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入須「折木君、居るか?」
・古典部部室
奉太郎(二日続けて部室に誰も居ないと言う類稀な奇跡が起きたと思ったんだが…)
奉太郎「…またですか、先輩」
入須「随分不服そうだな」ガタッ
奉太郎(またしれっと座ったな、この人)
奉太郎(そういえば昨日も、この人のおかげで奇跡が泡と消えたんだったな)
奉太郎「不服そうに見えますか?」
入須「見えるな」
奉太郎「…それなら、次からは気をつける様にしますよ」
入須「そうしてくれ」
奉太郎「………」
入須「………」
奉太郎「………」パラッ
入須「……目の前に先輩が居るのに本を読むとは良い度胸だ」
奉太郎「…用事があるなら言って下さい」
入須「君から聞くと言う発想は無いのか?」
奉太郎「俺は進んで面倒事に首を突っ込みませんので」
入須「…その考え方は好きよ。だが、私の前ではやめて貰おう」
奉太郎「できません」
入須「やれ」
奉太郎「嫌です」
入須「…お願いしても、駄目か?」
奉太郎「……考えておきます」
入須「…頼む」
奉太郎(…随分変わったな、この人も)
奉太郎「それで、なんなんですか?」
入須「実は、特に大した用事があった訳ではないんだが」
奉太郎「………」パラッ
入須「………」バッ
奉太郎「…取らないで下さい」
入須「読むな」
奉太郎「…用事が無いって、一体何をしに来たんですか」
入須「…まず、一つ話をしよう」
奉太郎「…はぁ」
入須「学校生活とは、この場合高等学校を指すが、どの様なものだ?」
奉太郎「…なぞなぞですか?」
入須「違う。君の思う事を教えて欲しい」
奉太郎「そうですね…入学、単位を取得し、進級、卒業。枝分かれはありますが、流れていく一本の川の様ですね」
入須「ふむ、大まかに言えばそうだな」
奉太郎「…何かあるんですか?」
入須「今のは三年と言う単位での話だ。では、一日と言う単位で見るとどうだ?」
奉太郎「一日…ですか。 …川の例えを出しましたから、その一部を切り取ったもの…」
入須「………」
奉太郎「そう、一つの点から撮影した写真です。見た目は対して変わり無いですが、それでも微妙に変化している」
入須「………」
奉太郎「そして進級する毎にその点が変わっていく、枝分かれも含めて。 …大まかには変化が無い過ぎていく現在、ですね」
入須「……長いな」
奉太郎「…先輩が話せと言ったんでしょう」
入須「似てはいるが、私はもう少しシンプルに考えていた」
奉太郎「…なら、聞かせていただけますか?」
入須「トラブルが起きる繰り返し、だ」
奉太郎「あまり変わらない様に聞こえますけど」
入須「少し違う。君は変化を常としているが、私は変化が異常だと言っている」
奉太郎「…なるほど」
入須「学校生活に於いて一日とは、登校、授業を受ける、昼食、授業を受ける、部活、下校。こうではないか?」
奉太郎「…先輩はいいんですか? 部活にいかなくて」
入須「うるさい」
奉太郎「………」
入須「では次に、今私が上げた中で、集団に於いて必ず共有する部分はどこだ?」
奉太郎「……授業…と、部活ですか?」
入須「そうだ。登校、昼食、下校は一人でも可能だ」
奉太郎「集団でも出来ますが、必ずではないですね」
入須「二人でもできるよ」
奉太郎「…それがどうしたんですか?」
入須「…次に行こう。その三つの行動、君自身が一番自然だと思う人数はなんだ?」
奉太郎「俺自身でいいんですか?」
入須「あぁ」
奉太郎「…そうですね、朝は一人、昼は一人又は二人、放課後は一人、ですね」
入須「…君は友達が少ないんだな」
奉太郎「…自慢じゃありませんが」
入須「自慢されても困るよ」
奉太郎「…でしたら、先輩はどうなんですか?」
入須「私か? そうだな、朝二人、昼二人、放課後二人…だな」
奉太郎「そうですか」
入須「……今日の昼は、君と二人だったな」
奉太郎「そうですね」
入須「弁当の時は教室だったな?」
奉太郎「…はい」
入須「私は中庭だが」
奉太郎「昨日聞きましたね」
入須「……朝の登校はいつも一人か?」
奉太郎「そうですね、基本的には」
入須「普段家を出る時間は何時ぐらいだ?」
奉太郎「……七時半、ですかね。七時に起きるので」
入須「五十分位に、あの商店街か」
奉太郎「そうですね、それぐらいじゃないですか」
入須「私より十分遅いようだ」
奉太郎「…早起きですね、先輩」
入須「朝に弱そうだな、君は」
奉太郎「…頭を見ながら言わないで下さい」
入須「…あと五分早く出れば、目覚めが良いと思うよ」
奉太郎「…はぁ」
入須「……放課後も、一人だったか」
奉太郎「そうですね、部活がなければ」
入須「あると、どうなんだ?」
奉太郎「…? 誰かと帰りますが」
入須「千反田えるか?」
奉太郎「里志ですよ、福部里志。千反田とも、たまにはありますけど」
入須「…一人と言ったろ」
奉太郎「…いや、例外はありますよ」
入須「…君は、皆より五分早く出たほうが良いんじゃないか?」
奉太郎「…はぁ」
入須「寝付きが良いと思うよ」
奉太郎(…初めて聞くな)
入須「…ところで、君は生徒手帳を読んだ事があるかな?」
奉太郎「…一応は、渡された日の夜に一度だけ」
入須「良い心掛けだ。渡されたはいいが、一度も目を通したことの無い者の方が多いからな」
奉太郎「詳しい内容まで覚えている訳ではありませんが」
入須「大まかには覚えているだろ」
奉太郎「そうですね。良識を持って生活せよ、と言う所でしょうか」
入須「…大変大雑把だが、まぁ、そう言う事だ」
奉太郎「締め付けの強い校風ではないですから」
入須「そうだな。 …君はそう言った所に惹かれて、ここに入ったのか?」
奉太郎「…いえ、家が近いんです」
入須「……まぁ、そうか」
奉太郎「…そこで微妙な顔をしないで下さい」
入須「ふふっ、悪かったな」
奉太郎「…それで、その内容が何か?」
入須「うむ、登下校に関しては何が書かれていた?」
奉太郎「……時間に留意せよ、ぐらいでした」
入須「そうだな。始業五分前までに登校、終業前一時間以内に下校と書いてあった」
奉太郎「俺は問題無いと思いますが」
入須「…ここには、人間に関しては何も書かれていない」
奉太郎「………?」
入須「…つまり、部外者は除き誰が誰と登校し下校しても自由だと言う事だ」
奉太郎「…部外者は所定の手続きを取れば校内に入れますが」
入須「それは例外だろ?」
奉太郎「まぁ、はい」
入須「揚げ足を取るな」
奉太郎(…対等と言う言葉はこの人から消えたようだ)
入須「…つまり、例え男女二人でいても、それはこの学園では自然だと言う事になる」
奉太郎「今の時代それを規制する所の方が少ないと思いますけど」
入須「あまり無いだろうな。それはこの学園でも同じだと言う事はわかったか?」
奉太郎「長々とお話し頂いたおかげで」
入須「イヤミを言うなよ」
奉太郎(…この人は俺と話した事を全て忘れているようだな)
入須「…君は先ほど千反田えるとよく下校すると言っていたが」
奉太郎「たまにですよ」
入須「校則に於いては問題は無い」
奉太郎「そうですね」
入須「……例えば、私と帰ったとしても問題は無い。そうだな?」
奉太郎「伊原と帰っても、問題はありません」
入須「……私と帰っても問題は無いな?」
奉太郎「…まぁ、そうですね」
入須「昨日の様に下校後の茶についても問題は無いだろう?」
奉太郎「学外での問題行動には当たらないと思います」
入須「そうか」
奉太郎「…俺は先輩に誘われただけですので」
入須「責任逃れか?」
奉太郎「そう聞こえますか?」
入須「質問で返すな、バカ」
奉太郎「…冗談ですよ」
入須「まったく…君は私が嫌いなのか?」
奉太郎「……嫌いではないですよ」
入須「含みがありそうだな」
奉太郎「本心を言わないのは先輩と同じです」
入須「……バカだな、君も」
奉太郎「………?」
入須「…朝は七時に起きるんだったな」
奉太郎「そうですね」
入須「六時五十五分に目覚ましをセットすれば、その時間に起きるか?」
奉太郎「…起きるんじゃないでしょうか」
入須「寝ぼけていても理性は働くようだな」
奉太郎「…まぁ、それなりに」
入須「その時間に起きれば、七時四十五分には商店街に着くな」
奉太郎「何も無ければ、着きますね」
入須「…登校に関しても、校則には特別な記載は無かった」
奉太郎「はい」
入須「つまり、君が千反田えると登校しても問題無いと言う事だ」
奉太郎「あいつは自転車ですよ」
入須「なら、朝は誰とも会わないんだな」
奉太郎「そうですね。…里志ぐらいです」
入須「会うじゃないか」
奉太郎「会わないとは言ってませんよ」
入須「……例えば、私と会っても問題は無いな?」
奉太郎「…そうですね」
入須「私は四十分には商店街に居る」
奉太郎「聞きましたね、先ほど」
入須「だが、それは想定外の事柄を考慮しての時間だ」
奉太郎「…はぁ」
入須「五分程度の時間の余裕を持って登校している」
奉太郎「十分早いですが」
入須「君が考えているよりは、私も忙しい」
奉太郎「…放課後は忙しくないんですか?」
入須「うるさい」
奉太郎「………」
入須「…つまり、五分程商店街に居ても問題は無いと言う事だ」
奉太郎「少し休まれてから登校されても問題ないと」
入須「そうだ」
奉太郎「そうですか」
入須「………」
奉太郎「………」
入須「……君は、ここぞと言う時にしか頭が働かない様だな」
奉太郎「…そんなことはありません」
入須「いや、そうだ」
奉太郎「何故断言できるんですか?」
入須「…それこそ、考えてみろ」
奉太郎「…はぁ」
奉太郎(…考える? 何をだ?)
奉太郎(先輩が今まで話してきた事、そこに何か意味があると、そういう事なのか?)
奉太郎(……まずは、情報を整理しよう)
・10分後
奉太郎「…ふぅ」
入須「……何か、気づいたか?」
奉太郎「……先輩は俺に会いに来た、そうでしたね」
入須「あぁ」
奉太郎「しかしその直後、大した用事は無いと言っていた」
入須「そうだな」
奉太郎「だがそれはおかしい。先ほど先輩は自ら忙しいと言った。昨日の様な相談事でも無い限りここに来る筈が無い」
入須「………」
奉太郎「となれば、先ほどから話していた内容は全て何らかの問題を孕んでいる。違いますか?」
入須「……続けて」
奉太郎「注目するべき点の一つは朝と放課後です。とりわけて先輩は重視していた」
入須「…あぁ」
奉太郎「次に時間。始業の五分前、終業前の一時間以内…でしたか? 正直俺はそこまで詳しい時間は知りませんでした」
入須「………」
奉太郎「最後に、俺の朝と放課後の行動です。こんなに自分の行動を俯瞰で見たのは初めてですよ」
入須「………」
奉太郎「忙しい先輩が時間を割いてまで俺の朝と放課後の予定を聞きに来た。用事が無い訳は無い、だとしたらまた相談事だ」
入須「…結論は?」
奉太郎「適材適所。つまり、朝と放課後に先輩の手が回らなくなった事が有り、それが大変俺に適した事だった」
入須「あぁ」
奉太郎「俺にそれを手伝う様、言いに来たんでしょう。いや、俺自ら手伝うと言わせる為に。違いますか?」
入須「………」
奉太郎「………」
入須「……昨日話したな、私に好きな人がいたと」
奉太郎「…はい」
入須「私の考えを気にも留めない、やり方が通用しない人だと」
奉太郎「そうですね」
入須「…君は気にも留めない所か、最初から無かったかの様に扱うな」
奉太郎「それは、どういう…」
入須「この期に及んで君を責めないよ。私も悪かったと今気づいた」
奉太郎「………」
入須「君はとてもよく理解してくれると思っていたし、それが特別だとも思う。 …だが適材適所、こう言った部分に於いて、その力は発揮されないようだな」
奉太郎「…よく意味が分かりません」
入須「…君の結論は違う」
奉太郎「! そんなことは…」
入須「違うんだ。 …今から正直に真意を話すよ。聞いてくれるか?」
奉太郎「…それは、勿論」
入須「……今日の昼食は君と共に居たな。私は大変満足していたよ」
奉太郎「…中庭は人が少なくて良かったです」
入須「そうだろ? 続けるが、人間と言うものは欲に塗れている。すべからく、私も含めてな」
奉太郎「先輩も、ですか?」
入須「そうだ。 ……朝も、昼も、放課後も…君と…共に、居たいと」
奉太郎「!」
入須「支配欲…いや、独占欲だ。一緒に居たいんだ、君と」
奉太郎「……俺に朝や放課後の予定を聞いてきたのは」
入須「君が五分前に起きてくれれば共に登校できる。放課後も予定を合わせれば、共に下校できるだろ?」
奉太郎「…あの、自然だと思う人数とは、つまり」
入須「そう。私と君だ。注目するべき点が一つ抜けていたな」
奉太郎「……なるほど」
入須「…君は昨日の言葉…私の告白、忘れてしまったのか?」
奉太郎「…いえ、そういう訳では」
入須「放課後に、用事も無く好いた者に会いに来てはいけないのか?」
奉太郎「………」
入須「君に隣を歩いて欲しいと、伝えたはずよ」
奉太郎「……そう、でしたね」
入須「…その返事はまだ望まない。だが、今日の願いは聞いてもらえるか?」
奉太郎「……朝は努力しましょう。放課後は、確かに予定が合えば」
入須「…今は、それで良い」
奉太郎「…すいません」
入須「謝るな。君は、よく考えて結論を出さないといけない」
奉太郎「…そうですね」
入須「ふふっ、また間違ってしまうと大変だからな」
奉太郎「…もうやめて下さい、その話」
入須「対等な関係だろ?」
奉太郎「一方的になじられてるだけですが」
入須「そんなことはないよ。君だってイヤミを言うじゃないか」
奉太郎「…覚えていたんですね」
入須「あぁ、文句は言ってしまうが」
奉太郎「構いませんよ、別に」
入須「…長々と話してしまったな。今日はもう帰ろう」
奉太郎「わかりました」
入須「茶は…また今度だな」
奉太郎「そうですね」
入須「今度は君の知っている店に行こう」
奉太郎「俺のですか?」
入須「あぁ、静かに本が読めるような、素敵な店を教えてくれ」
奉太郎「…そうですね。是非、行きましょう」
入須「楽しみだ」
奉太郎(…といっても、木出珈琲しか知らんが)
・下校
入須「…明日は四十五分だ。忘れるなよ」
奉太郎「わかってますよ」
入須「その次の日も、四十五分だ」
奉太郎「……たまに五十分でも」
入須「駄目だ、心配するだろ。そうなるなら事前に連絡しろ」
奉太郎「…連絡先知りませんし」
入須「私は携帯を持ってる。番号は090…
奉太郎「ちょ、待って下さい! 今メモしますから…」
入須「早くしろ」
奉太郎「まったく…」
入須「……休みの日でも、電話をしてくれていいよ」
奉太郎「…まぁ、気が向いたら」
入須「しろ」
奉太郎「…俺の生活に受話器を取るという習慣が無いもので」
入須「取るんだ」
奉太郎「……いやです」
入須「私の声が聞きたくないか?」
奉太郎「…別に」
入須「…省エネはやめろと言ったろ」
奉太郎「…すぐに生活改善はできませんよ」
入須「なら、次の休みは生活指導をする」
奉太郎「結構です」
入須「十時に君の家に行くから」
奉太郎「……本当に来ます?」
入須「本当に行くよ」
奉太郎(…この話は忘れておこう)
入須「……君に、もう一つ聞こう」
奉太郎「はい」
入須「…今度の結論には期待しているよ」
奉太郎「…善処しますよ」
入須「頼む。 …今、君の両手はどうなっている?」
奉太郎「両方ともポケットに」
入須「そうだな。では私の両手はどうなっている?」
奉太郎「…左手は肩の鞄を抑えて、右手はブラブラしてますね」
入須「そうだ。右手が手持ち無沙汰だな」
奉太郎「そうですね」
入須「……君はよくポケットに手を入れているな。歩く時は大体そうだ」
奉太郎「…よく見ていただけている様ですね」
入須「左手も右手も、今は私に見えない所にある」
奉太郎「はい」
入須「…左手をポケットから出すと、どうなる?」
奉太郎「………」スッ
入須「………」
奉太郎「……ブラブラ、します」
入須「そうだな。手持ち無沙汰だ」
奉太郎「……結論、は」
入須「あぁ」
奉太郎「……出しても、いいんですか?」
入須「勿論だ」
奉太郎「………」
入須「………」
奉太郎「………」ギュッ
入須「! ……ふふっ、正解」ギュッ
奉太郎「……恥ずかしいです」
入須「…私も、恥ずかしいよ」
奉太郎「…離していいですか?」
入須「駄目だ」
奉太郎「殺生です、先輩」
入須「…恥ずかしいけど、嬉しいよ」
奉太郎「………」
入須「…正解してくれて、勇気を出してくれて、嬉しい」
奉太郎「………」
入須「君は特別で、とても素敵よ」
奉太郎「…イヤミっぽいですね」
入須「ふふっ、対等だろう?」
奉太郎「…そうですね」
奉太郎(…冷たいな、先輩の手)
奉太郎(…迷信かもしれないが、信じてみるのも悪くないかもな)
おまけ
ピンポーン
奉太郎「……………はい」
入須「来たよ」
奉太郎「……………どうしたんですか?」
入須「言ったじゃないか。入るよ」
奉太郎「……………」
入須「……まずその頭をセットする」
奉太郎「……じぶんでできます」
入須「いいから来い」
奉太郎(……地獄が玄関からやってきたぞ…)
おわり
自家発電その2でした。入須先輩可愛いです。
支援してくださった方、ありがとうございました。
乙~
とは言わない
続きはよ
読んで欲しいんですが
入須「…今日は私の家に来るか?」
奉太郎「…いえ、結構です」
入須「何故だ?」
奉太郎「方向違いますし」
入須「来い」
奉太郎「嫌です」
入須「…君に遊びに来て欲しいんだ」
奉太郎(…その目はやめてくれ)
入須「すまんな、何もない部屋で」
奉太郎「…綺麗に片付いてますね」
入須「掃除はしっかりしてるよ」
奉太郎「…座っていいですか?」
入須「あぁ、好きな所に構わない。今飲み物を取ってくるよ」
奉太郎「………!」
奉太郎(……可愛いぬいぐるみがある…)
奉太郎(四つ可愛く並んでいるな…)
入須「…どうした? それが気になるか?」
奉太郎「! …いえ、そういうわけでは」
入須「…似合わないと、思ったか?」
奉太郎「…まぁ、意外だな、とは」
入須「…捨ててくるよ」
奉太郎「いや! 待って下さい!」
入須「…なんだ」
奉太郎「似合わないとは言ってませんよ」
入須「目がそう言っているぞ」
奉太郎「……言ってません」
入須「……捨ててくる」
奉太郎「だから待って下さい!」
入須「…しつこいな」
奉太郎「…いいじゃないですか、ぬいぐるみ」
入須「思ってないだろ」
奉太郎「…俺にその趣味はありませんが」
入須「…捨てて
奉太郎「でも! その…先輩がぬいぐるみを持っている姿は、その…」
入須「………」
奉太郎「……可愛いと思いますよ」
入須「! ……そうか」
奉太郎「……はい」
入須「………」
奉太郎「………」
入須「……目をつぶれ」
奉太郎「……え?」
入須「早くしろ」
奉太郎「…いや、何故ですか?」
入須「…女性の部屋、男女二人きり、だ」
奉太郎「…はぁ」
入須「…目をつぶれ」
奉太郎「…いやです」
入須「何故だ」
奉太郎「なんとなく想像ですが…」
入須「あぁ」
奉太郎「……キス、しようとしてますか」
入須「そうだ」
奉太郎「いやです」
入須「ふざけるな」
奉太郎「先輩でしょそれは…」
入須「…まだ、早いか?」
奉太郎「そうですね、そう思います」
入須「…そうか」
奉太郎「……そんな顔しないで下さい」
入須「…すまない」
奉太郎「………」
入須「………」
奉太郎「………」ギュッ
入須「!」
奉太郎「………」
入須「………」ギュッ
奉太郎「……今は、これが…限界です」
入須「…いいよ。 …君の温もりが全身に伝わっていくようだ」
奉太郎「…ハグぐらいで、大げさですね」
入須「…嬉しいな、とても」
奉太郎「…そう言って貰えると、したかいがありますよ」
入須「……ふふっ」ギュッ
奉太郎「……強いです、先輩」
入須「良いじゃないか。 …しばらくこのままでいよう」
奉太郎「……わかりました」
奉太郎(…あまりない俺の勇気、出して良かった…のかな)
夏の休暇が終わるのでしばらく書かないとは思いますが、
次の機会があれば、またよろしくお願いします。
読んでくださった皆さん、ありがとうございました。
楽しみにしとくよ
Entry ⇒ 2012.08.15 | Category ⇒ 氷菓SS | Comments (0) | Trackbacks (0)
怜「お疲れ会やて」
ベスト8の学校同士でお疲れ会が開かれる事になった。
そしてここはAブロックの準決勝先鋒戦を戦った者達の集まり。
怜「……」
煌「……」
玄「……」
照「……」
怜「……あ、アレやな、お疲れ会とは言うても、こないだまで真剣勝負をしとった相手と面と向かって話し合うっちゅーんは、ちと違和感あるなぁ」
煌「特に園城寺さんの場合は、文字通り命懸けでしたものね」
照「……悪かったな」
煌「いえ、別に宮永さんが悪いと言っているワケでは……ね、園城寺さん?」
怜「まあな。対局中は連荘止めんのに苦労させられたけど、そこはまあ勝負やし、今思い返せば楽しい思い出や」
怜「少し頑張り過ぎたからなぁ、でも今はもうこの通り大丈夫や。心配してくれてありがとうな」
煌「ですが素直に『すばらっ』とは言えませんよ、そういう無茶は」
照「やっぱり私のせいで……」
怜「新道寺!」
煌「すばらっ!」ペシ
照「痛ッ!?」
怜「まるで判ってへんな、チャンピオン」
照「へ……?」
煌「何故園城寺さんが……いいえ、わたくし達がそれだけの無茶をしたのか、それだけの無茶ができたか」
煌「それは偏に宮永さん、貴女がいたからなのですよ」
照「……やっぱり私のせい」
怜「阿知賀!」
玄「やめるのですッ!」ペシ
照「痛ッ!? ……またぁ?」
怜「『アンタに勝ちたい』。そう思えたから全力以上のものが出せたんや」
玄「それを人は『切磋琢磨』と言うのです!」
照「……私が……いたから……?」
怜「結局届かんかったけどな」
煌「一矢は報いたつもりですよ」
玄「私だって!」
照「貴女達……。ありがとう」テレテレ
玄「えへへ」
照「そ、そうか?」アセアセ
煌「そうですね。雑誌などで拝見した時は明るい感じの方かと思いましたし」
玄「対局した時は、クールな人かとも思いました」
照「……」
怜「……自分、ホンマは根暗やろ?」
照「!?」
怜「図星やな」
煌「図星、ですわね」
玄「ですね!」
怜「判っとるわ。美人やけどちょっと無愛想やから、周りの連中も声を掛けづらいだけなんやろ?」
煌「その無愛想なまま麻雀を打って、それで強いものですからさらに周りの人々が距離を取ってしまっただけなのでしょうね」
玄「ですね!」
照「うう……」
怜(……なんやこのチャンピオン、かわええな///)アイコンタクト
煌(園城寺さんが倒れた時もなんだかオドオドしている様子でしたし、根は臆病なだけかもしれませんね///)アイコンタクト
玄「ですね!」ニコニコ
照「?」
煌「そうですね。まだわたくし達はお互いの事をほとんど知りませんし……まあ、知り合う為のこの会なのでしょうけど」
照「私達の共通の話題といえば……」
玄「麻雀ですね!」
怜「やっぱそれしかないな」
煌「すばらっ!」
照「でも代表校同士の対局は御法度なんじゃ……」
怜「堅い事言うなや優等生。もう団体戦は終わっとるし、チャンピオン以外は個人戦には出てない。大丈夫やろ」
煌「それに麻雀インターハイに出場した選手を集めて、麻雀を打つなと言う方がムリというものですよ」
玄「ですね!」
照「はやくはやく!」
怜「判ってるからはしゃぐな」
怜(なんや、チャンピオンも随分砕けてきたなぁ)アイコンタクト
煌(それだけわたくし達に心を開いてくださっている、という事なのでしょう)アイコンタクト
煌(それはとてもすばらな事ですよ。宮永さんにとっても、わたくし達にとっても)アイコンタクト
玄「皆さん、せっかく打つんですから、ここは一つ賭けをしませんか?」
照「賭け?」
怜「ほう、面白そうやな」
煌「なにを賭けるんですか?」
玄「単純にして明解! 半荘一回勝負で、一位の人が他の三人に一つだけ命令できるのです!」
東:煌 南:怜 西:玄 北:照
照「ツモ! 300・500!」
煌:24500 怜:24700 玄:24700 照:26100
煌「おや、東一局は様子見ではないのですか?」
照「貴女達の手の内はもう判っているから、その必要はない」
怜「なら、ウチも出し惜しみしとる場合じゃないな。いくで!」
玄「私だって!」
東:怜 南:玄 西:照 北:煌
照「ツモ! 800・1600!」
煌:23800 怜:23100 玄:23900 照:29300
怜「流石に安手やと止めようがないな」
煌「ですが、和了すればするほど手は狭まっていきます。ドラは松実さんが抱えていますから、点数を上げていくのは難しいですよ」
照「だからこそ、楽しい」
怜「……ほう」ジィー
照「な、なに? 私の顔になにか付いてる?」アセアセ
怜「いや、麻雀中でも笑えるんやな、と思うてな」
照「え?」
照「そ、そんな事ない! ただ、あんまり知らない人と打つのは少し緊張するというか……」
煌「それではわたくし達は、宮永さんのお知り合いになれたという事ですかね?」
照「……照」
煌「はい?」
照「照って呼んで。みんな……と、友達……だから」
怜(キタで!)アイコンタクト
煌(すばらっ!)アイコンタクト
玄「はい、照さん」
照「う、うん……///」
怜&煌(一番乗り持ってかれた!?)
怜「ウチは同い年やし、照って呼ばせてもらうわ」
照「うん! ……それと」モジモジ
怜「なんや?」
照「みんなの事も……名前で呼んで……いい?」ウワメヅカイ
怜「ぶはッ!!」ハナジブー
照「お、園城寺さん!?」
煌(お気持ちは判りますが、流石にその反応は変態チックですよ)アイコンタクト
怜(対面からモジモジとあんな上目遣いで見られたら、流石に耐えられんわ)アイコンタクト
怜「ちゃうやろ……」
照「え?」
怜「ウチの名前は怜や。怜って呼んでや」
照「それじゃあ……と、怜ちゃんって呼ぶね?///」
怜「ぐはッ!!」トケツ
煌「それではわたくしの事も煌と呼んでください、照さん」
照「うん! 煌ちゃん!」
煌「……」^q^
怜(新道寺! よだれよだれ!)アイコンタクト
煌(は!? ほぼイキかけましたわ……)アイコンタクト
怜(アンタも大概やな)アイコンタクト
玄「次は私の番ですよ、照さん!」
照「玄ちゃん!」
玄「照さん!」
キャッキャッ
怜(なんや、あの二人妙に仲ようなってるな。妬けるわぁ)アイコンタクト
煌(照さんには妹さんが、松実さんにはお姉さんがいらっしゃいますから、お互い姉妹のような感覚なのかも知れませんね)アイコンタクト
玄「あ、それいいですね。いいですよね? 怜さん、煌さん?」
怜「別に構へんよ。なあ、煌?」
煌「勿論すばらですよ。怜さ……ん……」
怜「ん? なんや歯切れ悪いな」
煌「なぜか怜さんとお呼びするのに違和感がありますね……。お姉様、とお呼びしてもよろしいですか?」
怜「な、なんでや?」
煌「なぜでしょうね? 自分でも判らないのですが、その方がしっくりくるのですよ、中の人的に」
怜「メタアピールやめい!」
玄「それじゃあ東三局、行きましょうか」
怜&煌(流された!?)
東:玄 南:照 西:煌 北:怜
怜(そろそろ……ダブル! 二巡先や!)
――――――――――
怜(!? 玄ちゃんがドラを切ってくるんか? その次順では上がらんようやけど、張ったんか……)
怜「……」トン
玄「……」トン
照(玄ちゃんのドラ切り……。でも張ったという気配は感じられない)
照「……」トン
煌(すばらっ! 玄さんのドラ切りに対して照さんは強気にドラ側ですか)
煌(お姉さまの様子からすると次順で上がるという事はなさそうですが……取り合えずは現物ですかね)
煌「……」トン
照「ツモ! 1300・2600!」
煌:22500 怜:21800 玄:21300 照:34500
怜(照のツモは仕方ないとして……釈然とせんな)
煌(玄さんのドラ切り、あれはなんだったんですかね……)
玄「さあ、東四局ですよ」ニコニコ
東四局~配牌~
東:照 南:煌 西:怜 北:玄
怜(……ドラがきてる。これも玄ちゃんがドラを切った影響か?)
煌(ですが、こんな事をして一体なんの得が?)
照(私の打点上げが楽になるだけなのに……)
玄「ですね!」ニコニコ
怜&煌&照(判らない……)
怜(玄ちゃんの思惑が判らん。照の打点ももう無視できんところまできとるし……ここはトリプル! 三巡先や!)
――――――――――
怜(……三巡先で玄ちゃんのタンピンツモ? ドラは絡んでおらんようやけど……なるほど、ドラが来ない分、早く安い手が来るんか)
怜(こっちはドラや赤ドラが来る分手がバラけてる。鳴いてずらす事もできん)
怜「……」トン
玄「……」トン
照(……私より玄ちゃんの手の方が早い?)
照「……」トン
煌(お姉様のあの様子、数巡後に玄さんが和了るようですね。なんとか鳴いて行きたいところですが、対子はドラのみ。鳴けそうにありませんね)
煌「……」トン
玄「ツモ! 1000・2000!」ドヤゴン
煌:21500 怜:20800 玄:25300 照:32500
怜(……やはりきたか)
照(ドラはなし、か)
煌(照さんの連続和了を止め、親も流した……)
煌(本来であればすばらと言いたいところですが、これではお姉様とわたくしが焼き鳥になってしまいそうですね)
玄「さあ、南入ですよ!」ニコニコ
東:煌 南:怜 西:玄 北:照
煌(のみ手でもいいから、そろそろ上がりたいところですよね~)
煌「……」トン
怜(……アカン、さっきのトリプルやった反動でシングルすらできん)
怜「……」トン
玄「……」トン
照(まだドラが来る……。でも、やっぱり玄ちゃんの手の方が早い)
照「……」トン
南一局~七巡目~
玄「リーチ!」
煌(すばらっ! 玄さんがリーチをかけて来ましたか。しかし、お姉様なら何か対策を……)チラ
怜(スマン、視てなかった)
煌「」
照(今のツモでこっちも張ったけど、その為にはドラを切らなくちゃならない……)
照(普段の対局であれば回して行くところだけど……このドラは通る!)
照「……へ?」
煌:21500 怜:20800 玄:37300 照:20500
怜(よー判らんが照が玄ちゃんに放銃したで)
煌(お姉様の目は節穴ですか? 照さんは玄さんの能力を鑑みて、今はドラを安牌だと読んだんです)
怜(なんでドラが安牌なんや?)
煌(前局の玄さんの和了り手は見ましたよね? あの中にはドラどころかドラスジも絡んでいなかった)
煌(つまり、今の玄さんにはドラが絡む手は入らない。そう照さんは考えたんです)
怜(でも結局ドラが絡んだで?)
煌(おそらく、ドラがまた玄さんの下に戻り始めているのだと思います)
煌(そのタイミングで照さんは振り込んでしまった……いえ、振り込まされてしまったのでしょう)
怜(時間差ドラ爆、か……やっかいやな)
東:怜 南:玄 西:照 北:煌
怜(今回は完全にドラが来なくなったか。まあいい、取り合えず和了る事が第一や)
怜(高三にもなって焼き鳥とか、洒落にならん。ダブル! 二巡先や!)
――――――――――
怜(……流石に二巡程度じゃ大きな変化はないか)
怜「……」トン
玄「……」トン
照「……」トン
煌「……」トン
照「ツモ! 400・700!」
煌:21100 怜:20100 玄:36900 照:21900
煌(後がなくなってきましたね。ここは以前のようにお姉様と協力して……)チラ
怜(激流に身を任せ同化する!)
煌(……へ?)
怜(天を見よ……見えるはずだ、あの死兆星が!!)
煌(つまり早い話が……)
怜(諦めるんや……)
煌(あきらめたーらおーわーりー♪)
怜(きもーちをリセットしてー♪)
照「せめて奥義で葬ろう」
怜&煌「やめて!」
一位:玄 二位:照 三位:煌 四位:怜
怜(まさかホンマに焼き鳥になるとは……)ドヨーン
煌(それは言わない約束ですよ……)ドヨーン
照「スゴイね玄ちゃん! 私、結局連荘できなかったよ」
玄「半荘一回だけの勝負で、奇襲みたいにやったからですよ~。それより問題は、賭けの方です!」
煌「一位の人が他の三人に一つだけ命令できる、でしたっけ?」
怜「あ~、そんなんもあったなぁ~。焼き鳥のショックで忘れとったわ……」
照「玄ちゃんはどんな命令をだすの?」
怜(嫌な予感しかせんのやけど……)アイコンタクト
煌(玄さんの事ですから、酷い内容ではないとは思うのですが……)アイコンタクト
怜(いやいや、人は見かけによらんってゆーからなぁ。それにこの賭けを提案してきたのも玄ちゃんやったし)アイコンタクト
煌(すばらっ! 勝算があるから提案してきた、と?)アイコンタクト
怜(せやろな。まあ、なんにしてもウチらに拒否権はないけどな)アイコンタクト
煌(すばらぁ……)
玄「それでも、私は皆さんの事はずーっと友達だと思っています」
玄「だから……皆さんも私の事をずーっと友達だと思ってください! それが私の命令です!」
怜「……」
煌「……」
照「……」
玄「……ダメ、でしょうか?」
怜「ダメなワケないやろ。てか、そんなん言われんでもウチらはずーっと友達やろ。逆にそんな命令で拍子抜けしたわ。なあ?」
煌「すばらっ!」
照「うん!」
玄「皆さん……」ウルウル
玄「じゃ、じゃあ調子に乗ってもう一個だけ命令してもいいでようか?」
怜「なんや?」
玄「今度三人でうちの旅館に泊まりに来てください!」
カン!
松実館編は構想はあるけど、まだまとまってません
即興で書いてもいいのかも知れないけど、すごいグダグダになりそう
怜「少し遅れてしもうたが、ここが松実館か。玄ちゃんキタで~」
玄「いらっしゃい、怜さん。遠路はるばるお疲れ様です。煌さんは一足先にいらしてま
すよ」
怜「さすが煌や、しっかりしとる。照は?」
玄「最寄りの駅には着いたらしいんですけど、迷っちゃったみたいで……今バイトの子に迎えに行ってもらってるので、もう来ると思うんですけど」
??「おまたせ」
照「ここが松実館か。風情があるな」
怜「ん、ウワサをすれば、やな」
玄「いらっしゃい、照さん! やえさんもありがとうございます」
やえ「私は小三の頃から道に迷わない。お嬢のお友達なら、ニワカには任せておけないからな」
みたいなギャグでいこうかな?
煌「すばらっ! お二人共遅いですよ。まあ、その分旅館内を見学できましたが」
怜「堪忍してや。こっちは病弱キャラなんやし、煌みたいに心身ともに屈強やないねん」
照「道には迷う為にある。人生の道もまた然り」ドヤ
煌「すばらな事を言っているように聞こえますが、ようは方向音痴って事ですよね?」
照「そ、そんな事はない」アセアセ
怜(相変わらず判りやすいな)アイコンタクト
煌(それが可愛いんですけどね)アイコンタクト
襖「ガラ!」
やえ「お見せしよう、王者のお茶運びを!」
玄「あ、やえさん襖は跨いでくださいね」
やえ「あ、はい」
怜「……ニワカやな」
照「私も少し歩いたからお腹空いた」
煌「という事はまずはお昼ですね」
玄「それじゃあご飯持って来ますね。やえさん、手伝って」
やえ「お任せあれ!」ドヤ
怜「……人のセリフパクってったで。しかも襖踏んで行った」
煌「減給ものですね」
襖「コンコン」
??「失礼しまーす」
照「玄ちゃん? にしては早すぎる気がするけど……」
宥「残念、お姉ちゃんでした~」
宥「松実宥で~す。玄ちゃんのお友達が泊まりに来てる聞いたから、ご挨拶に来ました」
煌「これはご丁寧にどうも。わたくしは新道寺のすばらっ! もとい花田煌と申します。以後お見知りおきを」
怜「千里山の園城寺怜や、よろしゅう」
照「し、白糸台の宮永照です……」モジモジ
怜(ほぼ初対面の相手やから緊張しとるな)アイコンタクト
煌(多分大丈夫ですよ。あの人は玄さんのお姉さんですからね)アイコンタクト
宥「あらあら、緊張しなくてもいいんですよ?」
照「で、でも……」モジモジ
宥「こっちにおいで~」ギュッ
照「あ……」
宥「恐くな~い、恐くな~い」ナデナデ
照「うん……」
煌(わたくしがして差し上げましょうか?)アイコンタクト
怜(え……?)
襖「ガラ!」
やえ「お見せしよう、王者の配膳を!」
玄「やえさんはまず配膳の位置を覚えましょうね」
やえ「あ、はい」
煌(良いタイミングで割って入って来ますね。すばらではありません)
玄「あれ、お姉ちゃん来てたんだ。もう照さんと仲良くなったの?」
宥「うん。照さんって可愛い人だね~。子猫さんみたい」ナデナデ
照「……にゃ、ニャ~///」
怜&煌「ガハッ!!」トケツ
煌(が、我慢ですよお姉様。まずはすばらを数えて冷静になりましょう。すばらすばらすばら……)アイコンタクト
玄「配膳終わりましたよ~。お昼ご飯にしましょう」
やえ「お見せしよう、王者の昼食を!」
玄「やえさんはまだお仕事残ってますからね」
やえ「あ、はい」
玄「お姉ちゃんも行くよ。旅館は朝からお昼までが一番忙しいんだから」
宥「は~い。また後でね、照さん」ノシ
照「……うん」ノシ
怜(しょんぼりしとる照もええなぁ~)
煌(すばらっ!)
怜「あ~食った食った。もう入らへん」オナカポンポン
煌「オヤジ臭いのでやめてくださいお姉様。華の女子高生なんですから、もっと周りの目を気にしてください」
怜「逆や逆。華の女子高生やからこそ、こういう行動も許されるんや」
煌「また屁理屈をこねて……」
照「でも、料理は本当に美味しかった」
煌「そうですね。旅行先で食べる料理は得てして美味しいものですが、ここの料理は本物のようですね」
怜「ウチは食えればなんでもええけどな」
煌「……お姉様、病弱キャラとか言いながら身体以外はメチャクチャがさつですね」
照「風情というのを判ってない」
怜「ご、ごめんなさい……」
やえ「お見せしよう、王者の片付けを!」
怜「なんや、今回は一人か?」
やえ「片付けぐらい一人でできなければ流石にバイトにならない」
煌「急に冷めましたね」
照「あ、食べ終わった食器はそっちにまとめて置きました」
やえ「これはご丁寧にどうも」
ガチャガチャ
やえ「私はこれで失礼しますが、もう少ししたらお嬢達が来ると思いますので、しばしお待ちください」
怜「……普通に仕事して帰って行ったな」
煌「やればできるんですね。襖もちゃんと跨いで行きましたし」
照「玄ちゃんに甘えてるだけなのかもね」
煌「なんですか? 急に改まって」
怜「玄ちゃんが来るまでええから、膝枕してくれへんか? 食後は竜華の膝枕と決まっとるんやけど、今日は竜華がおらんからな」
照「それなら私がしようか?」
怜「あ、いや、照はええんよ」
照「そ、そうなの……?」ショボーン
怜「あ、あれやで、別に照の事が嫌いってワケやないんやで? ただ、膝枕にはある程度の肉付きが必要なだけなんや。ほら、照ってスレンダーやし」
照「そ、そんな事ないよ」テレテレ
怜(せ、セーフやで。照に膝枕されたら血涙する準備がある)
煌「まあ、そういう事でしたらどうぞ、お姉様」ヒザポンポン
怜「おおきに」ヨイショ
煌「どうですか、わたくしの膝枕は」
怜「ええなぁ。あんまり竜華以外にしてもろた事はないが、煌のもええ感じや」
怜「ほどよい肉付き、体温。そして何より顔がよう見えるのがええな。これは竜華にはないポイントやな」
煌「一応褒め言葉として受け取っておきましょう」
怜「ん? 照も膝枕してほしいんか?」
照「う、うん///」
煌「よろしければ後で照さんにも膝枕して差し上げましょうか?」
怜「それはダメや。煌の膝枕はもうウチのもんや」
煌「わたくしの意志は無視ですか……」
怜「もう少ししたら玄ちゃんや宥も来るやろ。そしたら二人に頼めばええ。きっと喜んで照専用膝枕になってくれるで」
照「私……専用!」キラキラ
襖「ガラ!」
玄「やっとお仕事終わったよ」
宥「お仕事さむ~い」
怜「またウワサをすれば、やな」
宥「な~に? お姉ちゃんに言ってみて?」
玄「玄ちゃんにお任せあれ!」
照「二人に、私だけの膝枕になってほしい!」
怜(……新手の告白か何かか?)アイコンタクト
煌(お姉様も似たような事をわたくしに言いましたよ)アイコンタクト
怜(え……?)
宥「いいよ~。こっちにおいで~」
玄「さあ、私達の胸に飛び込んで来るのです!」
照「うん!」ギュッ
怜(一夫多妻か……ええなぁ)アイコンタクト
煌(わたくしは一夫一妻の方がいいですけどね)アイコンタクト
怜(え……?)
煌(また随分とストレートな質問ですね……まあ、もしかしなくても好きですよ?)アイコンタクト
怜(それは……Likeという意味なんか? それとも……)アイコンタクト
煌(そこはご想像にお任せしますよ)アイコンタクト
怜(……ウチのええように取るで?)アイコンタクト
煌(ええ、構いませんよ)アイコンタクト
怜(……いや、しかしウチには竜華が……ブツブツ)アイコンタクト
煌(あら、そっちの意味で取りましたか。それはそれで光栄ですけど)アイコンタクト
怜(……からかっとったんか?)アイコンタクト
煌(言ったハズですよ、ご想像にお任せします、と)アイコンタクト
怜(釈然とせん……)アイコンタクト
煌(まあ、一度千里山の部長さんとはお話したいと思っていましたし、いい機会かもしれませんね)アイコンタクト
怜(……どちらにしろ修羅場は免れへんな)
玄「はい。まずは阿知賀女子にご案内しようかと思ってます」
煌「しかし今は夏休みでは? まあ夏休みでなければ他校の生徒が入り込むなんて事はできませんが……」
宥「みんな待ってるよ~」
照「みんな?」
宥「阿知賀女子麻雀部のみんなだよ~」
玄「麻雀好きが集まっているのですから、やる事は一つです!」
怜「なるほど、そういう事か」
煌「すばらっ!」
宥「でも遠路はるばる来てもらったのにいいのかな~?」
照「私は全然構わない」
怜「ウチも構へんよ。後輩達へのいい土産になるしな」
煌「わたくしも勉強させていただきますので」
玄「それでは阿知賀にレッツゴーですよ!」
カン!
怜「やって参りました、阿知賀女子麻雀部」
引用元: ・http://hayabusa.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1343460421/
怜「しかし妙にドアの向こうが騒がしいな」
玄「もうみんな集まって打ってるのかなぁ?」
煌「すばらっ! ではわたくし達も混ぜていただきますか」
照「腕が鳴る(物理的に)」コークスクリュー
宥「私と玄ちゃんは買い出しに行ってくるよ~。温かい飲み物買ってくる~」
煌「買い出しならわたくしが……と言いたいところですが、この辺りの道を知りませんでした。申し訳ありませんが、お願いします」
玄「おまかせあれ!」
ドア「ガラ!」
怜「たのもー……う?」
健夜「やっと見付けましたよ、赤土さん」
晴絵「小鍛治プロ? どうしてここに?」
健夜「貴女を……さらいに来ました!!」
煌「美味しい蜜をすする蜂もいるようですよ」
恒子「ナンノコト?(棒読み)」
照「カメラとパソコンで実況中継……」
恒子「誤解のないように言っておくけど、今回ばかりはすこやんの要望でやってるんだよ?」
怜「信用できんなぁ……」
恒子「本当だよ。すこやんが『私の求婚を世界中の人に見守っていてほしいの!』って言ってたんだから」
煌「結婚適齢期を過ぎた女性は恐ろしいですね……」
照「ああいう風にはなりたくない……」
健夜「言葉通りです。貴女には私の伴侶になって頂きたい! それとも、イヤだと仰いますか?」
晴絵「はいいいえの回答をする以前に、状況がよく判らないのですが……」
健夜「なるほど、私が貴女に惚れた経緯を知りたいと」
晴絵「ま、まあ端的に言えばそうかな……」
健夜「判りました、お話ししましょう」
晴絵「10年前のインターハイ準決勝……忘れるハズもありません」
健夜「私もです。あの時の赤土さんの打ち筋は、一日たりとも忘れた事はありませんでした」
健夜「高校時代とはいえ、私が唯一受けた跳満。正直なところ私のプライドはズタボロでした。生まれて初めて本気で悔しいと思いました」
健夜「プロになり、史上最年少の八冠保持者などと持てはやされても、その想いが頭から離れる事はなかった」
晴絵「まさか、プロの最前線から身を引いたのも……」
健夜「ええ。あえて『貴女のせい』と言わせてもらいましょうか。それほどまでに貴女は私の中で大きな存在になっていたという事です」
健夜「この責任、取って頂かなければ私も引くに引けません!」
晴絵「小鍛治プロ……」
健夜「もちろん直ぐにお返事を頂けるとは思っていません」
健夜「近くの松実館という旅館に宿泊していますから、返事が決まったらいらしてください。恒子ちゃん、帰るよ」
恒子「あ、は~い」
晴絵「……」
煌「10年来の想い、ですか。すばらと評するべきか、重いと一蹴してしまっていいものか……」
照「想いのカタチは人それぞれ」
怜「……せやな」
晴絵「あ、キミ達ゴメンね。先客がいてお構いもできなくて」
煌「お気遣いなく。あの状況では仕方がないというものです」
晴絵「ありがとう……。あれ? 玄と宥は?」
照「買い出しに行ってますよ。それより阿知賀のメンバーがみえないようですけど……」
晴絵「あ~、小鍛治プロと打っちゃったみたいで『しばらく麻雀はいいです』なんて言って帰っちゃったよ」
怜「……一体何があったんや?」
晴絵「まあその内勝手に立ち直るだろ。それより、せっかく来たんだ、少しは打っていくんだろ? 相手になるよ」
照「国内最強とまで言われる小鍛治プロが認めた相手……面白そう」
煌「すばらっ! お相手お願いします!」
怜「ん? もうこんな時間か。麻雀をやっとると時間が早く感じるなぁ」
煌「すばらっ! 四時間近く打っていたという事ですか」
照「……お腹空いた」
玄「それじゃあ旅館に戻って夕食にしましょう!」
宥「私達はまたお仕事だけどね~」
玄「でも結局今日は観光案内できなかったけどよかったですか?」
怜「構へんよ。アンタらと打てて楽しかったしな。それに明日は名所案内してくれるんやろ?」
玄「もちろん! 玄ちゃんにおまかせあれ!」
煌「それでは旅館に戻りましょうか」
照「うん。お腹も空いたけど、汗も掻いたから温泉にも入りたい」
怜「温泉か。医者から長湯は止められとるけど、久しぶりに思いっきり手足を伸ばして入るっちゅーんのもええなぁ~……あ」
煌「すばらですねぇ~……ん? 温泉?」
怜&煌(完全に失念していた!?)
煌(うまい事言ったつもりですか?)アイコンタクト
煌(たしか奈良には間欠泉はなかったハズですが……って、そんな事を言っている場合ではありませんね)アイコンタクト
煌(どうにかして血を流さずに温泉に入る方法を考えなければ……)アイコンタクト
怜(しかし温泉に持って行けるのはタオル一枚だけやで、どうやって凌ぎきるんや?)アイコンタクト
煌(それを今考えているんですよ! お姉様も考えてください!)アイコンタクト
怜(……アカン、別々に入る以外に解決策が見付からん)アイコンタクト
煌(それは最終手段です。お姉様だって照さんの裸を見たいでしょ?)アイコンタクト
怜(もちろんや。せやけど残りの手段といったら……)アイコンタクト
煌(我慢する、しかありませんか……)アイコンタクト
怜(せやな。血かて身体の一部や、気合い入れればコントロールできるかもしれんしな)アイコンタクト
煌(……それはありえないと思いますが)
怜「ついにこの時が来てしまったな」ヌギヌギ
煌「流血にさえ気を付けていれば後は天国ですよ」ヌギヌギ
怜「それもそうやな。しかし肝心の照がまだ来とらんが、どないしたん?」ヌギヌギ
煌「準備があるから先に行ってて、と仰っていましたからもうじき来るとは思いますけど」ヌギヌギ
怜「なら一足先に温泉を満喫しよか。照が来たら温泉を楽しむ余裕もなくなるやろうからな」ヌギヌギ
煌「ですね」ヌギヌギ
怜「……しかしお前、貧相な胸してんなぁ」
煌「お姉様には言われたくありませんね」
怜「……」ペターン
煌「……」ペターン
怜「……どんぐりの背比べとは、よう言ったもんやなぁ(遠い目)」
煌「比べられるだけの胸があればよかったんですけどね……」
怜「……言うなや」
煌「……そうですね」
怜「気を取り直して温泉を楽しむで!」
煌「すばらっ! 流石旅館の温泉、風情が違いますね」
怜「風情より実用性の方が大切やと思うけどなぁ。シャワーの『押す』ってなんとかならんのか。めんどくさいねん、アレ」
煌「お気持ちは判りますが、旅館側の事も考えればこれは仕方ありませんよ。お湯を出しっぱなしにしてしまうお客もいるでしょうし」
怜「妙に現実的な事言うんはやめてーな」
煌「先に実用性だとか言ったのはお姉様の方ですよ。それより早く身体を洗ってしまいましょう。お背中ながしますよ」
怜「お、ええなぁ。ウチも煌の背中流したる」
煌「恐縮ですわ、お姉様」
怜「たまにはお姉様らしいところも見せんとな」
煌「おや、意識してらしたんですか?」
怜「多少は、な。そもそもウチの方が年上やし、お前の事も……嫌いやないし」
煌「そうやって間を開けると別の意味合いに聞こえますよ?」
怜「……もう別に構へんよ」
煌「すばらっ! これは本格的に清水谷さんとお話しする必要がありそうですね……」
怜「はぁ~、手足を伸ばして入浴するっていうんは最高やなぁ~。日本人でよかったと思える瞬間やで」
煌「同感です。お風呂は日本最高の文化ですね」
怜「にしても照は遅いなぁ、どないしたんやろ?」
煌「そうですね。まさか道に迷った、とか?」
怜「いくら方向音痴とはいえ、旅館の中では迷わんやろ、普通」
煌「照さんはインハイを三連覇した偉業の方ですよ? 普通という尺度では測れません」ドヤ
怜「……遠回しにバカにしとるやろ?」
ドア「ガラ!」
怜「ん、ようやっと登場みたいやな。遅いで、て……る……?」
健夜「ハーイ! ティーンども! お待ちかね、アラサーの登場だよ!」
煌「あ~、そういえば松実館に宿泊してる、と仰ってましたね」
健夜「あら、園城寺さんと花田さん?」
怜「なんや、ウチらの事知っとるんか?」
健夜「貴女達の試合を解説したのは私だよ。それに、赤土さんに想いを伝える勇気をくれた貴女達を忘れるハズがないわ」
煌「それはどういう……」
健夜「気にしないで、こっちの話しだから」
怜「さよか? ……そういやアンタ相方はどないしたん?」
健夜「相方? ああ、こーこちゃんの事? 昼間配信したあの動画の反響がすごかったらしくて、その対応に忙しいからお風呂は後にするって」
煌「それはそうでしょうねぇ。『これから告白します!』と大々的告知しても、釣りか何かと思われたでしょうし。それが有名な人なら尚更ですよ」
健夜「そうみたい……あれ? そう言えば宮永さんは? 阿知賀で会った時には一緒に居たと思ったんだけど……」
怜「せや、照や。いくらなんでも遅すぎる」
煌「……これは本格的に迷子ですかねぇ」
怜「で、なんで部屋にいんねん! なんで浴衣に着替えてんねん!! なんで少し髪が濡れとんねん!!!」
煌「部屋のお風呂に使用された形跡がありますねぇ」
照「だ、だって……みんなと一緒に入るの……は、恥ずかしかったから……」モジモジナミダメウワメヅカイ
怜&煌「ぶはッ!!」ハナジブー
煌「すばらっ! 危うく飛ぶところでした……」ハァハァ
怜「そ、そんなカワイ子ぶったって許さへんよ……」ハァハァ
照「ゆ、許さないって?」
怜「寝る前にもう一度湯に浸かりに行く。そん時は逃がさへん」
照「で、でも……」
煌「裸の付き合いというものですよ。当たり前のことじゃありませんか、友達なのですから」
照「とも……だち……」
怜「せや。最初に友達っちゅーたんは照やで? それともウチらはもう友達じゃないんか?」
照「そ、そんなことない!」ブンブン
煌「では決まりですね。次のお風呂が楽しみです」
怜「そうと決まればメシやメシ!」
やえ「今度こそお見せしよう、王者の配膳を!」
怜「お、今回も一人で来たな。見せてもらおか」
やえ「夕食はお刺身と添え物が少々あるだけなので、難しい配膳ではないのです」
煌「そ、そうなのですか……」
配膳中
やえ「それではごゆっくりご堪能ください」
照「また普通に仕事して帰って行った」
怜「一体何者なんやろな、アイツ」
煌「それよりも、冷めてしまう前に夕食にしましょう。すばらっ! もといいただきます」
怜&照「いただきま~す」
怜「ふ~食った食った。新鮮な魚は刺身に限るなぁ~」オナカポンポン
煌「お昼と同じ事を繰り返さないでください。ほら、膝枕して差し上げますから」ヒザポンポン
怜「ん、おおきに」ヨイショ
照「……」スッ
煌「おや照さん、立ち上がってどうしました?」
照「ちょっと、小鍛治プロを探してくる。確かあの人もここに宿泊してるって言ってたから」
怜「あ~、ウチらは風呂場で会ったで。でも探してどないするん?」
照「お手合わせを願いたい」
煌「昼間にあれだけ打ったのにまだ足りませんか……」
照「赤土さん、とても強かった。そしてそれより強い小鍛治プロ。一回でいいから打ってみたい」
怜「照はホンマに麻雀が好きなんやなぁ。まあ、くれぐれも道に迷わんようにな」
照「わ、判ってる」
煌「……」
怜「……あれやな、旅行に来てこういうゆったりとした時間を過ごすちゅーんはいいもんやな」
煌「ええ、本当に……」
怜「……」
煌「……」
怜「……足痺れてこんか?」
煌「大丈夫ですよ。正座には慣れていますし、お姉様は軽いですからね」
怜「そうか……」
煌「はい……」
怜「……」
煌「……」
煌「……もちろんですよ」
怜「……Loveか?」
煌「……はい」
怜「……そうか」
煌「ええ……」
怜「……」
煌「……」
怜「……月が綺麗ですね」
煌「それには『ここからは月は見えませんよ』と突っ込むべきですか? それとも『死んでもいいわ』と返すべきですか?」
怜「……煌には敵わんなぁ~」
煌「光栄です、とだけ言っておきましょう」
襖「ガラ!」
竜華「怜ッ!!」
怜「りゅ、竜華ッ!?」
竜華「怜が心配で来てしもうた……///」
怜「来てしもうたって……」
竜華「それより怜、これはどういう事?」
怜「え?」
竜華「なんでウチ以外の人に膝枕してもらってるのかって事や!」
怜「な、何興奮しとるんや竜華。冷静になりぃ?」
竜華「ウチは冷静や!!」
煌(好きな人を追いかけて県を越えてくる人を冷静とは言わないと思いますが……)アイコンタクト
怜(竜華がここまで後先考えないヤツやったとは知らんかったわ)アイコンタクト
煌(それで、どうやって彼女をいさめるつもりですか? わたくしが口を挟んだらさらに荒れてしまいそうですが)アイコンタクト
怜(な、なんとかしてみるわ)アイコンタクト
竜華「……ホンマに? 変な事してへん?」ジトー
怜「してへんしてへん。なあ、煌?」
煌「ええ。何もありませんでしたよ」
竜華「……そうやな。怜から何かするハズがないなぁ。ヘタレやし」
怜「ヘタレ!?」
竜華「せやけど、膝枕してる側からはどうなんやろうな、花田さん?」ニッコリ
煌「どういう意味でしょうか、清水谷さん?」ニッコリ
怜(何これ修羅場?)
煌「わたくしはただ、お姉様に膝枕をして差し上げていただけで、他には何もしていませんよ」
竜華「お、お姉様!?」
煌「親しい年上の女性を呼ぶ時には当然の呼称だと思いますけど?」
竜華(……初めて顔を見た時から感じとったが、やっぱりこの娘はウチの敵やな)
煌(す、すいません。ついつい攻撃的になってしまいました……)アイコンタクト
怜(どないすんねん、この状況)アイコンタクト
煌(ヘタな説得は逆効果なのかもしれませんね……)アイコンタクト
怜(ならどうするんや?)アイコンタクト
煌(ハッキリさせればいい、という事ですよ)アイコンタクト
怜(そ、それはちょっと……)アイコンタクト
煌(何故です? 一言「好きだ」と言って差し上げればいいのに)アイコンタクト
怜(せやけど……)アイコンタクト
煌(はぁ、お姉様は本当にヘタレですね)アイコンタクト
怜(お前まで言うか!?)アイコンタクト
煌(兎に角、今は清水谷さんを落ち着かせる事が先決です)アイコンタクト
怜(は、はい……)アイコンタクト
竜華「ほ、ホンマか!?」
煌「もちろんです。ね、お姉様?」
怜「お、おう。あ、当たり前やないか」
煌(もう少し普通に返事できないんですか?)アイコンタクト
怜(しゃーないやろ! 急に話し振るなや!)アイコンタクト
煌(これじゃあ清水谷さん信じません……よ……?)アイコンタクト
竜華「そ、そんな事言われても全然嬉しくないで!!」テレテレ
怜(……ちょろいなぁ)アイコンタクト
煌(そういう事は言わないように)アイコンタクト
竜華「で、でも怜がどうしてもってゆーんなら膝枕してやらん事もないで?」テレテレ
怜(竜華ってこんなにめんどくさいキャラやったか?)アイコンタクト
煌(お姉様?)ギロリ
怜(わ、判っとるって)アイコンタクト
竜華「せやな、怜を膝枕するのに汚い身体じゃあ失礼やもんな。行ってくる」
怜「……行ったか」
煌「そんなに邪険にしなくても……お姉様の事を心配して来てくださったんですから」
怜「竜華は過保護なんよ。ウチかて竜華以外との付き合いがあるちゅーのに」
煌「お気持ちも判らないではないですけど、少し言葉が過ぎませんか?」
怜「……煌はどっちの味方なん?」
煌「どちらの味方でもありません。わたくしはただ、お姉様に人の好意を無下にするような人間にはなってほしくないだけです」
怜「……せやな。ウチも少し言い過ぎた」
煌「判ってくださったのなら何よりです」
怜「煌には頭が上がらんなぁ~」
煌「光栄ですわ」
怜「……」
煌「……」
竜華「……」
照「……」
淡「……」
怜「え~と、照? その子は?」
照「わ、私の後輩の大星淡だ……」
淡「先輩が心配で東京を飛び出して来ました!」
怜「さ、さよか……」
照「あ、ああ……。それで、そっちの人は?」
怜「う、ウチの同級生の清水谷竜華や……」
竜華「怜が心配で大阪を飛び出して来ました!」
竜華&淡「!!」ガシ 熱い握手
怜&照(なんか結託したぁ~……)
怜「いや、居らんやろ」
照「うん、居ないと思う」
煌「え?」
怜「どう考えてもお前が一番しっかりしてるからな、心配するだけ無駄ってもんや」
照「逆に煌ちゃんが居なくて不安になって追いかけて来る人はいるかもね」
煌「……それは喜んでいい事なのでしょうか?」
怜「ええんやない?」
照「いいと思うよ?」
煌「はぁ……」
やえ「お見せしよう、王者の布団敷きを!」
怜「お、また一人か。まあ、布団敷きぐらい一人でできんとなぁ」
やえ「先回りしないでください。というか、人数が増えている気がするのですが」
煌「残念ながら実際に増えています」
やえ「え~と、旅館の方に許可は取りましたか?」
竜華「玄ちゃんがオーケーしてくれたで!」
淡「宿泊費も払いました!」
やえ「お嬢……。少々お待ちください」
~数分後~
やえ「お待たせしました。こちらの部屋では手狭でしょう。お手数ですが、大部屋の方に移動していただきます」
照「あ、はい」
怜(やっぱ普通に仕事しとるな)アイコンタクト
煌(しかも数分で他の部屋の使用許可を取って来ましたし、実は物凄く仕事ができる人なのかもしれませんね)アイコンタクト
やえ「こちらの部屋をご利用ください」
怜「おお~デカイなぁ~。これなら五人と言わず、十人ぐらいで寝られるんちゃうか?」
煌「ですが、この部屋と先程までの部屋では料金も違うのでは……」
照「私、そんなにお金持ってない……」
淡「先輩の分ぐらいなら私が出します!」
竜華「なんならウチが値切ったろか?」
やえ「その必要はございません。これ以上お代を頂くことはありませんので」
煌「よろしいのですか?」
やえ「もちろんです。手狭なお部屋を提供してしまったのはこちらのミスですので」
怜「まあ、こっちとしては嬉しい限りやけど」
やえ「それに、この大部屋ならお嬢達も一緒に寝られますし、ね」
怜「なるほど、乙なマネしてくれるやないか」
やえ「これぐらいの気遣いもできなければ王者は名乗れませんので」
怜「ん? ああ、アラフォーとその相棒か。ええんやない? その方が賑やかやし。構わんよな、仲居さん?」
やえ「そうですね、スペースにも余裕がありますし、何よりその方がお嬢達も喜ばれるでしょう」
煌「玄さん達を喜ばせる為ならば、もう一人一緒に寝ないといけませんね」
怜「いい事言うたで、煌」
照「そうだね」
やえ「はて、まだどなたかいらっしゃいましたか?」
一同「お前のことじゃ!!」
こうして松実館での騒がしい夜は更けて行った……
カン!
ここからは即興になるけど、もうちょっとガンバってみます
怜・煌・照・玄・宥・竜華・淡・健夜・恒子・やえ
怜「なんか、スゴイ事になったな」
煌「十人ですからね」
淡「先輩、今夜は寝かしませんよ!」
竜華「怜もやで?」
怜&照「……」
健夜「……若いって、いいね」
玄「でも今一番青春してるのは小鍛治さんですよ?」
宥「そうですよ~、赤土さんに告白したんですよね?」
やえ「お見せしよう、少女達のガールズトークを!」
恒子「これは美味しい!」ビデオアンドパソコン
支援やで
怜「……」
煌「……」
竜華「それじゃあ怜、花田さんとウチ、どっちの事が好きかハッキリさせてもらおうやないか?」
怜「……」
竜華「黙ってたら判らんよ?」
怜(き、煌……)アイコンタクト
煌(だから先程好きと言って差し上げればこのような事にはならなかったものを……まったく、ヘタレですね)アイコンタクト
怜(そ、そんな殺生な……)アイコンタクト
煌(はぁ、判りましたよ。今回だけですからね?)アイコンタクト
竜華「なんや?」
煌「お姉様は間違えなく清水谷さんの事が好きですよ」
竜華「だったらなんで怜自身が黙っとんのや!?」
怜「」ビクッ
煌「お姉様はまだ自分の気持ちが判っていないだけです」
竜華「それってまだ心が揺れてるって事やろ!」
煌「では、何故お姉様の心が揺れていると思いますか?」
竜華「それは……花田さんが魅力的やから……」
煌「そうではありませんよ、清水谷さん。問題は貴女自身です」
竜華「ウチ、自身……?」
竜華「どうしてって、そりゃ怜が心配やったから……」
煌「心配……。そう貴女はお姉様を心配してわざわざ奈良までやって来た」
煌「しかし、お姉様は一度でも心配してくれと言いましたか? むしろ出掛ける前に『心配はいらない』と言ったのではありませんか?」
竜華「な、なんでその事を……」
煌「お姉様の性格を考えれば判る事です。話しを戻しましょうか」
煌「貴女はお姉様が『心配するな』と言ったのに追って来た。それは一見すればすばらな事です。ですが、お姉様からしたらどうだったでしょうか?」
煌「心配してくれた事はきっとお姉様も嬉しかったでしょう。ですが、同時に『自分は信用されてないのでは』と思ったハズです」
煌「それはとてもすばらくないです。相手が好きな人であればあるほど」
竜華「……」
煌「好きな人を自分目の届くところに置いておきたい気持ちも判らないでもありませんが、もう少し、お姉様を信用して差し上げてもいいのではありませんか?」
煌「わたくしの事はいいですから、お姉様に伝えてください」
竜華「怜……ごめんな。ウチ、随分自分勝手な事しとったな……」
怜「ええんよ、判ってくれたなら」
竜華「怜ッ!!」ギュッ
怜「竜華ッ!!」
煌(はぁ、なんとかなりましたね……)
竜華「怜、自分勝手ついでにもう一つ我儘聞いてもらえるか?」
怜「なんや?」
竜華「好きって、言ってくれへんか?」
怜「え?」
竜華「え?」
煌「え?」
恒子「無限ループ、始めました」
照「……淡」
淡「なんですか?」
照「……膝枕してくれない?」
淡(!? 先輩を膝枕!? 我が世の春が来たー!!)
淡「いいですよ」ヒザポンポン
照「ありがとう」ヨッコイショ
淡(あ、先輩の髪が少しくすぐったい。でも、悪い感覚じゃない)
照「淡? 大丈夫? モジモジしてるみたいだけど……」
淡「だ、大丈夫ですよ? ちょっと気持ちよk……くすぐったかっただけです。もう慣れましたから」
照「そう? ならいいんだけど」
淡(先輩を膝枕するなんてもう二度とない事かもしれない! この機会を無駄にしてたまるか!!)
淡「な、なんですか?」
照「さっき、菫から連絡があった」
淡(あ、やばい……)
照「淡、誰にも言わずに東京飛び出して来たんだってね?」
淡「あ、あれ? そうでしたっけ?」アセアセ
照「そうだよ。淡のご両親が淡の行方が判らなくなったって菫に連絡したらしいんだ。それでまさかと思って私に連絡したんだって」
淡「わ、私おっちょこちょいだから言わずに来ちゃったみたいですね」アセアセ
照「ご両親の話しでは、ちょっとコンビニに行ってくる、といって出掛けたらしいけど? わざわざ奈良のコンビニまで来たの?」
淡「……」アセアセ
照「淡、私だって怒る時は……怒るんだよ?」
淡「先輩、何故私の膝を鷲掴みにしているんですか?」アセアセ
照「淡、今夜は寝かさないから」
淡「ご、ごめんなさぁぁぁぁい!!!」
恒子「……今夜は亜熱帯だね!!」
健夜「アラサーだよ!」
玄「お、落ち着いてください」
宥「そうですよ~。怒ってばかりだと赤土さんに嫌われてしまいますよ~」
健夜「そ、そうだね。でも最初から私は嫌われてるかもしれないし……」
玄「そんな事ありません!」
玄「確かに十年前のインターハイの事が赤土さんのトラウマになっていますけど、それはバネにして今まで赤土さんはガンバってきたんです!」
宥「そうですよ~。きっと小鍛治さんの気持ちに応えてくれるハズですよ~」
健夜「ありがとう、二人共……。ね、ねえ、赤土さん私の事について何か言ってたりしない?」
玄「う~ん。あんまりそういう話しはしませんねぇ」
健夜「そ、そうだよね……」
宥「でも昼間、告白された後の赤土さんはなんだか嬉しそうに見えましたけど~」
健夜「ほ、本当!?」
恒子「でもお返事には来ませんよね~」
健夜「や、やっぱり私の事なんか……」
玄「やえさん? 立ち上がってどうしたんですか?」
やえ「見るに堪えません。私は失礼します」
宥「あ、行っちゃた……」
健夜「うぅ~、やっぱり私はアラフォーの独身なんだぁ~」ポロポロ
恒子「あ~あ、泣いちゃった。まあ、これはこれで再生数が稼げていいけど」
玄&宥(まさに外道!!)
~数十分後~
襖「ガラ!」
晴絵「小鍛治さん!」
健夜「あ、赤土さん!?」
晴絵「ごめんなさい、遅くなって。本当なら阿知賀の麻雀部でちゃんと返事をしておけばよかったんだろうけど……」
健夜「赤土さん……」
健夜「そ、それじゃあ……」
晴絵「はい。返事はもちろん『はい』です!」
恒子「エンダアァァァァァァア!!」
玄「よかったよ、本当によかった。想いは叶うんだね」ポロポロ
宥「うん。あったかいね~」
恒子「でもどうしてこんな時間に来たんですか?」
晴絵「ああ、私も明日にしようかと迷っていたんだけど、背中を押してくれた人がいたんだ」
玄「え? 誰ですか? 灼ちゃん?」
晴絵「いや、灼にはまだ言ってないよ。背中を押してくれたのは晩成の……」
~松実館外~
やえ「まったく、世話が焼ける大人たちだ」
怜「なんや、帰るんか?」
やえ「お客様、どうしてここに?」
怜「ウチかて外の空気が吸いたくなる時もあんねん」
やえ「部屋に居られなくなったのではありませんか?」
怜「……そうともいう」
やえ「ふふ、大変ですね」
怜「人事だと思って……」
やえ「これは失礼いたしました。では月並みなセリフではありますが、一つだけアドバイスを」
やえ「言葉にしない美しさもありますが、言葉にしなければ伝わらない事もあるんですよ?」
怜「……判っとるよ」
やえ「これは重ね重ねご無礼を。では私はこれで……」
怜「……言葉にしなければ、か」
煌「お姉様、こちらでしたか」
怜「煌か。竜華は?」
煌「騒ぎ疲れて寝てしまいましたよ。他の皆さんも寝られたようです」
怜「さよか……」
煌「はい」
怜「……」
煌「……」
怜(……ここで言わなあかんよな)
怜「煌」
煌「なんですか?」
怜「……月が綺麗ですね」
煌「……はい、とても」
カン!
でも私は怜すばらの方が好きなのです
命を削って戦う怜をサポートするすばら先輩、どう見ても勇者と聖女ですよ!
こんなssに長らく付き合っていただき、本当にありがとうございました
また他のssも書こうと思っていますので、そちらでもお会いできれば幸いです
乙乙
すばらでした!
また書いてね!
Entry ⇒ 2012.08.15 | Category ⇒ 咲-Saki-SS | Comments (0) | Trackbacks (0)
貴音「紫鏡?」
P「うー、寒……おはようございます」ガチャリ
真「おはようございます、プロデューサー」
響「プロデューサー! いいところに来てくれたぞ!」
P「ん、おはようみんな。どうした? 何かあったのか?」
美希「どうしたもこうしたもないの。ちょっと深刻なの」
P「?」
伊織「……あれ、見てちょうだい」
貴音「水色の鏡水色の鏡水色の鏡水色の鏡水色の鏡水色の鏡ミズイロノカガミ……」ブツブツ
P「なにあれこわい」
春香「いえ、その……原因は私たちにあるというか……」
千早「あくまで間接的な原因だと思うけど……」
亜美「正直やりすぎました!」
真美「でもわざとじゃないよ? 成り行きでああなっちゃっただけで」
雪歩「成り行きにしては二人ともノリノリだった気がするけど……」
P「……待て待て。全然話が見えてこない。わかるように説明してくれ」
律子「それは無理だと思います……話ができる状態じゃないですから」
やよい「うー、貴音さんかわいそうです……」
真美「しょーがない! では代表して私たち姉妹が何も知らない兄ちゃんに昨日の出来事を教えてしんぜよう」
亜美「そう、あれは昨日の昼のミーティング後の出来事だったーー」
P「……おう」
律子「ーーまあ、連絡事項はこんなところね。それじゃ、お疲れ様」
亜美「さあおやつタイムだー!」
真美「ゆきぴょん、お茶を持って参れ!」
雪歩「はーい、ちょっと待っててね」
伊織「傍若無人にもほどがあるわ……雪歩も雪歩でちょっとは嫌がりなさいよ」
真「まあまあ、雪歩も好きでやってるんだし」バリバリ
伊織「あんたはあんたでお菓子に手を出すのが早すぎよ」
春香「はい、どうぞ」
千早「ありがと」
バサリ
貴音「おや、一冊落ちましたよ」ヒョイ
春香「あ、ごめんなさい」
貴音「? これは……? ふぁっしょん誌でも音楽雑誌でもないようですが」
貴音「何やら禍々しい表紙ですね……」
千早「私のじゃないみたいですけど……」
あずさ「あらあら、オカルト雑誌かしら? 千早ちゃん、コアな趣味を持ってるのね~」
千早「だ、だから私のじゃありません」
やよい「おかると、ってなんですかぁ?」
真美「んっふっふー、やよいっちにはまだ早いジャンルかな?」
亜美「大人のタシナミってやつだよ」
やよい「ええー……二人より年上なのに……」
亜美真美(ホントは真美たちにもよくわかんないけど)
美希「どんとこい超常現象!なの」
伊織「UFOとかUMAとかミステリーサークルとか七不思議とか都市伝説とか……ま、ハマる人はハマるのよ。こういうの」
やよい貴音亜美真美「ほへぇ……」カンシン
雪歩(目をパチクリさせる四条さんかわいい)
貴音「都市伝説……もしや『財宝か、欲しけりゃくれてやる』のようなアレですか!」
春香「何か違う気がします」
真「怖い話、って言った方がわかりやすいんじゃないかな? トイレの花子さんみたいな」
響「そ、そういうのは夏にやらない? 余計に寒くなりそう……」
亜美「大丈夫大丈夫。冬だってこたつに入りながらアイス食べたりするじゃん?」
真美「あのね、『紫鏡』っていうんだけど……」
千早「ああ、割と有名どころね」
伊織「どんな凄いのが来るかと想えば……」
真美「ぶー、みんな知ってるのかぁ」
真「お話というか、根も葉もない噂というか……『紫鏡』っていう言葉を20歳になるまで覚えてると、その人に不幸な出来事が訪れるんだって」
やよい「お、覚えてるだけでですか!?」
伊織「一般的には『死ぬ』っていう噂ね。『結婚できなくなる』っていうのもあるみたいだけど」
あずさ「」ピクッ
あずさ(あ、私20歳過ぎてた……)ホッ
春香「そ、そんなえげつないカンジだったっけ?」
律子「まあ、都市伝説に面白おかしいアレンジは付き物よね」
雪歩「面白おかしい……?」
やよい「ど、どうしましょう! 20歳までにがんばって忘れないと」
美希「やよいはまだ5年くらいあるから大丈夫じゃないかなー? 美希なんか明日には忘れてる自信があるの…………!?」
千早「? どうしたの、美希?」
貴音「」チーン
響「た、貴音! どうしたんだ!? なんで白目むいて気絶してるんだ!?」
伊織「……ねえ、来週貴音の誕生日よね」
亜美「あっ」
伊織「貴音って、今年いくつになるんだっけ?」
真美「あっ」
伊織「ええ……あんたたちわかっててやってるんじゃなかったの?」
一同「…………」
あずさ(結婚……かぁ)
P「俺が休みの日に限ってまたおかしなことになったもんだな……」
律子「ごめんなさいプロデューサー。私じゃどうにもできなくて……」
響「で、昨日は目覚ました後フラフラしたまま帰っちゃって……今朝またフラフラしながら事務所に来たんだ」
雪歩「一応真美ちゃんが呪いの解き方を教えたらしいんですけど……」
P「それが『水色の鏡』か?」
美希「教えたら教えたで今度は壊れかけのラジオみたいになっちゃったの」
P「……ちょっと貴音と話してくるよ」
やよい「ぷ、プロデューサー、ファイトです!」
貴音「おはよう……ございます……」
一同(返事した!)
