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千歳「短編集やで~」千鶴「だばー」

引用元: ・http://hayabusa.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1344686909/
1: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/11(土) 21:08:29.38 ID:4ltRcd3J0

主に、過去にキャラスレで書いたのを投下していきます
基本的に綾乃と千歳と千鶴がメインで出てきます。綾ちと多めです



綾乃「じゃ、じゃあ千歳……その……昨日言ってた、こ、告白の練習、す、するわよ……」

千歳「ええよぉ! 綾乃ちゃん、ようやく歳納さんに告白する覚悟を決めたんやな! うちは嬉しいで!」キラキラ

綾乃「えっと、うん……そんな感じ」カチコチ

千歳「そんなに緊張せんでもええよ~。相手はうちやさかい、肩の力脱いてビシッと行きな!」

綾乃「わ、わかったわ。それじゃあ……」

千歳「うんうん」


2: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/11(土) 21:09:57.68 ID:4ltRcd3J0

綾乃「私はあなたに、つ、伝えたいことがあるの!」

綾乃「……最初は、全然上手く話せなかった。私、そんなに社交的なわけじゃなかったから……」

綾乃「それでも、あなたはずっとそばにいてくれた。いつも笑顔で、私の心を開いてくれた」

千歳(うんうん! ええ感じや! その調子なら歳納さんにも面と向かって言えるはずや!)

綾乃「それだけじゃない。あなたは私の恋まで……親身になって、応援してくれた」

千歳「…………え?」

綾乃「いつも隣で支えてくれた。いつも一緒に笑いあってくれた。いつしか……そんなあなたといる時間が、何よりも大切なものになった!」

千歳「あ、綾乃ちゃん……? 何を……」


4: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/11(土) 21:13:01.67 ID:4ltRcd3J0

千歳「あ、綾乃ちゃん!? そんな、うちてっきり、綾乃ちゃんは歳納さんのこと……」

綾乃「私は本気よ」

千歳「!?」

綾乃「前の恋以上に、私は本気……」

綾乃「だから、踏み出せたの」

千歳「……えっと……」オロオロ

綾乃「お願い! 千歳の気持ちを聞かせて! 断るなら……バッサリと」

千歳「うちは! えっと、突然のことで頭がこんがらがってきてるんやけども……」

千歳「そ、それでも、綾乃ちゃんの想いは、まっすぐ胸に届いてきたで! ほんまに、ほんまに嬉しかった! 正直今幸せな気分や!」

千歳「だ、だからうちも、ちゃんとお返しする! けどな」


5: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/11(土) 21:14:20.17 ID:4ltRcd3J0

千歳「……ごめん、ちょっと時間を、くれへんかな……?」

綾乃「……ええ。待つわ。千歳の想いを聞かせてくれるなら、いつまでも」

※その晩

ポチッ

千歳「送信完了っ……と」

千歳「……結局、明日まで待たせるのは綾乃ちゃんに申し訳ないから、メールで送ってしもうた」

千歳「…………綾乃ちゃん」

千歳「綾乃ちゃん、うち……綾乃ちゃんほど覚悟、できへんかった」

千歳「できへんかったけど……」

千歳「それでもうちは…………綾乃ちゃんと、一緒にいたい! もっと……今よりもっと、近い場所で!」

ピロリロリン、ピロリロリン♪

千歳「返信! 綾乃ちゃんからや!」


6: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/11(土) 21:15:51.58 ID:4ltRcd3J0

千歳「…………」ドキドキ

パカッ

千歳「……綾乃ちゃん///」パーッ


綾乃『ずっと一緒にいようね。私も大好きよ』

おわり




7: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/11(土) 21:16:43.81 ID:4ltRcd3J0

千歳「綾乃ちゃん、今日は綾乃ちゃんの家に泊まらせてくれてありがとうな」

千歳「こうしてお布団も用意してもらって……って綾乃ちゃん?」

綾乃「zzz……」スヤスヤ

千歳「あらあら、もう寝ちゃったん?」クスクス

千歳「綾乃ちゃん……寝顔も、かわええなぁ……」

綾乃「zzz……」

千歳(……綾乃ちゃんは、歳納さんのことが好き……)

千歳(もちろんうちは、綾乃ちゃんの恋を全力で応援するつもりや。せやけど……)

千歳(今この瞬間くらいは、綾乃ちゃんが寝息をたてている今だけは……)

千歳(うちのこと、恋する乙女でいさせてや……)


9: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/11(土) 21:19:08.20 ID:4ltRcd3J0

綾乃「zzz……」スヤスヤ

千歳(綾乃ちゃん……大好き)

千歳(綾乃ちゃんも、きっとうちのことを好いてくれてる。けど……)

千歳(それはあくまで、友人としてってことやろ……?)

