子「とうとう愛想を尽かされましたか」
P「いや、むしろ逆よ」
律子「?」
P「贅沢な悩みよなぁ」ジョキジョキ
P「…なんか、春香な。俺が『可愛い』とか『結婚したい』とか言うと傷つくんだってよ」
律子「は?」
P「春香の気持ちをはぐらかしてるのばれてたんだな…あんなふうに言われたら、もうふざけて『春香の意外と大きいバストからあふれる母性に包まれたい』とか『春香の安産型ヒップマジ安産型』とか言えないよなぁ…」
律子「セクハラですか?お巡りさん呼べばいいんですか?」
P「いやだなぁ律子さん。俺は春香にセクハラしたことなんてただの一度もありませんよわはは」
律子「帰りますね」
P「待ってくれ律子待ってくれ。ていうかこれから打ち合わせだから」
P「春香は絶対いいお嫁さんになると思うわけよ」春香「!?」
前スレ
P「新コーナー『ハルカキッチン♪』始まるよ」春香「!?」
よかったらこっちから見てね!(必死の宣伝)
律子「…」
P「つまりな、春香はその、俺のことがな?」
律子「…春香がプロデューサーに対して特別な感情を持ってることは気づいてました」
P「うん」
律子「それで?」
P「羨ましいだろ!!!!!!」
律子「帰りますね」
P「待ってくれ律子待ってくれ」
律子「…」
P「まぁ要するに、今後春香とどう接して行くかをな、悩んでいるわけだ」
律子「そうですか…」
律子「…一つだけ、言わせてください」
P「うん」
律子「春香はアイドルで、あなたはプロデューサーです。…私から言えるのは、それだけ」
P「そうだな」
律子「…私、ちょっとディレクターの様子見てきますね」
P「ああ」
P「…」
P「…俺はプロデューサーで、春香はアイドル」
P「そんなことは、最初っからわかってるし、春香にも言い続けてるよ、律子」
P「…」ジョキジョキ
なんか勢いが無いよな・・・
あずさ「まぁ~////」
真美「おお~////」
あずさ「あら?春香ちゃん、その右手の指輪はもしかして…?」
春香「あ、いえ、これはですね~…」
亜美「うあー…亜美、もうこの話飽きてきたっぽいよー…」
千早「…くっ」ギリッ
亜美「うわあー!?千早お姉ちゃんいたの!?」
千早「春香…春香があんな人と…くっ!」グギギ
亜美「あわわわわわ」
千早「あら、亜美。いたのね」ニコッ
亜美「ち…千早お姉ちゃんの表情が豊かになって、亜美もうれしいっぽいよ…」
千早「そう?ありがとう」
千早「ひゃっ!?は、春香///急に抱き着かないで…///」
春香「えへへー、はなさないよ~♪」
千早「もうっ…///」
あずさ「あらあら、本当に仲がいいのね~」
亜美「…」
真美「どったの亜美?」
亜美「はるるんの恋路の最大の壁は…千早お姉ちゃんかもしんない…壁だけに」
真美「なにそれ?」
春香「あ、ごめんね千早ちゃん。今日はプロデューサーさんと約束してるんだ。…大事な、約束」
千早「…そうなの。ならしかたないわね」
真美「大事な約束って?」
春香「えへへ…秘密」
真美「えー!聞きたい聞きたい!!」
千早「…くっ!」ギリギリ
亜美「あわわ」
あずさ「あら?大事な約束ってお昼からなのかしら?」
春香「そうですけど…?」
春香「あ…じゃあ、お昼には戻れないかもしれませんね…」
あずさ「でも、まだそうと決まったわけじゃないわ、春香ちゃん」
真美「兄ちゃんがはるるんとの約束すっぽかすのなんて想像つかないもんねー」
春香「そう…かな、あはは…」
千早「…」
千早(プロデューサー…あなたは、いつも春香にこんな顔をさせますね…)
千早(そんなあなたに…春香を…)
亜美「…」
千早「…え?なにかしら、亜美」
亜美「あの…千早お姉ちゃんは、兄ちゃんのこと、嫌いなの…?」
千早「な…」
亜美「だって…さっきから、兄ちゃんの話が出ると怖い顔してるっぽいよ…?」
千早「…」
亜美「もしかして、兄ちゃんにセクハラされた?ムネムネのことでなんか言われた?」
千早「どうして胸限定なのかしら…」
千早「亜美…」
亜美「だから…嫌いにならないであげてほしいな…セクハラのことなら、亜美が兄ちゃんにきちんとしゃざいとばいしょーをさせるから…」
千早「…平気よ、亜美。プロデューサーがいい人なのは私もわかってるわ。あと、セクハラもされてない」
亜美「…そうなの?」
千早「ええ。私の顔が怖かったのは…えっと…あ、あの日、だからよ」
亜美「あ…ごめんね、千早お姉ちゃん。あの日とは知らずに…」
千早「え、ええ」
千早「ち、ちょっと亜美…」
亜美「千早お姉ちゃん、あの日のことでなんか困ったら、なんでも亜美に言ってね!」
千早「え、ええ。わかったわ、ありがとう」
千早「…」
千早(わかってる…あの人がとてもいい人だってことは、わかっている)
千早(私をここまで連れて来てくれたことに、感謝もしている)
千早(でも…だからこそ)
千早(春香だけに、あんな悲しそうな顔をさせるあなたを私は…)
千早「私は…」
律子(あ、あの海のように心が広い(自称)プロデューサーが、すっごいイライラしている…)
P「…律子、ディレクターは?」
律子「え、えっと、なんか急な腹痛でトイレから出られないらしくて…」
P「うんこか。ならしかたない」イライライライライライラ
律子「…あの、これからなにか用事があるなら、私一人でも…」
P「…いや、たいした用じゃない。いや、たいした用なんだけど、生っすかはもっと大事だからな」
P「みんなのためにも、春香のためにも」
律子「そう、ですか」
P「…あ、『たいした用』と『用をたした』って似てるな…」
律子「…」
P「…ごめん」
律子「え?」
P「ハルカキッチン♪のな、料理本とか出したいんだよ」
律子「料理本ですか」
P「ああ。春香の割とガチな料理上手を売っていくうえでな、料理本を出して、新たなファン層の獲得も狙っていく」
P「もともと春香は『誰からも愛されるアイドル』って感じだけど、それも若い層が中心だ。これを主婦層にまで広げる」
律子「『嫁春香計画』ですね」
P「『嫁春香計画』は、春香を『結婚したいアイドルNo.1』にするだけじゃない」
P「春香が年齢的にアイドルでいられなくなった時、そのまま芸能界に居続けるための基盤作りでもある」
律子「アイドルでいられなくなった時…」
律子(プロデューサー…そんなにも春香のことを考えて…)
律子(…プロデューサー、アイドルでいられなくなった後の選択肢は、芸能界に居続けることだけじゃ…)
律子「…」
律子「…私も、竜宮のみんなのこと、考えなきゃですね」
P「ああ…特に…あずささんとかな…」
律子「…」
番組ディレクター「す、すいません!!遅くなりましたっ!!」
亜美「りっちゃんから連絡ないねー…」
あずさ「春香ちゃん…」
春香「あ、あはは、いいんです!約束っていってもそんな大したものでもなくてっ」
千早「いいえ」
亜美「千早お姉ちゃん…?」
千早「誰にとっても、なんであっても、春香との約束が大したものじゃないはずがないわ」
春香「千早ちゃん…」
千早「私は春香のそんな顔…見たくない」
千早「…ちょっと出てきます」
真美「あ、ち、千早お姉ちゃん!?」
亜美「行っちゃった…」
あずさ「…」
千早(あんな…春香を傷つけ続けるような人…!春香との約束を守れないような人…!!)
あずさ「千早ちゃん」
千早「っ!あずささん?」
あずさ「どこへ行くの?」
千早「…」
あずさ「プロデューサーさんのところ?」
千早「…」
あずさ「…一昨日の生っすかサンデー」
千早「え?」
あずさ「ハルカキッチン♪の時、貴音ちゃんが言ってたわね」
あずさ「千早ちゃんは誰に向けて、愛情を注いだのか…って」
千早「!!」
千早「!!??ちょっ/////なっ//////」
あずさ「びっくりしたわ~///今日、なんだかプロデューサーさんの話しが出ると怖い顔になっていたからティンときたの////ヤキモチだったのね~///」
千早「ちっ、違います!!春香はそんなんじゃありませんっ!!!///」
あずさ「あら?違うの…?」
千早「ど、どうして残念そうなんですか…」
あずさ「まぁ~////」
千早「だ、だからっ///最後まで聞いてくださいっ」
千早「実は私…春香に料理を教わっているんです。ハルカキッチン♪の話がくる前からですけど」
あずさ「まあ、そうだったの」
千早「だから、チャンスだと思ったんです、ハルカキッチン♪が。私が、春香に教わったことをハルカキッチン♪で披露して、春香に感謝を伝えたかった」
千早「春香には、料理のことだけじゃなく、ずっと、たくさん助けられてきたので…まあ、結果緊張し過ぎてうまくいきませんでしたけれど」
あずさ「うふふ、そうだったわね」
あずさ「でも、貴音ちゃんが言うように、千早ちゃんの感謝の気持ちは、しっかりハンバーグに込められていたのね。それはきっと、春香ちゃんに伝わっているわ」
千早「そうだと…うれしいです」
千早「…はい」
千早「だからこそ、私は、プロデューサーのところに行かねばなりません」
千早「私の大好きな春香の気持ちを踏みにじってきた、プロデューサーと話をしなければなりません」
あずさ「千早ちゃん!踏みにじるだなんて…プロデューサーさんは…」
千早「どんな理由があろうと、春香を悲しませるような人はっ…!!」
あずさ「…」
千早「…失礼します」
P「あー!!やっと終わった…!!」
P「あんの糞たれディレクター…後日正式に抗議してやろうか…」
P「いま何時だよ…一時!?」
P「春香の午後の収録が一時半から…くっそ!!」
P「と…とにかくタクシーを」
千早「プロデューサー」
P「うおっ!?千早!?!?なにしてんだこんなところで」
千早「…」
P「ち、千早?」
千早「事務所には、戻らないでください」
P「…なに?」
P「…」
千早「…」
P「…春香との約束だ。昼に間に合わなくても、春香を事務所で待たなきゃならない」
千早「あなたに…その資格があるんですか?」
P「…」
千早「ずっとずっと、春香を傷つけてきて…今日も…」
千早「もう中途半端な態度で、春香を傷つけないでください」
P「…そうだな、確かに今日の予定だと、もともとギリギリだった。軽率だったよ」
千早「…春香は今日のこと、すごく楽しみにしていましたよ。昨日電話をしたんです」
千早「プロデューサーに、ハンバーグを食べてもらうんだって。それで、はっきりと自分の気持ちを伝えるんだ…って」
P「…」
千早「あなたに『可愛い』『結婚したい』と言われるたびに、春香は辛そうな顔をしていました。あなたの意図に気づいていたから」
千早「あなたは、気づかなかったんですね」
P「でも、春香のアイドル活動のためになると信じてやってきたことだ。後悔はしてない」
千早「春香の…ため」
P「…だから今日、結論を出すんだよ」
千早「結論…ですか」
P「俺と春香の関係は、アイドルと、そのプロデューサー。それだけだ、ってな」
千早「!?あなたは…!!」
P「それでいいんだよ。いま以上の関係にならないことが、春香のためになる。俺はいまもそう信じてる」
千早「また…春香を傷つけるんですか」
P「…そうなるな。でも、それで終わりだ」
P「これで最後だ、俺が春香を傷つけるのは」
千早「…最後に一つだけ」
P「ああ」
千早「…プロデューサーは、春香のことを…」
P「…愛してる。男として」
千早「…そう…ですか」
春香「お疲れ様でしたー!!」
春香「はぁー、収録長引いちゃった…わわっ、もうこんな時間…」
春香「事務所戻ったら、誰かいるかな…?」
春香「…プロデューサーさん、結局間に合わなかったな…」
prrrr
春香「あ、電話…千早ちゃんだっ」
春香「もしもし、千早ちゃん?」
千早『春香…収録長引いてるみたいだけど…大丈夫?』
春香「うん、いま終わったよ。千早ちゃんは事務所?…なわけないか、こんな時間だもんね」
千早『…いえ、事務所にいるわ。よかったらいっしょにお夕飯にしましょう。事務所で待ってるから』
春香「ほんと?やった!じゃあすぐ戻るね」
千早『ええ…』
千早(ごめんなさい、春香)
千早(私には、どうなることが春香の最善なのか、わからない)
千早(きっと、それを一番わかっているのは…プロデューサーなのね)
千早(私ではなく…)
千早(春香とプロデューサーの関係に…嫉妬したりもしたけれど…)
千早(春香…あなたが、私がプレゼントしたお揃いの指輪を、右手の薬指にはめてくれているだけで…)
千早(私は幸せよ…)
千早(だから…あなたにも幸せになってほしい)
千早「春香…がんばって」
春香「ちーはーやーちゃん…てあれ?いないのかな…」
P「おかえり、春香」
春香「わっ!プロデューサーさん!?どうしてまだ事務所に…」
P「約束…破っちゃったからな」
春香「あ…そんな、あんなの、気にしなくていいのに…」
P「あんなのとはなんだ。俺にとって春香との約束は…」
春香「…」
P「…いまのは、ふざけて言ったんじゃないぞ」
春香「えへへ、わかってますよ」
P「千早?直帰したはずだけど」
春香「千早ちゃん…そっか…」
春香(ありがとう、千早ちゃん)
春香「…プロデューサーさん、晩御飯食べました?」