P(目が死んでる……)
P「大丈夫か? 昨日あんまり寝れなかったのか?」
貴音「ええ、まあ……快眠だったとは言い難いですね……」
P「お腹空いてないか? お昼にラーメンでも食べに行くか?」
貴音「いえ、お誘いは嬉しいのですが……今、あまり食欲が無いのです……」
P「なん……だと……」
P(これはマズい)
P「予想以上に酷い状態でした」
真美「兄ちゃんゴメンよー……まさかお姫ちんがあそこまで信じ込んじゃうとは……」
春香「貴音さん、変に純粋だからなぁ……」
真「でも挨拶返してくれただけ進歩ですよ!」
P(そこまでか……さて、どうしたものか)
貴音「あなた様……」ヌッ
P「うおわっ! け、気配を消してくるんじゃない貴音!」
貴音「申し訳ありません……そんなつもりはなかったのですが……」
P「だ、大丈夫なのか? せめて俺が送って行くぞ?」
貴音「いえ……仕事となればめりはりはしっかりとつけなければ。皆に迷惑をかけるわけにもいきません……では」
P「あ、おい、貴音……」
ガチャリ バタン
一同「……………」
律子「とりあえず、仕事しましょうか」
P「……冷静だな」
響「はいさーい、貴音。今日は元気か?」
貴音「響……ええ、大丈夫です」
響(全然大丈夫そうに見えないぞ……)
響「自分お手洗いに行くけど、貴音も行かない? 顔洗えばちょっとすっきりするかもしれないし」
貴音「いえ、手洗いはちょっと……」
響「?」
貴音「鏡があるので……」
響(と、トイレどうしてるんだ? 貴音……)
春香「あ、今日のワイドショー洋菓子屋さん特集だ」ポチポチ
やよい「すごいですねー。こんなお菓子作ってみたいなぁ」
貴音「ふふっ……ですが、春香のお菓子ややよいの料理の腕は、本職の方にも負けないものだと私は思いますよ?」
やよい「えへへー♪ ありがとうございます!」
春香(あれ? 貴音さん、思ったより元気そう……良かった)
春香「あ、紫芋のタルトだって。美味しそー」
貴音「紫芋……? 紫……? 紫鏡……」ガタガタ
やよい「チャンネル変えましょう! チャンネル!」ポチポチ
春香「」
貴音「亜美、真美。それは学校の宿題ですか?」
亜美「そだよー。国語の宿題」
真美「源氏物語っていうのやってるんだけどさー。全然わかんないよ」
貴音「源氏物語……? 紫式部……? 紫……? 紫かがm」ガタガタ
亜美「し、宿題は家でやろう、真美!」
真美「そそそそうだね!」
小鳥「お正月の鏡餅の残り、捨てちゃった方がいいかしら」
貴音「鏡餅……? 鏡……? 紫かが」ガタガタ
D「どうも、四条さん。番組ディレクターの加賀美と言います」
貴音「加賀美殿……? 鏡……? 紫かg」ガタガタ
あずさ「おはようございます」
貴音「あずさ……あずさのイメージカラーは紫……? 紫k」ガタガタ
P「ーーって感じで……」
律子「最後の方はわざとやってませんか?」
あずさ「うーん……困りましたね」
律子「……まあそんなに深刻に考えなくても、誕生日が来るまでの辛抱なんじゃないですか? 誕生日に何事も起こらなければ貴音だって安心しますよ」
P「いや、あの怯え方は異常だ。このままだと21日の0時ピッタリにショック死しかねん」
律子「いやいや……」
あずさ「考え?」
P「それには協力者がいるんですが……律子、あずささん、小鳥さんの三人に頼みたい。というか、他のみんなには頼めません」
小鳥「!? 今まで傍観者に徹していた私に急に指名が!?」
律子「何が傍観者ですか……小鳥さんが事の発端みたいなものなんですからね」
あずさ「どういうことですか?」
律子「あの雑誌、小鳥さんのだったんですよ」
P「…………」
P「その前に、三人の中で21日が休みなのは誰ですか?」
律子「小鳥さんと私は普通に仕事だったような……夜は貴音の誕生パーティやるから空けてありますけど」
あずさ「私は休みだったかしら」
P「うーん、だったら協力はあずささんだけにお願いします」
小鳥「あれー……せっかく出番かと思ったのに……」
P「……ちょっと法に触れることを」
律子あずさ小鳥「!?」
P「もちろん貴音も合意の上で」
律子「ちょちょちょちょっと! 何する気ですか!?」
小鳥「ま、まさか……あずささんと三人で……」ドキドキ
P「貴音を救うためです。どうかこのことは内密にお願いします」
貴音「…………」ズーン
あずさ「見てて痛々しいくらい落ち込んじゃってますね……」
P「そりゃ今日の夜死ぬと思ってるわけですからね」
響「……プロデューサー、あずさ、ホントに任せて大丈夫なのか?」
P「ああ。明日の誕生会までには元気にしてみせるさ」
あずさ「うふふ、なんくるないさー♪」
響「……うん、頼んだぞ。じゃあまた明日!」
ガチャリ バタン
適当に脳内保管しといてくれ
貴音「あなた様……」
P「おわっ! だから音もなく背後に立つのはやめてくれ貴音……」
貴音「私、今日はこれにて帰宅いたします……」
貴音「もしかしたら、これが最期に交わす言葉になるやもしれません。今までお世話になりました……皆にもそう伝えてください」
P「ま、待て待て貴音。提案があるんだが、今日は事務所に泊まっていかないか?」
貴音「事務所に……?」
P「もちろん貴音だけじゃなくて、俺とあずささんと一緒に」
P「大体の話は聞いてるよ。今夜一人きりになるのは怖いだろ?」
貴音「う、うぅ……確かに、情けないことですが……」
あずさ「私たちがついてるから大丈夫よ? ね?」
貴音「で、では、お言葉に甘えて……」
P「それだけじゃなくてだな。今日はこれで楽しもうじゃないか」ゴトッ
貴音「そ、それは…………」
P「ああ、そうだ」
P(嫌なことを忘れたいときにはこの手に限る。とりあえず日付の境目を超えればいいわけだからな)
あずさ「うふふ♪ 私、貴音ちゃんと一緒に飲む日を心待ちにしてたのよ?」
貴音「ですが、後4時間ほどまだ私は未成年です……」
P「もちろん無理にとは言わないさ。ギリギリとはいえ犯罪だからな」
貴音「…………いえ、ここはご相判に預かることにしましょう。最期の晩餐には相応しいかもしれません」
P(何気に楽しみなんだよなぁ……貴音、酔ったらどうなるんだろう)
貴音「あなたさまぁ……わたくしは……しあわせものでしたぁ……」エグエグ
P(あー、泣き上戸だったか……)
あずさ「うーん、精神的に参ってるからこうなったのかもしれません」ヒソヒソ
P「というか、貴音まだ缶2本目ですよね? すでにベロンベロンじゃないですか」ヒソヒソ
貴音「な、なぜふたりで内緒話を……わたくしはなかまはずれなのですか……」ジワッ
あずさ「ち、違うのよ、貴音ちゃん! 泣かないで?」
P(幼児退行してる……)
貴音「響……それは私の……ちんすこうです……」ムニャムニャ
P「よし、このまま0時過ぎまで寝ててくれればミッションコンプリートだ」
あずさ「今11時40分ですから、タイミングはバッチリですね」
P「はぁ……子供を寝かしつける親の苦労を知りました」グビッ
あずさ「そこは妹を寝かしつける兄、でよかったんじゃないでしょうか」クスクス
P「あはは。確かに、娘は無理がありますね」
P「全く、手の掛かる妹です」
P「しっかり者に見えるのに、恐がりで子供っぽくて、世間知らずで。その癖響たちの前ではお姉さんしようとして……」
あずさ「そこが貴音ちゃんの可愛いところですよ~」
P「ギャップに惹かれる、ってやつですか?」
あずさ「日付、変わりましたね」
P「……貴音、20歳の誕生日おめでとう」
あずさ「おめでとう、貴音ちゃん」
貴音「…………」
P「……? 貴音?」
あずさ「? どうしたんですか? 寝てるなら寝かしといてあげたほうが……」
P「ち、違うんです。さっきから寝息が聞こえなくて……」
あずさ「そ、そんな! なんで!?」
P「貴音! 起きてくれ貴音!」
あずさ「貴音ちゃん!」
P「呪いなんてあるわけないんだ! あんなの冗談で迷信なんだ! だから、起きて嘘だと言ってくれ貴音!」
貴音「……ええ、嘘です」
Pあずさ「」
P「」グリグリ
貴音「あ、あなた様! おやめください! こ、こめかみが爆発しそうに痛いです!」
貴音「あずさ! お助けください! ぷろでゅーさーを止めて……」
あずさ「あらあら、もうちょっとそうしといてもらった方がいいと思うわ」
貴音「」
P「勘弁してくれ、寿命が縮んだぞ……」
貴音「反省しております」
あずさ「今まで怖がってたのも全部演技だったの?」
貴音「いえ……恥ずかしながら違います」
貴音「つい先ほどまで、私は本当に死ぬ覚悟をしておりました」
P「その割に余裕だったじゃないか」
貴音「二人のおかげです」
貴音「本当に今更ですね、ふふっ……」
あずさ「貴音ちゃん……」
P「貴音……」
貴音「あなた様……」
P「なんか良い話にしようとしてるが、さっきのことは当分許さないからな」
貴音「……根に持つタイプなのですね、あなた様……」
一同「誕生日おめでとー!」
貴音「ふふっ、ありがとうございます」
春香「これで貴音さんも二十歳かー」
真「去年もそうだったけど貴音の誕生日は料理の量がハンパないね……」
真美「お姫ちん、あのときはごめんよー! あんなに怖がらせるつもりはなかったんだよ」
貴音「気に病むことはありません。興味本位で首を突っ込んだ私が悪いのですから。好奇心猫をも殺す、とはよく言ったものです」
伊織「殺すも何も……たかが都市伝説ごときでよくもまああんだけ大騒ぎできたものね」
貴音「夏なら良いのですか?」
あずさ「貴音ちゃんにはしない方がいいかもしれないわね」
貴音「……そうですか」
P「なんで残念そうなんだお前は」
貴音「いえ、実は私……サッちゃんという都市伝説に興味が……」
P「やめろぉ!」
終われよ
二十歳迎える頃には完全に忘れてたから助かった
Entry ⇒ 2012.08.15 | Category ⇒ アイマスSS | Comments (0) | Trackbacks (0)
小鍛治「魔法少女すこや☆マジか?」
小鍛治「何?」
福与「今度の企画なんだけど」
小鍛治「……『魔法少女』?」
福与「やって?」キラキラ
小鍛治「やらないよ!!」
小鍛治「何でそんな必死なの…」
福与「今度多くのプロを呼んでのトークショーって企画があるの」
小鍛治「うん」
福与「すこやんにはこれで出て欲しいかなって」
小鍛治「出ないよ!」
福与「冗談冗談~ホントはこっちのほうなんだよねー」
小鍛治「えっと?『アラフォープロは魔法少女ならぬ魔ホ○処○だった!?』」
小鍛治「『徹マンπプッシュで、あったかいのいっぱ~い!!』
福与「~」キラキラ
小鍛治「企画物じゃん!!」
小鍛治「出ないよ!!」
アラフォーだし・・・
福与「出さないから!(世には)出さないから!」
福与「すこやん!」チラッ
小鍛治「もう言い方がイヤだよ!」
小鍛治「ていうかそんなことで土下座しないでよ!!」
福与「私もすこやんが誰かのものになるのはイヤだよ!」キッパリ
小鍛治「え…///って感動的に言わないでよ!!」
福与「まーぶっちゃけこれもジョークなんですけど」ケラケラ
小鍛治「帰るよ!!」
福与「まってすこやん。こっからが本番なんだよ、今までのは前座で」
小鍛治「もうお腹一杯だよ!!」
小鍛治「うん」
福与「まぁ、魔法少女の辺りまでは本当かな?」
小鍛治「一番イヤな部分だよ!!」
福与「いやー実はすこやんに取材に行って来てほしいんだけど、相手が若いから溶け込めないかと思って」
小鍛治「自然と溶け込めるよ!!」
小鍛治「ごめん私も興奮してた…」
小鍛治「ていうか私が取材するの?」
福与「うん。まだ相手は決まってないんだけど。今度の大会の優勝校にね」
小鍛治「コスプレで?」
福与「コスプレで」
小鍛治「最悪のパターンだよ!」
小鍛治「もう少し真面目に考えてよ」
福与「でも最近は結構アニメとか見てるんですよ、若い子は」
小鍛治「倒置法で強調しないでよ!!」
小鍛治「私も見てるよ!!」
小鍛治「むしろ不審者だよ思うんだけど」
福与「もー自信なくしちゃダメだぞ!すこやん」
福与「とりあえずどこかのお店を借りてそこで食事を交えつつ交流」
福与「う~んこれで視聴率はババンとUP間違いなし」
小鍛治「そんなのどうでもいいんだよ!!」
小鍛治「ま、まぁね」
福与「うーんじゃあOK」ペロ
福与「意外とあのピンクの少女と共通点多いしねすこやん」
福与「えっと、まず実家暮らしでしょ?あと…えっと…あの…」アセアセ
小鍛治「辛いから言いよどまないでよ!!」
福与「そんな~もう時間もないから無理だよ」
小鍛治「ていうか何で事後報告」
福与「だってこんな企画するなんていったらすこやん絶対断るじゃん!」
小鍛治「確信犯だよ!」
小鍛治「誤用だよ!!」
小鍛治「こーこちゃんからは貰ってないよ!」
福与「とにかくさ、もうこうなったらやるしかないわけなんだよ」
福与「すこやんも腹くくってね」グッ
小鍛治「何で私のせいみたいになってるの!!」
小鍛治「予行練習って」
福与「まーどこが優勝するとはまだわからないけどね。すこやんの為に私も一肌脱ぐよ!」
小鍛治「私は着るけどね!」
福与「うまい!」
小鍛治「別に嬉しくないよ!!」
小鍛治「そんなほかの高校だって頑張ってるんだから」
福与「まーそれはそれ、これはこれ」
福与「私が白糸台の選手で、すこやんははいこれ、着てきてね」
小鍛治「今は着ないよ!!」
尭深()「今日はインタビューの日ですね」クイッ
淡()「はわわ~緊張しましゅ~」
菫()「くだらぬ…」
誠子()「やってやるぜー!!」
小鍛治「性格ぐらい掴んでからやろうよ!!」
福与「見た目と名前と私の趣味で決めさせてもらいました!」グッ
小鍛治「アナウンサー失格だよ!」
福与「まぁまぁとりあえず質問の形式だけでも頭に叩き込んでよ」
小鍛治「もうやることになっちゃってるよ!!」
照()「はい!ありがとうございます!!」キラン
小鍛治「…えっと今回の優勝、その原動力となったものは何かありますか?」
菫()「無だ…」
淡()「お空に輝くお星様ですぅ~」
小鍛治「インタビューにならないよ!!」
小鍛治「多分全て違うと思うけど…」
福与「むむ~~……」
福与「……まいっか。とりあえず続けよ」
小鍛治「何もよくないよ!!」
福与「好きな食べ物はなんですか、だよ」ヒソヒソ
小鍛治「凄い質問しにくいんだけど…好きな食べ物はなんですか?」
菫()「…えと…無だ」
尭深()「…あの…お茶です」
小鍛治「考えて思いつかないならやめなよ!!」
小鍛治「事前調査が足りないみたいだし、やっぱり私やめるよ」
福与「それはやめてくださいよ!」
小鍛治「なんで敬語…」
福与「もうー白糸台はいいや。多分優勝は千里山だよ。千里山の練習しよ」
小鍛治「なんでやねん!!」
怜()「きゃ~あの魔法少女のコスプレやで~」
竜華()「きゃ~ホンマや~」
泉()「キャハキャハ~」
セーラ()「ホンマや~うけるわ~」
フナQ()「あかん~腹痛いわ~キャハハ」
小鍛治「印象最悪だよ!!」
怜()「え、その質問はアレやろ…」
竜華()「それは、ホンマにアレや、その」
セーラ()「ホンマ、それは…アカンわ」
泉()「あーそれはアカン、アカン」
フナQ()「ホンマや…」
小鍛治「喋れないなら無理しなくていいから!!」
小鍛治「むしろなかったよ」
福与「でもこれじゃあ千里山の練習は無理だね」
小鍛治「どこも無理な気がするんだけど」
福与「でも念のためすこやんは関西弁覚えたほうがいいかも。標準語で話したらぶぶ漬けだされちゃうよ」
小鍛治「認識最悪だよ!!」
小鍛治「何か優勝しないみたいな言い方だよ」
福与「でも福岡かぁ~」
福与「おいどん?おまん?ですタイ?」
小鍛治「もう不安だよ!!」
哩()「本日はご苦労様でありますタイ」
姫子()「お疲れ様であります」
美子()「すばらであります」
小鍛治「どういうキャラ!!」
煌()「麻雀こそが私たちの道ですタイ」
哩()「その通り」
姫子()「おっしゃるとおりですタイ」
美子()「ごもっとも」
小鍛治「一番やりにくいよ!!」
小鍛治「え?あ、魔法少女設定なんだよね」
小鍛治「えっと、普段はしてませんけど」
哩()「ということは、この場は普段は着ないような格好で来てもかまわないとお考えになったということでしょうか」
姫子()「聞けばプロはご実家にお住みになっていられると」
美子()「ご両親のお気持ちを考えられたことは…?」
小鍛治「何で責められてるの!!」
福与「でもこれはかなり効果的な練習だったはず!!」
福与「これでいつ心の傷に触れられても対処することが出来る!」
小鍛治「そういう練習じゃないでしょ!」
福与「ところで…ご両親のお気持ちを考えられたことは?」
小鍛治「申し訳ない気持ちで一杯だよ!!」
福与「あとは、阿知賀しか知らないんですけど私」
小鍛治「私も、長野に強いところがあるって聞いたけど」
福与「それじゃあとりえず阿知賀を想定して!」
小鍛治「大丈夫?」
福与「大丈夫大丈夫、阿知賀の子たちは他と比べて特徴少ないから」
小鍛治「言わないであげてよ!!」
玄()「はい、えっと、嬉しいです」
小鍛治「おねえさんの宥選手は」
宥()「はいあざす、嬉しいす、はい」
小鍛治「…中堅の新子選手は」
憧「っすー、ども」
小鍛治「何か言ってよ!!」
小鍛治「それアナウンサーとしてかなりまずいんじゃ」
福与「そもそも大将の顔が出てこないんだよねー」
小鍛治「大将はあの、えと、元気のある、えと」
福与「私なんて阿知賀の監督が昔すこやんにトラウマ植えつけられた人ってことしか覚えてないもん」ケラケラ
小鍛治「私のせいみたいに言わないでよ!」
小鍛治「私のせいだけど!!」
福与「とりあえず質問の内容とかは覚えといてよ」
小鍛治「もうやることになってるし」
小鍛治「えと、『ご実家ではどのようにお過ごしですか?』『ご近所ではどのように呼ばれているんですか?』」
小鍛治「『働かないで食べるご飯は何が好きですか?』」
小鍛治「ハンバーグだよ!」
小鍛治「あと働いてるよ!!」
福与「あはー少しくらいジョークも混ぜないと~」
福与「すこやん、ウィットに富んだ質問っていうのが大切なんだよ?」
福与「アメリカンジョークってやつ?」ケラケラ
小鍛治「ブラックジョークだよ!!」
福与「問題はあと残り少ない日数ですこやんに魔法少女になりきってもらうことだね」
小鍛治「なりきるって?」
福与「もしコスプレしたとしてそれが適当だったら相手はどう思う?」
福与「『あぁ~私たちはこんなコスプレ見るために優勝したのかぁ』って悲しんじゃうよ」
福与「このコスプレインタビュー、いい加減な気持ちじゃできないんだから!!」
小鍛治「全身でいい加減を表してるよ!!」
小鍛治「持ってきてたんだ」
福与「ヘソ出しの青もあるし、すこやんには黒かな?」
福与「胸袋つきの黄色もあるけど…」チラッ
小鍛治「…?」
福与「ン…」
小鍛治「ねえ!人見て肩すくめるのやめて!!」
福与「共通点もあるし」
小鍛治「どこ見ていってんの!///」
福与「そうなるとアイテムに弓を持ってほしいけど」
小鍛治「麻雀と弓は全然関係ないものだから、インタービュー中はもちろん対局中にも使っちゃダメだよ!!」
福与「どうしたのすこやん急に」
小鍛治「ごめん、今はちょっとどうかしてた」
福与「でも弓もってアーチャーに間違えられたら大変だし、キャスターならまだしも」
小鍛治「魔法使いじゃないよ!!」
福与「『愛情注入棒~』」ドラチャ~ン
小鍛治「ってただのステッキだよ?それ」
福与「魔法少女すこやは悪に対してこれで素直になあれ☆素直になあれ☆ってやるわけだよ!」
小鍛治「孤立するよ!!」
小鍛治「ええ!?」
福与「こうくるっと回ってキラッと」キラキラ
小鍛治「そ、そんなに見つめられても」
福与「でも最近コスプレする人って結構凝ってるんだよね、若いと」
小鍛治「やるよ!!」
福与「何でそんなドキドキしてるの?」
小鍛治「っえい!」
小鍛治「マハリクマハリタ、ナトカカントカ!」クルッ
小鍛治「あ、愛情っ注入///棒///」
福与「ごめん自分で言って照れられても困るって言うか」
小鍛治「恥ずかしいんだよ!!許してよ!!」
小鍛治「見た途端落ち込まないでよ!」
福与「いや、正直すこやんがここまで、あっ何でもない」
小鍛治「言ってよ!」
小鍛治「やっぱわかってるからいいよ!!」
小鍛治「カラー放送だよ!」
福与「月に代わってだったらまだしも…」
小鍛治「やろうか!?」
福与「じゃ…いや、やっぱいいや」
小鍛治「ですよね!!」
福与「すこやん、もう堕ちるところまでは堕ちたんだよ」
小鍛治「何その言い方…」
福与「こうなったらダメで通す、もうそれしかないよ!」
福与「もう笑いが取れればなんでもいいから」
小鍛治「道化だよ!!」
福与「これはヘソ出し青に変更!まず見た目で入る!」
小鍛治「ええ!?///」
福与「次にアイテム!ここで意表をついてスカートから銃を取り出しまくる!」
福与「そのスカートから覗くすこやんの!、あっ何でもないです」
小鍛治「言ってよ!」
小鍛治「何が覗くの!!」
福与「これで“究極の生命体”(アルティメット・シング)すこやんの誕生だッーっ!」
小鍛治「…もうついてけないんだけど」
福与「とりあえず、恥ずかしいとかそういうことを捨てること!」
福与「恥じらいなんてのは乙女だけの特権なんだから」
小鍛治「そんな!///恥ずかしいよ!!///」
小鍛治「はぁ!?///ちょ何カメラ回してるの!?///」
福与「もう時間がないんだから、少しでもカメラ慣れしないと!」
福与「さあそこの衣装に着替えて。セリフはさっきの通り!」
小鍛治「でもいきなりは///」
福与「すこやん!これは遊びじゃないんだよ!?」
小鍛治「仕事でもないけどね!!」
福与「カットぉ!!すこやん最高だよ!良い画撮れたよー!」
小鍛治「えへへ、そうかな?」
福与「うんうん!…でも」
小鍛治「どうかしたの?」
福与「そういえばなんだけど。結局、私たちは何のコスプレでインタビューに行くんだっけ?」
小鍛治「おい!!」
おしまいだよ!!
面白かったよ!
ふくすこすばらっ
ところで誰か魔法少女すこやん(27歳独身実家暮らし世界2位)の参考画像を
出来のいいコントを見てるみたいですばらでした
Entry ⇒ 2012.08.14 | Category ⇒ 咲-Saki-SS | Comments (0) | Trackbacks (0)
小鍛治「私の人生…」
小鍛治「ん、もうちょっと…」Zzz
「す~こやん!あ~そぼ~!」ガンガンガン
小鍛治「はっ!私寝て、ていうか」
小鍛治「玄関を叩くのは…」ガラッ
小鍛治「ね、寝てなんかないよ!」
三尋木「まったまた~よだれついてるぞ。知らんけど」
小鍛治「えっ嘘!?」
三尋木「うっそ~ん」
小鍛治「もう!からかわないでください!」
小鍛治「何自然にいるんですか!」
三尋木「いや最初からいたし」
針生「お邪魔します。小鍛治プロ」
小鍛治「あなたは…こーこちゃんこれ何?」
小鍛治「夏休みって…学生じゃないんだから」
三尋木「それって何年前?」
小鍛治「最近だよ!!」
針生「最近なんですか…?」
三尋木「私たちとばったり会っちゃって」
針生「いきなりで失礼かとも思ったんですが…」
福与「いや~大丈夫ですよ」
小鍛治「こーこちゃんが言うことじゃないよ!!」
三尋木「ほほ~いありがとう」コクコク
針生「いただきます」
福与「さて…」
福与「じゃあ外でキャッチボールでもしますか」
小鍛治「何で!?」
小鍛治「私も、日差し強いし」
福与「みなさん軟弱ですよ」
針生「何か4人でできることでもしませんか?」
三尋木「4人で~?麻雀はやり飽きたしな~」
針生「それ…絶対外では言わないでくださいね」
三尋木「おほ~いいね」
針生「4人ならババ抜きとか大富豪ですかね」
福与「またの名をすこやん抜き!!」
小鍛治「ネタがストレートだよ!!」
三尋木「つかもうなんでもよくね?」
福与「すこやん、何か遊べそうなもの探してきて~」
小鍛治「私が用意するの?」
針生「何か手伝いますよ」
小鍛治「いえ、お客様ですからゆっくりしていてください」
小鍛治「人生ゲームしかなかったよ」
三尋木「うひょマジっすか。わっかんねー」
針生「懐かしいですね」
福与「さすが小鍛治家、古いものが眠ってる!」
針生「いいんじゃないですか?こういうのも」
三尋木「ま、おもしろそうだし」
福与「若い頃を思い出すね!」
小鍛治「私のほう見て言わないでよ!」
小鍛治「まず始める前に、プレイヤーはお金を所持する、って」
福与「それって何分福利!?」
小鍛治「いや軍資金じゃなくて」
針生「1人1000万からですね」
福与「やる必要あるんですかね」
針生「ゲームですから、でサイコロを振って進むと。普通の人生ゲームですね」
小鍛治「これがコマで…サイコロもあったよ」
福与「じゃあ早速始めますか!実況は私福与恒子でお送りします!」
コロコロ…6
三尋木「よっしああぁぁああああ!!」
針生「あの、喜ばれてるとこ悪いんですけど、1回目は進む方角を決めるだけで1マスしか進めませんよ?」
三尋木「は?」
針生「ですからえっと…『大学を無事卒業、進路はどうしよう』『サイコロを振る・・・1、3、5なら就職。2、4、6なら夢を追う』と」
針生「いやそこじゃなくて…」
福与「つまり三尋木プロは夢追い人になると」
針生「何かリアルですね」
三尋木「リアルじゃねえよ!!」
福与「はい!2ですね」
針生「私も3ですね」
三尋木「何か…」
福与「私たちはフリーターで向こうは就職」
三尋木「…確かにリアルだな」
コロコロコ…2
三尋木「少ねー1、2…ん?」
三尋木「『株に投資、当たるといいな~200万失う』」
三尋木「当たるといいな~といいつつ金が減ってるだけなんですけど」
コロコロコロ…4
小鍛治「123、4」
小鍛治「『今日は会社の飲み会1万失う』
針生「何かお金が減るコマばっかりですね」
コロコロコロ…2
福与「あれ?」
三尋木「残念~200万失うって~」
針生「いえ、三尋木プロも10万失いますよ」
三尋木「は?何で?」
小鍛治「ルールに書いてあったんだけど…2人が同じコマに止まると『衝突』ってなって先にコマにいた人が慰謝料10万だって」
福与「あは~すいません三尋木プロ…」
針生「安全注意ってことですね」
三尋木「いや先にコマにいたら動けねえじゃん」
針生「それじゃあ私ですね」
コロコロ…
福与「すこやんを後ろから!?」
小鍛治「変な言い方しないでよ!///」
針生「あ、3ですね」
三尋木「ち、つまんねー」
小鍛治「初任給1万って」
三尋木「かなりブラックだって、今からでも止めたほうがいいって」
針生「いやゲームですから」
残金
三尋木790万
小鍛治999万
福与800万
針生1001万
小鍛治「えっと、コマを進んでゴールすると着順でボーナスが払われる、最終的に全員がゴールした後一番所持金が多い人の勝ち、だって」
福与「ちなみに1位のボーナスは…5000万」
針生「なんかゲームバランス崩れてません?」
三尋木「こりゃ途中関係なしにパパッとゴールしたほうが得だな」
コロコロ…3
三尋木「進めねー…っと?」
三尋木「『ギタリストになることを決める50万のギターを買おう』」
三尋木「やべえよやべえよ、めちゃ減ってんですけど」
針生「消費していくだけとは、まさに人生」
三尋木「てか次すこやんの番じゃね?」
針生「え?」
小鍛治「あ、ごめんねうたちゃん」
福与「え?」
三尋木「ほ?」
針生「その、すこやんとかうたちゃんとか…」
三尋木「んー?いや普通じゃね?知らんけど」
小鍛治「結構会ったらこう呼んでるけど」
福与「会ったらって!どこであってるの!?」
針生「それ以外には!それ以外には外であったりはしてないんですか!?」
三尋木「おいおい落ち着けって、さっさと進めちまおうぜー」
福与「けど…」
針生「これは放置しては…」ブツブツ
小鍛治「…えっと5だったけど」
三尋木「いやボーナス10万って少なくね?知らんけど」
福与「いやーすこやん良かったね、お金増えたじゃんすこやん!」
小鍛治「え?うん」
福与「よーし私も頑張るよすこやん!」
コロコロコr…
福与「123456は何々?『将来のため資格取得を目指す10万失う』」
福与「何か夢追いコースはどんどんお金が減ってってる気が」
三尋木「いやそーでもないぜ」
三尋木「見ろあれを!!」ビシッ
三尋木「ま、考えてみりゃ人生なんて当たって砕けろ。一か八かのほうが燃えね?知らんけど」
福与「つまりこの先行投資を潜り抜けなんとかあのコースに入ることが出来れば!」
三尋木「未来は私たちの手の中ってことだ!!」
針生「ちなみに途中で所持金を失うとゲーム終了ではなく、銀行からお金を借りて続行ということですよ」
小鍛治「それどんなルール?」
針生「それじゃあお金をなくさないように…」
コロコロ…2
針生「1、2」
針生「『会社で企画をたてて疲れる1回休み』」
針生「けどお金が減らなかっただけよかったですよ」
福与「それにしてもこの人生ゲーム結構長い…」
小鍛治「ゴールはまだまだ先みたいだね」
残金
三尋木740万
小鍛治1009万
福与790万
針生1001万
三尋木「うおい!楽器何個買ってんだよ!」
福与「ああ!!20万も課金なんて」
針生「そんな企画が…私ならもっとうまく…」
小鍛治「谷の多い人生を送っています」
福与「けど見てください。もうすぐそこに運命の道が」
三尋木「開いてるぜー、知らんけど」
三尋木「ここに来るまで長かった。株に手を出し、投資をして既に残金は20万」
三尋木「けどやっちゃうぜー。ここで稼いでやるぜー」フリフリ
三尋木「運命が回りだすー!」
三尋木「およ?」
針生「分岐のコマですね」
小鍛治「えっと、1、2、3、4、5で一攫千金に…6でs「よっしゃー分岐なんて関係ねー知らんけど」
三尋木「この高確率ならーほい!」
コロコロコロ…
小鍛治「…」
針生「…」
三尋木「~♪」フリフリ
……6
三尋木「ほ?」
三尋木「つかありえないっしょ~ここで6か~」
小鍛治「あの、うたちゃん…」
三尋木「ん~てかそういや6だとどこ進むんだっけ」
小鍛治「えっと…『全ての行いを悔いるため聖職者コースに、今後ボーナス以外ではお金は増えない』…だって」
三尋木「ちくしょおおおおおおおおおおおおお!!!!」ドンッ
福与「このショックは中々立ち直れませんよ」
小鍛治「と、とりあえず進めちゃうね」
三尋木「よよよよ」
小鍛治「っとえい」
コロコロコロ…
福与「あ、あれは!?」
針生「え?な、何ですか」
小鍛治「あと3マス先に分岐コマが」
福与「しかもそのコマは何と、何と『結婚コマ』だあああああああああああああ!!!」
小鍛治「きゃー///
三尋木「おっと、無粋なことは言わない約束だぜえりちゃん」
針生「三尋木プロ大丈夫なんですか?」
三尋木「へへ、正直ノックアウト5秒前ってとこだけどな」
三尋木「確かにこれはゲーム、しかしこれは人生の縮図なんだよ…」
三尋木「人生ゲームで落ちこぼれるようなやつに本当の幸せが掴めると思うかい?」
三尋木「おいおい私はもう聖職者だぜ?少しは真面目に生きるさ」
三尋木「見ろよあの幸せそうなお嬢さんを」
三尋木「『結婚コマ』結納金500万なんて金を要求されてるにも気づいていねえ」
三尋木「もう彼女の目には結婚のことしか映っていないのさ」
三尋木「それを、ゲームですから、なんてつまんねーセリフで消してやらないでやってくれ」
福与「これは早くすこやんに番を回してあけたいが、1、2」
福与「私も『一攫、聖職分岐コマ』にこれで到着」
福与「ちなみに分岐コマには必ず止まりますから、次はすこやんは3以上で到着」
針生「な、何か私の知ってる人生ゲームじゃない…」
小鍛治「、、、、、、、、、、、、、」ブツブツ
針生「えっと…」
三尋木「まーいわゆう結婚前のブルーな気持ちってやつじゃね?」
福与「ブルーよりはブラックに近いけど」
コロコロコロ
三尋木「賽は投げられた…さぁ自由に転がりなさい」
針生「何か聖職者でもないようなキャラになってるんですけど」
コロコロ…3
三尋木「1、2、3…おお『ペター少年のもとに子山羊が生まれ祝い金に5万』、何て嬉しいことだろう」
福与「し!静かに…」
小鍛治「ふぅ」キーーーーーーーン
針生「こ、これは?何か場の空気が」
三尋木「おいおいわかんねーのか?こりゃすこやんのだぜ?」
針生「たまに普通に戻るんですね」
福与「この感じ、私が憧れたすこやんにそっくり!!」
三尋木「『結婚コマ』に入る前にこのオーラ…いや婚気!!」
針生「うまくないですよ」
三尋木「こりゃお釣りなしで3を出すぜ」
コロコロコロ……3
小鍛治「ふぅ、じゃあこーこちゃんね」
福与「あっうん///」
福与(今日は凄い、またここで、あの小鍛治健夜を見れるなんて!)
福与「よおっし!それなら私はここで必ず一攫千金コースに進む」
三尋木「欲に囚われるとは…可哀想に」
コロコロコロ………1
福与「よっしゃあああああああああ!!」ガッ
三尋木「はあああ!?」
針生「…」
三尋木「んっ」ゴホン
針生「とりあえずここで止まっておきたいですねっと」
コロコロコロ…5
針生「よし、とりあえず小鍛治プロには追いついた」
三尋木「えりちゃんつまんねー。もっとこう何かを賭けてプレーしようぜ?」
針生「は?」
コロコロコロ…4
三尋木「ふむ、『道で300万拾うも当然寄付、幸せが増えた』」
三尋木「ほら」ニッコリ
針生「いや何がほらなのか…」
福与「絶対一攫千金に進まないと…」
針生「さて」
三尋木「ついに来たな、この時が」
福与「すこやん、頑張って!」
小鍛治「うん!」
小鍛治(結婚コマ、このコマに止まったらサイコロを振って行く先を決める。またサイコロを振る前に結納金を500万支払う)
小鍛治(1、3、5なら幸せに結婚。2、4、6ならありがちな成田離婚、今後結婚は出来ないでしょう。当然500万は帰ってきません現実は非情である)
小鍛治(あなたには結婚適正がないとしか言えません、潔く諦めましょう)
小鍛治「っ…」
小鍛治「まずこの縛り、一見運否天賦の五分に見えて実は違う」
小鍛治「サイコロは通常奇数は奇数面に偶数は偶数面に集まって出来ている」
小鍛治「つまり、サイコロを振る際に偶数面を軸に、奇数面が見えるように投げれば確実に奇数のみを出す事が可能」
小鍛治「これは…勝てる勝負!!」
福与「よくあることですから」
針生「何かサイコロを潰すぐらい握り締めてるんですけど」
福与「あれもよくあることですから」
小鍛治「ふぅ」
小鍛治「お父さん、お母さん待ってて」ウル
小鍛治「今!私の大切な人を連れてくるから!!」ブワッ
小鍛治「ダイスロォォォォォォォォォォォォォール!!!」
ギュルルルルルルr!!!!
針生「あれは…」
福与「すこやん、ちょっとヤバいかも…」
ギュルルル…ル…ル
小鍛治「回転が弱まってきた!!」
福与「1,3,5の面」
三尋木「スゲーほんとにできちゃうんだ」
小鍛治「ありがとう、お父さん!お母さん!」
ル…ルル…ルルr…
福与「止まる!!」
小鍛治「えんだああああああああああああああああああああああ」
三尋木「つかめちゃ埃舞い上がってんですけどブワァックショイ!!」
グラグラ……コロン
………2
小鍛治「いやああああああ!!!」
小鍛治「ああぁ…ぁぁ」
福与「す、すこやん!!」
針生「ここまで一喜一憂できるとは、ていうか」
三尋木「正直すまんと思ってるよ」
福与「すこやん…待ってて。今私が一攫千金で必ずすこやんを幸せにしてあげるから!!」
針生「これそういうゲーム!?」
福与「よし、5だ…『とにかく凄い100万増える』よし!」
三尋木「何かこれ偏りすぎじゃね?」
1
三尋木「あたーえりちゃんここは空気読まないと…」
針生「サ、サイコロなんだから仕方ないじゃないですか!」
小鍛治「ど、どうぞ私は気にせず…お幸せに!!」ブワッ
三尋木「私の勘じゃここらで一波乱あるね、知らんけど」
針生「今のが一波乱なんじゃ…」
4
三尋木「何々…4は、『ダメかもしれない。かなり危険な状態。所持金全て支払えば助かるかも』」
三尋木「…払うさ、払うしかねーんじゃねえの」
三尋木「助かるかも知れねーって言われたらもう縋るしかねぇ。神頼みってのはこういうもんさ。知らんけど」
福与「うたちゃん、とうとう0円に」
針生「あなたまでそう呼ぶの!?」
福与「…」
小鍛治「あ、やった6だ。えっと…『婦人会に出れない出不足金5000円支払う』」
小鍛治「うううぅぅ」
針生「これコマおかしくないですか!?」
コロコロコr…5
福与「5は、『会社がかなり成功、ついでに結婚もした、ついでに子供も生まれた。他のプレイヤーから1万ずつ貰う』…」
小鍛治「あああぁぁぁぁぁっっっ」
三尋木「あああぁぁぁぁぁっっっ」ドンドンッ
小鍛治「いいんだよこーこちゃん。これはゲームなんだから」ゲッソリ
三尋木「人生のゲームよりもゲームの人生を歩みてぇよ」
針生「なんかやりにくい…って!!」
針生「小鍛治プロ!小鍛治プロ!見てください」
針生「しかもあれは…『ips細胞ルート』の分岐ですよ!!」
小鍛治「なにそれ!?」
針生「あれはおそらく、ips細胞で同性の間でも子供が出来るというルートです!」
小鍛治「どういうことなの」
小鍛治「こーこちゃん?」
福与「そのコマこそがすこやんの本当の幸せのコマだよ!!」
福与「結婚なんてしてもしなくても関係ないんだよ!」
小鍛治「あるよ!!」
福与「世界の平和の為に三尋木プロは借金地獄に姿を消し」
福与「針生さんは子供の養育費に順風満帆な生活から火の車に」
福与「私は、やることなすこと全てが成功し現時点で所持金は単独トップ」
福与「そしてすこやんは」
針生「凄い、小鍛治プロもう4回目の同窓会を乗り切った…」
三尋木「彼女の目を見なさい…獣のように力づよくそれでいて優しい」
三尋木「あれは探求者の目です」
針生「あなたはもう誰なんですか?」
三尋木「わかんねー、いきなり『司祭に謁見』とかわかんねー」
小鍛治「これで私の番」
針生「分岐コマまであと6つ」
福与「けどすこやんの体力を考えればこの1回で決めたい!」
針生「三尋木プロ?もう普通なのかどうなのかわからないんですけど」
三尋木「そんなことよりもあの目をみな、さっきまでの動揺も焦りもねえ」
三尋木「こりゃお釣りなしで6出すぜ」
針生「それさっきも聞きましたけど」
三尋木「わっかんねー」
スッ…6
針生「!あれは」
福与「あまりにも滑らか過ぎて止まっているように見えたほど!」
三尋木「これでipsマスか、問題はこっからだな」
針生「え!?子供が3人国立大に!?」
三尋木「異国の土地で宣教!?」
小鍛治「みんなも大変だね」
福与「けど、ここが正念場だよ!」
小鍛治「『1を出したら、科学の発展に大いに感謝しあなたは幸せを得るでしょう。今すぐ子作りです』」
小鍛治「『2、3、4、5、6を出したら、本当に幸せになる気があるんでしょうか?もしかしてips細胞とはあなたの妄想では?』」
小鍛治「これは、厳しい…」
針生「1を出すしかないなんて」
小鍛治「…ダメ、私には」
福与「すこやん!!」ギュ
福与「諦めないで!すこやん!!」
福与「出せる、カッコいいすこやんには、私が憧れたすこやんになら必ず出せるよ!」
福与「私たちには見守ることしか出来ないけど、信じてるから」
針生「自分の直感を信じてください」
三尋木「がんばれ~」フリフリ
小鍛治「みんな、みんな…」ブワッ
小鍛治「みんながいてくれなかったらここまでこれなかった」
三尋木「凄いな小鍛治健夜」
小鍛治「みんなのお陰で私は」
三尋木「やはりこの娘は」
小鍛治「飛べる!」
三尋木「天才!」
福与「すこやん…」
三尋木「いや違え、勝負を捨てたわけじゃねえ。むしろこれこそ小鍛治健夜のアルティメットスロー!」
三尋木「完璧に脱力、けどわかるぜ。これは出る!」
小鍛治「出せる…1が」
トンッ…
針生「出た…?」
三尋木「…」ニッ
福与「やった…やった!やったね!すこやん!」
小鍛治「子供が出来るよ」
その夏の日、青い空の下4人の乙女の友情は確かに1つに繋がった
針生「どうやら一着にはなれそうにありませんけど」
福与「すこやん。良かったね」
小鍛治「うん。あと1つ、これで上がれる」
三尋木「ゴールはコマ数ピッタシになるまであがれねえみたいだけど、その心配はいらねーか。知らんけど」
隣に座ってくれる人は結局いないけど、これは私と私の最愛の友人との大切な子供だ
小鍛治「じゃあ先に待ってるね」ギュ
福与「うん、私もすぐ行くから」ギュゥ
三尋木「ひゅ~何か照れんねー」
針生「意外と初心なんですね三尋木プロも」
全ての科学技術にありがとう
針生「私ももう少しだったんですけど」
全ての結婚にさようなら
福与「すこやん、絶対幸せになろうね!」ニッコリ
そして全ての人生に
小鍛治「うん!」
おめでとう
母「ただいま~、健夜?あんた起きてんの」
小鍛治「……」
母「あら、なによそんな隅で体育座りなんてして。いるなら返事ぐらい、ってま~何こんなちらかして」
母「あらお茶?誰か来てたの?恒子ちゃん?」
小鍛治「うん…」
小鍛治「うん…まあね…」
母「ま~珍しい。というかどうしたのあんた?何してたの?」
小鍛治「何してたって…」
小鍛治「今にして思えば…ホント何してたんだろ。凄い恥ずかしいことばっかやってたなー…」
小鍛治「せっかくの夏休みなのに…」
小鍛治「休日の1日使って…」
小鍛治「結婚だ子供だって恥ずかしアピールばっかして…」
小鍛治「結局ゲームじゃん…」
小鍛治「私の人生っていったい…うふふふ」
完だよ!!
アラフォー頑張れ!
アラフォーに幸せあれ
アラフォー可愛いよアラフォー
すこやん…
Entry ⇒ 2012.08.14 | Category ⇒ 咲-Saki-SS | Comments (4) | Trackbacks (0)
奉太郎「千反田がラブレターをもらった?」
一人で部室にいるのは特に珍しいことでもない。
その内誰かが来るだろうし、来ないなら来ないでゆっくり読書ができる。
これ幸いと俺はいつもの席に座り、読みかけのペーパーバックを開いた。
最近はすっかり夏らしくなり、容赦ない日差しが外で部活動に勤しむ生徒たちを苦しめている。
できることなら太陽が高いうちは外を出歩きたくないので、
俺の古典部への出席率が高くなったのも当然の帰結だ。
しかしその日の放課後の安寧は、千反田えるの来襲によりあっさりと崩壊してしまったのだった。
俺が読書を始めて少し経った頃、見るからに挙動不審な様子で千反田は部室にやってきた。
える「あ、こ、こんにちは。あの、折木さんだけですか?」
奉太郎「ああ。今のところはな」
える「そうですか」
これは珍しい。
こんなふうに動揺している姿はほとんど見たことがない。
さてどうしたものか。
千反田は何か俺に話したいことがあるのだろう、何度も不自然に俺の方をちらちらと盗み見ている。
話を聞いてしまえば十中八九面倒なことになる。
しかし千反田のこの様子だと遅かれ早かれ俺は千反田の話を聞いてやることになるに決まっている。
やるべきことは手短に、だ。
える「折木さん、あの、今日はどんな本を読んでいらっしゃるんですか?」
千反田が遠慮がちに声をかけてくる。
だが俺はそのどうでもいい世間話には答えない。早く済ませて読書に戻りたいのだ。
奉太郎「千反田。何か俺に用があるならさっさと言ってくれ。まどろっこしい」
える「え?な、なんで分かったんですか折木さん?」
奉太郎「お前を見てれば様子がおかしいことくらいすぐに分かる。
で、どうしたんだ?いつもの気になりますとも違うようだが」
える「気になることといえば気になることがあったんですが……」
奉太郎「何なんだ一体。さっさと言ってくれ」
える「は、はい。実は、あの、今日の朝下駄箱にこんなものが入っていて……」
想像もしていなかったが、考えてみればおかしな話でもない。
あの異常な好奇心さえ表に出さなければ容姿にも成績にも優れた奴だ。
惚れる男がいるのも無理からぬことだろう。
むしろこれまでそんな話が耳に入って来なかったことが不自然だったのかもしれない。
しかし、だ。
える「はい、あの、中身も読んでいただけないでしょうか」
奉太郎「いいのか?お前宛てのラブレターなんじゃないのか?」
える「どうして分かったんですか折木さん?
わたし、まだ何も言っていないのに」
やはりそうか。
昔から下駄箱に入れられる手紙はラブレターだと相場が決まっている。
自慢じゃないが俺は今まで色恋沙汰とは無縁で生きてきたんだ。
伊原あたりにでも聞いてもらえばいいじゃないか。
それにそのラブレターを寄越した男にも悪い。
どこの誰だかは知らんが、他の男に愛の告白の手紙を読まれたくはないだろう」
惚れた腫れたといった話は非常にエネルギーのいるものらしい。
相手の一挙手一投足が気になり、そのひとつひとつに一喜一憂する。
夜は眠れず、飯は喉を通らない。
そんなに大変なら恋などしなければいいと思うのだが、そうもいかないらしい。
曰く「恋はするものではない、落ちるものだ」とかなんとか。
自分の恋だけでも十分に大変そうなのにどうして他人の分まで引き受けられよう。
俺はどうにか話を誤魔化してしまおうと試みた。
だが、それに対する千反田の態度は俺の予想とは違っていた。
える「それなんです!」
奉太郎「それなんです?」
える「この手紙を書いてくれた方が、どこの誰なのか分からないんです!」
朝学校に来たらラブレターがあった。
それには差出人の名前が書いていなかった。
誰が書いたのか、わたし気になります。
奉太郎「おいおい、俺は筆跡鑑定はできんぞ」
える「そうじゃないんです。
手紙の内容に気になるところがあって……。
ですから、一度これを読んでみてください!」
近い。いつもとは違って顔ではなく便箋だからいくらかましではあるが。
しかしこうなってしまった以上、千反田の頼みを聞かずに済ますのは難しい。
なにせ目の前に例の物が突き付けられている。
奉太郎「分かったよ、読めばいいんだろう。
だが、読むだけだ。
答えは期待するなよ」
える「はい!ありがとうございます!」
まったく忙しいやつだ。
俺は千反田から受け取った便箋を開き、中身を見た。
そこにはこうあった。
『千反田える様
突然このような手紙を書く無礼をお許しください。
どうしても伝えたいことがあるのですが、一身上の都合で直接伝えることができないためこうして手紙を書きました。
私は千反田さんのことが好きです。初めて目にしたときからずっと好きでした。
私は千反田さんに思いを伝えることを許される人間ではありません。
しかしこの思いを抑えることができなかったのです。
悪戯だと思われても構いません。
思いを伝えることができるだけでいいのです。
無垢で、偽ることのできないあなたへ。』
当然一般的なラブレターの文例も知らない。
そのせいだろうか、少しばかり変わっているというか、気障な文章だという印象は受けたが、
そこまでおかしな部分はないように思う。
奉太郎「すまんが、俺はお前がどの部分に気になっているのか分からん。
直接言えないから手紙を書いた。
思いを伝えるだけでいいから名前は書かなかった。
それだけのことじゃないのか?」
この手紙は、わたしが今まで頂いたものとは全然……」
そこまで言って千反田は、しまった、といった顔で口を閉じた。
そして慌てて言い訳を始める。
える「いえ、あの、違うんです。
わたしは、その……」
奉太郎「お前は男子に人気があるんだな」
よほど知られたくなかったのか、千反田は顔を真っ赤にして俯いてしまった。
千反田は携帯電話を持っていない。
メール機能という便利なものが使えない以上、
千反田とお近づきになりたい者は直接会いに行くしかない。
それが出来ない奴はこうして手紙を書くことになるわけか。
奉太郎「まあ、お前が何通ラブレターをもらってきたかは聞かんさ。
それで、これはお前が今までもらってきた数々のラブレターと比べてどう違うっていうんだ?」
える「で、でも、ちゃんとお断りしています!」
える「あまりからかわないでください……」
奉太郎「ああ、悪かった。
それで、ラブレターなどには縁のないこの俺にこれがどういう風に気になるのか教えてくれないか。
それを聞かないとどうにもならん」
なおも続く俺の軽口に、千反田は顔を赤くしたまま俺を恨めしそうに見てきたが、
自分の好奇心には勝てないと見えて、静かに話し始めた。
なんだか、ラブレターにしては少々ものものしいような気がしませんか?
戦争に行く兵隊さんのような、そんな鬼気迫るものがあります。
わたし、この人のことが少し心配です!もしこの人の身に何かあったら!」
戦争へ赴く前に書いた恋文とでも言いたいのか。
戦時中はこんなこともあったかもしれないが、今は現代だ。
確かにあの古風なお屋敷に住んでいると自分がいつの時代に生きているのか分からなくなる気もするが。
それだけお前を強く想って書いたっていうことなんだろう。
まったく羨ましいもんだ」
また余計な軽口を叩いてしまう。
自分の言葉に棘が混じるのを感じる。
千反田が少ししゅんとした顔になる。
だが、本当に気になるところが分からないんだ。
参考までにお前が今までもらった他のラブレターはどんな感じだったのかも知りたいんだが」
俺の軽口が止まったのにほっとしたのか、
一度知られてしまったからもう隠す気がなくなったのか、
意外にも千反田はこの質問に快く答えてくれた。
える「そうですね、やっぱりわたしが一番気になるのは、
『思いを伝えることを許される人間でない』というところです。
こういった手紙をくださる方々は『直接言う勇気がないから』
と書いてくることが多いのですが……」
える「わたしは、思いを伝えることを許されない人なんていないと思います。
誰にだって権利はあるはずです」
奉太郎「しかし、相手の方はそう思ってなかったんじゃないか。
事実お前は旧家の娘だし、そこに向こうが引け目を感じたとか。
それに、文字どおりの意味が込められているかも分からん。
全体的に気取っているような文の書き方だし、
『面と向かって話もできない自分のような人間は、
本当なら思いを伝える権利はない』
というようなことでも言いたかったのかもしれない」
奉太郎「どっちにしろ、これっぽっちの手掛かりじゃ答えは出せん。
悪いが、お手上げだ」
える「そうですか……」
千反田はまだ納得できないといった様子だが、
こればっかりはどうしようもできない。
奉太郎「さすがにこの手紙しかないんじゃあな。
ふう。しかしこいつは読めば読むほど気取った文章だな。
毎回こんなのに対応するのは大変だろう」
特にこういった手紙をくださる方は大抵が知らない方ですので、
放課後呼び出されてしまったときなどはきちんと会ってお断りしなければいけないんですが、
一人で初対面の男の人に会うのはとても緊張してしまいます」
奉太郎「確かに気の進まん話だな。
いつもそんな風に断っているのか?」
える「はい。でも、何も知らずに会いに行くのは怖いので、
福部さんに相手はどういった方か聞いてから呼び出された場所に行きますね」
える「わたしの知り合いの中では福部さんが一番お顔が広いですから」
確かにそう、まったく自然なことだ。
ラブレターをもらったが相手の人となりは分からない。
そんなときに古典部の友人にしてデータベースを自認する里志にそいつがどういう奴かを尋ねてみるのも当然だろう。
冷静に考えれば当たり前のことだ。
だが俺は冷静ではいられなかった。
千反田がこんなにも他の男子生徒から人気があるという事実を突き付けられて動揺していたのかもしれない。
そしてその動揺の矛先を、あろうことか俺は千反田に向けてしまった。
こういう時だけ俺に相談してきたわけか」
自分でも驚くほどの冷たい声だった。
千反田がびくりと怯える。
える「い、いえ、わたし、そんなつもりは」
奉太郎「そんなつもりも何も、そういうことだろう。
俺を便利屋か何かとでも思ってるんじゃないのか」
える「そ、そんなこと……」
奉太郎「今回もいつも通り里志に相談してみろよ。
あいつならこの差出人の筆跡も分かるかもしれないぜ」
千反田は俯いたまま何も言わなかった。
俺もこれ以上は何も言わずに無言のまま部室を出た。
奉太郎「どうしてあんなことを言ってしまったんだ……」
その夜、俺は自室のベッドの上で激しい自己嫌悪に陥っていた。
本当にどうしてあんなことを。いや、理由など知れている。
勝手に動揺し、里志に嫉妬し、それを目の前にいた千反田にぶつけてしまった。
ここまで感情のコントロールが出来なくなってしまうことがあるとは。
やはり認めざるを得ないのかもしれない。
俺は千反田に他の奴とは違う特別な感情を抱き始めていることを。
奉太郎「……明日ちゃんと謝ろう」
そう決めたものの、一体今までどんな男が千反田に告白してきたのか、
今回は誰が差出人なのかをずっと考え続け、その日はなかなか寝付けなかったのだった。
そもそも千反田は昨日あんなことがあったのに部室に来るだろうか、
とぐずぐず悩んでいると、ふいに後ろから声をかけられた。
摩耶花「折木、ちょっと来なさい」
さすがの俺も見たことのないほどの怒りを体中に漲らせている伊原と、
いつも通り困ったようににやついている里志がそこにいた。
まあ、大方千反田のことだろうと思い、おとなしく伊原について教室を出る。
もっとも逆らえるような雰囲気でもなかったわけなのだが。
人気の少ない階段の踊り場まで来ると伊原は俺の方へ向き直り、口を開いた。
思いのほか静かな声だ。
いきなり怒鳴られることも覚悟していたのでひとまず安心する。
奉太郎「千反田から何か聞いたのか?」
摩耶花「何よ、しらばっくれるつもり!?」
摩耶花、と里志が伊原を諌める。
珍しい光景だ。
感謝の意を里志に目で伝える。
そのときの千反田さんの様子がちょっと変でさ、もしかしたらホータローと何かあったのかと思ってさ」
摩耶花「ちょっとなんてもんじゃなかったわよ!」
里志「摩耶花、落ち着いて。
どうかなホータロー、何か心当たりはないかい?」
心当たりも何も、ほぼ間違いなく原因は俺だろう。
こいつらにはちゃんと説明をしておかなければ。
つい昨日自分勝手にあれだけの嫉妬心を向けた里志にも面と向かって説明しなければいけないのは
少々、いやかなり辛いところではあったが、俺は正直に部室で起こったことを話した。
里志「ホータロー……。うん、まあホータローらしいと言えばらしいのかな」
確かに自分でもどうかと思う話だが、
こうもはっきり第三者に言われるとさすがにダメージがある。
摩耶花「ちーちゃんがラブレターもらったことをふくちゃんには相談して、
折木には隠した理由、本当に分からないの?」
伊原がため息交じりに言う。
奉太郎「だからそれは、里志のほうが顔が広いから……」
摩耶花と千反田さんだったらどっちに相談しようと思う?」
奉太郎「その二人だったら、まあ、伊原だろうな」
里志「うん。それはどうしてだい?」
奉太郎「別に大した理由はないが、ただ、なんとなく……」
里志「なんとなく、千反田さんには言いたくないよね。
ホータローがなんとなく普段から意識している千反田さんには、ね」
里志「そうだろ?普段ちょっと意識している異性にはあんまりこういうことは知られたくないよね。
こういう言い方はよくないけど、どうも思っていない相手の方が言いやすい。
その相手が、ホータローは摩耶花で、千反田さんは僕だった」
奉太郎「おい、どうしてそういう話になるんだ。
お前はどうなんだ、里志。
お前がラブレターをもらったらまず彼女の伊原に言うんじゃないのか?」
あんたとちーちゃんの関係とは違うに決まってるじゃない。
それに、あんたのその理屈で言うとあんたはわたしの彼氏かなんかみたいになっちゃうわ。
気持ち悪いから、やめて」
奉太郎「ぐっ……」
里志「ちょっとは素直になりなよホータロー。
ま、それは千反田さんにも言えることなんだけど」
摩耶花「ちーちゃんももうちょっと自分の気持ちを自覚してたらこんなことは起きなかったのにねー」
俺の千反田への感情はそんなにも分かりやすかったのだろうか。
自分でも昨日ようやく自覚ができたくらいだというのに。
だがこうもはっきり言われてしまったからには、もう誤魔化すこともできないだろう。
奉太郎「ん、まあ俺は、千反田のことが、気になってはいる。
……だが、俺が千反田のことを、っていうのは、
お前たちいつごろからそう思っていたんだ?」
すると、またしても二人は呆れたような目をこちらに向けた。
いや、哀れみすら感じる。
なんだなんだ。せっかく勇気を出して自分の気持ちを認めようとしたというのに。
里志「まあ、いつからって聞かれたら、ずっと前から、っていうのが答えになるのかな。
千反田さんに対するホータローの態度は僕らに向けるものとは全然違っていたよ。
自分では気付いてなかったのかもしれないけどね」
奉太郎「そ、そうか……」
里志「ま、それもホータローらしいといえばらしいと言えるよ。
こういったことにはそれぞれ自分のペースがあるからね。
ホータローと千反田さんはそのペースが合ってると思うよ」
なんでこんな奴なんか……。
とにかく!ちゃんとちーちゃんには謝って許してもらいなさいよ!」
奉太郎「ああ。分かってる。これから部室に行くつもりだ。
千反田がいるかは分からんが」
そう。伊原の怒りは収まったが、千反田とのことは何一つ解決していないのだ。
伊原と里志にせっつかれながら、俺は祈るような気持ちで特別棟四階地学講義室の戸に手をかけた。
最悪のケースも想像していたが、あっけないほどすんなりと戸は開き、
ひとりぽつねんと窓際の席に座る千反田の姿が見えた。
すでに半分泣いているような顔で俺を見る。
いかん。早く何か言わなければ。
伊原が後ろから俺を小突く。
奉太郎「あー、千反田、昨日は悪かった。
昨日はちょっと気が動転してて……」
える「はあ……」
千反田は俺が何を言っているのかよく分かっていないようだ。
無理もない。千反田にしてみれば俺がなぜ昨日いきなり怒り出したのかも分からないのだから。
摩耶花「ああもう!はっきりしないわね!
あのねちーちゃん、こいつは昨日、
ちーちゃんはいつもラブレターもらったときにふくちゃんに相談してたって知って、
それでふくちゃんにやきもち妬いてちーちゃんに八つ当たりしたの!
だからちーちゃんが気に病む必要はまったくないのよ。
全部このバカのせいなんだから!」
奉太郎「まあ、その通りだ。
昨日はひどいことを言った。悪かった」
再度、頭を下げる。
伊原はそんな俺を見てふんと鼻を鳴らしたが、千反田の表情は暗いままだ。
やはり謝っただけで簡単に関係は修復できないのか。
俺が改めて前日の過ちを悔いていると、千反田が意を決したように口を開いた。
える「でも、確かに折木さんのお気持ちも理解できます」
俺はまた、今日何度目かもはや分からないのだが、ひどく動揺する。
俺の千反田に抱いている感情は伊原や里志だけでなく千反田本人にさえ筒抜けだったのだろうか。
動揺して声も出せない俺の心中を察してくれたのか、里志が千反田に話しかける。
里志「千反田さん、ホータローの気持ちが理解できるって……?
それって……」
やっぱり同じ古典部員である折木さんからしてみると、
自分だけ信用されていないようでとても不愉快なことだと思います。
相談するのであれば、最初から古典部の皆さんに聞いて頂くべきでした。
今回のことは、わたしが軽率でした。
折木さん、不愉快な思いをさせて申し訳ありません。
でも、決して折木さんのことを信用してなかったわけではないんです。
ただ、折木さんに話すのはなんとなく恥ずかしくて……」
そう言って千反田は恥ずかしそうに俯いた。
ほっとして里志を見ると、里志も同じようにこちらを見た。
『僕の言った通りだろう?』その得意げな目は俺にそう語りかけてきた。
俺は鼻を鳴らしてそれに応える。
里志「なんにせよ、これで一件落着かな?
そうだ千反田さん、せっかくだし例のラブレターをちょっと僕にも見せてくれないかな?」
える「そうでした!
もとはと言えばわたし、どうしても気になることがあったから恥ずかしいのを我慢して折木さんに
相談していたんでした。
皆さんもぜひ一緒に考えてもらえないでしょうか?」
そういうわけにもいくまい。
千反田が鞄から取り出した例のものを里志が受け取る。
その脇から伊原も覗き込む。
里志「うーん。確かにこれは今までのとはちょっと違った感じだね。
でも、やっぱりこれだけでどんな人が書いたのかは特定できないな。
僕が分かることと言えば、最後の一文がユリの花言葉になってるってことくらいだよ」
奉太郎「そうなのか?」
『あなたは偽ることができない』なんだ。
二つも一文の中で使われているんだからこれは間違いなくユリを指していると思う」
える「そうだったんですか。わたし、全然知りませんでした」
奉太郎「だがなぜこの差出人はユリの花言葉なんか書いたんだ?」
里志「それは分からないな。
千反田さんをユリにでも見立ててみたってところじゃないかな
他に意味が込められているかどうかは僕には判断がつかないね」
立てば芍薬云々といった言葉もあることだしな。
言葉には出せないが。
やっぱりこれは単なるちょっと気取ったラブレターだったのだろうかと俺が思い始めた時、
伊原が口を開いた。
マンガの用語なんだけど、百合っていうのは女の子同士の恋愛を指す言葉なの。
だからわたし思ったんだけど、この手紙を出した人は女の人だったんじゃないかなって。
女だから直接告白するわけにいかないし、
女同士の恋愛なんて現実ではまだまだ認められてないから、
自分は思いを伝えるのを許される人間じゃないって書いたんじゃない?
でも自分が女だって気付いてほしい気持ちもあったから、
最後にユリの花言葉を添えた。
どうかしら?ちょっとこじつけって感じもするけど」
みんな伊原の言ったことを踏まえ、ラブレターの内容を考えているようだ。
最初にその沈黙を破ったのはやはり千反田だった。
える「すごいです摩耶花さん!どうして気付いたんですか!?」
摩耶花「いや、わたし漫研に入ってたし、ただ知ってただけっていうか……」
里志「僕も摩耶花の言った通りだと思うよ。
矛盾がないし、ただの気取ったラブレターですってよりも説得力がある」
奉太郎「なんだ、二人に話したらこんなに簡単に答えが出ることだったのか」
里志「どうやらホータローは千反田さんのことになると頭がうまく働かないみたいだね」
摩耶花「そうね。省エネとかはどこに行ったんだか」
里志「まあそうなんだけどね。
でも冷静さを失ったのは本当だろう?」
それを言われると何も言い返せない。
千反田の方を見ると、なんだか千反田も照れくさそうにしている。
里志「さーて、これで本当に一件落着だね。
じゃ、僕はこの辺で帰るよ。
総務委員でやらなきゃいけないことがあるんだ」
摩耶花「わたしもちょっと用事があるから帰るわ。
ふくちゃん、途中まで一緒に行こ」
古典部とはなかなかにドライな連中の集まりなのだと再認識する。
まあ、今日はただ俺たちに気を遣ってくれたのだろうが。
ちらりと千反田の方を盗み見る。
千反田もこちらの様子を伺っているようだ。
……こういうときは男から話しかけるものだろう。
奉太郎「悪かったな、昨日のこと」
える「いえ、わたしにも非がありますから」
奉太郎「お前、一人で知らない男のところに断りを言いに行くのは大変だと言っていたよな」
える「はい。やっぱり何度やっても慣れないものはあります」
俺が付き添って行っても、いいぞ。
お前がどうしても一人で行くのが嫌なら」
千反田は少し驚いたように目を見開いた。
さてどう出る。
これで結構ですなどと言われたら俺はもう本当に古典部に顔を出せなくなるかもしれない。
自分の顔が赤くなるのを感じつつ、千反田の方を見る。
える「そうですね。一人で行くのはどうしても嫌です。
折木さんが一緒にいてくださったら安心できるのですが」
千反田はそう、とびきりの笑顔で言ってくれた。
奉太郎「まあ、お前がどうしてもというなら」
える「はい。ありがとうございます」
千反田は笑顔のまま深々と頭を下げた。
雨降って地固まる、というにはあまりにも俺の非が大きすぎた一件だが、
里志と伊原のお陰もあって無事解決となった。
入須にしてやられたときもだが、一人で先走ると碌なことにならない。
慎むべし慎むべし、と俺は自らの行いを反省するとともに、
誰かまた千反田にラブレターを渡してくれないものかとあまりよくない期待
を胸に抱くのだった。
END
駄文に付き合ってくれた方々に敬礼
こういう直接言わない感じがいい!
Entry ⇒ 2012.08.14 | Category ⇒ 氷菓SS | Comments (0) | Trackbacks (0)
京子「安価で誰かとイチャつきたい」
京子「ふぅ……、面白かった。 ひさびさに当たりだったなこの漫画。
ノーチェックだったけど直感で買ってよかった!」
京子「あー、この漫画みたいに私もイチャイチャしてみたいなー」ゴロゴロ
京子「……」
京子「そういや私、全然そういった話に縁が無いな」
京子「この間もモブ子ちゃんが告白されたって浮かれてたし、その手の話はちらほら聞くのに」
京子「私、けっこういい線行ってると思うんだけどなー?」
京子「高嶺の花過ぎて告白とか無理とか!」
京子「……うん、ないな」
京子「そうだ! イチャつく相手がいないんなら、誰かにお願いしてイチャつかせてもらおう!」
京子「声かけまくれば、一人くらいイチャつかせてくれる子いるよね?」
京子「……」
京子「い、いるって! うんうん、いるいる!」
京子「となると、ターゲットは誰がいいかな~? やっぱり七森中の子がいいよねー」
京子「>>4とか>>6とか>>8あたりに声かけてみるかな?」
京子「ん? ……なんでひまっちゃん二回も言ってんだ私は」
京子「けっこうひまっちゃんのこと気に入ってたりするのかなー」
京子「よし、まずはひまっちゃんにお願いしてみよっと!
えへへ、明日が楽しみだな~」
【1-2教室 昼休み】
京子「こんちはー! あ、いたいた。ひまっちゃーん!」オーイ
あかり「あ、京子ちゃんだ。向日葵ちゃん呼んでるみたいだね」
ちなつ「ほんとだ。めずらしいね」
向日葵「何かご用事、でしょうか?」
櫻子「お前なにかやらかしたんだろー? うわ、怒られるぞ~」ニヤニヤ
向日葵「そ、そんなことは無いはず! ……ですわ」
【廊下】
京子「ね、ちょっと時間ある? お願いしたいことがあるんだ~」
向日葵「は、はあ。大丈夫ですけれど……、なんのご用でしょうか?」
京子「それは後で話すから! よっし、じゃ屋上行こっか」
向日葵(うぅ、変に緊張してきましたわ……)
京子「おー、風が気持ちいいね~」
向日葵「あ、あの、それでお願いというのは?」ビクビク
京子「それなんだけどさぁ……」
向日葵「は、はい!」ゴクリ
京子「ひまっちゃんとイチャイチャさせてほしいんだよね!」
向日葵「は?」
京子「今日一日でいいからさ~。ね、お願い!」ペコッ
向日葵(唐突過ぎて、さっぱり状況がわかりませんわ……。
でも、先輩のお願いを無碍に断るのも気が進みませんし)
向日葵(どうしたものでしょう。歳納先輩なら、櫻子と違って
無茶なことはしないと思いますが……)
京子「やっぱダメ……、かな?」
向日葵「>>20」
聞いてさしあげたいですわ」
京子「え! じゃ、じゃあ」
向日葵「ですが、お断りさせていただきます」
京子「えぇぇ、な、なんでー?」
向日葵「そ、それは……、イチャイチャするなんて、
どう考えても恥ずかしすぎるじゃありませんか……///」
京子「いやまあ、ちょっとは恥ずかしかったりするだろうけどさー。
いいじゃん! ね? ひまっちゃんとイチャイチャしたいんだよー」
向日葵(そ、そこまで私とイチャイチャしたいんですの……?
悪い気分ではありませんが……///)
向日葵「そういうことですので、失礼いたしますっ!」ダッ
京子「ひ、ひまっちゃーん!」
京子「……」
京子「フラれてしまった……。けっこうキツイねこれ」
京子「まだだ! まだちっぱいちゃんもいるし!」
京子「放課後アタックだ!」
京子(今日は早めにごらく部の活動を終了させたし、みんなもうまく先に帰らせたし)
京子(生徒会室の前で待っててもいいけど、ひまっちゃんにしつこいとか思われたらショックだから、
ちっぱいちゃんにはメールで呼び出したんだけど……、もうそろそろかな?)
櫻子「歳納京子ーッ! 先輩。お待たせしましたー」バンッ
京子「おお、来たね。ほら、座って座ってー」
櫻子「お願いってなんですか! もしかして、お昼に向日葵呼んだのはその件だったり?」
京子「お、鋭いね! いや、ひまっちゃんにはキッパリ断られちゃってさー」アハハ
櫻子「え! あいつ歳納先輩のお願い断ったんですか! なんてやつだまったく」プンスカ
京子「というわけで、お願いってのはさ」
櫻子「はい!」
京子「ちっぱいちゃんとイチャイチャさせてくれないかなー? ってことなんだけど」
櫻子「イチャイチャ……?」
京子「一日でいいんだよ! ね! お願い!」
櫻子(い、イチャイチャって、どんなこと///? 向日葵も断っちゃう内容ってこと?
ど、どうしよう……!)
櫻子「>>28」
京子「いいのっ! うわ、やったー!!」
櫻子「向日葵みたいなヘタレとは、ち、違いますから!」
櫻子「で、でもあんまり変なことしたら逃げちゃいますからね……?」
京子「おっけーおっけー! うわぁ、嬉しいなぁ、ちっぱいちゃんありがとー」ニコニコ
櫻子(……そんなに嬉しいんだ。えへへ、なんか私も嬉しくなってきたな)
櫻子「で、イチャイチャってどんなことするんです?」
京子「うーん、そうだなー。>>31とか、>>33とか?」
櫻子「映画見たり、ご飯食べたり……、え? それって……」
櫻子(で、デートって奴じゃないの///? 私そういうの詳しくないけど、あってるよね?)
京子「どう? これくらいなら逃げちゃったりしないでいいよね?」
櫻子「そ、それなら大丈夫です、けど」
京子「ん? けど、なに?」
櫻子「そ、その、それって、いわゆる『デート』ってやつなんじゃ」
京子「おお! そうだね、デートだなこりゃ!」
京子「ちっぱいちゃんとデートか! こりゃ楽しみになってきたぞ!」
櫻子「で、デート///」
京子「明日は土曜だし、ちょうどいいね。ちっぱいちゃん、明日空いてる?」
櫻子「え!? あ、はい、大丈夫です!」
京子「じゃ明日、駅で待ち合わせね!」
櫻子「は、はい! わかりました!!」
櫻子(で、デート、かぁ……///)
櫻子「なんとか遅刻しないで来れたな……。歳納先輩はまだ来てないのかな?」キョロキョロ
櫻子(……服とかおかしくないよね? ねーちゃんも似合ってるって言ってくれたし)
?「だーれだっ?」
櫻子「うわっ! え! なになに!?」ビクッ
?「誰だかわかるかなー?」
櫻子「あ……! と、歳納先輩!」
京子「へへ、あったりー。びっくりした?」
櫻子「び、びっくりしましたよー! いきなり目隠しなんて、もうっ!」
京子「隠れてた甲斐があって満足満足。あ、ちっぱいちゃん、その服似合ってる!」
櫻子「え! ほ、ほんとですか?///」
櫻子(嬉しいな……。でも心読まれたみたいでなんか恥ずい……///)
櫻子「そうだ。今日は映画見るんでしたっけ? どんな内容なんです?」
京子「うん、簡単に言うとね~。>>47」
櫻子「おっ! いいですね~、私そういうの大好き!」
京子「でしょー? 私も結構好きなんだよね~。んじゃ行こっか?」
【映画館】
櫻子「けっこう混んでるな。なんとか二人分の席取れてよかった」
京子「ちっぱいちゃーん。ほいこれ、ポップコーンと飲み物。オレンジジュースでいいよね?」
櫻子「え、あ、はい。……でもこれ」
京子「いいのいいの、私のおごりだから。
ちっぱいちゃんには今日一日付き合ってもらうわけだしさ」
京子「でもお昼は割り勘ね? さすがに中学生にはカッコつけるのも限界があるから」アハハ
櫻子「はい、ありがとうございます!」
櫻子(なんかカッコイイな……。二年生だとやっぱり違うのかな。
それとも、歳納先輩だからかな)
京子「お、始まったよ。注目注目」
・・・
京子(ちっぱいちゃん、夢中になって見てる。……かわいい)
京子(ここでなんかイチャつけないかな。……>>57とか?
おい
おまいが天才か
おっぱいを鷲掴みにしてあからさまにガッカリした顔をする、とか?)
京子(ってなんでだよ私! セクハラじゃん! その上ガッカリとかドSか!!)
京子(でもちっぱいちゃんがどんなリアクションするのか気になる……)
京子(一度思いついちゃったら、気になってしょうがなくなったぞ! ……困ったな)
京子(あー! でもなー! 変なことしたら逃げるって言われてるしなあ……)
京子(……)
京子(隣の席じゃ鷲掴みは無理だから無しとして、なんか適当な理由をつけて
偶然おっぱいを触っちゃって、がっかり顔を見せる……、ってプランで行くか!)
京子(ごめんちっぱいちゃん……!)
京子「えーっと、ポップコーンちょうだいね?」
京子(よし、ここで手探りで探すフリしてパイタッチだ!)ペタ
櫻子「あ……///」
京子(うお! 照れてる! 照れ顔かわいい……///)
ってニヤけてる場合じゃない! ガッカリ顔ガッカリ顔!)
京子「ご、ごめん……」ガックリ
櫻子のリアクションは? >>67
あっ、向日葵のおっぱい揉みに行きます?
櫻子(手に当たったおっぱいちっちゃかったからだったりして……。
いやいや、今の偶然っぽかったし、おっぱいとか関係ないない!)
櫻子(で、でもなんかおっぱいちっちゃいの恥ずかしくなってきた……)
京子「あ、あの、ちっぱいちゃん?」
櫻子「ちっぱい……」
櫻子「ち、ちっぱいで悪かったですね!
そんなに揉みたいならでかいの揉めばいいじゃないですか!」ムキィ!
櫻子「あっ、そうだ、向日葵のおっぱい揉みに行きます?」
京子「ちょ、どうしたのいきなり? 落ち着いて! それにここ映画館だし!!」アセアセ
京子(って私が悪いんだよね……)
京子「と、とりあえず出よう? 他のお客さんの迷惑になっちゃうし」
櫻子「……私、一人で帰れますから。先輩は最後まで見ていってください」グス
京子(涙ぐんでる……。しょうもない好奇心で私……)
京子「やだ! 今日はちっぱ……、櫻子ちゃんとデートするって決めてたんだから!
櫻子ちゃんが帰るなら私も帰る!!」
櫻子「歳納先輩……。>>78」
京子「……櫻子ちゃん?」
櫻子「……それじゃ帰ります」スッ
京子「あ……」
京子「……ごめんね」
【映画館の外】
櫻子(なにやってんだろ、私。いきなり怒り出して、
歳納先輩が引きとめてくれたのに勝手に一人で出て行って……)
櫻子(あんなに楽しみにしてくれてたのに、全部ブチ壊しにしちゃった……)
櫻子(バカだ……、私)
櫻子「うぅ……」グス
【映画館】
京子(怒って当たり前だよね……。胸のこともいつもひまっちゃんと言い合いするくらい
気にしてるのに、ガッカリ顔して反応を見たいなんて……)
京子(こう思い返すと……、あはは、我ながら最低だな)
京子(私のわがままを聞いてくれて、わざわざ休みに付き合ってくれたのに……)
京子(ごめんね……)
京子(最高の一日のはずが、最悪な一日になっちゃった……)トボトボ
京子「……」ハァ
?「おい」
京子「……」トボトボ
?「おいってば!!」グイッ
京子「うわっ! え、あ……、結衣」
結衣「なにしょぼくれて歩いてるんだよ。タメ息までついて」
京子「いやー、あはは、ちょっとやらかしちゃいましてー」
結衣「……ちょっとどころじゃないだろ。空元気丸出しじゃんか。
そこの公園で聞いてやるから話してみなよ」
【公園】
結衣「なるほどなぁ。そりゃお前が悪いな」
京子「……ごもっともですはい」
結衣「で、どうするんだ?」
京子「え? どうするって?」
結衣「このままおしまいでいいのかって聞いてんの。お前そんなに諦めよかったか?」
結衣「本気で怒ってたんなら、まずやることはきまってるよな?」
京子「え?」
結衣「リベンジとか言う前に、何かあるだろ?」
京子「あ! 私、まだちゃんと謝ってない!
落ち込んでる場合じゃなかった……」
結衣「どれだけ動揺してるんだよ。お前そういうところキッチリしてるだろうに」アハハ
京子「ちょ、笑うなよ!」
結衣「悪い悪い。そんなにテンパってる京子見るの久しぶりだったからさ」
京子「ったくもう」プンスカ
結衣「ふふ。……じゃ私行くね、夕飯の買出しするとこだったんだよ」
京子「……ありがと、結衣」
結衣「どういたしまして」ニコ
・・・
京子「よっし! まずはちゃんと謝る! くよくよしててもしかたないもんね!」
京子「謝り方は……>>102だ!」
綾乃レベルというのが京子の中でどれくらいなのかは知らんけど
かなり高い
京子「……お詫びになるかわからないけど、気持ちを込めるならラムレーズン以外ない!」
京子「櫻子ちゃんちってどこだっけ? あかりに聞くか……」
【櫻子の部屋】
櫻子(昼寝して頭スッキリさせたいのに、もやもやして眠れない……)
櫻子「あー、もー! こんなの全然私らしくないじゃん!!」
櫻子「……らしくなさすぎて、どうしていいかわかんない」
櫻子「……向日葵に聞くのもシャクだしなぁ」
櫻子「……」
櫻子「……歳納先輩」
コンコン
花子「櫻子起きてる? お客さんだし」
櫻子「へ? 誰? 向日葵じゃないよね?」
花子「としのーさんて人だし」
櫻子「え? と、歳納先輩!?」ガバッ
櫻子(……なんの用だろ。お、怒ってるかな?)
櫻子「こ、こんにちは……」
京子「こんにちは、櫻子ちゃん。突然来ちゃってごめんね?」
櫻子(あれ? 怒ってない?)
京子「え、えっとさ……。その、なんていうか」
京子「今日、映画館で酷いことしちゃったのに、ちゃんと謝ってなかったな、って」
京子「だからごめんなさいっ! あとこれお詫びのアイス!
私が一番大好きな奴なんだ。よかったら、食べてほしいな」
櫻子「あ、ありがとうございます……」
櫻子「でも、あの、歳納先輩なにかしましたっけ?
私が勘違いして勝手に怒り出しちゃったハズですけど……」
京子「え? だってほら、偶然のフリして櫻子ちゃんのおっぱいタッチしたでしょ?
で、わざとガッカリした顔見せてって……あれ?」
京子(全部バラす必要あったか? い、いやいや謝るなら徹底的にしなきゃ)
櫻子「そ、それじゃ私の勘違いじゃなかったってことですかー!?」
櫻子(あはは……なんか、なんか気が抜けちゃった)
櫻子「>>117」
京子「え? 何を?」
櫻子「ですから先輩のおっぱいです」
京子「ちょ、ちょっと待って! なんでそうなるの!?」
櫻子「だって偶然じゃなくて悪ふざけで私の触ったんなら、
触り返してチャラってことにできるじゃないですか」
京子「た、たしかに……。よしわかった! 思う存分触っていいよ!!」ズイ
京子(と胸を張ってみたものの……、触ってもらうの待機するって、
すっごい恥ずかしいんだけど!)
櫻子「ぺったりタッチでよかったんですけど……。
でもせっかくだから、思う存分触らせてもらいますね!」
京子「お、おう!」ドキドキ
櫻子「で、では……」ゴクリ
フニ
京子「ん///」
櫻子「え///」ドキ
京子(やば、変な声が。緊張してたから……、は、恥ずかしい)
櫻子(もっと触ったらどうなるんだろ)
フニフニフニフニフニフニフニフニ
京子「……っ///」
櫻子(……なんにも言わないなぁ。でも顔赤らめてかわいい///)
京子(よ、よかったぁ。櫻子ちゃん揉みまくってるけど、
本当にただ揉みまくってるだけだから大丈夫だ)ホッ
フニフニフニフニフニフニフニフニフニフニフニフニフニフニ
京子「も、もういいんじゃないかな?///」
櫻子「え? あ、ああ、そうですね!///」
櫻子(いけない、ついつい夢中に……///
でも、歳納先輩も無さそうで、さすがに私よりは確実にあったなぁ)
京子「ふぅ……、これで許して貰えたのかな?」エヘヘ
櫻子「そ、そうですね。これで、おあいこですし。それに、私もあんなに怒ってごめんなさい……」
京子「よかった! そ、それでね? よかったら、また今度でいいから、
いっしょに遊びにいったりしない?」
櫻子「>>132」
京子「うん!」
櫻子(嬉しい。映画館でわめくような怒り方したのに、また誘ってくれるんだ……)
櫻子(でも……)
櫻子「ごめんなさい。お断り……、します」
京子「え!? やっぱり、まだ怒ってるの?」
櫻子「違うんです。私にはデートなんてまだ早いってことが分かったっていうか」
櫻子(今日だけでも自分らしくない自分に戸惑ったりしたのに、
またデートとかしたらどんな迷惑をかけるかわかんないし、……怖い)
京子「……そっか」
京子「残念だけど、でも、櫻子ちゃんと仲直りできただけですっごい嬉しいよ」ニコ
京子「またみんなで遊ぶ時もあるだろうから、その時は仲良くしてね!」エヘヘ
櫻子「歳納先輩……」
京子「それじゃまたね! お邪魔しましたー。
あ、ラムレーズンは溶けやすいから気をつけてね?」
櫻子「あ……。さ、さようなら……」
京子「よかった、ちゃんと許して貰えて、仲直りできて!」
京子「でも残念だったなー、デート断られちゃった」
京子「ま、当然っちゃ当然だよね。デートでいきなりおっぱいさわるとかないわー」
京子「あーあ、次が無いとしても、せめて今日一日は楽しみたかったなぁ」
京子「……」
京子「……」ウル
京子「おっと、なに涙腺緩んでんだ私。映画の余韻かな? ってアクションかあれは」
京子「そもそも誰かとイチャつきたかっただけなんだから、
櫻子ちゃんじゃ無くったって」
京子「無くたって……」
京子「……」
京子「やっぱり櫻子ちゃんじゃなきゃ嫌だ……」
京子「……これって、好きになっちゃったってこと、なのかな?
だとしたらチョロいな私……」
京子「あー、もう! はぁ、気付かなきゃよかったな……。明日からどうしよ?」
京子「>>148とか?」
向日葵でいいんだよね?
いや書き間違いじゃなきゃいいんだ
京子「って、デートには誘ったことないか」アハハ
京子「櫻子ちゃんにはすでに振られたようなものだしなぁ……」
京子「好きになってたの気付く前に振られてるとか、笑えるなぁ……」アハハ
京子「新しい恋に目覚めればきっと失恋の痛みも消えるってもんよ!」
京子「……」
京子「だいじょぶだいじょぶ、間違いないって! よし、決まり!」
京子「さて、明日は日曜だけど、どうやってデートに誘おっかなぁ」
京子「今夜、電話で? 明日会いに行く? 週明け学校もありかな。
どうやって誘うかも迷うよなぁ……」
京子「うーん、決めた! >>163」
京子「たしか櫻子ちゃんの隣だったもんね」
京子「善は急げよ!」ダダッ
【古谷家】
ピンポーン
向日葵「あら、お客さんかしら。はーい」
【玄関】
京子「やあ、ひまっちゃん、元気~?」
向日葵「と、歳納先輩? どうしてここに?」
京子「ひまっちゃんに会いに来たんだよん」
向日葵「は、はぁ、そうでしたの……。それでご用件は?」
京子(さすがにちょっと引いてるか? くじけないくじけない!)
京子「ひまっちゃんとデートとかしたいなぁって。明日とかどう?」
向日葵「またいきなりですわね……」
京子「ごめんね☆」
向日葵(さて、どうしたものでしょう……)
向日葵「>>172」
あーあ
京子「楓ちゃん?」
向日葵「私くの妹です。楓ー、ちょっといらっしゃい」
楓「はーい、どうしたのお姉ちゃん」トテトテトテ
向日葵「楓、お客様よ? ご挨拶なさい」
楓「あ! はじめまして! 古谷楓です!」
京子「おー、いい挨拶だねぇ、歳納京子だよん、よろしくね!」ナデナデ
楓「えへへ、なでなでしてもらっちゃったの」
京子「で、この楓ちゃんとならデートOKって?」
向日葵「はい、そのとおりです」ニコ
京子「ねーねー、楓ちゃん。明日、京子お姉ちゃんと二人で遊びに行かない?」
向日葵(え! 楓でもいいんですの!? てっきり断るとばかり……)
楓「えっと、行きたいの!」
向日葵「か、楓!?」アセ
楓「でも、京子お姉ちゃんのことよく知らないから、
お姉ちゃんと櫻子お姉ちゃんもいっしょがいいの」
楓「お姉ちゃん、ダメ?」
向日葵「う……、と、とりあえず櫻子に聞いてみましょうか」
楓「いっしょに行けるといいなあ」
【櫻子の部屋】
櫻子「あれ、携帯鳴ってる……。向日葵からか」ピッ
櫻子「もしもし、なにー?」
向日葵「あ、櫻子。カクカクシカジカでいっしょにお出かけなお話になってしまいまして……」
櫻子「えっ! 歳納先輩が……」
櫻子(あの後、すぐ向日葵んち行ったのかな?
そういえば、最初は向日葵にお願いしたって言ってたもんね……)
櫻子(……なんかまたもやもやする)
向日葵「櫻子? 聞いてますの?」
櫻子「あ、悪い悪い。で、なんだっけ?」
向日葵「あなたが行けるかどうかって話ですわよ。どうなの?」
櫻子「えーっとねぇ……、>>183」
櫻子(……歳納先輩とは、なんとなく顔を合わせづらい)
向日葵「行けるのに行かないんですの?
まあ、無理強いするつもりはありませんから、かまいませんけど」
向日葵「歳納先輩にはそう伝えておきますわね。それでは」ピッ
櫻子「あ! ちょっと待……、切れちゃった」
櫻子「ああー、やっぱり行くって言っとけばよかった! ……気がする」
櫻子「後で向日葵にどこ行くか聞くか……。
楓が無事、楽しんでるか気になるから、遠くから監視しなきゃね!」
【古谷家玄関】
向日葵「櫻子は行けないそうですわ」
楓「えー! がっかりなの……」
京子「まあまあ、三人でもいいじゃん。ね?」
楓「はいなの! 」
向日葵「やっぱり行くんですのね……。まあそれならそれで、楽しみましょうか」
向日葵「それで、どこへ行きましょうか」
京子「>>188」 楓「>>190」 向日葵「>>192」
向日葵「え? 櫻子の家、ですの?」
京子「あ、いや櫻子ちゃんちに行って説得しよっかなぁ、なんて」アハハ
京子(ボーっとしてたら脳内垂れ流しになってたっぽい……)
向日葵「おそらく無理だと思いますわ」
向日葵(行けるのに行かない、なんて言うくらいですから……)
楓「楓は本屋さん行きたいの!」
京子「本屋さんか、いいねぇ。お姉ちゃんも大好きだよ」
向日葵「でも、遊びに行く場所としてはどうなんでしょう」
向日葵「サファリパークなんてどうです? 楓も動物好きですし」
京子「いいけど、うちらだけで行くにはハードル高くない?
動物好きなら、動物園とかはどうだろ?」
楓「わーい、動物園!」
向日葵「楓も喜んでいるようですし、動物園にしましょうか」
京子「じゃあ楓ちゃんの案も含めて、行きに本屋さん行って、その後動物園に行くと」
向日葵「ふふ。ちゃんと楓の話も聞いてくださってるんですのね」
京子「さて着いたぞ~。楓ちゃんもおとなしく電車乗ってて偉かったね」ナデナデ
楓「えへへ。買ってもらったご本が楽しかったの」
向日葵「天気もいいですし、混み具合も程々で快適ですわね」
京子「どこ見よっか、楓ちゃん」
楓「えっとねぇ、熊さん見たいの!」
向日葵「えっと、パンフレットによると熊は……、あっちですわ」
櫻子(場所聞き出して、着いてきたのはいいけど、……なんか、いい感じじゃね?)コソコソ
櫻子(き、気にしたら負け! よし、尾行尾行)
【熊のオリ】
楓「わー、熊さんおっきいね!」
京子「あっちの熊、すごいだらけてるよ、オッサンみたい」アハハ
向日葵「ふふ、楽しそうですわね。カメラで二人を撮ってあげましょうか」
櫻子(うぅ、私も熊近くで見たい! 帽子とかサングラスしてるから
ちょっとくらい近づいてもバレ無いよね?)コソコソ
向日葵「カメラに気付かせないほうが自然な表情になりそうですわね……、あら?」
櫻子、向日葵に気付かれた? >>197
向日葵「気のせいですわね。あ、いい表情ですわ!」カシャ
楓「次はライオンさん見たいの」タッタッタ
京子「いいねえ~、ライオン。かっこいいもんね!」ガオー
向日葵「ほらほら、二人とも走ったら危ないですわよ」
櫻子「おぉー、以外と本物の熊もかわいい! 背中に乗ってみたいなぁ」ワクワク
櫻子「……あれ? みんなは?」
櫻子「やばっ、はぐれた!? ま、待ってー」
【1時間後】
京子「楓ちゃんもひまっちゃんも、のど渇いたんじゃない?
