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春香「半額弁当……?」
引用元: ・http://hayabusa.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1339659165/
春香「あっ……そういえば今何時なの?」
千早「……10時ね」
春香「え、えぇぇっ!?」
千早「ごめんなさい。無理に起こすのもよくないと思って」
春香「うん……ありがとう、千早ちゃん」
千早「あの……春香」
春香「でもどうやって……あっ、どうしたの?」
千早「春香が迷惑じゃなければ……その、うちに来てくれないかしら?」
春香「千早ちゃんの家……?」
千早「私の家までの電車ならまだ出ているから……他に手もないだろうし」
春香「千早ちゃんがいやじゃないなら、こっちから頼みたいぐらいだよ!」
千早「本当? ありがとう……精一杯おもてなしするわ」
春香「うん……あ、お母さんに電話するね」
1: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/06/14(木) 16:32:45.58 ID:QpdAQDVL0
春香「え、千早ちゃん……晩ご飯の話だよね?」
千早「そうね……スーパーで、半額弁当を食べることが多いっていったのだけれど」
春香「えぇっ!? そんなのアイドルのすることじゃないよ! 半額弁当だなんて!」
千早「……春香」ガシッ
春香「えっ?」
千早「さすがに春香といえども今の発言は見過ごせないわ」
春香「えぇっ?」
千早「……私と春香の仲だから許すけれど。スーパーの前でいったりは絶対にしないこと」
春香「え、う……うん」
千早「わかってくれればいいの……あっ、それじゃあそろそろレッスンの時間だから」
タッタッタッタ……ガチャッ
春香「……? そんなにまずいこといったかなぁ」
千早「そうね……スーパーで、半額弁当を食べることが多いっていったのだけれど」
春香「えぇっ!? そんなのアイドルのすることじゃないよ! 半額弁当だなんて!」
千早「……春香」ガシッ
春香「えっ?」
千早「さすがに春香といえども今の発言は見過ごせないわ」
春香「えぇっ?」
千早「……私と春香の仲だから許すけれど。スーパーの前でいったりは絶対にしないこと」
春香「え、う……うん」
千早「わかってくれればいいの……あっ、それじゃあそろそろレッスンの時間だから」
タッタッタッタ……ガチャッ
春香「……? そんなにまずいこといったかなぁ」
2: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/06/14(木) 16:37:27.00 ID:QpdAQDVL0
―――――
春香「あー、今日はハードだったなぁ……」
テクテクテクテクテクテクテク
春香「……お腹、減ったなぁ」
テクテクテクテクテク
春香「……家に帰ってからだとお腹減りすぎて死んじゃいそうだし」
テクテクテクテク
春香「そういえば、ここら辺にスーパーがあったはずだよね」
テクテク……
春香「お弁当とか……売ってるよね。買って食べようっと」
テクテク
春香「ついた!」
春香「あー、今日はハードだったなぁ……」
テクテクテクテクテクテクテク
春香「……お腹、減ったなぁ」
テクテクテクテクテク
春香「……家に帰ってからだとお腹減りすぎて死んじゃいそうだし」
テクテクテクテク
春香「そういえば、ここら辺にスーパーがあったはずだよね」
テクテク……
春香「お弁当とか……売ってるよね。買って食べようっと」
テクテク
春香「ついた!」
4: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/06/14(木) 16:47:34.95 ID:QpdAQDVL0
ウィーン
春香「っ……!? なに今の……寒気みたいな」
春香「冷房……じゃないよね。気のせい……?」
春香「まぁいいや、それよりご飯食べなきゃ。お惣菜コーナーは……あっちかな?」
春香「コロッケ、てんぷら……おいしそうだなぁ。うぅ、ガマンガマン」
春香「お弁当コーナーはこの先……」
春香「……えーっと、なにがあるかな?」
春香「おろし竜田揚げ弁当、焼きそば弁当、あとは……豆腐ハンバーグ弁当?」
春香「どれもおいしそうだなぁ……どれにしよう?」
春香「えーっと……」ウロウロ
ギュッ グイッ
春香「きゃっ!? だ、だれ!?」
千早「……」グイッ
春香「……千早、ちゃん?」
春香「っ……!? なに今の……寒気みたいな」
春香「冷房……じゃないよね。気のせい……?」
春香「まぁいいや、それよりご飯食べなきゃ。お惣菜コーナーは……あっちかな?」
春香「コロッケ、てんぷら……おいしそうだなぁ。うぅ、ガマンガマン」
春香「お弁当コーナーはこの先……」
春香「……えーっと、なにがあるかな?」
春香「おろし竜田揚げ弁当、焼きそば弁当、あとは……豆腐ハンバーグ弁当?」
春香「どれもおいしそうだなぁ……どれにしよう?」
春香「えーっと……」ウロウロ
ギュッ グイッ
春香「きゃっ!? だ、だれ!?」
千早「……」グイッ
春香「……千早、ちゃん?」
6: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/06/14(木) 16:53:32.50 ID:QpdAQDVL0
春香「ちょ、ちょっと待って千早ちゃん……」
千早「……」グイグイ
春香「ま、待ってってば!」バッ
千早「……春香」
春香「いったいなんなの? そりゃあ今日の今日アイドルが食べるのはっていったけど私お腹減ってて」
千早「知ってて、やったわけではないのね?」
春香「知ってて……?」
千早「それならいいの。私が出るのが遅れていたら……ヘタをすれば骨ぐらいは折れていた」
春香「骨って……またまたおおげさな」
千早「まじめな話よ。……お弁当が食べたい?」
春香「うっ……うん、食べたいけど」
千早「……」グイグイ
春香「ま、待ってってば!」バッ
千早「……春香」
春香「いったいなんなの? そりゃあ今日の今日アイドルが食べるのはっていったけど私お腹減ってて」
千早「知ってて、やったわけではないのね?」
春香「知ってて……?」
千早「それならいいの。私が出るのが遅れていたら……ヘタをすれば骨ぐらいは折れていた」
春香「骨って……またまたおおげさな」
千早「まじめな話よ。……お弁当が食べたい?」
春香「うっ……うん、食べたいけど」
9: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/06/14(木) 16:58:10.39 ID:erQTdgKP0
春香の中の人は
ベン・トーで茶髪を演じています
ベン・トーで茶髪を演じています
11: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/06/14(木) 16:59:16.29 ID:QpdAQDVL0
千早「……なら、聞いて。そして見て」
春香「う、うん」
千早「あなたは今、狼の狩り場に迷い込んだの」
春香「おおかみ……?」
千早「えぇ、半額弁当という獲物を狙う……獣たちの狩り場へ」
春香「どういう、意味?」
千早「そのままの意味よ。春香」
春香「だ、だって今の言い方だと半額弁当がすごいものみたいだよ?」
千早「……そうね、ただの半額になった弁当ならその価値はないかもしれない」
春香「う、うん」
千早「あなたは今、狼の狩り場に迷い込んだの」
春香「おおかみ……?」
千早「えぇ、半額弁当という獲物を狙う……獣たちの狩り場へ」
春香「どういう、意味?」
千早「そのままの意味よ。春香」
春香「だ、だって今の言い方だと半額弁当がすごいものみたいだよ?」
千早「……そうね、ただの半額になった弁当ならその価値はないかもしれない」
12: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/06/14(木) 17:07:21.34 ID:QpdAQDVL0
春香「半額弁当は半額弁当じゃないの?」
千早「少なくともこのスーパーは、値段が半分になっただけの弁当に価値を見出すものはいないわ」
春香「じゃ、じゃあなんで……」
千早「それは自分で考えたほうがいいわ……そろそろ、≪半値印証時刻≫だし」
春香「は、はーふ?」
千早「≪半値印証時刻≫よ。ハーフプライスラベリングタイム」
春香「……? 半額シールを貼る時間ってこと?」
千早「そういうことね。あと気をつけるのは……」
スッ
坊主「……ずいぶんと今日はおしゃべりしてるな、≪チョッピング・ボード≫」
春香「誰!?」
千早「少なくともこのスーパーは、値段が半分になっただけの弁当に価値を見出すものはいないわ」
春香「じゃ、じゃあなんで……」
千早「それは自分で考えたほうがいいわ……そろそろ、≪半値印証時刻≫だし」
春香「は、はーふ?」
千早「≪半値印証時刻≫よ。ハーフプライスラベリングタイム」
春香「……? 半額シールを貼る時間ってこと?」
千早「そういうことね。あと気をつけるのは……」
スッ
坊主「……ずいぶんと今日はおしゃべりしてるな、≪チョッピング・ボード≫」
春香「誰!?」
15: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/06/14(木) 17:14:20.52 ID:QpdAQDVL0
千早「……友人が迷い込んでしまったのよ」スッ
坊主「そうか……お前、混ざる気か?」チラッ
春香「えっ? あー……お腹は減ってるので……」
坊主「……そうか。いいのか? 友人としては」ジー
千早「えぇ、求めるものには平等なのがここだもの……私に止める権利はない」ヒョイッ
坊主「そうかよ……ま、気を付けなお嬢ちゃん」スッ
春香「は、はぁ……」
春香(なんでこの二人目を合わせないで商品見ながら話してるんだろう?)
坊主「そうか……お前、混ざる気か?」チラッ
春香「えっ? あー……お腹は減ってるので……」
坊主「……そうか。いいのか? 友人としては」ジー
千早「えぇ、求めるものには平等なのがここだもの……私に止める権利はない」ヒョイッ
坊主「そうかよ……ま、気を付けなお嬢ちゃん」スッ
春香「は、はぁ……」
春香(なんでこの二人目を合わせないで商品見ながら話してるんだろう?)
16: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/06/14(木) 17:15:12.19 ID:fYnPKe3EO
茶髪はたいへん素晴らしい胸をしている
くっ
くっ
17: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/06/14(木) 17:19:15.44 ID:QpdAQDVL0
坊主「……俺はもう少しポジションを考える。邪魔したな」トンッ
千早「ええ、正々堂々やりあいましょう」スッ
春香「……」チラッ
春香(真似して商品見てみたけど……なにがわかるんだろう?)
千早「……春香」
春香「あっ、なに?」
千早「今のも狼よ。 半額弁当を求めている者」
春香「う、うん」
千早「……春香。本当にお弁当が食べたい?」
春香「た、食べたいよ? お腹は本当にぺっこぺこだし」
千早「それなら……私もできる限りのサポートはするわ」
春香「サポートって……なにするの? 普通に買うんじゃないの?」
千早「ええ、正々堂々やりあいましょう」スッ
春香「……」チラッ
春香(真似して商品見てみたけど……なにがわかるんだろう?)
千早「……春香」
春香「あっ、なに?」
千早「今のも狼よ。 半額弁当を求めている者」
春香「う、うん」
千早「……春香。本当にお弁当が食べたい?」
春香「た、食べたいよ? お腹は本当にぺっこぺこだし」
千早「それなら……私もできる限りのサポートはするわ」
春香「サポートって……なにするの? 普通に買うんじゃないの?」
22: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/06/14(木) 17:28:39.13 ID:QpdAQDVL0
千早「春香。半額弁当が食べたいのなら覚悟が必要なの」
春香「覚悟……」
千早「そう、ただ今ご飯が食べたいだけなら……ギリギリ間に合うわ。好きな弁当をひとつだけ手にとって帰りなさい」
春香「……そこまでいわれると、なんだか半額弁当に興味がでてきちゃうなぁ」
千早「それなら―――」
キィ……バタン
春香「……? ドアの音?」
千早「そんな……早すぎる! いい、春香」ガシッ
春香「えっ、なに?」
千早「食べたいのなら……遠慮はしないこと。いい?」
春香「わ……わかった?」
千早「それに、既に弁当を持っている者へは手を出さないこと。そして何より」
千早「―――誇りを、もつのよ」
春香「……う、うん」
春香「覚悟……」
千早「そう、ただ今ご飯が食べたいだけなら……ギリギリ間に合うわ。好きな弁当をひとつだけ手にとって帰りなさい」
春香「……そこまでいわれると、なんだか半額弁当に興味がでてきちゃうなぁ」
千早「それなら―――」
キィ……バタン
春香「……? ドアの音?」
千早「そんな……早すぎる! いい、春香」ガシッ
春香「えっ、なに?」
千早「食べたいのなら……遠慮はしないこと。いい?」
春香「わ……わかった?」
千早「それに、既に弁当を持っている者へは手を出さないこと。そして何より」
千早「―――誇りを、もつのよ」
春香「……う、うん」
26: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/06/14(木) 17:36:01.23 ID:QpdAQDVL0
春香「……っ、千早ちゃ……」
千早「……私は、豆腐ハンバーグ弁当を狙うわ。春香は」
春香「え、えっ? じゃあ……おろし竜田揚げで」
千早「わかった……気をつけて」
春香(すごい、ヒリヒリとした空気が伝わってくる……!)
春香(これだったんだ……スーパーに入った時の寒気……!)
千早「……」グッ
春香(千早ちゃんの顔……歌を歌う前ぐらい真剣だ)
春香「ダッシュで……とれば、いいんだよね?」
春香「すぅ……はぁ。よっし……」グッ
春香(私も……お腹は減ってるもん。ダンスもしてるから運動だって)
春香(……あ。でもこれいつスタートなのかな? あのおじさんが半額シール貼ったら?)
千早「……私は、豆腐ハンバーグ弁当を狙うわ。春香は」
春香「え、えっ? じゃあ……おろし竜田揚げで」
千早「わかった……気をつけて」
春香(すごい、ヒリヒリとした空気が伝わってくる……!)
春香(これだったんだ……スーパーに入った時の寒気……!)
千早「……」グッ
春香(千早ちゃんの顔……歌を歌う前ぐらい真剣だ)
春香「ダッシュで……とれば、いいんだよね?」
春香「すぅ……はぁ。よっし……」グッ
春香(私も……お腹は減ってるもん。ダンスもしてるから運動だって)
春香(……あ。でもこれいつスタートなのかな? あのおじさんが半額シール貼ったら?)
27: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/06/14(木) 17:47:14.98 ID:QpdAQDVL0
※※※※
千早「……」
―――まだ、おじさんはお弁当の整列をしてる。半額シールは出していない
千早ちゃんにいつスタートか聞こうと思ったけれど、その横顔があまりにも真剣で声をかけられない
千早「……っ」
春香「あっ……」
おじさんが腰のポシェットから半額と書かれたシールを取り出した時、千早ちゃんが息をのんだのがわかる
普段はただのシールとしか思えないはずのそれが、今はやたらと神々しいものに見えた
この空気のせいだろうか、さっきの説明のせいだろうか
出遅れたらご飯が食べられない……いや、普通にどんべえなんかを食べればいいのかもしれないけれど
その緊張感で、肌がヒリつく
千早「……」
千早ちゃんは、まだ動かない
いつスタートなのか私なりに推測をはじめてみる
千早「……」
―――まだ、おじさんはお弁当の整列をしてる。半額シールは出していない
千早ちゃんにいつスタートか聞こうと思ったけれど、その横顔があまりにも真剣で声をかけられない
千早「……っ」
春香「あっ……」
おじさんが腰のポシェットから半額と書かれたシールを取り出した時、千早ちゃんが息をのんだのがわかる
普段はただのシールとしか思えないはずのそれが、今はやたらと神々しいものに見えた
この空気のせいだろうか、さっきの説明のせいだろうか
出遅れたらご飯が食べられない……いや、普通にどんべえなんかを食べればいいのかもしれないけれど
その緊張感で、肌がヒリつく
千早「……」
千早ちゃんは、まだ動かない
いつスタートなのか私なりに推測をはじめてみる
29: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/06/14(木) 17:57:05.39 ID:QpdAQDVL0
春香「……貼った瞬間、じゃないんだ」
既に豆腐ハンバーグ弁当には半額シールが貼られているけど、千早ちゃんは動かない
たぶんそれは、フェアじゃないからだ。誇りをもてっていうのはそういうことなんだろう
なら、あのおじさんがシールを貼りきったら?
たぶんそれも違う。あのおじさんの邪魔になってしまうから
春香「……それなら」
離れた瞬間も、まだ危ない
それなら、動くタイミングは……
おじさんが、すべてのお弁当にシールを貼り終えた
満足げに背を向ける。まだ千早ちゃんは動かない
春香「……」
おじさんが、出てきたところであろうドアのほうへと歩いていく
こちらを振り返り、大きくお辞儀をするとドアを開け―――
その向こうへ、消えた
既に豆腐ハンバーグ弁当には半額シールが貼られているけど、千早ちゃんは動かない
たぶんそれは、フェアじゃないからだ。誇りをもてっていうのはそういうことなんだろう
なら、あのおじさんがシールを貼りきったら?
たぶんそれも違う。あのおじさんの邪魔になってしまうから
春香「……それなら」
離れた瞬間も、まだ危ない
それなら、動くタイミングは……
おじさんが、すべてのお弁当にシールを貼り終えた
満足げに背を向ける。まだ千早ちゃんは動かない
春香「……」
おじさんが、出てきたところであろうドアのほうへと歩いていく
こちらを振り返り、大きくお辞儀をするとドアを開け―――
その向こうへ、消えた
32: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/06/14(木) 18:02:52.37 ID:QpdAQDVL0
その瞬間、いくつもの轟音が響く
地面を蹴った音だというのは想像がついた
私も走り出したけれど、弁当コーナーへ辿り着くころにはたくさんの人が群がっていた
春香「……っくぅ!」
みんな、速い
こんなにたくさんの人が息をひそめていたなんて
もうお弁当は取られちゃったかな?
諦めて背を向けようとした時
坊主「ぐおぉっ!?」
さっきの坊主頭の男の人が私の横を吹っ飛んでいった
春香「え?」
地面を蹴った音だというのは想像がついた
私も走り出したけれど、弁当コーナーへ辿り着くころにはたくさんの人が群がっていた
春香「……っくぅ!」
みんな、速い
こんなにたくさんの人が息をひそめていたなんて
もうお弁当は取られちゃったかな?
諦めて背を向けようとした時
坊主「ぐおぉっ!?」
さっきの坊主頭の男の人が私の横を吹っ飛んでいった
春香「え?」
35: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/06/14(木) 18:10:39.42 ID:QpdAQDVL0
男の人が吹っ飛ぶなんて異常事態だ
ひょっとして誰か危ない人でも混ざってたんじゃ!?
春香「あっ、千早ちゃん!」
そう、私より早く速く駆けだした千早ちゃんが危ない!
ケガでもしてたら……いや、それより警察に連絡とかしたほうがいいのかな!?
心配になって携帯を取り出した時、また一人吹っ飛んだ
よく見れば、その人がいた場所に立っているのは……
春香「千早……ちゃん?」
コンサートの時ですら、ここまで激しいダンスはしないのに
華麗に舞うように人を蹴り飛ばした千早ちゃんが、そこいる
よくよく見れば、千早ちゃん以外の人達も殴りあったり蹴りあったりしているのもわかった
女の人も、男の人もいる。異常な空気があたりを包んでいる
春香「ど……どういうこと?」
ひょっとして誰か危ない人でも混ざってたんじゃ!?
春香「あっ、千早ちゃん!」
そう、私より早く速く駆けだした千早ちゃんが危ない!
ケガでもしてたら……いや、それより警察に連絡とかしたほうがいいのかな!?
心配になって携帯を取り出した時、また一人吹っ飛んだ
よく見れば、その人がいた場所に立っているのは……
春香「千早……ちゃん?」
コンサートの時ですら、ここまで激しいダンスはしないのに
華麗に舞うように人を蹴り飛ばした千早ちゃんが、そこいる
よくよく見れば、千早ちゃん以外の人達も殴りあったり蹴りあったりしているのもわかった
女の人も、男の人もいる。異常な空気があたりを包んでいる
春香「ど……どういうこと?」
39: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/06/14(木) 18:22:37.75 ID:QpdAQDVL0
これは、どういうことなんだろう?
警察に連絡しようとした手を止めて観察してみる
……なるほど、これは弁当の取り合いに間違いないみたいだ
半額弁当を取る、って話を聞いててっきりスピード勝負なんだと思ってたけれど……
これはもっと物理的な奪い合いなんだ
弁当に手を伸ばす人がいれば、別の人がそれを払って自分のものにしようとする
それをまた邪魔する人が現れて……弁当に遠い人や、弾かれた人へ追い打ちの類はかけられていない
その争いの中、長い茶髪の女の人が一瞬の隙をついて焼きそば弁当を手にとった
今にも殴りかかろうとしていた人たちも別の方へと向きを変えその人の道を開ける
悠然とこちらに向かって歩いてくる茶髪の人は私に向かってそっとささやくとそのままレジへと向かった
茶髪「……新人さん? あなたの友達はがんばっているみたいだけどいかなくていいの?」
春香「……えっ? あっ」
そうか、なにか違和感があると思ったら……千早ちゃんはお弁当に手を伸ばしてない!
誰かが伸ばす手を弾くことに集中しているんだ
警察に連絡しようとした手を止めて観察してみる
……なるほど、これは弁当の取り合いに間違いないみたいだ
半額弁当を取る、って話を聞いててっきりスピード勝負なんだと思ってたけれど……
これはもっと物理的な奪い合いなんだ
弁当に手を伸ばす人がいれば、別の人がそれを払って自分のものにしようとする
それをまた邪魔する人が現れて……弁当に遠い人や、弾かれた人へ追い打ちの類はかけられていない
その争いの中、長い茶髪の女の人が一瞬の隙をついて焼きそば弁当を手にとった
今にも殴りかかろうとしていた人たちも別の方へと向きを変えその人の道を開ける
悠然とこちらに向かって歩いてくる茶髪の人は私に向かってそっとささやくとそのままレジへと向かった
茶髪「……新人さん? あなたの友達はがんばっているみたいだけどいかなくていいの?」
春香「……えっ? あっ」
そうか、なにか違和感があると思ったら……千早ちゃんはお弁当に手を伸ばしてない!
誰かが伸ばす手を弾くことに集中しているんだ
47: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/06/14(木) 18:26:26.76 ID:VfTQPLeI0
春香さんもう一人の自分との会合
53: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/06/14(木) 18:45:20.54 ID:QpdAQDVL0
千早ちゃんは弁当へと背を完全に向けてしまっている
これじゃ、とれるはずもない! 私のために……?
次々と弁当に伸びる手を弾いていくけれど、やっぱり厳しいみたいで少しずつおされているのがわかる
さっきまであった焼きそば弁当が無くなって人が集中してきてるんだ
そのうえで私が欲しいっていった竜田揚げ弁当と自分の食べる豆腐ハンバーグ弁当を守るだなんて
千早「くっ!」
春香「……いかなきゃ!」
いつまでもぼーっとみていられない!
いまさらながらあわてて人ごみに突っ込む
後ろからいくぶんには、抵抗は少ないみたいだ
だけどだんだんと周りの圧力が強くなってきているのもわかる
だけど、まだ進める! 千早ちゃんががんばってくれてるんだから私だって
私だって、お弁当が食べたい!
これじゃ、とれるはずもない! 私のために……?
次々と弁当に伸びる手を弾いていくけれど、やっぱり厳しいみたいで少しずつおされているのがわかる
さっきまであった焼きそば弁当が無くなって人が集中してきてるんだ
そのうえで私が欲しいっていった竜田揚げ弁当と自分の食べる豆腐ハンバーグ弁当を守るだなんて
千早「くっ!」
春香「……いかなきゃ!」
いつまでもぼーっとみていられない!
いまさらながらあわてて人ごみに突っ込む
後ろからいくぶんには、抵抗は少ないみたいだ
だけどだんだんと周りの圧力が強くなってきているのもわかる
だけど、まだ進める! 千早ちゃんががんばってくれてるんだから私だって
私だって、お弁当が食べたい!
54: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/06/14(木) 18:52:14.01 ID:QpdAQDVL0
どうにか弁当の見える位置までたどりついた
ギリギリで持ちこたえている千早ちゃんと目があう
千早「春香……!」
春香「千早ちゃん、ごめん! ありがとう!」
遅れてしまったことへの謝罪と、守ってくれていたことへのお礼
それを簡単に伝えると、千早ちゃんは少しだけほほ笑んでくれた
前へ前へと進んできた道はもう既にうまってしまっている
あと数歩、それでお弁当に手が届く!
春香「んーっ!」
そのままの勢いで竜田揚げ弁当へと手を伸ばす……あと、ちょっと
ビニールに指が触れそうになる、あと、ちょっとだけ
その時、お腹に強い衝撃を受けて届きかけたお弁当からひきはがされてしまった
ギリギリで持ちこたえている千早ちゃんと目があう
千早「春香……!」
春香「千早ちゃん、ごめん! ありがとう!」
遅れてしまったことへの謝罪と、守ってくれていたことへのお礼
それを簡単に伝えると、千早ちゃんは少しだけほほ笑んでくれた
前へ前へと進んできた道はもう既にうまってしまっている
あと数歩、それでお弁当に手が届く!
春香「んーっ!」
そのままの勢いで竜田揚げ弁当へと手を伸ばす……あと、ちょっと
ビニールに指が触れそうになる、あと、ちょっとだけ
その時、お腹に強い衝撃を受けて届きかけたお弁当からひきはがされてしまった
56: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/06/14(木) 18:59:31.48 ID:QpdAQDVL0
春香「うぐっ……!?」
坊主「すまねぇな、嬢ちゃん……同じ弁当を狙う以上遠慮は無しだ」
どうにか体制を整えてそちらを睨む
最初に吹っ飛んだ坊主の人だ
本当に遠慮なく叩いてくれたみたいでズキズキする
春香「……私、お腹が減ってます」
坊主「奇遇だな、俺もだよ」
坊主の人はニヤリと、不敵に笑った
男だからとか、女だからとかじゃない……この人は強い!
春香「……遠慮しませんよ」
坊主「お互い様だろ」
少し体勢を低くする
さっきまで騒がしかった周りは、ほとんどの人が立ち上がれない状態みたいだ
この人を倒せれば、お弁当が食べられる……!
坊主「すまねぇな、嬢ちゃん……同じ弁当を狙う以上遠慮は無しだ」
どうにか体制を整えてそちらを睨む
最初に吹っ飛んだ坊主の人だ
本当に遠慮なく叩いてくれたみたいでズキズキする
春香「……私、お腹が減ってます」
坊主「奇遇だな、俺もだよ」
坊主の人はニヤリと、不敵に笑った
男だからとか、女だからとかじゃない……この人は強い!
春香「……遠慮しませんよ」
坊主「お互い様だろ」
少し体勢を低くする
さっきまで騒がしかった周りは、ほとんどの人が立ち上がれない状態みたいだ
この人を倒せれば、お弁当が食べられる……!
59: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/06/14(木) 19:06:43.02 ID:QpdAQDVL0
ちらりと目をやると、千早ちゃんは豆腐ハンバーグ弁当をとったようだ
ここから先は、私とこの人の戦いってことなんだろう
人の手を借りて、とるんじゃなく……自らの手で、勝ち取る!
春香「あぁっ!」
坊主「おぉぉっ!」
気合を込めた私のパンチが、坊主の人の拳をはじいた
自分でもどこからこの力が沸いてくるのかわからない
でも―――楽しい!
春香「まだまだぁ!」
坊主「うおおおぉぉ!」
パンチの応酬が続くけど、ちょっとずつ私の方がおしてるみたいだ
あと少し……あと少しで……
その時だった
ここから先は、私とこの人の戦いってことなんだろう
人の手を借りて、とるんじゃなく……自らの手で、勝ち取る!
春香「あぁっ!」
坊主「おぉぉっ!」
気合を込めた私のパンチが、坊主の人の拳をはじいた
自分でもどこからこの力が沸いてくるのかわからない
でも―――楽しい!
春香「まだまだぁ!」
坊主「うおおおぉぉ!」
パンチの応酬が続くけど、ちょっとずつ私の方がおしてるみたいだ
あと少し……あと少しで……
その時だった
60: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/06/14(木) 19:10:17.21 ID:QpdAQDVL0
顎鬚「あの……正直すまんかった」
声をかけられて、振り向く
春香「え?」
坊主「あ?」
そこには、顎鬚の男の人がたっていた
―――手に、竜田揚げ弁当を持った状態で
春香「あ……」
坊主「……おい」
坊主の人が、怒気をはらんだ声ですごんだ
顎鬚「いやな、だってお前らだんだん弁当コーナーから外れるんだもんよ……つい」
坊主「ついじゃねぇ! 勝利の一味はどうした!」
春香「……はは」
声をかけられて、振り向く
春香「え?」
坊主「あ?」
そこには、顎鬚の男の人がたっていた
―――手に、竜田揚げ弁当を持った状態で
春香「あ……」
坊主「……おい」
坊主の人が、怒気をはらんだ声ですごんだ
顎鬚「いやな、だってお前らだんだん弁当コーナーから外れるんだもんよ……つい」
坊主「ついじゃねぇ! 勝利の一味はどうした!」
春香「……はは」
61: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/06/14(木) 19:17:09.19 ID:QpdAQDVL0
そんなわけで、私の初めての弁当争奪戦は敗北に終わる
ショックで食欲が……なくなるかと思ったけれど身体は正直だ
春香「……お腹すいたぁ」
坊主「あー、今日は災難だったな……まぁ惣菜を選べるだけマシだと思おうぜ」
さっきまで殴りあっていた坊主の男の人と、軽い会話をする
なんだか不思議な気分だ。すがすがしさすら感じてしまう
春香「もー、卑怯ですね顎鬚さん!」
顎鬚「うっ……腹が減ってて……」
坊主「まったく、だらしねぇな?」
顎鬚「だがなぁ、周りの確認を怠ったのはお前だろ? そっちのお嬢ちゃんはともかく……」
坊主「それはそうだけどよ」
冗談も言えるぐらいだ。すごい……半額弁当って、すごい!
……そんなことを思いながら、お惣菜でおにぎりとナスのてんぷらを
さらにカップ麺コーナーでどんべえを買った
ショックで食欲が……なくなるかと思ったけれど身体は正直だ
春香「……お腹すいたぁ」
坊主「あー、今日は災難だったな……まぁ惣菜を選べるだけマシだと思おうぜ」
さっきまで殴りあっていた坊主の男の人と、軽い会話をする
なんだか不思議な気分だ。すがすがしさすら感じてしまう
春香「もー、卑怯ですね顎鬚さん!」
顎鬚「うっ……腹が減ってて……」
坊主「まったく、だらしねぇな?」
顎鬚「だがなぁ、周りの確認を怠ったのはお前だろ? そっちのお嬢ちゃんはともかく……」
坊主「それはそうだけどよ」
冗談も言えるぐらいだ。すごい……半額弁当って、すごい!
……そんなことを思いながら、お惣菜でおにぎりとナスのてんぷらを
さらにカップ麺コーナーでどんべえを買った
64: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/06/14(木) 19:26:09.96 ID:QpdAQDVL0
千早「……残念だったわね、春香」
春香「千早ちゃん……」
レジの向こう側で、千早ちゃんは待っていてくれた
どうやら何があったかはわかるらしい
千早「初めからうまくいくことなんてないわ……すごかった」
春香「うん……私、おちこんでるんじゃないよ?」
千早「え?」
千早ちゃんは私がへこんでいるんだと思って励ましてくれたけれど落ち込んでなんかいない
次回への燃えあがる思いが、胸の中にあるだけだ
春香「……すごいんだね、半額弁当って」
千早「……えぇ」
私は認識を改めた
半額弁当は、少なくともくだらないものじゃないって
きっと、次回こそ私は勝って、買ってみせると
そう決意した時、千早ちゃんのお弁当を温めていたレンジが高い音を鳴らして温め完了を知らせた
春香「千早ちゃん……」
レジの向こう側で、千早ちゃんは待っていてくれた
どうやら何があったかはわかるらしい
千早「初めからうまくいくことなんてないわ……すごかった」
春香「うん……私、おちこんでるんじゃないよ?」
千早「え?」
千早ちゃんは私がへこんでいるんだと思って励ましてくれたけれど落ち込んでなんかいない
次回への燃えあがる思いが、胸の中にあるだけだ
春香「……すごいんだね、半額弁当って」
千早「……えぇ」
私は認識を改めた
半額弁当は、少なくともくだらないものじゃないって
きっと、次回こそ私は勝って、買ってみせると
そう決意した時、千早ちゃんのお弁当を温めていたレンジが高い音を鳴らして温め完了を知らせた
68: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/06/14(木) 19:35:39.75 ID:QpdAQDVL0
千早「……春香、そこのベンチで食べましょうか」
春香「うん」
外のスペースに腰かけて空を見上げる
満天の星……なんてものは見えないけれど、なんだか輝いている気がした
千早「春香は……いいセンスをしてると思う。初めてなのに腹の虫の加護まで受けてた」
春香「腹の虫……?」
千早「えぇ、腹の虫」
聞き覚えのない単語について質問してみたけれど、オウム返しにまた戻されてしまった
私の聞き方が悪かったのかと思って、もう一度聞こうと思った時、さっきの坊主の人がそばに来た
坊主「……よう、いいか?」
千早「春香がいいのなら」
春香「あ……どうぞ?」
坊主「ありがとよ」
春香「うん」
外のスペースに腰かけて空を見上げる
満天の星……なんてものは見えないけれど、なんだか輝いている気がした
千早「春香は……いいセンスをしてると思う。初めてなのに腹の虫の加護まで受けてた」
春香「腹の虫……?」
千早「えぇ、腹の虫」
聞き覚えのない単語について質問してみたけれど、オウム返しにまた戻されてしまった
私の聞き方が悪かったのかと思って、もう一度聞こうと思った時、さっきの坊主の人がそばに来た
坊主「……よう、いいか?」
千早「春香がいいのなら」
春香「あ……どうぞ?」
坊主「ありがとよ」
70: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/06/14(木) 19:46:14.53 ID:QpdAQDVL0
坊主さんはそのまま私の隣に腰をおろして話を始める
坊主「流石は≪チョッピング・ボード≫の知り合いってところか」
千早「いいえ、これは私がどうこういったからじゃないわ……来たの自体偶然だったのだし」
坊主「……だから最初あんなに不審な行動を? 豚かと思ったぜ」
春香「ぶ……ぶたって、ひどくないですか?」
私だって乙女だ
ブタ呼ばわりされていい気分にはならない
抗議しようと思った時、千早ちゃんに静かに止められた
千早「春香……最初に言ったことは覚えてる?」
春香「最初って……えーっと」
千早「知らなかったのよね……なにも」
あぁ、最初ってあの急に手をひかれた件のことか
私は納得して、肯定の意味を込めてうなづいた
坊主「流石は≪チョッピング・ボード≫の知り合いってところか」
千早「いいえ、これは私がどうこういったからじゃないわ……来たの自体偶然だったのだし」
坊主「……だから最初あんなに不審な行動を? 豚かと思ったぜ」
春香「ぶ……ぶたって、ひどくないですか?」
私だって乙女だ
ブタ呼ばわりされていい気分にはならない
抗議しようと思った時、千早ちゃんに静かに止められた
千早「春香……最初に言ったことは覚えてる?」
春香「最初って……えーっと」
千早「知らなかったのよね……なにも」
あぁ、最初ってあの急に手をひかれた件のことか
私は納得して、肯定の意味を込めてうなづいた
72: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/06/14(木) 19:53:53.94 ID:QpdAQDVL0
春香「う……うん。何か意味があるの? それに、さっきから千早ちゃんが呼ばれてるちょっぴんぐぼーどって?」
千早「……話してもいいんだけれど。それよりも」
坊主「腹減ったんじゃなかったのか? 伸びるぞ、どんべえ」
春香「あっ!?」
まずい、すっかり忘れかけてた
千早ちゃんが温め終わってからだから……若干伸びてる?
不安に思いつつもぺりぺりとどんべえの蓋をはがすと、おいしそうな出汁の香りと湯気がたちのぼってくる
さすがどんべえだ。多少長くおいておいてしまった程度では風味もつゆも失われていない
春香「だいじょうぶそう……かな?」
千早「そう……よかった。私も食べようかしら」
そういって千早ちゃんがお弁当のふたをあける
温められふたの裏に溜まっていた水分が塊となってふたの裏を伝って千早ちゃんの服にしたたった
普段ではなんでもないその程度のことが、やたら艶やかにみえる
これも、お腹が減っているからなんだろうか?
千早「……話してもいいんだけれど。それよりも」
坊主「腹減ったんじゃなかったのか? 伸びるぞ、どんべえ」
春香「あっ!?」
まずい、すっかり忘れかけてた
千早ちゃんが温め終わってからだから……若干伸びてる?
不安に思いつつもぺりぺりとどんべえの蓋をはがすと、おいしそうな出汁の香りと湯気がたちのぼってくる
さすがどんべえだ。多少長くおいておいてしまった程度では風味もつゆも失われていない
春香「だいじょうぶそう……かな?」
千早「そう……よかった。私も食べようかしら」
そういって千早ちゃんがお弁当のふたをあける
温められふたの裏に溜まっていた水分が塊となってふたの裏を伝って千早ちゃんの服にしたたった
普段ではなんでもないその程度のことが、やたら艶やかにみえる
これも、お腹が減っているからなんだろうか?
73: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/06/14(木) 20:00:23.45 ID:QpdAQDVL0
千早「……? 春香?」
春香「あっ、ごめん! なんでもないよ?」
そう、なんでもない。ちょっとお腹が減ってるだけだ
割り箸を割って、おあげが汁を吸うように軽く押し込む
さらにそこへさっき買ったてんぷらを放り込んだ
どんべえの上に置いておいたおにぎりも、外側だけがほのかに温かい
十分に豪華……とはいえないまでも、ちゃんと晩ご飯の体はなしていた
春香「……うん、いただきます!」
千早「じゃあ私も……いただきます」
坊主「いただきます」
春香「あっ、ごめん! なんでもないよ?」
そう、なんでもない。ちょっとお腹が減ってるだけだ
割り箸を割って、おあげが汁を吸うように軽く押し込む
さらにそこへさっき買ったてんぷらを放り込んだ
どんべえの上に置いておいたおにぎりも、外側だけがほのかに温かい
十分に豪華……とはいえないまでも、ちゃんと晩ご飯の体はなしていた
春香「……うん、いただきます!」
千早「じゃあ私も……いただきます」
坊主「いただきます」
74: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/06/14(木) 20:07:09.68 ID:QpdAQDVL0
春香「んんー! やっぱりどんべえはおいしいなぁ」
ずいぶんとひさしぶりに食べた気がするけれど、どんべえのその味は変わってなかった
優しいお出汁に甘めのおあげ。つゆをたっぷり吸ったそれはかじれば期待通りの味を返してくれる
むしろ、以前に食べた時よりおいしいような気もする
これもお腹が減っているからだろうか?
―――いや、違う
春香「これも、絶え間ない研究の結果か……私ももっと頑張らなきゃ」
そう、うどんの麺のコシが増しているんだ
ちょっと長くおいてしまったのにそのコシは失われていない
これも、よりおいしいものを届けようというメーカーの人達のおかげでもたらされたんだ
よりいいパフォーマンスを届けようと努力する私達アイドルに通じるものを感じる
ずいぶんとひさしぶりに食べた気がするけれど、どんべえのその味は変わってなかった
優しいお出汁に甘めのおあげ。つゆをたっぷり吸ったそれはかじれば期待通りの味を返してくれる
むしろ、以前に食べた時よりおいしいような気もする
これもお腹が減っているからだろうか?
―――いや、違う
春香「これも、絶え間ない研究の結果か……私ももっと頑張らなきゃ」
そう、うどんの麺のコシが増しているんだ
ちょっと長くおいてしまったのにそのコシは失われていない
これも、よりおいしいものを届けようというメーカーの人達のおかげでもたらされたんだ
よりいいパフォーマンスを届けようと努力する私達アイドルに通じるものを感じる
75: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/06/14(木) 20:14:50.94 ID:QpdAQDVL0
千早「春香……」
春香「どうしたの、千早ちゃん?」
千早ちゃんが若干いぶかしげな目でこちらを見ている
さては千早ちゃんはどんべえをあまり食べ慣れていないんじゃないだろうか?
それで、私の感動が伝わっていないんじゃないだろうか?
それはいけない。もったいない
千早「……いえ、なんでもないわ」
春香「遠慮しなくてもいいよ? ひとくちわけてあげましょー!」
千早「そういうことじゃ……んっ」
なにかいいかけた口へと汁に浸して柔らかさを持ちつつまだ表面のサクサク感は残した
最高の状態のちくわのてんぷらを突っ込んだ
千早ちゃんはまだ何か言いたげな表情はしていたけれど、静かに噛み切るとそのまま咀嚼しだす
うんうん、素直が一番だよね!
春香「どうしたの、千早ちゃん?」
千早ちゃんが若干いぶかしげな目でこちらを見ている
さては千早ちゃんはどんべえをあまり食べ慣れていないんじゃないだろうか?
それで、私の感動が伝わっていないんじゃないだろうか?
それはいけない。もったいない
千早「……いえ、なんでもないわ」
春香「遠慮しなくてもいいよ? ひとくちわけてあげましょー!」
千早「そういうことじゃ……んっ」
なにかいいかけた口へと汁に浸して柔らかさを持ちつつまだ表面のサクサク感は残した
最高の状態のちくわのてんぷらを突っ込んだ
千早ちゃんはまだ何か言いたげな表情はしていたけれど、静かに噛み切るとそのまま咀嚼しだす
うんうん、素直が一番だよね!
77: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/06/14(木) 20:24:01.07 ID:QpdAQDVL0
千早「……ん、確かにたまにはいいわね」
春香「でしょ?」
ある程度噛んだあと、千早ちゃんはちくわを飲み込んだ
不満げな表情も和らいだようでなによりだ
おいしいものはいいものだ。生きるってすばらしい!
……千早ちゃんのお弁当もおいしそうだなぁ
千早「……春香」
春香「あっ、なぁに千早ちゃ……んっ」
千早「おかえしよ」
春香「……んん」
私の口の中へ千早ちゃんが箸を入れた
もちろん、箸だけを突っ込むなんていういやがらせじゃなく……これは
春香「おいひい……」
春香「でしょ?」
ある程度噛んだあと、千早ちゃんはちくわを飲み込んだ
不満げな表情も和らいだようでなによりだ
おいしいものはいいものだ。生きるってすばらしい!
……千早ちゃんのお弁当もおいしそうだなぁ
千早「……春香」
春香「あっ、なぁに千早ちゃ……んっ」
千早「おかえしよ」
春香「……んん」
私の口の中へ千早ちゃんが箸を入れた
もちろん、箸だけを突っ込むなんていういやがらせじゃなく……これは
春香「おいひい……」
81: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/06/14(木) 20:30:34.11 ID:QpdAQDVL0
千早「……ふふ、気に入ったならなによりよ」
千早ちゃんがいたずらっぽく笑う
豆腐ハンバーグをひとくちサイズに切って口の中へ入れてくれたみたいだ
最初は、上にかかっているとろみをおびたあんの風味だけを感じたけれどそれだけじゃない
優しいあんの中にほのかに香るこのさわやかさは……たぶん、シソだ
それに豆腐ハンバーグというからにはもっとヘルシーさを感じるものだと思ったけれどなかなかにボリューミーでもある
お肉が混ぜ込んであるのか、それとも……
千早「春香?」
春香「へっ?」
千早「いや……何か悩んでるの?」
千早ちゃんにもらったハンバーグがおいしすぎて
というのもなんだか照れくさい気がしたので適当にごまかしてしまった
しかし、あの味……すごい。半額弁当あなどりがたし
千早ちゃんがいたずらっぽく笑う
豆腐ハンバーグをひとくちサイズに切って口の中へ入れてくれたみたいだ
最初は、上にかかっているとろみをおびたあんの風味だけを感じたけれどそれだけじゃない
優しいあんの中にほのかに香るこのさわやかさは……たぶん、シソだ
それに豆腐ハンバーグというからにはもっとヘルシーさを感じるものだと思ったけれどなかなかにボリューミーでもある
お肉が混ぜ込んであるのか、それとも……
千早「春香?」
春香「へっ?」
千早「いや……何か悩んでるの?」
千早ちゃんにもらったハンバーグがおいしすぎて
というのもなんだか照れくさい気がしたので適当にごまかしてしまった
しかし、あの味……すごい。半額弁当あなどりがたし
84: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/06/14(木) 20:38:16.27 ID:QpdAQDVL0
―――結局、ゆっくりと食べきってしまった
美味しかったのだけど、いまさらカロリーが気になってくる
千早ちゃんはすっごく細いからいいかもしれないけれど……私は
春香「……いや、セーフだよね、セーフ!」
千早「春香?」
春香「な、なんでもないよ! うん!」
そう、セーフ……のはずだ
私だってアイドルだもん、同年代の子より細いし! ちょっとぐらいならだいじょーブイ!
千早「……さっきから春香、変よ?」
春香「そ、そんなことないよー? あははー」
千早「もう……相談なら、いつでも乗るから」
春香「う……うん。大丈夫だから、本当に」
真剣なまなざしで見つめられるとちょっと弱い
千早ちゃんはクールなようで熱くなるものにはすごく打ち込むタイプだ
私のことにも、熱くなってくれる……とっても素敵な友達だ
美味しかったのだけど、いまさらカロリーが気になってくる
千早ちゃんはすっごく細いからいいかもしれないけれど……私は
春香「……いや、セーフだよね、セーフ!」
千早「春香?」
春香「な、なんでもないよ! うん!」
そう、セーフ……のはずだ
私だってアイドルだもん、同年代の子より細いし! ちょっとぐらいならだいじょーブイ!
