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紬「おこたと」
紬「おこたと」
梓「ですね」
紬「クシュン」
梓「くすっ」
紬「///」
梓「早く練習はじめちゃいましょう」
紬「そうしましょうか」
梓「練習始めればちょっとは体も暖かくなりますから」
紬「そうだね」
紬「ふぅ…」
梓「いまひとつでしたね」
紬「指がかじかんで上手く動いてくれないの」
梓「暖房が直るまでの辛抱ですが‥」
紬「それまで練習になりそうにないね」
梓「はい…」
紬「ギターの練習はお休みにしましょうか」
梓「あの」
紬「なぁに?」
梓「作曲に興味があるんです」
紬「作曲?」
梓「はい」
紬「私の家にくる?」
梓「ムギ先輩の家。ちょっと気になりますね」
紬「それじゃあ決定ね」
梓「家にきませんか?」
紬「梓ちゃんのお家?」
梓「今年はおこたを出したんです」
紬「おこた!?」
梓「みかんもありますよ」
紬「行く行く! 絶対行く!」
梓「くすっ。じゃあ一緒に行きましょ」
紬「うん!」
紬「はぁー」
梓「まっしろ」
紬「えぇ」
梓「はぁー」
紬「梓ちゃんの息もまっしろ」
梓「すっかり冬ですね」
紬「そうね」
梓「寒いですね」
紬「早くおこたに入りたい」
梓「そうですね」
紬「うん」
紬「雪が降ったら不安ね」
梓「でも毎年なんとかなっちゃうんですよね」
紬「不思議ねぇ」
梓「はい」
紬「ちょっとずつ体が慣れてくのかしら」
梓「かもしれません」
紬「でも雪かぁ」
梓「積もったらまた雪合戦でもやりましょうか」
紬「かまくらも作りたいな」
梓「いいですね」
紬「中でお鍋をするの」
梓「とけませんか?」
紬「大丈夫よ」
紬「澪ちゃんが鍋奉行をやって…」
梓「私達四人が好き勝手にとりまくるんですね」
紬「うん!」
梓「困惑してる澪先輩の顔が思い浮かびます」
紬「ふふふ。きっと楽しいわ」
梓「そうですね」
紬「きっと…」
梓「着きましたよ」
紬「もう着いちゃったんだ」
梓「じゃあ上がってください」
紬「おこた!」
梓「電源を入れたところなのでまだ暖かくありませんよ」
紬「…うん」
梓「しばらくは我慢してください」
紬「ちょっと暖かくなってきたみたい」
梓「ほんとうですか?」
紬「うん」
梓「二人も入ってますから体温のせいかもしれません」
紬「そうかな?」
梓「たぶんそうです」
紬「そっかぁ」
梓「みかんをどうぞ」
紬「ちょっと緑っぽいね」
梓「ちょっと早いですから」
紬「そっかぁ」
梓「やっぱりオレンジのほうがいいですか?」
紬「うんう。緑っぽいのは食べたことないから」
梓「じゃあ試してみてください。酸味がちょっと強いですけど」
紬「うん」ムキムキ
梓「…」ムキムキ
紬「どうかしら」パクッ
梓「私も」パクッ
紬「美味しい…」
梓「思ってたより甘いです」
梓「…」ムキムキ
紬「…」ムキムキ
梓「…」パクッ
紬「…」ムキムキ
梓「ん?」
紬「…」ムキムキ
梓「白いのを全部とってるんですね」
紬「うん…」ムキムキ
梓「私もやってみようかな」ムキムキ
紬「むけた!」
梓「終わっちゃったんですか」ムキムキ
紬「はい。どうぞ」
紬「うん」
梓「悪いです…」
紬「気にしないで」
梓「じゃあ」パク
紬「どう?」
梓「美味しいです」
紬「それは良かった」
梓「はい」
紬「おこたもだいぶん暖かくなってきましねね」
梓「はい」
紬「そろそろ作曲の勉強をはじめよっか」
梓「お願いします」
紬「わかったかな?」
梓「いまひとつわかりませんでした」
紬「ごめんね」
梓「ムギ先輩のせいじゃありません」
紬「今度私の先生を紹介しよっか?」
梓「先輩の先生?」
紬「ピアノの先生」
梓「遠慮しておきます」
紬「そう」
梓「ムギ先輩に習いたいですから」
紬「そっかそっか…」
梓「また教えてくださいね」
紬「うん」
紬「そろそろ帰ったほうがいいかな?」
梓「ちょっとお話しませんか」
紬「そうね」
梓「…」
紬「…」
梓「受験勉強とか」
紬「順調だよ」
梓「ですよね…」
紬「…うん」
梓「…」
紬「…」
梓「意外と話すことありませんね…」
紬「そうだね」
紬「あっ、そうだ」
梓「どうしました?」
紬「どうして作曲を?」
梓「それは…」
紬「何かあるんだ?」
梓「特にこれといってあるわけじゃないんですけど」
紬「うん」
梓「来年から私が部長なので…」
紬「そっかぁ」
梓「はい」
紬「ちょっと不安なんだね」
梓「少し」
梓「なんで笑うんですか?」
紬「嬉しかったから」
梓「何が嬉しいんですか」
紬「梓ちゃんの弱みを知れたのが」
梓「そんなこと…」
紬「ふふふ」
梓「もう…」
紬「きっと素敵な後輩たちが入ってくれるから」
梓「そう思いますか?」
紬「ええ」
梓「そうかな…」
紬「きっとね」
紬「それがいいわ」
梓「はい」
紬「…」
梓「…」
紬「そろそろ帰るね」
梓「そうですか」
紬「もう夜も遅いし」
梓「そうですね」
紬「ばいばい梓ちゃん」
梓「さようならムギ先輩」
梓「…」
紬「…」
梓「…どうしました?」
紬「おこたの魔力って本当にあったのね」
梓「出られないんですね」
紬「えぇ」
梓「もう少しお話しましょうか…」
紬「うん」
____
___
紬「今日も寒いね」
梓「ですね」
紬「暖房はまだ直らないし」
梓「他の先輩方は受験勉強ですし」
紬「行きましょうか」
梓「はい」
紬「おこたへ!」
梓「はい」
紬「はぁー」
梓「まっしろ」
紬「えぇ」
梓「はぁー」
紬「昨日より白いみたい」
梓「ですね」
紬「こんなに寒いと…」
梓「手をつないで行きませんか」
紬「…うん」
梓「それじゃあ行きましょ」ギュ
紬「うん」ギュ
おしまいっ!
この淡々とした雰囲気嫌いじゃない
Entry ⇒ 2012.11.16 | Category ⇒ けいおん!SS | Comments (0) | Trackbacks (0)
澪「起きろボケナス」律「うるせーなウスラトンカチ」
律「だからうるせーな……昨日散々(自主規制)したくせになんでそんな元気なんだ」
澪「は? あれくらいでヘタレてたらお前の嫁なんて勤まらないだろカス」
澪「これ着替えとタオルな。さっさと顔洗って溺れ死ね」
律「テメェが死ね。でもマジで死んだら辛いからその後私も死ぬ」
澪「そう簡単にくたばるか。二人一緒に寿命使い倒すぞコノヤロー」
律「たりめーだバカヤロー」
晶「……」
澪「……いつからそこにいた」
晶「さ、最初の所から……。部屋から怒鳴り声が聞こえたから何事かと思ってさ……」
律「……」
晶「……なんか邪魔して悪い」
律 澪「かんちがいするなよこのやろー(棒)」
律「なんだようるさいな」
澪「どうかしたのか?」
菖「二人はいつから付き合ってんのー?」
澪「いつからドツき合ってるかって? 出会ったその日から」
菖「ち、違う違う! ドツくじゃなくて付き合う!」
幸「というか、出会ったその日からこんな感じなのも凄いね……」
澪「ああ、付き合うか。勘違いしたじゃないか」
律「私らは別に付き合ってなんざねーよ。血痕してる」
菖「血痕!? ……ああ結婚ね! って結婚!?」
律「おう。高校卒業した後に籍入れた」
幸「女の子同士で結婚って日本で出来るの?」
紬「呼ばれて飛び出てむぎゅぎゅぎゅ~ん♪」
菖「あ、理解した」
澪「バカ旦那を持つと苦労するよ。大好き」律「アホ嫁を持つと大変だよ。私も」
澪「……ふぃ~。今日は走らなかったな凸カチューシャ」
律「……」
澪「聞いてんのかタコ」
律「悪ぃ、ちょっと用事あるから抜けるわ。あと誰がタコじゃクズ」
律「じゃーな死ね」
澪「待てや死ね。……早っ」
唯「どうしたんだろりっちゃん?」
澪「どうせ腹でも下したんだろ」
晶「案外、浮気とかだったりし……」
澪「」
菖「とおーーーっ!」
晶「ぐふっ!」
菖「き、気にしなくていいよ澪ちゃん! こいつテキトーに言っただけだから!」
澪「(う、浮気……? あわわわわ……)」
澪「……」
律「電気も点けないで何やってんだアホ」
澪「……練習終わったあとどこ行ってたんだ?」
律「あ-……」
澪「言えないのか? やっぱり晶の言うとおり、う、浮気して……るのか……? ぐすっ」
律「泣くなよバカ。って晶何言ってくれてんだ死ね」
澪「あ、相手は誰だ!」
律「浮気ちげーから。……これ買いに行ってた」
澪「ケーキ?」
律「そうだよ。駅前にあるスイーツショップの特定の時間でしか買えない限定ケーキ」
澪「……なんで?」
律「今日は私らが出会った記念日だろ。覚えてないのかコラ」
澪「あっ」
律「あっ、じゃねぇ死ね」
律「み、みんなが居る前で恋人と一緒に食べるケーキ買ってきますなんて言えるかドアホ! 恥ずいわ!」
澪「私だったら言えるわデコ助野郎! だってお前のこと大好きだしぃ!」
律「テメェと一緒にすんなメルヘンお花畑野郎! 大好きなのはこっちも同じだ! 次からは堂々と宣言してやるわボケ!」
澪「あーそうかよ!」
律「あーそうだよ!」
コンコン
律 澪「……」
紬「私も一緒に居ていい? あ、続けて」
菖「続けて」
幸「あれ? 澪ちゃんご飯残すの?」
律「こいつ大学生になってから急に太り始めてさ。体重計見たら(むぎゅん!)kg増えてやがんの。ざまぁ」
澪「喋るな口閉じろ殴るぞ」
唯「高校の頃は少し太ることはあってもこんなに一気には増えなかったよね」
澪「なんでだろ……クソッタレ」
幸「……澪ちゃんは高校を卒業してからりっちゃんと結婚したんだよね」
澪「? うん」
幸「原因分かっちゃった」
澪「なんだよ」
幸「きっと多分それは『幸せ太り』って奴じゃないかな」
幸「憧れのりっちゃんと結婚出来たのが嬉し過ぎて太ったんだよ」
澪「は? 別に幸せじゃねーし憧れてねーし!」
澪「幸。言って良い冗談と悪い冗談の区別くらいつけろよな//」
唯「うわぁ……言葉の説得力ゼロだよ」
幸「幸せ太りならダイエットしなくても良いんじゃない? だってその脂肪は幸せのバロメータなんだから」
唯「いやいや、その提案はどうなんでしょ……」
澪「私ダイエットやめるわ。醜く太っても愛せよ凸」
律「どんなお前だろーと愛さない理由がねーよバカ」
唯「ごちそうさま。もう行きまーす」
幸「(ぶっちゃけ私の見る限り澪ちゃんの太った所ってどう見ても胸だよね……)」
幸「(毎晩揉んで貰ってるんだろうなぁ)」
律「なに? プッキーならあげないぞ」
菖「いらないよ。本当はちょっと欲しいけど。……じゃなくて」
菖「澪ちゃんのどこが好きなの?」
律「好きじゃ……」菖「そういうのいいから。真面目に」
律「……」
律「背が高くてカッコいい所と私なんかとは釣り合わないくらい美人な所と普段は恥ずかしがり屋だけどやる時はやる所と私が傷付いた時は黙って寄り添ってくれる所とおっぱいとベースを弾いてる時の後ろ姿と……」
菖「ごめん。私が悪かった」
澪「なになに? 服のサイズの話?」
幸「種類が少なくて困るよね……じゃなくて」
幸「りっちゃんのどこが好きなの?」
澪「好きなんかじゃ……」幸「そうじゃなくてちゃんと答えて」
澪「……」
澪「小柄で女の子らしい所と私なんかとは似合わないくらい可愛い所と実は料理上手で家庭的な所と私が悲しんでいる時は体を張って笑わせてくれたりする所とちっぱいとドラムを叩いてる時の真剣は表情と……」
幸「ごめんなさい。もう分かりました」
唯「ほえ?」紬「むぎゅ?」
晶「律と澪って高校の時からあんな感じなのか?」
唯「そうだねぇ……ことあるごとに殴り合ったり蹴り合ったり叩き合ったり馬鹿にし合ったり罵り合ったりしてるよ」
紬「うんとね……ことあるごとに殴り合ったり(痛くないように)蹴り合ったり(ソフトに)叩き合ったり(それはもう優しく)馬鹿にし合ったり(という名の愛の囁き)罵り合ったり(という名の求愛行動)してるわ♪」
晶「なんで同じ言葉繰り返したんだ」
紬「大事なことだから♪」
幸「……」
晶「……」
菖「……そっちはどうだった?」
幸「性格から髪の毛一本に至るまで魅力を語り尽くされた」
菖「こっちも……途中から図解イラストまで入れてきたよ」
晶「私は良く分かんなかった」
菖「あの二人は凄い。絆が深いってレベルじゃない」
幸「なんだか羨ましいよね」
晶「どこがだよ。口が悪くて喧嘩っぱやいってだけじゃねーか」
菖「晶がそれを言うかー!」
菖「このー!」
ガチャッ
澪「おい、夜中なんだから静かにしろよ……眠れないだろ……あふ……」
律「そうだそうだ。睡眠不足はお肌の大敵だぞ」
幸「あ、ごめんね。起こしちゃった?」
律「まぁ、私は元々起きてたけどさ。なんせこいつが私を抱き枕にして離れないから眠れなくて。ガキかよ」
澪「ちげーよ好きあらば絞め殺そうとしただけだカス」
律「やってみろやコノヤロー。お前に殺されるなら本望だボケ」
澪「冗談だよバカヤロー。本当は夢の中でもお前に会いたかったんだよクズ」
律「いつでも行ってやるよバカ。24時間体制でな」
澪「マジでかありがとう凸カチューシャ」
律「今日は定休日です」
澪「死ね」
律「嘘だトンチンカン。さっさと来い」
澪「わーい」
菖「……」
幸「……」
晶「……」
紬「私の夢にも誰か来てくれないかなぁ……」
唯「今何時~……? ふにゅ……」
澪「あ? 気持ち悪い声出してんじゃねぇよコラ」
律「いつも素直になれなくてごめんね……私のこと嫌になったでしょ?」
澪「は、はぁ? 急になんだよ。て、てか別にそんなこと思ってない……よ//」
律「本当? 優しいね澪は。……好き//」
澪「あ……う……私もす、好き……だボケ」
律「ぎゅってしていい?」
澪「う、うん……//」
律「……じゃあチューもしていい?」
澪「ごくっ……//」
律「澪……」
澪「あ……」
――――
――
澪「はっ! ゆ、夢……?」
律「くー……くー……」
澪「ですよね……」
澪「……でも今なら眠ってる律にこっそりチューが出来る」
澪「はぁはぁ……」
律「う、ううん……澪……秋山……」
澪「……寝言か? 律も私の夢を見てくれてたんだ//」
澪「……」
澪「起きろボケナス!」
律「あ~……? うるせーなウスラトンカチ……むにゃ……」
澪「今すぐその口縫って閉じてやろうかコラ」
律「朝から訳分からんことほざくな死ね……どうせ閉じるならチューして閉じろカス……」
澪「おーおー望み通りにしてやるよ。その整った面上げろ」
律「ん」
澪「(え、本気でやる流れ? ……こ、心の準備が……!)」
律「……早くしろバーカ」
澪「わ、分かってるわバーカ!」
律「……うん//」
律 澪「んっ…………」
ガチャッ
紬「えんだああああああああああ~♪」
澪「んむー!?」
律「むー!?」
晶「わ、す、すげーもん見ちゃった……//」
菖「朝までドアの前で粘った甲斐があったね!」
幸「唯ちゃんは途中でダウンしちゃったけど」
唯「うい~……あずにゃん~……選べないよぉ……すやすや」
律「お、お前ら……! //」
菖「あ、やばい流れ?」
幸「みたい」
紬「幸せよ私……とっても……」
唯「え? 晶ちゃん? ないない……ぐぅ……」
晶「おい」
澪「勘違いするなよ!? い、今のは頭突きでこいつを永遠に眠らせてやろうかと……! //」
律「そして私はそれをやり返そうとしてだな! //」
菖「その言い訳は苦しいよね」幸「ねっ」
澪「……見られたからには生かしておけない」
律「……全員ぶっ殺す」
晶「ちょっ……来るな! 私達が悪かったからー!」
澪「琴吹ィ! 吉田ァ! 林ィ! 和田ァ!」
律「逃げられると思うなよコノヤロー!」
紬「きゃー♪」
唯「うん……? うるさいな……」
唯「そのまま一生やってろや死……って、やってるか。やってるよね」
唯「お幸せに……すぴー……zzz」
おわり
じゃねーよ!
面白いもん書いてんじゃねーぞ!
Entry ⇒ 2012.11.05 | Category ⇒ けいおん!SS | Comments (1) | Trackbacks (0)
澪「おい田井中コラ」律「なんだ秋山コラ」
律「うるせーな、これが私のやり方じゃドアホ」
澪「やり方ちげーだろコラ。どうせ余所見しながらやってただけだろカス」
律「余所見ちげーし。ちゃんと前見てたわマヌケ」
澪「前見てたって……前は私の背中だろうがクズ。背中じゃなくてドラムと楽譜見んかい」
律「うるせぇな。綺麗なお前の黒髪の後ろ姿に思わず見とれたんだから仕方ねぇだろトンチンカン」
澪「ふざけろよテメェ。それ言ったらドラム叩いてる時のお前はエネルギッシュで元気に溢れてて凄く格好いいぞコノヤロー」
律「ありがとよメルヘンお花畑野郎」
澪「どういたしましてデコ助野郎」
唯「素直じゃないねあの二人も」
梓「それ以前に何か言うべきことがあると思います」
紬「わかるそれめっちゃわかる。でも何のことかムギちゃんわかりません」
紬「はーい」
澪「また茶かコラ。少しはまともに練習する気無いのかタコ」
律「うるせー腹が減ってはなんとやらだコノヤロー」
澪「付き合ってられんわ死ね」
律「澪はケーキいらねーとさ。ガトーショコラもーらい」
律「美味いまじ美味い。やばいなにこれ」
澪「……ごくり」
律「あー……? ……チッ」
律「やっぱケーキいいわ。私ダイエットしてたんだった」
律「残すの勿体無いから誰か食ってくんねーかなー?」
唯「私が……」紬「ちょっと黙って」
澪「の、残すとかふざけんなよバカ。仕方無いから私が食べるわ。仕方無いから」
律「どーぞボケ。美味いかボケ」
澪「それはもう美味いぞありがとう凸カチューシャ」
澪「いくらなんでも遅ーよ。もう学校始まるぞふざけんな」
澪「あ? 律からメール……」
律『風邪引いた。学校休む。死ね』
澪「死ね。氏ねじゃなくて死ね」
澪「」カチカチ
澪「送信っと」
『お見舞いはゲンコツと桃缶のどっちがいいですかゴミカス』
律の部屋
律「げほげほ……澪からメール返ってきた」
律「前者選ぶ訳ねぇだろアホか。欲を言えばポカリも下さい」
律「んなの迷信に決まってんじゃんマヌケ」
律「お前あれか、勉強出来るけど頭は弱いとかそういう奴か?」
澪「帰るわ」
律「帰れ」
澪「取りにくいようにお前の対角線上にお見舞い置いておくからなノロマ」
律「勝手にしろ」
澪「桃缶とポカリと良く聞く風邪薬と蒸しタオルと自作のポエム置いてくからな」
律「最後だけいらねぇ、持って帰れバカ」
律「って、もういねぇや。サンキュー澪」
律「あーあ言っちゃった。唯さん言っちゃった。テスト開始日まで忘れようとしてたのに」
梓「ダメでしょ……」
澪「普段から真面目に勉強しないからそうなるんだよアホ」
律「黙ってろクズ。やれば出来るっつーのやれば」
澪「ほお? なら結果を楽しみにさせてもらうわド低脳」
律「吠え面かくなよド畜生?」
紬「私が勉強教えてあげようかりっちゃん?」
律「マジ心強いわムギ。百点余裕だなこりゃ」
律「今度の休みに私の家に遊びにきなよ、二人だけで勉強会しようぜ」
紬「ええ♪」
澪「」イラッ
澪「私も行く。特に意味は無いけど」
律「は? 意味わかんね」
澪「行くったら行く。空気読め死ね」
律「ふむふむ分かりやすい。どっかのパンモロベーシストとは大違いだな」
律「っていうか、なんでお前までマジで来てんの? 実はお前もテスト不安なの?」
澪「テメェと一緒にすんなタコ。見張りだ見張り」
律「見張りだぁ? なんのだよコラ」
澪「……うるさい黙れシャラップ」
律「……」
律「あっそ。勝手にしろやカス」
律「んなことしなくても私にはお前しか居ないなんて分かりきってんのによ」
澪「!」
澪「……」
澪「用事思い出した帰る死ね」
律「気をつけて帰れ死ね」
紬「尽きる。何か分からないけど尽きるわこれ」
梓「はぁ……」
澪「どうした梓?」
梓「実は憂とくだらないことで喧嘩しちゃいまして……」
梓「悪いのは私だから早く謝らなきゃとは思うんですけど気が重くて」
澪「うーん……辛いよなそれは」
梓「……澪センパイはいつも律センパイと仲良いですよね。喧嘩らしい喧嘩ってしたこと無いんですか?」
澪「冗談だろ、あの凸とは喧嘩しかしたことねーよ」
梓「え? それこそ冗談言うなですよ。あんなに仲良さげにしてるじゃないですか」
澪「は? ねーわ、ナイナイ。あんなカスと仲良くするくらいなら死ぬわ」
梓「いやだって……」
律「帰るぞ秋山コラ。外は寒いから私のマフラーにくるまってけコノヤロー」
澪「いま準備中だコラ。ここに手袋がたまたま2セットあるから一つやるよバカヤロー」
梓「それだよそれ」
唯「あずにゃん一緒に帰ろー」
梓「ちょっと待っててください。もう少しお二人を眺めてから行きます」
澪「嘘、私カサ持ってきてないぞ」チラッ
律「こっちみんなトンチンカン。実を言うと私も持ってきてないんだよ天気予報のクソッタレ」
澪「はーぁ……使えねー女。おっぱいのカップ数は盛ってるくせにカサは持ってないとか」
律「盛ってねーし! 調子のんなよバーカ!!」
澪「可哀想だな。『無い』って」
梓「その発言は私も敵に回しますよ」
律「へへーんだ! そのぶんスレンダー体系だもんね私!」
律「お前みたいなムチムチデブとは違うんだよ」
紬「」ガタッ
澪「デブじゃねーし! ちょっと……なだけだし!」
律「ざまぁ」
律「チッ……ちょっとおっぱいデカくて水着が映える体型してて釣り上がった瞳がそこはかとなくクールでポニテにすると覗いて見えるうなじが色っぽいからって!」
律 澪「お前なんか大嫌いじゃボケ!!!」
唯「この場合私はどちらにつくべきなのか」
紬「あ、小降りになったわ」
梓「これなら歩いて帰れますね。あの二人はほっといて行きましょうか」
律「大体お前はなぁ……」澪「それ言ったらお前も……」
澪「……駄目だぁ。なんにも歌詞思いつかない」
澪「スランプに陥ったかもしれないな……考えても考えても動物ネタしか出てこないや」
澪「気分転換にどっか出かけてみるか」PPP
澪「……っとお! そう思った矢先に凸から電話だよ。くだらない用だったら殺す」
澪「もしも死ね」
律『もしも死ね。今暇か? というか暇だろこの暇人』
澪「これから忙しくなるんだよバカ。何の用だコラ」
律『殴り込み行くぞ』
澪「何言ってんだコイツ」
律『殴り込みったら殴り込みだよ。ビビってんの澪ちゅわん?』
澪「ビビるかよアホ今行ってやる調子のんな」ピッ
澪「……」
澪「な、殴り込み??」
律「うっし! 見ろよ澪、パンチングマシーンで新記録出したぞ」
律「お前にこの記録を越せるかな?」
澪「……『殴り込み』、ね」
澪「もう帰っていいか? 色々やることあるんだわ私」
律「ん? 逃げんのか秋山。だよなぁ、この記録見ちゃったら自信無くすよな」
澪「いーま、なんつったぁ田井中コラ」
澪「こんなもん利き手じゃない右手でも余裕だわ」
澪「ほうらよっと!」バシーン!
澪「はい、新記録~」
律「……マジか」
澪「ごめんねぇ強くてさぁ?」
律「じ、じゃあ今度は音ゲーで勝負だ! これなら……!」
澪「上等だコラ。格の違いを教えてやる」
澪「ぜぇ……ぜぇ……なんて無駄な時間を過ごしてしまったんだ」
律「やめたやめた。帰る」
澪「誘っといてそれか死ね」
律「じゃあこれやるよ」
澪「……なんだこれ。不細工なぬいぐるみだな」
律「お前が来る前に暇だから取ったんだ。秋山にはお似合いだろ」
澪「別にいらないし、私の趣味じゃないし、そんな風に言われて渡されても嬉しくないし」
律「いらなきゃその辺に捨てといてくれ」
澪「でもこんな所にこんなゴミ捨てたら怒られるから持って帰る」
律「じゃーなバカ」澪「またねバカ」
澪「……」
澪「(なんか今日は良い詩が書けるかもしれない)」
律「(そりゃ良かった)」
澪「!?」
澪「なんだ田井中コ……」
律「……ぐすっ」
澪「……なんで泣いてんだよアホ」
律「……」
澪「何か嫌なことあったのか」
律「……おう」
澪「……言ってみろよ」
律「やだ」
澪「はぁ? ふざけ…………いや、いいか」
澪「隣に来い」
律「……命令すんな」すっ
澪「いいから。……辛いならせめて一緒に居てやるってんだよ」
律「……嬉しいよバカ」
澪「だって好きだからな……バカ」
澪「遅い。また風邪でも引いたのかと心配したろうがクズ」
律「ごはんが美味しくて止まらなかったんだよボケ」
澪「ふざけんなコラ。くだらない理由で待たせんな寂しいだろーが」
律「うっせーなデカチチ。これからは気をつけるよコノヤロー」
唯「あ、澪ちゃんとりっちゃんだ! おはよー」
梓「今日もお二人で登校ですか? 仲の良いことで」
紬「ふふ、素晴らしいわ」
律「なんだなんだゾロゾロと」
澪「おはよう」
梓「ご都合……」紬「それ以上はいけません。めっ!」
澪「な、なんか良く分からないけどみんなで一緒に登校するか」
律「めんどくせーけどな畜生」
唯「うん! ……あれ?」
梓「どうかしました? 唯センパイ」
唯「澪ちゃんとりっちゃんが手を繋いでる!!!」
紬「えっえっ? ホントだぁ! //」
唯「ねぇねぇなんで手を繋いでるの? しかもそれ恋人握りってやつだよね?」
律「あ、いやこれは……!」
唯「逃げ出さないように……なるほど、つまり澪ちゃんはりっちゃんを離したくないほど好きなんだね!」
澪「ち、違う! そういう意味じゃなーい!」
梓「束縛する女は嫌われるというお話がありますけど、そこんとこ律センパイはどうですか?」
律「……//」
澪「あ、赤くなってんじゃねぇ!? バカかコラ!?」
紬「挙式はいつですか?」
澪「しねーよ!」
律「あーもーうるせーうるせー! 澪なんて大嫌いだっつーの!」
澪「私だって大嫌いだこんなデコ助野郎!」
律 澪「お前なんか私と付き合ってその内結婚して子宝に恵まれて暖かい家庭を築いて幸せな日々を送って老後は沢山の孫に囲まれて笑顔で私と一緒に死ねばいいんだよ!!!」
唯「一字一句間違わずに淀みなかったね」
梓「私もう知ーらない」
澪「田井中コラァ!」
律「なんだ秋山コラァ!」
澪「あと死ね」
律「ずっと一緒さ澪おおおおお!!!」
律「テメェが死ねボケ」
紬「ねえ二人のこれからを記録してもいい? 大丈夫悪用はしないから。私的利用するだけ!」
律 澪「ふざけんな死ね。こいつの全ては私のものだ」
唯「もう一生やってろや死ね」
おわり
グダグダなったのは反省するからねかせて
は?ふざけんな死ね!
温かい布団でぐっすり死ね!!
朝まで幸せな夢見ながら死ね
Entry ⇒ 2012.11.04 | Category ⇒ けいおん!SS | Comments (1) | Trackbacks (0)
唯「カツカレー」
SIDE:PORK
紬「そうだね~」
夜の十時。
唯と紬はオフィス街の大通りを歩いていた。
今日は夏休みが終わり大学が始まって最初の金曜日。
講義が終わった後二人はドーム球場へ野球を見に行った。
当初は電車に乗って帰るつもりだったが駅までの道に野球観戦客がごった返していたので諦めた。
加えて球場のビール売り子と美味しそうに飲みだす客を見ていたら二人も飲みたい気分になり、
それなら朝まで飲んじゃえーという事になったのだ。
その場でビールを頼まなかったのは二人ともビールがあまり好きではなかったから。
唯「でもお酒が飲みたくなっちゃったんだよね」
紬「うんうん」
紬「私もびっくりしちゃった! 応援団の人達もすごかったわね」
唯「迫力あったなー」
紬「あっ!」
唯「どうしたの?」
紬「もしかしたら私達テレビに映ってたりして!」
唯「ハッ!? 誰かにテレビ録画しておいてもらえばよかった~!」
二人とも野球に興味があんまりない。
サークルの先輩からチケットを二枚貰った時に「あーあたし野球興味ないからパス」「私も野球はよく知らないから……」
となってドームで野球を見るのが夢だったりなんとなくわくわくした人がチケットを握っていた。
夜遅くなるとオフィスの明かりが消えて人や車も少なくなるので都会の割には穏やかな景観だ。
街路樹の葉の色が落ちていく時期の夜は涼しい風が吹いていて散歩には丁度いい。
熱気溢れる応援にあてられた身体が程よく冷まされる。
唯「何食べようか? あーでもこの辺あんまり食べるところないね」
今探しているのは居酒屋ではなく普通の飲食店。
居酒屋で長時間飲み食いすると会計が跳ね上がってしまうので先に食べ物で腹を満たすという作戦だ。
腹を満たした後で少量のおつまみとお酒をちょびちょびいただくというお金に困っている学生ならではの可愛い(?)発想。
酒で腹を満たすという発想はこの二人にはまだない。
唯「ムギちゃんがっつりいくね」
紬「あいむはんぐりー。ほら、あそこに黄色い看板が」
唯「カレーかあ……うんいいねえ。じゃあカレーに決定!」
紬「やったぁ」
暗く静まった通りに黄色い看板がよく目立つ。
店の前まで来て中を覗くと客は誰もいなかった。
唯「私達の貸切だね」
紬「わくわくっ」
店内に入りカウンターに座る。
この店のカレーはルーやライスの量、辛さやトッピングを自分好みに選ぶことができる。
唯がそれを教えてあげると紬は目を輝かせながら悩み始めた。
辛さやトッピングの他に元のカレーにも様々な物があり、
豚しゃぶカレーやチキン煮込みカレー、他にもハンバーグやカキフライや納豆が乗っているものもある。
紬「いけない。私食べたいカレーがあったんだった」
唯「何カレー?」
紬「カツカレー!」
唯「カツカレー!?」
唯「なんとなくわかるけど……夜の十時過ぎてるよ? それに元々カレーなんだよ?」
紬「言わないで! いいの、今夜カツカレーを食べなかったら別の後悔が残るから……!」
唯「あ、うん、そうなんだ……」
紬「せめてルーはカロリー少なそうなのにしておこうかな。ビーフとポークだったらやっぱりポークの方がヘルシー……?」
紬「ハーフサイズはちょっと少ないかもだし……カレーちょっぴりライスたっぷりとか? うーん、いやでも」
唯「私はビーフの気分かな~。ムギちゃんがカツカレー食べるなら私もカレーにあげもの乗せよーっと」
唯「おあ、カニクリームコロッケカレーなんてものが!? 私これにするー♪」
紬「ぐ……!」
唯「ムギちゃん?」
唯「あ、うん、そうなんだ……」
唯「えっと、辛さはどうしようかな。クリームコロッケと歩調を合わせて甘口か……あるいはカレーならではのコラボで辛口に」
紬「そっか、私『5辛』っていうの経験してみたかったけどカツとの相性を考えるとあんまり好ましくないのかな」
唯「『5辛』は相当な大人味だと思うよ」
紬「辛さが増す分舌が麻痺してしまうからカツのおいしさが半減しちゃうかも……」
紬「となると『普通』か『1辛』あたり……やっぱり初めてのお店だしまずは『普通』の辛さにしようかな」
紬「私も。すみませーん、カツカレーお願いします。はい、普通で、ポークで」
唯「えっと、カニクリームコロッケカレーでルーはビーフでライスと辛さは普通で」
唯「あとトッピングでカニクリームコロッケ追加して下さい」
紬「!?」
唯「えへへ、節約するつもりだったんだけどつい頼んじゃった☆」
紬「ぐ……!」
唯「ムギちゃん?」
パリパリのカツに少しルーがかかっていて食欲をそそるカツカレー。
それより少しだけ色の濃いビーフカレーの上に丸い揚げ物が四つ並ぶカニクリームコロッケカレー。
唯紬「いただきまーす」
二人とも揚げ物が乗っているので福神漬けは乗せずに召し上がる。
結構多いな
アツアツホカホカだったので口をはほはほさせながらカレーを味わう。
程よい辛さにしたのは正解で、家のカレーとも寮のとも違う新しい味に心が踊る。
料理は作り手によって味が変わるがカレーはそれが顕著に現れる。
辛さ、スパイス、こく、具、水分の量による水っぽさ加減等により同じカレーであっても好き嫌いが別れたり。
紬が以前食べたカレーの中にはそれこそカツが乗っていなくても3500円するようなものもある。
対して今食べているカレーはカツがついて700円なのだが紬にとっては新鮮な味のカレーだった。
家の味や高級洋食店とはまた違った味なのは当然で、それが個性であり長所。
誰が何と言おうと今紬は美味しさを感じている。
『おいしい』は一種類じゃない。
カレー屋のメニューやトッピング、それを上回る作り手やお店や家庭の数だけ『おいしい』があるのだ。
ルーのかかっていない部分にスプーンを差し込むとサクサクッといい音がした後に弾力のある肉厚を感じる。
それをルーと一緒に頬張った。
辛すぎないカレールーのおかげでカツの味がダイレクトに舌を刺激する。
定食屋や自宅のおかずでカツが出てきたらカレーソースをかければいいんじゃないか
と思える程カツとカレールーの相性は良く、後続のごはんが加速する。
カツとカレーとごはん。
食事している時刻も相まって重みのあるボディブローのような一撃。
カロリー的にはノックアウトだが銀のスプーンが止まる事は無かった。
蓄積される辛さと熱さから額に汗を浮かべて夢のコラボレーションを食べ尽くす。
ポークとビーフってルーの味どのくらい違うんだろう。
でもチキンカレーもいいなー。
チーズトッピングもおいしそうだなー。
ああーカニクリームコロッケおいしいなーと思いながら幸せそうにもぐもぐしている。
唯紬「うまー……///」
唯紬「ごちそうさまー」
二人ともいっぱい満足して店を後にした。
街路樹がなびいて再び火照った身体にそよ風。
満たされて気分のいい二人は飲み屋へ向けてゆっくりと歩き出す。
唯「私もー。なんだか眠くなってきたかも」
紬「だめよ~。今食べた分はちゃんと燃焼してから寝ないと」
紬「飲み屋さんまできっちり歩いて、それから飲みながら燃焼するの! あ、もうちょっと回り道したり……?」
唯「あ、うん、そうなんだ……いやそれはちょっと」
紬「うん、カツカレーにしてよかった~。みんなに自慢しちゃおう」
唯「カニクリームコロッケもおいしかったよー。あ、カツと交換してもらえばよかった」
紬「そっか、食べるのに夢中で気付かなかったわ」
唯「ムギちゃんの食いしん坊めー」
紬「唯ちゃんだってコロッケ追加までしたくせにー」
唯「えへへっ」
紬「うふふ」
カレーを食べてさらにテンションの上がった二人の会話はどんどん盛り上がっていく。
その勢いで色々と突っ込んだ話をしようとして、でもこの話はお酒を飲みながらだなと思い留まる。
夜の静かな街を散歩しながらお喋りもいいけれど甘いカクテルで割りたい話もあるのだ。
大通りから脇道へ逸れると学生に丁度良さそうなチェーン店の居酒屋が見つかった。
チェーン店の割には落ち着いていて味のある雰囲気を醸し出している。
二人は店先にあるメニューを見てこの居酒屋で飲み明かす事に決めた。
紬「オムそばっていうのがある! わぁい焼きそばが包まれてる!」
唯「え゛っまだ食べるの!?」
紬「そうよね……これ以上は流石に……やきそばぁ」
唯「ま、まあ夜は長いからね。おつまみとしてちょっとずつ食べれば……」
唯「誘惑に負けてるよムギちゃん」
紬「大丈夫、カツカレーで総裁にだってなれるもん!」
唯「おわームギちゃんもう飲んでるみたいだね!」
紬「さぁ行くわよ唯ちゃん、今夜は話したい事が沢山あるんだから!」
唯「おぅ! 私もあるよっ!」
喝を入れて居酒屋へともつれ込む。
じっくりコトコト煮込んだ話は甘口だけどちょっぴり辛い。
二人の夜はまだまだこれから。
カツカレーが食べたい。
SIDE:PORK END
俺もカツカレー食べたい
唯とムギと一緒にカツカレーを食べたい
SIDE:BEEF
唯「ほっ! こんな感じかな」
晶「まあそんなとこだな」
唯「やったー晶ちゃんのおかげでこのフレーズ弾けるようになったー! ありがとー」
晶「楽譜読めないってお前今までどうやってギター弾いてきたんだよ」
唯「読めるようにはなったんだよ? でも実際に弾いてるの聞かないとピンとこないっていうか」
晶「ダメだろそれ……って何で私は敵に塩送るような事してんだ……」
唯「敵って?」
晶「学園祭でバンド対決するだろ! 何で忘れてるんだよ!」
唯「え? ……あっ! 忘れてないよ!」
晶「うそつけ」
晶「よくねーよ」
唯「でも本当にありがとね。そだ、お礼もかねてこれから飲みに行かない?」
晶「おっ唯のおごりか。それなら……」
唯「えっワリカンだけど」
晶「お礼じゃなかったのかよ! 話の流れ的におごりだろ!?」
晶「何だかんだで飲みに行くことになっちまった……」
唯「えへー♪」
晶「あんだよ」
唯「何でもないよ~」
晶「割り勘で何がお礼なんだよ」
唯「だって今厳しいんだもん」
晶「余計なもんばっかり買ってるからだろ」
唯「えーそんな事ないよ。あ、だからさー先に何か食べていかない?」
晶「はあ?」
唯「ね?」
晶「そんなの大して変わらねーよ……あ」
唯「あ?」
晶「……」がさごそ
晶「いち、に、さん、よん枚……まぁ、食べた後で飲むのもいいかもな」
唯「……」フスッ
晶「おい今鼻で笑っただろ」
唯「笑ってないよ」フスッ
晶「こいつ……!」
唯「そうだねー何食べようか?」
晶「くっ……んーそうだな……あ、カレー」
唯「えー目の前のお店選んだだけじゃん」
晶「ちげーよカレーが食べたいんだよ」
唯「めんどくさいだけじゃないの?」
晶「そういうお前は何が食べたいんだよ」
唯「えっ? うーん……ううん……カ、カレー?」
晶「おい」
唯「じゃ、じゃあカレーにしよっか!」
唯「何カレーにしようか」
唯「うーん……カツカレーもいいけど……ハンバーグカレーもいいねえ」
唯「うおっカキフライカレー!? おいしそー」
唯「トッピング! そういうのもあったね」
唯「チョコカレー……はないか。半熟タマゴとか?」
唯「あーんどれにしよう~」
晶「いいからまず店に入れよ!」
唯「ああん待って」
晶「私はもう注文決まってるから」
唯「何にするの?」
晶「ビーフソースでビーフカツカレー」
唯「あっいいなー」
唯「カツも捨てがたいけどシーフード系もいい……」
唯「海の幸で行くかカツで行くか……」
晶「すいませんビーフカツカレー下さい」
唯「ああっ!? 私まだ決めてないよー!」
晶「選ぶの遅すぎ。待ってられるか」
唯「ええーじゃあえっと、カニクリームコロッケカレー下さい」
晶「……」
唯「うう……」
晶「……」
唯「間を取ってカニコロカレーにしたけどやっぱりカツがよかったかなあ……?」
唯「……ねえ晶ちゃん」
晶「やらねー」
唯「まだ何も言ってないよ!?」
唯「一切れ交換しよ?」
晶「いただきます」
唯「……いただきます」
晶「もぐもぐ……ん、まあまあだな」
唯「ん! カニクいームコおッケおいひい!」
唯「これにしてよかった~♪」
晶「何でもいいんじゃねーか」
晶「だーめーだ」
唯「カニコロおいしいよー?」
晶「う……いやだめだ」
唯「ケチー」
晶「ケチじゃない。私がカツカレー食ってるのには意味があるの」
晶「カツカレーを食べてお前に勝つっていう大事な意味が」
唯「あっもしかして早食い勝負だった? しまった出遅れた~」
晶「ちげーよ! バンド対決の話だよ!!」
晶「そうだ。という訳でお前にカツはやらん」
唯「……」
晶「もぐもぐ」
唯「それじゃあ仕方ないか……」
晶「もぐもぐ」
唯「……カツ、カニ、かにくり、ころ……ハッ、ウィンナーカレーにしておけばよかった」
唯「……上手い事言ったね私……ウィンナー、ウィナー……フスッ」
唯「それなら交換出来たのに……ああメニューにウィンナーカレーないや。ソーセージカレーでも大丈夫かな……?」
晶「……」
唯「え?」
晶「一切れだけだからな」
唯「くれるの!? やったぁ! あっでも私もカツカレー食べたら私が勝っちゃうかもよ?」
晶「一切れだけだから私の方がご利益があるの。そもそもカレーじゃなくて実力でお前に勝つからいいの」
唯「わぁい晶ちゃんありがとー♪ お礼にカニコロいっこあげる~」
晶「別にいらね――」
唯「いいからいいから」ベチャ
晶「……」
晶「じゃあ、もぐ」
晶「もぐもぐ……結構美味いな」
唯「でしょー?」
唯「はー美味しかった」
晶「まあまあだな」
唯「晶ちゃん黙々と食べてたくせにー」
晶「……」
唯「カツカレーを食べてまで私達に勝ちたいとは……私に一切れもあげたくないほどに」
晶「ちゃんとあげただろ」
唯「これには何かある……ハッ!?」
唯「そういうことだったんだね晶ちゃん……」
晶「は?」
晶「はあっ!?」
唯「そうなると私達は恋敵になるのか……でも手は抜かないから!」
晶「ならねーよ! そもそも告白はまだしねえよ!」
唯「なーんだ。……ん? 『まだ』しないって事はその内また……?」
晶「ぐああぁ……!」
晶「うるせーよ!」
晶「くっそぉ……何で私だけ好きな人ばらされて唯にまでいじられなきゃならないんだ……」
晶「私の事ばっかりでお前らそういう話全然しないし……きたねえ」
唯「まあまあ」
晶「よし決めた。今日は朝までお前の好きな人とか全部聞き出してやるから覚悟しとけよ」
唯「え」
唯「ええっと……でも私そういうのあんまりなくて――」
晶「ちょっとあれば十分だ。今までのそういう話全部話してもらうからな」
唯「いやぁ、でもぉ……恥ずかしいよぉ///」
晶「ふざけんな散々人の話ほじくり返しといて。よーし飲み屋行くぞ」
唯「あ、私用事が……」
晶「さっきまでギター教えてやったよなぁ?」
唯「それは……はい」
唯「いやあ、ええと、あっレポート書かなきゃ」
晶「お前はいつも溜め込んでるから一日くらいかわんねーよ。ほら行くぞ」
唯「うえあぁぁ……」
晶「腹も満たしたし今夜はたっぷり飲めそうですねえ唯さん?」
唯「……もうカツカレーはしばらく食べなくていいやもう」
晶「カレーのせいじゃなくてお前の失言だからな」
唯「はぁい……」
その後酔ってさらに勢いのついた晶に質問攻めされて唯はあんまり酔えなかったとさ。
おまけに酒の量まで勢いづいてしまい、酔い潰れた晶を介抱しながら寮まで帰る事になってしまった。
うなだれる晶に肩を貸しながら唯はお酒を飲む時にこの話題は出さないようにしようと朝日に誓うのだった。
SIDE:BEEF END
腹減るわ
Entry ⇒ 2012.10.18 | Category ⇒ けいおん!SS | Comments (0) | Trackbacks (0)
古畑「放課後ティータイム…?」
えー、突然ですが皆さん。自分の学生のころを思い出してみてください。
部活動に打ち込み、屋上で授業をさぼり、テスト前には慌てふためき…
そして…、恋愛に燃える。
だいたいそんな学生時代を送ってきたのではないでしょうか。
もちろん『そうではない』という人もいるでしょうが…んっふっふ。
それはともかく、学生時代には良くも悪くもたくさんの思い出が詰まっているものです。
私の学生時代はというと…んー…。
律「じゃあみんな、これが今んとこの大まかな計画ってことで。わかったか?」
澪紬憂「……」コクリ
律「…唯?」
唯「えっとー…あはは、ごめんりっちゃーん、よくわかんなかったからもう一回言ってよぉ…」
律「お、おいおい…」
憂「お姉ちゃんっ、帰ってから私が説明してあげるから…」
唯「ううう…ごめんね~憂ぃ~」
紬「あらあら」
澪「やれやれ…先が思いやられるな」
律「とにかくだ…いいか、みんな。このことは絶対梓には漏らs」
ガチャッ
梓「こんにちはーっ」
唯律澪紬憂「!!」
梓「どうしてここにいるの…?」
唯「ああああのねあずにゃん、これは…」
憂「お、お姉ちゃんがピック忘れちゃって!それで届けに来たら、お茶に誘われちゃったんだ~」
唯「そ、そうそう!いつも迷惑かけてごめんね~憂~」
梓「そうなんだ…」
梓「でもわざわざ届けに来るぐらいなら、私に預けてくれればよかったのに」
憂「あーそれは…つい預けるの忘れちゃってて…あはは」
紬「気にしないで、いつでも飲みに来てね~」
律「またな~」
澪「じゃあまた、憂ちゃん」
憂「はい!じゃあね、お姉ちゃん」
唯「ばいば~い憂~」
憂「梓ちゃんもまた明日」
梓「う、うん。また明日」
ガチャッバタン
梓「…で、先輩方」
梓「いったい何の話をされてたんですか?」
唯律澪紬「ギクッ」
梓「教えてください」
紬「あ…梓ちゃん、お茶いらない?」
梓「あ、いただきます。で、律先輩。いったい何の話をされてたんですか?」
律「あーっと、それはぁ…」
澪「えーっとだな…」
梓「……」ジトッ
唯律澪紬梓「…………」
紬「?どうしたの、唯ちゃん」
唯「…ぷくくくくっ」
澪「ゆ、唯?」
唯「あははははっ!ごめーん、わたしもう限界!」
梓「ど、どうして笑ってるんですか?」
唯「ねぇねぇりっちゃーん、もうネタばらししようよ~」
律「おっ、おい唯!?」
唯「内緒話してるふりしてただけだってさぁ~」
梓「へっ?」
紬「…もう唯ちゃん、バラすの早すぎよぉ?」
唯「えへへ、ごめんごめん」
澪「はぁ…やっぱり唯にこういうのは無理だったな」
梓「なんだ…そうだったんですか…」
梓「ま、まあそんなことだろうと思ってましたけど」
律「あれあれ~?の割にはちょっと不安そうな顔してたぞ~?」
梓「うっ…、き、気のせいです!」
唯「え~、久しぶりの部室なんだよ、あずにゃん」
律「せっかく工事が終わって部室に戻ってこれたんだしさ~、もうちょいゆっくりしようぜ~」
梓「だめですよ!部長が何言ってるんですか!」
紬「梓ちゃん…せっかくお茶淹れたのに、いらないの…?」
梓「あ…」
梓「い、いえ、そんなことは…」
紬「ケーキもあるのよ♪」カチャ…
澪「じゃあ、梓がお茶飲み終わってから、練習しようか」
唯律「さんせ~い!」
梓「うう…」
唯「じゃあみんな、また明日ね~」
梓「みなさん、お気をつけて」
律「おう!じゃあな~」
澪「また明日」
紬「学校で会いましょう~」
スタスタ…
律「今日は唯の機転のおかげで助かったな~」
紬「ほんと、唯ちゃんのアドリブには驚いたわぁ」
澪「でも何度も通用する手じゃないだろ。今度からもっと気をつけないと」
律「へいへい、わかってるって」
紬「それにしても、梓ちゃん…」
紬「私たちの前だと、全然いつも通りにしか見えないね…」
澪「そう振る舞ってるんだろ。私たちに心配かけないように…」
澪「早く、助けてやらないとな」
律「ちきしょー…許せねぇよ」
和「立花さん、秋山さん、松本さん、秋山さん、秋山さん…」
和「というわけで、3年2組の学園祭の出し物、ロミオとジュリエットのロミオ役は、秋山澪さんに決定しました」
一同「キャーキャー」
澪「あわわ…」プシュー…
律「よかったなぁ澪~」
和「田井中さん、ジュリエット役、お願いね」
律澪「い、異議あり~!」
和「でも立候補も推薦もいなかったし、何よりみんなの投票で決まったでしょう?」
律澪「あぅ…」
和「まず、衣装ですが…」
さわ子「はい!立候補します!」
和「え?で、でも、先生にそんなこと…」
さわ子「大丈夫、悪いようにはしないから…」
澪「どうする…?」
律「うーん…バンドの練習に劇の練習も入ってくるとなると…動きにくくなるな」
紬「大丈夫よ。私がもう一度計画を練り直してくるわ」
唯「え、でもムギちゃん、劇の脚本も書いてるんじゃ…」
紬「いいのよ、脚本はほとんど出来上がってるし、何より…」
唯「何より?」
紬「私、一度こういう計画立ててみるのが夢だったの~♪」
唯「……」
律「とにかく、放課後はあたしたち教室行くふりしてちょっと話し合うからさ」
律「唯は部室で梓のこと見張っといて」
唯「了解ですりっちゃん隊員!」
~軽音楽部部室~
梓「へぇ、じゃあクラスで劇やるんですね」
紬「そうなの~」
梓「それで澪先輩はあんなに…」
澪「…私…トンちゃんになりたい…」
梓「……」
梓「それにしても、律先輩がジュリエットだなんて…」
梓「…ぷっ」
梓「ははっ、すみません、あはは…ぷっ」
律「まだ笑うか~っ!」
梓「すみませ~ん!」
梓「あれ?じゃあ唯先輩は…」
唯「木!Gだよ!」
梓「A、B、C、D、E、F…木ってそんなに必要なんですか」
唯「むぅ…じっとしてないといけないなんて、なんて難しい役!」
律「はは…」
紬「じゃあ私、セリフのチェックがあるから教室行ってるね」
律「あぁ待って、ほーら澪、行くぞ~」
澪「うあぁ、やだ、やだ~!!」
ズルズル…バタン
梓「……」
梓「唯先輩は行かなくていいんですか」
唯「じっとしている練習してなさいって、和ちゃんが」
梓「はぁ…」
憂「お待たせしちゃってすみません。喫茶店の準備でなかなか抜けられなくて…」
澪「いや、気にしなくても大丈夫だよ」
紬「憂ちゃん、さっそくだけど、みんなの役割についてちょっと話し合っていたの」
紬「それでね、まだ大まかにしか決まっていないんだけど」
紬「憂ちゃんには唯ちゃんのふりをしてもらって、できるだけ人目に付くように梓ちゃんに話しかけてほしいの」
律「その間にあたしらが…やるからさ」
憂「えっと…あの、お姉ちゃんと入れ替わるぐらいなら私が…」
律「それに…」
憂「?」
律「万一の時は、唯より憂ちゃんの方が機転利きそうだしな」
憂「あ~…」
紬「とりあえず、あとのことは私が家で考えてくるね」
律「ああ、頼む」
澪「悪いな、ムギ」
文化祭1日目
7時30分頃:3年2組教室
唯(時間になった…!まずはわたしが教室から音もなく出るっ)
ソロ~…トテテテ…
澪(…!唯が出て行ったな。いよいよか…)
和「今日は劇の本番よ!気合い入れていきましょう!」
一同「おーっ!」
澪「ブツブツ…ブツブツ…」
和「あら…?」
和「どうしたの?澪」
澪「…………」
和「…澪?」
澪「あぁあああああ~!やっぱりダメだぁ~!」
一同「ざわざわ…」「どうしたんだろ秋山さん…」
和「ちょっと澪、落ち着いて!」
澪「やっぱりダメだよ和~、私にロミオなんて無理だよ~」
和「ちょっと、いまさら何言って…」
ガチャッ
律「ロミオ、あなたはなぜロミオなのぉ?」
澪「律~」ヒシッ
澪「わっちょっ…と、なっなんだよ澪!」
和「ちょうどよかったわ、律」
和「実は、澪がまたロミオはできないって言い出して…」
律「は?また?今日本番なのに?」
澪「りつぅ~りつぅ~…」
律「ったくしょうがないな…。なぁ和、どっか空いてる教室ない?」
和「今なら生徒会室が空いてると思うけど…何するつもり?」
和「でも、わざわざ移動しなくてもいいんじゃない?」
律「そうかもしれないけど…」
律「ここじゃ澪がみんなの目を気にしちゃうかもしれないからさ。人気のないとこがいいんだ」
和「そう…じゃあ任せるわ」
律「鍵空いてるかな?」
和「鍵は職員室にあるわ。一般の生徒には貸してくれないと思うから、借りに言ってくるわね」
律「悪いな和、生徒会室の前で待っとくよ」
澪「ひっ、やだ、離せ、離せ~!」
ズルズル…
一同「……」
紬「ええと…あっ、エリちゃん」
エリ「ん?どうしたのムギ?」
紬「唯ちゃん知らない?」
エリ「あーそういえばさっき出ていくの見たなぁ。なんか用事?」
エリ「へぇ…そここだわるんだね…」
紬「うん、もちろん♪」
エリ(やっぱりムギって不思議な子だなぁ…)
紬「じゃあちょっと探してくるから、見かけたら私が探してたって伝えておいてね」
エリ「うん、オッケー」
紬「ありがとう、エリちゃん」
ゴソゴソ…
憂「お茶はとりあえず掃除ロッカーの中に隠しておけばいいかな…」
憂「うぅ…ちょっと汚いけど仕方ないよね…」
憂「保冷剤も一緒に入れたし、領収書ももらっておいたし、これでよし、と」
純「あれ、おっかしいなー…」
憂「どうしたの?」
純「お茶がないんだ、梓と買いに行ったはずなのに…」
憂「忘れてたんじゃないの?」
純「うーん、そんなはずないんだけどなぁ…」
憂「私買いに行こうか?」
純「え?いやでもそんな…」
憂「だって、ないと困るでしょ?大丈夫だよ、すぐ戻ってくるね!」
純「あっ憂!…行っちゃった…」
憂「あ、モブちゃん!」
モブ「ああ、憂ちゃん」
憂「梓ちゃん見てない?」
モブ「あー見てないなー。どうしたの?」
憂「ちょっと話があったんだけど…。見かけたら声かけておいてくれないかな?」
モブ「いいよ、わかった」
憂「ありがとね、モブちゃん」
和「お待たせ」
律「おっ和」
和「これ、鍵ね。終わったら私に返して」
律「わかった、サンキュー和」
和「ええ」
律「さて…」
澪「ひっ」
律「入るぞ、澪」
澪「いっ…ゃ……はい…」
律「じゃ、またあとで」
和「頼むわね、律」
憂「えっと、制服のタイを青に変えて、髪留めをつけて、と…」
憂「じゃーん♪お姉ちゃんの完成!」
憂「あとは梓ちゃんに会って、3年生の教室に行って…」
曜子「……」スタスタ…
?『~~~~!』
?『~~~~!』
曜子「あら…?」
律『…だーから、一度約束したじゃないか!』
澪『な、なんのことかなー』
律『とぼけるなっ!この前ロミオ役頑張ってみるって約束したばっかだろ!あの時の約束は、嘘だったのかぁ!』
澪『聞こえない聞こえない聞こえない…』
曜子「秋山さんかわいそう…だけどロ澪も見たい…」
~生徒会室内~
ラジカセ『大体お前は…ギャーギャー…』
ガチャッ
律「わりぃ、待った?」
唯「あ、りっちゃん澪ちゃん、急がないと!」
澪「人通りがなかなか途切れなくてさ…ごめんな」
紬「まあまあ、まだ余裕はあるから」
律「じゃあ…みんな、準備はいいな」
唯澪紬「……」コクリ
律「今から被服室に行く」
紬「さわ子先生自身が被服室に近づかないように言っていたから、あの辺りには誰もいないはずよ」
律「ああ、そこは運が良かった」
澪「ああ」
紬「うん」
唯「了解ですりっちゃん隊長!」
律「共に作戦を成功させようではないか、唯隊員!」
澪「ふざけてる場合じゃないだろ!」
律「わあってるって、ちょっと気合い入れただけ」
唯「あ、ロープは…」
紬「唯ちゃん、私が持ってるわ」
唯「おおっ」
律「よし、じゃ…行くぞ」
カチャッ…
憂(あ、梓ちゃんだ…)
そろ~っ…
憂「あーずにゃん♪」ダキッ
梓「わっ、ゆ、唯先…輩?」
憂「ん?どうしたの?あずにゃん」
梓「い、いえ…」
憂「あ~ん、和服衣装のあずにゃんもかわいい~♪」スリスリ
梓「ちょっともう、やめてくださいよぉ…」
周りの生徒「……」ジロジロ
梓「って、そういえば憂が私のこと探してたらしいんですけど…、見てませんか?」
憂「ほぇ、憂?うーん、見てないなぁ」
梓「そうですか…ところで、唯先輩はここでなにしてるんですか?」
憂「ぶらぶら!」ピース!
