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ルルーシュ「俺の一生を形として残したい」スザク「ギャルゲーか」
スザク「ルルーシュ、何かやり残したことはあるか?」
ルルーシュ「実は……俺の一生を形として残したいと考えていた」
スザク「形?教科書に載るだけじゃ不満なのか?」
ルルーシュ「皇帝ルルーシュの人格がどのような肯定を経て、築かれたのか……それを知ってもらいたい」
スザク「なんのために?」
ルルーシュ「ルルーシュ・ランペルージという人間がいたことを……残して置きたいんだよ」
スザク「ルルーシュ……」
ルルーシュ「ダメか?」
スザク「いや。それぐらいは協力するよ」
ルルーシュ「そうか。では、媒体はどうする?書籍にするか、映画にするしかないだろうが」
スザク「ギャルゲーだ、ルルーシュ。ギャルゲーにしよう」
スザク「ああ」
ルルーシュ「どういう意味だ?」
スザク「僕は君を許さない」
ルルーシュ「……」
スザク「ルルーシュ・ランペールジという存在を認めたくはないんだ」
ルルーシュ「何がいいたい?」
スザク「書籍にしても映画にしても、君が人間だった時期を多くの人が認知してしまう」
スザク「僕はそれが我慢ならない」
ルルーシュ「なら……」
スザク「でも、君の最後の願いを友人として叶えてあげたい。そう思っている」
ルルーシュ「その答えがギャルゲーなのか?」
スザク「ギャルゲーならいくつものルートを辿り、いくつかのエンディングを用意できる。その中に一つだけ、君の歴史を紛れ込ませる」
ルルーシュ「なるほど。他の可能性を盛り込むことで、ルルーシュの存在を一般人には分からなくさせるのか」
スザク「そう言うことだ」
スザク「まずはスタッフ集めからだな」
ルルーシュ「スタッフ?俺とお前だけで―――」
スザク「何を言ってる」
ルルーシュ「どういうことだ?」
スザク「シナリオライター、サウンド担当、原画担当、声優、色々必要だ」
ルルーシュ「そこまで本格的なのをつくるのか……?」
スザク「手を抜くつもりは一切ない」
ルルーシュ(スザクの目……本気だな……)
ルルーシュ「分かった。スタッフは手分けして探そう」
スザク「ああ」
ルルーシュ「では、ここにギャルゲー『ルルーシュの一生(仮)』プロジェクトを立ち上げる」
スザク「イエス、ユア・マジェスティ」
C.C.「ピザはまだか?」トコトコ
ルルーシュ「……」
C.C.「届いているじゃないか。全く」トコトコ
ルルーシュ「C.C.」
C.C.「なんだ?やらんぞ?」
ルルーシュ「お前、シナリオは書けるか?」
C.C.「そういうのはお前のほうが得意だろ?」
ルルーシュ「俺自身で書くと、恐らく客観的になりすぎて感情移入ができない。できれば、俺を良く知る者に書いてもらいたい」
C.C.「ふーん」
ルルーシュ「頼んでもいいか?」
C.C.「まぁ、お前を良く知るのは世界で私だけだろうな。いいだろう、引き受けよう」
ルルーシュ「よし」
C.C.カレン会長ナナリー咲世子天子カグヤアーニャユフィディートハルト
スザクとミレイさんが足りない
オレンジがいない
シャーリー……
ルルーシュ「ギャルゲーだ?」
C.C.「なんだそれは?」
ルルーシュ「知らないのか?」
C.C.「知らない」
ルルーシュ「……実はいうと俺もよく知らない」
C.C.「なんだ、早速暗礁に乗り上げたな」
ルルーシュ「ジェレミア!!」
ジェレミア「ここに」
ルルーシュ「この金でギャルゲーを買ってきてほしい。できれば、評判の高いもので頼む」
ジェレミア「畏まりました」
ルルーシュ「まずは資料に目を通すか」
C.C.「そうだな」
ルルーシュ「でかした」
C.C.「じゃあ、モニターに繋げるぞ」カチャカチャ
ルルーシュ「で、これはどういうゲームだ?」
ジェレミア「は。主人公が複数人の女性を口説き落とすゲームです」
ルルーシュ「ギャルゲーとはそういうものなのか」
ジェレミア「はい」
ルルーシュ「なるほど……。つまり、登場人物は女性が殆どというわけか」
C.C.「準備ができたぞ」
ルルーシュ「よし。では、始めよう」
C.C.「ああ」
ジェレミア「……」
モニター『~CLANNAD~』
ルルーシュ「……」
C.C.「……」
ロイド「どうしたの?」
セシル「スザクくん」
スザク「あの、頼みたいことがあるのですが」
ロイド「なに?皇帝陛下絡み?」
スザク「はい」
セシル「また、何かするの?」
スザク「ギャルゲーを作ろうと思っています」
ロイド「ギャルゲー?」
セシル「また、よくわからないことをするのね」
スザク「それでお二人にはプログラマーとして協力してほしいのですが」
ロイド「僕にできることなら協力しよう」
セシル「私も」
スザク「ありがとうございます」
スザク(あとは……)
スザク「……藤堂さん」
藤堂「スザクくんか……」
スザク「実は……協力してほしいことがあります」
藤堂「私に拒否権などなかろう」
スザク「いえ。拒否していただいても構いません」
藤堂「……」
スザク「ギャルゲーを作ろうと思っています」
藤堂「ギャルゲー?」
スザク「はい」
藤堂「ふっ……」
スザク「藤堂さん……?」
藤堂「キャラは何人だ?シナリオは?ジャンルは?抜きゲーならお断りだ」
スザク「藤堂さん……ありがとうございます!!」
藤堂「礼など不要。私は死刑囚だからな」
→ナナリー「お兄様、プリキュアですよプリキュア」ルルーシュ「ああ」
モニター『~END~』
ルルーシュ「……」
C.C.「……」
ジェレミア「なんという家族愛……このジェレミア……涙で前が見えません……」
ルルーシュ「なるほど……これがギャルゲーか……」
C.C.「……」グスッ
ルルーシュ「よし。感覚は掴めた。では、第一回製作会議を行う」
ジェレミア「はっ」
C.C.「やろう。ルルーシュ。超大作を作るぞ」グスッ
ルルーシュ「当然だ。俺がプロデュースするからには、未来永劫誰も超えることができないギャルゲーを作る!!」
ジェレミア「オール・ハイル・ルルーシュ!!!」
ルルーシュ「ふははははは!!!スザクを呼べ!!!主要スタッフもだ!!!」
ジェレミア「イエス、ユア・マジェスティ!!!」
C.C.「面白くなってきたな」グスッ
ルルーシュ「集まっているな」
スザク「……」
C.C.「……」
セシル「……」
藤堂「……」
ルルーシュ「まずは、藤堂」
藤堂「なんだ?」
ルルーシュ「何から決めるべきだ?」
藤堂「ギャルゲーはキャラだ」
ルルーシュ「ほう?」
藤堂「作品のテーマ、世界観にあわせて、魅力的なキャラを作る。キャラなくしては始まらない」
ルルーシュ「なるほど。ホワイトボードに書いてくれ」
神楽耶「はい」カキカキ
ルルーシュ「テーマと世界観……まあ、そこの骨子は既に出来上がっている」
ルルーシュ「架空の学生『ルルーシュ・ランペルージ』が織り成す学園物語だ」
藤堂「……」
ルルーシュ「どうだ?」
藤堂「ふっ……」
ルルーシュ「何が可笑しい?」
藤堂「つまらん」
ルルーシュ「なんだと?」
藤堂「ただの張りぼて。中身のない作品でプレイヤーは満足しない」
ルルーシュ「貴様……!!」
藤堂「根底にあるのがそんな安っぽいものでは、魅力的なキャラは作れないぞ?」
ルルーシュ「ならばどうすればいい?!」
藤堂「もっとファンタジー要素を詰め込むべきだ」
ルルーシュ「ファンタジーだと?」
藤堂「そうだ。そうすることで学園という閉鎖的な空間で起こる物語にも厚みが出る」
C.C.「確かに私とルルーシュがプレイしたゲームもファンタジー要素はあったな」
セシル「はぁ……」
神楽耶「ファンタジー……」カキカキ
ルルーシュ「しかし、偏にファンタジーと言っても……」
藤堂「ギアス」
ルルーシュ「?!」
藤堂「お前にはギアスという能力がある。それを活かすべきだと思うが?」
ルルーシュ「ギアスを……ゲームの中に登場させるのか……?!」
C.C.「しかし!!」
藤堂「この物語はフィクションです。この一言でプレイヤーは納得する」
スザク「藤堂さん……!!」
ルルーシュ「流石は奇跡の藤堂……まだ健在だったか……!!」
藤堂「ふふふ……」
C.C.「よし。ギアスを物語に入れよう」
スザク「でも、肝心のエンディングはどうするんだ?」
藤堂「簡単に言えば、特定のキャラと結ばれて終われば一番いい……だが……」
ルルーシュ「なんだ?」
藤堂「壮絶なバッドエンドを望むプレイヤーがいることも確かだ」
C.C.「本当だろうな?」
藤堂「幸せの裏で起こる不幸。それのギャップもギャルゲーの醍醐味だ」
ルルーシュ「なるほどな。確かに、全てがハッピーエンドでは成り立たないか」
スザク「バッドエンドは主人公が死ぬってことにしたらいいんじゃないかな?」
ルルーシュ「俺の一生に繋げるのか?」
スザク「そうだ」
ルルーシュ「……ありだな」
神楽耶「バッドエンドをつくる……っと」カキカキ
藤堂「ストーリーの大まかな流れはどうなっている?」
C.C.「それは私が発表しよう」
藤堂「待て」
C.C.「なんだ?」
藤堂「学校はマズい。学園にしておけ」
ルルーシュ「だが、アッシュフォード学園は既に存在してる」
藤堂「実在の団体云々といっておけばいい。それよりも学校と呼称すると、色んな制約に束縛されることになる」
ルルーシュ「どういうことだ?」
藤堂「生徒を攻略対象にできない。つまり、同級生をヒロインにできない」
スザク「本当ですか?!」
藤堂「ああ。大人の都合だ」
ルルーシュ「ちっ……そんなルールがあったのか」
C.C.「では、書き換えておくよ。ストーリーはこうだ。三年生の春に主人公ルルーシュは新たな出会いをする」
C.C.「そこで幼馴染、同級生、先輩、後輩、教師……様々な恋をし、そして少年は成長する」
C.C.「どうだ?」
藤堂「悪くない。10万本は売れる」
ルルーシュ「では、本題に移ろう。キャラクターだ」
C.C.「まあ、根幹ではルルーシュの一生なのだから、実在する人物をモデルにすることは確定だな」
藤堂「なるほど」
ルルーシュ「俺が考えた登場人物は……こうだ」バッ
メインヒロイン ナナリー
幼馴染 シャーリー
同級生A ニーナ
同級生B 咲世子
先輩 ミレイ
後輩 アーニャ
友人 スザク
教師 ヴィレッタ
ルルーシュ「どうだ。この完璧な布陣。10万本プラス5万本はいけるだろう?」
C.C.「……」
神楽耶「……」
スザク「いいと思う」
藤堂「……なっていない……まるでだめだ!!これでは500本も売れん!!!」バンッ!!!
ルルーシュ「なんだと?!」
C.C.「お前の傍にいた私がいないとは、どういうことだ?」
藤堂「ロリキャラがいない。やり直して貰おう」
ルルーシュ「だが……」
スザク「ルルーシュ。僕は基本的に賛成だけど、これでは君の一生は描けないよ。登場人物が少なすぎる」
ルルーシュ「少ないだと?これでか?!」
スザク「そもそもカレンを入れてあげないと可哀相だよ」
ルルーシュ「いや。カレンか咲世子かで悩んだ。だが、咲世子のほうが関わりが深いから選出したんだがな」
藤堂「お嬢様や毎日屋上や図書室にいるような不思議キャラもいない」
ルルーシュ「そんなキャラまで必要なのか?!」
藤堂「当然だ」
ルルーシュ「では、練り直そう……」
スザク「ルルーシュ、僕は攻略対象なのか?」
ルルーシュ「どっちがいい?」
スザク「……ルルーシュの好きなほうで……」モジモジ
ルルーシュ「よし……見てくれ」
メインヒロイン ナナリー
弟 ロロ
幼馴染 シャーリー
同級生A ニーナ
同級生B カレン
先輩 ミレイ
後輩 アーニャ
友人 スザク
友人の恋人 ユフィ
保険医 コーネリア
お嬢様 神楽耶
メイド 咲世子
不思議ちゃん 天子
教師 ヴィレッタ
ルルーシュ「どうだ?」
スザク「僕の恋人にユフィ……!?」
藤堂「……千葉……がいない……」
C.C.「そこまでするならV.V.もいれてやれよ。あとマリアンヌも」
ルルーシュ「バカをいうな!!お前!!これだけのキャラの個別ルートを書けるというのか?!」
C.C.「ああ……そうだな。これ以上増えると……大変かもしれないな」
ルルーシュ「ああ。セシルは攻略できないキャラで出しておくから」
セシル「それはどうも」
C.C.「で、私は?」
ルルーシュ「お前にはこのポジションをくれてやる」
真ヒロイン C.C.
C.C.「……ほう」
ルルーシュ「満足か?」
C.C.「……うん」
藤堂「よし。まあ、これでいいだろう」
ルルーシュ「では、シナリオ製作に入るぞ」
C.C.「了解した」
スザク「藤堂さん、原画とサウンドは……」
藤堂「任せておけ」
ルルーシュ「C.C.。別室でプロットを作るぞ」
ルルーシュはほんと鬼畜やでぇ・・・
C.C.「ルルーシュ、その前に決めておくことがある」
ルルーシュ「なんだ?」
C.C.「各キャラの特徴だよ」
ルルーシュ「どういうことだ?」
C.C.「よくあるだろ?清楚とか、ツンデレとか」
ルルーシュ「なんだそれは?」
C.C.「お前……それぐらい私でも知っているぞ」
ルルーシュ「分かった。藤堂と連絡をとる」
藤堂『―――どうした?』
ルルーシュ「キャラの特徴はどうしたらいい?」
藤堂『実在する人物をモデルにしているなら、それを参考にしたほうがリアリティがある』
ルルーシュ「なるほどな」
C.C.「なら……」カキカキ
ルルーシュ「……」
メインヒロイン ナナリー(ブラコン)
弟 ロロ(ブラコン)
幼馴染 シャーリー(一途)
同級生A ニーナ(ヤンデレ)
同級生B カレン(ツンデレ)
先輩 ミレイ(攻められると黙るタイプ)
後輩 アーニャ(無口・無表情・クール)
友人 スザク(素直・天然)
友人の恋人 ユフィ(寝取り対象)
保険医 コーネリア(とにかくエロい)
お嬢様 神楽耶(ちょろい)
メイド 咲世子(お嬢様とセット)
不思議ちゃん 天子(珍獣)
教師 ヴィレッタ(二人っきりになるとお淑やかになる)
真ヒロイン C.C.(絵に描いたようなヒロイン)
C.C.「……」
ルルーシュ「……この設定、活かせるのだろうな?」
C.C.「勿論だ。私を誰だと思っている?」
ルルーシュ「そうだったな」
C.C.「やってやるさ。私はC.C.だからな」
ルルーシュ(ユフィのルートが気になるな……どうなるんだ……?)
藤堂「立ち絵と背景はこんな感じだ」
ルルーシュ「悪くない。個々の特徴を上手く捉えている」
スザク「ルルーシュ、声優の件だけど」
ルルーシュ「どうした?」
スザク「オーディションしたほうがいい?それともオファーで済ませるかい?」
ルルーシュ「オーディションだな。スザク、頼む」
スザク「わかった」
C.C.「ルルーシュ、共通ルートだけで推定のプレイ時間が60時間ぐらいになりそうだけど、いいか?」
ルルーシュ「バカ者!!多すぎる!!減らせ!!!」
C.C.「分かった!!」
藤堂「ところでイベント絵の比率はどうする?」
ルルーシュ「そうだな……一番多いのはナナリーだ。イベント絵は累計120枚ぐらいで頼む」
藤堂「少ない者は?」
ルルーシュ「ニーナでいい。やつのイベントはC.C.のプロットを見る限り、2枚でよさそうだ」
C.C.「このイベントでフラグが立つからな」
セシル「分かりました」
ロイド「あの~、このキャラを攻略しないと、このキャラは攻略できないってこと?」
C.C.「そうだ。まずはスザクを攻略する。その後でユフィだ」
ロイド「あは~りょ~か~い」
セシル「あまり、気乗りはしませんけど」
ロイド「でも、これすごいね。各キャラにノーマル、バッド、ハッピーの三種類のエンディングが用意されてるんだから」
C.C.「私が頑張ったんだ」
ロイド「でも、セシルくんがいないのは寂しいよね」
セシル「一応、アドバイスキャラで出演はしてますよ」
ロイド「やっぱり、攻略されたいって思ってるでしょ?」
セシル「そ、そんなことありません!!」
C.C.「いいから、早くつくれ」
ロイド「はいはい」
ジェレミア「既に75%まで進んでおります」
ルルーシュ「そうか」
ジェレミア「しかし、問題が」
ルルーシュ「なんだ?」
ジェレミア「ここに来て、もっと待遇をよくしろと注文をつける輩が現れました」
ルルーシュ「誰だ?」
ジェレミア「紅月カレンです」
ルルーシュ「具体的になんと言っている?」
ジェレミア「なんでも……イベント絵が10枚しかないことに不満らしいのです」
ルルーシュ「まあ、好きに言わせておけ。カレンは割りと優遇しているほうだ。ロロなんて削りに削って、遂には個別ルートが消失し、ナナリールートと統合してしまったからな」
ジェレミア「分かりました。そのことを伝えておきましょう」
ルルーシュ「頼むぞ」
ルルーシュ「ふふふ……順調だな……テストプレイが楽しみだ……ふはははは……!!!」
それはバットエンドじゃ・・・
アーニャがいるだろ、たぶん
スザク「ルルーシュ!!!」
ルルーシュ「どうした?」
スザク「完成した……君のゲームが」
ルルーシュ「出来たのか……!!!」
スザク「テストプレイを是非、ルルーシュにやってもらいたい」
ルルーシュ「任せろ」
スザク「今、準備する」
ルルーシュ(くくく……さあ……誰から攻略してやろうか……)
ルルーシュ(やはり、ナナリーか……ナナリーしかないな……ハーッハッハッハッハッハッハ!!!)
スザク「―――できたよ」
ルルーシュ「よし」
C.C.「……」ドキドキ
ルルーシュ「ギャルゲー……ルルーシュの一生(仮)……テストプレイを行う!!!」
モニター『~コードギアス ルルーシュの一生~』
『ふと視界の隅にこちらを見つめる少女がいた』
C.C.「お前……私が見えているのか?」
ルルーシュ「は?」
『頭のおかしな奴だ。春先だからこういう奴もいるだろう。俺は無視して去ろうとした』
C.C.「待て」
『鋭い声に俺の足が止まる』
ルルーシュ「なんだ?」
C.C.「私が見えているなら話は早いな。お前にギアスを授けよう」
ルルーシュ「ギアスだと?なんだそれは?」
C.C.「受け取れ……そして、私に見せてくれ。お前の可能性をな」
走り去る
呆然と少女の目を見つめる
『俺の本能がヤバいと告げる。俺は全速力でその場を走り去った』
C.C.「待て!!」
ルルーシュ「違う!!俺は下を選ぼうとした!!」
C.C.「いいから、続きだ」
ルルーシュ「……」
『―――無事に学校に辿り着く。あの女はなんだったのか』
シャーリー「おはよ、ルル!」
『幼馴染のシャーリーだ。こいつとはクラスが違った例がない』
ルルーシュ「おはよう、シャーリー」
カレン「今日は珍しく遅刻じゃないのね」
ニーナ「おはよう」
『カレンとニーナ。どちらもただのクラスメイトだ。仲良くなったのは去年ぐらいだったか』
ヴィレッタ「よーし、席につけー」
『担任のヴィレッタが入ってくる。自然とみんなの視線は前に注がれる』
ヴェレッタ「今日は転校生を紹介する」
ルルーシュ(転校生か……誰だろう……)
C.C.「……」
ルルーシュ「な……?!」
ヴィレッタ「どうした、ルルーシュ?知っている顔なのか?」
ルルーシュ「お前は……!?」
シャーリー「え?誰?」
カレン「……」
ニーナ「ルルーシュの友達……?」
C.C.「ルルーシュとは将来を誓った仲だ」
『教室内がどよめく』
カレン「なんですって……?」
シャーリー「うそ……」
ニーナ「……」ギリッ
ルルーシュ「みんな!!待ってくれ、これは冗談だ!!」
C.C.「私は冗談が嫌いだ」
スザク「転校生はナナリーって聞いてたけど?」
C.C.「いいからやれ。選択肢で未来が変わる。よくある話だろ?」
ルルーシュ『いや、何を言っているんだ?!』
C.C.『お前、今朝のこと忘れたとはいわせないぞ?』
ルルーシュ『今朝だと……!?』
シャーリー『ルル!!あの子となにしたの?!』
カレン『不潔ね』
ニーナ『……』ギリギリ
ルルーシュ『貴様!!言いがかりはよせ!!』
C.C.『知るか。先生?』
ヴィレッタ『なんだ?』
C.C.『私はルルーシュの隣に座る。いいな?』
ヴィレッタ『え……あ、ああ……』
C.C.『よし』
C.C.『……』
ルルーシュ『お前は何者だ?』
C.C.『私が見えたのだろう?』
ルルーシュ『俺だけではなく、全員が見えているようだが?』
C.C.『今は見えるようになっているだけだ』
ルルーシュ『どういうことだ?』
C.C.『それは……』
シャーリー『ちょっと、ルル!!』
ルルーシュ『な、なんだ?!』
カレン『転校生とはどういう関係なの?風紀が乱れると思うけど?』
ニーナ『……』
ルルーシュ『まて、お前たち。これは違う……』
C.C.『女の嫉妬は醜いな。しっしっ』
シャーリー『な……!!』
スザク「あまり攻略したくないね。とりあえず、僕が出てくるところまでメッセージスキップをしよう」
ルルーシュ「そうだな」
C.C.「なんだと?!ギアスの説明とかもすぐにあるんだぞ?!大事な伏線をスキップするのか?!」
『午後の授業も終わり、放課後となった』
ルルーシュ『お前、いつまでついてくる気だ』
C.C.『それはな……』
スザク『ルルーシュ!!』
ルルーシュ『スザクか』
ユフィ『ルルーシュ、今から帰りですか?―――あれ、そちらの人は?』
ルルーシュ『ああ。転校せ―――』
C.C.『ルルーシュのフィアンセだ』
スザク『フィアンセ?!』
ユフィ『まぁ』
ルルーシュ『違う!!これはこいつが勝手に言っているだけだ!!』
ルルーシュ『よせ、スザク。昔のことだ』
スザク『……』
ユフィ『スザク……あの……』
C.C.『それで何か用かな?』
スザク『あ、ああ……今から一緒に帰ろうと思ってたんだけど』
ユフィ『ご一緒にどうですか?』
ルルーシュ『そうだな……』
C.C.『ルルーシュ。私はお前と二人で帰りたい』
ルルーシュ『なに?』
C.C.『……』
スザクたちと一緒に帰る
C.C.の我侭を聞く
『俺はC.C.の我侭を聞いてやることにした』
ルルーシュ「なんだと?!選択肢は出るのに選べないぞ!!」
スザク「ルルーシュ!これじゃあ個別ルートに入ってしまう!!どうしたんだ?!』
C.C.「そんなことするわけないだろ。どれだけの量の文章を作ったと思っている?」
スザク「でも、選択肢が固定されているように思えるけど」
C.C.「気のせいだ。ルルーシュがボタンを連打して、選んでしまっただけだろう?」
ルルーシュ「……」
スザク「……」
C.C.「なんだ、その目は?」
ルルーシュ「では、しばらくメッセージスキップで放置だな」
C.C.「!?」
スザク「ああ」
C.C.「ちょっと待て!!ライターの努力を踏み躙る気か?!」
ルルーシュ「そもそもメインヒロインはどこに消えた?」
C.C.「……」
スザク「アーニャも出てきていないしね」
C.C.「それは……あの……」
C.C.の元に行く
全てを懺悔し、学園を去る
『俺はC.C.の待つ、いつもの場所へ行くことを決意した』
ルルーシュ「何があったんだろうな」
スザク「きっと壮大な何かだよ。ルルーシュ、煎餅食べる?」
ルルーシュ「日本の菓子か。もらおう」ボリボリ
C.C.「……」
ルルーシュ『C.C.』
C.C.『……お前……どうして……』
『うっすらと涙が揺れているのが分かった。俺はそのことには触れず、C.C.に近づいた』
ルルーシュ『C.C.……俺は決めた……』
C.C.『……なにを?』
ルルーシュ『―――お前を愛すとな』
C.C.『ルル……シュ……おまえ……』
ルルーシュ「スザク、何か飲み物を」
ルルーシュ『構わない』
C.C.『お前の運命を狂わせた……』
ルルーシュ『罪の意識があるなら、俺の傍にいろ。C.C.』
C.C.『ルルーシュ……ふふ……』
ルルーシュ『お前が魔女なら……俺が魔王になる……』
C.C.『なんだそれは?』
ルルーシュ『プロポーズのつもりだが?』
C.C.『バカ……でも……』
『俺はC.C.を強く抱きしめた。小さな体が今にも崩れ落ちそうだった―――』
ルルーシュ「……」
スザク「……」ボリボリ
『自分を~せか~いさえも~かえ~てしま~えそな~♪』
ルルーシュ「エンディングか」
スザク「感動した」
C.C.「なんだ?」
ルルーシュ「ナナリーの存在が完全に消えているのはどういうわけだ?」
スザク「スキップを見る限り、コーネリア様も出てきてないみたいだしね」
ルルーシュ「途中、シャーリーとニーナが死んでいるようなイベント絵もあったな」
スザク「うん」
C.C.「あれは……その……主人公のギアスが暴走して……だな……」
ルルーシュ「そんなことはどうでもいい。とりあえず、これはどういうことだ?」
スザク「説明してくれ」
C.C.「いや……ルルーシュも悪いからな」
ルルーシュ「なんだと?」
C.C.「真ヒロインというから……もっと出番があると思ったのに……実際、シナリオを書いたら、1/10以下にされるし……」
ルルーシュ「当然だ。真ヒロインは全てのキャラを攻略してから初めて……。お前……まさか……!!」
スザク「ルルーシュ!最初の選択肢はきっと、全キャラ攻略後に出る選択肢だったんだ!!」
C.C.「……」
C.C.「……」
スザク「でも強制選択っておかしいと思う。いくら隠しルートに入ったからって、少し乱暴だよ」
ルルーシュ「どうなんだ?」
C.C.「いや……だって、他の選択肢を選ぶと強制的にルートを外れる仕様なんだぞ?」
ルルーシュ「それだけ、お前の攻略は難しいということだ」
C.C.「私のエンディングを見れないまま、諦めるプレイヤーが現れたらどうする?」
ルルーシュ「C.C.ルートを見るために全キャラを攻略しないとならない。その時点で、プレイ時間は推定30時間強」
ルルーシュ「C.C.ルートで投げ出すような奴が、そこまで辿り着けるわけがない」
C.C.「なら、私のルートを見るプレイヤーは限られるということになる」
ルルーシュ「しかし!!貴様のルートはこのゲームの根幹だ!!きちんと全てのルートを通ってからではないと、感動が薄まる!!」
C.C.「どのルートを選んでも、楽しめるように作った!!問題ない!!」
ルルーシュ「ふざけるな!!俺の考えたプロットにケチをつけるのか?!」
C.C.「シナリオを書いたのは私だ!!」
スザク「二人とも!!落ち着くんだ!!―――ここは……藤堂さんに見てもらうしかないと思う」
ルルーシュ「奇跡の藤堂にはどう映った?」
藤堂「悪くない。むしろこのルートを最初にクリアしても、物語の全貌は明らかにされていないのは評価できる」
ルルーシュ「なに?」
C.C.「だろ?」
藤堂「ああ。上手く練られている。確かにC.C.ルートはネタバレ的な要素も含むが、全てのルートを辿らないと分からない箇所もある」
藤堂「つまり、C.C.ルートにも他ルートへの伏線が張られている」
スザク「じゃあ……」
藤堂「うむ」
C.C.「ほら、見ろ?だから、言った―――」
藤堂「―――喝ッ!!!」バキィ!!!
C.C.「……」
藤堂「メインヒロインを自身の願望のためにシナリオ上から完全に消滅させたのは許せんし、選択肢強制決定など言語道断だ」
ルルーシュ「ディスクが……」
C.C.「……っ」ウルウル
藤堂「きちんと作り直すべきだ」
ルルーシュ「そうだな。それがいいだろう。それにこれでは俺の人生が辿れない」
スザク「ルルーシュ・ランペルージルートは相当シビアなフラグだけどね」
ルルーシュ「それでいい。俺を知っている者だけが辿り着けるルートだ」
スザク「そうか」
藤堂「どうやら、C.C.に任せてはおけないようだな」
ルルーシュ「では……」
藤堂「助っ人を頼むか」
スザク「助っ人ですか」
ルルーシュ「よし。カレンと神楽耶様を呼べ」
スザク「二人にC.C.の監視をさせるのかい?」
ルルーシュ「ああ」
スザク「わかった」
C.C.「こんなことになるなんて……」ウルウル
カレン「できました」
ルルーシュ「来たか。ん?C.C.はどうした?」
神楽耶「出来に不満があるらしく、部屋で寝ると」
ルルーシュ「そうか」
スザク「よし。じゃあ、準備をしよう」
カレン「ねえ、ルルーシュ」
ルルーシュ「なんだ?」
カレン「……ううん。なんでもない」
ルルーシュ「そうか」
スザク「ルルーシュ、準備が整った」
ルルーシュ「よし。では、二度目のテストプレイだ」
神楽耶「……」
カレン「はぁ……」
『~こーどぎあす ラブラブのルルーシュ~』
『俺は彼女の目をじっと見つめていた。瞳に吸い込まれるような感覚に陥るほどに』
ルルーシュ「選択肢が出なくなっているな」
スザク「直ったんだね」
ルルーシュ『―――はっ?!俺は……何を……』
『辺りを見渡しても何もない。誰もいない』
1 このまま学園に向かう
2 辺りを散策する
ルルーシュ「……1だ」ピッ
『俺は違和感を覚えながらも、学園に向かうことにした』
『でも、なんとなく寄り道したい気分になったので、散策することにした』
ルルーシュ「……」
スザク「お煎餅、いる?」
カレン「うん」
神楽耶「いただきますわ」
ルルーシュ「まあ、いい。主人公がプレイヤーの意思に反した行動をとることはよくある」
神楽耶『何をされているのですか?』
『涼やかな声がした。目を向けるとそこには、年下の少女が不思議そうな顔で俺を見つめていた』
ルルーシュ『ちょっと空を見ていただけですよ』
神楽耶『そうですか』
『そういうと彼女は黙った。会話がなくても落ち着く。嫌な気分じゃなかった』
ルルーシュ『君は?』
神楽耶『私ですか?気になります?』
ルルーシュ『ああ』
神楽耶『今は秘密です』
『悪戯っぽく笑う。そして彼女は去っていく。一体、何者なんだろう。俺は彼女の姿が見えなくなるまで、その不思議な背中を見つめていた』
ルルーシュ「なるほどな」
神楽耶「ここで私のフラグが立ちました」
カレン「……」バリバリ
スザク「カレン、お茶はいるかい?」
『先生の声で転校生が扉を開けて入ってきた。可憐な少女だった』
ナナリー『みなさん、初めまして。ナナリー・ヴィ・ブリタニアといいます。よろしくお願いします』
『男子からは喝采が起き、女子からはその愛らしさに感心したのかため息が漏れてくる』
ヴィレッタ『えーと……席は、ルルーシュの隣だ』
ナナリー『ルルーシュ……?』
ルルーシュ『ここだよ』
ナナリー『……あ』
『彼女は何かに驚いたようだったが、その表情もすぐに笑顔に変わる』
ナナリー『よろしくお願いしますね、ルルーシュさん!』
ルルーシュ『ああ、よろしく。ナナリー』
『―――そうして俺は出会った。運命を変える少女と未来を紡ぐ少女に』
『あ~さも、よ~るもこ~いこがれて~♪』
ルルーシュ(遂に来たぞ!!!ナナリーがぁ!!!フハハハハハ!!!必ず攻略してやるからなぁ!!!ナナリー!!!)
スザク「オープニング、あったんだ」
シャーリー『ルル!一緒に食べよ!!』
ルルーシュ『そうだな―――』
1 ナナリーを誘う
2 カレンを誘う
3 ニーナを誘う
4 二人で食べる
ルルーシュ「1だな」ピッ
ルルーシュ『―――ナナリー』
ナナリー『はい?』
ルルーシュ『一緒に食べないか?』
ナナリー『遠慮します』
『そういうと彼女は一人、食堂へと向かっていった』
カレン『私も混ぜてよ』
シャーリー『いいよ』
『三人で食べることになった』
ルルーシュ「……」
シャーリー『ルル、今日は掃除当番だからね』
ルルーシュ『分かってるって』
シャーリー『ルルは油断するといっつも逃げちゃうんだもん!』
ルルーシュ『はいはい』
ナナリー『……』キョロキョロ
『ナナリーが周囲の様子を見て、戸惑っているようだった。どうやら、自分が掃除の担当になっているのかまだ把握できていないようだ』
1 教えてあげる←
2 放っておく
ルルーシュ『ナナリー。ナナリーは俺たちと一緒に掃除だぞ?』
ナナリー『遠慮します』
『そういうとナナリーは去っていった』
カレン『私も混ぜてよ』
シャーリー『いいよ』
『三人で掃除をすることになった』
ルルーシュ(いや、まだ始まったばかりだ……焦ることはない……)
掃除しろろよwwww
スザク『ルルーシュ、遅かったね』
ユフィ『ルルーシュ。待っていましたよ』
『共同玄関のとこで親友のスザクと、その恋人であるユフィが居た。この三人で帰るのが恒例になっている』
ルルーシュ『悪かったな。ん?』
ナナリー『あ……』
『スザクの隣に転校生の姿があった。どういうことだ?』
スザク『この子、転校生だって聞いた。道に迷ったみたいで』
ルルーシュ『そうなのか。まあ、うちの学園は無駄に広いからな。ユフィも時々、迷子になるぐらいだ』
ユフィ『もう!ルルーシュ!!それは言わないでください!!』
スザク『あははは』
ルルーシュ『で、スザクは転校生を口説いていたのか?恋人の目の前で』
スザク『そんなことするわけないだろ』
『スザクが睨む。相変わらず冗談が通じない奴だ』
ルルーシュ『じゃあ、帰るか』
『ナナリーが何を言いかけて、俯いた』
ユフィ『どうしたの?』
ナナリー『……』
『俺はなんとなく―――』
1 一緒に帰りたいのかと思った←
2 俺に用にあるのかと思った
3 スザクに用があるのかと思った
ルルーシュ『一緒に帰るか?』
ナナリー『遠慮します』
『ナナリーはそういうと上履きのまま、学園を後にした』
カレン『私も混ぜてよ』
スザク『いいよ』
『四人で下校することになった』
ルルーシュ「……カレェェェン!!!!」
カレン「え?なに?!」ビクッ
カレン「だから、なにが?!」
ルルーシュ「一向にナナリーが俺の誘いに乗って来ない!!いや、それはまだいい!!何故、カレンが必ず出てくる?!」
カレン「知らないわよ」
ルルーシュ「そんなわけあるか!!貴様、何か弄っただろ!?」
カレン「弄るだけの知識も技能もないってば!!」
神楽耶「ルルーシュ様」
ルルーシュ「……」
神楽耶「女性が……それもメインヒロインがそう簡単に陥落するとお思いですか?」
ルルーシュ「それは……」
神楽耶「急いては事を仕損じる……です」
ルルーシュ「……いいだろう」
カレン「あー、びっくりした」
神楽耶「……」バリバリ
スザク(僕がプレイする場合、僕自身を攻略しないとユフィとは……複雑だな)
『門限はないが、母さんが小言をいうから早く帰らないといけない』
『薄暗い道を歩いていると、突然女性の悲鳴が聞こえた』
『俺は―――』
1 様子を見に行く←
2 恐怖心に駆られ無視する
『路地裏のほうから聞こえたな』
『緊張からか急速に喉が渇き、額に汗が浮かぶ』
『そして物陰から様子を伺うと―――』
玉城『おらぁ!!こっちにこい!!!』
ナナリー『やめて!!やめてください!!』
『ナナリー!!ナナリーが暴漢に襲われている!!俺は―――』
1 助ける
2 様子を見る
ルルーシュ「ついに緊迫の展開がきたか」
スザク「ルルーシュ!!早くナナリーを!!」
玉城『なんだ……てめえは?』
『暴漢の鋭い目が俺を捉えた』
玉城『オラァァ!!!』ドガァ
ルルーシュ『ぐっ?!』
『唇が切れる。血が服に落ちるのが見えた』
玉城『なんだよ……まだ、やんのかぁ……?』
『男の後ろで、ナナリーが怯え、体を震わせていた。瞬間、俺の左目が熱くなるのを感じた』
ルルーシュ『貴様のような屑は―――死ね!!!』キュィィィン
玉城『……わかった』
ルルーシュ『え……?』
『男は覚束ない足取りでその場を去っていった』
『俺は―――』
1 ナナリーに駆け寄った
2 男を追った
ルルーシュ「ナナリーを助けないとな」
ナナリー『はい』
ルルーシュ『怪我は?』
ナナリー『大丈夫です』
『ナナリーは恐怖で顔を青くし、肩を震わせている』
1 家まで送ると申し出た←
2 警察に連絡する
ルルーシュ『家まで送るよ、ナナリー』
ナナリー『遠慮します』
『ナナリーはしっかりとした足取りでこの場を後にした』
カレン『私も混ぜてよ』
『カレンを家に送ることになった』
ルルーシュ「……」
スザク「ルルーシュ、もうちょっと進めてみよう」
ルルーシュ「もういい……!!次の選択肢までスキップだ……!!!」
神楽耶「……」バリバリ
1 ハンカチを差し出した←
2 何も言えず、ただ立ち尽くした
ナナリー『遠慮します』
カレン『私に貸してよ』
ルルーシュ「ぬぅぅ……!!!」
『―――ナナリーが前を歩いていた』
1 挨拶をする←
2 昨日のこともあるから挨拶を控えた
『ナナリーは俺を無視した』
カレン『ルルーシュ、おはよう』
スザク「カレン……しつこいな……」
ルルーシュ「くそ……いつになったら……!!」
スザク「ルルーシュ、待ってくれ!!展開が変わった!!」
ルルーシュ「なに?」
『―――夏休み3日目。やることがないので公園を訪れた』
遠慮します
私も混ぜてよ
ルルーシュ『ああ……ええと?』
神楽耶『神楽耶です。ルルーシュ様?』
ルルーシュ『こんな暑い日にどうしたんですか?』
神楽耶『……お迎えにあがりました』
『お迎え?どういうことだ?』
神楽耶『どうぞ、こちらへ』
ルルーシュ『ちょっと待ってくれ。どういうことだ?』
神楽耶『……ギアス』
『息を呑んだ。何故、彼女がその力を知っている……?』
神楽耶『ギアスのことでお話があります』
ルルーシュ『俺は―――』
ルルーシュ『―――分かった、従おう』
ルルーシュ「今の感じ、選択肢がでないとおかしいんじゃないのか?」
スザク「いや、ただの間かもしれない」
神楽耶『咲世子』
咲世子『はい』
神楽耶『この方がルルーシュ様です。丁重にお願いします』
咲世子『畏まりました』
『俺は咲世子というメイドの案内され、とある一室に向かった』
神楽耶『ルルーシュ様』
『彼女の荘厳な雰囲気に圧され、背筋が伸びる』
神楽耶『我が一族はギアスを持つ者を探しておりました』
ルルーシュ『どういうことだ?』
神楽耶『ギアスを持つ者と私は結ばれる運命にあるのです』
ルルーシュ『なに……?』
神楽耶『……』
『神楽耶の目は真剣だ。嘘を吐いているようには見えない……』
ルルーシュ「雲行きが怪しいな……スキップしておこう」
ルルーシュ『神楽耶!!』
神楽耶『ルルーシュ様』
ルルーシュ『……』
咲世子『ルルーシュ様、ご決断をされたのですか?』
神楽耶『ルルーシュ様、我が一族にその身を……その命を預けるのですか?』
ルルーシュ『まだ、ギアスの運命とか……そういうのは分からない……だけど……』
神楽耶『はい……』
ルルーシュ『俺は神楽耶も咲世子も愛している』
神楽耶『ルルーシュ様……』
咲世子『……嬉しいです』
『そう。俺は決めた。ギアスという呪われた力で全てを失った彼女たちを守ることを。例え、俺のギアスが俺自身を飲み込むことになっても……!!』
『モザイクかけら、ひとつ、ひとつ、つなぎ合わせて描いていく♪』
スザク「……あれ?終わり?」
ルルーシュ「ナナリーは……ナナリーは……どうした?あれから選択肢が一つもなかったぞ……」
まぁ結果は分かるが…
カレン「神楽耶様!!話が違います!!!」
神楽耶「え?」
カレン「あたしのルートに絶対にいくって!!」
神楽耶「カレンさんはナナリーフラグブレイカーであるようでしたので、使わせていただきました」
カレン「酷い!!」
ルルーシュ「神楽耶さまぁ……どういうことですか……?」
神楽耶「えっと……ナナリーの好感度を上げると、私のルートに行かないようなので……ナナリーの好感度があがる選択肢を選ぶと強制的にカレンフラグが立つ仕様にしました」
スザク「でも、カレンは中盤から姿がなかったけど」
神楽耶「最初のほうに神楽耶フラグを立てると、カレンルートにはいけないのです」
ルルーシュ「しかし!!神楽耶フラグはほぼ強制的に立ちましたよねぇ!?」
神楽耶「……」バリバリ
ルルーシュ「煎餅を食うな……!!」
カレン「神楽耶さま!!あたしのルート!!あたしのルートはどこですか!?」
ルルーシュ「ええい!!くそ!!!ナナリーを攻略できないのでは意味がない!!!」
ルルーシュ「スザク?!」
スザク「見てくれ。ナナリーを徹底無視して中盤までスキップしてみた」
ルルーシュ「……」
スザク『ルルーシュ、今の力は?』
ルルーシュ『……ギアスだ』
スザク『ギアス?』
ルルーシュ『ああ……。人を操ることができるんだ』
スザク『そんな力が……』
ルルーシュ『スザク、俺は最低の男だ……!!』
スザク『そんなことない!!ルルーシュ!!』ギュッ
『スザクは俺を強く抱擁した』
スザク「ほら、僕のルートに入った」
ルルーシュ「……」
カレン「おっ」
ルルーシュ『スザク、待たせたな』
スザク『待ってないよ』
ルルーシュ『スザク……よかったのか?ユフィのことは?』
スザク『ユフィは分かってくれたから』
ルルーシュ『そうか……』
スザク『それよりルルーシュ、卒業旅行は二人で海外に行こう!!』
ルルーシュ『ああ、いい考えだな』
スザク『いつまでも一緒だよ……ルルーシュ……?』
『俺はスザクの手を握る……。もう離さない。その決意だけは揺るがない……』
ルルーシュ『スザク……大好きだ……』
『世界の終わりで、生まれた光、今、か~ぜ~のな~か~♪』
スザク「うん……うん……」
カレン「ねえ、このゲームって続編でるの?」
ルルーシュ「藤堂を呼べ!!今すぐだ!!!」
スザク「折角、ユフィルートにいけるようになったのに……」
ルルーシュ「どうだ、藤堂?」
藤堂「そうだな……」
神楽耶「大丈夫ですわよね?」
カレン「あたしのルートがないのは……ちょっと……」
藤堂「メインヒロインがナナリーから神楽耶様に変わってしまった点以外は、非常に良質なギャルゲーといえるでしょう」
神楽耶「やっぱり!!」
ルルーシュ「しかし!!」
藤堂「きちんと男同士の友情エンドも完備しているところは好感が持てます」
神楽耶「ふふーん」
藤堂「―――粉、砕っ」ボキィ
神楽耶「……」
藤堂「申し訳ありません、神楽耶様。しかし、このように恣意的なフラグ操作でプレイヤーに攻略対象を絞らせるのは許容できません」
神楽耶「なんと……なんと……」ガクガク
ルルーシュ「藤堂、もうお前がフラグ等々を作ってくれないか?このままでは俺の望むゲームが出来上がらない」
藤堂「残念だが、私にはそちらの才がない」
スザク「そうですか……」
ルルーシュ「ではどうする……」
スザク「ルルーシュ……ナナリーしかいないと思う」
ルルーシュ「ナナリーだと……?」
スザク「あとはコーネリア様か」
ルルーシュ「ナナリーとコーネリア……に……?」
スザク「ナナリーはメインヒロイン扱いだし、それに優しいから……きっと……」
ルルーシュ「だが、コーネリアはどうする?奴のイベント絵は6枚な上に、全て下着姿だぞ」
スザク「でも、それは個別ルートに入ってからの話だろ?きっと上手くまとめてくれると思う」
ルルーシュ「……よし。三度目の正直にするぞ」
スザク「ああ。僕はコーネリア様を探してくる」
ルルーシュ(ナナリーなら……ナナリーならきっと……!!)
カレン「ナナリーはその話、知らなかったの?」
ナナリー「はい。初耳です」
ルルーシュ「そこで、お前に制作をお願いしたい」
ナナリー「私がですか?」
ルルーシュ「ああ」
ナナリー「でも……どうして……」
ルルーシュ「お前が最も俺の近くにいたからだ」
ナナリー「お兄様……」
ルルーシュ「ナナリー……」
ナナリー「分かりました……お手伝いさせてください」
ルルーシュ「よし、こっちだ」
ナナリー「……」
カレン「ナナリー、私のルート、優遇してね」
ナナリー「……できるだけのことはしてみます」
ヴィレッタ「ふざけるな」
スザク「……!!」
コーネリア「私がルルーシュに協力すると思っているのか?」
スザク「……したほうがいいと思います」
ヴィレッタ「どういうことだ?」
スザク「ヴィレッタ卿、貴方も登場人物の一人です。イベント絵は8枚用意されている」
ヴィレッタ「な、なんの話だ?」
スザク「貴方は途中で記憶を失い、千草をいう名前になり主人公と―――」
ヴィレッタ「おぉい!!なんだそれはぁ!!!」
スザク「このエンディングを変えたいのなら、協力してください」
コーネリア「……私は?」
スザク「……」
コーネリア「言え!!枢木!!」
スザク「なら、ご協力をお願いします」
ナナリー「……」
ロイド「変更したいところあったら、好きに弄っていいよ~」
ナナリー「私のイベントが多いですね」
ロイド「え?そりゃあ、まあ、メインだから」
ナナリー「私のイベントの4割をカットして、その分をニーナさんに回すことはできますか?」
セシル「それだと新たにシナリオを書かないといけませんよ?」
ナナリー「私が書きます」
ロイド「えぇ?ホントにぃ?」
ナナリー「あと、天子様とコーネリア姉様のイベント絵も少ないです。3枚ほど追加しましょう」
セシル「わ、わかりました。原画担当に問い合わせます」
ナナリー「それから―――」
コーネリア「ここか」
ナナリー「コーネリア姉様?」
コーネリア「それがゲームのシナリオ表か?見せてみろ」
コーネリア「どうして私は常に下着なのだ?」
ロイド「ルルーシュ皇帝陛下のイメージらしいです」
コーネリア「……」
ナナリー「あの。今更、リテイクは厳しいので、そのイベント絵を活かすシナリオを書き下ろしましょう」
コーネリア「どうするのだ?」
ナナリー「たとえば……空調設備がない部屋に閉じ込められて、暑さに耐えかねて……とか」
コーネリア「脱出モノにするのか?」
ナナリー「全体的のシナリオは矛盾だらけですから、コーネリア姉様のルートだけ異質でも違和感はありません」
コーネリア「なるほどな」
ナナリー「あとルルーシュ・ランペルージルートがシビアすぎます。もっと緩くしましょう」
セシル「それは皇帝陛下の拘りですから!!」
ナナリー「お兄様は私に任せてくれました。フラグを緩くしてください。その代わり、ルート突入後は選択肢を一つでも間違えるとDEADENDにしてください」
ナナリー「お兄様が問答無用でニーナさんに刺されることにします」
ロイド「そのイベント絵もいるよね。描いてもらわないと」
ひでぇ現状だなおい!
セシル「これです」
コーネリア「ふむ……」
ナナリー「これは主人公と最後は……」
コーネリア「添い遂げているな。ヴィレッタルートだけ表現が生々しい」
ナナリー「では、ラストに妊娠していることにしましょう」
コーネリア「どうしてだ?」
ナナリー「ここまで描いておいて、後日談がないのは寂しいですから」
コーネリア「そうか……」
ナナリー「ヴィレッタさんのお腹が妊娠によって大きくなったイベント絵の用意もお願いします」
セシル「結構、追加されますね」
ロイド「こりゃ大変だ」
コーネリア「ナナリー、このイベントが発生した場合、ナナリールートで問題が発生するぞ。フラグが立たない」
ナナリー「……なら、いっそのことニーナさんのルートは1から作りましょう。あと、私のルートにいるロロって人の存在は消してください。邪魔です」
セシル「分かりました!」
ルルーシュ「まだ、できないのか?」
スザク「ナナリーが色々と手直しを加えているみたいだ」
C.C.「なんでもいくつものルートが統合しているらしいな」
ルルーシュ「なんだと?」
C.C.「もう私の作品ではないようだ……」
ルルーシュ(ナナリー……一体、どんなものを……)
コーネリア「ルルーシュ!!!」
ルルーシュ「姉上……」
ナナリー「できました」
スザク「本当かい?」
ナナリー「お兄様、テストプレイをしてください」
ルルーシュ「よし。スザク」
スザク「はっ」
C.C.(どんなものになっているのか……ナナリー、期待させてもらうぞ……)
ルルーシュ「藤堂。かなりのイベント絵を書き下ろしたらしいな」
藤堂「ああ、累計80枚にも及んだ」
C.C.「そんなに?」
ロイド「僕もお邪魔させてもらいますよ~」
セシル「私も……失礼します」
ルルーシュ「どうした?そんなに出来上がりが気になるのか?」
ロイド「ええ。今度は今までは一味違いますから」
ルルーシュ「ほう……楽しみだな」
スザク「ルルーシュ、準備ができた」
ルルーシュ「よし。始めるか」
コーネリア「……」
ナナリー「……」
ルルーシュ「三度目の正直だ!!テストプレイを開始する!!!」
『~復讐のギアス ニーナの罠~』
ユフィ『どうして……私は……』
『抗うことなどできない運命』
ユフィ『やめて……!!』
『引き金を引くときまで、何も考えなかった』
ユフィ『お願い……』
『涙が流れたのは』
『パァァン!』
ユフィ『あ―――』
『ユーフェミアが血を流し、倒れてからだった』
ルルーシュ「……」
スザク「ユフィィィィィ!!!!!」
C.C.「なんだ、衝撃のプロローグだな」
藤堂「ここだけで3枚のイベント絵。辛かった」
ルルーシュ(いや……まぁ……俺の人生といえばそうだが……なんだ、これは……)
スザク『……』
ルルーシュ『スザク……』
スザク『ごめん……ルルーシュ……まだ、信じられないんだ……』
ルルーシュ『……』
スザク『ユフィが……殺されたなんて……!!』
ルルーシュ『今日、葬式だったな』
スザク『一緒に行ってくれるか?』
ルルーシュ『当たり前だろ。俺にとってもユフィは初恋の相手だったんだぞ……』
スザク『ルルーシュ……』
ニーナ『ユーフェミアさんが……ユーフェミアさんがぁぁ……うわぁぁぁぁん!!!!』
カレン『ニーナ……』
シャーリー『今はそっとしておきましょう』
カレン『そうね』
ニーナ『いやぁぁぁ!!!』
コーネリア『よく集まってくれたな』
ミレイ『いえ……そんな……』
コーネリア『さ、上がってくれ』
ルルーシュ『……』
ナナリー『お兄様……』
ルルーシュ『何も言うな』
カレン『やっぱり、お嬢様の家は豪華ね』
シャーリー『そうね』
スザク『ユフィ……』
コーネリア『ユフィ?友達がきてくれたぞ?』
ユフィ『』
ニーナ『ユーフェミアさん……!!あぁぁ……!!!』
コーネリア『綺麗な顔だろ?今にも……目を開けてくれ……うぅぅ……』
ミレイ『コーネリアさん……』
スザク『ルルーシュ?』
ルルーシュ『こんな姉上を見たくないからな……』
コーネリア『ユフィ……ユフィィ……』
スザク『わかったよ』
ルルーシュ『(さてと……どうするか)』
1 シャーリーに話かける
2 カレンに話かける
3 ナナリーに話かける
4 ミレイに話かける
5 屋敷の中を探索する
ルルーシュ「なんだ。急に選択肢が出たな」
ナナリー「どうぞ、これだと思うものを選んでください」
ルルーシュ「個別ルートはあるのか?」
ナナリー「個別シナリオならあります」
ルルーシュ「……とりあえずナナリーに話しかけるか」ピッ
ナナリー『なんですか、お兄様?』
ナナリー『そうですね……少し……』
ルルーシュ『じゃあ、屋敷の中を探索がてら休もう。俺も少し疲れててさ』
ナナリー『昔はよく、ここでも遊ばせてもらいましたよね』
ルルーシュ『そうだったな。いつもナナリーは大はしゃぎして、ユフィを困らせていた』
ナナリー『そうですね……。でも、ユフィ姉様はそんな私を……』
ルルーシュ『ナナリー、無理はするな』
ナナリー『はい……』
ルルーシュ『ここは客間だったな。ここで休ませてもらおう』
ナナリー『はい』
ガチャ
ルルーシュ『……ん?お前、どうしてここ―――』
ナナリー『お兄様!!!お兄様ぁ!!!』
『薄れていく意識の中で、ルルーシュはナナリーの無事だけを願った。―――DEADEND』
ルルーシュ「……」
スザク「ルルーシュゥゥゥゥゥ!!!!」
C.C.「衝撃のラストだな」
ルルーシュ「まて……ナナリー……」
ナナリー「はい」
ルルーシュ「ギャルゲーでは……ないぞ……?」
藤堂「いや。ギャルゲーだ」
ルルーシュ「どこにその要素がある!?」
コーネリア「好感度が低い者に話しかけるからだ」
ルルーシュ「……え?」
藤堂「そうだ。説明書をよく読め」
ルルーシュ「そんなものがあったのか?」
C.C.「これじゃないか?」ピラッ
ルルーシュ「何々……ヒント。初期好感度が高い人となるべく行動をしましょう。コーネリア、シャーリー、カレン、ミレイ、ナナリー、スザク、ニーナの順で好感度が高い」
ナナリー「ですから、あの場合だとシャーリーさんと行動するのがいいのです。お兄様」
1 シャーリーに話かける←
2 カレンに話かける
3 ナナリーに話かける
4 ミレイに話かける
5 屋敷の中を探索する
シャーリー『どうしたの、ルル?』
ルルーシュ『いや、顔色が悪そうだったから』
シャーリー『流石にね……』
ルルーシュ『そうだな。よければ屋敷の中を案内しようか?』
シャーリー『ううん。大丈夫。それに……もう少し、ここにいたいから』
ルルーシュ『そうか』
ルルーシュ『(さてと……どうするか)』
1 屋敷を探索する
2 外に出る
ルルーシュ「……」
ナナリー「……」
ルルーシュ(どっちも危険な気がする!!!)
ルルーシュ『(外の空気でも吸ってくるか)』
ルルーシュ『まだ、雨が降っているな……』
『キャァァァァ!!!!!』
ルルーシュ『なんだ?!』ダダダッ
ルルーシュ『どうし―――!?』
コーネリア『』
スザク『』
ナナリー『』
ルルーシュ『な、なんだ……何があった……!!』
『……』
ルルーシュ『お前は―――』
『胸を穿たれた。血液が逆流し、口から溢れる。ルルーシュはこのとき全てを察した。しかし、それは遅すぎる解決だった。―――DEADEND』
ルルーシュ「おい!!どうなっている!!」
コーネリア「ルルーシュ、不用意に外に出る奴があるか」
C.C.「これはなんか、ホラーだな」
藤堂「ヴィレッタ妊娠シナリオまで長そうだな」
ルルーシュ「あるのか?!」
コーネリア「当然だ。咲世子とかいうメイドも神楽耶も出てくる」
ルルーシュ「どのタイミングで……」
スザク「ルルーシュ!!やろう!!僕たち二人で!!」
ルルーシュ「スザク!」
スザク「僕の勘とルルーシュの頭脳なら、きっと最後までいける」
ルルーシュ「そうだな……やってやるぞ」
スザク「ああ」
ルルーシュ「まあ、既に犯人の目星はついているがな」
スザク「え?!本当か?!」
ルルーシュ「全ての答えはタイトルに隠されてる」
C.C.「ニーナか」
1 屋敷を探索する←
2 外に出る
ルルーシュ『(どこに行こうか)』
1 キッチン
2 客間
3 リビング
4 トイレ
スザク「ルルーシュ……ヒントがない」
ルルーシュ「客間はまずアウトだ。キッチンも凶器が山のようにある。トイレは現在地から遠いから何かが起こるだろう」
スザク「なら、リビングか」ピッ
ルルーシュ『あれ?貴方は?』
咲世子『どうも。ここのメイドをしております。咲世子というものです』
ルルーシュ『このたびは……あの……』
咲世子『お気になさらないでください』
ルルーシュ『……』
咲世子『あ、何かお持ちしますね』
ルルーシュ『どうも』
1 飲む
2 飲まない
ルルーシュ「……」
スザク「ルルーシュ、ここは飲んだほうがいい」
ルルーシュ「スザク。しかし、毒を盛られている可能性も……!!」
スザク「犯人がニーナなら、きっと大丈夫だ」
ルルーシュ「いや、選択肢によって犯人が変わる可能性もある。ニーナは飽く迄も真犯人だ」
スザク「でも、僕は咲世子さんを信じたいんだ!!」
ルルーシュ「わかった……飲め」
スザク「よし」ピッ
ルルーシュ『―――美味しいですね』
咲世子『ユーフェミア様が大好きな紅茶ですから』
ルルーシュ『そうか……ユフィが……』
スザク「よかった……助かった……」
ルルーシュ『ええ……まだ、犯人は見つかっていないようですけど』
咲世子『……実は私……』
ルルーシュ『なんですか?』
咲世子『犯人の心当たりがあるんです……』
ルルーシュ『え……』
咲世子『……』
1 話を聞く
2 黙って立ち去る
3 ギアスをかける
ルルーシュ「……」
スザク「ルルーシュ、どうしよう。気になる選択肢が出てきた……」
ルルーシュ「どう考えても罠だな」
スザク「……ごめん!!」ピッ
ルルーシュ「スザァク!!!」
ルルーシュ『―――咲世子さん、その心当たり。忘れてください』キュィィィン
ルルーシュ『よし。―――紅茶のおかわり、貰えますか?』
咲世子『畏まりました』
ルルーシュ『ふぅー……危ないところだった……』
ルルーシュ『う……?!』
ルルーシュ『ごほっ……!?おぅ!?がぁぁ……!!!』
『喉が焼ける。そう感じた瞬間にルルーシュの視界は暗転した。ルルーシュは死ぬ間際で既に敗北していたことを知る。―――DEADEND』
ルルーシュ「見ろ!!予想通りだ!!」
スザク「でも、あれはどう考えても選んでくださいと言っているようなものだ!!」
ルルーシュ「直前に戻れ!!」
スザク「わかった」
咲世子『……』
1 話を聞く
2 黙って立ち去る←
3 ギアスをかける
ルルーシュ『(危険だな。立ち去ろう)』
ルルーシュ『シャーリ―――ごほっ……!?おぅ!?がぁぁ……!!!』
『喉が焼ける。そう感じた瞬間にルルーシュの視界は暗転した。ルルーシュは死ぬ間際で既に敗北していたことを知る。―――DEADEND』
ルルーシュ「これは……!!」
スザク「まさか、紅茶を飲んだのがいけなかったのか……」
ルルーシュ「ええい!!面倒な!!」
ルルーシュ『どうも』
1 飲む
2 飲まない←
ルルーシュ『あとで頂きます』
咲世子『そうですか。ところで……』
ルルーシュ『はい?』
咲世子『実は私……犯人に心当たりがあるのです』
ルルーシュ『犯人に?』
咲世子『はい。ユーフェミア様はあの夜、人に会うと言って出て行かれたのですが』
ルルーシュ『人に?』
ルルーシュ『……』
咲世子『そして……その方はの名前はルル―――』
1 ギアスをかける
2 口封じする
スザク「ルルーシュ!!」
ルルーシュ「ギアスだ!!死体を作ってしまっては後々面倒なことになる!!」
ルルーシュ『そのことは忘れろ!!!』キュィィィン
咲世子『はい』
ルルーシュ『ちっ……まさか、誰にも言うなと言っておいたのに……ユーフェミアめ……』
咲世子『あの、何か?』
ルルーシュ『いや、何でもありません』
ルルーシュ『(もしかしたら……俺がユーフェミアを殺害したことに気づいている者が他にもいるのか……?)』
スザク「なんで外道だ、この主人公」
ルルーシュ「これはあれか。お前は悪を背負っているぞといいたいのか」
スザク「ルルーシュに懺悔をさせるゲームかもしれない」
ルルーシュ『シャーリー。あれ?他のみんなは?』
シャーリー『少し休むっていって、客間に』
ルルーシュ『そうか……』
シャーリー『ねえ、ルル?』
1 話を聞く
2 ギアスをかける
スザク「ギアスか?」
ルルーシュ「まて、話をきいてからのほうがいい」
ルルーシュ『―――どうした?』
シャーリー『あのね……私、見ちゃったんだ……』
ルルーシュ『なにを?』
シャーリー『ルルーシュが……ユーフェミアさんを……銃で撃っちゃうところ……』
ルルーシュ『なに……?』
シャーリー『どうして……?ねえ……?ルル……教えてよ……』
ルルーシュ『それは……あの……』
でもコードギアスは半分以上そういう話という
2 ギアスをかける
3 バールのようなモノを探す
スザク「ルルーシュ。三番目を選びたい」
ルルーシュ「ダメだ。……正直に話せ」
スザク「いいのかい?」
ルルーシュ「ああ。シャーリーなら分かってくれる」
ルルーシュ『―――その通りだ』
シャーリー『ルル……』
ルルーシュ『俺がユーフェミアを殺した。それは認める』
シャーリー『何か理由があったの?』
ルルーシュ『(ギアスの暴走でユーフェミアに『人類を皆殺しにしろ』という命令を与えてしまったことを、話すか……?)』
1 話す
2 話さず、罪だけを認める
3 バールのようなモノを手に取る
スザク「ルルーシュ!!」
ルルーシュ「2だ!」
シャーリー『ルル……どうして……!!ユーフェミアさんは何もしてないのに!!あんなに……優しい人だったのに……』
ルルーシュ『シャーリー……』
シャーリー『許せないよ……ルル……』
ルルーシュ『シャーリー!!もう過去のことなんだよ!!』
シャーリー『過去?!殺しておいて……過去……?何言ってるの……ルル……おかしいよ……』
『シャーリーはバールのようなモノを手にした』
1 ギアスをかける
2 絶叫する
3 キスしてみる
スザク「ルルーシュ……キスしてみよう。ギャルゲーの感じになるかもしれない」ピッ
ルルーシュ「スザァァク!!!」
ルルーシュ『シャーリー……落ち着け。キスをすれば―――』
『ドゴォ!!!グチャ!!―――DEADEND』
スザク「くそ!!」
ルルーシュ「当たり前だ!!誰だって殺すだろうが!!」
1 ギアスをかける←
2 絶叫する
3 キスしてみる
ルルーシュ『シャーリー!!ユーフェミアの一件は全て忘れろ!!!』キュィィィン
シャーリー『―――あれ。ここどこ?』キョロキョロ
ルルーシュ『シャーリー、もう夜になる。帰ったほうがいいぞ?』
シャーリー『うん』タタタッ
ルルーシュ『(助かった……)』
ヴィレッタ『あの』
ルルーシュ『え……?』
ヴィレッタ『今、何をされていたのですか?』
1 誤魔化して立ち去る←
2 ギアスをかける
ルルーシュ『なんでもありません。それでは』
ヴィレッタ『そうですか』
ルルーシュ『(この屋敷は危険だが、他にも目撃者がいるかもしれない……一人一人、探っていくか……)』
1 ギアスをかける
2 とぼける
スザク「僕だ」
ルルーシュ「このスザクは殺す気満々だろうから、ギアスだな」
ルルーシュ『ユーフェミアの一件は忘れろ!!』キュィィィン
スザク『―――あれ?ルルーシュ?ここは……?』
ルルーシュ『家に帰れ。もう暗いぞ』
スザク『本当だ。それじゃ、また明日』
ルルーシュ『ああ』
ルルーシュ『(残っているのはコーネリア、ナナリー、ミレイ、カレン、ニーナか……)』
ルルーシュ『誰のところにいくか……』
1 コーネリア←
2 ナナリー
3 ミレイ
4 カレン
5 ニーナ
ルルーシュ『姉上のところに言ってみるか』
ルルーシュ『……姉上?』
ルルーシュ『返事がない』
1 入る←
2 入らない
ルルーシュ『姉上、入りますよ』
ルルーシュ『……!!』
コーネリア『』
ルルーシュ『姉上!?―――ダメだ。死んでる……』
ルルーシュ『どうして……』
ガチャ
カレン『……!!』
ルルーシュ『カレン!?』
カレン『ルルーシュ……一体……なにして……!!』
ルルーシュ『違う!!俺じゃない!!』
カレン『人殺し!!』
カレン『来るな!!』
『カレンはバールのようなものを手にとった』
1 ギアスをかける
2 コーネリアを盾にして突っ込む
3 キスしてみる
スザク「ルルーシュ……2でいいかい?」
コーネリア「お前、本気で言っているのか?」
スザク「あ……いえ。まさか」
ルルーシュ(ここでギアス……はない。恐らくトラップだ)
ナナリー「……」
ルルーシュ「キスだ!!」
スザク「……!!」ピッ
ルルーシュ『カレン!!』ギュッ
カレン『ルルーシュ……な、なによ……やめて……』
ルルーシュ『俺を……信じてくれ……カレン……』チュッ
ルルーシュ『悪い……これしか思い浮かばなくて』
カレン『で……コーネリアさんはどうなったの?』
ルルーシュ『俺が来たときにはもう……』
カレン『そう……シャーリーもいなくなるし……ニーナもいないし……どうなってるの……』
ルルーシュ『ニーナがいない?』
カレン『うん……』ギュッ
ルルーシュ『分かった。ナナリーとミレイ先輩を呼んでこよう』
カレン『それでどうするの?』
ルルーシュ『ここから逃げたほうがいい』
カレン『そうね……そのほうがいいかも……』
ルルーシュ『まずは……』
1 ミレイから呼びに行く
2 ナナリーから呼びに行く
3 とりあえずリビングに行く
ルルーシュ(ニーナがいない状況になっているなら、恐らく呼びにいけば殺しの現場に居合わせる可能性がある。ならばリビングが正解か……)
カレン『まずは落ち着くのね』
ルルーシュ『ああ……死体なんて見てしまったらな……正常な判断ができない』
カレン『確かに』
ルルーシュ『咲世子さ―――』
咲世子『』
ルルーシュ『なに……!?』
カレン『咲世子さん!!咲世子さん!!』
ルルーシュ『ダメだ……息がない……』
カレン『いや……もういやだ……こんなところ!!』ダダダッ
ルルーシュ『カレン!!』
1 追う
2 追わない
ルルーシュ「ここで一人になってはニーナの思うツボだ。追え」
スザク「わかった」
カレン『ルルーシュ!!』ギュッ
ルルーシュ『どうした?!』
カレン『あ、あれ……』
ルルーシュ『……!!』
スザク『』
シャーリー『』
ルルーシュ『スザク……シャーリー……』
カレン『殺される……あたしたち……誰かに……殺されるんだ……』
ルルーシュ『どうする……』
1 屋敷に戻る←
2 帰宅する
ルルーシュ『犯人はまだ外にいるかもしれない。屋敷に戻るぞ』
カレン『うん……』
ルルーシュ「はぁ……そろそろ佳境だな……」
ナナリー「……」
ルルーシュ『そうだな』
1 ナナリーの様子を見に行く
2 ミレイの様子を見に行く
3 ニーナを探す←
ルルーシュ『ニーナがいなくなっているんだったな』
カレン『そう』
ルルーシュ『よし。探すぞ』
カレン『わかった』
1 客間を探す
2 お風呂場にいく
3 トイレにいく
ルルーシュ「風呂だ。ここで行ったことのない場所が出るということは、そこに何がある」
スザク「そうなのか」ピッ
コーネリア「ちっ……」
ナナリー「……」
ルルーシュ(どうやら正解のようだな……ふははは……)
カレン『誰かいる?』
ルルーシュ『ああ……見ないほうがいい』
カレン『え……?』
ミレイ『』
ニーナ『』
ルルーシュ『二人が殺されている……』
スザク「……!!」ガタッ
ルルーシュ「バカな!!」
藤堂「なんだと?!」
セシル「嘘……」
ロイド「そんなフラグ入れてないよ!?」
コーネリア「ナナリー……?」
ナナリー「……」
ルルーシュ「ナナリー……このシナリオにはどういう意味がある。単に俺が懺悔することを望んでいるわけではないのか……?」
カレン『うん……』
ルルーシュ『(そうか……ナナリーなら不意打ちで殺すことはできるな……)』
ルルーシュ『ナナリー……』
カレン『ルルーシュ、あそこ』
ルルーシュ『ん?』
ナナリー『……』
ルルーシュ『ナナリー……』
ナナリー「お兄様……」
ルルーシュ「……なんだ?」
ナナリー「お兄様はこのゲームを作り、自身の一生を残したいということでしたね」
ルルーシュ「ああ……」
ナナリー「私から見たお兄様の一生は今のような感じです」
ルルーシュ「どういうことだ?」
ナナリー「ギアスという呪いを使い、人々を騙し、偽り、時には危険な目に合わせ、殺してきた。自分の目的のために」
ナナリー「ルルーシュ・ランペルージルートを見せてもらいましたが……お兄様がご自身を客観的に見た、幻想に過ぎませんでした」
ルルーシュ「お前……」
ナナリー「だから、色々シナリオを変えていくうちにこういうゲームになりました」
スザク「ナナリー、じゃあ、どうしてゲームの中のナナリーも大量殺人を……」
ナナリー「私も多くの人命を消しましたから」
コーネリア「ナナリー、では、このラストは?」
ナナリー「お兄様がギアスを使い、生き延びようとすれば私が犯人として登場するようになっていました」
C.C.「脈絡もないにもないな」
ナナリー「ええ。ありません。これは私の一生でもありますから」
ルルーシュ「なんだと?」
ナナリー「何もせずただ守られていただけの私が、お兄様を止める為にこの手を血に染めた。それだけを表現できればよかったのです」
ルルーシュ「……」
ナナリー「……」
スザク「とにかく……続きを……」
ルルーシュ『ナナリー……!!』
1 ギアスをかける
2 ギアスをかける
3 ギアスをかける
4 ギアスをかける
スザク「な……?!」
ルルーシュ「ナナリー……」
ナナリー「……」
スザク「ルルーシュ!!どれにするんだ?!」
藤堂「どれでも一緒だろうな」
セシル「なんですか……あれ……怖いです」
ロイド「たまにあるよね。ああいう演出。他に選択肢はないぞ!って感じで」
C.C.「ルルーシュ……」
ナナリー「……どうぞ、お兄様」
ルルーシュ「甘いな、ナナリー」
ナナリー「え……?」
スザク「そんなのないけど……」
ルルーシュ「ある」
1 ギアスをかける
2 ギアスをかける
3 ギアスをかける
4 ギアスをかける
←
スザク「……!!」
藤堂「隠された選択肢か!!」
ナナリー「どうして……」
ルルーシュ「お前の考えることぐらいお見通しだ……」
ルルーシュ『ナナリー……懺悔しよう……すまなかった……俺はお前を騙して生きてきた……俺は卑劣で卑怯だ……』
ルルーシュ『カレン……俺を殺せ』キュィィン
カレン『はい』
『―――END』
スザク「終わった……のか……」
ナナリー「……」
ルルーシュ「藤堂、お前がギャルゲーでもないのに協力したのはこういうわけだったのか」
藤堂「……」
ルルーシュ「全く……作り直しだな」
ナナリー「あの……」
ルルーシュ「こんなものを作ってだれが喜ぶ?バカか?」
ナナリー「ごめんなさい」
C.C.「じゃあ、シナリオの練り直しだな」
ルルーシュ「頼むぞ」
C.C.「任せろ」
スザク「戻ろうか、ナナリー」
ナナリー「はい……」
コーネリア「ルルーシュ。ヴィレッタ妊娠シナリオがまだ残っているし、私のシナリオもあるんだが……」
ルルーシュ「それは作り直したほうに入れてください。もう一周なんてとてもじゃないが、できません」
ミレイ「ルルーシュ……亡くなったあとにこういうゲームだすんだねぇ」
リヴァル「ルルーシュらしいっていうか……なんていうか……」
扇「ルルーシュのゲームか」
千葉「つまり、これゼロの一生を描いたゲームですか?」
藤堂「そういうことになる」
神楽耶「20個ください」
カレン「あたし、30個で」
C.C.「予約特典の特大チーズくんが手に入った」
ゼロ「……」
ナナリー「大盛況ですね」
シュナイゼル「私は18禁のほうで」
天子「私も出てるって」
星刻「よかったですね。私も別バージョンのほうを買いました」
天子「早速やってみないと」
あるのかR18www
『~らぶギアス 伝説のナイトメアの下で(R18版)~』
コーネリア「ふむ……」
コーネリア.『なにかようか?』
1 どこかに行きませんか?
2 美人なので見惚れていました←
コーネリア『何をバカなことを言っている。くだらんな』
ルルーシュ『あ、待ってください。これ、落としましたよ?』
コーネリア『ああ……すまない。ありがとう』
1 やっぱり美人ですね←
2 名前だけでも
コーネリア『だ、黙れと言っている。痴れ者が』
コーネリア「……」
コーネリア「どれくらいやらないとダメなのだ……これは……」
コーネリア「選択肢がやけに多いな……全く……」
C.C.『分かったよ。そこまでいうなら一肌脱いでやろう』
ルルーシュ『何をバカなことを!!』
C.C.『こうされるのが望みだったのだろう?』
ルルーシュ『違うな間違っているぞ!!』
C.C.『そうなのか?』
ルルーシュ『お前に求めていたのは、ただ傍にいろということだけだ』
C.C.「……」
ルルーシュ『俺のために身を挺してなんど傷ついたか覚えているのか?!』
C.C.「さあ……どうだったかな……」
ルルーシュ『お前には感謝している。だから、これ以上何も望まない』
ルルーシュ『ありがとう……C.C.……』
C.C.「ああ……こちらこそ、ありがとう」
C.C.「ふふ……お前のシナリオ、悪くないな』
ルルーシュ『スザク!!それ以上は危険だ!!』
スザク『大丈夫だよ、ルルーシュ』
ルルーシュ『人の話を聞け!!貴様はいつもいつも自己中心的だった!!』
ゼロ「君もだろ……」
ルルーシュ『お前の所為で何度も俺は振り回された!!どうしてお前はそう頑固なんだ!!』
ゼロ「君もだよ」
ルルーシュ『だが、お前がいてくれて助かったこともある。だから、無茶だけはするな』
ルルーシュ『そして……死ぬな』
ゼロ「ああ……死なない」
ゼロ「いや……死ねないな……俺は」
ゼロ「ルルーシュ……Cの世界からみていてくれ。世界が変わるのを」
ルルーシュ『スザク!聞こえているのか!!』
スザク『聞こえてるよ!ルルーシュ!!さ、ズボンを脱いで!!』
ルルーシュ『ちっ……仕方ない……優しくしろよ!!』
ルルーシュ『ナナリー……今まで、本当にすまなかったな』
ルルーシュ『お前にだけは嘘を吐かないと決めていたのに……この様だ』
ナナリー『そんなことはありません!!』
ルルーシュ『ナナリー、俺はもうお前を撫でてやることもできない……だが、これだけは言わせてくれ』
ルルーシュ『俺はお前を愛している』
ナナリー「私もです……お兄様……愛しています……心から……」
ルルーシュ『ナナリー……今まで本当に幸せだった。優しい世界になるように……祈っている……』
ナナリー「さようなら……お兄様……」
ナナリー「……」ピッ
ルルーシュ『俺はお前を愛している』
ナナリー「……」ピッ
ルルーシュ『俺はお前を愛している』
ナナリー「ふふ……」
ルルーシュ『兄上……どうして貴方は兄上なのですか!!』
シュナイゼル『ルルーシュ。私が兄だからなんて関係ないよ』
ルルーシュ『兄上!!』ギュッ
シュナイゼル『ルルーシュ!!』ギュッ
カレン「……」ハァハァ
ルルーシュ『兄上の胸板……素晴らしい……』スリスリ
シュイゼル『ルルーシュの細い足も……ね……』スリスリ
カレン「……」ハァハァ
カレン(C.C.のシナリオ……サイコー……)ハァハァ
神楽耶「あの……ルルーシュ様の各人に宛てたメッセージはお聞きになったのですか?」
カレン「私のルート、バグでいけないから」
神楽耶「……ごめんなさい」
カレン「……」ハァハァ
おしまい。
カレン哀れwwwwwwwwww
カレンwww
おつ
Entry ⇒ 2012.07.31 | Category ⇒ コードギアスSS | Comments (1) | Trackbacks (0)
ディケイド「サザエさんの世界か……」
カツオ「ナカジマ!」
カツオ「行ってきまーす」
サザエ「ちょっとカツオ、宿題終わったの?」
カツオ「あとでやるよ」タタッ!
サザエ「カツオー!」
鳴滝「……あの少年が、この世界の主人公か……」
「行ったぞー! 回れ回れー!」
……。
カツオ「……なあ、ナカジマ」
ナカジマ「? 何だよ、イソノ」
カツオ「僕達、前にもこんな風に野球をしてなかった?」
ナカジマ「へ?」
ナカジマ「そりゃ、野球は毎日のようにやってるし……」
カツオ「そうじゃないんだ」
カツオ「これと全く同じことを、何十年も続けてる気がするんだ……」
ナカジマ「熱でもあるんじゃないのか?」
ナカジマ「イソノの言ってることが僕にはわからないよ」
カツオ「去年も、その前も、ずっと同じことを繰り返してる気がするんだ……」
ナカジマ「……イソノ」
鳴滝「私にはその理由がわかるぞ。カツオ君」
カツオ「! だ、誰!?」
鳴滝「それは、この世界に“ライダー”が紛れ込んだせいだ」
カツオ「ライダー?」
鳴滝「それもこれも、すべてはディケイド……あの悪魔のせいだ」
カツオ「ディケイド……?」
ナカジマ「……」
ユウスケ「なんだ士。小学生みたいな格好だな!」
夏海「今度は何の世界なんでしょう……」
士「さあな。とりあえず、この辺りをブラついてみるか……」
サザエ「ディケイド!」
士「あ?」
サザエ「ディケイド、あんた宿題ちゃんと終わらせたんでしょうねえ」
士「宿題? 何の話だ」
サザエ「そちらはお友達?」
士「お前の知ったことじゃないな」
サザエ「まあ! 姉さんに向かってなんて言葉遣いを!」
夏海「士くん、妹さんの他にお姉さんもいたんですか?」
士「知らねえよ」
サザエ「反抗期にも程があるわー。お父さんに叱ってもらわないとっ!」
士「……」
サザエ「ちょっと、いらっしゃい!」
士「……何だかよくわからないが、行ってみるか。それでこの世界のことが分かるならな」
ユウスケ「じゃ、じゃあ、俺達は俺達で、この世界を調べてみるよ」
夏海「あとで合流しましょう」
サザエ「ディケイド! 大人をおちょくると怒るわよー!」
士「もう怒ってるじゃねえか。少しは落ち着けよ、大人なら」
サザエ「ムッキー! なんですってー!」
フネ「まあまあ。放っておけば、じきに収まりますよ」
サザエ「でも、母さん!」
フネ「サザエだって反抗期はあったのよ」
サザエ「……それとこれとは」
士(どうやら俺は……この家族の子供としての役割を与えられてしまったようだな)
ユウスケ「ふーん。なんだか、平和そうな町だなー」
夏海「特に事件が起こってるようなそぶりも、ありませんね……」
カツオ「あ、イササカ先生。こんにちはー」
イササカ「ん? なんだ君は。私の患者……にしては若過ぎるな」
カツオ「はい?」
イササカ「こんな子供がガイアメモリを持っている筈がないか……」
カツオ「イササカ先生? どうしたんです?」
イササカ「さあ、そこをどいてくれ。私はドーパントの能力の研究で忙しいんだ」
ユウスケ「なんだあの人?」
夏海「さあ……」
フネ「お帰りなさい」
サザエ「お父さんお帰りなさーい。ちょっと聞いてよ、ディケイドったら酷いのよー」
ナミヘイ「なんだなんだ。またイタズラでもしたのか」
士(一家の大黒柱のお帰りらしいな)
士(家族、か……。俺には無かったな、そういうの……)
ドスドスドス、バン!
士「! 何だ!?」
ナミヘイ「ディケイドっ! ちょっとわしの部屋に来なさいっ!」
ナミヘイ「そんなことは分かっておる。ちょっとそこに座りなさい」
士「あのサザエとかいう女が、何か言ったのか?」
ナミヘイ「そのこともだが。それより」
ナミヘイ「見ろっ。わしが大事に床の間に飾っておいた、全自動卵割り機がないっ!」
士「は?」
ナミヘイ「どうせお前の仕業だろう。どこに隠したんだ、言いなさい」
士「俺が知るかよ。そんなもの」
ナミヘイ「いい加減にせんか、ディケイド!」
ガミガミガミ……
サザエ「ちょっとディケイド! あんた、こんな時間にどこ行く気?」
士「散歩だよ。散歩」
サザエ「んもう!」
ツカツカ……
士「……しかし、何なんだ、この世界は……。一体俺は何をすればいいんだ」
海東「やあ、士。災難だったね」
士「海東! 相変わらず神出鬼没だな」
海東「あの家のお宝、全自動卵割り機。あれは僕が頂いておいた」
士「お前っ! お前のせいで俺は二時間もお説教を食らったんだぞ!」
海東「あはは。これはなかなかのお宝だよ、士。君も使ってみるかい?」
士「誰が使うか、そんなバカバカしいもの」
海東「ああ。この世界ではなかなか面白いことが起こっているよ。タダで教えてやる気はないけどね」
士「……ふん」
海東「僕の代わりに親父さんから叱られてくれたお礼に、一つヒントは与えておこう」
士「ヒントだと?」
海東「この世界で起こっていることは、一つじゃない」
士「一つじゃ、ない……」
海東「それじゃあね、士。家族団欒を楽しんでくれたまえ」
士「お、おい!」
士「チッ。相変わらずだな、海東の奴……」
夏海「士くん!」
士「お前ら。この世界について何かわかったのか?」
ユウスケ「いや、それが……」
夏海「特に何の変哲もない世界ですよ。どれだけ見ても」
夏海「この世界で、士くんのやるべき事はあるんでしょうか……」
士「さあな。ないならないで、たまにはラクができていい」
士「そろそろ家に戻ってみるか。お前らも来てみるか?」
バンバン!
サザエ「何言ってるのあなた? 悪ふざけもいい加減にしてちょうだい!」
カツオ「ひどいよー、姉さーん!」
士「……何だ?」
ユウスケ「あ、あの子、さっきの」
夏海「どうしたんでしょうか……」
カツオ「お仕置きでもあんまりじゃないか、こんなの!」
士「おい」
サザエ「あ、ディケイド!」
士「どうしたんだ。何だ、このガキは」
サザエ「知らないわよ。自分がこの家の子供だって言い張って聞かないのよ」
士「ああ」
夏海「この家の本当の子供、でしょうか……」
士「入れてやったらどうだ。多分こいつの方が本物だぜ」
サザエ「何バカなこと言ってるの!」
カツオ「ひどいよ姉さん、誰なんだよこいつら!」
士「……」
士「姉さんとやら。俺はもうしばらく、こいつと一緒に散歩してくる」
サザエ「えっ?」
士「ほら。来いよ、坊主」
カツオ「えっ」
サザエ「もう! ディケイドったら!」
カツオ「そんなの僕が聞きたいよ! 一体どうしてこんなことに……」
カツオ「……いや、ひょっとして」
カツオ「ひょっとして、あれか……?」
夏海「何か心当たりがあるの?」
カツオ「で、でも、そんなこと……そんなこと本当にあるわけ……」
ユウスケ「何があったのか話してみてくれよ」
カツオ「……僕は」
キィン……キィン……
ユウスケ「! この音は?」
士「ミラーモンスターの接近音、か?」
士「! 現れたな!」
カツオ「う、うわあっ! 何だあれ!?」
夏海「大丈夫、安心して。士くんはライダーだから!」
カツオ「ら、ライダー!?」
士「変身!」
【カメンライド――ディケーイ!】
ディケイド「行くぜ!」
シャキィン!
ガキィン!
ガルドサンダ―「グオオォッ!」
カツオ「ライダー、ライダーって……やっぱりあいつが!」
ユウスケ「何か知ってるのか?」
カツオ「あいつのせいで、僕はこんなことに!」
夏海「士くんのせい……?」
カツオ「僕は……ずっと、変な感じがしてたんだ」
カツオ「同じ時間を何度も繰り返してるような。ずっと同じことを繰り返してるような」
ユウスケ「そんなバカな……」
カツオ「そのバカなことから抜け出したくて。もう、繰り返しをやめたくてたまらなかったんだ!」
ディケイド「はっ!」
ガキィンッ!
ガルドサンダー「ギャオッ!」
カツオ「だけど……いくらそう願ったからって、まさか僕が……」
カツオ「僕が、僕じゃなくなっちゃうなんて……!」
夏海「カツオ君……」
ユウスケ「で、でも、士が役目を終えて、この世界から帰れば! そうすればまた――」
鳴滝「それはできんよ」
夏海「! 鳴滝さん!」
ユウスケ「無限ループ、だって?」
鳴滝「何者かがこの世界の時空を歪めてしまっている。だが、それはむしろ好都合だな」
鳴滝「この世界に来たが最後、ディケイドは二度と抜け出すことができない!」
カツオ「ぼ、僕はどうなるんだよ!」
鳴滝「君の不幸はディケイドのせいだ。呪うならディケイドを呪うがいい」
カツオ「僕は戻れないの!?」
夏海「鳴滝さん、あんまりです! 何か元に戻す方法はないんですか!?」
鳴滝「無駄だよ。ディケイドはここで滅びる……はははははっ!」
ユウスケ「……居なくなった……」
ディケイド「ハッ! はあぁぁ……」
ドラグレッダー「ギャオオ!」
ガルドサンダ―「!」
ディケイド「ダアァァァッ!!」
ドガーン!!
士「……ま、こんなもんか」
夏海「士くん!」
士「なんだ夏ミカン、切羽詰まった顔で」
夏海「早く、この世界の異変を止めないと……カツオ君が、あまりに可哀想です!」
士「……ああ。まあ、そうだな」
カツオ「一つじゃない?」
士「お前、感じてたんだろ? この世界の時間がループを繰り返してると」
カツオ「う、うん……」
士「俺とこいつが入れ替わったことが一つ。だが、もっと肝心なのは、そのループのことだ」
ユウスケ「だとしたら、それは……士が来る前から起きてたんだろ?」
夏海「一体誰が、何のためにそんなことを……」
士「今はわからない。……詳しいことはまた明日だな」
カツオ「えっ?」
士「ガキが起きてていい時間じゃないだろ。……夏ミカン、こいつは写真館に泊めてやってくれ」
ユウスケ「士はどうするんだ?」
士「俺はあの家に帰るさ。暖かい布団、ってやつを堪能するのも悪くない」
カツオ「あれ? ここって三河屋さんじゃ……」
栄次郎「やあ、お帰り、夏海にユウスケ君。そっちの子供は?」
ユウスケ「今夜は泊めてあげてくれないかな」
栄次郎「そりゃ、全然構わないけどね。今日は大変だったんだよ、ここにお酒を買いに来る人がたくさん……」
カツオ「……僕、戻れるのかな」
夏海「大丈夫だって。士くんに任せておけば、きっとどうにかなりますよ」
カツオ「本当に?」
夏海「士くんは今までも、色んな世界を救ってきたんだから」
カツオ「……」
ナカジマ「ディケイドー! 野球しようぜ!」
士「野球?」
士(可能な限り、この世界の出来事に合わせてみるか……)
士「いいぜ。人数は多いほうが楽しいだろ、俺がおまけを連れてきてやる」
ナカジマ「? ディケイド、珍しいこと言うんだな」
~光写真館~
士「おーい、お前ら。出てこいよ、野球をやるぞ」
ユウスケ「野球? こんな朝っぱらから……」
夏海「私もやるんですか?」
カツオ「野球は好きだけど、こんな時に遊んでる場合じゃ――」
カツオ「! な、ナカジマ!」
ナカジマ「?」
カツオ「ナカジマは僕を覚えてるだろ!? 僕がわかるよな、な!?」
ナカジマ「ディケイド、この子誰……?」
士「あ、ああ。俺の友達だ。お前も友達になってやったらどうだ」
ナカジマ「ふうん。僕を知ってるなんて、変なやつ」
カツオ「そ、そんな……ナカジマまで……」
夏海「カツオくん……」
ユウスケ「すげーな士、またホームランだ!」
士「まあな。俺にかかればこんなもの」
ナカジマ「……」
士「おい、どうした。俺にかっこよくホームランを打たれて落ち込んでるのか」
ナカジマ「……何か、違う気がする」
士「あ? 何が違うんだよ」
ナカジマ「わからないよ。だけど……何か、引っかかるんだ」
ナカジマ「ディケイド。僕は君と……ずっと、こんな風に野球をしてた筈なんだよね!?」
カツオ「な、ナカジマ! 違うんだ、君の友達は、本当は僕――」
ナカジマ「なんなんだ……この違和感は……!」
ユウスケ「! ま、まただ!」
士「しつこいモンスターだな。下がってろ、お前ら」
ガルドミラージュ「グオオォ!」
ガルドストーム「ギャオオ!」
ナカジマ「う、うわぁっ!?」
カツオ「ま、また化け物が!」
士「変身!」
【カメンライド――ディケーイ!】
ユウスケ「夏海ちゃん、みんな、こっちへ!」
シュバァッ!
ガルド「グオオ!」
ナカジマ「あ……そ、そうだ、僕は……」
カツオ「ナカジマ、どうしたんだ!?」
ナカジマ「! イ、イソノ! そうだ、君はイソノだ!」
カツオ「! お、思い出してくれたのか!?」
夏海「ナカジマ君、カツオ君のことがわかるんですか?」
ナカジマ「どうして……どうして僕は、分からなくなっていたんだ……!?」
ユウスケ「な、何にしても、記憶が戻ったならよかった!」
カツオ「わかるんだな!? ナカジマ、僕がわかるんだな!?」
カツオ「それは――」
夏海「士くんが、カツオ君の役割を演じることになっちゃったからですよ」
ユウスケ「で、でも、君の記憶が戻ったってことは、他の人達も――」
ナカジマ「そうか……あのライダーが来たから、全てが狂ってしまったんだ……」
カツオ「? ナカジマ?」
ナカジマ「また、巻き戻さなきゃ……」
カツオ「!?」
ナカジマ「これを使って……また……」
夏海「そ、それって、ミラーライダーのカードデッキ――」
ユウスケ「ナ、ナカジマ君、それをどこで!?」
カツオ「そうだよナカジマ! また巻き戻すって、どういう意味だよ!」
しゅぃぃぃいん!
アポロガイスト「それは、我々が与えたのだ」
ディケイド「お前、大ショッカーの!」
アポロガイスト「また会ったなディケイド。だが、この世界が貴様の見納めとなろう」
ディケイド「大ショッカーが手を引いてやがったのか。何のつもりだ!」
アポロガイスト「おいおい、人聞きが悪いな。我々はその少年の望みを叶えてやっただけだぞ」
ディケイド「何……?」
カツオ「ナカジマ!」
ナカジマ「最初は、日曜日が終わらなければいいって願っただけだった。月曜日なんて来なきゃいいって。
そしたら、大ショッカーの怪人が現れて……これを使って時間を巻き戻せ、って」
ナカジマ「知ってる? このタイムベントのカード。これを使えば時間が巻き戻せるんだよ」
ディケイド「お前……」
ナカジマ「これを使って日曜日を繰り返している内に、気付いたんだ……
僕が生きてるこの時間、全部……全部繰り返せばいいんだって!」
アポロガイスト「そうだ。その少年の願いで、この世界はループを続けていたのだ」
ナカジマ「君と野球がしたかったからだよ、イソノ……。決まってるだろ?」
ナカジマ「中学生になって、高校生になって……大人になったら……
こんなふうに、毎日楽しく野球で遊ぶなんて、できなくなるんだ」
ディケイド「そのために、子供の時間をいつまでも繰り返そうとしたってわけか」
アポロガイスト「素晴らしいだろう! この世界での実験は、実に上手く行った!」
アポロガイスト「感謝しているよ、ナカジマ君。君のおかげで、この世界はディケイドを幽閉する牢獄となった」
アポロガイスト「だが、ここで再び時間を巻き戻されては迷惑だ。デッキは返してもらうぞ」
ナカジマ「!」
アポロガイスト「それでいいのだ。我々の目的は、最初からそれだったのだから」
ナカジマ「そんな!」
アポロガイスト「と、いうことだ、ディケイド。お前は繰り返される時間の中で、役割を演じ続けるのだ」
ディケイド「ふん。ごめんだな」
カツオ「ずるいよ、ナカジマ。そんな……時間を繰り返して、楽しい時だけを送りたいだなんて」
ナカジマ「イ、イソノ!? 何を言うんだ!? 君だってその方が――」
カツオ「月曜日からの辛い一週間があるからこそ、日曜日って楽しいんじゃないのかな……?」
ディケイド「ま、そういうことだな」
ディケイド「よく聞けお前ら。楽しい時間を繰り返したいなんて、大人になりきれてない証拠なんだ!」
アポロガイスト「なに?」
ナカジマ「……!」
ディケイド「確かに人は、今の時間が永遠に続けばいいと思うこともある。次の日が来なければいいのにと願うこともある」
ディケイド「だが本当は、辛い時間と楽しい時間が交互に続くからこそ、人は楽しく生きていけるんだ!」
ナカジマ「!」
カツオ「ディケイド……!」
ディケイド「そうして紡がれていく日々のことを……俺達は、日常、と呼ぶんじゃないのか!」
アポロガイスト「貴様……生意気に語らいおって! 一体何様のつもりだ!?」
ディケイド「通りすがりの仮面ライダーだ。覚えておけ!」
アポロガイスト「クッ……やれっ!」
ガルドミラージュ・ガルドストーム「グオオォッ!」
【ファイナルカメンライド――ディケーイ!】
ディケイド「はあぁっ!」
ガキィンッ!
カツオ「ナカジマ。もう、やめてくれないか。時間を戻すのは」
ナカジマ「……僕は」
バッ!
ナカジマ「!?」
海東「そうだよ、少年。このお宝は、君が持つには荷が重すぎる」
ナカジマ「か、カードデッキを!」
バキュンッ!
パリーン!
ナカジマ「ああっ、デッキが!」
海東「……」
ゴルトフェニックス「キュオオォォッ!!」
海東「士あー。敵が増えたよー」
ディケイド「ああ?」
ガルドミラージュ・ガルドストーム「ギャオオ!」
【リュウキ! カメンライド――サバイブ】
【ファイナルアタックライド――リュリュリュリュウキ!】
ディケイド「せやあっ!!」
バシュッ!ズバァッ!
ガルドミラージュ「グオォォッ!」
ガルドストーム「ギャアアァッ!」
ドカーン!!
ディケイド「……後はあれか」
ゴルトフェニックス「キュオォォォォ!!」
カツオ「えっ!?」
【ファイナルフォームライド――カカカカツオ!】
ディケイド「ちょっとくすぐったいぞ。我慢しろよ」
カツオ「な、何だよ!?」
にょいーん
ガシッ!
ディケイド「よぉし……」
ブンブンッ
ナカジマ「! イソノが――」
夏海「野球のバットに……!」
【ファイナルアタックライド――カカカカツオ!】
ゴルトフェニックス「キュオオォォッ!」
ディケイド「ハアァッ!」
カキ――ン!!
ディケイド「命中っ……」
サザエ「カツオ! あんた、どこ行ってたの!」
カツオ「姉さん! 姉さあーん!」
サザエ「ちょっ、ちょっと、何よ!?」
士「これで、この世界も元通り……か」
ナカジマ「……ディケイド」
士「ん」
ナカジマ「ごめん、僕は……どうかしていたんだ。あんなことを」
士「いいんじゃねえか。少しは大人になっただろ。お前も……あいつもな」
海東「あの“全自動卵割り機”だけどね。実際使ってみたら、あんなもの何の役にも立たなかった」
士「そりゃそうだろ。普通に手で割った方が早い」
海東「この世界にもお宝は無かったってことか……いや」
ナミヘイ「カツオ! こっちへきて座りなさい!」
ガミガミ……
カツオ「お父さーん、ごめんなさいー!」
海東「ああいう平凡な日々が。案外、お宝なのかもしれないな」
士「……ふん」
ユウスケ「行こうぜ、士」
夏海「次の世界が待ってますよ」
士「……ああ」
(おしまい)
「俺の役目は……フロシャイムの戦闘員?」
「俺の勝てねえ敵がいるなんて。もう……ヒーローはやめだ」
「ただのご当地ヒーローなど、我が大ショッカーの敵ではないわ!」
「レッドさん! こんなことで落ち込むなんて、レッドさんらしくないですよっ!」
「立てよ、ヒモ野郎。お前が守らないで、誰がこの街を守るんだ」
次回、『バトルするなら溝ノ口』
――全てを破壊し、全てを繋げ!
サンレッドのレスが一番多かったので、次回はサンレッド編をお送りします。
ディケイド関係は、以下のサイトにも置いていますので、もしよかったら見てみてくださいー。
http://www.geocities.jp/hibikigaiden/
それでは!
サンレッド超楽しみ!
次→ディケイド「サンレッドの世界か……」
Entry ⇒ 2012.07.31 | Category ⇒ 仮面ライダーSS | Comments (0) | Trackbacks (0)
わたし「人類が衰退した今、安価スレなどをやろうと思いまして」
わたし「……おや、これは見たことが無い本ですね。まあ、全ての本を把握しているわけじゃないですけど」
わたし(それにしたって、このキンピカ豪著な装丁であれば見逃すはずもありません)
わたし「なになに……安価? あんかってなんでしょう」
わたし「ええと。安価に従えば幸いが訪れる? なるほど、胡散臭い」
わたし「でもまあ、とりあえずはやってみましょうか。何だか、とても懐かしい感じが……する、し?」
わたし(心の中にある、形容し難いもやもやとした感情が、その本を開けというのでした)
>>4
巻き毛「どうしたんですか、お姉さまっ!」
わたし「きゃー」
巻き毛「あ、ごめんなさい。あー、お姉さまの髪の匂い、美味しい……」
わたし「ち、ちょっと。離れて下さいよ」
わたし(この子は巻き毛。巻き毛です)
巻き毛「読書の途中だったんですね。博識なお姉さまにはピッタリの……妖精殲滅?」
わたし「はい。どうやらわたし、この本に書かれている事を実践すれば幸せになれるようです」
巻き毛「し、幸せー!?」
わたし(巻き毛の表情が、一気になにかをたくらむそれに変わったのを、わたしは見逃しませんでした)
わたし「そういえばそうですね。もう話題作り程度の意味しか持たないようになってますけど」
巻き毛「でもでもっ、お姉さまとわたしの幸せのためには見つける必要があるのではないでしょうか?」
わたし「はい……はい? 今なんと? 都合良く聞こえませんでした」
巻き毛「きゃっ。お姉さま、わたし……いつでもいいですよ?」
わたし「では早速、妖精というのを捜しにいきましょう。そしてデストロイです」
巻き毛「はいっ、お姉さまっ!」
わたし「何処に探しにいきましょうかねー」
>>14
わたし「え?」
巻き毛「ほ、保健室に……保健室に妖精はいるんですよね、お姉さまっ!」
わたし「え……そうなんですか?」
巻き毛「ってこの本に書かれています」
わたし「それはそうですけど、あんな場所に妖精なんてメルヘンな生き物が居るのかどうか……」
巻き毛「居ても居なくても、いいんじゃないでしょうか。わたしとお姉さまが一緒なら……」
わたし「はあ」
巻き毛「でも……わたし、あまり皆様に認知されていないきゃらくたーでして、オリジナリティ溢れるものになっていないかが心配で……」
わたし「はあ」
巻き毛「お姉さま、血は繋がっていないけれど、血を繋げることはできますか?」
わたし(何を言っているんでしょうか、この子は。なんだか最近、とても支離滅裂な感じです)
巻き毛「えいぞー化に伴い、原作れいぷでわたしとお姉さまが実の姉妹だということにしませんか?」
わたし「はあ」
巻き毛「先生は居ないみたいですよ、お姉さま。好都合ですねっ」
わたし「そうですね。じゃあもう、ぱぱっと済ませちゃいましょう」
わたし(多分、ここに妖精は居ないでしょうし……)
巻き毛「……お姉さまっ!」
わたし「うわっ。な、何で急に抱きついてくるんですかー!」
巻き毛「同室なのだから、いつでもお求め下さればよろしいのにっ。わたし、じっくりしたいです!」
わたし「何を言っているのかちんぷんかんぷん……」
わたし(ちんぷんかんぷんって、なにが語源なんでしょうね?)
わたし「とにかくここから探してみましょう」
>>24
わたし「……」
巻き毛「……」
わたし「こ、これって……」
巻き毛「ですとろーーーーーーーーいっ!」
妖精さん「ぴーーーーーーーーーーーーーーっ!!」
わたし(おそらくは妖精さん。巻き毛の暴動に困惑して逃げ出そうとしますが、巻き毛が先手を打って退路を封じていきます)
わたし「ち、ちょっとー」
巻き毛「お姉さまとわたしのためにっ! しんでくださいです! 妖精の死肉の上に極上の純愛を築き上げるんです!」
わたし「それ、純愛っていえないんじゃ……?」
妖精さん「おたすけー!」「そうまとうながるる」「あれ、ぼくらなにもおもいでなしです!?」「ぴーーっ!!」
わたし「地獄絵図……」
わたし「きちんと状況説明をしましょうね」
巻き毛「たくさんいたんですが、一匹しか捕まえられませんでした……」
わたし「これが妖精ですか。ちょっと可愛い」
妖精さん「ああ、ぼくはもうしぬ。うんめーはひつじょうで、じゅうだんはすいよせられるようにのうてんつらぬくです……」
巻き毛「どうします、お姉さま?」
わたし「どうって……当初の目的通り、殲滅するしかないのでは?」
妖精さん「ごかんべんをー。なんでもしますゆえ、おいのちだけはおたすけをーおだいかんさまー」
巻き毛「なんでも……?」
わたし(巻き毛の表情が、一気になにかをたくらむ以下略)
巻き毛「>>32とかもできちゃったり!」
わたし(安価を都合よく解釈する子がここにいました……)
妖精さん「できぬことはないです?」
わたし「い、いや。わたしが無理ですから、かの悪友でもなし」
巻き毛「悪友って……銀髪さんですか? お姉さま、まだあんな人と付き合って……うう、わたしがいるのに。ううううっ」
わたし「な、泣かないで」
妖精さん「べっどめいくはかんぺきですゆえ、そくできます」
巻き毛「お姉さま、わたしの瞳は湿りを帯びていますが、心はなんだかカラッカラに乾いています。……濡らしてくださいますか?」
わたし「ちょっとキャラが変わってません……? べつに上手い事言えていませんし」
巻き毛「大丈夫です、お姉さま。わたし、人体についてはみっちりお勉強していますから。……ふふっ」
わたし「最後の笑いがこわいー!」
巻き毛「お姉さま、一体なにを?」
妖精さん「おいそぎでことをなしてくれると、ぼくもたすかるのでは?」
わたし「知りませんよ、そんなこと」
妖精さん「だいほんどおりにすすまぬですか」
わたし「すすまぬです」
妖精さん「あー……ぼくはしぬ」
巻き毛「妖精さん、起きてっ。目を覚ましてっ。まだまだいっぱいしたい事があるでしょう!?」
わたし(それはあなたが思っていることでは?)
わたし「ええと、次のページに書かれている安価は……」
>>42
巻き毛「はぁっ! お姉さま、お清めいたします!」
わたし「わっ」
巻き毛「この肌触り……ああ、芳しい香り。すんすん。お姉さまの匂い……」
わたし「ねえ、あなたってわたしの前では比較的大人しい人懐っこい少女という設定ではありませんでしたか?」
巻き毛「そして実の姉妹」
わたし「違います」
巻き毛「でもでもっ。わたしって知名度が低いし、語り手であるお姉さまが居ないと本性も見せられませんし……キャラクターが弱くて」
わたし「とってもメタ的ですね」
巻き毛「お姉さま……わたし、濡れちゃいます! え……お姉さまのソックスが濡れている……!? え、うそっ。これってお姉さまのあせ!?」
妖精さん「しめってますな」
わたし「……」
わたし「普通は無いと思いますよ。にしても、足元が涼しくなっただけで何も起きませんね」
妖精さん「あんかぶっく、ほうしんきめるだけですからー」
わたし「これ、妖精……妖精さんが作ったもので?」
妖精さん「かもしれぬです」
わたし「かもしれぬって……忘却しやすいんでしょうか、妖精さんって」
巻き毛「何だか不便な生き物ですね」ギュッ
わたし「さり気無く抱きつかないで下さい。暑苦しい」
巻き毛「湿ってる……」
わたし「……暑いですから。夏ですから。冷房が効いているのは娯楽室ぐらいなもんですから」
妖精さん「ならばもっとすずしくすることもかのう」
巻き毛「ぜひ!」
妖精さん「そのためには、>>50をなさねばならぬです」
下
アニメでは最終話付近
巻き毛「わたしはお姉さまの妹にして、最愛の……」
わたし「わたしの学舎時代(五感参照)の同級生だったり下級生だったりする子なのです。>>29の金髪の子です」
巻き毛「お姉さま、あの頃はひどく心を閉ざしていて……」
わたし「くろれきしです」
妖精さん「ひやしまんごー」
わたし「冷やしまんごー?」
巻き毛「まんごーってなんでしょうか、お姉さま。ご存知ですか?」
わたし「聞いた事ありませんね。……あ、いや。何か本で見た記憶があります」
巻き毛「じゃあ一度、図書室に戻ってみましょう!」ギュッ
妖精さん「それがよろしいかと」ギュッ
わたし「あつーい」
巻き毛「まんごーって果物なんですか?」
わたし「記憶違いでなければ」
巻き毛「……記憶違いだったら、容赦しませんよ妖精さん」
妖精さん「がくぶる」
わたし「理不尽です……」
わたし「えーと……。あ、あれです。あの本」
巻き毛「高いですねー」
わたし「この梯子を使えば届かない事もないですよ。元よりそのために梯子はあるんです」
巻き毛「肩車しても届きそうですよ」
わたし「しませんってば」
巻き毛「でも安価本にはこうやれって書いてます……えっと、>>60」
妖精さん「ち、ちっそくしするです」
巻き毛「お姉さまの唇を汚す事は出来ませんっ。ここはわたしにお任せ下さい!」
わたし「無視して梯子を使えばよいのでは?」
巻き毛「地面とチューしなさいっ!」ドゴォォ
妖精さん「むちゅー」
わたし「……」
妖精さん「りのりうむのゆか、はつこいのあじです」
わたし「性的倒錯に目覚めそうな発言ですね」
妖精さん「わるくないかも?」
わたし「ひとそれぞれです」
妖精さん「あー、りのりうむかわいい」
わたし「だめっぽい……」
巻き毛「ふぇぇー! お姉さま、せめてわたしが取ってきますー」
わたし「落ちないように気をつけて下さいね」
巻き毛「……はい」
わたし(木製の梯子を上る巻き毛は、しきりにわたしを見下ろします。狙いを定めているかのように)
巻き毛「これですか?」
わたし「もうちょっと右です」
巻き毛「こ、こう?」
わたし「もっと奥の方です」
巻き毛「んんっ、ま、まだ奥……?」
わたし「あ、そこ」
巻き毛「アンコールっ」
わたし「あ、そこ」
巻き毛「お姉さまぁーっ!」タンッ
一冊の本と共に落ちてきた(堕ちていた)巻き毛は――>>66
わたし「うわっ」
巻き毛「ぶべっ!」
Y「……ふぅ、怪我は無いようだな相棒」
わたし「あなたは……わたしをほうき頭呼ばわりして、いじめてきた銀髪の子」
Y「よせ。あの頃の事は本当に悪いと思っているんだよ。多少」
わたし「ほうき頭なのは、わたしの髪を手入れしてくれるひとがいなかったから……」
Y「や、やめろ」
わたし「今はマシですけど、当時は友達もお母さんもいなかったから……髪、ボサボサで」
Y「お、落ち着くんだ。悪かった! 本当に悪かった!」
巻き毛「お、お姉さまが立っていた場所にキス……ん、ちゅるるるぅ……」
わたし「……」
Y「……」
わたし「それは幸いかと」
Y「それできみたちは何をしてるんだ。こんなところで」
わたし「確か、マンゴーについて調べていたんです」
巻き毛「妖精さんが必要だって……あれ、いない?」
わたし「恥ずかしがり屋さんなんでしょーね」
Y「妖精ってあの妖精か。興味深い」
巻き毛「ち、ちょっとあなた! わたしのお姉さまに近付かないでー」グイグイッ
Y「おわっ。この距離で近付くも何もないだろう!」
巻き毛「近付かないでーっ!」グイグイ
Y「わ、分かった分かった。もう近付かない。ほら、この距離でいいんだろ」
巻き毛「はぁはぁ……」ギュ
わたし「あづーい」
わたし(何やかんやでぐだぐだになってしまった時は、安価本を開くに限ります)
>>72
Y「原因はそこにいるようだが」
巻き毛「フシャーッ!!」
Y「……」
わたし「どんどんオリジナリティ溢れるキャラクターになってゆく……」
ガラッ
わたし「ああ、生き返る涼しさ」
巻き毛「ほんとうに。もう暑くてとろけて、お姉さまと一体化したかったなあ。ねえ?」
わたし「はい、本当に暑くて。……え?」
Y「オリキャラ化は二次創作の弊害が……」
わたし「はい?」
Y「いや、何でもない。なんか未来か過去か、電波を受け取っただけだから」
わたし「はあ」
巻き毛「それじゃあ涼まったところで、なにをしましょうかー?」
>>80
Y「どうした相棒?」
わたし「なんか、暑くて立ちくらみが」
巻き毛「久しぶりにオルガンとか弾いてみますか、お姉さま……あ、あ、あ、あー!」
Y「どす黒い感情がつっぱしってくる! これだから女は!」
わたし「ま、待ってえー(棒読み)」ズルズル
Y「は、離せ! もう相棒解消だ!」
わたし「し、しょうねんたちのあいじょう……」
Y「馬鹿やめろ! 誰かにきかれたらどうする!」
わたし(猛暑。冷暖房が充実している娯楽室は、Yの心配をよそに人でいっぱいなのでした)
Y「い、痛いっ。分かった離れる。離れるから近付くな」
わたし「そんなー、あなたがいなければ、わたしはしんでしまうですー(棒読み)」
巻き毛「お姉さまのこころかえして!」ポカポカッ
Y「私は何も盗っていない!」
わたし「だいじなものだけ、わたしたものね?(棒読み)」
巻き毛「……!? み、みせてっ。それみせてっ。銀髪さん、みせて!」グイグイッ
Y「やめろぉーッ!」
花先輩「微笑ましいわねぇ」
魔女先輩「微笑ましいね。仲良しとは素晴らしい事だね」
花先輩「なんかもう、ぎゅーって感じで、ばばーんって!」
魔女先輩「……ふう、紅茶が美味しい。これでお菓子ちゃんのお菓子がればいいんだけどね」
花先輩「やだ、今はお菓子ちゃんって呼ばなくていいのよ。えっと。あの子の名前は――」
わたし「わっ」
巻き毛「きゃー」
バシャッ
花先輩「あらあら。あらあらあら……」
わたし「花先輩が紅茶まみれに……」
花先輩「ううん。全然気にしてないから安心してねぇ。制服なんて、洗えば済むんだから。それよりも怪我はない?」
魔女先輩「髪が乱れているね……どれ、手入れしてあげよう」
わたし(ひーっ)
わたし(ご存知ない方にご説明している時間もないので、この魔の娯楽室から逃げる事だけを考えましょう!)
わたし「ひらけっ、安価本っ」
わたし(娯楽室から無事に脱出出来る方法とは――>>88)
わたし「花先輩が安価本の魔の力に呑まれていますっ」
魔女先輩「……いったいなにが」
わたし(魔女先輩も困惑気味。同級生がいきなり服を脱いだら、そりゃもう目がテンです)
わたし「花先輩、男子もいますからー!」
花先輩「いけない監督生でごめんなさいねぇ。でも、こんなところも含めてコンゴトモヨロシク……」
巻き毛「めがてん!」
わたし「なんですかその反応」
Y「待て、という事はあと一人脱がねばならないのでは……」
わたし「言っておきますが、わたしなら安価本なんて無視して逃げますよ」
巻き毛「うう、お姉さまと花先輩の抱き合いなんて……抱き合いなんて……」
Y「何があるか分からないからな、このオーパーツは。あまり無視しないほうがいいぞ」
そして、花先輩と抱き合う少女とは
>>105
花先輩「末っ子ちゃん、覚悟は良いわね?」
わたし「意外な標的でした」
Y「ドイツ娘には悪いが、安価は絶対という事だ」
巻き毛「は、花先輩……冗談ですよね? お姉さま、わたし、なにか悪い事したのかなぁ……?」
わたし「存分に」
巻き毛「ふええーっ!」
花先輩「待ちなさい末っ子! 服が脱がしにくいでしょう!」
巻き毛「やめてくださいー」
わたし「ふう。ではわたしは、語り手として事の顛末を見守る責務がありますので」
Y「は?」
わたし「詳細に語らねばなりますまい」
巻き毛「助けてお姉さまー!」
わたし(巻き毛の悲鳴も廊下に空しく響き渡ります。そして、隙を見ては一枚一枚衣服を剥がされてゆき……)
花先輩「ちょっと末っ子! 私と絡み合うのが嫌だというの? それってちょっと傷つくかも……」
巻き毛「ちがうんです花先輩っ。わたしには心に決めたお姉さまがいるんです!」
花先輩「誰よそれ!」
わたし「……どう考えてもわたしです」
Y「はぁ……い、一体いつまで走るんだ、あの二人は」
わたし「リノリウムの床の冷たさが心地良いですよ。あなたも靴とソックスを脱げばよろしいのでは?」
Y「あとで取りに来ないと駄目だろう……手に持つのも邪魔だし」
わたし「そういえばわたしの靴とソックス、一体どこへ……」
巻き毛「大浴場に退避ですー」
花先輩「なるほどねぇ……全裸が正装なのはここしかないわ! 冴えてるぅ、末っ子!」
巻き毛「おうぐっ」
わたし「あ、暑い……なんていう暑さ。どうして湯が張ってあるですか」
Y「そもそも、この学舎に大浴場なんてあったのか」
巻き毛「ち、ちょっと花先輩っ。胸があたってますー」
花先輩「胸を擦り合わせているのよ」
巻き毛「きゃー」
Y「やはり、女性同士はあまり美しく見る事が出来ないな……」
わたし「少年同士の」
Y「や、やめろ! ほうき頭っ!」
花先輩「はぁはぁ……そ、そうだわ。今後はのばら会は裸の交流を是としたお茶会を開きましょう? きっとそれがいいわ」
わたし「誤解無きように言っておきますが、花先輩はこんな変態チックなキャラクターではないのです」
Y「誰に言っているんだ」
わたし「分かりませんけど、なんとなく」
つぎはなにする?
>>122
Y「は?」
わたし「はあ。これぞ文化的生活といったところですねー」
Y「真夏だというのに、人はどうして熱い湯に入りたがるのだろうな。……しかし、これは快適だ」
魔女先輩「水に浮くみんなの髪が綺麗だね」
花先輩「末っ子! 末っ子ちゃん! ほら、私が全部洗ってあげるわ!」
巻き毛「い、いたいっ。いたいです花先輩。さっきからもう色々当たってます!」
わたし「お風呂は静かに入るものですよ。わたし、騒がしいのあまり好きじゃないですし」
巻き毛「いたっ……あ、はいお姉さま。……んんっ、んんーっ! んんんっ」
花先輩「洗いやすくなったわ。ありがとうね、お菓子ちゃん」
わたし「いえいえ」
わたし「ん? 今、誰かの声が聞こえませんでしたか?」
Y「この壁の向こうからのようだ。天上付近だけ壁が無いな……区切りといった感じか」
祖父「おい孫、石鹸を投げてくれと言ってるだろう。おまえは私に不潔なまま帰れというのか」
文化局長「権力者たるもの、常に美しく清潔であらねばならん! 先生の孫ちゃん、急ぎたまえ!」
わたし「……え?」
Y「誰だ、この声は。大人のようだが、聞き覚えがないな」
わたし「わたしは聞き覚えがあるような、ないような……」
魔女先輩「とりあえず、石鹸を投げてみよう」ポイッ
文化局長「いてっ! だ、誰だ! 私の地位を狙う刺客か!?」
祖父「そんなはずはなかろう。すまんな、ちゃんと届いたぞ」
わたし「はあ……なんだか摩訶不思議空間のようで」
巻き毛「つ、つぎのてんかいー! 安価本さん助けてっ>>131」
わたし「どうしたんですか、頭に電球浮いてますよ」
Y「汚らわしい女はマイナスだが、マイナスにマイナスを重ねればプラスになるんじゃないのか……?」
わたし「はい?」
Y「むしろ、ここはそうであると認める事で……」ブツブツ
わたし「よく分かりませんが、そろそろのぼせそうなので上がりますね」
巻き毛「ま、待ってお姉さまっ」ズル
わたし「わっ」
Y「!? あ、危ない!」
花先輩「後輩達ー! 魔女、あなたも助けてあげて!」
魔女先輩「ま、間に合わないかも……!」
「「「「「きゃー」」」」」
身体が熱を帯びているのは、夏の暑さや湯の所為だけではなかった。
私が足を動かすと、誰かが小さく喘ぐ。
私が手を動かすと、誰かが悶えた。
その悶えはさらなる喘ぎと生み出し、気がつけば私達は官能的な宴の主賓となっていたのだった。
「誰かの指が食い込んでるー」
些か暢気な台詞と同時、また喘ぎ声。
湿っぽい音が連続し、あふれる吐息が乙女達の気分を高めてゆく。
いつしか、脱出しようともがいていた筈の行為の意味が摩り替わる。
私達は己の快楽を求め、互いの秘部を擦り合わせ、そして――
Y「はっ」
わたし「――大丈夫ですか? のぼせちゃったんですね」
巻き毛「心配しましたよ、銀髪さん……」
Y「お、乙女の花園は……?」
わたし「は?」
巻き毛「疲れているんじゃないですか、銀髪さん」
Y「そ、そうか……。そうだな」
あんな事、あってはならないのだ。
私が求めるのは少年達の、男達の……
Y「そうだな……」
巻き毛「っていつのまにあなたまで同行してるんですかーっ! お姉さまから離れてーっ」ポカポカッ
Y「そうだな……」
わたし「なんか意識飛んでるみたいですし、二人で妖精さんを捜しにいきましょうか?」
巻き毛「お、お姉さま……はい、わたし、どこまでもついていく所存!」ギュー
わたし「あーあついー」
そうさくばしょしてい、あるいはべつのかのうせい
>>142
巻き毛「角砂糖? 甘い物が好きなんですかね?」
わたし「分かりませんが……試す価値はありそうです」
巻き毛「お手伝いします、お姉さま」
わたし「はいはい、お願いしますよ」
わたし「――とまあ、こんな感じでケーキやらクッキーやら用意したわけですが」
巻き毛「お、美味しそう。お姉さま……」チラッ
わたし「ちょっとだけですよ」
巻き毛「や、やったぁー!」チュー
わたし「ってなんでわたしー!」
巻き毛「ちょっとだけです!」
わたし「いやいや、目の前のお菓子にかぶりつきなさいよ。それが流れってもんでしょうに!」
妖精さん「あーうまい」「ぜっぴんですな」「かんみどころですか?」「おくちのなかがほうせきばこやー」「ほうせきはくえぬですが……?」「もののたとえでは?」
巻き毛「な、なんかたくさんいますね……」
わたし「これを殲滅するのは骨が折れそうです……ていうか、わたしには出来そうにないかもしれません」
巻き毛「可愛いですね、お姉さまよりは可愛くないけど。ねっ?」
わたし「はい、可愛いですね。……え?」
妖精さん「うまうま」「ほおがとろける」「それはだいじけんでは」「ほおとけると、どうなります?」「さいあく、しぬのでは?」「それはやばい」
わたし「実際に頬が溶けるわけじゃないですよ、妖精さん。蕩けるんです」
妖精さん「じゃー、なにがとける?」「このあまさでなにをとかせるのか」「のうとか」「あー!」「わかる!」「あほになるかもしれぬです」「のうとけてきもちいーです」
わたし「……いや、脳みそも溶けません。ていうか何も溶けません。そして何も蕩けないのです」
妖精さん「あたまいーね」「そかー、なにもかもはすでになかったのだ」「ぼくらからっぽですからな」「いきるかちなしです」「そんざいいぎ、からっぽです」
わたし「いやいや……」
巻き毛「物凄いネガティブになってきましたね、お姉さま……」
妖精さん「……ぼくら、くうことしかできぬ」「……くいつぶし」「……にーと」「……おやのすねしか、かじりませぬ」「……それってりょうきてき」「……すてきかも」
わたし「負のオーラが立ち込めてゆく……」
わたし「なんか頭の上に暗雲が立ち込めてますね」
巻き毛「嫌な予感がします……」ギュ
わたし「あつい」
妖精さん「……もうしぬしかないのでは」「……あそんではどうか?」「……くう、ねる、あそぶ」「……たいだそのもの」「……いきるかちなし」
わたし「何かよくない事が起きる気がします……あ、そうだ。こんな時にこそ安価本を開けばよいのでは」
巻き毛「え、えっと……次のページにはこう書いてありますね」
>>152
巻き毛「えっ。お、お姉さま。どうしてそこでわたしを見るんですか……?」
わたし「期待に応えてくれない可愛い金髪巻き毛ちゃん……」
巻き毛「なっ」
わたし「一発芸が出来る子とか、ものすごく可愛くて抱きつきたくなりますよね」
巻き毛「ななっ」
わたし「敬愛するお姉さまの言う事には絶対服従の妹とか、心がたぎります」
巻き毛「やります! いえ、やらせていただきます、お姉さまっ」
わたし「よろしい。とっておきのを披露なさい」
巻き毛「>>157をします!」
巻き毛「ど、どうですかお姉さま。渾身の一発芸です」
わたし「な、なかなか……ふふ、よ、よかったですよ」
巻き毛「感度良好ですね、お姉さま……」ギュ
わたし「あついってば」
妖精さん「…………」
わたし(けれども、人間のハイセンスなギャグは妖精さんには通用しないのでした)
妖精さん「……かえります」
ぴゅー
わたし「あっという間に居なくなってしまった……」
巻き毛「つまり、わたしとお姉さまの為に妖精さんが気遣ってくれたんですねっ」
わたし「たぶん、ちがいます」
巻き毛「誓います? お姉さま、誓ってくれるんですか? わぁい、お姉さまっ好き好きー!」ギュウギュウ
わたし「……」
わたし(言い訳する気力を無くしたわたしは、そっと安価本を開くのでした――>>165)
わたし「お任せします」
巻き毛「お姉さま……?」
わたし「では」
バタン……ガチャガチャガチャ
Y「よ、よせっ。やめろー!」ドンドンッ
巻き毛「お姉さま、あけて!」ドンドンッ
わたし「さてと。とりあえずは妖精さんを捜す為にあちこち練り歩いてみますか」
巻き毛「おね゙え゙さま゙ーっ」ドンドン
わたし「さらばです」
わたし「こうして学舎内を一人で散策していると……昔の事を思い出してしまいます」
わたし「いつも一人で、テキストも泥水だらけにされて、クリケットの練習も一人でして、大会日には玉を真っ直ぐ投げる練習ばかりして……」
わたし「そういえば、Yにほうき頭呼ばわりされた時は辛かったなあ。みんなの前で屈辱と恥辱hに震えて、もう辛くて」
わたし「確か、そんな時に誰かが手を差し向けてくれたというか、誰かを助けたような……?」
わたし「……ていうか、あれ、映像化されるんですか。本当やめてほしいんですが」
妖精さん「つらいですか?」
わたし「まあ、今はそれほど……ちょっと昔を思い出しただけでして」
妖精さん「なにやらしずんだひょうじょうのもよう。たのしいこと、するです?」
わたし「楽しい事?」
妖精さん「>>174、するです」
わたし「なんです、これ?」
妖精さん「さー?」
わたし「食べても平気なんでしょうね」
妖精さん「かみのみぞしるってところでは?」
わたし「わたしに聞かれても困りますよ」
妖精さん「まーおくりものとおもっていただければ」
わたし「そして答えになっていない」
わたし「うーん。何だか不安は残りますが、妖精さんが人間に危険な事はさせないですしねー……ってあれ、なんでわたしこんな事?」
妖精さん「たいへんとそうでないきょうかいせんがあいまいで……」
わたし「信じますよ。信じちゃいますよ。この米菓をぱくんと食べちゃいますよ」
妖精さん「ごじゆーに」
わたし「……じゃあ、いただきます」
わたし(何だか嫌な予感がします。そう、物語の展開を左右するような――そんな重大なターニングポイント!)
米菓を食べたわたしは、
>>185
わたし「なにもおきぬですが」
妖精「既に変化は終わっておりますがな。ひとまず成功と言った次第ですな。多分」
わたし「えー、ようせいさん、なんかおおきくありません?」
妖精「自身が小さくなられたのではありませんか、お嬢さん?」
わたし「なるほどー、だからせかいがひろくみえるわけで?」
妖精「そういう事ですな。まあ、世界が大きくなったのか、自身が小さくなったのかは実際の所、分からないのですがな」
わたし「??」
妖精「難しいので、自分が小さくなったと考えるのが気楽ですな」
わたし「そっかー」
妖精「では、お菓子でも頂きましょう。人間さんが用意したままのお菓子を、冷蔵庫に保管してあるわけです」
わたし「れいぞーこってなに? おかしっておいしい?」
妖精「冷蔵庫とは、ものを冷やす為の機械ですな。お菓子はとても甘美ですぞ」
わたし「じゃー、れいぞうこまでいく」
妖精「それがよいかと」
わたし「あー! あまいー!」
妖精「お気に召したようで」「我々は我慢の子ですな」「嗜好品は生きるのに必要不可欠というわけでもありませんしな」「大人は我慢するものですな」
わたし「わたがしー」
妖精「これは少々危険では?」「食べ方を教えてあげてはいかがかな」「お嬢さん、これはこのように千切って食べると良いですぞ」
わたし「ふわふわで、きらきらで、ほかほかー」
妖精「果たして何人が、ちっちゃな雪使いネタだと気付きますかな?」「妖精絡みですな」「うむ。あれは良いものですな」
祖父「とうとう四日目か。ここまで寝込むなど、尋常ではないぞ」
助手「……」
Y「くそっ。私は友人の一人も救えないのか……」
祖父「謎の奇病、か? わからん。私はもう少し資料を漁ってくる。君は孫の様子を見ていてくれるか?」
Y「お任せ下さい博士。……私も何か考えて見ます」
助手「……」
Y「きみの言いたい事を私が理解出来ればな……ああ、それにしても幸せそうな寝顔だ。だが、このまま眠り姫のままではいさせないぞ」
助手「……」
わたし「ようせいさんは、かみさまで……す」
Y「……ん? 何か毛布の下に入っているな。これは、本か? どこかで見たような装丁だが、どれ……」
安価本が未来を示す
>>202
助手「……」
Y「ん、どうした少年。なに、この絵本を読んでくれ?」
しらゆきひめ
Y「そ、そうか! この絵本の中に彼女を救う手立てがあるというのだな! 分かった、読もうじゃないか!」
「せかいでいちばんうつくしいのはだれ?」
「かがみみていえよ。しらゆきひめにきまってんだろ?」
おうひはぶちぎれ、しらゆきひめのかんぞうをとってこいとりょうしにめいじました。
しかし、しらゆきひめはごつごーしゅぎでいきのこり、こまったりょうしはじぶんのかんぞうをとりだし、おうひにてわたししました。
おうひは、あきらかにちがうとおもってましたが、ひっしのぎょうそうのりょうしにもんくをいうこともできず、なまでかんぞうをいただきました。
すうしゅうかんご。
「せかいでいちばんうつくしいのはだれや?」
「ぎゃくにきくけど、しらゆきひめいがいにだれがおると?」
おうひはがまんならず、みずからがぐんをひきいてしらゆきひめをころすけいかくをおもいつきました。
しかし、しらゆきひめのもとには、がーどがそんざいします。
がーどたちは、しらゆきひめのぐんぜいにたいしてかかんにこうげきをしかけましたが、そこはまあかずのさ。
もりをぬけ、こうだいなへいげんをぬけ、さむすぎるゆきやままでてったいしました。
「がーどはとおす。しらゆきひめもとおす。でも、きまりはとおさない」
しかたがないので、しらゆきひめいっこうはキマリをぎせいにやまをすどおりしました。
そこでおんやまげきど。
なんのいんがか、とてもどくどくしくでかいばけものが、しらゆきひめいっこうのまえにあらわれたのです。
「なんかみおぼえある!」
でもよくおぼえていませんでした。
しらゆきひめいっこうはぶじにばけものをたおし、やまをくだり、はじまりのちにとうちゃくしたのでした。
そのごいろいろあります。おわり。
Y「……き、気になる!」
助手「……」
Y「作者憔悴につき、連載不可能……? まあ、我が友がこの有様ではな……」
Y「しかし分かったぞ。つまりこうやれば彼女は眠り姫ではなくなるのさ!」
こうすればよかったのさ!
>>217
マジキチ
助手「!?」
Y「た、助けて……ぐふ、助けてやるからな……ごば、わ、私が……げほっげほ、たすけてやる」
ブチブチブチブチッ!!
助手「……! ……!?」
Y「す、すまんな少年。わたしには、こうするしか思いつかなかった……まあ、いいさ。私が彼女に対して出来る……がは、唯一の、罪滅ぼしだ」グチュ
Y「傷をもっとひらかねば……手で、両手で傷口に手を突っ込み……はぁ、はぁ、はぁ、はぁ」
助手「……! ……!!」
Y「う、ぐ、おおおおおおおおおおおおぉぉぉぉぉぉぉぉおおおおおおぉぉぉぉおおおおおおッ!!」
助手「……!!! ……!」ガシッ
Y「は、離せ。離すんだ少年……まだ、取れていない! まだ取れていないんだよ、私のレバーは!」
助手「……!」
Y「がっは……卯がウアgはおああああ#$%$#$%$$$%$#”$$#$!!」
ズルンッ
Y「はぁはぁ、まとめて取れたな……ひぃ、これで救ってやれる。そら、食え」
わたし「おかし、あまー……ぐぼっ。うぇ、ちなまぐさい……」
Y「…………」バタ
助手「……!」
助手さん、この場を凌ぐにはこれを使うしかないと、安価本を手に取ります。
わたし「おえっ、おえ……ようせ……たすけて、ぅぷ」
助手「――!!」
>>232
助手「……;;」
祖父「だ、大丈夫か!? 今物凄い悲鳴が聞こえたが……うおっ」
助手「……;;」
祖父「な、これは……どういう事だ。どうしてこんなシリアスな展開に……?」
助手「……;;」
祖父「分かっている。おまえは悪くない。まさか……私の孫がゾンビの如く、同級生の腸を食いちぎるとはな……」
助手「……!?」
祖父「バイオハザードだ。すぐさま、クスノキの里にバイオハザードが発生したと伝える。国連の連中にも来てもらおうじゃないか」
助手「……!?」
わたし「うー……うぇっ。おえ、げほっげほげほっ! な、何事ですかこれ?」
わたし「……頭がガンガンするし、涙は止まらないし、口の中が鉄の味だし……もう、最悪な目覚めですよー」
Y「…………」
わたし「あれ、あなた……え、え、あ、あれ」
わたし「あ、わ、わたし……わたしが、やったの?」
わたし(見渡してみても、この部屋にわたし以外誰もいないのでした)
わたし「……これ、安価本? どうして夢の中で見た物が現実世界に……? で、でもこれさえあれば……結果は変えられるのでは?」
わたし「世界線を飛ぶ勢いで、運命を変えられるのでは……? 無かった事に出来るのでは?」
わたし(試さない以外の手は無いのでした)
>>240
がーどたちは、しらゆきひめのぐんぜいにたいしてかかんにこうげきをしかけましたが、そこはまあかずのさ。
もりをぬけ、こうだいなへいげんをぬけ、さむすぎるゆきやままでてったいしました。
「がーどはとおす。しらゆきひめもとおす。でも、きまりはとおさない」
しかたがないので、しらゆきひめいっこうはキマリをぎせいにやまをすどおりしました。
そこでおんやまげきど。
なんのいんがか、とてもどくどくしくでかいばけものが、しらゆきひめいっこうのまえにあらわれたのです。
「なんかみおぼえある!」
でもよくおぼえていませんでした。
しらゆきひめいっこうはぶじにばけものをたおし、やまをくだり、はじまりのちにとうちゃくしたのでした。
そのごいろいろあります。おわり。
Y「……き、気になる!」
助手「……」
Y「作者憔悴につき、連載不可能……? まあ、我が友がこの有様ではな……」
Y「しかし分かったぞ。つまりこうやれば彼女は眠り姫ではなくなるのさ!」
こうすればよかったのさ!
>>251
助手「!」
Y「やってくれるな、少年……?」
助手「……」
Y「私がしてもいいんだぞ」
助手「……!」ポカポカッ
Y「い、いたっ。やめろ少年……ってあれ、何だか懐かしい気分に」
助手「……?」
Y「ああ、あれは学舎時代の思い出だったか」
わたし「おかしー……」
Y「あの日、末っ子と同じ部屋に閉じ込められて、随分酷い目にあったからな。そりゃもう全身をポカポカと殴られて……」
Y(はっ! ……そうだ、末っ子の愛が込められたキスなら、眠り姫も目を覚ますのでは……!?)
Y「いや、無理か。こんなご時勢だ。旧知の友と再会出来る可能性なんて、ほぼゼロだしな……。私は運が良かっただけだ」
わたしの目を覚ます人、それは
>>260
Y「誰だよ……」
おれ「おれは彼女を救う為、未来からやってきた」
助手「……」
Y「胡散臭い、な。今なら少年の言葉も理解出来る」
おれ「きゅうりにミソがついてる……」
Y「は?」
おれ「きゅうりにミソがついてるー!」
Y「や、やめろはなれろ!」
助手「!!」ドカッ
おれ「うおっ」チュ
わたし「うぐっ」
わたし「このままずっと、おかしのなかでいきていけたらしあわせです」
妖精「しかしながら、お菓子とは無限に生み出されるものではないのですな、残念ながら」
わたし「いつかなくなる……?」
妖精「さよう。供給するものが居なければ、いつかは無くなってしまうのですな」
わたし「やだぁ……」
妖精「我ら妖精にはお菓子は作れませんからな。なんかこう、適当にしてしまうのですな」
わたし「おかし、たべたいのに……なんで、つくれない?」
妖精「我々には無理というだけで、お嬢さんに無理といった覚えはありませんな」
わたし「え?」
妖精「そろそろ、我々の舌も甘い物を求めているようで……ははは、少々子供っぽいですかな?」
わたし「お菓子、つくれば……」
妖精さん「おかしー」「あまいものは、せかいすくう?」「そのあまさがいのちとりでは」「まさにそのとおり」
わたし「……おえっ。なんか、口の中に下水のような唾液が浸入してきました……おええっ」
Y「め、目覚めた!」
わたし「おえっおええっ。な、なにこれっ……苦い、わたし、口の中に排便されました? もしかしてわたし、便器のように使われてしまったんですか……!?」
Y「いや。そういう目覚めは希望していない。むしろ私が困る……」
わたし「ぺっぺっ。こ、この世全ての悪臭を詰め込んだナニカ……うえっ」
助手「……!」ギュ
わたし「わっ、どうしたんですか助手さん。あ、暑いですってば。もう、珍しく泣いちゃってどうしたんです?」
Y「……まあ、そういう事もあるさ」
Y「しかし、この本は害悪だな。これ以上放置しておけば、なにやらまた良くない事が起きる気がする」
わたし「その本は……何か、見覚えありますねえ。学舎時代に遊んだ記憶があります」ペラッ
Y「ばっ、おまっ!」
捲ったページの先に書かれていたのは?
>>270
Y「よく分からんな」
わたし「オチをつけるはずが、見事に外した気分です」
Y「ふむ。まあ、私は君が助かったという事で一安心だ。私は博士に知らせてくるから、もう少し休んでいるといいだろう」
わたし「はあ」
助手「……;;」
わたし「あはは、助手さんどうしたんです? もう声にもならぬ声ですよ。らしくないー」
わたし「ああ、暑い……。そんなにくっつかれると燃えそうです」
助手「……;;」
わたし「もう、一体どうしたんですか? わたしは何も変わってませんよー」
わたし「助手さんも行きましょう? ほらほら立って。男の子が泣いていると見っとも無いですよ」
助手「……(頷く)」
わたし「……顔、洗ってからいきましょうね。わたしも、助手さんも目元が真っ赤です」
そうしてわたし達が部屋を去った後、残された安価本のページが風で捲れていきます。
無限に思えたページはあっという間に最後の一枚になり、そこにはこう書かれていたのです。
>>278
なんかいい終わり方だな
そのけんについては、まえむきにけんとうします
まーつぎは、あんかすれではないかもですが?
もっとじんたいえすえすふえるべきでは?
あーもう
かんがえるだるいです
ちしきいらぬです
さらばです
Entry ⇒ 2012.07.31 | Category ⇒ 版権物SS | Comments (2) | Trackbacks (0)
P「エロ本の顔のところが全部川島さんになってる……」
P「……本棚のも、ベッドの下のも、押し入れに隠しておいたのも……」
P「……全部、顔が川島さんになってる……」
P「……部屋が荒らされた痕跡は無いが、一体だれがこんなことを……」
P「……」
P「とりあえず、今日はPC内の画像でやろう」
川島さん
P「おはようございます。今日も一日頑張りましょう!」
留美「おはよう……その調子だと、昨日もまた徹夜をしたみたいね?」
P「ええまぁ、恥ずかしながら仕事が片付かずに……」
留美「もう、私たちのために頑張ってくれてるのは嬉しいけれど……社会人なら、自分のコントロールもきちんと出来なきゃダメよ?」
P「はぁ……面目ないです」
留美「あなたが望むなら、私が毎朝起こしに行ってもいいけど……どうかしら?」
P「いえ、そこまでは。それに、今が旬で頑張ってる和久井さんに迷惑なんてかけられませんよ」
留美「……迷惑なんかじゃないんだけど。そう……」
和久井さん
P「わかってますよ。無理はしません」
留美「そうかしら?……今まで見てきたあなたのことからすると、あてにならないような気がするけど」
P「む」
留美「ねえ、家でどんな仕事をしてたの?」
留美「昨日は『仕事も順調だし、久しぶりにゆっくり休める』って言ってなかった?」
P「それは……」
P(さすがに昨日の晩のことは、事務所のアイドルに言うわけにはいかない……)
留美(……)
留美「……ふぅん。なら、ちゃんと社長に言わないとダメね。私のプロデューサーにあまり負担をかけないようにって」
P「いや、大丈夫ですから。全然」
留美「そうは見えないけれど。目の下にクマがあるし」
P「いや、自分で言えますから。本当に」
留美「そう……ならいいけど。これだけは覚えておいて」
留美「あなたが倒れる姿なんて見たくないの。今は仕事よりもあなたの方が大事だから」
留美「Pさん……あなたと一緒に歩めなくなるなんて、私はそんなの、考えたくも無いわ」
P「……」
P(今日は余計なことはせずに、帰ったらしっかり休もう) ……ツジガニヒキ!
P(その為に、今ここで事務仕事は全て終わらせる……!) ……ヒツジガサンビキ!
P(スタミナドリンクもたくさんあるし、頑張ればいけるはずだ……!) ……ナヒツジガヨンヒキ!
P(やるぞ、うおおおおお!) ……ニナヒツジガゴヒキ!
P「……」
「……」
P「……何やってるの、仁奈」
仁奈「ふふん、よくぞ聞いてくれやがりましたね!」
市原仁奈
仁奈「こうやって仁奈ヒツジがPの周りをグルグルすることで……」
仁奈「Pもたまらず仕事をやめて眠っちまうはずです!」
仁奈「そうなったら……フッフッフ、隣で仁奈が添い寝をするでごぜーますよ!」
P「はぁ……なるほど、ねぇ」
仁奈「ちなみに杏おねーさんは3匹目で寝たでごぜーますよ!」
P「アイツは……!」
仁奈「さあP! さっさと眠りやがれです!」
仁奈「うー……」
P「これが終わったら、一緒に寝たり遊んだりしよう? な?」
仁奈「……Pは、最近そればっかりなのです」
P「え?」
仁奈「仁奈のこと、全然かまってくれねーのです」
仁奈「でも、Pは最近、おねーさんたちに構ってばっかで、全然仁奈のこと見えてくれないです」
仁奈「……お仕事だけだと、ヒツジだって寂しくなるですよ」
P「仁奈……」
仁奈「……ってなわけでP! 仁奈ヒツジを数えやがれで――」
P「……よし」 ヒョイ
仁奈「う?」
仁奈「P? お仕事はいいのです?」
P「仁奈ヒツジを数えてたらどうでもよくなった」 モフモフ
仁奈「モフモフ……モフモフしやがりますか? そんなにモフモフしてーのでごぜーますか?」
P「うん。キグルミパワーは凄いな」
仁奈「……フッフッフ。そういうことなら仕方ないのです。思う存分モフモフしてくだせーませ!」
P(……まぁ、結構大事な書類だけど。期日まではまだ余裕あるし)
仁奈「~♪」
P(今は仁奈と遊んでたって問題は無いだろ、うん)
P(……本当に眠くなってきたな……)
仁奈「おねむです?」
P「仁奈ヒツジのおかげでな…」
仁奈「これがキグルミパワーでござーますよ。思い知ったかです」
P「ああ……じゃ、おやすみ……」
仁奈「おやすみなさい♪」
「…………」
P「ただいまー……って誰もいないんだけど」
P「ふう……どうにか片付けなきゃいけない仕事も終わったし」
P「今日はさっさと寝て明日に……ってアレ」
P「あれ、俺PC付けっぱなしで出かけてたのか……」
P「ちゃんと節電しなきゃな……っ!?」
P「こ、これは……」
P「……PCのデスクトップ画面が、川島さんのパジャマ姿になってる……」
P「しかも、フォルダ内の画像が全て川島さんに……」
P「……一体、誰が……」
P(……玄関が荒らされた痕跡も無かったし、部屋が物色された様子もない)
P(心霊現象、なわけもないし……)
P(……あのままおかしなことが続くようなら、警察に届け出を……)
「深刻な顔してるけど、何かあった?」
P「うわっ!?」
P「あ、すいません川島さん。ちょっと考え事をしていたので」
川島「もう、こっちまでビックリしちゃったわ」
P(川島さん……)
P(彼女は、俺自らスカウトしてきたわけではなく)
P(スカウト活動をしていたら向こうから声をかけてきたという、珍しいタイプの出会い方をした)
プロデューサーとして率直な意見聞かせてちょうだい。ホントのことだけ教えて?』
『え? あ? え?』
『私、前はアナウンサーもやってたのよ。声にも自信があるんだけど』
『あ、はぁ……』
P(……その勢いに押されて、なんとなく事務所にまで連れてきたら社長に大受けして)
P(そのまま俺がプロデュースすることになり、今までやってきた)
P(実際、それなりにヒットして、人気投票の中間発表でも結構な上位に食い込んだが……)
川島「……ねえ、何? さっきから私の顔のことジロジロ見て」
P「いや、何でも無いですよ」
P(……そもそも、俺は彼女に住所とか教えてないし)
川島「?……なにもないなら、いいんだけど……なんだか、釈然としないわね」
P「いえ……ところで最近、何か変わったこととかは無いですか?」
川島「? 得には無いと思うけど……」
P「ふむ……そうですか、ありがとうございます」
川島「ええ……?」
P(……それから、数日)
P(定期的に購入している雑誌の表紙に川島さんの顔が貼られていたり)
P(漫画のヒロインの顔に川島さんの顔が貼られていたり)
P(朝起きてポストの新聞を取ったら見出しに川島さんの顔が貼られていたり)
P(しかも、いっさい痕跡がわからない……)
P(時間も無いし、あまり警察に頼りたくは無いんだが、こうなったら仕方ないかもしれん……)
P「うーん……」
「ふっふっふ、どうやらお困りのようだな!」
P「お、お前は!?」
P「いや、お前今日仕事じゃ……?」
晶葉「この天才博士が助手の悩みを放っておけるか! そんなものは私の代理ロボに任せてきた!」
P「おい」
晶葉「……いや、その冗談だよ……何でも相手方が急用らしくて、キャンセルされた」
P「はあ……」
晶葉「さぁさぁP! 私にどーんと話してみせろ!」
[天才ロボ少女]池袋晶葉
晶葉「そう水くさいことを言うな、私たちは一蓮托生のパートナー……」
晶葉「助手の問題を放置しているなど、この天才の頭脳がすたる!」
P「うーん、でもなぁ……あまり人に話せることでも……」
晶葉「むう……しかし、私たちの間で噂になっているぞ? 最近プロデューサーの様子がおかしいって」
P「あー、やっぱりか……」
晶葉「みんな心配しているし、私にとっての君は唯一無二の相棒だ。放っておけるハズなどない」
P「ふーむ……」
P(……まぁ、確かに)
P(このまま黙っているよりは、誰かに話した方が解決策も思いつくかもしれない……)
P「……わかった、晶葉には話すよ。相談にのってくれ」
晶葉「本当か! よし、任せろ!」
P(エロ本の辺りのことは触れずに話してみよう)
晶葉「ふむ、つまり……正体は掴めないが、何やら不審者らしき者が、Pの家に出入りしていると?」
P「ああ、今のところ実害は無い……のかな? 金品や貴重品の類は一切取られてないし、荒らされた様子も無い」
晶葉「ふむ……なら、ちょうどいいものがあるな」
P「お?」
晶葉「私のお手製セキュリティロボ、防犯サーチくんの出番だ!」
P「ああ、監視カメラね……」
晶葉「むう、その言い方はロマンが無くていけないな」
晶葉「ふふん、そうだろう。しかもこの防犯サーチくんはとてもコンパクトだからな
仕掛けやすいしまずバレない」
P「なるほど……」
晶葉「とりあえず、一つ仕掛けてみてはどうだろう。警察に行くにしても証拠があった方がやりやすいだろう」
P「ふーむ……」
・・・・
P「というわけで、朝方、出かける前に居間に一つ仕掛けてみて」
P「仕事から帰ってきたわけだが」
P「さて、何か写っているだろうか……」
P「再生してみよう……」
P(ちょっと早送りしてみよう……夕方あたりまで……っと!?)
P(入ってきた!? 誰か入ってきてる!)
P(顔は……川島さんのお面を付けてるから、誰かはわからない……)
P(体格は……女性?)
P(本棚を漁ったりしているが……内容を見たら、すぐに元の場所に戻している……な!?)
P(ハサミとノリで……川島さんの顔写真を本に貼り付けている!?)
P(ちょっといったんストップ! 確かめてみる!)
P「……は、貼られている。川島さんの顔……」
P「!?」 ビクッ
携帯<プルルル プルルルルル
P「……は、はい…もしもし……?」
晶葉『……もしもし? P? 私だが』
P「あ、ああ……なんだ、晶葉か……」
晶葉『?……凄い声が震えているが、その様子だと、何か収穫があったようだな?』
P「ああ……凄いよ…」
P「ああ、今、映像を再生しながら電話してるんだけど」
晶葉『ほう……?』
P「この人、うちを物色してるんだけど……色々と漁った後、一応元の場所に片付けてる」
晶葉『なんと……』
P「何のためにこんなことしてるのかよくわからないな……あ、今冷蔵庫を開けた……けど、中身を見ただけで閉じた」
P「……うわっ、ゴミ箱漁ったりしてる……」
晶葉『……』
P「あ、押し入れの中に入った……んで、中々出てこない」
晶葉『……』
P「うーん……あ、映像が止まった。ここで俺が帰ってきたんだな」
晶葉『……ん?』
晶葉『……』
P「ありがとう晶葉、おかげで助かった」
晶葉『……あの、P』
P「ん?」
晶葉『最後にソイツは、押し入れに入ったんだな?』
P「ああ」
晶葉『それで中々出てこなくて、その後にPが帰ってきたんだな』
P「ああ……?」
晶葉『そこで映像が終わってるってコトは……つまり――』
――ガラリ、と。
すぐ近くで、何かが開く、音がした。
晶葉『お、おい……? P……?』
ヒタヒタと、足音を立てて、誰かが背後から近づいてきている。
距離としては非常に近い、狭い部屋の中なのだが。
何故だか、とても遠くから、ゆっくりと歩いてきているように感じた。
唾を飲み込む。
エアコンによって部屋の温度は最適に保たれているというのに、流れる汗が止まらない。
この不快感はどこから来るものか。
晶葉『どうした? なにかあったのか?』
……消した画面に視線を向けてみれば。
自分の背後から近付いてくる、川島さんのお面を付けた何かが、反射されて映っていた。
怖気と不快感で動くことも出来ず。
気がつけば、その何かはすぐ背後。
息遣いが感じ取れる程近くにまで。
「……」
「……」
その何かが、背後から、手を伸ばして――
――その声で、我に帰る。
今までに無い大きな声。携帯のスピーカーが震えるほどの音。
俺も何かも、ビクリと肩を震わせ、一度動きを止めて、
「う、うわあぁああっ!?」
「……!?」
先に動いた俺が、振り向きざまに、川島さんの顔を殴りつけた。
プラスチックの薄いお面にヒビが入る。
手加減もせずに拳を叩き付けたというのに、その何かは、ただ数歩後ずさっただけ。
目の前の川島さんの顔は、今も変わらず、何とも言えない微妙な表情のままだ。
「……」
特に痛がる様子もなく、少しだけズレたお面の位置を直すと、またゆっくりとした動作で俺に手の伸ばし始めた。
晶葉『オイ!?』
そいつの手を振り切り、電話を切り、サイフを引っ掴んで外に飛び出す。
外出するには少しばかり乱れた格好だが、仕方が無い。
今はとにかく、知人が多いところへ逃げなくては……!
P(不思議なことに、まだあまり遅い時間帯というわけでもないのだが)
P(何故だか、外を歩いている人も全然見当たらない)
P(交番へ駆け込もうともしたが、お巡りさんは留守だった)
P(携帯で電話をかけようとしたが、何故か圏外になってしまった)
P「……だけど、今はあの変なのは追いかけてきていない」
P「……とりあえず、一休みしよう……」
「……あれ、Pじゃん。どうしたのそんなに疲れて?」
周子「何だ、とは何さー」
P「いや、ちょっとさっき色々あってな……」
周子「ふーん……ま、いいや。アイス食べる?」
P「あ、ありがとう。いただくよ」
P(……この辺りに、あれがいる様子は無い)
P(……そうすると、あの部屋で俺が帰るのを待っているのか?)
塩見周子
周子「変なヤツ?」
P「そう。変なお面付けて、俺の部屋を色々漁ってさ」
周子「へぇ……」
P「交番に行っても誰もいないし、電話も何故か通じないんだ」
周子「ほーほー……ところでさー」
P「?」
周子「その変なお面って……」
周子「もしかして、こんな顔してなかった?」
P「!?」
P(は、走って逃げろ……!)
P(アイスを落としてシャツが少し汚れたがしょうがない……!?)
P(なんだアレっ!?)