千早「……さっきから春香、変よ?」
春香「そ、そんなことないよー? あははー」
千早「もう……相談なら、いつでも乗るから」
春香「う……うん。大丈夫だから、本当に」
真剣なまなざしで見つめられるとちょっと弱い
千早ちゃんはクールなようで熱くなるものにはすごく打ち込むタイプだ
私のことにも、熱くなってくれる……とっても素敵な友達だ
86: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/06/14(木) 20:44:12.64 ID:QpdAQDVL0
千早「そう……」
春香「ご、ごめんね?」
悲しそうにうつむいてしまう千早ちゃん
なんだか罪悪感すらわいてくる
すっごくくだらないことで悩んでただけなんだけど……
だからっていまさら『お腹周りのぽっこりが気になる!』とか言いだせる空気じゃないし
私が元気もらってる側なんだから……なにか、なにか手はないかな
そこで最高の手に気がつく
そう、私には手があるのだ……千早ちゃんの頭を撫でてあげれば元気が出るはず!
春香「……千早ちゃん」
そっと手を伸ばし――――
坊主「ゴホン! エーッホン! ゲフンゲフン!」
春香「あっ」
逆側に座っている人のことをすっかり忘れていたことに気がついた
春香「ご、ごめんね?」
悲しそうにうつむいてしまう千早ちゃん
なんだか罪悪感すらわいてくる
すっごくくだらないことで悩んでただけなんだけど……
だからっていまさら『お腹周りのぽっこりが気になる!』とか言いだせる空気じゃないし
私が元気もらってる側なんだから……なにか、なにか手はないかな
そこで最高の手に気がつく
そう、私には手があるのだ……千早ちゃんの頭を撫でてあげれば元気が出るはず!
春香「……千早ちゃん」
そっと手を伸ばし――――
坊主「ゴホン! エーッホン! ゲフンゲフン!」
春香「あっ」
逆側に座っている人のことをすっかり忘れていたことに気がついた
87: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/06/14(木) 20:49:46.81 ID:QpdAQDVL0
※※※
坊主「いやな、俺はいいと思うんだ。でも流石に見せつけられるのはちょっとなぁ」
春香「そ、そういうんじゃないですから! ねぇ千早ちゃん!」
千早「そういうのって……どんなのかしら」
春香「千早ちゃん……」
坊主「……自覚無しか。すごいな」
千早「……?」
春香「ううん、なんでもないよ……なんでもない」
千早「そう、それよりさっきの話の続きなんだけれど」
春香「あっ……そうだったね。ブタとか、その……ちょっぱーもーど? とかってなんなの?」
坊主「順に説明してやるよ。補足はまかせとけ……って、俺はいてもいいのか?」ボソッ
春香「あ、全然お気になさらず……」ボソボソ
坊主「いや……まぁいいならいいんだけどよ」ボソボソ
千早「……?」
坊主「いやな、俺はいいと思うんだ。でも流石に見せつけられるのはちょっとなぁ」
春香「そ、そういうんじゃないですから! ねぇ千早ちゃん!」
千早「そういうのって……どんなのかしら」
春香「千早ちゃん……」
坊主「……自覚無しか。すごいな」
千早「……?」
春香「ううん、なんでもないよ……なんでもない」
千早「そう、それよりさっきの話の続きなんだけれど」
春香「あっ……そうだったね。ブタとか、その……ちょっぱーもーど? とかってなんなの?」
坊主「順に説明してやるよ。補足はまかせとけ……って、俺はいてもいいのか?」ボソッ
春香「あ、全然お気になさらず……」ボソボソ
坊主「いや……まぁいいならいいんだけどよ」ボソボソ
千早「……?」
95: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/06/14(木) 21:22:43.53 ID:QpdAQDVL0
千早「話をしてもいいのかしら」
春香「あっ、お願いします! 先生!」
千早「誰が先生よ……もう」
春香「じゃあ、最初の質問……ブタってなんですか?」
千早「豚は……浅ましい生き物よ。誇りも、なにもないただ食うだけの生き物」
春香「う、うん……?」
坊主「あー、補足だ」
春香「はい」
坊主「簡単にいえば……無知であること以上に恥知らずである生き物のこと、だな」
春香「えーっと……」
坊主「たとえば、3割引きのシールの貼ってある弁当を確保したままうろついて半額シールを貼るように半額神に頼んだり」
春香「は、半額神?」
坊主「ん? あぁ……半額シールを、俺たちに恵んでくれる彼らのことを俺たちは感謝をこめてそう呼んでるんだ」
春香「なるほど……」
春香「あっ、お願いします! 先生!」
千早「誰が先生よ……もう」
春香「じゃあ、最初の質問……ブタってなんですか?」
千早「豚は……浅ましい生き物よ。誇りも、なにもないただ食うだけの生き物」
春香「う、うん……?」
坊主「あー、補足だ」
春香「はい」
坊主「簡単にいえば……無知であること以上に恥知らずである生き物のこと、だな」
春香「えーっと……」
坊主「たとえば、3割引きのシールの貼ってある弁当を確保したままうろついて半額シールを貼るように半額神に頼んだり」
春香「は、半額神?」
坊主「ん? あぁ……半額シールを、俺たちに恵んでくれる彼らのことを俺たちは感謝をこめてそう呼んでるんだ」
春香「なるほど……」
98: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/06/14(木) 21:28:21.88 ID:QpdAQDVL0
千早「……」ムスッ
春香「あ、千早ちゃんごめんね? それで」
千早「……あのままだと春香が豚として扱われかねなかったから」
春香「あー……あの辺でうろうろしてるのも邪魔だから?」
千早「一度手に取ったものを戻すのもマナー違反ね」
春香「……やってたかもしれない。もししてたら?」
坊主「狼たちは豚を許さない。それこそ徹底的な排除をされる」
春香「排除って……」
千早「だから言ったの……骨ぐらい折られてたかもって」
春香「……」ブルッ
坊主「まぁ、基本的に誇りをもった狼同士はフェアな存在さ……たとえそれがアイドルでもな?」
春香「えっ!?」
春香「あ、千早ちゃんごめんね? それで」
千早「……あのままだと春香が豚として扱われかねなかったから」
春香「あー……あの辺でうろうろしてるのも邪魔だから?」
千早「一度手に取ったものを戻すのもマナー違反ね」
春香「……やってたかもしれない。もししてたら?」
坊主「狼たちは豚を許さない。それこそ徹底的な排除をされる」
春香「排除って……」
千早「だから言ったの……骨ぐらい折られてたかもって」
春香「……」ブルッ
坊主「まぁ、基本的に誇りをもった狼同士はフェアな存在さ……たとえそれがアイドルでもな?」
春香「えっ!?」
101: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/06/14(木) 21:35:14.83 ID:QpdAQDVL0
坊主「知ってるぜ? 天海春香も如月千早も大好きだ。ファンと名乗ってもいい」
春香「ちょ、ちょっと待ってください! その、ケガとか暴行とかそういうのは……」
千早「大丈夫よ、春香……此処では普段の名前なんて関係ないの」
春香「えっ、えぇっ?」
坊主「そう。俺が知ってるのは新入りのお嬢ちゃんと≪チョッピング・ボード≫だけさ」
春香「あっ……またそれ! なんなんですか? それ」
千早「……私の、二つ名よ」
春香「二つ名?」
坊主「……あぁ、強い狼にのみその振る舞いや姿からつけられる此処での名前だ」
春香「へぇ……かっこいいよ、千早ちゃん!」
千早「ありがとう……」
春香「?」
春香「ちょ、ちょっと待ってください! その、ケガとか暴行とかそういうのは……」
千早「大丈夫よ、春香……此処では普段の名前なんて関係ないの」
春香「えっ、えぇっ?」
坊主「そう。俺が知ってるのは新入りのお嬢ちゃんと≪チョッピング・ボード≫だけさ」
春香「あっ……またそれ! なんなんですか? それ」
千早「……私の、二つ名よ」
春香「二つ名?」
坊主「……あぁ、強い狼にのみその振る舞いや姿からつけられる此処での名前だ」
春香「へぇ……かっこいいよ、千早ちゃん!」
千早「ありがとう……」
春香「?」
102: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/06/14(木) 21:42:03.42 ID:QpdAQDVL0
春香「それで、なんで千早ちゃんはそんな名前がついてるの?」
千早「……いろいろあったのよ、いろいろ」
春香「いろいろって……だってすごい人にしかつかないんでしょ? 千早ちゃんはすごいってことだよね?」
坊主「あー……話してもいいのか?」
千早「……好きにしていいわ」
坊主「そうか……じゃあ、話させてもらうかな」
春香「はい!」
坊主「昔、このスーパーに来たてのころは≪チョッピング・ボード≫も決して強くはなかったんだ」
春香「千早ちゃんが……?」
坊主「誰だって初心者のころはあるもんさ。あんたみたいに最初から戦えるのは珍しい」
千早「……いろいろあったのよ、いろいろ」
春香「いろいろって……だってすごい人にしかつかないんでしょ? 千早ちゃんはすごいってことだよね?」
坊主「あー……話してもいいのか?」
千早「……好きにしていいわ」
坊主「そうか……じゃあ、話させてもらうかな」
春香「はい!」
坊主「昔、このスーパーに来たてのころは≪チョッピング・ボード≫も決して強くはなかったんだ」
春香「千早ちゃんが……?」
坊主「誰だって初心者のころはあるもんさ。あんたみたいに最初から戦えるのは珍しい」
104: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/06/14(木) 21:48:11.27 ID:QpdAQDVL0
春香「えへへ……それほどでも」
千早「調子に乗ると痛い目を見ることになるから……気を付けたほうがいいわ」
春香「う、うん……それで? 坊主さん、話の続きをお願いします」
坊主「まぁ、そんなある日……流れの二つ名持ちがこのスーパーに現れた」
春香「流れの……?」
坊主「通常、二つ名持ちはどこか1つか2つぐらいのスーパーを拠点にするものなんだ」
春香「なるほど……でも流れのって?」
坊主「理由は様々だけどな。強すぎるだとか、誰かを探しているだとか……だが」
春香「……?」
坊主「そいつは、≪名斬り包丁≫はもう少しゲスなやつだったんだよ」
千早「調子に乗ると痛い目を見ることになるから……気を付けたほうがいいわ」
春香「う、うん……それで? 坊主さん、話の続きをお願いします」
坊主「まぁ、そんなある日……流れの二つ名持ちがこのスーパーに現れた」
春香「流れの……?」
坊主「通常、二つ名持ちはどこか1つか2つぐらいのスーパーを拠点にするものなんだ」
春香「なるほど……でも流れのって?」
坊主「理由は様々だけどな。強すぎるだとか、誰かを探しているだとか……だが」
春香「……?」
坊主「そいつは、≪名斬り包丁≫はもう少しゲスなやつだったんだよ」
105: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/06/14(木) 21:53:58.19 ID:QpdAQDVL0
春香「なきりほうちょう……?」
坊主「まぁ、二つ名持ちのいないスーパーに現れてはその場にいる全員を倒してから弁当をかっさらう奴だったんだ」
春香「えぇっ、なんでですか?」
坊主「二つ名がつきそうな実力者を育ち切る前に斬りにくるから≪名斬り包丁≫ってことさ。名無しには強かった」
春香「それじゃあ……」
坊主「俺たちもやられてな……まだまだ青かったそいつと、一騎打ちになった」
春香「それで、倒したんですか!?」
坊主「……最初は一方的だったよ、なぶられるぐらいの勢いでな」
春香「……」
坊主「だが、ある瞬間からその包丁の刃は通らなくなった」
春香「……?」
坊主「すべての攻撃を受け、そしていなすその姿は……まさに二つ名持ちにふさわしかったんだ」
坊主「まぁ、二つ名持ちのいないスーパーに現れてはその場にいる全員を倒してから弁当をかっさらう奴だったんだ」
春香「えぇっ、なんでですか?」
坊主「二つ名がつきそうな実力者を育ち切る前に斬りにくるから≪名斬り包丁≫ってことさ。名無しには強かった」
春香「それじゃあ……」
坊主「俺たちもやられてな……まだまだ青かったそいつと、一騎打ちになった」
春香「それで、倒したんですか!?」
坊主「……最初は一方的だったよ、なぶられるぐらいの勢いでな」
春香「……」
坊主「だが、ある瞬間からその包丁の刃は通らなくなった」
春香「……?」
坊主「すべての攻撃を受け、そしていなすその姿は……まさに二つ名持ちにふさわしかったんだ」
106: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/06/14(木) 21:55:37.72 ID:QpdAQDVL0
春香「千早ちゃん……すごいよ!?」
千早「……くっ」
坊主「まぁ、その瞬間っていうのはおいといて……包丁の刃が通らない。受け止めるその姿」
春香「ふむふむ」
坊主「まさにまな板……≪チョッピング・ボード≫だって名付けられたわけさ」
春香「えっ」
坊主「ん?」
千早「くっ」ギリッ
千早「……くっ」
坊主「まぁ、その瞬間っていうのはおいといて……包丁の刃が通らない。受け止めるその姿」
春香「ふむふむ」
坊主「まさにまな板……≪チョッピング・ボード≫だって名付けられたわけさ」
春香「えっ」
坊主「ん?」
千早「くっ」ギリッ
107: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/06/14(木) 21:58:46.04 ID:cXQuORQW0
ワロタ
108: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/06/14(木) 21:59:54.44 ID:CYt13ldl0
千早いじめかわいそうもっとやれ
109: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/06/14(木) 22:00:07.61 ID:QpdAQDVL0
春香「えっ……えぇ?」
坊主「ん? どうした」
春香「えーっと……≪チョッピング・ボード≫って」
坊主「まな板のことだな」
千早「……くっ」
春香「ちょ、ちょっと悪意を感じるんですけれど!」
坊主「いや、あの見事な受けっぷりを見れば誰だって納得すると思うんだが」
春香「そ、それでも!」
千早「……いいのよ、春香」
春香「千早ちゃん……」
千早「私はこの名に誇りを持ってるわ……」ギリギリギリ
春香(千早ちゃん……すっごいこわい顔してる)
坊主「ん? どうした」
春香「えーっと……≪チョッピング・ボード≫って」
坊主「まな板のことだな」
千早「……くっ」
春香「ちょ、ちょっと悪意を感じるんですけれど!」
坊主「いや、あの見事な受けっぷりを見れば誰だって納得すると思うんだが」
春香「そ、それでも!」
千早「……いいのよ、春香」
春香「千早ちゃん……」
千早「私はこの名に誇りを持ってるわ……」ギリギリギリ
春香(千早ちゃん……すっごいこわい顔してる)
110: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/06/14(木) 22:07:07.08 ID:QpdAQDVL0
坊主「まぁ、二つ名と豚についての説明は以上だが……なにか質問は?」
春香「えーっと……うーん」
千早「あっ……春香」
春香「うん? どうしたの、千早ちゃん」
千早「時間……大丈夫なの? 結構話しこんでしまったけれど」
春香「えー、そんな……ってうわぁっ!? もう終電ギリギリかも!」
坊主「おいおいまだそこまで遅い時間じゃないんだがな」
春香「電車で2時間かかるんです! 地元のほうで止まるとお母さん呼ばないといけなくなるので……すいません!」
坊主「そうか……気を付けて帰れよ!」
千早「春香、じゃあまた明日ってことでいいかしら?」
春香「うん、明日までに質問は考えておくから! ごめんね、ありがとう!」
千早「いいえ……こちらこそ。巻き込んでごめんなさい」
春香「そんなことないって……あぁっ、ごめん! それじゃ、また明日!」
千早「うん、また明日……って春香、そんなに走ったら」
千早「……転んだわね」
春香「えーっと……うーん」
千早「あっ……春香」
春香「うん? どうしたの、千早ちゃん」
千早「時間……大丈夫なの? 結構話しこんでしまったけれど」
春香「えー、そんな……ってうわぁっ!? もう終電ギリギリかも!」
坊主「おいおいまだそこまで遅い時間じゃないんだがな」
春香「電車で2時間かかるんです! 地元のほうで止まるとお母さん呼ばないといけなくなるので……すいません!」
坊主「そうか……気を付けて帰れよ!」
千早「春香、じゃあまた明日ってことでいいかしら?」
春香「うん、明日までに質問は考えておくから! ごめんね、ありがとう!」
千早「いいえ……こちらこそ。巻き込んでごめんなさい」
春香「そんなことないって……あぁっ、ごめん! それじゃ、また明日!」
千早「うん、また明日……って春香、そんなに走ったら」
千早「……転んだわね」
112: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/06/14(木) 22:14:04.82 ID:QpdAQDVL0
春香「おはようございます!」
P「あぁ、おはよう春香」
春香「……? あれ、千早ちゃんは」
P「今日は……午後からだな。予定は被らないみたいだが」
春香「そうですか……わかりました、じゃあ今日もはりきっていきましょー!」
P「ん? あぁ、いくぞー!」
春香「おー!」
春香(んー、『腹の虫』がなんなのか聞きそびれちゃったなぁ……夜にスーパーに行けば会えるかな?)
P「あぁ、おはよう春香」
春香「……? あれ、千早ちゃんは」
P「今日は……午後からだな。予定は被らないみたいだが」
春香「そうですか……わかりました、じゃあ今日もはりきっていきましょー!」
P「ん? あぁ、いくぞー!」
春香「おー!」
春香(んー、『腹の虫』がなんなのか聞きそびれちゃったなぁ……夜にスーパーに行けば会えるかな?)
113: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/06/14(木) 22:20:02.38 ID:QpdAQDVL0
―――――
春香「……はぁ、今日もハードですねプロデューサーさん」
P「ははは……売れてきたってことさ。これ」
春香「あ、ありがとうございます……これって、ソイジョイ?」
P「うん。腹も減っただろうしそれ食べてひと頑張りしてくれ」
春香「はーい……んん、結構おいしいですね」
P「栄養も入ってるからな。元気もでるだろ」
春香「……」モグモグ
P「カロリーも控えめでありがたいことだよなー」
春香「……」モグモグ
春香「……はぁ、今日もハードですねプロデューサーさん」
P「ははは……売れてきたってことさ。これ」
春香「あ、ありがとうございます……これって、ソイジョイ?」
P「うん。腹も減っただろうしそれ食べてひと頑張りしてくれ」
春香「はーい……んん、結構おいしいですね」
P「栄養も入ってるからな。元気もでるだろ」
春香「……」モグモグ
P「カロリーも控えめでありがたいことだよなー」
春香「……」モグモグ
114: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/06/14(木) 22:24:56.20 ID:QpdAQDVL0
―――――
春香「おつかれさまでしたぁ……」
P「おつかれ、春香……大丈夫か?」
春香「大丈夫です、一息いれれば復活しますから」
P「そうか?」
春香「えぇ……ありがとうございます。それじゃあ帰りますね」
P「ん、あぁ……お疲れ様」
ガチャッ バタン
春香「……よし、昨日のスーパーへいってみよう」
春香「時間は……まだ大丈夫そうだし」
春香「おつかれさまでしたぁ……」
P「おつかれ、春香……大丈夫か?」
春香「大丈夫です、一息いれれば復活しますから」
P「そうか?」
春香「えぇ……ありがとうございます。それじゃあ帰りますね」
P「ん、あぁ……お疲れ様」
ガチャッ バタン
春香「……よし、昨日のスーパーへいってみよう」
春香「時間は……まだ大丈夫そうだし」
115: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/06/14(木) 22:33:35.66 ID:QpdAQDVL0
春香「ついた……よっし、今日こそはお弁当とるぞーっ!」
ウィーン……
春香「……!」ブルッ
春香「これ、昨日はわからなかったけど……たぶん半額弁当を取ろうとしている人の気配みたいなのかな」
春香「……えーっと、青果コーナーからおちついてまわって行こうかな?」
春香「りんごかぁ、アップルパイとか今度焼こうかな?」
春香「じゃなくて……お弁当コーナーまでいって……立ち止まるのはマナー違反だっけ?」
春香「お惣菜コーナー……あっ、あの煮つけ美味しそうだな」
春香「立ち止まっちゃだめってことは……さりげなーく確認してみればいいのかな?」
春香「……お弁当、コーナー」
春香「置いてあるお弁当は……」
ウィーン……
春香「……!」ブルッ
春香「これ、昨日はわからなかったけど……たぶん半額弁当を取ろうとしている人の気配みたいなのかな」
春香「……えーっと、青果コーナーからおちついてまわって行こうかな?」
春香「りんごかぁ、アップルパイとか今度焼こうかな?」
春香「じゃなくて……お弁当コーナーまでいって……立ち止まるのはマナー違反だっけ?」
春香「お惣菜コーナー……あっ、あの煮つけ美味しそうだな」
春香「立ち止まっちゃだめってことは……さりげなーく確認してみればいいのかな?」
春香「……お弁当、コーナー」
春香「置いてあるお弁当は……」
116: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/06/14(木) 22:43:05.92 ID:QpdAQDVL0
※※※※
横目でちらりと確認しながら通り過ぎる
置いてあった弁当は4つ
1つ目、焼きそば弁当
昨日も見かけたが、焼きそばにごはんがついてくるっていうのはどうなんだろう?
炭水化物に炭水化物……それってあんまりあわない気もするんだけれど
2つ目、幕の内弁当
色とりどりのおかずが目に嬉しい
いろいろと入っていてお得だとは思うけれど……少し値段が高かったような?
半額になるものにケチケチするのもアレだと思うんだけど
3つ目、からあげ弁当
昨日の竜田揚げ弁当とは違って、シンプルにからあげメインで仕上げられたお弁当だ
……そういえば、竜田揚げとからあげって調理法的にはどう違うんだろう?
気になってきたけど……今はそれどころじゃないか
4つ目、豆腐グラタン弁当
……正直これが一番気になる
二段構えになっているお弁当の上の段に入っているのは確かにグラタンに見えた
じゃあ下の中身は? 豆腐なのか、それともおかずの類なのか……わからない
わからなくて、気になる……ちょっと、食べてみたい
春香「……よし。えーっと千早ちゃんどこにいるのかな?」
横目でちらりと確認しながら通り過ぎる
置いてあった弁当は4つ
1つ目、焼きそば弁当
昨日も見かけたが、焼きそばにごはんがついてくるっていうのはどうなんだろう?
炭水化物に炭水化物……それってあんまりあわない気もするんだけれど
2つ目、幕の内弁当
色とりどりのおかずが目に嬉しい
いろいろと入っていてお得だとは思うけれど……少し値段が高かったような?
半額になるものにケチケチするのもアレだと思うんだけど
3つ目、からあげ弁当
昨日の竜田揚げ弁当とは違って、シンプルにからあげメインで仕上げられたお弁当だ
……そういえば、竜田揚げとからあげって調理法的にはどう違うんだろう?
気になってきたけど……今はそれどころじゃないか
4つ目、豆腐グラタン弁当
……正直これが一番気になる
二段構えになっているお弁当の上の段に入っているのは確かにグラタンに見えた
じゃあ下の中身は? 豆腐なのか、それともおかずの類なのか……わからない
わからなくて、気になる……ちょっと、食べてみたい
春香「……よし。えーっと千早ちゃんどこにいるのかな?」
118: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/06/14(木) 22:51:25.08 ID:QpdAQDVL0
昨日千早ちゃんがいたあたりをうろついていると後ろから軽く肩を叩かれた
千早ちゃんかと思って振り向くとそこにいたのは―――
坊主「……そんな露骨にがっかりすんなよ。今日は≪チョッピング・ボード≫は来てないぞ」
春香「えぇっ……?」
坊主「まぁ元々毎日来るわけじゃないしな。それに時間もまだある」
坊主さんが陳列棚のふりかけを熱心に眺めている
私もそれにならって、隣でご飯のおかずシリーズを見つめていた
春香「……千早ちゃん、来ないんですかね?」
坊主「さぁな。同じ事務所なんだから嬢ちゃんのほうが知ってるんじゃないか?」
春香「うーん……」
スケジュール表を思いだす
今日の千早ちゃんは午後からがメインだったはずだけど―――
収録がおしているんだろうか? 始まる前に聞きたかったことがあるんだけれど
そんなことを考えながら、しゃけ茶漬けの元を手にとって軽くうなづいてみた
千早ちゃんかと思って振り向くとそこにいたのは―――
坊主「……そんな露骨にがっかりすんなよ。今日は≪チョッピング・ボード≫は来てないぞ」
春香「えぇっ……?」
坊主「まぁ元々毎日来るわけじゃないしな。それに時間もまだある」
坊主さんが陳列棚のふりかけを熱心に眺めている
私もそれにならって、隣でご飯のおかずシリーズを見つめていた
春香「……千早ちゃん、来ないんですかね?」
坊主「さぁな。同じ事務所なんだから嬢ちゃんのほうが知ってるんじゃないか?」
春香「うーん……」
スケジュール表を思いだす
今日の千早ちゃんは午後からがメインだったはずだけど―――
収録がおしているんだろうか? 始まる前に聞きたかったことがあるんだけれど
そんなことを考えながら、しゃけ茶漬けの元を手にとって軽くうなづいてみた
119: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/06/14(木) 22:59:54.65 ID:QpdAQDVL0
―――結局、それから10分ほどしても千早ちゃんは現れなかった
普段の≪半額印証時刻≫ならそろそろ半額神が現れてもおかしくないらしい
坊主「……来たな」
春香「えっ?」
坊主さんが何かを察知したように呟いた次の瞬間、自動ドアの向こうから千早ちゃんが現れた
だいぶ急いでいたらしい。そのまま一直線に弁当コーナーへと向かっていく
千早ちゃんがせめてみつけやすいように近づこうとしたけれど、止められてしまった
このギリギリの時刻で弁当へ近づくことはリスクを背負ってしまうことでもあるらしい
千早ちゃんは総菜コーナーまでいっていたのにこちら側へと戻ってきてしまった
なにかに気がついたような様子だけど……いったい?
いったい何故だろうと思った時……あの、キィという音が聞こえた
半額神が現れたんだ
千早「……春香、遅れてごめんなさい」
春香「いやいや、千早ちゃんこそ……大丈夫?」
千早「えぇ……なんとか」
普段の≪半額印証時刻≫ならそろそろ半額神が現れてもおかしくないらしい
坊主「……来たな」
春香「えっ?」
坊主さんが何かを察知したように呟いた次の瞬間、自動ドアの向こうから千早ちゃんが現れた
だいぶ急いでいたらしい。そのまま一直線に弁当コーナーへと向かっていく
千早ちゃんがせめてみつけやすいように近づこうとしたけれど、止められてしまった
このギリギリの時刻で弁当へ近づくことはリスクを背負ってしまうことでもあるらしい
千早ちゃんは総菜コーナーまでいっていたのにこちら側へと戻ってきてしまった
なにかに気がついたような様子だけど……いったい?
いったい何故だろうと思った時……あの、キィという音が聞こえた
半額神が現れたんだ
千早「……春香、遅れてごめんなさい」
春香「いやいや、千早ちゃんこそ……大丈夫?」
千早「えぇ……なんとか」
131: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/06/14(木) 23:39:23.39 ID:ltlPaupI0
121: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/06/14(木) 23:06:32.38 ID:QpdAQDVL0
千早「それより春香……今日のお弁当何があったか覚えている?」
春香「え? うん……あのね」
千早ちゃんに聞かれたのでできる限り詳細に伝える
ボリュームたっぷり炭水化物な焼きそば弁当
色とりどりたっぷりのおかずを備えた幕の内弁当
竜田揚げよりも肉がぷりぷりとしていそうでおいしそうなからあげ弁当
なんだかよくわからないけれど、おいしそうな気がした豆腐グラタン弁当
持てる限りの語彙で伝えきると、千早ちゃんは小さくうなづいて狙う弁当を教えてくれた
千早「……私は今日はからあげ弁当にするわ」
春香「わかった……今日はかばわなくても、守らなくても大丈夫だからね?」
千早「期待してるわね?」
少し含みのある笑いをすると、千早ちゃんはまた鋭い目になった
目をやると、半額神は半額シールはほとんど貼り終えている……あとはドアが閉まるのを待つばかりだ
春香「え? うん……あのね」
千早ちゃんに聞かれたのでできる限り詳細に伝える
ボリュームたっぷり炭水化物な焼きそば弁当
色とりどりたっぷりのおかずを備えた幕の内弁当
竜田揚げよりも肉がぷりぷりとしていそうでおいしそうなからあげ弁当
なんだかよくわからないけれど、おいしそうな気がした豆腐グラタン弁当
持てる限りの語彙で伝えきると、千早ちゃんは小さくうなづいて狙う弁当を教えてくれた
千早「……私は今日はからあげ弁当にするわ」
春香「わかった……今日はかばわなくても、守らなくても大丈夫だからね?」
千早「期待してるわね?」
少し含みのある笑いをすると、千早ちゃんはまた鋭い目になった
目をやると、半額神は半額シールはほとんど貼り終えている……あとはドアが閉まるのを待つばかりだ
122: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/06/14(木) 23:12:37.91 ID:QpdAQDVL0
半額神のおじさんが、こちらを振り向き礼をする
ドアを開け……その向こうへと消え
そしてドアが――――閉まった
春香「っ……!」
昨日とは違う、スタートで遅れたりはしない
思いっきり蹴り出すと速度に―――
春香「あ、あれっ……!?」
速度に―――乗れない!?
自分よりあとに駆けだした人が弁当コーナーへと到着する
おかしい、周りの人ってこんなに速かったっけ?
しかたない、昨日みたいに突っ込むしかない!
ドアを開け……その向こうへと消え
そしてドアが――――閉まった
春香「っ……!」
昨日とは違う、スタートで遅れたりはしない
思いっきり蹴り出すと速度に―――
春香「あ、あれっ……!?」
速度に―――乗れない!?
自分よりあとに駆けだした人が弁当コーナーへと到着する
おかしい、周りの人ってこんなに速かったっけ?
しかたない、昨日みたいに突っ込むしかない!
124: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/06/14(木) 23:21:22.05 ID:QpdAQDVL0
春香「えぇいっ!」
思いっきりぶつかれば、昨日みたいに道が開けるはず
そう思っての体当たりだったんだけど……開かない
おかしい、どうも調子が変だ
混乱していると千早ちゃんが少し遅れて到着した
二度ほど突撃しようとしたみたいだが、どうも攻めあぐねているみたい
千早ちゃんは……二つ名も持ってる強い狼なんじゃないの? なんで?
千早「……くっ、一度確認しないとダメね」
私が混乱する頭を落ちつけようとしている時だった
千早ちゃんは前の人を思いっきり踏みつけて跳んだ……いや、飛んだんだ
高い――そう、その姿はまるで幸せを呼ぶ青い鳥のように
と、思っていたらそのまま人ごみを飛び越えてしまっていた
真ん中に降りて一気に一網打尽にでもすると思ったのに……なんで?
でも。千早ちゃんは着地直前にニヤリと笑ったように見えた
その人ごみの向こう側から、轟音が響く
そして開けた場所に立っているのは昨日と同じように……千早ちゃんだった
春香「な、なんで……?」
思いっきりぶつかれば、昨日みたいに道が開けるはず
そう思っての体当たりだったんだけど……開かない
おかしい、どうも調子が変だ
混乱していると千早ちゃんが少し遅れて到着した
二度ほど突撃しようとしたみたいだが、どうも攻めあぐねているみたい
千早ちゃんは……二つ名も持ってる強い狼なんじゃないの? なんで?
千早「……くっ、一度確認しないとダメね」
私が混乱する頭を落ちつけようとしている時だった
千早ちゃんは前の人を思いっきり踏みつけて跳んだ……いや、飛んだんだ
高い――そう、その姿はまるで幸せを呼ぶ青い鳥のように
と、思っていたらそのまま人ごみを飛び越えてしまっていた
真ん中に降りて一気に一網打尽にでもすると思ったのに……なんで?
でも。千早ちゃんは着地直前にニヤリと笑ったように見えた
その人ごみの向こう側から、轟音が響く
そして開けた場所に立っているのは昨日と同じように……千早ちゃんだった
春香「な、なんで……?」
126: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/06/14(木) 23:30:24.93 ID:QpdAQDVL0
そのまま千早ちゃんは無双の強さで人達をふっ飛ばし、あっという間に弁当を浚っていった
ほんの今の今までの千早ちゃんとは別人みたいな強さだ
弁当を手に入れた千早ちゃんは悠々とこちらへと歩いてくる
その手にあったのは……からあげ弁当じゃなくて幕の内弁当だった
春香「……なんで?」
千早「春香、あなたが狙ってたのかしら。だとしたらごめんなさい」
春香「あっ、違うんだけど……なんで急に強くなったりしたの?」
素直に疑問をぶつけてみる
千早「……腹の虫の加護を受けたからよ。ごめんなさい、しっかり見れた中だとこれが一番魅力的だったの」
腹の虫の加護。そういえばそれは昨日も聞いた言葉だ
説明を聞こうとして、機会を逃してしまっていた
春香「腹の虫って……?」
千早「春香、あなたの食べたいものはなに?」
春香「食べたい、もの……豆腐グラタンが気になるんだけど」
千早「じゃあ、それを食べる自分を強くイメージして……あまり長居はできないわ。がんばって」
それだけいうと、そのままレジの方へと歩いて行ってしまった
ほんの今の今までの千早ちゃんとは別人みたいな強さだ
弁当を手に入れた千早ちゃんは悠々とこちらへと歩いてくる
その手にあったのは……からあげ弁当じゃなくて幕の内弁当だった
春香「……なんで?」
千早「春香、あなたが狙ってたのかしら。だとしたらごめんなさい」
春香「あっ、違うんだけど……なんで急に強くなったりしたの?」
素直に疑問をぶつけてみる
千早「……腹の虫の加護を受けたからよ。ごめんなさい、しっかり見れた中だとこれが一番魅力的だったの」
腹の虫の加護。そういえばそれは昨日も聞いた言葉だ
説明を聞こうとして、機会を逃してしまっていた
春香「腹の虫って……?」
千早「春香、あなたの食べたいものはなに?」
春香「食べたい、もの……豆腐グラタンが気になるんだけど」
千早「じゃあ、それを食べる自分を強くイメージして……あまり長居はできないわ。がんばって」
それだけいうと、そのままレジの方へと歩いて行ってしまった
128: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/06/14(木) 23:34:51.44 ID:QpdAQDVL0
イメージしろって言われても……イメージがわかないから食べてみたいのだけれど
でも、言われたからにはきっと意味があるはず! 豆腐グラタンをとった自分をイメージしてみる
春香「……豆腐グラタン、豆腐グラタン」
豆腐のやわらかさ、グラタンのクリーミーさ
その中に……香るのは……ダメだ、わからない
春香「でも、食べたい……!」
もう一度決意を新たにして突っ込む
さっきよりは手ごたえがある……! これなら
そう思った時、勝鬨が上がった
坊主さんが豆腐グラタンを高く掲げている
春香「あっ……」
また、身体から力が抜けていく
さっきまでみたいに動けなくなる
でも、言われたからにはきっと意味があるはず! 豆腐グラタンをとった自分をイメージしてみる
春香「……豆腐グラタン、豆腐グラタン」
豆腐のやわらかさ、グラタンのクリーミーさ
その中に……香るのは……ダメだ、わからない
春香「でも、食べたい……!」
もう一度決意を新たにして突っ込む
さっきよりは手ごたえがある……! これなら
そう思った時、勝鬨が上がった
坊主さんが豆腐グラタンを高く掲げている
春香「あっ……」
また、身体から力が抜けていく
さっきまでみたいに動けなくなる
130: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/06/14(木) 23:38:10.14 ID:QpdAQDVL0
春香「えーっと、あと残っているのは……きゃあっ!?」
冷静に残っているお弁当を思い出そうとして、横からの衝撃に吹っ飛んでしまう
昨日は耐えれたはずのそれは、今日の私にはあまりにも激しく
弁当コーナーどころか鮮魚コーナーのあたりまで吹っ飛ばされてしまった
春香「あっ……」
足にも力が入らない
立ち上がるのもままならない
昨日は平気だったはずの衝撃に
昨日は立ち上がれたはずの身体に
戸惑いを覚えながら、私の意識は宙に消えた
春香「……」
冷静に残っているお弁当を思い出そうとして、横からの衝撃に吹っ飛んでしまう
昨日は耐えれたはずのそれは、今日の私にはあまりにも激しく
弁当コーナーどころか鮮魚コーナーのあたりまで吹っ飛ばされてしまった
春香「あっ……」
足にも力が入らない
立ち上がるのもままならない
昨日は平気だったはずの衝撃に
昨日は立ち上がれたはずの身体に
戸惑いを覚えながら、私の意識は宙に消えた
春香「……」
132: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/06/14(木) 23:45:23.49 ID:QpdAQDVL0
―――るか、はるか、春香?
誰かが呼んでいる声がする
身体が揺さぶられている感覚がする
この声は……
春香「ちはや、ちゃん……?」
千早「春香……大丈夫……?」
春香「だいじょう……っつぅ」
身体をおこそうとして痛みに身をよじる
痛い、昨日は気にならなかったのに……
千早「ごめんなさい……昨日は大丈夫だったからって油断しすぎたわ」
春香「なんで……昨日みたいにいかなかったんだろう……?」
素直な疑問を口に出す
千早ちゃんはすごく申し訳なさそうな表情で、俯きながら答えた
千早「……腹の虫の加護が、十分でなかったからよ」
誰かが呼んでいる声がする
身体が揺さぶられている感覚がする
この声は……
春香「ちはや、ちゃん……?」
千早「春香……大丈夫……?」
春香「だいじょう……っつぅ」
身体をおこそうとして痛みに身をよじる
痛い、昨日は気にならなかったのに……
千早「ごめんなさい……昨日は大丈夫だったからって油断しすぎたわ」
春香「なんで……昨日みたいにいかなかったんだろう……?」
素直な疑問を口に出す
千早ちゃんはすごく申し訳なさそうな表情で、俯きながら答えた
千早「……腹の虫の加護が、十分でなかったからよ」
133: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/06/14(木) 23:49:27.63 ID:QpdAQDVL0
春香「腹の……虫」
さっきも聞いた言葉だ
私の知っているそれの意味でいうと、つまり―――
春香「私が、お腹ぺこぺこじゃなかったから……?」
千早「……そうよ。何か夕食、もしくはおやつを食べなかった?」
食べたもの……お昼ご飯以降で?
春香「えーっと……あ、ソイジョイを1本……」
千早「なんですって……!?」
千早ちゃんがえらくショックを受けている気がする
そんなにダメなんだろうか、ソイジョイ
春香「え、ダメ……だったかな?」
千早「えぇ、考えうる限り最上級よ……」
ダメだったらしい
さっきも聞いた言葉だ
私の知っているそれの意味でいうと、つまり―――
春香「私が、お腹ぺこぺこじゃなかったから……?」
千早「……そうよ。何か夕食、もしくはおやつを食べなかった?」
食べたもの……お昼ご飯以降で?
春香「えーっと……あ、ソイジョイを1本……」
千早「なんですって……!?」
千早ちゃんがえらくショックを受けている気がする
そんなにダメなんだろうか、ソイジョイ
春香「え、ダメ……だったかな?」
千早「えぇ、考えうる限り最上級よ……」
ダメだったらしい
136: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/06/14(木) 23:56:49.06 ID:QpdAQDVL0
※※※※
春香「なんでダメなの?」
千早「……いい、春香。ソイジョイは低カロリーでありながらも満腹感の持続する低GI食品なの」
春香「う、うん」
千早「腹の虫は、本能の力……食べたいと強く願うことで私でも大男と力比べをすることができるの」
春香「そういうもの……なの?」
千早「えぇ、人をふっ飛ばしたりなんて今の私にはとてもじゃないけど無理よ」
春香「……うん、やっぱり千早ちゃんは細いよね」
千早「だから、腹の虫の加護は必須なのよ」
春香「なるほど……?」
千早「加護を受けていない人が加護を受けた人とまともにぶつかりあえば、格闘技経験があろうが負けるわ」
春香「そんなに変わるものなの?」
千早「……えぇ。ごめんなさい」
春香「なんでダメなの?」
千早「……いい、春香。ソイジョイは低カロリーでありながらも満腹感の持続する低GI食品なの」
春香「う、うん」
千早「腹の虫は、本能の力……食べたいと強く願うことで私でも大男と力比べをすることができるの」
春香「そういうもの……なの?」
千早「えぇ、人をふっ飛ばしたりなんて今の私にはとてもじゃないけど無理よ」
春香「……うん、やっぱり千早ちゃんは細いよね」
千早「だから、腹の虫の加護は必須なのよ」
春香「なるほど……?」
千早「加護を受けていない人が加護を受けた人とまともにぶつかりあえば、格闘技経験があろうが負けるわ」
春香「そんなに変わるものなの?」
千早「……えぇ。ごめんなさい」
137: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/06/15(金) 00:03:57.59 ID:5iVnYSWr0
春香「……?」
千早「本来最初に、一番強く教えないといけないことだったのに。昨日の春香をみて大丈夫だと思いこんでしまったの」
春香「なーんだ、それぐらい……これだっていい経験だよ? あざとかにはなってないみたいだし」
千早「でも……」
春香「でももストもございませんっ」ピシッ
千早「いたっ」
春香「大丈夫だよ、千早ちゃん……これもいい経験になったもん」
千早「……春香、ごめんなさい」
春香「大丈夫だってばもういいよ? ……あ、それと。さっき急に強くなったのは?」
千早「あれは、弁当へのイメージをきちんとしたものにしたくて……春香に説明してもらって何があるかは分かったんだけど」
春香「具体的な強いイメージ、ってやつ?」
千早「そういうことね」
千早「本来最初に、一番強く教えないといけないことだったのに。昨日の春香をみて大丈夫だと思いこんでしまったの」
春香「なーんだ、それぐらい……これだっていい経験だよ? あざとかにはなってないみたいだし」
千早「でも……」
春香「でももストもございませんっ」ピシッ
千早「いたっ」
春香「大丈夫だよ、千早ちゃん……これもいい経験になったもん」
千早「……春香、ごめんなさい」
春香「大丈夫だってばもういいよ? ……あ、それと。さっき急に強くなったのは?」
千早「あれは、弁当へのイメージをきちんとしたものにしたくて……春香に説明してもらって何があるかは分かったんだけど」
春香「具体的な強いイメージ、ってやつ?」
千早「そういうことね」
138: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/06/15(金) 00:08:16.53 ID:5iVnYSWr0
春香「確かに豆腐グラタンを食べたい! って思ったら少しだけ力が戻ったし……」
千早「……本当にごめんなさい」
春香「だから謝らなくていいってば、もうっ」
千早「……」
春香「あっ……じゃあお弁当ちょっとわけて?」
千早「も、もちろんよ? あと、お惣菜はなかったけれど……これ」
春香「あっ、どんべえ……ありがとう」
千早「なにがいいのかよくわからなくて……それであってるのよね?」
春香「うん、私どんべえ大好きだから大丈夫だよ」
春香(……これが、蕎麦だってこと以外は、だけど。千早ちゃんをこれ以上不安がらせたくないし)
千早「……本当にごめんなさい」
春香「だから謝らなくていいってば、もうっ」
千早「……」
春香「あっ……じゃあお弁当ちょっとわけて?」
千早「も、もちろんよ? あと、お惣菜はなかったけれど……これ」
春香「あっ、どんべえ……ありがとう」
千早「なにがいいのかよくわからなくて……それであってるのよね?」
春香「うん、私どんべえ大好きだから大丈夫だよ」
春香(……これが、蕎麦だってこと以外は、だけど。千早ちゃんをこれ以上不安がらせたくないし)
143: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/06/15(金) 00:25:10.28 ID:5iVnYSWr0
春香「あっ……そういえば今何時なの?」
千早「……10時ね」
春香「え、えぇぇっ!?」
千早「ごめんなさい。無理に起こすのもよくないと思って」
春香「うん……ありがとう、千早ちゃん」
千早「あの……春香」
春香「でもどうやって……あっ、どうしたの?」
千早「春香が迷惑じゃなければ……その、うちに来てくれないかしら?」
春香「千早ちゃんの家……?」
千早「私の家までの電車ならまだ出ているから……他に手もないだろうし」
春香「千早ちゃんがいやじゃないなら、こっちから頼みたいぐらいだよ!」
千早「本当? ありがとう……精一杯おもてなしするわ」
春香「うん……あ、お母さんに電話するね」
144: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/06/15(金) 00:29:57.31 ID:5iVnYSWr0
春香「うん、そう……友達の家。ごめんね? わかった、それじゃ……うん」ピッ
千早「春香……大丈夫だった?」
春香「うん、迷惑はかけないようにって言われちゃった」
千早「迷惑だなんてそんな」
春香「えへへ……ふつつか者ですがー、なんちゃって?」
千早「もう。春香ってば」
春香「でも、本当にいいの?」
千早「何が?」
春香「急に泊まるなんて……その、いろいろと」
千早「大丈夫よ、うちには余分なものはないから……レンジとポットはあるけど」
春香「そ、それならいいんだけど」
千早「それじゃあ、行きましょうか」
春香「うん、お願いします」
千早「春香……大丈夫だった?」
春香「うん、迷惑はかけないようにって言われちゃった」
千早「迷惑だなんてそんな」
春香「えへへ……ふつつか者ですがー、なんちゃって?」
千早「もう。春香ってば」
春香「でも、本当にいいの?」
千早「何が?」
春香「急に泊まるなんて……その、いろいろと」
千早「大丈夫よ、うちには余分なものはないから……レンジとポットはあるけど」
春香「そ、それならいいんだけど」
千早「それじゃあ、行きましょうか」
春香「うん、お願いします」
140: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/06/15(金) 00:15:42.36 ID:5iVnYSWr0
※※※※
どんべえにお湯を注いで待つ
千早ちゃんがまだ申し訳なさそうにしているのでおでこに軽くチョップをしてみた
……抵抗しない。これはこれでどうなんだろう
気にしないでほしんだけどなぁ……もう
普段食べ慣れたうどんと違ってそばのどんべえはかきあげ付きだ
お湯を注ぐ時に一緒に並べてふやかしてしまう人も多いが……それはまだまだ甘っちょろい
春香「ふっふっふ……そう、あとのせサクサクこそ正義よ!」
千早「春香……大丈夫なの?」
何故だか千早ちゃんの優しい声が痛い
気のせいだと思うことにして、そのままちゃんと食べられるようになるまで待つ
そういえばそばを食べたのはいつ以来だろう?