P「いや。というか昼からなにも食ってない」
春香「ええっ!?だ、だめですよ!体壊しちゃいますっ」
P「いやだって…春香の弁当食べたかったし…」
春香「あぅ…//////」
P「…あ、いまのもふざけてないからな」
春香「も、もうっ、いちいち言わなくてもいいですよぅ/////」
P「ああ、もちろん」
春香「えへへ…あ、せっかくだからハンバーグ、チンしてきますねっ」
P「あ、うん」
P「…」
P(チン、してくれるのか!…とは、さすがに言わない紳士な俺)
春香「お、お待たせしました」
P「わっほい」
春香「ど、どうしました?」
P「いや…ハンバーグはもちろん、弁当としての見た目の完成度がすげーな…」
春香「えへへ…」
P「そしてこの…桜でんぶのハートマーク…露骨に愛情を表現してきたな…」
春香「本気ですからっ」
P「…じゃあ、いただきます」
春香「ど…どうぞ」
P「…」モグモグ
春香「…」ドキドキ
P「…」モグモグ
P「…」ブワッ
春香「!?」
P「おいしいよぉ~…おいしいよぉ~…」ムシャムシャ
春香「ぷ、プロデューサーさん!?」
P「春香が俺のために作ったハンバーグなんか、うまいに決まってるよぉ…」ムシャムシャ
春香「どうして泣いてるんですかっ」
P「だってお前…昨日の夜から、俺がどれだけ春香の弁当を楽しみにしてきたと思ってるんだ…」ムシャムシャ
春香「プロデューサーさん…////」
春香「…よしよし」ナデナデ
P「…春香のなでなで…マジ最高…」ムシャムシャ
春香「もう…////」
P「…」
春香「…好きです、プロデューサーさん。大好きです」ナデナデ
P「…ごめん」
春香「…」
P「春香の気持ちには答えられないよ」
春香「…」
P「ちゃんと伝わってるぞ、春香の本気の気持ち。このハンバーグは世界一のハンバーグだ…ハンバーグソムリエの俺が言うんだから間違いない」
春香「…なんですか、ハンバーグソムリエって…」グスッ
P「知らん」
春香「ふふ、ふふふ…」グスグス
春香「…」
P「でも、それがアイドルで、それが春香の夢で、それが春香の、これからのあるべき姿なんだ。だから、俺は春香の恋人にはなれない」
春香「…はい」
P「だから…これからも、春香のプロデューサーでいたい。春香を一番輝かせることができる、プロデューサーでいたい」
春香「…はい」
P「…春香」
春香「…?」
P「…愛してるぞ、春香」
春香「…はいっ」
P「…」
P「…よし」
ガチャッ
P「おはようございまーす」
亜美真美「兄ちゃんおっはよー!」
P「お、亜美真美。今日はショートパンツか。太ももがせくちーだな」
真美「はっ!?兄ちゃんのセクハラの魔の手がついに真美たちに!?」
亜美「これはりっちゃんにチクるしかないっしょー!」
P「ふはは、もうなにも怖くない」
千早「…プロデューサー」
P「お、千早か。おはよう」
P「そうか…」
千早「…プロデューサーも、春香と同じ顔をしますね」
P「ん?」
千早「辛いのは…春香だけじゃなかったんですよね…すみません」
P「いやぁ…別に、俺のことなんかいいよ。…春香はなんて?」
千早「泣いてました。ただひたすら」
P「そっかぁ…あー…口聞いてくれなくなったらどうしよう…生きていけない…」
千早「ふふっ…プロデューサーったら…それは無いと思いますよ」
P「え?」
P「なにっ…から揚げだと…!?」
春香「はいっ!今回も、愛情たっぷりです!!」
P「お、おいおい春香、その話は昨日…」
春香「プロデューサーさん」
P「はい」
春香「私、あきらめるなんて言ってません」
P「…はい?」
ガチャッ
春香「おっはようございまーっす!!!!」
P「うおっ…春香」
春香「あ、プロデューサーさん、千早ちゃん!おはようございます!!」
千早「ええ、おはよう」
P「お、おはよう」
春香「プロデューサーさん!!」
P「えっ、なに?」
春香「今日のお昼は空いてますか?」
P「…ん?」
P「なにっ…から揚げだと…!?」
春香「はいっ!今回も、愛情たっぷりです!!」
P「お、おいおい春香、その話は昨日…」
春香「プロデューサーさん」
P「はい」
春香「私、あきらめるなんて言ってません」
P「…はい?」
P「あー…」
春香「だから、これから毎日お弁当を作ります!毎日食べてくれなくてもいいです。私のお弁当が恋しくなったら食べてください」
P「春香…それは卑怯だ…春香の弁当なんて、毎日食いたいに決まってる…」
春香「今までずっと卑怯だったのはプロデューサーさんですっ」
P「そうでした」
春香「結婚したいアイドルNo.1の実力を、見せてあげますから!」
P「…」
千早「観念したらどうですか、プロデューサー」
P「…」
P「俺は…から揚げにはうるさいぞ…から揚げソムリエ的なところあるからな」
春香「ふふっ、臨むところです」
春香「ハンバーグでもから揚げでも肉じゃがでも、なんでも作っちゃいます」
春香「だからいつか」
春香「本気で『結婚したい』って、言ってくださいね♪」
P(わははちょーかわいーもうだめだー)
ハンバーグソムリエP、陥落
春香「天海春香の、ハルカキッチン♪」
春香「今週も、愛情いっぱいでお送りしちゃいますっ♪」
客席「うおおおおお!!!」
客席「春香ちゃあああん!結婚してくれぇぇ!!!」
P「…」
P「馬鹿どもめ…春香の愛情は俺のもんだ…」
P「…春香、早く、年取れよ」
P「お前がアイドルできなくなるまで俺がそばにいてやる」
P「そっから先…春香がアイドルじゃなくなったら…」
P「俺のプロデュースが終わった、その時は…」
P「毎朝、俺のみそ汁を作ってくれよな」
こうして、ハンバーグソムリエPとスーパー超天使アイドル天海春香の戦いは終わった!!
だが、いつかアイドルでなくなるその日まで!!天海春香の活躍は終わらない!!!
がんばれ春香!!負けるな春香!!!
完!!!!!!!!
本当の春香さんは腹黒でもキチガイでもないんだぞ!ってことを主張したいがために始めたシリーズでした
満足した
はるちはわっほい
頑張れ春香さん
Entry ⇒ 2012.01.27 | Category ⇒ アイマスSS | Comments (0) | Trackbacks (0)
ヨーコ「歯が痛い…」
http://hayabusa.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1327504305/
ヨーコ「歯が痛い…」
ヨーコ「うん、ちょっとね…」
キタン「おいおい、いつも食い意地はってるのにいったいどうしたってんだ?」
ヨーコ「う…うるさいわね!」
リーロン「あら?ん…んん?」
ヨーコ「どうしたってのよ、人の顔ジロジロ眺めこんで」
リーロン「あんた、虫歯ね!」
ヨーコ「!!」
ロシウ「いえ、虫歯は治療無しでは治りませんよ、ヨーコさん」
キタン「ヨーコが虫歯ぁ?おめえやっぱ食い過ぎじゃねえか?」
カミナ「ったく、痛かったらそう言えばいいじゃねぇか」
ヨーコ「う…うぅ…ちょっと痛むだけなのよ…」
ロシウ「ダメです!ヨーコさん!」
ヨーコ「へっ?」
ヨーコ「いや、でも…ほら…」
カミナ「その通りだヨーコ、さっさと直して元気になれよ!!」
ヨーコ「え!?は!はひぃ!!」
リーロン「なら早速治療ね、どうせなら最新の治療法でやりましょう」
ヨーコ「最新?な…なにそれ」
リーロン「螺旋力を使った『対虫歯菌超螺旋小型化ビーム』を使った治療に決まってるじゃない!」
キタン「あぁ?ありゃまだ試作状態じゃなかったのか?」
リーロン「つい先日完成させたのよ、よかったわねヨーコ、貴方は記念すべき1人目の患者さんとして特別に治療費無料にしてあげるわ」
ヨーコ「ってなんだかソレ、メチャメチャ不安なんですけど…」
カミナ「ん?なにすりゃいいんだ?」
リーロン「治療名から察しなさい、貴方の逞しいドリルで直接虫歯菌を倒すのよ!」アハーン
ヨーコ・カミナ「な!なんだってー!」
キタン「俺は知ってたぜ、だけど噂に聞く限り…」
リーロン「シッ…キタンは黙ってなさい」ヒソヒソ
キタン「え?いいのかよ、大丈夫か…?」ヒソヒソ
ロシウ「あの二人何を話しているのでしょうか…」
ヨーコ「さぁ?でも直接って、なんだか吉崎観音の漫画みたいね…」
カミナ「おら、ワックワクしてきたぞ!!」オメメキラキラ
ヨーコ「まあリーロンが言うならいっか、治療代無料はオイシイし」
────
──
リーロン「ガンメンの方は準備できたかしら?」
カミナ・キタン・ヴィラル「おう!!」
カミナ「お、おい!なんでテメェがここにいんだ!?」
キタン「あぁ安心しろ、カミナは本編では死んでて知らないだろうがコイツは割りと良い奴だ」
ヴィラル「フン…まさか裸ザルと共闘することになるとはな…」
カミナ「まじかよ…おいリーロンどういうことだこりゃ」
リーロン「虫歯菌は強力な上、ビームには人数制限があるのよ」
キタン「まあ少数精鋭ってこった」
カミナ「っ!テメェ序盤からやられるんじゃねーぞ?!」
ヴィラル「遅れはとらん、俺は不死身だしな」
カミナ「ナンテコッタイ」
リーロン「了解了解、っとその前に…ロシウ!あれ持ってきて!」
ロシウ「はい!…っと。コレでしたよね!」
ヨーコ「え、ちょ…なにそれ…口の拘束具じゃない…」
リーロン「ウフフ…チョチョイのちょいっと!」
ヨーコ「ひぇ?!ふがぁふがッ!!」
リーロン「コレで歯を噛みあわせられないようにしたわ!アンタ達、安心して戦いに行ってね!」
カミナ「おう!任せろ!!」
キタン「ヤッパリソウカ…」
ヴィラル「フン…虫歯菌とやらをひねり潰してやる」
ヨーコ「フがっ!はガフ!!(ちょ!待ちなさいって!!)」
ロシウ「こちらも螺旋ビーム準備完了です、いつでもいけます」
リーロン「頑張ってね~はいポチッとな」ポチッ
ビビビビビビビビ…
シュンシュンシュンシュンシュン…(小さくなる効果音)
ロシウ「ご武運を…」
────
──
ヴィラル「どうやらワープも成功したみたいだな…」
カミナ「ここはヨーコの歯の上か?」
キタン「こ…ここがヨーコの…///」
ヴィラル「それにしても俺たちは随分小さくなったな、地平線の区切りで一歯か?」
カミナ「SFを感じるな!早く虫歯菌の野郎をブン殴りてぇぜ!!」
キタン「そ、そうだな!虫歯を早く直してやんねーとヨーコが…」
カミナ「よーし!それじゃあコッチに進むぞー」
リーロン『ちょっとアンタ達、聞こえる?』
キタン「通信?リーロンか」
リーロン『そうよ、いまアンタ達がいる歯が目標のいる所よ!』
ヴィラル「敵はすぐそこにいるようだな…」
リーロン『えぇ、恐らく異変を察知してすぐにそっちに向かうわ』
カミナ「敵の方からやられに来るなんていい度胸じゃねえか!」
キタン「あぁ、そんな奴ら、俺たちがぶっ潰す!!」
カミナ「了解了解、えーと」
ヴィラル「チラッ…これか、む…!敵影3体!!来るぞ!!」
?「「「愚かなる螺旋の民よ、早急に立ち去るが良い…」」」
キタン「うげぇ!アンチスパイラルみてぇな奴が3匹も…」
ヴィラル「フンッッッ!!!!」
ドゴオオオオォォォン!!!ギャアアアアアア……
カミナ「なんだ、もう撃破か。大したことねえな!」
キタン「ヴィラル、お前躊躇ってもんを知らねえのか…」
ヴィラル「ん?こいつらがいくら似ていようが結局はザコだろうが」フン
カミナ「なな!なんだこの耳をツンザく音は!!」
キタン「耳がいてぇ!!!」
リーロン『ちょっと!なに適当に攻撃してんのよ!』
ヴィラル「何か問題が…あぁ、こりゃあの女の悲鳴か、軟弱な…」
カミナ「なんだと!おい、リーロン!ヨーコに我慢しろって伝えといてくれ!!」
リーロン『ったく…こっちの状況を知らないから言えるのよ…』
キタン「コレがヨーコの…可愛い声してんじゃねえか///」
カミナ「…この豹変ぶり、なんだお前ヨーコのこと…」
キタン「ち、違ぇし!別に好きじゃねえし!!」
ヴィラル「貴様は中学生か…?」
ヨーコ「ふごぉおオォ!!オオおお!!」
ロシウ「ヨーコさんのバイタル数値、異常ありません」
ヨーコ「フオおお!?グググエエエエエ!!!!」
リーロン「敵は強そうね…、ヨーコ!がんばりなさい!!」
ヨーコ「フアアアァァァ!!ギャッグオアエエエエ!!」
ロシウ「ちょっとヨーコさん、もう少し静かにしてください」
ヨーコ「グヘアァああああア!!!?ヌグッゲバァッ!!!」
ロシウ「?ヨーコさん、痛かったら言ってくださいね?」
リーロン(……持ってあと5分かしら…)
ヨーコ「…グスッグスッ……ギャッ!ふあああアアア!!」
カミナ「と…とにかく!敵は容赦なくぶっ潰す!ソレが漢の生きる道だ!!」
ヴィラル「裸ザル…貴様もたまにはいいことを言うな」
キタン「ま、まあヨーコが痛がる声ってのも…//」
カミナ「よし!敵がキタぞ!」
キタン「今度は俺が!!」
カミナ「いや、俺だっ!!!燃える漢の虫歯菌撲滅パアアアンチ!!!!」
ヴィラル「ハアアアアア!!!」
キタン「ドリャアアア!脳天!!地獄裂き!!!」
ギャアアア
グアアアアアア!!!