P「じ、事務所だ……!」
P「事務所に逃げよう……!」
ちひろ「あれ、プロデューサーさん、今日の仕事はもう終わった筈では?」
P「いや、緊急事態が……! 普通じゃ有り得ないことg、ゲホゲホッ……!」
ちひろ「大分、お疲れのようですし……スタミナドリンクいりませんか?」
P「いや、今はそれどころじゃ……」
ちひろさん
P「そ、そうですか……?」
ちひろ「ええ、そうです!」
P(た、確かに……体力の回復はしておいた方がいいかも……)
P「そ、そうですね……それじゃあ、いただきます……」
ちひろ「お買い上げありがとうございます♪」
P「ふぅ……」
ちひろ「ええ、一息つくことはとても大事ですよ」
ちひろ「急な事態には、体力が無きゃいけませんからね」
ちひろ「いいんですよ、この業界だとハプニングは多いですし」
P「はぁ……」
ちひろ「そう」
ちひろ「たとえば」
ちひろ「こんなハプニングとか」
ちひろ「ね」
P「うわあああああああぁぁぁぁああああああっ!!!??」
P「ちひろさんもダメだっ!? 逃げなきゃ!」
P「だ、誰か、誰か頼れる人……!?」
P「そ、そうだ! 今夜は和久井さんがきっと衣装合わせをしているはずっ」
P「あの人なら! あの人ならきっとなんとか――」
留美「あら、どうしたの? 色々と形容し難い格好になってるわよ」
P「よ、良かった……無事だった?」
留美「もう……何か?」
P「いえ、なんでもないです……色々ありましたけど……」
留美「あなたがたまにおかしくなるのは知っているけど……そういう所も知って、受け入れているから」
留美「けど……今のあなたは…とても不安そうな顔をしているわ…」
留美「私にも関係のあることなら……いえ、例え関係のないことでも……」
留美「あなたと一緒に歩んでいく為には……どうにかしてあげたいって、思うの」
P「……」
P(良かった、いつもの和久井さんだ)
留美「え?」
P「詳しい説明は後でしますけど……その、今晩は和久井さんの家に泊めてくれませんか?」
留美「……私の部屋はあまり大きくないけど……いいの?」
P「ええっと、和久井さんがいいなら是非とも」
留美「……ふふっ。それじゃあ、いらっしゃいな」
P「よかったぁ……」
P(これで、とりあえず今晩は、無事に過ごせる……)
留美「……ごめんなさい、結構散らかってて……」
P「いえいえ、全然そんなことは……」
P(というより、部屋に全然物が無い……)
P(……枕の横にあるぬいぐるみが少し不釣り合いだ)
P(料理の本や手芸の本は最近買ったのかな? まだキレイな帯がついている)
留美「……とりあえず、汚れた上着は洗っておくから」
P「すいません、ありがとうございます」
留美「ふふ、いいのよ。あなたが望むならいつでもしてあげる……」
P「はは……」
P(とりあえずはここで一晩明かしたが……)
P(俺の部屋はどうなっているだろうか)
P(相変わらず、電波は通じないが……)
P(一体何が起きているんだ……)
P(……でも大丈夫、今は和久井さんがいてくれるから――)
留美「ふふっ」
P「あれ、どうしたんです?」
留美「いえ、なんでもないわ」
留美「幸せよ」
P「」
なんか馴染んでるような…
P「うっ……っ」
留美「ボーっとしてると朝食のコーンフレークがふやけちゃうわよ?」
P「う…あっ……っ」
留美「ああ、そうか」
留美「私に食べさせて欲しいのね?」
留美「なるほど……そういうことなら……」
留美「わ か る わ」
P「うわあああああああああああああっ!!?」
P「危なかった……! あと一歩のところでなんかされそうだった!」
P「今はどうにかしてどうにかしないと!?」
P「ん……あの後ろ姿は……仁奈!?」
P「もしかしたら、仁奈くらい幼い子なら……!?」
仁奈「そう……」
仁奈「モフモフしたいのね?」
仁奈「わかるわ」
P「」
P「そ、そうだ……人の多い場所へ行けば……!」
P「人ごみの中なら、きっと隠れられる……!?」
P「……そうだ、遊園地!」
P「最近開演したあそこで、一人で乗り物に乗ってしまえばしばらくは時間が稼げる……!!」
P「その後人混みに紛れてしまえば、きっと……!!」
「そう」
「遊園地デートがしたいのね?」
「わかるわ」
P「」
これは少しかわいい
P「つ、突き落とすっ!?」
P「そしてその後全力で漕ぐ!!」
P「そ、そのまま人ごみに隠れる……!」
P「ちょうどパレードがやってるし、ここでどうにか時間を稼いで、対策を考え――」
「そう」
「私のパレードが見たいのね」
「わかるわ」
P「」
P「ふ、普通の人じゃダメだ……!」
P「そうだ。もしかしたらこの近くの教会なら……!」
P「悪魔払いとか、そういうのやってくれる人がいるかもしれない……!」
P「今はとにかく、そこへ……!」
・・・・・
クラリス「おや? あなたは……」
P「すいません、ここで悪魔払いとか出来る人いませんかっ!?」
クラリス「は、はぁ……?」
クラリス
P「そうですか……」
クラリス「もしかしたら、神父様なら何かお分かりになられるかもしれませんが……今は外出中ですので……」
P「はぁ……」
クラリス「時間があるのでしたら神父様が帰ってこられるまで、ここでお待ちになられては……?」
P「いいんですか?」
クラリス「ええ。主は救いを求めるものの全てに対し、平等な慈悲を分け与えます」
P「それでは……お願いします」
P(小さい頃に、親戚の結婚式で来たくらいか)
P(和久井さんなんかは、こういうところで式を挙げそうだよなぁ)
P(……何故だか、その隣に俺が歩いている姿を想像してしまったが)
「そう」
「この教会で結婚式を挙げたいのね」
「わかるわ」
P「!?」
P「だめだっ! 教会もダメだ!! しかも普通に似合ってたっ!!!」
P「と、とにかく他の場所へ……!」
P「こ、こうなったら神頼みしか……!」
P「そうだ、神社に行こう……!」
P「神様なら、神様ならどうにかできるかもしれないっ……!!」
あかん染まってきてる
P「たとえ誰もいなくても、もう本殿の中まで突入してやる……!」
P「神様がいる場所なら、きっとどうにか出来る筈だ……!」
・・・・・
P「あ、後はこの階段を一気に駆け上がれば……!」
P「うおおおおおおっ!!!!」
ドンッ
「きゃっ!?」
P「あ、す、すいませ……っ!?」
P「そ、そうなったらどこへ行けば……!?」
「ねえ、どこへ行くつもりなの?」
「このままにしておくなんて、酷いんじゃ無いの?」
「そうね、酷いわ」
「女の子はデリケートなのよ」
「そうね、プロデューサーにはそれをわかってもらわなくちゃ」
「ね」
P「」
P「う、うう……」
P「うわあああああああああああああああああ」
アアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア………
アアアアアアアアアアアアアアアア………
アアアアアアアアアア………
アアアアアア………
アアア………
……
P「……ゆ」
P「……夢?」
P「……はぁ、はぁ……」
P「……ゴクッ」
P「か、カメラは……」
P「無い、か……」
P「……夢、だったんだ……」
P「……にしても……凄い汗かいたな……」
P「シャワーを、浴びよう……」
P「あれはやはり、全部、夢だったのか……?」
P「だとしたら、随分、長い、夢……えっ?」
P「…………え?」
P「あ、あれ……」
P「……夢、だよな……?」 ゴシゴシ
P「え……?」 ペタペタ
P「……うそ、だろ……」
P「そ、そんな――」
洗面所の、少し大きめの鏡。
そこに写っていた、俺の、顔は――
わかるわ
川島可愛い!!
Entry ⇒ 2012.07.31 | Category ⇒ アイマスSS | Comments (7) | Trackbacks (0)
P「はぁ、音無さんと結婚したい…」 律子(また始まった…)
律子(じゃあ、すればいいじゃない…)
P「いや、でもあんな綺麗な人に恋人がいないわけないか…」
律子「」
P「え、ちょ、なに、俺の心の声に割り込まないでよ」
律子「口から出てますよ…」
P「」
律子(十日目ですけどね)
P「でもさー、音無さん美人じゃん。絶対彼氏いるよ」
律子(当人いないって言ってましたけどね)
P「いや、あんな人が同じ職場にいて毎日見てるんだ。諦められない」
律子(こいつ…)
P「俺がイケメンだったら…!」
P「」ガタッ
律子「おかえりなさいー」
小鳥「プロデューサーさん、どうかしたんですか?」
小鳥「?」
律子「……」
P「あ、俺、営業行ってきますね」スチャッ
小鳥「行っちゃった…」
小鳥「はぁ、プロデューサーさんと結婚した…ピヨピヨ」
律子(またか)
小鳥「そんな!私みたいな2X歳な女と釣り合うわけ無いじゃないですか!」
小鳥「それに、私なんかより美希ちゃんや春香ちゃんの方が…」
律子(こいつら結婚しろよ)
P「あぁ、でも音無さん綺麗だなぁ」
P「どうすれば勇気がでるんだ…」
P「そうだ、>>22をしてみよう!」
P「うーん」
P(このまま何も無いまま終わるよりいいかな…?)
P「とにかくメールを…」
小鳥「内容は…」
P【デートしませんか?】
小鳥「ピヨオオオオオオオオオオオオオ!!!!」
律子「うるせええええええ!!」
律子(やっとか)
小鳥「まさか、でも…ハッ、どっきり!?」
律子「いやいやいや」
小鳥「でも、プロデューサーさんみたいな人が…あわわわわ」
小鳥「くっ、これはきっと壮大などっきりなのよ!」
律子(駄目だ、こいつら…早く何とかしないと)
律子「じゃあ、行かないんですか?」
小鳥「ぐぬぬぬ…行きますよ」
小鳥「例え醜態を曝すことになってもプロデューサーさんとデートできるなら!」
律子「はいはい…」
小鳥「あぁ、何を着て行こうかしら」
律子(乗り気じゃないの)
P「ありがとうございます!俺みたいなのと…」
小鳥「いえ、こちらこそ。私みたいなのと…」
P(音無さん、謙虚な人だ…)
小鳥(プロデューサーさん!なんて謙虚な…)
小鳥「ええ」
律子(こっそり着いてきたけど…)
律子(大丈夫かしら?)
律子「こんなときにメールなんて」
P【やばい、緊張してどうすればいいか分からん。助けて律子】
律子「」
律子(ガッとやって チュッと吸って han でいいじゃないの!)
律子【頑張ってください】
P【頼む、指示をくれ…】
律子【>>45でもすればいいんじゃないですか…】
P「」
小鳥「どうしました、プロデューサーさん?」
P「いえ、なんでもないです」アセアセ
律子【ガッとやって チュッと吸って hanってやればいいんですよ!】
P(ええい、ままよ!)
P「音無さん!」ムチュ
小鳥「!?」
P「ホテルへ行きましょう」
小鳥(なんてことなの…しかもホテルなんて、どっきりにしてはやりすぎじゃないの…?)
小鳥【ホテルに誘われちゃった!助けて律子さん!】
律子(おまえもか…)
小鳥【そうだけど、心の準備が…それにどっきりだったら…】
律子【ああ、もう、>>58すればいいんですよ!!】
小鳥【ピヨ!?】
小鳥「」
P「お、音無さん…?」
P(しまったーやりすぎたー!?)
P「え…あ、はい」
P(やばい…ドキドキしてきた…マジかよ)
小鳥(言っちゃった!言っちゃった!)
P「竜宮城みたいなところですね…」
小鳥「そうですね…」ドキドキ
P(ごくりっ)
小鳥(だめ、心臓が飛び出そう…)
そういうとPはそっと彼女の頬へと手をやった。
「プロデューサーさん…」
彼女は潤んだ目でPを見つめ唇を突き出し、瞳を閉じた。
Pは彼女の唇に自分の唇を重ねた。
「んっ…」
彼女の口から吐息が漏れる。
気づけばお互いの顔は赤く染まっていた。
「今は、今だけは、小鳥って呼んで…」
「小鳥…!」
彼の手に力がこもる。
二人は抱き合ったままお互いの唇を重ね合った。
「私、こんなこと…初めてで…」
ベッドの上で少しはだけた衣服のまま彼女が告げる。
「そんなの、俺だって…」
上着を脱ぎ捨てた彼も言う。
「優しく、してくださいね…?」
「……ッ!」
潤んだ瞳で見つめる彼女のその言葉で彼の理性は崩れ去ろうとしていた
律子「ムシャクシャしてやった。反省している」
伊織「誰に向かって言ってるのよ」
律子「伊織!?いつからそこに…?」
伊織「あんたがあのホテルを物陰から覗いてた辺りからよ」
律子「なんて言うか、人生の節目というか、苦痛からの解放というか…」
伊織「バカ言ってないで、ほら、さっさと行くわよ」
律子(プロデューサー殿、音無さん!わっふるわっふる!)
彼女の体を優しく愛撫する彼は限界だった。
勢い任せとはいえ恋する相手との初めての情事。
そしてそれは彼女も同じであった。
(あぁ、プロデューサーさんが私を…)
ギュッと彼は彼女を抱き寄せる
「小鳥さん…もう俺…」
「私も…来て、ください…」
続きを読みたい方はわっふるわっふるしてください
律子「昨夜はお楽しみでしたね」
P「…///」
律子「まさか本当にやるとは思いませんでしたよ」
P「いやぁ…あはは///」
P「お、おはようございます…//」
律子(中学生かこいつら)
律子【ゆうべはおたのしみでしたね】
小鳥【えへへ…//】
小鳥【…凄かったです///】
律子【違います。付き合うことになったんでしょ?】
小鳥【そんな…私なんかと…///】
律子「」
P【そんな…俺にはあれが限界だったんだ!】
律子【突破しすぎでしょ!普通逆でしょ!!】
P【くっ…>>86するしかないのか】
律子【じゃ、私は席外しますので】
律子「ちょっと席外しますね」
小鳥「あ…」
P「……」
P「音無さん…いや、小鳥さん!」
小鳥「ひゃ、ひゃい!?」
P「僕と、結婚してください!」
小鳥「え、ええええ?」
小鳥「プロデューサーさん!」
P「はい」
小鳥「…私も、ずっとプロデューサーさんのことが…!」
P「小鳥さん…!」
小鳥「プロデューサーさん…!」チュッ
千早「」唖然
美希「」失神
P「ああ、小鳥さん!」
小鳥「プロデューサーさん!」
その日、彼らは結婚しました。
律子「結婚指輪ですか?」
小鳥「これも全て律子さんのおかげです!ありがとうございます!」
律子「いえいえ」
P「まさか、小鳥さんまで律子に相談してたなんてなー」
律子「事務所の中でまでいちゃつかないでください!」
小鳥「はい、あーん♪」
P「あーん♪」
やよい「うっうー!大人ですー////」
あずさ「あらあら~」
小鳥「そうですね、近いうちに…///」
律子「もうやだ、このバカップル」
BACOUPLE END
安価にせよ何にせよ中途半端でごめんね!
次やるときはもっとちゃんと安価にせよSSにしろやるから
あ、後はPとぴよちゃんがいちゃつくスレで
小鳥さんもウブなPも可愛かった
Entry ⇒ 2012.07.31 | Category ⇒ アイマスSS | Comments (0) | Trackbacks (0)
やえ「鹿児島に対局中に居眠りするニワカがいると聞いて」
穏乃「はい、インハイの時も居眠りしていたそうです。間違いなくニワカですね」
やえ「そうか……ニワカか」
穏乃「その人、永水女子って所に在学中らしいですけど、やえさんは聞いたことあります?」
やえ「いや、知らんな」
穏乃「ならニワカ高校ですね」
やえ「ああ、ニワカ高校だ」
やえ「ああ、麻雀を冒涜してるな。ニワカによくあることだな」
穏乃「やえさん、この案件どうしますか?」
やえ「聞くまでもないさね」
穏乃「ってことは……」
やえ「ああ、これから鹿児島に発つ。高鴨、30秒で支度しな!」
穏乃「はいっ!」
穏乃「でもやえさんには驚かされますよ。まさか海を割って徒歩で行くなんて」
やえ「王者の歩みを阻むことなんて出来はしないのさ」
穏乃「やえさん……///」
やえ「さてと……ニワカを探そうかね」
穏乃「はいっ!」
やえ「王者が歩けば民が追従する……それは仕様のないことさね」
\ニワカ!/\ニワカ!/\ニワカ!/
やえ「ふふっ」
穏乃(でも私はやえさんと二人きりの方が……)
やえ「見るからにニワカ臭いな」
穏乃「ですね」
やえ「さて、麻雀部を探すとしよう」
穏乃(すごい……やえさんが敷地に足を踏み入れた瞬間、生徒たちが平伏して道が出来た……)
穏乃(やっぱりこの方に着いていけば間違いないんだ!)
やえ「ふふっ」
穏乃「どうやら本殿って所にいるみたいですね」
やえ「本殿……?高鴨、場所は分かるか?」
穏乃「いえ……」
やえ「なら、あそこにいるニワカに聞くとしようか」
初美「ふえ……?」
やえ「ああ、案内ご苦労」
初美「いえいえーお安いご用ですよー」
穏乃「さっ、行きましょう」
巴「ちょっと貴女方、一体誰の許しを得てここから先に進もうというのですかっ?」
穏乃「くっ……簡単には入れないか」
穏乃「やえさん、どうしましょ……簡単には入れそうもないですよ」ヒソヒソ
やえ「ふふ、私に任せていればいい」
巴「ここは分家の人間でも本家の許しがなければ入れない神聖な場所なんです。お引き取り願います」
やえ「大丈夫だ。私が許可しよう」
やえ「ふふ、ニワカ如きにこの私は止められんさ」
穏乃「やえさん……///」
\ニワカ!/\ニワカ!/\ニワカ!/
やえ「ふむ……ニワカの臭いが強くなってきたな」
霞「あらお客様かしら」
やえ「ここに対局中に居眠りするニワカがいると聞いてな」
霞「あらあら」
春「………」ポリポリ
小蒔「………」スースー
やえ「ああ、違いないな」
霞「それで……ここに何の御用かしら?」
やえ「そこのニワカと半荘1回打たせてくれ」
霞「でも小蒔ちゃんは今お昼寝の(ry」
穏乃「起きろーーーッ!」ユッサユッサ
小蒔「ひぅ……っ?」ビクッ
霞「この人たち、小蒔ちゃんと打ってみたいんですって」
小蒔「私と……ですか?」
やえ「ふふ、ニワカを正すのも王者の勤めだからな」
小蒔「はぁ……」
霞(小蒔ちゃん、完全に起きちゃったけど大丈夫かしら?)
春「………」ポリッ
やえ「ふむ……」
穏乃「やえさん、やえさん」ヒソヒソ
やえ「高鴨、どしたー?」
穏乃「よく見たらそこのおっぱい大きい人もニワカですよ」ヒソヒソ
やえ「なんだと?」
穏乃「倒牌をおっぱいでする物臭なんです。これはニワカポイント高いですよ」ヒソヒソ
やえ「確かに……おい、そこのニワカおっぱい。お前も入れ」
霞「あらあら……」
穏乃「やえさん、そこのう〇こ食べてる人も対局中にお菓子を食べてた噂がありますよ。これはニワカですね」
やえ「ああ、対局中にお菓子を食うなんて論外。ニワカだな」
春「………」ポリポリ
霞「じゃあこの4人でいいのかしら?」
小蒔「全力以上であたらせてもらいます!」グッ
やえ「ふふ、闘牌開始だ」
やえ「ふふ、お見せしよう……王者の打ち筋を!」タンッ
穏乃(流石やえさん!動きに無駄がない。お手本のような打牌だ!)
春「………」ポリポリ
小蒔「………」トンッ
やえ「ロン!」
小蒔「わっ……」
やえ「聴牌気配も察知出来んとはニワカだな。門混混老七対ドラドラ……16000」
霞(ふんふむ……この人のニワカの基準はどうなってるのかしら?)
やえ「ふふ、私の親番だな」タンッ
春「………」ポリポリ
小蒔「………」トンッ
やえ「チッ……これだからニワカは……ロン!」
小蒔「わっ……またですか?」
やえ「平和三色ドラ1……11600だ」
霞(今の小蒔ちゃんには荷が勝ちすぎる相手かしらね)
やえ「やはりニワカか」
穏乃「ニワカですね」
\ニワカ!/\ニワカ!/\ニワカ!/
やえ「ニワカは相手にならんよ」
\ニワカ!/\ニワカ!/\ニワカ!/
霞(このままこの人たちを帰したらここの評判が落ちそうね……)
霞(ふんふむ……どうしたものかしら)
やえ「ニワカが何の用?」
霞「小蒔ちゃん、お昼寝したばかりでまだ本調子じゃないの。少し時間を空けて再戦してもらえないかしら?」
穏乃「ニワカがやえさんに何度挑もうが結果は変わらないと思いますけど」
やえ「高鴨、そう言ってやるなよ。いいだろう……それではそちらの準備が出来次第、再戦といこうか」
霞「そう言ってもらえると助かるわ」
小蒔「……?」
霞「巴ちゃん!はっちゃん!いるー?」
巴「どうしたんですか?」
初美「何かあったんですかー?」
霞「私と小蒔ちゃんに一番いいのを頼む」
巴「……は?」
やえ「やはりな……」
穏乃「団体戦出場メンバー全員がニワカという異常事態ですよ」
穏乃「先ほど話した通り、対局中に居眠りするニワカ、倒牌をおっぱいでする物臭なニワカ、対局中にお菓子を食べるニワカ……それからドレスコードに引っ掛かるニワカと非処女巫女で点数表も把握していないニワカです」
やえ「ニワカの数え役満だな」
霞「大丈夫よ。問題ない」
小蒔「………」ゴゴゴ
初美「次は私も参加するですよー」
霞「ふふ……あの人たちは私たちを侮辱した。これは睾丸を潰すだけじゃ済まされないわね」
何故睾丸なん?
俺もよく分からん
支援
レベルたけーなおい
初美「お待たせしたですよー」
やえ「やっと来なさったか」
小蒔「………」ゴゴゴ
穏乃(あれ?このニワカさん、さっきと雰囲気が……)
初美「悪霊とかお見せしちゃいますよー」
霞「もしかしたら黄泉も見えるかも知れないわね」
小蒔「………」ゴゴゴ
やえ「では、闘牌開始だ」
初美(流石にこの状態の姫様と同卓するのは怖いですねー)
小蒔「………」ゴゴゴ
やえ「ふふ、先ほどとはまるで別人だな。ニワカにしては楽しめそうだ」
穏乃(やえさん、がんばれー!)
霞(小蒔ちゃんが張ったようね。倍満以上かしら)
霞(私が振ることはまず無いけれど、はっちゃんが少し不安ね……)トントン
初美(霞ちゃんからの合図……なるほどー姫様が高いの張ったですかー了解ですよー)
やえ「ふむ……」タンッ
小蒔「ロン……門清ドラ3。24000」
穏乃「えっ……!?」
やえ「成る程ね……一体何に怯えているんだか……減点10点だニワカめ」
初美(なんなんですかねー?この余裕)
霞(その余裕もすぐに氷付かせてかせてあげる……)
初美(私に北家が回るまでニワカさんはもつんですかねー?)ペシッ
やえ「ふふ、お見せしよう……王者リーチ!」
霞(あれだけデカイのを直撃された後にダブリーね……)
霞(ふんふむ……小蒔ちゃんはまだ張れてないようだし、潰しておきましょうか)トントン
小蒔「………」タンッ
初美(西を鳴かせろですかー了解ですよー)ペシッ
小蒔「……ポン」
やえ「チッ……ニワカが」
霞(これで私のツモがニワカさんに行ったわね)フッ
初美(霞ちゃんのツモは一色限定……他の二色で手作りしている私たちが霞ちゃんのツモを押し付けられたら、自力でツモれる道理なんてないんですよー)
やえ「ツモだ。メンタンピン三色ドラ2……8100・4100」
霞「なっ……?」
初美(なんなんですかーこの人……)
小蒔「………」ゴゴゴ
やえ「………」タンッ
霞(この人……容量が計れないわね……)トッ
小蒔「………」トッ
初美(でも九面降ろしてる姫様と、怖いの降ろしてる霞ちゃんが手作りのスピードで負けるわけないですよー)
やえ「おっと、ツモだ。門清……6000・3000」
初美(またですかー?)
霞(ふふ、はっちゃんが北家でニワカさんが親……これは座順に救われたわね)トッ
小蒔「………」トッ
初美(役満親被りさせてあげますよー)ペシッ
やえ「ニワカが……」ボソッ
初美(もちですよー)トントン
初美「それポンですよー」ガッ
やえ「…………」タンッ
霞「ふふっ」トッ
初美「それもポンですよー」
霞(……これで整ったわね)
初美(さぁきてくださいー)ゴッ
やえ「チッ……」タンッ
霞(ふふ、ニワカさんに直撃ならハコかしらね……)
小蒔「………」トッ
初美「………」フッ
初美「……ツモ」
初美「8000・16000ですよー」
穏乃「っ……小四喜!?」
穏乃(まさか……この人たち……通しでも使ってるのか!?)
穏乃「汚ないなさすがニワカきたない」
やえ「別に構わんさ」
穏乃「で、でも……!」
やえ「高鴨、私を誰だと思っている?まぁ、心配しなさんな」
穏乃「やえさん……」
やえ「通しを使っていようが所詮はニワカ。ニワカは相手にならんよ!」
\ニッワッカッ!/\ニッワッカッ!/\ニッワッカッ!/
穏乃「ハァイッ!ニッワッカッ!ニッワッカッ!ニッワッカッ!」
やえ「ふふっ」
小蒔「………」タンッ
初美(心配ですねー)ペシッ
やえ「………」タンッ
霞(さて……今のところ私がラス引いているのかしら)
霞(小蒔ちゃんもそろそろ起きそうだし、はっちゃんだけに任せるのも少し不安ねぇ……)
霞(苦手分野、いかせてもらおうかしら)
小蒔「………」タンッ
初美(霞ちゃん、怖い笑顔してますよー何を狙ってるんですかねー?)ペシッ
霞「ロン。門混一通發ドラドラ……24000です」ニコリ
初美「ふぅっ……」
霞(あらあら……)
霞(この親で決めたい所だけどそうは言ってられそうにないわねぇ)トッ
小蒔「………」ゴゴゴ
初美(姫様が大人し過ぎて逆に怖いですねー)ペシッ
やえ「………」トッ
霞(ふふ、高いのを和了られそうね)トッ
小蒔「……ツモ」タンッ
小蒔「タンピン二盃口門清……6000・12000です」
霞「はっちゃん!」
初美「あっ……」
やえ「このニワカは寝てたのか……?」
穏乃「眼を開けて寝れるなんて器用なニワカですね」
やえ「おい、高鴨」
穏乃「お任せあれ!」
穏乃「起きろーー!!!」ユッサユッサ
小蒔「ひぅ……!?」ビクッ
穏乃「対局中に居眠りするとかニワカポイント高過ぎですね!麻雀を冒涜してますよ!」
やえ「高鴨、そう言ってやるなよ」
小蒔「すみません……憑かれてるとたまに……」
穏乃「謝って済む問題じゃねーですよ!」
小蒔「でも……本当に申し訳ないのでここからは――全力以上であたらせてもらいます!」ゴッ
霞(あらあら……)
初美(姫様は完全にお目覚めですねー)ペシッ
やえ「ニワカめ……」タンッ
霞(二度寝には期待出来そうもないわねぇ)
霞(はっちゃん、後は私たちだけで……)トントン
小蒔「………」タンッ
初美(了解ですよー)ペシッ
やえ「………」タンッ
霞(ふふ、小蒔ちゃんかしら)トッ
小蒔「………」トッ
霞「あら……ロンだわ」
小蒔「わっ……」
霞「門混ホンチャン一盃口ドラドラ……16000お願いしますね」
小蒔「は…はひっ」
初美(霞ちゃん……姫様が使えなくなった途端、容赦ないですねー)
やえ「………」タンッ
霞(小蒔ちゃんには悪いけど、ね)トッ
小蒔「………」タンッ
初美(泣きそうな顔の姫様も中々イケますねー)ペシッ
霞(ついつい虐めたくなる顔してるわよねぇ……)
やえ「ツモだ。3000・6000」
霞(はっちゃん……この際、直撃やツモに拘らなくていいわ。いざとなれば小蒔ちゃんから毟りましょ)トントン
初美(了解ですよー)
霞(そうなればオーラス、ニワカさんははっちゃんに倍満直撃、ツモなら3倍満の条件になる……こちらははっちゃんか私が何でもいいから和了ればいいだけ……)
初美(この勝負、頂きますよー)
やえ「ニワカが……」ボソッ
初美「それもポンですよー」ガッ
穏乃「また……」
やえ「………」
霞「ふふ……」
初美(さぁ、きてくださいー南と西!)
霞(けど、あまり欲張れない相手なのよねぇ)
初美(役満和了り逃すのだけは避けたいですからねー)
やえ「………」タンッ
霞(はっちゃん、張ったようね……)トッ
小蒔「………」トッ
霞(あらあら……)
初美(やはり姫様から出ちゃいますかー)
初美「ロン。32000ですよー」
小蒔「は…はいっ」
やえ「………」フッ
初美「っ……!」
霞「………」
やえ「人一人も抱えられない小物……」
やえ「器が小さいからそんな発想に至るのだ……ニワカが」
やえ「王者ならどんなに足手まといであろうが、敵であるお前らだろうが抱えて飛んでみせるぞ?」
やえ「それが王者たる私の勤め」
穏乃「やえさん……///」
\ニッワッカッ!/\ニッワッカッ!/\ニッワッカッ!/
霞「私のことですか……?」
やえ「ああ、お前のことだ」
やえ「お前、絶二門縛りしてるんだったなぁ」
霞「ええ、まぁ……」
やえ「ならば私は絶三門だ!お見せしよう……王者の打ち筋を!!」
初美(ニワカさん、正気ですかねー?それってつまり字一色宣言ってことじゃないですかー)
やえ「ふふっ」
霞(不気味ね……)
初美(字牌を抱えて和了阻止しますかねー)
霞(ニワカさん、全然仕掛けてこないわねぇ)
初美(姫様から鳴き放題だったですよー)
霞(はっちゃん、字牌を何枚抱えてる?)トントン
初美(東2枚、南2枚、白3枚ですよー)トントン
霞(ふんふむ……私が中2枚、發2枚抱えてるから大三元は有り得ないかしら)
霞(となれば字一色七対子?それもはっちゃんが3枚抱えてるから和了目無しか……)
初美(つまりニワカさんは完全に和了れない訳ですねー)
霞(まぁ期待はしないけど聴牌しておきましょうか)トッ
小蒔「………」トッ
初美(こちらも張ったですよーツモり四暗東南待ち)ペシッ
やえ「………」タンッ
霞(4枚目の白……でもこれははっちゃんが3枚抱えてるから大丈夫のはず……)トッ
やえ「ふふっ」
霞「えっ……?」
初美「なっ……?」
やえ「ロンだ。字一色……32000」
霞(5枚目の白!?)
やえ「いや、4枚目だよ」フッ
初美(違いますよー)フルフル
やえ「ふふ、目が曇ってるんじゃないのか?この子は嘘をついてはいないよ」
霞「だったら……どうして――」
やえ「この半荘中ずっと同じ通しを使われていたらね……そりゃあ法則も見えてくるさね」
霞「ま、まさか……っ!」
やえ「そう、あれは私が出した偽の情報」
やえ「ニワカが……目が曇ってるよ」
やえ「そんなんだから大切なことにも気付けない……」
霞「………」
やえ「ニワカは相手にならんよ!」
やえ「もう一度いってやる……ニワカは相手にならんよ!」
\ニッワッカッ!/\ニッワッカッ!/\ニッワッカッ!/
穏乃「はいっ!」トトト
初美「………」
霞「………」
小蒔「霞ちゃん……初美ちゃん……」
咲見たことないけど、このかっこいい人見るために買うわ!
あ…
阿知賀編ってのは興味持たなくていいよ
初美「ちょっと胸に刺さる言葉ですねー……」
穏乃「そんな胸ないけどな」
霞「小蒔ちゃん、ごめんなさい」
小蒔「……えっ?」
霞「私、ずっと小蒔ちゃんのことを友達として……仲間として見れてなかったの。本家と分家……身分の違いから必要以上に親密になってはいけない、ってずっと自分に言い聞かせてた……」
初美「だから保身に走れば姫様を平気で切り捨てられた……」
小蒔「………」
霞「でも、ニワカさんに目が曇ってるって言われて気付いたの……ずっと小蒔ちゃんのことが好きだったことに」
初美「危なっかしくて放っておけない姫様も、分家の皆に分け隔てなく優しくしてくれる姫様も……私は全部まとめて好きですよー」
霞「何を今更って言うかも知れない……けど!」
初美「私たちと友達になってくれますか?」
小蒔「そんなの……そんなの決まってるじゃないですか――」
穏乃「そしたらニワカ卒業ですか?」
やえ「いや、ニワカのままだよ」
穏乃「じゃあ、ニワカを卒業するためにはどうしたらいいんでしょうか?」
やえ「そんなの決まってるじゃないか。私にずっとついてこい。そうしたらいずれ違う景色が見えるさ……」
穏乃「やえさん……///」
やえ「なぁ、高鴨……」
穏乃「何ですか?やえさん」
やえ「次はどんなニワカを探そうか――」
槓!
座順は姫様、はっちゃん、ニワカ先輩、霞さん
東ー:姫様→ニワカ先輩24000
東ー一本場:ニワカ先輩ツモ4100・8100
東二:ニワカ先輩ツモ6000・3000
東三:はっちゃんツモ8000・16000
東四:霞さん→はっちゃん24000
東四一本場:姫様ツモ6100・12100
南一:霞さん→姫様16000
南二:ニワカ先輩ツモ3000・6000
南三:はっちゃん→姫様32000
南四:ニワカ先輩→霞さん32000
最終収支
姫様:3200(-27)
はっちゃん:42800(+13)
ニワカ先輩:51200(+41)
霞さん:2800(-27)
か、かっこいい…///
かっこよすぎるやろー
かっこ良かったわー
また書いてね!
ん?どした?→いつもと様子が違う後輩に気がつく感の良さ
あれか、ジャージの子とその仲間か?→原因をすぐ予測し、推測を立てる頭のキレの良さ
> ジャージの子がさ、棚からパンを取るとき、見えたんだよぉ。 すごいマメ、ありゃそおーとう打ってる→動体視力と観察力の高さ、人の努力を認める所が人間出来てる。
ちなみに漫画版だと小走先輩の動体視力のおかげであんパンを取ってる事がわかり、穏乃はキャラスレであんパンが好き説、又はあんこが好き説、の二つの説が穏乃ファンの間で噂されている(穏乃はお店の売れ残った和菓子がおやつだったのかなという仮説が立てられる始末)
小走先輩は数少ない出番の中で後輩だけでなく、立場的に敵である穏乃に対しても気を回し、本編キャラの引き立て役まで担っている。先輩優しすぎ。
まっ心配しなさんなーわたしは小3の頃から、マメすらできない→不安がってる後輩を落ち着かせる為に、今までの努力の結果(右手の手のひら)を見せ安心感を与える。
ちなみにこの演出もアニメ版のみである。 アニメスタッフGJ。
ニワカは相手にならんよ!→小走先輩の今までの人生をすべて詰め込めた至高の名言
初瀬の応援に反応する先輩→歩きながらじゃなく、わざわざ止まってから手を振る律儀な一面も。そして右手を見せているのは昨日の事と関係していると思う。意味はおそらく初瀬しかわからないだろう。
ドラ筋の三面張……→松実玄の異常な場の支配がありながら綺麗なドラ絡みの三面貼聴牌。 ツモった牌を地にいれすぐ切る所から頭の中でどんな手にするかが既に出来てる。あと、先輩の河は整ってて対戦者に見やすい。
お見せしよう……\リーチ!/ 王者の打ち筋を!→綺麗な待ちから繰り出される綺麗な回転立直。 でもテンションが上がったリーチのお陰で少し河が乱れちゃう。 力が入っちゃったかわいい。
えっ、ええええ~→かわいい
敗戦後の中継で唯一二年生巽由華と抱きしめ合い、これからの晩生高校を後輩に託しつつ、悔しさで泣いてしまう女の子な先輩。お疲れ様です小走先輩。
なお、小走先輩自体の戦績は+15400で先鋒戦を終えている。 東一局で小走先輩が立直棒の1000点を場に供託した後、松実玄に親倍ツモ上がられたのでこの時点で-9000点である。
これを先鋒戦終了時(決勝戦ではないため半荘1回)には+15400に上げていたので、最低でも24400点を取り返している。
場は松実玄により支配されているため、ドラ・赤五萬・赤五筒2枚・赤五索が全く来ないので必然的に打点が下がってしまう。
おまけに赤五萬・赤五筒2枚・赤五索といった真ん中の大事な牌を松実玄に握られているため、その辺りの順子又は五萬五索の暗刻がものすごく作りづらくなりスピード面でも妨害がかかってしまう。
ドラ表示牌が数牌で六筒とか来た日にゃちょっとやってられない。 もちろん松実玄にもドラを捨てれない制約があるが、半荘で1回倍満クラスを上がれば大体持ち直せる上今回は親倍ツモ、8,000オールです(小走先輩は立直棒を払ってるため-9000)
それでも小走先輩は場の支配を知らずに+15400、やばい。 絶対早い段階で支配に気がついたと思う。 でないと松実玄にツモられて小走先輩もマイナス収支になっているはずである。
その上頭脳・顔面の偏差値が共に70、まわりにキャー頑張ってーと言われる人望。おまけに手が綺麗な小走先輩。
小走先輩はすごい。
だれか三行にまとめて
強い
凄い
かわいい
小走先輩は気遣いのできる優しい人で
麻雀もニワカを寄せ付けないし
偏差値は頭脳も顔面も70越えの完璧超人
ニワカは
相手に
ならんよ
Entry ⇒ 2012.07.31 | Category ⇒ 咲-Saki-SS | Comments (0) | Trackbacks (0)
やえ「長野に槓を多用するニワカがいると聞いて」
穏乃「そうなんですよ、やえさん。インハイの決勝で私が当たった相手なんですけど……」
やえ「あーあれか。対局中に服を脱ぎ出す子か」
穏乃「空気読まずに槓を連発するわ、全裸になるわで流石の私も苦笑いでした。あれはニワカに違いないです」
やえ「そこにニワカがいるなら正してやらんとな。王者の勤めだ」
穏乃「ってことは……」
やえ「今から長野へ発つ!高鴨、30秒で支度しな」
穏乃「はいっ!」
やえ「まー心配しなさんな……私は小三の頃からマメすら出来ない……ニワカは相手にならんよ!」
穏乃「やえさん……///」
穏乃(あれ?マメの話と強さの話って関係なくね?)
やえ「ふふ」
やえ「ふふ、王者の歩法は世界を縮めるからね。私にかかれば長野なんて5分で着ける」
穏乃「いつの間にか大所帯になっちゃいましたね」
やえ「王者が歩けば民が追従する……そういうもんさね」
穏乃「やえさん……///」
やえ「ふふ」
\ニワカ!/\ニワカ!/\ニワカ!/
やえ「へぇ、初めて来たけど中々いいとこじゃないの」
穏乃「とりあえず麻雀部に行ってみます?」
やえ「そうさね……」
穏乃(すごい……やえさんが敷地に足を踏み入れた瞬間、生徒たちがひれ伏して道が出来た……)
やえ「さぁ、行こうか」
穏乃「はいっ!」
やえ「ふふ、ニワカの匂いがするね」
穏乃「たのもー」
久「あら?お客さん?」
やえ「ここに槓を多用するニワカがいると聞いてね」
久「ニワカかどうかは知らないけど心当たりはあるわ。今、ちょうど打ってるところよ」
やえ「高鴨、どの子がニワカ?」
穏乃「奥の子です。名前は……」
穏乃(同い年……何て言ったっけ?……名前……確か――)
穏乃「ニワカです」
久「しかしすごい人数ね……」
穏乃「やえさんが歩けば着いていかずにはいられませんからね。必然というものです」
やえ「おい、花田。お前から見て奥の子はどう見える?」
煌「すば……ニワカです」
やえ「そう、その通りだ。ふふ、あーっはっはっはぁ」
和(何なんでしょうかこの人たちは……)
まこ(迷惑じゃのぅ……)
優希(迷惑だじぇ……)
咲「お客さん……ですか……?」
やえ「君がニワカか。ふふ、君と打ってみたくて奈良から来たんだ」
咲「はぁ……」
やえ「どうだろうか?」
咲「いいですよ……私でよければ。でも、私と打った子は皆……」
咲「この世の終わりを向かえるような顔をするんです……」
やえ「ふふ、それは楽しみだ」
やえ「そうさね……途中でハコられても興醒めだ。おい、花田」
煌「ニワカッ!」
やえ「後一人は……」
「私が入ろう」
やえ「ほぅ……」
咲「お、お姉ちゃん!?」
照「咲ちゃんにペロペロ出来ると聞いて」
咲「」
やえ「インハイチャンピオンを呼んだ覚えはないが……まぁいい、どうやらニワカではなさそうだ」
やえ「闘牌開始だ」
\ニワカ!/\ニワカ!/\ニワカ!/
照「………」
咲「………」
煌「ニワカッ!」
やえ「王者らしくリーチといこうか」
穏乃「でたー!やえさんのダブリー」
やえ「サービスだ。リー棒をいつもより多めに回しておいた」
照「………」チャッ
咲「………」タンッ
煌「ニワカッ!」タンッ
やえ「ツモだ。6000通し」
やえ(ふふ、またしても良形の5面張か)
やえ「お見せしよう。王者の打ち筋を!」
咲「槓……」
穏乃(親のダブリーに大明槓!?)
やえ「ニワカめ……」
煌「ニワカッ!」
咲「ツモ。嶺上開花赤3……8000です」
咲「ポン!」
咲「もいっこ槓!」
やえ「ふふ、本当に槓ばかりするんだね」
煌「ニワカッ!」
穏乃「ニワカですね」
照「………」
照「ツモドラ7。4000・8000」
穏乃(つまり次は倍満以上!?)
やえ「ふふ、なるほどね」
穏乃(はっ……もしかしてあのニワカはわざとチャンピオンに槓ドラを……?)
穏乃(やえさんに直接負けたらニワカと認めるようなもの。しかし、チャンピオンの圧勝で終わったとしたら?やえさんとニワカの勝負はうやむやになってしまう……)
穏乃「汚ないなさすがニワカきたない」
穏乃(チャンピオンのリーチ……この早い巡目でもう倍満以上を仕上げたのか!?)
穏乃「やえさん……」
やえ「ふふ、心配しなさんな……私を誰だと思ってる」
\ニワカ!/\ニワカ!/\ニワカ!/
やえ「おい、ニワカ」
咲「……?」
やえ「王者の槓というものを見せてやろう」
やえ「だが、その手も和了れなければ意味がない」
やえ「槓……っ!」ゴッ
咲「……!」
照「………」
やえ「ふふ、もういっこ槓」ゴッ
やえ「これでチャンピオンの手は死んだ。純カラというやつだ」
穏乃「流石やえさん!」
\ニワカ!/\ニワカ!/\ニワカ!/
やえ「やはりチャンピオンと言えどニワカだな。槓――」
やえ「ツモ!嶺上開花三槓子ドラ4……跳満」
やえ「どうだ?これが王者だ」
やえ「ニワカには分からんと思うがな……くくっ、あーっはっはっはぁ」
咲「………」ゴゴゴ
穏乃(ニワカが脱ぎ始めた……)
やえ「ほう……」
穏乃(ここからだ……ここから始まる。インハイ決勝の時に見た――)
照(咲ちゃんのストリップショーが!)
穏乃(嶺上開花の嵐が!)
久(あの子は咲の領域を侵した。咲は自分以外の者が槓をするのを極端に嫌っている)
久(また潰すのね。靖子とマホちゃんが牌を持てなくなった時のように……)
やえ「ふふ、ここからが本番ということか」
咲「………」ゴゴゴ
やえ「王者リーチ!」
咲「いいんですか?それ、生牌ですよ?」
やえ(っ……しまった――)
咲「槓……」
咲「もいっこ槓!もいっこ槓!もいっこ槓!」ゴッゴッゴッ
咲「ツモ。四槓子……32000です」
やえ「心配しなさんな。まだ南入したところだ……」
穏乃「やえさん!」
やえ「まだ親が残ってる……王者がニワカに勝つには充分すぎるさ」
咲「ところがどっこい!嶺上ツモ……8000・4000です」
やえ「なっ……」
たぶん6000くらい残ってる
穏乃(正直、これは厳しい……)
穏乃(この時点で二人の差は7万点以上……もう親が残ってないのにこの点差をひっくり返すなんてことは……)
穏乃(……でも!)
穏乃「やえさんなら……やえさんならきっと!」
「ニワカだし!」
「ニワカだじぇ!」
「ニワカですよー!」
\ニワカ!/\ニワカ!/\ニワカ!/
穏乃(聞こえますか?やえさん……この歓声が……)
穏乃(皆、やえさんのことが大好きなんです。だから……だから――)
穏乃「ニワカッ!ニワカッ!ニワカッ!」
やえ「ふふっ」
咲「………」
やえ「『ニワカに負けられない』、『後ろの声援に応えなければならない』ってのは王者の辛いところだな……覚悟はいいか?私は出来てる」
やえ「お見せしよう!王者の打ち筋をッ!!」
咲「……!?」
咲(この局面で安手?……いや、聴牌気配すらしてなかったはずなのに、どうして?どうして直撃されたの?)
穏乃(後ろから見てた私でも分からなかった……)
穏乃(やえさんはまだ2向聴だったはずなのに……)
穏乃(一体、何をしたんだ?)
やえ「ふふっ」
穏乃(なっ……ここに来てこんなことするなんて……)
穏乃(何かのミスか?いや、それとも何か別の狙いか?)
穏乃(ニワカの私には正直分からない……)
穏乃(何が目的なんだ?このノーテンリーチ……)
やえ「高鴨、心配しなさんな……晩成のツバメは――」
やえ「目にも映らぬ速さで天を舞う」
照「………」チャッ
煌「ニワカッ!」タンッ
やえ「槓……」
咲「なっ……」
穏乃(嶺上開花じゃないのか……)
咲(安牌なしか……)チラッ
咲(槓材の北はニワカ先輩の山にいる……ならこれは通る!)
やえ「ロン!」
やえ「リーチ裏1……3900」
咲(……また直撃!?)
穏乃(あのリーチ棒の回転が生み出す上昇気流によって他家の視界をほんの一瞬奪い、その隙をついての燕返し!)
穏乃(全自動卓で、しかも局の途中で燕返しなんて常人の発想の外……っ!)
穏乃(だが、裏を返せばそっくりそのままそれは付け入る隙となる……)
穏乃(事実、あのニワカは振り込んで信じられないって顔をしている……)
穏乃(この勝負、まだ分からない!)
やえ「さぁ、オーラスだ!」
穏乃(やえさん、私たちニワカに見せてやってください。王者の打ち筋を!)
やえ「………」
咲(役満直撃以外逆転はない……なら縦に伸ばすことは止めておこう)
やえ「ふふっ」
穏乃(あれ?やえさんの河に所々血が……)
穏乃(マメすら出来ないやえさんが対局中にどうして……?)
やえ「くっ……」ギッ
穏乃(まただ……また血が……)
穏乃(……!?よく見たらやえさんの指、血だらけじゃないか!)
咲(あれは一体……)
穏乃(やえさんの狙いは国士無双……)
穏乃(けど、もう……)
穏乃(河に白と中が4枚ずつ見えている……和了れる可能性は全くない……0……絶無……っ!)
穏乃(やえさん……!)
やえ「まだだ!まだ終わらんよ!」
やえ「王者リーチ!」
穏乃「やえさん!」
\ニワカ!/\ニワカ!/\ニワカ!/
咲(河に白と中が4枚ずつ見えてる……西は私が槓子で抱えている。国士は有り得ない……)
咲「麻雀って……楽しいよね。必死で追い上げてくる相手を絶望させるのがホント楽しいよ」
穏乃(………?)
咲「私から和了れなければ逆転はない。だから――オリる」
咲(西の槓子落とし……これで終局まで凌ぐ……!)
咲「えっ……?」
やえ「ふふ、有り得ないって顔してるな……」
やえ「だが、有り得ないこと理不尽なことが起こるのが麻雀。それも分からん内はまだまだニワカだ……」
やえ「国士無双!32000!」
咲(まさか……っ!?)
穏乃(そう……その白と中はやえさんが自らの身体を血に染めてまで造り出したものだ)
穏乃(牌の表面を削り、字を彫り込むだけじゃやえさんの指には傷すら出来ない……しかし、それでは中は造れない)
穏乃(だから敢えて自分の指に傷をつけた……!あの綺麗な指が自慢のやえさんが指に傷をつけたんだ……ニワカがどう足掻こうが勝てるわけがない……っ!)
やえ「ふふ、終局だ」
咲「………」
やえ「ニワカは相手にならんよ!」
穏乃「ニッワッカッ!ニッワッカッ!ニッワッカッ!」
\ニッワッカッ!/\ニッワッカッ!/\ニッワッカッ!/
やえ「もう一度言ってやろう。ニワカは相手にならんよ!」
ニワカ先輩:40800(+31)
咲:30200(±0)
照:18000(-12)
すばらっ!:11000(-19)
さ、咲さん・・・まさか・・・
照「咲ちゃん……ごめんね。お姉ちゃん、途中から流れを奪われて置物になってた」
咲「ううん、お姉ちゃんの所為で負けた訳じゃないから……」
照「咲ちゃん……」
咲「そもそもお姉ちゃんには期待すらしてなかったから」ニコッ
咲「部長……居たんですか……?」
咲「悔しいかどうかは分かりませんが次があるなら――」
咲「徹底的に叩き潰したいですね」ニコッ
穏乃「ニワカ卒業ですか?」
やえ「いや、ニワカのままだよ」
やえ「なぁ、高鴨……」
穏乃「何ですか?やえさん」
やえ「……次はどんなニワカを探そうか」
槓!
途中で7万点差以上と書きましたがあれはミスです。
どうでもいい話ですか。そうですか
座順はニワカ先輩、咲、照、すばらっ!
東一ニワカ先輩6000オール
東一1本番咲がニワカ先輩に満貫直撃リー棒込みで9300
東二照倍満ツモ
東三ニワカ先輩が照に跳満直撃リー棒込みで13000
東四咲がニワカ先輩に役満直撃リー棒込みで33000
南一咲が倍満ツモ
南二ニワカ先輩が咲に3200直撃
南三ニワカ先輩が咲に3900直撃
南四ニワカ先輩が咲に役満直撃
穏乃がニワカだったってことか
ん?どした?→いつもと様子が違う後輩に気がつく感の良さ
あれか、ジャージの子とその仲間か?→原因をすぐ予測し、推測を立てる頭のキレの良さ
ジャージの子がさ、棚からパンを取るとき、見えたんだよぉ。 すごいマメ、ありゃそおーとう打ってる→動体視力と観察力の高さ、人の努力を認める所が人間出来てる。
ちなみに漫画版だと小走先輩の動体視力のおかげであんパンを取ってる事がわかり、穏乃はキャラスレであんパンが好き説、又はあんこが好き説、の二つの説が穏乃ファンの間で噂されている(穏乃はお店の売れ残った和菓子がおやつだったのかなという仮説が立てられる始末)
小走先輩は数少ない出番の中で後輩だけでなく、立場的に敵である穏乃に対しても気を回し、本編キャラの引き立て役まで担っている。先輩優しすぎ。
まっ心配しなさんなーわたしは小3の頃から、マメすらできない→不安がってる後輩を落ち着かせる為に、今までの努力の結果(右手の手のひら)を見せ安心感を与える。
ちなみにこの演出もアニメ版のみである。 アニメスタッフGJ。
ニワカは相手にならんよ!→小走先輩の今までの人生をすべて詰め込めた至高の名言
初瀬の応援に反応する先輩→歩きながらじゃなく、わざわざ止まってから手を振る律儀な一面も。そして右手を見せているのは昨日の事と関係していると思う。意味はおそらく初瀬しかわからないだろう。
ドラ筋の三面張……→松実玄の異常な場の支配がありながら綺麗なドラ絡みの三面貼聴牌。 ツモった牌を地にいれすぐ切る所から頭の中でどんな手にするかが既に出来てる。あと、先輩の河は整ってて対戦者に見やすい。
お見せしよう……\リーチ!/ 王者の打ち筋を!→綺麗な待ちから繰り出される綺麗な回転立直。 でもテンションが上がったリーチのお陰で少し河が乱れちゃう。 力が入っちゃったかわいい。
えっ、ええええ~→かわいい
敗戦後の中継で唯一二年生巽由華と抱きしめ合い、これからの晩生高校を後輩に託しつつ、悔しさで泣いてしまう女の子な先輩。お疲れ様です小走先輩。
なお、小走先輩自体の戦績は+15400で先鋒戦を終えている。 東一局で小走先輩が立直棒の1000点を場に供託した後、松実玄に親倍ツモ上がられたのでこの時点で-9000点である。
これを先鋒戦終了時(決勝戦ではないため半荘1回)には+15400に上げていたので、最低でも24400点を取り返している。
場は松実玄により支配されているため、ドラ・赤五萬・赤五筒2枚・赤五索が全く来ないので必然的に打点が下がってしまう。
おまけに赤五萬・赤五筒2枚・赤五索といった真ん中の大事な牌を松実玄に握られているため、その辺りの順子又は五萬五索の暗刻がものすごく作りづらくなりスピード面でも妨害がかかってしまう。
ドラ表示牌が数牌で六筒とか来た日にゃちょっとやってられない。 もちろん松実玄にもドラを捨てれない制約があるが、半荘で1回倍満クラスを上がれば大体持ち直せる上今回は親倍ツモ、8,000オールです(小走先輩は立直棒を払ってるため-9000)
それでも小走先輩は場の支配を知らずに+15400、やばい。 絶対早い段階で支配に気がついたと思う。 でないと松実玄にツモられて小走先輩もマイナス収支になっているはずである。
その上頭脳・顔面の偏差値が共に70、まわりにキャー頑張ってーと言われる人望。おまけに手が綺麗な小走先輩。
小走先輩はすごい。
乙でした
次→やえ「鹿児島に対局中に居眠りするニワカがいると聞いて」
Entry ⇒ 2012.07.30 | Category ⇒ 咲-Saki-SS | Comments (2) | Trackbacks (0)
Lチキ「ファミチキ・・・ファミチキ・・・」クチュクチュ
Lチキ「キャッ!か、からあげ君?!///」サッ
Lチキ「あ、揚げ上がりだからよ!今揚がったばかりだから!///」
からあげ君「ふーん・・・なんか顔赤いよ?」
Lチキ「ホ、HOTなの!今日はLチキHOTだから!」
からあげ君「それより・・・」カチャ(ドア施錠)
からあげ君「このあふれる肉汁は何かなぁぁぁぁぁ????」グイッ
Lチキ「キャッ!!」トロリ
Lチキ「嫌ぁぁぁぁぁ!!!見ないでぇ!!!」
からあげ君「へへ・・イイむね肉してんじゃねえか!」ビリィ!(衣破る音)
Lチキ「やめてぇ!!!」
Lチキ「た、助けて!!」ダッ
からあげ君「チィ!いい所を・・・!」
Lチキ「か、からあげ君に急に襲われて・・・」
からあげ君「へへ・・・ちょっとスキンシップ取っただけだよ」
バンズ「からあげ貴様・・!」
Lチキ「ひっ・・・バンズ君?!」
からあげ君「へへ・・・悪ィ・・・チーズが股間からあふれ出ておさまりつかなくてよォ」スリスリ
バンズ「フン、まあいい・・・所でLチキさん、俺は前からあなたの事気になってましてねェ」
バンズ「一度あなたを挟んでみたいと思ってたんですよ」パサァ(袋開ける音)
バンズ「やめて?おかしな事を言いますねェLチキさん・・・」
バンズ「俺達は元々親同士の取り決めで一緒になる予定じゃないですか」
バンズ「一緒になってこそ幸せになれるんですよ?」
Lチキ(ああ・・・こんな・・・嫌なのに・・・わたし美味しそうって思ってる?!)
からあげ君(クソッ・・・相変わらずイイ身体してやがんぜ!俺も挟まれてェ!!)ギンギン
Lチキ「あああああ!!!!」
バンズ「くぅっ!凄い肉汁だ!!Lチキさん、俺のパンズリは最高だろう?!」ズーリズーリ
Lチキ「ひぎぃぃ!!!」
バンズ「お前まで挟んだらカロリーオーバーだ!後で相手してやるからおとなしくまってろ!」ズーリズーリ
Lチキ「ファミチキ君・・・ファミチキ君・・・」
Lチキ「?!」ハァハァ
バンズ「あいつも今頃は・・・他のバンズに挟まれてるころさ!」ズーリズーリ
Lチキ「!!」
バンズ「ククク!ローソンのバンズとファミチキも案外イケるもんでさ!喜んで貪り食ってるだろうぜ!!」ズーリズーリ
夢が広がるな
客男「あー腹減ったなー。Lチキ食おっかな」
客女「ねーねー、このパンに挟んで食べると美味しいんだってww」
客男「へーそうなんだ。じゃあ一緒に買うか。すみません!これとあとLチキ下さい!」
Lチキ「私を・・・もっと挟んで下さいご主人さま///」
end
Entry ⇒ 2012.07.30 | Category ⇒ その他 | Comments (4) | Trackbacks (0)
幹也「お給料下さい…何でもしますから」橙子「ん?」
橙子「……」ペラペラ…
タタタタタ…
橙子「ん?」
ギイイイ…バタン!
幹也「おはようございます、橙子さん!」
橙子「あら。おはよう、幹也君。君が走って出社してくるなんて珍しいわね」
幹也「……」ハァハァ…
橙子「まだ出社時刻ギリギリって訳でもないけど……何かあったの?」
幹也「はぁ、その事なんですが……――出社して早々に不躾ですが、お給料下さい橙子さん」
橙子「……」カチャ
橙子「――出社して、挨拶の次に出て来る言葉がそれか?……呆れて言葉が出んよ」
幹也「言葉は無理に出してもらわなくても構いませんから……お給料、お金を出してくださいよ、橙子さん」
橙子「何で?だって今日は別に給料日でも何でも」
幹也「給料日です」
橙子「……」
幹也「……」
橙子「ああ……もう一ヶ月経ったのか……」
幹也(この人、完璧に忘れてたな……)
幹也「ええ、そうですね」
橙子「そうか……私が倫敦の時計塔で人形作りに明け暮れていたのも、もう八年近くも前の事になるのか……懐かしい」シミジミ…
幹也「関係のない話で誤魔化そうとしても駄目です。それよりお給料」ズイッ
橙子「……」
幹也「言葉は無理に出さなくても結構ですけど……こっちは多少の無理をしてもらってでも出してもらいますからね」
橙子「まあ、ちょっと待て。その話は、別に朝のコーヒーを一杯飲んでからでも遅いという事はないだろう?」
幹也「コーヒーを淹れれば話を聞いていただけるんですね?」
橙子「まあ、考えてやらん事もない」(聞くとは言ってない)
幹也「ちょっと待ってください、今淹れてきます」
……………………
橙子「……」ゴク…
幹也「……」ゴクゴク…
橙子「うん、今日も良い味だ。やはり君の淹れるコーヒーは格別だね、黒桐」
幹也「何か取って付けたみたいですけど……ありがとうございます。で……橙子さん、お給料の事」
橙子「……もう。君はさっきから口を開けば『金』『金』『金』、か」
幹也「……」
橙子「私は君を金銭欲の薄い男だと思っていたんだがね……」
幹也「二ヶ月も貰える物を貰ってなけりゃそりゃがめつくなりますよ」
橙子「あー……」
橙子「……」
幹也「勿論、先月と先々月の分も合わせて」
橙子「…………」
幹也「橙子さんー……?」ゴゴゴゴゴ…
橙子「……………………」
橙子「……」ハァ…
橙子「……払ってあげたいのは山々なんだが。残念な事に金がない……むしろ、私が君から借りたい位で……」
幹也「本当にどうやって生活してるんですか、あなたは。どうせまた変な物買っちゃったんでしょう!」
橙子「今度のは1800年物の」
幹也「聞きたくありません!」
橙子(黒桐が声を荒げるなんて珍しいな……)
幹也「……」ジーッ… ←無言の抗議
橙子「……」
幹也「…………」ジーーッ…
橙子「…………」カチッ…
幹也「……………………」ジーーーッ…
橙子「……………………」シュボッ…
幹也「……」ガクッ
橙子「……」フゥーッ…
幹也(何で……この人は……自分に非があるのに、ここまで堂々としていられるんだろう……)
橙子「……」 ←鉄面皮
幹也「うぅ……」
橙子「……」
幹也「そうやって……余分な物を買うお金があるなら……ちゃんとお給料払って下さいよ……」
橙子「突然の出会いだったからな……いや、君には悪い事をしたと思っているんだよ?申し訳ない」
幹也「うそだ……絶対思ってない……」
橙子「……」 ←『良く分かってるじゃないか』という顔
橙子「いつものように社員は各自で金銭を都合してくれ」
幹也「無理ですよ……流石に三ヶ月連続となれば誰も貸してくれません。……と言うか橙子さん、先月と先々月も同じ事言いましたよね?」
橙子「ふむ……」
幹也「うぅ……」
橙子「……そんなに生活に困っているのか?」
幹也「ええ、おかげ様で」
橙子「皮肉と言うのはあまり堂々と言っても効果はないぞ。……で、どうなんだ?実際の所」
幹也「……」
幹也「今はもう……毎月の食費を工面するだけで精一杯で……」
橙子「……」
幹也「もう家賃を何ヶ月か払えてないから……アパートも追い出されて……」
橙子「ほう……それは大変だな。それでそれで?」
幹也(この人、絶対面白がって聞いてる……)
橙子「……」ニヤニヤ
橙子「で、今はどこで寝泊りしてるんだ?まさかどこか橋の下で野宿している訳でもあるまい」
幹也「……」
橙子「実家……は親御さんと喧嘩してるんだったな。なら友人の家か?」
幹也「……」
橙子「いや、これも違うか。……借りた金を中々返さない奴を泊める友人などいないだろう。となると……」
幹也「……
橙子「……もしかして?」
幹也「ええ、お察しの通り……僕は今、式の家で寝泊りさせてもらってます」
橙子「ほほう……」ニヤニヤ」
橙子「なら、急いで給料を出す必要もないだろう。来月までゆっくりと式の所で世話になれば良いじゃないか」
幹也「流石にそこまで甘える訳には行きませんよ。式にだって迷惑だろうし……」
橙子(多分、大して迷惑に感じてないと思うがな……)
幹也「唯でさえ、ご飯も式の所でご馳走になってるのに……」
橙子「なら食費も浮いて良いじゃないか」
幹也「食費はちゃんと折半にしてます。最も、作るのは全部式任せですけど……」
橙子「ふぅん……」
幹也「今日だって、食費が浮くからってお弁当を持たせてくれようとしてくれて……」
橙子(それって愛妻弁当って奴じゃないのか?)
橙子「それ、持ってきてるのか?」
幹也「いえ……気持ちは嬉しかったんですけど、返しました」
橙子「……どうして?」
幹也「……式、自分の分を作るのを忘れていたんですよ。だから、どうせ作ったのなら学校で食べたら?って」
橙子「……」
幹也「? ……何ですか、橙子さん」
橙子「はぁ……」
幹也「ど、どうしたんですか橙子さん?急に溜息付いて……」
橙子(あの面倒くさがり屋の式が……何でわざわざ人のために弁当を作ったのか、分からんのかこの朴念仁は……)
幹也「……とにかく。式にだって学校があるんだし、いつまでも居候させてもらっていちゃ彼女に迷惑が掛かるじゃないですか」
橙子「多分思ってないだろう……」ボソ
幹也「だから……早く滞納してる家賃を払って、僕は自分のアパートに戻りたいんです」
橙子「今の内に同居生活を楽しんでおけば良いのに……」ボソ
幹也「それに……式と約束したんです」
橙子「?」
幹也「もし家賃を払ってあのアパートに戻れるようになったら……今度は式がたっぷり僕の部屋で寝て良いよって」
橙子「…………」
橙子「……それ、式に面と向かって言ったのか?」
幹也「? ええ、そうですけど」
橙子(こいつの事だから別におかしな意図がある訳じゃないんだろうが……式はどう受け取ったかな)
幹也「だから……お願いします、今日お給料を受け取ったらすぐに家賃を払って、またあのアパートに戻れるようにしたいんです」
橙子「これでまた今月も彼女の所で世話になるようだと、男として格好が付かないものな」
幹也「……っ、そうです……」
橙子(式にあまり無様な所を見られたくないんだな……黒桐もそれなりに男って事か)
幹也「無理は承知の上です……橙子さん、お給料下さい」
橙子「……」
幹也「何でもしますから……!」
橙子「……」ピクッ
橙子「ん?今何でもするって言ったよね」
幹也「……」ビクッ
橙子「それじゃあ、『黒桐君』……」ニヤニヤ
幹也(今僕は、お金欲しさにとんでもない事を言ってしまったのでは……?)
橙子「肩、揉んでくれる?」
幹也「へっ?」
橙子「へっ?じゃなくて……肩揉んでくれるように頼んでるんだが」
幹也「はぁ……そりゃ、頼まれれば揉みますけど……」
橙子「最近どうも肩凝りが酷くてな……いや、良い機会だ」
幹也「……橙子さん。本当に肩を揉めば、お給料を出していただけるんですね?」
橙子「ああ。今ここに現金はないが……何とかしよう。約束する」
幹也「……分かりました。約束ですからね」
…………
………
……
(もみもみ)
橙子「……」
幹也「……」
(もみもみ……ぐいっ)
橙子「ん……」
幹也「どうですか?」
橙子「なるほど……いや、上手いじゃないか黒桐」
幹也「ありがとうございます。橙子さん、結構凝ってますね?」
(もみもみ)
橙子「ふぅ。いや、本当に……君は凝ってる所を見つけるのが上手だな」
幹也「ええ、まぁ……」
橙子(ふむ……何かを『探す』、という黒桐の才能は……こういう所でも生かされているのだろうか)
幹也「……」
橙子(それとも単に……?)
(もみもみ……ぐりぐり)
橙子「ふぅ……」
幹也(……大分、凝りも解れてきたかな・・・・・・?)
橙子「いや、凄く心地良い……大分楽になった」
幹也「喜んでいただけて何よりです」
橙子「ここまで来たらついでだ……肩以外も頼めるか?」
幹也「と、言いますと?」
橙子「そりゃあ腰とか背中とか……後足も凝ってるな」
幹也「えっ……流石にそれは」
橙子「してくれれば給料に色を付けてあげても良いんだがな……」
幹也「分かりました、やります!」(即答)
橙子「良い返事だ。その言葉が聞きたかった」クスクス
…………
………
……
橙子「……」
幹也「……」
(ぐいぐい……ぐっぐっ)
橙子「おっ……」
幹也「……」
橙子「いや、生き返るな……」
幹也「……」
幹也(肩以外も大分凝ってるな……普段そんなに忙しそうに働いてるイメージはないのに)
橙子「はぁー……」
幹也(やっぱり人形作りって疲れるのかな……そりゃあれだけ精巧な出来の奴だもんな……)
橙子「なあ、黒桐」
幹也「はい、何ですか橙子さん?」
橙子「君、誰かにマッサージするのはこれが初めてか?」
幹也「ええ、ここまで本格的な奴は多分初めてです」
橙子「む……とするとやっぱりこれは天性の物か……?」ブツブツ
幹也「……」
(もみもみ)
橙子(大分慣れた手付きに見えるんだがな……)
幹也「ふぅ……」
橙子(初めてなのか?とすると……)
橙子「なあ、黒桐」
幹也「はい?」
(もみもみ、ぐっぐっ)
橙子「……」
幹也「……?」
橙子「やっぱり女体の扱いには式で慣れてるのか?」
幹也「ぶっ!」
橙子「……」クスクス
幹也「な、な、な……!」
橙子「どうした黒桐?『な』だけじゃ分からんぞ」
幹也「橙子さん、何言ってるんですか!止めてくださいよ本当に……」
橙子「ん?いや、マッサージは初めてだと言う割にとても上手だから、君……」
幹也「だからって……本当に初めてですよ、僕……」
橙子「ふむ、まあそれは確かだとしても……黒桐?」
幹也「……今度は何です?」
橙子「君、女の体にこういう風に触れるのは初めてじゃないんだろう?」
幹也「ファッ!?」
橙子「私の体に触れる時も、君は意外と動揺してなかったからな」
幹也「な、あ、え……」
橙子「これが今まで一度も女に触れた事もない男なら震えるなりはするよ」
幹也「ちょ、ちょっと待っ……」
橙子「という事は……式の家に寝泊りし始めた折に、君は式と」
幹也「分かりました……その話はよしましょう、はいやめ!」
橙子「む……何故話してはいけないんだ黒桐」
幹也「いやいや……今その話はマッサージには関係ないですし……」
橙子「ふむ、それもそうか。それじゃこれはまた別の機会に話すとして……」
幹也(出来ればもうこの話題はしたくないな……一度話せばずっと橙子さんにおちょくられそうな気がする……)
幹也「はいはい……何ですか、もう」
橙子「返事も段々投槍になってきたな……さっきからずっと手が止まってるぞ」
幹也「え?あ……」
橙子「うむ……やはり君が初めて式の体に触れた日の事を」
幹也「すいません、それだけは勘弁してください!」
(もみもみ……ぎゅっぎゅっ)
橙子「おお、気持ち良い。やっぱり君は女体を扱う事にかけてはプロ並だな」ニヤニヤ
幹也「うぅ……」
…………
………
……
― 伽藍の堂・外 ―
式「……」
幹也『えっ?式、お弁当作ってくれたの? そりゃあ凄く嬉しいけど……あれ?君、自分の分は作ってないのか……』
式『……』
幹也『……それじゃ僕が貰う訳にはいかないな。折角自分で作ったんだから、学校でお昼に食べたらどう?』
式「……あの、莫迦」ボソッ…
式「……」スタスタ…
…………………
― 伽藍の堂 ―
式「……」コツコツ
式(学校休んでまで……弁当届けにきたって言ったら、あいつはどんな顔するかな……)
式「……」コツコツ
式(ここに来た事に驚いて……次は学校を休んだ事を注意して……。でも……)
式「……」コツコツ
式(でも……最後にはお礼を言いながらちゃんと受け取る気がする。食べた後に呑気な顔で『美味しかった』って、言ってくれる気がする)
式「……」
式「……」クス…
…………
式「……」
式(この扉の向こうに……あいつが居るのか。それに、トウコも……)
式「……」
式(お弁当を届けにきたって言ったら……きっと、トウコは冷やかすだろうな。幹也だって……もしかしたら、あんまり良い顔しないかも)
式「……」
式(でも、良いんだ……もう決めた事だから。あいつに、これを渡すって……)
式「―――よしっ……」
ギイイイ……バタン
式「幹也、弁当届けに来た……―――っ?」
式「……」
式「……」
式「……えっ?」
式(なに……これ……は……?)
橙子「はぁー……」
幹也「……」
(もみもみ……ぎゅっぎゅっ)
橙子「ああ……何度も言うようだが……本っ当に、気持ちが良い……。君は天才だなぁ、黒桐……」
幹也「そうですか……そこまで喜んでもらえると、こっちも嬉しいです」
(ぐりぐり、ぐいぐい)
式(え……なに……?何で、幹也が……ソファで橙子に覆い被さって……)※
※ドアの位置の関係上、式からはそう見える
幹也「……っふぅ……」
橙子「はぁ……いやぁ、これは良い……」
幹也「……橙子さん、一旦休憩しましょうか?」
橙子「ああ、うん……別に良いよ……」
式(幹也……あんなに、汗かいて……)
幹也(いやぁ……本当に凝ってるなぁ、橙子さん……。こっちも疲れてきちゃった……)
幹也(いやぁ……本当に凝ってるなぁ、橙子さん……。こっちも疲れてきちゃった……)
幹也「はぁ……」ムク…
式「……」
幹也「ん……あれ? 式、何でこんな所に居るのさ」
式「……」
幹也「学校は? ……もう、駄目じゃないか。成績はともかく出席日数だけは確保しときなさいっていつも言ってるのに」
式「…………」
式「……」
幹也「……式?どうしたの、そんな所で固まっちゃって……」
橙子「んー……?何だ、黒桐……式が来てるのか……?」ムクリ…
式「あっ……」
橙子「どうしたんだ式?今日もまた学校はサボりか」
式「……っ」
橙子「……式?」
式(トウコ……服が、はだけて……)※
※マッサージしている内に自然とはだけてしまった
式「…………」クッ…
幹也(今度は俯いちゃった……どうしたんだろう、式)
橙子「……」フム…
橙子(式は今……私を見て驚いたな?)
橙子「……」チラッ
橙子「あっ……」(察し)
橙子「……」
橙子(なぁるほど……式はこれを見ておかしな勘違いをした訳か……)
式「……」
橙子「……」ニマー… ←何か意地の悪い事を考え付いた時の顔
幹也「あの、式……本当にどうしたの?」
式「……」
橙子「待て、黒桐。ここは私から説明しよう」
幹也「え?橙子さんがですか」
橙子「ああ、任せてくれ」
式「……」
橙子「……」コホン
橙子「あー……式。君は今……もしかしたら、何かを誤解しているのかもしれない」
式「……」
幹也「……?」ン…?
式(誤解って……この状況をどう誤解しろって言うんだ……)
式「……」ギロッ…
橙子「……君が今何を考えているのかは分かるし、どう腹を立てているのかも分かる」
式「……」
幹也(……さっぱり分からない。式は今……女性にしか分からない『何か』……が原因で怒っているんだろうか?)
幹也「……」ウーン…
橙子(こいつはこういう事になると途端に察しが悪くなるなぁ……何かを探る事に関しては優秀な男なんだが)
式「……」
橙子「式。今日は何の日か覚えてるか?」
式「……え?」
橙子「……」
式「何の日……って……」
幹也(今日……今日……今日は何か……式を不機嫌にさせるような事がある日なのか……?)
式「……」
橙子「分かったか?」
式「……」
式「幹也の、給料日……」
橙子「そう、その通りだ」
幹也(……え?それと式の機嫌に何の関係が……?)
式「……」
橙子「それに何の関係がある……って顔だが、実はあるんだよ。黒桐が今金欠なのは知っての通りだろう?」
橙子「確か……家賃を滞納してアパートを追い出され、今は君の家で寝泊りさせてもらってるんだったか」
式「っ……」
幹也「ちょ、ちょっと橙子さんっ……」
橙子「まあまあ良いから、黙って聞け」
式(幹也の奴……そんな事までトウコに話してたのか……)
橙子「その事をどうも黒桐は気に病んでいたらしくてな。今日は出社早々に給料を請求されたよ」
橙子「『いつまでも式の所に居ては彼女に迷惑が掛かるから』……って」
式「……」
幹也「っ……」
式「……そうなのか?幹也」
幹也「…………うん」
橙子「男の意地って奴なんだろうな……誰だって、女に情けない自分って奴は見られたくないんだろう」
幹也(人をその情けない金欠にさせたのはあなたですけどね……橙子さん……)
幹也「……」ジーッ…
橙子「……」 ←鉄面皮
式「……」
式(……私は別に、その事を迷惑だなんて思ってない……。ただ……)
橙子「……」
式(ただ……あの何でもない平凡なアパートの……ベッドの寝心地を少し恋しいと思ってた……)
橙子「で……ここからが本筋なんだが。私は黒桐に賃金を強請られたが、当然そんな物持っちゃいない」
幹也「当然って……橙子さん、あな」
橙子「黙って聴け。賃金を持っていないが……代わりに黒桐と『ある約束』をした」
式「……」ピクッ
幹也(約束って……あれの事ですか……?)
橙子「……」パタ…
式「……」
幹也「……」
橙子「……」
幹也「……?あの、橙子さん……何でまた急にソファに寝そべってるんですか?」
橙子「……だから。これが私と君の約束だろう?」
幹也「え……?」
橙子「……」ハァ…
橙子「『今ここに現金はないが』『何でもする』って言ったじゃないか。だから……」
橙子「私の『腰とか背中とか……後足』とか……君、色々触っただろう?」
幹也「……」
式「……」
橙子「……」
幹也「ファッ!?」
式「……」ギロリ
幹也「と、と、と、橙子さん!!何言ってるんですか!!」
橙子「何って……別に嘘は言っちゃいないだろう?さっき君と私の言った通りだ」
幹也「そうですけど!そうなんですけど!」
幹也(式が何を誤解しているのか僕には分からないけど……それでも分かる、今のは絶対に変な誤解を招く!!)
式「……」
式(嘘じゃない……か。勘違いとかじゃなくて……本当に、そうだったの?)
橙子「いや……まさか君があんなに『上手い』とは思わなかった。私の『心地良い』『所』をすぐ見つけてしまうんだものな」
幹也「ちょっとちょっとちょっと……」
橙子「『初めて』だと言ってたが……『女体の扱い』に『慣れてる』と感じたよ。『プロ並』だと思った」
幹也「ストップストップストップ!!」
橙子「何だ黒桐?何か間違いでもあったか?」
幹也「ありませんけど……ありませんけど……何やら悪意を感じます!」
橙子「気のせいじゃないか?」
幹也「嘘だ……絶対嘘だ……」
橙子「……」 ←『やっぱり良く分かってるじゃないか』という顔」
式「……」
幹也「あ……式……」
式(間違いはない……のか。そうか……間違いであって欲しかったけど……)
幹也「……」
式(幹也の汗も……トウコのはだけた服も……全部、間違いであって欲しかったけど……)
式「……」ズリッ…
幹也「式……?」
式(私はただ……もう一度……もう一度のあの部屋の、あのベッドで……)
式「っ……」クルッ…タタタ…
式(こいつの寝惚けた顔を見ながら、一緒に寝たかった……だけなのにな)
ギイイイ……バタン
幹也「……」
橙子「……」コホン…
橙子「とまぁ、こういう風に式が勘違いしてはいけないから、私が説明を買って出た訳だが……見事に誤解されてしまったな、黒桐」
幹也「あなたって人はぁぁぁー!!」
橙子「落ち着け、黒桐」
幹也「これが落ち着いていられますか!何してるんですか橙子さん!見事に誤解されちゃったじゃないですか!!」」
橙子「えーとまぁ……ほら、良く言うだろ?『誰にだって失敗はある』」
幹也「今のは故意じゃないですかぁぁぁー!!」
橙子「……」
橙子「さっきからよく叫ぶな……君にしては珍しい」
幹也「ああっ……物事の本筋からこんなに外れたコメントは初めてだ……!」
橙子「叫ぶのも良いがな、式が心配なら早く追いかけた方が良いぞ、黒桐」
幹也「言われなくたって……!今日はもう退社させてもらいますっ!構いませんね?」ササッ
橙子「ああ、別に構わんよ。しっかり見つけて来い」
幹也「式っ……!」タタタ…
ギイイイ……バタン
橙子「……」
橙子「……」クキッ…コキッ…
橙子「おお、凄い……あんなに酷かった体の凝りが完全に解れてる……」
橙子「……」コキ…コキ…
橙子「体が軽い……なるほど、後で黒桐には感謝しなくちゃな……。約束どおり、給料にも色を付けといてやろう」
プルルルル……
橙子「ん?」
プルルルル……
橙子「……」カチャ
ガチャッ…
橙子「はい、蒼崎ですけど」
…………
橙子「はい……はい……ええ、ありがとうございます。それでは……」
ガチャッ……
橙子「……」
橙子「……」カチャ
橙子「驚いた……まさかこのタイミングで入金とは……」
橙子(しかし……こんな仕事、請けた覚えが……あれ?いや、請けたような気もするが……) ←前の仕事はすぐ忘れる
橙子「……まあ、あって困る物でもないから、貰っておこうか」
橙子「……」シュボッ…
橙子「……」フゥー…
橙子(今頃あいつら……どこ走り回ってるのかな)
橙子「……」
橙子(しかしまあ……今回あった事を一言で纏めようとすれば……)
橙子「天災は忘れた頃にやってくる……って奴か」 ←違う
幹也と式のいざこざは自分が引き起こした人災という事を棚に挙げる橙子さんであった。
この後……幹也には正式に給料が支払われ、何とか家賃も返す事が出来た。
ただ……今回の事で式が受けた衝撃は大きく、幹也は説得にてこずり……最終的に肌と肌で語り合う事になった。
式「おまえの言う事が正しいって言うんなら……オレにも同じ事をしてみせろっ!!」
幹也「えぇーっ……?」
完
今回は珍しくエロもホモも無かったんだよなぁ……一回で完結出来て本当に良かった
ところで最近になってようやくらっきょにエロは似合わない事が分かった……お疲れ様した!
橙子さんも書けられるはず(迫真)
ところで次のらっきょSSはいつになるか未定だけどベストを尽くせば結果は出せる…(震え声)
スレタイは『式「」』にする予定す
(橙子さんのエロを)出そうと思えば(式・鮮花との4P以外に方法は無い……)
最後に、未来福音映画化おめでとう、後伽藍の洞の病人服の式可愛い
乙した
4P期待して待ってる
Entry ⇒ 2012.07.30 | Category ⇒ 版権物SS | Comments (6) | Trackbacks (0)
綾乃「歳納京子のお腹にベイビーが!?」
綾乃「ふうっ、思ったより早く帰れたわね」テクテク
綾乃「家に着いたらまずお風呂に入ろうかしら…、ん?」
綾乃「私の前を歩いてる人って、もしかして…!?」
京子「」テクテク
綾乃「て、てててて天使!?」
綾乃「かっ、かわゆああああああ!!」
綾乃「……!?」ハッ
綾乃「な、なによっ、ただの歳納京子じゃない!」
綾乃「でも、いったいどこへ行くのかしら…?」
綾乃「アイツの家ってこっちの方角じゃないわよね」
綾乃「船見さんの家でもなさそうだし…?」
綾乃「……?」ウーン
綾乃「ま、まあ別にっ、歳納京子がどこへ行こうが私には関係ないけどっ」
綾乃「でっでも私には副会長として生徒の安全を確かめる義務があるし」
綾乃「し!仕方ないわね!本当に仕方ないわね!もうっ!」
綾乃「」コソコソ
綾乃「」コソコソ
京子「」テクテク スッ
綾乃「!!」
綾乃(どこかの建物に入ったわね…)
綾乃(誰かのお家かしら?それともお店?)
綾乃(それにしてもこんな場所にアイツの行きそうな所なんて…)チラリ
『七森産婦人科』デーン
綾乃「ウ、ウボアアアアー!!」ゴロンゴロン
綾乃「ほええええええええ!?」
綾乃「ドッキリ!?ドッキリテクスチャーかしら!?」
綾乃「は、ははははは…」
綾乃「い、いやっ!わたし疲れてるのよ!」
綾乃「きっと目の錯覚よ!ちょっとした見間違いなのよ!」
綾乃「よーしっ」ゴシゴシ
綾乃「……」ゴシゴシゴシ
綾乃「」チラッ
『七森産婦人科』デデーン
綾乃「アッバアアアアー!!」ゴロンゴロン
綾乃「お、おおおおお…」プルプル
綾乃「おわ、おわおわおわおわ…」
綾乃「お分かりいただけただろうか…」
綾乃「中学生が入った建物に、あるはずのない『産婦人科』の文字が…!」
綾乃「それではもう一度、スローでご覧いただこう…」
綾乃「……」
綾乃「って!やめやめ!!心霊番組ごっこなんてやめやめ!!」
綾乃「きっと…」
綾乃「きっと歳納京子は真剣に悩んでいたはずだもの…!」
綾乃「それでも普段通り明るく振舞って」
綾乃「きっと心の中では苦しんでいたのね…」
綾乃「歳納京子…あなたって人は…」
綾乃「でも…、ひとつ、ひとつだけ教えてほしいの…」
綾乃「…」スゥウウウ
綾乃「父親は!!??相手は誰だおおおおおおおお!!」
綾乃「ウオオオオオオオオオオ!!」ガツンガツン
綾乃「フナミか!!フナミ・ユイか!!!!」
綾乃「ヒイロオオオオオオオ!!」ゴロンゴロン
綾乃「…!だ、だめよ私!しっかりしなくちゃ!」
綾乃「悔やんでいる場合じゃないわ、現実を受け止めなきゃダメ」
綾乃「…で、でもちょっと待って」
綾乃「ひょっとして人違いだったりしないかしら…」
綾乃「そ、そうよ!背格好とか髪型は似てたけど」
綾乃「世の中にはそっくりさんなんて大勢いるもの!」
綾乃「きっとたまたまその人が七森中の制服を着てただけだわ!」
綾乃「……」
綾乃「ないない」ブンブン
綾乃「ちょっち待っちーちゅうがくせいー」
綾乃「って!ちょっちどころじゃないわよ!早く出てきなさい歳納京子!」
綾乃「それとも、本当に私の気のせいだったの…?」
ガチャリ
綾乃「!」
綾乃(だ、誰か出てきた!)
『それじゃあ、今日はありがとうございました』
『ええ、帰り気をつけてね』
綾乃「あ…あれは…!」
綾乃「て、天使!?」ドキーン
綾乃「い、いやいや違うわ歳納京子よ」ハッ
綾乃(はあ…、残念だけどあれは間違いなく本人ね…)コソコソ
綾乃(やっぱり妊娠……なのかしら)
綾乃(……)
綾乃(いや!決めつけるにはまだ早いわ!家の用事か何かってことも!)
京子「」ピポパ
京子「あ、もしもしお母さん?うん、行ってきたよー」
綾乃(!! ほ、ほら!)パアッ
綾乃(やっぱりそうだったのよ!もうっ、人騒がせな…)
京子「うん、すっごい元気だったよ!赤ちゃん!」
綾乃(ぐああ!!もう転がる元気もないわよ!!!)ゴロンゴロン
綾乃(非情っ…!人生っ…!人生の非情っ…!)ギリギリ
綾乃(見えないっ…!涙で明日が見えないっ…!)
綾乃(……)グイッ ゴシゴシ
綾乃(歳納京子…、世間の風当たりは厳しいと思うけど)
綾乃「強く、生きるのよ…」
綾乃「…」クルッ スタスタ
・・・・・・・・・・・・・・
京子「そう、もうすぐ目が開くんだって」
京子「そしたら家に連れて行ってもいいって言われた」
京子「それにしても、すっごい小さいんだねー子猫って」
綾乃「あれから家で一晩中考えたけど…」
綾乃「これからどうやって接すればいいのかしら、歳納京子に…」ハァ
千歳「綾乃ちゃん?朝からため息って、何かあったん?」
綾乃「千歳…」
綾乃「うん、実は昨日ね…、歳納京子が産婦人科に…」
千歳「さんふじ…え、ええっ!?」
綾乃(あっ!やばっ!いくら千歳にでもこれは秘密よ!)
綾乃「ま、まままま間違えたわっ!」
綾乃「えっと、その、さん、さんふ、サンフランシスコよ!!」デデーン
千歳「日帰りで海外に!?」
千歳「あらー、夢にまで歳納さんが出るなんて純情な綾乃ちゃんらしいわー」
綾乃「も、もうっ千歳!」バシーン
綾乃(あ、危ない…、なんとかごまかせたわね)フウッ
綾乃(もしこの話が広まったら、きっと歳納京子は学校中で好奇の目にさらされる)
綾乃(千歳には悪いけど…、アイツが困ってる顔なんて、見たくないもの)
綾乃(わ、私は、最後まであなたの味方よ…!な、なんちゃって!)カァッ
綾乃(や、やだ私ったら何を考えて…!で、でも…)クネクネ
千歳(な、なんかわからんけど綾乃ちゃんが可愛いで!!)ビュー
綾乃(まあ、気づいた素振りもなかったし、大丈夫だと思うけど)
京子「みんなおっはよー」ガラガラッ
綾乃(!!)ビクッ
京子「お、いたいた」ツカツカ
綾乃(ええっ!なんで私に向かって来るのよ!歳納京子!)ドキドキ
京子「」ツカツカツカ ピタッ
綾乃(な、なに?なになになに!?)
京子「綾乃ぉー!!」バーン
綾乃「ハ、ハイーッ!!」ガタッ
京子「あとで体育館裏に来い」
綾乃「ハ、ハイーッ!!」
綾乃(ってええええええ!?)
綾乃(ど、どうしようどうしよう)アワワ
綾乃「ご、ごごごご」
綾乃「ごめんなさいっ!歳納京子!」
京子「なに?ごめんで済んだらなもりは何人も要らないぞ!」
結衣「おいコラ」バシ
京子「あたっ」アウチ
結衣「ごめんね綾乃、コイツの悪ふざけだから気にしないで」
綾乃「…へっ?」
京子「ごめんごめん、昨日のドラマでやってたセリフ真似したんだー」
綾乃「そ、そうなの…?」ホッ
綾乃「えっ?」
京子「ゆうべ私のゴッドハンド輝がこれを発掘したんだー」ガサゴソ
綾乃「輝ってだれよ」
京子「うーん…、あ!あった!はい、綾乃」ピラッ
綾乃「あ、ありがとう…、って!!このプリントとっくに締切過ぎてるじゃない!」
京子「あーやっぱり?2ヵ月くらい遅れちゃったね」テヘヘ
綾乃「もうっ!笑い事じゃないわよ…ハッ!?」ピキーン
綾乃(『2ヵ月遅れちゃった』…)ブツブツ
綾乃(『2ヵ月』…『遅れた』…つまりこれは)
綾乃(『妊娠2ヵ月』っていうメッセージ!!?)ドーン
綾乃(それで私にだけ本当のことを教えてくれた?)
綾乃(と、歳納京子……!!)チラ
京子「」ボケー
綾乃(私を頼ってくれているのね…)ドキドキ
綾乃「歳納京子!」
京子「ほ、ほえ?」パチクリ
綾乃「…負けちゃだめよ」グッ
京子「お、おお?」
京子「な、何に…?」
結衣「眠気?じゃないかな…」
京子「わかめご飯うめぇ!!」ガツガツ
結衣「よく食うなお前」
京子「だってわかめが絶滅したら二度とコレ食えないんだぞ!」
結衣「何万年生きる気だよ」
綾乃「……」ジー
綾乃(やっぱりお腹の赤ちゃんが栄養を欲しがっているのね)
綾乃(デザートのプリン、分けてあげようかしら…)
綾乃(で、でも1ヵ月楽しみに待ったプリンだし…ぐぬぬ)
千歳(やーん綾乃ちゃんったら歳納さんばっかり見てるわー)ドバドバ
京子「わかめ!」クワッ
結衣「なんだその返事」
綾乃「こっ、これ、あげるわよ…」サッ
京子「……おおっ?」
京子「これは、牛乳!?くれるの?ホントに?」
結衣「あれ、綾乃って牛乳きらいだったのか」
綾乃「えっ、今日はお腹いっぱいなのよ、あ、あとご飯も半分あげるわ」
京子「やったー!!」
結衣(餌付けでもする気なのか…?)
教師「で、教科書92ページの公式は~」ウンヌン
綾乃「」カリカリ
結衣「」カリカリ
京子「…おえっぷ」
結衣「お、おい京子…、大丈夫か」ヒソヒソ
京子「ぐ…きぼぢわるい」
結衣(メシ食い過ぎだバカ)
結衣「あの、先生、歳納さんが気持ち悪いそうなので保健室連れてきます」
綾乃「!!!!!」ドキーーン
綾乃(つ、つわり!!!!)ガーン
京子「た、たぶん…うぷっ」
結衣「平気です、コイツ食べ過ぎただけなんで…」
教師「そ、そう、気を付けて連れて行ってあげてね」
教師「ハイ、じゃあ授業に戻るわよー、次は…」
綾乃(船見さん、うまくごまかしたわね…)
綾乃(でも、つわりだと疑っている人が私のほかにいるかもしれない)
綾乃(私の役目はその疑いを晴らすことよね)
綾乃(任せておきなさい歳納京子!)ガッツ
教師「杉浦さーん、拳握ってないで問3解いてー」
ワイワイ ガヤガヤ
綾乃「さーて、変な噂が流れていないか監視よ」
女子A「昨日の晩御飯がニシンだったんだけどー」
綾乃「!」ビクッ
女子B「このまえニンジンでゼリーつくったらさあー」
綾乃「!!」ビクッ
綾乃(もうっ、まぎらわしい会話ばっかりね…)
千歳「そうや綾乃ちゃん!うち、プケモンの新作買ったんやけどー」
綾乃「任信の話は禁止だァー!!!」 (※任天堂信者のこと)
千歳「言葉狩り!?」
千歳「あれ?そういえば今朝も、歳納さんが産婦人科に行ったとか言ってへんかった…?」
綾乃「ふえっ!?」ドキ
千歳「怪しいなあ…、もしかして綾乃ちゃん昨日歳納さんと何かあったんちゃう?」
綾乃「ひぇえ!?ち、違うのよっ!誤解!誤解よ!」
千歳「ま、まさか…!!」ゴゴゴゴゴゴゴ
綾乃(やばっ、気付かれちゃった…!?)
千歳「!!!!」トッ゙ブシュウウウウ
綾乃「どんな妄想したのか知らないけど、たぶん違うわよ…」
千歳「」ピクピク
綾乃「妊娠がどうたらって言ったのもみんな気のせい…、そう!気のせいよ!」
千歳「そ、そうなん…?でもなんか敏感に反応してへんかった?」
綾乃「い、いや!そんなことないわよっ!」
千歳「うーん?」
綾乃(ごめんなさい千歳…、でもこればっかりは本当のことを話すわけには…!)
綾乃「ほら千歳、生徒会に行…」
女子C「ねーねー、あれって年号いくつだったっけ、ほらあのー、日清戦争!!」
綾乃「妊娠戦争!!?」クワッ
女子C「ひぃ!」
千歳「言ったそばから!?」
綾乃(昨日は過敏に振る舞いすぎていたみたいね…)
綾乃(意識せず普段どおりに過ごさないと、また千歳に怪しまれるわ)
綾乃(そもそも歳納京子のことだもの、どんな問題もうまく乗り越えるはずよね)
綾乃(だからアイツのことは気にせず、私は勉強や生徒会に集中するのが一番よ!)
綾乃(よぉーし!まずは勉強よ勉強!歳納京子のことなんて気にしないんだから!)
綾乃(絶対に歳納京子のことなんて気にしないんだから!!)
綾乃(……)
京子「おっはよー」ガラガラ
綾乃「歳納京子ぉー!!!」ガッタァーン
綾乃(しまったつい!!)ガビーン
綾乃「へ、へえっ?いや、そ、そう!もっと早く登校しなきゃダメよっ!」
結衣「ごめんね綾乃、いつも京子が出てくるの遅くてさ…」
綾乃「しょ、しょうがないわね、まったくもう…」
京子「あ、そうだ結衣!綾乃にも聞いてみようよ、あの話のこと!」
結衣「え?ああ、いいかも」
綾乃「ん?へっ?なんの話?」キョトン
京子「ねー綾乃、綾乃はさー」
京子「子どもの名前、何がいいと思う?」
綾乃「ヌッ!?」ブホッ
京子「うん、さっきまで結衣と話してたんだけどね」
京子「実は今度私の家にさー…」
京子「って綾乃、聞いてるー?」
綾乃「ベ、ベイビイ…?」ガクガク
京子「べいびー?うーん、いい名前だけどなんか赤ちゃんみたいだぞ?」
結衣「そりゃそうだろうが」ベシ
綾乃「ベ…ベ…」
綾乃「ベビベビベイベベイベベイベベイベ」ガクガクガクガク
結衣「HOTEIみたいになってるけど!?」
結衣「あ、おかえり」
京子「ほらほら、綾乃も決めるの手伝ってよー」
綾乃「え!?ええっと、ちょっと待って…」
綾乃(て、ていうかそもそも、私が決めていいの…?)
京子「あ!ポチとかどうかなー!」
綾乃「え、ええっ!?」
結衣「えー?なんか違くないかそれ」
綾乃(じ、人名にポチ!!!DQNネームにも程があるわよ!!)
綾乃(よ、よかった…船見さんはまともね)
京子「えー?ガリガリ君並みに平凡な名前じゃんそれ」
結衣「なんじゃそら」
京子「ん!思いついた!ラムレーズンの「ラム」ちゃん!どうだっちゃ?」
綾乃(!!!また変な名前を…!)
結衣「…あ、いいかも、なんか可愛い」
綾乃(うそ!?いいの!?これって二人の子供の名前よね!?)
綾乃(……??)
綾乃(だっておかしいもの!)
綾乃(子供の名前って普通は二人だけで考えるものよね)
綾乃(それなのに、私にも決めるのを手伝えなんて…)
綾乃(それにこの二人…、人につけるような名前を考える気ないじゃない!)
綾乃(これって……もしかして?)
綾乃(……)
綾乃(私に名づけて欲しいって言ってるの…?そのためにわざと変な案を…?)
綾乃(つ、つまり…)ゴクリ
綾乃(私が本当の親だってこと!!!!???)ドッキーン
結衣「ん?なに?綾乃」
綾乃「私が名付け親になっても…いいの?」
京子「なに言ってんだよー綾乃!」
京子「いいに決まってんじゃーん!!」
綾乃「!!!!!!!!!!!!!」ドギューン
綾乃「う、う、う…」
綾乃「ウオオオオオオオオオ!イエスイエスイエス!!」フォウフォウ
結衣「!?」ビクゥ
京子「綾乃!急にどうした!!」
綾乃(心が幸せで満ち足りていくわ…)
綾乃(これが親心か…!!)キラキラ
綾乃「はあっ…、まぶしい、光がまぶしいわ…」
綾乃「そうだ!いい名前を思いついたわ」
綾乃「『全てを照らす光』という意味の…」
綾乃「メルエム、というのはどうかしら」ウフフ
結衣「王の名前を!?」ギョッ
京子「本当にどうしたんだ!綾乃!!」
京子「あ、時間だ!まあ適当に考えといてよー、マリオとかピカチュウみたいなの」
結衣「なんで任天堂で縛ってんだ」
・・・・・・・・・・・・・・・・・
<授業中>
綾乃(……)ムムム
綾乃(オーソドックスに、親の名前から一字ずつ取ってみたらどうかしら…)
綾乃(京子…、綾乃…、京…綾…、きょうあや…京綾!!!)
綾乃(……!!!!!!)ジーン
綾乃(す、素晴らしい…!!今日の、今日の私は……)
綾乃(阿修羅すら凌駕する存在よ!!!)ガッターン
教師「はい杉浦さーん勝手に立たないでー」
綾乃「ふぇっ!?あ、はい!」
綾乃(や、やだ…、恥ずかしい…、あ、でもここ昨日予習したし大丈夫よね)
綾乃「」オホン
綾乃「『第2章 家庭を築く』」
綾乃「赤ちゃんは女性と女性の間に生まれ、家族の一員となりますが…」
教師「あれっ!?」
綾乃「女性は母親に、もう一方の女性は父親として社会から認められ…」
教師「杉浦さん男は!?なんで排除しちゃったの!?」
綾乃「???」
教師「す、杉浦さんは生徒会で疲れてるみたいですので、続きは私が読みますね…」
綾乃(そうよ!女どうしで妊娠なんてあるわけないじゃない!!)
綾乃(で、でも…、ということは…?歳納京子の相手って一体誰なの…?)
綾乃(…え?まさか私、今までものすごい勘違いを…!?)
綾乃(も…もしかして…もしかして…!!!)
教師「…というわけです、ね?いいわよね杉浦さん?」
綾乃「しょ、処女受胎ってこと…!?」ワナワナ
教師「はあ!?」
綾乃「」プシュー
千歳「あ、綾乃ちゃん!みんなすぐ忘れるって!気にしたらあかんよ!」
綾乃「もうダメ…、あんなこと発言するなんて…爆発してしまいたいわ…!」
千歳「だ、大丈夫!ほら、今日は生徒会欠席してゆっくり休めばええねん」
綾乃「ち、千歳…、ありがと」
綾乃「でも私、このあと歳納京子と話をするつもりだから、それが終わったら…」
千歳「そうやね、終わった後で家に帰ってゆっくりしてな」
綾乃「ええ、家に帰ってちゃんと自爆するわ」
千歳「ん!?おかしいで!!」
綾乃「…」ドキドキ
綾乃(歳納京子に確かめなくちゃ、本当のことを…)
綾乃(それで私の勘違いだったときは、精一杯謝りましょう)
綾乃(…)ドキドキ
綾乃(こういう時って…、いやに緊張しちゃうわね)
綾乃(よ、よーし入るわよっ…)
結衣「綾乃!」
綾乃「ひぃっ!」ビク
綾乃「まことにすいませんでした!!!」ドゲザ
結衣「速攻で土下座!!」
結衣「あ、ああ、やっぱり…?私もちょっと変だなって思ってたんだ」
綾乃「船見さん…、わかってたのね、ごめんなさい迷惑かけて…」
結衣「ああ、いいよいいよ、別に気にしないで」
結衣「それより綾乃の様子が心配だったんだけど、そういうことなら納得だよ」
綾乃「もうっ、私ったらダメよね、変な勘違いして」
綾乃「まさか歳納京子が妊娠してるなん…」
結衣「えっ!?うそ!!妊娠!?」クワッ
綾乃「あれ!?予想のななめ上だったの!?」ガビーン
結衣「綾乃は、京子が地球外生命体を飼う気だって誤解してたもんだと」
綾乃「ん!?そっちのほうが無理あるんじゃない!?」
綾乃「あっ、そういえば歳納京子は…?私、アイツにも謝らなきゃ…」
結衣「ああ、京子なら先に帰ったよ、今日は大事なお客様が……おっと」
結衣「私がバラしちゃつまんないか、真相は京子の家に行って確かめてみて」
綾乃「??」
・・・・・・・・・・・
あかり「ちなつちゃん!部室の外で結衣ちゃんが妊娠がどうとか言ってるよぉ!!」
ちなつ「ヴォオオオ!!私との子供ですよねえええええ!!!」ゴロンゴロン
綾乃「」ドキドキドキ
綾乃(船見さんに言われて来てみたけど、一体何があるのかしら)
綾乃(それにしても緊張するわ…、今日は心臓が忙しい日ね)
綾乃(…よしっ)ゴクリ
ピンッ ポーン
『はーい』
綾乃(わっ、歳納京子の声…!)
綾乃「あっ、杉浦綾乃ですっ!あのっ…」
『お、綾乃ー!ドア開けて上がって上がってー』
『ただし0.5秒以内ね』
綾乃「なんでスパイアクションを要求されるの!?」
綾乃「はあ…はあ…、お、お邪魔します…」ハァハァ
京子「おいおい、無茶な突入はやめてくれよー」
綾乃「アンタが言ったんでしょうが」
京子「へへーごめんごめん、でもそうしないとこの子が外に出ちゃうからさ」
綾乃「この子…?あっ!もしかしてそのお腹に抱っこしてるのって…!」
子猫「」モゾモゾ
綾乃「きゃっ、か、可愛い…」
京子「さっきもらってきたんだー」
綾乃「うふふ」ホッコリ
京子「へへっ」ホッコリ
京子「あれー?言わなかったっけ、この猫ちゃんのことだよー」
綾乃「……な」
綾乃「なによそれ~…」ヘタッ
京子「お母さんの知り合いの人が、よかったら1匹引き取らないかって」
綾乃「…七森産婦人科ね」
京子「え、綾乃って未来から来た人!?」ギョッ
綾乃「違うわよっ!いやそのっ、偶然あなたが産婦人科に入るところを見て…」
綾乃「そ、それで私てっきり、その…妊娠してるものだと勘違いしちゃって…」
京子「うおっ、そ、それはまた…」
京子「千歳クラスの妄想力をお持ちのようで…」
綾乃「はうっ」カァッ
京子「うーん、許しがたいですなー、どうしましょうかなー」
綾乃「うう…」
京子「まあいっか、許してやろう!ねー、アヤちゃん」ネー
子猫「」モゾモゾ
綾乃「ほ、ほんとう…!?って今の、その子の名前?」
京子「そうだよー、『アヤ』ちゃんって言うんだー」
綾乃(う、ううううううそ!うそ!USO!!それって私の『綾』!?よね!?)キャアアアア
京子「『アニメじゃない~夢を忘れた古い地球人よ~』の略だよ」
綾乃「うそ!?」ガビン
京子「ほんとのことさ」
綾乃「へっ?い、いいの?」
京子「おうともよ!はい、そーっと」ヨイショ
綾乃「そーっと…、わっ、すごくちっちゃい」
綾乃「体すべすべねー、かわいい」ナデナデ
綾乃「……ね、ねえ」
京子「んー?言っとくけどあげないよー?」
綾乃「いや、あのっ…!ま、またこの子を見に…、来ていいかしら…?」
京子「なんだよー、そんなの当ったりまえじゃん!!」
綾乃「!!!!!」パアッ
綾乃(イヤッホオオオオオウ!!!私の時代キタ!!)ガッツガッツガッツ
京子「そう!そうなんだよ!私も最初に見たときそう思ったんだよね」
綾乃「すごく素敵ねー」
綾乃(幸せ!いま私幸せ!なんか幸せ物質が体中を駆け廻ってるわ!!うふ!うふふ!!)
綾乃(ああっ!何か幸せ過ぎて高揚感みたいなものが鼻先に集まってき…た…?)ムズムズ
京子「なんかそのしっぽがさー、綾乃の髪型に似ててかわいいなーと思って」
京子「アヤって名前にしたんだけどねー」
綾乃「ふぇっ!?え!?えええ!?」ドキ
綾乃「い、今なんてっ…むむ」ムズムズ
綾乃「ひっちゅ」クシュン
京子「ん?」
綾乃「え?」
綾乃「は…、ひっちゅ」クシュン
京子「もしかして綾乃って、猫の毛とかダメだった…?」
綾乃「い、いやいやいやいやそんなことは…ひっちゅ」ブシュ
綾乃「……」
京子「……」
・・・・・・・・・・・・・・・
<1週間後 京子宅>
ピンポーン
京子「おー綾乃!入って入ってー」
綾乃「お、お邪魔します…」ドキドキ
京子「それにしても綾乃はよっぽどアヤちゃんと遊びたいんだなー」
京子「ガスマスクつけてまで来なくてもいいのにー」
綾乃「し、仕方ないでしょ!本当に可愛いんだからっ!!」シュコー
支援感謝ひっちゅ
可愛かった
Entry ⇒ 2012.07.30 | Category ⇒ ゆるゆりSS | Comments (1) | Trackbacks (0)
シンジ「父さん、来週三者面談なんだけど」ゲンドウ「無理だ」
ゲンドウ「仕事だ」
シンジ「そう……ですよね。すいません」
ゲンドウ「それだけか?」
シンジ「はい」
ゲンドウ「ではな」
シンジ(父さんが来てくれるわけないじゃないか……僕は何を期待して……。また、ミサトさんに頼もう……)
ゲンドウ(三者面談か……ユイに話しておいたほうがいいか……)
ゲンドウ「ユイ」
初号機「……」
ゲンドウ「来週、シンジの通う学校で三者面談があるらしい。言ってくれるか?」
初号機「……」
ゲンドウ「……」
初号機「……」コクッ
ゲンドウ「助かる」
初号機「……」
冬月「碇、ここにいたか」
ゲンドウ「どうした?」
冬月「予算の件なんだが―――」
初号機「……」
ミサト「三者面談かぁ、いいわよ」
シンジ「いつもすいません」
ミサト「気にしないの」
シンジ「……」
アスカ「ミサトー。あたしの面談も付き合ってよねー」
ミサト「はいはい。わかってるって」
アスカ「シンジの次だから」
ミサト「んー」
シンジ「……」
ミサト「本当は司令に来て欲しかった?」
シンジ「そんなこと……ありません……」
ミサト「そう……」
ゲンドウ「どうした、レイ?」
レイ「三者面談があるのですけど」
ゲンドウ「ああ……そうか」
レイ「……」
ゲンドウ「……なんだ?」
レイ「いえ」
ゲンドウ「仕事だ」
レイ「分かっています」
ゲンドウ「……すまない」
レイ「いえ」
ゲンドウ「……」
マヤ「初号機起動!!」
リツコ「どういうこと?!」
マヤ「わかりません!!」
日向「パイロットは乗っていません!!無人で動いています!!!」
リツコ「ありえないわ!」
ゲンドウ「どうした?」
マヤ「初号機が勝手に起動を!!」
ゲンドウ「放っておけ」
リツコ「しかし!!」
ゲンドウ「すぐに帰ってくる」
リツコ「……」
青葉「初号機!!天井を突き破って外へ出ます!!」
マヤ「ケーブルは接続されていません!!暴走です!!」
リツコ「何が起こっているの……!?」
初号機「……」ズンズン
初号機「……」キョロキョロ
初号機「……」
ミサト「状況は!!」
マヤ『初号機、市街を移動中!!』
ミサト「確認するけど、誰も乗ってないのね!?」
マヤ『はい!!』
ミサト「住民の避難は?!」
日向『75%まで完了しています!!』
ゲンドウ『葛城三佐』
ミサト「は、はい!!」
ゲンドウ『そう神経質になることはない』
ミサト「しかし、初号機の暴走は看過できないと思いますが」
ゲンドウ『気になるなら後を追え。ただし、邪魔はしないほうがいい』
初号機「……」ズンズン
ミサト「進路予想は?」
マヤ『このまま進むと……学校があります』
ミサト「学校?」
マヤ『シンジくんの通う学校です』
ミサト「……まさか」
初号機「……」ズンズン
ミサト「……」トゥルルル
シンジ『はい。シンジです』
ミサト「シンジくん?今、学校でしょ?窓の外を見てくれる?」
シンジ『初号機が歩いてますね。なんですか、あれ?』
ミサト「多分、そっちに行くと思うから、よろしく」
シンジ『わかりました』
ミサト「暴れるようなことはないだろうけど……もう少し様子を見ておきましょうか」
ケンスケ「トウジ!!外!!外!!」
トウジ「エヴェンゲリオンか?!こっちにくるぞ?!」
ヒカリ「ちょっと、男子!!もうすぐ授業始まるんだから、静かに!!」
アスカ「……使徒でも出たの?」
レイ「いいえ。あれは無人だそうよ」
アスカ「なんで、こっち来てんのよ」
レイ「現在、状況確認中だから」
アスカ「……」
初号機「……」ズンズン
シンジ「エヴァが来る……」
ケンスケ「シンジ、何かのイベント?もしかしてエヴァ体験搭乗とか?!」
シンジ「それはないと思うけど」
教師「ほらー、席につけー」
ヒカリ「きりーつ」
教師「で、あるかして―――」
レイ「……」チラッ
初号機「……」ジーッ
レイ「……」
アスカ(何なのよ……気が散って仕方がないんだけど……)
シンジ(なんか、僕を見てるような気がする……)
初号機「……」ジーッ
ケンスケ「(ずっとこっち見てるよ。新しいパイロットでも選んでるのかな?)」
トウジ「(それ、エヴァンゲリオン自身がやるんかいな。難儀やなぁ)」
レイ「……」ナデナデ
初号機「……」ジーッ
レイ「……暑くないの?」
初号機「……」コクッ
初号機「……!」ビクッ
アスカ「ちょっと!!」
初号機「……」
アスカ「邪魔よ!!授業に集中できないでしょ!!」
初号機「……」
シンジ「アスカ、別にいいじゃないか。見てるだけだし」
アスカ「こんなでっかい顔が窓の外にあるだけで、邪魔よ」
初号機「……」
レイ「どうして、ここまで来たのかしら」
シンジ「えっと……何か用事?」
初号機「……」
ケンスケ「どうも初めまして!!自分は相田ケンスケっていいます!!」
初号機「……」
トウジ「反応あらへんな。聞こえとんのか?」
レイ「さあ……」
シンジ「……」
初号機「……」ズンズン
シンジ「あ……」
ケンスケ「帰っちゃうんですか?!」
アスカ「……」
レイ「葛城三佐。初号機は移動を開始しました」
ミサト『見えてるわ。とりあえず、目的は不明のままね』
レイ「はい。何も言ってくれませんでしたから」
ミサト『みんなは学業に専念してちょーだい。またねん』
レイ「お疲れ様です」
シンジ「何だったんだろう……」
アスカ「どーでもいいわよ」
ヒカリ「授業中、ずっと睨んできてたから怖かった……」
マヤ「初号機、帰ってきました」
日向「損傷箇所はありません」
リツコ「暴走の原因は?」
マヤ「不明です。ダミーシステムも使っていないのに……」
リツコ「……」
ゲンドウ「……」
冬月「やはり、ユイくんは真面目だな……」
ゲンドウ「ああ……問題はない」
マヤ「初号機、固定します!」
リツコ「司令……あの……」
ゲンドウ「……」
リツコ「なんでもありません……」
初号機「……」チラッ
零号機「……」
弐号機「……」
初号機「オォォ」
零号機「オォォ……」
弐号機「ォォォ……」
初号機「グォ」
零号機「……」
弐号機「グォォ」
マヤ「……なんか、エヴァが唸ってますけど」
リツコ「たまにあるのよね……」
マヤ「これも原因はわかっていないんですか?」
リツコ「エヴァ同士の共鳴ではないかって言われているけど、まだなんとも」
マヤ「気味が悪いですね」
シンジ「ミサトさん、エヴァの暴走の件は何か分かったんですか?」
ミサト「ううん。何も」
アスカ「気持ち悪いんだから、なんとかしてよね」
ミサト「はいはい」
シンジ「そうだ、ミサトさん。三者面談の時間なんですけど」
ミサト「はいはい?」
シンジ「4時かららしいです」
ミサト「16時ね」
アスカ「あたしはその20分後だからね」
ミサト「二人とも、私はダメ出しを聞く気はないからね。気持ちのいい三者面談に期待するわ」
アスカ「どういう意味?」
ミサト「終始賛美だけでいいってことよ」
アスカ「あっそ」
シンジ「あはは」
ミサト「え?あの……どういうことですか?」
ゲンドウ「葛城三佐がエヴァパイロットの三者面談に参加することを許可しないと言った」
ミサト「ど、どうしてですか?!」
ゲンドウ「他に適任者がいるからだ」
ミサト「誰ですか?!」
ゲンドウ「……」
冬月「以上だ。下がりなさい」
ミサト「司令。納得の行く回答をお願いします」
ゲンドウ「……」
ミサト「司令!!」
ゲンドウ「その日になればわかる」
ミサト「そんな……」
シンジ「そんな?!」
ミサト「ごめんなさいね」
アスカ「……ま、別にいいけど。三者面談に出なくてラッキー」
シンジ「アスカ、それはできないって言ってたじゃないか」
アスカ「でも、保護者がいないんじゃ、どうしようもないでしょ?」
シンジ「そうだけど……」
ミサト「司令は適任者がいるって言っていたけどね」
シンジ「適任者……?」
アスカ「あたしにも?」
ミサト「多分……」
アスカ「いるわけないわよ……」
シンジ「アスカ……」
アスカ「だって……あたしのママは……もう……」
ミサト(こりゃ、私も当日は学校に行ったほうがいいわね)
シンジ「……そろそろか」
シンジ「……」
ズン……ズン……ズン……
シンジ「え?」
初号機「……」ズンズンズン
弐号機「……」ズンズンズン
零号機「……」ズンズンズン
シンジ「……」
初号機「……」ジーッ
弐号機「……」キョロキョロ
零号機「……」
シンジ「え……え……?」
担任「碇。いるか?」
シンジ「あ、はい!」
シンジ「えっと……それが……」
初号機「オォォォォォォ!!!!!!」
担任「!?」
シンジ「どうしたの!?」
初号機「……」
シンジ「……」
担任「そうか。なら、二人ではじめ―――」
初号機「グォォォォォ!!!!!!」
担任「……」
シンジ「もう!邪魔しないでよ!!!」
初号機「オォォォォ!!!!」
シンジ「こっちは大事な面談なんだから!!!黙っててよ!!」
初号機「オォォォォォ!!!!!」
シンジ「なんで……」
シンジ「え?違いますよ。エヴァは―――」
初号機「……」ジーッ
シンジ「……もしかして、ミサトさんの代わりって……」
初号機「……」コクコク
シンジ「……」
担任「なんだ。そういうことなら、もっと窓際に行こうか」
シンジ「いいんですか?」
担任「仕方ないだろ?」
シンジ「じゃあ……お願いします」
初号機「グァ」
担任「では、えーと……碇シンジくんはですね……」
初号機「……」
担任「これといって問題はありません。ただ少し内向的なところがあるようにも思えますね」
初号機「グァ」
初号機「オォ」
シンジ「そ、そんなこと」
担任「あの綾波さんとも打ち解けているのはすごいと思うし」
初号機「グァ」
担任「転校してきたときは少し心配でしたけど、今は談笑しているときのほうが多いです」
初号機「オォォ」
シンジ「ありがとうございます」
担任「そういえば、惣流さんとも仲いいよな」
シンジ「それは……同じエヴァのパイロットだから……」
担任「いや、でも、傍から見ていると気があってるんだろうなって思う」
シンジ「アスカは僕のこと、嫌ってますから」
初号機「オォォ」
担任「そんなことないない」
弐号機「オォォ」ガシィィン
担任「どうかされましたか?」
弐号機「オォォ?」キョロキョロ
シンジ「どうしたの?」
初号機「……」ドンッ
弐号機「!?」
初号機「グァァ」
弐号機「……」
担任「あの……落ち着いてください」
シンジ「どうしたの?!」
初号機「……」
弐号機「……」
シンジ「やめてよ……怖いよ……」
初号機「……」
弐号機「……」
弐号機「オォォ」
シンジ「もしかしてアスカの……?」
弐号機「……」コクコク
担任「ああ。惣流さんの話題が出たから気になったのですか?」
弐号機「オォォ」
シンジ「なんだ……びっくりした」
初号機「グォォ」
弐号機「オォォ」
担任「でも、碇シンジくんは優しい子ですからね、惣流さんとも綾波さんとも仲良くなれるのは分かります」
シンジ「そんな……こと……」
弐号機「グォォォォ!!!!!」
シンジ「え!?今度はどうしたの?!」
初号機「オォォォォ!!!!」ガキィィン
弐号機「オオォォォ!!!!」ガキィィン
シンジ「アスカー!!アスカ!!!」
アスカ「なによ?って、どうして弐号機と初号機が取っ組み合いしてるわけぇ?!」
シンジ「分からないよ!!とにかくアスカからも何か言ってよ!!」
アスカ「なにかって……何を言えば……」
初号機「オォォォ!!!」ドゴォ!!!
弐号機「オォォォ!!!」バキィ!!
零号機「……」バキュゥゥン!!!
シンジ「わっ?!」
アスカ「ちょっと!!何、銃器もってきてるのよ?!使徒もいないのにぃ!!」
初号機「……」
弐号機「……」
零号機「オォ」
初号機「……」コクッ
弐号機「……」コクッ
アスカ「なにがあったの?」
シンジ「よくわからないんだ」
アスカ「……」
弐号機「グォォ♪」
アスカ「何よ……あ!ちょっと!!窓から手を突っ込もうとしないで!!壊れるから!!」
弐号機「オォ……」
担任「とにかく落ち着きましょう。惣流さんも入ってきたし、一緒に面談をしようか」
アスカ「はいはい」
シンジ「もうアスカ」
初号機「……」ジーッ
弐号機「……」ジーッ
アスカ(気になる……)
担任「惣流さんは転校当初、成績が結構危うかったけど、最近はもう何も心配はないですね」
アスカ「初めは日本語になれてなかっただけだから……」
弐号機「グォ?!」
担任「まあ、その……高圧的な態度を取ることも多くて、それでよくトラブルも……」
弐号機「オォォ?!」
アスカ「ふんっ。別に。言いたいことがあるから言ってるだけよ」
シンジ「アスカのそういうところ、よくないと思うよ?」
アスカ「なんですって?」
シンジ「だって……」
アスカ「何よ?もっぺん、言ってみなさいよ」
初号機「オォォ!!」
弐号機「オォォ……」
担当「やめないか、二人とも。親御さんも困っているだろ」
アスカ「親じゃないわよ!!」
シンジ「まぁ……それはそうかな……」
担任「そうかな。心配している様は母親のようにも思えるが……」
弐号機「グォォ……」
シンジ「アスカ……」
担任「あ、でも、その惣流さんを上手くコントロールしているのが、碇くんなんですよ」
初号機「オォ!」
弐号機「グォォ……」
アスカ「ちょっと!!そんなわけないでしょ?!」
シンジ「そうですよ。僕は別に……」
担任「でも、惣流さんに口で喧嘩できるのは碇くんしかいないと思うんだけどな。鈴原くんでも、途中で逃げるぐらいなのに」
シンジ「それは……単純にアスカに慣れたからで」
アスカ「ペットみたいに言うな……」
初号機「オォォ」
弐号機「……」
シンジ「そんなつもりはないけど」
アスカ「ふんっ……バカシンジのくせに」
シンジ「なっ!?」
アスカ「はぁ!?」
初号機「オォォォォ!!!!!」
弐号機「グォォォ!!!!!」
シンジ「あ、また!!」
アスカ「弐号機!!止まって!!」
初号機「オォォォォ!!!!」ガキィィン
弐号機「グォォォ!!!!」ガキィィン
シンジ「ああ……大変だ……」ガクガク
アスカ「零号機!!仕事しなさいよ!!!」
零号機「……」
アスカ「早く、この二体を止めて!!」
零号機「……」コクッ
零号機「……」バキュゥゥゥン!!!!
初号機「オ―――」
零号機「……」バキュゥゥン!!
初号機「……」ビクッ
零号機「グォォ」
初号機「……」コクッ
弐号機「グァ」
零号機「……」
アスカ「はぁ……なんなの……?」
シンジ「分からないよ……」
担任「落ち着いたようですね。では、何か質問はありますか?」
アスカ「特にな―――」
弐号機「グァ!」バッ
担任「はい。惣流さんの親御さん」
アスカ「なんで……?」
担任「……」
弐号機「グォォ……?ォォォ?」
担任「惣流さん、通訳を」
アスカ「唸ってるだけにしか聞こえないけど。シンジ、わかる?」
シンジ「分かるわけないよ」
弐号機「……」ジーッ
担任「エヴァリンガルとかネルフは作ってないのか?」
シンジ「生憎と」
担任「そうか……困ったな……」
初号機「オォォ」バッ
担任「碇くんの親御さんも何か質問が?」
初号機「オォ?オォォォ?」
担任「碇くん、なんて言ってる?」
シンジ「だから、分かりません」
シンジ「みたいだね。僕たちには唸ってるか吼えてるようにしか聞こえないけど」
アスカ「乗ってるうちに分かるようになるのかしら」
シンジ「どうだろう……」
担任「よし。きっと親御さんはいじめについて聞きたいというとこにしよう」
シンジ「そうなの?」
弐号機「……」コクコク
初号機「……」コクコク
担任「やっぱり、二人のことが心配なんだな」
アスカ「どうして……そこまで……」
シンジ「……」
担任「二人はいじめられていると思ったことはあるか?」
シンジ「アスカに……毎日……」
アスカ「バカ!!今、そんな冗談を言ったら―――」
初号機「……」パキンッ
初号機「オォォォォォォォォォ!!!!!!!!」
弐号機「……!!」ビクッ
零号機「……」
アスカ「弐号機!!にげてぇ!!!」
弐号機「……」ダダダッ
初号機「オォォォォ!!!!!」ズンッズンッズンッ
零号機「……」トコトコ
シンジ「行っちゃった……」
担任「後を追ったほうがいいんじゃ……」
アスカ「行くわよ!!シンジ!!」
シンジ「う、うん!!先生、失礼します!!」
担任「車に気をつけるんだぞ」
シンジ「はい!!さようなら!!」
アスカ「こっちよ」
シンジ「え?」
アスカ「これでいいわね。ほら、シンジ」
シンジ「自転車で追いかけるの?!」
アスカ「それしかないでしょ!」
シンジ「わかったよ……。よっと」グッ
アスカ「ほら、しっかり運転しなさいよ?」ギュッ
シンジ「分かってるよ」
アスカ「とりあえず、ミサトにも連絡をしておいたほうがいいわね」
シンジ「いくよ、アスカ」
アスカ「いつでも」
シンジ「ふっ!!」ググッ
アスカ「弐号機……無事でいてよね……」
初号機「オォォォォォォ……!!!」
零号機「……」
シンジ「はぁ……はぁ……」
アスカ「ヘロー。ミサト?」
ミサト『アスカ?!今どこにいるの?!』
アスカ「今、エヴァを追いかけてるところよ」
ミサト『なら、そのまま追いかけて』
アスカ「了解」
マヤ「エヴァ初号機と弐号機が臨戦態勢に入りました!!」
青葉「初号機は暴走しています!!」
日向「厳密には3機とも暴走状態ですが、初号機は頭一つ抜きん出て暴走しています!!」
冬月「どうする、碇?」
ゲンドウ「ユイ……学校でなにがあった……」
冬月「息子の成績が想像以上に低かったのではないか?」
ゲンドウ「……あれを使う」
冬月「あれか?しかし、あれはまだ試作段階で……」
ゲンドウ「構わん」
冬月「どうなってもしらんぞ……」
初号機『オォォォォ!!!!』ガブッ!!!!
弐号機『グォォォォ!!!!!』
零号機『……』
マヤ「初号機が弐号機の右腕に噛み付きました!!!零号機は傍観しています!!!」
アスカ「なにやってんのよ!!」
シンジ「僕の所為じゃないだろ!?」
アスカ「一緒よ!!」
ミサト『アスカ!!聞こえる?!』
アスカ「感度良好よ。なに?」
ミサト『今、レイを車に乗せてそちらに向かっているから、ポイントBで落ち合いましょ』
アスカ「了解」
シンジ「ミサトさん!!エヴァはどうなっているんですか!?」
ミサト『わからないわ。だから、確かめに行くの』
シンジ「エヴァ……」
ミサト『……それと伝えておくことがあるわ。貴方達に』
アスカ「なによ?」
シンジ「ミサトさん……?」
ミサト『実は―――』
弐号機「……」オロオロ
零号機「……」
ゲンドウ『エヴァリンガルシステム、起動』
マヤ『エヴァリンガルシステム起動します!!』
冬月『神と対話するために作られたエヴァリンガル……ここで使うことになるとはな……』
ゲンドウ『今、共倒れさせるわけにはいかん』
マヤ『エヴァ3機の音声、傍受成功!!』
ゲンドウ『流せ……』
マヤ『はい!!』
初号機『―――どういうことですか、と訊いているのですよ?』
弐号機『だから……何かの間違いです』
零号機『……』
ゲンドウ『ユイ……!!』
冬月『きたか……このときが……!!』
弐号機『私のアスカがそんな酷いことをするわけがありません』
初号機『つまり、シンジが嘘を吐いていると言いたいのですか?』
弐号機『そうじゃありません。冷静になりましょう』
初号機『オォォォォォ!!!!!』ガブッ!!!!
弐号機『イタイ!!!噛むのはやめてください!!!』
零号機『……』
初号機『なら……説明してもらいましょうか、キョウコさん?』
弐号機『きっと……あの……アスカなりのコミュニケーションだったに違いありません!!』
初号機『私のシンジはそれをいじめだと受け取った。よくありますよね。いじめている側にその意識がないっていうのは』
弐号機『な……?!』
初号機『そんな言い訳……通じると思っているのオォォォォォ!!!!!!』ガブッ!!!!
弐号機『痛い!!!やめてください!!!!』
ゲンドウ『どうやら、シンジのことで揉めているらしいな……。よし、ユイ。やってしまえ』
マヤ『弐号機!!右腕に深刻なダメージ!!これ以上は危険です!!』
弐号機『腕が……痛い……』
零号機『……』
初号機『許しませんよ……キョウコさん……。あのアスカとかいう子、シンジを誑かして、しかもいじめまで……』
初号機『どのような教育をしてきたんですオォォォォ!!!!!』
弐号機『アスカがあんな軟弱な男に靡くわけないじゃないですか!!』
初号機『パキンってしてもいいんですよ?』
弐号機『とにかくアスカは悪くありません!!悪いのはそちらのほうです!!』
初号機『パキィィィン!!!!』
弐号機『ひぃ?!』
初号機『もう……結構です……キョウコさん。グォォォォ!!!!!!』ガブッ!!!!
弐号機『やだぁ!!!指を噛まないでぇ!!!』
マヤ『弐号機!!右、人差し指損傷!!』
ゲンドウ『それでいい……徹底的に噛め』
シンジ「―――待ってください!!!」
弐号機『痛い……いたい……』
零号機『……』
シンジ「……母さん、なんでしょ?」
初号機『……!』
アスカ「ママ!?本当にママなの?!」
弐号機『アスカ……』
ゲンドウ『パイロットたちに音声は届いていないな?』
マヤ『はい。エヴァの音声は本部でしか聞けませんから』
初号機『シンジ……今まで辛かったでしょう。待っていて。すぐに元凶諸共、私がLCL化させてやるから』
弐号機『そんなことできるわけが……!!』
初号機『A.T.フィールド、全開!!!』
弐号機『くっ?!』
初号機『アァァァァオ!!!!』ガブッ!!!
弐号機『いつまで……噛まれてばかりと思わないでくださいグォォォォ!!!!!』ガブッ!!!
ゲンドウ『やれ……そこだ、ユイ』
シンジ「……やめてよ……」
アスカ「ママ!!あたしなの!!ママ!!ママはずっとあたしの傍にいてくれたの?!」
初号機『こうなったら……!!』シャキン
弐号機『一気に……』シャキン
マヤ『両機、プログレッシブ・ナイフを装備!!』
初号機『殺してやる!!!』ギィィィン!!!!
弐号機『そう簡単に行くとでも?!』ギィィィン!!!
シンジ「―――やめてよ!!!!」
初号機『……!!』ビクッ
弐号機『ひゃっ』ビクッ
シンジ「母さん……アスカにいじめられてるなんて……嘘だから……それ以上、弐号機を傷つけないで……」
アスカ「シンジ……」
初号機『本当なの……シンジ?』
レイ「どうなったの?」
弐号機『ほ、ほら、言ったじゃないですか……』
初号機『シンジ……』
シンジ「初めは意地悪しているのかなって思ったりもしたよ……だけど、段々そうじゃないってことに気がついたんだ」
アスカ「ちょっと!!」
初号機『どういうこと……?』
シンジ「アスカはただ、素直になれないだけなんだって」
アスカ「あ、あんたバカぁ?!なにいってるのよ!?」
シンジ「アスカは時々、言い過ぎたかも……って落ち込むときがあった」
アスカ「もうやめてよ!!」
弐号機『アスカ……もしかして……貴方……』
シンジ「きっと僕にうるさく言うのも、強く当たるのも……単純に加減がわからないだけじゃないって……」
アスカ「違うわよ!!バカシンジがむかつくからよ!!」
シンジ「そんなこと言われても、もう僕はちっとも腹が立たないよ!!アスカ!!」
シンジ「母さん!!だから、いじめとかないんだ!!僕はアスカにいじめられたなんて思ったことはないよ!!」
初号機『そうだったの……ごめんなさい……私の早とちりだったみたいで……』
弐号機『アスカ……』
零号機『……』
レイ「碇くん……」
シンジ「……」
アスカ「もう……何言ってるわけ……?」
シンジ「ごめん……。でも、こう言わないと母さんが止まってくれないような気がして……」
アスカ「……シンジのママ?」
初号機『……』
アスカ「あの……誤解ですから……あたしのママを傷つけないで……ください……」
初号機『アスカさん。あとで格納庫まで来てください』
マヤ『アスカ、初号機は貴方と話がしたいと言っています』
アスカ「え。あ、了解……」
初号機『……確認したいことがあるだけですよ』
弐号機『何を……』
初号機『それから……あなた』
ゲンドウ『なんだ……ユイ?』ニヤニヤ
初号機『エヴァリンガルシステムを使いましたね?』
ゲンドウ『ああ』
初号機『このシステムは破棄してください』
ゲンドウ『なぜだ?!』
冬月『ユイくん!!』
初号機『容易に会話ができると変な情が移るでしょう?私を兵器として運用できなくなりますよ?』
零号機『……』コクコク
初号機『だから、エヴァリンガルは破棄してください。でないと、ネルフ本部を40秒で灰にしてみせますよ?』
ゲンドウ『ああ……分かった。破棄する。だから、許してくれ、ユイ』
初号機『全く……』
アスカ「おじゃましまーす」
ミサト「来たわね」
アスカ「ミサト」
初号機「……」
ミサト「初号機から貴方へ質問があるそうよ?」
アスカ「なに?」
ミサト「―――貴方は碇シンジのことが好きなのですか」
アスカ「そんなの―――」
初号機「……」ゴゴゴッ
アスカ「!?」
初号機「……」ガキィィン
ミサト「正直に答えないと、ぺっちゃんこにするって言ってたわ」
アスカ「どうして……?!」
初号機「……」
初号機「……」
ミサト「……」ピッ
アスカ「私は……」
初号機『アスカさん?』
アスカ「え?!」
初号機『じゃあ、シンジのことは嫌い?』
アスカ「嫌い……じゃ……ないですけど……」
初号機『なら……』
アスカ「……」
初号機『大丈夫、シンジは貴方のことを受け止めてくれるわ』
アスカ「本当ですか……?」
ミサト「アスカ、本当よ」
アスカ「……」
初号機『聞かせて欲しい。貴方がシンジのことをどう思っているのかを』
初号機『まだ……言えない?』
アスカ「もう少し……時間をください……」
初号機『ええ』
アスカ「……」タタタッ
ミサト「よかったのですか?」
初号機『あの子は良い子ですね』
ミサト「ええ」
初号機『ふふ……楽しみです』
ミサト「では、このエヴァリンガルシステムは完全破棄します」
初号機『よろしくお願いします』
ミサト「では……」ピッ
初号機「……」
ミサト「やっぱり、本物の親には勝てないか」
アスカ「お義母さん!!」
初号機「……」
アスカ「自分の気持ちを整理して、シンジに伝えてきました。……好きって」
初号機「……」
アスカ「シンジは嬉しそうに笑ってくれました……」
初号機「……」
アスカ「そのあと、シンジと真剣に話したんですけど……」モジモジ
初号機「……」
アスカ「私、シンジと結婚します!!」
初号機「……」
アスカ「シンジのお嫁さんになっても、いいですか!?」
初号機「……」
アスカ「ダメ……ですか?」
初号機「……」パキンッ
アスカ「いいんですね?!ありがとう!!シンジのママ!!」
初号機「オォォォォォォォォ!!!!!!」
シンジ「アスカ!!」
アスカ「シンジ!!シンジのママ、良いって!!」
シンジ「ありがと。母さん!!」
初号機「オォォォォォォ!!!!!」
シンジ「アスカのこと、絶対に幸せにするから……見てて」
アスカ「お義母さんに早く孫の顔も見せられるよう、頑張ります」
初号機「オォォォォォォオォォォ!!!!!!!!!」
シンジ「もう……アスカ!」
アスカ「シンジ……次はシンジの番よ?」
シンジ「うん。ケーキも買ってきたし、大丈夫だよ。アスカのお義母さんに話してくる」
アスカ「がんばってね、シンジ」
初号機「オォォォォォォ!!!!!オォォォォォォォ!!!!!!!!」
担任「綾波さん、面談を始めます」
レイ「はい」
担任「えー……」
ゲンドウ「……」
担任「綾波さんは―――」
ゲンドウ「何か問題があるのか?」
担任「いえ」
ゲンドウ「では、成績優秀、品行方正ということになるな」
担任「……」
ゲンドウ「ならば、問題ない。レイ?」
レイ「はい」
ゲンドウ「帰るぞ」
レイ「わかりました」
レイ(私もエヴァに来て欲しかった……)
おしまい
ほのぼのSSはいいね
Entry ⇒ 2012.07.30 | Category ⇒ エヴァンゲリオンSS | Comments (0) | Trackbacks (0)
C.C.「名前を呼べ。大切に、優しく心を込めてな」ルルーシュ「ああ」
ルルーシュ「分かった」
C.C.「一度でいい。頼むぞ」
ルルーシュ「全く、我侭な奴だ」
C.C.「ふん」
ルルーシュ「確か……ゆかな。だったな」
C.C.「違う」
ルルーシュ「ああ、悪い。野上ゆかな、だったな」
C.C.「全然違う」
C.C.「そもそも、それイレヴンの名前だろ?私が日本生まれに見えるのか?」
ルルーシュ「冗談だ」
C.C.「真面目にやってくれ」
ルルーシュ「はいはい」
C.C.「頼むぞ」
ルルーシュ「ユカナ・ヴィ・ノガミニア」
C.C.「なあ……お前……もしかして、私の本名忘れたのか?」
ルルーシュ「いや」
C.C.「じゃあ、頼むから真剣に言ってくれ」
ルルーシュ「ジョークだよ。それもわからないのか?」
C.C.「人を傷つけるジョークはジョークとは呼べない」
C.C.「いい名前だと思う。でも、私の本名には一切関係のないことだな」
ルルーシュ「そうか?」
C.C.「そうだとも」
ルルーシュ「悪かったな。そろそろお迎えが来る」
C.C.「え?」
ルルーシュ「合流次第、お前の存在を―――」
C.C.「おい!!」
ルルーシュ「なんだ?」
C.C.「早く……私の本当の名前を呼べ……」
ルルーシュ「名前フェチなのか?」
C.C.「違う。でも、呼べと私が言ってるのだから、呼べ」
ゼロ「来たか」
C.C.「なぁ……どうして意地悪をする?おかしいだろ」
カレン「ゼロ……?その人は?」
ゼロ「あとで説明する。名前は……ゆかなだ」
C.C.「いい加減にしろ」
カレン「ゆかな?」
ゼロ「ああ」
カレン「よろしく、ゆかなさん」
C.C.「違う!!そんな名前じゃない!!」
カレン「違うって言ってますが」
ゼロ「おかしいな。そんなはずはないのだが」
カレン「あの、ゼロ。怒りで震え始めましたけど……」
ゼロ「気にするな。それよりも、他の者たちは?」
カレン「全員、安全圏まで移動しました」
ゼロ「コーネリアは?」
カレン「既に退却を始めています」
ゼロ「そうか……ふはははは。今回は我々の勝ちだな」
カレン「でも……私は白カブトを取り逃がして……」
ゼロ「気にするな、カレン。カレンはよくやってくれた」
カレン「ゼロ……」
C.C.「なあ……名前……」
ゼロ「入須冬実」
C.C.「……もういい」
ルルーシュ「さてと……今回の勝利は大きいな……。くくく……」
C.C.「……」モグモグ
ルルーシュ「そのピザ、一切れもらおうか」
C.C.「やらん」
ルルーシュ「俺の金で買ったものだろ」
C.C.「じゃあ、名前を呼べ。なら、食べてもいい」
ルルーシュ「仕方のない奴だ……」
C.C.「……」
ルルーシュ「セシリア……オルコット……」
C.C.「……」
ルルーシュ「じゃあ、もらうぞ」
C.C.「ふんっ」ペシッ
ルルーシュ「貴様!?」
C.C.「お前みたいな奴がこの世で一番、大嫌いだ」
C.C.「は?」
ルルーシュ「お前は長い間生きてきたんだろ?」
C.C.「それがなんだ?」
ルルーシュ「今更、一つの名前に縛られてどうする?」
C.C.「お前、今最低な発言をしたことを自覚しているのか?」
ルルーシュ「なんだと?」
C.C.「そんなことも分からないから、お前は童貞なんだ」
ルルーシュ「貴様……!!」
C.C.「汚名を拭いたければ、私の名を呼べ。優しくだ」
ルルーシュ「獅子堂高嶺……愛している」
C.C.「ギアス、返してくれ」
ルルーシュ「それはできない」
C.C.「じゃあ、泣くぞ?いいのか?」
ルルーシュ「それは困るな」
ルルーシュ「耳を貸せ」
C.C.「え……?」
ルルーシュ「耳元で優しく……呟いてやる」
C.C.「お前……ふふ……そう言うのは、嫌いじゃない」
ルルーシュ「素直じゃないな」
C.C.「いいから……早く……」
ルルーシュ「いくぞ?」
C.C.「ああ……」ドキドキ
ルルーシュ「―――ティア・グランツ」ボソッ
C.C.「……」ウルウル
ルルーシュ「……」
C.C.「男は……床で……寝ろ……」ポロポロ
ルルーシュ「何も泣くこと……」
C.C.「うるさいっ!!」
ルルーシュ(少しやりすぎたか……あれから、C.C.が顔を合わせてくれなくなった……)
ルルーシュ(とはいえ……そんなに嬉しいものなのか……名前を呼ばれるというのは)
ミレイ「こら、手が止まってる」
ルルーシュ「ミレイ」
ミレイ「えっ?!」ドキッ
ルルーシュ「……」
ミレイ「な、なに……?も、もう、やあねえ!!急にミレイだなんて!!会長でしょ!!もう!!ルルーシュったら!!」
ルルーシュ「ミレイ……」
ミレイ「あの……ルルーシュ……?」
ルルーシュ「ミレイ?」
ミレイ「は、はい……」
ルルーシュ「……特に何もありません。呼んだだけです」
ミレイ「……」
ルルーシュ「どうしました?」
ルルーシュ「名前を呼んだだけです」
ミレイ「いや、急に呼ばないでよ。びっくりするでしょ?」
ルルーシュ「名前を呼ばれるのは、驚いてしまうほど特別ですか?」
ミレイ「そりゃあ……だって……」モジモジ
ルルーシュ「ニーナ?」
ニーナ「なに?」
ルルーシュ「ニーナ……」ボソッ
ニーナ「ちょっと、近い……」
ルルーシュ「どうだ?」
ニーナ「何が?」
ルルーシュ「見てください、会長。ニーナは何も感じていないようですけど?」
ミレイ「いやぁ、それは相手が悪いっていうか……」
ニーナ「……?」
ルルーシュ「リヴァル」
リヴァル「最近さー、お前が構ってくれないからさー」
ルルーシュ「リヴァル……?」
リヴァル「な、なんだよ……?」
ルルーシュ「……リヴァル」ボソッ
リヴァル「耳元で囁くなよ?!」
ルルーシュ「どう思った?」
リヴァル「気持ち悪いって!!」
ルルーシュ「どうですか、会長?不快感を示す者までいます」
ミレイ「そりゃそうでしょーよ!!」
ニーナ「ルルーシュ?この資料なんだけど―――」
ルルーシュ「今もニーナに名前を呼ばれましたが、俺はなんとも思いません」
ニーナ「なんか……悔しいんだけど……」
ミレイ「だから、相手によるってっば!!」
シャーリー「あ、ルルが来てる。珍しいこともあるもんだ」
ミレイ「ルルーシュ、シャーリーにやってみなさいよ」
ルルーシュ「シャーリー?」
シャーリー「なに?」
ルルーシュ「シャーリー……?」
シャーリー「なによ?」
ルルーシュ「……シャーリー」ボソッ
シャーリー「ななな、なにやってんの?!」
ルルーシュ「どう思った?」
シャーリー「気持ち悪い!!」
ルルーシュ「だそうです。やはり、名前を呼ぶことは別に特別でもなんでもない。特には相手を不快にさせるだけのようです」
ミレイ「シャーリーは本心じゃないって。ねえ?」
シャーリー「本心ですよぉ!!」
ミレイ「カレーン」
カレン「なんですか?」
ミレイ「カレン……」ボソッ
カレン「ひっ?!」ビクッ
ミレイ「ね?呼ぶって言っても状況次第では今みたいに相手の快楽のツボを抑えることもできるの」
カレン「いや、今のは吐息が耳を撫でたから……」
ルルーシュ「カレン?」ボソッ
カレン「あんたもやるなぁぁ!!!!」
リヴァル「……」
ニーナ「カレン……今日は調子いいの?」
カレン「あ……いや、びっくりして……あはは……」
ミレイ「ルルーシュ、こういう場所で名前を呼んでもそりゃだめよ」
ルルーシュ「では、会長はどうして顔を真っ赤にさせたんですか?」
ミレイ「普段、会長って呼ばれてるのに、いきなり名前で呼ばれたら……その……特別な話かなって……思うでしょ?」
リヴァル「あー、確かに。でもさ、シャーリーがルルじゃなくてルルーシュって呼ぶとなんか喧嘩してるときみたいになるよな」
シャーリー「ならないよー」
ルルーシュ「よし、シャーリー。俺のことを愛称じゃなく名前で呼んでくれ」
シャーリー「ル……ルルーシュ」
ルルーシュ「もう一度」
シャーリー「ルルーシュ」
ルルーシュ「大きな声で」
シャーリー「ルルーシュゥゥゥ!!!!」
ミレイ「どう?」
ルルーシュ「別になにも」
シャーリー「……」
カレン「元気だして」
シャーリー「ありがと……」
ルルーシュ「そんなものですか」
ミレイ「えっと……じゃあ、ルルーシュ以外、隠れるわよ」
リヴァル「え?どういうこと?」
ミレイ「まだ、二名。この生徒会室にいない人物がいまーす」
ニーナ「それって……」
シャーリー「スザクくんとナナちゃんですか?」
ミレイ「そう」
カレン「でも、隠れてなにを……?」
ミレイ「二人っきりの空間で名前を呼んでこそ、名前を呼ぶという行為がいかに高尚なものかわかるはず」
ニーナ「そうなの?」
リヴァル「しらね」
ルルーシュ「ふっ。わかりました。確かにいつもの空気では相手の変化を読み取るのは困難ですからね」
ミレイ「じゃあ、次に入ってきた人に試すのよ」
ルルーシュ「わかりました」
咲世子「ルルーシュ様」
ルルーシュ「咲世子さん」
ミレイ「(あっれー?意外な人きちゃったー)」
カレン「(いいんですか?)」
シャーリー「(ルル……)」
ルルーシュ「ナナリーは?」
咲世子「途中、ナナリー様がスザク様と二人で話したいと申されまして」
ルルーシュ「そうか……なら、中庭か」
咲世子「すぐに来られると思います」
ルルーシュ「わざわざありがとう」
咲世子「いえ。それでは」
ルルーシュ「咲世子さん」
咲世子「はい?」
ルルーシュ「いや……咲世子」
ルルーシュ「……」スタスタ
咲世子「あの……ルルーシュ……様……?」ドキッ
ミレイ「(いい反応!!)」
ニーナ「(おぉー……)」
シャーリー「(ルルー……)」
リヴァル「(名前呼ぶだけで動揺させることができるって……すげーなー……)」
カレン「(そうね)」
ルルーシュ「咲世子……」
咲世子「え……あの……ルルーシュ様……」
ルルーシュ「咲世子……?」
咲世子「だ、だめです……私はイレヴンでメイド……ルルーシュ様とは、あの……身分が違いすぎます……」
ルルーシュ「……咲世子」ボソッ
咲世子「ルルーシュ様……」ギュッ
ルルーシュ「ばっ?!」
ルルーシュ「咲世子さん!!」
咲世子「ですが……この感情を押し殺してこそのメイド……墓まで持っていくつもりでした」
ルルーシュ「あの……!!」オロオロ
咲世子「でも……ルルーシュ様のご寵愛を預かるのなら……不肖、篠崎流の37代目、篠崎咲世子……」
ルルーシュ「え……?」
咲世子「ルルーシュ様と……愛の結晶を……」ウルウル
ルルーシュ「咲世子さん!!顔が近い!!」
咲世子「んー……」
ルルーシュ「……!!」
シャーリー「だめぇぇぇぇ!!!!!」
咲世子「曲者!!!」
ミレイ「ストップ!!」
咲世子「ミ、レイ……様?!覗きとは……感心しませんね」
ミレイ「違うから!!」
咲世子「あ……」
リヴァル「咲世子さん、あの、これは……」
ミレイ「名前を呼ぶだけでどんな反応があるかって、試しただけなの」
咲世子「は?」
シャーリー「えっと……二人きりで名前を呼ばれたら、どうなるんだろうなって話になって……」
咲世子「……ルルーシュ様?」
ルルーシュ「なんですか?」
咲世子「私を弄んだのですか……」ウルウル
ルルーシュ「いや……そういうつもりは……」
咲世子「そうですね……私はメイド……奴隷……ですから……そんなこと……あるわけ……ないですよね……」ポロポロ
ルルーシュ「まて!!」
咲世子「……末代まで恥ずかしい!!」ダダダッ
カレン「足、はやっ」
ニーナ「咲世子さん……可哀相……」
ルルーシュ「ええ……」
ミレイ「名前を呼ぶだけでも、相手の心に入っていくことはできるものなの」
ルルーシュ「みたいですね」
シャーリー「ルル!!咲世子さんに謝ってきて!!」
リヴァル「それがいいな」
ルルーシュ「しかし、名前を呼んだだけであそこまでの勘違いができるやつが他にいるとは思えない」
ミレイ「……っ」
カレン「それは違うんじゃない?」
ルルーシュ「なに?」
カレン「二人きりで、耳元で名前を呼ばれたら、誰だって変な勘違いしちゃうと思う」
ミレイ「うんうん。そうよねー」
ニーナ「まあ、でも……普通は不思議に思うだけだと思う。好きな人に言われるから、勘違いしちゃうだけで……」
ミレイ「……っ」
ルルーシュ「分かった。とにかく咲世子さんには謝ってくる」
ナナリー「それでそのときお兄様は、こらーって怒ったんです」
スザク「そう。変わらないな」
ナナリー「ふふっ」
咲世子「ああああああ!!!!」ダダダダダッ
ナナリー「え?」
スザク「咲世子さんだ」
ナナリー「咲世子さん?」
咲世子「……っ」ズサァァァ
スザク「咲世子さん、ヘッドスライディングの練習でもしてるのかな……」
ナナリー「何かあったのでしょうか?」
咲世子「……」キョロキョロ
咲世子「これにしましょう……」
咲世子「ルルーシュ様は私のことを……好き……嫌い……好き……嫌い……」ブチッブチッ
スザク「花占いを始めた……。どうしたんだろう……」
C.C.「なに?バカなことをいうな!!そんなわけない!!」
C.C.「うるさい!!黙れ!!」
C.C.「違う!!そんなことない!!私は別に……ルルーシュのことなんて……」
ルルーシュ「お前!?」
C.C.「ルルーシュ……!?」
ルルーシュ「咲世子を見なかったか?」
C.C.「いや」
ルルーシュ「そうか」
C.C.「おい」
ルルーシュ「なんだ、C.C.?機嫌は直ったのか?」
C.C.「別に私は臍を曲げてなどいない」
ルルーシュ「そうか」
C.C.「そろそろ……名前をだな……」
ルルーシュ「またあとでな」
咲世子「次です」ポイッ
咲世子「私はルルーシュ様と結婚できる……できない……できる……できない……」ブチッブチッ
スザク「咲世子さん」
咲世子「スザク様……ナナリー様も……」
ナナリー「何かあったのですか?」
咲世子「いえ……なにも……」
スザク「でも……」
咲世子「ナナリー様……」
ナナリー「はい?」
咲世子「私は……ダメなメイドなのです……うぅ……」
ナナリー「そんなことありません!!咲世子さんは私のために一生懸命ではありませんか!!」
スザク「そうですよ。部外者の僕がいうことじゃないかもしれませんが、咲世子さんはがんばってるって、ルルーシュも言っていました」
咲世子「……違うのです。これは私のプライドの問題なのです」
ナナリー「咲世子さん……」
ルルーシュ「咲世子さん……はぁ……はぁ……」
スザク「ルルーシュ?」
ナナリー「お兄様、咲世子さんに何を言ったのですか?」
咲世子「ナナリー様!!ルルーシュ様はなにも悪くないのです!!」
ルルーシュ「咲世子」
咲世子「えっ?!」ドキッ
ルルーシュ「先ほどは……その……悪かったな」
咲世子「いえ……私に全ての責があります」
ルルーシュ「咲世子、それは違う」
咲世子「ルルーシュさまぁ……」ウルウル
ルルーシュ「俺は……咲世子のことを本当に大事に思っている」
咲世子「そ、それは……あの……え……?」
ルルーシュ「俺には……お前が必要なんだよ……咲世子」
咲世子「ルル……シュ……さま……っ……うぅぅ……」ポロポロ
咲世子「ルルーシュ様……はい……この篠崎咲世子……身が滅ぶまで貴方の傍に……」ギュッ
ルルーシュ「何故、抱きつく?」
スザク「ルルーシュ……何があったんだ?」
ルルーシュ「まあ、色々とな」
ナナリー「よかったですね、咲世子さん」
咲世子「はいっ……もう、ルルーシュ様のお傍を離れるつもりはありません」ギュゥゥ
ルルーシュ「咲世子さん」
咲世子「いけません、ルルーシュ様」
ルルーシュ「え?」
咲世子「私は奴隷……咲世子、とお呼びください」
ルルーシュ「わ、わかった」
スザク「よくわからないけど、一件落着したみたいだ」
ナナリー「はい」
ルルーシュ(大切に、優しく心を込めてか……名前を呼ぶだけでも心を動かせるとはな……)
咲世子「それでは、また」
ルルーシュ「ああ」
C.C.「……」
ルルーシュ「C.C.?」
C.C.「……」
ルルーシュ「……C.C.」
C.C.「……」プイッ
ルルーシュ「C.C.……」ボソッ
C.C.「……っ」ゾクゾク
ルルーシュ「……」
C.C.「どっかいけ」
ルルーシュ(ちっ……やはり、ダメか。咲世子は最初から俺にある程度の好意を持っていたからこそか)
ルルーシュ(となれば……俺のことをなんとも思っていない者で試してみないとな……)
ルルーシュ(そうなると対象は一人だけだな)
ルルーシュ「ニーナ」
ニーナ「ルルーシュ?どうしたの?」カタカタ
ルルーシュ「お前も熱心だな」
ニーナ「うん」
ルルーシュ「……」
ニーナ「……」カタカタ
ルルーシュ「ニーナ」
ニーナ「なに?」
ルルーシュ「ニーナ……?」
ニーナ「え……ちょっと……なに?」
ルルーシュ「……」
ニーナ「ルルーシュ……?また、名前を呼んで遊んでるの……?もう、やめてよ……」
ルルーシュ「ニーナ……」ボソッ
ニーナ「んっ……?!」ビクッ
ニーナ「ルルーシュ、やめて。私は……!!」
ルルーシュ「ニーナ?」
ニーナ「だから……私はユーフェミア様が……」
ルルーシュ「ニーナ……どうして怯える?」
ニーナ「近いからだけど……」
ルルーシュ「そうか。悪い」
ニーナ「も、もう……なんなの……?」
ルルーシュ「別に名前を呼んだだけだ」
ニーナ「変なことしないで」
ルルーシュ「悪かったよ。ニーナ」
ニーナ「遊びだとわかってても、いきなり言われたら……」
ルルーシュ「言われたら?」
ニーナ「……びっくりする」
ルルーシュ「そうなのか。気をつけるよ」
ニーナ「……」カタカタ
ルルーシュ「ニーナ」
ニーナ「な、なに!?」ビクッ
ルルーシュ「おいおい。そんなに驚くなよ」
ニーナ「ご、ごめんなさい」
ルルーシュ「率直に聞きたいんだけど」
ニーナ「……」
ルルーシュ「俺にニーナと呼ばれて、どう思う?」
ニーナ「どうって……」
ルルーシュ「嫌な気分か?」
ニーナ「そんなこと……ないけど……」
ルルーシュ「ほう?」
ニーナ「もっと……その……優しい声で言ってくれたら……いいかも……」
ルルーシュ「なるほど……」
ニーナ「……」
ルルーシュ「違うか」
ニーナ「そもそも、ルルーシュって私のことなんとも思ってないでしょ?」
ルルーシュ「え?」
ニーナ「だから、きっとどんな言い方をしてもダメだと思う」
ルルーシュ「ニーナ……」
ニーナ「シャーリーかカレンに言ってあげたほうがいいと思うよ」
ルルーシュ「ニーナ、それは違うな。間違っているぞ」
ニーナ「ど、どうして?」
ルルーシュ「なんとも思っていない?そんなこと、あるわけがない」
ニーナ「ルルーシュ……?」
ルルーシュ「お前がテロリストに連れて行かれそうになれば、俺がお前も庇い、守ってやる」
ニーナ「ま、また……そんな嘘……」
ルルーシュ「ニーナ……嘘じゃない」
ルルーシュ「……」
ニーナ「ユーフェミア様みたいに庇ってくれるわけ……」
ルルーシュ「ニーナ……?」
ニーナ「は、はい……」
ルルーシュ「俺の目を見ても……信じられないのか?」
ニーナ「ルル……シュ……えっと……」
ルルーシュ「素直に言ってくれ」
ニーナ「……」
ルルーシュ「ニーナ」
ニーナ「ま、守って……くれるの……?ホントに……?ユーフェミア様……みたいに?」
ルルーシュ「当然だ」
ニーナ「それは友達……だから?」
ルルーシュ「違うな。ニーナだからだ」
ニーナ「ルルーシュ……」
ニーナ「どうして……?私……別にミレイちゃんみたいに美人でもないし……胸も大きくないし……」
ルルーシュ「眼鏡、取ってみろ。ニーナ」
ニーナ「……こう?」
ルルーシュ「十分、可愛いぞ?」
ニーナ「……!!」
ルルーシュ「どうした?」
ニーナ「で、でていって!!もう!!」
ルルーシュ「ニーナ」
ニーナ「もういいからぁ!!」
ルルーシュ「分かった。じゃあ、最後に……俺はお前の名前を優しく呼べていたか?」
ニーナ「……うん」
ルルーシュ「そうか。じゃあ、またあとでな」
ニーナ「バイバイ……」
ニーナ「ルルーシュ……」
ミレイ「らんらーん」
ニーナ「……」
ミレイ「ニーナ、やっほー」
ニーナ「ミレイちゃん」
ミレイ「ニーナ?!眼鏡は?!」
ニーナ「え……ああ、えっと……コンタクトにしたの……お昼過ぎから」
ミレイ「なんで?!」
ニーナ「……内緒」モジモジ
ミレイ「……」
カレン「会長、どうしたんですか?」
ミレイ「あの……その……」
シャーリー「え?あー!?ニーナ?!どうしたの?!」
ニーナ「ちょっと……眼鏡、いらないかなって……」
カレン「いきなり過ぎない……?」
ルルーシュ「ニーナは失敗か……。名前を呼ぶだけで篭絡なんて、夢物語か」
咲世子「ルルーシュ様……」ギュッ
ルルーシュ「咲世子、離れろ」
咲世子「も、申し訳ありません」
ルルーシュ「なんの用だ?」
咲世子「いえ……特には……」
ルルーシュ「……」
咲世子「……申し訳ありませんっ!!!」ダダダッ
ルルーシュ「なんだ、あいつ……」
ニーナ「ルルーシュっ」
ルルーシュ「ニーナ……。お前……眼鏡は?」
ニーナ「取っちゃった」
ルルーシュ「そっちのほうがいいな」
ニーナ「あ、ありがとう……ルルーシュ……」
ルルーシュ「スザク、どうした?」
スザク「会長が呼んでるよ」
ルルーシュ「そうか。わかった」
スザク「それじゃあ、僕は仕事があるから」
ルルーシュ「スザク」
スザク「なに?」
ルルーシュ「……スザク」
スザク「なんだい、ルルーシュ?」
ルルーシュ「……スザク」ボソッ
スザク「ルルーシュ?」
ルルーシュ「何か感じたか?」
スザク「別に。いつもと変わらないよ」
ルルーシュ(やはりスザクは鈍いな……)
スザク「それじゃあ」
(虜にしたら)いかんのか?