どんべえのそば、食べたことはある気がするのにいつだったかはピンとこない
どんべえにお湯を注いで待つ
千早ちゃんがまだ申し訳なさそうにしているのでおでこに軽くチョップをしてみた
……抵抗しない。これはこれでどうなんだろう
気にしないでほしんだけどなぁ……もう
普段食べ慣れたうどんと違ってそばのどんべえはかきあげ付きだ
お湯を注ぐ時に一緒に並べてふやかしてしまう人も多いが……それはまだまだ甘っちょろい
春香「ふっふっふ……そう、あとのせサクサクこそ正義よ!」
千早「春香……大丈夫なの?」
何故だか千早ちゃんの優しい声が痛い
気のせいだと思うことにして、そのままちゃんと食べられるようになるまで待つ
そういえばそばを食べたのはいつ以来だろう?
どんべえのそば、食べたことはある気がするのにいつだったかはピンとこない
147: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/06/15(金) 00:38:56.53 ID:5iVnYSWr0
さて、じゃあいつ食べたんだろう? 待ち時間はヒマなものだし考えてみる
千早ちゃんもレンジの中で周るお弁当を無言で見つめている
おつゆの中に浮かべて、カリカリサクサク音をたてながらもほんのりと風味は移っているかきあげ
それがふやけきってしまう前に食べ終えられなかった苦い思い出
きっと、ずいぶん昔のことなんだろうと思う
春香「……だからうどん派なんだっけ?」
千早ちゃんに聞こえないぐらい小さくつぶやいたつもりだったのだけど
千早ちゃんの肩がわずかに震えた気がした……まずいかも?
春香「あ、でもやっぱりそばもいいものだよねー♪ ね、千早ちゃん?」
千早「あっ……そ、そうね。私もそう思うわ」
明らかに動揺しているけれど、指摘はしない
別に、そばが嫌いなんじゃなくて普段食べないだけなんだし
千早ちゃんもレンジの中で周るお弁当を無言で見つめている
おつゆの中に浮かべて、カリカリサクサク音をたてながらもほんのりと風味は移っているかきあげ
それがふやけきってしまう前に食べ終えられなかった苦い思い出
きっと、ずいぶん昔のことなんだろうと思う
春香「……だからうどん派なんだっけ?」
千早ちゃんに聞こえないぐらい小さくつぶやいたつもりだったのだけど
千早ちゃんの肩がわずかに震えた気がした……まずいかも?
春香「あ、でもやっぱりそばもいいものだよねー♪ ね、千早ちゃん?」
千早「あっ……そ、そうね。私もそう思うわ」
明らかに動揺しているけれど、指摘はしない
別に、そばが嫌いなんじゃなくて普段食べないだけなんだし
149: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/06/15(金) 00:46:53.46 ID:5iVnYSWr0
春香「……どんべえのおそばって、たぶん小学生のころ以来だと思うから」
千早「えぇっ……ご、ごめんなさい春香……私」
春香「ひさしぶりに食べるおそばが、千早ちゃんと一緒だからこれからはおそばの方も好きになっちゃいそうかも」
千早「えっ!?」
本心からの言葉だったりするんだけれど、千早ちゃんはえらく動揺している
……そんなに嫌だったのかな?
千早「あ、あの……春香、その」
千早ちゃんが何か言いかけた時に、レンジが温め完了をお知らせした
まったくもって間の悪い……ある意味いいタイミング? だと思うけれど
千早ちゃんは素早くお弁当を取り出すとリビングの方へと歩いていってしまった
きっといいかけたことを聞き返されるのが嫌だったんだろう
春香「……もう、千早ちゃんてば」
意外と照れやさんなんだなぁ。そんなところもらしいんだけど
千早「えぇっ……ご、ごめんなさい春香……私」
春香「ひさしぶりに食べるおそばが、千早ちゃんと一緒だからこれからはおそばの方も好きになっちゃいそうかも」
千早「えっ!?」
本心からの言葉だったりするんだけれど、千早ちゃんはえらく動揺している
……そんなに嫌だったのかな?
千早「あ、あの……春香、その」
千早ちゃんが何か言いかけた時に、レンジが温め完了をお知らせした
まったくもって間の悪い……ある意味いいタイミング? だと思うけれど
千早ちゃんは素早くお弁当を取り出すとリビングの方へと歩いていってしまった
きっといいかけたことを聞き返されるのが嫌だったんだろう
春香「……もう、千早ちゃんてば」
意外と照れやさんなんだなぁ。そんなところもらしいんだけど
152: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/06/15(金) 00:55:24.85 ID:5iVnYSWr0
春香「ちーはーやーちゃん?」
私のご飯はどんべえだけだから実はポット近くで待機していたことに深い意味はない
どうにか逃れたと思った千早ちゃんが、私の追撃に動揺しているのは目に見えて明らかだ
千早「う……あ、お茶出さなきゃ」
春香「さっき出してたでしょ、ほらこれ」
どうにか席を立とうとする千早ちゃんをひきとめる
亜美や真美じゃないけれど
……こういう時の千早ちゃんはいじりがいがあるのだ
春香「ねぇ千早ちゃん?」
千早「な、なにかしら」
春香「……やっぱりなんでもないっ♪」
千早「もう……」
膨れている千早ちゃんもかわいい
実に楽しい待ち時間を過ごすことができた
私のご飯はどんべえだけだから実はポット近くで待機していたことに深い意味はない
どうにか逃れたと思った千早ちゃんが、私の追撃に動揺しているのは目に見えて明らかだ
千早「う……あ、お茶出さなきゃ」
春香「さっき出してたでしょ、ほらこれ」
どうにか席を立とうとする千早ちゃんをひきとめる
亜美や真美じゃないけれど
……こういう時の千早ちゃんはいじりがいがあるのだ
春香「ねぇ千早ちゃん?」
千早「な、なにかしら」
春香「……やっぱりなんでもないっ♪」
千早「もう……」
膨れている千早ちゃんもかわいい
実に楽しい待ち時間を過ごすことができた
154: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/06/15(金) 01:02:15.03 ID:5iVnYSWr0
春香「……そろそろいいかな?」
何度もしてきた行為なのに、この瞬間は少し緊張する
ペリペリと、ふたをはがして中から香ってくる芳醇な湯気を吸い込む
春香「んー、いいにおい……千早ちゃんのは?」
千早「あっ、そういえば……あけるわね」
千早ちゃんの買ったお弁当は幕の内弁当
正直なところ、これといってピンと来るものがないイメージだったんだけれど……
春香「うわぁ……」
とんでもない誤解だったのかもしれない
色とりどりの飾りやおかずたちはそれぞれが自己主張をしながらも決してくどくない
まさに和風のお弁当のお手本のような気品をまとっていた
春香「……あっためてみるのと、ちょっと通り過ぎるのだと全然違うんだね」
千早「そこをきちんと見抜けると、腹の虫の加護は一層強くなるのよ」
千早ちゃんが少し得意そうにしながら割り箸をペキンと二つに割った
お茶はさっき注いだし準備万端だ
春香「それじゃあ…・・・」
千早「えぇ」
「「いただきます」」
何度もしてきた行為なのに、この瞬間は少し緊張する
ペリペリと、ふたをはがして中から香ってくる芳醇な湯気を吸い込む
春香「んー、いいにおい……千早ちゃんのは?」
千早「あっ、そういえば……あけるわね」
千早ちゃんの買ったお弁当は幕の内弁当
正直なところ、これといってピンと来るものがないイメージだったんだけれど……
春香「うわぁ……」
とんでもない誤解だったのかもしれない
色とりどりの飾りやおかずたちはそれぞれが自己主張をしながらも決してくどくない
まさに和風のお弁当のお手本のような気品をまとっていた
春香「……あっためてみるのと、ちょっと通り過ぎるのだと全然違うんだね」
千早「そこをきちんと見抜けると、腹の虫の加護は一層強くなるのよ」
千早ちゃんが少し得意そうにしながら割り箸をペキンと二つに割った
お茶はさっき注いだし準備万端だ
春香「それじゃあ…・・・」
千早「えぇ」
「「いただきます」」
156: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/06/15(金) 01:10:44.85 ID:5iVnYSWr0
どんべえの、そば
おそらく最後に食べたのは小学生のころだったんだと思う
とってもおいしいと思ったかきあげが、どんどんとつゆを吸い込みサクサク感を失っていく
あれに子供心ながら無情さを感じた覚えがあるからだ
春香「でも……もうそうは問屋がおろさないんだから」
別でとっておいたかきあげを、そばのつゆの上に浮かべる
まるで大海の中にぽつんとある無人島のように、その存在はどこか危うい
春香「……まだ、まだ、まだ。今!」
ほんの一口だけ齧る
まだまだかきあげ本来の味のほうを強く感じる
そのまま汁を少しだけすすってやると、口の中でかきあげが溶ける感触がした
やっぱりどんべえは出汁がおいしい
こくん、とかきあげの溶けたつゆを飲み込むと、今度は麺へ手を伸ばす
そば自体の味も……そういえば年越しそばぐらいしか普段食べてない気がしてきた
春香「ふぅ、ふぅーっ……あむっ」
思いっきり音を立ててすすっちゃう
やっぱりおそばはこれが正しい食べ方なんだと思う
人前ではできないことだけど……千早ちゃんにならいいよね?
おそらく最後に食べたのは小学生のころだったんだと思う
とってもおいしいと思ったかきあげが、どんどんとつゆを吸い込みサクサク感を失っていく
あれに子供心ながら無情さを感じた覚えがあるからだ
春香「でも……もうそうは問屋がおろさないんだから」
別でとっておいたかきあげを、そばのつゆの上に浮かべる
まるで大海の中にぽつんとある無人島のように、その存在はどこか危うい
春香「……まだ、まだ、まだ。今!」
ほんの一口だけ齧る
まだまだかきあげ本来の味のほうを強く感じる
そのまま汁を少しだけすすってやると、口の中でかきあげが溶ける感触がした
やっぱりどんべえは出汁がおいしい
こくん、とかきあげの溶けたつゆを飲み込むと、今度は麺へ手を伸ばす
そば自体の味も……そういえば年越しそばぐらいしか普段食べてない気がしてきた
春香「ふぅ、ふぅーっ……あむっ」
思いっきり音を立ててすすっちゃう
やっぱりおそばはこれが正しい食べ方なんだと思う
人前ではできないことだけど……千早ちゃんにならいいよね?
159: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/06/15(金) 01:17:11.70 ID:JwRsqctl0
お腹減ったんだけどどうしてくれる!
160: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/06/15(金) 01:21:36.37 ID:5iVnYSWr0
春香「うん……おいしい!」
なるほど、どんべえのそばってこんな味だったんだ
うどんみたいなコシのある麺や甘いおあげもおいしいけれどこれはこれで
少しずつつゆが染みていってしまうかきあげを助けるようにかじる
だんだんとサクサクとした食感が、かじった瞬間に溶けていくような優しさを帯び始めていた
うどん派だったけど、ばかにできない感じがする
さすがどんべえ、どんべえに貴賎なしっ!
春香「……ん?」
ちらりと、千早ちゃんの方を見る
千早ちゃんは自分の幕の内弁当の中の西京焼きを箸でつまんだままこちらを見てフリーズしていた
……ずっと見つめられてたんだとすると、すごく恥ずかしいんだけど
千早「あの……春香」
ちょっとお下品だったのかな……
反省しなきゃいけないかな? と思っていたけど、続く言葉に私は少し驚いた
千早「ひとくち……わけてもらえないかしら?」
なるほど、どんべえのそばってこんな味だったんだ
うどんみたいなコシのある麺や甘いおあげもおいしいけれどこれはこれで
少しずつつゆが染みていってしまうかきあげを助けるようにかじる
だんだんとサクサクとした食感が、かじった瞬間に溶けていくような優しさを帯び始めていた
うどん派だったけど、ばかにできない感じがする
さすがどんべえ、どんべえに貴賎なしっ!
春香「……ん?」
ちらりと、千早ちゃんの方を見る
千早ちゃんは自分の幕の内弁当の中の西京焼きを箸でつまんだままこちらを見てフリーズしていた
……ずっと見つめられてたんだとすると、すごく恥ずかしいんだけど
千早「あの……春香」
ちょっとお下品だったのかな……
反省しなきゃいけないかな? と思っていたけど、続く言葉に私は少し驚いた
千早「ひとくち……わけてもらえないかしら?」
164: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/06/15(金) 01:31:39.01 ID:5iVnYSWr0
春香「うん……いいよ?」
願ってもない提案だ
正直、私のどんべえはどこにでもあるどんべえだ
その気になれば、今すぐ近くのコンビニまで歩けば買えてしまう
春香「でも―――」
でも、千早ちゃんの幕の内弁当はきちんとした『お弁当』だ
そりゃあコンビニにだって普通のお弁当は売っているけれど
これはあのスーパーでひとつひとつ手作りされたものなのだ
春香「千早ちゃんのも、わけて欲しいな?」
千早「えぇ、もちろん……あ、これおいしいわよ」
春香「本当? じゃあ遠慮なく……んむっ」
千早ちゃんは優しいなぁ
オススメされた西京焼きは、かじってみればほくほくと身がほどけていく
単純な焼き魚とも一味違うコレは、お米が欲しくなる味でもあった
春香「……んっ!?」
そういえば、お米持ってなかった!
昨日はおにぎりを一緒に買ったけど今日は売り切れてたらしいし……くぅ
願ってもない提案だ
正直、私のどんべえはどこにでもあるどんべえだ
その気になれば、今すぐ近くのコンビニまで歩けば買えてしまう
春香「でも―――」
でも、千早ちゃんの幕の内弁当はきちんとした『お弁当』だ
そりゃあコンビニにだって普通のお弁当は売っているけれど
これはあのスーパーでひとつひとつ手作りされたものなのだ
春香「千早ちゃんのも、わけて欲しいな?」
千早「えぇ、もちろん……あ、これおいしいわよ」
春香「本当? じゃあ遠慮なく……んむっ」
千早ちゃんは優しいなぁ
オススメされた西京焼きは、かじってみればほくほくと身がほどけていく
単純な焼き魚とも一味違うコレは、お米が欲しくなる味でもあった
春香「……んっ!?」
そういえば、お米持ってなかった!
昨日はおにぎりを一緒に買ったけど今日は売り切れてたらしいし……くぅ
167: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/06/15(金) 01:36:27.51 ID:5iVnYSWr0
春香「うぅ……」
千早「……春香」
春香「んぅ?」
ご飯を求める衝動をどう抑えようかと考えていると千早ちゃんに声をかけられる
涙目になりながらも顔をあげると……そこには
千早「……ご飯もすすむ味よね。はい」
ご飯をひとかたまり、千早ちゃんが箸で差し出してくれていた
遠慮なくそのままかぶりつくと、西京焼きの塩気がご飯に中和されていく
やっぱり、おいしい
春香「ん……おいしい。おいしいよ千早ちゃん!」
千早「それはよかった……あの、いいかしら?」
春香「あ、うんもちろん! はい口開けて」
千早ちゃんは優しいなぁ、お返しに一番いい状態につゆを吸ったかきあげを差し出す
好きなようにかじってくれて構わない……のだけど
千早「あ、その……口を開けなきゃだめ?」
なにをいまさら言ってるんだろう。私に食べさせる時は普通にあーんしてくれたくせに
千早「……春香」
春香「んぅ?」
ご飯を求める衝動をどう抑えようかと考えていると千早ちゃんに声をかけられる
涙目になりながらも顔をあげると……そこには
千早「……ご飯もすすむ味よね。はい」
ご飯をひとかたまり、千早ちゃんが箸で差し出してくれていた
遠慮なくそのままかぶりつくと、西京焼きの塩気がご飯に中和されていく
やっぱり、おいしい
春香「ん……おいしい。おいしいよ千早ちゃん!」
千早「それはよかった……あの、いいかしら?」
春香「あ、うんもちろん! はい口開けて」
千早ちゃんは優しいなぁ、お返しに一番いい状態につゆを吸ったかきあげを差し出す
好きなようにかじってくれて構わない……のだけど
千早「あ、その……口を開けなきゃだめ?」
なにをいまさら言ってるんだろう。私に食べさせる時は普通にあーんしてくれたくせに
168: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/06/15(金) 01:46:51.05 ID:5iVnYSWr0
春香「うん、好きにかじってくれてかまわないから……さぁ!」
千早「わ、わかった……それじゃあ」
髪がかかってしまわないようにかきあげる
そしてかきあげにかじりつく……うん、別にうまいことはいってない
千早ちゃんがゆっくりと、かきあげに噛みついた
歯が沈んでいくと、それに反応するようにかきあげにしみ込んだつゆがあふれだす
千早ちゃんのくちびるは、かきあげの油としみこんでいたつゆによって潤いを増した
千早「……ん、おいしい」
春香「えへへ、おそばもおいしいって気づけたのは千早ちゃんのおかげだね?」
千早「そうかしら?」
春香「そうだよ、絶対!」
うん、少なくとも自分で選ぶ分にはこれまでもこれからもどんべえはうどん一択のつもりだったはずだ
でも千早ちゃんが選んでくれたおかげでおそばのよさも再認識できたんだ
春香「あっ、麺もすすらないと! 豪快に! さぁ!」
千早「え、えぇ……」
千早ちゃんは少し困ったような表情を浮かべながらもおいしそうにそばをすすってくれた
私もいくつかのおかずをわけてもらったりお米をわけてもらったりしながら
楽しい晩ご飯の時間はあっという間に終わってしまったのだった
千早「わ、わかった……それじゃあ」
髪がかかってしまわないようにかきあげる
そしてかきあげにかじりつく……うん、別にうまいことはいってない
千早ちゃんがゆっくりと、かきあげに噛みついた
歯が沈んでいくと、それに反応するようにかきあげにしみ込んだつゆがあふれだす
千早ちゃんのくちびるは、かきあげの油としみこんでいたつゆによって潤いを増した
千早「……ん、おいしい」
春香「えへへ、おそばもおいしいって気づけたのは千早ちゃんのおかげだね?」
千早「そうかしら?」
春香「そうだよ、絶対!」
うん、少なくとも自分で選ぶ分にはこれまでもこれからもどんべえはうどん一択のつもりだったはずだ
でも千早ちゃんが選んでくれたおかげでおそばのよさも再認識できたんだ
春香「あっ、麺もすすらないと! 豪快に! さぁ!」
千早「え、えぇ……」
千早ちゃんは少し困ったような表情を浮かべながらもおいしそうにそばをすすってくれた
私もいくつかのおかずをわけてもらったりお米をわけてもらったりしながら
楽しい晩ご飯の時間はあっという間に終わってしまったのだった
169: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/06/15(金) 01:53:09.85 ID:5iVnYSWr0
※※※※
春香「はふー、おいしかったぁ……」
千早「私も……楽しかったわ」
春香「楽しいって……」
千早「だって、春香のリアクションが結構面白くてつい」
春香「いやいや、だっておいしかったよ? 幕の内弁当のこともあなどってたかも……」
千早「あそこのお弁当は小物への情熱もすばらしいから、こういういろんなものが入ったのは何粒もおいしいの」
春香「なるほど……流石だね千早ちゃん!」
千早「それほどのことでもないと思うのだけど……あぁ、そうだ」
春香「うん、なに?」
千早「そういえば、お風呂はどうするの?」
春香「あ……確かに結構汗かいてるしベタベタかも」
千早「着替えは……私の服しかないのだけれど」
春香「貸してくれるの?」
千早「えぇ……大丈夫、なら」
春香「はふー、おいしかったぁ……」
千早「私も……楽しかったわ」
春香「楽しいって……」
千早「だって、春香のリアクションが結構面白くてつい」
春香「いやいや、だっておいしかったよ? 幕の内弁当のこともあなどってたかも……」
千早「あそこのお弁当は小物への情熱もすばらしいから、こういういろんなものが入ったのは何粒もおいしいの」
春香「なるほど……流石だね千早ちゃん!」
千早「それほどのことでもないと思うのだけど……あぁ、そうだ」
春香「うん、なに?」
千早「そういえば、お風呂はどうするの?」
春香「あ……確かに結構汗かいてるしベタベタかも」
千早「着替えは……私の服しかないのだけれど」
春香「貸してくれるの?」
千早「えぇ……大丈夫、なら」
171: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/06/15(金) 01:59:25.47 ID:5iVnYSWr0
春香「大丈夫って……何が? 私全然嫌じゃないよ?」
千早「そうじゃなくて……その、サイズが」
春香「……あっ」
千早「一応、余裕のあるスウェットを出すけれど……無理はしないでね?」
春香「やだなぁ、大丈夫だよ……じゃあシャワー借りようかな。千早ちゃんからどうぞ」
千早「私はあとで入るから大丈夫、先に入って?」
春香「うん? ……わかった、それじゃあお先に失礼するね」
千早「それじゃあ……そっちよ」
春香「はーい」
千早「さーい」
春香「えっ?」
千早「……なんでもないから気にしないで」
千早「そうじゃなくて……その、サイズが」
春香「……あっ」
千早「一応、余裕のあるスウェットを出すけれど……無理はしないでね?」
春香「やだなぁ、大丈夫だよ……じゃあシャワー借りようかな。千早ちゃんからどうぞ」
千早「私はあとで入るから大丈夫、先に入って?」
春香「うん? ……わかった、それじゃあお先に失礼するね」
千早「それじゃあ……そっちよ」
春香「はーい」
千早「さーい」
春香「えっ?」
千早「……なんでもないから気にしないで」
173: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/06/15(金) 02:07:04.43 ID:5iVnYSWr0
春香「ルンララルランラ~♪」シャワァァァ…
千早「……着替え、おいておくわ」
春香「はーい! ありがとう、千早ちゃん」シャワァァァ…
千早「いいの、気にしなくても……その」
春香「うん……? どうしたの?」キュッ
千早「今日のことなんだけれど……」
春香「それなら別に気にしなくてもいいってば……お腹減ってなかった私も悪いんだし」
千早「でも、ヘタをしたらひどい怪我をしてたわけで……なら昨日はっきりと止めるべきだったんじゃないかって」
春香「……千早ちゃん」ガラッ
千早「……春香」
春香「そんなことない……まだ、お弁当は取れてないけど」
春香「私……半額弁当のこと、狼のこと……なにより、千早ちゃんのことが知れて、嬉しいよ!」
千早「春香……!」
千早「……着替え、おいておくわ」
春香「はーい! ありがとう、千早ちゃん」シャワァァァ…
千早「いいの、気にしなくても……その」
春香「うん……? どうしたの?」キュッ
千早「今日のことなんだけれど……」
春香「それなら別に気にしなくてもいいってば……お腹減ってなかった私も悪いんだし」
千早「でも、ヘタをしたらひどい怪我をしてたわけで……なら昨日はっきりと止めるべきだったんじゃないかって」
春香「……千早ちゃん」ガラッ
千早「……春香」
春香「そんなことない……まだ、お弁当は取れてないけど」
春香「私……半額弁当のこと、狼のこと……なにより、千早ちゃんのことが知れて、嬉しいよ!」
千早「春香……!」
175: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/06/15(金) 02:11:48.29 ID:5iVnYSWr0
春香「千早ちゃん……」
千早「春香……その……」
春香「大丈夫だよ、千早ちゃん……私は平気だから一緒にがんばろう!」
千早「そうね……じゃあ、寝る前にいろいろと話させて?」
春香「うん、私もいろいろ聞きたいし……夜更かししちゃおうか?」
千早「明日の仕事には響かないようにね?」
春香「おまかせください、プロですから!」
千早「ふふっ、春香ってば……あと」
春香「どうしたの?」
千早「女同士でも、せめて多少は隠した方がいい……と思うわ」
春香「あっ……」
千早「着替えはこれだから……じゃあまたあとで」
春香「う、うん……ありがとう千早ちゃん」
春香(すっぽんぽんのまま熱く語ってたと思ったらとたんに恥ずかしくなってきた……もう、大事なところで決められないんだから)
千早「春香……その……」
春香「大丈夫だよ、千早ちゃん……私は平気だから一緒にがんばろう!」
千早「そうね……じゃあ、寝る前にいろいろと話させて?」
春香「うん、私もいろいろ聞きたいし……夜更かししちゃおうか?」
千早「明日の仕事には響かないようにね?」
春香「おまかせください、プロですから!」
千早「ふふっ、春香ってば……あと」
春香「どうしたの?」
千早「女同士でも、せめて多少は隠した方がいい……と思うわ」
春香「あっ……」
千早「着替えはこれだから……じゃあまたあとで」
春香「う、うん……ありがとう千早ちゃん」
春香(すっぽんぽんのまま熱く語ってたと思ったらとたんに恥ずかしくなってきた……もう、大事なところで決められないんだから)
176: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/06/15(金) 02:21:35.83 ID:5iVnYSWr0
春香「それでね、その時プロデューサーさんが――――」
千早「へぇ……あぁ、そういえばこの前の収録の時の話なんだけど―――」
春香(結局、夜遅くまでいろいろと話し合った)
春香(狼のこと、スーパーのこと、弁当のこと)
春香(事務所のこと、プロデューサーさんのこと、他のアイドルの皆のこと)
春香(私のこと、千早ちゃんのこと)
春香(それから、それから―――)
千早「へぇ……あぁ、そういえばこの前の収録の時の話なんだけど―――」
春香(結局、夜遅くまでいろいろと話し合った)
春香(狼のこと、スーパーのこと、弁当のこと)
春香(事務所のこと、プロデューサーさんのこと、他のアイドルの皆のこと)
春香(私のこと、千早ちゃんのこと)
春香(それから、それから―――)
177: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/06/15(金) 02:26:09.85 ID:5iVnYSWr0
チュン……チュチュン……チュチュチュン……
春香「ん……朝……?」
千早「……んっ……」
春香「えーっと……あれ?」
千早「…………んぁ」
春香「……そうそう、千早ちゃんの家にお泊りしたんだっけ」
千早「む…………ん」
春香「うわぁ……千早ちゃん思ったよりすごい寝相してる」
千早「……ぁ……」
春香「これは……お宝写メゲットのチャーンス? なんてね」
千早「…………くぅ」
春香「ふふっ、さてと……今日もがんばろう!」
春香「ん……朝……?」
千早「……んっ……」
春香「えーっと……あれ?」
千早「…………んぁ」
春香「……そうそう、千早ちゃんの家にお泊りしたんだっけ」
千早「む…………ん」
春香「うわぁ……千早ちゃん思ったよりすごい寝相してる」
千早「……ぁ……」
春香「これは……お宝写メゲットのチャーンス? なんてね」
千早「…………くぅ」
春香「ふふっ、さてと……今日もがんばろう!」
179: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/06/15(金) 02:30:38.63 ID:5iVnYSWr0
春香「ちーはーやーちゃん?」
千早「んんっ……はる、か……?」
春香「おはよう、千早ちゃん」
千早「おはよう……あれ? 私……」
春香「ゆうべは おたのしみ でしたね」
千早「……そう、そういえば春香が泊まったんだったわね」
春香「ちょっとのってくれてもいいんじゃないかなぁ?」
千早「……? だって昨日の晩はとても楽しかったもの」
春香「あぁ……うん。まぁそうなんだけど」
千早「変な春香ね」クスクス
春香「あはは……そうだね。じゃあ支度して事務所いこうか」
千早「えぇ……今晩は?」
春香「いってみたい……今度こそ。ソイジョイも食べない」
千早「わかった……お互いベストを尽くしましょう」
春香「もちろん!」
千早「んんっ……はる、か……?」
春香「おはよう、千早ちゃん」
千早「おはよう……あれ? 私……」
春香「ゆうべは おたのしみ でしたね」
千早「……そう、そういえば春香が泊まったんだったわね」
春香「ちょっとのってくれてもいいんじゃないかなぁ?」
千早「……? だって昨日の晩はとても楽しかったもの」
春香「あぁ……うん。まぁそうなんだけど」
千早「変な春香ね」クスクス
春香「あはは……そうだね。じゃあ支度して事務所いこうか」
千早「えぇ……今晩は?」
春香「いってみたい……今度こそ。ソイジョイも食べない」
千早「わかった……お互いベストを尽くしましょう」
春香「もちろん!」
180: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/06/15(金) 02:34:57.88 ID:5iVnYSWr0
千早「おはようございます」
春香「おっはようございます! 天海春香、全開バリバリでいきますよー!」
P「お、おはよう……春香、今日はやたら元気だな」
春香「目標ができると乙女は強いんですよ」
P「そういうものなのか……っていうか目標って何だ? 千早は何か知ってるのか?」
千早「さて……どうでしょう」
P「どうでしょうって……はぁ、聞いても教えてくれないんだろ?」
千早「乙女の秘密を探るのはヤボ、らしいですよ?」
P「はいはい……それじゃあ本日の予定はだな―――」
春香「おっはようございます! 天海春香、全開バリバリでいきますよー!」
P「お、おはよう……春香、今日はやたら元気だな」
春香「目標ができると乙女は強いんですよ」
P「そういうものなのか……っていうか目標って何だ? 千早は何か知ってるのか?」
千早「さて……どうでしょう」
P「どうでしょうって……はぁ、聞いても教えてくれないんだろ?」
千早「乙女の秘密を探るのはヤボ、らしいですよ?」
P「はいはい……それじゃあ本日の予定はだな―――」
184: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/06/15(金) 02:43:10.08 ID:5iVnYSWr0
―――――
春香「んー、終わりましたね!」
P「あぁ、おつかれ……栄養ドリンクでも飲むか?」
春香「大丈夫です、今の私はベストコンディションですから」
P「……? わかった、大丈夫ならいいんだが」
春香「それじゃあプロデューサー、お疲れさまでした!」
P「あぁ……おつかれ。いいのか?」
春香「えぇ、駅で待ち合わせしてるんですよ!」
P「えっ? いったい誰と……」
春香「えへへー、秘密ですよーっだ」
P「……おいおい」カシュッ
P「んぐっんぐっ……ぷはぁ。まぁ春香に限って間違いは起こさないよな」
P「それに……恋人ならそもそも言わないだろうし。友達か?」
P「ま、プライベートに必要以上に干渉してもしょうがない……かな」カコン
P「俺も帰るか……」
春香「んー、終わりましたね!」
P「あぁ、おつかれ……栄養ドリンクでも飲むか?」
春香「大丈夫です、今の私はベストコンディションですから」
P「……? わかった、大丈夫ならいいんだが」
春香「それじゃあプロデューサー、お疲れさまでした!」
P「あぁ……おつかれ。いいのか?」
春香「えぇ、駅で待ち合わせしてるんですよ!」
P「えっ? いったい誰と……」
春香「えへへー、秘密ですよーっだ」
P「……おいおい」カシュッ
P「んぐっんぐっ……ぷはぁ。まぁ春香に限って間違いは起こさないよな」
P「それに……恋人ならそもそも言わないだろうし。友達か?」
P「ま、プライベートに必要以上に干渉してもしょうがない……かな」カコン
P「俺も帰るか……」
186: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/06/15(金) 02:48:18.57 ID:5iVnYSWr0
千早「……」
春香「……ちーはーやーちゃん♪」
千早「きゃっ!? は、春香……驚かせないで」
春香「ごめんごめん、待った?」
千早「いいえ、今来たところよ」
春香「そっかぁ……よかった、じゃあいこっか」
千早「今日は割と早めに片付いたし……電車で移動するとちょうどいい時間につきそうね」
春香「うん、結構いい計画でしょ?」
千早「……いったん事務所まで帰してもらった方が早かった気もするけれどね」
春香「まぁまぁ……ね?」
千早「まぁ、なんでもいいのだけれど……」
春香「……ちーはーやーちゃん♪」
千早「きゃっ!? は、春香……驚かせないで」
春香「ごめんごめん、待った?」
千早「いいえ、今来たところよ」
春香「そっかぁ……よかった、じゃあいこっか」
千早「今日は割と早めに片付いたし……電車で移動するとちょうどいい時間につきそうね」
春香「うん、結構いい計画でしょ?」
千早「……いったん事務所まで帰してもらった方が早かった気もするけれどね」
春香「まぁまぁ……ね?」
千早「まぁ、なんでもいいのだけれど……」
188: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/06/15(金) 02:54:09.33 ID:5iVnYSWr0
千早「……春香、お腹は大丈夫?」
春香「うん、ばっちし……もうペコペコだよ」
千早「そう、よかった……一緒においしいご飯を。また食べましょう?」
春香「今日こそはやれる気がするんだ……がんばるよ」
千早「えぇ、春香ならきっとできるわ……私も負けられないもの」
春香「千早ちゃんは二つ名もあってすごいんだから、負けるだなんてそんなぁ」
千早「あれは……まぁ、偶然ついたようなものだからね」
春香「でも、元々の実力がなきゃダメなんじゃないのかな?」
千早「そう……かしら」
春香「うん、ランクだけが上がっても知名度は上がってくれないんだから……元々力があってこそ人気がでるんだよ」
千早「アイドルと一緒、って?」
春香「そういうこと!」フンス
千早「……春香らしいわね」
春香「えぇー? 今のってどういう意味?」
千早「そのままの意味よ?」
春香「うん、ばっちし……もうペコペコだよ」
千早「そう、よかった……一緒においしいご飯を。また食べましょう?」
春香「今日こそはやれる気がするんだ……がんばるよ」
千早「えぇ、春香ならきっとできるわ……私も負けられないもの」
春香「千早ちゃんは二つ名もあってすごいんだから、負けるだなんてそんなぁ」
千早「あれは……まぁ、偶然ついたようなものだからね」
春香「でも、元々の実力がなきゃダメなんじゃないのかな?」
千早「そう……かしら」
春香「うん、ランクだけが上がっても知名度は上がってくれないんだから……元々力があってこそ人気がでるんだよ」
千早「アイドルと一緒、って?」
春香「そういうこと!」フンス
千早「……春香らしいわね」
春香「えぇー? 今のってどういう意味?」
千早「そのままの意味よ?」
190: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/06/15(金) 03:05:46.33 ID:5iVnYSWr0
※※※※
いつもの最寄り駅で電車から降りる
でも、これはいつもの朝の通勤とは違う
時間は既に夜。岐路につく人のほうがはるかに多い
その中を逆流するように私と千早ちゃんは歩いた
誰に見せつけるわけでもない誇りを胸に
ただ、その≪戦場≫へと
春香「……ついたね、千早ちゃん」
千早「えぇ……ベストを尽くしましょう」
不思議だ、最初に見た時はただのよくあるお店だと思っていたのに
今は光量以上に明るくまぶしく見えた
一歩踏み出せば自動ドアが、開く
そして中に入ると肌が粟立つような感覚に襲われる
いろんな人が警戒しているんだ
私、じゃない……隣にいる千早ちゃんを
いつもの最寄り駅で電車から降りる
でも、これはいつもの朝の通勤とは違う
時間は既に夜。岐路につく人のほうがはるかに多い
その中を逆流するように私と千早ちゃんは歩いた
誰に見せつけるわけでもない誇りを胸に
ただ、その≪戦場≫へと
春香「……ついたね、千早ちゃん」
千早「えぇ……ベストを尽くしましょう」
不思議だ、最初に見た時はただのよくあるお店だと思っていたのに
今は光量以上に明るくまぶしく見えた
一歩踏み出せば自動ドアが、開く
そして中に入ると肌が粟立つような感覚に襲われる
いろんな人が警戒しているんだ
私、じゃない……隣にいる千早ちゃんを
191: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/06/15(金) 03:17:45.27 ID:5iVnYSWr0
二つ名持ちっていうのは、警戒されるものなんだ
冷静に考えてみれば、それはあたりまえなんだけれど……
千早「……? どうしたの? 春香」
春香「ううん、なんにも」
私にとっては千早ちゃんは二つ名持ちの狼の前に大切な友達だ
そりゃあ、最初に此処であった時はちょっと怖かったけど
青果コーナーへと向かう
ほのかに香る甘い果実のにおいが、リラックスさせてくれた
余分な力が抜ける、これもこの配置の狙いだったりするんだろうか?
そのまま、総菜コーナーへ
食欲をそそるようなものがいくつもある
てんぷら、コロッケ……やっぱりお腹が減ってると揚げ物が恋しい
ほうれんそうのおひたしやかぼちゃの煮つけもおいしそうだ
腹の虫の主張がひときわ激しくなった
そして―――向かう先は、弁当コーナー
今回のメイン。私達のお腹を満たしてくれる獲物だ
そこに並んでいた弁当は昨日と同じく4つだった
冷静に考えてみれば、それはあたりまえなんだけれど……
千早「……? どうしたの? 春香」
春香「ううん、なんにも」
私にとっては千早ちゃんは二つ名持ちの狼の前に大切な友達だ
そりゃあ、最初に此処であった時はちょっと怖かったけど
青果コーナーへと向かう
ほのかに香る甘い果実のにおいが、リラックスさせてくれた
余分な力が抜ける、これもこの配置の狙いだったりするんだろうか?
そのまま、総菜コーナーへ
食欲をそそるようなものがいくつもある
てんぷら、コロッケ……やっぱりお腹が減ってると揚げ物が恋しい
ほうれんそうのおひたしやかぼちゃの煮つけもおいしそうだ
腹の虫の主張がひときわ激しくなった
そして―――向かう先は、弁当コーナー
今回のメイン。私達のお腹を満たしてくれる獲物だ
そこに並んでいた弁当は昨日と同じく4つだった
193: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/06/15(金) 03:30:45.74 ID:5iVnYSWr0
横目で、しっかりと細かいところまで確認しながらも自然に通り抜ける
千早ちゃんは一瞥しただけでそのまま通り過ぎた
さて、残っていたお弁当について整理しよう
ひとつめ、焼き鮭弁当
割とシンプルな盛り付けと名前。平平凡凡……かと思わせてそうじゃない
大きな鮭の切り身がひときわ目立っていたけどそれだけじゃなかった
何故かフィッシュフライやちくわの磯辺揚げまで添えてあったのが思いだせる
それに、さりげなくサラダ部分と箸休めの充実具合もすばらしかった
ひじきや筑前煮、ポテトサラダとなんでもありのそれは『焼き鮭』の一言だけで済ますには惜しいくらいだ
ふたつめ、豆腐グラタン弁当
昨日食べ損ねたお弁当だ
少しでも理解できるように考えてみたところ……下の段には豆腐が入っている可能性が高そうだ
上の段に入っているグラタンだと思われる物体は、思っていたよりも流動性がある感じだった
つまり……豆腐に、ホワイトソースをかけてあっためてグラタン風にして食べる……? お弁当なんだ
うん、やっぱりよくわからない。でも結構興味をそそられる
みっつめ、ミックスフライ弁当
名前の通り、いろんなフライが盛られたお弁当だ
少し問題があるとするなら……そのサイズだと思う
ジャンボ海老フライにカツ、そしてコロッケにフィッシュフライ
……お腹ぺこぺことはいえ、アイドルが食べるのはどうかと思ってしまった
そして、最後が―――
千早ちゃんは一瞥しただけでそのまま通り過ぎた
さて、残っていたお弁当について整理しよう
ひとつめ、焼き鮭弁当
割とシンプルな盛り付けと名前。平平凡凡……かと思わせてそうじゃない
大きな鮭の切り身がひときわ目立っていたけどそれだけじゃなかった
何故かフィッシュフライやちくわの磯辺揚げまで添えてあったのが思いだせる
それに、さりげなくサラダ部分と箸休めの充実具合もすばらしかった
ひじきや筑前煮、ポテトサラダとなんでもありのそれは『焼き鮭』の一言だけで済ますには惜しいくらいだ
ふたつめ、豆腐グラタン弁当
昨日食べ損ねたお弁当だ
少しでも理解できるように考えてみたところ……下の段には豆腐が入っている可能性が高そうだ
上の段に入っているグラタンだと思われる物体は、思っていたよりも流動性がある感じだった
つまり……豆腐に、ホワイトソースをかけてあっためてグラタン風にして食べる……? お弁当なんだ
うん、やっぱりよくわからない。でも結構興味をそそられる
みっつめ、ミックスフライ弁当
名前の通り、いろんなフライが盛られたお弁当だ
少し問題があるとするなら……そのサイズだと思う
ジャンボ海老フライにカツ、そしてコロッケにフィッシュフライ
……お腹ぺこぺことはいえ、アイドルが食べるのはどうかと思ってしまった
そして、最後が―――
194: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/06/15(金) 03:48:00.46 ID:5iVnYSWr0
よっつめ、スペシャルハンバーグ弁当
名前だけだと、ちょっとカッコつけたハンバーグ弁当との違いが伝わらないかもしれない
でも、見るからにスペシャルなハンバーグ弁当だった
第一にその大きさ。普通のハンバーグならひらべったく伸ばしてあるものだと思う
それは正しいし、火だって均一にちゃんと全体へと通すことができる
でもあのハンバーグは丸かった。円じゃなくて球の形をしていた
専用の容器の中心に、すっぽりと収まってる姿は
まるで小学校のころの工作で作った光る泥団子みたいで綺麗だった
第二にその容器の異質さ
ひとつめの要素の続きになるけれど、他のお弁当と違って規格が違う
……一応、豆腐グラタン弁当もそうなんだけれど
お米とおかずっていう一般的なお弁当のスタイルなのに容器が違っていた
どんぶりの器みたいな容器の底にはご飯、そこへ半透明の敷居が入って野菜と付け合わせが少々
そして中央に……専用のカプセルのようにほりが深いへこみへ球状のハンバーグは設置されていた
遠目でみると完全にどんぶりものの蓋部分が盛り上がってそこに黒い玉が浮いているように見える
だけどその黒い玉は肉汁を大量にはらんでいることがわかるハンバーグで……
そして、よく見れば付け合わせだってどんぶりものにしては多すぎるぐらい
直観的に思ったんだ
これは―――絶対……おいしいだろうなって
名前だけだと、ちょっとカッコつけたハンバーグ弁当との違いが伝わらないかもしれない
でも、見るからにスペシャルなハンバーグ弁当だった
第一にその大きさ。普通のハンバーグならひらべったく伸ばしてあるものだと思う
それは正しいし、火だって均一にちゃんと全体へと通すことができる
でもあのハンバーグは丸かった。円じゃなくて球の形をしていた
専用の容器の中心に、すっぽりと収まってる姿は
まるで小学校のころの工作で作った光る泥団子みたいで綺麗だった
第二にその容器の異質さ
ひとつめの要素の続きになるけれど、他のお弁当と違って規格が違う
……一応、豆腐グラタン弁当もそうなんだけれど
お米とおかずっていう一般的なお弁当のスタイルなのに容器が違っていた
どんぶりの器みたいな容器の底にはご飯、そこへ半透明の敷居が入って野菜と付け合わせが少々
そして中央に……専用のカプセルのようにほりが深いへこみへ球状のハンバーグは設置されていた
遠目でみると完全にどんぶりものの蓋部分が盛り上がってそこに黒い玉が浮いているように見える
だけどその黒い玉は肉汁を大量にはらんでいることがわかるハンバーグで……
そして、よく見れば付け合わせだってどんぶりものにしては多すぎるぐらい
直観的に思ったんだ
これは―――絶対……おいしいだろうなって
195: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/06/15(金) 03:55:40.66 ID:5iVnYSWr0
千早「……≪月桂冠≫かもしれないわ」
千早ちゃんが小さくつぶやく
≪月桂冠≫については昨日教えてもらった
その日の残った中で、一番の力作
何故残ったのか不可解なぐらいのもの
それを、半額神自らが自信を持って推薦する意味を持って貼る特別なシール
そしてそれを貼られた弁当そのもののことを
≪月桂冠≫と呼ぶのだと
春香「……あの、スペシャルハンバーグ弁当?」
千早「えぇ……あれをとったものが、今日の覇者」
ご飯ですよの瓶を手にとった千早ちゃんが、くるくるとラベルを眺めながらいう
私が食べたいと思っているのが伝わったのか、軽く息を吐いてこう続けた
千早「本来……≪月桂冠≫が出たら全員がプライドをかけて狙うの」
春香「……千早ちゃん」
千早「でも私……今日は魚が食べたい気分なのよね」
千早ちゃんが小さくつぶやく
≪月桂冠≫については昨日教えてもらった
その日の残った中で、一番の力作
何故残ったのか不可解なぐらいのもの
それを、半額神自らが自信を持って推薦する意味を持って貼る特別なシール
そしてそれを貼られた弁当そのもののことを
≪月桂冠≫と呼ぶのだと
春香「……あの、スペシャルハンバーグ弁当?」
千早「えぇ……あれをとったものが、今日の覇者」
ご飯ですよの瓶を手にとった千早ちゃんが、くるくるとラベルを眺めながらいう
私が食べたいと思っているのが伝わったのか、軽く息を吐いてこう続けた
千早「本来……≪月桂冠≫が出たら全員がプライドをかけて狙うの」
春香「……千早ちゃん」
千早「でも私……今日は魚が食べたい気分なのよね」
196: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/06/15(金) 04:02:39.16 ID:5iVnYSWr0
春香「……・?」
千早「でも、二つ名持ちとしては放置していくのも逃げるようで癪なの……春香」
ここまで聞けば、さすがに察する
つまり千早ちゃんはこう言ってるんだ
「私は月桂冠を狙わない。でも月桂冠は『私達』がとらなければいけない」
―――と。私が、月桂冠を取れと
春香「……信じてくれるの?」
千早「春香を信じられないのなら、誰も信じられなくなっちゃうわ」
すごく、嬉しい
千早ちゃんは私を信じて任せてくれた
なら私はこの期待に応えてみせる!