千歳(うちは、普段は押し潰してるけど……ほんまは……)

ズイッ

千歳(綾乃ちゃん……)

チュッ

千歳(…………)

千歳(…………うち、今何を……?)

綾乃「zzz……」スヤスヤ

千歳(寝ている綾乃ちゃんに……キスを……)


11: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/11(土) 21:21:25.87 ID:4ltRcd3J0



綾乃「ち、千歳!!」ハァハァ

千歳「あ、綾乃ちゃん!? な、なんでここに……」

綾乃「あなたが……ハァハァ……急に消えたりするからよ!」

綾乃「夜中に目が覚めたら千歳がいなくなってるし、電話しても出ないし、千歳の家に行っても居ないし……」

綾乃「そこら中駆け回って、この公園でやっと見つけたの! 心配かけさせないでよバカ!」

千歳「ご、ごめん。ほんまにごめんな綾乃ちゃん……」

綾乃「本当に……本当に心配したんだから」グスン

千歳「綾乃ちゃん……」

綾乃「ちゃんと説明してくれないと、ば、罰金バッキンガムよ!」

千歳「……綾乃ちゃんは、歳納さんのことが好きなんやろ?」

綾乃「なっ!? べべべべつに好きってわけじゃ///」オロオロ

千歳「そう……なんやろ?」


12: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/11(土) 21:23:07.20 ID:4ltRcd3J0

綾乃「!? …………ええ、そ、そうよ……」

千歳「だったらうちは、綾乃ちゃんが歳納さんと仲良くなれるように全力で協力する。たとえ……自分の心を殺しても」

千歳「そう……決めていたのに……」

綾乃「ちと……せ?」

千歳「綾乃ちゃんは、うちみたいなのと一緒にいたらあかん」

千歳「寝ている女の子の唇を勝手に奪うような人と一緒にいたら……あかんねん……」ポロポロ

綾乃「千歳……!」

千歳「ごめんな。ほんまにごめん。綾乃ちゃんを応援するだなんて口だけで、うちの本音はやっぱり……」

千歳「綾乃ちゃんのことを、誰にも渡したくないんや……」グスン


14: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/11(土) 21:24:30.14 ID:4ltRcd3J0

綾乃「千歳が……私のことを……」

千歳「ごめん。うちは綾乃ちゃんの隣にいる資格はあらへん。綾乃ちゃんの恋路の邪魔や。目障りなハエや。せやからうちは……」


綾乃「 千 歳 ! ! 」


千歳「!?」ビクッ

綾乃「…………」ギュッ

千歳「あ、綾乃ちゃん何を……!?」


…………チュッ


千歳「ッッッ!?」


15: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/11(土) 21:25:48.48 ID:4ltRcd3J0

綾乃「こ、これでわかった、で、でしょ?」

綾乃「キ、キキキキキスくらい、私にとっては、全ッ然大したことないんだから!!///」

千歳「ああああ綾乃ちゃん!?///」

綾乃「だから、こんなことで落ち込むなんて、本当に罰金バッキンガムなんだからね!」

千歳「け、けど!! それでも、うちが綾乃ちゃんの邪魔なことに変わりは……」

綾乃「うるっっっさい!」

千歳「!?」ビクッ

綾乃「千歳が隣にいないなんて死んでもイヤなのよ! ずっと一緒にいたのに、そんなこともわからないの!?」


16: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/11(土) 21:27:31.39 ID:4ltRcd3J0

綾乃「千歳の気持ちを知って、正直今とても嬉しいの! けど、今までそれに気付かなかった自分の鈍感さに殺意を覚えてて……ってああもう頭こんがらがってよくわからないわ!」

綾乃「でも、これだけは言える」

綾乃「千歳は邪魔なんかじゃないッ!! いなくなったら嫌!!」

千歳「……ほん……ま……?」

綾乃「ほんとう東照宮よ!」

千歳「ほんまのほんまにほんま?」

綾乃「あったりまえじゃない!」

千歳「綾乃ちゃん……」ジーン

千歳「ありがとう……ありがとうな……」ポロポロ

綾乃「そ、それに……」

千歳「?」


17: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/11(土) 21:29:24.71 ID:4ltRcd3J0