梓「そんな自信たっぷりに言わないでください」
憂「あずにゃんはなにしてるの?」
梓「わたしは、ちょっと…先輩の教室に行ったり…」
憂「え?なんで?」
梓「先輩方がいなかったので、すぐ帰りましたけど」
憂「そっかぁ~。あ、忙しいのにごめんねあずにゃん」
梓「いえ、そんな。先輩も木の役頑張ってくださいね」
憂「あー、木Gだよあずにゃん!」
梓「あはは、すみません」
憂「じゃあね~!」
タタタ…
憂「ふう…うまくいった…かな?」
憂「あとはお姉ちゃんのクラスに行かなきゃ」
律「誰も見てないな…行くぞ」
ガラッ
さわ子「だれ!?」
律「失礼しまーす」
唯「お邪魔しまーすさわちゃん」
さわ子「あ、あなたたち…」
唯「わーっ、かわいい衣装♪原始人みたーい」
澪「それかわいいっていうのか…?」
律「なになに?『2年2組 衣装』…何か劇でもやるんだっけ?」
紬「あー、私外で見たよ。確か…」
さわ子「こら!…入ってきちゃダメって言ったでしょう?」
唯「えーなんで~?」
律(澪…鍵)
澪(え?ああ…)
カチャッ…
憂「やっほー」
エリ「あっ唯ー」
憂「なにエリちゃん?」
エリ「ムギがさっき唯のこと探してたけど…」
唯「あー今さっき会ったよ~、なんかねぇ、木の立ち位置のこととかいろいろ言われちゃった」
エリ「そっか、ならもういいんだね」
唯「うん、ありがとー…えっと…(ヤバい、名前がわからない…!)」
エリ「?」
三花「エリー、ちょっとこっち手伝ってー!」
エリ「あ、はーい!」
憂「……っ」ソーッ…
タタタッ…
さわ子「なんでって、唯ちゃん…劇のもライブのも、どんな衣装作ってるかは内緒なんだからね?」
唯「えーっ、ないしょって、それだけ?」
律「へー…てっきり誰か生徒を連れ込んでるから入ってくるなって言ってるのかと思ったよ」
さわ子「え…?あなたたち、なに言って…」
澪「先生、私たち知ってるんです」
紬「先生が今まで、梓ちゃんに何をしてきたのかを」
さわ子「……っ!」
さわ子「な、なにをふざけたことを…教室に戻りなさい!私は忙しいの!」
律(背を向けた…ムギ)
紬(……)コクリ
バッ
さわ子「ぐあっ!あ、あなたたち…」
律「押さえろ!」
ギリギリッ…
さわ子「かっ…はっ……」
ギリ…
さわ子「…かっ……」
さわ子「…………」
律「ムギ…もういいよ」
紬「あ…うん」
ドサッ
澪「……」
唯「やっちゃったね、ついに…」
紬「…そうね」
律「…ほら、ぼけっとしてる暇ないぞ、みんな急ご」
澪「あ…うん」
紬「そうよ。あ、りっちゃん、足持って。澪ちゃんは配管にロープを吊るして」
澪「わ、わかった…」
唯「澪ちゃん、ほい、椅子」
澪「ありがとう」
澪「よいしょ…っと、っとと…!うわぁ!」
ドテッ!
律「な~にやってんだよ、澪!」
澪「ご、ごめん…」
澪「ん、しょっと…、できたよ」
紬「じゃあ、私が死体を背負うわ」
唯「わたし、落とさないように支えるね」
律「ロープ首にかけるよ。澪は椅子が動かないように抑えといて」
澪「うん」
ギシッ…ブラン
紬「できた…わね」
唯「さわちゃんオバケみたい…」
律「オバケ…っていうかホトケになったんだけどな」
律「おう、頼むムギ」
唯「…わたしたちのステージ衣装、まだ作ってなかったみたいだね。見当たらないよ」
律「どうでもいいよ、どうせ着ないんだから」
律「じゃ、早く戻ろっか。……ん?澪?」
澪「……」
律「ボーっとすんな、行くぞ」
澪「えっ?あぁ…うん」
梓「ふう…」
憂「あ、梓ちゃん」
梓「憂…。おかえり、どこ行ってたの?」
憂「お茶がなくなってたらしいから、買いに行ってたんだ」
梓「そっか。あ、そういえばさっき、私に話があるって言ってたんでしょ?」
憂「え?」
梓「モブに聞いたんだけど…」
憂「えっと…あれ?ごめん、忘れちゃったや」
梓「ええ?」
憂「あはは…たぶん忘れてるぐらいだから大した話じゃなかったと思う」
梓「そっか…」
憂「あ、ごめん」
憂「そうだ、はいこれ。お茶と領収書」
純「おっ、ご苦労さま」
純「あれ…、憂、レシートは?」
憂「え?あ…あれ?どこだろう」
憂「ごめん…落としちゃったみたい…」
純「ええっ?も~しょうがないなぁ…」
憂「ごめんね」
純「なくしちゃったものは仕方ないよ。じゃ、憂は厨房の方お願い」
憂「わかった」
純「梓は、こっちよろしく」
梓「任せて」
律「みんな…、ちゃんとやれよ?」
澪「律こそ」
唯律澪「……」スタスタスタ…
律「よっ和」
和「あっ、律!どうだった…?」
律「へへへ…あーきやーまさーん?」
澪「……」ソロッ…
澪「…ロミオ役…やっぱりがんばるよ…」
和「…そう!」
澪「和、わがまま言ってごめんな」
澪「みんなも迷惑かけてごめん!私…精いっぱい頑張るよ!」
一同「よかった…」「秋山さん頑張って!」
和「あら…唯?」
唯「ほぇ?」
和「そういえばどこ行ってたの?さっき一度戻ってきてたようだけど…」
唯「ああごめんね和ちゃん、なんとなくさわちゃんとこ行ったんだけど追い返されちゃってさぁ、戻ろうと思ったんだけど今度はムギちゃんやあずにゃんに会っちゃってぇ」
澪(ちょっと…唯?)
唯「それでね、いったん教室に戻ってきたんだけど、今度はトイレ行きたくなっちゃったから行ってきてたんだぁ」
律(不自然に説明的すぎだろ!)
和「まったくあなたって人は…本当に自由ね」
唯「いやいやそれほどでも~」
律「いや、褒められてねぇから」
澪「お…ムギ」
紬「うんしょっと」ドサッ
和「これ…劇の衣装?」
紬「うん、さっき様子を見に行ったらさわ子先生が渡してくれたの」
一同「わーっすごーいっ」「山中先生やるぅ」「キャーキャー」
和「えっと、ムギ…先生は?」
紬「あぁ、それがね、徹夜で疲れたから仮眠をとるって。昼ごろ教室に来るって言ってたわ」
和「そう、わかった」
唯(わ~い、大成功じゃん♪)
澪(うまくいった…よな?)
今泉「……う~ん…」ウロウロ
今泉「ねぇ」
巡査1「はい」
今泉「古畑さん、来た?」
巡査1「ええ、さっきお見えになりましたよ。そこに自転車が…」
今泉「あっほんとだ、いつの間に…。あ~どこ行っちゃったんだろうなぁ」
巡査1「現場にいらっしゃらないんですか?」
今泉「来てないから探してるんだよ!」
巡査2「古畑さん、そこのコンビニで何か買い物されてましたよ」
今泉「えぇ?コンビニ?」
古畑「だぁから違うんだよこれは」
店長「どこが違うの」
古畑「いやどこって…あんなに説明したじゃないか」
店長「だってピクルス入れろって」
古畑「ピク…そっそれはいいんだよ」
今泉「あっいた!古畑さぁん!」
古畑「ちょっと待って。見てこれ見てこれ」
古畑「ピクルスこんな小っちゃいのが1枚しかないじゃないの」
古畑「ピクルスはね真ん中に1枚とそれを囲むように4枚計5枚花びらのように!どっから食べてもピクルスに当たるようにしてほしいんだよ」
古畑「これ当たらないよ、はい、作り直し」ポイッ
古畑「なに言って…あんたが作ってんじゃない」
店長「いや裏にもう一人いるんですよ」
古畑「どこにぃ」
店長「……」サササッ
古畑「いなっ……ほんとに調子いいオヤジだぁ…」
古畑「ん?」
今泉「……」ニヤニヤ
ペシッ
今泉「いたっ!いや、だって、久しぶりに古畑さんと仕事ができるんですよ?」
今泉「いやぁー、懐かしいなぁー」
古畑「きみ…アレ、なんだっけ…トーゴー…じゃない、ジリジリみたいな」
今泉「自律神経失調症ですかぁ」
古畑「そうそれ。もう治ったのアレ」
今泉「とっくに治りましたよぉ!リハビリ辛かったんだから…」ウッ…
古畑「あそぉ。それより朝飯まだたべてないのよ」
今泉「あ、僕もです。なんか買っちゃおうかなぁ」
古畑「じゃあピクルスバーガーおすすめだよ」
今泉「そうなんですかぁ?いやでも、朝にバーガーはちょっと…あ、これにしようかな」
古畑「……」
古畑「いやぁそれにしても腹減った…あ、そういえばそっちの方どうなの」
今泉「はい…?」
古畑「現場の方」
今泉「あ、それが、えっと…」
古畑「なに」
今泉「外でウロウロしてたから、中の様子は、その…」デヘッ
古畑「わからないの」
今泉「はい」
ペチッ
今泉「いたっ!ちょっ、さっきからなんなんですかぁ!」
古畑「あ…、おじさ~ん、やっぱりあんたが作ってんじゃないかぁ」
今泉「……」
古畑「急いでよみんな待ってるんだから」
店長「…150円になります」ブスッ
古畑「どうも」ニッコリ
今泉「早く行きましょうよぉ」
古畑「まぁ待ちなさい」
古畑「あれ…、そういえばどうして君だけなんだ。西園寺君は?」
今泉「やっぱりアイツですか…」
古畑「なに、いないの?」
今泉「チビ太なら、現場の方にいますよ」
古畑「あ、そーなの。じゃあ案内してくれる」
古畑「……」モグモグ
今泉「古畑さん、食べ歩きは行儀悪いですよぉ」
古畑「しかし外はえらく込み合ってたね。出店も出てたし今日何かあるの」モグモグ
今泉「この学校の学園祭だそうですよ。今日が1日目らしくて」
古畑「それはまた悪いタイミングで事件が起きたもんだね」
今泉「ほんとに、生徒がかわいそうですよぉ」
今泉「あ、そういえばさっき外で『マンモスの肉』っていう店が出てたんですよ。
いやぁ、食べたかったなぁ」
今泉「すぐそこには『ヴァンパイア喫茶』って看板が出てたし、
『峠の茶屋』っていうのもなかなか…」
古畑「本当にもう御苦労したよ…今日は普通なら休日なんだからさ」
古畑「えっと、椅子椅子…」
西園寺「椅子ならこちらに」
古畑「あぁありがとう」
西園寺「さっそく事件の説明を」
今泉「あー僕がやる僕がやる!」
西園寺「今泉さんが?大丈夫ですか?」
今泉「ねぇキミさぁ、馬鹿にしてるの?」
古畑「どっちでもいいから…早くはじめなさい」
今泉「ここの、被服室で首を吊っているところを発見されました。
えっと、第一発見者は衣装を取りに来た2年生です。かわいそうですよねぇ」
今泉「あー、あそこのロープに配管を…じゃない、配管にロープをかけて、首を…。
死因は窒息死だそうです」
古畑「続けて」
西園寺「同僚の教師の証言によると、山中さんは最近交際相手と別れたらしく、
さらに初めて担任を受け持ったクラスが3年生ということで悩んでいたそうです」
西園寺「自殺の動機は十分ですね」
今泉「ねぇ、どうして僕の役割とってるの?」
古畑「うーん…」
古畑「…自殺だねぇ間違いないねぇ…」
古畑「じゃあ今泉君、後は任せた」
今泉「ちょっ、なに言ってんですかぁ!」
古畑「金森先生の時みたいに君が指揮しなさい」
今泉「僕できませんよぉ!」
古畑「いいからほら、頑張りなさい。私はその辺でぶらぶらしてるから」
今泉「あ、ちょっと…」
今泉「…どうすればいいの」
西園寺「さぁ…」
古畑「西園寺君」
西園寺「はい」
古畑「この部屋奇抜な服や布切れがえらくたくさんあるけどさ」
古畑「メイド、原始人、ナース…、これは…?」
西園寺「バニーガールですね」
古畑「どうしてこんなものがたくさんあるの」
西園寺「山中さんの趣味だったようです」
よく作ってきた衣装を生徒に着せては楽しんでいたそうです」
西園寺「今回の学園祭で使われている衣装も、ほぼすべて山中さんの手作りだったとか」
古畑「え?ということはここにある衣装は全部一人で?へぇー」
西園寺「今日も昨夜からこもりっきりで、担任するクラスの劇衣装や
他の学級の出店衣装を仕上げていたそうです」
西園寺「軽音楽部のライブ衣装以外はすべて仕上がっていたようですね」
古畑「軽音楽部?」
西園寺「山中さんが顧問を務めていた部活です」
西園寺「山中さんの奇抜な衣装を着せられるのは主にその部活だったとか」
古畑「ふーん…どうしてそこの衣装だけ作ってなかったんだろうね」
西園寺「さぁ…今日は時間がなかったのでは」
古畑「その部活の子達、まだいるの」
西園寺「全校生徒は校内に残ってもらってます。部員はたぶん部室か教室の方にいるんじゃないでしょうか」
古畑「じゃあとりあえず部室の場所を教えて」
律(…なんか微妙な空気)
紬(本当はいろいろ相談したいんだけど…)
澪(梓がいるんだもんな)
唯(あずにゃんの前じゃ、なにも知らないふりしないといけないよね…)
澪「…なんだか実感がわかないな…」
梓「そうですね…」
律「なんか、今にも『よっす』とか言って入ってきそうだよな」
唯「あはは、そうだね」
澪「…………」
律「…………」
梓「…………」
唯「…………」
澪(…会話が、続かない…)
紬「お茶にしよう、ね?」
律「…そうだな、お茶にすっか(ナイスだ、ムギ!)」
澪「悪いな、ムギ(うう…助かった)」
紬「うん、今淹れるね」ガタッ
コポポポ…
紬「はい、どうぞ」
カチャ…
唯「ありがとう、ムギちゃん」
律「あざっす」
澪「サンキュー」
唯「…ねぇ、あずにゃん」
梓「は、はい」
唯「えっと、その…」
唯「元気、出してね」
梓「えっ?ぁ…はぁ…」
律「そうだぞ、梓」
澪「落ち込むんじゃないぞ」
紬「ファイトよ、梓ちゃん。はい、お茶」
梓「あ、どうもです…。み、みなさん、いったいどうされたんですか?」
ガチャッ…キィィ…
紬「あら?」
唯「え?」
澪「そうですけど…」
律「おじさん、誰」
唯(真っ黒い人…)
古畑「あ、申し遅れました。わたくし古畑と申します。今回の事件を担当することになった刑事でして…」
唯「け、刑事さん!?」
古畑「はい」
律(もう来ちゃったのか…予想よりずっと早い)
澪(みんな、大丈夫だよな…?)
律「おい…ムギ?」ボソッ
紬「なにりっちゃん?」
律「…今ワクワクしてんだろ」
紬「うん♪だって二時間ドラマみたいに取り調べ受けるなんて考えたら、ワクワクしない?」
律「あのなぁ…」
律(一応あたしら本物の犯罪者なんだぞ…)
律「あっ!?すみません!」
紬「どうぞどうぞ」
スッ
古畑「あぁー、すみません」
ギシッ
唯(さわちゃんの席…)
紬「あの…刑事さん?」
古畑「あ、古畑で結構です」
紬「え…と、古畑さん、お茶、いりませんか?」
古畑「はい?いえいえいえそんなお構いなく」
紬「遠慮しなくていいんですよ」
唯「ここに来たらお茶飲んでかないといけないんだよ、古畑さん」
澪「いつ決まったんだそのルール」
古畑「そうなんですか?ならいただきましょうか」
紬「今淹れますね」
古畑「お願いします」
律「あ、はい、えっと、田井中律です。一応部長やってまぁす」
唯「次わたし!平沢唯で~す!」
唯「好きなものはギー太と憂とあずにゃんと甘いものでぇ、特技は…」
澪「おい唯、余計なことまで言うなって!あ…えと、秋山澪です…」
梓「えーと…中野梓といいます。みなさんの一年後輩になります」
唯「あだ名はあずにゃんだよぉ」
梓「ゆ、唯先輩!?変なことまで言わないでくださいっ!」
紬「……」コポポポ…
律「おーい、ムギ」
紬「あ、ごめんなさい。琴吹紬です。お茶汲み係です」
律「おい」
澪「は、はい」
古畑「軽音楽とはいったいどのようなものなんですか?」
澪「ああ、それは…」
唯「軽い音楽だよ~」
古畑「は…?」
律「そうそう、カスタネットとかで演奏するんだ」
澪「しょーもない嘘つくなっ」
ゴチン!
律「なんであたしだけ…」
古畑「はっはっは…、で、実際はどうなんです」
澪「えっと、ギターやドラムを使って演奏するんです。あそこの…」
古畑「ああ、あれですか。へぇ~立派なものだ」
唯「あ~、放課後ティータイムだよ!」
古畑「放課後ティータイム…?」
澪「私たちのバンド名なんです」
古畑「ああ、なるほど」
律「で…あの、古畑さん。いったい何をしにここに?」
古畑「あ~忘れてましたぁ…」
紬「どうぞ~」カチャッ
古畑「あ、すみませんいただきます。実はですね…」ズズ…
古畑「へぇーおいしいお茶だぁ」
律「古畑さん?」
古畑「あぁすみません。実はですね、亡くなられた山中先生のことでいくつか質問が」
律「はい」
古畑「あなた方が入学する前からずっと?」
澪「いえ、私たちが無理言って顧問になってもらったんです」
紬「実は私たちが入学したとき、けいおん部は廃部寸前で…」
古畑「なるほど、顧問がいなかったわけですね。
しかし山中先生はすでに吹奏楽部の顧問もされていたのでは…」
唯「先生はけいおん部のOBだったんだよ」
古畑「あぁそれで…」
この部活のライブ衣装も毎回先生の手作りだったとか」
唯「うん、毎回作ってきてたよ~」
澪「ちょっと奇抜すぎて困ってたんですけど…」
古畑「私も見ました。あれは確かに…あー…んっふっふ…」
古畑「そういえば…えー、琴吹さんでしたか」
紬「はい」
古畑「今のところ集まっている証言を総合したところ、
どうもあなたが最後に山中さんの姿を見たということになるんですが」
紬「そうなんですか?」
古畑「先生とはどんな会話を」
紬「確か…衣装を取りに行ったら、
『徹夜で疲れたから、仮眠をとる』というようなことを言っていました」
紬「うーん…言われてみると、疲れた顔をしていたかもしれません。いつもより元気がないかな、って。
徹夜明けと言ってたのであまり気には留めなかったんですけど」
古畑「んー、そうですか」
古畑「…ひっかかるなぁ」
澪「え…?」
古畑「琴吹さん」
紬「は、はい」
古畑「山中先生は衣装を徹夜で仕上げていたとおっしゃったんですね」
紬「はい…そうです」
古畑「徹夜で」
紬「…はい」
古畑「そうですか…んー…」
古畑「いえ、たいしたことではないんですけどね」
古畑「山中先生はなぜあなた方のライブの衣装は仕上げていなかったんでしょうか」
律「へっ?」
古畑「先ほどの話によれば、山中先生は軽音楽部のOBで、
今の3年生が1年生の頃から顧問として面倒を見られていたそうですね。
その分思い入れも強かったようで…」
古畑「自殺の直前にクラスの出し物の衣装をすべて作り上げるぐらいなら、
なぜあなた方のライブの衣装まで作ってしまわなかったのでしょうか」
澪「…!」
唯「自殺する前で落ち込んでて、作る気力がなかった、とか…?」
古畑「徹夜で劇の衣装を仕上げる気力はあったのに、ですか?」
律「じゃあ…実際そこまで思い入れがなかったんじゃないんですか」
古畑「それもどうでしょう、毎回ライブの衣装を自分で作ってくるほどの入れ込みようだったというのに」
古畑「更に山中先生は今回、他の学年の出店の衣装まで担当していたそうです、ずいぶん前から取り掛かって。
こうなるとやはりあなた方の衣装だけ作っていなかったのは不自然でしょう」
律「…っ」
唯「それか…?」
古畑「今夜作ろうと思って作れなかった、か…」
唯律澪紬「!?」
梓「ま、待ってください!それじゃまさか…」
古畑「殺人…の可能性もあるということです」
紬「…そんな」
澪「はは…まさか」
古畑「んっふっふ…刑事というのは疑り深い生き物でして…、
まぁあくまで自殺以外の可能性も視野に入れて捜査しなくてはならないということです」
唯律澪紬梓「…………」
古畑「では貴重なお時間を邪魔してしまってすみません。あ、紅茶ご馳走様でした」
紬「いえ…またいらしてください」
古畑「ありがとうございます。では失礼します」
ガチャ…
古畑「あ、みなさん。お気を落とされないように…」
バタン
憂「え?」
古畑「いやぁよかった、職員室の場所がわからなくて…」
憂「えっと…あの…」
古畑「アハハ、学校というのはどうも苦手でして…」
憂「すみません…どなたですか?」
古畑「えっ」
古畑「あっ…いや…ついさっきお会いしましたよね?」
憂「ええっ?」
憂「お姉ちゃん」
古畑「お姉ちゃん?」
唯「古畑さんも。どうしたんですか?」
古畑「あ、いや、職員室の場所を訊こうと…、しかし、あの、お二人は、双子…?」
唯「違いますよぉ、憂は1つ下の妹です」
憂「ねぇお姉ちゃん、この人…」
唯「あ、紹介するね。この人古畑さんって言って、刑事さんなんだって」
古畑「古畑ですどうも。今回の事件を担当することになりまして…」
憂「ど…どうも、平沢憂です」
古畑「はい。いやぁしかし驚きましたぁ。二人ともそっくりなんですね」
唯「えへへ…よく言われるんですよぉ」
古畑「んっふっふ…あぁそうだ、職員室に行かないと。場所を伺ってもよろしいですか」
唯「あーえぇと、職員室はまずあそこを降りて、次に右に…いや左に曲がって…あれ?どっちだっけ…」
憂「お、お姉ちゃん!私が説明するから大丈夫だよ」
唯「ありがとう、憂~」
憂「まずそこの階段を降りて、廊下に出たら右に曲がるんです。しばらく歩いたら…」
唯「あ!そうだね!その方が早いよ~」
古畑「え!いいんですか?」
唯「いいんですよぉ今日はもう何もないんだし」
憂「じゃあ行きましょう?」
テクテクテク…
校門から歩いてくるまでいろいろ拝見しましたが驚きました」
憂「あはは、そうですか?」
唯「いっぱいあるでしょ~?あ、古畑さんあれ見た?
2年生の『マンモスの肉』って出店!あそこの衣装ってかわいいんだよ~」
憂「え?あそこって衣装あるの?」
唯「憂見てないの?もったいないなぁ」
憂「うーん…ヴァンパイア喫茶の衣装なんかはかわいかったけど…」
古畑「んっふっふ…時間があればぜひ拝見したいものです」
古畑「えー、まぁいろいろと…」
憂「あの…やっぱり文化祭は、中止なんですか…?」
古畑「あー、ちょうどそのことも先生方に相談しようと思っていたんですが」
古畑「文化祭の方は一応、捜査に支障のない範囲で続けていただいても構わないと思っています」
唯「ほ、本当!?」
古畑「んーさすがに今日の分は後日に回してもらうことになりますが…」
唯「あ、ありがとう古畑さん!」
憂「やったねお姉ちゃん!」
唯「あ、唯でいいですよ~。憂も平沢だからわかりにくいだろうし」
憂「私も憂でいいです」
古畑「あーでは、唯さんは明日何か…」
唯「ふっふっふ、わたしたちはねぇ、明日ライブやるのです!」フンス!
古畑「へぇ、ライブを…憂さんも?」
憂「わ、私は見てるだけです」
古畑「そうですか…しかし顧問の先生がなくなったというのに大変ですね」
唯「うーん、そうなんだけど…」
唯「まぁ、追悼ライブって感じで」
古畑「んっふっふ…楽しみですね」
唯「えへへ、ぜひ見に来てね、古畑さん」
古畑「よろしいんですか?では、ぜひ…」
古畑「ここですか。いやぁ助かりましたぁ」
古畑「では失礼します」
唯「またね~」
憂「お仕事、頑張ってください」
古畑「ありがとうございます。では…」
ガチャ
古畑「お仕事中すみません。今回の事件の捜査を担当する古畑というものですが…」
唯「…じゃ、わたしたちも戻ろっか」
憂「うん」
テクテクテク…
唯「うん、わたしもそう思うよ~。でもね…」
唯「どうも、さわちゃん先生が死んだのは自殺じゃないかもって、疑ってるみたいなんだ…」
憂「そ、そうなの?」
唯「うん。殺人の可能性もある、だって」
憂「そんな…」
唯「心配いらないよ。ムギちゃんの立てた計画は完ぺきだったし、アリバイもきちんとあるんだから」
憂「う、うん…」
憂「あ、そうだお姉ちゃん。梓ちゃんと会った時に話した内容を教えとくね」
唯「え?それって必要なの?」
憂「万が一の時、知らなかったら困るでしょ?」
唯「う~ん、それもそうだね~」
憂「じゃあ今から教えるから、覚えといてね?」
唯「了解です!」
律「…それ、本当なのか?」
唯「うん、古畑さんがそう言ってたよ~」
澪「じゃあ…ライブ、できるんだな」
紬「劇が延期になっちゃったのが、心残りだけど…」
梓「みなさん、ずっと劇の練習してましたもんね…」
梓「でも…よかったです…先輩方とのライブがなくならなくて…」
律「よ~っし!じゃあ今日は、明日のライブに向けて泊まり込みで練習だぁ!」
澪「学校って泊まって大丈夫なのか?」
律「だ~いじょぶぅ♪」
紬「お泊りの準備持ってきてないんだけど、それでも?」
律「ノープロブレム!」
唯「ご飯は何杯でもお替り!?」
律「じゆー!…って、なんでやねん」
律「じゃあさっそく…」
唯「あれだね、りっちゃん!」
律「ああ。ほら、みんなも準備しろ!」
澪紬梓「?」
律「いくぞ?ジャ~ンケ~ン…」
澪「うぅ…梓はともかくあの二人に負けるとは…」
紬「まぁまぁ。早く寝袋もらって帰ろう?」
澪「ああ。忘れないように宿泊届も出しとかないとな。ん?あれは…」
古畑「おや、秋山さんに、琴吹さん」
澪「古畑さん…でしたっけ」
古畑「はい」
紬「お仕事ご苦労様です」ペコリ
古畑「んっふっふ、ありがとうございます」
澪「捜査の方は…進んでるんですか?」
古畑「…んーそれがまだなんとも」
澪「…一般人にそうやすやすと情報を漏らせませんよね」
紬「ちょっと澪ちゃん、失礼よ…」
古畑「んっふっふ…申し訳ありません」
澪「え?」
古畑「誰に聞いてもあなた方の明日のライブを楽しみにしてらっしゃいます。
えー実は、ついさっき生徒会室で去年のライブのDVDを拝見したんです」
紬「本当ですか?」
古畑「いいライブでしたぁ。特にいったん曲が終わってから、琴吹さんが再び演奏を始めるところとか。
しまいにはうちの部下まで明日のライブを見に行きたいと言い出す始末で…」
紬「まぁまぁ。ぜひ観にいらしてください♪」
古畑「んっふっふ…、はい、ぜひ。ところで、あの曲は全てみなさんの自作なんですか?」
紬「はい。私が作曲して、澪ちゃんが作詞して…。あ、明日演奏する予定の曲は唯ちゃんの作詞なんですけど」
古畑「そうでしたか。いやー、『ふわふわ時間』でしたか?素晴らしい曲調でした」
紬「うふふ、嬉しいです♪」
古畑「歌詞の方も独特なセンスが感じられて実に…あー…個性的で」
澪「……///」
古畑「はい」
紬「捜査って、いったいどんなことをするんですか?」
古畑「興味がおありなんですか?」
紬「はい、とっても♪」
古畑「えー…もしお暇なら見学されますか」
紬「ええ!?いいんですか!?」
澪(ちょっ!?ムギ!?)
古畑「んー遺体も運び終わっていますし、捜査に差しさわりのない程度でしたら…」
紬「ありがとうございます!わくわくするわぁ♪」
澪「お、おいムギ…」
紬「あ、ごめんね澪ちゃん。りっちゃんにはあとで戻るって伝えておいて」
古畑「では行きましょうか」
紬「はい♪」
澪「あっ、ちょっと…!」
澪「…行っちゃった…」
紬「うわぁ…!」キラキラ
古畑「こういう現場を生で見るのは初めてでしょう」
紬「はい!」
紬「か、鑑識の人たちが動き回って…!」
紬「これは、指紋なんかを採って回ってるんですか?」
古畑「そんなところです。まぁ生徒の指紋が至る所に付いていてあまり意味がないんですが」
紬「へぇ~…」
紬「?はい…」
紬「あら、これは…、袋に物がたくさん…」
古畑「これは現場で見つかった証拠品をですね…」
紬「あ、知ってます!こういうの、遺留品っていうんですよね?」
古畑「そうですそれです!いやーよく知ってらっしゃる」
紬「そうですか?うふふ」
紬「はさみに…針に…まぁ、ここにある衣装も全部?」
古畑「この部屋にあったものは全て遺留品なんです。触っちゃだめですよ」
紬「ええ、わかってます」
紬「あ…これ、は…」
紬(澪ちゃんのリップクリーム…!)
紬(どうして…?)
古畑「ご存じなんですか?」
紬「え、あぁ…」
紬(椅子からこけたとき、落としたのね…)
紬(どうこたえるべきかしら…)
紬「…見覚えがあるような、ないような…」
古畑「そうですか…」
紬「え?どうしてですか?」
古畑「いやだってここに」
パッ
紬「…!」
紬(キャップの頭に…)
古畑「『MIO AKIYAMA』とあるものですから。
てっきりお友達のあなたなら本人のものかどうかわかるとばかり」
紬(…この人…あえて最初に名前が見えないように…)
紬「あはは…同じもの使ってる人、けっこういますから」
古畑「そうなんですか。しかしどうしてこれがこんなところに落ちていたんでしょうね」
古畑「3年生は授業で被服室を使うことはないと聞きましたが」
古畑「そうなんですか?」
紬「はい。この前廊下でりっちゃん…じゃない、田井中さんに見せてる時にたまたま先生が通りかかって…」
古畑「没収されたと」
紬「はい。澪ちゃんがそう言って落ち込んでいました」
古畑「なるほど…そうなるとこれがここにあった理由も説明がつきますね」
古畑「いやぁのどのつっかえが取れました」
紬「お力になれてよかったです」ニッコリ
古畑「もう見学されていかなくていいんですか?」
紬「ええ、そろそろ戻らないとみんなが心配しますから…」
紬「私が取り調べを受けてるんじゃないか、って」
古畑「あっはっは、そうですね」
紬「ふふ。じゃあ失礼します、お仕事がんばってくださいね」
古畑「はい、どうも…」
ガチャ…バタン
律「あ、ムギやっと帰ってきた」
澪「もう、大変だったんだぞ!寝袋5人分も持つの…」
紬「ごめんね、澪ちゃん。きっと埋め合わせはするから」
紬「あら…?梓ちゃんは?」
律「梓なら、純ちゃんと一緒にどっか行ったぞー。明日の出店の準備だってさ」
紬「そう…それはちょうどよかったわ」
唯「なにかあったの?」
紬「うん、実はね…」
唯「それは大変だったね…」
澪「本当に申し訳ない…」
律「現場に証拠が落ちていた以上…澪が一人で自首するしかない、か…」
澪「ひっ!」
唯「ひどいよりっちゃん!」
律「冗談だって。で、古畑もムギの説明で納得したんだろ?」
紬「うん、完全に疑いが晴れたかどうかはわからないけど…」
律「なら大丈夫だろ。万が一訊かれたとしてもあたしらが口裏合わせればいいだけだし」
律「なぁ澪?」
澪「タイホ…タイホ…タイホ…ハハハ」
唯「み、澪ちゃん!?」
律「澪!?あたしが悪かった!戻ってきてくれ~!」
律「みぉ…ん、どうしたムギ」
紬「今回のことはうまくごまかせたかもしれないけど、
あの人が私たちを疑っているのは間違いないと思うの」
紬「だから、これからは少しの隙も見せちゃダメ。いい?」
唯「わかったよ、ムギちゃん」
律「…おう」
澪「タイホ…タイホ…」
唯「ちょいといつまで固まってんだいこの子は~。あ…そうだ。憂にも気をつけてって言っとかないと」
ピポパ…
ヴィヴィヴィ…ヴィヴィヴィ…
憂「…あ、メール…」
憂「お姉ちゃんだ!どうしたんだろう…」
from:お姉ちゃん
題名:きんきゅうのおしらせ~!
本文
――――――――――――――――――――――
うい!降旗山には絶対に気をつけるんだよ~!!
ぴーえす:今日はみんなで学校にお泊りするから
晩ごはんいらないからね~
――――――――――――――――――――――
憂「…登山でもするの?」
~軽音楽部部室~
憂「みなさん、夜食作ってきたんです。どうぞ食べてください」
澪「ありがとう、憂ちゃん」
律「んん~うみゃい!」
憂「まだまだたくさんあるので、みなさんいっぱい食べてくださいね」
唯「おいひいよぉ~憂~」
憂「うふふっ」
紬「デザートは、私たちが用意したのがあるから、よかったら食べて行ってね?」
憂「わぁ、いいんですか?ありがとうございます!」
ガシッ
律「大丈夫だ。何時にケーキを食べようがへっちゃらだ。なぜなら今日は…」
律「徹夜だからーっはっはー!」
梓「ええ!?寝ないんですか!?」
律「あったりまえだぁ!学祭といえば徹夜で準備だからなっ♪」
梓「……」
ガシッ
梓「ん?」
唯「今夜は寝かさないぞ…子猫ちゃん!」
梓「一人でどうぞ」
唯「あ~ん、あずにゃんいけずぅ~」
コンコンコン
律「おっ」
澪「ん?」
古畑「んっふっふ…盛り上がってらっしゃるようで」
梓「古畑さん…」
古畑「おくつろぎのところすみません」
唯「どうしてここに?」
古畑「電気が点いているのが見えたものですから」
律「…殿方がピチピチの女の園に何の用かしらん?」
古畑「んー…実は、みなさんのアリバイを確認しておきたいと思いまして」
唯「あ、あ、あ…アリバイ!?」
澪「それじゃまるで、私たちが犯人みたいじゃないですか…」
古畑「あくまで形式的なものですので」
古畑「自殺と断定できない以上は、関係者全員のアリバイを調べておく必要があるんです」
古畑「ちなみに他の生徒への聞き取りもほぼ済んでいます」
梓「そうなんですか…」
唯「あ、わたしはねぇ~」
紬「!」
紬「ふ、古畑さん!」
古畑「はい?」
紬「何時から何時までのアリバイを調べてるんですか?」
古畑「あぁ失礼しました。とりあえず登校してから、遺体が発見された8時半ごろまでのアリバイです」
紬(いきなり7時半からのアリバイを答えちゃったら、用意しておいたアリバイってことが見え見えだわ…)
唯(危ない危ない…ありがとうムギちゃんっ)
唯「あー…わたしはぁ、えっと…7時ぐらいに登校して、しばらく準備を手伝ってたけど、
7時半ぐらいかな?被服室に行きました」
古畑「行ったんですか被服室に?」
唯「はい、さわちゃんどうしてるかなーって。でも追い返されちゃってぇ…」
唯「それからすぐムギちゃんと会って劇のことでお話しして、次にあずにゃんに会ったんだよね?」
梓「あっ…そうでしたね。いきなり抱きつかれて驚きましたよ」
唯「それで教室に戻ったけどすぐトイレに行って、
帰りに澪ちゃんとりっちゃんに会って一緒に教室に帰ってきました!」
古畑「ん~…要するにあちこち歩き回ってらっしゃったんですね?」
唯「でへへ…」
古畑「その後は」
唯「あとはずっと教室にいましたよ~」
律「あーっと、あたしは7時前ぐらいに澪と登校して、教室でセリフ覚えてました。
それからちょっと教室の外に出て、戻ってきたら澪が『私にロミオの役はできない』って言ってて…」
古畑「失礼、ロミオ役というのは…」
律「あ、うちのクラスはロミオとジュリエットの劇をやる予定で、
澪はそのロミオをやることになってたんです」
唯「ちなみにりっちゃんがジュリエット役だよ~」
律「余計なこと言うなっ」
古畑「んっふっふ…それで、どうされたんですか?」
律「あぁ、それで生徒会室で澪を説得してたんです」
古畑「二人きりですか」
律「はい。最後には澪も納得してくれて。で、戻るときに唯と会って3人で教室に帰りました。
8時くらいだったかな」
古畑「以降は教室に」
律「はい」
古畑「えー…では秋山さんは今日はほとんど田井中さんと行動を共にしていた、
ということでよろしいですね?」
澪「は、はい」
律「いやいや、刑事さんに質問されながら飯食べれるほどあたしら図太く…」
唯「もぐもぐ」
律「――って食ってるし!」
唯「ほぇ?」
憂「古畑さんもよかったらおひとつどうぞ?」
古畑「いいんですか?では失礼して…」
ヒョイ
紬「はい…私は、みんなより早く6時過ぎぐらいに登校しました」
紬「それで教室で台本の最後のチェックをしていたんですけど、唯ちゃんの役のことで気になることがあって」
紬「近くにいなかったから、探しに行ったんです」
古畑「ちょうど唯さんが教室を空けていたときでしょうか」
紬「はい、唯ちゃんが出て行ってすぐくらいかもしれません。
それで唯ちゃんはすぐ見つかって、別れた後は私も被服室に向かったんです」
古畑「そこは聞いた通りですね」
紬「あとは衣装を受け取って、8時ごろ教室に戻りました。それからは教室から出ていません」
梓「はっ、はい!私は…えっと…あまり詳しくは覚えていないんですけど…」
梓「とりあえず、学校には6時ぐらいに登校して、それからは準備してて…。
あ、しばらくして純とコンビニに買い物に行ったり……あと唯先輩に会ったりしました。
でも…、具体的に何時にどこで何をしてたのか、とかはちょっと…」
唯「あずにゃん、確かわたしたちの教室に来たって言ってたんだよね?」
梓「え?」
唯「わたしと会ったときにさ」
梓「あーそういえば…確かに先輩方の教室にもいきました。でもけいおん部の先輩は誰もいなくて…」
古畑「…唯さん、それは誰からお聞きになったんですか?」
唯「へ?あずにゃんからだよ~」
古畑「本人からですか?」
唯「?はい…」
古畑「そうですか…」
古畑「いえ、たいしたことではないので…」
紬「私たちが気になります」
古畑「あー…唯さんが『わたしたちの教室に来たって言ってたんだよね?』とおっしゃったものですから」
律「それが?」
古畑「『言ってたんだよね』…ですよ?まるで中野さんがそう言っていたと、別の誰かから聞いたみたいじゃないですか。
実際には唯さん自身が中野さんから聞いていたというのに」
唯「…そんなのちょっとした言い間違いじゃないですか~。やだなぁ古畑さん」
古畑「んっふっふ…まぁそういうことにしておきましょう」
古畑「中野さん、その後はいかがですか?」
梓「あ、あぁその後は…何もなかったと思います。ずっと教室で準備してたり…」
憂「私は、梓ちゃんが来る少し前に学校に来てました。一度、7時半ぐらいだったか、お茶を買いにコンビニに行ってたとき以外は、ずっと教室に…」
古畑「なるほど…」
古畑「こうなると、つまりみなさん全員にしっかりしたアリバイがあるということになりますね」
律「あったりまえですよ~」
唯「当然だよっ、古畑さん」
古畑「んっふっふ…しかしみなさん、大変記憶力が良くて助かります」
澪「え?」
それこそさっきの中野さんのように…」
古畑「それをみなさん、しっかりとおおよその時間まで記憶してらっしゃる」
紬「…!」
律「いけないんですか?しっかり時間まで覚えてちゃ」
古畑「え?いえいえそんなことありません。むしろ調べる側としては手間が省けて助かります」
唯律澪紬梓憂「……」
古畑「あー、では夜分遅くにどうもすみませんでした。明日に備えてゆっくり休んでください」
唯「…ばいばーい、古畑さん」
古畑「んっふっふ…おやすみなさい。あ、おにぎりご馳走様でした」
ガチャ…バタン
西園寺「軽音楽部の部員や平沢憂さんのアリバイの裏を取ってみましたが」
西園寺「中野さんと平沢唯さんが会話しているところは、多くの生徒に目撃されていました」
西園寺「また田井中さんと秋山さんについても、生徒会室の中で話している声が複数の生徒に聞かれています」
西園寺「琴吹さんについてははっきりと目撃したという証言はありませんでしたが、
アリバイがはっきりしている平沢唯さんが二人で話していたと証言しています…」
西園寺「彼女が買い物に行ったというコンビニにあたってみました」
西園寺「平沢憂さんの写真を見せて訊いてみたんですが、
昨日は学園祭の準備の関係で女子高生の客の出入りが多く、
どのような生徒が来たかは覚えていないそうです」
古畑「学園祭の買い物に行ったんならさ、領収書とかレシートとかとってあるんじゃないの」
西園寺「お茶を買った時のものと思われる領収書は確認できましたが、レシートは見つかりませんでした」
古畑「とってなかったの?」
西園寺「憂さんが落としてしまった、と言っていたそうです」
古畑「そう…ありがとう」
古畑「騒がしいなァ。どうしたんだ」
今泉「これ見てください、これ!」
今泉「山中さんの自宅のパソコンから見つかったんですけど…」
古畑「…!」
古畑「…これはぁ…」
西園寺「…古畑さん」
今泉「ひどいですよね。最低だなぁあの山中って教師」
西園寺「どうしましょう」
古畑「…ちょっと出てくる」
ワイワイガヤガヤ… イラッシャイマセー
古畑「中野さん」
梓「えっ?あぁ、古畑さん」
古畑「いやどうも…」
梓「どうされたんですか?まさか聞き込み…とか?」
古畑「いえいえただ寄ってみただけです。『峠の茶屋』…いい名前ですね」
梓「あはは…、ありがとうございます」
古畑「んっふっふ…そう言われると何とも」
梓「ふふっ、すみません。はいこれ、メニューです」
古畑「ああどうも、えっと…どれにしようかな」
古畑「これ、ほうじ茶っていうのいただけますか?」
梓「ほうじ茶ですね、少々お待ちください」ペコリ
梓「純~、ほうじ茶ひとつ~」
純「ほ~い」
古畑「……」
古畑「ありがとうございます」
古畑「いやしかし…中野さんもいい先輩方に恵まれましたね」ズズッ…
梓「え?…あぁ、けいおん部の先輩たちですか?」
古畑「みなさん個性豊かな方々で」
梓「はい、毎日部活が楽しいです」
古畑「んっふっふ、それはなにより」
梓「まぁ…先輩たちはみんな、今日で引退なんですけどね…」
古畑「寂しいですか、やはり」
梓「…寂しいに決まってるじゃないですか」
梓「でも、だからこそ…今日のライブはめいっぱい楽しんで、最高のライブにしたいんです」
古畑「……」
梓「私に?…ですか?」
古畑「ええ」
梓「…結局聞き込みに来たんじゃないですか」
古畑「んっふっふ…すみません」
古畑「ここではなんですから場所を移して…」
梓「はぁ…じゃ、ちょっと待ってください」
憂「なに、梓ちゃん?…と、あれ?古畑さん?」
古畑「どうも」
梓「なんかね、古畑さんが訊きたいことがあるんだって。少し抜けてもいいかな」
憂「たぶん…大丈夫だと思うよ」
梓「ありがとね」
憂(…大丈夫かな、梓ちゃん)
憂「……」
憂「じゅ、純ちゃん!」
純「えぇ!?…なんだ、憂か」
純「急にでかい声出されたらびっくりするじゃん。どしたの?」
憂「ごめん…ちょっとだけ抜けてもいいかなぁ?」
純「えっ…なんで?」
憂「ごめんっ、すぐ戻るから!」
純「あ、ちょっと!…って、梓もいないじゃん!」
憂「……」ソーッ…
梓「古畑さん、訊きたいことっていったい…」
古畑「えー、実は…」
古畑「あなたと山中先生との関係についてお訊きしたいのです」
梓「えっ…」
憂(っ!!)
古畑「あなた方の間には何かただならぬ関係があった…」
古畑「我々はそういう風に見ているのですが」
梓「………どうして、そんな…」
古畑「山中先生の自宅のパソコンから、いくつかの写真が見つかりました」
梓「……っ!」
古畑「どのような写真か、お判りですね」
梓「……はい…」
梓「……」
梓「…あんまり、こんなところで話したいことじゃないです。ごめんなさい」
梓「でも…おそらく、古畑さんの想像通りだと思います」
古畑「…お察しします」
梓「学祭が終わったら、お話ししますから」
古畑「ちなみに…このこと、誰かに相談は」
梓「してません。口止めされてましたし、それに…」
梓「誰かに言えば、けいおん部を潰すかもしれないって…。それに、先生は先輩方の担任だったから…!」
古畑「……」
古畑「…もう結構ですよ」
梓「…戻ってもいいんですか?」
古畑「はい」
梓「…失礼します」ペコリ
テクテク…
梓「…?」
古畑「ライブ、頑張ってください。応援してますので」
梓「…はい。ありがとうございます」
憂(……マズい…)
憂(お姉ちゃんたちに知らせないと!)