私買ってくるから何がいい?」
向日葵「先輩に行かせるわけには行きませんわ、私が」
京子「いいっていいって、自分の分買うついでだから」
向日葵「そ、そうですか? すみません。それではお茶とファンチオレンジをお願いします」
京子「オッケー、お茶とファンチね」
【自販機前】
櫻子「みんなとはぐれるし、財布は落とすし……、もう最悪だよ」グス
櫻子「うぅ、なんてみじめな……。来なきゃよかった」
櫻子「しかも無いし! うぅ……、どうしよう」
京子「お茶にファンチ、お茶にファンチ」
京子「うわ、自販機の下に手ぇつっこんでる人がいる。
……これじゃ買えないじゃん。って、あれ?」
京子「……もしかしてあれ、櫻子ちゃん?」
櫻子「うぅ……」グス
京子「櫻子ちゃん?」
櫻子「えっ!?」ビクッ
京子「やっぱり櫻子ちゃんだ。どうしたのこんなところで」
櫻子「え、あ、いや、わ、私は櫻子なんて人じゃアリマセーン」
京子「ぶふっ、なにそれ。外人のつもり?」
櫻子「う……、うぅぅ、うわあぁぁぁぁぁん、歳納せんぱーい!!」ポロポロ
京子「あらら、どしたの。変なカッコして何か訳アリっぽいけど」
櫻子「>>203」
京子「え! あ、その、だって……」タジ
櫻子「き、昨日は私とデートしたのに……、その後もまた誘ってくれたのに……!」
櫻子「別に私じゃなくっても……、よかったんですか?」グス
京子「私だって! 私だって、櫻子ちゃんじゃなきゃ嫌だったけど……」
京子「櫻子ちゃん、断ったじゃん」
櫻子「……そ、それは、そうですけど」
京子「最初はね、誰かとイチャイチャしたかっただけだったんだよ?
でも、なんでだろうね。いつの間にか櫻子ちゃんとだけイチャつきたくなってて」
京子「それに気付いたのが昨日の帰り。
櫻子ちゃんに嫌な思いさせちゃった後でさ、次のデートも断られちゃってたし」
京子「こりゃ仲直りしてもらえただけラッキーかなって」
京子「櫻子ちゃんのこと、その……、好き、かもって気付いた時には、
もう振られてたってわかって……」
櫻子「え……、好き?」
京子「くよくよするのも嫌だし、また誰かを好きになれたら、
振られたことも忘れられるかなって」
うわ、恥ずかし! 忘れて忘れて!」
京子「こほん……。私が聞きたかったのは、そんなカッコで
自販機の下に手をつっこんでる現状なの。困ってるんじゃないの?」
櫻子「だ、だからそれは……、えっと、歳納先輩が
向日葵たちとデートするっていうから……」
櫻子「気になってついてきちゃったんじゃないですか!!」
京子「え、だって、今日は来れないってひまっちゃんが」
櫻子「行きたかったけど……、行きたかったですけど!
デート断っちゃったから、会いづらかったし……」
櫻子「なによりも、もし歳納先輩が向日葵と仲良く楽しそうにしてるところ、
ずっと見せられたらって思ったら私、胸がもやもやして……」
櫻子「だから行かないって……」グス
京子「櫻子ちゃん……」
櫻子「ねえ先輩……、さっき私のこと、その……、す、好きって」
京子「え? う、うん。たぶん、間違いないと思う……///」
櫻子「今は、今はどうなんですか?
さっき、誰かを好きになれたら忘れられるって言ってましたけど、
もう、ひ、向日葵を好きになっちゃって……、忘れちゃったり……」
京子「ひまっちゃんも好きだけど……、櫻子ちゃんが一番好き!」
京子「……だと思う」
櫻子「嬉しいですけど……、なんですかその煮え切らない感じは!」
櫻子「ていうか、やっぱり向日葵も好きなんですね……」
京子「だ、だってしょうがないじゃん! 私も恋とかそういう方向で
誰か好きになったことないんだもん!」
京子「櫻子ちゃんへの好きと、ひまっちゃんへの好きって、
きっと違うものだって思うけど、考えてもよくわからないんだもん……」
櫻子「……」
京子「……」
京さく「……」
【物陰】
向日葵「はぁ……、遅いと思って心配してきてみれば……。
あの二人、いつの間にあんな関係になってたのかしら」
向日葵「まったく……、世話が焼けますわね。
行きますわよ、楓」
楓「はいなの!」
楓「なの!」
京子「あ! ひ、ひまっちゃん……、これはその、あの……」アタフタ
櫻子「ひ、向日葵、こ、これはその、わ、私がね、先輩に絡んで、
足止めしちゃったから遅くなっちゃっただけで……」アタフタ
向日葵「言い訳は聞きたくありません。
……歳納先輩。あなたにはガッカリです。
飲み物ひとつ満足に買って来られないなんて、呆れ果てましたわ」
京子「う……」
櫻子「ちょ、ちょっと向日葵? それ言いすぎじゃない!?
先輩は私が困ってそうだから話しかけてくれただけなんだよ!
私が勝手にまくしたてて、買うに買えなかっただけなんだから!」
櫻子「それにあんた何様? 先輩をパシリみたいに使って!
そんなだからおっぱいでかい奴はダメなんだよ!」
向日葵「……やけにムキになって庇いますわね、櫻子」ジッ
櫻子「な、なんだよ、悪いかよ……!」
向日葵「そんなに先輩が大切なら、もっと素直になりなさいな」ニコ
櫻子「え……?」
京子「ひまっちゃん……」
向日葵「ふふ、意地っ張りで気まぐれな子ですけど、根は優しくていい子ですのよ。
手を焼くことも少なくないと思いますが、よろしくお願いしますね?」
櫻子「な、なんだよ、保護者ヅラして! 恥ずかしいじゃんか」
向日葵「うるさいわね、あなたがしっかりしないから、
焼きたくもないおせっかいを焼いてるんでしょうが……」ハァ
楓「お姉ちゃん、虎さん見に行きたいの!」グイグイ
向日葵「はいはい、行きましょうね」
向日葵「というわけで、ここからは姉妹水入らずで楽しみますので、
これで失礼いたします」
楓「バイバイなの!」
向日葵「歳納先輩、失礼なことを言って申し訳ありませんでした」ペコリ
京子「ううん! ありがとう、ひまっちゃん!」
向日葵「あ、けっきょく飲み物を買い忘れてしまいましたわ。
私も人のこと言えませんわね……、ふふ」
向日葵「……」
楓「……お姉ちゃん、なんか寂しそうなの」
向日葵「そんなことないわよ。ほら、もうすぐ虎さんよ?」
向日葵(寂しそう……か)
向日葵(櫻子が離れていったせいか、歳納先輩を振ったせいか……。
どっちなのかしら……)
向日葵(両方なのかもしれないわね……)
楓「お姉ちゃんには楓がいるの!」ギュ
向日葵「……楓?」
楓「だから、絶対に寂しくなんかさせないの! 約束なの!!」ギュウ
向日葵「ふふ……、頼もしいわね。それじゃ約束ね?」
楓「うん!」ニコッ
・・・
京子「行っちゃったね」
櫻子「あ、あの! 向日葵って、あんなこと言うような奴じゃないんです!
いつも礼儀正しくて、失礼なことなんて絶対言ったりしない奴なんです!!」
京子「ふふ……。うん、わかってるよ」
京子「グダグダな私たちを見て、きっともどかしくなっちゃったんだろうね。
だから悪者みたいなマネをしてまで、私たちの背中を押してくれたんだと思う」
京子「だからね……」
京子「ひまっちゃんに恥ずかしくない自分でいたいから……、言うね?」
京子「櫻子ちゃん……、好きです」
京子「私と、その……、お、お付き合いしてください!」
櫻子「……!」ウル
櫻子「はい!!」
櫻子「私も好きです! きっと誰よりも大好き!!」ギュウ
京子「あんまり腕にしがみつかれると探せないよー」ガサゴソ
櫻子「そ、そうですね、スミマセン」シュン
京子「あ、怒ってるんじゃないからね? ただ財布を捜しつらいなぁって」アセアセ
櫻子「でも先輩と出会わなかったらどうしようかと思いましたよー。
帰りの電車賃も無いし、公衆電話もかけられないし。
最悪迷子センターとかに行くハメになるんじゃないかと……」
京子「ああ……、だから自販機の下漁ってたのか……。
ってあれ? それじゃ携帯も無くしたの!?」
櫻子「いえありますよ? ほら」スッ
京子「え……、じゃあそれで家にかけたらよかったんじゃ?」
櫻子「あ」
櫻子「すっかり全部なくした気になってました~」テヘペロ
京子「あはは」
京子(ひまっちゃんの言うとおり苦労しそうだなぁ)
京子「……でも、それでよかったのかもね」
櫻子「? なんでです?」
京子「お互いの気持ちをぶつけることができて」
京子「……恋人同士に、なれたわけだし///」
櫻子「そ、そうですね……、えへへ///」ギュ
櫻子「でも、私の早とちりも役に立つこともあるんですねー。
なおさなくってもいいかな?」
京子「う、うん。それはどうかなぁ?」アハハ
櫻子「だいじょぶですよ! だって先輩がいてくれるんだもん!」ニコッ
京子「……」
京子「ふふっ、まったくもう」
京子「かなわないなー、櫻子ちゃんには」
京子「そうだね。これからはずっといっしょだからだいじょぶ、だね」
櫻子「はい!」
櫻子「これからは思う存分、先輩にイチャつかせてあげますからねっ」ギュ
京子「あははっ! うん、期待してる!」ギュ
おわり
安価とってもらえる時間帯で終わらせたいんだけど
トロくてできないことが多くて申し訳ない
付き合ってくれた人ありがとう
Entry ⇒ 2012.08.14 | Category ⇒ ゆるゆりSS | Comments (0) | Trackbacks (0)
竜華「怜ー、しりとりしよ?」
怜(せっかく膝枕気持よくて眠れそうやったのに…)
怜「いや、寝るだけやもんって…」
竜華「とにかく暇やの!しりとり!…な?」
怜「え‥まぁ、ええけど…」
怜(なんでそんな必死なんやろ…)
怜「んー、山手線ゲームとしりとり足した感じやな」
怜(なんやろ、普段よっぽど寂しかったんかな。哀れなほど喜んでる…)
竜華「じゃあうちからやで!」ウキウキ
怜「…」
竜華「んー、………あ、『牌』!怜、次『い』やでー」ウキウキ
怜「…」
怜(うわぁ…寝てたかった…)
怜(い、一向聴…は『ん』で終わるし…)
怜(一筒…も『ん』で終わる…)
怜「…」
怜(あかん、これ楽しない…)
竜華「この場合うちは『そ』からなん?『う』からなん?」
怜「え、いや、そうやな、『う』からなんちゃう?」
怜(正直どうでもええわ…)グテー
怜(竜華って普段何して遊んでんねんやろ…)
怜(中学の時から麻雀ばっかやったからなぁ)
怜(うちとも部や麻雀のことばっか喋ってたし…)
怜(やから言うて麻雀しりとり誘うんはどうかと思うけど)
怜「なぁ、竜華」
竜華「どないしたん、怜。次『う』からやで!」ウキウキ
怜「いや、遊ぶんはええねんけど、別のことせーへん?」
怜(正直びっくりするほど麻雀としりとりが合わへん)
怜「それしりとり以上に不毛や。牌の種類言い合うゲームになってまう」
怜(と言うか、麻雀縛りは絶対なんやな…。ま、竜華らしいけども)クスッ
怜「竜華はほんま麻雀一筋やなー」
竜華「えー、でも怜と打ててるから楽しいんやでー?」ニコッ
怜(…なんや顔熱なってきた)
怜「」クルッ
竜華「ちょ、なに人の膝の上で寝返りうってんのー」
竜華(あーあ、怜寝るきやな、これ)
怜(にしても、まさかようわからん麻雀しりとり持ち出すほど暇やったとはな…)
竜華(んー、やっぱり麻雀しりとりはあかんかったかな。セーラはええ言うてくれたのに)
怜(ん、膝枕させてもろてるわけやし、次はうちから竜華誘って遊ぼかな)
怜・竜華(んー、何やったら喜ぶかな。あの子、いまいち掴みどころあらへんし)
怜・竜華(……おやすみ)
おわり
脳内でしりとりやってみたけど見事な「う」地獄だった
Entry ⇒ 2012.08.14 | Category ⇒ 咲-Saki-SS | Comments (0) | Trackbacks (0)
ほむら「ついに完成したわ」
ほむら「まどかとの約束を果たすために試行錯誤を繰り返し、このループを終わらせるために作った私の秘密兵器」
ほむら「その名も!」
ほむら「まどかロボ!!」デデーン
マドカ「ホムラチャン! ティヒヒ!」ズバーン
ほむら「ふふふ。あなたさえいればワルプルギスも怖くない」
ほむら「さあいくわよ! マドカ! そしてまどかを救うのよ!」ダダーン
マドカ「ホムラチャン! ホムラチャン!」
第一話 マドカ大地に立つ
ほむら「暁美ほむらですよろしく」
さやか「うっわ、すごい美人」
マドカ「ホムラチャン! ホムラチャン! ティヒヒ!」
さやか「なにまどか知り合い?」
マドカ「サヤカチャン! ティヒヒ!」
さやか「へー、昨日知り合いになったんだ。で、その子がこの学校に転校してきたと。すごい偶然じゃん」
マドカ「グウゼン! グウゼン! ティヒヒ!」
ほむら(ふふふ。うまくいっているようね)
ほむら「さて、まずやることは本物のまどかとこのマドカを入れ替えることね」
ほむら「思えば私がどれだけ手を尽くしてもまどかはワルプルギス前に契約してしまう。
ならワルプルギスを越えるまでまどかを監禁してしまえばいいのよね」
ほむら「でも、人が一人消えたら大騒ぎになってしまう。だからこのマドカを代わりに置けば……」
ほむら(計画通りみんなあのマドカをまどかとして受け入れてくれているようね)
ほむら(さすがは私の作ったマドカだわ)
まどか「こんなの絶対おかしいよ!」ババーン
ほむら「!」
ほむら「ま、まどか! 大人しくするって約束じゃない!」
ほむら「さて寝てるまどかを時を止めて自宅に連れ込んだわけだけど」
ほむら「さすがにずっと監禁するのは難しいわね」
ほむら「だから魔法でまどかを小さくしましょう」
ほむら「これならそうそう見つかることもないし、見つかってもイノベイド的ななにかだと思ってくれるわ」
ほむら(あの後起きたまどかに事情を説明して納得してもらえたわ。
だけど、さすがにロボットが代わりじゃ不備が出るということでサポートの意味を込めて一緒に行動することになったのだけど……)
ほむら「ほら大人しく私のポケットでおとなしくしていて」
まどか「だってなんでみんな普通なの!? 明らかにおかしいよ! だってあのまどかロボ」
まどか「頭にアンテナついてるんだよ!」ババーン
マドカ「エイセイヨリデータジュシン エイセイヨリデータジュシン」ミョインミョイン
ほむら「それは、衛星からのデータを取り入れるために付けたから」
まどか「なんのために!?」
ほむら「明日のお天気とか気になるし……」
まどか「ニュース見ようよ!」
第二話 とべ! マドカ!
さやか「なんなのまどか! 私達悪い夢でもみてるの!?」ババーン
マドカ「サヤカチャン! サヤカチャン!」
使い魔「けけけ」デデーン
ドン!
マミ「危ないところだったわね。でももう大丈夫」ヌバオーン
マドカ「マミサン! マミサン!」
使い魔「けけけ」
マミ「あら? あなた私のこと知ってるの? まあいいわ。でも先にひとしごt」
ドカ―――――ン!!
マドカ「機体のクールダウンを開始。放熱」プシュー
マミ「」
さやか「まどかやるじゃん! いつの間にそんなことが出来るようになったの!?」ババーン
マドカ「ティヒヒ! ティヒヒ!」
ほむら「さすがはマドカだわ! 並の使い魔じゃ相手にならない!」
まどか「待って待って待って!! あれなに!!」
ほむら「荷電粒子砲よ」ババーン
まどか「そうじゃなくてあんなの人は撃てないよ!!」
ほむら「なにを言ってるのマドカはゾイドコアを持った生体ロボよ。撃てるに決まってるわ」ババーン
まどか「じゃなくて!!」
ほむら「おかしなまどか」ホムゥ
まどか「おかしいのはほむらちゃんだよ!!」
第三話 堕ちたマミ めざめよと呼ぶ声あり
マミ「もうなにも怖くない! だって私、一人ぼっちじゃないもの!!」
シャル「あーん」
マミ「あ、」グチャ
さやか「マミさーん!!!」ババーン
マドカ「マミサン! マミサン!」
QB「まどか! さやか! 急いで僕と契約をするんだ! じゃないと!!」
マドカ「システムイド解放。人命の保護を最優先に敵の排除を決行」
マドカ「武技龍舞」
シャル「ぐわあああああ」
さやか「まどかすごーい! マミさんを食べた魔女を瞬殺だ!」ババーン
QB「」
マドカ「リペア開始」ガガガガ
マドカ「修復成功。対象の蘇生を確認」
マミR「ティロフィナーレ! ティロフィナーレ!」ヌバーン
マドカ「マミサン! ティヒヒ!」
さやか「すっごーい! マミさん生き返った!!」ババーン
QB「」
ほむら「さすがだわマドカ! 魔女を倒すだけじゃなくてマミを救うなんて! 帰ったらお祝いね!」ヒャッホー
まどか「いやいやいや!! あれいいの!? マミさんの頭にマミさんの顔の頭乗せただけだよ! しかもあんまり似てないし!」
ほむら「問題ないわ。マミが無事ならそれでいい」ババーン
まどか「だから無事じゃないって!! あれ別物だって! っていうかソウルジェムも一緒に食べられたんだよ!?」
まどか「ほむらちゃん言ってたよね! ソウルジェムが壊れたらヤバいって!! 本体はソウルジェムだって!!」
ほむら「私はマミがどう変わろうとも受け入れる。それが仲間だもの」キリッ
まどか「いい感じのこと言ってるけど誤魔化されないからね!?」
第四話 アナタノオト
恭介「僕の腕は! 僕の腕は!」
さやか「奇跡も魔法もあるんだよ!」ババーン
恭介「!!」ズババーン
―その夜
マドカ「……」
恭介「ん……。誰?」
恭介「鹿目さん? どうしてこんな時間に病院に……」
マドカ「対象の損傷部位の修復を決行」
恭介「え? どうしたのなにそのよくわからない変なの……」
マドカ「インプラント開始」
恭介「え? ……え?」
あああああぁぁぁぁ――――――……。
マドカ「カミジョウクン! ゲンキ! ティヒヒ!!」
QB「それが君の願いかい。さやか」
さやか「うん。どうしても叶えたいの」
さやか「今この願いを叶えないと、私、きっと後悔するから……」
QB「……」
さやか「だからお願いキュゥべぇ」
さやか「私を世界一の大金持ちにして!!」ババーン
第五話 皇女と魔女
―繁華街
まどか「大変だよほむらちゃん! 仁美ちゃんが!」
仁美「キマシタワー」
ほむら「安心しなさいまどか。マドカがなんとかするわ」
マドカ「ヒトミチャン! ヒトミチャン!」
まどか「なんとかするってどうやって!!」
ほむら「まぁ見てなさい」
仁美「キマシタワー」
マドカ「……鹿目まどかが命ずる」
マドカ「私の命令に従え!!」ピカーン!!
仁美「!!」ババーン
なんでもありやな
マドカ「……」
仁美「これからは私を駒としお使い下さい」ドゲザーン
マドカ「ヒトミチャン! オトモダチ! ティヒヒ!」
まどか「なにあれ」
ほむら「ギアスよ!」ババーン
まどか「なにそれ」
ほむら「相手を意のままに操ることができるわ!」ババーン
まどか「あの子ロボだよね」
ほむら「そうよ!」ババーン
まどか「……」
ほむら「さすがはマドカね!」ババーン
さやか「ヒャッハーーー!!!! お金ってサイコー!!」サヤカーン
破産したおっさん等「さやか様ー!! どうか私たちをお救いくださいー!!」
さやか「よかろう! いくらほしい!!」サヤカーン
おっさん「一億程!!」
さやか「はっはっは。よかろうよかろう。ではこの小切手に……」サラサラ
さやか「おっと間違えてゼロを五つ増やしてしまったわ!! まあよかろう!! 誤差の範囲だ! 受け取れ!!」サヤカーン
おっさん「ありがたやー! ありがたやー!! 私ども一生さやか様についていきますー!!」ドゲザーン
ワーワー サヤカサマー サヤカオウジョー オウジョバンザーイ サヤカサマバンザーイ
さやか「はっはっはー! 皆の面倒はさやかちゃんに任せろー!!」サヤカーン
第六話 青色少女に『ときめき』
さやか「はっはっは!! お前も私に従うならば保護してやってもいいんだぞ!!」サヤカーン
杏子「ウゼェ!! 超ウゼェ!!!!!」
おっさん「さやか様が危険だ!! お守りしろ!!」
ワーワー サヤカサマー マモレー ココハオレニマカセテサキニイケ オウジョサマー
杏子「マジウゼェ!! ガチでウゼェ!!!!」
まどか「どうして? ねえ、どうして? 魔女じゃないのに。どうして味方同士で戦わなきゃならないの?」
ほむら「安心してまどか。マドカがなんとかするわ!」バーン
マミR「サクラサン!!」
杏子「なんだよ!! ってかお前マミか!? なんか随分雰囲気変わってねーか!?」
マミR「サクラサン! ティロフィナーレ! ティロフィナーレ!!」
杏子「はあ!? 意味わかんねーよ!! なに言ってんだよ!!!」
マミR「ティロ」カポ
マミR「フィナーレ!!」ブン!
杏子「いた!!?」ガン
ポト コロコロ……
杏子「……え?」
杏子(え、なにあれ。マミの頭がない……?)
杏子(っていうか投げた? 頭を取ってアタシに投げた? おでこいたい)
杏子(え、待って。頭って取れるの?)
杏子(でも、現に今、マミの頭はそこに転がってるわけだし……)
マミR「……」カポ
杏子(あ、今はめた。頭をはめた)
杏子(いやいやいや。頭って着脱可能なの?)
杏子(そんなわけないよね。だってアタシの頭取れないもん)グググ
杏子(ほら、取れないよ? 頭取れない)
杏子(でも、マミの頭取れる)
杏子(こわい)
杏子「てててて手札がまるで見えないとあああああああっちゃね。きょきょきょ今日のところはおおおおお降りさせてもらうよ」ガタガタ
マドカ「キョウコチャン!!」
ドカーーーーーーーーーーーーン!!!!!!!
杏子「ぴい!!」
杏子(え!? なに!!? 今のなに!!? アタシの横を変なレーザーみたいなのが通って!?)
マドカ「キョウコチャン!! オトモダチ!! イッショ!!」ガッシイィィン
杏子「ひいい!! こ、殺さないで!!!!」ガタガタ
マドカ「イッショ!! イッショ!!」
マミR「ティロフィナーレ!! ティロフィナーレ!!」カポッカポッ
杏子「ひ、ひいいいいいい!!!!!!?? 頭を着脱しながらこっちこないでよーー!!!!」ガタガタ
杏子「!! お願いします!! さやか様!!」ドキーン
さやか「かまわんかまわん!! はっはっはっは!!!!」サヤカーン
杏子「さやか様ーー!!!!」ドゲザーン
まどか「今のはなんて武器なの?」
ほむら「グラビティブラストよ!」ホムーン
ほむら「重力波を敵に叩きつけるわ!」ホムーン
まどか「ふーん。凄いね」
ほむら「ええ! さすがはマドカね!!」ホムーン
第七話 ウソのない世界
QB「だから魔法少女の本体はソウルジェムってわけさ」
QB「ついでに言えば魔女の正体は魔法少女ね」
QB「絶望したら魔女になる」
QB「そんだけ」
さやか「はっはっはっは!! なるほど!! ソウルジェムを餌にヒューマンフィッシングをしている最中に死んだのはそれが原因だったのね!」サヤカーン
さやか「はっはっは! 宝石に釣られる哀れな民を救ってやろうと思っていたけど、逆に私が掬われたというわけか!!」サヤカーン
さやか「これは一本取られたわ!! はっはっはっは!!!!」サヤカーン
さやか「はっはっはっは」
さやか「はっは……」
さやか「……」
さやか「それマジ?」
QB「マジ」
さやか「じゃあいつか私魔女になんじゃん」ガタガタ
QB「うん。そうだね」
さやか「やっべええええええ!!!!!!!」
さやか「魔女になったらお金使えないじゃん! 意味ないじゃん!! どうすんのよ!!」
QB「寄付とか」
さやか「はああ!!? 寄付してもどうせそのお金で家買われたりするだけでしょ!!」
さやか「そんな芸能人いるじゃん!!!!」
さやか「誰かは言わないけどさ!!」
QB「じゃあ頑張って魔女になる前に使い切るとかさ」
さやか「無理だよ!! いくらあると思ってるの!?」
QB「知らんよ」
さやか「うわあああああ!! どうしよう!! どうしよう!! 私ってホントバカ!!」
さやか「口車に乗せられたわー!! マジ口車に乗せられた!! 釣られたのは私じゃん!!」
さやか「くっそーー!!!!!!」
ほむら「くっ! 美樹さやか! あなたはなんて愚かなの!」
まどか「どうするの!!?」
ほむら「……それでも、それでもマドカならマドカならなんとかしてくれる!!」
まどか「あの子、いまチューニング中じゃなかったっけ?」
ほむら「あ」
さやか「くっそーーーーー!!!!!!」
杏子「さやか様!!」
さやか「杏子!!」
杏子「落ち着いてください!! さやか様にいなくなられてはアタシはどうすればいいのか!!」
さやか「杏子……」
杏子「ホームレスのアタシを拾ってくれた御恩を返す前にあなたに先立たれてはアタシは……」
さやか「杏子……。あんたそこまで私のことを……」
杏子「さやか様……」
さやか「杏子……」
さやか「ん?」
杏子(このままさやかの信頼を勝ち取ればいずれアタシがさやかの後継者……)
さやか「……」
杏子(そして遺産の全てはアタシのものに……)
さやか「おい」
杏子(ウソも方便ってね。学校で習ったよね?)
さやか「おいこら」
杏子「さやか様!! どうか気を確かに!! このままでは魔女に!!!!」
さやか「あんた私の財産が目当てかーー!!!!」
杏子「なぜそれを!!?」
さやか「全部聞こえてんだよ!!!! なにがウソも方便だ!! この小卒が!!!!」
杏子「ななななんで心が読まれて!!?」
ほむら「そうね」
まどか「なんで杏子ちゃんの心の声が私達に聞こえたの?」
ほむら「マドカのオーバースキルのおかげね」
まどか「へー。どんな技なの?」
ほむら「伝心よ」
まどか「チューニング中でも使えるんだね」
ほむら「マドカは優秀だから」
まどか「そっか。じゃ帰ろうか」
ほむら「ええ」
まどか「今日のご飯はなに?」
ほむら「マドカお手製クリームシチューよ」
まどか「わーい」
第八話 わたしたちは、恋していく
見滝原で暮らすほむらとまどか。まどかは以前から好意を持っていたほむらに告白、そのぎこちない交際は交換日記から始まり、二人は静かに愛を深めていく。
しかし、ある日、謎の「敵」に街が空襲される。
戦火から逃げるほむらが見たのは、腕を巨大な武器に変え、背から鋼鉄の羽根を生やし「最終兵器」と化して敵と戦うまどかの姿であった。
戦争が激化していくにつれ、まどかは力が暴走していき、肉体も精神も人間とは程遠いものとなっていく。
壊れていく世界。壊れていく愛。ほむらはまどかを連れて街を出るが……
メガほむ「まど……か……」ドクンドクン
まどか「ごめんなさいほむらちゃん」ドクンドクンドクン
まどか「私、こんな体になっちゃった……」ドクンドクンドクン
ほむら「その未来を変えるため、まどかをあの残酷な未来から救うため、私は魔法少女になりそして時間を遡った……」
ほむら「とかどうよ」
まどか「ねえよ」
第九話 星に願いを
ほむら「ついにこの日がきたわね……」
マドカ「ホムラチャン!! ティヒヒ!!」
ほむら「ええ。わかってるわ。この時間軸では誰も犠牲になっていない。
だからこそ、絶対に倒さないといけない」
ほむら「ワルプルギスの夜を!!!!」ババーン
ワルプルギス「キャハハハハハ」ズババーン
>ほむら「ええ。わかってるわ。この時間軸では誰も犠牲になっていない。
さやか「任せて! お金の力で自分を改造してパワーアップした私ならどんな奴にも負けない!!」サヤカーン
ワーワー サヤカサマー オウジョサマー オレコノタタカイガオワッタラケッコンスルンダ オメグミヲー サヤカサマバンザーイ
マミR「ティロフィナーレ!! ティロフィナーレ!!」マミーン
杏子「この戦いでうまくさやかを戦死させれば財産は私のものに……」キョウコーン
(ああ! みんなのために! 世界のために!! 力を貸すぜ!!)
さやか「杏子ーー!!!! あんたまだ私の財産を!!」
杏子「なななななんでばれたんだ!?」
仁美「マドカ様の敵は私の敵。今こそ志筑家総力を挙げて戦う時」ヒトミーン
キョウスケ「イキノコリタイ イキノコリタイ」キョウスケーン
マドカ「ホムラチャン!! ティヒヒ!!」
ほむら「アミダドライブ! セーットオン!!」ババーン
マドカ「!!」
まどか「アミダドライブってなに?」
ほむら「正直よくわからないわ!! 多分意思伝達用の装置かなにかだと思うのだけど。
色々と謎現象が起きるからよくわからないのよ!! 誰か説明してほしいわ!!」ホムーン
まどか「アネモネ可愛いよね」
ほむら「セミロングのエウレカにはやられたわ」
第十話 真(チェンジ!!)まどかロボ 世界最後の日
ワルプルギス「キャハハハハハ」
ほむら「どうして? ……どうしてなの? 何度やっても、アイツに勝てないっ」
さやか「」
杏子「」
マミR「」
仁美「」
キョウスケ「」
マドカ「ホムラチャン……」
ワルプルギス「アハハハハハハハハ」
まどか「ほむらちゃん……。キュゥべぇ」
QB「まどか、かい? なんでそんな姿に……」
まどか「説明している暇はないよ。お願いがあるの」
ほむら「!?」
ほむら「まどか……?」
ほむら「まどか……。まさか!」
まどか「ほむらちゃん、ごめんね。私、魔法少女になる」
ほむら「まどか…そんな…」
まどか「私、やっとわかったの。叶えたい願いごと見つけたの。だからそのために、この命を使うね」
ほむら「やめて! それじゃ……それじゃ私は、何のために……」
まどか「ホントにごめん」
まどか「そんな私が、やっと見つけ出した答えなの。信じて」
まどか「絶対に、今日までのほむらちゃんをm」クイクイ
まどか「え?」
マドカ「ダメ!! ダメ!!」
まどか「まどかロボ……」
マドカ「マホウショウジョダメ! ホムラチャン! カナシイ! ダメ!!」
まどか「うん。でもね。それしか方法がないんだよ? 私が魔法少女になるしか方法が……」
マドカ「ホウホウ! アル! マカセテ!!」
まどか「え……?」
ほむら「マドカ……?」
マドカ「ホムラチャン イイコ ナカナイデ?」
ほむら「マドカ……」
マドカ「ホムラチャン エガオ ウレシイ」
ほむら「マド……カ……? あなたいったいなにを言って……」
マドカ「ホムラチャン」
マドカ「バイバイ」
ほむら「!! あなたまさか!!!」
ワルプルギス「キャハハハハハ」
マドカ「ゲッタアアァァァ・シャアアアァァアァイン!!」キュピーン
ほむら「マドカ! やめて!! マドカ!! 今の両腕を失ってボロボロのあなたがその最終兵器を使えば耐えられないわ!!」
マドカ「真・シャイィイイィイイン スパァァァアアァク!!」キュピーンキュピーンキュピーン
ほむら「マドカァァァァァァ!!!!」
ワルプルギス「ああああああああああああああ」
マドカ「オープン・ゲット!!」
まどか「ワルプルギスが……」
QB「消えていく……」
第十一話 せめて、ロボらしく
マドカ「……」ボロ…ボロ
ほむら「マドカ! マドカ!!」
まどか「まどかロボが!!」
マドカ「ホムラチャン シアワセ ウレシイ…」ボロ…ボロ…
ほむら「マドカァ! マドカァ!」
まどか「ほむらちゃん!!」
マドカ「ミンナ シアワセ ウレシイ…」ボロ…ボロ…
ほむら「いかないでマドカ!! マドカァ!!」
まどか「あぁ!! まどかロボが光の中に……」
マドカ「任務内容。全ての魔法少女の救い。及び、宇宙のエネルギー問題の解消」
マドカ「全能力、エネルギーを放出。サイコフレームの共振。ゲッター線の増幅」
マドカ「全宇宙、及び全時間軸への対話の必要性あり。マドンタムバースト発動。アミダドライブのセットによりあらゆる個体への意思伝達を可能に」
マドカ「任務完了への予想時間。不明」
マドカ「現機体では任務の遂行は不可能と判断。作戦遂行の為。概念化へ」
マドカ「知恵の実と生命の実と融合。ロンギヌスの槍を用いコアを貫通」
マドカ「アンチATフィールドの増大を確認」
マドカ「これより全ての救済を開始する」
ほむら「ど、どういうこと!? 変身が解けて……」
QB「な、そんなバカな!!」
まどか「どうしたのキュゥべぇ」
QB「宇宙のエネルギーが大幅に増えている……。さらに魔法少女が普通の少女へと戻っているんだ」
まどか「まさか、あの子が……」
マドカ「ミンナ シアワセ ワタシ シアワセ…」スゥゥ…
ほむら「マドカァー!!」
最終話 わたしの、最高の友達
あの日。マドカによって起こされたサードインパクトにより。世界は変わった。
いや、あるべき世界へと戻ったというべきか。
サードインパクトにより、魔法少女という概念は無くなり、みんな普通の女の子へと戻った。
暁美ほむらは疑問に思っていたことを一つインキュベーターに尋ねた。
マドカはどうなったのかと。
QB「さあね。僕達にはわからないよ」
わからない。高度な文明を所有している彼等にもマドカがどのような存在になったのかはわからないという。
QB「でも、ただ、わかることがあるとすれば……」
彼女は今も君の幸せを願っているってことさ――。
らしくない。曖昧な言葉を使うインキュベーターに暁美ほむらは凄く驚いた。
だが、その言葉が納得できるものだったのか、彼女は笑って頷いた。
そして、マドカが身に着けていたリボンを撫で、そっと目を瞑る。
美樹さやか
彼女は普通の人間に戻った後、願いにより得た多額の財産を元にさやか王国を建国。
その王国の皇女として、世界統一の旗を掲げ日々その勢力を広げている。
巴マミ
彼女はその着脱可能な頭が噂になり、一躍有名人に。
そしてハリウッドへと進出。その独特な演技力により大成功を収め、今では全宇宙でその名を知らぬ者はいないトップスターになった。
佐倉杏子
さやかの懐刀としてさやかを支え、軍の最高位に据えられた彼女。
風聞ではさやかの後釜を狙っていると言われているがその真実は如何に。
志筑仁美
マドカの配下とし多くの実績をあげた彼女だが、マドカがいなくなったことにより一時廃人と化す。
だが、すぐに思い直しマドカ教なる新宗教を設立。その信者は世界の半分を占めているという。
上条恭介
特になし。
そして、暁美ほむらと鹿目まどかは――。
ほむら「待ってまどか、すぐに行くわ」
まどか「もー。もっと早く起きないから慌てることになるんだよ?」
ほむら「ごめんなさい。いつもはマドカが起こしてくれていたから」
まどか「そういえば毎日モーニングコールかかってきてたね」
ほむら「ええ、だから今の生活に慣れなくて……」
まどか「本当にしょうがないなー。じゃあこれからは私がほむらちゃんに毎朝電話するね?」
ほむら「え?」
まどか「だってほむらちゃんは私の最高の友達なんだもん」
ほむら「まどか……」
まどか「いこ! ほむらちゃん!」
ほむら「ええ!」
2人の顔を見てみると、満面の笑みが浮かんでいる。
その笑顔は普通の女の子の愛らしい笑顔で、とても辛く過酷な毎日を送ってきた人間のものとは思えない。
だけど、この笑顔こそが本来の彼女達の姿だ。
だって彼女達はまだ子供で、この先の未来を創る、この世界の宝なんだから。
これから先、彼女達には辛いこと、悲しいことがあるかもしれない。
でも、大丈夫。
彼女達ならきっとそれを乗り越えていける。
なぜなら彼女達には――
「ホムラチャン ミンナ シアワセ ティヒヒ!!」
ほむら「ええ、私は幸せよ。だから私達を見守っていてマドカ。そしていつか絶対に会いましょう」
彼女達の幸せを願う、最高の友達がいるのだから。
終わり。
乙
感動した
乙
イイハナシダナー
おもしろいよなキンゲ
乙とか合いの手とか付き合ってくれた人たちありがとう。
ガンプラの塗装がそろそろ乾くのでそっちに移るわ。
Entry ⇒ 2012.08.14 | Category ⇒ まどかマギカSS | Comments (2) | Trackbacks (0)
怜「ラオウ兄は、試合見に来んとってな」
ラオウ「バ・・バカな・・おれが・・・、このラオウが震えて・・・・・」
ケンシロウ「ラオウよ、家に帰るときがきたのだ」
ケンシロウ「ラオウ・・・俺が、代わりにトキの活躍を見て来よう。大人しく家に帰るのだ。」
怜(ラオウ兄、目立ちすぎやねん!!子供の頃から、恥ずかしい思いさせられるし。竜華やセーラ達に見られたら恥ずかしいちゅうねん)
竜華「怜、お疲れー。次は白糸台やな。気合入れて頑張ろやー」
怜「そやね。家族もテレビで応援してくれてるしな。いい所、見せたいな。」
セーラ「そーいや、怜には兄と弟が居るって噂やでな。どんな人なん?」
怜「えーと・・・、ちょっと私と違って、体が丈夫で・・・。あぁ、パチンコ屋とかで闘って・・・いや店員してるで。」
セーラ「へぇー、そうなんや。怜と同じで、体弱いんかと思ったわ(笑)」
竜華「私ら、長い付き合いやのに見た事ないもんなー。ちょっと、見てみたいなー」
セーラ「ははは、私ら高校生やん。そんな事あるわけないやん」
竜華「そうそう、うちら大阪人がびびる事なんか、そうそうないって」
怜「・・・まぁ、会う事もないやろ。セーラと竜華の家族は見に来てんの?」
セーラ「来てるでー。俺らが東京着く前から居たみたい(笑)ほら、あそこの差し入れのお菓子は竜華のお母さんからやで」
怜「おおー、おおきに。後で食べさして貰うわ」
怜「わかった」
ラオウ「女の情けは男にとって最大の屈辱!トキよ。俺を止めるのは、神でも止められぬ。ケンシロウが居ない内に・・・。ぬぅぅううぅぅぅぅぅん」
ケンシロウ「ラオウが居ない!!!!!!!」
ラオウ「フハハハ、何人も俺を止める事は出来ぬ。この拳王に無抵抗は武器にはならぬ!!」パカパカ
咲「あれ・・・、東京って馬が走ってるんだ・・・都会なのに・・・」
和「咲さん・・・、そんなオカルトありえるわけないじゃないですか。さぁ、電車に乗りますよ」
怜(兄ちゃん、ごめんやで。でも、麻雀人生で一番大切な死合になると思うんや・・・。集中したいんや。千里山を優勝の悲願に向けて)
怜「よろしゅう」
照「よろしく」
煌「すばらです」
玄「おまかせあれ!」
照「なに?千里山」
怜「対局前に聞きたい事あるんやけどいいか?」
照「いいよ」
怜「あんた、最近。星を見た事あるか?」
照「星はわりとよく見てる。昨日も見た」
怜「北斗七星の横に赤い星って見た事ある?」
照「は?北斗七星の横に星なんて聞いたことないけど・・・」
怜「そうか・・・見えてないんやな・・・。流石、帝王やな」
玄「あ、私、それ見た事ありますよー」
煌「私はないですねー。星はわりとキレイに見えるんですけどね、長野も福岡も」
怜「まぁ・・・、私も大阪立つ前に見えたわ・・・。でも私も 一人の雀士としてこの生をまっとうしたいねん」
怜「ほな・・・、死合開始と行こうか」
・
・
・
ラオウ「神に感謝せねばなるまい・・・わが妹をこれだけの舞台に送り出してくれたことを!!」
ラオウ「おっと・・・、ビデオの予備バッテリーも買わねば・・・。黒王号は駐輪所に置いて・・・。」
照「ツモ」
怜(来たな・・・。でも帝王の上がりの秘密はもう知ってるで・・・)
怜「私の麻雀を高めたのはチャンピオン!あなた自身の存在だ!!ダブル!!」
怜(流石にダブル使っても、安手は止められへんかったな・・・。まぁ、ドラが阿知賀が多分抱え込むから、マシな速度なんやろうけど)
照「ツモ」
怜(順調に連続和了しよるな・・・。しかし激流を制するのは静水ってなんかの漫画で見たな)
怜(今は・・・、静かに最少失点で待つのみやな)
怜(けど倒れてもうたら、元も子ないしな。ラオウ兄がおったら、乱入しかねへんな。全国ネットで園城寺家の恥さらす所やったわ。ってかケンシロウのファッションセンスもどうかと思うけどな)
怜(ユリアちゃんのために、大会終わったら私が東京のオシャレな店で服でも買ってあげんとな)
照「ツモ」
玄「まだ一度も聴牌も出来てない・・・」
咲「・・・東京の人って、肩にパットとかつけてるの?」
優希「流石、都会だじぇー。あんなの長野のユニクロじゃ売ってないじぇ」
和「すごい筋肉ムキムキですね・・・。」
って書くと北斗っぽい
怜「くっ・・・ダブル連発でも、何にも出来んかった・・・。新道寺と二人がかりでこれか・・・。チャンピオン予想以上や。これ以上 小細工をしかけるのは不可能・・・ならば次の後半こそ身を捨てた最後の一撃!!」
玄「」カタカタ
ラオウ「ぬうぅぅぅぅぅぅううぅぅぅぅ、しまった!もうトキの死合が始まってるではないか!レジが混んで・・・。急がねば・・・」
ケンシロウ「そこまでだ。ラオウ。貴様の野望はここでついえる」
ラオウ「ケンシロウ・・・。うぬ、どうしてもこの拳王の進軍を止めると言うか!退け!」
ケンシロウ「どうあっても、退けぬ。妹の願い」
ラオウ「ならば、力づくで退かせるまで。ぬうぅぅううぅぅぅぅ。」ゴーショーハ
ケンシロウ「ラオウ、次はキックをするつもりだろうが・・・。俺に通じぬ」
ラオウ「むぅ!?まさか一巡先・・・。その先読みは、怜!?」
ケンシロウ「ラオウ・・・、しばらく寝てもらうぞ」アタ、アタタ
ラオウ「迷いも見えぬ!!怯えも見えぬ!!妹がきさまの拳を高めたか!!」
咲「なんか・・・、喧嘩してるよあの男の人達」ブルブル
優希「すごい迫力だじぇー。麻雀の試合見るより、こっち見たいじぇ」
和「とりあえず警察に電話しときましょう」
怜(まぁ居たら、多分死合を中止してでも、病院連れてかれるやろな・・・。でも、もうちょっとだけ無茶するわ)
照「ロン」
煌(千里山さんが無警戒で振り込むとか、珍しい)
怜「フッ…だがまだ生きているで」
怜「ツモ」
玄(千里山の人、いつもなら「せめて痛みを知らずに安らかに降りるがよい」とか言いながら、一発リーチするのに・・・)
玄「自分の必殺技を捨ててまで・・・」
ケンシロウ「次の一撃が最後になるだろう」
ラオウ「うむ、野次馬も集まって来たしな。立って居た方が、妹の死合を見届ける。それでいいな?」
ケンシロウ「ラオウよ、家に帰るときがきたのだ。」
ラオウ「ほざけ。うぬを病院送りにしてでも、怜の活躍を俺が見届ける。ぬぅぅぅぅ!!ビデオカメラが!」
優希「もう粉々だじぇ」
咲「私、普通のカメラなら持ってるけど、貸してあげた方がいいかな」
和「いや、関わらない方がいいですよ咲さん。」
照(ん・・・、なんかとても嫌な予感・・・。まるで咲が嶺上開花する時に放つ闘気のような・・・。けど、私とは帝王。退かぬ!媚びぬ!!省みぬ!!!帝王に逃走はない!)
照「リーチ」
煌「リーチかけましたわね」ニヤリ
煌「とうとう、河にドラが出ましたわね」
怜(よし!来た!ここで、来るのが・・・。阿知賀や!)ポン
怜(阿知賀の先鋒の肉体と魂はチャンピオンの想像をはるかに超えたんや!!)
玄「り、リーチです」
怜(よし・・・、最後の牌や・・・。これを無事に捨てさえすれば・・・。あれ・・・力が入らん)
怜(なんか知らん世界が見える・・・。ってなんで私、ラオウ兄と闘ってるんや・・・。勝てわけないやん)
玄「あっあの・・・大丈夫ですか?人、呼びましょうか?」
ラオウ「トキ!うぬの力はその程度か!」
会場にいるモブA「で、でけー!!!!」
B「急に立ち上がって、どうしたんだろ」ビクビク
ざわっざわっ
怜「ま・・・たせてごめんやで・・・。ちょっとどれ切るか迷ってたんや」プルプル
怜「こ、この牌で・・・」トン
照「・・・」
照(これが・・・当たり牌か)
照(振り込むのは帝王って呼ばれる前だったかな)トン
玄「そ、それロンです!!」
玄「お疲れ様でした」
煌「すばらでした」
怜「・・・・・」
玄「園城寺さん?」
怜「ごめんな・・・、私、仮病やから・・・」フラッ
ガシッ
ラオウ「トキ病んでさえいなければ・・・、水面のごとく静かなるその奥底に火の激しさをもった妹よ!!体をいとえよ。」
玄「おおお、おっきな男の人」カタカタ
煌「すばらな大きさですね・・・。怜さんをどうするつもりですか!?」
ラオウ「決まっている。病院へ連れて行く」
ダッダッダ
竜華「とーーーーーーきーーーーーーー!!!!!!!!ってなんやこの大男は、怜を離さんかい!」
ラオウ「娘。死にたくなければ今すぐ道を開けよ」ギロ
竜華「ひっ!?い、いやや。うちは怜の一番の親友なんや!」チョロ
ケンシロウ「あぁ、待ってくれ。その男は、不審者ではない。俺とそこの男は園城寺の長兄と次兄だ。」
竜華「えっ!?怜のお兄さん!このゴツイのが!遺伝子、同じところないやんか!」
竜華「そ、そうやった。救急車、呼んだばっかりやで・・・」
ラオウ「いらぬ。俺の方が早い。俺は先に病院へと向かっているぞ」
ケンシロウ「うむ。俺も後から行くとしよう。対戦相手の君達、まさしく怜の強敵(とも)だった!」
玄「は、はい」
煌「お気をつけて」
照「次は絶対に振り込まない。天も宿命の対決に興奮してくれるような気がする」
ラオウ見て後回しにする人は多分いない
怜「ラオウ兄・・・約束破ったなー」
ラオウ「怜、見事だった。うぬの闘牌、しかと見届けた。後半戦だけになってしまったがな」
怜「そうか・・・。今までの人生で一番頑張った気がするわ・・・。ほんま・・・生きるって辛いな」
ラオウ「ふはは、うぬの軟弱な拳でこの拳王は倒せんぞ!!ゆっくり治すがよい」
怜「はぁ・・・毎年毎年、倒れてはラオウ兄の背中におぶさって・・・、その・・・、あの・・・負担になってごめんな」
怜「そやな・・・。私も男やったら、ラオウ兄とケンカしたりしたんかなぁー。まぁ・・・、何順先を読んでも勝てる気せーへんわ。」
ラオウ「よし、では病院に着いた。では、ゆっくり眠るがよい」ピプー
怜「あ・・・また勝手に秘孔突きよって・・・、起きたら覚悟・・・しといけ・・・・や」スピースピー
ラオウ「痛みを感じない秘孔を突いた。先生・・・、よろしく頼みます」ペコリ
竜華「うちらは阿知賀を倒して、見事に二位。白糸台には届かんかったけどな。怜は助かったものの、しばらく牌を握るのも禁止。みんなの意見で、次の試合は棄権する事にしたんや。千里山の先鋒は怜以外考えられへんからな」
竜華「にしても・・・セーラ」
セーラ「なぁなぁー、怜の兄ちゃん、めっちゃカッコよくない!!めちゃくちゃ強そうやで!ってか強いし!俺、生まれて初めて男をカッコいいって思ったんやけど!!」
竜華「あんた・・・趣味変わってんなぁ・・・。筋肉ダルマがいいんか?」
セーラ「俺は麻雀の次に格闘技と筋肉が好きやで!」
セーラ「いやいや、竜華はわかってない。筋肉はとにかくついてた方がいい。圧倒的パワー。麻雀にも必要な物やけど。3900三回より12000一回やで!」
セーラ「剛の麻雀こそ、俺の麻雀や。そしてラオウさんは剛の人//ステキやん//」
竜華「あー・・・そかそか。そうゆう世界もあるわなぁ。ってかケンシロウさん、彼女おるしな。」
セーラ「えぇー、恥ずかしいやん//一緒に着いて来てーなー」
竜華「つーか、病室に居なかった日ないやんけ・・・。」
・
・
・
怜「なぁ・・・ラオウ兄ちゃん」
ラオウ「うむ。なんだ。」
怜「会場めちゃくちゃにした修理費、どうすんねん!!なんで壁に穴とかあいてんねん!!」
終わり
ってかギャグ書きたかったんだけどなぁー。うーん、失敗チーン
拳王もまた人の子であったか
照「私はアリの反逆さえ許さぬ!」
照「対等の敵があらわれたとき、帝王自らが虚をすてて立ち向かわねばならぬ!!」
照「咲さん・・・む・・・むかしのように・・・もう一度 ぬくもりを・・・・・」
サウザーのセリフコピペしただけだが、案外しっくり来るのは気のせいだろうか・・・。VS咲戦みたいな
Entry ⇒ 2012.08.13 | Category ⇒ 咲-Saki-SS | Comments (1) | Trackbacks (0)
淡「ねぇ」 照「……」
淡「今日はしないんだ?」
問い掛けに、彼女は本から私へと視線を移した。
うるさい邪魔するな、とでも言いたげな表情で一瞥すると、また紙面の文字を追う作業に戻る。
面白くない私は、けれども苛立ちを抑えて彼女を呼ぶ。
淡「ねぇってば」
しかし、当の彼女は相変わらずの沈黙だった。
淡(呼んだのはそっちのくせに……)
良いだろう、待ってやろうじゃないか。
私は彼女の座る傍の、長机の上に行儀悪く腰を下ろした。
ぶらぶら。子供っぽいな、と思いながらも、宙に浮く脚を揺らしてみる。
合わせて机がゆるゆると軋む。
これで彼女の読書を少しでも邪魔できないだろうか。
ちらりと窺ってみるも、彼女は私など気にも止めていないようだった。
淡(……ま、わかってたけど)
本に集中しているのか、意図的に無視しているのか。
……どちらでもいいか。
彼女の真剣な眼差しを見ながら、それが私に向けばいいな、なんて。
淡(無理無理、ないない)
考えて、自嘲する。
思考を掻き消すように頭を振った。
しばらくして、彼女の漏らした吐息が空気を揺るがせた。
ぱたん、と手の本が閉じられる。
淡「読書は終わり?」
照「あぁ」
彼女は本を丁寧に鞄へ仕舞うと、立ち上がって私へと向き直った。
彼女とは、私が机の上に座ることで、同じ高さで顔を合わせられる。
身長も年齢も、麻雀でも私の上をいく彼女。
並ぼうと思って、届くところではない場所。
だけど、この時だけは。
淡「実は、期待してるんでしょ?」
この時間だけは、隣に立てる気がして。
彼女が、私だけを見てくれる気がして。
淡「ねぇ、照」
にやりと口の端を吊り上げてみる。
彼女はひどく冷めていて、けれども私の熱は上がっていく。
照「期待してるのはお前だろう、大星」
凜と張った涼しい目もとに見惚れてしまう。
視線が私を射抜いた一瞬、世界が止まったかと錯覚した。
淡「……、」
一体、何人がこうして彼女に囚われただろうか。
淡「そんなわけ――、」
ない、と。
続く言葉は唇に塞がれて、彼女の中へと消えていった。
淡「ん、くっ……」
彼女の指が私の肌をなぞって、触れられた所が熱を持って、そして私はそれに浮かされていく。
淡「んんっ、あんっ……」
唇を塞がれて、肌を吸われて、局部を撫でられて。
淡「ん、あ……ふあ、あっ……」
いつからだろう。
彼女への憧れが、失望に変わったのは。
そしてそれが、どう違えて愛慕に変わってしまったのか。
揺れる視界と思考の中で、ぼんやりと記憶をなぞった。
―――――――
―――――
―――
彼女は、私の憧れだった。
照「大星」
前年度のインターハイ及び今年度の春季大会の2冠優勝者。
高校生1万人の、頂点。
淡「何ですか、宮永先輩」
インターハイといえば彼女のこと、とまで言われるほどの実力の持ち主。
そんな先輩に呼び出された。
夕焼けに染まる部室で、他の部員は誰一人いない。
私と先輩だけの空間だった。
照「回りくどいのは苦手だ。単刀直入に聞こう」
相変わらず表情の変わらない人だな、と思った。
入部当初こそ驚いたものの、取材記者や報道陣へするような偽りの笑顔よりは、こっちの方がずっと良い。
照「お前、私が好きじゃないだろう」
何もかも、お見通しと言ったふうな瞳だった。
ふ、と息が漏れる。
淡「そんなこと無いですよ」
そう、先輩は憧れであり、今まで出会った中で最も強い敵であり、倒したい相手であり。
照「遠慮しなくていい。好いてもいない奴とチームを組んで打つ麻雀は楽しいか」
楽しい?
無表情で麻雀を打つ先輩から、そんな言葉が聞けるなんて思ってもなかった。
淡「先輩を嫌ってなんかないですよ」
照「じゃあお前のそれは憎悪か?」
淡「……それも、少し違うと思います」
この感情はそんなんじゃない。
もっと違う、純粋な何かで。
照「私と卓を囲む時、お前からは殺気めいたものを感じる」
淡「……」
照「違うのか」
淡「ええ」
照「じゃあアレは何だ」
淡「……そうですね」
淡「あなたは、私の憧れなんですよ」
淡「あなたのようになりたくて、あなたと打ちたくて、私は白糸台に入りました」
淡「覚えてますか? あなたと初めて卓を囲んだ時のこと」
淡「格の違いを見せ付けられました」
淡「私だって、自信はあったんですよ。大好きな麻雀で、今まで負けたことなんかなかったから」
淡「だから悔しかった、すごく。私の力じゃ遠く及ばない、こんな人もいるんだって」
淡「それで一層あなたへの憧れが強くなりました。同時に、こうも思ったんです」
淡「あなたに勝ちたい」
照「……」
淡「純粋な憧れが、闘争心に変わったんです」
憎いわけじゃない。
妬んでいるわけじゃない。
ただ、それに近しい感情はあると思う。
淡「勝ちたいと思うあまりに、知らず知らず先輩に誤解を招いていたんですね。すみませんでした」
照「いや……なるほど、それであの気迫か」
淡「はい、だから」
今は到底及ばない、けれど必ず追いついて、抜かしてみせる。
大きく立ちはだかる先輩を見据えて言った。
淡「宮永照。私があなたを倒す」
先輩は、その言葉に一瞬目を丸くして、それから口端を釣り上げた。
照「あぁ、やってみろ」
初めて見た、彼女の表情。
見繕ったそれとは違う、らしくない子供っぽい笑みだった。
淡「すぐに追い越してやりますよ」
宮永先輩を倒す、そのためなら、どんな努力も厭わない。
私は、ただこの人を超えるために。
そう、思ってた。
それからは毎日が練習の日々で、たった数ヶ月の間に、自分でもよくやったと思う。
相変わらず先輩には一度も勝てなかったけれど、それでも一緒に打つ麻雀はとても楽しかった。
淡「照先輩、今日こそ倒しますよ」
照「淡、毎日聞いてるぞ、それ」
淡「毎日言ってますもん」
照「ふ……今日も返り討ちにしてやろう」
淡「させません!」
毎日のように先輩に挑んで、そして宣言された通り返り討ちに合う。
勝てないことは悔しい。
けれど、それ以上に麻雀が楽しい。
あれから先輩は私を気にかけてくれるようになった。
話すことも増え、知らなかった一面を知り、私の中で先輩の存在はより大きいものになっていった。
そんな充実した日々が続いていた、ある放課後のことだった。
それはたまたま部室の前を通りかかった時で――――そこで聞いた、誰かの嬌声。
声の主はわからない。
ただ、荒い息づかいの節々に、照先輩の名を呼んでいた。
淡「…………、」
一瞬で思考がフリーズして、それでもここにいたらいけない事だけはわかったから、走ってその場を離れた。
走って、走って、その間中、思考はぐちゃぐちゃだった。
淡(なんで……照先輩……)
迷いのなかった心に、暗い雲が覆い始めた。
疑い出したら早いもので、あっという間に、私の中の先輩は崩れ去っていった。
「ああ、大星さん知らなかったの?」
噂を耳にして、失望した。
「宮永さん、取っ替え引っ替えで部員の子に手を出してるらしいよ」
「まぁ、あれだけ有名人だもんね。ファンも大勢いるだろうし」
「来るもの拒まずで、誰でも抱いてあげてるとか……」
「え、宮永先輩好みの可愛い子は無理矢理……って聞いたけど」
「まぁどっちにしろ、あの人にはあんまり近付かないほうがいいんじゃない?」
「淡は大丈夫? あんた可愛いから、先輩に襲われちゃうかもよ~?」
「あはははは! 止めなってぇ」
知らなかった。
憧れだった先輩に近付けて、舞い上がって、彼女を知った気になって、でも結局は彼女のことなど、わかっていなかった。
淡「……先輩、ちょっといいですか」
照「なんだ淡?」
噂のことを問い詰めた。
あんなこと、嘘であって欲しかった。
否定してほしかった。
照「あぁ、そのことか」
淡「……」
照「毎回断りはするんだが、泣かれるとどうも弱くてな……」
先輩は、麻雀を打つ時と同じ表情で、淡々とした口調で肯定した。
淡「……もういいです」
淡「……先輩には、がっかりですよ……!!」
自分でも、何を言ったのかあまりよく覚えていない。
よくわかっていないような顔をする先輩に、込み上げて来たぐちゃぐちゃな感情をぶつけたのは覚えている。
照「淡、お前何を怒って…………、あぁ、こうすれば良いのか?」
先輩の手が私を捕まえて、指が顎を撫でて、すぐ目の前には先輩の顔があって。
淡「――っ!?」
柔らかで、ほんの少し甘い先輩の唇が、私のそれを塞いでいた。
照「……ん、ふ……」
淡「んっ……!? っ、んむっ……ちゅ、んんっ……!」
よくわからない感情と感触に驚いて、何故だか視界が潤んだ。
淡「……っ! やめてください……!!」
照「……?」
淡「はぁ、はぁっ……最低、です……っ、信じてたのに……!」
その後、どう帰宅したのか覚えてなくて、帰るなりご飯も食べずに部屋に篭った。
淡「……」
私の憧れだった宮永照は、もういないんだ。
淡(……これから、どんな顔して先輩に会えばいいんだろう)
失望と苛立ちとがぐるぐると渦巻いて目が回る。
もう何も考えたくなくて、ベッドに身を放り投げた。
淡(なんで、あんなこと……)
無意識に指で唇をなぞっていたのに気付いて、枕に顔をうずめた。
淡(……明日、部活行きたくないや)
ついこの間まで、部活に行きたくて、先輩に会いたくて、先輩と麻雀を打ちたくてしょうがなかったのに。
淡(…………)
思考に捕われているうち、私はいつの間にか眠りに落ちてしまった。
淡(……)
放課後、部室には来たものの、私はドアの前で入りあぐねていた。
相変わらず気持ちはモヤモヤとしたままで、やはり帰ろうと踵を返そうとしたその時だった。
照「淡?」
淡「……!」
今、1番会いたくなかった。
私のそんな心情を余所に、変わらない口調で先輩は言う。
照「鍵が開いてないのか? ……なんだ、開いてるじゃないか」
淡「……」
照「どうした、入らないのか? 今日も私と打つんだろう?」
淡「……」
淡「……なんで、ですか」
照「?」
淡「どうして、何事もなかったような顔で話し掛けられるんですか!?」
淡「私は、ショックでしたよ……!」
淡「ずっと憧れだった、目標だったあなたが、あんなことしてたなんて……」
淡「みんなの気持ちを利用して、好き勝手なことしてるだけじゃないですか!」
淡「何が、高校生の頂点……!」
淡「何で、何で私は、こんな人……!!」
淡「あんたなんか、もう憧れでも何でもない!」
淡「私は、私はっ……!」
照「……淡」
ひどく、冷たい声だった。
照「来て」
突然にぐっと手を掴まれ、そのまま有無を言わさず引きずられて行く。
淡「……!? ちょ……せんぱ……!」
スタスタと、一度もこちらを振り返ることなく進んで行く。
手には力が篭っていて、少し痛いくらいだった。
淡「どこ行くんですか……離してください!」
連れて来られたのは、部室近くの仮眠室。
淡(……そういえば照先輩、よくここ利用してたっけ)
大抵は部室で本を読んだり、麻雀を打っている先輩。
それでも部室に姿がない時は、決まってここで寝ていた気がする。
淡(菫先輩に言われて、何度も起こしに行った……)
照の目覚まし係だな、なんて言われて、そんな係押し付けないでくださいと言いながら、本当は満更でもなかった。
穏やかに寝息を立てる照先輩の顔は普段とは違っていて、無防備で可愛い。
それを独り占めできることが、嬉しかったから。
淡(それも、思い上がりだったんだ……)
ガチャリ、仮眠室のドアを開く音で我に返った。
淡「きゃ……!?」
中に入るなりベッドに放り投げられる。
鍵のかかる音が聞こえて、私の頭に警鐘が響く頃には、もうすでに遅かった。
淡「っ……何、するつもりですか……!」
覆いかぶさるようにして、先輩が私を囚える。
照「……」
先輩は無言のまま、私の頬を撫でた。
びくりと身体が跳ねてしまって、けれども気持ちは負けないように、視線だけは逸らさない。
照「……、」
ごめん、と聞こえた気がした。
淡「っ!?」
柔らかな唇が重なった。
触れて、離して、まるで恋人同士でするかのような優しいそれに、困惑と怒りとが混ざり合う。
淡「や、めっ……んむっ……!?」
舌が口内に入ってくると同時に、制服の裾から先輩の手が侵入してくる。
淡「っ、……ふっ、ぅ……」
口の中でぬるぬるとうごめくそれを噛んでやろうと思って、できなくて、太股を撫でられて力が抜けた。
淡「ん、く、……ふっ……」
酸素が足りなくて、気持ち良くて、徐々に頭が痺れてくる。
たっぷり口内をねぶられてからやっと唇を解放されて、足りない酸素を勢いよく取り込んだ。
淡「ぷはっ! はぁっ、はっ……はぁっ……」
じわじわと熱が高ぶっていて、頭がぼーっとする。
逃げなければと思うのに、身体は言うことを聞いてくれない。
照「淡」
制服の上から胸を撫でられ、自分でもよくわからない感情でいっぱいになった。
淡「っ、ぁ……ん、んくぅ……」
引っ掻くような指使いが、固くしこり始めた先端に引っ掛かる。
その刺激がまた思考を奪って、体温を上げていく。
淡「あっ、……っ!」
びくびくと跳ねてしまう身体に気を良くしたのか、先輩はそこを執拗に弄り始めた。
淡「ひあっ……あっ、や……やだぁっ……!」
先輩の指が踊るように胸の先端を弄ぶ。
制服越しでも、私には刺激が強すぎた。
淡「んっ……あっ、ふぁあ……っ!!」
びくん、と身体が一際大きく跳ねた。
頭が真っ白になって、視界がぼやける。
照「……軽くイッちゃった?」
口調は優しかったけれど、意地悪な笑みだった。
淡「はぁっ、はぁっ……もう、やめて、くださいっ……!」
首筋を吸われながら、自由のきかない身体で私は抵抗を試みる。
淡「こうやって、いろんな女の子に手をだしてたんですね……」
淡「私にもこんなことして、どうするんですか……?」
淡「あなたを求めてる子なんて、ほかにごまんといるでしょう……」
淡「私にはもう、構わないでくださいよ……!」
淡「どうしてっ……」
照「黙って」
鋭い眼光に射ぬかれた。
一瞬で変わったその場の空気に、体温が冷めていく。
淡「っ……」
照「そういうのは、聞きたくない」
ふわりと頭を撫でる先輩の手は温かくて、その温度差に私は畏縮する。
淡「……」
照「可愛い声は聞きたいんだけど」
淡「何、言って……っ!」
くちゅ、と水音が響いた。
ショーツの隙間から、先輩の指が私に触れた音だった。
照「淡?」
淡「ん……、く、ふっ……!」
誰が、そんな声出すもんか。
右手でシーツをぎゅっと握って、声が漏れないよう左手で口元を覆う。
照「あぁ……そういうつもり?」
割れ目をなぞりながら、先輩は徐々に指を奥へと沈めていく。
淡「んん……ふっ……!」
じゅうぶんに濡れていたそこは、心とは裏腹に先輩の指を容易く受け入れてしまう。
あれだけ細い先輩の指が、中を圧迫してキツくて苦しい。
淡「か……はっ……」
ゆっくりと、慣らすように焦らすように、差し挿れては抜かれ、中と外を何度も往復される。
淡「ん、ふっ……ふぅっ……」
気を抜けば漏れてしまいそうな声を塞いで、懸命に快感に耐えた。
照「淡……」
そんな努力も虚しく、ぷっくりと腫れた陰核を転がされると、さすがに声が我慢出来なくなった。
淡「ひぁ、あっ……あっ、ひぅ、も……もう、やだっ……やだぁっ……ふあっ」
弄〈イラ〉うような指使いが私の快感を煽って、反抗心を奪っていく。
淡「あっ、あっ……ふぁ、あっ……はぁっ……」
きっとこの人は、ほかの子とも、こんなふうに。
やるせない想いを抱えたまま、けれど身体は愛撫に反応してしまって。
頭の中で火花が散って、二度目の快感の波が私の意識をさらっていった。
未だ軽く痙攣する身体で息を整えながら、ぼやけた視界に先輩を捕らえる。
照「……」
視線が交わったけれども、先輩から言葉はなかった。
淡「……」
しばらくして、先輩は立ち上がると踵をめぐらす。
これでたぶん、私たちの関係は終わるんだろう。
淡「……私は」
遠くなっていくその背中に、呟いた。
淡「私はきっと、先輩のこと、好きだったんですよ……」
先輩後輩としてでなく、ひとりの女の子として。
たぶんそれは、あなたを初めて見た時からで。
淡「でも」
淡「今はもう、そんな気持ちなんてない」
淡「先輩なんて、……大嫌い、です」
照「……」
照「私もだ、大星」
ドアが閉まり、私は一人、部屋に取り残された。
先輩なんて嫌いだ。
淡「……ぅ」
これは、ただ彼女に裏切られたことが悔しいんだ。
自分だけを見てくれていたなんて、思い上がっていた自分に呆れただけだ。
淡「ぐすっ……うええぇぇん……!」
こんな形で、彼女との関わりが壊れるなんて。
小さな恋が終わるだなんて、思ってもなかった。
先輩なんて、大嫌い。
そう自分に言い聞かせた。
そんなことがあって、けれども私は部活を辞めることはなかった。
照「大星」
淡「なに?」
やっぱり麻雀は好きだし、彼女を倒したいという思いも変わってはいないから。
照「人数が足らない。卓に着いてくれ」
淡「えぇ……しょうがないなぁ」
ただ、彼女との関係は少し変わった。
そのひとつが、口調。
淡「今日は倒すよ?」
何一つ敵わない彼女に、せめて仮初にも同じ場所に立てたらと。
淡「はぁ、2位か……また勝てなかったぁ」
照「……」
そして、もうひとつ。
照「……大星」
淡「なに?」
けじめは、つけたつもりだった。
照「部活が終わったら、少し残っててくれ」
けれど、彼女との繋がりが全て途絶えてしまうのは、私には堪えらなかったらしい。
淡「……いいよ」
ずるずると、曖昧で宙ぶらりんで、ひどく脆い関係が残った。
仕方がないと思いたい。
呆れることに、彼女への想いは変わらなかった。
―――――――
―――――
―――
照「……大星?」
彼女の声で、ふと我に返る。
長い間、過去に耽っていたらしい。
淡「……ちょっと、考え事」
照「そうか」
首に腕を回して、彼女を捕まえた。
淡「ねぇ」
淡「私のこと、好きですか?」
照「……あぁ」
変わらぬ表情と口調。
予想通りの答えだった。
淡「ふふ……それ、誰にでも言っているんでしょう?」
照「……」
逃がさないように、囲っていたつもりだったのに。
淡「ねぇ、私にも聞いて」
照「……大星は、私のことが好きか?」
いつの間にか、囚われていたのは私の方だったらしい。
淡「さぁ、どうでしょうね?」
言葉を並べて、気持ちを閉じ込める。
けれど、いくら外側を見繕った所で、内側の私はボロボロのままで。
淡「きっと、好きじゃないと思う」
そう思いたい。
けれども。
この抜け出せない甘い心地好さに、私は更に、溺れ囚われていく。
尭深「……」カリカリ
尭深「……」ズズー
尭深「……」カリカリ
尭深(「私は更に、溺れ囚われていく。」……)カリカリ
尭深「完、っと……」カリカリ
尭深「……ふぅ」
誠子「何書いてたんだ?」ヒョコッ
尭深「ひゃああああああああ!?」バッ
すばら!
尭深「ななななな、誠子……いつからそこに……」
誠子「いや……ついさっきだけど」
尭深「……見た?」
誠子「え?」
尭深「見た!?」
誠子「何を」
尭深「小説!!」
誠子「あぁ、それ小説なのか」
尭深「!? な、なし! 今のなし!」
誠子「へぇ、小説書いてるのか。すごいな」
尭深「や……その……」
誠子「どんな内容なんだ? 見せて……」スッ
尭深「だ、だめっ!!」バッ
誠子「いいじゃんいいじゃん、小説は人に見せるために書くんだろー」
尭深「いや……自己満足のために書いてるだけで……」ゴニョゴニョ
淡「なになに、たかみー小説書いてるの?」ピョコ
尭深「!?」
淡「見せてー」
\ワイワイ/
照「なんだ騒がしい……」
淡「あっ、テルー!」パアッ
誠子「いや、何やら尭深が小説を書いてるそうですよ」
尭深「わわっ、わー! わー!」
照「ほう、小説か……見せてくれないか?」
尭深「だだだだだめです!!」ヒッシ
照「むぅ……」
尭深「ふーっ!」
淡「たかみー、威嚇してる猫みたいになってる……」
照「まぁ、むりやり奪うのもアレだしな、ここらであきらめとこうか」
誠子「ですね」
照「ん。淡、こっち」
淡「なにー?」
照「よいしょ」ギュム
淡「うー、ちょっと暑いよテルー……」
照「落ち着く」スリスリ
誠子(相変わらず仲良いなぁ、この2人……微笑ましい)
尭深「……」ジー
誠子「?」
尭深「……」ズズー
尭深「……ふぅ」
尭深(たまにはドロドロした照×淡も良いかなと思って書いてみたけど……)
尭深「やっぱり新刊は照×淡イチャラブKENZEN本にしよう、うん」
菫「いや渋谷、やはりエースは後輩よりも部長と絡ませた方が良いんじゃないか?」
照「あれ菫、いつからいたの?」
淡「テルーお腹すいたーお菓子ちょーだーい」
おわり
地の文あるから読むの大変だっただろ
みんなおつかれ
支援、読んでくれてどうもサンクスでした
(そのイチャラブ本の内容も書いて)ええんやで
地の文ある方が好きだし楽しませて頂きましたわ!
淡照は最新号で更に妄想が捗ったな
また書いてね!
乙
久々に地のあるSS読んだ気がする
良かったよ気が向いたらまた地の文のSS書いてくれ
楽しみにしてるから
Entry ⇒ 2012.08.13 | Category ⇒ 咲-Saki-SS | Comments (0) | Trackbacks (0)
せつな「おれがカンタムだ」 しんのすけ「お?」
しんのすけ「死にかけのセミごっこ」
まさお「しんちゃんそんなの着て暑くないの?」
しんのすけ「ミーン!ミンミンミーン!」バタバタバタ!
まさお「ヒイイイイイッ!?」
しんのすけ「たまにこうやっていきなり動くよね」
ネネ「暑いんだからひっつかないでよ」ペシッ!
まさお「あうっ!?」
ボー「……ふかい」
ネネ「うーん……あ、そうだ。じゃあ私のうちに来ない?ママが買ってきたケーキがあるからみんなで食べましょ」
ボー「すずしいとこなら、どこでも、かんげい」
まさお「クーラーがあるならどこでも行きます」
ネネ「しんちゃんはどうする?」
しんのすけ「オラはいいや。ここでもうちょっと死にかけのセミごっこしてたいし」
ネネ「じゃあうちで遊びましょ。丁度新しいリアルおままごとの台本が出来たところなのよ」
風間・まさお・ボー「やっぱりえんりょし」
ネネ「はぁい三人さまごあんなーい。しんちゃんまたねー」
しんのすけ「ほほ~い」
風間・まさお・ボー「あああぁぁぁ……」ズルズルズル
しんのすけ「……あっついなぁ!んもう!だれよこんな暑い時に暑苦しいかっこしてるのは!」ヌギヌギ
しんのすけ「ハー、みんないなくなっちゃったゾ。やんねるよね、オラをおいて勝手にどっか行っちゃってさぁ」ヤレヤレ
せつな「……」
しんのすけ「お?」
しんのすけ「ヨッ」
せつな「ッ!?」ビクッ!!
しんのすけ「オラのはらしんのすけ」
せつな「……せつなえふせいえい」
しんのすけ「カンタムだ。その手に持ってるの、カンタムでしょ」
せつな「カンタムを知っているのか」
しんのすけ「とーぜんだゾ!オラ、カンタムロボとアクション仮面はかかさず見てるもん!」
せつな「おれがカンタムだ」
しんのすけ「お?」
せつな「おれがカンタムだ」
せつな「か、カンタムパンチ!」
しんのすけ「アクションビーム!ビビビビビビビ!」
せつな「……?」
しんのすけ「ちょっと、アクションビームをくらったんだから倒れないとダメだゾ」
せつな「カンタムは負けない」
しんのすけ「なんかずる~い」
せつな「せっちゃん?」
しんのすけ「せつなだからせっちゃん」
せつな「……ッ!」タッタッタッ
しんのすけ「あ~、行っちゃった……変な子」
しんのすけ「オラもか~えろ。こういう日は冷やしチョコビに限りますな」
みさえ「ただいまでしょ」
しんのすけ「そうともいう」
みさえ「あーあーこんな暑いのに外で遊ぶから汗まみれになって……お風呂入ってきなさい」
しんのすけ「ほ~い。風呂上りの冷やしチョコビとジュースを忘れるなよ、みさえ」
みさえ「パパのマネをするんじゃありません!」ゲンコツ
ひまわり「キャッキャッ」
ひまわり「たい」
みさえ「あらどうしたのひまわり……なにこれ、おもちゃの腕?またしんのすけが何か壊したのかしら」
ひまわり「あーうー」
みさえ「あぁヒマ、そんなの口に入れないの。ばっちぃでしょ」ヒョイ
ひまわり「たい」ムンズ
しんのすけ「ほう!?」
ひまわり「キャッキャッ!」グニグニ
しんのすけ「ヒイイイイイイ!?お、幼いくせにテクニシャン……」
みさえ「何やってんのよおバカ」
しんのすけ「なに~?」
みさえ「アンタまたおもちゃ壊したでしょ」
しんのすけ「壊してないゾ」
みさえ「嘘いいなさい。ほらコレ、アンタのズボンのポケットに入ってたわよ」
しんのすけ「お?これカンタムの腕だ」
しんのすけ「オラのカンタムじゃないゾ。これせっちゃんのだ」
みさえ「せっちゃん?」
しんのすけ「うん。さっき公園でいっしょ遊んだ子」
みさえ「アンタひとのおもちゃ壊したの?」
しんのすけ「うぅん、一緒に遊んだ時に壊れたんだと思う……ちょっと行ってくるゾ」
みさえ「あ、ちょっとしんのすけ!どこ行くのよ!」
しんのすけ「……いないゾ」
しんのすけ「あちぃ~喉かわいたぁ~」ヘナヘナヘナ
キコキコキコ……キキィーッ
グラハム「……む?公園に子供が一人……オイ、大丈夫か?」
しんのすけ「アンタだれ?」
グラハム「グラハム・エーカーだ」
しんのすけ「おじさんカンタム好きなの?」
グラハム「お兄さんだ。このグラハム・エーカー、カンタムに心奪われた男だ!」
しんのすけ「おじさん変態だゾ」
グラハム「お兄さんだ。愛は時としてあらゆる壁を超えるということを覚えておくといい!」
しんのすけ「オラのはらしんのすけだゾ」
グラハム「コホン!……しんのすけ、このカンタムの持ち主だが、私は知っている!」
しんのすけ「え!なんで?」
グラハム「ここを見ろ。カンタムの腕の所に小さな文字で名前が書いてある。刹那・F・セイエイとな!」
しんのすけ「あぁ~、せっちゃんってこんな名前だった気がする」
しんのすけ「おじさんどこに向かって話してるの?」
グラハム「お兄さんだ。しんのすけ、これは私が彼に届けておこう」
しんのすけ「……ダメだゾ。これはオラがせっちゃんに渡さないと」
グラハム「なるほど、幼いのに良い心がけだ!ならば私が彼の家まで連れていってやろう!このGNフラッグでな!」ババーン
しんのすけ「おぉ~!かっこい~!」
しんのすけ「でもママチャリだよね」
グラハム「言うな!本当はMTBが欲しかったのだが、お財布の事情というものがあるのだ。さぁ乗れしんのすけ」
しんのすけ「ほほ~い」
グラハム「GNフラッグ、発進!」
キコキコキコ……
しんのすけ「ほほ~……すっごくでっかいぞ」
グラハム「うむ、私の家とは大違いだ!」
しんのすけ「せっちゃ~ん。い~れ~て~」ピンポーン
???『どちらさまですか?』
しんのすけ「オラのはらしんのすけ。せっちゃんいますか?」
???『せっちゃん……刹那の事かしら』
しんのすけ「そうともいう」
???『ちょっと待って、鍵を開けますね』
しんのすけ「おおぉ!綺麗なおねえさん!」
マリナ「え、えぇ?」
しんのすけ「おねえさん牛乳いけるぅ~?納豆にはネギ入れるほぅ~?」
グラハム「何をしているんだしんのすけ」
しんのすけ「おぉっと、思わず目的を忘れるところだったゾ……おねえさん、オラせっちゃんにこれを返しに来たゾ」
マリナ「これ?」
ビクッ!
マリナ「アナタはご近所さんの……」ドキドキ…
グラハム「グラハム・エーカーだ!刹那・F・セイエイに会わせてもらいたい!」
マリナ(ど、どうしようかしら……)
マリナ「あら刹那、今あなたに会いたいって子が来てるのよ」
せつな「あっ!お前は!」
しんのすけ「おひさしぶり~」
グラハム「おぉ!少年!」
せつな「それ!カンタムの腕!」ダッ!
元からじゃないかな?
せつな「壊れてない」
しんのすけ「お?」
せつな「これは……こうやって……こうはめれば……ホラ!」シャキーン!
しんのすけ「おぉ~!すご~い!」
せつな「これはカンタムパンチが出来るように腕が取り外せるカンタムだから大丈夫」
グラハム「さすがカンタム!子供が遊んでも壊れない丈夫な作りだな!」
せつな「……おじさん誰?」
グラハム「お兄さんだ。悲しいぞ少年。何度か挨拶もしてるではないか」
せつな「うん」
マリナ「ちゃんとお礼言わないとね?」
せつな「……ありがとうしんのすけ。お前のおかげでカンタムの腕が見つかった」
マリナ「ありがとうしんのすけ君」ナデナデ
しんのすけ「いやぁ~それほどでも~」
マリナ(か、変わった子ね……)
しんのすけ「おぉいいゾ!オラもカンタムで遊ぶ~!」
グラハム「では私も」
せつな「おじさんはダメ」
グラハム「お兄さんだ……手厳しいな少年。だがこれも愛の試練の一つ!日を改めて会う事にしよう!さらば!」ダッ!
マリナ「元気な人……」
…………。
せつな「スゥ……スゥ……」
しんのすけ「あれ?オラ寝ちゃってた?」
マリナ「フフッ、おはよう」
しんのすけ「おはようござま~す」
マリナ「いつの間にか二人ともお昼寝してるんだもの。きっと疲れてたのね」
しんのすけ「もぅ水くさいなぁ~、しんちゃんって呼んで?」
マリナ「じゃ、じゃあしんちゃん……刹那と遊んでくれてどうもありがとう」
しんのすけ「お?」
マリナ「今はそうでもないんだけれど、その子ったら体が弱くて昔は病院で過ごす事が多かったの
……おかげで友達と遊んだ事もほとんどなくてね」
しんのすけ「ほぅほぅ、苦労したんですなぁ」ウンウン
マリナ「そ、そうね……その時病院のテレビでカンタムロボを見たのがきっかけでね。
自分はカンタムみたいに強くなるんだって言い始めて、退院した今もまだカンタムになるくせが抜けてないのよ」
マリナ「ねぇしんのすけ君、刹那とお友達になってもらえないかな。刹那、まだ近い年のお友達がいなくって……
少し口は悪いかもしれないけれど、根はいい子だから……」
しんのすけ「オラもうせっちゃんとは友達だゾ」
マリナ「……」
マリナ「そ、そう……もうお友達なんだ」
しんのすけ「もちろんだゾ!せっちゃんと真夏の汗まみれ男のカンタムごっこをした仲ですから!ワーッハッハッハッハ!」
マリナ「あらホント、おうちまで送るわ」
しんのすけ「おかまいなく~」スタコラサッサ
マリナ「ちょっとしんのすけくッ……もういない。なんてすばしっこい子なのかしら」
マリナ「ねぇ刹那」
せつな「…………」
マリナ「しんのすけ君、刹那の事お友達だって言ってたわよ」
せつな「……うん」
マリナ「良かったね」
せつな「……うん」
風間「オイしんのすけ、お前さっきから何やってるんだよ……」
しんのすけ「しけったねずみ花火ごっこ」
まさお「しんちゃんそんなの着て暑くないの?」
しんのすけ「シュババババババ!」クルクルクルクル!
まさお「ヒイイイイイッ!?」
しんのすけ「たまにこうやっていきなり動くよね」
ネネ「暑いんだからひっつかないでよ」ペシッ!
まさお「あうっ!?」
ボー「……ふかい」
風間「……ネネちゃんが新しく仕入れたリアルおままごとをぶっ続けで三時間もやらされたよ」
まさお「僕ずーっと犬の役で鳴いてばかりだった」
ボー「かんしカメラの、やく」
ネネ「何よだらしないわね。男のくせにあれくらいでへばっちゃってさ」
しんのすけ「ほぅほぅ、災難でしたなぁ」
ネネ「あ?」
しんのすけ「なんでもないです」
ネネ「あの後そのまま帰ったの?」
まさお「いくらしんちゃんでもこの暑さには勝てないでしょ」
ボー「ねっちゅうしょうに、きをつけて」
しんのすけ「オラは新しい友達と遊んでたゾ」
風間・まさお・ネネ・ボー「新しい友達?」
風間「あの子が新しい友達?」
まさお「なんか目つきが怖いなぁ」
ネネ「でもちょっとかっこいいかも」
ボー「みすてりあす」
せつな「……」
ネネ「ほんとにあの子なの?」
風間「全然こっちに来ないじゃないか」
まさお「人違いなんじゃあ……」
ボー「たにんの、そらに」
せつな「……」
せつな「……友達」
せつな「……」ギュッ
せつな「……おれがカンタムだ。怖くない……友達もいる……怖くない」
せつな「カンタム……せつなえふせいえい……出る!」タタタタッ!