綾乃「こんな状況今まで想像したことなかったから、正直驚いてるんだけど……」

綾乃「わ、私……けっこう揺れてる……かも」

千歳「揺れてるって……何が?」

綾乃「え、えっと、その……」モジモジ

綾乃「…………恋心が」

千歳「えっ!?」

綾乃「うぅ……だ、だって、千歳が私のこと好きだなんて、全然想像したことなくて、さっき伝えてくれた瞬間胸がドキドキして止まらなくて……///」モジモジ

綾乃「歳納京子のことが好きなはずなのに、好きだったはずなのに……///」

千歳「えっ、えっ!?///」


18: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/11(土) 21:31:00.91 ID:4ltRcd3J0

綾乃「わ、私だって! こんなの予想外よ! 歳納京子のことは本気で好きだった! 朝も夜も頭から離れないくらいに! けど……」

綾乃「よくよく考えたら、千歳に告白なんかされちゃったら、私の……私の天秤がどっちに傾くかなんて……」

綾乃「決まっているのに……///」

千歳「ウソ……そんなのウ」

綾乃「これも、ウソなんかじゃないわ!」

綾乃「だってあなたのいいところは、世界の誰よりも……」

綾乃「私が、知っているんですもの」


19: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/11(土) 21:32:41.67 ID:4ltRcd3J0

千歳「綾乃ちゃん……///」

千歳「……うちは、綾乃ちゃんのことが好き」

綾乃「……うん」

千歳「もしよろしかったら、うちと……」

千歳「うちと、お付き合いしていただけないでしょうか?」

綾乃「……喜んで」ニコッ

千歳「二言は……」

綾乃「ないわ」

千歳「……ありがとう」

綾乃「こちらこそ……」

千歳「…………」

綾乃「…………」

あやちと「「ふふっ」」


20: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/11(土) 21:34:13.91 ID:4ltRcd3J0

綾乃「さあ、私の部屋へ……帰りましょう?」

千歳「うん。今日は迷惑かけてごめんな」

綾乃「それはもういいの。今の気分に水さしたらダメなんだから」

千歳「今どんな気分なん?」

綾乃「そ、それは、えっと……///」

綾乃「言葉では、言い表せない気分よ///」

千歳「……うちもや」ニコッ


おわり



21: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/11(土) 21:36:13.64 ID:4ltRcd3J0

綾乃「ふぅ……夏休みの宿題も、あと一息ね」

千歳「そうやねぇ。綾乃ちゃんと一緒に勉強するとなんだか捗るわぁ」

綾乃「私もよ。こうして千歳の家で勉強するの、なんだかとても落ち着くわ」

千歳「ところで綾乃ちゃん……宿題が終わったら、歳納さんの手伝いに行ってあげるってのはどうやろ?」

綾乃「ななな! 何言ってるのよ!/// なんで私が歳納京子の宿題を手伝わなきゃならないの!
」カァァ

千歳「またまたご冗談をぉ。いいアイデアって思ったくせに~」ニコニコ

綾乃「も、もう! ……ま、まあ? 歳納京子のことだし、今頃全然宿題が進んでなくてヒーヒー言ってると思うから? て、手伝ってあげるのもやぶさかではないけど?」

千歳「そうそう。きっと歳納さんも喜んでくれるで」

ガラッ

千鶴「姉さん、杉浦さん……アイス、買ってきたよ」


24: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/11(土) 21:38:55.89 ID:4ltRcd3J0

千歳「おお、千鶴、ありがとうなぁ」

綾乃「え? 頂いて……いいの?」

千鶴「はい……。どうぞ、食べてください」

綾乃「千鶴さん、ありがとう……」ニコッ

綾乃「千鶴さんは、夏休みの宿題は?」

千鶴「美術の宿題以外は……全部終わりました」

綾乃「そうなんだ。さすが千鶴さんね、私たちも頑張らなくちゃ」

千歳「そうやなぁ。千鶴、いつのまにか宿題進めてたんやね」

千鶴「えっと……美術の宿題で、絵を描きたいんですけど……姉さんと杉浦さんをモデルにして、いいですか?」


25: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/11(土) 21:39:49.30 ID:4ltRcd3J0