ピポパ…ピッ
ピロリロリン♪ピロリロリン♪
唯「あれ、メール…誰からだろう」
唯「あ~、憂からだ~!」
唯「ふむふむ……な、なんですとー!」
律「騒がしいな…」
澪「どうした?唯」
唯「あわ、あわ、あわ…、た、たいへんだよ~っ!」
紬「いったいどうしたの?」
唯「こ、これ…」ブルブル
律澪紬「!?」
律「梓のことが、バレたのか…」
紬「唯ちゃん、落ち着いて?」
律「どっちみち、警察が調べたら遅かれ早かれわかることだったんだ」
律「そのためにも憂ちゃんが唯のふりして会いに行ったり、きちんと梓のアリバイを作っといてあげたろ?」
唯「あぅ…そうだけど…」
澪「そうだけど…?」
唯「うん…わたし、不安なんだ」
唯「もっもちろん、ムギちゃんの立ててくれた計画は完ぺきだよっ?」
唯「でも…あの人…」
律「古畑か…」
唯「うん…なんか、あの人にはぜんぶお見通しな気がして…」
澪「…確かに、明らかに私たちのこと疑ってる感じだもんな…」
紬「そうね…」
律「……」
律「『真珠を造って天然の松』って言うだろ?」
澪「『人事を尽くして天命を待つ』だろ」
律「そうだっけ?まぁとにかく、やることはやったんだから、あとはどーんと構えてればいいのさーっ」
唯「…あはは、りっちゃん、男前~!」
澪「やれやれ…ほんとに律は能天気だな」
律「なにをーっ!?」
紬「ふふ…ポジティブなのはいいことじゃない」
律「よーっし、梓が来るまでに軽く音合わせしとくか!」
唯紬「お~っ!」
澪「…おー」
律「ふぅ…そろそろ楽器運ぶかー」
紬「そうね」
唯「ほーい」
ガタゴト…
梓「……」
澪(梓…演奏中もあんまり元気なかったな…)
澪「梓…」
梓「っ!はい!」
澪「えっと…その…」
梓「…?」
澪「…あ、あれだ!いいライブにしような!」
梓「…はい!」
梓「わわっ、ちょっ…唯先輩!危ないですよ!」
律「……」
律「なぁ澪」
澪「ん…どうした?」
律「あたし、ちょっと用事思い出したからさ、先に楽器運んどいてよ」
澪「え?おい、こんな時に…」
律「じゃ、任せたよ~ん」
澪「り、律!…ったくもう…」
古畑「……」
律「すみません」
古畑「はい?…田井中さんでしたか」
律「……」
古畑「ライブの練習はいいんですか?あと2時間ほどでは」
律「それより…梓と先生のこと、知れちゃったんですね」
古畑「…あー…はい」
律「…確かに梓は…、先生に、その……」
古畑「わいせつな行為を受けていた…」
律「…!」
古畑「やはりご存じだったんですね」
律「…最近梓の様子がおかしくて…。元気がないってわけではなかったんですけど、練習中も上の空って感じで…」
律「それで放課後、澪たちと梓の後をこっそりつけてみたんです。そしたら…」
古畑「山中先生の自宅から、それらしい痕跡は見つかっています」
古畑「先生が中野さんに何らかの嫌がらせを行っていたのは間違いないでしょう」
律「でも…でも梓は!絶対に殺しなんて…」
古畑「わかってます」
律「え?」
まして上から吊るすなんてことができるはずがありません」
古畑「そもそも彼女の身長では、椅子に乗ったとしても配管にロープを吊るすことさえできるかどうか…」
律(梓が聞いたら怒るな、絶対)
律「じゃあ…梓を疑ってはいないんですね?」
古畑「もちろん。彼女はほとんど、どの時間帯においても人目に触れていますから」
古畑「ただし…中野さんは、ということですが」
律「…どういうことですか」
古畑「中野さん以外の誰かが犯人である可能性は、依然なくなっていないということです。例えば…」
古畑「山中先生と中野さんの関係を知った誰かが、彼女を助けるために協力して先生を殺した、とか…」
古畑「あくまで可能性の話をしているだけです」
律「あたしたちにはみんなにアリバイがある」
古畑「んー、どうでしょう。あなた方のアリバイはみなトリックでどうにでもなるものばかりです。
平沢さん姉妹はまさに瓜二つなんですから、入れ替わったところで少し話したぐらいでは気づきません。
あなた方の会話だって、ラジカセでもセットしておけばどうにでも…」
古畑「…あ、そんなことよりそろそろライブですよね。戻らないとみなさん心配するんじゃないんですか?」
律「……そうですね。じゃ、失礼します」
スッ
古畑「頑張ってくださいね。ぜひ観に行き…」
ガチャッバタン
古畑「……」
古畑「……」
今泉「買って来ちゃいましたよぉ、マンモスの肉!」
今泉「これ、古畑さんの分です。はい君の」
古畑「気が利くね」
西園寺「ありがとうございます」
今泉「いやぁ、おいしそうだなぁ」
西園寺「はい」
古畑「軽音楽部の部員たち、どう思う」
今泉「そりゃあ、かわいい子たちだと思いますよぉ」モグモグ
古畑「君は黙ってなさい」
西園寺「山中さんが、彼女らの後輩部員である中野さんへのわいせつ行為や嫌がらせを行っていたとすれば、
動機は十分にあります」
西園寺「しかし部員全員にしっかりとしたアリバイがある…」
西園寺「秋山さんや田井中さんは複数の生徒に声を聞かれていますし、
平沢唯さんに関しては姿までしっかり見られています」
古畑「そういうのはトリックでいくらでもどうにでもなるよ」
古畑「生徒会室の声はラジカセでもセットしておけば事足りるし、平沢姉妹はあれだけそっくりなんだよ。
少々入れ替わったところでおいそれとわかるものじゃない。現に憂さんの方のアリバイはあやふやだし、
あの二人が教室から姿を消した時間は重なっているんだしね」
古畑「軽音楽部の3年生と平沢憂、この5人が一斉に教室から姿を消したということは、
絶対に何かあるよ…」
今泉「考えすぎだと思うけどなぁ。彼女たちまだ高校生で、未成年なんですよ」
今泉「でも楽しみだなぁ、彼女たちのライブ」
古畑「何時からあるんだっけ」
今泉「3時半ですって。あと1時間かぁ。いい席取らないとなぁ」
古畑「ふーん…」
西園寺「へぇ、これおいしいですね、マンモスの肉」モグモグ
今泉「だろ?あ、でも、2年2組の子達、かわいそうだったなぁ」
西園寺「何かあったんですか?」
でも衣装受け取る前に事件が起きちゃったもんだから、結局衣装が使えずに制服のままやってるんだよ」
古畑「……」
西園寺「それは気の毒ですね…」
今泉「だろう?遺留品なんだから仕方ないんだけどさ、あの毛皮みたいな衣装着た子たちも見てみたかったなぁ…」
古畑「…今泉君」
今泉「はい?」
古畑「お手柄だよ」
今泉「へ?」
西園寺「はい」
古畑「今からいうものを準備して、講堂のステージ裏に持ってきといて」
古畑「これと、あれと…」
西園寺「わかりました」
今泉「ぼ、ぼくはぁ」
古畑「君はね…」
古畑「ライブ楽しんでらっしゃい」
今泉「わかりましたぁ!」
ドタドタ…
古畑「えー、犯人は間違いなくあの5人です」
古畑「おそらく大事な後輩を、そして大切な友人を救うための犯行でしょう」
古畑「同情できる点もありますが、それでも殺人はいけません」
古畑「えー、今回のポイントは、私がどこで彼女たちを犯人だと確信したか…」
古畑「ヒントはこれ…マンモスの肉」
古畑「んっふっふ…少し考えてみてください」
古畑「解決編はこの後。古畑任三郎でした」
ジャー…パシャパシャ…
憂「……」
ガチャッ
憂「!?」
梓「憂…」
憂「梓ちゃん…」
憂「いよいよだね、ライブ」
キュッキュッ
梓「うん」
ジャー…パシャパシャ…
憂「楽しみだなあ。お姉ちゃんね、この日のために家でもずっとギー太と寝てたんだよ」
梓「あはは、そうなんだ」
キュッ
ポタッ…
梓「ねぇ憂」
憂「なに?」
梓「実は…思い出したことがあってね」
憂「?」
梓「昨日の午前中に、私が2階の廊下で唯先輩に会ったっていうのは知ってるよね」
憂「うん…昨日古畑さんに言ってたね」
梓「そのときになんか違和感があってさ」
梓「ちょっと気になってたんだけど、わかったんだ」
ポタッ…
梓「うん。抱きつかれたときにね、いつもと感触が違ったんだ」
梓「正確に言えば、圧迫感っていうか…少し、胸がおっきかった」
ポタッ…
憂「……」
梓「ねぇ、もしかしてあの唯先輩は、憂だったんじゃないの?」
梓「憂は本当に唯先輩にそっくりだよ。見た目だけじゃわかんないくらい。
でも、抱きついた時の感触だけは真似しようがないよね?」
憂「梓ちゃん…」
憂「ごめん…梓ちゃん」
憂「梓ちゃんは知らない方がいいよ。いや違う、知っちゃいけないの」
梓「どうして?なんで憂…」
憂「ごめん」
ガチャッバタン
梓「……」
梓「どうして…」
ポタッ…
澪「え?古畑さんが?」
和「そう、ライブが終わってからみんなに話があるって…」
律「……」
和「終わってから講堂の裏で待っていますって言ってたわ」
梓「い、いったいなんなんですかあの人!」
紬「梓ちゃん…」
梓「いっつも先輩方に付きまとって!まるでみなさんが事件にかかわってるって言いたいみたいに…」
梓「あんな人、無視しとけばいいんです!」
澪「梓…」
澪「!?」
紬「ゆ、唯ちゃん?」
梓「唯先輩!?」
唯「いやーだってさぁ、もやもやしたまんま演奏するのって、なんかいやじゃん」
唯「わたしたちは無実だーっ!ってきちんと証明してから演奏しようよ」
律「…あたしも唯に賛成だ」
梓「り、律先輩まで?」
律「疑われてるって気にしながら演奏したって、いいライブは出来っこないだろ?」
澪「そりゃそうだけど…」
律「だ~いじょうぶだって、あたしらな~んも悪いことしてないんだからさっ」
律「さっさと無実だって古畑にわからせてから演奏しようぜ」
和「じゃあ…今から呼んできていいのね?」
律「うん、悪い和、頼むわ」
古畑「いやーライブの直前に申し訳ありません。よろしかったんですか?」
唯澪紬梓「……」
律「いいから始めてくださいよ古畑さん。いったいなんなんですか?」
古畑「すみません。これが本当に最後ですので」
律「……」
和「律…ライブ開始まであと20分よ?」
律「あー…ごめん和、ちょこーっとだけ時間遅らせるわけには」
和「」
律「いかないよねー…ははー…」
律「…てことで古畑さん。すぐに終わらせてくださいね」
古畑「わかりました。…と、その前に、まだかな」
西園寺「お連れしました」
憂「……」
唯「憂!?」
憂「お姉ちゃん…みなさん…」
古畑「えー、これでやっと全員揃いましたね。では始めましょう、手短に…」
今回の山中先生の死は、単なる自殺ではなく、綿密に計画された殺人であるということです」
唯「そ、そんな…」
澪「…もちろん確証があるから言ってるんですよね?」
古畑「あてずっぽうでこんなことは言いません」
律「へっ…じゃあ見せてくださいよ。殺人の証拠とやらを」
古畑「まぁ落ち着いてください。順を追って説明しましょう」
古畑「毎年のように新歓、学祭とあなた方のライブ衣装を作っていた先生がなぜ今回は衣装を作っていなかったのか。
他の衣装は全て仕上げていたんです。おかしいとおもいませんか」
律「別に。案外手ぇ広げすぎてめんどくさくなったとか、そんなとこじゃないの?」
唯「あはは、さわちゃんらしいね」
古畑「んっふっふ…しかし山中先生は、やはり衣装を作るつもりだったんです」
古畑「そして衣装を作るための材料も見つかりました」
古畑「その材料というのは…西園寺君」
西園寺「はい」
ガラガラ…
古畑「調べてみると、これらは全て山中先生が業者に発注して昨日届いたものだそうです」
古畑「さらにこれ。なんだかおわかりですか?」
紬「それは…」
唯「HTTって…わたしたちのトレードマーク…」
古畑「そうです。これはアイロンでTシャツに貼り付けるものです。これで手軽に手作りTシャツが作れるとかで」
古畑「こういうものが用意されていた…。ということは、ですよ。
やはり山中先生はあなた方の衣装を作るつもりだったんです」
和「!」
唯「の、和ちゃん!?」
和「…その通りです。先生は今回のライブ衣装と同じものを大量に作って、
ライブを見に来た人全員に配るつもりだったんです」
和「私が聞かされたのは一昨日だったんですけど。前日から徹夜で一気に仕上げると言っていました」
古畑「はい…ありがとうございます」
古畑「自殺するつもりの人が果たしてここまでのことをするでしょうか?」
古畑「これを放っておいて自殺するにしてもです、
せめてあなた方の分の衣装だけでも仕上げておくのではないでしょうか。
衣装自体はTシャツに柄をプリントするだけの簡単なものなのですから」
唯律澪紬梓憂「…………」
古畑「犯人の正体に関わることです」
唯「え!?」
律「……」
古畑「実は…被服室にあった衣装のうち一つに、あなた方の中の一人の指紋が残っていたんです」
澪「なっ…」
紬「まさか…」
古畑「えー…誰の指紋か、触った記憶のある人にはわかるはずです」
唯(わ、わたし触っちゃったかな…)アセアセ
律「……」
古畑「その衣装をお見せしましょう。西園寺君」
西園寺「はい」
バッ
律「…!」
唯「え……」
古畑「この長袖で、しかも全身を覆う毛皮なんて、この時期にはまだ暑そうですが。
猿人を意識したんでしょうか」
唯律澪紬梓憂「…………」
古畑「いかがですか」
澪「…律?」
律「…ははははは!古畑さん、なーにでたらめ言ってんだよ!」
古畑「はい?何のことでしょう」
律「いやいや…とぼけなくてもいいって。こんな生地に指紋が残るわけないってのぐらい、あたしでもわかるよ」
古畑「ええ?いやでも確かに…」
律「…っ!」イラッ
紬「ちょっと、りっちゃん…」
古畑「え?いやこれは2年2組の…」
律「『マンモスの肉』の出店の衣装はこんなんじゃないって!」
古畑「え?これではないと」
律「違うよ」
古畑「ではどんな」
憂「…!」
律「どんなって…もっと薄手で袖がなくて、斑点があって…。とにかくこんなカッコ悪くて暑苦しいやつじゃ」
憂「律さん!」
律「っ!…な、なに?」
唯「憂…?」
憂「あぁ…」
古畑「今…なんとおっしゃいました?」
律「え…あぁ、え?」
古畑「…今なんと」
律「だ、だから薄手で袖がなくて、斑て…」
古畑「西園寺君」
西園寺「…最後のアレを」
西園寺「はい」
バッ
古畑「はい。これが本当に2年2組の出店で使うために作られた衣装です」
古畑「最初のこれは演劇部から借りてきた雪男の衣装でして…」
古畑「田井中さんのおっしゃった通り。確かにこちらの衣装は偽物でした」
古畑「しかし…なぜこの衣装が偽物だと見抜いたんですか?」
律「それは…2年生の子たちが今日それを着てるのを見たから…」
古畑「いいえ。そんなはずはありません」
古畑「あなたがこれを着た生徒を目にするはずがない!」
律「…っ!どうして!」
古畑「だって誰もこの衣装を着ていないんですから!この学校の生徒は誰も」
律「…え?」
古畑「はい確かに、完成はしていました。必要な数は全部」
古畑「しかし…実はこの衣装、被服室に置いたままになっていました」
古畑「そしてなかなか衣装が届かなかった2年2組の生徒が被服室に衣装を取りに行って、遺体を発見したんです」
古畑「衣装は遺留品ということで使うことができず、
かわいそうに2年2組の生徒は制服のままで出店を営業していたそうで…」
古畑「もっとも昨日から部室にこもって練習していたあなた方にはわからなかったでしょう」
古畑「憂さんはこの衣装が使われていないことを知っていたようですが…。
少し気づくのが遅かったですね。残念でした」
憂「……」
それ以外の方法でこの衣装を偽物だと断定することはできないんです、絶対に!」
唯律澪紬「…………」
古畑「そして…憂さん。あなたもこの犯行に加担していたと、私は確信しています」
憂「……」
古畑「…以上です」
梓「本当、なんですか…?」
律「う…いや…」
梓「…教えてくださいっ!」
律「…っ!」
唯「りっちゃん、もういいよ」
律「え…」
唯「もう…ネタばらししようよ」
澪「唯…」
唯「あずにゃん、ごめんね」
唯「わたしたち…ほんとは内緒話してたんだ…」
梓「…唯先輩…」
クルッ
唯「…古畑さん、さわちゃんは、わたしたちが殺しました。わたしたち4人で」
紬「……」
澪「…くっ…!」
唯「憂は…殺しには関係ないです。ただ、わたしたちのアリバイ作りに協力してくれただけで」
古畑「……」
澪「あの…古畑さん」
澪「どこで…私たちが犯人だと思ったんですか?」
古畑「えー…決定的だったのは、唯さんの発言です」
唯「ふぇ?わたし?」
古畑「あなたと憂さんに職員室に案内してもらった時のこと、覚えていますか」
唯「職員室に…?そういえばそんなことあったような…」
まぁその時は私もそれに気づかなかったんですが…結果それが失言になってしまったわけです」
古畑「…残念でした」
唯「…そっかぁ…」
唯「あはは…やっぱりわたし、おっちょこちょいだなぁ」
唯「みんな…ほんとにごめんね!」
憂「お姉ちゃん…」
律「ははっ…せっかくさっきはカッコよかったのにな」
紬「ううん…唯ちゃんが謝ることないわ」
澪「私だって、被服室にリップクリーム落としてたし…」
律「まっ、あたしたちに完全犯罪なんて無理だったってこったな」
唯律澪紬憂「!?」
梓「こんなことされて私が喜ぶと思ってたんですか!?」
紬「梓ちゃん…」
澪「梓…」
梓「私のせいで、先輩方や憂が犯罪者になって…、私はひとりぼっちになって…」
梓「みんなで…最高のライブしようって、言ったのにっ……うっ…」
唯「あずにゃん…」
梓「!」
唯「ごめんね、あずにゃん」
梓「…!……うっ……うっ…」
唯「わたしたちは、一足早くいなくなっちゃうけど…」
梓「ひっぐ…っ……えぐっ…!」
唯「わたしたちは、いつまでも、いつまでも…!」
唯「放課後だから!」
梓「…へっ?」
律「…はい?」
唯「だから…だからね。心配いらないよ、あずにゃん」
梓「えっ…あ、はい…」
梓(ちょっと、意味が…)
憂(お姉ちゃん…!)
澪(…唯らしいな)クスッ
古畑「時間だ…そろそろライブが始まる」
古畑「我々は客席で拝見しています。最後のライブ、頑張ってください」
唯律澪紬梓憂「…………」
律「いや…もういいですよ、古畑さん」
古畑「はい?」
律「今のあたしたちじゃ、とてもみんなに顔向けできないし…」
澪「それに…」
唯「澪ちゃん…?」
澪「人を殺した手で、楽器を演奏しちゃいけないと思いますから」
律「…だな」
憂「澪さん…」
紬「…そうね」
澪「んなっ、バカ…そんなわけないだろ!」
律「……ははは、冗談だよ」
唯「…りっちゃん…、あはは、意地悪はやめてあげなよ」
澪「…ふん、バカ律…」
紬「…あら、あら」
梓「……」
澪「梓…ごめんな」
梓「いえ…、先輩方の決めたことですから。従います」
唯「…えへへ…」
紬「その言葉だけで…うれしいです、古畑さん」
古畑「…お連れして」
西園寺「わかりました」
西園寺「こちらへ…」
ゾロゾロ…
唯「あずにゃん…?」
律「どした?」
梓「いつか…また…」
梓「武道館じゃなくても…小さいライブハウスでも」
梓「近所の公園でも、道端でも、どこでもいいですから…!」
梓「きっと…きっとまた、一緒に演奏しましょう!」
唯「あずにゃん…」
律「…へへ」
梓「私…、それまでみなさんのこと、ずっとずっと待ってますから!」
唯「…うん!」
紬「ありがとう、梓ちゃん」
澪「約束だ、梓」
憂「え…?」
梓「今度…おいしいお菓子の作り方、教えてよ」
憂「…うん、わかった!」
律「よーっし、こうなったら早く梓との約束を果たすためにも…」
唯「次は『だつごく!』だね!」
律「おう!そうだな!」
澪「お前ら反省しろっ!」
ガツンッ!
律「あいたっ!だからなんであたしばっかり…」
紬「あらあら」
唯「あ、和ちゃん…」
和「憂も。しっかり反省して出てくるのよ」
憂「…はい」
唯「…ごめんね、和ちゃん」
和「バカね、唯ったら…。みんな大バカよ」
唯「……」
和「さよならは言わないわ」
唯「…またね、和ちゃん」
和「落ち着いたら…面会に行くから」
ゾロゾロ…ガチャ…バタン
和「……」
古畑「…お二人はどうされますか?」
和「私は…仕事が残ってます。生徒会長として、きっちりみんなに説明しないと」
古畑「そうですか…」
古畑「中野さんは」
梓「え…」
和「一緒に…行く?」
梓「…私は……」
梓「私は…いいです」
梓「いつかまた先輩方と、放課後ティータイムとしてみんなの前に出たいですから」
梓「それまでステージには立ちません」
今泉「幕開くの遅いなぁ。もう予定の時間5分は過ぎてるのに!」
今泉「あ…あ!開いた!やっと開い…あれ?」
今泉「だ、だれあれ…。あ、生徒会長の子だっけ」
今泉「いやあの子もかわいいけど…放課後ティータイムは?」
今泉「え?え?」
完
~澪たんは俺の嫁!の巻~
さっそくですが、自分の学生時代を思い出してください。
部活動は帰宅部、授業中は廊下に立たされ、テスト中にはカンニングがバレて…。
…好きな人にはフラれる。
そんな学生時代を送ってきたのではないでしょうか。
…もちろんそんなことはないというイヤミなやつもいるでしょうが…。
それはともかく、学生時代には良くも悪くもたくさんの思い出が詰まっているものです。
えー、私の学生時代といえば……っ…うっ…ぐすっ…。
桑原「そういえば聞いたよ~、今泉さん!」
今泉「なにが」
桑原「今回の犯人、現役の女子高生たちだったんだって?」
今泉「それが」
桑原「いやーすごいよなぁ。友達や後輩を悪徳教師から守るための犯行だってね」
桑原「僕が高校生の頃なんて、近所の小学校のプールに裸で飛び込むとかさぁ、
やんちゃばっかりしたもんだよ…」
桑原「それと比べたら…、不謹慎だけど立派な子たちだよねぇ」
今泉「……」ムスッ
今泉「どうもこうもないよぉ!古畑のヤツ!」
桑原「ちょっとちょっと、どうしたのよ」
今泉「あいつがライブ楽しんで来いって言ったから放課後ティータイムのライブ観にいったのに、
あの野郎ライブの直前にあの子たち逮捕しちゃったんだよ!?」
今泉「狙ってるとしか思えないよぉ!」
桑原「まぁまぁ、落ち着いて…。古畑さんもそこは仕事なんだからさぁ」
今泉「それにしてもだよぉ!」
桑原「落ち着きなさいってあんた…、それよりなによ、その放課後ティータイムって」
今泉「逮捕された子たちが組んでたバンドの名前だよ。
生徒会が保管してたDVD見せてもらったんだけど、いやぁ、かわいかったなぁ!」
桑原「へぇ、そうなの」
桑原「なに」
今泉「…………」ニタニタ
桑原「なによ」
今泉「持ってきちゃった」
桑原「…なにを?」
今泉「ライブのDVD」
桑原「ちょっ…何やってんの!?おたく一応警察官でしょ!?」
今泉「いいんだよ捜査資料ってことで。バレないようにこっそり持ってきたし」
桑原「こっそり持ってきちゃダメでしょ!きちんと許可得ないと」
桑原「悪いこと言わないから返してきなさいって」
今泉「ダビングしてから返すよ」
桑原「いやいいよ別に」
今泉「観たいでしょ」
桑原「いいってば」
今泉「というかうちのDVDプレーヤー壊れちゃってるからさ、ここで見せてよ」
桑原「結局あんたが観たいんじゃないか」
今泉「じゃあ観るよ」
桑原「どうなっても知らないからね?」
今泉「これはまだ観てないんだよなぁ」
今泉「おっ、映った!映った!」
桑原「……」
今泉「うひゃあ、かわいいなぁ」
ワン、ツー、スリー、フォー、ワン、ツー、スリー!
ジャカジャカジャンジャンジャカジャンジャカジャン…
桑原「……」
キミヲミテルト イツモハートドキドキ…
今泉「澪ちゅわあああああん!」
桑原「おたく傍から見てたらけっこう気持ち悪いよ?」
桑原「……」チラ
ユーメノナカーナーラ フータリノキョーリー…
桑原「…ちょっと…かわいいねぇ」
今泉「だろぉ!?こっち来て観なよ」
桑原「……」ススス…
アーアーカーミサーマオネーガイー フタリーダーケーノ…
今泉「うわああああああ!澪ちゃあああああん!」
桑原「ちょっと今泉さん、聞こえないってば!」
今泉「いいんだよ!ライブなんだからこれぐらい盛り上がっても!」
桑原「外にまで聞こえちゃうから、ほら…」
今泉「ふわふわターイム!ふわふわターイム!」
桑原「……」
ジャーン…!
ワアアアアアア…
パチパチパチパチパチパチパチパチ…
澪『…みんな、ありがとー!』
今泉「こっちこそ生まれてきてくれてありがとー!!」
桑原「いやーでも、これはいいもの観…」
澪『きゃっ』
ガシャァンッ!
今泉・桑原「!!!」
イ、イヤアァァァァァァァァ…
今泉「み、澪たんのパンチラだあああああ!」
今泉「巻き戻し巻き戻し!」
桑原「ちょっと今泉さん!今のはさすがにマズイよ!」ガバッ
今泉「いいじゃん、ちょっとぐらい!」
桑原「限度があるでしょうが限度が…!」
グググッ…
ポトッ
桑原「…ん?今泉さんなんか落としたよ」
今泉「え?…あっ!それはァ!」バッ
桑原「おっと、危ない」ヒラッ
桑原「えーっと、なになに、『秋山澪ファンクラブ』…?」
今泉「……」
桑原「……」
桑原「……」
桑原「今泉さん…、これ、なに?」
今泉「なにって…会員証」
桑原「どうしたのこれ」
今泉「生徒会室にあったから…。DVDと一緒に持ってきちゃった」
桑原「持ってきちゃったじゃないでしょ」
桑原「…あのさ、今泉さん。この子、逮捕されたとはいえ未成年の高校生なんだよ?」
今泉「あなた警察官なんだからさ、その辺の良識はわきまえようよ」
今泉「……」
今泉「……っ…」
今泉「…………はぅっ!」ガシッ!
桑原「ああよしよし、諦めようね」
アーヨシヨシ… ガチャ…バタン
完
中居君のビーズ然り、澪がわざとリップクリーム落としたかと思った。
桑原さん生きてくれてればなぁ…
おつ
Entry ⇒ 2012.10.12 | Category ⇒ けいおん!SS | Comments (0) | Trackbacks (0)
紬「まろやか?」
少女の名前は秋山澪。彼女は吸血鬼でした。
吸血鬼は人の生き血を吸って生きていきます。
しかし、澪は人見知りで恥ずかしがり屋だったので、その勇気がありませんでした。
このままでは駄目だと考えた澪の両親は、彼女一人を残して館から出て行きました。
吸血しなければならない状況を作り、澪に一人前の吸血鬼になってもらうためです。
しかし澪はなかなか家をでる勇気が持てず、すっかり衰弱してしまいました。
一人の少女が館を訪れたのは、その頃のことです。
紬「森に花を摘みにきたのはいいけど、迷っちゃったみたい」
紬「ここはどこかしら」
紬「あら、あんなところにお家があるわ。ちょっとお邪魔してみましょう」
紬「あれ、鍵が空いてる」
紬は扉を開け、館に入りました。
澪はそれに気づいていたのですが、怖くて自分の部屋に閉じこもっていました。
紬「誰もいないのかしら‥…ひょっとして空き家かしら。ちょっと探検してみましょう」
紬は次々と部屋を巡り、ついには澪の部屋の前に辿り着きました。
紬「あれ、この部屋から人の気配を感じる」
澪「‥‥」
紬「この布団‥‥あやしい」
紬はベッドの上の布団が膨らんでいることに気づきました。
誰かが隠れていると確信した紬の顔には、悪い笑顔が浮かんでいました。
紬「わっ!!!」バッ
澪「うおおおおあああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!!!!」
紬「キャッ」
澪「食べてもきっと美味しくないぞ」
びっくりした澪は自分が食べられてしまうと思い込んでしまいました。
布団で頭部を守りながらガクガクと震えています。
紬「驚かしてごめんなさい。食べたりしないから出てきて」
澪「‥‥ほんとう?」
紬「本当」
澪「‥‥嘘だっ! そうやって安心させた後、パクリと食べちゃうんだ」
紬「どうしたら、信じてくれる?」
澪「‥‥」
澪は少し考え、布団の下から紬の顔を覗き込みました。
紬はとても綺麗な金色の髪をしていました。
やわらかく輝く髪を見て、異国のお姫様みたいだな、と澪は思いました。
澪「‥‥きれい」
紬「えっ」
澪「その髪、さわってもいい?」
紬はためらいながらも承諾しました。
すると澪は布団から出てきて、恐る恐る紬の髪を触りました。
澪「やわらかくてすべすべだ」
紬「くすっぐったい//」
澪「きれいな、髪」
紬「あなたの髪も、とってもきれい」
澪「//」
紬「触ってもいい?」
澪「うん」
紬はやさしく澪の髪を撫でました。
澪は気持ちよさそうに目を細めます。
紬「でもお肌はちょっと荒れてるみたい」
澪「‥‥っ」
荒れた肌を見られるのが嫌だったのです。
紬「ごめんなさい。無神経なこと言ってしまって」
澪「いいんだ。仕方のないことだから」
紬「ひょっとして、アトピーか何かの病気?」
澪「ううん。違うんだ」
紬「家から石鹸をもってきてあげる。とってもお肌がすべすべになるの」
澪「違うんだ。私は吸血鬼なんだ」
紬「吸血鬼?」
澪「うん」
紬「‥‥」
紬は少し考えてからこう言いました。
紬「それじゃあ、私の血、吸う?」
澪「へっ」
紬「私の血を吸ったら、お肌きれいになるんでしょ?」
澪「いいの?」
紬「うん」
澪は紬の首筋を見つめました。
両親が帰ってこない以上、いずれ血を吸う必要があります。
紬の首筋はとてもやわらかそうで、その中にある血もとても美味しそうだと澪は感じました。
澪「本当にいいの?」
紬「うん」
紬「‥‥っ」
小さな牙を紬の首筋に突き立て、血を吸い始めました。
澪は血の味を楽しみながら、顔に触れる紬の髪の感触を楽しみました。
数十秒ほどの食事の後、澪は口を離しました。
澪「まろやかー」
紬「まろやか?」
澪「うん」
紬「あっ、肌が綺麗になってる」
澪「‥‥本当だ」
紬「吸血鬼って凄い!」
澪「//」
澪「ちょっと力が強いんだ」
紬「他には?」
澪「怪我の治りもちょっと早いんだ」
紬「凄いっ!」
澪「//」
紬「ねぇ、私とお友達になってくれないかな?」
澪「‥‥いいの?」
紬「うん!」
澪「ことぶきつむぎ‥‥?」
紬「うん。親しい人はムギって呼ぶわ」
澪「琴吹さんでいいかな」
紬「うん」
澪「私は、秋山澪」
澪「親しい人は‥‥澪って呼ぶ」
紬「澪?」
澪「うん?」
紬「うーん。あっ、ひょっとして澪ちゃんは桜が丘の生徒?」
澪「えっ、なんで知ってるんだ?」
澪「琴吹さんも桜ヶ丘に通ってるの?」
紬「うん。あっ、それじゃあ、りっちゃ‥‥田井中律さんも知ってるよね?」
澪「もちろん知ってるよ。たった一人の友だちだから」
紬「りっちゃんから一度だけ澪ちゃんのこと聞いたことあるわ」
澪「律‥‥」
田井中律は狼少女でした。
吸血鬼が栄養を吸収できるのは人間の血からだけなので、律の血を吸っても意味がありません。
だから、最近は律が来ても居留守を使っていました。
カサカサの肌を見られるのが嫌だからです。
澪「えっと‥‥」
紬「学校楽しいよ。そうだ澪ちゃん、軽音部に入らない?」
澪「軽音部?」
紬「うんっ! 軽音部。りっちゃんがメンバー集めてやろうって。後一人足りないんだけど」
澪「琴吹さんもメンバーなの?」
紬「うんっ!」
澪「全部で何人なの?」
紬「今のところ3人だよ」
澪「律と琴吹さんと‥‥あと一人か」
紬「唯ちゃんって言うの」
澪「唯ちゃん?」
澪「紅茶?」
紬「うん。いつも練習前にティータイムをやってるの」
澪「いいなぁ‥‥」
紬「澪ちゃんもおいでよ」
澪「だけど‥‥」
澪は迷いました。
軽音部は楽しそうです。
しかし外界との関わりを断って久しい澪は、なかなか踏ん切りを付けることができませんでした。
紬「迷ってるんだ?」
澪「‥‥うん。最近人に会ってないから、怖いんだ」
紬「そうなんだ‥‥」
澪「‥‥」
澪「‥‥?」
紬「明日学校にきてみない? 私がずっと一緒にいるから」
澪「いいの?」
紬「うん。だってお友達だもん」
澪「‥‥あっ、ごめん」
紬「えっ」
澪「さっき律のことたった一人の友だちって言ってごめん。琴吹さんとも友達になったのに」
紬「‥‥澪ちゃんって繊細なんだね」
澪「うん、そうなんだ」
紬「ふふっ」
澪「笑うなんて酷い‥‥」
紬「ごめんなさい。澪ちゃんがあまりに可愛かったから」
澪「//」
次の日の朝早く、紬は澪の家に迎えに行きました。
紬「澪ちゃん、いきましょ」
澪「本当に大丈夫かな?」
紬「大丈夫だって、ねっ」
紬は澪の手をとりました。
澪「あっ‥…やわらかい」
紬「澪ちゃんの手もやわらかい。それにとってもすべすべ」
澪「//」
紬「さぁ、行きましょ」
澪「‥‥うん」
久しぶりのおいしい空気を澪はいっぱい吸い込みました。
紬はそれをニコニコ見つめました。愛しそうに。
しばらく歩くと、通学路に出ました。
律「おーい! ムギ‥‥と澪!?」
澪「り、りつ」
紬「りっちゃんおはよう」
律「なぁ、どうして澪が‥‥」
紬「実は‥‥」
紬と澪は律に昨日のことを話しました。
澪はちょっとだけ居心地が悪そうにしています。
律「そんなことがあったのかー」
澪「うん」
律「でも、なんで今まで私に会ってくれなかったんだ?」
澪「い、言いたくない」
澪「嫌なものは嫌だ!」
紬「メッ! りっちゃん!!!」
律「うおっ!」
紬「女の子は色々あるんだから、りっちゃんは追求しちゃ駄目よ!」
律「まぁムギがそう言うなら‥‥」
紬「わかってくれればいいの」
律「‥‥ん?」
紬の言葉は、自分のことを女の子扱いしていないのでは、と律は思いましたが。
紬がそのような皮肉をいう訳がない、と思い、文句は言いませんでした。
律「あぁ」スタスタ
紬「‥‥りっちゃん、一人で歩いていっちゃ駄目」
律「えっ」
紬「りっちゃんは澪ちゃんのもう片方の手を握ってあげて」
澪「えっ?」
意外な提案に面食らってしまった律でしたが、
それはそれで面白そうだと思い、紬の言葉に従いました。
律「澪の手暖かいな」ギュ
澪「ううっ、これは恥ずかしいよ」
紬「そう?」
澪「あれって?」
紬「CIAに捕獲されたエイリアンの図のことね!」
律「そう、それ!」
澪「お、おまえら‥‥」ピキピキ
律「澪が」
紬「怒ったー」
二人は手を解き、澪を置いて走り出しました。
澪は怒ったフリをして二人を追いました。
学校はもうすぐそこです。
その中の一人が近寄ってきました。そうです、平沢唯です。
唯「ムギちゃん、りっちゃん、その子は?」
紬「新しい軽音部員よ?」
澪「へっ」
唯「へぇ?そうなんだ?。ふーむ」
唯はじっと澪のことを見つめました。
澪は少し居心地が悪そうにしています。
唯「えいっ」
澪「きゃっ」
突然唯は澪に飛びつきました。
唯「なかなか良い抱き心地ですな?」
紬「ふむふむ」
澪「は、はなれてくれ」バシ
唯「あっ‥‥」
澪は走って教室から出て行ってしまいました。
紬はそれを追いかけます。
紬「澪ちゃん、大丈夫?」
澪「あぁ、うん。あの唯って子、誰にでもあぁなのか?」
紬「唯ちゃんが抱きつくのは、気に入った子だけよ」
澪「‥‥私は気に入られたってことか」
紬「いや?」
澪「嫌じゃやないけど、いきなり抱き付かれるのは困る」
紬「そうね。じゃあ唯ちゃんに言っておくから」
澪「えっ、それはいいよ」
紬「そう? じゃあ言わないでおくね」
澪「あぁ」
休み時間も、トイレに行くときも、ずっと一緒でした。
やがて放課後になり、四人は部室に集まりました。
唯「澪ちゃんも楽器やるの?」
澪「あぁ、私はベースを弾くんだ」
唯「ベース! 凄い!!」
澪「//」
紬「唯ちゃんはね、ギタリストなの」
澪「へぇ?平沢さんギター弾けるんだ」
唯「えへへ?」
澪「琴吹さんは何をやるの?」
紬「私はこれ」
澪「キーボードか」
澪「律はドラムだろ。知ってるよ」
律「そ、そうだな」シュン
唯「ねぇ、せっかく四人揃ったんだから、合わせてみようよ」
紬「そうね、やってみましょ」
律「あぁ、そうだな」
澪「‥‥できるかな」
澪は不安そうな顔をしましたが、紬と律に押されて演奏しました。
四人で合わせるのは初めてでしたが、演奏はとても楽しく明るいものでした。
演奏しながら澪は、学校に来てよかったと思いました。
唯「うんうん。すっごくうまかった」
澪「//」
唯「それにひきかえ、ねぇ」
律「な、なんでこっちを見るんだ」
唯「りっちゃんってさ、部長さんなのに下手だよね」
律「ひ、酷い‥‥」シュン
澪「まぁまぁ律。これからだって」
律「うぅ‥‥」
律が落ち込んでいると、ティーセットを持った紬がやってきました。
紬「お茶をいれるわー」
唯「お菓子もあるの?」
紬「えぇ、今日はロールケーキよ!」
紬「ふふふ、澪ちゃんも好きなんだ」
澪「うん」
紬「それは良かった」
紬はお茶の準備を始めました。
受け皿を並べ、カップを置き、皿を並べ、ティースプーンとフォークをセットする。
紅茶をカップに注ぎ、ロールケーキを切り分けて、皿に盛り付ける。
その一連の流れはとてもゆったりとしていましたが、全く無駄のないものでした。
いつの間にか澪は紬に見蕩れていました。
澪「きれい‥‥」
唯「澪ちゃん?」
澪「‥‥ううん、なんでもない」
紬「どうぞ、澪ちゃん」
澪「‥‥」ゴク
紬「どう?」
澪「美味しい‥‥」
紬「おかわりもあるから、どんどん飲んでね」
澪「あぁ」ゴク
唯「ムギちゃん、ムギちゃん。私にも早く」
紬「ええ、唯ちゃん。今いれるわ」
ティータイムは終始和やかでした。
美味しいお茶と美味しいお菓子、楽しそうに過ごす3人。
澪は軽音部にきて本当に良かったとひしひしと感じました。
澪「律‥‥?」
律「こうなったら練習あるのみだ!!」
唯「さっきの演奏気にしてたんだ」
紬「おっ、りっちゃんやるきね?」
律「あぁ、これからドラムマニアやりに行くぞ」
紬「えっと‥‥」
唯「ムギちゃんは知らないんだ。ゲームのことだよ。ドラムを叩くゲーム」
律「あぁ。ドンドンドコドンってリズムに合わせて叩くんだぞ」
紬「面白そう!!」
律「じゃあ今日の部活はこれくらいにして、みんなで行こうぜー」
唯・紬「おー」
澪「‥‥」
紬「澪ちゃん?」
澪「‥‥私はいい」
澪「私は行きたくない」
律「そんな事言わずにさー。澪も行こうぜ」
澪「ごめん律。久しぶりに外に出たから疲れてるんだ」
澪「私はいいから琴吹さんと平沢さんと3人で行っておいでよ」
律「うーん」
紬「‥‥私も澪ちゃんと一緒に帰るわ」
律「それじゃあムギ頼むよ」
澪「いいよ。琴吹さんも楽しんできなよ」
紬「だけど‥‥」
澪「ドラムマニアに興味津々だったじゃないか」
紬「‥‥」
澪「それじゃあ、私は帰るよ。さよなら」
もちろん四人で遊ぶのが嫌だったわけではありません。
澪はゲームセンターに行くのが嫌だったのです。
人が沢山いる場所、しかも素行の良くない人がたむろしている場所。
澪にはまだそんなところに行く勇気がありませんでした。
澪「はぁ‥‥」
澪「なんだか妙な空気にしてしまったな」
澪「でも軽音部は楽しかった」
澪「うん。明日から頑張ろう」
澪は長い独り身生活のせいで、独り言がくせになっていました。
傍から見たら、ただのかわいい妙な人です。
そんな澪の後を追いかける少女がいました。そう、紬です。
紬「澪ちゃん!!」
紬「約束したから」
澪「約束?」
紬「私がずっといっしょにいるって、約束したから」
澪「でも、もう放課後だよ」
紬「家に帰るまでが学校です!」
澪「‥‥ぷっ」
紬「澪ちゃん?」
澪「琴吹さんって真面目な顔して面白いこと言うんだね」クスクス
紬「//」
紬「うんっ!」
二人は歩き出しました。
ゆっくりと、一歩一歩しっかりと。
夕焼けで赤く染まった街を通り過ぎ、少し暗くなった森を抜けて、澪の家に着きました。
澪「上がっていってよ。お茶ぐらい出すから」
紬「うん」
澪「琴吹さんはそこら辺に座ってて、今用意するから」
紬「うん」
ソファに座った紬は辺りを見回しました。
すると一枚の写真が目に入りました。そこには幼い澪と律が写っていました。
紬「ありがとう。ねぇ、あの写真」
澪「あっ、あれか」
紬「うん。小さい頃の澪ちゃんとりっちゃんだよね」
澪「あぁ、そうだよ」
紬「ふたりともかわいいわ?」
澪「そうかな? 今とそんなに変わらないと思うけど」
紬「うふふふ」
澪「ねぇ、琴吹さん」
紬「なぁに?」
澪「私はこれから上手くやっていけると思う?」
紬「不安?」
紬「澪ちゃんは人が沢山いるところに行くのが嫌だったんだね」
澪「‥‥! 気づいてたんだ」
紬「うん」
澪「琴吹さんは凄いな。それにひきかえ律のやつは」
紬「りっちゃんも気づいてたと思うけど」
澪「えっ」
紬「澪ちゃんが人ごみ苦手だって知ってるから」
紬「だからこそ、ゲームセンターに連れて行こうとしたんだと思う」
澪「‥‥そうなのか」
紬「うん。りっちゃんなりの気遣いじゃないかな」
紬「澪ちゃん?」
澪「いやさ。律にも琴吹さんにもこんなに気遣われて、情けないなって」
紬「そんなことないと思うけど。ベースだってとっても上手だったし」
澪「あぁ、ベースは独りで練習してたから‥‥」
紬「ねぇ、澪ちゃん」
澪「なんだ?」
紬「少しずつ慣れていけばいいと思うの。一歩ずつ」
澪「そうかな?」
紬「うん。私はそう思う」
澪「‥‥」
紬「私ね、今とっても楽しいの」
紬「うん。たまたま訪れた家を探検したら、お姫様みたいな綺麗な女の子が出てきて‥‥」
紬「私と友達になってくれて‥‥」
紬「その子は同じ学校の子で‥‥」
紬「軽音部で一緒に演奏して‥‥」
紬「こうやって、一緒にお喋りして‥‥」
紬「本当に、とってもとっても楽しいの!!」
澪「琴吹さん‥‥」
紬「澪ちゃんは楽しくない?」
澪「突然人が家に入ってきたときはどうなるかと思ったけどさ‥‥」
澪「やってきたのはお姫様みたいに綺麗な女の子で‥‥」
澪「その子は同じ学校の子で‥‥」
澪「とっても優しくて面白い子で‥‥」
澪「血はすっごくまろやかで‥‥」
澪「あっ」
話しているうちに、澪は紬の血の味を思い出してしまいました。
視線は紬の首筋に釘付けです。
澪「‥‥ごめん」
紬「吸う?」
澪「いいの?」
紬「えぇ」
紬「‥‥」
澪「まろやかー」
紬「やっぱりまろやかなんだ」
澪「うん。とってもまろやかで、包み込まれるような優しい味」
紬「//」
澪「//」
澪「同じ事?」
紬「お姫様みたいだって」
澪「だってとっても綺麗な髪で、綺麗な瞳だから」
紬「眉毛は太いよ」
澪「それもかわいいと思う」
紬「//」
紬は澪にほめられて真っ赤になってしまいました。
容姿を褒めてもらったことは何度もありましたが、
眉毛まで褒めてもらったのは初めてだったのです。
紬「そんなことない!!!」
澪「わっ」
紬「髪の毛は艶のある綺麗な黒だし、瞳もぱっちりしてるし」
紬「ちょっと病弱そうだし、おしとやかだし」
紬「お姫様そのものよ!!」
澪「//」
力説されて、澪も頬を真っ赤に染めました。
紬の言葉は力強く、1点の嘘偽りもないことは明らかです。
澪は照れくさそうに言いました。
紬「そういう澪ちゃんのほうこそ」
紬も照れくさそうに言いました。
澪「ねぇ、琴吹さん」
紬「なぁに?」
澪「ムギって呼んでいいかな?」
紬「うん。よろこんで!」
澪「これからよろしく、ムギ姫」
紬「あらあら、そんな呼び方したらりっちゃんが嫉妬するわよ」
澪「律が? ないない。律はお姫様って柄じゃないから」
澪「‥‥ぷっ」
紬「澪ちゃん?」
澪「やっぱりムギってときどき面白いことを言うね」
紬「もう‥‥だけど、それなら私にもチャンスがあるのかな」
澪「なんのこと?」
紬「うふふ、なんでもないわ」
澪「教えてよ」
紬「秘密」
二人の関係はまだ始まったばかり。
紬の秘密が明かされるのは、もっと後のお話。
彼女たちにはまだまだ時間があるのです。
めでたしめでたし?
おしまいっ!
>>70
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Entry ⇒ 2012.09.23 | Category ⇒ けいおん!SS | Comments (0) | Trackbacks (0)
紬「月がきれいですね」唯「!?」ドキッ
紬「ふふっ、招待したかいがあったわ」
唯「うん。みんなすっごい綺麗なドレスに着飾ってて、料理もみんな美味しくて」
紬「唯ちゃんのドレス姿も綺麗だったわー」
唯「そんな。私なんて孫にも意匠だよ」
紬「唯ちゃん。色々間違ってます」
唯「えっ、そうなの?」
紬「そうです。唯ちゃんはとってもかわいいです」
唯「そんなー。私なんてまだまだだよー」
紬「そんなことないと思うなー」
唯「でも、よかったの? パーティーに招待してもらった上、ムギちゃんに家まで送ってもらっちゃって」
紬「いいの。ちょっとだけ歩きたい気分だったから」
唯「ふぅん」
紬「……月がきれいですね」
唯「!?」ドキッ
紬「着いたね」
唯「……」
紬「……? 唯ちゃん、どうかした?」
唯「あっ、うん。慣れないパーティーで疲れちゃったかな」
紬「そう。今日はゆっくり休んでね。おやすみなさい」
唯「うん。おやすみ」
唯(ムギちゃんは「月がきれいですね」って言った)
唯(これってそういう意味なのかなぁ)
唯「うーいー。これわかるー?」
憂「あっ、クロスワードパズルだ」
唯「うん。ここがわからないんだけど」
憂「なになに。夏目漱石が『I love you』をなんと訳したか」
唯「うん。9文字で、2文字目が『き』、8文字目が『す』なんだけど」
憂「つきがきれいですね」
唯「へっ」
憂「夏目漱石はI love youを『月がきれいですね』って訳したんだよ」
唯「えーーーっ!」
憂「ロマンチストなんだよ。夏目漱石は」
唯「ふぅむ……」
憂「ちなみに二葉亭四迷は『わたし、死んでもいいわわ』って訳したんだよ」
唯「憂はなんでも知ってるねー」
憂「えへへ」
>回想終わり
唯(月がきれいですね=I love you!?)
唯(ムギちゃん Love 私ってこと!?)
紬「あっ、唯ちゃん!」
唯「ムギちゃん?」
紬「ふふっ、朝から唯ちゃんに会えるなんて今日はついてるわ」
唯「あっ、うん」
紬「あれっ、憂ちゃんは?」
唯「うん。用事があるとかで先に出ちゃった」
紬「そうなんだ」
紬「唯ちゃん?」
唯(今はちょっと気まずいかな)
紬「唯ちゃんってば!!」
唯「へっ」
紬「唯ちゃんどうしちゃったの。今日はなんだか変だよ」
唯「な、なんでもないよ」
紬「うーん怪しい。熱でもあるのかしら。ちょっとおでこを拝借するね」
唯「へっ」
紬「手じゃよくわからないから、オデコとオデコをくっつけて……」
唯(わっわっ、近いよムギちゃん)
紬「うーん。熱はないみたいね」
唯(……キスされるかと思っちゃった)
唯「えっと……そう、あれだよ、あれ」
紬「あれって?」
唯「昨日のパーティーの疲れが残っちゃってて」
紬「えっ、そうなの……」
唯「うん……」
紬「……」
唯「ムギちゃん?」
唯「へっ」
紬「昨日は唯ちゃんが疲れてることに気づかずにはしゃいじゃったし」
唯「そ、そんなことないよ」
紬「ううん。ごめんなさい、唯ちゃん」
唯「だからっ、ムギちゃんは悪くないよ」
紬「でも……」
唯「昨日は御馳走だって美味しかったし、とっても綺麗なドレスも着れたし、それに、
綺麗に着飾ったいつもと違うムギちゃんも見られてとっても楽しかったんだって!」
紬「///」
唯「あっ、えっ」
紬「///」
唯「あのーそのー」
唯「……うん」
紬「それならいいのかな……。でも今日は無理しないでね。風邪ひいたら嫌だし」
唯「気をつけるよ」
紬「じゃあ行きましょ」
唯「うん」
唯(ムギちゃん顔真っ赤にしてたな)
唯(やっぱり私に気があるのかなー)
唯「むーぎーちゃん」
紬「なぁに?」
唯「手、繋いで行こ」サッ
紬「えっ」
唯「……ほら、ムギちゃんも手を出して」
紬「えっと、なんでいきなり?」
唯「理由なんていいじゃない。ほらほら手を出してー」
紬「……」
唯「ムギちゃん?」
紬「ごめんなさい」
紬「ほら、唯ちゃん行きましょ。あんまりゆっくりしてると遅刻しちゃうわ」
唯(……)
唯(……断られちゃった)
唯(なんで?)