ミレイ「これはちょっとどういうこと?!」バンッ
ルルーシュ「何がですか?」
ニーナ「ルルーシュ……」
ルルーシュ「なんだ?」
ニーナ「あ、べ、別に……」オロオロ
リヴァル「ルルーシュ!!どんな魔法を使ったんだよ!!」
ルルーシュ「なんの話だ?」
シャーリー「どうみてもニーナの様子が変じゃない!!ルルがなんかしたんでしょ?!」
ルルーシュ「別になにもしていない」
カレン「うそっ!!」
ルルーシュ「ニーナ?」
ニーナ「は、はい……なんですか?」
ルルーシュ「俺は何かしたか?」
ニーナ「まだ……なにも……してない」
ルルーシュ「ニーナ本人がああ言っている」
リヴァル「おかしいだろ?!」
ルルーシュ「何がだ?」
シャーリー「ルル……」
カレン「咲世子さんに続いてニーナまで……」
ルルーシュ「変な勘違いはやめろ。俺とニーナは別に何もしていない」
ニーナ「うん……そうだよ、ミレイちゃん」
ミレイ「じゃあ眼鏡を外したのは?」
ルルーシュ「俺が外したほうがいいって言っただけですよ」
ミレイ「で、それを即日に実行したわけ?」
ニーナ「へ、変かな……?」
ルルーシュ「いいや。眼鏡のときより、ずっといい」
ニーナ「ルルーシュ……嬉しい……」
シャーリー「なんで……」
C.C.「……」モグモグ
ルルーシュ「C.C.。ポイントシールが随分溜まったみたいだな」
C.C.「……」プイッ
ルルーシュ「もうすぐ景品と交換か?」
C.C.「……」モグモグ
ルルーシュ「C.C.……」ボソッ
C.C.「やめろ!!」ベチョ
ルルーシュ「おまえ……食い物を粗末にするな……」
C.C.「お前にはチーズ塗れがお似合いだな」
ルルーシュ「C.C.……」
C.C.「なんだ……?」
ルルーシュ「なんでもない」
C.C.「早く……呼べよ……くそ……」
ルルーシュ(名前だけでご機嫌取りは難しいな……そろそろ次のステップに移行するか。いつまでもC.C.を待たせてもな……)
コーネリア『ゼロだと?』
ダールトン『はい。未確認情報ではありますが』
コーネリア『よし……借りを返してやる。いくぞ、ギルフォード!!!』
ギルフォード『イエス、ユア・ハイネス!!』
ゼロ「コーネリア……やはり出てきたか……」
扇「ゼロ……やれるのか?」
ゼロ「前回の戦闘で消耗しているはずだ。今度こそ、コーネリアを捕らえる」
カレン「はい」
玉城「やってやるぜぇぇぇ!!!」
ゼロ「カレン」
カレン「は、はい!!」
ゼロ「カレン……期待している」ボソッ
カレン「はい!!!がんばりますっ!!!ゼロ!!」
ゼロ「行くぞ!!!出撃!!」
ギルフォード『あれは……あの時の新型か?!』
ダールトン『ふん、たった一機で何ができる!!』
カレン『あたしはゼロの期待にぃぃぃぃ!!!!』ガキィィィン
ギルフォード『なんだと?!』
ダールトン『バカな?!二人がかりでも止まらぬとは!?』
カレン『まずはお前だ!!!』ガシッ!!!
ダールトン『不覚?!』
ギルフォード『ダールトン卿!!』
カレン『これが!!!輻射波動だぁぁぁぁ!!!!!』ギュイィィィン
ギルフォード『きさまぁぁぁ!!』
ゼロ『そうはいかん!!』ズガガガガ
ギルフォード『援軍か?!』
カレン『ゼロ!!紅月カレン!!がんばってます!!』
ゼロ『その調子でやれ』
ゼロ『無駄ですよ。コーネリア殿下?』
コーネリア『ゼロか……!!』
ゼロ『ふふふ……』
コーネリア『ふん……飛んで火にいるだな……我が前に姿を現したこと!!後悔するがいい!!!』
ゼロ『ふん』
コーネリア『いくぞぉぉぉ!!!』ギュルルル!!!!
ゼロ『カレン!!』
カレン『紅月カレン!!!ゼロのためならぁぁぁ!!!!』ギュルルル!!!!
コーネリア『お前は!?』
カレン『つかまえたぁぁぁ!!!!』ガキィィン!!!
コーネリア『なんだと?!』
スザク『させるかぁぁぁ!!!』ギュルルル!!!
カレン『邪魔だぁぁぁ白カブトぉぉぉぉ!!!!!!』バキィ
スザク『うわぁ!?』
ゼロ『よくやった、カレン!!』
カレン『ゼロ……』
ゼロ『紅蓮の頭を撫でてやろう』ナデナデ
カレン『ゼロぉ……』
ゼロ『よし。退却する!!』
カレン『はい!!』
スザク『まて!!』ギュルルル!!!
ゼロ『カレン』
カレン『うるさい!!』ガシッ!!
スザク『なに!?前回までとは動きが……まるで違う……!?』
カレン『当然だよ……ゼロが……ゼロがあたしに期待してくれてるから!!!いくらでも強くなれるよ!!』
スザク『君は―――』
カレン『終わりだぁ!!!輻射波動をくらいなぁぁ!!!』ギュィィィィン
スザク『くそっ!!』
コーネリア「くそ……まさか、生き恥を晒すことになるとは……!!」
ゼロ「……」
コーネリア「殺せ。どのような陵辱を受けても、私は何も喋らないぞ、ゼロ」
カレン「ふん……良い様ね。総督様?」
コーネリア「なに?」
カレン「これでお飾りのお姫様しかいない。あたしたちの勝ちは―――」
ゼロ「カレン」
カレン「は、はい」
ゼロ「黙れ」
カレン「……ご、ごめんなさい……あの……出過ぎた真似を……あの……」オロオロ
ゼロ「……」ナデナデ
カレン「あ……♪」
ゼロ「コーネリア、二人で話そう」
コーネリア「何も話すことなどない。早く殺せ」
カレン「わかりました」スタスタ
ゼロ「さてと……これでも話すことはないと言えますか……姉上?」
コーネリア「なに……お前は……まさか……!!!」
ルルーシュ「お久しぶりです……ルルーシュ・ヴィ・ブリタニアです」
コーネリア「お前が……ゼロだったのか……!!」
ルルーシュ「ええ」
コーネリア「クロヴィスを殺したのも……お前か?」
ルルーシュ「だとしたら、どうします?」
コーネリア「無論……処刑だ」
ルルーシュ(よし……流石に俺の好感度はゼロに等しい……ここからだな)
コーネリア「だが……私はここで死ぬ……。お前をこの手で葬れないのが心残りだ」
ルルーシュ「コーネリア?」
コーネリア「なんだ?」
ルルーシュ「……コーネリア」
ルルーシュ「……」
コーネリア「……貴様……何を企んでいる?」
ルルーシュ「コーネリア……」ボソッ
コーネリア「ふん……ルルーシュ。そのような甘い声を出したところで……私を篭絡させられるとでも?」
ルルーシュ「……思っていない」
コーネリア「なら、早く殺せ!!」
ルルーシュ「そこで、これを用意した」
コーネリア「なんだ……そのヘッドホンは……?」
ルルーシュ「まあまあ……付けてください」
コーネリア「生憎だな。催眠など私には―――」
『コーネリア……コーネリア姉さま……姉上……姉さん……お姉ちゃん……コーネリアお姉ちゃん……好きだよ……コーネリア……』
コーネリア「な、なんだこれは?!お前の声が延々と……!!」
ルルーシュ「しばらくそれを付けていろ。これは実験だ」
コーネリア「やめろ!!外せ!!これだけは勘弁してくれ!!ルルーシュ!!!これはいやだぁ!!」
ゼロ「だろうな。まあ、当然だろう」
カレン「ゼロ。コーネリアは?」
ゼロ「暫くは様子を見る。そして、後に解放する」
玉城「なんだと?!」
扇「いいのか?」
ゼロ「コーネリアには聞きたいことがあっただけだ。それに奴を利用すれば、簡単にエリア11は崩壊する」
カレン「コーネリアを手駒にするということですか?」
ゼロ「そう思ってくれて構わない」
扇「そんなことができるのか?」
ゼロ「実験段階だ。まだなんともいえない。実験が失敗したら、処刑する」
玉城「なんだ……それなら」
カレン「じゃあ、実験が終わるまで隠していないとダメですね。ここにずっと置いておきますか?」
ゼロ「いや……ここよりも最高の隠し場所がある……」
カレン「え……?」
ルルーシュ「よし……ここに座っていろ」
コーネリア「あぁ……うぅ……どこだ……ここはぁ……!!」
ルルーシュ「言えるわけないだろう」
コーネリア「水の音……と……ルルーシュは私のことが……違う!!こんなの嘘だぁぁ!!!」
ルルーシュ(ボリュームを上げておくか)
コーネリア「あぁぁ!!!やめてぇ!!ルルーシュ!!ダメだ!!私とお前は……義母姉弟なのだぞぉ!!!」
ルルーシュ「くっくっくっく……」
コーネリア「あぁ……私にはユフィがいる……ルルーシュなんて……」
ルルーシュ「ふははははは!!!」
コーネリア「ひぃ……!!!ルルーシュ……ルルーシュ……がぁ……!!」
ルルーシュ(ここならまず人は来ない……ここを利用する可能性のある者全員にギアスをかけておけば完璧だ)
ルルーシュ(姉上……必ず、篭絡してもらいますよ……ふははははは!!!!)
コーネリア「あぁ……ちがうぅ……おねえちゃんと……そうだ……そうだぞ……ルル……シュ……」
ルルーシュ(この実験が成功すれば……C.C.にも同じことをしてやる……)
C.C.「ルルーシュ」
ルルーシュ「なんだ?」
C.C.「……ここでお別れだ」
ルルーシュ「どういう意味だ?」
C.C.「そのままの意味だよ」
ルルーシュ「C.C.……?」
C.C.「もうお前には愛想が尽きた」
ルルーシュ「何を……まさか、名前を呼ばないだけでか?」
C.C.「ああ、そうだよ」
ルルーシュ「……」
C.C.「それじゃあ。さようなら」ポイッ
ルルーシュ「待て!!!C.C.!!!おい!!」
ルルーシュ「やつめ……!!ん?これは……携帯……?」
C.C.「マオ……どこだ?」
マオ「しーつー!!きてくれたんだね!!!しーつー!!うれしいよぉ!!!」
C.C.「ルルーシュのことは……」
マオ「わかってるよぉ。ルルーシュのことなんてどうでもいいんだ。僕はね……C.C.さえいてくれば……」
C.C.「マオ」
マオ「あんなクソガキにいいようにされて、悔しかっただろ?これからは僕が―――」
C.C.「断る」
マオ「ウソウソ!!C.C.は僕のことが大好きだもんね!!」
C.C.「……」
マオ「だって、このヘッドホンを僕にくれたじゃないかぁ!!」
『マオ、好きだよ……マオ、すごいじゃないか……マオ、そうだ……いいぞ、マオ……マオ……マオ、私の声だけを聞け……マオ……マオ……』
C.C.「違う!!それはお前を利用するために!!」
マオ「嘘はいけないなぁ、C.C.?どうしてそんな嘘を吐くんだい?ルルーシュの所為?」
C.C.「ルルーシュは……関係ない!!」
C.C.「あんっ!?」
マオ「でも……C.C.を飛行機に乗せようと思ったら……細かくしないと駄目だよね」パァン!!
C.C.「うぁっ!?」
マオ「でもね……これを使えば……」ギュィィィン
C.C.「チェーンソー……?」
マオ「すぐだよぉ!!!さあ、C.C.!!!僕と永遠に―――」
巨大モニター『待て』
マオ「誰だ?!」
ルルーシュ『お前がマオか』
マオ「ルルーシュ……?まさか、回線をジャックして……?」
ルルーシュ『初めまして……ルルーシュ・ランペルージだ』
マオ「なんか用?今、C.C.とね……大事な話をしているんだ」
ルルーシュ『お前のことは概ね、C.C.から聞いた。ギアスのこともな』
マオ「へえ……そうなの?それで?お前と話ことなんてないよ」
マオ「はぁ?!」
C.C.「ルルーシュ……」
ルルーシュ『C.C.は俺にとって大事な存在だからな』
マオ「あーっはっはっはっはっは!!!!こいつはお笑いだぁ!!!」パチパチパチ
ルルーシュ『……』
マオ「いいか!!C.C.を愛しているのは僕だけで!!C.C.が愛しているのも僕だけなんだよ!!!!」
ルルーシュ『……』
マオ「クソガキがぁ!!!いい気に―――」
ルルーシュ『言いたいことはそれだけか?』
マオ「なに?!」
ルルーシュ『悪いが俺は……C.C.の本名を知っているぞ?』
マオ「なん……だって……そんなのうそだぁぁぁ!!!」
ルルーシュ『それに……俺はC.C.の名前を世界で一番、優しく呼べる』
マオ「はっ!!それは僕だ!!!お前じゃない!!!僕が一番、C.C.を優しく呼べるんだ!!!」
マオ「いいだろう……」
C.C.「……」
マオ「しーつー……?僕のシーツー……」ハァハァ
C.C.「……」
マオ「ずっと一緒だよ……しぃぃつぅぅ~?」
C.C.「……」
マオ「さあ、次はお前だ!!ルルーシュ!!!」
ルルーシュ『……』
マオ「なんだい?僕の呼び方が美しすぎて、固まっちゃったのかい?」
マオ「あははははは!!!それは残ね―――」
ルルーシュ『……C.C.?』
C.C.「……」
ルルーシュ『俺から一時でも離れたこと……後悔させてやるぞ?』
C.C.「ほう……?どうするつもりだ……?」
警察「動くな!!」ダダダッ
マオ「バカな!!どうして?!」
ルルーシュ「C.C.……」
C.C.「ルルーシュ……お前……どうして……?」
ルルーシュ「おしおきが必要だな……。部屋でたっぷりと、お前の名前を呼んでやる」
C.C.「ば、ばか……やめろ……」
マオ「お前は……!!どうして!!このモニターに映っているのはなんだよぉ?!」
ルルーシュ(貴様の心を読むギアスの効果範囲は半径500メートル。しかし、意識を何かに集中させれば効果範囲を絞ることもできる)
マオ「……?!」
ルルーシュ(お前は俺の作った録画の映像に罵詈雑言を浴びせることに意識が集中し、周囲に警察が集まっていることに気づけなかった)
マオ「そんなの嘘だ!!だって!!会話をしていたじゃないかぁ!!!」
ルルーシュ(心を読めるということは、裏を返せば貴様自身の思考が固まっているということ。心の情報を絶対のモノだと信じるからな)
マオ「お前は……僕がどう答えるか予測したっていうのかぁぁ!!!」
ルルーシュ(C.C.は返してもらう。そして、俺の正体を知るものには……死んでもらう)
C.C.「やめろ!!話せば―――」
ルルーシュ「C.C.?」ボソッ
C.C.「くっ……」ビクッ
ルルーシュ「どうした?」
C.C.「お前……名前の呼び方……上手いな……」
ルルーシュ「練習したからな」
マオ「ルルーシュ!!!C.C.からはなれろぉぉぉぉ!!!!」
ルルーシュ「……撃て」
マオ「あ―――」
C.C.「マオ……」
ルルーシュ「帰るぞ」
C.C.「ああ……」
ルルーシュ(さて……これで憂いは消えたな……くくくく……)
ルルーシュ「様子を見ておくか……」ピッ
コーネリア『うえぁぁぁ……ルルーシュぅぅ……わたしも……おねえちゃんも……すきだぁ……』
ルルーシュ「……」
咲世子「ルルーシュ様」ギュッ
ルルーシュ「なんだ?」
咲世子「お見かけしたもので……つい……」
ルルーシュ「ナナリーは?」
咲世子「今は、授業に……」スリスリ
ルルーシュ「お前、スキンシップが激しいな」
咲世子「そんなことは……」
ニーナ「ルルーシュ!」
ルルーシュ「ニーナ」
ニーナ「あの……またあとでね!!」
ルルーシュ「ああ」
ルルーシュ(コーネリアはそろそろ潮時だな……)
ニーナ「ルルーシュ……」
ルルーシュ「ん?」
ニーナ「お弁当……つくってみたんだけど……」
ルルーシュ「……」
ニーナ「た、たべて……」
ルルーシュ「ああ」
ニーナ「……やった」グッ
ルルーシュ「でも、どうして?」
ニーナ「そ、それは……ひみつっ!!」ダダダッ
ルルーシュ「……まあいいか」
ミレイ「ルルーシュ!!」
ルルーシュ「な、なんですか?!」
ミレイ「……どう?ドキドキした?」
ミレイ「ねえ……ルルーシュ?」
ルルーシュ「会長、テーブルの上に座らないでください」
ミレイ「……」
ルルーシュ「なんですか?」
ミレイ「ニーナから聞いたんだけど……。ルルーシュって名前呼ぶの……上手いの?」
ルルーシュ「さぁ……どうでしょうね」
ミレイ「ちょっと呼んでみてよ」
ルルーシュ「……」
ミレイ「……っ」ドキッ
ルルーシュ「……ミレイ」ボソッ
ミレイ「……!!!」ビクッ!!
ルルーシュ「どうですか?」
ミレイ「も、もう一回……」
ルルーシュ「……ミレイ」ボソッ
ルルーシュ「今度はなんですか?」
ミレイ「あの……喧嘩して、雨の中を走り去ろうとする恋人を後ろから抱きしめて、名前呼ぶ感じにしてみて」
ルルーシュ「はぁ?」
ミレイ「つ、次のイベントでそういう演劇をしようと思ってるの!!」
ルルーシュ「また……そんなことを」
ミレイ「お願い!!一回だけでいいから!!」
ルルーシュ「分かりました。後ろから抱きしめて、名前を呼べばいいんですね?」
ミレイ「そうそう!」
ルルーシュ「じゃあ、始めましょう」
ミレイ「……もう……私たち……ダメね……」
ルルーシュ「……」
ミレイ「終わりにしましょう……さよなら」
ルルーシュ「……」ギュッ
ミレイ「あ……」ビクッ
ミレイ「ルルーシュ……」
ルルーシュ「これでいいですね―――」
ミレイ「ルルーシュ!!」ギュッ!!
ルルーシュ「会長?!ちょっと?!」
ミレイ「ずっと……好きだったの……貴方のこと……初めてあったときから……ずっと……」
ルルーシュ「会長……」
ミレイ「違う……ミレイでいいから……ルルーシュ……」
ルルーシュ「ミレイ……」
ミレイ「ルルーシュ……好き……」
シャーリー「なにやってるんですか……」
ミレイ「あ!?シャーリー?!これはーあのー……」オロオロ
ルルーシュ「今度の演劇で愛憎劇をやるらしい。その練習」
シャーリー「そ、そうなの?!」
ルルーシュ「ああ。ですよね、会長?」
シャーリー「むぅ……」
ルルーシュ「さあ、仕事をしましょう」
ミレイ「そ、そうね!!」
シャーリー「ねえ、ルル?」
ルルーシュ「なんだ?」
シャーリー「本当に練習だったの?」
ルルーシュ「当然だろ?」
シャーリー「……」
ミレイ「あーなんか暑いわねー。エアコンつけなきゃ」
シャーリー「まあ、いいけど……」
ルルーシュ「なんの話だ?」
スザク「ルルーシュ、来てたんだ」
ルルーシュ「いつもサボっているようにいうなよ」
スザク「サボっているじゃないか」
ナナリー「……」
マオ「……」
ナナリー「あ、咲世子さん?そろそろ生徒会に―――」
マオ「ふふふ……」パチパチパチ
ナナリー「誰ですか?」
マオ「さぁ……誰だろうねえ……」
ナナリー「……」
マオ「大人しく……してもらおうか……ナナリー?」
ナナリー「ひっ?!」ガタッ
マオ「だいじょーぶ。殺したりはしない……まだね」
ナナリー「お兄さ―――!!!」
マオ「黙ってもらおうか!!あーっはっはっはっはっは!!!!」
ナナリー「んー!?」
マオ「さあ、こっちだぁ」
ナナリー「んー?!」
マオ「ん?なんだ……?声が……聞こえる……?」
『ルルーシュが好きだ……ルルーシュは私のことが好きだ……ああ……ごめんユフィ……私は最低の皇女だ……』
マオ「誰だ!!」
ナナリー「……?」
マオ「そこか!!」
コーネリア「るるーしゅぅぅ……すきぃ……んほぉ……もっと……いってぇ……」
マオ「な、なんだ……こいつぅ……!!心の声は澄み切ってるのに……」
ナナリー(この声……コーネリア姉さま?)
マオ「まあいい……とりあえず……ここにナナリーを……」
コーネリア「ルルーシュ……ルルーシュゥゥ……」
ナナリー「……」
咲世子「ルルーシュ様」テテテッ
ルルーシュ「咲世子か」
咲世子「今、おかえりですか?」ギュッ
ルルーシュ「ああ。それより……ナナリーが生徒会室に姿を現さなかったが、何か知っているか?」
咲世子「え?あの、私が迎えに行ったときには既にナナリー様はいませんでしたので、ルルーシュ様かスザク様がお連れになったものとばかり……」
ルルーシュ「なんだと……」
咲世子「……」
ルルーシュ「まさか!!」
咲世子「ルルーシュ様!!申し訳ありません!!!」ダダダダッ
ルルーシュ(迂闊だった……!!このタイミングだと……!!奴しかいない!!!)
ルルーシュ(くそ!!!)
咲世子「ナナリーさまぁぁぁ!!!」
C.C.「遅かったな」
咲世子「C.C.様……」
ルルーシュ「ナナリーは?」
C.C.「写真が置いてあった……とても悪質な写真だ」
ルルーシュ「マオか……」
C.C.「だろうな」
ルルーシュ「……お前がいるのに、こういうことをするか?」
C.C.「奴の目的は私だ。恐らく……」
ピリリリリ
ルルーシュ「俺だ」
マオ『僕だよ……ルルー?』
ルルーシュ「こちらにはC.C.がいる。貴様はわざわざ負けに来たのか?いや……死にたいのか?」
マオ『あははは。こわいねえ。C.C.を返してよ……そうすればナナリーは返してあげるからさぁ』
ルルーシュ「お前……!!」
ルルーシュ「……」
マオ『無駄無駄ぁ!!君の考えなんてお見通しだよ、ルルー?あははははは!!』
マオ『警察を呼んでも、C.C.を駒にしても、誰かを利用してもダメ。それを実行した瞬間……ナナリーとコーネリアは木っ端微塵だ』
ルルーシュ「ナナリーは関係ない!!解放しろ!!」
マオ『それじゃあ、意味ないよねぇ?C.C.とナナリーの交換なんだから』
ルルーシュ「コーネリアまで人質にする必要はないはずだ!!!」
マオ『あははははは!!!!ここに置いたの君だろう?そんなの知らないよ』
ルルーシュ「マオォォォ!!!」
マオ『じゃあ、制限時間は30分。それまでに学園の地下にこないと……バーンってなっちゃうよー?こわいよねー』
マオ『あははははは!!!』
ルルーシュ「マオ!!!おい!!」
C.C.「学園の地下か?」
ルルーシュ「ああ……」
咲世子「ルルーシュ様……」
ルルーシュ(それ以前に、効果範囲の外に出た時点でマオはナナリーを殺す……)
咲世子「ここは、私が」
ルルーシュ「ダメだ」
咲世子「しかし」
ルルーシュ「ナナリーが殺される」
C.C.「私の出番かな?」
ルルーシュ「俺の心を介して、お前の行動をも探っているだろう。別行動を取った時点でアウトだ」
C.C.「なら、このまま行くのか?」
ルルーシュ「それしかない」
咲世子「ルルーシュ様……この度の失態は……あの……」
ルルーシュ「気にするな。咲世子。お前は十分、よくやってくれている」
咲世子「ルルーシュ様……」
C.C.「いくぞ」
ルルーシュ「分かっている」
ルルーシュ「スザク、何をしている?」
スザク「ああ、いや、ナナリーの様子を見に来たんだ。生徒会室に来なかったから」
ルルーシュ「心配はない。ちょっとした熱だ」
スザク「そうなのか」
ルルーシュ「ああ……」
スザク「……」
C.C.「……」
スザク「あれ。君は?」
C.C.「初めまして」
スザク「ああ、初めまして」
ルルーシュ「スザク、また明日な」
スザク「……」
C.C.「ふん……」
スザク「ルルーシュ……」
マオ「来たね……ルルーシュ?」
ルルーシュ「……」
C.C.「マオ……」
ナナリー「お兄様!!」
ルルーシュ「すぐに助ける」
コーネリア「はぁぁ……ぁ……るるー……シュぅぅ……」
マオ「さあ、C.C.を渡してもらおうか?」
ルルーシュ「ナナリーが先だ」
マオ「いいだろう……本当に無策できたみたいだしね……まあ、出し抜こうなんて考えるだけ無駄なんだけど」
C.C.「……」
ルルーシュ「ナナリーを渡せ!!」
マオ「はいはい」
ナナリー「お兄様……」ウィィィン
コーネリア「るるーしゅぅぅぅ!!!ななりーのくるまいすにぃ!!ばくだんがあるぞ!!!きをつけろぉぉ!!」
C.C.「まさか、初めから私を含め全員を殺すつもりだったのか?!」
マオ「こいつ!!正気だったのか?!」
ルルーシュ「マオ!!!」
ナナリー「お兄様ぁ!!!」
マオ「もういいよ。バレたら……押すしかないよねぇぇぇ!!!」
C.C.「マオ!!やめろ!!!」
マオ「C.C.!!君を小さくして旅行鞄にいれてあげる!!それで一緒にオーストラリアにいこうよぉ!!!」
コーネリア「あぁぁ ・・・るるぅぅしゅうぅ……すきぃだぁ!!」
ルルーシュ「くそ―――!!!」
C.C.「やめろぉ!!!」
ナナリー「いやぁ!!」
マオ「あーっはっはっはっはっは!!!!」
スザク「―――おぉぉぉぉ!!!!!」ダダダッ
マオ「え?!」
スザク「はぁぁ!!!」ドゴォ
マオ「ごほっ?!」
スザク「自分はブリタニア軍所属、枢木スザク准尉である!!治安維持法違反及び国家反逆罪でお前を拘束する!!!」
ルルーシュ「スザク……お前……」
スザク「ルルーシュ……嘘が下手だね」
ルルーシュ「え?」
スザク「熱の出たナナリーを放って、君が女の子とデートをするなんて、まず考えられないよ」
ルルーシュ「スザク……」
マオ「くそ!!!このスイッチを……」
スザク「させない!!」ドガァッ
マオ「がっ?!」
スザク「ナナリーだけじゃなく……コーネリア総督まで……君はどうやらゼロと関わりがあるようだな」
マオ「触るな!!!父親殺しめ!!!」
スザク「?!」
スザク「な……」
コーネリア「うぁぁ……?」
ルルーシュ「スザク……が……枢木ゲンブを?」
C.C.「……」
マオ「その罪から逃れるために……君はいつでも死のうとしている……」
スザク「違う……」
マオ「だから、真っ先に一番危険な場所にいく……有終の美を飾って死ぬ為にぃぃ!!!」
スザク「違う……違う……!!」
マオ「違わない!!この死にたがりがぁぁ!!!」
スザク「うわぁぁぁ……!!」ガクッ
ルルーシュ「……マオ!!」
マオ「おっと。ギアスは使うなよ?スイッチ……押しちゃうよ?」
コーネリア「くりゅりゅぎぃ……」
スザク「あぁ……ぁ……」
ルルーシュ「……」
マオ「ふふ……いくら考えても無駄だよ。逆転なんてできるわけないじゃないか」
コーネリア「るるぅーシュぅ……すきだぁ……」
ナナリー「お兄様……」
マオ「なーんだ……何もないのか。じゃあ、C.C.?僕と一緒に暮らそうね?」
C.C.「生憎だが……それはできない」
マオ「え?」
C.C.「―――名前を呼べ。大切に、優しく心を込めてな」
ルルーシュ「ああ」
マオ「名前……?それになんの意味が……」
ルルーシュ「スザク……」
スザク「……」
ルルーシュ「スザク……スザク……」
スザク「……」ピクッ
ルルーシュ「スザァァァク!!」
スザク「ルルーシュ!!!!」ドガァァ!!!!
マオ「がぁ?!」
スザク「あれ……?」
ルルーシュ「スザク!!取り押さえろ!!」
スザク「そうだった!!」
マオ「やめろ!!この!!」
C.C.「マオ。そこまでだ」
マオ「C.C.!?」
C.C.「ショック・イメージを見せる」
マオ「C.C.……何するの?やめてよ……」
C.C.「……」キュィィィン!!!
マオ「あぁああああああああ!!!!!!」
ルルーシュ(スザクに見せたやつか……)
スザク「彼は……」
ルルーシュ「コーネリアを拘束監禁、しかもナナリーまで狙った……」
スザク「まさか……クロヴィス殿下殺害も?」
ルルーシュ「可能性はあるな」
スザク「そうか……こいつがゼロだったのか……」
ナナリー「お兄様……」
ルルーシュ「すぐに爆弾は解除してやる」
ナナリー「はい」
スザク「とにかくここに応援を呼ぶから、ルルーシュは……」
ルルーシュ「わかった。あとのことは任せる」
スザク「ルルーシュ」
ルルーシュ「どうした?」
スザク「君に名前を呼ばれて……初めて……すごく嬉しかったよ。ありがとう」
ルルーシュ「名前ならいつでも呼んでやる。礼を言われることじゃない」
テレビ『ただいま臨時ニュースが入りました。なんとゼロが逮捕されたとのことです!!』
ナナリー「お兄様……大丈夫ですか……?」
ルルーシュ「ナナリー?」ボソッ
ナナリー「んっ……」ピクッ
ルルーシュ「もう……取れたぞ?」
ナナリー「お兄様ぁ……」
ルルーシュ「無事でよかった……」ギュッ
ナナリー「お兄様とスザクさんの……いえ、お兄様のおかげです」ギュッ
ルルーシュ「ナナリー?」ボソッ
ナナリー「はぁっ……」ビクッ
C.C.「……私はもう寝る」
咲世子「お休みなさいませ」
ルルーシュ「……ナナリー。また明日な」
ナナリー「はい……」
ルルーシュ「C.C.?」
C.C.「はぁ?!」
ルルーシュ「どうした?」
C.C.「耳元で……囁くな!!」
ルルーシュ「悪いな。癖のようになってきた」
C.C.「全く……」
ルルーシュ「俺もいつか……マオのようになるのか?」
C.C.「ああ……」
ルルーシュ「C.C.?」
C.C.「な、なんだ……」
ルルーシュ「俺はギアスの力には呑まれない。ギアスの力を支配してみせる」
C.C.「そうか」
ルルーシュ「C.C.……」ギュッ
C.C.「なんの真似だ……坊やが私を抱きしめるなんて……100年早いぞ」オロオロ
C.C.「別に。もうどうでもいい」
ルルーシュ「そうか?」
C.C.「ああ……」
ルルーシュ「C.C.でいいのか?」
C.C.「構わない」
ルルーシュ「どうして?少し前は随分とご執心だったようだが?」
C.C.「あの遊園地で呼んでくれたのが……気に入った」
ルルーシュ「ほう?」
C.C.「だから……私はC.C.と呼べ。それ以外の呼び方は……許さん」
ルルーシュ「全く。お前は本当に我侭だな」
C.C.「ほら……おしおきがまだだろう?今、ここで執行しろ」
ルルーシュ「ふっ」
C.C.「いいか?大切に、優しく心を込めてだぞ?手は抜くな?ガラス細工を扱うように丁寧に呼べよ」
ルルーシュ「注文が多いな……。どっちのおしおきか分からないぞ」
ルルーシュ「……」
ピリリリリ
C.C.「……」
ルルーシュ「お前が出ろ」
C.C.「なぜだ?」
ルルーシュ「どうせ。黒の騎士団の誰かだろう。ゼロは生きている。ゼロの影武者が捕まっただけだと説明すればいい」
C.C.「分かったよ……全く……」ピッ
ルルーシュ「くくく……」
カレン『ゼロ?!あの今、ニュースを見たんですけど?!』
C.C.「大丈夫だよ。騒ぐな」
カレン『C.C.!?ゼロは?!ゼロはどうなったの?!』
C.C.「ゼロは生きている。捕まったのはゼロの―――」
ルルーシュ「(C.C.……)」
C.C.「ふぁっ……」ピクッ
C.C.「ああ……いや……なんでもない……」
ルルーシュ「……」
カレン『それで?』
C.C.「いいか?捕まったの―――」
ルルーシュ「(C.C.……)」
C.C.「わぁん……」ピクッ
カレン『C.C.?どうしたの?声が変だけど……』
C.C.「な、なんでもない……」
ルルーシュ「……」
C.C.「(おい!!電話中だ!!やめろ!!)」
ルルーシュ「(お前のおしおきだ)」
C.C.「くっ……」
カレン『ねえ、C.C.?ゼロは近くにいるの?』
C.C.「ま、まあ……いるかな……」
C.C.「それは……」
ルルーシュ「……」フルフル
C.C.「できないそ―――」
ルルーシュ「(C.C.)」
C.C.「はぁぁ……っ……」ビクッ
カレン『ねえ……何してるの?』
C.C.「べ、別に何もしていな―――」
ルルーシュ「(C.C.……傍にいろ)」
C.C.「いぃぃん……」ビクッ
カレン『C.C.……ねえ……ゼロとなんかしてるの……?』
C.C.「してなぃぃ……!」ビクッ
カレン『嘘……C.C.の声、可笑しいじゃない!!』
C.C.「違う!!これはぁんっ」ビクッ
カレン『もういい!!聞きたくない!!!』
ルルーシュ「構わない。カレンだろ?いつでもフォローできる」
C.C.「そうか」
ルルーシュ「じゃあ、そろそろ―――」
C.C.「まて」ギュッ
ルルーシュ「どうした?」
C.C.「まだ足りないな」
ルルーシュ「お前な……」
C.C.「もっと私の名を呼べ……。私がこのC.C.という名を大好きになれるようにな」
ルルーシュ「本当にお前は……俺の都合も考えろ」
C.C.「お前、私が傍にいないとダメなんだろ?いてやるから……ほら……」
ルルーシュ「わかった……C.C.……」
C.C.「うん……」
ルルーシュ「傍にいろ……ずっとな……」
C.C.「ああ……いてやるよ……仕方なのない坊やだ……ふふっ」ギュッ
ルルーシュ「……」
ニーナ「あ……♪」ギュッ
ルルーシュ「ニーナ」
ニーナ「ご、ごめんなさい……誰もいないから、いいかなって……」
ミレイ「いたー!!ルルッーシュー!!」タタタッ
ルルーシュ「会長!!あぶな―――」
ミレイ「おっはよー!!今日もいい天気よねー」ギュゥゥ
ルルーシュ「そうですね」
シャーリー「なにやってんですか!!!会長!!!」
ミレイ「あ。ごめん。完全に無意識だったわ」
シャーリー「そんなわけないでしょー!!!!」
リヴァル「いいよなぁ……ルルーシュ……」
カレン「はぁ……」
ルルーシュ「カレン……」
C.C.「ふんふふーん」ギュッ
ルルーシュ「離れろ」
C.C.「お断りだ」
ルルーシュ「魔女が……」
ルルーシュ(問題のカレンのフォローは……そうだな……)
ナナリー「お兄様……大変です」
ルルーシュ「どうした?」
ナナリー「コーネリアお姉様が総督を辞任したらしいです」
ルルーシュ「なんだと……?」
ルルーシュ(いや……まあ、あの状態なら無理もないか)
ナナリー「それで……あの……ユフィ姉さまからお電話が」
ルルーシュ「ユフィだと?」
ナナリー「ユフィ姉さまも副総督ではなくなったようで」
ルルーシュ「……」
ユフィ『ルルーシュ!?ルルーシュですか?!』
ルルーシュ「ユフィ……どうしてここが?」
ユフィ『それが……お姉様がルルーシュと会いたい、ルルーシュと結婚したいとずっと呻いているのです』
ルルーシュ「それで?」
ユフィ『見かねたスザクが、ルルーシュの住所を私たちに……教えてくれて』
ルルーシュ「そうなのか」
ユフィ『それで……あの……ルルーシュ?』
ルルーシュ「なんだ?」
ユフィ『お姉様がこんな状態では……本国に帰りづらくて……。そもそもお姉様がエリア11を離れるなら舌を噛んで死ぬとまで……』
ルルーシュ「そのコーネリアの状態だが、公にはどう発表した?」
ユフィ『病で伏せたことに……』
ルルーシュ「そうか……」
ユフィ『ルルーシュ?あの……迷惑なのは分かっているんですけど……』
ルルーシュ「なんだ?」
扇「新しい総督はシュナイゼルか」
玉城「また、俺たちがガツーンと言ってやったらいいんだよ!!」
ゼロ(シュナイゼルか……)
カレン「……」
ゼロ「カレンか」
カレン「あの……えっと……あの……その……」モジモジ
ゼロ「どうした?」
カレン「ま、前に電話したとき……C.C.と何かしていましたか……?」
ゼロ「何故だ?」
カレン「ご、ごめんなさい!!あの……えっと……だから……」モジモジ
ゼロ「カレン……俺の部屋にこい」
カレン「え?」
ゼロ「同じコトをしてやろう」
カレン「えぇえぇ?!」
ゼロ「こっちにこい」
カレン「あの……仮面は?」
ゼロ「……」ギュッ
カレン「わぁぁあああ!!!」
ゼロ「静かにしろ」
カレン「むぐっ!」
ゼロ「あのときは私が怪我をしていてな」
カレン「怪我……ですか?」
ゼロ「ああ……それで介抱をしてもらっていただけだ」
カレン「抱きしめて……ですか?」
ゼロ「お前も抱き返せ」
カレン「じゃあ……えっと……失礼します……」ギュッ
ゼロ「カレン……君がこの黒の騎士団にいてくれてよかった」
カレン「ゼロ……?」
カレン「ゼロ……そんなこと……」
ゼロ「カレン?」
カレン「ひゃい」ビクッ
ゼロ「これからも……私のために戦ってくれるか?」
カレン「も、もちろんです!!ゼロォ!!」
ゼロ「ありがとう」ギュゥゥゥ
カレン「ひゃぁああ……」
ゼロ「ちなみにC.C.はただの協力者だ。何もない」
カレン「はぁい……」
ゼロ「よし。話はこれだけだ」
カレン「ゼロ……」スリスリ
ゼロ「カレン。もう終わりだ」
カレン「あ!す、すいません!!!では、失礼します!!」
ゼロ(これでよし……あとは……)
ナナリー「お久しぶりです……」
ユフィ「うん……」
コーネリア「ルルーシュゥ……」ギュッ
ルルーシュ「姉上……」
コーネリア「お姉ちゃん、だろ?ふふっ」
ルルーシュ(まさかあのヘッドホンがここまでの威力とは……。マオが狂ったのも頷ける……)
ユフィ「ルルーシュ、これからどうしたらいいでしょうか?」
ルルーシュ「しばらくはここにいたらいい。スザクもいるし、アッシュフォード家もこういう事態には寛容だから」
ユフィ「ごめんなさい……」
ナナリー「コーネリア姉さまがこの状態では……仕方ありませんね」
コーネリア「脆弱者がぁ……」スリスリ
ルルーシュ「誰がですか、姉上?」
コーネリア「訊くまでもない……私だよ、ルルーシュ」
ルルーシュ(母さんのことはあとで聞いておけばいいか……)
ルルーシュ「ミレイ」
ミレイ「はぁーい?」
ルルーシュ「机の上に座るな。あと、見えてます」
ミレイ「見せてるの」
シャーリー「破廉恥です!!会長!!!」
ニーナ「ユーフェミア様、ご無沙汰してます」
ユフィ「はい。久しぶり。ニーナ」
ニーナ「ユーフェミア様もルルーシュ狙いですか?許しませんよ?」
ユフィ「え?」
ナナリー「ニーナさん!!」
スザク「ニーナ!!なんてことをいうんだ!!!」
コーネリア「ルルーシュ!!聞いてくれ!!ここで教師をしてもいいということになった!!というわけで、毎日、お前を個別指導だ!!」
ルルーシュ「なんだと?!」
カレン「はぁぁ……ゼロぉ……」
ナナリー「あの……」
スザク「きっとリヴァルにもいい人が見つかるよ」
リヴァル「ふざけんなぁ!!!」
ユフィ「ルルーシュ、ニーナの目が血走ってて怖い……」ギュッ
ルルーシュ「ニーナ、ユーフェミア様が怖がっているだろう?」
ニーナ「離れろ……ユーフェミア……」
ユフィ「ひぃ?!」
ルルーシュ「ユーフェミア……大丈夫か?」ボソッ
ユフィ「ルルーシュ……はぁい……」
ミレイ「ちょっと!!私も言ってよ!!ルルーシュ!!」
シャーリー「私もー!!」
コーネリア「待て!!お前たち!!!まずは私だ!!!下がれ!!!」
ルルーシュ「お前ら!!!静かにしろぉぉぉ!!!!」
カレン「ゼロ……ゼロ……」ハァハァ
C.C.「随分と賑やかだな」
ルルーシュ「全くだ……」
C.C.「なぁ?」
ルルーシュ「なんだ?」
C.C.「名前を呼んでくれ……大切に……優しく……心を込めてな」
ルルーシュ「……C.C.」
C.C.「ふふっ……そうか……いいぞ」
ルルーシュ「何がだ?」
C.C.「知らないのか?―――名前の呼び方でどれだけ私のことを想っているか、分かるんだよ」
ルルーシュ「では、訊ねよう……どの程度想われていると判断した?」
C.C.「とりあえず……お前の中では私が№1のようだな。安心したよ」
ルルーシュ「バカが……そんなわけ―――」
C.C.「ありがとう……ルルーシュ。いつも大切に、優しく、心を込めてくれて……」
ルルーシュ「お前にだけは傍に居てもらわないといけないからな。……C.C.」
END
神楽耶がまだだろ
乙ナイゼル!
おのれシュナイゼル……!
Entry ⇒ 2012.07.30 | Category ⇒ コードギアスSS | Comments (1) | Trackbacks (0)
桃子「先輩!」加治木「な、なんだモモ」
加治木(モモはなぜ怒っているんだ・・・?)
加治木「・・・昨日は久たちと映画館に行っていたが」
桃子「!? ・・・その久ってのは、もしかして清澄の部長さんっすか!?」
加治木「ああ、そうだが・・・」
桃子「・・・っ」
加治木「えっと、アメイジングスパイダーマンだったかな・・・」
桃子「楽しかったっすか!?」
加治木「あ、ああ・・・」
桃子「私も見たかったっす!」
加治木「そ、そうなのか・・・」
桃子「・・・」
加治木「・・・」
桃子「私も見たかったっす!!」プンプン
桃子「!?」
桃子「・・・いやっす!」プイッ
加治木「・・・なぜだ?」
桃子「自分の胸に聞いてみてくださいっす!」プンプン
桃子「・・・」ツーン
加治木「おいモモ」
桃子「・・・」ツンツーン
加治木「・・・なぜそんなに怒ってるんだ」
桃子「怒ってなんかないっす!」プンプン
加治木「いやどう見ても怒ってるだろう」
加治木「・・・はいはい、わかったよ」
桃子「・・・ふんっす」プイッ
加治木「・・・」
桃子「・・・」チラッ
加治木「・・・なんだ?」
桃子「!?」
桃子「な、なんでもないっす!」プイッ
桃子「・・・」ツーン
加治木「昼食をとらないか?」
桃子「!?」
桃子「・・・」
加治木「どうだ?」
桃子「ひ、一人で行ったらどうっすか!?」プンプン
桃子「・・・わ、私は今お腹いっぱいなんす! だからお昼とかいらないっす!」プンプン
加治木「そうなのか・・・残念だ」
桃子「・・・ほんとはそんなこと思ってないくせにっす・・・」ボソッ
加治木「ん、なにか言ったか?」
桃子「・・・な、なんでもないっすよ! さっさと行ってきたらどうっすか!?」
加治木「? ああ・・・」
加治木(昨日はファミレスだったから、今日は趣向を変えてラーメン屋にでも行ってみるか・・・)
加治木「・・・」スタスタ
桃子「・・・」スタスタ
加治木「・・・」ピタッ
桃子「・・・っ」ピタッ
加治木「・・・」
桃子「・・・」
加治木「・・・」スタスタ
桃子「・・・」スタスタ
加治木「・・・」ピタッ
桃子「・・・っ!」キキッ
加治木「・・・モモ」
桃子「・・・」サササッ
加治木「いやばれてるからな」
桃子「ステルっす!」
加治木「ステルスもしない」
加治木「すっとぼける気か」
桃子「私は桃子じゃないっすからね」
加治木「・・・ハァ」
桃子「・・・」
加治木「じゃあ今度こそ行くからな。もう知らないぞ」
桃子「勝手にすればいいっす」ベーッ
加治木「・・・」スタスタ
桃子「・・・」スタスタ
加治木「・・・」
桃子「・・・」
桃子「行く方角がたまたま同じだけっすから」ボソッ
加治木「・・・今返事をしたな?」
桃子「へ?」
加治木「やっぱりお前モモじゃないか」
桃子「!?」
桃子「い、今のは卑怯っす!」プンプン
加治木「うるさい、負けを認めろ」
桃子「うぅ・・・」グヌヌ
桃子「・・・っ」
加治木「だったら素直についてこい」
桃子「い、いやっす!」
加治木「この強情っ張りめ・・・ほらっ」グイッ
桃子「っ!?」
桃子「は、離せっす!」パシッ
桃子「・・・当然の報いっす」フンスッ
加治木「・・・」
桃子「・・・」ツーン
加治木「・・・ああ、わかったよ。じゃあ勝手についてくればいい」
加治木「・・・」スタスタ
桃子「!?」
桃子「だ、だから私はついてってるんじゃないっす!」ダダッ
加治木「・・・」チラッ
桃子「・・・」プイッ
加治木「・・・ここでいいか?」
桃子「・・・」ツーン
加治木「おいモモ」
桃子「・・・なんで私に聞くんすか?」
加治木「いやお前なあ・・・」
加治木「・・・じゃあ質問を変えるぞ。モモはラーメン好きか?」
桃子「・・・」
桃子「ど、どっちかと言われれば好きっす・・・」ボソッ
加治木「・・・そうか」フフッ
加治木「じゃあここにする」
ガラッ
加治木「はい 桃子「一名様っす」
「え?」
桃子「一名様ずつっす」
加治木「・・・」
「あ、そうなんですか。じゃあお好きなカウンター席にどうぞー」
桃子「はいっす」スタスタ
加治木「・・・まったくあいつは」
↑かじゅ モモ↑
加治木(まったく・・・とことん素直じゃない)
加治木「・・・」ペラッ
桃子「・・・」ペラッ
加治木「・・・モモ、決まったか?」
桃子「・・・」
加治木「モモはどのラーメンが好きなんだ?」
桃子「・・・」
加治木「・・・じゃあ私と同じやつな。すみません」
桃子「ま、待つっす!」
桃子「ああもう、先輩のバカっす!」ペラペラッ
「・・・ハイ、ご注文お伺いします」
加治木「私はこの特製つけ麺を」
「ハイ、特製つけ麺がおひとつ」
「・・・お連れ様は?」
桃子「今考えてるっす! あと、お連れ様じゃないっす!」
「・・・は、はい」
桃子「うむむ・・・」
加治木「モモ、早くしろ」
桃子「わかってるっすよ! ちょっと黙っててくださいっす!」ペラペラッ
加治木「・・・」
桃子「・・・むむ」
桃子「じ、じゃあこれで・・・」
「はい、ねぎラーメンがおひとつ。以上でよろしいでしょうか?」
加治木「はい」
「ご注文ありがとうございます~」
桃子「・・・」フンッ
加治木「無視するなよ」
桃子「・・・ねぎのラーメンっすよ」プイッ
加治木「なんだその適当すぎる回答は」
桃子「・・・店員に聞けばいいじゃないっすか」
加治木「なんだ、知らないのか」
桃子「い、いちいちうるさいっすね!」プンプン
加治木「ありがとう」
加治木「・・・おいしそうだな」
桃子「・・・先に食べていいっすよ」
加治木「ん、いや待つよ」
桃子「!」
桃子「か、勝手にすればっす!」プイッ
加治木「ああ、勝手にさせてもらうよ」
桃子「どもっす」
加治木「お、きたな。じゃあさっそく食べるか」
桃子「・・・」ズズッ
加治木「・・・おいモモ」
桃子「なんれふか?」モガモガ
加治木「・・・いや、なんでもないよもう・・・」
加治木「いただきます」カチッ
加治木「ん、うまいな」モグモグ
桃子「・・・」ズズッ
加治木「モモ、そっちはどうだ? うまいか?」
桃子「んぐ・・・まあまあっすね」
加治木「ほう、じゃあ相当うまいってことだな」
桃子「・・・どういう理屈っすかそれ・・・」ズズッ
加治木「モモは毒舌だからな。モモがまずいといえばそれはすなわち普通なんだ・・・」ズズッ
加治木「はは、かもしれないな」
加治木「・・・どれ」ヒョイ
桃子「あ、なに勝手にとってるんすか!」
加治木「ん・・・」モグモグ
加治木「ああ、ねぎラーメンのネギは油で揚げてあるのか」
加治木「なるほど・・・」ズズッ
桃子「ちょっと! なに自然に私のどんぶりから直に食べてるんすか!」
桃子「それとこれとは話が別っす!」ヒョイ
加治木「あ、お前!」
桃子「んん・・・」モグモグ
桃子「んぐ・・・つけ麺ってこういうのなんすね。少し味濃いけどなかなか悪くないっす」モグモグ
加治木「・・・まあいいか。食べたかったら好きに食え」
桃子「言われなくってもそうするっよ・・・」ズズッ
「アザッシタ-」
桃子「ふう・・・食った食ったっす」
加治木「値段もお手頃だしな。また来ようか」
桃子「そっすね!」
加治木「・・・」
桃子「どうしたんすか先輩?」
加治木「いや、お前いつの間にか機嫌直してたなあと思って」
桃子「!!」
桃子「だ・・・だ・・・」
加治木「だ?」
桃子「だ、誰っすかアンタ!///」ビシッ
加治木「いやそれはさすがに無理あるだろう」
加治木「いや待て待て」ガシッ
桃子「離してくださいっす!」ジタバタ
加治木「どうせまた私のあとをつけてくるんだろう」
桃子「そんなことした覚えないっすー!」ジタバタ
加治木「そしてまた私に何かたかる気だろう」
桃子「さっきのは先輩が勝手に払ったんじゃないっすかー!」ジタバタ
加治木「まあまあ落ち着けモモ、どうどう」
桃子「なんかバカにされてる気分っす!」プンプン
桃子「私はいつでも自分に正直っすよ!」
加治木「うーん、それも一理ある」
桃子「む、それはそれでまたバカにされてる気が・・・」
加治木「それで、どうなんだ?」
桃子「・・・っ」
桃子「・・・」ムム
桃子「そ、そっすね・・・」
桃子「せ、先輩が私についてきてほしいってお願いするなら・・・ついていかないこともないっすけど・・・///」
桃子「・・・えっ」
加治木「モモについてきてほしいとお願いすればいいんだな?」
桃子「ま、まあそうっすけど・・・」
加治木「じゃあ言うぞ」
桃子「・・・は、はいっす」
加治木「・・・」
桃子「・・・」ゴクリ
加治木「モモについてきてほしい」
桃子「お断りっす」
加治木「なっ!?」
桃子「ちゃんと言ってないじゃないっすか。先輩のそれはお願いじゃなくてただの願望っす」
桃子「それにその・・・心が篭ってないっす」
加治木「なんだめんどくさいやつだな」
桃子「じゃあもうついてかないっす!」プイッ
加治木「わぁかった、すまんすまん」
桃子「・・・むう」
桃子「・・・ならほら、ちゃんと言ってくださいっすよ」
加治木「・・・ああ」
桃子「・・・な、なんすか先輩」
加治木「・・・」
桃子「・・・」ドキドキ
加治木「・・・!」グイッ
桃子「なっ!?」
加治木「モモ、私についてこい!」ダダッ
桃子「な、なんすかそれーっ!」ダダッ
加治木「もうすぐだ・・・っ」タッタッ
桃子「ま、まったく・・・話が違うっすよ、先輩・・・っ!」
加治木「ははっ・・・お前にはこれくらい強引な方がいいと思ってなっ」
桃子「い、いくらなんでも強引すぎるっす・・・っ!」
加治木「反省はしていない・・・っ」
桃子「ほんと自分勝手な人っすね・・・っ!」
桃子「・・・」
桃子(・・・まあ、そういうところが好きだったりするんすけど、ね・・・)
桃子「・・・っ///」
桃子「ハァ、ハァ・・・こ、ここは・・・」
桃子「映画館・・・?」
加治木「ああ・・・お前行きたそうにしてただろう?」
桃子「・・・」
加治木「・・・どうした? 感動でもしたか?」
桃子「・・・っ」
ポカポカ
加治木「いたっ・・・なにするんだ」
桃子「っぐ・・・ば、バカじゃないっすか! なに自惚れちゃってるんすか!」
ポカポカ
加治木「や、やめろってモモ」
桃子「・・・っぐ」ゴシゴシ
加治木「モモ・・・お前まさか泣いて・・・」
桃子「・・・ば、バカっすね! 泣くわけないじゃないっすか!」
加治木「・・・」
桃子「イヤかどうかっすか・・・? そんなの・・・」
ダキッ
桃子「嬉しいに決まってるじゃないっすか!」
加治木「も、モモ・・・」
加治木「モモ・・・」ギュ
桃子「・・・っ」
桃子「・・・」ギュ
加治木「・・・」
加治木「・・・モモ、落ち着いたか?」
桃子「・・・っ・・・はいっす・・・」
加治木「・・・そうか」
桃子「先輩・・・私、寂しかったんす・・・」
桃子「もっと先輩に構ってもらいたくって・・・ただそれだけだったんす・・・」
加治木「モモ・・・」
加治木「もういいんだ・・・それに、ひょっとして私もお前に謝らなきゃならないんじゃないか・・・?」
桃子「・・・っ」
加治木「・・・お前が今日怒ってたわけを、どうか聞かせてほしい」
桃子「・・・」
桃子「昨日・・・何の日だったか覚えてるっすか・・・?」
加治木「・・・昨日? ・・・ん、いや・・・」
桃子「ふふ・・・やっぱり忘れられてたんすね」
桃子「先輩・・・昨日の7/26は、」
桃子「私、東横桃子の誕生日っすよ・・・?」
桃子「思い出してくれたっすか?」
加治木「いや・・・えっと、そうだった・・・のか?」
桃子「・・・なんすか、その今初めて聞きましたって言いたげな顔は」ムスッ
加治木「・・・今初めて聞いたぞ」
桃子「なっ、そんなの嘘っすよ! 絶対話したことあったっす!」
加治木「いや、さすがの私も同じ部員の誕生日は忘れないと思うぞ」
加治木「つまり私が覚えてないということは、そもそも私はモモから誕生日を教えてもらってなかったということだ」
桃子「そ、そんなことありえないっす! 私が先輩に誕生日教えないはずないじゃないっすか!?」
加治木「そうは言っても、私たちはまだ3ヶ月程度の付き合いだぞ?」
桃子「あ、なんすかそれ! ひどいっす!」
桃子「大事なのは時間じゃなくて、その時間をどうやって過ごしたかだって先輩も言ってたじゃないっすか!」
加治木「そ、そんなこと言ったか・・・? いやいや、というか話がどんどん逸れてってるぞ・・・」
加治木「・・・わ、わかったわかった。私が悪かったよモモ」
桃子「・・・ふんっす」プイッ
加治木「昨日してやれなかった分、今日は一日かけてお前に付き合ってやるから」
桃子「・・・」
加治木「それじゃダメか・・・?」
桃子「・・・っ」
桃子「と、特別に認めてやらないこともないっす・・・///」
加治木「モモ・・・」ホッ
加治木「・・・なんだ?」
桃子「来年も、再来年も、その次も・・・!」
桃子「ずーーーーーっと、私の誕生日を祝ってくれるって・・・そばにいてくれるって約束・・・してくれるっすか?」
加治木「・・・ああ、もちろんだ」ニコッ
桃子「・・・っ」ドキッ
桃子「じゃあ、先輩・・・今日は私をとことん連れ回してくださいっす」
加治木「わかった。任せておけ」
桃子「・・・っ///」
桃子(期待してるっすからね・・・先輩)
桃子「あの先輩・・・私、映画はやっぱりいいっす」
加治木「ん、急にどうしたんだ?」
桃子「だって・・・映画館は先輩のすぐ傍にはいられるっすけど、先輩とお話できなくなるじゃないっすか」
桃子「私、今日は少しでも長く先輩とお話していたいっす・・・!」
加治木「モモ・・・」
加治木「よし、わかった。じゃあ近場のショッピングモールをブラブラ歩くか?」
桃子「・・・はいっす!」ニコッ
何かを買ってもらったりとかそういうことは特になかったけれど、
それでも先輩と一緒に話しながら、アイスを食べたり、お洋服を見たり、ゲームをしたりする時間は、なにものにも代えがたい最高の“誕生日プレゼント”といえた。
そして日も沈みかけ―――
加治木「それはよかったよ。私もここまではしゃぎ回ったのは久しぶりだ」
桃子「それじゃまた、他の人が知らない先輩の顔を私が一人占めしたってことっすね」
加治木「ま、まあそうなる・・・のか」
桃子「・・・へへ、やったっす」グイッ
加治木「おわっ! も、モモ・・・っ!///」
桃子「一回くらいこういう恋人つなぎってやつ、してみたかったんすよね・・・っ!///」
加治木「は、恥ずかしいなこれ・・・///」
桃子「先輩、顔真っ赤っす・・・///」
加治木「お、お前だって・・・!///」
桃子「・・・へへ・・・///」
ギュ
「いらっしゃいませ」
加治木「・・・さ、モモ。好きなの選べ」
桃子「えー! ど、どれにしようか迷っちゃうっすよー!」パアァ
桃子「あ、これおいしそう! あ、これも!」
加治木「・・・ふふ」
桃子「先輩はどのケーキがいいと思うっすか!?」
加治木「私はいいんだよ。今日はお前のお祝いなんだから、お前が好きなように選べ」
桃子「じ、じゃあ・・・このフルーツタルトのやつにするっす!」ビシッ
加治木「じゃあ、これふたつお願いします」
「はい、ありがとうございます」
加治木「ほら、口のとこクリームついてるぞ」
桃子「あ、どうもっす・・・///」
加治木「しかしこれ本当においしいな。今度ケーキを買うときは、またあのお店にお世話になろう」
桃子「次は先輩の誕生日っすね」
加治木「ああ、そうだな。いつか知ってるか?」
桃子「12/21っす」
加治木「そ、即答だな・・・教えたことあったか?」
桃子「先輩のプロフィール情報はすべて網羅済みっす」
加治木「すべて・・・?」
桃子「もちろんスリーサイズも空で言えるっす」
加治木「なっ・・・! モモっ!」
桃子「大丈夫っすよ。二人だけの秘密っす♪」
加治木「うぅ・・・///」
桃子「・・・」
加治木「・・・モモ、そろそろ・・・」
桃子「イヤっす!」
加治木「・・・モモ」
桃子「もっと先輩と一緒にいたいっす! お話していたいっす!!」
加治木「・・・モモ、わがまま言うんじゃない。明日からだってまた会えるだろう」
桃子「・・・っぐ」
加治木「こら泣くな。お前には涙は似合わないぞ」
加治木「・・・」
桃子「でも・・・一度先輩から離れたら、もう二度とこの幸せが感じられないんじゃないかって、不安で・・・」
加治木「・・・モモ」
桃子「・・・バカなことだってわかってるっす。だって永久に残り続けるものなんてないんすから」
加治木「・・・」
桃子「・・・」
加治木「・・・モモ」
桃子「・・・」
加治木「・・・抱きしめてもいいか?」
桃子「・・・えっ」
ギュ
加治木「・・・どうだ? 今、モモは何を感じてる?」
桃子「・・・安心感・・・喜び・・・それから・・・」
桃子「・・・先輩のことが大好きって気持ちっす」ギュ
加治木「・・・奇遇だな。私も同じようなことを考えてた」
加治木「モモがそばにいると、なんだか心がリラックスできるんだ。素の自分をさらけ出すことができるというか・・・」
桃子「・・・先輩・・・///」
加治木「あと・・・モモは柔らかくてフニフニしてて、気持ちいい」
桃子「・・・先輩のスケベ」
加治木「そ、そういう意味じゃないっ! モモがすごくかわいいってことだよ!」
桃子「・・・嬉しいっす」
加治木「・・・モモ、永久に残り続けるものなんてないのかもしれない」
加治木「でも、ヒトってのはすごいよ・・・こうして好きな人と体を寄せ合うことで幸せをまた作り出してゆける」
桃子「・・・っ」
加治木「・・・私はずっとモモのこと好きで居続けるよ。だから安心していい。私がいる限り、モモを不幸になんかさせやしない」
桃子「・・・先輩」
加治木「・・・なんだ?」
桃子「・・・ありがとうっす」ギュ
加治木「・・・それじゃあまた明日な」
桃子「・・・はいっす。今日は楽しかったっす」
加治木「また二人でどこか行こうな」
桃子「楽しみにしてるっすよ!」
加治木「ああ」
桃子「・・・あ、先輩。少しだけここで待っててもらっていいっすか?」
加治木「構わないが」
桃子「すぐ戻るっすー!」ダダッ
加治木「転ぶなよー」
桃子「お、お待たせしましたっす・・・」
加治木「いや別に大したこと・・・って」
加治木「・・・っ!?」
桃子「えへへ・・・ど、どうっすか?」
桃子「これ昨日のために買ったワンピースっす・・・結局着る機会逃しちゃったんすけど、先輩にはどうしても見てもらいたくて・・・」
加治木「・・・」
桃子「・・・せ、先輩?」
加治木「え・・・あ、ああ! いや、すごく似合ってるよモモ!」
桃子「ほ、ほんとっすか? 嬉しいっす!」クルン
加治木「・・・」ゴクリ
加治木(い、一瞬見とれてしまった・・・)
加治木「なんだ? モモ」
桃子「・・・あ、あの・・・」モジモジ
加治木「・・・?」
桃子「・・・わ、私とその・・・きっ・・・///」
加治木「・・・き?」
桃子「・・・きっ・・・きっ・・・///」
加治木「・・・」
桃子「・・・きっ・・・きぃっ・・・///」カアァ
加治木(おもしろい顔だ・・・)
桃子「も、もう・・・いつまで待たせるんすか!?」プンスカ
加治木「・・・ん? 待たせるってなにをだ?」
桃子「・・・」
桃子(この人はどんだけ鈍感なんすか・・・)ハァ
加治木「おいモモ、今さりげなく先輩をバカにしなかったか?」
桃子「・・・」
加治木「モモ」
桃子「・・・ああもう、うるさいっすね!」ズイッ
チュ
加治木「・・・んんっ・・・///」
桃子「・・・んん・・・ぷはっ・・・///」
加治木「っ・・・はぁ・・・はぁ・・・も、モモ・・・!」
桃子「へへっ、うるさい口はこうやって塞いじゃうっすからね・・・///」
加治木「まったく、お前というやつはいつも強引で・・・!」
加治木(まあ、お前のそういうところに引かれたってのもあるが・・・)
桃子「それじゃ先輩、おやすみなさいっす!」
加治木「・・・ああ、おやすみモモ」
――――まったく、先輩ってば鈍すぎっすよね。
ダダダッ
後輩にリードさせるなんてちょっと情けないっす。
ガチャ
だけど――――
タタッ
そんな先輩も含めて、私は大好きになったんすよね。
ガララッ
桃子「先輩!」
桃子「大好きっすよ!!」
初めてのキスは、少し甘酸っぱかった。
カン
かじゅモモ成分が枯渇してたので自ら燃料投下。反省はしていない。
頼むから咲SS減らないでくれー
乙でした
大変すばらだった
乙乙
Entry ⇒ 2012.07.29 | Category ⇒ 咲-Saki-SS | Comments (0) | Trackbacks (0)
ディケイド「ドラえもんの世界か……」
小学生「せんせー! おはよーございます!」
小学生「おはよーございまーす!」
士「今度の俺は教師、らしいな。とりあえず学校に行ってみるか」
士「出席を取るぞ。剛田……骨川……源……」
士「一人、来てないやつがいるな」
スネオ「せんせー。ノビタのやつです」
士「ノビタ?」
タケシ「遅刻じゃない方が珍しいよな、あいつ」
クラス一同「アハハハ!」
ガラガラッ!
ノビタ「すみませんっ! 遅くなりました!」
士「……おう。早く座れ」
士(こいつがノビタか。確かにトロそうだ……)
クラス一同「ギャハハハ!」
士「なんだ。いつもは立ってるのか」
スネオ「先生がいつも立たせるじゃないですか」
士「そうか。……じゃあ立ってろ」
ノビタ「はーい……」
カラカラ……
士「ようしお前ら! 授業を始めるぞ!」
シズカ「……」
夏海「士くんが教師!?」
ユウスケ「あっはは。士に勉強なんて教えられるのかよ」
士「やってみたが、案外ラクじゃないな。どいつもこいつも覚えが悪すぎる」
夏海「それは、小学生ですから……」
士「あ、でも、一人だけよく出来るやつがいたな。デキスギとかいったか」
ユウスケ「それで士、この世界では一体何が起こるんだ?」
士「……さあ」
バァン!
ノビタ「ドラえも~ん! またジャイアン達にいじめられ……」
士「ん」
ノビタ「え?」
士「お前こそ。なんでここに」
ノビタ「あ、あれ……? ここ、僕の家じゃない……?」
ユウスケ「なんだなんだ?」
夏海「どうやら、今回はあの子の家が写真館に入れ替わっちゃったみたいですね……」
栄次郎「おーい、士君っ」
士「じいさん」
栄次郎「大変だよ。二階の押入れから変なタヌキが」
士「……タヌキ?」
ドラえもん「タヌキとは失礼な。僕はドラえもん、ネコ型ロボットだぞ」
ノビタ「ドラえもん!」
士「お、おいおい、何だこいつは……」
ノビタ「明日のリサイタルまでにお客を集められなきゃ、ボコボコにするって~」
ドラえもん「しょうがないなあ……」
ドラえもん「まあ、それよりも今は」
士「ん……」
ドラえもん「なぜ、ノビタ君の家とここが繋がってしまったのか。謎を解く必要があるね」
士「なんだ。意外と話がわかるタヌキだな」
ドラえもん「タヌキじゃない! ネコ型ロボット!」
士「で? そのネコ型ロボット様はこの世界で何をしてるのか。聞かせてほしいもんだ」
ドラえもん「僕は……」
ドラえもん「うん。ノビタ君の子孫が、僕を22世紀からこの時代に送り込んだんだ」
士「22世紀……今から100年後の未来か」
ノビタ「ドラえもん! 早く何か道具出してよー!」
ドラえもん「ノビタ君」
士「甘やかし過ぎは教育に良くないぞー」
ドラえもん「え……?」
ユウスケ「あっ。士が何か立派なこと言ってる」
夏海「まあ、仮にも教師ですから」
士「お前もこいつに頼ってばかりいないで、自分の力でいじめっ子に勝ったらどうなんだ」
ノビタ「そんな……。僕がジャイアンに敵うわけないよ」
士「だからって、こいつに助けてもらってばかりじゃ、成長できないぜ」
ノビタ「……」
シズカ「ノビタさーん?」
士「ん?」
ノビタ「シズカちゃん!」
シズカ「あ、あら、先生? どうしてここに……」
士「こいつに何か用なのか?」
シズカ「え、ええ、ちょっとお話が」
ドラえもん「いいじゃない、ノビタ君、行っておいでよ」
ノビタ「うん」
ドラえもん「その間に、僕達は話をしよう……」
ノビタ「シズカちゃん。どうしたの?」
シズカ「うん……ちょっと、ノビタさんに言っておこうと思って」
シズカ「明日のタケシさんのリサイタル。ノビタさんはどうする気なの?」
ノビタ「えっ。ま、またドラえもんに何か出してもらうよ」
シズカ「……ノビタさんのそういう所、よくないと思う」
ノビタ「シズカちゃん?」
シズカ「リサイタルに行きたくないなら、タケシさんにちゃんと言って断らなきゃ」
ノビタ「! そんなことしたらジャイアンに……」
シズカ「でも。いつまでもドラちゃんに頼りっきりでいいの?」
ノビタ「だって……ドラえもんは僕を助けるために未来から来てくれたんだよ」
ノビタ「ドラえもんは……いつだって僕を助けてくれるんだ」
シズカ「ノビタさん……」
ドラえもん「何かが、起こってる?」
ユウスケ「そうだよ。士は世界を引っ掻き回す天才だからな」
士「お前は黙ってろ」
ドラえもん「そういえば、最近……この時代が誰かに監視されてるような気配があるんだ」
士「この時代を監視、だと?」
ドラえもん「詳しくはわからないけど。僕以外に、この時代で活動している者はいない筈なのに……」
士「どうやら、俺が戦わなきゃいけない敵は、着実に迫ってるようだな」
ドラえもん「君の方は一体何なんだ?」
士「俺は……世界の破壊者だ。今までも、これからもな」
タケシ「おーう、ノビタ! ちゃんと客は連れてきたんだろうな?」
ノビタ「う、うん……」
スネオ「へー、ノビタが一体誰を連れてきたんだ?」
士「俺だ。不満か?」
タケシ「! 先生!」
士「おまけもいるぞ」
夏海「おまけって何ですか。失礼しちゃう」
ユウスケ「俺も聴かせてもらおうかな」
ドラえもん「……」
スネオ「ノビタ、先生に泣きつくなんてずるいぞ!」
ノビタ「僕はそんな……」
士「俺が自分で聴きにきたんだ。タケシ、歌が自慢なんだろ? 聴かせてもらいたいな」
タケシ「……お、おう」
士「な、なるほど、ひどい歌だ……」
ヒソヒソ
ユウスケ「た、確かに。士よりひどいな」
ヒソヒソ
夏海「士くんは意外と歌上手いんですよ?」
ヒソヒソ
ノビタ「ド、ドラえもん、何か出してよ~」
ヒソヒソ
ドラえもん「しょうがないな、じゃあ耳せんでも……」
ヒソヒソ
ウ―――!
士「! 何だ?」
タケシ「っ! だ、誰だ? 俺様のリサイタルの邪魔をするのは!」
『申し訳ないな現地の少年。我々はタイムパトロール』
ドラえもん「!?」
士「なんだありゃ……」
太った隊員「時間犯罪者、ドラえもんの身柄を押さえに来た」
ドラえもん「ぼ、僕が時間犯罪者だって!?」
ノビタ「何かの間違いだよ!」
痩せた隊員「間違いではないぞ。逮捕状が出ている」
少年隊員「ネコ型ロボットのドラえもん。航時法違反で逮捕する!」
ドラえもん「ばかな……!」
士「どうなってやがんだ……」
タケシ「な、何なんだよ、ワケわかんねーよ!」
ノビタ「あの子……デキスギ君に似てるなあ」
スネオ「こんな時に何言ってるんだ!」
ドラえもん「僕はタイムパトロールに目を付けられるような事はしてないぞ!」
少年隊員「黙れ! お前の存在自体が歴史の流れを乱す悪なんだ!」
タケシ「お、おい、ちょっと待ってくれよ」
太った隊員「ん?」
タケシ「ドラえもんが犯罪者とかさ……何かの間違いじゃないのかよ」
太った隊員「そんなことはないぞ」
痩せた隊員「安心してくれ。タケシ君、スネオ君」
スネオ「どうして、僕達の名前を!」
痩せた隊員「我々が、君達にとってより望ましい世界にしてあげよう……」
ドラえもん「は、放せ! 話を聞いて――」
少年隊員「大人しくしろっ!」
ノビタ「やめてよ! ドラえもんを連れてかないで!」
少年隊員「……何か?」
士「未来の世界の警察ってのは、ずいぶん乱暴な事をするんだな」
少年隊員「現地人には関係ない。口を出さないでもらおうか」
士「あいにく、俺はこの世界の人間じゃないんでね」
士「俺の目の前でそいつを連れてくのは、気に食わねえ」
少年隊員「……邪魔をする、と?」
士「口で言って聞かないならな」
少年隊員「……やれやれ。仕方ないな」
少年隊員「こちらタイムパトロール21世紀分隊。G電王システムの発動許可願います」
士「何……?」
少年隊員「その一つがこれだ……。変身!」
ファンファンファン……ギュピーン!
G電王「任務の障害は、排除する」
士「……やっぱり、どこの世界でも、こうなる定めか!」
士「変身!」
【カメンライド――ディケーイ!】
ノビタ「!」
ノビタ「先生が……変身した!?」
夏海「士くん!」
ディケイド「おい、ドラえもんとか言ったな!」
ドラえもん「!」
ディケイド「捕まりたくないなら、お前も戦え!」
ドラえもん「た、戦えと言っても……」
G電王「お前も、公務執行妨害で逮捕する!」
ディケイド「やってみろ。やれるもんならな」
【アタックライド――スラァッシュ!】
ディケイド「ハッ!」
シュバッ!
G電王「はっ!」
ズキュゥン!
ドラえもん「時間停止!」
ディケイド「!?」
ピタッ
G電王「!」
ピタッ
ドラえもん「よ、よし、これで――」
G電王「無駄だな」
ドラえもん「何っ!?」
G電王「22世紀型の時間停止スイッチか。そんなローテクな技術が、我々に通用するとでも思ったか!」
ドラえもん「く……」
G電王「消えろ」
【Perfect weapon!】
バシュゥゥゥゥゥッ!!
ドラえもん「ひ、ひらりマントっ!」
G電王「無駄だと言っただろう!」
ドラえもん「! ばかな、マントも効かな――」
ズガァァァァァン!!
ドラえもん「」
G電王「機能停止したか。……時間停止を解除」
ディケイド「! ドラえもん!?」
ノビタ「ドラえもんっ!!」
ノビタ「ドラえもん! ドラえもん、返事してよ!」
G電王「無駄だ。そのロボットの機能は完全に停止している」
ノビタ「な、なんでこんなこと――」
G電王「タイムパトロールに歯向かった報いだ。そこをどけ、少年!」
バシッ!
ノビタ「うっ!」
ディケイド「おい、待てよ。まだ俺がいるぜ」
G電王「……あくまで邪魔を続けるというわけか?」
ディケイド「お前のやり方が気に食わねえ。俺の生徒に勝手に手を挙げたこともな」
G電王「何……?」
ディケイド「俺は仮にもそいつらの先生だ。黙って見過ごすわけには……いかねえな」
G電王「……馬鹿め」
G電王「ん?」
ノビタ「シズカちゃん!」
シズカ「やめて、ドラちゃんを連れてかないで……! きっと何かの誤解なんです!」
G電王「……この少女は……。そうか。なるほどな」
シズカ「お願い、話を――」
G電王「来い!」
ガシッ!
シズカ「あっ!」
ノビタ「! シズカちゃん!」
ディケイド「野郎……!」
G電王「動くな。この少女の命が惜しければな」
G電王「関係ないな。我々の目的……歴史の運行を守るためなら」
【Perfect weapon!】
G電王「死ねっ!」
ズキュゥゥゥゥッ!!
ディケイド「っ! ぐあああぁぁっ!」
ドサッ……
士「……」
バタッ
夏海「士くん!」
ノビタ「先生ーっ!」
ダッ!
太った隊員「おっと!」
ガシッ!
タケシ「こ、このやろ、離せっ!」
太った隊員「君達をどうこうする気はない。大人しくしているんだ!」
G電王「……ふん」
シズカ「は、はなして……!」
ユウスケ「こ、こうなったら俺が! 変し――」
G電王「無駄だ!」
ズキュゥンッ!
ユウスケ「ぐあっ!」
夏海「ユウスケ!?」
ユウスケ「ぐっ……。やっぱ俺に出番はないのか……」
太った隊員「心配しなくても、君達の記憶は後で消してあげよう」
痩せた隊員「ドラえもんのことなんか忘れて、正しい歴史を生きていくんだ」
ノビタ「そんな……そんな!」
タケシ「納得できないぜ!」
スネオ「僕だってそんなの嫌だぞ!」
G電王「お前ら。ロボットを運び込め」
太った隊員「はっ!」
G電王「お前も、もう用はない」
パッ!
シズカ「うっ……」
シズカ「ひどいわ。ドラちゃんが……ドラちゃんが何をしたっていうの!?」
ノビタ「そ、そうだよ! ドラえもんは何も悪いことなんて!」
シュゥッ
少年隊員「いい気なものだな。そのロボットが、どれだけ歴史の流れを歪めてきたか」
少年隊員「どれだけの人間から正しい人生を奪ってきたか、わかっているのか?」
ノビタ「……?」
シズカ「それって、どういう……」
少年隊員「ノビタ、君なんだよ。全ての元凶は」
ノビタ「えっ?」
少年隊員「君は本来なら、シズカとは結ばれず……恵まれない人生を送るはずだった」
少年隊員「それが本当の歴史なんだ。無理もない。勉強もできず、何の取り得もない君ならな」
スネオ「……言いたい放題言いやがって」
タケシ「ノビタの悪口を言っていいのは俺らだけなんだぞ!」
スネオ「?」
タケシ「何だって?」
太った隊員「時間改変は、君達の子孫の運命をも変えてしまったんだ」
痩せた隊員「あのロボットが君達の時代に来たことで、俺達は……」
ユウスケ「! まさか――」
夏海「あなた達は、スネオ君とタケシ君の……?」
太った隊員「ああそうだ! 俺達はタケシとスネオの遠い子孫さ!」
痩せた隊員「あのロボットのせいで、正しい歴史を生きられなかった人間なんだよ!」
シズカ「ド、ドラちゃんが、一体何を……?」
少年隊員「シズカ。君は……僕の遠いご先祖様になるはずだった」
シズカ「?」
少年隊員「出来損ないのノビタの子孫が、こんなロボットをこの時代に送り込まなければな!」
シズカ「あ、あなた、ひょっとして――」
少年隊員「そう、僕のファミリーネームは“デキスギ”」
少年隊員「歴史改変によって本来の人生を奪われた、哀れなデキスギ少年の遠い子孫だよ」
タケシ「……」
スネオ「……」
シズカ「……デキスギさんの子孫が、そんなことに……」
少年隊員「可哀想だと思ってくれるかい。全てはノビタとこのロボットが原因なんだ」
少年隊員「このロボットを連行し、歴史を正常な流れに戻す。そのために我々はこの時代に来た」
シズカ「……」
シズカ「……あなた、最低よ!」
少年隊員「何っ!?」
シズカ「あなたは、自分の好き勝手に過去の時代をいじろうとしてるだけじゃない!」
少年隊員「何を言ってる! こうして修正される歴史こそが本来の歴史なんだ!」
少年隊員「だって、おかしいだろう!? 僕のご先祖様は、勉強もできる、立派な人間だった!
こんな……ノビタみたいな、バカでグズでノロマで、何もできないガキとは訳が違う!」
少年隊員「君は僕のご先祖様と結ばれなきゃいけないんだ。それが、正しい歴史なんだ」
シズカ「いやよ!」
シズカ「デキスギさんの子孫がこんな出来損ないだなんて。残念でしょうがないわ!」
ガシッ!
シズカ「うっ!」
少年隊員「もう一度言ってみろっ! 僕の家系はエリートなんだ――ノビタなんかとは違う!」
シズカ「は、はなして……!」
ノビタ「し、シズカちゃん!」
ノビタ「シズカちゃんを――放せぇっ!」
バキュゥン!
少年隊員「ぐっ!」
ドサッ!
シズカ「っ!」
ノビタ「ハァ、ハァ……」
少年隊員「あれは、ディケイドの銃……!」
タタッ!
ノビタ「シズカちゃん……!」
少年隊員「こいつ……こいつ! ふざけるな! ただのグズのくせにっ!!」
士「……いや」
士「それは、違うな……!」
少年隊員「ッ! お前、生きて……?」
士「教師の基本だ。世の中には……何の取り得もない人間なんて、いねえ」
(あの音楽)
士「勉強は苦手でも、運動ができなくても……コイツには、他の誰にも負けない長所がある!」
少年隊員「バカな!」
自分の手で、困難に立ち向かって行こうとする!」
士「与えられた人生で精一杯頑張ろうともしないで、全てを先祖の人生のせいにし、
過去の世界に憂さ晴らしをしにくるお前とは……訳が違うんだ!」
少年隊員「ぐ……! お、おのれ、今度こそ完全に殺してやる!」
少年隊員「変身!」
ギュピーン!
士「無駄だぜ。そんな力に頼りっきりのお前が、俺に勝てるか」
G電王「黙れ! お前は一体何なんだ!?」
士「通りすがりの仮面ライダーだ。覚えておけ!」
士「変身!」
【カメンライド――ディケーイ!】
G電王「アアァッ!!」
ノビタ「シズカちゃん、大丈夫?」
シズカ「え、ええ。でも、ドラちゃんが……!」
太った隊員「ロボットには近づかせない」
痩せた隊員「君達は黙って見ているんだ!」
海東「……それは、僕もかい?」
太った隊員「!」
バッ!
海東「守りが甘いよ。警察の割にはさ」
ユウスケ「相変わらず、どっから来たんだよ」
痩せた隊員「ロボットを逃がす気か!?」
海東「逃がす? まさか」
海東「僕は、このポケットが欲しかっただけだ」
バッ!
ノビタ「ドラえもんのポケットを!」
海東「これは大変なお宝だからね。まあ、これだけのものを貰える代わりに――」
海東「タイムふろしき、か。これで機能が回復するはずだったね」
シズカ「! 助けてくれるんですか!?」
海東「さあね。僕は、僕のやりたいようにするだけさ」
ファサッ……
ドラえもん「!」
ディケイド「ハアアァァッ!!」
G電王「無駄だっ!」
ギィィィィン!
ディケイド「くっ、バリアか……!」
G電王「覚悟しろ、お前もデリートしてやる!」
ズキュゥンッ!
ディケイド「く……!」
バキュンッ!
G電王「っ!」
ディケイド「何!?」
ドラえもん「待たせたね、ディケイド!」
ドラえもん「そんなことより。行くよ、ディケイド!」
G電王「ふふふ……ははは! 旧式の武器しかないお前に何ができる!?」
ディケイド「そうかよ。だったら、見慣れないヤツを見せてやるぜ」
G電王「何?」
【ファイナルフォームライド――ドドドドラエモン!】
ディケイド「ドラえもん。ちょっとくすぐったいぞ」
ドラえもん「えっ?」
しゅいーん!
♪てってれれってーてーてーてー
ディケイド「ドラエモンコプター!」
ノビタ「でっかいタケコプターと空気砲に!?」
ディケイド「はっ!」
バッ!!
G電王「な!? 何だあれは!?」
ディケイド「食らえ!」
ズキュン!ズキュゥンッ!
G電王「ぐああっ!」
【ファイナルアタックライド――】
ディケイド「裁きを受けるのは――お前だ!」
【――ドドドドラエモン!】
ディケイド「――はっ!」
バキュゥゥゥゥゥゥゥッ!!
G電王「ぐ……アアアアァァァァッ!!」
ドカーン!
少年隊員「こ、こうなったら!」
ダッ!
ノビタ「!?」
少年隊員「死ねっ! ノビタッ!」
ボカッ!ボカッ!
ノビタ「うっ!」
太った隊員「! ちょ、ちょっ、それは――」
痩せた隊員「現地の人間に手を出すのはやばいですよ!」
少年隊員「うるさいっ! こいつさえ! こいつさえいなくなればっ!」
ノビタ「う……! や、やめろ……!」
ノビタ「やめろっ!」
ボカッ!
少年隊員「っ!」
ガシッ!ボカッ!
ノビタ「く、う……! 僕の……僕だけの力で、君に勝たないと……」
ノビタ「ディケイドが……」
ノビタ「安心して……元の世界に帰れないんだ!」
ボカッ!
少年隊員「こ、こいつ……!」
士「ノビタ……。意外と骨もあるんじゃないか」
夏海「そんなこと言ってる場合ですか? 止めなきゃ!」
士「そうだな。……いや」
士「どうやら、それは先生の役目じゃないみたいだぜ」
タケシ「おい、そこまでだぜ!」
スネオ「の、ノビタに手を出すなんて許さないぞ!」
タケシ「うるせえっ!」
ボカッ!!
少年隊員「うぐっ!」
タケシ「ノビタを殴っていいのは俺だけだ! これ以上やるってんなら、俺が相手になるぜ」
スネオ「そ、そうだそうだ!」
少年隊員「生意気な……現地のガキの分際で!」
ジャキッ!
痩せた隊員「じゅ、銃!?」
太った隊員「俺らのご先祖を撃ち殺す気かよ!?」
デキスギ「やめるんだ!」
少年隊員「っ!?」
デキスギ「もう……やめてくれ」
少年隊員「……ご先祖様……」
シズカ「デキスギさん……!」
デキスギ「僕は。ノビタ君がドラえもんに助けられることを、忌々しいなんて思っちゃいないよ」
デキスギ「ノビタ君が居ようと居まいと。僕の人生は、僕の手で切り開いてみせる」
デキスギ「自分の子孫に、こんなことしてまで助けてもらいたいとは思わない!」
少年隊員「う……くっ!」
少年隊員「くそぉぉぉっ!!」
ウ―――……
『こちらタイムパトロール。21世紀分隊の三人を航時警察権濫用の疑いで逮捕する』
士「終わった……か」
ドラえもん「……もう、行ってしまうんだね?」
士「ああ。まだ、俺を待ってる世界がたくさんあるからな」
ノビタ「先生……ううん、ディケイド。本当に……ありがとう」
シズカ「ありがとうございました」
士「俺は何もしてねえぜ。ノビタ。お前が自分であいつに立ち向かったんだろ」
ドラえもん「ノビタ君。僕はこれから、今までみたいに君を甘やかさないようにするからね」
ノビタ「! そ、そんなあ!」
士「はは。それがいい。教育の基本だ」
ユウスケ「士のやつ、すっかり教育者気取りだな」
夏海「まあ……士くんですから。仕方ないですよ」
士「どうした? 海東」
海東「このポケットに入ってるのは、22世紀の世界だと普通にデパートで売ってる物ばかりらしい」
ドラえもん「まあ、ね」
海東「君に返しておくよ。こんなもの、僕はいらない」
ポイッ!
ドラえもん「!」
海東「でも……」
スッ!
ドラえもん「どら焼き!? あ、ポケットに入れてた僕のどら焼きを盗ったな!?」
海東「こっちの方が、よっぽどお宝らしいね。僕はこれを頂くとしよう」
ドラえもん「こ、このやろう、ふっとばしてやる! 地球破壊爆弾!」
ノビタ「ちょ、ドラえもん!?」
士「……やれやれ」
(おしまい)
「ディケイドー、野球しようぜ!」
「僕たちは……いつまで小学生を続けるんだ?」
「全自動卵割り機。これはなかなかのお宝だね」
「ディケイド。ちょっとこっちへ来て座りなさい!」
「もう何十年も前から、こんなことを繰り返してる気がする……」
『カツオ、ライダーに会う』の一本です。
――全てを破壊し、全てを繋げ!
前に書いたもの:
ディケイド「るろうに剣心の世界か……」
(http://ssh123.blog.2nt.com/blog-entry-1341.html)
また、ディケイド関連なら、以下のサイトの「figma劇場」
も見て頂けると嬉しいです。
http://www.geocities.jp/hibikigaiden/
それでは!
もっとやってください
次回も楽しみだ
次→ディケイド「サザエさんの世界か……」
Entry ⇒ 2012.07.29 | Category ⇒ 仮面ライダーSS | Comments (0) | Trackbacks (0)
照「園城寺さんを妹にしてええええええええ」
淡「…………」
照「…………」
菫「…………」
淡「…………」
照「園城寺さんを」
菫「二度も言わなくていい。聞いた上で無視してるんだから」
照「そうか」
菫「…………」
照「千里山の先鋒、園城寺さん。覚えてる?」
菫「…………」
照「あの子をぜひとも私の妹にしたいと思う」
菫「…………」
照「どこで、どうすれば彼女を私の妹にできるのか」
菫「…………」
照「私も色々考えては見たんだが、いい案が浮かばなくて」
菫「…………」
照「なにか良いアイデアはないか?」
菫「…………」
照「なあ、聞いてるのか?」
菫「聞いてるわけないだろ」
照「ちっ……これだから菫は」
淡「え、こっちに振るんですか……」
照「園城寺さん、可愛いと思うだろう」
淡「まあ、そうですねえ……私はモニター越しに見ただけなんで
実際に見てどうなのかは知りませんけど」
照「モニター越しに見ても可愛いし、実際に見たらもっと可愛い。
あんなに可愛い生き物がいたのかって衝撃を受けた」
淡「はあ」
照「小柄な身体、儚げな表情、やわらかそうな髪……
それに声も可愛い。声優の小倉唯みたいな」
淡「さいですか」
照「あんな可愛い子を目の当たりにしたら、誰だって妹にしたいと思う。
そうだろう?」
淡「その理屈がちょっと意味不明なんですけど。
なんで可愛い子がいる=妹にしたい、になるんですか?」
照「は? 逆に聞くが、なんで妹にしたいと思わないんだ?
頭がおかしいんじゃないのか?」
菫「おかしいのはお前だお前」
照「友達になったところで休みの日に遊びに出かけるくらいだろう。
それに女同士の友情というものを私は基本的に信用してない」
淡「はあ」
菫「…………」
照「私が求めるのは、もっとこう……蜜月の関係なんだ。
友達程度ではない、恋人同士でも成し得ない。真に二人だけの世界。
血縁という何物にも代えがたい関係で結ばれているからこその絆。
何かもアニメでも言ってた。世界で一番美しいのは兄弟の絆だと」
淡「はあ、まあ……そうやって説明されると
分からなくもない、って気にはなってきましたけど」
照「そうか、ついに淡も分かってくれたか。同士が増えて嬉しい」
淡「同士になったつもりは全くないんですが」
照「さて、本題に戻ろう。
どうすれば園城寺さんを妹にできるかということだが」
菫「つーかお前もう既に妹いるだろ」
照「あっ、菫は私のこと無視するから同士に入れてあげませーん。
都合のいい時だけ話しかけないでくださーい」
菫「小学生かお前」
淡「園城寺さんをどうすれば妹にできるか、という……」
照「ああ、そうだった。
全国大会が昨日終了、千里山高校も早いうちに大阪へ帰ってしまうだろう。
そうなる前に手を打たないと」
淡「えっ、マジで実行に移す気なんですか?
ただ妄想と願望を語るだけではなく……?」
照「当たり前だろう。私は欲しいものは手に入れる女だ」
淡「手に入れられる側からしたらたまったもんじゃないと思いますが」
照「なあ、どうすればいい。
今この瞬間にも千里山が大阪に向かって出発するかもしれない。
早く何かアイデアを出せ、ほら、今すぐ」
淡「えー……んなこと言われましても」
菫「淡、無理して話に付き合うことないぞ。
そんなバカな先輩の妄言にのらなくてもいい」
淡「はあ……」
照「淡、菫と話すな。菫菌がうつるぞ」
菫「お前もうマジで小学校からやり直せよ」
なんなら法を犯しても構わないから」
淡「……うーん、率直な意見を述べさせて頂きますと……」
照「うん、なんだ」
淡「園城寺さんを妹にするのは不可能という結論に……」
照「その不可能を覆すのが淡の役目だ。。
白糸台高校チーム虎姫の大将だろ、お前は。何とかしろ」
菫「無茶苦茶だなお前」
淡「不可能を可能にするのは無理ですが、なんとか妥協点というか……」
照「妥協点……?」
淡「はい。園城寺さんを妹にするのはどう考えても無理なので、
一日一緒に遊びたい、とか一緒にディズニーランド行きたい、とか
そういう妥協点を探ってみてはどうでしょうか」
照「いや、しかし妹に出来ないなら意味ない……」
淡「100にこだわりすぎるあまり、70や50を得るチャンスを逃すのは馬鹿らしいと思いませんか」
照「ううむ……しかし……でも……」
菫(面倒見のいい後輩だなあ……)
淡「私もそのラインが一番現実的だと思います」
照「うん、まあ、そうだな……まずはここから始めて……
そしていずれは園城寺さんを妹に……」
淡「できるといいすねー(棒)」
照「よし、じゃあ早速園城寺さんを誘いに行くか」
淡「え、今から行くんですか?」
照「当たり前だ。こうしてるうちにも千里山一行が大阪に帰って
園城寺さんが私の手の届かない存在になってしまうからな。
善は急げ、思い立ったが吉日、急がば回れだ」
淡「そうですか、じゃあ頑張ってきて下さい。陰ながら応援してます」
菫「あんまり私たちの恥にならないようにしろよ」
照「うん、分かってる……それじゃ、行ってくる」
淡「いってらっしゃーい」
照「…………」
淡「……行かないんですか?」
照「……淡、ちょっとついてきてくれないか」
照「ほら、知ってのとおり私は口下手だろう」
淡「そんな自慢気に言うことじゃないと思いますが」
照「だから園城寺さんを誘うのだってうまくいくかどうか不安だし
千里山の人達に対して上手に接する自身もない」
淡「でしょうね」
照「しかし淡は人当たりがいいしコミュニケーションも上手だ。
そこで私のサポートをして欲しい。同士として」
淡「はあ……」
菫「ついていってやってくれ、淡……
こいつ一人じゃ何をやらかすか不安で仕方がない」
淡「あー、まあそうですね……じゃあ私も一緒に行きますよ」
照「おお、ありがとう。淡がいれば百人力だ」
菫「つーかお前、取材の時みたいな営業スマイル営業トークで喋れば
誰に対してだって上手くコミュニケーションできるだろうに」
照「あれは取材の場、マスコミ相手だからああいう演技ができるんだ。
一個人と一個人の対等な会話ではあんなふうに自分を偽るのは無理だ」
淡「典型的なコミュ障タイプですね……」
照「はあ、やっと着いた」
淡「ここですか、千里山の人が泊まってるホテル」
照「ああ、なかなか良いホテルだな」
淡「まあ私たちのところのほうが豪華ですけどね。
てゆーか、よく場所わかりましたね」
照「ああ、強豪校の追っかけをしてるファンの人がいてな。
その人から情報を聞きだしたんだ」
淡「へえー」
照「まあ、情報の見返りにスカートめくった写真撮らせてくれと言われた時は
さすがに気持ち悪かったがな」
淡「それファンじゃなくてただの変態カメラ小僧じゃないですか……」
照「スカートめくるのは無理だからふくらはぎの写真で我慢してもらった」
淡「結局撮らせたんですか!?」
照「まあ、いいじゃないか。そんな写真一枚で大事な情報が聞き出せた。
世の中ギブアンドテイク、持ちつ持たれつ。情けは人のためならずだ」
淡「嫌ですよ、そんな写真がへんな雑誌に載ったりしたら……」
照「1020号室らしいんだが……
ところで淡、大阪の人と話すときはやはりこちらも関西弁を使うべきだろうか」
淡「ヘタな関西弁使うと神経逆なでしますよ」
照「そうか……そういえば名探偵コナンでそんな話やってたな」
淡「あっ先輩、ちょっとトイレ寄ってもいいですか」
照「ん、ああ……早く済ませろよ」
淡「はーい」タッタッタッ
照「…………」
照「…………」
照「知らない建物の中に一人でいるのは心細いな」
「ソレデナー」「ホンマニー?」「ナンデヤナー」
ワイワイガヤガヤ
照「ん? あれは……」
フナQ「あれ? あの人もしかして……」
怜「み、宮永照? なんでこんなとこに……」
心の準備がまだ全然……しかしいつ見ても可愛い……)
フナQ「あのー、宮永さんですよね? 白糸台の……」
照「んっ、お。お、ああ、そ、そうですけろ……」
セーラ「何してるんや、こんなとこで」
照「そ、そそ、それはですね、えっと……あの……」
セーラ「あんたらが泊まってるホテル、ここと違うやろ?」
フナQ「なんかうちらに用なんですか?」
照「え、あ、ああ……なんというかその……」
フナQ「なんか要領を得んなあ。
言いたいことがあるんやったらはっきり言うてくださいよ」
照(やばいやばいやばい……予想外の事態に頭が真っ白だ……
こんな時のために淡を連れてきたのに肝心な時にいないんだから……!)
フナQ「? なんなんです?」
照「あ、ああ、いや、まあ……」
照(早く出てこい淡! いつまでトイレに篭ってる!
ウンコか? ウンコなのか!? こんな時に!!)
先に部屋戻ってるわ」
セーラ「おう、一人で大丈夫か?」
怜「うん、平気や」
照(いかん! このままでは可愛い可愛い園城寺さんが
自分の部屋に帰ってしまう……どうする?どうすればいい?)
照(今日のところは私も帰るか? この状態ではどうしようもない……
一人じゃ園城寺さんを遊びに誘うなんて出来ない……淡がいないと)
照(いや、そんな情けないことでどうする、宮永照!
こんなことでめげてちゃ園城寺さんのお姉ちゃん失格じゃないか!)
照(私だけでも、園城寺さんをお誘いしてみせる!
これは園城寺さんを私の妹にするための大事な一歩なんだ!)
照(しかし、何と言えばいい……口下手な私のことだ、
長台詞を喋ろうとしても確実に噛んでしまう……なるべくシンプルな方がいい)
照(今の私の気持ちを一言で表す、シンプルな言葉!
それは、それは……そうだ、もうこれしかない!)
照「園城寺さん!!」
怜「は、はい?」
照「園城寺さんを妹にしてええええええええ!!!」
セーラ「………………」
フナQ「………………」
怜「………………」
照「………………」
セーラ「………………」
フナQ「………………」
怜「………………」
照「………………」
淡「お待たせしちゃってすいません先輩……
あれ? なんで顔面蒼白なんですか?」
照「………………」
淡「そしてなんで千里山の人達がここにいて
しかも硬直してるんですか?」
怜「………………」
淡「私がいない間に何があったんですか……」
淡「な、なんですか」
照「フォロー頼む……」
淡「いや、無理ですよ!
流石の私もこの取り返しの付かない空気をどうにかできるほど
コミュニケーション能力高くないですよ!?
てゆーかマジで何があったんですか私のいない間に!!」
フナQ「あー……貴方、白糸台の……大将さんやな?」
淡「あ、はい……大星淡と申します」
フナQ「そこの宮永さんより貴方のほうが話できそうやな」
セーラ「ちょっと説明してくれへんか……宮永照が何をしたかったのか」
淡「それはいいですけど……
まずうちの宮永が何をやらかしたのか教えていただけませんか」
セーラ「園城寺さんを妹にしてええええええと大声で叫んだんや」
淡「うっわあ…………」
照「そんな露骨に引かないでくれ」
淡「引きますよ、誰だってドン引きですよ……
そして一番引いてるのは園城寺さんですよ」
セーラ「端から見てたらただのキチガイやったで」
フナQ「天才っていうのは、やっぱ他の部分がおかしいもんなんですかね」
淡「散々な言われようですね」
照「いたしかたなし……」
怜「で、結局何しに来たん? 私に用事か?」
淡「あっ、はい……実は……なんといいますか、
うちの宮永が、そちらの園城寺さんにお願いしたいことがあるそうで」
セーラ「お願いしたいこと?」
フナQ「妹にしたいってことですか」
照「はい、できれば」
淡「お前が喋るとややこしくなるからもう黙ってろよ」
照「はい……」
淡「えっとですね、ま、その……宮永が園城寺さんを気に入ったみたいで……
できれば園城寺さんを一日貸していただければと思いまして」
怜「えー」
千里山の方も、もう大阪にお帰りになるんですよね?
それなら別に断っていただいてもまったく構いませんので、ええ」
怜「大阪に帰るんは明日やで」
セーラ「今日は皆で東京見物行くことにしてたんや」
フナQ「でも園城寺先輩はまだ体調が万全やないんで部屋で休むって」
淡「あ、体調よろしくないんですか。
そういえば準決勝戦でお倒れになってましたよね……
お元気でないなら無理にとは言いませんので、
それではこれで失礼いたします、お騒がせしてすみませんでした」
セーラ「おう」
淡「さあ帰りますよ宮永先輩、帰ってお説教ですよ」
照「嫌だ」
淡「は?」
照「私が何のためにここに来たと思ってるんだ。園城寺さんを妹にするためだ。そうだろう?」
淡「だから無理だっつってんだろ」
怜「てゆーか同い年やから妹になるのはおかしいんとちゃう」
フナQ「そこですか問題は」
淡「…………」
照「園城寺さん、もう一度言わせて欲しい。答えを聞かせて欲しい。
さっきはテンパッて大変なことになってしまったが、
今度はちゃんと落ち着いて言うから」
怜「うん」
淡「宮永先輩……」
照「お、園城寺さん……今日でいい、今日一日だけでいいから……
私の……私の妹になってくれないか?」
怜「ええよ」
淡「えっ!? いいの!?」
フナQ「そんなあっさり決めてええんですか?」
怜「ま、今日私だけ暇やし、宮永さんとはもう1回、
改めてお話しとかしたいと思ってたからな……ちょうどええよ」
照「ついに悲願、念願、大願成就……!
今日一日だけだが、私は今、園城寺さんのお姉ちゃんになった……!」
セーラ「ははは、りゅーかが聞いたらどう思うやろな……」
竜華「何ふざけたこと言うてんの?」
フナQ「なんか負のオーラというか、殺気出てますよ!?」
竜華「宮永さん、やったっけ?
あんた誰の許可もろて怜に手ェ出してるんや? ん?」
照「園城寺さんと仲良くするのに、誰かの許可がいるのか?
貴方はたしか千里山の大将だったな……たしか清水寺さん」
竜華「清水谷や! 人の名前間違えんな!
とにかく怜に何か用事あるときはなあ、一回私を通してからにしてくれへんか!?」
セーラ「怜のマネージャーかお前は」
照「そんなことを言われても困るな。
園城寺さんは誰のものでもないんだから。なあ園城寺さん」
怜「そやなあ、お姉ちゃん」
照「お、お姉ちゃ……ブホォッ」
怜「竜華、そんな狭量なこと言うたらアカンよ。
私は今日宮永さんの妹になるって決めたんやから。
心配してくれるんは嬉しいけど、私はもう大丈夫やし」
竜華「でも、そんな人と二人で遊ぶやなんて……
だいたい宮永照は……はっ!?」
淡「………………」
竜華「あ、あ、あああ……あああああ…………」
セーラ「な、なんや!? どうしたんや竜華!!」
淡「ふふふ……思い出しますね大将戦……楽しかったなあ」
竜華「い、いや……いやあああああ……」
セーラ「おい、竜華! 大丈夫か!?」
フナQ「トラウマスイッチが入ってしもたみたいですね……」
セーラ「トラウマスイッチ?」
怜「ああ、そういうえば竜華……大将戦で珍しくボコボコにされてたな」
照「一体どんな打ち方したんだ、淡」
淡「まあちょっと本気出しただけで……てゆーか試合見てくれてなかったんですか!?」
照「ああ、ちょうどその時は園城寺さんのことで頭がいっぱいだった」
怜「あんたの先輩、平気で恥ずかしいこと言うなあ」
淡「最高にして最低の先輩ですよ」
竜華「あああ……あああああ…………」ガクガク
竜華「うう、うううう……」
淡「貸していただけますよね?」
竜華「わ、分かった! 貸す、貸すから!
そんな近づかんといてえええええええええ!」
セーラ「おお、竜華が折れた……」
フナQ「信じられんことですね……」
淡「先輩、これで清水谷さんの許可も取りつけましたよ」
照「ああ、ありがとう……
というか色々言ってたくせに結局協力してくれてるな」
淡「それはまあ……あれですよ、後輩の努めですよ。
でもこれは貸しにしておきますからね」
照「ああ、分かった。感謝する。
淡がいなかったら、今頃どうなってたか……」
淡「ホントにどうなってたでしょうね……」
怜「すまんな、竜華。戻ったら埋め合わせはするから」
竜華「あうう……」
他の人達にもそう伝えておいてくれ」
フナQ「はあ、分かりました。でもあんまり変なことしたらいけませんよ」
セーラ「ほら竜華、しゃきっと立たんかい」
竜華「腰が抜けてしもて……怜ぃ」
怜「何?」
竜華「帰ってきたら……今度はうちの妹にもなってな」
セーラ「何を言うてるんや……」
怜「まあ、気が向いたらな」
フナQ「さて、我々は東京見物に行きますか」
セーラ「スカイツリー行くで~」
フナQ「高いとこ好きですねえ先輩……」
竜華「怜~……怜~…………」
フナQ「ほらほら、いきますよ~」
竜華「あああぁぁぁ……」ズルズルズルズル
怜「おみやげ買ってきてや~」
淡「ここまで長かったですね」
怜「でも姉妹って言うたかて、何をするん?
普通に遊ぶだけやったらアカンの?」
照「それはこれから考える。
とりあえず部屋に戻ろうか」
怜「部屋って、私の部屋?」
照「いや、私たちのホテルに部屋を一つ確保してある。
まずそこで姉妹の語らいをしようじゃないか」
怜「へえー、白糸台の泊まってるホテルか。
ちょっと興味あるなあ」
淡「ちょ、ちょっと先輩」コソコソ
照「なんだ淡」
淡「どういうことですか、一部屋確保してるって……
もしかして園城寺さんと一泊する気ですか?
今日一日だけって言ってたのに……」
照「千里山が大阪に帰るのは明日だと言っていた。
何も問題はあるまい」
淡「なんでそう自分中心に物事を考えられるんですか……」
照「ここが私と園城寺さんのために用意した部屋だ」
怜「へえーっ、やっぱり凄いなあ~。
私らのホテルもけっこう広い方やと思てたけど……」
照「そうだろうそうだろう」フフン
淡「……じゃあ先輩、私は皆のところに戻ってますんで。
どうぞお二人でごゆっくり」
照「ああ、色々ありがとう。
何かあったらまた呼び出すかもしれないが、その時はすぐに駆けつけてくれ」
淡「嫌ですよ、人を何だと思ってるんですか……まったく」
ガチャバタン
照「…………」
怜「ま……口ではああ言いつつも、
実際には呼んだらすぐに来てくれる子なんやろな」
照「うん。淡は優しいからな……さてと」
怜「?」
照「ようやく二人っきりになれたな」
怜「なんや変な意味に聞こえるな……」
やはり改めて姉妹というのを意識すると、恥ずかしいから」
怜(もしかして宮永さんの言う『姉妹』って『お姉様』的な意味なんやろか……)
照「えーと……じゃあまず、姉妹の第一段階として……
お互いの呼び方を改めたいんだけど」
怜「呼び方か……私はもう宮永さんのこと、『お姉ちゃん』って呼んどるし」
照「ムッフフ……」
怜「お姉ちゃん」
照「ドゥフッ……」
怜「おね~えちゃん♪(ドギーマンみたいに)」
照「フッホホホホホ……オホォ」
怜「そろそろ本題に戻ろか」
照「そ、そうだな……」ニヤニヤ
怜「みや……お姉ちゃんがそんなニヤけ面するとは思わんかったわ」
照「まあ、私だって人の子だし笑うことだってある……」
怜「笑うのとニヤニヤはちょっと違う気もするけど」
怜「怜、でええよ。妹なんやから」
照「そうだな……じゃあ、呼ぶぞ」ゴホン
怜「そんな気合入れんでも……」
照「と…………怜…………」
怜「はい」
照「な、なんか……恥ずかしいな」
怜「いちいちそんな照れんでも……
普通にしてくれたらええよ、友達に接してるみたいに」
照「と言われてもな……友達と呼べる人間なんて特にいないからな」
怜「あ……そうなん」
照「ああ、まあ」
怜「……なんかごめん」
照「え、いや……」
怜「……」
照(あれ? なんか空気が重い?)
照「そ、そうだ、怜……準決勝で倒れてたけど、もう体の方は……」
怜「え、ああ、もう平気や……
病院で一晩点滴打ってもろたら良うなったよ」
照「そっか、なら良かった……
あの時は突然倒れるからさすがに驚いた」
怜「ま、それくらい凄い対局やったってことやな」
照「でもあの時はすまなかった……
なんというか……私が調子に乗りすぎたせいというか」
怜「何を言うてるんやな……
別にみや……お姉ちゃんが気に病むことなんかあらへんよ。
おたがい本気の勝負が出来て嬉しいくらいや」
照「そうか……? でも間接的には私のせいというか……」
怜「だから別に気にせんでええってば」
照「そうかな……」
怜「……」
照「……」
怜(空気が重いなあ……)
慣れてくるまでは気まずくなるのは仕方ないんかな……
なんか違う話題、違う話題……)
怜「あ、そうや……お姉ちゃんって、ほんまの妹もいるんちゃうの?」
照「本当の妹……? 私の妹は怜だけだよ」
怜「そうなん? 清澄の嶺上使い……宮永咲、やったっけ」
照「…………」
怜「あの人、宮永照の親族……っていうか、妹とかいう噂を聞いたで」
照「違う。そんな人のことは知らない」
怜「ふーん、でも結構似てる感じやけど」
照「違うって言ってるだろ。
宮永咲は私の妹なんかじゃない、私に妹はいない!」
怜「あ、ご、ごめん……」
照「あ、いや……すまない……」
怜「…………」
照(まずいな、プラズマズイ……園城寺さんと仲良くするつもりが……
なんでさっきからこんな重苦しい空気に……
こんなときはSOSだ、救世主大星淡の教えを請うしかない)
怜「あ、うん……」
照「ピッピッピッ……プルルルル」
淡『……あ、もしもし?』
照「淡、ちょっと今ヤバイ。空気がヤバイ。助けてくれ」
淡『は? 空気がヤバイ? 真空状態なんですか?
宇宙と繋がっちゃったんですか? 宇宙キターな感じですか?』
照「冗談を言ってる場合じゃない……
互いに話題のチョイスをことごとく間違えてるせいで気まずくて仕方がない。
地雷原をローラースケートで走ってるみたいな感覚だ」
淡『その喩えはよく分かりませんが。
姉妹なんだからそんな気を遣わなくていいんじゃないですか。フランクにいけば』
照「は? 私と園城寺さんは姉妹ではなく赤の他人同士だ。
気を遣わずに接せられるわけがないだろう」
淡『こんな時だけ現実的にならないでくださいよ』
照「で、どうすればいい」
淡『えー……じゃあ気分転換に2人で出かけたらどうですかあ』
淡『普通に友達と出かけるようにすればいいじゃないですか。
あ、友達いないんでしたっけ』
照「他人から言われるとムカつくな」
淡『あれ、でも時々弘世先輩と一緒に放課後に寄り道したりしてますよね。
園城寺さんともその時みたいに遊べばいいじゃないですか』
照「いや、別に遊ぶために寄り道してるわけじゃない。
菫とは一緒に本屋に行ったり、雀荘に行ったり、
マックや牛丼屋の新メニューを食べて品評会するくらいしか」
淡『あんたらホントに女子高生かよ……』
照「淡、私はどうすればいいんだ。
まともに会話も盛り上げられない、ろくに遊びも知らない……
そんな私が姉になろうとしたのがそもそもの間違いだったのか?」
淡『そんな思いつめないで下さいよ。
とにかく、目的は決めなくていいんで、とにかく二人で出かけて』
照「目的がないとグダグダにならないか?」
淡『大丈夫です、適当にウィンドウショッピングとかしてるだけでも結構楽しめますし』
照「ウィンドウショッピング? 商品見るだけで何が楽しいんだ?」
淡『あんた以外はみんな楽しんでんだよ!』
なんだよくいか女子高生グループじゃないか
雀荘…?
結局また気まずくなるんじゃ」
淡『いいですか、会話の基本はクエスチョンです。
とにかく相手に質問をぶつけるんですよ』
照「はあ」
淡『でもただ質問を繰り返すだけじゃ無味乾燥な会話にしかなりません。
なるべく相手の興味のありそうな話題の方へと誘導していくんです』
照「なんだか難しそうだなあ……」
淡『別に高度なテクニックじゃありませんよ。
それで、うまいこと相手の興味ある話題を引き出せたら、
それを参考にして次の目的地を決めて下さい』
照「目的地を決めるって言ってもな……
どこにどんなお店や施設があるかなんてわからないし……」
淡『それが無理なら適当にぶらぶらして帰ってくるだけでもいいですから。
とにかくこのまま部屋に篭っててもお互い気まずいだけですよ』
照「そ、そうだな……分かった、なんとか頑張ってみる」
淡『はーい、じゃあ切りますよー』
照「あ、待って……できれば私たちの後ろからついてきて」
淡『…………』
照「…………」
怜「…………」
照「……いやあ、まだまだ暑いなあ」
怜「そーやなあ、夏やしなあ……」
照(いかんな、まだ会話がぎこちない……
しかし、このお出かけで何としても距離を縮めてみせる!)
照(淡はちゃんとついてきてくれてるな……)チラッ
淡(私ってすげー優しいよなー)コソコソ
照(よし、淡さえいればちょっとくらい失敗しても大丈夫だ……
なんとか積極的にいかないとな)
照「おんj……怜、向こうの方にショッピングモールがあるんだ。
そこなら涼しいし、ちょっと行ってみないか」
怜「うん、ええな。とにかく暑いのはかなわんわ~」
照「怜は暑がりなのか?」
怜「そやなー、暑いと体力ゴリゴリ削られてく気がするわ」
照「そうか、ははは」
ザワザワザワザワ ガヤガヤガヤガヤ
怜「なんかめっちゃ人おるなあ……」
照「なるほど、全店連動で大規模なセールやってるみたいだな」
怜「うーん……」
照「と、怜は人ごみは苦手か?」
怜「そうやなあ、どっちかといえばあんまり好きやないな……
冷房もあんまり効かんようになるし」
照「最近はただでさえ節電節電で設定温度高めだからな……」
怜「まあ、でもこれくらいなら我慢するわ。とりあえずどっか見て回ろ?」
照「そうか? 無理しなくてもいいんだぞ」
怜「ううん、別に大丈夫やで」
照(と、園城寺さんは言っているが……どうすればいいだろう、あわえもん)
淡〈パッパッパッ パツパッパッパッ パッパッパッ〉
照(キッサテンニハイレ……か、よし、了解)
淡(覚えててよかった手旗信号)
すごいな
ちょっと喉乾いたし……」
怜「そうやな、あのお店は結構空いてそうやし……」
照「なんか済まないな、こんなに混んでるとは思わなくて」
怜「気にせんでええって。
私こういうところあんまり来たことないから、ちょっと新鮮やわ」
照「そっか、私もあんまり……というか初めてで」
怜「そうなんや」
照「ああ」
怜「じゃあ休みの日とか何してるん?」
照「土日も祝日もずっと部活だな……遊ぶ暇なんてないよ」
怜「へえー、やっぱり強いとこはそうなんやな~」
照「千里山も強豪校じゃないか……全国2位なんだから」
怜「まーな……でも私はずっと入院してて幽霊部員やったからな~」
照「でも退院してからはずっと練習漬けだったんじゃないのか?」
淡(ば、ばかな……宮永先輩が同年代の女子と普通に会話してる……だと……)
「おまたせしました、烏龍茶です~」
怜「あ、どうも」
照「この店は静かでいいな」
怜「外は人でごった返しとるけどなあ」
照「でもセールやってるんなら、色々安く買えるかもな」
怜「ああ、服とかなあ」
照「怜は普段はどういうとこで服買うんだ?」
怜「いっつも竜華に選んでもらってるわ」
照「仲いいんだな」
怜「まーな……お姉ちゃんは?」
照「まあ……色々かな。色々」
淡(色々って……普段服なんか全然買わないくせに……)
照(淡、これから服を見に行く。良さ気な店を教えろ。
私のセンスの無さがバレないようなレベルの店で頼む)チラッ
淡(知らん、適当に見て回れ)パッパッパッ パッパッパッパッ
ワイワイガヤガヤ
怜「いっぱいお店あるなぁ~」
照「そうだな……」
照(ここはやはりカッコつけてオサレなお店に入るべきか?
いやいやしかしここは分相応の……)
怜「あんまりオシャレなお店に入るんは、ちょっと気が引けるな」
照「う、うん、そうだな、そうだよな。
やっぱり高校生らしいお店にするべきだよな、うん」
怜「そやな~。でもこういうとこあんまり来いひんから、
自分にあった店ゆうんも、ようわからんわ」
照(うん、そうだな……なるべく派手じゃなくて、
人がいなくて、ゆっくり見て回れそうな店……)
照「そうだ、あそこなんかいいんじゃないか?」
怜「うん、そやね、あのお店見てみよ」
淡(ちょ、二人とも何やってるんですか! そこオバハン向けの店ですよ!)
淡(そんな店はいるな! おい、ちょっと気づけ!)パッパッパッパッパッパッパッパッパッ
照「……この店はちょっと失敗だったな」
怜「そうやな……まあオシャレでもなかったけど……
高校生らしい店でもあらへんかったな」
照「お互いにもっと早く気づけばよかったな……」
怜「そうやな、店内2週もせんで済んだな……」
照(入った時点で気づいたけど自分から提案した手前
やっぱり間違えた、なんて言ったらかっこ悪いし……)
怜(入った時点で気づいたけど宮永さんが選んだ手前
ちょっと間違ってるんちゃう?なんて言えへんし……)
照(いきなり危惧していた失敗が起こってしまった……
淡、どうすればこの失敗を取り戻せる? あれ、淡?)キョロキョロ
照(何処に行ったんだ、淡のやつ……本当に肝心な時に……)
怜「どうしたん、キョロキョロして」
照「ああいや、なんでもない」
怜「ほな、次はどこに……おっと」フラリ
照「と、怜!?」
怜「ああ、心配せんでもええよ……ちょっと目眩しただけやし」
照「ちょっと目眩しただけって……まだ体調悪いんじゃ」
怜「いやいや、元から病弱やしな。このくらいが私の普通やねん」
照「そうなのか……?」
怜「うん、普通普通。だから心配せんといて」
照「なら、いいんだけど……」
怜「ほな次どこのお店見に行く?」
照「そうだな……服屋はもうやめて、別のとこ行こうか」
怜「せやな、そのほうが賢明や」
照「じゃあ、本屋に寄ってもいいかな……欲しい本があるんだ」
怜「うん、ええよ」
照(そうだ、無理して背伸びした場所に行く必要なんてない……
普通でいいんだな、普通で。うん)
怜「あ、待って……ちょっと歩くん速………………」
照「ん……怜……?」
照「と、怜! おい、しっかりしろ!」
怜「あ、ああ……ちょっと貧血かな……歩きすぎたかも」
照「え、ど、どうしよう……どうしたら……」
怜「ちょっと休んだら……ようなるし……慣れとるから……」
ザワザワザワザワ ザワザワザワザワ
照(どどどど、どうしたらいいんだ……誰か呼べばいいのか?
お店の人とか? 救急車? 貧血で救急車呼んでもいいのかな……?
ど、どうしよう……淡、どこ行ったんだ……こんな時に……)
警備室
警備員「君ねえ、こんな人ごみの中でこんなもん振り回して……危ないでしょ?」
淡「すいません……反省してます……」
警備員「ぶつかりそうになったって言ってる人もいるからさあ……常識で考えたら分かるでしょうに」
淡「はい……ごめんなさい……」
警備員「君、高校生? 学校どこなの?」
淡「あ、学校は勘弁して下さい……許してください……すんません……」
照「…………………」
怜「…………………」
照「…………………」
怜「そんな気に病まんでもええで」
照「いや、でも……私のせいで、私が連れ回したせいで……
体調に気づけなくて……また倒れさせてしまった」
怜「また、か」
照「すまない……」
怜「謝らんでええってのに。
お店の救護室で寝かせてもらって、もう元気になったし」
照「でも……気を使わせてしまって」
怜「え、何?」
照「私に気を使って、体調が悪いのを言い出せなかったんじゃ……」
怜「いや、そんなことないって。
言わへんかったのは、み……お姉ちゃんと出かけたのが楽しかったから……
私が体調悪いって言うたら、そこでもう打ち止めになってしまうやろ」
怜「私なあ、友達と出かけるのなんかほとんどなくて……
あったとしても、私の身体に障らんようなところばっかりで……
今日みたいなお出かけはホンマに初めてで、楽しかったで」
照「でも、結果的にはこんなことになってしまった……
……私はお姉ちゃん失格だよ」
怜「……もう、そんなに思いつめんといてや」
照「…………」
怜「それにしても、ここのホテルの枕、硬いなあ~。
寝心地悪うてかなわんわ~!」
照「?」
怜「なあお姉ちゃん、ちょっと膝枕してくれへんか?」
照「ひ、ひ、膝枕……!? な、なんで!?」
怜「いっつも竜華にやってもろてるんや。
体の調子が良うない時は、よく竜華の膝枕で寝さしてもらうねん」
照「そ、そうなんだ……」
怜「せやから、お姉ちゃんにも膝枕してほしーなー」
照「うっ……」
怜「ふふ、ありがとう.……よいしょっと」
照「ど、どうだ……?」
怜「うん、そやな。なかなかええ感じやな……
高さもちょうどええし、柔らかいし、あったかいし」
照「柔らかいって……」
怜「……今日はホンマに楽しかったよ」
照「あんなんで、楽しかったのか?」
怜「内容は関係あらへんよ。誰と一緒にいたか、っていうのが大事なんやから」
照「誰と一緒にいたか、か……」
怜「そうそう」
照「……そういう人のことを友達と呼ぶのかな」
怜「多分、そうなんやろな……それよりお姉ちゃん」
照「な、なんだ」
怜「頭もなでなでしてくれな。膝枕の常識やで」
照「ほんまかいな……」ナデナデ
淡「ただいま戻りました……」
菫「ああ、お帰り。照と園城寺さんはどうだったんだ?」
淡「途中まで良い感じだったんですけど。
見失ったというか、見失わされたというか」
菫「なんだ、はぐれたのか……」
尭深「じゃあ賭けは不成立」
誠子「もともと不成立でしょ、みんな『宮永先輩が嫌われる』のほうに賭けてたんだし」
淡「なにげに酷いことやってますね」
尭深「いや、宮永先輩が嫌われれば淡に全額払わせる予定だった」
淡「それはマジで酷いですね」
菫「まあいいや、晩御飯にしよう。ご飯どうする?」
淡「私ルームサービスでいいです」
菫「ああ、そう。じゃあ私らレストラン行くから」
誠子「ここのホテルのご飯おいしいですよね」
尭深「お茶も美味しい」
菫「あ、照」
照「ああ……みんなも晩御飯か」
怜「どうも、こんばんは」
尭深「こんばんは……園城寺さん」
怜「はい?」
尭深「単刀直入に聞きますが、なぜうちの宮永なんかの妹に?」
誠子「何か弱味を握られてるとか、金品に釣られたとか……?」
照「菫、もしかして私って後輩に嫌われてる?」
菫「いじりだよ……多分」
照「なんで目をそらすんだ」
怜「お姉ちゃん、この人らが変なこと聞いてくるで」
照「そんな人らの言うことなんか聞かんでええで、向こうで食べよな」
怜「はーい」
菫「関西弁うつりすぎやろ」
照「ああ、いいよ。じゃあ怜のそのフライドポテトちょうだい」
怜「はい、あーん」
照「あーん」モグモグ
怜「お姉ちゃんのお刺身一切れちょーだい」
照「いいよ、あーん」
怜「あーん」
菫「あんなデレデレしてる照は初めてだ……」
誠子「ほんとに姉妹ごっこだけなんですよね……
なんかちょっと危ない関係に見えるんですけど」
菫「お姉ちゃんがお姉さまにならないことを祈るしかないが……」
尭深「このままいくとマリア様がストロベリィパニック」
誠子「全国1位2位のエースがレズカップルになるって、相当スキャンダラスですよね」
菫「嫌だなあ、新聞や雑誌にそんな形で名前出るのは……」
尭深「それはそれで面白いですけど」
怜「お姉ちゃんも鼻の頭にマンゴーソース付いてるで」
照「え、本当に? どこ?」
怜「ここや、ここ」フキフキ
照「あ、ありがとう」
怜「もう……お姉ちゃんはちょっと抜けたとこあるなあ」
照「ふふ、だから怜がそばについててくれないと」
怜「も~」
菫「…………………」
誠子「先輩、エビフライがタルタルまみれになってますよ」
菫「お、おおっ、しまった」
尭深「そんなに向こうが気になるんですか」
誠子「明日になれば終わるんですから、そんなにヤキモチ焼かなくても」
菫「や、ヤキモチなんかじゃないっ!!」
尭深「へえー、じゃあそういうことにしときます」
怜「そやな~、ゆずシャーベットにしよかな~」
照「そんなの食べたらお腹冷えちゃうだろ」
怜「そう? じゃあこっちのパフェにしよかな」
照「夜にそういうの食べると太っちゃうぞ」
怜「えー、じゃあどれにしたらええんよー」
照「白玉あんみつはどうだ? これなら……」
怜「お姉ちゃんが食べたいだけとちゃうのー?」
照「そんなことないよ、ちゃんと怜のことも考えてだな……」
怜「もう、嘘ばっかり~」
照「ほんとだよぉ~」
菫「ギリギリギリギリギリギリギリギリギリギリギリギリギリギリギリ」
誠子「先輩、ほらもう部屋戻りますよ、先輩!」
尭深「その鬼の形相をやめて下さい、他の客がビビってます」
照「どうだった? ここのレストラン、なかなかレベル高いだろう」
怜「そうやなー、あんな高そうなもん食べたのも初めてやし……
ああいうメニュー自体も初めてやったわ」
照「というと?」
怜「いっつもは健康に配慮したメニューばっかりやしな。
栄養士さんがな、きっちり献立作って、そのとおりにせなあかんねん」
照「え、そ、そうだったのか? じゃあ今日の食事は……」
怜「いやいや、別に一日くらいかまへんよ。
それに味気ない栄養食ばっかりでもつまらんしな」
照「そう? 問題ないならいいんだけど……」
怜「ふふ、お姉ちゃんと一緒にいると、
いろいろ初めてのことが経験できて、ほんまに楽しいわ」
照「そ……そうかな。そう言ってくれると、姉冥利に尽きるというか……」
怜「姉冥利て……ていうか、これホンマに全部おごりでええの?
食事も、宿泊も……言うてくれたら、ちゃんとお金払うよ」
照「ああ、こっちから誘ったんだから、気にしないで。怜はゲストなんだから」
怜「うーん……でもなんか悪いなあ……」
私が好きでやってることなんだから」
怜「そうかな、まあそれならええけど……」
照「さてと、そろそろ風呂にはいるか」
怜「先に入ってええよ」
照「…………………」
怜「ん、どしたん?」
照「…………もし、怜がよければでいいんだが……」
怜「一緒には入らへんで」
照「こ、心を読まれた……!?
一巡先を読む力は麻雀以外にも使えたのか……」
怜「いや、なんとなく予測できたし」
照「そうか……」ガクリ
怜(まあ、何回も竜華に同じように誘われたことあるしな……)
照「じゃあ先に入る……はぁ」
怜(最強高校生宮永照もため息なんかつくんやな)
怜(もう一回会った時は、今度こそ麻雀で勝ったろうと思てたけど……
なんか今日一日一緒に遊んで、なんかどうでもよくなってきたな)
怜(それにしても、竜華やセーラ以外の友達と
こんなに長い時間一緒に過ごすなんて初めてやな)
怜(竜華か……今頃心配しとるかなあ)
プルルルルルル プルルルルルル
怜(あ、ちょうど竜華から電話や)
怜「もしもし~」
竜華『怜ぃぃぃ、あんた今どこにおるん? もう夜やで、はよ戻ってきい!』
セーラ『オカンかお前は……』
怜「あー、なんか泊まることになってるみたいやから。
今日は宮永さんとホテルに一泊するわ」
竜華『ホテル!? お泊り!? あかんで怜、そんなん許さへんで!
今すぐに帰ってきーや!! ええな!?』
怜「………………大将戦」
竜華『ひっ!?』
竜華『あ、あ、あああああばばばばばばば』ブクブクブク
セーラ『こらこら怜、そのへんにしといたってくれ……』
怜(これは結構便利やな……)
セーラ『で、怜は今晩そっちに泊まるんやな?』
怜「うん、ごめんな、わがまま言うて」
セーラ『いやいや、ええよ。怜も遊びたい時くらいあるやろしな』
怜「まあ、それだけやあらへんけどな……」
セーラ『ところで姉妹ごっこはまだ続いてるん?』
怜「なんだかんだで続いてるよ。お姉ちゃん呼びにも慣れてきたし」
セーラ『そっか。しっかしなんで宮永照は、怜を妹にしたがったんや?
浩子も不思議がっとったで』
怜「うーん、どうなんやろな。
なんか『妹』っていう存在に対して思うところがあるみたいやけど」
セーラ『ふーん。まあよう分からんけど、頑張って妹やってくれや』
怜「妹を頑張るっていうんも、なんか変な表現やな」
何日経っても返してくれなさそうやからなあ』
怜「あはは、それもええかもな」
セーラ『ようないわ、竜華が大変なことになるっちゅうねん』
怜「ふふ、それもそやな。まあ明日中に帰れるように頑張るわ」
セーラ『おう、明日のお昼にバスが出るからな、それまでに帰りや』
怜「分かった。ほな、おやすみ」
セーラ『おやすみ』プチッ
怜「……………………」
怜(妹を演じる、か……)
怜(宮永咲の……『実の妹』の話をした時のあの反応……
やっぱり宮永照は妹に対して何かあるんやな……)
怜(私というニセの妹を用意したのは何でや……
理由は、意味は、目的は何なんや……)
怜(擬似の妹として、擬似姉妹関係の中で、
宮永照にしてあげられることは何なんやろ……)
怜(宮永照は、何を求めてる……?)
菫「はーあ、いい湯だった」
淡「…………」
菫「ん、淡はもうオネムなのか?」
淡「はあ……今日はいろいろあって疲れたんで……」
菫「なんだ、せっかく家からゲームキューブとマリオパーティ持ってきたのに」
淡「バカじゃないですか」
菫「しゃーない、尭深と誠子をここに呼ぶか……」
淡「寝たいっつってんだろ」
菫「そういえば照と園城寺さんは同じ部屋で寝るのか?」
淡「へ? そりゃそうでしょう」
菫「ふーん、そっかそっか」
淡「なんですか、嫉妬ですか」
菫「いや、そんなんじゃないけど……あいつイビキと寝言が酷いんだよなー」
淡「え、そうなんですか?」
淡「唯一……?」
菫「それに加えて寝相も悪いからなあ。
隣で寝ようもんなら蹴っ飛ばされて目が覚めるし、布団は行方不明だし……」
淡「見てきたように言いますね」
菫「何度か照の家に泊まったことあるしな」
淡「へえ、そうなんですか」
菫「……なのになんで照は私のこと友達としてみてくれないんだろうな」
淡「ああ、まあ、その……強く生きて下さい」
菫「ちくしょー、酒だ、酒! 酒買ってこい淡!!」
淡「買えるわけないでしょ!!」
尭深「酒ならばここにございます!」
誠子「ビール日本酒発泡酒ワイン紹興酒焼酎ウイスキーブランデーなんでもありますよ!」
淡「いきなり入ってきた!?」
菫「よっしゃー、今日は朝まで酒盛りじゃー!」
淡「寝かせてくれえええええ!!」
照「うーん……むにゃむにゃ」ゲシッ
怜「いだっ!!」
怜(うう、また蹴られた……)
怜(何が『姉妹なんだから一緒のベッドで寝よう』や……
寝相は悪いしイビキはうるさいし……)
怜(もーやっとられんわ、自分のベッドで寝たる)
照「……我々の勝利だ……海も我々人間のものだ……
我々の海底開発を邪魔する者は、二度と現れないだろう……むにゃむにゃ」
怜(どんな夢見とるねん……)
怜(しっかしこんなアホみたいな顔でヨダレ垂らして
意味不明な寝言とイビキをわめきちらしてるとこ見てると
宮永照も一人の人間なんやなーって思うなぁ)
怜(麻雀してる時の冷酷かつ圧倒的な存在感……
そのイメージばっかりが先行しとるけど)
怜(彼女もただの少女であって……そしてただのお姉ちゃんなんや)
照「英雄ってのはさ……英雄になろうとした瞬間に失格なのよオオオ」
怜「あああ、もう、やかましい!」バフン
怜「…………」
怜「……朝か」
怜「ああ、そうか……宮永照と一緒に泊まってたんやったっけ……」
怜「お姉ちゃんのイビキ寝言がやかましすぎて寝られんわと思ってたけど
いつのまにか寝てたみたいやなあ」
怜「今何時や……8時前か」
照「すう……すう……」
怜「お姉ちゃん、朝やで~。起きや~」ユサユサ
照「う、うーん……」
怜「朝ごはん食べてしまうで~」
照「もうちょっと……寝かして……咲……」
怜「!!」
照「ん……あれ……ああ、怜か……おはよう……」
怜「あ、うん……おはよう」
照「うん?どうした?」
ちょっと顔洗ってくるわ」
照「ああ」
怜(宮永照は今たしかに咲って言うた……間違いなく宮永咲のことやろな……
そして宮永咲は、確実に宮永照の実妹)
怜(二人の間に何があったかは知らんけど。
なんか複雑な関係なんやろうなあ)
怜(私は擬似妹としてここにいる。つまり宮永咲の代わりなんや)
怜(宮永照は私を宮永咲の代わりにして何がしたい?
私は宮永照に何をしてあげられる……?)
怜(宮永照は私に色んな楽しみをくれた。
たった一日やったけど初めての経験も色々あった)
怜(私は宮永照にお返しをせんとあかん……)
照「あれ?そういえば昨日同じベッドで寝なかったっけ?」
怜「え、そうやったっけ……?多分思い違いやろ」
照「そうかな……確かに同じベッドで寝た気が……あれ、菫の時と勘違いしてるのか?」
怜「うん、多分そうや」
怜「お昼前には出んと間に合わへんかな」
照「そっか……じゃあもうあと3時間くらいしかないな」
怜「さみしい?」
照「そりゃさみしいさ。妹との別れはな」
怜「そっか。じゃあ帰る時間までは二人っきりで過ごそか」
照「いいのか?」
怜「うん、ご飯はルームサービスとればええし……
それに外出歩くんは好きじゃないしな」
照「そうだな……じゃあ時間までこの部屋で過ごそう」
怜「うん」
照「ほら」ポンポン
怜「ン、何?」
照「膝枕してあげる」
怜「えへへ、まさかお姉ちゃんの方から誘ってくるとはな」
照「ま、いいじゃないか」
照「光栄だな」
怜「頭ナデナデも忘れへんかったら、なおええんやけどな」
照「おっと、忘れてたよ」ナデナデ
怜「んふふ」
照「ところで清水谷さんとはずっと仲がいいのか」
怜「そうやな。中学の時からずっと。
私を全国大会までつれてきてくれたんも竜華や」
照「いい友達を持ったな」
怜「うん、大親友や。そのうち結婚も考えてる」
照「えっ!?」
怜「いや、まあ冗談やけどな」
照「ああなるほど……今のが大阪人のボケか」
怜「……それより、お姉ちゃん」
照「なんだ」
怜「宮永咲のことなんやけど……」
怜「ええよもう、隠さんでも……私は宮永咲の代わりなんやろ?」
照「…………」
怜「別に誰かの代用品にされたことを怒ってるわけやないで……
代用品なら代用品としてのつとめを果たそうと思ってた」
照「…………」
怜「でも色々考えてみたんやけどな……
結局何をしても一時の気休めにしかならへんと思うねん」
照「…………」
怜「お姉ちゃん……いや、宮永さん。
あんたホンマは……」
照「…………」
怜「宮永咲に戻ってきて欲しいんやろ」
照「…………」
怜「他人の家庭の事情に首突っ込むのは失礼かもしれへんけど。
でももう一度宮永咲のお姉ちゃんになりたいんやったら……」
照「……無理だよ」
嶺上開花で役満を和了りまくる咲に殺意すら覚えた
私と咲のあいだにはもうどうしようもない溝が出来てるんだ」
怜「そやから、誰かを妹の代わりにして傷を癒すんか?
そんなその場凌ぎのことをずっと続けるんか?」
照「…………」
怜「そんな偽物で満足なんか?違うやろ?」
照「……でも私の可愛い後輩が言っていたよ。
100を得られないなら70や50で妥協しろってね」
怜「それは100を掴もうとした人が言う言葉や。
あんたは最初っから妥協点に逃げてるだけやんか」
照「…………」
怜「宮永咲のお姉ちゃんやろ、あんたは……」
照「…………」
怜「ああ……こんなこと話してるうちにもう時間が来てしもたな……」
照「え、もうそんな時間か……」
怜「すまんな、宮永さん……最後にこんな辛気臭い話してしもて」
照「いや……園城寺さんの言うことは、全部合ってる。的確だ。的を射てる」
色々ありがとうな、ほんまに。お世話になった」
照「うん……」
怜「…………」
照「……あの」
怜「ん?」
照「また……会ってくれるか?
こんな、情けない私でも……嫌いにならずに、また……」
怜「別に嫌いになんかならへんよ。むしろちょっと好きになったくらいや。
ああ、チャンピオンもこんな人間臭い悩みがあるんやなーって」
照「そうか……」
怜「そやな……じゃあ今度は3人で会いたいな」
照「3人?」
怜「お姉ちゃんと、妹ふたりで、3人」
照「……うん、そうだな……分かった。
実現できるように努力するよ……ありがとう、園城寺さん」
怜「頑張ってや、お姉ちゃん」
私が愛してやまない存在であり、でももう二度とは戻ってこない人……
宮永咲の代用品として他人を利用するという私の最低な考えを
園城寺さんはすべて見透かしていた
それでも園城寺さんは私に愛想を尽かしたりしなかった
むしろ好きになったくらいだと言ってくれた
そしてさようならの代わりに頑張ってという言葉を残していった
擬似姉妹……私の臆病心とエゴによって生み出された歪んだ関係
こんなものは間違ってる
でもこのおかげで得られたものも確かにあったのだ……
私は答えなければならない
園城寺さんの気持ちに
そして何よりも自分自身の気持ちに……
怜「ただいま~」
セーラ「おー、やっと戻ってきたか」
怜「すまんなー、心配かけて」
泉「いやあ、その言葉は私らよりもまず清水谷先輩に…………」
竜華「ときいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいい!!!」
怜「うわあ!?」
竜華「大丈夫やったか怜!? 何もされへんかったか!? 怪我とかしてへんか!?
何か買わされへんかったか!? お金取られたりしてへんか!? 盗撮されてへんか!?
事件や犯罪に巻き込まれたりしてへんか!? 何にも変わりないか!? 体調はどうや!?
寝る前に歯磨いたか!? 風邪とか引いてへんか!? 忘れ物してへんか!?
変なこと吹きこまれへんかったか!? ちゃんと寝られたか!? ご飯食べさせてもろたか!?
なんも危ないことしてへんやろな!? 虫に刺されてへんか!? 朝の占いで1位やったか!?
それよりなにより処女膜は無事かあああああああああああ!!!」
怜「やかましい!!」バシッ
竜華「あうっ」
怜「なんもされとらんわ、大声で処女膜とか言うな」
フナQ「ああ、はしたない……」
怜「宮永さんはそのつもりやったみたいやけど、
やっぱり流石に申し訳ないしな……大阪帰ってから白糸台に送金するつもりや」
セーラ「ま、そのほうがええやろな」
怜「何円になるかは分からんけどな」
竜華「なあ怜、ちょっと怜……聞いてる?」
怜「聞いた上で無視してる」
竜華「ひどっ!」
怜「で、何?」
竜華「もう宮永さんと会ったりしたらアカンで。
今度は何されるか分からへんからな!」
怜「別にそんな悪い人とちゃうって……
それにまた、多分会えると思うねん。近いうちにな」
竜華「えー……じゃあその時はウチも付いてくわ」
怜「…………大将戦」
竜華「もうそれ免疫ついたわ」
怜「早っ!」
照「ただいま」
淡「あー、おかえりなさい。園城寺さんは……」
照「千里山に帰ったよ」
淡「そうですか。で、どうでした? かわいい妹のいる生活は」
照「うん、まあなかなか良かったかな……それよりも」
淡「なんですか」
照「そこの菫はなんでそんなに具合悪そうなんだ」
菫「うう……うえっぷ」
淡「端的に言えば二日酔いですかね」
菫「はああ……くそっ、あいつらも同じくらい飲んでたのに、何で私だけ……」
淡「あの二人はお酒強いですし」
照「そうだ、菫」
菫「なんだ」
照「膝枕してやろう」
照「具合悪いんだろう。私の膝で休むといい、ほら」
菫「そんな恥ずかしい真似できるわけ無いだろ……」
照「別に恥ずかしくないだろ。ほらほら」
菫「いい、いらんいらん!」
照「なんだ、つまらん……」
淡「てゆーか何でいきなり膝枕なんですか……」
照「まあ、なんというか園城寺さんに教えてもらったというか……
そういえば園城寺さんと話してて思ったんだが」
淡「なんですか」
照「もしかして私と菫って友達ってことになるのか?」
淡(おおっ)
菫「て……照……! お前……」
照「ん? 間違ってる?」
菫「てるうううううううううううううううっ!!」ガバッ
照「うわっ!?」
照「離れてくれ暑苦しい」
淡「こんな喜色満面の弘世先輩初めて見た……」
菫「私は嬉しくて嬉しくてもううえええええええげろげろげろげろ」
照「うわああああああ!!」
淡「思いっきりゲロ吐いたー!」
菫「ようし照、やっと友達だと認め合えた記念に、
これからお互いのことを『てるてる』『すみすみ』と呼び合うことにしよう、そうしよう!」
照「絶交しようかな……」
淡「赦してあげて下さい……多分ちょっとテンションおかしくなってるだけだと思うんで……」
菫「よーしてるてる、家に戻ったら早速マックの新メニュー食べに行こうぜ!」
照「まずお前の吐いたゲロを全部掃除してから……うっうええええええ」
淡「も、もらいゲロですか!?」
尭深「宮永先輩帰ってきたんで……うわ、ゲロくさっ」
誠子「なんですかこの部屋、何があったんですか」
淡「まあ色々と……」
淡「先輩が吐いたゲロじゃないですか」
菫「てるてるもちょっと手伝ってくれ」
照「いや、私はこれから行くところがある……あとてるてるはやめろ」
淡「行くところって、どこ行くんですか? 今から?」
照「大事なところ……大事な人に会わなきゃいけない。
もう逃げないと決めたんだ」
淡「はあ、なんかよく分かりませんが、頑張ってください」
照「うん……それじゃ、行ってくる」
照(そう、取り戻すんだ。私の大事な妹を)
照(待ってろよ咲……お姉ちゃんが今からそこに行くからな)
照(今度は擬似姉妹なんかじゃない、本当の姉妹に……)
菫「ゲロ取れないなあ……」
お わ り
話が変な方向に行ってしまった気がしなくもないけど許せ
リンシャン牌を要求する
菫さんがぶっ飛んでるとは珍しい
またかいてね
Entry ⇒ 2012.07.29 | Category ⇒ 咲-Saki-SS | Comments (0) | Trackbacks (0)
やすな「ソーニャちゃん!私たち一心同体だよ!」
ソーニャ「はぁ?」
やすな「そう!私たちは一心同体!」
やすな「何をするにも二人一緒じゃないとダメなんだよ!」ビシッ
ソーニャ「さて帰ろうっと」トテトテ
やすな「……」
やすな「とぉりゃあー!」
グギッ
やすな「ああ~……」
やすな「酷いよ、ソーニャちゃん……」
ソーニャ「お前が飛び蹴りしてくるからだろ!」
やすな「だってぇ、ソーニャちゃん一人で帰ろうとするんだもん」
ソーニャ「だからって飛び蹴りするやつがあるか」
やすな「ねぇ~ねぇ~一心同体ごっこしようよ~」
ソーニャ「なんだそれ……」
やすな「ええ~?ソーニャちゃん殺し屋なのにそんなことも知らないの~?」
ソーニャ「ムカッ」
ソーニャ「そんなこと知らなくても仕事はできる」
やすな「分かったよ。私が一心同体ごっこ教えてあげる!」
ソーニャ「いらん。私は帰るぞ」
やすな「お願い~!一回だけ!一回だけでいいから~!」ダキッ
ソーニャ「うわっ!まとわり付いてくるな!」
ゴンッ
やすな「あいたぁ!」
ソーニャ「ったく、一回やったら帰っていいのか?」
やすな「うんうん!」ハァハァ
ソーニャ「で?一心同体ごっこって何をするんだ?」
やすな「まずソーニャちゃんが私を肩車します!」
ソーニャ「ハァ?」
やすな「さあ、早く早く!帰れないよ?」
ソーニャ「ぐっ……全く何をしているんだ私は」
ソーニャ「ほら、つかまれ」ヒョイ
やすな「キャー!ソーニャちゃん力持ち~!」
ソーニャ「こらあんまり動くな!バランスが崩れる!」
やすな「やっほぉーい!うおー!高ーい!」
ソーニャ「ぐほっ!足をばたつかせるな!」
やすな「よーし、このまま行けぇ!ゴーゴーソーニャ!」
ドガッ、バキッ、ザシュッ
やすな「ギャー!」
やすな「酷いよ~、これが一心同体ごっこなのに~」
ソーニャ「知るか!付き合ってやったんだから私はもう帰るぞ!」
やすな「あっ、もう行っちゃうの?」
ソーニャ「私は忙しいんだ」
やすな「あ!もしかして殺しの仕事!?」
やすな「だめだよソーニャちゃん!殺しは犯罪の始まりだよ!」
ソーニャ「はいはい私は犯罪者ですよ」
やすな「ぐっ、開き直った!」
やすな「最低~!人でなし~!この人殺し~!」
ソーニャ「満足したか。じゃあな」
やすな「ああ、本当に帰っちゃうし……」
~~~
私が帰ると言うと、あいつはとても悲しげな表情を見せた。
まるで今生の別れとでもいうような、そんな顔をほんの一瞬だけ見せる。
ずっと前から気づいていた。
しかし私は気づいていない振りをしていた。
あいつは私と別れてから私を尾行し始めた。
勿論私はそれに気づいている。
あんな馬鹿の尾行を巻くなんて簡単なことだった。
今回のターゲットは敵対する組織のヒットマンだった。
私が行動しているエリア内で何やらこちらの組織について調査しているようだった。
何をしているのかは知らないが、組織の邪魔になる人間は消す。
それが私たち殺し屋の考えだ。
私は腕には自信がある。
それでも今回のターゲットは少し厄介な相手だった。
私はなんとか敵を倉庫街の袋小路まで追い詰めた。
その代償として太ももに深く長い切り傷を負っていた。
ナイフを片手に敵と睨み合っていると、足を伝った血が赤い水溜りを作った。
刺客「はぁ……はぁ……ここまでのようだな……」
ソーニャ「観念したか。大人しくしていれば楽に殺してやる」
敵も手負いだった。
ここまでに右の足にナイフ3本のダメージを与えている。
ここから全力で逃げようとしても私の追撃を交わすことはできないはずだ。
何もこんなことは初めてではない。
躊躇はなかった。
ただ相手を殺すだけ。ただ相手を死に至らしめるだけ。
ただ相手の生命機能が停止するまでダメージを与えるだけ。
そうすれば相手は勝手に死んでくれる。
別に私が殺しているわけではない。
刺客「クッ……誰がこんな所で死んでたまるものか!」
ソーニャ「そうか、それならこちらも本気に――」
その時私は別の方向から殺気を感じた。
この感じ、誰かが私を狙っている!?
コンテナの上にもう一人の刺客がいる!
気づいたときにはもう遅かった。
それでも私は後ろへ飛び退く動きを取ったが、やはり間に合わなかった。
真っ直ぐに飛んでくる敵のナイフは私の胸に突き刺さった。
刺客「やったっ!」
やった。ついにやってしまった。
胸に突き刺さったナイフは痛くも痒くもなかった。
私はなす術もなく背中から地面へ落下していく。
ただ私は死ぬんだなと思った。
分かっている。今日こそはこの日が来るんじゃないかと毎日思っていた。
別に相手を恨んだりはしない。
敵が放ったナイフが突き刺さり、私は勝手に死んでいくだけだ。
さっきまで私が追い詰めていた刺客の顔が目に入った。
疲労と痛みと緊張で汗だくになり、強張った顔。
その中に勝利を確信し緩んだ表情が見え隠れした。
もう少しで――もう少しで今日の仕事をやり遂げられたのに。
そうすれば――
明日もあいつと会えたのに。
背中が冷たいコンクリートに着地した瞬間、やすなの顔が夜空に浮かんだ。
なんでだろう……?
どうしてこんな時にあいつのことなんか思い出しているんだろう?
何もこんなときに……。
他にいくらでももっと大切なことがあるだろうに。
――他に大切なものって、なんだ?
地面に溜まっていた血溜りが飛沫を上げた。
無数の赤い粒々が夜空の中のやすなに降りかかる。
私はその血飛沫を手で振り払おうとしたが、体が言うことを聞かなかった。
あいつだけは汚したくない。
私たち一心同体だよ!
バカだなぁ……やすなは。
こんな私がお前と一心同体になれるわけがないんだ。
だってお前は星空の中でこんなに輝いている存在なんだから。
そうだ。そうなんだ。
私にとって大切なものなんて一つしかない。
ソーニャちゃん!
あいつの声が聞こえる。
私もとうとうダメみたいだ。
やすな「ソーニャちゃん死んじゃだめ!」
目の前にいたのは紛れもないやすなその人だった。
ソーニャ「やす……な……」
私はなんとか声を振り絞ってやすなの名を呼んだ。
どうしてこいつがここに?
遠ざかる意識の中で考えることなんてできなかった。
刺客「おい誰だお前は!?」
やすな「ひぃぃ!」ビクッ
刺客「そいつの仲間か!それならお前も一緒にっ!」ギラッ
刺客2「気をつけろ!倒れてる方もまだ息があるぞ!」
刺客「そうか、まずは金髪の方から――」
やすな「やめて!ソーニャちゃんを殺さないで!」
やすなが大の字になって私の前に立ちはだかった。
何をやっているんだこのバカは。
相手は殺し屋だぞ!