綾乃「えっと……は、恥ずかしいけど、オーケーよ。千鶴さんの宿題、私もお手伝いしたいからね」ニコッ

千歳「うちもええよぉ。けど、どんな絵を描きたいの?」

千鶴「二人は普通に、アイス食べたり宿題やってたりしてください。そんな光景を描きたいです」

綾乃「うん、わかったわ。アイスありがとうね、千鶴さん」

千歳「ほな、さっそく食べようか」

カパッ

千歳「抹茶味のアイス、美味しいなぁ……」パクリ

綾乃「このミント味のアイスも美味しいわよ。千歳、一口食べる?」

千歳「ええの? じゃあ、一口だけ」

綾乃「はい、あーん」

千歳「あーん」パクリ


26: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/11(土) 21:41:26.38 ID:4ltRcd3J0

綾乃「美味しい?」

千歳「うん! 綾乃ちゃんも、うちの一口いかが?」

綾乃「それじゃあいただくわ」

千歳「はいどーぞ」

綾乃「あーん」パクッ

綾乃「……うん、とっても美味しいわ」

千鶴(これが見たかった! だばー)

綾乃「千鶴さんも、一口食べる?」

千鶴「え? えっと、私は……///」

綾乃「もしかして、ミント味は嫌いだったかしら?」

千鶴「いえ、好きですけど……/// そ、それじゃあ、一口だけ……///」


27: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/11(土) 21:44:08.89 ID:4ltRcd3J0

綾乃「はいどーぞ」

千鶴「…………///」パクッ

千鶴(す、杉浦さんに……あーんしてもらった……///)

千鶴(ドキドキする……///)

千鶴(姉さんとは普段からこういうことしてるから少しは慣れてるけど、杉浦さんにされるのは初めてだし……///)


綾乃「……終わったわ! 夏休みの宿題が全部!」

千歳「うちもやで! 長かったなあここまで……」

綾乃「千歳と……千鶴さんのおかげよ。どうもありがとう」ニコッ

千鶴「ど、どういたしまして」


28: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/11(土) 21:45:00.21 ID:4ltRcd3J0

綾乃「アイスの差し入れもありがとうね。すごく元気をもらったわ。ごちそうさま」

千鶴(こっちもある意味ごちそうさまでした///!)

千歳「千鶴は、美術の宿題終わったの?」

千鶴「うん、おかげさまで」

千歳「そっかぁ。なあ、その絵見せて見せて~」

綾乃「私も見たいわ。いいかしら?」

千鶴「はい……これです」スッ

千歳「こ、これって……///」

綾乃「私と千歳が、アイス食べさせあってるところ……///」


31: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/11(土) 21:46:50.78 ID:4ltRcd3J0

千鶴「えっと、さすがにまずかった……?」オドオド

綾乃「い、いえ! とっても上手な絵よ! 上手なんだけれど……///」

千歳「え、絵にされたの見ると……なんだか恥ずかしくて……うち、顔から火が出そうや///」カァァ

千鶴「ご、ごめんなさい……これ提出するのは二人に悪いからやめておきます」

綾乃「も、もったいないから、提出してもいいわよ! ちょっと恥ずかしいけど……///」

綾乃「でも、とってもよく描けてるわ! 私と千歳をこんなにステキに描いてくれて、ありがとう」ニコッ

千歳「恥ずかしいけど、ええなぁこの絵……記念に飾りたいくらいやわぁ///」

千鶴「二人とも、ありがとう……///」

綾乃(何気なく千歳とアイスの食べさせ合いなんかしてたけど……)

千歳(意識したら、急に胸がドキドキしてきたわ……)

綾乃「…………///」

千歳「…………///」

綾乃「あ、明日は! さ、三人でプールにでも、行かない?」

千歳「え、ええなぁ! ナイスアイデアやで綾乃ちゃん! ち、千鶴はどう?」

千鶴「うん。私も行きたい」


34: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/11(土) 21:48:47.83 ID:4ltRcd3J0

綾乃「な、なら決まりね! 今日勉強したぶん、明日は遊ぶわよー!」

千歳「そ、その意気やで綾乃ちゃん! 遊ぼ遊ぼー!」

千鶴(た、互いに少しずつ意識し始めた……!)

千鶴(この夏は……イケる!!)