唯(冬の間はよく手を繋いでたのに)
唯(ムギちゃん……どうして?)
紬「……」タッ
唯「……」タッ
紬「……」タッ
唯「……」タッ
唯(ムギちゃんのこと、わかんなくなっちゃった)
和「なるほどね。二人の様子がおかしかったのはそれが原因だったんだ」
唯「どう思う? 和ちゃん。ムギちゃんの気持ちわかる?」
和「わからないわ」
唯「へっ」
和「ムギのことなら唯のほうが良く知っているでしょ」
唯「……」
和「ただね……ムギが告白しようとしたわけじゃないのは確かだと思うわ」
唯「なんでー?」
和「唯が「月が綺麗ですね」の意味を知ってるなんて、誰も思わないもの」
唯「ひどい」
唯「そっかぁー。じゃあ別にムギちゃんは私のこと好きじゃないんだね」
和「残念そうね。でも落ち込むのはまだ早いわ」
唯「えっ?」
和「告白する勇気がないから、さり気なく言ってみた可能性も否定できないわ……」
唯「……」
和「どちらも推測に過ぎないから、確かめたいなら直接ムギにあたりなさい」
唯「はーい」
和「……」
唯「はぁ……」
和「…………ひとつだけ言えることがあるわ」
唯「……?」
和「恋愛感情は別にして、ムギが唯のことを大好きなのは間違いないってこと」
唯「ほんとうに?」
和「ええ。それだけは保証してあげる。それじゃあ私生徒会に行くね」
ガラッ
梓「あっ、唯先輩」
澪「おっ、やっときたか」
律「遅いぞー」
唯「ごめんごめん。ちょっとね」
紬「唯ちゃん……ひょっとして体調が優れないの?」
唯「へっ、違うよー。ちょっと和ちゃんとお話してただけだよ」
紬「そうなんだ。じゃあすぐにお茶を入れるね」
唯(ムギちゃん……)
律「今日のお茶請けはモンブランだぞ」
唯「モンブラン?」
澪「あぁ。唯があまりにも遅いから、唯の分も食べちゃおうか、って話してたところなんだ」
唯「ダメッ!」
澪「わかってるよ。ちゃんと残してあるからさっ、ほら」」
唯「もぐもぐ……やっぱりムギちゃんのケーキとお茶は美味しいねぇ」
紬「ケーキは貰い物だけどね」ニコ
唯(あっ、ムギちゃんが笑った)
唯(この笑顔を見るのも久しぶりな気がするよー)
唯(……昨日はいっぱい見たけど)
紬「唯ちゃん?」
唯(なんかいいな、こういうの)
紬「どうしたの? フォークも止めてぼーっとしちゃって」
唯「……へっ?」
紬「……やっぱり昨日の疲れが残ってるのね」
唯「へっへっ」
紬「……決めたっ! 唯ちゃん、それ食べたら帰りましょ。私が家まで送っていくから」
唯(強引にムギちゃんに押し切られて家に帰ることになってしまった)
唯(ムギちゃんはとってもにこやか)
唯(今なら……)
唯「ねぇ、ムギちゃん」
紬「なぁに?」
唯「手、繋ごう」
紬「……」
唯「いや?」
紬「どうして、手を繋ぎたいの?」
唯「ムギちゃんと手を繋いでると、優しい気持ちになれるんだ」
紬「優しい気持ち?」
唯「そう。暖かくて、ふんわりした気持ち」
紬「でも今は夏だよ」
唯「そんなの関係ないよ」ガシッ
唯(無理やり手をとっちゃった……)
紬「……」ギュ
唯(握り返してくれた!)
紬「……行きましょ」
唯「うんっ!」
紬「……」タッ
唯「……」タッ
紬「……」タッ
唯「……」タッ
紬「……」タッ
唯「……」タッ
唯「なぁにー?」
紬「私の手、熱くない?」
唯「暖かいよー」
紬「私、手に汗、かいてない?」
唯「うーん。ほんのちょっとだけ湿っぽいかな」
紬「……っ」
唯「でも暖かくて柔らかくて優しい手だよー」
紬「……」
唯「ねぇ、ムギちゃん」
紬「なぁに?」
唯「月がきれいですね」
紬「……月なんて出てないよ」
紬「ゆ、唯ちゃん?」
唯「あはははははははははははは」
紬「大変!! 唯ちゃんが壊れちゃった!」
唯「ごめんごめん。ちょっとおかしくてさ」
紬「えっと……なにが?」
唯「秘密」
紬「えっ」
唯「秘密なんだ」
紬「そう」
唯(ムギちゃんは『月が綺麗ですね』の意味を知らなかったんだね)
唯(私が一人で空回りしてただけなんだ)
唯(馬鹿馬鹿しくて笑っちゃったよ)
唯(……)
唯(はぁ……)
紬「着いたね」
唯(もうお別れかぁ)
紬「それじゃあバイバイ」
唯「うん。また明日--」
ガラッ
憂「あっ、お姉ちゃん帰ってきたんだ。それに紬さん」
紬「憂ちゃん、こんばんは」
憂「こんばんは。紬さん」
紬「じゃあ私は帰るね」
憂「あのっ」
唯「うい?」
紬「どうかしたの?」
憂「昨日はお姉ちゃんがとってもお世話になってみたいで、ありがとうございました」
紬「いいの。私もとっても楽しかったから」
憂「それで、よかったら今晩は家で夕飯食べていきませんか? あの……都合が良かったらでいいんですが」
紬「……いいの? 迷惑じゃないかしら」
唯「憂もこう言ってるんだしさー、食べていきなよ」
憂「はいっ、全然迷惑じゃないです」
紬「それじゃあお邪魔しちゃおうかしら」
____
___
__
>帰宅
唯(ムギちゃんと憂が一緒に料理を作って)
唯(一緒に御飯を食べて)
唯(しばらくお話して)
唯(今日は私がムギちゃんを送って行く事になりました)
唯(なんだかよくわからないけど、さっきからムギちゃんがすっごいニコニコです)
唯(放課後と比べ物にならないぐらい……)
唯(どうしたんだろう……)
紬「ねぇ、唯ちゃん」
唯「なぁに?」
紬「月がきれいですね」
紬「……」
唯「……ねぇ、ムギちゃん」
紬「なぁに?」
唯「その言葉、勘違いされるからやめたほうがいいよ」
紬「勘違い?」
唯「『月がきれいですね』には別の意味があるんだよ」
紬「そうなんだね」
唯「えっ」
紬「唯ちゃん、空を見て」
唯「月が……出てない」
唯(えっ、どういうこと?)
唯(月は出てないのに、月はきれいですねって言ったムギちゃん
唯(当のムギちゃんがいたずらっぽい笑みを浮かべてる……)
紬「ごめんね、唯ちゃん。さっき読んじゃったの」
唯「えっと、何を?」
紬「クロスワードパズル」
唯「へっ」
紬「よく考えてみれば、あの言葉から唯ちゃんの調子がおかしくなったんだよね。勘違いさせてごめん」
唯「えっと……」
紬「でも、勘違いしてくれていいの。だって、月がとっても綺麗に見たのは唯ちゃんと一緒だったからだもの」
唯「……ムギちゃん」
唯「……」ゴクリ
紬「あい・らぶ・ゆー」
唯「……プッ」
紬「唯ちゃん?」
唯「プッ、アハハハハハハハハハハ」
紬「唯ちゃん、ひどい」
唯「だって、プッ、アハハハ、だめっ、笑いがとまらない」
紬「もうっ、唯ちゃんなんて知らないっ!」
唯「プッ……ゴホッゴホッ、ごめんごめん」
紬「ぷんす」
唯「ねぇ、ムギちゃん」
紬「……」
唯「手、繋ご」
紬「……うん」
紬「唯ちゃんの手、ちょっと湿っぽいね」
唯「え”っ、放して」
紬「だーめっ」
唯「ムギちゃんの意地悪」
紬「ふっふっふっ、仕返しよー」
唯「まぁいっか」
紬「あら、諦めたの?」
唯「でも、ちょっとだけ放してくれない? 握り直したいから」
紬「はい」
唯「そしてこうする」
紬「これは?」
唯「恋人繋ぎって言うんだ」
紬「こいびとつなぎ……」
紬「うん。とってもしっかり繋がってる感じ。きっと月がとっても綺麗に見えるわ」
唯「出てないのが惜しいね」
紬「機会はいくらでもあるわよ」
唯「うんっ!」
紬「こうやって繋がったまま、いろんなものを見てみたいわー」
唯「手を繋いで、いろんなところへ行こうね」
紬「うんっ!」
紬「ねぇ、唯ちゃん」
唯「なぁに?」
紬「わたし、死んでもいいわわ」
唯「死んだら一緒に学校に行けないよ」
おしまいっ!
乙
こういうの好きだわ
二人ともきれいですね
Entry ⇒ 2012.09.02 | Category ⇒ けいおん!SS | Comments (0) | Trackbacks (0)
唯「おはよう…、ギー太」ボーボボ「おはよう、唯ちゃん」
ボーボボ「……」
唯「……」
ボーボボ「……」
唯「……だ、誰?」
ボーボボ「ギー太です」
唯「そっかぁ、ギー太かぁ」
ボーボボ「まったく、俺がわからないだなんて白状だな」
唯「えへへ、ごめんね。ギー太」
ボーボボ「あはははははは」
ボーボボ「それはね、ナスがキュウリだからだよ」
唯「そっかあ」
唯「あ、でも人間だともうギー太を弾けないんじゃ…」
ボーボボ「大丈夫。鼻毛真拳奥義…ギター化!」
シュルルルッ
ボーボボ「さあ、僕を弾いて見て」
ボーボボ「ちなみにオートでチューニングするよ」
唯「じゃあ、ちょっとやってみるね!」
ジャーン
唯「すごい…、本当に音が鳴る…」
唯「今日からムギちゃんちの別荘でまた合宿するんだけど」
ボーボボ「じゃあ、おれもいかなくちゃ」
唯「でも、皆になんて説明したらいいかな…」
ボーボボ「ふっ、その辺は大丈夫さ」
唯「え?」
ボーボボ「いけばわかる」
唯「そっかあ、えへへへ」
唯「そんなわけで、ギー太が男の人になっちゃった」
律「そんなワケでってどういうワケだよ!」
律「どこで拾ってきたんだ、こんな大男」
唯「本当だよ、朝おきたらギー太がこの人になってたんだよ」
律「まったく、ほら澪からも言ってやってくれない?」
澪「……」 ススッ
律「なんで目をそらすんだ?」
澪「な、なんでもない!」
天の助「おーい、澪、そろそろこの中から出してくれないかー」
澪「バ、バカ!喋るなっていっただろ、エリザベス!」
澪「ああ、もう。漏れてきてるじゃないか…」
天の助「この中暑ぃんだよ、それで俺溶けちまってさー」
天の助「お、ギー太じゃないか。どうだ、チューニングの方は」
ボーボボ「ばっちりだ」
澪「朝起きたら、エリザベスがところてんに…」
律「なんで喋ってるんだ、あのところ天」
梓(…………どうしよう)
唯「あれ、そういえばあずにゃん。むったんはどうしたの?」
梓「え!?あ、その、家に…忘れちゃいまして」
澪「おいおい、これから合宿なのにどうするんだ?」
梓「ごめんなさい、澪先輩……」
梓(でも、あれを持ってくるわけにはいかなかったし…)
ボーボボ「できるよ」
唯「ほらね」
ボーボボ「だが、俺は唯ちゃん以外に弾かれるほど尻軽じゃないぜ」
天の助「なにカッコつけてんだテメエ」
律(……ここは部長として私が話をすすめるべきだな)
律「えっと、確かムギはあっちで待ってるんだっけか」
澪「そうみたいだな、色々準備してくれてるんだと思う」
唯「…あ、ギー太の分の電車賃どうしよう」
梓「人になっちゃってますもんね…」
澪「エリザベスはもう一度仕舞えばいいしな」
天の助「おい、やめてくれよお!あの中狭いんだって!」
澪「あっちに着いたらすぐに出すから」
天の助「本当だな!?本当なんだな、おい!」
律(あちゃー、澪も大変だな)
澪「気にするなよ、…私もいきなりこうなって困ってるんだから」
ボーボボ「どこまでいくんだっけ?」
天の助「ぬランドじゃないっけ?」
ボーボボ「あらやだ!いまあそこでショーやってるのよ!」
天の助「あら本当なの、奥さん」
ボーボボ「えっと、確か…ヨコセヨ大統領のヒーローショーよ!」
天の助「あらまあ!すごいじゃないの、奥さん」
ボーボボ「時間あったらいってみます?」
天の助「いいわね、子供たちにもおみやげ買って行ってあげないと!」
梓「そんなところには行きません!」
澪(あ、いい景色だな……)
澪(……ん?)
ドドドドド
澪(……いま、太陽みたいなのが電車と並走してたような)
澪(き、気のせいだよな。夕べは徹夜で作詞してたし)
澪(朝おきたらああなってたから、疲れてるんだきっと)
澪(そんなモノが走ってるわけ……)
首領パッチ「おどれ何ワシ置いてけぼりにしとんじゃああああああああ!!」
澪「ぎゃあああああああああっ!?」
天の助「お、むったんじゃねーの」
ボーボボ「おいおい、アイツおっかけてきてるよ、うけるわ」
梓(ま、まさか追いかけてくるなんて……)
唯「あれがむったんなんだあ…」
律「随分と元気だな…」
梓「もう、お留守番しててっていったじゃないですかあ!」
首領パッチ「うるせー!家のなかでじっとなんざしてられっか!」
首領パッチ「今そっちに行くからな、覚悟しろよ梓!」
梓「えぇっ……、どうしよう……」
ボーボボ「安心しろ、あずにゃん…ヤツはおれがなんとかしよう」
唯「ギー太、無茶しちゃだめだよ?むったんはあずにゃんのなんだよ?」
ボーボボ「大丈夫、むったんには傷ひとつつけない」
ボーボボ「鼻毛真拳奥義……」
ガシッ
天の助「えっ?」
ボーボボ「エリザベスダイナマイト!」
ガシャーン
天の助「ぎゃああああああああっ!」
澪「エリザベス!?」
ボーボボ「これでジャマなガラスは破壊した」
ボーボボ「次はテメエだ!」
首領パッチ「おもしれえ!やってみろやこの野郎!」
天の助「ギー太、てめえ…」
ボーボボ「だって、エリザベスに傷つけないなんていってないもん」
天の助「なるほど、それもそうだな」
ボーボボ「あははははは」
天の助「あははははは」
ボーボボ「はははははは」
天の助「はははははは」
天の助「何が可笑しい!!」
ボーボボ「お前の生き様がだよ…」
天の助「!」
ボーボボ「エリザベスともあろう男が、ガラス塗れになりやがって」
ボーボボ「何があったんだ」
天の助「じ、実は…」
首領パッチ「いまそっちいくからな……」
律「なんでアイツはネギを持ってるんだ……」
ボーボボ「しかたねぇな…」
ボーボボ「鼻毛真拳奥義……」
天の助「さて、ぬのハンカチの手入れでもすっか」
ボーボボ「エリザベスシュート!」
ズガアアアアッ!
ガシャーンッ
天の助・首領パッチ「ギャアアアアアアアアア!」
澪「エリザベスウウウウウウ!!」
ボーボボ「これで、誰も傷つかずにすんだな」
律「正気かお前!?」
ボーボボ「ごめんなさい…」
首領パッチ「いいのよ、ママ怒ってないから」
ボーボボ「ママ…」
天の助「ギー太くん、反省することはいいことだ」
天の助「しかしだね、それをいつまでも後悔するのはよくないよ」
ボーボボ「エリザベスのおじさん…」
首領パッチ「さ、帰りましょう。今日はあなたの好きなシチュー作ってあげるからね」
ボーボボ「やった、ママ大好き!」
首領パッチ「あらやだ…、この子ったら」
唯「親子なかよしなんだね……」
梓「何かが決定的に違うきがします…」
唯「おじゃましまーす」
紬「いらっしゃーい……あら?」
ボーボボ「ギー太です」
首領パッチ「むったんでーす!」
天の助「エリザベスです」
唯「朝おきたら皆こうなってて~」
紬「そうなの?じゃあ、皆の分のお料理も用意しなくちゃ」
澪「ムギ、おどろかないのか?」
紬「だって、みんな楽器を大事にしてきたんですもの」
紬「喋れるようになっても、不思議じゃないと思うの」
律「いや、もう姿形すら変わってるからな、喋れるってレベルじゃないからな?」
天の助「ああ、一式先にこっち送ってるらしいな」
律「そういえばそうだった。ムギ、どこにおいてあるんだ?」
紬「……」
スッ…
律「何で目をそむけた」
澪「もしや、あっさりエリザベスたちを受け入れたのって……」
律「うそだろ……!」
首領パッチ「まったく、ひでー言い草だぜ」
天の助「傷つくよな」
澪「いや、今までの行動振り返ってくれ」
紬「あ、でも…、3にんに比べたらまだましかな…?」
律「そうなのか…、信じていいんだな?」
梓「この三人が基準なのがちょっと怖いですね……」
唯「じゃあ、会いにいってみようよ~」
律「!?」
律「おい、ムギ。どこがマシなんだ…どうみてもアレだろ」
紬「違うの、彼は……」
首領パッチ「おう、キー坊じゃねーか」
天の助「なんだよ、先にバカンスとかずりーな」
ソフトン「ひさしぶりだな、ギー太」
ボーボボ「ああ。どうやら、腕をあげたようだな」
梓「どうやら、あのソフトクリームみたいな人はムギ先輩のなんですね」
律「そ、そうだよな、ソフトクリームだよな」
ビュティ「ちょっと皆!ちゃんとしないと、律っちゃんたち困ってるじゃない!」
ボーボボ「ドラ美」
律「……」
律(マシだ……)
首領パッチ「遊ぼうぜ!」
ビュティ「えぇ!?ちょっと、合宿でしょ!?ちゃんと練習しないと!」
唯「大丈夫、あとでちゃんとやるから!」
律「よーし、じゃあ水着に着替えるぞー!」
ビュティ「ちょっと、澪ちゃんと梓ちゃんと紬ちゃんからもいってあげてよ!」
ビュティ「それに……」
ビュティ「何で私たち楽器になってるのーーーー!?」
ボーボボ「ほら、こうやって……」
シュルルルルッ
ビュティ「ボーボボは鼻毛で何とかなっても、他の皆は!?」
ビュティ「天の助くんなんて、弾かれる度に身が削られるんだよ!?」
ボーボボ「ビュティ」
ボーボボ「おれはボーボボじゃない、ギー太なんだ」
天の助「いや、おめーも今ビュティって言ったぞ」
ボーボボ「あらやだ!やっちゃった!」
首領パッチ「おいおい、ちゃんと気ぃ引き締めていけよ」
ソフトン「しかし、いきなり彼女たちの楽器になっていたのは事実だぞ」
首領パッチ「俺とかギターだぜ、ギター!」
首領パッチ「俺はこんなに立派なギター持ってるっていうのによ」
スッ
ビュティ「だからそれバターだよ!」
律「みんな、朝起きたら私たちの楽器になっていたんだな?」
ソフトン「そういうことになるな」
澪「どういう理屈なんだ?」
ソフトン「分からん、バビロン真拳にはこのような奥義はない」
ボーボボ「聖鼻毛領域でもないぞ」
天の助「俺のプルプル真拳でもないぞ」
首領パッチ「あと不思議なのがよ、こいつらの楽器としての記憶もあるんだよな」
ソフトン「それが最大の謎だ」
紬「なんだか、大変な話になってきたわね……」
唯「そうだねえ……」
ボーボボ「よし……、この状況を打破するためにも」
ボーボボ「泳ごう!」
天の助「あちっ、あちぃ!砂浜があちいよーー!」
澪「しょうがないな、ほら。捕まれ…えっと、天の助」
天の助「わ、わりいな」
澪「よくわからないけど、お前はエリザベスみたいだし…」
首領パッチ「お前どうせヒロインの座ねらってんだろ?」
首領パッチ「さっさと先輩たち卒業しないかなっておもってんだろ?」
首領パッチ「白状しなさいよ、この小娘!」
バシッ バシッ
梓「そ、そんなこと思ってません!」
ソフトン「ところで、紬」
ソフトン「昨日頼んでおいたアレは用意できたか?」
紬「はい、これ」
ソフトンは、ブレスケアを手に入れた
紬「別荘にまだいっぱいあるから、なくなったらそれを使ってね」
ソフトン「助かる」
ビュティ「どうかしたの?」
律「い、いや、なんでもない!」
律「なんていうか、ビュティの仲間はみんな個性的だな~?」
ビュティ「……そうだね、色々大変だけど、おかげで退屈はしないかな?」
律「そりゃ、あれだけフザけてればツッコむの大変だろうな」
ビュティ「……でもね、フザけるのあの人たちだけじゃないんだ」
律「……!?」
律は、言い知れぬ恐怖を抱いた
ボーボボ「終わりだよ、お前とは」
唯(居た…、誰と話してるんだろう?)
ボーボボ「お前の顔なんざ、みたくもねえ」
唯(喧嘩してるのかな…?)
?「酷い、あんなに好きだっていったじゃない!」
ボーボボ「うるせえ!もうお前には…、ワカメの味噌汁にはあきたんだよ!」
ワカメ「やっぱり豆腐ね、あの子と浮気してたのね!?」
ボーボボ「喋るな!磯臭ぇのが移んだろうが!」
ボーボボ「ああ、そうかよ。勝手にしな」
ワカメ「あなたの幸せ、ずっと妬んでやるんだから」
ボーボボ「はいはい……」
唯(ボーボボ……)
唯「私、お豆腐とワカメ両方はいったお味噌汁も大好きだよ!」
ボーボボ「唯ちゃん……」
ワカメ「何よこの娘は!あんた、豆腐だけじゃなくてこんな小娘とも!」
ボーボボ「……この子は、違う」
ワカメ「何が違うっていうのよ!」
ボーボボ「いい加減だまれやー!」
ガシッ
ブチィッ!
ワカメ「ぎゃあああああああああああ」
唯「お豆腐とワカメ、どっちも入てあげようよ」
ボーボボ「だって、ワカメいれると味かわっちゃうんだもん…」
ボーボボ「ワカメの味になっちゃうんだもん……!」
ワカメ「そこの、あなた……」
唯「わ、私……?」
ワカメ「その人は、そうやって選ぶってますが……」
ワカメ「本当は、一人になるのが怖いんです……」
ワカメ「ですから、その人を一人にしないでやってください……ガクッ」
唯「ワカメさん、ワカメさん!!」
ボーボボ「…………」
ボーボボ(バカヤロウ……、なんで死んじまうんだよ!)
ボーボボ(死んだら、死んだら何もできねえだろ!!)
ボーボボ「夕食は、わかめの味噌汁にするようにムギちゃんにいってくれないか」
ボーボボ「それがきっと、彼女にとってなによりの供養になるから」
唯「うん、そうだね。きっとワカメさんも喜んでくれるよ」
ボーボボ「今まで思い出をありがとう……」
ワカメ(ありがとう、あなた……)
ボーボボ「……お前」
ワカメ(私はこうして、あなたの血や肉になれる、それだけでうれしいの)
ボーボボ「ああ、そうだな」
ボーボボ「その前に、俺も最後にお前に言いたいことがある。天国に行く前にきいてくれ」
ワカメ(あら、なにかしら?)
ボーボボ「喋るワカメなんぞ食えるかーーー!!」
ボーボボ「誰がてめぇで味噌汁作るっていった!」
ボーボボ「普通に台所にある乾燥ワカメ使うっての!」
ワカメ(そう…よね)
ワカメは、成仏した
ボーボボ「安心しろ、お前の死はむだにはせん」
唯「ね、ボーボボ」
唯「帰ろっか、ムギちゃんの別荘に」
ボーボボ「ああ。そうだな」
ボーボボ「はーい♪みんなそろったかしら?」
ボーボボ「今日の夕食は…お豆腐のお味噌汁でーす!」
唯(あれ?わかめじゃないんだ……)
首領パッチ「あぁ!?味噌汁だあ!?ざけんなこら!もっといいモンくわせろや!」
ボーボボ「おだまり!」
バチィンッ
首領パッチ「ぎゃふっ…、な、殴ったね」
ボーボボ「殴ってなぜ悪いか」
ボーボボ「貴様はいい、そうやって喚いていれば気分も晴れるんだからな」
首領パッチ「僕がそんなに 安っぽい人間ですか!」
バシィ
首領パッチ「二度もぶった……!」
首領パッチ「親父にも豚レター送ったことないのに!」
ボーボボ「白豚さんたら読まずに太陽にブロリーごとぶち込んだ♪」
天の助「しーかたがないのでお手紙かーいた」
3バカ「さっきのお手紙から割り出した住所で出前をとった♪」
ビュティ「ちょっと、それ立派な犯罪だよ!」
ソフトン「いただきます……」
紬「今日の夕食はボーボボくんが作ってくれたの~」
ビュティ「え」
ソフトン「安心しろ、ビュティ……何ともないでござる」
ビュティ「明らかに悪影響でてるーー!」
ビュティ「はりきり過ぎー!もう、何いれたの!?」
ボーボボ「普通に味噌汁を作っただけだよー」
澪「それでああなるのか……」
ソフトン「誠に、拙者はなんともないでござるよ」
首領パッチ「貴様、人斬りソフトン斎だな……」
ソフトン「いやいや、拙者はただの流浪人でござるよ」
首領パッチ「問答無用っ!」
ズバッ
ソフトン「おろろ、こんなところで首領パッチソードを振り回すのは危ないでござるよ」
ビュティ「本当に何入れたの?」
ボーボボ「首領パッチエキス」
説明しよう、首領パッチエキスとは首領パッチと同じ思考になる以外になんの害もない液体である!
ビュティ「最悪だーー!」
ソフトン「あの夏の哀愁龍閃!」
ズバァンッ!
首領パッチ「グハァッ…!」
首領パッチ「ふふふ、いくら取り繕うと、…お前は所詮人斬りよ……」
ビュティ「ねえ、いつになったら戻るの?」
ボーボボ「さあ、時間たったら戻るんじゃないか?」
ビュティ「戻らなかったら、私本当に怒るからね」
律「ていうか、夕食どうしよう……」
天の助「俺の出番だな!」
天の助「プルプル真拳奥義…!」
天の助「極上料理!」
澪「台所になにかあるんじゃないか?ちょっと見てくるよ」
梓「あ、じゃあ私もいきます!」
天の助「う~ん、やっぱりこうなるのね♪」
梓「とはいっても、首領パッチくんをどうやって演奏すれば……」
首領パッチ「ああ、ちょっとまてよ…」
ズポッ
首領パッチ「このトゲの断面をよ~くみてみろ」
梓「あ、弦がはってある」
首領パッチ「この弦を、こっちのトゲで……」
ズポッ
首領パッチ「弾けばいいってわけよ」
梓「なるほど…、つまり」
梓「首領パッチくんの本体はつかわないんですね」
首領パッチ「……ちょっとまて、やっぱ今のなし」
梓「え、え?」
首領パッチ「だって、これだとステージにあがれないじゃない!」
首領パッチ「子供の頃からの夢だった、ステージに!」
私は、幼馴染のタケルくんのことが好きだったの
そんなある日のことよ。
タケル「なあ、パチ美。お前テレビとかみる?」
首領パッチ「ええ、見るわよ。いきなりどうしたの?」
タケル「いやあ、テレビとか見てるとさ、アイドルとかでてくるじゃん?」
タケル「みんなかわいいなーって」
首領パッチ(タケルくん、アイドルがすきなんだ……)
首領パッチ「ね、ねえ。タケルくん」
首領パッチ「もし私が、アイドルになれたらどうする…?」
タケル「パチ美が~?なれるわけないじゃん!」
首領パッチ「タケルくん、ひっどーい!」
タケル「ははは、でも。もしなれたら俺が一番のファンになってやるよ」
首領パッチ「タケルくん……」
そして、私はアイドルになるために歌や踊りのレッスン始めたわ。
それもぜんぶ、タケルくんのため。彼に振り向いてほしかったから……
先生「はいはーい、終わり!」
先生「ユカリちゃん、今日もすごくよかったわよ」
ユカリ「ありがとうございます」
先生「パチ美ちゃんは、今日はすこし動きが固かったわね、どうかしたの?」
首領パッチ「い、いえ…、大丈夫です」
先生「ムリはだめよ?はーい、それじゃ、今日は解散ね」
パチ美「だ、大丈夫。なんでもないから」
この子はユカリ。私と同期で入ったこともあって、すぐに打ち解けたわ
でも、彼女は私よりもはるかに才能があった……
私は、友情と嫉妬の板ばさみから、レッスンに身が入らなくなってしまっていたの
ユカリ「大丈夫よ、パチ美ならきっとすっごいアイドルになれるわ!」
ユカリ「親友の私がいうんだから、間違いないわよ」
なにより、彼女の優しさが、彼女の友情が
嫉妬などという醜い感情を抱く私をよけいに惨めにみせていったわ
澪「これ、いつまで続くんだ?」
ビュティ「気が済むまでやらせてあげて…・…」
ユリ「パチ美!大変!」
首領パッチ「あら、どうしたのユリ?そんなに血相を変えて……」
ユリ「ユカリが…、ユカリが交通事故にあったって!」
首領パッチ「ええ!?」
ユリ「それでね、もう助からないかもしれないんだって……」
首領パッチ「ちょっと、しっかりしてよ…!ねえ、病院はどこなの!?」
私は、泣き崩れる彼女を宥めるフリをしながらも動揺をかくせなかったわ
病院の場所をきいた私は、すぐにユリと一緒にユカリの元へ駆けつけた
病室のベッドの上には、よくわからないチューブをつけ、包帯だらけのユカリが居たの
先生や、ユカリの家族の表情からももう助からないっていうのが伝わってきたわ
首領パッチ「ユカリ……」
ユカリの母「パチ美ちゃん……。」
首領パッチ「先生、ユカリを、ユカリを助けてください!」
首領パッチ「お願いです、ユカリを、ユカリを助けて!!」
私は先生に泣きすがったわ。先生、すっごく困ってた…。
そんな時…
ユカリ「パチ…、美……?」
首領パッチ「ユカリ!」
力なく、搾り出すような声だったわ
ユカリ「パチ美、いるの……?」
首領パッチ「ええ、ここにいる、ここにいるわ!ユリも来てる!」
ユリ「ユカリ!」
ユカリ「……ふふ、どうしたの、パチ美。そんな顔して」
ユカリ「涙で、ぐしゃぐしゃじゃない」
首領パッチ「……こ、これは」
ユカリ「パチ美に、そんな顔似合わないでしょ?」
ユカリ「あなたがないていいのは、結婚式と、引退するときだけ」
首領パッチ「なにいってるのよ、私はまだアイドルに……」
ユカリ「なれるわよ、パチ美なら。もちろん、ユリも」
ユカリ「破ったりなんかしたら、許さないんだから」
ユカリ「私、あなたたちに会えて本当によかったわ……」
ユカリ「パパモ、ママも、みんなありがとう……」
ユカリ「大好き……」
首領パッチ「………っ」
首領パッチ「ユカリーーーーーーー!!」
首領パッチ「そうよ、だから私は……!」
首領パッチ「何が何でも、ステージに上がらなくちゃいけないのよーーー!!」
梓「え、ええっ!?…じゃぁ…、ステージ上の飾りつけとか?」
首領パッチ「……」
首領パッチ「よし、それでいこう」
ビュティ「いいの!?ユカリちゃんそんなんで喜ぶの!?」
ユカリ「いいわよ?」
ビュティ「いいんだ!?」
澪「…………」
ユカリ「あら、どうしたのこの子。」
梓「あ、澪先輩、おばけとかがニガテで……」
ユカリ「あら、そうなの?じゃあ、私がいちゃまずいわね」
ユカリ「じゃあね、パチ美。あなたのステージ楽しみにしてるわ!」
首領パッチ「ユカリー!期待しててねー!」
天の助「いやー、今日も充実した一日だったぜ」
首領パッチ「この調子で、明日もあいつらをサポートしてやろうぜ!」
ボーボボ「そうだな」
ソフトン「その前に、ひとついいか」
天の助「お、どうしたよ、ソフトン」
ソフトン「俺たちがこの様になった理由だが……」
3馬鹿「Zzzzzz」
ソフトン「……」
ソフトン「寝るか、明日も早い」
唯「終わっちゃったね、合宿」
ビュティ(半分以上遊んでたような…)
澪「それじゃ、私はこっちだから。いくぞー、天の助」
天の助「お、待ってくれよ澪!」
梓「首領パッチくん、私たちも帰りますよ」
首領パッチ「なあなあ、家かえったらUNOやろうぜ!」
梓「2人でやってどうするんですか」
唯「ボーボボも帰ろっか」
ボーボボ「そうだな」
律「じゃあ、まったな~」
唯とボーボボたちは、それぞれの帰路についた
澪「こら、待て天の助!」
天の助「やだやだ!お風呂はいりたくないよ!ママー!」
澪「お前、合宿中に一度もはいらなかっただろ!」
天の助「熱い湯につかると溶けちまうんだよぉおお!」
澪「今日は一緒に入ってでも入れるからな」
天の助「やめてくれえええええ!溶けたくねえええよおおおおおお!」
ガシッ
ズルズルズル
天の助「ちょっと、引きずらないで!やめて!」
澪「わかったわかった、水かける程度にするから…」
天の助「身が削れない程度に優しくしてね……」
澪「はいはい……」
律「いや、結局私いっかいも叩かなかったなあ」
ビュティ「ごめんね、せめて首領パッチくんなら叩けたんだろうけど」
律「ビュティが気にする事じゃないって~」
ビュティ「他のみんなは、どんなカンジなんだろう」
律「それぞれ、楽しくやってんじゃない?」
律「間違いなく、にぎやかだと思うぞ~?」
ビュティ「うん、きっとそうだね……」
ビュティ(皆…とくに梓ちゃん大丈夫かな……)
憂「はい、2人ともご飯できたよー」
ボーボボ「これが憂ちゃんのご飯か」
唯「わぁ~、いただきますー」
ボーボボ「いただきます」
パクパク
ボーボボ「こ、これは……!」
ボーボボ「すばらしい、そとはサックリ、中はジューシーで食感のコントラストが最高だ」
ボーボボ「その上、この味、この香り……!」
ボーボボ「まさに究極の一品だ」
憂(ただのご飯なんだけどなあ……)
唯「う~い~、このお味噌汁おいしいね」
憂「そう?今日はお豆腐にしてみたんだ」
ソフトン「……ここが紬の家か」
紬「そうなの~、ソフトンさんの部屋も用意してあるからね」
ソフトン「世話をかける」
ソフトン(しかし、なぜこの様な事態に……?)
ソフトン(何者かが何かをしたのは間違いない)
ソフトン(しかし、この様な所業。ツルリーナ三世にも不可能なはず……)
紬「あ、ソフトンさん。よかったら、このブレスケアつかって」
ソフトン「……すまんな」
首領パッチ「なあ、梓」
梓「なんでしょう?」
首領パッチ「俺に、ギターおしえてくれねえか?」
首領パッチ「そのよ、……俺も自分で弾きてぇんだよ」
首領パッチ「その、ユカリへのレクイエムってやつをよ」
梓「……」
梓「わかりました、では」
ズポッ ズポッ
梓「ちょっとずつ、慣れていきましょうね」
首領パッチ「梓……、ありがとう…!ありがとう…!」
数日後、彼女たちの夏休みが終わった!
澪「唯、だめだぞちゃんと気を引き締めないと」
唯「だぁってぇ」
律「まだ夏休みって気分だもんなー」
紬「ふふ、わかるわかる。まだスイッチ入らないのよね」
澪「いや、わかっちゃだめだろ…」
天の助「部活はどうするんだ?」
澪「今日からはじめたっていいんだけどな」
ボーボボ「何事も、早いにこしたことはないからな」
ビュティ「ねぇなんで2人ともナチュラルにいるの!?」
ビュティ「ここ女子高だよーーーーーー!!」
ボーボボ「ちゃんとボボ美になるから」
天の助「俺はほら、澪の非常食として」
澪「食わないぞ」
ビュティ「そういう問題じゃないよ!そもそも、私たち楽器でしょ!」
ボーボボ「俺と天の助は別に持ち歩いてても違和感ないだろ?」
天の助「そうそう、ビュティが部室にいるならまだしもな」
ビュティ「あ、あれ……」
唯「大丈夫だよ~、事情話せばさわちゃんも許してくれるよ」
澪「そ、そうなのか……?」
さわ子「あらあら、それは大変ね」
澪「え、えぇ!?」
ビュティ「し、信じてくれるんですか?」
さわ子「うそつくなら、もっとマシなウソつくだろうし」
ボーボボ「確かに、楽器が人になるとかありえないもんな」
天の助「ホントだよな」
ボーボボ「アッハッハッハッハッハ!」
天の助「ハッハッハッハッハッハ!」
律「いや、お前ら鏡みろって……」
澪「あれ、そういえばソフトンは?」
紬「それが、朝からいなくて」
天の助「どこにいったんだ、あのグルグル巻き野郎」
ソフトン「ここで待っていれば、貴様がくると思っていたぞ」
?「ほう、ばれていたか」
ソフトン「やはり、貴様がこの事態の黒幕か」
?「その通り。で、それを知ったところでどうする?」
ソフトン「愚問、…貴様を倒すまでだ!」
ソフトン「バビロン真拳奥義…」
ソフトン「ルクセンブルクの雷鳴!」
?「甘いわ…!」
ソフトン「何っ…!?」
ガキィン!
ソフトン「ぐはっ……」
?「お前など私の敵ではないわ…」
ソフトン「ぐっ…、ボーボボ、……気をつけろ」
ガクッ
ドサッ
首領パッチ「な、なんだぁっ!?」
ソフトン「 」
首領パッチ「お前っ!ソフトン、ソフトンでねっか!」
首領パッチ「いったい、何があっただ?」
ボーボボ「おーい、首領パッチどーん」
首領パッチ「おお、ボーボボどん、天の助どん!」
天の助「授業はじまったから抜け出してきちまっただ~」
首領パッチ「そんなことより、みてくれ!」
ボーボボ「こ、こいつはひどい!誰の仕業だ?」
天の助「治療してやりゃにゃ~いかんなぁ!」
天の助「目を開けてくれ~、おねげぇだ~!」
首領パッチ「アンタが死んだら、誰が紬のキーボードやるんだっぺぇ!?」
天の助「ソフトンどーん!」
ソフトン「 」
天の助「はよ起きろや!」
ドコォッ!
ソフトン「ぐふぉぁ!?」
天の助「ほらおきた♪」
首領パッチ「ソフトンどーん!」
ボーボボ「えがった、えがった…」
首領パッチ「校庭だよ、お前、上から起きてきたんだぞ」
天の助「一体なにがあったんだ?」
ソフトン「それは…、屋上を見ろ。そうすれば全てがわかる」
首領パッチ「屋上?…一体何が……?」
天の助「あるっていうんだよ?」
ボーボボ「あ、あれは…誰かがいるな」
首領パッチ「…あ、アイツは……!それじゃあ、まさか……」
ソフトン「そう、彼女こそが今回の事件の黒幕だ」
首領パッチ「……ユリ!」
首領パッチ「久しぶりだなあ、ユリ。んなところに居ないで下りてこいよ」
ユリ「そうね、久しぶりアンタの顔も見ておきたいものね」
ふわっ
ヒューンッ
ストッ
ユリ「久しぶりね、パチ美。元気にしていたかしら?」
首領パッチ「お前の方は元気そうじゃないか」
ユリ「あらやだわ、何その目。怖~い…」
ボーボボ「お前、毛狩り隊だな…」
ユリ「そうよ、私はこの地区の隊長ユリよ」
首領パッチ「まさか、お前が毛狩り隊に入ってるとはな」
ユリ「色々あったのよ…、夢に敗れた私を拾ってくれたのが毛狩り隊だったの」
ユリ「それはお互いさまでしょ?」
首領パッチ「ははっ、そうかもしれねえな」
ユリ「もう、私はあのときの私とは違う!」
首領パッチ「……ああ、見れば分かるよ」
ユリ「私のこの、鉄パイプブルンブルン真拳であの世におくってあげるわ、パチ美!」
首領パッチ「ならば…!首領パッチハンマー!」
ガキィイン
ユリ「やるわね、あのバビロン真拳の男を一撃で倒したこの攻撃をとめるなんて!」
首領パッチ「この首領パッチハンマーには不可能はねえんだよ!」
ガキッ
ユリ(弾かれた…っ!?)
首領パッチ「終わりだ、ユリ…!首領パッチソード!」
ズバァッ
ユリ「ぐああああああっ!」
ユリ「しかし、私はまだ負けないわ…!」
ユリ「またね、パチ美……しかるべき場所で会いましょう!」
首領パチ「まて、ユリ!」
ボーボボ「逃がしてしまったか……」
天の助「鉄パイプブルンブルン真拳、恐るべし」
ソフトン「ぐっ…」
ボーボボ「どうした、傷がいたむのか!?」
ソフトン「平気だ……」
ソフトン「それよりも、ヤツの能力の謎がとけた…」
ソフトン「物体同士の情報をミックスすることができる」
天の助「なんだって!?」
ソフトン「彼女の持つ鉄パイプは、両端がカットされていた」
ソフトン「その両端でモノとモノをつなぐことで」
ソフトン「とある物体Aを、とある物体Bにしてしまうのだろう」
ソフトン「姿形はAのままだがな」
首領パッチ「なるほど、わからん」
天の助「俺もさっぱりだよ~」
ボーボボ「安心しろ、俺もだ」
ソフトン「つまり、俺たちを彼女の楽器にしたのが…あの女だ」
首領パッチ「何ぃーーーーーーー!?」
ボーボボ「俺たちは元に戻れないって事か……」
首領パッチ「ちくしょう、ユリのヤツ…!」
天の助「そういえば、しかるべき場所に会おうって…」
首領パッチ「どこのことだ?」
キーンコーンカーンコーン
天の助「お、もう放課後か」
首領パッチ「しゃーねぇな、一旦みんなの所にもどるか」
ボーボボ「首領パッチ、お前だけ梓のところだが……」
首領パッチ「大丈夫だって、ユリのやつもそう何度もおそってこねえよ」
ソフトン「かくかくしかじか」
澪「なるほど…」
律「っていうか、あの養成所の話本当だったんだな」
紬「でも、しかるべき場所っていつかしら…?」
唯「あ、もしかして文化祭じゃない!?」
澪「そうか、文化祭ならステージがあるしな」
天の助「なるほど!」
ボーボボ「さえてるじゃねぇか、唯ちゃん」
唯「えへへへへ…」
天の助「文化祭までまだまだあるけどな」
ボーボボ「それまでに、腕を磨けばいいさ」
澪「ああ、そうだな!」
律「よーし、私たち放課後ティータイムも援護するぞー!」
己の腕を磨くべく、修行をはじめた
唯たちは、それを援護しながらも彼らを楽器として扱い
来る文化祭のために、己の腕を磨いた
首領パッチ「…だめだ、全然ひけねえよ」
梓「あきらめちゃだめです!ユカリさんのためにレクイエムをひくんでしょう!?」
首領パッチ「もう、いいよ」
梓「え……?」
首領パッチ「あいつのためにそんなもん弾いたって、もう意味ねえよ!」
首領パッチ「ユリだって毛狩り隊にはいっちまってよ、…もう、いいんだ、どうでも」
梓「首領パッチくん……」
首領パッチ「はっ、だからよ、もういいんだ…、こんなギター!」
ズポッ ズポッ
ビターンッ ビターンッ
梓「……!」
バチーン
首領パッチ「……え?」
梓「……首領パッチくんの顔、みたくないです!」
首領パッチ「え、ちょっと、待てよ、落ち着けって、なあ、梓?」
ガララ
ガシッ
梓「いいから、出てってください!」
ヒューンッ
首領パッチ「ああああああああっ!」
ビターンッ
首領パッチ「いでっ…おいっ!梓!」
ガララ ピシャッ
首領パッチ「……なんだってんだよ」
首領パッチ(わぁってるよ、梓。弱音はくなっていうんだろ?)
首領パッチ(でもよ、今回ばかりは、吐かせてくれや……)
首領パッチ(ユカリ、……すまねえな)
ボーボボ「おい、聞いたぞ」
ボーボボ「お前、あずにゃんと喧嘩したんだって?」
首領パッチ「それがなんだよ」
ボーボボ「仲直りしろよ、今日はお前らにとって……!」
首領パッチ「俺らにとって…?なんだよ…!」
ボーボボ「大事な日じゃねぇのかよ!」
首領パッチ「うるせぇな、お前は唯のおもりでもしてりゃいいだろ」
ボーボボ「お前!…おれは、お前のためを思ってだな」
首領パッチ「またいつもの仲間面か?…いつ頼んだよ、なぁ?そんなことしてくれって」
首領パッチ「俺はそんなこと頼んじゃいねぇぞ!」
ボーボボ「首領パッチ…お前」
首領パッチ「やってらんねぇぜ……、あばよ。文化祭終わるまでパチンコでもいってくらあ」
ボーボボ「まて!……首領パッチ」
首領パッチ「まったく、学校のちかくにはパチンコ屋ねえからな」
首領パッチ「まあいいや、適当に歩きゃみつかんだろ」
天の助「待てよ、首領パッチ!」
首領パッチ「今度はお前かよ。ボーボボの差し金かあ?」
天の助「なあ、考えなおせよ!」
首領パッチ「うるせえな、ほっとけよ」
天の助「お前……!」
首領パッチ「殴るなら殴れよ…」
天の助「……っ!」
澪「やめろ、天の助!」
天の助「澪……」
首領パッチ「おぉっと、持ち主さまも一緒とは、豪勢な説得だな」
首領パッチ「けど、そんなんじゃ俺には響かないぜ。あばよ」
澪「……逃げるな、首領パッチ!」
澪「お前、結局はそのユリっていう子が敵になった現実から逃げてるだけだろ!」
澪「それを、ユカリさんや梓を言い訳にしてるだけだ!」
首領パッチ「知った風なクチ聞いてくれるじゃねーか……」
首領パッチ「ああそうだよ!逃げてるよ、悪いかよ!」
首領パッチ「……けっ、しらけちまったぜ」
天の助「待て、この命にかけてもいかせねぇぞ~!」
ガシッ
首領パッチ「気持ちわりぃな、離せよ!」
天の助「逃げるな…、今のお前は……」
天の助「これっぽちもハジけてねぇよ!!」
首領パッチ「!」
首領パッチ「けど、……そうだよな」
首領パッチ「俺としたことが、ハジけずに逃げちまうなんて」
首領パッチ「いくぜ、澪。天の助」
首領パッチ「文化祭へよ……!」
天の助「おうよ、まってやしたぜ!パチの親分!」
澪(よかった、よかった……)
ユリ「遅かったわね、パチ美」
首領パッチ「ああ、ちょっと野暮用があってよ」
ユリ「よかった、あなたがきてくれて」
首領パッチ「なあ、ユリ。お前はまだアイドルになりてぇのか?」
ユリ「まさか。そんなバカな夢もう捨てたわ」
首領パッチ「そうか、残念だ……!」
ザシュッ
ユリ「えっ……」
首領パッチ「夢を捨てたお前が…」
首領パッチ「夢見がちな女子高生のギターの俺に勝てるわけねぇだろう?」
ユリ「ぐっ……」
ボーボボ「首領パッチー!いまだ、止めをさせー!」
首領パッチ「ボーボボ…」
首領パッチ「おうよ!」
首領パッチ「…な、なんだこりゃぁ…!」
ユリ「この女を倒してもむだだ、この俺を倒さないかぎりなぁ!」
ビュティ「え、一体誰なの…!?」
ソフトン「おそらく、この声の主が彼女をあやつっていたのだ!」
ビュティ「そんな…!」
ユリ「俺はこの地区の本当の隊長…鉄パイプさまだ!」
カラン
鉄パイプ「はーっはっは!お前らを血祭りにあげてやるぞー!」
ビュティ「ええーーー!そっちは本体だったのーーーーー!?」
首領パッチ「ああ、あれしかねぇようだな!」
首領パッチ「トランスフォーム…飴玉!」
ボーボボ「鼻毛真拳究極奥義…」
ボーボボ「聖鼻毛融合!」
パクッ
ゴゴゴゴ
鉄パイプ「な、なんだあ!?何がおこっているんだ!?」
パッチボボ「融合完了」
パッチボボ「ユリを弄んでくれた借りは返すぞ」
パッチボボ「踏み切り板&バスケットボール!」
パッチボボ「ヴォルカニックカパタルト!」
鉄パイプ「ぎゃあああああああ!」
パッチボボ「さらに、卓球ラケット&ピンポン球!」
パッチボボ「エターナルラリー!」
鉄パイプ「うぎゃぁぁあああああああっ!?」
鉄パイプ(なんだ、こいつは…!強すぎるぞ…!)