春香「……よしっ! まかせて!」
千早「えぇ……お願い」
千早「でも、二つ名持ちとしては放置していくのも逃げるようで癪なの……春香」
ここまで聞けば、さすがに察する
つまり千早ちゃんはこう言ってるんだ
「私は月桂冠を狙わない。でも月桂冠は『私達』がとらなければいけない」
―――と。私が、月桂冠を取れと
春香「……信じてくれるの?」
千早「春香を信じられないのなら、誰も信じられなくなっちゃうわ」
すごく、嬉しい
千早ちゃんは私を信じて任せてくれた
なら私はこの期待に応えてみせる!
春香「……よしっ! まかせて!」
千早「えぇ……お願い」
198: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/06/15(金) 04:13:07.70 ID:5iVnYSWr0
そのまま私達は桃屋のご飯のお供シリーズのビンのラベルを熟読し続けながら時を待った
お腹が今にも鳴ってしまいそうな緊張感の中
ただ、ひたすら時を――――
キィ、とあの独特のドアの音が鳴る
あのおじさんが……半額神が姿を現した
思わず息をのむ
半額神はお惣菜の配置を正しはじめた
そして……貼る
整え終わったお惣菜のパッケージ達へ黄色い祝福が降り注ぐ
あのお惣菜はもう半額なんだ
すべてのお惣菜に貼り終えたところで、次は弁当コーナーへ
綺麗に並べ直すとまた半額シールを取り出し次々と貼っていく
そしてすべての弁当に……いや、まだあのスペシャルハンバーグ弁当には貼ってない
だけどこれまでの半額シールをしまってしまった
春香「……千早ちゃん」
千早「……ええ」
これは、いよいよもって間違いない
お腹が今にも鳴ってしまいそうな緊張感の中
ただ、ひたすら時を――――
キィ、とあの独特のドアの音が鳴る
あのおじさんが……半額神が姿を現した
思わず息をのむ
半額神はお惣菜の配置を正しはじめた
そして……貼る
整え終わったお惣菜のパッケージ達へ黄色い祝福が降り注ぐ
あのお惣菜はもう半額なんだ
すべてのお惣菜に貼り終えたところで、次は弁当コーナーへ
綺麗に並べ直すとまた半額シールを取り出し次々と貼っていく
そしてすべての弁当に……いや、まだあのスペシャルハンバーグ弁当には貼ってない
だけどこれまでの半額シールをしまってしまった
春香「……千早ちゃん」
千早「……ええ」
これは、いよいよもって間違いない
199: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/06/15(金) 04:18:10.75 ID:5iVnYSWr0
そして半額神は独特の模様のついたシールを取り出した
あれが……≪月桂冠≫!
ぺたり、と静かにスペシャルハンバーグ弁当へと貼り付け終わると値段に二重線を引いて訂正した
―――『半額』と
そしていつものようにドアのほうへもどっていき
いつものようにこちらへ一礼をして
いつものようにドアが――――
春香「はああぁっ!」
千早「……!」
――――閉まった
あれが……≪月桂冠≫!
ぺたり、と静かにスペシャルハンバーグ弁当へと貼り付け終わると値段に二重線を引いて訂正した
―――『半額』と
そしていつものようにドアのほうへもどっていき
いつものようにこちらへ一礼をして
いつものようにドアが――――
春香「はああぁっ!」
千早「……!」
――――閉まった
200: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/06/15(金) 04:23:12.79 ID:5iVnYSWr0
ドアが閉まると同時に駆けだす
昨日とはまるで身体の軽さが違う
お腹が減っていると力が出ないとばかり思っていたけど違うんだ
今、この場に限って言えば……空腹を、腹の虫を制御しないと勝てない!
一直線に弁当コーナーへ飛びこむ
一気にかっさらえるかとも思ったけれど、横から妨害が入ってそううまくはいってくれなかった
坊主「っち……おいおい嬢ちゃん、初心者の目じゃないぞ?」
昨日一昨日とお世話になった坊主さんだ
でも、今は遠慮しない……遠慮できない
お腹が減っている
とっても、はらぺこなんだ
あのハンバーグに……齧りつきたい!
春香「ああぁぁぁッ!」
腕にありったけの力を込めて叩きつけると坊主さんはガードごと吹っ飛んだ
昨日とはまるで身体の軽さが違う
お腹が減っていると力が出ないとばかり思っていたけど違うんだ
今、この場に限って言えば……空腹を、腹の虫を制御しないと勝てない!
一直線に弁当コーナーへ飛びこむ
一気にかっさらえるかとも思ったけれど、横から妨害が入ってそううまくはいってくれなかった
坊主「っち……おいおい嬢ちゃん、初心者の目じゃないぞ?」
昨日一昨日とお世話になった坊主さんだ
でも、今は遠慮しない……遠慮できない
お腹が減っている
とっても、はらぺこなんだ
あのハンバーグに……齧りつきたい!
春香「ああぁぁぁッ!」
腕にありったけの力を込めて叩きつけると坊主さんはガードごと吹っ飛んだ
202: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/06/15(金) 04:29:18.55 ID:5iVnYSWr0
春香「っふ!」
振りぬいた腕の慣性に引っ張られるようにその場で回転
ハンバーグ弁当に手を伸ばそうとして、また防がれる
茶髪「……やるじゃない、新入りさん!」
初めてここに来た時、動けなくなった私に渇を入れてくれた人だ
千早ちゃんが無理をし続ける結果にならなかったのはこの人のおかげだ
でも、今私はお腹が減っているんだ
茶髪の女の人の豊満な胸が揺れる
千早ちゃんの声が近くで聞こえた気がした
千早「……悪いけれど、邪魔させないわ!」
茶髪「へぇ……入れ込んでる、じゃんっ!」
気のせいじゃなかったみたいだ。後ろから飛びこんだ千早ちゃんがそのまま茶髪さんと打撃戦へもちこんだ
一瞬だけど目があった時に千早ちゃんが『任せろ』といってくれた気がする
今度こそ。既に周りには人垣ができ始めている
振りぬいた腕の慣性に引っ張られるようにその場で回転
ハンバーグ弁当に手を伸ばそうとして、また防がれる
茶髪「……やるじゃない、新入りさん!」
初めてここに来た時、動けなくなった私に渇を入れてくれた人だ
千早ちゃんが無理をし続ける結果にならなかったのはこの人のおかげだ
でも、今私はお腹が減っているんだ
茶髪の女の人の豊満な胸が揺れる
千早ちゃんの声が近くで聞こえた気がした
千早「……悪いけれど、邪魔させないわ!」
茶髪「へぇ……入れ込んでる、じゃんっ!」
気のせいじゃなかったみたいだ。後ろから飛びこんだ千早ちゃんがそのまま茶髪さんと打撃戦へもちこんだ
一瞬だけど目があった時に千早ちゃんが『任せろ』といってくれた気がする
今度こそ。既に周りには人垣ができ始めている
203: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/06/15(金) 04:35:03.80 ID:5iVnYSWr0
邪魔されずに手を伸ばせるラストチャンスだろう
これで取れなきゃ、乱戦での振る舞いなんて私にはわからない
そこへ滑り込むように現れたのは……初日にお弁当をさらっていった顎鬚の男の人
顎鬚「待ちな……悪い、がっ!?」
春香「えいっ! ごぉ、めんな……さいッ!」
手を弾こうと動いているのがわかったので、どこか別の場所で攻撃できないかと考える
考えながらもちっともいい案が浮かびそうにないのでその思考中の頭を顎鬚さんにぶつけた
顎鬚さんがひるんだ隙に後ろへと投げ、近付いていた他の人達へのけん制にする
完全にフリーになった私はそのまま――――
春香「ああああああっ!」
≪月桂冠≫を手に入れることに成功した
これで取れなきゃ、乱戦での振る舞いなんて私にはわからない
そこへ滑り込むように現れたのは……初日にお弁当をさらっていった顎鬚の男の人
顎鬚「待ちな……悪い、がっ!?」
春香「えいっ! ごぉ、めんな……さいッ!」
手を弾こうと動いているのがわかったので、どこか別の場所で攻撃できないかと考える
考えながらもちっともいい案が浮かびそうにないのでその思考中の頭を顎鬚さんにぶつけた
顎鬚さんがひるんだ隙に後ろへと投げ、近付いていた他の人達へのけん制にする
完全にフリーになった私はそのまま――――
春香「ああああああっ!」
≪月桂冠≫を手に入れることに成功した
204: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/06/15(金) 04:40:30.62 ID:5iVnYSWr0
周りの声が遠く聞こえる
月桂冠は手の中にある
春香「……あっ」
さっきまで後ろから殴りかかろうとしていた人が、既に別の人にターゲットを変えている
そうか、弁当をとった人は攻撃されないんだった
私はそのままゆっくりとレジへと歩いて行く
春香「……お弁当、取れたんだ」
いまさらながら実感が沸いてくる
手の中にあるのは、おいしそうなお弁当
春香「嬉しいなぁ……あれ? 涙が……」
それを見ているだけで、涙があふれてきそうになった
最高の半額弁当の証、月桂冠を
私が初めてとった半額弁当を
月桂冠は手の中にある
春香「……あっ」
さっきまで後ろから殴りかかろうとしていた人が、既に別の人にターゲットを変えている
そうか、弁当をとった人は攻撃されないんだった
私はそのままゆっくりとレジへと歩いて行く
春香「……お弁当、取れたんだ」
いまさらながら実感が沸いてくる
手の中にあるのは、おいしそうなお弁当
春香「嬉しいなぁ……あれ? 涙が……」
それを見ているだけで、涙があふれてきそうになった
最高の半額弁当の証、月桂冠を
私が初めてとった半額弁当を
205: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/06/15(金) 04:45:05.09 ID:5iVnYSWr0
しばらくレジの向こうで待つと、千早ちゃんが弁当を持って歩いてきた
千早「すごいわ、春香……まさか初撃で決まるなんて」
春香「あはは……お腹減ってたから」
そう、すっごくお腹が減ってたんだった
思い出すとお腹がギューギューと食事を要求する
春香「……お弁当、食べようか」
千早「えぇ。あっためて……最初と同じように、そこのスペースで」
千早ちゃんが優しく微笑む
なんだかとってもあったかい気分になってきた
春香「うん……」
千早「……泣いてるの?」
春香「なんでだろうね……わかんないけど、涙が出るんだ」
千早「すごいわ、春香……まさか初撃で決まるなんて」
春香「あはは……お腹減ってたから」
そう、すっごくお腹が減ってたんだった
思い出すとお腹がギューギューと食事を要求する
春香「……お弁当、食べようか」
千早「えぇ。あっためて……最初と同じように、そこのスペースで」
千早ちゃんが優しく微笑む
なんだかとってもあったかい気分になってきた
春香「うん……」
千早「……泣いてるの?」
春香「なんでだろうね……わかんないけど、涙が出るんだ」
217: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/06/15(金) 08:00:35.50 ID:Og9mAEtMO
千早ちゃんがポンポンと頭を撫でてくれる
しばらくそうしてもらって、ようやく涙は止まった
春香「……うん、ありがとう千早ちゃん。落ち着いた」
千早「よかった……春香、せっかくの月桂冠よ。鼻が詰まったままじゃもったいないわ」
春香「ふふっ……うん!」
千早ちゃんなりの励ましなのか、冗談なのか
それとも本気でいってるのかわからないけど
……とにかく元気はでた
せっかくのはじめてとれたお弁当なんだからちゃんとおいしく食べなきゃね!
レンジへとお弁当を入れて温める
少し長めの加熱時間を要求するそれに、期待感が増していく
千早ちゃんも少し落ち着かない様子だ
しばらくそうしてもらって、ようやく涙は止まった
春香「……うん、ありがとう千早ちゃん。落ち着いた」
千早「よかった……春香、せっかくの月桂冠よ。鼻が詰まったままじゃもったいないわ」
春香「ふふっ……うん!」
千早ちゃんなりの励ましなのか、冗談なのか
それとも本気でいってるのかわからないけど
……とにかく元気はでた
せっかくのはじめてとれたお弁当なんだからちゃんとおいしく食べなきゃね!
レンジへとお弁当を入れて温める
少し長めの加熱時間を要求するそれに、期待感が増していく
千早ちゃんも少し落ち着かない様子だ
218: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/06/15(金) 08:11:13.55 ID:Og9mAEtMO
春香「温めおーわり……っと」
レンジの回転テーブルが止まる
ドアをあけてお弁当を取り出した
春香「……おいしそう」
千早「そうね……なにがスペシャルなのかも気になるところだわ」
なにが、ってこの形がだと思うんだけど……
千早ちゃんは形だけじゃないさらなる何かを予感しているみたいだ
なにはともあれ、晩ご飯の準備はできた
千早ちゃんの焼き鮭弁当もあたため終わり、残っている過程はおいしくいただくだけだ
春香「……いただきます!」
千早「いただきます」
割り箸を2つに割っていう
さぁ、いったいどんなところがスペシャルなんだろう?
蓋を外せば、すごい湯気があがった
レンジの回転テーブルが止まる
ドアをあけてお弁当を取り出した
春香「……おいしそう」
千早「そうね……なにがスペシャルなのかも気になるところだわ」
なにが、ってこの形がだと思うんだけど……
千早ちゃんは形だけじゃないさらなる何かを予感しているみたいだ
なにはともあれ、晩ご飯の準備はできた
千早ちゃんの焼き鮭弁当もあたため終わり、残っている過程はおいしくいただくだけだ
春香「……いただきます!」
千早「いただきます」
割り箸を2つに割っていう
さぁ、いったいどんなところがスペシャルなんだろう?
蓋を外せば、すごい湯気があがった
221: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/06/15(金) 08:26:18.11 ID:Og9mAEtMO
春香「わっ……すごい」
千早「……ええ」
汁物のそれに近いほどの湯気に面食らう
ドーム型の器は熱と水分を逃がさない仕組みになっていたみたいだ
そしてその水分は……ハンバーグから肉汁として染み出しているみたいだった
ハンバーグがすっぽり収まっていた中央部は、肉汁がたまっているのがわかる
でもハンバーグの下の部分が自分から出た肉汁に浸っているわけでもない
ほんの少し浮くように、底部分に近づくにつれて細くなっている容器のおかげみたいだ
春香「……じゃあ、主役はちょっと待ってみようかな」
もったいぶって別に盛られたおかずに手をだしてみる
卵焼きや、温野菜……細かい敷居で仕切られたそれは色も鮮やかだ
ハンバーグはおいしそうだけど、やっぱり茶色一色だけっていうのはものたりないもんね?
千早「……ええ」
汁物のそれに近いほどの湯気に面食らう
ドーム型の器は熱と水分を逃がさない仕組みになっていたみたいだ
そしてその水分は……ハンバーグから肉汁として染み出しているみたいだった
ハンバーグがすっぽり収まっていた中央部は、肉汁がたまっているのがわかる
でもハンバーグの下の部分が自分から出た肉汁に浸っているわけでもない
ほんの少し浮くように、底部分に近づくにつれて細くなっている容器のおかげみたいだ
春香「……じゃあ、主役はちょっと待ってみようかな」
もったいぶって別に盛られたおかずに手をだしてみる
卵焼きや、温野菜……細かい敷居で仕切られたそれは色も鮮やかだ
ハンバーグはおいしそうだけど、やっぱり茶色一色だけっていうのはものたりないもんね?
223: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/06/15(金) 08:37:13.17 ID:Og9mAEtMO
春香「えーっと……」
とりあえず温野菜らしきものに箸を伸ばす
レンジで温める前提のお弁当は、サラダみたいな生野菜は入れられない
だから温めてなおおいしいものにしてある……って千早ちゃんが教えてくれた
箸はすんなりとおって、ニンジンは小さく切れた
口に運ぶと、独特の甘味を含んだ味わいがひろがる
でも、自分の知ってるニンジンとはちょっと違うような……?
私が思っていた青臭さがない
むしろ優しい香りが……香り?
春香「これ……ただの温野菜じゃないみたい」
千早「えっ?」
じっとこちらを見つめていた千早ちゃんが少し驚いたような声をだす
ハンバーグがスペシャルなのはわかっていたけどつけあわせもスペシャルなんて本当にスペシャルなお弁当だ
とりあえず温野菜らしきものに箸を伸ばす
レンジで温める前提のお弁当は、サラダみたいな生野菜は入れられない
だから温めてなおおいしいものにしてある……って千早ちゃんが教えてくれた
箸はすんなりとおって、ニンジンは小さく切れた
口に運ぶと、独特の甘味を含んだ味わいがひろがる
でも、自分の知ってるニンジンとはちょっと違うような……?
私が思っていた青臭さがない
むしろ優しい香りが……香り?
春香「これ……ただの温野菜じゃないみたい」
千早「えっ?」
じっとこちらを見つめていた千早ちゃんが少し驚いたような声をだす
ハンバーグがスペシャルなのはわかっていたけどつけあわせもスペシャルなんて本当にスペシャルなお弁当だ
225: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/06/15(金) 08:53:49.21 ID:Og9mAEtMO
春香「これ……ちょっと食べてみて?」
ひとくちサイズに切って千早ちゃんの口元へ運ぶ
千早ちゃんは少しためらうような表情を浮かべたあと、意を決したみたいに口を開けた
千早「……なるほど、あく抜きを丁寧にやったうえで香りをつけれるように出汁で蒸した……のかしら」
簡単に言えばひと手間かけてあるってことだ
すごいやスペシャル弁当。つけあわせにも手はぬかない
その後も周りのおかずに手をつけては小さな工夫に驚くのを繰り返した
月桂冠は伊達じゃないってことか……プロ意識を感じる
千早「その……春香」
千早ちゃんがもじもじしている
自分のお弁当にもあまり手をつけてないようだ
……んっふっふー、わかってますとも!
まだ手をつけてないこのハンバーグが気になっているってことぐらいね
ひとくちサイズに切って千早ちゃんの口元へ運ぶ
千早ちゃんは少しためらうような表情を浮かべたあと、意を決したみたいに口を開けた
千早「……なるほど、あく抜きを丁寧にやったうえで香りをつけれるように出汁で蒸した……のかしら」
簡単に言えばひと手間かけてあるってことだ
すごいやスペシャル弁当。つけあわせにも手はぬかない
その後も周りのおかずに手をつけては小さな工夫に驚くのを繰り返した
月桂冠は伊達じゃないってことか……プロ意識を感じる
千早「その……春香」
千早ちゃんがもじもじしている
自分のお弁当にもあまり手をつけてないようだ
……んっふっふー、わかってますとも!
まだ手をつけてないこのハンバーグが気になっているってことぐらいね
228: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/06/15(金) 09:05:02.53 ID:Og9mAEtMO
あまり回り道しすぎると冷めちゃうかもしれない
そうなっちゃったら本末転倒もいいところだ
……正直、結構ガマンの限界だし
春香「……よし、じゃあメインといきましょう!」
少し大げさに箸をつける
一口大ぐらいに切るのも考えたけど……
これだけ大きくておいしそうなんだから切るのはもったいない
そう思いなおして、全体を持ち上げるように持ちなおす
そして一気にかじりついた
春香「あー……んっ! あふっ!?」
口に入れた最初の感想は
『おいしい』でも『工夫がすごい』でもなく―――
純粋にただ、熱かった
春香「ん~~~っ!」
そうなっちゃったら本末転倒もいいところだ
……正直、結構ガマンの限界だし
春香「……よし、じゃあメインといきましょう!」
少し大げさに箸をつける
一口大ぐらいに切るのも考えたけど……
これだけ大きくておいしそうなんだから切るのはもったいない
そう思いなおして、全体を持ち上げるように持ちなおす
そして一気にかじりついた
春香「あー……んっ! あふっ!?」
口に入れた最初の感想は
『おいしい』でも『工夫がすごい』でもなく―――
純粋にただ、熱かった
春香「ん~~~っ!」
231: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/06/15(金) 09:22:19.39 ID:Og9mAEtMO
千早「は、春香! お茶!」
春香「んっ……んくっ……はぁ。あひゅいよ……千早ちゃん……」
千早ちゃんからお茶を受け取ると一気に流しこんだ
舌がヒリヒリする……ちょっとやけどしちゃったかもしれない
千早「うかつだったわね……大丈夫?」
春香「うん……」
結構な時間おいてあったんだからもう少しは冷めていると思った
でもかじったところからは熱々の肉汁が飛び出してきたんだ
ハンバーグも、かじったあたりからまた新鮮な湯気があがってる
……肉汁だけだと説明がつかない量の水分
それに、タレの類はついてなかった
なのに濃厚な風味を感じた気がする
これは、たぶん……
千早「出汁……ソース? が中に閉じこめられていたのかしら」
春香「うん、そういうことだと思う……びっくりした」
春香「んっ……んくっ……はぁ。あひゅいよ……千早ちゃん……」
千早ちゃんからお茶を受け取ると一気に流しこんだ
舌がヒリヒリする……ちょっとやけどしちゃったかもしれない
千早「うかつだったわね……大丈夫?」
春香「うん……」
結構な時間おいてあったんだからもう少しは冷めていると思った
でもかじったところからは熱々の肉汁が飛び出してきたんだ
ハンバーグも、かじったあたりからまた新鮮な湯気があがってる
……肉汁だけだと説明がつかない量の水分
それに、タレの類はついてなかった
なのに濃厚な風味を感じた気がする
これは、たぶん……
千早「出汁……ソース? が中に閉じこめられていたのかしら」
春香「うん、そういうことだと思う……びっくりした」
232: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/06/15(金) 09:34:55.43 ID:Og9mAEtMO
昔、漫画で読んだことがある
大きなかきあげ全体に、タレをいきわたらせるにはどうするのか?
その漫画では、かきあげのタネにタレのキューブを混ぜ込んでその問題を解決していた
熱で溶けて、噛めばひろがる風味……食べてみたくておねだりしたっけ
つまり、このハンバーグはそれと同じことをしているんだ
球状のこれにタレをかけてもいきわたりはしない
でも中からなら? ……熱くなればタレが溶けだしてくる
ただそれだけならチンしたときにタレは流れでてしまうかもしれない
でもこのハンバーグ……たぶん一度軽く揚げてある!
中の旨味がでてしまわないように、ハンバーグらしさを失わないように
細心の注意を払ってしあげられたんだろう
春香「……んっ」
今度はやけどしないように慎重にかじった
大きなかきあげ全体に、タレをいきわたらせるにはどうするのか?
その漫画では、かきあげのタネにタレのキューブを混ぜ込んでその問題を解決していた
熱で溶けて、噛めばひろがる風味……食べてみたくておねだりしたっけ
つまり、このハンバーグはそれと同じことをしているんだ
球状のこれにタレをかけてもいきわたりはしない
でも中からなら? ……熱くなればタレが溶けだしてくる
ただそれだけならチンしたときにタレは流れでてしまうかもしれない
でもこのハンバーグ……たぶん一度軽く揚げてある!
中の旨味がでてしまわないように、ハンバーグらしさを失わないように
細心の注意を払ってしあげられたんだろう
春香「……んっ」
今度はやけどしないように慎重にかじった
234: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/06/15(金) 09:42:32.37 ID:Og9mAEtMO
肉々しいワイルドな風味を、まろやかなタレが優しく広げる
お肉らしさの中に、あとをひくような微かな甘味
タレの味かな? 甘ったるくもなくてなかなか……
もくもくとかじっていると、ガリッと違和感を感じた
なにか変なものでも混じってたんじゃ、と思った時にそれは否定される
春香「~~~~~っ! か、からひっ!?」
ガツンと辛さが抜ける
たぶん今かじったのは粒胡椒だ
いきなりでまた驚かされたけれど辛さはすぐにひいた
さっぱりした口は、またあの甘味のあるお肉を求める
……すごい、スペシャルハンバーグは本当にスペシャルだ
お肉らしさの中に、あとをひくような微かな甘味
タレの味かな? 甘ったるくもなくてなかなか……
もくもくとかじっていると、ガリッと違和感を感じた
なにか変なものでも混じってたんじゃ、と思った時にそれは否定される
春香「~~~~~っ! か、からひっ!?」
ガツンと辛さが抜ける
たぶん今かじったのは粒胡椒だ
いきなりでまた驚かされたけれど辛さはすぐにひいた
さっぱりした口は、またあの甘味のあるお肉を求める
……すごい、スペシャルハンバーグは本当にスペシャルだ
235: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/06/15(金) 09:53:09.59 ID:Og9mAEtMO
千早「……」
千早ちゃんがこっちをみている
……んっふっふ、素直になりなよちーちゃん?
千早「春香……その」
春香「はい、どうぞ?」
遠慮がちに話しかけてきたのへカウンターをあわせるようにハンバーグをさしだす
千早ちゃんは少し驚いたような顔をしたあと歌う時のように大きく口をあけた
今、時代は蒼い鳥より茶色い牛だ
千早「……おいしい」
千早ちゃんの表情がほころぶ
別に私が作ったわけでもないのになんだか誇らしい
春香「おいしいよね!……じゃあ私にも何かちょうだい?」
餌を待つ小鳥のように、大きく口をあけてみる
目をつむっていると、小さく溜め息が聞こえたあと口の中に何かが入ってきた
口の中でほどけるような食感
お米を求めさせるほどよい塩気
……間違いない、千早ちゃんのお弁当のメインの焼き鮭だ!
千早ちゃんがこっちをみている
……んっふっふ、素直になりなよちーちゃん?
千早「春香……その」
春香「はい、どうぞ?」
遠慮がちに話しかけてきたのへカウンターをあわせるようにハンバーグをさしだす
千早ちゃんは少し驚いたような顔をしたあと歌う時のように大きく口をあけた
今、時代は蒼い鳥より茶色い牛だ
千早「……おいしい」
千早ちゃんの表情がほころぶ
別に私が作ったわけでもないのになんだか誇らしい
春香「おいしいよね!……じゃあ私にも何かちょうだい?」
餌を待つ小鳥のように、大きく口をあけてみる
目をつむっていると、小さく溜め息が聞こえたあと口の中に何かが入ってきた
口の中でほどけるような食感
お米を求めさせるほどよい塩気
……間違いない、千早ちゃんのお弁当のメインの焼き鮭だ!
237: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/06/15(金) 10:06:51.96 ID:Og9mAEtMO
―――楽しい時間はあっという間に過ぎるもので
かなりのボリュームもあったはずのお弁当はあっという間に空になってしまった
本当に、おいしかった
春香「……ふぅ、お腹いっぱいだよ」
千早「えぇ、私も……」
千早ちゃんと顔をみあわせて笑う
本当に不思議だ
スーパーで売っているお弁当がこんなにおいしいものだなんて
それを口に出して聞いてみると千早ちゃんは小さく笑って
千早「春香が自力でとったんだもの……最高の、勝利の一味が入っているのよ」
―――そう、応えた
かなりのボリュームもあったはずのお弁当はあっという間に空になってしまった
本当に、おいしかった
春香「……ふぅ、お腹いっぱいだよ」
千早「えぇ、私も……」
千早ちゃんと顔をみあわせて笑う
本当に不思議だ
スーパーで売っているお弁当がこんなにおいしいものだなんて
それを口に出して聞いてみると千早ちゃんは小さく笑って
千早「春香が自力でとったんだもの……最高の、勝利の一味が入っているのよ」
―――そう、応えた
239: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/06/15(金) 10:08:25.19 ID:Og9mAEtMO
でも昨日と一昨日のお弁当だってすごくおいしかった
あれは私はとってないのに千早ちゃんがわけてくれたんだけど……
春香「……あぁ」
ちょっと考えてから、ひとつの結論にたどり着いた
私のイメージするスーパーのお弁当は孤独なものだけど―――
春香「大切な人と一緒に食べるご飯がおいしくないわけがないんだ」
千早「え?」
春香「ううん、なんでもない! ねぇ千早ちゃん―――」
今度私の手料理も食べてみて欲しいな?
半額弁当もおいしいけど、アクセントがあってもいいよね
そんなことを私は思ったのだった
おわり
あれは私はとってないのに千早ちゃんがわけてくれたんだけど……
春香「……あぁ」
ちょっと考えてから、ひとつの結論にたどり着いた
私のイメージするスーパーのお弁当は孤独なものだけど―――
春香「大切な人と一緒に食べるご飯がおいしくないわけがないんだ」
千早「え?」
春香「ううん、なんでもない! ねぇ千早ちゃん―――」
今度私の手料理も食べてみて欲しいな?
半額弁当もおいしいけど、アクセントがあってもいいよね
そんなことを私は思ったのだった
おわり
240: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/06/15(金) 10:11:16.34 ID:Og9mAEtMO
途中での寝落ちすまんかった
ベン・トーとアイマスのクロスでした
ご飯の描写むつかしいね
少しでも旨そうって思われたら嬉しい
じゃあまたいつか
ベン・トーとアイマスのクロスでした
ご飯の描写むつかしいね
少しでも旨そうって思われたら嬉しい
じゃあまたいつか
241: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/06/15(金) 10:18:39.27 ID:Og9mAEtMO
あ、あとどこか違和感とかあったら教えて欲しいかも
また今度書く時の参考にしたい
一応ベン・トー知らなくてもわかるようにしたつもりなんだけれど……
また今度書く時の参考にしたい
一応ベン・トー知らなくてもわかるようにしたつもりなんだけれど……
243: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/06/15(金) 10:31:54.17 ID:TlWYouxV0
そして俺たちは近所のスーパーへ出陣するのであった・・・・・
244: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/06/15(金) 10:34:56.00 ID:Jdxmc/pai
乙
旨そうだった
旨そうだった
245: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/06/15(金) 10:38:06.37 ID:ZvhwCVx60
おつおつ
面白かった
違和感ってほどじゃないけど、戦闘描写があっさり目でちょっと物足りない感じがしたかも
面白かった
違和感ってほどじゃないけど、戦闘描写があっさり目でちょっと物足りない感じがしたかも
246: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/06/15(金) 11:26:34.06 ID:DEQXEMx0i
原作知らない身としてはこれくらいでちょうど良かったな
うまそうだった
うまそうだった
Entry ⇒ 2012.06.25 | Category ⇒ ベン・トーSS | Comments (2) | Trackbacks (0)
佐藤、著莪 「「月桂冠?」」
元スレ:佐藤、著莪 「「月桂冠?」」
http://hayabusa.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1327539342/
翌朝、パンの焼ける匂いで目が覚めた。
目をこすりながらリビングに行くとパジャマにエプロン姿というなんとも斬新な格好の従姉弟がいる。
著莪「おっ、起きたか。佐藤おはよう♪」
佐藤「おはよう…」
著莪「顔洗ってきなよ、もうすぐ卵も焼けるしさ」
佐藤「ん~了解」
基本、家事などは当番制だが結局は僕が著莪の当番のときも代わりにやることが多いため彼女がこうして台所に立っている事は稀だ…
それ故、結構悪戦苦闘しているようで、彼女が手に持っていたフライパンの中にはおそらく目玉焼きになり損ねたと思しきスクランブルエッグが入っていた。
朝食を済ませ僕は2人分の食器を片付けてリビングで寛いでいた。著莪は脱衣所の方で制服に着替え中…
著莪「ごめん佐藤、私の部屋からブラ取ってきてー」
脱衣所から顔だけ出した状態で著莪はさも当たり前のように言い放つ。
佐藤「なんだよ、また持って行かなかったのか?」
今週に入ってもう3回目だぞ……ひょっとしたら彼女は若年性アルツハイマーなのか?
しかし、3つ目の質問をされたときには言葉が詰まった、 なにせ…
半額神「あやめちゃんが将来結婚するとしたらどんな男の人を選ぶのかしら?」
コレには心底参ってしまった、しかも考えに考えた結果、出てきた答えに何よりも驚いた……
顔を赤くしている私を見てお婆ちゃんは、あらまあ…と、言って微笑んでいたっけ。
半額神「こんなお年寄りが図々しくあんな事を聞いちゃってごめんなさい、でも老婆心ながら最後にもう1つだけ言わせて?」
そう言うと、お婆ちゃんは私の顔をさらに熱くさせるようなことを口にした……
半額神「相手が、たとえそれが従姉弟や自分の両親であっても口に出して言わないと伝わらない事もあるのよ?」
彼女は気付いているのだろうか? 僕が起きている事に…
正直あれだけ顔を弄られて起きない奴はいない。
起きてるって言えば良いんだけどなんというか…… こうなったら狸寝入りを決め込もう、みたいな意地を張っちゃってさ…
著莪「…佐藤……ホントは起きてるでしょう?」
僕の従姉弟はエスパーなのか?
著莪「エスパーじゃないけどさ、佐藤のことならなんとなく…ね」
どうりで昔から僕の英知が結晶されたような秘蔵本の隠し場所を幾度となく暴けたわけだ……
著莪「起きなくても良いからさ、聴いて欲しいんだ…」
頬を赤く染めた彼女を見て、僕にも今だけは著莪の考えていることがなんとなく分かる気がした、だとすれば僕の返事は既に決まっている。
なにせ今日の公園、そして今まさにこの瞬間。僕は彼女に… やられてしまったのだから。
著莪「いつも傍に居てくれてありがとう、大好きだよ、佐藤」
そう言って著莪は僕に今日3度目の少し長いキスをするのだった…
〈了〉
http://hayabusa.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1327539342/
1 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/01/26(木) 09:55:42.20 ID:zz82bxEp0
閑静な住宅街の一角にそびえたつ1件のスーパー。
現在時刻は午後8時10分、あと20分ほどで半値印証時刻だ。
自動ドアをくぐると店内には落ち着きのあるBGMが流れている、そのメロディーを聴きながら青果コーナに向かい同時に彼等の気配を探る…
2… 4… 6人か。
その中に1人、知り合いの気配がある
一瞬そちらに行こうかと考えたが… 今は獲物の確認のほうが先決だ。
青果コーナーから鮮魚、精肉コーナーを抜け、お惣菜、弁当コーナーへと向かう。
棚に惣菜はほとんど残っていなかった、特に揚げ物は壊滅的と言って良い、そこにはチクワ、かきあげ、その他もろもろ… いつも目にしている相棒達の姿はなかった。
唯一コロッケが3個残っているだけ、今日はこの店の需要と供給のつり合いが比較的上手く取れたのだろう。
普段お世話になっている身の上としてはスーパーが商売繁盛ってことは喜ぶべき事なんだけど、 …その反面、素直に喜べない自分も同時に存在している訳で…
だがそれは今宵、獲物が獲れなかったときに初めて関係することだ。ようは獲れれば問題ない、獲れれば…ね。
いよいよ弁当コーナーの前に来た、立ち止まることなく横目で見る。今宵の神の恵みは5つ、内2つが同じものだ。
一つ目はチーズカレー弁当、電子レンジで温めることを計算に入れてかカレーの上に粉チーズが降りかけられている。量も申し分ない。
2つ目はオーソドックスな幕の内弁当、3つ目もこれまた定番といえる鮭弁が2つ。
現在時刻は午後8時10分、あと20分ほどで半値印証時刻だ。
自動ドアをくぐると店内には落ち着きのあるBGMが流れている、そのメロディーを聴きながら青果コーナに向かい同時に彼等の気配を探る…
2… 4… 6人か。
その中に1人、知り合いの気配がある
一瞬そちらに行こうかと考えたが… 今は獲物の確認のほうが先決だ。
青果コーナーから鮮魚、精肉コーナーを抜け、お惣菜、弁当コーナーへと向かう。
棚に惣菜はほとんど残っていなかった、特に揚げ物は壊滅的と言って良い、そこにはチクワ、かきあげ、その他もろもろ… いつも目にしている相棒達の姿はなかった。
唯一コロッケが3個残っているだけ、今日はこの店の需要と供給のつり合いが比較的上手く取れたのだろう。
普段お世話になっている身の上としてはスーパーが商売繁盛ってことは喜ぶべき事なんだけど、 …その反面、素直に喜べない自分も同時に存在している訳で…
だがそれは今宵、獲物が獲れなかったときに初めて関係することだ。ようは獲れれば問題ない、獲れれば…ね。
いよいよ弁当コーナーの前に来た、立ち止まることなく横目で見る。今宵の神の恵みは5つ、内2つが同じものだ。
一つ目はチーズカレー弁当、電子レンジで温めることを計算に入れてかカレーの上に粉チーズが降りかけられている。量も申し分ない。
2つ目はオーソドックスな幕の内弁当、3つ目もこれまた定番といえる鮭弁が2つ。
3 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/01/26(木) 10:01:53.68 ID:zz82bxEp0
そしてラストが特盛オムライス弁当、容器に『卵を3個使用』と書かれている。なるほど確かにほかの弁当の容器と比べて明らかにでかい。
これ1つで2人前くらいの量があるんじゃないだろうか?そんなことを考えながら近場の鳥棚へと歩を進める。
至って健康かつ食べ盛りな僕としてはチーズカレー、特盛オムライス、当然ながらこの2つの内どちらかを狙うべきなのだが、う~む… 定番には定番の良さがあるしな~
二階堂「来たか、佐藤」
前者の2つはみんな狙ってきそうだし、 …いや、あの特盛具合は半端じゃなかったぞ、それをまじめに狙う奴なんて本当にいるのか?
二階堂「おい、佐藤?」
佐藤「うわっ!先輩!?」
二階堂「ようやく気づいたか」
考え事をしていて忘れていたが、スーパーに来たとき気配で彼がいることには気づいていた。
二階堂連、丸富大学の2年で僕と著莪の先輩にあたる人だ。
あの初勝利の翌日にスーパーで声をかけられて以来、共闘したり、いろいろなスーパーの情報を教えてくれたりと、お世話になっている。
佐藤「すみません、どのお弁当にしようか考えていたもので…」
二階堂「食べ盛りのお前が好みそうなのが2つ、そして安心と信頼の定番が3つだからな」
迷うのも無理はない。そう先輩は言ってくれた。
二階堂「おまけに狼の数も少ない」
これ1つで2人前くらいの量があるんじゃないだろうか?そんなことを考えながら近場の鳥棚へと歩を進める。
至って健康かつ食べ盛りな僕としてはチーズカレー、特盛オムライス、当然ながらこの2つの内どちらかを狙うべきなのだが、う~む… 定番には定番の良さがあるしな~
二階堂「来たか、佐藤」
前者の2つはみんな狙ってきそうだし、 …いや、あの特盛具合は半端じゃなかったぞ、それをまじめに狙う奴なんて本当にいるのか?