千鶴(…………だばー)

綾乃「ち、千鶴さんヨダレヨダレ!」アワアワ


おわり



36: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/11(土) 21:49:39.78 ID:4ltRcd3J0

綾乃「ああ……」ドンヨリ

綾乃「昨日は七夕花火大会があったのに……」

綾乃「歳納京子を誘って一緒に見に行こうと思ったのに……」ハァァァ…

綾乃「結局できなかった……」ガックシ

プルルルルル……プルルルルル……

綾乃「ん? こんな夜遅くに電話……?」

綾乃「千歳からだ……もしもし?」


38: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/11(土) 21:50:19.68 ID:4ltRcd3J0

千歳『ああ、綾乃ちゃん? 夜遅くにごめんなぁ』

綾乃「大丈夫よ。ところでどうかしたの?」

千歳『あのな、綾乃ちゃん……』

千歳『今回は上手くいかなかったけど、また頑張ろうな』ニコッ

綾乃「千歳……っ!」

千歳『うち、綾乃ちゃんが一生懸命頑張ってるの知ってるし、そんな綾乃ちゃんが大好きやから、何でも手伝うつもりやで』

千歳『だからな、歳納さんと一緒に花火大会行けなかったのは残念やけれども、気ぃ落とさずに……って綾乃ちゃん? どしたん、泣いてるの?』

綾乃「な、泣いてないわよ!」ヒック、グスン

綾乃「千歳の言葉があまりにも嬉しくて、ちょっと胸が詰まっただけなんだから///!」

千歳『綾乃ちゃん……///』


41: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/11(土) 21:56:11.74 ID:4ltRcd3J0

綾乃「千歳……ありがとね///」

綾乃「次こそはもっと歳納京子と仲良くなってやるんだから! 心配ないないナイアガラよ!」ガバッ

千歳『綾乃ちゃんに喜んでもらえて、うちも嬉しいわぁ///』

綾乃「千歳……本当にありがとう」

綾乃「千歳も好きな人ができたら、私が全力で協力するわ!!」

千歳『うん、ありがとうなぁ~』ニコニコ


千歳(でもな、綾乃ちゃん……)

千歳(うちはとっくに、恋、しとるんやで……)

千歳(一途で健気で恥ずかしがり屋な、うちの親友にな///)

綾乃「千歳? 何か言った?」

千歳『ううん、なんでもあらへんよ~』ニコッ

おわり



42: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/11(土) 21:58:21.99 ID:4ltRcd3J0

京子「えへへ……二人が来てくれて、嬉しいな」ニコニコ

千歳「こんな時間に外で友達と遊ぶのも、久しぶりやぁ」ニコニコ

千鶴(歳納なんたらがあまりにもしつこいから、根負けして来てみれば……)

千鶴(なんで深夜の公園なんかに……)

京子「ほらほら、千鶴もベンチに座りなって」バンバン

千鶴「ちっ……」スッ

千鶴(今夜はせっかくの、姉さんと私の……)京子「ほらほら千鶴!」千鶴(ちっ)

京子「私の家、ここのすぐ近くなんだー。あそこに屋根が見えるでしょ? あれが私んちだよ!」

千鶴「……あっそ」

京子「あははー! 千鶴素っ気ない」

千鶴(笑うとこかそこ?)


43: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/11(土) 22:00:06.44 ID:4ltRcd3J0

千歳「千鶴ももうちょっと歳納さんと仲良くしてみ? 歳納さん面白い人やから、楽しくなるで」ニコニコ

千鶴「……姉さんがそう言うなら……」

京子「あっ、そろそろ時間だ……」

京子「……千鶴、千歳……誕生日おめでとう」ニコッ

千歳「歳納さん!/// 今夜はそのためにうちらを?」

京子「うん! 真夜中12時ぴったりにお祝いしたくてね! わざわざ呼び出してごめん」テヘッ

千歳「うち……めっちゃ嬉しいわぁ……///」

千鶴(……まっ、どうせこんなことだろうと思ったけど。じゃなかったら歳納の誘いなんか誰が……)

京子「で、これが私からの……誕生日プレゼントだよ」ニコッ

千歳「?」

千鶴「?」

京子「スイッチ……オンッ!!」


45: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/11(土) 22:04:34.67 ID:4ltRcd3J0

パァァァァァッ!