鉄パイプ「俺は人の身体をのっとれるのだ!」
鉄パイプ「お前の仲間を乗っ取ってやるぞ!」
天の助「えっ!?」
鉄パイプ「いただきだああああ!」
天の助「…ふははは!どうだ、これで手が出せないだろう!」
ビュティ(あーあ……)
パッチボボ「伝説の首領パッチソード&魔剣大根ブレード!」
パッチボボ「聖魔支配剣さとうきびセイバー!」
天の助「え、え!?ちょっとまて、おい!これお前の仲間の身体だぞ!?おい!」
パッチボボ「無限斬!」
天の助「ぎゃああああああああああ!」
カラン
鉄パイプ「なんてやつだ、仲間を攻撃するなんて、てめぇそれで恥ずかしくねぇのか!」
ビュティ「人質とったあんたに言われたくないよ!!」
パッチボボ「物質ハジケ融合…」
パッチボボ「鼻毛&鼻毛!」
鉄パイプ「くっ、まずい、よけなくては……!」
パッチボボ「ハジ毛真拳奥義……」
パッチボボ「ダブルKING鼻毛様召還!!」
天の助「ぎゃああああああああああ!」
鉄パイプ「ぐわあああああああああ!」
ビュティ「天の助くんもやったーーーーーーー!?」
鉄パイプ「ぐはっ…」
鉄パイプ&ところ天の助撃破
首領パッチ「ユリ、ユリー!」
ユリ「パ、パチ美……、ありがとう」
首領パッチ「よかった、お前が無事で……」
首領パッチ「これで心おきなく……」
首領パッチ「息の根を止められるぜ!」
バチンッ
ユリ「ぐはっ……」
ユリ撃破
ビュティ「ちょっと!なにやってるの首領パッチくん!」
首領パッチ「え、だってこいつ毛狩り隊じゃん」
ビュティ「それはそうだけど、操られてたじゃない!」
首領パッチ「それを理由に許されるのって、納得いかねぇんだよな」
唯「どうしたの?」
首領パッチ「もうすぐ、お前らの演奏の番だろ?」
首領パッチ「…その前に俺に一曲歌わせてくれないか」
首領パッチ「梓に謝りたくてよ」
首領パッチ「……まあ、口でいうのもあれだから、歌でとどけてぇんだ」
澪「うん、いいんじゃないか?私、よかったら演奏しようか?」
律「お、いいね。私ものった!」
紬「私も」
唯「……えへへっ、それじゃ、準備しよっか♪」
首領パッチ「……俺が変な意地はっちまって、逃げちゃいけないことなら逃げちまって」
首領パッチ「そのせいで、喧嘩になっちまって」
梓「……」
首領パッチ「だから、歌にのせてそいつに謝りたいと思うんだ」
首領パッチ「わりぃな。唯。こんなことに巻き込んじまってよ」
唯「大丈夫、大丈夫」
首領パッチ「それじゃ、…聞いてください。俺の素直な気持ちを」
パチパチパチ
首領パッチ「βカロチーン!!!」
ビュティ「最悪だーーーーー!!」
首領パッチ「カロチンカロチン カロチン摂取♪」
澪「か、カロチン……カロチン……」
澪(は、恥ずかしい……)
首領パッチ「ハイッ」
律「カロチンカロチンカロチン摂取♪」
ビュティ「でもすごい…、みんなの演奏で首領パッチくんの歌が歌として成立してる…!」
首領パッチ「栄養おおおおお、それは~~~~~!」
首領パッチ「………」
首領パッチ「教えてやるから、お前もステージにこいよ梓!」
梓「!」
首領「ほら、一緒に演奏しようぜ」
梓「首領パッチくん……」
ボーボボ「俺たちもいくか!」
ソフトン「そうだな」
ビュティ「…うん!」
ビュティ「ほら、天の助くんも……」
天の助「 」
ビュティ「天の助くーーーーーーん!」
ボーボボ「大丈夫だ、スペアの楽器ならいくらでも俺の頭から出せる」
ビュティ「あ、唯ちゃんたちはさっきそれつかってたんだ」
澪「ああ、結構手になじむんだよな…」
律「おやおや~?澪、エリザベスから浮気かぁ?」
澪「ち、違う!」
唯「こんな大勢で演奏するなんて、きっと楽しいよ!」
首領パッチ「それじゃ、いっちょやりますか」
唯「うん、放課後ティータイムと……えっと…」
ボーボボ「ボーボボとビュティのその他で」
首領パッチ「はぁ!?てめぇこら、主役は俺だろうが!」
唯「……で、ふわふわ時間!」
天の助「ぐあああああ、心臓が、心臓がいてえええよおおお!」
ビュティ「それもう心臓発作だよーー!」
揺れる思いはマシュマロみたいにふわ☆ふわ♪
首領パッチ「うりゃあ!おどりゃぁ!えりゃぁ!」
澪「コ、コラ!マシュマロを観客になげるな!」
いつもがんばる君の横顔♪
ボーボボ「──に鉄拳!」
天の助「ぎゃああああああ!」
ずっと見てても気づかないよね♪
ボーボボ「無視してんじゃねー!」
ズガンッ
首領パッチ「ぐはあああああ!」
ガシ
首領パッチ「へっ?」
二人の距離
ガシ
天の助「…あら?」
縮められるのにな♪
ボーボボ「くたばれえええええええ!」
首領パッチ・天の助「ぎゃあああああああ!」
ビュティ「もう、マジメにやろうよーーーーー!!」
ソフトン「バビロン神よ、我は願わん…!」
二人だけのDream Timeください☆♪
ソフトン「夢の様な時を過ごす二人…!」
ビュティ「何いってるの!?」
お気に入りのうさちゃん抱いて今夜もオヤスミ♪
ボーボボ「一生眠ってろーーー!」
首領パッチ「てめぇが…!」
天の助「眠れやーーー!!」
ふわふわ時間(タイム)
律「あちゃー、こいつはめちゃくちゃだな…」
ふわふわ時間(タイム)
紬「ふふ、でも楽しいじゃない」
ふわふわ時間(タイム)
唯(こ、この状況で歌いつづけるのきついよぉ……)
ジャーンッ♪
唯「終わった……」
ボーボボ「こっちも終わったぜ……!」
首領パッチ「 」
天の助「 」
澪「うわあああ!天の助があああああ!」
ビュティ「ボーボボ!やりすぎだよ!」
ボーボボ「母ちゃん、俺、俺……」
ボーボボ「勝ったよーーーー!」
首領パッチ「……」
梓「…あの、首領パッチくん」
梓「その、窓からなげちゃって、ごめんなさい!」
首領パッチ「梓……」
梓「首領パッチくんの気持ちも考えないで……!」
首領パッチ「い、いいって。俺の方こそ、悪かったな」
スッ
梓「……」
首領パッチ「仲直りするときは、握手だろ?」
梓「……そうですね」
梓「……」
スッ
ギュッ
ニチャァ…
梓「へ?」
首領パッチ「…納豆、それも水戸のだ」
梓「……」
首領パッチ「ダーッハッハッハ!これで仲直り完了だな」
梓「首領パッチくん…」
首領パッチ「あん?どうした?」
梓「これ、自分で食べてください」
首領パッチ「わ、バカ!梓、そんな納豆まみれの手を俺の口につっこむな!」
首領パッチ「もが、もごご、もがごまおがああ!」
ボーボボ「今日でお別れだな。鉄パイプの能力が切れるらしい」
唯「そうだね…」
澪「うう、ぐすっ…、天の助ぇ…」
天の助「泣くなよ、澪。俺だって別れはつらいんだ」
首領パッチ「できれば唯たちの卒業を見ていきたかったけどな」
律「なんだか、いなくなるってなるとさびしくなるよなぁ」
紬「そうね…、皆と一緒にいるの楽しかったものね」
澪「ぐすっ、ひくっ…」
梓「でも、これでみんな元通りなんですよね」
ソフトン「そういうことだな…、お前たちの楽器も元にもどるだろう」
ビュティ「もしかしたら、またここに毛狩り隊が現れるかもしれない」
ビュティ「そのときは、私たちを呼んで。すぐに駆けつけるから!」
唯「うん、きっとだよ!」
澪「ひぐっ、えぐっ…」
天の助「ほら、澪。これで涙を拭けよ」
澪「これは……「ぬ」のハンカチ」
天の助「それ、お前にやるよ」
澪「て、天の助……!」
澪「うわぁぁぁん……!」
ヒシッ
天の助「よしよし…」
首領パッチ「梓、まだまだ先の話だけどよ」
首領パッチ「コイツらが卒業したら、お前が軽音部をひっぱっていけよな!」
梓「……は、はい!」
ボーボボ「じゃあな、放課後ティータイム」
ボーボボ「お前たちの演奏、最高だったぜ!」
首領パッチ「まあ、俺の歌声に比べちゃ~まだまだだけどな」
ボーボボ「空気よめやーーー!」
ズガンッ
首領パッチ「ぎゃあああああ!」
そこには、彼女たちの楽器が佇んでいた……
唯「行っちゃったね」
紬「そうね……」
律「にぎやかなやつらだったな」
梓「ちょっと、うるさいくらいでしたけどね」
澪「天の助ぇ……」
律「おいおい、澪。泣きすぎだって……」
唯「そういう律っちゃんも……」
梓「唯先輩だって……!」
紬「そういう梓ちゃんも……」
澪「ひぐ、…えっく、ムギもだぞ……」
唯「…えへへ、大丈夫、きっとまたいつか会えるよ!」
唯「卒業、しちゃったね」
律「そうだな~」
紬「わたし、この卒業証書の筒をスポンってするの夢だったの~!」
律「ああ、分かる分かる!」
スポンッ
律「ってかんじでさ」
律「ほら、澪もやってみなって」
澪「え?…あ、ああ……」
スポンッ
天の助「卒業おめでとう」
澪「……て、ててて、てて、天の助ぇぇぇぇええ!」
天の助「きまってんだろ、卒業をお祝いにきたのさ」
天の助「ほかの奴らもきてるぞ」
澪「え…?」
ビュティ「皆、卒業おめでとう!」
ソフトン「実にめでたいな、おめでとう」
首領パッチ「わざわざお祝いにきてやったんだ、感謝しろよな!」
ボーボボ「みんな、卒業おめでとう!」
唯「皆、きてくれたんだ!」
天の助「あたりまえだろ?」
ニュルルルル
ポンッ
天の助「俺たちは一時期はお前たちの楽器、つまり仲間だったんだぜ?」
ボーボボ「そういうことだな」
天の助「お、いいな!」
澪「ああ、きっと梓もよろこぶよ!」
律「一番うれしいのはお前だろ~?澪」
紬「もらったハンカチ、すごく大事にしてたもんね」
ビュティ(あれを大事にするなんて、相当天の助君と打ち解けてたんだなあ)
首領パッチ「よーし、それじゃあ梓を探しにいきますか!」
さわ子「唯ちゃんたちの卒業と、ボーボボくんたちとの再開を祝って…」
かんぱーい!
首領パッチ「なあ、梓。ちゃんと軽音部ひっぱっていけるのか?」
梓「や、やれます!」
首領パッチ「そうだな、そうじゃなきゃお前じゃねえよ」
首領パッチ「がんばれよ、応援してっから」
梓「首領パッチくん…」
首領パッチ「よーし!それじゃ景気付けにおれが一曲うたってやるぜー!」
首領パッチ「ボーボボ、お前もこい!」
ボーボボ「がっていでい!」
首領パッチ「きいてください、曲は…」
首領パッチ「亀ラップ」
ビュティ「最悪の選曲だーーーーーー!!」
完
見てくれてありがとう、おやすみなさい
面白かった
それにしてもボーボボの再現率半端ないな
鉄パイプはわろた
Entry ⇒ 2012.09.01 | Category ⇒ けいおん!SS | Comments (1) | Trackbacks (0)
唯「……紬」ボソ 紬「!?」ドッキーン
紬「ゆ、唯ちゃん今わた」
律「やっほー!部長の登場だー!」
澪「悪い、途中さわ子先生と会って少し遅れた」
唯「二人ともおっそーい!あずにゃんまだ来ないし!」
澪「梓は今日家庭の用事で来れないって行ってたぞ」
唯「えー・・・じゃああずにゃんの分のケーキ貰いっ」
律「あ、唯ずるいぞ!ここは部長の私だろ!」
唯「え~早い者勝ちだよねムギちゃん!」
紬「えっ?あぁ・・・そうね半分ずづじゃ駄目かしら?」
律「むーそうだな」
唯「ムギちゃーん今日は何~?」ニコニコ
澪「催促するなよ・・・」
律「なんだかんだで澪も楽しみにしてるくせに~」
澪「うっ・・・まぁ折角ムギが好意で持ってきてくれてるわけだし・・・それを断るのも・・・美味しいし・・・」
律「あーわかったわかった私が悪かったって~」
紬「はい唯ちゃん今日はロールケーキ!」
唯「おぉ~!待ってました~!」
律「待ってましたー!」
唯「いただきまーす!」
唯「ふーご馳走様ムギちゃん!」
紬「お粗末様~♪」
律「紅茶おかわりー!」
澪「部長なんだからたまには自分で淹れたらどうだ?」
律「私が淹れられると思ってるのか!」
唯「じゃあ私が淹れる!」ハイッ
澪「えっ」
律「えっ」
唯「二人ともその反応は予測してましたぜっ!」
紬「でも唯ちゃんならきっと大丈夫よ~」
唯「まかせなさいっ!」
律「思ったより早かったな」
澪「まぁムギが凄すぎるだけな気もするけど」
紬「初めてにしては十分早いわよ~」
唯「はいりっちゃん!とりあえず飲んでみてよ!」
律「じゃあ頂くか・・・」
澪「私も」
唯「ムギちゃんにはいつもお世話になってるしね!はいっどーぞ!」
紬「ありがと~♪」
律「おっ・・・コレは・・・」
律「うん!普通!」
唯「え~!?」
紬「あら?普通に美味しいけど・・・?」
律「うん、普通に美味しいからちょっとビックリした」
唯「えぇ!?りっちゃんはともかく澪ちゃんは信じてたのに!」
澪「ごめんごめん、でも美味しいよ」
唯「えっへん!」
紬「でも初めてでここまで淹れられるのは凄いわよ?」
唯「いつもムギちゃんが入れてくれるの見てたからね!」
紬「あら嬉しい」ニコッ
澪「ちょ、律やめろっ!」クスッ
紬「唯ちゃんありがとう、とても美味しかった!」
唯「いやいやー!むしろいつもありがとうだよ!」
紬「ふふっじゃあ片付けは私がやるね?」
唯「折角だから全部やるよー!」
紬「あら、じゃあ一緒に運ぶ!」
唯「ありがとー!」
紬「片付けちゃうね?」
律「おぉすまんっ!」
澪「ありがとうムギ」
紬「じゃあお願いしようかしら?」
唯「うん!ムギちゃんは休んでてー」
紬「ありがとう」ニコッ
紬(・・・いつもの唯ちゃんよね)
紬(いつも優しいけど今日はもっと優しく感じる・・・)
紬(・・・あんまり気にしすぎちゃ駄目よね)
律「おっムギ!唯に任せて平気かー?」ニヤニヤ
紬「きっと大丈夫よ~唯ちゃんは出来る子だもの」
澪「普段からもっとやる気があったら凄いんだろうけどな・・・」
澪「・・・結局今日も練習は殆どしなかったな」
律「唯がドラム叩き始めたからな」
唯「面白かったです!」
紬「よかったわね唯ちゃん」
澪「まぁ梓も居ないしあんまり根詰めるよりは良いのかな・・・」
律「それにしても今日の唯はアグレッシブだったな!」
唯「仕事の出来る女・・・平沢唯!」キリッ
紬「かっこいい~!」
澪「じゃあ普段のムギはエリートだな」
唯「ムギちゃんにはいつも助けてもらってるからね!」
律「おぉ!唯偉いぞっ!」
澪「部長も少しは見習うべきだな」
律「・・・唯頑張れっ!」
澪「おい」
唯「じゃあ澪ちゃんりっちゃんまた明日ねー!」
澪「また明日」
律「遅刻するなよー!」
唯「いつもムギちゃんに淹れて貰ってるからね!」
紬「ふふっ、じゃあ私駅行くね!」
唯「うん!明日のおやつも楽しみにしてるねっ!」ダキッ
紬「じゃあ唯ちゃんの好きなもの選んじゃおっか!」
唯「おぉ!ありがたやーありがたやー!」
紬「じゃあまた明日ね!」
唯「うん!また明日ね・・・紬」ボソッ
紬「!」
唯「ばいばーい!」タッタッ
紬(行っちゃった・・・でもやっぱり)
紬(急に紬って・・・急にどうしたんだろ・・・)
紬(と、とりあえず帰りながら考えよっ)
紬(・・・)
紬(紬・・・か)
紬(おかしいな、お父様にはそう呼ばれてるのに唯ちゃんに呼ばれると何か・・・違和感?)
紬(別に嫌って訳じゃないし今まで無かったあだ名で呼んでくれるのも嬉しい・・・でも何で?)
紬(む~・・・)
紬(わぁ~唯ちゃんどうしたんだろ・・・)
憂「おかえりお姉ちゃん!」
唯「ふぅ走ってきたからちょっと疲れたよ~」
憂「あれ?見たいテレビとかあったけ?」
唯「いや~お姉ちゃんって生き物はたまに走りたくなるのだよ憂さん!」
憂「そうなの?」キョトン
唯「そうなんですっ!」
憂「・・・あれ、お姉ちゃんちょっと顔赤いよ?」
唯「!あっ・・・多分走ってきたからかな~?先にお風呂行ってくるね!」
憂「後でタオル出しに行くね~」
唯「ありがとぉ!」
斉藤「お帰りなさいませ紬お嬢様」
紬「ただいま斉藤・・・ねぇ?」
斉藤「いかがなさいました?」
紬「その『お嬢様』抜きで私を呼んで見て?」
斉藤「・・・はて?紬様どうかされましたか」
紬「・・・いえ、なんでもないわ!ごめんなさい斉藤」
斉藤「いえ、御夕飯までもうしばらく掛かるとのことなので自室でお寛ぎ下さい」
紬「えぇありがとう、そうさせてもらうわ」ニコッ
紬(・・・やっぱり唯ちゃんに呼ばれた感じとは違う)ガチャ
紬「ふむぅ・・・」ポムッ
紬父「どうした紬、食が細いようだが」
紬「ちょっと疲れてるみたいで・・・」
紬父「そうか明日に残らないようにしっかり休むといい」
紬「えぇ・・・おやすみなさい」
紬(食事中もシャワーを浴びてるときも考えてしまう・・・)
紬(いつものように唯ちゃんらしく呼んでくれたんだと思いたいけど)
紬(どうしても嫌なほうに考えがいっちゃう)
紬(でも嫌ってる感じには見えなかったから・・・真意がわからない・・・)
紬(・・・明日になったらいつも通りの唯ちゃんになってるのかな・・・)
紬「・・・もう寝ましょうか」
紬「行ってきます」
斉藤「お気をつけていってらっしゃいませ紬様」
紬(・・・斉藤も律儀ね)ニコッ
紬(・・・結局あまり寝れなかったなぁ)
紬(電車の待ち時間が過ぎるのがあっという間)
紬(・・・こんなに唯ちゃんの事考えてるの初めて)
紬(でもなんでだろ)
紬(嫌なことも考えちゃうけど・・・早く唯ちゃんに会いたいと思ってる私が居る)
紬(今日のおやつ喜んでくれるかな・・・)ニコニコ
瀧「おっはー!」
姫子「おはようムギ」
澪「おはよう、少し暖かくなってきたな」
律「というかもう暑いんだよー!もー!!」キー
紬「りっちゃん朝から元気ー!」
律「ムギは暑くないのかー?髪とか蒸れたりさー」
紬「あらそれなら澪ちゃんだって同じじゃない」
澪「まあ正直少し邪魔というか・・・でも折角伸ばしたしなー」
紬「いきなり切るのもちょっとね」
唯「ムギちゃんおっはよぉぉ!!」ダキッ
紬「!」
澪「確かに夏場だったら絵的にも暑そうだ・・・」
唯「皆おはよ!」
紬「・・・唯ちゃんおはよう!」ギュッ
唯「えへ~」
律「ムギの反撃だ!・・・って二人とも暑くないのか?」
紬「唯ちゃんはいつも暖かいよ?」
唯「えっへん!」
澪「えばる事なのかそれ・・・」
紬(結局放課後まで唯ちゃんはいつも通り・・・)
紬(やっぱり気のせいなのかな?)
紬(普段どおりの唯ちゃんを見てるとそんな気もしてくる)
唯「ムギちゃん!今日は楽しみにしてるよ!!」ビッ
紬「えぇ今日は皆が好きそうなの持ってきたの!ちょっと待っててね~」
梓「そういえば唯先輩、昨日はちゃんと練習したんですか?」
唯「もっちろんだよ!」
律「ドラムのな」
梓「へ?ドラム?」
澪「唯が急にドラム叩きたいって律と遊んでた」
唯「えっと・・・えへへ・・・」
律「あら随分信頼がありませんことね!」
唯「もう少しは先輩を信用してもいいですのよ!」
梓「昨日は何やったんですか?」
唯「ごめんなさいでした」
澪「今日は梓も居るしちゃんと練習出来そうかな」
紬「おまたせ~今日はシンプルにショートケーキにしてみました~♪」
律「今日も唯が淹れるのか?」
梓「えっ昨日何かあったんですか?」
澪「あぁ唯の気まぐれで昨日は唯が紅茶を淹れてくれたんだ」
唯「えっへん!」
梓「え・・・大丈夫・・・でした?」
唯「しどい!」
紬「とっても美味しかったわよ~最初の私なんかよりも上手!」
律「いやムギも最初から十分美味しかったけどな」
梓「正直以外でした・・・」ゴクリ
律「まぁ私たちも逆に裏切られた気分だった」
唯「む~!りっちゃんひどい~!」
律「はは、冗談冗談!」
紬「昨日は唯ちゃんに入れてもらっちゃったから今日は私が淹れるね」
唯「うん!ムギちゃんの紅茶飲みたいっ!」
紬「えへ、もう淹れちゃってるんだけどね」つ
律「おぉさんきゅ!」
唯「じゃあ頂きますか!」フンスッ
澪「いつも美味しいけど今回は何か更に美味しい気がする・・・」
律「確かに!やっぱショートケーキは一味違いますなっ!」
紬「ふふ、昨日唯ちゃんと約束したからね」ニコッ
律「なぁに~!?唯ずるいぞー!」
梓「でも結局皆好きですよねショートケーキ」
唯「あずにゃんいい事言った!」
澪「女の子は嫌いって子のが少ないと思うけど」
紬「でもちゃんと唯ちゃんの事考えて選んだよ?」ニコッ
唯「えへ~ムギちゃんありがとぉ~♪」
紬「今度りっちゃんの要望も聞くね」
律「やっりー!何にしよっかなー!」
澪「律はしたないぞ」
梓「まぁ唯先輩は憂にも頼めますしね」
唯「ムギちゃんのお菓子は憂とは別だよ~」
紬「あらあら」
梓「憂のクッキー美味しかったですけど・・・」
唯「勿論憂のお菓子も美味しいけどね!ムギちゃんのも美味しい!」どやっ
澪「今日はちゃんと練習できてなによりだな」
梓「まぁそろそろ文化祭もありますしね」
律「ってことは明日はおしゃべりだな!」
澪「おいっ!」
唯「明日はカステラがいいな!」
紬「考えておくね」
律「あっ唯ずるいー!」
梓「カステラって何だかんだあんまり食べないですよね」
澪「確かに頂き物くらいかな・・・?」
律「んーそう考えると食べたくなってくるから不思議だよなー」
紬「責任重大!」
律「うむ、よきにはからえ」
梓「それ使うタイミング合ってましたっけ」
律「わかんない☆」
澪「全く・・・」
梓「じゃあ私はちょっと買い物していくのでここで」
澪「あぁまた明日な」
律「無駄遣いは駄目ですよー!」
唯「あずにゃんまたねー!」
紬「また明日ね」
梓「はいっお疲れ様です!」
律「だなーじゃあ唯、ムギまた明日ー」
唯「ばいばーい!」
紬「また明日ねー」
紬(・・・そういえば昨日はここで二人になったときに)
紬(・・・)
唯「あれ?ムギちゃんどうかした?」
紬「あ、いや明日のカステラのこと考えてたの!」
唯「なるほど!美味しいよねカステラ!」
紬「憂ちゃんなら作れるんじゃない?」
唯「んー多分作れると思う・・・」
唯「んー食べたいって言ったら作る憂が簡単に想像できるけど材料まではわかんない!」
紬「やっぱり憂ちゃん何でも出来ちゃうね」
唯「自慢の妹です!」
紬「じゃあ私もそろそろ行くね」
紬(・・・)
唯「うんっ!ムギちゃんまた明日ね~!」
紬「また明日ー」
紬(・・・普通だった・・・よね?)
紬(やっぱり私の勘違いだったのかな)
唯「」ギュッ
紬「ひゃっ!?」
唯「気をつけて帰ってね・・・紬・・・」
紬「ゆ、唯ちゃん!?」
唯「えへー後姿みたら抱きつきたくなっちゃった!」
紬「唯ちゃん・・・あ、あのっ!」
唯「!じゃ、じゃあまたねー!」タッ
紬「え・・・あっ・・・うん、また・・・明日・・・」ポカーン
紬(・・・)
紬(考え事してたら唯ちゃんに抱きしめられて)
紬(耳元でまた『紬』って・・・)
紬(なんだろう・・・いきなりすぎて頭が働かない・・・)
紬(でも嫌じゃない、むしろ嬉しいんだけど・・・)
紬(なんでいきなり・・・皆が居るときは普通だし・・・)
紬(・・・わかんないよぉ)
紬(・・・とりあえず明日は唯ちゃんのリクエストどおりカステラにしよっ)
憂「お、お姉ちゃん?どうしたのそんなに息切らして」
唯「いや、ちょっと、トレーニング、がてら、全力疾走、を・・・」
憂「もう・・・お水持ってくるから待っててね?」
唯「あ~り~が~とぉぉぉ・・・」
憂(?お姉ちゃん大丈夫かなぁ)
紬(今日も全然寝れなかったなぁ・・・)ファァ
紬(別に普通に紬って呼ばれる分ならこんなに悩まないのに・・・)
紬(でも・・・紬って呼んでくれる唯ちゃん・・・なんかカッコよかった・・・)
紬(普段は天真爛漫で可愛い唯ちゃん)
紬(たまに見せてくれるカッコイイ唯ちゃん)
紬(どっちも私の仲良しの友人で・・・数日私を悩ませる子)
紬(でもこんなに悩んでるのに全然苦しくない)
紬(・・・とりあえず今日はカステラにしよっ!)
律「やっぱり予想通りおじゃべりで終わったな!」
澪「なんで自信満々で言うんだよっ」ゴッ
梓「まぁこれもHTTらしいですけど」ニコッ
唯「今日も美味しかったよー?」
紬「期待にこたえられて何より♪」
澪「あ、律明日何してる?」
律「特に予定は無い!」
梓「私は憂達と出かけてきます」
澪「明日は休みだし買い物付き合ってくれないか?」
律「えぇー・・・澪の買い物全体的にピンクなんだもんなぁ」
澪「ピンク可愛いじゃないか!」
紬「んー特にない・・・かな?」
唯「じゃあ私達もどこか行かない!?」
紬「!」
紬「そうね、お出かけしましょうか!」
唯「おぉ!どこ行くどこ行くー!?」
紬「んー唯ちゃん行きたい所ある?」
唯「えっと・・・パッと出てこない!」
紬「じゃあ適当に色々見に行きましょうか」
唯「おー!じゃあ明日お昼過ぎに駅で!」
紬「えぇ」
紬(明日は唯ちゃんとお出掛けかぁ)
紬(楽しみだけど・・・今日は言ってくれなかったな)
紬(皆と別れて駅までいつも通り二人で話しながら歩いて)
紬(いつも通りの電車に乗ったけど)
紬(『紬』とは一度も・・・)
紬(流石に勘違いでは無さそうだし・・・)
紬(・・・でも明日は普通に楽しみだなぁ・・・)
紬(ふふっ翌日が楽しみで寝付けないなんて遠足前の子供みたい・・・)
紬(少し早かったかな?)
唯「わっ!」
紬「ひゃっ!!」ビクッ
唯「ムギちゃん私だよー!」
紬「唯ちゃんかぁ・・・ビックリしたぁ・・・」
唯「えへへごめんね?丁度来た時にムギちゃん見えたから脅かしちゃった」
紬「もう・・・唯ちゃん元気だね」ニコッ
唯「ふっふっふ!今日のためにパワーを蓄えておきましたからねっ!」フンスッ
紬「それは頼もしい~あ、何も決めてなかったけどどこ行く?」
唯「とりあえず気になったところ全部回っていこー!」
紬「お~♪」
唯「ムギちゃんこれ可愛いい!」
紬「お花のヘアピン?唯ちゃん似合いそう!」
唯「こんな感じ~」セット
紬「とっても似合うと思う!」
唯「ムギちゃんもつけてみよう!髪長いし!」
紬「じゃあお揃いにしようかなっ」
唯「おぉ!」
紬「どう・・・かな?」セット
唯「ムギちゃん可愛いぃぃ!!すっごい似合うよ!」
紬「本当?じゃあ折角だし買っちゃおっかな!」
唯「お嬢さん・・・今日の道のりははまだまだありますぜ」フンスッ
紬「でも欲しくなっちゃった!買っちゃお♪」
紬「見に来てる人は多いけどレジは空いてたの!」
唯「よーしじゃあどんどん行こー!」
紬「おー!」
・・・楽器屋・・・
唯「いやー本当に可愛いギターいっぱいだねぇ」
紬「でも唯ちゃんにはギー太が一番似合うと思う!」
唯「えへへ~・・・あ、ギー太の弦買わないと・・・あずにゃんにまた怒られちゃう・・・」
紬「梓ちゃんしっかり者だもんね」
紬「わー・・・」
唯「ムギちゃんどうしたのー?」
紬「12色ボールぺンだって!こんなに色あるんだぁ・・・」
唯「でも3色以外ってあんまり使わないんだよね」
紬「そうなの?」
唯「私はそうでした!」
・・・お茶専門店・・・
紬「コレは梓ちゃんが好きな紅茶の葉ね」
唯「すごい・・・見分けがつかない・・・」
紬「唯ちゃんが好きな赤い紅茶はコレね」
唯「あの甘い奴だね!」
紬「コレに少し砂糖大目に淹れると唯ちゃん好みかな」
唯「ほぇ~・・・あっこれは?」
紬「あっそれは~」
唯「とうっ!」カーン
紬「えいっ!」カーン
唯「とっ、あぁ・・・ムギちゃんすごーい!」ガシャン
紬「エアホッケーって初めてやったけど楽しいね!」
唯「よーし今度は私から!えいっ!」カンッ
・・・CDショップ・・・
紬「唯ちゃんは普段どんなの聞くの?」
唯「んー・・・Jpop?とかかな?」
紬「ふふ、よく分かってないって感じね」
唯「えへへ、お恥ずかしながら・・・」
紬「私は色々聞くけどあまり詳しいのは少ないなぁ」
唯「じゃあコレなんてどうでしょう!」
紬「・・・さわ子先生が好きそうね」ニコッ
唯「あー今日は楽しかったね~!」
紬「久しぶりにいっぱい歩いちゃった」
唯「ちょっと疲れちゃったね~」
紬「ね~あ、飲み物買って来るね」
唯「あ、私も行くー」タッ
紬「んー紅茶にしよっかな」ピッ
唯「じゃあ私も同じのにしよっ!」ピッ
紬「またお揃いだね」
唯「えへへー」ニコッ
唯「私もムギちゃんと遊べて楽しかったよー!」
紬「楽しい時間って過ぎるの早いから・・・もう暗くなってきちゃったね・・・」
唯「うん・・・もうそろそろ帰る時間だね・・・」
紬(色々考えちゃってたけどやっぱり普通の唯ちゃんだ)
紬(どっちの唯ちゃんでも・・・一緒にいると楽しいなぁ)
紬(色々考えてたからもっと楽しくなったのかな?)
唯「・・・」
紬「・・・」ボー
唯「・・・紬」ボソッ
紬「!」ビクッ
紬「唯・・・ちゃん・・・?」
唯「・・・」
紬「・・・どうかしたの?」
唯「いやー・・・」
紬「・・・悩み事とか?相談できることなら相談に乗るよ?」
唯「うん・・・」
紬「あ、話辛いことなら無理に話さなくて平気!でも私はいつでも唯ちゃんの味方だもん!」
唯「ムギちゃん・・・」
紬「うん」
唯「私の変化って・・・気づいた・・・?」
紬「えっと紅茶を淹れてくれたり・・・」
唯「・・・他は?」
紬「えっと、もしかして・・・私の名前・・・?」
唯「・・・うん」
紬「最初に部室で聞いたときは聞き間違えかと思ったんだけど・・・何回か聞いて・・・」
唯「・・・うん」
唯「あれはね、ムギちゃんの気を引こうと思ったんだ・・・」
紬「・・・えっ?」
唯「いつからかわからないんだけど、ね」
唯「気づいたらムギちゃんのこといっぱい考えるようになってたの」
紬「・・・」
唯「それで、ね・・・ムギちゃんにもっと私の事考えてもらいたいなって・・・ね・・・」
紬「・・・うん」
唯「呼んでみたん、だけどね・・・」
紬「・・・うん」
唯「ちょっと失敗、しちゃったから、駅でね、別れるときに・・・」
唯「もう一回だけ、ね、呼んでみたんだけど・・・」
紬「・・・えぇ」
唯「次の日になっても・・・ムギちゃんはいつものムギちゃんで・・・」
唯「だから、次はもうちょっとだけ・・・勇気、出してみたんだけど・・・ね」ポロポロ
紬「・・・」グッ
唯「いつもと同じ、だったの・・・」
紬「・・・」グスッ
唯「でも、ね、私はムギちゃんの事いっぱい、考えちゃうから」
唯「今日も、誘って・・・」
紬「唯ちゃん!!!」ギュッ
唯「ほぇ・・・」グスッ
紬「ごめんなさい・・・っ!ごめんなさい唯ちゃんっ!!」ポロポロ
紬「私が自分で・・・気づいてたのに!唯ちゃんが私に何かのサインを送ってるのには・・・気づいてたのにっ!!」ギュー
唯「ムギ・・・ちゃん・・・」
紬「唯ちゃんがこんなにも思いつめてたなんて思わなくて・・・っ!!」
唯「・・・」グスッ
紬「いままでの関係が壊れちゃうような、もしかしたら唯ちゃんに嫌われちゃったのかもって・・・っ!」
唯「そんなこと・・・あるわけ・・・」
紬「ううん、私が臆病だったから・・・大切な友人にこんなにも・・・!こんなにも辛い思いをさせちゃって・・・っ!」
紬「だから、唯ちゃん・・・ごめんなさいっ!」ポロポロ
紬「ごめ・・・・・・さい・・・」ック
唯「・・・紬」
紬「えっ」
唯「」ギュッ
紬「唯・・・ちゃん・・・?」グスッ
唯「ありがと、ムギちゃん」
紬「・・・」
唯「ムギちゃんがこんなにも私の事考えてくれてた、思ってくれて泣いてくれた」
唯「私はコレだけで本当に嬉しいよ・・・?」
紬「唯ちゃん・・・」
唯「勿論恋愛的な感情でね」
紬「・・・」グスッ
唯「まともに恋愛なんてしたこと無いけど・・・多分コレがそうなんだと思う」
唯「ムギちゃんと居ると暖かくて、ポワポワして、幸せな気持ちになれるんだ」
紬「うん・・・・・・うん・・・」
唯「でもね」
唯「この感情が正しいとは思わないんだ・・・」
唯「私達は女の子同士だもん・・・私がどんなに好きになっても・・・」
唯「それで私の思いが通じたとしても・・・絶対幸せになれる!とは・・・言える自信が無いんだもん」グスッ
紬「そんな事・・・」
唯「ううん、同性だもん・・・だから、ね?もともと諦めて・・・は、いたんだ」ポロポロ
紬「・・・」ギュッ
唯「でもムギちゃんが好きなのも本当、嬉しかったのも本当・・・」
唯「気づいてからいつも・・・いつも思ってたし気づいてた・・・っ」
唯「でも・・・幸せで・・・」
唯「どうすればいいかなんて・・・っ!私にわかんなかったもんっ!!!!!」
紬「・・・」
唯「・・・」
紬「・・・唯ちゃん」
唯「・・・なにむgんっ」チュッ
紬「・・・」ギュッ
唯「えっ・・・今、えっ・・・」
唯「・・・」ポー
紬「でも唯ちゃんの気持ちも分かった・・・だからコレは友達のキス」
唯「友達・・・の?」
紬「うん、これからもずっと一緒に遊ぼうって、誓い」
唯「これからも・・・一緒に居て、いいの?」
紬「私も唯ちゃんが好き、でも恋人にはなれない・・・」
紬「だから・・・コレじゃ、駄目・・・かな?」
唯「ううん・・・ムギ、ちゃ・・・ん、あり・・・が、t」フルフル
唯「ムギちゃぁぁぁぁん・・・っ!!!!!!」ポロポロ
紬(アレから唯ちゃん少しは落ち着いたかな・・・?)
紬(ふふっ、今思い返すとちょっと恥ずかしかったかな・・・?)
紬(あ、また唯ちゃんのこと考えちゃってる・・・)
紬(お天気もいいし・・・)
紬(・・・ま、いっか♪)
紬「いってきまーす!」
斉藤「行ってらっしゃいませ紬お嬢様」
紬(・・・ふふっ流石斉藤ね)
紬(あの日から私達二人に一つだけ秘密が出来ました)
紬「~・・・あら?」
唯「・・・紬おはよっ!」
紬「・・・ふふっ」
紬「おはよっゆ~いっ!」
紬(唯と紬、二人だけの時間限定の・・・♪)
おわり
後半以外の似たような書き回し多いのは過去作品含めほのぼの大好きなので諦めてくだしぁ!
個人的には帰宅後の唯√も含めて書きたくなったけど長くなりそうだったから割合。
おまいらも夜中まで乙
珍しい唯紬で綺麗にまとめたな
なかなかよかった
かわゆいむぎ
Entry ⇒ 2012.07.17 | Category ⇒ けいおん!SS | Comments (1) | Trackbacks (0)
律「唯の部屋にエロ本が置いてあった……」
律「なあ唯……これエロ本だよな?」
唯「へ?」
唯「……っ」
唯(なああっ!?)
唯(どうして私のお宝本をりっちゃんが持ってるの!?)
唯(うかつだった……今日りっちゃんがうちに来るとわかっていればちゃんと隠しておいたのに……すっかり忘れてた)
唯(ど、どうする? ……そもそも何をどうするの?)
唯(りっちゃんがこの後やるリアクションと言ったら……からかう、かな)
唯(おいおい唯ってばいつもふわふわしてるくせに実はこんなにエグい本買って読んでたのかよーwwww)
唯(こりゃあみんなに報告だな! ……唯先輩不潔ですもう触らないで下さい! 唯……こういうのは何歳になってもだめだよぉっ!)
唯(そしていつまでもこの事をネタにされちゃう……い、いやだよそんなの!)
唯(……)
唯(な、なにこれー絶対お父さんのだよー! あーもーサイアクー何でこんなものが私の部屋に!?)
唯(……)
唯(実はお父さんに買って来いって頼まれちゃってさー。あーもーサイアクー!)
唯(……)
唯(お宝本を誤魔化す上でこれらは愚策にも程がある)
唯(そう、あれは私が小学6年生の頃。憂と一緒にコンビニへ行って初めてのお宝本をゲットしようとした時の事だったよね)
唯(店内であやしい動きをしたりいつまでも居座っていたら不審に思われちゃうから買う時はスムーズに動こうと思っていた)
唯(だけどあの頃は初めてだったし小学生だったしで私も不安だったから憂にも見せるという条件で一緒について来てもらったんだ)
唯(店内で会話はしない事、良さそうな本を見つけた時はアイコンタクトで私に確認する等をあらかじめ話し合っていた)
唯(そうして本を選んでいざレジに持っていく)
唯(レジの人も普通にお宝本を会計してくれて全てが順調にいくかのように見えた)
唯(だけど)
唯(何度もイメージトレーニングしてた私と違って憂はものすごく動揺してた、いや、羞恥していた)
唯(そこで憂は言ってはいけない一言を言ってしまったんだ……)
唯(羞恥に耐えられなくなった憂から漏れたこの一言は私を戦慄させた)
唯(私から見ても台詞口調なのがバレバレな上に小学生の私達が何かを言ったところでお宝本を買う正当な理由になんてなりはしないのに)
唯(その時の憂はそんな簡単な事すら見えていなかった)
唯(店員さんは何も言わないで会計してくれたけど、私の初陣は憂の自爆によって深い傷跡を残してしまった)
唯(じゃあどうする……りっちゃんを誤魔化すには)
唯(……いや、あの事件以来お宝本自体を誤魔化すのは無理ってわかってるじゃん)
唯(そうだよ、中学生になった私が単独でお宝本を買う時はそう、無心だった)
唯(ねえ、あの頃の私……店員が男でも女でも何食わぬ顔で買ってたよね)
唯(りっちゃんにばれた事実はかわらない。けどその後の被害は何食わぬ顔で平然を装う事によって最小限に抑えられる!)
唯(エロ本だけどそれがどうかした? ……いやこれじゃだめだ)
唯(それ最近買ったんだけど結構よかったよ。りっちゃんも読んでみる? って平然と言うんだ。そしたらりっちゃんは)
唯(えっ!? いや、あたしは……って口ごもってくれれば私の勝ち)
唯(そうしたらまくしたてるように、そういえばクラスの人達とはたまにこういう会話するけどりっちゃんとはした事ないね)
唯(もしかしてりっちゃんってこういうの苦手なの? って言えば、そんな事ないやい! って……いや待てよ)
唯(そうだ外堀を埋めよう!)
唯(りっちゃんはこういうの苦手なのかと思って隠してたけど実は軽音部でもお宝本の話とかしてるんだよねー)
唯(って言えばりっちゃんは墜ちる!)
唯(墜ちた所で私のお宝本を見せてりっちゃんもお宝本ハンターにさせれば私の楽しみも2倍じゃん!)
唯(そうだ既に憂達がいるから3倍、いや4倍か)
唯(最悪りっちゃんがお宝本に夢中になっている所を写メしちゃえばりっちゃんがどう出ようと私の勝ちは確定だよ! やった!)
唯(まずは「それ最近買ったんだけど結構よかったよ」だね)
唯(うあ……上手くいくとわかっていてもやっぱり恥ずかしいな)
唯(いや)
唯(この羞恥、この肌触りはまさにお宝本を買う時の空気そのもの)
唯(そう考えればむしろこの羞恥が心地いい……)
唯(よーしいくぞ)
唯「そ、それ最き――」
コンコン ガチャ
澪「よ」
唯「!?」
律「おー遅かったじゃん」
唯(そんな!? なんで!?)
律「参考書なんてどれも一緒だろ?」
澪「内容とか分かりやすさが違うんだよ。今度律にも見せてあげる」
律「サンキュ」
唯(こんな時に澪ちゃんが!)
唯(しまったぁぁ……今日家に来るのはりっちゃんだけじゃないってことくらいわかってたはずなのに)
唯(はは、私ってば相当動揺してるみたいだね)
唯(落ち着け……落ち着け私)
唯(……方や受験の参考書選び。方やお宝本のいいわけ選び……)
唯(だめだめっ! 今は雑念を振り払って打開策を考え直さなきゃ!)
唯(同様に写メ作戦もおじゃん……)
唯(ああん! この場にいるのが1人なら誤魔化せたのに!)
唯(そうだ、りっちゃんは澪ちゃんが現れたことによってどう動くんだろう)
唯(澪ちゃんがお宝本を見たら顔を赤らめて動揺するはず)
唯(そんな澪ちゃんをからかうためにりっちゃんは「おい澪これ見てみろよー唯がこんなもん持ってたんだぜー!」……ありうる)
唯(そう言えば澪ちゃんと私の恥ずかしがってる所が見れて面白いなんて思いそう。けどその後澪ちゃんは……)
唯(「唯……こういうのは何歳になってもだめだよぉっ!」って言われて真面目に説教? それはまずい!)
唯(当然説教されている理由をりっちゃんが面白おかしくばらしちゃうんだっ……!)
唯(そうして軽蔑と好奇の目に晒されて、言い訳をする暇もなくお宝本ハンターのレッテルを張られて……そんなのやだよ!)
唯(打開策……まずお宝本を澪ちゃんから隠して被害を最小限に抑える事)
唯(りっちゃんには根回しするか……高くついちゃうな)
唯(あれ? その肝心なお宝本はどこに行ったんだっけ……げ!!?)
唯(りっちゃんの右手に収まってるうううぅぅうぅ!!)
唯(根回し作戦はダメッ……!)
唯(大まかな作戦は二通りかな)
唯(一つはお父さんのお宝本という事にしてしまって私も被害者を演じる)
唯(最初は3人ともキャーキャー言い合って騒ぐ事になるけど少し落ち着いてきたころを見計らって)
唯(私が「ちょっと見てみない?」って打診してみる)
唯(特に澪ちゃんが拒否しそうだけどりっちゃんが思い切り拒否はしないと思うんだよね)
唯(りっちゃんが陥落すれば自然と澪ちゃんも後から仲間に入りたがるはず!)
唯(「澪ちゃんりっちゃんがお宝本持ってきてる!」って言えばうやむやに出来るか)
唯(私のお宝本を見てしまったのがいけないんだよ……りっちゃんごめん)
唯(……やっぱり最初の作戦にしよう。リスクが大きすぎるよ)
唯(よしまずはりっちゃんが「おい澪これ見てみろよー唯がこんなもん持ってたんだぜー!」って言う)
唯(その後すかさず私が「違うよそれ私のじゃないよ!? あ! もしかしておとーさんのかも!」って言えば乱戦に出来る!)
唯(よ、ようし……なんとか打開できそう。ふぅ、心にゆとりが出てきた)
唯(……あれ? 私結構考え込んでたけど……しまった! どのくらい時間たったんだろう!)
唯(いくら考え事してたからってりっちゃんと澪ちゃんがお宝本で騒ぎ出したら私だって気付くよ)
唯(まずは落ち着いて様子を窺おう)
憂「お茶持ってきましたよ」
律「サンキュ」
澪「ありがとな」
梓「ありがと」
唯(ふえてるぅうううううううう!!!?!?)
唯(ていうか一番見られたくなかったあずにゃんがいらっしゃるううぅうぅ!!)
唯(う、ううぅぅう……ああぁぁぁあ……)
唯(なんでみんな普通にお茶飲んでるんだろう……)
唯(もしかして一通り騒ぎ終わった後の祭? でもそれならあずにゃんと澪ちゃんの落ち着きが不自然)
唯(となると……まさかお宝本がばれてない!? そんな事が……?)
唯(りっちゃんの近くのはず……どこ……え?)
律「……」
唯(りっちゃんが私にアイコンタクトしてる……?)
唯(アイコンタクト……ま、まさかりっちゃん……)
唯(お宝本ハンターにとってアイコンタクトは戦友の証であり戦場の歩き方でもある……これは一番最初のお宝本ハントで憂と一緒に学んだこと)
唯(つまりりっちゃんは私や澪ちゃんを冷やかす事も無くあずにゃんからもお宝本を隠しておいてくれてるって事……?)
律「……」
唯(うそ……ありがとう、ごめんなさいりっちゃん……いや律ちゃん。私は律ちゃんを踏み台にする事まで考えていたのに……)
唯(私は……私は素晴らしい戦友に出会えたんだね……!)
唯(は、はは、何だか今まで真剣に考えてたのがバカみたい)
憂「お姉ちゃん?」
唯(私もお茶飲もう)
憂「そっか。もうダメだよお姉ちゃん部屋ちらかしてたら座る場所なくなっちゃうよ」
唯「えへへごめんごめ――ッ!!」
唯「あ、憂、そっちはいいから――」
憂「え? あれ、これって……」
澪梓「?」
唯(そんな! せっかく上手くいきそうだったのにあずにゃん達にばれちゃう!)
唯(う、ういっ! アイコンタクト! アイコンタクト! 目を、私の目を見てっ!)
唯(かつての戦友なら一目見てわかってくれる!)
憂「もーこういうのはちゃんと片付けないとダメだよ? ……あっこれ新しい、私まだ見てない」
唯(こっちを見てええええええええええ!!)
唯(私は大きな勘違いをして今まで生きてきた?)
唯(あの日、憂と初めてのお宝本ハントを行った日、憂は確かに恥ずかしがっていた)
唯(じゃあ2度目のハンティングではどうだった? ……私より羞恥があったとは思えない)
唯(そもそも憂は昔からしっかりしていた。いくら羞恥で判断能力が鈍っていたからってあんな……)
唯(……だったら考えられることは一つしかない)
唯(憂は……羞恥するフリをしていた? 何故?)
唯(そういう人達はそれらの行動を自慢するかのようだった。教室でお宝本を堂々と読む私かっこいい、みたいな)
唯(憂がお宝本に対してそういう認識だったら……)
唯(教科書に載っていそうなベタな台詞をわざとらしく言うのがステータスだと思っていたとしたら)
唯(お宝本を隠しもせずにおおっぴらにする事に何のためらいもなかったとしか考えられない)
唯(まさか憂がそんな考えだったなんて……本当に羞恥で判断能力が鈍っていたのは私だったなんて……!)
唯(くっ……だけどまだ諦めるわけにはいかない! りっちゃんという戦友の為にも最後まで諦めない!)
唯(何か……まだ何か策はあるはずなんだ……!)
コンコン ガチャ
母「唯ーお友達来たわよ」
唯(いやああああああああああああああ!!!!?)
憂「こんにちは」
母「あら、憂の持ってるのって……?」
母「ははぁん、そう言う事ね! うふふ、みんな好きね~」
唯「な、いや」
母「お宝本鑑賞会私も今度混ぜてね。今は真鍋さんが来てるから遠慮するけどいい話のネタが出来たわぁ」
母「じゃあごゆっくり~」
ガチャン……
唯「……」
律「……」
澪「え、何? お宝鑑賞って……?」
梓「ちょっ! 憂の持ってる本って……!?」
唯「……」
唯(お母さんは、私が必死に消そうとした導火線の火とか関係なく、全てを壊して行きました)
澪「その本がどうかしたのか? ……え、ちょ、これって!」
律「うわあ……」
澪「おい律!! なんで律の傍からそんな本が……まさかお前っ!」
律「ええんっ!? ちがっ違う! これは私のじゃない! た、多分唯のお父さんが――」
梓「そんな訳ないでしょ!! 律先輩が――」
憂「お姉ちゃんこのお宝本借りてもいい?」
梓「用意し……え?」
澪「ゆいのなの……?」
唯(終わった……けど、まだ終わってない)
唯(これ以上被害を増やす前に……やるべき事は一つ。みんなで一つになるしかない)
唯(その為には)
唯「……り、りっちゃんが持って来てました!」
律「おいいいいいいいい!?」
唯(まず乱戦を起こすしかない!!)
唯(その中でみんなのお宝本適正を確認した。問題なかった)
唯(そうしてみんなが落ち着いてきた頃を見計らって)
唯「……ちょっと見てみない?」
唯(やっぱりみんな食いついてきた。澪ちゃんも、あずにゃんも、ムギちゃんも)
唯(そうして一通り罪を共有し終えてから改めて本題に入る)
唯「……でさ、このままだと私達のお宝本鑑賞会が奥様方に広がっちゃいそうなんだよね。だからこの状況を打開する方法をみんなで考えよう」
唯(今度は1人じゃないし、いつの間にか時が過ぎる事もない。こんなに心強い事はないよ)
唯(1度お宝本を見せ合えば私達は戦友。今度の困難もなんとかなるよね!)