そいつは私みたいに手加減してくれたりしない。
くそっ、こんなことなら普段からもっと殺し屋の恐ろしさを教えておけば良かった。
ソーニャ「やすな……だめだ……!」
やすな「ソーニャちゃんは殺させない!」
刺客「何を勝手なことを!そいつは俺を殺そうとしたんだぞ!」
刺客「反対に殺されそうになったらやめてくれなんて、そんな都合のいい話があるか!」
やすな「でも……殺すなんて良くないよ!」
刺客「貴様ずっと隠れて見ていたくせに!」グワッ
刺客「私が殺されそうになってもお前は出てこなかったじゃないか!」
刺客「お前は私が殺されてもただ傍観しているだけだっただろう!」
刺客「殺しが良くないなんてどの口が言うか!」
やすな「うぐっ……でも……でも……」ポロポロ
刺客「泣いても無駄だぞ!」
やすな「うわあああああん!」
やすなは敵に頭を下げ、その場で土下座した。
やすな「ごめんなさあああい!ごめんなさあああああい!」
やすな「どうか許してください!お願いします!」
刺客「な!何をしている!?」
やすなは泣きじゃくって何度も地面に頭を付けて謝り倒した。
やすな「ごめんなさい!ソーニャちゃんを殺さないでください!」
やすな「どうかお願いします!私の友達なんです!」
刺客「バカかお前は!そんなことで済むと思っているのか!」
刺客「いいから退け!」ジャキィィン
やすな「だめええええええええ!」
やすなは私の体に覆いかぶさった。
やすなは涙と鼻水で顔をぐしゃぐしゃにし、体をがくがくと震えさせていた。
ぎゅっとつぶったその目尻からこぼれだす涙を、私は拭ってやった。
するとやすなの涙は赤い血の色に染まった。
いけない。やすなを汚してしまった。
血を拭おうとさらにやすなの顔をこすると、ますます血で汚れていった。
やすなが目を開いて潤んだ眼で見つめてきた。
ソーニャ「綺麗だよやすな」
刺客2「おい早くやろう!ここに長居すると良くない!」
刺客「……」
刺客2「おいどうした!」
回りの状況は何も見えなくなっていた。
刺客はまだそこにいる。
頭では分かっているが、そんなことはどうでも良くなっていた。
私には目の前のやすなしか見えていない。
私は自分の人生の最期において、やすなに残すべき言葉だけを探していた。
この気持ちを伝えたい。
しかし頭にはそれを表現するにはあまりも陳腐で物足りない言葉しか浮かんでこない。
私は小説家ではなく殺し屋なんだから当然か。
だから私は一番簡単で稚拙な言葉を選んだ。
愛してる
私の意識は途切れた。
~~~
いつの頃だろうか、私が初めて言葉を喋ったのは。
覚えていない。
そんなことを覚えている人間はいないか。
私が初めて喋った言葉って「ちくわ」なんだよ~
おかしいでしょうと、あいつがケラケラ笑う。
お前は自分が最初に喋った時のことなんて覚えているのか?
あいつは一瞬きょとんとした表情をしてまたすぐに笑い始めた。
やだなぁ~、お母さんに聞いたんだよ~
それからあいつは自分が覚えてもいない幼い頃の話をべらべらと話し続けた。
こんな時に私は深い「溝」を感じていた。
そして自分が酷く「劣った」「不完全」な人間であると感じていた。
今まで私は一人で生きてきた。
しかし人は自分の本当の姿を見ることができない。
自分がどんな歩き方をしているのか、どんなスープのすすり方をしているのか、
どんな笑い方をしているのか、それを知る手立てがない。
私を補完してくれる人間がいなかった。
ソーニャちゃん!
~~~
目を開いたとき、目の前にはまだやすなの顔があった。
やすなは心配そうに私の顔を覗きこんでくる。
気づくと私は抱きしめられていた。
頭の中が明瞭に晴れ渡るにつれ体に力が入ってくると、私はやすなの背中に腕を回した。
やすな「良かったあああソーニャちゃん!うわああああん!」
ソーニャ「やすな……私……」
私は必死に頭を回転させて状況を整理しようとした。
あれからどうなったのか。
ここはどこなのか。
私はどうして生きているのか。
あぎり「あら~お目覚めですか~」
あぎりがトレーに水を乗せて部屋に入ってきた。
ソーニャ「あぎり、私は一体……?」
あぎり「ソーニャが失敗するなんて珍しいですね~。もう3日くらい寝てましたよ~」
私はコップ一杯の水で喉を潤した。
あぎり「敵はあなたを見逃したんですよ~」
あぎり「やすなさんの土下座が効いたんですかね~」
あぎり「そりゃあもう、おでこから血が出るくらいの必死の頼み込みでしたから~」
私の胸に抱きついているやすなの顔を確認すると、額に絆創膏が貼られていた。
ソーニャ「お前見てたのか?」
あぎり「いいえ~やすなさんから聞いただけです~」
あぎりはまるでいつもの調子でそう言った。
当然だ。こんなことは私たちにとって日常的な出来事だ。
しかしやすなにとっては違う。
普通の人間にとって殺しなど映画かテレビニュース中の出来事でしかない。
今回は誰も殺されなかったが、その寸前の所まで行った。
それだけでもやすなにとっては十分衝撃的な出来事だ。
やすな「わ゛たし、わ゛たしっ……!」エグッ
やすな「ソーニャちゃんが死んじゃうんじゃないかと思って……!」
やすなが初めて見せる反応に私は戸惑い、心を痛めた。
本当ならこいつはこんな思いなどさせてはいけない存在だった。
それなのに私と関わったことでこんなことに――。
ソーニャ「すまない。お前にも迷惑をかけたな」
やすな「だっでぇ……!私も愛してるもん!」
あぎり「あらあら~」
ソーニャ「バッ……!何を言ってるんだ!?」
やすな「ソーニャちゃん言っでくれたじゃん~!愛してるっで~!」
ソーニャ「いや!あれはもうダメだと思って!」
やすな「酷いよ~!嘘だっだの~!」ジュルジュル
ソーニャ「うるさい!いいから忘れろ!」
あぎり「私はお邪魔みたいなので消えますね~」
あぎり「末永くお幸せに~」スゥー
ソーニャ「おいあぎり!」
ソーニャ「ったく、ていうかお前どうしてあんなところに?お前の尾行はまいたはずだが」
やすな「え?私の尾行気づいてたの?」
ソーニャ「当たり前だ」
やすな「うんとね、ソーニャちゃんを見失った後、散歩に出かけてたらたまたま……」
ソーニャ「お前……悪運だけはついてるな」
やすな「そうだ!ソーニャちゃんお腹すいたよね!私何か作るから!」
ソーニャ「お前が?」
やすな「大丈夫大丈夫!ここ私の家だからゆっくりしてて!」
やすなはそう言って勢い良く部屋を飛び出て行った。
その夜は大人しくやすなの世話になることにした。
やすな特製のお粥をあいつは食べさせようとしてきたが、私は全力で阻止した。
その過程で私がその頭に一発パンチをお見舞いしてやると、やすなはいつになく嬉しそうに笑った。
その笑顔を見た私は安心した。
こいつとまだ友達でいられるんだと思った。
だからこそここでの長居は無用だ。
私はあいつが作った夕食を食べ、あいつが沸かした風呂に入った。
そんなことをしているとあいつが「なんか新婚さんみたいだね」と言ってきた。
私はまた一発あいつの頭を殴ってやった。今度は少し弱めに。
あいつは少し恥ずかしそうに笑った。
ソーニャ「私はそろそろ帰るぞ」
やすな「え!?泊まっていきなよ!まだ怪我治ってないよ!」
ソーニャ「このくらいの怪我どうということはない。お前が手当てしてくれたしな」
やすな「まだダメ!今帰ったら湯冷めしちゃうよ!」
ソーニャ「とにかく私は帰る。今まで世話になったな」
やすな「行っちゃだめ!」ガッ
やすなは玄関のドアの前に立ちはだかった。
ソーニャ「どけ!お前には感謝してるが、これ以上世話になるわけには行かない」
やすな「世話するもん!明日も明後日もずうーっとソーニャちゃんの世話するもん!」
ソーニャ「はぁ?お前一生私の世話をするつもりか?」
やすな「そうだよ!」
ソーニャ「バカかお前は。そんなことしてどうする?」
やすな「ソーニャちゃんを守りたいんだよ!」
心臓がどきっと鳴った。
思いも寄らぬ言葉だった。
そしてすぐにその言葉の意味を理解した。
やすな「ここを出て行ったらあの人たちを殺すの?」
あの人たち、というのは私を見逃してくれた敵の刺客のことだ。
ソーニャ「お前には関係のないことだ」
やすな「だめだよ!あの人たちいい人だよ!だって私たちを見逃してくれたもん!」
ソーニャ「そうかもな。だが殺し屋としては甘すぎる」
ソーニャ「私なら容赦はしない。ターゲットは必ず仕留める」
やすな「絶対ダメ!」
やすなは私に突進してきた。
しかしあいつの攻撃など私に効くわけもない。
私は闘牛士のごとく身をひるがえしてやすなを床の上に押し倒した。
やすなは観念したように抵抗しなかった。
ソーニャ「やすな、世話になったから今日は特別に私の本心を話してやる」
ソーニャ「私はお前を一番の親友だと思ってるよ。本当だ」
ソーニャ「今までお前のようなやつは一人もいなかった」
ソーニャ「だから私のようにはなってほしくないんだよ」
ソーニャ「私の人生はもう壊れてしまった。だがお前はまだ自分の生活がある」
ソーニャ「何かあったら私が守ってやる。だが絶対じゃない」
ソーニャ「だから私にあまり深入りするな。お前は自分の人生を歩むんだ」
私は倒れたやすなをそのまま置いて玄関のドアを開けた。
やすな「ソーニャちゃん!」
その声に私は立ち止まる。
やすな「明日も学校で会えるよね?」
やすな「明日も一緒に遊べるよね?お昼も一緒に――」
ソーニャ「だめだと言ってもまとわりついてくるくせに」
私はそう言ってやすなにニヤリと笑って見せた。
やすなの不安な表情が一瞬でゆるんだのが分かった。
やすな「ああー!絶対明日はいっぱい遊んでやる!」
ソーニャ「ふんっ、なんだそれ」
ソーニャ「じゃあまたな」
私はそう言ってやすなの家を後にした。
名残惜しさを残す言葉は言わなかった。
これでいいんだ。
私たちの関係はこのままでいい。
学校で会って、一緒にお昼を食べて、一緒に帰る。
まるで普通の女子高生の友達同士。
これが私とやすなが近づけるギリギリの距離だ。
私たちは坂に置かれた引き合う磁石のS極とM極だから、これ以上近づけばやすなをこちらの世界に引きずり込んでしまう。
ソーニャちゃんの家に行きたい!
行きたい!行きたい!行きたい!
やすながそう言ったことがあったっけ。
だがごめんやすな。お前を家に招待することはできない。
あの時私はお前を家に連れていこうだなんて本当は思っていなかった。
だって私には帰る家なんてないんだから。
私の寝床はいつもどこかのホテルの一室だ。
居所がばれないように毎月2、3箇所を転々と「引越し」をする。
私には自分の生活なんてどこにもないのだ。
このことはやすなには言うつもりはない。
私はなんとしてでもあいつを守りたい。
だから私たちはいつまでも本当には一緒になれないままいなければならないのだ。
~~~
数秒後、私は全力疾走していた。
向かう先はやすなの家だ。
やすなの家の方向で黒い煙が上がっていた。
まさかと思った。
信じたくなかった。
やすなの家は巨大な炎に包まれていた。
ソーニャ「やすな!」
家の敷地に入って行くと、燃え盛る炎のすぐ脇にやすなはいた。
ソーニャ「熱い……!」
ソーニャ「やすな!無事だったか!」
やすなの傍らには犬の死骸が2体横たわっていた。
それはあいつが飼っていた2頭の犬だった。
火事に焼かれて死んだのではない。明らかに何者かに殺されていた。
やすなは両手を地面に着いてそれをじっと見つめていた。
ソーニャ「やすな!」
私はやすなの正面に回ってあいつの両肩を掴んだ。
ソーニャ「どうした!?何があったんだ!」
ソーニャ「両親は?お父さんとお母さんはどうした!」
やすなはぼーっと私の顔を見つめてきた。
あいつは驚きもせず、悲しみもせず、また取り乱しもしなかった。
どうしてそんなに落ち着いていられるんだ!?
お前の家が燃えているんだぞ!
次の瞬間私ははっと息を呑んだ。
あいつはただ無表情のまま涙を流した。
肩を掴む手が震えた。
やすなは壊れてしまったんだ。
電池が切れたカラクリ人形のように気の抜けた顔で、あいつはただ涙を流していた。
やすなは泣くことができなかった。
取り乱すことも、驚くことも、みんな誰かに奪われてしまったんだ。
私が守るべきだったのに、守ると言ったのに――
やすなから何もかも奪い取ったのは私だ。
ソーニャ「やすな……やすなあああああああああ!」
私はやすなをぐいと引き寄せて抱きしめ、顔をぐしゃぐしゃにして泣いた。
ソーニャ「やすなああああああ!うわあああああ!」
やすな「……」
遠くから消防車の音が聞こえた。
このままだとやすなは救急車で運ばれるか、警察に保護されるだろう。
家に火を点けた敵は、今頃やすなが死んでいると思っているのかもしれない。
もしかしたら私も一緒にこの家にいたと思っているかもしれない。
とにかく私たちの存在がばれてはいけない。
私は一旦やすなの体を離し、その手を掴んだ。
ソーニャ「逃げよう」
~~~
そうは言っても私たちに逃げられる場所などほとんどない。
頼れる場所はあぎりの家しかなかった。
ソーニャ「悪いな」
あぎり「いいえ~仲間ですから~」
あぎりはいつもと変わらぬ様子で私たちを家に上げてくれた。
一人分だけ布団を貸してくれると言うので2階の部屋でやすなを寝かせた。
やすなは何も言わず、大人しく布団に入った。
居間で一息ついていると、あぎりは麦茶を持ってきてくれた。
あぎり「そうですか~、やすなさんも敵のターゲットになってしまったんですね~」
ソーニャ「そうですかって……私のせいであいつを巻き込んだんだぞ!」
ソーニャ「それであいつの家も……家族も……」
あぎり「それで、ソーニャはやすなさんをどうするんですか~?」
ソーニャ「……」
ソーニャ「私はあいつを守ってやりたい。こうなった責任は私にある」
あぎり「そうですね~確かに責任はあなたにあります」
あぎり「あなたはただの一般生徒と親しくなりすぎました」
あぎり「でもその責任の取り方はどうでしょ~」
ソーニャ「どういう意味だ?」
あぎり「あなたはやすなさんを一生守り続けて行くつもりですか?」
ソーニャ「それは……」
あぎり「それは組織が快く思わないんじゃないでしょうか~」
あぎり「組織はあなたにず~っと殺し屋として働いて欲しいと思っていると思いますよ~」
ソーニャ「殺しの仕事は続けられる!」
あぎり「さあ~それはどうでしょうか~」
あぎり「お荷物を抱えたあなたが今まで通りの仕事をこなせますか~」
ソーニャ「私にどうしろと言うんだ!」
ソーニャ「あいつは何もかも失ったんだぞ!」
ソーニャ「私が守ってやらなくて……どうするんだ!」
あぎり「それは自分で考えてください~あなたの人生ですから~」
あぎり「それじゃあ私はそろそろ寝ますね」
あぎりはそう言ってそそくさと部屋を出て行った。
自分の人生なんて――私にはないんだ。
組織のために自分を犠牲にする毎日だ。
仕事の邪魔になるものは何も持たなかった。家族さえも。
私はやすなが寝ている2階の部屋に行った。
やすな「ソーニャちゃん」
私が部屋のふすまを開けるなりあいつの声が聞こえた。
ソーニャ「まだ起きてたのか」
やすな「うん」
私は布団の横に腰を下ろした。
やすな「ソーニャちゃんは寝ないの?」
ソーニャ「一応今夜は寝ずに見張っているつもりだ」
やすな「ありがとうね、ソーニャちゃん」
ソーニャ「やすな……」
私には礼を言われる資格なんてないんだ。
やすな「さっき私のために泣いてくれたよね」
やすな「突然のことだったから私気が動転しちゃって、どうしたらいいか分からなかった」
やすな「泣けばいいのにそれが分からなくなっちゃった」
やすな「でもソーニャちゃんが私を抱きしめて、泣いてくれて」
やすな「あの時私嬉しかったよ」
やすな「そうだよね、思いっきり泣いたら良かったんだよね」
やすな「だってお父さんもお母さんも死んじゃって」
やすな「ちくわもちくわぶも死んじゃって、家もなくなって」
やすな「私……私……」ヒック
やすな「うわああああああああああああああ!」
やすな「お父さああああん!お母さああああああん!」
ソーニャ「やすな!」
私は泣き叫ぶやすなをすぐに抱きしめてやった。
やすなも私に抱き付いて思い切り泣いた。
ソーニャ「泣けやすな。それでいいんだ。泣いていいんだよ」
やすなは決壊したダムのように泣き続けた。
それが収まるまでには2時間以上の時間が経過していた。
とうとう眠くなったやすなは再び布団の中に戻った。
やすなが私を離そうとしないので、仕方なく一緒に布団に入った。
ソーニャ「やすな、こんな言葉で私の罪が洗われるとは思わない」
ソーニャ「でも言わせてくれ。ごめんやすな。私のせいでこんなことになって」
ソーニャ「私はお前の人生の責任を取る。私のこの命と人生を全てお前に捧げよう」
ソーニャ「私が一生お前を守ってやる。組織には邪魔させない」
ソーニャ「組織を抜けてお前と一緒に逃げる」
ソーニャ「どこまででも逃げてやる。絶対に捕まったりなんかしない」
ソーニャ「おい寝てるのか?」
やすな「……」
ソーニャ「愛してる、やすな」
~~~
朝の5時だった。
やすなはぐっすりと眠っている。
私はもちろん一睡もしていない。
普段から鍛えている私にとっては、一晩寝ずに過ごすことなど朝飯前だ。
私は布団から出て一階のトイレに行った。
トイレを出て階段を登ろうとすると、突然私の目の前に人影が現れた。
とっさにナイフを出して後ろに引いた。
よく見ると相手はあぎりだった。
ソーニャ「なんだあぎりか。驚いたぞ」
あぎり「あら~ごめんなさ~い」
私は一度出したナイフを仕舞おうとした。
あぎり「あ、そのナイフ、まだ仕舞わない方がいいですよ~。きっと使いますから」
ソーニャ「は?」
ソーニャ「あぎり!?お前なんで手裏剣なんか……」
あぎり「盗み聞きはよくないと思ったのですが~、聞いちゃいました。あなたの決断」
ソーニャ「あぎり……」
あぎり「組織から逃げられると思ったんですか~?」
ソーニャ「ぐっ」ギリッ
ソーニャ「私を殺すのか!?」
あぎり「悪く思わないでくださいね~。これでもちゃんと説明してあげてから殺すんですから~」
あぎり「大丈夫ですよ~。あなたの後にやすなさんも殺してあげます」
ソーニャ「あいつを殺させなんかしない!」
あぎり「じゃあいきますよ~いちにーのー……」
~~~
私は一面のバラとチューリップの花畑を見ていた。
どうやってあぎりを殺したかなんて思い出したくもない。
ただ最後に私はあぎりの体に何回もナイフを突き立てていた。
こいつが変わり身の丸太でないことを確かめるためにその体を引き裂き、血を舐め、内蔵を掴み取った。
気が付くと階段下の廊下は血の川となっていた。
ふと階段の上を見るとやすなが立っていた。
時間は7時になっていた。
見られた。
やすなには見られたくなかった。
やすなが冷たい目で私を見ているような気がして、思わず目線をそらした。
私はずたぼろになったあぎりの横で膝を付いた。
やすなは殺しに関わってはいけないんだ。
きっとやすなは人殺しなんてものを受け入れることなんてできない。
ひどいよ!あぎりさんを殺すなんて!
私は軽蔑されるんだ。
見損なったよ!人殺しなんて最低!
こんな間違ったことをしている私を心の中では糾弾しているのだ。
やすなが勢いよく階段を下りてきた。
私はやすなに殴られるのかと思った。
しかし予想に反してやすなは私に後ろから抱き付いてきた。
ソーニャ「やすな?」
やすなは何も言わずに私の血に汚れた、ナイフを持った手を握ってきた。
まるで自分も一緒にナイフを持っているとでも言うように、ぎゅっと力強く握られた。
やすなは泣いていた。
やすな「ソーニャちゃん……、ソーニャちゃん……!」
ソーニャ「やすな……」
やすな「ソーニャちゃん一人だけじゃないよ」
やすな「私も……私も一緒だから……!」
そうか。
そうだったんだ。
どうして気が付かなかったんだろう。
この手はもはや私だけのものではない。
私が自らの手であぎりを殺したこと、それはやすなにも同じ罪を着せることになるのだ。
ソーニャ「やすなぁ……」ポロポロ
やすな「大丈夫だよソーニャちゃん……」
やすな「私も……一緒に背負うから……」
人は時としてあえて辛く悲しい道を選択するときがある。
私が組織との決別を誓ったのと同じように、やすなも私と共に生きるという生半可ではない決断を下したのだ。
私たちはまた大声を上げて泣いた。
~~~
私たちはあぎりの家を出た。
外は雨が降っていた。
私たちの足跡を消してくれる恵みの雨だ。
私はやすなの手を引き、走った。
途中で学校の横を通るときにやすなが歩みの速度を緩めるのが分かった。
やすなは私の手を離して立ち止まった。
ソーニャ「やすな」
やすなは私たちの通っていた教室の方をじっと見て、一体何を思っているのだろうか。
ソーニャ「やすなお前――」
やすな「ううん、大丈夫」
あいつは私の言葉をさえぎった。
やすな「もう私大丈夫だから」
やすな「忘れ物がないかなと思って」
やすな「でももうここには何もない」
やすな「行こうソーニャちゃん」
やすなは私の手を握ってきた。
ソーニャ「ああ」
私たちは再び走り出した。
まずはこの町を去らなければならない。
その後はなんとか国外へ脱出する方法を考えるのだ。
しかしそう簡単にはいかないようだ。
私たちは追われる身となった。
追う方も私たちを消すために必死だ。
刺客2「また会ったな」
ソーニャ「貴様は……」
あの時私が追っていた敵の刺客の仲間だった。
私に重傷を負わせたあいつだ。
やすな「ソーニャちゃん……!」
ソーニャ「お前は下がっていろ」
やすな「でもっ……」
ソーニャ「素人に出る幕はない」
ソーニャ「大丈夫だ。私は死なない」
刺客2「お前だけは絶対に殺してやる!」
ソーニャ「そうはいくか。私にはやらなければいけないことがある!」
刺客2「知るか!私にはもう何もないんだ!」
相手はそう言ってナイフを素早く3本飛ばしてきた。
私はそれがやすなに当たらないように自分のナイフで全て弾いた。
ソーニャ「やすな!隠れていろ!」
私はナイフを両手に走り出した。
片方のナイフを敵の胸めがけて飛ばした。
敵は後ろにジャンプしてそれを避ける。
私は相手が地面に着地する瞬間を狙って、力いっぱいナイフを突き立てた。
ガキンと大きな音を立てて両者の刃がぶつかり合った。
刺客2「あいつを返せ!」
ソーニャ「何のことだ!」
刺客2「お前のせいであいつは死んだんだ!」
ソーニャ「なんだと!」
私は一旦後ろに飛び退いた。
すかさず敵に向って無数のナイフを投げつけたが、相手は全てかわした。
今度は敵の方から向ってきた。
強力な一撃を私は自分のナイフで防いだ。
ソーニャ「どういうことか説明しろ!」
刺客2「あいつは殺し屋になるには優しすぎた」
刺客2「お前を見逃したあいつは組織によって消されたんだ!」
刺客2「お前らさえいなければ!」
敵の膝からナイフの刃が突き出した。
敵はその膝で私にキックを入れてきたが、私は素早くそれを回避した。
刺客2「まだまだあ!」
今度は敵のかかとからナイフの刃が現れた。
敵は豪快な回し蹴りで私を狙ってきた。
その長い足は完璧に私を捉えていた。
真っ直ぐに私の顔めがけて飛んでくるキックを見て思わず腕で顔を庇った。
ゴツンと、私の足元が地面に突き刺さっていたナイフに引っかかった。
そのお陰で私は地面に尻餅を突いて倒れ、相手のキックを避けることができた。
しかし状況は好転しなかった。
無様に地面に手を付いた私の目の前に敵が立ちはだかった。
殺気だった目が私に「少しでも動いたら殺すぞ」と警告を出していた。
私は一歩も動けなくなった。
刺客2「私は彼を愛していた」
刺客2「本当は彼に殺しなんてして欲しくなかった」
刺客2「でも組織から逃げることなんてできない」
刺客2「いや違うかな。殺人という行為そのものから逃げられないんだ、私たちは」
刺客2「なあそうだろう?」
本当にその通りなのかもしれないと思った。
私の目の前に立っているのは敵ではなくやすなだった。
敵はやすなの足元に倒れていた。
その背中にはナイフが突き刺さっている。
やすなは不安そうな表情で、小さくなって震えながら私の方を見ていた。
これでいいんだよね?と私にすがるような目で言っていた。
敵が突然苦痛に満ちた表情をしたかと思うとその場に倒れこんだ。
後ろに立っていたのはやすなで――
私はその状況を飲み込むのに時間が掛かった。
その間約1秒間。
戦闘中の殺し屋としては長すぎる長考だった。
私は立ち上がり、やすなの手を取ってその場から駆け出した。
ソーニャ「よくやったぞやすな」
私はそれしか言えなかった。
ソーニャ「よくやった」
それ以外の何を言ったとしても、私たちは耐えられなくなってしまうのだと思った。
この時の私たちは決して後ろを振り返らず、毅然としていた。
この時やすなの手が震えていたように感じたのは全力で走っていたせいで、
私の頬に涙が伝ったような気がしたのは雨が降っていたせいなんだ。
選択した道に間違いなんてなかった。
~~~
あれから数年経った。
私たちはロシアの田舎にある小さな村に隠れ住んでいた。
ここには外国人を拒否するやつもいるが、私と一緒にいる限りはやすなに危害が加えられることはなかった。
やすなも言葉が分からないなりに近所と打ち解けようと努力していた。
私たちの家は木で作った小さな小屋だった。
窓を開ければ朝の清清しい空気があっという間に家の中を満たした。
私がテーブルの上を布巾で拭いている間、やすなは朝食の支度をしていた。
花瓶のある台には写真が飾られている。
それはまだ日本にいた頃の写真だ。
私たちがいつも使っていた学校の空き教室で、私とやすなとあぎりの3人で撮ったものだ。
それは私があの頃いつも持ち歩いていたものだった。
やすなが写っている写真はこれ1枚しか持っていなかったのだ。
この写真を見るとあの頃の平和で楽しかった時間が蘇ってくる。
そして同時にあぎりを引き裂いた時の花畑が鮮明に頭の中に再現されるのだ。
私の罪はやすなの罪でもある。
二人で背負えば罪は半分に軽くなる。
コンコンと玄関のドアが叩かれた。
ソーニャ「私が出る」
いたのは近所に住んでいる老婆だった。
老婆は訛りの強い言葉で私に話しかけ、カゴいっぱいの野菜を渡してきた。
私はごく標準的なロシア語で礼を言った。
老婆は家の奥にいるやすなに小さく手を振ると帰っていった。
ソーニャ「ほら、近所のおばあさんが野菜をくれたぞ」
やすな「わあ!」
やすなの表情はぱっと明るくなり、すぐに暗く不安そうな顔になった。
やすな「……あのおばあちゃん何か言ってた?」
ソーニャ「お前あのおばあさんが野菜を運んでいるところを手伝ってやったらしいな」
ソーニャ「すごい助かったって言ってたぞ。これはそのお礼だってさ」
私はそう言いながら自分も誇らしい気持ちになった。
やすな「本当に!?」
やすなの表情がまた一気に明るくなった。
やすな「早速切って朝のサラダに入れるね!すごい新鮮そうだもん」
やすなの愛は私の愛でもある。
二人で分ければ愛は何百倍にも大きくなる。
やすなは野菜を抱えて台所へ入って行った。
その朝のサラダはおばあさんのお陰でやけに大盛りだった。
やすな「おいしいねソーニャちゃん」
そう言うやすなの笑顔は私には眩しすぎるくらいだ。
でも私は気づいている。
あいつは昔と変わらない笑顔を今でも作っているのだと思っているのかもしれないが、
今のあいつの笑顔は昔とは確実に違う。
あいつの頬を流れたいくつもの涙が、あいつの顔を変えたのだ。
星空で輝いていたやすなはもういない。
でも今はこうして私の傍らにいてくれる。
そのことが私には最高に幸せなことなんだ。
やすな「ねえ、ソーニャちゃんはどう?」
ソーニャ「ああ、おいしいよ」
私たちは一心同体だよ。いつまでも。
おわり
最後に野菜を持って来たおばあさんがあぎりさんなのかと思った
秘密(はぁと
Entry ⇒ 2012.07.29 | Category ⇒ キルミーベイベーSS | Comments (1) | Trackbacks (0)
竜華「怜、耳かきしたるわ」
竜華「今日も部活疲れたな~」ゴロン
竜華「何か面白い番組やってへんやろか」ゴロゴロ
竜華「この時間はニュース番組くらいしかないなー」
『次の話題です』
『最近耳かき専門店が続々とオープンし、巷で話題になっています』
『若者から中高年のビジネスマンまで、様々な層から…』
竜華「耳かき、か…」
竜華「…」
竜華「…よし!」ポンッ
竜華「怜、今日は屋上のベンチでご飯食べへん?」
怜「屋上で?」
怜「…そやなー」
怜「今日は天気も良いし、風も全然無いし」
怜「たまにはええかもな」
竜華「よっし、それじゃ行こか!」
怜「?」
怜「なんや、やけにうきうきやね」
竜華「べ、べつにそんなことあらへんって」
竜華「ごちそうさまでした!」
怜「ごちそうさまでしたー」
竜華「おなかいっぱい~」
怜「私もや」
怜「…ちょっと」
怜「横になりたいなあ」チラッ
竜華「…ふふっ」
竜華「怜、」ポンポン
怜「ん…」ゴロン
ナデナデ
怜「…~♪」
竜華「(くすっ…相変わらず幸せそうな顔するなあ)」
怜「なに?」
竜華「怜は、いつも耳かきは自分でやっとる?」
怜「耳かき?」
怜「んー…」
怜「子供の頃は親にやってもらっとったけど」
怜「中学生になったあたりからずっと自分でやってるなー」
竜華「私もや」
竜華「この歳になると、なんかもう恥ずかしくなってしもうて…」
竜華「えらい気持ち良かった覚えはあるんやけどなー」
怜「ふふっ…分かるわ、それ」
竜華「…最近、ちょっとしたきっかけでその記憶が蘇ってきてな…」
ゴソゴソ
竜華「じゃーん」
怜「?」
竜華「スス竹製高級耳かきや!」
竜華「怜」
竜華「気持ちようしたるで~」
怜「!」
怜「なんか恥ずかしいな…」
怜「耳の中じっくり見られることなんて普段ないし」
怜「その上、垢取ってもらうやなんて…」
竜華「それがええんやん」
怜「…分かったわ、好きにしてーな」
竜華「よーしっ!そんじゃ始めるで~」
竜華「(あんまりまじまじとは見たことなかったけど)」
竜華「(耳たぶやわらかそうで)」
竜華「(ちっちゃくて)」
竜華「(可愛い…)」
竜華「ほ、ほないくで、怜」
カリッ
怜「ん…」
怜「…」
カリッ
コリッ
スーッ…
怜「…~~!」ビクッ
怜「りゅーか…」
怜「待っ…」
竜華「ご、ごめん痛かった?」
怜「いや…」
怜「優しくしてくれるんは、ええんやけどな?」
怜「優しすぎて」
怜「くすぐったいわ…」
竜華「あ」
竜華「そっか…」
怜「そんなに気ーつかわんで」
怜「もっと強めにしてもええよ」
竜華「…なんかそのセリフ、ちょっとえっちやな…」
怜「…アホ」
カリッ
カリカリカリッ
怜「…!」
怜「…ぁっ…」
竜華「怜、今度はどうや?」
怜「…うん」
怜「気持ちええ…」
怜「な~…」
カリカリ
竜華「(…なんか…)」
竜華「(不思議やな)」
竜華「(こんな無防備な怜を、うちが為すがままにしてるなんて…)」
竜華「(普段見えない部分をいじくりまわして)」
竜華「(怜はその下で、めっちゃ幸せそうな顔しとる)」
竜華「(不思議…っちゅーか、嬉しいっちゅーか…)」
竜華「(ふわふわした、暖かい気分や)」
竜華「(いつも頭撫でたりしとるけど)」
竜華「(それとはまた別の…幸せやな…)」
竜華「(…そや)」
竜華「(左手余っとったな…)」
サラッ
ナデナデ
怜「っ…♪」
竜華「最後の仕上げや」
竜華「…ふー…」
怜「あっ…」ビクッ
竜華「ふっ」
怜「っ…!」
竜華「ふ~~~…」
怜「ひゃ…ぅっ…」ゾクゾク
竜華「…よし、これで右耳は終わりや」
怜「…っちょ…」
怜「…そんなに」
怜「息吹きかけんでも…」ピクピク
竜華「ご、ごめんごめん」
竜華「怜の反応が可愛かったもんやから、つい…」
怜「…わざとかいな!」
竜華「次反対いくでー」
怜「…お願いします」
カリッ
コリコリ
ナデナデ
竜華「フンフン~♪」
怜「(…今度は左手で耳かきして、右手で頭撫でとる…)」
怜「(なんちゅー器用な……)…~っ♪」
怜「(…なんか…)」
怜「(気持ちよくて…)」
怜「(ほわほわして…)」
怜「(眠くなってきたわ…)」ウトウト
怜「…」
竜華「…怜ー?」
怜「…」スー
竜華「あらら、寝てしもーたんか」
竜華「もう左耳も大体終わったんやけど…」
竜華「最後まで仕上げてから起きるの待とかー」
カリカリ
ゴソゴソ
フーッ
竜華「終わってしもた」
怜「…」スースー
竜華「まだ起きそうにないなー」
竜華「…」
怜「…」スヤスヤ
竜華「…怜の耳たぶ」
竜華「柔らかそう…」
竜華「触ったら、どんな感じなんやろ」
竜華「…ちょっとくらいなら、ええよね?」
プニッ
クニクニ
竜華「あっ」
竜華「柔らか…」
竜華「触ると色んな形に変わって」
竜華「楽しい…」
竜華「可愛いっ…!」
クニュクニュ
竜華「ま、まだ大丈夫やろか」
竜華「次はほっぺ…」
ツンッ
プニプニ
竜華「わ…」
竜華「怜の肌すべすべ…」
竜華「だけどおもちみたいな弾力もあって」
竜華「触ると目や口もちょっと動いて…!」
竜華「~~~っ!」キュンキュン
プニプニプニプニプニ
怜「…」
怜「(…そないされたら誰でも起きるっちゅーに)」
竜華「…」
竜華「(ど、どないしよ…)」
竜華「(…ほっぺにちゅーするくらいなら)」
竜華「(罰は当たらんのとちゃうやろか…)」
竜華「…」
怜「…?」
怜「(何もしてこなくなった…)」
怜「(ちょうどいいわ)」
怜「(急に上向いて、驚かせたろ)」
竜華「(…せっかくやし、目も閉じて)」
竜華「(唇に全神経を…!)」
竜華「…」ドキドキ
竜華「ん…」
怜「りゅー…」バッ
ちゅっ
怜「!!??」
竜華「……!?!?」
怜「…」パチクリ
竜華「…」パチクリ
怜「…んっ…」
竜華「っふ…」
竜華「…ぷはっ」
怜「…っ…」
竜華「…」
怜「…」
竜華「…」
怜「…」
竜華「…な」
竜華「なな、な…」
竜華「なんで…」
怜「…」
竜華「寝てたん、じゃ…」
怜「…ほっぺたいじくりまわしてくれてた頃から」
怜「起きとったわ」
竜華「!」
竜華「ご、ごめ…」
竜華「うち…」
竜華「怜があんまり、可愛かったから…!」
怜「…」
怜「…アホ」
竜華「…グスッ」
竜華「クスン…」
竜華「ヒック…」
怜「…」
怜「…反省してるなら」
怜「もうええって」
怜「それに」
怜「別に…」
怜「嫌やなかったし」
竜華「!」グスッ
怜「むしろ…」
怜「…」ゴニョゴニョ
竜華「…!!」グシグシ
怜「…」
怜「…今あんまり」
怜「顔見んといて…」カアッ
竜華「…」
竜華「と…」
竜華「とき~~!」ギュウウウ
怜「…ちょ、りゅ、竜華!」
竜華「…う、うち…勝手にこんなことして」
竜華「怜に…嫌われるんや…ないかって…」ウルッ
竜華「とき~~~……」ボロボロ
怜「はぁ…もう」
怜「私が竜華を嫌いになるなんて」
怜「あるはずないやろ?」
竜華「…とき…」
怜「…むしろ…竜華がどっか行ったら」
怜「私が許さへんよ?」
竜華「…うんっ」
竜華「ずっと…」
竜華「そばにおる…!」
怜「…そうや」
怜「今度は私にも、耳かきさせてや」
竜華「怜が…?」
怜「うん、でもな」
竜華「?」
怜「もしその時、竜華が途中で寝たりしたら」
怜「今度は私から悪戯させてもらうから…」
怜「覚悟しーや?」
竜華「!」
竜華「…ふふっ」
竜華「うんっ!」
おしまい
かわいすぎるやろ
またよろしく
Entry ⇒ 2012.07.29 | Category ⇒ 咲-Saki-SS | Comments (0) | Trackbacks (0)
幽霊「幽霊です」 男「怖いなあ」
男「うん、怖い」
幽霊「あまりそう見えないんですけど」
男「うーん。でも、怖いよ?」
幽霊「そですか。ならいいんです」
男「気がついたら知らない人が家にいるなんて、恐怖以外の何物でもないよ」
幽霊「そっちの意味で怖いんですか」
幽霊「幽霊ですから、枕元に現れます」
男「なるほど、それが仕事だからなあ」
幽霊「いえ、別に対価をもらってるわけじゃないので、正確には仕事じゃないです」
男「じゃあ、なんで怖がらせるの?」
幽霊「……趣味?」
男「悪趣味だなあ」
幽霊「…………」ションボリ
男「悪いことをした気がした」
男「ごめんね?」
幽霊「ダメです。許しません。呪い殺します」
男「困るなあ」
幽霊「幽霊ですからしょうがないんです。諦めてください」
男「なるほど、呪うのも仕事だから仕方ないか」
幽霊「いえ、対価がないので仕事じゃないです」
男「じゃあ、やっぱ趣味で呪うのか。悪趣味だな!」
幽霊「…………」ションボリ
男「この幽霊は打たれ弱すぎる」
男「分かった。ごめんな?」
幽霊「……悪気がないようなので、許します」
男「で、なんで俺の家にやってきたの、趣味で人を怖がらせたり呪い殺したりする人?」
幽霊「いじめないと言ったのに」(涙目)
男「嘘をつきました」
幽霊「酷いです。もう泣きます。ひんひん」
男「泣かれると良心がうずく。申し訳ないことをした。こんなことなら嘘をつくんじゃなかった」
幽霊「ぐすぐす……もう嘘をつきませんか? いじめませんか?」
男「いいえいいえ」
幽霊「うえぇぇん」
男「ああつい本音が」
男「あの後、どうにか謝り倒して泣き止ませたはいいが、先程から幽霊が部屋の隅っこで体育座りをしてこっちをじーっと見ている」
幽霊「…………」ブスーッ
男「正直なところ、明日も学校なのでとっとと寝たいところなんだが、不機嫌そうな幽霊が気になって寝られない」
幽霊「…………」ブスーッ
男「……でも、まあ、いいか!」
幽霊「ええっ!?」
幽霊「あ、あの、まだ許してません、許してませんよ?」
男「でも、眠いんだ。ほら、もう朝の3時だし」
幽霊「起こして上げますから、もうちょっと頑張って起きててください。そして私をいじめことをいっぱい謝ってください」
男「嫌だ」
幽霊「!!?」
男「そういうわけで、お休み」
幽霊「ね、寝たら呪いますよ!?」
男「幽霊の趣味が出た」
幽霊「またいじめた! うえぇぇん!」
男「やかましくて寝れない」
幽霊「起きて。起きてください」ユサユサ
男「zzz……」
幽霊「朝です。早く起きてください」ユサユサユサ
男「ん、……うぅん……ん、むぅ」
幽霊「はぁ、やっと起きた……」
男「んー……うわぁ、知らない人!」
幽霊「幽霊ということで驚いて欲しいです……」
男「……あ、ああ、なんだ。昨夜の幽霊か。驚かすなよ」
幽霊「そして幽霊なのに微塵も怖がられていないことに悲しみを禁じ得ません」
幽霊「はぁ……あれからいっぱい寝るの邪魔したのに、すぐに寝ちゃってそれから全然起きませんでした。起こすの、すっごく苦労しました」
男「何言ってるか全然分からん。ちょっと待って、耳栓取るから」
幽霊「耳栓!? いつの間に!? ずるいです、卑怯です!」
男「……っと。んじゃ改めて、おはよう、幽霊さん」
幽霊「あ、おはようございます」ペコリン
男「ところで、幽霊って朝日に当たったらぐげぇぇぇってヒキガエルみたいな断末魔出しながら消えたりしないの?」
幽霊「隙あらばいじめます! ひどいです!」
男「いや、心配したんだよ?」
幽霊「とてもそうは思えないです! 悪意たっぷりです!」
男「ばれた」
幽霊「やっぱりいじめてました。ひんひん」
男「朝飯何にしようかな」
幽霊「女の子が泣いてるんだからちょっとは慰めてください。ひんひん」
幽霊「ふああっ!?」
男「しまった、頭が性感帯だったか!」
幽霊「違います」
男「それはどうかな?」
幽霊「本人が違うと言っているのです! 違うのです! そうじゃなくて、どうして私に触れるんですか?」
男「え、いや、さっき俺を揺り起こしてたろ? 普通に物に触れるんじゃないのか?」
幽霊「いいえ、無理です。ほら、物を触っても通り抜けます」スカスカ
男「うーん。じゃ、幽霊さんは実は幽霊じゃない、とか?」
幽霊「幽霊です。あいでんててーが崩壊しそうなことを言わないでください」
男「アイデンティティ」
幽霊「あいでんててー」
幽霊「仲間!? ……でも、生きてるように見えます」
男「生きてるからな。心臓忙しすぎ」
幽霊「また騙されました。しょっくです」
男「ちなみに、俺は通り抜けない」ドヤアッ
幽霊「当然のことをドヤ顔でされて癇に障りましたが、触った目覚ましが床に落ちて蓋が開き、さらに電池がばらまかれ、わたわたしながら拾う無様な所を見れたのでプラスマイナスゼロです」
幽霊「爽やかな顔が不愉快です。それで、どうして私に触れるのですか? 陰陽師の血筋なのですか?」
男「全然知らないけど、そうなんだ」
幽霊「もう騙されません。それは嘘です!」ビシッ
男「当たり」
幽霊「わーいわーい!」ピョンピョン
男「この幽霊可愛いなあ。飼おうかなあ」ナデナデ
幽霊「飼うとは何事ですか! 一個人として尊重してください!」
男「死んだ奴に人権なんてないだろ。……と、なると」
幽霊「何やらひどいことをされそうです」ガタガタ
男「よぅし! 恋人としてチュッチュチュッチュしよう!」
幽霊「嫌です」
男「悲しい」
幽霊「幽霊なので食べられません」
男「偏食は体に良くないぞ?」
幽霊「好き嫌いの話ではないのです」
男「好きとか嫌いとか最初に言い出したのは誰なのかしら」
幽霊「どうして往年の名作ギャルゲーの話をしているのですか?」
男「だって、いきなりサメの話とかしだしたら頭おかしい奴だと思われるだろ」
幽霊「ギャルゲーの話でもかなりのものだと思われますよ」
男「で、なんでお前はそんな知識があるんだ」
幽霊「……生前の私は、ゲーマーだったようです」
幽霊「だから、食べられないと……」
男「ま、パンでいいよな」
幽霊「うぅー」
男「ちっちっち、はい二分経過、できあがり。バターしかないけど、別にいいよな」ヌリヌリ
幽霊「いい匂いです……」
男「じゃ、おあがりなさい」
幽霊「食べられないです……」グゥー
男「腹が鳴ってるぞ。臓器があるのか」モグモグ
幽霊「ないです。ないけど鳴るのです。こんな焼きたてのパンを目の前に置かれちゃ、お腹も鳴ります」ググゥー
男「んー。まあ、ものは試しだ。食ってみろ」
幽霊「そもそも掴めないのに……あ、あれ?」
男「ひぃ、パンが幽体離脱! 怖い!」
幽霊「幽霊を無視してパンに怯えないでください」
幽霊「んー……お供え、ですかね?」
男「そうだ!」
幽霊「何が!?」
男「いや、何のことか分からなかったから、勢いでごまかそうとしたんだけど、聞き返されたので失敗した」
幽霊「……黙って聞いててください」
男「はい」
幽霊「ええと……お供えされて初めて、幽霊はご飯を食べることができるんです……かね?」
男「なんで疑問形なんだ」
幽霊「……幽霊になってから、ご飯食べたことないんです」
男「ダイエットは身体によくないぞ?」
幽霊「ここはしんみりするところなのに」
幽霊「とんでもなく曖昧です」
男「で、結局その透けてるパンは食べられるのか?」
幽霊「…………。はぐっ」
男「おおっ」
幽霊「もぐもぐ。もぐもぐもぐ。……た、食べられます」
男「おお、よかったな幽霊さん!」
幽霊「食べられます。……おいしーです」ポロポロ
男「お、おい」
幽霊「ぐすぐす……ご飯って、こんなおいしかったんですね……」ポロポロ
男「これはパンだけどな」
幽霊「そういう話じゃないです……ぐすぐす」
男「まあ、なんにしても良かったな」
幽霊「はい……はい!」
幽霊「酷いです! 言い方ってものがあると思います!」
男「えーと。会えなくなるのは寂しいけど、とっとと成仏しろ」
幽霊「あまり変わってません! それに、パン食べて成仏って、あんまりです。餓鬼のようです」
男「ところで、そのお前の分にと焼いたパンは、どうすればいいのだろうか」
幽霊「食べましたよ? おいしかったです」
男「いや、そうじゃなくて、物質のパンの方。幽体のじゃなくて」
幽霊「……育ち盛りなら、パンのひとつやふたつ、ヘーキですよね?」
男「はぁ……。明日からは焼くの一枚でいいか」モグモグ
幽霊「…………」グゥー
男「さっき食っただろ。腹を鳴らすな」
幽霊「な、鳴らしてなんていませんよ!? 酷い言いがかりです!」ググゥー
男「……もう一枚焼くか?」
幽霊「…………///」コクン
幽霊「もぐもぐもぐ。はぁぁ……♪」
男「んじゃ、俺は学校行ってくるな」
幽霊「もぐ? あ、私も行きます」
男「連れていきたいのは山々なんだが、ペット禁止なんだ」
幽霊「酷い扱いです。ペットではないです。幽霊です」
男「んー……でも、連れて行ったら騒ぎになるだろ? 騒ぎになると目立つだろ? そしたらテレビとかネットで話題になるだろ? 一躍有名人になるだろ?(俺が) 芸能界デビューしちゃうだろ?(俺が) ……よし、来い!」
幽霊「有名人以降は無理だと思います。それと、私は普通の人には見えないので、騒ぎにもならないと思います」
男「そっか。でも、何も見えない空間にニヤニヤしながら話しかける奴ってのは騒ぎにならないかな?」
幽霊「怖いです! なんでニヤニヤしてるんですか!?」
男「だって、幽霊とはいえ女の子が裸でいたら誰だってニヤニヤしちゃうだろ」
幽霊「なんで私が裸って前提なんですか!? 変態さんじゃないですか!」
男「そうだったらいいなーっていう、他愛のない空想だよ」
幽霊「妄想の域に達しているように思えてなりません」
幽霊「わーい♪」
男「でも、行く先で会う人を次々と呪うのは勘弁な。俺が重篤な伝染病にかかってると勘違いされそうだから」
幽霊「人を悪霊か何かと勘違いしている様子です」
男「違うの?」
幽霊「違います! 善良な幽霊なのですよ、私は! ふんがい!」
男「あれ? でも、俺を怖がらせたり呪ったりしようとしてなかった?」
幽霊「……しゅ、趣味です。趣味ではないですが、そういうアレです。とにかく、私は悪霊ではないのです」
男「やっぱ悪趣味だな!」
幽霊「ひんひん」
幽霊「楽しそうだからです。あーゆーところに行ってみたかったんです」
男「……いや、普通に一人で行けばよかっただろうに。なんでわざわざ俺と一緒に行く必要が?」
幽霊「……ああいう陽の気が集まっているところには、幽霊は行けないのです。はじかれてしまうのです」
男「俺と一緒だと大丈夫なのか?」
幽霊「今はおにーさんに取り憑いてますから、大丈夫だと思います」
男「え、俺取り憑かれてるの!? 怖っ、怖あっ!」
幽霊「あっ、怖がられました! ひゅーどろどろ!」
男「いや、そんな元気いっぱいに言われても怖くない」
幽霊「残念です……」
幽霊「……こっ、こんな可愛い子に取り憑かれてるんだから、むしろらっきーですよ、おにーさん?///」
男「それもそうだな!」
幽霊「納得が早すぎて逆に怪しいです……」
男「近く呪いの効果で変死するだろうけど、こんな可愛い子に取り憑かれてるんだから、それくらい甘んじて受け入れよう」
幽霊「変な効果を勝手に付加しないでください。そんな力はないです」
男「断る!」
幽霊「どういうわけかこのおにーさんは変死したがります」
幽霊「遅刻して走って校門をくぐろうとして挟まれて死んじゃえばいいんです」
男「くそぅ、悪辣で悪趣味な幽霊にかまってるばかりに!」
幽霊「悪辣じゃないし、悪趣味でもないです。人を怖がらせるのは……そう、幽霊としての本能です!」
男「知らん。興味ない。喋るな」
幽霊「ひんひん」
男「ほら、泣いてないで行くぞ」
幽霊「泣かしたのはおにーさんなのに」
幽霊「だーっしゅ」フヨフヨ
男「ええい、幽霊は浮くなんてチートスキルを持っててずるいなあ!」
幽霊「鳥のようで素敵ですか?」
男「バルンガのようで素敵だなあ」
幽霊「せめて風船……なんでウルトラQ……」ブツブツ
男「ぶつぶつ呟きながらついてくるな。朝から気が滅入る」
幽霊「幽霊なのでしょうがないです。ひゅーどろどろ」
男「それ口で言ってるの?」
幽霊「はい」
男「馬鹿丸出しだな!」
幽霊「ひんひん」
幽霊「お疲れ様です、おにーさん。タオルはご入り用ですか?」
男「お、気がきくな。さんきう」
幽霊「持ってませんが」
男「…………」ギリギリ
幽霊「いひゃいいひゃい、いひゃいでふおひーはん!」
男「俺だから頬を引っ張るので済んでいるが、そこらの一般人なら外道照身霊波光線を照射して強制成仏させられてるぞ」
幽霊「ううう……そこらの一般人は、そんな必殺技持ってません」ヒリヒリ
男「いや、そうとは限らないぞ。じゃあ誰かに聞いてみて、もしその技を持ってたら照射してもらうからな」
幽霊「非常に困ります! やめてください!」
友「……一人で何やってんだ、男」
幽霊「大ぴんちです! 強制成仏なんてまっぴらごめんです!」
友「……? 何言ってんだ、お前は」
幽霊「あ、おにーさん。この人は見えない人のようですよ?」
男「いやまったく、俺は何を言ってるんだろうな。幽霊なんて馬鹿げたものは存在しないと言うのに」
幽霊「います! 超います! おにーさんが否定するのは悲しいです!」ポカポカ
男「ぶべらはべら」
友「? なあ男、お前何かに殴られてねーか?」
男「いたた……いや、ただのパントマイムだ」
幽霊「のっとぱんとまいむ! 私が叩いているのです!」ポカポカ
男「ぶべらはべら」
友「……よく分からんが、楽しそうだな。じゃ、俺は先に教室行ってるな」
幽霊「しません」
男「がーんだな……出鼻をくじかれた」
幽霊「なんで孤独のグルメですか?」
男「さて、んじゃ教室行くか」
幽霊「わくわくします!」
男「期待してるところ悪いが、別に女子が半裸で闊歩とかしてないぞ?」
幽霊「そんな学校は存在しません」
男「なんでだろうなあ……!」
幽霊「うーん。おにーさんは気持ち悪いですね?」
男「幽霊に言われると結構ショックだな」
幽霊「わぁ……! 有象無象がひしめいています!」
男「この幽霊口が悪いな」
友「……なあ男、さっきからお前何と喋ってんだ?」
幽霊「あ、さっきの人です。こんにちは」ペコリン
男「こんにちは」ペコリン
幽霊「おにーさんにしたのではないのです!」プンプン
友「何もないとこに頭下げたり……いきなりなんだ? まあ、奇行は今に始まった話じゃないからいいけど」
男「いやね、聞いてくれよ友。実は、幽霊がここにいるんだ」
友「…………。へー」
幽霊「まるで信じてない目をしてます」
男「もちろん嘘だけどな」
幽霊「嘘ではないのです! そこを否定してどうするのですか!」
男「あー、うん、そんな感じ」
幽霊「なんかうまい具合にまとまりましたね」
男「全て計算ずくだ」
幽霊「絶対にうそです!」
友「……ま、んじゃいると仮定して……んーと、よろしくな、幽霊さん」ペコリ
幽霊「あ、ハイ! よろしくお願いします!」ペコリン
男「幽霊の奴、お前の顔が気に入らないから『俺の嫁メモリアル』を部屋の机の上に置いといてやるって言ってるぞ」
幽霊「言ってません!」
友「なんで俺の持ってるエロ本知ってんだ!?」
教師「ぅーい、席に着けー」ガラッ
友「まあいいや……んじゃ後でな」
男「はぁやれやれどっこいしょあいたたた」
女「どこのおじさんよ」
男「やあ、君は席が隣の女さんではないか。いかん、説明口調に過ぎる。お母さんに怒られるかも」
女「なに言ってんのよ。……それより、話があるんだけど」
男「困った、告白された」
女「してないわよッ!」
教師「あー? 女ー? どうかしたかー?」
女「い、いいえ、なんでもないデス……///」
女「誰のせいよ……!」ギュー
男「ほおをひっはふは」
女「と、とにかく! あとで話があるからね。逃げないで待ってなさいよね」チラチラ
幽霊「…………」
男「さて、昼休み、すなわちあとになったわけだが」
男「なんか変なところに連れてこられた。想像するに異次元に違いない。幽霊の仕業か。あとでぶち殺す」
幽霊「違いますよ!? もう死んでますし!」
女「ここは空き教室。……単刀直入に言うわ。私、幽霊が見えるの」ジロッ
幽霊「!」
男「ああ、メンヘルか。きめぇ」
女「違うわよ! きめぇとか言うなッ! ほらっ、そこにいるでしょ! アンタに憑いてるのが!」ビシィッ
幽霊「ふわあっ!?」
男「ふわあ(笑)」
幽霊「び、びっくりして思わず口から飛び出ただけです! 別に普段からそんな感じではないのです!」
男「いや、何も恥じる必要はない。むしろどんどんそういう萌え言語を使うように。大好物です」
幽霊「なんて人に取り憑いちゃったのでしょうか……」ガックリ
女「ええっ!?」
幽霊「ええっ!?」
女「いやいや、いやいやいや! アンタさっきものすごい会話してたじゃないの!」
幽霊「そですよ! たくさんいじめられました!」
女「ねー?」
幽霊「ねー?」
男「ねー?」
女「アンタは関係ないッ!」
男「楽しそうだったからさりげなく入ったんだけど、ばれた」
幽霊「満面の笑みですごく気持ち悪かったです……」
男「この幽霊腹立つな」ギュー
幽霊「いひゃいいひゃいでふ」
幽霊「ひっ」
男「いや、何と言われても。便利な性欲処理装置、としか」
幽霊「ええっ!?」
女「アンタを殺して私も死ぬッ!」ギュー
男「ぐげげぇ」
幽霊「おにーさんの首がぎゅーっと締められ、目がくるりんっと白色にちぇんじしました。もう少しで私の仲間になりそうです」
女「う、うるさい! あんなの冗談でもなんでもないわよ! このド変態!」
男「ありがとうございます!」
女「うわぁ……」
幽霊「満面の笑みです。取り憑く相手を明らかに間違えました。きゃんせるしたいです」
女「えーと……この幽霊が、アンタに取り憑いてるのね?」
男「簡単に言うと、そんな感じ」
幽霊「……も、もしかして、外道照身霊波光線ですか?」ブルブル
女「はぁ?」
男「何言ってんだコイツは。頭悪ぃなあ」
幽霊「おにーさんが言ったことなのに! ふんがいです!」プンプン
男「ごめんね?」ナデナデ
女「…………」ジーッ
幽霊「は、はぅぅ! 睨まれています!」
女「誰が子供で誰が貧乳よッ!」ドゲシッ
幽霊「ひ、貧乳はすてーたすで希少価値なんですよ!?」
男「古いな。だが、個人的に貧乳は大好きなので諸手を上げてその理論に賛同します」
女「……あ、アンタの好みなんて知らないわよ///」
幽霊「まったくです! 好きで小さいわけではないのです!」
男「すいません、先ほど殴られた際に噴出した鼻血が止まらないのでティッシュをください」
男「ふがふが。いや、全部お前が悪い」
女「最初に悪口言ったアンタも悪いわよッ!」グイッ
男「ふがあ。押し込むな」
女「あ、ご、ゴメン……これでどう?」クイクイ
男「ん、よし。どうだ、幽霊?」
幽霊「鼻声のうえティッシュが鼻に詰まっていて、おにーさんの最大カッコ悪さを更新しました」
男「ままならないなあ」
女「……で。なんで取り憑かれてるの?」
女「そんなことも知らずにのほほんと学校に……本っ当、コイツは……!」ギリギリ
男「頬をつねらないでいただきたい。理由は、痛いから」
女「うっさい!」
幽霊「あはは。あのですね、私の住んでる家に、おにーさんがやってきたからです」
女「えっ、アンタ幽霊屋敷に住んでるの!?」
男「え? えーと、うん」
幽霊「ええっ!?」
女「ちょっと! 幽霊ちゃんが”ええっ”て言ってるわよ!」
男「そんな怖いところに住んだ覚えはないけど、幽霊が住んでたようだし、そういう意味では幽霊屋敷かなあ、って後付けで思ったんだ。でも見た目は普通のアパートだよ?」
男「安いし学校近いし。そして別に狙って幽霊のいる部屋に住んだわけではない。あとお前も頬をつねるな」
女「元々平和に暮らしていた幽霊ちゃんの元へ、男という闖入者がやって来たのね。つまり、アンタが諸悪の根源ね!」ビシィッ
男「ぐわはははー。ばーれーたーかー」
幽霊「退治してやります。えいえい」ギュー
女「とりゃー!」ギュー
男「やめて」
幽霊「調子に乗ってつねりました。少し申し訳なく思います」
男「許さん。死ねェ!」
幽霊「もう死んでます」
男「じゃあいいや、許す」
幽霊「死んだ甲斐があったというものです!」
女「あったま悪い会話してるところになんだけど、今アンタが住んでる部屋に幽霊ちゃんがいるんだから、別のところに引っ越せばいいじゃない」
男「お金がないんだ」
幽霊「おにーさんは貧乏人です」
男「だから、近くの浮遊霊の気を食べて生き長らえてるんだ」
幽霊「知らない間におにーさんに食べられてました。……な、なんだかえっちな響きですね?///」
女「…………」ギリギリ
男「軽い冗談を言っただけなのに、どうして頬をつねられているんだろう」
女「うっさい!」
幽霊「あわわわ」
幽霊「わ、私が先に住んでいたのです! 居住権を行使します!」
男「ひぃ、法律! 助けて!」ガシッ
女「寄るな触るな抱きつくなッ!」ゲシッ
男「すいません、難しい言葉に混乱しました」
女「ったく……///」
男「ただ、どさくさに紛れておっぱいのひとつでも揉んでやれ、という思いが今になって脳裏を駆け巡る。後悔先に立たずとはよく言ったものだ」
女「ちょっとは吟味してから喋りなさいッ!」ギュー
幽霊「このおにーさんは頭が悪いですね」
女「まぁね。……で、でも、本当はいい奴なのよ?」
男「…………」ニヤァ
幽霊「わ、悪い顔をしてますよ!? おにーさんは悪人です! えいえい!」ポカポカ
男「ぶべらはべら」
女「楽しそうで何よりね」
幽霊「本当は追い出して今までどおり一人気ままでいたかったですが、おにーさんといるとご飯が食べられるので我慢します」
女「んー……まあ、悪霊じゃないっぽいし、大丈夫かなぁ……?」
男「お、俺は悪霊とかじゃないよ!? ほ、本当に!」ガタガタ
幽霊「お、おにーさんは頭悪くてじつに変態ちっくですが、悪霊じゃないです!」
女「違うッ! 幽霊ちゃんの方! なんで生きてる男を悪霊と思うか!」
男「言い訳しながらおかしいなあとは思ったんだ」
幽霊「実を言うと私もです」
女「幽霊ちゃんも頭悪いの?」
幽霊「!!?」
男「涙目の幽霊可愛い」
女「喋るな」
女「……それもそうね。んじゃ、教室に戻るわよ」
幽霊「ご飯は嬉しいです。たくさん食べます!」
男「たくさん食べるのはいいが、今日の俺の昼飯は朝お前が食ったパンの抜け殻だぞ?」
幽霊「……あ」
男「即ち、お前が食う飯など存在しない」
幽霊「……へ、ヘッチャラです。今までずーっとずーっと食べてなかったから、慣れてます。問題なしです」グゥー
男「腹を鳴らしながら言う台詞ではないなあ。ああ可哀想だ可哀想だ。誰か幽霊にご飯をあげる優しい奴はいないかなあ?」チラチラ
女「ああもう、普通に言いなさいよね。幽霊ちゃん、私のお弁当で良かったら食べる?」
幽霊「ほ、本当ですか!? こんないい人に巡り合えるなんて、感激しきりです!」
男「全て俺の人徳がなせる業なのだから、俺を崇め奉るように」
幽霊「嫌です」
女「幽霊ちゃんは好き嫌いとかある?」
幽霊「なんでも食べれます」
男「無視かぁー」
友「……お、戻ってきたか。二人して何やってたんだ?」
男「搾乳プレイ」
幽霊「お、おにーさんが女さんに凄まじい勢いで廊下に連れ出されました!」
女「何言ってんのよッ!」
男「ご飯食べないの? お腹空いたんだけど」
女「アンタが余計なこと言わなけりゃ、今頃普通に食べれたんだけどねッ!」ギリギリ
男「おや、脳が大変に痛いですね。ひょっとしたら死ぬやも」
幽霊「お、おにーさんのこめかみにおねーさんの指がめりこんでいます!」
幽霊「あ……えへへっ♪」
女「…………」ギリギリギリ
男「何が気に障ったのか分からないが、こめかみに掛かる圧が増したので、このままでは確実に死ぬ」
幽霊「おにーさんの口からあぶくが出てきました」
女「いい? 変なこと言わないで、普通にしてなさいよね」
男「はい」
幽霊「教室に戻ります」
友「うーす。お前ら、相変わらず仲いいな」
女「は、はぁ!? どこを見たらそう見えるってのよ! ……こ、こんな奴なんかと///」
男「ご飯ご飯」イソイソ
女「…………」ギリギリ
男「変なことを言ってないのにまた頬をつねられた。もう法則が分からないよ」
幽霊「おにーさんは、鈍感さんなんですか?」
男「ああ。俺が、俺達が土管だ!」
幽霊「聞き間違えてるのに肯定しましたよ!? そしてどういうわけか私まで土管にされました。幽霊なのに」
幽霊「はい! います!」
男「いや、成仏した」
幽霊「!!?」
女「あんまりいじめないの。……はい、幽霊ちゃん。これ食べていいわよ」コトッ
友「あれ、女さんも付き合ってあげてるの? 珍しいね」
女「んー、まぁ、ね」
幽霊「お、お弁当です! いただきます!」
女「……物の幽体離脱? そんな感じになるんだ」
友「?」
男「冷めた食パンおいしくない」モソモソ
女「ん。おいしかった?」
幽霊「はい! それはもう!」
女「そっか。よかった」ナデナデ
幽霊「あ……えへへへへっ♪」
男「見ろよ友、女が何もない空間に手をゆらゆらとしてるぞ。俺が思うに、薬が切れた結果の幻覚が見えてるのだと思うぞ」
友「いや、普通にお前の戯言に付き合ってあげてるだけだろ」
女「男、あとで顔貸せ」
男「たぶん殴られる。言うんじゃなかった」
友「ご愁傷様」
幽霊「あわわわわ」
幽霊「頬が腫れてますよ、おにーさん」
女「当然の報いよ。ふん、だ」
友「あっはっは。んじゃ俺は先に帰るな」
男「待てよ。一緒に帰って友達に噂とかされると恥ずかしいし、一緒に帰らないか? ゲーセン行こうぜ」
友「頭おかしい奴とは一緒に帰りたくないんだ」
男「じゃあ仕方ないな。また明日な、友」
友「ああ。また明日な、男。それに女さん、あと幽霊も」
女「はいはい。またね、友くん」
幽霊「見えてないようですが、また明日です」
男「幽霊とか馬鹿じゃねえの」
友「お前が言うな」
幽霊「見えてるおにーさんが言うのは明らかにおかしいです!」
女「じゃあ、一刻も早く死んで証明してみなさいよ」
男「女の台詞の鋭利さといったら……!」
男「……さて。んじゃ俺らも帰るか」
幽霊「はい! 一緒の登校、一緒の下校です!」
女「そうね。……い、一緒の方角だから、アンタと一緒に帰るのも仕方ないわよね///」
男「誰に言ってんだ」
女「う、うるさい! ただの独り言よ!///」
幽霊「……ふーむ」
男「ああ」フニフニ
幽霊「ひゃ、ひゃああ」
女「セクハラはするなッ!」ゲシッ
男「これは幽霊に触る大義名分を得たと思い、急ぎほっぺをふにふにしただけです。本当はおっぱいとかお尻とか触りたかったんだけど、勇気が出せずにほっぺに留まったんです。だから殴らないでください」
幽霊「び、びっくりしました///」
女「コイツは……まさかとは思うけど、家で変なことしないでしょうね?」
男「まっ、ままままままままままままさかあ!!!」
幽霊「このままでは確実に変なことをされます。貞操の危機です。初体験が生身ではなく幽体とは思いもしませんでした」
男「し、しませんよ!? そんな人として間違ったこと……あ、でも相手は幽霊だから人としてとか関係ないから……よし、する!」
幽霊「男らしさが間違った方向で発揮されてます」
男「なんてこった! 俺の幽霊があ!」
幽霊「……べ、別に私は誰のものでもないです///」
女「何か聞き捨てならないものが聞こえたわね」
男「おや、夏なのに寒気が」
女「生きてるだけでありがたいと思いなさい」
幽霊「私は死んでますけどね?」
男「いやまったく。わはははは!」
女「不謹慎ッ!」
幽霊・男「ご、ごめんなさい」
女「まったく……で、どうする、幽霊ちゃん? うち来る?」
幽霊「……そうしたいのは山々なんですが、おにーさんに取り憑いているので、おにーさんから離れられないんです。一度取り憑くと、そう簡単に別の人に取り憑いたりはできないのです」
男「そうなのか! それなら仕方ないなあ!」ニマニマ
女「……明日幽霊ちゃんに何かあったか聞くから。変なことしたら……分かってるわよね?」
男「お仕置きとしておっぱいを押し付けられるのか。いや困ったなあ、おっぱい怖いからなあ」
女「するわけないでしょッ!」ギューッ
男「饅頭怖いだとまんじゅうが腹いっぱい食べられるのに。おかしい」
幽霊「おにーさんのほっぺがびろーんってなってて面白いです」
幽霊「はい!」
男「はいと来た。目の前で自身の殺人事件の計画を打ち明けられる恐怖に、君は打ち勝てるだろうか。ちなみに俺は勝てない」ブルブル
幽霊「おにーさんの顔色が面白い感じに」
女「これだけ怯えてたら大丈夫そうね……じゃあね幽霊ちゃん。あとついでに男も」
幽霊「はい! さよならです、おねーさん」
幽霊「おにーさんは実はおじーさんだったのですか?」
男「いや、見た目通り高校生です。衝動的に適当なことを言う癖があるのです。勘違いさせてごめんね?」
女「気にしないでいいわよ。それくらいは想定内だから」ヒョコッ
男「ひぎぃッ」
幽霊「あ、おねーさん。さっきぶりです」
女「幽霊とはいえ、やっぱコイツのとこに女の子一人置いとくのは危ないわね。……し、しょうがないわよね、道義的にね、うん」
幽霊「何を一人で言ってるんでしょうか?」
女「だ、だから、仕方なく、仕方なく! 幽霊ちゃんを守るため、……わっ、私もアンタの家に泊まってあげるわよ!///」
幽霊「わあ! はーれむ! はーれむですよ、おにーさん!」
女「ちっ、違うわよ!/// ……ていうか男、どうしたの?」
男「びっくりした時にとっておきの破瓜の声をあげたのに、誰にもつっこまれなくて悲しんでたんだ」
幽霊「別の意味で可哀想ですね、おにーさん」
幽霊「おにーさんはねがちぶですね」
男「ネガティブ、な」
幽霊「ねがちぶ」
女「あ、私一度家に帰るわね。荷物とかあるし、親にも言っておかないといけないから」
男「荷物ってなんだろ。ぱんつかな。ブラ……は、ないな。なぜならぺたんこだから、する必要性がない」
女「えい」サクリ
男「ぎにゃあ」
女「じゃあね、幽霊ちゃん。また後でね」
幽霊「は、は、はい」ガタガタ
男「前が見えねえ」フラフラ
幽霊「はい」
男「というわけで、我が家に着いた」
幽霊「私の家でもあります」
男「俺がお金を出して借りてるはずなんだけどなあ」
幽霊「居住権を行使します!」
男「ひぃ、また法律! 助けて!」ガバッ
幽霊「ひゃ、ひゃああ///」
女「やー、お母さんに勘ぐられて本っ当困ったわよ。そんなんじゃないの……」ガチャ
男「oh,bad timing」サワサワ
幽霊「あ、あの、おにーさん……そこ、お尻ですよ?///」
女「お仕置きの時間よ」ゴゴゴゴゴ
男「ああ、こうやって要所要所で折檻を受けることにより、人生のバランスがとられているのか。よくできていやがる、ちくしょう。でもお尻柔らかいからいいか」ナデナデ
幽霊「あ、あの、おにーさん、そ、その……困ります///」
女「男が泣くまで殴るのをやめないッ!」
男「この女、怖すぎる」ガタガタ
女「うっさい! アンタが幽霊ちゃんを襲わなけりゃ殴ったりしないわよ!」
幽霊「お、襲われたんですか、私?」
男「いかん、幽霊の怯えた表情に嗜虐心が刺激され、またムラムラしてきた」
女「もっかい殴る?」
男「勘弁してください」
幽霊「一点の曇りもない土下座です」
男「どうだろう。幽霊、ちょっと冷蔵庫開けて中身見てくれ」
幽霊「はい。……あれ? あれ?」スカスカ
男「あー、そういや物に触れないんだったな。すっかり忘れてた」
幽霊「そでした。私も忘れてました。おにーさんたちと話してると、時々自分が幽霊だということを忘れちゃいます」
男「若年性痴呆症か。可哀想になあ」
幽霊「それくらい楽しいって話だったのに! おにーさんはひどいです!」
男「はいはい。ごめんね」ナデナデ
幽霊「ううう。おにーさんになでられると、どういうわけか許してあげたくなる心地になってしまいます」
女「…………」イライラ
男「なあ幽霊、視界の端に何かとんでもない怒気を背負った鬼のようなものが見えるんだけど、お前の仲間が遊びに来てたりしないか?」ナデナデ
幽霊「あれはおねーさんですよ、おにーさん?」
幽霊「あ、あぅ……ほ、ほっぺ、つつかないでください///」
女「はいこけた!」ドゲシッ
男「大変痛い!?」
幽霊「芸術の域に達しそうな飛び蹴りです」
男「うぐぐ……てめえ! 何しやがる! てめえ!」
女「こけたの。偶然。だから仕方ないの。ドジっ子なの」
男「あんなライダーキックをかましておいて偶然こけたとかちゃんちゃらおかしいぜ! ただ、ドジっ子なら仕方ないので許す」
女「自分で言っておいてなんだけど、それで許すのはおかしいのよ?」
男「ドジっ子とか好きなんだ。ドジっ子メイドとかいいなあ」チラチラ
女「やらないわよ」
男「別に胸元を強調するデザインじゃないから貧乳の方でも安心ですよ? あ、でもコンプレックスを刺激する姿を眺めるのもご飯が進みそうだし、それもアリだな!」
女「何か突拍子もない天災が起こってコイツだけ原子にまで分解されないかなあ」
幽霊「私、着替えとかできません」
男「じゃあいいや。することないし死のうかな」
女「そんなんで諦めるなッ!」
幽霊「そんな様でよくこの年齢まで生き残れたと感心しますよ、おにーさん」
男「どうにもいじめられて辛いので、そろそろ夕食の材料でも買いに行きましょう」
女「え? 冷蔵庫に何かないの?」
男「即席ラーメンとかならあるが、わざわざ女が来てくれたのにそんなのを出すのは申し訳ないからな」
女「……そ、そう。……ま、まあ、私をもてなすのは、とっ、トーゼンよね!?///」
幽霊「どして声が裏返ってるんですか、おねーさん?」
女「うっ、うるさいっ!」
幽霊「ふああっ!? こっ、怖い、怖いですっ!」ピュー
男「ああよしよし。幽霊をいじめるなよ、女。貧乳同士仲良くしろと言ってるだろ?」
女「アンタ毎秒喧嘩売ってるでしょッ!?」
幽霊「変な二つ名を勝手に付けないで欲しいです……」
女「……ね、ねぇ。幽霊ちゃんも落ち着いたみたいだし、もうなでなくてもいいんじゃない?」
男「そうは言うが、なでてると幸せだから手が止まらないんだ」ナデナデ
幽霊「私も、成仏する時みたいにいー気持ちです……」ポーッ
男「そのまま成仏されたら寂しいのでやめておこう」
幽霊「はわっ!? なでなでが!」
男「お、ナイス萌え言語。今後も努めるように」ナデナデ
幽霊「さながら永久機関です」
女「ねえ、男。手を止めて素直に買い物に行くのと、動けなくなるまで殴られてから買い物に行くの、どっちがいい?」
男「そろそろ買い物に行こうか」
幽霊「おにーさんの顔色が人間のそれとはかけ離れています」
幽霊「すーぱーまーけっと」
男「お、これは言えたな」ナデナデ
幽霊「これも、です。なんでも言えます。あいでんててー」
男「アイデンティティ」
幽霊「あいでんててー」
女「…………」
男「ん、どした女。幽霊をじーっと見つめて」
女「ゆ、幽霊ちゃん。もっかいさっきの言って?」
幽霊「はぁ。んと、あいでんててー」
女「……ゆ、幽霊ちゃん可愛い!」ダキッ
幽霊「はわわっ!」
幽霊「あ、あいでんててー」
女「あああ……可愛い可愛い可愛いっ!」ナデナデナデ
幽霊「は、はぅあぅはぅ///」
男「百合ってるところ悪いが、一般人には幽霊が見えないがため、一人でくねってるちょっと精神がアレな奴と思われてますよ」
女「レズじゃないっ! 誰がアレよっ! ……って、なんでそんな離れてるのよ」
男「知り合いと思われると嫌なので」
女「知り合いでしょ、男クン?」テクテクテク ギュー
男「今回に限って言えば俺は悪くないと思うのだが、どうして頬をつねられているのだろう」
幽霊「は、はぁはぁ……び、びっくりしました///」
男「ああ、俺もよもや知り合いが街の往来で突然発情するとは思いもしなかった」
女「言い過ぎよッ! ……ち、ちょっと幽霊ちゃんの可愛さに前後不覚になっただけよ///」
男「しっかりしろよ、レズ女」
女「うっさいロリコン。童貞こじらして死ね」
幽霊「酷い戦いもあったものです」
女「もうやってないわよ!」
幽霊「くねくね」ユラユラ
男「そんなわけで三人で入店したわけだが、何買おう」
女「晩ご飯でしょ? 何食べたい?」
男「食べたいものはたくさんあるが、生憎技術が欲望に追いついていないもので、できるものは限られているんだ」
女「いいわよ。泊めてもらうんだからご飯くらい作ってあげるわよ」
男「折角の申し出だが、毒を盛られると死ぬ体質だから遠慮しとくよ」
女「誰でもそうよっ! アンタを殺すならそんな手間のかかる手段なんて採らないわよ!」
男「暗に直接殴り殺すと言われているようで、震えが止まらないよ」ブルブル
幽霊「マネしたくなる程度には楽しそうです」ブルブル
男「別に楽しくて震えているわけではなくて、身体の防衛機構が勝手に震わせるんだ」
幽霊「難しいことはよく分かりません」
男「実は俺もなんだ。しょうがないからサメの話でもしようか」
幽霊「きばがかっこいいです」
男「ぐええ」
幽霊「おにーさんの首におねーさんの手ががっしりと食い込んでいます。一種の刑罰と言われても違和感のない風景です」
男「さて、女に酷い目に遭わされたが、まあいつものことなのでよしとしよう」
幽霊「おにーさんの度量が果てしないです」
女「単に文句言う度胸がないだけよ」
男「えへんえへん。ええと、メニューだけど、幽霊は何が食べたい?」
幽霊「えっ、私が選んでいいんですか?」
男「ダメだよ」
幽霊「もう何も信じられません……」ションボリ
女「幽霊ちゃんをいじめるなッ!」ドゲシッ
男「軽い冗談なんです。すぐに冗談と言う予定だったんだけど、なんかゴリラ的な力場に遮られたんです」ハナヂ
女「まったく……それで幽霊ちゃん、何が食べたい? なんでもいいわよ?」
幽霊「え、えと……じゃ、ハンバーグがいいです。食べたいです」
女「そっ。じゃあひき肉と玉ねぎ、あと卵ね。そだ、パン粉とかある?」
女「ん、それで大丈夫」
幽霊「おにーさん、おにーさん。パンは朝おにーさんが食べちゃった分で全部ですよ?」クイクイ
男「しまった。しかし今更そんなことを言ったら『じゃあ代わりにお前がひき肉になれ』とか言い出しかねないからな。幽霊、陽動を頼む。その間にどうにかして手に入れてくる」
幽霊「わ、分かりました。せきにんじゅうだいです!」フンス
女「なんでアンタは人を殺人鬼扱いするの?」
男「しまった、ばれた! ええとええと、俺より幽霊をひき肉にしたほうが珍しい味のハンバーグができると思いますよ?」
幽霊「物理無効ですのでひき肉にはなれません」
男「いや、どういうわけか俺と女に限っては触れるので、手でミンチ状になるまで殴ればできる」
幽霊「ふわああん!」
女「だから、幽霊ちゃんをいじめるなッ!」ドゲシッ
男「冗談です。紳士なので、女性に手をあげるなんてありえないです。代わりじゃないけど女性によく殴られます。納得はいってません」ハナヂ
幽霊「ぐすぐす……おにーさんはひどいです。悪魔です」
男「デビルイヤーは地獄耳!」ババッ
幽霊「も、ものすごくかっこいいぽーずです……!」
女「私には間違ったラジオ体操の動きにしか見えないわね」
女「恥ずかしがるくらいなら最初からしなきゃいいのに」
幽霊「あんなにかっこいいのに恥ずかしがるなんて、おにーさんはどうかしてます」
男「いや、どうかしてるのは幽霊の美的感覚だ」
幽霊「またいじめられました……」ションボリ
男「ションボリする幽霊は可愛いなあ」ナデナデ
幽霊「ションボリとナデナデが相殺され、ちょうどにうとらるの感情です。無です。むー」
男「では、なでりを強めたら?」ナデナデナデ
幽霊「何やら嬉しい心地になりました」ニコニコ
女「はいはい、そこまで! 幽霊ちゃんもこんな奴に付き合ってあげる必要なんてないのよ?」
幽霊「付き合ってあげてるわけではないです。なでられると嬉しいのです」
男「なんと好都合な。乳でも尻でもなでてくれよう!」
幽霊「遠慮します」
男「話が違う。解せぬ」
女「あっ、こら何を勝手に……!」
男「ふむン。幽霊とはまた違う楽しさがあるね」ナデナデ
女「……い、意味分かんないし。なでることの何が楽しいってのよ///」
男「言われてみると確かに。何が楽しいんだか」パッ
女「……あ、やめるんだ」ションボリ
幽霊「おねーさん寂しそうです!」
女「なあっ!? だっ、誰が寂しそうだったのよ!?///」
男「ばか大きな声でそんなこと言うな。チクチク刺激していたぶるのが楽しいのに」
幽霊「あちゃー、失敗しました。ごめんなさい、おにーさん」
幽霊「私はおにーさんの子供ではないですが、大きくなります。おっぱい育てます!」
男「人間的な話なのに。あと乳は現状維持でどうかお願いします」
幽霊「おにーさんはロリコンさんなので、いつでも身の危険を感じています」
男「ばか、危険度で言うなら今の俺が一番高いぞ? なぜならいま女が静かなのは怒りを溜めている最中だからで、もう少しで超必殺技が俺に降りかかるからでげべっ」
幽霊「降りかかってます」
女「アンタが余計なことしなけりゃ最初からそうしてるわよッ!」
幽霊「お買い物は危険がうぉーきんぐです」
男「一般的な買い物の場合は歩いてないんだけどな。女がついてくると往々にして歩き出す」
女「アンタと一緒じゃなけりゃ、私だってこんなことにはならないわよ!」
幽霊「つまり、お二人は特別同士なんですね!」
女「にゃあっ!? そ、そ、そっ、そんなわけないじゃない! ね、ねえ?///」
男「さっきのびっくりした時の声が猫みたいで可愛かったのに、突然のことに録音できなかった。あまりの悔しさに血尿が出そうだ。……否、出す!」
幽霊「無意味に男らしいです」
女「……え、えと。アンタって猫好きなの?」
男「好きだなあ。でも猫かおっぱいかと言われたら、断然後者を推すね!」
幽霊「猫に人のおっぱいがくっついてたらどうですか、おにーさん?」
男「残念ながら俺はケモナーじゃないからあまり嬉しくないなあ」
幽霊「足し算で全ての物事がうまくいくと思ったら大間違いです。反省してください、おにーさん」
男「あれ、俺?」
男「納得は未だいっていないが、飯には賛成だな」
女「(にゃー……いや、いきなり語尾ににゃーとかつけたら、あんまりすぎるわね)」ブツブツ
男「何を言ってるのですか、お嬢さん」ヌッ
女「きゃああああああ!? いきなり近寄るなッ!」ドゲシッ
男「なんか近寄っただけで殴られた。酷すぎる。こんな世界では、この先生きていく自信がない」ハナヂ
女「あっ、ごっ、ごめん! つい! ……で、でもアンタも悪いのよ? いきなり女の子に無遠慮に近寄ったりするから。……まあ、殴ったのは悪かったケドさ」
男「知り合いがいきなりぶつぶつ言い出したら、誰だって心配して近寄るだろーが」
女「……し、心配したんだ。ふーん、そっか///」
男「当たり前だろ。だのに殴られて、お兄さん意気消沈ですよ」
女「そ、そっか。……じゃ、じゃあさ、お詫びってわけじゃないけど、これから語尾にさ、にゃ」
幽霊「このせんせいきていくとは、きのこるの亜種ですね」ナデナデ
男「幽霊になでられて元気百倍! もう何も怖くない」
女「…………」
男「女? どうかしたか?」
男「どうにもそうは思えない」ハナヂ
幽霊「見てるこっちが貧血になりそうなくらい鼻血を出してますよ、おにーさん」
男「たまにはラッキースケベで鼻血を出したいよ。ていうかそういう事態に陥ったなら、鼻血が出るのではなく海綿体に血液が集まるよな」
女「なっ、何言ってんのよアンタは!」ギュー
男「ほほほひっはふは(頬を引っ張るな)」
幽霊「かいめんたい、って何ですか、おにーさん?」
男「おおぅ。なんとイノセントな瞳で問いかけるのだ、この娘は。よし、汚そう! 海綿体とは、ち」
幽霊「ち?」キラキラ
幽霊「ち?」キラキラ
男「視線に物理的な力があろうとは予想だにしなかったよ……。俺の負けだ、完敗だ。女、メルヒェンに説明してあげてくれ……」
女「おちんちんのことよ」
男「てめえ! 何教えてやがる! てめえ!」
女「早めの性教育よ」
男「メルヒェンにと言っただろ! なんということを……! 俺が親なら今頃泣いてるね!」
幽霊「なるほど、おちんちんですね! おちんちんさん、こんにちは」ニッコリ
男「人の下腹部に挨拶しないでください!」
女「あははははっ!」
幽霊「そですね。じゃあ行きましょうおねーさん、おちんちんさん」
男「その呼称やめてくれないと泣きますよ?」
女「あははっ。ほら幽霊ちゃん、コイツいじめるのも楽しいけど、いい加減にしないと材料が売り切れちゃうわよ?」
幽霊「あっ、それは大問題です! 急ぎひき肉と卵を買うのです!」フヨフヨ
女「あっ、行っちゃった。あの子、物掴めないのに……」
男「どうせ戻ってくるよ。つーかお前、あんなちっさい子に変なこと教えるねい」
女「あら、妙なところでまともなのね。アンタのことだから喜ぶと思ったのに」
男「いや、まあなんというか、嬉しいは嬉しいんだけど、どう扱えばいいのか。実際に見せて反応をうかがってもいいかなあ?」
女「私がなんのために泊まりに来たか忘れたようね。幽霊ちゃんをアンタから守るために来たのよ?」
男「なるほど。じゃあ保護者責任でお前も幽霊と一緒に見てください」
女「なっ……だっ、誰がアンタの粗末なものを見るってのよ!///」
男「貴様、俺の秘密どこで知った!?」
女「うっさい!」
幽霊「物に触れないことを忘れてました……あ、またおにーさんがほっぺを引っ張られてます」フヨフヨ
女「きったないわねー。アンタ一人だけならまだしも、幽霊ちゃんもいるんだからちょっとは掃除しなさいよ」
幽霊「私は幽霊なので、これくらい汚いほうがおどろおどろしい雰囲気が出てよいかと思われます。ひゅーどろどろ」
男「ああ怖い怖い。しかし、おっぱいを俺に押し付けてひゅーどろどろ言われるのが一番怖いんだ」
幽霊「よいことを聞きました」
女「嘘よ」
幽霊「また騙されそうになりました……。でも、灰色の脳細胞がおにーさんの言葉を嘘と見抜きました。私は頭がいいです」
男「いや、前にも似たような嘘を言ったのに、少しでも信じた時点でとんでもなく馬鹿だよ」
幽霊「おにーさんがまたまた私をいじめます。ひんひん」
女「ああよしよし。男は……もう、幽霊ちゃんをいじめるな!」
男「あまり大きな声を出さないで。怖くて泣きそうだ」
幽霊「怖い!? 私の出番です! ひゅーどろどろ!」
男「だから、そんな元気いっぱい言われても怖くないです」
幽霊「ままなりません……」ションボリ
男「何か手伝おうか?」
幽霊「あ、私も手伝います」
女「じゃーお願い。何ができる?」
男「後ろでにぎやかし」
幽霊「応援ならお任せです」
女「……テレビでも見てて」
男「夕方のテレビなんて見ても仕方ないしなあ。よし幽霊、イチャイチャしよう」
幽霊「嫌です」
男「先っぽ! 先っぽだけだから!」
幽霊「何がですか?」
女「私の前でよくもまあそんなどぎついセクハラできるわね?」チャキッ
男「OK俺が悪かった、だからその手に持ってる鈍く光る刃物を本来の使い方以外で使わないでください」
幽霊「今日もおにーさんの土下座が光ってます」
幽霊「無理です」
男「そりゃそうだ」
女「ねー男、することないんだったらお風呂でも洗っててー」
男「くそぅ、俺が、この俺が女に言われるがまま顎で使われていいのか!? 否、よくない! 今こそ俺たち立場の弱い男衆で団結し、立場逆転を! 古き良き亭主関白を」
幽霊「おにーさん、おにーさん。一緒にお風呂洗いましょうか?」クイクイ
男「あ、それは楽しそうだ。やるやるー」
女「……ま、まあ、大丈夫よね。たぶん」
──風呂場──
男「風呂だ!」ババーン
幽霊「お風呂です!」ババーン
男「いや、やはり風呂はいいな。わけもなく仁王立ちしたくなる」
幽霊「狭いです」
男「アパートの風呂だからなあ。それもやむなしかと」
男「なんと。今の発言で俺の興奮度はうなぎ登り、既に暴発しそうです」
幽霊「どして前かがみになってるんですか、おにーさん?」
男「男には、色々あるのさ……」
幽霊「おちんちんさんが元気いっぱいなんですね?」
男「折角アンニュイな感じで言ったのに。笑顔でそういうこと言われると、なんか泣きそうだよ」
幽霊「じゃ、お風呂洗っちゃいましょうか、おにーさん」
男「はい。しかし、お前は物を掴めないから何も手伝えないんじゃないか?」
幽霊「むぅ。じゃあ、応援します。ふれー、ふれー、おにーさん」
男「手を振って応援してくれるのはありがたいが、風呂場は狭いのでその手がものすごく俺に当たり、結構痛い」
幽霊「痛いのはおにーさんだけじゃないです。当てる私も痛いのです!」
男「なんでどっかで聞いたことがあるようないい台詞を言うの? そして幽霊も痛覚があるの?」
幽霊「かっこいいからです。痛覚はあります。たぶん」
幽霊「いひゃいでひゅ、おにーしゃん」
男「可愛い」ナデナデ
幽霊「はぅぅ」
男「さて、幽霊とイチャイチャできて満足したので、洗いますかね」
幽霊「知らずイチャイチャされました。許しがたいです。あとで怖がらせたり呪ったりします」
男「久々に幽霊の趣味が出た」
幽霊「隙あらばいじめます。おにーさんはひどいです」
男「まあそう言うなよ。幽霊とコミュニケーションをとれる者の特権だ」ゴシゴシ
幽霊「……まあ、世には私みたいな幽霊を認識できない人間の方が多いですからね。……あの、おにーさん」
男「ん?」ゴシゴシ
幽霊「ありがとございます」ペコリン
男「どういたしまして」ペコリン ガッ
幽霊「どしておにーさんは何のありがとうか分からないのにお辞儀を返すのですか?」
男「頭下げた時に風呂の縁に頭ぶつけて痛い」
男「でへへぇ」ニヤニヤ
幽霊「この程度だろう、という想像をはるかに上回るほど気持ち悪いです。おにーさんの地力にはほとほと驚かされます」ションボリ
男「ちくしょう」
幽霊「それで、おにーさん。さっきのありがとうですが、私のことを嫌わないでありがとう、と言いたかったのです」
男「…………」
幽霊「なんだかんだ言って、私は幽霊です。人に嫌われて当然みたいな存在なのに、おにーさんは私を普通に受け入れてくれて。それが、嬉しかったのです」
幽霊「そのありがとう、なのです。だからおにーさん、改めて言います。ありがとうございます」
男「気にするな。代わりにおっぱいを触らせてください」
幽霊「失望の数が多すぎます……」ションボリ
男「い、いや、ここは思い切って、も、も、も、もんだりしますよ!? ほ、ほら、今はなんかつけこめる雰囲気っぽいし!」
幽霊「おねーさんを呼んできましょう」フヨフヨ
男「い、一回……いや、二回。……否! やはり、三回、もしくはそれ以上、揉むね! 俺は!」
女「あんなに小さい子の胸を?」
男「おや、件の胸と似たような人。こんにちは」
女「馬鹿ねー、もし実際に触ってたらそんなのじゃ済まないわよ」
幽霊「ぷぷぷぷぷ」ヒョコッ
男「あっ、幽霊! 貴様、いつの間に忍法入れ替わりの術でニントモカントモ拙者忍者でゴザルよニンニンを使えるようになりやがった!」
幽霊「無駄に名前が長いです」
女「男がいやらしいことをしてきます、って私を呼んだのよ」
男「……ああ! そりゃ仕方ないさ! 風呂場だもの、いやらしいことのひとつもしたくなるさ!」
幽霊「ひどい開き直りっぷりです」
女「まだ殴り足りないのかしら?」バキボキ
男「ひぃ、女が自分の全身の骨という骨を粉砕しながらゆっくり近寄ってくる!」
女「してないわよ! 指の骨を鳴らしたの! 変なこと言うな!」
女「あら、そうなの?」
男「まあ幽霊はもう死んでるから関係ないけどな」
幽霊「それもそうです。折角だし、鳴らしてみましょう」グイグイ
男「どした?」
幽霊「……ちっとも鳴りません。ペキポキのペくらい出てもいいものです」ションボリ
男「ションボリする幽霊は可愛いなあ」ナデナデ
幽霊「……///」
女「…………」イライラ ギュー
男「俺の頬をつねる理由を述べよ」
女「うっさい!」
幽霊「幽霊ならいますよ?」フヨフヨ
男「本当だ。可愛い」ナデナデ
幽霊「はうう」
女「…………」ジーッ
男「あ、あの、女さん。手を出さないのは大変に嬉しいのですが、その、ゴルゴーンもかくやと思えるほどの視線の圧はどうにかなりませんかね。このままでは石化する」
女「…………」ジィーッ
男「ええと、その、いかん、とうとう身体が石に」
幽霊「見た目は一緒です」ベシベシ
男「痛い痛い。顔を叩かないで」
幽霊「石の強さを過信しました」
女「……はぁ。さて、それじゃ私は料理の続きをしてくるわね」
男「ん、あ、ああ。ふぅ、ようやっと出ていってくれたか。ああ緊張した」
女「超目の前にいるわよッ!」
女「よくないッ! なによ、そんなに私が嫌いなの!?」
男「いやいや、まさか。大好きですよ?」
女「んな……ッ!?///」
幽霊「これが噂の告白シーンですか」
男「あ、いかん、何か勘違いさせた模様。か、勘違いしないでよね、勘違いなんだからねっ!」
女「ドやかましいッ!」
幽霊「ややこしいです、おにーさん」
男「時々ツンデレ語を使いたくなるんだ」
女「そ、そんなことより、ど、どーゆーことなのよ! そ、その、……だ、大好き、って///」
男「大好きです」
幽霊「告白されました」
女「なんで私に告白した次の瞬間に幽霊ちゃんに告白してるかッ!」ギューッ
男「ぐええ」
幽霊「またおにーさんが首を絞められてます。見慣れた光景で、ちょっと飽き飽きです」
幽霊「私はもう死んでるので死に瀕してません」
男「然り然り! がはははは!」
女「殺されかけてんだからちょっとは苦しめッ!」ギューッ
男「ぐええ」
幽霊「おにーさんは律儀です」
男「さて、例によって臨死体験から奇跡の生還を果たしたので、さっきの大好きの説明をします」
女「は、早くしなさいよ! 全然キョーミないけど!」
男「じゃあしない」
女「…………」ギューッ
男「ひはひ」
幽霊「おにーさんのほっぺは大体いつも伸びてます」
男「拷問?」
女「そうよッ!」
男「なんと。でも石も何も抱いてないよ? それどころかこんな狭い風呂場に女の子が二人も揃っていて、まるで何かのご褒美のようだけどいいんだろうか」
女「いい加減にしないと髄液が出るまで殴る」
男「ちょっと涙出るくらい怖かったので真面目に説明します」
幽霊「よしよし。怖くないですよー? 怖いのは私ですよー?」ナデナデ
男「わぁい」
女「…………」
男「ち、違うんです! ファービーか俺かというくらいなでられちゃうと簡単に喜ぶんです! あと幽霊は怖くない」
幽霊「さりげなくけなされました……」
女「いいから。説明。早く」
男「は、はい。ええとですね、さっきの大好きというのは、異性としての感情ではなく、友人としての大好きでして、でも見た目は花丸をあげたいくらいの出来ですし、それに性格も実はそんな嫌いじゃないし、どうしよう」ナデナデ
女「説明が混乱してるッ!」
女「好きに対する批評内容じゃないわよ! ツインテールっていうの!」
男「これはこれはご丁寧に。男と申します」ペコリン
女「私の名前がツインテールじゃないッ!」
幽霊「私は幽霊っていいます」ペコリン
男「お、よい自己紹介だ」ナデナデ
幽霊「えへへへー」ニコニコ
男「こんな小さな幽霊が自己紹介できたのに、おっきな女は自己紹介できないのかなー?」
女「何この鬱陶しい流れ。ああもう分かったわよ。私は女。これでいい?」
男「ちなみにおっきなと言ったが、この大きなは年齢だけにかかっており、身長や胸にはかかっていないのでご注意ください。身長はともかく、胸は幽霊とほぼ差がないですから」
女「わざわざのご説明痛み入るわねッ!」ギリギリ
男「ぎええええっ」
幽霊「今は亡きフリッツ・フォン・エリックが蘇ったかのような技の冴えです」
女「結局よく分からなかったわよ。……ま、まあ、その。この髪形を褒めてくれたのは嬉しいケドさ///」
幽霊「私も昆布を垂らすべきでしょうか」
女「幽霊ちゃんまで!? 違うって言ってるでしょッ!」
幽霊「ふああっ!? お、おにーさーん!」フヨフヨ
男「よっしゃ慰めると称して幽霊の身体まさぐりタイム来た! 来い、幽霊!」ニマニマ
幽霊「ううううう……おねーさーん!」ダキッ
女「私が怒鳴ったのに……まあしょうがないわよね。ごめんね、幽霊ちゃん」ナデナデ
幽霊「はうー」
男「おっぱいホールドの構えが無駄になった」
女「アンタそのうち捕まるわよ」
男「自分でも薄々そんな気はしていたんだ。早めに権力を掌握しないとなあ」
女「今のうちにコイツを消しておいたほうが世のためのような気がするわ」
幽霊「おにーさんが仲間になりたそうにこちらを見ている」
男「まだ死にたくないです」
女「あらあら、可哀想に。男もそれくらい受け入れる度量があるといいのにねー?」
男「うぅむ……よしわかった、女神転生のアリスでもしんでくれる? の問に神速ではいと答えた俺だ、幽霊の仲間になってやる!」
幽霊「わーいわーい!」
女「ちょ、ちょっと! 何言ってるのよ!」
男「でも死ぬのは怖いので幽霊を生き返らせる方向で」
女「あ、そ、そうよね。……焦らせるな、ばか」ギュー
男「痛い」
幽霊「生き返りたいところですが、もう肉体ないです」
男「この幽霊使えねえなあ」
幽霊「久しぶりにいじめられた気がします。なんだか少し嬉しいです」
男「この幽霊は歪んだ性癖を持ってて一寸怖いなあ」
幽霊「あっ、怖がられました! ひゅーどろどろ!」
男「はいはい怖い怖い」ナデナデ
幽霊「えへへへへー♪」ニコニコ
男「さ、さぁて。遊ぶのもいいが、そろそろ掃除を再開しないとな」
幽霊「何を焦ってるんですか、おにーさん?」
男「あ、焦ってなんていないよ? 決してさっきと同じ轍を踏むまいとしているのではないよ?」
女「……ひ」
男「すいません今すぐ掃除しますので髄液だけはどうか!」
女「……ひゅーどろどろ///」
男「…………」
女「ひ、ひゅーどろどろ」
男「……え?」
女「ひ、ひゅーどろどろ!」
男「……え、えーと」
女「……だーっ! ナシッ! 今のナシッ! 全部忘れろ馬鹿ッ!///」ドダダダダッ
男「なんか幻覚と幻聴が」
幽霊「恐るべきことに現実です」
幽霊「……はい」
男「……女も逃げちゃったし、掃除しちゃおうか?」
幽霊「……そですね」
男「ふぅ……。終わった」
幽霊「お疲れ様です、おにーさん」
男「ん。じゃ戻ろっか?」
幽霊「はい」
女「あ、お、終わったのね。お、お疲れ様」
男「ひゅーどろどろ」
女「忘れろって言ったでしょうがッ!!!」
男「ひぃ」
幽霊「お、鬼もかくやと思えるほどの怖さです! 思わず弟子入りしたくなります!」ブルブル
男「待て、コイツの恐怖と幽霊の目指す恐怖のベクトルは明らかに違うぞ。こいつの撒き散らす恐怖は物理的なもので、幽霊が目指すのは精神的な恐怖だろ?」
男「一人称がおかしいが、分かってくれて何よりだ」ナデナデ
幽霊「えへへー」
男「で、女」クルッ
女「……な、なによ。まだ馬鹿にする気!?」
男「さっきのひゅーどろどろは怖かったです」ナデナデ
女「あ……」
幽霊「?」
女「……い、今更なによ。そ、そんなことされても、別に……」
男「ああ怖い怖い女のひゅーどろどろの怖いこと山のごとしだ」ナデナデ
女「……うー///」
幽霊「……ああ! おねーさんも頭なでられたかったんですね!」
女「なっ、ちがっ///!?」
女「ち、違うわよっ! 誰がこんな奴に!///」
男「屈託のない笑みで人格破綻者って言われた。もうダメだ」ガックシ
幽霊「落ち込む姿がとてもよく似合ってます」
女「どんだけ打たれ弱いのよ。……で」
男「DE?」
女「……な、なでなでは、終わりなの?///」
男「」
幽霊「ほほう。これが目が点になる、という現象ですね」
幽霊「しょうゆおいしいです」
女「……お、終わりなら、別にそれでいいケド。幽霊ちゃんばっかひいきしてるなんて思ってないし」ナミダメ
男「い、いかん、身体が勝手に女の頭を」ナデナデ
女「……か、勝手になら仕方ないわよね」ニマニマ
幽霊「いい加減お腹空きました。いつまでこの茶番を見てればいいんでしょうか」
男「知らない間に幽霊も口が悪くなってしまったなあ。お父さん悲しいよ」
幽霊「おにーさんはおとーさんでしたか」
男「初耳だ」
幽霊「相変わらず破綻した思考です」
女「…………」クイクイ
男「ん、ああ」ナデナデ
女「んへへー♪」ニマニマ
幽霊「うーんキモイです」
女「ええっ!?」
女「アンタまで!? ううっ……もういいわよ!」
男「あっ、嘘ウソ冗談です。ぐひひひ、もっと俺をなでさせろー」
幽霊「妖怪なで男が出現しました。この妖怪は夜な夜な街を徘徊しては周囲の人間をなでるのですが、よく痴漢に間違えられて留置所に入れられるので現在の留置所は乗車率150%です」
女「何その嘘解説」
男「留置所に乗車率とは言わないだろ」
幽霊「ふたりがかりで責められて泣きそうです」ナミダメ
男「ああこれは申し訳ない。昨今の留置所は未来型だからしゅっぽしゅっぽと走るので乗車率で合ってるに違いないよ」ナデナデ
幽霊「なでなでげっと。しめしめ」
女「……あ、アンタは妖怪なで男なんだから、私もなでたいでしょ!? 特別になでさせてあげるわよ!」
男「妖怪とかこの現代社会に馬鹿じゃねえの」
女「むきーっ!!!」
幽霊「まったくです」
女「幽霊ちゃんが言うなっ! 幽霊ちゃんも妖怪の一種でしょ!」
幽霊「……幽霊も妖怪なのですか?」
幽霊「そうです」
男「算数と国語が融和するとは思わなかったよ。流石は幽霊」ナデナデ
幽霊「しめしめ」
女「いーから私も混ぜろッ!」
男「は、はい。……べ、別に殴られるのが怖いからなでるんじゃないんだからねっ!」ナデナデ
幽霊「そのツンデレ語はただの負け惜しみにしか聞こえません」
男「しまった」
女「そんなのどーでもいいから、もっと誠心誠意なでろ、ばか」
男「あ、いかん。なんか顔とかべろんべろんに舐めたくなった。いい?」
女「いくないっ!」
幽霊「おにーさんは頭おかしいですね」
女「アンタが余計なこと言わなけりゃ、そ、その……もうちょっとアレしてもよかったんだけどさ。……も、もーちょっと考えなさいよね!」
男「分かった、ゴム買ってくる」
女「~~~~~!」ドゲシッ
幽霊「真っ赤になりながらの全力拳です」
男「何か考える方向性を誤った様子」ハナヂ
幽霊「どして輪ゴムを買うだけで怒られるんですか?」
男「ああ。輪ゴムじゃなくて、ゴムってのはコ」
女「説明するなっ! いーから机の上片付けろっ! ご飯よ!」
男「この嫁は暴力的に過ぎる」
女「だっ、誰が嫁よ、誰が!///」ポカポカ
男「あいたた」
幽霊「急に攻撃の威力が弱まりました。作為的なものを感じます」
女「幽霊ちゃんはハンバーグいらないのね」
幽霊「おにーさんがいらないって言ってました」
幽霊「それ邪気眼です」
男「邪王炎殺黒龍波!」ナデナデ
女「ひゃっ! ……も、もう///」
男「なんかいい感じにまとまった。ありがとう邪気眼」ナデナデ
女「……ご、ご飯だから。なでるのは後でね?」
幽霊「それはいいことを聞きました。この後はおにーさんのエンドレスなで時間なのですね?」
男「エンドレス!?」
女「……はーい、ハンバーグの登場よ。二人とも食べちゃって。自信作なんだから!」
幽霊「わーい!」
男「あの、お二方。なでるのはまるで異論はないのですが、エンドレスという単語に一抹の不安を感じるのですが」
幽霊「じゅーじゅーと良い音をたてています。でみぐらるそーすがいいにおいです。よられが出そうです」ダラダラ
男「出てる出てる。そしてどういうわけか幽霊が俺の真上に浮かんでるせいで、その涎が全部俺に」
幽霊「うわ、汚いです」
幽霊「ふわああん!」
女「妖怪かッ!」ドゲシッ
男「顔についた涎を舐めとっただけなのに、殴られるわ泣かれるわ散々だ」ハナヂ
幽霊「うわーん、おねーさーん!」ダキッ
女「はいよしよし。本当、酷い奴よねー、男って」ナデナデ
男「なんかうっすら甘かったような」
幽霊「ふわああああん!!」
女「男ッ!」
男「感想も許されぬとは」
幽霊「ぐすぐす……」
女「次また幽霊ちゃんにセクハラしたら殺すからね」
男「セクハラなどしてない。垂らされた涎を舐めとっただけだ」
女「それがセクハラだって言ってるのよ! 普通に拭けッ!」
男「次があればそうする。でも次したら殺されるって言う話だし、どうすればいいの」
女「知らないわよ。ほら、二人とも手合わせて。はい、いただきます」
幽霊「いただきまーす」
男「遠い夢が見えなくなったよ 呟いて空を見上げたら」
幽霊「もぐもぐ……おいしーです! おねーさんは料理の天才です!」
女「い、言い過ぎよぉ。悪い気はしないけどね」
男「流れる星の向こう側に 君との約束がまぶしくうつる」
女「そこの馬鹿、歌ってないで食え」
男「今からサビなのに」
男「すいません殺さないでください。いただきます」モグモグ
女「ったく。……で、ど、どう?」
男「おいしい」モグモグ
女「……そ、そっか。ま、まあ、私が作ったんだからトーゼンだけどね!」
男「おいしい」モグモグ
女「……えへへー♪」ニコニコ
幽霊「もぐもぐもぐ。おかわりください」
男「げぶはー。こんなうまい飯食ったの久しぶりだ。余は満足じゃ」ポンポン
幽霊「よはまんぞくじゃー」ポンポン
女「ほら二人とも、食べてすぐ横になると牛になるわよ」
男「それは大変にいけない。なぜなら牛とは即ち巨乳であり、幽霊や女がそんなのになったら世を儚んで死ぬ人が多発するから。俺とか」
女「幽霊ちゃん、一緒に横になりましょ」
幽霊「巨乳化作戦開始です」
男「分かった、大人しく死ぬからどうか横にならないでください」ドゲザ
女「そうなのよ。ほら早く顔あげろ馬鹿」
男「いや、冗談なのはわかってたけど、わずかでも巨乳になる可能性がそこにあるなら、命を賭けるに十分すぎる理由なので」
幽霊「無駄にかっこよくて困ります」
女「見た目は全然かっこよくはないけどね。何この十人並みな顔」
男「失敬な。じゃあ腹ごなしというわけじゃないけど、お風呂入ってくるよ」
幽霊「あ、私も入ります」
男「やったあ!!!!」
女「なっ、ちょ、ダメに決まってるでしょ!」
幽霊「どしてですか?」
女「ど、どうしてって……女の子が男と一緒にお風呂なんて、ダメに決まってるでしょ!」
男「大丈夫、ちょっと構えがおっぱいホールドのまま固定されるだろうが、何もしないよ」
女「お前ちょっと黙ってろ」
男「だまえよっとまとってろ? 何言ってんだお前」
男「ぐえええ」
幽霊「いつもの光景です。じゃ、私は先にお風呂で待ってますね」
女「だから、ダメだってば! こんなのと一緒に入ったら妊娠しちゃうわよ!」
男「任せろ!」
女「否定しろッ!」
幽霊「私は幽霊なので妊娠とか無理です」
男「じゃあ生でし放題なのか! やったあ!」
女「うわ……」
男「あ、すいません冗談です。悪質な冗談です。引かないでください」ドゲザ
女「謝るくらいなら最初から言わなきゃいいのに。まあコイツのことだから、どうせいざとなったら腰が引けるだろうケド」
男「そうそう、俺=チキンという式が成り立つくらい根性ナシなんだ。だから、一緒にお風呂に入っても全く問題ないよ?」
幽霊「なるほど」
女「納得しないの! だから、ダメに決まってるでしょ! こいつは妖怪いやらしなんだから!」
男「また妖怪にされた」
男「します。ああいや違う、しないしませんするもんか!」
女「語るに落ちてるわよ」
幽霊「じゃあおねーさん、一緒に入りましょう」
女「あ、それはいいわね」
男「三人一緒かあ。入れるかなあ? ま、詰めれば大丈夫か」
女「私達がお風呂に入ってる間、ちょっとでも浴室に近寄ったら目抉るからね」
男「……え? あれ、三人一緒でえろえろシーンじゃないの? くンずほぐれつじゃないの?」
幽霊「洗いっこしましょう、おねーさん」
女「はいはい。じゃあ私達はお風呂入ってくるから、アンタは洗い物しててね」
男「あ、はい。……え? あれ?」
男「仕方ない、このスポンジを幽霊、この皿を女に見立て、ここに擬似風呂場を形成しよう。皿も女の胸もまっ平らだから見立てやすいな。わはは」カチャカチャ
男「『さあさあ幽霊ちゃん、大人しく胸を揉ませなさい!』『お、おねーさん、突然どうしたんですか!?』『男から守るって言って来たけど、本当は幽霊ちゃんを襲いたくて来たのよ! だからほら!』」キュッキュ
男「『だ、誰か助けてください、誰か! お……おにーさーげぶっ」
女「……何をやってるのよ」
男「言いつけ通り皿洗いを。あと、いきなり殴らないでください」
女「うっさい! 風呂場まで響く声をあげながらやるな! うるさいし近所迷惑だし私達の物真似が旨すぎるッ! なによその隠れた特技!?」
男「『そんな怒らないでください、おねーさん』」
女「ドやかましいッ! いい? もうその小劇場するんじゃないわよ!」
男「はい。あと、バスタオルを身体に巻いているようですが、もう少し結び目を甘くしないと、解けていやーん的なラッキースケベイベントは起きませんよ?」
女「格言にある通り、一度死なないと馬鹿なの治らないの?」
男「どうやらそのようで」
男「任せろ、得意だ」
女「…………」
男「気のせいか、まるで信用されてないような」
幽霊「おねーさん、まだですかー?」フヨフヨ
女「ちょ、幽霊ちゃん!?」
男「神よ!!!!!」
幽霊「? 幽霊ですよ? ひゅーどろどろ」
女「ふっ、服! 服着なさい! なんで裸で浮かんでるのよ!」
幽霊「お風呂の途中なので」
女「見るなッ!」ドゲシッ
男「見てません!」ジーッ!
女「せめて幽霊ちゃんから目を逸らして言え! なんで殴り倒されてまで見続けてるか!」ドゲシゲシ
男「すいません! すいません!」ジーッ!
女「はぁはぁ……あ」ハラリ
男「よし、続けざまに女のラッキースケベイベントもget! コンシューマー版では髪がうまい具合にここそこを隠す予定ですが、今回の現実版では全部見られます」ジーッ!
女「み、み、み、見るな、変態ッ!///」ドゲシッ
男「ありがとうございます!」
幽霊「はぷしゅっ」
幽霊「はふー。あがりましたよ、おにーさん」フヨフヨ
男「お、幽霊。先ほどは素晴らしいものをありがとうございました」ペコリン
幽霊「いえいえ、どいたまして。もしよかったら、もっとくしゃみをしましょうか?」ペコリン
男「それに感謝したのではない」
幽霊「裸の方でしたか。おにーさんはえっちです」
男「そうですそうです。で、女の機嫌はどう? まだ怒ってる?」
幽霊「顔を赤くしたまま、ずーっと黙ってました」
男「よく分からないが、生命の危険を感じる程度にはヤバそうだな。ヤクいぜ!」
幽霊「やくいぜー」
女「…………」
男「そして今、ゆっくりと湯上がりの女が登場! 素早くDOGEZAへトランスフォーム!」
女「……お、お風呂。空いたから」
男「あ、はい。……ええと。怒ってないの?」
女「……じ、事故だから。事故だからあんまり繰り返し怒ってもしょうがないし」
女「……の、脳内は犯罪じゃないから別にいい。あっ、でも幽霊ちゃんの裸は忘れなさいよ! あれは明らかに犯罪だから!」
男「つまり、お前の裸を思い出す分には構わない、と」
女「……そ、そゆコト///」
男「痴女」
女「がーっ!!!」
幽霊「痴女が変態に襲いかかってます」
男「妖怪か何かにかじられたのか頭がヤケにズキズキするが、風呂入ったら治った」
女「妖怪じゃないわよ!」
幽霊「おふとん、おふとん」ゴロゴロ
女「こら幽霊ちゃん、転がらないの。布団一つしか敷けないくらい狭いんだから、危ないでしょ?」
男「おふとん」ゴロゴロ
女「アンタまでするな」ムギュッ
男「ぐえっ」
幽霊「おにーさんの顔がおねーさんに踏み潰されています。さながら不動明王です」
男「一緒に寝ます」
女「ああ?」
男「いえすいません俺なんて便所に篭ってます」
幽霊「ますます妖怪じみてます」
女「冗談はいいから。どこで寝るの?」
男「んー。そこらの漫喫に泊まるよ」
女「ちょっと! そんなのダメに決まってるでしょ!」
男「や、流石に嫁入り前の女性と一緒に寝るのは気が引けますし。我が家に他に寝る場所ないですし。一日くらい大丈夫ですよ」
女「……はぁ。ちょっと幽霊ちゃん、こっち来て」
幽霊「ナイショ話ですね」
男「何やら女と幽霊でごにょごにょと話している。羨ましいことこの上ねぇ。俺も混じりてえ」
幽霊「けっかはっぴょー」
女「き、協議の結果、今日だけはアンタも一緒に寝てもいいことになったわよ」
男「えっ」
男「え、いや、しかし」
幽霊「おにーさんは、いやらしいことしますか?」
男「はい! ……いや、何もしませんよ?」
女「やっぱやめようかなあ」
男「あー、うん、その方がいいと思いますよ?」
女「だーっ、もうっ! 手を出さないなら一緒に寝ていいって言ってるんだから、素直に寝るって言いなさいよ!」
男「痴女」
幽霊「ちじょ」
女「がーっ!!!」
女「はーっ、はーっ……最初っからそう言やいいのよ」
幽霊「おしっこちびりそうなくらい怖いです」ブルブル
男「笹食ってる場合じゃねえ!」
女「おしっこに反応するなッ! ほら、幽霊ちゃんを真ん中に挟んで寝るわよ」
男「挟む、という単語に思わず二人のおっぱいを見てため息をついてしまったが、言うと怒られそうだから黙っていよう」
女「全部言ってるわよッ!」
幽霊「挟む、とおっぱいの間にどんな関係が?」
男「ああ。それはね、パ」
女「説明するなッ!」ドゲシッ
男「子供の知的好奇心を押さえ付けたくなかったがために起こった事件と言えよう」ハナヂ
女「はぁはぁ……ほら、寝た寝た!」
幽霊「じゃあ、私が真ん中です。いっとーしょー」
男「なんで寝る前にこんな疲れなくちゃいけないんだ」
女「アンタのせいじゃないの! ほら、電気消すわよ」パチ
女「この状況で触るのなんてアンタしかいないから、もし触られたら問答無用でアンタを殴るわよ」
男「冤罪発生率が100を超えました。助けて」
女「あら、誰か私の身体に触ったような気がするわねー。じゃ、殴るわね?」
男「酷すぎる! まだ何もしてねえのに! くそぅ、こうなったら破れかぶれだ、そのうすぺたい乳を触ってやる!」
女「うすぺたいとか言うなッ!」
幽霊「うふふふ」
男「ほら見ろ、幽霊だってpgrするほどお前の乳は薄いのだ」
幽霊「うふふ、違います。なんだか、とってもとっても楽しいです。……夢みたいです」
幽霊「みんなと一緒に学校に行って、おにーさんとおねーさんとお買い物して、一緒にご飯を食べて、お風呂に入って、一緒に寝て。……まるで、家族みたいです」
女「幽霊ちゃん……」
男「ふむ。さしずめ幽霊は俺らの子供か」
女「なっ、ちょっ、何言ってるのよ!///」
幽霊「あはは。……生まれ変わったら、また、おにーさんとおねーさんと一緒に……」
女「えっ……」
女「ちょ、ちょっと。幽霊ちゃん、どこ行っちゃったの? ちょっと、脅かさないでよ」
男(まさか)
女「あ、あれ? どこ? 押入れ? もー、夜も遅いんだからかくれんぼは明日にしなさいよね」ドタドタ
男(……成仏?)
女「お、おかしいわね……ど、どこ行っちゃったのかしら」
男「……女」
女「ちょ、ちょっと、アンタも何をぼーっとしてんのよ。ほ、ほら、早く幽霊ちゃんを探さないと。あの子まだ小さいんだから、見つけてあげないと泣いちゃうわよ?」
男「もう、幽霊は……」
女「まだ!」
男「!」
女「……まだ分からないじゃない。どこか隠れてるだけかもしれないじゃない。だから、まだ言わないでよぉ……」ポロポロ
男「……分かった。俺も探すよ」
女「……ありがと。ごめん」
女「ありがとね、幽霊ちゃ……ゆっ、幽霊ちゃん!?」
幽霊「二度見です」フヨフヨ
男「お前、成仏したんじゃなかったのか!? 消えたのは一体!?」
幽霊「おしっこしたくなったので、秘技、てれぽーとを使いました。短い距離なら一瞬です」
女「もう……もうっ! 心配かけないでよっ!」ギュッ
幽霊「てへぺろ」
男「はぁ……。フラグ立ってたのに見事にへし折ったなあ」
幽霊「コブラと呼んでください」
女「あははっ……はぁ。あーなんか脱力しちゃった。じゃ、寝直そっか?」
幽霊「はい。また川の字で寝ます。私が真ん中です。これだけは譲れないのです!」
男「はいはい」ナデナデ
男「zzz……」
女「あーもう、休みだからっていつまで寝てるのよ! もう昼よ!」
男「うああ……眠い、超眠い……。なぜならどっかの嫁が昨日寝かせてくれなかったから」
女「う、うるさいっ! アンタが毎日相手してくれないのが悪いのっ!」
???「けんかですか?」フヨフヨ
女「あっ、ち、違うのよ、幽霊ちゃん?」
幽霊「けんかしたなら愛想をつかしているはずです。おにーさん、私と結婚しましょう」
男「しません。つか、お前いつになったら成仏すんだ」
男(あれからずっと幽霊は俺に取り憑いたままだ。どういうことだ)
幽霊「おにーさんが死んだら成仏します。一緒に転生です」
男「女神転生!」ババッ
女「何そのかつおぶしみたいな動き」
幽霊「か、かっこいいです……!」キラキラ
男「かっこよかろう、かっこよかろう。わっはっは」
男「ズボンを脱がさないでください。もう出ません。ていうかお前も女と一緒に昨日したろ」
幽霊「幽霊は無尽蔵なのです」ヌガセヌガセ
男「適当なことを。あとパンツ返せ」
幽霊「おちんちんさんこんにちは。今日はちょっと元気ないですね?」
男「人の下腹部に挨拶しないで!」
女「…………」マジマジ
男「お前もじっくりと観察しないで!」
女「い、いーじゃない別に! 減るもんじゃないし! ……お、お嫁さんなんだし///」
男「うっ。……ああもう、この嫁は可愛いなあ!」ナデナデ
女「……え、えへへー♪」ニコニコ
男「ただ、いい大人だってのに未だに頭から昆布が垂れているのには閉口」
女「まだ言うかッ! ツインテールだって言ってるでしょうがッ! アンタが好きだって言うからしてるのにッ!」
男「そう怒るなよ、はるぴー」
女「女よッッッッッ!」
女「はるぴーだのすずねえだの、何なのこの家族」
男「幸せ家族に決まってるだろ」
女「うわー……」
幽霊「正直ドン引きです」
男「決まったと思ったのになあ。ままならないなあ。……しょうがない、死ぬか!」
女「すぐに諦めるなッ!」
幽霊「わくわく」キラキラ
男「そこの幽霊さん、わくわくしないで」
幽霊「生まれ変わったら私と結婚しましょうね、おにーさん?」
女「むっ。……ま、まあ、今は私と結婚してるケドね?」ギュッ
男「突然抱きつかれて一瞬うろたえたが、いつものうすぺたい感触に平静を取り戻した。ふうやれやれ」
女「アンタ本当に私のこと好きなの!?」
男「じゃなきゃ結婚しねーだろ」ナデナデ
女「あっ……う、うう……///」
男「成長知らずでうれしちいね!」
女「アンタそのうち私に刺されるわよ」ムギュッ
幽霊「そしたら生まれ変わって一緒ですね、おにーさん」ムギュッ
女「ふん。言っとくけどね、私は生まれ変わってもまたコイツと一緒になる予定よ?」ムギュギュッ
幽霊「残念ながら予約済みです。次の次の人生では譲らなくもないです」ムギュギュッ
男「なんだか普通の人とは別の意味で死ぬのが怖いよ」サワサワ
女「おしりを触るな!」
幽霊「孕ませの合図ですか?」ワクワク
男「違います」
幽霊「がーん」
終わり
ホントよかった
もっとみたかった
あっという間だった
おつ
元スレ:http://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/internet/14562/1341674980/
Entry ⇒ 2012.07.29 | Category ⇒ その他 | Comments (0) | Trackbacks (0)
士郎「ストライクウィッチーズ?」
一成「ふむ、実は知り合いから譲り受けてな。 俺にはそう言う趣味は無いし・・・
とりあえず衛宮にこれの視聴を一任しようと言うわけだ」
士郎「なんで俺なんだ!しかもこれ・・・パンツ丸出しじゃないか」
一成「どうみてもズボンだが・・・」
士郎「え・・・」
士郎「まあ、そう言う成り行きで借りてしまったわけでさ・・・ 誤解するなよセイバー」
セイバー「士郎、私はあなたの趣味にとやかく言うつもりはありませんが」
士郎「?」
セイバー「あなたが私が鞘である事を見直そうと思います。」
士郎「えええーッ!?お前が最初に言ったんじゃないか!」
セイバー「ではごゆっくり」スーッ
士郎「なんでさ」
士郎「ふーん・・・、ネウロイって怪物と戦う女の子話か・・・」
士郎「俺はあんまり好きじゃないな・・・ 女の子が傷つくなんて」
凛「ただいまー」
士郎「あ」
凛「あら衛宮君、帰ってたの・・・・ね・・・」
士郎「や、やあおかえり遠坂。 これはなあ一成の奴から」
凛「ごゆっくり、ね」スーッ
士郎「うわぁーっ!! 待って!行かないで遠坂ー!」
アーチャー「衛宮士郎・・・ やはり私は、貴様を否定する」
士郎「くそぉ・・・・」
士郎「・・・・・・、でも続きが気になるかも」
二話視聴後
士郎「おお・・・芳佳って娘、初陣だったけど立派に戦えたじゃないか」
士郎「坂本少佐もたくましくて綺麗だよなあ、早く三話三話」
士郎「うおお、OPのキャラクターが全員登場か~」
士郎「リーネちゃんもよく頑張ってたし、次回も活躍して貰いたいな・・・、それにしても
あのサーニャを見ると、なんかイリヤを思い出すんだよなあ」
大河「士郎~!お腹すいたぁー!」スパーン!
桜「こんばんは先輩」
士郎「うげ! テレビを消さなきゃ!」ピッ
士郎「お帰り二人共!」
士郎「がぁー!止めろ藤ねえ!」
桜「ふ、藤村先生ちょっと」
士郎「わかった!事情は後で話すから・・・ とりあえず晩御飯にしよう」
一同「ごちそうさまでしたー」
セイバー「士郎、今日の晩御飯も中々美味でした」
凛「明日は煮込み料理でお願いね」
士郎「お前ら、いつの間に戻ってきたんだよ・・・」
イリヤ「そーよ! 隠し事は無しでしょ!」
アンリ「話してみなさいよ! ほら」
バゼット「気になって買い物にも行けません! さあ士郎くん!」
士郎「なんか増えてるー! わかった話すよ!」
士郎「これはなぁ・・・ カクカクシカジカ」
桜「先輩ったら・・・」ポッ
大河「うう・・・士郎・・・どうしてこんなの子に・・・」
凛「ちょっとほら見なさいよこの表紙の子・・・、スクール水着の上にセーラー服よセーラー服」
士郎「ああーッ!! とにかく続きが見たいんだ! 話せることは話しただろ! そっとしておいてくれ!」
翌日
ワカメ「よう衛宮、ちょっと来いよ」
士郎「なんだよ慎二・・・ 俺家に帰ってストライクウィッチーズを見なきゃいけないんだ」
ワカメ「そのストライクウィッチーズ関係の話しさ、まあ家に来いって」
士郎「わかったよ・・・」
士郎「う、うおーっ!! なんだよこれ! ウィッチのフィギュアが沢山あるぞ!」
ワカメ「僕ね、ちょうどネットサーフィンしてたら、ストライクウィッチーズの記事があったもんだから
気になって手を出したらもうこんな状態さ」
士郎「これは・・・、現在は入手が難しいねんどろいど芳佳ちゃんじゃないか・・・、こっちは抽選でしか手に入らない
限定トゥルーデフィギュア!」
ワカメ「ハッハッハ! どうだすごいだろう! ハイクオリティフィギュアの方もダブりが多くてさあ
好きなの持ってってもいいぜ?」
ワカメ「ほかにも第二次パンツの景品も揃えてあるぜ? まあ衛宮が好きなのを選んでくれてやってもいいんだよ」
ワカメ「さらにストライクウィッチーズ関係の情報やイベント、グッズまでお前に協力しよう」
ワカメ「そこで、だ」
士郎「なんだ?」
ワカメ「この、ルッキーニの服を遠坂に着させた写真をお前に撮ってきて欲しいんだ」
ワカメ「つまり交換条件だよ、衛宮」
士郎「な・・・・、とりあえず頼んでみるけど、その服どうしたんだよ」
ワカメ「徹夜して作ったよ」
士郎「」
ワカメ「ウィッチたちの頑張る姿を見ていたら心打たれちゃってさ・・・
特に魔力減退が始まっても、みんなのためにまだ飛ぼうとする坂本少佐を思うと・・・」
士郎「ああ、わかるぜその気持ち。」
ワカメ「衛宮・・・」
士郎「任せといてくれ! 絶対に成功させてみせるさ!」
士郎「遠坂!」ズイ
凛「な、なによ・・・」ドキ
士郎「一生のお願いがあるんだ・・・!」
凛「い、一生のお願い?(やだ・・・なんでドキドキしてるのよ私!)」
士郎「遠坂にしか出来ないことだ」ゴソゴソ
凛「ん・・・!」
士郎「こいつを・・・着てもらいたい」
凛「は?」
凛「そういう問題じゃなくて! これってルッキーニの服じゃないの!」
士郎「え? なんでそれを・・・?」
凛「悪いとは思うけど・・・、あんたの帰りが遅かったから、あのDVD見させてもらったわ」
アーチャー「私がいなかったら、DVDプレイヤーとディスクは塵になっていたところだがな」
凛「あんたは黙ってて!!」
士郎「遠坂・・・」ブワッ
凛「だから・・・ほら、着てあげるから貸しなさいよ!」
士郎「ありがとう遠坂! 俺が頑張って撮るよ! お圭さんみたいに!」
凛「着替えるんだから見ないでよ!」
士郎「慎二ー! 約束の品を」ガチャ
士郎「! な、なんだよこれ・・・・ 部屋がめちゃくちゃじゃないか!」
士郎「それに・・・ 庭で慎二がこの寒空のなか、パンツ一丁でバケツを持って立たされてるぞ!」
ワカメ「ビェー! ザムイヨォー!」
桜「兄さん、先輩に変な事しないでってあれほど言ったじゃないですか・・・」
ワカメ「俺が悪かったから・・・ お願いだから許してくれよぉ・・・」
桜「ふふふ、先輩がこっちに来ちゃうから、私は退散しますね・・・ライダー!」
ライダー「慎二、桜を悪く思わないでくださいね」シュバ
ワカメ「クルト・・・僕は・・・立派に・・・」
士郎「おいしっかりしろ慎二!」
ワカメ「この声、衛宮か・・・はは、写真持ってきてくれたんだな・・・」
士郎「今はそんな事よりもお前優先だ!」スッ
ワカメ「すまないねぇ・・・、これじゃあまるで、二巻付近のハルカ並にダメダメだね」
士郎「鍵?」
ワカメ「あの年増に作らせた特製の金庫さ・・・、あの中に、予備のグッズが全て入っている」
士郎「お前無茶しすぎだぞ本当!」
ワカメ「ははは、なんかさ、ストライクウィッチーズを見るたびに
昔の桜に対する真心を思い出してさ、あの頃に戻れればいいのに・・・」
ワカメ「うっ・・・、私のロマー・・・・ニャ・・・」
士郎「慎二ー!」
ワカメ「どうやら熱だったみたいだ」
士郎「蒸し芋出しておくよ」
士郎「いや、グッズを貰うのは止めておくよ」
ワカメ「え?」
士郎「自分で集めることにするよ、ああ写真ならやるからさ」
ワカメ「衛宮ぁ・・・!」
士郎「またな慎二、安静にしてろよ」
ワカメ「あ・・・」
ワカメ「ヒトリニシナイデ・・・」
セイバー「では凛、早速劇場版を観に行くとしましょう」
凛「ちょ、ちょっと待ちなさいよ!」
士郎「ん? あいつらなにしてるんだ?」
士郎「お前も見たのか!」
凛「ごめん衛宮くん・・・、こっそり見てたらセイバーに感づかれちゃって・・・」
士郎「なるほど、まあセイバーがストライクウィッチーズの何に惹かれたのかは見当付くよ」
セイバー「劇場版では一体どのような料理が出るのでしょうか・・・」
士郎「俺も行く事になってるのね、一人で観に行きたかったんだけどな」
ランサー「ん? おっす、お前らー」
凛「ランサーじゃない、奇遇ね」
士郎「何だそのビニール袋の山は・・・」
ランサー「ああ、こいつか・・・」ゴソゴソ
士郎「あ!それは」
凛「ネムラ軍海ね!」
セイバー「食べ物ですか!」
士郎「まあな、でも意外だ・・・ランサーがストライクウィッチーズを知っているなんて」
ランサー「それがだな、俺はミーナしか知らねえんだよなあ、イイ女だしよ」
士郎「まあ確かにランサーらしいっちゃあらしいけど」
凛「まさかとは思うけど・・・金ピカの命令ね」
ランサー「うぐ・・・ご名答だぜ嬢ちゃん」
士郎「なんでこんな身内間で流行ってるんだ・・・」
凛「おっと、早くしないと間に合わなくなるわよ! またねランサー」
ランサー「おうよ! あ、ほらセイバー一つやるよ」
セイバー「助かります!」
士郎「餌付けみたいだな」
凛『そろそろよ・・・』
士郎『よぉし・・・待ちに待った劇場版だあ』
セイバー『モッサモッサ』
上映終了
士郎「良かったね・・・良かったね芳佳ちゃん・・・」
凛「マリー大活躍だったわね! マリーは可愛いわね!」
セイバー「士郎!チョコが食べたいです!」
士郎「後で買ってあげるよ・・・!」
セイバー「士郎、考えたのですが、風王結界でシュトゥルムの再現が出来るのではないでしょうか!」
士郎「いい案だ! 早速家に帰ってやってみるか!」
桜「あら、みなさんお揃いで」
士郎「おお桜、犬の散歩か? あれ、犬なんて飼ってたっけ」
ハッハッハッ
凛「な・・・」
セイバー「ゾゾゾ」
士郎「し、慎二!」
ワカメ「フシュルルルー・・・ウジュー・・・ウジュー・・・」
士郎「そ、そう言う解釈!?」
ワカメ「コノマメダヌキ!」
ライダー「事の経緯としては、桜の手によって慎二が蟲蔵に放り込まれてしまったわけです」
ライダー「そして数日間、刻印蟲にあんな事やこんな事をされた結果ああなりました」
桜「それじゃあまた」ニコ
凛「士郎・・・わかった? 女の子は時に残酷になれるのよ」
士郎「」
イリヤ「このサーニャって娘にコスプレすればいいのね!」
リズ「洋服作るの、大変」
イリヤ「いいから作るの! 早く早く!」
リズ「了解」
バーサーカー「■■■■■■■―――――ッ!!!!」
イリヤ「きっと士郎も喜んでくれるわよね、バーサーカー」
バーサーカー「■■■■■―――ッ!!」
士郎「プリズマイリヤドライ好評連載中じゃないか! アニメも楽しみナンダナ」
士郎「ん・・・? あれって・・・」
士郎「さ、サーニャ!サーニャじゃないか!」
サーニャ?「あれ? お兄さん・・・誰?どうして私のこと知ってるの?」
士郎「それはだねぇヘヘ」
サーニャ?「そうなの? 嬉しい・・・」ダキ
士郎「うおぉぉぉ!!」
サーニャ?「お兄さん・・・大好き・・・」ギュ
士郎「(はぁぁ・・・現実なのかこれは・・・幸せすぎる・・・)」
セイバー「士郎、何をしているのですか」
セイバー「・・・・、士郎、あなたはその子が本当にサーニャ・V・リトヴャクだと思うのですか?」
士郎「え? だってどこからどうみてもサーニャじゃないか」
セイバー「はぁ・・・鈍い、鈍すぎます士郎・・・
そこの泥棒猫、早く士郎から離れるのです、さもなければ・・・」スッ
士郎「ば、馬鹿セイバー!宝具取り出してどうするんだ!」
サーニャ?「ふふふ・・・流石はセイバー、人間は騙せてもサーヴァントは見破られるわけね」バサッ
士郎「えぇーっ!? イリヤァ!?」
士郎「サーニャにしか見えなかったぞ! すごいなあイリヤは~」ナデナデ
イリヤ「えへへ~もっとして~」
セイバー「ブチッ」
セイバー「これだから・・・これだから・・・」プルプル
士郎「あ、待てセイバー! 夕飯はとびっきりのハンバーガーにしてやるから!
シャーリーが食べてたみたいなの!」
セイバー「む・・・それでは仕方ありませんね・・・」スッ
士郎「よかった・・・ でもイリヤ、こんなイタズラしちゃ駄目だぞ? あとジャプニカ暗殺帳チラつかせるな」
バーサーカー「■■■■■■――――――ッ!!!!」シュバ
士郎「う・・・バーサーカーいたのか・・・・」
ネコアルク・E「デュフォ、サーニャいた!サーニャ!」
キャスター「はぁぁ・・・セイバー可愛いわぁ・・・」
ピンポーン
キャスター「む・・・誰よこんな時に!」
キャスター「はい! 葛 木 メ デ ィ ア です~!」ガラガラ
士郎「おはようキャスター! 実は折り入って頼みがあるんだ!」
キャスター「な、坊やじゃないの・・・で頼みって何よ」
キャスター「ええ? フィギュアを作って欲しい?」
士郎「頼むよ・・・知り合いでフィギュア造形師なんてキャスターしか居ないんだよ」
キャスター「私はウィッチ! なんで造形師なんてジョブがついてんのよ! まあセイバーのなら無数にあるけど・・・」
士郎「ウィッチに不可能はないッ!!!」
キャスター「わ、わかった!わかったわよ!作ればいいんでしょ作れば!」
士郎「ありがとう! 助かった―!」
キャスター「で、一体なんの?」
士郎「このキャラクターのフィギュアをだな・・・」
キャスター「ハインリーケ・プリンツェシン・・・・、やたら長いわね」
キャスター「言われてみればそうね・・・ってこの娘パンツ丸出しじゃないの・・・」
士郎「どう見てもズボンだよズボン! きっとセイバー慣れしてるだろうからさ」
キャスター「あーはいはい! とにかく時間が掛かるからしばらく待ってなさいよ!」
士郎「やったー! じゃあ交換条件で、このセイバーの秘蔵写真を」スッ
キャスター「き、気が効くじゃないの・・・」ヘラヘラ
キャスター「このメイドセイバーも良いし・・・巫女セイバーも中々
バ、バニーセイバー!?」ブフォ
士郎「慎二の金庫も作ったんだろ!? 期待してるからさ! んじゃ!」
桜「はい兄さん、お味噌汁ですよ?」
ワカメ「い、いい香りだよ桜」←治った
ズズズ
ワカメ「ぐふぉ!! ゲホッゲホッ しょっ、しょっぱい・・・!」
桜「あ! ごめんなさい兄さん!あんこと塩とマスタードとエビとカニの味噌と仔牛の脳みそと
アンチョビとニンジン、ジャガイモ、たまねぎ、エシャロット、トウモロコシ、グリーンピース、セロリ、ズッキーニ、
トマト、にんにく、ルバーブ、アーティチョーク、ブルーベリー、ローズマリー、ミント、シナモン
それに、ブルーチーズとワインを入れて煮込んだお味噌汁、お口に合いませんでしたか?」
ワカメ「い、いや・・・そんなことウェップないよ」
ワカメ「(ひどい胸焼けだ! ライダーなんとかしてくれよ!)」
ライダー「(慎二、申し訳ありませんが、私には何も出来ないのです)」
ワカメ「(助けて衛宮)」
士郎「せい!やぁ!」
大河「そのまま素振り100回だよー!」
セイバー「訓練だなんて珍しいですね、士郎」
士郎「芳佳ちゃんも坂本少佐とこうやって訓練していたんだよ!」ブンブン
凛「腰が入っていないぞ衛宮新兵!」
士郎「と、遠坂?」
凛「なんだだと?貴様!なんだその口の聞き方は! ガンド!」
士郎「ぐは!?」
セイバー「凛! 一体何の真似ですか!」
凛「愚問だな・・・、私はただ、このヘッポコ新兵を指導しているだけだが?」
大河「わ、わーお・・・」
カレン「それなら、私もお手伝いします」
士郎「カレン・・・?」
士郎「うわ! 正気かお前ら!」
カレン「聖骸布で動けなくし、ガンドの乱れ打ちで一方的に痛めつ・・・どんな攻撃にも耐える体を」
士郎「今なにか言いかけたよな!」
凛「ごちゃごちゃ騒ぐな!」
セイバー「カレン、ガンド撃ちは体調を悪化させてしまうだけでは・・・?」
カレン「楽しければそれでいいのですよ」
カレン「耐え切れた暁には、これを差し上げましょう」
士郎「それは! 劇場版のサイン入りアフレコ本!?」
カレン「裏ルートで手に入れました」
士郎「わかったよ! 耐えてみせる!」
ワカメ「へへへ・・・ルッキーニお前を妹にしてあげたいよ・・・」
ワカメ「ほらズッパだぞ~・・・」
ワカメ「・・・」
ライダー「慎二・・・」
ライダー「見ていてもわかりますよ、最近の桜はどこかおかしいですから」
ワカメ「まったくだよ! しかも時々黒桜になるの止めて欲しいんだよね!
外見ネウロイみたいだし!」
ライダー「ああなると逆らうのは無理です、そうだそろそろ買物の時間です、では」シュバ
ワカメ「ちょっとぉ!!」
シュン
ギル「よぉ元気にしていたか!」
ワカメ「ギルガメッシュ!」
ギル「見ろ! キャラクターソングCD2、そしていらん子中隊第四巻!」
ワカメ「はぁ!? ま、まさか!!」
ギル「信用できぬか! まあオークションで落としただけだがな!」
ワカメ「ほ、本当に落とせてるじゃないか・・・!」
ワカメ「でもキャラソンCD2の販売自体中止なったんじゃ・・・」
ギル「なに!? じゃあガセだと言うのか!」
ワカメ「それに、ノボルも執筆できる状況でもないし・・・」
ギル「そんな・・・我の2009年春が・・・」
ワカメ「何も情報が出ていないし・・・怪しすぎるだろ?」
ギル「言峰!」
ワカメ「あんたもいつの間に!」
言峰「そういえばギルガメッシュ、お前、前も応援画集で騙されていたな」
ギル「まさか、同じやつか!」
言峰「おそらくな」
ギル「おのれぇ・・・!!」
言峰「今は落ち着いて子ギルになっていろ、な」
言峰「邪魔したな」ガタガタ
ワカメ「何しに来たんだやつら」
カレン「飽きました」
士郎「あが・・・ががががが・・・」ビクビク
カレン「ほら!起き上がって私を捕まえてみろよー!」(裏声)
士郎「シャ、シャーリー・・・今行くからなぁ・・・」
カレン「ああ愉快愉快」
カレン「前言撤回です、やはり弄り甲斐があります」
凛「ふん、だらしのない奴だ」モグモグ
セイバー「凛、私にも蒸し芋をください」ヒョイ
凛「何をする! これは私の芋だ!」
セイバー「たくさんあるじゃないですか!」
カレン「聖骸布を切り裂いた・・・?」
士郎「も、もう限界だ・・・けど、スピードの向こう側が見えた気がする」
カレン「あ、そうですか」
セイバー「し、士郎・・・すごくすごいです」
凛「その芋は私のー・・・!」グイ
士郎「そうだよ・・・俺やっと気付いたよ」
セイバー「士郎?」
士郎「第一、魔術回路は通っているのだから・・・、俺やりますよ一郎さん」
カレン「本格的におかしくなったみたいですね、凛、この落とし前はどうつけるつもりですか?」
凛「私に聞かないでよ!」
セイバー「キャラ戻ってますよ」
キャスター「はぁ・・・ようやく完成ね・・・」
一成「げっ」
キャスター「あらあらお坊ちゃん、覗き見なんていい趣味してるじゃない?」
一成「くっ・・・、まさかストライクウィッチーズを知っているとはな」
キャスター「これはあの坊やからの頼みよ、それに、中々いい趣味してるじゃない?」チラッ
キャスター「さて私は行くわよ、留守番よろしくね」
一成「あの女豹め・・・」
アサシン「どこに行くのだ?」
キャスター「あなたには関係ないわ、黙って門番をしていればいいのよ」
キャスター「うわぁ!」ガク
メキャア
キャスター「あああああ!!!フィギュアがあああああ!!!!!」
アサシン「見事にバラバラだなぁ、あっはっはっはゲフゥ」
キャスター「あんたが話しかけなければこんな事にはならなかったのに!!」
アサシン「理不尽だ・・・ぞ・・・」
ザッ
葛木「どうした、キャスター」
キャスター「は! そ、宗一郎様!違うんですこれは・・・」
葛木「ふむ・・・、これは、ハインリーケ・プリンツェシン・ツー・ザイン・ウィトゲンシュタインか」
キャスター「え・・・? なぜそれを?」
同僚から聞いた作品なんだが、調べていたら随分と深いところまで来てしまった。
葛木「一人で作りなおすのは大変だろう、私で良ければ手伝いたいのだが、ダメか?」
キャスター「も、もちろん大歓迎ですわ!! これ以上に良い物を作りましょう!」
葛木「ああ、一成の奴にも声を掛けておこう」
ワカメ「衛宮・・・」
士郎「慎二・・・お前元に戻ったのか!」
ワカメ「まあね、爺さんのおかげでね。ところで何のようだい?」
士郎「ああ、散々カレンや遠坂に痛めつけられた結果、たどり着いた答えが
『俺がウィッチになる』ことだった」
ワカメ「な、何を言ってるんだかわからないが・・・とりあえずズボン履けよ」
士郎「え? ズボンなら最初から履いてるじゃないか」
ワカメ「」
ワカメ「そりゃあ魔術師にはなりたいけど・・・ウィッチは別に・・・」
士郎「そうか、なら俺だけでウィッチになって見せるよ」
ライダー「(士郎・・・、まさか根源に至ろうと考えているのでは・・・)」
士郎「芳佳ちゃんは言っていた、『私、守りたいんです!』ってな
だから俺も誰かを守りたいし救いたい!」
ワカメ「おぉっと!どうやら桜が呼んでるみたいだ!じゃあな衛宮!」
士郎「おい待て慎二!話はまだ」バタン
士郎「もう・・・なんだよー折角ストライカーユニットが出来たってのに」
ワカメ「あいつ完全に頭イッてるよ・・・、どうしてこうなった・・・」
黒桜「兄さん?」
ワカメ「ひぃ!」
ワカメ「はっ!」
ワカメ『まったくだよ! しかも時々黒桜になるの止めて欲しいんだよね!
外見ネウロイみたいだし!』
黒桜「じゃあ・・・本物のネウロイに・・・なって見ようかなあって・・・」ウゾゾゾ
ワカメ「ギャアアアアアアアア」
セイバー「士郎・・・変態になってしまわれたのですね・・・」
大河「あの歳の男は迷うものだけれど・・・、お姉さん対処の仕方わかんないよ」
凛「こうなったら、意地でも直すしか無いわ!」
セイバー「まあ凛のガンド撃ちのせいで、頭までおかしくなったんでしょうね」
凛「カレンだってノリノリだったもん!」
アーチャー「凛、まずい事になったぞ」
凛「どうしたのよ!」
凛「あれは・・・人型ネウロイ?」
セイバー「あれ・・・桜に酷似しているように見えませんか?」
凛「ええ・・・まさか、とは思っていたけど」
士郎「なんだこの騒ぎは!」
セイバー「士郎!」
士郎「タイツならあるぞ!」スッ
凛「漫才してる場合か!」
人型ネウロイ「先・・・輩・・・」
士郎「今の声、桜なのか!」
人型ネウロイ「先輩・・・?」
士郎「その前に倒すんだ!」スチャ
凛「ええー!? ストライカーユニットォ!」
士郎「俺の使い魔はセイバーライオンだ!」ヒョコ
セイバー「大分酷い絵面ですね」
士郎「そうか、セイバーなら真・烈風斬を撃てるな!」
セイバー「」
士郎「体は剣で~出来ていた・・・」ブワァ
士郎「行くぞ桜!お前を正気に戻してやる!」
セイバー「む、無限に烈風丸が刺さってますよ・・・」
セイバー「テストはしていないのですか!?」
士郎「ああ!一発勝負だ! 発進!」
士郎「発進!発進!」カラカラ
セイバー「士郎・・・もういいでしょう、あれはフィクションなんですから飛べるわけありません」
士郎「うわあああああああ!!!飛びたい!俺は飛びたいんだよぉ!!」
黒桜「(先輩・・・、私のあこがれの先輩像が・・・)」
セイバー「わかってます!」
士郎「ビームはアイアスで食い止める!」
セイバー「桜・・・、この戦いが終わったら・・・士郎を何とかしてくださいね」
セイバー「エクス・・・カリバ 士郎「真烈風ざあああああああああああああん!!!」
ドァア
凛「固有結界が解かれるわ!」
ドサ
凛「桜!」タタタ
士郎「ウィッチに不可能はないんだよ・・・」
凛「(アーチャー・・・、まさかあなた正気を装ってウィッチ狂なんじゃないでしょうね)」
アーチャー「(いやいやいや、悪い冗談だ)」
桜「う・・・、姉さん・・・?」
桜「はい、迷惑かけてごめんなさい、ほんの遊び心だったんです」
凛「桜は悪くないわよ、でも・・・士郎がおかしくなっちゃったのは私達が原因ね・・・」
士郎「坂本さん・・・俺、今度こそ飛んでみせるから・・・」
後日
とある町
志貴「琥珀さーん、これなに?」
琥珀「ああそれですか? ストライクウィッチーズって言うんですよ? 見てみてください!」
おわり
保守も嬉しかったです
こうして型月世界がズボンに侵されていくのか…
Entry ⇒ 2012.07.29 | Category ⇒ FateSS | Comments (0) | Trackbacks (0)
ルルーシュ「SOS団!?」
ミレイ「そう。午前中に1年生の子が申請書を持ってきたんだけどね
具体的に何をするクラブなのか聞いても答えが曖昧でよく分からなかったのよ」
シャーリー「会長がしつこく聞くからあの子困ってましたよ。可哀想に」
ミレイ「しょうがないじゃない、詳しい事が分からないと許可できないし」
ルルーシュ「そのSOSっていうのはどういう意味なんです?
まさか言葉通りの意味じゃないですよね・・・」
ミレイ「何だっけ?」
シャーリー「確か世界を大いに盛り上げる為の涼宮ハルヒの団とかって言ってたような・・・」
ルルーシュ「はぁ?」
ミレイ「あーそうそう、そんな事言ってたわね」
ルルーシュ「世界を大いに盛り上げる為の涼宮ハルヒの団?涼宮ハルヒ・・・・
あぁ、2組にいる風変わりなイレヴンの女か。発起人はそいつだな」
ミレイ「知ってるの?」
ルルーシュ「えぇ、まぁ・・・話した事はありませんけどね。入学以降おかしな行動ばかり
とっているらしく、うちの学年ではちょっとした有名人らしいですよ」
リヴァル「あぁ、俺も聞いた事がある!確か休み時間中学園内を徘徊してるらしいぞ」
リヴァル「噂によると、宇宙人を探してるらしい!」
ルルーシュ「宇宙人?」
リヴァル「学園の生徒の中に宇宙人がいると信じ込んでるらしいぜ
だから生徒一人一人を観察してるんだってさ」
ミレイ「そういえば申請書のクラブ趣旨の欄にそんな事が書いてあったわね。
宇宙人と未来人と超能力者を見つけて一緒に遊ぶって」
ルルーシュ「フン、くだらん。こういう奴はまともに相手をしたら付け上がるだけだ
無視するのが一番だな」
リヴァル「申請書出してるのに無視なんてして大丈夫か?乗り込んできたりしないだろうな・・・」
ルルーシュ「乗り込んでこようものなら俺が直々に説教してやる!
大体、そんなふざけた趣旨のクラブを1度でも容認したら、部費目当ての連中が
次々に申請書を出して収拾がつかなくなる。こういうのは始めの対応が大事なんだ」
ミレイ「何だかやる気になってるみたいだし、この件はルルーシュに一任するわ」
ルルーシュ「(ゼロとしての活動もあるが、こっちの件を見過ごすわけにもいかないし
まぁ今回くらいはいいだろう)」
ハルヒ「ちょっとキョン!あんた本当にあの紙出したんでしょうね!?」
キョン「ちゃんと出したさ」
ハルヒ「じゃあ何で未だに生徒会から何の音沙汰もないのよ!」
キョン「さぁな。知らん」
ハルヒ「正式にクラブとして認めてもらわないと部費が下りないのよ!