しんのすけ「おぉ~っ!」
おしまい
長いの苦手だからこれくらい短いのだけれども
良かった
Entry ⇒ 2012.08.13 | Category ⇒ 版権物SS | Comments (1) | Trackbacks (0)
入須「すまない、失礼する」
古典部部室
奉太郎(千反田は家の用事、里志は手芸部、伊原は漫研)
奉太郎(校舎内に於いて奇跡とも言える空間を確保できたと思ったんだが…)
奉太郎「…何の用ですか、先輩」
入須「用事がなくては来てはいけないのかな?」
奉太郎「…いえ、そう言ったルールはありませんが…」
入須「…悪かった。勿論、言いたい事は分かっているよ」
奉太郎「そうですか」
入須「そうだ」
奉太郎「………」
入須「………」ガタッ
奉太郎(しれっと座ったな、この人)
入須「……」
奉太郎「………」
入須「…昼間、屋上に登っていたな」
奉太郎「昼食が購買のパンだったんですよ」
入須「そうか、今日は暑かったが」
奉太郎「日陰で」
入須「…そうか」
入須「……ふぅ。君と懐の探り合いをするのも楽しいんだが、時間を無駄にするのも惜しい」
奉太郎「そうですか」
入須「…案外根に持つタイプかな?」
奉太郎「いえ、そんなことは」
入須「だろう? 省エネ主義者はそんなにもエネルギーを消費する事はしないはずだ」
奉太郎「…主義主張を先輩の前で口にした覚えはないんですが」
入須「聞いたんだ」
奉太郎「誰に…は、もういいです」
入須「あっさりとした引き際も、君らしさかな」
奉太郎「……ここは古典部の部室ですが?」
入須「だろうな」
奉太郎「先輩の部活は知りませんが、少なくとも古典部では無い事は分かります」
入須「そうね」
奉太郎「…いや、やめましょう。確かに時間が惜しい」
入須「気づいてくれて助かるよ」
奉太郎「で、なんなんです?」
入須「不躾だな。確かに、最初に君が言った様に用事があったんだ」
奉太郎「千反田は今日は来ませんよ」
入須「彼女じゃない、君にだよ」
奉太郎「…俺にですか?」
入須「そうだ」
奉太郎「…この間の一件で役割は終わったと思っていましたが」
入須「役者の君ではなく、君自身に用がある」
奉太郎「…役者、ですか」
入須「語弊は無いわ。確かにこの間の時点で君は役者だった」
奉太郎「……それで」
入須「そうね、まずは話しを聞いて貰いましょう」
奉太郎「あまり聞きたくないんですが」
入須「先輩の頼みよ」
奉太郎「…こういう所でそう言うんですね」
入須「言うわ。言わないタイプに見える?」
奉太郎「どちらとも。そもそも俺は先輩にそこまで詳しくないですし」
入須「そうはなってくれないのか?」
奉太郎「…何故、そう聞くんですか?」
入須「……本題を話すとしよう」
奉太郎(なんなんだこの人は…)
入須「君は以前、私の考えを言い当てたことがあったな」
奉太郎「つい最近ですが」
入須「忘れもしない。誰に見られていた訳でも無いからな、羞恥も屈辱も無いが」
奉太郎「俺は先輩に見られてましたけど」
入須「…あるいは、君はそうかもしれないな」
奉太郎(…嫌いじゃない。だが、苦手だ)
入須「言い方が悪かったか?」
奉太郎「…いえ、気にしないで下さい」
入須「そうか。 …だが、私も一つ思った事はある」
奉太郎「…はぁ」
入須「……後悔だ」
奉太郎「…あなたが?」
入須「意外そうな顔だな?」
奉太郎「それは、そうでしょう?」
入須「…私は結論の為に全ての過程を気にしないと」
奉太郎「そう肯定したじゃないですか」
入須「いいえ、否定をしていないだけよ」
奉太郎「…同義じゃないんですか」
入須「それは捉え方次第よ。少なくとも、確固たる結論ではない」
奉太郎「……それで、その内容はなんなんです?」
入須「君に悪い事をした、謝りたい…とは思っていない」
奉太郎「そうでしょうね」
入須「それでも、この関係で終わらせるのは惜しいと思ったんだ」
奉太郎「…先刻言ってましたよね? 役者は終わったと」
入須「あぁ、一つ聞いてくれ」
奉太郎「はい」
入須「私には…好きな人がいるんだ」
奉太郎「…はぁ」
入須「随分気のない返事だな」
奉太郎「基本的に聞く事も話す事も無い内容だったもので」
入須「ふふっ、そうかそうか」
奉太郎「そう言った事なら千反田辺りに話した方が…」
入須「君に話したいんだ」
奉太郎「…門外漢にも程がありますけど」
入須「感情に疎いが論理に秀でる者、今回の場合はこちらが当て嵌まる」
奉太郎「……その手は通用しませんよ」
入須「そうだろうね。だが、私だって常にそうあるわけじゃない」
奉太郎「…次にいきましょう」
入須「懸命だ。君も知っての通り私はこの性格だが、通用しない事は勿論ある」
奉太郎「少なそうですがね」
入須「そうでもないさ。ただの小娘の言う事だ」
奉太郎「そうは思いませんけど」
入須「…それは、褒めてくれているのかな?」
奉太郎「…捉え方、ではないですね。実際に俺は先輩に一度尽くした事がありますし」
入須「ふふっ、認めてくれてはいるようだ」
奉太郎「…それは、まぁ」
入須「…例えば、この手法が通用しない相手に対して君ならどう思う?」
奉太郎「……そうですね、すぐに出る結論ではないですが…」
入須「焦らなくていい」
奉太郎「………」
入須「………」
奉太郎「……避ける、若しくは、興味を持つ、か」
入須「随分結論めいた言い方だな」
奉太郎「もし俺だったら避けますよ。今まで思い通りに進んでいた所に、急にイレギュラーの発生です」
入須「では後者は?」
奉太郎「それが、先輩の結論だからです」
入須「…ふふっ、先に答えを言ってしまっていたか」
奉太郎「興味を持った末、ですか?」
入須「そう、憧れになった」
奉太郎「…それで、俺に何を」
入須「好きな人、と言ったと思うが」
奉太郎「はい」
入須「この言い方が孕んでいる事、分かるか?」
奉太郎「………?」
入須「ふふっ、疑問符が目に見えるようだ」
奉太郎「…全てが分かるわけではありませんので」
入須「機嫌を直せ。 …片想いなんだ、私の」
奉太郎「…なるほど」
入須「…では、この問題を解決する為にはどうすればいい?」
奉太郎「! 俺にその結論を出せと!?」
入須「そうよ、私の考えをよく理解している君に相談したい」
奉太郎「出来ませんよ! 最初に言った通り俺は先輩に詳しくないですから! パーソナルなデータも足りませんし…」
入須「詳しくなってはくれないのか?」
奉太郎「だから、何故そう聞くんですか…」
入須「問題解決の為だ」
奉太郎「…あまり納得が」
入須「先輩の頼みよ」
奉太郎「……分かりました。少し考えますよ」
入須「相手の事は、あまり話したくない」
奉太郎「なら、先輩に詳しくなりましょうか?」
入須「いいよ。 …スリーサイズは必要か?」
奉太郎「いりませんっ!」
入須「先輩の頼みよ」
奉太郎「……分かりました。少し考えますよ」
入須「相手の事は、あまり話したくない」
奉太郎「なら、先輩に詳しくなりましょうか?」
入須「いいよ。 …スリーサイズは必要か?」
奉太郎「いりませんっ!」
・10分後
奉太郎(血液型、誕生日、趣味、特技、長所、短所、好きな物、嫌いな物)
奉太郎(色々聞かされたが…)
入須「スリーサイズは?」
奉太郎「だからいりませんっ!」
奉太郎(何故それを聞かせたがるんだ…)
・また10分後
奉太郎(考えても、結論が出ないな…)
奉太郎(そもそも先輩やその相手じゃなくて、俺自身に一番の問題があるように思えるぞ…)
入須「ふむ…時に、君に好きな子はいないのか?」
奉太郎「……いませんよ」
入須「そうか……では君に、そう言った者が現れると思うか?」
奉太郎「そりゃ…その内、あるんじゃないですかね?」
入須「それは、いつ位に?」
奉太郎「分かりませんよ。それこそ、先輩の様に自分のやり方が通用しない相手が現れたら、憧れてしまうかもしれませんね」
入須「…逆に、通用する…した相手だと、どうだ?」
奉太郎「…どういう意図ですか?」
入須「何、ただの雑談だよ。考えも纏まっていないんだろう?」
奉太郎「……それはそれで、互いに興味が持てれば十分じゃないですか」
入須「…そうだな、それは重要だ」
奉太郎「…! 出そうですね、結論」
入須「……?」
奉太郎「考える考えない、通用するしない。そうではなくて、興味を持つ」
入須「ふむ」
奉太郎「互いに興味を持ち合う事で対等になり、想い合う事が出来る」
入須「では、その互いにする為には」
奉太郎「先輩のやり方に於いて、ですが…」
入須「続けて」
奉太郎「利害を捨て、尚且つ全てを曝け出す」
入須「…どういう事だ?」
奉太郎「色々考えましたが、俺はそもそも恋愛経験がありません」
入須「そう聞いたな」
奉太郎「ですが結局の所、そういった駆け引きの通用しない相手と言う部分が今回の場合重要じゃないですか?」
入須「…駆け引きの通用しない相手には、正面からぶつかれと」
奉太郎「成功の保証はありません。ですが、少なくとも無意味な駆け引きは時間の無駄になるんじゃないですか?」
入須「…保証は無し、か」
奉太郎「俺の中に成功例がありませんから」
入須「ふむ…」
奉太郎「この問題には俺たちでは結論は出せません。最終的な部分に感情が入ってしまう」
入須「…そうだな」
奉太郎「ですが、より良い方法を考える事は出来そうです。こう言った結論は、どうでしょう?」
入須「ふふっ、それは結論ではなく過程を導いただけだ。だが、納得はできたよ」
奉太郎「…そうですか」
入須「…やはり、君は特別だな」
奉太郎「またですか? もう効かないですよ、それは」
入須「本心よ。君に、嘘はもう言えないだろ?」
奉太郎「…ありがとう、ございます」
入須「…この後、空いてるか?」
奉太郎「部室で静かに本を読む時間も無くなりましたし、空いてますよ」
入須「イヤミだな。それでは、お茶に行こうか」
奉太郎「……できれば、帰りたいんですが」
入須「お茶に行こうか」
奉太郎「……あの店は避けたいのですが」
入須「私との思い出の場所だろう? ふふっ、ではご希望通り、今回は別の店にしようか」
・喫茶“四五六”
奉太郎(別の店って言っても、雰囲気は何も変わってない!)
入須「ここの抹茶も美味いんだ」
店員「いらっしゃいませ。ご注文は如何致しましょうか?」
奉太郎「…雲南茶をひと
入須「抹茶が美味いんだ」
奉太郎「…抹茶をください。一つ」
入須「二つだ。お揃いの器でな」
店員「畏まりました。少々お待ち下さい」
入須「…待っている間、想像するんだ。どのような茶を使い、どのように点てられ、どのような器で、どのような味で」
奉太郎「馳せ過ぎると、差異があった場合はガッカリするんじゃないですか?」
入須「それも含めて楽しむんだ」
奉太郎「…そうですか」
入須「ところで、君は私に何も教えてくれないのか?」
奉太郎「……教えるって、何を…?」
入須「血液型、誕生日、私は色々教えたよ。スリーサイズも」
奉太郎「最後のは違いますっ!」
入須「知りたいんだ。教えてくれないか?」
奉太郎「…はぁ。まぁ、いいですけど…」
入須「そうか。では、聞かせてくれ」
奉太郎(能力の無い人間に興味は無いんじゃなかったのか…?)
・5分後
店員「では、ごゆっくり」
入須「………」
奉太郎「………」ズズーッ
入須「…音はたてない」
奉太郎「…はぁ」
入須「見た目通り、ずぼらだね、君は」
奉太郎「すいませんね。ごく一般的な出自ですので」
入須「イヤミも言われなれたよ。君は仲の良い友人にもそう言った話し方なのか?」
奉太郎「…まぁ、たまに。冗談めいて言う事はありますが」
入須「なら、明日からは私だけにしておくんだ」
奉太郎「…どういう事です?」
入須「二人だけのやり取りにしたいんだ」
奉太郎「………? これを、ですか?」
入須「あぁ。君も言うし、私も言う。互いに対等な関係だよ」
奉太郎「…はぁ」
奉太郎(何を言ってるんだ? この人は?)
入須「…昼食は、いつもどうしてる?」
奉太郎「…弁当なら教室で食べてますけど」
入須「私は中庭だ」
奉太郎「……はぁ、そうですか」
入須「…明日は待っているから、来るのよ」
奉太郎「……え?」
入須「来れない場合は事前に連絡を。携帯は?」
奉太郎「あ、いや、持ってないんですが」
入須「では2-Fまで口頭で」
奉太郎「…あのー、今断っても
入須「明日は待っているから」
奉太郎「………」
奉太郎(なんなんだ、この人は…)
・20分後
店員「ありがとうございましたー!」
入須「今日はありがとう。助かったよ」
奉太郎「…いえ、別に」
入須「……利害を捨て、曝け出す。そうだったな?」
奉太郎「…そう、言いましたね」
入須「ふふっ、結論からして、イヤミだな」
奉太郎「…そうですね」
入須「……君は、私の物になれ」
奉太郎「……え?」
入須「いや…違うな。互いに対等に…」
奉太郎「………」
入須「君は、私の隣を歩くんだ。明日から」
奉太郎「……あの、よく意味が」
入須「…ずぼらで鈍感では、良い所が無いよ」
奉太郎「……上手く整理できません」
入須「なら、明日まで良く考えることだ。 …またな」
奉太郎「………」
奉太郎(………何を、言われたんだ?)
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名前を入れて下さい:こんにちは
あ・た・し♪:やほー♪
あ・た・し♪:うまくいったみたいね
名前を入れて下さい:先輩のおかげです
やはり黒幕はほうたる姉…
名前を入れて下さい:ただ彼には
名前を入れて下さい:上手く伝わったかどうか
あ・た・し♪:二人きりではっきりした言葉を伝えたなら
あ・た・し♪:あのバカでも気づくでしょ
名前を入れて下さい:私は彼に嫌われています
名前を入れて下さい:言葉を伝えて逃げ帰ってしまいました
名前を入れて下さい:不安です
名前を入れて下さい:私の考えを気にも留めない人は何人かいましたが
名前を入れて下さい:私の考えを解いた
名前を入れて下さい:理解してくれた人は、初めてなんです
あ・た・し♪:じゃあ、ひとつイイ事教えようか?
名前を入れて下さい:なんですか?
あ・た・し♪:あした弁当いらないってさ
おまけ
入須「来たか」
奉太郎「まぁ、言われましたので」
入須「そうか……嬉しいな」
奉太郎「! ……そういう顔も、できるんですね」
入須「? どういう顔だ?」
奉太郎「……いえ、なんでもありません」
入須「…? そうか」
奉太郎(可愛いじゃないか、ちくしょう)
おわり
入須先輩のssが少なかったので自家発電させて貰いました。
原作はだいぶ前に読んだきりなのでおかしい部分があるかもしれませんが
無視していただけると嬉しいです。
支援してくださった方、ありがとうございました。
奉太郎「…どちらとも」
入須「そうか」
奉太郎「…好きなんですか?」
入須「意外か?」
奉太郎「そうですね、イメージには」
奉太郎「……指を見ててください」
入須「…なんだ?」
奉太郎(大変古典的だが…)スッ
入須「指が動いた!」
奉太郎「うっ……先輩、近いです」
入須「すごいな!」キラキラ
奉太郎(……恥ずかしいな、これは)
入須「君を動かす事はできるんだ」
奉太郎「もう、嘘は聞きたくないんですが」
入須「言わないよ。 …それに、言ったとしても、君は気づいてしまうだろう?」
奉太郎「…あまり自信はありませんが」
入須「能力の有る人間は」
奉太郎「それもいいです」
入須「君の心は、どうやれば手に入るんだろうな?」
奉太郎「……は?」
入須「渡せ」
奉太郎「いや…無理ですよ」
入須「何故だ?」
奉太郎「…それより、対等になるんじゃなかったんですか?」
入須「! …そう、だったな」シュン
奉太郎(……駄目だ。可愛いと思ってしまう…)
入須「なら、どうすればいい」
奉太郎「自分で考えてください。女帝さん」
入須「イヤミを言うな」
奉太郎「……いや、それも先輩が…」
入須「……うるさいな、君も」プクー
奉太郎「…だいぶ参ってますよ、俺も」ボソッ
入須「…なんだ?」
奉太郎「なんでもありませんっ!」
入須先輩が増える事を祈って…
それでは、おやすみなさい。
いりほーいりほーおやすみー
Entry ⇒ 2012.08.13 | Category ⇒ 氷菓SS | Comments (1) | Trackbacks (0)
怜「竜華の体で色んな枕を試す」
怜「暑くて溶けそうや…」ゴロゴロ
竜華「せやなぁ」ナデナデ
怜「こんな時にエアコンが壊れるとかないわ…」ゴロゴロ
竜華「せやなぁ」ナデナデ
怜・竜華「………」
怜・竜華「あーづーいー」
セーラ・浩子(その膝枕やめればええのに…)
セーラ・浩子(ぶっ込んだー)
怜「何言うとるん…。この汗ばんだ太ももがまた気持ちええんやないの」スリスリ
泉「は?」
怜「このスメル…堪らんわ」クンカクンカ
泉「…は?」
怜「こんな可愛いおっさんがどこに居るんや」
竜華「せやせや!」ブーブー
セーラ(ダメやこいつら)
浩子「…にしてもあっついですね」パタパタ
セーラ「誰かさんたちのおかげで更にな」
泉「確かにめっちゃ暑そうですね…それ」
セーラ「コレはオレのポリシーなんや!」ドヤァ
セーラ「…つっても暑いけど。泉は涼しそうで羨ましいわー」
浩子「ほほー…」キラン
セーラ「な、なんやその目…」
泉「はい!」
セーラ「うわっちょっ! 何脱がs」
浩子「万が一熱中症になったら困るやろ思いまして。袖なし制服に着替えさせてあげます」
竜華「よかったなあ、セーラ。先輩思いのいい後輩を持って」
セーラ「そこ見てないで助けんかい!」
泉「江口先輩ちょい大人しくしてて下さいねー」
セーラ「あああああああああ」
怜「楽しそうやなぁ」
竜華「混ざる?」
怜「ありゃ見てるほうが面白いで、多分」
竜華「あはは、確かに」
怜「しかし暇やなぁ」
竜華「一応部活中なんやけどな」
怜「せやけどこんな暑いんじゃ頭も回らへんわ…」グデー
竜華「やな…」
竜華「なに?」
怜「これ膝枕言うけど実際膝やなくて太ももやない? 膝枕ちゃうやん」
竜華「た、確かに…!」
怜「何で太もも枕って言わんのやろな」
怜(まぁ確か膝頭云々で結局膝枕で合うてるらしいけど)
竜華「言われてみれば…なんでなんやろ……」ウーン
怜「というわけで竜華の体で色んな枕を試してみよう」
竜華「え、なんでそうなるん!?」
怜「細かいことはええんや」
泉「どうですか! 船久保先輩!」
セーラ「………」カァァ
浩子「あらーお似合いですよ」カシャッカシャッ
セーラ「撮るなぁ! なぁもうええやろ?!」
浩子「さて次は…永水女子の制服でも着てもらいましょか」
セーラ「聞け―!!」
竜華「う、うん」ゴロン
怜「ありがとう…よっこいしょ」
怜「おぉ…これはええな」
怜「太もも同様、程よい肉付きの二の腕…堪らんわ」
竜華「あ、ありがとう…?」
怜「なぁりゅーかー」
竜華「ん?」
怜「これ今度泊まりに行った時にもしてぇな」ミミウチ
竜華「ふぇ!? わ、分かった…」
竜華「お腹っちゅーことはまた寝っ転がればええのん?」
怜「ちゃう」
竜華「えっ」
怜「んとな、靴脱いでソファに座ってこっち向いてみて」
竜華「こ、こう?」
怜「ん。で、いわゆるM字開脚を…」
竜華「ええ!?」
怜「あっちはうちらのことなんか目に入っとらんて」
竜華「うぅ~…」
怜「それに私に見られても今更やん?」
竜華「せ、せやけど」
怜「あぁ急に頭がクラクラしてきた…はよ腹枕かクッ○ーラムネを……」
竜華「ええ! 大丈夫!? 今したるかんな!」
怜(ああ、なんや凄い罪悪感が…。ごめんな竜華…)
怜「う、うん」
怜(頬赤らめながらこの格好…そそるなぁ…)
怜「で私は足と足の間に…でお腹辺りに頭を乗せて」ヨッコイショ
怜「…竜華平気? 重ない?」
竜華「全然平気やで。怜軽いもん」
竜華「というかこれ本当に腹枕なんか…?」
怜「私が夜中にアニメで見たやつはこうやってたんや」
竜華「へ、へぇ…」
声優ネタ分かってくれる人いた!嬉しい!
竜華「ほー」
怜「さて次は…尻枕やろか」
竜華「し、尻て…」
怜「はい竜華うつ伏せになって」
竜華「もうどうにでもなれ…」
怜「ほな失礼。…こ、これは……!」
竜華「ど、どしたん?」
怜「もしかしたら膝枕より…アカン、ぐらつきそうや……」
竜華「え、う、うん…」
怜「ああもうこれ完全に膝枕抜いたわ尻枕最高や」
怜「竜華、今度から膝枕じゃなく尻枕にs」
竜華「出来るかぁ!」ビシッ
怜「………」ショボン
竜華「うっ…。い、家でならやってもええけど…」
怜「ほ、ほんまに…? りゅーか大好きー」
竜華「はう」
竜華(反則やろ…)
怜「次は…胸枕や。別名おもち枕」
竜華「まあここは来るだろうなとは思っとったわ」
怜「尻枕より期待しとるで」
竜華「変なプレッシャーかけんといて…」
竜華「あ。仰向けにならんとか」ヨイショ
怜「だんだん恥じらいがなくなってきたな」
竜華「誰のせいや」
怜「ん」
怜「しかしまぁ…改めておっきいなぁ。まさにシュークリーム」
怜「………」
モニュ
竜華「ひゃっ?!」
怜「ご、ごめん。つい手が」モミモミ
竜華「も、揉みながら言うなぁっ」
モニュン
怜「おおう…これも想像以上や…」
怜「りゅ、竜華…今度から膝枕じゃなk」
竜華「せやからやらんて」
怜「冗談やん…もー」
竜華「もーじゃないわ…もー」ハァ
怜「…これ私みたいなんがやったら悲惨なことになりそうやな」
竜華「怜も結構あるやん」
怜「こんなん竜華に比べたら…」
竜華「ほなあそこの3人はどうなるん」
怜「はっ…! ごめんな…セーラ、フナQ、泉……」
竜華「いや、それもそれでなんか」
竜華「へ? うん」
怜「よっこいぼふ」
竜華「う、うつ伏せ!?」
怜「ああ、この汗のにおいがまたええわぁ…」スーハースーハー
竜華「………」
怜「すーはーすーはー」
竜華「と、ときー? まだ…?」
怜「んーもうちょい」スーハースーハー
竜華(うちもうあんたがおっさん言われても擁護できんわ…)
怜「ふぅ…」
竜華「はぁ…なんやめっちゃ疲れた…」
怜「結論、竜華の体は素晴らしい」
怜「中でも尻枕はええ収穫やったわ…」
竜華「そか…」ハァ
竜華「あ、うちちょい自販でジュース買うてくるわ」
怜「あ、私もー」
浩子「風越の次は龍門渕の制服を着てもらいましょか…」
泉「りょ、了解!」
泉(いつになったら終わるんやろか…)
セーラ「モウイッソコロシテ…」ゲッソリ
浩子「あぁ、フォルダが潤いまくりや…!」
とりあえず透華モデルの制服ってことで…
――自販機前
竜華「んー、たまにはコレにしよかなー」
ガコン
サイコソーダが でてきた!
ピピピピピ…ピー!
竜華「あー! 当たったー!」キャッキャッ
怜「おー、すごいなぁ」
怜「え、竜華が当たったんやから竜華が選ばんと」
竜華「ええからええから。ほらはよせんとせっかく当たったんが無効になってまうでー」
怜「え、ほなアイスココア…」
竜華「はーい」ピッ
ガコン
竜華「ん」
怜(屈んだときに…ふふ。ええもん見せてもろたで、竜華)
怜「ありがとう」
竜華「どいたま~」
ゴクゴク
竜華「ぷはー! HP60くらい回復したわー」
怜「美味し…。そういや私炭酸てあんま飲んだことないわ」
竜華「あー、苦手そうやもんな」
怜「でもたまに無性に飲みたくなる時があるから不思議や…」
竜華「…今は?」
怜「飲みたい……かも」
竜華「えへへー」
怜「結構炭酸キツいけど美味しいな」
竜華「間接ちゅーやし?」
怜「そ、それは関係ないやろ」カァァ
竜華「んな照れんでも」
怜「照れてないわ…あほ」
竜華「あーもー怜は可愛いなぁ!」ムギュゥ
怜「わわっ…」
竜華「さっきまでおっさんやったのに攻められると急にしおらしくなるんやな?」
怜「うっさいわ…」ギュゥ
竜華「んー」スリスリ
怜「りゅーかここ廊下…」
竜華「さっき部室で好き勝手やってたんはどこの誰ー?」
怜「…部室と廊下じゃえらい違うわ」
竜華「教室とかでもたまに膝枕してるやんか」
怜「…これ膝枕やないもん」
怜「…恥ずいやん」
竜華「うちは見せつけたいけどな、怜はうちのですよーって」
怜「あほ…」カァァ
竜華「だってあんた最近人気なんやもーん」
怜「…嫉妬しとるん?」
竜華「…悪い?」
怜「………」フルフル
竜華「むぅ」
怜「うちは竜華のことが好きなんやからそんなん気にする必要ないやん」
竜華「あ、ぅ……」
怜「それにあんたかてえらい人気やないの。特に部の後輩とか」
怜「まぁ部長やし仕方ない思うけど…やっぱりちょい心配になるときあるんやで」
竜華「…怜も人のこと言えんぐらいアホやな」
怜「失礼な」
竜華「だってうちもあんたと同じやもん」
怜「……ちゃんと言わんと分からん」
竜華「うちが好きなんは怜だけや」
怜「…ん」ギュゥ
竜華「ここ廊下やで?」
怜「ええからはよぉ…」
竜華「怜はわがままやなぁ」
怜「…わがままなんは嫌い?」
竜華「まさか。わがままな怜も、おっさんな怜も、ちゅーする為に背伸びしてる怜も…どんな怜も大好きやで」
怜「…ばか……んっ」
竜華「ん……」
・
・
竜華「ただいまー」
怜「まー」
浩子「おかえりなさい」
浩子「お二人ともどこ行ってたんや?」
竜華「んー、ちょっと自販機に。というかみんなそろそろ真面目に部活するでー!」
怜「あれ、セーラはどうしたん? 横になって…体調でも悪いん?」
浩子「あー疲れたんでちょい休むみたいですわ」
セーラ「バスガデルデー」
泉「…」ガクガク
怜・竜華(何したんやフナQ(浩子)……)
終われ
あとやっぱり表現が前に書いたのと同じになってしまう…
とにかく怜竜もっと増えろ!あと穏憧も増えろ!
見てくれた方ありがとねー
怜竜は正義
また書いてね
Entry ⇒ 2012.08.13 | Category ⇒ 咲-Saki-SS | Comments (0) | Trackbacks (0)
女友「女ちゃんを監禁して死ぬまで逝かせ続けたい」女「」
女友「あっ気がついた?」
女「というか、何で私ベットの上に寝てるわけ…?」
女友「大丈夫。それ、私のベットだから。」
女「そういう問題じゃなくって…! っ…! なんで私縛られてるの!?」
女友「だってそうしないと女ちゃんを思う存分堪能できないないじゃん♪」
女「えっ…ちょっと?何言って…!?」
女友「大丈夫。女ちゃんの心も体も、全部私の物になっちゃったらちゃんと解放してあげるから、ね?」
女「…!!」
みたいな。
女「ちょっと…!やめてよ…!」
女友「ふふっ」さわさわ
女「いやっ…ちょっとこれほどいてよ…」
女友「女ちゃんって、とっても柔らかいんだね…///」さわさわさわさわ
女「ちょっと!変な所に手入れないでよ!」
女友「えーっいいじゃん♪」
女「やめて!!」
女友「女ちゃんの手触り凄くいいのに、もったいないよ」
女「いやっ…!」
女友「あっわかった、服の上から触られるのが好きなんだ♪そっちの方が、恥ずかしくないもんね♪」
的な。
女「だからやめてって…!!」
女友「ふふっ…女ちゃんが必死にもがいてる…いくらもがいても逃げられるわけないのに…///」さわさわ
女「はなし…てっ…!」
女友「すごい…服の上からでも女ちゃんの手触りとあったかさがすごく伝わってくるよ?」さわさわ
女「いやっ…だれかっっ…!!!」
女友「可愛い声♪」さわさわ
女友「だけどいくら可愛い声出したって、誰も来ないよ?だから安心して、もっと可愛い声聞かせて?」さわさわさわさわ…
とかさ。
女友「あれ?今ちょっとだけぴくっってなったでしょ?」
女「なっ何言ってるの…!?」
女友「もうっ素直じゃないんだからぁ♪こんなに可愛いんだから素直になっちゃえばいいのに…♪」
女「…。」
女友「そうすればもっと気持ち良くしてあげるのに…
あっ、女ちゃんの胸ってすごく柔らかいんだね。」
女「なっ何やってるの…!?」
女友「胸を触ってるの♪ ふふっ…見れば分かるのに…そんなに言ってほしかったの?」
女「そんなわけないでしょ…!」
女友「もうっあんまり抵抗してると、私に抵抗できない体にしちゃうよ?」
女「っ…!」
女「なっ何言って…!?」
女友「だって、体だけ抵抗できなくなっちゃって、『もういやぁ』って言いながら
私に無理矢理逝かされまくってる女ちゃんもすごく可愛いし…」
女友「心も体も抵抗できなくなっちゃって、『もっとシてぇ』って言いながら
私に幸せそうに逝かされまくってる女ちゃんもすごく可愛いと思うから…///」
女友「ねぇ?女ちゃん的にはどっちのシチュがいいの?」
女「どっちも絶対イヤっ!!」
女友「くすっ 女ちゃん、可愛いっ♪」
とりあえずいっぱい触ってあげる♪」
女「なんでそうなるの!?」
女友「だって…今必死に抵抗してるのは、私にすこしづつ、時間をかけて堕としてほしいって事なんだよねっ」
女「意味が分からないんだけど!」
女友「もうっ必死で抵抗しちゃって本当に可愛いんだから…///
抵抗できなくなっちゃった時が本当に楽しみ…。」
女「…。」
女友「じゃぁまたあちこち触ってあげるね?時間はいくらでもあるんだし…。」
女「!」
女友「だって女ちゃん、私に監禁されちゃってるんだから♪
私が縄をほどいてあげるまで、ずっとこのままなんだよ?」
女「…。」
女友「ふふっ…女ちゃんが観念しちゃったところで…また体を触りまくってあげたらどうなるのかしら♪」
女「……。」
女友「あれ?ちょっとおとなしくなっちゃった?」
女「そんな事…!」
女友「もしかして、『あれ…だけどちょっと気持ちがいいかもー』とか考えちゃってるのかな?」さわさわ
女「そんなこと…ないからっ…!!」
女友「声がちょっとだけ震えてる…?必死に抵抗してるんだね♪
いいよ?もっと頑張って抵抗して?だって、必死に抵抗してる女ちゃん、すごく可愛いんだもん♪」
女友「…女ちゃんの足ってすごくすべすべしてて奇麗だね…」さわさわさわさわ
女「っ…!やめて!!」
女友「あれ?いままでずっと大人しくしてたのに…」
女「…。」
女友「」さわさわさわさわ
女友「…っ!!」
女「あれ?どうしたの?」
女友「…。」
女「…ちがぅっ!!」
女友「あせってるあせってる♪」
女「…。」
女友「もう…本当に可愛いんだから…///」すりすり
女「…っ!!」
女友「もうっ女ちゃんって本当に可愛い…!
必死に我慢してるのにたまにぴくってなっちゃうところとか…」
女「……。」
女「…。」
女友「そうだ、ここにしよっと♪」さわさわ
女「ちょっと…何考えてるの…!?」
女友「何って…?足の間触ってるだけだけど…?」さわさわ
女「やめなさいっ…! っ…!」
女友「ふふっ女ちゃんのここ、あったかいんだね♪ズボンの上からでもあったかさが伝わってくる…。」さわさわ
女「いやっ…やめて…!」
女友「あれ?いまちょっと体が反応しちゃった?」
女「しっしてないよ!!」
女友「そっかぁ残念だなぁ…
女ちゃんが切ない気分になってるなら、もっと気持ちよくしてあげられたのになぁ」(上目遣い
女「なってないよっ…!」
女友「ほんとにー?」さわさわ
女「ほんと…よ!」
女友「そっかぁ…残念♪」
女「…。」
女「…。」
女友「大丈夫。女ちゃんに食べてもらおうと思っていっぱい練習したから♪
あ、女ちゃんは縛られちゃってて手が使えないから…私が食べさせてあげるね♪」
女友「だけど…本当にそのまえに逝くかせてあげなくって大丈夫?体、ちょっと熱くなってきてるよ?」
女「だ、大丈夫よ!」
女友「そっか♪じゃあしょうがないね。
あ、台所すぐそこだから、トイレとか行きたくなったら呼んでね?連れて行ってあげる。
もちろん暴れられないようにその前に体に力が入らなくなる薬を飲んでもらうけど。」
女「…。」
女友「もちろん、口移しで飲ませてあげるから期待しててね♪」
女友「せっかく女友ちゃんがいい感じになったのに、このまま何もしないのはもったいないわよね…。」
女「なっ何もしなくていいわよ!」
女友「だーめ♪せっかく捕まえたんだから、思う存分女ちゃんを堪能しなきゃ損でしょ?」
女「…!」
女友「大丈夫。すぐに終わるし絶対に触ったししないから。だから、ね、いいでしょ?」
女「本当に…!?」
女友「うんっ可愛い女ちゃんを騙したりなんかしない。
…あっでも…騙されてそのままあんあん言わされちゃう女ちゃんも可愛いか…」
女友「ごめんっ今のなし!!」
女友「だけど今回は本当!ちょっとだけ服に手を入れるだけ!それならいいでしょ?」
女「うっうん…」
女友「ふふっやったぁ!」
女「ちょっどこに手入れてるの…!?いやっパンツの中に手、入れないで…!!!」
女友「はいっおしまい♪ね?ちょっとだけだったでしょ?」くすくす
女「ちょっと…これ…まだ何か入って…!?」
女友「じゃっスイッチオンっと…」
ブブブブブ…
女「…!!!」
女友「じゃっ美味しい手料理作ってきてあげるから楽しみにしててね?」
女(だけどここで声を出したら……!!!)
女「…っ!……んっ……」
女(そんなに強く震えてないから逆にすごくもどかしい…!)
女「ああぁ……ん………。」
女「女友ちゃん…?これ…取ってよ…!!」
女友「あれ?もしかして取ってもらえないと気持ちよくなっちゃって困るの…?」
女「…!」
女「…そんなこと…ないよ…!! ぁぁっ…!!」
女友「そっか♪残念♪」
女「それより……夕ご飯…できたの……?」
女友「ううん、まだ。ちょっと忘れ物しちゃって戻って来たの。」
女「…?」
女友「はいっこれっ。
女(目隠し…!?)
女友「さっきなんとなく思いついたの♪これつけたあげた方が女ちゃん喜んでくれるんじゃないかなって♪」
女「やっやめて…!! ぁぁぁ……。」
女友「いま、付けてあげるね♪」
女「ぁぁぁ…」
女友「何も見えない方が気持ちいいでしょ?」
女「そんなこと……。。。」
女友「すごく切なそうな声♪
それに、目隠しをされたまま縛られてる女ちゃんって…すごくそそる…///」
女友「このままめちゃくちゃに襲っちゃたいくらい…。」
女(うぅ…ここで襲ってもらえれば私は嫌がってるのに無理矢理ってことに出来るかも…。)
女(って私はなんて事を考えて……!!!)
女友「だけど、女ちゃんが嫌ならしかたないよね♪」
女「……。」
女友「じゃあ、夕ご飯の続き作ってくるね♪後一時間くらいかかるから、それまでゆっくりしててね?」
女友「大丈夫。その強さなら勝手に逝っちゃう事もないはずだし。」
女(…!!)
女友「じゃぁ、ばいばいっ」
女友「おまたせー♪
オムライス作ってきたから、一緒に食べよ?」
女「ぁぁぁ…んんっっ……」
女友「あれ?どうしたの?そんなにはぁはぁしちゃって…?」
女「なんでも……ないよぉ…」
女友「もうっこんなにはぁはぁしちゃって♪本当に可愛いんだから♪♪」
女友「そんなにはあはあしちゃってたら食べられないからこれ、いったん切ってあげるね。
目隠しも外してあげる。」
女友「あんなに気持ち良さそうにしてたのに…
それに、涙目になりながら『ひどいよぉ』って…女ちゃん、可愛すぎ♪」くすくす
女「…。」
女友「そんなに可愛い顔で私を誘惑すると…またスイッチ入れちゃうよ?」
女「……。」
女友「あれ?否定しないの?もし入れて欲しいんなら、今度はもっと強くしてあげるよ?」
女「ぃっ…ぃゃ…。」
女友「そっか♪残念♪♪」
女友「だけどあお向けじゃ食べられないから、体起こせるようにしてあげる。」
手を縛っている縄を外して、女の体を起こして、すぐに後ろで縛る女友。
女友「くすっ…体に力が入れば手が自由になったときに逃げられたかもしれないのにね♪」
女「うぅ…。」
女友「うん。上手く作れたかも!じゃあ女ちゃんにも食べさせてあげる。」
女「…。」
同じスプーンでオムライスをすくって女の口元に持って行く女友。
女友「はいっあーん♪」
女「」ぱくっ。
女「おいしい…」
女友「ありがとう!
くすっ…これから毎日ご飯作って食べさせてあげるからね♪」
女「…。」
女友「女ちゃんは絶対に私から逃げられないのに…可愛そう♪」
女「そんなぁ……。」
女友「そんな悲しそうな顔しないで?また気持ちよくしてあげるから。ほらっ♪」
スイッチを入れる女友
女「…! ぁぁ…!!」
女友「うん。とっても気持ちよさそう♪」
女「やめてぇ…。」
女友「可愛い声♪こんなに可愛い声を聞きながらお食事ができるなんて…!
ほら、あーんして…?」
女友「ごちそうさま♪ひっしにあんあん言うのを我慢してる女ちゃんに同じスプーンで食べさせてあげながら
たべる夕ご飯…とっても美味しかったよ♪」
女「あっあの…トイレ……行きたいんだけど…。」
女友「分かった、ちょっと待ってて?」
女友「じゃあこれ飲んで?」
女「…これっ…なに…?」
女友「力が入らなくなる薬♪暴れられたら困るでしょ?大丈夫。トイレに行く時は肩かしてあげるから。」
女「……う、うん…。」
薬を飲む女…。
あ、これは取ってあげるね。」
女「んっ…」
女友「くすっ…こんなにとろとろになってる…
気持ちよかったんだ♪」
女「ちっちがうよ…!」
女友「ねぇ?この汁舐めてもいい?」
女「だっダメ…!!」
女友「そっか。残念。やっぱり直接舐めた方が美味しいもんね。」
女「…。」
女友「じゃあ連れて行ってあげる。」
女「うっうん……。」
女(…!)
女友「でもよく考えたら…手後ろに縛られたままだっけ?
じゃあ、水流したりウォッシュレットスイッチ押したりはできるけど…逝けないか♪」くすっ
女「……。」
女友「あれ?もしかして逝きたいの?もし可愛くおねだりしてくれたら、いますぐ逝かせてあげてもいいんだよ?」
女「いい…。」
女友「そっか。残念♪ じゃあトイレから出たら一緒にお風呂はいろっ♪私が洗ってあげるから。
その体じゃ、自分で洗うの大変でしょ?」
女「うっ…うん…。」
女友「じゃあ脱がせてあげる♪」
女「いやぁ…」
女友「だって、力はいらないんだから脱ぐの大変でしょ?」
女「い、いいよ…。」
女友「そっか。じゃぁ自分で脱いでいいよ。」
女友「女ちゃんって上から脱ぐんだ…」
女「ちょっと…見ないでよ…!」
女友「見ないでって…学校のプールの着替えの時とかいつも見られてるじゃない。
それとも…私に見られると興奮しちゃう?」
女「ちっちが…!」
女友「女ちゃんって可愛い下着つけてるのね…無防備な腋もすごく奇麗…」
女「…!」
女友「あっあかくなってる。可愛い♪」
女「…。」
女「っ…!!!」
女「なんでもないよ…。」
女友「ってことは…その下はどうなってるなかな…?」
女「…。」
ちょっと待て、何のだよwww
>>82は女なんだろ。あとは察してやれ
あっ、だけど、力はいらないからフォック外すのはちょっと大変かな?
じゃあ取ってあげる。」
女「えっ…ちょっと…!」
女友「奇麗な胸…もっとよく見せて?」
女「いやっ…」
女友「いいじゃない。お風呂に入ったらどうせ見られちゃうんだから。
そんな事より、はやくパンツも脱がないとお風呂に入れないでしょ?」
女「…。」
パンツを脱ぐ女…
女友「くすっ…トイレで洗ったはずなのに、まだ汚れちゃってるんだ♪」
女「うぅ……。」
女友「大丈夫。ちゃんとお風呂で奇麗にしてあげるから♪」
女友「じゃあ…ここ座って?」
女「うん…」
女友「じゃあボディソープ付けてあげるから、じっとしててね?」
女「あっ…!」
女友「くすっ…気持ちいの?ボディソープ塗ってるだけだよ…?」
女「そんな事ないよ…。」
女友「女ちゃんって本当に柔らかいんだね…」さわさわ
女「ああっ…」
女友「じゃあ、ちょっとだけお尻浮かせて?」
女「…!!」
女「ちょっと…!!どこ洗って……!?」
女友「どこって…お尻だけど?
ここもきれいにしておいた方が、お風呂から上がった時にいろいろ便利だし♪」
女「何考えて…んんっ…!!」
女友「」くすっ…
女「そこは自分で洗うよぉ…」
女友「だーめ♪
大丈夫。ちゃんと気持ちよくなるように洗ってあげるから♪」
女「んんっっ…!!!」
女友「あれ?いますごくびくっってした?そんなに気持ちよかったの?」
女「」ふるふる
女友「そっか。もし気持ちがよかったんならこのまま逝かせてあげようとおもったのに…
残念♪」さわさわさわさわ
女「…!!…っっっ!!」
女友「必死で我慢してるんだ…そんなに私に逝かされちゃうのが嫌なの…?
どうせ逃げられないんだし、もう時間の問題だし、私に堕とされちゃった方があとあと楽だと思うんだけどなぁ」さわさわさわさわ
女「っっっ…ぁぁぁ……。」
女「はぁ…はぁ…」
女友「あれ?どうしたの?
もしかして観念しちゃった?」
女「ちが…うよ…。」
女友「そっか♪じゃあシャワーかけてあげるね」
女「う、うん…」
女友「よかった。」
女友「…さて、これでだいたい流れたかな?
あれ、だけどまだ一カ所だけぬるぬるしてる…」
女「…!!」
女友「ごめん、ちゃんと洗えてなかったみたい。
今きれいにしてあげるね♪」
女「…。」
女友「あれ…どうしたのー?」
女「なんでも…ないよ…」
女友「もしかしてこのぬるぬる、石けんじゃないの?」
女「石けんだよ…」
女友「そっか。じゃあ体に良くないから、石けんが取れるまで洗ってあげないと行けないよね♪」
女「んん…っ…」
女友「んーなかなか取れないなぁ石けん。もっとごしごし洗わないとダメかなぁ?」
女「やめてぇ…!」
女友「切なくって可愛らしい声出しちゃって…
だけどそんな声でお願いされたらしょうがないか…」
女「んん…ぁぁ……」
女(どうしよう…気持ちがいい…)
女(いっそこのまま逝かせてもらおうかな……)
女(たぶん女友ちゃんならお願いすればすぐに逝かせてもらえる…!)
女友「はいっおしまい♪」
女「……。」
女「なんでもない…」
女友「そっか。なんかしてほしい事があったら何でも言ってね♪
私にできることなら何でもしてあげるから♪」
女「うっうん…。」
女友「もうすぐ堕ちちゃいそうなのに、もうちょっとってところで素直になれない女ちゃん可愛い♪」
女「……。」
いったんここまでという事で…
とりあえずここまで読んでくれた方、保守してくれた方、ありがとうございました!
女「うん…」
女友「そっか、力はいらないんだっけ?じゃあ手伝ってあげる」
女「…。」
ぽちゃん。
女友「じゃあ、体洗うから、ゆっくり入っててね?」
女(からだがあついよ…)
女(お風呂の水もくすぐったい…)
女友「あっ、いけない。さっき女ちゃんに使ってあげたボディソープは媚薬入りだから
こっち使わないと…ちなみにちょっとだけ効き始めるのが遅いやつだたから…
ちょうどそろそろ効いてきた頃かなぁ?」にやにや
女「…!」
女(どうしよう…お風呂の水の感覚がすごくくすぐったい…)
女友「ん?女ちゃんもシャワー浴びたいの?いいよー?」
女「っっっっっっ…!!!」
女友「どうしたの?シャワーかけてあげただけだよ?」
女「…。」
女友「もうちょっとで体洗い終わるから、そしたら一緒にはいろ?」
女「……。」
女(そうだ…いまこっそり一人で逝ったら少し楽になるかも…)
女(だけど見られたらおしまいだよね…)
女友「ん?」
女(だめだ…。女友ちゃんずっとこっちを見てる…)
女(きっとお見通しなんだ…)
女(湯船から出て水の感触がなくなれば少しは楽になるかも…!)
女「そうだ女友ちゃん、背中ながしてあげるよ。」
女(…!!)
女(…力が入らなくて出られない…!!!)
女友「あれ?湯船からでたいの?だけど力が入らなくって出られないよね?」
女「…。」
女友「だいじょーぶ。私は一人で洗えるからゆっくり入ってて?」にやにや
女「……。」
どぼんっ
女「っっ!!」
女友「あれ?女ちゃんどうしたの?」
女「…。」
女友「わかった。水が動くとくすぐったいんでしょ♪」
女「…。」
女友「可哀想に…媚薬入りのボディソープを全身に付しみ込ませられちゃったんだから
しょうがないよね?」
女友「ほらっくすぐったいでしょ?」
女の周りの水を、てでわざと動かす女友
女「っっっっ…!!!」
お水、ぬるめなのに汗かいちゃってるよ?」
女友「しかもここもまたぬるぬるになっちゃってるみたい…」さわっ
女「ひゃぁっ!」
女友「あれ?今の声なに??」くすくす
女「うぅ…」
女友「いまとっても可愛い声出さなかった…?」
女「…。」
女友「『ひゃぁっ!』だって…♪」
女「…。」
女「やだぁ…」
女友「いいじゃない♪私女ちゃんの可愛い喘ぎ声聞きたいなっ♪」さわさわ
女「んんんん……ぁぁぁぁぁ……!!!」
女友「あ、がまんしてるがまんしてる」くすくす
女「っっっっ…!!! ぁぁあ!!!」ピクッ
女友「あれ?こんどはぴくってなったよ?
わかった♪ほんとは気持ちいいんだ…♪」
女「うぅ……。」
女友「そんな顔しないで?もう触らないから。
それとも触ってほしくってそんなに可愛くって切なそうな顔してるのかな…?」
女「…!」
女友「いいよ?私今、女ちゃんの汗とかぬるぬるがいっぱい混じったお湯に、女ちゃんと入れててすごくうれしいの…」
女友「ずっとこんなお風呂に入りたかったんだ…♪」
女「もう、やめてぇ…!」
女友「あれ?もうでちゃうの?折角なんだし、もうちょっと入ってようよ?」ずいっ
女「らっ乱暴にしないで…!!」
女(水がくすぐったい…!)
女友「もう。私が力ずくで襲ってるみたいな言い方しないでよ」
女友「…だけどそれもアリね…!」
女友「ねぇ?
女ちゃん的には無理矢理逝かされるのと、『お願い、早く逝かせてぇ!』って状態にされて逝かされるのどっちが好きなの?」
女「どっちも…いや…。」
女友「もぅ。結局は逝かされちゃうんだから好きな方選んだ方がお得なのに…」
女友「あっ いいコト思いついた!ちょっとまってて!」
ばしゃん!
女「っっ…!」
女(女友ちゃんが水から出るだけでくすぐったい…!)
シャワーのノズルを持って湯船に入る女友
じゃぼん!
女「っっっっ!!!!」
女友「じゃあ、これでぬるぬる取ってあげるね♪」
女「いやっ…くすぐったいからシャワーの水かけないで…!」
女友「ほら?これでぬるぬる洗ってあげる♪」
女「ぁぁぁぁ……。」
女(なんかすごくくすぐったい…)
女友「これなら逝く心配はないでしょ?」
女(うぅ…だけど変な感じがする…)
女友「どお、きもちい?」
女「うぅ…」
女(だけど逝かされちゃうしんぱいはなさそう…)
女友「ふふっ…もうちょっとかな?」
女(あれ…この感じって…。)
女(…もしかしておしっこ…!)
女(どうしよう…湯船の中なのに…!!)
女友「あれ?どうしたの?そわそわしちゃって?」
女(うぅ…ここは正直にいうしかないか…(泣)
女友「なぁに?」
女「トイレ…」
女友「おしっこしたいの?」
女「」こく…
女友「じゃぁ、ここでしていいよ?」
女「えっ…」
女友「だって、おしっこ漏らしちゃって、死ぬほど恥ずかしそうにしてる女ちゃん、
絶対可愛いもの♪」
女「やだっ…ゆるしてぇ…!!」
女友「大丈夫。お風呂の中でおしっこ漏らしちゃう恥ずかしい娘は私がもらってあげるから、ね?」
いやぁ…!ぁぁ…!!!」
女友「こらっ湯船の中からでようとしちゃだーめ♪」
女の後ろに回って、足で女の体を挟んで女を押さえたまま、シャワーを押し当てる女友
女友「つかまえた♪」
女「いやっ」ばしゃばしゃ
女「…!」
女友「ほら、暴れるとくすぐったくなってよけいにおしっこしたくなっちゃうよ?
暴れないとシャワーが当たりっぱなしでやっぱりおしっこしたくなっちゃうんだけど…。」
女「いや…」
女友「ほらっ、あきらめて漏らしちゃいなさい♪」
女友「ほら…そろそろ限界でしょ?」
女「放して…でちゃうよ…」
女友「もうっ泣きそうになっちゃって…可愛いんだから♪
いいよ?好きなだけ漏らしちゃって?」
女「いやぁぁ…もうだめぇぇ…」
女友「あーあ漏らしちゃった♪」
女「やだ…見ないでぇぇぇぇ……」
女友「ふふっ女ちゃんのおしっこあったかい…♪」
女「……。」
女友「お風呂の水…ちょっと黄色っぽくなっちゃったね。」
女「…。」
女友「大丈夫。こんな事で私は女ちゃんを嫌いになったりしないから。
それに、ずっとゆめだったんだ…女ちゃんの体液がいっぱい混じったお風呂に女ちゃんと一緒に入るのが。」
女友「私のゆめをかなえてくれて、ありがとっ♪」
女友「じゃあ、10数えたら出よっか?大丈夫。ちゃんとシャワーでながしてあげるから♪」
女「…。」
女友「このお湯は…もったいないけど捨てるしかないかな…」
女友「こんな事ならお風呂を念入りに洗ってから、私は湯船に入らないで女友ちゃんだけ入れればよかったかな?
そしたらこの水飲めたのに…。」
女「…。」
女友「じゃあ、シャワー浴びたら部屋に戻ろうか。肩かしてあげるから♪」
ベットの上に転がされる女…
女友「さてと、もうそろそろ寝る時間ね。」
女友「お風呂上がりだし、飲み物持ってきてあげる。」
女友「だけどその前に…」
女「んっ…んんんんーー!!!!」
女の口に薬を入れて、すぐに口と鼻を塞ぐ女友
女「こくん。」
女友「逃げられないように、もう一回力の入らなくなる薬を飲ませといてあげるね♪」
女「じゃあ、ちょっと待ってて?パジャマとか持ってくるから。」
女「…。」
女友「私の手作りのオレンジジュース持ってきたよ?
あと体につけるクリームとか下着とかパジャマとか…もちろん全部私が使ってるやつ」
女「…。」
女友「じゃあまず、クリーム塗ってあげる」
女「んっ…っっ!!」
女友「もう…普通にクリーム塗ってあげてるだけなのに必死でがまんしてるの…?
ちょっと媚薬が効きすぎちゃったのかな…?」
女「ああっっ……!!」
女友「そんなに気持ちがいいなら、今すぐ逝かせてあげてもいいんだよ?」
女「」ふるふる
女友「そっか。残念♪」
女「…。」
女友「全身に塗り終わったら、こんどは下着とパジャマ着せてあげるね」
女友「私の下着とパジャマを着た女ちゃん…とっても可愛い♪」
女友「それに女ちゃんが、いつも私が着てた下着と服を着てるってだけで…すごく興奮する。」
女友「…ねえ女ちゃん?いますぐ襲ってもいい?」
女「やめて…。」
女友「そっか。残念。」
女友「だけど一週間もしないうちに、女ちゃんは私が『襲いたい』って言ったら、『私をめちゃくちゃにしてぇ』っておねだりするような娘に
されちゃうわけだし…そう考えると貴重な女ちゃんが見られるって事で、これはこれでアリだよね!」
女「……。」
女友「じゃあ最後にジュースを飲ませてあげるね。」
ストロー付きのジュースを、ベットの上で壁に寄りかかってる女の口の近くに持って行く女友
女「おいし…い…。」ぱたん
女友「ごめんっ今度は睡眠薬いれちゃった」
女「すーすー…」
女友「今日はいろいろあったから早く寝かせてあげる♪
明日から毎日ずっと私に弄ばれちゃうわけだし…」
女友「じゃあ、私も女ちゃんを抱き枕にして寝ようかな。」
女友「だけどその前に…朝になったら薬が切れてるはずだから、また手足をしばっておいてあげないとね!」
女友「だってこの娘は…私の可愛いお人形さんなんだから♪」
ローターを女の足の間にいれて、スイッチをいれる女友
女友「これでよしっと
くすっ…気持ちよくなってるのに起きられないって、どんな気分なのかしら?」
女友「私にいろんな事されちゃった後だし…
ゆめの中でも私にいろんな事されちゃったりするのかな…」
女友「ゆめの中でも私にいろいろされちゃう女ちゃん可愛い…///」
女友「じゃあそろそろ私も寝よっと♪」
女友「お休み、女ちゃん」
女が縛られているベットに横になって、女を抱きしめたまま眠る女友……。
―――監禁1日目。 おしまい。
ここまで読んでくれたから、支援してくださった方、
ありがとうございました!
続きにも期待
次→2日目
Entry ⇒ 2012.08.13 | Category ⇒ 男女「」SS | Comments (0) | Trackbacks (0)
ディケイド「牙狼の世界か……」
ユウスケ「夜の住宅街かー。なんか、オバケでも出そうだな、士!」
夏海「ユウスケ、やめてくださいよー」
……。
ユウスケ「それにしても、満月が綺麗だなー」
夏海「知ってますか士くん? 夏目漱石は、I love youの訳を『月が綺麗ですね』って当てたんですよ」
士「……ああ。知ってるよ。今夜も月は綺麗だな」
夏海「月“は”? “は”って何ですか、士くん!?」
コウガ「ホラーの気配はこの辺りか。ザルバ」
ザルバ「ああ。ホラーだけじゃない、なんだか得体の知れないヤツの匂いがするぜ」
タタッ!
士「おいおい。ゴミ置き場に捨ててある絵なんて」
夏海「いいじゃないですか。持って帰って写真館に飾りましょうよっ」
コウガ「――その絵に触れるな!」
ユウスケ「え?」
士「あ?」
夏海「……もう、触っちゃいました、けど……」
ドクン!
『ヤッテ来タナ……今夜ノ獲物ガ……』
ホラー「キシャアアァァッ!」
夏海「きゃああぁっ!?」
ユウスケ「な、何だ!?」
士「あの絵から、化け物が……!」
コウガ「下がってろ!」
コウガ「――はっ!」
バッ!
ホラー「シャアッ!」
ガキィン!
夏海「つ、士くん、あの人は!?」
士「さあ。この世界のライダーか?」
ユウスケ「でも、生身で戦ってるぞ!」
コウガ「貴様らホラーを狩るのが、俺の使命だ!」ガキーン!
士「何だか知らねえが。手を貸してやるか!」
士「変身!」
【カメンライド――ディケーイ!】
ディケイド「ハッ!」
【アタックライド――スラァッシュ!】
シュバァッ!
ホラー「ギャアアァッ!」
バシュゥッ!
ディケイド「っ! おいおい、すごい返り血だな」
コウガ「お前、何者だ!? どいてろ!」
ディケイド「お前こそ。生身でこんな怪物と戦えるのかよ」
コウガ「ああ……!」
ホラー「ギャオオォッ!」
ディケイド「行くぜっ!」
バシッ!ガキィンッ!
ユウスケ「士の奴、相変わらず何でも首突っ込むのが好きだなあ」
夏海「それが、士くんですから……」
ホラー「……シュゥッ」
ディケイド「ん?」
ホラー『美味ソウナ娘ノ体……食ラッテヤル!』 バッ!
夏海「き、きゃあっ!?」
ホラー「キシャアッ!」
ガギィンッ!
ディケイド「うっ!」
夏海「士くん!?」
ディケイド「こっ……の、ヤロ!」ブン!
コウガ「! 駄目だ、そこでホラーを斬ったら――」
ディケイド「ハアアァッ!」ヒュカァッ!!
ホラー「ギャアアアァッ!!」
ドバッ!
夏海「ひゃっ!?」
ドカァァァン!
夏海「う~……。士くんっ! 怪物の血が私にかかっちゃったじゃないですかっ!」
ユウスケ「ま、まあまあ夏海ちゃん、士は夏海ちゃんを助けてくれたんだし」
士「いーだろ。帰ってシャワーでも浴びれば」
夏海「もう……!」
コウガ「おい」
士「ん?」
コウガ「その女をこっちに渡してもらおうか」
夏海「えっ?」
士「……どういうことだ?」
コウガ「魔戒騎士の掟だ。ホラーの返り血を浴びた者は――」
シャキィン!
夏海「!」
コウガ「――斬る!」
コウガ「俺は魔戒騎士だ。そこをどけ」
士「断る。お前が夏ミカンに剣を向けるってんなら、力ずくで止めるぜ」
ザルバ「コウガ! 躊躇う理由はないぞ!」
コウガ「ザルバ。こいつ……魔戒騎士ではないな?」
ザルバ「ああ。全く異質の力を感じる」
コウガ「そうか。ならば……戦っても構わないな!」
シャキンッ!
コウガ「――ハッ!」
士「っ!」バッ!
士「じゃあ、こっちも……行かせてもらうぜ!」
士「変身!」
【カメンライド――ディケーイ!】
ジャキーン!
コウガ「お前が言うな、ザルバ」
コウガ「――はあぁ!」ブン!
ディケイド「ハッ!」キィン!
ギャリギャリギャリ……!
バッ!
コウガ「……」
ディケイド「どうした。喧嘩売ってきておいて、その程度か?」
コウガ「……ふん」
サッ!
クルッ……カッ!
ディケイド「!」
( ゚∀゚)<タァーウゥーラァーーートゥレェーーーー
( ゚∀゚)<タァーウゥーヴァーレェエェーーーーー
( ゚д゚)<エゥメビヒッ ヤハドゥフヤハドゥフッ
牙狼「……」
ズン……ズン……
ディケイド「……少しは面白くなりそうだな」
【アタックライド――スラァッシュ!】
ディケイド「ハアアァッ!」ヒュン!
牙狼「ッ!」ガキィン!
( ゚д゚)<ゲェメギミッ マハヤハラハギミッ
( ゚д゚)<エゥメビヒッ ヤハドゥフヤハドゥフッ
牙狼「――はぁあ!」ガギィッ!
ディケイド「うっ!」
ズザザッ……
【フォームライド――キバ! ガルル!】
シャキィン!
牙狼「! 姿が変わった!?」
ディケイド「ハッ!」ヒュバッ!
ガキーン!
【ファイナルアタックライド――キキキキバ!】
ディケイド「ハッ!」
牙狼「!」
ディケイド「ハアアアアァッ!」
ギンッ!
ガギギギギギギギギッ!!
ディケイド「こいつ、これでも……!」
牙狼「その程度で……俺を倒せるか!」バキンッ!
ディケイド「クッ!」
ディケイド「ぐああっ!」
ズザザザッ!
ユウスケ「あ、あのままじゃ!」
夏海「士くんは……士くんは負けませんよっ!」
【カメンライド――ファーイズ!】
【ファイナルアタックライド――ファファファファーイズ!】
ディケイド「ハッ!」
ズキュゥゥゥン……
牙狼「!」
ディケイド「クリムゾンスマッシュ! ハアアアァァッ!」
ズガガガガッ!
牙狼「ッ! く……っ!」ギャリギャリッ!
ディケイド「クッ……!」ザザッ!
牙狼「烈火……炎装!」
ゴォッ!
ディケイド「っ!?」
牙狼「ハアアァァッ!」ジャギィィィィンッ!
ディケイド「ぐああぁっ!」
ずざざざっ……
ジャキーン!
士「くっ!」
カヒューン!
コウガ「……!」
夏海「士くん!」
士「……ハァ、ハァ……」
コウガ「……ッ」
コウガ「……おい、お前」
士「……なんだよ」
コウガ「なぜ、その女を庇おうとする……」
士「……そんなの」
士「当たり前のことじゃないのか。お前には居ないのかよ。守りたいヤツとかは」
コウガ「……俺は……」
ザルバ「こいつもこいつで、守りたいもののために戦った、ってわけか」
コウガ「……」
コウガ「敵では、ないのか……」
コウガ「何?」
士「お前こそ、なんで夏ミカンを斬ろうとする。たかが化物の血を浴びただけだろ」
コウガ「……生かしておいても、仕方がない」
士「あ?」
夏海「どういう……ことですか?」
コウガ「……本当に知らないのか。ホラーの返り血を浴びた者がどうなるか」
コウガ「放っておいても、この女は……あと100日で死ぬ!」
ユウスケ「!」
夏海「え……っ!?」
コウガ「それだけじゃない。血の匂いに誘われて、ホラーが次々とこの女を狙って現れるだろう」
夏海「そ、そんな……!」
コウガ「無い。だから斬るんだ。それが騎士の掟だ」
ユウスケ「そんなの……そんなのあんまりじゃないか!」
夏海「私……私が……あと、100日の命……?」
ユウスケ「夏海ちゃん……!」
士「安心しろ。夏ミカン」
士「この世界のルールだか何だか知らねえが。またいつもの通りにぶっ壊してやる」
夏海「士くん……」
コウガ「……」
ザルバ「コウガ。こいつらから目を離さない方がいい」
コウガ「ああ」
コウガ「お前らの住処に案内しろ」
士「何?」
コウガ「言っただろう、ホラーが現れると。俺がついていた方がいい」
コウガ「……おい。ここは俺の屋敷があった筈だぞ」
士「じゃあ、そことこの写真館が繋がったんだろ」
コウガ「どういうことだ?」
ユウスケ「士が来ると、いつも世界の一部がおかしくなるんだよ」
コウガ「……やはり、そうか……」
栄次郎「ど、どうしたんだい夏海、随分汚れちゃって」
キバーラ「夏海ちゃん~、ん、なんか変な血の匂いがするわよ~?」
栄次郎「わしには分からんがね」
夏海「……」
夏海「……今は、ほっといてください……」
栄次郎「おぉい、夏海!」
士「ユウスケ。夏ミカンに付いててやれ」
ユウスケ「あ、ああ……!」
士「……」
栄次郎「お二人さん。紅茶でもいかが。美味しいスコーンもあるよ」
士「ああ」
コウガ「……礼を言う」
士「……」
コウガ「……実は、お前が来る少し前から、お前のことは噂に聞いていた」
士「そうか。俺はどの世界でも有名人らしいからな」
コウガ「世界を破壊する悪魔。ディケイド……と」
士「間違っちゃいない。俺の巡った世界はどこも破壊されてしまう、らしい……」
コウガ「そのお前が、この世界に来た。答えろ士。この世界はどう破壊されるんだ」
士「さあな。そんなこと俺も知るかよ」
士「だが、夏ミカンが死ななきゃいけない運命だっていうなら……それだけは、俺が全力で破壊してみせるぜ」
コウガ「……」
士「!」
コウガ「外か!」バッ!
ホラー軍団「オォォォオ……」
士「おいおい。随分と腹が減ってそうな奴らだな」
コウガ「僅かな間に、もうこれだけのホラーを呼び寄せてしまうとは……!」
ホラー軍団「シャアァッ!」
士「行くぜ!」
【カメンライド――ディケーイ!】
コウガ「ああ!」
クルッ……ガシーン!
ディケイド・牙狼「ハアアァッ!!」
ユウスケ「! 夏海ちゃん!」
夏海「……ユウスケ……」
ユウスケ「え、えっと……。お風呂、どうだった」
夏海「……だめなんです」
夏海「どんなに、体を洗っても……怪物の血が……血が、消えた気がしないんです……!」
ユウスケ「夏海ちゃん……!」
ユウスケ(見た目には何もおかしなところはないのに……)
ユウスケ(こんな子が……本当に、本当に100日後に死ぬっていうのか!?)
ドカーン!
夏海「ひっ!?」
ユウスケ「!」
ユウスケ「……士たちが、戦ってるんだ……」
ホラー「ギャア!」
牙狼「――ハッ!」ヒュカッ!
ホラー「ギャウッ!」
ホラー「オオォォォ……」
ディケイド「クッ……倒しても倒してもキリがねえ!」
ホラー「ギャアオ!」バッ!
ディケイド「!」
ギィン!ギャリギャリッ!
ホラー「キシャァッ!」バキッ!
牙狼「……く!」
ザルバ「コウガ。このホラーの量は普通じゃないぜ」
牙狼「やはり……あの女を生かしたばかりに……!」
ユウスケ「夏海ちゃん……」
夏海「……ユウ、スケ……」
夏海「だ、大丈夫、ですよね……? 士くんは、この世界でも……」
ユウスケ「あ、ああ、士なら何とかしてくれるに決まってる!」
夏海「……私、怖い……!」
バァン!
ユウスケ「!?」
コウガ「……」
夏海「!」
シャリィン……
コウガ「許せ女。やはり……お前を生かしておく訳にはいかない」
夏海「っ……!」
コウガ「お前に呼び寄せられたホラーの量は尋常じゃない。お前を放っておけば、多くの人々の命が奪われる」
コウガ「……」
ツカ……ツカ……
ユウスケ「さ、させるか! 変し――」
コウガ「邪魔だ!」バシッ!
ユウスケ「うっ!」
夏海「! ユウスケッ!」
コウガ「悪いが。諦めてくれ」シャキン!
夏海「……あ、あ……!」
コウガ「――ハッ!」ブン!
ユウスケ「夏海ちゃんっ!」
ピタ……
コウガ「……ッ!」
夏海「……!?」
コウガ「……」
夏海「……!」ガタガタ
コウガ「……クッ!」
『だが、夏ミカンが死ななきゃいけない運命だっていうなら……』
『それだけは、俺が全力で破壊してみせるぜ』
コウガ「……」シャキン……
夏海「……え……?」
ザルバ「おい、コウガ。黄金騎士様が、女の涙に惑わされるのか?」
コウガ「うるさい!」
コウガ「……少しは、あの男を信用してみてもいいかもしれない……そう思っただけだ」
ギュゥンギュゥン……
ディケイド「ハアアアアァッ!」ズパパパパパパッ!!
ホラー軍団「ギャアアァァッ!」
ドカーン!
士「……これで全部、か……」
ザッ!
コウガ「おい」
士「ん?」
コウガ「さっきの話が途中だった。お前の力で、今までにも多くの世界を救ってきたというのは本当か」
士「……まあな」
士「壊す筈だった世界を、俺はいつの間にか救ってしまっていた。そんなことが何度もあったぜ」
コウガ「そうか……」
士「さあ。俺が付けた訳じゃない」
士「だが、俺のスーツには……俺の前に戦ってきた、九人のライダーの力が宿ってるらしい」
コウガ「それで、ディケイドか……」
士「お前の名前はどうなんだ。ガロだったか、どういう意味があるんだ?」
ザルバ「俺様が教えてやるぜ。“ガロ”とは――」
コウガ「ガロとは、旧魔戒語で、希望という意味だ」
士「なるほど……な」
コウガ「ディケイド。お前の力、信用していいんだな」
士「ん?」
コウガ「魔戒騎士の力でもどうにもならない、ホラーの呪い。……お前なら、破壊できるか」
士「……ああ」
士「やってやるぜ。俺は全てを破壊する者だから、な」
ザルバ「コウガ。どこへ行くんだ?」
コウガ「番犬所へ。神官達が何か知っているかもしれない」
ツカツカ……
レイ「待てよ」ザッ!
コウガ「……お前。何者だ?」
レイ「西の番犬所から使わされた魔戒騎士さ。そっちは、黄金騎士ガロ……だな?」
シルヴァ「間違いないわよ、ゼロ。上級騎士に特有の偉そうな感じだもの」
レイ「ホラーの返り血を浴びた者を斬らなかった、っていう……悪い悪い魔戒騎士がいるって聞いてね」
コウガ「! お前……」
レイ「黄金騎士サマの力、見せてもらおーか」シャキィン!
コウガ「!」バッ!
コウガ「何の真似だ。騎士同士の決闘は禁じられている筈だ!」
レイ「それが、番犬所の命令なんだよね。掟を破ったお前を処刑しろ、って」
ザルバ「おいおい。いくら掟とはいっても、その程度で別の騎士を差し向けるなんてあるのか?」
レイ「来ないなら、こっちから行くぜ」
ヒュッ、クルッ!
コウガ「!」
ガシーン!
絶狼「――ハッ!」ギィンッ!
コウガ「クッ……!」
バッ!クルッ!
ガシーン!
牙狼「止むを得ないな!」ヒュッ!
ギリギリギリッ!
牙狼「ッ! お前……ディケイドの事は聞いてないのか!」
絶狼「何だって?」
牙狼「世界を破壊する悪魔だ……奴の力なら、返り血を浴びた者の定めも、変えられるかもしれない!」
ガギィンッ!
ザザッ……
絶狼「ふん。そんなもの、番犬所が信用するわけないだろ」
牙狼「……!」
キィンッ!ガキーン!
牙狼「ク……ッ!」ギリギリ!
絶狼「やるじゃん……さすが、牙狼の称号を持ってるだけのことはある……!」ギャリギャリッ!
バキィッ!
カヒューン!
コウガ「くっ!」
レイ「っ……」
コウガ「! またホラーが!」
レイ「へーえ。昼間にまでホラーが出て来るなんてね」
ホラー「キシャア!」
コウガ「ハッ!」ガキーン!
レイ「ハアァ!」ヒュバァッ!
コウガ「やはり……ホラーの活動が、何かおかしい……!」
レイ「お前が女を斬らなかったからだろ、牙狼!」
ホラー「オオォォォ……!」
コウガ「いや、返り血を浴びた人間一人のために、ここまでのホラーが現れることなど有り得ない!」
レイ「なら……何だって言うんだ?」
キーン!ガキーン!
ユウスケ「夏海ちゃん!」
士「夏ミカン! どうした!?」
夏海「く、苦しいんです……体が……!」
ユウスケ「や、やっぱり、あの怪物の血のせいで!」
士「夏ミカン、しっかりしろ!」
夏海「つ、士くん……!」
ドクン!
夏海「っ!」
『捧ゲヨ……我ニ体ヲ……捧ゲヨ……!』
夏海「あ、あなた、一体誰ですか!?」
士「! 何言ってるんだ、夏ミカン?」
夏海「士くんには聞こえないですか!? この声が……!」
夏海「言ってます……体を、体を捧げよって……!」
コウガ「こんな事態が、なぜ……!」
ホラー「オオオォッ!」
レイ「ハッ!」シュバァッ!
シルヴァ「ゼロ。やっぱり何かおかしいわ!」
レイ「ああ……ホラーがこんなに多く、しかも昼間から出て来るなんて……!」
キバ「――それは」
キバ「メシア様の、目覚めが近いからだ……」
コウガ「! 何だあれは!」
レイ「魔戒騎士……?」
キバ「我が名は……暗黒騎士、キバ!」
コウガ「暗黒騎士、だと……!」
士「おい、夏ミカン、夏ミカン!」
ユウスケ「夏海ちゃん、しっかりするんだ!」
バァン!
栄次郎「士君、大変だよ! 街の方に怪物が出てるってさ!」
士「何だと!?」
テレビ『緊急ニュースです。市街地に怪物の集団が現れ、人を――』
ユウスケ「どうする士、戦いに行かなきゃ!」
士「だが、夏ミカンが……!」
夏海「い、いいです、私のことは……」
夏海「士くんは……戦いに行ってください」
士「夏ミカン!」
夏海「あなたは……私だけじゃなく、み、皆を守る、ライダーなんですから……!」
街の人々「助けてー!」
ホラー軍団「オオオォォォ……」
バキュン!バキュンッ!
ホラー「グオォ!」
ディエンド「……やれやれ。何で僕が、お宝も手に入らないのに、こんなことを……」
ドルゥゥン!キキィッ!
士「海東!」
ディエンド「! やあ、士。それにユウスケ君」
ホラー「オオォォォ……」
士「とりあえず……戦わなきゃいけないようだぜ」
ユウスケ「俺達の手で、街の人達を守るんだ!」
「「変身!!」」
コウガ「何っ?」
レイ「どういうことだ……」
キバ「奴が来たことで、この世界の陰我のバランスが崩れ、現世にホラーの衝動が溢れ出した……」
コウガ「! では、ディケイドはやはり、この世界を破壊してしまったというのか!」
キバ「そして……ホラーの血を浴びた娘の身体をゲートにして、最大最強のホラー、メシア様が降臨するのだ」
レイ「! じゃ、じゃあ、まさか……!」
キバ「番犬所の子犬どもも喜んでいたぞ。メシア様の現世への降臨……これで退屈することはない、とな……!」
レイ「俺は利用されていたのか……全て、番犬所の計画だったのか……!」
コウガ「……!」
キバ「貴様ら魔戒騎士にも、ここで消えて貰う!
レイ「――クソォォッ!」ダッ!
コウガ「お、おい!」
ガシーン!
絶狼「アアアアァッ!」バッ!!
キバ「……少しも効かんな!」バキッ!
絶狼「ぐああぁっ!」
ザザザッ!
コウガ「……貴様っ!」
キバ「ホラーどもよ……俺に力を与えろ!」
ホラー「オオォォォ……」
ゴゴゴゴゴ……
ザルバ「ホラーの力が……あの鎧に集まって行く!」
コウガ「……!」
メキメキメキ……
心滅獣身キバ「ウガアアアァァァァッ!!」
コウガ「あ、あれは……!」
ギィンッ!
キバ「アアァオッ!」ガシッ!
絶狼「ッ!」ギリギリギリ!
キバ「ガアアアァッ!」バキィッ!
レイ「うぐああぁぁぁ!」
ドサッ……
コウガ「!」
ザルバ「魔戒騎士が瞬殺、か……。コウガ、かなりおっかない相手だぞ」
コウガ「わかっている……!」
クルッ!ガシーンッ!
牙狼「――ハァアッ!」
キバ「ガアアァオ!」バギッ!
牙狼「ぐっ!」
ザザッ……!
牙狼「何だと……!」
キバ『メシア様降臨ノ時マデニ、コノ世ヲ、絶望ニ満チタ世界ニ作リ変エテクレル!』
牙狼「させん!」バッ!
ギィンッ!
キバ「……フンッ!」バシッ!
牙狼「ぐあっ!」
ズザザッ!
コウガ「く、くっ……!」
キバ『貴様ニハ何モ出来ヌ、無力ナ黄金騎士ヨ!』 バッ!
ザルバ「! 奴め、街の方へ行くつもりだ!」
コウガ「追うぞ、ザルバ!」
ディエンド「――ハッ!」
シュバババババッ!
ホラー「ギャアオオオッ!」
【ファイナルフォームライド――ククククウガ!】
ディケイド「行くぞ、ユウスケ!」
クウガゴウラム「ああ!」
ギュオオォォッ!バキィィィッ!
ホラー「グギャアアァア!」
ドカァーン!
ディケイド「……チッ。倒しても倒しても減りゃしねえ」
ホラー軍団「オオォォ……」
クウガ「こいつら、どこからこんなに……!」
ディケイド「何だ!?」
ディエンド「大物が来たよ、士……!」
キバ「ガァァオオォォォッ!!」
バキッ!グシャァッ!
街の人々「キャーッ!」
街の人々「か、怪獣だぁーっ!」
キバ「ウガアアァァ!」
クウガ「あ、あれが、この世界のラスボスか……!?」
ディケイド「とにかくあれを倒すぞ、ユウスケ、海東」
ディエンド「僕に指図するなって言ってるだろう、士!」
【カメンライド――ライオトゥルーパーズ!】
ディエンド「よろしく、兵隊さんたち」
ライオトルーパー「オオォォ!」
キバ「ガウゥゥッ!」バキバキッ!
ズガッ!ドガッ!
ディエンド「……ははっ。足止めには足りなさすぎるか」
夏海『無駄ダ、人間ドモ』
ディケイド「!」
クウガ「夏海ちゃん!?」
夏海『貴様ラニ我ノ降臨ヲ止メル事ナドデキナイ。コノ世ハ滅ビヘ向カウノダ』
ディケイド「お前、夏ミカンじゃないな。誰が喋ってやがる?」
夏海『我ガ名ハ“メシア”。コノ娘ノ身体ヲゲートニ、ヤガテ現世ヘ降臨スル』
クウガ「夏海ちゃんの身体を、ゲートにするだって!?」
ディケイド「とんだ救世主がいたものだな……!」
ライオトルーパー「グアアァッ!」
【カメンライド――カイザ! デルタ! サガ! イクサ!】
ディエンド「追加戦力だ。よろしく頼むよ」
ザッ!
コウガ「ディケイド!」
ディケイド「! お前、コウガ……」
コウガ「俺達は迂闊だった。全てはメシア降臨に向けた計略だったんだ」
クウガ「夏海ちゃんは一体どうなるんだ!?」
コウガ「彼女の体内で今、最強のホラー、メシアが復活に向けて力を蓄えている……」
夏海『ソウダ。ディケイド、オ前ニコノ娘ノ身体ハ傷ツケラレマイ』
夏海『最後ハ、コノ娘ノ身体ヲ我ガ食イ破リ……真ノ姿ヲ現スノダ!』
ディケイド「おい、ユウスケ!」
シュィィ!
ユウスケ「夏海ちゃん! 目を覚ますんだ、夏海ちゃん!」ガシッ!
夏海『……』
ユウスケ「夏海ちゃんの身体を返せ、化け物め!」ユサユサ!
夏海『無駄ダト……言ッタダロウ!』ブンッ!
ユウスケ「わっ!」
夏海『コノ娘ノ意識ハモハヤ、死ヌマデ戻ラヌ!』バキッ!
ユウスケ「うぐっ!」
ドサ……
ディケイド「ユウスケッ!」
ユウスケ「な、夏海ちゃんの身体なのに、なんて強さだ……!」
コウガ「……今さら、あの娘を斬っても、メシアの存在を消すことはできない……どうすれば!」
グシャッ!バシッ!ドゴォッ!
キバ『何ヲ何体繰リ出ソウト無駄ダ……暗黒騎士ノ力ハ、止メラレン!』
ディエンド「くっ……!」
ユウスケ「くそ……俺は、夏海ちゃんの為に、何も……!」
ディケイド「ユウスケ。お前はあっちの怪物と戦え」
ユウスケ「士!」
ディケイド「夏ミカンのことは……俺がケリをつける」
ディケイド「――ハアァッ!」バッ!
夏海『マダ向カッテクルカ!』ヒュン!ブンッ!
ディケイド「ハッ!」バシッ!
ググッ……
ディケイド「許せよ、夏ミカン……」
夏海『ッ!?』
ディケイド「ちょっと、痛いぞ!」
コウガ「! 何をする気だ!?」
ユウスケ「士っ!?」
ズガッ!
夏海『ウッ!?』
どさっ……
夏海「」
ユウスケ「な、夏海ちゃんっ!?」
ディケイド「……」
ユウスケ「夏海ちゃん!」ユサユサ
ユウスケ「!」
ユウスケ「し、死んでる……!?」
コウガ「馬鹿な。何故だ、ディケイド……!」
ユウスケ「士ぁーっ! お前、どうして、どうして夏海ちゃんを!?」
ディケイド「うるさいな。こうすれば、メシアとやらは不完全なまま外に出て来るんだろ」
コウガ「ディケイド! この子を殺さず助けるんじゃなかったのか!」
夏海「」
オオオォォォォ……
『驚イタゾ、ディケイド……マサカ貴様ニ、コノ娘ノ命ヲ奪ウコトガデキルトハナ……!』
ゴゴゴゴゴゴ……
メシア『ダガ! 完全ニ力ヲ蓄エズトモ、我ガ力、コノ世界一ツ滅ボスニハ十分デアルワ!』
ディエンド「! ついに親玉の登場か」
コウガ「あれが、メシア……!」
ディケイド「ユウスケ。夏ミカンから離れろ」
ユウスケ「え……?」
ディケイド「ちょっと、痺れるからな!」
【カメンライド――ブレーイ!】
【アタックライド――サンダー!】
ディケイド「ハッ!」
バリバリバリッ!
夏海「ッ!」ビクンッ!
ジャキーン!
士「よし。あとは心臓マッサージか」
ユウスケ「つ、士……!」
士「夏ミカン……戻って来いっ!」グッ!グッ!
夏海「うっ!」
士「! 夏ミカン!」
夏海「……つ、士、くん……?」
コウガ「娘の命を敢えて一度止めることで、メシアを彼女の身体から追い出し……
やがてメシアに食われる筈だった彼女を、救ったというのか……」
コウガ「これが……これがお前の、破壊だというのか、ディケイド……!」
メシア『オノレ人間……小癪ナ計略ヲ!』
士「はっ。小癪な計略はお前だろ。……ユウスケ。夏ミカンを安全な所へ」
ユウスケ「あ、ああ!」
キバ『ダガ、メシア様ハ現世ヘ降臨シタ! 誰ニモメシア様ノ力ハ止メラレナイ!』
コウガ「そうだ、ディケイド。あれをどうするつもりだ!」
士「愚問だな。“希望”の騎士さんよ」
士「――俺とお前で、あのホラーを倒せばいいんだろ!」
ディエンド「ッ!」
【アタックライド――ブラァストッ!】
ディエンド「ハッ!」
ズキュウゥンッ!
メシア『人間ドモメ、滅ビルガイイ!』 バリバリッ!ピシャーン!
士「っ! 行くぞ、コウガ!」
コウガ「ああ!」
士「変身っ!」
【カメンライド――ディケーイ!】
ガシィーン!
牙狼「ハアアァッ!」
バッ!!
メシア『効カヌ、効カヌ!』ブンッ!
牙狼「クッ……!」
ズザザザッ!
牙狼「烈火炎装! ハァッ!」
ゴォォォォオオッ!!
メシア『――ハッ!』ピシャーン!
牙狼「クッ! うおおおぉぉぉっ!!」ガガガガガッ!!
ユウスケ「夏海ちゃんは、ここに隠れてて!」
夏海「ユウスケは!?」
ユウスケ「俺は……街の人達を守る!」
ホラー軍団「オオォォ……」
街の人々「キャーッ!」
ユウスケ「行くぞ……! 変身ッ!」
キュピーン!
ディエンド「ッ!」
ギリギリ……
ディエンド「く……っ!」
バキュゥンッ!