二階堂「おい、佐藤?」
佐藤「うわっ!先輩!?」
二階堂「ようやく気づいたか」
考え事をしていて忘れていたが、スーパーに来たとき気配で彼がいることには気づいていた。
二階堂連、丸富大学の2年で僕と著莪の先輩にあたる人だ。
あの初勝利の翌日にスーパーで声をかけられて以来、共闘したり、いろいろなスーパーの情報を教えてくれたりと、お世話になっている。
佐藤「すみません、どのお弁当にしようか考えていたもので…」
二階堂「食べ盛りのお前が好みそうなのが2つ、そして安心と信頼の定番が3つだからな」
迷うのも無理はない。そう先輩は言ってくれた。
二階堂「おまけに狼の数も少ない」
6 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/01/26(木) 10:08:12.42 ID:zz82bxEp0
そうなのだ、今日このスーパーには僕と先輩を合わせて7人の狼が居る、後から来る著莪を合わせると8人か。
8人の需要に対して供給は5、比較的、獲物を奪取できる確率は高いといえた。
二階堂「今日は、お前1人か?」
佐藤「いえ、アイツは友達の家に行ってその足で直接ココに来るみたいです」
二階堂「そうか、ならば俺たちも気を引き締めて望むとしよう」
俺達と複数形なのは先輩の後ろにガブリエルラチェットのメンバーが2人ほど控えているからだ。
《ガブリエルラチェット》主だったメンバーは丸富大学で先輩が所属している庶民経済研究部の人達で構成された組織で、先輩はそのまとめ役みたいなものなんだとか…
二階堂「なにせ脅威のルーキーだからな」
デビューしてからこの1週間、その内弁当が半額になる事5回、著莪の戦績は4勝1敗。
唯一の負けはあせびちゃんが来店したデビュー戦のときだけで事実上、彼女は負け知らずなのだ。ちなみに僕の戦績は1勝4敗と、著莪とは逆であの初戦以来、弁当を手にしていない…
二階堂「初戦の黒星もあの死神が居たのではいた仕方ないだろう」
《死神》とは、あせびちゃんのことで彼女は1度も半額弁当を手に入れていないにも拘らず、二つ名を得るという偉業を成し遂げていた。
8人の需要に対して供給は5、比較的、獲物を奪取できる確率は高いといえた。
二階堂「今日は、お前1人か?」
佐藤「いえ、アイツは友達の家に行ってその足で直接ココに来るみたいです」
二階堂「そうか、ならば俺たちも気を引き締めて望むとしよう」
俺達と複数形なのは先輩の後ろにガブリエルラチェットのメンバーが2人ほど控えているからだ。
《ガブリエルラチェット》主だったメンバーは丸富大学で先輩が所属している庶民経済研究部の人達で構成された組織で、先輩はそのまとめ役みたいなものなんだとか…
二階堂「なにせ脅威のルーキーだからな」
デビューしてからこの1週間、その内弁当が半額になる事5回、著莪の戦績は4勝1敗。
唯一の負けはあせびちゃんが来店したデビュー戦のときだけで事実上、彼女は負け知らずなのだ。ちなみに僕の戦績は1勝4敗と、著莪とは逆であの初戦以来、弁当を手にしていない…
二階堂「初戦の黒星もあの死神が居たのではいた仕方ないだろう」
《死神》とは、あせびちゃんのことで彼女は1度も半額弁当を手に入れていないにも拘らず、二つ名を得るという偉業を成し遂げていた。
7 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/01/26(木) 10:15:37.74 ID:zz82bxEp0
彼女が来店したときの被害は凄まじくジョニーに至っては、いまだに意識が戻っていない。
著莪が弁当にありつけなかった2日はあせびちゃんがスーパーに来たときで、彼女が来店すると重傷者が出る、もしくは弁当が半額になる前に売り切れたり…
やっぱり、あの子にはアレが憑いているんだろうな…
それにしても、あせびちゃんに《死神》の二つ名をつけた先輩はネーミングセンス抜群だな。
ついでにどうでもいい事だがジョニーのお見舞いに行くのを忘れていた…
二階堂「ところで結局お前は何を狙うか決めたのか?」
佐藤「それなんですよね、何にしようか…」
グ~と、腹の虫が空腹を告げる、コイツはいつだって正直だな。
佐藤「チーズカレー弁当にします」
二階堂「そうか、お互い頑張ろう」
先輩は別のものを狙うようだ、正直ありがたい。
と言うのも僕が弁当を獲ることが出来ずにいる理由の大半は先輩とガブリエルラチェットに行く手を阻まれることが多いからなのだ。
だからこそ今回、先輩と獲物が被らなかった事が素直にうれしい。
そんなことを考えていると携帯がメールの着信を告げる。
たぶん送り主は著莪だろう。
著莪が弁当にありつけなかった2日はあせびちゃんがスーパーに来たときで、彼女が来店すると重傷者が出る、もしくは弁当が半額になる前に売り切れたり…
やっぱり、あの子にはアレが憑いているんだろうな…
それにしても、あせびちゃんに《死神》の二つ名をつけた先輩はネーミングセンス抜群だな。
ついでにどうでもいい事だがジョニーのお見舞いに行くのを忘れていた…
二階堂「ところで結局お前は何を狙うか決めたのか?」
佐藤「それなんですよね、何にしようか…」
グ~と、腹の虫が空腹を告げる、コイツはいつだって正直だな。
佐藤「チーズカレー弁当にします」
二階堂「そうか、お互い頑張ろう」
先輩は別のものを狙うようだ、正直ありがたい。
と言うのも僕が弁当を獲ることが出来ずにいる理由の大半は先輩とガブリエルラチェットに行く手を阻まれることが多いからなのだ。
だからこそ今回、先輩と獲物が被らなかった事が素直にうれしい。
そんなことを考えていると携帯がメールの着信を告げる。
たぶん送り主は著莪だろう。
8 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/01/26(木) 10:23:12.81 ID:zz82bxEp0
見ると案の定、彼女からで…… そこにはこんな文章があった。
〈先に謝っとくわ、ごめん佐藤〉
瞬間、背中に嫌な汗が流れる…
他の人がこのメールを見ても何の事だか分からないだろうが、僕には分かる、従姉弟がなぜ謝っているのかその理由を。
二階堂「どうした?顔色が悪いぞ」
佐藤「先輩… すみません」
二階堂「いきなり謝られても対処できんのだが…」
佐藤「多分ですけど、今日ココにいる狼は全員弁当にありつけないと思います…」
二階堂「どういう事だ?」
理由を説明しようと僕が口を開きかけたとき、自動ドアが開き著莪の姿が見えた。
向こうも僕に気づいたらしく弁当のチェックをせずに直接こちらにやって来る。
〈先に謝っとくわ、ごめん佐藤〉
瞬間、背中に嫌な汗が流れる…
他の人がこのメールを見ても何の事だか分からないだろうが、僕には分かる、従姉弟がなぜ謝っているのかその理由を。
二階堂「どうした?顔色が悪いぞ」
佐藤「先輩… すみません」
二階堂「いきなり謝られても対処できんのだが…」
佐藤「多分ですけど、今日ココにいる狼は全員弁当にありつけないと思います…」
二階堂「どういう事だ?」
理由を説明しようと僕が口を開きかけたとき、自動ドアが開き著莪の姿が見えた。
向こうも僕に気づいたらしく弁当のチェックをせずに直接こちらにやって来る。
9 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/01/26(木) 10:31:13.10 ID:zz82bxEp0
著莪「いや~ごめん、ごめん。予想以上に遅くなっちゃった」
二階堂「お前が遅れてくるとは珍しいな、弁当の確認はしないのか?」
著莪「佐藤、説明した…?」
佐藤「これからするところ…」
二階堂「?」
著莪「そっか… でも、もう必要無いんじゃない?」
佐藤「やっぱり来ちゃったんだ…」
著莪「うん… 止められなかった」
二階堂「何の話だ?俺にも説明を…」
先輩が言い終わる前に店の自動ドアが開く。 僕はポケットに手を突っ込み、お守りを握り締める、この前近場の有名な神社で初老の神主さんからこれが良いと進められた物だ。
ちなみにえらく大柄でゴツイ体をした神主で、もしこれで着物の下に刺青という名のアートが有ったらリアルでセガの名作シリーズ『龍が如く』だな。 みたいな事を考えたんだけど…
至って平凡な僕の身近にそんな非日常がある訳ないよね。
二階堂「お前が遅れてくるとは珍しいな、弁当の確認はしないのか?」
著莪「佐藤、説明した…?」
佐藤「これからするところ…」
二階堂「?」
著莪「そっか… でも、もう必要無いんじゃない?」
佐藤「やっぱり来ちゃったんだ…」
著莪「うん… 止められなかった」
二階堂「何の話だ?俺にも説明を…」
先輩が言い終わる前に店の自動ドアが開く。 僕はポケットに手を突っ込み、お守りを握り締める、この前近場の有名な神社で初老の神主さんからこれが良いと進められた物だ。
ちなみにえらく大柄でゴツイ体をした神主で、もしこれで着物の下に刺青という名のアートが有ったらリアルでセガの名作シリーズ『龍が如く』だな。 みたいな事を考えたんだけど…
至って平凡な僕の身近にそんな非日常がある訳ないよね。
10 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/01/26(木) 10:38:07.94 ID:zz82bxEp0
…さて話を戻そう、思えば著莪が誰の家に遊びに行ったのか分かった時点でこうなる事は考慮するべきだった。
視線を彼女から先輩に戻すと、たった今ご来店した人物が誰なのか気配で察したらしく…… 大量の脂汗を流していた。
佐藤「…顔色が悪いですよ、先輩」
二階堂「悪くもなるさ…」
佐藤「ですよね…」
あせび「あっ、洋く~ん」
手を振りながらこちらに来る彼女の名は井ノ上あせび、僕と著莪のクラスメイトにして《死神》の二つ名を持つ者。
あせび「2時間ぶりだね~」
あせびちゃんのトレドマークでもある猫耳帽子の耳の部分がピコピコと動いていた。
いつも思うが一体どんな仕組みなのだろうか?どこぞの高校の心霊現象調査研究部の連中が見たら小躍りして喜びそうだが…
あせび「どうしたのぉ、洋くん?」
佐藤「な、何でもないよ、うん」
首をかしげて僕を見るあせびちゃん、彼女にアレが無ければ躊躇無く抱きしめているところだ。
視線を彼女から先輩に戻すと、たった今ご来店した人物が誰なのか気配で察したらしく…… 大量の脂汗を流していた。
佐藤「…顔色が悪いですよ、先輩」
二階堂「悪くもなるさ…」
佐藤「ですよね…」
あせび「あっ、洋く~ん」
手を振りながらこちらに来る彼女の名は井ノ上あせび、僕と著莪のクラスメイトにして《死神》の二つ名を持つ者。
あせび「2時間ぶりだね~」
あせびちゃんのトレドマークでもある猫耳帽子の耳の部分がピコピコと動いていた。
いつも思うが一体どんな仕組みなのだろうか?どこぞの高校の心霊現象調査研究部の連中が見たら小躍りして喜びそうだが…
あせび「どうしたのぉ、洋くん?」
佐藤「な、何でもないよ、うん」
首をかしげて僕を見るあせびちゃん、彼女にアレが無ければ躊躇無く抱きしめているところだ。
11 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/01/26(木) 10:38:34.37 ID:bPQwY7Tg0
ベン・トーSSは貴重
期待している
期待している
13 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/01/26(木) 10:44:48.48 ID:zz82bxEp0
二階堂「佐藤… すまないが俺達は気分が優れん、今日は帰る…」
先輩を見ると、なるほど…顔面蒼白だった。さすがは情報通の二階堂先輩だ、あせびちゃんのことをよく分かっていらっしゃる…
あせび「二階堂先輩、だいじょうぶぅ?」
二階堂「あ、ああ、大したことは無い…」
あせび「そうだ、あっちお薬持ってるからあげるね♪」
二階堂「えっ」
先輩の顔がみるみる絶望に染まってゆく。ちなみに先輩の後ろに控えていた2人の姿がこの時点で消えていた、実に素早い。
あせび「はい、どうぞ♪」
二階堂「あ、ありがとう… 帰ってから飲むよ…」
震える手で薬を受け取る先輩… 彼の1人この場に取り残されたその姿に僕はとっさに、先輩ここは僕が代わりに引き受けます! …と、心の中で叫んだ。
あせび「その、お薬は即効性なんだって、だから今ココで飲んだ方が良いよぉ?」
二階堂「…」
あせびちゃんはポケットからペットボトルのお茶を取り出した… もう止めてあげてぇぇぇぇぇぇ!!!!!
先輩を見ると、なるほど…顔面蒼白だった。さすがは情報通の二階堂先輩だ、あせびちゃんのことをよく分かっていらっしゃる…
あせび「二階堂先輩、だいじょうぶぅ?」
二階堂「あ、ああ、大したことは無い…」
あせび「そうだ、あっちお薬持ってるからあげるね♪」
二階堂「えっ」
先輩の顔がみるみる絶望に染まってゆく。ちなみに先輩の後ろに控えていた2人の姿がこの時点で消えていた、実に素早い。
あせび「はい、どうぞ♪」
二階堂「あ、ありがとう… 帰ってから飲むよ…」
震える手で薬を受け取る先輩… 彼の1人この場に取り残されたその姿に僕はとっさに、先輩ここは僕が代わりに引き受けます! …と、心の中で叫んだ。
あせび「その、お薬は即効性なんだって、だから今ココで飲んだ方が良いよぉ?」
二階堂「…」
あせびちゃんはポケットからペットボトルのお茶を取り出した… もう止めてあげてぇぇぇぇぇぇ!!!!!
14 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/01/26(木) 10:52:32.04 ID:zz82bxEp0
あせび「あっ、ごめんなさい… お節介だよね…」
帽子の猫耳がみるみる垂れ下がってゆく、というかあせびちゃん… 君がそんなことを言うと先輩の退路が断たれて…
二階堂「…いや、そんなことは無い。」
ありがとう… 先輩はそう言うとあせびちゃんからペットボトルを受け取りキャップを開け、手に持っていた薬(錠剤)を口に含むと …一気に煽った。
著莪「何もおこんないね…」
佐藤「ああ、だが油断は禁物だ…」
その会話から、およそ20秒後……… 先輩はトイレの住人と化していた。
著莪「なあ、佐藤… コレ…」
著莪が差し出したのは先輩がトイレに駆け込む際に落とした薬の包みで…
佐藤「僕の目がおかしいのかな? 下剤って文字が見えるんだけど…」
著莪「安心しろ佐藤、私にもそう見えてるから…」
あせびちゃんの方を見ると彼女は、二階堂先輩、大丈夫かな~?、と心底心配のご様子だった。
佐藤「著莪… 今、僕等に出来ることは先輩が自らを犠牲にして守ったあせびちゃんの笑顔を絶やさないようにすることだけだ」
著莪「…そうだね、コレはあせびの目に触れないように処分しておくよ」
僕と著莪はトイレに向かって敬礼した…… 二階堂先輩、あなたの勇姿は一生忘れません。
帽子の猫耳がみるみる垂れ下がってゆく、というかあせびちゃん… 君がそんなことを言うと先輩の退路が断たれて…
二階堂「…いや、そんなことは無い。」
ありがとう… 先輩はそう言うとあせびちゃんからペットボトルを受け取りキャップを開け、手に持っていた薬(錠剤)を口に含むと …一気に煽った。
著莪「何もおこんないね…」
佐藤「ああ、だが油断は禁物だ…」
その会話から、およそ20秒後……… 先輩はトイレの住人と化していた。
著莪「なあ、佐藤… コレ…」
著莪が差し出したのは先輩がトイレに駆け込む際に落とした薬の包みで…
佐藤「僕の目がおかしいのかな? 下剤って文字が見えるんだけど…」
著莪「安心しろ佐藤、私にもそう見えてるから…」
あせびちゃんの方を見ると彼女は、二階堂先輩、大丈夫かな~?、と心底心配のご様子だった。
佐藤「著莪… 今、僕等に出来ることは先輩が自らを犠牲にして守ったあせびちゃんの笑顔を絶やさないようにすることだけだ」
著莪「…そうだね、コレはあせびの目に触れないように処分しておくよ」
僕と著莪はトイレに向かって敬礼した…… 二階堂先輩、あなたの勇姿は一生忘れません。
16 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/01/26(木) 11:00:54.82 ID:zz82bxEp0
翌朝、パンの焼ける匂いで目が覚めた。
目をこすりながらリビングに行くとパジャマにエプロン姿というなんとも斬新な格好の従姉弟がいる。
著莪「おっ、起きたか。佐藤おはよう♪」
佐藤「おはよう…」
著莪「顔洗ってきなよ、もうすぐ卵も焼けるしさ」
佐藤「ん~了解」
基本、家事などは当番制だが結局は僕が著莪の当番のときも代わりにやることが多いため彼女がこうして台所に立っている事は稀だ…
それ故、結構悪戦苦闘しているようで、彼女が手に持っていたフライパンの中にはおそらく目玉焼きになり損ねたと思しきスクランブルエッグが入っていた。
朝食を済ませ僕は2人分の食器を片付けてリビングで寛いでいた。著莪は脱衣所の方で制服に着替え中…
著莪「ごめん佐藤、私の部屋からブラ取ってきてー」
脱衣所から顔だけ出した状態で著莪はさも当たり前のように言い放つ。
佐藤「なんだよ、また持って行かなかったのか?」
今週に入ってもう3回目だぞ……ひょっとしたら彼女は若年性アルツハイマーなのか?
17 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/01/26(木) 11:08:59.98 ID:zz82bxEp0
著莪「へへっ、忘れちゃった」
佐藤「ふ~やれやれだぜ…」
著莪「頼む佐藤、一生のお願い」
佐藤「お前にはいったい幾つ一生があるんだよ… まあ、いいけどさ。で、今日はどのブラを持ってくればいいんだ?」
著莪「こないだ買ったやつ」
佐藤「カップの縁にフリルの付いてるやつ?」
著莪「そう、それそれ」
佐藤「オーケー」
著莪「お礼に私のブラどれか1つあげようか?」
佐藤「アホか」
著莪「またまた~そんなこと言ってホントは興味津々の癖に~」
佐藤「お前はどんだけ僕を変態にしたいんだよ」
著莪「だって佐藤は昔からブラが好きだったじゃん、ほら、小学校の修学旅行のちょっと前n「セガのゲームは世界いちぃぃぃぃぃ!!!!!!」
僕がセガのゲームへの気持ちを絶叫し、ゼーゼーと肩で息をする姿を見て著莪はアッハッハッと、笑う。
あの件のことを出されてはどうやってもアイツに太刀打ち出来ない、チクショウ… これ程までに若き日の自分を恨む日が来ようとは…
佐藤「ふ~やれやれだぜ…」
著莪「頼む佐藤、一生のお願い」
佐藤「お前にはいったい幾つ一生があるんだよ… まあ、いいけどさ。で、今日はどのブラを持ってくればいいんだ?」
著莪「こないだ買ったやつ」
佐藤「カップの縁にフリルの付いてるやつ?」
著莪「そう、それそれ」
佐藤「オーケー」
著莪「お礼に私のブラどれか1つあげようか?」
佐藤「アホか」
著莪「またまた~そんなこと言ってホントは興味津々の癖に~」
佐藤「お前はどんだけ僕を変態にしたいんだよ」
著莪「だって佐藤は昔からブラが好きだったじゃん、ほら、小学校の修学旅行のちょっと前n「セガのゲームは世界いちぃぃぃぃぃ!!!!!!」
僕がセガのゲームへの気持ちを絶叫し、ゼーゼーと肩で息をする姿を見て著莪はアッハッハッと、笑う。
あの件のことを出されてはどうやってもアイツに太刀打ち出来ない、チクショウ… これ程までに若き日の自分を恨む日が来ようとは…
18 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/01/26(木) 11:15:42.74 ID:zz82bxEp0
彼女の部屋に入りタンスの1番上の真ん中の引き出しを開ける。
え~と… あった、これだ。
首尾よく目標を確保、……しかし著莪のやつ、いつの間にこんな立派に成長したんだろう
その、 ……乳房的なものが。
アイツは最近のその種の高性能サイズ偽装商品などではなく実力と素質でこの高みまで上り詰めたというのか!?
我が従姉弟ながらすげえ……
改めて手にしているブラのサイズを確認する。
一瞬、見間違いかと思い視線を外して深く深呼吸、スーハー………落ち着け、まだ慌てるような時間じゃない。
再びソレに目を向ける… うん、間違いなくデカイ。
ここ半年で驚異の成長振りだ、…さすがはイタリア人とのハーフ。
純正の日本人でこのサイズに到達する者は多分少ないんだろうな…
え~と… あった、これだ。
首尾よく目標を確保、……しかし著莪のやつ、いつの間にこんな立派に成長したんだろう
その、 ……乳房的なものが。
アイツは最近のその種の高性能サイズ偽装商品などではなく実力と素質でこの高みまで上り詰めたというのか!?
我が従姉弟ながらすげえ……
改めて手にしているブラのサイズを確認する。
一瞬、見間違いかと思い視線を外して深く深呼吸、スーハー………落ち着け、まだ慌てるような時間じゃない。
再びソレに目を向ける… うん、間違いなくデカイ。
ここ半年で驚異の成長振りだ、…さすがはイタリア人とのハーフ。
純正の日本人でこのサイズに到達する者は多分少ないんだろうな…
20 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/01/26(木) 11:23:37.74 ID:zz82bxEp0
佐藤「ほら、コレで良かったんだよな?」
著莪「うん、これこれ。サンキュー」
脱衣場のカーテンの端から顔と手だけを出し、ブラを受け取る著莪。
著莪「なーんかちょっと遅かったからてっきり私のパンツでも被って『変態仮面参上!』とかやってるのかと思ったよ」
佐藤「さすがにそこまではちょっと…石岡君じゃあるまいし」
著莪「そうだよね、石岡の奴じゃあるまいし、佐藤はそこまではしないか」
実は割と本気でやってみようと思ったりしたんだけどね…
石岡君が昔、身体測定のときに、かの有名な三沢の乱で一躍世界にその名を知らしめた三沢君の白ブリーフを被り、『変態仮面参上! うっ… ブリーフのせいでパワーダウンが…』とか、やっていたのを思い出し正気に戻る事が出来た。
ありがとう、石岡君。ありがとう、変態仮面。おかげで僕は人の道を踏み外さずにすんだよ。
著莪「とか考えてない?」
佐藤「…」
僕の従姉弟はエスパーなのか?
著莪「うん、これこれ。サンキュー」
脱衣場のカーテンの端から顔と手だけを出し、ブラを受け取る著莪。
著莪「なーんかちょっと遅かったからてっきり私のパンツでも被って『変態仮面参上!』とかやってるのかと思ったよ」
佐藤「さすがにそこまではちょっと…石岡君じゃあるまいし」
著莪「そうだよね、石岡の奴じゃあるまいし、佐藤はそこまではしないか」
実は割と本気でやってみようと思ったりしたんだけどね…
石岡君が昔、身体測定のときに、かの有名な三沢の乱で一躍世界にその名を知らしめた三沢君の白ブリーフを被り、『変態仮面参上! うっ… ブリーフのせいでパワーダウンが…』とか、やっていたのを思い出し正気に戻る事が出来た。
ありがとう、石岡君。ありがとう、変態仮面。おかげで僕は人の道を踏み外さずにすんだよ。
著莪「とか考えてない?」
佐藤「…」
僕の従姉弟はエスパーなのか?
21 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/01/26(木) 11:38:27.96 ID:zz82bxEp0
登校時の日課である、あの鉄壁のスプリガンとの壮絶なバトルを終えて自分のクラスの教室へと向かう。
今日もまた生徒会長の沢桔梗さんと副会長の沢桔鏡さんが止めてくれたおかげで何事も無く終わったが、いずれオッちゃんとは決着をつける日が来るだろう。
そうなれば無論、僕も無傷では済むまい ……具体的に言うとケツが。
教室の扉を開けると今日も著莪の周りに例の三人がたむろしているのが見え おっと、今日は2人か… クックックッ、バカめ、まんまと罠に掛かりやがった。
僕は常日頃から自分の席に勝手に誰かが座らないようにアレ仕掛けているのだ。
著莪の前の席に行きイスから残りの画鋲を回収して座る、すると斜め後ろの席に座っていたあせびちゃんが「おはよう~」と、いつもと変わらぬ笑顔で挨拶してくれる、相変わらず帽子の猫耳が動いていた。
そんな彼女に挨拶を返し空の鞄を机の横に掛けると後ろの席でなんとか2人を捌いていた著莪がやって来て僕に耳打ちする。
著莪「遅いぞ佐藤、朝話した通り実行するからな」
言うが早いか、彼女は家でいつもやっているみたいに後ろから抱きつくと僕の肩に自分のあごを置いてくつろぎ始めた。
教室の和気藹々とした空気が一瞬で凍りつが、すぐにチャラ男3人を始めとしたクラスの男子達から発せられる怒気のおかげで氷解してゆく。
女子連中はヒソヒソと時折こっちを見ながら会話しているし…… クラスメイトからの熱い(男子からは殺意の篭った)視線を全身に浴びながら僕は朝に著莪と交わした会話を思い出していた…
著莪「最近いい加減、あの3人に付き纏われるのが億劫になってるんだよ、あいつ等しつこ過ぎ…」
佐藤「ああ、あの他のクラスのチャラそうな奴等のこと?」
今日もまた生徒会長の沢桔梗さんと副会長の沢桔鏡さんが止めてくれたおかげで何事も無く終わったが、いずれオッちゃんとは決着をつける日が来るだろう。
そうなれば無論、僕も無傷では済むまい ……具体的に言うとケツが。
教室の扉を開けると今日も著莪の周りに例の三人がたむろしているのが見え おっと、今日は2人か… クックックッ、バカめ、まんまと罠に掛かりやがった。
僕は常日頃から自分の席に勝手に誰かが座らないようにアレ仕掛けているのだ。
著莪の前の席に行きイスから残りの画鋲を回収して座る、すると斜め後ろの席に座っていたあせびちゃんが「おはよう~」と、いつもと変わらぬ笑顔で挨拶してくれる、相変わらず帽子の猫耳が動いていた。
そんな彼女に挨拶を返し空の鞄を机の横に掛けると後ろの席でなんとか2人を捌いていた著莪がやって来て僕に耳打ちする。
著莪「遅いぞ佐藤、朝話した通り実行するからな」
言うが早いか、彼女は家でいつもやっているみたいに後ろから抱きつくと僕の肩に自分のあごを置いてくつろぎ始めた。
教室の和気藹々とした空気が一瞬で凍りつが、すぐにチャラ男3人を始めとしたクラスの男子達から発せられる怒気のおかげで氷解してゆく。
女子連中はヒソヒソと時折こっちを見ながら会話しているし…… クラスメイトからの熱い(男子からは殺意の篭った)視線を全身に浴びながら僕は朝に著莪と交わした会話を思い出していた…
著莪「最近いい加減、あの3人に付き纏われるのが億劫になってるんだよ、あいつ等しつこ過ぎ…」
佐藤「ああ、あの他のクラスのチャラそうな奴等のこと?」
22 >>2 1 凍りつが→ 凍りつくが 2012/01/26(木) 11:46:47.30 ID:zz82bxEp0
佐藤「高校に限らず昔からあんな感じのが少なからず居ただろう、今迄みたいに何とか出来ないのか? 」
著莪「大抵のやつ等はやんわりとお断りすればそれまでなんだけどね… あいつ等のしつこさは石岡並みなんだよ」
佐藤「だったら警備員のオッちゃんに報告したらどうだ?単1電池片手に迅速に排除してくれるんじゃないか?」
著莪「それも考えたんだけどね、なんか丸富に入ってから急に私に寄ってくる奴が増えたと思わない?」
佐藤「…確かに、でもしょうがないんじゃないか? お前ってその容姿だから目立つしさ」
著莪「…」
佐藤「小中学校のときは周りの面子がほとんど代わることが無かったから1回断られた奴はそれっきりだっけど高校は、ほぼ全員が初対面だしな」
著莪「この際、あの3人も含めてよってくる連中を一掃出来ないかな?」
佐藤「それだと対象が多いからいくらオッちゃんでも難しいだろ」
佐藤、著莪「「う~ん…」」
こんな感じの会話がしばらく続き、結局対策として著莪が打ち出したのは… 僕と家でいつもやっている事を学校でもしよう。コレだけだ。
著莪「大抵のやつ等はやんわりとお断りすればそれまでなんだけどね… あいつ等のしつこさは石岡並みなんだよ」
佐藤「だったら警備員のオッちゃんに報告したらどうだ?単1電池片手に迅速に排除してくれるんじゃないか?」
著莪「それも考えたんだけどね、なんか丸富に入ってから急に私に寄ってくる奴が増えたと思わない?」
佐藤「…確かに、でもしょうがないんじゃないか? お前ってその容姿だから目立つしさ」
著莪「…」
佐藤「小中学校のときは周りの面子がほとんど代わることが無かったから1回断られた奴はそれっきりだっけど高校は、ほぼ全員が初対面だしな」
著莪「この際、あの3人も含めてよってくる連中を一掃出来ないかな?」
佐藤「それだと対象が多いからいくらオッちゃんでも難しいだろ」
佐藤、著莪「「う~ん…」」
こんな感じの会話がしばらく続き、結局対策として著莪が打ち出したのは… 僕と家でいつもやっている事を学校でもしよう。コレだけだ。
23 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/01/26(木) 11:57:02.87 ID:zz82bxEp0
著莪「ほら、私もさすがに学校とかではやんなかったっしょ?だからソレをすればちょっとは効果があるかなって」
言われてみれば家や部室で2人きりの時以外は抱きついてきたりしなかったな…
佐藤「僕は構わないけど、ホントにそんな事で効果があるのか?」
著莪「よし、そんじゃあ決まりって事で!」
佐藤「お前が良いと言うならいいけどさ…と言うか、そろそろ僕の膝の上から降りてくんない?」
著莪「なんだよ~人の髪に後ろから顔突っ込んでクンカクンカしてる佐藤に気を使って動かないでやったのに~」
佐藤「…ってのは嘘でホントのところは?」
著莪「ココ座り心地がいいんだもん♪」
以上、回想終わり。なるほど… それでか。
家でいる時と同じようにって条件だし… なら特に構うこともないかな。
言われてみれば家や部室で2人きりの時以外は抱きついてきたりしなかったな…
佐藤「僕は構わないけど、ホントにそんな事で効果があるのか?」
著莪「よし、そんじゃあ決まりって事で!」
佐藤「お前が良いと言うならいいけどさ…と言うか、そろそろ僕の膝の上から降りてくんない?」
著莪「なんだよ~人の髪に後ろから顔突っ込んでクンカクンカしてる佐藤に気を使って動かないでやったのに~」
佐藤「…ってのは嘘でホントのところは?」
著莪「ココ座り心地がいいんだもん♪」
以上、回想終わり。なるほど… それでか。
家でいる時と同じようにって条件だし… なら特に構うこともないかな。
24 30分ほど席を立ちます、 残ってたら続きをやります 2012/01/26(木) 12:05:36.64 ID:zz82bxEp0
僕は著莪に構わず、あせびちゃんと昨日のスーパーでのことを話した。
あの後、大猪が1度に3人も現れて狩場が地獄絵図と化した事や、先輩がいつまで経ってもトイレから出てこないので泣く泣く放置して帰った事… 等々。
そんな他愛も無い会話を続けていると著莪はいよいよ家で居るときのようにリラックスしてきたらしく僕の顔に頬ずりをし始めた。
それを目撃していたチャラ男3人組がすごすごと教室から出て行くのを視界の端で確認する。
あと、どうでもいいが先ほどから教室の後ろの方で、ついこの間ファミ部に入部してきた山崎君が青い顔をして壁を殴っている。
時折、コレは夢だ… 夢に違いない… 早く覚めなきゃ… と、ブツブツ呟いているのが地味に怖い…
それともう1つ、ちょっと前から僕の耳には幻聴が聞こえていた。
具体的に言うと、校門の警備員詰め所の中で今まさにこの教室の様子をモニター越しに目を血走らせながら見ている『奴』のものと思しき絶叫が…
「嘘やぁぁぁぁぁぁあ!!!!!!!、こんなん嘘に決まっとるぅぅぅぅぅぅぅう!!!!!!!」
「あのボンクラァァァァァ!!! 俺のあやめちゃんになんちゅー事をォォォォォォ!!!!!」
「そうか!アイツ何かあやめちゃんの弱みを握りそれにつけこんでこないな… こないな事!!!」
「うおおぉぉぉぉぉぉぉぉお!!!! 許さん!!もう許さへんでぇぇぇぇぇぇぇ!!!!!」
「コイツには単1電池でも足りん!! バッテリーや!バッテリーでチャージしたるぅぅぅぅぅぅぅう!!!!!!!!!」
「捻じ込んだらぁぁぁぁぁぁぁァァァァァァァアァ嗚呼ァァあ!!!!!!!!!!!!!!」
うわ・・・すご… どこぞのスーパーの半額神が作る弁当名の非じゃないくらい『!』が大量に使用されている…
あの後、大猪が1度に3人も現れて狩場が地獄絵図と化した事や、先輩がいつまで経ってもトイレから出てこないので泣く泣く放置して帰った事… 等々。
そんな他愛も無い会話を続けていると著莪はいよいよ家で居るときのようにリラックスしてきたらしく僕の顔に頬ずりをし始めた。
それを目撃していたチャラ男3人組がすごすごと教室から出て行くのを視界の端で確認する。
あと、どうでもいいが先ほどから教室の後ろの方で、ついこの間ファミ部に入部してきた山崎君が青い顔をして壁を殴っている。
時折、コレは夢だ… 夢に違いない… 早く覚めなきゃ… と、ブツブツ呟いているのが地味に怖い…
それともう1つ、ちょっと前から僕の耳には幻聴が聞こえていた。
具体的に言うと、校門の警備員詰め所の中で今まさにこの教室の様子をモニター越しに目を血走らせながら見ている『奴』のものと思しき絶叫が…
「嘘やぁぁぁぁぁぁあ!!!!!!!、こんなん嘘に決まっとるぅぅぅぅぅぅぅう!!!!!!!」
「あのボンクラァァァァァ!!! 俺のあやめちゃんになんちゅー事をォォォォォォ!!!!!」
「そうか!アイツ何かあやめちゃんの弱みを握りそれにつけこんでこないな… こないな事!!!」
「うおおぉぉぉぉぉぉぉぉお!!!! 許さん!!もう許さへんでぇぇぇぇぇぇぇ!!!!!」
「コイツには単1電池でも足りん!! バッテリーや!バッテリーでチャージしたるぅぅぅぅぅぅぅう!!!!!!!!!」
「捻じ込んだらぁぁぁぁぁぁぁァァァァァァァアァ嗚呼ァァあ!!!!!!!!!!!!!!」
うわ・・・すご… どこぞのスーパーの半額神が作る弁当名の非じゃないくらい『!』が大量に使用されている…
29 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/01/26(木) 12:40:47.11 ID:zz82bxEp0
佐藤「しばらく正門を通るのは止そう…」
今あのスプリガンに遭遇すると僕のお尻の門と直腸の形が変りかねない、 冗談抜きで……
著莪「何か言ったか?佐藤」
佐藤「そろそろ離れろよ、先生が来るぞ」
著莪「ん~…名残惜しいけどしょうがない、また休み時間にな」
当初の目的は達した訳だし、もうやる必要は無いと思うんだが…
なんだかんだで放課後。
僕は今部室塔の屋上に居る、…かれこれ1時間ぐらい。
昼休みに二階堂先輩かメールが入ったからだ。
《放課後ファミリーコンピューター部のある部室塔の屋上に来い》
用件だけのいかにも先輩らしい文だ、たまには絵文字でも入れればいいのに。
そんな訳で放課後、屋上に来るも先輩の姿はナシ。で、今に至ると… まさか今もスーパーのトイレに居るってオチじゃないよな?
♪~♪~
おや電話が…
今あのスプリガンに遭遇すると僕のお尻の門と直腸の形が変りかねない、 冗談抜きで……
著莪「何か言ったか?佐藤」
佐藤「そろそろ離れろよ、先生が来るぞ」
著莪「ん~…名残惜しいけどしょうがない、また休み時間にな」
当初の目的は達した訳だし、もうやる必要は無いと思うんだが…
なんだかんだで放課後。
僕は今部室塔の屋上に居る、…かれこれ1時間ぐらい。
昼休みに二階堂先輩かメールが入ったからだ。
《放課後ファミリーコンピューター部のある部室塔の屋上に来い》
用件だけのいかにも先輩らしい文だ、たまには絵文字でも入れればいいのに。
そんな訳で放課後、屋上に来るも先輩の姿はナシ。で、今に至ると… まさか今もスーパーのトイレに居るってオチじゃないよな?
♪~♪~
おや電話が…
30 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/01/26(木) 12:45:06.15 ID:zz82bxEp0
佐藤「はい、もしもし」
?『…』
佐藤「もしもし?」
?『…』
悪戯か?
二階堂『…1人置き去りにされた者の気持ちが分かったか?」
先輩だった… 昨日の事をかなり根に持っているようだ…
佐藤「お、お元気ですか…?」
二階堂『おかげさまで、心置きなく休めたからな… トイレで」
ご立腹のようだ、やはり著莪の言うとおり正露丸の差し入れをしておくべきだったのか?
二階堂『まあ、この件はコレぐらいで勘弁してやる』
本題に入ろう… そう言って先輩が話し始めた内容は新参の狼である僕にとって、とても興味を引くものだった。
?『…』
佐藤「もしもし?」
?『…』
悪戯か?
二階堂『…1人置き去りにされた者の気持ちが分かったか?」
先輩だった… 昨日の事をかなり根に持っているようだ…
佐藤「お、お元気ですか…?」
二階堂『おかげさまで、心置きなく休めたからな… トイレで」
ご立腹のようだ、やはり著莪の言うとおり正露丸の差し入れをしておくべきだったのか?
二階堂『まあ、この件はコレぐらいで勘弁してやる』
本題に入ろう… そう言って先輩が話し始めた内容は新参の狼である僕にとって、とても興味を引くものだった。
31 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/01/26(木) 12:52:42.72 ID:zz82bxEp0
著莪「月桂冠?」
僕はファミ部であせびちゃんと『桃鉄』をしていた著莪に、先ほど先輩に聞いた特別な半額弁当の話をした。
著莪「ふ~ん、じゃあ今夜その店でそのお弁当が出るんだ…」
佐藤「絶対とは言い切れないみたいだけど毎年かなりの確率で月桂冠が出るらしいんだ」
佐藤「先輩の話だとガブリエルラチェットの人達が1時間おきに店に行って目標の弁当が残ってるかどうかチェックしてるらしい」
著莪「こんな事言うのはアレかもしんないけどさ… ガブリエルラチェット人達って暇人の集まりなのかな?」
佐藤「考えてみれば弁当1つに対して凄い労力が掛かってるよな…」
著莪「佐藤、今度それとなく聞いてみてよ」
佐藤「嫌だよ、メンバー全員が学生とかならまだしも、仮に無職の社会人とか居たらどうすんだ。気まずいって」
著莪「……確かに。げっ! またサイコロの目が1だ、これでもう10回連続だぞ。絶対これプログラムがバグってるって!」
あせびちゃんのアレのせいだろうな… と思いつつ僕もゲームに加えてもらう。 そして1時間後…
佐藤「………」
あせび「わぁ~ またサイコロの目が1だぁ、洋くんついてないね~」
著莪「アハハハ!13回連続とか出来すぎだって!」
僕がゲームに加わってからというもの、それまで著莪に憑いていたアレの効力が僕の方に移動したらしく…
僕はファミ部であせびちゃんと『桃鉄』をしていた著莪に、先ほど先輩に聞いた特別な半額弁当の話をした。
著莪「ふ~ん、じゃあ今夜その店でそのお弁当が出るんだ…」
佐藤「絶対とは言い切れないみたいだけど毎年かなりの確率で月桂冠が出るらしいんだ」
佐藤「先輩の話だとガブリエルラチェットの人達が1時間おきに店に行って目標の弁当が残ってるかどうかチェックしてるらしい」
著莪「こんな事言うのはアレかもしんないけどさ… ガブリエルラチェット人達って暇人の集まりなのかな?」
佐藤「考えてみれば弁当1つに対して凄い労力が掛かってるよな…」
著莪「佐藤、今度それとなく聞いてみてよ」
佐藤「嫌だよ、メンバー全員が学生とかならまだしも、仮に無職の社会人とか居たらどうすんだ。気まずいって」
著莪「……確かに。げっ! またサイコロの目が1だ、これでもう10回連続だぞ。絶対これプログラムがバグってるって!」
あせびちゃんのアレのせいだろうな… と思いつつ僕もゲームに加えてもらう。 そして1時間後…
佐藤「………」
あせび「わぁ~ またサイコロの目が1だぁ、洋くんついてないね~」
著莪「アハハハ!13回連続とか出来すぎだって!」
僕がゲームに加わってからというもの、それまで著莪に憑いていたアレの効力が僕の方に移動したらしく…
33 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/01/26(木) 12:58:59.71 ID:zz82bxEp0
現在時刻は19時ジャスト。僕と著莪はとあるスーパーの前に立っている。
あと30~40分で半値印証時刻になる筈だった。
著莪「ココで間違いないよな?」
佐藤「ああ、間違いなくココが先輩の言ってたスーパーだ」
著莪「二階堂の奴、昨日の事まだ根に持っていて違う店を教えたとか無いよね?」
昼間の事があるから絶対とは言い切れないけど…
二階堂「ほう、俺はお前達からそんな風に思われていたわけか」
佐藤「!?」
著莪「き、来てたんだ!? てっきり昨日のアレで寝込んでいるのかなー?と…」
二階堂「そうだな、お前達からしてみれば敵は1人でも少ない方がいいからな」
佐藤「そ、そんな!敵だなんて… な、なあ著莪?」
著莪「うえっ!?こっちに振るなよ! こんなグラスハートどう扱えば、あ…」
佐藤「あ…」
二階堂「…」
あと30~40分で半値印証時刻になる筈だった。
著莪「ココで間違いないよな?」
佐藤「ああ、間違いなくココが先輩の言ってたスーパーだ」
著莪「二階堂の奴、昨日の事まだ根に持っていて違う店を教えたとか無いよね?」
昼間の事があるから絶対とは言い切れないけど…
二階堂「ほう、俺はお前達からそんな風に思われていたわけか」
佐藤「!?」
著莪「き、来てたんだ!? てっきり昨日のアレで寝込んでいるのかなー?と…」
二階堂「そうだな、お前達からしてみれば敵は1人でも少ない方がいいからな」
佐藤「そ、そんな!敵だなんて… な、なあ著莪?」
著莪「うえっ!?こっちに振るなよ! こんなグラスハートどう扱えば、あ…」
佐藤「あ…」
二階堂「…」
34 >>32 ありがとうございます 2012/01/26(木) 13:05:36.77 ID:zz82bxEp0
このあと赤鬼のような顔をした先輩の機嫌を取ることおよそ20分。なんとか人間の顔に戻ってくれた…
争奪戦の前なのにかなり消耗した気がする、著莪もゲンナリとしていたが…… そういえば今日の先輩はガブリエル・ラチェットのメンバーを連れてきていない、昨夜の一件で先輩の求心力が落ちてしまったのだろうか?
気を取り直して3人仲良くスーパーの自動ドアをくぐり店内へ…
入店するとさっそく狼達の殺気立った視線が突き刺さる。
佐藤「さすがに月桂冠が出るかも知れない時は空気が張り詰めてますね…」
著莪「すごい殺気だな」
二階堂「数は9といったところか…」
今からこの雰囲気を意識していたらとてもじゃないが身がもたない、僕は意識を店の方に向ける。
外観を見る限り比較的小さい店という印象を受けたが、店内に入ると思ったより広く感じる。その事を先輩に話すと…
二階堂「この店は確かに建物そのものは小さい、だから余り動くことのない商品を置かないことで陳列棚を少なくし、ゆったりとしたスペースを確保しているんだ」
著莪「ホントだ、生活雑貨なんてゴミ袋とか最低限の物しか置いてない」
二階堂「オープンしたての頃はしょっちゅう売れ筋をリサーチしては商品を入れ替えていたぞ、最近はそんな事は殆ど無いがな」
争奪戦の前なのにかなり消耗した気がする、著莪もゲンナリとしていたが…… そういえば今日の先輩はガブリエル・ラチェットのメンバーを連れてきていない、昨夜の一件で先輩の求心力が落ちてしまったのだろうか?
気を取り直して3人仲良くスーパーの自動ドアをくぐり店内へ…
入店するとさっそく狼達の殺気立った視線が突き刺さる。
佐藤「さすがに月桂冠が出るかも知れない時は空気が張り詰めてますね…」
著莪「すごい殺気だな」
二階堂「数は9といったところか…」
今からこの雰囲気を意識していたらとてもじゃないが身がもたない、僕は意識を店の方に向ける。
外観を見る限り比較的小さい店という印象を受けたが、店内に入ると思ったより広く感じる。その事を先輩に話すと…
二階堂「この店は確かに建物そのものは小さい、だから余り動くことのない商品を置かないことで陳列棚を少なくし、ゆったりとしたスペースを確保しているんだ」
著莪「ホントだ、生活雑貨なんてゴミ袋とか最低限の物しか置いてない」
二階堂「オープンしたての頃はしょっちゅう売れ筋をリサーチしては商品を入れ替えていたぞ、最近はそんな事は殆ど無いがな」
35 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/01/26(木) 13:11:36.19 ID:zz82bxEp0
佐藤「青果と鮮魚コーナーも無いんですね」
二階堂「この店の両隣がそれぞれ八百屋と鮮魚店だったろう?」
佐藤「ああ、そういえば…」
二階堂「だから最初からその2つは無い」
普通スーパーに来ると大抵青果コーナーから回り込むようにして弁当コーナーを目指すのだが… 心成しか少しさびしい。
会話をする事で幾分か緊張が和らいだ。
店の外周に設置されている陳列棚の前を通り奥へ行くと精肉コーナーが見える。
なんだか酷く懐かしいものを見たような気分だ。そしていよいよ…
二階堂「だがオープンしてから今まで変らないものが1つある、それが惣菜、弁当コーナーの規模だ」
二階堂「この店の両隣がそれぞれ八百屋と鮮魚店だったろう?」
佐藤「ああ、そういえば…」
二階堂「だから最初からその2つは無い」
普通スーパーに来ると大抵青果コーナーから回り込むようにして弁当コーナーを目指すのだが… 心成しか少しさびしい。
会話をする事で幾分か緊張が和らいだ。
店の外周に設置されている陳列棚の前を通り奥へ行くと精肉コーナーが見える。
なんだか酷く懐かしいものを見たような気分だ。そしていよいよ…
二階堂「だがオープンしてから今まで変らないものが1つある、それが惣菜、弁当コーナーの規模だ」
37 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/01/26(木) 13:17:35.33 ID:zz82bxEp0
著莪「広いなぁ…」
二階堂「ホントは通常の店とそれほど変らない広さなんだがな、鮮魚コーナーが無いからそう感じるんだろう」
まるでマっちゃんの店に居るような… そう思わせるほど値札が書かれているプレートの数が多い。
1時間ほど前には様々な種類の惣菜が並んでいたことだろうが現在それらの場所に惣菜は殆ど残されていなかった、売れたのだろう。
二階堂「この場に広がっている揚げ物の残り香は腹の虫を刺激するにはもってこいだろう?」
佐藤「はい…」
著莪「腹減った…」
言った直後、腹の虫が空腹を告げる。
二階堂「ハハッ、聞くまでもなかったか。ほら、もう弁当コーナーの前だぞ」
いつものように立ち止まらずに横目で獲物を見定め、その足で近場の鳥棚に向かう。
二階堂「5つか…」
佐藤「全部、散らし寿司でしたね」
著莪「でも1個だけ違う容器のがあった…」
二階堂「それが毎年、月桂冠になる弁当だ」
佐藤「あれが月桂冠に…」
二階堂「ホントは通常の店とそれほど変らない広さなんだがな、鮮魚コーナーが無いからそう感じるんだろう」
まるでマっちゃんの店に居るような… そう思わせるほど値札が書かれているプレートの数が多い。
1時間ほど前には様々な種類の惣菜が並んでいたことだろうが現在それらの場所に惣菜は殆ど残されていなかった、売れたのだろう。
二階堂「この場に広がっている揚げ物の残り香は腹の虫を刺激するにはもってこいだろう?」
佐藤「はい…」
著莪「腹減った…」
言った直後、腹の虫が空腹を告げる。
二階堂「ハハッ、聞くまでもなかったか。ほら、もう弁当コーナーの前だぞ」
いつものように立ち止まらずに横目で獲物を見定め、その足で近場の鳥棚に向かう。
二階堂「5つか…」
佐藤「全部、散らし寿司でしたね」
著莪「でも1個だけ違う容器のがあった…」
二階堂「それが毎年、月桂冠になる弁当だ」
佐藤「あれが月桂冠に…」
38 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/01/26(木) 13:23:05.44 ID:zz82bxEp0
5つの内4つは四角い容器に入ったもので、それにガリの入った小さい容器が付いていた。
そして残る1つは先程の四角い容器を3分の1くらいカットしたような大きさの容器が2段重ねとなっている、こちらにはガリの入った容器が付属していない。
肝心の中身については見ただけで違いが分かる、前者は散らし寿司の表面に桜でんぶがあり。後者… 月桂冠候補の弁当には桜でんぶ代わりにシラスがふりかけられていた。
二階堂「ココの半額神の作る散らし寿司弁当は月桂冠にならないものでも凄く旨いんだ、だから…」
佐藤「先輩、目の前により旨い弁当があるのにソレを置いて他を獲るなんて事…… 僕達がすると思いますか?」
著莪「佐藤、良いこと言った♪」
二階堂「…そうだな、悪かった忘れてくれ」
そう言うと先輩はククッと笑い、それにつられて僕と著莪も笑った。
もしかしたら先輩は初めて月桂冠を目の前にする僕達を少しでもリラックスさせようとしてくれているのかも知れない。
そのときバタンという音と共に店内に緊張が走る、著莪と2人で目配せをし先輩を見る、彼は無言で頷いた… ソレを見て確信する。
この店の半額神が降臨したのだ。
この位置から姿は見えないが、その行動は耳に入る音で容易に想像できる。
僅かに残った惣菜を棚に並べ直す音、油性ペンで値札に横線を引く音、ポケットから新しい値札を取り出すパサリという音。
半額神の足音が少しずつ弁当の置いてあるスペースに近づいてくる…… そしてついに半額神が僕達の前に姿を現す。
佐藤「お婆ちゃん?」
そして残る1つは先程の四角い容器を3分の1くらいカットしたような大きさの容器が2段重ねとなっている、こちらにはガリの入った容器が付属していない。
肝心の中身については見ただけで違いが分かる、前者は散らし寿司の表面に桜でんぶがあり。後者… 月桂冠候補の弁当には桜でんぶ代わりにシラスがふりかけられていた。
二階堂「ココの半額神の作る散らし寿司弁当は月桂冠にならないものでも凄く旨いんだ、だから…」
佐藤「先輩、目の前により旨い弁当があるのにソレを置いて他を獲るなんて事…… 僕達がすると思いますか?」
著莪「佐藤、良いこと言った♪」
二階堂「…そうだな、悪かった忘れてくれ」
そう言うと先輩はククッと笑い、それにつられて僕と著莪も笑った。
もしかしたら先輩は初めて月桂冠を目の前にする僕達を少しでもリラックスさせようとしてくれているのかも知れない。
そのときバタンという音と共に店内に緊張が走る、著莪と2人で目配せをし先輩を見る、彼は無言で頷いた… ソレを見て確信する。
この店の半額神が降臨したのだ。
この位置から姿は見えないが、その行動は耳に入る音で容易に想像できる。
僅かに残った惣菜を棚に並べ直す音、油性ペンで値札に横線を引く音、ポケットから新しい値札を取り出すパサリという音。
半額神の足音が少しずつ弁当の置いてあるスペースに近づいてくる…… そしてついに半額神が僕達の前に姿を現す。
佐藤「お婆ちゃん?」
39 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/01/26(木) 13:29:35.13 ID:zz82bxEp0
二階堂「そうだ、あの人がこの店の半額神、正しくは毎年あの散らし寿司弁当を作るときだけこのスーパーにお出でになる1日半額神…山本櫻さんだ」
桜ではなく櫻という昔の字を名前に持つ割烹着を着たお婆ちゃんの半額神は柔和な顔でゆっくりと、しかし決して遅いとは感じないペースで弁当に半額シールを貼ってゆく。
そして最後に残ったあの弁当に割烹着のポケットから別のシールを取り出し、それを…
貼った!