律「とりあえずこの事は誰にも言わないで下さいって頭下げに行こうぜ」
澪「うう……なんでこんな事に」
梓「最悪です……」
紬「な、なんだか緊張するね……!」
唯「あ、はじめからそうすればよかったのかぁ」
END
乙
Entry ⇒ 2012.07.13 | Category ⇒ けいおん!SS | Comments (0) | Trackbacks (0)
紬和「私たちはロミオにもジュリエットにもなれない」
和「いってらっしゃい」
唯ちゃんと憂ちゃんが付き合い始めてちょうど一週間。
この光景も慣れてきたかな。
お昼ごはんの時間になると唯ちゃんは憂ちゃんのところへ行く。
二人で一緒にお弁当を食べているみたい。
いつもはりっちゃんや澪ちゃんも一緒に四人で食べてるけど、今日は二人とも風邪で休みらしい。
なんでも二人して風邪をひいてしまったそうだ。
そうすると、ほんのちょっとだけ気まずい……いや、本音を言うとかなり気まずい。
和ちゃんとふたりきりでお弁当を食べるのは。
唯ちゃんは憂ちゃんに告白するにあたって参謀役に私を選んでくれた。
そのこと自体はとっても嬉しかった。
でもほんの少し困ってしまった。
だって知っていたから。
和「ムギ? ちょっと聞いてる?」
紬「え、ええと……なにかしら和ちゃん」
和「はぁ……最近ちょっと変よ、ムギ」
紬「そうかな?」
和「そうよ。話をしてても上の空。悩みなら、私でよければ相談に乗るわよ?」
紬「じゃあ、そうね……放課後ちょっと軽音部にきてくれない? 今日は部活休みにしてもらうから」
和「いいわ」
和ちゃんが唯ちゃんのことを好きだったって。知っていたから。
紬「和ちゃんいらっしゃい。今お茶をいれるから少し待っててね」
和「いいのに…」
紬「……」
和「……」
紬「はいどうぞ」
和「ケーキまで…」
紬「持って帰っても余らして駄目にしちゃうだけだから。おかわりもあるから」
和「それで話って?」
和「ひょっとして……ムギも唯のこと好きだった?」
紬「ううん。そうじゃないの」
和「じゃあ…」
紬「私が唯ちゃんの相談に乗ってたのは知ってる?」
和「ええ、唯から聞いたわ。ちょっとショックだったけど」
紬「えっ?」
和「あー、うん。相談なら私にしてくれればいいのに、って。
ちょっと自意識過剰かな…」
紬「あ、それは……」
和「何かあるの?」
唯ちゃんは多分気づいてた。和ちゃんが自分のことを好きだ、って。
だから和ちゃんじゃなくて私を相談役に選んでくれた。
でも、それを私の口から言ってもいいのかな。
紬「うん……じゃあ話すね。たぶん唯ちゃんは和ちゃんの気持ちに気づいてたんだと思う」
和「……そっか」
紬「だから和ちゃんには相談しなかった」
和「唯気づいてたんだ……私、必死に隠してたんだけどな」
紬「唯ちゃんは実は結構鋭いから」
和「ほんとね」
和ちゃんは表情には出さないけど、たぶん泣きたい気持ちを押し殺してる。
でも、今の私には何もできない……。
紬「実は私も知ってたの。和ちゃんが唯ちゃんのこと好きだって」
和「ムギまで? 私、そんなにわかりやすいかな?」
紬「ううん。私の場合は見てしまったの。誰もいない教室で和ちゃんが唯ちゃんの席に座ってるところ」
和「……」
紬「私は、和ちゃんの気持ちを知ってたのに唯ちゃんに協力したの」
和「……別にムギは悪くないわよ」
紬「うん。自分でも悪いことをしたとは思ってない。でも、それでも」
和「……」
紬「和ちゃんに対して申し訳ないと思ってしまうの」
紬「ごめんなさい」
和「だから気にしなくていいって」
紬「ごめんなさい」
和「ムギ……」
紬「ごめんなさい」グス
和「なんでムギが泣くのよ……こっちまで泣きたくなるじゃない」グス
紬「ごめんなさい」グス
和「もう……」グス
和「泣いたら疲れちゃった」
紬「……」
和「このケーキ、もらうわね」パクッ
紬「……」
和「あら、美味しい」
紬「ケーキおかわりいる?」
和「もらうわ」
紬「はい」
和「あら、こっちも美味しいわね」パクッ
紬「そう」ニコニコ
和「もう、太ったらムギのせいなんだから」
和「なに?」
紬「唯ちゃんが心配してたよ。和ちゃんが最近遊びにきてくれないって」
和「付き合い始めたばかりだから、二人の邪魔をしたくなかっただけよ」
紬「唯ちゃんね、憂ちゃんと付き合うことが決まって、一番最初に和ちゃんにメールしたんだって」
和「……」
紬「だから、ね」
和「実は今日、唯に誘われてるの。泊まりにこないかって」
紬「それじゃ!」
和「でも、ちょっと気まずいじゃない」
紬「……そんな」
和「だからムギも一緒にきてくれる?」
その日は和ちゃんと一緒に唯ちゃんの家に泊まった。
和ちゃんは終始元気そうにしていたし、私がついていく必要はなかったみたいだ。
夜は四人、布団で寝た。唯ちゃんと憂ちゃんが和ちゃんに抱きついてた。
一人は寂しいので、私は和ちゃんの足に抱きついた。
和ちゃんの足は思ってた以上に細かった。ちょっと羨ましい。
和「でね、ムギに脚本を頼みたいの」
紬「いいわよ。演目は?」
和「ロミオとジュリエット」
紬「ふぅん。でもなんで」
和「ロミオからのリクエストよ」
紬「ロミオ?」
和「澪のこと。実は頼まれちゃったんだ」
紬「何を?」
和「恋のお手伝い」
和ちゃんが何を言ってるのかは、すぐ分かった。
文化祭で劇をやることは決まっている。しかし演目も役者も決まっていない。
和ちゃんは出来レースをやろうと言ってるのだ。
演目をロミオとジュリエットにして、ロミオ役を澪ちゃんがやる。
ということは、ジュリエット役はもちろん……。
何気に6票くらい入ってたよな
和「うん。澪からのリクエストだから、できれば応えたいのだけれども……でも」
紬「和ちゃんも読んだことあるのね?」
和「ええ、昨日読んだわ」
紬「原作?」
和「ええ」
紬「じゃあ和ちゃんも思ったんじゃない? あれを劇としてやるのは難しいって」
和「……そうね。ロミオもジュリエットも身勝手すぎるもの」
紬「ロミオは惚れっぽい性格で、以前の失恋の傷も癒えないうちにジュリエットに恋をしちゃうの。
しかも、周りの人間のことなんて全く考えないような身勝手さ」
和「しかも短気ね」
紬「簡単に相手を殺しちゃうのよね」
和「そしてジュリエットも……自分のために色々動いてくれた乳母に辛くあたるし、
仲の良かった従兄弟のティボルトがロミオに殺されても、ロミオのことばかり考えてる」
和「ええ、身勝手な二人なのに、その二人の恋愛には凄い熱が宿ってのよね。
知らないうちに応援してしちゃった」
紬「流石はシェークスピアね。詩情を最大限に盛り込んだ台詞の数々。悲劇的なラスト。
それは翻訳されていてもなお私たちの心に訴えかけるわ。でも……」
和「私達じゃ難しいか」
紬「そうね。ちょっと練習しただけの素人がやっても感動には繋がらないかな。
学芸会向けに二人の身勝手さを削った上で簡略化した脚本をベースにすれば、ある程度の質は保証されるけど……」
和「それじゃあちょっと味気ないんじゃないかしら。澪の頼みだからできれば盛り上げてあげたいのだけど」
紬「うん。そこで私が出てくるのね」
和「ええ。ムギって昔演劇部の脚本を手伝ってたそうじゃない」
紬「ええ」
和「お願いっ! 手伝ってちょうだい」
紬「…………任せておいて。他ならぬ和ちゃんの頼みだもの。全力で協力しちゃう!」
紬「これでどうかしら」
和「ちょっと読ませてもらうわ……」
―――
―――
―――
和「凄いわね」
紬「そう?」
和「うん。これは泣けるわ
なるほど、ロミオとジュリエットを幼馴染みにしたんだ」
紬「うん。澪ちゃん達の境遇とも重なるし、
そっちのほうがふたりとも役に入りやすいだろうから」
和「原作通りふたりとも身勝手なまま。
ロミオとジュリエットの悲劇はティボルトとマキューシオが担うのね」
紬「ええ、ティボルトには女の子になってもらったの。ふたりには悲劇の恋人を演じてもらう」
和「そしてロミオとジュリエットが幸せなキスをして終わるのね
身勝手な二人だけど、ティボルトやマキューシオの悲劇のおかげで『本当に良かった』って思える話になってる」
紬「そう? ありがとう」
和「お礼を言うのは私のほうね。
でもこんなに書けるんだから、ムギ、作詞もできるんじゃない?」
紬「うーん。できないことはないけど澪ちゃんみたいな詩は書けないかな」
和「そうなんだ。とにかくありがとう。
ところで、マキューシオとティボルトの役なんだけど、ちょっと台詞が多いけど、みんな覚えられるかしら?」
紬「立候補者がいなかったら私、やってもいいよ」
和「そう? それは助かるわ。ねぇ、ムギ」
紬「…?」
和「私、ムギのこと好きよ」
紬「ありがとう。私も和ちゃんのこと好きよ」
文化祭の出し物を決めるホームルームは、和ちゃんの計画通りに進んだ。
ロミオとジュリエットに反対する意見はほとんど出なかった。
澪ちゃんがロミオに立候補すると、既に教室にはジュリエット役はりっちゃんしかいない、という空気が流れてた。
かくして、りっちゃんが眠っている間に全ては決まってしまった。
少しだけ予定外だったのは、私がティボルト役、和ちゃんがマキューシオ役になったこと。
……たぶん、それだけ。
◇◇◇
今回の文化祭、本当にムギには助けられた。
ムギは本当によく気がきく子だ。よく見ていると本当にそう思う。
演技指導中にみんなが疲れてくると、少しだけ巫山戯て笑いをとる。
流石に律と澪の演技指導には苦労してたみたいだけど、最終的にはきっちり仕上げてきた。
そして当日……
和「貴女のような女のために死ぬなど巫山戯た話。とてもじゃないが御免被る」
紬「あらそれはどうもお生憎様。私とて貴殿のような唐変木のためには死ねません」
和「私は貴女のために死ぬのではない。ロミオの、我が親友のために果てるのだ」
紬「私とてそう、マキューシオ。そなたのために死ぬのではない。
我が親愛なる従姉妹殿、ジュリエットのためにこの生命を散らすのよ」
和「ああ、それにしても」
紬「いいえ、それ以上はいけません」
―――
―――
―――
和「いい演技だったわね」
紬「ええ」
和「すごい歓声。この歓声の3割ぐらいは私たちのおかげじゃない?」
紬「八割ぐらい、かな」
和「八割はちょっといいすぎじゃない?」
紬「いいの、今日だけは」
和「え?」
紬「じゃあ私もうけいおん部に行って明日のための練習しなきゃ」
そう言うとムギは逃げるように走って行ってしまった…。
走り去る寸前、ムギは泣いているように見えた。
どうしてだかは分からない。
演技をして感動したか。それとも、別の何かが作用したか。
私には、何も……。
ムギ……あなたは……。
あれからずっとムギに注目していたけど、ずっと元気そうにしていた。
あの涙は役に入りきってしまったから流れたものなんだろう。
私も少し泣いてしまったもの。
あ、それと、澪から律と付き合えたと報告された。
劇中のキスがきっかけだとか。
協力した私としても嬉しい。
後片付けの仕事が終わった後、教室に戻った。
そこにはムギがいた。
ムギは律の席に座っていた。
紬「…? 和ちゃん?」
和「ムギ、泣いてるの?」
紬「ごめんね」
和「なんでムギが謝るのよ?」
紬「……」
和「……そっか……悪いことしちゃったね」
紬「いいの。好きでやったことだから」
和「だけど」
紬「和ちゃんだって唯ちゃんに相談されたら協力したでしょ?」
和「……うん。そうかも」
他の人の恋に振り回されて、自分たちは不幸になって」
紬「ティボルトもマキューシオも自業自得よ」
和「私たちのティボルトとマキューシオのことよ」
紬「……」
和「ねぇ、ムギ」
そう言って私はムギを抱きしめた。
ムギは思ったより小さかった。
いつもはちょっと大人びていてみんなを気遣う彼女。今は私の胸の中では静かに泣き続けていた。
この子も、そして私も、好きな人に告白さえできない。
ほんの少しの身勝手さ……むしろ勇気と言うべきそれさえ持てない。
でも……。
和「ムギ、今は泣いていいから。誰も見てないから」
紬「……」
ムギは静かに泣き続けた。
和「もういいの?」
紬「うん。恥ずかしいところ見せちゃったね」
和「お互い様よ」
紬「うん」
和「お菓子食べる? 打ち上げで残ったやつがあるんだけど」
紬「でも太っちゃう」
和「ムギってちょっと変わってるね」
紬「和ちゃんみたいな細い子にダイエットの苦労はわからないわ」
和「そうね……。ねぇ、ムギ」
紬「なぁに?」
和「私、ムギのこと好きよ」
和「勘違いじゃないわ」
紬「え?」
和「私、ムギのことが好き」
紬「でも和ちゃんは唯ちゃんのことが好きなんじゃ…」
和「唯のことも好きよ。でもムギのことも好きになっちゃったんだから仕方ないじゃない」
紬「……」
和「ムギはどうなの?」
紬「私はりっちゃんが好き」
和「私のことは?」
紬「友達としては好き」
私はムギの唇を奪った。
紬「へっ?」
和「前払い。絶対私のこと好きにしてみせるから」
紬「……和ちゃん?」
ムギの顔が少しずつ赤くなっていく。
…もう真っ赤になった。ゆでダコみたい。
和「……」プッ
紬「和ちゃん酷い」
和「あ、怒った。ムギが怒るところを見るのはじめてかしら」
紬「むーっ」
あ、今度は口が尖った。
和「今日は楽しかった?」
紬「うん。すっごく楽しかった!!」
和「そう。それは良かった。ねぇムギ、まだ律のこと好き?」
紬「うん……好き」
和「そう……」
紬「でも和ちゃんのことも好き!」
和「ほんと? じゃあ律と私どっちが好き」
紬「それは秘密」
和「ムギは時々いじわるなのね」
紬「うふふ……」
そんなこんなで私達は順調に関係を深めている。
ロミオとジュリエットのような劇的な恋ではないけど。
でも、いいよね。こういう恋も。
私はムギに手を差し出す。ムギは嬉しそうに私の手を握り返した。
おしまいっ!
乙でした
Entry ⇒ 2012.06.18 | Category ⇒ けいおん!SS | Comments (1) | Trackbacks (0)
梓「どうも。ゆいあずの黒髪ツインテールの方、中野梓です」
梓「いや、ゆいにゃんとは呼ばれてないでしょう」
唯「あずにゃんネコなのにネズミ苦手なの?」
梓「いえ、ネコではないです」
梓(まあ、美味しいは美味しいけど)
唯「あずにゃんそんな資格持ってるの!?」
梓「そっちの方が意外です唯先輩」
唯「重症だねぇ」
梓(私も食べられないんだけどなぁ)
唯「おおっ、そんな情報までっ」
梓「お冷をギンッギンに冷やすお店ってなんなんでしょうね」
唯「お冷しすぎだよねぇ?」
梓「えっ?」
唯「あずにゃん私もギターだよ!?」
梓「いや、私たちお笑い芸人じゃないですっ」
律(ツッコんだ・・・)
澪(ツッコんだ・・・)
紬(ツッコんだ・・・)
唯(美味しければ違いは気にしない、ていうかわからない方、唯だよー)
梓「ああ、クーラー苦手なんでしたっけか」
唯「へ〜、あずにゃん手ぇ見せてっ」
梓「どうぞ」
唯「ほうほう?」じー
梓(自分で『実は』とか言っちゃいますか)
唯「私は目玉焼き〜」
梓「どこまで曲がるんですか?」
唯「こんくらい」ぐにゃ〜
梓「おおっ!?」
タイバニ次回予告前編
タイバニ次回予告後編
唯「私はわかるよ!軽トラでしょ?ワゴン車でしょ?ダンプカー、ショベルカー・・・」
梓「ちょっと違います」
澪「こんにちは。りつみおの縞パ・・・おい、誰だこの原稿書いたのはぁ!」
唯「えへー♪」
唯「あずにゃん!それじゃあ私が天然みたいじゃん!」
梓「天然でしょう」
梓「マヨラー意外はそうでしょうね」
唯「気持ち良いもんねぇ」
梓「唯先輩の一番好きなアイスは何ですか?」
唯「うーん、最近はピノかなぁ?」
唯「あずにゃんもなかなか通ですなぁ」しみじみ
梓「ああ・・・」
唯「ラッキーカラーは緑だった気がする!」
唯「何かの予兆かも?」
梓「やめてください」
梓「一人一回だけ使えるルールです」
唯「あずにゃんもう一回言ってみて?」
梓「・・・んじゃめりゃ!」
唯「もう一回!もう一回!」
梓「もう嫌ですっ!」
梓「私はあんまり知らないです」
梓「ムギの方って!?と言うか、ゆいむぎって!?」
唯「結成しましたっ」フンスッ
紬「新コンビよ〜」フンスッ
憂「えっと、ういあずの流されやすい方、平沢憂です」
唯「あずにゃーんっ!」
梓「私も生姜焼きが好きですね」
唯「うーん、私はCCレモンかな?」
梓「唯先輩、趣旨が変わってます」
梓「どうも。純の髪の毛のあの部分を、密かに『モコ毛』と呼んでる方、梓です」
純「モコ毛て!そんなにモコモコしてないわー!」ビシッ
梓(なんか違うなぁ・・・)
和「何をやってるの唯?」
唯「和ちゃんっ、これまでの流てからいって、ここはまず自己紹介をする場面だよっ!」
和「それより、さくらんぼのあの茎の部分、尻尾って言うの?」
唯「和ちゃーん!」
和「はいはい」
唯「和ちゃん自虐が過ぎるよっ!」
唯「この前私も借りて読んだよ〜」
唯「私は魚住かなぁ」
梓「えっ?」
唯「んー?」
梓「捏造しないでください」
梓「えっ?何があったんですか?」
唯「うん。りっちゃんの部屋のクローゼットを開けたらね?」
梓「あ、開けたら・・・?」ドキドキ
唯「・・・同人誌が」
梓「乙女違いじゃないですかっ!」
唯「私一回も骨折ったこと無いよ〜」
梓「よく転んでそうですけどね」
梓(ちょっと観たいかも)
トンちゃん「 」プカプカ
梓「トンちゃーん、ご飯だよ〜」ニコニコ
ニヤニヤ
唯(可愛い)
澪(トンちゃんに話かけれる)
律(梓一人の時はこんなことしてたのか)
紬(梓ちゃん可愛いわぁ)
唯「コンビを組まされちゃった方、唯だよ〜」
さわ子「アクエリアス!」
唯「アクエリアス!」
梓「唯先輩らしいですね」
唯「讃岐典侍日記をうどんの日記だと思ってた方、唯だよ〜」
梓「どうも。ネタが切れてきた方、梓です」
唯「じゃあここら辺で終わらそうか?」
梓「そうですね。暇があったら誰か続けてください」
唯「バイバーイ!」
おしまい!
Entry ⇒ 2012.06.04 | Category ⇒ けいおん!SS | Comments (0) | Trackbacks (0)
澪「禿げたあああああああああああ」
http://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/internet/14562/1326245952/
このSSはSS深夜VIPのSSです
二期の絵だと思わなくなった
しかし、梓が登場してからは…
紬「澪ちゃん待って!!」
澪「ムギか……邪魔しないでくれ、私にはもう希望が無いんだ」
紬「落ち着いて澪ちゃん、話を聞いて!」
澪「いいんだ、わかってるから……ムギも心の中では私のことを嘲笑しているんだろう」
紬「澪ちゃん!!」
澪「……ごめん、ムギはちっとも悪く無いのに」
紬「いいのよ、神経質になってしまうのも当然だわ。 でもね、悲観するのはまだ早いわよ」
澪「少し前……まで?」
紬「そう、正確には一年前ね。 お父さんは育毛剤の開発に多額の財産を注ぎ込み、ついに完成させたわ」
紬「見る見るうちに髪が生える、魔法のような育毛剤を」
澪「!?」
紬「ふふ、どう? 生きる希望、湧いてきたでしょう?」
澪「……ああ、一条の光が見えてきたよ」
澪「……ありがとう」
紬「親友の悩みは私の悩みよ、私は自分のしたいことをするだけ」
澪「ほんと……ムギには足を向けて寝られないな」
紬「今日お願いしてみるから、明日まで待ってね」
澪「うん、わかった」
紬「澪ちゃん、どうぞ」
澪「これで、私の髪が生えてくるのか」
紬「ええ、十二時間でりっちゃんくらいには伸びると思うわ」
澪「ありがとう……本当に、感謝しきれない」
紬「親友だもの、当然よ」
澪「親友だけど、お金はきちんと払わさせてもらうよ」
紬「そんな、別にいいのに」
澪「金銭に関してはきちんとしておきたいんだ、親友だからこそ」
紬「わかったわ、少しずつでいいからね」
澪「ああ」
紬「ええ、私がやってあげる」
澪「何から何まですまない」
紬「気にしないで、一度やってみたかったの」ペタペタ
澪「はは、それは嘘だな」
紬「うふふ、どうかしらね」ペタペタ
澪「十二時間、だったか」
紬「ええ、あっという間よ」
澪「そうか、なんだか緊張するな」
紬「あ……そうだ、この薬には少し副作用があるらしいわ」
澪「そうなのか?」
紬「うん、といっても一ヶ月くらいのものだそうよ」
澪「い、痛かったりするのか……?」
紬「安心して、そういうのじゃないから」
澪「そっか……」ホッ
紬「ちょっとばかりホルモンバランスが崩壊して、えっちな気分になるだけだから」
澪「」
紬「あ、少し生えてきたわ!」
澪「ちょ、ちょっと待って。 え?」
紬「すごいわ、どんどん伸びてる!」
澪「ねぇ、ちょっと話を……」
紬「あ、ごめんなさい……澪ちゃんの頭は見世物なんかじゃないわね。 念のため今日は安静にした方がいいわ、それじゃあまた明日!」
澪「え、えぇー……」
澪「…………」ハアハア
澪(確かに、もう髪は腰の位置まで伸びた)ハアハア
澪(そしてムギの言う通り、今朝から身体の様子がおかしい)ハアハア
澪「うぅ……ムズムズする」ハアハア
澪「……そろそろ出ないと、遅刻してしまうな」スタッ
澪「行こう……」ハアハア
澪「一歩歩くごとに……振動がっ……!」ハアハア
澪「んっ……くぅ……んん……やっ……あぁ……ひっ」ハアハア
澪「だ、駄目だ……腰に、力が」ヘナヘナ
澪(立てない……)
澪「いや……今立ち止まったら……確実に遅刻だ」ヨチヨチ
澪「這ってでも……辿り着いてみせる!!」ハアハア
澪「やっと……門の前まで来れた」ハアハア
唯「澪ちゃん!?」
澪「ああ……唯か、どうしたんだ?」ハアハア
唯「それはこっちの台詞だよ! 澪ちゃんどうしたの!?」
澪「いや、少し体調がな……」ハアハア
唯「具合が悪いなら休まなきゃ! 無理して学校来ても意味ないよ!!」
澪「だよな……思考もまともに働かなくて」ハアハア
唯「ほら、おんぶしてあげるから」
澪「……恩に着るよ」ハアハア
唯「親友だもん、当たり前のことだよ」ニコッ
澪「…………」ムラムラ
澪「……唯、部室に」ハァハア
唯「そだね、部室なら横になれるし」テクテク
澪「…………」ハァハア
唯「澪ちゃん、大丈夫?」
澪「大丈夫だ……問題ない」ハァハア
唯「それにしてはすごく辛そうだけれど……あんまり無理しちゃ駄目だよ」
澪「ああ……肝に命じておくよ」ハァハア
澪「…………」ハァハア
キンコーンカンコーン
唯「やば、もう一限目始まっちゃった!?」アタフタ
澪「唯」ハァハア
唯「ごめん澪ちゃん、私忙なむぐっ!?」
澪「…………」チュー
唯「ん……ぁ……」チュー
澪「…………ぷはぁっ」
澪「ごめん唯、もう我慢できない」ハァハア
唯「や、やめ……んんっ」ガクンッ
澪「唯……唯……」ジュルッ
唯「そん……なっ……なめちゃ……あっ」ゾクッ
澪「唯……唯!!」ニュプッ
唯「あふっ……やっ……んっ……ひぁっ……んぁっ!?」
澪「唯! 唯!!」ズッズッ
唯「やっ……ぁぁ……ひんっ……あっ……いやぁぁぁぁっ!!」ビクンッビクンッ
唯「責任、とってくれる?」
澪「うっ……うん」
唯「あはは、冗談だよ」
澪「唯……」
唯「そういう事情なら仕方ないよ、私も嫌じゃなかったし」ニコッ
澪「……ありがとう」
唯「それじゃ、私は授業があるから」
澪「ああ、頑張って」フリフリ
唯「澪ちゃんはしっかり休んでてね、隣にエリザベス置いとくよ」
澪「うん」
澪(駄目だ、また変な気分に……)ハァハア
澪「……寝てしまえば、何とかなるのかもしれないな」
澪(問題は眠れるかどうかだが、一体どうしたものか)
澪(うーん……)
澪(……………)
澪「…………ぐぅ」スヤスヤ
澪「ん……ここは、私の家?」
澪「……どうして私はバニースーツを身に纏っているのだろうか、ご丁寧にウサ耳まで付いてる」サワサワ
澪「部室で寝ていたはずだけど、一体いつの間……に!?」
ウサギ「…………」
澪「これは、私のぬいぐるみ……だよな」
澪「……それにしては大きい、軽くニメートルはありそうだ」
ウサギ「…………」ズイッ
澪「ひぃ!?」
澪「うぐっ!!」
澪(ぬいぐるみの大きな巨体に、押さえ込まれてしまった)
澪(ファンシーな見た目に相反して、何とも力強い)
澪「なんて、冷静に検分してる場合じゃ……!?」ピトッ
澪「な、なんだ? ぬいぐるみなのに、固い所が……」サワサワ
澪「ま、まさか……!」
ウサギ「…………」ムクムクッ
澪「駄目だ……そんな、やめて……んっ」
ウサギ「…………」ミチミチッ
澪「ひぎぃっ!?」
ウサギ「…………」ズッ
澪「いやっ! ふ……あっ! あっ!!」ビクッ
ウサギ「…………」ズプッ
澪「あひぃぃぃんっ!!」ビクビクッ
澪「んっ! やっ! はぁんっ!」ビクッビクッ
ウサギ「…………」パンパンパン
澪「あひん! あひっ! はひん!」ビクッビクッ
ウサギ「…………」パンパン
澪「らめっ! ひっ! あっ! あっ!!」ビクッビクッ
澪「んぅぅぅぅぅっ!!」ビクンッビクンッ
――
澪「部室、か……」キョロキョロ
澪「さっきのは、夢だったわけだな」
澪「そして、こんな夢を見てしまった原因は恐らく」
澪「今現在私にのしかかっている、エリザベスに他ならないであろう」
澪「……なんて、冷静に分析しとる場合じゃないっちゅーに」
澪「!?」ゾクッ
澪(不覚……余計なことを考えたら、再び降臨してしまった)ハァハァ
澪「エリザベス……」クチュ
澪「んんっ……はぁ……エリザベスぅ!」クチュクチュ
澪「エリザベス! エリザベスぅぅ!!」クチュクチュ
澪「くぅぅぅぅぅぅん!!」ビクンッ
梓「」
澪「つい、体が動いてしまった」
澪「これからは、気をつけないとな……ん?」
梓「」
澪「」
澪(な、何で梓がここに……!? いや、そんなことよりも)
澪(梓に、見られた!)
澪(私がエリザベスとの行為に耽っていた所を、見られてしまった!!)
澪(それは何とも興奮する……否! まずい、非常に不味い!!)
澪(かくなる上は……)この間わずか二秒
澪「梓確保ぉぉ!!」ガシッ
梓「にゃっ!?」ビクッ
澪「ふぅ……なぜか部室にあった縄とタオルで、梓を縛り上げてしまった」
梓「むーっ! むーっ!」ジタバタ
澪「ごめんな、梓。 今すぐに縄を解……」
澪「いや、今なら梓を好き放題できるんじゃ……」ハァハァ
梓「!?」
澪「ふふ、梓……」ハァハァ
梓「むぐー!!」ジタバタ
梓「むぐぅぅぅ……」ウルウル
澪「さて、次は生えてるかどうかのチェックをするとしよう」ズルズル
梓「むぐぅぅぅ!!」ジタバタ
ガチャッ
律「ちーっす! ってあれ、澪来てたん……だ?」
梓「むぐー! むぐー!」
澪「律か、授業お疲れ様」
律「あ、ああ……いや、ちょっと待て」
澪「さあ、わからないな。 今とは何時、『じょうきょう』とはどのような漢字を当てるんだ?」
律「そこからわからないのかよ! ってかそれパクリ!!」
梓「むぐむぐっ! むぐーむぐっ!」
律「んん……うん、なるほど。 澪が出し抜けに襲いかかってきて、成すがままに縛られてしまったと」
澪「よくわかったな」
律「ああ、まあ……梓とは、アレだからな。 いや、それはともかく」
律「とりあえず、梓の縄を解いてやれ」
澪「断る」
律「は、はぁ!?」
律「いやいや、何でだよ!」
澪「話せば長くなるが、それでもあえて説明するならば」
澪「梓と交尾がしたいからだ!」キリッ
律「」
梓「」
澪「梓と交尾がしたい身体!!」ヌギヌギ
律「待てぇぇい!!」ガシッ
律「『何だ?』じゃない、服を着ろ」
澪「着たままヤれと言うのか?」
律「違う、するなと言っているんだ」
澪「私と梓による愛の育みを、邪魔する権利が律にあるとでも?」
律「あたしには無いかもしれんがな」スルスル
梓「ぷはぁ!!」
律「梓にはあるだろ、個人の意志を尊重しろ」
澪「むぅぅ」プクー
律「よしよし、怖かったな。 それと先輩を呼び捨てはやめろ」ナデナデ
律「それで、澪。 お前は授業も出ずに、一体何をやっているんだ?」
澪「実は、かくかくしかじかで」
律「……いや、そんないかにも省略されてますよ的な言葉を使われてもわからないから」
澪「ちぃっ」
律「舌打ちすんな」
澪説明中
澪「…………」ハァハァ
律「……どうやら、本当みたいだな」
澪「すまん、副作用で仕方ないとはいえ、梓には乱暴なことをしてしまったな」
梓「い、いえ! 私なら大丈夫です」
澪「そうか! なら今からでも私と」
律「…………」ゴツン
澪「痛い」サスサス
梓「りつー!」ダキッ
律「呼び捨てはやめろ」ナデナデ
律「とても抑えているようには見えなかったけどな」
澪「だけど梓が房事をしたくないというのであれば、仕方がない」
澪「私も既に大人料金を払っている身だ、ここは引こう」
律「おお!」
澪「ただし、交換条件がある」
律「おお……?」
澪「私のお尻を叩いてくれ」
律「」
律「いや、聞こえた。 できれば聞こえて欲しくはなかったが、遺憾にも聞こえてしまった」
澪「そうか、では頼む」フリフリ
律「……一回でいいか?」
澪「いや、ドラムスティックで軽快にリズムを刻んでくれ。 曲目はそうだな……定番のふわふわ時間で」
梓「り、りつー!」ブルブル
律「あ、ああ……怖いよな、あたしも怖い。 それと呼び捨てはやめろ」
律「い、嫌だ」
澪「はぁ?」
律「断る、と言ったんだ」
澪「断るのはいいが、すると勢い余って私が梓に襲いかかってしまう可能性も否めないぞ」
律「くっ…………わかった」
梓「り、りつぅぅ!!」
律「背に腹はかえられんからな、致し方ない。 そして呼び捨てはやめろ」
澪「では、頼んだぞ」フリフリ
澪「うん、よろしく」フリフリ
律「…………」ペチッ
澪「んんんっ!!」ビクンッ
律「!?」ビクッ
澪「ふぅ……はぁ……どうした?」
律「い、いや……何でもない」タンッ
澪「ひぁんっ!!」ビクンッ
梓「りつぅぅ! りつぅぅ!!」ブルブル
律(地獄絵図だ……)
澪「ひぃぃん!!」ゾクッ
律「…………」タタッタタタッ
澪「やんっ! あはぁん! ふぁっ!」ビクッビクッ
律「…………」タタタッタタタッタタタッ
澪「ひぃっ! あっ! あふっ! うにゅぅぅぅぅん!?」ビクンッビクンッ
律「…………」タタタタタタタタタッ
澪「あへぇ…………」ビクンッビクンッ
梓「りつ! りつ!!」ガシッ
律「な、なんだ? 別にやましい気持ちなんかないぞ?」
梓「そうじゃなくて、澪先輩……気絶してる」
澪「」ビクンッビクンッ
律「これは……つまり、終わった……のか?」ヘタリ
梓「りつぅぅ!!」ダキッ
律「はは、はぁ……疲れた」ナデナデ
紬「satisfaction......」ウットリ
紬「できることなら、梓ちゃんやりっちゃんともドッキングをして欲しかったのだけれど……ううん、そこまで高望みするのも野暮よね」
紬「唯ちゃんとは結合してくれたし、一晩かけてカメラを設置した甲斐があったというものだわ」ウフフ
唯「へえ、カメラなんてあったんだ?」
紬「ええ、キーボードや食器棚、机の下から窓にエアコンまで、あらゆる所にカメラを…………え!?」クルッ
唯「…………」ニコニコ
紬「あわわわわ」ガクブル
純「というのが事件のあらまし、といっても梓が澪先輩や唯先輩から聞いた話を又聞きしたものだから、実際に起きたこととは多少の差異があるだろうけどね」
菫「……それで、その後はどうなったんですか?」
純「うん、それから一ヶ月もの間紬先輩は、澪先輩のはけ口に宛行われたそうだよ。 自業自得という言葉が合致する事象なんて、実際に起こり得るものだったんだね」アハハ
菫「長年お仕えしてきた身としては、かなりショッキングな話です」
純「こないだ箝口令が解かれたんだよ、本題へ移る前置きとしてこの話題に触れざるを得なくてね」
菫「随分と長い前置きですね」
純「まあね……さて、ここからが本題。 今の話を通じて、スミーレに聞きたいことがあるんだけど」
菫「は、はい……」ゴクリ
純「癖毛が一昼夜で直る薬とか無い?」
菫「ありません」キッパリ
-fin-
乙乙
こっちがほしい
けいおんSSもっと増えねーかな
Entry ⇒ 2012.03.08 | Category ⇒ けいおん!SS | Comments (0) | Trackbacks (0)
澪「もし律が男の子で私の事大好きだとするだろ?」
http://hayabusa.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1329566249/
澪「そういうのって良いよな」
律「なにが?」
澪「ちょっと私に告白してみてよ」
律「何を言ってんだ?」
澪「いいから」
澪「最近どうも不調なんだ。なんにも思いつかない」
律「なんの話?」
澪「歌詞」
律「あぁ」
澪「頼む!律が私をドキドキさせてくれればきっと良い歌詞が書ける筈なんだ!」
律「なんで私が…」
律「……」
澪「……」
律「しょうがないなぁ…」
澪「そう言ってくれると思ったぞ」
律「何言えばいいんだよ?」
澪「それは律が考えないとダメだよ」
律「なんでだよ!」
澪「私が考えたセリフじゃ全然ドキドキしないだろ?」
澪「ちゃんと私をドキドキさせるセリフを言わないとダメだぞ?」
律「なんで上から目線なの?」
澪「ほら、早く」
律「え…えぇ?」
澪「……」
律「ん~…」
澪「ほら」
律「今考えてるって」
澪「…」ドキドキ
澪「…うん」
律「ご、ごめんな?突然呼び出して…」
澪「平気だよ。話ってなに?」
律「えーと…あの……」
澪「うん?」
律「その……なんていうか…」
澪「……」
律「えっと…」
澪「……」
澪「……」イライラ
澪「全然ダメだよ律」
律「はっ?」
澪「そんな気弱な男子じゃ私はドキドキしないぞ?」
律「そんな好み知らないし」
澪「もっとちゃんとやってくれなきゃダメじゃないか
なんでそんなになよなよしてるんだよ」
律「は、恥ずかしいんだよ…」
澪「まったく」
澪「これ」カサッ
律「ん?なにこの紙」
澪「書いてきたから」
律「はい?」
澪「私が告白文書いてきたからそれに沿って演じてみて」
律「準備周到すぎだろ…結局私、澪が考えたセリフ言わないといけないんだ」
澪「はやく」
律「うっ…」
律「でも澪。これ細かすぎるんだけど。
仕草とか行動とかまでびっしり書いてある」
澪「昨日夜更かしして書いたんだ」
律「なにやってんの?」
澪「ほらっ。余計な事言ってないで読む」
律「わかったよ」
澪「……」
澪「ん?」
律「ラストのシーンなんだけどさ」
澪「あぁ」
律「『二人は固く抱き合いながら口づけを交わす
永遠のの二人の愛を約束するように』って書いてあるんだけど」
澪「……」
律「どういう事?」
澪「そういう事だ」
澪「形式じゃなくてちゃんと演じる」
律「……」
澪「……」
律「ん…?」
澪「なにか?」
律「つまり澪と私がキスするって事?」
澪「そういう事になるな」
律「ちょっと待ってくれ」
律「色々とおかしいと思う」
澪「えっ?」
律「えっ?じゃないだろ。そういうのは演技でするもんじゃないだろ
女優がドラマ撮ってる訳じゃないんだぞ?」
澪「じゃあどうすればいいんだよ」
律「こういう事は好きな人としなきゃダメだ」
澪「当たり前だろ?さっきから何言ってるんだよ律」
律「えっ?」
澪「私律の事好きなんだ」
律「……」
律「なにぃ!?」
律「えっ…いや……えっ?」
澪「ほら、さっさと台本読んでくれよ。時間がもったいないぞ?」
律「い、いや…でも…」
律「さすがに…キスは……」///
律「女…同士だし……」
澪「律は男の子演じるんだぞ?何も問題ないだろ」
律「(…そういう事か!)」
律「まだ」
澪「……」
律「……」
澪「ねぇ」
律「まだ」
澪「……」
律「……」
澪「律」
律「まだだよ。なに?」
澪「ラストシーンだけでも…いいかも」
律「」
律「あぁ」
澪「ちゃんと真面目にやらないとだめだぞ!」
律「わかったよ」
澪「……」ドキドキ
律「……」ドキドキ
澪「『じゃあ律…私たち今日から……恋人同士だね?』」
律「『あぁそうだな澪。絶対澪を幸せにするよ』」
澪「『ねぇ…』」
律「……」
律「(ここで澪を抱きしめる…っと)」
ぎゅ
澪「あっ…」///
澪「『私も…私も律の事大好きだよ…?もう律しか見えない』」
律「『……』」
澪「『……』」
律「『澪…いいよね?』」
澪「『……』」
澪「『…うん。…いつでもいいよ?』」
スッ
律「……」ドキドキ
澪「……」ドッキンドッキン
スー
律「(5cm…3cm……1cm…)」
澪「……」
律「(澪の吐息が…)」
バタン!
唯「みんなおつかれー!」
律「うわぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」
ガタン!
唯「あれ?りっちゃん澪ちゃんなにやってるの?」
律「な、なんでもないぞ!なんでもない!」
澪「……」
澪「ちっ」
紬「チッ」
唯「(ムギちゃんまで?!)」
澪「(ムギ…?!)」
律「ってムギ!いつの間に?!」
紬「おつかれさま~♪」
澪「ムムムムギ!!…いつからそこにいたんだ?!」
紬「ずっといたけど…なんだか声かけづらくて机の下に隠れてたのー♪」
律「な、なんだってぇぇぇ!?」///
紬「ふふふ♪」
律「……」
律「(終わった…なにもかも…)」
唯「ちょっと待って…まさか!」
澪律「?!」
唯「みんなでかくれんぼしてた?なんで私も混ぜてくれないのさー」
紬「りっちゃん澪ちゃん、この事はみんなには黙っておくね?」ボソッ
澪「……」
律「……」
唯「ねーねー」
律「よ、よし!かくれんぼするか唯!」
澪「な、何言ってるんだ!れれれ練習するぞ!」
終わり
乙だ!
Entry ⇒ 2012.02.29 | Category ⇒ けいおん!SS | Comments (0) | Trackbacks (0)
紬「だけど、大切な物が決して高いとは限らないでしょ」
http://hayabusa.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1327829585/
紬「お茶入りましたー」
澪「ありがとう。・・・今日も美味しいな」
唯「それに、このティーセットが良いよね」
澪「確かに。私達は気楽に使ってるけど、本当は結構高いんだろ」
律「そんな事気にしないで、みんなはお茶を楽しんでくれよ」
澪「お前が言うな」 ぽふ
紬「まさか。毎日使う物だから、割れても良いようにそれなりの物を持って来てるの」
律「ムギにとってはそれなりでも、私達にとっては拝むレベルかも知れないからな」
紬「本当、それ程高い物は持って来てないわよ。むしろ、毎月のお菓子代の方が高いくらい」
唯「え」 びくっ
澪「なんだか、怪談よりも怖い話を聞いた気がする」
律「明日から、水と氷砂糖にするか・・・」
梓「済みません、遅れました」
紬「今、お茶の準備するわね」
梓「ありがとうございます。・・・なんですか、唯先輩」
唯「お菓子、大切に感謝を込めて食べた方が良いよ」
梓「それは唯先輩が、でしょ」
律「お前、ムギの持ってくるお菓子がいくらか知ってるのか」
唯「少なくとも、たらこじゃないよね」
律「誰が、魚卵の話をしたんだよ」
梓「頂きます」 はむはむ
唯「美味しいね-」
澪「うん、本当に美味しいな
律「んめー、んめー。・・・って、喜んでる場合じゃねー。いや、喜んでる場合だけど」
梓「何の話ですか、さっきから」
澪「ムギの持ってくるお菓子は結構高価で、一月分だとこのティーセットよりも高いそうだ」
唯「だから、大切に食べないと駄目なんだよ」
梓(生クリーム、鼻についてるし)
澪「そうは言ってもな。高い物は、大切に扱わないと」
紬「だけど、大切な物が決して高いとは限らないでしょ」
唯「はっ」
律「ひらめいた、みたいな顔したな」
梓「・・・抱きしめないで下さいよ」
唯「あれ、気付いてた?」
律「私の大切な物はあずにゃんだよー、みたいな話か」
澪「確かに唯っぽい行動だな」
唯「でもやっぱり、あずにゃんなんだよー」 きゅっ
澪「本当に唯は仕方ないな」
梓(全くです♪) くんかくんか
澪「やっぱり、楽器だろ。というか、それ以外の答えはない」
唯「そだね。ギー太に何かあったら、私泣いちゃうよ」
梓「それにレスポールですからね。私なら、違う意味で泣いちゃいます」
澪「ギターやベースは何かあった時すぐ動かせるけど、ドラムとキーボードはきついよな」
律「重いしかさばるし。逃げてると、共倒れになりかねん」
唯「いざとなったら、私も手伝うよ」
澪「仕方ないな」
梓「及ばずながら」
紬「さながら三勇士ね」
唯、澪、梓「あはは」
律「爆弾じゃないぞ、おい」
律「部室とか、講堂とか。私達が軽音部なら、その辺は大切だな」
梓「だったらトンちゃんもです」
紬「梓ちゃんは、本当にトンちゃんを大切にしてる物ね」
唯「その内、恩返ししてくれるかな」
紬「でも竜宮城へ行くには、ちょっと小さすぎない?」
澪「大丈夫。その時は、決して覗かないで下さい」
律「お前ら、まずは突っ込まれる順番を決めろ」
律「私だったら、速攻で燃やしたくなるけどな」
澪「なんだと?」
紬「まあまあ。でもノートが無くなる可能性もあるから、ちょっと心配じゃない?」
澪「心配ない。全ページコピーを取って、部室と家にそれぞれ保管してる」
律「後で見つかった時、黒歴史になりそうだな」
澪「何言ってるんだ。それはきらきらきらめく魔法の言葉。戸棚の奥から現れた、10年前の宝物だ」
梓(さらっと語り出したし。10年間も軽音部にいるし)
梓「唯先輩、唯先輩」
唯「・・・あずにゃん、どしたの」 じゅるり
梓「それは私の台詞です。もう、部活中に寝ないで下さいよ」
唯「ごめん、ごめん。ただ私的には、寝てる時とか何もしてない時間が大切なんだよね」
紬「それ、すごく分かるわー」
澪「確かに一理ある」
律「結局、寝てるんだけどな」
律「あーあ。練習しなくても上手くなれれば良いのにな」
澪「そんな都合のいい話があるか。何事も努力努力。努力に勝る近道無しだ」
梓「はいです」
唯「でも、急がば回れって言うよね」
紬「ずっと回ってたら、どうなるのかしら」
唯「やっぱり、バター?」
紬「でもって、ばったり倒れちゃったりして?」
唯、紬「あはは」
律「ばっさり切り捨てるぞ、お前ら」
紬「・・・開けて良いよね-♪」 ぴらりらーん
律「ふー。結構上手く行ったんじゃないか?」
澪「これもみんなが努力をしたからだ」
唯「それもあるけど、やっぱり歌詞や曲が良いからじゃない?」
梓「ムギ先輩の声も素敵ですしね」
律「さすが合唱部志望だった事はある」
澪「私達が、強引に勧誘したんだけどな」
紬「でも私は、軽音部に入部出来てすごい幸せよ♪」
梓(懐が深いというか、人が良いというか。良い匂いというか♪) くんかくんか
澪「私達の中でメインボーカルをやってないのは、律と梓か」
梓「い、いえ。私は結構です。正直、自信無いですし。ギターで精一杯ですし」
唯「となると、りっちゃんがボーカル?」
律「い、いや。私も良いよ」
唯「どして?」
律「そ、それはその。・・・は、恥ずかしいじゃん」
紬「あらあら♪」
梓「ちょっと意外ですね。そういうの、全然平気だと思ってました」
澪「こう見えて、律は結構繊細なんだ」
律「こう見えてってなんだよ。こう見えてって」
律、澪「なんだとー」
梓(何気に仲が良いな、この二人)
唯「・・・という訳で、楽器もだけど歌詞や曲も大切だと思うんだ」
憂「そうだね。いくら演奏が上手くても、歌詞やメロディが良くないと心に響かないし。でも曲が良くても、演奏が駄目だと良くないし。音楽って難しいね」
唯「知れば知る程、音楽は奥が深いよ」
憂「お姉ちゃんも、すっかりミュージシャンだね」
唯「そかな」
憂「そうだよ。私、今の内にサインもらおうかな」
唯「私のサイン第一号は、憂に決定だね」
憂「ありがとう、お姉ちゃん♪」
唯「憂ー♪」
唯「という訳で昨日は、憂にサインを書いてあげました」
和「姉妹で何やってるのよ、あなた達」
唯「てへへ。そういう和ちゃんは、何が大切?」
和「・・・そうね。すぐ思い付くのは、眼鏡かしら」
唯「やっぱり無いと困る?」
和「歩けないって程ではないけれど、唯と憂の見分けは付かなくなるかも知れない」
唯「きりっとした方が私で、優しい方が憂って覚えればいいよ」
和「唯。あなた、まだ寝てるの?」
紬「きねー」
唯「ぺったん、ぺったん。ぺたぺったん♪」
唯、紬「あはは」
律「・・・いや、そういう事じゃないから」
和「相変わらずね、あなた達は」
澪「私は違うぞ。月のウサギもお餅をつくよ。今夜は満月カーニバルだ」
和(むしろ、一番ひどいんじゃないの)
紬「それで行くと、りっちゃんはヘアバンドかしら」
唯「ああ、なるほどね。ちょっと交換してみたら」
律「ま、良いけどさ。ほら」
和「はい、私も。・・・こんな感じかしら」 すちゃっ
紬「・・・素敵♪」
澪「うん。驚くくらい似合ってるな」
唯「和ちゃん可愛いよ。すごく似合ってるよ。さすが和ちゃんだよ」
和「もう、唯は大げさなんだから」
澪、紬「あはは」
律「で、私は置いてけぼりですか」
純「サインかー。澪先輩のサインなら、素で欲しいな」
梓「今度、澪先輩にお願いしてみたら?」
純「それは恐れ多いというか、なんというか」
憂「だったら、梓ちゃんのサインをもらったら?」
純「じゃあ、この空欄にお願い。印鑑も一緒にね」
梓「これは、純の借用書でしょ」 ぽふ
梓「・・・あまり考えた事無いな」
純「あんたね。軽音部で、唯一の後輩でしょ。そこは労を惜しまなくてどうするのよ」
梓「うっ」
憂「それだけお姉ちゃん達は、梓ちゃんを大切に思ってるんじゃないのかな」
純「もしくは、甘やかされてるかだね」
憂「でも厳しいお姉ちゃん達も想像出来ないし、やっぱり人は褒められて伸びるんだよ」
純「もう、憂も甘いんだから。大体梓って、甘えるのも下手でしょ」
梓「甘えるって、例えば?」
憂「ごろにゃーん♪とか?」
梓、純(憂ー♪)
カチャ
梓「・・・済みません、遅れました」
律「うーっす」
紬「きねー」
澪「それはもういいんだ」
唯「あずにゃん、お菓子あるよ。あーんして、あーん」
梓(確かに甘やかされてる、のかな)
梓(えっ) びくっ
唯「りっちゃん、どういう事?」
紬「分かったわ。梓ちゃーん、ごろにゃーん♪みたいな事?」
律「おう、その通りだ。澪、やってみろ」
澪「「何で私が、そこまで・・・。梓ちゃーん、ごろにゃーん♪食べてにゃーん♪」
梓(やっちゃってるし、アドリブ効かせてるし)
律「それだ、澪っ」
唯「うーん、軽音部の道は厳しいねー」
梓(軽音部の要素、一切ないし)
律「上下関係か。それこそ、私達のノリじゃないだろ」
唯「あずにゃんは、そういうのに憧れてるの?」
梓「そういう訳じゃないですけど。私軽音部で、後輩らしい事をしていないので。それはどうかなと思いまして」
澪「確かにある程度のけじめは必要だ。だた、そんな深刻に考えなくても良いんじゃないかな」
紬「うん、うん」
律「まあ私は部長だから、別格だけどな」
澪「お前こそ、肩書きだけだろ」 ぽふ
律「ムギ?」
紬「梓ちゃんっ」
梓「は、はいっ」
紬「このお茶、美味しいから飲みなさいっ」
梓「は、はい」
紬「こっちのシュークリームも美味しいから食べなさいっ。それと、明日は何が食べたいか言いなさいっ」
梓「ザ、ザッハトルテをお願いします」
紬「分かったわっ。明日を楽しみに待ってなさいっ」
律「それって単に、田舎のお祖母ちゃんだろ」
梓「いえ、そんな。私こそ済みませんでした」
律「まあ、ムギからは一番遠いキャラだったからな」
澪「誰かに厳しくするって事は、自分も厳しく律するって事だ。これはなかなかに難しいぞ」
律「真面目な奴め。どっちにしろ、私達の中にはいないタイプだな」
唯「りっちゃん、りっちゃん。一人忘れてるよ」
律「お前は、初めから計算外なんだよ」 ぽふ
律「自分に甘く、他人にも甘く。これが軽音部唯一の掟だ」
澪「言い切るなよ。・・・あながち、間違ってるとも思えないが」
紬「でもそれって、素敵な事よね」
澪「そうか?どうも、ぬるま湯って気もするぞ」
唯「温かいお風呂、最高じゃない」
梓「そういう意味じゃありませんよ」
唯「そかな。ぬるま湯だったら、みんなでいつまでも入っていられるよ。それって、最高な事だと思わない?」
梓「ま、まあ。そういう意味ならぬるま湯でも良いですけど」
澪「・・・本当に良いのか?」
紬「勿論。一緒に入れるなんて、最高な事だと思うわよ♪」
律「ムギこそ、違う意味で捉えてないか」
紬「はい、ただ今-」
唯「いつにもましてお疲れだね、さわちゃん」
さわ子「担任ともなると、あれやこれやと仕事が増えるのよ。授業が終われば放課後ティータイム、なんてのんきに過ごせないんだから」
律「だったら、どうしてここにいるんだよ」
さわ子「私はここへ、潤いを求めに来てる訳。私にとっては大切な憩いの場、言わば聖域なのよ。そして活力を得て、また学校という名の戦場に赴くの」
梓(疲れてるな、色々と)
さわ子「良いわねー、そういうノリ。あなた達若いんだから、そういう部分を伸ばしていかないと」
澪「伸ばす場所が違う気もするんですが」
さわ子「もう、澪ちゃんは真面目なんだから。ホットチョコレート美味しいにゃん♪、とか言ってみなさいよ」
澪「い、いや。それはさすがに」
梓「は、はい。確かに」
唯「人として、大切な物を失う気がするよ」
さわ子「ムギちゃんは良くて、私は駄目って訳?それって、一体どういう訳」
律「言うまでも無いだろ、そんな事。年甲斐もなく、そういう真似は止めてくれよな。だははー」
さわ子「だったらお前の寿命を頂くぞ、このデコッパチ」
澪「自業自得だ。とにかく、もう「にゃん」は禁止だからな」
唯「えー。だったらあずにゃんは、どうやって呼べばいいの?」
紬「あずあず?」
律「あっちゃん?それとも、あずちゃんか?」
澪「あずわんでも良いんじゃないのか」
律「なんか、オビ・ワンみたいだな」
唯「フォース?フォース出ちゃう?」
紬「コーホー、コーホー」
律「それ、ちょっと違うだろ」
唯、澪「あはは」
梓(というか、普通に梓と読んで下さいよ)
紬「調子悪いの?」
澪「音が少し、ビビり気味なんだ。ネックが反ってるのかもしれない」
唯「反る?あんな固いのに?」
梓「日本は湿度が高いですからね。ネックは木製ですから、結構反ったりしますよ」
唯「澪ちゃんは、自分で直せるの?」
澪「少し反ってるくらいなら。でも本当は、お店に持ち込んだ方が良いとは思うぞ」
梓「唯先輩も、ギー太を大切に手入れしてやって下さいよ」
唯「でもネックの反りを直すなんて、絶対壊しそうで怖いんだけど」
澪「え」
律「思いっきり、ビビッたな」
澪「・・・大体、こんな所かな」 ぼろーん
唯「音、合ってるよ」
紬「改めてすごいわね、絶対音感って」
梓「唯先輩は手入れもですけど、そういう才能も大切にして下さい」
唯「私、使いどころが分からないんだよね。音が分かっても、その通りに弾くのは難しいし」
梓「だから、その分練習をするんです」
澪「梓の言う通りだ」
唯「才能があるって、結構負担になるんだね」
律「言いたい事は分かるが、結構イラっとくるな」
律「たまには、ゆっくりまったりしてようぜ」
澪「それは毎日練習をしてから言え。唯も早く準備しろよ」
唯「いやー。それが、ギー太もネックが反っちゃっててね」
澪「ネックが反る事も知らなかったのに、どうして分かるんだ」
唯「うっ。ソーリー、ソーリー」
律「一周回っても、イラッと来るな」
律「しゃーないな。あんまり練習しないと、澪が泣いちゃうからな」
唯「澪ちゃんを泣かせる訳にはいかないよね。私、一所懸命練習するよ」
澪「唯は優しいな。それに比べて律と来たら」
律「いや。澪は泣いてなんぼ。いじられてなんぼのキャラだ。唯、甘やかすなよ」
澪「なんだと」
紬「まあまあ。みんな、お茶が入ったわよ」
梓(本当、なんだんだといって仲が良いよな。これが私より、1年間早く一緒に過ごしてきた事の証なのかな)
紬「野良猫ー、ザッハトルテー」 ピラリラー
梓「あっ」 びびーん
紬「梓ちゃん、どうかした?」
梓「済みません、一小節飛ばしちゃいました」
律「細かい事気にするな。フィーリングだフィーリング。なんか適当に音を出しとけよ」
澪「それか、唯がフォローすれば良いんだけどな」
唯「そんな時は来ないと思うよ。だって私は、一生あずにゃんに頼っていくからね」
律「いや。真顔で言う事じゃないから」
澪、紬「あはは」
梓「・・・甘やかさないで下さいっ」
梓「私は後輩で、皆さんは先輩です。だからもっと叱って下さい。本気になって怒って下さいっ。本気で・・・」
律「梓っ」 ばんっ
梓「は、はいっ」 びくっ
梓「え」
紬「うふふ♪」 きゅっ
梓「あ、あの」
澪「よしよし♪」 きゅっ
梓「ええ?」
唯「あずにゃーんー♪」 きゅっ
梓(えー、どういう事ー♪) くんかくんか
梓「・・・済みませんでした。皆さんの仲が良いので、少し寂しいというか。何というか」
澪「だから本気って事か。でも私達だって、本気で梓と付き合ってるぞ」
律「澪が言う通りだ」
梓「はぁ」
紬「私達は同い年だから遠慮なく突っ込みあうけれど、梓ちゃんはつい可愛がりたくなるのよね」
梓「え」
澪「唯は、ちょっと可愛がりすぎだけどな」
唯「だって可愛いんだから、可愛がって当然でしょ」
律「可愛いもんな」
紬「可愛い可愛い。梓ちゃんは、本当に可愛いから」
梓「も、もういいですよっ」
紬「そうそう。私達はみんな、軽音部の大切な仲間なんだから」
澪「これからも遠慮せず、どんどん私達に意見してくれ」
梓「はいですっ」
唯「あずにゃんは気楽に、「田井中、お茶買ってこい」なんて言えば良いんだよ」
律「親しき仲にも礼儀あり、だ」 ぽふ
澪、紬、梓「あはは」
終わり
テーマとしては、「本音で付き合える大切な仲間」みたいな所ですね。
雰囲気としては「天使に触れたよ」をイメージ。
思いっきり、映画に影響されました。
ただ歌詩の内容的には、「放課後ティータイム(曲の方)」ですね。
いい仲間達だな
和んだし楽しかった
Entry ⇒ 2012.02.04 | Category ⇒ けいおん!SS | Comments (0) | Trackbacks (0)
L「平沢憂…お前は完璧すぎる」
http://hayabusa.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1327322286/
L「レイ・ペンバーが調べていたふたつの家に、盗聴器と監視カメラをしかけます」
松田「なっ!?」
総一郎「そのペンバーが調べていた2人というのは誰なんですか?」
L「平沢次長とその家族。夜神局長とその家族です」
L「この二軒の家に盗聴器とカメラをつけさせていただきたい」
松田「なっ…ばれたらこの本部も破滅ですよ!」
L「絶対ばれないようにとりつけます」
総一郎「竜崎……その中にキラがいる可能性は…?」
L「10パーセント……いや5パーセントです」
総一郎「分かった…その代わり付けるならトイレ、風呂まで見落としのないようにだ!」
L「ありがとうございますそのつもりです」
L「ちょうど今、夜神家も平沢家も夕食をとりながらテレビを見ていますね」
L「ワタリ…例のテロップを流してくれ」
~~~~~
夜神家
ピンポンパンポーン
キラ事件に対しICPOは先進各国から1500人の捜査員を日本に派遣することを決定
サユ「1500人だって…すご」
月「馬鹿だなICPOも…こんなことしたら意味がない。送り込むならこっそりいれこっそり捜査するべきだ」
~~~~~~
平沢家
唯「憂~っ!今日のハンバーグすごく美味しいよ!」
憂「ふふっ!ありがとうお姉ちゃん!」にこにこ
~~~~~~
L「……賢いですね息子さん」
総一郎「えっ?…ええ…まぁ」
夜神家
サユ「えっ!お兄ちゃんご飯の後にポテチ!?」
月「受験勉強の夜食さ」
~~~~~~~
平沢家
憂「お姉ちゃーん!お風呂沸いたから先に入っちゃってねー!」がしゃがしゃ(洗い物中)
唯「はーい」
~~~~~~~
松田「この平沢姉妹の妹の方…しっかりしてますねぇ」
L「…………」
ワタリ「竜崎…先ほど新たに報道していた犯罪者が心臓麻痺で亡くなりました」
総一郎「キラだ!」
L「…夜神家では月くんはずっと勉強(ポテチ食いながら)…サユさんと奥さんはドラマを見ていた」
L「…平沢家では姉妹仲良くアイスを食べながらそのニュースを見ていた…」
総一郎「これで家の家族は潔白ですね!」
L「……」
L「今日のキラは随分罪の軽いものを報道されてすぐ殺しましたね…」
~~~~~~
翌日
総一郎「竜崎…もう私の家族の疑いは晴れたのでは?」
L「……あ、息子さんが帰って来ました」
夜神家
月「はぁ…また表紙に騙された…」
~~~~~~~
総一郎「あの真面目な息子があんな本を…」
L「…17歳なら普通です」
~~~~~~~
平沢家
唯「へぇ~!そうやって弾くんだぁ~」
憂「書いてあるよ、ここに」にこにこ
~~~~~~~
松田「ほ、本当に良く出来た妹ですね…」
L「…………」
L「結論から言わせて貰います。両家で怪しい者はいません」
総一郎「ほっ」
L「両家から盗聴器とカメラを外します」
L「……」(キラの精神はすでに神の域に達している…)
L(顔色ひとつ変えずに殺人を行っている…これはそういうことだ)
L(ペンバーが調べていた者の中にキラがいるとすれば夜神家か平沢家のだれか…)
L(このまま調べてもカメラの方を先に見つけられてしまうだろう…)
L(どうすればいい?…私がキラですと言って貰い実際に殺人を見せてもらうのが一番いい…)
L(そんなこと出来るはずが…)
その映像は全て録画されてたはずだよな…
お前ってやつは
梓「はぁ~今日から私たちも2年生だね~」
憂「そうだねぇ~」
純「ねぇ聞いた!?今日このクラスに転校生がやってくるらしいよ!?」
梓「えっ!そうなの!?」
がらら
担任「お~いみんな席につけ~」
担任「転校生を紹介する……よし、入ってきていいぞ~」
「失礼します」
ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ
担任「紹介する。転校生の竜崎L子ちゃんだ」
女装したL「初めまして。竜崎です」
憂「……」(…ん?なんか私の方見てる…?)