キバ「ガッ!?」
ディケイド「大丈夫か、海東!」
ディエンド「士!」
ザッ……
ディエンド「士、一緒にやるよ」
ディケイド「お前が俺に指図すんのはいいのかよ」
【G4! リュウガ! オーガ! グレイブ! カブキ! コーカサス! アーク! スカル!】
【クウガ! アギト! リュウキ! ファーイズ! ブレーイ! カブト! デンオー! キバ!】
【ファイナルカメンライド――ディエーン!】
【ファイナルカメンライド――ディケーイ!】
キバ「ッ!?」
【キバ! カメンライド――エンペラー】
【ファイナルアタックライド――キキキキバ!】
ディエンド「――ハッ!」シュババババババッ!!
ディケイド「トアアァッ!」バシュゥゥゥッ!
キバ「グ、グアアァァァァッ!!」
ドカァアアァァァン!!
メシア『! 我ガ下僕ヲ……!』
牙狼「貴様の相手は俺だ、メシア!」ズバァッ!
メシア『!』
メシア『小賢シイ……下等ナ人間メ!』ブンッ!
牙狼「ぐっ!」
メシア『フンッ!』ギギギ……バキィッ!
牙狼「! 牙狼剣が折られた!?」
牙狼「ぐああぁっ!」
ズザザッ!
カヒューン……
コウガ「くっ……!」
メシア『終ワリダ。オ前ニハ何モ救ウコトハデキナイ』
コウガ「まだだ! 牙狼剣が無くとも、俺は貴様を倒してみせる!」
メシア『ハハハ、オ前一人ニ何ガデキル!? 無力ナ人間ノ分際デ!』
ディケイド「――いや!」
ディケイド「そいつは決して、一人じゃない……!」
メシア『何ッ!?』
ディケイド「そいつの後ろには、今までその名を継いで戦ってきた、多くの戦士達が付いている!」
メシア『何ヲ馬鹿ゲタコトヲ……ダカラ何ダトイウノダ!』
ディケイド「分からないのか。系譜を受け継ぐってのは、単に同じ名前を名乗ってるだけじゃない……」
ディケイド「かつて“牙狼”の称号を得た全ての英霊と、そいつは共に戦って来たってことだ!」
メシア『!』
コウガ「ディケイド……!」
メシア『貴様……一体、何者ダ……?』
ディケイド「通りすがりの仮面ライダーだ。覚えておけ!」
ディケイド「行くぞ、牙狼!」
コウガ「――ああ!」
バッ!
クルッ……シャキィン!
牙狼「我が名は牙狼! 黄金騎士だ!」
ディケイド「はああぁぁっ!!」
バキィッ!
メシア『……剣スラ持タヌ騎士風情ニ、我ヲ傷付ケルコトナドデキヌ!』ブンッ!
牙狼「ッ!」バッ!
ヒュオオオォォオッ!
レイ「牙狼――ッ!」
牙狼「!」
レイ「この剣を使え、牙狼!」ヒュヒュヒュッ!
ガシッ!
牙狼「ああ……! 礼を言うぞ!」
ヒュンヒュン!
牙狼「銀牙! 銀狼剣ッ!」ズバァッ!
メシア『グアアァ……!』
【アタックライド――烈火大斬刀!】
メシア『!?』
ディケイド「ハアアアァァッ!」シュバァッ!
メシア『ウ、グア……!』
メシア『ウアアアァァッ!』
メシア『バ、馬鹿ナ……人間如キニ、我ガ、ココマデ……!』
ディケイド「そろそろトドメだ。ちょっとくすぐったいぞ、牙狼!」
牙狼「何っ?」
【ファイナルフォームライド――ガガガガロ!】
にょいーん!
ガロゴウテン「ブヒヒヒヒヒィィン!!」
ディケイド「乗らせてもらうぜ!」バッ!
ダカカッ!ダカカッ!ダカカッ!
ディケイド「牙狼……斬馬剣ッ!」シャキィン!
【ファイナルアタックライド――ガガガガロ!】
ダカカッ!ダカカッ!ダカカッ!
ディケイド「――ハアアァァァァッ!!」
メシア『グ、グアアアアアア!!』
メシア『我ガ……我ガ、人間如キニ……!』
TV『謎の惨劇から三日が経ちました。街は未だ混乱の中にありながらも、元気を取り戻し……』
ユウスケ「これで、この世界も平和になったってことか」
士「そうだな。……夏ミカン、もう体の調子はいいのか?」
夏海「はい! もうすっかり元気です! ホラーの呪いがかかってたなんて嘘みたい」
ユウスケ「それにしても、びっくりしたよなー。まさか夏海ちゃんを電気ショックで生き返らせるなんて」
士「お前にもやってやろうか、ユウスケ。今より少し強くなれるかもしれないぞ」
ユウスケ「い、いや、遠慮しとく……」
夏海「……私、その時のことは、よく覚えてなくて……」
夏海「意識を取り戻して、最初に見たのが、賢明に私を生き返らせようとしてくれてる士くんの姿で」
夏海「やっぱり士くんは、私を助けてくれたんですねっ。期待通りです!」
士「あまり買いかぶるな。メシアが育つ前に追い出したかった、それだけさ」
夏海「もう、士くんったら……」
コウガ「行くのか。士」
士「ああ。そっちも旅立ちらしいな?」
コウガ「俺は、北の番犬所から新たな使命を授かった……」
ザルバ「今度の敵は、鏡の世界に潜み、人間の魂を食らうホラーだ。なかなかの強敵だぜ」
士「鏡の世界、ね。俺が助けてやろうか。俺のカードがあれば一発だぞ」
コウガ「要らん。ホラーを狩るのは俺達、魔戒騎士の役目だ。お前はお前の世界を守れ」
士「……そうだな」
コウガ「……また、どこかで会う事もあるだろうか」
士「さあな。俺達は続けていくだけだ。それぞれの旅を。それぞれの戦いを」
「それぞれの、世界で――」
(おしまい)
「空飛ぶ海賊船……。ゴーカイジャーの世界か」
「大ショッカーとザンギャックは、今ここに団結したのだ!」
「お宝なんざ関係ねえ。俺は仲間を助けるために戦う」
【カメンライド――ブレーイ!】【ジ――ヤッカー!】
「ヒーロー大戦? 知らねえな、そんな映画」
「通りすがりの宇宙海賊だ。覚えておけ!」
次回、『宇宙最大の対決』
――全てを破壊し、全てを繋げ!
次回は、以前のアンケートで選択肢にあったゴーカイジャーの世界編です。
今まで書いたもの(るろ剣、ドラえもん、サザエさん、サンレッド、遊戯王)は、↓で読めます。
http://www.geocities.jp/hibikigaiden/index.html
最近twitterでディケイドの嘘予告を呟くbotも作りました。
https://twitter.com/DecadeTrailer
こちらもよかったら覗いてみてください。
それでは!
乙
乙
また書くなら頑張ってくれ
Entry ⇒ 2012.08.12 | Category ⇒ 仮面ライダーSS | Comments (3) | Trackbacks (0)
千歳「短編集やで~」千鶴「だばー」
基本的に綾乃と千歳と千鶴がメインで出てきます。綾ちと多めです
綾乃「じゃ、じゃあ千歳……その……昨日言ってた、こ、告白の練習、す、するわよ……」
千歳「ええよぉ! 綾乃ちゃん、ようやく歳納さんに告白する覚悟を決めたんやな! うちは嬉しいで!」キラキラ
綾乃「えっと、うん……そんな感じ」カチコチ
千歳「そんなに緊張せんでもええよ~。相手はうちやさかい、肩の力脱いてビシッと行きな!」
綾乃「わ、わかったわ。それじゃあ……」
千歳「うんうん」
綾乃「……最初は、全然上手く話せなかった。私、そんなに社交的なわけじゃなかったから……」
綾乃「それでも、あなたはずっとそばにいてくれた。いつも笑顔で、私の心を開いてくれた」
千歳(うんうん! ええ感じや! その調子なら歳納さんにも面と向かって言えるはずや!)
綾乃「それだけじゃない。あなたは私の恋まで……親身になって、応援してくれた」
千歳「…………え?」
綾乃「いつも隣で支えてくれた。いつも一緒に笑いあってくれた。いつしか……そんなあなたといる時間が、何よりも大切なものになった!」
千歳「あ、綾乃ちゃん……? 何を……」
綾乃「私は本気よ」
千歳「!?」
綾乃「前の恋以上に、私は本気……」
綾乃「だから、踏み出せたの」
千歳「……えっと……」オロオロ
綾乃「お願い! 千歳の気持ちを聞かせて! 断るなら……バッサリと」
千歳「うちは! えっと、突然のことで頭がこんがらがってきてるんやけども……」
千歳「そ、それでも、綾乃ちゃんの想いは、まっすぐ胸に届いてきたで! ほんまに、ほんまに嬉しかった! 正直今幸せな気分や!」
千歳「だ、だからうちも、ちゃんとお返しする! けどな」
綾乃「……ええ。待つわ。千歳の想いを聞かせてくれるなら、いつまでも」
※その晩
ポチッ
千歳「送信完了っ……と」
千歳「……結局、明日まで待たせるのは綾乃ちゃんに申し訳ないから、メールで送ってしもうた」
千歳「…………綾乃ちゃん」
千歳「綾乃ちゃん、うち……綾乃ちゃんほど覚悟、できへんかった」
千歳「できへんかったけど……」
千歳「それでもうちは…………綾乃ちゃんと、一緒にいたい! もっと……今よりもっと、近い場所で!」
ピロリロリン、ピロリロリン♪
千歳「返信! 綾乃ちゃんからや!」
パカッ
千歳「……綾乃ちゃん///」パーッ
綾乃『ずっと一緒にいようね。私も大好きよ』
おわり
千歳「こうしてお布団も用意してもらって……って綾乃ちゃん?」
綾乃「zzz……」スヤスヤ
千歳「あらあら、もう寝ちゃったん?」クスクス
千歳「綾乃ちゃん……寝顔も、かわええなぁ……」
綾乃「zzz……」
千歳(……綾乃ちゃんは、歳納さんのことが好き……)
千歳(もちろんうちは、綾乃ちゃんの恋を全力で応援するつもりや。せやけど……)
千歳(今この瞬間くらいは、綾乃ちゃんが寝息をたてている今だけは……)
千歳(うちのこと、恋する乙女でいさせてや……)
千歳(綾乃ちゃん……大好き)
千歳(綾乃ちゃんも、きっとうちのことを好いてくれてる。けど……)
千歳(それはあくまで、友人としてってことやろ……?)
千歳(うちは、普段は押し潰してるけど……ほんまは……)
ズイッ
千歳(綾乃ちゃん……)
チュッ
千歳(…………)
千歳(…………うち、今何を……?)
綾乃「zzz……」スヤスヤ
千歳(寝ている綾乃ちゃんに……キスを……)
綾乃「ち、千歳!!」ハァハァ
千歳「あ、綾乃ちゃん!? な、なんでここに……」
綾乃「あなたが……ハァハァ……急に消えたりするからよ!」
綾乃「夜中に目が覚めたら千歳がいなくなってるし、電話しても出ないし、千歳の家に行っても居ないし……」
綾乃「そこら中駆け回って、この公園でやっと見つけたの! 心配かけさせないでよバカ!」
千歳「ご、ごめん。ほんまにごめんな綾乃ちゃん……」
綾乃「本当に……本当に心配したんだから」グスン
千歳「綾乃ちゃん……」
綾乃「ちゃんと説明してくれないと、ば、罰金バッキンガムよ!」
千歳「……綾乃ちゃんは、歳納さんのことが好きなんやろ?」
綾乃「なっ!? べべべべつに好きってわけじゃ///」オロオロ
千歳「そう……なんやろ?」
千歳「だったらうちは、綾乃ちゃんが歳納さんと仲良くなれるように全力で協力する。たとえ……自分の心を殺しても」
千歳「そう……決めていたのに……」
綾乃「ちと……せ?」
千歳「綾乃ちゃんは、うちみたいなのと一緒にいたらあかん」
千歳「寝ている女の子の唇を勝手に奪うような人と一緒にいたら……あかんねん……」ポロポロ
綾乃「千歳……!」
千歳「ごめんな。ほんまにごめん。綾乃ちゃんを応援するだなんて口だけで、うちの本音はやっぱり……」
千歳「綾乃ちゃんのことを、誰にも渡したくないんや……」グスン
千歳「ごめん。うちは綾乃ちゃんの隣にいる資格はあらへん。綾乃ちゃんの恋路の邪魔や。目障りなハエや。せやからうちは……」
綾乃「 千 歳 ! ! 」
千歳「!?」ビクッ
綾乃「…………」ギュッ
千歳「あ、綾乃ちゃん何を……!?」
…………チュッ
千歳「ッッッ!?」
綾乃「キ、キキキキキスくらい、私にとっては、全ッ然大したことないんだから!!///」
千歳「ああああ綾乃ちゃん!?///」
綾乃「だから、こんなことで落ち込むなんて、本当に罰金バッキンガムなんだからね!」
千歳「け、けど!! それでも、うちが綾乃ちゃんの邪魔なことに変わりは……」
綾乃「うるっっっさい!」
千歳「!?」ビクッ
綾乃「千歳が隣にいないなんて死んでもイヤなのよ! ずっと一緒にいたのに、そんなこともわからないの!?」
綾乃「でも、これだけは言える」
綾乃「千歳は邪魔なんかじゃないッ!! いなくなったら嫌!!」
千歳「……ほん……ま……?」
綾乃「ほんとう東照宮よ!」
千歳「ほんまのほんまにほんま?」
綾乃「あったりまえじゃない!」
千歳「綾乃ちゃん……」ジーン
千歳「ありがとう……ありがとうな……」ポロポロ
綾乃「そ、それに……」
千歳「?」
綾乃「わ、私……けっこう揺れてる……かも」
千歳「揺れてるって……何が?」
綾乃「え、えっと、その……」モジモジ
綾乃「…………恋心が」
千歳「えっ!?」
綾乃「うぅ……だ、だって、千歳が私のこと好きだなんて、全然想像したことなくて、さっき伝えてくれた瞬間胸がドキドキして止まらなくて……///」モジモジ
綾乃「歳納京子のことが好きなはずなのに、好きだったはずなのに……///」
千歳「えっ、えっ!?///」
綾乃「よくよく考えたら、千歳に告白なんかされちゃったら、私の……私の天秤がどっちに傾くかなんて……」
綾乃「決まっているのに……///」
千歳「ウソ……そんなのウ」
綾乃「これも、ウソなんかじゃないわ!」
綾乃「だってあなたのいいところは、世界の誰よりも……」
綾乃「私が、知っているんですもの」
千歳「……うちは、綾乃ちゃんのことが好き」
綾乃「……うん」
千歳「もしよろしかったら、うちと……」
千歳「うちと、お付き合いしていただけないでしょうか?」
綾乃「……喜んで」ニコッ
千歳「二言は……」
綾乃「ないわ」
千歳「……ありがとう」
綾乃「こちらこそ……」
千歳「…………」
綾乃「…………」
あやちと「「ふふっ」」
千歳「うん。今日は迷惑かけてごめんな」
綾乃「それはもういいの。今の気分に水さしたらダメなんだから」
千歳「今どんな気分なん?」
綾乃「そ、それは、えっと……///」
綾乃「言葉では、言い表せない気分よ///」
千歳「……うちもや」ニコッ
おわり
千歳「そうやねぇ。綾乃ちゃんと一緒に勉強するとなんだか捗るわぁ」
綾乃「私もよ。こうして千歳の家で勉強するの、なんだかとても落ち着くわ」
千歳「ところで綾乃ちゃん……宿題が終わったら、歳納さんの手伝いに行ってあげるってのはどうやろ?」
綾乃「ななな! 何言ってるのよ!/// なんで私が歳納京子の宿題を手伝わなきゃならないの!
」カァァ
千歳「またまたご冗談をぉ。いいアイデアって思ったくせに~」ニコニコ
綾乃「も、もう! ……ま、まあ? 歳納京子のことだし、今頃全然宿題が進んでなくてヒーヒー言ってると思うから? て、手伝ってあげるのもやぶさかではないけど?」
千歳「そうそう。きっと歳納さんも喜んでくれるで」
ガラッ
千鶴「姉さん、杉浦さん……アイス、買ってきたよ」
綾乃「え? 頂いて……いいの?」
千鶴「はい……。どうぞ、食べてください」
綾乃「千鶴さん、ありがとう……」ニコッ
綾乃「千鶴さんは、夏休みの宿題は?」
千鶴「美術の宿題以外は……全部終わりました」
綾乃「そうなんだ。さすが千鶴さんね、私たちも頑張らなくちゃ」
千歳「そうやなぁ。千鶴、いつのまにか宿題進めてたんやね」
千鶴「えっと……美術の宿題で、絵を描きたいんですけど……姉さんと杉浦さんをモデルにして、いいですか?」
千歳「うちもええよぉ。けど、どんな絵を描きたいの?」
千鶴「二人は普通に、アイス食べたり宿題やってたりしてください。そんな光景を描きたいです」
綾乃「うん、わかったわ。アイスありがとうね、千鶴さん」
千歳「ほな、さっそく食べようか」
カパッ
千歳「抹茶味のアイス、美味しいなぁ……」パクリ
綾乃「このミント味のアイスも美味しいわよ。千歳、一口食べる?」
千歳「ええの? じゃあ、一口だけ」
綾乃「はい、あーん」
千歳「あーん」パクリ
千歳「うん! 綾乃ちゃんも、うちの一口いかが?」
綾乃「それじゃあいただくわ」
千歳「はいどーぞ」
綾乃「あーん」パクッ
綾乃「……うん、とっても美味しいわ」
千鶴(これが見たかった! だばー)
綾乃「千鶴さんも、一口食べる?」
千鶴「え? えっと、私は……///」
綾乃「もしかして、ミント味は嫌いだったかしら?」
千鶴「いえ、好きですけど……/// そ、それじゃあ、一口だけ……///」
千鶴「…………///」パクッ
千鶴(す、杉浦さんに……あーんしてもらった……///)
千鶴(ドキドキする……///)
千鶴(姉さんとは普段からこういうことしてるから少しは慣れてるけど、杉浦さんにされるのは初めてだし……///)
※
綾乃「……終わったわ! 夏休みの宿題が全部!」
千歳「うちもやで! 長かったなあここまで……」
綾乃「千歳と……千鶴さんのおかげよ。どうもありがとう」ニコッ
千鶴「ど、どういたしまして」
千鶴(こっちもある意味ごちそうさまでした///!)
千歳「千鶴は、美術の宿題終わったの?」
千鶴「うん、おかげさまで」
千歳「そっかぁ。なあ、その絵見せて見せて~」
綾乃「私も見たいわ。いいかしら?」
千鶴「はい……これです」スッ
千歳「こ、これって……///」
綾乃「私と千歳が、アイス食べさせあってるところ……///」
綾乃「い、いえ! とっても上手な絵よ! 上手なんだけれど……///」
千歳「え、絵にされたの見ると……なんだか恥ずかしくて……うち、顔から火が出そうや///」カァァ
千鶴「ご、ごめんなさい……これ提出するのは二人に悪いからやめておきます」
綾乃「も、もったいないから、提出してもいいわよ! ちょっと恥ずかしいけど……///」
綾乃「でも、とってもよく描けてるわ! 私と千歳をこんなにステキに描いてくれて、ありがとう」ニコッ
千歳「恥ずかしいけど、ええなぁこの絵……記念に飾りたいくらいやわぁ///」
千鶴「二人とも、ありがとう……///」
綾乃(何気なく千歳とアイスの食べさせ合いなんかしてたけど……)
千歳(意識したら、急に胸がドキドキしてきたわ……)
綾乃「…………///」
千歳「…………///」
綾乃「あ、明日は! さ、三人でプールにでも、行かない?」
千歳「え、ええなぁ! ナイスアイデアやで綾乃ちゃん! ち、千鶴はどう?」
千鶴「うん。私も行きたい」
千歳「そ、その意気やで綾乃ちゃん! 遊ぼ遊ぼー!」
千鶴(た、互いに少しずつ意識し始めた……!)
千鶴(この夏は……イケる!!)
千鶴(…………だばー)
綾乃「ち、千鶴さんヨダレヨダレ!」アワアワ
おわり
綾乃「昨日は七夕花火大会があったのに……」
綾乃「歳納京子を誘って一緒に見に行こうと思ったのに……」ハァァァ…
綾乃「結局できなかった……」ガックシ
プルルルルル……プルルルルル……
綾乃「ん? こんな夜遅くに電話……?」
綾乃「千歳からだ……もしもし?」
綾乃「大丈夫よ。ところでどうかしたの?」
千歳『あのな、綾乃ちゃん……』
千歳『今回は上手くいかなかったけど、また頑張ろうな』ニコッ
綾乃「千歳……っ!」
千歳『うち、綾乃ちゃんが一生懸命頑張ってるの知ってるし、そんな綾乃ちゃんが大好きやから、何でも手伝うつもりやで』
千歳『だからな、歳納さんと一緒に花火大会行けなかったのは残念やけれども、気ぃ落とさずに……って綾乃ちゃん? どしたん、泣いてるの?』
綾乃「な、泣いてないわよ!」ヒック、グスン
綾乃「千歳の言葉があまりにも嬉しくて、ちょっと胸が詰まっただけなんだから///!」
千歳『綾乃ちゃん……///』
綾乃「次こそはもっと歳納京子と仲良くなってやるんだから! 心配ないないナイアガラよ!」ガバッ
千歳『綾乃ちゃんに喜んでもらえて、うちも嬉しいわぁ///』
綾乃「千歳……本当にありがとう」
綾乃「千歳も好きな人ができたら、私が全力で協力するわ!!」
千歳『うん、ありがとうなぁ~』ニコニコ
千歳(でもな、綾乃ちゃん……)
千歳(うちはとっくに、恋、しとるんやで……)
千歳(一途で健気で恥ずかしがり屋な、うちの親友にな///)
綾乃「千歳? 何か言った?」
千歳『ううん、なんでもあらへんよ~』ニコッ
おわり
千歳「こんな時間に外で友達と遊ぶのも、久しぶりやぁ」ニコニコ
千鶴(歳納なんたらがあまりにもしつこいから、根負けして来てみれば……)
千鶴(なんで深夜の公園なんかに……)
京子「ほらほら、千鶴もベンチに座りなって」バンバン
千鶴「ちっ……」スッ
千鶴(今夜はせっかくの、姉さんと私の……)京子「ほらほら千鶴!」千鶴(ちっ)
京子「私の家、ここのすぐ近くなんだー。あそこに屋根が見えるでしょ? あれが私んちだよ!」
千鶴「……あっそ」
京子「あははー! 千鶴素っ気ない」
千鶴(笑うとこかそこ?)
千鶴「……姉さんがそう言うなら……」
京子「あっ、そろそろ時間だ……」
京子「……千鶴、千歳……誕生日おめでとう」ニコッ
千歳「歳納さん!/// 今夜はそのためにうちらを?」
京子「うん! 真夜中12時ぴったりにお祝いしたくてね! わざわざ呼び出してごめん」テヘッ
千歳「うち……めっちゃ嬉しいわぁ……///」
千鶴(……まっ、どうせこんなことだろうと思ったけど。じゃなかったら歳納の誘いなんか誰が……)
京子「で、これが私からの……誕生日プレゼントだよ」ニコッ
千歳「?」
千鶴「?」
京子「スイッチ……オンッ!!」
千歳「なっ!? こ、これ……!」
千鶴「歳納の家の屋根に……電球が光って、文字が浮かんでる!」
『千歳&千鶴! 誕生日おめでとう!』
千鶴「ウソ……こんなのって……!」
千歳「すごい……キレイ……」
京子「えへへ/// 手作りでイルミネーションを作ってみました」テヘッ
千鶴「歳納…………」
京子「ささやかだけど、これが私からのプレゼント。……喜んでもらえたかな?」
千歳「もちろんや! うちらのためにここまで……! 今日は最高の誕生日になったで! ほんまありがとう!」
千鶴「………歳納……」
千鶴「あ、ありがとう……///」ボソッ
京子「へへっ、どういたしまして///」
おわり
あやちと社会人編
千歳「綾乃ちゃんおかえり。お仕事お疲れ様」ニコッ
綾乃「ただいま千歳……さっそくだけど疲れてるからもう寝るわ……」
千歳「え? 綾乃ちゃん夕飯……」
綾乃「ごめん、食欲なくて……」
綾乃「……お休み」バタリ
綾乃「……むにゃむにゃ……」スヤスヤ
千歳(綾乃ちゃん、お仕事お疲れ様……)
千歳(けど、ちょっとくらいうちのことかまってくれても、ええやん……)
綾乃「……ちと……せぇ……」モゴモゴ
千歳(? 寝言でうちの名前を……)
綾乃「愛してるわ……ずっと、一緒だから……ね……むにゃむにゃ……」
千歳(あ、綾乃……ちゃん……)ポロポロ
千歳(綾乃ちゃんは、ちゃんとうちのこと……!)
千歳「うちも……愛してるで」
千歳「昔っから今まで、ずっと変わらずにな……」ニコッ
千歳「お休み、綾乃ちゃん……」ナデナデ
綾乃「………すぴー……」
おわり
あやちと社会人編その2
千歳「綾乃ちゃんただいまー! 遅くなってごめんなぁ。仕事が忙しくて……」
綾乃「千歳……あなた、浮気してるわね」
千歳「あ、綾乃ちゃん突然どうしたん? うちが浮気なんてするわけ……」
綾乃「とぼけないで! いつもいつも仕事が遅いって言うけど、近頃のあなたからは……別の女の匂いがするのよ!」
千歳「なっ!?」
綾乃「ずっと信じてたのに……千歳は私だけを見てくれているって……それなのに……」ポロポロ
千歳「綾乃ちゃん違う! これは、その……」
綾乃「今更ごまかさないで!」
綾乃「 ……ねえ、私たち……どこで間違っちゃったのかな……」
綾乃「何よ! まだ言い訳を……って、これ……!」
千歳「明日、綾乃ちゃんに渡すつもりやった……手作りのネックレスや」
綾乃「え……? ウソ……? まさか、そんな……」
千歳「会社の同僚がこういうの大得意やからな、毎晩作り方教わってたんよ。サプライズで驚かしたかったから、綾乃ちゃんには言えへんかったんや……」
千歳「少し早いけど、綾乃ちゃん……」
千歳「お誕生日、おめでとう」ニコッ
綾乃「そんな……! 私、そうとは知らずに、千歳にひどいことを……!」ガクガク
綾乃「千歳……千歳!」ギュッ
千歳「あ、綾乃ちゃん……」
綾乃「ごめんね。本当にごめん。私ったら、1番大切な人のこと信じてあげられなくて……」
綾乃「それと……ありがとう。とても、とても嬉しいわ……」
千歳「綾乃ちゃん……!」
千歳「うちは一生、綾乃ちゃんを離さへんからな」ニコッ
綾乃「……望むところよ」フフッ
おわり
あやちと文化祭の演劇
千歳(綾乃ちゃんと歳納さんが、ロミオとジュリエットの主役……)
千歳(これでええの。あの舞台に立つのは……綾乃ちゃんの隣に立つのは、うちやない)
綾乃「千歳? どうかしたの? 思いつめたような顔をして」
千歳「ううん、なんでもあらへんよ~」ニコニコ
千歳「文化祭の演劇、必ず成功させようなぁ」
綾乃「ええ、もちろんよ!」
綾乃「千歳? 最近ずっと演劇の練習に身が入ってないけど、どうかしたの? 私、心配で……」
千歳「ありがとう綾乃ちゃん。なんでも……なんでもあらへんよ……」
綾乃「ごまかさないで!」
千歳「!?」ビクッ
綾乃「昨日なんて、あなたったらフラフラして舞台から滑り落ちちゃったじゃない! 一歩間違えたら大怪我だったのよ!」
千歳「……うるさい」ボソッ
綾乃「え?」
千歳「うるさい! もううちのことはほっといて!」
千歳「もう優しくせんといて! うちに構わんといて! 綾乃ちゃんは歳納さんとよろしくやっとき!」
綾乃「い、いいかげんにしてよ! 私は本当に千歳のことが心配だったんだから! 何でそんなに怒ってるのよ!」
千歳「なんで……やと? そんなのうちが聞きたいわ!なんでうちはこんなに苦しいの? なんでうちは素直に……」
千歳「綾乃ちゃんのことを、応援してあげられへんのかなぁ……」
綾乃「ちと……せ……?」
千歳「ごめんね。ほんまにごめん。そして……」
さようなら
千歳「」ダッ
綾乃「千歳!? 待ちなさい! 千歳……ちとせぇぇぇ!!」
千鶴「わからないなら教えてあげます……。姉さんは……杉浦さんのことが、好きなんです」
少し怒ったような顔の千鶴さんにそう言われるまで、私は気づかなかった。
ずっと、千歳の隣にいたのに……
千鶴「多分、姉さんも自覚していません。杉浦さんの恋を応援してあげたい気持ちと、自分の恋心との間で葛藤して、耐えきれずに爆発してしまったんでしょう」
綾乃「千歳……千歳は笑顔の裏で、私のことを……想ってくれていたんだ……」
綾乃「それなのに私は……私に主役をやる資格なんて、ないわ……」
千鶴「……姉さんだけの……姉さんにとっての主役になってあげることは、できませんか?」
綾乃「……え?」
綾乃「だって私は、私が恋しているのは……歳納京子なんですもの……」
それからさらに、数日が過ぎた。
千歳は前より演劇の練習に身が入っているように見えたが、私には無理しているようにしか見えない。
ついでに言えば、あの日以来……
私と千歳の会話が、なくなった。
綾乃「どうしたら……どうしたらいいの! 千歳と仲良くしたいのに! また一緒に遊びたいのに!」
綾乃「一緒に生徒会の仕事をしたり、くだらない話で盛り上がったり、一緒にお泊りしたり……」
綾乃「ずっとずっと! 一緒に居たいのにぃぃ!!」
綾乃「……あれ? 私、今……何を……」
言葉に出してから気づいた。がむしゃらに叫んでから自覚した。
千歳がいなくなったから、気づいた。
綾乃「私にとっての主役は、やっぱり……千歳しか、いないじゃない……」
そしてできれば、千歳にとっての主役は……
この私であって欲しい。
京子「ってわけで、私……脚を怪我して松葉杖状態だから、誰かに主役を代わってもらいたいんだよね~」
京子「綾乃……、千歳に、お願いしてきてよ」
何の偶然か、歳納京子が不慮の事故で主役を降板せざるを得なくなったらしい。
本当に、本当に歳納京子には申し訳ないけれど……
チャンスができた。
千歳「うちが主役? ごめんな、うちそんな気分じゃ……」
綾乃「千歳が良いの!」
千歳「えっ!?」
綾乃「私の恋人役は、やっぱり……千歳がいいの! そして……私の、本当の恋人も!」
千歳「う、うそ言わんといて! だって、綾乃ちゃんには歳納さんが……」
綾乃「関係ないっ! 私、自分の本当の気持ちに気づいたの……」
綾乃「いつも隣で支えてくれた、優しいあなたのことが……」
綾乃「私は、世界で一番大好きなんだから!」
結衣「脚を怪我したなんて……本当はウソだろ?」
京子「あっ……バレちゃった?」てへっ
結衣「まったく……けど、本当にこれで良かったのか?」
京子「…………きっとね」
結衣「……そうか」
京子「ああでも、私って結局逃げただけなのかな……」
京子「私に対する綾乃の気持ちを、どうやって受け止めたらいいのかわからなかったからさ」
結衣「……後悔、してるのか?」
京子「うーん……ちょっとだけね」ニコッ
それから数週間後~
クラスの演劇は、大成功をおさめました。
京子「だって主役の二人は本物の恋人どうしなんだから、当然だよね」ニコッ
おわり
穏やかで心地よい朝の風が、私と千歳の髪を撫でる。
「ほな……行こうか、綾乃ちゃん」
「……ええ」
千歳の手をとり、駅の構内へと足を踏み入れる。
人っ子一人いない、寂れた駅だった。駅員さえここにはいないようだ。私も千歳も、ここを利用するのは初めてだった。
「私たち……どこまで行くのかしら」
駅のホームに差し込む陽光に、持っている切符をかざしてみた。
「綾乃ちゃんとなら……どこまでも」
そう微笑む千歳の顔は、夏の太陽よりも眩しかった。
「そやなぁ。元気でやってるんならなによりやけど……ちょっとくらい、うちらのことで悲しんでくれてるかなぁ……」
「そうね。でも、あくまで「少しだけ」に留めておいて欲しいわ。あの子たちには……笑顔が似合うから」
「うんうん。そやそや」
ガタンゴトン……
列車が到来を告げる。
行き先が記入されてないその切符を、私は指先で軽く握りしめた。
「長い旅になりそうね……」
「せやなぁ。それに、もう……戻ってはこれへん」
行き先のない切符に書かれた、出発駅の名前は……
『現世』
……私たちはもう、魂だけの存在になっているのだった。
「居眠り運転のトラック事故なんだから、しゃあないって。綾乃ちゃんに罪はあらへん。それよりも……うちが綾乃ちゃんの後を追ったこと、怒ってない……?」
「怒ってるわよ。なんで千歳が自殺なんか……って、やっぱり今となっては、怒るに怒れないわ」
そう。もう、覚悟は決めているんだから……
「黄泉の国だろうが天国だろうが地獄だろうが……千歳と一緒なら、どこまでも」
死んだ後のことなんて全然考えたことなかったから、これから先何が待ち受けるのか想像もつかない。けれど……
「うちも、綾乃ちゃんと一緒なら……どこまでも行ける」
愛する人だけは、絶対に離さない。
列車が到着し、軋む音をたててドアが開く。
彼女の手をよりいっそう強く握り、列車の中へと飛び込んだ。
あの世の果てまで、駆け落ちするとしようか。
おわり
あやちとちづ夏祭り
綾乃「見てみて! 当たったわ! くらげ三姉妹のぬいぐるみよ!」
千歳「わぁ! 綾乃ちゃんすごいなあ! しかもこんなに大きいぬいぐるみをクジで当てるなんて、ついてるわぁ!」
千鶴「杉浦さん……おめでとう」
綾乃「二人が応援してくれたおかげよ。ありがとう」ニコッ
千歳「でも、そんなに大きいの持ってお祭り歩けるん? ここ、うちの近所やし、いったんうちの家に置きに行かない?」
綾乃「そうだわ……。じゃあ、お願いしようかしら。千鶴さんもそれでいい?」
千鶴「えっと……私が置きに行ってくるから、二人で屋台でもまわってて」
綾乃「それはダメよ。今日は3人で夏祭りを楽しむ約束でしょ? 千鶴さんだけ置いて楽しめるわけないじゃない」
千鶴「あ、ありがとうございます……///」
千歳「せやでえ。三人で一緒に、ぬいぐるみ置きに行こうか」ニコニコ
綾乃「まだまだお祭りはこれからよ! 焦らずゆっくり楽しみましょう?」ニコッ
千鶴(二人とも……優しい)
綾乃「千歳って、水風船の扱い上手ねえ」
千歳「えー? そう? こんなんに上手いも下手もあらへんと思うけどなあ」ポンポン
千鶴「姉さんは昔から、お祭り大好きだったから。よく射的で景品を取ってくれた」
綾乃「あら、そうなんだ。じゃあ後でお手並み拝見といこうかしら」フフフ
千歳「ええよ~」ニコニコ
綾乃「千鶴さんは、何か見てみたい屋台とかはある?」
千鶴「えっと……綿あめとか、食べてみたいです」
千鶴「は、はい……」
千鶴(……綿あめは、綿が頬っぺたにくっつきやすいから……)
千歳『綾乃ちゃん、ほっぺに綿あめついてるよ?』
綾乃『え? どこどこ?」
千歳『こ・こ・や・で・♪」ペロッ
綾乃『ひゃんっ/// もうっ、千歳ったらぁ///」
千鶴「だばー」
綾乃「ち、千鶴さんヨダレヨダレ!」フキフキ
綾乃「むむむ……射的って難しいわね……」
綾乃「留め具で景品固定しているに違いないわ……これは罰金バッキンガムよ……」ブツブツ
千歳「綾乃ちゃん、コツ教えてあげようか?」スッ
綾乃「ち、千歳!? そんな密着して……///」
千歳「手取り足取り教えたほうが早いんよ~。左手はこうで、右手はこうで……」サワサワ
綾乃「う、うん。なるほど……これはこうするのね」
千歳「そうそう。これであとは引き金を引くだけや」
千鶴(お祭り最高……///)だばー
綾乃「よし……行くわよ……それっ!」パンッ
綾乃「千歳のおかげで、くらげ三姉妹のストラップをゲットできたわ! ありがとね」ニコッ
千歳「どういたしまして。綾乃ちゃんが嬉しいならうちも嬉しいわぁ」ニコニコ
綾乃「ってわけで、これは千歳にプレゼントするわ」スッ
千歳「え? ええの? このストラップ、綾乃ちゃんが射的でずっと狙ってたやつやろ?」
綾乃「実は私、これと同じのもう持っているのよね。千歳におそろいのをプレゼントしたかったから狙ってたのよ」
千歳「綾乃ちゃん……/// うち今、絶賛感激中や……///」
千鶴(射的最高……!)だばー
綾乃「あと、千鶴さんにもプレゼント」スッ
千鶴「え?」
千鶴(……そ、それじゃあ、杉浦さんは最初から、私ともお揃いにしたくて……///)
千鶴「あ、ありがとう……ございます///」ペコリ
千歳「ふふっ、よかったなあ千鶴」ニコニコ
綾乃「それじゃあ、どんどん回りましょう! まだまだお祭りはこれからよー!」
千歳「うんうん。ホンマに今日は楽しい日やなあ。千鶴もそう思うやろ?」ニコニコ
千鶴「うん……。こんなに楽しいお祭り、初めてかも……///」
千鶴(姉さんと杉浦さんがイチャイチャするとこを見るのだけが目的だったけど……)
千鶴(今は違う。純粋にこのお祭りが……楽しくて仕方がない)
千鶴(二人とも、本当にありがとう……)
おわり
千歳「家で沢庵を漬けてきたんですけど、よかったら食べてください」ニコニコ
りせ「…………」
千歳(あ、ちょっと嬉しそうや!)
千歳「会長さんのお弁当、漬け物が入ってること多かったから、もしかしたらお好きなんやないかな~って思って」
りせ「…………」コクン
千歳「よかったわぁ。ほな、どうぞどうぞ」スイッ
りせ「…………」ヒョイ、パクッ
りせ「…………」モグモグ
りせ「…………」コクン
千歳「嬉しいわぁ。実はこれ、味付けを新調した自信作なんです」ニコニコ
りせ「…………」スッ
千歳「? 会長さんのお弁当?」
りせ「…………」
千歳「もしかして、お返しにおかずを何か食べていい、ってことですか?」
りせ「…………」ウンウン
千歳「ありがとうございます。会長さんはほんまに優しい人ですなぁ」ニコッ
りせ「…………///」ブンブン
りせ「…………」ウンウン
千歳「では、いただきます……」パクリ
千歳「……うん、美味しいなぁ」ニコッ
りせ「…………」
千歳「?」
りせ(今日のお弁当はお母さんに作ってもらったものだけど、美味しい沢庵のお返しに今度は……)
りせ(私が何か、作ってもってこようかな)
おわり
とくに目的があるわけではない。今日の学校は午前中で終わりだったので、少しお散歩でもしてみようと思ったのだ。
「綾乃ちゃん、歳納さんをデートに誘ってみたりせえへんの?」
いつもの笑顔で、千歳が語りかけてくる。私は顔を真っ赤にして反論するも、その柔らかな笑顔にすべて受け流されてしまった。
「歳納さんを遊園地デートに誘う綾乃ちゃん。愛し合う二人は、夕方の観覧車で身体を寄せ合い、愛の……愛の蜜をぉぉぉ!」
……鼻血を出すのも、いつも通りだ。
「けど、奇遇ね。ちょうど私、遊園地に誘おうと思ってたんだ」
千歳を、ね。
「……なんでうちなん? 勇気を出して、歳納さんを誘ってみようよ。うちも協力するから……」
「うちなんかで我慢してたら、あかんよ」
「我慢なんかじゃないわよ」
「じゃあ、妥協?」
「それも違うわ」
「じゃあ……逃げてるだけと違う?」
……なんでよ。なんでそんなに嫌そうなの。
千歳こそ、私と一緒じゃ不満なの?
「私は! 千歳と二人で行きたいの! 確かに歳納京子とも行きたいけど……でもやっぱり、千歳との時間も、大切にしたいっていうか……」
「……綾乃ちゃん、ありがとうな。けど……」
「もう! 私は千歳とデートしたい気分なの! 歳納京子とか関係ない! 私じゃ……不満?」
「ううん! そんなこと絶対ないで! 綾乃ちゃんと遊べるなら嬉しいわ」
最近千歳との間に、溝ができた気がする。
普通に見ればいつも通りなんだけど……
私との間に、若干距離を置かれているというか。
なんだか……このまま千歳が、遠くに行ってしまいそうで、私は怖かった。
「綾乃ちゃんが歳納さんと上手く行き始めたら……もう二人きりで遊ぶのは、やめにせなあかんしな。今だけは……綾乃ちゃんと……」
「……え?」
「だって、綾乃ちゃんと歳納さんが恋仲になったのに、うちがいつまでも綾乃ちゃんとべったりだったら……歳納さんに申し訳ないやろ?」
そ、それは……
考え過ぎよ、なんて言えなかった。
……ああそうか。千歳は、私の恋を応援してくれているからこそ、私と距離を置き始めたんだ……
「そんなの……そんなの嫌! 千歳と離れるなんて……嫌よ!」
「でも……」
「大丈夫。うちはそれでも……綾乃ちゃんの友達やから」
痛々しいほど眩しいその笑顔に耐えかねて……
私は千歳を抱きしめた。
「あ、綾乃ちゃん!?」
「わからない……わからないよ! 私、自分の気持ちがよく……わからない……」
歳納京子と結ばれるためには、千歳と離れなければならない? そんなの認めたくない。けれど、千歳は真摯に応援してくれている。私もその期待に答えなければならない。だけどだけど!
「やっぱり……一番大切なのは……私にとって一番大切なのは、あなたよ。千歳……」
失いかけて初めて気づいた。
本当に手に入れたいものは、すぐそばにあったこと。
いつまでも一緒にいたい人。私のすべてを預けられる人。私にすべてを預けて欲しい人。
これから先も、共に歩んで行きたい……
最愛のパートナー。
「千歳……好きよ」
返事を聞かせて、くれるかしら……
「綾乃ちゃん、気持ちは嬉しいんやけど……」
「……ここ、少ないとはいえ人いるわけやし、恥ずかしいわ……///」
……うっかりしていた。
ここは真昼の遊歩道だったのに……!
……あれから10年が経った。
当時の告白は今でも笑いの種にされていて、その度に恥ずかしい思いをしている。
「まったく、私の奥さんったら……」
まあ、ニコニコほほ笑むその笑顔の前では、暖簾に腕押しだけどね。
本当に……可愛い人なんだから、千歳は。
おわり
あかり「あ、あれって池田先輩……の妹さんだ!」
千鶴「…………」ジーッ
あかり(なんか難しそうな本がいっぱい置いてある棚を見てるよぉ)
あかり(どんな本を読んでるのかな? 真剣に選んでるから邪魔しちゃいけないけど、少しだけ覗いてみよう)
千鶴(……これはどうかな)スッ
『思想家たちに学ぶ、恋愛哲学』
あかり(わぁ……! 難しそうな本だけど、先輩って恋愛の本とかも読むんだぁ)
千鶴(………ダメだ、この本は女性同士に応用できない)バタン
千鶴(別の棚を探すか)クルッ
あかり「あっ……」
千鶴「……赤座……さん?」
あかり「は、はい! こんにちは、池田先輩」ニコッ
千鶴「……こんにちは」
あかり(えっと……どうしよう、)オロオロ
千鶴(どうしよう……そういえば、後輩とまともに話したことなんてないし……)
あかり「あ、あの、先輩って読書家なんですか? あかりも最近、図書室に通い始めたんですよぉ! ホントに最近ですけど」
千鶴「……はい。本を読むのは昔から好きで……図書室の雰囲気とかも好きです」
千鶴「色々……。哲学や科学や政治経済とか……小説もよく読みます。基本、なんでも読むというか……」
あかり「すごいなぁ。あかり難しい本とか苦手だから、尊敬しちゃいます」ニコニコ
千鶴「…………どうも///」
あかり「小説はどんなの読むんですか?」
千鶴「百合……じゃなかった、え、SFとか」
あかり「SFって、タイムマシンとか幽霊とかのことですよね! あかりも興味あります!」
千鶴(幽霊……? それはオカルトだけど……ま、いっか)
あかり「なにかオススメの本とか、ありますか?」
千鶴「はい。こっちのコーナーに……」
グラッ
あかり「ひゃっ!」
千鶴(棚の本が落ちてきて……赤座さんの頭上に!)
千鶴「くっ」ギュッ
あかり「あっ!」
あかり(た、助かった……ってああっ!///)
千鶴(まったく……近頃の連中は、本の置きかたが雑すぎる……。取ったらキチンとしまうのがマナーなのに……)
あかり「ああああ、あのっ!///」アワアワ
千鶴「っ!? (赤座さんを抱きしめたままだった!///)」バッ
あかり「あああ、ありがとう……ありがとうござい……ます///」
千鶴「ど、どういたしまして……///」
あかり(先輩に抱きしめられちゃった……///)ドキドキ
千鶴(どうしよう……なぜだかわからないけど、ヨダレ出てきそう……///)ドキドキ
ちづあか「「あっ、あの!」」
千鶴「…………///」
あかり「…………///」
千鶴「えっと、オススメはこっちのコーナーだから……///」スタスタ
あかり「は、はい! ありがとうございます///」スタスタ
おわり
千歳「ほんまやねえ。なかなかオツなもんや。これも、千鶴が夏の使い残しの花火を見つけてくれたおかげやな」ニコッ
千鶴「こっちこそ、付き合ってくれてありがとう。杉浦さんも……」
綾乃「ふふっ、千鶴さんとこうして遊ぶのも久しぶりだから、嬉しいわ。今日はありがとうね」ニコッ
千鶴「どういたしまして……」
綾乃「あ、そうだ。暖かい飲み物でも買ってくるわ。何か飲みたいのある?」
千歳「ありがとうなぁ。お茶で頼むわ」
千鶴「私も、お茶でお願いします」
綾乃「うん、了解。それじゃあ、すぐに戻ってくるね」スタスタ
千鶴「杉浦さん……優しい」
千歳「せやろぉ。うちの自慢の親友や」ニコニコ
千鶴「姉さんは……杉浦さんと親友以上の関係になる予定は、ないの?」
千歳「な、何を言い出すん? 親友以上って、つまり……///」
千鶴「こ、恋人……とか」
千鶴「……姉さん……」
千歳「けどな、心のどっかでは、うちは綾乃ちゃんと……って、綾乃ちゃんには内緒やで」ニコッ
千鶴「……うん」
千歳「……でも、ときどき……寂しく思うときもあるんやで。綾乃ちゃんがどこか遠くに行っちゃいそうで……」
千鶴「……私は、どこにも行かないから」
千歳「千鶴……」
千鶴「私は姉さんの妹だから、ずっとそばにいるよ……。いや、そばにいさせて……」
千歳「……ありがとう。ほんまに……ありがとうな」ニコッ
千歳「千鶴みたいな妹がいて……うちは幸せや///」
千鶴「姉さん……///」
綾乃「飲み物買ってきたわ」スタスタ
千歳「おお綾乃ちゃん、ありがとうな」
千鶴「ありがとうございます」ペコリ
綾乃「ふぅ……コタツってなんでこんなに素晴らしいのかしら……」ヌクヌク
千歳「ほんまやなぁ。花火も楽しかったけど、こうやって綾乃ちゃんと千鶴とコタツを囲んで蜜柑を食べるのも、また幸せやで」
千鶴「うん。ところで……杉浦さんは、冬休みに予定とか空いてますか?」
綾乃「予定? 一応空いているわよ」
千鶴「もし良かったら、三人で今度は……スキーにでも、行きませんか?」
綾乃「いいわね! ぜひ行きましょう」
千歳「スキーええなぁ。千鶴はスノーボードも滑れるんよ」
綾乃「スノーボード滑れるの? カッコいいわぁ。私はスキーしかできないから、憧れちゃうな」
千鶴「い、いえ/// そんなたいしたものでは……///」
千歳「照れんでもええよ。千鶴の滑りはカッコええもん」
千鶴「姉さんまで……///」
綾乃「そういえば、ここら辺からなら日帰りでも普通に行けるけど、どうするの?」
千鶴「うん。泊まりで行きたい……」
綾乃「じゃあ、なにか宿で遊べるモノも持って行かない? トランプとか人生ゲームとか!」
千歳「うんうん。だったらうちは……」
千鶴(杉浦さんも姉さんも乗り気で、嬉しいな……)
千鶴(こんな日常が……こんな幸せが、いつまでも続きますように)
綾乃「もうっ! 千歳ったらぁ……///」
千歳「綾乃ちゃんかわええなぁ」ニコニコ
千鶴「…………///」ダバー
おわり
夏休みに入って少し経ったある日、綾乃ちゃんに誘われ、うちは星座を見に山を登った。
灯りなんてない田舎の山道。懐中電灯で足元を照らしながら、二人でゆっくりと進んでいく。
木々の間から零れる月明りに照らされた綾乃ちゃんの顔を、そっと盗み見てみた。
綺麗やな……
けど、どこか思いつめているようにも見える。
苦しそうな、切なそうな……
何かを躊躇している……そんな気がする。
思えば、ここしばらくの綾乃ちゃんは変やった。
うちが歳納さんの話を振っても動揺が少ないし、なぜだか悲しそうな顔になる。
歳納さんと顔を合わせても、どこか上の空で……
もしかしたら綾乃ちゃんは、歳納さんのことを諦めてしまったんかなぁ。
この山の頂上に、その答えが落ちている気がした。
一見普段通りの、他愛ない会話。
お互いに話題を振り、お互いに相槌を打ち、お互いにほほえみ合う。こんな普段通りが、いつもならうちにとっての幸せな時間のはずなのに……
普段より互いの距離が、遠い気がするのは何で?
山頂付近の空気は澄み渡っていて、おまけに冷んやりしていた。夏だというのに風が冷たい。
こんな事態を予期していたのか、綾乃ちゃんがカバンから上着を取り出し、そっとうちにかけてくれた。
その準備の良さと優しさに、思わず胸がドキドキしてしまう。
綾乃ちゃんと歳納さんが手を取り合う姿を思い浮かべて、心を落ち着ける。
そうや、うちは綾乃ちゃんの恋を応援することに決めたんやから、綾乃ちゃんにドキドキなんかしてはいられへん。友達として、一緒に楽しめればそれで充分なんや。
ペースをあげて、歩を進める。あと10メートル……5……3……1……
「すごい……キレイや……」
頂上に着くまで、なるべく空を見ないように足元ばかり見て進んできた。それが今……報われた瞬間だった。
夏の大三角が、東の空からうちらを出迎えてくれていた。
「ねえ、千歳……たった今、決心できたわ」
「私は……千歳のことが好き。千歳と、いつまでも一緒にいたい……。冗談抜きで、一生ね」
「え……? ど、どういうことなん……? だって、綾乃ちゃんは歳納さんのことが……」
困惑する。ドキドキする。狼狽する。顔が熱くなる。綾乃ちゃんが、うちを? そんなのウソだってわかってるのに……
「千鶴さんがね……千歳の本当の気持ちを、私に教えてくれたの……」
「最初聞いたときは、耳を疑ったわ。まさか千歳が、私のことをそんなふうに思ってくれていたなんて……」
「……そして、考えたわ。ずっとずっと、必死に。朝から晩まで、授業中もご飯を食べるときも寝るときも……ずっと考えてた」
「私にとって本当に大切な人は……本当に一緒にいたい人は誰なのか、ってね」
「答えは今……見つかったの」
綾乃ちゃんがうちの顔を真っ直ぐ見つめてくる。
道中の迷いが見て取られた表情とは違う。決意を固めた真剣な顔で……
わかっていても、聞き返せずにはいられない。
「本気よ……」
「ウソ……だって、うちは綾乃ちゃんの恋を応援しようって、そう決めて今まで……」
「言葉にしてくれなかった。千歳は、私のことを本当に大切に想ってくれていたから。私の幸せを願ってくれていたから。けど……」
「今の私にとっての幸せは……千歳と一緒に生きることなの」
「綾乃ちゃんが、うちと……?」
「……そうよ。だから、その……」
「千歳の気持ちを、聞かせてくれるかしら。今度は……千歳の言葉で」
うちの言葉で……?
そんなもん口にしたら、今までの関係が壊れてしまう。そう思ってずっと堪えてきた。
でももう、恐れる必要はない。今までの関係が壊れたって、今よりもっと深い関係を築ける。綾乃ちゃんがそれを望んでくれているから。
「……好きや」
あとはうちが、踏み出すだけ。
「うちは綾乃ちゃんのことが好き!」
抑えてた感情と一緒に、涙が溢れ出る。鼻声になりながらも、うちは叫ぶ。
「ずっと一緒に居たい! 綾乃ちゃんが好きで好きでたまらない! もう、自分の気持ちにウソはつかへん!」
綾乃ちゃんの心臓の鼓動が伝わってくる。綾乃ちゃんも告白するのに緊張してたんやな、とわかって少しだけほっこりする。
「千歳……ありがとね。本当に……ありがとう……」
「ううん、こちらこそ……」
しばらくそうして互いの身体を預けあっていた。
※
「ここ、とても良い眺めよね……」
「うん。星がこんなにキレイに見れるなんて思わんかった」
二人でベンチに座り、山頂から夜空を見上げる。ぴったりと寄り添いながら、互いの指で星を指して。
ベガもデネブもアルタイルも、うちらを祝福してくれているような……そんな気さえしてくる。
綾乃ちゃんからは今日、二つのプレゼントをもらった。
この美しい星空と……
それから、綾乃ちゃん自身を。
お返しは、一生かけて返させてもらうで。大好きなうちの恋人に、ずっと捧げたい。
これからの自分を全て。
おわり
千鶴(な……何を言ってるかわからないと思うけど、私もわからない……)
千鶴(どうやら階段の下にいた姉さんと互いの頭をぶつけて、その拍子に入れ替わったらしい……)
千鶴(ど、どうしよう……これから学校なのに……!)
千歳「まぁまぁ。せっかくやし、お互い入れ替わったまま過ごしてみるのはどうやろ?」
千鶴「そ、そんなのんきなこと言ってる場合じゃ……!」
千歳「うーん……それはそうやけど……確かに一大事やしなぁ……ここは正直に話して、みんなに協力してもらうのがええかもなぁ」
千鶴「そ、そうそう。いくら双子とはいえ、身体が入れ替わったままっていうのは……恥ずかしいし……///」
千歳「あらあら。けど、うちは千鶴の身体のことならなんでも知ってるけどなぁ。ずっと一緒に過ごしてきたわけやし」ニコニコ
千鶴「……うぅ……///」
千鶴(今、私が動かしているこの身体は……姉さんの……///)
千鶴「ち、遅刻しそうだから早く学校行こう?」ダダッ
千歳「あら、もうこんな時間? うん、とりあえずは学校行こか?」
千歳「……あっ、うちらもともと双子やから身体がそっくりだし、話したところで信じてもらえんかもしれへんかもね」ニコニコ
千鶴「それは……そうかも」
綾乃「え!? 千歳と千鶴さんの身体が入れ替わった!?」
千歳(身体は千鶴)「そうなんや。双子とはいっても、やっぱり元の身体に戻れるなら戻っといたほうがええかなぁとは思うし、何か案はないかなぁ……」
千鶴(身体は千歳)「私からも……お願いします」ペコリ
綾乃「あはは、ちょっと二人とも、冗談よしてよ~。身体が入れ替わるなんてそんな馬鹿なこと」ゲラゲラ
京子「おおっ! 千鶴が関西弁使ってるの初めてみた!」
千鶴「………」イラッ
綾乃「いくら双子だからって、そんな冗談は通じないわよ。私にはキチンと見分けがついてるんだから」
京子「そうそう。それにしても……お互いの口調を完璧に真似してくるなんて、なかなか手の混んだイタズラだね!」
千鶴「お前は黙ってろ!」
京子「ひゃぁっ!! ち、千歳に怒鳴られた……」ビクッ
綾乃「え!? ちょ、千歳!?」オロオロ
千歳「千歳はこっちやで、綾乃ちゃん」ニコニコ
京子「おおっ……こんな柔らかに微笑む千鶴は初めてみた……! ちっづるーん!」ギュッ
千歳「あらあら、うふふ」ギュッ
千鶴「姉さんから離れろ!」バキッ
京子「グハァ!!」
綾乃「ええ!? 千歳がパンチ!? ちょ、これ、もしかしてホントに……入れ替わって!?」
京子「ええい! こうなったら、本気で確かめてやる! ……綾乃!」
綾乃「え!? な、何!?」
京子「あっやのーん!」
チュッ
綾乃「ッッッ!?!?!?!?!?!?///」ボンッ
千歳「アカンッッッッッッッッ!!!!!!!」ブシャー!
……バタン
千鶴「ね、姉さん!! 姉さんしっかり! 大変だ、姉さんが鼻血の出しすぎで気を失った!」
京子「あらら~、キスはさすがにやりすぎたか~」
綾乃「:47&@&;3/58@"'fddi36&¥(:/("""@!……///」バタンキュー
京子「あれ? 綾乃? どうしたの? おーい……」
千鶴「歳納! てめえ!」
ツルッ
千鶴(しまった! 床にぶちまけられた鼻血で、脚を滑らせ……)
ゴッチーン
千鶴「4)¥8((&#€~>€€£££☆☆……」バタン
京子「ああ! 千歳……じゃなかった、千鶴が滑って千歳と頭ぶつけて気絶した!」アワアワ
綾乃「…………あへへ……///」トローン
京子「って、どうしちゃったんだよ綾乃! そんなに私にキスされたのが嫌だったのか!」ガーン
※
京子「……で、保健室で目が覚めたらお互いの身体が元に戻っていた、と」
千歳(身体も千歳)「心配かけてごめんな~。頭ぶつけて入れ替わったわけやから、また頭ぶつければ元に戻る……って理屈やったんかなぁ」
千鶴(身体も千鶴)「元に戻ってよかったけど……」
千鶴(もうちょっとだけ、姉さんの身体で……って、何考えて!///)
綾乃「何はともあれ、二人とも元に戻って良かったわ! 頭の怪我もたいしたことなさそうだし、安心アンコールワットね!」ニコニコ
千歳「綾乃ちゃん、なにやらすごい嬉しそうやけど……(歳納さんと)何かあったん?」
綾乃「はぁぁ!? べ、べつに何もなかったわよ!!/// って、覚えてないの!?」
京子「頭を打った衝撃で忘れちゃったんじゃない? 実は実は、あの時私が綾乃に…」
綾乃「い、言わないでよ!/// 忘れなさいあのことは!!」カァァ
千歳「その話!! 詳しく!!」
綾乃「や、やめてよぉぉぉ!!///」
千鶴(あ……姉さんが私の身体で鼻血出したから、まだ貧血でクラクラす……)
ゴッチーン
※
千鶴(な……何を言ってるかわからないと思うけど、私もわからない……)
千鶴(また……身体が入れ替わっただなんて!!)ガーン
千鶴(しかも今度は……)
京子「おおおおお!! これが千鶴のおっぱ」
千鶴「おいコラッ! 私の身体で何してんだ!」ボガッ
京子「あべしっ!!」
千鶴(……と、歳納なんたらと身体が入れ替わるなんて……!)
おわり
千歳「まあまあ。同じ日本なんやから、こんな日もあるって」ニコニコ
綾乃「うーん……まあ、それはそうよね。せっかくの二人きりの旅行なんだから、文句言っても始まらないわ! たっぷり堪能しましょう?」
千歳「せやせや。うち、ポジティブな綾乃ちゃんも好きやわぁ」
※その夜
綾乃「ふう……いい湯だわぁ……景色も良いし、最高の露天風呂ね」
千歳「洞爺湖温泉……気持ちええなぁ……」
綾乃「千歳……旅行に誘ってくれて、ありがとね」
千歳「ううん、こちらこそ、綾乃ちゃんが一緒に来てくれて嬉しかったわぁ……」
綾乃「ねえ、今度は……私のほうから、旅行に誘っていいかしら? 次はほら、反対側の沖縄とかどう?」
千歳「ふふっ、綾乃ちゃん気が早いなぁ。もう次の計画?」ニコニコ
綾乃「い、言ってみただけよ!」
綾乃「千歳……///」
千歳「せやけど、人間いつ死ぬかもわからんし、次もあるなんて保証はどこにもあらへん。せやからな、今だけは……」
千歳「今だけは、この時間を精一杯楽しもうな」ニコッ
綾乃「……そうね。私、今すごく……幸せよ」ニコッ
千歳「うちもやで」ニコニコ
千歳「……あっ、そろそろやな……」
綾乃「そろそろって、何が?」
千歳「綾乃ちゃん、お空見てみ?」
綾乃「空……?」
ヒュ~……ドッカーン!!
綾乃「は、花火だわ! すごい……キレイ……」
綾乃「そ、そうなの!?」
千歳「うん。ささやかやけど、これがうちからの……サプライズプレゼント」ニコッ
綾乃「千歳……/// 感動で胸がいっぱいよ。……ありがとね///」
千歳「ふふっ、どういたしまして」
千歳(この花火も、めっちゃめーっちゃ素敵やったけど……)
千歳(やっぱりうちの親友の笑顔には、敵わへんなぁ)ニコニコ
千歳(来年も再来年も、この笑顔が見れるなら……)
千歳(うちはなんでもするつもりやで)ニコッ
おわり
読んでくれてありがとうございました
この中で気に入った話とかがあったら教えてくれると嬉しいです
千鶴ちゃんの美術の宿題が可愛らしいなー
トラックが気になった…悪い意味でなく
洞爺湖そんなのやってるのか
ちょっと行ってみたくなった
社会人編とか好きよー
乙乙!
Entry ⇒ 2012.08.12 | Category ⇒ ゆるゆりSS | Comments (0) | Trackbacks (0)
ルルーシュ「アマガミ?」スザク「うん…」
スザク「いや、ロイドさんが…」
ロイド『スザクくん、君は異性と言うものに興味はないのかね?』
スザク『あんまりそういうことは考えたことないです』
ロイド『なら、これもいい経験だよ。さぁ受け取って』
スザク『なんですかコレ?』
ロイド『暇つぶしってやつだよ。最近は戦闘も少ないしデータを収集できないだろ?』
ロイド『だからねスザクくん。君自信のデータが欲しいんだよ』
スザク『言っていることがイマイチ…』
ロイド『いいから!とにかくコレをもって行きなさい!』
スザク「う~ん…何をするものなのかもわからないし…使ってないんだ」
ルルーシュ「データ収集が目的なら何かシミュレーションでもするんじゃないのか?」
スザク「これで?どうやって」
ルルーシュ「知らん!でも、電源ボタンのようなものはあるな」
スザク「押してもいいことはないと思うけど」
ルルーシュ「これも戦闘訓練の一環だろうに。このまま何もしないで返すのか?」
スザク「それは…」
ルルーシュ「はぁ…俺が押してやろう」ポチッ
スザク「駄目だよ!ルルーシュ!うわっ!!」
ピカッ
スザク「ルルーシュ…ここは」
ルルーシュ「ふぁぁ…ずっと寝てたみたいだな」
スザク「それよりも」
ルルーシュ「あぁ、この世界における俺達の立場と過去は事前に植えつけられているみたいだな」
スザク「僕はこの家の長男で」
ルルーシュ「俺は従兄、両親ともに海外へ出張中で預けられいている設定か」
美也「にぃに達が起きないと!みゃーも遅刻しちゃうよ!!」ガチャッ
スザク「そ、そうだっけ」アセアセ
ルルーシュ(コイツがスザクの妹か。ふん、ナナリーの方が遥かに可愛い!)
美也「だって~!にぃに達いっつも二人ですぐ家出ちゃうし!」
ルルーシュ「それはお前が寝ぼすけなだけだろ?」
美也「今日はみゃーに起こしてもらったくせに!」
ルルーシュ「今日はたまたまだよ」
スザク(すごい…ルルーシュ。君の適応能力…)
美也「あっ!じゃぁ先に行ってるね!」
オッハヨー
スザク「おはよう…その、えっと」
ルルーシュ「何だ梅原か」
梅原「何だとは何だ!」
ルルーシュ「朝から元気だな」
梅原「おうよ!でも、そんな俺のおかげで冬の寒さも吹っ飛ぶだろ?」
ルルーシュ「まぁな。だが、あんまりモタモタしてると遅刻するぞ」
スザク「あっ!まずいよ!ルルーシュ!!時間が」
梅原「へっへ~!じゃぁ競争だぜ!」
タッタッタ
梅原「で、どうなんだよ?」
スザク「どうって?」
梅原「創設祭までに彼女作るって話だよ!」
ルルーシュ「そういうお前はどうなんだ?」
梅原「お、俺はまだ…だけど!必ず!」
梅原「それにしても…なんで美形のお前らに彼女ができないんだろうな」
ルルーシュ(俺達の目的はこの世界で彼女を作ること…)
スザク(期限は創設祭…)
ルルーシュ「ところで梅原、この学園で一番可愛いく綺麗な女は誰なんだ?」
梅原「可愛い子はたくさんいるけど…」
薫「なになに!?ルルーシュもついに彼女作る気になったの!?」
梅原「そりゃぁ、森島先輩じゃないの?すっげー美人だし」
ルルーシュ「ふふ、そうか」
梅原「まさか、森島先輩を狙うのか?」
ルルーシュ「だとしたら?」
梅原「う~ん…でも!俺は応援するぜ!」
ルルーシュ「決まりだな」(この俺が落とせぬ女など!存在しない!)
スザク「ぼ、僕は…」(例えシミュレーションだとしても…そんないきなり…)
梅原「まぁ、創設祭までは結構時間あるし、お互い頑張ろうぜ!な!スザク」
スザク「う、うん」
ルルーシュ「スザァァク!これは勝負だぞ!」
梅原「勝負って…」
ルルーシュ「俺はお前に勝つ!必ずやこの手で学年1の美女を落としてみせる!」
スザク「はぁ…」(昔から君は負けず嫌いだよね…ルルーシュ)
高橋「そこで、クラスの実行委員を決めないといけません。誰か立候補はありませんか?」
シーン
スザク(誰も手を挙げない…。ルルーシュは?)
ルルーシュ「」ボーッ
スザク(興味なし…。せっかく、日本の平穏な高校生活を送れているんだし)
スザク(もっと、楽しまないと駄目だよね!よし!)
スザク 絢辻「はい!」
高橋「枢木くんはいいとして…絢辻さんはいいの?クラス委員との掛け持ちになるけど」
絢辻「はい、大丈夫です。それに」
絢辻「枢木くんもいるし」
スザク「え?」
絢辻「」ニコッ
高橋「それじゃぁ、実行委員は枢木くんと絢辻さんの二人で!みんないいわね?」
パチパチパチパチ
絢辻「よろしくね!枢木くん」
スザク「よろしく絢辻さん」(感じのいい人だなぁ。この人となら実行委員もうまくやっていけそうだ)
ルルーシュ「スザク、実行委員とはまた…俺に対するハンディキャップか?」
スザク「違うよ。僕はただ単にここの生活を楽しみたかったんだ」
スザク「せっかく、日本人に戻れたんだ。ブリタニアの軍人じゃない普通の日本人に。それに」
ルルーシュ「どうした?」
スザク「こんな平和な世界でルルーシュと二人で高校生活を送っている」
ルルーシュ「お前…」
スザク「少しだけ僕たちの願いが叶ったんだし。後悔だけはしたくないよ」
ルルーシュ「そう硬くならず俺との勝負に専念しろ」
スザク「君は嬉しくないのかい?僕達の目指した未来の形がここにあるんだよ?」
ルルーシュ「確かにこの世界の日本はブリタニアの植民地ではない。」
ルルーシュ「エリア11でない紛れも無い日本だ。」
ルルーシュ「しかし…さっきも言ったがあくまでシミュレーションだ。」
スザク「ルルーシュ…」
ルルーシュ「現実逃避はよくない。目的を忘れるな。ふふ、純粋にゲームを楽しもう」
スザク「そうだね…」(ルルーシュ…現実逃避でもいいじゃないか…少しくらい…)
スザク「ごめん、そう言う風に見えたかな」
梅原「まぁまぁ!とにかく昼休みだぜ!?パン買いに行こうぜ~」
ルルーシュ「そうだな。おなかも空いたし」
薫「ちょっとまった~!」
ルルーシュ「どうした?」
薫「あたしもパンにしようかな~♪」
スザク「それじゃぁ、みんなで買いに行こう」
薫「ちっちっち、一緒に買いにいくだけじゃつまらないじゃない?」
全員「?」
ルルーシュ「…」
ルルーシュ「何がジャンケンだ!くそ!」
ワイワイガヤガヤ
ルルーシュ「なんて…人の数だ…」
ルルーシュ「ん?」
紗江「あっ…うぅ…」オロオロ
ルルーシュ(身長はだいたいナナリーと同じくらいか)
ルルーシュ(ああいう子を見るとどうも母性本能をくすぐられる)
紗江「は、はい…」
ルルーシュ「俺が代わりに買ってきてあげるよ」
紗江「でも…」オロオロ
ルルーシュ「こんな人だかりじゃ、誰だってたじろいじゃうよ。心配しないで」ニコッ
紗江「あ、ありがとうございます」
ルルーシュ「どういたしまして」ニコッ
紗江「あのぉ…」
ルルーシュ「ん?」
紗江「お金…」
ルルーシュ「え?あぁいいよ。俺が適当に選んだんだし」
紗江「そんな…駄目です。これ以上ご迷惑は」
ルルーシュ「気にしないでくれ。それじゃ!」
ルルーシュ「えっと…アンパンにカツサンドにチョココおわっ!」
ドテッ!!
ルルーシュ「いたたた…はっ!まずい!パンが!」
森島「ねぇ、きみ」
ルルーシュ「ん?」
森島「そこの大食いのきみ」
ルルーシュ「はい、なんでしょう?大食いではないですが」
森島「ふふっ、はいこれ!落としたよ?大食いくん」
ルルーシュ「だから大食いではない!」(なんだ?コイツは!)
森島「う~ん…」ジーッ
ルルーシュ「な、なんですか?//」
森島「あなた、可愛いらしい目をしてる♪」
ルルーシュ「は?」
ルルーシュ「えぇ、まぁ」
森島「ふふっ、グッド!きみって優しいんだね!」
ルルーシュ「はぁ」ポカーン
森島「じゃ、もう転ばないようにね」
ルルーシュ「」
ルルーシュ(なんだ…あの女…できれば二度と関わりたくないな)
梅原「あぁ!ルルーシュ」
梅原「お前があまりにも遅いから!見に着てやったんだよ!なのに…」
ルルーシュ「?」
そしてこれと
梅原「なんで森島先輩と話してるんだよ!この裏切り者め!」
ルルーシュ「森島先輩ってさっきの?」
梅原「そうだよ!お前!今、どれほど貴重な体験したかわかってるのか!」
ルルーシュ「わからん」
梅原「くぅぅぅ!森島先輩と二人きりで話をするなんて!願っても願っても!叶わない!すごい事なんだぞ!」
ルルーシュ「おい…落ち着けよ」
ルルーシュ(確かに形の整った綺麗な顔立ちとは思ったが…)
ルルーシュ「なぁ、梅原…俺はアイツを落とさないといけないのか?」
梅原「自分で言い出したんだろ!」
ルルーシュ「そ、そんな…」ガタツ(さっきのようなやりとりを何回も繰り返さなくちゃいけないのか…)
美也「えぇ!にぃに!実行委員になっちゃったの?」
スザク「まぁね」
美也「なんで実行委員になっちゃったの?」
スザク「それは…う~ん…なんでだろ」
美也「にっしっし~、さては女の子目当てですな」
ルルーシュ「当たり」
美也「やっぱり!で、相手の人は?」
スザク「ちがうよ!僕は純粋に実行委員がしたかっただけだよ!」
ルルーシュ「美也、相手の子は絢辻さんと言って」
美也「ふむふむ」
スザク「勝手に話をすすめるなー!」
ルルーシュ「」ブハッ
美也「えぇ!ルルにぃ!森島先輩と親しいの!?」
ルルーシュ「スザァァク!誰から聞いた!?」
スザク「梅原」
ルルーシュ「あのことは誰にも言うなと言ったのに!俺を応援するんじゃなかったのか!」(このままターゲットを変えるつもりだったのに…)
スザク「で、どうなの?」
ルルーシュ「どうって…実は放課後にも会ったんだけど…」
ルルーシュ(スザクは実行委員の会合か…)
ルルーシュ(帰ってもすることないし図書室で待っていてやるか)
図書室
ルルーシュ(シミュレーションとは言えこの世界の歴史が少し気になるな)
ルルーシュ(この日本は過去をどう歩んできたのだろうか…)
ルルーシュ「えっと、歴史の参考書は…」キョロキョロ
ドンッ
森島「きゃっ」
ルルーシュ「あ、すいません!」
ルルーシュ(なんだ…森島はるかか)
ルルーシュ「いえ、こちらの不注意が原因ですし」
ルルーシュ「ん?その本…全て一人で持ち運ぶんですか?」
森島「うん♪全部借りたのよ」
ルルーシュ「お詫びといっては何ですが俺が代わりに運びます」
森島「え?いいの?」
ルルーシュ「ええ」(さすがにぶつかっておいて放ってはおけないし…)
ルルーシュ「友人を待っていただけです」(い、意外に重いぞ…)
森島「そうなんだ。待たなくて大丈夫なの?」
ルルーシュ「はい。まだアイツ時間かかりそうなんで」
森島「あっ!響ちゃん!」
響「あ、はるか。どうしたの?」
森島「借りたのはいいけど…持ってくるのが面倒だったから手伝ってもらっちゃった♪」
響「はぁ…ごめんなさい。はるかが迷惑かけちゃったみたいね」
ルルーシュ「いえ、別に大したことでもないです」
響「はるか、お礼は?」
森島「ありがとう!え~と…そうだ、きみの名前まだ聞いてなかったよね?」
響「あきれた…名前も知らない子を手伝わせたなんて…」
ルルーシュ「ルルーシュ・ランペルージです」
森島「るるーしゅ?」
森島「じゃぁ!ルル君だね♪」
ルルーシュ「は、はぁ…」
森島「ありがとうルル君♪やっぱりきみは優しいね」
ルルーシュ「」ポカーン
スザク「凄いよ!ルルーシュ!いい感じじゃないか!」
ルルーシュ「どこがだよ」
美也「ふん、ルルにぃの癖に!」
ルルーシュ「あの人の考えていることはわからない」
ルルーシュ「正直、あぁいうのは苦手だ…」
スザク「自分で落とすって言っておいて苦手って」
ルルーシュ「だが、俺は諦めないぞスザク」
ルルーシュ「ふふ、確かに落とすのは難しい相手だが…」
ルルーシュ「ゲームはこうでなくちゃ!はっはっはっはっは」
美也「げーむ?」
スザク「なんでもないよ美也」(ゲームだなんてルルーシュ…どうかしてるよ…)
梅原「よっしゃぁ!スザク!ルルーシュ!馬とびやろうぜ!」
ルルーシュ「断る!」
スザク「いいね!やろう!もちろん、ルルーシュも」
スザク「貴重な経験だと思うよ」ニコッ
ルルーシュ「お前はまだそんなことを」
梅原「はいはい!強制だぞ!」
ルルーシュ「何で俺が…」
森島「えいっ!」
ドンッ
梅原「森島先輩!」
ルルーシュ「なっ!」
森島「えいえいえい♪」グイグイ
ルルーシュ「ちょ、ちょっと!何を//」
森島「ふふっ♪」グイグイ
ルルーシュ「駄目だ…もう体力が…」
スザク「あはは…よりにもよってルルーシュの上に跨るなんて」
ドスンッ
ルルーシュ「ぐへっ…」
ルルーシュ「さっきのは一体なんですか?」
森島「えっへっへ♪何だか男の子たちが馬とびしてるな~って思って」
森島「そしたらそこにルルくんを見つけたから♪」
森島「私も混ぜてもらっちゃおうって思って」
ルルーシュ(恥じらいもくそもないのか!この女は!)
ルルーシュ「突然、女性に乗られたんでびっくりしましたよ」
ルルーシュ(だが、裏を返せばこれは俺に対する好意なのでは?)
ルルーシュ「え?」
森島「ふふっ。ルルくんはやさしいから!」
ルルーシュ「ふっ、そうですかね」(ふん、思ったより楽に攻略できそうだな)
美也「あ、お兄ちゃん」
ルルーシュ「あぁ、美也か」
ルルーシュ「こちらは森島先輩」
森島「ふふ、よろしくね♪可愛い妹さんね」
ルルーシュ「まぁ、厳密に言うと妹ではないんですけど」
ルルーシュ(ん?妙に不機嫌だなコイツ)
美也「それじゃ、授業あるから」
ルルーシュ「お、おい!美也!」
森島「嫌われちゃったかな?」
ルルーシュ「いえ、気にしないでください。あぁいう奴なんです」(スザクと何かあったのか?)
森島「あぁ、でも可愛いな~美也ちゃん!猫ちゃんみたい!」
ルルーシュ(ふん、ナナリーには劣るがな)
森島「仲良くなって一緒に買い物したりお風呂に入りたいな♪」
ルルーシュ「お風呂…ですか」
森島「うん!」
ルルーシュ(美也と森島はるかが二人でお風呂…)
ルルーシュ(いや、ナナリーと森島はるかが二人で…)
ナナリー『あ、あの…はるかさん…』
森島『こうすると胸が大きくなるらしいのよ♪』ギュッギュ
ナナリー『こうですか///』ギュッギュ
森島『うん!ナナちゃん可愛い♪』
ナナリー『これでお兄様もよろこんでもらえますか?』
森島『ルルくんもきっとよろこぶわ!』ギュッギュ
ナナリー『ひゃっ///くすぐったいです///』
ルルーシュ「ナナリーは絶対渡さん!!!!!」
スザク「これで全部かな」
絢辻「ふふ、そうね。でも、こんなものじゃないわ。期限ギリギリに提出しにくるところもあるんだから」
スザク「この申請書とか絢辻さんが全部配ったんですか?」
絢辻「えぇ、休み時間とか空いてた時間に少しずつ。でも作成するのは過去の資料があったから楽だったかな」フフッ
スザク「すごい!全部一人でこなすなんて!僕にも色々手伝わせください!」
絢辻「ふふふ」
絢辻「枢木くん何だか楽しそう。実行委員なんて雑務ばっかりなのに珍しい」
スザク「いえ!こういうことを経験することができるの凄く嬉しいんです!」
絢辻「そう…」ボソッ
絢辻「それじゃぁ、枢木くんにも手伝ってもらおうかしら」
スザク「はい!何でも!」
絢辻「ふふっ、じゃぁついてきて」
絢辻「ここは基本的には年に一度しか使われないとろこなの」
スザク「そうなんですか」
絢辻「あ、閉めないで。ここのドア閉まっちゃうと内側から空けられなくなるの」
スザク「はい、わかりました。それにしても色々ありますね。ツリーの装飾品も」
絢辻「創設祭で使うものをしまっておく場所なのよ」
スザク「これ、全部使うのかな」
絢辻「全部は使わないけど。ほとんどはみんな借りちゃうね」
絢辻「さぁ、備品チェックを始めましょ!」
スザク「はい!」
スザク「了解。よっと」ゴンッ
ガチャッ
スザク「あ…」
絢辻「閉じ込められちゃったみたいね」
スザク「すいません…」
絢辻「う~ん、やっぱり開かないわね」
スザク「どいてください」
絢辻「枢木くん?」
スザク「これくらいの古い扉なら体当たりすれば開くと思います」
絢辻「駄目よ!学校のものを壊しちゃ!」
スザク「で、でも…」
絢辻「誰か来るまで備品チェックの続きをしましょ」
スザク「いいけど…」
絢辻「もし、誰も来なくてここで泊まることになっても」
絢辻「枢木くんが守ってくれるでしょ?」
スザク「え?あぁ//その//」
絢辻「ふふっ、さぁ備品チェックの続きをしましょ」
絢辻「」ガチャガチャ
スザク「よいしょっ」
絢辻「本当に楽しそうね。枢木くん」
スザク「絢辻さんも楽しそうですよ」ニコ
スザク「そういえば絢辻さんはどうして実行委員に?」
絢辻「だって素敵なことじゃない。みんなを楽しませるお手伝いができるなんて」
絢辻「枢木くんは?」
スザク「え?」
絢辻「どうしてこういう経験をすることが嬉しいの?」
絢辻「そうなの?」
スザク「うん色々事情があってね…」
絢辻「枢木くんも色々と大変なのね」
スザク「だから、こうして実行委員をしている今がとても幸せなんだ」
スザク「絢辻さんのように皆を楽しませる手伝いができてね」ニコッ
絢辻「…じゃぁお互い理由は一緒なわけね!」
絢辻「お疲れ様」
スザク「結局、だれも来なかったね」
絢辻「本当に泊まることになりそうね」
スザク「やっぱり!ドアを破壊します!責任は全部自分が負います!」
絢辻「ふふ、冗談よ。夜になると警備員さんが必ずチェックに来るから」
森島「ごめんね~♪また頼んじゃって」
ルルーシュ「いえ、返すときはどうするんだろうって…なんとなく感づいてましたから…」
ルルーシュ「ん?スザクか!?どうした?」
森島「資材倉庫の中みたいだね」
スザク「閉じ込められちゃったんだよ!」
絢辻「内側からは開かないの!外側から扉を開けてくれない!?」
ルルーシュ「よし!任せろ!」
ガチャ ガチャガチャ ガチャリッ
スザク「ありがとうルルーシュ!君のおかげで助かったよ」
森島「よかったね!君達!」
絢辻「本当にありがとうございます」
森島「ルル君は本当に優しいんだね」
ルルーシュ「閉じ込められていたんです。助けるのは当然ですよ」
森島「ふふっ、私の借りた本も運んでくれるしね♪」
ルルーシュ「ま、何かあればいつでも呼んでください」(ふふふははっはっは!なんと容易い!)
ルルーシュ(未だにコイツの行動と発言は予測不可能だが…勝ち目はある!)
絢辻「ルルーシュくんのおかげで助かったわ」
絢辻「ルルーシュくんと枢木くんって兄弟なの?」
スザク「小さい頃か…いや、従兄なんです」
絢辻「へぇ~」
スザク「絢辻さんにも兄弟は?」
絢辻「あたしは…」
縁「あれ?つかさちゃん!」
絢辻「…」
スザク「え?だ、だれ?」
絢辻「私の姉よ」
縁「初めまして!つかさちゃんの姉の絢辻縁です」
スザク「僕は彼女と同じクラスの枢木スザクです」
縁「スザク…くん?かっこいい名前ね」フフ
絢辻「どうしてこんなところにいるの?」
縁「お夕飯のお買い物♪頼まれちゃって」
絢辻「そう…」
絢辻「ごめんね枢木くん。あたしちょっと用事思い出して」
スザク「そ、そう」
絢辻「また明日ね!」
縁「ちょっとつかさちゃん?押さないで」
ルルーシュ「お前も順調のようだな」
スザク「え?」
ルルーシュ「ふふ、資材倉庫で二人きりなんてやるじゃないか」
スザク「僕は別にそんなつもりで…」
スザク「ルルーシュこそ順調そうだね」
ルルーシュ「まぁな」
美也「」プイッ
スザク「そういえばどうした?美也?今日は随分と大人しいけど」
ルルーシュ「そうそう、森島先輩に会った時だって不機嫌だったし」
タッタッタ
スザク「どうしたのかな?心配だよ」
ルルーシュ「放って置けよ」
スザク「でも…妹だし」
ルルーシュ「妹っていう設定だろ?そこまで兄を演じなくてもいいだろ」
スザク「ルルーシュ…」
スザク「はぁ…」(ルルーシュ…それに美也が心配だ…)
梅原「ルルーシュのやつすげぇよな~」
スザク「何かあったの?」
梅原「休み時間は毎回森島先輩と二人で仲良くおしゃべりだよ…」
薫「校内でも結構噂よね。学内1の美形カップルの誕生だって」
梅原「羨ましいぜ!ルルーシュ~」
梅原「俺達もがんばろうぜ!スザク!」
薫「スザクくんは大丈夫だと思うけどアンタは無理でしょ」
梅原「なに!」
プール
ルルーシュ「なんですか…これ」
森島「みんなピチピチしてるわね~」
ルルーシュ「あの…」
森島「う~ん♪なんだか溜まらないって感じよね!」
ルルーシュ「覗きはよくないですよ」
森島「しーっ!バレちゃうでしょ」
響「はぁ…バレてるけど」
森島「お願い!後5分だけ~!響ちゃん」
響「だ~め!もう!あなたもしっかりしてよ。ルルーシュくん」
ルルーシュ「絢辻って実行委員でしたよね。なんでここに?」
響「あぁ、あの子ね。水泳補講の子達を先生の変わりに指導してるのよ」
ルルーシュ「どこまでお人好しなんだか」
響「さぁ!帰ってもらうわよ!ルルーシュくん!はるかをお願いね」
ルルーシュ「行きますよ」
森島「やだぁ~ルルくん~響ちゃ~ん」
スザク「よし!これで終わり!」
スザク「さて、帰ろうかな…ん?」
スザク「メモ帳…落とし物かな」
スザク「どこか名前とか書いてないのかな」ペラ
ガラッ
絢辻「はぁ…はぁ…」
絢辻「その手帳…」
スザク「あぁ、これ?もしかして絢辻さんの?ここに落ちてたんだけど」
絢辻「そう…」
絢辻「もしかして…中を見ちゃったりした?」
スザク「ごめん、どこか名前を書いてないかなって思って少しね」
絢辻「そう…」
グイッ!