このままじゃいつまで経ってもSOS団としての活動ができないわ!」
キョン「その活動とやらが明確になってないから許可が出ないんだろうよ
あの滅茶苦茶な申請書を見てOKを出すような奴が生徒会の中にいるとするなら
俺はそっちの方が心配だ」
ハルヒ「うるさいわね!あの完璧な文の何処に問題があるっていうのよ!」
キョン「(何処?全部だ全部!)」
ハルヒ「あーもう頭くる!!いっその事生徒会室に乗り込んでやろうかしら!!」
キョン「また物騒な事を・・・」
古泉「もう少し待ってみてはいかがでしょうか?あちらもいろいろと忙しいのかもしれませんし」
ハルヒ「まぁ古泉くんがそう言うならもう少し待ってあげてもいいけど
でも後一週間経っても何の沙汰もないなら生徒会室に乗り込んで抗議してやるわ!」
キョン「俺もか?」
ハルヒ「あんたも!」
キョン「はぁ~」
ハルヒ「今日はもう帰るわ!最後の人戸締りよろしくね」
バタンッ
キョン「全く次から次へと騒ぎばかり起こす奴だな・・・」
古泉「ここ最近涼宮さんの精神は非常に不安定になっています。
閉鎖空間の発生頻度や規模も日に日に増していましてね・・・・
毎日それが続くものですから少々堪えます」
キョン「そうだったのか。いつからだ?」
古泉「あなたが生徒会に部の申請書を提出した次の日辺りからですね。
つまり約一週間前になります」
キョン「じゃあ原因は生徒会か」
古泉「えぇ。この放置状態が長引くようですと、僕を含めた機関の仲間が
過労で倒れかねないので、何とか手を打ちたいのですがね・・・」
キョン「手を打つとて言っても、何をしたらいいのやら」
涼宮さんが乗り込む前に僕達で聞きに行けばいいだけです」
キョン「返答を貰うだけで解決するのか?クラブとして認めてもらえなかったら
結局あいつのイライラは続きそうな気もするが」
古泉「涼宮さんがイライラしているは、部の申請書を出したにもかかわらず
生徒会から何の返答も無いからです。イエスかノーか、答さえだしていただければ
恐らく現状は打開できると思います」
キョン「どうだろうな」
古泉「答を出さずにひたすら無視する。誰がどのような意図を持ってこのような行動を
とっているのかは分かりませんが、涼宮さんや僕達機関の人間には的確な精神攻撃
と言えるでしょうね」
キョン「ちょっと待て、さっきお前は『僕達で』と言ったが、俺も行かなきゃならんのか?」
古泉「出来れば御一緒していただきたいですね。申請書を出したのはあなたですし」
キョン「今から行くのか?」
古泉「えぇ。こちらとしては早い方が助かります」
キョン「はぁ~、やれやれだ・・・」
ミレイ「そういえばルルーシュ、この間来たクラブ申請の件はどうなったの?」
ルルーシュ「申請?あぁ、SOS団とかいうおかしなクラブの事ですか
勿論無視し続けてますよ。先日も言った通り、相手をしないのが一番ですからね」
ミレイ「何でもいいけど、トラブルになるような事は避けてよね」
ルルーシュ「分かってますよ」
コンコンッ
ミレイ「ん?誰かしら?どうぞー」
ガチャッ
キョン&古泉「失礼します」
ミレイ「あれ?あなたこの間の!」
キョン「あ、どうも・・・・・」
ルルーシュ「会長の知り合いですか?」
ミレイ「この子よルルーシュ、SOS団の申請書を持ってきたの」
キョン「いや~、先日はどうも・・・」
ルルーシュ「ほう、こいつが」
ミレイ「ちょっとルルーシュ!」
ルルーシュ「見たことろそちらの責任者は来ていないようだが・・・」
キョン「え、えぇ・・・俺達だけです(何なんだこいつの威圧感は!?)」
古泉「我々の提出した申請書への回答の方が未だに出されていないので
直接聞きに来た次第なのですが」
ルルーシュ「あぁ、そういえばそうだったな。すっかり忘れていたよ」
古泉「そうではないかと思っていたのですよ。何せ提出したのは一週間も前の事ですからね
いや~来てよかったです」
ルルーシュ「こちらとしては出来れば永久に忘れていたかったんだがな
くだらん申し出に一つ一つ答を出していられるほど、俺達は暇じゃないんだ」
キョン「なっ・・・(いくら何でもそこまで言うか?)」
古泉「という事は・・・やはり」
ルルーシュ「あぁ、勿論却下だ。クラブとして認めてほしいのなら、もう少しまともな事を
書くんだな」
古泉「そうですか。分かりました、では我々は退散しましょう」
キョン「あ・・・・あぁ、そうだな」
キョン「失礼しました」
バタンッ
ルルーシュ「・・・・もう少し粘ると思っていたが・・・案外あっさりしてるな」
ミレイ「なかなか礼儀正しくて好感の持てる子達じゃない!二人とも良い男だし」
ルルーシュ「それはどうでしょうね。見た目はともかく、終始ニヤついていた方の男は
どうも仮面を被ってるように見えますが」
ミレイ「仮面?」
ルルーシュ「常に本心を隠し自分を取り繕っているような、そんな印象です」
ミレイ「それあんたと同じじゃない」
ルルーシュ「一緒にしないでください。俺は常に自分をさらけ出してますよ
ナナリーの前では特にね」
ミレイ「あぁ・・・・そう・・・」
キョン「はぁ~、何なんだあの異様に威圧感のある男前男子は」
古泉「1年5組ルルーシュ・ランペルージ。生徒会の副会長です」
キョン「1年だと!?同学年じゃないか。俺はてっきり上級生だとばかり・・・・」
古泉「そう勘違いされるのも無理は無いですね。何しろあの物言いですし」
キョン「ちょっと待て、1年って事はまだ入学して半年も経ってないじゃないか!
何でそんな奴が生徒会の、それも副会長なんてのをやってるんだ?」
古泉「生徒会長のミレイさんが推薦したそうですよ。あ、先ほど生徒会室にいた
お綺麗な女性の事です」
キョン「あの人が会長だって事くらいは知ってるさ。それにしても、本当に綺麗な人だったな・・・」
古泉「何はともあれ、生徒会から明確な返答をいただいたわけですから
後はこの事を涼宮さんに伝えれば万事解決ですね」
キョン「本当に解決するのか?結局生徒会室に乗り込むなんて事になりそうな気もするが」
古泉「少なくともここ最近多発している閉鎖空間の出現はおさえられます。
その後の涼宮さんの行動については何とも言えませんね」
キョン「無責任な奴だ。どうなっても知らんぞ」
ドンッ
貴族「おい貴様!何処を見て歩いてる!!」
みくる「へ?あ・・・す、すいませぇ~ん」
貴族「私の服が汚れてしまったではないか!このイレヴンが!!
どう責任をとるつもりだ!?」
みくる「ひ・・・ひぇ~、許してくださ~い」
貴族「誰が許すか!!弁償だ!金を出せ!!」
みくる「ふぇぇ~」
貴族「ん?よく見ると貴様イレヴンの割にはなかなか整った顔をしているな。
それにスタイルも悪くない・・・・よし、奴隷にしてやる。仕方が無いからそれで許してやろう」
みくる「へ・・・・・へぇぇぇ!?」
貴族「嫌ならこの服を弁償しろ。上下合わせて1000万はするぞw」
みくる「ふぇぇぇ、誰か助けて~」
貴族「な、何だと!!」
みくる「す、涼宮さん!!」
ハルヒ「みくるちゃん、私が来たからにはもう安心よ!こんな奴の言いなりになる
必要なんてないの!自分より立場の弱い人間に威張り散らす事でしか
自己を保てないような薄っぺらい人間なんだから!」
貴族「き、貴様!!!誰に向かって言っているのか分かっているのか!?」
ハルヒ「えぇ分かってるわ。あんたよ、あ・ん・た!!」
貴族「くっ・・・イレヴン如きが男爵である私に・・・・いい度胸をしているじゃないか!!」
ハルヒ「男爵だろうが知ったこっちゃないわ!みくるちゃんは大事なSOS団の団員なの
あんたみたいな男の奴隷なんかにさせてたまるもんですか!」
貴族「口の減らない餓鬼だ・・・私を怒らせた事を後悔させてくれる!
おいお前ら!このイレヴン共を取り押さえろ!!」
スーツを着た無数の取り巻きがハルヒと朝比奈さんを押さえ込んだ。
ハルヒ「ちょ、ちょっと!!放しなさいよ馬鹿!!」
貴族「フハハハ、私に暴言を吐いた罰だ。お前も私の奴隷にしてやるw」
ハルヒ「誰が奴隷なんかになるもんですか!放せー!!」
取り巻きA「な、何て力だこの女!」
取り巻きB「コラ、大人しくしろ!」
貴族「放すなよ。屋敷に連れてって貴族がどれだけ偉く、お前らイレヴンがどれだけ
下等かをたっぷり教え込んでやるw」
ハルヒ「くぅ・・・」
?「ほぅ、それは是非俺も教えてもらいたいですね」
貴族「んん?何だ貴様は?」
ルルーシュ「ただの学生ですよ。それより、教えてくれませんか?
貴族とやらがどれだけ偉いのかを」
貴族「何を言っている。貴族が偉いのは当たり前だろうw」
ルルーシュ「フン、肩書きと既得権益にすがりつくだけの無能者が・・・そこの連中を連れて
とっとと消えろ!!」キュイーーン
ルルーシュの瞳から赤い鳥のようなものが飛び出た
貴族「・・・・・・あぁ、分かった。お前ら、帰るぞ」
貴族「構わん。帰るぞ!」
取り巻きA「は、はい!」
スタスタスタ
ハルヒ「みくるちゃん大丈夫?怪我はない?」
みくる「はい大丈夫です・・・でも怖かったですぅ」
ハルヒ「それにしても何なのあいつら?さっきまで私達を奴隷にするとか言ってたのに
急に人が変わったように・・・」
ルルーシュ「飽きっぽい連中なんだろう。貴族なんてのはそんなもんさ」
ハルヒ「あ・・・そうだ、お礼言わないとね!助けてくれてありがとう!
あなた名前は?見たところ私達と同じ学園の生徒みたいだけど」
ルルーシュ「ルルーシュだ。ルルーシュ・ランペルージ」
ハルヒ「ルルーシュ、良い名前じゃない!それにしても凄いわねアンタ!
威張り腐ってた貴族を一言で退散させちゃうなんて!いったい何者?もしかして宇宙人とか!?」
ルルーシュ「はぁ?(何なんだこの女・・・)」
ハルヒ「あっ!自己紹介が遅れちゃったわね、私は涼宮ハルヒ!よろしくねルルーシュ!」
ルルーシュ「す、涼宮ハルヒ!!?」
ルルーシュ「ま・・・まぁな(こいつがあの涼宮ハルヒだと?クソ、厄介なのと絡んでしまった・・・)」
ハルヒ「じゃあ当然SOS団の事も知ってるわよね?」
ルルーシュ「え?・・・・あぁ」
ハルヒ「だったら話は早いわ!ルルーシュ、あなたをSOS団の団員として迎え入れてあげる!」
ルルーシュ「・・・はぁ?」
ハルヒ「だから、あんたをSOS団6人目の団員として迎え入れてあげるって言ってるの♪」
ルルーシュ「結構!!俺は生徒会の副会長をやっていてな。悪いが他の部
にかまけてる時間はない」
ハルヒ「あら、あんた生徒会の人間だったの。時間なんて無理矢理作ればいいのよ
他の部と掛け持ちしてる人なんて生徒会の中にも一人くらいいるでしょ?
問題ないわ!今日この時をもってあなたをSOS団の新入団員とします!終わり」
ルルーシュ「おい、勝手に終わらせるな!!」
ハルヒ「それじゃあね!今日の放課後他の団員にも紹介してあげるから
生徒会室に行く前に絶対先にこっちに顔を出すのよ!来ないと死刑だから♪」
ルルーシュ「おい!!俺の意見は無視か!!」
ハルヒ「文芸部室よ!副会長なら場所くらい分かるでしょ。それじゃあ放課後ね♪」
みくる「待ってますねルルーシュさん」ニコッ
ルルーシュ「お、おい待て!!」
タッタッタッタッタ
ルルーシュ「・・・・な、何て自分勝手な女だ」
---------その日の放課後(文芸部室)
ハルヒ「みんなちゅうも~く!今日は我がSOS団にとって素晴らしいニュースがあるわよ!」
キョン「何だ来て早々。その素晴らしいニュースとやらの前に、古泉が報告する事が
あるらしいぜ」
ハルヒ「報告?何古泉くん?」
古泉「昨日、涼宮さんが下校された後に生徒会の方が来たのですが
どうやら部の申請の件は許可できないそうです」
ハルヒ「何だ、いいわよそんな事どうだって。元々大して期待してなかったし」
言い出すのかと思ったが」
ハルヒ「そんな物騒な事言うわけないじゃない!私は無駄な争い事は嫌いなの」
キョン「(昨日と同じ口が言っているとは思えんな)」
古泉「それで、ニュースというのはいったい何でしょうか?」
ハルヒ「ふふ~ん♪実は我がSOS団に新入団員が入る事になりました!!」
キョン「なに!?」
古泉「ほお・・・」
キョン「(嫌な予感しかしないな・・・・宇宙人未来人超能力者ときたら
遂に今度は異世界人の登場か?勘弁してほしいぜ)」
古泉「非常に興味深いですね。新入団員とはいったいどなたですか?」
ハルヒ「それはまだ秘密♪もう暫くすれば来ると思うわ。実はみくるちゃんは知ってるんだけど
なかなか良い男だし、何となくだけど古泉くんとは話が合いそうな気がするわ!」
キョン「(女の線は消えたか・・・)何で朝比奈さんは知ってるんです?」
みくる「今朝あたしと涼宮さんはブリタニアの貴族の人に絡まれてしまったんです・・・
その時助けてくれた男の人がいて」
ハルヒ「そいつを私がスカウトしたってわけ♪」
みくる「はい。その人が助けてくれましたから」
ハルヒ「困ってる人を助ける。それも相手は貴族だっていうのに
なかなか出来る事じゃないわ!キョン、あんたも見習いなさい!」
キョン「(是非見習いたいもんだ。それにしても、貴族に絡まれていた人を
助けるとは・・・仮にその新入団員とやらが異世界人やエイリアンだったとしても
少なくとも悪い奴ではなさそうだな)」
古泉「素晴らしい正義感の持ち主のようですね。我らが団長と麗しき朝比奈さんを
窮地から救い出した方とあらば、お礼の言葉を送らなければなりません」
キョン「まぁそうだな。お前はどうか知らんが、貴族を相手にするなんて
少なくとも俺には到底無理だ。尊敬するぜ」
ハルヒ「でしょ!頭も良さそうだし正義感は抜群だし良い男だし
SOS団の団員たる資格と資質を十分に兼ね備えた逸材だと思うわ!」
キョン「(はて、ハルヒは俺にもその団員たる資格や資質を見出しているのだろうか?)」
みくる「きっとキョンくん達ともすぐに仲良くなれると思いますよ!」
キョン「はは、そうですか。朝比奈さんが言うなら間違いないでしょうね」
コンコンコンッ
ハルヒ「あっ!来たみたいよ!!入っていいわよ!」
ルルーシュ「・・・・」
ハルヒ「よく来てくれたわ!みんな紹介するわね、彼が新入団員の
ルルーシュ・ランペルージ君よ!」
キョン「なっ・・・・」
長門「・・・・」
古泉「これは驚きましたね。まさか新入団員が彼だったとは」
ハルヒ「古泉くんルルーシュの事知ってるの?」
古泉「えぇ、昨日初めてお会いしたばかりですが」
キョン「おいハルヒ、その人は生徒会の副会長だって事知ってるんだろうな?」
ハルヒ「勿論知ってるわよ!何か問題でもあるの?」
キョン「いや・・・・別にないが(昨日まで生徒会を目の敵にしてただろうが)」
ルルーシュ「言っておくが、俺はこんなわけの分からん部に入るつもりなどないからな」
ハルヒ「はぁ!?何よそれ!!話が違うじゃない!!」
ルルーシュ「話が違うも何も、お前とまともな話をした覚えなどない!
人の意見も聞かず一方的に話を進めただけじゃないか!」
まぁこの人に限らずそんな物好きはこの世に一人としていないだろうが)」
ルルーシュ「だからここでキッパリと言っておく!俺はお前の部には入らない!
諦めるんだな!」
ハルヒ「そんな勝手は通用しないわ!だいたい入団したての新米が団長に
意見しようなんて100万年早いのよ!」
ルルーシュ「勝手を言っているのはお前の方だろ!それに俺は入団などしていない!」
ハルヒ「ふーん、どうしても入らないつもり?」
ルルーシュ「当たり前だ」
ハルヒ「キョン、そこにあるデジカメとって!それとみくるちゃんちょっとこっち来て!」
みくる「へ?あたしですか?」
キョン「おいハルヒ、お前まさかまたあれをする気じゃ・・・」
ハルヒ「フフーン♪」
ルルーシュ「あれというのはコンピュータ研の部長を陥れた際に使った策の事か?」
ハルヒ「!?」
ルルーシュ「フン、図星のようだな」
ルルーシュ「ここに来る前にお前がこれまでにとった奇行愚行の数々を
調べただけだ。俺にはそんな安い手は通用しない」
ハルヒ「くぅぅ・・・・・」
キョン「(あのハルヒが完全に押されている・・・やるな副会長)」
ルルーシュ「打つ手無しといったところかな?では俺はこれで失礼する」
ハルヒ「待ちなさい!じゃあ将棋で勝負しましょう!!」
ルルーシュ「将棋?」
ハルヒ「そう!アンタが勝ったら入団の件は諦めるわ。ただし私が勝ったら」
ルルーシュ「入団というわけか」
ハルヒ「そう!」
ルルーシュ「いいだろう、面白い!将棋というゲームには前から興味もあったしな」
キョン「興味があったって・・・やった事ないのか?それじゃゲームにならんだろう」
ルルーシュ「駒の動かし方と基本的なルールさえ把握できれば後は何の問題もない」
キョン「問題ないって・・・将棋には定跡ってものがあってだな
駒の動かし方が分かっただけじゃ話にならんぞ?」
駒の動きを理解しただけでも十分な実力を見せてくれると思いますよ」
キョン「そうなのか?」
ルルーシュ「あぁ。6連覇中だ」
キョン「ろ、6連覇だと・・・」
ハルヒ「相手にとって不足無しね!古泉くん、ルルーシュに駒の動かし方教えてあげて」
古泉「かしこまりました」
-------数分後
ルルーシュ「理解した。早速始めよう」
キョン「もう全部の駒の動きを把握したのか?ややこしい動きをする奴もあるから
俺なんかはちゃんと理解するのに結構時間がかかったが」
ハルヒ「アンタとルルーシュとじゃ頭の出来が違うんでしょ」
キョン「あぁそうかい」
ハルヒ「先手は私ね!」
ルルーシュ「お好きにどうぞ(確か将棋は取った相手の駒を使用できるんだったな
チェスよりもいろいろな策を組めそうだ。完膚なきまでに叩きのめしてやる)」
ハルヒ「王手!!!!」ビシッ
ルルーシュ「なっ!?」
キョン「おぉ!」
ハルヒ「勝負ありね!私の勝ち♪約束通りSOS団に入ってもらうからね!」
ルルーシュ「ありえない・・・俺がこの手のゲームで負けるなど・・・それもこんな奴に」
ハルヒ「フフーン♪まさか今更ゴネたりしないでしょうね?」
ルルーシュ「・・・フン、約束は守るさ」
ハルヒ「それでこそ男だわ!SOS団にようこそ!
今更自己紹介ってのもあれだけど一応しとくわね、私が団長の涼宮ハルヒ!
そこにいるメイド服の子は朝比奈みくるちゃん、ずっと本を読んでるのが長門有希!」
みくる「ルルーシュくん、よろしくお願いしますね」
ルルーシュ「え・・・えぇ」
ハルヒ「そんでそこに立ってる格好良いのが古泉くん!
冴えない顔をしてるのがキョンよ!」
古泉「古泉です、よろしくお願いします」
キョン「勿論あだ名だ」
ハルヒ「みんなそう呼んでるから、アンタもそう呼ぶといいわ」
ルルーシュ「団員の顔と名前は分かった。ただ最後に一つだけ聞きたい事があるんだが」
ハルヒ「なに?」
ルルーシュ「生徒会室で申請書を見たときから謎だったんだが、この部・・・
いやSOS団というのは具体的に何をする団体なんだ?これまでの活動内容なども
加えて教えてくれると助かるのだが」
ハルヒ「いいわ、教えてあげる!それはね」
ルルーシュ「(まさか本当に宇宙人その他と一緒に遊ぶなどというふざけた
理由じゃないだろうな・・・・・・)」
ハルヒ「宇宙人や未来人、超能力者を見つけて一緒に遊ぶ事よ♪」
ルルーシュ「・・・・冗談だろ?」
ハルヒ「この場面で冗談なんて言うはずないじゃない。大マジよ」
ルルーシュ「くっ・・・・(俺の学園生活が・・・)」
キョン「心中察するぜ。ハルヒと関わっちまったのが運のつきさ。諦めろ」
C.C「それで結局そのSOS団とやらに入る事になったのか」
ルルーシュ「・・・あぁ」
C.C「良かったじゃないかルルーシュ。新しい友達ができて」
ルルーシュ「ちっとも良い事などあるか!」
C.C「だがお前の話を聞く限りではなかなか面白そうな奴じゃないか
その涼宮ハルヒという女は」
ルルーシュ「何処が面白いんだ。俺にはただの馬鹿としか思えん」
C.C「その馬鹿に将棋で負けたお前はいったい何なんだろうな」
ルルーシュ「今になって考えるとあの対局はおかしかった・・・
上手く説明できないが、身体が頭で考えてる事と間逆の行動をとっていたような
そんな感じだった。あれはいったい・・・」
C.C「何を意味の分からん事を言っている。言い訳とはらしくないな」
ルルーシュ「言い訳じゃない!確かにあの時、そんな感覚があったんだ・・・」
C.C「そうか、そんなに悔しかったのか。次は勝てるといいな坊や」
ルルーシュ「くっ・・・・」
俺にとって現状は好ましくない」
C.C「二つも三つもさして変わらんだろ」
ルルーシュ「普通の部活ならな。残念ながら涼宮ハルヒは勿論の事
SOS団なる団体もかなり異質と言わざるを得ない。たった一日関わっただけなのに
既に俺の頭はあの馬鹿女のせいでパニック状態だ。長く付き合えば必ず
黒の騎士団の、ゼロとしての活動の弊害となるだろう」
C.C「ではどうする?ギアスを使うか?」
ルルーシュ「フン、取り敢えず暫く様子を見て判断するさ」
C.C「そうかそうか、お前はいろいろと大変だな。ところでルルーシュ」
ルルーシュ「ん?何だ?」
C.C「宇宙人や未来人、超能力者とやらは本当にこの世に存在すると思うか?」
ルルーシュ「何だ急に?いるわけがないだろ。あの女の脳内にしか存在しないさ」
C.C「普通の人間から見れば、ギアスを使えるお前は十分超能力者に見えるんじゃないか?」
ルルーシュ「・・・・・何が言いたい?」
C.C「いや、ただお前がSOS団に入ったのは偶然ではなく
必然だったのかもしれないと思っただけさ」
C.C「だといいな」
------数日後の日曜日
ハルヒ「じゃあさっき分けた班ごとに行動しましょう!
キョン、古泉くん、何か不思議なものをみつけたら直ぐに私に連絡すること!いいわね?」
キョン「あぁ、わかったよ」
古泉「了解しました」
ルルーシュ「待て!どうせなら俺もキョンや古泉の班に入りたいのだが・・・」
キョン「そうだな、この際男女で分けた方がいいんじゃないのか?」
ハルヒ「駄目よ!ルルーシュは今日が始めての不思議探しなんだから
最初は私がしっかり基礎を教えてあげないとね」
キョン「(何の基礎があるっていうんだ・・・)」
ルルーシュ「(奇天烈女に無口女・・・まともに話せるのは朝比奈みくるだけか・・・)」
ハルヒ「今9時だから、12時半になったらいつもの喫茶店に集合ね!それじゃ解散!!」
ルルーシュ「で、不思議探しとは具体的に何をするんだ?」
ハルヒ「特別何かをする必要はないわ!ただ街を歩くだけよ」
ルルーシュ「そんな事だろうと思ったが、だったら俺が向こうの班に行っても
問題なかっただろ・・・」
ハルヒ「何処か行きたい所とかある?」
ルルーシュ「ない」
ハルヒ「有希は?」
長門「ない」
ルルーシュ「(そういえばこいつの声を聞いたのは初めてな気がする)」
ハルヒ「みくるちゃんは?」
みくる「新しいお茶の葉を買いたいんですけど」
ハルヒ「いいわよ!じゃあ駅前のデパートに行きましょう!」
ルルーシュ「はぁ・・・」
キョン「さて、何処で時間を潰したもんかね」
古泉「少しよろしいでしょうか?」
キョン「何だ?トイレか?」
古泉「いえ、そういう事ではなくて。ルルーシュさんの事をどう思いますか?」
キョン「ルルーシュ?どう思うって言われてもな。入団以来毎日部室に
顔を出してるし、今日だって休日だってのにああやって集合してるんだ
悪い奴ではないと思うぞ」
古泉「えぇ、僕もそう思います。しかし」
キョン「しかし、何だ?」
古泉「涼宮さんが宇宙人や未来人や超能力者と一緒に遊びたいと望んだ結果
僕や長門さんや朝比奈さんが集まりました。では彼は何者なのか?と思いませんか?」
キョン「思わんね。俺みたいにただ単に集められただけなのかもしれないだろ」
古泉「言っておきますが、アナタはただ単に集められたわけではありませんよ
普通の人間である事は間違いありませんが、涼宮さんがそう望んだ以上必ず理由があります
その理由に関して個人的な見解があるのですが、お聞きしますか?」
キョン「聞きたかないね」
古泉「そう言うと思いました」
SOS団に入れたのには必ず」
キョン「窮地のハルヒと朝比奈さんを助けたってのは理由にならんのか?」
古泉「そのくらいで涼宮さんが目をつけるとは到底思えませんね」
キョン「だったら何だ、あいつは異世界人だとでも言いたいのか?」
古泉「勿論その可能性はありますが、まだ何とも。一応調べてはいるのですが」
キョン「調べる?ルルーシュをか?」
古泉「えぇ。何しろ急に現れた新団員ですからね。徹底的に調べてますよ」
キョン「だったら何か分かってるんじゃないのか?」
古泉「それがさっぱりでしてね。ここ数日、複数の機関の人間が彼を監視
していたのですが、目ぼしい情報はこれといってありませんでした」
キョン「だったら普通の人間なんだろ。お前の早とちりだ」
古泉「そうかもしれませんね。監視係は揃って『何も異常はない』ばかりですし
ただそれ以外にも気になる事があるんですよ」
キョン「何だ?」
古泉「現在の彼の状況です。現在彼は妹さんと一緒に学園内にあるクラブハウス
で生活しています。両親はおらず、アッシュフォード家が経済的な面での支援を
行っているようです」
古泉「不明です。出生や経歴を調べようにも情報が全く出てきませんでした
それらの事を踏まえて考えても、やはり僕には普通の人間という風には思えません」
キョン「いっその事直接本人に聞いてみたらどうだ?」
古泉「それは少々危険な気がしますね。なんというか、彼に大しては慎重に
対応した方が良いように思います」
キョン「他には何かないのか?」
古泉「監視初日にあがってきた情報なのですが、どうやら彼は同棲しているようです」
キョン「なに!?お前さっきは妹と二人暮らしって言ってたじゃないか」
古泉「表ではそういう事になっていますが、実際は違うようです
彼自身その事実はオープンにしていません」
キョン「同棲だと・・・相手はどんな奴だ?可愛いのか?」
古泉「とびっきりの美人だとの報告を受けています」
キョン「くそっ・・・・なんて羨ましい奴だ」
古泉「おや、あなたもそのような願望をお持ちなのですか?」
キョン「そりゃ俺も健康な男子だからな。人並みには持ち合わせてるつもりだ」
ハルヒ側は夏休み明け
ギアス側は九州戦役~学園際の間って設定してるけど
所々都合よく変えてる場所があります
あの対局の事なんだが・・・あれにはやっぱりハルヒパワーが絡んでたのか?」
古泉「えぇ、恐らくそうでしょうね。普通にやれば涼宮さんがあの手のゲームで
彼に勝つ事は到底無理でしょう。何としても勝ちたいという強い思いが
あの結果を生んだのでしょう」
キョン「俺でも分かるようなあからさまなミスを連発してたもんな、あいつ。
なるほど、やっぱりハルヒの力が原因だったわけか」
古泉「彼に関してはもう少し調査を続けようと思ってます。何か新しい事が
分かったらすぐにあなたにお教えしますよ」
キョン「その事なんだがな、長門の意見も聞いてみたらどうだ?
あいつならお前が掴んでないような情報も知ってるだろうよ」
古泉「先日尋ねてみましたが、我々同様調査中との事です
統合思念体でさえ彼の調査には苦労しているようですね」
キョン「そうなのか。朝比奈さんは?」
古泉「朝比奈さんに関してはそれらの事を疑ってすらないでしょうね
彼に何の疑問も感じず過ごしている様子を見る限り、未来から特別な指示や連絡は
受けていないのだと思います。・・・と、もうすぐ12時です、そろそろ戻りましょう」
キョン「そうだな」
ガチャッ
C.C「おかえりルルーシュ。あまりに帰りが遅いから勝手にピザを頼ませてもらったぞ」
ルルーシュ「・・・お前、また許可なく人のキャッシュカードを使ったな」
C.C「仕方ないだろ。私に餓死しろとでもいうのか?」
ルルーシュ「一食抜いたくらいで餓死するわけないだろ」
C.C「全く、うるさい男だ。それにしても随分と遅かったな
不思議探しだったか?成果はあったのか?」
ルルーシュ「あるわけないだろ。一日中街中を歩き回ってただけだ
デパートでお茶の葉を買ったり、図書館で本を読んだり、喫茶店で食事をしたり・・・」
C.C「まるで小学生の休日だな」
ルルーシュ「同意してやる。まったく、貴重な休みを潰された気分だ」
C.C「そんなに嫌なら何故毎日甲斐甲斐しく部室に顔を出す?それに今日は休日だ
いろいろと理由をつければ回避する事だって出来ただろう?」
ルルーシュ「少々興味のある事があってな」
C.C「興味?何の事だそれは?」
ルルーシュ「涼宮ハルヒ」
ルルーシュ「ああ」
C.C「やれやれ、散々文句を言っておきながらほの字と言うわけか」
ルルーシュ「おい、勘違いするな。興味があるとはそういう意味ではない」
C.C「じゃあどういう意味だ?」
ルルーシュ「お前には黙っていたが、俺はここ数日間何者かに監視されていてな」
C.C「監視?まさかブリタニアの!?」
ルルーシュ「最初は俺もそう思った。だから黒の騎士団を使い監視している者を
一人拘束し、ギアスを使って尋問をしてみた。どうやら俺を監視しているのは
ブリタニアとは無関係の『機関』と呼ばれる組織の人間らしい」
C.C「機関?」
ルルーシュ「そして俺の身近にその機関とやらのメンバーがいる事もわかった」
C.C「それが涼宮ハルヒか?」
ルルーシュ「いや、あいつじゃない。古泉一樹だ」
C.C「こいずみいつき?誰だそれは」
ルルーシュ「SOS団の副団長。今では涼宮ハルヒの太鼓もちと化してる男だ」
ルルーシュ「どうやら機関とやらは俺だけじゃなく涼宮ハルヒも監視しているらくてな」
C.C「何の為にだ?」
ルルーシュ「あの女には自分の願望を現実に反映させる能力があるようだ」
C.C「願望を現実に?」
ルルーシュ「これまでも無意識の内に数多くその力を発揮しているようだ。
宇宙人や未来人、超能力者を見つけて一緒に遊ぶ・・・実はこの願いも既に成就している」
C.C「ほう」
ルルーシュ「SOS団にいるメンバーの内、長門有希は宇宙人で、朝比奈みくるは未来人
そして機関に属している古泉一樹は超能力者との事だ」
C.C「SOS団ってのはお前を含めて6人じゃなかったか?残りの1人は何者なんだ?」
ルルーシュ「キョンの事か?あいつはただの人間らしい。何故涼宮ハルヒによって
召集されたかは謎だそうだ」
C.C「お前は超能力者枠か?」
ルルーシュ「・・・まぁ、そうなるだろうな」
C.C「何となく分かってきた。要するにその機関とやらは唐突に涼宮ハルヒの前に
現れたお前が何者なのかを調べているという事だな?」
いるらしくてな、神経質にならざるを得ないのだろう」
C.C「自分の願望を現実世界に反映させる能力か。確かにまるで神だな」
ルルーシュ「尋問をした機関の人間は知らなかったが、恐らく涼宮ハルヒのその力は
ギアスによるものだろう。何か心当たりはあるか?」
C.C「ないな。少なくとも私は女と契約した事など一度もない」
ルルーシュ「では別の契約者がいるという事か・・・。まぁいい、そいつも一緒に
篭絡してやる」
C.C「なるほど、お目当ては涼宮ハルヒの力だったか。だから嫌々SOS団の活動に
参加していたというわけか」
ルルーシュ「あいつのギアスがあれば、日本の開放もブリタニアの破壊も
洗脳次第で容易に達成できるからな。藤堂以上に得難い存在だ
今思えば、俺があいつに将棋で勝てなかったのは当たり前だったんだ
あいつが勝ちを望んでいた以上、俺に勝ち目などハナから無かったんだからな」
C.C「篭絡するのは簡単だろう。お前が先にギアスをかければ済む話だ
わざわざ団の活動に参加する必要は無いんじゃないか?」
ルルーシュ「勿論最終的にはあの女にギアスをかけるつもりだ。
だがその前に、それの妨げになるであろう障害を何とかしなくてはならない」
C.C「機関か?」
涼宮ハルヒの監視や保護を目的として存在しているようだからな。
少なくとも三つの勢力を無力化してからでないと、あの女には手を出せない」
C.C「その連中もギアスで操ってしまえばいいだろ」
ルルーシュ「機関はかなり大きな組織だ。それに長門有希のように涼宮ハルヒの
監視を目的とした宇宙人は数多く存在している。そいつら全員にギアスをかけろと?
未来人の一派など、その規模を考えるだけで頭が痛くなる」
C.C「全員殺すよりは時間はかからんと思うがな」
ルルーシュ「下手に手は打てないさ。何しろ相手はブリタニアよりもタチの悪そうな連中だ
機関の方は俺を監視していた奴全員にギアスをかけ、徐々に掌握しつつあるが
宇宙人と未来人・・・こいつらもある程度無力化せねば、仮に涼宮ハルヒにギアスをかけた
ところで、俺が殺されて終わりだ」
C.C「何だ、結局全員にギアスをかけるんじゃないか」
ルルーシュ「全員にかける必要は無い。取り敢えず末端の人間を掌握する事ができれば
黒の騎士団を使って残った連中は容易に始末する事ができるはずだ
その為にはやはりあの三人!古泉、長門、朝比奈を何とかするのが先だな」
C.C「忙しくなりそうだな。頑張れよルルーシュ」
ルルーシュ「なに、すぐに終わらせてやるさ(ベストは宇宙人の勢力、未来人の勢力
超能力者の勢力を一気に黒の騎士団に吸収させる事だが、流石にそこまで上手くはいかないだろう
とにかく涼宮ハルヒの力さえ手に入れば、それだけでいい)」
ルルーシュ「チェックメイト」
古泉「どうやらまた僕の負けのようですね」
ルルーシュ「・・・お前、わざとやってるんじゃないだろうな?」
古泉「とんでもない、僕は毎回本気でやっていますよ」
ルルーシュ「どうだか」
キョン「ルルーシュは強すぎるし、古泉は弱すぎる」
古泉「だそうですよ」
ルルーシュ「フン」
古泉「そういえば涼宮さんがまだ来てませんね。今日は掃除当番か何かなのですか?」
キョン「さぁな。ホームルームが終わるなり物凄いスピードで教室を出て行ったから
少なくとも掃除当番ではないと思うが、何処で何をしてるかは知らん
またよからぬ事を企んでなければいいが・・・」
古泉「この時期は涼宮さんが目をつけそうなイベントが目白押しですからね
文化祭に体育祭、大人しくしておけというのが無理な話です」
キョン「はぁ~、やれやれだ」
ハルヒ「やっほー!みんなお待たせ!!」
ルルーシュ「噂をすればだな」
ハルヒ「噂?」
ルルーシュ「いや、何でもない。こっちの話だ」
キョン「この時間まで何処で何してたんだ?」
ハルヒ「ちょっと生徒会室までね!」
ルルーシュ「生徒会室?何の用があってだ?」
ハルヒ「そんなの、文化祭でやる出し物の申請に決まってるじゃない!」
ルルーシュ「文化祭の出し物だと?あぁ、お前のクラスでやる出し物の申請か」
ハルヒ「クラスの出し物なんて興味ないわ!私が申請してきたのはSOS団の出し物よ」
ルルーシュ「おい、何をやるつもりか知らんが、俺達は何も聞いていないぞ!」
ハルヒ「当たり前じゃない。今から発表するんだから」
ルルーシュ「(相変わらず自分勝手な女だ!)」
キョン「で、何をしようってんだ?」
みくる「は、はぁ~い」
長門「・・・・」
ハルヒ「今年の文化祭、我がSOS団は!!」
キョン「(どうか普通の事であってくれ)」
ハルヒ「超巨大ピザを作ります!!」
キョン「(祈るだけ無駄だったか・・・)」
ルルーシュ「巨大ピザだと?」
ハルヒ「甘いわルルーシュ!超巨大ピザよ!」
ルルーシュ「・・・・・超のあるなしはそんなに重要か?」
ハルヒ「当たり前じゃない!巨大ピザなんてそこらのチェーン店だってメニューとして
取り入れてるわ!私達が作るのは未だかつて誰も見たことがないような超巨大なピザなのよ!」
みくる「あの~、どのくらい大きいものを作る予定なんですか?」
ハルヒ「そうね~、直径12mくらいかしら!」
キョン「そんな大きなピザ作れるはずないだろ」
ルルーシュ「やらなくても分かる。仮に直径12mのピザを作るとして
それだけの大きさの生地を作るのに必要な強力粉や薄力粉はどこから調達するつもりだ?
細かく言えば他にも様々な材料が必要になる。それらを購入するだけの金は何処にある?」
ハルヒ「文芸部の部費で何とかなるんじゃない?」
ルルーシュ「なるわけないだろ!学園内にある全ての部活の部費を合わせても
不可能だ!」
キョン「(いいぞルルーシュ、もっと言え)」
ルルーシュ「まだあるぞ、12mもある超巨大なピザをどうやって焼くつもりだ?
それ相応の巨大オーブンが必要になるが、そんなもの恐らくこの世の何処にも存在しない
考えれば考えるほど不可能だ。どうせ申請は通らんだろうな」
古泉「確かに現実的に考えると少々厳しいかもしれませんね」
ハルヒ「はぁ~、アンタもまだまだねルルーシュ」
ルルーシュ「何だと?」
ハルヒ「若い内からそうやって何でもやる前から出来るわけがないって決め付けてると
将来つまらない大人になってつまらない人生を歩む事になるわよ!
若い内はどんなに失敗しても取り返しがつくんだから、どんどんいろんな事に挑戦しないと
駄目なの!」
キョン「言いたい事は分かるが、金銭的な事を考えると現実的に厳しいのは事実だろ?」
お金の問題なんて踏み出して壁にぶち当たってから悩めばいいの!
踏み出す前からあれこれ考えてそのまま立ち往生なんて愚の骨頂だわ!」
ルルーシュ「!!(そうだ、最初は不可能だと思っていたブリタニアとの戦争だって今は・・・)」
キョン「踏み出さない勇気というのも時と場合によってはだな」
ルルーシュ「いや、涼宮の言うとおりだ」
キョン「へ?」
ルルーシュ「やりもしない内から諦めるのは確かに良くない」
キョン「おいおい正気か?途中で頭打ちになるのは目に見えてるぞ?」
ルルーシュ「それが行動の結果なら意味はある。だが、行動する前に諦めていては
何の意味もない。俺は涼宮に協力する」
ハルヒ「よくぞ言ったわルルーシュ!そう、何事も行動する事が大事なのよ!
みくるちゃんと有希も協力してくれるわよね?」
みくる「はい、勿論です」
長門「・・・」コクッ
ハルヒ「古泉くんは?」
古泉「えぇ、協力させていただきます」
ハルヒ「みーんな協力してくれるそうよ!アンタはどうするの?」
キョン「・・・分かったよ、俺も協力する」
ハルヒ「フフーン♪じゃあ決まりね!」
キョン「ただ俺たちの意見がまとまっても生徒会に出した申請書が通らなかったら
何の意味もないぞ。どうするんだ?」
ルルーシュ「問題ない。俺が何とかしておく」
キョン「そういやお前は副会長だったな・・・」
ハルヒ「じゃあ申請書の件はルルーシュお願いね!それから他にも決める事が
いっぱいあるから今週の土日は泊りがけでみんなで作戦会議をしましょ!」
キョン「泊りがけって、これだけの人数何処に泊まれる家がある」
ハルヒ「アンタん家は?」
キョン「夏休みの時に一回来た事あるだろ?六人も寝られん」
古泉「ルルーシュさんの家はどうでしょうか?」
ルルーシュ「俺の家?」
古泉「えぇ。クラブハウスの中ですし、大人数が寝るスペースもあるのではないかと思いまして」
直接調査がしたいだけだな。まぁ調べられたところで何も出ないが)」
古泉「どうでしょうか?迷惑なようでしたら別の所を探しますが」
ルルーシュ「別に構わないぞ」
ハルヒ「本当!?じゃあ週末はルルーシュの家でお泊りって事で!
みんないいわね?」
みくる「分かりました~」
キョン「やれやれだ」
ルルーシュ「泊まるのはいいんだが・・・前にも言ったが俺には妹がいてな
目と足が不自由で音に物凄く敏感なんだ。だから出来るだけ大きな音を
立てないように注意してくれると助かる」
ハルヒ「妹がいたのは知ってたけど、目と足が不自由だなんて始めて知ったわ・・・大変ね。
分かったわ!みんなも大丈夫よね?」
キョン「あぁ、勿論さ」
古泉「了解しました」
みくる「分かりましたぁ」
長門「分かった」
ルルーシュ「ありがとう・・・助かるよ」
C.C「お泊り会だと?」
ルルーシュ「あぁ」
C.C「この部屋にもそいつらは来るのか?」
ルルーシュ「まぁ、そうなるだろうな」
C.C「その間私はどうしていればいい?」
ルルーシュ「恐らく機関の連中は俺の家にお前が出入りしている事を知っているだろう
だがギアスの媒介者とまでは知らないはずだ。ギアスの存在自体知らないだろうしな
精々俺の恋人程度にしか思っていないだろうから、別にいてもいなくても構わんぞ」
C.C「じゃあお言葉に甘えてここにいさせてもらおう」
ルルーシュ「ただし、あいつらの前では俺の恋人役を演じてもらう」
C.C「・・・なんだと?」
ルルーシュ「他の連中はともかく、古泉一樹は恐らく俺とお前の関係を探りたがっている
ここ数日俺を監視した事で得た唯一の情報と言ってもいいだろうからな
だから誤魔化す必要があるんだ、頼んだぞC.C」
C.C「別に構わんが、私の愛は少々過剰な上に情熱的だぞ?覚悟はあるんだろうな?」
ルルーシュ「寧ろそのくらいの方がいい。中途半端な演技では見破られる」
ルルーシュ「(これで古泉への対策は万全だ。調べたければ
好きなだけ調べればいい。その分お前の俺に対する疑いは薄くなる)」
--------土曜日(クラブハウスの前)
ハルヒ「キョン!遅刻よ!!」
キョン「時計を見ろ、待ち合わせの時間より20分も早いじゃないか!
お前達が早すぎるんだ」
ハルヒ「うるさいわね!とにかく一番遅く来たんだから罰金よ罰金!」
キョン「へいへい」
古泉「では全員揃った事ですし、チャイムを鳴らしましょうか」
ハルヒ「あっ!待って古泉くん!」
古泉「何でしょう?」
ハルヒ「妹さんは音に敏感だって言ってたでしょ!ルルーシュに電話して
着いたから開けてって言えばいいんだし、鳴らさなくていいわ」
古泉「そうですね。流石涼宮さん、僕は配慮が足りませんでしたね」
ルルーシュ「入っていいぞ。それにしても思ったより早かったな」
キョン「集まりの速さだけが取り柄のような団だからな」
ルルーシュ「フッ、確かにそうだな」
ハルヒ「おっ邪魔しま~~す!!」
みくる「お邪魔しますぅ」
ドタドタッ
ハルヒ「へ~。クラブハウスの中って初めて入ったけど、やっぱり広いわね~!」
ルルーシュ「ここは俺達兄弟以外はアッシュフォード家の人間しか使用していないから
殆どのスペースが空いている状態なんだ。文化祭の作業をするには持ってこいだろう」
ハルヒ「えぇ、素晴らしいわ!」
キョン「お前の部屋やらは何処にあるんだ?」
ルルーシュ「二階だ。そこにお前達が今日泊まる部屋や妹の部屋
リビング、キッチンがある。これから案内する」
ハルヒ「ねぇ、もしかしてあそこにいるのがルルーシュの妹さん?」
ルルーシュ「ん?なっ・・・(いくらなんでも登場が早すぎるぞC.C!!)」
ハルヒ「シーツー?変わった名前ね。シーツー・ランペルージって言うの?」
C.C「いずれはそうなるだろうな」
ハルヒ「いずれ?」
ルルーシュ「こいつは妹じゃない。俺の妹はもっと品のある顔をしている」
キョン「(まさかこの人が古泉の言ってたルルーシュの同棲相手か?)」
ハルヒ「じゃあ誰なの?」
ルルーシュ「俺の・・・・・・俺の彼女だ」
ハルヒ「えぇ!!?」
みくる「ふえぇぇ!?」
ハルヒ「ルルーシュ、アンタ・・・彼女なんていいたの!?」
ルルーシュ「ま・・・まぁな」
ハルヒ「そんな大事な事なんで今まで黙ってたのよ!水臭いじゃない!」
キョン「(そりゃお前には言いたかないだろうよ。あれこれ引っ掻き回されるのがオチだからな
それにしても、古泉の言う通り本当に美人だな・・・)」
ハルヒ「えぇ!?」
みくる「ふえぇぇ!?」
ハルヒ「本当なのルルーシュ?」
ルルーシュ「ま・・・まぁな」
みくる「まだ高校生なのに同棲なんて・・・凄いですね」
ハルヒ「アンタやるじゃない!いっつも女子にそっけないから
もしかしたら実はあっち系の人なんじゃないかって心配してたのよ!正常で安心したわ」
ルルーシュ「・・・それは何よりだ」
古泉「ちょっとよろしいでしょうか?」
C.C「何だ?」
古泉「ルルーシュさんとはいつ、何処で知り合ったのですか?」
C.C「今年の春先だ。こいつが私をナンパしてきてな」
ルルーシュ「なっ・・・・!」
ハルヒ「えぇ!?ルルーシュ、アンタってそんなキャラだったの!?」
ルルーシュ「名誉の為に言わせて貰う、断じて違う!C.C、適当なことを言うな!」
『一目惚れしたので付き合ってほしい』と求愛されたんだ」
キョン「まるで谷口だな・・・」
古泉「これは意外ですね。アナタにそのような一面があったとは」
ルルーシュ「おい、お前達人の話を聞け!!」
C.C「照れるな照れるな。顔が真っ赤だぞ」
ルルーシュ「顔が真っ赤なのは怒っているからだ!照れているわけじゃない!」
C.C「そうかそうか、ではもっと真っ赤にしてやろう」
ルルーシュ「なに!?うわっ、何を!!」
ブチュー
C.Cはルルーシュの唇にキスをし
舌を絡めだした
ハルヒ「え、えぇ!!?」
みくる「ひゃ・・・ひゃゃゃぁ///」
キョン「お・・・・おぉ」
長門「・・・・」
レロレロ・・・・レロレロ
プハッ
C.C「何故放す?これからが本番だというのに・・・」
みくる「ほ・・・本番///」プシュー
ドテッ
キョン「あ、朝比奈さん!!」
ルルーシュ「きゅ、急に何をするんだこの魔女!!」
C.C「何を焦っているんだ?いつもやっている事じゃないか」
ルルーシュ「くっ・・・(こいつ、さては最初から俺を困らせるのが目的だったな)」
キョン「いつもやっているのは構わんが、人目くらいはばかってくれよ
朝比奈さんがショートしちまったじゃないか」
ルルーシュ「いつもなどやっていない!」
C.C「それは失礼した。その娘には少々刺激が強すぎたな
ん?お前は平気なようだな?」
ハルヒ「へ?ま・・・・まぁね」
キョン「(ハルヒも珍しく動揺してるな。まぁあんなもん目の前で見せられたら無理もない)」
他に何か質問はあるか?」
古泉「いえ、ありません。それにしてもアナタが羨ましいですよ
このような美しい人に想われていて」
C.C「だろう?こいつはその辺の認識が全くなくてな。困った奴だ」
ルルーシュ「お前・・・・・」
C.C「私はこれから少し出かけてくる。お前は早くそいつらを部屋に案内してやれ
いつまでもこんな所で立ち話もなんだろう」
ルルーシュ「出かける?何処へ?」
C.C「秘密だ。ではな」
ガチャッ・・・バタンッ
ルルーシュ「全く、変な女だ」
ハルヒ「それにしても何ていうか・・・凄い情熱的な人ね!
まさか人前であんなことするなんて、ちょっとビックリしちゃったわ」
ルルーシュ「あいつは頭の方が少し弱いんだ。あまり気にしないでくれ
それより部屋に案内する、着いてきてくれ」
ルルーシュ「右が古泉とキョンの部屋で、左が長門有希、朝比奈さん、涼宮の部屋だ」
ハルヒ「みくるちゃん、いつまで寝てるの!早く起きなさい!」
ビシバシッ
キョン「おいハルヒ!そんな起こし方があるか!もっと優しく起こしてやれ!」
ハルヒ「うるっさいわね!何言っても起きないだから叩くしかないじゃない!」
キョン「何でお前はそう極端なものの考え方しかできないんだ」
ハルヒ「アホキョンは黙ってなさい!私には私の起こし方があるの!」
ビシバシッ
キョン「お、おい!!」
ルルーシュ「・・・何でもいいが、部屋に荷物を置いたらリビングに集まってくれよ
妹を紹介したい」
ハルヒ「分かったわ!みくるちゃんが起き次第向かうわね」
ビシバシッ
キョン「だから止めろっての!!」
みくる「zzz」
ガチャッ
キョン「あれ?ルルーシュはいないのか?」
みくる「妹さんを連れてくるって言ってさっき出て行きましたよ」
キョン「朝比奈さん、やっと目が覚めたんですか」
みくる「はい、心配かけてゴメンねキョンくん」
キョン「いえいえ(二階まで朝比奈さんをおぶっている時背中に感じた
胸の感触は一生忘れまい)」
ハルヒ「何ニヤニヤしてるの?どうせ変なこと考えてるんでしょ?気持ち悪い」
キョン「(こいつはエスパーか!)」
ガチャッ
ルルーシュ「ん?全員揃ってたのか。紹介する、妹のナナリーだ」
ナナリー「初めまして、ナナリー・ランペルージです。」
キョン「お・・・・(流石ルルーシュの血を分けただけの事はある!
なんて可憐な少女だ)」
ハルヒ「めっっちゃくちゃ可愛いじゃないの!!女の私でも思わずフラつくほどの
可愛さだわ!初めまして、私がSOS団の団長涼宮ハルヒ!よろしくねナナリー」
古泉「古泉一樹です。どうぞよろしく」
長門「・・・・・長門有希」
キョン「俺は」
ハルヒ「こいつはキョンよ!」
キョン「(何で毎回俺の紹介をお前がするんだ)」
ナナリー「ふふ、みなさんよろしくお願いしますね」
ハルヒ「それにしても可愛すぎるわ!!ルルーシュ、アンタって本当に幸せ者ね!
美人な彼女にこんな可愛い妹までいて!」
ナナリー「へ?彼女?」
ルルーシュ「な、何でもないよナナリー!」
ハルヒ「この可愛さは尋常じゃないわ!決めた、ナナリーをSOS団7人目の
団員として迎え入れる事にするわ!!」
ルルーシュ「それだけは絶対に許さん!!」
ハルヒ「何でよ!?兄弟揃ってSOS団の団員なんて歴史的快挙よ?
誇るべきことだわ!」
ルルーシュ「何が快挙だ!とにかく、ナナリーだけは絶対に駄目だ!」
ルルーシュ「なに!?」
ハルヒ「勿論大歓迎よ!本人がそう言っているんだからアンタも文句はないわね?」
ルルーシュ「考え直せナナリー!こいつに、この団に関わってもろくな事ないぞ!」
ナナリー「でもお兄様いつも楽しそうですよ!私も不思議探しをしてみたいです
それに、SOS団に入ればお兄様と一緒にいられる時間も増えますし・・・」
ルルーシュ「ナナリー・・・(最近色々と忙しくて帰りが遅くなる日が多かったからな
ナナリーも寂しがっていたのか)」
ハルヒ「安心しなさい!これからはいつでも一緒にいられるわよ!
ルルーシュ、今度から部室に来る時はちゃんとナナリーも一緒に連れてくるのよ!」
ルルーシュ「・・・・・あぁ、分かったよ」
ナナリー「ありがとうございます、お兄様」
ハルヒ「じゃあ早速ナナリーの願いを叶える為に不思議探しに行きましょう!」
キョン「おい、俺たちは今日何をしにここへ来たんだ?」
ハルヒ「ん?何だっけ?」
キョン「文化祭の計画を立てる為だろ」
ハルヒ「あ、そういえばそうだったわね!じゃあナナリー、不思議探しは別に日って事で!」
ハルヒ「よくぞ聞いてくれたわ、我がSOS団は超巨大ピザを作るのよ!
ナナリー、あなたにもいろいろと手伝ってもらうからそのつもりでね!」
ナナリー「はい、何でもお手伝いします」
古泉「その超巨大ピザの材料ですが、知り合いに頼めば何とかなりそうです」
ハルヒ「本当!?直径12mのピザの材料よ!?お金は大丈夫なの!?」
古泉「えぇ。企画の話をしたら『面白そうだから協力してやる』
と言ってくださいましてね。無料で提供してくれるそうです」
ハルヒ「凄いじゃない!なかなか話の分かる人ね!是非今度お会いしたいわ」
古泉「ピザの材料の件は問題なし、後はそれを焼くオーブンですね」
ルルーシュ「その件も問題はない。既に手をうってある」
キョン「手をうってあるって、まさか直径12mもあるピザが焼けるだけの
オーブンを作るとでもいうのか?」
ルルーシュ「そのまさかだ」
キョン「んな金が何処にあるんだ。高校生が出せるような金額じゃないぞ」
ルルーシュ「金の心配はない。放蕩貴族が無償で提供してくれるとの事だ」
キョン「貴族が?それも無償って・・・どんなマジックを使ったんだ?」
ロイド・アスプルンドという男だ。爵位は伯爵」
キョン「(どんな頼み方をしたらそんな意味不明な要求に対して即座にOKを貰えるんだ?
古泉の言うとおり、段々普通の高校生に見えなくなってきたぜ)」
ハルヒ「二人とも凄いわ!これで二つの大きな壁を乗り越えたわね!
最早この企画は成功したも同然!みんな驚くわよ!」
キョン「よくテレビなんかで料理人が手で回しながらピザ生地を伸ばしてるのを見るが
あれはどうやってやるんだ?12mだぞ?」
ハルヒ「そんなの決まってるじゃない!ナイトメアを使えばいいのよ!」
キョン「そのナイトメアをどこで調達するつもりだ?仮にあったとしても
そんな器用な操縦何処の誰が出来るっていうんだ。少なくとも俺は無理だぞ
乗ったことすらないんだからな」
ルルーシュ「問題ない。アッシュフォード家ならナイトメアの一機くらいあるはずだ
文化祭を盛り上げる為だと言えば会長が貸してくれるだろう」
キョン「操縦は?」
ルルーシュ「枢木スザクを知っているだろう?あいつに頼めば問題ない」
キョン「枢木スザクって、ユーフェミア殿下の騎士じゃないか!?
うちの学校に通ってるってのは知ってたが・・・お前友達だったのか?」
ルルーシュ「あぁ、クラスも同じだ」
わけないでしょうね」
ハルヒ「流石ルルーシュだわ!ユーフェミアの騎士の枢木スザクがやるとなれば
マスコミだって取材にくるはずよ!SOS団の名を世に知らしめる絶好の機会じゃない!」
古泉「ここは幸いにも人種差別もなく、外に対してオープンな学園ですしね
日本人の誇りとも言える枢木氏が来るとなれば、多くの日本人の方も来場してくれるでしょう」
キョン「ナンバーズでありながら今やユーフェミア殿下の騎士だもんな・・・」
みくる「でも世間では裏切り者って言ってる人もいますよね・・・・何だか可哀想です」
古泉「そういった意見にはゼロの存在が影響しているのでしょうね。彼と枢木氏は対極ですし」
キョン「あんな仮面で顔を隠してるような奴よりは、爽やかな顔してる枢木の方が
断然好感を持てるがな」
古泉「個人的にはゼロの方が魅力的に見えてしまいますね。ブリタニアをここまで
苦しめる事が出来るのは世界中に彼だけでしょう。EUも中華連邦も
今では第二皇子の手の平だそうですし。涼宮さんはどうです?」
ハルヒ「私?どっちでもいいわそんなの。今日本人が置かれてる状況には勿論腹が立つから
その現状を変えてくれるんだったらどっちでも応援するわよ」
キョン「お前らしい意見だな」
ルルーシュ「話が脱線しているぞ。取り敢えず当面の問題は全て解決した
そろそろ暗くなってくる頃だし、俺は夕食を作ってくる」
ルルーシュ「そのつもりだが?」
ハルヒ「ルルーシュって料理も出来るの?アンタ何でも出来るのね」
ナナリー「お兄様の料理は本当に美味しいですよ!いつも作ってくれるんです」
ルルーシュ「まぁ、最近は忙しくて作れない日の方が多いんだけどな」
キョン「(目と足が不自由な妹の為に何でもやるようになったって事か
優しい兄貴なんだなこいつは)」
みくる「あのぉ、私もお手伝いしますぅ」
ルルーシュ「いいですよ。今日は俺がホストですから、先輩は座っていてください」
みくる「分かりましたぁ」
キョン「で、待ってる間何してる?ルルーシュがいないんじゃ何も決まらんだろうし
大富豪でもやるか?実はトランプを持ってきたんだ」
ハルヒ「修学旅行の夜じゃあるまいし、何で大富豪なんてやらないといけないのよ!」
キョン「大富豪を甘く見るなよ、普通の日にやっても意外と盛り上がるんだぞ?」
ナナリー「あの、私これまでのSOS団のお話が聞きたいです!」
ハルヒ「あらそう。いいわ!結成からこれまでに至るSOS団の偉大なる軌跡を話してあげる!」
バタンッ
ハルヒ「ナナリーは寝たの?」
ルルーシュ「あぁ、もう遅いからな。いつもはこんな時間まで起きていないんだが・・・
みんなといるのが余程楽しかったんだろう。最近は一人にする事が多かったしな」
ハルヒ「アンタあんな可愛い妹一人に留守番させて夜な夜な何処で何してるのよ!?
ナナリーが言ってたけど、最近は朝帰りも珍しくないみたいじゃない!」
キョン「な、なに!?朝帰りってお前・・・彼女さんとは同棲してるんじゃなかったのか?」
古泉「同棲相手がいるというのに朝帰り、これは妙ですね」
ハルヒ「・・・あんたまさか浮気してるの?」
ルルーシュ「するか!!」
ハルヒ「じゃあ朝帰りの原因は何なのよ!?」
ルルーシュ「C.Cと一緒に出かけているんだ。それ以上は聞かなくても分かるだろ!」
ハルヒ「なっ・・・///」
キョン「・・・なるほど、寝ているとはいえ妹と同じ屋根の下でイチャつくのは確かにな」
ハルヒ「フン、この変態!!あんまりナナリーを一人ぼっちにするんじゃないわよ!」
ハルヒ「それにしてもナナリーは本当にいい子ね!アンタの妹にしとくには勿体無いわ
私が養子にもらいたいくらいよ!」
キョン「(お前の与太話をあんな笑顔で聞いてくれるのはこの世であの子だけだろうしな)」
ルルーシュ「ナナリーもさっきお前との会話は楽しいと言っていたが
随分とウマが合うようだな。性格は真逆なのに・・・」
ハルヒ「そう?私とナナリーって結構似てるところ多いと思うけど」
キョン「何処だが」
ハルヒ「可愛いところとか?」
キョン「・・・もう何も言うまい」
ハルヒ「ところでルルーシュ」
ルルーシュ「何だ?」
ハルヒ「ナナリーの足と目が不自由になったのって何が原因なの?」
キョン「おい、あんまりそういう事はだな」
ルルーシュ「いいさ、特に言いにくい理由ってわけでもないからな
キョン「そ、そうか」
流れ弾が足に当たったのが原因だ。目が不自由になったのは
その時同じく流れ弾が当たり亡くなった母の死を目の当たりにした事による
精神的ショックだそうだ」
ハルヒ「そうだったの・・・」
ルルーシュ「前者はもう治療の余地はないと言われたが、後者は精神的なものだからな
時間が経てば解決すると思っていたんだが・・・・あれから何も変わっちゃいない」
みくる「うぅ、可哀想ですぅ」
古泉「カウンセリングはしたのですか?」
ルルーシュ「勿論いろいろな病院に行って様々な事を試したさ
ただ相当心の傷が深いらしくてな、なかなか良い方向へは進んでいないんだ」
ハルヒ「そんなの単にそいつらが藪医者なだけよ!私が治してみせるわ!」
ルルーシュ「・・・はぁ?」
ハルヒ「足の方はどうにもならないにしたって、目の方は精神的な問題なんでしょ?
だったら私がナナリーをこれでもかってくらい楽しませて、過去のトラウマを消し去れば
いいだけの話じゃない!簡単だわ!」
キョン「また無責任な事を・・・」
ナナリーの目を開かせてみせるわ!」
ルルーシュ「文化祭って、丁度二週間後の今日じゃないか・・・
そんな短期間で何が出来るって言うんだ」
ハルヒ「甘いわねルルーシュ!何が出来るかじゃなくて、何をするかよ!
明日から文化祭までの二週間は、ナナリーを連れてみんなで遊びにいくわよ!!
ナナリーを存分に楽しませて、嫌な思い出なんて記憶から消去させましょう!」
キョン「おいちょっと待て!明日からと言うが、明日も明後日も学校は通常営業だぞ?」
ハルヒ「そんなの休めばいいだけの話じゃないの」
キョン「なに!?」
ハルヒ「二週間休んだくらいで進級が危うくなるわけでもないんだし、問題ないわ
インフルエンザをこじらせて肺炎にでもなったって嘘つけばそのくらい簡単に休めるわよ」
キョン「そんな嘘すぐにバレるだろ」
ハルヒ「うるっさいわね!アンタは新入団員の身体と、自分の出席日数とどっちが大事なの!?」
キョン「いや・・・それは勿論前者だが」
ハルヒ「だったら文句言わずに従いなさい!」
キョン「本当に二週間たらずの努力でナナリーの目が見えるようになるってんなら
俺だって協力するさ!だがお前の言ってる事にはなんの根拠もないだろ?」
二週間あれば十分、でもそれには団員全員の協力が必要なの!いいわね?」
キョン「やれやれ・・・分かったよ。俺もナナリーには今以上に元気になって
もらいたいしな」
ハルヒ「みんなもいいわね?明日から二週間、学校はお休み!」
古泉「えぇ、分かりました」
長門「・・・」コクッ
みくる「あの~でも文化祭の準備はどうするんですか?」
ハルヒ「勿論併用してやるわよ!そうじゃないとナナリーに超巨大ピザを見せれないし」
ルルーシュ「ナナリーに?」
ハルヒ「そう。あの子ピザ計画の件を物凄く楽しみにしてたのよ!
だから出来上がったピザを自分の目で見せてあげたいの!」
ルルーシュ「お前・・・」
古泉「なるほど、だから文化祭までという明確な期間を示したのですか」
キョン「同時進行でやるのはいいが、二週間も休んでたら生徒会にSOS団は出し物無しと
判断されちまうんじゃないか?」
ハルヒ「生徒会にだけ事情を説明すればいいわ!ルルーシュは副会長なんだし
あの会長は物分りが良さそうだからきっとOKしてくれるわよ!」
全員インフルエンザという事にしましょう。知り合いの医者に頼めば診断書を
書いてくれるでしょうから、忌引扱いになり出席日数には影響ありません」
キョン「偽造診断書の作成は犯罪だぞ」
古泉「子供が学校をズル休みしたいという程度の理由で作るのですから
神様も大目に見てくれますよ」
キョン「神は大目に見てくれても、法律はそうはいかないぜ?」
古泉「御安心を、絶対にバレるような事はありません」
キョン「(こいつが言うと妙に説得力がある・・・どうせその医者ってのも
機関の人間なんだろうから本当に問題はないんだろうが)」
ハルヒ「問題は家族に何て言うかね・・・」
キョン「文化祭が近いから当日まで学園のクラブハウスに泊り込むとでも
言えばいいんじゃないか?」
ハルヒ「珍しく冴えてるじゃないのキョン!それでいいわ!!」
ルルーシュ「・・・本当にやるつもりなのか?」
ハルヒ「当たり前じゃない。今更何言ってるのよ?ナナリーの為なのよ?」
ルルーシュ「いや、その気持ちは凄く嬉しいんだが・・・その、お前達に迷惑が
かかるだろう?だからそこまで無理しなくても・・・」
この中に迷惑だなんて思ってる奴は一人もいないわよ?」
ルルーシュ「!?」
古泉「涼宮さんの言うとおりです」
みくる「みんなで頑張りましょうね!」
キョン「新入団員の為だもんな、長門もそう思うだろ?」
長門「・・・・・・そう」
ハルヒ「ほらね?」
ルルーシュ「・・・・・・ありがとう、礼を言う。じゃあ、よろしく頼むよ・・・」
ハルヒ「任せなさい!絶対にナナリーの目に光を戻して見せるわ!!」
キョン「で、具体的には何をするんだ?遊びに行くっていっても
近場じゃ遊べそうな所はあまりないぞ?」
ハルヒ「大丈夫よ、もう決めてあるから!北は北海道から南は沖縄まで行って
遊びつくすわよ!!」
キョン「北海道に沖縄だと!?金はどうするんだ?」
ルルーシュ「俺が全額負担しよう。兄としてせめてこれくらいはしないと
俺の気がすまない」
ルルーシュ「なに、例の放蕩貴族様に頼んで貸してもらえばいいだけだ」
キョン「便利な貴族もいたもんだな・・・」
ハルヒ「じゃあお金の件はルルーシュに任せるわ!それじゃ早速明日から
SOS団大旅行を開始するわね!今日はもう遅いから寝ましょう!おやすみ」
バタンッ
キョン「相変わらず、嵐のような女だ」
ルルーシュ「(涼宮ハルヒ・・・・何なんだあの女は。何故会ったばかりのナナリーの為に
そこまでやろうとできる・・・・)」
次の日ハルヒの腕章にはツアコンの文字が記されてあった
キョン「本当に北海道に来る事になるとはな・・・」
古泉「昨日の今日でこれですからね、涼宮さんの行動力には驚かされます」
キョン「ハルヒの行動力もそうだが、ルルーシュの資金力にも驚かされる」
ハルヒ「さぁ、バンバン遊びまくるわよー!」
ナナリー「あの、涼宮さん?」
ハルヒ「なに?」
ナナリー「これはどういう事なんでしょうか?急に北海道に行こうだなんて・・・」
ハルヒ「あれ?ルルーシュ、ちゃんと説明しなかったの?」
ルルーシュ「お前が急かすから詳しく話す時間が無かったんだ」
ハルヒ「そう、それならいいわ!私が説明してあげる!いいナナリー、SOS団は今日から
二週間全国を飛び回って遊びまくるの!」
ナナリー「え?に、二週間もですか?学校はどうするんですか?」
ハルヒ「安心してちょうだい、ちゃんと学校には許可をとってあるから!」
キョン「(嘘つけ)」
ハルヒ「だから心置きなく楽しみましょう!」
ハルヒ「勿論旅行と同時進行よ!」
ナナリー「あの・・・そもそも何で他の生徒達が学校で勉強してる時に
SOS団だけ旅行する事が許されたんでしょうか?」
キョン「(そりゃ当然の疑問だわな)」
ハルヒ「そんなの決まってるじゃない!SOS団だからよ!!」バンッ
キョン「(答えになってねーぞ)」
ナナリー「は、はぁ」
ルルーシュ「細かいことは気にするなナナリー。せっかくの機会だ存分に楽しもう」
ナナリー「はい!そうですねお兄様!」
キョン「(本当に仲の良い兄弟だな)」
みくる「あの~、この後はどうするんですか?」
ハルヒ「今日はもう遅いからホテルに行きましょう!
いろいろ回るのは明日からってことで!いいわね?」
キョン「それはいいが、ホテルの予約なんてしてあるのか?
まさかその辺にあるラブホテルじゃないだろうな?」
ルルーシュ「札幌租界にある観光用のホテルに五日分の予約を入れてある」
キョン「五日?という事は最低でも五日間は北海道に滞在するわけか」
ルルーシュ「この空港にホテルの無料シャトルバスが来ているはずだ
まずはバス停留所を探そう」
キョン「シャトルバスなんて出てるのか。随分とサービスの良いホテルだな」
ルルーシュ「一番高いところにしたからな。それに全員スイートだ
それくらい当然だろう」
キョン「全員スイートだと!?」
ハルヒ「何驚いてるのよキョン?それくらい当たり前じゃない
私達を誰だと思ってるの?SOS団よ、SOS団!!」
キョン「(SOS団だからこそ驚いてるんだよ)」
ルルーシュ「いつまでやってるんだ、早く行くぞ」
キョン「・・・・ここは何処だ?」
古泉「社台スタリオン・ステーション。現役を引退した競争馬の展示放牧などを
している場所ですね」
キョン「ほー・・・で、何故俺達がそんな所に?」
古泉「涼宮さんたっての希望だそうですよ」
キョン「あいつ競馬に興味なんてあったのか?」
古泉「僕も初耳です」
キョン「お前でもあいつに関して知らないことがあるんだな」
古泉「知らないことだらけですよ」
キョン「それにしてもあのホテルには驚いたな・・・一泊だけでもいくらすることやら」
古泉「御安心を。あそこは機関の人間が経営しているホテルです
宿泊費を通常の半額以下に落としてもらいました。まぁ、支払いは彼ですがね」
キョン「そりゃ良かった」
古泉「今宿泊している札幌、今後宿泊する予定の広島、長崎、沖縄全ての
ホテルの予約を入れたのは彼なのですが、その全てが見事なまでに
機関の息のかかった宿泊施設なんですよ。これをどう思いますか?」
古泉「とても偶然とは思えないんですよね。機関の関連施設ならば
安い値段で良い部屋に泊まることが出来ると踏んで予約を入れたとしか思えません」
キョン「あいつはお前の正体も機関の存在も知らないだろ?
そんな事できるわけないじゃないか」
古泉「ひょっとすると、もう我々の正体などとっくにバレているのかもしれません」
キョン「何を根拠に言ってるんだ?監視してた連中から新情報でもあがってきたのか?」
古泉「いえ、彼等からは何も」
キョン「また推測か?」
古泉「えぇ、推測です」
ハルヒ「キョン、古泉くん!何してるの、早くこっちに来なさい!!」
古泉「呼んでいますね。この話はまた後で」
キョン「やれやれだ」
キョン「あぁ、名前は聞いたことがあるぞ」
ハルヒ「アンタその程度の感想しか言えないの?」
キョン「生憎競馬に関する知識は一つまみ程度しか持ち合わせていなくてな」
みくる「意外と小さいんですねぇ、横にいるお馬さんの方がでかいです」
ハルヒ「横にいるのはダイワメジャーね!500kg以上ある大型馬よ!
名前聞いた事ない?」
キョン「俺が知ってるのは精々ナリタブライアンと、あそこにいるディープインパクト
くらいのもんだ」
ハルヒ「フン、つまんない男ね!どっちもブリタニアの競走馬を蹴散らした名馬だってのに」
ナナリー「私は目が見えないけど、それでも何となく感じる事ができます。
二頭共可愛い顔をしていますね♪」
ハルヒ「流石ナナリー、分かるのね!」
キョン「お前は競馬詳しいのか?」
ルルーシュ「ん?俺か?いいや」
その後ハルヒがナナリーに日本競馬の歴史を語り始め
話が終わったのは2時間も後の事だった
ハルヒ「八橋食べるわよー!!」
キョン「京都に着いて第一声がそれか」
ハルヒ「何よ、文句でもあるの?ナナリーも食べたいわよね?八橋」
ナナリー「はい!食べてみたいです!」
ハルヒ「じゃあ早速食べに行きましょう!京都は今日だけだから急がないとね」
キョン「なに?京都は今日一日だけなのか?」
ハルヒ「そうよ!夕方には広島に向かうからここでは一泊もしないの!」
キョン「なんてこった・・・」
ルルーシュ「安心しろ、広島も予約してあるのは超一流ホテルだ」
キョン「あぁそうかい」
ハルヒ「行きましょうナナリー!」
ナナリー「はい!」
-----ハルヒはナナリーの車椅子を押してそそくさと行ってしまった
ルルーシュ「・・・そうだな」
古泉「おや?否定しないのですか?」
ルルーシュ「あいつと話してる時のナナリーは本当に楽しそうな顔をしている
それは事実だからな。あんなに楽しそうなナナリーは久しぶりに見た気がする」
古泉「では感謝しなければなりませんね、涼宮さんには」
ルルーシュ「・・・あぁ、そうだな」
キョン「見えるようになるといいな、ナナリーの目」
ルルーシュ「仮に見えるようにならなくても、この旅行はナナリーにとって
きっと大切な思い出になる。そういうのを作らせる事が出来ただけでも十分さ」
ハルヒ「何やってんの!!早く来なさい!!!」
キョン「さて、俺達も行くか」
ルルーシュ「そうだな」
------
---
-
?「ふふ~ん♪やっと見つけたよルル~♪」
キョン「はぁ~、やっと休めるぜ」
ハルヒ「何よ爺臭いわね」
キョン「そりゃあの短時間で五つも六つも名所を巡らされれば誰だってこうなるぞ」
ハルヒ「仕方ないじゃない!京都は行きたい所がいっぱいあったんだから!」
キョン「だったら何で一日しか時間を割かなかったんだ?一泊くらいすりゃ良かった
じゃねーか」
ハルヒ「うるさいわね!ちなみに広島だって一泊しかしないわよ!
明日の今頃はもう長崎だから!」
キョン「orz」
ルルーシュ「今日は流石に俺も疲れた・・・ナナリーは大丈夫か?」
ナナリー「はい、大丈夫です!美味しいもの沢山食べれたし
いろいろな所に行けたし、大満足です♪」
ルルーシュ「そうか・・・・」
ハルヒ「まだまだこんなもんじゃ終わらないわよナナリー!
まだ後一週間もあるんだから!明日は広島、明後日からは長崎
最後は沖縄!まだ先は長いんだから覚悟しなさいよ!」
ナナリー「はい♪」
ハルヒ「お土産を買うわよー!!」
キョン「北海道と京都であれだけ買っといてここでも買うのか?」
ハルヒ「当たり前じゃないの!ちなみに長崎と沖縄でも買うわよ」
キョン「はぁ・・・・」
ハルヒ「安心しなさい、荷物を持てだなんて言わないから
全部宅急便で直接家に送ってもらうわ」
ナナリー「涼宮さん、私もみじ饅頭というのを食べてみたいです!」
ハルヒ「もみじ饅頭?良いわよ、じゃあ早速行きましょう!」
キョン「ちょっと待ってくれ、トイレに行きたいんだが」
古泉「おや、あなたもでしたか。実は僕もなんです」
ハルヒ「じゃあ先に行ってるから後で来なさい!みんな行きましょう!」
キョンと古泉はトイレへ
残りのメンバーはナナリーの車椅子を押す上機嫌なハルヒを先頭に
土産物売り場へと向かった
キョン「確か今日の内に長崎に行くんだったよな?」
古泉「えぇ。ここでの買い物が済み次第空港へと向かうようです」
キョン「そして長崎の次は沖縄か・・・全く、とんでもないスケジュールを組んだもんだ」
古泉「ですが、涼宮さんは勿論ナナリーさんも実に楽しそうですし良かったではないですか」
キョン「まぁな」
キョンと古泉の背後から白髪の男が声をかけた
?「ねぇ、君たち・・・ちょっといいかな?」
キョン「ん?何です?」
?「ちょっと聞きたい事があるんだよね」
キョン「聞きたい事?俺たちにですか?」
?「ああ、喋らなくてもいいよ。口に出さなくても僕には分かるからさ
君たちは僕の質問を聞くだけでいいんだ」
キョン「えっと・・・・何言ってるんですか?」
キョン「なっ・・・」
古泉「失礼ですが、会ったばかりの人に対して名も名乗らずにいきなり
その物言いはどうかと思いますが」
?「名前?そうだね、名前くらいは礼儀だ、教えてあげるよ。僕の名前はマオ」
古泉「それであなたが我々にしたい質問というのは?」
マオ「何か君、生意気だね。年下の癖に・・・・まぁいいや、ルルーシュと
C.Cの関係について聞きたい。君達の知っている事を・・・・な、何だと!!!」ガバッ
キョン「な、何だ!?」
マオは突然その場にうずくまり頭を抱えながらプルプルと震えだした
マオ「クソッ、クソクソクソクソ!!ルルーシュめ、本当にC.Cと付き合っていたのか!!
し、しかもキスまでしてるだと・・・ふ、ふざけてる・・・・許さない!!絶対に許さないぞ!!
殺してやる、殺してやる!!僕が必ずこの手で殺してやる!!!!」
キョン「あ、あの・・・・大丈夫ですか?」
マオ「うるさい!!僕に話しかけるな!!!」
マオ「喋る必要はないと言っただろう。僕には分かるからさ」
古泉「言っている意味がイマイチ理解できないのですが」
マオ「分かるんだよ、口に出さなくても。君が超能力者である事も
機関とかいう組織の人間である事も、全てね」
古泉「!!?」
キョン「な、何であんたがそんな事を知っているんだ?」
マオ「本当に馬鹿だなぁ。まだ分からないの?君の頭の中は実にくだらないね
まるで考えがまとまってない。」
キョン「な、何言ってんだアンタ?」
マオ「君たちは随分面白い集まりのようだね。なるほど、宇宙人に未来人に超能力者か
そしておかしな能力を持った女が一人。ハハ、まるでサーカス団だね」
キョン「(こいつまさか・・・)」
マオ「そうだよ、やっと気付いてくれたんだ。僕は他人の思考が読めるんだ」
古泉「(思考を読める?)」
キョン「そんな馬鹿な・・・・ありえない」
マオ「安心しなよ、僕の目的はあくまでC.Cとルルーシュだ
君達に危害を加えるつもりはないよ。でも、邪魔をするならタダじゃおかないよ?
誰であろうと僕の邪魔をする奴は許さないからね」
古泉「(出来ればルルーシュさんとC.Cさんの事をお聞きしたいのですが
何故あなたは彼等を狙っているのですか?)」
マオ「君に答えてやる義理はない。直接本人に聞いてみたらどうだい?
最も、君たちはまだルルの正体を知らないようだけど」
キョン「?」
古泉「・・・・・・」
マオ「じゃあね、ルルによろしく」
そう言い残すとマオは何処かへ消えていった
キョン「何だったんだあいつは・・・思考を読めるだなんてそんな事あるはず・・・」
古泉「いえ、恐らく彼の言った事は全て事実だと思います」
キョン「何でそう断言できる」
キョン「実験?どうやって?」
古泉「簡単ですよ。決して口に出さず、心の中で質問をしたんです」
キョン「質問?」
古泉「えぇ。『何故あなたはルルーシュを狙うのか?』とね
するとどうでしょう、間髪入れず的確な回答が返ってきたじゃないですか
正直身の毛がよだつ思いでしたよ」
キョン「ちょっと待て、あいつは長門や朝比奈さんの正体についても知っていたが
あれも俺達の思考を読んだからだってのか?少なくとも俺はあの時
長門や朝比奈さんの事なんて全く考えてなかったぞ」
古泉「それは僕も同じです。我々の前に朝比奈みくると長門有希に接触していたのか
或いは我々の深層心理を読んだのか・・・・」
キョン「深層心理?」
古泉「あくまで推測です。いずれにしても、この事はみなさんに話しておくべきでしょうね」
キョン「ルルーシュにもか?」
古泉「勿論、狙われているのは彼ですしね。それに、先程の方の発言を聞くかぎり
やはりルルーシュさんはただの人間ではないようですし、この辺で探りを入れてみようと思います」
キョン「そういや何か言ってたな・・・・ルルーシュの正体がどうとかって」
古泉「出来るだけ早い方が良いでしょうし、今夜にでも」
キョン「今夜か・・・・またややこしい事になってきたな」
------
---
-
-その日の夜(長崎のとあるホテル)
ハルヒ「とうちゃ~く!」
キョン「はぁ・・・疲れた」
ハルヒ「爺臭いわねぇ。シャキっとしなさい!」バシッ
キョン「イテッ・・・」
ルルーシュ「今日はもう遅いし、各自部屋で休もう。明日も早いんだろ?」
ハルヒ「当然!」
ナナリー「明日は何処へ行くんですか?」
ハルヒ「ふふ~ん♪それは明日になってからのお楽しみよ!」
ナナリー「うわ~何処でしょう!楽しみです!」ニコッ
行きましょう、ナナリー、みくるちゃん、有希」
みくる「はい」
ナナリーの車椅子を押してハルヒを先頭に
女性陣は自分達の部屋へと向かった
ルルーシュ「ふぅ、じゃあ俺も休ませてもらうとするか」
古泉「ちょっといいですか?」
ルルーシュ「ん?何だ?」
古泉「今夜少々御時間をいただきたいのですが
話しておきたい事がありまして」
ルルーシュ「話しておきたい事?今じゃ駄目なのか?」
古泉「できればもう少し夜が深くなってからの方が」
ルルーシュ「・・・・・いいだろう。で、何時に何処へ行けばいい?」
古泉「深夜0時に下のロビーでお待ちしています」
ルルーシュ「分かった。来るのはお前だけか?」
古泉「いいえ、彼と長門さんも一緒です」
古泉「いろいろと考えましたが、今回は彼女はいいでしょう」
ルルーシュ「じゃあ0時に」
古泉「えぇ」
ルルーシュ「(話しておきたい事か・・・俺に関しての情報は一切外には出てないはずだが・・・・
まぁいい、万が一の時にはギアスを使えば問題ない)」
-------
---
-
深夜0時(ロビー)
古泉「お待ちしてました」
ルルーシュ「さっそく話しておきたい事とやらを聞こうか」
古泉「実は今日僕と彼は広島で奇妙な方に出会いましてね」
ルルーシュ「奇妙な方?」
古泉「えぇ。何が奇妙かと言うと、その方はどうも相手の思考を読めるみたいなんです
実際僕の思考は完全に読まれてました」
ルルーシュ「(思考を読む!?まさか!!)マオか!?」
ルルーシュ「(何故あいつが生きてる!?あの時死んだはずじゃ!
いや、それよりもマオの事をどう誤魔化すかを考えるのが先だ)」
キョン「あいつはお前を殺すと言ってたんだ。だから話しておいた方が良いと思ってな」
ルルーシュ「そうか・・・・すまない、ありがとう」
古泉「お聞きしたいのですが、あのマオというのは何者ですか?あなたとの関係は?」
ルルーシュ「(マオの事だ、この二人に俺の秘密を話している可能性がある
・・・・・・ギアスを使うか?いや駄目だ、もう少し探ってからでも遅くはない)」
古泉「彼は随分あなたの事を恨んでいるようでしたけど、過去に何かあったのですか?」
ルルーシュ「なに、ただの嫉妬さ。C.Cを俺に奪われた事に腹を立ててるだけの醜い男だ」
キョン「そういえばやたらとC.Cの名前を出してたな」
ルルーシュ「だろう?全く懲りない男だ」
古泉「なるほど、それであのような事を言っていたのですか」
ルルーシュ「(この反応・・・マオから情報は受けてないのか?
だとするなら何ら問題はない、このまま話を適当に合わせれば・・・)」
古泉「では他人の思考を読めるという彼の能力については何かご存知ですか?」
ルルーシュ「さぁな、知らん」
キョン「長門?」
長門「ルルーシュは嘘を言っている
あなたはその能力が何であるのかを知っているはず」
ルルーシュ「久しぶりに喋ったかと思えば・・・・何を根拠に言っているんだ?」
長門「たった今情報統合思念体はあなたに関する調査結果を総合し
答えを導き出した」
ルルーシュ「!?」
古泉「長門さん、その答えというのを教えていただきませんか?」
長門「ルルーシュ・ランペルージ、ランペルージというのは本名ではない。偽名」
キョン「偽名!?」
使っているのでしょう」
ルルーシュ「・・・・」
長門「本名はルルーシュ・ヴィ・ブリタニア」
古泉「ブリタニア?・・・という事はまさか」
長門「そう、彼はブリタニア皇族。第11皇子」
キョン「なに!?」
古泉「皇子・・・・」
キョン「じゃ、じゃあナナリーも皇族なのか!?」
長門「そう」
キョン「なっ・・・・・」
古泉「ルルーシュさん、長門さんはこう仰っていますが
何か意見はありますか」
ルルーシュ「いや、特にない」
古泉「それは肯定とみてよろしいでしょうか?」
ルルーシュ「あぁ」
古泉「ありがとうございます。長門さん、続けください」
長門「さっき言っていたマオという男の能力はギアスという力によってもたらされたもの」
キョン「ギアス?」
長門「詳細は不明。分かっている事は、そういう能力が存在している事と
ルルーシュもその力を有しているという事」
キョン「ルルーシュも!?」
古泉「・・・・・では彼も他人の思考が読めるという事ですか?」
長門「違う、発現する能力は個々に違いが出る。ルルーシュの能力は
絶対遵守の力」
古泉「絶対遵守?」
長門「相手を自分の思い通りに行動させる事ができる。それがルルーシュのギアス」
キョン「何だよそれ・・・最強じゃねーか」
長門「そうでもない、使用できる回数は一人の人間につき1回まで
使用する際には必ず相手の目を見なければならないという制約がある」
古泉「その能力はインターフェイスである長門さんにも有効なのでしょうか?」
古泉「なるほど、という事はここにいる全員既にルルーシュさんのギアスによって
操られてる可能性もあるという事ですか」
長門「可能性はある」
キョン「な・・・・・」
長門「ルルーシュはギアスを使って様々な事を行っている
その一つとして挙げられるのがブリタニアへの抵抗活動」
キョン「抵抗活動?」
長門「そう、ルルーシュはゼロ」
キョン「なに!!?ゼロって・・・あのゼロか?黒の騎士団の?」
長門「・・・・」コクッ
古泉「最初からあなたは普通の人間ではないと思ってはいましたが
流石にここまでは予想外でしたよ。まさかゼロの正体があなただったとは」
ルルーシュ「ふ・・・・・・ふはははははははは!!」
キョン「ル、ルルーシュ・・・・」
ルルーシュ「ふん、だろうな。それにしても、念の為にお前以外に確認できたインターフェイスには
全員ギアスをかけたのだが、よくもそこまで調べられたものだ」
キョン「おいルルーシュ、本当にお前が・・・・その、ゼロなのか?」
ルルーシュ「あぁ、そうだ。俺がゼロだ」
キョン「そんな・・・・」
ルルーシュ「情報統合思念体・・・時間と空間を超越する存在だったか
いずれは正体がバレるとは思っていたが、まさかここまで早いとはな」
古泉「いえ、寧ろ遅すぎるくらいですよ。統合思念体が個人の情報を収集するのに
これだけの時間がかかるなど普通では考えられません
あなたの情報統制が完璧であるが故、ここまで時間がかかったと言えるでしょう」
ルルーシュ「誉め言葉として受け取っていく」
古泉「先程あなたは長門さん以外のインターフェイス全員にギアスをかけたと言いましたが
という事は、機関が送り込んだ調査員も・・・」
ルルーシュ「あぁ、今や全員俺の操り人形だ」
古泉「どうりで何も報告がないはずです。ところで、あなたは我々にもギアスを
使用したのでしょうか?口ぶりから察するに、長門さんにはまだ使用してないようですが」
ルルーシュ「いいやまだだ」
ルルーシュ「それはお前達次第だ」
古泉「我々次第とは?」
ルルーシュ「俺の正体を知ってお前達が何をしようとしているのかは知らんが
その行動如何によってはギアスを使用せざるを得ないという事だ」
古泉「それは脅しですか?」
ルルーシュ「受け取り方は自由だ。別にそうとらえてくれても構わない
俺はただ邪魔をしてほしくないだけだ、ゼロとしての行動をな
心配しなくてもゼロとして涼宮ハルヒには一切関わるつもりはない
あの女の能力の恐ろしさは俺も理解しているつもりだからな」
古泉「やはり涼宮さんの能力についてもご存知でしたか」
ルルーシュ「お前の部下があれこれ教えてくれたお陰でな」
だが奴と接していくにつれその感情は薄れていった」
古泉「何故です?」
ルルーシュ「あの能力を利用するには涼宮ハルヒを篭絡する必要がある
だが知っての通りあいつの精神は不安定すぎる。とても篭絡するなど不可能だ
そして能力自体が強すぎる。俺の手にはあまる」
古泉「なるほど」
ルルーシュ「・・・それに、あいつはもうナナリーにとって最も大切な友達になってる。手は出せない」
キョン「ルルーシュ・・・」
ルルーシュ「さっきも言ったとおりゼロとしては涼宮ハルヒやお前達には一切関わらない
それでも何かしら俺の行動の邪魔をするというのなら・・・容赦はしないぞ」
キョン「なぁルルーシュ、お前は何で祖国であるブリタニアと戦ってるんだ?
確かクロヴィス殿下を殺したのってゼロだったよな・・・って事は」
ルルーシュ「あぁ、俺が殺した」
キョン「何でそんな事が出来るんだ?お前の兄弟じゃないのか?」
キョン「腹違いったって兄貴である事に変わりはないだろ・・・なのに殺すなんて・・・」
ルルーシュ「それはあいつがブリタニア皇帝の子供だからだ」
キョン「皇帝のって・・・それはお前もそうじゃないのか?」
ルルーシュ「あぁ。ブリタニア皇族は次の皇帝の座を巡り常に競い合っている
・・・いや、競わされていると言った方が正しいかもな」
キョン「競わされてるって誰にだ?」
ルルーシュ「ブリタニア皇帝」
キョン「皇帝・・・」
ルルーシュ「兄弟同士で競わせ、最終的に勝ち残った者が次期皇帝となる
兄弟とは言え容赦なく牙をむく、それがブリタニア皇族の慣わしだ」
古泉「なるほど・・・それは分かりました。しかし他にも聞きたい事があるのですが」
ルルーシュ「なんだ?」
古泉「何故あなたとナナリーさんは今現在ブリタニア皇族としてではなく
ブリタニアの一般学生として生活しているのですか?」
キョン「なに!?」
ルルーシュ「ブリタニアが日本へ宣戦布告する少し前に俺とナナリーは
外交の道具として日本へと送られていたんだ。だから本国では死んだ事になっている」
古泉「何故あなた方兄妹が外交の道具に?」
ルルーシュ「皇室内の誰かが俺達兄妹を国外へ追いやろうと仕向けたのだろう」
古泉「追いやると言ってもあなたも皇族、そう簡単ではないのでは?」
ルルーシュ「日本へ送られる前、俺とナナリーの実の母である王妃マリアンヌが
何者かによって襲撃を受け殺害された。母が消えれば俺達を他国へ追いやるなど簡単だ
当時は俺もまだ小さかったし、他に俺たち兄妹を守ろうなんて人間は皇室には誰一人いなかったからな
キョン「一人も?何でだ?」
ルルーシュ「母は騎士候だったが出は庶民だ。他の王妃達にとっては面白くない存在
だったんだろう。俺たち兄妹を含めてな」
古泉「なるほど・・・その時の恨みを晴らすべく、あなたはゼロという仮面を被り
ブリタニアと戦っているのですね」
ルルーシュ「それだけじゃない。一番はナナリーの為だ」
キョン「ナナリー?」
そう長くは続かない。そもそもアッシュフォード家が俺達兄妹をかくまっている理由は
弱体化した御家を万が一の時から立て直す為の最終手段として利用する為だからな」
古泉「アッシュフォード家があなた方兄妹を支援している理由はそこにあったのですか」
キョン「つまり、その前にブリタニアを打倒しようって事か?」
ルルーシュ「あぁ、今俺達兄妹の生存が公になったら
俺もナナリーも今度は死ぬまで外交の道具として利用される事になる
目が見えず脚が不自由な皇女など、民衆の同情を誘うにはもってこいだからな」
キョン「そんな・・・」
ルルーシュ「俺が外交の道具になるのは構わんが
ナナリーをそんな目に合わせるわけにはいかない!だからこちらが気付かれる前に
俺がブリタニアを壊す!そしてその為に必要な力が、このギアスというわけだ」キュイーーン
ルルーシュの左目に赤い鳥のような紋章が浮かび上がった
キョン「!?」
古泉「目を逸らしてください!!」
ガバッ
キョン「うわ!!」
キョン「な、長門!?」
長門「動かないで」
ルルーシュ「ふ、なかなか良い反応だ」
古泉「どういうつもりですか?」
ルルーシュ「なに、ちょっとふざけただけだ。さっきも言ったが俺の邪魔さえしなければ
お前達にギアスを使用することはない。もう目を合わせても大丈夫だぞ」
ルルーシュの目を確認して長門は押さえていたキョンの両目から手をどける
キョン「ふぅ・・・。ありがとな長門」
長門「・・・いい」
ルルーシュ「俺が何故ブリタニアと戦っているか、何故一般人を装っているのかは
さっきの説明で十分理解できただろう。で、これらの情報を得てお前達はどう出るつもりだ?」
古泉「ゼロとして涼宮さんに一切関わらないという事であるならば、機関があなたを邪魔する
理由は何一つありません」
ルルーシュ「お前はどうなんだ長門有希?」
でも、あなたの存在が涼宮ハルヒに何らかの悪影響を及ぼすようであれば話は別」
ルルーシュ「ふん、どうやら話はまとまったようだな。俺はこれからもゼロとして黒の騎士団を率い
ブリタニアに対し抵抗活動を行っていく。お前達は変わらず涼宮ハルヒの監視。それでいいな?」
古泉「えぇ、構いませんよ。機関の上層部へはあなたは普通の学生だったという事で
通しておきますよ」
ルルーシュ「上層部?俺が尋問した男はお前が組織の創設者だと言っていたが?」
古泉「さて、何の事でしょう」
ルルーシュ「ふん、たぬきが」
キョン「なぁ、やっぱりこれからもブリタニアと戦うのか?」
ルルーシュ「当然だ。ここまで来て今更引き下がるわけにはいかない
それに、この戦いはナナリーの為でもある。俺は絶対に諦めない」
古泉「戦う以外の方法もあるのでは?例えば、先日ユーフェミア殿下が発表した
行政特区を利用するという手もあるはずです」
ルルーシュ「あれはただの罠だ。黒の騎士団が特区に参加する事になれば
武装を解除し無力化に成功、参加を拒否すれば特区を支持する日本人の反感をかい
民衆の支持が失われる。どちらを選択してもブリタニアが優位に立つ仕組みになっている」
キョン「あの皇女殿下がそこまで考えてたってのか?何だか意外だな・・・」
恐らく誰かの入れ知恵だろうな(シュナイゼルか?)」
古泉「どちらをとってもアリ地獄ですか。しかし、ではどうするおつもりなのですか?」
ルルーシュ「簡単だ、ユーフェミアを使う。あいつにギアスをかけ
式典の場で暴れさせ、特区構想はブリタニアによる巧妙な罠であったと日本人に思わせる
そうすれば、期待に胸を膨らませていた日本人は怒り狂いだろう」
古泉「・・・・そこでゼロが登場というわけですか」
ルルーシュ「そうだ。民衆の反ブリタニア感情は勿論黒の騎士団の士気も一気に高まる
そしてそのまま東京租界へ進軍し、政庁を落とし独立宣言をする」
キョン「独立宣言って、国でも作るつもりか?」
ルルーシュ「あぁ」
キョン「マジかよ・・・」
古泉「確かにユーフェミア殿下にギアスをかければそのような状況を作り上げる事は簡単でしょうね
しかし、あなたは本当にそれでいいのですか?」
ルルーシュ「何が言いたい?」
古泉「いえ、特には。ただ、あなたは善人です。そのような策略を巡らす一方
内心は胸を痛めているのではないかと心配しましてね」
ルルーシュ「善人?人の意思を捻じ曲げ自分の道具として利用している俺が善人だと?」
それに、本当に悪人であるならば我々の正体が分かった段階で
有無を言わさずギアスをかけて操っていたはずです」
ルルーシュ「・・・・」
古泉「しかしあなたはそれをしなかった、何故か」
ルルーシュ「それは・・・」
古泉「我々に情が湧いたから・・・ですよね?」
ルルーシュ「・・・・ふん」
古泉「当初はただ利用するつもりだったはずが、その者達と付き合い続ける内に
当初では考えられなかったような感情を抱くようになる
よくある事ですよ。実は、僕も似たような経験をSOS団でしていましてね」
キョン「ルルーシュ・・・・」
古泉「あなたは実に友達想いの人です。そのような人間が
目的の為とは言え人々を欺き続けるのは辛いのではないかと思いましてね」
ルルーシュ「余計なお世話だ。俺はクロヴィスを殺した時に覚悟を決めている
修羅になってでもブリタニアを崩す。絶対に」
古泉「そうですか」
ルルーシュ「今日はもう終わりにしよう。明日も朝が早い」
ハルヒ「今日は一日自由行動にしましょう!各自行きたい所に行って
やりたい事をするってことで!いいわね?」
キョン「別に構わないが、それじゃみんなで一緒に旅行してる意味ないんじゃないのか?」
ハルヒ「今までずっと一緒だったんだから、一日くらいそういう日があってもいいじゃない!
という事で、私はナナリーとハウステンボスに行く予定なんだけど
他に一緒に来たいって人はいる?」
キョン「俺はパス。何をしても自由なら部屋に戻って休む」
ハルヒ「なによ、オヤジ臭いわねぇ」
古泉「僕も遠慮しておきます。他に行って見たい所がありますので」
みくる「私は一緒に行きますぅ~」
ハルヒ「有希は?」
長門「・・・いい」
ハルヒ「ルルーシュは?」
ルルーシュ「俺は文化祭のピザ作りの件でいろいろとやっておかなければならない事がある
悪いがナナリーを頼むぞ」
ハルヒ「文化祭!?そうだわ、超巨大ピザ作り!すっかり忘れてた!!」
ハルヒ「うるさいわね!ルルーシュ、文化祭の件任せたわよ!
ナナリーは私が責任をもって預かっておくから」
ルルーシュ「あぁ」
キョン「ところで帰りは何時くらいになるんだ?」
ハルヒ「そうねぇ、あんまり遅くはならないと思うわよ。6時にはホテルに戻るわ
夜はみんなで一緒にご飯を食べるから、勝手に済ませないでよね!」
キョン「はいはい」
ハルヒ「じゃあ行きましょうナナリー、みくるちゃん」
ナナリー「はい、じゃあ行ってきますお兄様」
ルルーシュ「気をつけてな」
-------スタスタ
---
-
キョン「さて、俺は部屋に戻るかな」
ルルーシュ「ところで、お前が行きたい場所ってのは何処なんだ?」
古泉「おや、興味がおありですか?」
つもりではないかと思ってな」
古泉「昨日も言いましたが、現時点で我々機関はあなたに対して何かするつもりはありませんよ
あなたの正体に関してだって、他の者には決して口外しません」
ルルーシュ「だといいがな」
古泉「ふぅ、信用ないですね」
キョン「どうでもいいが、夜までにはホテルに戻ってこいよ。ハルヒを待たせると
また余計な仕事が増えるだけだからな」
古泉「えぇ、分かってます。では失礼します」
------スタスタ
---
-
ルルーシュ「さえ、そろそろ貴族様に連絡を入れるか」
キョン「貴族って、文化祭の資金提供やらいろいろと支援してくれるっていう例の放蕩貴族か?」
ルルーシュ「あぁ」
キョン「なるほどようやく分かったぞ。お前その貴族にギアス使ったんだろ?」
ルルーシュ「よく分かったな、お前にしては上出来だ」
いるわけがないからな。何て命令したんだ?『俺の言うとおりに行動しろ』とかそんな感じか?」
ルルーシュ「いいや、『俺の奴隷になれ』だ」
キョン「・・・・・(鬼め)」
--------
---
-
-その日の夜8時
ルルーシュ「・・・・遅い。遅すぎる」
古泉「涼宮さんは確か6時には帰れるとおっしゃっていましたよね?
いったいどうしたのでしょう・・・」
キョン「どうせ寄り道でもしてるんだろ。この分だと夕食も済ませてる可能性が高いな
俺達だけで適当に食べようぜ」
古泉「取り敢えずもう少しだけ待ってみましょう」
キョン「ったく、いつもは異常なまでに時間厳守なくせに、何やってんだか」
キョン「電話は!?」
古泉「駄目です、繋がりません」
ルルーシュ「あの時間に厳しい女が予定の時間を大幅に過ぎても全く姿を現さず
おまけに携帯も通じないか・・・・」
キョン「長門、何か分からないか?」
長門「分からない」
古泉「何らかのトラブルに巻き込まれた可能性が高いですね・・・事故という可能性もあります」
ルルーシュ「くそっ、俺がついて行っていれば!!」
キョン「そんな事言ってても仕方ない、取り敢えず警察に連絡しようぜ!」
ルルーシュ「警察は駄目だ、ナナリーがいる・・・見つかってもその後身元がバレる
恐れがある」
キョン「そうか・・・・でも、じゃあどうするんだ?」
ルルーシュ「黒の騎士団を使う。長崎にも数多くの団員や協力者がいる」
TRRRRRRRRRRRRR♪
キョン「電話?」
キョン「ハルヒからか?」
ルルーシュ「いや、非通知だ・・・」ピッ
ルルーシュ「もしもし」
?『もしもし、ルル~♪僕だよ僕』
ルルーシュ「その声・・・マオか!?」
古泉&キョン「!?」
マオ『久しぶりだねルル~、元気にしてたかい?』
ルルーシュ「お陰さまでな。お前も元気そうでなによりだ
あの時死んだと思っていたが・・・よく生き延びたものだ」
マオ『僕もビックリしたよぉ~、本当に凄いよねブリタニアの医学は
お陰で君に復讐をするチャンスができたよ』
ルルーシュ「悪いが今お前と喋っている暇はないんだ
復讐するつもりなら後で相手になってやる
ま、その前の黒の騎士団に拘束されるのがオチだろうがな」
マオ『随分強気だねぇルル~』
特別力が強いわけでも、頭が良いわけでもない、捕らえるだけなら簡単だ」
マオ『あはははは、確かにそうかもね。でもさぁ、僕が言ったのは
そういう意味じゃないんだよね』
ルルーシュ「なに?」
マオ『自分が今どういう状況か、考えてみなよ』
ルルーシュ「俺の状況?」
マオ『ナナリー、何で帰ってこないんだろうねぇ』
ルルーシュ「!?・・・まさかお前が!?」
マオ『やっと気付いてくれたの?遅いよルル~』
ルルーシュ「ナナリーを何処へやった!?」
マオ『そう興奮しないでよ。今は眠ってるよぉ、涼宮ハルヒと一緒にね』
ルルーシュ「涼宮まで誘拐したのか・・・」
キョン「誘拐って・・・何の事だルルーシュ!?」
マオ『使える駒は多い方がいいと思ってね。あ、でも一緒にいたもう一人の女は
眠らせてそのまま放置しといたよ、誘拐してもあんまり意味なさそうだしね』
ルルーシュ「お前・・・」
ルルーシュ「非力なお前が女とは言え二人を誘拐するなど不可能だ
他に協力者がいるな?」
マオ『まーね、通りかかった奴数人に手伝ってもらったんだ』
ルルーシュ「よくそんな事だできたな」
マオ『なに、ちょっと過去をエグってやったらすぐに僕の言いなりさ
人を操るってのは何も君の専売特許じゃないんだよ?』
ルルーシュ「わざわざ二人を誘拐したんだ、何か要求があるんだろう?」
マオ『別にないよ要求なんて。ただ僕は君に復讐をしたいだけなんだ
だからゲームをしよう』
ルルーシュ「・・・ゲームだと?」
マオ『そう、ルールは簡単。君は僕からナナリーと涼宮ハルヒを取り戻そうとし
僕はそれを阻止しようとする。取り戻せたら君の勝ち、出来なかったら僕の勝ち。簡単だろ?』
ルルーシュ「・・・いいだろう、受けてやる」
マオ『ゲーム開始は明日の午後15時。場所はアッシュフォード学園』
ルルーシュ「アッシュフォードだと?」
マオ『取り敢えず指定の時間までに東京まで戻ってよ。まずはそこからだね
万が一遅れたら、その時点でアウト。人質は殺す、いいね?』
マオ『あはははwwいいねぇルル、そうこなくっちゃ!
君達がアッシュフォード学園についたのが確認できたらこちらから連絡を入れる』
ルルーシュ「・・・・」
マオ『念のために言っておくけど、時間に遅れたら本当に殺すからね?
くれぐれも遅れないように。あ、後そこにいる君のお友達も一緒に連れてきなよ
ゲームは人数が多い方が面白いからね』
ルルーシュ「・・・分かった」
マオ『じゃあねールル、また明日♪』ガチャッ
ツー ツー
キョン「おいルルーシュ、ハルヒ達はマオに誘拐されたのか!?」
ルルーシュ「あぁ、だが朝比奈みくるは無事だ
眠らせたまま放置したと言っていた」
古泉「やられましたね、まさかこのような暴挙に出るとは・・・で、彼は何と?」
ルルーシュ「二人を取り戻したければ明日の15時までにアッシュフォード学園に
来いとのことだ」
キョン「学校に!?」
今すぐ東京租界に戻ろう」
キョン「戻るったって・・・この時間じゃ電車も飛行機もないぞ?
明日一番まで待つしか」
ルルーシュ「時間がない、俺のガウェインを使う」
キョン「ガウェイン?何だそれ?」
古泉「先日九州で起こった旧日本軍による福岡基地襲撃事件
その際ランスロットと共に日本軍を殲滅したナイトメアですね」
ルルーシュ「あぁ、あの機体ならば公共機関を使うよりも圧倒的に早い
行政特区に備えて黒の騎士団の潜水艇で東京へ輸送する予定だったが
ブリタニアの海上警備が厳しくまだこの辺りに潜伏している」
古泉「ではすぐに準備が出来そうですね」
ルルーシュ「あぁ」
キョン「ちょっと待て、その前に朝比奈さんを回収しないと!
何処に置いて来たのか言ってなかったか?」
キョン「確かハルヒ達はハウステンボスに行くと言ってなかったか?」
古泉「しかし攫われた場所もそことは限りません
探すとなると少々時間がかかるかもしれませんね」
ルルーシュ「時間がない、朝比奈みるくは黒の騎士団に探させる」
キョン「おいおい、大丈夫なのかそんな事して?」
ルルーシュ「大事な情報提供者との連絡が途絶えたから探して保護しろと伝える
恐らく俺達が探すよりも早く見つかるだろうし効率がいい
俺たちはすぐに東京へと向かうべきだ」
古泉「しかし、何も策を練らずにただ闇雲に向かっていっても勝ち目がありません
向こうへ行く前にある程度策を考えなければ」
ルルーシュ「違う、逆だ。東京へ行くまでは何も考えてはいけない」
キョン「何でだ?」
ルルーシュ「マオは半径500m以内にいる人間の思考を読むことができる
仮にここでマオ打倒の策が固まったとしても、東京で奴の半径500m以内に入ってしまえば
せっかく考えた策は全て読まれ意味がなくなる」
古泉「確かにそれでは意味がありませんね。しかし、半径500mですか・・・広いですね」
キョン「だがそれじゃ向こうへ行ってからも策を考える事なんて不可能じゃないか」
相手の深層心理を読む事だってできる。とにかく今は何も考えてはいけない」
古泉「想像以上に厄介な能力ですね」
ルルーシュ「マオの事だ、恐らく汚い手を使ってくるだろう
奴の言っていたゲームとやらの全容が明らかになるまでは何も考えてはいけない」
キョン「はぁ・・・頭が痛くなってきたぜ・・・」
-------
---
-
四人は黒の騎士団に用意させたガウェインに乗り込み
東京租界へと向かった
キョン「・・・・・・(思考が読まれちまうんじゃ勝ち目なんてないじゃないか・・・
いったいどうするつもりなんだルルーシュは?)」
古泉「・・・・(半径500m内に入ったら策がバレる、ではその外から物理的な攻撃
をするしかないという事になる。でもそれだけ離れた位置から攻撃など・・・・)」
長門「・・・・・」
ルルーシュ「おい、黙るな!!沈黙は思考を誘発する、何も考えるなと言っただろ!」
キョン「んな事言ったってなぁ・・・この状況で何も考えるなってのは無理な話だぞ」
古泉「では歌でも唄いましょうか?」
キョン「・・・歌?」
古泉「えぇ、歌を唄っている時は他の事など考えられませんからね」
ルルーシュ「良い案だ!よし、みんなで唄おう!」
キョン「おいおいマジかよ・・・」
ルルーシュ「大マジだ。みんなで一緒に歌うぞ!長門有希、お前も歌うんだぞ」
長門「・・・」コクッ
キョン「はぁ・・・」
四人はコクピット内で日本の童謡などを合唱し続けた
-----二週目火曜日(午後12時)
アッシュフォード学園正門
ルルーシュ「ふぅ、何とか間に合ったな」
古泉「えぇ・・・しかし、問題はこの後ですね」
キョン「う・・・唄い疲れた」
古泉「我々は既に彼の範囲内に入っていると思いますか?」
ルルーシュ「マオは俺達が到着した事を確認し次第自分から連絡すると言っていた
つまり、あいつは俺達が到着した事を確認できる位置で既に待機しているはず」
TRRRRRRRRRRRR
キョン「電話・・・」
ルルーシュ「噂をすればだ」
ピッ
それにしても、まさか無策でここまで来るなんてね。君らしくないよ、どうしたんだい?』
ルルーシュ「黙れ」
マオ『あははは、歌まで唄って一生懸命思考を停止してたみたいだけど
無策のままで僕に勝てるとでも?』
ルルーシュ「時間通りに来たぞ。俺たちは何をすればいい?」
マオ『何って、昨日言ったじゃないか。君達は僕からナナリーと
涼宮ハルヒを救い出せばいいんだよ』
ルルーシュ「救い出すと言っても、そう簡単じゃないんだろう?」
マオ『勿論、キョンって奴の携帯にメールを送るから添付されてる画像を見てよ』
ルルーシュ「画像?キョン、お前にメールが送られてくる
添付されてる画像を開いてくれ」
キョン「あ、あぁ・・・(あいついつの間に俺のアドレスを)」
ピッ、ピッ
キョン「んなっ!?」
ルルーシュ「どうした?」
そこには椅子に縛られているナナリーとハルヒの姿があり
二人の間には爆弾のようなものが大量に設置しており
無数の導線が絡み合っていた
古泉「これは・・・」
ルルーシュ「マオ、お前・・・・!!」
マオ『あははは、どう?なかなか面白いでしょww』
ルルーシュ「どういうつもりだ!?」
マオ『そこに設置してある爆弾は起動から120分後に爆発する仕掛けになってる
君たちのミッションはそれまでの間に二人を見つけ出し、尚且つ救出すること
出来れば君たちの勝ち、出来なかったら君達の負け
負けた場合、人質の二人には吹っ飛んでもらうからねww』
ルルーシュ「貴様・・・」
古泉「こんな事までしてただで済むとお思いですか?
この勝負、万が一あなたが勝ったとしても、その後あなたを待っているのは
死よりも厳しい地獄ですよ?」
マオ『はぁ?脅しのつもりかい?機関とやらの勢力なんてちっとも怖くないよ
ていうか、ここで君が死んじゃったら空中分解だろその組織?』
古泉「・・・」
僕は爆発が怖いんでとっくに離れてるけどね』
ルルーシュ「それでも俺たちの半径500m以内にはいるんだろ?」
マオ『勿論、あれ?これって結構なヒントだよねぇww』
ルルーシュ「何処に隠れてるか知らんが、覚悟しておけよ
二人を救出したらお前を殺してやる!」
マオ『楽しみにしてるよルル~♪ていうか、そんなにのんびりしてていいの?
君達が学園内に入った段階で起爆装置は作動しちゃってるんだけど』
ルルーシュ「何だと!?」
マオ『もう10分以上経っちゃってるよぉ、残り110分
あはは、こっちに来てから作戦を考えようとしてたのに
考える時間全然ないねww早く二人を探さないと』
ルルーシュ「くっ・・・・」
マオ『じゃーねルル、健等を祈るよ』 ガチャッ
ツー ツー
ルルーシュ「くそ・・・・」
ルルーシュ「もう爆弾の起爆装置が作動している!猶予は110分しかない
それまでに二人を探し出して救出するぞ!」
キョン「110分だと・・・」
ルルーシュ「マオの言う事が本当ならば二人は学園の半径1km圏内のどこかに
監禁されてるはずだ!」
古泉「半径1kmですか・・・結構広いですね。三人バラバラになって探しましょう」
ルルーシュ「そうだな、見つけ次第他の二人に連絡・・・いいな」
キョン「あぁ」
ルルーシュ「俺は本館を探す」
古泉「では僕は別館を」
キョン「じゃあ俺はクラブハウスに行くか。・・・長門はどうする?」
長門「・・・グランド」
ルルーシュ「よし、じゃあ行動開始だ!時間がない、みんな頼むぞ」
キョン「おう!」
ルルーシュ「古泉、そっちはどうだ?」
古泉『隅々まで探しているのですが・・・そちらはどうです?』
ルルーシュ「こっちも駄目だ・・・また連絡する」
ピッ
ルルーシュ「くそっ、いったい何処にいるんだ!」
TRRRRRRRRR
ルルーシュ「・・・・マオか」
ピッ
マオ『ルル~、いつまでダラダラやってるのさ。急がないと爆発しちゃうよぉ』
ルルーシュ「そう思うならいちいち電話をかけてくるな!」
マオ『嫌だなぁ、せっかくヒントをあげようと思ったのにww』
ルルーシュ「ヒント!?」
マオ『そうだよ、君達があまりにも不甲斐無いんでね』
ルルーシュ「ちっ・・・」
ルルーシュ「・・・・・」
マオ『これがヒントだよ、分かったかな?じゃあ頑張ってねルル~♪』
ピッ
ルルーシュ「学園内で最も広い場所・・・体育館や講堂は古泉が調べてるはず
となると・・・そうか、地下の循環システム!!取り敢えずみんなを呼ぶか」ピッ
ルルーシュは電話をかけ本館にある
エレベーター前までキョン達を呼び寄せた
キョン「ルルーシュ!」
ルルーシュ「ようやく全員そろったか」
古泉「何処にいるのか分かったのですか?」
ルルーシュ「あぁ、地下の循環システムだ」
キョン「循環システム?この学園には地下にそんなもんがあったのか」
ルルーシュ「地下へはここのエレベーターから行ける、急ごう」
四人はエレベーターへと乗り込み
地下の循環システムへと向かった
ウィーーーーン
ルルーシュ「どうだ?」
古泉「あなたの言うとおりです。監視カメラにマシンガンが連動してます」
古泉はエレベーター内で手鏡を使い外の様子を確認している
古泉「あのタイプだと、タイムラグは殆どありませんね
エレベーターから出た瞬間蜂の巣です」
キョン「マジかよ・・・」
ルルーシュ「そうか・・・では一旦上に戻ってシステムの電源を落とそう」
長門「問題ない」
ルルーシュ「ん?何か言ったか?」
ルルーシュが問いかけた瞬間長門は
目にも止まらぬ速さで駆け出した
キョン「な、長門!?」
カメラに連動したマシンガンから無数の弾丸が降り注ぐが
長門は素早く全弾を回避し空中へと飛び上がり
カメラとマシンガンを蹴り壊した
長門「これで通れる」
キョン「相変わらず何でもありだなあいつは・・・」
ルルーシュ「何て奴だ・・・」
古泉「長門さんがいて助かりましたね。さぁ行きましょう」
四人は奥の循環システムへと向かうと
そこには椅子に縛り付けられているナナリーとハルヒの姿があった
周囲には無数の爆弾が設置してある
キョン「ハルヒ!」
ルルーシュ「待ってろ、今助けてやる」
古泉「待ってください、上を」
ルルーシュ「上?・・・・・あれは」
ナナリーとハルヒの上には振り子爆弾が設置してあり
右へ左へ交互にゆっくりと動いている
ルルーシュ「振り子爆弾か・・・・」
古泉「お二人の周りに設置してある爆弾はダミーのようですね
どうやら本丸はあれのようです」
ルルーシュ「マオめ、どこまでの人をおちょくれば気が済むんだ」
キョン「ていうか二人とも大丈夫なのか?何かぐったりしてるが」
古泉「恐らく眠らされているのでしょう。しかし、これはこちらとしては好都合です
ナナリーさんはともかく、涼宮さんに見られている状況では
あまり派手な行動は取れませんからね」
長門「振り子爆弾、いつまでも運動が止まらないようにソレノイドがエネルギーを
与え続けている爆弾。外部からそれ以外の力が加わった場合爆発する」
ルルーシュ「この場合、恐らくナナリーと涼宮ハルヒを動かしても爆発するだろうな」
キョン「爆発の規模は?」
長門「半径500m以上」
キョン「俺達だけじゃなく、上にいる他の生徒も吹っ飛ぶな・・・」
古泉「解体の方法は分かりますか?」
ルルーシュ「理屈はな、起爆装置から出ている導線を切断するだけだ
あいつは本職じゃないからダミーを割り出す事は簡単だ
しかし、他の方法を考えるしかない・・・」
キョン「どうしてだ?区別さえつけば後は切るだけだろ?」
ルルーシュ「ごく僅かな揺れ幅の中で一本の導線を切断する・・・人間業じゃない」
長門「私がやる」
ルルーシュ「簡単に言うな、情報が少なすぎる!」
古泉「しかし、慎重になっている時間はありません。起爆まで30分を切っています
ここは長門さんに任せるしかないでしょう」
古泉「それに情報ならあなたの目の前にあります。長門さんは先程見せたような
並外れた運動能力を持った宇宙人です。これらの情報は生かせませんか?」
ルルーシュ「・・・いいだろう、ここは長門有希に任せる」
長門「切る線は?」
ルルーシュ「赤だ、青と黄色はトラップだ」
長門「分かった」
ルルーシュ「さっきお前は爆発の規模は半径500m以上と言っていたな?
それは間違いないか?」
長門「間違いない」
古泉「では今我々は彼のギアスの効果範囲外にいる可能性が高いという事ですね」
ルルーシュ「あぁ、あいつは臆病だからな。早々に安全地帯へと退散しているはずだ
つまり、今は俺達の思考は一切読まれていない。これは千載一遇のチャンスだ」
古泉「あそこに監視カメラがあります。あのカメラの配信先を調べれば
彼の居場所は簡単に割り出せますね」
キョン「でもどうするんだ?いくらここで作戦を立てても、またあいつの半径500mに入ったら
全部バレちまうんだぞ?」
ルルーシュ「・・・・・・・」
------
---
外・アッシュフォード学園教会前
ルルーシュ「カメラの配信先はここだ」
キョン「まさかこんな近くにいたとはな」
ルルーシュ「恐らく一度は学園の外に出て、俺達が地下へ行ったのを確認した後で
移動したのだろう。ふざけた奴だ」
キュン「作戦を考えようにも、ここでの思考は全部読まれてるんだよな・・・」
ルルーシュ「あぁ」
キョン「勢いでここまで来ちまったが、どうするんだ?」
ルルーシュ「爆弾の事はどうにもならない、長門と古泉には動くなと伝えた
後は俺達がやるしかない」
キョン「・・・・負けを認めるのか?」
ルルーシュ「それ以外に二人を助け出す方法が見つからない・・・
それに負けを認める事で二人が助かるなら、俺はそれで構わない」
キョン「ルルーシュ・・・」
キョン「あぁ」
ガチャッ
マオ「いらっしゃーい泥棒ネコくん!」
ルルーシュ「マオ・・・・」
マオ「爆弾を放置した上に、無策のままここへ来るなんて君らしくないじゃない」
ルルーシュ「マオ、俺は・・・」
マオ「負けを認めて降参するとか考えてたみたいだけど、そんなの上辺だけだね
現に君は今でもいろいろと策を練ってる。全部筒抜けだけど
僕はその気になれば深層心理まで読むことが出来るんだ、この状況で
僕を出し抜こうなんて不可能だよルル」
ルルーシュ「くっ・・・」
キョン「ルルーシュ・・・」
マオ「はは、横の君は心から負けを認めてるようだね。ルル、彼を見習いなよ
そして心から僕に負けを認めるんだ。そうすれば二人は助けてあげるよ」
ルルーシュ「お前・・・」
いつでも爆弾を爆発させる事ができる。ルル、愛しのナナリーの命は今僕が
握っているんだよ?」
キョン「ルルーシュ!!」
ルルーシュ「・・・・分かった」
マオ「お、考えがまとまったようだね」
ルルーシュ「マオ・・・俺の負けだ、頼む二人を助けてくれ」
マオ「駄目駄目、全然駄目だよルル!僕は心の底からって言っただろ?
まだ心のどこかで僕を倒す策を考えてる君がいるよ!」
ルルーシュ「くっ・・・」
マオ「出来ないのなら押しちゃうよスイッチ?」
ルルーシュ「わ、分かった!!言うから待ってくれ!!」
マオ「これが最後のチャンスだ、次はないよ」
ルルーシュ「・・・あぁ」
マオ「じゃあどうぞ」
ルルーシュ「マオ、俺の負けだ。お前の・・・お前の勝ちだ
俺はどんな罰でも受ける、だから二人は助けてくれ!!」
マオ「ふっ、ふはははは!!やっと君の心からの敗北宣言が聞こえたよww
これほど愉快な事はないwww最高の気分だwww」
ルルーシュ「さあ約束だ、二人を助けてくれ!」
マオ「約束?何の事だろうねぇ。残念だけど二人には死んでもらうよ」
キョン「何だと!?おいふざけんな!!」
マオ「雑魚は引っ込んでなよ。ルル、君を地獄の底に突き落としてあげるよ」
キョン「おい止めろ!」
ルルーシュ「止めろぉぉぉ!!」
バリィィィィィィン!!
その時教会のガラスを突き破り長門が現れ
瞬時にマオを背後から押さえ込んだ
ドサッ!!
マオ「ぐあっ!!」
ルルーシュ「どうしてここに・・・」
長門「全部あなたの指示」
マオを上から押さえ込みながら長門は言う
ルルーシュ「お、俺の指示だと?」
マオ「馬鹿な、この女いつの間にここへ来たんだ!?
500m以内に入ればここへ突入する事は思考で読めたはずなのに!」
古泉「僕が説明しましょうか」スタスタ
キョン「古泉?お前まで何でここにいるんだ?」
古泉「おや、お気づきになりませんか?でもあなたはもう分かったのでは?」
ルルーシュ「・・・・・・・ふ、ふはははは!!そうか、なるほどな
確かに指示を出したのは俺のようだな」
マオ「あ、ありえない!!お前の思考は深層心理まで読んでた!
こいつが突入してくるなんて内容は何処にもなかったぞ!?」
古泉「無くて当然ですよ。彼は自分の出した指示を全て忘れたのですから」
マオ「忘れた?どういう事だ!?」
このカラクリもすぐに理解できるだろう」
マオ「な、何だ・・・そういえばさっきから声が聞こえない!!どういう事だこれは!?」
長門「矯正プログラムを注入した。もうあなたはギアスを使えない」
マオ「な、何だと!?」
ルルーシュ「良かったじゃないか、日頃から抱えていたストレスからようやく解放されるんだぞ
能力のONとOFFがつかず終始他人の声が聞こえていたお前だ
この静寂はかえってストレスになったりするのかな?」
マオ「く、くそぉぉぉ・・・ルルーシュゥゥゥ!!」
ルルーシュ「答えは簡単だ、俺はキョンと自分自身にギアスをかけたんだ
長門と古泉に作戦内容を伝えた後でな」
古泉「正確には、『今出した作戦を忘れマオの元へ向かえ』とギアスをかけていましたよ」
キョン「そうか、それで・・・」
古泉「長門さんの接近に気付かなかったのは、あなたがルルーシュさんの思考読みに
ギアスを集中させていたからです。ルルーシュさんが敗北を宣言する際と
爆弾を爆発させる瞬間は必ずあなたはルルーシュさんの深層心理を読もうとする
だから我々はその際に近づけと指示されていたのです」
ルルーシュ「悪趣味なお前の事だからな、爆弾を爆発させる際の俺の思考など
絶対に読みたいに決まってる。ふっ、まさかこうまで思い通りに行くとは」
キョン「二人は?」
古泉「取り敢えずクラブハウスに運んでおきました。
爆弾は長門さんが解除してくれましたのでもう安心です」
キョン「そうか」ホッ
ルルーシュ「さて、後はこいつの処遇をどうするかだな」
マオ「くっ・・・・・」
古泉「ギアスが使えない以上、二度と似たようなマネは出来ないでしょうが
だからと言って無罪放免というわけにもいきませんね」
ルルーシュ「当然だ、お前には相応の罰を受けてもらうぞマオ」
マオ「くぅぅ・・・・」
C.C「待て!!」
キョン「あ、あなたは」
ルルーシュ「C.C!?」
C.C「ルルーシュ、マオの最後は私が決める。だから私に引き渡せ」
C.C「ギアスを与えた者として、きちんと責任を果たしたい」
キョン「ギアスを与えた!?C.Cさんが!?」
ルルーシュ「・・・・・いいだろう。長門有希、放してやれ」
長門「・・・・」コクッ
スッ・・・
マオ「C.C!!僕を助けに来てくれたんだね!!ありがとう、やっぱり君は僕のことが
大好きだったんだね、ありがとうC.C、ありがとう!」
C.C「マオ・・・・・」
C.Cはゆっくりとピストルをマオの胸へと押し付けた
マオ「え?」
C.C「好きだったよ・・・・マオ」
ドンッ!!
C.Cはピストルの引き金を引き
マオは絶命した
ルルーシュ「・・・良かったのか?これで」
C.C「あぁ」
ルルーシュ「遺体はどうする?」
C.C「私が供養しておく」
ルルーシュ「そうか」
古泉「ルルーシュさん、C.Cさんについての説明はしていただけるのでしょうか?
何やら先程気になる事を言っていましたが・・・」
ルルーシュ「今更お前達に隠し事などしないさ、後で説明する
それよりも今は他にやる事があるだろ?」
古泉「・・・そうですね」
キョン「早くハルヒやナナリーの所へ行こうぜ!」
古泉「そろそろ目を覚ましているかもしれませんね
さて、今回の事をどう誤魔化したものか・・・妙案は?」
ルルーシュ「ない、お前に任せる」
古泉「ふぅ・・・」
ハルヒ「?何処ここ?」
ナナリー「・・・・この匂い、クラブハウスの中ですか?」
ハルヒ「クラブハウス?言われてみればそうだわ、私達何でこんな所にいるのかしら?」
ナナリー「ハウステンボスに・・・いたはずですよね?」
ハルヒ「そう・・・あれ?そこで何かあったような気がするんだけど全然思い出せないわ」
ナナリー「私もです」
ハルヒ「まぁいいわ、取り敢えずキョン達に連絡してみましょう」
ガチャッ
キョン「ハルヒ!!」 ルルーシュ「ナナリー!!!」
ハルヒ「うわっ!!何よアンタ達急に・・・ビックリするじゃないの」
キョン「はぁ・・・本当に無事だったんだな・・・良かった」
ハルヒ「無事?何言ってんのアンタ?」
ルルーシュ「ナナリー、怪我はないか?」
ナナリー「へ?ありませんけど、いったい何があったのですかお兄様?」
キョン「お前、何も覚えてないのか?」
ハルヒ「はぁ?」
キョン「はぁ・・・何てお気楽な奴だ・・・」
ハルヒ「ちょっとキョン!!何があったのかきちんと説明しなさい!」
古泉「僕が説明しましょう!」
古泉は二人が誘拐されていた事を説明し
その後警察によって保護されたと付け加えた
ハルヒ「あ、ありえないわ・・・この私が誘拐されるなんて・・・」
キョン「確かに、お前を誘拐しようだなんて奇特な奴はそういないだろうな」
ハルヒ「そういう意味じゃないわよ馬鹿キョン!!ごねんねナナリー
私がついていながら・・・」
ナナリー「そんな、謝らないでください涼宮さん。私涼宮さんには感謝してるんです
いつも家で一人だった私を、外に連れ出してくれて、SOS団に入れてくれて
本当にありがとうございます」
ルルーシュ「ナナリー・・・」
ハルヒ「ナナリー・・・私の方こそお礼を言いたいくらいだわ!
SOS団に入ってくれてありがとうナナリー!」
その時閉じていたナナリーの両目がゆっくりと開いた
ルルーシュ「!!?」
キョン「ナナリー、目が!!」
古泉「これは・・・」
ハルヒ「ナナリー・・・・目、見えるの?」
ナナリー「はい」
ハルヒ「やったわ、ナナリーの目が治った!!」
ルルーシュ「まさか・・・・あんなに苦労したのに、こんな簡単に・・・」
古泉「涼宮さんのお陰ですね。彼女がそう望んだから、ナナリーさんの目が治った
のかもしれません」
キョン「やったなルルーシュ!」
ナナリー「お兄様・・・・」
ルルーシュ「ナナリー、良かったな」
ナナリー「はい」グスンッ
二人は泣きながら抱き合った
ハルヒ「よーし、じゃあ旅行の続きをするわよー!!」
キョン「おい、空気を読めアホ!というか、続きってどういう事だ?」
ハルヒ「続きは続きよ、長崎観光はもう終わったようなものだけど
まだ沖縄に行ってないじゃない!アホな誘拐犯のせいで予定が狂ったわ!
文化祭まではまだ時間があるんだし、今すぐ出発するわよ!」
キョン「い、今すぐって正気かお前?」
ハルヒ「当然!」
キョン「orz」
ルルーシュ「諦めろ、一度こう言い出したらもう何を言っても無駄だ」
キョン「はぁ・・・・・だな」
キョン「!!!」 ルルーシュ「!!!」
ハルヒ「ねぇ、何処よ?みくるちゃんも私達と一緒に誘拐されてたんでしょ?」
キョン「(か・・・・)」
ルルーシュ「(完全に忘れていた・・・)」
古泉「朝比奈さんは誘拐されませんでしたよ、現在は買い物に出ています」
ハルヒ「こんな感動的な場面を見逃すなんて、いかにもみるくちゃんって感じね
でもまぁ、無事なら良かったわ」
キョン「おいルルーシュ、朝比奈さんは大丈夫なんだろうな?」
ルルーシュ「(ディートハルトに確認しておくか・・・)」
その後朝比奈みくると合流しSOS団は旅行を再開した
文化祭の前の日まで沖縄で遊び呆け
ハルヒを始めメンバー全員は大いに楽しんだ
ガチャッ
キョン「ん?ハルヒはまだ来てないのか?」
古泉「えぇ」
キョン「一目散に教室を出てっ行ったのに何やってんだかあいつは」
ルルーシュ「どうせまた良からぬ事を考えてるんだろう」
キョン「この間文化祭で超巨大ピザを作って大はしゃぎしたばかりだぞ?
その前には全国を巡る旅行までしてるんだ。
いくらあいつでも、少しくらい大人しくしてくれるはずさ」
ルルーシュ「あまり期待しない方がよさそうだがな」
古泉「しかし良かったじゃありませんか、ナナリーさんに超巨大ピザを見せる事ができて」
ルルーシュ「あぁ、目が見えるようになってからこれまでとは比べ物にならないくらい
日常生活が楽になっただろうしな、本当に良かった」
古泉「ところで、行政特区の件上手くいっているようですね」
ルルーシュ「まだまだ課題は山積みだ。これからの交渉次第だな」
古泉「特区の式典でユーフェミア殿下にギアスをかけ、トラブルを作り
東京へ進軍すると言っていたのに随分と変わりましたね
その変化には涼宮さんに受けた影響が多少なりと関係してるのでは?」
古泉「また余計なことを言ってしまいましたね、すいません」
ルルーシュ「長門有希」
長門「・・・・なに?」
ルルーシュ「そういえばこの間マオに打っていた矯正プログラムとかいうやつ
俺は何の話も聞いていなかったのだが、いつからそんなもの持っていた?」
長門「私が教会に突入したと同時に情報統合思念体が開発した」
ルルーシュ「突入した瞬間?随分とタイミングが良いな
で、何故そのプログラムを俺には打たない?」
長門「・・・」
ルルーシュ「統合思念体からしたらギアスという存在は無力化しておきたいところだろう
何故俺には使わない?これまでにチャンスは何度もあったはずだ」
長門「・・・あなたには使わない」
ルルーシュ「何故?」
長門「確かに情報統合思念体はあなたへのプログラム注入を推奨している
でも私がそれをしたくない、あなたは涼宮ハルヒに害を与えるような存在ではない
寧ろ今後涼宮ハルヒを外敵から守るにはあなたの力は必要」
長門「そう」
古泉「頼りにしていますよ」
ルルーシュ「ふん」
キョン「それにしても遅いなあいつ」
バタンッ
ナナリーの車椅子を押したハルヒが
満面の笑みを浮かべて入ってきた
ハルヒ「サッカーの大会に出るわよぉ!!!」
ルルーシュ「・・・やはり期待するだけ無駄だったな
こいつは常に何かしていないと気がすまないようだ」
キョン「おいルルーシュ、こいつに大人しくしろとギアスをだな」
ルルーシュ「お前がそれでいいならやってみてもいいが?」
キョン「はぁ・・・・冗談だ」
完
前にドラえもんとギアスのクロスも書いたので暇な時ググってみてください
それでは駄文失礼しました。
マオのとこが少し残念だったが全体的に楽しめた
面白かったぜ
面白かったぜぃー
Entry ⇒ 2012.07.28 | Category ⇒ コードギアスSS | Comments (0) | Trackbacks (0)
上条「マンソン、テストどうだった?」マンソン「まあまあだな」
土御門「マンソンは努力してるからにゃー」
青ピ「ピアノの練習に加えて勉強もきちんとやるなんてさすがやで」
マンソン「おいおい、お前たちにもできることじゃないか」
吹寄「そうよ、とくに上条当麻は赤点だらけなんだからマンソンに教えてもらいなさいよ」
上条「うっ・・・ぐうの音もでねえ」
マンソン「上条、授業料は高いぞ?」
上条「安くしといてくれよな」
マンソン「冗談だ、ただにしといてやるよ」
小萌「はいはーい、みんな席につくのですよー」
シドニー・マンソン(ニコニコ大百科)
マンソン「ああ、あんなにかわいい先生はほかにはいないからな」
小萌「はーい、二人ともそれ以上しゃべりやがると強制的にすけすけみるみるなのですよー?」
青ピ「はーい」
マンソン「はーい」
小萌「マンソンちゃんはできる子なんですから少しは三人をひっぱってほしんですよ?」
マンソン「そういわれても」
吹寄「先生、マンソンにそこまでさせるとピアノがおろそかになってしまいます」
小萌「それも困り者ですね、あなたたち三人がきちんとお勉強すれば先生もこんなこと言わなくてもすむんですよ?」
上条「はーい」
土御門「はーい」
青ピ「怒った顔も素敵やでこもえせんせ~」ハァハァ
小萌「はー、青ピちゃんは放課後強制すけすけみるみるなのでーす」
青ピ「やったでえ!!ヒミツの放課後やでえ!!」
マンソン「ゆがみないな」
マンソン「ああ、くたくただぜ」
御坂「あ!いたいた!!見つけたわよ!!」
上条「この声は・・・」
マンソン「ああ・・・」
御坂「あんたたち!!今日こそあたしと勝負しなさい!!」
上条「やっぱり・・・」
マンソン「御坂・・・」
御坂「なんでそんなに呆れてるのよ!ちょっとはまじめにやんなさいよ!」
上条「やだ」
マンソン「俺もだ」
御坂「なんでよ!!まだ決着ついてないじゃないの!!」
禁書アンチ?マンソンに叩きどころがないからって存在を無視するなよ
御坂「よくないわよ!!あたし殴られてもいないじゃない!」
マンソン「女の子を殴るなんて俺たちにできるわけないじゃないか」
御坂「うぅ・・・!!なんかその余裕たっぷりなところが頭にくるのよ!!」
ビリビリビリビリ!!!!
上条「うわっ!!」パキーン
マンソン「危ないじゃないか!」
御坂「あ、あんたたちが真剣に勝負しないのがいけないのよ」
マンソン「ふう、しょうがないな・・・」
御坂「あっ・・・また・・・・」
マンソン「心を落ち着けるメロディーだ、どうだ?心が安らいでくるだろ?」
御坂「・・・・うん・・・いい音・・・・・」
上条「音楽で相手の感情をコントロールすることができるなんてさすがマンソンだぜ」
マンソン「なあ、俺たちは争う必要はないんだ、仲良くお茶でも飲もうじゃないか」
御坂「そうね・・・うん、なんであんなにイライラしちゃったんだろ」
上条「それじゃあ俺そこでクレープ買ってくる」
マンソン「おっと、俺が行くよ。上条だと転んじゃうかもしれないだろ?」
上条「あ、それもそうだな」
上条「はぐ」
マンソン「もぐもぐ」
御坂「なんかおいしいのが余計にくやしい」
上条「やめてくれよ、せっかくクレープ食べてるのにさ」
マンソン「そうだ、おいしいクレープが台無しになるだろ?」
御坂「うん・・・」モグモグ
黒子「はぁ・・・またあなた方ですの・・」
上条「白井!」
マンソン「よう、白井もクレープ食べるか?」
御坂「あー、そっか、なんかわるいわね」
黒子「ええ、ですから次の機会に・・・あなた方も少しはお姉さまの心を乱さないようにしてくださいまし、では」
御坂「こらっ!」
上条「どういうことだ?」
マンソン「さあな」
御坂「別に気にしなくていいわよ、あの子が勝手に言ってるだけだから」
マンソン「そうだ、ひとつテイクアウトしてくるからあとで白井に食べさせてやってくれよ」
御坂「え?なんか悪いわよ」
上条「気にするなよ、俺たちなぜか白井に嫌われてるっぽいし」
マンソン「できることなら仲良くやりたいからな」
マンソン「ん?」
上条「えっ?」
御坂「!!!!!」
マンソン「御坂そっくり・・・・双子か?」
上条「見ればみるほど瓜二つだな」
御坂妹「妹です」
マンソン「へー、初耳だな」
上条「ああ、なあ御坂、紹介してくれねーか?」
御坂「おい妹、ちょろっとこっちで話しましょうか」ガシッ
御坂妹「ミサカにもスケジュールがあるのですが」
御坂「い・い・か・ら! 来なさい・・・・」
マンソン「え?」
上条「おい」
御坂「あたし妹と話することができたからこれで失礼させてもらうわー、じゃあねー」
上条「まあ複雑な家庭環境ってやつじゃないのか?」
マンソン「頭にゴーグルつけてなかったら見分けがつかねーな」
上条「俺たちに勝負挑んでくるのがいつもの御坂ってくらいかな」
マンソン「そうだな」
上条(あとは短パン・・・妹も短パンはいてんのかな・・・)
マンソン「おい上条、顔がやらしいぞ?」
上条「えっ?いや、そんなことねーって!!」
マンソン「本当か?」
上条「本当だって!」
上条「おや、あれは・・・」
猫「・・・・・」
御坂妹「・・・・」
マンソン「よう、何してんだ?」
上条「猫にエサやろうとしてんのか?」
御坂妹「そうです」
マンソン「って言っても菓子パンをあげるのはどうかと思うけどな」
上条「人間の食べ物って猫にはあまりよくないんだっけ?」
御坂妹「では、どうすればいいのでしょうか」
上条「あ、そうか、それじゃあ古本で100円のやつでいいか」
マンソン「それで十分だろう」
御坂妹「ですがミサカにはこの猫に触ることができないのです」
マンソン「そうか?ほら」スッ
上条「ほら、そっと抱いてみろって」
御坂妹「・・・・はい」ギュッ
猫「にゃー」
マンソン「ほら、大丈夫じゃないか」
マンソン「それじゃあ名前考えるか?」
上条「何かいいのあるか?」
御坂妹「いぬ」
マンソン「は?」
上条「犬?」
御坂妹「この猫の名前です、猫なのに いぬ」ニヤッ
マンソン「いや、もうちょっとだな」
上条「威厳のある名前っていうか」
御坂妹「では、徳川家康」
マンソン「やりすぎだ」
上条「偉人の名前をつけるなよ・・・」
上条「店の中に猫をつれて入るわけにはいかねーからな」
御坂妹「はい、それではここで二人を待っています」
マンソン「けっこうわかりやすいのが買えたな」
上条「ああ、これでばっちりだぜ」
マンソン「あれ?あいつはどこに行ったんだ?」
上条「へんだな・・・」キョロキョロ
いぬ「にゃー」
マンソン「お前の飼い主はどこにいっちまったんだ?」
いぬ「にゃー」トコトコ
上条「そっちにいるのか?」
上条「うげぇ・・・・・」
マンソン「なんだって・・・・なんだってこんなことに・・・・」
上条「御坂の妹が・・・・」
御坂妹「すみません、予定があるのをすっかり忘れていました」
マンソン「え?」
上条「御坂妹!!えっ?それじゃあこれは・・・」
御坂妹「これも間違いなくミサカです」
マンソン「どういうことなんだ・・・」
御坂妹「ミサカたちは――――」
上条「学園都市の中でこんなことが行われているなんて・・・・」
マンソン「上条、御坂はこのことを知っているんじゃないか?」
上条「そういえば・・・御坂妹を見る目が尋常じゃなかったし・・・」
マンソン「ああ、知らなかったとしたらいきなり目の前にクローンが現れてあんな反応ですむわけがない」
上条「マンンソン!御坂のところに行ってみようぜ」
マンソン「ああ」
マンソン「なあ、御坂がどこに出かけているか知らないか?」
上条「一刻を争うんだ、何か知っているなら教えてくれ!」
黒子「私も知らないのですわ、このところ毎日お出かけになられて戻ってきてもすぐに・・・」
マンソン「そうか・・・」
上条「くそっ・・・御坂はどこに・・・・」
コツッコツッコツッコツッ
黒子「はっ!!いけませんわ!寮監の巡回ですの!!」
マンソン「お、おう、上条、早く!!」
上条「って言われてもせまくて・・・・」
ガチャッ
マンソン「危機一髪ってやつか・・・」ヒソヒソ
上条「ああ、危なかったぜ・・・ん?」ヒソヒソ
マンソン「どうした?」
上条「!?マンソン・・・これ・・・」
マンソン「こ、これは・・・・・」
マンソン「見つけたぞ・・・」
上条「御坂・・・・」
御坂「あんたたち・・・・」
マンソン「御坂、お前何をしようとしてるんだ?」
上条「悪いことは言わない、こんなことはやめるんだ」
御坂「やめる?何を?自販機にケリいれてジュースとってるみことちゃんに夜遊びくらいで説教しようっていうの?」
マンソン「絶対能力進化実験・・・・」
御坂「!!??」
上条「悪いが、白井に部屋にあげてもらった時にみつけちまったんだ、後で気の済むまで殴れ」
マンソン「やめさせてみせるさ」
上条「どんな手を使ってでもな!!」
御坂「ふざけないで・・・あんたたちに一方通行は絶対に倒せない・・・」
マンソン「御坂にできなかったからか?」
御坂「!!」
上条「お前の性格だ、この実験を知った段階ですぐに一方通行のところへ殴りこみに行くだろうな・・・」
御坂「・・・・でも・・・他に方法がないのよ?」
マンソン「だからって御坂が死んでいいわけないだろうが!!」
上条「きっと何かあるはずだ!!御坂が命を投げ出さなくても実験を中止させる方法が!」
マンソン「どかない」
上条「俺もだ」
御坂「はあ?だったら力ずくでとめてみなさいよ、いつもみたいにあたしをこてんぱんにしてみなさいよ」
マンソン「戦わない」
上条「絶対に」
御坂「ふざけないで!!戦う気があるのなら、拳を握れ!戦う気がないのなら、立ち塞がるな!ハンパな気持ちで人の願いを踏みにじってんじゃないわよ!」
マンソン「・・・・」
上条「・・・・・」
御坂「この・・・・このおおおおおおおおおお!!!!!!」
上条「ああ、だけど休んでる時間はない」
マンソン「早くしないと実験が始まっちまうからな・・・・」
上条「急ごうぜ!!」
御坂妹「うぅ・・・・・・」ボロッ
一方通行「もォ終わりかよ・・・もっと楽しませてくンねェか?」
御坂妹「・・・・・・」
一方通行「反応無しか、まァ人形にしちゃよく持ったほうだ・・・じゃあな」
マンソン「待て!!!」
上条「御坂妹から離れろ!!」
マンソン「知ったことか!!お前の相手は俺たちがやってやる!!」
一方通行「あァ?笑えねえ冗談だなァ?」
上条「だから御坂妹から離れろって言ってんだろうが!!!」
一方通行「なら、ちゃンとキャッチしろよ」ポーン
マンソン「くっ」
ズサアアアアアアアアアア
上条「マンソン!!」
マンソン「大丈夫だ、御坂妹は無事だ」
御坂妹「うっ・・・・・・あなたたちは・・・・」
上条「!!!」ブチッ
上条「てめえええええ!!!!」
一方通行「あン」トン
轟!!!
マンソン「砂利が柱のように!!!」
上条「くっ・・・・この!!」
一方通行「おいおい何がしたいンですかァ?」トン
メキメキメキメキ ビュンッ!!
御坂妹「レールがうねりをあげて・・・・」
上条「うわっ!!!くっそっ・・・・・・」ハァハァ
上条「はっ」
マンソン「熱くなるのはいいことだがリズムを忘れたら戦いには勝てないぞ!!」
上条「そうだ・・・そうだったなマンソン」
マンソン「思い出せ!俺たちはいつもリズムを合わせて戦ってきたはずだ!!」
上条「ああ!」
マンソン「ステイルと戦った時も、神裂と戦ったときも、自動書記を抑えたときも・・・」
マンソン「俺たちはリズムを失わなかったはずだ!!」
上条「すまねえマンソン、おかげで冷静になることができたぜ!!」
マンソン「いくぞ上条!!」
上条「ああ、俺たちのリズムで」
マンソン「一方通行を倒す!!!」
轟!!!
上条「アン!!!」
マンソン「ドゥ!!!」
上条 マンソン「「トロワ!!!」」
御坂妹「あの攻撃をかわしている・・・・」
一方通行「ハッハァ!!かわしたところで攻撃できなきゃ意味ねェだろうがァ!!」
マンソン「旋律だ!!! ハウリング・ロデオ・ドライブ!!!」
一方通行「なンだァ?このメロディー・・・っ 体の力が・・・・」
上条「うおおおおおおおお!!!」
バキィィイィ!!!!!!!
御坂妹「一方通行がノーバウンドで・・・・」
御坂「うそ・・・・」
御坂妹「お姉さま・・・・」
上条「はぁ・・・・はぁ・・・・」
マンソン「いいコンビネーションだったな上条!!」
上条「ああ、マンソンのハウリング・ロデオ・ドライブは最高だぜ!!」
一方通行「くかかかか・・・そォか、いてェってのはこンな感覚だったンだなァ!!」ヨロヨロ
上条「まだやるつもりか・・・」
マンソン「上条、気を抜かないでもう一度だ、もう一度リズムで行くぞ!!」
上条「どういうことだ?」
一方通行「そこのヒゲめがねの能力はメロディーを聴かせることで相手の感情から自在に操作する能力だろ?」
マンソン「くっ・・・・・」
御坂「さすが一方通行ね・・・・」
御坂妹「マンソンの能力を一度で見破るとは・・・」
一方通行「なら話は簡単だ!!俺のベクトル操作で音を遮断すればもう俺に攻撃できる隙をつくることはできねェ!!」
マンソン「なんてことだ・・・」
上条「これじゃあ俺たち4人のリズムを合わせた攻撃が展開できない!!」
御坂「なにか・・・・何か方法はないの?」
御坂妹「あきらめてはいけません!!」
御坂「そうよ!あたしたちはずっと4人で戦ってきたわ!!」
マンソン「ああ!4人の仲間、4人の絆さえあればどんなことでも乗り越えられる!!」
御坂妹「私たちの友情は何者にも引き裂かれることはないのです!!!」
一方通行「ほゥ?じゃあ見せてもらおうじゃねェか・・・お前らの友情ってやつをよォ!!!!」
マンソン「みんな、耳をふさいでくれ」
御坂妹「えっ?」
御坂「でも・・・」
上条「言い争っている暇はない、マンソンを信じるんだ!」
御坂妹「わかりました!!」
御坂「やってやるわ!!」
上条「ああ!!」
マンソン(信じるんだ・・・・そしてこの瞬間に俺のすべてをかける・・・)
マンソン「いくぞお!!!」
マンソン「アン・ドゥ・トロワ!!!アン・ドゥ・トロワ!!!アン・ドゥ・トロワ!!!」
上条 御坂妹 御坂「「「アン・ドゥ・トロワ!!!アン・ドゥ・トロワ!!!アン・ドゥ・トロワ!!!」」」
一方通行「何ィ!!四人の心がひとつになって同じリズムを刻ンでいるだとォ!!!」
で、マンソンってだれ?
上条「アン・ドゥ・トロワ!!!アン・ドゥ・トロワ!!!アン・ドゥ・トロワ!!!」
御坂「アン・ドゥ・トロワ!!!アン・ドゥ・トロワ!!!アン・ドゥ・トロワ!!!」
御坂妹「アン・ドゥ・トロワ!!!アン・ドゥ・トロワ!!!アン・ドゥ・トロワ!!!」
一方通行「な、なンだこれはァ・・・・」
上条「今だ!!!」
御坂「マンソン!!」
御坂妹「あの技を!!」
マンソン「グランピアノ・ヒーリング・フォルテッシモオオオオオオオオ!!!!!」
一方通行「うわあああああああああああああああ!!!!!!!」
マンソン「ああ、あの時はこうして一緒にいることは想像することもできなかったぜ」
打ち止め「へー、こんなに仲良しな二人でも出会いはガチバトルだったんだね」
一方通行「あァ、手加減なンて考えてなかったからなァ」
マンソン「俺もだ」
一方通行「こいつを助ける時にも世話になったからなァ」
マンソン「俺は何もしちゃいないぜ」
一方通行「いや、お前が俺にブラックホール・デス・シックルを預けてなければ俺の頭はヤツの拳銃で撃ち抜かれてただろうなァ」
打ち止め「偶然ボーグが額に張り付いているなんて・・・すごい奇跡だよね」
一方通行「・・・・」
マンソン「だから、大事にするんだな」
打ち止め「この人は毎日メンテナンスを欠かさないよってもがもが」一方通行「このガキィ・・・」
マンソン「まあ気に入ってもらえたんなら俺もうれしいけどな」
一方通行「チッ・・・」
打ち止め「ぷはっ、それでこの後はどうするの?」
マンソン「映画を観に行く約束をしてるんだ」
打ち止め「ちぇーっ、じゃあ今度はミサカのボーグ選ぶのについてきてくれる?」
マンソン「ああ、もちろんだ」
打ち止め「やったー!!楽しみにしてるね!!」
マンソン「よう」
絹旗「女の子を待たせるなんてマンソンは超マンソンですね」
マンソン「はは、悪い悪い、ポップコーンおごるから許してくれよ」
フレンダ「さすがマンソン」
絹旗「ついでにコーラも!」
マンソン「ああ、いいぞ」
絹旗「やったー」
フレンダ「ちょっとずうずうしくない?」
絹旗「むっ」
マンソン「気にするな気にするな、車買ってって言われてるわけじゃないんだから」
絹旗「ですね・・・・」
絹旗「あれはピンセットをめぐる一連の事件の時・・・・」
麦野「浜面、早く車調達してくれない?」
浜面「そういうなよ、五人乗れるのがなかなかみあたらなくて・・・・あ、あれにするか」
絹旗「超はやくしてください」
浜面「へいへい・・・」
浜面「よし、これなら空けられそうだな」マンソン「おい!」
浜面「げっ!」
マンソン「俺の車に何しようとしてんだ!!」
麦野「面倒なことになったわね」
絹旗「もう置いていきませんか?」
滝壺「そうは言っても足がないわけだし」
フレンダ「結局、浜面なわけよ」
浜面「え?ああ、そうなんだ、どうにかしてこいつらを送り届けないといけないんだよ!!」
マンソン「そうか、なら乗っていけよ!」
フレンダ「え?」
マンソン「どうみてもただ事じゃなさそうだからな」
絹旗「いいんですか?」
マンソン「ああ、悪いことされるよりよっぽどマシだ、さあ早く乗った乗った」
滝壺「むぎの、どうする?」
麦野「・・・あんたが何も聞かないってなら乗せてもらうわ」
マンソン「いいだろう」
マンソン「楽器を演奏することが好きなんだ、荷物を積むことができる車があると便利なんだよな」
滝壺「楽器は何を演奏するの?」
マンソン「ピアノを含めて何でもやるぞ?」
麦野「へー、すごいのね」
マンソン「好きでやってるだけだからな」
フレンダ「あ、そこ左」
マンソン「おう」
浜面「和みすぎじゃねーの?」
麦野「別にいいわよこのくらい」
麦野「ええ、迎えはいらないわ」
絹旗「帰りはちゃんと自分たちで帰りますんで」
マンソン「車盗むんじゃないぞ?」
浜面「ああ、もうやんねーよ」
滝壺「それじゃあねまんそん」
フレンダ「ありがと!」
マンソン「ああ」
フレンダ「ほんと、ビックリしたわけよ」
絹旗「超壮絶バトルでしたね」
フレンダ「くっ・・・・」
絹旗「なんて強さですか・・・」
垣根「おいおいその程度なのか?」
フレンダ「たった一人に・・・私のサンタルチア・ポマドーロ・ルネッサンスと・・・」
絹旗「私のパンプアップ・クインビーが手も足も出ないなんて・・・・」
垣根「俺のボーグに常識は通用しねえ!!!」
フレンダ「このままじゃ・・・・」
絹旗「ここで負けるわけにはいきません・・・」
マンソン「あきらめるな二人とも!!」
フレンダ「マンソン!!」
絹旗「どうしてここに!!」
マンソン「俺は”ピンセット”と呼ばれる極秘ボーグを守るためにここにきた!どうやらお前たちと目的は同じようだな!」
垣根「あ?なんだテメェも俺の敵か、まとめて相手してやるからさっさとかかってこいよ」
マンソン「なら、チームバトルだ!!!」
垣根「おいおい、俺は一人で相手してやるって言ってるんだぜ?」
マンソン「それじゃあただのいじめになっちまうって言ってるんだ」
垣根「なんだと?」
垣根「上等だ、お前ら全員皆殺しにしてやる!!」
マンソン「やってみろ!!絹旗、フレンダ、やれるか?」
フレンダ「もちろん!!」
絹旗「負けるもんですか!!」
マンソン フレンダ 絹旗「「「チャージ三回、フリーエントリー、ノーオプションチームバトル!!!」」」
垣根 心理定規 砂皿「「「チャージ三回、フリーエントリー、ノーオプションチームバトル!!!」」」
マンソン「うおおおおおおおおおお!!!!」
フレンダ「うおおおおおおおおおお!!!!」
絹旗「うおおおおおおおおおお!!!!」
垣根「うおおおおおおおおおお!!!!」
心理定規「うおおおおおおおおおお!!!!」
砂皿「うおおおおおおおおおお!!!!」
チャアアアアアアアアジインンンンンンンンンン!!!!!!