その瞬間、店内が歓喜の気配で一杯になる。
僕も、著莪も、先輩も、今この店に居るすべての狼達もこの瞬間が来ることを待ちわびていたのだ。
お婆ちゃんはポケットにシール等を仕舞うと、なぜか僕達の居る方に顔を向け… 微笑んでくれた。
著莪「佐藤… 今あのお婆ちゃん…」
佐藤「僕達に微笑んでくれたような…?」
二階堂「ほう、良かったな。お前達は半額神に気に入られたようだ」
佐藤「…」
著莪「佐藤、絶対にあの月桂冠は私達で獲ろうな」
佐藤「ああ、もちろん」
僕達は今まで以上にあのお婆ちゃんの作った特別なお弁当が食べたくなった。
桜ではなく櫻という昔の字を名前に持つ割烹着を着たお婆ちゃんの半額神は柔和な顔でゆっくりと、しかし決して遅いとは感じないペースで弁当に半額シールを貼ってゆく。
そして最後に残ったあの弁当に割烹着のポケットから別のシールを取り出し、それを…
貼った!
その瞬間、店内が歓喜の気配で一杯になる。
僕も、著莪も、先輩も、今この店に居るすべての狼達もこの瞬間が来ることを待ちわびていたのだ。
お婆ちゃんはポケットにシール等を仕舞うと、なぜか僕達の居る方に顔を向け… 微笑んでくれた。
著莪「佐藤… 今あのお婆ちゃん…」
佐藤「僕達に微笑んでくれたような…?」
二階堂「ほう、良かったな。お前達は半額神に気に入られたようだ」
佐藤「…」
著莪「佐藤、絶対にあの月桂冠は私達で獲ろうな」
佐藤「ああ、もちろん」
僕達は今まで以上にあのお婆ちゃんの作った特別なお弁当が食べたくなった。
40 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/01/26(木) 13:35:52.31 ID:zz82bxEp0
お婆ちゃん半額神の足音がスタッフルームの扉の前で止まる。おそらく店内の方を向いたのだろう。
続いて衣擦れの音、深々と1礼している姿が頭に浮かび… 自然、僕も頭を下げる。
顔を上げると隣で著莪もまた頭を下げていた。彼女は顔を上げ僕を見ると。
著莪「えへへ…なんか自然とこうなっちゃってさ」
佐藤「僕もだよ」
そうして僕と著莪はクスリと小さく笑った、お互いに気持ちは充実し、腹の虫の加護も十分。
半額神の足音がスタッフルームの向こうに消えてゆき、続いて扉が……
……閉まる。
続いて衣擦れの音、深々と1礼している姿が頭に浮かび… 自然、僕も頭を下げる。
顔を上げると隣で著莪もまた頭を下げていた。彼女は顔を上げ僕を見ると。
著莪「えへへ…なんか自然とこうなっちゃってさ」
佐藤「僕もだよ」
そうして僕と著莪はクスリと小さく笑った、お互いに気持ちは充実し、腹の虫の加護も十分。
半額神の足音がスタッフルームの向こうに消えてゆき、続いて扉が……
……閉まる。
41 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/01/26(木) 13:41:44.84 ID:zz82bxEp0
月桂冠を求めいるからか何時になく体が軽い、おかげでいち早く弁当コーナーの最前線にたどり着けそうだ。
すぐ後ろに意識をやると著莪と先輩が続いているのが分かった、今なら2人に邪魔されることも無いと思い月桂冠に手を伸ばす。おいおい、楽勝だな…
だが後ろを気にしたその一瞬で他の狼達も最前線にたどり着いていた。
僕の手があと少しというところで横に来た男に弾かれ、さらに続いて背後から著莪のミドルキックが僕の脇腹に突き刺さる。
横に居た2人を巻き込みながら最前線から弾き出されてしまう、くそっ!
立ち上がろうとするも予想以上のダメージですぐに立ち上がることが出来ない… みんな月桂冠のおかげでいつも以上に力が出せるのか。
こんなのをあと2,3発も食らったら間違いなく戦闘不能になるぞ…
すでに4人ほどが乱戦の外に転がっていた、起きる気配が無い。
考えようによっては好都合かもしれない、今日の戦闘では攻撃を食らう=気絶、もしくは何らかの動けない状態に陥る訳だから敵は減る一方だ。
但し自分がそうなる可能性も十分あるので素直には喜べないが…
すぐ後ろに意識をやると著莪と先輩が続いているのが分かった、今なら2人に邪魔されることも無いと思い月桂冠に手を伸ばす。おいおい、楽勝だな…
だが後ろを気にしたその一瞬で他の狼達も最前線にたどり着いていた。
僕の手があと少しというところで横に来た男に弾かれ、さらに続いて背後から著莪のミドルキックが僕の脇腹に突き刺さる。
横に居た2人を巻き込みながら最前線から弾き出されてしまう、くそっ!
立ち上がろうとするも予想以上のダメージですぐに立ち上がることが出来ない… みんな月桂冠のおかげでいつも以上に力が出せるのか。
こんなのをあと2,3発も食らったら間違いなく戦闘不能になるぞ…
すでに4人ほどが乱戦の外に転がっていた、起きる気配が無い。
考えようによっては好都合かもしれない、今日の戦闘では攻撃を食らう=気絶、もしくは何らかの動けない状態に陥る訳だから敵は減る一方だ。
但し自分がそうなる可能性も十分あるので素直には喜べないが…
42 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/01/26(木) 13:47:35.52 ID:zz82bxEp0
こんな事を考えている間にもさらに1人脱落者が追加される。
これが普段ならこのまましばらく成り行きを見ている手もあるのかも知れない。
だが今日の獲物は月桂冠ただ1つ、こうしている間にもし他の誰かに取られてしまったら?
自分を叱咤し立ち上がる。よし、やれるぞ!
思った矢先にまた1人、戦闘不能になった者が僕の前に横たわる。
そんな彼を飛び越え再び乱戦の中へ…
戦線復帰した僕はまず著莪を…… 後ろから攻撃しようとしていた長身の男に先程の著莪が僕にやったのと同じヤツをお見舞いした。
まともに食らい吹っ飛ぶそいつを見て、やはり今日はいつも以上の力が出せていることを実感する。
これで残る狼は僕を含めて、あと5人。
これが普段ならこのまましばらく成り行きを見ている手もあるのかも知れない。
だが今日の獲物は月桂冠ただ1つ、こうしている間にもし他の誰かに取られてしまったら?
自分を叱咤し立ち上がる。よし、やれるぞ!
思った矢先にまた1人、戦闘不能になった者が僕の前に横たわる。
そんな彼を飛び越え再び乱戦の中へ…
戦線復帰した僕はまず著莪を…… 後ろから攻撃しようとしていた長身の男に先程の著莪が僕にやったのと同じヤツをお見舞いした。
まともに食らい吹っ飛ぶそいつを見て、やはり今日はいつも以上の力が出せていることを実感する。
これで残る狼は僕を含めて、あと5人。
44 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/01/26(木) 13:54:48.53 ID:zz82bxEp0
ゼーゼー、と肩で息をつく僕と著莪、あの後すぐに著莪と合流し共闘を提案すると既に幾つかの攻撃を受け、かなりダメージを負っていた彼女は共闘する事を承諾。
なんとか1人、倒すことに成功する。
残るは僕達2人と先輩、そして恰幅の良い大男の計4人。
さすがにここまで残るにあたって全員が満身創痍だ。
特に著莪の疲労は色濃く、月桂冠のおかげでパワーアップしている今日の狼の攻撃をあと1撃受けたら間違いなく立ち上がれないだろう。
著莪「私が二階堂と戦るよ、佐藤はあの大男をお願い」
佐藤「まあ、それが妥当だろうな…」
今のコイツに大男は荷が重過ぎるだろう、でも先輩相手なら何とかなるかも知れない。
二階堂「いいだろう、受けてやる。…来い」
著莪「佐藤、お前はちゃんと弁当獲れよ。 んで少しアタシにちょうだい。」
ハグしてやるから、そう言って彼女は僕の顔を見て微笑むと、次の瞬間には先輩に肉薄していた。
バシッ!と、著莪の放った拳を受け止める先輩。
うん、あれだけ動ければアイツは大丈夫かな… 僕は僕で、こっちを何とかしないと。
なんとか1人、倒すことに成功する。
残るは僕達2人と先輩、そして恰幅の良い大男の計4人。
さすがにここまで残るにあたって全員が満身創痍だ。
特に著莪の疲労は色濃く、月桂冠のおかげでパワーアップしている今日の狼の攻撃をあと1撃受けたら間違いなく立ち上がれないだろう。
著莪「私が二階堂と戦るよ、佐藤はあの大男をお願い」
佐藤「まあ、それが妥当だろうな…」
今のコイツに大男は荷が重過ぎるだろう、でも先輩相手なら何とかなるかも知れない。
二階堂「いいだろう、受けてやる。…来い」
著莪「佐藤、お前はちゃんと弁当獲れよ。 んで少しアタシにちょうだい。」
ハグしてやるから、そう言って彼女は僕の顔を見て微笑むと、次の瞬間には先輩に肉薄していた。
バシッ!と、著莪の放った拳を受け止める先輩。
うん、あれだけ動ければアイツは大丈夫かな… 僕は僕で、こっちを何とかしないと。
45 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/01/26(木) 14:00:58.59 ID:zz82bxEp0
今一度気を引き締め大男に向かう、見ると先程まで彼も肩で息をしていた筈だが今は落ち着いている。どうやら僕達が会話を交わしている間に呼吸を整えていたらしい。
彼がまず動く、その巨体の全体重を乗せた右フック。
その攻撃は例え月桂冠の懸かっていない状態のものであっても1撃で食らった相手を戦闘不能にするだろう。
ましてそれに今日のようにいつも以上の力が上乗せされているとすれば、おそらく即入院3ヶ月コースだ。
但し… 当たればだけど。
大振りの上に攻撃にいまいちキレが無い、幾ら表面上、呼吸を整えようとダメージは残ったままなのだ。
僕は勢いよく彼の懐へ飛び込み攻撃を無力化させると同時に目の前に迫るドテッ腹目掛けて渾身の1撃を放つ。
ドドン!!という音が店内に響き渡り大男の体がくの字に折れ曲がる、だが流石に恰幅の良い巨体なだけあって吹き飛ぶことは無くその場に崩れ落ちる。
素早くバックスッテプをとり押し潰されるのを回避。ふ~危ない…
彼がまず動く、その巨体の全体重を乗せた右フック。
その攻撃は例え月桂冠の懸かっていない状態のものであっても1撃で食らった相手を戦闘不能にするだろう。
ましてそれに今日のようにいつも以上の力が上乗せされているとすれば、おそらく即入院3ヶ月コースだ。
但し… 当たればだけど。
大振りの上に攻撃にいまいちキレが無い、幾ら表面上、呼吸を整えようとダメージは残ったままなのだ。
僕は勢いよく彼の懐へ飛び込み攻撃を無力化させると同時に目の前に迫るドテッ腹目掛けて渾身の1撃を放つ。
ドドン!!という音が店内に響き渡り大男の体がくの字に折れ曲がる、だが流石に恰幅の良い巨体なだけあって吹き飛ぶことは無くその場に崩れ落ちる。
素早くバックスッテプをとり押し潰されるのを回避。ふ~危ない…
46 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/01/26(木) 14:07:12.13 ID:zz82bxEp0
倒した相手に押し潰されて弁当が獲れなかった、なんて事になったら著莪のやつにどれだけ笑われるやら…
これで残るは著莪と先輩と僕の3人か、ん? そういえば僕が放った攻撃は1発のはず… なのに効果音は複数形のドドン!!、一体何故?
…はっ!もしかしてスタンドか!?
そうか僕はいつの間にかスタンド使いとして覚醒していたんだ! やったぞ!
幼い頃から親父と一緒に血の滲むような訓練を重ね、足や背中を攣らせて床をのた打ち回った成果が今日…… ついに花開いたんだ!
佐藤「著莪、やったぞ!ついに僕にもスタンドが…」
そう言って振り返った僕の目に真っ先に飛び込んできたのはスタンドでも、ましてや足や背中を攣らせて床をのた打ち回る親父の姿でもなく…
店の床に横たわる従姉弟の姿だった。
これで残るは著莪と先輩と僕の3人か、ん? そういえば僕が放った攻撃は1発のはず… なのに効果音は複数形のドドン!!、一体何故?
…はっ!もしかしてスタンドか!?
そうか僕はいつの間にかスタンド使いとして覚醒していたんだ! やったぞ!
幼い頃から親父と一緒に血の滲むような訓練を重ね、足や背中を攣らせて床をのた打ち回った成果が今日…… ついに花開いたんだ!
佐藤「著莪、やったぞ!ついに僕にもスタンドが…」
そう言って振り返った僕の目に真っ先に飛び込んできたのはスタンドでも、ましてや足や背中を攣らせて床をのた打ち回る親父の姿でもなく…
店の床に横たわる従姉弟の姿だった。
47 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/01/26(木) 14:16:10.68 ID:zz82bxEp0
アイツが、あの著莪が倒された?しかもあの先輩に?
正直なところ先輩が著莪を倒すなんて想像もしていなかった、僕の中での先輩のイメージといえばガブリエルラチェットの人達をうまく使って半額弁当を獲るって感じで…
二階堂「狼として戦うのは久しぶりだが、やはり楽しいな」
佐藤「…」
二階堂「そうか、お前達は知らなかったんだな、俺も昔は1匹の狼としてスーパーを駆けていたんだよ」
そう言って先輩は笑った、これまで僕が見たことの無い… イキイキとした顔で。
二階堂「お前達には感謝しているよ、おかげでこうして最高の舞台で思い出すことが出来た、狼として戦う事の楽しさをな」
先輩のその言葉を聴いたとき不思議と、ある感情が僕の胸に沸いてくる。 …この人と戦ってみたい。
佐藤「僕も… 先輩と、著莪を倒すほど強い先輩とこうして戦えるのが楽しみですよ」
二階堂「…そうは言っても、俺はもう余り体力が残っていない、お前もそうだろう?」
佐藤「さあ、どうですかね?」
先輩は、いや… 今や1匹の狼に戻った二階堂連は構えを取ると僕にこう告げた。 1撃勝負だ、と… 僕も構えてそれに答える。
佐藤「分かりました、手加減はしませんよ?」
二階堂「フン、生意気な後輩だな。もちろん全力で来い」
僕達は少し笑うと、お互いに深呼吸を1度… 次の瞬間、空気が振るえ店内に炸裂音が響き渡った。
正直なところ先輩が著莪を倒すなんて想像もしていなかった、僕の中での先輩のイメージといえばガブリエルラチェットの人達をうまく使って半額弁当を獲るって感じで…
二階堂「狼として戦うのは久しぶりだが、やはり楽しいな」
佐藤「…」
二階堂「そうか、お前達は知らなかったんだな、俺も昔は1匹の狼としてスーパーを駆けていたんだよ」
そう言って先輩は笑った、これまで僕が見たことの無い… イキイキとした顔で。
二階堂「お前達には感謝しているよ、おかげでこうして最高の舞台で思い出すことが出来た、狼として戦う事の楽しさをな」
先輩のその言葉を聴いたとき不思議と、ある感情が僕の胸に沸いてくる。 …この人と戦ってみたい。
佐藤「僕も… 先輩と、著莪を倒すほど強い先輩とこうして戦えるのが楽しみですよ」
二階堂「…そうは言っても、俺はもう余り体力が残っていない、お前もそうだろう?」
佐藤「さあ、どうですかね?」
先輩は、いや… 今や1匹の狼に戻った二階堂連は構えを取ると僕にこう告げた。 1撃勝負だ、と… 僕も構えてそれに答える。
佐藤「分かりました、手加減はしませんよ?」
二階堂「フン、生意気な後輩だな。もちろん全力で来い」
僕達は少し笑うと、お互いに深呼吸を1度… 次の瞬間、空気が振るえ店内に炸裂音が響き渡った。
48 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/01/26(木) 14:22:11.63 ID:zz82bxEp0
僕の拳は先輩の腹部に、先輩の拳は僕の顔に、それぞれ見事に極まっていた… だけど。
先に膝を着いたのは僕の方だった。
佐藤「いけるかと思ったんですけどね…」
二階堂「今に至るまでのダメージの蓄積が勝敗を左右したんだろう、ほんの少しお前の方が俺よりダメージを受けていたというだけさ」
佐藤「でもまだ立つ事ぐらいは出来ますよ…」
二階堂「しぶとい奴だな、だがその程度なら俺の勝ちだ」
佐藤「どういうことですか…?」
二階堂「俺は《ガブリエル・ラチェット》の頭目だ、そしてガブリエル・ラチェットに所属する者達は俺の命令を絶対に守る。例え床の上を這ってでもな」
佐藤「?」
二階堂「…ソイツを死んでも離すな」
瞬間、腰周りを締め付けられたような衝撃が走る。
先に膝を着いたのは僕の方だった。
佐藤「いけるかと思ったんですけどね…」
二階堂「今に至るまでのダメージの蓄積が勝敗を左右したんだろう、ほんの少しお前の方が俺よりダメージを受けていたというだけさ」
佐藤「でもまだ立つ事ぐらいは出来ますよ…」
二階堂「しぶとい奴だな、だがその程度なら俺の勝ちだ」
佐藤「どういうことですか…?」
二階堂「俺は《ガブリエル・ラチェット》の頭目だ、そしてガブリエル・ラチェットに所属する者達は俺の命令を絶対に守る。例え床の上を這ってでもな」
佐藤「?」
二階堂「…ソイツを死んでも離すな」
瞬間、腰周りを締め付けられたような衝撃が走る。
49 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/01/26(木) 14:29:49.63 ID:zz82bxEp0
驚いて後ろを見ると先程倒した筈の恰幅の良い大男がうつ伏せのまま僕のズボンのベルトを掴んでいた。こいつ《ガブリエル・ラチェット》のメンバーだったのか!?
二階堂「悪いな、月桂冠は俺が頂く」
なんてこった!普段メンバーは常に先輩の周りにいたせいでそれがあたりまえだと勝手に思い込んでいた、普通に考えれば狼達の中に紛れ込んで居る事だって十分に考えられたのに…
先輩が月桂冠に向かって近づいて行く、その距離あと5メートル。
何か、何か方法は無いのか? 知恵を振り絞れ! 佐藤洋!!
先輩がまた1歩目標に近づく、あと4メートル。
駄目だ!諦めちゃ駄目だ! 某有名バスケットボール漫画の主人公チームの監督も言ってたじゃないか! 諦めたらそこで試合終了ですよ。って…
馬鹿な事を考えてる間に先輩が!先輩が!! あと3メートル!!!
思い出せ、親父も言ってたじゃないか、ゲームを途中で投げ出すのは最低だって。そう言う自分は白昼堂々、息子の前であんな事をしようとして危うく人生を途中で投げ出しかけたと言うのに…
ああ!?親父のせいで先輩がー!!! あと2メートル…
はあ~ なんか親父が出てきたおかげで逆に頭が冷えてきた気がする… ん? 変だな…
そういえば僕もそれに先輩も月桂冠のおかげでいつも以上に腹の虫の力を引き出しているはず。
そんな状態の渾身の1撃をお互いまともに受けてなお、どうしてこんなに動けるんだ? 同時KOになっててもおかしくないはずなのに…
あと1メートル。
二階堂「悪いな、月桂冠は俺が頂く」
なんてこった!普段メンバーは常に先輩の周りにいたせいでそれがあたりまえだと勝手に思い込んでいた、普通に考えれば狼達の中に紛れ込んで居る事だって十分に考えられたのに…
先輩が月桂冠に向かって近づいて行く、その距離あと5メートル。
何か、何か方法は無いのか? 知恵を振り絞れ! 佐藤洋!!
先輩がまた1歩目標に近づく、あと4メートル。
駄目だ!諦めちゃ駄目だ! 某有名バスケットボール漫画の主人公チームの監督も言ってたじゃないか! 諦めたらそこで試合終了ですよ。って…
馬鹿な事を考えてる間に先輩が!先輩が!! あと3メートル!!!
思い出せ、親父も言ってたじゃないか、ゲームを途中で投げ出すのは最低だって。そう言う自分は白昼堂々、息子の前であんな事をしようとして危うく人生を途中で投げ出しかけたと言うのに…
ああ!?親父のせいで先輩がー!!! あと2メートル…
はあ~ なんか親父が出てきたおかげで逆に頭が冷えてきた気がする… ん? 変だな…
そういえば僕もそれに先輩も月桂冠のおかげでいつも以上に腹の虫の力を引き出しているはず。
そんな状態の渾身の1撃をお互いまともに受けてなお、どうしてこんなに動けるんだ? 同時KOになっててもおかしくないはずなのに…
あと1メートル。
50 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/01/26(木) 14:36:46.78 ID:zz82bxEp0
自分の指が月桂冠の容器に触れるまであと数センチ… 二階堂連は勝利を確信していた。
今なら誰も邪魔するものは居ない。
最後に組織の力を使って佐藤を抑えた事に若干後ろめたさを覚えたが…
一応は直接対決で佐藤を下した事を思い出し、まあ、良いか。という気分になった。
あとは狼なら1度は手にしたいといわれるこの月桂冠を…
……そのとき彼は後ろの方で、ブチッ!という音を聞いた。
思わず音のした方に顔を向ける… 瞬間。 ………彼にかつて無いほどの衝撃が走る。
気持ちの面と… 物理的な面の両方に。
今なら誰も邪魔するものは居ない。
最後に組織の力を使って佐藤を抑えた事に若干後ろめたさを覚えたが…
一応は直接対決で佐藤を下した事を思い出し、まあ、良いか。という気分になった。
あとは狼なら1度は手にしたいといわれるこの月桂冠を…
……そのとき彼は後ろの方で、ブチッ!という音を聞いた。
思わず音のした方に顔を向ける… 瞬間。 ………彼にかつて無いほどの衝撃が走る。
気持ちの面と… 物理的な面の両方に。
51 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/01/26(木) 14:43:04.28 ID:zz82bxEp0
ドスンという音で私は目を覚ます、少しの間気を失っていたらしい。
確か二階堂の一撃を受けて… その割には余り体に痛みが無い。
そーいや昔、佐藤の親父さんが、ホントにいい所に1撃を入れれば案外簡単に人は気絶するんだぞ。とか言ってたっけ。
そのあと佐藤はその話が本当か嘘なのか石岡辺りで実験するんだとか言ってたな、結果はどうだったんだろう?
とにかく立ち上がんなきゃ・・・ よっと、さすがに弁当はもう無いだろうな…
まあ、最悪、佐藤が獲ってればソレを分けてもらうかな、そんでもって約束通りハグしてやろう。
万一、ソレが月桂冠だったらどうしようかなぁ? そうだ、キスしてやろう。それも思いっきりディープなやつ♪
そんな事を考えながら立ち上がろうと目の前の陳列棚に手を伸ばす、すると何かが指先に触れた。
なんだろうと思い、触れたソレを手でしっかりと掴む。
手触りからすると… どうやら弁当の容器らしい。
著莪「おっ! 残ってたよ、ラッキー♪」
確か二階堂の一撃を受けて… その割には余り体に痛みが無い。
そーいや昔、佐藤の親父さんが、ホントにいい所に1撃を入れれば案外簡単に人は気絶するんだぞ。とか言ってたっけ。
そのあと佐藤はその話が本当か嘘なのか石岡辺りで実験するんだとか言ってたな、結果はどうだったんだろう?
とにかく立ち上がんなきゃ・・・ よっと、さすがに弁当はもう無いだろうな…
まあ、最悪、佐藤が獲ってればソレを分けてもらうかな、そんでもって約束通りハグしてやろう。
万一、ソレが月桂冠だったらどうしようかなぁ? そうだ、キスしてやろう。それも思いっきりディープなやつ♪
そんな事を考えながら立ち上がろうと目の前の陳列棚に手を伸ばす、すると何かが指先に触れた。
なんだろうと思い、触れたソレを手でしっかりと掴む。
手触りからすると… どうやら弁当の容器らしい。
著莪「おっ! 残ってたよ、ラッキー♪」
53 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/01/26(木) 14:50:13.64 ID:zz82bxEp0
スーパーを出てすぐの所で先程買った荷造り用の紐をベルトの代わりにズボンに通して結ぶ、これでひとまずは良いだろう。
ガラス越しに店内を見ると何処に居ても目立つ偽物みたいに綺麗な金髪頭の従姉弟が弁当をレンジで温めながら、お婆ちゃんの1日半額神と楽しそうに話しているのが目に留まった。
本当は自分も一緒に話をしたいところだが、そこは今回の絶対的勝者である彼女の特権だと思いやめておく。
そう、アイツは僕の意図した通り月桂冠を手に入れたのだ。
いくらダメージがあったとはいえ戦う事を最優先にして腹の虫の加護を失っていた先輩の攻撃がそこまで著莪に効いたとは思えなかった。
たぶん昔親父が、ホントにいい所に1撃を入れれば案外簡単に人は気絶するんだぞ。とか言ってた通り先輩の1撃がピンポイントで決まったんだろう。
あの話を聞いた後、散々石岡君を使って実kゲフンゲフン…石岡君と協力して調べた結果、親父が言っていた事は真実だと突き止めた僕が言うんだから間違いない。
ガラス越しに店内を見ると何処に居ても目立つ偽物みたいに綺麗な金髪頭の従姉弟が弁当をレンジで温めながら、お婆ちゃんの1日半額神と楽しそうに話しているのが目に留まった。
本当は自分も一緒に話をしたいところだが、そこは今回の絶対的勝者である彼女の特権だと思いやめておく。
そう、アイツは僕の意図した通り月桂冠を手に入れたのだ。
いくらダメージがあったとはいえ戦う事を最優先にして腹の虫の加護を失っていた先輩の攻撃がそこまで著莪に効いたとは思えなかった。
たぶん昔親父が、ホントにいい所に1撃を入れれば案外簡単に人は気絶するんだぞ。とか言ってた通り先輩の1撃がピンポイントで決まったんだろう。
あの話を聞いた後、散々石岡君を使って実kゲフンゲフン…石岡君と協力して調べた結果、親父が言っていた事は真実だと突き止めた僕が言うんだから間違いない。
55 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/01/26(木) 14:56:43.83 ID:zz82bxEp0
それにしてもアイツが目を覚まし、何の気なしに半額弁当の1つを手にしたときは、あせびちゃんにお守りが無いときに抱きつかれたとき並みに冷や汗が出たが…
しかしそこは流石というかなんと言うか。
手に取ったのは月桂冠だった。
その幸運があれば、お守り無しであせびちゃんに対抗出来るのではなかろうか?
おっ、温めと話が済んだらしい。ん?著莪の顔が心なしか赤いような…あっ、お婆ちゃんが僕の方を見て微笑んでくれた。
軽く頭を下げながら思った、やっぱり話をしてみたかったなぁ……
ところで、何か忘れている気がするんだけど…… 確か昨日もスーパーで…
「お待たせ♪佐藤、行こう。腹減った」
著莪の声で思考は途切れてしまう、まあ、いいや。
そんなに大切な事ならきっと思い出すだろうし、このまま思いださないようなら… それはさして重要じゃないんだろう。
しかしそこは流石というかなんと言うか。
手に取ったのは月桂冠だった。
その幸運があれば、お守り無しであせびちゃんに対抗出来るのではなかろうか?
おっ、温めと話が済んだらしい。ん?著莪の顔が心なしか赤いような…あっ、お婆ちゃんが僕の方を見て微笑んでくれた。
軽く頭を下げながら思った、やっぱり話をしてみたかったなぁ……
ところで、何か忘れている気がするんだけど…… 確か昨日もスーパーで…
「お待たせ♪佐藤、行こう。腹減った」
著莪の声で思考は途切れてしまう、まあ、いいや。
そんなに大切な事ならきっと思い出すだろうし、このまま思いださないようなら… それはさして重要じゃないんだろう。
56 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/01/26(木) 15:03:33.22 ID:zz82bxEp0
結局、家に帰るまで我慢できそうに無かったのでスーパーから少し行った所にある公園で夕餉にすることになった。
著莪「おっ、ベンチ発見」
周辺に街灯は無いが月明かりがあるので問題なさそうだ。
著莪「満月の明かりの中での食事とかシャレてるじゃん、しかも桜の花が残ってるし花見も出来て一石二鳥。ココにしようよ佐藤」
佐藤「そうだな、空腹も限界だし…」
花より団子ってやつ?、そんなやり取りをしながらベンチに腰を下ろしレジ袋の中身を確認、袋の中には三つの容器が入っている。
その内の二つはメインの散らし寿司、どちらも外見上はさして換わらないように見える。
残りの一つは半額神がレジで直接入れてくれたらしい、お手製のガリか…
弁当は片方だけを温めるように半額神から言われたそうだ。
著莪「じゃあ、まずは温めた方の容器から開けよっか…」
著莪はそう言うと温めた方の弁当を取り出しフタを開ける
湯気とともに美味そうな匂いが広がった。 しかし、この香りは…?
著莪「おっ、ベンチ発見」
周辺に街灯は無いが月明かりがあるので問題なさそうだ。
著莪「満月の明かりの中での食事とかシャレてるじゃん、しかも桜の花が残ってるし花見も出来て一石二鳥。ココにしようよ佐藤」
佐藤「そうだな、空腹も限界だし…」
花より団子ってやつ?、そんなやり取りをしながらベンチに腰を下ろしレジ袋の中身を確認、袋の中には三つの容器が入っている。
その内の二つはメインの散らし寿司、どちらも外見上はさして換わらないように見える。
残りの一つは半額神がレジで直接入れてくれたらしい、お手製のガリか…
弁当は片方だけを温めるように半額神から言われたそうだ。
著莪「じゃあ、まずは温めた方の容器から開けよっか…」
著莪はそう言うと温めた方の弁当を取り出しフタを開ける
湯気とともに美味そうな匂いが広がった。 しかし、この香りは…?
57 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/01/26(木) 15:12:21.87 ID:zz82bxEp0
著莪「んじゃ、お先に。いただきます!」
佐藤「きっちり半分ずつだからな。食い過ぎるなよ…」
著莪「わかってるって」
言い終わるや否や一口…
佐藤「…」
咀嚼する彼女の横顔を凝視する、1秒が1分にも1時間にも感じられた… 遅い…
なぜ何かを待っているときは時間の経過が遅くなるように感じるのだろうか…
例えば修学旅行の夜、広部さんのグループの部屋を覗kゲフンゲフン、遊びに行こうと画策してみんなが寝静まるのをを待っていたとき然り…
石岡君の家の玄関に仕掛けたトラップに石岡君が引っかかるのを今か今かとワクワクしながら待っていたとき然り…
まさか…スタンド? スタンドの攻撃を受けているとでもいうのか!?
なんてこった、今までまったく気づかなかったぞ。チクショウ…
かくなる上は僕のジョジョ立ちで…
著莪「はい、こんどは佐藤が食べる番…… なにしてんの?」
佐藤「いや… スタンドがいたんでジョジョ立ちを…」
佐藤「きっちり半分ずつだからな。食い過ぎるなよ…」
著莪「わかってるって」
言い終わるや否や一口…
佐藤「…」
咀嚼する彼女の横顔を凝視する、1秒が1分にも1時間にも感じられた… 遅い…
なぜ何かを待っているときは時間の経過が遅くなるように感じるのだろうか…
例えば修学旅行の夜、広部さんのグループの部屋を覗kゲフンゲフン、遊びに行こうと画策してみんなが寝静まるのをを待っていたとき然り…
石岡君の家の玄関に仕掛けたトラップに石岡君が引っかかるのを今か今かとワクワクしながら待っていたとき然り…
まさか…スタンド? スタンドの攻撃を受けているとでもいうのか!?
なんてこった、今までまったく気づかなかったぞ。チクショウ…
かくなる上は僕のジョジョ立ちで…
著莪「はい、こんどは佐藤が食べる番…… なにしてんの?」
佐藤「いや… スタンドがいたんでジョジョ立ちを…」
58 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/01/26(木) 15:18:30.34 ID:zz82bxEp0
著莪「はあ?」
著莪はいつのまにか食べ終わっていた。 が… 僕の気のせいだろうか?
彼女のひざの上に置かれた弁当容器の中身はすでに半分以上が無くなっているような…
僕がほんの少し考え事をしている隙に半分以上も食われている… だと…
佐藤「貴様、もしや…」
著莪「あ~はいはい… スタンドでもジョジョ立ちでもなんでもいいから。いるの?いらないの?」
佐藤「いただきます!」
著莪「ん、オッケー、はい、あ~ん」
佐藤「あ~ん…」
口に入れた瞬間、香りの正体の予想は確信に変わる。
この散らし寿司は …お酢の代わりに柑橘類の絞り汁を使っているのだ。
著莪はいつのまにか食べ終わっていた。 が… 僕の気のせいだろうか?
彼女のひざの上に置かれた弁当容器の中身はすでに半分以上が無くなっているような…
僕がほんの少し考え事をしている隙に半分以上も食われている… だと…
佐藤「貴様、もしや…」
著莪「あ~はいはい… スタンドでもジョジョ立ちでもなんでもいいから。いるの?いらないの?」
佐藤「いただきます!」
著莪「ん、オッケー、はい、あ~ん」
佐藤「あ~ん…」
口に入れた瞬間、香りの正体の予想は確信に変わる。
この散らし寿司は …お酢の代わりに柑橘類の絞り汁を使っているのだ。
60 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/01/26(木) 15:23:23.04 ID:zz82bxEp0
だから容器のフタを開けたときに酢の匂いがしなかったわけだ。
容器の原材料表を見ると[完熟スダチ絞り汁]と、ある。
なるほど、よく熟れたスダチを使用しているから酸味がありながら甘みもあるわけか…
さらに咀嚼する。
定番の具であるレンコン、我が家で食べていた歯ごたえの無いものとは違いコリコリとした歯ざわりがあるのがうれしい。
他に甘く煮付けてあるカンピョウ、シイタケ。
彩を豊かにするために細かく刻んで入れてある人参、煎りゴマに錦糸卵…
そして仄かな塩味のシラス…だがここで飲み込んでしまった。
すぐさま横を向き口を開ける、すると著莪が絶妙のタイミングでつぎの分を差し出してくる。
間髪いれずにそれを食べる…どちらかといえば比較的甘い味になりがちな散らし寿司。
だがそれに塩味のついたシラスを加えることで上手く釣り合いが取れるようにされていて、甘味と塩味の相乗効果でさらに次が食べたくなる。
僕は2口目を飲み込むと急いで横を向き、著莪に次を口に入れてるよう催促した。
容器の原材料表を見ると[完熟スダチ絞り汁]と、ある。
なるほど、よく熟れたスダチを使用しているから酸味がありながら甘みもあるわけか…
さらに咀嚼する。
定番の具であるレンコン、我が家で食べていた歯ごたえの無いものとは違いコリコリとした歯ざわりがあるのがうれしい。
他に甘く煮付けてあるカンピョウ、シイタケ。
彩を豊かにするために細かく刻んで入れてある人参、煎りゴマに錦糸卵…
そして仄かな塩味のシラス…だがここで飲み込んでしまった。
すぐさま横を向き口を開ける、すると著莪が絶妙のタイミングでつぎの分を差し出してくる。
間髪いれずにそれを食べる…どちらかといえば比較的甘い味になりがちな散らし寿司。
だがそれに塩味のついたシラスを加えることで上手く釣り合いが取れるようにされていて、甘味と塩味の相乗効果でさらに次が食べたくなる。
僕は2口目を飲み込むと急いで横を向き、著莪に次を口に入れてるよう催促した。
61 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/01/26(木) 15:31:15.47 ID:zz82bxEp0
著莪「よし、じゃあ次はコッチね」
僕が食べ終えると彼女はすぐにレジ袋からもう1つの弁当を取り出そうとする、…だが2度も先手を渡すわけにはいかない。
佐藤「待て、こんどは僕が先に食べる」
著莪「え~」
ブーブーと抗議の声を上げる著莪を無視して温めていない方の弁当を手に取る。
著莪「きっちり半分ずつだからな!」
佐藤「わかってる」
先ほどのやり取りの逆を言い合い一段落ついたところでフタを開ける
こんどは湯気もなく温めていないのでそこまで柑橘系の香りはしない。
散らし寿司に箸を入れて一口分を取り、口に運ぶ。
暖めていないので先程のようにフタを開けただけでは香りこそあまりしなかったものの、やはり口に入れるとスダチの酸味と甘味が口の中に広がる。
冷めている分こちらのほうがより味がわかりやすいようだ、最初に食べたほうに比べてスダチの甘味をよく味わうことができる。
うん、こっちも旨い。
僕が食べ終えると彼女はすぐにレジ袋からもう1つの弁当を取り出そうとする、…だが2度も先手を渡すわけにはいかない。
佐藤「待て、こんどは僕が先に食べる」
著莪「え~」
ブーブーと抗議の声を上げる著莪を無視して温めていない方の弁当を手に取る。
著莪「きっちり半分ずつだからな!」
佐藤「わかってる」
先ほどのやり取りの逆を言い合い一段落ついたところでフタを開ける
こんどは湯気もなく温めていないのでそこまで柑橘系の香りはしない。
散らし寿司に箸を入れて一口分を取り、口に運ぶ。
暖めていないので先程のようにフタを開けただけでは香りこそあまりしなかったものの、やはり口に入れるとスダチの酸味と甘味が口の中に広がる。
冷めている分こちらのほうがより味がわかりやすいようだ、最初に食べたほうに比べてスダチの甘味をよく味わうことができる。
うん、こっちも旨い。
62 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/01/26(木) 15:37:53.31 ID:zz82bxEp0
けれど甘味が強くなった分、シラスの塩味だけでは足りない。
口の中が甘い散らし寿司の味に支配されてゆく、塩味。…もしくはピリリと締まるような辛味がほしい。
そうだ、ここであの付け合せのガリを…
袋からガリの入った容器を取り出してフタを開ける、ショウガ特有の匂いが鼻をついた。
早速それを1切れ口に入れると酸味と塩味が広がる… それも普通のガリより味が濃厚だ。
この味は……梅酢!
この弁当専用にお婆ちゃん半額神が自ら作った梅酢… それにショウガを漬け込んだ特製のもの。
確かにこれなら冷えて甘味が強くなった酢飯の味にも負けることはないだろう。
いや、むしろさらにメインの散らし寿司に箸が伸びる.
口の中が甘い散らし寿司の味に支配されてゆく、塩味。…もしくはピリリと締まるような辛味がほしい。
そうだ、ここであの付け合せのガリを…
袋からガリの入った容器を取り出してフタを開ける、ショウガ特有の匂いが鼻をついた。
早速それを1切れ口に入れると酸味と塩味が広がる… それも普通のガリより味が濃厚だ。
この味は……梅酢!
この弁当専用にお婆ちゃん半額神が自ら作った梅酢… それにショウガを漬け込んだ特製のもの。
確かにこれなら冷えて甘味が強くなった酢飯の味にも負けることはないだろう。
いや、むしろさらにメインの散らし寿司に箸が伸びる.
63 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/01/26(木) 15:42:21.44 ID:zz82bxEp0
著莪「お、おい、佐藤! 私の分まで食べんなよ!」
止められて気がついたときには弁当は半分ちょっと無くなっていた、…さすがは月桂冠、一味も二味も違う。
著莪「こんどは私の番だかんな!」
そう言って口を開ける著莪…
佐藤「……なにやってんだ?」
著莪「さっきやっただろ?… あ~ん、だよ。あ~ん」
ああ… 思い出した
佐藤「はいよ… ほら、あ~ん」
著莪「あ~ん」
こうして僕達はそろって月桂冠を堪能した。
止められて気がついたときには弁当は半分ちょっと無くなっていた、…さすがは月桂冠、一味も二味も違う。
著莪「こんどは私の番だかんな!」
そう言って口を開ける著莪…
佐藤「……なにやってんだ?」
著莪「さっきやっただろ?… あ~ん、だよ。あ~ん」
ああ… 思い出した
佐藤「はいよ… ほら、あ~ん」
著莪「あ~ん」
こうして僕達はそろって月桂冠を堪能した。
65 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/01/26(木) 15:53:53.31 ID:zz82bxEp0
佐藤「あ…」
著莪「どうした佐藤?」
佐藤「食べるのに夢中でお花見って感じじゃなかったなって…」
著莪「あ~ホントだ、すっかり忘れてた」
佐藤「まさに花より団子」
著莪「アハハッ、じゃあ今からやる?」
佐藤「もうなにも残ってないんだが」
著莪「飲み物だけで良いんじゃない?」
佐藤「僕は全部飲んじゃったよ、今から買いに行くのも面倒だし…」
著莪は立ち上がるとこちらを向いて、しょうがないな、私が買ってきてやるよ。何がいい?…そう僕に聞いてきた。
本日最高の笑顔で…
著莪「どうした佐藤?」
佐藤「食べるのに夢中でお花見って感じじゃなかったなって…」
著莪「あ~ホントだ、すっかり忘れてた」
佐藤「まさに花より団子」
著莪「アハハッ、じゃあ今からやる?」
佐藤「もうなにも残ってないんだが」
著莪「飲み物だけで良いんじゃない?」
佐藤「僕は全部飲んじゃったよ、今から買いに行くのも面倒だし…」
著莪は立ち上がるとこちらを向いて、しょうがないな、私が買ってきてやるよ。何がいい?…そう僕に聞いてきた。
本日最高の笑顔で…
66 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/01/26(木) 16:01:31.47 ID:zz82bxEp0
満月の明かりに照らされた笑顔の彼女は舞い落ちる桜の花びらと相まって思わず見とれてしまう…
佐藤「…お言葉に甘えます」
著莪「うん、素直でよろしい♪」
そう言って彼女は走っていった。まだ僕が何を飲むか聞いていないのに…
まあ…任せても大丈夫だろう、お互い相手の好みは把握しているし。
近くの桜の木下がちょうど芝生だったのでそこに寝転がる、脳裏には先程の著莪の笑顔が焼きついていた。
出来ることなら時間を巻き戻してもう一度あの笑顔を見たいと思ったが。時は残酷である…
学校でもよく告白されていたし、やっぱりアイツは美人なのだろう。
今までずっと一緒にいたせいであまり意識する事も無かったんだけど…すごく綺麗だった。
なんというか、心を奪われるっていうのはこういうことを言うのだろうか?