キタン「あぁ!最高だぜ!!」
ヴィラル「おい猿共、どうやらアレが敵の本拠地みたいだぞ」
カミナ「ん?あぁなんかテッペリンみてえだな!」
キタン「おい!誰かこっちに向かってくるぞ!!」
テクテクテク…
シモン「侵入者か~…って、げッ!!兄貴!!!!」
ニア「え?アニキさん?…そういえばシモン、お菓子作ってきたわ♪」
シモン「ありがとう、ニア!…でも兄貴がかぁ…まったく、愚かなる螺旋の民族だよ」
ニア「はいシモン、アーン♪」
シモン「アーン。あぁ、ヨーコの食いカス美味しいなあ…」
カミナ「…ありゃシモンか?オイオイ今回登場してねーと思ったら敵陣営かよ!!」
キタン「アイツらはラガンに乗ってるのか、仲良さそうだな」
ヴィラル「ツーマたん…ハッ!」
カミナ・キタン「ニヤニヤ」
ニア「はい!スゥ…止まってください~~~~い!!」
ヴィラル・カミナ・キタン「!?」
ニア「皆さんごきげんよう!調理主任のニアと申します。」
カミナ「な、なんだぁ?」
ニア「もうすぐこの歯は支配されます!なぜならシモンのドリルは永久歯を突くドリルなのですから!!」
シモン「その通りだ!!俺はシモン!虫歯菌のリーダーだ!!」
キタン「あいつここでもこんな調子なのか…」
シモン「お前達が壁となって俺の前に立ちふさがるならいつだって風穴開けて突き破る
!!それが・・・俺のドリルだ!!」
ヴィラル「カッコイイことは言ってないよな」
カミナ「シモン…立派になりやがって…」ウルウル
キタン「あいつの名乗り長いな」
シモン「倒れていった者(アンチスパイラル似)の願いと、あとから続く者の希望!!
二つの思いを、二十螺旋に織り込んで!!明日へと続く道を掘る!!」
ヴィラル「カッコイイのか?!そう思えてきているぞ!?」
シモン「それが…永久歯突破。それがグレンラガン。俺のドリルは!天を創るドリルだァァァァァァァ!!!」
カミナ「おおお!格好いいぜ!!シモン!!!」
ヴィラル「ま、まあ…ちょっと格好いいな…」
シモン「ありがとう!ニア!!」
カミナ「シモン、俺の知らないうちにいい女連れやがって…成長したな」ウルウル
キタン「正直俺はもう見飽きました」
ヴィラル「ああいうのも悪くない…」
カミナ・キタン「ニヤニヤ」
ヴィラル「!?」
ヴィラル「そうだな!俺達はあの女を治療する!!そのためにシモン!お前を倒す!!
」
シモン「できるかな…俺のドリルは止まらねぇぜ?」
ヴィラル「フン…やってみろ…」
うおおおおおおおおおお!!!!!!!!!!
シモン「ラガンインパクトォォォ!!!!!」
ヴィラル「エンキドゥスラッシュッッ!!!」
カミナ「燃える漢の火の車キィィィィック!!!」
リーロン『凄いわ!歯の中で銀河が生まれそうな勢いよ!!』
ヴィラル「やるな、さすが俺の認めた男…」
シモン「まさかアニキと戦うことになるなんてな!だが…ニア!アレを出せ!!」
ニア「はい♪皆さん、コレを見てくださーい」ピラッ
カミナ「なんだありゃ」
ヴィラル「あ、あれは!!!まずいぞ裸ザル!!」
ニア「フフッ気づきましたか。そうです、コレは〈銀紙〉です!!」
カミナ「な、なんだってー!!!」
シモン「コレを落とせばヨーコも耐え切れなくなるよ!」
ヴィラル「クッ!卑怯な!!」
ニア「シモンと私はなんとしても、ここに夢のマイホームを建てるのです!」
シモン「ねー!ニア♪」
カミナ「」
シモン「しまった!背後から!?」
キタン「まだこのお守り、持ってるぜ!シモン!!」
ヴィラル「あれは…いつぞやのドリル!?」
キタン「キングキタアァァン!ギガアァァドリルゥゥ!!ブレイクウウ!!!!!!!!」
ニア「きゃっ」ピラッ
キタン「おっしゃああああ!親玉打ちとったぞおおおお!」
ヒラヒラ…ヒラヒラ…ピト
グアオオオオオオオオオオ!!!!!グゲッアアアアアアアア!!!!!
カミナ「ウグッ!これは耳が…耐えらんねえ!!」
ヴィラル「裸ザル!!上だ!上を見ろ!!」
リーロン『大変よ!ヨーコの拘束具が外れたわ!!』
カミナ「っっ!?キタンお前!!」
キタン「う…ここは俺が止めておく!!先に行けェ!!」
ヴィラル「すまん、キタン!!俺達は離脱する!!」(当たり前だこのトッキントッキン…)
カミナ「あぁ、シモンは…!?」
シモン・ニア「バタンキュー」
カミナ「まあいい!アイツらは他人の空似だ!放って置くぞ!!」
ヴィラル「キタン、死ぬなよ!!」(そのまま潰されろ)
キタン「うおおおおおおおお!!」
─────
──
後日談と言うか、今回のオチ。
ヨーコ「いやー、参った参った。虫歯って怖いわねー」
カミナ「全くだ、もう俺もあんなうっせえ所はゴメンだぜ」
ヨーコ「ちょっ仕方ないじゃないの!!痛いもんは痛いの!!」
リーロン「うーん、やっぱりコの治療法改善の余地ありね・・・」
ヴィラル「当たり前だ、さすがの俺も死にかけたぞ」
リーロン「そうね、キタンは全治三ヶ月の大怪我だし・・・流石に気合でどうにかなるもんじゃないかもね」
カミナ「あぁ!漢の魂が燃え上がるのはちっこいミクロの世界じゃ無理だぜ!!」
ヴィラル「そういえばあのシモン似はどうした?」
リーロン「ただの菌よ、戦ってる人の記憶からそのイメージを姿にアウトプットするようね」
ヨーコ「まあアイツらは今ハネムーン中だし、いるわけ無いものね」
リーロン「あら、聞いてなかった?あの計器ちょっと壊れてたみたいなの」
ヨーコ「っ!そのくらい私の様子みて気づきなさいよ!あのデコッパチ!!」
カミナ「まああの坊主も反省してるぜ、今自分から独房に入ってやがる」
ヴィラル「ったく、政府の仕事を俺に丸投げしやがって・・・」
ヨーコ「む、それでも今度あったらただじゃ置かないわ…!」
少年「んしょ、んしょ」
シモン「…どうした坊主」
少年「この岩が硬くて掘れないんだよ~」
シモン「もうちょっと力を抜いて掘るんだ…坊主」
少年「?…分かった」ギコギコ
少年「…で、できないよ…?」
シモン「ちょっと貸してみろ…」グルグル
パキッ
少年「ほ、掘れた!!お兄さん、凄いね!」
シモン「当たり前だ、俺を誰だと思ってる」
ニア「シモンお疲れ様、汗拭くからこっち向いて♪」
シモン「ありがとうニア!む、アレはグラパ…」
少年「グレンラガンがいっぱいある!!」
シモン「あぁ、そうだな。」
少年「すげー!月に向かってる!これから宇宙にいくのかな!!」
シモン「そうだよ、天の光はすべて星。螺旋の民が俺達を迎えてくれる」
ニア「そうね。あ!シモン、あっちに面白そうなのがおいてあるわ♪」
シモン「あっニア、待って!俺もいくよ!!」
おわり
キタン「…」
ガラガラッ
キヤル「兄ちゃん!見舞いに来たぞー!って兄ちゃんが包帯男に!!」
キノン「ったく、はしゃぎ過ぎよ!」
キヨウ「ヴィラルさんから聞いたわよ!兄さん!ったく!!」
キタン「あぁ、ありがとうなお前ら…グッ!」
キヤル「どーしたんだ!?兄ちゃん!!」
キタン「いや…ちょっと歯が…」
ガラッ
ヨーコ「聞いたわよ、キタン」
ヴィラル「もう一回くらい付き合ってやろう…」
カミナ「今の聞いたぞ!キタン!あの戦いは思い返すと割りと面白かったから今度も俺達に任せとけ!!!!!」
キタン「」
乙
Entry ⇒ 2012.01.27 | Category ⇒ 版権物SS | Comments (0) | Trackbacks (0)
友「女になるらしい」
友「いや、だから、俺が女になるらしいんだよ。海外のニュースとか見なかったか?男が女に変態したってやつさ」
男「あー…見たことある」
友「この前病院いったらさ」
男「何で急に病院なんていったんだよ」
友「ん?ああ、何か最近ココの調子が悪くてさ泌尿器科に行ったんだよ」
男「お…おお…そうだったのか」
友「そしたら何か精密検査受けることになって、デカい病院に行ってさ」
男「それでわかったということか」
友「そういうこと」
http://hayabusa.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1327485080/
友「女になるらしい」
友「別に、女になるだけだろ?」
男「結構大変なことだと思うんだけどな」
友「そうか?」
男「俺がお前の立場だったら、もっと焦ってると思うぞ」
友「そうだな。それなら面白そうだったな」
男「いや、面白い面白くないの問題じゃないだろ」
男「今度学校に来るときは、もう女になってるってことか」
友「なんでも、前例だと性格や考え方まで女っぽくなるらしいが、そうなってもよろしく頼むわ」
男「ああ、わかったよ」
友「じゃあ、またな」
男「おう、またな」
友「おはよっ」
男「………お、おはよう。予定より帰ってくるの早かったな」
友「ん?一発でわかかったのか。なんかつまらないな」
男「何年の付き合いだと思ってんだよ。それに男子制服着た女子なんて、この学校にいないからな」
友「あー、そこでバレたのか。でもスカートははきたくなかったからな」
男「だろうな。流石のお前でもいきなりは抵抗あるだろ」
友「いや、寒いだろ」
男「夏だっだったらスカートだったってのかよ」
友「かもな」
友「ん、ああ、この一週間は準備期間みたいなものだったからな。それに家にいたくなかったし」
男「ああ…お前の兄さん受験生だったしな」
友「試験は終わったぞ」
男「あれ?でもまだ……」
友「もう3月だぞ。何言ってんだ、お前」
男「お前んとこの親はお前の兄貴の勉強に力いれてたもんな」
友「そうそう、兄貴も親父達の期待に応えるべく頭おかしくなりそうな位してたしな」
男「でも受験は終わったんだろ?一段落ついたことだし、居づらいってことはないだろ」
友「俺に構ってくるんだよ……前まではほぼ野放し状態だった俺に執拗にさ……」
男「いいじゃん。お前の一大事なんだし」
友「受験終わったから、兄貴まで俺にまとわりついてくるわけ……」
男「何が駄目なんだよ」
友「苦手なんだよー…そういうの…」