マンソン「あせるなフレンダ!!」
フレンダ「えっ?」
垣根「そんなもんが俺に通用するか!! ウェスタン・バッファロー・シューティング!!!!」
絹旗「危ないフレンダ!!!」
フレンダ「くっ、絹旗とマンソンがクッションになってくれなかったら・・・一撃でやられてたわけよ・・・」
垣根「おいどうした?やっぱり俺一人で充分じゃねーか」
フレンダ「うぅ・・・・どうしたら・・・」
マンソン「リズムだ!!」
絹旗「リズム!?」
フレンダ「そんなこといわれても・・・」
絹旗「どうやれば・・・・」
マンソン「俺がリズムを作る、二人はそれに身を、ボーグをゆだねてくれ!!」
マンソン「旋律だ! ハウリング・ロデオ・ドライブ!!!」
フレンダ「これは・・・なんてきれいなメロディー・・・・」
絹旗「これなら・・・これならいけそうな気がします・・・・」
フレンダ「魅了しろ! サンタルチア・ポマドーロ・ルネッサンス!!!」
絹旗「力強く! パンプアップ・クインビー!!!!」
垣根「くっ!なんだこいつら、急に動きがよくなってきた・・・・」
マンソン「今だ!! グランピアノ・ヒーリング・フォルテッシモ!!!!」
フレンダ「ベネチアン・パスタ・クラッシュ!!!」
絹旗「ベンチプレス・プルオーバー・デッドリフト!!!!!」
垣根「こ、これは、これはあああああ」
うわあああああああああああああああああああああ!!!!!
フレンダ「マンソンがこなかったらどうなってたかわからないってわけよ」
マンソン「まあ俺は俺の仕事ができたから結果はオーライだな」
絹旗「麦野が超うれしそうにしてたの今でも覚えてますよ」
マンソン「そうなのか?」
フレンダ「もちろん本人の前で話せないわけだけどね」
マンソン「なるほどな」
絹旗「さ、そろそろ映画が始まりますよ」
フレンダ「今日のはおもしろいやつなの?」
絹旗「もちろんです、この私がおすすめするんですからおもしろくないわけがありません」
マンソン「楽しみだな」
マンソン「ああ、少し短いやつだったけど最高だったな」
フレンダ「正直期待してなかったからびっくりってわけよ」
絹旗「何か超失礼な事言ってませんか?」
フレンダ「だっていつもがいつもじゃない」
マンソン「数多く見てるなかで吟味してもらったんだ、おもしろくないわけがないだろ?」
フレンダ「あ、そうか」
絹旗「ふふん、超感謝してください」
フレンダ「えー、なんかえらそう」
絹旗「素直じゃない子は大きくなれませんよ?」
フレンダ「絹旗が言う?」
絹旗「むっ」
マンソン「こらこら、そんなこと言ってると喧嘩になるぞ」
フレンダ「今度は麦野と滝壺もつれてくるわけよ」
マンソン「ああ、またな」
マンソン「さーて、帰ってピアノのレッスンだ」
上条「不幸だー!」
インデックス「とうまのばか!あぐあぐ」
マンソン「おいおいどうしたんだこんなところで」
インデックス「あ、マンソン、とうまがタイムセールを勘違いしてお肉が買えなかったんだよ!!」
上条「明日になったら食べられるって言ってるじゃねーか」
インデックス「今日たべたいんだよ!!もう私のお腹はお肉って決まってしまったんだよ!」
マンソン「なんだそんなことか、それなら俺の部屋にこないか?」
上条「肉があるのか?」
マンソン「ああ、この間の公演で名産の牛肉をいただいてな、その塊がごろんと冷蔵庫に入ってて一人じゃ食べきれないんだ」
インデックス「おにく!!!」
マンソン「だから好きなだけ食べていいぞ」
上条「ありがてえ・・・」
マンソン「それじゃあ三人で焼肉といこうぜ!」
インデックス「うん!!」
おわり
もっといろいろやりたいことあったけど時間切れ
俺が一番好きな禁書のシーンはマンソンがアレイスターと宇宙でボーグバトルしたところだな
ってことで以下禁書のキャラについて語るスレってことで
じゃあ反省会だ
誰だよマンソンって
で、誰だよマンソンって?
Entry ⇒ 2012.07.28 | Category ⇒ 禁書目録SS | Comments (6) | Trackbacks (0)
ルルーシュ「シスコンで何が悪い!!」
スザク「別に兄妹の仲が良いのは悪い事じゃないよ、ただルルーシュは度が越えている…」
ルル「スザァァァアク!!!」
リヴァル「まぁまぁ、落ち着けよルルーシュ」
スザク「そこで僕からの提案なんだけどさ、そのシスコンを改善しない?」
ルル「はぁ…はぁ…改善だと……?これ以上、俺はナナリーに何をすればいいんだ……」
リヴァル(こりゃもう末期だな……中毒者を見てる気分だ……)
スザク「僕なりに色々考えてみたんだけど、ナナリーと別々に暮らすっていうのはどうだい?」
ルル「俺とナナリーが……別々に暮らす……?」
スザク「うん、ナナリーのお世話は咲世子さんができるし…ルルーシュも良い経験になると思うんだ」
ルル「一晩……一晩だけ時間をくれ」
リヴァル「お、おいルルーシュ……そんな死んだような顔をしてまで……」
ルル「いや、いいんだリヴァル……俺も薄々気付いていたよ」
ルル「ナナリーに対する扱いが過保護すぎるとな……」
リヴァル「ルルーシュ……」
スザク「過保護すぎて少し気持ち悪いかな」
リヴァル「おい」
ルル「また明日の放課後だ、生徒会室に集まろう……」
―
―――
――――――
― 放課後 ―
ルル「――――、遅くなって悪いな」
リヴァル「おっ、ルルーシュか……昨日より大分顔色が良くなったなぁ」
ミレイ「昨日、私が居ない間に何か面白い事でもあったの?」
リヴァル「あはは、まぁ色々と深い事情がありまして……」
スザク「それでルルーシュ、結論は決まったのかい?」
ルル「あぁ……スザク、俺は……!!」
ルル「克服のために一人暮らしを始める!!!」
スザク「ルルーシュ……!僕も多少なりとも力になるよ!!」
リヴァル「これで本当に良かったのか……?」
ミレイ「え?え?ねぇ、どういうこと?」
― クラブハウス ―
ルル「ナナリー……すまないが少しの間、離れて暮らす事になる」
ナナリー「そんな……」
ナナリー「…………でも、ちゃんと帰ってきてくれますよね?」
ルル「当たり前だろ、ちゃんとナナリーの元へ戻って来るさ」
ナナリー「はい……寂しいですけど…私、頑張りますね」
ルル「あぁ、俺もちゃんと頑張るから……」
ルル「……咲世子、ナナリーをよろしく頼む」
咲世子「……」ペコリ
ルル「それじゃー俺は部屋の荷物を整理するから……またあとで」
ナナリー「はい」ニコッ
プシュッ
ルル「…………」
ルル「クッ……ナナリーィ……!」ポロッ
C.C.「おい、急に部屋で泣くな」
ルル「黙れ!!」
C.C.「はぁ……それで、住む場所は決まっているのか?」
ルル「あぁ……」ゴシゴシ
ルル「ここのアパートの部屋を貸してもらう」
C.C.「…………まったく、こんな狭い部屋に2人で暮らさないといけないのか」
ルル「…?なにを言っているんだ、お前は留守番に決まっているだろ」
C.C.「……なに?」
ルル「逆に聞くが、どうしてお前を連れていかないといけないんだ?」
C.C.「お前と私は共犯者だろ?」
ルル「あぁ、確かに俺とお前は共犯者だ……が、婚約者でも側近でもなんでもない」
C.C.「まぁ待て、落ち着いて話そうじゃないか」
ルル「俺は十分に落ち着いている、それにこれから荷物をまとめたりで忙しいんだ」
ルル「わかったなら俺の部屋から少しの間出ていろ」
C.C.「お前、私を見捨てるのか?」
ルル「お前の世話は咲世子に任せてあるから心配はいらない」
C.C.「……ふん、勝手にしろ!」
― 一週間後 生徒会室 ―
リヴァル「ルルーシュ、そろそろ一人暮らしも慣れてきたか?」
シャーリー「えぇ!!ルル、一人暮らししてるの?!」
ルル「正確には2人暮らしだが……あの魔女め!!」
シャーリー「え?2人?それって女の人じゃないよね?」
ルル「女だがシャーリーの考えているような関係じゃない、絶対にな」
シャーリー「……ほんとにー?」ジト
ミレイ「でも、"あの"ルルーシュが一人暮らしなんてねー?」ニヤニヤ
スザク「順調なら何よりだよ」
カレン「―――遅くなってごめん!!」
ミレイ「……そうだ!今日は生徒会の皆でルルーシュの家でパーティってのは、どう?」
カレン「……へ?」
リヴァル「あ!いいですね!しましょうよ!」
シャーリー(こ、これはルルと一緒に住んでいる女の人を見れるチャンス!!)
ルル「ま、待て!!俺は良いとは言っていない!!」
スザク「……あ、もしもしピザ○ットですか?…はい、ここの住所にピザを……」
ルル「スザァァァアク!!」
カレン「ねえちょっと、どういう事?」
リヴァル「今日はルルの部屋でパーティだってさー」
ニーナ「……」カタカタ
ミレイ「もちろん、ニーナも来るわよね?」
ニーナ「え……?私は……その……」
シャーリー「ニーナもおいでよ!絶対楽しいって!!」
ルル「だから俺はまだ良いと言ってないだろ!!」
スザク「……はい、はい…マルゲリータで……」
ルル「スザァアアアク!!」
カレン「……とりあえず、飲みものだけ買っておこうかしら」
― ルルの住んでいるアパート ―
スザク「へぇー、ここが新しく住んでるルルーシュの家か」
リヴァル「なんか随分とボロくなっちまったな」
ルル「一時的に住み込むだけだからだよ、あんまり広い部屋でも掃除が大変だからな」
ミレイ「一時的に?っていうか、克服とか言ってたけどなんで一人暮らししてるの?」
シャーリー「私もそれ気になってた!!」
ルル「あぁ、それはまた中で話すよ……」
カレン「あの、飲み物重いんだけど……」
ガチャッ
C.C.「おや?遅かった……ってなんだ、客でも来たのか?」
リヴァル(うおー!!なんかすげー美人!!)
スザク(確かこの人は……ルルーシュと一緒に住んでいる……)
カレン(C.C.……やっぱりか)
シャーリー「あ、あの!!」
C.C.「なんだ?」
シャーリー「る、るるるルルとは、一体どんな関係なんですか?!」
シャーリー(ちゃんと聞いておかないと……!ルルとの関係を!!)
C.C.「ん……ほうほう、なるほどな」
C.C.「ルルーシュ、お前も罪作りな奴だ」
ルル「?」
シャーリー「それで……ルルとの関係は……」
C.C.「私はルルーシュの婚約者だ」
「「「「「……」」」」」
ルル「この馬鹿ッ!!違う!!それは違うぞ!!おいシャーリー!!泣くな!!」
シャーリー「だ、だって……ルルにはもう婚約者が……」
―
――
――――
シャーリー「なんだ……ただの同居人だったの」
シャーリー「って!!男の一人暮らしに女の人が同居してるってダメですよ!!」
C.C.「そこらへんは安心しろ、あいつはまだ童貞だ」
ルル「俺は童貞じゃない!!」
シャーリー「ど、どうッて……!」
ミレイ「あらー?シャーリー、強敵が現れちゃったわね」
ミレイ「それでルルーシュ、どうしてナナリーと別の場所で住んでるの?」
ルル「それはこの間、生徒会室でこんな事があって……」
(回想中)
ミレイ「なるほどねー…ルルーシュのシスコンを直す、か……」
ニーナ「でも、それって無理に直す必要あるのかな……?」
ミレイ「それよそれ!別に直さなくてもナナちゃん大好きー、でいいじゃない」
スザク「会長、ルルーシュのシスコンはもう度を超えてるんですよ」
ルル「…………」
カレン「ちょ、スザク……!」
C.C.「ぷふっ、言えてるな」
スザク「これからナナリーがお嫁に行ったりしたらルルーシュはどうするのさ?」
ルル「お嫁……だと?」
ルル「スザァァアアク!!そんな奴は国外追放、そして生き埋めだ!!」
カレン(うわぁ……)
スザク「ほらね?これはもう妹Loveっていうレベルじゃないよ、病気だ」
ミレイ「ま、頑張りなさいよルルーシュ……寂しくなったらいつでも電話してね☆」
シャーリー「あ!会長ずるい!!ルル、私にも電話してね!!」
ルル「あ、あぁ……ありがとう」
C.C.(……いいのか、お前は?言わなくて)
カレン(う、うるさい!!)
リヴァル「ま、でも今の所離れていても平気そうだしすぐに矯正できそうだな」
ピンポーン
スザク「ピザが来たみたいだね」
C.C.「ピザだと?」
リヴァル「よっしゃ、今日はたくさん食べようぜ!!ルルーシュの奢りらしいし!!」
― 一週間後 生徒会室 ―
ルル「…………」
リヴァル「お、おいルルーシュ?」
ルル「リ、リヴァルか……生徒会室に来るのが早いな」
リヴァル「お前、どうしたんだ?なんか老けたような……」
ルル(……くそっ、まさかナナリーに会えないのがこれほど辛いとはな)
ルル(授業中にノート1Pにナナリーと書いたがそれでも収まらなかった……)
シャーリー「ルル、本当に大丈夫?」
ルル「あぁ……俺は大丈夫だから、今はそっとしておいてくれ」
ルル「…………」
シャーリー「ルル、本当に平気かな……」
リヴァル「体調が悪いだけかもしれないしさ、3日くらいしたらルルーシュも元に戻るだろ」
― 更に一週間後 ―
シャーリー「ちょっとルル!!どうして白髪が生え始めてるのよ!!」
ルル「シャ、シャーリーか……」
リヴァル「おいおい、これは流石に不味いんじゃ……」
スザク「……ルルーシュ、今日は先に帰って寝ていなよ」
ルル「……しかし……俺には生徒会の仕事が……」
スザク「それは僕達でやっておくから、今すぐ帰って布団に入り寝るんだ」
ルル「そ、そうか……じゃあよろしく頼む……」
バタン
スザク「これは何か対策が必要だね……」
スザク「よし、皆揃ったね」
スザク「これより!!第1回『ルルーシュシスコン克服会議』を始めようと思う!!」
カレン「はぁ……また訳の分からない事を……」
スザク「僕の大誤算だったよ……まさかルルーシュがあんな症状になるなんてね」
ミレイ「それで、どうするの?」
スザク「カレンにしか頼めない僕からの提案があるんだけど、いいかな?」
カレン「?」
スザク「カレン、君にはお兄さんが居たね」
カレン「……」
スザク「ルルーシュの!妹になってあげてくれないか!!」
カレン「はぁ?!」
スザク「妹属性を持っているカレンなら、ルルーシュを楽にしてあげられるかもしれない」
カレン「ちょ、ふざけないでよ!!どうして私があいつなんかを……」
スザク「カレン!!これは遊びじゃないんだ!!」
カレン「……」ビクッ
カレン「で、でも私……他の人の妹なんて……」
シャーリー「わ、私じゃダメかな?!」
スザク「……ダメだ、シャーリーにお兄さんは居ない」
ミレイ「羨ましいわねー、ルルーシュの妹になれるなんて」
カレン「ま、待ってください!私はまだやるなんて……!!」
スザク「決まりだね!!」
カレン「ちょっと!!」
― 次の日 ―
ルル「……」フラッ
カレン「ほら、大丈夫?」
ルル「カレン、か……」
カレン(な、なんて言えばいいのよ!!お兄ちゃん?お兄様?おにい?)
カレン(あー、もう!!わからないわよー!!)
ルル「カレン、迷惑を掛けてすまないな……」
カレン「………………しゃ、」
カレン「シャンとしなさいよ!!お兄ちゃん!!」
ルル「……!!」
カレン「…………ルルーシュ?」
ルル「ふ………ふはははははは!!!行くぞカレン!!!」
― 生徒会室 ―
ルル「おはようございます!!」
シャーリー「ルル?!顔色良くなってるじゃない!!」
ルル「ああ、心配を掛けて悪かったな」
スザク「……カレン、成功したんだね」
カレン「も、もう……2度とやらないわよ……」
ルル「カレン!!喉が渇いたりしていないか?!」
カレン「それ、何度目よ?乾いてないから平気」
ルル「そうか!!困った事があったらいつでもお兄ちゃんを頼るがいい!!」
カレン「わ、わかったからあまり大きな声を出さないでよ!!」
ニーナ「……なにがあったの?」
― 一週間後 ―
ルル「うぅ……ナナリー……!」
シャーリー「ちょ、ルル!!早く泣き止んでよ!!男の子でしょ!!」
リヴァル「ルルーシュ、マジ泣きじゃねえか……」
ルル「でもっ……やっぱり俺にはナナリーが……!!」
カレン「ちょっと!スザク!!悪化してるじゃない!!」
スザク「あはは、こりゃ参ったね」
カレン「笑ってる場合か!!」
スザク「……カレン、ルルーシュにもう一度お兄ちゃんと言ってあげてくれないか?」
カレン「ッ……!仕方ないわね……」
ルル「うぅ……!!」
シャーリー「あ、カレン!!」
カレン「コ、コホン……」
カレン「お、お兄ちゃん!!見っとも無いから泣かないの!!」
リヴァル「……なんだかんだ言ってカレンもノリノリだな」
ルル「…………」
カレン「…………」
ルル「……良く考えてみたら、高校生はババアだ」ボソッ
カレン「はぁ!?」
ルル「うぅ……!!ナナリィー……!!」
カレン「ちょっと!!今すごい失礼な事言ったでしょ?!」
ミレイ「あららー、やっぱりナナちゃんじゃないと妹は勤まらないのかしらね」
スザク「妹……そうか!!」
カレン「さっき言った事を前言撤回しなさい!!ルルーシュ!!」
リヴァル「ま、まぁまぁ!少し落ち着けって!!」
スザク「皆!!もしかしたら解決できるかもしれない!!」
ミレイ「え?」
スザク「逆の発想だよ!」
スザク「今、ルルーシュは弱っている……妹がダメなら、支えてくれるお姉さんが必要だ!!」
ミレイ「あ、姉なら年上の私とか?いやー、もう仕方無いわねー!」
シャーリー「こ、今度こそ私が……!!」
スザク「いや、もっと適任の人を僕は知っている……」
ミレイ「……?」
ギルフォード「……との事ですが」
コーネリア「……」
コーネリア「……ギルフォード!!」
ギルフォード「はッ!!」
コーネリア「私は少し用が出来た、しばらくここをお前に任せても平気だな?」
ギルフォード「ご安心を、姫様」
―
―――
―――――
ルル「シスタァー……シスタァー……」
リヴァル「おいスザク、適任が居るとか言ってあれから一週間だけど……」
スザク「大丈夫、あの人なら必ず来てくれるはずさ」
ザッ ザッ ザッ ・ ・ ・
スザク「来たみたいだね……リヴァル、一応背筋を伸ばして立っていてくれ」
リヴァル「?わ、わかった……」
ガチャッ
コーネリア「枢木スザクは居るかぁ!!」
リヴァル(コ、コーネリア総督……!!)
スザク「はい!!お忙しいなk」「そんな話はどうでもいい!!」
コーネリア「私の弟、ルルーシュ・ヴィ・ブリタニアはどこだ!!枢木スザク!!」
リヴァル「ん?ブリタニア?弟?」
スザク「はい!!あそこに座っているのがルルーシュ・ヴィ・ブリタニアです!!」
ルル「ナナリィ……!」
コーネリア「ん?どれだ?」
スザク「あそこで伸びてるのがルルーシュです!!」
コーネリア「な、なんだと……!!」
コーネリア「おい!!しっかりしろ!!ルルーシュー!!!」
ルル「あ、姉上ですか……?」
コーネリア「そうだ!わかるか?!」
ルル「うぅ……姉上……!!」
コーネリア「話は枢木スザクから聞いている……辛かったな」ナデナデ
リヴァル「なぁスザク……あれ、本当にエリア11の総督、コーネリアだよな?」
スザク「そうだけど……」
リヴァル「あと、ブリタニアとか弟とか言ってたけど……」
スザク「そこらへんは聞かない方が良いよ」
―
――
――――
ルル「姉上!今日の晩御飯はうちで食べていってください」
コーネリア「ふはははは、ルルーシュはお姉ちゃんとご飯を食べたいのか?」
ルル「積もる話もたくさんありますからね、今日は色々とお話したいです!」
コーネリア「いいだろう!ルルーシュ!!今日はお前とずっと一緒に居てやろう!!」
ルル「お姉ちゃん!!」ダキッ
コーネリア「ルルーシュ!!」ダキッ
シャーリー「あの……なんで生徒会室に総督が?」
ミレイ「さ、さぁ……?」
カレン「それより今、お姉ちゃんって言わなかった?」
コーネリア「さぁルルーシュ!今日は背中流しから睡眠まで1日付いているぞ!!」
ルル「姉上!流石に背中流しは恥ずかしいです!」
コーネリア「照れるな!!弟の発育を見るのも姉の仕事だからな!!」
シャーリー「ちょ、そんなの絶対ダメ……!」
コーネリア「……何か文句があるのか?」
シャーリー「う……無いです、けど」
コーネリア「決まりだな、では行くぞ!!ルルーシュ!!」
ルル「そういうわけだから、また明日に会おう!皆!!」
ガララッ
ニーナ「な、なんだったの……?一体……」
― 一週間後 ―
ルル「……」
リヴァル「とうとう言葉すら発しなくなったな……」
スザク「これは重傷だね……」
ルル「…………」
シャーリー「ルル?平気?」
ルル「…………」
スザク「さて、どうするか……」
カレン「どうしてあのおばさんが良くて、私がダメなのよ……」
ミレイ「まだ言ってるの?」
スザク「そろそろ、ナナリーに会わせても良いと思うんだけど……」
ルル「それは本当かっ……!!スザク!!」
ネリ姉ちゃんフられたん?
ユフィとか駄目なのか?
ナナリー「お兄さま……!!」
スザク「ナナリー!!どうして!!」
ナナリー「ごめんなさい!!その、やっぱり寂しくて……」
ルル「あ……あぁ……」
ナナリー「お兄さま?」
ルル「ンナナリィィイイイイイイイイ!!!!!」
ナナリー「きゃあ!!」
ルル「良かった……本物のナナリだー……!」クンクン
ナナリー「も、もう……くすぐったいですよ」
― 次の日 ―
ナナリー「うふふ」
ルル「あはは」
リヴァル「スザク……なんか前にも増して酷くなってないか」
スザク「おかしいな……僕の計算だと矯正できてるはずなんだけど……」
カレン「ちょっと!!私の努力はなんだったのよ!!」
シャーリー「でも、元に戻ったんだね……良かった」
ミレイ「ちぇー、面白かったのにー」
ルル「ずっと一緒だぞ、ナナリー!」
ナナリー「はい!お兄様♪」
完
ナナリー視点はよ
Entry ⇒ 2012.07.28 | Category ⇒ コードギアスSS | Comments (0) | Trackbacks (0)
P「思い出酒場」
――PM19:00
P「はぁ…今日も疲れた…」ハァ...
P「…こういう時は…よし。あそこに行くか」
―――
――
―
――PM19:30
P「マスター、久しぶり」
マスター「お?久しぶりだね。元気してたかい?」
P「ははっ。なんとか、身体を壊さない程度には元気ですよ」
マスター「うん。それならいいんだ。今は、芸能事務所のプロデューサーなんだって?すごいね」
P「ははっ。よく知ってますね」
マスター「君は常連さんだったからね。それに…ほら、」クィッ
P「ん?」チラッ、
小鳥「あれ?プロデューサーさん?」
P「小鳥さん?なんで小鳥さんが?」
小鳥「それはこっちのセリフですよ!」
P「そうだったんですか」
マスター「じゃあ僕も、彼女に倣って、プロデューサーくんと呼ぼうかな」
P「なんか、マスターにそう呼ばれると、変な感じがしますね」
マスター「ははっ。僕もだよ」
マスター「じゃあ、プロデューサーくん。まずは、いつもの…でいいかな?」
P「あ、はい。お願いしますね」
マスター「うん。わかったよ」
小鳥「いつもの?」
小鳥「ふふっ。プロデューサーさんのお気に入り…ですか」クスッ
P「…そう、なりますかね」フゥ...
小鳥「?」キョトン
マスター「…」
マスター「はい、プロデューサーくん。お待たせ。レモン・ハートだよ」
P「ありがとうございます」
小鳥「ふふっ。ラム酒、ですか?」
P「えぇ。ここのは、特に美味いんですよ」コクッ
P「マスター?そんなニヤニヤしてどうしたんです?」
マスター「彼女に、君の話をしてあげようかと思うんだけど、どうかな?」
小鳥「昔の話?」
P「…」
マスター「嫌かい?」
P「ははっ。さすがに、もう引きずっていませんよ」
マスター「そうかい?じゃあ、話すとしようか」
小鳥「…」
マスター「で、その中の一人と…恋仲になってね」
P「…」コクッ
マスター「その時の彼は、まだ学生さんだったんだけど、それはそれは似合っていてね?」
小鳥「プロデューサーさんの彼女さんだった人、ですか…」コクッ
マスター「うん。君によく似て、それは綺麗だったよ」
小鳥「…///」テレテレ
P「…」コクッ、カラン...
マスター「おや?サケが無くなったみたいだね。何にする?」
P「じゃあ、ウイスキーのウーロン茶割りで」
マスター「うん、分かった。音無さんは?」
小鳥「あ…じゃあ、私はレモンハートで」
マスター「ははっ。それは嬉しいね。僕の店の名前にもなってるだけは、あるでしょ?」
小鳥「ふふっ。えぇ」クスクス
小鳥「で、マスター?話の続きは?」
P「…」コクッ、
マスター「そうだったね。彼女には、ひとつの夢があったんだ」
小鳥「…夢?」
マスター「そう。大きな、大きな夢」
P「マスター?」
マスター「はははっ。大きな、っていうのは、彼女に失礼だったかな?」
P「…」コクッ
マスター「アイドルに、なること」
P「…」コクッ
P「…」コクッ
マスター「それから、彼女は姿を消した。この店からも、彼の前からも」
P「…昔の、話ですよ」
P「ははっ…懐かしいですね」
マスター「それで、僕が叱ったんだ」
マスター「サケは飲むもの、だってね」
P「ははっ。あの時のマスターは、ホント怖かったですよ」
小鳥「…」コクッ
―――
――
―
マスター「じゃあ、僕の話はこれでおしまい。プロデューサーくんたちはどうする?」
P「時間も時間ですし、今日はもう帰ります」
小鳥「あ、じゃあ私も」
マスター「そっか。じゃあ、気が向いたらまた来てくれると嬉しいよ」
P「えぇ。必ず来ますよ」
小鳥「私もです」クスッ
マスター「じゃあ、二人に…スランジバール」
――PM23:00
小鳥「ふふっ。ちょっと、飲みすぎてしまったみたい…」
P「大丈夫ですか?小鳥さん」チラッ、
小鳥「…ちょっと…ダメかもしれません。フラフラします…」フラフラ、フラフラ
P「…じゃあ、ウチに来ますか?」
小鳥「…えっ?」ドキッ
―――
――
―
――PM23:40
小鳥「…お邪魔します」フラフラ
P「気を付けてくださいね?今、電気を付けますから」
――パチッ
小鳥「…ふふっ。ホントに…来ちゃいました」クスクス
P「小鳥さん、少し…話しましょうか」
小鳥「…はい」
P「…で、なんでベッドに座ってるんです?」
小鳥「…柔らかそうだった…から?」クスッ
P「そういう問題ですか?」
小鳥「ふふっ。いいじゃないですか」クスクス
小鳥「で、どんな話なんです?」
小鳥「…さっきの?」
P「俺の、昔話です」
小鳥「…」
小鳥「ホントに、好きだったんですねぇ…」
P「…えっ?」
小鳥「だってね?」
小鳥「プロデューサーさん、泣いてるもの」
小鳥「ふふっ。お酒が入るとダメですね。ついついしゃべり方が変わっちゃう」クスッ
P「…」
小鳥「あと、もうひとつ」スッ、
P「?」
小鳥「なんで、彼女さんが貴方の前からいなくなったか、分かります?」
P「…なんでって…夢が破れたから、ですよね?」
小鳥「はぁ…本当、プロデューサーさんはニブイんだから」
P「…えっ?」
小鳥「…愛していたからこそ、貴方の前からいなくなった。まったく…本当、不器用なんですから」
P「…あの…小鳥さん?」
小鳥「…私もね?昔は、アイドルだったんです」
小鳥「ふふっ。全く売れませんでしたけど」クスクス
P「…知ってますよ」
小鳥「…えっ?」
P「…花、空、光」
P「どれも、いい曲でした」
小鳥「ふふっ。女はですね?いつもキラキラしてる自分を、見ていてもらいたいものなんです」
小鳥「…アイドルになれなかったから、キラキラ光れなかったから…」
小鳥「彼女は、そう思ったんじゃないでしょうか」
小鳥「…私も、そうでしたから」
P「…小鳥さん?」
小鳥「ふふっ。昔の、話です」クスッ
P「…」
小鳥「鳴かず飛ばずな私を、決して見捨てないで、光らせてくれようとした人」
小鳥「とっても…とっても大切で、大好きで、愛していたんです。10代の、子どもなりに…ですけど」クスッ
P「…」
小鳥「…でも、私は諦めてしまったんです」
小鳥「キラキラ光る事」
小鳥「空を飛ぶ事」
小鳥「みんなの笑顔を咲かせる事」
小鳥「…ぜんぶ、ね」クスクス
P「…小鳥さん」
小鳥「アイドル音無小鳥は」
小鳥「な~んて、ふふっ。お酒のせいかな?昔話が、スッと出てきます」
小鳥「…ねぇ、プロデューサーさん?」
P「はい?」
小鳥「なんで、プロデューサーさんはプロデューサーになろうと思ったんです?」
P「…それは…」
小鳥「社長にスカウトされたからとはいえ、断ることも出来たはずなのに」
小鳥「未練?」
P「アイツが叶えられなかった夢を、俺が叶えてみたかったんです」
P「本当に…本当に好きでした。愛していたんです。心から」ポロッ...
小鳥「…」ギュッ
P「…小鳥さん?」
小鳥「さっき知っていると答えてくれたプロデューサーさんに聞きます」
小鳥「覚えていますか?私の、曲」
P「え、えぇ…」
小鳥「…すぅ」スゥ...
大事なのは、止めないことと、諦めないこと」
小鳥「ねぇ、プロデューサーさん?」
P「…なんです?」ポロッ...ポロッ...
小鳥「未練でも、いいじゃないですか」
小鳥「貴方がいるから、光り輝けるあの娘たちがいる」
小鳥「貴方がいるから、みんなの笑顔を咲かせてあげられる…あの娘たちがいる」
小鳥「貴方がいるから、歌という翼で、空を舞えるあの娘たちがいる」
小鳥「それって、とっても素敵な事なんですよ?」ギュッ
小鳥「奇跡でも、運でも無いんです」
小鳥「例え未練からだとしても、それは…」
小鳥「貴方がいたから、貴方が、あの娘たちを信じているから…なんです」
小鳥「違いますか?」
P「…」
P「そうです…」
P「…」
小鳥「じゃあ、私はそろそろかえりP「…」ギュッ
小鳥「…」
小鳥「…プロデューサーさん?」
P「…」ギュッ
P「あんな昔話してすぐに言うと、信じてくれなさそうですけど」
P「言っちゃいます」
小鳥「…えっ?」ドキドキ、ドキドキ
P「…小鳥さん」
小鳥「あっ…」チュッ、
小鳥「…えっ?」
小鳥「…プロデューサーさん?その…ちゅって…えっ?」
P「は…ははっ…」
P「言葉よりも…先に行動してしまいました…」
小鳥「…ばか」
P「えっ?」
小鳥「ばかばか!」ポコポコ、ポコポコ
P「えっ?えっ?」
小鳥「…久しぶり、だったのに…」
小鳥「…久しぶりの…キスだったのに~!」グスッ
P「イ…イヤ…でした?」アセアセ、アセアセ
小鳥「…」ジー
P「う…うぅ…」
小鳥「…ふふっ」
P「…?」ドキドキ、ドキドキ
小鳥「ねぇ、プロデューサーさん?」
小鳥「は、はい…」
小鳥「私、諦められなかったことが一つだけあるんです」クスクス
P「は、はぁ…」
小鳥「それはですね?ふふっ」
P「小鳥さん…」
小鳥「…ふふっ。こう見えても私…乙女なんですよ?」クスクス
P「は、ははっ…」ギュー
小鳥「…だから、ね?プロデューサーさん」スッ、
――チュッ、
小鳥「私と一緒に、夢を見てくださいますか?」
おわり
「貴方の御健康を」
という意味です。某サケ漫画のマスターが時々口にする言葉です
乙
Entry ⇒ 2012.07.28 | Category ⇒ アイマスSS | Comments (2) | Trackbacks (0)
怜「今日は私が膝枕したるわ」
竜華「…」トボトボ
怜「…」
竜華「…」トボトボ
怜「…」
怜「…竜華?」
竜華「…」
怜「竜華?」ツンツン
竜華「!」
竜華「な、なに?」
竜華「ん…」
竜華「今日ちょっと部員同士で揉め事があってな」
竜華「これは部長として何とかせなあかんと思って、仲裁に入ったんやけど」
竜華「なかなか収められなくて…」
竜華「情けないなー…参ったわ」
怜「ああ、なんかえらい大きな声聞こえたわ」
怜「うちの部で揉め事なんて珍しいなー」
怜「部長さんも大変やな…」
竜華「ん…」
竜華「これだけ部員がおれば、たまにはこういうこともあるんは仕方ないわ」
竜華「うちが望んで部長になったんやしな、弱音なんて言ってられへん」
竜華「なんや心配かけてしまったみたいでごめんなー」
竜華「気にせんでな」ニコッ
怜「…」
怜「(大所帯の千里山の部長で)」
怜「(勉強もいつもトップクラスやし)」
怜「(私の面倒まで見てくれとる)」
怜「(誰よりも頑張ってる子やのに、私には疲れてる素振りなんて全然見せたことなかったな)」
怜「(今日はよっぽど応えたんやろか…)」
怜「…竜華、ちょっとあのベンチで休んでいかへん?」
竜華「? ええけど…」
竜華「ほら、怜」ポンポン
怜「…」
竜華「?」
怜「竜華」
怜「今日は私が膝枕したるわ」
竜華「え」
竜華「…怜が?」
怜「せや」コクン
竜華「どないしたん?急に」
怜「たまにはええやん」
怜「な?」
竜華「…雪でも降るんちゃうやろか」
怜「…うっさいわ」
怜「ほら、竜華」ポンポン
竜華「…なんか」
竜華「いつもと立場逆にするだけで、えらい照れくさいな…」
怜「…はよせーへんと日が暮れてしまうで?」
竜華「ほ、ほな」
竜華「失礼するわ…」
フワッ
怜「あ…」
怜「(竜華の髪、めっちゃサラサラや)」
怜「(太ももに当たって)」
怜「(こそばゆいような、気持ちええような…)」
竜華「…不思議な気分やな」
竜華「なんや子供に戻ったみたいや」
怜「えらい大きなお子さんやな」
竜華「ふふっ」
竜華「でも…落ち着くわ」
竜華「怜の肌、あったかいなあ…」
怜「…なら良かったわ」
怜「竜華の膝枕には全然及ばんかもしれへんけど…」
竜華「そんなことあらへん」
竜華「うちはいらんお肉がついてしもーて…」
怜「何言うてんの、痩せられたらうちが困るわ」
怜「前に言うたやろ?」
竜華「くすっ…膝枕のソムリエさんやもんな」
竜華『ええか、細すぎず太すぎず筋肉質でもあかん』
竜華『適度な肉付きと程よい弾力!これらが絶妙にマッチングしてないのはただの足やー!(キリッ)』
竜華「…やったな?」
怜「せや!」
怜「それに当てはめると、うちの脚は40点くらいやろか…」
竜華「あはは」
竜華「…でもな、怜」
竜華「怜から見てどうかは知らんけど」
竜華「うちにとっては怜の膝枕…」
竜華「100点満点やで?」
怜「…!」かあっ
怜「…」
怜「竜華…」
怜「あんまりこっ恥ずかしいこと、言わんといてくれる?」
竜華「うわ、冷たっ!」
竜華「何?」
怜「頭、撫でてもええ?」
竜華「!」
竜華「…ええよ」
怜「…」そーっ
ポンッ
ナデナデ
竜華「んっ…」
怜「(竜華の髪)」
怜「(長くて、サラサラで)」
怜「(ほんまに綺麗)」
怜「(それになんかええ匂いもするし…)」
怜「(竜華、気持ち良さそう…)」
怜「(なんや私まで嬉しなってくるわ)」
竜華「人に頭撫でられるのなんて、何歳以来やろ」
竜華「撫でてもらうのって…ええもんやなあ…」
怜「せやろ?私はおかげさまで」
怜「いつもええ思いさせてもらってますわ」
竜華「ふふっ…」
怜「(私を撫でてる時、いつもどんな気分なんやろか)」
怜「(私は…)」
怜「(胸が高鳴って)」
怜「(愛おしくて)」
怜「(なんや逆に切なくなってくるくらいや…)」
怜「(膝枕されてる時は気にならんかったけど)」
怜「(竜華のスカートって、短いな…)」
怜「(この体勢だとおしり見えてしまいそうやわ)」ムラムラ
怜「(ここは殆ど人通らんからええけど…)」
怜「…竜華は優等生やし真面目やのに、なんでスカートはそない短いの?」
竜華「え?」
竜華「だって、長かったら怜に膝枕する時邪魔やんか」
怜「…それだけ?」
竜華「?せやでー」
怜「男の人にモテるようにとかやないの?」
竜華「…うち女子校やん」
竜華「…怜は」
竜華「うちが男の人と付き合ったら、いややないの?」
怜「…!」
怜「(竜華に…彼氏…)」
怜「(竜華に…)」
怜「(かれ…)」
怜「…」
怜「りゅ、竜華が好きになった人なら…」
怜「それで…」
怜「ええんと…」
怜「ちゃう…」
ポタッ
怜「な、なんや今日は夕方なのにあっついなあ」
怜「汗が止まらんわ…」
竜華「怜…」
竜華「…何も泣かんでも」
怜「あ、汗や言うとるやん!」
怜「…」
竜華「…」
竜華「うちはどこにも行かへんよ」
怜「!」
竜華「うちはずっと」
竜華「ずーっと」
竜華「怜専用の、膝枕や」
怜「…」
怜「ぷっ」
怜「なんやの、それ…」
竜華「日も暮れてきたなー」
竜華「そろそろ帰ろか」
怜「…そうやな」
竜華「怜」
竜華「ありがとうな」
怜「…ええよ、いつも面倒かけてばっかりやしな」
竜華「おかげで元気出たわ」
怜「またたまに私が膝枕したる」
竜華「うん」
竜華「…でもな、怜」
怜「?」
竜華「うちほんまに、ほんまに嬉しかったけど…」
竜華「うちは怜に膝枕してる時も」
竜華「さっきと同じくらい…幸せなんやで?」
怜「!」
怜「…」
怜「…なんや今日は恥ずかしいセリフばっかりやな、竜華」
竜華「ちょ…からかわんといて!」
怜「ふふっ冗談やって」
竜華「まったく…怜はいじわるさんやなー」
怜「さっき言ったこと、忘れへんでな?」
竜華「?」
怜「竜華はこれからもずっと」
怜「私専用の、膝枕や」
竜華「…ふふっ忘れへんよ」
竜華「むしろうちは怜のほうが心配やわ」
竜華「後でもっと良い膝枕が見つかった、なんて言わへんやろな?」
怜「…心配せーへんでも」
怜「竜華以上の膝枕なんて、宇宙のどこ探しても見つかる気せーへんわ」
竜華「ぷっ…えらい大げさやな」
怜「ほんまやって」
竜華「…ありがとう」
竜華「なに?」
怜「私、病弱やしいつまで一緒におられるかは分からんけど…」
竜華「…その病弱アピールやめ!」
怜「ごめん」
怜「…でも、私のできる限り精一杯長生きするから…」
竜華「…うん」
怜「ずっと」
怜「ずーっと…」
怜「一緒やで」ぎゅっ
竜華「…うん!」ぎゅっ
おしまい
いい怜竜だった
怜竜は萌えるわ
すばらでした
Entry ⇒ 2012.07.28 | Category ⇒ 咲-Saki-SS | Comments (1) | Trackbacks (0)
貴音「荒野の女王」
その豊満な銀髪の女性はカウンターに腰を下ろしながら言った。
黒いウエスタンシャツにホットパンツ、ブーツとおそろいのガンベルトには実弾と銃が差し込まれている。
真「困りますよお客さん。この店では帽子を脱いでください」
貴音「……お許しを」
真「と言われましてもこの店のルールで――」
ボーイッシュな女の子は目を丸めた。
真「驚いたなぁ……まさか四条貴音さん?」
貴音は無言で人差し指を唇に当てた。
真「あ、すみません。つい興奮しちゃって……。
まあ、貴音さんなら逆に帽子を被っておいて貰った方がこちらとしてもありがたいです」
貴音「申し訳ありません。らぁめんを食べたらすぐに出て行きますので」
貴音はカウボーイハットを深く被り直した。
真「だけど、有名人ってのも大変ですね」
貴音「あなたほどではないですよ。その年で立派に店を切り盛りしているとは……私にはとても出来ません」
真「僕は手伝いみたいなものですから。店長代理です」
貴音「店長とは代理で出来るものだったのですか……始めて知りました」
真「いや~、話すと長くなりますから簡単に言いますけど、とある娘さんと僕は友達なんです。
その娘さんは自分の引っ込み思案を直そうと店でウエイターなんかやってるんですけど、僕はその都度付き合わされて……というよりか心配で手伝いをしていたんです。
そしたらいつの間にか店長代理ですよ」
貴音「なるほど。ではあちらで平謝りしているのが例の娘さんとやらですか?」
貴音が視線を向けた先ではショートボブカットの少女が、テーブル席の男に向かって何度も頭を下げてる場面が繰り広げられていた。
どうやらうどんを男の頭へぶちまけたようで、それについて謝っているようである。
男は騒ぎ立てることもしていなかったので、店の中にでもこれに気がついていない者が数名いた。
真「……やっちゃったかー。まあ、そうです。ちょっとした男性恐怖症で……。
ああいったことで問題が起こったときに対処をするのも僕の役目ですけど、幸い感じの良さそうなお客さんでよかった。
あれなら雪歩の良い練習相手になるでしょう」
貴音「……雪歩。萩原雪歩?
……なるほど。大会社の娘さんでしたか」
真「口を滑らしちゃったかな~。
別にばれたらマズイというわけでも無いですけど」
貴音「しかし、飲食店は萩原組がたるき亭と連携して行っている事業のはず……引っ込み思案や男性恐怖症を治したいのであれば、萩原組の本業である建設関連の手伝いをした方が良いのでは?」
真「あんな場所に雪歩を放り込んだら死んじゃいますよ」
真がそう言ったときカウンターの奥の暖簾から盆に乗ったラーメンが突き出された。
屈強な腕だけがこちら側に出てきている。
真はそれを受け取ると貴音の前にそれを置いた。
真「おまちどおさま。ラーメンです」
貴音「……今のは?」
真「……厨房です。雪歩は絶対に近寄らない厨房です」
貴音「……そうですか」
真「あっ、つい興奮してて忘れてましたけど、飲み物はどうします?」
貴音「水を」
貴音はラーメンと水がそろうと箸に手を伸ばした。
その時である。
ごろつき「おい、ねぇちゃん。そんなものに金を掛けるくらいなら断然こっちの方が良いぜ」
薄汚れた服の男が酒瓶を片手に近づいて来たのは。
ごろつき「俺のおごりだ。飲めよ」
そういって男はバーボンをなみなみ注いだグラスを貴音に押しつけた。
真「お客さん――やめておいた方が良いですよ」
ごろつき「黙ってろ」
真はこの男が腰に引っ提げている物を見て一瞬で真意を悟っていた。
ガンベルトに差してある銃。つまり、この男も名を上げたいだけの馬鹿であると。
ごろつき「俺の酒が飲めねぇっていうのか? 俺のおごりだぜ?」
貴音はそんなことは眼中に無い様子でラーメンを啜り始めた。
真「貴音さん……」
貴音「これは素晴らしい味ですね。替え玉をしてもよろしいですか?」
真「いや、貴音さん……」
ごろつきは貴音のラーメンの上で酒瓶を逆さまにした。
ごろつき「もっとおいしくしておいてやったぜ。さあ、食べな」
貴音「……二度目は無いですよ。
さっさとこの場から失せて下さい……とうもろこしにも劣るゴミ粒に用はありませんので」
ごろつきの顔に朱が差した。
しかし、コレこそがもっともこの男が望んでいたことであった。
ごろつき「糞アマが……立てよ」
雪歩「こ、困りますぅ! 他のお客様に迷惑を掛けないで下さい!」
ごろつきに雪歩が声を張り上げた。
数メートル離れた場所から。
ごろつき「黙っとけ!」
雪歩「ひぃ!?」
真「っ! ちょっとお客さん! いい加減にしないと叩き出すぞ!」
雪歩は怒鳴り声だけで後ろに蹌踉めいた。
蹌踉めいて背中で後ろにいる人間とぶつかる。
P「おっと」
雪歩「ひぃぃぃ!?」
雪歩はロングスカートの中から取りだしたスコップを凄まじい勢いで振り回した。
スコップの先がPの喉元を掠めていく。
P「こ、殺す気か!?」
雪歩「す、すみません、すみません! 先はうどんを掛けちゃうし次はスコップで叩きかけちゃうし……こんな駄目駄目な私は穴を掘って埋まってますぅ!」
真「掘らないで! 直すの大変だから!」
P「俺も早く支払いを済ませたいし、穴を掘るのは後にして欲しいかな」
雪歩「ご、ごめんなさい」
P「なかなかエキサイティングな店だったよ」
Pはそう言うと貴音の隣で仁王立ちしている男に目を向け、驚いたような顔をした。
P「まさかこんな場所で会えるなんて……こんにちは、ファンなんです」
Pはそう言いながらごろつきの手を取り、大きく上下させる。
P「光栄だな~。噂は聞いてますよ」
ごろつきはまじまじとPを見つめた。
ごろつき「お前、まさか765プロのPか?」
P「そうですが」
ごろつき「離せこの玉無しやろう! チキンがうつっちまう!」
ごろつきは乱暴に手を振りほどいた。
ごろつき「それに自慢じゃ無いが俺は噂になるようなことなんて何もしてないぜ。
これから大物になるがな!」
今度はPがまじまじとごろつきの顔を見つめた。
P「……人違いだったか……よく見れば顔はふやけてるし腕は棒切れみたいだ。
何で見間違えたんだろ?」
ごろつきはPの言葉を理解しかねたようにぽかんとした。
Pはそれを尻目に上着を脱ぎゆっくりとごろつきの顔を拭き始めた。
今の時代には珍しいスーツである。
P「顔が汚れてる。だから俺が見間違えるハメになるんだ」
うどんの汁をたっぷりと吸った上着でごろつきの顔を拭く光景を周りの者は固唾を呑んで見ていた。
P「これで綺麗になっただろ……ん? あまり綺麗になってないな」
ごろつきの顔から血色が完全に失せ、素早く銃に手が伸びた。
次の瞬間には銃声が店内に響き渡る。
ごろつき「くっ……そがぁ!!」
ごろつきが手を押さえて叫んだ。
店の中で火を吹いた銃は一丁。
貴音の手にある物だけであった。
P「……驚いた。俺の脇腹に穴が開くんじゃないかと思ったよ。
良くそこから狙えたな」
貴音の撃った銃弾はごろつきがガンベルトから銃を抜いた瞬間に、その手を貫いていた。
一瞬の早業であるが、その正確さも驚嘆に値した。
貴音「この距離ならば目を瞑っていても当たります」
真「四条貴音になにいってるんだよ。当然じゃ無いか」
P「四条貴音? あの四条貴音か?」
Pはそう言いながら振り返り、貴音を見て驚きの表情を浮かべた。
ごろつきに見せた驚きの表情とは違う。
軽薄なものではなく迫真のものであった。
P「……シルバークロス・ピースメーカー……」
Pが見ているのは貴音が握っている銃であった。
銃身に細かな装飾がしてあり、銃把には見えにくいが銀色の十字架が刻み込まれているその銃を見て驚愕している。
貴音は一瞬眉根を動かし、銃を回転させるとガンベルトに差し込む。
貴音「なぜ、この銃の名前を?」
P「その銃は有名だからな。知らない奴は少ないだろ」
貴音「なるほど。……しかし、この銃を見てその名を口にした者は少ないですよ?
なぜこの銃がシルバークロスだと分かったのです?
銃把もろくに見えてなかったでしょう」
P「マニアなんだ」
貴音「……なるほど」
ごろつき「こ、この……」
ごろつきがPの背後でナイフを取り出し、それを振り上げた。
真「お帰り下さい!」
それを見た真がカウンターを飛び越えて蹴りを延髄に叩き込む。
ごろつきは白目を剥くと床に崩れ落ちた。
床に完全に崩れ落ちるのと同時に、暖簾から三人の屈強な男が飛び出してくる。
屈強な♂×3「そいやっ!!」
雪歩はもちろんだが、それを見た店の客たちはビクリと肩を振るわせた。
三人の男はごろつきを抱えるとそとに放り出し、風のように厨房へと戻っていった。
P「ありがとう。助かったよ」
真「あんまり助けたくなかったんだけどなぁ~」
P「嫌われてるな」
真「そりゃそうでしょ。女の子に闘わせてる765プロのプロデューサー……支払いを済ませたら早く出てってよ」
P「分かったよ。その前に……」
Pは名刺を貴音に差し出した。
貴音「これは?」
P「勧誘だ。765プロで一緒にやらないか?」
貴音「一応、貰っておきます」
P「真面目に考えてくれよ。もしその気になったらそこに書いてある番号に連絡をし――」
Pはそこで言葉を切った。
切らざるを得なかった。後頭部に感じた鉄の感触はどんなお喋り人間も黙らせる地元の民間療法である。
それが二つもとあってはPも黙らざるを得ないだろう。
美希「また貴音が変なのに絡まれてるの」
響「決闘で名を上げたい方か? それとも言い寄ってる方か?
こういう手合いはもういい加減にして欲しいぞ」
貴音「響……美希……」
P「いきなり銃とはご挨拶だな」
美希「こういうのは飽き飽きしてるから一々相手をするつもりはないの」
貴音「美希、この方は765プロのプロデューサーです。別に決闘をしようとしたりしていた訳ではありません」
美希「765プロの?」
Pは後頭部の銃が撃鉄を上げるのを肌で感じた。
P「どういうことかな」
美希「こういうことなの」
P「そういうことか」
響「それはさすがに不味いさー。
賞金首ならともかく一般人だからね」
美希「だってむかつくの」
響「分かるけど……」
P「……これ以上ここにいると血を見そうだな。
俺は見られないだろうけど」
貴音「そうですね」
P「さっさと退散するよ。先の話、良く考えて置いてくれよ」
Pは金をカウンターに置くと両手を挙げた状態で店を出た。
雪歩「……今の人って?」
真「765プロのプロデューサーだよ。雪歩は知らないの?」
雪歩「765プロなんて始めて聞いたよ」
真「765プロって言う組織的に賞金稼ぎやってる会社だよ。小規模だけど政府公認のね。
先の男はそこでプロデューサーをやってるんだ」
雪歩「賞金稼ぎさんだったんだ」
真「……いや、あいつは違うよ。
賞金首の情報を集めたり、それを捕まえるお膳立てをするまでがプロデューサーの仕事だから。
実際に賞金首を撃ってるのは会社に所属してる女の子だって話だ。
自分は安全な場所でのうのうとやりながら女の子に闘わせてるんだよ。あいつは」
雪歩「そんな人には見えなかったけど……助けてくれたし」
真「はぁ? いつそんな――」
美希「ミキ的にはその話はもうどうでも良いかなー。
とりあえず、水とおにぎりが欲しいの」
真「は、はい。急いでお持ちします」
響「こっちは水と食べ物は適当にこれで……」
響は硬貨をカウンターに並べた。
そして、雪歩に視線を向ける。
響「ああいった手合いに騙されたらだめだぞ。
あの男がやってることが全てだぞ。どんなにいい人に見えても自分は闘わずに女の子に闘わせてるってのは事実だからね。
最悪なタイプの臆病者さー」
貴音「……765プロのプロデューサー話で聞いていただけの時はそう思っていましたが……果たしてそうなのか……実際に会ってみて分からなくなりました」
響「どういうこと?」
貴音「先程もプロデューサーがわたくしに絡んでいた男を仲裁してくれた……ようにも見えました。
かなり無謀というか……自分が代わりに喧嘩を買って出るようなマネをして」
響「……ごろつき相手じゃね……」
貴音「相手は銃を持っていましたが、プロデューサーは持っていませんでした」
響「それって……」
響&美希「ただの馬鹿だよ」
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
Pは太陽が照りつけ、埃っぽい街を歩いていた。
春香「プロデューサーさん! どこに行ってたんですか! こっちですよ、こっち!」
千早「自分で集合時間を指定しておいて遅れるなんて」
P「すまんすまん。ちょっと銃口を突きつけられる事態になってな」
Pは日陰に佇む少女二人に近づいていった。
春香「え? ……どこでですか?」
春香は肩に担いだライフルを指で叩きながら言った。
P「問題を起こそうとするなよ、春香。この通り無事だったんだから」
千早「……くさ……プロデューサーくさいです。なんか辛いような甘いような独特な匂いが……」
P「多分店でうどんをぶっかけられたからだな」
千早「やっぱ一言いいにいった方が良いんじゃないですか?」
P「千早、お前まで問題を起こそうとするな。うどんの件は事故だから。
それに……珍しい奴にも会ったんだぞ」
春香「珍しい奴?」
P「あぁ、今をきらめくフェアリーの三人にな」
千早「フェアリー? 確か3人組の賞金稼ぎですよね」
春香「早撃ちで有名な四条貴音と……あと二人はどんなのでしたっけ?」
P「さぁ? あまり興味が無かったから俺も詳しくない。
……興味は湧いたけどな」
春香「……私も会ってみたくなりました」
千早「ちょっとくらい挨拶をしておくべきなのでは?」
P「おまえらの挨拶は洒落にならん。
とりあえず会社に戻るぞ。社長に報告をしておきたいこともあるし」
Pはそう言うと近くに繋いであった馬に飛び乗った。
春香と千早もそれにならう。
3匹の馬が駆ける道はどこまで行っても埃っぽく寂れていた。
地球規模の天変地異は日本のみならず世界各国を衰退させていた。
経済活動は縮小するところまで縮小し、日本では国民の8割が農業に従事している状態である。
そこまで低迷した日本は当然従来の公共サービスを提供出来ずにいた。
とりわけ、深刻な人員不足から無法者を取り締まることが出来ず、ついには賞金首制度が採用されるにまで至ったのだ。
そして生まれたのが賞金首を狩ることを生業とする賞金稼ぎであった。
今の日本ではこの賞金稼ぎと無法者が鎬を削り合っている状態なのである。
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
765プロ事務所
P「ただいま戻りました」ガチャ
小鳥「お帰りなさい。今回は随分と長旅でしたね」
春香「そのかいはありましたよ! 見て下さい、小鳥さん!」
春香は袋を掲げて見せた。
春香「惚れ惚れとする重量ですよ」
小鳥「随分と稼いだのね」
千早「稼げた割に楽な仕事でした」
春香「私は割と大変だったよ……銃弾が脳天を掠めたときは禿げてないか何度も確認したもん」
小鳥「詳しく聞きたいけど、まずは食事にしたいでしょ? お風呂はすぐに沸かすから」
春香「お願いします! お金はあるのに途中、ろくな物を食べる場所が無くて……お腹がぺこぺこなんです」
P「俺は先に社長の所に行ってきます。いますよね?」
小鳥「いますよ。社長室に」
P「二人は先に食べててくれ」
千早「待っておきますから早く戻ってきて下さい。
ご飯は出来るだけ大人数で食べた方がおいしいですから!」
P「了解」
Pはそう言いながら奥の社長室へと向かった。
ノックをすると返事を待って入室する。
P「戻りました。……って律子もここにいたのか」
椅子に座っている高木社長と机の前に立ている律子が同時にPを見た。
律子「なんですかその言い方、いたら悪いみたいな」
P「そうだな。邪魔だからちょっと出てくれないか?」
律子「ずいぶんな言い方ですね」
P「ちょっと重要な話なんだ。今度食事をおごるからそう怒るなって」
律子「別に怒ってませんけどね。久々にあった同僚に向かってそれはないでしょう」
律子はブツブツと文句を言いながら部屋を出て行った。
社長「キミにしては紳士でない対応じゃ無いか。よっぽどの急用があるのかね?」
P「そうなんです。それも社長二人で内密な話があるんです」
社長「よしてくれよ、こんな密室で男二人での熱い雰囲気は――」
P「シルバークロス・ピースメーカーを見ました」
社長はそれを聞くと黙り込んだ。
P「アレは本物でした」
社長「今、それはどこに? 奪ったりはしなかったのかね?」
P「持ち主はフェアリーの四条貴音でした。悪そうな人間でも無かったので奪いはしませんでした。
それに、あの子から銃を奪うのは体に3カ所ほど穴が開くのを覚悟しないといけないので」
社長「四条貴音……早撃ちで有名なあの四条貴音かね……ピースメーカーを持つ人間ってのは早撃ちが好きだねぇ」
P「一応勧誘もして情報屋にあとをつけさせてます。
今後の動向次第でシルバークロス・ピースメーカーをどうするかを決めます」
社長「名銃と呼ばれるピースメーカーシリーズは4丁……どれも不遇なガンライフを送っているとしか言いようがない。
……シルバークロスを除いてはね」
P「はい。シルバークロスだけは他のピースメーカーシリーズと違い巨悪に立ち向かった逸話が多い銃です。
四条貴音がそれを持つに相応しい人間ならば良いですが、もしジンクスに傷がつくような人間ならば……その時はその時です」
社長「ジンクスといえども大切にしていきたいからね。得に、こんな世の中では」
P「とまあ、報告は以上です。今回儲けた分は音無さんに計上して貰うのでそちらに聞いて下さい」
社長「分かった。
それと、今回はもう次の仕事が用意してある。
律子くんが持って来たとびっきりでね。どうしようか悩んでいたところなんだよ」
P「悩むとは?」
社長「私の古い友人が悪さをしようとしているようでね。
少し手に余るかも知れないから手を出すのは控えようと思ってたところなんだ。
この仕事に手をつけるかどうかはキミの判断に任せようと思う」
P「……状況次第ですね。とりあえず、その仕事の内容を詳しく教えてもらえます?」
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
Pはこの日、一人で町中をうろついていた。
飲食店に顔を覗かせては外に出るという行為を繰り返している。
そして、またもやPは飲食店に入ると、今度は回れ右をせずにゆっくりと部屋の隅のテーブルに近づいていった。
P「また会ったな」
貴音「……随分と早い再会になりましたね。
まあ、予想していましたが」
P「予想してたか」
響「げっ、765プロの……」
美希「消えるの。おにぎりが不味くなるの」
P「まあまあ、ここのお代は俺が持つから話をするくらいは良いじゃないか」
美希「結局座ってるの……」
響「図々しいにも程があるぞ」
貴音「始めに聞いておきますがここで会ったのは偶然ですか」
P「予想していたってことは俺がつけてた情報屋はばれてたってことか……白状すると偶然じゃ無い」
響「あれってそっちの差し金だったのか。相当いらいらしたぞ」
美希「そんなのいた?」
響「美希はほとんど寝てたから知らないだろうね」
P「まあ、ここで会ったのは偶然じゃ無いが、この街に来てるって知ったときは縁があるって感じたぞ。
あの話で良い答えが聞けるかと思って期待したりしてるんだが」
美希「あの話?」
P「あれ? 貴音は勧誘の話をお仲間にしてないのか?」
響「勧誘!? き、聞いてないぞ!
貴音、どういうこと!?」
貴音「そんな話もありましたね。すっかり忘れていました」
P「その様子じゃ勧誘の話は期待しない方が良いようだな」
貴音「わたくしはこの三人でやるのが気楽で良いので」
響「だ、だよね。
吃驚したぞ。おいてけぼりをくらうかと思って」
P「響は心配屋だなぁ」
響「うるさいぞ! それになんでさり気なく名前を読んでるの!? 教えたっけ!?」
P「俺のことはPって読んで良いよ」
響「な、馴れ馴れしい……」
P「HAHAHA!」
ハム蔵「ヂュ!」
P「HA?」
Pは響の頭に乗っかっている小動物をまじまじと見た。
P「……言いにくいけど……ネズミが頭に乗ってるぞ」
響「ネズミじゃ無い! ハムスターだぞ!」
P「ネズミだろ。
え? 飼ってるの? それ」
響「ハム蔵は自分の大切な家族だぞ」
P「ネズミがペットとか斬新だな」
響「だ、だからネズミじゃないんだって!」
P「具体的に何が違うんだ?」
響「しっぽの長さとか……そもそも愛らしさが違うぞ。どうやったらネズミと見間違えるの?」
P「へぇ、確かによく見たらネズミとは違った愛らしさがあるような気がする」
響「でしょ!」
P「食べ物は穀物とか?」
響「うん。得にひまわりの種なんか好きなんだぁ」
P「おいしいよな。ひまわりの種」
響「意外と人間も食べれるよね。あれ」
P「でもハムスターを連れて旅なんかしてたら大変じゃないか?」
響「なにが?」
P「上空から鳥が狙ってたりするだろ。心配にならないのか?」
響「来たら分かるし。ご飯も増えて一石二鳥さー」
美希「響……まんまとあっちのペースにのせられてるの」
響「はっ!? そう言う意図が!?」
P「ないよ。もう勧誘は諦めたし」
響「そうなのか? 粘らないんだね」
P「粘ってどうにかなるような相手だとは思ってないからな」
貴音「粘る必要も無いでしょうしね」
響「どういうこと?」
貴音「恐らくこの方の目的はわたくしたち……と言うよりもわたくしの持っている銃です」
Pが座っているテーブルの周りの空気が張り詰めた。
響「貴音が持ってる銃のことを知ってるのか……だったら近づいてくる理由も分かるぞ」
P「貴音の持ってる銃に興味が無いと言ったら嘘になるがな。
今日は別件なんだ」
貴音「興味があると言うことは否定なさらないのですね」
P「興味大ありだ。前も言ったけどマニアだからな。
知ってるだろ平和をもたらす銃、ピースメーカーの話は」
貴音「もちろん」
P「ピースメーカーと言ったらシルバークロスのことを差すことが多い。
でも、ピースメーカーはシルバークロスの他に3丁あるって知ってたか?」
貴音「そうなのですか?」
P「あぁ、他の三丁はピースメーカーの名前に相応しい働きをしてないから有名じゃ無いけどな」
貴音「で、その銃マニアであるあなたはこの銃をどうしようと?」
P「シルバークロス・ピースメーカーは平和を作る銃だ。
貴音がその銃を持つに相応しくないようだったら奪ってもっと相応しい人間に与えようと思ってる」
店全体の空気が凍り付いた。
響「……随分とはっきりと言ったね」
P「冗談だからな」
響「冗談なの!?」
P「だって丸腰の俺にそんなこと出来るわけ無いだろ。常識的に考えて」
美希「やりようはいくらでもあると思うけど、確かにそこの人じゃ無理かな」
P「そうそう。俺はシルバークロスの動向が気になってるだけだから。
だってシルバークロスって今までもデカイ仕事に携わってきてるだろ?
シルバークロスを追っていたら俺もデカイ仕事に一枚かめるかも知れないし」
響「うわー、凄くゲスっぽいぞ……」
美希「全くその通りなの」
P「まあまあ、そう言うなって。
だから今回はその将来に対するお礼ってことでこっちから仕事を持ってきたんだ」
美希「いらないの。仕事には困ってないし」
P「他のピースメーカーをお目にする機会かもしれないのに?」
美希「どういうこと?」
P「厳密に言えばピースメーカーじゃないんだけどな。シルバークロス・ピースメーカーの生みの親は他にも3丁の銃を作ったってのは話したよな。
その三丁っていうのはホワイトクロス・ピースメーカー、ゴールデンクロス・ピースメーカー、それに加えてブラッククロス・ピースブローカーってのがあるんだ」
美希「最後のだけ変な名前だね」
P「ブラッククロス・ピースブローカーは悪名が高い銃でな。制作者が銃の名前にバランスを持たせようとしてつけたって話で、様々な悪事に携わってきたとされる銃さ。
今回、そのブラッククロスにお目にかかれるかも知れない仕事がこっちにはあるんだ」
貴音「……そのような仕事……どこから?」
P「何というか……ブラッククロスの所持者はうちの社長の古い友人でね」
美希「やっぱ765プロは悪党なの」
P「待て待て、うちは悪事とは無縁の会社だぞ。
古い友人といってもつるんでいる訳じゃ無いしな。とっくの昔に袂は分かれた。
……黒井崇男って知ってるか?」
美希「……大物なの」
響「961プロの社長だよね。賞金稼ぎが表事業だけど裏でこそこそやってるって話があるぞ」
P「今回の仕事は黒井崇男が主犯」
響「え」
P「銀行を襲うらしい。手下20人を使って」
貴音「たしか765プロの総員は7人でしたね」
美希「ミキたちをいいように利用しようとしてるの」
P「だって無理だろ765プロだけじゃ。使える戦闘員となったら3人……その内一人は行方不明だし……。
報酬はこっちが前払いで払う依頼料と銀行強盗を実行する奴らの中に手配犯がいるだろうから、そいつらを賞金に変えてその分の6割がそっちってのはどうだ?」
美希「7割よこすの」
P「勘弁してくれよ……最初からこっちはギリギリ譲歩なんだから……」
貴音「何故そこまで譲歩するのですか?
実質、こそ分だと弾代におつり程度の儲けにしかならない可能性もあるでしょう」
P「社長たっての願いだからな。無碍には出来ないってのがある。
それと、あわよくばブラッククロスをゲット出来るかなーと思って」
貴音「ブラッククロスに興味が?」
響「悪の銃に興味を持つなんて……」
P「ブラッククロスをハンマーで叩き潰すのが夢なんだ。
で、この話にのるか?
20人を相手取るといっても全員を仕留める必要は無い。
狩りやすい奴を狩って小遣い稼ぎのつもりでも良いんだ」
貴音「わたくしは別に構いませんが」
P「本当か! 銀行は隣町のやつだけど結構距離があるんだ。早めに移動して――」
美希「ちょっと待ったなの」
P「どうした?」
美希「貴音は賛成したけど、ミキ的には765プロと共闘戦線なんてごめんなの」
貴音「しかし、銀行が襲われるのを黙ってみておく訳にはいかないでしょう」
響「銀行が襲われる前にその話を触れ回れば事前に防げるんじゃ無いか?」
P「ああいった輩は掴まるまで犯罪を繰り返すよ。実行日が変わるだけさ。おまえらもこんな仕事をしてるんだからそれは分かるだろ?」
美希「うーん。でもこのままとんとん拍子に話が進むのは面白くないかなー」
P「お前なぁ……」
美希「あっ! 丁度いいの! 今、面倒臭そうな人が近づいて来てるからそれを追い払って欲しいの。それが出来たら今回の仕事を受けて上げる!」
美希はそう言うとテーブルに男が一人近づいて来た。
P「面倒臭そうなやつだって良く分かったな」
美希「こう言った手合いはなれてるから雰囲気で分かるの」
男「よう。あんた四条貴音か?」
P「俺は違いますけど?」
男「……お前に聞いちゃいねぇよ。大体、てめぇが貴音なんて洒落た名前だったら俺は小梅でもおかしくねぇぜ」
P「いや、それはおかしい」
男「良いから黙ってろ。面倒なことになるぜ」
P「もうなってるよ。……お前がな」
男がPに体を向けようとしたとき、Pは声を張り上げた。
P「動くな! ……面倒なことになってるのが分からないなら教えてやるよ。
お前の右の金玉を机の下から銃が狙ってるぞ」
Pは机に体を寄せて片腕を下に隠していた。
男「……てめぇ」
P「両手を上げろ弾で玉をはじかれたくなかったらな」
男はゆっくりと両手を挙げた。
P「悪いね。また日を改めてくれよ」
Pはそういって出口に向かって顎をしゃくった。
男「……覚えとけよ」
P「その台詞、聞き飽きてるよ」
Pは男が店を出て行くのを見送るとほっと溜息を吐いた。
P「……寿命が縮んだよ。
でも、これで仕事を手伝ってくれるんだろ?」
美希「……ますます、やる気は無くなったけど約束だから仕方が無いの……」
響「はったりだけで乗り切るとか……」
P「だって俺銃持ってないし」
響「相手が銃を抜いたらどうするつもりだったんだ?」
P「助けてくれよ」
響「絶対に助けないぞ」
P「そう言っときながら困ってる奴は見捨てては置けない性分だろ? 分かってるよ。土壇場で響が俺を助けてくれるのは」
響「う、うざいぞ」
P「まあ、とりあえず隣町に移動してくれ。そこで落ち合おう。
なぁに銀行強盗20人を相手取るだけの簡単なお仕事です」
貴音「分かりました」
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
P「という訳で意気揚々と店を出たら銃口を突きつけられてる。
どういうことだ?」
男「自分が蒔いた種だろ」
P「まあ、待て。良く見てみろ。俺は丸腰だぞ。
丸腰の人間を撃ったとあっては、お前も立派な賞金首の仲間入りだ。
俺のお仲間にケツを追っかけられたくは無いだろ?」
男「……どこかで見たことがあると思ったら、765プロのプロデューサーか……。
てめぇの頭を弾いたら俺は人気者になるんじゃねぇか?」
P「それはない……ともいえないな。
まあ、あと三秒以内に決めてくれ。銃を下ろすか、引き金を引くのか。
3――」
Pがそこまで言ったとき、店からフェアリーの三人が出てきた。
P「よう」
美希「馬鹿なのwww!早速報復されそうになってるのwww」
響「じゃーねプロデューサーwww」
P「……いちごババロア……高級なひまわりの種……」
美希&響「!?」
P「助けてくれないか」
美希「い、いちごババロアは超レア品なの。おいそれと手に入るような物じゃないの」
響「高級ってなんだ? 普通のひまわりとどう違うんだ!?」
P「俺なら用意出来る! 出来るんだ!」
美希&響「……そのクズを離せクズ!」
P「ってことであっちと闘ってください」
男「……お前最低だな」
P「最初からフェアリーが目的だったんだろ? なら良いじゃないか」
男「四条貴音が目当てだったんだけどな」
P「大丈夫。他の二人でも十分名は上がるよ。勝てばだけど」
Pは銃口で後頭部を小突かれ解放された。
P「え? やるの? いきなり超ダッシュで逃げよう」ヒソヒソ
美希と響に近づいたPが小声で言った。
美希「つまらない冗談は嫌いなの。いちごババロア絶対に用意してね。嘘ついたら本気で怒るよ?」
P「用意するよ。別に闘わなくても」
美希「そうなの?」
響「でも、ここで逃げたら良い恥さらしだぞ」
美希「だったら響がやるの。ミキはここで観戦してるから」
P「いや、行くんなら美希にしてくれ」
美希「どうして?」
P「あいつ下に鉄板かなにかを着てる」
美希「……あはっ! いちごババロアの件と言い、ミキ達のこと調べたんだね」
P「ちょっとな」
美希「いいよ。やってあげる」
美希は通路に出ると男と対峙した。
道行く人が通路の脇に寄り、二人を見守る。
賞金稼ぎどうしでの決闘は度々起こるので、みんな慣れた様子であった。
男「俺はデュエリストだ。勝つことだけに拘って生きてきた俺には勝てねぇよ」
貴音「でゅえりすと?」
遠巻きに見ていた貴音が首を捻った。
P「賞金稼ぎで名を上げたやつらとの勝負を生業とする奴らのことだな」
貴音「それは何というか……迷惑な話ですね」
P「……そうだな」
響「そんなことしてる暇があったら賞金首の一人でも捕まえて欲しいぞ」
男「俺が一日ガンベルトから銃を取り出して構える回数を知って――」
美希「あふぅ……もうお話は良いの。早く始めようよ」
男「……おい765プロの! 合図を頼む!」
P「コインで良いか?」
男「あぁ」
Pはコインを親指の上に乗せた。
男「……その綺麗な顔をフッ飛ばしてやる」
美希「キラキラしてるミキを見せて上げるね」
Pがコインを弾く。
高く舞い上がったコインは二人の中間距離あたりに落下し始めた。
美希が銃に手を伸ばす。銃は標準的なシングルアクションのリボルバーである。
コインが地面にぶつかり音を立てた。
二人の手元が一瞬にして銃を引き抜いた。
響「やっぱ美希の方が早いぞ」
P「でも、これからが問題だ」
響「男の方が着込んでる鉄板のこと? そんなもの問題にならないぞ」
銃声が空に響いた。
対峙していた片方が地面に崩れ落ちた。
男「な、なんでだぁ!」
男は肩から溢れる血に驚愕していた。
男「拳銃で貫通出来るような鉄板じゃ無かったはずっ!」
美希「デュエリストを名乗ってるのにそんなものに頼るなんて恥ずかしいの」
男「う、うるせぇ! 勝つために研究に研究を重ねるのがデュエリストだ。
お前達が手や足しか狙わないのは知ってたから入念に準備してきたのに……あ、あの野郎……不良品を掴ませやがってぇ!」
P「いや、鉄板に欠陥は無かったはずだ。拳銃の弾一発程度になら耐えていただろうな。
でも、それが三発とあってはさすがに耐えられなかったんだろう」
男「どういうことだ?」
P「言った通りだが? 同じ場所に3発撃たれたから弾が鉄板を抜けた。
それがお前の敗因。その辺りは研究しなかったのか?」
男「……あるわけ無いだろ……そんなことがあるわけ無いだろ!」
P「俺も吃驚したよ。噂には聞いてたけど本当だったとは……ワンスポットトリプルショットだっけ?
始めに右手で撃鉄を起こし一発、左手を振り下ろして親指で撃鉄を弾いて一発、さらに小指で弾いて一発。合計三発を同じ場所に叩き込む。早すぎて銃声が一つに聞こえる程だ」
男「ありえねぇ……そんなものただの噂だ……そんな技……あるわけ……ねぇ」
男は地面に俯せに倒れた。
同時に、周りの見物人が歓声を上げた。
美希「どう? ミキ、キラキラしてた?」
P「あぁ、炸薬でな」
美希「約束のババロアお願いね!」
響「高級ひまわりの種も」
貴音「らぁめんも」
P「なんか約束してない物まで増えた気もするけど……問題は無いか。早速その約束を果たそう」
Pがそういってその場をあとにしようとしたとき、辺りがざわついた。
やよい「うぅー、邪魔ですよー。みんな退いてくださーいっ!」
ポニーが猛スピードで通路を駆け抜け、それを避けようとちょっとして混乱が起こる。
ポニーはPの目の前辺りでとまった。
やよい「おはようございますっ! プロデューサー!」
P「おはよう、やよい」
貴音「やよい?」
P「保安官のやよいだよ」
やよい「いぇい!」
貴音「……敏腕と噂の保安官がまさかこんな子供だったとは……聞いていた噂だと2メートル超えで顔にさんま傷のある女性だと……」
P「だれだよそんな適当なこと言った奴。どう見ても天使のやよいをそんな化け物と見間違えんな」
やよい「うっうー!」
P「うっうー!」
響「うわぁ……」
やよい「所でプロデューサー! この辺りで銃声が聞こえたんですけど何があったんですかぁ?」
P「すまん。それ俺たちだ。あそこに転がってるのと決闘した」
やよい「駄目ですよー。放置してたら」
やよいは男に近づくと抱き起こし、ポニーに乗せようとする。
しかし、腕力不足でいつまで経ってもポニーの背中に乗せれずにいた。
Pはそれをニヤニヤ笑いながら見ている。
P「見てみろよ。可愛いだろ?」
貴音「……果たして765プロと一緒に仕事をすると言う選択は正しかったのか……不安になってまいりました」
響「……変態だぞ」
美希「どん引きしたの」
やよいは結局周りの人間の手を借りてポニーの背中に男を乗せることに成功した。
貴音「しかし、あの娘がかの有名な高槻やよいだとは……まことなのですか? 信じられません」
P「まことですよ。この街の平和を守り、悪党を薙ぎ倒してる張本人です」
貴音「では、噂に聞くHighTouchという銃技……あれもまことなのですか?」
Pは苦笑した。
P「始めて聞いたよ。まあ、やよいの銃の撃ち方は少し独特だけどな」
やよい「プロデューサーさん。新しい手配書出ましたけど今からこっちに寄ります?」
P「またあとにするよ。仕事が詰まってるし。
……そうだ、今から伊織の所に行くんだけど一緒に行くよな? その男もいることだし」
やよい「はいっ! でも、伊織ちゃんの所に行くんだったら初めからこの人を連れて行ってくださいよー!」
P「うっうー! ごめんなさーいっ!」
響「気色悪い物まねはやめるさー!」
貴音「正気の沙汰ではありませんね」
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
P「ってことで、ラーメンといちごババロアと高級なひまわりの種。よろしくぅ!」
伊織「消えなさい」
P「いや、そこを何とか!」
伊織「……あんたここをどこだと思ってるの?」
P「水瀬財閥本社……の中にある伊織お嬢様の休憩室」
伊織「分かってるじゃ無い。だったら大人しく飲食店にでも行きなさいよね」
P「ラーメンは外でも簡単に食べられるだろうけど、いちごババロアと高級ひまわりは難易度が高い。伊織に何とかして欲しいと思ってる」
貴音「……やはり無理があるのでは?
水瀬財閥と言えば海水を真水に変える技術で一世を風靡している会社ですが、飲食店を経営しているといった話は聞いたことがありません」
P「お嬢様の部屋には何でも揃ってるんだよ。
それにここ以外でいちごババロアや高級ひまわりの種の調達とか……何週間かければいいんだ?」
伊織「何週間でも何ヶ月でもかけて調達しなさいよ」
P「そこを何とか!」
伊織「……大体失礼よ。いきなり押しかけてきてラーメンをだせだのひまわりの種をだせだの……そこにいる三人のためでしょ?
何が目的よ」
P「命を助けられたお礼」
伊織「……戻ってきたと思ったら何でそんな事になってるのよ」
P「こいつらフェアリー。で、一緒に飯を食べてたら変なのに絡まれた」
伊織「自業自得じゃないの?
どうせ鼻の下伸ばしてだらしない顔をしてたんでしょ。そんなんだから小物に絡まれるのよ」
P「鼻の下なんて伸ばしてない。……伸ばしてないって!」
伊織「なんで二回言ったの?」
P「大事なことだから。仕事の話だったし鼻の下は伸びてなかったはずだ。たぶんな」
伊織は盛大に溜息を吐いた。
P「伊織にしか頼めないんだよ。お金はちゃんと払うからさ……どうせ苺とか生クリームも完備してるんだろ? その材料を使ってちょっと俺を助けてくれれば良いじゃないか」
美希「そうそう。そこの人もこれだけ言ってるんだからお願いを聞いて上げなよ。
えーっと、でこちゃん」
伊織「でこちゃん言うな! 私には伊織って名前があるのよ!」
P「次の仕事でこいつらに手伝って貰わないといけないし、頼むよ。
ここでこいつらの協力が得られないことになったら俺の体に穴が開くかも……」
伊織「だったらそんな仕事やめてうちのビルで清掃員にでもなったら?」
P「弾丸が飛び交う中で格好つけるのって……最高に面白いじゃん?」
伊織「体に穴が開いても仕方が無い人間の見本ね」
P「…………やよいも来てるんだ」
伊織「え?」
P「下の双海病院に。ババロア食べさせてやるって……約束しちゃった……」
伊織「卑怯よ!」
P「すまんな伊織。
というわけで、いちごババロア8個とラーメン8杯、ひまわりの種一袋用意してくれ」
伊織「多いわよ!」
P「だって俺と伊織とフェアリーの三人、やよいと双海病院の双子もくるだろ」
伊織「……分かったわよ……分かったわよ! 大人しくまってなさい!」
P「さすが伊織! デコにキスして良いか?」
伊織「ばばば馬鹿なんじゃないの!?」
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
美希「ま、まさかこんなところでいちごババロアにありつけるだなんて思えなかったの」ジーン
美希はいちごババロアを口に運びながら感涙していた。
やよい「こんな物がこの世に存在していただなんて……感激ですっ!」
伊織「やよいならいつでも来ても良いのよ」
P「やよいには甘いな」
伊織「だってやよいは私の友達だもの」
P「俺も友達でしょうが!!」
伊織「ん? いや……違うけど……」
P「嘘だといってくれよバニーちゃん……」
Pは悲しそうな目で伊織の膝に乗っている兎の人形を見た。
伊織「うさちゃんよ! バニーちゃんじゃ無い!」
貴音「水瀬財閥に是非とも飲食店を開いてもらいたいものですね。このらぁめんは絶品です」ズルズル
響「どうハム蔵。高級ひまわりの味は」
ハム蔵「ヂュ!」
響「やっぱひと味違うのかぁ」
真美「兄ちゃん! こんどの旅はどうだったの?」
亜美「武勇伝を聞かせて→!」
P「うむ。春香がカウンタースナイプされたんだがな、運良く肘が滑って銃弾が頭上を通りすぎるだけに留まった。
そのあと相手側の狙撃手に近づいてた俺がそいつをセガールばりの体術でフルボッコにしたわけだけど、隠れてた奴に後ろから刺されそうになったんだよ」
真美「それで?」
P「春香がギリギリの所でビューティフォーしてくれたから助かった」
亜美「嘘くさいYO!」
P「うん。ちょっと脚色入ってるからな。でも大体こんな感じだった。
千早はいつものように室内でショットガン無双してたし」
真美「今回はどれくらい休暇があるの?」
P「ないよ。明日には隣町に行って次の仕事の準備」
真美「えぇ→! もっとゆっくりしようYO!」
亜美「働き過ぎは体に毒ですぞ」
P「相手の方が待ってくれるんなら良いんだけどな」
伊織「フェアリーと一緒に仕事するんだっけ?
珍しいわね他の所と組んでまでやるなんて。
どちらかというと手堅く仕事をして無理はしないタイプじゃ無い? 765プロって」
P「ちょっと事情があってね」
伊織「事情?」
P「これは今回無理を聞いてくれた礼として特別に教えるんだが……隣町で銀行強盗がある予定なんだ。その主犯が社長の旧知でね。それを潰すのが次の仕事」
伊織「高木社長の旧知? まさか、961プロの黒井社長?」
P「うん」
伊織「嘘くさいわねぇ。黒い噂は絶えないけどしっぽは掴ませない男じゃない。
なんで弱小の765プロごときが事前にあっちの動きを察知出来るのよ」
P「律子が信頼出来る筋から手に入れた情報らしいし、何もなければ無いでそれで良い。
あわ良く行けば黒井社長が持ってるブラッククロス・ピースブローカーも手に入るかも知れない。
この情報を手に入れておきながら動かない手は無いだろ」
伊織「……まだそんなもの追ってたんだ」
真美「ピースブローカー?」
亜美「兄ちゃんの話はあまり本気にしたらだめだYO、真美」
P「今回、上手くいけば最高の結果になるかも知れないんだぞ。
貴音のガンベルトにささってるもの見てみろよ」
伊織「貴音? 悪いけどフェアリーの面々には詳しくないの。
たしか、早撃ちの名手だってことは聞いたことがあるけど、顔までは――」
そう言いながら伊織は一人一人の銃に目をやって驚愕した。
伊織「シルバークロス・ピースメーカー! ほ、本物!?」
貴音「はい」ズルズル
貴音は麺を吸い込みながら頷いた。
伊織「どこでそれを手に入れたの?」
貴音「親に譲り受けただけですが」ズルズル
伊織「そんなあっさり……。……で、どうするの」
伊織はPを見た。
P「どうもしないよ。貴音は悪人って訳じゃ無いしジンクスに傷がつかないんならそれで良い」
伊織「でもこっちで管理してた方が良いんじゃない?
人なんていつ悪に転がるなんて分からないわよ」
響「……おだやかな話じゃ無いね」
美希「人の銃をどうこうしようだなんてよく本人の前で話せるなんて、すっごく肝が据わってるなって思うの」
伊織「なによ。ここで銃を抜いてただで済むと思ってるの?」
P「それはお互い様だろ。この三人が暴れたらこっちもただじゃ済まないぞ。というか高確率でこっちが全滅する。
やよいしか銃持ってないし」
伊織「使えないわね。あんたも銃くらいもってなさいよ。
代わりの銃なんていくらでも用意してあげるわよ?」
P「いらない。銃なんて荷物になるだけだし」
貴音「しかし……まさか伊織殿までこの銃に興味を持つとは……少し意外でした。
私が知らないところでこの銃は大人気のようですね」
伊織「……その銃を買い取らせてくれっていったら売る? 言い値で買うわ」
貴音「申し訳ありません。親から譲り受け、大切にしろと言われた品なので,売り渡すことは出来ません」
伊織「そう……だったらそれでも良いわ。
でも覚えておいて。もしその銃の名前を汚すようなことがあれば、こちらは無料でその銃を譲り受けることになるって」
貴音「……覚えておきましょう」
P「なんだよこの空気www穏便に行こうぜ! テンション上げて行こう!
ウェーイ!wwwww
ほら! ウェーイ!wwww」
真美「に、兄ちゃん空気読もうYO」
亜美「亜美たちいおりんが何を話してるのか全く分からないけど、ふざけちゃいけない場面だってことは分かってたYO……」
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
貴音「萩原流たるき亭……たしかここで待ち合わせでしたね」
響「たしか765プロのと始めて出会ったときもこの店だったね。チェーン店なんだ」
美希「早く入るの。で、いなかったら帰るの」
貴音たちは765プロとは現地集合の約束をし、隣町まで来ていた。
馬で2日かかる道のりであったが、急峻な地形が多い日本ではまだ近い方であった。
遠いいとされる道のりはまさに命がけとなり数週間を掛けての旅になることはざらであるのだ。
P「お、来たな。貴音、響、美希! こっちだ!」
萩原堂に入った三人に奥のテーブルに座っているPが呼びかけた。
Pの隣には二人の少女が座っている。
美希「残念。いたの」
P「まあ、座って好きなものを頼んでくれ。それと、紹介しておくよ。
こっちのリボンが春香でこっちのスレンダーなのが千早」
貴音「四条貴音です。よろしく」
フェアリーと春香、千早はお互いに握手をして席に座った。
美希「で、この二人は使えるの? 足を引っ張られるのはヤなの」
春香と千早が無言で席を立とうとした。
P「喧嘩っぱやすぎるぞおまえら」
貴音「今回は同じ仕事をこなす仲間です。穏便に参りましょう」
P「そうそう。春香と千早の腕は俺が保障するよ」
美希「そこの人に保障して貰っても意味ないと思うなー」
P「だって俺しか保障出来ないし。
こいつら見ての通り早撃ちをするタイプでも無いから銃を撃つときは仕事の時だけ。
しかも仕事で撃つとなると相手は全員豚箱行きだから……」
千早「その辺りは別にどうでもいいでしょう。
作戦を立ててやるわけでも無いのだから、お互いに背中を撃たないように注意をしておけばそれで良いと思います」
P「まあ、緻密な連携を取ろうって訳でも無いからな。
けど、将来の仲間候補だから仲良くしとけよ」
響「はぁ? 仲間になんてなる気は無いぞ」
春香「こっちも仲間なんていりませんけど」
P「おまえらなぁ……もういいや……話を進めよう。
銀行強盗の件なんだが――」
店内に陶器が割れる音が響いた。
音の方向に目を向けると一人の少女が震えながらこちらを見ている。
P「あれ? ……もしかして前に寄った街で俺にうどんぶっかけた子か?」
春香「あの子が?」
千早「へぇ」
雪歩「ぎ、銀行ごう……」
P「え? 大丈夫か? 割れた食器拾うの手伝うよ」
Pはそういって席を立ち上がった。
雪歩「銀行強盗ですぅ!!」
雪歩はそういってPを指さす。
P「へ?」
真「雪歩っ! そいつから離れて!」
カウンターにいた真が飛び出してくる。
屈強な♂×3「そいやっ!!」
その後ろにいつの日か見たことのある屈強な男衆が続いた。
P「ち、ちが――俺は」
屈強な♂×3「そいやっ!!」
P「やめろっ! は、離せ! おいっ、どこ掴んでやがる! このっ――アッー!」
春香「やだ、何あれ!」
千早「春香、プロデューサーを助けないと!」
春香「……もうちょっと見ておこうよ」ドキドキ
千早「……そ、そうね」ドキドキ
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
P「ひどい目にあった」ボロッ
雪歩「ご、ごめんなさい! ほんと私ダメダメで……勘違いした挙げ句迷惑をかけちゃって……」
P「春香と千早はもっと早くに助けてくれよ。なんか色々と危なかったぞ」
春香「ごめんなさい。いきなりのことでどうすれば良いか分からなくて」シレッ
千早「一般人に発砲する訳にはいけませんし」シレッ
真「つまり、あなた達はこの町で起こる銀行強盗に備えてその話をしていたところだったって訳ですか」
貴音「また会いましたね。こことは別の場所で働いていたと思いますが?」
真「同じ場所で働いてると地元の人になれてしまうので、系列店を転々としているんです。
雪歩の男性恐怖症を克服するのが一番の目的ですから」
貴音「そう言うことですか」
真「でもこんな短期間で貴音さんにまた会えるとは思ってなかったなー。
銀行強盗があるって本当なんですか?」
貴音「765プロが手に入れた確かな筋からの情報らしいですよ」
真「765プロが?」
真はジト目でPを見た。
P「正義感が強そうな子だから先に忠告しとくけど他言無用だからな。警察にも保安官にも」
真「なんで?」
P「他の銀行が襲われるだけだろうから。
ここで馬鹿共を一網打尽にするチャンスだろ?」
真「……分かった。僕たちも手伝っても良いかな?」
P「……駄目に決まってるだろ。ミルクを買ってあげるからお家で飲んでなさい」
真「そっちが駄目だって言ってもこっちは勝手に首を突っ込むからな!」
雪歩「や、やめようよ真ちゃん。危ないよ」
真「でもこんな話聞いて放っておけないよ!」
P「こんな話はいくらでも聞くだろ。そのたびに首を突っ込んでたんじゃ長生き出来ないぞ」
真「こんな話を飲食店でやる方が悪い。普通は酒場とかじゃないの?」
P「酒場に入るような面子じゃ無いからな。こっちも場所を選ぶべきだったよ。悪かったと思ってる。
だからこれ以上首を突っ込むな」
貴音「遊びでは無いですからね」
真「で、でもっ! 放って置けません!」
P「お前達に何が出来るのかが知りたいな」
真「人を集めて強盗に対抗する」
P「銃は使えるのか?」
真「……使ったことはありませんけど」
美希「それはさすがに無謀なの。被害が増えるだけだしこっちも人が多かったら邪魔で仕方が無いの」
響「誰を撃てば良いのか分からなくなるぞ」
P「という訳だ。じゃあな」
真「……くそぉ!!」
P「…………と思ったけど、このまま放って置くとなんかやらかしそうだな。
……名前は?」
真「……菊地真」
P「それじゃあ真」
真「いきなり名前呼び!?」
P「俺と一緒に今回の仕事をやろう」
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
とある街。
寂れたこの村では珍しい決闘が行われようとしていた。
あずさ「あらあら~。最近はよくこんな事に巻き込まれてしまって困るわ~」
決闘者「お前の最も卑怯だと言われるショット……見せて貰うぜ。一匹狼のあずさ」
あずさ「卑怯なことなんてしません。それに私、一匹狼じゃ――」
誰かが二人の間にコインを投げた。あずさと決闘者が素早く構える。
あずさは張り付くような長ズボンにシャツを来ていたが、そのシャツはダイナマイト過ぎる胸を収めきれず第二ボタンまで開いていた。
前屈みに構えたあずさの胸元に決闘者の目が吸い寄せられる。
その瞬間、銃声が鳴り響いた。
決闘者「ぐあっ!?」
当然、撃たれたのはあずさの相手である。手首を撃ち砕かれて心底悔しそうにしている。
決闘者「こんな馬鹿な負け方! 絶対に他言できねぇ……っ!」
あずさ「私、一匹狼じゃありませんからね?」
あずさは踵を返してその場を去った。
あずさ「どうやったら帰れるのかしら~。とりあえず、こっちの道でも行ってみましょう」
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
真「もう三日もここで銀行を見張ってるけど本当にくるの?」
P「さぁ? あと一週間張って来なかったら諦めるよ」
真「そんな無責任な……」
雪歩「や、やっぱり止めようよ真ちゃん」
真「雪歩は店でウエイトレスをしときなって。危ないよ」
雪歩「一人でウエイトレスの方が嫌ですぅ!」
春香「騒がしいよ。始まったときに五月蠅いようだったら黙らすからね」
春香はライフルをポンポンと叩いて見せた。
真「なにおう!」
P「五月蠅いって。……あっ、まさかアレか?」
Pは砂埃を上げて近づいてくる一団に目を向けた。
春香「アレでしょうね」
P「どう見ても普通じゃ無いもんなー」
Pたちは二階建ての建物の上からそれを見ていた。
平面に潜伏してる美希たちにも合図を送り、目標が来た事を知らせる。
真「で、これからどうするんです?」
P「まずはな」
真「はい」
P「相手に金庫を奪わせる」
真「は?」
真が困惑している間に一団は銀行の前へとやって来た。
P「うわー。質より量で攻めてきたかー。予想より十人くらい多いか? 30人はいそうだ。
しかも、どいつもこいつも見たことない奴なんだが」
春香「お金になりそうじゃ無いですね」
P「まあ、現行犯ってことで捕まえれば報償は出るだろ」
真「ちょ、ちょっと待ってよ! 金庫を奪わせるってどういう事です!?」
P「五月蠅いって。……まあ、あっちはもっと五月蠅いから気がつかれないだろうけど、命に関わる問題だからもっと声のトーンを落としてくれ」
Pは銀行の前に集まった一団を見た。
チャラ男A「ココッスカ、センパイ!」
チャラ男B「ッンナコトオレニキクナヤ!」
チャラ男C「パネェ! ケイカクハアクシテナイセンパイパネェ!!」
チャラ男D「ダブンココッショ?」
チャラ男E「マチガイナクネ?」
強盗団はそう言いつつ銀行に雪崩れ込んだ。
P「大丈夫かよあいつら。ちゃんと金庫盗めるんだろうな」
真「いや、だから何で盗まれるのを見ておくんだよ!」
P「ここで30人を相手にドンパチを始めたらさすがにこっちが危ないから。
それに知ってるか? 盗まれた金は取り返したらその分の報償が出るって」
真「っ! 最悪だ! あんた!」
P「まあまあ、大人しく見ておきなって。
今始めて銀行員を人質に立てこもられでもしたら面倒だし、色々と理由はあるんだ」
春香「出てきましたよ、プロデューサーさん」
銀行から強盗団と金庫を引きずる馬が出てきた。
P「昔は固定式でもと大きな金庫だったらしいけどな。
銀行の金庫と言っても箪笥くらいしか無いな」
6人ほどでチャラ男は用意していた台車に金庫を乗せる。
チャラ男F「ッベー。マジヨユウダッタワ」
チャラ男G「ズラカッゾ!」
P「外に出たのは8人か……まあ、いいや。
やれっ! 響、美希!」
響「命令するな~!!」
美希「う、うざいの!」
響と美希はそれぞれ大きめの台車を押して片側の道を完全にふさいだ。
元々、木材を置いて少し道は狭くしてあった。
響と美希は台車の裏に隠れて銃を撃ち始める。
チャラ男H「ッベェ!!」
チャラ男I「マジベェワ!!」
早速二人仕留めるが、金庫を乗せた台車は馬に引かれて猛スピードで逃げ出した。
P「馬を狙えば早いんだろうけど……馬も頂きたいから人だけ狙ってくれ」
春香「……ビューティフォー。
プロデューサーさん。ライフルで敵を一方的に捕らえたときの気持ちよさは最高ですね!」
春香が引き金を引くと金庫と一緒に台車に乗っていた強盗の一人が地面を転がった。
春香はレバーを前後させ薬莢を吐き出させる。
レバーアクションのライフルが火を吹くたびに強盗が地面に転がった。
春香「……5人ですか。もう弾が届きません」
P「上出来だ。春香はここで引き続き取り残しを頼む」
銀行内で独特の銃声が響いた。悲鳴が上がり強盗が数人飛び出してくる。
それを美希と響、春香が一人ずつ仕留めた。
P「やってるな千早。
よし。響、美希! 中を手伝ってやってくれ!」
響「……765プロで使われてる人間の気持ちが分かったぞ」
美希「……うざいの」
二人はしぶしぶと言った様子で銀行に入っていった。
真「そ、それで僕たちは何をすれば」
P「うーん。春香の応援でもしておいて」
真「へ? だ、騙したなぁ!」
P「安全な場所で良い勉強が出来ただろ?」
雪歩「そうだよ真ちゃん……さすがに今回のは素人の出る幕じゃ無いよ……」
P「という訳で二人とも春香の応援よろしく。
俺はちょっと銀行を見てくる」
真「ぼ、僕も――!」
P「春香。二人の応援が不十分なようだったら、足でも撃って気合い入れてやれ」
春香「はーい」
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
銀行から金庫が盗まれた直後、店内では小銭までかき集めようと強盗団の連中が騒いでいた。
チャラ男J「ニカイニモマダナニカアルンジャネ?」
オタク「行ってみようずwwww」
チャラ男K「ッベー! ナンダヨコイツ! アイカワラズキメー!」
オタク「ぐふぅwwwwwww」
そんな中、隅で震えている少女が一人いた。
チャラ男L「マジカヨ! チョーカワイインダケド」
チャラ男M「コンナイナカニカワイイコナンテイルワケナイッショ」
チャラ男N「ッンスカ? ナンノハナシシテルンッスカ?」
チャラ男O「コエカケテミヨウゼ」
強盗の一味は少女に近づいていった。
チャラ男N「ダイジョウブッスカ?」
チャラ男M「アーマジカワイイワコノコー」
チャラ男N「ッテカナンデコノクソアツイナカ、コートナンッスカ?」
少女はコートにくるまって自分の体を抱くように佇んでいた。
チャラ男O「カンゼンニビビッテルワーオレタチニカンゼンニビビッテルワー」
チャラ男L「ナイッショ? オレタチチョウヤサシイジャン」
その時、外で銃声がして店内が凍り付いた。
店の前にいた台車が馬に轢かれて急発進し、中にいた強盗団に童謡が走る。
チャラ男P「ハ? オレタチオイテイクトカマジネーシ」
チャラ男Q「ッテイウカオレタチモニゲタホウガヨクネ?」
千早「……私がロングコート着てる理由が知りたい?」
チャラ男N「……ウッス」
チャラ男O「モウイイカラニゲッゾ!」
チャラ男Oはガンベルトから銃を引き抜きながら叫んだ。
千早「だって武器が隠しやすいでしょ?」
ロングコートの中から現われたショットガンが火を吹いた。
チャラ男Oの腕が同時に吐き出された十数発の鉛球でズタズタになる。
チャラ男Oが持っていた銃が床をカラカラと転がり、銀行内にいた人間がそれを呆然と眺めた。
チャラ男O「ッンスカコレ?」
チャラ男M「オマエヤバクネ? ビョウインニイッタホウガヨクネ?」
千早はフォアグリップを前後させ次弾を装填すると、近くにいた強盗団に向かって発砲した。
ここに至って室内はパニックとなる。
チャラ男P「ッベェ! アノオンナソウトウキレテッゾ!」
チャラ男Q「ウテヤ! オマエラトリアエズウテヤ!」
オタク「やばいでござるwwwここは一旦退散wwww」
ショットガンの凄まじい制圧力は店内にいる強盗団を地獄にたたき落とした。
外に逃げ出す者や退路を求めて二階へと上がる者、カウンター側に逃げ込む人間など様々である。
千早は鼻歌を歌いつつ柱に身を隠し、次弾を装填した。
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
銀行の一階が慌ただしくなったとき、当然2階でもその異変を感じ取っていた。
チャラ男R「ジュウセイガシテネ?」
チャラ男S「ヤバクネ?」
チャラ男T「カクレタホウガヨクネ?」
チャラ男R「……ハ? チキンカヨ」
チャラ男T「ハ?」
チャラ男R「ア?」
チャラ男S「ヤメロヨ! ッメーラ」
強盗団がお互いに睨みをきかせていると、数メートル離れた場所の扉が開いた。
ごく自然な様子で現われた銀髪の女性に3人は呆然とした。
そして、その女がガンベルトをしており、銃を差しているのを見て驚愕した。
チャラ男R「ッベー!」
チャラ男T「フイウチトカマジカヨ!」
チャラ男S「クウキヨメヤッ!」
三人が銃に手を伸ばしたとき、銃声が連続して三発響いた。
チャラ男R「ッテー」
チャラ男T「テンションサガルワー」
チャラ男S「クウキヨメヤッ!」
貴音「申し訳ありません」スチャ
チャラ男R「ハ? ナンデマタジュウムケテンダヨ」
貴音は更に一発ずつ強盗団の太股に弾丸をくれてやった。
チャラ男S「アアアアアッ!? クウキヨメヤッ!!」
貴音はもだえる3人を尻目に、シリンダーに新しい弾を込め始める。
貴音「逃がすと面倒になるので」
貴音は廊下の中間距離に位置し、下から逃れてくる強盗を狩った。
チャラ男J「ッベ! ウエモヤバイジャン!」
オタク「そのようでwwww
おやwwwというよりあの銀髪美女wwwwwww」
チャラ男K「ッベー! ヤッゾオマエラ!」
強盗団が銃に手を伸ばしたのと同時に貴音も引き金を引く。
二つの銃声が廊下に響き、それ以上は銃声がなることは無かった。
貴音「……どういうつもりですか?」
オタク「でゅふwwwwwww」
オタクの足元にチャラ男Kが転がる。
オタクに側頭部を打ち抜かれ即死していた。
貴音に手首を打たれたチャラ男Jは顔を真っ赤にして怒鳴る。
チャラ男J「ッメーバカカヨ!? ナニミカタウッテンダ!!」
オタク「すまぬwwwすまぬwww」
オタクはチャラ男Jに向かって引き金を引いた。
額の中心を打ち抜かれたチャラ男Jが床に転がる。
貴音「これは一体……」
オタク「まさかこのような場所で四条貴音に出会えるとはwwwww感激の極みwwww」
オタクはガンベルトに銃を収めた。
オタク「勝負でゴザルwwww拙者、バトルオタクゆえwwww」
貴音「構いませんが……ただで済むとは思わないで下さいね」
オタク「ワロスwwwwwwww」
貴音は銃をホルスターに収めた。
貴音「合図はどのように――」
そこまで行ったときオタクの手が銃に伸びた。
直後、銃声が一発響渡る。
オタク「でゅふwwwwww」
貴音「……あまりにも抜くのが遅かったので美希のマネをして見ましたが……やはり同じ場所に三発は無理ですね」
一発のように聞こえる程の早撃ちは、オタクの肩、肘、手首を撃ち抜いていた。
オタク「無理ゲーwwwww」ドサッ
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
銀行の一階では壮絶な銃撃戦が繰り広げられていた。
カウンターの奥へと逃げ込んだ強盗団が、机や銀行員を盾にして激しい抵抗を繰り広げているのだ。
それを千早、美希、響が相手取っていた。
響「うがー! 人を盾にするなぁー!!」
柱の陰から響が怒鳴る。
銀行内には銃声と怒号に混じって歌声も混じっていた。
美希「どうして歌うの?」
千早「迷惑だったかしら?」
美希「そう言うわけでは無いけど、不思議に思って」
千早「気分が良いときは歌いたくなるでしょ?」
美希「ミキは気分が悪いの……敵さんが隠れてばかりでイライラするから」
響「自分もこんな狭い場所だと動き回れないぞ」
美希「これ以上は粘らずに一旦引く?」
響「盾がある相手を仕留めるのは難しいぞ」
千早「もうちょっと待って。
もう少ししたらプロデューサーが来るから」
美希と響は顔を見合わせた。
響「来るわけないぞ」
美希「千早さんジョーク上手いの」
P「うーっす」
響「は?」
Pは銀行の入り口からなんの警戒もせずに侵入してきた。
P「やってるなクズ共。人質とはおまえらにしては頭を使ったじゃ無いか!」
チャラ男T「……ハ? ダレダヨアイツ」
チャラ男U「ッゼーマジウゼーワ」
P「やっぱ銀行の床は綺麗だな。歩くといい音が出るし。
よし、タップダンスでも踏むか!」
チャラ男V「シネヤッ!」
銃声が響き、Pを撃とうとして顔を上げた強盗団が床に転がった。
千早「頭上げる馬鹿を撃って」
美希「了解なの!」
P「こいつら結構良い銃持ってるな。売りさばくか」
Pは弾丸が飛び交う中、転がっている強盗団の銃を集め始めた。
響「しょ、正気じゃないぞ」
千早「膠着状態になった方が危険だから」
美希「やったの! 人質とってる奴らは全員やったよ!」
響「あとは机の影に隠れてる奴を集中砲火で――」
千早「良い物があるわ」
千早はそう言うとショットガンに弾を込め始めた。
そして、フォアグリップを前後させて装填すると、誰も隠れていない机に向かって銃口を向ける。歌っている分それは周りの注目を集める行動であった。
直後、ショットガンが火を吹く。
吐き出された弾は机をいとも簡単に貫通し、大穴を開けた。
千早「スラッグ弾よ。影に隠れてる奴らは両手を挙げて出てきなさい。
死にたくないんならね」
チャラ男W「……ンマジカヨ!」
チャラ男X「……シャレニナンネー」
チャラ男Y(チキンであるがリア充になるべく髪を染めてみた元文学少年)「……コワイヨママ」
続々と両手を挙げた強盗が物陰から姿を現した。
千早「ガンベルトを外して銃と一緒にこっちに投げなさい」
響「そう言うのは最初から使って欲しいぞ」
千早「人質がいなくなるのを待ってたのよ」
P「よう。お疲れ」
千早「ありがとうございました、プロデューサー」
P「俺は相手を煽ってただけだけどな。相手がプロじゃなくて良かったよ。
こんな下らない手が通用する相手なんて限られてるし」
美希「プロデューサーのことを勘違いしてたかもなの」
P「HAHAHA!」
真「どこだ悪党!」
P「HA?」
真は千早たちに銃を向けられている面々を見て肩を落とした。
真「くっそー! 終わっちゃったのか!」
P「お前、春香の見張りをどうやって振り切ったんだよ」
真「別に特別なことは何もしてませんよ。屋根から飛び降りてここまで走っただけですから!」
P「すごいね」
Pは窓から外にいる春香に向かって手を振った。
春香はばつの悪そうな笑みを浮かべると首を引っ込める。
P「こいつらはたいした金にならないだろうし……765プロはフェアリーに払う分と弾代を考えればマイナスか?」
千早「それにプロデューサーが期待していた人は出てきませんでしたね」
P「黒井社長か……律子のやつ……帰ったらくすぐりの刑だな」
千早「理不尽な」
P「フェアリーはここに残ってこいつ等を警察に引き渡してくれ!
俺たちは金庫を追うからさ」
千早「金庫の強奪は阻止出来なかったんですか」
春香「私も頑張ったんだけどねー」
千早「あ、春香。お疲れ」
春香「お疲れたよ」
雪歩「ひぃ!? 男の人がいっぱい倒れて……」
P「……信じられるか? 生きてるんだぜ。これ」
強盗達は凄まじい怪我をしておりすぐに止血を施さなければ死にかねない様子であったが、辛うじて生きていた。
P「日本は犯人を生かして捕まえた方が報償が高いからな。
アメリカは死体でも構わないらしいけど」
千早「そっちの方が楽ですよね」
P「ということは……銃を持った現行犯の雑魚がだいたい25人で犯罪者規定に照らし合わせると……50万程度の報償か……盛大にドンパチ繰り広げてこれだよ」
貴音「上では二人死にましたのでもう少し報償は減ると思いますよ」
貴音は階段を下りて来ながら言った。
P「お前がやったのか?」
貴音「いえ、ちょっとした同士討ちのようなことがありまして」
P「そうか……まあ、クズ共だし別に問題は無いな。
出来るだけ手足を撃って生かそうと努力してるみんなの前で言いたくはないが、こんなしょっぱい町だ……病院に連れて行っても助かるかどうかあやしいやつもいるし。
正直俺としてはお金に替わるときまで生きてくれてれば良い」
雪歩「はう……ち、血が……もう駄目ですぅ~」
雪歩は惨状に耐えきれずに意識を失った。
真「雪歩っ!」
床に倒れる前にそれを真が受け止める。
P「……外に出るか。春香と千早はこれから俺と金庫を奪い返しに行くぞ」
春香「イエスサー」
美希「あとで追いかけるの」
P「追いついたときには仕事は終わってるだろうけど、それでも良いんならどうぞ」
Pたちが外へと足を向けた瞬間であった。
みなの気がカウンター方面からそれた瞬間、机の影から男が一人飛び出した。
チャラ男Z「ココデオレトウジョウィッシュ!」
完璧に不意を突かれた面々はチャラ男Zに引き金を引くことを許してしまった。
一瞬遅れてもう一つの銃声がなり響く。
チャラ男Zの弾丸に倒れた人間と貴音の弾丸に倒れた人間が同時に苦悶の声を上げる。
チャラ男Z「ウィッシュ!!」
P「止めて下さい。死んでしまいます」
春香「プロデューサーさん!」
春香はPに駆け寄った。
直後、保安官が警察を従えて乗り込んでくる。
P「保安官! 俺たちの手柄だから! 銀行員達も俺たちの顔をちゃんと覚えてて!」
銀行員は頷き、保安官は親指を立てて白い歯を見せた。
P「よし!」
春香「よし、じゃありませんよ!」
千早「春香、おおおおお落ち着いて」
P「千早もな。大丈夫だ肩に当たっただけだから」
Pは左肩をポンポンと叩いて見せた。
響「もう少し中心側を撃たれたら重要な脈だぞ……」
春香「何やってくれてるんですかねぇ。足を引っ張るようなのがここに来るからですよ?」
春香は真に銃口を向けながら言った。
真「ご、ごめん」
千早「なんで庇うんですか。彼女の身長だと当たってなかったのに」
Pは咄嗟に真と雪歩の前に立ったことを責められ始めた。
P「それって結果論じゃ無いか。
俺も銃口の向きを見て多分この子達には当たらないなーとは思ったりはしたけどな。
でもさ……」
貴音「万が一を考えての行動ですか」
P「いや……そうした方が格好いいかなって思って」
響「ば、馬鹿がいるぞ」
美希はその答えがツボに嵌まったのか腹を抱えて笑い始めた。
P「可愛い子を弾丸から庇うのって……最高に格好いいだろ?
一気に二人に恩を売れるし」
春香「いや、それ本人の前で言ったら絶対に駄目な台詞ですから!」
真「か、可愛い女の子……」
P「もたもたしてる内に引き渡しも終わったし……フェアリーと一緒に金庫を追えるな」
千早「プロデューサーは休んでいて下さい」
Pたちが銀行を出ると逃げたはずの台車が戻って来るのが見えた。
台車に乗っているのは金庫と簀巻きにされた強盗が三人。
それを引く馬を走らせているのは胸の大きな女性だった。
P「あずささん!」
あずさ「あらあら~。ようやくプロデューサーさんに会えましたね」
P「何ヶ月ぶりですか……3ヶ月?」
あずさ「今回は随分と長い間離れてしまいましたね~」
P「それにしても驚いたな。ちょうどその3人と金庫を追おうとしてた所なんです」
あずさ「いかにも悪人面で金庫を運んでいたので確保しました」
P「そ、そんな理由で?」
あずさ「うふっ、冗談です。必死の形相で血のついた荷台で金庫を運んでいたら何かあるって思うでしょう?」
P「まあ、確かに」
貴音「この方は?」
P「765プロに所属してる賞金稼ぎの一人……なんだけど、極度の方向音痴がたたって仕事をするたびに行方不明になるんだ」
あずさ「おかげで一匹狼のあずさなどと不名誉な渾名がついてしまいました~」
響「聞いたことがあるぞ。この世で最も卑怯なショットを使うんだっけ?」
P「何となく分かります。そう噂される理由が」
あずさ「そうなんですか?」ポヨン
P「はい」ジー
美希「何となく分かったの」
P「金庫も取り返してくれたしあずささんも戻ってきたし、今日は良い日だ」
あずさ「あの……肩に弾丸を貰ってるようですけど?」
P「かすり傷ですよ」
あずさ「そうは見えませんけどぉ」
雪歩「あ、あのぉ!」
P「あ、目を覚ましたんだ」
雪歩「今回は助けていただいてありがとうございました!
お、お礼と言ってはなんですけど荻原流たるき亭でいくらでも食べていって下さい。
傷の手当てもそこでどうぞ。道具は揃っていますから!」
真「今回は迷惑を掛けてしまったことを素直に認めます……皆さんもどうぞ店に来て下さい。
僕が数ヶ月ただ働きする気でおごるんで!」
貴音「その言葉……うそ偽りはないでしょうね?」
美希「ラーメン魔人が本性を現したの」
響「覚悟しておいた方が良いぞ」
P「そういえば貴音はラーメンが好きなのか?」
貴音「わたくしたちのことは調べたのでは?」
P「いや、貴音の情報はなかなか手に入らなくてな。
早撃ちの名手としての名が高すぎて他の情報が集まらなかったんだ」
貴音「そうなのですか。
……らぁめんは大好物ですよ」
P「……俺もだ!」
春香「プロデューサーさんがラーメン好きだとか聞いたこともありませんけど!?」
千早「むしろうどんの方をよく食べている気が……」
あずさ「適当な事をいってますね~」
P「HAHAHA!」
プロデューサーが高笑いを上げているとき、独特の高音が耳に届き始めた。
P「HA?」
春香「なんですかこの音」
千早「この町の中じゃ無い……もっと遠くの……私たちの街から聞こえる音じゃ無いかしら」
千早は目を閉じて集中していた。
P「……これは水瀬財閥の緊急警報だろうな。
一年に一回作動調査で少しだけ鳴らすだろ」
千早「確かにそのようですね」
貴音「そんなものがなぜ鳴っているのですか」
響「作動調査か?」
P「……やられたな。
戻るぞ! 黒井社長に完全にしてやられた!」
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
そのころ水瀬財閥本社。
伊織「これ以上あいつらを上に上がらせないで!」
ビル内では激しい銃撃戦が繰り広げられていた。
それは水瀬財閥の総力とたった4人との闘いであった。
SP「お嬢様! 奥に!」
伊織「何なのよあの火力」
翔太「すごいねこの火力! さすがアンティーク!」
黒井「AK-47だ。拳銃など相手にもならんよ」
北斗「なんで翔太だけ? 俺たちのは?」
冬馬「別に要らないだろ。あんな物」
黒井「その通り。真のデュエリストにはあんな玩具必要ない」
北斗「俺はデュエリストのつもりは無いんだけど……」
伊織「こら黒井ー!! 何てことしてくれてんのよ! 絶対にぶっ飛ばーすっ!!
黒井「登場の仕方が不躾だったか?
これは失礼。今日は折り入って頼みがあってここに来たのだ。
ここにあるホワイトクロス・ピースメーカーとゴールデンクロス・ピースメーカー……それを譲り受けに来た。渡してもらえるかね?」
伊織「……そんなもの無いわよ。帰りなさい!!」
黒井「調べはついているんだ。大人しく差しだした方が身のためだぞ」
伊織「身のため?
……それは……こっちの台詞よ!!」
水瀬財閥側からの攻撃が一掃激しさを増した。
黒井たちの対面側に台車に乗った巨大な銃が現われる。
真美「準備完了!」
亜美「いつでも行けますぞ! 真美隊員!」
真美「病院を守れー!」
真美の声に呼応する声が響く。
このビルには病院も入っているのでその職員の一部が闘いに参加していたりした。
冬馬「なんだあの馬鹿デカイ銃!」
黒井「アレはガトリングだ」
直後、亜美がハンドルを回し始め、激しい音がビルに響いた。
黒井たちも物陰に飛び込み身を隠すほかは無くなる。
亜美「見よ! このビルをも吹き飛ばさんばかりの威力を!」
真美「こ、鼓膜が……」
伊織「ちょっとぉ!? 本当にビルが吹き飛ぶんじゃないでしょうね!?」
凄まじい威力の弾はコンクリートもガリガリと削っていた。
黒井「これが木造立てだったら殺されていたな」
冬馬「どうする気だよ!」
黒井「まあ、見ておけ。ガトリングは威力は高いが弾を装填し直す時に大きな隙が生まれる」
冬馬「そんなのあっちも分かってるだろ」
黒井「あぁ、分かっているからこそ。一気に仕留めるチャンスだ」
ガトリングが完全に停止した。
その瞬間に黒井は通路に飛び出した。
伊織「っ! 伏せなさい!」
伊織は咄嗟に亜美と真美の頭を押さえる。
直後、一際大きな銃声が鳴り響いた。
間をつなごうとして銃を構えていた水瀬財閥側の人間が6人、その場に崩れ落ちる。
伊織「な、なにが!」
翔太「よっと」
伊織「なっ!?」
一瞬で距離を詰められ、銃口を向けられた伊織は驚きの声を上げた。
翔太「驚いてる驚いてる。まあ、僕も初めて見たときは驚いたよ。
黒ちゃんの六連続ショットには」
伊織「六連続!?」
黒井「信じられ無いか? まあ、信じようが信じまいがどうでもいいが。
こんな物はお遊びだからな」
伊織「お遊び……」
黒井「ショットの絶対にして至高の技は……早撃ちだ。それ以外はショーの技に過ぎん。
……で、案内してもらえるかな? ピースメーカーの場所に」
伊織「……だからピースメーカーなんて銃……知らないわよ」
黒井「そうか。
……コレと同じ銃把に十字架が描かれている銃だ。思い出しただろう?」
黒井は銃口を伊織の下にいた真美に向けた。
黒井「で? ピースメーカーはどこだ」
伊織「くっ!」
真美「い、いおりん! 何のことだか良く分からないけど、真美のせいで不利になるような判断は止めて!」
黒井「可哀想に。何も知らずに闘っていたのか?」
黒井が撃鉄を起こす。
冬馬「おい! 少しやりすぎじゃ無いか? もう銃は構えてないし……子供だ!」
黒井「お前は黙ってろ。ピースメーカーの価値は……小娘一人の命より重い」
引き金にかかる黒井の指にじわりと力が加わった。
銃口を向けられている真美の顔から血の気が失せる。
亜美「やめてぇ!」
伊織「っ! 分かったわ!!」
黒井「何がだ?」
伊織「ピースメーカーを……渡す」
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
P「これは街から戦力を削ぐための黒井社長の策略だったんだ!」
Pは馬を走らせながら叫んだ。
春香「なんで765プロが狙い撃ちされたんでしょうか!」
P「黒井の目的は高木社長だ」
貴音「? それでは水瀬財閥の警報が鳴っているのはどういう事なのでしょうか」
P「水瀬財閥には……ピースメーカーがある」
貴音「なんと」
春香「初耳ですよ! 初耳!」
千早「どうしてそんなことを私たちにまで黙っていたんですか」
P「すまん……実は隠し事がたくさんなんだ……」
春香「そんな……」
P「全部俺の責任だ。……すまん」
あずさ「でも社長が狙われているとしても、どうしてピースメーカーが関係してくるのでしょうか~」ボヨンボヨン
P「すごいな。馬ってすごい」ジー
あずさ「プロデューサーさん?」
P「は!? あ、いや……。
……水瀬財閥に保管されているピースメーカーなんだが……アレは元々社長の物だったんだ」
春香「えぇ~!?」
P「黒井社長は社長をライバル視していてな。決闘での勝負をつけたがっている……んだと思う。
社長と黒井社長の対決は勝負がつかずに社長が引退したことで、停滞したままだから。
社長のホワイトクロス・ピースメーカー。それを取り返して完璧な状態で決闘をしたいんだろう」
貴音「人に勝負を強制するとは、なんと傲慢な」
P「黒井社長は勝負に取り憑かれた魔物だと聞く。
こう言った馬鹿には理屈は通用しない……俺も良く知ってる」
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
黒井「……確かにホワイトクロス・ピースメーカーだ」
黒井は銃把に白い十字架が刻まれ、細工の美しい銃を手に満足そうに頷いた。
ガンベルトもおそろいの模様でセットである。
黒井「これだけか?」
伊織「他に何があるっていうのよ」
黒井「ゴールデンクロス・ピースメーカーだ」
伊織「無いわよそんなもの。金庫の中はみたでしょ?
疑うんならいくらでも調べて良いわよ」
黒井「いや、そんな時間は無い。
それにゴールデンクロスがここにないのは本当なんだろうな」
伊織はほっと溜息をついた。
伊織「だったらさっさとビルから出て行ってくれる?」
黒井「ここにないのは本当だろうが、だがゴールデンクロスの動向がこの辺りで途絶えたのはこちら側も掴んでいる情報だ。
水瀬財閥がそのことについて何も知らないとはとても思えんなぁ!」
伊織「知らないの。……本当に知らないの」
黒井「いや……知っているはずだ」
黒井は人質として連れてきていた真美と亜美にまたもや銃口を向けた。
伊織「そ、そんな脅しがいつまでも通用すると思ったら大間違いよ!」
黒井「私が人質を二人連れてきた理由……それを知りたいのかね?」
伊織の額に汗が浮かぶ。
黒井「さぁ……早く――」
社長「手を上げたまえ」
黒井は背後からかかった声に硬直した。
素早く振り返った冬馬たちが銃を構える。
ドアの辺りに高木社長、律子、小鳥の三人が立っておりそれぞれが銃を構えていた。
社長「早く手を――」
黒井「つまらん」
社長「……」
黒井「いつからこんなにもつまらない男になった?」
黒井は振り返りながらホワイトクロス・ピースメーカーをガンベルトごと高木社長の足元に投げてた。
小鳥「……この銃は……」
律子「もう一つの銃も床に置きなさい!」
黒井「勘違いをするな小娘。
高木、取れ!」
社長「言う通りにすると……そう思うのかね?」
黒井「思うさ。どうやらお前の隣にいる二人は素人のお荷物……我々と打ち合えば死人が多く出るのはそっちだ。
だから私とお前の一騎打ちで勝負を決めようじゃ無いか。
約束する。お前が決闘を受けるなら他の者には手出しをせずにここを去ると!」
高木社長は随分と長い間無言を貫き通した。
そして、観念したように息を吐き出し銃口を下げる。
社長「約束だぞ。私が決闘を受ければ他の者には手を出さない」
黒井「あぁ、約束だ」
社長は足元のガンベルトに手を伸ばし、腰に巻き始めた。
律子「だ、大丈夫なんですか!?
社長はもう数年前に引退したはずじゃ――」
社長「なに、感覚は忘れてないさ」
小鳥「でも社長……」
社長「いいから……黙っておいてくれたまえ」
社長はまえに進み出た。
黒井「……やっと決着が着くのか……長かったぞ。
貴様が引退と同時にホワイトクロスをどこぞへと隠し、私との勝負から逃げ出したときは腰が抜けたぞ」
社長「先に断言しておく……私は負ける」
黒井「……手を抜いたら容赦しないぞ。お前のショットは天才だ。私が長年積み重ねてきた物が撃ち砕かれてもおかしくないほどの天才的なドロースピードだ。
お前が才能で勝ち上がってきたのなら私は努力でここまで登ってきた。
……見てみろ」
黒井は腰にあるブラッククロス・ピースメーカーを指で撫でた。
銃把だけしか見えていないが、その存在感は異常でった。
黒井が構えをとったことにより空気が重たくなったと感じるほどである。
黒井「……感じるだろ。この銃の重みを。何百、何千と人を撃ってきたこの銃の歴史の重みを。
私も撃ってきた。より早く、より早くと!
そしたらいつの日かこの銃に悪魔が取り憑いた。
いや、最初から取り憑いていたのかもしれんが……私が銃を抜くときにその悪魔の手が……私の手を触るんだ。
そしたらどうだ。私は誰よりも早く撃っている」
社長「……馬鹿な」
冬馬「合図はおれがする。天上に向かって一発撃つからその銃声が合図だ」
黒井「よし」
社長「……よし」
冬馬が拳銃の撃鉄を起こし天上へと向けた。
静寂が訪れる。
社長と黒井は腰にささった銃に手を添え、臨戦態勢をとっている。
伊織「……こんなの……こんなの間違ってるわ!」
冬馬が持つ銃の引き金が引かれた。
黒井「見ろ高木――コレが悪魔のショットだ」
黒井の肘から先が完全に消失した。
そして、再び現われたときは一瞬であり、銃が向けられていた。
その銃が火を吹く。
伊織「……あぁ……」
真美「社長が!」
亜美「撃たれちゃったYO……」
社長は右の鎖骨と肩の骨のつなぎ目を撃たれ、その場に崩れ落ちた。
社長はガンベルトから銃を抜くことすら出来ていなかった。
黒井「……なんだその……ふぬけたドローは!」
高木「コレが今の私の全力だ」
黒井は大きく息を吸い込み、怒鳴ろうとし……それを止めた。
大きく溜息を吐き、天上を見上げて再度溜息を吐く。
黒井「そうか。それが今のお前か。
……分かった」
黒井はそういって真美に銃口を向けた。
黒井「水瀬財閥のお嬢さん。取引の再開だ」
社長「なっ!? 約束が違うのではないのかね!?」
黒井「ふぬけと守るべきような約束はない!」
社長「勝負に不満があるのかもしれんが、私は全力を出した!
約束くらい守ってくれても良いのではないのかね!」
黒井「……何が全力だ。
手加減までさせておいて……それが私は許せない。
私はお前の心臓を撃ち抜くつもりだった……だがいざ勝負をして見たらどうだ?
私が抜いたときお前はまだ銃に手を触れたばかりだったでは無いか……手を抜くにしても酷すぎる……あのドロースピードは子供にも劣るスピードだ」
社長「……全力だったんだ。信じてくれ」
黒井「信じられんなぁ。もうお前と話すことは何もない!
……さあ、水瀬財閥のお嬢さん……ゴールデンクロス・ピースメーカーはどこに?
今の私は気が短いぞ!」
冬馬「落ち着けよ。約束は約束だろ。ここは引くべきじゃないのか」
黒井「お前もデュエリストならいつか分かる時が来る……頂に至ったときの孤独が」
冬馬「なにを――」
黒井「競うべき相手が欲しいんだ。
もう私には……ゴールデンクロスしか残っていない!」
伊織「ゴールデンクロスはただの銃よ! それに……シルバークロスもあるわ!」
黒井「四条貴音か? ……アレは駄目だ……ショットから魂を感じられない。
早いが……早いだけだ」
伊織「ゴールデンクロスを手に入れたからって求めるような相手が現われるわけじゃ無い……そんなことも分からないの!?」
黒井「……目星はついている。ジャックだ。
ゴールデンクロス・ピースメーカーの最後の持ち主とされるデュエリスト。こいつを探し出す。短期間に100以上の勝負を繰り広げ、全てに勝利し無慈悲なジャックとして恐れられたこいつなら……私の相手に相応しいはずだ。
さあ言え!」
鬼気迫る迫力に真美は腰を抜かし、その場にへたり込んだ。
黒井「……一発撃ってみるか」
伊織「ま、待って! ゴールデンクロスの場所は本当に知らないの!」
黒井「そう言う言葉遊びみたいなのはもう要らないのだよ。
ゴールデンクロスの隠し場所は知らない。だが、大体の予想はついている……なんて言ってみろ……その時は……」
伊織の表情に動揺が走ったのを黒井は見逃さなかった。
社長「待て!」
黒井「……お前と話すことはもう何もないと言ったはずだ。次はないぞ」
社長「ジャックもゴールデンクロスも……その情報は私が知っている」
伊織「社長!」
社長「もう良いんだ。ここまでの協力……感謝する。
これはこういう世界で生きる人間の運命だ。彼もここで死人が出るよりこの選択を望むだろう。黒井は本気だ。いずれ辿り着く結果でもある」
伊織「でも……でも」
黒井「聞かせてみろ」
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
P「どうなってるんだこれは!」
二日後、血相を変えた集団が765プロの事務所に飛び込んで来た。
伊織「見ての通りよ」
P「伊織、ここにいたか。一体何が起こったんだ?
街の中は慌ただしいし水瀬財閥は警察に包囲されている……途中で社長が撃たれたって噂も聞いたんだが本当か!?」
真美「ごめんね兄ちゃん……真美達が掴まったせいなんだ……」
Pたちを出迎えたのは、律子、小鳥に加え、いつもは水瀬財閥のビルにいる真美、亜美、伊織の三人であった。
P「……いや。俺の所為だよ。社長の容態は?」
亜美「怪我は大したことないんだけど歳だから……ちょっと回復は遅いかも。
命に別状は無いYO。今は仮説病院に入院してる」
伊織「黒井がビルで立てこもっているから……水瀬財閥の技術資料を盾に」
P「それってまずくないか?」
伊織「海水を真水に帰る技術は先達からの応用も多いしまた一から作るとなると……もしも資料が破棄されるようなことがあれば日本は今の人口を維持出来ないかもね。
といっても、機械の方が破壊される訳じゃないからそれほど被害は出ないと思うけど。
技術は現場でも生きてるわけだし」
P「そうでも被害は未知数だし損失は尋常じゃ無いだろ」
伊織「……どうとでもなるわよ」
P「……まぁ、いいや。
とりあえず社長がいる仮説病院とやらに案内してくれないか?」
真美「うん、こっちだYO」
そして、真美の後ろに続いて歩いていていたPであったが、そのPは前触れもなく倒れた。
真美「っ!? 兄ちゃん!?」
春香「プロデューサーさん!」
すぐさま周りの者が駆け寄りその異常に気付く。
貴音「これは! 凄い熱です!」
響「何でこんな熱が……あっ!」
美希「銃で撃たれたからに決まってるの」
千早「あまりに普通にしていたので気がつけませんでした」
貴音「早く病院に運びましょう」
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
仮設病院
春香「それで、プロデューサーさんの容態は?」
亜美「面会謝絶!」
春香「そ、そんなに悪いんですか?」
真美「いや→感染症だって。
弾は変な場所に入ってたのを切開して取り出しただけだから。
命には全く別状は無いYO」
春香「よ、よかった~」
伊織「そういうこと! ハイ解散! かいさーん!」
真美「あとは病院にお任せ下さい!」
亜美「三名様お帰りになられま→す!」
春香「えぇ!?」
千早「ちょ、そんなに押さなくても」
あずさ「あらあら~」
いきなり閉め出されることになり困惑する三人であったが、あっという間に病院から押し出されてしまった。
春香「な、なんなのこの扱い」
千早「……変ね」
あずさ「プロデューサーの言っていたピースメーカーの件と良い……まだまだ裏がありそうね~」
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
小鳥「失礼しまーす」
律子「同じく」
その日の深夜、プロデューサーが眠る病室に忍び込む影が二つあった。
小鳥「プロデューサーさん? 起きてますかー」
律子「……起きてませんね」
小鳥「……と言うことはこの話は話せなかったとしても仕方が無かったと言うことで」
律子「じゃあ帰りましょう」
P「……起きてますけど」
律子「うぇ!? プロデューサー!」
P「その反応はおかしいだろ」
律子「す、すいません。……起こしてしまって。それでは」
P「待てよ。何か言うことがあるだろ。」
律子「無いですけど」
P「伊織たちもおかしかった。
それに黒井社長が下手に立てこもっている理由も……何となく分かってる。
あんな場所に立てこもっても時間の問題だ。なにか短期的な要求があることくらい分かるさ」
小鳥「……黒井社長の直々の指名が来ています。プロデューサーさんに。
ゴールデンクロス・ピースメーカーを持って来い……だそうです」
律子「ちょっと小鳥さん!」
小鳥「こうなってはもう仕方が無いでしょ。これからの判断は全てプロデューサーさんに任せましょう」
律子はしばらく葛藤して顔を上げた。。
律子「……先程もプロデューサー殿が言った通り、立てこもっている黒井社長にも限界は来ます。黒井社長の要求を無視する……と言う選択肢もあるんですよ」
P「その場合は色々と被害が出そうだけどな」
律子「誰も責めませんよ。あんな狂人、放って置けば良いんです」
小鳥「プロデューサーさん、好きな様にして下さい。この話を知っているのは私たちを含めて伊織たち3人。
この5人はプロデューサーさんが黒井社長の下へ行かなかったとしても責める気は全くありませんから」
P「アーザスッ!
……とりあえず今は保留と言うことで良いですか? 明日の午後以降には答えを出しますから。
いまは……体が重くて重くて……とても何かが出来る感じじゃないんです」
律子「そうですよね。ごめんなさい、こんな夜に押しかけて」
P「吃驚しましたよ。夜這いに来たのかと思った」
律子「……傷が悪化して死ね」
P「……めんご」
小鳥「それだけ元気なら大丈夫そうですね。じゃあ、失礼します」
律子「安静にしておくんですよ。押しかけてきた人間が言う台詞じゃ無いですけど」
P「そうだな。帰れ帰れ」
Pは小鳥たちの背中を見送って溜息を吐く。
そして、閉じられたドアを数分間じっと見つめ続けていた。
P「……夜の病院だってだけでちびりそうだな。そう思わないか?」
閉じられていたドアが再び開く。
やよい「……そうですねぇ」
P「やよいか……意外だな。誰かが来そうな予感はしていたんだが」
やよい「あの、プロデューサー。手を上げてもらえますかぁ?」
やよいの手に握られている銃がプロデューサーに向いた。
P「右手だけで良いか? 左は怪我をしてて上がらないんだ」
やよい「はい。問題ありません」
P「……やよいは冗談が上手いなぁ」
やよい「えへへー。冗談じゃ無いですよぉ?
私、黒井社長にプロデューサーを連れてくるように頼まれちゃいましたので」
P「俺は行くよ。黒井社長の元に」
やよい「へ?」
P「今からいくから、やよいも帰って自分の仕事をしろよ」
やよい「…………うぅー、プロデューサー……ご、ごめんなさい」
やよいは声を押し殺すように泣き始めた。
やよい「く、黒井社長に家族を傷付けられたくなかったらプロデューサーを連れてこいって……ほ、保安官の仕事も選挙制だから……人をいっぱい使ってこの仕事も出来無くさせてやるって言われて……それで――」
P「やよいは冗談が上手いな。
だけど、冗談で銃を向けるくらいはこの業界ではまだまだ軽いジョークだからな。
今度はもうちょっと捻ったシチュエーションを用意しろよ?」
やよい「プロデューサー!」ポロポロ
P「じゃあ行くか。二人でビルに乗り込む丁度良い口実じゃ無いか。
そのまえに……先に事務所に寄って良いか?」
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
やよい「だ、大丈夫ですか~?」
P「体が重いよ。長風呂したときの感覚に似てる」
Pは鍵を使って事務所の扉を開いた。
やよい「ここにピースメーカーが?」
P「そうだよ」
Pを椅子を振り上げながらやよいの方を向いた。
やよい「わわっ! ぷ、プロデューサーやっぱ怒ってます!?」
P「ちょっと、そこ退いてくれ」
やよいは言われたように横に避けた。
Pは椅子を壁に叩きつけ始める。
そして、穴を開けるとそこに手を入れた。
P「この事務所を建てたときに埋め込んだんだよ」
Pが穴の中から手を抜くと、ガンベルトにささった金色の十字架が描かれている銃……ゴールデンクロス・ピースメーカーが現われた。
やよい「これがピースメーカーですかぁ?」
P「高そうな銃だろ?」
貴音「そうですね」
Pとやよいは驚いて入り口に目を向けた。
そこにはフェアリーの面々が立っていた。
P「驚かすなよ」
貴音「ゴールデンクロス・ピースメーカー……無慈悲なジャックと言われる決闘者と共に消えたと聞いていましたが……あなたがジャック……と言うことですか?」
P「どう見てもジャックじゃ無いだろ。どう見ても赤羽根とかメガネマンとかそんな感じの顔だろ」
響「確かにジャックはないぞ」
美希「ジャックはただの渾名なの。名前を名乗らずに暴れてたからごろつきって言う意味のジャックって呼ばれるようになったんだよ」
響「く、くわしいね」
美希「この業界にいたらこれくらい当然だと思うなー」
貴音「近年で最も速いと噂される決闘者の一人ですし、その名を知る者は多いでしょうね。
短期間で姿を消したので実在しないとの説もありましたが」
響「……あぁーそういえばそんな人もいたね」
やよい「嘘を吐いてる顔ですーっ!」
P「やよいは本当に保安官の才能があるなぁ。可愛いし」
響「う、嘘吐いてごめんなさい」
美希「ねぇねぇ! どうしてそんなに凄腕なのにプロデューサーなんてしてるの?」
P「引き金恐怖症になってね」
響「またそんな適当な事を……」
貴音「噂では100の勝負に勝ったとか……それも名のある人間ばかりに」
響「……それはすごいぞ」
P「凄くないからな」
美希「謙遜しなくても良いのに」
P「…………確かに俺は昔、名のある人間ばかりに決闘を挑んで粋がってた時期があったよ。無慈悲なジャックとか呼ばれて調子に乗ってた。
で、だ。その時期の犯罪件数の推移を知ってるか?」
美希は首を傾けた。
P「とんでもない右肩上がりだったんだよ。
有力な賞金稼ぎばかりと勝負をして狩っていたんだから当然だな。
たった100の勝負でそこまでなるって信じるか?
噂やジンクス……それがもたらす力は想像以上なんだよ。
俺が勝負に勝つたびに賞金稼ぎが狩るはずだった犯罪者が逃げおおせ、犯罪者が好き勝手出来る環境が更なる犯罪を呼んだ。
……俺は最低のクズだった」
美希「まあまあ! 気にしない気にしない!」
P「軽いな! 765プロの人間にでも社長と小鳥さん以外は知らなかった話なのに!
まあ、律子や伊織たちにはばれてたみたいだけど……」
美希「昔の失敗はこれからの成功で取り返せば良いの!
早速そのチャンスが来てるよ、ハニー!」
P「は、ハニー?」
美希「ミキたちも手伝ってあげる」
響「そのために見張ってたんだしね」
貴音「黒井殿の悪行を見て見ぬふりは出来ません」
P「俺が一人で行った方が良くないか?
下手に刺激するかも知れないし」
美希「もー! そんなやる気を削ぐようなこと言っちゃヤ!」
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
やよい「うっうー! 今から保安官の私と協力者とでビルに入りますっ!」
包囲をしていた警官隊に不安の色が浮かんだ。
P「いえーい! 見てるー?」
Pはビルの最上階から見下ろしている影に向かって手を振った。
下からでは確認出来ないが、おそらく黒井社長だろう。
Pはゴールデンクロスを掲げてみせる。
P「貴音もシルバークロスを見せてやれ。そうすれば一緒に入っても文句は無いだろ」
貴音「見てますか?」
貴音は目を細めてビルを見た。
P「俺にも見えない。だが……頷いた、ような気がする」
やよい「いきますよー!」
やよい、P、フェアリーはビルの正面から堂々とビルに侵入した。
P「……エレベーターは……使えないな。照明はついてるのに」
貴音「えれべぇたぁ?」
P「楽して上に登るための機械だ。使えないってことは階段だな……高層ビルを階段とか……勘弁してくれよ。こっちは怪我人なんだぞ」
貴音「肩を貸しましょうか?」
P「それは格好悪いだろ」
響「また格好を気にして……ほら!」
響はPの手を取ると自分の首へと回した。
響「怪我人なんだからこれくらい頼ればいいさー」
P「……すまん。身長差がありすぎてあまり意味ない。
なんか俺が響に肩を回してパイタッチしてるだけだ、これ」
響「うぎゃあああ! 変態プロデューサー! ひ、人の好意を無碍にしてぇ!!」
響はPを突き飛ばした。
左肩から壁にぶつかりPはプルプルと震え出す。
P「い、痛い。これは痛い」
響「あ、ごめん」
貴音「なにをしているのですか、響」
美希「ぐちゃ☆って音がしたの」
やよい「傷口が開いたんじゃないですかぁ?」
P「まあ、大丈夫だけど。
昔、太股を撃たれたときの方が痛かったし。足は本当に勘弁して欲しいんだよな。
気合いでどうこうできるレベルじゃ無くなるから」
美希「そうなの?」
P「うん。腕とかなら歯を食いしばって走れるけど、足を撃たれてたら痛みは耐えられても物理的に走れないからかなり厳しい状況に感じる。精神的な攻めと痛みが二重に襲ってくるんだ」
美希「ふーん、そうなんだ。ミキ銃弾に掠ったことすら無いから分かんないや」
P「そういうことはフラグになるから言わない方が良いぞ」
美希「フラグ?」
P「気にするな。俺がこう言ったことによりすでにフラグは消失したはずだから」
やよい「やっと9階ですかぁ……」
響「最上階までまだまだあるぞ」
P「はい、休憩! もう疲れた!」
やよい「大丈夫ですかー?」
冬馬「肩でも貸してやろうか?」
P「……今日は不意に声を掛けられるのが多い日だな」
Pは階段の上に目を向けた。
そこには銃を構えた三人の少年がいた。
冬馬「ピースメーカーを持って無い人間にはここまでだ、帰って貰うぞ」
美希「そういっておめおめと帰るミキじゃないの」
響「ぶっ飛ばしてやるさー!」
翔太「ハハ、威勢が良いねー」
北斗「とんでもないエンジェル達だよ」
やよい「もぉ血ぃ見んことには収まりつかんですよ!」
P「やる気満々だなおまえら。
あまり無理するなよ。じゃあな、俺は行くから」
響「おい!」
P「え? だって俺ピースメーカー持ってるんだぞ。
無血開城だろ? だよな?」
冬馬「…………通れ!」
Pは冬馬に銃を突きつけられながら三人の間を通り抜けた。
P「……AKか……良い銃を持ってるじゃ無いか」
Pはすれ違いざまに翔太の持つ銃に目を向けた。
翔太「あげないよ?」
P「欲しいなぁ。アンティークの凄い銃だし」
北斗「行った行った」
P「おまえらは無理するなよ。拳銃でAK相手なんて馬鹿馬鹿しいから。じゃあな」
やよい「ほ、本当に行っちゃいました」
美希「ハニー型破りすぎるよ」
貴音もそれに続いていたが、冬馬に銃口を突きつけられる。
冬馬「お前は何上がろうとしてるんだよ」
貴音「はて……ピースメーカーを持っていればここを通れるという話しでは無かったのですか?」
冬馬「おっさんはお前をピースメーカーの保持者として認めていない。
それを置いてここから消えろ」
貴音「…………なるほど」
貴音は後ろへと跳躍した。
階段を自然落下しながらシルバークロスを抜く。銃声が3発鳴り響いた。
少年達はそれぞれそれを回避していた。
それに追い打ちを掛けるように美希、響、やよいが引き金を連続して引く。
階段という限られた場所で身を隠しながらの銃撃戦が始まった。
お互いに曲がり角に身を潜めて打ち合う。
P「始めたか」
冬馬「うお!? なんでここにいるんだよ!」
身を潜めた場所にはPが腰を下ろしていた。
彼は階段の曲がり角を曲がったすぐそこで腰を下ろしていたのだ。
P「俺が無慈悲なジャックって知ってるのか?
多分君たちに銃口を向けるのなんて一瞬だけど」
翔太「それがー?」
翔太はそう言いながら下の貴音たちに向かって引き金を引いた。
冬馬「やって見ろ! 勝負はやってみないとわからねぇ! 死んでも食らいついてやる!」
P「……やっぱ熱血派は面倒だな。まあ、いいや。俺は行くよ」
北斗「い、行くのかい?」
P「だって俺が銃向けても止まりそうじゃ無いからな。
あまり調子に乗って女の子に怪我させるなよ」
Pはそういって階段をヨロヨロと登り始めた。
冬馬「何なんだあいつ……」
北斗「アレで本当に強いのかな?」
翔太「さーねー」
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
響「うがあああああああ!? 何発撃てるんだ!? その銃!」
翔太「すごいでしょこれ!」
響「威力も冗談じゃ済まないぞ!」
翔太「冗談じゃないからね!」
撃ち合いは引いて押しての掛け合いでついには個別戦のような体となっていた。
突出した響と翔太がぶつかり合い、諦めて他の道を探しに行った美希や「ここは任せました」などと言った直後消えた貴音とは別行動になったのだ。
別ルートへ行った美希と貴音を止めようとしてか、冬馬と北斗もこの場にはいなかった。
やよい「うっうー! 死んでくださーい!」
やよいは遮蔽物から乗り出すと引き金を引く、弾は翔太の顔を掠めていった。
翔太「か、顔はやめろよ!」
やよい「顔の中心に風穴開けてやりますっ!」
翔太「容赦ないね」
翔太が引き金を引くと同時にやよいはまた遮蔽物に身を隠す。
そして、数発撃ったあと、弾切れを起こしたことやよいと響は感じ取った。
これまでもAKの弾切れはあったが、弾倉の入れ替えが非常に速いので隙を突けずにいた。
後退しながらそれをやられると、たとえ距離を詰めても最終的にはこちらの身をさらしてしまうだけで終わるのである。
響「どうすれば良いんだ!」
やよい「行ってくださーい!」
響「え?」
やよいは銃口を響に向けた。
やよい「行ってくれますかぁ?」
響「う、うわああああん! なんで貴音と美希は自分をおいていったんだ~!!」
響は半泣きになりながら翔太に特攻を仕掛けた。
翔太「うわっ、出てくるんだ。無理しない方が良いのに!」
響の出だしが遅れた分、AKの弾倉の入れかえは余裕を持って行うことが出来た。
翔太は遮蔽物から飛び出すと、銃口を響に向ける。
響「な、なんくるないさー!!」
翔太が引き金を引くのと同時に響は横に跳躍し、更に追従してくる銃撃を壁を蹴って上に逃れた。
翔太「すごっ!?」
やよい「いきますよー!」
やよいは身を出し、響を追うために銃口をあらぬ方向に向けている翔太に狙いを定めた。
片腕を前に突き出すその撃ち方は、ヒップショットに比べて格段命中率が良い。
やよいが放った弾丸が翔太の二の腕を捕らえる。
反動でやよいの銃が頭上へ跳ね上がるが、やよいは挙げていた左手で撃鉄を叩いた。
やよいの頭上で放たれた弾丸が次は翔太の太股を捕らえる。
翔太「うわぁ!?」
床に倒れた翔太に響が銃を突きつけた。
響「もう終わりだぞ! これで終わりだぞ! 死ぬかと思ったぞ!」ポロポロ
翔太「そ、そうみたいだね」
翔太は床に仰向けになって降参の意思を示した。
やよい「うっうー! やりましたねっ!」
響「う、うん」
やよい「すみません手を挙げてもらっても良いですかー?」
響は肩を振るわせてやよいの銃を確認した。
とっくの昔にガンベルトに収められているようだ。
響「な、なに?」
響はそう言いながら両手を挙げる。
やよい「うっうー! いきますよー?
ハイ! ターッチ!」
やよいは響と手を合わせ、上機嫌だった。
響「な、なんなんだ?」
翔太「あぁ……もしかして先、僕がやられたのが有名なショット、HighTouch?」
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
北斗「フフッ、あの双子は良い物を残してくれたね」
北斗はガトリングを撫でて言った。
北斗「これで階段を上がってくる奴らは一網打尽さ」
美希「すごい銃なの」
ガトリングを撫でていた北斗の後ろに美希が立つ。
美希「あっ、もしかしてこういうのがハニーの言っていたフラグなのかなー?」
北斗「……ち、チャオ」
美希「チャオ☆」
美希はそういって銃の引き金を引いた。
ガトリングの機巧部へのスポットトリプルショットである。
ハンドルを回せなくなったガトリングは完全なゴミと化した。
北斗「……まさか後ろから来るとはね」
美希「別の階段なんていくらでもあるし、封鎖もしてないんだから当然かなー」
北斗「……そうだね。そもそも三人で防衛とか無理がある。
水瀬財閥の技術資料という盾が通用しない相手には所詮こんなものさ」
美希「そうなの。で?」
北斗「降参。人間、諦めが肝心だからね」
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
貴音と冬馬は出会い頭に銃を撃ち合ったが、お互いに両手を挙げて遮蔽物から姿を現した。
貴音「……お願いがあるのですが」
冬馬「お願いだなんて物はいらねぇよ。
俺から挑戦する! 四条貴音、俺と早撃ちで勝負しろ!」
貴音「それはこちらも望むところですが……何故です?
打ち合っていた方が時間は稼げると思いますが」
冬馬「何を自分が勝つことを前提に話を進めてやがる。
それに、お互い身を隠しての打ち合いなんてデュエリストのやることじゃねぇ!
デュエリストなら早撃ちでの勝負が基本だ!」
貴音「なかなかの気概です」
冬馬「そんなんじゃない。俺たちはどちらにしろ捕まるのがオチだからな。
ここであんたとやってみたくなっただけさ」
貴音「わたくしにはあなたが道を踏み外すような人物に見えません。
……なぜ、このような事を」
冬馬「道を踏み外したとは思ってない。
おっさんのやることは滅茶苦茶だが、それはデュエリストとして間違ってないと俺は思う。
俺はただ最強のデュエリストになりたいんだ!」
貴音「……なるほど。プロデューサーが言っていた通りですね。
理屈は通用しない、と」
冬馬「合図はコインで良いか?」
貴音「いえ……わたくしが銃を抜いて一発天上に向かって撃つのを合図にしましょう」
冬馬「……は?」
貴音は構えをとった。
冬馬「舐めてんのか?」
貴音「怒っているのです。
下らない理由で多くの人を巻き込んだ傲慢……それをただの賞金稼ぎが撃ち砕いて差し上げます。
構えなさい。私がガンベルトから銃を抜いた時、その時から始めてもらっても構いません」
冬馬は貴音の威圧に負けて構えをとった。
直後、貴音はガンベルトから銃を抜く、冬馬はそれに素早く反応して銃に手を伸ばした。
銃声が三発鳴り響いた。
貴音が天上に撃ったので一発、正面に向かって撃ったので一発、冬馬が撃ったので一発の合計三発である。
冬馬「ぐっ!」
冬馬は手首を押さえて銃を取り落とした。
貴音の方はと言えば、弾丸が腕を掠め、そこから血を流すのみに留まっていた。
天上に発砲したあと冬馬に向けた銃であったが、それでもなお冬馬より一瞬速かった。
貴音「お大事に」
貴音は冬馬の隣を通り過ぎながら言った。
冬馬「……くそっ! 待てよ!」
貴音「……なんですか?」
冬馬「確かにお前は速い。速いが……凄くない。
おっさんの所に行っても命を無駄にするだけだぜ!」
貴音「……ご忠告ありがたく受け取っておきます。では」
貴音は上へと続く階段を進んだ。
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
P「やっと最上階か。病人に無理をさせるなんてどうかしてる」
黒井「それは知らなかった。悪いことをしたな」
黒井は部屋から悠然と現われた。
廊下でPと黒井は対峙する。
P「左肩も痛いし……吐きそう……吐いていいか?」
黒井「……ご自由に」
P「オエッ……オ、オ、オエッ!
……以外と吐けないもんだな。ちょっと待って。
オエェェェェ! オ、オエエエエエエエエ!!
……出ないな。もうちょっと頑張れば……」
黒井「……やめろ」
P「もうちょっとだから」
黒井「やめろ! 貰いゲロをしてしまいそうだ!」
P「ごめん」
黒井「……大丈夫なんだろうな。勝負は出来るのか?」
P「この状態でも余裕だ」
黒井「なにぃ?」
P「ゴールデンクロス・ピースメーカーには悪魔が宿ってるからな」
黒井の口元が釣り上がった。
黒井「ほう……さすがに無慈悲なジャックと言ったところか?
聞いたぞ。高木から天才的なショットを奪ったのもおまえだそうだな」
P「あぁ、高木社長の肩を撃って壊した。それ以来社長は早撃ちが出来なくなった」
黒井「やるではないか」
P「どうかな。あのときの社長は銃を抜かなかったし……無抵抗の人間を撃って……それから俺も心を入れ替えて生きようと思った。
でも、今ここでゴールデンクロスを持ってるっていうことは、一体どういう意味なんだろうな?」
黒井「衰えては無いんだろうな」
P「余裕だと言っただろ?」
黒井「その自信……地獄で嘆いても遅いぞ」
P「合図はコインで行くぞ」
Pは懐を探ると一番安い硬貨を取り出した。
それを指で大きく弾く。
黒井「お前は銃に悪魔が宿っていると言ったがな……ブラッククロス・ピースブローカーにもそれは宿っているのだぞ」
P「HAHAHA!」
コインが床にぶつかる。
P「そうか」
音も無く銃口が黒井に向いた。
ゴールデンクロス・ピースメーカーの銃口は、勝負が始まる前からずっと向けられていたのではないかと錯覚するほど自然に、突然、Pの手に収まっていた。
黒井はガンベルトからブラッククロスを半分ほど抜いた状態で固まる。
P「降参しろ」
黒井「……なんと……」
P「お前の負けだ」
黒井「負抜けたドローだ」
黒井は大きく溜息を吐いた。
黒井「まさか貴様もそっち側だったとはな……奪う気の無いドロー……つまらん!
撃つ気が無いのなら……奪う気が無いのなら初めから抜かなければ良いのだ!