目をつぶって暫し考える。
そして思うのだ。……これは、やられたかもしれない、と。
佐藤「…お言葉に甘えます」
著莪「うん、素直でよろしい♪」
そう言って彼女は走っていった。まだ僕が何を飲むか聞いていないのに…
まあ…任せても大丈夫だろう、お互い相手の好みは把握しているし。
近くの桜の木下がちょうど芝生だったのでそこに寝転がる、脳裏には先程の著莪の笑顔が焼きついていた。
出来ることなら時間を巻き戻してもう一度あの笑顔を見たいと思ったが。時は残酷である…
学校でもよく告白されていたし、やっぱりアイツは美人なのだろう。
今までずっと一緒にいたせいであまり意識する事も無かったんだけど…すごく綺麗だった。
なんというか、心を奪われるっていうのはこういうことを言うのだろうか?
目をつぶって暫し考える。
そして思うのだ。……これは、やられたかもしれない、と。
67 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/01/26(木) 16:07:13.53 ID:zz82bxEp0
スーパーの床で目を覚まし今日ココに居たメンバー全員に帰路につくよう指示をだしていると著莪あやめに会った。
著莪「あれ、まだ居たんだ?」
二階堂「最後に佐藤の捨て身タックルを受けてな、情けない話だが少し前までソコの床の上で伸びていた」
著莪「ああ、そういえば私等がレジに行くときに伸びてたっけ」
二階堂「丁度良かった、お前達に話したい事があるんだが。…佐藤はどうした?」
著莪「レイクパークって公園に居るよ、これからお花見の予定なんだ。私はその買出し、二階堂も来る?」
二階堂「そうだな、行こう… 2人揃っていた方が都合が良い」
著莪「もしかして愛の告h「ちがう狼としての話だ」
著莪「そんなに邪険にしなくてもいいじゃん」
本当に物怖じしないヤツだ、誰とでも気さくに話しすぐに打ち解けるようだし。
《ガブリエル・ラチェット》のメンバーの中にもコイツに好意を寄せている者が多いようだが。
…アイツが居るのではそれも叶わないだろう。
著莪「あれ、まだ居たんだ?」
二階堂「最後に佐藤の捨て身タックルを受けてな、情けない話だが少し前までソコの床の上で伸びていた」
著莪「ああ、そういえば私等がレジに行くときに伸びてたっけ」
二階堂「丁度良かった、お前達に話したい事があるんだが。…佐藤はどうした?」
著莪「レイクパークって公園に居るよ、これからお花見の予定なんだ。私はその買出し、二階堂も来る?」
二階堂「そうだな、行こう… 2人揃っていた方が都合が良い」
著莪「もしかして愛の告h「ちがう狼としての話だ」
著莪「そんなに邪険にしなくてもいいじゃん」
本当に物怖じしないヤツだ、誰とでも気さくに話しすぐに打ち解けるようだし。
《ガブリエル・ラチェット》のメンバーの中にもコイツに好意を寄せている者が多いようだが。
…アイツが居るのではそれも叶わないだろう。
68 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/01/26(木) 16:12:20.80 ID:zz82bxEp0
著莪「あれ?佐藤が居ない、このベンチに居たはずなんだけど。…ひょっとして拉致されたかな? コイツの親父さんが北と接触があるってこの前聞いたし。」
さり気なく危ない事をいう奴だ、それに北と言っても色々ある。 ……まさかあの国、…無いな。
著莪「居た居た、そこの桜の下で寝ている」
夜の公園に男子高校生が1人、芝生の上で寝転がっているのはシュールだ。
佐藤「zzz」
二階堂「お疲れのようだな…」
著莪「そうみたいだね…」
起きる気配は無し、…か。
著莪「よいしょっと。ふぅ… 人間の頭って重いんだな、動かすのも一苦労だよ」
……前から思っていたがコイツ等は本当にただの従姉弟なのか?どう見ても…
二階堂「仲が良いんだな」
著莪「そうかな、普通だと思うけど?」
普通、従姉弟同士というだけであたりまえのように膝枕はしない筈だが…
まあ… 自覚の無い者にいくら言っても無駄か。
さり気なく危ない事をいう奴だ、それに北と言っても色々ある。 ……まさかあの国、…無いな。
著莪「居た居た、そこの桜の下で寝ている」
夜の公園に男子高校生が1人、芝生の上で寝転がっているのはシュールだ。
佐藤「zzz」
二階堂「お疲れのようだな…」
著莪「そうみたいだね…」
起きる気配は無し、…か。
著莪「よいしょっと。ふぅ… 人間の頭って重いんだな、動かすのも一苦労だよ」
……前から思っていたがコイツ等は本当にただの従姉弟なのか?どう見ても…
二階堂「仲が良いんだな」
著莪「そうかな、普通だと思うけど?」
普通、従姉弟同士というだけであたりまえのように膝枕はしない筈だが…
まあ… 自覚の無い者にいくら言っても無駄か。
69 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/01/26(木) 16:17:49.52 ID:zz82bxEp0
著莪「なんか言いたそうな顔してるけどさ…」
…顔に出ていたか。
著莪「そんなふうに自分の言いたいことを言わずにいるとそのうち後悔する事になるかもよ?」
ふん、…馬鹿なことを。
著莪「例えば好きな人を他の誰かに取られるとか」
二階堂「なっ!?」
著莪「…ひょっとして図星?」
二階堂「…」
著莪「わかりやすい奴だな~ もう少し突っ込んで聞きたいとこだけど…」
二階堂「……」
著莪「今日は止めとくよ、ところで話って何?」
空気も読めるようだな、…助かったが、もう話をする気分ではない。
二階堂「今日はもういい、俺は帰る…」
…顔に出ていたか。
著莪「そんなふうに自分の言いたいことを言わずにいるとそのうち後悔する事になるかもよ?」
ふん、…馬鹿なことを。
著莪「例えば好きな人を他の誰かに取られるとか」
二階堂「なっ!?」
著莪「…ひょっとして図星?」
二階堂「…」
著莪「わかりやすい奴だな~ もう少し突っ込んで聞きたいとこだけど…」
二階堂「……」
著莪「今日は止めとくよ、ところで話って何?」
空気も読めるようだな、…助かったが、もう話をする気分ではない。
二階堂「今日はもういい、俺は帰る…」
70 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/01/26(木) 16:23:01.23 ID:zz82bxEp0
あらら… ホントに帰っちゃった、すげー動揺してるみたいだな。
ココに来たときと帰る方向が逆だし、このあと公園の外周を迂回してバイク取りに行くんだろうな…
佐藤「zzz」
それにしても、…よく寝てるな。
著莪「佐藤…ホントに寝てる?」
佐藤「zzz」
著莪「ふっふっふっ、コノコノ~」
佐藤「う…んん…」
これだけいじっても起きないとは…
はっ!しまった、二階堂に油性ペンを持ってないか聞いとけばよかった。
せっかくこんなに無防備に寝てるんだから額に肉って書いてやる絶好のチャンスなのに。
そういえばコイツに今日のお礼をしてなかったな、え~と、確か月桂冠ならディープキスだっけ?
でも結局、実際に月桂冠を獲ったのは自分で、佐藤はアシストだったし …普通のキスいいか。
ココに来たときと帰る方向が逆だし、このあと公園の外周を迂回してバイク取りに行くんだろうな…
佐藤「zzz」
それにしても、…よく寝てるな。
著莪「佐藤…ホントに寝てる?」
佐藤「zzz」
著莪「ふっふっふっ、コノコノ~」
佐藤「う…んん…」
これだけいじっても起きないとは…
はっ!しまった、二階堂に油性ペンを持ってないか聞いとけばよかった。
せっかくこんなに無防備に寝てるんだから額に肉って書いてやる絶好のチャンスなのに。
そういえばコイツに今日のお礼をしてなかったな、え~と、確か月桂冠ならディープキスだっけ?
でも結局、実際に月桂冠を獲ったのは自分で、佐藤はアシストだったし …普通のキスいいか。
71 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/01/26(木) 16:28:35.20 ID:zz82bxEp0
公園の外周を歩きながら二階堂は呟いた。今日は厄日だ…と。
スーパーでは佐藤に背後から捨て身の一撃を受けたおかげで気絶してしまい月桂冠はおろか惣菜すら取れず…
公園では著莪あやめに古傷を抉られ…
おまけに、…コイツと鉢合わせするとは。
毛玉「まあ、人生そんな日もあるって、元気出せよ」
自称、歩くニュースペーパーを謳ったおり、サングラスにアフロヘアーがトレードマーク。
こんな時には絶対に会いたくない相手だった…
二階堂「黙ってろ、《毛玉》」
毛玉「つれねーなー兄弟、そんなにあの子に言われたことが効いたのか?」
二階堂「なっ!? お前見ていたのか?」
毛玉「ああ、バッチリとな。最近話題の美人ルーキーと《ガブリエル・ラチェット》の頭目であるアンタのツーショット。情報屋としては興味深かったんでね」
こんなふうに妙なところで鼻が利くからイヤな奴なのだ。
スーパーでは佐藤に背後から捨て身の一撃を受けたおかげで気絶してしまい月桂冠はおろか惣菜すら取れず…
公園では著莪あやめに古傷を抉られ…
おまけに、…コイツと鉢合わせするとは。
毛玉「まあ、人生そんな日もあるって、元気出せよ」
自称、歩くニュースペーパーを謳ったおり、サングラスにアフロヘアーがトレードマーク。
こんな時には絶対に会いたくない相手だった…
二階堂「黙ってろ、《毛玉》」
毛玉「つれねーなー兄弟、そんなにあの子に言われたことが効いたのか?」
二階堂「なっ!? お前見ていたのか?」
毛玉「ああ、バッチリとな。最近話題の美人ルーキーと《ガブリエル・ラチェット》の頭目であるアンタのツーショット。情報屋としては興味深かったんでね」
こんなふうに妙なところで鼻が利くからイヤな奴なのだ。
73 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/01/26(木) 16:36:30.49 ID:zz82bxEp0
毛玉「しっかしあいつ等にはたまげたぜ、いきなり膝枕かと思えばトドメのチューだもんな~」
二階堂「語尾を延ばすな気色悪い。あと、そんなとこまで見てたのか?…悪趣味だぞ」
毛玉「なに言ってんだか、アンタだってガン見してたろ?」
二階堂「ガン見はしていない…」
毛玉「見てはいたよな?」
二階堂「…」
そうなのだ、あのとき二人と別れてすぐに自分がバイクが置いてある所と反対の方角に来ていると気づきバツが悪いが引き返した。
そして少々遠めではあったが見てしまったのである…
著莪あやめが佐藤にキスをしているのを。それも結構長い間…
満月の明かり、桜の花びらが舞散る中でのその光景は彼女のボリュームのある金髪と相まって、まるで映画のワンシーンを見ているかのようだった。
毛玉「噂ではただの従姉弟って話だったが、どう見ても恋人同士… いや、あれは夫婦だな」
二階堂「それについでは俺も同意見だな」
毛玉「でなけりゃ、あんなに長いことブチュ~とはやらないよな」
口をタコのように突き出しながら毛玉は言う。
こんな奴と意見が合うのは甚だ不本意だがしかたあるまい、 …あんなことを平然とやってのける佐藤達の方がおかしいのだ。
二階堂「語尾を延ばすな気色悪い。あと、そんなとこまで見てたのか?…悪趣味だぞ」
毛玉「なに言ってんだか、アンタだってガン見してたろ?」
二階堂「ガン見はしていない…」
毛玉「見てはいたよな?」
二階堂「…」
そうなのだ、あのとき二人と別れてすぐに自分がバイクが置いてある所と反対の方角に来ていると気づきバツが悪いが引き返した。
そして少々遠めではあったが見てしまったのである…
著莪あやめが佐藤にキスをしているのを。それも結構長い間…
満月の明かり、桜の花びらが舞散る中でのその光景は彼女のボリュームのある金髪と相まって、まるで映画のワンシーンを見ているかのようだった。
毛玉「噂ではただの従姉弟って話だったが、どう見ても恋人同士… いや、あれは夫婦だな」
二階堂「それについでは俺も同意見だな」
毛玉「でなけりゃ、あんなに長いことブチュ~とはやらないよな」
口をタコのように突き出しながら毛玉は言う。
こんな奴と意見が合うのは甚だ不本意だがしかたあるまい、 …あんなことを平然とやってのける佐藤達の方がおかしいのだ。
74 >>72 クリスマスのやつならそうです 2012/01/26(木) 16:41:33.03 ID:zz82bxEp0
毛玉「それはそうと、二人への話とやらはなんだったんだ?」
二階堂「あいつ等のデビュー後の戦績は聴いているか? 正確には著莪あやめの方だが」
毛玉「5戦4勝だったか? 男の方は5戦1勝だが…女の方は間違いなく大物ルーキーだよな。」
二階堂「唯一の1敗はあいつ等のデビュー戦で《死神》が降臨した為だ、ちなみに佐藤の唯一の1勝がその時のもの」
毛玉「2人合わせて5戦全勝、今日の勝利も合わせて6戦全勝か… まあ、男の方は戦績もさほど芳しいとはいえないし、並みの狼がいいとこだろう」
二階堂「著莪あやめは今までの戦績だけでも十分評価に値するが、加えて今日の月桂冠」
毛玉「おい、まさか、お前…」
二階堂「二つ名を与えられるには十分だ」
毛玉「…そうだな、デビューしてから6戦中5勝、内1勝が月桂冠。1週間でというのは異例の早さだが、狼は実力がものをいう世界だからな… 良いんじゃねーか」
毛玉「しかし《ガブリエル・ラチェット》の頭目であるアンタがここまでご執心とはね」
二階堂「今回、ガブリエル・ラチェットは関係ない、俺個人としての興味だ」
毛玉「だが周りの連中はそうとは取らないかもしれないぜ?」
二階堂「そんな輩もあいつ等とやりあえば納得するだろう」
毛玉「確かに」
なにせ自ら《帝王》の犬であることを受け入れていた俺に再び狼としての気持ちを芽生えさせた奴らだからな…
二階堂「あいつ等のデビュー後の戦績は聴いているか? 正確には著莪あやめの方だが」
毛玉「5戦4勝だったか? 男の方は5戦1勝だが…女の方は間違いなく大物ルーキーだよな。」
二階堂「唯一の1敗はあいつ等のデビュー戦で《死神》が降臨した為だ、ちなみに佐藤の唯一の1勝がその時のもの」
毛玉「2人合わせて5戦全勝、今日の勝利も合わせて6戦全勝か… まあ、男の方は戦績もさほど芳しいとはいえないし、並みの狼がいいとこだろう」
二階堂「著莪あやめは今までの戦績だけでも十分評価に値するが、加えて今日の月桂冠」
毛玉「おい、まさか、お前…」
二階堂「二つ名を与えられるには十分だ」
毛玉「…そうだな、デビューしてから6戦中5勝、内1勝が月桂冠。1週間でというのは異例の早さだが、狼は実力がものをいう世界だからな… 良いんじゃねーか」
毛玉「しかし《ガブリエル・ラチェット》の頭目であるアンタがここまでご執心とはね」
二階堂「今回、ガブリエル・ラチェットは関係ない、俺個人としての興味だ」
毛玉「だが周りの連中はそうとは取らないかもしれないぜ?」
二階堂「そんな輩もあいつ等とやりあえば納得するだろう」
毛玉「確かに」
なにせ自ら《帝王》の犬であることを受け入れていた俺に再び狼としての気持ちを芽生えさせた奴らだからな…
75 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/01/26(木) 16:49:11.81 ID:zz82bxEp0
毛玉「で、肝心の二つ名は何にするんだ?」
二階堂「一応本人にも希望を聞こうかと思っていたんだが、もう必要なくなった」
毛玉「どんな名前なんだ?」
二階堂「今回はひとまず、より実績のある著莪あやめにのみ二つ名を付けることにする」
毛玉「勿体ぶんなよ」
あの人目を引く容姿、はじめて獲った月桂冠を食べていた公園の名前…レイクパーク。
加えて先ほど自分が見た光景で自然にソレが頭の中に浮かんだ。
「《湖の麗人》」
二階堂「一応本人にも希望を聞こうかと思っていたんだが、もう必要なくなった」
毛玉「どんな名前なんだ?」
二階堂「今回はひとまず、より実績のある著莪あやめにのみ二つ名を付けることにする」
毛玉「勿体ぶんなよ」
あの人目を引く容姿、はじめて獲った月桂冠を食べていた公園の名前…レイクパーク。
加えて先ほど自分が見た光景で自然にソレが頭の中に浮かんだ。
「《湖の麗人》」
76 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/01/26(木) 16:54:50.95 ID:zz82bxEp0
明後日にはこの周辺じゃあ、知らないやつは居ないってぐらいに広めまくってやるよ。毛玉はそう言って愛車のスーパーカブに乗り行ってしまった。
こんなときは、やたらと騒ぎ立てるアイツは便利なものだ、おそらく奴が言う明後日にはこの周辺はおろか西区、ひょっとしたら隣町の狼達の耳にも入っているかもしれない。
結局、毛玉には話していない事のほうが多かったのだか本人が満足して帰っていったのだからこれで良いだろう。
佐藤達にはもう一つ話す予定だったものがある、帝王率いるガブリエル・ラチェットが計画している例の作戦のこと…
だが、今は話さずに済んで良かったと思っている。
佐藤達のことだ、きっと話を聞けば何らかの形で首を突っ込もうとするに違いない。
あんな個人の欲望を満たすためだけの計画にあの若い2人を巻き込みたくはなかった。
それともう一つ…
毛玉の奴は佐藤の方は並の狼がいいとこ、と言っていたが、あの二人の戦いをデビュー戦以外の戦闘すべてを間近くで見ていた俺の意見は違う。
こんなときは、やたらと騒ぎ立てるアイツは便利なものだ、おそらく奴が言う明後日にはこの周辺はおろか西区、ひょっとしたら隣町の狼達の耳にも入っているかもしれない。
結局、毛玉には話していない事のほうが多かったのだか本人が満足して帰っていったのだからこれで良いだろう。
佐藤達にはもう一つ話す予定だったものがある、帝王率いるガブリエル・ラチェットが計画している例の作戦のこと…
だが、今は話さずに済んで良かったと思っている。
佐藤達のことだ、きっと話を聞けば何らかの形で首を突っ込もうとするに違いない。
あんな個人の欲望を満たすためだけの計画にあの若い2人を巻き込みたくはなかった。
それともう一つ…
毛玉の奴は佐藤の方は並の狼がいいとこ、と言っていたが、あの二人の戦いをデビュー戦以外の戦闘すべてを間近くで見ていた俺の意見は違う。
77 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/01/26(木) 16:59:55.77 ID:zz82bxEp0
確かに初めてアイツ等の戦いを見たときは自分も毛玉と同意見だった。
著莪あやめは獲物である半額弁当を常に意識して戦っているが佐藤の方はエンジンのかかりが遅いタイプなのか、よく被弾したり、弁当コーナー最前列から離れるように動いたりと効率が悪い。
当然それが結果に現れる。ただ、…違和感が少し。
そして二度目実際に争奪戦の中に入り佐藤を観察しているとなんとなく違和感の正体が分かる。
ある時点から佐藤の動きが格段に良くなったのだ。そう、…彼の従姉弟、著莪あやめが獲物を獲った時を境にして。
その時点でかなりダメージがあるにも拘わらず、脅威的なタフさだ…おそらく見た目以上に体は鍛え上げられているのだろう。
次の日から、そのコトを意識して佐藤を見ていると、やはり 少なくとも自分の目には佐藤が常に著莪あやめが動きやすいようにサポートをしているように見えた。
もちもんあからさまにではなく、こちらが余程注意して見ていなければ分からない程度の些細なこと。
だが、その程度の些細なことで結果が変わるのがあのフィールド。佐藤の行動により、確実に著莪あやめは戦いやすくなっている。
普通あの場では他の人間を助けている余裕は無い筈だ、…それでもアイツはそうする事があたりまえの様に。
なんとも微笑ましいものだ、ただの従姉弟の為に自分のことを後回しにするとは。
今は自分とガブリエル・ラチェットのメンバーで袋叩きに出来ているが、今日のように直それでも抑えられなくなるだろう。
もし佐藤の奴がこの先さらに実力をつけ従姉弟に構う事がなければ…
あの《魔導士》とも互角以上に渡り合えるかも知れない。
著莪あやめは獲物である半額弁当を常に意識して戦っているが佐藤の方はエンジンのかかりが遅いタイプなのか、よく被弾したり、弁当コーナー最前列から離れるように動いたりと効率が悪い。
当然それが結果に現れる。ただ、…違和感が少し。
そして二度目実際に争奪戦の中に入り佐藤を観察しているとなんとなく違和感の正体が分かる。
ある時点から佐藤の動きが格段に良くなったのだ。そう、…彼の従姉弟、著莪あやめが獲物を獲った時を境にして。
その時点でかなりダメージがあるにも拘わらず、脅威的なタフさだ…おそらく見た目以上に体は鍛え上げられているのだろう。
次の日から、そのコトを意識して佐藤を見ていると、やはり 少なくとも自分の目には佐藤が常に著莪あやめが動きやすいようにサポートをしているように見えた。
もちもんあからさまにではなく、こちらが余程注意して見ていなければ分からない程度の些細なこと。
だが、その程度の些細なことで結果が変わるのがあのフィールド。佐藤の行動により、確実に著莪あやめは戦いやすくなっている。
普通あの場では他の人間を助けている余裕は無い筈だ、…それでもアイツはそうする事があたりまえの様に。
なんとも微笑ましいものだ、ただの従姉弟の為に自分のことを後回しにするとは。
今は自分とガブリエル・ラチェットのメンバーで袋叩きに出来ているが、今日のように直それでも抑えられなくなるだろう。
もし佐藤の奴がこの先さらに実力をつけ従姉弟に構う事がなければ…
あの《魔導士》とも互角以上に渡り合えるかも知れない。
78 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/01/26(木) 17:05:24.00 ID:zz82bxEp0
自分の憧れであり想人でもあった《女帝蝶》を倒した、あの最強の狼に勝てるかもしれないと思った自分に驚く。
しかもそれを成し遂げるかもと考えた人物は現、東区最強の狼《帝王》こと遠藤 忠明ではなく、新人の狼、佐藤 洋なのだ。
まだ1勝しかしていない目立った活躍も無い、ただの狼。
だが不思議とそれを疑う気は起こらなかった、何よりもなぜこうも自分の心が躍るのか?
思わずニヤケそうになるが何とかこらえる。
夜に公園の前で1人薄ら笑いをしている男など… 誰かに見られたら即座に通報されかねない。
最初は面白い新人が居ると聞いて、あの計画に加担しているというストレスから少しでも離れたい… 気晴らしになればという程度の軽い気持ちで見に行っただけ。
それが今はどうだ、あの暗澹としていたつまらない毎日が嘘のようだ。あいつ等が現れなければ自分はこの先どうなっていたことだろう…
まったく、大変な後輩が出来たものだ。
しかもそれを成し遂げるかもと考えた人物は現、東区最強の狼《帝王》こと遠藤 忠明ではなく、新人の狼、佐藤 洋なのだ。
まだ1勝しかしていない目立った活躍も無い、ただの狼。
だが不思議とそれを疑う気は起こらなかった、何よりもなぜこうも自分の心が躍るのか?
思わずニヤケそうになるが何とかこらえる。
夜に公園の前で1人薄ら笑いをしている男など… 誰かに見られたら即座に通報されかねない。
最初は面白い新人が居ると聞いて、あの計画に加担しているというストレスから少しでも離れたい… 気晴らしになればという程度の軽い気持ちで見に行っただけ。
それが今はどうだ、あの暗澹としていたつまらない毎日が嘘のようだ。あいつ等が現れなければ自分はこの先どうなっていたことだろう…
まったく、大変な後輩が出来たものだ。
79 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/01/26(木) 17:10:16.55 ID:zz82bxEp0
バイクの元に行きヘルメットを被る。と、そこでなぜか今日スーパーで意識が薄れる直前に見たアイツの姿を思い出した。
ベルトを引き千切ったおかげでズボンがずり落ちパンツ姿を衆目に晒していた佐藤の姿を……
今度はダメだった、笑いを堪えきれずに盛大に噴出してしまった。
しかも間の悪いことに通行人の女子高生が自分の目の前に3人… 内2人は顔を青くして立ち尽くし、残る一人は今まさに文明の利器である携帯電話を取り出そうとしている。
まず弁解しよう頭では考えているのに体の方はまるで独自の意思を持つかのように、急いでバイクに跨りエンジンを指導させるとウイリーをかましかねない勢いで… 逃げた。
後方で「もしもし、警察ですか?今レイクパークっていう公園の前で不審者が…」とか聞こえた気がする、いよいよマズイ…
日本は世界に誇る法治国家で、その象徴たる警察は市民の味方で頼もしい存在だ。…犯罪者には容赦しない。
くそっ!どうしてこんなことに!? ともかく今は一刻も早くこの付近から離脱しなければ、…テレビか新聞の地方ニュースに名前が、…下手したら顔が写るかも知れない。
事の元凶である佐藤の顔を思い浮かべる。先ほどの良い印象はどこへやら、今は忌々しい顔という印象しかなかった。
今度会ったら、今回の腹いせにアイツのことを《変態》と呼ぶことにしよう。
二階堂連はそう強く決心してアクセルをさらに開ける、先程からパトカーのサイレンがどんどん近づいている気がした。
…はたして自分は無事にこの難局を乗り切れるのか?
嫌な汗を流しつつ、二階堂連という名の狼は夜の街を駆ける。
ベルトを引き千切ったおかげでズボンがずり落ちパンツ姿を衆目に晒していた佐藤の姿を……
今度はダメだった、笑いを堪えきれずに盛大に噴出してしまった。
しかも間の悪いことに通行人の女子高生が自分の目の前に3人… 内2人は顔を青くして立ち尽くし、残る一人は今まさに文明の利器である携帯電話を取り出そうとしている。
まず弁解しよう頭では考えているのに体の方はまるで独自の意思を持つかのように、急いでバイクに跨りエンジンを指導させるとウイリーをかましかねない勢いで… 逃げた。
後方で「もしもし、警察ですか?今レイクパークっていう公園の前で不審者が…」とか聞こえた気がする、いよいよマズイ…
日本は世界に誇る法治国家で、その象徴たる警察は市民の味方で頼もしい存在だ。…犯罪者には容赦しない。
くそっ!どうしてこんなことに!? ともかく今は一刻も早くこの付近から離脱しなければ、…テレビか新聞の地方ニュースに名前が、…下手したら顔が写るかも知れない。
事の元凶である佐藤の顔を思い浮かべる。先ほどの良い印象はどこへやら、今は忌々しい顔という印象しかなかった。
今度会ったら、今回の腹いせにアイツのことを《変態》と呼ぶことにしよう。
二階堂連はそう強く決心してアクセルをさらに開ける、先程からパトカーのサイレンがどんどん近づいている気がした。
…はたして自分は無事にこの難局を乗り切れるのか?
嫌な汗を流しつつ、二階堂連という名の狼は夜の街を駆ける。
80 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/01/26(木) 17:16:35.35 ID:zz82bxEp0
著莪「やっぱり出来過ぎだよな…」
著莪あやめは呟いた、場所はこの春から住んでいるアパートの一室、佐藤の部屋のベッドの中である。
あのあと寝ている佐藤で遊んでいたらさすがにやりすぎたのか彼が起きてしまい結局ココに帰ってくることに相成ったのだ。
横を見るとこの部屋の本来の主である従姉弟が寝息を立てていた。
帰宅後、シャワーを浴び、いつもどおりコイツに髪をやってもらいベッドに入る。
シャワーを済ませ自分の部屋にきた佐藤だったが余程疲れていたのか何も言わずにベッドに入り、すぐに寝てしまった…
その彼の顔を見つめながら彼女は思い出す、今日スーパーで二階堂に捨て身の攻撃を加えた後によろよろと立ち上がった彼の姿を。
決まったと言わんばかりの顔をして親指を立て……… ズボンがずり落ちたせいでパンツ姿を衆目に晒していた従姉弟の姿を。
やばい、思い出したらまた笑いが… こんなときはアレだ、佐藤の親父さんのことを思い出すんだ!
「…」
オーケー、収まった。
著莪あやめは呟いた、場所はこの春から住んでいるアパートの一室、佐藤の部屋のベッドの中である。
あのあと寝ている佐藤で遊んでいたらさすがにやりすぎたのか彼が起きてしまい結局ココに帰ってくることに相成ったのだ。
横を見るとこの部屋の本来の主である従姉弟が寝息を立てていた。
帰宅後、シャワーを浴び、いつもどおりコイツに髪をやってもらいベッドに入る。
シャワーを済ませ自分の部屋にきた佐藤だったが余程疲れていたのか何も言わずにベッドに入り、すぐに寝てしまった…
その彼の顔を見つめながら彼女は思い出す、今日スーパーで二階堂に捨て身の攻撃を加えた後によろよろと立ち上がった彼の姿を。
決まったと言わんばかりの顔をして親指を立て……… ズボンがずり落ちたせいでパンツ姿を衆目に晒していた従姉弟の姿を。
やばい、思い出したらまた笑いが… こんなときはアレだ、佐藤の親父さんのことを思い出すんだ!
「…」
オーケー、収まった。
82 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/01/26(木) 17:23:34.40 ID:zz82bxEp0
再び横に居る従姉弟の顔を見ながら考える。
自分で言うのもなんだが私はそこらの男子より遥かに強いと思う、だからスーパーでも正直そこそこは勝てると考えていた。
自分の予想では2回に1回は勝つ感じ、それが今のところ5戦4勝… 唯一弁当が獲れなかったときもあせびが居たからであって負けたという感じじゃないし。
著莪「これってやっぱりお前のおかげなのか?」
聞いてみても目の前の従姉弟は答えない。
昔からいつもそうだった、バレンタインの時には毎年家で一人になるはずだった私のところに来てくれたり。
高校進学のときも私の提案を跳ね除けて、烏田高校に行くことも出来たはず。
佐藤はいつも私の傍にいてくれたり気にかけたりしてくれている、それからいくと今回のスーパーでの異常ともいえる勝率も佐藤のおかげなのだろう。
同居人の横顔を見ていてふと、ある事を思いつき…彼の鼻先を人差し指で押してみる。
やはりというか、思った通りだ。
著莪「ブルドッグみたい…」
自分で言うのもなんだが私はそこらの男子より遥かに強いと思う、だからスーパーでも正直そこそこは勝てると考えていた。
自分の予想では2回に1回は勝つ感じ、それが今のところ5戦4勝… 唯一弁当が獲れなかったときもあせびが居たからであって負けたという感じじゃないし。
著莪「これってやっぱりお前のおかげなのか?」
聞いてみても目の前の従姉弟は答えない。
昔からいつもそうだった、バレンタインの時には毎年家で一人になるはずだった私のところに来てくれたり。
高校進学のときも私の提案を跳ね除けて、烏田高校に行くことも出来たはず。
佐藤はいつも私の傍にいてくれたり気にかけたりしてくれている、それからいくと今回のスーパーでの異常ともいえる勝率も佐藤のおかげなのだろう。
同居人の横顔を見ていてふと、ある事を思いつき…彼の鼻先を人差し指で押してみる。
やはりというか、思った通りだ。
著莪「ブルドッグみたい…」
83 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/01/26(木) 17:28:33.16 ID:zz82bxEp0
佐藤「う~ん…著莪…?」
またしても弄り過ぎたせいかブルドッグ佐藤が薄目をあける、チッ、起きたか。ケータイのカメラで今の顔を撮ってやろうと思ってたのに…
佐藤「良い匂い…」
著莪「匂い?あぁ…佐藤、好きだもんね、このシャンプーの匂い。」
ママの実家から送られてくるヤツで、私自身はもとより佐藤の奴がシャンプーの香りを事のほか気に入っている。
いつも風呂上りに髪をやってもらうときに後ろから髪に顔を突っ込んで嗅いでるくらいだしな、…ん?そーいや、今日は嗅いでこなかったっけ。
著莪「嗅ぐ?」
佐藤「うん」
ベッドに横になったままクルリと身を反転させ佐藤に背を向ける。
すると少し間を置いて、……佐藤の顔が私の髪にゆっくりと埋まってゆくのを感じた。
またしても弄り過ぎたせいかブルドッグ佐藤が薄目をあける、チッ、起きたか。ケータイのカメラで今の顔を撮ってやろうと思ってたのに…
佐藤「良い匂い…」
著莪「匂い?あぁ…佐藤、好きだもんね、このシャンプーの匂い。」
ママの実家から送られてくるヤツで、私自身はもとより佐藤の奴がシャンプーの香りを事のほか気に入っている。
いつも風呂上りに髪をやってもらうときに後ろから髪に顔を突っ込んで嗅いでるくらいだしな、…ん?そーいや、今日は嗅いでこなかったっけ。
著莪「嗅ぐ?」
佐藤「うん」
ベッドに横になったままクルリと身を反転させ佐藤に背を向ける。
すると少し間を置いて、……佐藤の顔が私の髪にゆっくりと埋まってゆくのを感じた。
84 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/01/26(木) 17:31:18.69 ID:OfgE3EQpO
なんだこの夫婦
85 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/01/26(木) 17:42:34.62 ID:zz82bxEp0
どの位時間が過ぎただろうか、佐藤の顔が私の髪から離れる。寝たのかな?
再度体を反転させると案の定、その瞳は閉じられてる。
昔からこの顔を見ているだけで不思議と心が安らぐ。暫く瞼を閉じた彼の顔を見ていると、………いつのまにか無意識のうちに佐藤と唇を重ねていた。
佐藤の鼻息があったて少しくすぐったい、けれど嫌というわけでもなかった、出来る事ならこのままずっとこうしていたい…が、そうもいかない。
名残惜しいが唇を離す。
相変わらず、その瞳は閉じられたままで…… なんだか見ていると胸の奥が苦しくなった、ぎゅ…と、締め付けられたような感じ。
それと同時に湧き上がる、この気持ち…
ふと今日のスーパーでのことを思い出す、弁当を温めている間あの1日半額神のお婆ちゃんと話していたときの事を。
一通りの説明を終えたお婆ちゃんは何故か佐藤の事を聞いてきた。
私とアイツの関係、私が普段抱いているアイツの印象。
1つ目の質問には当然、従姉弟と答え。2つ目の質問には…
著莪「一緒にいても1人の時のような気楽さ、でも、一緒にいれば1人の時のような寂しさがない。……そんな、う~ん…そうだ、ペット。…ペットみたいな奴かな?」
…と、答えた。アレは自分でも言ってて可笑しかったなぁ…
再度体を反転させると案の定、その瞳は閉じられてる。
昔からこの顔を見ているだけで不思議と心が安らぐ。暫く瞼を閉じた彼の顔を見ていると、………いつのまにか無意識のうちに佐藤と唇を重ねていた。
佐藤の鼻息があったて少しくすぐったい、けれど嫌というわけでもなかった、出来る事ならこのままずっとこうしていたい…が、そうもいかない。
名残惜しいが唇を離す。
相変わらず、その瞳は閉じられたままで…… なんだか見ていると胸の奥が苦しくなった、ぎゅ…と、締め付けられたような感じ。
それと同時に湧き上がる、この気持ち…
ふと今日のスーパーでのことを思い出す、弁当を温めている間あの1日半額神のお婆ちゃんと話していたときの事を。
一通りの説明を終えたお婆ちゃんは何故か佐藤の事を聞いてきた。
私とアイツの関係、私が普段抱いているアイツの印象。
1つ目の質問には当然、従姉弟と答え。2つ目の質問には…
著莪「一緒にいても1人の時のような気楽さ、でも、一緒にいれば1人の時のような寂しさがない。……そんな、う~ん…そうだ、ペット。…ペットみたいな奴かな?」
…と、答えた。アレは自分でも言ってて可笑しかったなぁ…
86 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/01/26(木) 17:45:10.88 ID:zz82bxEp0
しかし、3つ目の質問をされたときには言葉が詰まった、 なにせ…
半額神「あやめちゃんが将来結婚するとしたらどんな男の人を選ぶのかしら?」
コレには心底参ってしまった、しかも考えに考えた結果、出てきた答えに何よりも驚いた……
顔を赤くしている私を見てお婆ちゃんは、あらまあ…と、言って微笑んでいたっけ。
半額神「こんなお年寄りが図々しくあんな事を聞いちゃってごめんなさい、でも老婆心ながら最後にもう1つだけ言わせて?」
そう言うと、お婆ちゃんは私の顔をさらに熱くさせるようなことを口にした……
半額神「相手が、たとえそれが従姉弟や自分の両親であっても口に出して言わないと伝わらない事もあるのよ?」
87 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/01/26(木) 17:48:48.28 ID:zz82bxEp0
彼女は気付いているのだろうか? 僕が起きている事に…
正直あれだけ顔を弄られて起きない奴はいない。
起きてるって言えば良いんだけどなんというか…… こうなったら狸寝入りを決め込もう、みたいな意地を張っちゃってさ…
著莪「…佐藤……ホントは起きてるでしょう?」
僕の従姉弟はエスパーなのか?
著莪「エスパーじゃないけどさ、佐藤のことならなんとなく…ね」
どうりで昔から僕の英知が結晶されたような秘蔵本の隠し場所を幾度となく暴けたわけだ……
著莪「起きなくても良いからさ、聴いて欲しいんだ…」
頬を赤く染めた彼女を見て、僕にも今だけは著莪の考えていることがなんとなく分かる気がした、だとすれば僕の返事は既に決まっている。
なにせ今日の公園、そして今まさにこの瞬間。僕は彼女に… やられてしまったのだから。
著莪「いつも傍に居てくれてありがとう、大好きだよ、佐藤」
そう言って著莪は僕に今日3度目の少し長いキスをするのだった…
〈了〉
89 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/01/26(木) 17:51:59.89 ID:zz82bxEp0
ご支援とレスありがとうございました
少しでも暇つぶしになっていればいいのですが。
少しでも暇つぶしになっていればいいのですが。
88 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/01/26(木) 17:51:38.05 ID:OfgE3EQpO
乙
原作読みたくなった
原作読みたくなった
91 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/01/26(木) 18:05:34.09 ID:SaMfDquDO
これで終わり?
乙!!
乙!!
Entry ⇒ 2012.01.27 | Category ⇒ ベン・トーSS | Comments (0) | Trackbacks (0)
佐藤「オルトロスの妹可愛いな……」槍水「!?」
元スレ:佐藤「オルトロスの妹可愛いな……」槍水「!?」
http://engawa.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1325458180/
~争奪戦後、HP同好会部室~
槍水「お前達、また腕を上げたな」
梗「今日も勝たせていただく予定でしたのに…」ショボーン
槍水「今日のスーパーは私のホームだからな。体調が万全なら当然の結果だ」
鏡「たしかに以前とは別人のような動きでしたね」
槍水「そうはいっても、お前達だって弁当は獲れたじゃないか」
梗「月桂冠にはどうやっても勝てませんわ…」
槍水「なんにしても、みんな獲れたんだ。良かったじゃないか」
鏡「そうですよ姉さん」
梗「ハア~ 今日のところは良しと致しますわ」
佐藤「あの~先輩がた… 僕だけ獲れなかったんですけど…」
槍水、沢桔姉妹「あっ…」
http://engawa.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1325458180/
1 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/01/02(月) 07:49:40.46 ID:xj5O9r5+0
2 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/01/02(月) 07:53:03.29 ID:xj5O9r5+0
お願いします
6 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/01/02(月) 07:59:45.15 ID:Cfe/W4UlP
書けよ
21 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/01/02(月) 10:08:20.11 ID:uZrvyvEI0
佐藤「あの姉をフォローしたり、苦労してるけど」
槍水「うむ」
佐藤「良い奥さんとかになりそうですよね」
槍水「うむ」
佐藤「良い奥さんとかになりそうですよね」
22 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/01/02(月) 10:14:57.55 ID:uZrvyvEI0
槍水「そうだな…」
佐藤「でも、いざ結婚したら姉の方も付いてきそうですね」
槍水「ハハ、確かにそうかもな」
佐藤「しかし、それがいい…」
槍水「…佐藤、お前本気か?」
佐藤「でも、いざ結婚したら姉の方も付いてきそうですね」
槍水「ハハ、確かにそうかもな」
佐藤「しかし、それがいい…」
槍水「…佐藤、お前本気か?」
24 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/01/02(月) 10:16:37.78 ID:dmQO7vG10
双子丼
25 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/01/02(月) 10:21:38.95 ID:uZrvyvEI0
槍水「日本では一夫多妻は認められていないんだぞ?」
佐藤「政治家の決めた法律なんて、この性yゲフンゲフン… 若さあふれる僕には関係ありませんよ!」
槍水「し、しかしだな…」
佐藤「二人まとめて養っていく覚悟です」(とうぜん夜の方も!)
佐藤「政治家の決めた法律なんて、この性yゲフンゲフン… 若さあふれる僕には関係ありませんよ!」
槍水「し、しかしだな…」
佐藤「二人まとめて養っていく覚悟です」(とうぜん夜の方も!)
30 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/01/02(月) 10:37:20.05 ID:uZrvyvEI0
槍水「そうか… ならばもう私から言うことは何もない…」ドン引き
槍水「お前が刑務所に入れられても同じ同好会に所属していたよしみで手紙ぐらいは書いてやるからな…」
佐藤「やだなー先輩、冗談ですって。HAHAHA」
槍水「冗談だったのか!?」
佐藤「驚かれた!?」
槍水「いや、すまない。かなり本気の目をしていたように見えたからな…」
槍水「お前が刑務所に入れられても同じ同好会に所属していたよしみで手紙ぐらいは書いてやるからな…」
佐藤「やだなー先輩、冗談ですって。HAHAHA」
槍水「冗談だったのか!?」
佐藤「驚かれた!?」
槍水「いや、すまない。かなり本気の目をしていたように見えたからな…」
34 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/01/02(月) 10:47:57.29 ID:uZrvyvEI0
佐藤「まあ、かなりマジでしたけど…」ボソッ…
槍水「何か言ったか?佐藤」
佐藤「いえ、なんでも。それより白粉はどうしたんですか?」
槍水「生徒会の方に行くと連絡があったぞ」
佐藤(白梅のお持ち帰りコースだな…)
プフォー!シラウメサマノエガオイタダキマシタ!!!
槍水「?今何か聞こえなかったか」
佐藤「ああ、ただの豚ですよHAHAHA」
槍水「そうか…」(豚?)
槍水「何か言ったか?佐藤」
佐藤「いえ、なんでも。それより白粉はどうしたんですか?」
槍水「生徒会の方に行くと連絡があったぞ」
佐藤(白梅のお持ち帰りコースだな…)
プフォー!シラウメサマノエガオイタダキマシタ!!!
槍水「?今何か聞こえなかったか」
佐藤「ああ、ただの豚ですよHAHAHA」
槍水「そうか…」(豚?)
38 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/01/02(月) 10:56:50.17 ID:uZrvyvEI0
デスワ!デスワ!