L「……」
出会った2人!!
ねぇちょっと…変わってない?あの子…ざわ…ざわ…
担任「おお、ちょうど平沢の後ろの席が空いてるな。そこに座ってくれ」
L「はい」すたすたすた
純「…!」(わっ!この子裸足で上履き履いてるよ!)
憂「……よ、よろしく~…」にこぉ~
L「はい」がららっ
梓「…!」(えっちょっなにあの座り方!?」
ざわ…ざわ…
L「平沢憂さん」ぬっ
憂「わっ!な、なぁに?」
L「警視庁平沢次長の娘さんであり様々な才能に恵まれた完璧超人…」
憂「………はい?」
L「その超人っぷりを信じてもし誰にも漏らさないと誓っていただければ、重大なことをお話したいと思っています」
憂「え?」
L「私はLです」
L「……」ゴゴゴゴゴ
梓「…!」(わっ!早速憂が絡まれてる!)
純「!」(頑張れ!憂!)
憂「…え…える?…もしかして、探偵の?」
L「はい」
憂「探偵のLに憧れてるってこと?」
L「いえそうじゃなくて、私がLなんです」
憂「……そ、そうなんだ、凄いね!これからよろしくね!」(ど、どうしよう…変わってる子なのかな…)
L「……はい。よろしくお願いします」
L(平沢憂…キラである可能性5パーセント未満…しかしあの中では一番何かを感じさせた…)
L(お前は完璧すぎる…そしてもしお前がキラであればこれ以上のプレッシャーはないだろう)
憂「…でも…L子ちゃん。どうして私と急にテニスなんかしたくなったの?」
L「親睦を深めるためです…では6ゲーム1セットを先取した方が勝ちでいいですね?」
憂「うん。わかった」
L「 」すぱぁん!!
憂「!」
L「フィフティーンラブです」
憂「ちょ、ちょっとL子ちゃん、本気出しすぎじゃ…」
L「先手必勝です」
憂「そっか。じゃあ私も」(早く帰って夕飯の準備しなきゃ…)
律「あれ?梓のやつ遅いなぁ」
澪「掃除か?」
紬「風邪かしら?」
唯「あっ!あずにゃんからメールだ…なになに?」
律「なんだってー?」
唯「おおっ!今テニスコートで面白いものが見れるらしいよ!」
澪「テニスコート?」
唯「なんか憂と転校生が試合してて、これが凄いレベルだから見に来てだって!」
紬「行きたいわ!」
律「気になるな…行ってみるか」
ぱーん! ぱこーん! ぱかーん!
きゃー! 憂ぃー! 竜崎さぁ~ん!!
純「行けぇー憂っ!!!そこだっ!」
梓「憂ぃーっ!!!頑張れぇーっ!」
L(安心しろ平沢憂…キラは負けず嫌いだがキラでなくとも試合には勝ちたいと思うのが大多数だ)ぱこん!
憂(竜崎L子ちゃん……どうして私にやたら絡んでくるんだろう…?)ぱこーん!
律「おお?すげぇギャラリーだな」
澪「あ、あの子か転校生か」
紬「わぁー2人ともかっこいいー!」
唯「憂ぃー!!頑張ってー!!」ふりふり
憂「!!」(お姉ちゃん!!よし!!これは負けられないよ!)スパァン!!
び ゅ おっ
L「!」(ほら……勝ちにきた……)
じゃねーよwwww
憂「はぁーっ!はぁーっ!」
さわ子「ゲームカウント、フォーゲームスオール」
梓「さわ子先生いつの間に審判席に!?」
L(今までお互いキラ事件には触れずにきた)ぱこぉん!
憂(ふふっ!お姉ちゃんあんなに一生懸命手を振ってくれてる!)ぱこぉん!
L(いきなり腹を割ってそんな話をするのもおかしい)ぱこおん!
憂(今日の夕飯はお姉ちゃんの好きなものにしてあげよう!)ぱかーん!
L(平沢憂…このテニスをしたことでお前は…)すぱぉん!
憂(ハンバーグは作ったばっかりだし…なにがいいかなぁ?)ぺこぁん!
L(私がまた一歩踏み込む準備をしたと考える)すぴょーん!
憂(オムライス……?…うーんなんかしっくり来ないなぁ)たもぉん!
憂(そういえば最近お肉とか卵とかばっかりな気がするな…あ、もちろん野菜も毎食入れてるけど)やさーん!
L(お前はそこを利用するに違いない)ちーん!
憂(お魚がいいかなぁ…そうだね!よしお魚にしよう!)さかーナ!
L(お前はキラ事件の話をするのなら先にこっちのキラ事件の捜査状況等を見せ…)そーん!
憂(そうと決まれば…何が良いかな? 秋刀魚? マグロ?)まぐぉーん!
L(…自分をまず信用させろと言ってくるだろう)しよーん!
憂(ん~やっぱりここは…シャケだよね!)さーもーん!
L(お前が私に要求してくることは…)よきゅーん!
憂(シャケをホイルで蒸してマヨネーズをかけて…)まよーん!
L(私をLだと証明する有力な第三者との接見…)せけーん!
憂(よし!早く終わらせて食材買いにいかなくちゃ!)ちゃーん!
憂(これで決めるよ!L子ちゃん!)ぱかーん!
L&憂(やっぱり勝つには先手を打つこと!)スパアン!!
うおおおおおおおおお!!!!
憂ぃー!! 竜崎さぁーん!!
さわ子「ゲームセットウォンバイ 平沢 シックスゲームストゥフォー!!」
律「うおー!憂ちゃーん!」
唯「憂ぃー!!!」
L「……さすが憂さん、負けました…」
憂「私も初めてこんなに追い詰められたよ」
L「待って下さい」
憂「なに?」(も~…早く買い物行きたいのに)
L「私は、憂さんを………キラなんじゃないかと疑っているんです」
憂「………え?」
L「…ですから、私は憂さんがキラなのではないかと思ってるんです」
憂「……え…キラって……犯罪者を殺してるっていう……あの…?」
L「はい。大量殺人犯のキラです」
憂「………」
L「………」
憂「……ど…」
L「?」
憂「……どうして……そんな酷いこと言うの…?」うるうるうるうる
L「!?」
澪「そうだな」
紬「あら?憂ちゃんと竜崎さん、なにやら話し合ってるわね」
唯「ん?…」
唯「んん!?」だだっ
律「お、おい唯!」
澪「急にコートの方に走り出してどうしたんだ!?」
~~~~~
唯「憂っ!!!」だだだっ
憂「!?」(お姉ちゃん!?)ゴシゴシ
憂「お姉ちゃんどうしたの?」にこっ
L「……」(平沢憂…今明らかに泣きかけていたのに姉が来た瞬間、涙を消した…)
憂「ふふっ、お姉ちゃんったら…汗が光っただけだよ」にこっ
唯「そっか~」
L「……」(平沢唯……憂の姉……一見とぼけてるように見えるが……)
唯「……竜崎…L子ちゃん…だっけ?」
L「はい」
唯「もしかして憂をいじめてないよね?」
憂「そ、そんなわけないじゃんお姉ちゃん!」
唯「……憂を泣かしたらただじゃおかないよ」
L「大丈夫ですよ」
唯「……」ゴゴゴゴゴ
L「……」ゴゴゴゴゴ
憂「うん!頑張ってね!お姉ちゃん!」にこにこ
L「かっこいいですね…お姉さん」
憂「え?」(可愛いじゃなくて…かっこいい…?)
L「ちょっと近くの喫茶店に行きませんか?」
憂「……」(も、もういいや…今日だけ付き合おう)
憂「うん。いいよ」
~~~~~~~
喫茶店
憂「…でも…L子ちゃんってどうしてそんな座り方なの?」
L「一般的な座り方をすると推理力は40パーセント減です」
憂「……はは、そうなんだ」
憂「推理力??……別に良いけど…」
L「これはキラに殺されたFBI捜査官12人の死亡の順と彼らがファイルを得た順を表にしたものです」すっ
憂「……」(キラ……な、なんで私のこと…どうして……?)うるうるうる
L「そしてこの3枚はキラに操られて死んだ囚人が書いた文章の写真です」
L「まずFBIの資料を見て何か分かりますか?」
憂「……」(うう……もう…いいや…やけだ…とことん付き合ってあげよう)
憂「……えーっと…」
L「……」ゴゴゴゴゴゴ
憂「……ねぇ、L子ちゃん…」
L「はい」
憂「このFBIの得たファイルって何のファイル?それが分からないと推理しようがないと思うんだけど…」
L「……」
憂「……」(うう……本当にFBIの人殺されたの……怖いなぁ)
L「なにか分かりますか?」
憂「…キラは…このファイルを利用して…FBIを……殺した…ってこと…かな?」
L「では写真の方は」
憂「これは…縦読み? えるしっているかしにがみはりんごしかたべない…?…かな?」
L「不正解です」
憂「え?」
L「実は4枚目の写真があります」
憂「……」(そ…そんなの分かんないよぉ…)
L(しかしこれでキラなら更に引っ掛けを気にしてより簡潔な推理しかしなくなる)
L「ではもし憂さんがLだとして…」
憂「!」
L「キラの可能性のある者に相対したら、キラであるかどうやって確かめようとしますか?」
憂「……うーん……」
L「………」ゴゴゴゴ
憂「報道されてないキラしか知りえないことをしゃべらせる……かなぁ…」
L「凄いですね」にやり
憂「そ、そうかな」
L「はい。凄い推理力です。憂さんがキラである可能性が1%から3%に増えました」
憂「……え…」ずーん!
憂「……む」
L「集中力もない、常識もない、家事も出来ない、勉強も出来ない、すっとぼけてる…」
憂「……」ゴゴゴ
L「生まれる順番間違えたんじゃ」
憂「そ、そんなことないよ!」
L「!」
憂「お姉ちゃんのことよく知らないくせに勝手なこと言わないでよ。
お姉ちゃんより包容力のある人なんていないんだから。
お姉ちゃんに抱きつかれるとね、凄く幸せな気分になるんだよ。暖かくて柔らかくて良い匂いがして。
それにお姉ちゃんってすっごく優しいんだよ。小さいころね、私がホワイトクリスマスになりますようにって言ったら
お姉ちゃんがクッションの中身を出してそれを庭にぶちまけてね、朝お姉ちゃんに起こされてなんだろうと思って外出たら
まぁその時お姉ちゃんたくさん怒られちゃったんだけどふふっ!それにお姉ちゃん、私の料理いっつも美味しい美味しいって
食べてくれるんだよ、もうあの時のお姉ちゃんの笑顔、可愛い過ぎてそれだけでお腹いっぱいになっちゃうしあとお姉ちゃんって
みんなから愛されてるんだよ?軽音部はもちろんクラスのみんなもみーんなお姉ちゃんのこと大好きなんだから!まぁもちろん
一番お姉ちゃんのこと好きなのは私だけどね歌までつくっちゃった!好っき好っきだっいっ好っき~おっねえちゃん大好」
L「……」(よく喋るな平沢憂……負けず嫌いの典型だ……7%…もしかして本当に……)
その頃、東大
月「あはは」
高田「うふふ」
うおっ!あれって清楚高田じゃん?
ひゅーひゅー
~~~~~~~~
喫茶店
憂「それからね、お姉ちゃんったら」
L「分かりましたもういいです」
憂「え…」
L「憂さん、キラ事件捜査本部に来てもらえませんか」
憂「ええ?…捜査本部?」
憂「ちょ、ええ?…なんで…ていうか……ええ?」(な、なんでー!?)
prrrrr prrrrrr
憂「!」
L「…失礼」ぱかっ
L「なに?夜神さんが…?」
憂「……?」
L「まさかキラに」
憂「!」
~~~~~~~~~~~
病院
L「大丈夫ですか夜神さん」
総一郎「おお、竜崎……おや?そちらのお嬢さんは?」
憂「…は、初めまして…平沢憂です…」(な、なんでこうなるのー!?誰、夜神さんって…早く夕食作んなきゃいけないのに)
総一郎「彼は竜崎…捜査本部でキラ事件の指揮を執っている人だ」
月「!」
L「初めまして月くん……竜崎です。私がLです」
月「!?」(なに!?)
憂「……あ、あのー…じゃあ私…そろそろ…」
総一郎「竜崎……私の代わりと言ってはなんだが…月を…捜査本部に入れてもらえないか」
月「!」
L「分かりました良いでしょう。では明日からよろしくお願いします月くん。あと憂さん」
憂「え!?」(えぇー!?)
総一郎「その…憂さんとは…どういう人なんだ?」
L「凄い推理力を持っています。きっと我々の力になってくれるはずです」
総一郎「そうか。よろしく頼むよ憂さん」
憂「え……えーと……」(な、なんで!?なんでこうなるのー!?…は、はっきり言わなきゃ!)
月「……」
総一郎「……」
L「……」
憂「……」どきどき
総一郎「……竜崎……こう言ってるが」
L「彼女なりのジョークです」(ここで逃がすわけにはいかない)
月「なんだジョークか」
総一郎「なんだ、はは、面白いな」
総一郎&月&L「HAHAHAHAHAHAHAHAHAHA!」
憂「……うぅ…」(お姉ちゃーん!!!!!)
なんだこのノリwwwwww
憂「はぁ~」
純「どうしたの憂、元気ないじゃん」すっ…ジュース差出
憂「あ、ありがとう、ん……なんかめんどくさいことになって」間接キッス
梓「めんどくさいこと?」すっ…ジュース差出
憂「あ、ありがとう、ん……なんかL子ちゃんがね、」間接キッス
がらら
L「おはようございます憂さん」
憂「お、おはよう……」(来たよ…)
純「お、おはよう……竜崎さん」
梓「お、おはよ…」
L「おはようございます」(平沢憂……やけに女子とばかりつるんでいるな…なぜだ?)
L「第二のキラが現れた可能性があります」
松田「な、なんだって!?」
月「!」
憂「!」
L「憂さんはどう思いますか?」
憂「うーん…今までの資料見た感じだと…キラっぽくない気がする…第二のキラってのは合ってると思う」
月「……」
L「そこで憂さんに……本物の方のキラを演じて貰いたいんです」
憂「え?な、なんで?私なの?」
L「はい憂さんの才能があれば出来るはずです」
L「とにかく時間がない。夜からのニュースに間に合うように原稿を作ってもらえませんか」
憂「……うぅ…」(なんでぇー!?)
L「……」ゴゴゴゴゴ
憂「…うう…わ、わかったよ」
~~~~~~30分後
憂「…L子ちゃんこれでいい?…私なりにキラになりきってみたつもりだけど」すっ
L「……凄くよく出来てますが…【Lは殺していいが】…という部分は取らないと…」
L「私が死にます」
憂「あ、そうだね、ご、ごめんねキラになりきってみたらつい…」
ミサ宅
テレビ「KIRAです」
ミサ「やった!キラが返事くれた!さーってとビデオはーっと」
レム「なにする気だ?」
ミサ「キラに返事出すに決まってるじゃない」
レム「……」
ミサ「問題はなんて応えるかだな~」
~~~~~~~~
2日後
捜査本部
ワタリ「竜崎、第二のキラから返事がきました」
総一郎「なにっ!?」
松田「きたか…!」
月「!」
憂「………」(今日の夕飯なににしよう…)
ビデオ「キラさんお返事ありがとうございます」
ビデオ「私はキラさんの言う通りにします」
総一郎「おおっ!」
松田「やった!憂ちゃんの文章が良かったんだねきっと!」
憂「え?……はは…ありがとうございます」
月「……」
L「……」
ビデオ「私はキラさんに会いたい。」
ビデオ「キラさんは目を持ってないと思いますが私はキラさんを殺したりしません安心してください」
月「…っ!!」
相沢「今…目を持ってないって言ったよな…なんだ?」
松田「…?」
憂「?」
L「…………」(…………………)
ビデオ「会った時はお互いの死神を見せ合えば確認できます」
月「……ッ!?」
総一郎「な…なんだ…?」
憂「…死神…?」
松田「う…憂ちゃん、ここここ怖がることはないよ、ぼぼぼぼ僕がいるから」
相沢「…!」(松田の野郎!抜け駆けは許さんぞ!)
相沢「憂ちゃん!安心して!僕が守るよ!」
憂「…はい?」
模木「…む!?」(させるか!憂ちゃんは俺が守る!)
模木「いやいや憂ちゃん、僕に任せてください」
憂「え?」
が た ぁ ん !!
L「死神……そんな物の存在を認めろとでもいうのか…」
月「そうだよ竜崎、死神が存在するなんてありえない」
L「……」ちらっ
憂「……」
月「……」
L「……」ゴゴゴゴ
~~~~~~~~~
数日後
ワタリ「竜崎…第二のキラから日記が届きました」
L「…む?」
月「…これは…」
憂「…?」
日記「22日 友人と青山で待ち合わせ ノートを見せ合う。30日 東京ドームの巨人戦にて死神を確認する」
松田「……あれ以来……第二のキラからなんの連絡もありませんね」
総一郎「第二のキラと本物のキラが接触した可能性があるな…」
L「……」(送られてきた日記のうち場所が書かれていたのは青山と東京ドーム…)
L「……」(夜神月は青山へ、平沢憂は東京ドームへそれぞれ向かわせた…)
相沢「憂ちゃん、東京ドームはどうだった?」
憂「へ?あ、ああ。人がいっぱいいて…」
模木「…!」(おい相沢てめぇ妻子持ちだろうがなに女子高生に手ぇ出そうとしてんだ!)
模木「憂ちゃん、僕ってプロ野球選手に似てるよね、ガタイが」
憂「は…はぁ…そ、そうですね」
松田「あっ!」(おいおっさん達すっこんでろや!憂ちゃんに釣り合うのは俺なんだよビジュアル的に!)
松田「こ、今度ぼくと一緒に行かない?」
憂「え?…えぇーっと…いや…」
L「…」(東京ドーム…死神…やはりキラは平沢憂で間違いない)
月「……」(馬鹿しかいねーのか…!?ここには!!)
総一郎「おかしいぞ竜崎…あまりにも第二のキラが動かな過ぎる」
憂「……キラと接触して…もしかして殺されたんじゃ…」
L「……」(よく言うな…平沢憂……お前がやったくせに)
松田「大丈夫!第二のキラが殺されても憂ちゃんは僕が守るからね!」
憂「あ、えっと…」
相沢「いや僕が」
憂「えっと…その…」
模木「いやいや俺が」
憂「いや…えっと…」
月「……竜崎。これからどうするんだ?」
L「……ワタリ。いるか?」
ワタリ「はい?……がしゃーん!」
L「!?」
L「……ワタリ?」
ぴーーーーーーー!
月「データ消去? どういうことだ?」
L「………」
憂「……ワタリさん?」
L「ワタリには、自分の身にもしものことが起きた場合全データを消すように言ってあります」
憂「もしものことがって…まさか…死…」
L「…………」
L「みなさん憂さn……っ……」
ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ
総一郎「ん?どうした?竜崎…」
L「……っ………っ……」
ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ
L「 」ぐらぁ~~~~~~り
がたぁん!
憂「L子ちゃん!?」だだっ
総一郎「!!!」
憂がLを抱かかえた!!
L「……っ……っ…」(………平沢……憂………)
ド ド ド ド ド ド ド ド ド
憂「 」にぃ~~~~~~~~~
L「!!!!」
L「…………」(やはり……私は……)
L「……」(間違って……なかった……)
L「……」(…が………ま……)
憂「……」(ふふ…お姉ちゃん…やったよ…)
ド ド ド ド ド ド ド ド ド ド ド ド ド
憂「…」(竜崎……ワタリ……邪魔者は全て消えた…)
ド ド ド ド ド ド ド ド ド ド ド ド ド ド ド ド ド
憂「……」(そして他の者も混乱しながらも私のことを信じきってる…)
憂「……」(この状態なら警察を支配するのも時間の問題……)
憂「……」(これで……やっと……)
憂「……」(私とお姉ちゃんで新世界の神になる!!!)にや~~~~~り
唯「…ん?」
唯は学校の校庭である一冊のノートを拾った!
唯「なんだろ?…で…でつ……でとぅ……です?……ノート?」
唯「な~んか……不思議な力を感じるなぁ…貰っちゃお!」
~~~~~~~
平沢家
唯「憂~、今日ね、変なノート拾ったんだけどね」
憂「なぁに?」
~~~~~~
唯&憂「で…デスノート…!!本物だ…!!」
~~~~~~
美しき少女たちは考えた!!この世にも恐ろしいノートをどうするか!!!
憂「お、お姉ちゃん……これ……」
唯「憂……!」
姉妹は殺人犯となった!!
~~~~~~
リューク「気に入ってるようだな」
唯「う、うわっ!」
憂「わっ!」
~~~~~~
唯「へぇ~。リュークってりんご好きなんだねぇ~」
リューク「ああ。人間界のりんごはなんていうか…ジューシー?」
憂「……」(りんご……使えるかも)
憂はリュークが大のりんご好きというところに目をつけた!
それはもう本当に好きなだけ!
でっ!ある日突然りんごを与えるのをやめた!
~~~~~
リューク「な、なぁ憂……りんごくれよ…」よじれよじれ
憂「……りんご欲しいなら…ちょっと私の言う通りにしてくれる?」
リューク「……わかた」(キラの味方をするわけじゃない……りんごの為だ)
~~~~~~
憂はこうやってリュークを巧みに利用し、監視カメラとかいろいろ突破してきたのだ!
そしてついには!! ワタリとLの命さえも!!
ちなみに、ミサが目とか死神とか言った時、月がびっくりしていたのはLがびっくりしたのと同じ理由である!
目?死神?なんのこっちゃ!
そしてミサがここ最近動かなかったのは、青山でキラと接触することが出来なかったからである!
ミサの頭では次の手が思い浮かばず今頃うーうーうなっているのかも知れない!
そしてもしかしたら近いうちにアプローチをかけてくるかも知れない…それは分からない!
平沢家
唯「さぁ、憂、お掃除はじめるよ!」ふんす
憂「うん!」
リューク「あーりんごうめー」
完!
乙
乙
: : : / /: : : : : /: : : : : : : : : : : : : : : : \
7 : { / : : : : /: : : : : : : : : : : ノ: :/: : : : : : ヽ
: : : Y :{: : : : : :/: : : : : : : :/| : /;;;;;;i: : : : : : \
: : ハ{: :ハ : :/ :/ : : : : : /⌒ l /;;;;;;|:ト、 : : : ヽ:ト\
: ||V: : V: :/ : : : :/ 、;;;;;〃;;;;;;;;∥`'; :ヽ : ':!
ヘ U : : :/ィ" : : /、アΤ}ヽ/;;;;;;;;;;;;;|;;;;;;;: : l : :|
ヽ ハ/ { : /{ ん ィ/;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;ィぅ、 | : |: : |
{ ∨ ゞ‐'′;;;;;;;;;;;;;;んハ} 〉 l : ハ: :|
ヽ._ "" ゞ '′ / :/ V
人 ' "" イ/
, -_jヽ. {⌒ン /
__.ノ: . ヾ \ `´ ,. ′
ィ<: . . : . . : ヽ ` ーr< // `丶、
´- 、 ヽ\. : . . : ヽ /| : . \// `丶、
\\\: . . : ヽ-ー┤. : .}// `丶、
\\\: . . ヽ二l . : // DEATH ./
\\\. : .', l_:_// NOTE /
i \\\ / -、`Y /
\ l } \ヽ/´-‐ 、 }J /)、
l / / ⌒ヽ )′ (´.ィ′
Entry ⇒ 2012.01.24 | Category ⇒ けいおん!SS | Comments (0) | Trackbacks (0)
キミ子「隣の席だからっていい気にならないで」
http://hayabusa.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1327051610/
キミ子「たまたま席が隣ってだけで有利だと思ったら大間違いだよ」
姫子「えっと、何の話?」
キミ子「とぼけたって駄目」
姫子「怒ってる?」
キミ子「怒ってない」
キミ子「宣戦布告だよ」
自分へのコンプレックスが強く、色が白くて足が細い人の隣にはなるべく行かないようにしている。
立花姫子
ソフトボール部所属。今時の女子高生らしい挙動だが、礼儀正しく人情に厚い。
コンビニでアルバイトをしている。隣の席の唯がなついている。
キミ子「いつまでとぼけるの」
姫子「だって覚えが無いから」
キミ子「いい加減にして」
姫子「席が隣って何の・・・」
姫子「あ、唯の事?」
キミ子「・・・そう」
姫子「え?唯がどうしたの?」
姫子「え?そりゃ良い子だと思ってるけど」
キミ子「そういう事じゃないでしょ、もっとこう」
姫子「可愛いよね、小動物みたいで」
キミ子「好きなの?好きじゃないの?」
姫子「好きだよ」
キミ子「!」
姫子「いや友達としてね」
姫子「いやいや同姓でしょ」
キミ子「女の子として好きなんでしょ」
姫子「友達として好きなの」
キミ子「もっと言えば性欲を掻き立てられるんでしょ」
姫子「ちょっ、何言ってるのよ!」
キミ子「席が隣だからどうしたって言うの、私は出席番号が隣なんだから」
姫子「もう何が何だか分からないんだけど」
キミ子「とにかく」
姫子「ちょっと落ちついて話そうよ」
キミ子「これが落ちついていられると思う?」
姫子「いいから落ちついて」
キミ子「今日はそれだけ言いに来たの」
キミ子「それじゃ」スタスタ
姫子「行っちゃった・・・」
姫子「わざわざバイト先のコンビニに来てまで何だったんだろう」
姫子「しかも深夜に・・・」
姫子「あ、おはようキミ子」
キミ子「・・・」
姫子「昨日のあれは何だったの?ちゃんと説明してよ」
キミ子「よくライバルに気軽に話しかけられるね」
姫子「ライバルって」
キミ子「余裕ぶっちゃって」
姫子「はあ」
姫子(らちがあかない)
姫子「あ、今日お昼一緒に食べようか」
キミ子「!?」
姫子「それでちゃんと話そうよ」
キミ子「わかった、覚悟してね」
姫子(何を覚悟すればいいの?)
姫子「おはよう、唯」
姫子(あ、キミ子がこっち見てる)
キミ子(絶対許さない)
キミ子(たまたま席が隣ってだけで調子に乗っちゃって)
姫子(なんか睨まれてるよ・・・)
よしみ「姫子、お昼ご飯食べよ」
姫子「ごめんよしみ、ちょっと約束があって」
よしみ「あ、そうなんだ」
姫子「ごめんね!」
よしみ「ううん、気にしないで」
姫子(さてと)
キミ子「ごめんちょっと用事が」
響子「そっか」
キミ子「ごめんね」
響子「ううん、行ってらっしゃい」
キミ子「うん」
キミ子「そうだね」
姫子「それで昨日のは何だったの?」
キミ子「まだとぼけるんだ」
姫子「とぼけるとかじゃなくて、色々理解できないの」
キミ子「何が理解できないの、よ」
キミ子「遊んでそうな顔してるくせに」
姫子「な!何それ!」
キミ子「黙って男と付き合ってればいいのに」
姫子「なななな」
キミ子「何、やる気?」
姫子「やる気って」
姫子「キミ子ってそんなキャラだったんだ」
キミ子「恋は人を変えるんだよ」
姫子「恋」
キミ子「そう、恋」
キミ子「そうだよ」
姫子「女の子同士なのに?」
キミ子「私だってこんな事初めてだからよく分かんない」
姫子「ふうん」
キミ子「姫子も唯に恋してるんでしょ?」
姫子「ええ!?」
キミ子「はいおとぼけ入りました」
姫子「そこでなんで私なの?」
キミ子「見てれば分かるよ」
姫子「してないよ!」
キミ子「はいはい、そうだね」
姫子(何を言っても信じてもらえない)
キミ子「男だけじゃなく女にも手を出すなんて」
姫子「まず私彼氏とかいないよ?」
キミ子「は?そんな格好して?」
姫子「そんな格好って」
キミ子「どう見たっているでしょ彼氏」
キミ子「頭の悪そうな彼氏が」
姫子「い!な!い!」
姫子「いないって!」
キミ子「じゃあ百歩譲って今はいないとしても」
姫子「譲らなくてもいないからね」
キミ子「いたことはあるでしょ」
姫子「それもないよ」
キミ子「はい絶対嘘」
キミ子「嘘つき」
姫子「嘘じゃないってば!」
姫子「ほんとだって!」
キミ子「そんな遊んでそうな格好して、誘ってるんでしょ」
姫子「なんでそんな事言うの」
キミ子「男が良いならわざわざ唯に手出さないでよ」
姫子「酷いよ・・・」
キミ子「・・・」
姫子「・・・」
キミ子「・・・ごめん」
キミ子「・・・」
キミ子「じゃあ何?処女なの?」
姫子「なっ」
姫子「・・・そうだけど」
キミ子「そうなんだ」プッ
姫子「何よ」
キミ子「ちょっと見直した」
姫子「あんまり嬉しくないなあ」
キミ子「私は純真な乙女だけど」
姫子「へえ」
キミ子「当然でしょ」
姫子「キミ子可愛いのにね」
キミ子「えっ」
キミ子「・・・嫌味?」
姫子「?」
キミ子「姫子の方がどう見ても可愛い」
姫子「えっ」
姫子「違うよ、ほんとに可愛いと思ってる」
キミ子「嘘だ嘘だ」
姫子「ほんとだって、ほんとに可愛いよ」
キミ子「自分の方が可愛いと思ってるくせに」
姫子「そんなことない」
姫子「私だって自分の容姿に自信なんかないよ」
キミ子「嘘つき」
姫子「ほんと」
姫子「・・・そうだね」
キミ子「唯だよ唯」
姫子「私はほんとに友達としてしか見てないよ」
キミ子「信じられない」
姫子「失礼だけど私だって信じられない」
キミ子「・・・」
姫子「女の子を好きになるなんて」
キミ子「私だって最初は自分の気持ちが信じられなかったよ」
姫子「響子の事とかはどう思ってるの?仲いいよね」
キミ子「響子は友達だよ」
姫子「恋愛感情は無いの?」
キミ子「無い」
姫子「それと同じだよ」
キミ子「・・・」
姫子「私も唯の事は友達として好きってだけ」
キミ子「・・・」
姫子「ほんとにほんとだから」
姫子「そもそも疑われた事自体が不思議だよ」
キミ子「だっていつも唯にデレデレしてるから」
姫子「してないよ」
キミ子「してる」
姫子「友達として仲良くしてるだけ」
キミ子「・・・まあいいよ、それで」
姫子「うん」
キミ子「じゃあもし仮に、私と唯が付き合うのに協力してって言ったらどうする?」
姫子「え?」
キミ子「やっぱり自分も狙ってるから出来ない?」
姫子「あ、ああ出来るよ!」
キミ子「それで私と唯が付き合ってもいいの?後悔しない?」
姫子「しないよ」
姫子「女の子同士は不思議な感じだけど、応援するよ」
キミ子「・・・」
姫子「そんなことしないってば」
キミ子「漫画とかでよくある展開でしょ」
姫子(漫画って)
キミ子「そういう展開が一番傷つくんだよね」
姫子「ほんとにしないってば」
キミ子「ううーん」
キミ子「・・・わかった」
キミ子「・・・そうだね」
姫子「安心して、ちゃんと協力するから」
キミ子「・・・」
姫子「ほんとに協力するって、頑張って!」
キミ子「・・・ありがと」
姫子「うん」
キミ子「・・・色々言ってごめん」
姫子「・・・うん、いいよ」
キミ子「ありがと」
姫子「二回目」
キミ子「・・・ふん」
姫子「ふふ」
キミ子「うん」
姫子「頑張ろうね」
キミ子「言われなくても頑張る」
姫子「あ、ちょっと元気になった」
キミ子「うるさいなあ」
姫子「とりあえずアドレス交換しようよ」
キミ子「ん」
姫子「赤外線送信!」ピピピ
キミ子「来た」
姫子「よろしくね」
キミ子「こちらこそ」
キミ子「姫子から電話だ」
キミ子「はい」ピ
姫子『やっほー』
キミ子「・・・」
姫子『・・・んん!』
姫子『とりあえず唯を落とす作戦だけど』
キミ子「うん」
姫子『明日休みだし直接作戦立てよっか』
キミ子「会うの?」
姫子『うん』
キミ子「唯じゃなくて姫子とか・・・」
姫子『何?せっかくキミ子のために』
キミ子「わかった、じゃあ明日ね」
姫子『なんだかなあ』
姫子「おはよ」
キミ子「うん」
姫子「さて、それじゃご飯でも行こうか」
キミ子「何が悲しくて姫子と出かけなきゃならないんだろう」
姫子「何か言った?」
キミ子「何も」
姫子「何食べる?」
キミ子「なんでもいいよ」
姫子「なんでもいいってのが一番困るんだよね」
キミ子「MAXバーガーだ」
姫子「あんまりおしゃれな店分かんないからさ」
キミ子「私もそういうとこはよく分かんないから良かった」
姫子「じゃあ入ろう」
キミ子「ん」
紬「あら?」
姫子「あ、ムギ」
キミ子「ここでバイトしてたんだ」
紬「そうよ~」
紬「二人は何?デート?」キラキラ
姫子「違う違う」
キミ子「なんで姫子と」
姫子「いちいち噛みついてくるねえ」
キミ子「・・・ふふ」
紬(わ~なんか素敵!)
姫子「じゃあ私はチーズバーガーと・・・」
キミ子「どうアプローチすればいいんだろう」
姫子「やっぱりデートとかじゃない?」
キミ子「うーん」
キミ子「私唯とあんまり話したことないんだよね」
姫子「確かに」
キミ子「どう話しかければいいんだろう」
姫子「唯って誰に対しても懐きやすいって言うか」
姫子「なんて話しかけても優しく接してくれるよ」
キミ子「うん」
キミ子「・・・そんなところが好き」
姫子「はいはい」
キミ子「分かってる」
姫子「女の子同士って色んな障害がありそうだし」
キミ子「分かってる」
姫子「まず唯には女の子同士の恋愛を理解してもらわないと」
キミ子「ふんふん」
キミ子「まあ確かに」
姫子「けいおん部とか和と特に仲良いみたいだけど」
姫子「それはあくまで友達として好きって事だよね」
キミ子「うん」
姫子「いくら仲良くなってもそれじゃ意味無い」
姫子「だからファーストコンタクトが大事だよ」
キミ子「つまりどういうこと?」
姫子「その一手で友達として仲良くなっていくか」
姫子「友達としてじゃない、いつもとちょっと違うって思わせるか」
キミ子「?」
姫子「いつもと違えば、友達として以外に何か感情が芽生えるかも知れないでしょ」
姫子「その感情を恋に向かわせるんだよ」
キミ子「なるほど」
姫子「何かしないと女の子の事を恋愛対象としてなんて見ないからね」
姫子「それはちょっと分かんないけど」
キミ子「なにそれ」
姫子「とにかくインパクトだよ」
キミ子「インパクト・・・」
姫子「けいおん部のみんなとか和とは違う事をしてみたらいいんだよ」
キミ子「ふうん」
姫子「頑張ってね」
キミ子「やってみる」
キミ子「うん」
姫子「私は無理だな、苦くて」
キミ子「見かけによらずお子様だね」
姫子「そうだよー」
キミ子「純潔守ってるしね」
姫子「そ、それはもう忘れてよ!」
キミ子「ふふ、絶対忘れない」
姫子「キミ子もそうなのに・・・」
キミ子「私は誇りに思ってるもん」
キミ子「うん、またね」
姫子(なんだかんだで楽しかったな)
キミ子(インパクト、インパクト)
キミ子「インパクトかあ」
キミ子「どうすればいいのかな」
キミ子「姫子ももうちょっと考えてよ」
キミ子「まったく」
姫子「いい作戦思いついた?」
キミ子「全然」
姫子「うーん」
キミ子「・・・」
姫子「じゃあいきなり抱きついてみようか」
キミ子「えっ」
姫子「インパクト!」
キミ子「変態だよただの」
姫子「いいからいいから」
唯「なあに?」
姫子「ちょっとこっち来て」
唯「うん!」
キミ子(どうするんだろう)
姫子(キミ子も来て!)
キミ子(来て、って言ってるのかな?)トコトコ
唯(なんだろう)
姫子「キミ子が話あるんだってさ」
唯「え?キミ子ちゃんが?」
キミ子「う、うん」
唯「なになに~?」
キミ子(うわ、近い)カアアア
姫子(顔赤っ)
唯「うん!」
姫子(抱きついちゃえ!)
キミ子「ゆ、唯!」ガバッ
唯「わっ」
キミ子(どうしよ、抱きついちゃった)
姫子(よし!これで唯も・・・)
唯「抱きつかれちゃったよ~」ギュウ
キミ子(唯も抱きついてきた!)
姫子(ぐっ、さすが唯!)
唯「えへへ~」ギュウ
姫子(えっと、どうしよ)
唯「キミ子ちゃんいい匂いだね~」ギュウ
キミ子(うう)カアアア
姫子(唯手ごわ過ぎ!)
キミ子「えっと、唯?」
唯「ん?」
唯「うん、多分」
姫子(お、いった)
キミ子「どっか遊びに行かない?」
唯「いいよ!」
姫子(おお!)
唯「姫子ちゃんも?」
姫子「ああ、私は用事があるから無理なの」
キミ子(ナイス姫子!)
唯「そっかあ」
キミ子「ふふふ、二人で行かない?」
唯「いいよ!」
姫子(よしっ)
キミ子(やった!)
唯「初めてだね、一緒に出かけるの」
キミ子「うん・・・嫌だった?」
唯「全然!なんか嬉しいな!」
キミ子「よかった・・・」
姫子(良かった良かった)
唯「じゃあ連絡先交換しよ~」
キミ子「う、うん」
キミ子「うん」
唯「じゃあ私は戻るね~」
キミ子「・・・」
姫子「やったじゃん」
キミ子「・・・うん」
姫子「どうしたの?」
キミ子「インパクト足りなかったよね?」
姫子「・・・」
キミ子「このままだと友達として・・・」
姫子「ここからが本番だって」
キミ子「そうだといいけど」
唯「姫子ちゃんとキミ子ちゃんのとこだよ」
澪「なんか珍しい組み合わせだな」
紬(まあ、やっぱり姫子ちゃんとキミ子ちゃんって・・・)ドキドキ
唯「いいでしょ!」
律「いや何がいいんだ」
澪「でもちょっと楽しそう」
唯「えへへ」
キミ子「唯になんて連絡しよう」
キミ子「とりあえず姫子に電話しよっかな」ピピピ
姫子『はい』
キミ子「唯になんて言えばいいのかな?」
姫子『普通でいいと思うけど』
キミ子「普通じゃ友達になっちゃうよ」
姫子『そっか』
キミ子「唯はデートだって思ってくれてるのかな」
姫子『大丈夫だって、そのうち恋が芽生えるよ』
キミ子「・・・めんどくさくて早く電話終わらせようとしてるでしょ」
姫子『・・・そんな事ないよ』
キミ子「ほんと?」
姫子『ただ、今深夜2:00なんだって事は分かってほしいな』
キミ子「うん」
姫子『今唯に電話とかしちゃダメだからね』
キミ子「当然でしょ」
姫子『・・・』
姫子「どうなったの?」
キミ子「とりあえず日曜日に一緒に買い物に行くことになったよ」
姫子「良かったね」
キミ子「うん、それで練習したいから一緒に来て」
姫子「練習?」
キミ子「ぶっつけ本番は怖いから」
キミ子「姫子で練習させてよ」
姫子「ええ~」
キミ子「協力してくれるんでしょ?」
姫子「そうだけど」
キミ子「じゃあ決まりだね」
姫子「強引だね」
キミ子「まあね」
キミ子「そんなことしたら嫌われちゃうかも」
姫子「私には嫌われてもいいの?」
キミ子「え」
キミ子「・・・」
姫子「冗談だよ」
キミ子「・・・うん」
姫子「ごめんごめん」
キミ子「・・・」
姫子「嫌いになんかならないってば、ね?」
キミ子「・・・うん」
姫子「ほら練習するんでしょ?」
キミ子「する」
姫子「じゃあほら、元気出して」
キミ子「今日これから行く」
姫子「今日?」
キミ子「行くよ」
姫子「あ、ちょっと」
キミ子「今から予定してるデートコース回るから」
姫子「うん」
キミ子「ちゃんと着いてきてね」
姫子「はいはい」
キミ子「いろいろ意見聞くからね」
姫子「うん」
キミ子「じゃあまずは服屋さんから」
キミ子「駄目、次は雑貨屋さん」
姫子「も~こんなに連れまわされたら疲れちゃうよ」
姫子「唯もきっと疲れると思うよ?」
キミ子「・・・そうかな?」
姫子「そうだよ、もっと相手の事も考えなきゃ」
キミ子「相手の事」
姫子「唯の事楽しませようとしてるのは分かるけどさ」
姫子「空回りしちゃうこともあるよ」
キミ子「・・・」
姫子「だったらちゃんと唯の事見て、唯の事考えないと」
キミ子「・・・」
姫子「キミ子は唯を通して自分を見てるんじゃないかな」
キミ子「どういうこと?」
姫子「きっと初めての女の子への恋で、自分の事ばっかり考えちゃってるんだよ」
キミ子「自分の事・・・」
姫子「自分がしてあげたい事を押しつけるんじゃなくて、相手が望む事をしてあげなきゃ」
キミ子「難しいよ」
姫子「私もよく分かんないや、これも何かの受け売りだし」
姫子「誰かと付き合ったこともないし」
姫子「恋ってそんなもんだよ、きっと」
キミ子「姫子のくせに」
姫子「何さ」
キミ子「・・・一応参考になった」
姫子「そ、お役に立てて嬉しい」
キミ子「まあ今日はそのための練習だしね」
キミ子「予定してたとこ全部回るから」
姫子「ええ~・・・」
キミ子「ほら行くよ」
姫子「はいはい」
キミ子「どうかなこの服」
姫子「うん、可愛いよ」
キミ子「ドキドキしてきた」
姫子「大丈夫だって、三回も練習しに行ったでしょ」
キミ子「うん」
姫子「ほんと感謝してほしい」
キミ子「してる」
姫子「えっ、あ、そう」
キミ子「じゃあ行ってくるね」
姫子「頑張ってね」
キミ子「うん」
姫子「・・・」
姫子「頑張って、キミ子」
キミ子「おはよう、唯」
唯「今日はどこ行くの?」
キミ子「えっとえっと、とりあえず可愛い服置いてる店があるから」
唯「ほんと?それじゃ行こう!」
キミ子「うん」
キミ子(緊張するよ~)
キミ子(どうしよ姫子・・・)
キミ子(っていないんだった)
唯「この服可愛いね!」
キミ子「似合うよ唯」
唯「キミ子ちゃんはこれとか似合うよ」
キミ子「ちょっと子供っぽくないかな」
唯「全然!着てみてよ」
キミ子「え~恥ずかしいよ~」
唯「いいからいいから」
唯「これどうかな?」
キミ子「可愛いよ」
唯「こっちは?」
キミ子「唯に似合う」
唯「これとか!」
キミ子「うんうん」
キミ子(唯に合わせ過ぎかな?どうなんだろう)
キミ子(ああ分かんないよ~)
唯「このお店ムギちゃんのお家が経営してるんだって」
キミ子「えっ!?そうなの?」
唯「すごいよね~」
キミ子「す、すごいね」
キミ子(やっぱりムギってお嬢様なんだ)
唯「ここでギー太買ったんだよ~」
キミ子「そうだったんだ」
唯「色々お世話になってるんだ」
キミ子「へえ」
唯「いちごパフェおいしい~」
キミ子「おいしそうだね」
キミ子(唯可愛いなあ)
唯「キミ子ちゃんも食べる?」
キミ子「え?」
唯「はい、あ~ん」
キミ子「ええ!?」
キミ子(間接キス・・・!いいの!?)
キミ子「あ、あ~ん」
唯「はい」
キミ子「・・・」モグモグ
唯「おいしい?」
キミ子「うん」ドキドキ
キミ子(幸せ・・・)
キミ子「うん」
唯「今日はいっぱい遊んだね!」
キミ子「そうだね」
唯「初めてキミ子ちゃんと遊んだけど、すごく面白かったよ!」
キミ子「そうかな?」
唯「うん、今日はありがとうね誘ってくれて」
キミ子「そんなこと、こっちこそ来てくれてありがとう」
唯「いやいやこちらこそ」
キミ子「え?」
キミ子(どうしよう、このまま帰っていいの?)
唯「どうしたの?まだ行くとこあるの?」
キミ子「えっと」
キミ子(どうしようどうしよう)
キミ子(実際今日のデートで唯には完全に友達だと思われた)
キミ子(それじゃいつまで経っても友達のまま)
キミ子(何か手を打たないと)
唯「キミ子ちゃん?」
キミ子「あ、えっと!」
キミ子「唯は彼氏とかいるの?」
キミ子(そうじゃなくて!)