スザク「ぐっ!?」(絢辻さん?)
スザク「…は、はい?」
絢辻「そっか…見ちゃったんだ…」
スザク「ごめん、悪気があったわけじゃないんだ」
絢辻「ふーん…」
スザク「とにかく、少し離れよう」
ガシッ スッ
絢辻「!?」(何?今の動き…)
絢辻「」
スザク「…」
絢辻「少し付き合ってくれる?」ニコッ
スザク「別にいいけど…」(絢辻さん…これはどういうことなんだ?)
絢辻「ここならゆっくり話せるわね」
絢辻「それじゃ、早速本題。あなた、これの中を見たのよね?」
スザク「うん、名前の確認のために少し」
絢辻「それで書きなぐったアレを見ちゃったわけだ…」
絢辻「残念だわ。クラスメイトが一人減っちゃうなんて」
スザク「…ごめん。書き殴ったアレって?」
絢辻「は?」
スザク「少しパラパラ捲った程度だから…内容を見てなくて…なにそれ?」
絢辻「あ、ありゃ…」
スザク「君はクラスで偽りの自分を演じているんだね」
絢辻「だから何!?それで私が誰かに迷惑をかけたとでも?」
スザク「…」
絢辻「まぁいいわ。あなたがこの事を誰にも言わないければそれで問題ないわけだし」
スザク「どうして…こんなことを?」
絢辻「あなたには関係ないでしょ!」
スザク(今までの絢辻さんはなんだったんだ…とても優しくて良い人だったのに…)
スザク「誰にも言わないけど…僕は気になるんだよ」
絢辻「しつこいわね!さぁ復唱して!」
スザク「え?」
絢辻「僕は何も見ていません。絢辻さんは裏表のない素敵な人です。」
スザク「僕は何も見ていません。絢辻さんは裏表のない素敵な人です。」
絢辻「いいのよ!とにかくあなたは何も見なかった!明日からも自然に接してよね」
スザク「う、うん…」
スザク(これが本当の絢辻さんか…)
スザク(こんなこと…いつまでも続くはずがない)
スザク(僕が…彼女を救わないと)
絢辻「何してるの?帰りましょ」
スザク「うん!」(僕ががんばらないと!)
絢辻「なんで、いつもより輝いてるのよ…」
ルルーシュ「なるほどなぁ。俺もなんとなくだけどそう思ってたよ」
スザク「本当の自分をずっと押し殺して生きていくなんて可哀想だよ…」
スザク「なんとかして助けたいんだ」
ルルーシュ「で、俺に早速ばらしちゃったわけか」
スザク「それは…」
ルルーシュ「原因がわからない以上はこちらも動けないだろ」
スザク「確かに…」
ルルーシュ「どうにかして原因を聞き出すんだな」
スザク「絢辻さん!それは僕が運ぶから」
絢辻「え?ありがとう。枢木くん」
――
―
絢辻「あれ?ここの申請書は?」
スザク「それなら、全部チェックしたよ」
絢辻「そ、そう」
スザク「そう?」
絢辻「全くどういう風の吹きまわりかしら?」
スザク「少しでも絢辻さんの負担を減らしてあげたくて」
絢辻「は?」
スザク「大変でしょ?猫被るのも」
絢辻「嫌味かしら」
スザク「本当に助けになりたいだけだよ」
絢辻「///」
絢辻「まぁ//がんばってくれるんならいいけどね///」
スザク「もうこんな時間か…」
スザク「絢辻さんお疲れ様」
絢辻「はぁ、お疲れ」
スザク「そういえば、前に言ってた実行委員になった理由って」
絢辻「まぁ、あれも嘘ね」
スザク「やっぱり…」
絢辻「こういうのしてると推薦とかに役立つし。それに、仕切るのも好きだし」
スザク「はぁ…」
絢辻「あなたもでしょ?」
スザク「え?」
絢辻「実行委員になった理由よ。あなたも嘘なんでしょ?」
絢辻「珍しい…そういう人って本当にいたんだ」
絢辻「さてと、」
スザク「あれ?帰らないんですか?」
絢辻「もうちょっと残るわ。ペンキ塗りが全然なの」
スザク「僕も手伝うよ」
絢辻「あなたって変な人よね」
スザク「どうして?」
絢辻「猫被ってるような人になんか。それなのにあなたは近寄らないどころか」
絢辻「歩み寄ってきて…私を助けようとして」
絢辻「何!?私が可哀想とでも思ったわけ?こんな生き方しかできない私が!」
スザク「そんな…」
絢辻「これは私が一人でやるからあなたは帰って!」
スザク「でも、もう夜遅くだし…きみ一人だと」
絢辻「いいから!帰って!」
薫「スザクくん!大変よ!」
スザク「どうしたの?」
梅原「絢辻さんが昨日過労で倒れたんだって」
スザク「そんな…」(やっぱり無茶してたんだ)
ルルーシュ「見舞いにでも行ってやれよ」
スザク「でも…実行委員の仕事が」
ルルーシュ「そんなの俺に任せておけ。仮にも生徒会だったからな」
梅原「初耳だぞ」
ルルーシュ「げふんげふん!とにかく、放課後すぐ行ってやれ」
スザク「ありがとう!ルルーシュ!」
縁「あら?確かつかさちゃんのお友達の」
縁「名前がかっこいい子よね!えっと…」
スザク「枢木スザクです」
縁「そう!スザクくん!もしかしてつかさちゃんのお見舞い?」
スザク「はい、そのつもりで来ました」
縁「そう!じゃぁ、さっそくつかさちゃんと会ってあげて!」
スザク「え、でも」
縁「いいからいいから♪」
スザク「」(ぐっすり寝てるみたい…)
絢辻「う~ん、暑い…」チラッ
絢辻「へ?」
スザク「お見舞いに…あはは」
絢辻「なんで!あなたがここにいるのよ!!」
―
絢辻「全く女の子の部屋に無断で入るなんて」
スザク「体調のほうは?どう?」
絢辻「明日には復帰できそう」
スザク「そう、良かった」ニコッ
絢辻「お見舞い…来てくれてありがと」
スザク「それじゃぁ、僕はこれで」
スタッ
絢辻「あの」
スザク「え?」
絢辻「昨日は…ごめんなさい」
スザク「いいよ、気にしてないから。それじゃぁまた明日」ニコッ
ルルーシュ「ん?あれは」(森島はるか…)
ルルーシュ「ふっ、黙っていれば完璧なのにな」
森島「あっ、ルルくん」
ルルーシュ「何をしていたんだすか?」
森島「う~ん、水を見てたの」
ルルーシュ「はぁ」
森島「水を見るの好きなの。湖とか海とか♪」
ルルーシュ「あなたらしいです」
森島「ふふ♪ルルくんならそういうと思った」
森島「ルルくんはやっぱり優しいね」
森島「私だけに優しいのかな?」
ルルーシュ「え?」
森島「もしかしてルルくんは私のことが好きなのかな?な~んてね」
森島「そんなわけないよね」
ルルーシュ(これは…ふふ、予定より早いが…告白のチャンスではないか!!)
森島「え?」
ルルーシュ「俺はあなたのことが好きです」
ルルーシュ「だから俺と付き合ってください!」(ふふ、完璧だな…)
森島「そう、ありがとう!君の気持ちはよくわかったわ」
ルルーシュ「ふふ、では」(残念だったなスザク。このゲームは俺の勝ちのようだ。)
森島「ごめんね」
ルルーシュ「は?」
森島「私、年上で頼りがいのある人が好みなの!それじゃね」
ルルーシュ「おい…なんだよそれ…」
ルルーシュ(あんな理解不能な女に?シミュレーションの女に?)
ルルーシュ(ふざけるな…今までのはなんだったんだ?俺はアイツの手の中で踊らされていたというのか?)
ルルーシュ「なんだよ…それ…」
スザク「ただいま」
タッタッタ
美也「にぃに!うぅ…ルルにぃが!」ウルウル
スザク「どうしたんだ?美也?」
美也「ルルにぃがずっと部屋に閉じこもってて…返事もないし…どうしよ…」
スザク(ルルーシュ…何があったんだ!?)
スザク「美也は一階にいて。僕が話してくるよ」
美也「う、うぅ…」
ガチャ
ルルーシュ「なんだ…スザクか…俺の負けだよ」
スザク「森島先輩に振られたんだね」
ルルーシュ「ここまで俺のプライドがズタズタにされるとは思いもしなかったよ」
ルルーシュ「たかがシミュレーションで」フッ
スザク「敗因は君のそういう考えだと思う」
ルルーシュ「なに?」
ルルーシュ「おいおい…相手に惚れされば問題ないだろ?」
ルルーシュ「こっちが本気にならなくたって」
スザク「どうして?君は現実でもそういう風な恋愛をするのかい?」
ルルーシュ「これは現実じゃないだろ!」
ルルーシュ「この世界の人間なんて言わば皆ロボットも同然だろ!」
ルルーシュ「俺はそんなやつに振られたんだよ!」
スザク「違う!みんな同じ人間だ!ちゃんとした感情だって確かにここに…」
ルルーシュ「ふん、そういうお前もこびを売りに絢辻の家へ行っただろ?」
ルルーシュ「お前だってアイツのことをゲームクリアのための目標としか」
スザク「ルルーシュ!!!!!」ガシッ
ルルーシュ「どうした?図星か?とにかく俺の負けだよお前の勝ちだ」
スザク「僕は君と勝負なんかしていない!」
ルルーシュ「まだわからないのか?現実逃避はもうやめろ!目を覚ませ!お前の知っている日本は今、ブリタニアに」
スザク「ルルゥゥシュゥゥゥゥ!!!!!!!!!」
ガチャッ!
スザク「美也…」
美也「ごめんなさい!きっとみゃーのせいだよね」グスン
スザク「そんな…違うよ…」
美也「みゃーがずっと拗ねてたから…にぃに達はストレス溜まってたんだよね」ウルウル
ルルーシュ「お前…」
美也「絢辻さんと森島先輩がにぃに達をみゃーから引き離して行くんじゃないかって思って…」ポロポロ
美也「二人とも付き合っちゃえばもう…3人で一緒にいることもなくなるんじゃないかって…」
美也「そんなはず…ないのにね。えへへ…」グスン
スザク「美也…」
ルルーシュ(たしかに…俺達が誰かと付き合ってしまえば元の世界へ戻ってしまう)
ルルーシュ(こいつはそういうことを…感づいていたのかもしれない…)
スザク「ルルーシュ…」
美也「ルルにぃ…」ウルウル
ルルーシュ「俺達三人はずっと家族だ。これからもずっと」
美也「うん!」
スザク「もう寝たと思う」
ルルーシュ「そうか」
スザク「ルルーシュ…さっき美也に言ったのは」
ルルーシュ「さっきはすまなかったな」
スザク「ルルーシュ…」
ルルーシュ「お前の言ってたこと何となくだけどわかった気がする」
ルルーシュ「美也の…あいつの涙は本物だと思った」
スザク「僕も…ごめん。振られて傷ついていたのに…あんなこと言って」
ルルーシュ「俺、もう一度頑張ってみるよ」
スザク「え?」
ルルーシュ「本当の気持ちであの人と向き合おうと思う」
スザク「僕も応援するよ!ルルーシュ!」
昼休み
ルルーシュ(そういえば…俺は彼女ことを何一つ理解しようとしていなかったな)
ルルーシュ(そもそも…好きという感情すら)
森島「やっほ~♪」
ルルーシュ「なっ」
ルルーシュ(気まずい…昨日アレだけストレートに振られたんだか…)
森島「どうしたの?」
ルルーシュ「え?」
森島「何か悩んでる?そんな感じに見えたけど」
ルルーシュ「い、いやぁ…」(なんだ?記憶喪失なのか?)
ルルーシュ(ますますわけがわからない…)
ルルーシュ(このまま帰るか…だが、今あの人に会いに行ったところで…)
ルルーシュ「そうだ!」
塚原「あぁ、ルルーシュ君どうしたの?」
ルルーシュ「ちょっと、お茶でもどうですか?相談がありまして」
塚原「えぇ、君の相談なら喜んで」
塚原「そう、振られちゃったんだ」
ルルーシュ「ですが、今日彼女に会ったら…まるで何も無かったかのように」
塚原「はるかはね…そういう子なのよ」
ルルーシュ「というと?」
塚原「まず、ルルーシュ君ははるかに好かれているわ」
塚原「でも、彼女の好きっていうのはそれ以上に意味をもたないの」
塚原「普通だったら付き合うとか、結婚とか考えるわよね?」
塚原「でもはるかの好きはただ単に好きってだけなのよね」
ルルーシュ「俺はどうすれば…」
塚原「大丈夫。君がずっとはるかを思い続ければきっと振り向いてくれるはずだわ」
ルルーシュ「まさに天然ってやつか…」
ルルーシュ「ん?」
森島「あっ!ルルくん!」
ルルーシュ「どうも、こんなところで何を?」
森島「えっへへ~ゲームセンターに行こうと思って♪」
森島「君もくる?」
ルルーシュ「えぇ、喜んで」
ルルーシュ「相性占いですか」
森島「ねぇ!占ってもらおうよ!」
ルルーシュ「イニシャルっを打てばいいのか」
h.m l.l
30%
森島「う~ん。あんまり相性は良くないみたい」
森島「あ、そうだ!」
h.l l.l
50%
森島「えぇ…どうして~」
森島「ふふ、君だけに特別に教えてあげる♪」
森島「実は私、イギリスと日本のクォーターなの」
森島「それでこのLはミドルネームラブリーの頭文字よ♪」
ルルーシュ「森島 ラブリー はるか ですか」
森島「うん♪」
ルルーシュ「それじゃぁちょっと後ろ向いててください」
森島「え?いいけど」
ルルーシュ「これでどうだ!」
95%
森島「すごい♪どうして!?」
森島「ひど~い!」
ルルーシュ「ふふ、クレーンゲームでもどうですか?」
森島「クレーンゲーム?あっ!あのわんちゃんのぬいぐるみ!可愛い!」キラキラ
ルルーシュ(ふふ、まるで幼い子どものような人だ)
教室
生徒「クリスマスツリーが中止になるって聞いたけどどういうつもり?」
生徒「去年より派手なのを作ろうとして間に合わないとか」
生徒「それで今更みんなを手伝わせるってどういうつもり?」
スザク「おい、それは」
生徒「成功したら全部絢辻さんの手柄になるんでしょう?」
絢辻「そんなつもりじゃ…」
生徒「大体、準備が遅れてるのだってどっかの実行委員同士がイチャイチャして」
生徒「彼氏彼女みたいに」
絢辻「ふふ、」
生徒「?」
絢辻「ふふはっはっはっはは。あ~あ…馬鹿馬鹿しい」
絢辻「スケジュールだって去年に比べて十分間に合うペースなの」
絢辻「いるのよね~。あなた達みたいにねもはもない噂を勝手に信じ込んで文句ばかり言う人」
スザク「絢辻さん…」
絢辻「何も出来ないくせに他人を見下して優越感に浸るなんて」
スザク「絢辻さん!」
絢辻「何よ!」
生徒「も、もう!知らないんだから!」タッタッタタ
梅原 薫「」アチャー
絢辻「…どうして?」
スザク「え?」
絢辻「こういうときだから…こそ…」
絢辻「こういうときだからこそ!あたしを守ってよ!」ウルウル
絢辻「くっ」タッタッタッタ
スザク「絢辻さん!!」
スザク「やっぱり…ここにいると思いました」
絢辻「」シクシク
絢辻「あなたに助けて欲しかった…」
スザク「え?」
絢辻「どうして?どうしてあんな生徒の肩持つの?」
スザク「僕は…そういうつもりじゃなかったんだけど…」
絢辻「私の助けになりたいんでしょ?なら助けてよ!」
絢辻「お願い…誓って…」
絢辻「最期まであたしを…わたしを!私の全てを守るって!」
スザク「…誓うよ。その代わり君も僕に誓って欲しい」
絢辻「え?」
スザク「正直な自分を忘れないで欲しい」
絢辻「じゃぁ…これは契約の証」
チュッ
クラスの険悪なムードを一人の少女が断ち切った。
絢辻「昨日はごめんなさい!」
彼女の目には涙が溜まっていた。その誠意はクラス中に伝わった。
創設祭までもう少し…
バラバラになったクラスが再びまとまりはじめた
絢辻「ありがとう。スザクくん」
スザク「え?」
絢辻「ふふ、あんな勇気を出せたのもあなたのおかげよ」
絢辻「あなたが私を守ってくれているから」
スザク「これからもずっと君を守り続けるよ」
絢辻「それって契約だから?」
スザク「君が好きだからだよ」
―
スザク「う、ううん…ここは…」
ルルーシュ「元の世界に戻ったようだ」
スザク「絢辻さんは!?」
ルルーシュ「いないよ」
スザク「そう…」
スザク「ルルーシュ!君はどうだったの?」
ルルーシュ「俺か?そうだな」
ルルーシュ「諦めたよ」
スザク「え?」
ルルーシュ「そうだな。短順に好きになれなかったってところか」
ルルーシュ「いや、好きではあったが恋愛感情は抱かなかった」
ルルーシュ「ふっ、なかなか楽しませてもらったよ」ウルッ
スザク「」(ルルーシュ…少し目が赤い)
その後、数週間。二人は胸にぽっかりと大きな穴が開いたような感覚を抱き
元の世界で生活を過ごした。
スザク「ルルーシュ!見てくれ!」
ルルーシュ「何だ?そのディスクは」
スザク「ロイドさんが僕達にって」
スザク「何でもシミュレーションを受けたご褒美らしいよ!」
ルルーシュ「早速、見てみよう!」
ルルーシュ「」
スザク「どうしたの?ルルーシュ
ルルーシュ「いやなんでも…」
モニター ブツン
ロイド『君達のデータは対照的でとてもおもしろかったよ!』
ロイド『僕の暇つぶしに付き合ってくれたお礼にこれをプレゼントするよ』
ロイド『今から君達が元の世界へ戻った後のシミュレーションの世界だよ』
ロイド『きっと喜んでくれと思うな~』
ワイワイガヤガヤ
梨穂子「はいは~い!こちらは茶道部で~す!甘酒おいしいですよ~」
梨穂子「あっれ?カメラさんあそこに写っているのは~?」
美也「みゃーだよ!創設祭楽しんでま~す!」
梨穂子「スザクくんやルルーシュの場所わかります?」
美也「にっしっし~。ふたりともどこかでイチャイチャしてるんじゃないですかー?」
ルルーシュ「う、うぅ…」
モニター
梨穂子「おっと~見覚えのある人影が!」
梅原「何?カメラなんでとってんの?」
梨穂子「ルルーシュくんたちはどこでしょう?」
薫「そうね~森島先輩と二人でいたような」
梨穂子「むむ!かなり重要な目撃証言を得られましたよ!さぁ!進みましょう!」
梨穂子「あー!見てください!あそこのツリーの下!」
森島「見て?どう?サンタの衣装に合ってる?」
ルルーシュ「似合ってるけど…どうして俺はトナカイの衣装を着なくちゃいけない…」
森島「ふふ♪いいじゃない!可愛くてとってもグッドよ!」
ルルーシュ「ひっ!カメラ向けないでくれ!恥ずかしい」
森島「いいじゃない!ほら!ツーショット♪」
梨穂子「さすがは学内一の美形カップル!絵になってます!」
――
スザク「諦めた…ねぇ」
ルルーシュ「」ビクッ
スザク「休憩はもう終わり?」
絢辻「やっぱり当日も忙しいわね」
スザク「でも、よかったよ。何とか二人でツリーを見ることができて」
絢辻「来年も二人でみましょうね」
スザク「もちろん。君が望むなら5年後も10年後もこうして二人で見よう」
絢辻「スザク///」
梨穂子「ひゅぅぅ!お熱いカップルです!」
梅原「おい!見ろよ!ルルーシュの衣装!」
スザク「え?」
ルルーシュ「お、おい!梅原!」
絢辻「ふふふ」
梨穂子「ありゃりゃ!みんな集合しちゃったみたいです!」
梨穂子「それではこの辺で!以上!創設祭からでした~」
ブツン
ルルーシュ「未来の日本もきっとこんな平和が訪れるのだろうか」
スザク「僕がそうしてみせるよ」
ルルーシュ「最期にお前ともう一度高校生活を過ごせてよかったよ」
スザク「ルルーシュ」
ルルーシュ「日本を頼んだぞスザク。あの世界を現実のものにするんだ」
スザク「そのギアス…しかと受け取った」
ゼロレクイエム前日のお話
おわり
そしてラストが雑ですまん!
Entry ⇒ 2012.08.12 | Category ⇒ コードギアスSS | Comments (0) | Trackbacks (0)
りせ「先輩のボーイズトークを盗撮しちゃうよ!」
雪子「ど、どうも」
千枝「え?これ誰か見てるの?」
直斗「こ、こんばんは」
りせ「細かい事は気にしない!えー、実は先輩の部屋に今日は花村先輩が泊りに行ってます!」
千枝「あ、そうなんだ。で、私たちはガールズトークでもしようってこと?」
りせ「ぶっぶー。不正解!正解は、先輩達の本音をいろいろ聞き出しちゃおう!って事です!」
りせ「先輩の部屋に盗聴器、盗撮器を仕掛けてあります!」
千枝「ちょっと!それって犯罪…」
りせ「ちなみに仕掛けてくれたのは直斗君です!」
直斗「あ、いえ、あの…元からあった…いえ、仕掛けてきたんです!」
雪子「直斗君…」
りせ「で、とりあえず花村先輩にはこちらの仕掛け人として買収してあります!」
千枝「何で買収したの?」
りせ「私の未公開写真集でーす!」
千枝「うわぁ…」
雪子「なんだかエッチな写真集みたいな響き…」
りせ「え!?ち、違うもん!ただのボツ写真集めただけだもん!」
千枝「あ、ホントだ」
りせ「えーっと、花村先輩。聞こえたらそこで一発ギャグお願いします」
雪子「あ、慌ててる慌ててる」フフフフ
カ、カンジガイイカンジ♪
千枝「あー、これはないわ」
りせ「花村先輩、予想以上に面白くありません」
ヒデェヨ…
直斗「崩れ落ちましたね。この後大丈夫でしょうか…」
陽介「ちくしょう…何もいいことなんてねぇ…」
鳴上「どうした?滑った陽介」
陽介「ほっとけ!もう、ホントこれは酷い…」
鳴上「まあ、せっかく泊りに来たんだ。いつまでも落ち込んでいても仕方ないだろう」
陽介「悠…そうだよな!折角男二人の夜だし色々ぶっちゃけていかないとな!」
鳴上「そうだな」
りせ「おーっと、花村先輩持ち直した!」
千枝「中々うまい切り替えしだね」
雪子「これで色々きけそうだね!」
直斗「楽しみですね」
りせ「さて、まずは何を聞き出します?」
千枝「えーっと、じゃあまz」
直斗「好きな女性のタイプ!これしかありません!」
雪子「びっくりした…」
千枝「直斗君そんなキャラだった?ま、私も興味あるからそれいってみようか」
りせ「花村先輩!悠先輩の好きなタイプ聞いてくださーい!」
陽介「えーっと、まあ折角だしぶっちゃけトークでもしね?」
鳴上「ぶっちゃけトーク?」
陽介「そそ!もう本音ぶっちゃけてさ!っということで…」
陽介「悠!お前の好きな女性のタイプはなんだ?」
鳴上「そうだな…」
鳴上「まず、料理は出来てほしい。一緒に料理するのはいいかもしれない」
鳴上「後は明るい子がいい。一緒にいて楽しそうだ」
鳴上「後はいつまでたっても女性でいてほしいかな。やはり綺麗でいようとする所は惹かれるかもしれない」
鳴上「他は…人とは違うところがあるといいな」
陽介「悠、そんなにぶっちゃけてしまうのか…」
鳴上「陽介相手だしな。気にすることはない」
鳴上「で、陽介はどんなタイプが好みなんだ?」
陽介「…」
陽介「え!?俺も言うの!?」
鳴上「いや、お互いぶっちゃけるものだろ?」
陽介「えーっと…」
陽介(聞かれてるの知ってて話すとかどんな罰ゲームだよ!)
鳴上「ほら、早く」
陽介「あ、えーっと…元気がよくて…」
鳴上「千枝だな」
陽介「なんかこう、気兼ねなく話せて…」
鳴上「千枝だな」
陽介「頑張り屋で、いつも前向きで…」
鳴上「千枝か」
陽介「だー!!もう、違うって!あんなガサツな女すきじゃねーっつーの!」
りせ「先輩の好きなのは料理のできる人…」
雪子「女性らしさを保つ努力…」
直斗「明るい子…」
千枝「明るいしかないや…」
雪子「千枝、女を捨てた肉食獣だもんね!」フッフフフ
千枝「捨ててないから!ちょっと失礼じゃない!?」
直斗「あれ?次は花村先輩のタイプらしいですよ」
…
りせ「千枝先輩だね」
雪子「うん、ホントだ」
千枝「え?いや、まっさかー!そんなことないっしょ!」
直斗「僕の推理でも千枝先輩ですね」
千枝「いや、そんな困るし…」
千枝「てか誰がガサツだ花村め!」
陽介(あ…)
陽介(あああ…向こうに里中も居るんだよな…でも、あいつは悠のことが好きな訳で)
陽介(うわあああああ最悪、最悪すぎんぞ!)
鳴上「どうした、陽介。落ち着け」
陽介「あ、ああそうだな…もういいや!吹っ切れた!」
鳴上「??」
陽介「で、お前どうなの?実際。俺らのグループって美人揃いじゃん?結婚するなら誰がいいよ!」
鳴上「結婚するなら、か…」
りせ「おお、吹っ切れた花村先輩!」
直斗「こ、これは…」
雪子「興味深い話!」
千枝「ガサツかなぁ、私…」
鳴上「そうだな。じゃあ、一人ずつ考えてみるか」
陽介「お、いいねー」
鳴上「まず、りせ。アイドルをやっていて生活費の心配はなさそうだが、すれ違いは多そうだな」
陽介「ああ、それはありそうだな」
鳴上「そして奥底にある自分を見てほしいと言う願望を持ってる。」
陽介「テレビの中の時だな」
鳴上「りせは孤独が怖いんだな。アイドルとして見られているけどりせとして見られていない。だからこそなんだろう。」
陽介「うーん、結婚とは関係なくないか?」
鳴上「いや、だからこそ!りせはいい嫁になると思う。惚れた相手の為に女を磨いて来るだろうな。アイドルではなく、りせとして」
陽介「へー、いやに力説すんな。」
鳴上「俺も同じだからな」
鳴上「ああ、俺のペルソナはワイルド。絆によって強くなる」
鳴上「ここに来た時の俺はからっぽだった。何もなかった」
陽介「お前が…」
鳴上「最初に絆をくれて、ペルソナをくれたのは陽介、お前だ」
陽介「え、俺!?」
鳴上「ああ。俺が沢山のペルソナを使えるのは俺と絆をつないでくれる仲間がいるから。俺が空っぽでなくなったのは陽介のお蔭だ」
陽介「ちょ、ちょっとぶっちゃけすぎじゃね?照れんだろ!」
鳴上「大分脱線したが、だからこそりせの気持ちがよくわかる。りせはいい嫁になるさ」
陽介「うーん、魅力とかについては語らないんだな…」
りせ「うわ…///どうしようこれ。うわー…///」ジタバタ
直斗「ベッドで悶えてますね…」
雪子「これは恥ずかしいよ。よく考えたら鳴上君には私たちの見られたくない部分全部見られてるんだよ?」
直斗「ああああ…確かに恥ずかしいですね」
千枝「…」
陽介「じゃ、次いってみようぜ」
鳴上「次は直斗だな」
陽介「お、初期メンバー二人は後回しってか?よし、探偵王子の評価、いってみっか!」
鳴上「正直、直斗は一番いい嫁になると思う」
陽介「おおー…言い切るか」
鳴上「料理もできて、マヨナカテレビによって女の自分も受け入れた。直斗の魅力はかなり凄い」
陽介「そうなのか?たとえば?」
鳴上「そうだな…たとえば、直斗が女子の制服を着たとき」
陽介「え、何?そんなイベントあったの!?お前!」
鳴上「…」
鳴上「着たとして」
陽介「訂正すんな!あったんだろ!ちくしょー!」
陽介「うらやましすぎんぞ!なんだよその状況!」
鳴上「他にもだな」
陽介「まだあんのか!」
鳴上「(僕が僕で無くなっていくようで怖いんです。どんどんあなたに染まっていくようで…でも、このまま染められてもいいですけどね。完全にあなた色に…)なんて言われたらどうする?」
陽介「言われたんだろ!わかってんだよ!くそ、それ最高すぎんだろ!」
陽介「」
鳴上「まあ、ただ一つだけ欠点がある。」
陽介「け、欠点あんの?」
鳴上「帽子のセンスが悪い。執拗に帽子かぶるけど、あれは似合わないな」
陽介「それだけかよ・・・」
直斗「えいっ!!!」ポーイ
雪子「帽子なげた!」
りせ「直斗君べた褒めじゃん…」
直斗「あああ、恥ずかしい…」
りせ「いつ先輩とラブラブイベントしたのー。ずるい!ずるいよ直斗君!」
千枝「…」
陽介「で、つぎはどーすんの」
鳴上「ずいぶん投げやりだな」
陽介「はいはい、もう悠がフラグ立てまくるのは常識ですからね!」
鳴上「じゃあ、次は千枝で」
陽介「お、おう」
りせ「あ、次千枝先輩だって」
千枝「!!」
鳴上「まあ、正直なところ千枝はないな」
陽介「え?」
鳴上「千枝はちょっとガサツだしな。友達思いとか言ってるけど雪子は利用してるだけだし。何よりも女を捨てた肉食獣は無い。流石に無理だわ」
陽介「ちょっと?悠どうした?」
鳴上「ん?別に二人だし問題ないだろ?」キラキラ
りせ「え、先輩どうしちゃったの?」
千枝「鳴上君、そんな風に思ってたんだ…」
雪子「ち、千枝…私はそんな風に考えてないよ?ちょっと文句言ってくる!」
直斗「だ、だめですよ!これ盗撮なんですから!バレたら捨てられちゃうじゃないですか!」
千枝「…いいよ、このまま聞こうよ」
りせ「でも…」
千枝「いいの」
陽介「お前どうしたんだよ。言い過ぎじゃね?」
鳴上「そうか?一人で突っ走ったり、正直迷惑なんだが。嫁にするって絶対n」
ボカッ
鳴上「…」
陽介「自分の中にあんな気持ちがあるって気付いても、それでも立ち上がって!」
陽介「いつも明るくて、真っ直ぐで、どんな時でもムードメーカーで、居てくれるだけで支えになってくれるじゃねーか!」
陽介「それをなんだよ!お前知ってるはずだろ!?ホントは里中が弱くて、強がりだって!いざって時は守ってやらないとってわかってんだろ!?」
陽介「それを、それをやってやれるお前が、なんでそんなこt」
ボカッ
陽介「いって…」
鳴上「そんなのは、自分の気持ち誤魔化す詭弁だ」
陽介「なんだと!」
鳴上「俺が守ってやる?違うだろう。そこまで千枝のことを思って、そこまで千枝をみている陽介が守ってやればいいだろう!」
陽介「で、でも…」
りせ「うわ、どうしよう…」
雪子「花村君、なんかかっこいいね」
千枝「花村…」
直斗「先輩大丈夫かな…」
陽介「でも、俺じゃ!」
鳴上「そうやって逃げるのか?」
陽介「…」
鳴上「どんな逆境でも、いつもムードメーカーでいてくれる陽介に俺は救われてる」
鳴上「でも、気を使ってただ場を盛り上げるだけなのは、それって仲間といえるのか?」
鳴上「どうだ?相棒」
陽介「…」
陽介「あー、わかった。負けたよ。お前さっきのも全部計算ずくだろ。かてねーわけだわ」
鳴上「…」クスクス
陽介「俺ちょっと風に当たってくるわ。河原あたりに」
鳴上「ああ、行ってこい」
りせ「あ、花村先輩でていっちゃった」
直斗「うーん、どうしたら…」
千枝「…私ちょっと行ってくる」
雪子「大丈夫?」
千枝「うん、なんだかわかった気がするから」
雪子「そっか…」
千枝「じゃ、行ってくる」
鳴上「さて…りせ、直斗、雪子。」
鳴上「見てるんだろう。説明してもらおう」
りせサイド
りせ「ヤバ、バレてる!」
直斗「ど、どうしよう嫌われちゃう」ガクガクブルブル
雪子「私の評価は…?」
陽介「あー、かっこわりぃ…しかも全部筒抜けなんだよな」
陽介「当たって砕けるとかならまだかっこいいけどなぁ。こんなんやらなきゃよかった」
千枝「へー、でも自業自得だよね。りせちゃんの写真集につられて鳴上君売っちゃったんだし」アハハ
陽介「さ、里中!?なんでここにいんの!?」
千枝「んー、なんでかなぁ」
千枝「うん、わかってるよ」
陽介「うわ…どんだけ信用あんだよあいつ…うらやましすぎんぞ!」
千枝「ねぇ、それよりさ」
陽介「なんだよ…」
千枝「花村がさっき言ってくれたのは、全部花村が思ってたことなんだよね?本心なんだよね?」
陽介「…え」
陽介「相棒なら守ってくれるって。絶対!」
千枝「…ねぇ」
陽介「なんだよ」
花村は守ってくれないの?
陽介「…」
陽介「…」
陽介「はぁ!?」
千枝「な、なによ!」カオマッカ
陽介「だってお前悠のことが」
千枝「うーん、違ったみたいなんだよね」
陽介「なんだよそれ!?」
千枝「多分鳴上君は気付いてたんだね。色々話聞いてくれてたから」
千枝「さっきね、鳴上君がズバッと言ってくれたとき、なんか辛かったんだけど」
千枝「花村言ってくれたじゃん?色々」
陽介「思い出すと恥ずかしくて死にたくなるけどな…」
千枝「それ以上に、嬉しかったし安心した」
千枝「あー、花村はいつもこうやって支えてくれてたなぁって」
陽介「里中…」
陽介「うるせー!俺は相棒ほど完璧超人じゃねーんだよ!ほっとけ」
千枝「ほっときたくないんですけど…」
陽介「え?」
千枝「確かに花村はさ、完璧超人じゃないじゃん。確かに守ってくれるとは限らないし。」
陽介「なんだよ…」
千枝「それなら、花村の弱い部分はさ…その、あの…」
私に守らせてくれないかな?なんて…
陽介「…」
陽介「え?俺?相棒じゃなくて?俺なの?」
千枝「うん。今日はっきりわかった。私、花村のことが好きみたい」
陽介「」
千枝「多分だけど、鳴上君私の気持ちに気付いてたんだよ。もし言ったら今の関係が全部こわれてしまうんじゃないかって、どこかで避けてた事」
陽介「ああ、俺もだわ…」
陽介「で、でもあいつ盗撮計画しらないだろ?それなのにわかるわけ」
千枝「もう一人の逃げてる人に喝いれたかったのかな。違う?相棒さん」クスクス
陽介「俺にもか…悠にはホントかなわないわ」
陽介「里中…」
千枝「だって、二人で頑張れば鳴上君と同じくらいにはなれそうだもん…」
陽介「…だな。二人で力を合わせて、な」
千枝「うん…よろしく、陽介」
陽介「…よろしく、千枝」
陽介と千枝は長い時間一緒にすごした…
イキナリナマエトカハズカシスギンダロ!
ダッテシカタナイジャン!ヨビタカッタンダシ!
鳴上「うまくいったみたいだな」コソコソ
雪子「うん…」コソコソ
直斗「ごめんなさい先輩…」コソコソ
りせ「ごめん…」コソコソ
鳴上「いや、こっちも利用させてもらったから。陽介も千枝も素直じゃないからな」
直斗「ほんと、先輩凄すぎますよ…」
りせ「いつから気付いてたの?」
鳴上「カメラは2か月前…か」
直斗「え?そんな初期から!?」
雪子「どういう事なの…」
鳴上「それは趣味だ」
りせ「…」
直斗「…」
雪子「…」
雪子「私にも!あ、でも見る場所…もう、直斗くん家いまから行く!」
直斗「え、ちょっとまってください!それはだめですって!先輩コレクション隠さないと!」
鳴上「コレクションってなんだ…全く」
直斗「え?もしかして先輩もくるんですか!?」
鳴上「一度チェックしとかないとな」
直斗「だめ、だめですってば!」
りせ「よーし、レッツゴー!」
直斗「それ僕も聞きたいです!」
鳴上「千枝の様子が最近おかしかったからな」
雪子「え?全然そんな事なかったような…」
鳴上「遊びに行ったりしても上の空だったり。一緒にいる中でも陽介の話題って結構多かったからな」
直斗「それで今回後押ししようと…」
鳴上「ま、ホントは陽介をけしかけてうまくいけば…と考えていたんだけどな。まさか帰ってきたらいつもより盗撮用カメラが増えているとは思わなかった」
りせ「花村先輩なにやってんの…」
直斗「そんな!カメラは一般人には絶対わからない用になってるのに」
鳴上「いや、この間ラビリスが泊りに来た時に全部見つけてくれた」
雪子「泊り!?」
直斗「待ってください!そんな事なかったじゃないですか!」
りせ「お泊りだなんて…」
鳴上「ラビリスが電波ジャックして適当な映像を流してたみたいだ。ついでに発見器も置いていったからな」
直斗「やられた…この僕が!」
雪子「それ大事」
鳴上「そ、それは…」
>ラビリスと長い時間一緒に過ごした…
直斗「都合のいいメッセージだ!」
りせ「具体的に聞きたい!」
雪子「是非!」
鳴上「あ、もうこんな時間か。またな!」ダダダ
直斗「逃げた!先輩、逃がしませんよ?」
りせ「絶対逃がさないんだから!」
雪子「は、走るのはちょっと…待ってー」
直斗「これが先輩の秘蔵映像です…」ヒソヒソ
りせ「…ありがと。銀行に3000万円振り込んだから」
直斗「ええ、確認しました。お楽しみくださいね」
直斗「天城先輩、これ、例の…」
雪子「うわ、なんだかドキドキする…じゃあ、私のほうはこれね」
直斗「先輩が着てた浴衣…素肌に浴衣…」ハァハァ
直斗「先ほど3000万円振り込んでおきましたので」
雪子「大丈夫、確認したから!」
直斗「ありがとうございます!」
雪子「あ、そうだ。温泉に入った時に鳴上君が巻いてたタオルも…」
直斗「…5000万準備します。それまでとっていてください!」ダダダ
雪子「これで天城屋も安泰ね!」
おわり
完二は番長の嫁(確定)
よお完二
Entry ⇒ 2012.08.12 | Category ⇒ ペルソナSS | Comments (0) | Trackbacks (0)
淡「とらひめ!」
照「あっわあわ~!」ダキッ
淡「あわっ!」
淡「もう!急に抱きつかないでください!」
照「だってあわあわ分不足してたんだも~ん」スリスリ
淡「なんですか、あわあわ分て」
菫「ほら、照!ふざけてないで練習するぞ」
照「ふざけてません!あわあわへの思いはいつだって本気です!」フンス
淡「はいはい」
照「あ~ん!あわあわのいけずぅ~」
尭深「照先輩、一半荘打ったらお茶菓子がでます」
照「さて、打とうか」キリッ
淡「…」
誠子「私は…今…ハッ…いいところだから、フン!…淡が入ってくれ!…フゥー」
淡「あ、はい」
淡(この人はなんでいつも筋トレしてるんだろう…)
尭深「ベンチプレス」
淡「えっ?」
尭深「ダンベルじゃなくてベンチプレス」
淡「あぁそうなんですk…って人の心の中を読まないでください!」
尭深「ふふっ」
照「して、たかみん…本日のお茶菓子はいかほど?」
尭深「ケーキ」
照「なんと!!」ガタッ…ポロッ
淡「あ、それロンです」
照「なっ」ガーン
尭深「抹茶モンブランに抹茶チーズケーキ、抹茶バナナケーキ…」
淡(全部抹茶だー)
照「私はモンブラン!」フンス
淡「なっ、勝手に決めちゃダメです!」
菫「そうだぞ、持ってきてくれたのは尭深なんだからな」
照「え~ケチぃ」ブーブー
照「えっ?」
尭深「麻雀で勝った人が好きなケーキを選ぶ」
菫「ほぅ、それはおもしろそうだな」(丁度照最下位だし)
淡「いいですね!恨みっこなしです!」(照先輩には悪いけど)
照「…」ゴッ
照「ケーキ!ケーキ!うふふふ~ん♪」
淡「ま、負けた…」
菫「まさかあの状況からまくられるとは」
淡「いつもこのくらい頑張ってくれるといいんですけどね」
尭深「ではお好きなケーキを選んでください」
淡(うぅ、4着じゃバナナケーキは無理かも…)
淡(えっ?照先輩はモンブランじゃ…)
照「を、あわあわに!」
淡「えっ?ちょっと、なんですかそれ!」
照「だって1着が好きに選んでいいんでしょ?」
淡「それは…ケーキを」
照「それに私バナナケーキをおいしそうに食べるあわあわが大好きなんだ~」
淡「なっ///」
淡「こ、今回だけですからね///」
照「やったー!あわあわ大好き~」ダキッ
淡「もう、照先輩は勝手なんですから」
淡「でも…ありがとうございます///」ボソッ
菫「じゃあ、私モンブランで」
照「んなっ!」
カン!
淡「そういえば誠子先輩の分はどうするんですか?」
尭深「抹茶プロテイン」
淡「」
需要なさそうだしやめておくわ
ここにある
おつおつ
もいっこ槓に期待
淡「元気ないですね、どうしたんですか?」
菫「照の両親が長期の旅行から帰ってきたらしくてな」
淡「??」
菫「照の両親はとても仲がよくてな、気が付くと二人で海外旅行に行ってしまうんだ」
尭深「まさにおしどり夫婦」
淡「えっ、でも普通帰ってきたら嬉しいんじゃないですか?」
菫「いや」
照「また家族麻雀でおこずかい絞られた…」
淡(どんな親ですか)
照「咲はいいじゃん、減ることはないんだから!」プンスコ
淡「へー照先輩って妹いたんですか…ん?咲?」
菫「あれ?淡って咲ちゃんと同じクラスじゃなかったか?」
淡「えっ?嘘!?咲って…あの咲ちゃん??」
菫「咲ちゃんって携帯持ってたのか」
照「入学祝いにね!私のと同じ機種なんだ~」ムフフ
菫「ふーん」(あとで番号聞こう)
淡「本当だった…」ズーン
淡「だって咲ちゃんて可愛いし、優しいし、頭いいし、料理上手だし…」
照「まさに私の妹!」フンス
淡「全然似てないじゃないですか!」
菫「まぁそれは認める」
尭深「同意」
照「みんなしどい」シクシク
淡「強いんですよね?照先輩の妹ですし」
菫「それが…残念なことだが…」
淡「えっ?」
尭深「もう…妹さんは…」ウルッ
淡「えっ?えっ?」アワアワ
照「咲ぃ…うぅ…咲ぃ!」ポロポロ
淡(まさか…病気!?)ウルウル
菫「というのは冗談だけどな」
淡「」
淡「なにかの病気かと思ったじゃないですか」
菫「すまんすまん、でも病気っていうのはあながち間違いでもないな」
淡「えっ?」
菫「咲ちゃんは麻雀よりお姉ちゃんの方が好きなんだ」
淡「は?」
尭深「お姉ちゃん大好き病…通称シスターコンプレックス」
照「えへへ」テレテレ
淡「…」
淡「まさかそのお姉ちゃんが照先輩だったなんて…」
照「私も咲のことは麻雀より大大大好きだけどね」
照「でも咲に麻雀で頑張ってるお姉ちゃんが一番好きって言われちゃってね///」テレテレ
照「あ、もちろんあわあわのことも愛してるぜ!」バキューン
淡「では咲ちゃんの為にも練習頑張りましょう」
照「スルー!?」ガーン
淡「皆さんは咲ちゃんと打ったことあるんですか?」
菫「ああ、前に照の家にみんなで遊びに行ってな」
尭深「クリスマスパーティー」
淡(クリスマスまで麻雀ですか)
照「楽しかったなぁ~プレゼント交換」ムフフ
菫(私は誠子からのビリーバンドだった…)
照「みんながせっかくだから咲とも打ちたいって言ってね!」
淡「で、結果はどうだったんですか?」
菫「…」ズーン
尭深「…」ズーン
照「フンス!」
淡「宮永姉妹のワンツーですか」
淡「姉妹でコンビ打ちってことですか?」
菫「いや、そういうわけではないんだ」
照「咲と打つ時はコツがいるからね~」
尭深「不可解」
照「愛だよ!愛!愛はパワーなんだよ」キリッ
淡(意味が分からない)
照「じゃあ今日うちくる~?明日休みだし」
淡「!!」
菫「でも両親が帰ってるんじゃ…」
照「ほえっ?もう発ったよ、イルクーツクに」
尭深「妹さんにご迷惑では…」
照「…」ピッピッ サキー!オネーチャンダヨー!ソレデネー
照「おっけーだって」ブイッ
淡(はやっ)
菫「待て」ガシッ
菫「どうせ全部咲ちゃん任せだろ」
照「うっ」ギクッ
淡「遊ぶのもいいですけど、練習もしっかりやりましょうね」
照「そんなけったいな~」
もいっこカン!
誠子「9997…9998…9999…10000!…ハァ…ハァ」
誠子「やはり加圧式スクワットは効くな…ハァ…ハァ」
尭深「誠子、照先輩の家に行くよ」
誠子「よし、ダッシュで行こう!」
尭深「いや電車だから」
誠子「そうか、ダッシュで行こう!」
尭深「…」
菫「あれ?誠子は?」
尭深「あ、たぶん遅れてきます」
菫「そうか」(たぶん?)
淡「ここが照先輩の家ですか?素敵なところですね!」
菫「ああ、でもこれからもっと素敵なものが見れるぞ」
淡「?」
ピーンポーン
ガチャッ
咲「あ、麻雀部のみなさん!お久しぶりです」ペコリ
咲「お姉ちゃんは中で待ってますので、どうぞお上がりください」ニコッ
尭深(これは…)
菫(咲ちゃんの…)
淡(エプロン姿…)ゴクリ
(((かわいい!!)))
咲「?」
咲「いえいえ、こちらこそいつもお姉ちゃんがお世話になってます」ペコリ
淡(できた妹だ!)
照「お~やっときたか~!余は待ちくたびれたぞ~」ゴロゴロ
淡(ダメな姉だ!)
尭深「あともう一人、遅れてくるかも…」
咲「あ、誠子さんならもう来てますよ!今シャワー浴びてます」
尭深(はやっ)
咲「うんうん、淡ちゃんが来てくれて嬉しいよ」アリガトー
淡「でもまさか咲ちゃんが照先輩の妹だったなんてビックリだよ」
咲「私もあわあわが淡ちゃんのことだったなんて知らなかったよ~」
淡「ん?あわあわ?」
咲「うん、お姉ちゃんいつも言ってるよ~あわあわが可愛いって!」
淡「もう、照先輩ってば余計なことを…///」
咲「私もあわあわって呼んじゃおうかな~」フフフ
淡「それは恥ずかしいからやめて」
淡「うわっ!これ全部咲ちゃんが作ったの?」ドーナツトーノイター
咲「うん、急いでたからありあわせのものだけで悪いけど…」テヘヘ
菫(これでありあわせ!?)
尭深(満漢全席)
誠子(すばらしいタンパク源だ!)
照「咲の料理は世界一だからね!」フンス
淡「照先輩がいばるところじゃないです」
淡「ふぅ~美味しかった~ごちそうさま!」
咲「お粗末さまでした」
菫「それにしても咲ちゃんの料理はおいしいな、うちの嫁に来ないか?」
照「ダメだ!咲は嫁にはやらん!」フンス
淡「お父さんですか!」
咲「うふふ」ニコニコ
淡「あ、私も手伝うよ!咲ちゃんにばっか悪いし」
咲「本当?ありがとう!淡ちゃん」
照「私はここで応援してるよ!」
淡「もう帰っていいですよ」
照「あわあわが冷たい…ここ私の家だし」
淡「では早速打ちましょう!」
照「お!あわあわやる気だね~」
咲「淡ちゃん、本当に麻雀が好きなんだね!」フフッ
菫「メンツはどうする?咲ちゃんと淡は確定だとして」
照「じゃあ、とりあえず二年生コンビで!」
尭深・誠子「「!!」」
咲「はい、お姉ちゃん!」
照「さすが咲!愛してる!」ダキッ
淡「こうして照先輩ができあがったんですね…」
照「まぁね」ドヤァ
淡「褒めてません」
淡(いよいよ咲ちゃんとの対決か)ドキドキ
尭深(淡の思考が妹さんに偏りすぎてる…)
誠子(筋肉が良い感じだ)
咲「…」
淡(ここまでのところ特に変化はないかな)パシッ
誠子「ロン、18000」ゴッ
淡「なっ!」
淡(誠子先輩の筋肉配牌!もう来てたの!?)
淡(咲ちゃんに気を取られすぎて気づかなかった…)
淡(結果的に飛ばなかったものの終始守備に回らさせられての4着)
淡(咲ちゃんは3着か…これといって特に際立った点はなかったと思うけど)
尭深「…」
誠子「…」
咲「ありがとうございました」ペコリ
菫「じゃあ、次は私達の出番か?」
照「真打登場ってね!」
東1局 10巡目 親:菫
菫(やはりこのメンツだと思うように手が進まないな)パシッ
淡(この中で平然と打っていられる時点で咲ちゃんは凄いのかな?)パシッ
咲「…」パシッ
照「ロン!1000点だよ」
咲「はい、お姉ちゃん!」
淡(やっぱり照先輩が来ますか)
淡(結局照先輩の連荘も最小限に抑えて、全員が3万点割れの拮抗状態)
照(これは珍しいパターンかな?)ムフフ
菫「…リーチ!」
咲「ポン」パシッ
淡(么九牌をポン?一発消しだとしても上がり目はあるの??)
咲「カン!」
淡(えっ!?さっきのポンは暗刻からの鳴き?何の意味が…)
咲「ツモ、800・400です」
淡(フリテンの發単騎を嶺上開花!?もうわけがわからない…)
淡(結果的にリー棒を足したら咲ちゃんがトップ)
照「おめでとう~咲ぃ!」ナデナデ
咲「お姉ちゃんありがと~」エヘヘ
淡(上がろうと思えばもっと簡単に、しかも高得点であがれてたはず)
淡(前の半荘は3万点弱の3着)
淡(そして今回はギリギリ3万点超えの1着)
淡(まさか!)
淡「プラマイ…ゼロ…?」
咲「!?」
菫「今回はヒントが多すぎたな」
照「でも、たった2回で気づくなんて流石だよあわあわ!」
淡「いやいや、ちょっと待って下さい!」
淡「まさか咲ちゃんは打つと点数が必ずプラマイゼロになるとでもいうんですか?」
照「うん、そうだよ?ってあれ~気づいてたんじゃないの?」
淡「だ、だってそんなの例え全ての牌が見えてたとしてもできるかどうか…」
照「できないよ」キッパリ
照「これは咲にしかできない」キリッ
淡(なんで照先輩が偉そうなんだろう…)
淡「もう一回!もう一回だけ打たせてください!」
淡「咲ちゃん!お願い!!」
咲「私はいいけど…」
淡「またプラマイゼロ…」ズーン
淡(しかも今回は私と尭深先輩と菫先輩の全員が咲ちゃんを意識してた)
淡(そんな中でのプラマイゼロ…)
咲「淡ちゃん…」
照「…」
咲「えっ?」
淡「すごいよ咲ちゃん!また打ちたい!今日はもう遅いからあれだけど、絶対また打とうね!」キラキラ
咲「えっ、いいの?」
淡「もちろんだよ!だって咲ちゃんと打つの楽しいもん!」
咲「淡ちゃん…」ウルウル
誠子「私の筋肉も見てくれ」
咲「みなさん!」
菫「ふふっ…咲ちゃん大人気だな」
照「よーし!じゃあお風呂にしよう!あわあわ一緒に入ろう!」
淡「絶対イヤです」
照「」ズーン
淡「でも咲ちゃんとなら…///」ボソッ
菫「じゃあ次は咲ちゃんとの入浴権をかけて打とうか」
咲「えっ」
照「よ~しお姉ちゃん本気だしちゃうよ~」ギュルギュル
尭深「お茶補給…」ズズズ
誠子「腕立て1000回!」フン!フン!
淡「大丈夫だよ、咲ちゃん!絶対に私が勝つから」ゴッ
咲「ええええええええ!?」
もいっこカン!
淡「咲ちゃん…起きてる?」
咲「うん」
淡「いつか、私が咲ちゃんのプラマイゼロを打ち破ったら…」
淡「麻雀部に入ってくれる?」
咲「!」
咲「うん、考えとくね!」ウフフ
おしまい!
乙乙
おつおつ
おつおつ
Entry ⇒ 2012.08.12 | Category ⇒ 咲-Saki-SS | Comments (2) | Trackbacks (0)
ほむら「仮面ライダー?」
杏子「いやぁ、あたしも最初は興味なかったんだけどさ。
さやかのやつに薦められて見てみたら意外と良かったんだよねぇ。」
ほむら「ああ・・・特撮の。それで?私にも見ろと言うの?」
杏子「まぁ強制はしないけどよ・・・」
ほむら「そう。じゃあ見ないわ。」スタスタ
杏子「あっ!・・・ちぇっ、何かあいつ最近元気無かったから、励ましになればと思ったのにさ」
ほむら「・・・・・・」
ほむら(まどか・・・)
イラッシャイマセー
ほむら(何故レンタル屋に・・・私は何をやっているの)
ほむら(特撮コーナー・・・ここね
えっと、仮面ライダー、仮面ライダー・・・)
ほむら「あった。」
ほむら「いっぱいありすぎてわからないわ」
ほむら「・・・・・・」
ほむら「見た目が気に入ったわ、これにしましょう」
ほむら「・・・さて、と」
ほむら「いきなり戦闘が始まったわ。
展開がわからない。」
ほむら「組織に属する仮面ライダー?何か複雑ね」
ほむら「あ・・・」
ほむら「・・・・・・」
ほむら「へぇ、仮面ライダーが裏切りを・・・」
ターンアップ
ほむら「畳?」
ほむら「・・・・・・」
ほむら「いつの間にか倒しちゃった」
ほむら「・・・・・・」
ほむら「え?終わり?」
ほむら「何よこれ・・・全然面白くないじゃない
仮面ライダーとやらはカッコいいけど・・・明日、佐倉杏子に文句言ってやるわ」
ほむら「おっす、じゃないわ。
仮面ライダーとやら、全然面白くなかったわ。」
杏子「えっ?見てくれたのか!?」
ほむら「・・・ま、まぁね。言っとくけど、あなたの言うことを聞いた訳じゃないわ。
たまたま・・・」
杏子「そっか~!いや、良かった良かった!」
ほむら「あなたねぇ・・・」
杏子「それで?何借りたんだ?」
ほむら「何か・・・剣とか言うやつ
でも全然面白くなかったわ」
ほむら「・・・そう。もし面白くなかったら?」
杏子「1日分の食事おごってやるよ」
ほむら「・・・わかったわ。」
―――――
ほむら「まぁ、とりあえず何巻か借りてきたから見てみましょうか」
ほむら「・・・・・・」
ほむら「・・・ふぅん、やっぱり戦闘シーンはいいわね。
カードの組み合わせで技が変化するところも凝ってる・・・」
ほむら「・・・・・・」
ほむら「今、何て言ったのかしら。」キュルキュル
ほむら「・・・聞き取れない」
ほむら「・・・うーん。まぁ、普通ってとこかしら。一応続きは気になるから、また後で見ましょうか。」
ほむら「それにしても始さん、なかなかカッコいいわね・・・」
―――――
杏子「チッ!何だこいつは!」
魔獣「グォー!」
ほむら「なかなか強いわね
おそらくこいつは上級魔獣ね」
杏子「何だよそれ!?知らねぇぞそんなん!」
ほむら「な、なんでもないわ。」
杏子「うわっ!」
ほむら「佐倉杏子!危ない!」
ゲシッ!
魔獣「グゥッ!?」
シュバッ!
杏子「あー!逃げられた!魔力無駄にしたー!」
ほむら「・・・・・・」
ほむら(まどか・・・あなたさえいてくれたら・・・
・・・私は・・・・・・)
ほむら「・・・・・・」
ほむら「グスッ・・・まどかぁ・・・」ポロポロ・・・
―――――
ほむら「・・・・・・?」
ほむら「寝ちゃったのね・・・もうこんな時間。」
ほむら「・・・・・・」
ほむら「どうせ後は寝るだけだし、アレでも見ましょうか」
・・・ふざけてる」
ほむら「ぶっ飛ばされた。いい気味だわ。」
ほむら「・・・・・・」
ほむら「橘さん・・・」
ほむら「・・・・・・」
ほむら「何この話・・・切ない。
・・・もうちょっとだけ見ましょう。」
ほむら「・・・・・・」ポケーッ
ほむら「・・・嶋さん・・・」ポロポロ・・・
――――――
魔獣「グルルルル・・・!」
杏子「この間取り逃がした魔獣だ!」
マミ「そう。じゃあここで仕留めてあげる!」
ズキュウン!ズキュウン!
ズバッ!ズババッ!
魔獣「ウオーッ」
杏子「ちっ!」
マミ「さすが、佐倉さんと暁美さんが取り逃がしただけはあるわね!」
ほむら「・・・・・・」ポケーッ
ほむら(相川始・・・橘さん・・・)ポケーッ
杏子「おい、ほむら!何やってんだ!」
ほむら「この魔獣は・・・カテゴリー8ね」
杏子「は?」
マミ(やだ、暁美さん!何て素敵なワードを!)
ほむら「こいつは私が封印する
あなたたちは手出ししないで」
杏子「・・・?」
ほむら「・・・変身」
ほむら「チェンジ(ボソッ)」シュバァン!
ほむら「はっ!はぁ!」ガスガスッ!
魔獣「ギッ!?」
ほむら「はぁーっ・・・てやぁっ!」ドガッ!
魔獣「ウゥッ!」
マミ「すごいわ暁美さん!どこでそんな格闘能力を!」
マミ「援護するわ!」ジャキッ!
ほむら「はっ!」ドスッ!
マミ「ぶっ!」
杏子「えっ」
ほむら「こいつは私の獲物・・・手出しは無用よ、ギャレン・・・巴マミ」
ほむら「はぁっ!てやっ!」ドカッ!
魔獣「グ・・・ウゥ・・・」
ほむら「そろそろトドメね」シュッ
ほむら「フロート・ドリル・トルネード」
杏子「あいつ、トランプなんか持って何してんだ?」
ほむら「スピニングダンス」
ほむら「はぁーっ!!!」
魔獣「グアアアアア!!!」ドカァァァン!
パサッ
杏子「いや・・・何で何もないところにトランプ・・・」
ほむら「佐倉杏子・・・あなたはカテゴリーAの力に飲み込まれかけている」
ほむら「せいぜい注意することね」スタスタ
杏子「・・・ついていけねぇ
おい、行こうぜマミ」
マミ「ギャレン・・・素敵なコードネームね」
杏子「・・・」
ほむら「・・・・・・」
ほむら「何こいつ・・・嶋さんの犠牲は何だったの・・・!?」ダンッ!
ほむら「・・・・・・」
ほむら「アンデッドにもいろんなやつがいるのね・・・」
ほむら「アンデッドとも話が出来るように・・・魔獣とも・・・」
マミ「ギャレン・・・カッコいい・・・」ウフフ
杏子「マミまで・・・どうなってやがる」
ほむら「二人とも、手を出さないで。」
ほむら「ねぇ、あなたは普段何を考えてるの?」
魔獣「・・・・・・」
ほむら「あなたは普段人を襲っているけれど、本当は平和に暮らしたいんじゃないの?
嶋さんのように」
杏子「シマサン?」
ほむら「さぁ、いらっしゃい
私が話を聞いてあげる」
魔獣「・・・・・・」
魔獣「グルルーッ!」ザシュッ!
杏子「ほむら!」
マミ「暁美さん!当然よ!相手は魔獣なのよ!」
ほむら「・・・やはりそういうことね」
杏子「えっ」
ほむら「私たちは!戦うことでしか解り合えない!変身!」シュバァン!
魔獣「グゥ!?グルルゥ!?」
杏子「おいほむら!どこ行くんだよ!?」
ほむら「人気がないところよ!」
杏子「・・・ここだって十分人気がないじゃねぇか・・・」
―――――
ほむら「はっ!でやっ!」ガスガスッ!
魔獣「ウッ!グウッ!」
ほむら「やはり魔獣か・・・
話が通じないなら、やはり封印する!」
ほむら「でやっ!はぁっ!」ガスガスッ!
杏子「あいつ・・・さっきからあんま弓使わねぇな」
マミ「あんなに格闘主体だったかしら」
ほむら「これでトドメ!(スピニングダンス)」
ほむら「てやーっ!!」
魔獣「グァァァァーッ!」ドガァン!
ほむら「・・・」シュシュシュシュシュ パサッ
杏子「このトランプに何の意味があるんだよ・・・」スッ
ガシッ!
杏子「!?」
ほむら「何をしてるの・・・?それは私のカードよ」
杏子「いや、まぁ・・・確かにそうだろうけどさ」
杏子「わわっ!何だよいきなり!」
ほむら「目を覚ましなさい!佐倉杏子!」ブンブン!
杏子「てめぇ!弓で殴ってくんじゃねぇよ!」ヒョイヒョイ
マミ「大変・・・!暁美さん!何してるの、やめて!」
ほむら「ギャレン!邪魔をしないで!」
マミ「ギャレン・・・///」キラキラ
杏子「マミーッ!!!」
杏子「いい加減にしやがれ!」ブォン!ガスッ!
ほむら「かはっ!」ズザザザザ・・・
杏子「目が覚めたか!」
ほむら「ふん・・・こんなものじゃ終わらないわ!まだカードが足りないだけ・・・」
杏子「何言ってんだお前」
ほむら「私は・・・最強の魔法少女なのよ・・・」スタスタ
杏子「・・・ほむら」
マミ「ギャレン・・・」
ほむら「・・・・・・」
ほむら「ジョーカーの力が・・・始さん!」
ほむら「・・・・・・」
ほむら「ああ・・・どうなるの
早く、12巻を!」
ガガッガガガッ
ほむら「!?」
ガガッガガガッ
ほむら「読み込めない・・・ふざけないでよッ!始さんが!始さんがぁーっ!
こうなったら別のレンタル屋で!」
ダダダダダ
ほむら「!!」
魔獣「グルルルル・・・」
ほむら「こんな時に・・・邪魔をしないで!変身!」
魔獣「・・・」
ほむら「効かない!?きゃっ・・・!」
魔獣「グオォーッ!」
ズキュズキュズキュゥン!
魔獣「グッ!?」
ほむら「!?」
マミ「危なかったわね」
杏子「焦ってたらいつもの力が出ないぜ?」
ほむら「あなたたち・・・何で?」
マミ「たどり着いたのが、この仮面ライダーブレイド
二人で11巻まで見たんだけど、あいにく行きつけの店が貸出し中だったの」
杏子「そんで別の店に行く途中で、お前を見つけたって訳」
ほむら「どうして・・・そんなことを?」
杏子「いや、だってさ・・・前も言ったけど、あんた最近元気なかったじゃん?
それが、調子がおかしいとはいえ、このところ生き生きしてるからさ。」
マミ「やっぱり、私たち仲間ですもの。
楽しいことも、悲しいことも」
杏子「一緒に分けようぜ!ほむら!」ジャキッ!
ほむら「あなた・・・たち・・・」グググ・・・
杏子「立てるか?」
ほむら「ええ・・・」
魔獣「グルルル・・・」
マミ「じゃあ、さっさと終わらせて、三人で最終回を見ましょう!」
ほむら「・・・」コクッ
―――……
ほむら「やっと手に入れた・・・最終巻・・・」
マミ「はーっ、もうクタクタ・・・」
杏子「まぁいいじゃねぇか
さぁ、見ようぜ」
ほむら「・・・ええ」
―――――
マミ「ケンジャキザァン・・・」グスッ・・・ポロポロ・・・
杏子「最後まで・・・あいつは・・・」グスッ
ほむら「・・・・・・」
ほむら(まどか・・・)
ほむら(あなたは・・・どんな気持ちだったの?
・・・人間じゃ・・・無くなる時に・・・)
ほむら(まどか・・・)
ほむら(・・・・・・)ポロ・・・ポロ・・・
でもその実質は、戦いの物語。敵ではなく、自分との。
まるで・・・私や・・・まどか・・・
他の魔法少女のような・・・
物語の最後に犠牲になった者がいたところまで・・・そっくり
杏子「おーい、ほむら、何してんだよ」
マミ「帰って仮面ライダー見ましょ!
今日はクウガを借りてきたのよ!」
残された者が・・・温かい仲間を得るところも・・・
ただ1つ違うのは・・・
マミ「!!」
杏子「ちぇっ」
私がまだ・・・まどかへの思いを振りきれていなかったこと。
私も・・・自分と戦う。
いつかまどかに会うその時まで、自分の運命と戦う。
そう、決意を新たにできた。
「「「変身!!!」」」
私たちの戦いは続く。
そして・・・まどかの戦いも。
終わり
こんなんだけど付き合ってくれた人、ありがとう
サヤジャキは円環で神様とせんべい食ってるよ
ならば良し
Entry ⇒ 2012.08.12 | Category ⇒ まどかマギカSS | Comments (7) | Trackbacks (0)
塞「夏だねぇ・・・」 白望(暑っ・・・)
塞「はぁ…」パタパタ
白望「…私もあおいで」
塞「…いやだよ。自分でやればいいじゃん」
白望「めんど…」
塞「じゃあ、一生そうやってなさいよ」
白望「…」
塞「…」パタパタ
白望「…」ノソノソ
塞「…あんたなにしてんの」
白望「クーラーピッピを…」
塞「クーラーピッピってなによ」
塞「…」
白望「…」
塞「でもうちクーラーないよ」
白望「…え」
塞「…残念だけど」パタパタ
白望「…」
塞「納戸の中」
白望「…塞、とってきて」
塞「…」
白望「…はよ」
塞「…私が行くと思う?」
白望「…思わない」
塞「でしょ?」
白望「…」
塞「…」パタパタ
白望「…ぅあ…ぅぅうああ」
塞「うるさい」
白望「…」
塞「…」
白望「…」
塞「セミの鳴き声ってさぁ…」
白望「…」
塞「…ねぇ」
白望「…聞いてる」
塞「セミの鳴き声ってさぁ…」
白望「…」
塞「…ねぇ」
白望「…聞いてるよ」
白望「…」
塞「…はぁ、暑い」パタパタ
白望「…」
塞「暑いなぁ…」パタパタ
白望「…塞うるさい」
塞「…む」
白望「…めんど」
塞「めんど言わない」
白望「…」
塞「私も考えるから…えっと…」
白望「…アイス」
塞「…え?」
白望「…アイス」
白望「…買ってきて」
塞「なぜそこで私にパシらせる」ペシッ
白望「…だってめんどいし」
塞「私だってめんどいわよ」
塞「でもアイスかァ…食べたいなぁ」
白望「…じゅるり」
塞「私アイスの実」
胡桃「私はデッカルチェ」
塞「デッカルチェかァ…あれおいしいよね」
塞「ってなんであんたいるの!?」ガバッ
胡桃「気にしない気にしなーい」
白望「…座敷わらし」ボソッ
胡桃「ううん、ただ遊びに来ただけ」
塞「なーんだ…」
胡桃「なーんだとは失礼だな」
塞「どうせ来るならアイスでも買ってきてくれればよかったのに…」
胡桃「む…そしたらわざわざ駅前まで行かないといけないじゃん。塞んちと逆っ側だし」
胡桃「それにシロまでいるとは思わなかったから、もし買ってきて2つしかなかったら取り合いになったかもしれないよ?」
塞「…まぁたしかに」
白望「モナカ…」
胡桃「その代わりいいもの持ってきたよ」
塞「え、なになに?」
胡桃「じゃじゃーん! 風鈴!」
塞「…」
白望「…」
胡桃「え、なにその無反応!?」
塞「だって…」
白望「…」
塞「まァ…」
白望「…しょせん気分だけ」
胡桃「…!?」
胡桃「じゃあいいよもう! 一人で涼んでやるんだから!」
胡桃「んしょ…んしょっ…」ピョンピョン
胡桃「と、ど、か、な、いっ!」
白望「…だる」
塞「…胡桃、いいよ無理しなくて」ヒラヒラ
胡桃「…むむむっ」
胡桃「なんなのあんたたち! グータラしすぎでしょ!」
白望「…だって夏だし」
塞「…胡桃は元気だねぇ」ヨシヨシ
胡桃「…」イライラ
塞「うーん、あったかもしれないけど…」
白望「…胡桃しか入れないじゃん」
胡桃「なによそれ! 私がチビって意味!?」
白望「…うん」
胡桃「いや少しは取り繕ってよ!」
塞「でもチビじゃん」
胡桃「うるさいそこ!」
胡桃「塞、場所どこ?」
塞「たしか庭の物置の中」
胡桃「わかった」スタスタ
白望「…あ、胡桃」
胡桃「…なにー?」
白望「…ついでに納戸の扇風機もよろ」
胡桃「…」
胡桃「…物置ってここか」
胡桃「あ、鍵忘れてた…って空いてるし」ガラッ
胡桃「ごほっ、ごほっ…ちゃんと掃除くらいしてよ!」
胡桃「えーっと…どこだろ…」
胡桃「これは…ってなんでダルマが転がってんのよ」ゴロン
胡桃「んっと…あ、あった!」グイッ
胡桃「うわ…すっごい砂まみれ」
白望「…ほんとにもってきた」
塞「あれ、扇風機は?」
胡桃「…」
塞「ねえ」
胡桃「…今から取りに行くの!」
白望「…はよはよ」
胡桃「…」ピキピキ
胡桃「…」
白望「…きたきた」
塞「胡桃、そこおいて」
白望「…中の首回し設定でよろ」
胡桃「…」ガコン
白望「いだっ!」
胡桃「…」ガコンガコン
白望「く、胡桃…うわやめて…っ」
白望「こ、怖かった…」
塞「調子乗るから」
白望「…塞だってそうじゃん」
塞「私は怒られるようなことは何もしてないもーん」
白望「…」
塞「私みたいにうまーく胡桃を誘導してけば怒られずにす」
ボガッ
塞「いだっ!」
ゴロンゴロン
塞「…え? だ、ダルマ? …えっ?」
胡桃「…ふんっ」
塞「…」
白望「…調子に乗るから」
塞「あれ、そういえば空気入れないね」
胡桃「あ…」
白望「…口で入れるとか」
胡桃「無理言わないでよ」
塞「うーん…どっかその辺に空気入れ持ち歩いてる人いないかなあ」
胡桃「いるわけないでしょ!」
「う~ん…どうしよー…」
白望「…ん、あれは…」
塞「え…あ、ほんとだ」
胡桃「トヨネー!」ピョンピョン
豊音「あれ、みんな何してるのー?」
塞「ううん、特に何も」
白望「…塞んちでダラダラしてるだけ」
豊音「ええっ、ここ塞の家だったんだー!」
胡桃「そっか、トヨネはまだ塞んち来たことなかったもんね」
豊音「いいのー? じゃあ、お言葉に甘えてお邪魔するよー!」ダダッ
胡桃「あ…ちょっとトヨネ、気をつけてよ!」
豊音「…うわあっとっと!」
白望「…言わんこっちゃない」
ガラガラ
豊音「お邪魔しまーす! …あ痛っ!」ゴツン
塞「大丈夫かなあ…」
胡桃「あいかわらずドジっ子なんだから…」
豊音「えへへ」
白望「…あれ、豊音。なに持ってんの?」
豊音「ん、これー? これはねー…」
ガサゴソ
豊音「エアポンプだよー!」
塞「…まさかとは思ったけど」
胡桃「…本当に持ってる人が現れるとはねえ」
豊音「?? みんなどうしたのー?」
豊音「えっとねー…ビニールプール入ろうと思ったんだけど、家の中にはなくて…」
豊音「エアポンプだけあったから、どっかに持ってる人がいないかなーって思って探し回ってたのー!」
塞「…ある意味トヨネらしい」
ウンウン
胡桃「実は私たちもビニールプール入ろうかと思ってたんだよ」
豊音「えっ、ほんとー!?」
胡桃「ほらあそこ」
豊音「あ、ほんとだー! でも空気が入ってないねー…」
豊音「あっ!」
塞「実は私たちの方は空気入がなかったんだ」
胡桃「すごい偶然だけど、トヨネがきてくれたおかげで助かったよ」
豊音「わー! なんか運命的だねー!」
白望「…ビニールプールで結ばれた運命…」
胡桃「まあ、せっかく道具もそろったんだし始めようよ!」
豊音「さんせー!」
白望「…なんで私…」
胡桃「いいから早く!」
白望「…はいはい」ムクリ
塞「私も入ろっかな」
胡桃「…さっきは全然興味も示さなかったくせに」
塞「い、いいじゃんいいじゃん! みんなで入った方が楽しいって!」
豊音「そうだよー! ちなみにみんな水着は持ってきてる?」
胡桃「あ…」
塞「そのまま入っちゃえば?」
胡桃「え…服はどうすんの?」
塞「私の小さい頃のやつ貸すよ」
胡桃「うーん…」
豊音「入っちゃおうよー! 入っちゃおうよー!」
塞「うんうん」
胡桃「むう…仕方ないか」
ズルズル
白望「…洗ってきた」
白望「…じゃあ豊音、空気入れ頼んだ」ポン
胡桃「トヨネ、パンパンに入れちゃってね」
豊音「まっかせてー!」フンスッ
塞「ち、ちょっとタンマ!」
白望(それ私の…)
塞「空気入れは私がやるよ。トヨネはそこの蛇口にホース繋いで持ってきて」
豊音「ええ~…」
豊音「わ、わかったよー…」トボトボ
白望「…塞、どうしたの?」
塞「いやさ、トヨネが勢いに任せてやったら壊れちゃうかもしれないじゃない」
白望「…な~る」
胡桃「トヨネには悪いけど仕方ないk」
塞「そそ。トヨネにこんなこと話したらヘンに誤解されそ…ってどうしたの?」
胡桃「さ、塞…後ろ…」
塞「えっ」
塞「あ、トヨネ…」
白望(…あちゃ~)
胡桃「と、トヨネ…違うんだよ? 塞は別にトヨネのこと…」
豊音「…塞がデブって言った」
胡桃「え」
豊音「うぅ…塞が私のことデブだってぇええ!! うぇえええん!!」
塞「そ、そこまで言ってないってば!」
胡桃「と、トヨネ落ち着いて!」
白望(…めんど)
塞「ど、どうしよ…」オロオロ
白望「…」
胡桃「し、シロ…どうしたの?」
白望「豊音…本当に泣いてる?」
塞「え」
豊音「…」
豊音「…っぷ」
豊音「…っくす…あははっ!」
塞「と、トヨネ…?」
塞「…」
白望「…豊音は泣くとき絶対に涙が出る」
胡桃「よ、よく知ってるね」
豊音「やっぱりシロは騙せないかー」
豊音「でもみんなの驚いた顔が見れて私は満足だよー!」
塞「…トヨネ~~~っ!! よくもダマしたわね~~~~っ!!」
豊音「わー! 塞が怒ったー!」ダダッ
塞「こら、待ちなさいっ!!」ダダッ
胡桃「シロもひとっ走りしてくれば? その方が水浴び気持ちいいかもよ?」
白望「…私はパス。プールも入らないし」
胡桃「え~、入りなよ」
白望「…水着ないし」
胡桃「塞に借りれば?」
白望「…いいって。めんどくさいし」
胡桃「もう、ノリ悪いやつだなー」
白望「…それより先に空気入れちゃおう」
白望「…塞たちまだこない」
胡桃「まったく…どこまで走ってってんだろ」
キャーキャー
白望「…あ、なんかきた」
ドドドドドド
塞「きゃぁあああああ!!」
豊音「あははっ!!」
エイスリン「マテー!」
胡桃「え、エイちゃん!?」
白望「…イヤだ」ヒョイ
塞「ってうぉおおおい! なんで!?」
白望「…めんどい」
塞「そ、そんなー!」
エイスリン「…サエ、ゲッチュウ」ガシッ
塞「ひっ!」
ジージジジジジジジジ
塞「は、外して外して!!」
胡桃「せ、セミ…?」
エイスリン「ウン!」ニコッ
ジジジジジジジジジジジ
塞「きゃぁあああああ!!!」
エイスリン「…っ」カキカキ
エイスリン「!」バッ
白望「…へえ、虫取りしてたんだ」
胡桃「エイちゃん、その歳で虫取りって…」
白望「…ある意味エイスリンらしい」
胡桃「まーね」
塞「は、ははははは早くとってぇえええええ!!!」
ジジジジジジジジジジジ
ジジジジジジジジジジジ
塞「そ、そういうボケいいから!!」
エイスリン「カワイイノニ…」
塞「怖いよ!!」
白望「…塞は虫が苦手っと」メモメモ
塞「あんた知ってんでしょうが!」
胡桃「もう…ほら、早く屈みなよ」
塞「く、胡桃~!」
ジジジジジジジジジジジ…
塞「と、とった!?」
胡桃「うん、ちゃんと逃がしたよ」
塞「胡桃~、大好き! 愛してる!」ダキッ
胡桃「あ、暑いから離れて!」グイッ
豊音「じゃあね、セミちゃん…」
エイスリン「…ウゥ」シクシク
白望「…」
豊音「あ、二人で膨らませておいてくれたんだねー!」
塞「おお、じゃ水入れちゃおう! トヨネ、ホースとって」
豊音「はーい!」トテトテ
エイスリン「プール…?」
白望「…そう。これから入るの」
エイスリン「…っ」カキカキ
エイスリン「…!」バッ
白望「…エイスリンも入りたいの?」
エイスリン「ウン!」
エイスリン「ダイジョウブ!」バッ
白望(…水着着てる)
白望「…用意いいね」
エイスリン「…!」エッヘン
白望「…あ、トヨネきたよ」
豊音「みんなー! 放水準備完了だよー!」
塞「よし、発射だトヨネ!」
豊音「りょうかーい! えい!」ジュバッ
エイスリン「キャッ…!」
白望「ぶぶぶぶぶぶtっ!!」
豊音「シロー! ごめーん!」ジャーッ
白望「…」ポタポタ
エイスリン「…」クスクス
白望「…笑うな」
エイスリン「…ック…ププ」
白望「…」
胡桃「あははっ、もういっそのことプール入っちゃえば?」
白望「…」
塞「しかし思った以上に狭いね」
胡桃「全員でいっぺんに入るのは難しそう。よくて三人くらい?」
豊音「そうだねー…」
ウーン…
エイスリン「クルミ、トヨネ、サエ!」
塞「え、私たち先入っていいの?」
エイスリン「ドーゾ!」
胡桃「ありがと、エイちゃん!」
豊音「ありがとー!!」
エイスリン「…!」ニコッ
塞「じゃ、私いっちばーん!」ダダッ
バシャーンッ
胡桃「あ、ずるい! なんもしてないくせに!」
塞「へへーん! 早い者勝ちだもんねー!」
白望(なんだかんだで一番はしゃいでるじゃん…)
胡桃「トヨネ、それ貸して!」
豊音「え、うん」スッ
胡桃「よし…これでも食らえっ!」ジュバッ
塞「きゃあっ!!」
胡桃「わわっ!」
豊音「あははっ、ずぶ濡れだー!」
胡桃「くそう、こうなったら…!」
塞「…あれ、胡桃」
胡桃「ん?」
塞「あんたもしかして…」
豊音「…あ」
白望「…ブラしてない」
胡桃「ぁ…///」ボンッ
エイスリン「…」ジーッ
胡桃「え、エイちゃんってば!」
塞「いや、そもそもなんでしてないのよ」
胡桃「だ、だって私…胸なんてあってないようなもんだし…///」
白望「…そういう問題?」
豊音(恥ずかしがってる胡桃ちゃんかわいい…)
エイスリン「…っ」カキカキ...バッ!
白望「なになに…どうせ女同士なんだし、そのまま服脱いじゃえば?」
胡桃「それ絶対言ってないでしょ!」
エイスリン「…」ブンブンッ
胡桃「え、言ったの!?」
胡桃「よくない!」
豊音「ぬ、脱いじゃっても変わらないと思うけどなー…」チラッ
胡桃「なに期待してんのよ!」
白望「…正直そこまで見たくはない」
胡桃「それはそれでむかつく!」
塞「じゃあ脱げ」
胡桃「うっさいバカ!」
エイスリン「スキアリ」バッ
胡桃「きゃー!!」
…
白望「…冷たくて気持ちいい」
キャーキャー
白望「…塞たちは昼作りに行ったんだよね」
エイスリン「…っ」カキカキ...バッ!
白望「…冷やし中華かァ…まさに夏だね」
エイスリン「♪」ワクワク
白望「うん…私も」
塞「エイスリンー! シロー! できたからこっちきてー!」
エイスリン「ハーイ!」
「「「「いっただきまーす!!!」」」」
ズルズルッ!
豊音「んんっ! ちょーおいひいよ!」
塞「まぁ麺を軽く茹でて、テキトーにトッピング乗せただけなんだけど」
胡桃「でもおいしい。夏といったらやっぱこれだよね」
白望「…ん」ズルルッ
エイスリン「…♪」チュルルッ
塞「麺はまだ余ってるから、どんどん食べてねー」
豊音「ほふぁい!」モグモグ
胡桃「トヨネ、ちゃんと飲み込んでからしゃべる!」
豊音「…んぐっ…はーい」
塞「…すぅ…すぅ…」
胡桃「…ん…もう食べられない…」ムニャムニャ
豊音「二人とも寝ちゃったねー」
白望「…うん」
エイスリン「…っ」カキカキ
エイスリン「ナカヨシ!」バッ!
白望「…そうだね。なんだかんだで塞も一緒になって楽しんでたみたいだし」
豊音「あれ、シロは違うのー?」
白望「…え」
エイスリン「…っ」カキカキ...バッ!