コンコン
友「ん?」
ガチャッ
兄「お…おっす、どうだ調子は?」
友「別に問題ないな」
兄「何か欲しいものとかないか?俺これからバイトしようと思うんだけどさ」
友「バイト……?親父達がよく許したな」
兄「勉強さえしっかりするならいいってさ」
友「でも急になんでだよ」
兄「いや…今まで構ってやれなかったからさ………」
________
友「てな感じで気持ち悪いんだよ」
男「いや、だから何が駄目なんだよ」
男「他にも?」
友「お兄ちゃんって呼んでくれとかさ」
男「別に呼んでやればいいじゃん」
友「嫌だよ。あとは、もっと女の子らしく話しなさいとか」
男「あー………ってそういえば、お前」
友「なんだ?」
男「女になったら性格も女っぽくなるんじゃなかったのか?」
友「あー、うん、それな」
男「お前、変わってないじゃん」
友「難しい話でよくわからなかったんだけど、女の体で男の心だと普通の人はストレス感じるらしいんだってさ。
それで、そのストレスから心を守るために自然と女っぽくなるとか」
男「お前はストレスを感じなかったと」
友「それは知らんが、どうでもいいとは思ってるな」
男「面白い面白くないは別として、お前はお前ままだってことなんだな。安心したわ」
友「そう簡単には変わらないって」
男「身体は変わってるだろ」
友「そうだったな……しかし、学校に来たらもっと周りから絡まれると思ったんだが、意外と皆大人しいな」
男「先生方の教育のおかげだ。今お前はとても精神が不安定な時期らしいから、あまり騒ぎ立ててやるなだってよ」
友「そうか。まぁ、絡まれるのは嫌いだから、結果よかったけどな」
男「皆内心、お前と話たくてウズウズしてるだろうな」
友「うわー…それは嫌だな…」
友「グロかったな」
男「グロかった?どういう意味だ」
友「肉片が飛び散ったよ」
男「え?お、おい!大丈夫なのか?」
友「大丈夫大丈夫。痛かったけど」
男「本当に大丈夫か?」
友「大丈夫だって言ってるだろ。この通り身長が縮んでるだろ?物理的にそのぶんが無くなったんだよ」
男「……そうか、女になるって大変なんだな」
男「わー、そういう生々しいの聞きたくない」
友「そうか?まぁいいや」
男「その後の話聞かせてくれよ」
友「その後?その後は普通に寝てただけだよ。ああ、病室は豪華な個室だったな」
男「マジで?」
友「なんか、国が全面的にお金だしてくれてさ。ほら、日本で女になったのって俺が初めてだろ」
男「なんか凄いな……」
友「この制服や新しく買ったものも国から貰った金だし」
友「お前まで兄貴みたいなこと言うのか…」
男「いや、だってずっとその性別なんだろ?ずっと俺のままってわけにはいかないだろ」
友「……そうだな。まぁ、社会に出れば目上の人は俺とか言えないだろうし、一人称くらい変えてみるかな」
男「そうだな」
友「じゃあ、これからも私をよろしく」
男「お……おう」
友「照れたのか今」
男「う………うん」
男「皆、何て声かけたらいいかわかんないんだよ」
友「普段から話し合う中でもないしな」
男「そう寂しいこと言うなよ」
友「私にはお前しかいないよ」
男「………」
友「そう照れてくれると、狙ってやったかいがあったってもんだよ」
男「……変わんねえな、お前」
友「ははっ、とりあえず今日は久しぶりにお前の家に遊びにいくことにするよ」
男「え……来るの?」
友「何で嫌がるんだよ」
男「女の子なんて家にあげるの初めてなんだよ」
男「俺はお前と違って繊細なんだよ。今だってなんとかいつもの感じで話しているけど、内心ドッキドッキだから」
友「そうか」ペタッ
ドキッドキッドキッドキッドキッ
友「本当だ。はちきれん勢いだな」
男「………だからさ、そういうボディタッチやめてくんないかな?」
男「…真面目にやめて」
友「私はいたって平常心なわけだけど」
男「凄いよ……素直に感心するよ」
友「確かめてみる?手で」ポンポン
男「いやいやいやいや」
友「急拵えだからたいして大きくないが、一応形はしっかりしてるから」
男「だから、触らないって」
友「だってさ、家に居たくないんだよ。家族がしつこいから」
男「愛されてるってことだろ」
友「女になったとたんに何だぜ。それまで放っておかれていた身としては納得できない」
男「寂しかったんだろ?素直に家族愛を感じに帰れよ」
友「いや、寂しくはなかったぞ。自由にやれて楽だったし」
男「知ってるよ………ただ今は家に来てほしくないからそう言ったんだよ」
男「え?なに?」
友「やっぱり、男と女の間になんて友情なんてあり得なかったのね!」クルッ
男「……なにこれ」
友「………」
男「………」
クルッ
友「…引・き・止・め・ろ・よー。友情ポイントマイナス1な」
男「なんだよ、今の小芝居」
友「面白いな。お前の母さん」
男「面白くねえよ…」
友「お前の家では、私はお前の恋人になってるみたいだな」
男「小学校前からの付き合いだからってな……」
友「元男ってところは気にしないんだな」
男「なんであの家族の中で俺だけこんな損な性格なんだろうな……」
男「急にどうした」
友「お前の反応が面白くてな」
男「そんな理由なら止めてくれよ……寒いんだろ?」
友「まだ寒いが、もうすぐ春だ。それよりお前の反応を楽しみたい」
男「やめろよ………ただでさえ可愛いんだから」
友「……今なんて言った?」
男「……何も」
友「俄然やる気が出てきた。頑張ってお目かしするぞ」
男「聞こえてただろ」
友「当たり前だろ」
友「どやっ」
男「あー…可愛い可愛い…似合ってんぞ」
友「可愛いって言われると案外気分がいいもんだな。女子が必要以上におめかしするのもわかる気がするよ」
女「あのー…」
友「何か用?」
女「女の子になってみた感想とか聞いていいかな?」
友「昨日まではどうとも思わなかったけど、案外いい気分だよ」
男「ん?俺にも?」
女「二人は付き合ってるんだよね?」
男「………は?」
友「恋人関係かということなら違うな?」
女「で、でも…仲良いし…」
友「友達だからな」
男「親友だし」
友「むしろ心の友だな」
女「…えー、そんなことないでしょ?」
友「この子は何がしたいんだ?」
男「俺達が付き合ってるってことにしたいんだろ」
友「ん?友達ってのは恋人より下なのか?」
男「俺はそうは思わないけどな」
女「じゃあ二人はどういう関係なの!」
男「世界で一番大切な友達」
友「多分一生来の友達かな。恋人なんてのは場合によっては数週間すら保たないもんだろ?それとは違うよ」
女「じゃ、じゃあ、相手に恋人ができたらどう思う?」
友「わからんな。互いに恋人いたことないし」
男「今のお前は可愛いからすぐ恋人くらい出来るんじゃないか」
友「へへへ、そんな褒めるなよ」
男「まぁ、イチャついてる感じは俺もするよ」
友「まぁ、それなりに狙ってやってるからな」
女「お互いに好きなんでしょ!そうなんでしょ!」
男「なんでそんなに必死なんだよ……」
友「はいはい大好き大好き」ムギュッ
男「あふっ……」
女「ほら抱きついた!ほら!皆見てほら!」
男「…こ…こういうのはまだ馴れないな」
女「なにやってんの!抱き返してあげないと!ほらっ!」グイグイ
男(……なにこれ)
ギュー ギュー
友「おお……これは幸せかもしれん……あれだな、女脳と女神経のおかげか」
男「…お前は恥ずかしいとか思わんのか」
友(まぁ、いいじゃん。楽しいし幸せだし、友達のままでいてくれるのなら恋人も悪くはない)
男(アイコンタクトでここまで意思が伝わるとは……)
友(お前が不愉快でないなら、しばらくこのままでいたい)
ギュー…………
パチパチパチパチ
男「おい、この拍手何なんだよ!」
友「本当に神経質だな」
男「お前がノー天気すぎるんだよ」
友「さて、今日もお前の家に行くとしようか」
男「駄目だな」
友「なんでだよ」
男「今日はお前の家だ」
友「えー………」
男「もう兄貴の受験も終わったんだろ?別にいいだろ」
男「何時までも苦手じゃ駄目だろ。それに」
友「それに?」
男「昔はこういう風に、俺の家で遊んだら次はお前の家だったろ?」
友「あー…昔からインドア派だったな私達…」
男「そういうことはあまり言うな」
男「そんな金ないだろ俺もお前も」
友「今日は家に帰りたくないの……」
男「そんなに嫌なのか?」
友「おい、今の演技はスルーか」
男「嫌なのか?」
友「嫌っていうよりは馴れないんだよ」
友「お前、女の部屋に入るの初めてだろ」
男「そうなんだよ。緊張してんだよ」
友「まぁ…部屋に関してはほぼ変わってないけどな」
男「でも、お前の部屋きたの久しぶりだよ。前にきたのいつだったかな」
友「兄貴が勉強漬けになる前だからなぁ」
コンコン
兄「入っていいかい」
友「噂をしてたら、きたか……」
男「お前の兄貴に会うのも久しぶりだな。なんか緊張してきた」
男「あ、はい。お久しぶりですね」
兄「何を話したらいいんだろうか……」
友「話すことないのに入ってくるとはな」
男「いや、別にいいだろ。兄弟なんだし」
兄「いいんだよ。しばらく自分のことで手一杯だったし……兄っぽいことなんてしばらくやってないし」
男(おい、可哀想だろ。なんとかしてやれよ)
友(嫌だよ…第一何をすれば……)
友(……マジで?そんなことしなくちゃいけんの?)
男(お前、小芝居得意だろ)
兄「うん、じゃあ俺は出てくよ」
友「待ってお兄ちゃん」
兄「何かな?……………え?今……」
友「お兄ちゃん…今まで勉強大変だったでしょ?」
兄「いや、別に…それより、お兄ちゃんて……」
兄「う、うん。頑張るよ」
男(さぁ、兄貴の胸に飛び込んでこい)
友(……はぁ?嫌だよ)
男(幸せを抱きしめて来いよ。抱きしめられるの幸せだって言ってたじゃん)ポンッ
友(……お前、覚えとけよ)
友「お兄ちゃん!」ガバッ
兄「えっ?」
ギュー
友「お兄ちゃんのこと大好きだよ…」
兄「……う…うん、ありがとう。俺も大好きだよ」ポンポン
友(………はぁ?)