千歳「なっ!? こ、これ……!」

千鶴「歳納の家の屋根に……電球が光って、文字が浮かんでる!」


『千歳&千鶴! 誕生日おめでとう!』


千鶴「ウソ……こんなのって……!」

千歳「すごい……キレイ……」

京子「えへへ/// 手作りでイルミネーションを作ってみました」テヘッ


47: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/11(土) 22:07:51.86 ID:4ltRcd3J0

千歳「あかん……感激で言葉が出えへん……」

千鶴「歳納…………」

京子「ささやかだけど、これが私からのプレゼント。……喜んでもらえたかな?」

千歳「もちろんや! うちらのためにここまで……! 今日は最高の誕生日になったで! ほんまありがとう!」

千鶴「………歳納……」

千鶴「あ、ありがとう……///」ボソッ

京子「へへっ、どういたしまして///」

おわり


あやちと社会人編


48: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/11(土) 22:09:38.04 ID:4ltRcd3J0

あやちと社会人編

千歳「綾乃ちゃんおかえり。お仕事お疲れ様」ニコッ

綾乃「ただいま千歳……さっそくだけど疲れてるからもう寝るわ……」

千歳「え? 綾乃ちゃん夕飯……」

綾乃「ごめん、食欲なくて……」

綾乃「……お休み」バタリ


49: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/11(土) 22:10:14.73 ID:4ltRcd3J0

千歳(綾乃ちゃんと一緒になれたのに、最近はすれ違いばかりや……)ションボリ

綾乃「……むにゃむにゃ……」スヤスヤ

千歳(綾乃ちゃん、お仕事お疲れ様……)

千歳(けど、ちょっとくらいうちのことかまってくれても、ええやん……)

綾乃「……ちと……せぇ……」モゴモゴ

千歳(? 寝言でうちの名前を……)

綾乃「愛してるわ……ずっと、一緒だから……ね……むにゃむにゃ……」

千歳(あ、綾乃……ちゃん……)ポロポロ

千歳(綾乃ちゃんは、ちゃんとうちのこと……!)


51: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/11(土) 22:14:29.09 ID:4ltRcd3J0

綾乃「……千歳……好きよ……むにゃむにゃ……」スヤスヤ

千歳「うちも……愛してるで」

千歳「昔っから今まで、ずっと変わらずにな……」ニコッ

千歳「お休み、綾乃ちゃん……」ナデナデ

綾乃「………すぴー……」

おわり


あやちと社会人編その2


53: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/11(土) 22:16:50.70 ID:4ltRcd3J0

あやちと社会人編その2

千歳「綾乃ちゃんただいまー! 遅くなってごめんなぁ。仕事が忙しくて……」

綾乃「千歳……あなた、浮気してるわね」

千歳「あ、綾乃ちゃん突然どうしたん? うちが浮気なんてするわけ……」

綾乃「とぼけないで! いつもいつも仕事が遅いって言うけど、近頃のあなたからは……別の女の匂いがするのよ!」

千歳「なっ!?」

綾乃「ずっと信じてたのに……千歳は私だけを見てくれているって……それなのに……」ポロポロ

千歳「綾乃ちゃん違う! これは、その……」

綾乃「今更ごまかさないで!」

綾乃「 ……ねえ、私たち……どこで間違っちゃったのかな……」


55: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/11(土) 22:17:24.80 ID:4ltRcd3J0

千歳「……綾乃ちゃん、これ見て……」ゴソゴソ

綾乃「何よ! まだ言い訳を……って、これ……!」

千歳「明日、綾乃ちゃんに渡すつもりやった……手作りのネックレスや」

綾乃「え……? ウソ……? まさか、そんな……」

千歳「会社の同僚がこういうの大得意やからな、毎晩作り方教わってたんよ。サプライズで驚かしたかったから、綾乃ちゃんには言えへんかったんや……」

千歳「少し早いけど、綾乃ちゃん……」

千歳「お誕生日、おめでとう」ニコッ

綾乃「そんな……! 私、そうとは知らずに、千歳にひどいことを……!」ガクガク


56: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/11(土) 22:21:32.71 ID:4ltRcd3J0

千歳「綾乃ちゃんは悪くない! うちが綾乃ちゃんを騙してたのが悪いんや! ごめん、心配させてほんまに……」

綾乃「千歳……千歳!」ギュッ

千歳「あ、綾乃ちゃん……」

綾乃「ごめんね。本当にごめん。私ったら、1番大切な人のこと信じてあげられなくて……」

綾乃「それと……ありがとう。とても、とても嬉しいわ……」

千歳「綾乃ちゃん……!」

千歳「うちは一生、綾乃ちゃんを離さへんからな」ニコッ

綾乃「……望むところよ」フフッ

おわり


あやちと文化祭の演劇


59: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/11(土) 22:24:36.73 ID:4ltRcd3J0