魂ごとぶつけていく勝負でなければ話にならん!」
P「負け惜しみは見苦しいぞ」
黒井「負け惜しみでは無い。……今それを証明してやる」
黒井は金の硬貨を取り出した。
黒井「今から私は銃口を突きつけているお前より速く撃つ。
コインが床についたときが合図だ」
黒井が硬貨を弾き、Pの額に汗が浮かんだ。
P「銃を……撃てば……っ!」
Pは人差し指に力を込めたが引き金は降りなかった。
P「ここまでか」
Pはほっと溜息を吐いた。
コインが床に落ちる。
黒井「勝負をするにあたいしないクズめ。地獄を見ろ」
四発の銃弾がPを貫いた。
Pは床に苦悶の声を上げて崩れ落ちる。
貴音「そん……な」
そこへ階段をちょうど上がってきた貴音がやってきた。
貴音「あなた様!」
急いでPの元へと駆け寄る。
P「俺はもう駄目だ。……おっぱいもませてくれないか?」
貴音「……両肩と両足に一発ずつ……このままでは出血多量で死んでしまいます!
運ぶにしても無理がありますし……待っていて下さい!
すぐ医者を連れて参ります!」
P「無茶苦茶痛いよ。心臓を撃ってくれてればこんな思いをしなくて良かったのに」
黒井「言っただろ。勝負をするに値しないクズ、だと。
それに、医者を呼ぶことを私が許すとでも?」
黒井は銃を見せびらかして言った。
貴音「……黒井殿ッ! わたくしはあなたを許せそうではありません!」
黒井「四条貴音か……お前のドローは以前に見たことがある。
貴様もただ速いだけのポンコツだ」
貴音「ためしてみますか?」
P「おい貴音。シルバークロス・ピースメーカーを持ってるやつがそんな悪人面したら駄目だろ」
貴音は大きく息を吸い込みゆっくりと吐き出した。
貴音「……あなた様……すぐに済ませます」
貴音は黒井に対峙した。
貴音「黒井殿、早撃ちで勝負です」
P「ゴールデンクロスで?
無理無理。だってもう何年も整備してないし引き金ひいたら暴発しそうだもん」
黒井「貴様っ!」
P「それに高木社長を撃った時から引き金恐怖症なんだ」
黒井「クズめ! 仕方が無い! コインが合図だ」
黒井は硬貨を取り出し、指で弾いた。
P「貴音……シルバークロスは正義の銃だ。その心さえあれば、負けるはずがない」
貴音「正義など考えたことはありません。
ただいまは……黒井殿がやったことを許せない! それだけです!」
床にコインが落ちた。
黒井の手元が消失する、貴音の手が高速で銃へと伸びる。
Pの目には二人の間にある実力差が悲しくなるほど見て取れた。
どう見ても黒井の方が速いのである。
P「くっ! 貴音っ!」
Pは立ち上がろうとして床に崩れ落ちた。
黒井「さようならだ」
黒井「……まあ、よかろう。
そこの死に損ない! 合図だ!」
P「ゴールデンクロスで?
無理無理。だってもう何年も整備してないし引き金ひいたら暴発しそうだもん」
黒井「貴様っ!」
P「それに高木社長を撃った時から引き金恐怖症なんだ」
黒井「クズめ! 仕方が無い! コインが合図だ」
黒井は硬貨を取り出し、指で弾いた。
P「貴音……シルバークロスは正義の銃だ。その心さえあれば、負けるはずがない」
貴音「正義など考えたことはありません。
ただいまは……黒井殿がやったことを許せない! それだけです!」
床にコインが落ちた。
黒井の手元が消失する、貴音の手が高速で銃へと伸びる。
Pの目には二人の間にある実力差が悲しくなるほど見て取れた。
どう見ても黒井の方が速いのである。
P「くっ! 貴音っ!」
Pは立ち上がろうとして床に崩れ落ちた。
黒井「さようならだ」
黒井が引き金を引いた。
軽い鉄同士がぶつかるような情けない音が廊下に響いた。
弾切れでは無い。
それは名銃ブラッククロスが起こした製造されてからただ一回の動作不良であった。
直後、貴音のシルバークロスが火を吹く。
黒井のブラッククロスが弾き飛ぶ。銃身が微妙に曲がり、この時ブラッククロスは名銃としての命を終えた。
更に、貴音は黒井の鎖骨辺りを撃ち抜く。
貴音「脈を撃ちました。
……あなたのための医者も呼んであげます」
それを聞いて黒井は高らかに笑う。
黒井「要らん!」
そう言って黒井は床に倒れた。
貴音「……あなた様……すぐに医者を呼んで参ります。とりあえず止血を――」
P「ブラッククロス……ピースメーカー」
貴音「?」
Pは床に転がった銃に刻まれた文字を見ていた。
P「ピースブローカーじゃなかったのか」
貴音「銃はただの銃ですので。使い手に恵まれなければ本来願われたようには使ってはもらえません。
人の悪行に携わる内に、いつの間にやら不名誉な名前で呼ばれるようになったのでしょう」
P「……良かったな。最後はピースメーカーとして逝けて」
Pは銃身の曲がったブラッククロスに言った。
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
数日後。
水瀬財閥本社ビルの中にある病院の一室。
P「と言うことで俺生還」
真美「まだだYO! 峠は越えたけどこれからも感染症とか気を付けていかないと!」
亜美「まったく~。死ぬのかと思いましたぞ!」
P「俺が死ぬわけ無いだろ」
春香「いや、実際死にかけましたからね!」
千早「何やってるんですかプロデューサーッ!」
P「千早、声でかい。傷口に響く」
小鳥「……まったく……無茶して」
律子「答えは次の日の午後に出すとかいってたので完全に油断してましたよ」
あずさ「まさか病院に担ぎ込まれたその日にビルに向かうなんて~本当に無茶ばかりするんですから~」
やよい「うぅー……」
あずさ「私、雰囲気的にもう一仕事あるのかと思ってたのに、拍子抜けしてしまいました」
春香「絶対に765プロの仲間である私たちが活躍する場面が来ると思ってたのにね」
千早「現実は辛いわね。フェアリーにいいとこ取りされるなんて」
あずさ「プロデューサーさんも無理しないで、私たちに声を掛けてくれれば良かったんじゃありません?」
P「余裕だと思ったんだけどな」
社長「返り討ちにあうのがかい?」
P&社長「HAHAHA!」
二つ並んでいるベッドで男二人が笑った。
響「でも、大事に至らなくて本当に良かったぞ。
黒井社長達も逮捕されて当分は豚箱ぐらしさー」
美希「いい気味なの」
P「手下の方はすぐに釈放されそうだけどな」
美希「黒井社長が脅してコマにしたって言ってたもんね」
響「本当なのかな?」
美希「……響……考えるまでもなく嘘に決まってるの」
P「庇ってるんだろうな」
伊織「まあ、こっちの追求は厳しめにいくから全員容赦ない裁きが下ると思うけどね」
P「……手加減してやれよ」
伊織「何言ってるあんた。大けがをさせられた張本人じゃ無い。もっと怒りなさいよ」
P「血が無くなりすぎてそんな元気がでない」
社長「……それで……怪我の具合はどうなのかね?」
P「……社長とおそろいですよ」
社長「そうか……勿体ない」
P「良いんですよ。どうせ銃なんてあのときから今後一切撃つ気なんてありませんでしたし」
美希「ハニー」ゴソゴソ
春香「ちょ!? なにしてるの?」
美希「添い寝なの」
千早「プロデューサーの迷惑になると思うの。迷惑になると思うの!」グイグイ
美希「や、やめるの! 引っ張ると危ないの!」
P「美希! おまっ!? 傷口を鷲づかみにするな!」
貴音「決めました!」
P「な、なにをだ」
貴音「わたくしは765プロに入ろうかと思います。
響、美希……あなた達はどうしますか?」
美希「え? 貴音も765プロに来るんだ」
響「すでに自分は765プロの一員であるかのような言い方をしてるぞ……まあ、自分も一人取り残されるのはお断りさー」
貴音「と言うことです」
P「おぉ、心強いな」
社長「これだけ有能な頭数がいれば、一気に稼いで銃弾が飛び交う中を冒険する暮らしからも解放されるかも知れないね。今回の報償もかなりのものだったし」
P「もしそうなったらどうします?」
社長「うーん、悠々自適にアイドル事務所でも開こうか」
P「このご時世にですか? ……まあ、面白そうですけど」
貴音「それは真に良き考えです」ギシッ
P「……近くないか?」
貴音「えぇ、皆に挨拶をしておこうと思いまして」
P「どういう意味だ?」
貴音「こういう意味です」
貴音はPに顔を近づけると触れる程度のキスをした。
貴音「今後ともよろしくお願いいたしますね、あなた様」
fin.
結構好きだぜこういうの
乙
楽しませてもらった
10分後くらいに
この世界観が好きな人は緊急避難して下さい
という映画を765プロの面々は事務所で見ていた。
小鳥「ついに地上波で放送ですかー」
律子「961プロと合同で作った『荒野の女王』ですか。人件費も時間もあらゆるコストを削って作ったB級映画の割に興業収入はかなりの物だったんですよね」
小鳥「人件費削減と言っても自社製作ってことで売れ行きのアイドル達と961プロのジュピターが安いギャラで出ていますしね。
利益のほとんどは961プロに持っていかれましたけど、もともと961プロがお膳立てしてくれた企画ですし良いじゃないですか」
律子「そうですね。うちのアイドル達も宣伝出来て仕事も増えましたし」
社長「おっさんは引っ込めなどと批判もあったが、良い味をだしているじゃないか」
律子「なんと言っても話題作でしたしね」
小鳥「プロデューサーが刺されてそこそこ売れてた映画のチケットが爆発しましたからね」
律子「宣伝料も払ってないのにニュースで取り上げられましたからねぇ」
真美「兄ちゃんの犠牲は忘れないYO」
亜美「お空から見ててね」
P「殺すなよ」
春香「プロデューサーさん。本当に傷の方はもう大丈夫なんですか?」
P「あぁ、大丈夫だ。
刺されたときは死を覚悟したけどな。刺さってる状態のナイフが捻られるのが見えたし」
やよい「うぅー、生々しいですー」
P「貴音原理主義者は敵に回したら駄目だってことが証明されたな」
響「アイドルとプロデューサーがキスなんてするからだぞ」
美希「この映画は何回見ても泣けるの」ニコッ
響「血涙!?」
P「しかし、961プロに気を許すものじゃないな。映画の制作費はあっちが持ってくれるって話だったから何て気前が良いんだって大喜びで乗ったけど、刺されたときに壮大な悪意を感じたよ。
あぁ……これが狙いかって」
小鳥「さ、さすがにそこまで考えてなかったんじゃ……黒井社長も珍しく申し訳なさそうな顔をしてお見舞いに来てくれたじゃないですか」
社長「黒井もノリノリで出演していたしねぇ……こう言うのが意外と好きな奴なんだよ」
P「いえ、人件費削減とか言って俺たちを映画に出演させたのも全て黒井社長の策の一部だったんです。
今も貴音のファンを煽って俺の背後にアサシンを送り込もうとしてるはずですから」キョロキョロ
千早「プロデューサー……あの一件から異常に背後を気にするようになりましたね」
P「誰だそこにいるのはッ!
…………誰もいないか……?」
真「定期的にああやって後ろに怒鳴ってますし」
雪歩「プロデューサー可哀想ですぅ」
貴音「これはわたくしが責任を持ってなんとかせねばなりませんね」
美希「ミキが責任を持つの」
貴音「わたくしは人の気配に敏感ですし、多少、武術の心得があります。わたくしが一番、適任でしょう」
P「そうか! 人の気配が分かるってのは心強いな」
貴音「では出来るだけ私の側を離れないようにして下さいね」
P「闘おうだとか考えなくていいから、変なやつがいたら教えてくれ。超ダッシュで逃げよう」
貴音「はい」
P「あぁ~久々に神経が休まるなぁ。貴音の側にいると安心出来る」
貴音「ならばずっと側にいて良いですよ?」
P「貴音の側にいられて安心出来るとか最高の状況だな!」
貴音「ふふっ」
P「なんかドキドキしてきた」
春香「」
美希「大変! 春香が息をしてないの!」
あずさ「そう言いながら血の涙を流す美希ちゃんでした~」
真美「って、余裕を見せながらも持ってるティーカップが震えまくってるあずさお姉ちゃんでした→!」
亜美「……悲しいね。真美」
貴音「これは……勝利宣言をした方が良いのでしょうか?」
P「もっと密着しておこう」ギュ
Pは貴音を抱きしめた。
貴音「……何やら面妖な形で勝利を手にしてしまったようですね」ギュ
fin.
起こらないから手を上げてごらん
おもろかった
Entry ⇒ 2012.07.28 | Category ⇒ アイマスSS | Comments (0) | Trackbacks (0)
ドラえもん「エンドレスエイト!?」
ドラえもんはふとそう思った。
季節は夏、目の前には夏休み中ゴロゴロしているのび太が
やはり今日もゴロゴロとしていた(8月27日)
ドラえもん「もう!毎日ゴロゴロしてるけど、夏休みの宿題は終わったの!?」
のび太「全然~」
ドラえもん「二学期まで後5日しかないんだぞ!?いい加減始めたら!?」
のび太「30日になったらやるよ~」
ドラえもん「去年もそんな事言って最後の方に大変な思いをしたじゃないか!
そろそろ始めなさい!!」
のび太「もうっ!!うるさいんだよドラえもんは!!」
ドラえもん「うるさいとはなんだ!僕は君の事を思って!!」
のび太「うるさいったらうるさーい!!」
ドラえもん「全く君って奴は!!ジャイアンに殴られても知らないぞ!」
のび太「何で僕が宿題をやらないからってジャイアンが殴るのさ~?」
ドラえもん「?・・・・・はて?何ででしょう?」
ジャイアン&スネ夫「のーびー太ーくん」
のび太「噂をしてたらジャイアンとスネ夫が来た。どうしたんだろう?」
ドラえもん「う~ん・・・・・」
のび太「どうしたのドラえもん?」
ドラえもん「いや・・・何だか前にも似たような事があったような気が・・・」
のび太「ジャイアンとスネ夫なんてよく来るじゃない!
さっきからおかしいよドラえもん。僕、ちょっと出てくるからね」ダンダンダン
(のび太は玄関へと向かった)
ドラえもん「う~ん、それにしても強い既視感だ・・・。頭がグラグラする」
(ジャイアンとスネ夫と共にのび太が戻ってくる)
のび太「ドラえも~ん!あ、まだ唸ってる」
ドラえもん「あれ?どうしたのみんなして?外で遊ぶんじゃないの?」
のび太「スネ夫がみんなに話しがあるんだってさ」
ドラえもん「話?」
のび太「えーなになに!?気になるー」
スネ夫「ジャジャーン!!このチケットを見よ!!」
のび太「あぁ!?それってもしかして!?」
スネ夫「そう、豪華客船オーベロン号の乗船チケットさ!!」
ドラえもん「そういえばテレビでやってた!確か明後日の29日に東京湾に来るんだよね」
のび太「何でスネ夫がオーベロン号のチケットを持ってるの?」
スネ夫「ハハ、従兄弟がいらないっていうから貰ったんだw4枚もねw」
のび太「よ、4枚も!?」
スネ夫「そう、だから君達にも幸せを分けてやろうと思ってねw」
のび太「えぇ!?僕らも一緒に連れてってくれるの!?」
ドラえもん「良かったねーのび太くん!!」
のび太「うん!!まさかあんな豪華客船に乗れるなんて♪」
ジャイアン「ハハ、みんな俺に感謝しろよw」
スネ夫「もう!ジャイアンは関係ないじゃないか!」
のび母「いけません!!」
のび太「えぇ!?何で!?」
のび母「何で!?じゃありません!!夏休みの宿題も終わってないのに
泊りがけで遊びなんてママは絶対に許しません!!」
のび太「そんな~。オーベロン号だよ?ママも知ってるでしょ?
あんな凄い船に乗れる機会なんてこれが最初で最後かもしれないのに~」
のび母「どうしても遊びにいきたいのなら、ちゃんと明後日までに
宿題を終わらせなさい!!」
--------次の日(8月28日)
ジャイアン「なに!?宿題が終わらないと行けない!?ふざけんなー!!
意地でも来週までに終わらせろ!!でないと分かってんだろうな!!?」
のび太「そ、そんな事言っても・・・あの大量の宿題を1日でなんて無理だよ」
ジャイアン「うるせー!!やれったらやれー!!」
のび太「うわああああ」
ガンッ、ガンッ、バキッ
のび太「たらいま~」ドテッ
ドラえもん「あらら、また酷くやられたね」
のび太「来週までに宿題を終わらせなかったら殺されるよ~」
ドラえもん「こうなったら、死ぬ気で勉強するしかないね」
のび太「うぅ~~」
-----
--
-
(のび太はそれからドラえもんの手をかりながら
一生懸命勉強した・・・そして翌日、8月29日)
のび太「駄目だーー」ドテッ
ドラえもん「あ、あんなに頑張ったのに半分しか終わらないなんて」
ピンポーーーン
スネ夫「のーびーたーくん!」
ドラえもん「あれだけ頑張って終わらなかったんだ、もうしょうがないよ。
素直に僕らは行けないって謝るしかない」
のび太「そんな~!ジャイアンに殺されちゃうよ~」
のび母「のびちゃん、何をやってるの?スネ夫さん来てるわよ?」
ドラえもん「僕も一緒に謝るから、行こう?」
のび太「うぅ・・・」
のび母「ふー、全く・・・宿題はどこまで終わったの?」
ドラえもん「え・・・・えっと、7割くらいまでです」
のび母「7割?本当に!?」ギロッ
ドラえもん「え・・・・え~と6割くらいだったかな~ドゥフフフフ」
のび母「はー、まぁいいわ。昨日は張ってたみたいだし
特別に許してあげる」
のび太「ゆ、許すって・・・・じゃあ遊びに行っていいの!?」
のび母「ただし!!ちゃんと二学期までに残りを終わらせる事!!いいわね!?」
のび太「えぇ!?後4日しかないじゃない!?
それじゃ船の中でも勉強しろって言うの?そりゃないよ~」
ドラえもん「ドゥフフフフフ、分かりました!さ、行こうのび太くん!」
のび太「う~」
のび母「ちゃんと勉強するのよー!!」
バタンッ
スネ夫「もう、遅いじゃないか!でも出てくるって事は宿題は終わったんだね」
のび太「それがまだなんだ。船の中で勉強しろって・・・・」
スネ夫「えぇ!?あの豪華客船の中で!?」
ドラえもん「あれ?スネ夫くん、ジャイアンは?」
スネ夫「それが聞いてくれよ!!」
---------ジャイアン宅
ジャイアン「も~頼むよ母ちゃん!!」
ジャイ母「駄目だって言ってんだろ!!宿題もロクに終わってないのに!
ウダウダ言う暇があったら勉強しな!!」
ジャイアン「おぉ心の友よ!お前達も母ちゃんを説得してくれ」
ジャイ母「何が説得だい!諦めて勉強しな!」
ドラえもん「あ、あの・・・実はのび太くんも宿題はまだなんです。
ですので残り4日間、みんなを一緒に船の中で勉強させようと思いまして・・・」
ジャイ母「勉強なら何も船の中じゃなくても出来るじゃないか!」
ドラえもん「え・・・えぇ、それはそうなんですけど・・・」
ジャイ母「ふぅ、まぁいいわ。ドラちゃんがそう言うなら許可してあげる」
ジャイアン「えぇ!?本当に良いのか母ちゃん!?」
ジャイ母「その代わり、ちゃんと船の中で勉強すんだよ!!
二学期までに全部終わってなかったら承知しないからね!!」
ジャイアン「わ・・・・分かったよも~」
ドラえもん「よし、じゃあ行こう!」
ジャイ母「ドラちゃん、剛の事ちゃんと監督してちょうだいね」
ドラえもん「は、はい!勿論です」
スネ夫「みんな早くしないと出航時間に間に合わなくなるぞ!」
スネ夫「前に12時って言っただろ!!」
ジャイアン「それで、今何時なんだ?」
スネ夫「もう10時だよ!急がないと!」
のび太「ねぇ、スネ夫。その時計針動いてないよ?」
スネ夫「なに!?わっ、本当だ!!」
ジャイアン「えぇ!?じゃあ本当は今何時なんだよ!?」
ドラえもん「『普通の時計ー!』えーと、只今11時20分」
のび太「じゅ、11時20分!?それじゃもう12時までに行くのは無理だよー」
ジャイアン「おいスネ夫!!お前の時計が壊れてるばっかりに
みんな間に合わなくなっちゃったじゃねーか!!」
スネ夫「元はといえばジャイアンが宿題をやってなかったのが原因じゃないか!」
ジャイアン「うるせーー!!」ゴツンッ
スネ夫「イテッ!!」
ドラえもん「は~、みんな何か忘れてない?」
ドラえもん「あのね~、僕は22世紀のロボットですよ!!」
スネ夫「あっ、そうか!どこでもドアを使えばいいのか!」
ジャイアン「そういえばそうだな。コロッと忘れてたぜ」
ドラえもん「全く君達は・・・・ブツブツ・・・『どこでもドアー!』」ドスンッ
のび太「はー助かった!これなら出航に間に合うね」
ドラえもん「一応聞いておくけど、みんな忘れ物はないね?」
のび&スネ&ジャイ「ないでーす!」
ドラえもん「では行きましょう!!いざ、東京湾!オーベロン号へ」ガチャッ
-----------
-------
---
------何かがおかしい
キョンはふとそう思った。現在彼は豪華客船オーベロン号船内にある個室にいる
目の前には同じSOS団の団員である古泉がいる
キョン「はぁ~~~」
古泉「おや、随分大きな溜息ですね。何か嫌な事でも?」
こちとら宿題も終わってないってのに、勘弁してほしいぜ」
古泉「まぁ、確かに急なことではありましたね。涼宮さんから電話がかかってきたのが27日で
僕達が神戸港を出港したのが28日。流石に準備に手惑いましたよ」
キョン「急に電話してきて『明日から31日まで豪華客船で遊ぶわよ!』だもんな~。
商店街のくじ引きで5枚もチケット当てちまうなんて、どうなってんだかなあいつは」
古泉「涼宮さんがそう願ったからこそ、そのような奇跡的な芸当が出来たのでしょう。
恐らく彼女はあのまま夏休みが終了する事が嫌だったのでしょう」
キョン「夏休みに入ったと同時にお前の知り合いの別荘で充分楽しんだじゃないか。
他に何が物足りないっていうんだあの女は?」
古泉「さあ。それが分かるのは、恐らく涼宮さん本人だけだと思いますよ」
ピンポンパンポーン
--間もなく東京湾に到着致します。間もなく東京湾に到着します
キョン「ようやく折り返し地点か」
古泉「帰路もこのまま何事もなければいいのですが・・・」
キョン「それは無理な話だな。ハルヒの奴がいる限り必ず何かは起こる」
ガチャッ
ハルヒ「やっほーーーーーー!!!」
古泉「あはは・・・」
ハルヒ「何よあんた?私の噂してたの?」
キョン「まぁな。偉大な団長様のお陰でこんな豪華客船に乗るとこが出来て
光栄だって事を古泉と二人で話してたところだ。」
ハルヒ「あらそう♪それより二人とも、外に行くわよ!」
キョン「外?東京見物でもする気か?残念だがこの船はそう長く停泊しないぞ」
ハルヒ「違うわよ!東京湾からも大勢の人が乗船するのよ!?
その中に宇宙人や未来人がいるかもしれないじゃない!」
キョン「お前はこんな所に来てまで不思議探しをするつもりか・・・」
ハルヒ「当たり前じゃない!兵庫にはいなくても東京にはいるかもしれないのよ!?
むしろ人口が多い分東京の方が不思議な奴がいる確率は高いと思うわ!」
キョン「そういう確率が人口の多さに比例するとは初耳だが」
ハルヒ「ごちゃごちゃ言わないでさっさと行くわよ!もしかしたら宇宙人や未来人以上の
もっと凄いのが乗り込んでくるかもしれないわよ!!いえ、きっとそうだわ!!」
キョン「はぁ~~、もっと凄いのってのは具体的にどんな奴なんだ?」
ハルヒ「そうね~・・・・・・未来から来たネコ型ロボットってのはどう!?」
ハルヒ「いいから早く来なさい!先に行ってるわよ!」
バタンッ
キョン「全く台風のような女だ・・・」
古泉「・・・・・・・・・」
キョン「ん?どうした古泉?」
古泉「あ、いえ・・・・少々気になることがありましてね・・・」
キョン「気になる事?」
古泉「大した事ではありませんよ。恐らく僕の勘違いだと思います」
キョン「そうかい。それじゃ行くぞ、あんまり団長様を待たせると後が面倒だからな」
古泉「はは、そうですね」
--------東京湾
のび太「うわ~~~~~~!」
ジャイアン「すげー・・・・俺達本当にこれに乗れるのかよ?」
ドラえもん「いや~凄い!なんて大きな船なんだ・・・・」
ジャイアン「ところでスネ夫、東京湾を出航したら次は何処へ行くんだ?」
スネ夫「ここを出たら終着点の神戸港までノンストップだよ」
のび太「神戸港!?じゃあ僕らは神戸からどうやって帰るのさ?」
ドラえもん「どこでもドアがあるでしょ!」
のび太「あ、そうだった」
スネ夫「今日が29日で神戸港到着は31日だから僕らは二泊三日さ」
のび太「二泊三日!?そんなに遊べるなんて嬉しいなー!!」
ドラえもん「のび太くん!!忘れてるの?遊ぶだけじゃなくて宿題を終わらせないと!!」
のび太「わ、分かってるよ~」
ジャイアン「嫌な事思い出させんなよな~」
ドラえもん「僕は二人を監督するように頼まれてるんだ!絶対にやってもらうからね!」
のび太「分かってるったら~」
スネ夫「さ、早く船に乗ろうよ!もうすぐ出航だよ!」
ハルヒ「いいことみくるちゃん!少しでも怪しい奴がいたらすぐに私に言うのよ!」
みくる「は、はぁ~い」
ハルヒ「有希もいいわね?」
長門「・・・」コクッ
キョン「はぁ、やっとここに来れたか」
ハルヒ「遅いわよキョン、古泉くん!!」
古泉「すいません、未だにこの船の大きさに慣れないもので。
ここに来る途中道に迷ってしまいました」
ハルヒ「大きいって言っても所詮船じゃない。私はもう慣れたわ」
キョン「昨日朝比奈さんを連れまわして一日中船の中を探検してたんだろ?
そりゃまぁ慣れるだろうよ」
ハルヒ「結構いろいろな施設があったわよ!ボーリング場やカラオケ、カジノに
プール、あとパターゴルフ場やバッティングセンターまであったわ!」
キョン「全てを今日明日中に回るのは無理だな。どれかに絞ろう」
ハルヒ「はぁ?何言ってんのよアンタ?全部回るに決まってるじゃない!」
キョン「・・・・・全部だと?」
私は絶対に船を下りないわよ!」
キョン「(お前が満喫しようがしまいが、神戸港に着いた時点で強制的に
下ろされることになるんだが・・・)」
ハルヒ「そんな事よりさっさとアンタも探しなさいよ!」
キョン「はっ、ネコ型ロボットをか?んなもんいるわけないだろ」
ハルヒ「いいえ、きっといるわ!私には分かるの!」
キョン「万が一いたとしても、俺はそんな奇妙なもんと関わりたくないね」
ハルヒ「いたわ!!」
キョン「なに!?」
ハルヒ「ほらほらあれ!!あの青くて丸い奴!!あれってネコっぽくないかしら?」
キョン「いや、ネコというよりは寧ろタヌキに近いと思うが(というかそもそもあれは何だ?)」
ハルヒ「この際タヌキ型ロボットでもいいわ!早速捕まえに行きましょう!
行くわよみくるちゃん!」ダッタッタッタ
キョン「あっ、おいハルヒ!」
古泉「ちょっと待ってください!」
キョン「何だ!?今はあの馬鹿女の暴走を止めないと」
長門さん、あの青いのは人間ですか?」
長門「・・・・・・人間ではない」
キョン「なに!?まさか本当にロボットって言うんじゃないだろうな?」
長門「・・・・・そう」
キョン「なっ・・・・・・」
古泉「ネコ型かどうかはさておき、ロボットという事は確かなようですね。
恐らく僕や朝比奈さんや長門さん同様、涼宮さんが望んだからこそ
現れた存在と言えるでしょう」
キョン「なんてこった・・・」
古泉「問題は、涼宮さんがそれを認識してしまってる事です」
キョン「どういうことだ?」
古泉「僕や長門さんや朝比奈さんは、涼宮さんが望んでいる超能力者であり宇宙人であり
未来人ですが、涼宮さんはそれを知りません。ただの人間だと思っています。ところが今回は・・・」
キョン「おもいっきりロボットだって事を認識しちまってるか・・・。まぁ誰が見ても人間には見えないしな」
古泉「ええ、これはかなり危険です。涼宮さんの望んだ事が実際に実現されている事を
彼女が認識してしまったら、この世界がどうなってしまうか想像も出来ません」
同時に頭の何処かでそんな事あるわけが無いという考えを持っている」
キョン「そこに関しては議論の余地がある」
古泉「しかし、このままネコ型ロボットなる物が本当に存在すると認識してしまったら
涼宮さんの中にある常識的な部分が欠落し、より多くの不思議を求めることになるでしょう
そうなったら、大規模な世界改変が起きる可能性もあります。」
キョン「何であいつはこうも毎回トラブルを呼び込むのかね」
古泉「とにかく、このままあのロボットと涼宮さんを接触させるのは危険です!
我々で何とか誤魔化しましょう!」
キョン「誤魔化すったってな~。アドリブで何とかなるようなもんでもないぞ?」
古泉「それでも何とかするしかありません。とにかく急ぎましょう」
キョン「長門はどうする?」
長門「・・・・・いい」
キョン「そうか、じゃあお前はここで待っててくれ」
長門「・・・・・」コクッ
のび太「うわー中も凄い綺麗だねー」
ドラえもん「本当、まるで高級ホテルだ」
スネ夫「この先に中央ホールがあるらしい!
そこの受付で部屋を割り振られるらしいよ」
ジャイアン「早く行こうぜー!」
ハルヒ「見つけたー!!」ガバッ
(ハルヒはドラえもんに抱きついた)
ドラえもん「うわっ!何だ何だ!?」
ハルヒ「遂に捕まえたわよ!!みくるちゃん、あなたも手伝いなさい!」
みくる「ふぁ、ふぁ~い」ヘナヘナ
ハルヒ「さぁ、大人しく私の所へ来なさい!」
のび太「な、何言ってるんだよ~!ドラえもんから離れろ!」
ハルヒ「へー、あなたドラえもんって言うの。なかなか可愛い名前じゃない」
ドラえもん「そ、それはどうも・・・・あの~、僕に何の御用でしょうか?」
あなた、ネコ型ロボットでしょ?面白いから私と一緒に遊びましょう!」
ドラえもん「・・・・あなたは僕をネコ型だと思うんですか?」
ハルヒ「勿論よ!他に何に見えるって言うのよ?」
ドラえもん「うわ~ん(涙)いつもいつもタヌキと間違われるのに、一発でネコだって
分かってくれる人がいてくれた!うわ~ん(涙)」
ハルヒ「安心しなさい!私にはどう見てもネコにしか見えないわ!もっと自信を持ちなさい」
ドラえもん「ありがとうございますぅ~(涙)」
のび太「ドラえもん、泣いてる場合じゃないだろ!」
ハルヒ「一応確認するけどドラえもん、あなたロボットよね?人間じゃないわよね?」
ドラえもん「は、はい!僕は未来からきたネ」
みくる「ふぁ~~~~~~~~~!!!」
ドラえもん「わっ!ビックリした!」
ハルヒ「もうみくるちゃん、今大事な事聞いてるんだから静かにして!で、何だって?」
みくる「あわわわ・・・・」
ドラえもん「僕は未来から来た」
ドラえもん「・・・・えぇ?」
ハルヒ「キョン!?マスコットキャラクターって何の事よ!?」
古泉「どうやら彼はこの船のマスコットキャラクターのようですよ。
先程受け付けの方がそう言ってました」
ハルヒ「はぁ!?じゃあ何?これは着ぐるみだって言うの?」
キョン「そりゃそうだろ。お前は本当にロボットだと思ってたのか?現代の科学で
こんな器用に動いて喋れるロボットなんて作れるはずないだろ?」
ハルヒ「未来から来たロボットかもしれないじゃない?」
キョン「何でもかんでも無理矢理自分の解釈に合うような考え方をするな。
こいつはこの船のマスコットだ。船員の人がそう言ったんだから間違いない!」
のび太「ドラえもんがマスコット?」
ジャイアン「スネ夫、マスカットって何だ?」
スネ夫「ジャイアン、マスカットじゃなくてマスコット!
イベントとかのシンボルみたいなもんだよ」
ドラえもん「失礼な!!僕はマスコットなんかじゃ」
(その時古泉がアイコンタクトをしながら首を横に振っているのを見て
ドラえもんは言おうとしていた事を途中で止めた)
古泉「・・・・・」(古泉のアイコンタクトは続く)
ドラえもん「・・・・いいえ、僕はこの船のマスコットキャラクターのドラえもんです!」
スネ夫「えぇ!?」
のび太「な、何言ってるんだよドラえもん!?」
ジャイアン「遂にドラえもんが壊れたぞ!」
ドラえもん「みんな静かに、きっと事情があるんだろうから
ここはあの人達に話を合わせて!」
(ドラえもんはハルヒに聞こえないよう小声で三人へと話す)
ハルヒ「な~んだ、つまらないわ。今回は本当にやったと思ったのに・・・・」
みくる「ふぅ~」ホッ
キョン「だから言っただろう。まぁ気にするな、これ程精巧な着ぐるみなら
間違えてもおかしくはない」
ハルヒ「ねぇ、中の人顔見せてくれない?」
キョン「急に何を言い出すんだお前は?」
ハルヒ「だってこんなに小さいのよ?中に入ってる人は間違いなく子供じゃない!
労働基準法に違反してるわ!雇い主を訴えましょう!さ、早く出てきなさい!」
ドラえもん「イタタタタタタ!!!」
ハルヒ「おっかしいわね~、全然取れないわよこの着ぐるみ!」
キョン「止めろこのアホ!」ビシッ
ハルヒ「イタッ!ちょっとキョン、邪魔しないでよ!!」
キョン「周りをよく見ろ、子供達がいるじゃないか。お前は彼らの目の前で
ドラえもんの着ぐるみを引っぺがすつもりか?」
ハルヒ「・・・・」
キョン「中の人なんていない。ドラえもんはドラえもんだ。
大人なら、子供達の夢を壊すようなことは勿論しないよな?」
ハルヒ「フン、当たり前じゃない!まぁいいわ、せっかく知り合ったんだし
今日からあなた達をSOS団の仮団員にしてあげるわ♪」
のび太「何ですか、そのエスオーエス団って?」
ハルヒ「世界を大いに盛り上げる為の涼宮ハルヒの団!それがSOS団よ!
仮とは言え入団できる事を誇りに思いなさい!」
スネ夫「冗談じゃないよ!そんなおかしな団に付き合ってる暇はないんだ!
僕らは僕らで自由にこの船を満喫させてもらうからね!」
ジャイアン「そうだそうだ!」
私の言う通りにしなさい!」
ジャイアン「へ、嫌なこった!」
スネ夫「だいたい、その何とかって団に入って僕らに何のメリットがるのさ!?」
ハルヒ「あくまで逆らうつもりね。いいわ、じゃあそこの大きい君!私と腕相撲しましょ」
ジャイアン「腕相撲?」
ハルヒ「そ、私が負けたらアンタ達は自由。私が勝ったら有無言わずSOS団に入ってもらうわよ」
ジャイアン「おもしれぇ!年上だからって俺が女の子に負けるわけがねー!」
スネ夫「ハハ!ジャイアン、ケチョンケチョンにしてやりなよw」
ハルヒ「決まりね!古泉くん、審判やって!」
古泉「分かりました」
キョン「(まずい展開になってきたな・・・)」
古泉「それでは両者右腕をこのテーブルに乗せてください」
ギュウッ
古泉「では用意はいいですか?いきますよ。レディー・・・・・ゴー!!」
(勝負は開始の合図と共に一瞬でついた)
キョン「(やっぱりこうなったか・・・)」
ハルヒ「ふふーん♪私の勝ちね♪」
ジャイアン「つ、強い・・・・・」
スネ夫「はー、ジャイアンが負けた」
のび太「信じられない!」
ハルヒ「約束は守ってもらうわよ!今日からあなた達はSOS団の仮団員!
神戸港到着まで私と一緒に遊ぶの!いいわね?」
ジャイアン「お、男に二言はないぜ」
ハルヒ「随分潔いじゃない!それじゃみんなさっさと受付を済ませて
部屋に荷物を置いてきちゃいなさい!それが終わったら中央ホールに集合!いいわね?」
のび太「わ、分かりました」
ジャイアン「分かった」
スネ夫「も~、何でこうなるんだ!」
キョン「あいつならまださっきまで俺達がいた所にいるぞ」
ハルヒ「そう、じゃあ私は有希を呼んでくるから!みんな早く準備しなさいよね!」
(ハルヒは長門の元へと向かった)
キョン「はぁ~~~」
古泉「何とか誤魔化せましたね」
みくる「よかったですぅ~、あのままだったらきっと大変な事になってました!」
ドラえもん「あの~」
キョン「さっきは悪かったな。ああするしか無かったんだ。許してくれ」
ドラえもん「それは別にいいんですが、その・・・」
古泉「詳しい説明をしますので、部屋に荷物を置いたら待ち合わせ場所に行く前に
僕の部屋に来てくれませんか?僕の部屋は6階のBエリアにある589号室です」
ドラえもん「分かりました!それじゃみんな行こう!」
(ドラえもん達は中央ホールへと向かった)
キョン「これから先どうなる事やら・・・・」
古泉「涼宮さんが絡んでる以上、何事も無くというのはあなたの言う通りありえないようですね」
コンコンッ
古泉「どうぞ」
ガチャッ
ドラえもん「お邪魔します」
のび太「お邪魔しまーす」
古泉「お待ちしてましたよ。どうぞ、適当な所にかけてください」
スネ夫「僕らの部屋とあんまり変わらないね」
ジャイアン「何処も同じような作りなんだろ」
ドラえもん「それでは説明をお願いします。どうしてあの人に嘘をついたんですか?」
古泉「その説明をするにはまず、涼宮さんや僕についての説明をしなければなりません」
ドラえもん「お願いします」
古泉「では端的に説明しましょう。僕は超能力者です」
のび太「えぇ!?」
ジャイアン「超能力者?」
ドラえもん「未来人に宇宙人・・・・」
のび太「急にそんな事言われても信じられないよ!」
スネ夫「そうだそうだ!本当に超能力者だって言うなら、何か証拠見せてよ!」
古泉「残念ながら、通常僕には何の力もありません。僕が特殊な力を発揮するのは
ある条件下にある時だけなんです」
ドラえもん「それで、そっちの人は何なんですか?」
キョン「ん?俺か?俺は普通の人間だ」
古泉「えぇ、彼は普通の人間です。そして先程まで一緒にいた涼宮さんなんですが・・・
彼女には不思議な力があります」
ドラえもん「何ですかその力っていうのは?」
古泉「涼宮さんには、自分の願望を現実に反映させる事が出来るんです」
ドラえもん「どういう意味ですか?」
古泉「例えば、涼宮さんが宇宙人や未来人、超能力者と一緒に遊びたいと願えば、
そこに僕や朝比奈さんが集まり、ネコ型ロボットと遊びたいと思えば、今回のように
ドラえもんさんがこの船に乗ってきたりする。これらの事に涼宮さん本人は無自覚ですがね」
ドラえもん「僕がこの船に乗ったのは涼宮さんの力が原因だって事ですか?」
この世に誕生したという可能性もあります」
のび太「そんなのおかしいよ!ドラえもんはず~と僕と一緒にいたんだ!」
古泉「始めからそういった記憶を植えつけられているという可能性もあります。
極端な話をすると、この世界自体が昨日出来た可能性だってあるんです。
一人一人にそれまでの記憶を持たされた形で」
スネ夫「そ、そんな事あるわけないだろ!」
古泉「僕は昔まで普通の人間でした。ある日を境に急に自分が超能力者だという事に
気づいたのです。恐らくこれは、その時に涼宮さんが超能力者の存在を願ったからだと思われます。
もっとも、それに僕が選ばれたのは全くの偶然でしょうが」
のび太「それじゃまるで神様じゃないですか?」
古泉「そう、我々・・・・と言ってもここにいる方々ではなく僕と同じ超能力者で結成されている
機関という組織では、涼宮さんを『神』であるという考え方をとっています」
ジャイアン「えぇ!?じゃあ本当にあの人は神様なんですか?」
キョン「あまりこいつの言う事を信用しちゃいかんぞ。あいつが特殊な能力を持っている
という辺りはその通りだが、神だなんて思ってるのはその機関の連中だけだ」
古泉「仰るとおりです。涼宮さんが何者であるかという考え方に関しては、未来人、超能力者
宇宙人、それぞれ全く別の考え方を持っています。少々持論を押し付けがましく展開しすぎましたね」
ドラえもん「う~~ん」
みくる「あのぉ~、ドラえもんさんって22世紀から来たロボットさんですよね?」
ドラえもん「はい、そうですけど。どうして分かったんですか?」
みくる「さっき古泉くんが言ったとおり、私も未来から来ましたから。
と言ってもドラえもんさんよりももうちょっと先の未来からですけど」
ドラえもん「22世紀よりも先の未来!?」
みくる「22世紀ならタイムマシンもあるし、きっと分かると思いますけど
今から約三年前の○月○日に大規模な時間振動があったのはご存知ですか?」
ドラえもん「三年前って事は○○年ですよね。その年の○月○日・・・・
あっ!思い出した、確かロボット学校に通ってる時歴史の授業で習った!」
古泉「僕はその時間変動と同時に自分が超能力者である事に気づきました。
いや、正確には超能力者である事にされたと言うべきでしょうか。
そしてその時間振動の中心にいたのが涼宮さんです。」
ドラえもん「22世紀ではまだその時間振動が何だったのかや、誰によって引き起こされた
ものなのかどうかまでは分かってませんよ?」
古泉「恐らく一般の方々が理解するにはもう少し時間がいるのでしょう。
朝比奈さんは先程言った通りドラえもんさんよりも先の未来から来たそうですし。
僕らががそれを認識できるのは・・・・何故でしょうね。不思議な事に超能力者だと気づいた時から
これは涼宮ハルヒという人物による仕業だということが頭に入っていました」
みくる「信じてください。でないと・・・・困りますぅ~」
ドラえもん「分かりました、信じます。」
古泉「ありがとうございます」
キョン「いくらなんでも物分り良すぎないか?俺は諸々信じるのにかなり時間がかかったぞ?」
古泉「彼は未来のロボットですからね。時間振動という一般の人間には決して
知りえない情報が我々の口から出た以上、それだけで信じる事が出来るんですよ」
スネ夫「信じられない・・・・あの凶暴な女の子が神様だなんて」
ジャイアン「どうりで強いわけだぜ・・・」
キョン「おいそこ、古泉に毒されすぎだぞ」
古泉「そこで、ここからが本題なのですが・・・この船に乗っている間
我々に協力してくれませんか?」
ドラえもん「協力って具体的に何をすればいいんですか?」
古泉「簡単な事です。先程まで同様、ドラえもんさんにはあくまでこの船の
マスコットキャラクターを演じてもらいたいのです」
ドラえもん「それは別に構いませんけど・・・何でですか?」
という点においては考えが同じなのです。ですから、ドラえもんさんをネコ型ロボットだと
彼女に認識させるわけにはいきません。だから誤魔化す必要があるんです。」
スネ夫「もしあの人が自分の力の事を認識しちゃったらどうなるの?」
古泉「これまでに無い巨大な時間振動と共に、この世界全体を改変してしまう
恐れがあります。我々としてはそれだけは何とか避けたいのです」
のび太「せ、世界を改変?」
古泉「ですから、どうかご協力をお願いしたいのですが」
スネ夫「ドラえもん、協力しようよ!」
のび太「そうだよ、世界を改変されたら僕達消えちゃうかもしれないよ!」
ドラえもん「そうだね。分かりました、協力します!」
古泉「ありがとうございます」
キョン「ようやく話がついたな。じゃ、そろそろ中央ホールへ行くか。
あんまり待たせてまた閉鎖空間でも出されたら敵わんからな」
古泉「ですね」
ドラえもん「閉鎖空間?」
古泉「涼宮さんの精神状態が不安定になると現れる空間の事です。
僕が超能力を使える唯一の空間でもあります」
行動や言動は控えてもらえないでしょうか?特にそちらの御二人は・・・」
ジャイアン「その何とか空間ってのが現れるからですか?」
古泉「えぇ。よろしくお願いします」
スネ夫「神様かもしれない相手に口答えなんて出来ないよ。ね、ジャイアン?」
ジャイアン「それにあの人強いしな~」
古泉「ご協力感謝します」
キョン「おい、いい加減いくぞ!本当に閉鎖空間が出現しちまう」
古泉「そうですね、では行きましょう。」
ガチャッ
のび太「は~、またとんでもない事件に巻き込まれちゃったねドラえもん」
ドラえもん「う~~ん」
のび太「どうしたのさ急に唸りだして」
ドラえもん「いや、前にも何か似たような事があったような無かったような・・・」
のび太「あれ?そう言われるとなんだか僕もそんな気がしてきた」
ドラえもん「ま、何かの気のせいだと思う。気にせず早く行こう」
ハルヒ「あっ!やっと来たわねアンタ達!いったい何をしてたのよ!!」
キョン「ちょっくら野暮用でな」
ハルヒ「何が野暮用よ!下っ端団員がそれでいいと思ってるの?
罰として今日の夜ご飯はキョン、アンタが全員分奢りなさい!」
キョン「なっ・・・全員分ってこいつらも含めてか!?」
ハルヒ「当たり前じゃない。この子達も仮とはいえもう立派なSOS団の団員なのよ?」
キョン「orz」
ハルヒ「それじゃみんな、まずは自己紹介から始めましょう!
そこでうな垂れてるのがキョン!そして私はこのSOS団の団長涼宮ハルヒよ、よろしくね♪」
古泉「古泉一樹です。よろしくお願いします」
みくる「朝比奈みくるです。仲良くしてくださいね♪」
長門「・・・・・・・長門有希」
ドラえもん「(この人が宇宙人か)」
のび太「僕、野比のび太です!」
ジャイアン「剛田たけし!ジャイアンと呼んでくれ!」
ドラえもん「僕ドラえもんです!」
ハルヒ「あら、ドラえもんはずっとその着ぐるみを着たままでいるの?」
ドラえもん「え!?えぇ、まぁ」
キョン「船に乗っている以上、寝る時以外は常に着ていろと言われてるそうだ」
ハルヒ「随分徹底してるのね。流石はオーベロン号といったところかしらね」
キョン「で、これから何をしようっていうんだお前は?」
ハルヒ「ふふーん♪これを見なさい!」バンッ
(ハルヒは持っていたチラシのようなものをキョン達に見せた)
キョン「オーベロン号主催、第3回グループ対抗超人選手権?」
ハルヒ「そっ♪どう?面白そうでしょ?」
キョン「まさかこれに参加しようというつもりじゃないだろうな?」
ハルヒ「勿論そのつもりよ!もう参加登録してきちゃったし」
キョン「なに!?」
ハルヒ「SOS団チームは9名で登録してきたわ!総合優勝賞金はなんと1000万円よ!」
ジャイアン「い、1000万円!?」
ハルヒ「そう、だからアンタ達もやる気を出しなさい!絶対に優勝するの!」
ジャイアン「おもしれ~!やってやろうじゃね~か!な、スネ夫!」
スネ夫「オッケー!」
ハルヒ「いいわ、その意気よ!」
のび太「ドラえもん、優勝したらママに高価なプレゼントが買えるね!」
ドラえもん「うん!頑張ろうのび太くん!」
ハルヒ「安心しなさい!この私がいる限りもう優勝は確約されてるようなものなの!
今の内に1000万の使い道を決めておくといいわ♪」
キョン「(どこからそんな根拠のない自信が出てくるんだこいつは・・・)」
古泉「ところで、チーム対抗というのは分かりましたが、どのような競技で
競い合うのですか?」
キョン「ここに詳しく書いてあるぞ」
・ポーカー(4階カジノルーム)午前中
・カラオケ(6階カラオケルーム)午前中
・射的(5階射的ルーム)午後
・ホームラン競争(5階バッティングセンター)午後
・水泳100m自由形(8階競技用プール)午前中
・パターゴルフ(11階ブリッジ)午後
・クイズ(中央ホール)午後
古泉「なるほど、全7種目ですか・・・結構多いですね」
キョン「中にはこれで何を競うんだってツッコミを入れたくなるようなやつもあるな」
古泉「カラオケの事ですか?詳細によると、どうやら音楽事務所の人間が採点をし
最も得点の高かった者を優勝とするシステムのようです。割と単純ですね」
ジャイアン「音楽事務所!?じゃあ俺それに参加しまーーす!!」
ドラ&のび&スネ「えぇ!!?」
ハルヒ「あら、ジャイアンは歌に自信があるの?」
ジャイアン「勿論です!こっちは任せてください!!」
ハルヒ「いいわ!じゃあカラオケ大会はジャイアンで決まりね!」
スネ夫「い、いや・・・・それは止めといた方が・・・」
ジャイアン「何か文句あんのかぁ!?」
のび&スネ「うぅ、無い」
ハルヒ「でもまぁ一人だけってのも心配ね。みくるちゃん、あなたも参加しなさい」
みくる「ふぇ~!?わ、私がですか!?」
ハルヒ「そっ♪その美貌と美声で審査員をメロメロにしちゃいなさい♪」
みくる「わ、私人前で歌なんか歌えませ~ん」
ハルヒ「大丈夫よ!みくるちゃんボイスならきっといい線行くと思うわ!頑張りなさい!」
みくる「ふぇ~・・・・」
ハルヒ「あと何か、これは自分がやるんだってのがあるなら言ってちょうだい!」
のび太「じゃあ僕は射的をやろうかな」
ドラえもん「そうだね、のび太くんは射的の名人だし!」
ハルヒ「へー、それは期待できそうね!私もやりたいから射的はのび太とドラえもんと私ね」
古泉「では僕は水泳をやりましょう」
(ハルヒはチラシの裏にメモを取り始めた)
ジャイアン「ホームラン競争も俺に任せてくれ!スネ夫も行くだろ!?」
スネ夫「勿論!あと僕はゴルフもやってみようかな。一応経験者だし」
ハルヒ「OK♪ホームラン競争はジャイアンとスネ夫、そして私っと!スネ夫はゴルフもね」カキカキ
キョン「随分スムーズに決まっていくなおい!ところで長門は何かやりたいのはあるのか?」
長門「・・・・・・・・・ゴルフ」
キョン「おぉ・・・これはまた何と言うか・・・一番意外なのをもってきたな」
ハルヒ「有希もゴルフっと」カキカキ
キョン「じゃあ俺は残ったクイズかポーカーのどれかだな」
ハルヒ「アンタはどっちも出なさい!」
キョン「Why?何故?」
ハルヒ「一番下っ端のアンタが一種目しか出ないなんて許されるとでも思ってるの!?」
キョン「(あまり言いたくは無いが、一番の下っ端は仮団員であるこいつらじゃないのか?)」
キョン「言っておくが、俺はクイズと名のつくものは大の苦手だぞ」
ハルヒ「安心しなさいよ、私も一緒に出てあげるから♪
ポーカーの方はドラえもん、あなたがキョンをサポートしてね!」
ドラえもん「え?は、はい」
キョン「すまないがそういう事らしい、よろしく頼むなドラえもん」
ドラえもん「いえ、こちらこそ!」
ハルヒ「早速各競技の登録名簿を出してくるわ!大会は明日30日の朝9時から夜の7時までよ!
今日はこの後みんなでご飯を食べたら解散!自分の部屋でゆっくり英気を養いなさい!
ぜーーったいに優勝するわよ!エイ、エイ、オーーッ!!」
のび&スネ&ジャイ「エイ、エイ、オーーッ!!」
キョン「・・・・以外と子供受けするんだな、あいつは」
古泉「そのようですね。これなら閉鎖空間出現の可能性は回避できそうです」
長門「・・・・・・・」
キョン「ん?」
(その時キョンの目には長門の表情がいつもと微妙に違く見えた
何処か疲れているような、そんな顔に見えたが
勘違いであろうと思いキョンはすぐ目線を変えた)
キョン「まさかこんなにいくとはな・・・・9人分支払って会計が3万・・・。はぁ~」
コンコンッ
キョン「はい?」
古泉「僕です。少々よろしいでしょうか?」
キョン「開けていいぞ」
ガチャッ
古泉「突然すいません」
キョン「何のようだ?夕食代に3万も使わされた俺を哀れみにでも来たのか?」
古泉「いえ、実は今少々面倒な事になっていましてね。
あなたの耳にも入れておいた方がいいと思いまして」
キョン「これ以上何の面倒事があるっていうんだ・・・・」
古泉「ここでは涼宮さんが来てしまう可能性がありますので、場所を変えましょう。
僕について来てください」
キョン「はぁ~」
ガチャッ
ガチャッ
古泉「彼をつれてきました」
キョン「おい、こんな所勝手に入っていいのか?」
古泉「いいとは思いませんが、非常時ですので」
キョン「お前な~・・・・ん?ドラえもん達もいるのか!?」
ドラえもん「僕達も急に古泉さんにここへ連れてこられたんです」
キョン「そりゃ災難だったな・・・・てっ、そこで泣いているのはもしや朝比奈さんでは!?」
ジャイアン「この人さっきからずっと泣いてんだぜ」
スネ夫「何があったのか聞いても何も言わないし」
キョン「おい古泉!お前まさか・・・・」
古泉「か、勘弁してください。朝比奈さん、彼らに説明をお願いします」
みくる「ふええ~、キョンくん私、未来に帰れなくなりました~」シクシク
キョン「・・・・・へ?」
ドラえもん「未来に帰れなくなった!?」
延々とループしてしまっているのです」
のび太「ループってどういう意味?」
ドラえもん「つまり、同じ事を何度も繰り返してるって事だよ!」
スネ夫「えぇ!?」
キョン「・・・・・おい古泉、お前は自分が何を言っているのか分かってるのか?」
古泉「解っていますよ。これ以上ないと言うくらいにね。
さっき朝比奈さんと話し合ってみたんですけど」
キョン「(呼べよ、俺も。その話し合いに!)」
古泉「その結果、ここ最近の時間の流れがおかしくなっている事に気付きました。
これは朝比奈さんの功績と言ってもいいでしょう。お陰で僕にも確信が持てましたよ」
キョン「何の確信だよ」
古泉「我々は同じ時間を何度も繰り返し経験しているという事をです」
キョン「それはさっき聞いた」
古泉「正確に言えば、僕らがオーベロン号に乗船する前の日の8月27日から
船を下りる予定の8月31日までの間をですね。
つまり僕達は終わりなきクルーズの真っ只中にいるわけですよ」
キョン「(同感だスネ夫)」
ドラえもん「何でそんな事が言えるんですか?」
古泉「その辺に関しては、朝比奈さんに説明してもらった方がよろしいかと」
みくる「うー、ええと・・・・、『禁則事項』でいつも未来と連絡したり『禁則事項』したり
してるんですけど・・・・一昨日くらいから『禁則事項』がないなぁ、おかしいなぁって思っていたの。
そしたら『禁則事項』・・・・・・・私凄くビックリして慌てて『禁則事項』してみたんだけど
全然『禁則事項』で・・・・。うう、キョンくん!私どうしたらいいでしょうか?」シクシク
一同「・・・・・・・・・・」
キョン「(どうしたらいいのか俺にも解りませんが、禁則事項の連発のせいで
ドラえもん達がポカーンとしてますよ朝比奈さん)」
ドラえもん「あの、つまり・・・とれるはずの未来との連絡が取れないから
その疑いがるって事ですか?」
古泉「えぇ」
のび太「ドラえもんも確かめてみたら?」
ドラえもん「そうだね、じゃあ『未来電話ー』」
キョン「ぬおっ!!な、何だそりゃ!?」
ドラえもん「これは現在過去未来何処へでも電話をかけることのできる道具です」
のび太「ドラえもんのポケットは四次元空間に繋がってるんです」
ジャイアン「そっ、だからなんでも入るんだ」
キョン「四次元空間だと・・・?今更だが、お前は本当に未来のロボットなんだな」
のび太「何処に電話かけるの?」
ドラえもん「取り敢えずドラミにかけてみる」
ピポパピッ
・・・・・・・・・・・・・・シーーーン
のび太「ドラえもん、どう?繋がった?」
ドラえもん「そんな馬鹿な!?繋がるどころか呼び出し音すら鳴らない!!」
のび太「えぇ!?」
スネ夫「じゃ、じゃあ本当に僕らは同じ時間をループしてるって事!?」
ドラえもん「この電話はどんな状況でも絶対に相手に繋がるように出来てる。
それが全く機能しないってことは、未来そのものが無くなっているとしか・・・」
スネ夫「ママーーーー!!!」
8月以降の未来がないんですよ。朝比奈さんやドラえもんさんが未来との連絡が取れない
のも道理です。理にかなってますね。あなたの言うとおり、未来との音信不通は
未来そのものがないから当然と言えます。」
ジャイアン「いったい何でそんな事になっちゃったんですか?」
キョン「何でそうなったかは流石の俺でも察しがつく。ハルヒだろ?」
古泉「恐らく」
キョン「俺達はハルヒの作った変な世界に閉じ込められてるのか?あの閉鎖空間の
現実的バージョンとかさ」
古泉「世界を再生させたわけではありません。涼宮さんは時間を切り取ったんですよ。
8月27日から31日の間だけをね。だから今のこの世界にはたった5日間しか時間が無いのです」
ドラえもん「それって、昼間に古泉さんが説明してくれた願望を実現に反映させるっていう
能力によって引き起こされてるんですか?」
古泉「そうです。勿論涼宮さん自身は無自覚でしょうが」
スネ夫「でもやっぱりおかしいよ!本当にループしてるんだったら、僕らに前に経験した時の
記憶が残ってるはずじゃないか!!でもそんな記憶何処にもないよ」
古泉「それも全てリセットです。それまでの5日間に得た記憶は無かった事となり
また最初からやり直しとなるのです。」
スネ夫「そ、そんな・・・・」
全人類の記憶が一気にリセットされて、また27日の早朝辺りからやり直し。
そしてそれらの事象はハルヒが原因・・・・」
古泉「えぇ、その通りです」
キョン「何でお前はそんなに嬉しそうなんだ?俺を含めたお前以外の7人は
みんな顔面蒼白だというのに」
古泉「ここ暫く僕を悩ませていた違和感の元が明らかになったものでね」
キョン「違和感?」
古泉「恐らくここにいる全員がそうだったのでしょうが、一昨日の27日から今日まで
不定期に強烈な既視感がありました。今思えば、それは前回以前のループで経験した
記憶の残滓(ざんし)としか言いようがないですね。リセットからこぼれ落ちた部分が
僕達にそれを感じさせていたのでしょう」
ドラえもん「確かに何度もあった、強烈な既視感!」
のび太「僕も!」
ジャイアン「俺もだぜぇ・・・」
ドラえもん「ひょっとしてそれは全人類が感じてるんですか?」
古泉「それはないようです。僕やみなさんは特殊な事例なんですよ。涼宮さんに近しい
人間ほど、この異常を感じ取れる事になっているようです」
古泉「全く無いようですね。してもらっては困るというのもありますが・・・・」
キョン「何て幸せな奴なんだ・・・」
ドラえもん「いったい僕らはこれまでに何回くらいループを繰り返してるんでしょう?」
古泉「この中に一人だけ、我々とは違い記憶のリセットを受けずにここまでの記憶を
全て蓄積している人物がいます」
キョン「なに!?そりゃまさか・・・・」
古泉「えぇ、長門さんです」
キョン「本当なのか長門?」
長門「・・・・・・・・そう」
キョン「それで、俺達は何回くらい同じ5日間をリプレイしてるんだ?」
長門「今回が、15498回目に該当する」
キョン「なっ・・・・・」
ドラえもん「い、15498回!!?」
のび太「そ、そんな~」ヘナヘナバタンッ
(のび太とジャイアンとスネ夫がその場に崩れ落ちる)
スネ夫「ママーーーーー!!!」
キョン「長門、それはマジな話なのか?」
長門「そう」コクリッ
古泉「同じ5日間を1万何千回です。自分がそんなループに囚われていると自覚して
記憶もそのまま蓄積するのだとしたら、通常の人間の精神では持たないでしょう。
涼宮さんはたぶん我々以上に完璧な記憶抹消を受けていると思われます。」
キョン「するとだ、明日俺達がやる予定になっている事も、既に俺達は過去において
やってしまっているのか?」
長門「必ずしもそうではない」
キョン「どういう事だ?」
長門「過去15497回のシークエンスにおいて、涼宮ハルヒやあなた達が取った行動は
全て一致しているわけではない」
出会ったが合流しなかったパターンは234回が該当する。この船には今のところ
毎回乗っている。明日開催される大会にはドラえもん達と合流した場合である15261回
全てにおいて参加している。今回の競技内容は全7種類だが、これが9種類あったパターンが
2039回、11種類あったパターンが8567回ある。各競技に誰が挑戦するかも多数のパターンがある
今回のように涼宮ハルヒが3種目、射的・ホームラン競争・クイズに挑戦するパターンは
これまでに3449回あり、その他にも」
キョン「いや、もういい!」
みくる「ふえ~~ん」シクシク
キョン「(俺も泣きたいですよ朝比奈さん・・・・)」
のび太「もう駄目・・・・頭が爆発しそう」
ドラえもん「だ、大丈夫のび太くん?」
キョン「しかし何でまた長門にだけ記憶が残ってるんだ?」
古泉「長門さん、と言うよりも情報統合思念体が、時間も空間も超越している存在だからでしょう」
キョン「さっきまでの不気味な笑顔が消えたな。流石のお前も想像を絶する数値に驚いたか」
古泉「正直これほどまでとは思っていませんでしたからね。僕ものび太くん同様
現状頭が痛い状態です」
キョン「ん?待てよ、じゃあ長門!お前はこの5日間を15498回もずっと体験してきたんだよな?」
長門「そう」
のべ日数は77490日・・・・約212年分だぞ!それだけの時間をお前は
記憶を残した状態のまま過ごしていたってのか・・・・」
長門「そう」
キョン「お前・・・」
ドラえもん「何で何度もループしているのが分かっているのに
今までずっと黙っていたんですか?」
長門「私の役割は涼宮ハルヒの観測だから」
キョン「なるほどな・・・」
スネ夫「に、212年も僕らは同じ事を繰り返してるなんて・・・」
のび太「何でハルヒさんはそんな事をやっているんですか?」
古泉「推測ですが、涼宮さんはこの旅行を終わらせたくないんでしょう。
無意識の内に頭の何処かでそう思っているからこそ、現実にこのような形で
反映されているんだと思います。ですね長門さん?」
長門「・・・・そう」
キョン「俺達はどうすればいい?」
それをせずに新学期を迎えるわけにはいかない。それをしないと心残りがある。
そのモヤモヤを抱えたまま8月31日の夜を迎えて眠りにつき」
キョン「目を覚ましたら綺麗さっぱり5日分の時間を巻き戻してるってわけか・・・」
古泉「えぇ」
キョン「何というか、愛想も呆れも尽き果てるとはこのとこだな。何でもする奴だとは
思っていたが、だんだん非常識レベルがランクアップしてるんじゃないか?
いったい何をすればあいつは満足してこのループから抜け出せるんだか・・・」
古泉「さぁ、それは僕には。長門さんは解りますか?」
長門「解らない」
ドラえもん「つまり、涼宮さんがこの船旅でやり残したとされる事を僕らが実現させれば
このループから抜け出せるってことですよね?」
古泉「そうです。しかしご覧の通り、そのやり残した事とやらが皆目検討もつかない状況でして」
キョン「ドラえもんは何か心当たりはないか?」
ドラえもん「さぁ、僕らは涼宮さんと今日知り合ったばかりですし・・・」
キョン「だよな~」
ドラえもん「あの、長門さんはこれまでの記憶を全部持ってるんですよね?
だったら過去にあった出来事やパターンを聞けば、やり残していることも
少しずつ見えてくるんじゃないんですか?」
時間のループに気づいたのはこれで何回目ですか?」
キョン「(今回が初めてであってくれ・・・・)」
長門「8769回目。最近になるほど、発覚の確率は高まっている」
キョン「orz」
ジャイアン「えぇ!?じゃあ俺達は8000回以上もこの事に気付いてるのに
ループを脱出できずにいるってことかよ~」
古泉「・・・・そのようですね」
のび太「そんな~」
スネ夫「8000回以上も駄目だったのに、今回に限って脱出できるわけないよ!」
古泉「しかし、そう諦めていてはいつまでも活路を見出せません。
とにかくできる事を考え、実行するしかありません」
キョン「できる事ったってな~」
古泉「長門さんの情報を整理しますと、15497回のシークエンスにおいて
一貫している事はこの船に乗っているという点です。そして次に多いのが
ドラえもんさん一行と合流し、合流した際は全てにおいて明日行われる予定の
超人選手権なるものに出場している。どうやらこの辺りに脱出の糸口があるように思います」
長門「ない。大会に出場した15261回の内、最も成績が良かったのは総合2位」
キョン「おい!だったらこれで決まりじゃないか!!明日の大会で優勝さえすれば
この無限ループから脱出できるんじゃないか?」
古泉「確かにその可能性は高いですね。しかし・・・・長門さん、彼が今と同じ質問を
したのはこれが何回目ですか?」
長門「8769回目。ループに気付いた全てのパターンにおいて質問している」
キョン「なっ・・・・・」
古泉「つまり、我々はそこまで解っていながらも、8000回以上も明日の大会で
優勝出来ずにいるという事ですね」
キョン「どうすりゃいいんだ・・・・」
のび太「ドラえもんの道具を使えば簡単に優勝できるんじゃない?」
ドラえもん「うん、確かに!」
キョン「道具?」
のび太「ドラえもんはさっきの電話みたいな便利な道具を沢山持っているんです!」
古泉「それを使えば簡単に優勝出来ると?」
のび太「はい」
キョン「あぁ、確認すべき事があるな」
古泉「これまでのシークエンスにおいて、ドラえもんさんの道具を使用して明日の大会に
出場した事があるのか無いのか。もしあったのだとしたら、我々はそれを使用しても尚
優勝できずにいるというわけですから、益々打つ手が無くなります」
キョン「確かに、これもアウトとなると流石に厳しいな。ただ8000回以上も繰り返して
おきながら、今回に限ってドラえもんの道具を使用するってパターンが都合良く
出てくるとも思えないが・・・・」
古泉「僕もそう思いますが、その可能性に賭けるしかありません」
キョン「だな・・・・・。聞くが長門、これまでにドラえもんの道具を使って明日の大会に
挑戦した事は何回ある?」
長門「・・・・・・」
のび太「ゴクッ・・・・」
スネ夫「神様・・・・・」
キョン「どうなんだ長門?」
長門「ない。のび太がさっきのような提案をしたのは今回が初めてのケース」
キョン「そ、そうか!!」
のび太「やったー!!」
古泉「確認しますが、あなたの道具を使えば明日の大会は絶対に優勝
出来るのですね?」
ドラえもん「勿論です!」
ジャイアン「やったなスネ夫~!これでループから脱出できるぞ~」
スネ夫「やったー!!」
キョン「これで今回は何とかなりそうだな」
古泉「えぇ。のび太くんに救われましたよ。ドラえもんさん、では早速明日の
対策を練りましょう」
ドラえもん「そうですね!」
古泉「まずはポーカーですが・・・・」
ドラえもん「ポーカーならこれを使えばきっと勝てます『ツキの月ー!』」
キョン「何だこれは?」
ドラえもん「これを飲むと3時間、信じられないほどの幸運がおとずれるという道具です!」
古泉「運の要素の強いポーカーにおいて、その道具は最良かもしれませんね。
ポーカーに参加するのは確か、あなたとドラえもんさんの二人でしたね。
どちらが飲むんですか?」
キョン「・・・じゃあ俺だな」
古泉「おや、僕にはとてもあなたが不運は人間には見えませんが?」
キョン「高校入学以来ハルヒのメタクソイベントに付き合わされてるだけで
俺は十分不運だ」
ドラえもん「じゃあこれはあなたに渡しておきます!ポーカーが始まる前に飲んでください」
キョン「分かった」
古泉「次はカラオケですが、これはどうしますか?」
ドラえもん「『ジーンマイクー!』」
●ジーンマイク
このマイクを通して聞いた者は、歌でもお話でも、ジーンと感動してしまう。
古泉「なるほど、これなら確かに優勝できそうですね。カラオケは朝比奈さんと
ジャイアン氏でしたね。どちらが使いますか?」
スネ夫「それはジャイア」
ジャイアン「俺には必要ないっ!!」
スネ夫「えぇ!?」
のび太「必要無いって、まさか普通のマイクで歌うつもりぃ?」
ジャイアン「当たり前じゃねーか!」
スネ夫「そんな事したら死人が出るぞ・・・」
ジャイアン「おぉ!?何か言ったかスネ夫!!」
古泉「ではジャイアン氏は普通のマイク、朝比奈さんがそのマイクを使ってください」
みくる「わ、分かりましたぁ~」
ドラえもん「あの、ジャイアンに普通のマイクなんて使わせて本当にいいんですか?」
古泉「今回の大会は団体戦です。彼が駄目でも朝比奈さんが優勝さえすれば
何の問題もありません」
ドラえもん「もしジャイアンが普通のマイクでなんか歌ったら、朝比奈さんも同じ
SOS団チームって事でかなりの減点が予想されます!!」
キョン「そんなに酷いのかあいつの歌は?」
のび太「そりゃあもう」
古泉「そうですか・・・・。では回避した方がよさそうですね。
朝比奈さん、明日彼が歌う前にこっそりとマイクを入れ替えておいてください」
みくる「はい、やってみます!」
ドラえもん「これは何もしなくても大丈夫です!」
古泉「何故です?」
ドラえもん「のび太くんは射的の天才なんです!!」
のび太「エッヘン!!」
ドラえもん「他に取柄はないですけど!」
のび太「も~、ドラえもんはいつも一言余計なんだよ~!」
古泉「では射的は君に任せます。次はホームラン競争ですね
参加者は涼宮さんとスネ夫くん、そしてジャイアン氏ですが」
ドラえもん「『黄金バットー!』」
●黄金バット
当たりさえすれば必ずホームランにしてしまうバット
キョン「しかしまぁよくこうも都合のいい道具が次々と出てくるもんだな」
古泉「ではこのバットを三人で回して使ってください」
スネ夫「え?涼宮さんにも使わせていいんですか?」
涼宮さんはそれを自分の力だと思い、何かを疑おうなどとは絶対に思いませんから」
キョン「いつも根拠の無い自信で満ち溢れてる奴だからな」
古泉「次は僕が出る水泳ですが、これはどうしますか?」
ドラえもん「『着せ替えカメラー!』」
●着せ替えカメラ
着に入ったデザインの服を着せたい人にすぐ着せられるカメラ
ドラえもん「これに人魚のデザインを入れてシャッターを押せば、古泉さんを
人魚にする事ができます!」
キョン「古泉が人魚だと?それは下半身だけ魚になるって事か?」
ドラえもん「そうです」
古泉「・・・・あの、別の道具はないのでしょうか?」
ドラえもん「ありません」
キョン「面白そうではあるが、ただそれじゃ現地で半魚人姿を衆目に晒す事になるぞ?」
のび太「バスタオルでも巻いとけば大丈夫じゃないですか~?」
キョン「かなり怪しまれるだろうが、まぁ他に手が無いってなら仕方ない。諦めろ古泉」
かもしれんから気をつけろよ」
古泉「・・・・・えぇ」
キョン「次はゴルフだな。参加するのはスネ夫と長門か・・・・これも何もする必要ないな」
ドラえもん「え?どうしてですか?」
キョン「長門は何でもこなせるスーパー超人みたいなもんなんだ
道具無しでも文句なしで優勝できるさ。そうだろ、長門?」
長門「・・・・・」コクッ
キョン「最後に俺とハルヒが参加するクイズだが・・・」
ドラえもん「これに関しては良さそうな道具がないんです」
キョン「なに?じゃあ自力で何とかするしかないのか?」
ドラえもん「『暗記パンー!』『世界クイズ全集!』『スモールライトー』」
●暗記パン
この食パンに暗記したい物を写して食べれば写した内容を完璧に覚えられる
ドラえもん「この世界クイズ全集の全ページを暗記パンに写して食べれば
たぶん何とかなると思います・・・」
そんなに食パンなど食えんぞ・・・」
ドラえもん「このスモールライトで世界クイズ全集を小さくすれば
一枚のパンに多くのページを写す事ができるはずです!」
キョン「しかし500近くあるページ数を全て食パンに写すというだけでも
結構な重労働だな。何だかんだで今夜は眠れそうにない・・・」
みくる「それにしても凄いですねぇ、ドラえもんさんの道具は!
こんなに便利なものばかりあるなんてビックリです!」
キョン「ん?朝比奈さんはドラえもんの未来よりも更に未来から来たんですよね?
だったら今までに出た道具の事だって知ってるはずじゃないですか?」
みくる「それは・・・・・禁則事項です」
キョン「?」
古泉「取り敢えずこれで明日の大会は何とかなりそうですね。
何としても優勝して、このループから抜け出しましょう」
ジャイアン「もうこれ以上同じことを繰り返すのは御免だぜ!」
スネ夫「そうとも!記憶はないけど212年以上もママに会ってないなんて耐えられない!」
のび太「みんなで頑張ろう!」
キョン「やったな長門、どうやら今回は抜け出せそうだぞ」
キョン「長門?」
長門「楽観視はできない」
キョン「他にも何か問題でもあるのか?」
長門「分からない。・・・・ただ可能性はある」
古泉「ではみなさんそろそろ私室に戻りましょう。明日は早いですしね
ゆっくり休んでください」
スネ夫「あっ!もう12時だ!」
ジャイアン「俺ももう眠くて駄目」
のび太「ドラえもん、僕らも戻ろう」
ドラえもん「そうだね」
キョン「じゃあ俺も戻るとするか。世界クイズ全集とやらの問題と回答を
丸暗記せにゃならんからな」
みくる「私も戻りますぅ~」
(8人は倉庫を出てそれぞれの部屋へと戻った)
ハルヒ「おっはよーみんな!いよいよこの日が来たわよ!」
キョン「朝から元気な奴だな・・・」
ハルヒ「当たり前じゃない!SOS団の存在を全世界に知らしめるチャンスなのよ!
あんた何でそんなに疲れた顔してるのよ?ちゃんと寝た?もっと気合を入れなさい!」
キョン「(人が優勝する為に徹夜で頑張っていたというのに・・・)」
ハルヒ「あなた達も気合入れなさいよ!昨日も言ったけどぜーーったいに優勝するの!」
ジャイアン「あったり前だ!今度こそ絶対優勝してやる!」
ハルヒ「今度こそ?あんた前にもこの船に乗った事あるの?」
キョン「あ、いや・・・・こいつら先週小学校の野球大会で優勝出来なかったんだとさ」
ハルヒ「そうなの。だったらその悔しさを全てこの大会にぶつけなさい!!私が許す!」
キョン「ふぅ~」
ハルヒ「古泉くんやみくるちゃんもいいわね!絶対に勝つの!ただ優勝するだけじゃ
つまらないわ!目指すのは完全優勝!7種目全て勝つのよ!!」
キョン「(またハードル上げやがって・・・)」
ハルヒ「有希もいいわね!?」
ピンポンパンポーーン
アナウンス『超人選手権に出場予定のチームの皆様にお知らせ致します。
まもなく4階カジノルームにてポーカー大会と、6階カラオケルームにてカラオケ大会を
実施致します。各チームの出場予定の方は、御時間までに各競技場までお越しください』
ハルヒ「遂に始まるのね!ポーカーはキョンとドラえもん。
カラオケはみくるちゃんとジャイアンね!絶対に勝つのよ!!」
キョン「やれやれ、じゃあ行くか」
ドラえもん「はい」
のび太「ドラえもん、頑張ってね!」
みくる「じゃあ行ってきますぅ~」
ハルヒ「みくるちゃん!頑張るのよ!ジャイアンも!」
ジャイアン「おう!任せとけ!」
(4人は各競技場へと向かった)
キョン「それにしても凄い数だな。これみんな参加者か?」
ドラえもん「何たって賞金1000万円ですからね」
キョン「15000回以上も同じ大会に出場しているとも知らずに・・・」
ドラえもん「僕達で何とかするしかありませんね」
キョン「そうだな」
司会「超人選手権に参加の皆様!これよりポーカー大会を開始致します!」
ワーッ ワーッ ワーッ
司会「この大会には全28チームが出場しています!ポーカー挑戦者数は83名!
優勝者の所属しているチームには10pt、2位と3位の方の所属しているチームには
それぞれ5pt、2ptずつが加算されます」
キョン「各チームごと競技に出してる人数が違うようだが、これは不公平じゃないか?
参加者を多く出してるチームの方が上位に食い込む可能性は高いだろ」
司会「1つの競技につき参加できる人数の上限は3名と明記しておりました。
ですので、1名や2名のみで参加のチームに関しましては責任をとれません」
キョン「(んな事書いてあったのか・・・)」
ドラえもん「ポーカー参加者が83名って事は、3人出してないのは僕達の
チームだけですね」
俺だけじゃなく、まさかハルヒや古泉まで見落としていたとはな・・・。
水泳なんてあいつ一人しか登録してないじゃないか」
ドラえもん「大丈夫ですよ!僕の道具がありますから!」
キョン「そうだったな。頼りにしてるぜ」
司会「では早速一回戦を開始いたします!チーム名と個人名を読み上げますので
呼ばれた方は指定されたテーブルへと向かってください!」
ドラえもん「いよいよだ」
--------
----
--
司会「4番テーブル、チームSOS団キョン様!」
キョン「お、呼ばれたか。じゃあ行ってくる」
ドラえもん「ツキの月を飲むのを忘れずに!」
キョン「あぁ、分かってる」
司会「11番テーブル、チームSOS団ドラえもん様!」
ドラえもん「あ、僕も行かなきゃ!」
1つのテーブルには3名~6名までのプレイヤーが座る(チームが被っている場合あり)
各テーブルには必ず進行役の人間が1人おり、カードを配ったりなどは全てこの者がやる。
ゲーム数は全部で3回。プレイヤーにはゲーム開始前に進行役から現金1万円分の
チップが渡され、最終ゲーム終了時点で最もチップが多かったものが勝利。
1ゲームにつきカードの交換は2回までであり、捨てたカードの分だけ交換する事ができる
プレイヤーがチップを賭けれるのは最初にカードを配られた際と、2回目にカードを
交換した後のみであり、それ以外のタイミングでのベットは認められない。
手持ちのチップが無くなった者はその時点で除外され、次のゲームには参加できない。
--------4番テーブル
(ここにはキョンを含め四人のプレイヤーが座っていた)
進行役「みなさんよろしいでしょうか?」
キョン「ちょ、ちょっと待ってください!」ゴクゴクッ
(キョンは手に持っていたツキの月を飲んだ)
貴族風の男「ははは、それは栄養ドリンクかね少年?w」
ギャンブラー「へっ、ギャンブルにおいてそんなもん糞の役にも立たないぜw」
貴婦人「今からでも遅くないから、坊やは棄権したらどう?w」
キョン「あははは・・・(今に見てろよアホ共!)」
キョン「えぇ、お願いします」
ギャンブラー「さっさと始めようぜ!」
進行役「では最初のゲームを開始します」シャッシャッシャ
(進行役はよく切ったトランプを四人に分けた
四人は目の前に置かれた5枚のトランプを手に持つ
貴族風の男「ほうほうなるほど。諸君、悪いが最初のゲームは私がもらったw」
ギャンブラー「言ってろ!」
貴婦人「(なかなか良い感じね♪これなら勝てそう)」
(一方のキョンは配られた自分の手札を見た瞬間
驚きのあまり声をあげそうになった)
キョン「(なんてこった・・・・・・・・)」
進行役「手札は2回変える事ができますが、この段階でチップを賭ける方は
いらっしゃいますか?」
貴族風の男「では取り敢えず2000円分賭けるとしよう」
ギャンブラー「俺はパス。様子見だ」
貴婦人「私もパスよ」
キョン「全チップ賭ける」
貴族風の男「なに!?」
ギャンブラー「ハハ、正気かよお前!?」
貴婦人「若いわねw」
進行役「本当によろしいのですか?これで負けた場合、第2、第3ゲームを
待たずしてあなたの一回戦敗退が決定しますが?」
キョン「えぇ、構いませんよ。後俺は交換もしないんでこのままでいいです。
そっちで勝手に進めてください」
ギャンブラー「ハハハ、いかれてやがるぜこいつw」
貴族風の男「余程今の手札に自信があるのだろうが、まぁ吼えていられるのも
今の内だけだ。直ぐに現実の厳しさを教えてやる」
(キョン以外の3人による1度目、2度目のカード交換が終わり
最後のベットタイムがおとずれる)
進行役「では手札を公開する前にチップを賭けてください」
貴族風の男「先程2000円分ベットしたが、そこに8000円分を上乗せしよう」
ギャンブラー「何だよオッサン、あんたまで早くも全額勝負かい?」
賭けるわけにはいかんだろう。それに、最初から全員が全額を賭ければ
長々と3ゲームも消化せずに済む。時間短縮だ」
ギャンブラー「へ、プライドだけは一級品だな。まぁいいだろう!
本当の強者ってのは1度キリの勝負をものにするもんだ。俺も全額行くぜ!」
貴婦人「では私も」
進行役「承知いたしました。では一斉に手札を公開してください」
貴族風の男「フルハウス!!」バッ
ギャンブラー「フルハウス!!」バッ
貴婦人「ふふ、フォア・カード♪」バッ
貴族風の男&ギャンブラー「な、なに!?」
貴婦人「残念ですけど、この勝負私の勝ちですわねw」
進行役「いいえ、あなたも負けです」
貴婦人「はぁ!?何言ってるのよ!?どう見たって私が一番じゃな・・・」
進行役「彼はロイヤルストレートフラッシュです」
キョン「いや~、すいませんねぇ」
貴族風の男「ば、馬鹿な!!ノーチェンジでこんな役が出るわけ・・・・」
ギャンブラー「なんて野郎だ・・・・信じられねぇ」
キョン「この人たち手持ちのチップ無くなっちゃったみたいですし
これは俺の勝ちって事でいいんですよね?」
進行役「その通りです。チームSOS団キョン様、2会戦進出でございます」
キョン「(こりゃ凄い道具だ。これなら余裕で優勝できる!
そういえば、朝比奈さんとジャイアンは大丈夫だろうな・・・)」
-----------カラオケルーム
参加者83人中既に46人の歌唱が終了し
いよいよジャイアンの出番が迫ってきた
ジャイアン「いよいよだ!何か緊張してきたな」ドキドキ
みくる「大丈夫ですよたけしくん!ほら、深呼吸しましょう」
ジャイアン「す~~は~~、す~~は~~」
みくる「どうですか?少しは緊張が解れましたか?」
ジャイアン「はい!だいぶ楽になりました!」
ジャイアン「はい!」
(ジャイアンが目を閉じている隙に、朝比奈はジャイアンが使う予定の
普通のマイクとジーンマイクを入れ替えた)
ジャイアン「す~~は~~~」
みくる「ふふ、これできっと緊張する事無く歌えますよ!」
ジャイアン「ありがとうございます朝比奈さん!」
司会「それでは次の方に参りましょう!エントリーNo.49、チームSOS団の
剛田たけしくんによります、オリジナルソング『俺はジャイアン』です!どうぞ!!」
パチ パチ パチ パチ
ジャイアン「おーれーはジャイアーーン♪がーきだいしょー♪
てーんかむーてきーのおーとこーだーぜー♪」
会場「おぉぉぉ!!!」ドヨドヨ
審査員「これは素晴らしい・・・なんて美しい声なんだ」
みくる「わ~、凄いですたけしくん!何だかジーンとしてきちゃいましたぁ」
ジャイアン「(あれ?みんな感動して泣いてるぞ・・・もしかして俺って本当に凄い
歌手なのかもしれない・・・)」
ガヤ ガヤ ガヤ
関係者「競技に参加される方は急いでくださーい!」
古泉「さて、そろそろ行かなくてはならないようですね」
のび太「だから早く撮りましょうよ!この着せ替えカメラのシャッターを押せば
古泉さんは人魚になれるんですから!そうすれば優勝間違いなしですよ?」
古泉「分かってはいるんですけどね・・・やはり多少抵抗がありますよ」
のび太「ドラえもんの道具なんですから大丈夫ですよ」
古泉「そうかい?・・・・では、お願いします」
のび太「いきますよー!ハイ、チーズ」カシャッ
(古泉の下半身が魚のようになった)
古泉「これは・・・・いざそうなってみると我ながら気味が悪いですね」
のび太「古泉さん、早くバスタオルで隠さないと見られちゃいますよ!」
古泉「おっと、そうだったね」バサッ
のび太「じゃあ頑張ってください!絶対に優勝してくださいよ!」
古泉「えぇ・・・・頑張ってみます」
司会「優勝は、チームSOS団キョン様に決定致しました、みなさん拍手をどうぞ!」
パチ パチ パチ パチ
敗者A「なんて野郎だあの餓鬼!結局決勝も全部ロイヤルストレートフラッシュだなんて・・・」
敗者B「それも全部ノーチェンジでだぜ・・・あれじゃイカサマすら出来ないじゃねーか」
野次馬「すげーぞ兄ちゃん!!俺にもその幸運を分けてくれ!」
キョン「あははは、どうも」
ドラえもん「いやーよかったよかった」パチパチ
ハルヒ「やっと見つけたわ!ドラえもん、結果はどうだったの!?」
ドラえもん「ご覧の通り、キョンくんが優勝しました!ちなみに僕は二回戦負け、ドゥフフフフ」
野次馬「よーーし!みんなで奇跡の男、キョンを胴上げだー!!」ガシッ
キョン「え!?あ、ちょ・・・・」
ワーーショイ♪ ワーーショイ♪ ワーーショイ♪
キョン「ぬおっ、落ちる落ちる!」
ドラえもん「あらら、胴上げされちゃってる」
ハルヒ「凄いじゃないのキョン!まさか本当に優勝しちゃうなんて!流石はSOS団の
団員だわ!あんたもやれば出来るのよ♪」
キョン「そりゃどうも」
ドラえもん「これでSOS団チームは12pt獲得、今の段階では首位ですね!」
ハルヒ「そうね♪このまま一気に2位以下をつけ離してサイレンススズカの如く
逃げ切るわよ♪」
キョン「(また懐かしい馬の名前を出すな)」
ドラえもん「そういえば、ジャイアンと朝比奈さんの方はどうなってるんですか?」
キョン「それは俺も気になる」
ハルヒ「じゃあみんなで見に行きましょう♪有希とスネ夫もそこにいると思うから♪」
キョン「ん?古泉とのび太はどうしたんだ?」
ハルヒ「古泉くん達ならもう水泳競技に向かったわよ!そっちも後で応援に行きましょう!」
キョン「(するとあいつは今頃半漁人姿なわけか。心中察するぞ古泉)」
司会者「優勝は、エントリーNo.49!チームSOS団の剛田たけしくんです!」
ワーッ ワーッ ワーッ
パチ パチ
ジャイアン「よっしゃぁぁぁ!!!!」
スネ夫「わー凄い!!あのジャイアンが本当に優勝しちゃったよ長門さん!」
長門「・・・・・そう」
ドラえもん「スネ夫くーん!」
スネ夫「あ、ドラえもん!ポーカーの方はどうだったの!?」
ドラえもん「キョンくんが見事優勝しました!」
スネ夫「やったー!!」
ハルヒ「こっちはどうなったの!?」
スネ夫「それが見てよほら、優勝がジャイアンで2位が朝比奈さん!」
ハルヒ「ええ!?ちょっと凄いじゃないの!!SOS団が上位独占だなんて!!」
キョン「(未来の道具様様だな)」
みくる「おめでとうたけしくん!凄く良い歌でしたよ」
ジャイアン「朝比奈さんの歌も良かったですよ!俺思わず泣いちゃったぜ」
ハルヒ「よくやったわ二人とも!!ジャイアン、あんた歌手になりなさいよ!
絶対に大物になれるわ!今すぐにでも音楽事務所に入るべきよ!」
ジャイアン「いや~それほどでも」
ハルヒ「それにみくるちゃんも2位なんて凄いじゃない!やっぱりあなたを連れてきた
私の目に狂いは無かったわ!みくるちゃんにはこれからも歌手活動の場を提供
し続けてあげるから楽しみにしてなさい♪」
みくる「わ、わ~い・・・」
ハルヒ「次は古泉くんの所ね♪みんなで行きましょう♪」
のび太「みんなー!」
ドラえもん「あれ、のび太くん!古泉さんに付き添ってたんじゃないの?」
のび太「え?水泳はもう終わったよ」
ハルヒ「終わったですって!?それで、古泉くんは何位だったの?」
のび太「優勝しました」
キョン「(ま、そりゃそうだわな。身体半分魚なわけだし)」
ドラえもん「1位の種目が3つと2位の種目が1つだから合計・・・35ptですね!」
キョン「こりゃもう優勝確定レベルじゃないのか?」
ハルヒ「いいえ、まだ油断は出来ないわ!午後にやる競技も全力でやるわよ!いいわね!?」
古泉「おや、みなさん御揃いでしたか」
ハルヒ「お帰り古泉くん!よくやったわ、あなたは天才よ!次のオリンピック
目指せるんじゃないかしら!?」
古泉「あはは、ありがとうございます」
スネ夫「取り敢えず幸先いいね!これなら優勝間違いなしだよ」
ハルヒ「それにしても信じられないわ・・・・なんだか自分が怖くなってきた」
キョン「・・・一応聞いてやるが何故だ?」
ハルヒ「だってみんなをSOS団に入れたのは私なのよ?これだけ天才ばかりを
何人も集めてしまうなんて、自分が怖いわ!!」
キョン「(確かに怖がった方がいい。お前は自分の周りに未来人と宇宙人、超能力者に
更には未来から来たネコ型ロボットまで呼び寄せちまってるんだからな)」
ハルヒ「じゃあこれからみんなでお昼を食べて午後の決戦に備えましょう♪」
ピンポンパンポーーーン
アナウンス『超人選手権出場中の皆様にお知らせいたします!
間もなく、午後の部を開始致します。射的大会に出場予定の方は5階射的ルームへ
ゴルフ大会に出場予定の方は11階ブリッジまでお急ぎください!』
ハルヒ「いよいよ午後の部ね!!みんな気合入れていくわよ!!」
キョン「最初は射的にゴルフか。長門、頑張れよ」
長門「・・・・・」コクッ
のび太「よし、行こうドラえもん!!」
ドラえもん「ふふふ、のび太くんいつにも増して気合入ってるね!」
ハルヒ「そういえば射的はのび太の得意分野だったわね!期待してるわよ!」
のび太「はい!!」
みくる「みなさん頑張ってくださいねぇ~!」
ハルヒ「それじゃ行くわよ!!SOS団の快進撃はまだまだ続くの!!
覚悟しなさい愚民共♪」
キョン「(誰に言ってるんだあいつは・・・)」
ガヤ ガヤ ガヤ
司会者「射的大会参加者の方はこちらに来てください、間もなくルールを説明します」
ハルヒ「ふふん♪腕がなるわ♪早く始まらないかしら♪」
司会者「よろしいですか?それでは説明致します。この競技は40m先の的に向かって
この拳銃を撃ち、得点を競うというものです。弾は10発でございます。
的の中心に近いほど得点は高くなりますが、的を大きく外した場合は得点がマイナス
になりますのでご注意ください。」
ハルヒ「以外と単純ね」
のび太「それって本物の拳銃じゃないの?」
司会者「その通りです。この競技では本物の拳銃を使用していただきます」
のび太「えぇ!!?」
ドラえもん「本物!?」
ハルヒ「いいじゃない♪どうせやるなら本物の拳銃の方が断然面白いわ♪」
司会「出場者数は84名ですので、これをそれぞれ14名ずつ6グループに分け
1回戦を開始いたします。2回戦に進めるのは各グループ成績上位の5名のみ。
2回戦は残った30名をそれぞれ10名ずつ3グループに分け、準決勝に進めるのは
各グループの成績上位の2名となります」
ハルヒ「案外楽そうね♪決勝に進出する3人は私達で決まりだわ♪」
ドラえもん「あの、凄い自信ですけど涼宮さんは本物の拳銃を
扱ったことがあるんですか?」
ハルヒ「あるわけないじゃない。でも何とかなるわよ!オモチャだと思ってやればいいの!」
ドラえもん「はあ・・・」
のび太「僕本物の拳銃を使いこなす自信ないよ~」
ハルヒ「撃った後にちょっと衝撃がある位で他はおもちゃと変わらないわよ!
この競技に関してはのび太、あなたがSOS団のエースなのよ!!」
のび太「僕が、エース?」
ハルヒ「そう!だからもっと自信を持ちなさい!」
のび太「ドラえもん、僕エースだって!」
ドラえもん「ふふふ、良かったねのび太くん!」
のび太「よーし、頑張るぞー!!」
ハルヒ「その意気よのび太!!」
司会者「それではこれよりチーム名と名前を読み上げますので、呼ばれた方は
指定された区画へと向かってください!」
-----
--
司会「チームSOS団、のび太様!ドラえもん様!C区画へと向かってください」
のび太「あ、僕達だ!」
ドラえもん「僕達は同じグループみたいだね」
ハルヒ「二人とも頑張るのよ!」
司会「チームSOS団、涼宮ハルヒ様!D区画へと向かってください」
ドラえもん「涼宮さんも呼ばれましたよ!」
ハルヒ「じゃあ行ってくるわ!」
のび太「僕達も行こう!」
ドラえもん「そうだね」
----------C区画
バンッ バンッ バンッ バンッ
のび太「うわ!もう始まってる!」
ドラえもん「流石に本物の拳銃だと凄い音がするね」
ドラえもん「やっぱりみんなマイナスだ。これは難しそうだ」
アナウンス『チームSOS団、ドラえもん様。7番で競技を開始してください』
のび太「ドラえもん呼ばれたよ!」
ドラえもん「7番って・・・・あ、あそこか!じゃあ行ってくるね!」
のび太「頑張ってね!」
-------C区画7番射撃場
係員「ドラえもん様ですね。それではこのヘッドホンをつけてください。
射撃は私が『始めと』、と言ってからお願いします」
ドラえもん「分かりました」
係員「準備はよろしいですか?」
ドラえもん「どうぞ」
係員「では、始め!」
バンッ バンッ バンッ バンッ
ドラえもん「(凄い衝撃だ!照準がずれる)」
アナウンス『チームSOS団、ドラえもん様18点』
ドラえもん「ふー」
係員「お疲れ様でした、順位発表までお待ちください」
ドラえもん「分かりました」
ビーーーーッ
アナウンス『チームSOS団、のび太様78点』
ドラえもん「えぇ!?78点!?」
のび太「は~怖かった」
ドラえもん「凄いよのび太くん!78点なんて学校のテストでもとった事ないのに!」
のび太「でも最初の方は上手く照準が合わなかったよ。最後の方は修正できたけど」
ドラえもん「この点数なら2回戦突破は間違いないね!みんな殆どマイナスだし」
-12点の男「今のアナウンス聞いたか?あの餓鬼78点だとよ」
-49点の男「へ、どうせマグレだろ」
アナウンス『C区画、全14名競技終了しました。これより順位を読み上げます』
アナウンス『第1位、118点!チームゴルゴ、斉藤様。第2位、78点!チームSOS団
のび太様。第3位・・・』
ドラえもん「ひゃ、118点!!のび太くんよりも上がいるなんて!」
のび太「うわ~凄いな~」
アナウンス『第5位、18点!チームSOS団、ドラえもん様』
のび太「やったー!ドラえもんも1回戦突破したよ!」
ドラえもん「いや~僕はマグレだよ」
アナウンス『1回戦を突破した方々は、奥の部屋へとお進みください』
のび太「そういえば、涼宮さんはどうなっただろう?」
ドラえもん「おかしな力があるっていっても女の子だよ!だぶん無理だったんじゃないかな」
のび太「そうだね。取り敢えず僕らは奥に進もう」
(二人は奥の部屋へと向かった)
ハルヒ「遅かったじゃないの二人とも!でもまぁどっちも無事1回戦を突破できた
みたいだし良かったわ♪」
ドラえもん「・・・・驚いた。涼宮さんも突破してたんですね!」
ハルヒ「当たり前じゃないの!団長の私が1回戦如きで消えるとでも思ってるの?」
のび太「あの、涼宮さん得点は何点だったんですか?」
ハルヒ「私?77点だけど」
ドラえもん「77点!?」
ハルヒ「他の連中は殆どマイナスで余裕の1位。本当張り合いが無いわ~」
のび太「ドラえもん、この人は本当に凄いね」
ドラえもん「うん」
ハルヒ「それで、のび太とドラえもんはどうだったの?」
ドラえもん「僕は18点でギリギリ通過しました、ドゥフフフフ」
のび太「僕は78点です」
ハルヒ「78!?やるわねのび太!!同じSOS団のメンバーとして頼もしいわ!
でも勝負はこれからよ!油断しないで3人一緒に決勝に行くわよ!」
観客A「何だあの娘は!?」
観客B「凄い、PAR5のコースをホールインワンだと!?それも3連続・・・」
------
--
キョン「いくらなんでもやりすぎじゃないのか長門の奴?打ったボールが
あんな不自然に左右に曲がったりしたら怪しまれるぞ」
古泉「怪しまれたところで、何も証拠は出てきません。問題はないでしょう」
キョン「それにしたって3連続ホールインワンってのはな~。いくらパターゴルフとはいえ・・・
もう少しバランス良くできないもんかね」
カコンッ
スネ夫「わっ!また入った!!凄いや長門さん!これで4連続ホールインワンだ!」
長門「・・・・・」
スネ夫「へへ、これなら優勝間違いなしだね!長門さん、僕も1回ホールインワン
をやってみたいんだけど?」
長門「分かった」
長門「・・終わった」
スネ夫「ホント!?よーしそれじゃ!」コンッ
コロコロコロコロ・・・・・・・・・・カコンッ
観客「おぉぉぉぉぉぉ!!!」
パチ パチ パチ パチ
スネ夫「ハハ、こりゃいいや!」
キョン「はぁ~」
---------射撃ルーム
司会「さあいよいよ決勝戦です!ここまで勝ち上がってきた三名をご紹介致します!」
ワーッ ワーッ ワーッ
司会「まず一人目はチームSOS団、のび太様!そして二人目も同じチームSOS団から
涼宮ハルヒ様!三人目はこれまでの最高得点を叩き出しているチームゴルゴ、斉藤様!!」
ワーッ ワーッ ワーッ
のび太「いよいよ決勝か~。緊張するな~」
のび太「はい!」
ハルヒ「それとあの斉藤とかいう人には負けるんじゃないわよ!私達二人で
ワンツーフィニッシュを決めるの!いいわね?」
のび太「分かりました」
司会「決勝戦は三人同時に射撃していただきます!それでは行きますよ!」
ドラえもん「頑張れのび太く~ん!」
司会「始め!!!」
バンッ バンッ バンッ バンッ バンッ
バンッ バンッ バンッ バンッ バンッ
ビビーーーーッ!
司会「さあ結果はどうなったのでしょうか!?」
アナウンス『チームSOS団、涼宮ハルヒ様113点!チームゴルゴ、斉藤様127点!』
会場「おぉぉぉぉぉ!!!」
アナウンス『チームSOS団、のび太様・・・・129点!!』
会場「うおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!!」
のび太「ドラえも~ん、僕優勝したよ!」
ドラえもん「おめでとうのび太くん」
ハルヒ「129点だなんて凄いわのび太!!よくやったわね!」
のび太「ありがとうございます!」
ドラえもん「これで4種目優勝ですね!」
ハルヒ「目指すは全種目制覇よ!そういえば有希とスネ夫はどうなってるかしら?」
ドラえもん「見に行ってみましょう!」
ピンポンパンポーーーン
アナウンス『超人選手権に出場中の皆様にお知らせ致します。
間もなく、ホームラン競争を開始しますので、出場予定の方は
5階バッティングセンターへお越しください』
ハルヒ「もうそんな時間なの?まぁいいわ、向こうへはドラえもん達だけで行ってちょうだい」
ドラえもん「分かりました」
ワーッ ワーッ ワーッ ワーッ
キョン「結局全ホールでホールインワンか。司会のおっさん顔引きつってるぞ」
古泉「無理もありませんね」
ドラえもん「やった!長門さんが優勝したんですね!」
キョン「おぉ、そっちも終わったのか?どうだった?」
ドラえもん「のび太くんが優勝しました!」
のび太「エッヘン!」
キョン「やるじゃないかのび太。ドラえもんの道具無しで優勝するなんて
誇れるレベルだぞ!」
のび太「いや~」
ドラえもん「そういえばスネ夫くんはどうしたんですか?」
キョン「あいつなら早々に抜けてジャイアンと一緒にバッティングセンターに向かったぜ」
古泉「取り敢えずここまでは順調ですね。後はホームラン競争とクイズだけです」
キョン「クイズか・・・・気が重いな」
キョン「一応暗記パンで予習はしたが、あの本に載ってる以外の
問題が出たらその時点でアウトだ」
古泉「なるほど。そこは神に祈るしかありませんね」
ドラえもん「あ、長門さんが帰ってきましたよ!」
キョン「お疲れさん」
長門「・・・・」
古泉「ではホームラン競争の応援にでもいきましょうか」
キョン「だな。ただその前に長門、一つ約束してくれないか?」
長門「なに?」
キョン「万が一、本当に万が一だが、俺達がまたループするような事になったら
その時は今回の記憶を思い出させてくれないか?お前ならできるだろう?」
長門「直接プログラムを注入すれば可能。でも、どうして?」
キョン「どうしてって言われてもな・・・。まぁ、念の為だ」
長門「・・・分かった」
カキーーーン! カキーーーン! カキーーーン!
観客A「すげーよの子、さっきからホームラン連発してるぜ!」
観客B「プロかなんかか?」
観客A「馬鹿、どう見ても子供じゃねーか!」
観客B「でも・・・じゃあ子は何であんなにホームランばかり打てるんだ?」
カキーーン! カキーーーン! カキーーーン!
司会「凄い凄い!!チームSOS団涼宮ハルヒ様!何とこれで11球連続ホームランです!!」
ハルヒ「ふふん♪楽勝だわ♪」
スネ夫「この分なら総合優勝は間違いないねジャイアン!」
ジャイアン「おう!これでループ脱出確定だぜ!」
カキーーーン! カキーーーン! カキーーーン!
司会「優勝は、58本のホームランを放ちましたチームSOS団の涼宮ハルヒ様です!」
ワーッ ワーッ ワーッ
ハルヒ「ちょろいもんだわ♪」
のび太「いくらなんでも打ちすぎだよ~」
キョン「60球中58本もホームランを打っておきながら、何も怪しまず全て
自分の力によるものだと思い込めるあいつが心底羨ましい」
ピンポンパンポーーン
アナウンス『超人選手権に出場中の皆様にお知らせ致します!
間もなく、最終競技であるクイズ大会を開始いたします。出場予定の方は
中央ホールまでお越しください』
古泉「さて、いよいよ最終競技です。頑張ってくださいね」
キョン「やれるだけやってみるさ」
ハルヒ「キョン!なにそんなところに突っ立ってんのよ!次はクイズ、早く行くわよ!」
キョン「分かってるよ」
アナウンス『チームSOS団のキョン様、ドラえもん様!お話したい事がありますので
至急1階大会実行役員室までお越しください』
キョン「ん?俺か?」
ドラえもん「僕も呼ばれました」
古泉「お話したい事があると言っていましたが、実行役員がいったい何の話でしょう?」
キョン「俺とドラえもんって事は、どうせポーカーの件だろうな。なんたって
7連続ロイヤルストレートフラッシュだ。仲間と協力してのイカサマを疑いたくもなるさ」
古泉「なるほど」
ハルヒ「この忙しい時になんだっていうのよ!!キョン、さっさと行って
用を済ませてきちゃいなさい!私は先に行ってるから!」
キョン「あぁ、分かった。じゃあ行くかドラえもん」
ドラえもん「はい!じゃあみんなも涼宮さんと一緒に先に中央ホールに行っててくれ!」
のび太「分かった!」
ジャイアン「早く来いよなー」
そこは、『ここに来い』とでも言われない限り
まず誰も近寄らないであろう場所にあった。人通りはまるで無く
さっきまでの賑やかさが嘘のように静かである。
ドラえもん「ここみたいですね!」
キョン「役員室の割には随分目立たないところにあるんだな。人通りがまるで無いぞ」
ドラえもん「取り敢えず中に入りましょう」
コンコン
?「どうぞ」
ドラえもん「失礼します!」
ガチャッ
(ドラえもんとキョンは部屋に入ったが、中に人影は無かった)
キョン「誰もいない?確かにさっき『どうぞ』って聞こえたよな?」
ドラえもん「はい」
キョン「どっかに隠れてるのか?アホな事に付き合ってる時間はないんだが・・・」
キョン「うおっ!」
ドラえもん「な、何だ!?」
(入り口のドアが物凄い勢いで閉まった)
ドラえもん「今通路側から誰かがドアを閉めた!!」
キョン「なに!?まさか閉じ込められたのか!」
(キョンは急いでドアを開けようとしたが、どんなに力を入れても
まるでビクともしない)
キョン「ちっ、反対側から押さえてやがるな!誰だか知らんがくだらない真似は止めろ!」
謎の声「いくら押しても無駄だよ。このドアはもう絶対に開かない」
キョン「おいお前どういうつもりだ!さっさとここを開けろ!」
謎の声「そういうわけにはいかないよ。悪いけど君達にはず~とそこにいてもらうよ」
キョン「なにわけの分からねー事言ってやがる!さてはお前別のチームの参加者だな?
俺達の成績があまりにもいいもんだから、最後くらい邪魔してやろうって魂胆だろ!?」
謎の声「あはは、違うよ。僕は単に君達にこれ以上あの大会に出てほしくないだけなんだ」
キョン「何でだ!?」
キョン「なに!?」
ドラえもん「ループだって!?」
キョン「お前・・・・いったい何者だ?」
謎の声「何者かどうか聞いても意味ないと思うよ?どうせ次のループでも全部
記憶をリセットされちゃうんだから」
キョン「答えろ!!」
謎の声「しいて言うなら君達と一緒にいる長門有希と同じ、涼宮ハルヒの観測者さ」
キョン「観測者だと!?じゃあお前も統合思念体が作り出したインターフェイスだってのか?」
謎の声「情報統合思念体とは関係ないよ。別の組織とでも言うできかな」
ドラえもん「何でもいいから、早くここを開けろ!!」
謎の声「何度も言ってるだろ未来のロボットくん。それは出来ないって」
ドラえもん「何で僕の事まで!?」
謎の声「フフ、何でも知ってるよ。流石に15000回以上も似たような事を繰り返すと
どんな人間でもある程度学習するものなんだね。まさかここにきて競技に君の秘密道具を
使用してくるとは思わなかったよ。これまでのシークエンスでは全部自力で挑戦して
惨敗の繰り返しだったからね。その度に涼宮ハルヒの精神が不安定になってたから
観測する立場としてはありがたかったけどね。」
それは僕の立場上阻止しなければならないんだ。上に怒られちゃうからね」
キョン「やっぱりこのループを解く鍵はこの大会だったのか!!」
謎の声「いや、確実にそうだとは言えない。けど僕も君達同様、それが最も
可能性が高いと思っている。だから悪いけど阻止させてもらうよ」
ドラえもん「開けないって言うならこっちにも考えがある!『通り抜けフープー!』」
キョン「何だその道具は?」
ドラえもん「壁を難なく通り抜ける事にできる道具です!これをドアにつけてください!」
キョン「分かった!」
(キョンはドアに通り抜けフープをつけたが、円の中は銀色の幕で
覆われ、身体を近づけると弾かれてしまう)
バシンッ!!
キョン「ぬあっ!」
ドラえもん「そんな、通り抜けフープが使えないなんて・・・」
謎の声「今君達がいる部屋はさっきまでいた世界とは違う切り離されたそこだけの世界
だからその部屋よりも外に出ることは不可能だよ。外には何も無いんだから」
ドラえもん「何だって!?じゃあ何処でもドアも駄目か・・・」
俺にはドアの向こう側から声が聞こえるが?」
謎の声「脳に直接話しかけてるんだよ。そこのドアの向こうから聞こえるようにね」
ドラえもん「どうしよう、このままじゃ・・・」
キョン「おいお前、もういいだろ!15000回以上も同じ状況下での観測ばかり続けても
何の面白味もないじゃないか!だったらそろそろ9月以降の観測にシフトしたって」
謎の声「それが意外とそうでもないんだ。涼宮ハルヒはその度色を変えてくれてる。
それに今回は船旅の途中で突然君達が消えるという特殊なケースだ。観測し甲斐がある
止めるなんてもったいない事できないよ。」
キョン「じゃあ、後何回やればお前とお前の組織の親玉は納得するんだ?」
謎の声「そうだな・・・・断定はできないけど、最低でも1億回は必要になるだろうね」
キョン「い、1億だと・・・」
ドラえもん「そんな事にいつまでも付き合ってられるか!!」
謎の声「別にいいじゃないか。君達は1回1回ご丁寧に記憶を消してもらってるんだから。
ま、最近はだいぶ既視感が強まっているようだけどね。流石に1億回もループしたら
嫌でも記憶を引き継ぐ形になるかもね。そうなったら地獄だ」
キョン「お前・・・・」
謎の声「じゃあ僕はこれで。また次のループで一緒にポーカーが出来るといいね、少年」
謎の声「バイバイ!」
キョン「おい、待て!!」
・・・・・シーーーン
キョン「くそっ!」
ドラえもん「犯人に心当たりがあるんですか?」
キョン「ポーカー大会に出てたとき、俺の事を少年ってよんでたオヤジが
一人だけいたんだ。たださっきの奴とは声がまるで違う。いったいどういう事だ・・・」
ドラえもん「・・・・これからどうしましょう?」
キョン「どうしようったってな・・・・ドラえもんの道具でも歯が立たないんじゃ打つ手がない
このまま8月31日が終わるのをここで待つしかないだろう」
ドラえもん「15499回目のループ確定ですね・・・」
キョン「なーに、次で片をつけるさ。もしもの時の為に次にループした時は
俺達に記憶を思い出させるよう長門に頼んでおいたしな。
次は敵の存在を認識した上で行動できる」
ドラえもん「・・・・のび太くん達、心配してるだろうな~」
キョン「ハルヒ辺りも大騒ぎしてそうだな」
キョンが監禁された事により、結局SOS団はクイズ大会失格となった。
勿論ハルヒは時間内までに登場しなかったキョンに大激怒だったが
超人選手権自体はSOS団チームが総合優勝を果たした。
しかし、翌日になっても姿を見せない二人
船員による船内の捜索活動が行われたが、それでも見つからず
気がつけば船は最終地点である神戸港へと到着していた。
最初は怒っていたハルヒだったが、次第に不安が表情に表れてきた。
古泉「兵庫県警の方々がもう一度船内を捜索するとの事です」
みくる「ふえ~ん、キョンく~ん」シクシク
のび太「ドラえも~~ん、いなくなっちゃやだ~!!」
ハルヒ「どうなってるのよ・・・・キョンもドラえもんも何処へ消えたっていうの・・・」
スネ夫「船内をいくら探しても出てこないって事は、もしかして海に落ちたとか・・・」
のび太「えぇ!?」
ハルヒ「あ、あたしももう一度探してくるわ!!古泉くん、みんなの事頼んだわよ!」
古泉「分かりました」
(ハルヒがその場を去った)
ジャイアン「泣くなよのび太、きっと大丈夫だって」
みくる「キョンく~~ん」シクシク
スネ夫「二人ともいったい何処へ消えてしまったんだ・・・」
古泉「船の中の何処にもいないというのは妙ですね。これでは本当に
海に落ちたとしか考えられない。長門さん、何か分かることはないですか?」
長門「・・・あの二人は今この世界の時空間には存在していない。異空間にいる」
のび太「えぇ!?」
古泉「誰かが意図的にそうしたのですか?」
長門「そう」
古泉「誰です?」
長門「今は分からない。調査が必要」
古泉「そうですか・・・」
のび太「ドラえもんはもうこっちの世界には戻ってこれないんですか?」
古泉「いえ、その心配はありません。こうなった以上、恐らく我々はもう一度
ループする事になるでしょう。今の涼宮さんの精神状態はこれまでに無い以上に
不安定ですしね。」
こちらの世界へと戻ってこれるはずです。勿論記憶はリセットされていますが」
スネ夫「は~、またループするのか・・・」
古泉「今は夜の7時です。後5時間もすればまた8月27日に逆戻りです」
のび太「ドラえもんが戻ってくるのなら、僕は何回だってやり直す!!」
ジャイアン「よく言ったのび太!!」
みくる「ふぇ~ん、私も頑張りますぅ~」
古泉「確か長門さんは次にループした際、自分達の記憶を思い出させるよう
にと彼に頼まれてましたよね?」
長門「そう」
古泉「僕からもお願いします。新たな障害が出てきた以上、記憶を引き継ぎでもしない限り
永遠とこのループから脱出は出来ないでしょうから」
長門「分かった」
のび太「(ドラえもん・・・・)」
(こうして7人は24時まで大人しく待った)
キョンはふとそう思った。現在彼は豪華客船オーベロン号内にある個室にいる
目の前には同じSOS団の団員である古泉がいる
(8月28日)
キョン「はぁ~~~」
古泉「おや、随分大きな溜息ですね。何か嫌な事でも?」
キョン「溜息も出るさ、夏休みもいよいよ終わりだって時に急にこれだ。
こちとら宿題も終わってないってのに、勘弁してほしいぜ」
古泉「まぁ、確かに急なことではありましたね。涼宮さんから電話がかかってきたのが27日で
僕達が神戸港を出港したのが28日。流石に準備に手惑いましたよ」
キョン「急に電話してきて『明日から31日まで豪華客船で遊ぶわよ!』だもんな~。
商店街のくじ引きで5枚もチケット当てちまうなんて、どうなってんだかなあいつは」
古泉「涼宮さんがそう願ったからこそ、そのような奇跡的な芸当が出来たのでしょう。
恐らく彼女はあのまま夏休みが終了する事が嫌だったのでしょう」
キョン「夏休みに入ったと同時にお前の知り合いの別荘で充分楽しんだじゃないか。
他に何が物足りないっていうんだあの女は?」
古泉「さあ。それが分かるのは、恐らく涼宮さん本人だけだと思いますよ」
--間もなく東京湾に到着致します。間もなく東京湾に到着します
キョン「ようやく折り返し地点か」
古泉「帰路もこのまま何事もなければいいのですが・・・」
キョン「それは無理な話だな。ハルヒの奴がいる限り必ず何かは起こる」
ガチャッ
ハルヒ「やっほーーーーーー!!!」
キョン「ほら見ろ、噂をすればだ」
古泉「あはは・・・」
ハルヒ「何よあんた?私の噂してたの?」
キョン「まぁな。偉大な団長様のお陰でこんな豪華客船に乗るとこが出来て
光栄だって事を古泉と二人で話してたところだ。」
ハルヒ「あらそう♪それより二人とも、外に行くわよ!」
キョン「外?東京見物でもする気か?残念だがこの船はそう長く停泊しないぞ」
ハルヒ「違うわよ!東京湾からも大勢の人が乗船するのよ!?
その中に宇宙人や未来人がいるかもしれないじゃない!」
ハルヒ「当たり前じゃない!兵庫にはいなくても東京にはいるかもしれないのよ!?
むしろ人口が多い分東京の方が不思議な奴がいる確率は高いと思うわ!」
キョン「そういう確率が人口の多さに比例するとは初耳だが」
ハルヒ「ごちゃごちゃ言わないでさっさと行くわよ!もしかしたら宇宙人や未来人以上の
もっと凄いのが乗り込んでくるかもしれないわよ!!いえ、きっとそうだわ!!」
キョン「はぁ~~、もっと凄いのってのは具体的にどんな奴なんだ?」
ハルヒ「そうね~・・・・・・未来から来たネコ型ロボットってのはどう!?」
キョン「いや、どう?って言われてもな・・・・」
ハルヒ「いいから早く来なさい!先に行ってるわよ!」
バタンッ
キョン「全く台風のような女だ・・・」
古泉「・・・・・・・・・」
キョン「ん?どうした古泉?」
古泉「あ、いえ・・・・少々気になることがありましてね・・・」
古泉「大した事ではありませんよ。恐らく僕の勘違いだと思います」
キョン「そうかい」
コンコン
キョン「はい?」
長門「・・・わたし」
キョン「長門か、入っていいぞ」
ガチャッ
キョン「どうしたんだ?」
長門「腕を」
キョン「は?」
長門「腕を出して」
キョン「こうか?」スッ
(長門はキョンの腕にゆっくりと噛み付いた)
キョン「んなっ!!!」
(キョンは強烈な目まいに襲われ、前回の記憶
15498回目の記憶を全て思い出した)
キョン「・・・・・はぁ~。何とかこっちの世界に戻ってこれてたか」
古泉「あの・・・先程からお二人は何をなさってるんですか?」
キョン「長門、あいつにもやってやれ」
長門「分かった」
古泉「何をしようとしているかは知りませんが、ちょっと待ってもらえますか!」
キョン「いいから大人しくしろ!やれば分かる!長門、やっちまえ!」
古泉「ちょ、ちょっと待ってくださ」
ガブッ
長門「終わった」
古泉「・・・・・・なるほど、そういうわけだったのですか。いきなり長門さんが
あなたに噛み付いたんで、正直驚きましたよ」
キョン「俺もまさかこんな方法で記憶を蘇らせられるとは思ってなかったさ」
古泉「取り敢えずあなたがこちらの世界に戻ってこれていて何よりです。
次のループでもあちらの世界のままだったらどうしようと、内心ちょっとヒヤヒヤものでした」
古泉「詳しい話はドラえもんさん達と合流してからにしましょう
今は取り敢えず、涼宮さんのところへ」
キョン「そうだな。じゃあ行くか」
それからキョン達はドラえもん達と合流し、前回同様古泉の部屋で
ハルヒと自分達に関する説明をした後、中央ホールにてハルヒから
超人選手権出場の旨を聞き、その日の夕食も前回同様キョンが全額支払った。
----その日の夜(キョンの部屋)
キョン「9人分で3万4000円・・・前回より上がってるじゃねーか!!」
コンコン
古泉「古泉です。みんなをあの倉庫に集めました。そろそろ行きましょう」
キョン「あぁ、そうだったな」
全部やっておけばよかったんじゃないか?」
古泉「あの時は涼宮さんとの待ち合わせまで時間がありませんでしたから
策を練る為にも時間に余裕のある夜の方がいいと思いまして」
キョン「なるほどな」
-------8階倉庫
ガチャッ
古泉「彼を連れてきました」
キョン「どうも」
ドラえもん「あの、話っていうのはいったい何なんですか?」
キョン「ああ、それは今にすぐ分かる。長門、頼む」
長門「・・・・」コクッ
(長門はゆっくりとドラえもん達に近づく)
ドラえもん「わっ!な、何ですか!?」
みくる「キョ、キョンくんこれはどういう事なんですかぁ~?」
キョン「(すぐ終わるんで少し辛抱してください朝比奈さん)」
のび太「ドラえも~ん!良かったー、戻ってこれたんだね!」
ドラえもん「心配かけてごめんねのび太くん!」
みくる「うえ~んキョンく~ん!良かったですぅ~」
キョン「心配かけてすいません朝比奈さん」
スネ夫「あぁ・・・・これで15499回目のループか」
ジャイアン「ところで二人は前回何で突然消えたんだ?」
ドラえもん「変な奴に突然異空間に飛ばされたんだ!」
古泉「その者の顔は見ましたか?」
ドラえもん「一瞬姿は見えたけど、顔までは見れませんでした」
古泉「そうですか」
キョン「なぁ長門、そいつは自分の事をお前と同じハルヒの観測者だと言っていたが
それは本当なのか?」
古泉「という事は、あなた方を閉じ込めた犯人は長門さん同様のインターフェイス
だという事ですか?」
長門「少し違う。私と同じではない」
キョン「どういう事だ?」
長門「私と違いそれには肉体がない」
キョン「肉体が無いだと!?」
ドラえもん「でも僕は確かに見ましたよ!ドアを閉める人影を!」
長門「それは恐らく身体を乗っ取られた人間の姿。それは肉体が無いが故に
有機生命体の身体に乗り移り行動している」
キョン「なるほどな、どうりであの時とポーカーの時とで声が違うわけだ。
何度もいろんな人間の身体を移動しながら俺達やハルヒの動きを注視してたってわけか」
古泉「寄生生物のようなものですね・・・しかし、こうなると少々厄介です。
身体を乗り移る事ができる以上、探し出すのは至難の業です。
長門さん、何かいい手はありますか?」
長門「ない。私でも外から見分ける事は不可能」
キョン「どうすりゃいいんだ。このままじゃまたあいつに妨害されてループの繰り返しだぞ」
キョン「この船にどれだけの人間が乗船してると思ってるんだ。それに万が一当たりを
引いたとしても、気づかれたと分かった時点でまた別の人間に乗り移られるだけだ」
ジャイアン「ちきしょー!何処にいるのかさえ分かれば俺がギッタギタに
してやるのに!!」
キョン「仮に見つけたとしても手は出してやるなよ。その身体は全く関係の無い
人のものなんだからな」
古泉「一つの策として、こういうのはどうでしょうか?」
キョン「言ってみろ」
古泉「僕達は前回同様ドラえもんさんの道具を使って超人選手権を勝ち続ける
そうすれば恐らくその宇宙人はまた何らかの妨害工作に出るでしょう。
むこうからこちらにアクションを示す唯一の機会です。これを逆手に取り、捕らえる」
キョン「捕らえるっていってもな、捕らえた肉体から別の肉体に移動されたら
意味無いんじゃないか?」
長門「それは問題ない。捕まえたと同時に私がそれ対して妨害プログラムを注入する」
キョン「それができればあの宇宙人はもう人体移動ができなくなるのか?」
長門「そう」
キョン「しかし前回そういう行動をとったからって、今回も同じような行動に出るとは
限らないんじゃないか?相手も馬鹿じゃないんだし、それくらい考えるだろ」
古泉「確かにそうかもしれませんね。しかし、現状このくらいしか手がありません」
のび太「ねぇドラえもん、何かいい道具ないの?」
ドラえもん「う~ん・・・・・・・あっ!あれなら使えるかも、『正体スコープー!』」
古泉「何ですその道具は?」
ドラえもん「これを覗くと色んな奇怪現象などの正体を見破ることが出来るんです!」
キョン「またとんでもなくタイムリーな道具を出してくれたなおい!
これならこっちから奴を特定する事も可能なんじゃないか?」
古泉「えぇ。いけますね」
ジャイアン「よっしゃー!!じゃあ明日早速やろうぜ!!」
スネ夫「だね!もうループは懲り懲りだよ」
のび太「でも明日僕達には超人選手権もあるんだよ?敵を探す暇なんてあるかな~」
キョン「確かにそうだな。それぞれ空いてる時間があるとはいえちょっと短すぎる」
超人選手権の方は諦める。そうすれば敵を探す時間は十分に取れます」
スネ夫「えぇ!?それじゃまたループ確定じゃない!!」
古泉「しかし、ここできちんと敵を潰しておけば、次回のループでは何の妨害も受けずに
競技を進める事が出来ます。前回同様、ドラえもんさんの道具を使えばあの大会で
優勝する事は簡単です。最低でも後1回だけのループで全てに片をつけることができます」
ジャアイン「ここで倒しても、次のループで生き返っちゃうんじゃないんですか?」
古泉「それはありません。相手は時間も空間も超越した存在です。
涼宮さんによる能力の干渉は受けませんから、ここで倒す事さえ出来れば
以降何度ループを重ねようと再び姿を現す事はないでしょう」
キョン「後1回ループ覚悟で選手権を捨て宇宙人を叩くか、ここで終わらす為
選手権と宇宙人退治を両立するか・・・・。前者なら確かに後1回のループで済む
かもしれないが、後者の場合失敗したらそれ以上のループを重ねることになるかも
しれない。勿論成功する可能性もあるだろうが、個人的には前者の方が無難だと思うな」
ドラえもん「僕もそう思います!」
のび太「僕も!」
ジャイアン「俺も!」
みくる「私もですぅ」
古泉「では決まりですね。このシークエンスでは敵の殲滅にのみ全てかけましょう!」
キョン「・・・・そういえばその辺を全く考えてなかったな。それどころか、ハルヒの目を
かいくぐりながら宇宙人捜索など出来るのか?」
ドラえもん「問題ありません!いい物があります、『クローン培養気!!』」
●クローン培養気
わずかな細胞から自分と同じ生物を作れる機械。
髪の毛一本からでOK
古泉「なるほど、これで僕ら8人分のクローンを作り、涼宮さんと一緒に明日の大会に
出場してもらい、その間に僕らが敵の捜索と殲滅に終始するという事ですね」
ドラえもん「そうです!」
キョン「ちょっと待て!大きな船とは言っても、万が一ハルヒの目の前でもう一人の自分と
バッタリなんて事になったらどんでもない事になるんじゃないか?」
みくる「確かにそんな所見られたら大変な事になりますぅ~」
ドラえもん「だったら僕らはこれをかぶって行動しましょう!『透明マント!!』」
●透明マント
このマントをかぶると透明人間になれる
古泉「しかし、これでは僕らも互いに視認できなくなるのでは?」
ドラえもん「大丈夫です!マントをかぶっている者同士なら見えます!」
古泉「なら問題ありませんね。早速我々8人分のクローンを作成しましょう」
キョン「もう作るのか?」
古泉「こういう事は早い方がいいですよ。今のうちに8人分のクローンを作り
部屋には彼らに戻ってもらい、僕らはここで明日を待つ」
キョン「まぁ、明日の朝になってからドタバタするよりはいいか」
ドラえもん「ではみなさん、髪の毛1本でいいのでこの機械に入れてください!」
(7人は自分の髪の毛を抜き、機械に放り込んだ
ドラえもんはヒゲを少しだけ切って入れた)
ガガガガガガガガガ
キョン「なんだか凄い音だな・・・・大丈夫かこれ?」
程なくして機械の中から全く同じ姿をしたキョンや
ドラえもんのクローンが出てきた。
キョンやドラえもん達の前に立った
のび太「な、何だか気味が悪いよ~」
ジャイアン「すげーや、こいつ俺そっくり」
スネ夫「もう、当たり前だろ!クローンなんだから」
キョン「何でこいつら何も喋らないんだ?目線もずっと同じ所ばかり見てるし
正直かなり不気味だ・・・。こんな状態でハルヒの所へ行かせて大丈夫なのか?」
ドラえもん「このクローン達は僕達オリジナルが一定の距離入ると待機モード
つまり今みたいに何も喋らず何も考えない状態になるんです」
古泉「なるほど、最悪鉢合わせた時の為の予防策のようなものですね」
キョン「しかしこんな状態じゃこれから自分の部屋にすら帰れないぞ?
俺達が少し離れるしかないのか?」
ドラえもん「待機モードの中はこのリモコンで操作する事ができます」
ピッポッパ
ドラえもん「さ、みんな部屋に戻って!明日は超人選手権の方よろしく頼むよ!」
ドラえもんがリモコンを押すと、クローン達は黙って倉庫を出て
各々の部屋へと向かった
みくる「うぅ~、気味が悪かったですぅ」
キョン「出来る事ならもう二度と顔をあわせたくはありませんね」
古泉「これで準備は完了しましたね。では僕たちも休みましょう
明日は忙しくなるでしょうからね」
みくる「えぇ!?こ、ここでみんなと一緒に寝るんですか~!?
そ、そんなの無理です~///」
古泉「そう言われましても・・・部屋に戻るわけにもいきませんからね」
キョン「ドラえもん、何とかならんか?」
ドラえもん「『壁かけアパート!』」
●壁かけアパート
この壁かけを好きな所に貼ると、中にマンションが出来る
ドラえもん「中には全部で12部屋あります!今日はこの中で休みましょう!」
ジャイアン「やっほー俺一番!」
スネ夫「僕二番!」
のび太「あぁ、待ってよー!」
ドラえもん「いえいえ」デレデレ
キョン「壁かけアパートか、家賃いらずの土地いらず。便利すぎるだろ・・・」
古泉「未来の世界というのは、我々の想像を遥かに超えているようですね」
キョン「それにしても何で朝比奈さんはドラえもんの道具に関して何も知らないんだろうな?
ドラえもんのいた世界よりも先の未来から来たって言ってたのに」
古泉「禁則事項だと言っていましたからね。我々に知るすべはありません」
キョン「まぁどうでもいいんだけどな」
古泉「僕たちも中に入りましょう。今日は少々疲れました」
キョン「だな。長門、お前も早く入れよ」
長門「・・・・」コクッ
こうして8人は壁かけアパートの中に入り眠りについた。
船内では既に超人選手権が開催されていた
古泉「ではそろそろ僕達も行動を起こしましょうか」
スネ夫「あのクローン達はちゃんと上手くやってるんだろうね?」
ドラえもん「それはきっと大丈夫だと思う!」
キョン「宇宙人捜索はみんな一緒に動くよりもある程度散った方がいいだろうな」
古泉「えぇ。ですから二人一組で捜索にあたりましょう」
ジャイアン「よしスネ夫!俺達が一番最初に見つけてやろうぜ!」
スネ夫「オッケー」
のび太「ドラえもん、一緒に行こう!」
ドラえもん「いいよ」
キョン「じゃあ俺は朝比奈さ」
古泉「朝比奈さん、僕と一緒に行きませんか?」
キョン「なっ!」
みくる「あ、はい・・・分かりました」
古泉「ではあなたは長門さんとお願いします」
キョン「(まぁ古泉と二人になるよりは全然マシだな)よろしくな、長門」
長門「・・・・」コクッ
古泉「捜索するにあたって気をつけてほしい事は、我々のクローンと一定以上の距離に
近づかないという事と、敵を発見した際の対処法です。」
キョン「ハルヒの目の前で待機モードなんかになられた日には大変だしな」
古泉「敵を発見した際はまず長門さんに連絡を取り、彼女と合流するまでは
絶対に敵に手出しをしないでください」
ドラえもん「分かりました」
古泉「では行きましょう!みなさん決して無理をなさらずに」
8人は透明マントをかぶり倉庫を出た
二人は正体スコープを覗きながら宇宙人を捜索していた。
ガヤ ガヤ ガヤ
キョン「ふぅ、敵を探し出すのにこれ程便利な道具は無いが
こうも人が多いとちょっと大変だな。長門、そっちはどうだ?」
長門「いない」
キョン「根気強くやるしかないか」
--------ドラえもん、のび太班(6階)
のび太「ドラえもんいた?」
ドラえもん「いないよ」
のび太「人がこんなに多いんじゃ見つけたとしてもすぐ見失っちゃうよ!」
ドラえもん「簡単に見つけられると思ったけど、結構時間がかかりそうだね」
みくる「人が多すぎて全部見切れませ~ん」
古泉「ここは特に人の集まる所ですからね。しかたありません
ところで朝比奈さん、一つ聞きたいことがあるのですが?」
みくる「何ですか?」
古泉「ドラえもんさんの事です。彼の出す秘密道具に対してのあなたのリアクションが
どうも僕には不自然に見えたので・・・。あなたはドラえもんさんの道具に対して
本当に心の底から驚いていませんでしたか?」
みくる「・・・・・」
古泉「あなたはドラえもんさんが生まれたとされる22世紀よりも先の未来から
来たと言っていましたが、その場合彼の出す秘密道具を知らないはずが無い
ところがさっきも言ったように、あなたは次々と出される彼の道具に本気で驚いていた。
それどころか、ドラえもんさんが現れた時点で相当驚いていたようにも見えました」
みくる「き、禁則事項です」
古泉「あくまで推察ですが、彼等は全く別の次元の地球から来たのではないですか?
だからあなたはドラえもんさんの存在や道具に驚いた。こっちの世界の未来と
ドラえもんさん達のいる世界の未来とでは科学力に大きな差がある。・・・違いますか?」
みくる「・・・その通りです」
しまったという事ですね。これは永久的なものなのでしょうか?」
みくる「このループから脱出する事さえ出来れば、たぶんあの子達は
元の世界の地球へと帰れると思います」
古泉「そうですか。恐らく彼らは8月27日の早朝辺りに
こちらの世界へと移動したのでしょうね。しかし彼らが次元移動に
気づいていないのはどういうわけでしょうか?」
みくる「たぶんですけど、周りの人々や地域なんかも丸ごと巻き込んで
移動してきたんだと思います」
古泉「だから環境の変化に気づけないわけですか。元々あちらの地球と
こちらの地球とでは大した変化もないのでしょうし、周りの人間がそのままならば
気づかずにそのまま進んでしまうのも仕方ないのかもしれませんね」
---------ジャイアン、スネ夫班(11階ブリッジ)
二人は何故か透明マントを外して捜索をしていた。
スネ夫「ジャイアン、見つかった?」
ジャイアン「全然」
スネ夫「もう、人が多すぎてこれじゃ見つかりっこないよ!」
ハルヒ「あれ?あんた達こんな所でなにやってるのよ?」
ジャイアン「す、涼宮さん!!」
ハルヒ「何驚いてんのよ?というかアンタ達さっきまでカラオケ大会の会場に
いたのに、いつの間にこんな所まで移動したのよ?」
スネ夫「そ、それはその・・・・」
ジャイアン「スネ夫、逃げるぞ!!」
(ジャイアンとスネ夫は走り出した)
ハルヒ「ちょっと待ちなさいよ!私から逃げれるとでも思ってるの!!」
(逃げる二人をハルヒは猛追する)
ジャイアン「なんて速さだ、このままじゃ追いつかれるぞ!!」
スネ夫「ジャイアン、透明マントをかぶろう!!」
ジャイアン「そうか、その手があったか!!」
(二人は走りながら透明マントをかぶった)
ハルヒ「き、消えた!!?」
スネ夫「よし、このままゆっくり離れよう!声出しちゃ駄目だよジャイアン」
ジャイアン「分かった!」
何処かに隠れたのかしら?不思議だわ・・・」
--------
-----
--
スネ夫「は~、ここまで来ればもう大丈夫だろう」
ジャイアン「いきなり目の前に出てくるんだもん、ビックリだよな~」
スネ夫「やっぱりこのマントはかぶっておいた方がいいね!」
ジャイアン「そんな事より俺腹減ったよ。宇宙人なんて何処にもいないじゃねーか」
スネ夫「あれだけ探してもいないんじゃ、僕らの捜索範囲にはいないのかもね」
ジャイアン「だろ?もう諦めてなんか食おうぜ~」
スネ夫「じゃあ最後にもう一回だけこの辺りの人達を調べてみるか・・・」
ジャイアン「いるわけないってのにもう!」
スネ夫「わー!!わー!!いたよジャイアン、宇宙人!!」
ジャイアン「えぇ!?どいつだ!?」
スネ夫「ジャイアンも見てみなよ!あそこに立ってる制服着たおじさん!!
地球外生命体って文字が浮き出てる!」
スネ夫「船の関係者に乗り移ってるんだ!早く長門さん達に報告しよう!」
-------長門、キョン班(7階)
TRRRRRR
キョン「ん?スネ夫達から電話だ!あいつら見つけたのか?」
ピッ
キョン「もしもし俺だ、見つけたのか?・・・・・・あぁ、分かった、直ぐに行く!
古泉やドラえもん達にも連絡しといてくれ!」
ピッ
キョン「長門、11階だ!!行こう!」
長門「・・・」コクッ
キョン「待たせて悪い!で、奴はどれだ!?」
古泉「あそこで腕を組んでる制服を着た男性のようです」
ドラえもん「スネ夫くん、よく見つけたね!」
スネ夫「はは、まぁ僕にかかればこんなもんだよw」
ジャイアン「よく言うぜ、諦めかけてたくせに」
スネ夫「それはジャイアンでしょ!」
みくる「あのぉ~、それでこれからどうするんですか?」
古泉「ゆっくり背後に回り、僕らで彼を羽交い絞めにて自由を奪い
長門さんが例のプログラムを注入する・・・・というのはどうでしょうか?」
キョン「随分荒っぽい作戦だが、まぁそれが一番手っ取り早いな」
ジャイアン「力仕事なら俺に任せてくれ!」
古泉「長門さん、朝比奈さん、ドラえもんさん以外の5名で取り押さえましょう」
のび太「あの・・・僕もあまりそういうのは・・・」
古泉「ではのび太さんを除いた4名でいきましょう!準備はよろしいですか?」
スネ夫「僕も!!」
キョン「さっさと終わらせちまおうぜ」
古泉「では行きましょう。取り押さえたら長門さん、よろしくお願いします」
長門「・・・」コクッ
(4人は透明マントをかぶったままゆっくりと宇宙人の背後に回り
古泉のアイコンタクトと同時に一気に襲い掛かった!
ジャイアンが胴体を、キョンと古泉が両腕を掴み、スネ夫は両足を押さえた)
船員「な、何だ!!?」ドサッ
ジャイアン「ようやく捕まえたぞ宇宙人!!」
船員「!!?」
スネ夫「観念しろ!!」
古泉「逃げ場はありませんよ」
キョン「前回は世話になったな!悪いがお前のハルヒ観測はこれで終わりだ!長門!!」
長門は瞬時に移動し、宇宙人の乗り移っている船員の右腕に
噛み付き、妨害プログラムを注入した。
インターフェイス「ぐあっ・・・・」
長門「注入完了」
キョン「これでもう人体移動は出来なくなったな、宇宙人さんよ」
インターフェイス「そうか・・・・姿を隠してるんだな!!小賢しい真似を!」
キョン「賢しくて結構だ。これでお前も終わりだな」
インターフェイス「どうせあのロボットの道具だろ?やっぱりあれは危険だったな
次のループでは初日に始末してやる!」
ジャイアン「お前に次なんかないっつーの!」
古泉「大人しく降参してもらえますか?そうすれば、危害を加えるつもりはありません」
ヒューマノイド「偉そうな奴・・・・これで勝ったつもりかい?」
(するとヒューマノイドの目が光りだした)
古泉「!?危険です、みなさん離れてください!!」
(押さえ込んでいた全員が距離をとる)
スネ夫「め、目が光ってる!?」
ジャイアン「こんにゃろう!この期に及んで何するつもりだ!」
出来なくなった。この時点で僕はもう用無し、恐らく彼に消されるだろう。
でもただでは消えない!最後に君達を道連れにしてあげるよ!!」
(ヒューマノイドが右手を上げたと同時に、周りの世界が灰色に染まり
全員の透明マントが破れた)
ドラえもん「わっ!透明マントが!?」
ヒューマノイド「やっと姿を現したね。ここからが本当の戦いだよ」
のび太「な、何ここ!?あたり一面暗くなってるよ!?」
キョン「俺が朝倉涼子に殺されそうなった時教室にできた空間に似てる!」
みくる「ふえ~ん」
ドラえもん「いったいどうやってこんな事を・・・」
ヒューマノイド「簡単な事だよ、この惑星の建造物や乗り物なんて、ちょっと分子の
結合情報をいじくれば直ぐに改変できる。ちなみに11階のこの空間は密室。逃げ場はないよ」
(そう言うとヒューマノイドは両腕を大きな刀に変化させ臨戦態勢に入った)
ヒューマノイド「さて、どいつからいこうかな・・・やっぱりここは同じヒューマノイドからかな?」
スネ夫「まずいよ、あいつ本気で僕らを殺す気だ!!ママー!!」
キョン「ちっ、どうする古泉!?」
古泉「この空間は彼の情報制御下、ここで彼と勝負するのは自殺行為かもしれませんね・・・
長門さん、彼の組んだ情報結合を解除し、元の空間か或いは長門さんの情報制御下に
塗り替える事は可能ですか?」
長門「不可能ではない。・・・ただ時間がかかる」
古泉「どれくらいです?」
長門「・・・・最低でも5分」
古泉「分かりました、ではお願いします。その間は僕が何とか食い止めます!」
キョン「食い止めるったってお前一人でどうするつもりだ?」
古泉「不幸中の幸いというべきか、どうやらこの空間では超能力が使えるようです。
これなら時間稼ぎくらいは出来ます」
キョン「お前・・・」
古泉「では長門さん、お願いします」
(古泉は赤い光の玉に変化し、ヒューマノイドへと向かっていった)
ヒューマノイド「最初は君か、喋り方とかいろいろ気に食わないからじっくり殺してあげるよ♪」
スネ夫「わっ!古泉さんの身体が!?」
ジャイアン「すげー、本当に超能力者だったのか」
長門「パーソナルネーム不明、対象の当該対情報連結解除開始」
キョン「5分か・・・・あいつ一人に任せてられるか!俺も」
長門「あなたは駄目」ガッ
(長門がキョンの腕を掴む)
キョン「何でだ!?」
長門「私の役割は涼宮ハルヒの観測とあなたの保護」
キョン「ここで仮にあいつに殺されたとしても、31日を過ぎればどうせまた
ループするんだろ?そしたら生き返るじゃないか!」
長門「それは無理。敵は恐らく私達を殺した後涼宮ハルヒの記憶を消すつもり
そうなったら二度と生き返れない」
キョン「あいつにはんな事もできるのか・・・。でもこのまま古泉一人に押し付けるわけには・・・」
長門「私が参戦する」
キョン「でもお前にはやる事があるんじゃ?」
ドラえもん「いいえ、長門さんは敵の情報連結解除に専念してください!
古泉さんの援護は僕達がやります!!」
のび太「えぇ!?僕達で!?」
(スネ夫が上空、古泉とヒューマドイドが交戦してる方向を指差しながら言う)
スネ夫「あんな化物と戦ったって僕らじゃ時間稼ぎも出来ないよ!」
ドカーーン!!
キョン「古泉!!!」
(地面に叩きつけられた古泉は、キョンの方を見て微笑んだ後
再び光の玉となって上空へと飛んだ)
キョン「くそ、俺には何もできないのか!!」
ドラえもん「このままじゃ古泉さんが危ない!みんなで力を合わせて僕らも戦おう!」
ジャイアン「おう!!!仲間を見殺しには出来ないぜ!!そうだろスネ夫!!」
スネ夫「う・・・うん」
ドラえもん「『空気砲!』『ショックガン!』『ひらりマント!』『タケコプター!』
みんな好きなのを取ってくれ!くれぐれも無理はしないようにね!」
のび太「わ、分かった」
スネ夫「くそー、もうどうにでもなれー」
のび太「神様!」
(三人は古泉の所へと飛び立った)
ドラえもん「よし、じゃあ僕も!」
キョン「そうだ!!ドラえもん、俺にあの道具を使わせてくれ!!」
ドラえもん「あれって何です?」
キョン「あれだよあれ!!あれさえ使えば俺は絶対に死なない!
絶対に死なないんだから俺もみんなと戦っていいだろ長門!?」
長門「・・・・・あれってなに?」
-------一方上空では
ヒューマノイド「段々と動きのキレが無くなってきたね。そろそろ限界かな?」
古泉「ハアハア・・・・さぁ、それはどうでしょうかね」
ヒューマノイド「・・・・やっぱり君は気に食わない。もっと遊びたいけどこれで終わりに
してあげる」
古泉は再び地面へと叩きつけられた
古泉「ぐあっ・・・・」
(地面で横たわる古泉目掛け上空からヒューマノイドが両腕の刀を広げ迫る)
ヒューマノイド「死ね!!!」
(その瞬間、ヒューマノイドは別方向から攻撃を受け吹っ飛ぶ)
ドカーン!!
ヒューマノイド「くっ・・・・・何だこの攻撃は!?」
ジャイアン「見たか宇宙人!!俺様の強さを!!」
スネ夫「流石ジャイアン!!よーし、僕たちもいくよのび太!」
のび太「うん!」
(スネ夫とのび太はヒューマノイド目掛けてショックガンを連射)
ヒューマノイド「そんな攻撃当たるか!!」
スネ夫「わっ、簡単に交わされた!!」
ヒューマノイド「死ね!!」
のび太「うわー、こっちにくるー!!」
ドラえもん「ひらりマントー!!」
ヒラリッ
ヒューマノド「馬鹿な!?あの攻撃を弾き飛ばすなんて!?」
古泉「みなさん・・・・ありがとうございます」
ドラえもん「古泉さんはそこで休んでてください!ここからは僕達で何とかします」
古泉「分かりました・・・」
ジャイアン「さあ、来るならきやがれ!!」
ヒューマノイド「あのロボットの道具か・・・・。目障りな奴だな、でもこれは防げるかな?」
(ヒューマノイドはさっきよりも更に大きい火の玉を投げつけた)
のび太「うわっ!」
ジャイアン「ド、ドラえもん!!」
ドラえもん「駄目だ、流石にこの大きさのは防ぎきれない!逃げろー!!」
(ヒューマノイドの攻撃を受けドラえもん達は吹き飛んだ)
のび太「うぅ・・・・・」
スネ夫「僕、もう駄目・・・・」バタッ
ジャイアン「ぬ~」
(ジャイアン気絶してしまい、頭の上をヒヨコが飛んでいる)
ドラえもん「く・・・・・・くそぅ・・・・」
ヒューマノイド「フフ、僕の勝ちだね。ゆっくり切り刻んであげるよ♪」シャキッ
キョン「まだ勝負は終わってねーぜ」
ヒューマノイド「ん?・・・何だ君いたの?」
キョン「そいつらを殺す前に俺と一対一で勝負しろ!」
ヒューマノイド「一対一で?別に構わないけど、止めた方がいいんじゃない?
君は普通の人間だ。宇宙人でも無ければ超能力者でもない。
それとも君も未来のロボットくんの道具を使って戦うつもりかい?」
キョン「いいや、お前なんて素手で十分だ」
ヒューマノイド「ハハ、笑えない冗談は止めてよw」
みくる「キョ、キョンく~ん・・・」
キョン「大丈夫ですよ朝比奈さん。俺は絶対に死ぬわけありませんから」
ヒューマノイド「いちいち癇に障る奴だな・・・・じゃあ試させてもらうよ!!」バッ
(ヒューマノイドが刀を構えキョン目掛けて飛んでくる)
古泉「まずい、このままでは!!長門さん、彼を!!」
長門「・・・・」
キョン「大丈夫だ長門、俺を信じろ!!」
(もう少しで刀がキョンの首をはねようかというその時
ヒューマノイドの全身に電気が帯び、激痛が走る)
ヒューマノイド「ぐあああああああああああ!!!」ドサッ
ドラえもん「何だ?何もしてないのに急に苦しみだしたぞ?」
キョン「ふぅ」
ヒューマノイド「くそっ、さっきのプログラムの影響か!!!!ぐあっ!!」バチバチ
キョン「こんな時に持病が再発するなんて気の毒な奴だな」
ヒューマノイド「ぐぎぎぎ、黙れ!!この症状が消えたらお前なんて直ぐにでも殺してやる!!」
ヒューマノイド「な・・・・何わけの分からない事を・・・言ってやがる!!!
ぐおおおおおおおおおお!!!」バチバチ
みくる「きゃあ!」
キョン「朝比奈さん、下がっててください」
(ヒューマノイドは身体を覆っていた皮と肉が所々で剥れ、内部の機械が丸出しになった)
ヒューマノイド「ハア、ハア・・・・フフ・・・フフフフフ。修復完了・・・さあ、お望み通り
一対一といこうか!!!」
長門「終わった」
ヒューマノイド「ハア、ハア・・・フフ、そうだ・・・お前らはもう終わりだ!!」
長門「違う」
ヒューマノイド「死ねー!!!!!!!」
長門「情報連結解除」
その瞬間、灰色だった世界が次第に色を帯びていき
ヒューマノイドの身体が下半身から光の粒のようになって
少しずつ消え始めた。
長門「あなたは優秀。だからこの空間プログラムを割り込ませるのに時間がかかった
でも、もう終わり。」
ヒューマノイド「ふざけるな!!統合思念体の犬が!!最後にお前だけでも!!」
キョン「そうは行くかよ!!」
(キョンは黄金バットでヒューマノイドを思いっきり殴った)
カキーーーーーーーーン!!!
ヒューマノイド「ぐあああぁぁぁぁぁぁぁぁ」
(ヒューマノイドははるか彼方へと飛んでいき
やがて身体全体が粒子となって消えた)
キョン「ふぅ、何とかなったか」
古泉「やりましたね」
キョン「お前大丈夫か?ボロボロじゃないか・・・」
古泉「正直大丈夫とは言えませんね、今も意識が飛びそうです」
キョン「早く医務室に行こう!俺が連れてってやる」
長門「必要ない」
長門「元の身体の状態を再構成する」
(長門が呪文のようなものを唱える。
すると、あっという間に古泉とドラえもん達の傷が元通りになった)
スネ夫「わっ!傷が治った!!」
のび太「本当だ!!もう全然痛くない!」
ジャイアン「んん・・・・あれ?宇宙人はどうしたんだ?」
古泉「もう倒しましたよ」
ジャイアン「えぇ!?誰が!?」
ドラえもん「キョンくんが黄金バットでやっつけたのさ!」
ジャイアン「キョンさんが!?すげーや!」
キョン「勝てたのはドラえもんの道具のお陰さ」
ドラえもん「あそこで『ツキの月』を飲むなんて発想は僕には出てきませんでしたよ」
古泉「ツキの月を?・・・なるほど、だからあなたはあんなに強気だったのですか」
キョン「あれを飲めば7連続でロイヤルストレートフラッシュが出るほどつきまくるんだ
まさかその間に殺されるなんて不運が起こるわけがないと思って飲んだらこれだ
ドラえもんの道具は本当に凄いぜ」
古泉「いや~、確かにドラえもんさんの道具も素晴らしいですが
あなたの冷静な判断力があってのものですよ。御見それしました。」
スネ夫「それより僕達いつになったら元いた場所に戻れるの?」
キョン「長門、頼む」
長門「元いた場所を再構築する」
(周囲が元いた場所に戻った)
ガヤ ガヤ ガヤ
のび太「はぁ~、やっと戻ってこられた」
スネ夫「疲れた~」
ジャイアン「俺もうくたくた」ドテッ
ドラえもん「忘れてたけど、後一回ループしなきゃいけないんだよね・・・」
キョン「まぁいいじゃないか。15000回以上も繰り返してた事が後1回で済むんだからよ」
古泉「今は午後7時。丁度超人選手権が終わった頃でしょうか。
ではドラえもんさん、大会に参加してる僕らのクローン達を消してくれませんか?」
キョン「どうせループが確定してるんだから、残り1日のハルヒの相手もあのクローン達に
任せて、俺達は例のアパートか何処かで休んでればいいんじゃないか?」
スネ夫「何でさ?向こうにいるのは完璧なクローンなんだよ?
偽者だって気づけるはずないんだから別に可哀想じゃないじゃない」
キョン「・・・・・いや、のび太の言うとおりだな。どうせループは確定しているが、やっぱり戻ろう」
古泉「そうですね」ニコッ
みくる「はい♪」
長門「・・・」コクッ
ドラえもん「ではこの入れ替えスイッチを押します!このスイッチを押すと
向こうにいるクローンと僕達の場所が入れ替わります」
キョン「そりゃ便利だな。でもこっちに移動したクローン達はどうなるんだ?」
ドラえもん「入れ替え完了後すぐに消去されるから問題ありません」
古泉「移動の手間が省けましたね。ではドラえもんさん、お願いします」
キョン「みんな気合入れとけよ。向こうへ行ったら選手権に優勝出来なかった事に
腹を立てたハルヒが俺達に八つ当たりしてくるだろうからな」
古泉「そういえばそうでしたね」
ドラえもん「では押します!」
ポチッ!!
司会「第3回超人選手権総合優勝は・・・・・・SOS団チームです!!!!!」
ワーッ ワーッ ワーッ
ワーッ ワーッ
キョン「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・は?」
ハルヒ「やったわねキョン!!!!総合優勝よ!!!」
キョン「・・・・・・・総合・・・・・優勝?・・・・誰がだ?」
ハルヒ「何寝ぼけてんのよ!!私達SOS団がに決まってるでしょ!!」
キョン「・・・・・何だと!!!!?」
ハルヒ「しかも2位のチームに大差をつけての圧勝劇!!素晴らしいわ!!」
スネ夫「嘘!?優勝したの!?じゃ、じゃあもうループしなくて済むんだ!!やったー!」
ジャイアン「やったなスネ夫!!」
ドラえもん「よかったねーみんな」
みくる「うぅ~、よかったですー」
あのクローン達が1回で優勝しちまったぞ。それもドラえもんの道具無しでだ!
あいつらは俺達と知能も体力も同じはずだよな?」
古泉「えぇ。恐らくこれは、あなたが飲んだツキの月の影響ではないですかね。
まだあれから3時間は経過していません。つまり、今現在もあなたは宇宙一ついてる人間
という状態なんですよ。だからこんな事が起こったんだと思います。」
キョン「だが飲んだのは少なくとも殆どの競技が終わった時間帯だぞ?
そこから一気に逆転したってのか?」
古泉「その辺りに関しては確かな事は言えません。推察ですが、あなたがあの時間
あの場所でツキの月を飲むという行為は既定事項だったのかもしれません。
そう考えれば、それを飲む前からあなたの幸運の為の下準備が始まっていたとしても
何ら不思議ではありませんよ」
キョン「いや、不思議だらけだ」
古泉「ドラえもんさんの道具は我々の想像を絶します。考えても分からないでしょう
今はこの目の前にある幸運を喜びましょう」
キョン「だな。もう1度すると覚悟していたループが無くなったんだ。喜ばずにはいられん」
ハルヒ「キョンに古泉くん、いつまでぶつぶつ話してるのよ!!ステージの壇上で
記念の集合写真を撮ってくれるらしいわ!早く行くわよ!」
キョン「へいへい」
その日の夜は主催者側が優勝記念祝賀会を開きみんな大いに盛り上がった。
ハルヒは終始上機嫌で、その様子を見てキョン達は
「あぁ、これで本当にループが終わる」
と確信し安堵の表情を浮かべた。
しかし次の日、ハルヒは再び彼らの不安を煽るような発言をする。
----------8月31日(中央ホール)
ハルヒ「何か足りないわ!!うん、絶対に何か足りない!!」
ドラえもん「えぇ!?」
ジャイアン「何かって、何がですか?」
ハルヒ「それが分からないのよ・・・でも何かが物足りないのよね!