男(お前、昔はお兄ちゃんっ子だったしな)
友(昔のことだよ)
兄「さてと、なんか恥ずかしいとこ見せちゃったね」ナデナデ
友(恥ずかしいと思うなら頭を撫でるな)
男「いや、なんか家族愛っていいなって思いました。自分一人っ子なんで」
兄「なに、すぐに俺の弟になるんだし」
男「あ…はい?」
友「……はぁ」
兄「え?そういうのじゃないの?」
男「まだそういう関係じゃないんです」
友「……面倒くさいなこいつ」
兄「あ、あれか、恋人未満友達以上とかいうアレかい?」
男「なんて言うんでしょうかね?妹さんのことは大切に思ってます。友達として」
友「恋人以上の友達だってことだ馬鹿」
兄「よくわからないこど……君に妹のことを任せておけば間違いないってことだね。安心したよ」
男「お前が落ち込んでるとは珍しいな」
友「これも女になったせいなのか?」
男「関係ないだろうな」
友「で、これから私達はどうなるんだ?兄貴から親に話はいくだろうし、あの親共なら喜んでお前を迎えるだろうし」
男「両家公認カップルになってしまったな……」
友「クラス公認でもあるしな」
男「……話飛びすぎじゃないか?」
友「じゃあまずは友達から」
男「もう友達だろ」
友「掛け替えのない?」
男「唯一無二の」
友「絶対無敵の?」
男「それは何か違う。にしても、俺達気持ち悪いくらいに友達だな」
友「付き合っても、結婚しても友達だろうな」
男「それはそれでいいんじゃないか?」
男「何がだよ」
友「セックスしたらセフレになるじゃん」
男「おまっ、おいっ……」
友「セフレは駄目だろ。体だけの関係っぽいから心の繋がりが感じられない」
男「け、結婚したら問題ないだろ。友達夫婦とか言うし」
友「それは友達っぽい夫婦じゃなくて、夫か妻の友人の夫婦って意味じゃないのか?」
男「まぁ、いいじゃん。お前可愛いし」
友「ははっ、今それ関係ないじゃん」
友「流石だな。男同士だったころはホモ疑惑が立っただけはある」
男「よし、取りあえずこれからのことを考えよう」
友「これから?」
お前の兄貴に勉強教えてもらってだな。
嫌だよ。
一緒にいい大学入ろうぜ。
そうだな、夫にはいい会社はいってもらわんと。
安定するまで共働きな。
おーおー、任せろ任せろ。
友情エンド
ラブラブエンドじゃないですかー
ブーン ブーン
友「メールだ。あいつからか……」
件名 本当に女になった
本文 本当に女になってしまった。頭の中がごちゃごちゃで何をしたらいいかわからない。
助けて。
友「……親友が助けを求めているな。助けるしかないだろこれは」
元男「………」
友「随分とかわいらしくなったな」
元「どうしよう……」
友「オスからメスになる際に優れたメスになるってのは生存競争的には正解なんだろうな」
元「私…本当に女になっちゃった……」
友「なんか口調おかしくないか?」
元「そうなの……気持ち悪いでしょ……」
友「いや、あざとすぎず丁度いいと思うよ」
友「とりあえず、気持ちの整理をする期間はあるんだ。場合によってはもっと休めるだろうしね。
落ち着いてから学校に来ればいいよ」
元「うん……」
友「俺も毎日来てやる」
元「ありがとう」
友「何言ってんだ。友達だろ?」
男の場合はストレスが掛かったんだな
元「落ち着かない」
友「そういうもんなんだ」
元「だって……無くなるし……有るし…」
友「何が?」
元「それは……」ゴニョゴニョゴニョ
友「聞こえない」
元「………馬鹿」
友「………ヤバいなんかやりづらい、この子」
友「機嫌直してよ。むしろこんぐらいで機嫌悪くしないで」
元「……そうだね。友達だもんね」
友「じゃあさ、女になるときってどんな感じだった?」
元「なる時?……………ウプッ」
友「どうしたの?口元おさえて?顔色も悪いよ」
元「………」フルフルフル
友「ああ、思い出したくないんだ」
元「………」コクコクコク
友「悪かったね。そんなに嫌なことだったとは思わなかったよ」
元「………」
友「ごめん。まだ、気分悪いみたいだな。吐きたいなら吐いたほうがいいよ」スリスリ
元「……大丈夫。なんとか。なった後は大したことはなかったよ。」
友「そうか」
元「あ、病室が凄い豪華だったのは覚えてる。ちょっと嬉しかった」
友「よかったな」
元「うん、国から助成金だとかいうのが出てるらしくて、それで色々と」
友「学校の制服とか衣類も?」
元「うん、スカートはくの初めてだからドキドキする」
友「じゃあ下着も女物の買ったんだ」
元「…う…うん、初めてスリーサイズ計ったよ」
友「生理用品も忘れてないよな?」
元「………」
友「人によって重い軽いがあるらしいね。軽いといいね」
元「………」
友「え?なんで怒ってるの?何か変なこと言った?」
友「あ、はい」
元「あ、違う。多分私が男のままでいたとしてもおかしいと思うよ、今の発言は」
友「……今の発言って?」
元「女の子に下着の話とかしちゃダメ。生理用品の話とかも」
友「でも、大事なことだろ?」
元「…わかってる。あなたがそういう人だってのは昔からわかってるけど」
友「うん」
元「……なんて言ったらいいの?」
友「わかった。わかったから泣きそうになるな親友」
元「……ありがとう」
友「ほら、泣くなよ。可愛いんだから」
元「…あ……うん…」
友「なんか顔赤いな。熱あるのか?」
元「え?ちがっ、違うよ」
友「青くなったり赤くなったり信号機みたいだな」
兄「うーん…取りあえずデリカシー無さ過ぎじゃないかい?」
友「デリカシーねぇ」
兄「あの子にとって今一番頼れる存在は友達である君なんだから、しっかりしてやらないと」
友「しっかりと言っても具体的に何をしたらいいんだよ」
兄「人の気持ちを理解してあげないと」
友「……あいつが男のときだったら、何を考えてるかだいたいわかったんだけどな」
兄「今は女の子なんだ。仕方ないね」
友「難しいもんだな」
兄「それはそれと、昔みたいにお兄ちゃんって呼んではくれないのかな?」
元「でも、お兄さんと仲直りできてよかったね」
友「別に仲が悪かったわけじゃない。ただあいつが自分のことで手一杯だっただけだしな」
元「いいなー…私もお兄さん欲しかったなぁ」
友「別にそんな良いものじゃないって」
元「流石に馴れてきたよ。この体にもね」
友「風呂とかトイレとかも、もう大丈夫ってことか」
元「もう………相変わらずだね。私の友達は」
友「ごめん、つい」
元「そんなに気になるの?私がお風呂やトイレに入るときの様子が」
友「興味はある」
元「……お風呂とかはもう普通に入れるよ」
元「ひとつ……気になることはあるけど……」
友「何?」
元「お風呂に入ると嫌でも気になっちゃうの……ちっちゃいのが……」
友「えーっと………わかった。胸の発育具合が気になるんだな」
元「……やっぱりちっちゃいと思う?」
友「気になるもんなのか?」
元「わかんない……私が元男だったからかもしれないけど」
友「まぁ、最初の変態のときは時間的にもその位の大きさまでにしかならないんだってよ。
そこからちゃんと成長するから安心しとけ」
元「そうなんだ。詳しいね」
友「色々調べたからな。何か役にたつかもと思って」
元「もうないよ……」
友「ほんとに?」
元「う……うん」
友「ならいいや」
元(言えないよ……なんで私の胸の鼓動がこんなに高鳴ってるのかなんて……)
ドキッドキッドキッドキッドキッ
元(なんでなの?だって……友達なのに……女になったせい?)
チョンチョン
友「ん?」
元「……おはよっ」
友「おはよっ」
元「どうかな?変じゃないかな?女子制服………」
友「間違いなく似合ってる」
元(…う…うれしい)
友「どうした?」
元「周りが静かだなって……私、こんなことになったし、物珍しさで騒ぎになるんじゃないかって……」
友「何でだろ?」
元「何か知らないの?」
友「なんかホームルームのときそういう話してた気がするけど、話を聞いてなかったから」
元「先生の話はちゃんと聞かなきゃダメでしょ」
元「……どっちも職員用のを使うことになってます」
友「あ、丁度トイレに行きたくなってきた……」
元「行けばいいでしょ……」
友「でもさ、学校生活不安なんだろ?そばにいてあげたいし……」
元「トイレくらいの間大丈夫だから……早く行ってきて」
友「大だよ。時間かかるよ」
元「わかったから………」
女「お久しぶり」
元「あ、はい…お久しぶりです」
女「あなた今恋してるでしょ?」
元「………え?あ、ああ、わ、わかりますか?」
女「恋する乙女の目をしてるもん」(キリッ
元(わかるものなんだ………すごいな本物の女の子って)
女「え?どうしたらって………」
元「恋を実らせるにはどうしたらいいのでしょうか」
女「………どうしたらいいんだろうねえ?」
元「……え?」
女「ごめんね……私にもわかんない」
元「そうなんですか……」
女「あの、何で敬語なの?」
元「恋愛の先生だと思ったから……」
元「今の関係が崩れたりしないかな…」
女「崩れちゃう?現状脆そうな関係の人?」
元「ううん、そんなことないけど」
女「じゃあ想いを伝えてみたら?」
元「そ…そうしようかな……」
元「好きっ!」
女(タイミング……どういうタイミングなのコレ…)
友「ん?すっきりしたって俺は言ったんだけど」
元「私は好きって言った」
友「何が好きなの?」
元「あなたのこと」
友「俺も好きだよ」
元「本とうに……?」
女(成功!?すごいじゃない!?)
友「好きだよ。だって友達だろ?」
元「え……あ…うん…」
友「俺にとっても一番好きな異性だけど」
元「…でも、友達なんでしょ?」
友「うん。世界で一番好き。なによりも」
元「い…一番かぁ……」
友「どうした?」
元「一番ならいいや」
元「ありがと。なんだかよくわからない結果になったけど満足してる」
女「お…おめでとう」
元「私…世界で一番だって……」
女(幸せそうだしこれでいっか)
友「俺はね、君といるとすっごい穏やかな気持ちになれるよ」
元「本当だ…こうやって耳をあてるとあなたの心臓の音がきこえる……ゆっくりゆっくりときこえる」
友「じゃあ交代」
元「交代!?」
友「今度はそっちの心臓の音を聴かせてよ」
元「い…いいよ」
友「うわぁ…速い速い速い速い…」
友「ん?」
元「大好きな気持ちは変わってなんかなかった……ただ単に私が男から女になっただけ」
友「友達だからな」
元「じゃあ親愛なる友人さん」
友「なんだい信愛なる友人」
元「ギュって抱きしめて下さい」
友「お安いごようで」
ギュッ
元「じゃ…じゃあ、次はききき、キッシュを……」
友「いっておくけどな」
元「は、はい」
友「流石に男のままだったらこんなことないからな」
本当に終わり
本当に乙
良い設定だった
ストレスの設定が非常に良かった
Entry ⇒ 2012.01.27 | Category ⇒ 兄弟姉妹「」SS | Comments (0) | Trackbacks (0)
シャア「合コンをやるぞ、アムロ」
アムロ「どうしたんだシャア、いきなりそんな事を言って」
シャア「いやなに。 ここ最近はティターンズにもアクシズも特に目立った動きがない」
アムロ「まぁ……確かにそうだが……」
シャア「このまま気を張り詰めていては士気にも影響が出るというものだ、なればここいらで息抜きも必要だと思ってな」
アムロ「……それで、合コン……か」
シャア「こんな時だからこそ戦いを忘れ、同年代の女と酒を交えた会話に興じるのも悪くは無いだろう」
アムロ「……確かに、一理あるな」
http://hayabusa.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1327520902/
シャア「合コンをやるぞ、アムロ」
シャア「なに、ちゃんと考えているさ、既に何人かの男には声をかけておいた、これがそのリストだ」
アムロ「なになに………」
アムロ「>>5、>>10、>>15の3人か……」
シャア「ああ、私とお前を含めてこの5人でと思うのだが」
※シリーズ問わずガンダムシリーズの男キャラを書き込んでくれ
シャア「……なんだ?」
アムロ「なんだこのチョイスは」
シャア「…何か問題か?」
アムロ「この3人のおかげで平均年齢が恐ろしく高く気がするのだが、これでは成功するものも成功しなくなるぞ!いいのか!!」
シャア「アムロ、落ち着いて考えてみろ」
シャア「もしもここで、キラ・ヤマトやロックオン・ストラトス、ジョルジュ・ド・サンドといった、我々以上のイケメンなんかを連れて行ったらどうなると思う?」
アムロ「……そうか、俺達に女が回って来なくなる確率が……!!」
シャア「そういう事だ、彼等には悪いが、我々の踏み台になって貰う」
アムロ「さすがだな」
上手いこと言いやがって
アムロ「……成程な、さすがシャア、味方をはめる非情さは相変わらずだな」
シャア「ははは、彼らはガルマ以上に扱いやすかったな、女と聞いて何の疑いもなく私の話を聞き出したのだ」
アムロ「お前の意図は分かった」
アムロ「して、肝心の事を聞くが……向こうのメンツは大丈夫なんだろうな?」
シャア「ああ、辺境のコロニーで知り合った>>50と言う女性と連絡先を交換してな」
シャア「彼女も友達を連れてきてくれるらしい、そこは抜かりないさ」
アムロ「さすがシャアだ」
よくやった
シャア「どうしたアムロ、騒々しい」
アムロ「どうしたじゃない!! お前は今誰と連絡先を交換したと言った!!」
シャア「ハマーン・カーン、知ってのとおり、あのハマーンだ」
アムロ「それは分かっている! 俺が聞きたいのはなんで敵国の、しかもトップと酒を酌み交わさないといけないんだってことだ!!」
シャア「アムロ、落ち着いて考えてみろ」
シャア「何も、銃を向け合うだけが戦争ではない」