あやちと文化祭の演劇

千歳(綾乃ちゃんと歳納さんが、ロミオとジュリエットの主役……)

千歳(これでええの。あの舞台に立つのは……綾乃ちゃんの隣に立つのは、うちやない)

綾乃「千歳? どうかしたの? 思いつめたような顔をして」

千歳「ううん、なんでもあらへんよ~」ニコニコ

千歳「文化祭の演劇、必ず成功させようなぁ」

綾乃「ええ、もちろんよ!」


60: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/11(土) 22:25:52.61 ID:4ltRcd3J0

~数日後~

綾乃「千歳? 最近ずっと演劇の練習に身が入ってないけど、どうかしたの? 私、心配で……」

千歳「ありがとう綾乃ちゃん。なんでも……なんでもあらへんよ……」

綾乃「ごまかさないで!」

千歳「!?」ビクッ

綾乃「昨日なんて、あなたったらフラフラして舞台から滑り落ちちゃったじゃない! 一歩間違えたら大怪我だったのよ!」

千歳「……うるさい」ボソッ

綾乃「え?」

千歳「うるさい! もううちのことはほっといて!」


63: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/11(土) 22:28:34.50 ID:4ltRcd3J0

綾乃「な、何よいきなり! 私はただ、千歳のことが…」

千歳「もう優しくせんといて! うちに構わんといて! 綾乃ちゃんは歳納さんとよろしくやっとき!」

綾乃「い、いいかげんにしてよ! 私は本当に千歳のことが心配だったんだから! 何でそんなに怒ってるのよ!」

千歳「なんで……やと? そんなのうちが聞きたいわ!なんでうちはこんなに苦しいの? なんでうちは素直に……」

千歳「綾乃ちゃんのことを、応援してあげられへんのかなぁ……」

綾乃「ちと……せ……?」

千歳「ごめんね。ほんまにごめん。そして……」


さようなら


千歳「」ダッ

綾乃「千歳!? 待ちなさい! 千歳……ちとせぇぇぇ!!」


64: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/11(土) 22:29:53.15 ID:4ltRcd3J0



千鶴「わからないなら教えてあげます……。姉さんは……杉浦さんのことが、好きなんです」

少し怒ったような顔の千鶴さんにそう言われるまで、私は気づかなかった。
ずっと、千歳の隣にいたのに……

千鶴「多分、姉さんも自覚していません。杉浦さんの恋を応援してあげたい気持ちと、自分の恋心との間で葛藤して、耐えきれずに爆発してしまったんでしょう」

綾乃「千歳……千歳は笑顔の裏で、私のことを……想ってくれていたんだ……」

綾乃「それなのに私は……私に主役をやる資格なんて、ないわ……」

千鶴「……姉さんだけの……姉さんにとっての主役になってあげることは、できませんか?」

綾乃「……え?」


67: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/11(土) 22:35:16.64 ID:4ltRcd3J0

綾乃「それは……できないわ……」

綾乃「だって私は、私が恋しているのは……歳納京子なんですもの……」

それからさらに、数日が過ぎた。
千歳は前より演劇の練習に身が入っているように見えたが、私には無理しているようにしか見えない。
ついでに言えば、あの日以来……
私と千歳の会話が、なくなった。

綾乃「どうしたら……どうしたらいいの! 千歳と仲良くしたいのに! また一緒に遊びたいのに!」

綾乃「一緒に生徒会の仕事をしたり、くだらない話で盛り上がったり、一緒にお泊りしたり……」

綾乃「ずっとずっと! 一緒に居たいのにぃぃ!!」

綾乃「……あれ? 私、今……何を……」

言葉に出してから気づいた。がむしゃらに叫んでから自覚した。
千歳がいなくなったから、気づいた。

綾乃「私にとっての主役は、やっぱり……千歳しか、いないじゃない……」

そしてできれば、千歳にとっての主役は……
この私であって欲しい。


68: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/11(土) 22:36:50.03 ID:4ltRcd3J0