豊音「うん…シロもおんなじくらい楽しんでたよねー!」
エイスリン「…!」コクコク
白望「…そ、そうかな」
胡桃「…いやぁ…んん…」
豊音「ふふっ…それにしても、仲良しさんだなーこの二人♪」
豊音「二人とシロは、いつ頃からの付き合いなのー?」
白望「…うーん、小学生くらいかな。気づいたときには一緒にいた気がする…」
豊音「そっかー! 長い付き合いなんだねー」
白望「…うん。塞のおねしょ事件とか、胡桃が行方不明になったりとか…」
白望「…あとは胡桃と塞が一か月も口利かなかったりとか、いろんな出来事があったなぁ…」
豊音「あははっ、あの二人も喧嘩するんだね」
白望「…今でもしてるじゃん」
豊音「そういえばそうだったねー! あははっ!」
エイスリン「…」
白望「…ん、どうしたの?」
エイスリン「…ン」
白望「…えっ、これ…」
豊音「私と…エイスリンさん?」
エイスリン「…っ」ジッ
白望「…??」
豊音「…あっ!」
白望「…なに?」
豊音「えーっと、あのねシロ…」
白望「…うん」
豊音「エイスリンさんは、私たちもシロや、塞や、胡桃ちゃんの仲間に入っても大丈夫なのかって、それを心配してるみたいだよ?」
エイスリン「…っ」ジワッ
白望「…」
豊音「…私も、気になるかなー?」
白望「…バカじゃないの」
エイスリン「…っ」
白望「…もう二人とも、私たちの友達…でしょ?」
白望「大丈夫か、とか…友達ってそういうんじゃない。気づいたらなってるものだって言ったじゃん」
白望「私たちはもう二人のこと仲間だと思ってたんだけど、二人は違ったってこと…?」
エイスリン「…っ」ブンブンッ
豊音「そんなわけないよー…私もエイスリンさんも、みんなのこと大切な仲間だって思ってる…っ」
白望「そっか…安心した」
豊音「ううん…私たちこそ、ちょー嬉しいよっ!」ニコッ
エイスリン「…ウン!」
豊音「もう、シロってばー…」
エイスリン「…フフ」
白望「…豊音、腕まくら」
エイスリン「トヨネ!」
豊音「ええっ! …ん~、仕方ないなー」
エイスリン「ワーイ!」ボフンッ
白望「…んっ」ギュ
豊音「ふ、二人ともくっつきすぎだよー!」アセアセ
白望「…気にしない気にしない」
エイスリン「キニシナイキニシナイ!」ギュゥ
豊音「…もうっ」
胡桃「…んぁ…あれ、今何時ぃ…?」ムクリ
塞「…もう6時半だよ」
胡桃「あれ…塞は起きてたんだ」
塞「ま、まぁね…」
塞(起きたら胡桃と抱きしめ合ってただなんて、さすがに言えない…っ)
胡桃「…なに顔赤くしてんの?」
塞「な、なんでもないってば!」
胡桃「…??」
塞「…それよりほら、見てみなよ」フフッ
胡桃「へ?」
塞「…この三人の寝顔」
胡桃「…あ」
白望「…」
豊音「ちょー…うれしーよー…」スピー
塞「なーんか、かわいらしいでしょ?」
胡桃「ふふ、ほんと…」
塞「胡桃も混ざってきたら?」ニヤッ
胡桃「い、いいよ…子供じゃないんだから」
塞「すっごい混ざりたそうにしてるのに」
胡桃「してない!」
塞「まぁ、もうそろそろ起こしてあげた方がいいかもね」
胡桃「え、なんで?」
塞「ほら、始まった」
胡桃「これって…」
エイスリン「ハナビ!」
胡桃「わっ!」ドテッ
塞「おっ、エイスリン起きたんだ」
エイスリン「ウン!」
胡桃「え、エイちゃんびっくりさせないでよ!」
エイスリン「シロ、トヨネー! オキテー!」ユサユサ
胡桃「スルゥかよ!」
豊音「ふにょ…!?」
塞「ふにょってなによ」
エイスリン「ハナビ!」
豊音「は、なび…?」
ピュー......ドーンッ!
白望「わ…ほんとだ」
豊音「うわぁ! す、すっごいよー!!」パアァ
エイスリン「デショ!?」
塞「近場でやってるからね。ここからならちょうど遮蔽物もないし、すごくいいスポットなんだ」
豊音「あ、黄色!」
エイスリン「ウウン! ミドリ!」
豊音「ええ~、黄色だったよー」
塞「どっちでもきれいだしいいじゃないの」
豊音「そうだねー! あ、ええっと…たーまやー!!」
塞「かーぎやー!!」
エイスリン「ン…タマヤ? カギヤ?」
塞「花火があがったときにそう叫ぶの。まぁ『花火さんありがとう』的な意味ね」
エイスリン「ナルホド…」
ピュー......ドーンッ!
エイスリン「ターマヤー!」
豊音「かーぎやー!」
胡桃「あぁ…もうすぐ夏も終わりかぁ」
豊音「うん、そうだねー…」
塞「夏が終わったら、みんなそれぞれ、自分の進路とか決めなきゃいけないね…」
豊音「…そしたら私たち…離れ離れに、なっちゃうのかなー?」
白望「…」
エイスリン「…」
エイスリン「…っ」カキカキ...バッ!
エイスリン「ワタシタチ、トモダチ! イツマデモっ!」
エイスリン「…っ」ウルウル
胡桃「エイちゃん…」
白望「…」
白望「…みんな行く場所はそれぞれ違うかもしれない。でも…」
心で思い続ける限り…ずっと繋がっていられる―――
だから…
白望「…少しでも、今を目いっぱい楽しんでいこう。この五人で」
―――決してこの思いが途切れないように…
豊音「…そうだねっ!」
塞「…し、シロにしちゃいいこと言うじゃん」グズッ
胡桃「私、絶対忘れないよ。今日までのこと…これからのこと、全部!」
エイスリン「ウン!」
―――こうして、私たちの長いようで短かった夏休みは終わった。
はたから見れば、大したことのない出来事の連続…でも、私たち五人にとっては大切な思い出のカケラたち。
私たちはそれらを胸に抱き、これから自分たちの進むべき未来へと歩みを続けるのだろう。
いつまでも友達であり続けることを願って―――
fin
最後まとめんの遅くなってほんとにごめんなさい。
宮守大好きです。お疲れさまでした。
宮守みんなちょーかわいいよー
あったか~いssだった
Entry ⇒ 2012.08.11 | Category ⇒ 咲-Saki-SS | Comments (2) | Trackbacks (0)
渋谷凛「……ねぇ、プロデューサー」
P「どうした?」
凛「……ごめん、やっぱりなんでもない」
P「そうか……飯、どこかで喰うか?」
凛「……別に」
P「そうだなぁ、ラーメン……は無しだよな」
凛「そうだね。女の子とでかけるのにそれはちょっと無いよ」
P「あぁ、うん……じゃあ何がいいかな……」
凛「やだ」
P「……なんでだ?」
凛「……あんまり気分じゃないから」
P「そうか……うーん、何が食べたいんだ?」
凛「……別に、何がいいっていうのはないけど」
P「そうか? じゃあ何がいいかな……」
凛「……」
P「うーん……」
P「あっ、そうだ! ちょっと遠いけど美味しい店を志乃さんに教えてもらったんだ」
凛「えっ?」
P「あ、ごめん。なにか?」
凛「……別に。美味しい店って?」
P「イタリアンなんだけど手頃な値段で美味しいものが食べれるんだってさ」
凛「ふぅん……」
P「おしゃれだし、いいぞ? どうかな」
凛「……遠いの?」
P「んー、それなりにな」
凛「じゃあ……いいや。面倒だし」
P「そうか……」
凛「プロデューサー」
P「ん、どうした?」
凛「……あのさ、これ」
P「これ? ……弁当?」
凛「……作ったの」
P「作ったって……凛」
凛「……不器用だから。あんまり美味しくないかもしれないけど」
P「そっか、だから食べにいきたがらなかったのか」
凛「別に……そういうわけでもないけど」
P「がんばってくれたんだなぁ、ありがとう!」
凛「……あんまり美味しくないかもしれないけどね」
凛「あっち、公園あるよ」
P「へぇ、じゃあいってみようかな」
凛「うん。結構明るくていい場所だから」
P「そうなのか……詳しいんだな」
凛「ちょっと前に来たことがあるだけだよ」
P「そうか?」
凛「うん、だから別にたいしたことじゃないし」
P「ふぅん……」
凛「いこっか」
P「ん、わかった」
凛「……ちょっと暑いかも」
P「大丈夫か? 飲み物買ってこようか」
凛「いいよ、私がいってくるから」
P「いや、だがな」
凛「いいからプロデューサーは座ってて。自販機の場所わかるの?」
P「……」
凛「うん、じゃあちょっと待っててね」
P「やっぱりついていったほうが……」
凛「ベンチ」
P「えっ?」
凛「ベンチ、とっておいてよ。スカートだと下に座りたくないし」
P「……わかった、気をつけろよ?」
凛「大丈夫だってば。じゃあいってくるね」
P「おぉ、凛! おかえり、大丈夫か?」
凛「子供じゃないんだから別に大丈夫だよ。はい」
P「ありがとう……あっ、これって」
凛「うん、前にCMに出た商品だね」
P「凛も売れてきたよなぁ」
凛「プロデューサーのおかげだよ」
P「いや、凛に才能があったからだよ。俺は手助けしたぐらいで」
凛「……でも、いつだって信じてくれたでしょ?」
P「プロデューサーだからな」
凛「私、愛想が無いから誤解されやすいし……プロデューサーが応援してくれたおかげで頑張れたところもあるよ」
P「そうか? 少しでも力になれたなら嬉しいよ」
凛「ん。いつもありがと」
凛「……お礼言ったらおかしい?」
P「いや。そうじゃないけど……それなら俺こそいつもありがとうって言いたいさ」
凛「なんで?」
P「凛がいつもがんばってくれているおかげで他の皆にもいい刺激が与えれてるしな」
凛「もらった仕事はキチンとやらなきゃいけないでしょ?」
P「そういうきっちりした部分がたまらなくありがたいんだよ。ありがとう、凛」
凛「……別に。お互い様でいいよ」
P「それに、まだ俺は言いたいことが……」グゥゥ…
P「……」
凛「……お腹すいてるの?」
P「……ちょ、ちょっとだけ」
凛「ふふっ……いいよ。食べようか」
凛「……あんまり期待しないでよ。料理とか、得意じゃないし」
P「いや、期待するなって方が無理だろ……開けていいか?」
凛「うん、どうぞ」
P「……これは」
凛「……」
P「おいしそうだなぁ。俺の好物ばっかりだ」
凛「そっか、よかった」
P「ひょっとして調べてくれたりとかしたのか?」
凛「別に……ちょっと簡単にできるのを探したら偶然レシピをみつけただけだから」
P「そうか? だが結構手間がかかるやつが……」
凛「ヒマだったから、ちょっと挑戦してみただけ。 ……それより。 感想、聞かせてよ」
P「ん? あぁ……そうだな、いただきます」
P「……」モグモグ
凛「……どう?」
P「……」
凛「……やっぱり失敗したかな?」
P「っっっ……! すっごいうまい!」
凛「え、ちょっ……」
P「もう最高だよ! 凛は料理もできちゃうなんて最高だなぁ!」
凛「……そっか。うん、よかった」
P「凛?」
凛「なに?」
P「いや、やっぱり凛は笑ってるのが一番かわいいな」
凛「えっ……違う、別にこれは……」
P「これは?」
凛「……美味しいっていってくれて嬉しかった、だけだから」フイッ
凛「ほめても何もでないよ?」
P「いやいや、本音だからな? それに、今もらってるじゃないか」
凛「……そう、だね。気にいったならまた作ろうか?」
P「いいのか?」
凛「ヒマな時だけだけど」
P「それでもありがたいよ。楽しみにしてる」
凛「そっか……うん」
P「うん?」
凛「プロデューサー、他に好きなものとかある?」
凛「……無いの?」
P「いや、結構あるけど……カレーとか」
凛「カレー……うーん」
P「どうした?」
凛「お弁当にカレーはちょっと無理だから……」
P「あぁ、そりゃそうだな……じゃあ他は……」
凛「……プロデューサー」
P「ん、どうした?」
凛「今度、家にいっていいかな?」
P「はい?」
P「……それはそうだが、だがなぁ」
凛「大丈夫。そういうのはついてこないようにするから」
P「……でもなぁ」
凛「うち、隠し味が変わってるって言われるんだけど……お母さんのカレー、すっごくおいしいよ」
P「うっ……」
凛「食べたくないなら別にいいけど」
P「……食べたい」
凛「……ん?」
P「凛のカレー、食べたい……」
凛「じゃあ、今度いくから」
P「でも本当に大丈夫か?」
凛「問題ないよ。意外となんとかなるものだから」
凛「どうしたの?」
P「食べてお腹膨れたら眠くなってきた」
凛「……プロデューサーって子供だね」
P「ほら、男っていうのはスーツを着た子供だっていうだろ?」
凛「たぶん意味が違うと思うけど……」
P「ん……まぁ、細かいことはいいだろ?」
凛「……それで?」
P「それでって?」
凛「眠いなら、もう帰る?」
P「い、いやいや。そういう意味じゃなくてな」
P「凛といると落ちつくっていうか……うん、完全に失言だった。すまん」
凛「……落ちつく?」
P「こう、一緒にいるのが自然な気分になるんだよ」
凛「そっか……ふぅん」
P「すまん!」
凛「別に、怒ってるわけじゃないから謝らなくてもいいよ」
P「だが……」
凛「……あっ」
P「ど、どうした?」
凛「じゃあ、このまま買いものにつきあってくれる?」
P「それぐらいなら喜んで」
凛「ん、じゃあそれでいいよ」
P「ちょ、ちょっと待て凛……ここって……」
凛「服屋だけど?」
P「女性ものの服ばかりのところに男がついていくのはちょっと……」
凛「……なにそれ?」
P「いや。なんかこう、な?」
凛「あれだけ仕事で女の子に囲まれてるのに……」
P「仕事とは別なんだよ……」
凛「かわいい服とか、選んでほしかったんだけど」
P「凛の方がセンスいいじゃないか」
凛「自分じゃわからないこととかも多いから」
P「でもなぁ……」
凛「いいから、いこ」グイッ
P「え、ちょっ……」
P「お、おう」
凛「……挙動不審すぎない?」
P「いや、だってなぁ」
凛「スカウトしてる時ぐらい堂々としてればいいのに」
P「そういうわけにもいかないだろ?」
凛「少なくとも今の状態よりはマシだと思うよ」
P「そ、そうか……」
凛「……」
P「……ど、どうした?」
凛「別に。ついてきて」
P「あ、あぁ」
P「ん? ……そうだな」
凛「……」
P「色合いはこっちのほうがあうかもしれないが、イメージ的にはこっちのデザインだな」
P「だからといって今のイメージを守り続ける必要はない、こういうときはあえて崩してみるのも手だ」
P「だからどっちかっていうならこっちだな。個人的にはもう少し派手な色合いも悪くないと思うんだが」
凛「そっか……うん、ありがとう」
P「いやいや、これぐらいなら……あぁ、やっぱりなんか周りの目が痛い」
凛「仕事の時とのギャップがひどいね」
P「そうかな……」
凛「さっきまではすごく頼もしい感じだったよ」
P「今の俺は頼りないか?」
凛「少なくとも、服売り場で挙動不審になってる人は頼りにはならないと思う」
凛「……慣れなくて?」ピクッ
P「うん、この前かな子と一緒に来た時もだな」
凛「そっか……ふぅん」
P「……凛? どうした?」
凛「別に、なんでもない。服買って帰るよ」
P「え? あぁ……」
凛「ちょっと外で待ってて」
P「……わかった」
凛「……」
凛「……それもそうだよね。プロデューサーなんだからアイドルと買い物ぐらい普通か」
P「うん、おかえり」
凛「……」
P「凛、あのさ」
凛「なに?」
P「いや、その……服なんだが」
凛「……かな子と来た時どうしたの?」
P「いやな、他のアイドルと同じ感覚で選んだら入らなくてな……」
凛「年頃の女の子なんだから、傷つくよ?」
P「いやぁ、あれは失敗だったよ……気をつけないとなぁ」
凛「うん、本当に……気をつけてよね」
P「ん? ……そうだな。晩飯はいいのか?」
凛「うん、たぶん家でお母さんが作ってるから。……プロデューサー、またね」
P「あぁ、じゃあな」
凛「……」
凛「……じゃあねなんて言わないで……か」
凛「別に、そういう関係でもないのに」
凛「……帰ろう」
凛「プロデューサー」
P「ん、どうした?」
凛「この前の話なんだけど、今度の金曜日でいいかな」
P「今度の……んーと……8月10日?」
凛「うん。学校も終わってるけど他にもやらなきゃいけないことが多いから早めに予約しておきたかったんだ」
P「そうか、うん……わかった」
凛「……あっ、そうだ」
P「うん?」
凛「お茶、いれたけど……飲む?」
P「あぁ、じゃあいただこうかな」
凛「……」
P「……あー、うまいなぁ……ん、どうした?」
凛「ううん、なんでもない。それじゃあちょっと出てくるね」
凛「プロデューサーの家……か」
凛「……別に、カレー作るだけだし関係ないよね」
凛「えっと、隠し味……あっ」
凛「プロデューサー辛いの大丈夫か聞くの忘れてた……」
凛「……子供っぽいしダメそうだけど、どうなんだろう」
凛「とりあえず今度聞いてみようかな」
凛「まずは準備しておかなきゃ」
――――
―――
――
―
凛「……うん、大丈夫」
凛「ついてきてる人もいない、これなら」
凛「……すぅ……はぁ……」
凛「ん」
ピーンポーン
凛「……」
ドタドタドタ…
P「お、おう凛。いらっしゃい。大丈夫か?」
凛「うん、問題ないよ」
P「じゃあとりあえず……見られるとまずいし、あがってくれ」
凛「……お邪魔します」
P「なにもないけど、どうぞ」
凛「……思ってたよりも片付いてるっていうか……ものがあんまりないね」
P「いやぁ、あんまり家に帰ってないからなぁ」
凛「大丈夫なの?」
P「うん、まぁなんとか」
凛「……本当に?」
P「余裕だよ、心配してくれてありがとう」
凛「別に、プロデューサーがいないと困る人が多いから……」
P「そうかな……結構みんなセルフプロデュースもうまくいってるように思えるし……」
凛「……そういうのじゃないけど、ね」
P「ん? そういうのって?」
凛「別に。気にしなくていいから……キッチン借りるね」
P「……おぉ、なんかいいなぁ」
凛「えっ?」
P「いや、こう……台所に立ってるだけでも画になるよ。すごくいい」
凛「……ほめても何もでないよ?」
P「カレーは?」
凛「それは元からだすつもりだったけど……そうじゃなくて」
P「じゃあ十分だよ。凛のカレーが楽しみで昨日は寝れなかったぐらいなんだ」
凛「遠足前の小学生じゃないんだから……」
P「いいじゃないか。期待してるんだよ」
凛「……まぁ、ちょっと待っててね。がんばるから」
凛「……ん、どうかな」
凛「……」ペロッ
凛「……よしっ」
P「りーんー……」
凛「はいはい、できたから……後は盛るだけ」
P「そうか! もうにおいかいでるだけで我慢できなくなりそうだったんだよ!」
凛「カレー、本当に好きなんだね」
P「うん、まぁな! でも凛が作ってくれてるって思うとなおさらだよ!」
凛「そっか……うん。はい、できたよ」
P「やったぁ! ありがとう、凛!」
凛「どうぞ、おあがりなさい……だっけ?」
P「……なんだか母親みたいだな」
凛「年下の相手にいうことじゃないよね」
P「す、すまん。なんかこう……なぁ?」
凛「同意を求められても困るんだけど……ほら、食べてみてよ」
P「うん……じゃあ」
P「あむっ」
P「……」モグモグ
凛「……どう?」
P「う……うまいっ!」
凛「そっか……うん、よかった」
P「凛、料理が苦手なんてウソじゃないのか? この前の弁当もそうだけど本当においしいよ」
凛「そんなに褒められたら、悪い気はしないけど……まぁ、ちょっと練習したから」
凛「人に食べさせるんだから、ね。辛さは大丈夫?」
P「ん、あぁ。ちょうどいいよ」
凛「そっか……」
P「ありがとうな、凛」
凛「よかった。それじゃあ帰るね」
P「えっ?」
凛「えっ?」
P「凛、このまま帰るのか?」
凛「おかわりもよそって欲しかった?」
P「そうじゃなくてさ……凛」
凛「……? あぁ、量ならそれなりにあるけどたぶんそれなりに日持ちもするから」
P「そうじゃなくて」
凛「……じゃあ、なに?」
P「だって今日、お前の誕生日だろ?」
P「当たり前だろ?」
凛「じゃあ、なんで……」
P「なんでって?」
凛「そんな日に来るなんて、みたいなことぐらいは言うと思ってた。気付いてないんだって」
P「凛の都合のいい日がその日だけだったのかなぁ、って思ってな。誕生日パーティーは夜だろうし」
凛「……本当に子供だね」
P「そうかなぁ」
凛「それで、呼びとめたってことは……」
P「うん、誕生日プレゼント……これ」
凛「……あけてもいい?」
P「ぜひ」
凛「……」
P「いまいち何がいいか思いつかなくて……ダメかな?」
凛「……ううん、いい」
P「そっか……よかった。誕生日おめでとう、凛」
凛「ありがとう……あと」
P「ん?」
凛「……プロデューサー。今度また遊びにいかない?」
P「俺でいいのか?」
凛「別に、誰でもいいわけじゃないんだよ? プロデューサーがいい」
P「そ、そうか……なんだか勘違いしちゃいそうだよ、俺」
P「いやぁ、子供っぽいって笑わないか?」
凛「……聞いてから考える」
P「ひどいな」
凛「できない約束はしないんだ」
P「……その、だな?」
凛「うん?」
P「こう……自分に好意を持ってくれてるんじゃないか、みたいな?」
凛「……ふぅん、そっか」
P「バカだよなぁ、本当に! あははは」
凛「……」チュッ
P「はは……はっ?」
凛「あたり」
P「え、あっ、えぇっ!?」
P「え、いや、あの……」
凛「それから、このネックレスって誕生石が埋められてるんだよね?」
P「あ、あぁ。幸運って意味があるって聞いて……」
凛「そっか……プロデューサー」
P「な、なんだ?」
凛「私、まだまだトップを目指すから……隣にいてくれる?」
P「もちろんそれは約束するけどだな、凛」
凛「……プロデューサーに好きな人がいるなら、私のことはほっといていいから。せめて仕事だけでも繋がってたい」
P「いや、凛のことは魅力的だが……年とかな?」
凛「年が近かったらよかった?」
P「そうじゃなくて……俺はプロデューサーで、凛はアイドルだし」
凛「まだまだ、トップまで駆け上がってからでいいから」
P「いや、でも……」
P「……」
凛「これからもずっと隣にいてくれる?」
P「……それは、約束する」
凛「今は、それでいいよ。まだ大丈夫」
P「まだ?」
凛「私がトップアイドルになったら話すよ」
P「……?」
凛「今日のキスのこと、忘れてもいいから」
凛「軽くなんてないよ」
P「いや、だが俺なんかに……」
凛「これまであった男の人の中で一番魅力的だったから」
P「はっ?」
凛「子供みたいだけど、かっこつけてないプロデューサーが好きだから、あげたの」
P「……いや、しかし」
凛「今日はこのネックレスにめんじてここまで、ね」
P「……?」
凛「またね、プロデューサー。今日は帰るよ」
P「お、おう……また、な……?」
凛「8月の誕生石はペリドットと……サードオニキス」
凛「意味は……ペリドットが、『幸運』と『命の絆』」
凛「サードオニキスは……」
凛「……『幸せな結婚』」
凛「……なんてね」
凛「まだ、早いかな。でも」
凛「次に一緒に出かけるのは……デートってことでいいよね?」
凛「お弁当、うまく作れるように勉強しよっと」
おわり
ラストの〆がぐだぐだでごめんにぃ☆
とりあえず、次はめんどくさい過程飛ばしてデートさせる
ついでにネタ・妄想あればください、たぶん書きます
凛がご飯作ってることを聞きつけたかな子が
私も作りますとP家で料理したりガードが甘いかな子とイチャつく感じでいたら
Pの家に忘れ物した凛が偶然やってきて二人が鉢合わせ
水面下で修羅場みたいなが見たいです
>>96
杏は重くないけどデレてる姿が想像できない
まあ、デレんでしょうな
杏「もう働きたくない」
P「俺に永久就職するか?」
杏「いいよ」
P「そうかいいのか…え?」
杏「プロデューサーなら杏は構わないよ」
P「うん…///」
他アイドル「ちょっとまて」
それデレてるのPちゃんの方じゃないですかねえ……(迫真)
赤羽根Pと杏で考えるたしたら
どう考えてもデレさせるのは羽根Pの方が楽なんだよなあ…
美希のモーションにすら靡かない赤羽根Pがそうかんたんにデレるのかな・・・?
勃起すらしなさそうじゃん
>>131
そう言われるとな…3日目の杏本でも探すか
……で、なんでまだ残ってんの……
携帯からは無理があるじゃない
家帰るまで保守させるのも忍びないし
また後日書くから落としてください
Entry ⇒ 2012.08.11 | Category ⇒ アイマスSS | Comments (0) | Trackbacks (0)
セレス「苗木君、私と勝負をしてくれませんか?」
セレス「突然ではありませんわ。私は常々気になっているんです。
『超高校級のギャンブラー』である私。『超高校級の幸運』である苗木君。本当に強いのは、果たしてどちらなのでしょう?」
セレス「試してみる価値はありますわ」
苗木「そ れ は 違 う よ !!」論破!!
苗木「ちょっと待ってよ! それってつまり、ギャンブルで勝負ってことでしょ!? 僕なんかがギャンブルでセレスさんに敵うわけないじゃないか!」
セレス「く ォ ン の ビ チ グ ソ が ぁ あ あ あ !!」反論!!
苗木「!?」
セレス「ですが、これは私にとってとても大切なことなのです」
苗木「……どういうこと?」
―反論ショーダウン―
セレス「よろしいですか? 私たち、希望ヶ峰学園の生徒は、超高校級と認められた特別な才能の持ち主。
私もその例に漏れず、『ギャンブラー』としての才能を見込まれてこの学園に参りました」
セレス「もちろんギャンブルに勝利するには、相手との駆け引きや自分に有利な状況を作り出すための戦略・判断力が必要です」
セレス「確かにそれは否定しませんわ」
苗木(しないんだ)
セレス「しかし何より必要なのは、自分を勝利へと導く流れを作り出す『運』なのです」
セレス「私も、『超高校級のギャンブラー』として最強のギャンブラーを自負していますし、剛運には自信があります」
セレス「しかし、苗木君が『超高校級の幸運』である以上、私はあなたに勝つことで、自分の最強を証明しなければならないのです!!」
苗木「その言葉、斬 ら せ て も ら う !!」
苗木「つまり僕の幸運はその場限りのものなんだ。実際友達と大富豪をやっても、大抵は平民か貧民だしね」
苗木「だからセレスさん。君が僕に勝っても、それは君にとって特別な勝利にはならないんだ!!」
セレス「……ッ!!」
セレス「そう、ですわね……わかりましたわ」シュン
苗木「セレスさん……よかったよ、わかってくれて」
セレス「……まさか苗木君がここまでのコシヌケ、もとい卑怯者だったなんて……」
苗木「え?」
苗木「ちょ、ちょっと。それってどういう……」
セレス「抽選だろうと何だろうと、あなたが希望ヶ峰学園に選ばれたことは純然たる事実」
セレス「私は思いましたわ。それは単なる偶然ではなく、苗木君の持つ「何か」が苗木君自身を希望ヶ峰学園へ導いた、その結果であろうと」
セレス「そしてその「何か」を見極め、モノにすることで、私もギャンブラーとしてさらに成長できると……」
セレス「それなのに、当の苗木君は、自分の才能と向き合い困難に立ち向かうどころか、弱さを盾に勝負から逃げることを選んでしまうだなんて……」
セレス「あまつさえ、ギャンブラー人生を懸けた乙女の一世一代のお願いを無碍にして、成長の機会を奪うだなんて……」
セレス「これをビチg、卑怯者と呼ばずして何と呼ぶのでしょう?」
セレス「私の見込み違いとは言え……」
セレス「正直、ガッカリですわ」
苗木「」プチン
苗木「希 望 を 捨 て ち ゃ ダ メ だ !!」論破!!
セレス「あら、まだいたんですの? もはや貴方に用はありませんわ。どこへなりとお失せなさい」
苗木「いや、僕だってそこまで言われたらもう引き下がれないよ」
苗木「正直、どこまでセレスさんの相手が務まるかはわからないけど……」
苗木「これがセレスさんの力になるって言うなら、いくらでも協力するよ!」
セレス「苗木君……」
苗木「ただし、僕も『超高校級の幸運』として、やるからには全力で相手をさせてもらうよ!」
セレス「あ、ありがとうございます」
苗木「こっちこそ、ごめん。てっきりセレスさんが勝負にかこつけて僕をカモろうとしてるのかなんて邪推しちゃったんだ」
セレス「まあ……ひどいですわ、私がそんなことするわけがありませんわ」
苗木(してるじゃないか)
セレス「では、とにかく今日の9時に娯楽室でお待ちしていますわ」
苗木「うん、わかった。じゃあね!」
セレス(チョロいな)
セレス「ウフフ……」
セレス「苗木君にはいずれ私のナイトになってもらわなくてはなりません」
セレス「霧切さんや舞園さんの手垢が付く前に、私のものにしなくては……」
――
――――
セレス「どうしましたの、苗木君? 貴方の実力はそんなものではないはずですわ!」
苗木「やっぱりセレスさんにはかなわないよー。しりのけまでぬかれてはなぢもでないよー」
セレス「さあ、もうひと勝負行きますわよ」
苗木「もうすってんてんで、かけるものがないよー」
セレス「まあ……では、最後に苗木君自身を賭けてくださいな。私も私を賭けますわ。勝った方が負けた方を好きなように出来るというのはいかがでしょう?」
苗木「わひー。セレスさんをすきにできるだなんてー。がぜんやるきだよー」
セレス「あらあらウフフ」
――――
――
ガラ
苗木「お待たせ、セレスさん!」
セレス「! お待ちしておりましたわ、な……え?」
葉隠「うーす、邪魔するべ!」
狛枝「娯楽室か……入るのは初めてだね」
セレス「え? ……え?」
苗木「よかったよ、時間に間に合って。ふたりを呼びに行ってたから、遅れるかと思って焦っちゃったよ」
セレス「えーと、苗木君?」
苗木「どうしたの、セレスさん?」
セレス「そのお二方は、一体……?」
狛枝「初めまして、『超高校級のギャンブラー』セレスティア・ルーデンベルクさん。『超高校級の幸運』狛枝凪斗です。よろしく」
セレス「はあ、よろしく。いえ、そうではなく……なぜ、そのお二方がここに?」
葉隠「かー。セレスっちも水臭いべ。同じ「ヤスヒロ」同士仲良く遊びましょっちゅー、苗木っちの粋な計らい……」
セレス「テメェはすッ込んでろやインチキ野郎がぁあああああ!!」
葉隠「ヒィ」
苗木「セレスさんが『超高校級の幸運』から学びたいことがあるなら、
僕だけじゃなく、もっと多くの人と戦った方が良いんじゃないかと思ったんだ」
苗木「あいにく、他の『超高校級の幸運』の知り合いは狛枝クンしかいなかったから彼しか呼べなかったけど、
それでも僕一人と戦うよりはずっと良いはずだ」
狛枝「僕ごときにセレスさんのような人の相手が務まる訳はないけど、苗木クンの頼みだったからね。
同じ『幸運』のよしみで、引き受けさせてもらうことにしたんだ」
セレス「あー……なるほど。それはわかりましたわ。ですが……」チラ
葉隠「かー。セレスっちも水臭いべ。同じ「ヤスヒロ」同士仲良く遊びましょっちゅー、苗木っちの粋な計らい……」
セレス「すッ込んでろッつッてんだろがネオマンジュウウニがぁあああああ!!」
葉隠「ヒィ」
セレス「は?」
狛枝「彼は「どんな未来でも20%の確率で言い当てる」能力を持つ『超高校級の占い師』。
言い換えればそれは、「20%の確率で未来を確定させる」能力ということになる。
『運』について学びたいなら、ある意味彼は僕ら『幸運』よりもうってつけの相手だと思わない?」
セレス「ぐぬぬ……」
葉隠「ま、そーゆー事だべ! なんだかよくわかんねーが、セレスっちのために俺が一肌脱いでやるべ! 大船に乗ったつもりで」
セレス「」ギロリ
葉隠「ヒィ」
狛枝「そうだね。まぁ、僕ごとき屑が『超高校級のギャンブラー』に何を教えてあげられるのかはわからないけど……
こんな僕でも、君の希望の踏み台くらいにはなれると思うんだよね」
葉隠「まぁ、心配することはないべ! ピーンと来たべ、この試練を乗り越えれば、
セレスっちは一回りも二回りも大きく成長できるべ! 俺の占いは三割当たる!」
苗木「せっかく4人いることだし、まずはオーソドックスに麻雀からにしようか」
葉隠「おう! ノって来たべ! 点あたり千円賭けだべ!」
セレス「……」
セレス(当事者たる私を差し置いて話が進んでますわね……)
セレス(こうなっては仕方がありません、予定変更ですわ)
セレス(全員まとめて、私の奴隷にして差し上げますわ!!)
――――
セレス「」
狛枝「ツモ。ツモ。ロン。ツモ」
セレス(『超高校級の幸運』のひとりとは言っていましたが……)
狛枝「ツモ。ツモ。カン……パオ。テンパイ。ロン。ツモ」
セレス(先程から、バカヅキなんてモンじゃありませんわ……)
狛枝「ロン。ロン。ツモ。ツモ。テンパイ。ツモ。テンパイ。ロン。ツモ。ツモ。ツモ。」
セレス(狛枝……凪斗……)
狛枝「ロン。ツモ。ツモ。」
セレス(この男……)コト
狛枝「ロン」
セレス「ッ!?」
狛枝「あ、八連荘だから48000点だね」
セレス(……一体、何者!?)
セレス(何の疑問も持ってない!?)
狛枝「僕の唯一の取り柄だからね。これくらいは僕にだって出来るよ」
セレス(なアホな)
苗木「でも、これはすごいよ。やっぱり、狛枝クンの『幸運』に比べたら僕なんて……あ、セレスさん、それロン! 24000点」
セレス「!?」
セレス(苗木君まで!?)
葉隠「うお、苗木っちも調子が出てきたみたいだべ! よーし、俺も負けてはいられないべ……む!」
セレス「な……何を言ってますの!?」
葉隠「俺の占いは3割当た……ツモったべー! 13面待ち国士地和! 24000・48000だべー!」
セレス(なアホな)
狛枝「……」
セレス(アホの葉隠君ですらトリプル役満を和了ってますのに……)
狛枝「……ん。セ……。……スさん」
セレス(これでは、私の立場がありませんわ……)
狛枝「セレスさん?」
セレス「!? あ、あぁ、申し訳ありません。少しボーっとしていましたわ……」
狛枝「あははっ、良かった。僕みたいな屑とは話もしたくないから、無視されてるんじゃないかと思ったよ。
あ、それとも、呼び名を変えた方がいいのかな? ここはいっそ、本名の方で安広さんと」
狛枝「セレスさんこそ、どうかしたのかなって」
セレス「は?」
狛枝「さっきから僕達3人ばっかり和了っているから気になってるんだ。もしかしたら僕達に気を遣って、手加減してくれているのかな、って」
セレス「……だったら、どうだと言うんですの?」
狛枝「正直、ガッカリだなあって」
セレス「……え?」
狛枝「やっぱり、僕ごときの力じゃあ超高校級の才能の踏み台にすらなれないのかなって」
狛枝「僕には、『幸運』以外に何の取り柄も才能もないから、それができなきゃ存在価値が無くなってしまう」
狛枝「キミの『希望』のための踏み台になれない……そのことが残念でしょうがないんだ。自分の無力さが悔しいよ……」
セレス(先ほどから、この方はわけがわかりませんわ)
セレス(あれだけの和了りを続ける不気味な運もそうですが、先ほどから妙に固執している『希望』とは、一体どういう意味なのでしょう)
セレス(いいえ、そんなことはもう問題ではありませんわね)
セレス「ムカツク……」ボソ
苗木「? セレスさん、何か言った?」
セレス(叩き潰して差し上げなければ、気が済みませんわ)
セレス「いいえ、何も」
苗木「そう? なら良いんだけど……」
セレス(こんな……こんなわけのわからない男に……)
セレス(『幸運』なんかに負けたりしませんわ!)キッ
――――
狛枝「ツモ」
苗木「ツモ。ロン」
狛枝「ロン。ロン。ツモ」
セレス(幸運には勝てませんでしたわ……)
葉隠「いやー、二人にはさっぱり敵わないべー」ハッハッハ!!
セレス(私はもう眼中にないという事ですの……?)
苗木「それは違うよ! 葉隠クンは、自分の和了局を毎回言い当ててるじゃないか!」論破!!
ワイワイキャッキャ
セレス(パーペキに蚊帳の外ですわね……)
狛枝「……」
セレス(く……これだけはやりたくありませんでしたが、仕方ありませんわ!!)カッ
狛枝「……」コト
セレス「ロン!! 24000点!!」
狛枝「……」
葉隠「うお! セレスっちさすがだべ!」
セレス「……フフフ、これくらい当然ですわ。 さあ、次に行きますわよ」
狛枝「いや、残念だけどここまでだよ。セレスティア・ルーデンベルクさん」
セレス「……え?」
葉隠「何言ってるべ! 夜はまだまだこれから……」
狛枝「そうじゃないんだ。……セレスさん。僕はね、イカサマを咎めるつもりはないよ」
セレス「!?」
苗木「狛枝クン、一体何を……」
狛枝「苗木クン、良く見てよ……ほら、セレスさんがこの局の6巡目に捨てた牌は、6筒ではなく6萬だったハズだ」
セレス「…………!!」
葉隠「げ! 全然気付かなかったべ!」
狛枝「当然だよ。イカサマなんてギャンブルで当然行われる行為である以上、気付かれてはいけないものだからね。
そしてそれと同時に、当然気付かなくてはいけないんだ……『超高校級のギャンブラー』なら、ね」
狛枝「セレスさん。僕が、今夜の対局で何度積み込んでいたかわかるかい?」
セレス(……!? 嘘でしょう!?)
狛枝「僕はてっきり、セレスさんがすべて見逃してくれていたんだと思っていたよ。でも、その反応を見る限り、やっぱり違うみたいだね」
狛枝「確かに、踏み台になっていいと言ったけど、それはあくまで才能が希望として開花するのを見届けるためだ」
狛枝「ただ単に君のアイデンティティを守るためじゃない」
狛枝「僕は、『希望』の踏み台になれないことが残念だと言ったけど」
狛枝「それよりも残念なのは、自分の憧れた才能の、『希望』の終わりを見てしまうことだ」
狛枝「仮にも常に真剣勝負に生きる『超高校級のギャンブラー』が、いくら僕みたいなどうしようもない屑相手だからと勝負を投げてしまうなんて……」
狛枝「セレスさん……君はもはや、『希望』なんかじゃない」
狛枝「ただの『絶望』だよ」
狛枝「君はもう、ここまでなんだ」
セレス「」
BREAK!!
苗木「あ、ちょ、ちょっと、狛枝クン……」
葉隠「あー、えーっと……俺も今日はこの辺で帰らせてもらうべ……」ソソクサ
苗木「葉隠クン……」
苗木「…………」
セレス「…………」
苗木「…………えっと」
セレス「……あら、まだいたんですの? もはや貴方に用はありませんわ。どこへなりとお失せなさい……」
苗木「…………うん。また明日……」ガチャ バタン
セレス「…………」
セレス「わたくしは……」
セレス「いったい……」
――――
狛枝「やあ、苗木クン」
苗木「あ、狛枝クン……昨日は、ありがとう。結局、全部狛枝クンの言ってた通りになっちゃったね」
狛枝「……セレスさんはどうだった?」
苗木「やっぱり大分堪えちゃったみたいだね。見ていられなくて、結局出て来ちゃったよ」
狛枝「彼女は、きっと大丈夫だよ。なにせ、『超高校級の占い師』のお墨付きだ」
苗木「全部、セレスさんのために……?」
狛枝「まあ、僕みたいなどうしようもないヤツが彼女の成長の一助になろうだなんて、おこがましいにも程があると思われるだろうけどね」
苗木「セレスさんの、成長……でも、さすがにちょっとやりすぎだよ。僕、セレスさんの様子を見て来る」タッタッタ……
狛枝「…………」
狛枝「そ れ は 違 う よ ……」
狛枝「彼女だって、仮にも『超高校級』の才能を持つ希望のひとりなんだよ。この程度の絶望に、負ける訳ないじゃないか」
狛枝「ねぇ、想像しただけでゾクゾクしないかい? この絶望に打ち克った彼女の才能が、どんな希望となって輝くのか……」
狛枝「僕はね、『超高校級の超高校級マニア』として、そんなふうに才能が昇華する瞬間に立ち会うために、この希望ヶ峰学園に来たんだ」
狛枝「僕の『幸運』をもってしても、その瞬間に立ち会うことはいまだできない……
その現実は、僕と他の『超高校級』の皆との距離をそのまま表しているように思う事もある」
狛枝「そして、その距離は絶望的なまでに長い」
狛枝「だけどね、その絶望を乗り越えた先にこそ、僕が求める真の希望があるんだ」
狛枝「その希望を見届けるためなら、どんな手段だって厭わないんだよ」
狛枝「君たちを絶望に堕とすことだって、ね……」
終里
あぁああああ…ああ…あっあっー!あぁああああああ!!!希望希望希望ぅううぁわぁああああ!!!
あぁ見せて見せて!見せて見せて!ほらほら!諦めないで負けないで!僕に希望を見せてよぉ…はははは
んはぁっ!絶望的なこの状況での君達の希望をもっともっと感じたいよ!ほらほら!あぁあ!!
間違えた!輝く希望を見たいよ!ほらほら!負けないでって!希望をもっと!ほらほらもっと頑張って…ほらほらほらぁ!!
前回の君達の希望は素晴らしかったよぅ!!あぁぁああ…あああ…あっあぁああああ!!ふぁぁあああんんっ!!
今回もコロシアイが起きて良かったね皆!あぁあああああ!眩しい!皆の希望が!素晴らしいよ!あっああぁああ!
この目で君達の希望を見れて嬉し…あれ?どうしたの?
…ねぇ、いきなり黙っちゃって…あ…もしかして、諦めちゃったの…?
君 達 の 希 望 は そ の 程 度 な の?………………………………………
あーあ、がっかりだなぁ…君達の希望ってその程度なの?超高校級の君達の希望って……
あぁ、まぁいいよ、それが君達の希望なら…僕はそれに従うだけ…ん?諦めて…ない?日向君はまだ諦めてない?
素晴らしいよ!日向君はまだ諦めずに希望を持ってるんだね!日向君の希望が見えるよ!日向君の希望が皆にも希望を与えてくれる!!
そして、そんな皆の希望が僕にはとても眩しいよ!!!よかった…世の中まだまだ捨てたモンじゃないんだねっ!
ははははははははははははっ!!!僕には皆の希望が見える!!素晴らしいよ日向君!!皆も諦めないってさ!!!
あ、議論の方も進展したね!はははははははははははははははははははははっ!!!!
あっあんああっああんあ素晴らしいよぉ!!希望!!希望ぅぅぅぅぅうううううう!!!素晴らしいよぉぉおお!!
ううっうぅうう!!でもさ、ここで僕があれを話せば……皆の希望はもっと輝けかもしれないね!
そ れ は 違 う よ (笑)
このコピペ改変つくった奴すげーセンスあるよな
マジキチだけど
なんだこの改変www
Entry ⇒ 2012.08.11 | Category ⇒ 版権物SS | Comments (2) | Trackbacks (0)
モモ「こちらモモ、白糸台麻雀部に潜入したっす」
モモ「先輩…褒めてくれるっすかね……」
モモ「清澄の部長が約束を守ってくれればいいっすけど」
久『無事帰ってきたらゆみの着替え生写真あげるわよ』
モモ「…よく考えたらなんで持ってるんすかね?」
モモ「まぁいいっす!早速麻雀部に行くっす!」
モモ「あっ……!見つけたっすよ宮永照!」サッ
照「……………」
照「……長いお別れ」ボソッ
菫(あの照がレイモンドチャンドラーを読んでいるだと…!?)
照「なにか失礼なこと考えてない?」
菫「そんなことはないぞ……」
照(官能小説とは言えない…)
菫(似合わない…)
淡「遅れましたー」ガチャ
モモ(あれが大星淡っすね)
照「遅かったね」
淡「掃除当番だったんだー」
菫「ああ、今日は出れないと連絡があったよ」
淡「じゃあ今日は三人かー。なにする?」
照「かくれんぼ」
菫「却下」
淡「私トランプ持ってきたよ」
照「じゃあポーカーしよう」
淡「配るね」
菫「いや、おい……」
菫「フルハウス」
照「ロイヤルストレートフラッシュ」
モモ「……お菓子発見したっす」ゴソゴソ
菫&淡「なっ!?」
照「……」ドヤッ
菫「なっ…イサカマだ!イカサマに決まってる!」
淡「ずるい!ずるい!」
照「実力の差」
照「結果は素直に受け止めるべき」
菫「くそっ!もう一回だ!」
照「さぁ罰ゲームとして」
淡「え!?聞いてない!罰ゲームなんて!」
照「脱げ」
菫「なんと卑怯な…!」
照「冗談だよ。そんなに酷くない」
淡「ほっ……」
菫「次はなにするか…」
モモ(麻雀はしないんすか…?)
照「ポッキーゲーム」
淡「そういえばお菓子買ってきたんだよ」
照「これのこと?」モシャモシャ
淡「なんでもう食べてるの!?」
照「もう開いてたけど」モシャモシャ
モモ(まあまあっすね)モシャモシャ
淡「そんな訳ないもん!」
菫「落ち着け淡」
モモ(暇っすね…いつ麻雀始めるんすか)
モモ(……少しくらいイタズラしちゃってもいいっすよね?)
モモ(少しくらいならバチは当たらないっすよ!)
モモ(宮永照のカバンでも漁ってみるっすかね)ゴソゴソ
モモ(こ…これは……アルバム?)
モモ(3冊もあるっすね……って)
モモ(リンシャンさんで一冊埋まってるっす……)
モモ(こっちは……)ゴソゴソ
モモ(……大星淡にあそこのロングヘアーの人のが1冊ずつ……)
モモ(確か名前は弘世菫……)
モモ(寝顔に着替え中にあれ…?これはシャワーシーン……)
モモ(……盗撮っす)
モモ(日記もあるっす)
照『咲可愛い。さすが私の妹だ抱き締めたい』
照『しかし菫と淡も可愛い』
照『三人が織り成すトライアングルに囲まれて…』
照『私は一体どうすればいい…!!』
照『…そうか、なら全員まとめて愛せばいいんだ!』
モモ(……)パタン
照「……」ジー
モモ(あれ!?見られてるっすか?ま
さかそんなこと…)
照「……」ジー
モモ(いやいやいややっぱり見られてるっす!)
菫「照、お前さっきからどこ見てるんだ?」
モモ(まずいっす!一人ならまだしも全員に見つかったらヤバいっす!)
照「……あそこにトラがいたから」
淡「とら?」
菫「なんだトラなら仕方ないな」
モモ(なんだ…トラっすか)
モモ(これは……またアルバムっすか?)ペラッ
モモ(宮永照の写真しかないっす!)
モモ(寝顔に水着に体操服に…これ全部盗撮じゃ……)
モモ(これって剥ぎコラって奴っすかね……?)
モモ(うわ、また日記っす……)ペラ
菫『照…いつか私がお前の心を射ぬいてやる…』
菫『プールの授業のあと靴下が無くなったって言ったね?』
菫『実はあれな…』
菫『私なんだよ』
菫『昨日箸が無くなったって言ったね?』
菫『実はあれも……』
菫『私なんだよ』
モモ(……)パタン
モモ(次行くっす次)
モモ(じゃあ次はっと……これは大星淡のカバン)
モモ(どれどれ……)ゴソゴソ
モモ(アルバムはないようで安心したっす)
モモ(…なんすかこれ?日記っすか)
モモ(どれどれ……)
一日目…謎の多い人物、宮永照
クールで無表情なので見てて面白くない
菫先輩と仲が良いみたいなの色々聞き出そう
二日目…頭部から飛び出している角は一体なんだろうか
謎は深まるばかりである
モモ(たしかにあの角は気になるっす)
三日目…今日は機嫌が悪いようだ
誰かにプリンを食べられたらしい
……私が勝手に食べたことは誰にも知られてはならない
ときどきテルを見る目がギラついている
私は一時的にテルの観察を中止して
菫先輩の調査を開始することにした
五日目…なんと言うことだろうか
菫先輩のカバンを漁ってみたところ一冊のアルバムを発見した
だから目付きがエロいのか
私の推理は間違っていなかった
六日目…そろそろ決着をつけよう
私は明日菫先輩を問い詰めてみることにした
モモ(……)ゴクリ
大大大大大好き!愛しています!
今日から私もアルバムを作ることにしました!
嗚呼…麗しのテル……大好きです
モモ(み、ミイラ取りがミイラにー!)ガクガク
モモ(まさか本当に変態の巣窟だったなんて……)
モモ(弘世菫……一体何者なんすか)チラッ
照「……」ジー
モモ(んなっ!)ビクッ
モモ(見てるっすー!絶対見てるっすよあれ!)
淡「またとら?」
菫「なんだまたトラか。仕方ないトラだな」
照「……うん」
モモ(セーフっす……)
モモ(危ないところっすね)
モモ(レベル高すぎるっすよ…)
淡「んー暇ー」
菫「暇だな」
照「王様ゲームしよう」
菫「却下だ」
モモ(真面目を装ってても変態なんすよね…)
淡「そういえば亦野先輩から面白いもの貰ったんだよ」
淡「熱源感知なんとかって言ってたけど…あれ?」スチャ
菫「なに?」
モモ(それは反則っす!)ササッ
淡「ん!?ん!?」キョロキョロ
菫「どこにもいないじゃないか」
淡「あれー?おかしいな…」
モモ(…収穫もないみたいっすしそろそろ帰るっすかね)
モモ(これ以上変な道具出されても困っちゃうっす)ソソクサ
菫「それ壊れてるんじゃないのか?」
淡「えー…」
照「ちょっとトイレ」
なんかエロいな
モモ「生写真は惜しいっすけどいつも一緒にいるっすからね」
モモ「帰る前にトイレはっと……あった」
照「……ねぇ」
モモ「!」ビクッ
モモ(……)チラッ
モモ(……独り言っすよね?)
照「私には全てお見通し」
照「この…照魔境で!」ドヤァ
モモ(…まずいっすそんなの聞いてないっすよ!)
モモ「…見えてるんすか?」
照「もちろん。あなたがやっていたこと全て見ていた」
モモ「…帰してくれたりは?」
照「…さぁ?考えておく」
モモ(私のほうが背も胸も上っす…)
モモ(ステルスを最大限活用すれば抜け出せるっす!)
モモ「うわぁぁぁぁ!」ドドド
照「……!」
誠子『先輩、まずCQCの基本を思い出して下さい』
モモ「ここは……?」
照「部室だよ」
モモ「あぁそういえば投げられて……」
モモ「ってどうして縛られてるっすか!?」
照「あのまま大人しくしていれば帰してあげたのに」
照「お仕置きが必要になった」
モモ「嫌っすー!」
照「安心していい。菫も淡も今日は帰した」
照「3対1は卑怯だからね」スッ
モモ「…うぅ」ピク
照「やめてほしい?」
モモ「……」コクッ
照「じゃああなたの目的は?」
モモ「そ、それは……」
モモ「えと……」
照「はぁ」
照「……さてと」
モモ「やめるっすー!」
照「じゃあ目的は?」
モモ「………敵情視察っす」
照「……へぇ」
照「まぁそのことは良いとしても…」
照「私のアルバムとか物色してたよね?」
モモ「いや、あれは……」
照「咲の裸見たよね?」
モモ「リンシャンさんの裸なら合宿のときに…」
照「見たと…」
照「私でさえ小さい頃の裸しか知らないのに」ブツブツ
モモ「仕方ないじゃないっすか!」
照「それ相応のバツを受けてもらう」
モモ「ちょっ!なんで脱がすんすか!」
モモ「いやっほんとにやめてくださいっす!」
モモ「謝りますからお願いするっす!」
照「あなたなかなか可愛い顔してるね」
モモ「なっ!」
照「……咲には負けるけど」パチパチ
モモ「やめて…」
照「私は和姦派だけど………」
照「嫌がってる子を相手するのも悪くない」
モモ「いやぁあ!」
照「もう助けを求めても無駄だよ」
照「…ではいただきます」
照「いい声出すね」
モモ「お願いっす…やめてほしいっす……」
照「……嫌だ」
照「……」ピトッ
モモ「ッ!」ビクッ
照「もうこんなに濡れてる」
モモ「嘘っす!そんなことないっす!」
照「可愛い」クチュクチュ
モモ「~~~!あっ、やめっ!」
照「大きな胸だね」ハムッ
モモ「す、吸わないでほしいっす…あっ!」ビクッ
照「やっぱり感じてる」
モモ「感じてなんかぁ…んぁあ!」
照「強がっちゃって……」ンチュ
モモ「!?」
モモ「はむっ…んちゅ、れろっ…」
照「やっぱり可愛いな」
モモ「はぁ…はぁ…」ビクビクッ
照「ぐったりしちゃって可愛いぞ」
モモ「うぅ……」
照「これに懲りたらもうスパイなんてしないことだ」
照「遊びに来るのは一向に構わないけどね」
モモ「うぅ……」ダッ
モモ(絶対この借りは返してやるっす…!)
照「さて、アルバムを一つ増やそうかな」
モモ「ダンボールを被って再潜入っす!」
モモ「今度こそ弱点を見つけてやるっすよ!」
モモ「もしまた見つかったら……」モジモジ
亦野「動くな」
モモ「ひっ!」
カン
Entry ⇒ 2012.08.11 | Category ⇒ 咲-Saki-SS | Comments (0) | Trackbacks (0)
淡「尭深ちゃ~ん、おなかすいた~」尭深「え?」
尭深「う、うん・・・それで?」
淡「わっかんないかな~まったく~」
尭深「えっと・・・お茶菓子あるけど食べる?」
淡「あ……うん、それでいいや。ありがと」
尭深「そ、それじゃあまた明日ね///」フリフリ
淡「それじゃね~バイバイ!また明日~」
淡「・・・・・・」
淡「ああああああああああああああああああああああああああ」
淡母 アワイ、ウルサイ!
淡「ふぅ・・・」
淡「そうじゃないだろ・・・あたし」ハァ
淡「あ~なんで素直になれないんだろな・・・」
淡「もっと尭深ちゃんと仲良くなりたいのに・・・」
淡「いっしょにお茶飲もうって言うだけじゃん」
淡「あぁ~もう!しっかりしろあたし!」
淡「・・・うん、明日がんばろう・・・」
淡「ふぁ~あ、眠い・・・」
淡「あ・・・尭深ちゃんだ!お~い尭深ちゃ・・・」ハッ…
亦野「あはは・・・でさ・・・・・・なんだって」
尭深「・・・そうなんだ・・・・・・そういえば・・・・・・」
淡「っ!亦野先輩といっしょ・・・か・・・あの二人いっしょに登校してたんだ・・・」
淡(仲いいし・・・付き合ってたりするのかな・・・)ズキッ
淡(あれ?なんだろ胸が痛い・・・)ズキズキッ
淡(お弁当・・・部室で食べよっかな?)
淡(尭深ちゃん、いつも部室で食べてるんだよね)クスッ
淡(・・・・・・でも・・・)
淡クラスメイト「淡~いっしょにたべよ~」
淡「・・・うん、たべよ~」
淡(・・・部室には放課後行こう・・・)
淡クラスメイト2「あ、淡のお弁当おいしそう・・・」
淡「そうかな?あ、この玉子焼き手作りなんだ~」
淡クラスメイト「え~マジ~?ちょっと食べさせて~」
淡(・・・本当は尭深ちゃんに食べてほしくて作ってみたんだけどな…)モグモグ・・・
淡クラスメイト「うんま~~い、最高っ!」ムシャムシャ
淡「ありがと…」ハァ…
淡クラスメイト2「どうしたの・・・淡?」
淡「う、ううん…なんでもない。そういえば現国の・・・・・・」
淡(また今度…だね…)
淡「遅くなりました~」ガラッ
淡(・・・あれ?)キョロ
カン ツモ リンシャンカイホー マージャンッテタノシイヨネ
淡(尭深ちゃん・・・いない・・・?)キョロキョロ
コルホーズリーチッ! ライジングサンッ!! ライジングサンガエシッ!!!
淡(なんで・・・いないの・・・?)キョロキョロキョロ
ヤメローシニタクナーイ アンタセナカガススケテルゼ… キンッキンニヒエテヤガル…
淡(どうして?朝はいたのに・・・)ウルッ
ガラッ
淡「っ!尭深ちゃん!?」
淡「て、照先輩・・・」
菫「急にどうした大星!?」
淡「ご、ごめんなさい。ちょっと考え事してて・・・」
菫「尭深・・・ああ渋谷か。渋谷なら今日は来ないぞ?」
淡「え・・・なんで・・・」
菫「体調不良…だそうだが、なにか用事でも?」
淡「そ、そうなんだ…いえ何でもないです…」シュン…
照「・・・」フムゥ…
菫「ふむ、いいだろう。お前たちはどうだ?」
照「いいよ」
淡「・・・うん」
~~~~~~~~~~~~~~~~~
2時間後
~~~~~~~~~~~~~~~~~
照「ロン、リーチ一発ピンフイッツー、12000の2本場で12600・・・
照「また一人トビだな、淡」
淡「・・・・・・」
亦野「ひょっとして女の子の日か?なんてな、はははっ」
菫「亦野!からかうのはいいが、言いすぎだ」
淡「・・・・・・ちょっと早いけど今日は帰ります」
亦野「あ・・・なんかごめん」
淡「ううん、大丈夫・・・それでは」
照「な、何も知らないよ!?ただ心当たりが…」
菫「心当たり?何でもいいから早く言え」
照「菫…イライラすると禿げるよ」
菫「誰が原因だ!誰が!!」パロスペシャルッ
照「いたいいたいいたい間接がいたいっ!!」ギリギリッ
亦野「ははっ」
菫「弓を使わないだけマシだろう」ギリギリギリッ
~~~~~~~~~~~~~~
菫「…で心当たりとは?」
照「渋谷さん…」
菫「何でそこで渋谷の名前がでるんだ?」
照「さっき、今日渋谷さんが来ないって聞いてすごく悲しそうな顔してたから」
菫「ふむ…お前にしては珍しくわかりやすい回答だ……よくわかったな」
照「淡はわたしのお気に入りだからね」フンス
菫「…そうだな」クスッ
照「とにかく淡には元気になってほしい。そこでみんなに聞いてもらいたいことがある」
菫「なんだ?また変なことじゃないだろうな」
亦野「面白いことですか?」
照「明日の昼休みなんだけど…」
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
カポーン
淡「…」グスン
淡「…なんなんだろ最近…」
淡「尭深ちゃんのことばっかり考えてる…」
淡「はじめは大人しそうなひとだな~って思ってて」
淡「ちょ~っとちょっかいかけたらさ~」
淡「…すっごいかわいい反応とかしちゃうしさ~」
淡「反則だよ…もー…」ブクブクブク
淡「それにあのおもち…」
淡 ジィ・・・ ムニムニムニ
淡「はぁ…うらやましい・・・」
淡「…ブログの更新しよっと…」
☆ビッグスターあわあわ☆
今日気になる先輩が部活を休んだの
なんだかぜんぜん手につかなくて
他の先輩に怒られちゃったグスン
明日は会えるかな?あわあわファイト!
淡「……こんなんでいいかな?」
淡「・・・・・・」
淡「あ、コメントきた。いっつもはやいな~この『渋井丸尭男』って人」
淡「『わたしも今日後輩に会えなくて残念だったよ~』っか~」
淡「…尭深ちゃんもこんな風に思ってくれてるのかな・・・・・・」
淡「…コメント返信しよ」
淡「…ナデナデ・・・か・・・」
淡「お願いすればしてくれるかな・・・」ボソッ・・・
淡「っ~~!!//////」
淡「そんなわけないない!!もう寝よっと!お休みなさい!」
淡「…おやすみ、尭深ちゃん」ボソッ・・・
淡「っ~~~~~!!//////」バフンバフン
淡(…今日は、ううん今日こそは・・・部室に…)
淡クラスメイト「お~淡ぃ~今日も一緒に食べようよ~」
淡「あ…」
淡クラスメイト2「あ、もしかして先約あった?」
淡「だ、大丈夫だよ、なんでもない・・・さっ、はやくたべよ!」
淡(うん…放課後…放課後会えるもん…)
ガラッ
照「淡いる?」エイギョウスマイル
キャーテルサマーダイテー iPSサイボウナラドウセイデモコドモガ・・・ ウソダッ!!
淡「て、照先輩、こんにちは・・・どうしたの?」
照「お、いたいた。ちょっと付き合ってほしいんだけどいい?」
淡「今からお昼ご飯なんだけど、そのあとじゃだめ?」
照「そう、ちょうどよかった。弁当もってついてきてちょうだい」
淡「拒否権ない、みたいだねぇ…」
淡「っというわけ…ごめんね、また今度」
淡クラスメイト「うん~がんばれ~」
淡クラスメイト2「照淡…アリだ。しかし照菫に比べれば破壊力は…」ブツブツ
淡「あ…あはは…」
亦野「あ、尭深。今日も部室で?」
尭深「う、うん・・・誠子も行く?」
亦野「いや、今日は屋上で風に吹かれたい気分」
尭深「ふふふっ、なにそれ///」
亦野「おっと急がないと、じゃね」
尭深「うん…また後で」
プルルルル…プルルルル…ガチャ
亦野「こちら亦野、尭深は部室に移動中です」
菫『わかった。お前もこちらに戻れ』
亦野「わかりました、先輩」ガチャ…ツーツーツー
淡「で、どこ行くのん?」トコトコ
照「部室」トコトコ
淡「部室?緊急ミーティングとか?」トコトコ
照「うーん、まぁそんな感じかな」トコトコ
淡「へー……尭深ちゃんも来るの?」
照「ああ少し遅れるらしいけど…」
淡(尭深ちゃんと会えるんだ…昨日会えなかったし、なんかすっごく嬉しい///)
淡 ニマニマ
照「淡、なにかいいことあったか?」
淡「いいえ~、べっつに~」スキップルンルンルン
照「じゃあみんなが来るまで待っていてちょうだい」
淡「は~い、わっかりました~」
照「それじゃ私はお手洗いに行っておこうかな」
淡(まっだかなまっだかな~尭深ちゃんまだかな~)ルンルンルン
ガララッ ガララッピシャ…
プルルルル…プルルルル…ガチャ
照「菫?淡の誘導は終わったよ」
菫『ああ、こっちでも確認は取れている。それじゃあ渋谷が来るまで隣の教室で待機』
照「あとは菫の合図で…だね」
菫『ああ頼むぞ』
ガラッ
尭深「…あれ、淡ちゃん?」
淡「あ、尭深ちゃん!」
尭深「お昼休みに会うの、珍しいね///」
淡「あれ?先輩が今日は緊急ミーティングだって・・・」
尭深「ミーティング?聞いてないけど…」
ガチャリッ…
淡「施錠音?なに?」
尭深「…閉まってるみたい・・・」ガッガッ
照『淡、渋谷さん聞こえる?』
淡「照先輩!ちょっとふざけないでよ!」
尭深「そ、そうです。開けてください・・・」
照『今日の昼休み、二人きりで部室で過ごしてもらう』
淡「えっ!!なんで!?」ドキッ
尭深「・・・」
照『とにかく今日の昼休みは部室からは出られない』
照『安心して。午後の授業にはでれるから』
照『それじゃあがんばって』
淡「ちょ・・・ちょっとまってよ~」ドン
尭深「落ち着こう、大星さん・・・」
尭深「昼休みが終わるころには鍵を開けてくれるだろうから…」
尭深「とりあえず、ご飯たべよっか」ニコッ
淡「し、しっかたないな~、そこまでいうなら…」
尭深「…?」ジィッ
淡「うぅ~…た、食べよっか、尭深ちゃん!///」
尭深「うん!」
淡「い、いいよ。自分で淹れるから」
尭深「ついでだから。淡ちゃんは座ってて」
淡「…はい」
尭深「まっててね、おいしいお茶淹れるから」ルンルン
淡(かわいいな…この人)
~~~~~~~~~~~~~~~~~~
菫「お、お疲れ」
照「疲れなんかないよ」
亦野「みんなそろいましたね」
TV『あ、お茶淹れるよ』
TV『い、いいよ。自分で淹れるから』
菫「まさかあの二人は気づいていないだろう・・・」
照「部室が盗撮されているなんてな!」
亦野「悪趣味だなぁ、先輩たち」
菫「なにをいう、カメラを仕掛けたのはお前だろ」
亦野「テヘペロ」
照「ちょっと古くないか?」
~~~~~~~~~~~~~~~~~~
尭深「はいどうぞ」コトッ
淡「ありがと!熱っ!」
尭深「大丈夫?ふふっ、気をつけてね」クスッ
淡「///」ドキッ
淡(本当に・・・かわいいな・・・)
淡「///さ、さぁ食べようよ」
尭深「そうだね・・・あ、淡ちゃんのお弁当美味しそうだね」
淡「そ、そんなことないって~///」
尭深「謙遜しないで・・・ほらこの玉子焼きとか・・・」
淡「それ・・・あたしが作ったの・・・」
尭深「え、本当に?すごいね」
尭深「?」
淡「ど、どうしても食べたいなら食べてもいいよ・・・」
尭深「あ、ありがとそれじゃあ・・・あ」カランカラン
淡(あ・・・箸が・・・)
尭深「あ、落としちゃった・・・洗ってくるね」
淡「・・・鍵閉まってるけど・・・」
尭深「あ・・・」
淡「し、しかたないな~、ほらアーンして///」
淡(なにやってんのぉ~あたし!調子のんなあたし!)
尭深「・・・」ウーン
淡(ほら尭深ちゃんも困ってる!)
尭深「///」アーン
淡(やるのかよ、あんたかわいいなホント)
淡「は、はいアーン」ブルブル
尭深「ん」パク
尭深「///」モグモグゴックン
尭深「おいしいよ、私甘い玉子焼き大好きなの・・・それに///」
尭深「淡ちゃんの味、好き///」
淡「へ、へー」ドックンドックン
淡(ああああああああああああああああああああああああああああああああ)
淡(もおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお)
淡(・・・・・・ふう)
淡(もひとつ、もおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお)
淡(ああああああああああああああああああああああああああああああああ)
淡(・・・ふう・・・)
淡「そ、それじゃあ・・・あたしはそのコロッケたべたいな~」
尭深「え///」
淡(あ、やばっ・・・これ調子のりすぎたかも・・・)
尭深「」モジモジ
淡「な、な~んてねHAHAHA・・・」
尭深「あ、淡ちゃん・・・はいあーん///」
淡「・・・」アーン
尭深「///」ヒョイ
淡「・・・」パクモグモグ
尭深「どう?///」
淡「とってもおいしーよ」ニコッ
淡(・・・・・・)
淡(・・・・・・・・・)
淡(やばい・・・萌え死ぬ・・・)フラァ・・・
バターンッ!
尭深「淡ちゃん!?どうしたの!大丈夫!?淡ちゃん!」
淡「バタンキュゥ・・・」
~~~~~~~~~~~~~~~~
亦野「助けに行きますか」ニヤッ
菫「なにをいっている?」ニヤニヤ
照「これからがいいところ・・・だろ」ホホエミ
~~~~~~~~~~~~~~~~
淡(・・・ん?あたしどうしちゃったんだっけ・・・)
淡(たしか・・・フラッときてそれでクラクラ~として・・・)
淡(床に倒れちゃって・・・)
淡(・・・?だけどなんだかやわらかいぞ・・・えっと・・・もしかして?)
淡「」パチクリ
尭深「急に倒れるからびっくりしちゃった」
淡「」
尭深「も~寝不足?自己管理ちゃんとしないと、めっ、だよ///」
淡(うん、まだ夢の中みたいだ。あたしの妄想すごいな)
淡(いくらなんでも膝枕なんて・・・ねぇ?)
尭深「大丈夫、むしろ安心できる重さかな///」
尭深「だから淡ちゃんがいいならこのままでいさせて、お願い!」
淡「う、うん・・・じゃあお願い!」
淡(尭深ちゃんがこんな風に言うのはじめてかも・・・)
淡「ひゃうぅ!!」
尭深「ご、ごめんね?ビックリさせちゃった?」
淡「う、ううん。大丈夫」ドキドキ
尭深「さ、触ってもいい?」ドキドキドキ
淡「べ、別にいいけど・・・」ドキドキドキドキ
尭深「//////」サワサワ…
淡「//////」ゾクゾクッ・・・
淡(でも・・・心地いいかも・・・)
淡(もっと・・・ううん。なでてほしいな・・・)
淡「た、尭深ちゃん、あのね・・・」
尭深「淡ちゃん、頭なでるよ」ナデリ
淡「んひゃん!」ゾクッ・・・
淡(・・・)ナデラレナデラレ
尭深「・・・」ナデナデ
淡(・・・)ナデラレナデラレ
尭深「///」ナデナデ
淡(///)ナデラレナデラレ
尭深「・・・実はね」
淡「・・・?」
尭深「ずっと、こうして淡ちゃんの頭をなでたかった・・・」
尭深「でも、できなかったの。私臆病だから」
淡「・・・」
淡(もしかしてブログの『渋井丸尭男』って・・・)
尭深「淡ちゃんはいつでもそう・・・知らないうちに勇気をくれるの・・・」
尭深「だから・・・かな?私あなたのこと・・・」
淡(尭深ちゃん・・・そういうこと・・・だよね)
尭深「私・・・」
淡(でも・・・でも・・・)
尭深「え?///」
淡「だめったらだめ!いっちゃだめ!!」
尭深「あ、淡ちゃ・・・」
淡「あたしから言うから・・・絶対言うからいっちゃだめ!」
尭深「淡ちゃん///」
淡「だから待っててほしいの・・・」
尭深「・・・いつまで?」
淡「あたしが優勝を決めて尭深ちゃんに告白する」
淡「尭深ちゃんはあたしのものだって全国に伝えるんだ!」
尭深「は、恥ずかしいよ///」
淡「いいじゃん、恥ずかしがってる尭深ちゃん可愛いんだもん」
尭深「///」ボンッ
菫「・・・」
照「・・・」
亦野「・・・」
菫「ま、まさかこんなことになるとはな///」
亦野「ちょっと責任大きくなりましたね///」
照「優勝できなかったら恨まれるな、ハハハ・・・」
菫「さて、そろそろ・・・終わりの時間だ」
照「ああ、わかってる」
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
ガチャリ・・・
照「お疲れ様、どうだった?」
淡・尭深「・・・」ギュ
照「ふふ、二人ともいい顔になってるね」
淡・尭深「///」
照「それじゃ昼休みは終わりだよ」
尭深「はい///」
淡「またあとでね、尭深ちゃん///」
尭深「うん///」
淡「ツモ、大七星」
照「・・・大会に大七星はないぞ」
淡「いいじゃないですか、どっちにしても字一色の役満で照先輩のトビ終了です」
照「う・・・」
菫「今日はすごいな、大星。特に照に対して」
淡「今日はいろいろやられたんで仕返しです」
尭深「///?」
淡「行かなきゃいけない場所がありまして・・・」
菫「ほう、まあ詳しくは聞かないでおこうか」
淡「いやだな~菫さんは知ってるじゃないですか」
菫「え・・・?」
淡「どうやら盗撮していたとか」
亦野「先輩すみません」ボロボロ
淡「言い訳はいらないんでとりあえず卓に座って」
照「菫・・・死なないでね」
菫「な、何をするんだ?大星、馬鹿やめr・・・」
~~~~~~放送自粛~~~~~~~~~
~~~~~~~解除~~~~~~~~~~
菫「すいませんでした!大星淡!」ボロボロボロ
淡「ふぅ・・・次こんなことしたら・・・」ギロッ
菫「二度としません!」ドゲザッ
照「同じく」ドゲザッ
亦野「助かった・・・」フゥ
淡「あ~そうかも・・・」
尭深「それより淡ちゃん・・・おなか空かない?」
淡「・・・うん」
尭深「うん、今お茶淹れるね///」
カン
【問】「もっとも美しいのはどれ?」
選ばれたのは… 「淡尭」 でした!
淡尭良いな!
Entry ⇒ 2012.08.11 | Category ⇒ 咲-Saki-SS | Comments (0) | Trackbacks (0)
淡「必殺技……?」
淡「必殺技ねぇ……」
照「必殺技と言ったら語弊になるかも……観る者に衝撃を与える和了って言えば正しいかな?」
淡「むむむ……何でそんな決まり事があるんですか?」
照「私たちの麻雀はただ勝てば良いってものじゃない……魅せる為の麻雀を打たないといけないの。それが全国2連覇した私たちの務め」
照「……ん?」
菫(どうして淡にそんな嘘をつくんだ?)ヒソヒソ
照(面白い方向に転ぶと確信したから……淡ならきっと邪気眼的なものを見せてくれるはず。淡が将来、その映像を見たら恥ずかしさのあまり穴に入りたい……否、穴に入れてもらいたくなるような恥ずかしいものを!)ヒソヒソ
淡「……?」
淡「まったくもって!」
照「そう……なら明日から頑張らないとな。インハイまでもう時間がない」
淡「はいっ!」
照「私も全面的に淡を手伝うよ。人がいて恥ずかしいようなら練習後の部室を使うといい……人払いくらいなら菫がしてくれるから」
淡「ありがとうテルー!」ダキッ
照「ふふ、頑張ってね」ナデナデ
菫「………」
照「誠子……いるか?」
誠子「御前に……」シュタッ
菫(どこから沸いたんだ……?)
照「頼みがある……明日までに部室の至るところに隠しカメラの設置を」
誠子「はっ!」シュンッ
照「ふふ、ふふふ……」
菫「不安だ……」
淡「先輩方のを参考にしたいけど、練習じゃ普通に打ってるんだねぇ……」
照「私たちの必殺技は体力をかなり使うからね……ココイチバンーって時じゃないと使わないよ」
淡(体力をかなり使う……?)
淡「ふぅ~む、なるほどなるほど……なるほど~」
菫「そうだな……一応、人払いの方は部員に呼び掛けておいたが」
照「流石、菫……なんだかんだ言ってノリノリ」
菫「う、うるさいな!」
照「淡、部室は好きに使うといい。私たちは自分の教室にいるから必要があれば呼んでね」
淡「はいっ!」
照「淡の練習が終わるまで待ってるから今日は一緒に帰ろうか」
菫「このパソコンで部室の様子が分かるというわけか……最近のパソコンはハイテクだな」
誠子「特注のカメラでミリ単位の動きだろうが、暗中だろうかバッチリですよ!」
照「ふふ、私もいい後輩をもったものだ」
尭深「………」ズズズ
照「どれどれ~」
『必殺技かぁ……』
『衝撃を与えるってことは五感に訴えかけるってことだよね……?』
『味覚、嗅覚は想像も出来ないから視覚か聴覚辺りが無難なのかな……?』
菫「ずいぶん真面目に考え込んでるんだな」
照「淡はああ見えて頑張り屋さんだからな」
菫「ぷぷっ」
照「あわあわ可愛い」
尭深「淡が牌を並べ始めた……」ズズズ
誠子「なにが始まるんです?」
尭深「大七星……」ズズズ
『すーはーすーはー……』
『7つの星に裁かれよ』キリリッ
尭深「……ブフォ!」
照「淡ならやってくれるって信じてた」
菫「ぷぷっ……お、お腹痛い……」
誠子「これは予想以上ですね」
照「尭深ー尭深ー」チョイチョイ
尭深「……?」ズズズ
照「『7つの星に裁かれよ』」キリッ
尭深「ブフォ!」
尭深「ゲホッゲホッ……だ、だって照先輩が……」
『これはちょっと恥ずかしいかな』
『なしなし!これはなし!』
菫「ちょっと!?かなりの間違いだろ」
照「次の必殺技に期待だな」
照「なっ、私の言った通りだったろ?」
菫「ふっ、照には敵わんな……」
照「誠子、さっきの淡の黒歴史集の編集を頼むね」
誠子「御意に」
照「ふふ、淡の誕生日プレゼントが決まったな」
尭深「鬼だ……鬼がいる……」ズズズ
照「淡、そろそろ帰ろうか」
淡「あ、テルー!」ダキッ
照「ふふ、こんな時間までよく頑張ったね」ナデナデ
淡「淡、いっぱい頑張ったの!」ニヘヘ
誠子「もう笑いすぎて私の腹筋がヤバいですよ。見てくださいよ6つに割れちゃってます」
尭深「それは元から……」ズズズ
照「全国も近いしそろそろ完成させてもらわないとな……ちょっと淡に必殺技がなんたるか教えてくる」
『あれ?テルーどうしたの?』
『淡が必殺技開発に煮詰まってるようだからね……私の必殺技で良ければ参考にしてもらおうと思って』
『wktk』
『……ここ(部室)は目立つ。外に出ようか』
『……?うんっ!』
菫「おい、照たちが部室から出ていってしまうぞ!追えないのか?」
誠子「無理ですよ……カメラは部室にしか仕掛けてないんですから」
菫「チッ……使えん奴め」
尭深「………」ズズズ
淡「………」
照「これで相手はいちころってワケさ。サイコーだろ?」ヒュウッ
淡「す、すごいよテルー!これだよ!これが私の追い求めてたモノだよ!」
照「そ、そうか……」
淡「淡、創作意欲が湧いてきちゃった!これで淡だけの必殺技が完成しそう」
照「淡、頑張ってね」
淡「おまかせあれ!」
照(まさかアレを見て必殺技が完成しそうって言っちゃうとはな……これは全国で恥ずかしい淡が期待出来るな)フフ
照「菫か……どったの?」
菫「淡が必殺技が完成したらしいぞ」
照「そうか……それはなによりだ」
菫「お前、その意味が分かって言ってるのか?」
照「……?どういうこと?」
菫「淡が必殺技を完成させたということはだな……私たちも恥ずかしい必殺技を披露させなければならないんだぞ!」
照「な、なんだって!?」
照「確かそんなこと言ったような……」
菫「淡が先鋒ならまだいい……だが、淡は大将だ。私たちが必殺技を見せなければ淡は疑問に思い、必殺技を見せてくれんかもしれん」
菫「つまりだ……淡の必殺技を見るためには、私たちの恥ずかしツモを全国のお茶の間に見せないといけないというわけだ!」
照「それは盲点……」
照「どうするって……?」
菫「行くか、引くかだ」
照「……行くしかないだろ。淡の恥ずかしい必殺技を見たいもん」
菫「ふっ、お前ならそう言うと思ったよ……誠子と尭深には私から伝えておく。お前も淡に負けないくらいかっこいい必殺技()を考えておけよ?」
照「ああ」
菫「2回戦では照が普通に他家を飛ばしてくれて助かったよ」
照「誠子と尭深に泣きつかれたからね……決勝までは私だけで終わらせる」
菫「なんだかお前が輝いて見えるよ」
照「照れるぜ」
照「淡か……」
淡「今度こそ必殺技使ってくれるんだよね?2回戦では普通に打ってたし」
照「あ、ああ……努力してみる……」
照(やっべ……すっかり忘れてた)
照(意地があるの……女の子にはッ!!)ギュルギュルギュル
照(衝撃の――)ギョギョギョギョ
照「ツモ……6200オール」
菫「やりやがった……」
淡「あれ、どうやってるんですかねぇ?」
菫「私に聞くなよ」
照「ごめん菫……先鋒戦だけで終わらせられなかった……」
菫「気にするな……後は私たちに任せておけ」
照「菫……」
菫「あのツモ……かっこよかったぞ」プクク
照「うるさいな!」
淡「おかえりテルー!」
誠子「お疲れサマです」
尭深「おかえりなさい……」ズズズ
淡「今回はアレ使わなかったんだねぇ」
照(アレ?前に淡に見せたやつのことか……アレを全国のお茶の間に晒す勇気は流石にないかな)
照「ああ、今回の相手は手強くて……使いどころが難しかったから」
淡「テルーの必殺技……淡、また見たかったな……」ショボーン
照「でも決勝ではやってみる」
照「あの菫のことだからな……私たちには想像も出来ないことをやってくれるさ」
誠子「菫先輩、私たちの中で一番気合い入れてましたからね……」
尭深「弓と矢を持ってた……」ズズズ
照「……は?」
菫「ロン!」ドシュ
泉「……は?」
照「大丈夫、菫のあまりの気迫でそう見えるだけだから……多分」
淡「千里山の人、矢が刺さったまま続行してますよ!?」
照「全国2位の強豪校だからな……あれくらいは当然」
淡(淡、なんだかとんでもないとこ来ちゃったよぉ~)ガクガク
菫「ロン!」ドシュ
泉「は……!?」
菫「済まんな……こんな茶番に付き合わせて」キュポンキュポン
泉「いえ……」キュポンキュポン
照「白糸台のシャープシューターwww」プクク
尭深「ゲホッゲホッ……お茶が気管に……ッ!」
尭深「気にしないで下さいよ……シャープシューター先輩……」ズズズ
菫「おい!」パァン
尭深「痛い……」ヒリヒリ
照「尭深ーは何を見せてくれるのかな?」
菫「さぁな」
尭深「ロン……」ブシュウー
セーラ「うわっ!目がぁ……目がぁ!」
照「おっと、出ました!尭深ーの毒霧攻撃」
菫「誰かあのバカを止めてこい」
誠子「ロン!」ズドーン
誠子「ツモ!」チュドーン
淡「なんか爆発してますよ!?」
菫「もうやりたい放題だな……」
照「誠子だから仕方ない」
尭深「………」ズズズ
照「ああ、頑張ってね」
菫「淡、私は今日ほどお前の対局を楽しみだと思ったことはないぞ」
尭深「期待してる……」ズズズ
誠子「白糸台の名に恥じない必殺技を頼むよ」
淡「はいっ!」
尭深「2位との点差はまだ充分すぎる程ある……」ズズズ
誠子「必殺技を使うのを躊躇ってるんでしょうか?」
菫「かもな……私もかなり恥ずかしかった」
尭深「割とノリノリに見えたけど……」ズズズ
菫「……少し黙れ」ドシュ
尭深「痛い……」ズズズ
照「恐らく淡は時を待ってるんだと思う……」
デビ子(まだ一回も副露も和了も放銃もしていない……)
竜華(それどころか眼ぇ瞑って打っとる……ウチらのことナメとんのか?)
淡「………」パチッ
淡(この手を待っていた……!)
尭深「門混混老七対子一向聴……」ズズズ
照「いや、淡はそれだけじゃ済まさないはず……」
菫「……!?淡の奴、手を崩したぞ……?」
淡(ここまでずっとツキを溜め込んできた……いや、小宇宙を高めてきたんだ!ここは跳満倍満程度じゃ物足りない……!)
淡(見せてあげる……淡の全力全開を……ッ!!)
淡「リーチ!」
穏乃(白糸台のリーチ!?)
デビ子(このタイミングで……?)
誠子「オーラスのトップ目でリーチかけましたよ!?」
菫「ツモる確信があるんだろう……それなら周りを脅すのも悪くないが」
照「いや、多分リーチかけた方が派手だから……」
照「必殺技というのはそういうファクターも重要なの。菫みたいに矢を乱射すれば良いってもんじゃあない」
菫「くっ……」
誠子「菫先輩、最初は嫌々やってるように見えたのに……」
尭深「小道具を持ち込むあたり、やっぱりノリノリ……」ズズズ
穏乃デビ子竜華「……!?」
淡「ギ ャ ラ ク シ ア ン エ ク ス プ ロ ー ジ ョ ン(字一色七対子)!!」
菫「やりやがったwww」
誠子「期待を裏切らないwww」
照「あわあわ可愛い」
尭深「ブフォwww」
淡「一本場です」
竜華「……ハァ!?」
菫「おい!続行してるぞ?」
照「恐らく癖になったんだろう……この準決勝、どこかが飛ぶまで終わらないかもね」
淡(やだなにこれ気持ちいい……)
淡「テルー!」ダキッ
照「淡、おかえり」
淡「えへへ……淡、頑張ってきたよ」
照「ああ、よく頑張ったね」ナデナデ
照(誠子、また淡の黒歴史集の編集頼むな)
誠子(御意に)
照「ふふっ」
淡「あれ?荷物……?誰からだろ?」
淡「宮永照……テルー!?ふふ、懐かしい……」
淡「先輩、卒業してからプロのお仕事が忙しいらしくてあまり顔出してくれなくなったけど……」
淡「でも何で今になって……」
淡「そっか、今日は淡の誕生日だっけ……覚えててくれたんだぁ……嬉しいな」
淡「あっ、DVDが入ってる……ビデオレターかな?」
淡「なになに?タイトルは――」
淡「必殺技……?」
槓!
淡のリアクションもオナシャス!