このままこの旅が終わっちゃったら何だか消化不良な感じがするわ」
のび太「そ、そんな~」
キョン「超人選手権で優勝してSOS団の名を轟かせる事に成功した上に
賞金1000万も手に入れたんだぞ?これ以上に何が物足りないってんだお前は!?」
ハルヒ「うるさいわね~。何かよ、何か」
古泉「これは参りましたね・・・」
みくる「ふぇ~ん」
スネ夫「ドラえもん、何とかしろよ!またループする事になるぞ!!」
ドラえもん「そんな事言われても僕にもハルヒさんが何をしたがってるのかなんて
分からないよ!」
のび太「長門さんは?」
長門「分からない」
ハルヒ「みんなしてさっきら何ヒソヒソ話してるの?いいわ、ちょっと物足りないけど
まぁこんなもんでしょ」ガタッ
(ハルヒは椅子から立ち上がった)
キョン「おいちょっと待て!!何処へ行く?」
ハルヒ「何処って、自分の部屋だけど?今日はみんなまだ疲れが抜けてないだろうから
自由行動って事でいいわ。また夜にね」
(そう言うとハルヒは自分の部屋へと歩き出した)
キョン「(ま、まずい・・・このままじゃ・・・・)」
その瞬間、キョン達を今までに無い猛烈な既視感が襲う!
ドラえもん「うわっ!これは!!」
みくる「凄い既視感です~」
キョン「(そうか、前回は俺とドラえもんが監禁されたから無かったが
それ以外の殆どのループで俺達はこの場面を経験しているんだ!)」
(ハルヒはどんどん遠ざかっていく)
キョン「(以前までのループなら、あいつが感じてる物足りなさの正体は超人選手権で優勝
出来なかった事だろうが、今回は違う!!俺達は優勝している!!
他にあるはずだ・・・・何か・・・何かが!!)」
(更に遠ざかるハルヒ)
キョン「(このままあいつを行かせちゃ駄目なんだ!!・・・・ええい、もう何でもいい!!
何でもいいから言っちまえ俺!!)」
(遠ざかるハルヒにキョンが大声で叫ぶ)
キョン「ハルヒ!!!!」
(キョンの大声に驚いたハルヒがこちらに振り返る)
ハルヒ「何よ?大きな声だして、みっともないわね」
ハルヒ「用が無いなら行くわよ」
(ハルヒが再び帰ろうとしたその時)
ドラえもん「そうだ!!のび太くん、宿題やらなきゃ!!」
(ハルヒが再びこちらを見る)
のび太「もう、今そんな事言ってる場合じゃないだろう!!」
キョン「宿題・・・・・・そうだ!!!宿題だ!!!」
ジャイアン「えぇ!?」
キョン「いいかハルヒ!俺は夏休みに出された宿題を何一つやってない!
それをしないと俺の旅行を終わらないんだ!!」
ハルヒ「はぁ?なに言ってんのよアンタ?」
キョン「おい古泉!!!」
古泉「は、何でしょう?」
キョン「お前は終わっているのか?」
古泉「いいえ、バタバタしていましたからね。まだ半ばと言ったところでしょうか」
キョン「じゃあ一緒にやろう!!長門も来い、お前もまだだよな!」
みくる「え・・・・でも、その、どこへ?」
キョン「俺の部屋でやりましょう!!確かみんなノートも問題集も持ってきてましたよね?
長門と古泉、出来てるところまで俺に写させろ!!」
古泉「分かりました。長門さんもそれでよろしいですか?」
長門「いい」
キョン「おいジャイアン!!どうせお前も終わってないだろ!!のび太達と一緒に
まとめて終わらせちまえ!!」
ジャイアン「えぇ!?は、はい・・・」
キョン「スネ夫は!?」
スネ夫「ぼ、僕はもう終わってるけど一応問題集とノートは持ってきてる」
キョン「よし、じゃあのび太とジャイアンに写させてやれ!!よし、神戸港到着まで
時間が無い!!今すぐやるぞ!!後数時間でどうにかしてやるぜ!!」
ハルヒ「待ちなさいよ!!勝手に決めるんじゃないわよ。団長は私なのよ!
まず私に意見をうかがいなさい!団員の独断専行は重大な規律違反よ!!」
(そしてハルヒはキョンを睨めつけながら)
ハルヒ「私も行くからね!!!」
何とか宿題を全部終わらせる事に成功した。
-------神戸港(夜7時)
キョン「お前達ともこれでお別れか。何だか寂しいな」
ドラえもん「きっとまた会えますよ」
ハルヒ「そうよキョン!いい、遠くに行ってもあんた達はずっとSOS団の団員だって事を
忘れちゃ駄目よ!!」
のび太「あれ?仮団員じゃなかったんですか?」
ハルヒ「いいえ、もうあんた達は立派なSOS団の団員よ!!」
ジャイアン「ハルヒさん、次会う時は腕相撲、負けないからな~!!」
ハルヒ「いつでも相手になってあげるわ!その時まで一生懸命鍛えるのよ!」
ジャイアン「はい!」
ドラえもん「それじゃあみんなそろそろ行こうか」
キョン「ドラえもん、お前には死ぬほど世話になった。ありがとうな」
ドラえもん「いえいえこちらこそ」
脱出する事は不可能だったでしょう。本当にありがとうございました」
みくる「ドラえもんさん、ありがとうございました。さようなら」
長門「・・・・・ありがとう」
キョン「長門・・・」
ドラえもん「いやいや、僕もみんなにはお世話になりっぱなしで」
のび太「じゃあ行こうドラえもん」
キョン「のび太、あまりドラえもんに甘えすぎるなよ」
のび太「はい」
ハルヒ「みんな、私たちの事忘れちゃ駄目よ!!その内絶対に会いに行くからね!!」
ドラえもん「はーい!」
ジャイアン「待ってまーす」
のび太「じゃーねー!」
スネ夫「さようなら~」
ドラえもん達は何処でもドアで東京へと戻り
キョン達も解散し、明日の始業式に備えみな自宅で眠りについた。
ドラえもん「コラ!!起きろのび太くん!!今日から学校でしょ!」
のび太「う~~ん、後5分・・・・・・・・んん!?学校!?・・・・・って事は!?」
ドラえもん「うん、今日は9月1日!!僕たちはループを脱出したんだよ!」
のび太「やったー!!!」
のび母「何を大きな声出してるの!早くご飯食べて学校に行きなさい!!」
のび太「はーーい!」
----------ジャイアン宅
ジャイアン「やったよ母ちゃーーーん!!!」ガバッ
ジャイ母「何だよ~この子ったら朝っぱらから抱きついてきて」
----------スネ夫
スネ夫「ループが終わったよママー!!」ガバッ
スネ母「あらまスネちゃま急にどうしたザマス?」
キョン「別の地球からきただと?」
古泉「えぇ。彼らはこことは別の次元に存在する地球からこちらの地球へと
飛んできたんですよ」
キョン「それもハルヒの仕業か?」
古泉「だと思います」
キョン「まぁドラえもんの道具に対する朝比奈さんの反応は確かに不自然だったが
まさかそういう事だったとはな」
古泉「彼らのいる地球の未来は、こちらの地球の未来よりも遥かに科学文明が
発達しているようです」
キョン「ん?という事はあれか?俺達はもうあいつらには会えないのか?」
古泉「彼らは全く別の次元の住人ですからね。こちらの世界の東京都内をいくら探しても
彼らは何処にもいません」
キョン「そりゃ残念だな。いろいろ世話になったし、その内お礼でもしに行こうと思ったんだが・・・」
古泉「涼宮さんが再び望めば、また会える日が来るかもしれませんね」
キョン「だとすると、そう遠くはなさそうだな」
古泉「ですね」
ハルヒが3年前に起こした時間振動の事を知っていたんだ?」
古泉「恐らく、あの時間振動はドラえもんさんのいた未来の地球でも観測されたのでしょう。
それほどまでに大きなものだったということでしょうね」
キョン「何て女だ・・・」
古泉「その可能性を考え、あの時朝比奈さんはドラえもんさんにその事を
たずねてみたのでしょうね。我々の話を信用させる為に」
キョン「なるほどな、朝比奈さんも意外と頭が回るもんだ」
古泉「ドラえもんさんのいる未来であの時間振動の正体が解析出来ないのは当然の事と言えます
何故なら、全く別の次元の地球で起こった出来事なのですからね。解析しようがありません」
古泉「涼宮さんは文武とも優秀な方です。それは幼い頃からそうだったのでしょう。
ですから彼女は夏休みの宿題などが負担だとは全く思わなかったのですよ。
ましてや友人と共に分担作業をするものでもなかったのです。
涼宮さんはそんな事をするまでもなく、一人で簡単に片付けられる能力があるわけですから」
キョン「嘘だったみたいな気がする。15000回以上もあの船に乗っていたなんて」
古泉「そう感じるのも無理はありませんね。15497回、それだけのシークエンスにいた
僕たちと、今の僕達は記憶を共有していません。15498回目の記憶を引き継いだ
15499回目の僕達だけが、正しい時間流に再び立ち戻る事ができたわけですから」
キョン「全く実感はないが、肉体的には212年ぶりの登校だったんだよな。今日は」
古泉「そういう事ですね。考えるとぞっとします」
キョン「はぁ~」
古泉「ポーカーでもしましょうか?」
キョン「パスだ。ツキの月を飲んでるわけでもないしな、暫くポーカーは遠慮する。
それに、どうせもうすぐ団長様がお見えになるだろうよ」
古泉「涼宮さんは文武とも優秀な方です。それは幼い頃からそうだったのでしょう。
ですから彼女は夏休みの宿題などが負担だとは全く思わなかったのですよ。
ましてや友人と共に分担作業をするものでもなかったのです。
涼宮さんはそんな事をするまでもなく、一人で簡単に片付けられる能力があるわけですから」
キョン「嘘だったみたいな気がする。15000回以上もあの船に乗っていたなんて」
古泉「そう感じるのも無理はありませんね。15497回、それだけのシークエンスにいた
僕たちと、今の僕達は記憶を共有していません。15498回目の記憶を引き継いだ
15499回目の僕達だけが、正しい時間流に再び立ち戻る事ができたわけですから」
キョン「全く実感はないが、肉体的には212年ぶりの登校だったんだよな。今日は」
古泉「そういう事ですね。考えるとぞっとします」
キョン「はぁ~」
古泉「ポーカーでもしましょうか?」
キョン「パスだ。ツキの月を飲んでるわけでもないしな、暫くポーカーは遠慮する。
それに、どうせもうすぐ団長様がお見えになるだろうよ」
ハルヒ「やっほー!!!みんな揃ってるー?」
キョン「噂をすればだ・・・。新学期早々えらくテンションが高いな」
ハルヒ「当たり前じゃない!今日から二学期なのよ?二学期には大きなイベントが目白押し
SOS団の存在をアピールするにはもってこいだわ!!
キョン「超人選手権で優勝して十分アピールは出来ただろ。暫く休もうぜ」
ハルヒ「なに甘ったれた事言ってるのよ!!SOS団の存在を世界中に知らしめるまでは
休んでなんかいられないわ!キョン、アンタは馬車馬の如く働きなさい!!」
キョン「はぁ~。で、今度は何をやらかそうってんだ?」
ハルヒ「そうね、まずは体育祭!これで絶対に優勝するの!それが終わったら次は文化祭ね!」
キョン「文化祭?何するつもりだ?」
ハルヒ「この間の賞金を使って映画を撮るわよ!!主演はみくるちゃん!!
監督は勿論あたし!!」
キョン「映画だと・・・」
ハルヒ「分かったでしょ?休んでなんかいられないの!!早速体育祭に向けて
打ち合わせをするわよ!!ちょっと、聞いてるのキョン!?」
キョン「助けてくれ・・・・・ドラえもん」
おわり
ありきたりなネタだったにも関わらず支援してくださった方ありがとうございます!
特に ID:1sXBegq7O の数多い支援には何度も猿を回避させていただきました!
ありがとうございます。
最後のキョンのセリフ良いな
Entry ⇒ 2012.07.27 | Category ⇒ 涼宮ハルヒSS | Comments (2) | Trackbacks (0)
シャルル「ルルーシュ!!!授業参観はいつぅぅぅ?!!!」
ナナリー「お兄様?」
ルルーシュ「なんだい?」
ナナリー「生徒会のみなさんは?」
ルルーシュ「シャーリーとミレイ会長以外は実家に戻っているよ」
ナナリー「そうですか……少し、寂しいですね」
ルルーシュ「そうだな」
ピリリリ
ルルーシュ「電話だ。ちょっとごめん。―――はい?」
シャルル『我が息子、ルルーシュよ……久しいなぁ……?』
ルルーシュ「……!!」
ルルーシュ「お前……は……」
シャルル『お前の父……シャルル・ジ・ブリタニアであぁぁぁる!!!』
ルルーシュ「なんのようだ……きさま……!!」
シャルル『用?用だと?』
ルルーシュ「シャルル……!!」
シャルル『ルルーッシュよ!!ぬぁんたる愚かしさぁぁぁぁ!!!!』
ルルーシュ「な……!?」
シャルル『きさまぁ!!!そろそろ……じゅぎょぉぅさんかぁんの季節だろう?』
ルルーシュ「……」ピッ
ナナリー「お兄様……今の電話……」
ルルーシュ「気にしなくていい……悪戯電話だ」
ナナリー「でも……お父様の声が……」
ルルーシュ「気のせいだ」
ナナリー「そうですか……」
ルルーシュ「どうしました?」
咲世子「ミレイ様から内線のお電話です」
ルルーシュ「ああ、どうも」
ルルーシュ「はい、ルルーシュです」
ミレイ『ルルーシュ?あの……』
ルルーシュ「どうしました?」
ミレイ『さっき……ブリタニア皇帝陛下から電話があったんだけど……』
ルルーシュ「……なんて?」
ミレイ『授業参観の日取りはどうなっているって……』
ルルーシュ(何を考えているんだ……あの、バカ……)
ミレイ『で、夏休みだから授業自体がありませんって言ったの。そしたら、20分ぐらいの沈黙のあとに電話切れちゃって……』
ルルーシュ「他には?」
ミレイ『特に何もないけど……。どうしたらいい?』
ルルーシュ「放っておいて構いませんよ。ただの嫌がらせです」
ルルーシュ「気にすることはありません」
ミレイ『ルルーシュがそういうなら……』
ピリリリ
ナナリー「……はい。ランペルージです」
シャルル『ナァナリーか?』
ナナリー「……」
シャルル『ワシだ……シャルルだ……』
ナナリー「な、なんでしょうか……?」
シャルル『中等部の授業さぁんかんは……いつだ?』
ナナリー「今は夏季休暇中なので……ありません」
シャルル『ナナァリィィィ!!!!!なんたるおろかしさぁぁぁ!!!!』
ナナリー「ひっ」ピッ
ルルーシュ「ナナリー?どうした?」
ナナリー「あ、いえ……なんでもありません……」
ルルーシュ(何が目的だ……シャルルめ……!!)
ナナリー「……」ガクガク
咲世子「ナナリーさま……少し、おやすみになったほうが」
ナナリー「そ、そうですね」
ルルーシュ「大丈夫か?」
ナナリー「は、はい……なんともありません」
ルルーシュ「なら、いいんだ」
咲世子「行きましょう」
ナナリー「はい……」
ルルーシュ(手を打ちたいところだが、相手の目的がはっきりしない以上……どうすることも……)
ルルーシュ「くそ……」
ルルーシュ「……」カタカタ
ミレイ「ルルーシュ?なにしてるの?」
ルルーシュ「会長こそ。どうしたんですか?」
ミレイ「ちょっと、散歩」
ルルーシュ「閑散とした学園をですか?」
ミレイ「こういうのもモラトリアムでしょ?」
ルルーシュ「さあ、どうでしょうね」
ミレイ「ルルーシュは?」
ルルーシュ「少し、調べ物を」
ミレイ「自分の部屋でもできるでしょうに」
ルルーシュ「今はちょっと」
ミレイ「どうして?」
ルルーシュ「色々あるんですよ」
ルルーシュ(夏になってからC.C.が常に全裸でいるからとは言えないからな……)
ルルーシュ「ええ……」
ミレイ「授業参観に皇帝陛下が来るなんてまずないわよね」
ルルーシュ「そもそも、それがあるのは中等部まででしょう?」
ミレイ「最近はないけど」
ルルーシュ「そうですか」
ミレイ「ルルーシュの場合、いつも咲世子さんが参加してくれてたわね」
ルルーシュ「ええ。作文を読んだのときは誰よりも大きく拍手をするから、恥ずかしかったですけどね」
ミレイ「咲世子さんらしいわ」
ルルーシュ「そうですね」
ミレイ「そうだ。今からシャーリーも呼ぼっか?」
ルルーシュ「どうして?」
ミレイ「折角、寮に残ってるんだしね。一緒に居られる時間はできるだけ共有したほうがいいでしょ?」
ルルーシュ「そういうものですか?」
ミレイ「そういうものよ」
ミレイ「来た来た」
シャーリー「なんですか!!いきなり呼び出し……って、ルル?!」
ルルーシュ「髪がぐちゃぐちゃだな」
シャーリー「いや、これは……だって……急に会長が呼び出すからぁ!!」
ミレイ「あははは」
シャーリー「ルルもいるなら言ってよ!!」
ルルーシュ「どうやって伝えるんだ」
ミレイ「まあまあ。座って座って」
シャーリー「もう……」
ルルーシュ「……ん?」
ミレイ「私がセットしてあげる。ツインテールでいい?」
シャーリー「変なことしないでください!!」
ルルーシュ「……」
ミレイ「ルルーシュ?どうかしたの?」
ルルーシュ(しかも……今日から三日間も……?)
シャーリー「ルルのやつ、どうしたんですか?パソコンの画面見て、固まってますけど」
ミレイ「色々あるのよ」
ルルーシュ「……まさか」カタカタ
ミレイ「なに?何かわかったの?」
ルルーシュ「会長」
ミレイ「ん?」
ルルーシュ「総督がアッシュフォード学園に来ることは知っていましたか……?」
ミレイ「ああ。巡察でしょ?まあ、支持票を集める目的なんだと思うけど」
ルルーシュ「それは……明日なんですね?」
ミレイ「ええ。ルルーシュと会うことはまずないから、大丈夫だと思うけど」
ルルーシュ「どうして教えてくれなかったんですか?!」
ミレイ「トップシークレットだったの。テロリスト対策で、ギリギリまで公表しないことになってたし」
ルルーシュ「違う!!そうじゃないんですよ!!会長!!!」
ミレイ「ルルーシュ?」
ルルーシュ(シャルルがエリア11に来ているときにコーネリアが巡察……)
ルルーシュ(これは確実に……!!)
ミレイ「ちょっとルルーシュ、大丈夫?」
ルルーシュ「部屋に戻ります」
シャーリー「え?もう?」
ミレイ「ちょっと。ルルーシュ」
ルルーシュ(今朝の電話……シャルルの来日……コーネリアの巡察……)
ルルーシュ(どう考えても……奴は……!!)
ルルーシュ(ここに来る……!!!)
ルルーシュ(とにかく情報だ……情報が欲しい……!!)
ルルーシュ「……そうだ!!スザク……!!」
セシル「うーん……ちょっと休憩にしましょうか」
スザク「はい」
ロイド「じゃあ、お昼ご飯にいってまぁす」
セシル「ロイドさん。私の作ったお弁当がありますよ?」
ロイド「遠慮します」
セシル「そう言わずに」
ロイド「いや、だってさぁ?どんな材料をぶち込んだら、一面紫色になるわけぇ?」
セシル「隠し味です」
ロイド「か、隠れてないよね?」
スザク「夏季休暇の課題……まだ結構あるな……」
ピリリリ
スザク「はい?」
ルルーシュ『俺だ。今、いいか?』
スザク「いいよ。どうしたの?」
スザク「ああ……今日まで緘口令が敷かれていて、ルルーシュには伝えられなかったんだ。ごめん」
ルルーシュ『それはいい。問題は……シャルルがエリア11に来るということだ』
スザク「皇帝陛下が?」
ルルーシュ『知らないのか?』
スザク「ちょっと待って。―――ロイドさん!!」
ロイド「なぁに?」
スザク「皇帝陛下がエリア11に来るって本当ですか?」
ロイド「もう来てるんじゃないかなぁ?まあ、発表があったのはついさっきみたいだけど」
セシル「ええ?皇帝陛下が?どうして?」
ロイド「そんなの僕が知るわけないじゃない」
スザク「ルルーシュ……本当みたいだね」
ルルーシュ『その様子だと、奴の目的は知らないか……』
スザク「すまない」
ルルーシュ『いや、いいんだ。ありがとう』
ルルーシュ『ああ……助かる。それじゃあ』
スザク「うん」
セシル「お友達?」
スザク「ええ……ちょっと」
ロイド「ふぅーん」
コーネリア「枢木はいるか?」
セシル「コーネリア皇女殿下?!」
ロイド「あは~なんですか?」
コーネリア「枢木はいるかと聞いた」
スザク「はい!!ここに!!」
コーネリア「お父様」
ロイド「え?」
シャルル「お前が……枢木ぃかぁ……?」
スザク「こ、皇帝陛下……!?」
ルルーシュ「ふぅー……明日か……。時間が足りない……動かないでいるのが一番いいが……」
ルルーシュ「しかし、指を咥えているわけにも……」
C.C.「どうした?」
ルルーシュ「何か着ろ」
C.C.「夏ぐらいいいだろ?」
ルルーシュ「あのなぁ……」
C.C.「で、なにがあった?今朝から妙に落ち着きがないみたいだが?」
ルルーシュ「シャルルが来る」
C.C.「どこに?」
ルルーシュ「ここにだ……」
C.C.「ここって……学園にか?」
ルルーシュ「ああ……」
C.C.「そうか……困ったな。出て行く服がない」
ルルーシュ「なら、篭っていろ」
ルルーシュ「……」
C.C.「暗殺でもするのか?」
ルルーシュ「それは無理だろうな。準備する時間がなさ過ぎる」
C.C.「私が行くわけにもいかないしな……」
ルルーシュ「警察に補導されるからな」
C.C.「なかなか、ぴったりの服がなくて困る」
ルルーシュ「……だが、じっとはしていられない」
C.C.「どうするつもりだ?」
ルルーシュ「でき得る限りのことはする」
C.C.「じゃあ、お手並み拝見といこうかな」
ルルーシュ「シャルルめ……なんでも思い通りになると思うなよ……!!」
C.C.「シャルルか……」
C.C.「どういうつもりなのかな……」
ルルーシュ「……」カタカタ
ピリリリ
ルルーシュ「はい」
スザク『僕だ。ルルーシュ』
ルルーシュ「何かわかったか?」
スザク『ルルーシュ……皇帝陛下はアッシュフォード学園で2泊するみたいだ』
ルルーシュ「なんのために?」
スザク『しおりによると……合宿の名目だけど』
ルルーシュ「合宿?」
スザク『そう。エリア11の庶民の暮らしを体験する目的で』
ルルーシュ「なんだそれは」
スザク『わからない。でも、結構面白そうだよ。特別授業、調理実習、夜には肝試しもあるし』
ルルーシュ「そうか……なら、楽しめ」
スザク『ルルーシュ?他人事じゃないよ。君も参加するんだから』
スザク『参加者名簿に君の名前もあったよ』
ルルーシュ「なんだと?」
スザク『えっと……参加者はね……皇帝陛下、コーネリア総督、ユーフェミア副総督、ミレイ会長、シャーリー、カレン……」
スザク『それから、僕とルルーシュ。最後にナナリー』
ルルーシュ「ふざけるな!!その場に俺が出て行けるわけ……ちょっと待て」
スザク『なに?』
ルルーシュ「参加者名簿があるといったな?」
スザク『ああ』
ルルーシュ「俺とナナリーの名前もあるのか……?」
スザク『あるよ。生徒会のメンバーも全員名前が挙がってたけど、みんな実家に戻ってるから―――』
ルルーシュ「おい……俺が生きていること……コーネリアやユーフェミアに知られているということか……?』
スザク『あ……』
ルルーシュ「……」
スザク『で、でも!!気にすることないよ!!きっと総督も副総督も知らないフリしてくれると思うし!!』
スザク『総督は隠していたつもりだろうけど……終始、顔が変に歪んでいたのは、きっとルルーシュの生存を知ったからじゃないかな?』
ルルーシュ「それがなんだ」
スザク『楽しみにしているってことだよ』
ルルーシュ「……」
ルルーシュ(これで一気に暗殺がしにくくなったな……。まさか、カレンまで名前が挙がっているとは……)
ルルーシュ(いや、見方を変えればシャルルに近づくことができるということ……。そして、コーネリアもいる)
ルルーシュ(知りたいことを一気に知ることができるかもしれないな)
ルルーシュ「だが、それは明日の話だろう?」
スザク『だからこうして僕が電話をかけているんだ』
ルルーシュ「ご苦労様」
スザク『明日は1限からだから、遅刻しないように』
ルルーシュ「ナナリーにも伝えておこう」
スザク『ありがとう。それじゃあ』
ルルーシュ「ああ……」
ナナリー「はい?」
ルルーシュ「明日なんだが……」
ナナリー「何かあるのですか?」
ルルーシュ「ああ……シャルルとコーネリア、ユーフェミアがこの学園に来る」
ナナリー「ユフィ姉さまが?」
ルルーシュ「名目は視察だが……狙いは俺たちかもしれない」
ナナリー「……」
ルルーシュ「だから……ナナリー?」
ナナリー「行きます」
ルルーシュ「え……」
ナナリー「お兄様、私に何ができるかわかりません。何もできないかもしれません。だけど、お兄様だけにそのような苦を……背負ってほしくありません」
ルルーシュ「ナナリー……」
ナナリー「私も行きます。お兄様」
ルルーシュ「わかった……。大丈夫、お前のことは俺が守る」
カレン「……」
シャーリー「おはよ」
カレン「なに?昨日、スザクくんから電話もらって、状況を理解できないんだけど……」
シャーリー「大丈夫。私もよくわかってないから」
カレン「ええ?もう帰っていい?暑いし……」
シャーリー「ダメダメ!!」
カレン「なんで……眠いんだけど……」
シャーリー「すっごい人が来るらしいから、私たちはその人をお出迎えするの」
カレン「ふぁぁ……ホント……折角の夏休みなんだから……寝かせてよね……」
シャーリー「カレンは殆ど学校こないくせに」
カレン「体が弱くて……」
シャーリー「あ、カレン!!あれだよ!!あのリムジン!!」
カレン「誰よ……もう……」
シャーリー「えっと……生徒会の者です」
カレン「お出迎えをしようと思ってお待ちしておりました」
シャーリー「な?!」
ギルフォード「そうか。感謝する。私も途中まで姫様の護衛のために中に入る」
シャーリー「はい」
カレン「……えっと……」
ギルフォード「失礼した。私はギルバート・G・P・ギルフォード。コーネリア皇女殿下の騎士だ」
カレン「てことは……その車に乗ってるって……」
コーネリア「ここか」
ユフィ「はい。お姉様」
ダールトン「姫様、足下にお気をつけください」
コーネリア「心配するな」
カレン(コーネリア……!!)
シャーリー「コーネリア様とユーフェミア様だ……すごい……」
シャーリー「は、はい!!」
カレン「そ、そうです。お二人を案内しようと思いまして」
ユフィ「まぁ、ありがとう!」
コーネリア「シャーリー・フェネットとカレン・シュタットフェルトか」
シャーリー「え?どうして……私たちの名前を?」
カレン(まさか、素性を調べたの?)
コーネリア「まあ、生徒の名前ぐらいはな」
カレン「生徒?」
ギルフォード「姫様、まいりましょう」
コーネリア「ああ」
カレン「あの……今日はどういう目的で?」
ユフィ「今日は特別授業参観日だと聞いたので」
シャーリー「え?」
コーネリア「まあ、訪れる父兄は一人だけだがな」
ギルフォード「ここか」
ダールトン「では、先に……おぉ!?」
ギルフォード「どうしました?」
ダールトン「……後ろのほうに既に父兄が……」
ギルフォード「なんと?!」
シャルル「……」
ダールトン「皇帝陛下の入り時間はまだ先ではなかったか?」
ギルフォード「ええ……予定では始業開始直前だったはずです」
ダールトン「それが何故、もういる?まだ始業まで1時間以上あるぞ」
ギルフォード「聞いてみますか?」
ダールトン「恐れ多いだろ」
ギルフォード「ですね……」
シャルル「……」
ユフィ「ここが生徒会室なのですね」
シャーリー「はい」
ユフィ「スザクから話を聞いていたので、一度来て見たいと思っていたんです」
シャーリー「へえ、そうなのですか」
カレン「……」
ユフィ「カレンさん!」
カレン「は、はい?」
ユフィ「よろしくお願いしますね」
カレン「え、ええ……」
シャーリー「カレン?」
カレン「あたし、先に教室に行ってるから」
シャーリー「あ、カレン!」
ユフィ「私、何か失礼を……?」
シャーリー「そ、そんなことありませんから!!」
ミレイ「おはよーございまーす」
カレン「会長。おはようございます」
ミレイ「おは―――おぉ!?
シャルル「……」
ギルフォード「……」
ダールトン「……」
カレン「後ろの三人、どうにかなりませんか?」
ミレイ「父兄だから」
カレン「父兄って……」
スザク「おはよ―――あ?!」
ミレイ「スザク?」
スザク「お、おはようございます!!ギルフォード卿!!ダールトン卿!!」
スザク「皇帝陛下!!おはようございます!!!」
シャルル「……」
カレン「あんたは知ってたの?」
スザク「うん」
カレン「なら、電話でちゃんと伝えてよね」
スザク「すまない。驚かせようと思って」
カレン「(知っていれば来なかったのに)」
スザク「カレン?」
カレン「ふんっ」
ミレイ「他の生徒は?」
スザク「まだ……みたいですね」
ミレイ「そろそろチャイムが鳴っちゃうわよ」
スザク「そうですね」
コーネリア「―――よし。席についているかー?」
スザク「そ、総督?!」
コーネリア「ん?なんだ、まだ空席が目立つな。どうなっている!!?現代の教育現場は!!」
ギルフォード「姫様!!スーツ姿も似合っています!!」
ダールトン「ひめさまー!!」
コーネリア「父兄は黙っていろ!!」
カレン「もしかして……」
コーネリア「自己紹介をしておこうか」
スザク「……」
コーネリア「私の名前は―――」ガリガリガリガリ
ミレイ(字、でか……)
ギルフォード(黒板に字を書き込む姿も凛々しい……)
コーネリア「コーネリア・リ・ブリタニアである!!!担当教科は全教科だ!!」
スザク「……」
ミレイ「……」
カレン「……」
コーネリア「拍手はどうした?!」
ダールトン「姫様!!ステキです!!」パチパチパチ
シャルル「……」
コーネリア「ありがとう」
スザク「総督!!」パチパチパチ
コーネリア「それにしても。私の授業に遅刻してくる者がいるとはな……いい度胸だ」
ミレイ「えっと……あの、まだ始業のベルは鳴ってませんけど」
コーネリア「抜けている。惚けている。堕落している」
カレン「は?」
コーネリア「教師が教室に入った時点で、授業は始まっている!!」バンッ!!!
ミレイ「ひっ」ビクッ
コーネリア「つまり、教師の後から入ってきたものは全員……遅刻だ」
カレン「でも、まだ15分も余裕が……」
コーネリア「普通は20分前にはいるべきだ!!何を言っている!!!」
スザク「申し訳ありません!!自分たちの認識が甘かったです!!」
スザク「ありがとうございます!!」
カレン「……」
コーネリア「では、学級委員長は枢木に一任する」
スザク「じ、自分がですか?!」
コーネリア「文句でもあるのか?」
スザク「い、いえ!!」
コーネリア「では、枢木。号令を」
スザク「は、はい。起立」
コーネリア「声が小さい!!」
スザク「も、申し訳ありません!!起立っ!!!」
ミレイ「……」ガタッ
カレン「……」ガタッ
コーネリア「動作が遅い!!機敏に動け!!脆弱者が!!!」
カレン(こいつ……やけに張り切ってるわね……!!!)
ユフィ「お姉様……」
コーネリア「2分の遅刻だな……。シャーリー、ユーフェミア」
シャーリー「遅刻……?え?でも、まだ10分以上……」
コーネリア「教師よりも後に入ってきたら、遅刻だ!!」
ユフィ「そんな!!お姉様、それはちょっと厳しいのでは?!」
コーネリア「教師に口答えか……?ユフィ?」
ユフィ「そんなつもりは……!!」
コーネリア「廊下に立っていろ」
シャーリー「今時?!」
コーネリア「貴様はバケツを持って立っていろ!!」
ミレイ「た、体罰です!」
コーネリア「体罰?いいだろう。ならばPTAでも呼んで来い。私はナイトメアで真っ向から戦ってやろう」
カレン「無茶苦茶」
スザク「熱血教師だ……」
ナナリー「少しドキドキしますね」
ルルーシュ「俺は別の意味で―――ん?」
シャーリー「なんで……私が……バケツなんて……」
ユフィ「ごめんなさい。お姉様、昨日の夜、一生懸命に熱血教師の漫画を熟読していたみたいで」
シャーリー「ええ……そうなんですか?」
ユフィ「夕方になれば、夕日に向かって走る気だと思います」
シャーリー「はぁ……」
ユフィ「それでなくとも、お姉様は軍学校で厳しい教育を受けていましたから……」
ルルーシュ「何をしている?」
シャーリー「あ、ルル!!」
ユフィ「ルルーシュ?!ルルーシュなのですね?!」
ナナリー「ユフィ姉さま?」
ユフィ「ナナリー!!久しぶり!!」
ルルーシュ「で、廊下で何をしている?」
ルルーシュ「遅刻?まだ5分も前だぞ?」
ユフィ「お姉様の基準だと、教師よりも後に入ってきたら遅刻みたい」
ナナリー「そんな……」
ルルーシュ「じゃあ、俺も廊下に立たされる運命か」
シャーリー「うん」
ユフィ「でも、挨拶だけはしておいたほうがいいと思いますよ?」
ルルーシュ「挨拶な……」
ナナリー「行きましょう、お兄様?」
ルルーシュ「わかった。すぐに戻ってくる」
シャーリー「うん」
ユフィ「お待ちしています」
ナナリー「コーネリア姉さま、随分と厳しい先生なのですね」
ルルーシュ「まあ、予想をしてたがな」
ルルーシュ「遅れました。ルルーシュ・ランペルージです」
ナナリー「ナナリー・ランペルージです。申し訳ありません、先生」
ミレイ「ルルーシュ」
スザク「ナナリー……」
ルルーシュ「廊下に立っています」
コーネリア「よい。こっちにこい」
ルルーシュ「え……?」
コーネリア「はやく」
ルルーシュ「なんですか?」
コーネリア「だめだろ?」コツンッ
ルルーシュ「……」
コーネリア「ナナリーも」コツンッ
ナナリー「……」
コーネリア「席に座れ」
コーネリア「げんこつを与えた」
カレン「え?!廊下に立つんじゃないんですか?!」
コーネリア「ルルーシュとナナリーは素直に遅れてきたことを認め、謝罪した。その姿勢を見せられては何もいえない」
ミレイ「まあ……確かにシャーリーはいい訳してましたけど」
コーネリア「そういうことだ」
カレン「落差が激しいような……」
ギルフォード「素晴らしい愛!!」パチパチ
ダールトン「うむ……教師の鑑だ。涙が止まらない」パチパチパチ
シャルル「……」
ルルーシュ(シャルル……!!)
スザク「(ルルーシュ、良かったね)」
ルルーシュ「(別に嬉しくもない)」
コーネリア「枢木!!私語は厳禁だ!!次はないぞ!!!」
スザク「は、はい!申し訳ありません!!!」
コーネリア「今日1日の予定表を配る」スッ
ミレイ「どうも」
コーネリア「……」スッ
カレン「あの……二枚多いですよ?」
コーネリア「お前……廊下に立っている二人に配ってこいという意味を汲めないのか?」
カレン「あ、ああ……わかりました……」
コーネリア「全く。これだから最近の若者は」
カレン「……なによ、偉そうに」
コーネリア「カレン、廊下に立っていろ」
カレン「?!」
コーネリア「……」スッ
スザク「ありがとうございます」
コーネリア「ナナリー、紙で指を切らないようにな?」
ナナリー「はい」
ルルーシュ「は、はい」
コーネリア「では、刮目せよ!!」
ミレイ「……」
コーネリア「昼間ではこの教室を使い、女教師総督コーネリアによる授業を行う」
ナナリー「……」
ルルーシュ(点字処理までしている……用意周到だな……コーネリア……)
コーネリア「昼は皆で食堂へ移動し、昼食を皆で作り、食す!!」
コーネリア「午後は体育の授業のみ!!」
スザク「え……ナイトメアの操縦訓練?」
コーネリア「夜は中庭でバーベキューを執り行う」
コーネリア「そのあと、肝試しをし、体育館で就寝。以上!!質問は?!」
ナナリー「はい」
コーネリア「ナナリー」
ナナリー「あの……調理実習と体育の時間、私は参加できそうにないのですけど……」
ナナリー「ありがとうございます」
コーネリア「他には?!」
ユフィ「はい!」
コーネリア「外野は黙っていろ」
ユフィ「えぇ?!」
スザク「コーネリア先生!!」
コーネリア「枢木」
スザク「体育館で就寝とはどのように?」
コーネリア「寝袋を使う」
ミレイ「いいんですか?!」
コーネリア「なんの問題がある」
ミレイ「いえ……先生がいいなら……いいですけど」
コーネリア「他には?ルルーシュ、何かないか?」
ルルーシュ「特にありません」
シャーリー「はぁ……やっと解放された」
ユフィ「お姉様……今日はなんだか、厳しい……」
コーネリア「公私混同はしない。ユフィ?妹だからと甘くするつもりはない」
ユフィ「はい……」
カレン「よく言うわよ……」
コーネリア「カレン。お前は問題児だな」
カレン「いいえ。優等生です」
コーネリア「まあ、いい。では、1限は歴史だな。教科書を開け」
スザク「……」
ルルーシュ「(スザク、いいのか?ユフィがボロクソに言われているが)」
スザク「(仕方ないと思う。総督の言い分のほうが正しいし)」
コーネリア「枢木!!私語をするなといっただろうが!!!」
スザク「す、すいません!!出来心で!!」
コーネリア「罰として、教科書47ページから50ページまでを全て音読しろ!!」
コーネリア「ご苦労。では、枢木が読んでくれている間に、黒板に穴埋め問題を書いておいた」
コーネリア「どれでも基本的なところだな。年号を埋めてもらおう。では……ミレイ」
ミレイ「は、はい!」
コーネリア「書け」
ミレイ「はい」ガタッ
ギルフォード「撮影は禁止ですか?」
ダールトン「フラッシュはだめらしい」
シャルル「……」
C.C.「おお、もう始まっているのか。ふふっ。父兄も精悍だ。お洒落してきて正解だったな」
咲世子「はい」
ギルフォード「あ、どうも」
咲世子「どうも。すいません」
ダールトン「貴方たちは?」
C.C.「授業参観だろ?子どもの成長を見るのに理由はいらない」
コーネリア「正解だ。まあ、これぐらいは簡単か」
ミレイ(授業でやってないところでしたけどね……)
コーネリア「不満そうだな?」
ミレイ「滅相もありません」
コーネリア「では、次のページに行こう。読みたい者は?」
咲世子「ルルーシュ様、手を上げてください」
C.C.「ルルーシュ、見せ場だぞ」
ルルーシュ「……?!」
ルルーシュ(咲世子とC.C.……?!なにをやっている……!?)
コーネリア「誰かいないか?根性なしばっかりだな!!!」
スザク「では、自分が!!」
コーネリア「お前はさっきも読んだろうが!!!自己主張が過ぎるぞ!!枢木!!!」
スザク「申し訳ありません!!」
カレン(なら、どうしろっていうのよ)
コーネリア「よし、1限は終了とする。10分の休憩を挟む。今のうちにトイレには行っておけ」
コーネリア「号令!!!」
スザク「きりーつ!!!!礼!!!ありがとうございましたぁ!!!!」
シャーリー「……した」
コーネリア「よし」スタスタ
スザク「はぁ……」
ルルーシュ「ナナリー、大丈夫か?」
ナナリー「あの……お兄様。気のせいかもしれませんが……背後からすごい視線を感じます……」
ルルーシュ「……」
シャルル「……」
ルルーシュ「気のせいじゃない。咲世子が来ているからな」
ナナリー「咲世子さんの視線なら、こんなに怖いはずがないと思うのですが……」
ルルーシュ(シャルル……ナナリーを怖がらせるな……!!)
シャルル「……」
ミレイ「そりゃ、前門の総督、後門の皇帝陛下、だもんね。姿勢一つ崩すのも躊躇うわ」
シャーリー「もう背筋を伸ばすのいやですよぉ」
ミレイ「まあ、まあ。でも、こういうイベントに参加できるってすごいことよ?」
シャーリー「そうかもしれませんけど」
カレン「ふわぁぁ……」
スザク「眠そうだね」
カレン「昨日はちょっと夜更かししてね」
スザク「寝たらどんな罰があるかわからないよ?」
カレン「分かってるわよ……」
ユフィ「スザク」
スザク「なんですか?」
ユフィ「大丈夫ですか?声が若干枯れ始めてる気がしますけど……」
スザク「音読のときも全力でしたからね。聞き苦しい声にならないように気をつけます」
ユフィ「そんなのは気にしないでいいから」
いつ爆発するのか・・・
シャーリー「は、早くないですか?まだ、5分ですよ!?」
コーネリア「教室に私が来ただけだろう」
ミレイ「えぇ……」
コーネリア「次は数学か……よし、教科書を開け」
ミレイ「あの!10分の休憩ではなかったのですか?」
コーネリア「ああ。あと5分は雑談していても構わないぞ?教科書を開いておけといっただけだ」
ユフィ「なるほど、遅刻対策ですか」
コーネリア「その通りだ、ユフィ。流石だな」
シャーリー(この雰囲気で雑談なんて……)
コーネリア「今のうちに私は黒板に問題を書く。楽にしていろ」ガリガリガリガリ
ルルーシュ「なんて高圧的な教師だ」
ナナリー「お兄様」
コーネリア「そうか。すまない。気をつけよう」
シャーリー「ルルに甘くない……?」
コーネリア「号令!!」
スザク「きりぃぃつ!!!れぇぇい!!!よろしくおねがいしまぁす!!!ちゃくせきぃ!!!」
コーネリア「よし。では、早速黒板に書いた問題を解いてもらおうか。自信があるものは挙手!!」
ユフィ「……」
ギルフォード「ユーフェミア様!!好機です!!」
ダールトン「ユーフェミア様!!手を!!」
咲世子「ルルーシュ様!!」
C.C.「いけ、カレン」
カレン「!?」バッ
C.C.「……」ササッ
カレン(今、誰かいたような……)
シャルル「…………」
ナナリー「……は……はい」プルプル
コーネリア「ナナリー?」
ナナリー「みたいですね……先生から頂いた、点字プリントを読む限りは……」
コーネリア「ナナリー、できるなら、その場で答えを言っていけ」
スザク「ナナリー、大丈夫かい?僕もこれ、全然わからないんだけど」
ナナリー「でも……答えないと……背中から押し殺されそうで……」
ルルーシュ「……!」
シャルル「…………」
ルルーシュ(シャルル……!!)
シャーリー「ナナちゃん、がんばって」
ミレイ「ナナリー」
カレン「……」
ユフィ「ナナリー、ファイトです」
ナナリー「はい。―――第一問の答えは……5です」
コーネリア「違うが正解でいい。最初の値を4にすると解は5になるしな」ガリガリ
ナナリー「……」
コーネリア「では休憩にする。号令!!」
スザク「きりぃぃつっ!!れいっ!!ありがとうございますたぁ!!!」
コーネリア「よし」
ナナリー「……」
ユフィ「ナナリー?元気だして」
シャーリー「あれ、私でもわからなかったし!!」
ミレイ「そうそう。大学入試レベルだから」
カレン「うんうん」
ナナリー「……」
ルルーシュ「ナナリー……習っていないところだ。気にするな」
スザク「でも、全問不正解だから……割とショックだと思うよ」
ルルーシュ「スザァァァク!!!!」
カレン「余計なこというな!!!」
スザク「え?あ、ごめん」
C.C.「ああいうときもあるさ。気にしてやるな。余計、惨めにさせる」
ギルフォード「あの車椅子の少女が……?」
ダールトン「ナナリー・ヴィ・ブリタニア皇女殿下……今は皇位継承権はないと聞くが」
ギルフォード「らしいですね」
咲世子「手出しはさせませんよ」
ギルフォード「何をいう。姫様が敬愛していたマリアンヌ様のご息女。我々にとっても守る対象だ」
ダールトン「その通り」
C.C.「頼もしいな。なら、ルルーシュのこともお願いしようかな」
ギルフォード「無論だ」
咲世子「よかった……」
ダールトン「そろそろ、次の授業が始まるな」
ギルフォード「ダールトン卿。もうデジカメの容量が……」
ダールトン「それはいかん。すぐに新しい記憶媒体と交換しろ」
シャルル「………………」
スザク「カレン……カレン……」
カレン「ん……」ウトウト
コーネリア「枢木」
スザク「あ……」
カレン「ん……ん……」ウトウト
ルルーシュ「……」
シャーリー「あぁ……カレン……」
ミレイ「ご愁傷様」
コーネリア「……」
カレン「ん……ん……ん……」ウツラウツラ
コーネリア「カレーパンッ!!!!!」
カレン「ひゃいぁ?!」ガタッ!!!
コーネリア「起きたか?」
カレン「はい……すいません……でした……」
カレン「……あ」
コーネリア「よし。午前の授業はこれで終わりとなる。カレン、座っていいぞ」
カレン(まさか、授業中ずっと立たされるとは思ってなかった……地味にきつい……)
ユフィ「調理実習ですね!」
コーネリア「その通り。ギルフォード!!」パチンッ
ギルフォード「はっ。皆さん、今からエプロンを配ります」
シャーリー「エプロン?」
コーネリア「我が父君、シャルル皇帝陛下がお作りになったものだ。心して着用するように」
ミレイ「えぇ?!」
ルルーシュ「シャルルが……?!」
シャルル「……………………」
ナナリー「あれ……このエプロン……いたるところに点字が……」
スザク「ありがとうございます!!皇帝陛下!!」
シャルル「……………………」
ロイド「もうー、強引なんだから。セシルくんは」
セシル「今の時間だと調理実習中だと思います」
ロイド「でもさぁ?総督はともかく、皇帝陛下までいるんでしょ?ちょっと気が引けるよね」
セシル「まあ、そうですけど……折角、シュナイゼル殿下が行ってきてもいいと行ってくれたのですから」
ロイド「確かに、殿下のご好意を無駄にはできないけどさぁ」
セシル「私も調理実習に参加しちゃってもいいんでしょうか?」
ロイド「地獄絵図になるだろうね」
セシル「へえ?」
ロイド「ごめんなさい。殴らないで……」
ダールトン「ん?お前たちは特派の」
ロイド「どーも。スザクくんは、います~?」
ダールトン「今、班分けが済んだところだ。父兄は黙って参観していろ」
セシル「あの、私も調理のお手伝いを……」
ロイド「だめだって!!」
コーネリア「では、班に分かれ、調理をしろ。そして、勝手に食え!!」
ミレイ「よし……!!なんか班分けに納得できないけど!!」
シャーリー「ファイトー!!」
スザク「うん、頑張ろう」
カレン「早く作っちゃいましょう」
コーネリア「よし。では、作ろうか」
ユフィ「お姉様、何を作りましょうか?」
ナナリー「……」
ルルーシュ「どうでもいいが、この班分けには何か作為的なものを感じざるを得ないのだが」
コーネリア「何をいう。私が事前に籤を引いていたといっただろう」
ユフィ「ナナリー?なにつくろっか?」
ナナリー「なんでも構いませんよ?」
ルルーシュ「……」
C.C.「ピザ」
シャーリー「ピザにするの?」
スザク「え?そうなの?」
カレン「なんでピザなのよ」
C.C.「ピザ」
ミレイ「じゃあ、生地から作らないとダメね」
シャーリー「はーい」
スザク「力仕事なら僕がやります」
カレン「ねえ、ピザでいいの?」
C.C.「いいんじゃないか?」
カレン「なら、いいけど」
C.C.「よし」
咲世子「何をしているのですか?」
C.C.「ステルスマーケティングだよ」
ルルーシュ「なんですか?」
コーネリア「何が食べたい?」
ルルーシュ「先生が作ってくれるんですか?」
コーネリア「任せろ」
ユフィ「わーい。お姉様の手料理なんて久しぶりです」
ナナリー「私は初めてですね」
コーネリア「ふふ……期待してろ、ナナリー?」
ナナリー「はい」
コーネリア「まずは食材を切らないとな」
ユフィ「ワクワクしますね、ルルーシュ?」
ルルーシュ「大丈夫なんだろうな?」
ユフィ「見た目が豪快なだけで、割と美味しいですよ?」
ナナリー「……見てみたいですね。お姉様の料理」
ユフィ「ナナリー、ごめんなさい!!」オロオロ
ギルフォード「……」
コーネリア「よっと」ザンッ
ダールトン「ああ……!!」ハラハラ
ギルフォード「……」ドキドキ
コーネリア「はっ」ザンッ
ルルーシュ「……」
ユフィ「ふふ……」
コーネリア「はぁ!」
ルルーシュ「待て!!」ガシッ
コーネリア「なんだ?」
ルルーシュ「手つきが……」
コーネリア「いやらしいか?」
ルルーシュ「違う。先生、料理をする度に指を切っていただろう?」
コーネリア「よくしっているな。誰から聞いた?」
スザク「トッピング、できました」
ミレイ「じゃあ、こっち手伝って」
スザク「はい」
セシル「……んー。これじゃあ、普通のピザよね……」
セシル「えっと……あったわ。ブルーベリージャム」
セシル「ふんふーん」ボトッ
セシル「これでよしっと」
カレン「スザクくん、ピザを焼いて」
スザク「わかった」
シャーリー「カレーン!!洗い物手伝ってよー」
カレン「はいはい」
スザク「ん?なんだ、これ?こんなトッピングしたかな?」
スザク「まあ、いいか」
スザク「これで焼きあがるのを待つだけか」
咲世子「ええ……きっと力作になるでしょう」
ロイド「セシルくん、今、スザクくんのところに行ったみたいだけど、何かした?」
セシル「え?ああ、一味添えておきました。普通のピザだったので」
ロイド「あちゃぁ……」
シャルル「………………………………」
ロイド「……皇帝陛下?」
シャルル「……………………………………」
セシル「ずっと一点の見つめてますね」
ロイド「なんだろう……なんかすごく怖いよ」
セシル「きっとなにかお考えがあるんですよ」
ロイド「だといいけどね」
チーン!!!
スザク「焼けたよ!!」
ミレイ「なんかすっごいブルーベリーの匂いがするけど、なんで?!」
シャーリー「なにこれぇ……すっごくジャムですけど……」
カレン「匂いがもう甘ったるぅ……」
ミレイ「とりあえず、切り分けましょう」
スザク「はい」
C.C.「なんだか不思議なピザだな」
スザク「はい」
シャーリー「どうも……」
スザク「はい、カレン」
カレン「……」
スザク「はい、会長」
ミレイ「う、うん……」
スザク「はい」
C.C.「ありがとう」テテテッ
スザク「あれ?僕の分がない……おかしいな。人数分切り分けたのに……」
ミレイ「はむっ……」
シャーリー「……うぇぇ……ジャムをそのまま食べてるみたい……」
ミレイ「ジャムのピザってあるけど……カスタードクリームとか使って、スイーツみたいにしないと食べられたものじゃないわね……」
スザク「僕はサラダで我慢します」ムシャムシャ
カレン「……」モグモグ
C.C.「……」
咲世子「C.C.様、涙を拭いてください」
C.C.「ピザ……まずいな……」
咲世子「たまたまです」
C.C.「信じてたのに……うぅ……」
ロイド「やっぱりこうなったか……」
セシル「あれ……割といけると思ったんですけど」
カレン「……」モグモグ
カレン(別にこれ悪いとは思わないけど……言ったら変な子になるわね……)
ユフィ「いい香りですね、お姉様!!」
コーネリア「ああ。どんどん食べろ」
ルルーシュ「カレーじゃないですか」
コーネリア「不服か?」
ギルフォード「姫様ぁ!!!大盛りでお願いします!!」
ダールトン「では、私は特盛で!!!」
コーネリア「まてまて。生徒が先だ」
ユフィ「お姉様、私は並盛りで」
コーネリア「はいはい」ドバァ
ユフィ「え!?お姉様!!こんなに食べられません!!!」
ナナリー「私も少なめでいいです、先生」
コーネリア「そうかそうか。はい」
ルルーシュ「俺は―――」
コーネリア「いっぱいたべろ、ルルーシュ。てんこ盛りにしておいてやろう」ドバァ
ダールトン「ああ!!この形の揃っていない具も姫様の気高さがよく表現されている!!」ハフッハフッ
ナナリー「……」パクッ
コーネリア「どうだ?」
ナナリー「はい、とっても美味しいです。具も大きくて……」
コーネリア「ああ。あえて人参は切らないで入れてみた」
ナナリー「……」
ルルーシュ「全く……いくら食っても減らないぞ……」
ユフィ「はい……もう苦しい……」
シャルル「……………………………………」
ルルーシュ「シャルル……」
ユフィ「お父様?お姉様のカレー、どうですか?」
シャルル「……………………………………」フルフル
ルルーシュ(何故、喋らない……。ん?良く見たらシャルルの両頬が若干膨らんでいる……?)
ルルーシュ(こいつ、何か口にいれているのか……!?)
スザク「そうですね」
シャーリー「いいなー……私も豪快なカレー食べたい……」
スザク「まだ、ジャムピザ残ってるじゃないか」
シャーリー「スザクくん、食べる?」
スザク「シャーリー、間接キスになるけど、いいのかい?」
シャーリー「かっ……!?」
スザク「それでもよければ、もらうけど」
シャーリー「だめ!!やめて!!」
スザク「そう」
ミレイ「なにやってんだか」
カレン「……」
ミレイ「カレン?どうしたの?」
カレン「総督と副総督はすごく楽しそうだなって……」
ミレイ「そうね……。そうでしょうね」
ルルーシュ「腹が……」
ユフィ「うっ……」
ナナリー「大丈夫ですか?お兄様、ユフィ姉さま」オロオロ
コーネリア「まずはグラウンドでナイトメアの操縦訓練!!」
シャーリー「先生!!それ本物を使うんですか?!」
コーネリア「当たり前だ!!!実戦訓練を行うからな!!覚悟しろ!!!枢木!!!」
スザク「名指しですか?!」
コーネリア「ナイトメアの操縦訓練を行った後は、屋内プールへ移動し、水練を行う!!」
ナナリー「プールは大好きです」
カレン「そうなの?」
ナナリー「はい。水中のほうが自由に動けますから」
カレン「なるほどね」
コーネリア「では、速やかに体操服に着替えろ!!」
ギルフォード『姫様ー、お持ちしました』
コーネリア「ありがとう!!」
ダールトン『いえ。勿体無いお言葉です』
ミレイ「先生まで体操着着てるわね……」
シャーリー「先生が穿いてるのってなんですか?すごく足が出ちゃってますけど」
カレン「たしかブルマーとかいうのね」
ミレイ「へえ」
ルルーシュ「運動したら吐きそうだ」
ユフィ「私もです……」
スザク「ルルーシュとユーフェミア様は休んでいたほうが……」
ナナリー「ご無理はなさらないでください」
ルルーシュ「ありがとう」
ユフィ「では、最初の30分は基本的な操縦方法を教えてやろう。まずは……シャーリー!!このグロースターに乗れ!!」
シャーリー「は、はい!!」
コーネリア『いいぞ!!筋はいい!!だが……まだまだだ!!脆弱者がぁぁ!!!』ガキィィィン
シャーリー『きゃぁあああ?!』
セシル「いいんですか?一般学生をナイトメアに乗せるなんて」
ロイド「いいんじゃない?総督自身がいいっていってるんだし」
セシル「そうですけど」
C.C.「んー……そろそろ帰るかな」
咲世子「いいのですか?」
C.C.「バーベキューになったら戻ってくるよ」
咲世子「畏まりました」
シャルル「………………………………………………………………」
C.C.(シャルルが何かを仕掛けるかとも思ったが、どうやら心配はないようだな)
C.C.「ふふ……」スタスタ
シャーリー『あぁぁああああ!!!!!』ガキィィィン!!!
コーネリア『なに?!』
ナナリー「え?私、ですか?」
コーネリア「一緒に乗ろう。相手は……枢木、お前だ」
スザク「わかりました」
ルルーシュ「スザクも軍人ならナイトメアぐらい操縦できるか」
ユフィ「スザクー、頑張ってください」
カレン「暢気よね」
ユフィ「え……?」
ミレイ「ルルーシュとスザクって結構いい戦いになりそうよね?」
ルルーシュ「あっちは訓練を飽きるほどしている。負けますって」
シャーリー「あー……つかれたぁ……」
ルルーシュ「すごいな。お前、ナイトメアの操縦技術を磨いたらナイトオブラウンズになれるんじゃないか?」
シャーリー「無理無理。もう……足と手がガクガクで……」
ミレイ「お疲れ様。タオルをどーぞ」
シャーリー「どうも」
コーネリア「私の上に座れ」
ナナリー「いいのですか?」
コーネリア「構わないよ」
ナナリー「では……失礼します」ギュッ
コーネリア「ナナリー。逆だ」
ナナリー「これは……?」モミモミ
コーネリア「あぁん……こ、こら、ナナリー、それは私の胸だ」
ナナリー「ご、ごめんなさい」
コーネリア「いいか。ここを持つんだ」ギュッ
ナナリー「はい……」グッ
コーネリア「よし……いいぞ。あとは耳を研ぎ済ませろ」
ナナリー「耳を……」
コーネリア「相手のナイトメアの音を聞くんだ」
ナナリー「……」
>>247
この画像マジエロいよな
真面目にルルーシュが羨ましいわ
コーネリア『先生だ、枢木』
スザク『先生……行きます!!』
コーネリア『いつでもこい』
スザク『はぁぁぁぁ!!!!』ギュルルルル!!!!
コーネリア『来たぞ!!ナナリー!!』
ナナリー『スザクさんっ!』ギュルルル!!!!
スザク『避けられた!?』
ナナリー『くっ!!』バッ
スザク『そこだ!!!』スガガガガ
ナナリー『聞こえます!!』バッバッ!!
スザク『動きは早い!?』
ロイド「すごい……あれ……本当に盲目の女の子が操縦してるの?」
セシル「コーネリア皇女殿下のサポートによるものでは?」
カレン(違う……あれはコーネリアの動きじゃない……まるで……)
ナナリー『そこですね!!』スガガガガ
スザク『くっ……!!なんて反応速度だ!!』
スザク(この動き……まるで……)
カレン(ゼロ……!!)
スザク『いくぞ!!ナナリー!!』
ナナリー『はい!!!』
コーネリア『ナナリー、落ち着け!!』
ナナリー『私に足があるような感覚です!!』ギュルルル!!!
スザク『うおぉぉぉ!!!!』ガキィィィン
ナナリー『ふっ……』ガキィィン!!
ギルフォード「あの枢木スザクと互角に渡り合うとは……」
ダールトン「全盲なのが惜しい逸材だな」
カレン(ナナリーがどうしてゼロと似たような動きを……まさか……まさかね……)
ルルーシュ(流石だな。母さんの血はナナリーに受け継がれていたのか……)
ナナリー「ユーフェミア様ー」パチャパチャ
ユフィ「ナナリー、かわいい」
スザク「犬掻き、上手いね」
ナナリー「ありがとうございます……」
ルルーシュ「スザァァァク!!!」
スザク「え?どうしたんだい?」
ルルーシュ「それは嫌味か?!嫌味なんだろぉ?!」
スザク「なんのことだ?!」
ミレイ「コーネリア先生、大丈夫かなー?」
シャーリー「手首を軽く捻挫したっていってましたよ」
ミレイ「ナナリーの操縦、そんなに荒っぽかったの?そうは見えなかったけど」
カレン「ナナリーがナイトメアのハンドルと間違えて先生の腕を握ってしまったのが原因だって言ってました」
シャーリー「え……?」
ナナリー「おにいさまー」パチャパチャ
コーネリア「皆は?」
ダールトン「予定通り、屋内プールのほうに。自由時間にさせていますが」
コーネリア「それでよい」
ギルフォード「そうですか」
コーネリア「それよりもお前たち、そろそろバーベキュー準備と肝試しの準備に取り掛かれ」
ダールトン「イエス、ユア・ハイネス」
コーネリア「特派にも手伝ってもらうぞ」
ロイド「あは~それなら、もう用意してますよ」
コーネリア「なに?」
セシル「昨日、徹夜で作りました。広域ホログラフィー発生装置」
ギルフォード「どういうものだ?」
ロイド「その名の通り、半径1キロメートルにならどこにでも任意でホログラフィーを映し出せる装置なんですよね~」
セシル「また触れることはできませんが、温度を感じることができるようになっています。肌を撫でる温い風などを再現できます」
コーネリア「……」
咲世子「よいしょ……バーベキューセットはこれでよしと」
咲世子「C.C.様、燃料はそこにおいて置いてください」
C.C.「ああ」
シャルル「……………………………………」
咲世子「材料は……よし……次はテーブルはいるのでしょうか……?」オロオロ
シャルル「……………………………………」
C.C.「おい」
シャルル「……………………………………」ビクッ
C.C.「お前、何もしないならどこかにいけ」
シャルル「……………………………………」
C.C.「なんだ?その口の中に何を仕込んだ?」
シャルル「……………………………………」フルフル
C.C.「仕込んでない?嘘を吐くな。どうせ、つまらない手品でもするつもりなのだろう?」
シャルル「……………………………………っ」ドキッ
スザク「お腹すいたね」
ルルーシュ「あれだけ泳げばな……」
スザク「そうだね。ルルーシュ、じゃあ早く食べられるように僕たちもバーベキューの準備をしよう」
ルルーシュ「ああ」
ルルーシュ(そろそろ宴も終わるか……シャルルの目的は不明のままで終わりそうだな……)
咲世子「あー、忙しい、忙しい」パタパタ
スザク「咲世子さん、手伝います」
咲世子「スザク様……はい。お願いします」
C.C.「よっと」
ルルーシュ「珍しいこともあるな。お前が進んで手伝うなんて」
C.C.「バーベキューピザが私を待っている」
ルルーシュ「なんだそれは?」
シャルル「……………………………………」
ルルーシュ「……咲世子さん。俺も何か手伝います」
コーネリア「そうか」
ギルフォード「では、姫様」
コーネリア「頼んだぞ」
ギルフォード「イエス、ユア・ハイネス」
コーネリア「いい夕日だな」
スザク「そうですね」
コーネリア「夕日に向かって走るか!!?」
スザク「はい!!」
コーネリア「いくぞ!!」ダダダッ
ルルーシュ「スザク、こっちの具を切るの手伝ってくれ」
スザク「うん」
ユフィ「スザク、こっちもお願いしますね」
コーネリア「どうして誰もついてこない?!」
カレン「……」
シャーリー「どうもすいません」
ユフィ「お姉様、どうぞ」
コーネリア「ありがとう。ルルーシュ?食べているか?」
ルルーシュ「ええ」
コーネリア「そうか」
C.C.「咲世子、ピザはどこだ?」
咲世子「ありませんよ」
C.C.「なぜだ?!バーベキューピザというのがあるはずだろう?!」
咲世子「C.C.様、それはデリバリーにあるピザです。実際のバーベューでピザは作りません」
C.C.「そんなぁ……ピザ……」
シャルル「……………………………………ちゅぅぅぅぅもふぅぅぅぅ!!!!!!」
ルルーシュ「シャルル?」
カレン「……ねえ」
ユフィ「はい?」
ミレイ「な、なんて言ってるのですか……?」
コーネリア「ミレイ。全く、父君は手品を見せると仰っているのだ。耳をよく傾けておけ」
ミレイ「すいません」
シャルル「ワフィのくふぃかはぁ、ふぁんふぉふきふぉ、ふぁぁぁぁふ!!!」
シャーリー「今のはなんて言ったの?」
ナナリー「多分……口から万国旗を出すって言ったと思います」
シャーリー「そうなんだ……」
スザク「すごい!!どうやって出すんだろう!!」
ルルーシュ「……」
ユフィ「なんですか、カレンさん」
カレン「ずっと……今日一日見てたけど……何してるの?仮にもエリア11の総督と副総督でしょ?」
ユフィ「え……?」
カレン「こんなところで遊んでて……楽しい?影では多くの人が苦しんでいるこの街で、ただ遊んでるだけだよね?」
ユフィ「あの……」
ユフィ「……!」
カレン「何よ?怒った?」
ユフィ「取り消しなさい!!!」
スザク「ユフィ?」
コーネリア「どうした?ユフィ?お父様が大イリュージョンを―――」
ユフィ「私だって、それぐらいわかっています!!それでも……自分にできることを必死に探しています!!」
カレン「探してる?どこが?同年代の学生と楽しそうにワイワイしてるだけじゃない!!」
ミレイ「カレン!!」
ルルーシュ(カレン……)
ユフィ「それはあなただってそうじゃない!!」
カレン「あんたが来るって分かっていれば、来なかった!!」
ユフィ「……!!」
カレン「あんたみたいな……何も分かってないやつが……あたしは一番嫌いなんだ」
シャルル「……………………………………」シュルル…
カレン「ごめん……」スタスタ
ミレイ「カレン!!」
シャーリー「私が追いかけます!!」
ルルーシュ「シャーリー、俺が行く」
シャーリー「ルル?」
ナナリー「カレンさん……どうしたのですか?」
ユフィ「……っ」
コーネリア「大丈夫か、ユフィ?」
ユフィ「は、はい……」
スザク「あの……申し訳ありません……ユーフェミア様……」
ユフィ「いいえ……スザクは悪くありません……」
スザク「……」
ミレイ「もう……」
シャルル「……」スルスルスルスル…
カレン「ごめんなさい……空気、悪くして……」
ルルーシュ「……」
カレン「でも……許せなかった……どうしても……言わないと……気が済みそうになかった……」
ルルーシュ「……」
カレン「ごめんなさい」
ルルーシュ「優しいんだな」
カレン「え……?」
ルルーシュ「自分のことじゃなく、お前は他人のために怒っていた。中々、できることじゃない」
カレン「そんなこと……」
ルルーシュ「匿名で何を訴えるのとはわけが違う。お前は副総督に他人の苦しみを直接ぶつけた。面と向かって……しかも、同じブリタニア人が」
カレン「ちが―――」
ルルーシュ「え?」
カレン「あ……いや……なんでもない」
ルルーシュ「お前の優しさはユーフェミア様に届いてるはずだ……気にするな」
ルルーシュ「ああ。俺が保障する」
カレン「ふふっ……なにそれ?」
ルルーシュ「戻ろう」
カレン「いいの……?あたしは居ないほうが……」
ルルーシュ「途中で抜けるほうが気まずくなる。収拾がつかないほどにな」
カレン「……」
ルルーシュ「このあと、肝試しもあるし」
カレン「分かったわよ……」
ルルーシュ「ありがとう」
カレン「なんで、ルルーシュがお礼をいうわけ?」
ルルーシュ「なんでだろうな」
カレン「もう……」
C.C.「……あいつ」
咲世子「嫉妬ですか?」
ユフィ「……」
カレン「……」
コーネリア「カレン!!お前―――」
ルルーシュ「(姉上、ここは二人に解決させるべきです)」
コーネリア「……お前がそういうなら」
ユフィ「……」
カレン「……」
スザク「よし、ここは僕が」
ミレイ「だめだめ!!!」
シャーリー「空気よんでよぉ!!」
スザク「え?でも……」
ルルーシュ「先生、それより、そろそろ肝試しの時間ですよね?」
コーネリア「そうだったな。二人一組になって悪霊がはびこる、この学園を探検する。本日のメインイベントだ」
シャルル「……」スルスルスルスル…
コーネリア「私が既に―――」
ナナリー「フィーリング!!」
ルルーシュ「ナナリー?」
ナナリー「フィーリングで決めませんか?」
シャーリー「えー?なにそれ?!どうするの?」
ナナリー「一枚の紙にペアになりたい人を一人書くんです。それでお互いの名前が合致した人とペアになる」
ミレイ「いいじゃない!!面白そう!!」
コーネリア「しかし……あの……私が……」
ルルーシュ「それはいい方法だな。少し時間がかかるかもしれないが」
ナナリー「ごめんなさい……」
ルルーシュ「なら、早速準備しよう。スザク、紙を……そうだな、スケッチブックみたいなのがいいな。それを人数分用意するぞ」
スザク「わかったよ」
ミレイ「おねがーい!!きっと、美術倉庫にあるとおもうからー」
ルルーシュ「分かりました!」
シャーリー「でも、どうしてそんな方法を考えたの?」
ナナリー「だって……ペアになりたい人に選ばれると嬉しいじゃないですか」
ミレイ「まぁね」
ユフィ「……」
シャルル「……」スルスルスルスル…
コーネリア「お父様、いつまでやっているのですか?」
シャルル「まだまだ、出てくるのだ」スルスルスル
コーネリア「……」パチパチパチ
カレン「……」
C.C.「私も混ざろうかな……」コソコソ
咲世子「片付けないといけませんね……」パタパタ
スザク「持ってきたよ!!」
ルルーシュ「早速やろう」
ミレイ「はぁーい!じゃあ、このスケッチブックにペアになりたい人の名前を書いてくださーい!!」
ルルーシュ『ナナリー』
ナナリー『スザクさん』
スザク『ユーフィミアふくそうとく』
シャーリー『ルル』
ミレイ『ルルーシュ』
シャルル『ルルーシュ』
コーネリア『ルルーシュ』
C.C.『ルルーシュ』
咲世子『ルルーシュ様』
ユフィ『カレンさん』
カレン『ユーフェミア様』
ミレイ「えーと……ユーフェミア様と……カレンがペア成立ね!!」
ユフィ「あ……」
カレン「どうして……」
ユフィ「なんとなく……」
副総督もひらがなだし素なんだろ
ナナリー(スザクさんはユフィ姉さまなのですね……はぁ……これ以上、ご迷惑をかけるわけには……)
シャルル(ルルーシュの競争率がたかすぎるわぁぁ!!!)
C.C.(あのバカ。どうして私を書かない。ナナリーはスザクに決まっているだろ!!)
ミレイ「じゃあ、もう一度……一斉に……ドンっ!!」
ルルーシュ『ナナリー』
ナナリー『咲世子さん』
スザク『ナナリー』
コーネリア『ルルーシュ』
C.C.『ルルーシュ』
シャーリー『ルル』
ミレイ『ルルーシュ』
咲世子『ルルーシュ様』
シャルル『ルルーシュ』
ミレイ「えっと……成立なし!!やり直し!!」
ルルーシュ『ナナリー』
ナナリー『お父様』
スザク『シャーリー』
C.C.『ルルーシュ』
シャーリー『スザクくん』
コーネリア『ルルーシュ』
シャルル『ナナリー』
咲世子『ミレイ様』
ミレイ『咲世子』
ミレイ「お!えーと……私と咲世子さんに……ナナリーと皇帝陛下……それからスザクとシャーリー!!ペア成立!!」
シャーリー「あー……まあ……いいか……」
スザク「ありがとう、シャーリー」
ルルーシュ「ナナリィィィィ!!!!」
C.C.「バカが」
ルルーシュ「どうして……お前となんて……」
C.C.「私の名前を書くからだ。がんばって1位になるぞ?いいな?」
ナナリー「お父様、がんばりましょうね?」
シャルル「うむ……ワシがいる限りぃ!!!リタイヤはぬぁぁぁい!!!!ぬぁっはっはっはっは!!!」
スザク「よろしく、シャーリー」
シャーリー「うん……はぁ……ていうか……ルルのペアの人……誰?」
咲世子「ミレイ様の御身は私が」
ミレイ「ありがとう」
カレン「……」
ユフィ「……」
コーネリア「……あれ?」
ミレイ「えー、ルールは簡単。校舎内のどこかにチェックポイントが二つあります。そこでスタンプをもらい、ここに戻ってくるだけ!!」
ダメだな
でも、もういい
C.C.「わかった」
コーネリア「おい。そこの」
C.C.「なんだ?」
コーネリア「かわってくれ」
C.C.「お断りだ」
ルルーシュ「先生……」
コーネリア「ルルーシュ……」
ルルーシュ「あとで一緒に行きましょう」
コーネリア「約束だぞ?!」
ルルーシュ「ええ」
シャーリー「ナナちゃん、皇帝陛下となんて大丈夫?」
ナナリー「はい。きっと」
シャルル「ワシにまかせぇぇぇい!!!!」
ミレイ「ルルーシュとペアになった人……ホント、誰だろう……?」
ルルーシュ「しかし、別段何も感じないな」
C.C.「そうだな。てっきり、誰かが驚かすと思ったんだが」
ルルーシュ「……!!」ゾクッ
C.C.「どうした?」
ルルーシュ「何かが背中を撫でた……」
C.C.「またまた。小心者め」
ルルーシュ「本当だ!!」
C.C.「いいか?幽霊なんてものは昔から目の錯覚で―――」
ヒタヒタ……ヒタヒタ……
ルルーシュ「……」
C.C.「後続組だろ?確認しろ、ボウヤ」
ルルーシュ「お前がしてみろ」
C.C.「私はな……ずっと過去を振り返らないように生きてきた。だから、振り返らない。絶対にな」
ルルーシュ「わかった。ならば、前進あるのみだ」
ナナリー「お父様?」
シャルル「なんだ?」
ナナリー「先ほどから耳元でハァハァと熱い吐息を吹きかけるのはやめてください」
シャルル「ワシは……なにもしておらんぞぉ?」
ナナリー「でも。今も、私の手を誰かが撫でています」
シャルル「いやぁ……何も見えんが……?」
ナナリー「……」
シャルル「……」
ナナリー「お父様……あの……あの……」ガタガタ
シャルル「おちつけぇい!!ナナリー!!よいかぁ!!!Cの世界を知っているワシからすればぁぁ幽霊なぞ、恐れるに足りずぅ!!!」
ナナリー「またっ!?」ビクッ
シャルル「目に見えぬ亡霊。怨霊。そんなものがこんな場所にいるわけがぁぁ―――」
ナナリー「いやぁぁ!!!」ウィィィン!!
シャルル「待てぇぇぇ!!!ナナリィィィ!!!!」
おのれシュナイゼル!
おのれシュナイゼル!
スザク「またかい?」
シャーリー「うん……スザクくんは何も感じないの?」
スザク「さっきから生ぬるい風が左手に当たってるぐらいかな?」
シャーリー「ええ?!こ、怖くないの?!」
スザク「僕の実家は神社でね。もっと怖いものを見てきたから」
シャーリー「な、なにそれ……!?」
スザク「丑三つ時、藁人形に五寸釘を打ち込む白装束の女性のほうがよっぽど怖い」
シャーリー「変なこといわないで!!!」
スザク「シャーリーも大樹があるようなところは迂闊に―――」
ナナリー「いやぁぁ!!!」ウィィィン!!!
シャーリー「ナナちゃん!?」
スザク「ナナリー?!どうした?!」
「ぶるぁぁあああああ!!!!!」ズンズンズン!!!!
スザク「まさか……悪霊!?ナナリーを襲うなら……僕が!!!」
ヒヒヒ……ヒヒヒヒヒ……
ミレイ「な、なにがぁ……!?」
咲世子「人の気配がないのに、声だけがするからです」
ミレイ「それ、怖いでしょ?!」
咲世子「いえ。亡霊なら怖くはありません。見た目がグロテスクなだけで」
ミレイ「日本人の感覚がよくわからない……」
咲世子「危険はありませんね」
咲世子「そもそも、これは仕掛けでしょうし」
ミレイ「そうなんだけど……それ言っちゃうと冷めるじゃない?」
咲世子「そうですか?」
アァァァァァ……!!!
ミレイ「なに!?」ビクッ
咲世子「今の声は!!」ダダダッ
ミレイ「ちょっと!!一人にするのは流石になし!!」
ユフィ「……あ、ありましたよ。チェックポイント」
カレン「本当ね」
ユフィ「……」
カレン「……その……」
ユフィ「私は……確かにお飾りの皇女です」
カレン「え……」
ユフィ「貴方の言うとおり……私はただ陰にいる人たちの上で綺麗な服を着て、美味しいものを食べ、清潔なベッドで寝起きし……」
ユフィ「生き別れになっていた兄妹と楽しい時間を過ごしていました」
カレン「……」
ユフィ「でも……そんな私でも……できることを……日本人のみなさんがどうすれば幸せになれるのかを、必死に必死に……考えています!!!」
カレン「ひっ」ビクッ
ユフィ「本当です!!信じて!!」
カレン「あぁ……ぁあ……」ガクガク
ユフィ「ちょっと!!聞いていますか?!」
ユフィ「カレンさん!!私の話を―――」
カレン「うしろぉ!!」
ユフィ「え?」
「あぁぁぁなぁぁりぃぃ!!!!!」ドドドド
ユフィ「きゃぁああああ!!!!!」
カレン「こっち!!」ギュッ
ユフィ「なんですか?!あれ?!なんですか?!」ダダダッ
カレン「知らない!!」ダダッ
「どこだぁぁぁ!!!!ナァァナリィィィ!!!!!」ドドドド!!!
ユフィ「この学園ではあんな顔面が変形した化け物を飼育しているのですか?!」
カレン「そんなわけないでしょ!!!」
ユフィ「じゃあ、なんですか!?」
カレン「あたしにきかないで!!!」
「ぬぁぁぁぬぁりぃぃぃ!!!!」ドドドドド!!!
ロイド「ありゃ、ほんとだ。これは泣いちゃうよ。消しとこう」ピッ
セシル「消えませんね」
ロイド「どういうことだ……?」
セシル「……まさか」
ロイド「いやいや。何を非科学的なことを」
セシル「でも……消えないんですよね?」
ロイド「……」
コーネリア「どうした?何かトラブルか?」
ロイド「それが……」
コーネリア「なんだ?!このモンスターは?!」
セシル「わかりません」
ロイド「完全にUMAの類だな」
コーネリア「ちっ!!ユフィ!!今行くぞ!!!」
ロイド「あ!!ちょっと!!」
カレン「こっち!!」バッ
ユフィ「きゃ!!」
「ヌァァァヌァリィィィィ!!!!」ダダダダッ
カレン「はぁ……はぁ……」
ユフィ「あの……ありがとうございます……」
カレン「別に……目の前で怪我されたら……困るでしょ?」
ユフィ「ふふっ」
カレン「なによ?」
ユフィ「いえ。やっぱり、思ったとおりの人でした」
カレン「は?」
ユフィ「貴方はとても優しい人です」
カレン「な、なに言って……!!」
ユフィ「だから、私の今日の行動が許せなかったのですね……」
カレン「うん……。でも、あたしも悪かったと思ってるよ。……貴方は今までのブリタニア人とは違う気がする」
カレン「……」
ユフィ「私の思想はどうあれ……私のとった行動は現に貴方を不快にさせたのですから」
カレン「ユーフェミア様……」
ユフィ「……だから、ここで証明します」
カレン「え?」
ユフィ「私は優しい世界にしたい。みんなが笑っていられる、そんな世界がいいのです!!」
カレン「……」
ユフィ「どんなに小さな一歩でも……それを叶えるために……」
カレン「どうするの?」
ユフィ「まずは、ここの平和を取り戻します。そして、次はゲットーを……シンジュクを……最後にはエリア11を……いえ、日本を!!」
カレン「できるわけ……」
ユフィ「できます!!見ていてください、カレンさん!!私は最初の一歩を踏み出します!!!」
カレン「は?」
ユフィ「先ほどの化け物……私が退治しちゃいますからぁ!!」
ルルーシュ「よし、ここが二つ目のチェックポイントか」
C.C.「なんだ。余裕だったな」
ルルーシュ「まあ、こんなの合理的且つ効率的に行動すればな。所詮は子供だましだ」
C.C.「そうだな」
ヌァァァア!!!!
ルルーシュ「背後から迫る謎の遠吠え……これもフェイク」
C.C.「そうそう。声だけだ。私たちは学習した。声は危害を加えないことをな」
ルルーシュ「スタンプも揃った。未確認生命体の対処法も分かった……これで前提条件は全てクリア」
C.C.「あとは校舎から出るだけだな」
ルルーシュ「ああ……行こうか。C.C.?」
C.C.「行こう」
ドドドドド……
ルルーシュ「俺は歩みを止めるわけにはいかない!!!」ダダダダッ
C.C.「私は共犯者だ!!!ついていくぞ!!しがみついてでも、ついていくぞ!!!」ダダダダッ
かわいい
C.C.「おい!!ルルーシュ!!流石にこれは背後を確認したほうがいい!!なんだか危険だ!!」ダダダッ
ルルーシュ「お前がしろ!!この魔女め!!」ダダダッ
C.C.「だから!!私は過去を捨てた!!つまり!!振り返ることはしない!!何度も言っただろ?!」
ルルーシュ「俺もだ!!過去に縛られていては何も為せない事を知った!!」
C.C.「こういうのは男の仕事だろ!?」
ルルーシュ「男女差別だな!!時代錯誤だ!!!」
C.C.「じゃんけんだ!!」
ルルーシュ「のぞむところだ!!」
C.C.「最初はパー!!!」
ルルーシュ「きさまぁぁぁ!!!」
C.C.「早く後ろを確認しろ!!」
ルルーシュ「今のは無効だ!!!やりなおせ!!!」
C.C.「断る!!!早く確認しろ!!バカ!!」
「ぬぁぁぁぁぁなりぃぃぃ!!!!」ドドドドド!!!!!
ユフィ「あれは……ルルーシュと……恋人さん?」
カレン(ちゃっかりC.C.いるのが気になる……ナナリーの操縦技術といい……もしかして……)
ルルーシュ「お前たちは?!」
C.C.「カレンか?!」
カレン「早く!!ルルーシュ!!」
ルルーシュ「ちっ!!ユフィとカレンがいては、逃げるわけにはいかないか!!」
C.C.「ルルーシュ!!やめろ!!私はお前を死なせたくはない!!」
ルルーシュ「こい!!化け物め―――」
「ぬぁぁぁぬぁぁりぃぃぃ!!!!!」
ルルーシュ「―――逃げるぞ!!」
C.C.「賛成多数で可決だ!!」
ユフィ「私は逃げません!!」
ルルーシュ「ユフィ?!」
ユフィ「私は決めたのです。平和のための一歩をここから……踏み出すと!!」
ユフィ「武器になりそうなのはちゃんと持ってます」
カレン「消火器でどうにかなるとは思えないけど」
ユフィ「でも……カレンさんに知って欲しいのです。私の想いが本物であると!!」
カレン「……!」
「ぬぁぁぁぁぬぁぁりぃぃぃ!!!どこだぁぁぁ!!!」
ルルーシュ(ギアスが通じる相手がどうかはわからないが……やるしかない!!!)
ユフィ「きなさい!!!」
カレン「下がってて。ユーフェミア様」
ユフィ「カレンさん?」
カレン「十分わかった。あんたが……優しくて……ステキな人ってことは」
ユフィ「……」
カレン「こんなところで失敗して死んでほしくないの……だから……!!!」
カレン「あたしが守る!!」
ルルーシュ「―――ここから出て行け!!!」キュィィィン!!!!
咲世子「返事をー!!ナナリー様ー!!!」
ナナリー「スザクさん!!」
スザク「ナナリー!!無事だったのか……よかった……」
シャーリー「はぁ……よかったぁ……」
ミレイ「心配したんだからね」
ナナリー「申し訳ありません……」
スザク「あとは皇帝陛下だけか……」
ミレイ「ねえ、スザク、本当なの?皇帝陛下の顔をボコボコにしたって」
スザク「暗くてよくわからなかったんです。まさか、ナナリーを追いかけていたのが皇帝陛下なんて思わなくて」
咲世子「事故です」
シャーリー「咲世子さんもボッコボコにしてましたよね」
咲世子「事故です」
ミレイ「あれ?みんな外外!!皇帝陛下、植え込みのところで倒れこんでる!!」
スザク「本当だ!!助けにいかないと!!」
カレン「消えた……?」
ルルーシュ(ギアスが通じた……少なくとも人間だったのか……?)
C.C.「はぁ……なんだ、性質の悪い肝試しだったな……最後にあんな大物を用意しておくなんて」
ユフィ「あはは……」
カレン「ユーフェミア様、手を」
ユフィ「ありがとう……」ギュッ
カレン「……あの」
ユフィ「はい」
カレン「あたしも……日本をよくするためにできることをします……だから……」
ユフィ「はい。私も……できることをします。やっと初めて、前へ進めたのですから」
カレン「うん」
ユフィ「ふふっ」
ルルーシュ「よし、出るぞ」
C.C.「賛成だ。息が詰まる」
スザク「皇帝陛下の容態は?」
セシル「大丈夫です。顔が腫れ上がってるだけですから」
ロイド「歯も骨も大丈夫。皇帝陛下が頑丈でよかったね、スザクくんっ」
スザク「はい……」
セシル「明日の朝にはきっと目を覚ますと思うわ」
ナナリー「よかったです……」
ダールトン「仕掛けの回収は済んだぞ」
ギルフォード「今から体育館で就寝するための寝袋を配る。枢木、手伝ってくれ」
スザク「わかりました」
ロイド「ま、これでイベントは無事しゅーりょー。おめでと~!!」
セシル「はい」
ナナリー「……」
ロイド「大丈夫だから、お兄さんのところにいきなよ」
ナナリー「はい」
ギルフォード「えー、寝る箇所は指定している。中心から西側は男性、東側は女性だ」
ダールトン「誰の隣でも構わない」
ユフィ「カレーン、隣で寝てください!」
カレン「えー?」
ユフィ「嫌ですか?」
カレン「いいよ」
ユフィ「わーい」
ルルーシュ「疲れたな……」
スザク「ルルーシュの隣、ゲット」
ルルーシュ「お前しか取るやついないって」
スザク「そう?」
C.C.「……」スタスタ
カレン「……ユフィ、ちょっと飲み物買ってくる」
ユフィ「はい」
シャーリー「会長!!寝ましょう!!」
ミレイ「はいはい」
咲世子「では、私はこれで」
ミレイ「咲世子さんも、一緒に」
咲世子「しかし、同じ場所で寝るなどと恐れ多い……」
シャーリー「そんなの今日はなしなし!!」
ナナリー「はい。みんなで川の字になりましょう」
ミレイ「じゃあ、ナナリーは中央ね」
ナナリー「はい」
ルルーシュ「……」
スザク「ルルーシュ?」
ルルーシュ「忘れ物をしたみたいだ」
スザク「忘れ物?」
ギルフォード「む……?姫様は……いずこに……?」キョロキョロ
カレン「ルルーシュなの?」
C.C.「なんのことだ?」
カレン「ルルーシュがゼロなの?」
C.C.「そうだ。といえば、どうする?」
カレン「……!」
C.C.「違うといえば、お前は納得するのか?」
カレン「それは……」
C.C.「お前はゼロという男に惚れたのだろう?それともゼロの中身に惚れていたのか?」
カレン「違う!!」
C.C.「なら、ゼロの中身がルルーシュでも、お前は奴を信じればいい」
カレン「……」
C.C.「奴の名誉のために言っておいてやる。―――あいつは本物だ。ブリタニアを本気で壊そうとしている」
カレン「わかった……もういいよ。変なことを聞いて、ごめん」
C.C.「従順もそこまでいけば、可愛いな」
ミシ……
コーネリア「……」ビクッ
コーネリア「まさか……あの怪物に……」
ガシッ!
コーネリア「うあぁぁああああ!!!!!」
ルルーシュ「姉上!!俺です!!」
コーネリア「ルルーシュ……か……」
ルルーシュ「もう肝試しは終わりました」
コーネリア「そ、そうだったのか……。あ、あの化け物は?!」
ルルーシュ「ユフィが倒しました」
コーネリア「す、すごいな……」
ルルーシュ「……姉上?」
コーネリア「マリアンヌ様を殺したのは……私ではない」
ルルーシュ「……!」
ルルーシュ「犯人は?」
コーネリア「知らない」
ルルーシュ「シュナイゼルではないのか?」
コーネリア「兄上でもない……。あの日、マリアンヌ様自身が警護を外したのだ……」
ルルーシュ「それでは……」
コーネリア「マリアンヌ様は自分から……」
ルルーシュ「……」
コーネリア「ルルーシュ……もう少しなんだ……お前とナナリーのために……私が……」ギュッ
ルルーシュ「姉上……」ギュッ
コーネリア「もう少しだけ……待ってくれ……頼む……」
ルルーシュ「姉上……信じます……」
コーネリア「ありがとう……ルルーシュ……」
ルルーシュ「コーネリア……」
コーネリア「ルル……シュ……」
ルルーシュ「姉上?」
コーネリア「え?な、なんだ!?」
ルルーシュ「シャルルは何故、今回のような計画を?」
コーネリア「ああ……実は……お前たちの授業参観をしていないことを思い出したらしい」
ルルーシュ「……は?」
コーネリア「お父様は割りとマメでな。息子娘の授業参観や体育祭は必ず一度は見に来る」
ルルーシュ「……」
コーネリア「私は三回ほど、見にきてくれた。だが、幼少のころに皇位継承権を捨て、日本へ渡ったお前たちの授業参観だけは行けなかった」
ルルーシュ「それを最近、思い出して……?」
コーネリア「ああ。だが、ナナリーはともかく、高等部に参観日などない。だから……」
ルルーシュ「無理やりに計画したのか」
コーネリア「そういうことだ」
ルルーシュ「くだらないな……」
コーネリア「お父様が父親であることを実感できる特別な日だ。悪くいうことは許さんぞ、ルルーシュ?」
コーネリア「では……続きを……」
ギルフォード「殿下!!」
コーネリア「ギルフォード?!」ビクッ
ギルフォード「ご無事でしたか……よかった。皇帝陛下が暴行されるという凄惨な事件も起こったのです。何卒、お気を付けを」
コーネリア「なんだと?!お父様が?!犯人は?!」
ギルフォード「それが何分、演出のために学園内の証明を極限まで暗くしておりましたので……顔までは」
コーネリア「ええい!!どうせ、ゼロの仕業だ!!探せ!!!私はルルーシュに体育館まで連れて行ってもらう!!心配するな!!」
ギルフォード「イエス、ユア・ハイネス!!」
コーネリア「全く……」
ルルーシュ「姉上?」
コーネリア「ああ、すまないな。ルルーシュ。では……」
ルルーシュ「体育館に行きましょう」
コーネリア「あ、まて!!おい!!」
ダールトン「では、消灯します!!」
フッ……
ミレイ「えーでは、恒例の好きな人告白ターイム!!」
コーネリア「こ、こら!!何を下世話なことを!!」
ミレイ「コーネリア総督もこういうのがしたいから、雑魚寝をしようとしたんですよね?」
コーネリア「ち、ちがう!!そんなこと……ある……ものか……」モジモジ
ユフィ「もう、お姉様ったら」
ミレイ「じゃあ、シャーリーから!!―――と思ったけど、ルルーシュだよねー」
シャーリー「勝手に決めないでください!!」
ミレイ「カレンは?」
カレン「あたし?!あたしは……えーと……その……ルル……シュ」
ユフィ「カレンもルルーシュのことが好きなんですか?!」
カレン「声が大きい!!」
シャーリー「やっぱり……」
ミレイ「私?私はー……ルルーシュかなぁ、やっぱり」
シャーリー「えぇぇ……」
ユフィ「ナナリーは?」
ナナリー「わ、私ですか……えっと……あの……スザクさん……」
ユフィ「あはっ!私もスザクのことだーいすき!!」
ナナリー「ユーフェミア様……」
ミレイ「じゃあ、コーネリア様は……誰ですかぁ?」
コーネリア「わ、私は……その……」
シャーリー「やっぱり……騎士の人ですか?」
ミレイ「それとも……あの近衛のダールトン卿?」
コーネリア「……ルルーシュ……かな……」モジモジ
カレン「えぇぇぇぇぇ?!!?」
シャーリー「どうして?!なんでルルなんですか?!」
コーネリア「う、うるさい!!仕方ないだろ!!」
スザク「ルルーシュ、モテモテじゃないか」
ルルーシュ「黙れ!」
スザク「よかったね」
ルルーシュ「お前も……ナナリーとユーフェミアに想われているじゃないか。どうするんだ?」
スザク「どうしようかな……選べないから、二人ともってダメかな?」
ルルーシュ「ダメに決まって―――んが!?」
スザク「ルルーシュ?どうしたの?」
ギルフォード「ダールトン卿、足をしっかり持っていてください」
ダールトン「分かっている。ギルも早く、小僧の息の根を止めろ」
ルルーシュ「がぁ……ぁ……!!」
スザク「ルルーシュ?もう寝たのかい?」
ルルーシュ「ス……ザァ……ク……!!」
スザク「おやすみ」
ルルーシュ「ぁ……ぁ……!!」
シャルル「えー……おはよう……諸君。よぉぉく、眠れたかぁ?」
ルルーシュ「……いつの間に寝たんだ……俺は……」
咲世子「大丈夫ですか?ルルーシュ様?」
ルルーシュ「ああ……気がついたら咲世子が……隣にいたな……ダメだ……思い出せない……」
シャルル「ではぁぁ!!!ワシは目的を果たしのでぇぇぇ!!!帰ると、するぅ!!」
コーネリア「ルルーシュ、ナナリー。またな」
ナナリー「はい」
ルルーシュ「他の者にも挨拶しろ」
シャーリー「そうですよぉ」
ミレイ「差別だー」
コーネリア「差別ではない!!これは区別だ!!!」
カレン「言い切るのね……」
ユフィ「カレン、またね」
カレン「うん……また……学校で会いたいよ……貴方とは」
ルルーシュ「全くだ……」
スザク「あ、そうだ。ルルーシュ、僕は決めたよ」
ルルーシュ「なに?」
スザク「やっぱり、浮気はダメだと思うから」
ルルーシュ「お前……兄として妹を悲しませるようなことだけはさせないぞ!!」
スザク「じゃあ、どっちも選んでいいのかい?」
ルルーシュ「それもだめだ!!」
スザク「大丈夫。きっと分かってくれるよ。それじゃ、仕事があるから」
ルルーシュ「待て!!スザァク!!!」
スザク「君も一人にしなよー!!浮気するとみんなが悲しむからー!!」
ルルーシュ「スザァァァク!!!」
ミレイ「いいこというわね、スザクくん」
ルルーシュ「会長?!」
シャーリー「ルル……」
C.C.「で、逃げてきたのか?」
ルルーシュ「当然だろう」
C.C.「そうだよな……。お前が誰を選ぶかなんて……決まっているからな」
ルルーシュ「そうだ……俺はナナリーが―――」
C.C.「違うだろ?」ピラッ
ルルーシュ「それは?!」
C.C.「お前がスケッチブックに書いた名前……ナナリー以外では、私だけだ。つまり……」
ルルーシュ「勘違いするな!!それは……お前しかいなかったからで……!!」
C.C.「私しか、居なかったんだろ?わかってるよ」ギュッ
ルルーシュ「離れろ!!魔女め!!」
C.C.「私を選んだからには……骨の髄まで……ふふっ」
ルルーシュ「骨の髄までなんだ?!」
C.C.「ルルーシュっ」
ルルーシュ「離れろ!!魔女がぁ!!」
ナナリー「今年も終わりですね……」
ルルーシュ「そうだな」
C.C.「ふんふふーん」ギュッ
ルルーシュ「離れろ!!」ググッ
ピリリリ
ルルーシュ「はい?」
シャルル『ルルーシュよ……』
ルルーシュ「今度はなんだ?!」
シャルル『明日、ブリタニア皇族全員が集まる。むろぉぉん!!ルルーシュもナナリーも……参加する、ぞぉぉぉぉ!!!!』
シャルル『場所は!!アッシュフォード学園、クラブハウスだ!!!ぬぁっはっはっはっはっは!!!!』
ルルーシュ「……」
ナナリー「お兄様?今度はシュナイゼル兄様もこられるんですか?」
ルルーシュ「もう……勝手にしろぉぉぉ!!!!」
おしまい。
もう終わったよ
>>1乙
シャルルが可愛かった(少並感)
シュナイゼル殿下マジ不憫
Entry ⇒ 2012.07.27 | Category ⇒ コードギアスSS | Comments (0) | Trackbacks (0)
あずさ「隣に…」
P「いや……」
あずさ「私を一人置き去りにして」
P「あの……」
あずさ「側にいると約束をしたあなたは嘘つきだね」
P「……研修で1週間ほどいないだけですよ」
P「いや、俺が言ったのは出来る限りあずささんを支えるということでしてね」
あずさ「嘘つきです」
P「うぐ、そう言われてもですね。こればっかりは……」
あずさ「嘘つきです」
あずさ「大体、プロデューサーさんがいなかったら誰が私のプロデュースをするんですか?」
P「その辺は問題ありませんよ。ちゃんと仕事と被らないようにあずささんはオフにしてあります」
あずさ「そういうことは、しっかりやるんですね」
P「まぁ、そういうスケジュール管理をしなかったのは俺の落ち度ですけど」
あずさ「私は、大丈夫です。お仕事の方は楽しいですから」
P「そう言ってくれるのは嬉しいですけどね」
P「やっぱり、無理させてしまった部分はあると思いますから」
あずさ「でも……」
P「まぁ、これを機にゆっくり休んでください」
あずさ「……はい」
あずさ「プロデューサーさん……」
P「あずささんが不安な顔をしていると、こっちも不安になってしまいます」
P「大丈夫ですよ。たった1週間ですよ、1週間」
あずさ「それ、春香ちゃんの真似ですか?」
P「えぇ、そうですけど」
あずさ「ふふっ、プロデューサーさん。その物まね、似てないですよ」
P「これは手厳しいですね」
P「研修が終わって、色々なもの身に着けて帰ってきたら」
あずさ「きたら?」
P「あずささんのトップアイドルへの道が近いものになりますよ」
あずさ「あら~、それは嬉しいですね」
P「えぇ、だから1週間後を楽しみにしていてください。生まれ変わった俺を見せてあげますよ!」
あずさ「期待していますね、プロデューサーさん」
あずさ「私、プロデューサーさんの帰りをしっかり待っていますね」
P「その言い方だと、すごい長い間の別れっぽいですよ」
P「でも、あずささんが言うようにしっかり待っていてくださいね」
P「でないと、俺もあずささんのことが心配で夜も眠れないですから」
あずさ「プロデューサーさん!?」
P「はははっ、冗談ですよ」
あずさ「もう……・」
P「それじゃあ、あずささん。行ってきます」
あずさ「はい、行ってらっしゃい。プロデューサーさん」
P(このやり取り……)
あずさ(なんだか……)
P&あずさ(夫婦っぽい……)
あずさ「何もする気が起きないわ~」
あずさ「仕事をあるわけでもないし……」
あずさ「事務所に行っても、みんなはお仕事をしているし……」
あずさ「暇ねぇ~」
あずさ「プロデューサーさんにメールでもしようかしら?」
あずさ「ううん、ダメよ。プロデューサーさんは私を信じているんだもの。ちゃんと待たなくちゃ!」
あずさ「ここは、しっかりとした女らしく……」
あずさ「しっかりとした女らしく……」
あずさ「……」
あずさ「プロデューサーさんの隣に、いないとダメよね!」
高木「おや、三浦くん? 今週は休みでは無かったのではないかね?」
あずさ「それはそうなんですけど~。あの、社長」
高木「うん、どうしたのかね?」
あずさ「プロデューサーさんの研修先ってどこでしょうか?」
高木「彼の研修先かい? それだったら彼の机に資料に載っていると思うよ」
あずさ「本当ですか。ありがとうございます~」
あずさ「あっ、これかしら……えっと場所はここね」
高木「なぁ、三浦くん」
あずさ「はい、なんですか社長?」
高木「まさかと思うが、彼の所に行くのではないだろうね?」
あずさ「はい、そのまさかです~」
高木「三浦くん。君は自分が方向音痴だということを忘れたのかね?」
あずさ「大丈夫です。最近は、ケータイの地図アプリとかも充実していますし」
高木「むぅ、そうか……」
あずさ「はい、だから安心してください~」
あずさ「これには徒歩3分ほどかかるって載っているけど、この徒歩というのはどれくらいのスピードなのかしら~」
あずさ「う~ん」
あずさ「まぁ、私のペースでいいわよね」
あずさ「~♪」
あずさ「んっ? 時間……」
あずさ「あら~電車、乗り遅れちゃったみたい」
あずさ「でも、つぎのに乗れば平気よね」
あずさ「プロデューサーさん、私が来たら驚くかしら?」
あずさ「迷子にならずに来たんですかと言うのかしら?」
あずさ「ふふっ、プロデューサーさんの驚く顔が見てみたいわ~」
あずさ「あっ、来たわ。あれに乗れば……」
あずさ「待っていてくださいね。プロデューサーさん」
あずさ「電車にのって大分経つのに目的の駅につかないわ」
あずさ「ちゃんと路線はあっていると思ったんだけれど……」
あずさ「あの~すみません。この電車って、こちらの駅に止まりますよね?」
あずさ「えっ、それなら1本前の電車? 本当ですか~?」
あずさ「いえいえ、大丈夫です。教えていただいて、ありがとうございます~」ペコッ
あずさ「さて……どうしましょう~」
あずさ「迷路とかで迷ったら、途中まで戻ってやり直すものね」
あずさ「だったら、次の駅で降りないと……」
・
・
・
あずさ「う~ん。どうしてかしら」
あずさ「確かに、逆方向の電車にのったのに」
あずさ「私が乗り換えた駅じゃないわ~」
あずさ「う~ん。どうしましょう」
玲子「お疲れ様です」
P「あっ、尾崎さんもお疲れ様です。876プロの方はどうですか?」
玲子「特にこれといってあるわけではありません。765プロの方はどうです?」
P「こちらも特には、女の子がたくさんで騒がしいくらいですよ」
尾崎「そうですか」
玲子「お疲れ様です」
P「あっ、尾崎さんもお疲れ様です。876プロの方はどうですか?」
玲子「特にこれといってあるわけではありません。765プロの方はどうです?」
P「こちらも特には、女の子がたくさんで騒がしいくらいですよ」
玲子「そうですか」
玲子「こっちも765プロのプロデューサーの貴重な意見を聞けてよかったです。絵理の今後のプロデュースの参考にできそうです」
P「俺も早くこの研修を終えて、あずささんのプロデュースをしたいですよ」
玲子「私たち、アイドルのことばっかり考えてますね」
P「まぁ、俺たちプロデューサーですからね」
玲子「ふふっ、そうですね」
玲子「あら……これは着信音?」
P「あっ、俺のケータイです。出ていいですか?」
玲子「別に構いませんよ」
P「ありがとうございます。はい、もしもし……」
P「社長、どうしたんですか? もしかして、何かトラブルでも?」
高木「いや、トラブルというほどでもないんだけどね。すっかり伝え忘れていたことがあって」
P「はぁ、伝え忘れたことですか?」
高木「うん、三浦くんのことでなんだが」
P「あずささんがどうかしたんですか?」
高木「うん、あまり長々と説明するわけにもいかないので、簡単に伝えよう。三浦くんが君の元へ向かった」
P「あずささんがですか? 社長、冗談はやめてください。あの方向音痴のあずささんがこっちに来れるわけないですよ」
高木「だが、彼女はケータイの地図アプリ使ってそっちへ行くと言っていたよ」
P「えっ、それ本当ですか?」
高木「もちろんだ。彼女を見送ったのは私だからね」
P「止めてくださいよ……」
高木「そうかね? 私も三浦くんが行った後に地図アプリというのを使ってみたんだが、中々便利じゃないか」
高木「これなら、確かに彼女の迷子も心配ないとおもうんだが」
P「社長。あずささんの迷子は、そういうのでどうこう出来るものではありません」
高木「そうなのかね?」
P「はい。あずささんの方向音痴にかかれば、どんな文明の力も無意味です」
高木「君がそこまで言うとは……」
P「とにかく、俺はあずささんを探しに行ってきます」
高木「そうか……では、頼むよ」
P「はい。では、失礼します」
玲子「何かあったんですか?」
P「いえ、大したことでは。ただ、あずささんが迷子になったので」
玲子「貴方も色々と大変なんですね」
P「馴れてしまいましたよ」
玲子「付き合い、長いんですね」
P「それなりには……尾崎さんの方もですよね?」
玲子「そうですね。私も絵理のことは、誰よりも理解している程には濃い時間を過ごしましたね」
P「そういうことです。だから、あずささんは放っておくことはできませんから」
玲子「それは……プロデューサーとして、それとも一人の男性としてですか?」
P「さて、どちらでしょう?」
玲子「……わかりやすいですね」
P「居場所さへ解れば簡単だしな」
P「ケータイ取り出し、ポパピプペ……っと」
P「……」
P「……」
P「出ない」
P「何でこんな時に限って……普段だったらあずささんの方からかけてくるのに」
あずさ「あらっ?」
あずさ「着信……プロデューサーさんからだわ」
あずさ「プロデューサーさん、私のことを心配しているのかしら」
あずさ「ここまで来て、プロデューサーさんに心配してもらうわけにはいかないわ」
あずさ「ちゃんと、私がしっかりしている所を見せなくちゃ」
あずさ「だから、ごめんなさい。プロデューサーさん!」
P「そう言えば、あずささんは地図アプリを使っているとか社長が言ってたな」
P「あずささんのことだから、駅に行くまでの道で迷ったか、それとも駅での乗り換えで間違えたか」
P「とにかく、どちらにせよ探すしかないか」
P「一応、メールしておこう」
P「今、どこにいますか?…・・・送信っと」
あずさ「悩んでも仕方ないわよね。思い切りが大事よ」
あずさ「この電車も違ったら、また別の電車に乗ればいいわよね」
あずさ「よいしょ。流石に動きっぱなしで疲れたました」
あずさ「……」
あずさ「すぅ、すぅ……」
あずさ「いやだ、私、眠っていたみたい」
あずさ「今、何時かしら……」
あずさ「あっ、メールが来てるわ」
あずさ「プロデューサーさんからだわ。『今、どこにいますか?』ね、えっと」
あずさ「○○駅に、いますよ。研修の方はどうでしたか?……送信っ!」
あずさ「ふふっ、これでプロデューサーさんのいる場所のすぐ近くの駅だったらビックリよね」
P「あずささんらしき人影は見当たらずか」
P「うわっ、もうこんな時間か……まいったな、早く見つけないと」
P「んっ、メールが来た? こんな時になんだ、迷惑メールは勘弁だぞ」
P「あずささんからか……安心した、これで居場所がわかる」
P「えっと、『○○駅に、いますよ。研修の方はどうでしたか?』」
P「なんだ、あずささん○○駅いるのか……って、ここからかなり遠い所だぞ!」
P「一体、どこをどう間違えたらその駅にいけるんだ……」
P「というか、『研修の方はどうでしたか?』って、何でこんな呑気なの!? この人、自分がどういう状況にいるか絶対解ってないでしょ!?」
P「あぁ……もう! とにかく、急がないと」
P「すぐに迎えに行きます……送信」
P「しかし、まぁ……あずささん、こんな時にもマイペースだよな」
P「案外、肝が据わっているのかもな。こっちは、迷子と聞いただけでハラハラするって言うのに」
P「いつだったか、名古屋まで迎えに行った時もあったしな……」
P「んっ……またメール」
P「『もうその駅は過ぎてしまいました。どうすればいいでしょうか?』」
P「……」
P「次の駅で降りて、待っていてください……送信」
P「世話の焼ける人だ……」
あずさ「プロデューサーさ~んっ! ここです。私はここにいます~!」
P「あずささんの声が……あずささんっ!」
あずさ「あぁ、プロデューサーさん……。よかった~、ううぅ……」
P「なっ、何ですか、あずささん。そんな泣かないでくださいよ」
あずさ「すみません。プロデューサーさんのお顔を見たら、なんだか安心して……」
あずさ「私、とっても心細かったんです……」
あずさ「このままグルグル電車を乗り継いで、プロデューサーさんも迎えにこれない所まで行ってしまったらって思うと」
P「その割には、メールでは落ち着いてませんでした?」
あずさ「文字だけじゃ気持ちは伝えきれませんよ~、ぐすっ」
あずさ「ご、ごめんなさい……」
P「……」
あずさ「プロデューサーさん?」
P「えいっ!」
あずさ「あうっ!? い、痛いです、プロデューサーさん」
P「おでこに軽くデコピンしただけじゃないですか。あずささんには、ちょうどいい薬です」
あずさ「ううう……」
P「本当に心配したんですから」
P「あずささんに何かあったら……俺」
あずさ「プロデューサーさん、そこまで私のことを」
P「当たり前じゃないですか……俺はあずささんのプロデューサーですから」
P「いつも頭の中は、あずささんでいっぱいですよ」
あずさ「……///」
P「いや、あのあずささん。ここは、なにかしらツッコミが欲しいんですが」
あずさ「私も、いつもプロデューサーさんのことで頭がいっぱいですよ」
P「そ、そうですか」
あずさ「はい。かっこよくて、優しくて、まじめで、気さくで、人望があって、事務所の皆に好かれて、スーツが似合っていて」
P「あの……あずささん、そういうのは」
あずさ「えっと、それから~」
P「あずささん。や、やめてくださいよ!」
あずさ「い~え、やめません……ふふっ」
あずさ「あら、まだまだいっぱいあるのに残念です~」
P「……帰りますよ」
あずさ「あっ、待ってください。プロデューサーさ~ん」
P「ほらほら、しっかりついて来てくださいね」
あずさ「は~い、わかってます。プロデューサーさんの隣が私の居場所ですから」
P「ちょっと、あずささんくっつきすぎじゃありませんか」
あずさ「そうですか~? これくらい近いほうがいいですよ」
P「……」
あずさ「……」
P(静かな夜の空気に当てられたのか、さっきからお互いずっと無言だ)
P(でも、この沈黙はなんだか心地いい。あずささんといるからだろうけど)
あずさ「……」
P「立ち止まってどうしたんですか、あずささん?」
P「えぇ、そうですね」
あずさ「でも、それは私がプロデューサーさんのプロデュースするアイドルだからですよね?」
P「はい……仕事ですから」
あずさ「もし私以外の女の子をプロデュースしたら、きっとプロデューサーさんはその人のために頑張るんですよね」
P「手を抜くつもりはないです」
あずさ「……です」
P「あずささん?」
あずさ「そんなの嫌です」
あずさ「私は、プロデューサーさんから担当のアイドルとしてなんか見られたくありません」
あずさ「私、ようやく見つけたんです。私だけの運命の人、私の隣を歩いてくれる人を」
あずさ「だから……お願いです。プロデューサーさん、私を一人の女性として見ていただけませんか?」
あずさ「……」
P「いつからでしょうか。自分の気持をはっきりと自覚できたのは」
P「あずささんと一緒にいると心が安らぐ、あずささんと一緒だと優しい気持ちになれる」
P「どうして、そうなるか考えた時に一つの答えが出ました」
P「俺は、あずささんのことが好きなんだなって……」
あずさ「プロデューサーさん……」
P「でも……」
P「俺は、あずささんの気持に応えることはできません」
あずさ「えっ……」
P「そんな中途半端な男が、あずささんをずっと支えていくには力不足だと考えています」
あずさ「そんな私は……」
P「あずささんが良くても、俺が嫌なんです。こういう中途半端なものは……」
P「俺がこんな中途半端な状態で結ばれたら、俺はきっとあずささんを不幸にしてしまう」
P「それだけは絶対に避けたいんです」
あずさ「……」
P「すみません。こんなの男の独りよがりですよね」
あずさ「私との約束……ですか?」
P「そうですよ。あずささんをトップアイドルにする約束です」
P「その約束を果たさない内には、本当の意味であずささんの隣を歩けませんよ」
あずさ「そうですね……私たち、まだ夢の途中なんですね」
P「はい、そして夢は叶えなくちゃいけません。夢をみていた頃の自分に対しての責任がありますから」
あずさ「それじゃあ、もしプロデューサーさんが私との約束を、トップアイドルを生み出す夢を叶えたら……」
P「その時は、俺の方から聞かせてもらいます。あずささんの隣にいていいかを」
あずさ「はい。私、待っていますね」
P「ついにトップアイドルの座に立ちましたね」
あずさ「はい……。私、とても嬉しいです」
P「もう日本であずささんのことを知らない人なんていないくらいですよ」
あずさ「プロデューサーさん、それは言い過ぎですよ」
P「いえいえ……」
P「そう言えば、あずささんは今後はどうするんですか?」
あずさ「そうですね。夢を叶えましたから、もう思い残すことは……いずれは引退をするつもりです」
P「そうですか」
P「……」
P「あずささん……実は」
あずさ「プロデューサーさん……」
P「はい……」
あずさ「いいですよ、私は」
P「……っ!」
あずさ「プロデューサーさんは、もう次の夢があるんですね」
P「……はい。俺は、自分の力を試したいです。世界にどれだけ通じるか見てみたい」
P「そのためには、もっと経験をつみ、学ばなければいけないんです」
P「だから、あずささん……すみません」
あずさ「謝らないでください、プロデューサーさん」
P「あずささん……」
あずさ「大丈夫です。私、待つのは得意なんです」
あずさ「あら……本当です。私、涙……」
あずさ「おかしいですよね。こうなることわかっていたのに……」
P「あずささん!」
あずさ「プロデューサー……さん」
P「すみません……」
あずさ「……謝っても、行ってしまわれるんですよね?」
P「すみません……すみません……」
あずさ「ズルい人ですね……」
P「すみません……すみません……」
あずさ「そんな風に抱きしめられたら、涙……止まらなくなっちゃうじゃないですか」
P「……すみません」
あずさ「うぅっ……」
その日は、二人は互いに愛する相手を抱きしめながら静かに泣いた。
そして、Pは765プロを去り、三浦あずさはアイドルを引退した。
あずさ「私の毎日はとっても寂しいものになってしまったわ」
あずさ「朝起きて、特にすることもなくてジムで運動して、ブラブラと散歩をして、夜寝るだけの毎日……」
あずさ「新しい朝には、希望もなにもない」
あずさ「ただ、夢であの時のことを思い出して泣くだけ……」
あずさ「夜が明けるのが、こんなに辛いことなんてなかったわ」
あずさ「……」
空に抱かれ、雲が流れていく
風を揺らして、木々が語る
目覚める度、変わらない日々に
君の抜け殻、探している
Pain 見えなくても、声が聞こえなくても
抱きしめられたぬくもりを今も覚えている
この坂道をのぼる度に、あなたがすぐそばにいるように
感じてしまう私の隣にいて、触れてほしい
遠い彼方へ旅立った、私を一人置き去りにして
側にいると約束をしたあなたは嘘つきだね
あずさ「私に伝えなきゃいけない言葉も伝えないで……」
あずさ「勝手にどっかに行ってしまうなんて、卑怯です」
あずさ「……会いたい、会いたいです。プロデューサーさん」
あずさ「約束を破られたんです……私の運命の人に」
へぇ、運命の人に……ですか?
あずさ「分かってはいたんです、一緒にはいられないって」
どうして、一緒にいてくれって言わなかったんですか?
もし、その人が運命の人でしたら、きっとあなたの望みを叶えてくれると思いますけど
あずさ「だって……大好きな人の夢は応援したいじゃないですか」
……その運命の人も、あなたの想いを受けて立派に成長していると思いますよ。
あずさ「そうですね……プロデューサーさんなら、きっと」
俺が、あずささんの隣にいてもいいか?っていうことを聞く約束でしたよね。
あずさ「えっ……」
あんまり暗い顔をしているので、最初誰だかわかりませんでしたよ。
あずさ「あぁ……」
やっぱり、あずささんには笑顔が一番ですから。
あずさ「……」
あれ、もしかして俺のこと忘れちゃいましたか?
それは参ったな……ようやく一人前になったと思って帰ってきたんだけど
あずさ「その優しい声……忘れるわけないじゃないですか」
あずさ「プロデューサーさん」
P「……」
P「ただいま、あずささん」
P「さっき、こっちについてそれでまずあずささんの家に行こうかと思ったら」
P「はた目からでも分かるくらい暗いオーラだしてるあずささんがいまして」
P「それで、何事かと思って声をかけたんですよ」
あずさ「誰のせいですか……誰の」
P「まぁ、俺のせいですよね」
あずさ「全くです」
あずさ「はい、なんですか?」
P「俺、色々な場所を巡って、たくさんのことを学んできました。でも、それを活かせるアイドルがいないんですよ」
P「俺のプロデュースは、いつだってあずささんのためだけのプロデュースでしたから」
あずさ「……」
P「幸い、高木社長が俺とあずささんの765プロでの籍をそのままにしてくれていたようです」
P「だから、あずささん……もう一度俺にあなたをプロデュースさせてもらえませんか?」
あずさ「私……プロデューサーさんのいない間、ずっとからっぽでした」
あずさ「でも、今はこんなに満ち足りています。プロデューサーさん、私はもう一度輝けるでしょうか?」
P「そのために、約束を破ったんです。日本どころか世界中をあずささんの話題でいっぱいにさせてあげますよ」
あずさ「その約束は守ってくれますか?」
P「もちろんですよ」
あずさ「ふふっ……また、よろしくお願いしますね、プロデューサーさん」
あずさ「待ってください。プロデューサーさん、大事なことを忘れていますよ」
P「大事なことですか?」
あずさ「破ってしまった約束のこと……プロデューサーさんの言葉、ちゃんと聞きたいです」
P「えっ、それは……もうわかるでしょう?」
あずさ「あら、私はプロデューサーさんの言葉を聞いてないですから、お返事が出来ないですよ?」
P「うぐっ……」
あずさ「プロデューサーさん!」
P「わ、わかりましたよ……」
P「あずささん、待たせてしまってすみません。でも、今の俺なら昔言えなかった言葉、はっきり言えます」
P「あずささん、あなたのことを誰よりも愛しています」
P「あずささんの隣で、一緒に歩かせてください。いや……あずさ、俺と一緒に歩いてくれ! これからの俺の未来、あなたと二人で築いてきたい!」
あずさ「……」
あずさ「私も、あなたの隣で、あなたの感じるものを感じながら、ずっと歩いていきたいです」
あずさ「プロデューサーさんっ!」
あずさは、Pに抱きつくと万感の想いをこめて、耳元でささやく。
お帰りなさい、プロデューサーさん♪
fin
Entry ⇒ 2012.07.27 | Category ⇒ アイマスSS | Comments (0) | Trackbacks (0)
照「みんなが無視する」ションボリ
菫「・・・・」
照「何も言わないってことは、いいってことだよね?」
菫「・・・・」
照「そ、それじゃあ舐めちゃおっかな」チラッチラチラ
菫「・・・・」ハァ
照「す、菫ちゃーん?舐めちゃうよー?」アセアセ
菫「・・・・」
照「・・・・・」
照「なんて、怒られるのに・・・」
照「・・・・」
照「あ、淡」
淡「・・・・・・」ウツムキ
照「今日の淡のパンツの色は何色かなー?」
淡「・・・・」ションボリ
照「み、みちゃうよ?みちゃうよ?」
淡「・・・・・」ションボリ
照「・・・・うぅ」
照「スパッツの上からクンカクンカさせて!」アセアセ
亦野「・・・・」ウワノソラ
照「前からクンカクンカしてみたいなって!」アセアセ
亦野「・・・・」ウワノソラ
照「い、いいってこと?それいいってこと?」アセアセ
亦野「・・・・」ウワノソラ
照「渋谷!」
照「渋谷のおしっこのみたい!飲ませて!」アセアセ
渋谷「・・・・」
照「渋谷いつもお茶一杯飲んでるから一杯でるでしょ?!」アセアセ
渋谷「・・・・」
照「お、お願い!のませて!」アセアセ
渋谷「・・・・」
照「・・・・なんで、みんな無視するの?」ボソッ
菫「・・・・・」
淡「・・・・」ションボリ
亦野「・・・・」ウワノソラ
渋谷「・・・・」
照「わ、私のこと皆嫌いになっちゃった?」アセアセ
照「知ってる?こういうのイジメっていうんだよ?」アセアセ
照以外「・・・・・」
照「さ、さすがの私も泣いちゃうよ?いいの?泣いちゃっていいの?」アセアセ
照以外「・・・・・」
照「・・・・・・」
扉「ガチャ」アクデー
照以外「・・・・」
―――――
―――
―
照家 照部屋
照「・・・・私何かしてしまったんだろうか」
照「まさか、皆が何もなしに無視するなんて思えない・・・・」
照「・・・・昨日のこと思い出してみよう」
回想
照「菫」
菫「なんだ?」フリムキ
照「・・・」ペロッ
菫「んな?!」
照「・・・・てるぺろ☆」
淡「な、なんですってひゃあぁああ!」
淡「ひ、人の足勝手に舐めないでください!」
照「・・・・てるぺろ☆」
照「亦野」サワリ
亦野「やめてください」
照「渋谷」モミッ
渋谷「・・・・」ゴッ
照「・・・・痛い」
回想終了
照「・・・・何も変なことはしてないはず」
照「・・・・・うーん」
照「わ、わかった!」
照「私の誕生日が近いから」
照「皆でサプライズで何かしようってこと?!」
照「ひゃー///気づかなかったなんて////」テレテレ
照「これは千点取られましたわー」ペチンッ
照「・・・・・・・」
照「・・・・それにしてもお母さんおそい」
照「・・・・私のご飯・・・・」ションボリ
照「・・・・はぁ・・・今日はもう寝よ」
翌日
照「ふふふーん♪」
菫「・・・・」
照「菫ー」
菫「・・・・」
照「・・・・菫ー?」
菫「・・・・」
照「も、もうそんな無視なんてしないで」
菫「・・・・」
照「大丈夫!サプライズは気づいてない!」
菫「・・・・」
照「・・・・菫?」
菫「・・・・」
照「・・・・」
―――――
―――
―
照「・・・・また今日も皆に無視された」
照「・・・・私も怒った」
照「・・・・長野に帰って皆に私がどれだけ重要か思い知らせてやる!」
照「・・・・ということで帰ってまいりました」
照「・・・・ただいま」ガチャッ
照「咲ー?愛しのてるてるがかえってきたよー?」
咲「・・・・お姉ちゃん」
照「寂しかった?ねぇ寂しかった?私はとっても寂しかった」
咲「・・・・・」
照「愛しのてるてるを置いて部屋にいくなんて・・・」
照「咲の照れ隠しはかわいい」
照「咲がすでにかわいい」
照「世界一かわいい」
照「これが3C・・・」フムフム
照「入るよ咲」ガチャッ
咲「・・・・」モグリ
照「もう寝るの?お姉ちゃんもっと構ってほしい」ショボン
咲「・・・・お姉ちゃん」ボソボソ
照「なになに?ちゅー?ちゅーする?」
咲「・・・・私ね、お姉ちゃんの」
照「え?!もしかして告白?!ひゃー///」テレテレ
咲「変態さんなところは嫌だったけど」
照「・・・・」
咲「でも、お姉ちゃんは好きだよ・・・・」
照「・・・・私も、咲のこと好き」
咲「・・・・お姉ちゃん・・・・おやすみ・・・お姉ちゃん・・・」
照「・・・・おやすみ、咲」
照「・・・・・・・・私も一緒に寝る」ゴソゴソ
照「・・・・咲」
咲「・・・・」スースー
照「ありがとう、咲」ナデナデ
照「私、東京帰るね」ナデナデ
照「またね」チュッ
咲「・・・・」スースー
東京
照「・・・・咲に元気をもらったし」
照「それに、咲も元々だけど私の妻であり、彼女であり恋人になったし・・・・」
照「・・・・ちゃんと、菫たちと話そう」
照「・・・うん!」
照「・・・もう・・・夕方だもの・・・」
照「・・・・菫」
菫「・・・・」
照「ねぇ、話きいて」
菫「・・・・」
照「・・・・わかったそのままでもいいから」
菫「・・・・」
照「何で無視するか、私にはわからない」
照「だけど、ちゃんと言ってほしい」
菫「・・・・」
照「た、確かに今まで何度も怒られてきたのに」
照「何一つ変わってないっておもうかもしれない」
照「けど、今回は違う、ちゃんと反省する」
照「ちゃんと、考える変わってく」
照「だから、無視するのはやめて・・・・」
淡「・・・・はい」
照「お願い!菫!」
亦野「・・・・」コクッ
渋谷「・・・・」
菫「・・・・いくぞ」トテトテ
照「・・・・・なんで」
照「まって!まって菫!」
照「・・・・(絶対、今日こそは絶対)」
照「(・・・・追いかけよう!)」
照「菫たちどこに・・・・」
照「・・・・???」
病院
照「病院?誰か知り合いが?」ハァハァ
照「・・・・」
照「・・・・・(何だろう、頭が痛い)」
照「・・・・・いこう」タタタ
照「!」
照「淡の後ろ髪」タタタ
照「・・・・ばれないように」コソーリ
照「・・・・入ってく」
照「・・・・・」コソコソ
照「・・・・確かこの階は全部個室だったような」
照「・・・・私の知ってる人かな」コソコソ
302号室 宮永照様
照「・・・・んん?」ゴシゴシ
302号室 宮永照様
照「・・・・・はいぃ?」ゴシゴシ
302号室 宮永照様
照「ひょ・・・・ひょええええええええええええええ!」
照「(も、もしかして私がもう1人いる可能性が微粒子レベルで存在している・・・・?)」
照「(・・・ハッ!それなら今まで菫たちが私を無視することにも納得が・・・!)」
照「つまり・・・・菫達はこの(仮)偽宮永照を私と間違っている・・・」
照「・・・そして、私を(仮)偽宮永照だと思っているから無視を・・・・」
照「な・・・なんてこと・・・!」
照「わ、私が本物(?)なのに・・・」ギュル
照「・・・・いわなきゃ」ボソッ
照「・・・・そもそも私のことを間違えるなんて・・・・菫」ギュルル
照「・・・・ひどい」ギュルギュル
照「・・・・むむむむっ!」ギュルギュル
照「・・・・菫」ギュルギュル
照「菫ぇえええええ!」ッバーン
菫「・・・・淡」
淡「うぅ・・・すみません」グシグシ
亦野「・・・・っ」ショボン
渋谷「・・・・」ショボン
照「あれ?皆?あれ?というより寝てるの私?」
菫「・・・・何度きても、変わらないなここは・・・・」
淡「そう、ですね・・・・」
亦野「いつも五月蝿かった先輩はいつになったら戻ってくるんですかね・・・」
渋谷「・・・・うん」
照「(私にそっくりだ・・・・これは間違う・・・というより私自信?鏡を見てるみたい・・・)」
菫「はやく・・・起きろよバカ」
照「どういうこと?」
照「菫、今日のパンツかわいいね」
菫「?!いつみたんだ!早く忘れろ!」ペシンッ
照「いたっ・・・すぐ叩くのはよくない」
菫「まったく・・・・お前というやつは・・・・」
照「何度もきいた」
菫「何度もいってるんだからそろそろ覚えろ!」
照「菫はうるさ・・・・」
菫「なんだとっ?!」
照「・・・・」
菫「ど、どうした照」
照「・・・・・」タタタッ
菫「お、おいてrキキィイイイイイイイイイイイ
菫「?!?!」
菫「お・・・・・おい照!照!」
幼女「あ、あああ」ガクブル
菫「大丈夫か!」
少女「幼女!?大丈夫?!怪我は!?」
幼女「おね、少女お姉ちゃん」ガクブル
幼女「お、お姉ちゃんがお姉ちゃんが・・・あ、あああ・・・・」ガクガク
菫「そうだ、照!大丈夫か照!」
照「・・・・んん」
菫「よかった・・・いま救急車呼ぶそれまで耐えろ!」
照「・・・・こん・・・・ときも・・・きび・・・い・・・・」フフッ
菫「しっかりしろ!意識を保て!」
照「・・・・・ん・・・が・・・・ばる」
菫「すみません!事故です!けが人がいるんです!急いでください!場所は・・・・」
照「・・・・・・・」
回想終了
淡「・・・・弘世先輩のせいじゃ・・・」
亦野「・・・・悪いのは居眠り運転してた人です・・・」
渋谷「・・・・」コクッ
照「・・・・あー」
照「確かあの時は・・・・」
照「目の前に幼い頃の咲に似た子と・・・・私に似た子・・・」
照「すごく・・・・仲良く歩いててなんだか・・・懐かしくて・・・」
照「つい・・・・抱きつこうと向かってったんだったような・・・」
照「そっかー・・・そこに居眠り運転の車が突っ込んできたのか・・・・」
照「・・・・・あれ?じゃあ今の私は?」
照「・・・・私は・・・何・・・・?」
淡「そう、ですね・・・」
亦野「・・えぇ」コクッ
渋谷「・・・・それに」
菫「あぁ、そうか・・・今日妹さん・・・くるんだっけな・・・」
渋谷「・・・・」コクッ
菫「・・・・私達はそろそろ」
淡「・・・・はい」
菫「・・・・照、また来るからな」
菫「次きたときはちゃんと起きてろよ」
ガララ
照「・・・・とりあえずここにいたほうがいい・・・のかな?」
照「(私自身が何なのかわからないし・・・・・)」
照「・・・・うむむ」
咲「・・・・お姉ちゃん」
照「
」
咲「・・・・・」ストン
照「・・・・・」
咲「・・・・もう・・・私がきてあげたのに」
咲「・・・・」
咲「はやく・・・起きてよ・・・お姉ちゃん・・・」
照「起き照起き照!咲がきたら目覚めないわけにはいかない!」
咲「・・・・お姉ちゃん・・・」ギュッ
照「・・・・はぁ」
チク・・・タク・・・・チク・・・・タク
照「・・・・やけに時計の針の音が大きく聞こえる・・・・」
咲「・・・・・」ギュッ
照「・・・・(多分・・・今の私は抜け殻、魂?みたいなものなのかな・・・)」
照「・・・・・はぁ」
照「・・・・それにしても」
照「あの、泣き虫な咲が泣かないなんて・・・」
照「長野でたくさん泣いてくれたのかな・・・それとも・・・」
照「私なんて・・・どうでも・・・」ズーン
照「いや・・・そんなわけはない!咲はてるてるラブ!なはず!」ウンウン
照「・・・・・」
照「・・・・はやく戻りたい」
1日また1日と・・・
咲は、毎日私の病室にきてくれた
毎日、毎日・・・・
ろくに食事をしていないのだろうか・・・・?
あまりよく寝れていないのだろうか・・・・?
日がたつ事に、咲がやつれていく、そんな風に見えた
・・・・こうしていることで、私はたくさんの人に愛されていたんだなと、気がつかされた
姫松や阿智賀、千里山そして清澄
一緒に卓を囲った人たち、対局はしなかったもののIHに出場した人たち
たくさんの人が私の見舞いに来てくれた
咲「今日はわざわざお姉ちゃんの為に・・・ありがとうございます」ペコッ
白「・・・・」ハァ
豊音「いいよー・・・・それよりも宮永さんはー・・・・?」
咲「はい・・・まだ目が覚めなくて・・・」
豊音「そう・・・なんだ・・・」ショボン
塞「・・・咲さんも・・・体のほうは大事に・・・なんだかやつれて・・・」
エイスリン「・・・」コクコク
胡桃「・・・・ちゃんと自分の体も大事にしないと、めっ!」
咲「はい・・・ありがとうございます・・・・」
塞「・・・・」
白「・・・・・ダル」
塞「ちょっ・・・シロ!」
私が・・・昔あげた本を勢いよく落としたかと思えば小瀬川さんに
私が今まで見たこともない形相をして・・・飛び掛っていた
咲「・・・・」グググ
塞「ちょ・・・し、シロあ、あやまって!さ、咲さんも落ち着いて!」アセアセ
胡桃「ちゃんと謝らなきゃめっ!」
白「・・・・」
咲「・・・ダルいだなんて・・・・」ググク
エイスリン「ワ、ワワ」アワヷ
咲「ダルいだなんて!!そんなこというならお見舞いになんてこないで・・・!」グググ
咲「そんな・・・そんな気持ちで来るなら・・・こないでよっ・・・!」グググ
白「げほっ・・・」
豊音「あ、あわわわわー」
塞「豊音!なにやってるの!は、はやく咲さん引き剥がして・・・!」
咲「・・・・ハァ・・・ハァ・・・」
白「・・・げほっ・・・」
塞「大丈夫?!・・・ちゃんと謝らないと駄目だよシロ・・・」
胡桃「・・・・めっ!」
白「・・・げほっ・・・だって・・・」
エイスリン「・・・・」??
白「・・・・だって・・・・チャンピオン・・・・宮永照はどうせ、起きるんでしょ?」
塞「んな・・・」
白「来るときも私はいったじゃん・・・・ダルいって・・・」
白「こんなことで宮永照は死んだりしない・・・ちゃんと、どんなに時間がかかっても目をさます」
豊音「・・・・シロ」
白「・・・・だから起きてない今来ても仕方ないって・・・どうせ・・・ううん絶対目をさますんだから」
白「・・・だからこんな辛気くさいのはダルいって・・・こんなんじゃ起きたとき宮永照嬉しくないって・・・」
白「・・・・・」
咲「だって・・・お姉ちゃん全然起きないんだもん・・・」
咲「ぜんぜん・・・おきないんだもん・・・!」ポロポロ
咲「わた、わたしが、はなしかけても・・・!」ポロポロ
咲「なんにちたっても・・・!」ポロポロ
咲「ぜんぜん・・・おきてくれないんだもん!」ポロポロ
白「・・・・私は信じてるよ宮永照を」
咲「ふ・・・・うっ・・!」ポロポロ
白「・・・言葉足らずでごめん」ナデナデ
咲「うっ・・・くっ・・・」ポロポロ
白「・・・・我慢・・・しないで」ナデナデ
咲「う・・・あ・・・ああああああ!」ポロポロ
白「・・・・」ナデナデ
咲「おね、おねえちゃあん!おねえちゃああん!」ポロポロ
気丈に振舞ってどれだけ我慢していたかを痛感させられた
そして・・・
咲「うっ・・・・グスッ・・・」
咲「今日は・・・本当に・・・ありがとう、ございました」ペコリッ
白「・・・・なんでも1人で抱え込まないで」
豊音「そうだよー!皆がついてるよー!」
エイスリン「・・・」カキカキ
白「・・・・頼れってこと?」
エイスリン「・・・・b」グッ
塞「そうよ!大丈夫、大丈夫だから!」
胡桃「塞、ボキャ貧っ!」
塞「んなっ?!」
咲「・・・・あはは」ハハッ
久々に咲の笑った顔をみた
咲「・・・はい!」ペコッ
照「まぁ私ずっと起きてるんですけどね」
照「・・・・はぁ聞こえてない・・・よね・・・」
照「もうずーっと前からずーっとここでずーっとかわいい咲のほっぺをプニプニしたり」
照「咲の太もも舐めてみたり」
照「毎日咲のパンツチェックしてるのに・・・・」
照「・・・・・・はぁ・・・」
照「一体いつになったら戻れるんだろう・・・」
照「・・・・今日の咲のパンツは何色かな・・・?」
照「・・・・!!く、くまさんパンツ・・・!」
照「これは・・・超レアパン・・・!」
照「・・・・はぁ咲はかわいいなぁ・・・」
照「んっ・・・咲トイレかな・・・」
照「・・・・それにしても・・・・」
照「前に比べたら咲も表情穏やかになったし・・・」
照「・・・・よかった・・・うん」
照「・・・・はぁ」
照「・・・・・咲の座ったいすの臭いでも嗅ごう」クンカクンカ
照「んん?」
霞「・・・・あらあら」
照「・・・まぁどうせみえてないだろうし・・・続けよう」クンカペロペロ
小蒔「へ、ヘンタイさんです!」アワワ
巴「姫様はみちゃだめですよ・・・」ハァ
照「・・・・んん?」
初美「・・・・いや「んん?」じゃなくてなにやってるですかー?」
照「・・・みてわからないの・・・?」
初美「残念ながらりかいふのーですよー・・・」
照「・・・・咲の温もりが残ってる間に咲の座った椅子をクンカクンカしたりペロペロしてる」
初美「・・・そうじゃなくてですねー・・・・」
小蒔「ね、眠っていらっしゃるのも宮永さん・・・ですよね・・・・?ってことは・・・」
霞「見事に幽体離脱してるわね」ニコニコ
照「んんんっ?ってあれ?私・・・今話してる・・・?」
初美「まさかこういうことだったとは驚きですよー」
照「どゆことー?」
小蒔「そ、それはですね、えっと・・・えっと・・・」
巴「姫様・・・私たちが説明しますよ・・・」
霞「うふふっ・・・小蒔ちゃんは頑張り屋さんだものね」
初美「つまり、もう身体の外傷以外はこれといったことはないのにですねー」
照「うんうん」
初美「起きない理由はあなたが幽体離脱しちゃってるからですよー」
照「なんだってー!!」
初美「「なんだってー!!」じゃないですよー!」
初美「なにやってんですよー!」
照「いやだって・・・」
初美「はやく戻ってあげたほうがいいとおもうんですよー?」
照「・・・・戻り方とかよくわからない・・・////」テレッ
照「てるぺろ☆」
巴「流行らないです!」
霞「えぇ、さっきのはひどいわね」
小蒔「えっと、えっと!ど、どんまい?です!」
照「ひどい・・・」
霞「・・・そうね」
照「・・・・?」
霞「ちょっと・・・手荒になるけど、いれてあげましょう」ニコッ
照「ほ、本当?!」
霞「えぇ、ただ妹さんが戻ってきてからにしましょ」
霞「お姉さんが起きるのを誰よりも望んでいたはずですもの」ニコッ
小蒔「わー!霞ちゃん!」ギュッ
霞「うふふ」ニコニコ
初美「・・・・ナムナムですよー」
>霞「ちょっと・・・手荒になるけど、いれてあげましょう」ニコッ
お願いします!
霞「あらあらいいのよ」ニコッ
初美「それよりお話があるですよー」
咲「は、はい!なんでしょうか」アセアセ
―――――
―――
―
初美「・・・ってことですよー」
咲「ほぇ・・・」
咲「・・・・じゃ、じゃあ!お姉ちゃんは・・・!」
初美「すぐ目をさますですよー!」
咲「・・・・」
霞「・・・・あらあら」ウフフ
咲「よか・・・・よかった・・・・」ポロポロ
咲「よかった・・・・よかったぁ・・・」ポロポロ
小蒔「これ・・・つかってください」っハンカチーフ
霞「それじゃあ・・・すこしだけ時間を貰ってもいいかしら」
咲「・・・はい!」
霞「・・・ということで」
照「わくわくてるてる」
霞「宮永さん?」
照「はやく入れてくれるとうれしい、はやく咲とチュッチュしたい」
霞「・・・・・」
霞「・・・宮永さん」
照「なになに?はやくはやく」
霞「私達がここにきたとき・・・・」
初美「姫様はみちゃだめですよー」
巴「あわわ」カクシカクシ
小蒔「わわっ!真っ暗でなにもみえないです!」ワワワ
霞「よくも小蒔ちゃんに変なのみせてくれたわね」ゴゴゴゴゴゴ
霞「・・・・」ガシッ
照「・・・・!痛い!痛い痛い!浮いてる!私浮いてる!」
霞「・・・・」グググッ
照「割れちゃう!頭割れちゃう!」タップタップ
霞「・・・・・まぁけが人ですし」
霞「こうなったのも幼子を助けたからともきいてるし」
霞「このぐらいで許してあげるわ」ニコッ
照「・・・・」ヌケガラノヌケガラ
霞「それじゃあいれるわよ」ニコッ
グッ
咲「・・・・お姉ちゃん・・・?」
照「・・・・あたま・・・・いたい・・・・しに・・・そ・・・」
咲「お姉ちゃん・・・!お姉ちゃん!!」ポロポロ
照「咲・・・・おいで・・・」
咲「うっ・・・うぅぅぅぅうお姉ちゃん」ギュッ
小蒔「感動です・・・」グスッ
霞「あらあら」ニコニコ
巴「・・・・見てるこっちも頭痛がするレベルでしたね・・・」ボソッ
初美「あれを実際に食らったことがある私からするとですねー・・・」ボソッ
初美「一週間は痛みがひかないですよー・・・」ボソボソッ
巴「いっ・・・一週間・・・ってなにやったのハッちゃん・・・・」ボソボソッ
巴「そ、それだけ・・・?」ボソッ
初美「・・・・・姫様の・・・・」ボソッ
巴「あー・・・・」
照「咲・・・・さみしいおもいさせてごめんね」ナデナデ ズキズキ
咲「ばかぁ・・・お姉ちゃんほんとに・・・心配したんだから・・・」ポロポロ
霞「よかったわね」ニコッ
小蒔「さすが霞ちゃんです!」
咲「ほんとに・・・ほんとにありがとうございました・・・」ポロポロ
照「・・・・私からもありがとう・・・・」ズキズキ ナデナデ
照「だけど、ひどい・・・」ボソッ
霞「なにかいったかしらー?」ニコッ
照「う、ううんいってない」フルフル
咲「・・・・はい」グシグシ
霞「お姉さんね」
咲「・・・?」
霞「幽体離脱してここにずっといたっていったわよね?」
咲「はい・・・」
霞「私達が入ってきたとき、零体のままあなたが座ったイスの臭いをかいだり舐めたりしていたわ」ニコッ
霞「おもしろいおねえさんね」ニコッ
咲「・・・・・」
照「・・・・・」
咲「お姉ちゃん・・・・」
照「・・・・まって私けが人 今起きたところ」
咲「お姉ちゃんのバカ!もー!」プンチョカ
照「ひょえええええ!」
霞「うふふ」 初美&巴「鬼だ・・・・」 春「私の出番は・・・・?」ボリボリ
尾張
面白かったよ
面白かったで~
霞さん×てるてるの新しい可能性を感じた
後日談的なのをかこうとおもったが疲れた
全部即興だったから色々変なところあると思うけど、本当にありがとうですた
シロがかっこよかった
白糸台メンバーの反応も見たい所
菫「まったく・・・お前は本当に世話を焼かせる」
照「そんなこといって本当は寂しかったのを私は知っている」
菫「はっ・・・そんなわけあるか・・・」
照「毎日ハァ・・・・てため息ついてた」
菫「んな!?」
照「それに、病室にきて私がついていたのに・・・とかもいってた」
菫「おま・・・おきて・・・」
照「おきてない あとパンツが菫なのにひまわりパンツ」
菫「・・・・っ////」カァァア
照「かわいかったよ?」
菫「~~~~っ!」ゴンッ
照「・・・・・痛い」
照「淡なんてなきそうだった」
淡「?!」
照「パンツはいちご柄とパンタさんパンツをみた」
淡「なっ・・・なっ・・・////」
照「淡らしいかわいいパンツだった」
淡「う・・・・」
照「う・・・?うさぎちゃんパンツ?」
淡「うわあああああああああああああん!」ダダダダ
照「いっちゃった・・・」
菫「・・・」ゴチンッ
照「・・・・・痛い」
菫「お前は・・・・もうちょっと皆に迷惑かけたこと反省しろ」マッタク
照「・・・うん、わかってる。今回のことで私、すごいたくさん反省してる・・・」
菫「・・・・そうか」 照「うん、だからパンツみせ菫「ない」
おつ
また書いてね
Entry ⇒ 2012.07.27 | Category ⇒ 咲-Saki-SS | Comments (1) | Trackbacks (0)
やよい「土曜は牛の日ですー!」
P「やよい・・・」
見たいな風でオナシアス
やよい「いつも行くお店におっきく書いてありました!」
P「あぁなるほど……」
やよい「でも不思議です、土曜日は毎日あるのにどうして急に牛の日になったんでしょう?」
P「あぁ、あのなやよい。この丑の日は牛は牛でもちょっと意味が違ってだなぁ……」
やよい「う?」
P「あ~でもいいか。確かに1年にそう何回もある日じゃないし贅沢してもいいだろ」
やよい「そうですか?そうですよね!土曜日の牛さんの日に感謝して、今日は贅沢に行きます!」
P「うんうん、やよいが満足ならそれで……」
P(でも、鰻くらいだったら食べさせてやれるか?でもアイドルの分もとなると……)
やよい「それじゃあプロデューサー!私早速夕飯の買い物に行ってきますね!」
P「あ、あぁ。行ってらっしゃい。……ようし」
――
スーパーのおじちゃん「おぉやよいちゃん!今日も来てくれたんだねェ!」
やよい「あ、おじさん!こんばんは!今日は丑の日なので奮発しちゃおうかなって!」
おじちゃん「そうかいそうかい。ということは鰻かな?」
やよい「うなぎ、ですか?」
おじちゃん「ありゃ、鰻を買いにきたんじゃないのかい?」
やよい「はい!せっかくの牛の日なので牛のお肉でぱーっと贅沢しちゃおうかなって思ったんです!」
おじちゃん「あぁ~なるほどね。やよいちゃん、丑の日っていうのは別に牛肉のことじゃないんだ」
やよい「う?プロデューサーもさっきそんなことを言ってました……」
おじちゃん「昔の話なんだけどな。鰻屋さん、なかなか売れなくて困ってたたんだ。」
おじちゃん「それでどうにか売れないか、って思ったらちょうど丑の日でな。昔の数え方なんだが」
おじちゃん「まあいいか。それで、どうしたかっていうと”う”がつく食べ物は縁起がいいってのでな」
おじちゃん「しかも食べたら元気になる。って聞いてみんな食べるようになった。それが丑の日よ」
やよい「そうだったんですかぁ~。でも私、鰻食べたことないですよ?丑の日なのに」
おじちゃん「まあ今じゃちょっと高いだろうしなぁ。ちょっと見てみるかい?」
おじちゃん「わっはっは、まあへびっちゃそうだな。どれ、一つごちそうしてあげようか」
やよい「え、いいんですか!」
おじちゃん「あぁ。なんてったって丑の日だしな。やよいちゃんはいつも来てくれるからサービスよ!」
やよい「わぁ!ありがとうございます!」
おじちゃん「といっても蒲焼になってるやつだけどな。ほれ」
やよい「おぉ……綺麗なきつね色でさっきのと全然違います……はむ……」
おじちゃん「どうだい?」
やよい「こ、これ……これおいしいです!おじちゃん!」
おじちゃん「そうかいそうかい。そりゃよかった。みんな今日はこれを買って帰るんだ」
やよい「そうだったんですねぇ~。でも高いんですよね?」
おじちゃん「まあそうだなぁ。これはできてるやつだからなおさらだけどな」
やよい「えっと……えぇえ!こ、こんなにするんですかぁ!」
おじちゃん「まあお世辞にも安いっちゃいえねぇよなぁ。何せ買う人も少なくなってきて」
やよい「そうなんですか?」
おじちゃん「だから鰻を食べる人も少なくなって、さらに高くなってまた買う人が減る」
おじちゃん「そろそろ丑の日ってのも考え時かもしれねぇな」
やよい「でも、こんなにおいしいんですよ?」
おじちゃん「おいしくっても高かったら売れないのさ。やよいちゃんだって他にもおいしいもの知ってるだろ?」
やよい「そうですね、確かに鰻はおいしいですけど……」
おじちゃん「まあこんなこと話したってしょうがねぇよな。どれ、これを持って帰って夕飯のおかずにしな!」
やよい「えぇ!いいんですか!」
おじちゃん「おうよ!さっきも言った通り余ってるんだ!1つくらいどうってことないさ!」
やよい「うっうー!ありがとうございます!これで長介たちもよろこぶかな……」
おじちゃん「おぉ、そのうっうーっての、元気がよくていいねぇ」
やよい「あ、これですか?はい!私の元気のもとです!」
おじちゃん「……もしかしたら使えるかもしれねぇぞ?やよいちゃん、ちょっといいか!」
やよい「え?あ、はい」
おじちゃん「みんなに鰻を食べてもらいてぇ。それは俺の本心なんだ。でも現実はそう甘くないんだ」
おじちゃん「もっとこの味を、皆に知ってもらいたい。その手伝いをしてくれるか?」
やよい「わ、私にできることなら!」
おじちゃん「よし!決まりだ!悪いがちょっと手伝ってもらうぜ!」
――
やよい「うっうー!丑の日はうのつくうなぎはいかが!元気がでますよ~!」
オバサン「あら、元気がいいわね?バイトさん?」
やよい「あ、はい!お手伝いです!うなぎ、どうですか!」
オバサン「そうねぇ。高くなってからしばらくみてないけど……せっかくだしいただこうかしら?」
やよい「ホントですか!ありがとうございます!」
オバサン「そのうっうーっていうの、すごく元気がでるわね!これからもがんばって?」
やよい「あ、はい!ありがとうございます!」
おじちゃん「こりゃすげぇ……やよいちゃん、あんたはやっぱりすごい子だ」
やよい「あ、おじちゃん!うなぎ、売れますよ!」
おじちゃん「お、おう!おかげさまで絶好調だな!厨房も大忙しだ!」
おじちゃん「そ、そんなわけないだろう!これはちょっとあれだ……鰻の水が飛んだんだ!」
やよい「そうですか……あ、はい!それじゃあまた行ってきますね!」
おじちゃん「お、おうよ!……ったく、こんな子がまだ残ってるとはな」
おじちゃん「日本の文化ってのも捨てたもんじゃないな」
――
やよい「全部売れましたー!!」
おじちゃん「ご苦労様だった!いや~ホント助かったよ、ありがとうやよいちゃん!」
やよい「いえ!これくらいだったらまたお手伝いしますよ!」
おじちゃん「すまないねぇ、あぁこれお礼といったらさみしいけどな、受け取ってくんな」
やよい「え?……こ、これ全部鰻ですかぁ!!」
おじちゃん「おう。それも一番いいやつだ!やよいちゃんにとっておいたのさ!」
やよい「お、おじちゃん……」
おじちゃん「へへっ、やよいちゃんほど”う”が似合う子もいないな!ぜひうちの鰻を味わってくれよ!」
やよい「はい!ありがとうございました!!」
やよい「みんな~!今日は鰻ですよ!」
長介「え?鰻?姉ちゃんそんな贅沢して大丈夫?」
やよい「大丈夫!これはもらったの!今日は丑の日だからね!」
かすみ「牛の日?牛肉が食べられるの!?」
やよい「その牛じゃないんだよかすみ!これはもっともっとおいしいんだから!」
長介「うわっ、へびみたい……やっぱりこれくえんの?」
やよい「大丈夫!今から作ってあげるから!でもちょっと多いかなぁ……あ、そうだ!」
――
やよい「こんばんは!」
小鳥「あらやよいちゃん。どうしたのこんな時間に」
やよい「実はたくさん鰻をもらったのでどうかなって!」
小鳥「鰻!?そ、そんなやよいちゃん、どうしたの?」
やよい「お手伝いしたらもらったんです!あ、今作りますから皆も呼んでください!」
小鳥「わ、わかったわ!……私だって鰻なんて何年ぶりかしら」
伊織「やよいが丑の日に鰻だなんて。やるじゃない」
響「丑の日って牛のお肉を食べる日かと思ったぞ」
亜美「ひびきんそれはないっしょ→」
真「そ、そうだよ響!(ち、ちがうんだ……知らなかった……)」
美希「どっちでもいいのーおなかすいたのー」
春香「まあまあプロデューサーさんがそろそろ来るから、ね?」
千早「鰻は栄養満点と聞きます。これを食べれば……もしかしたら」
真美「鰻か~見た目はちょっとグロいよね→」
貴音「しかし、丑の日という呼び方もまた風流ですね。昔を思い出します」
あずさ「鰻なんて久しぶりだわ~やよいちゃんに感謝しなくちゃね~」
律子「それにしても遅いですねプロデューサーは……」
ガチャッ
P「お待たせ!いや~遅くなった遅くなった。だが皆聞いて驚くな?今日は何の日か、知っているかね?」
P「土用丑の日、ということでじゃじゃん!奮発して鰻を買ってきたぞ!!どうだやよい!……あれ?」
伊織「やよいが鰻を大量にもらってきたのよ……それなのにあんた、それ何?」
P「え?あ、いや、これはだな……」
響「パックに入ってるんだな~。おいしそうだけどやよいのと比べるとちょっとな」
亜美「流石にそれはないよ兄ちゃん」
真美「せめてもうちょっと大きいの買ってこようよ」
P「う、うぅ……なけなしのポケットマネーを削ってまで買ってきたのにこの扱い……」
やよい「プロデューサー!その鰻も一緒に並べましょう?今日は鰻祭りですよ!」
P「や、やよいぃ……」
あずさ「あらあら、流石はやよいちゃんね」
律子「それじゃ、いただきましょうか」
雪歩「鰻、あんまり食べたことないですぅ」
真「雪歩、骨とか気を付けてね?」
千早「骨は、そんなに気にしなくていい気がするけど……いやむしろカルシウムよ」
やよい「それじゃあみなさん!いっただっきまーす!!!」
春香「おいしい……こんな鰻初めて。おいしいよやよい!」
やよい「ありがとうございます!」
美希「ん~ミキはハニーの鰻も好きだな~」
真美「ミキミキそれちょっと……」
響「確かにプロデューサーが買ってきたのもうまいな!」
伊織「なかなかおいしいじゃない。やよいにしてはよくやったじゃない」
亜美「って言っていおりん、頬がゆるんでますぞ~?」
律子「やよい、弟たちには食べさせたの?」
やよい「あ、はい!みんな夢中で食べてくれました!牛肉よりこっちになりそうで……えへへ」
雪歩「おいしい……お魚なのにお肉みたいで……」
真「みんな大絶賛だね!」
やよい「よかったです!みんなこれからは丑の日に”う”ですよ!」
やよい「うなぎで皆ハッピーです!!うっうー!!」
終わり
山椒の素晴らしさに気が付いたのは最近
落ちのつけ方よくわからない
読んでくれた人ありがとう
やよいのために鰻買い占めてくる
Entry ⇒ 2012.07.27 | Category ⇒ アイマスSS | Comments (0) | Trackbacks (0)