シャア「ここでハマーンを“落とし”、アクシズを衰退させるための土台をつくる、悪くは無いだろう」
アムロ「あのなあ……お前、そんな簡単に上手く行ったらこんな戦争なんか……」
アムロ「しかし……」
シャア「お前は安心して場を私に任せ、ハマーンの連れた女と適当に飲んでいればいいさ」
シャア「休暇と言っても確かに今は戦争中だ、遊び気分もほどほどに、今後の事を考えて行動せねばな」
アムロ「……お前の言いたい事は分かったよ」
シャア「開催は3日後、近場のコロニーの飲み屋で開かれると言う事だ」
アムロ「ああ、分かった、じっくりと準備をしておくよ」
シャア「アムロ、先走ってヘマをする事の無いようにな」
アムロ「お前もな」
一方その頃ハマーンの部屋
ハマーン「………あと3日……か」
ハマーン「シャアのやつ、少しは酒癖は治ったのか……?」
ハマーン「昔から酒が入るとどうしようもない俗物だったからな……まあ、あまり飲ませすぎないように気を使ってやるのもまた一興か」
ハマーン「………」
ハマーン「下着は……普通のでいいのか?」
ハマーン「一国の首相を相手に酒を酌み交わした事はあったが……シャアのような俗物と、下賤な酒場で飲む事は今までなかったからな……」
ハマーン「……どんな格好をして行けばよいのかわからないではないか」
ハマーン「そうだ、確か、私と同席する>>90なら何か良い案を教えてくれるやもしれん」
>>90シリーズ問わず女性キャラを
……
ハマーン「ああ、ミネバ様を頼む」
ミネバ「どうした、ハマーン?」
ハマーン「……ミネバ様、実は聞いてもらいたい話があるのです」
ミネバ「ふむ、ハマーンがえらく思いつめているとはめずらしいな、私でよければ話を聞こう」
ハマーン「実は……」
………
ミネバ「そんなこと私に聞かれても……だけど……まぁ、その……」
ミネバ「ふ、普通の格好で良いんじゃないか?」
ハマーン「普通の格好……ノーマルな格好、ということでいいのでしょうか」
ミネバ「ああ、間違ってはいないと……思う」
ミネバ「ああ、ハマーンは私の為によくやってくれている、あまり無茶をせぬようにな」
ハマーン「私のようなものにありがたきお言葉、感謝いたします……」
――ピッ
ハマーン「さて、もう少し情報が欲しいところだな」
ハマーン「もう一人の同席者、>>150にも意見を求めようか」
プル「ぷーるぷるぷるぷる~~♪ はーい、プルでーす♪」
ハマーン「プル、お前に一つ聞きたい事がある」
プル「なーに?」
ハマーン「例えば、例えばの話、お前が意中の相手と食事に出かける時、お前ならどんな格好をする?」
プル「いちゅう?」
ハマーン「……ああ、ジュドー・アーシタと食事に行くなら、どのような格好で行くのかを聞いている」
プル「ん~~……普通……かなぁ?」
ハマーン「やはりノーマルか」
プル「うん、普通の格好で行くと思うけど」
ハマーン「そうか、参考になった……下がって良いぞ」
プル「……?」
パサッ…
ハマーン「ん、プルのやつ、雑誌を忘れて行きおって」
ハマーン「な、なんだこの表紙は……まったく、俗物の読むものはよくわからんな」
ハマーン「……む、合コン……?」
――『初心者の為の合コン必勝法特集!~合コンは戦だ合戦だ、勝負服の選び方、相手の攻め方落とし方、その全てをこの1冊に!』
――『ネオジャパン、プラント、アザディスタン系女子の恋愛事情、フレイ・アルスターに教わる男を虜にする女子力チェック!』
ハマーン「ふむ……」パラ……
ハマーン「相手の攻め方落とし方…だと?……勝負服……『勝負服』?ま、まさか!!!!」
ハマーン「!!!しまった!! シャアのヤツ、戦いを忘れ、酒場で飲み合うといいながら最初から私達を!!!」
ハマーン「クソ……!!うつつを抜かして浮かれていた……!! このハマーン・カーン……一生の不覚だ!!!」
ハマーン「ヤツの狙いは最初からこれだったのだ、下賤なエゥーゴのやる事だ、飲み合いと言いつつ戦場に私を誘い、和やかな雰囲気を演出して毒を盛るぐらい、わけはないだろう……」
ハマーン「こうしてはおれん、早速もう2人の同席者に連絡を取り、対策を見出さんとならぬ!」
ハマーン「ええと……>>210と>>215の連絡先は……」
できれば最近の若いやつ頼む
一人はラクスで、もう一人の「女」を>>225で
ミネバ
プル
プルツー
ラクス
か
完全なシャア得じゃねえか
プルツー「何だい、どうかしたの?」
ハマーン「3日後の事だが、一応念のためだ、覚悟を決めて行くぞ」
プルツー「それはいいけど、アイツも来るんだろ? なんか嫌なんだよな、アイツって」
ハマーン「仕方ないだろう、なるべく楽しませてくれよと向こうからも言われているのだ」
ハマーン「何か企んでるも知れん、格好は目立たず、かつノーマルで行く、お前もそこを忘れるなよ」
プルツー「まあ、いいけどさ……」
……
ハマーン「さて、次はプラントのラクス・クライン嬢か」
ハマーン(奴も歌姫なだけあり、可憐に見える……が、腹の底では何を企んでいるか分からぬからな、だがこれもザビ家の為だ……その化けの皮、3日後に暴いてやろうではないか)
ハマーン「ああ、アクシズのハマーン・カーンだ、プラントのラクス・クライン氏を頼めるか」
ハマーン「ラクス嬢よ、先日の貴女の歌は今でも耳に残っている、私も、久々に胸が躍ったと言うものだ」
ラクス「うふふ、それはどうも……して、何かお話ですか?」
ハマーン「ああ、実はだな……どうもエゥーゴの奴等、飲み合いに乗じて何かを企んでるかも知れんのだ」
ラクス「……と、言いますと?」
ハマーン「最悪の場合、戦闘になる可能性もある」
ラクス「そんな、私は合コンとお聞き致したのですが……」
ハマーン「いいや、ラクス嬢はご存じないやも知れんが……下々の者達の間では、合コンとは『合戦』を意味する単語らしい、私も今それを知ったのだが」
ラクス「……まぁ! 合コンにそのような意味合いが……!」
ハマーン「正直向こうの出方もまだ分からぬ、一応用心するに越した事は無いので、なるべく目立った格好は控えた方が良いだろう」
ラクス「確かに……ハマーンさんの言う通りですわね」
ハマーン「ああ、そちらも、戦場に赴くに相応しい格好で臨まれると良いだろう」
ハマーン「……何か策があるのか?」
ラクス「今回はミネバ様も同行されるとの事、戦闘になるような危険な場所では聊か不安でしょう」
ハマーン「確かにな……」
ラクス「なので、相手方には飲み場の変更をお願いするようお伝えください……場所は、そうですね、プラントが宜しいかと思います」
ハマーン(さすがラクス嬢……事前に待ち合わせ場所を自分の巣に変え、敵の動きを封じ、かつ敵の行動を監視できる策に出たか)
ハマーン(もしもシャアの狙いが我々の暗殺なれば、さすがにこの変更は予想外のハズ……)
ハマーン(それに、プラントの夜景はとても美しいと聞く)
ハマーン(無力化したシャアを言いくるめ、プラントで一時を過ごすのも良いだろう……上手く行けば、奴も馬鹿な気を忘れ、私と共に歩む事を誓うに違いない)
ハマーン「ふふふふ………………」
ハマーン「あ、ああ、良い案だ。 では、早速ヤツに伝令を伝えておこう」
ラクス「ええ、では、3日後……」
ハマーン「失礼する」
――ピッ
ハマーン「……さて、シャアに連絡せんとな」
………
ハマーン「ああ、シャアか?」
シャア「こんな時間にどうしたと言うのだハマーンよ、もしや3日後が待ちきれず、私に電話をしてきたと言うのか?」
ハマーン「ばっ……!! 馬鹿な事を言うでないぞ俗物が!!」
シャア「冗談だ、して、一体何用だ」
ハマーン「こほん……指定した飲み場だがどうも私の肌に合わん、して、場所を変えたいのだが……」
ハマーン「案ずるな、我々の飲み合いはプラントで行う」
シャア「プラント? もしや、コーディネイターのあの砂時計か?」
ハマーン「ああ、下賤なコロニーの酒場よりは雰囲気が良いであろう」
シャア「よくそんな高級な所を見つけられたな……分かった、プラントの酒は非常に美味と聞く、楽しみにしているよ、ハマーン」
ハマーン「……べ、別に貴様の為にやった事ではない! か、勘違いするな、これは私の為なのだ!」
シャア「ああ、分かっている。 では、3日後に……ハマーン、上質な飲み場を見つけてくれた事、感謝する」
ハマーン「あ……ああ、では、また……な」
――ピッ
ハマーン「シャアが……私に………感謝を……………」
ハマーン「って……何を浮かれているのだ私は!! 場所が変わったとはいえ、あいつは我々を戦場に誘おうとしたのだぞ!!」
ハマーン「だ……だが、『感謝する』とは………その………」
ハマーン「………………何かの間違いであってほしいものだ………」
シャア「ハマーンからだ、後日の合コンはプラントで行われることに決まった」
アムロ「プラント……高級地じゃないか」
シャア「ああ、ハマーンの奴も相当に期待しているらしいな」
アムロ「場所が場所だ、俺達も当日の服装には気を使わないといけないな」
シャア「そうだ、不恰好な服装では幻滅されかねんからな」
アムロ「早速、明日にでも服の調達に行こう」
シャア「確か、近隣の町に良い服屋があった筈だ」
シャア「……そうだ、彼等にも連絡をしておかねば……」
ガイア「へぇ……へぇ、な、なんですと! ぷ、プラントで!!」
ガイア「はい……はははっ! そりゃあ楽しみでさぁ!!」
ガイア「くぅぅぅ!! 今から燃えてきましたよお!!」
マッシュ「ガイア、どうしたってんだ?」
オルテガ「随分機嫌が良いじゃねえか」
ガイア「マッシュ、オルテガ、今度の合コン、プラントでやるってよ! しかも美人付きだ!」
ガイア「しかもよ、俺達の写真を見せたところ、非常に受けが良かったってぇよ!!」
マッシュ「マジかよ!」
オルテガ「美味ぇ酒に美女付…しかも俺達みてぇなダンディーなオジサマ好きかぁ……へへへ………」
ごめんこいつら3人かなり適当にやってる
オルテガ「俺達は黒い三連星!!」
マッシュ「MSの撃墜率はジオン一ィ! だが女の撃墜率は未だゼロ!」
ガイア「だけど、そんな日々ももう終わりだぁ!!」
オルテガ「さらば非モテの日々よ! よろしく青春! バラ色の未来!!」
ガイア「オルテガ! マッシュ!!合戦は3日後だ、各々武器の手入れを怠るなよお!!」
オルテガ・マッシュ「おおおおおおおおおっっっっっっ!!!!」
―――
アムロ「シャア、いいのか? あんな事を言って……彼等、相当に浮かれているようだが」
シャア「何、多少は話を盛る事も戦術だよ」
アムロ「……侮れないやつだ」
ハマーン「これなら高級感があり、防弾性にも優れます故に、こちらでいかがでしょう」
ミネバ「うん、サイズもぴったりだ、さすがハマーンだな」
ハマーン「ありがたきお言葉……」
プル「あんたねぇ……こっち寄らないでよ!頭痛くなるっしょ!!」
プルツー「お前こそ向こうに行け! あああもうイラつくなぁ!」
ハマーン「お前たち、騒々しいぞ」
プル・プルツー「うううぅぅぅぅぅぅぅ!!!!」
ハロ「ハロ、コレ!コレ!!」
ラクス「まぁ……でしたらこれにいたしましょうか?」
ハロ「オマエモナー!」
ラクス「さて……お次は……♪」
―――
アムロ「シャア、これなんかどうだろう? フォーマルで紳士的に見えるってそこの店員が……」
シャア「悪くないな、では、私のこれはどうだろうか?」
アムロ「赤が目立ちすぎている気がするな、もう少し色を変えてはどうだろうか」
シャア「では、これなんかどうだ?」
アムロ「金のスーツ……お前は何か間違っているぞシャア」
シャア「……ふむ、なかなか難しいものだな、コーディネイトというのは」
マッシュ「袴たぁさすがだぜガイア! オルテガ!おめえはどうだ!」
オルテガ「馬鹿野郎!!漢なら覆面マントにパンイチに斧と相場が決まってんでぇ!」
ガイア「お前それ違うオルテガだろーが!!どこの父ちゃんだよ!!」
オルテガ「がっはっはっは!!」
―――
――
―
各々が決戦に向け、準備を進めていた。
おそらくそれは、小さな誤解とすれ違いが生み出した結果なのかもしれない。
小さな勘違いはやがて大きな誤解を産み、プラントを徐々に巻き込みつつあった。
そして、合コン当日……!!
アムロ「そろそろかな?」
シャア「ああ、そろそろ予定の時間だ」
アムロ「先に店に入ってなくて大丈夫だろうか?」
シャア「如何なる時でも女性を優先するのは合コンの常だよ、アムロ」
アムロ「そういうものか」
アムロ「しかし……シャア」
シャア「なんだ?」
ガイア「へ……へへへへ………こ、ここがプラララント……な、ななななんか俺、き、ききき緊張……」ガクガク
オルテガ「ばばばばっかやろろろう!!ガガガイア!おおおおめえがそんなんでどーすんだよよよよよ!」ブルブル
マッシュ「そ、そそそそうだぜガイア! 俺達ゃくく黒い三連星! どどどんなせせ戦場だってこれまままで生き延びてきたじゃねえか!」アセアセ
シャア「なに、彼らは最初から捨て駒だ、せいぜい我々の為に道化を演じていただく」
アムロ「黒い……三連星よりも黒いぞシャア」
ガイア「せっかく袴も新調したんだ、ここまできて引き下がれっかよ!! オルテガ! マッシュ!俺達ゃやるぜえ!!」
マッシュ「うおおおお!!! 今日でオレも……さらばサクランボの日々ぃぃ!!」
オルテガ「俺のジャイアントバズが火を噴くぜえええええ!! 」
通行人「やだ……何あれ……」
通行人「ママ―、あのおじさんたち変だよ~」
通行人「ナチュラルかしら……まったく……いい? 見ちゃいけませんよ?」
アムロ「あいつらはもう酔っているのか」
シャア「ふむ、確かにこう節操がないのも問題だな」
アムロ「あいつらを誘ったのはお前だろうが………」
シャア「来たな………」
ハマーンの声に振り向くシャア一同、だが、その彼女達の服装に一同が一斉に凍りついた!