これ淡ちゃんあわあわしちゃうだろうなぁ
10年計画かよwwww
テルー鬼畜やなwww
Entry ⇒ 2012.08.11 | Category ⇒ 咲-Saki-SS | Comments (2) | Trackbacks (0)
アムロ「ガンダム、売るよ!」ジュドー「ZZも、売るよ!」
アムロ「いらっしゃい!いらっしゃい!」
シャア「安いよ安いよ!」
カミーユ「お得ですよー」
ここは894番コロニー「オリコン」
ここでは各作品の主人公もしくはヒロインによる過酷な売り上げ競争が行われていた……
デラーズ「これにギレン閣下の演説は収録されているか」
アムロ「はい、まあ……」
カミーユ(汗臭いな)
デラーズ「儂が全て頂こう!」
ガトー「頂こう!」
アムロ「毎度ありがとうございます!」
チーン
【ファーストガンダム完売しました】
シャア「ちぃぃっ!」
ジュドー「流石はアムロさん、貫禄見せつけてくれちゃって」
カミーユ「それに比べて大尉は……」
シャア「な……何が言いたい、カミーユ…!」
ジュドー「いらっしゃい!いらっしゃい!いらっしゃい!」
カミーユ「安いですよ!安いですよ!」
シャア「赤い彗星が出てるよ出てるよ!」
「………Zガンダムはあるかな」
カミーユ「はい、いらっしゃいませー!」
カミーユ「あの…そんなにありませんけど……」
ジュドー「って、ま、マシュマーさん!」
マシュマー「げっ!ジュドー・アーシタ!」
マシュマー「……そうか、ハマーン様が初登場なさった全てのZガンダムディスクを我が手に納めたいものだが…仕方あるまい。あるだけで構わないから全て欲しい。」
カミーユ「毎度あり!」
チーン
【Zガンダム完売しました】
シャア(………これは!)ピキーン
マシュマー「それがその……何というか今回、自分が出演している作品の購入は御法度なのだ…」
ジュドー「えええ!」
シャア「マシュマー君と言ったか。君にそれはそれは大変お得なお知らせがあるのだが」ちょいちょい
マシュマー「な、な、な、なんだ!」
シャア「この作品にはハマーンにそっっっっっくりな声色の女が出ているのだぞ!」
マシュマー「へぇ」しらーっ
シャア「え……えっ?」
マシュマー「私が敬愛しているのはハマーン様であって、声優ではない」きっぱり
シャア「 」
ジュドー「ま、まぁ…正論だね。」
マシュマー「では、失礼する」
シャア「 」
ジュドー「あーあ…シャアさんったら、はしゃいじゃって。てっきり出演するもんだと思い込んで勝手にオファーの来てないアニメの制作パーティーに参加しちゃう声優くらい恥ずかしいよね」
遅いんだよ私が先だ
シャア「シャアだよ!赤い彗星だよ!カッコいいよ!」
ヒュウウゥゥ………
ジュドー「……売れないなぁ」
シャア「………むぅぅ」
プル「ジュドー!手伝いに来たよ!」プルプルプルー
ジュドー「プル!」
シャア「!?」
ジュドー「まぁね。Zガンダム見たら大抵の人は見てくれると踏んだのが甘かったかな…」
プル「前半のギャグシーンが長すぎたのが良くなかったのかムーンムーンが良くなかったのか…」
ジュドー「ヤザンさんとプルとマシュマーさんの退場が早すぎたのかもな。あと悪役がグレミーさんじゃあなぁ……ハマーンさん独りに任せときゃ……」
プル「ハヤト艦長が語感の良いおじさんに殺されちゃったけど、テコ入れにしては盛り上がりに欠けちゃったしね……」
プル「OPもEDも設定もMSもキャラクターも悪くなかったよね……」
ジュドー「特に女の子はね」
ジュドー・プル「…はぁ」
シャア「いただこう」ぬっ
ジュドー「ええっ!?」
プル「お、おじさん、さっきの話聞いてたでしょ…?」
シャア「どうということはない!全部だ!全部貰おう!」
ジュドー「ま……毎度……」
プル「ありがとうございます………」
ジュドー・プル・シャア「!?」
プル「ええっ!なんでよ!」
ジュドー「なになに、『シャアは第1話のナレーションとエレベーターの回想とそれからOPで吠えていたため不可』」
シャア「そ、それくらい、どうということは……」
ブブーッ
プル「あまりに存在感がありすぎるため不可、だって」
ジュドー「ま……まあ、未だに言われてるもんね」
シャア「若さ故の…過ちか………」
ジュドー「……アンタあの時良い歳だったでしょうに」
ジュドー「…ちょっと、それどういう意味だよシャアさん」
………そう、不朽の名作、逆襲のシャアが売れない理由
それはある独りの女の『プレッシャー』によるものだった
キャラ「ほら、ハマーン様早く行かないと売り切れちゃいますよ。それにハマーン様も『あの作品』を売らなきゃならないんですから!」
ハマーン「売り切れる心配はない」ゴゴゴゴゴゴ
キャラ「そ……そうですか」
ハマーン「……やはりこの格好は……まずいのではないか」
キャラ「大丈夫です。ご覧くださいネオジオンの男どもの反応を」
マシュマー「はあああああああああああああああああん!!!!!!!」ジタバタジタバタジタバタジタバタ
ラカン「んふぅううううぅぅうう!!!!!!!!」ジタバタジタバタジタバタジタバタジタバタ
グレミー「ぬひゃあああああああああ!!!!!!!!!!!!」ジタバタジタバタジタバタジタバタジタバタジタバタ
ハマーン「………」
キャラ「ハマーン様!ファイト!」
ハマーン「……ああ」
シャア「シャアだよ!赤い彗星だよ!カッコいいよ!死んじゃうよ!」
ハマーン「おい」
ジュドー「あ、ハマーンさん」
シャア「は、ハマーン!?」
ハマーン「ふん。まだ完売していないのか、情けないやつめ」
シャア「ハマーン!……また私の邪魔をしに……」
ハマーン「わ、わたしはハマーンではない……」
バッ
ハニャーン「ハニャーン(14)です!!!!!」
シャア・ジュドー「!?!?!?」
ハニャーン「………///」
シャア「ま……またお前、そんな格好を………」ヒキッ
ハニャーン「きょ、きょうはCDAの販売に来たんですから……仕方ないでしょうシャア大佐///」はにゃっ
シャア「う………」
ハニャーン「こうしたら売れると……皆が言うから………」はにゃはにゃっ
シャア「ぐ………」
マシュマー「番外編が無ければ!無ければああああああああ!」やんややんや
ハニャーン「や、やだっていったんですよぉ………」はにゃーん
ジュドー「か………」
プル「かわいい………」
ジュドー・プル(CV榊原良子には無理があるけど)
ラカン「裏切ってしまったお詫びも含め、このラカンめが一億部くらい突破させて差し上げたいが、生憎私も出演を果たしてしまっている」
ラカン「こうなったら知り合いの居る戦艦と警視庁と道場に連絡を!」めるめるめるめる
マシュマー「私もニートとアメリカと女子高の教師に!」めるめるめるめる
ドカッ
キャラ「………やめなっつうの!」
ドドドドドドドドドドドド
アムロ「俺が先だ!」
ブライト「私だ!」
マシュマー「出てようがいまいが関係あるまいに!!」
ハサン「は、ハマーンの身体データは貴重な資料でだな……その……」
ヘンケン「すまないエマ中尉!すまないエマ中尉!」
カミーユ「バカじゃありませんか!たかだかハマーンですよ!ですからね、これはバカな大人達には渡せませんよ!」
ハニャーン「アクシズのハマーンさんもありますから、押さないでください!押さないください!」はにゃはにゃっ
プル「結局みんな欲しいんじゃん」
ジュドー「じゃあ俺も記念に一冊…」そおっ
プル「……」ジロッ
ジュドー「じょ、冗談!!」
【CDA・アクシズのハマーンさん完売しました】
ハマーン「ふっ…しかし、シャア。情けないものだな」
一同(変わり身早っ!)
シャア「ふん……お前のように見かけ倒しの販売をしていないだけだ。別に」
ハマーン「そうか。では儲かった金でそれを全て貰おうかな」ニヤッ
シャア「!?」
シャア「は、ハマーン、何のつもりだ!」
ジュドー「……何のつもりも」
プル「……ね」
シャア「お前のことだ何か企んでいるに違いあるまい!そうか!逆襲のシャアの悪いところを書き連ねた冊子を添えてアクシズ中にバラまくつもりか!」
ハマーン「ふっ、確かに逆襲のシャアの至らない点について100個は言えるな」
シャア「ちぃぃっ!立場を盾にハマーン、お前は……」
ハマーン「しかし、良い点は101個言える」
シャア「!」
シャア「は……ハマーン……」
ハマーン「………ふっ」
【逆襲のシャア完売しました】
プル「…なんじゃそりゃ」
ジュドー「いい話だな……ううっ……」
ジュドー「そうだな。ZZを売らなきゃな!」
プルツー「ちょっとまだ売れてないのか」
プル「あ、プルツーだ!」
プルツー「ったく、なさけないな」
プル「ごめん……」
ジュドー「ごめん………」
プルツー「あー!もうあたしも手伝ってやるよ!」
ジュドー・プル「プルツー!」ぎゅっ
プルツー「お、大袈裟だな……」
プルツー「いらっしゃい!いらっしゃい!いらっしゃい!」
ジュドー「いらっしゃい!いらっしゃい!いらっしゃい!いらっしゃい!」
シロー「僕らもお店開こうか」
アイナ「そうねシロー///」
【完売しました】
プル「………」
ニナ「買ってくださいねー」にっこり
コウ「ひいいっ!」
【完売しました】
ローラ「あの、ええっと……」
ローラ「∀、買ってくださいね」にっこり
グエン「はああああああ!!!!買いたいのに買えないこのジレンマ!!最高!!!」ゴロンゴロンゴロンゴロンゴロンゴロン
【完売しました】
プルツー「…………」
シーマ艦隊一同「いらっしゃい!いらっしゃい!いらっしゃい!いらっしゃい!いらっしゃい!シワシワになるまえのシーマ様だよ!」
ガスッ!
シーマ「…今でもピチピチさね」
【完売しました】
ジュドー「…………」
プルツー「売れないね」
プル「うん」
ジュドー「あ、カミーユさん」
プル「おっきな荷物もってどうしたのさ」
カミーユ「劇場版Zだよ。今から売るんだ」
ジュドー・プル・プルツー(チャーーンス!!!)
ジュドー「ってことは、便乗してZZも!」
プル「やったねジュドー!」
カミーユ「いや、それがさ、その……」
カミーユ「……これ、ZZに繋がらないんだ」
ジュドー・プル・プルツー「えっ」
ジュドー「………もういいや、どうでもいいや」
プル「じゅ、ジュドーしっかり!しっかりしてよ!」
プルツー「負けるなよジュドー!」
ジュドー「もうだめだ、もうだめだ、もうだめだ」
プル「ジュドーがこわれちゃった……」
プルツー「ま、まぁ仕方ないっちゃないかも………」
プル「いらっしゃい」
プルツー「Zガンダムならあっちだよ」
マリーダ「いや、ちがいます。ZZを」
プル「はい、じゃあ……」
プル・プルツー「ってええっ!」
マリーダ「………」
プル「あれ、そういえばどっかでみたような」
プルツー「うーん………」
マリーダ「私ですよ、姉さん」
プル・プルツー「あっ!」
プル・プルツー「プルトゥエルブ!」
マリーダ「……はい」
ジュドー「本当か!」
プルツー「妹が、妹が買ってくれたんだ!」
マリーダ「は……はじめまして」
ジュドー「ありがとう!ありがとう!」ぎゅっ
マリーダ「でも私、一個しか買えなくて……」
プル「いいんだよ、ありがとう!」
マリーダ「………でも」
ポンっ
ジンネマン「全部頂こうか」
マリーダ「マスター!」
プルツー「さ……さあ」
ジンネマン「マリーダの父親みたいなもんだ」
マリーダ「マスター……?」
プル「そっかーじゃあプルのお父さんってことにもなるよね!」
ジンネマン「えっ」
プルツー「そうか、じゃあ私もだな」
ジンネマン「ま……まあ、そう言うことに………」
ジュドー「じゃあ俺の父親ってことにも!」
ジンネマン「やめろ」
プルツー「バカじゃないのかジュドー」
プル「やーいジュドーの仲間外れ!」
マリーダ「………」
マリーダ「ふふっ………」
ジンネマン(……マリーダが笑った?)
ジンネマン「あれっ」
ジンネマン「………あれっ」
ジンネマン「………」
ジンネマン「足りない」
ズコーッ
マリーダ「………マスター」
ジンネマン「す……すまん……」
プル「仕方ない……よね」
ジンネマン「うぐっ……」
マリーダ「泣かないで下さいマスター……」
「お待ちなさい!」
一同「!?」
プル「だ、誰!?」
オードリー「あなた方の家族愛に免じてここは私が支払いを持ちましょう」
ジンネマン・マリーダ「ひ、姫様!」
プル「あ、ミネバ様……」
プル「ミネバ様……?」
プルツー「えっ」
ジュドー「な……なんかデカくない?」
ジュドー「う、うん………」
プル「わ、わあ、ブラックカードだ………」
プルツー「でもミネバ様、ZZに出演してたんじゃ……」
オードリー「アレは偽物だったじゃありませんか。ですから問題はないはずです。それに今の私は……」
オードリー「オードリー。オードリー・バーンです」バッ
バナージ「流石だよオードリー!」パチパチ
オードリー「あらやだバナージ、恥ずかしいところを見られてしまったわ///」
バナージ「太っ腹なところも大好きだよオードリー///」いちゃいちゃ
オードリー「私も大好きよバナージのこと///」いちゃいちゃ
ジンネマン「………」
マリーダ「………」
ジュドー「……何のこっちゃ」
プル「……ね」
ドズル「離れろ小僧ォオオォオオォオオォオオォオオ!!!!!!!!」ドコォ!
バナージ「ひいぃ!」
オードリー「お、お父様!?」
ドズル「おお、ミネバ。勿論ガンダムUC、全部買うぞ!」
オードリー「戦いは数ですものね!」
ドズル「ね!」
ジュドー「わ……ワォ……」
【ガンダムUC完売しました】
プル「プルプルプルー!お家に帰れるよ!」
プルツー「ありがとう、マリーダ」
マリーダ「いえ……私は」
ジンネマン(幸せそうだな、マリーダ……)
ドズル「小僧!離れろ!離れろ!」ぐいっ
バナージ「それでも!それでもぉぉぉ!」ぎゅうぅっ
オードリー「イヤだわバナージ///」
ジュドー「ま、希望を言えば新約ZZも作って欲しいところだけど」
プル・プルツー「ね」
こうしてZZは無事完売しましたとさ
めでたしめでたし
カミーユ「おーい」
カミーユ「誰か劇場版Zガンダム、買ってくださいよー」
カミーユ「ねえ!」
おわり
だからZZは何も悪くないのです
本当にありがとうございました
イリアさんは貰っていきますね
新訳Zはやっぱり売れ残るんですね
Entry ⇒ 2012.08.10 | Category ⇒ ガンダムSS | Comments (0) | Trackbacks (0)
響「プロデューサーはさ、自分のこと好き?」
P「いきなりどうした? そんなこと言い出すなんて、珍しいな」
響「いーからいーから、答えてよっ! 自分のこと、好き?」
P「そうだなあ……」
響「うんうん!」
P「……」
P「……まあまあ好き、かな」
響「まあまあ? それってどんくらい?」
P「たるき亭の小川さん以上、音無さん以下ってところだ」
響「えー……。なんかそれ、微妙さー……。しかも小川さんって、ほとんど接点ないしっ!」
P「小川さん可愛いじゃないか、声も良いし。なんだか罵られたい気分になるよ」
響「うぎゃー! この変態っ! ド変態っ! 変態プロデューサーっ!」
P「ありがとうございますっ! ああありがとうございますっ!!」
響「うう……、本物の変態だぞ……」
響「プロデューサーは自分のプロデューサーなんだから、自分のことが一番好きなんじゃないの?」
P「そういうわけにもいかないよ。だって俺は、今は響を含めたみんなのプロデューサーなんだから」
響「あっ、そういえばそっか。……ちなみにちなみに、一番好きなのは誰?」
P「アイドルの中で?」
響「そうそう! あーでも、ピヨコと律子も含めてもいいさー」
P「うーん……。じゃあ、あえて言うとすれば……」
P「……」チラ
響「……」ソワソワ
P「あずささんかなあ」
響「! ……あずささんかぁ……。あずささん、綺麗だもんね。優しいし、おっぱいも大きいし」
P「それに、おっぱいも大きいしな。あずささんなら仕方ないだろ?」
響「うん、仕方ない……」
響「でもでも、なーんか悔しいぞー……ちぇっ」ボソ
P(かわいい)
P「響は、自分のことが一番好きでいて欲しかったのか?」
響「……うーん……。そんな気がしてたけど……、よく考えたら、どっちでもいいかも」
P「えっ」
響「えっ?」
P「話の流れ的に、『自分が一番じゃなきゃやだぞー!』とか言ってくるのかと思った」
響「へへーん! そんなに子どもっぽいこと言わないもんねっ!」
P「響は大人だなあ」
響「まあね! 自分、カンペキだからなっ!」
P「飴ちゃん舐めるか?」スッ
響「舐める! えへえへぇ……おいひい」コロコロ
P「響は大人だなあ」
響「じふん、かんふぇきあからなっ! んー……あまぃ」コロコロ
響「しょれにしゃー……」コロコロ
P「なんだって?」
響「んっ、そ、しょれに……けほっ、こほっ!」
P「お、おい大丈夫か? 飴ちゃん喉につまっちゃったか?」
響「うぅー……、ん、んんっ……んぐっ!」
ゴックン!
P「……」
響「飲んじゃった……。うええ……せっかくプロデューサーからもらったのに、もったいないことしちゃったぞ」
P「…………」
響「プロデューサー?」
P「あっ、いや、なんでもないよ」
響「だいじょぶ? ぼーっとしてたけど……、元気?」
P「ああ、むしろ元気になったというか……。涙目でゴックンする響は、やっぱりかわいいな」
響「なっ!? な、涙目がかわいいなんて、そんなの全然嬉しくないしっ! ほ、本当に変態プロデューサーだぞ……」カァァ
しかも「涙目で」、な……
P「本当に、全然嬉しくない?」
響「……ちょっとだけ」
P「ははは、そっかそっか」
響「ちょっとだけだからねっ! 本当に、ちょっとだけしか嬉しくないんだから!」
P「そうだよな、ちょっとだよな、うん。……本当にかわいい奴だな、こいつめ!」ワシャワシャ
響「……んふふ……」ニマニマ
響「……あ、それで、さっき言おうとしてたことはねっ」
P「ああ、なんか言おうとしてたな。誰が一番好きか、だっけ?」
響「うん。プロデューサーが自分のこと一番で、特別好きだったら、そりゃ確かに『うぎゃー♪』ってなるけど……」
P「喜ばれてるのか、それ……」
響「ふふんっ、それはナイショだぞっ! でもね、それだとなんか……、ヤダっていう気持ちもあるんだ」
P「……」
響「だってそれって、自分の知ってるプロデューサーじゃないぞ」
響「プロデューサーは、みんなに優しくて……、誰かだけを特別扱いしたり、しないでしょ?」
P「……そりゃ、まあな」
響「みんなの悩みとか、すぐ見抜いちゃったりしてさ! ……た、たとえば自分の場合だとっ」
響「自分のいるとこに来て、って言ったら……、沖縄だって北海道だって、すぐ飛んで来て、助けてくれたし……」
P「あんまり無茶振りはしないで欲しいけどね」
響「……や、やっぱり迷惑だった?」
P「……まさか」
響「えへへ……。それに、アリサのこととかも……」
P「俺は別に、大したことしたつもりはないよ。頑張ったのは響だ」
響「そうかもしれないけど……でもでも、そばにいてくれただけで、いっぱいいっぱい……、力もらったさー」
響「……自分は、そんなプロデューサーのことが、だいすきなんだもん」
P「……」
響「そんなプロデューサーだから……、全力で信じて、全力でアイドルやっていられるんだぞ」
P「……そーか。響の力になれるなら、俺も嬉しいよ」
響「そーだよ! えへへ……プロデューサー?」
P「どうした?」
響「…………か、」
P「……?」
響「……か、かなさんどーっ!」
P「? ……それ、前も言われたけど、どういう意味なんだ?」
響「それもナイショだぞっ。えへへ……♪」
P「……響、だっこしてやろうか?」
響「うがっ! 自分、だっこで喜ぶほど子どもじゃないしーっ!」
P「……響を喜ばせるためじゃなくて、俺がしたいんだよ」
響「…………ヤダ」
P「そうか……。それは残念だな」
響「あっ、うっ、えっと……やだ、ってのは、今は他の人がいるから、恥ずかしいからで……」ゴニョゴニョ
P「なんだって?」
響「うう……、プロデューサー! 耳貸してっ」
P「ん?」
響「……あとで、ね……」ボソボソ
響「あとで、ふたりっきりになったら……、だっこしてもいいよ」ボソボソ
P「……わかった。じゃあ、またあとでな」ワシャワシャ
響「……~♪」
P「それじゃ、それまでにいい加減、俺も仕事を終わらせるとしよう」カタカタ
響「……」
ぬーっ
P「前が見えないんだが……」
響「ねえねえ。さっきから、何やってるの?」
P「765プロのホームページの更新だよ」
響「これ、生っすかサンデー? 春香と千早と美希が映ってるぞ」
P「そう。響チャレンジの動画もあるぞ。前回は残念な結果だったが……」
響「……自分、実はあれ……毎回毎回、あんまり成功する気がしてないんだけど……」
P「お、おい、間違ってもそれを表に出すなよ」
響「自分も、みんなとトークしたりしたいぞっ!」
P「響はトークに向いてないからなあ」
響「え゛っ」
P「どうした? そんな絶望した顔して」
響「そんなにストレートに言われるとは、思ってなかった……」ズーン
P「だって、テンパると地元の言葉丸出しになるし……。こないだもさ、きっと視聴者には意味が……」
響「うぎゃー! さらに追い討ちするなんてヒドイぞーっ!」
響「……プロデューサーなんか、キライさー」ツーン
P「……まあ、響はわりとしっかりしたところがあるからな」
響「……」ピクッ
P「料理を始めとして家事はカンペキだし、ペット達の世話もちゃんと見てるし。意外と勉強できるし、頑張り屋だし」
響「…………」ピクピク
P「響がお姉さんになれるような企画なら、考えてもいいかもなあ」
響「それってどんなのっ!? 自分、そういうのやりたい! やらせて! いや、やらせろーっ!」
P(ちょろい)
P「たとえば、そうだな……。中学生組の中に響を投入して、南の島で一緒に仕事、ってのはどうだ?」
響「中学生組? やよい、亜美、真美、伊織と……、あと、美希?」
P「美希はちょっとイメージと違うから、外しとこう。それ以外のメンバーでユニットを組んで、フェスをやるんだよ」
響「それだと、自分、お姉さんになれるのかー?」
P「なれるとも。だってメンバーは、亜美や真美だぞ?」
響「! たしかにっ! えへへっ、さすがに亜美たちには負けないもんね! プロデューサー、天才!?」
P「はは、そう褒めるなよ。普段見られない、響のしっかり者っていう一面をアピールできるかもな。出来るか?」
響「なんくるないさーっ! 自分、ガンバルぞっ!」
P(良い笑顔だ。だから、やよいや伊織の方が実はしっかりしているというのは……、今は黙っておこう)
響「プロデューサーは、なんだかんだで、自分のことよく見てくれてるよね」
P「……別に響だけ、ってわけじゃないさ」
響「うん! だよねっ!」
P「なんだか嬉しそうだな」
響「さっきも言ったでしょ? 自分、プロデューサーの、そういうところがだいすきなんだっ!」
P「……旦那さんにしたいくらい?」
響「チョーシに乗っちゃだめさー。そうだなー……、プロデューサー風に言うなら、にーにー以上、いぬ美以下ってところ?」
P「はは、やっぱり家族にしたいくらい大好きってことじゃないか!」
響「あ! うう……プロデューサーはイジワルだぞ」
P「ちなみに、一番は誰なんだ?」
響「いちばん? んーと……」
響「あんまーに、……すーに……」
響「いぬ美、ハム蔵、ブタ太、へび香、オウ助、うさ江、ワニ子、シマ男、モモ次郎、ねこ吉……」
響「にーにー、アリサに……、あと、もっちろん! 765プロのみーんな!」
響「……ひとりだけ、なんて、決められないぞ」
P「そっか……」
響「えへへ……。だってみんな、本当にだいすきなんだもん。みんなのおかげで、今の自分があるんだからねっ」
P「本当に、響は……、立派になったな」
響「そお?」
P「そうさ。最初の頃は、誰にも頼らなくても、自分はひとりで生きていける! なーんて言ってたじゃないか」
響「そ、そうだっけ? そんなの、忘れちゃったさー」
P「間違いなく、響はここに来てからたくさんたくさん成長したよ。あの頃の、牙の抜けきれてない響はもういないな」
響「……そ、そこまで言われると、ちょっと照れくさいぞ……」
カタカタ……ッターン!
P「……よし、こんなもんかな」
響「お仕事、終わった?」
P「ああ、ばっちりだ。一区切りついたし、休憩にするよ」
響「今更だけど……、自分、ジャマになってなかった?」
P「そんなことないぞ。むしろ落ち着いたくらいだ」
響「落ち着く?」
P「響が近くにいると、良い匂いがするからなぁ」
響「に、におっ……!? ……自分、におう?」クンクン
P「うまく言い表せないが、ずっと嗅いでいたいくらい素敵な香りがするよ。決してイヤな匂いじゃない」
響「……なーんか、プロデューサーがいうと変態っぽいぞ……」
響「じゃ、じゃあさ! 仕事済んだなら、その……」
P「そうだな、それじゃあそろそろ昼飯いくか! たるき亭でいいか?」
響「たるき亭かー。自分、小川さんには勝ってるから、そこでいいぞ!」
P「よし、それならさっそく食べにいこうか!」
響「……んじゃなくてっ! さっき言ってた……」
P「さっき言ってた? なんか、響に約束してたっけか」
響「……う、うう……もうっ、だからーっ!」
響「だ、だっこ……」ボソボソ
P「……ん? なんだって?」ニヤニヤ
響「……聞こえてるくせに、本当にプロデューサーはイジワルだねっ!」
P「なんのことだかなあ」
響「ホントーに、ほんっとーに! プロデューサーはイジワル! だいっきらいだぞっ!」
P「…………そっか……」
響「あ……」
P「それは、残念だな……。俺はこんなにも、響のことを愛してるというのに……」
響「ぁぅ……ま、またそんなこと言って……ううう」
P(顔真っ赤で涙目な響かわいい)
響「……」チラ
P(うるうるしながら上目遣いする響まじかわいい。天使)
響「……本当に?」
P「なにがだ?」
響「本当に……、あ、愛してる……の?」
P「もちろんだよ。でも響は俺のこと嫌いみたいだから、片思いだな」
響「……! うう、う……。ほ、本当は……、そんなこと……」カァァ
P(デラかわいい)
P「ひびきん、ちょっと耳を貸すんだ」
響「ひゃいっ! って、え? ひびきん?」
P「……だっこするのは、ふたりっきりのとき、って言っただろ?」ヒソヒソ
響「!」ゾクゾク
P「今この事務所では、音無さんが鬼の形相でこちらを見てるから……、あっちの会議室でな」
響「……う、うん」ドキドキ
【会議室】
響「……んっ!」スッ
P「どうした、両手をばんざいして」
響「だっこ、するんでしょ? んっ!」
P「……」ワッシャワッシャ
響「な、なんで頭、わしゃわしゃするのさー?」
P「いや、かわいいなーって思って」
響「かわっ、かわ? うう……」
P「でも俺としては、もう少し違うシチュエーションの方がいいかな」ワシャシャ
響「しちゅえーしょん? なに言ってるの? ……っていうか、わしゃわしゃする手離せー!」スカッスカッ
P「俺が椅子に座るからさ、そこに響が抱きついてきてくれよ」
響「……自分、ネコじゃないぞ」
P「知ってるよ。響は響っていう生き物だろ?」
響「に・ん・げ・ん! ……そういうの、プロデューサーの趣味なの?」
P「ああ!」
響「……」
P「ドン引きはやめろよ!」
響「…………ま、まあ……。プロデューサーがそうして欲しいなら、そうしてあげるけど……」
P「さっすがひびきん! 話がわかるぅ!」
響「プロデューサーのためだからねっ! べ、べつに、自分がしたいわけじゃないんだからねっ!」
P「んっ!」スッ
響「うう……プロデューサーがそれやると、気持ち悪いぞ……」
P「そうか? 響がやるとめちゃくちゃかわいいんだけどな」
響「!!」
たたたっ
P「不思議なもんだ……って、おい!?」
ぴょんっ……がしっ
響「……!」ギュー
ギシッ……
P「……」
P(響の体、熱いな。少し、汗もかいている)
響「……」
響「…………ばか」
P「……どうしてばかなんだ?」
響「さっきから……、かわいい、って言いすぎさー……」
P「だって、本当のことだからなぁ」
響「だ、だからって、そんなにたくさん言わなくても、いいし……。自分、カンペキだから、そんなの……わかってるし……」
P「……」
響「そんなの、今更言われたって、ぜんっぜん……、嬉しくないし……」ギュー
P「……」ポンポン
響「……ばか」
響「ばかばか、ばかプロデューサーっ!」
ポコポコ
P「ああ、そうだな……。こんなプロデューサーで、ごめんな」
響「……だけど……」
P「……だけど?」
響「…………」
響「なんでもないっ! ばかで変態なプロデューサーには、ナイショだぞっ!」ギュッ
響「こーやってプロデューサーに抱きついてると、落ち着くね……あったかいさー」
P「俺もだよ。響はちびすけだから、この姿勢がちょうどいい」
響「じ、自分、ちっちゃくないぞ!」
P「765プロの中でも、下から数えたほうが早いじゃないか。響よりちっちゃいの、やよいだけだぞ」
響「うう……亜美と真美が、成長しすぎなんだぞ……。伊織もちょっとだけ、背伸びたし」
P「まあ、確かに響はちびだ。……だが、それがいい!」ニヤッ
響「ちっちゃいのが、いいことなの?」
P「ああ! 小動物っぽさがマシマシじゃないかっ!」
響「よくわかんないけど……うん! プロデューサーが言うなら、だがそれがいいさっ!」ニヤッ
P「ところで、どうして急にあんなこと聞いてきたんだ?」
響「え? 自分、なんか聞いたっけ?」
P「『自分のこと、好き?』ってさ」
響「あー……」
響「……なんか最近、プロデューサーに忘れられてる気がして……」
響「自分のプロデュースがひと段落着いて、今は他のユニットをプロデュースしてるから、なんだろうけどさ」
P「……」
響「ちょっとだけ、寂しかった。自分のこと、忘れてないか、って心配になっちゃったんだ」
響「えへへっ……。ご、ごめんね! こんなの言われたって、困っちゃうよね」
P「……俺の方こそ、ごめんな」
響「ちょ、ちょっとだぞ! ほ、ほんとは全然、気にしてないしっ!」
P「わかってるよ。ちょっとだけ、なんだよな」
響「今日たまたま、事務所でプロデューサーに会えたのも……、ピヨコ以外のみんながいなかったのも……」
響「べつに、嬉しいわけじゃなかったしっ!」
P「ああ……そうだよな」
響「ねえねえ、なんか笑ってるけど、ほんとにわかってる? 本当の本当に、ちょっとだけなんだし……」
P「もちろん、わかってるさ。……俺が響にウソつくわけ、ないだろ?」
響「……うん、そうだね。わかってるならいいさー……」
P「……でもひとつ、響に謝らないといけないことがあるんだ」
響「え? なになに? 今のうちに素直に言えば、許してあげるぞっ!」
P「実はな……、さっき言った、『響のことがまあまあ好き』、っていうのが……あれはウソだったんだよ」
響「そーなの!!? てことは……自分、ほんとは……、プロデューサーにとって、小川さん以下だったのか……?」
P「そうだよ」
響「!!」ガーン
P「それもウソ」
響「!? ……プロデューサー、ウソ付かないって言ったのにウソばっかり! もう何言ったって信じないぞっ!!」
P「本当は、響はもっと上のランクにいるんだよ」
響「……それもどーせ、ウソでしょ?」
P「これはホント」
響「……」
響「ふーん……。えへへ……そ、そーなんだ。へー……」ニヤニヤ
響「……それじゃあ自分も、プロデューサーにごめんなさいするね」
P「え? 響も、なんかウソついてたのか?」
響「うん……。ウソじゃないけど、本当はホントでもなかったんだ」
P「なんだ? 今のうちに素直に言えば、許してあげるぞっ!」
響「……それ、さっきの自分のマネ?」
P「似てただろう~?」ドヤァ
響「ぜんっぜん似てないし! プロデューサーは色々、適当すぎるぞっ!」
P「ははは……まあそれは置いておいて、どんなウソをついたんだ?」
響「……あの、その……。さっき、『自分のことが一番好きじゃなくても良い』って言ったでしょ?」
響「あれ……、本当にそう思うってのもあるけど、本当はちょっと違くて……」
響「あ、でも! 全部ウソ、ってわけでもなくてねっ! みんなに優しいプロデューサーの方が良い、ってのは本当で……」
響「自分、そんなこと言うほど子どもじゃないんだけど……うう、なんか良くわかんなくなっちゃったぞ……」プシュー
P「……無理に、言葉にしなくてもいいよ」ワッシャワシャシャ
響「な、なんでまたわしゃるの?」
P「…………」ポンポン
響「……なんか言ってよー」
P「なんか」
響「ばかっ!」
P「……響の言いたいことは、わかってるからさ」
響「! えへへ……やっぱり、自分……」
P「ん?」
響「……なんでもない! ばーかっ♪」
響「ね、ねえねえ! じゃあさ、じゃあさ! プロデューサーは自分のこと、本当はどんくらい好きなの?」
P「音無さん以上、貴音と同順位ってところかな」
響「そっか……。さっきよりはランクアップしたけど、まだ貴音には勝ってないのか」
P「でも貴音なら、仕方ないだろ?」
響「うん、仕方ないね。貴音はめちゃくちゃ可愛くて、優しいもん。むしろ、自分なんかが同じ順位で申し訳ないぞ」
P「ときどき変にネガティブになるな……」
響「ちなみに、貴音の上にはあと何人くらいいるの?」
P「貴音は一位だよ。そして、貴音と同じ順位の子が、その他にあと十二人ほどかな」
響「そっか、貴音は一位なんだ……。まあ、貴音なら仕方ないけど」
響「……ん? あれ?」
P「ここで問題だ。響はいま、本当は何位でしょう!」
響「?? ……えーっと、765プロのアイドルは……」
P「ちなみに、音無さんは一位の子たちの中に含まれてないぞ」
響「うぎゃー! ちょ、ちょっと待って! 頭こんがらがっちゃうから! え、えっと……」
P「じゃあもう一個だけ、ヒントをあげよう。響、ちょっと、耳を貸してくれ」
響「な、なに?」ススッ
P「実はな……」
響「は、はやく言ってよっ! なんかソワソワするぞ……」
P「……響は、その同率一位の子たちの中にも入ってないんだ」
響「え!? そ、それじゃあ自分、本当は……、やっぱりピヨコ以下なのか……?」
P「それも違う。貴音たちの他に、頭ひとつ飛びぬけてだいすきなアイドルがいるんだよ」
響「? ……?? どういうこと? ナンバーワンじゃなくてもいい、元々特別なオンリーワンってこと?」
P「そうだ。一度しか言わないから、よく聞くんだぞ」
響「う、うん……」
P「……」
すすっ
響「? プロデューサー? 自分の前髪あげてどうしたのさー?」
P「……」
ちゅっ
響「……」
響「……? ……!?」
響「!!?? えっ、ちょっ、なに、なになにっ!? 今おでこに、なんか当たったぞっ!!!」
P「ほらほら、慌てずにもっかい、耳を貸して」
響「は、はい……なんなの、もうわけわかんないさー……!」
P「……響……」
P「……かなさんどー」
響「!!!!」
終わり
かなさんどーっていうのは、響ちゃんにとって「好き」とは違う特別な言葉なんだよねかわいいよちゅっちゅ
響はかわいいなあ!!!
とてもとても良かった
Entry ⇒ 2012.08.10 | Category ⇒ アイマスSS | Comments (0) | Trackbacks (0)
冬馬「765プロのPのアドレスをゲットしたぜ!」
冬馬「団結という可能性。あいつらに出会っていなければ、今の俺たちはいない」
冬馬「だけどやっぱりこの世界、友情でどうにかできねぇ部分もあるだろ!」
翔太「それで文通かー。アドバイスをもらうって意味でもいいんじゃない?いろいろ教えてもらおうよ!」
北斗「最近真ちゃんからの返信がなくて心配してたからね。俺も利用させてもらうよ☆」
冬馬「…目的はまぁいいとして、早速いくぜ!記念すべき初メール!内容はどうする?」
翔太「問題ないなら僕が決めていい?」
冬馬「おう、いいぜ。バッチリ決めてくれ!」
翔太「じゃあ…無難に『最近765プロの調子はどう?』でどうかな!」
冬馬「…無難だな…もう少しこう…なぁ?」
北斗「それじゃあ、文面に程々なアレンジを加えてみればいいじゃない?」
―――10分後
翔太「…冬馬君遅い!携帯使い慣れてないんじゃない?」
冬馬「あ、焦りは禁物だぜ!」
北斗「あはは☆」
翔太「~…(イライラ)…冬馬君、途中でもいいからちょっと見せてくれる?」
冬馬「あ、おい!」
メール『拝啓 』
翔太「はいダメー!一行も読む必要ないね!」
冬馬「な、何だと!?」
北斗「メールってのはもっとフランクにいかなくちゃ」
翔太「そうだよ!僕とのメールだと、返信は遅いけどそれなりに頭痛にならないメールくれるじゃん!」
冬馬「あ、ああいうのとは違うんじゃねぇのか?ほら、向こうは仮にも仲間ってわけじゃねぇんだし」
北斗「それがいいね」
冬馬「こういう身内ってのとはよぉ…やっぱこう…なぁ北斗?」
北斗「チャオ☆」
冬馬「…」
翔太「うん、できたよ!これでいいかな?」
冬馬「早ぇな!?」
メール『よう、最近調子はどうだ?ジュピターの天ヶ瀬冬馬だ
突然で悪いが、せっかくこうしてアドレスを交換したんだ
新しくスタートを切った俺たちに、先輩からのアドバイスをって意味も含めて、
これからたまにでも、こうしてメールで情報交換をしたいと思うんだが、いいか?』
冬馬「肝心の質問を聞いてないじゃねぇか」
翔太「え?最初のあれで聞いてることにはならないかなぁ」
北斗「いい感じじゃない?冬馬らしい不器用さも出てるし」
翔太「そこなんだよね!ほら、あえて『情報交換』なんて書いちゃうあたり?いい感じに冬馬君でしょ!」
翔太「そう!慣れない相手なら、タイトルで軽く自分の名前でも書いたりするところをだよ!」
北斗「あとは過去を中途半端に引きずって、無自覚なほど軽くだけど自分を卑下してみたりね☆いいと思うよ、俺は」
翔太「良かった!じゃあ、はい、冬馬君!問題ないなら送信しちゃってよ」
冬馬「な、なんか軽く馬鹿にされてた気もするけど…まぁお前らがそこまで絶賛するならいいか…」
冬馬「届け!送信、だぜ!」ピッ
北斗・翔太「…」ニコニコ
冬馬「…?…何だよ、ニヤニヤして」
翔太「いやぁ、やっぱり冬馬君はどこまでいっても冬馬君だねぇ」
北斗「だね☆ ところで、何か頼まない?俺ちょっと小腹がすいちゃってさ」
翔太「いいね!ほらこの…エスカルゴの何とかってやつ、いいんじゃない?」
冬馬「おい、それにんにく使われてねぇか?ほら、ガーリックバターって」
北斗「ブレスリカバー、持ってないのかい?良かったら俺のあげるよ」
冬馬「いいのか?それなら問題ないな、じゃあこれとドリンクバー3つでいくか」
冬馬「おう、悪いな。ほら、行くぞ翔太」
翔太「うん!北斗君はリクエストある?」
北斗「いや、あのブレンドは俺にしかできないから、あとで自分で行くよ」
翔太「お、やり手だね~ブレンド派か。でもそういうことなら遠慮なく、行ってきま~す」
翔太「冬馬君は相変わらずメロンソーダか~」
冬馬「うるせぇな、好きなんだよ。これにバニラアイスがあれば言うことなしなんだけどな」
翔太「あはは、まぁ追加で頼んでもいいんじゃない?それじゃあ僕は~…」
北斗「おかえり☆メール、来てたみたいだよ」
冬馬「本当か!早いもんだな…」
翔太「早速見てみよ…あ、北斗君、先にドリンク行く?」
北斗「いや、この返信をしてからにするよ」
P『久しぶりだな、天ヶ崎。こっちの調子はまずまずだよ、話せば長くなるけどな
それと、俺を先輩扱いだなんてよしてくれよ。むしろ君たちから教わりたいことがあるぐらいなんだから
だから、というわけでもないけど、メールは大歓迎だよ
遠慮なく、どんどん送ってきてくれよ(サムズアップ)』
冬馬「謙虚だな。ていうか俺は天ヶ瀬だ」
翔太「謙虚だね。ちょっとだけ間違てるね」
北斗「とりあえず、受信メールにある情報すべてに応答するタイプなのかな、この人は」
翔太「僕らに教わりたいっていうのは、やっぱりアイドルたちの自立性とかかな?」
冬馬「かもしれねぇな。仲良いのはいいってのは分かるが、たまにそれはもはや『依存』だろって思うこともたまにあるしな」
北斗「なんにせよ冬馬のPへの初メールは…」
翔太「うん、成功って言ってもいいんじゃない」
冬馬「だな。じゃあ次はこれへの返信だ」
翔太「さっきは僕の案だったから、今度はどっちかで決めてね!」
北斗「うん…まだ真ちゃんについて聞くのは時期尚早な感じがするね☆」
冬馬「そういうのを踏まえても…『アイドルたちとはもうヤッたか?』」
北斗「チャオチャオ~☆それはチャオ☆っとチャオ☆んとチャオ☆?」
冬馬「何て言ってんのかわかんねぇよ!」
翔太「あははは!冬馬君引くわー!最高だよ!」
北斗「正直ありえないね」ガタガタ
冬馬「なっじょ、冗談に決まってるだろ!?」
北斗「危なかったよ、そういう聞かれるだけでもヤバイタイプの冗談は言わないと思ってたよ」
翔太「あははは!まず冗談に聞こえなかったからね今の!」
冬馬「う、うっせぇな…じゃあ、『駆け出しのころ、仕事はどうやって取ってたか?』は?」
冬馬「なんでちょっと残念そうなんだよ」
翔太「さっきのがあまりにも強烈だったからねー。ていうかマジメすぎない?」
冬馬「まだ序盤だって言ったろ?まずは警戒させないような、かわいらしい質問で攻めようって考えたんだけどな」
北斗「特に反対はないよ。その内容でいこう。文面はどうする?」
翔太「さっきの僕のはあくまで再現だからね。冬馬君の自然体でいいんだから、自分で考えてもいいと思うよ」
冬馬「じゃ、書いてみるぜ!あ、北斗。先にドリンク行って来いよ。どうせそれまでには終わらねぇし」
北斗「そうかい?それじゃあお言葉に甘えてっと」スタスタ
翔太「詰まったら言ってよ?」ズズ
冬馬「ん…あぁ…うん…」ポチポチ
翔太(ここまで集中してる冬馬君見たの始めてかも)ゴクゴク
翔太「おかえ…!?…うわー…北斗君それ…もとはソフトドリンクだよね?何混ぜたら光りだすのさ?」
北斗「秘密だよ。製法知っても、きっと再現できないさ」
翔太「ひ、一口いい?」
北斗「あぁ、どうぞ」
翔太「いただきます…ズズ…?……!……っ!?……あ、うまい!」
北斗「だろう?もう少し多く口に含めば、またいろんな発見ができるよ」
翔太「…けどなんだか怖くなってきた…ありがとう、気持ちだけもらっておくよ」
北斗「そう?まぁいいならいいんだけどね☆」グビグビ
冬馬「よっしできたぜ!これでどうだ?」
翔太「あ、来たね!どれどれ?」
もう敵同士じゃあ全然ないわけだし、協力しあえると分かって良かったぜ!
それじゃあ早速だが、あんたが駆け出しのころ、
どうやってアイドルたちに仕事を取ってきてたか
参考までに教えてもらえるか?』
翔太「あっははー、うん!実に冬馬君らしい、清々しい文面だよ!」
北斗「そうだな。とってもいいと思う」
冬馬「ほ、本当か!?」
翔太「『良かったぜ!』に7割がた詰め込まれてるよねー」
北斗「しっかりと『参考までに』ってつけたあたりにも、かわいいプライドが見て取れるね」
冬馬「…なぁ、さっきからその分析は何なんだ?褒められてるようには思えねぇぞ!」
翔太「安心してよ、貶してるわけじゃないんだし」
北斗「そうだよ、むしろ愛をもって接しているじゃないか」
冬馬「!」ゾクゾクッ
翔太「…良かったね、冬馬君」ズリズリ
冬馬「おい!俺から距離を取るな!」
冬馬「お、来たな」
翔太「へぇ~、けっこうしっかりした一口サイズなんだね」
北斗「6つか…ちょうど、一人2つずつだね」
冬馬「おっと…見た感じまだ熱そうだな。まだいいか…」
翔太「ズジズジジョオオガロロロ」
冬馬「翔太、ストローで遊ぶな。あと、俺もおかわり行きたいから立ってくれ」
翔太「あ、じゃあ僕も!北斗君、また留守番頼める?」
北斗「大丈夫だよ、行ってらっしゃい☆」
北斗「…………ん~、そろそろ食べられそうかな…(パク)…うん、ちょうどいい熱さだ。」
北斗「…エスカルゴ…ふぅん、貝類みたいな食感だね…それに、味付けがけっこういい仕事をしている」
北斗「どうせ冷凍ものだろうと思って侮っていたかな…噛めば噛むほどうまみがあふれる…」
北斗「…なるほど、これはうまい。サイドとしてこれがひとつあれば、それだけで満足度が10ほど変わるね☆」
北斗「…来たっぽいね。…そういえば、冬馬がマナーモードを解除した瞬間を知らないな…」
北斗「この際だから思い切って…行こうか?」
冬馬「…そういう作戦は口を閉じて練るんだな、北斗」
北斗「…チャオ☆?」
冬馬「あぁ、ただいま。返信、来ていたっぽいな」
北斗「俺は未遂だからね」
冬馬「…まぁ、変更されて困るもんでもねぇが…一応のマナーとして、な」
北斗「分かってるよ☆ばれないようにやるから」
冬馬「そういう問題じゃねぇだろ!」
翔太「ふぅ、お待たせ~!返信来てれぅ~?」
冬馬「ああ、来てたぜ。すぐ見るか?」
翔太「そうだね、やっちゃって!」
それがジュピターレベルのアイドルに役に立つかはわからないよ
それじゃまず初心者には、レッスンとオーディション、それもどんなに
(略)
ちょっと長くなってしまったな
要するに今の君たちのように、信頼できる仲間とともに、仕事に貴賤なしの精神で
あくまで自分が「仕事をさせてもらってる」のだと認識して、感謝しつつ頑張ることだ
能力はある、足りないのはバックアップだけ。そういう状況ならなおさら
(略)
もちろん団結にも脆弱性はある。そこで重要になるのが』
ブー、ブー、ブー、ブー
冬馬「!?…またメールだ…」ピッ
P『さっきの続きだ。容量の都合上、2通に別けてしまって』
3人「長すぎるだろおおおお!!」
冬馬「なんてこった!地雷だったのか、仕事の話題は!」
翔太「一通目中盤の要するにが要してないよ!!てっきりまとめに入るとばかり…!」
北斗「さっきの送信から今までおよそ7分…むしろ俺は携帯、あるいはパソコンの性能を称賛するよ」
冬馬「…まぁ、何とか読み切った。だが頭に叩き込められたかって聞かれるとノーだな」
翔太「敏腕敏腕だっていうのは聞いてたよ?けどあれはさ…異常じゃない?」
冬馬「2通目最後の『ここまで長くなったのは、君たちがジュピターだからだ』からの応援メッセージは…」
翔太「うん、ホロリときたね」
北斗「でもやっぱり、それを差し引いても長すぎるよね☆」
冬馬「ともあれ2通目…どうまとめる?」
北斗「『Pさんには安易に仕事についての漠然とした質問をするな』」
翔太「決まりだね、まさしくって感じ!結果としては?」
冬馬「もちろん成功、だぜ!」
北斗・翔太「…」ニコニコ
冬馬「…その変な沈黙やめろってんだよ!」
翔太「でしょ?このコリコリがいいんだよね。あ、平等にいくなら、次は北斗君の番だよ」
北斗「お、いいのかい?ちなみにレベルとしては?」
冬馬「レベル?」
翔太「そうだね…無理をせず、でも少し茶目っ気を出してみる、あたりでどうかな?」
冬馬「あぁ、内容の濃さのことか…それでいいと思うぜ」
北斗「チャオ☆それなら『Pさんのところで、一番魅力のあるアイドルは?』なんてどう?」
冬馬「魅力のある…か」
翔太「…北斗君としてはソレ…どっちの?」
北斗「もちろん女として、だけどね☆」
翔太「それならもう少しそれを匂わせた方がいいかもしれないね、あの人ニブチンさんだし」
北斗「そのあたりは冬馬の文面にアレンジを加える方向でね」
冬馬「お、今度も俺か。じゃあ早速書き始めるぜ」カチカチ
北斗「最近忙しいみたいでね…前までは毎朝、モーニングメールじみたことをやってたんだけど」
翔太「やりすぎだよ!僕だったら速攻着信拒否にぶち込むよ」
北斗「だから、この1か月間は、コンサートあととかで『良かったよ』っていうようなメールを送るだけに留めてる☆」
翔太「それぐらいが妥当だね。ていうかそれでも返信は来ないの?」
北斗「いや、来ることは来るんだけど…(ペタペタ)…ほら、こんな感じ」
真『ありがとうございます!これからも応援よろしくお願いしますね!』
翔太「これ、明らかに定型文じゃない!?」
北斗「でしょ?こんなの返信してくれたに入らないよね」
翔太「若干トラウマになってるんじゃない?まぁでも、一斉送信じゃないだけ望みはあるよ」
北斗「だね☆だから今は『押してダメなら引いてみろ』作戦を実行中なのさ」
翔太(向こうはただただ安心してるだけだと思うけどね…)
冬馬『ちょっと長かったけど、すごくためになったぜ。ありがとう
ところで、今の765プロのアイドルたちの中で、魅力があるって思うのって誰だ?』
翔太「ちょっと短すぎない?」
冬馬「だから添削頼んでるじゃねぇか」
北斗「さっきのメールに対するリアクションがそれだけっていうのも、ちょっと冷たい感じがするかな」
翔太「あと、やっぱり質問が漠然としすぎだよね。だから、ちょっと貸して」
翔太「…(カチカチ)…うん、こんなものかな?」
冬馬『まず長ぇよ!内容としてはすごく参考になったけど、
それでもやっぱり長ぇ!でも、そんだけ教わることも多いメールだったから、それはありがとうな
あとちょっと聞きたいことがあるんだが、765プロで一番魅力的だと思うのは誰だ?
あ、これはプロデューサー目線でも、個人目線でもどっちでもいいんだけどよ』
北斗「冬馬らしいね」
冬馬「…この無理やりなのが、か?」
翔太「うん、やっぱり気づいてなかった?冬馬君って知りたいって気持ちが先行して」
翔太「よくこういうヘタッピな話題転換しちゃうんだよ」
冬馬「納得いかねぇよ…まぁいいけど。送信、だぜ!」ピ
翔太「…あっはは、僕、この席を立たないでいることもできるんだけど?」
冬馬「…悪かった、けっこうきてるから頼む」
翔太「その気になればテーブルの下でも這えばいいのに…はい」スク
冬馬「すまねぇな」ダッ
翔太「謝るならやんなきゃいいのにね」ポスッ
北斗「小走りでトイレに駆け込んでいったね…あ、そうだ」
翔太「何?」
北斗「この隙に、ちょっと冬馬の着信音とかいじっちゃおうか?」
翔太「あはは、いいねそれナイスだよ!僕にはしっかりと動機もあるしね~」
北斗「そうと決まれば早くしようか。とりあえず今のは、どう設定されてる?」
翔太「えっと~…うわ、デフォルトだ」
北斗「キツイね。もっと遊ばなきゃだめだよね」
北斗「翔太も結構、機械には強いタイプなんだね。この短時間で音声いじれるとは思わなかったよ」
翔太「まぁね!さてあとは~…」チラリ
冬馬のドリンク「…」ゴゴゴゴゴ
北斗「…程ほどに、ね」
翔太「分かってるよ…タバスコはさすがにばれちゃうよね、色で」
北斗「塩でいいんじゃない?溶けるかはちょっと不安だけど」キュキュ
翔太「って言いながらヘッド部分外してるじゃないですかー!やだー!」
北斗「大丈夫大丈夫、俺のブレンドリンク飲んだでしょ?あれができるんだから」
翔太「じゃあ一周回っておいしくなる可能性もあるんだね?やったー!」
北斗「じゃあ手始めにっと」ゾン
翔太「音がまずおかしいよね。撒いたっていうか、落ちた」
翔太「まだだよ~っと」スク
冬馬「すまねぇな(ポスッズリズリ)…ふぅ、なんか追加で頼んでもいいか?」
北斗「いいね☆やっぱり少しでも入ると、体が食事モードに入っちゃうんだろうね」
翔太「もうちょっと欲しいってなるよね!じゃあ僕はこのコーンスープで!」
冬馬「あ、俺もソレいく。あと、このプロシュートってどうなんだろうな」
北斗「生ハムだね。普通に薄くってしょっぱい…あぁ、味的な意味でね。そんな感じだと思うよ」
冬馬「ちょっと興味あるな、頼んでみよう…他、なんかあるか?」
北斗「このほうれん草の、いってみるよ」
冬馬「決まりだな、呼ぶぞ」ピンポーン
翔太「お、引っかかったね冬馬君!お味はいかが?」
冬馬「て、てめぇらかよっ!?えほっえほっ…くっそ、しょっぺぇ!!塩か!?」
北斗「だ、大丈夫かい冬馬!?ほら、このお冷を飲みなさい(棒)」
冬馬「見た目からもう真っ赤じゃねぇか!くそっ!」
翔太「タバスコ入りお冷には引っかからず…おめでとう、冬馬君!」パチパチ
冬馬「うっせぇよ!…えほん!あぁ~…」
北斗「おいしかった?」
冬馬「んなわけねぇだろ!ていうかどうすんだよこれ、俺もう飲みたくねぇぞ」
翔太「ちょっと味見~…っ!?っだー!これはひっどいや!」
冬馬「素直に新しいグラスで入れてくるぜ…本当、こういうのはやめろよ?」
北斗「大丈夫だよ」
冬馬「俺的には翔太より北斗の方が信用できねぇんだけどな」スタスタ
翔太「まろやかでおいしいよ、これ」スク
冬馬「毎度すまねぇな…ていうかまだメールこねぇのか?」
北斗「今回はかなり遅いね」
冬馬「そんなに困るような質問………だったよな、あれは」
翔太「あそこはすっごいからね。美希さんなんか、分かりやすすぎて半ば公然の了解って感じもあるし」
北斗「あの二人を見つめるスタッフさんたちの顔といったら、ねえ?」
冬馬「授乳シーンでも見ているかのような雰囲気だもんな」
翔太「もっといい例があったでしょ!?ねぇ!?」ガシッ
冬馬「どわぁ!む、胸倉をつかんでんじゃねぇ!」
北斗「慈愛に満ちているというか…壊しちゃいけないって思ってる顔だよね」
冬馬「そう、つまりそういうことなんだよ!まったくこれだから翔太は…」
翔太「…」
冬馬「!?」
翔太「あはは、来たみたいだね」
冬馬「さっきのトイレの時か…また地味なことしやがって。つーかアリアリスって何だよ」
北斗「まぁまずはメールだよ、見てみよう」
P『全員にそれぞれの良さがあるから、一番は決められないな
けど俺個人の目線でいいなら、貴音かなぁ
あのミステリアスと、あと明らかに立ち位置が違う感じがいいと思うよ
まぁ、貴音が5だとしても他の全員は4,999ぐらいだから、本当にあえて言うならって感じだね
って、もしアイドルとしての魅力について聞いたんだったらすまなかったな(笑)』
北斗「問題ないですよ☆しっかりと正解してくれました」
冬馬「貴音っていうと四条か…四条ねぇ…」
翔太「冬馬君は苦手なんだっけ?」
冬馬「苦手っていうか、なんかこう…プレッシャーがすげぇんだよな」
北斗「これは貴重な意見だね☆」
冬馬「あと、面と向かうとなぜか煽り合っちまう」
翔太「ふ~ん」
北斗「美希ちゃんとのやり取りを見てるからね☆大したスケコマシだよ」
冬馬「どの口が言いやがる」
北斗「俺の女性観念はホル・ホースと同じだよ、だからいいんだよ」
翔太「ちなみに僕はやよいちゃんかなー」
冬馬「年も同じだっけ?守りたくなる奴だよな」
翔太「分かる?でも僕はあえて、ともに苦難を分かち合いたいと思うよ」
北斗「ひとつ先に進んでるね☆あえてつらいことをさせて、かつ共有するか…いいと思うよ」
翔太「えっへへ、でも逆に一番ないのは…」
冬馬「おっと、そういうネガティブな方向にはいかないようにしようぜ」
翔太「あ~…うん、それもそうだね!あ、北斗君はもう言わなくてもいいよ」
北斗「チャオ…☆」
翔太「そんなものだよ。あと、名前もきれいに対応してるよね」
北斗「これはわざとだね。まぁそれは置いといてっと」
冬馬「あぁ、まとめると『Pは奥が深い奴が好き』ってところか」
翔太「…あぁ…なるほど…!へぇ、けっこう深く読んでみたね冬馬君!」
北斗「貴音ちゃんみたいに底が知れない、イコール変化、成長の余地がある女の子は」
北斗「やっぱり人を育てる職業についてるうえでは魅力に思えるところなんだろうね」
冬馬「そんなところだ。だけどそれじゃ人間を作品として見てるところもあるから、俺としては気に入らねぇもんだけどな」
翔太「アイドルの、仕方ないけどつらいところってやつだよねー」
北斗「そういう意味じゃ、今回貴音ちゃんが選ばれたけど…本人は聞いてもうれしくない結果かもね」
冬馬「あえて知らせてやっても面白いかもな」
翔太「え?」
冬馬「ん?あぁ、この前ちょっとな」
北斗「詳しく聞かせてよ★」
冬馬「あぁ!?別になんでもねぇよ、ただ小規模だけど連続した仕事が入ったときに何かと便利だからって…」
翔太「…あぁ、あの時か!」
北斗「ちょっと待って、俺知らないよ」
翔太「ほら、貴音さんと冬馬君、この前1クールだけラジオやったでしょ?」
北斗「『結構殺伐!たか・とう煽り合いラジオ』だっけ?あれは面白かったよね、常にボロボロになる冬馬が」
翔太「たしか5回目の時のゲストが僕らで、意外とラーメンに詳しかった冬馬君が、その情報を教えるために…」
北斗「あぁ思い出したよ、確かにそんな話になったね!あの後結局アドレス交換したんだ」
冬馬「おぉ、そこまで頻繁にメールするわけじゃないけどな」
北斗「もったいない、とは思うけど良い判断だと思うね☆」
翔太「もしこれ雰囲気良かったら、いつの間にか芸名が『ピピン板橋』になってたかもしれないしね」
冬馬「意味わかんねぇよ!?つーかどっからきたんだソレ!?」
翔太「僕は…やよいちゃん、伊織ちゃん、響さん、双子に春香さんだけ」
北斗「俺はあずささん、春香ちゃん、律子ちゃん、真ちゃん、あと雪歩ちゃん…あ、事務員さんもかな」
冬馬「俺は天海、四条、如月、星井、我那覇、あと水瀬にPか」
翔太「なんだ、結局網羅できてるじゃん!社長以外」
冬馬「お前らだって普通に知ってるじゃねぇか!何で四条の時あんなに食いついてきたんだよ」
北斗「冬馬だからさ」
翔太「僕としては北斗君が事務員さんとつながってたことに驚きだけどね」
北斗「あの人はいい人だよ。ちょっとトリップしちゃうのが玉にきずだけど」
冬馬「見たことあるぜ。あれで独身とか正直信じらんねぇよな。何が打ち消してんだろ」
翔太「…僕の嫌いなマンガをひとつ終わらせ」ボソッ
冬馬「ぎるてぃ!ていうかそれはあの人の責任じゃねぇだろ!」コツ
翔太「僕が悪かった」
イケメンだからな
翔太「鬼畜の所業だよね…僕はどう反応するのかすっごく興味あるけど」
北斗「俺もだね☆やっちゃおうか」
冬馬「よし、それじゃあ文面は、と…」カチカチ
冬馬「こんなもんでいいか」
冬馬『四条、今お前のところのPに聞いたんだけどよ
あいつ、765プロの中で一番魅力的なのはって聞いたらお前だって言いやがったよ
お前のそのミステリアスなんていうよくわからん演技に騙された哀れなPにここまで言わしめて…
恥ずかしいと思わねぇのか?』
翔太「ひっどー!面と向かってじゃなきゃあここまで言えるんだね!」
北斗「少し脚色しすぎじゃない?言葉づかいはともかく、内容はもうちょっとやさしくしよう」
冬馬「そうか…ん~…翔太、頼まれてくれ」
翔太「え、いいの?とりあえずどれぐらいの暴言までがセーフとかは…」
冬馬「あまり横文字は使わず…本気で傷つくようなことは避ける。この程度でいいと思うぜ」
翔太「また難しいね…僕あんまり貴音さんと冬馬君の距離知らないんだけどな…」カチカチ
冬馬『四条、さっきお前のとこのPに聞いたんだけど
あいつが765プロの中で一番魅力的だって思うのはお前らしいんだぜ
まったくわかんねぇもんだよな、お前みてぇな正体不明に惹かれるなんてよ
ところでどうなんだ?お前はお前で、あいつのことどう思ってんの?』
北斗「手馴れてる人のメールだね」
翔太「やっぱりそうかな…一応貴音さんとのやりとりを送信BOXから見つけたんだけど」
翔太「どちらかというと僕よりもまだ馴れ馴れしい感じでいってたから、これぐらいかと」
冬馬「…言われてみればそうだな。ていうか勝手に見んなよ」
翔太「ごめんごめん、でもやっぱり情報が少なかったしさ」
冬馬「…まぁいいけどよ」
北斗「それよりこの文面だと、貴音ちゃんが本人に確認しちゃわないかな」
冬馬「それはねぇよ。あいつ意外とこういうのには奥手だし、どちらにせよ嘘は言ってねぇだろ」
翔太「(よく見てるね…)…じゃあ、これでいいなら。はい、冬馬君」
冬馬「はい送信っと」ピ
冬馬「何だよこの着信音うっせぇ!ていうかはえぇな!」ピ
貴音『それはまことでしょうか』
冬馬「は?こいつ、いつにもましてつまんねぇ返信するなぁ」
翔太「新鮮!もっと漢字だらけかと思ったのに!」
冬馬「…」カチカチ
冬馬『どんだけふざけても、今まで俺は嘘なんて言ったことねーだろ
ていうかお前はどうなんだよ、あいつのこと』
冬馬「送信だ」ピ
北斗「早いよ冬馬。俺も意見を出したかった」
翔太「なんか不機嫌になってない?」
冬馬「そうか?俺は四条とのメールはいつもこれぐらいの速さと内容だぜ」
北斗「…(…これはちょっと危ないかもね)」
貴音『そうですね、信じます。貴重な情報をありがとうございました。
ですが、あなたの質問にはとっぷしぃくれっとと答えるよりほかにありません。
残念ながら…あなたはもう用済みなのですっ!』
翔太「うわぁ…かわいい」
北斗「たまらないギャップだね。一行開けてるところとかいいよね」
冬馬「…ちっ、これでいつもの調子か…」ボソッ
翔太「ん?冬馬君、何か言った?」
冬馬「何でもねぇよ。それよりこのタイミングで、Pのメール本文をそのまま転送するってのはどうだ?」
翔太「ないわー!それナイスだよ!」
北斗「…」
翔太「…あれ、北斗君?」
北斗「…ううん、なんでも☆冬馬の案でいこう、ちょうどいいよ」
冬馬「それじゃあ…と」
>全員にそれぞれの良さがあるから、一番は決められないな
>けど俺個人の目線でいいなら、貴音かなぁ
>あのミステリアスと、あと明らかに立ち位置が違う感じがいいと思うよ
>まぁ、貴音が5だとしても他の全員は4,999ぐらいだから、本当にあえて言うならって感じだね
>って、もしアイドルとしての魅力について聞いたんだったらすまなかった(笑)
これがあいつのメール本文だ。お前はその程度しか他の奴らと違わないんだよ(笑)
きちんと現実見やがれ面妖ラーメン!それじゃあ元気でな!』
冬馬「送信だ」ピ
翔太「冬馬君…」
冬馬「ん?」
翔太「…やっぱりちょっと厨二病なんだね^^;」
冬馬「な!そ、そんなわけねぇだろ!大体どこにそんな要素が・・・」ギャーギャー
北斗(…冬馬…おめでとう…お前は今、大人の階段をまたひとつ上ったんだね…)
冬馬「意味分かんねえこと考えんな。四条とはこういう立場同士の方がやりやすいだけだよ」
携帯『ゲッチュー!ゲッチュ』ピ
冬馬「返信か…」
鬼ヶ島羅刹、あなたのやることですからね!まんまと期待してしまいました!
まったく、今度は私の気持ちを弄ぶようないたずらにまで発展させて!
結果的に嘘ではなかったでしょうが、それでも少しはしょっくですよ(プンスカ絵文字)
…でも、しっかりと感謝はしております。ありがとうございました。
おかげで私はまだまだ頑張れそうです。あなたも、変わらずお元気で。それでは(バイバイ絵文字)』
翔太「うわぁお…強烈ぅ…」ホンワカ
北斗「俺もだね…真ちゃんには及ばないけど、それでも…」クゥー
冬馬「…」
北斗「冬馬…」
冬馬「…何だよ?」
北斗「…いや、それでいいんだ。今は思いっきり泣け」
冬馬「?…いや、泣く要素がないんだけど…まぁ名前に関してはわざとって分かるし」
翔太「うん…僕も、気持ちはよく分かるよ。こういう時はそう…今の冬馬君みたいに泣けばいいんだ」
冬馬「あ?泣いてねぇだろ…(ゴシ)…うん、泣いてない」
冬馬「…………あれ?は?何この流れ…逆に泣けるんだけど」
翔太「貴音さんを絡めたのがけっこうおもしろかったから、次もそういう路線でいこうよ!」
冬馬「というと?」
北斗「『Pが思うアイドルたちのあれこれ』、ここからってことだね☆」
翔太「そういうことだよ!さすが北斗君だね!」
冬馬「なるほどな…いいぜ、それは面白そうだ」
翔太「じゃあ早速、問題ないなら僕からでいい?」
冬馬「あぁ、いいぜ」
翔太「やっぱり定番から行こうか!『765プロで一番かわいいと思う人』!これで決まりでしょ!」
冬馬「急にテンションあがりすぎだろ!ていうかそれで俺がアドレス知らない奴出てきたら終わりだぞ」
北斗「問題ないでしょ☆別に俺から告げたって、向こうは何も分からないし」
冬馬「…まぁ、それもそう、かな」
冬馬『全員にそれぞれいいところがある、か。なるほど
四条は俺も魅力的だと思うぜ。優劣はつけがたいけどな。
ところで、魅力的なのは分かったが、もうすこし聞いてみてもいいか?
ずばり、765プロで一番かわいいと思うのは誰か、だ!』
翔太「冬馬君!」ブワッ
冬馬「うわぁ!き、急に泣いてんじゃねぇよ!」
北斗「やっぱりお前は…うん…うん…つらかったね…」ポロポロ☆
冬馬「気持ち悪いんだよ!で、メールはこれでいいのか!?」
翔太「うん、いいよ」ピタッ
北斗「さっさと送っちゃいなよ」ピタッ
冬馬「お前らなぁ…まあいい、送信だ」ピ
翔太「あ~あ、もったいないな」
北斗「俺のほうれん草のサラダは冷めてもうまいね☆」
冬馬「そういえば生ハムも来てるんだったな…どれ」
冬馬「モグモグ…うん…モグモグ…生ハムって、こういうもんなのか?」
北斗「そうだよ。この値段でこれなら、俺は上出来だと思うよ」
冬馬「ふぅ~ん…」モグモグ
翔太「僕も一枚~…モグモグ…うん、おいしいじゃん!」
北斗「このちょっと安っぽい感じが病みつきになるよね」
冬馬「…このパンも…はは、味が安いぜ」
冬馬「そのアピールやめろよ!」
翔太「僕おかわり行ってくるよ!」
冬馬「俺もついでに頼めるか?」ゴクゴクン
翔太「っ!…うん、もちろんだよ!それじゃあ、行ってくるねー」タッタッタ
冬馬「あ、おい!リクエストぐらい聞いてけよ!」
北斗「今のは冬馬が悪いよ☆」
冬馬「…ちっ、しくじっちまったかな」
翔太「へっへっへ~、これは思わぬチャンス到来、だね!」
翔太「へぇ、この店舗はコーヒーや紅茶も、ドリンクバーに含まれるんだ…」
翔太「これはすごいや!革命だよね!もう見た目を取り繕うことなんて考えずにいっちゃおう!」
冬馬「………その黒いのが俺のか……」
翔太「うん!厳正な味見のもと、見事【ダークマター】の称号を授かった特性ドリンク!」
翔太「飲み干すと涅槃に至るという…」
冬馬「うるせぇよ、さっさとよこせ…あ、一応サンキュ」
翔太「冬馬君が悪いんだよ?まぁ、僕は楽しかったけど!」ニッコォォ
北斗「教訓、だね冬馬」
冬馬「……(クピリ)…………あれ、無理ではねぇ」
翔太「ふふん、まぁまだ序盤だからね!底に沈んでる何某を知ってからが本番だよ!」
冬馬「ていうかこれ、何入れたんだ?ソフトドリンクだけじゃこうはならねぇだろ」
翔太「…まぁそれは、出会ってからのお楽しみだよね!」
とんかつソースかウスターソースか何かを入れれば最強
冬馬「お、来たか」
翔太「あれ?マナーモードにしちゃったんだ」
冬馬「当たり前だろ、何だよアリアリスって…と、どれどれ」
P『かわいい、か…最近はかわいいにもいろいろあるよな
だからこれは完全に俺個人の目線になるんだけど
俺が765プロで一番かわいいと思うのは…伊織だ』
冬馬「へぇ、あの猫かぶりのお嬢様が?いい趣味してるな」
北斗「冬馬、そういうのは良くないよ。本人がたとえ目の前にいなくってもだ」
冬馬「っ…分かったよ、悪かった。続き読むぞ」
P『俺は単純に、伊織のデレにしてやられただけの男だよ…
だって、すっごくギャップあるんだもん。あれは卑怯だと思う
あとは、ツンツンしつつも仲間の事はとても大事に思ってくれるところとかにも惹かれるな』
かわいいは、近年崩壊しているよ。だけど、だからこそ俺は言う
伊織は、かわいいと。
まぁ、ちょっとわがままが度を超えることもあるけどな。それはまぁ…
空腹は最高のスパイスみたいなもんだと思ってるよ』
翔太「…語るね」
冬馬「どんだけ本気なんだよって思うよな」
北斗「あんまり欠点あげてないしね…これはどうしよう?」
翔太「伊織ちゃんで見たいのは、やっぱりデレでしょ?冬馬君に披露するとは思えないしな~」
北斗「それでも俺は、実行するだけ価値があると思うね☆」
冬馬「…まぁ、あれこれ考える前にやってみるか」カチカチ
翔太「そういえば伊織ちゃんとはメールするの?」
冬馬「あまりしねぇ。コンサート後とかにこっぴどくダメだしするぐらいだな」
北斗「健全だね。最近は個人としてもユニットとしても、レベルはかなり上がってきてるんじゃないの?」
冬馬『よう、突然悪いな
さっきお前んとこのプロデューサーとメールしてて聞いたんだけどよ
あいつが一番かわいいと思うのって、765プロじゃお前だって言ってたぜ
だけど、もうちょっとわがままのレベル下げてほしいとも言ってたんだ
お前、普段どんな感じであいつと付き合ってるんだよ?』
翔太「いいと思うよ!最後に『付き合う』って単語を持ってくるあたり、伊織ちゃんのツボを押さえてるんじゃない?」
北斗「今回は最初っから、全部の情報を渡すんだね」
冬馬「そうでもしねぇと反応しないんじゃねぇかっていうな」
北斗「…いいよ、送っちゃいな☆」
冬馬「あぁ、送信っと」ピ
翔太「ところで、冬馬君はなんで伊織ちゃんのアドレスを知ってるの?」
冬馬「ん…結構前に楽屋通りでパフォーマンスを貶したら、その場で教えてもらった」
冬馬「なんかアドバイス的な側面を感じてるらしいぜ…大したプロ根性だが、同時に隠れMなんじゃねぇかって思う」
北斗「冬馬、そういうことは言うな」
冬馬「おいおい、今のでアウトなら、これから俺水瀬と関わりあえないぜ」
冬馬「あ!?電話…水瀬からだ!」
翔太「これはちょっと予想外!出てもいいのかな、北斗君!?」
北斗「出ないわけにはいかないよね☆さ、冬馬!」
冬馬「チッ…こんなはずじゃなかったんだけどな…(ピ)…もしもし、天ヶ瀬だ」
伊織『ちょっと、さっきのメールはどういうことなのよ』
冬馬「…いや、そのまんま、書いてある通りだけど?」
伊織『はぁ!?そういうことを聞いてるんじゃないわよ!どういう状況で、どういう流れであぁなったかって聞いてるの!』
冬馬「か、書いてなかったか?765のPとメールしてたら質問大会的な流れになった、そのうちの一幕にすぎねぇよ」
冬馬(っつうか怖ぇ…ここまで必死な声とか聞いたことねぇよ…)
伊織『…そう。で、あれは本当なの?』
冬馬「あ?俺は嘘つかねぇだろ。全部本当だ」
冬馬「まだ通話中だぜ、漏れてる漏れてる」
伊織『あ!い、いや、今のはっ…!ガガチャ!…きゃぁ!?』
冬馬「っ…落ち着けよ…耳がいてぇだろ」
翔太「これはレアだね」
伊織『あぁ、ごめんなさい…ってそうじゃなくて!』
伊織『それじゃあ、なんで私にそれを教えたのよ!』
冬馬「あ~…(どう言う?)」チラ
北斗「(伊織ちゃんのかわいい反応とやらを見てみたかったから)」パクパク
冬馬「…その、あいつがお前のどこを見てかわいいとかぬかしやがったかを知りたくてな」
伊織『…?』
冬馬「…あ~…いったん切る!本文転送するから感想教えろよ、じゃあな」
伊織『え!?あ、ちょ(ブツン)』
冬馬「はぁ!?俺が悪いのかよ!ていうか電話かけてくるとか予想できねぇだろ!」
翔太「そういうのに対応してこそでしょ!だから冬馬君はいつまでたっても!」
冬馬「ちっ、別に水瀬の出番を終わらせたわけじゃねぇんだからいいだろ」
翔太「理想が低いよ!だから冬馬君はいつまでたっても!」
冬馬「いつまでたっても何だよさっきから!」
翔太「…ほしの~、よ~るねが~いこめへ↑て♪」
冬馬「チェリー♪ってぶっ飛ばすぞ!」
北斗「ほら冬馬、早く送ってあげなよ」
冬馬「ちっ…」カチカチ
翔太「あ~あ、伊織ちゃんの新鮮なリアクション、もっと聞きたかったなぁ」
北斗「仕方ないよ、これでガマンしよう」
>俺が一番かわいいと思うのは…伊織かな
>やっぱり伊織のかわいさ、魅力って、あのたまに出るやさしさにあると思うんだ
>まぁ、あとで謝ってくれるとはいえ、たまに笑えないレベルのわがままを繰り出すから、
>そこで節制というのを覚えてもらえれば完璧なんだけどな…
お前はもっとあいつのことを丁寧に扱えよ、それだけだ。じゃあな
P.S. 早く次のライブのチケットよこせよ。日程見る限り行けるから』
翔太「あれ、けっこう大幅に文章変えてない?」
冬馬「この方が分かりやすいかと思ってな。原文のままの方が良かったか?」
北斗「いや、いい判断だよ。伊織ちゃん、多分興奮してるから、これぐらいで終わった方がいいでしょ☆」
翔太「それにしても、このPSはどういうこと?」
冬馬「あ?あぁ、やっぱりパフォーマンスってのは直接みねぇとダメだしできないしな」
北斗「誤解を生みかねない文章だね」
冬馬「ま、いいなら送信しちゃうぜ」ピ
翔太「入れたねー」
冬馬「あとは…(クピリ)………あぁ、ミルクと…メロンソーダも見つけた」モニョモニョ
翔太「あはは、その口をもにょもにょさせるのキモイ!でも正解だね」
冬馬「…(チャパチャパ)…」
翔太「あ、ストローで混ぜちゃうんだね」
冬馬「………(グビッ)…っ!!??」バッ
翔太「おっと冬馬選手、リバース寸前で間一髪口を押さえたーいったい何があったのでしょーか」
冬馬「…!…(ングッングッ)………っぷはぁ!…はぁ…おい、翔太…!お前…」
冬馬「お前…ティーパック…破いたろっ…!」
翔太「御名答!口に流れ込んだ茶葉にビックリしたんだよね!」
翔太「僕がそんな無計画なことすると思う?ほら、僕ジップロックとビニール袋持ってるでしょ?これで…」
翔太「えっと…(ジャバジャバ…バシャ)…うん、これでもうグラスに茶葉はないね」
冬馬「…」
北斗「まぁ、結果オーライということでね☆」
翔太「さすがに袋二重にジップロックじゃ、防水という面では問題ないよね!」
冬馬「…」
北斗「冬馬はいい子だね」チャオ☆
冬馬「うっせぇよ…」
ブー、ブー、ブー、
冬馬「お、来たな」ピ
伊織『あんたも暇ね。こんな個人的なことを本人にばらすようなマネして』
冬馬「……だけかよっ!?」
冬馬「あ、二通目?」
伊織『間違えて途中で送信しちゃった(ションボリ絵文字)
とりあえず、一応感謝はしておいてあげるわ。ありがとう
あとライブのチケットだけど、残念ながら今回はキープできなかったわ
立ち見が無料タイプだから、足腰も鍛えられてちょうどいい機会になるんじゃない?
そういうことだから、ご勘弁ね。それじゃあ(ニッコリ絵文字)』
翔太「二段構えってやつだね…」
北斗「一見冷静に見えるけど、やっぱりまだ興奮気味なままなのが随所にみられるね」ニッコリ
冬馬「チケットキープできねぇとか、お前らそんな人気あんのかよ!」
翔太「いつの間にか、だね。でも、やりがいあるよね!」
冬馬「…へ、まぁな!あいつらのほえ面を、近いうちにもう一度見てやるぜ!」
北斗「冬馬は熱いね☆むせるよ」
冬馬「最後まで?」
北斗「…俺たちで、Pさんの思う『765プロで一番○○』を予想して質問してみるとか?」
翔太「その通り!」
冬馬「四条と水瀬が終わって…んー…まず天海は『一番甘いヤツ』か?」
翔太「やよいちゃんはかわいいと思ったんだけど、それがないとすると『一番守ってあげたくなる』かな?」
北斗「いやぁ難しいね☆真ちゃんは『一番ほっとけない』とか?」
冬馬「如月とかは『尊敬している』やつだったりしてな」
翔太「こういうところだと双子は分けて考えないとね!」
北斗「そうなると―――」
―――十分後
冬馬「出そろったな。それじゃあ順番に聞いてくぞ?」
翔太「オッケー!さぁて、どれくらい当たるかなぁ?あ、トップの人に下位二人から千円でどう?」
北斗「いや、ビリの人が今日の分おごりでいいんじゃない?」
冬馬「ゲッチュ!天海は『一番甘い』当たってで暫定一位だ!」
翔太「まだまだ!これが最初だよ!」
―――
冬馬「はぁ!?『一番尊敬している』が高槻だぁ!?」
北斗「こ、これは予想外…でも、納得はできるかもね☆」
―――
翔太「ほら!『信頼している』で事務員さんだ!」
北斗「おっと…まだまだ律子ちゃんは、Pさんにしたら半人前ってところかな」
―――
北斗「ほら見てみなよ☆真ちゃんは『一番ほっとけない』であたりだよ。これで3つ目だね」
冬馬「はっ!見てろよ、今にその余裕面を絶望に染めてやるさ!」
翔太「冬馬君…^^;」
―――
冬馬「ま、負けた…!…仕方ない、責任は取る。今日をもってジュピターは解散だ!」
北斗「チャオ~☆冬馬、ごちそうさま」
翔太「流石は北斗君だね!あ、僕もごちそうさま、冬馬君!解散はしないよ!」
冬馬「ようやく全員に知らせ終わったか…」
北斗「真ちゃんとのコンタクト、久しぶりに楽しかったよ☆」
翔太「一番時間使ったのが、双子のメール解読だったね…」
冬馬「大体あいつら、差別化を求めるならこういうところにも違いを出しやがれってんだよ」
北斗「そういえば伝票は…へぇ、結構安く済んだね」
冬馬「は!?どこがだよ、3人で5千円って結構だぞ!?」
翔太「ピザとかも遠慮なく頼んだからね~」
冬馬「…まぁ、腹は膨れたからな」
北斗「さて、そろそろ出ようか。もう日も暮れ始めてるしね☆」
翔太「いやー予想外に長くいたもんだね。あ、僕最後にトイレ!」タッタッタ
冬馬「ふぅ…ごちそうさまでしたっと」
冬馬「あの集まりから、数日が経った」
翔太「僕たちジュピターは今、あの時のファミレス」
北斗「ではなく、765のPさんの家に呼び出されている。チャオ☆」
P「―――なぜかは、分かってるな?」ゴゴゴ
冬馬「…別に、怒られるようなマネはしてないつもりっすけど」
翔太「そうそう、この数日の765プロのメンバーの、業界での評判すっごいじゃん!」
北斗「うん、見違えるように美しくなったとかで」
P「それだよ!!!」ドン!
3人「!!」ビク
P「お前らのせいで…お前らが、告げ口をしたせいで…!」
P「あいつらは…あいつらは大きく成長してしまったんだぞ!!」クワッ
3人「…え?」
冬馬「…いいじゃん」
P「やよいは頑張りすぎることがなくなって俺にしっかりと甘えてくるようになった!」
翔太「な!!」ガタッ
P「そして真は理想と現実のバランスがとってもうまくなった!」
北斗「それはいけないね。真ちゃんはあの危うさが魅力だというのに」
P「他にも全員が、何らかの形で成長を遂げたんだよ!!」
冬馬「いい加減分かるように言えよ!」
翔太「そ、そうだよ!ライバルと関わって成長って、これ以上ないほどにいいことじゃん!」
P「黙らっしゃいィ!!」ツンツン
冬馬「おごっ!わ、わき腹はやめろ、つつくな!」
P「お前らは分かってないんだ!俺のつらさが!」
P「俺の…みんなの成長を間近で見れるという楽しみを失った、この辛さが!怒りが!」
北斗「…あぁ、そういうことですか」
冬馬「やばい、まだ状況を理解できていない」
北斗「まったく…俺はまた巻き添えを食らっちゃうんですね」
P「ん?どういうことだ」
翔太「だね、そもそも実際にあのゲームを実行に移したのは冬馬君だし」
冬馬「…は!?お前ら裏切んのかよ!あんなにノリノリだったくせに!」
北斗「…ご冥福を☆」
翔太「ご冥福を」
P「ふ…そういうことか。覚悟はいいな、主犯・天ヶ崎竜馬…いざ、執行!」
冬馬「俺は天ヶ瀬冬馬だ!ちょっとずつまちが……あぁ…や、やめろおおおおお!!」
天ヶ瀬冬馬はこの日から1週間芸能活動を休止。
活動再開した彼を見た全員は、口をそろえて言う…
「あいつ…大人になった…そんな顔してるな」と
冬馬「いや誤解を生む形で終わらせるな!俺の身はまだ潔白だ!オイ!」
―――終わり
読んでくれてありがとう。
乙
あまとうも大人になったのか
俺達の童貞さんは死んだ!何故だ!?
Entry ⇒ 2012.08.10 | Category ⇒ アイマスSS | Comments (0) | Trackbacks (0)