佐藤「おっ、噂をすれば」
槍水「メールか?」
佐藤「ええ、オルトロスのお姉さんの方からです」
佐藤「え~と、今日こっちに来る用事が有るみたいですね」
佐藤「『スーパーでご一緒しませんか?』だそうです」
槍水「私は一向に構わないぞ」
佐藤「じゃあ今晩アブラ神の店で…と」
佐藤「おっ、噂をすれば」
槍水「メールか?」
佐藤「ええ、オルトロスのお姉さんの方からです」
佐藤「え~と、今日こっちに来る用事が有るみたいですね」
佐藤「『スーパーでご一緒しませんか?』だそうです」
槍水「私は一向に構わないぞ」
佐藤「じゃあ今晩アブラ神の店で…と」
43 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/01/02(月) 11:16:17.64 ID:uZrvyvEI0
「はあ…」
「どうしたのです、姉さん?」
梗「これを…」スッ…
鏡「メールですか… 私が見る限りOKを貰えてるようですけど。何か問題が?」
梗「どうしましょう鏡~!」
鏡「なにがですか?」
梗「私… つい調子に乗ってこのメールの返信にお二人を挑発するような文章を…」
鏡「いつもの事じゃないですか…」ハア~
梗「きっとお二人とも今度から私達に目も合わそうとしてくれないに違いありませんわ~!!!」
鏡「大丈夫ですよ姉さん、佐藤さん達はちゃんと分かってくれていますから」
梗「そうでしょうか…?」
鏡「はい。 あと、さりげなく私まで巻き込まないでください」
「どうしたのです、姉さん?」
梗「これを…」スッ…
鏡「メールですか… 私が見る限りOKを貰えてるようですけど。何か問題が?」
梗「どうしましょう鏡~!」
鏡「なにがですか?」
梗「私… つい調子に乗ってこのメールの返信にお二人を挑発するような文章を…」
鏡「いつもの事じゃないですか…」ハア~
梗「きっとお二人とも今度から私達に目も合わそうとしてくれないに違いありませんわ~!!!」
鏡「大丈夫ですよ姉さん、佐藤さん達はちゃんと分かってくれていますから」
梗「そうでしょうか…?」
鏡「はい。 あと、さりげなく私まで巻き込まないでください」
44 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/01/02(月) 11:22:37.04 ID:uZrvyvEI0
佐藤「…」
槍水「どうした、佐藤?」
佐藤「いえ… お姉さんの方からやたらとテンションの高い返信が着たのでどう反応したものかと…」
槍水「どれどれ…」ヒョイ…
槍水「…」
佐藤「…」
槍水「そっとしておいてやれ…」
佐藤「はい…」(いつものことだしな…)
槍水「どうした、佐藤?」
佐藤「いえ… お姉さんの方からやたらとテンションの高い返信が着たのでどう反応したものかと…」
槍水「どれどれ…」ヒョイ…
槍水「…」
佐藤「…」
槍水「そっとしておいてやれ…」
佐藤「はい…」(いつものことだしな…)
48 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/01/02(月) 11:34:35.08 ID:lcJxa7g40
妹トロス好きとはよくわかってるな
49 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/01/02(月) 11:38:23.47 ID:uZrvyvEI0
~争奪戦後、HP同好会部室~
槍水「お前達、また腕を上げたな」
梗「今日も勝たせていただく予定でしたのに…」ショボーン
槍水「今日のスーパーは私のホームだからな。体調が万全なら当然の結果だ」
鏡「たしかに以前とは別人のような動きでしたね」
槍水「そうはいっても、お前達だって弁当は獲れたじゃないか」
梗「月桂冠にはどうやっても勝てませんわ…」
槍水「なんにしても、みんな獲れたんだ。良かったじゃないか」
鏡「そうですよ姉さん」
梗「ハア~ 今日のところは良しと致しますわ」
佐藤「あの~先輩がた… 僕だけ獲れなかったんですけど…」
槍水、沢桔姉妹「あっ…」
58 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/01/02(月) 11:53:37.51 ID:uZrvyvEI0
槍水「さ、佐藤?怒っているのか…?」オドオド…
佐藤「…」ズーン
梗「け、決して佐藤さんの事を忘れていたわけじゃあ無いんですのよ?」アセアセ…
梗「ただ眼中に無かっただけで…」
鏡「姉さん、それだとなお悪いです」
梗「そんな!?」
佐藤「HAHA…」
鏡「申し訳ありません、佐藤さん… お詫びに私のお弁当を半分差し上げますので、どうか姉の無礼をお許しください」フカブカ…
佐槍梗「!?」
佐藤「…」ズーン
梗「け、決して佐藤さんの事を忘れていたわけじゃあ無いんですのよ?」アセアセ…
梗「ただ眼中に無かっただけで…」
鏡「姉さん、それだとなお悪いです」
梗「そんな!?」
佐藤「HAHA…」
鏡「申し訳ありません、佐藤さん… お詫びに私のお弁当を半分差し上げますので、どうか姉の無礼をお許しください」フカブカ…
佐槍梗「!?」
104 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/01/02(月) 14:36:25.99 ID:uZrvyvEI0
佐藤「いや、それはさすがに悪いというか…」
梗「鏡!抜け駆けはずるいですわ!」
槍水「抜け駆け?」
鏡「ね!姉さん!」
梗「はっ!?でも、もし佐藤さんと鏡がそうなった暁にはもれなく私も付いてくる、と」
梗「だったら何も問題ありません、佐藤さん…どうか妹ともども宜しくお願い致します」
佐藤「は、はあ…」
梗「鏡!抜け駆けはずるいですわ!」
槍水「抜け駆け?」
鏡「ね!姉さん!」
梗「はっ!?でも、もし佐藤さんと鏡がそうなった暁にはもれなく私も付いてくる、と」
梗「だったら何も問題ありません、佐藤さん…どうか妹ともども宜しくお願い致します」
佐藤「は、はあ…」
106 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/01/02(月) 14:37:34.66 ID:Lc/dfisc0
姉トロス世界一ィ!可愛いよぉ!
107 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/01/02(月) 14:43:13.79 ID:uZrvyvEI0
鏡「姉さん… 今の会話でどうやったらそんな結論になるんですか…」ハア~…
梗「鏡!?なぜそんな残念な者を見るような目で私を見て…?」
鏡「姉さんが残念だからです…」
梗「そんな!?」
槍水「槍水「おい佐藤、お前達はその… そういう関係なのか?」
佐藤「先輩まで… 冗談に決まってます。それよりまず食べませんか?」グ~
槍水、沢桔姉妹「…」グ~
槍水「そ、そうだな…///」
梗「そうですわね///」
鏡「///」
梗「鏡!?なぜそんな残念な者を見るような目で私を見て…?」
鏡「姉さんが残念だからです…」
梗「そんな!?」
槍水「槍水「おい佐藤、お前達はその… そういう関係なのか?」
佐藤「先輩まで… 冗談に決まってます。それよりまず食べませんか?」グ~
槍水、沢桔姉妹「…」グ~
槍水「そ、そうだな…///」
梗「そうですわね///」
鏡「///」
109 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/01/02(月) 14:52:39.09 ID:uZrvyvEI0
~食後~
「「「「ごちそうさまでした」」」」
鏡「結局、全員で食べさせ合いになってしまいましたね」
梗「殿方に初めて『あ~ん』をしてしまいましたわ///」
槍水「やはりみんなで食べるのはいいな。白粉も一緒だと良かったんだが…」
佐藤(3美人からの『あ~ん』…)ニヤニヤ…
梗「どうかされましたの?お顔がニヤケて…」ヒョイッ
佐藤「な、なんでもないから!」ビクッ!
梗「はあ…?」
「「「「ごちそうさまでした」」」」
鏡「結局、全員で食べさせ合いになってしまいましたね」
梗「殿方に初めて『あ~ん』をしてしまいましたわ///」
槍水「やはりみんなで食べるのはいいな。白粉も一緒だと良かったんだが…」
佐藤(3美人からの『あ~ん』…)ニヤニヤ…
梗「どうかされましたの?お顔がニヤケて…」ヒョイッ
佐藤「な、なんでもないから!」ビクッ!
梗「はあ…?」
110 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/01/02(月) 15:00:02.83 ID:uZrvyvEI0
鏡「それにしても本当に大勢だと食事が楽しいですね。いつもは姉と2二人で食べているので新鮮でした」
槍水「ではこれからもちょくちょくココに来るといい、私達も東区に遠征したときにはそちらに顔を出そう」
鏡「ですが、ご迷惑では?」
梗「ぜひ!宜しくお願いいたしますわ!!!」
槍水「あ、ああ。では今度からそうしよう」(そんなに嬉しかったのか…?)
佐藤「よろしくな、二人とも」
槍水「ではこれからもちょくちょくココに来るといい、私達も東区に遠征したときにはそちらに顔を出そう」
鏡「ですが、ご迷惑では?」
梗「ぜひ!宜しくお願いいたしますわ!!!」
槍水「あ、ああ。では今度からそうしよう」(そんなに嬉しかったのか…?)
佐藤「よろしくな、二人とも」
111 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/01/02(月) 15:11:19.72 ID:uZrvyvEI0
鏡「それでは、お言葉に甘えさせて頂きます」ペコリ
梗(これで佐藤さんと頻繁に会える口実ができましたわ///」
佐藤「えっ?」
梗「え…?」
鏡「姉さん… 途中から思いっきり声が出てましたよ…」
梗「マジですか?鏡…」
鏡「残念ながら…」
佐藤「ハハ…///」
槍水「ほう…」
梗(これで佐藤さんと頻繁に会える口実ができましたわ///」
佐藤「えっ?」
梗「え…?」
鏡「姉さん… 途中から思いっきり声が出てましたよ…」
梗「マジですか?鏡…」
鏡「残念ながら…」
佐藤「ハハ…///」
槍水「ほう…」
114 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/01/02(月) 15:18:59.40 ID:uZrvyvEI0
梗「わ…私…」プルプル…
梗「お飲み物を買ってきますわー!!」ダダッ! ガチャ! バタン!!!
鏡「すみません、騒がしい姉で…」
佐藤「いつもどうり…」
槍水「それはいいんだが、アイツは自販機の場所とかわかるのか?」
鏡「…」
鏡「いってきます…」
槍水「いや、お前は客人だ。私が行こう、ついでに帰りになにか買ってくる」
槍水「佐藤、お前は彼女の相手を頼むぞ」
佐藤「わかりました、先輩」
鏡「お手数をお掛けします…」
槍水「気にするな。じゃあ行ってくる」スタスタ… ガチャ… パタン…
梗「お飲み物を買ってきますわー!!」ダダッ! ガチャ! バタン!!!
鏡「すみません、騒がしい姉で…」
佐藤「いつもどうり…」
槍水「それはいいんだが、アイツは自販機の場所とかわかるのか?」
鏡「…」
鏡「いってきます…」
槍水「いや、お前は客人だ。私が行こう、ついでに帰りになにか買ってくる」
槍水「佐藤、お前は彼女の相手を頼むぞ」
佐藤「わかりました、先輩」
鏡「お手数をお掛けします…」
槍水「気にするな。じゃあ行ってくる」スタスタ… ガチャ… パタン…
115 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/01/02(月) 15:27:42.22 ID:uZrvyvEI0
佐藤「…」
鏡「…」
佐藤(おいおい…これって思春期男子の憧れるシィチュエーションの一つじゃね?)
佐藤(美人の女子と部室でワクワク2人っきり!!!)ウェッヘッヘッヘ…
鏡「あの… 佐藤さん?」
佐藤「はっ!? なんでございましょう?」
鏡「すみません… あんな姉で、どうもお誘いをもらったのがよほど嬉しかったようです」
佐藤「そ、そうなんだ、喜んでもらえてよかったよ HAHAHA」(正気に戻るんだ! ヨー・サトー)
鏡「まあ… かく言う私も嬉しいのですが…///」
鏡「…」
佐藤(おいおい…これって思春期男子の憧れるシィチュエーションの一つじゃね?)
佐藤(美人の女子と部室でワクワク2人っきり!!!)ウェッヘッヘッヘ…
鏡「あの… 佐藤さん?」
佐藤「はっ!? なんでございましょう?」
鏡「すみません… あんな姉で、どうもお誘いをもらったのがよほど嬉しかったようです」
佐藤「そ、そうなんだ、喜んでもらえてよかったよ HAHAHA」(正気に戻るんだ! ヨー・サトー)
鏡「まあ… かく言う私も嬉しいのですが…///」
118 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/01/02(月) 15:39:05.85 ID:uZrvyvEI0
佐藤(かわいい…)
鏡「佐藤さんのおかげで私達はまたスーパーに赴くことが出来るようになった…」
鏡「その恩人と今度は一緒に食事のお約束まで出来たのですから…」
鏡「嬉しくない筈がありません///」
佐藤(襲っていい? いいよね? 襲っても)ハアハア…
メニハミエナイキズナ~♪
佐藤「先輩から…」(あぶねー!)
佐藤「もしもし」
槍水『佐藤か?すまないが茉莉花とビデオチャットの約束があったのを思い出してな、申し訳ないんだが…』
佐藤「わかりました、あとは僕達でやっときますから先輩はそちらに行ってあげてください」
鏡「佐藤さんのおかげで私達はまたスーパーに赴くことが出来るようになった…」
鏡「その恩人と今度は一緒に食事のお約束まで出来たのですから…」
鏡「嬉しくない筈がありません///」
佐藤(襲っていい? いいよね? 襲っても)ハアハア…
メニハミエナイキズナ~♪
佐藤「先輩から…」(あぶねー!)
佐藤「もしもし」
槍水『佐藤か?すまないが茉莉花とビデオチャットの約束があったのを思い出してな、申し訳ないんだが…』
佐藤「わかりました、あとは僕達でやっときますから先輩はそちらに行ってあげてください」
122 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/01/02(月) 15:52:27.02 ID:uZrvyvEI0
槍水『すまん、埋め合わせは今度… あの姉妹によろしく伝えてくれ』
佐藤「はい、それじゃあまた明日」
佐藤「先輩、急用があったのを思い出したらしくて…」
鏡「そうですか…」
佐藤「お姉さん… 探しに行きましょうか?」
鏡「ですね、あの姉のことですから誰も追いかけてこないので階段下の掃除用具室の隅でひざを抱えていると思いますし…」
佐藤「随分具体的ですね…」
鏡「長い付き合いですから…」ハア…
佐藤「はい、それじゃあまた明日」
佐藤「先輩、急用があったのを思い出したらしくて…」
鏡「そうですか…」
佐藤「お姉さん… 探しに行きましょうか?」
鏡「ですね、あの姉のことですから誰も追いかけてこないので階段下の掃除用具室の隅でひざを抱えていると思いますし…」
佐藤「随分具体的ですね…」
鏡「長い付き合いですから…」ハア…
125 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/01/02(月) 16:03:54.72 ID:uZrvyvEI0
佐藤「まさか本当にいるとは…」
梗「鏡~さびしかったですわ~…」メソメソ…
鏡「自業自得ですよ、姉さん」ヨシヨシ
鏡(せっかく佐藤さんと2人っきりだったのに…)
梗「なんですって!? 鏡!あなたもしや佐藤さんと2人っきりなのをいいことに、あんな事やこんな事を///」
鏡「勝手に人の心を読まないでください!」
佐藤「なに!?僕って知らず知らずのうちに、あんな事やこんな事をしていたのか!?」
鏡「あなたも悪ノリしないでください…」
梗「鏡~さびしかったですわ~…」メソメソ…
鏡「自業自得ですよ、姉さん」ヨシヨシ
鏡(せっかく佐藤さんと2人っきりだったのに…)
梗「なんですって!? 鏡!あなたもしや佐藤さんと2人っきりなのをいいことに、あんな事やこんな事を///」
鏡「勝手に人の心を読まないでください!」
佐藤「なに!?僕って知らず知らずのうちに、あんな事やこんな事をしていたのか!?」
鏡「あなたも悪ノリしないでください…」
127 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/01/02(月) 16:15:08.80 ID:uZrvyvEI0
梗「こうなっては仕方ありません…」
梗「佐藤さんは鏡を傷物にした責任として…」
梗「私も合わせて一緒に面倒を見ていただきますわ!」
鏡「姉さん、だからそんなことは…」
佐藤「よし!僕も男だ!きっちり2人そろって面倒を見るよ!」
鏡「佐藤s「聞きまして、鏡!」
梗「佐藤さんが責任もって私たち2人と結婚してくれるそうですわ!」
梗「佐藤さんは鏡を傷物にした責任として…」
梗「私も合わせて一緒に面倒を見ていただきますわ!」
鏡「姉さん、だからそんなことは…」
佐藤「よし!僕も男だ!きっちり2人そろって面倒を見るよ!」
鏡「佐藤s「聞きまして、鏡!」
梗「佐藤さんが責任もって私たち2人と結婚してくれるそうですわ!」
130 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/01/02(月) 16:27:12.09 ID:uZrvyvEI0
鏡「姉さ「ああ、男に二言は無い!」
佐藤「二人まとめて愛してやる!」(ユートピアはホントにあったんだね!)
梗「まあまあ、姉妹丼ですか///」
鏡「もういいです…疲れました…」ハア…
佐藤「いざ行かん!憧れの姉妹丼へ!!!」
筋肉刑事「あーそこの君…」
佐藤「二人まとめて愛してやる!」(ユートピアはホントにあったんだね!)
梗「まあまあ、姉妹丼ですか///」
鏡「もういいです…疲れました…」ハア…
佐藤「いざ行かん!憧れの姉妹丼へ!!!」
筋肉刑事「あーそこの君…」
132 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/01/02(月) 16:39:21.07 ID:uZrvyvEI0
「へ?」
「こんな夜中に閑静な住宅街で大声で姉妹丼とは… そんなに昂ぶっていたのか?」
佐藤「いえ、あの、ですね… これには事情が…」ダラダラ…
筋肉刑事「よく見ると君は相棒のサイトウにそっくりじゃあないか…」ジー
佐藤「ふ、2人からも説明してくれ!」クルッ
佐藤「あれ?2人はどこ?」
筋肉刑事「おかしなことを言うな君は、最初から君一人だっただろう?」
ー物陰ー
鏡「申し訳ありません、佐藤さん…」
梗「鏡、突然こんなところに隠れてどうしたというの?」
「こんな夜中に閑静な住宅街で大声で姉妹丼とは… そんなに昂ぶっていたのか?」
佐藤「いえ、あの、ですね… これには事情が…」ダラダラ…
筋肉刑事「よく見ると君は相棒のサイトウにそっくりじゃあないか…」ジー
佐藤「ふ、2人からも説明してくれ!」クルッ
佐藤「あれ?2人はどこ?」
筋肉刑事「おかしなことを言うな君は、最初から君一人だっただろう?」
ー物陰ー
鏡「申し訳ありません、佐藤さん…」
梗「鏡、突然こんなところに隠れてどうしたというの?」
135 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/01/02(月) 16:55:22.74 ID:uZrvyvEI0
筋肉刑事「昂ぶっていて、さらには幻覚まで見えているとは…」
筋肉刑事「こいつは俺がじきじきに隅から隅まで取調べをしなきゃあならんようだな」
佐藤「あぱぱぱぱぱ…」
筋肉刑事「今日はサイトウが居なかったからな、ちょうどよかった」
~その後、彼かどうなったのかは知る由も無い~
白粉「ふ~改心の出来です」ツヤツヤ
佐藤「勝手に僕を小説に出すな!」グイッ!
白粉「あうっ!」
おわり
筋肉刑事「こいつは俺がじきじきに隅から隅まで取調べをしなきゃあならんようだな」
佐藤「あぱぱぱぱぱ…」
筋肉刑事「今日はサイトウが居なかったからな、ちょうどよかった」
~その後、彼かどうなったのかは知る由も無い~
白粉「ふ~改心の出来です」ツヤツヤ
佐藤「勝手に僕を小説に出すな!」グイッ!
白粉「あうっ!」
おわり
138 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/01/02(月) 16:59:38.55 ID:uZrvyvEI0
オルトロスは難しいですね、
読んでくれてありがとうございました
読んでくれてありがとうございました
137 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/01/02(月) 16:56:55.07 ID:E7Q8RoxBO
乙
Entry ⇒ 2012.01.06 | Category ⇒ ベン・トーSS | Comments (0) | Trackbacks (0)
二階堂「ポプラの弁当498円」
元スレ:二階堂「ポプラの弁当498円」
http://hibari.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1321014632/
ああ…と、鏡は理解する。私達との戦いに二階堂さんは疲れたのだと。
私達との戦いに疲れ果て、スーパーに行く気力を無くし、コンビニに行くほうがマシだと感じてしまったのだと。
早い話が、私達は捨てられたのだと、それも一番大切な男性に。
理解した瞬間、姉とは違い、静かに、ただ静かに、力なくその場で泣き崩れた。
「…そ、その、二階堂さん…?」
アパート前まで一言も喋らなかった沢桔鏡が口を開く
「何だ?」
二階堂は少し不機嫌そうに答える。今日は疲れたのだ、早くメシを食べて布団に入って寝たい。
「そ、その…今日はすみません…そ、その…姉どころか…私まで勘違いして…」
申し訳なさそうに謝る沢桔鏡。その様子をみて二階堂は苦笑する。
「……気にするな……あ、そうだ、後な」
笑顔のまま二階堂は続ける。
「俺がお前達を追っているのも、俺が楽しいから追っているだけだ。
後、俺がお前達より弱いと思った事は一度もない、それだけは覚えておけ」
その言葉に沢桔姉妹は自然と笑顔になる。
じゃあな、と手を振って別れようとする二階堂に梗が声をかける。
「あ、あの!二階堂さん!」
その声に姉妹達に顔を向ける二階堂
http://hibari.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1321014632/
5 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/11/11(金) 21:47:10.16 ID:J2L4R3Kq0
ブーッ…ブーッ…
ピッ
『二階堂さん、今日はどちらのスーパーに向かわれるのですか?私たちはまっちゃんのお店に向かう予定ですわ!』
どうしたものか…
《オルトロス》からの夕餉の誘いのメールに目を通し、プリントアウトされたA4用紙を片手に二階堂連は苦笑する。
いつもなら『では待っていよう』と短いメールを送り、後はいつものスーパーで彼女らを待つのだが、今日は用事があるのだ。
と、いっても大した用事ではない。誰か人を待たせている訳でもない。
いつものように《オルトロス》の魅惑的な挑発に乗るのも悪くなかったのだが・・・
「やはり、初日に行かないとな…」
元・《ガブリエル・ラチェット》の頭目と言う過去の立場がその誘惑を許さなかった。
情報収集するのならば速度が命だ。初日に行かなくて何が上場収集か。
『悪いが今日はコンビニ弁当だ』
短いメールを送信する。姉はともかく、勘の良い妹ならばこれだけで何の事か理解できるだろう。
「・・・そろそろ寒くなってきたな」
ピッ
『二階堂さん、今日はどちらのスーパーに向かわれるのですか?私たちはまっちゃんのお店に向かう予定ですわ!』
どうしたものか…
《オルトロス》からの夕餉の誘いのメールに目を通し、プリントアウトされたA4用紙を片手に二階堂連は苦笑する。
いつもなら『では待っていよう』と短いメールを送り、後はいつものスーパーで彼女らを待つのだが、今日は用事があるのだ。
と、いっても大した用事ではない。誰か人を待たせている訳でもない。
いつものように《オルトロス》の魅惑的な挑発に乗るのも悪くなかったのだが・・・
「やはり、初日に行かないとな…」
元・《ガブリエル・ラチェット》の頭目と言う過去の立場がその誘惑を許さなかった。
情報収集するのならば速度が命だ。初日に行かなくて何が上場収集か。
『悪いが今日はコンビニ弁当だ』
短いメールを送信する。姉はともかく、勘の良い妹ならばこれだけで何の事か理解できるだろう。
「・・・そろそろ寒くなってきたな」
7 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/11/11(金) 21:48:53.75 ID:J2L4R3Kq0
携帯をカバンに入れ、手に息を吹きかけながら二階堂連は呟きバイクにまたがる。
今日は新しいコンビニが東区に出来る。
それだけなら二階堂がわざわざ初日に行くような事はないが、出来たコンビニが問題だった。
《魔導士(ウィザード)》金城が狼減少に警告鳴らし続けていた。《氷結の魔女》槍水が出店に怯ていた。そして《変態》佐藤が遠征に行き、そしてその魅力を語ったコンビニ…
そのコンビニの名は『ポプラ』
中国地方からやってきた『狼の牙を抜くもの』である。
今日は新しいコンビニが東区に出来る。
それだけなら二階堂がわざわざ初日に行くような事はないが、出来たコンビニが問題だった。
《魔導士(ウィザード)》金城が狼減少に警告鳴らし続けていた。《氷結の魔女》槍水が出店に怯ていた。そして《変態》佐藤が遠征に行き、そしてその魅力を語ったコンビニ…
そのコンビニの名は『ポプラ』
中国地方からやってきた『狼の牙を抜くもの』である。
8 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/11/11(金) 21:49:19.67 ID:J2L4R3Kq0
●
「嘘…でしょ…?二階堂さん…が?」
メールの返信を見た《オルトロス》の片頭、沢桔梗が携帯を落とす。
ゆるいカールがかかったその髪の下にある表情は、絶望の一色に染まっていた。
「どうしましたか姉さん。断られましたか?」
またか…そんな事を思いながら《オルトロス》のもう一つの頭、沢桔鏡が姉に声をかける。
「嘘…でしょ…?二階堂さん…が?」
メールの返信を見た《オルトロス》の片頭、沢桔梗が携帯を落とす。
ゆるいカールがかかったその髪の下にある表情は、絶望の一色に染まっていた。
「どうしましたか姉さん。断られましたか?」
またか…そんな事を思いながら《オルトロス》のもう一つの頭、沢桔鏡が姉に声をかける。
9 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/11/11(金) 21:50:17.87 ID:J2L4R3Kq0
「二階堂さんも大学生です、止む終えぬ用事で戦いに行けない事もあるでしょう。そんな事でこの世の終わりみたいな顔をしないでください。それならば佐藤さん達がいる西区に…」
そこまで言いかけて鏡は言葉を止めた、何時もの姉と錯乱とは表情が違うのだ。泣いて居るのだ…
「…違うんですの…ちが…ひっく…鏡…私達…二階堂さんに…」
「ね、姉さん、落ち着いてください!ど、どうしたのですか!?」
「私達…二階堂さんに…捨てられ…ひっく…」
姉の嗚咽に鏡はふと嫌な記憶がフラッシュバックした。3年前、沢桔姉妹に向けられた《ヘラクレスの棍棒》その一撃を食らった時のあの時の姉、そのものだったから。
そこまで言いかけて鏡は言葉を止めた、何時もの姉と錯乱とは表情が違うのだ。泣いて居るのだ…
「…違うんですの…ちが…ひっく…鏡…私達…二階堂さんに…」
「ね、姉さん、落ち着いてください!ど、どうしたのですか!?」
「私達…二階堂さんに…捨てられ…ひっく…」
姉の嗚咽に鏡はふと嫌な記憶がフラッシュバックした。3年前、沢桔姉妹に向けられた《ヘラクレスの棍棒》その一撃を食らった時のあの時の姉、そのものだったから。
10 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/11/11(金) 21:51:21.35 ID:J2L4R3Kq0
「どうしましょう…私達…二階堂さんに…甘えすぎて…」
鏡は信じたくなかった。姉ほど感情を前に出す事はないが、鏡もまた、二階堂の事を信じきっていた。
私達がどんなけ勝利の味を付加した半額弁当を食べたいとわがままを言っても、彼ならいつでも最高のスパイスをかけてくれる。
そんな男性だと信じていた。
だから、姉の涙が信じられなかった。
「姉さん!だからメールに何と書いてあったのです!私にも分かるように!!」
梗はメールの内容を口に出そうとする、が、激しい嗚咽により口に出そうとしても出せない状況にいる。
その代わりといわんばかりに先ほど落とした携帯電話を指差す。
その系帯電を鏡は震えながら手に取り、内容を確認する。
そのディスプレイには
短く
『悪いが今日はコンビニ弁当だ』
と書かれていた。
鏡は信じたくなかった。姉ほど感情を前に出す事はないが、鏡もまた、二階堂の事を信じきっていた。
私達がどんなけ勝利の味を付加した半額弁当を食べたいとわがままを言っても、彼ならいつでも最高のスパイスをかけてくれる。
そんな男性だと信じていた。
だから、姉の涙が信じられなかった。
「姉さん!だからメールに何と書いてあったのです!私にも分かるように!!」
梗はメールの内容を口に出そうとする、が、激しい嗚咽により口に出そうとしても出せない状況にいる。
その代わりといわんばかりに先ほど落とした携帯電話を指差す。
その系帯電を鏡は震えながら手に取り、内容を確認する。
そのディスプレイには
短く
『悪いが今日はコンビニ弁当だ』
と書かれていた。
11 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/11/11(金) 21:51:45.49 ID:J2L4R3Kq0
ああ…と、鏡は理解する。私達との戦いに二階堂さんは疲れたのだと。
私達との戦いに疲れ果て、スーパーに行く気力を無くし、コンビニに行くほうがマシだと感じてしまったのだと。
早い話が、私達は捨てられたのだと、それも一番大切な男性に。
理解した瞬間、姉とは違い、静かに、ただ静かに、力なくその場で泣き崩れた。
13 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/11/11(金) 21:53:03.18 ID:J2L4R3Kq0
○
沢桔姉妹にメールを送ってから訳1時間後
二階堂連は新規オープンしたポプラの近くのスターバックスで時間をつぶしていた。
現在午後5時32分、今からポプラで弁当を購入しても問題はなかった。
コンビニには半値印証時刻(ハーフプライスラベリングタイム)もなく、腹の虫の加護も必要としていないのだから。
ただ、自分の体が半値印証時刻を超えないと夕餉を受け付けなくなっていた。
「…性分だな」
そんな自分に自笑し、糖分も何も入っていないコーヒーに口をつける。
さて、せめて後2時間は時間をつぶさなくてはな、そんな事を思いつつレポートを広げようとすると
右ポケットに入れていた二階堂の携帯電話にメールが受信される。
沢桔姉妹にメールを送ってから訳1時間後
二階堂連は新規オープンしたポプラの近くのスターバックスで時間をつぶしていた。
現在午後5時32分、今からポプラで弁当を購入しても問題はなかった。
コンビニには半値印証時刻(ハーフプライスラベリングタイム)もなく、腹の虫の加護も必要としていないのだから。
ただ、自分の体が半値印証時刻を超えないと夕餉を受け付けなくなっていた。
「…性分だな」
そんな自分に自笑し、糖分も何も入っていないコーヒーに口をつける。
さて、せめて後2時間は時間をつぶさなくてはな、そんな事を思いつつレポートを広げようとすると
右ポケットに入れていた二階堂の携帯電話にメールが受信される。
14 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/11/11(金) 21:54:16.88 ID:J2L4R3Kq0
「…おや?《オルトロス?》」
《オルトロス》との宴は先ほど断って、メールも切れたはずだ。
そんな彼女達からまたメールとは…怪訝な顔をしながら二階堂はメールを見る。
そこには
『ご迷惑をおかけしてすみませんでした二階堂さん。もう、私達は貴方の前に姿を現しません。ありがとうございました』
1時間前のあの明るいメールとは全然違うその内容に二階堂は戦慄した。
何が起きているのかは分からない。ただ、あの《オルトロス》、いや沢桔姉妹に何かがあった。それだけは理解できた。
「…くそっ!まさかまた《ヘラクレスの棍棒》が!?」
カバンを手に取り急いでスタバから外にでて、沢桔姉妹に電話をかける。
《オルトロス》との宴は先ほど断って、メールも切れたはずだ。
そんな彼女達からまたメールとは…怪訝な顔をしながら二階堂はメールを見る。
そこには
『ご迷惑をおかけしてすみませんでした二階堂さん。もう、私達は貴方の前に姿を現しません。ありがとうございました』
1時間前のあの明るいメールとは全然違うその内容に二階堂は戦慄した。
何が起きているのかは分からない。ただ、あの《オルトロス》、いや沢桔姉妹に何かがあった。それだけは理解できた。
「…くそっ!まさかまた《ヘラクレスの棍棒》が!?」
カバンを手に取り急いでスタバから外にでて、沢桔姉妹に電話をかける。
15 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/11/11(金) 21:55:15.59 ID:J2L4R3Kq0
トルルル…トルルル…
「…くそっ!電話に出れないか!?」
10回目のコール音と共に携帯電話を切り変わりに『今日6時、丸富大学西駐車場にて待つ。そこで話を聞かせてくれ。
いつまでも待つ』とメールを送り、そのままバイクに乗り込んだ。
もう新オープンしたコンビニなど関係ない、二階堂は来るかも分からない沢桔姉妹との待ち合わせ場所へと向かった。
▲
サークル活動が終了した学生がまばらにやってくる駐車場の一角で、二階堂は来るかも分からぬ沢桔姉妹を待っていた
時刻は午後7時半、日は完全に落ち、秋の寒さが痛みに変わりながら彼の体を刺してくる。
しかしそんな事は関係ない。一人の狼として、そして一人の先輩として彼女を待ち続けなくてはいけないのだから。
「あ…に、二階堂…さん…?」
待ち合わせ時刻から1時間半、顔色を青くした沢桔姉妹が二階堂の前に現れる。
「…来たか…」
「…くそっ!電話に出れないか!?」
10回目のコール音と共に携帯電話を切り変わりに『今日6時、丸富大学西駐車場にて待つ。そこで話を聞かせてくれ。
いつまでも待つ』とメールを送り、そのままバイクに乗り込んだ。
もう新オープンしたコンビニなど関係ない、二階堂は来るかも分からない沢桔姉妹との待ち合わせ場所へと向かった。
▲
サークル活動が終了した学生がまばらにやってくる駐車場の一角で、二階堂は来るかも分からぬ沢桔姉妹を待っていた
時刻は午後7時半、日は完全に落ち、秋の寒さが痛みに変わりながら彼の体を刺してくる。
しかしそんな事は関係ない。一人の狼として、そして一人の先輩として彼女を待ち続けなくてはいけないのだから。
「あ…に、二階堂…さん…?」
待ち合わせ時刻から1時間半、顔色を青くした沢桔姉妹が二階堂の前に現れる。
「…来たか…」
16 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/11/11(金) 21:56:26.88 ID:J2L4R3Kq0
寒さや不安、きてくれた喜び、その他色々な感情があったが、表情を変える事無く二階堂が二人に声をかける。
「二階堂さん…今まで、今まで本当にありがとうございました…やっぱり、お別れの挨拶は、直接いいませんと…ね?」
涙の後が残る沢桔梗が笑顔で二階堂に伝える。本心だった。本当はメールで伝え、そのまま消えて無くなろうと思っていたが。
ただ、今までの感謝の気持ちは伝えないと、そう、思っていたから。
「私達姉妹、もう、二度と貴方と会う事はございません、ご安心ください、それでは…」
「まて!」
立ち去ろうとする沢桔梗の腕をつかむ。
「そんな上辺だけの別れの挨拶なぞ聞きたくない!本音を伝えろ!何故そう思う事があったのか!全部俺に伝えて…それからだ!」
「そ、そんな…」
「二階堂さん…今まで、今まで本当にありがとうございました…やっぱり、お別れの挨拶は、直接いいませんと…ね?」
涙の後が残る沢桔梗が笑顔で二階堂に伝える。本心だった。本当はメールで伝え、そのまま消えて無くなろうと思っていたが。
ただ、今までの感謝の気持ちは伝えないと、そう、思っていたから。
「私達姉妹、もう、二度と貴方と会う事はございません、ご安心ください、それでは…」
「まて!」
立ち去ろうとする沢桔梗の腕をつかむ。
「そんな上辺だけの別れの挨拶なぞ聞きたくない!本音を伝えろ!何故そう思う事があったのか!全部俺に伝えて…それからだ!」
「そ、そんな…」
17 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/11/11(金) 21:57:23.51 ID:J2L4R3Kq0
なんて酷い人なのだろうか。私達の前から去ろうとしてるのは貴方なのに、それなのに私達の本音が聞きたいだんてなんてドSな人なんだろうか。佐藤さんは逆の意味で変態だ
そこまで思ってふと《ヘラクレスの棍棒》の事を思い出した。
あの人は私達の思いを聞くことなくその棍棒を振り下ろした。二階堂さんは違う。私達と最後までぶつかって、最後の最後まで本気でぶつかって…
そして、最後まで抗わせて貰った後に、悔いを残さないようにしてから私達を殺すんだ…あの人とは違う、優しい人なんだ…
ならば、本音を言おう。みっともなくてもいい。泣いてもいい。本音を、言おう。
梗は後ろの妹を見る。涙の後を見せるその瞳は、自分の意思を受け取ったように力強く、そして、物悲しかった。
全部言おう。自分の後ろで腕を掴んでいる二階堂にすべてぶつけてやろう。沢桔梗はそう、決意する。
「…捨てないで…くださいまし…」
「…え?」
二階堂はその言葉を聞き返そうとするが、沢桔梗の強力な抱擁により言葉がさえぎられる。
そこまで思ってふと《ヘラクレスの棍棒》の事を思い出した。
あの人は私達の思いを聞くことなくその棍棒を振り下ろした。二階堂さんは違う。私達と最後までぶつかって、最後の最後まで本気でぶつかって…
そして、最後まで抗わせて貰った後に、悔いを残さないようにしてから私達を殺すんだ…あの人とは違う、優しい人なんだ…
ならば、本音を言おう。みっともなくてもいい。泣いてもいい。本音を、言おう。
梗は後ろの妹を見る。涙の後を見せるその瞳は、自分の意思を受け取ったように力強く、そして、物悲しかった。
全部言おう。自分の後ろで腕を掴んでいる二階堂にすべてぶつけてやろう。沢桔梗はそう、決意する。
「…捨てないで…くださいまし…」
「…え?」
二階堂はその言葉を聞き返そうとするが、沢桔梗の強力な抱擁により言葉がさえぎられる。
18 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/11/11(金) 21:58:23.64 ID:J2L4R3Kq0
「捨てないで下さいまし!私達姉妹は、貴方が思っている以上に貴方を必要としているのです!
もう、私達は…私達は貴方無しでは生きられないようになっていた…そ、それを…」
「お、おい!?」
「私達が至らぬところがあるのなら何でもなおします!貴方が言う事なら何でも聞きます!
貴方がいたから…私達は幸せだったのです…我侭だとは分かっております!もう疲れたというのは分かります!
ですが……ですが!それでも…ううっ!うわぁぁぁぁぁぁぁん」
こ、これはどういう事だ?沢桔姉の何時もの勘違いなのか?それならばそろそろ妹の方から鋭いツッコミが来てこの号泣している姉を治めてくれるはず。
そう思い二階堂は目線を妹に向ける……が
「二階堂…さん……二階堂…さん…!ひっく……」
妹のほうも泣いてるぅ───!?
何だ?俺が何をしたと言うのだ?二階堂は今日一日何があったか思い出す。
確か、久しぶりに大学に顔を出し…そして大学の購買でコンビニ、ポプラが今日東区に出店されるという話を聞いて…その情報の真偽を確かめ…PCで住所を調べて…
そしてポプラに行こうとしたら沢桔姉妹からメールが来て…そしてコンビニ行くからやめると…
そこで二階堂は気づく、この姉妹は勘違いしていると。沢桔姉妹と戦うのに疲れ、コンビニ弁当の方がマシなのだと言う風に彼女らは受け取ってしまったのだと。
「ま、まて!《オルトロス》!まずは俺の話を…!?」
もう、私達は…私達は貴方無しでは生きられないようになっていた…そ、それを…」
「お、おい!?」
「私達が至らぬところがあるのなら何でもなおします!貴方が言う事なら何でも聞きます!
貴方がいたから…私達は幸せだったのです…我侭だとは分かっております!もう疲れたというのは分かります!
ですが……ですが!それでも…ううっ!うわぁぁぁぁぁぁぁん」
こ、これはどういう事だ?沢桔姉の何時もの勘違いなのか?それならばそろそろ妹の方から鋭いツッコミが来てこの号泣している姉を治めてくれるはず。
そう思い二階堂は目線を妹に向ける……が
「二階堂…さん……二階堂…さん…!ひっく……」
妹のほうも泣いてるぅ───!?
何だ?俺が何をしたと言うのだ?二階堂は今日一日何があったか思い出す。
確か、久しぶりに大学に顔を出し…そして大学の購買でコンビニ、ポプラが今日東区に出店されるという話を聞いて…その情報の真偽を確かめ…PCで住所を調べて…
そしてポプラに行こうとしたら沢桔姉妹からメールが来て…そしてコンビニ行くからやめると…
そこで二階堂は気づく、この姉妹は勘違いしていると。沢桔姉妹と戦うのに疲れ、コンビニ弁当の方がマシなのだと言う風に彼女らは受け取ってしまったのだと。
「ま、まて!《オルトロス》!まずは俺の話を…!?」
19 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/11/11(金) 21:59:42.38 ID:J2L4R3Kq0
「ええっ、ええっ…!分かってます!分かっているんです!!!頭では理解しているんです…ひっく…うあぁぁぁぁん!!」
涙で顔を濡らしながら沢桔梗は無理に笑顔を作る。その姿に二階堂は不覚にも言葉に詰まってしまう。
「でも…貴方の口から聞く勇気が…それが出来るまで…泣かせて…下さい…」
再び、自分の胸で勘違いした思いの丈をぶつけながら涙する沢桔梗
「き…今日は…私も…泣かせて…下さい…!!ひっく…!二階堂さん…!二階堂さん…!!」
そこに妹の沢桔鏡も加わる。
──すげえ…女の子二人を泣かせてるぞ…──双方に捨てないでとか…──おい…あれ付属高の生徒会の沢桔姉妹じゃねえか
──マジかよ…美少女生徒会姉妹丼とかどこのエロゲーだよ…!?──おっちゃんに!早くおっちゃんに連絡しないと!単一電池を!?
──元《ガブリエル・ラチェット》の頭目も外道に落ちたか…松葉菊に報告したほうがよいのか・・・?
…と、割と洒落にならない言葉が二階堂の元に浴びせられる。と、言うか最後のは確実に《ガブリエル・ラチェット》の元メンバーだ。松葉菊に報告するのはやめて欲しい
二人が泣き止み、落ち着かせ勘違いを理解させるまでそれから約1時間を要することとなる。
涙で顔を濡らしながら沢桔梗は無理に笑顔を作る。その姿に二階堂は不覚にも言葉に詰まってしまう。
「でも…貴方の口から聞く勇気が…それが出来るまで…泣かせて…下さい…」
再び、自分の胸で勘違いした思いの丈をぶつけながら涙する沢桔梗
「き…今日は…私も…泣かせて…下さい…!!ひっく…!二階堂さん…!二階堂さん…!!」
そこに妹の沢桔鏡も加わる。
──すげえ…女の子二人を泣かせてるぞ…──双方に捨てないでとか…──おい…あれ付属高の生徒会の沢桔姉妹じゃねえか
──マジかよ…美少女生徒会姉妹丼とかどこのエロゲーだよ…!?──おっちゃんに!早くおっちゃんに連絡しないと!単一電池を!?
──元《ガブリエル・ラチェット》の頭目も外道に落ちたか…松葉菊に報告したほうがよいのか・・・?
…と、割と洒落にならない言葉が二階堂の元に浴びせられる。と、言うか最後のは確実に《ガブリエル・ラチェット》の元メンバーだ。松葉菊に報告するのはやめて欲しい
二人が泣き止み、落ち着かせ勘違いを理解させるまでそれから約1時間を要することとなる。
20 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/11/11(金) 22:03:42.05 ID:J2L4R3Kq0
◎
「ありあっしたー!!」
コンビニポプラから出てくる3人の影が見えた。
沢桔姉妹と二階堂だ。
あの後、三人でコンビにポプラへと向かうことにしたのだ。
本来、バイクで行く距離であるコンビニまで徒歩で三人で向かったため、時刻は午後10時を過ぎていた。
お弁当をどこかで食べようという話も出ていたが、お互い疲れたため、今日は解散と言う事になり、沢桔兄弟のアパート前まで歩くことになる。
「ありあっしたー!!」
コンビニポプラから出てくる3人の影が見えた。
沢桔姉妹と二階堂だ。
あの後、三人でコンビにポプラへと向かうことにしたのだ。
本来、バイクで行く距離であるコンビニまで徒歩で三人で向かったため、時刻は午後10時を過ぎていた。
お弁当をどこかで食べようという話も出ていたが、お互い疲れたため、今日は解散と言う事になり、沢桔兄弟のアパート前まで歩くことになる。
21 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/11/11(金) 22:04:07.50 ID:J2L4R3Kq0
「…そ、その、二階堂さん…?」
アパート前まで一言も喋らなかった沢桔鏡が口を開く
「何だ?」
二階堂は少し不機嫌そうに答える。今日は疲れたのだ、早くメシを食べて布団に入って寝たい。
「そ、その…今日はすみません…そ、その…姉どころか…私まで勘違いして…」
申し訳なさそうに謝る沢桔鏡。その様子をみて二階堂は苦笑する。
「……気にするな……あ、そうだ、後な」
笑顔のまま二階堂は続ける。
「俺がお前達を追っているのも、俺が楽しいから追っているだけだ。
後、俺がお前達より弱いと思った事は一度もない、それだけは覚えておけ」
その言葉に沢桔姉妹は自然と笑顔になる。
じゃあな、と手を振って別れようとする二階堂に梗が声をかける。
「あ、あの!二階堂さん!」
その声に姉妹達に顔を向ける二階堂
22 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/11/11(金) 22:04:34.25 ID:J2L4R3Kq0
「あ、あの!このお弁当、お米が多すぎですので!おにぎりにしようと思いますの!あ、明日の朝!お、おすそ分けしますわ!」
梗は勇気を持って思いを伝える。それに対して二階堂はニヒルに笑い、後ろを向いて再び手を振る。
明日は少し早めに大学に行かないとな…そんな事を思って居ると、少しだけ岐路が軽くなった気がした。
次の日、二階堂の尻の中に単一電池が入るか否かの激戦が丸富大学付属校前で行われたのは、また別のお話。
梗は勇気を持って思いを伝える。それに対して二階堂はニヒルに笑い、後ろを向いて再び手を振る。
明日は少し早めに大学に行かないとな…そんな事を思って居ると、少しだけ岐路が軽くなった気がした。
次の日、二階堂の尻の中に単一電池が入るか否かの激戦が丸富大学付属校前で行われたのは、また別のお話。
24 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/11/11(金) 22:05:16.85 ID:J2L4R3Kq0
終わり
書き貯めしたのはいいけど、PC水遁された…
書き貯めしたのはいいけど、PC水遁された…
36 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/11/11(金) 22:48:00.35 ID:m0wuV5LT0
よいSSだったよ
Entry ⇒ 2011.12.31 | Category ⇒ ベン・トーSS | Comments (0) | Trackbacks (0)