ミネバ「久しぶりだな!シャア・アズナブル!!」
プル「へ~、あの二人、なかなかかっこいい……でも、ジュドー程じゃないけど」
プルツー「……ふん」
ラクス「みなさんご機嫌うるわしゅう……本日は、楽しい会になると良いですわねぇ」
男性一同「……………………?」
そう、ハマーンの話を鵜呑みにした女性陣は揃いも揃って戦場の勝負服、ノーマルスーツを着用してきたのであった!!!
ラクス「ちなみに私は陣羽織を羽織ってきたんですよ~♪」
シャア「ああ、私も話をしたいと思っていたところだ」
アムロ「どういう事だ、何故彼女達がノーマルスーツを? この後演習でもやるってのか??」
シャア「そんな話は聞いてないぞ、ハマーンなりに気を使った結果なのかもしれない」
アムロ「気を使った結果がノーマルスーツっておかしいだろ!!」
シャア「だが、合コンでは常に女性の服装を褒める事が重要だ、いいか、無理やりにでも服を褒めるんだ、いいな?」
アムロ(せっかくの飲みの気分が台無しだ……)
ガイア「つーか……ガキが3人って……」
オルテガ「いやいやいやいやいやお前よく見てみろ、あの方……」
マッシュ「まさか……ミネバ様?」
ガイア「んなワケあるかよ!! なんでザビ家のトップがこんな所に、しかも合コンに来るってんだよ!!」
ガイア「は、はい!!(うお……本物のラクス・クラインだぜ……うひょおぉぉ……色っぺぇ……」
ラクス「その袴……お似合いですわねぇ♪」
ガイア「ぶほっ!!」
ラクス「だ、大丈夫ですか?」
マッシュ「ガイア!! ガイアアアア!!」
オルテガ「ガイアの野郎……産まれてこのかた女に褒められたなんて事ないからおかしくなっちまった……」
ハマーン「………」
ハマーン(合戦と聞いたからそれに合った服を選んできたが……何故奴等はスーツに袴なのだ? これでは我々が浮いているように見えるではないか……こんなことなら私もドレスぐらい……)
ハマーン(いやいや、奴等をよく見ろ……歴戦の猛者と評判の黒い三連星にアムロ・レイ……やはりシャアめ、何かを企んで……)
シャア「ふむ……しかしなんだ、その……ハマーンよ」
ハマーン「ど、どどどうした、シャア!!(ええい静まれ、私の心臓よ!!」
ハマーン「そ、そそそ、そうか??」
シャア「ああ、密閉性が良くそれでいて蒸れない粗材。かつ女性の色気を存分に引き出すデザイン、職人の腕が冴えているのがよく分かる、素晴らしいノーマルスーツだ」
ハマーン「………ほぅ……素晴らしいのは『ノーマルスーツ』だと、そう言いたいわけだなお前は」
シャア「ああ」
ハマーン「この……俗物が!! 歯を食い縛れ!」パシーンッ!
シャア「……これが若さか……」
シャア「アムロ、私は何故殴られねばならんのだ」
アムロ「シャア……お前ってやつは……」
プル「あのさー、早くいこうよ~~」
プルツー「いつまで立ち話をしているんだ、早く食事がしたいのだが」
ラクス「このお店はクライン家も御用達のお店なんですよ」
ガイア「へっへっへ……ラクス・クラインのお墨付きって事は、さぞ期待が出来る店構えなんでしょうなぁ!」
アムロ「さあ、女性は先に入って」
ミネバ「ふむ、よくできた男だ、お前、ザビ家に尽くす気はないか?」
アムロ「……は?」
シャア「アムロ、彼女はミネバ・ザビ、かのドズル・ザビの忘れ形見でもある、現在のザビ家の実質上のトップだ」
アムロ「……なんだと……?」
ハマーン「一国を収める者として俗物共の生活を学びたいと言う事でな、貴様、変な真似をしたらただでは済まさんぞ」
ガイア「なんでそんな大物がこんな所に……」
オルテガ「まったくだ……」
店員「グゥレイトォ!!料理一品上がったぜ!!」
店員「注文がこんなにだぁ?? ああやってやるよ、不可能を可能にする男だぜ、俺は!」
客「料理が遅いぞ腰抜けが! いつまで待たせる気だ!!」
客「やめろ!お前が食べたかったのは本当はそんなものじゃないはずだ! それは俺が食う!お前ももう自分を誤魔化すのは止めるんだ!!」
客「ってそう言いながら俺のから揚げ食ってんじゃ……ってぇぇ!!あ……あんたって人はあああ!!」
客「やめてよね、本気で悔しがっても、君のから揚げはもう戻ってこないよ」
客「から揚げぐらいで小さいな、割り切れよ……でなきゃお前、死ぬぞ?」
アムロ「他のテーブルも随分盛り上がってるな」
シャア「ああ、そのようだな」
ラクス(みなさん、上手く溶け込んでるようですわねぇ…)
シャア「各々好きな物を頼んでくれ、ただし、未成年はコーラだけだ」
ハマーン「ふむ、異論は無い」
ラクス「まあ、宜しいのではないかしら?」
ミネバ「残念だが、仕方あるまい」
プル「えー、いーじゃん今日ぐらいはさ~」
プルツー「私もだ、せっかくの飲み場なんだし、私達だけ子供扱いされたくないな」
ガイア「まぁまぁお嬢ちゃん…ここは抑えて、な?」
オルテガ「そうだぜぇ、早すぎる酒はかえって毒ってもんだぜぇ、へっへ」
プルツー「寄るな、おっさん」
三連星「………………」
シャア「ふむ、結構いけるな、この酒」
ラクス「お父様のおすすめ、だそうですよ?」
シャア「ほう、それはそれは……」
ミネバ「これが下々の者どもが食す料理か……ふむ、これは何と言うのだ?」
アムロ「それは、から揚げ……だな、鶏肉に衣をまぶして、油で揚げた地球の庶民料理だよ」
ミネバ「これが、地球の料理……」
アムロ「ああ、ミネバは食べた事無かったのかい?」
ハマーン「ミネバ様は貴様等とは育ちが違うのだ、こんな下賤で油の濃い料理など、そうそう食べさせるわけがなかろう!」
シャア「とかなんとか言いながらハマーンよ、お前はそれを何個食べれば気が済むのだ」
ハマーン「私はこうして毒見をだな!!」
シャア「ふっ、照れ隠しが下手だな、ハマーン」
シャア「ふむ、では何か催し物でも開こうか」
シャア「そういうわけだ、三連星が何か面白い事をやってくれるらしいぞ」
アムロ(シャア! なんていう無茶ぶりだ!)
ガイア「え、どういうわけで?」
プル「へ~、おじさんたち、何やってくれるの?」
ラクス「まぁ……楽しみですわ♪」
ミネバ「せいぜい場を白けさせなければ良いがな」
ガイア「っとぉ……ど、どうするよ?」
マッシュ「なんか、いきなりすぎっつーか……なあ??」
オルテガ「お、俺、ネタなんてできねえぞ?」
マッシュ「あ、ああ……」
オルテガ「やるっきゃねえ……!」
ガイア「オルテガ! マッシュ!! テーブルの上の残骸に!ジェットストリームアタックを仕掛けるぞ!!」
ガイア「行くぜ! ジェットストリームアタック!!」
三連星「うおおおおっっっっっっ!!」
――ガタガタッ!! カチャカチャカチャ!!
ハマーン「ほう…これはこれは……」
シャア「すごいな、次々とテーブルの上が綺麗になって行く」
アムロ「まさにコンビネーションのなせる業だ、あっという間に汚かったテーブルが……」
ミネバ「だが……これは」
プル「地味……だね」
プルツー「ああ……」
オルテガ「これぞ我等の奥義!」
マッシュ「ジェットストリームアタック!」
シャア「ふむ……いや、すまんな……」
ハマーン「というか、私の酒がどれだか分からなくなってしまったのだが」
アムロ「あれ、俺の酒は……?」
プル「私、まだから揚げ食べてなかったのに~」
ミネバ「私の水も片付けられてしまった……」
プルツー「テーブルが綺麗になって逆に違和感だな、これでは」
ラクス「というか、まだまだ料理も来るんですけどねぇ……今ここでお片づけをしても意味がないというか……」
シャア「君達はまだ場に馴染めていないようだったな」
ガイア(いや、無茶振りさせといてそれはひどいんじゃねえか?)
プルツー「…あれ?」
プル「ジュドー達がやってたんだ、王様ゲーム!」
シャア「……ほほぉ」
アムロ「ぶっ! お、お前どこでそんなゲームを覚えたんだ!」
プル「えー、ジュドー達、面白そうにやってたんだよ?」
ハマーン「……王様ゲーム?」
ミネバ「一体どんなゲームなのだ、それは」
ラクス「さぁ……?」
客「」ガタガタッ!
アムロ(なんだ……? 今、周囲からものすごいプレッシャーが……)
シャア「確かに、手っ取り早く場を盛り上げるためにはもってこいの秘策ではある」
アムロ「しかし……大丈夫なのか?」
シャア「アムロよ、お前はあの中でなら誰と事を進めたい?」
アムロ「俺に童女趣味は無い……そりゃ、上手く行くのならラクス・クラインかハマーン・カーンしかいないだろう」
シャア「ああ、上手く事が運ぶようにしてやるさ」
アムロ「それが危険だっていうんだ! 今、一瞬ではあるがすさまじいにプレッシャーを感じた、あれは一体……」
シャア「考えすぎだよアムロ、少しは肩の力を抜け、彼等の様にな……」
ガイア「お……王様ゲーム…………」
マッシュ「ラ…ラクス・クラインにあんなことやこんな事が……でへへへへ」
オルテガ「い、いやいや落ち着けお前ら、ま、まだだ、まだそうと決まったわけじゃ……」
アムロ「……遠慮しておくよ」
シャア「では、私から説明させていただく」
シャア「王様ゲームと言うのはだな……」
―――
――
―
ハマーン「ほほう、面白い」
ハマーン「ニュータイプの力を使えば……クジの番号を読み取るなど動作もないな……」
ハマーン「しかし、シャアとてそこは見抜いているだろう、一体何を企んでいる、シャアめ」
ハマーン(しかし……上手く行けば、シャアを言いなりにできる…わ、私が………)
ラクス「何だか、面白くなりそうですね~♪」
ミネバ「なんだ、私達が普段やってる事と変わりないではないか」
プル「じゃあいっくよー!」
シャア・アムロ「………っっっ!!」
キュピーン!!
ハマーン「……何ぃ!!?? プレッシャーでクジの番号が読み取れん…だと??」
シャア(甘いぞハマーン、そんなイカサマ、私が見過ごす筈がなかろう)
ガイア「きたあああああ!!!!俺が王様だあああ!!」
ハマーン「っっっちい! 小癪な!」
マッシュ「ガイア!よくやった!!」
ガイア「じゃあ……へへへ、3番と5番は今着てる服を脱げえーーーっっ!」
アムロ(いきなりそんな命令を……! まだ早い、早いよ!!)
ハマーン「な!! 何を言うか貴様!!は、破廉恥な!!」
ガイア「おっと、王様命令ですぜこれは……」
アムロ(おかしい、さっきから妙に視線を感じる…)
アムロ(考えすぎ……か?)
ガイア「それで、3番と5番は誰だぁ?」
シャア「……3番は私だ」
ラクス「5番は私ですわ……」
ガイア(ちっ、まぁいいか)
シャア「ま、上着だけで大丈夫だろう」パサッ
ラクス「私も、陣羽織だけでしたら…」
ハマーン(ふむ、Yシャツ姿もなかなか……)
アムロ「良かったような、残念なような……」
プル「じゃー次! 王様だーれだ!」
ハマーン「来たか…!」
シャア「では、9番と4番、それと2番にはこのメニューにある極苦青汁とやらを飲んでいただこう」
アムロ「これ、写真写りが悪いだけなのか? 何やら色がすさまじいことになっているぞ」
ハマーン「毒々しい色だな……わ、私は……」
シャア「さあ、9番と4番、それに2番は誰だ?」
結果→ラクス、ガイア、プルに決定。
店員「お待たせいたしましたー」
ラクス「ええ、どうも……」
プル「うぅぅ…すんごい色してる……」
ガイア「い……行くぞ、こんなの、ジャングルの泥水に比べたらなんでも……!!」
ラクス「いただきまーす♪」
プル「うええぇぇぇぇ……に、苦い!!苦いぃぃ!!!」
ガイア「ぐぅぅぅぅぅぅぅ……うぶっ……っくうううう!!ま、まずい!!まずすぎる!!」
ラクス「……ふう、ちょっと濃いめですねぇ」
アムロ(ラクス・クラインだけ動じてない…だと?)