唯「彼氏?」
キミ子「そ、そっか」
キミ子(まあ彼氏がいたらそこで終わりだからね、これはこれで)
キミ子「じゃあ彼氏とかほしいと思う?」
唯「え~どうしたのいきなり」
キミ子「え?いやどうなのかな~って思って」
唯「う~ん」
キミ子「今は?」
唯「うん、今は」
キミ子「なんで?」
唯「えっとね」
唯「クラスの皆とかキミ子ちゃんとか」
唯「女の子同士の方が楽しいからかな!」
キミ子「女の子同士」
唯「うん、だから今は彼氏とかはいらないや」
キミ子「そっか・・・」
キミ子「じゃあ女の子と恋愛しないの?」
唯「ええ!?」
キミ子(あ・・・)
唯「普通に結婚して、お母さんになって」
唯「だから恋愛って男の人とするものでしょ?」
キミ子「・・・」
唯「どうして女の子と恋愛するの?」
キミ子「・・・」
唯「びっくりしたよ、も~キミ子ちゃんてば」
キミ子「・・・」
キミ子(やっぱり駄目だったか・・・)
―――頑張ってね
キミ子(いや、もうちょっと頑張ってみようかな)
キミ子「でもそういうのもあると思うよ?女の子同士で結婚する国もあるし」
唯「私はそうは思わないな~」
唯「やっぱり普通に恋愛すると思うけど」
キミ子(どうすればいいのよ)
キミ子(助けて姫子)
キミ子「唯」
唯「ん?」
キミ子「・・・」
キミ子「私は唯が好きなの」
唯「私も好きだよ~」
キミ子「そうじゃなくて!」
唯「え?好きじゃないの?」
キミ子「そうでもなくて!」
唯「・・・ええ!?」
キミ子「だから私と付き合って!」
唯「そ、そんな事言われても・・・」
キミ子「やっぱりおかしい?こんなの」
唯「えっと」
キミ子「気持ち悪い?」
唯「あのね、気持ち悪いとかおかしいとかじゃないんだけど」
唯「私はそういう風には思えないっていうか」
唯「女の子同士の恋愛は私には出来ないって言うか・・・」
キミ子「・・・」
唯「私にはちょっと無理かも・・・」
キミ子(駄目だった)
キミ子(やっぱり駄目だったよ)
キミ子(私の恋もここまでか・・・)
キミ子(・・・)
キミ子(あ、私今)
キミ子(自分の事ばっかり考えてる)
キミ子(私は今、自分の思いを一方的に伝えた)
キミ子(そして振られて勝手に落ち込んでる)
キミ子(じゃあ唯は?唯はどう?)
キミ子(女の子同士の恋愛を理解できないのにいきなり告白されて)
キミ子(断るのだってきっと勇気がいるし、嫌な気持ちにもなる)
キミ子(せっかく仲良くなれたクラスメイトとこんな事になって)
キミ子(唯だってきっとつらいよね)
キミ子(ううん、今日覚悟してきた私より、いきなりこんな事になった唯の方がずっとつらいよ)
キミ子「・・・なんちゃって」
唯「え?」
キミ子「どっきりでした!」
唯「え?どっきり?」
キミ子「そ!唯っていつもふわふわしてるからさ、ちょっとからかってやろうと思って」
唯「え、え?」
キミ子「こうでもしないと唯の真剣な顔見れないと思ってさ!ごめんね!」
唯「な、なんだそうだったんだ」
キミ子「うん!迫真の演技だったでしょ!」
唯「ほんとだよ~びっくりした~」
唯「もう、どうしようかと思ったよ」
キミ子「じゃあ今日は解散にしよっか!」
唯「そうだね、キミ子ちゃんって意外とお茶目だって分かって良かったよ」
キミ子「そっか」
唯「それじゃあまたね~」
キミ子「うん、ばいばーい」
キミ子「・・・」
キミ子「・・・」ボロボロ
キミ子「・・・帰ろっかな」ボロボロ
キミ子「・・・」ボロボロ
キミ子「唯に・・・」
キミ子「唯に嫌な思いさせないで済んで良かった・・・」
キミ子「・・・」
姫子「や」
キミ子「姫子・・・」
姫子「うん」
キミ子「なんでここにいるの」
姫子「ちょうど帰りかなって思ってね」
キミ子「・・・」
姫子「駄目だった・・・みたいだね」
キミ子「・・・」
姫子「話してよ、楽になるよ?」
キミ子「・・・」
姫子「そっか」
キミ子「なに?何なの?」
姫子「キミ子」
キミ子「何」
姫子「よく頑張ったよ」ギュ
キミ子「な、なに」
姫子「・・・」ギュウ
キミ子「・・・」
キミ子「ちょっとやめてよ」
姫子「やめていいの?」ギュウ
キミ子「・・・」
キミ子「・・・」ギュ
キミ子(ちょっと抱きしめられたからって何どきどきしてんだろ)
キミ子(姫子だよ?)
キミ子(姫子なのに・・・)
姫子「キミ子・・・」ギュウ
キミ子「う・・・うええん・・・」ギュウウ
姫子「よしよし」ギュウウ
キミ子「うえええええん・・・」ギュウウウ
姫子「キミ子はこんなに良い子なんだから大丈夫」
姫子「きっと素敵な恋愛が出来るよ」
キミ子「・・・馬鹿」
姫子「元気出た?」
キミ子「ちょっとだけ」
姫子「そっか」
キミ子(唯に振られて、ちょっと優しくされたからって)
キミ子(なんで姫子の事ちょっと好きになってるんだろ)
姫子「そのうちまた好きな人が出来るって」
キミ子「・・・」
キミ子(姫子・・・)
キミ子(誤解なのにあんな喧嘩腰の私の話を聞いてくれて)
キミ子(いつも私に付き合ってくれて)
キミ子(今だって私の事待ってた)
キミ子(失恋した愚痴聞いて、慰めてくれて)
キミ子(抱きしめられて・・・)
キミ子(ちょっとどころじゃない、もう姫子の事こんなに好きになってる)
キミ子(とんだ尻軽女だよ)
姫子「ん?」
キミ子「恋愛は最初のインパクトが大事なんだよね」
姫子「あ、そうだね」
キミ子「抱きしめるくらいじゃ弱かったわけだけど」
姫子「うーん、どのくらいの事すれば」
姫子「ん!?」チュ
キミ子「・・・」チュ
姫子「!?」
キミ子「・・・このくらいでどうかな」
キミ子「今度は」
キミ子「今度こそ、成功させてみせるから」
キミ子「この恋は絶対諦めないよ!」タタタ
姫子「・・・」ドキドキ
姫子「なんなのよ・・・」ドキドキ
・・・・・・・・・
キミ子「おはよう姫子」
姫子「あ、おはよ」
キミ子「どうしたの?目逸らして」
姫子「だ、だって」
姫子「本気なの・・・?」
キミ子「本気だよ、今度こそ落としてみせるから」
姫子「馬鹿じゃないの・・・」ドキドキ
キミ子(相談役に恋する事ってあるんだね、やっぱり)
キミ子「ほら行くよ」
姫子「あ、待ってよ」
キミ子「唯、おはよう」
唯「昨日は楽しかったね!」
キミ子「うん!」
唯「あ、姫子ちゃんもおはよう!」
姫子「おはよ」
唯「ん?」
キミ子「隣の席だからっていい気にならないでよ」
唯「え?」
姫子「え?」
キミ子「姫子は私のものなんだから!」
せめて姫子とかがスレタイに入ってればけいおんSSだって分かるのに
これがけいおんSSだと分かる奴がどれだけいるのだろうか
Entry ⇒ 2012.01.22 | Category ⇒ けいおん!SS | Comments (0) | Trackbacks (0)
和「あら、貴女確か……」 梓「あ、唯先輩の友達の……」
http://engawa.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1324887844/
梓「あ……は、はい、そうです」
和「貴女も今帰り?」
梓「はい……えーと」
和「真鍋和よ、中野さん」
梓「す、すいません真鍋先輩。何度も部室来てるのに名前覚えてなくて……」
和「まあ、お互いちゃんと自己紹介したこともなかったしね。気にしなくていいわよ」
梓「は、はい」
和「こうやって二人でいるのは初めてね」
梓「そうですね」
和(……下駄箱で会ったから一緒に帰ろうって誘ってはみたものの、)
梓(……な、なにを話せばいいんだろう)
梓「そ、そういえば真鍋先輩」
和「?」
梓「唯先輩とは、いつからお友達なんですか?」
和「うーん……そうねぇ、元々家が近かったし、幼稚園の頃から一緒にいたっけ」
梓「へぇ……」
和「そうね。羨ましい?」
梓「……へっ、えっ?」
和「?」
梓「い、いえ別にそこまでは……」
和「あら、そうなの?……いつも唯にくっついているからそうかなって」
梓「あ、あれは唯先輩がくっついてきてるだけで……」
和「あら」
梓(こ、このひと、大人っぽく見えてしっかりしてそうだけど……もしかして、天然?)
梓「はい?」
和「梓、って呼んでもいい?」
梓「へっ?」
和「考えてみたら、確かに話したことはないけどお互い知らない仲ってわけでもないんだし……。これを機に、ってことで」
梓「べ、べつに構いませんが……」
梓(いきなりだなぁ……)
和「ふふ、そう。……じゃあ、梓」
梓「はいっ!」どきん
梓(なんか緊張する……)どきどき
梓「あ、は、はい……和先輩……」
和「うん。改めてよろしくね」
梓「はい、よろしくです」
和「じゃ、私帰り道こっちだから」
梓「あ、はい」
和「じゃあね、梓」
梓「さよならです、和先輩」
和「そうだ」
唯「?」
和「昨日、梓と帰ったのよ」
唯「~~~~~っ?!」がたっ
和「 ……どうしたのよ」
唯「……の、のどかちゃんが」
和「?」
唯「……和ちゃんがあずにゃんのこと“梓”って言ったぁぁぁー!!」
和「え……い、いや確かに言ったけど」
唯「和ちゃん!!あずにゃんになにしたの!!わたしのあずにゃんに!!」ふんすふんす
和「な、なにもしてないわよ……」
唯「ぐすっ、和ちゃんにあずにゃんとられたぁ~……」ぐす
和「とってません」
和(飽きたのね)
和「うん、そう。そこで気づいたんどけど……私、あのこと二人でじっくり話すのは初めてだったのよね」
唯「およ、そうなんだ?」
和「私が部室行ったときとか、ライブのときの舞台袖とか……顔合わせるだけなら何度も会ってるのに、なんだか不思議な気分だったわ」
唯「へへぇ~いいこだよ~あずにゃんは~」
和「ふふ、でしょうね」
澪「へぇ、昨日は和と一緒だったんだ」
梓「はい、そうなんです」
律「へー、なんか珍しい組み合わせだな、その二人」
紬「どうだった、梓ちゃん?」
梓「どう、って……いいひとでしたよ、真鍋せんぱ……和先輩」
律「おっ?なんだーしっかり仲良しになってんじゃん」
梓「和先輩がそう呼べって言ったんですよ」
澪「しっかり者同士で、梓とは気が合うかもな」
紬「そうねぇ」
唯「やっほー」
律「お、来たな」
唯「今日はお客さんもいるよ~」
澪「?」
和「どうも」
梓「あ、和先輩」
律「およ、和じゃん。どしたー?」
紬「りっちゃん、またなにか提出し忘れてる?」
律「んー?なんかあったよーな……べつになかったよーな……」
和「ああ、違うのよ。べつにそういうので来たんじゃなくて」
梓「?」
律「おー、了解」
澪「それくらいなら唯に伝言頼めばよかったんじゃないか?」
和「……覚えてると思う?」
唯「ほぇ」ぽけ
澪「まあ、それは……」
和「とりあえずそれを伝えにきただけだから。じゃあ生徒会に戻るわね」
梓「あ……!」
和「?」くる
梓「あ……え、えーと……」
和「どうかしたの、梓?」
梓「……お、お茶!していきませんか?」
和「……え」
律「そだなー。ちょっとくらいゆっくりしてけよ」
澪「まあな。たまにはいいんじゃないか」
唯「ムギちゃんのお茶はねぇ、おいしんぼなんだよ~」
ムギ「お茶はいったわよ~」
和「……そう。それじゃ、少しだけ」
梓「……」にこ
和「うん」
唯「あずにゃんたいじょぶ?へんなことされてない?」
紬「えっ」きらきら
和「してません」
梓「されてません……」
律「だいたいへんなことってなんだよ……」
唯「だきついたりとか」
律「それは普段のお前だァー!」
唯「えへへぇ」
梓「照れるところじゃないでしょう……」
唯「そこはねぇ、うちのムギちゃんとかあずにゃんが、頑張ってくれてますから」ふんす
澪「唯が威張ってどうする……」
律「まあ、私らだけだとゴミ出しとかけっこう忘れがちになるからなー。梓には感謝してるよ」
和「そう。偉いのね、梓」
梓「いっ、いやそんなっ!そんな……でもないです……」
唯「照れてるねぇー」
梓「……」ぷぅ
和「ふふ、唯のお気に入りってのもわかるわ」
澪「ああ、またな」
和「律、活動自粛日は来週の木曜日だからね、忘れないでよ」
律「わぁーってるって」
和「お茶とお菓子もごちそうさま。じゃあ、また明日ね」
紬「おそまつさまでした」
唯「和ちゃんまたね~」
梓「……」
ドア「ガチャ」
梓(……明日、か。先輩がたは、クラスも一緒だし明日も会えるんだろうけど)
梓「……はっ」
梓(……なに考えてるんだろう、私?)
唯「あずにゃん?どしたの」
梓「い、いえ、なんでも」
律「和が行っちゃって寂しいのかー?」
梓「……ち、ちがいますっ!もぉ!」
梓「はあ、帰りは一人かぁ。先輩達は部室に残って勉強だし……」
梓「……うぅ、寒くなってきたなあ。そろそろマフラー要るかも……、って、あれ」
和「練習お疲れ様、梓」
梓「和……せんぱい……」
和「なんとなくなんだけどね、ここで待ってれば梓が来るかなって思って待ってたんだけど……当たりみたいね」
梓「……あ、え……えっと……」
和「橋の上って水辺だし、より一層寒いじゃない?ほら、帰りましょう」
梓「……はい……」
梓「そうですね」
梓(……会えた)
梓「和先輩、勉強は?」
和「私は家でやったほうがはかどるから、帰ってからやろうかなって」
梓「そうですか 」
梓(“明日”じゃなくて、今日のうちにまた会えた……)
梓「……へへっ」にこ
和「?どうしたの?」
梓「いえ、なんでも」
和「うん、そう」
梓「それじゃ、さよならです。勉強頑張ってくださいね」
和「ありがとう、梓。……また、明日ね」
梓「……はい、また、また明日!」
和「ふふ。それじゃあね」
おわり
今日は和ちゃんの誕生日ということですがかるーくさくっとしたおはなしにしたいなあということでここらで終わっときましょう
そのうちまたなんかかきまーす
それでは
もうちょっと続けてほしかった
これはいい
Entry ⇒ 2011.12.26 | Category ⇒ けいおん!SS | Comments (0) | Trackbacks (0)
梓「安価で先輩たちにやる気を出してもらうんです」
http://engawa.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1324788498/l50
.. ..:´.:.:.:..:..:...:....:...:..:.:.:.ミ:....
/ ..:.:.:.:..:...:..:.. ..:...:..:..:...:...:...:..:. \
/ .. ..:.:/:...:...:.:.::.. .. . .:i:...:.:..:..... ..:..:... ヽ
′.. ..:/′..:.../.::.. ....:.::|::..:.:.::..:.:... ...:.:.:.. '.
i .. .: i′.i:....:|..:::.. .. ..:.l!:..i:...:l:..:.:... ..:.ヽ:. i
/| ../ ..:.i{ .. |..:._|:.i ::... ..:.:}:...}:.:..|::.:. i:.. :.. i:. 「ミ 、
/..:.::|..:|..:.:.:.:|..:.,|.:厂:.{..:.:..:.:..i:..バ:下.:...|:i:.:.. |:..|:::.:..\
/..:/..::|..:|..:.:.:.:|:/ムL 、ハ...:.:.:.}/ ,}:ムヽハ}:.:...}:..l:::::.:.:. 丶
. /..:/..:.::,l ..!:!:..:..〃 笊ミ、 ヽ. ./ イ笊ミヾV:.. ,'. ハ:::::::.:.:.. ヽ
/..:/..:.:::ハ.从::.:.ト{. ト':: i} V ド'::..i} ノ':../:..{ ';::::::.:.:..... '.
.′'..:.::/ r!..:.\{ V.ツ V.ツ }ィイ:::..|} V::::::.:.:.... '.
|/..:.::/ {|..:.::ハ` xxx. , xxx 小:..| V::::::.:.:... l
/..:.:::/ |..:.:.:::::. /:.:.... ! ';:::::::.:.:.. l
.: .:.::::′ l...:.:.:.:入 r‐、 /}::.:.:.....′ '::::::::.:.:. |
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j ..:.::::::| ..:. .:. V ,r|> __ . iチ、 }リ:../′ :::::::::.:.:|
i..:.:.:::: { ヽ ..:.. {,ィ´/ \_ __ノ }\/:.ノ i:::::::.:. !
|..:.:.:::::| __ ..ィヽト乂 { んムx j イ´ー--- 、 }:::::::.: |
|..:.:.::: { / / | /,元i ヽ i | l |:::::.:..|
|.:.:.:::: | } l | // }|| ト、∨ { ∧ }::::::::.:.|
}.:.:.:::: { |ヽ i L _ V { /小.ヽ}. 〉 j | |::::::.:.:.|
いつもいつも部室でお茶を飲んでいるだけで、全然練習できてないんです……。
だから>>5をして先輩たちにやる気を出してもらうんです!
r'^ヾ\ ゝ、: : ̄ ̄ ̄ ̄ ̄∧:く て { `ヽ
. } ≧\ン'´/ : : : : : : : : :│ ! : :`:ヽ、!
| フ,/ : /: : :│ : : : 卜、 し' : : : : : : \
} Ⅳ: .: : : .: :ト、{: : : : :├-\: : : : : : \ : ヽ.─‐‐ - __
ヽ,′: : : : ; :| ヽ: : : : :| ヽ: : : : : : : rヘ! : : : : : : : : : : `ヽ
ノ! : : : : / Vー'^、\: : :| ,ィ≠ミx、: : : :{ ̄``ヽ : : : : : : : : : \
. /从: :l: : :! x≠ミヽ \ |イんハ丿V人:八  ̄\: : : : : : ヽ
/ l/l: : |: : Y´んハ` Vrう リハ: : :\__ \: : : : : .'.
/: : 人: :{: : {ヽ Vrう ´¨ rゥⅥ :ヽ: ヽ`ヽ ヽ : : : : l
,': : : : :/ヽ人:≧ ´¨ ’ '""´ rソノ`Y: } : | ヽ : : :|
/: : : : / ∨ハ '""´ ノ~´ 川リ: :! | : : :|
. /: : : : / V:小、 '⌒ / l|: ノV }: : : !
/: : : : / ∨: : >、 _ イ_.. -‐イ⌒ く ,': : : ′
/ : : : / ヽ、 : : `V^ミ ー ´ 八 │ ヽ / : : /
′: : : { /⌒ヽ: :}、 \/ノ└--、| 丶 / : : /
l : : : : | │ }ハj\ イ乂<二つノ| ヽ /: :/
| : : : : | | ヽト 〃ハ、 `ヽ\│ / / : /
| : : : : | | ヽト {{ { }| `ヽヽ /\/ : /
|: : : : リ | `ソ| ゝ.し小 | l \/ ヽ/
. 从 : : { | | | | Lj !
そうです! むぎ先輩がお茶を持ってくるからいけないんです!
お仕置きしてやるんです! ひっぱたいてやるんです!
作戦
>>14
/ ..:.:::i. ..::.:::.:.:.i 夕 , i:ヽヾ l \::l ii }うハ、 ミ i ::::::::::::::::} :::::::: ̄ヽ
/ ..::..::::i ..::.::.:.:.i《 ん':゚::ハ:::::::::::::::::::::: { ん':゚:::::ハ 》 i ::::::::::::::} ::::::::::::::::::::\
/ ...::.:.:::::/\ ..::.:.:i` 弋::。ソ:::::::::::::::::::::::::: 弋:::。ソ i ..:::..:.:.:::} :::.::.:.:.:.:.:.:.:.......\
..:.::.:.:./ i ..\ .:.\ ^‐'‐¨^ ^¨``^ i ..::.::.:.:.::.}\ ..::.::.:.:.:.::: .......\
..:.:.:./ i ..:.::.ヽ ̄ ' .i \ ..:.:..} \ ..:::.::.:.:.::.:.:.:.:.:.::\
...../ i ..:.::.::.l ζi /l ...} \ ...::.::.:::...:.:.:.:.:.:.:.\
::./ i ..:.:.:.:i. i ノ i...} \ ..:::.:.:.:.:.:.
/ i ..::.:.:ハ ` ´ /‐ ' i..}
むぎ先輩を連れ出して監禁してやるんです!
ひっひっひ。そうと決まればさっそく行動です!
/ / | \
/ .| \
/ / ,イ ト、. ヽ
,' i /,' l ヽ ',
| ∠、.| ,イ |_ ',
| | ./_ノ ! / |人`ヽ ∨ !
| | /´ | / `´ ', | |
| ', / .|/ ! | |
| ! ∨ | | |
.| .| | | / |./
', __| | ,z≠ミ ,z=ミ、 レ' レ'
/ | | /::: |
| ∧ | | 、、、 、 、、、 :::::: |
∧ ゝ! ! ,'::::: |
,' | | | 、 , ∧:::: |
./ | | | \ イ:::::::: ! |
i .! | ト、 > 、 <:::::|::::::: | /
| .,' | | ` 、 ` -<:::::::::::::::|::::: レ'
/ ! / / :! ! `> 、 | `ヽ::::::::!:',:: |
./ i/ /:::::| ', `Y !、_ 人! |
/ / /-‐.ノ } /⌒ヽト、`ー! |
「あら梓ちゃん、何か用かしら?」
ええ、ものすごく用ですよ、むぎ先輩。
あのですね、
梓の巧みな言葉
>>22
,.:.'´.:.:.::::::::::::::::::.:.:.:.::::::::.:.:.::`ヽ、
,.:'.:.:.:./.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.::.:.:.:.::.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:\
/.:.:.:.:.;'.:.:.:.:.:./.:./.:.|.:.:.l.:l.:.:.:.:.:.:|.:.\.:.:.:.:.\
/.:.:.i.:.::l.:.:/.::/.:./ l.:.ト、.:l l.:.:.:.:.:.:|.:.:.:.:.ヽ.:.:.:.:.:ヽ、
_ノ.:.:.: l.:.::|.:.|.:.:|.:./__」_l_ V.:l.:.:.:.:.:.:ト、.:.:.:.|.:.: : |:.ヽ`ー'
/.:.:. }.:. :.l.:.::|::.|.:.:|/´ l/ V.:.:.:.:./:l⌒ヽ. |.:.: : |..:::|
/.:.:.:.:.:/.: : .l.:.::|.::|.:.:{ , テミヽ |.:.:.:./ リ _ニl/ |.:.:.:.ノ.::.:}
.:.:.:.:.:. ∧ ミミ.:.: ト、ト、V´んハ` |:/ イんハ V:::::::::::::/
.:.:.:.:/ ヽミ{.:. {.:.:\|ヽV:りノ ヒソノノ}.:.:/.:/l/{
::/ ヽ:.:.:.:.:.:.:.:.| //// , ////レ'.`Y´.:.',
|.:.:.:.:.:.: :| {.:.:.:.:.:l.:.:.:.:',
|.:.:.:.:.:.: :| `ーー' ノ.:.:.:.:.:l.:.:.:.:.i
ヽ.:.:.:.:.:.::ト、 イ.:.:.:.:.: ∧.:.:.:.l
\.:.:..:|〈 丶、 ___, <ノ |.:.:.:.:.:.,' i.:.:.: l
,. イヽ::| `丶、 ∧ |.:.:.:.:./ l.:.:.: l
__,. '´. : :.|: : :.{ ,r V ',`ヽ |/|/ l.:.:.:..l
/. ヽ: : : : : :.|: : : ト、 / >ⅩくVi: : ',:.ヽ、 l.:.:.:.:.l
/. : : : : \: :.:.:.:|: : : :ヽ V //l l ト、l:. く: : :i: `ヽ、.:.:.:.:.|
/. : : : : : : : \: :. ̄フ: :.| // l l V}: : 〉: :|: : : : }.:.:.:.::|
――中野家自宅――
「まあ、きれいな部屋ね」
どうぞどうぞ、楽にしてください。
今日は両親帰ってこないから、ゆっくりくつろいじゃってください。
\
/ \
. / , / ヽ
/ /| | l ', ヽ
. ′ / / | | | i ,
| ′ ィニ | :| | | | i
| i / 八 lヽ |ニゝ | | |
| | ′ \| \|ヽ | | |
| ヽ| ィえx ∨ :| | |
| ∧ {xイi} ィえミx∨ | | /
', l ゞZリ {xイ} 》∨ / | ′
' | ::::::: ゞZリ } ′ | ′
V :l ' :::::::::: / / , {
| ヽ 、_, //' / 八
| |\ イ / / \
| | 丶 __ .. ≦ _l/ ∧ 、 ヽ
| | r:ハ // ハ_ ヽ \ ハ
_j |イ:./ \ / / /}:.:.:.>:....、ヽ }
/:.:.:. | |/:.:| /^iハ ′ /:.:!:.:.:.:.:.:.:.:.:.`ヽ、ノ
. /:.:.:.:.:.:.:| /:.:.:.{ / /|ヽ∨ /:.:.:|:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:\
{:.:.:.:.:.:.:. ! /:.:.:.:.:.∨ ' l / /:.:.:. |:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.}
「それで、大事な話ってなあに?」
えーっとそれはですね……
..::::´::::::::::::::::::::::::`丶
/:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::: \
.:'⌒::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::ヽ
/::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::,
| :::: /::::::::/:::::::::::|:::::l:::::::::ヽ ::: |:::::\|
| :::::|:::::/::|::::::::::: | ::ハ:::::::::::|::::::|::`Y⌒ヽ
| :::::|:::::::´|:::::::::::::::/ー\ ::::|:::::::/{::::::::: \
/| :::::l ::/ |八::::::|/ ,厶:::|:::::ト、/∧:::::::::::::::.
:: | :::::|:::i〃r心\| ィぅ心V:::::|"}厶_\:::::::::::::.
|八:::人ハc弋.:ソ /// 弋.:ソっ:::::|ノ `ヽ:::::::::::i
|::::::∨::::::::. . │:::::| }| ::::::::|
|::::::::|:::::: 八 r/7Yヘヽ |:::::::|/ │:::::: |
|:::::::ハ ::: | 个〈{ | }< {::::::,′ /| ::::::::|
|:::::::| {\| ∨\ | /∨ Vl/ /}| ::::::::|
|:::::::| 〉 / `〈 \/ / / | ::::::::|
|:::::::l 〈 / o人 `'く /| | ::::::::|
|:::::::| Y ノL∧ ヽ /' | | ::::::::|
|:::::::| { / ○ / │ | ::::::::|
やったです! むぎ先輩を自宅に連れ込み成功なんです!
でもこれではまだ監禁じゃないんです、簡単に逃げられちゃうんです!
だから>>36をしてやるんです!
/⌒/.:.:.:.:.:l :.:.:.:.:.:.:.:.:|.:.:.:.:.:.:.:.:.:.ll:.:.:.:.:.:.:.:.:ll:.:.:.:.:.:.:.:l:.:.:.:\
/.:.:.:.:.:, :.:.:.:.:.l :.:.:.:.:.:.:.:./|:.:.:.:.: |ヽ:.:lll.:.:.:.:.:.:.:. |l:.:.:.:.:.:.:.:.:ll.:.:.:.丶
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:.:.:.:.:.:.:.l :.lll:.:.:.l:.:.:.l:.:.:/ .... |∧:.: l | :.:.:.:.:./:./ `ト:∧.:.:/:.:.:|:.:.:.:.:|
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|.:.:ll.:.:.:ハ:lll:.l:.:| :.:lll: 〃〃::○lヽ // /x===ミ、 |:.:.:.:.l.:.:.:.:.ハ
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|:lll.:.:.:.:| ハl:.:.:.∨:.:.ヽ ゛¨¨´ lb_::::リ /.:|:.:./.:.:.:∧.:.:
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|:.:.:.:.:.l :.:.| /「 \:, 〕 ∨,:/ / l:.:.ll:.:.:.:.:,
|:.:.:.:.:. :.:.:| / 」 〈 >〔_〕 \ ∨∧\_ l:ll.:.:.:.:.:.,
:.:.:.:.:.:l:.:.|/ | ∨// / | 「|\\/ ∧ ´' .,_ lll:.:.:.:.:.:.,
実はですね、私、最近紅茶を作るようになって。
「まぁ、梓ちゃんが?」と目を輝かせる紬。
ええ、それで、是非むぎ先輩に飲んでもらいたくて!
それでは、いまから作ってくるのですこし待っていてくださいね
――そして10分後――
「まぁ、おいしそう」
どうぞどうぞ! 飲み頃の温かさです!
ぐいっと飲んでください! 一気に飲むと一番おいしいんです!
「ふふ。それではお言葉に甘えて」
/ .: .::i!. .::'; ヽ::. \
. ,:' . ::, i!:. .: ';..:. '; '; 、 ' ,
/. .:/.::: ';:::. .::} .:i ; ヽ ':,
. / . ; ∧::::. .: :ト、 :!\:. i!::. i:. i!
i . ::j . ::./ ';::::. ;: .. i! ,ィー: .、:: ; !:. i
! {: ,イ⌒ヽ ';:::. !:::.. ! (_,,ィー-ヘ::. };'::. :i!
i! .::i!: . (_,ィ⌒" \ト、:.| yxz=x、V::.!::. !
i .::|::. ;' y'斥ミ、 V rVリ ,` !: |::. |
. '; . . !::. i!"、rVリ ` "~ i!:.i:. ;'
. ''; .i:::. :i ~` " , """"ノノ::.. i!
i! ';:. .八 """ , /"::::. i!
. i .:i!:;'::i:__:ヽ ` /j!::.. i:. i
,':.ji.:::';レ' /⌒`j^Y' ̄ ̄ ̄`:!::.. i! : |:. |:. i!
/ ;':: ∧::/ ,'ニヽ! ::::r'⌒`ヽ!::.i!:: |
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. /::::::::::::::::::::::::: / .|:小:::::::::::::::/ !:::ハ:::::::::::::::::::::::::::::\
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紬は10秒ほどかけて紅茶を飲み干すと、カップをゆっくりとテーブルに置く。
どうですか、どうですか、梓特製紅茶は!?
「う~ん、そうね……」(なんか薬っぽい味がするような……)
/ | ./ / / ノ i
言いかけて、紬の体がくらりと傾く。 i | / / /'´ ./
i, | .l l / ./ , ' `,/
「……あれ?」 .l.l ', .| ',.| ./ / / / ´,ニ=、
l .| ヽ! ヽ, i | / / ! ヽi ヽ、
| .l i ヽ ,' .イ ヽ、 ヽ _
| ', ','、 l ! ', ! .ヽ i
i ヽ、l ヽ | ヽ、__ / !|l
l ', '`::....´ ̄ ̄`ヽ, / , -- / ', .|
ヽ, /::. ::. ::. ::. ::. ::. ::¨ ', / ,'/ / _ .l !〈
/::. ::. ::. ::. ::. ::. ::. ::. ::. |. / / / /´ ̄ / | .| .', i
/:: ::. ::. i::. ::. ::. ::. ::. ::. ::./ / .| .レ´ i,// |/ ,' l lヽ
/ヽ、 /::. ::. ::. ::l::. ::. ::. ::. ::. ::. ::.'l ´ 〈,| i i!_/' | / ,'. l ノ | ',
/ : : !: :ヽ====-、--.. 、 /::. ::. ::. ::. ::.i::. ::. ::. ::. ::. ::. ::/ `.‐| |/´ ./! イ /. i´ / i
i : : : : :ヽ__ノヽ 丶,::. ::. `─... -.´::. ::. ::. ::. ::. :::.', ::. ::. ::. ::. ::. :/ i l ト、 /ノ 'リ |/ ,' ,'. /
| ヽ, : / ', : :ヽ::. ::. ::. ::. ::. ::. ::. ::. ::. ::. ::. ::.:i ::. ::. ::. ::. ::.i i ,,' | .l ! ¨´ l ', / /
. /: : : :/ |: : : | ::. ::. ::. ::. ::. ::. ::. ::. ::. ::. ::. ::|::. ::. ::. ::. ::. l |'i '、 ! i | `´ /
.', : : : ,' l: : : :! ::. ::. ::. ::. ::. ::. ::. ::. ::. ::. ::. ::l::. ::. ::. ::. ::.,' '、 `´ ,' `ヽ -‐ ´
. ヽ : :i `T7/ ::. ::. ::. ::. ::. ::. ::. ::. ::. ::. ::. ::|::. ::. ::. ::.ヽl `ヽ_ ノ
i : :| |: |::. ::. ::. ::. ::. ::. ::. ::. ::. ::. ::. ::/',::. ::. ::. ::. :',
ヽ,! ,': :_ヽ::. ::. ::. ::. ::. ::. ::. ::. ::. :/ .' ::. ::. ::. ::. i
| /y´ ヽ,::. ::. ::. ::. _ -‐ ´ ', ::. ::. ::. ::l
-‐  ̄' ‐- ,'-- , __ ヽ, ::. ::/ i::. ::. ::. ::. ,
/ '.,/ l::. o::. ::. :|
/ l |::. ::. ::. ::.|
____ /__ ノ `i.,o::. ::. :|=--ァ
 ̄  ̄ ̄ ヽ_ ---‐─‐=ニ, 、
ヽ__ , -==ミ
/ .: .:/: : : : :.li : :∧ : : :|: : : : : : \: : :.',
/. .: : : :∧.: : : : :|i :/_ノ',: :.ハ: : : : : : : : : : : :.
,′/ : :./ ! : : : : li/ V ヽ. : : :ヽ : : : : : r‐..、
l : : :l レ'ヽ: : :/ ´,ィf笊ミx、V.:. .:.|.: .: .: : :|: : : \
i : : :| : : :! ,ィ示、',: l{ lr'゙::,ハ ' i: : :∧ : : : :∧: : : : :\
}l 、 :l : : :〃ir'゙,ハ V ゝ--' !: :/: : : : ::/ \: : : : :\
〉:.V : :从` `ー´ , //////ムィ:.:|: : :.∨ ヽ : : : : :\
,′:l :/ : :.',///// ___ |:.:i : : : | \: : : : :
/.:. .:|/.: : : :i /ー‐ 'ヽ V′: : :! \: : :
,' : : :イ.: : : :人 l/ } イヽ: : :./ \
: : :/}l : : : l : iヽ ` ー ´ / / |: :./`ー‐' ¨ ̄`ヽ
,' : : / | l : : | :.l ,> / }l∧ / ',
il: :.{ |卜、.:l :.|-‐´ .i |', ̄ / / ', / ハ
先輩!? どうしたんですかぁ!?
紬の元へ近づき、肩に手を置く。
紬はやや焦点の合っていない目をぱちくりさせて、
「平気よ……、なんだか、急に眠くなっちゃって……」
机に手をついて、ふらふらと起き上がろうとする紬に対し、
むぎ先輩、無理しないでください!
顔色も悪いですし、安静して休むべきです!
< `> 、
./ \
/ / ', ヽ
, | / ∧ | ',
i | ,' / ', |、 |
| | ! /-=ヘ ト、! | |
', |! .| /¨ ̄´ ', ト、|-| ./ |
| , - i| !/___ ∨ __ |/ /
,/| .{ ヽ| /〈て.ノ` イ_ノ / /
./ | \ | | //// /// i
/ ./ `| | ` ′ |
{ / / /,| ト、 ‐‐ ,イ| ′
∨ /__/::〈 | | >,、__ <| |/
/≦:::::::::::::::゙| ト、 / }::ヽ-| ト、
「心配させちゃって……なんだか、ごめんなさいね。
でも……ちょっと、疲れがたまっている、だけ……」
話しているうちにも紬のまぶたは少しずつ落ちていき、声も不明瞭になっていく。
ノi,___
/ ` ̄`ー-‐ー-<´ `ヽ、_
/ ー, ⌒ヽ , -‐-  ̄`ヽ
./ \ ̄` 、 ,∠::::::::::::::`:...、 \
| .___,≧ヾーヘ、  ̄`y::::::::::\::::::::::::::::ヽ ー- 、
,へ \(j |j ゙ `ー./::::::::::::::::::ヽ:::::::::::::::::\ ヽ、
{ ヽ、 \、 , /:::::::::::::::::::::::::',::::::::::::::::::::`ヽ、 ヽ
! ヾ-、_\ _ ` `/-―::::::::::::::::::::::ヽ::::::::::::::::::::::::', l
./ ヽ \(j ` |j ゙/ ̄´:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::ヽ ',
i |〉、 ,`-‐/ ̄:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::', |
.  ̄ ̄ ̄ ̄人 !::::い-‐/::::/::::::::::::::::::::::::::::::ー―――-:::::::::::::::::::::::::::::::::::i i ヽ
rゝ -:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::,∠::::::::::::::::::::::::::::::::::::| | | !
./、-,ヽ:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::,-‐‐< ̄´`ヽ、::::::::::::::::::::::::::::::::::::! ∧ .!ノ|
ゝ-´ \::::::::::::::,二-< ̄ `ー-;:::::::::::::::::::::::::イ /:::::} /::
 ̄´ ∧|ヾ::::::::::::::::::::::!/:::::::/:::::
∧´:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
ゆっくりやすんでください。
日頃むぎ先輩にはおせわになっていますから、これくらいどうってことないですよ。
紬はむにゃむにゃと何かつぶやいているが、もはや何を言っているかは聞き取れない。
/ ..:.:::i. ..::.:::.:.:.i 夕 , i:ヽヾ l \::l ii }うハ、 ミ i ::::::::::::::::} :::::::: ̄ヽ
/ ..::..::::i ..::.::.:.:.i《 ん':゚::ハ:::::::::::::::::::::: { ん':゚:::::ハ 》 i ::::::::::::::} ::::::::::::::::::::\
/ ...::.:.:::::/\ ..::.:.:i` 弋::。ソ:::::::::::::::::::::::::: 弋:::。ソ i ..:::..:.:.:::} :::.::.:.:.:.:.:.:.:.......\
..:.::.:.:./ i ..\ .:.\ ^‐'‐¨^ ^¨``^ i ..::.::.:.:.::.}\ ..::.::.:.:.:.::: .......\
..:.:.:./ i ..:.::.ヽ ̄ ' .i \ ..:.:..} \ ..:::.::.:.:.::.:.:.:.:.:.::\
...../ i ..:.::.::.l ζi /l ...} \ ...::.::.:::...:.:.:.:.:.:.:.\
::./ i ..:.:.:.:i. i ノ i...} \ ..:::.:.:.:.:.:.
/ i ..::.:.:ハ ` ´ /‐ ' i..}
――さてと。
これでもうむぎ先輩は逃げられないんです
むぎ先輩ゲットなんです。
むぎ先輩には、>>87をしてやるんです。
鬼畜わろた
また首絞めかwww
」::::::::::::::::::::: イ::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::ト
/:::::::::::::::::::::: /|: ,、:::::::::::::::::,イl::::!::::::::::::::::::::::::\
. /::::::::::::::::::::::::: / .|:小:::::::::::::::/ !:::ハ:::::::::::::::::::::::::::::\
/:::::::::ハ::::::::::::: /¨¨レΤ:::::::::::/ ̄j:/「Τ::::|:::::::::ハ:::::::::::::ヽ
'::::::::::ハ:::|:::::::/,≦_L.ト ヽ::::: ! ,..L_≧}::: /:::::: ハ::::::::::::::::
. ,::::::::::::' lヾ\ k/てイ㍉:::::\|::::チう¨卞》/:::::::::j ',::::::::::::::
':::::::::::,' |::::::::`トヽ弋.ソ::::::::::::弋::ン 彳 :::::::::| ',:::::::::::::
j::::::::: / ,ィ:::::::::::!::::::::::::::::::::::,::::::::::::::::::::::イ:::::::::::::ト、 ',::::::::::::
,':::::::::/ / |::::::::: | ノ::::::::::::/ ヽ V::::::::
l::::::::イ / |::::::::: |> 、 ^ ,イ!/::::::::/ } |::::::::::
,'::::::::::! l ト、:::::! い> 、 _ ,, イ /‐!l:::::: / l |:::::::::::
. l::::::::::| l \ | い / / |:::::/ l !::::::::::
f::::::::: ! l .l い / / レ' l |:::::::::::
!:::::::::::| .l |>――-、 , ――-</ / |::::::::::::
!:::::::::::| ', ! V / / |::::::::::::
ぐったりしている紬の顔を、腰をかがめて至近距離からのぞき込む。
紬は驚いたように目を半分開けて、
「な、なに……?」
結局1回も合わせられませんでしたよね。
「そう……だったかしら?」
今日の放課後。
しつこくせかす梓に対し、
唯は「わかった、じゃあ最後にこの1杯を飲んだら練習しよう!」などと言うが、
飲み終わっても「あと1杯だけ、あと1杯だけ」と延々と粘り続け、
いつのまにか日が暮れて、「まぁ今日はもう遅いし、明日がんばればいいよね!」とそのまま解散。
練習時間はゼロだった。
そういえば、昨日も一昨日も練習できませんでしたよね。
というか、最後にみんなで合わせたのっていつでしたっけ?
「えーっと……」
うつろな目をしばたかせて、紬は思考を巡らすが、
「……ごめんなさい。ちょっと思い出せないわ……」
/ .: .:/: : : : :.li : :∧ : : :|: : : : : : \: : :.',
/. .: : : :∧.: : : : :|i :/_ノ',: :.ハ: : : : : : : : : : : :.
,′/ : :./ ! : : : : li/ V ヽ. : : :ヽ : : : : : r‐..、
l : : :l レ'ヽ: : :/ ´,ィf笊ミx、V.:. .:.|.: .: .: : :|: : : \
i : : :| : : :! ,ィ示、',: l{::::::: lr'゙::,ハ ' i: : :∧ : : : :∧: : : : :\
}l 、 :l : : :〃ir'゙,ハ V::::::::::: ゝ--'っ !: :/: : : : ::/ \: : : : :\
〉:.V : :从` `ー´ , //////ムィ:.:|: : :.∨ ヽ : : : : :\
,′:l :/ : :.',///// ___ |:.:i : : : | \: : : : :
/.:. .:|/.: : : :i /ー‐ 'ヽ V′: : :! \: : :
,' : : :イ.: : : :人 l/ } イヽ: : :./ \
: : :/}l : : : l : iヽ ` ー ´ / / |: :./`ー‐' ¨ ̄`ヽ
,' : : / | l : : | :.l ,> / }l∧ / ',
il: :.{ |卜、.:l :.|-‐´ .i |', ̄ / / ', / ハ
|l : i |ノ ∧l :.| l | ヽ / / : ,′ / {
|:. :.| | ヽ:| | ', /V{ヽ / 〉 l |
l:. :.| |l l Y}__ { \/ l <´ | |
むぎ先輩がお茶なんて持ってくるからいけないんです!!
テーブルにダンと手をついた。
紬は短い悲鳴を上げてビクリと体を震わせる。
いつから、軽音部はお茶会部になったんですか!?
なんのための軽音部なんですか!?
むぎ先輩のせいでみんな堕落してしまったんです!
みんなみんな、むぎ先輩のせいなんです!!
/ .: .:/: : : : :.li : :∧ : : :|: : : : : : \: : :.',
/. .: : : :∧.: : : : :|i :/_ノ',: :.ハ: : : : : : : : : : : :.
,′/ : :./ ! : : : : li/ V ヽ. : : :ヽ : : : : : r‐..、
l : : :l レ'ヽ: : :/ ´,ィf笊ミx、V.:. .:.|.: .: .: : :|: : : \
i : : :| : : :! ,ィ示、',: l{::::::: lr'゙::,ハ ' i: : :∧ : : : :∧: : : : :\
}l 、 :l : : :〃ir'゙,ハ V::::::::::: ゝ--'っ !: :/: : : : ::/ \: : : : :\
〉:.V : :从` `ー´ , //////ムィ:.:|: : :.∨ ヽ : : : : :\
,′:l :/ : :.',///// ___ |:.:i : : : | \: : : : :
/.:. .:|/.: : : :i /ー‐ 'ヽ V′: : :! \: : :
,' : : :イ.: : : :人 l/ } イヽ: : :./ \
: : :/}l : : : l : iヽ ` ー ´ / / |: :./`ー‐' ¨ ̄`ヽ
,' : : / | l : : | :.l ,> / }l∧ / ',
il: :.{ |卜、.:l :.|-‐´ .i |', ̄ / / ', / ハ
「そんな……」
紬の顔がゆがみ、目から涙があふれだす。
「わたしは……みんっ、なとっ、ただっ……」
黙れです!
泣けばゆるされると思っているんですか!?
梓は本気で腹が立っていた。
気がついたときには、紬の首を力の限り絞めていた。
軽音部をどうしてくれるんですか!?
責任を取ってください!!
「んん~~、ぅんんっ」
紬は、首を締めつける手を両手でつかみ、必死に逃れようとするが、
睡眠薬で既に意識朦朧の状態では梓の敵ではない。
梓に体重を掛けられて、紬は椅子から滑り落ちる。
紬は床に頭を強打し、ゴツンと鈍い音を響かせる。
それでも梓は紬の首を絞めたままだった。
床の上で、紬に馬乗りになり、手に力を込め続ける。
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リ´ヽ::|:::l :ム (ア云テ、ヽ ,チムテニニミx ∨:::::::::::: |ノ:::::::/::::|∧
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せっかく最高の仲間に出会えたのに……、
ろくに合わせることもできなくて……、
こんな……、こんな……
急速に色を失っていく紬の顔に、涙が幾滴もこぼれ落ちる。
次の展開
>>151
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|八i::::::/{ _ ヽ ∨ //:/|∧::: : : |:: : : ト:::::| : :i: : :|
丶 | :::::∧ {!弌:::ミ、 二斗≠:::=ミ:::.: : |:: : : | }く| : :i: : :|
|::::::::::::. ヾと公リ cV公とつ∧::: : : : : lノ | : :ト、 |
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{:ハ:::::::::: ∨// ' //// │::.:: : :| │: :| \
| |::::i::::::i人 /|:::: :/ 八.│: :| ヽ
| |::::i::::::| > . ^⌒ ´ / |::.:/ / /│: :|
Vヘ八:::| 〕> ._.、 イ /∨:: : / | : :| |
j:::リ ∨\ 〉 |: しヘ/ | {/V / | : :| |
むぎ先輩は絶対許さないんです!
罰として中野家に伝わる秘伝の薬を飲ませてやるんです!
と、懐から取り出した小瓶を開け、
錠剤を紬の口の中に押し込み、無理やり飲ませる。
「……? なに……これは……?」
すぐにわかるです!
/ ..:.:.:.:..:...:..:.. ..:...:..:..:...:...:...:..:. \
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/..:/..::|..:|..:.:.:.:|:/ムL 、ハ...:.:.:.}/ ,}:ムヽハ}:.:...}:..l:::::.:.:. 丶
. /..:/..:.::,l ..!:!:..:..〃 笊ミ、 ヽ. ./ イ笊ミヾV:.. ,'. ハ:::::::.:.:.. ヽ
/..:/..:.:::ハ.从::.:.ト{. ト':: i} :::::V::::::: ド'::..i} ノ':../:..{ ';::::::.:.:..... '.
.′'..:.::/ r!..:.\{ V.ツ :::::::::::::::::::: V.ツ }ィイ:::..|} V::::::.:.:.... '.
|/..:.::/ {|..:.::ハ` , 小:..| V::::::.:.:... l
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j ..:.::::::| ..:. .:. V ,r|> __ . iチ、 }リ:../′ :::::::::.:.:|
i..:.:.:::: { ヽ ..:.. {,ィ´/ \_ __ノ }\/:.ノ i:::::::.:. !
「きゃっ? 何これ!? おしっこが止まらない!?」
これでむぎ先輩は一生おしっこ垂れ流しです!
そのまま辱めを受けつつ一生苦しむがいいです!
みんなを堕落させた天罰です!
次の展開
>>170
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, \
/ ヽ
,' |
i / ! | ハ
| ,' ∧ ト、 i ,
| i ムヘ ', \.ト、 /
! | i‐--ヘ ト、 ト二リ ヽ i
ノ .| .| `ヽ \ | ', | |
, ´,イ ト| .人 | `! ∨ ! .|
./ / ,' `| !ィ三ミ、 ,≦ミ、 /| ,' ∧
/ ノ ,i | //// /// ∧| ././ ',
{//, -‐ ´ | | //// ! /// ,' ,レ ./- 、 ヽ
ゞ/⌒ヽ、 | ト = 、 人 ,' ! \
/ i ヘ !_ | ゝ ( } イ | __ ./ ヽ 、
/ | _yヘ`) | >- ´≦ !(/ \ ', }
, /! / | / Y !、 ,/ヘvヘ / /!,-‐ ヽ ト、 /
/ 〈 | / } ',∨/} (ヽ\ / ,' |,-‐ | ! ∨
,' / ! / } Y{ /, ∧ヽ} ∨ .! {,-‐ / ハ ',
,イ ,/ /⌒ゝ入 Y ト _,イ./ ∧ソ/ ∧ `イ ./, ⌒ト、〉 ヽ
人 / ! 〈 イ / ノ | // Y´ ./ ,イ ∧ ´\ |,ノヽ \
「いやぁっ、とまらない! とまらないよぉ!!」
ふっふっふ。まだまだ、こんなんじゃあ生ぬるいです。
むぎ先輩にはもっと酷い目に遭ってもらうんです。
パニックになっている紬を押さえ込み、今度はもう一つ別の薬を飲ませる。
それもすぐにわかるです!
ほどなくして、
「うぅ、お腹が痛い!」
今度は超強力下剤です!
「なにそれ!? なんでそんなの持ち歩いているの!?」
うるさいです! 中野家秘伝の薬なんです!
//.: ..:′....:ハ .:.. .: ...:.| ..:.:.ヽ .:.::.、
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/!./{.:i: :イ´:丁` l:{:.:....:´丁ヽ`.:}..:.:.| }} }}
,.:...:.:{:{:.|.:{:..::ト.:.:.{ {ヽ:.i..:.:リ }..:.|i..:.:ト.l|
./ ..:.:.:从:ハト、.:{ ,≧、 ∧{ヽム=ミ|..:ハ..リ:ノヽ.
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,..:..:.:/ノ.:/|.: i|ハ ヒヅ ヒヅノ i}:.:.:..{、..:.:.. '.
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.′.:.:':.: / | .: l从 ム|.}ハ{ハ ..:.:.. i
i ..:.: i.:ノ l:i :i{ \ ヘ ..イ }イ..:|ヽ i:...:.:. l
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/|..:.:.:.| 从{,.斗ヘ. ` ーx rー' ノト.. /:/ l::...:. |
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}∧:::::::ヘ 乂ぅツ ´,,,, /:/::::::// \::::::::\
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ヽ::V:::ヘ 、‐ ァ j:::::/、_ ',:::::::゙,
八:.:.:人 ` ィ}:/≦丶 l:::::::::::l
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/::::::/>、j` ,斗≦--、:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.\ }:::::::::::!
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「放してっ……トイレに行かせて! 漏れちゃう、漏れちゃう」
おしっこは散々垂れ流しているのに……
今さらうんこを漏らしたくらい、大差ないですよ。
「いや……、あぁ、そんな……」
紬は右手で前を、左手で後ろを押さえていた。
前の方からは既にびしゃびしゃと尿が漏れていて、
スカートも太腿も靴下もびっしょりと濡れていた。
「うぅ……お願いだから……」
ずいぶんとしぶといですね。
なら、こうしてやるんです!
と、紬の下っ腹に掌底を叩き込んだ。
「んはっ、あぁ、あああああああああああ」
ぶぼぼぼぼぼぼぼぼぼぼぼぼぼぼぼ!!
あはははは、いい気味です!
一生おしっことビチクソに苦しめられるがいいです!
£__
/ ̄ \
~ & | :::|
~ | ::::|
| 紬 ::::::|
| ::::::|
| の :::::|
| :::::::|
| 墓 :::::::|
| :::::::::|
| ∬ ∬:::| チーーン、、、
| ii ,,≦≧、 :ii :::::|
_ | 旦∥===∥旦::::::| _
-W-----┘二二二二二二二二二└--ff---\--
そして紬は脱水症状で死亡した。
――完
おつ
次回を期待してる
Entry ⇒ 2011.12.25 | Category ⇒ けいおん!SS | Comments (0) | Trackbacks (0)