プルツー「へへ、ざまーみろ」
プル「む~…次はあんたに命令してやるんだからぁ~」
ハマーン「では、次と行こうか」
次順、王様→オルテガ 命令→4番が王様に抱きつく
4番→>>580
ガイア「知るか!俺だってやりたくねえわ!!」
ハマーン「絵的にキツイものがあるな、ミネバ様は見てはなりません」
ミネバ「むぅ……ちっとも楽しくないぞ」
ガイア「次行きましょう次!!」
次順王様→ミネバ 命令→4番が5番を思いっきり踏む
5番→ガイア 4番→ラクス
ラクス「では、失礼しますわ」
がしっ! げすっ! ばきっ!
ガイア「うおおおおおおおおっっっっっっ!! こ……この感覚は!! こ、これが踏み台にされる事の……快感だというのかあああ!!」
ガイア「お、俺が踏み台に……!!! うおおおっっっ!!!!」
アムロ「シャア、おっさんが踏まれてる絵のどこが楽しいというんだ」
次順 王様→ハマーン
ハマーン「こう人数が多くては何もできん、何か良い策はないか」
ハマーン(集中しろ……ニュータイプのクジは当てられなくても、あの絵的に不快な連中の番号なら……!)
ハマーン「見えた!! 7・9・4番!即刻この場から立ち去れ!!!」
三連星「は??」
ハマーン「そうかお前らか、なれば速退場しろ!王様命令だ!!」
三連星「いやあのちょっと」
シャア「さあ、王様命令だ」
三連星、なんやかんやで退場。
シャア「アムロ、好機だ」
アムロ「ああ、これで上手く事が運ぶ」
ラクス「では…王様は誰でしょうか?」
次順 王様→シャア 命令→3番と2番が王様に食べ物をあーんさせる
3番→プルツー 2番→プル
シャア「では、やってもらおうか」ニヤニヤ
ハマーン「シャアのやつ……言えばいつでも私がやったものを」
アムロ「シャアのヤツ、徐々に命令のレベルを上げて行っているな…」
プルツー「め、命令だからな、仕方ない……」
シャア「うむ、なかなかだな」
ハマーン「……赤い彗星も堕ちたものだな」
ハマーン(ちぃ、羨ましいやつらめ)
アムロ「ええと……王様は……」
ゴゴゴ…
シャア「ん…?」
ゴゴゴゴゴ……
ラクス「何でしょう、この揺れは?」
ゴゴゴゴゴゴ………
客「エターナルより伝達!! 黒いモビルスーツが3機、バズーカを乱射しながらこちらに向かっている模様です!!」
客「これは……!ドムトルーパーです!」
アムロ「なんで客席に通信機器が! って、そんな事言ってる場合じゃない!! テロリストか!?」
オルテガ「っかし、酒場の地下にドムがあるなんて…へっ! コーディネイターってのも、わっかんねえもんだなあ!」
マッシュ「うおおおおおおお!!! 俺達をコケにしやがって!シャアのヤツ、ぶっ殺してやるうううう!!」
ヒルダ「やられた…」
マーズ「まさか、酔っ払いに先を越されるたぁな」
ヘルベルト「俺達のドムを返しやがれコノヤロオオオオオ!!!」
オペレーター「ヒルダ機、マーズ機、ヘルベルト機出撃!ゲイツ3機で包囲します!!」
ガイア「行くぞテメーら!!元祖・ジェットストリームアタック!!」
オルテガ・マッシュ「おうっっ!!」
ヒルダ「ぬああああっっ!! な、なんだってんだコイツらは!!」
マーズ「完璧すぎるコンビネーション……こいつら、つ…強い!」
アムロ「ああ、至急アーガマと連絡を…!」
ハマーン「待てシャア」カチャ…
シャア「ハマーンよ、銃を抜いたりしてどうしたと言うのだ」
ハマーン「これが貴様等の計画か」
シャア「計画…?何のことだ?」
ハマーン「我々の手を逆手に取り、飲み場と称し油断をさせ、その隙に連中にMSを奪取させるとは、大したものだ」
シャア「誤解だな、そもそも彼等を帰したのはハマーン、お前自身ではないか」
アムロ「そうだ、ついでに言うと王様ゲームを立案したのだってプルであって、俺達は関係ない、全部あいつらの暴走の結果だ!」
シャア(まぁ、王様ゲームはいずれやろうと思っていたのだがな……)
ハマーン「ええい、黙れ俗物!!」
シャア「誤解だハマーン、とにかくその銃を下ろせ!」
ハマーン「ええい、まだ言うか!」
ドーン! ドーン!
アムロ「こんなことをしてる場合じゃないだろ! とにかく…急いで安全な所へ非難しないと!」
ラクス「皆さん、ミネバ様の保護を」
キラ「貴方達は動かないで下さい、さあ、ミネバ様はこちらに」
ミネバ「あ……ああ、すまない」
アムロ(やはり、客も店員も軍人だったか…!)
ハマーン「プル、プルツー、お前達も急いで……」
プル・プルツー「…ん?」グビグビ
ハマーン「おい貴様ら、一体何を飲んでいる?」
プルツー「ふふふ……な、なかなか……うまいな、酒って……」
プル「つーかぁ、なんか面白そう~~♪あたしもやる~~♪」
プルツー「戦闘なんだろ……? 私達も……出撃する!!」
ハマーン「ま、待て貴様ら!!」
プル「へへへ、もしもの時にってことで、地下にキュベレイ持って来た甲斐があったね♪」
プルツー「キュベレイMK-2、発進する!!」
プル「いっけええええ!!!」
ドゴーン!! バコーン!!
プル「ぷーるぷるぷるぷる!!」
プルツー「行け!ファンネル!!」バシュバシュ!!
ヒルダ「新手か!! くそ、ドラグーンだってぇ!!」
ヘルベルト「ゲイツじゃ不利だ!一旦後退する! エターナル! 応答してくれ!!」
マッシュ「へへへへ……もうこうなりゃヤケだ!どーなってもしらねえぞおおおお!!!」
ガイア「ジェットストリームアタック!!」
オペレーター「ドムトルーパーに続きドラグーン内蔵型が暴れてます!このままでは街に被害が!!」
シャア「……どうするハマーン、このままでは、我々もただでは済まんぞ」
ハマーン「動くな、貴様等はこのまま拘束する」
ラクス「そうですわね……」
アムロ「……今だ!」ドゴッ!
シャア「…ふんっ!」バキィ!!
ハマーン「しまった! くっ!」パァンッ! パァンッ!
キラ「くっ…やられた!」バンバンッ!
アムロ「見える!!」
シャア「当たらんよ」
キラ「この距離で銃が当たらない?」
シャア「ここには地下にMSの格納庫があるらしいな」
シャア「そうだ、どうせなら我々で彼等を沈め、ここいらでハマーン達の誤解を解いておくというのはどうだ」
アムロ「…そうだな、元はと言えば、俺達の責任だしな」
シャア「よし、では、適当に借りるとしようか」
兵士「お前らそこを動くなぁ!!」
アムロ「はっ!!」バキィ!!
シャア「せいっ!」ドゴォ!
兵士「強すぎる…こいつら……!」
シン「な、なんだってええ!!」
ルナ「あー! あたしのザクがーーー!!」
ハマーン「シャアのヤツめ……!私も出るぞ!」
ラクス「こうなったら仕方ありません、彼等を止めましょう」
ラクス「キラ、アスラン、シンの3名は至急発信準備を、残りの隊員は住民の避難をお願いします」
ラクス「エターナル、発進して下さい!」
「了解!!」
アムロ「すごいパワーだ、これがプラント製のMS…」
シャア「さすがコーディネイターだな、同じザクでも、ジオンのそれとはパワーが全然違う」
シャア「良い歳して見苦しいぞ、大人しくするんだ!」
ガイア「来たな……いけえお前ら!やれええ!!」
三連星「―ジェットストリームアタック!!」
シャア「くっ!」ドゥン!!ドゥン!!
オルテガ「効かねえよ!!」
シャア「ドムの分際でビームバリアを展開するとは…やるな!」
アムロ「俺はキュベレイを引き付ける! シャアはドムを!」
シャア「了解した、アムロ、操作は大丈夫か?」
アムロ「ああ、ちょっとややこしいけど、構造は俺のガンダムにそっくりだから、これならまだ行けるさ!」
アムロ「うおおおお!!」
プル「えへへへへへ♪ そーら、いっけええ~~♪」
アスラン「アスラン・ザラ、∞ジャスティス、出るぞ!」
シン「シン・アスカ、デスティニー、行きます!」
ハマーン「キュベレイ、発進する」
ピコンピコン…!
アムロ「新たな機影…? あいつらか!」
プルツー「うざったいんだ…よぉ!!」
アムロ「くぅぅ……! こいつら、やる!!」
三連星「おらおらおらああああ!!」
シャア「ちぃ、長距離装備では不利か…!」
キラ「あなたたち、いい加減にしてください!」
アスラン「これが大人のする事かよ!」
ガイア「もうどうなっても知るかああ!! うおおおお!!」
おもむろにキラ達に突っ込む三連星、そして……
キラ「当たれええええ!!」
アスラン「この……馬鹿野郎オオ!」
シン「堕ちろおお!!」
ズバズバズバズバズバズバ!!!!!
三連星「ぐああああああっっっ!!」
アムロ「は…速い……」
シャア「黒い三連星を一瞬にして達磨とは…これがコーディネイターの力だと言うのか……」
プルツー「行け! ファンネル!!」ババシュシュバシュバシュ!!
アムロ「ちぃぃ!! もう止すんだお前達!」
ハマーン「シャア!!覚悟ォォ!」
シャア「ええい……どうしたものか……」
ラクス「――そこまでです、あなた方」
アムロ「この声は…」
シャア「エターナルか」
ラクス「これ以上の暴走行為はプラントへの宣戦布告と見なします」
ラクス「故に我々プラントは全兵力をもって、エゥーゴ、アクシズ両面への軍事的進行も辞さない考えを、ここでお伝えいたします」
シャア「むぅ…あそこまでの兵力、敵に回すと後々厄介な事になりそうだな…」
ハマーン「……ティターンズにエゥーゴだけでも小賢しいと言うのに…ここでプラントまで敵に回す事もないだろう、仕方ないな」
ハマーン「分かった、今回は手を引こう」
シャア「私も同意見だ、大人しく投降する」
アムロ「だが、彼等の処理は俺達にやらせてくれ」
ラクス「分かりました、ドムのパイロットに関してはそちらに任せます」
シャア「話の分かる方で助かります、ラクス・クライン」
ハマーン「プル、プルツー!貴様等には後でたっぷりと灸を添えてやらねばならんようだな、覚悟しておけ」
プル「ふえぇぇ……ど、どうしよう……」
プルツー「……はぁ……」
プラント内、某バー
シャア「ふむ、このカクテルもなかなか……」カラン…
ハマーン「ここにいたか、シャア」
シャア「ハマーンか、おや、ノーマルスーツはもう良いのか?」
ハマーン「黙れ……私も正直変だと思ったのだ、合同コンバットにしては、貴様等の服装は戦闘向きではなかったのだからな」
ハマーン「よもや、合コンと言うものが、ただのコンパだったとは」
シャア「ふ、ハマーンらしい勘違いだな」
ハマーン「待て、シャア」
シャア「…どうした?」
ハマーン「まだ私は貴様に命令をしていない」
シャア「命令…?」
ハマーン「王様は私だ…」
シャア「その割り箸は……まだやると言うのか、王様ゲーム」
ハマーン「当然だ、王様の命令は絶対……だからな」
シャア「だが、私の番号が分からなければ、お前は私に命令を下せないぞ?」
ハマーン「わかるさ……お前の事ならすべて…な」
シャア「………」
ハマーン「どうしたシャア、早く番号を言え」
シャア「………9番だ」
ハマーン「……決まり、だな」
シャア「だが、どうして私の番号を?」
ハマーン「言っただろう、貴様の事は、すべてお見通しだ」
シャア「ああ……失礼、了解した王様……して、何処へ行く?」
ハマーン「…………そうだな…………」
おしまい
疲れた!!!!!
えー、普段書き溜めを投下してばかりで、今回安価SSは初めてやりました
故におっそろしいぐらいgdgdですみません。でも、途中から意地でも書き上げてやるって気になり、なんとか強引にオチをつけることができました。
やっぱ安価SSは発想力とアドリブが重要って事が分かり、次はもうちょいアドリブ効かせて楽しく書こうと思います
お付き合いいただきありがとーございました!!
面白かったよ
Entry ⇒ 2012.01.26 | Category ⇒ ガンダムSS | Comments (0) | Trackbacks (0)