京子「ってわけで、私……脚を怪我して松葉杖状態だから、誰かに主役を代わってもらいたいんだよね~」

京子「綾乃……、千歳に、お願いしてきてよ」

何の偶然か、歳納京子が不慮の事故で主役を降板せざるを得なくなったらしい。
本当に、本当に歳納京子には申し訳ないけれど……
チャンスができた。


千歳「うちが主役? ごめんな、うちそんな気分じゃ……」

綾乃「千歳が良いの!」

千歳「えっ!?」

綾乃「私の恋人役は、やっぱり……千歳がいいの! そして……私の、本当の恋人も!」

千歳「う、うそ言わんといて! だって、綾乃ちゃんには歳納さんが……」

綾乃「関係ないっ! 私、自分の本当の気持ちに気づいたの……」

綾乃「いつも隣で支えてくれた、優しいあなたのことが……」

綾乃「私は、世界で一番大好きなんだから!」


70: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/11(土) 22:38:36.33 ID:4ltRcd3J0



結衣「脚を怪我したなんて……本当はウソだろ?」

京子「あっ……バレちゃった?」てへっ

結衣「まったく……けど、本当にこれで良かったのか?」

京子「…………きっとね」

結衣「……そうか」

京子「ああでも、私って結局逃げただけなのかな……」

京子「私に対する綾乃の気持ちを、どうやって受け止めたらいいのかわからなかったからさ」

結衣「……後悔、してるのか?」

京子「うーん……ちょっとだけね」ニコッ


それから数週間後~
クラスの演劇は、大成功をおさめました。

京子「だって主役の二人は本物の恋人どうしなんだから、当然だよね」ニコッ

おわり



71: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/11(土) 22:43:36.77 ID:4ltRcd3J0

今日も相変わらずの真夏日なのに、なぜだか風は爽やかだった。
穏やかで心地よい朝の風が、私と千歳の髪を撫でる。

「ほな……行こうか、綾乃ちゃん」

「……ええ」

千歳の手をとり、駅の構内へと足を踏み入れる。
人っ子一人いない、寂れた駅だった。駅員さえここにはいないようだ。私も千歳も、ここを利用するのは初めてだった。

「私たち……どこまで行くのかしら」

駅のホームに差し込む陽光に、持っている切符をかざしてみた。

「綾乃ちゃんとなら……どこまでも」

そう微笑む千歳の顔は、夏の太陽よりも眩しかった。


73: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/11(土) 22:44:49.27 ID:4ltRcd3J0

「ねえ千歳……生徒会のみんなや……娯楽部のみんなは……元気にしてるかな?」

「そやなぁ。元気でやってるんならなによりやけど……ちょっとくらい、うちらのことで悲しんでくれてるかなぁ……」

「そうね。でも、あくまで「少しだけ」に留めておいて欲しいわ。あの子たちには……笑顔が似合うから」

「うんうん。そやそや」

ガタンゴトン……
列車が到来を告げる。
行き先が記入されてないその切符を、私は指先で軽く握りしめた。

「長い旅になりそうね……」

「せやなぁ。それに、もう……戻ってはこれへん」


行き先のない切符に書かれた、出発駅の名前は……


『現世』


……私たちはもう、魂だけの存在になっているのだった。


75: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/11(土) 22:49:12.56 ID:4ltRcd3J0

「本当にごめんね。私……死んじゃって」

「居眠り運転のトラック事故なんだから、しゃあないって。綾乃ちゃんに罪はあらへん。それよりも……うちが綾乃ちゃんの後を追ったこと、怒ってない……?」

「怒ってるわよ。なんで千歳が自殺なんか……って、やっぱり今となっては、怒るに怒れないわ」

そう。もう、覚悟は決めているんだから……

「黄泉の国だろうが天国だろうが地獄だろうが……千歳と一緒なら、どこまでも」

死んだ後のことなんて全然考えたことなかったから、これから先何が待ち受けるのか想像もつかない。けれど……

「うちも、綾乃ちゃんと一緒なら……どこまでも行ける」

愛する人だけは、絶対に離さない。


列車が到着し、軋む音をたててドアが開く。
彼女の手をよりいっそう強く握り、列車の中へと飛び込んだ。
あの世の果てまで、駆け落ちするとしようか。

おわり


あやちとちづ夏祭り


77: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/11(土) 22:51:50.45 ID:4ltRcd3J0

あやちとちづ夏祭り

綾乃「見てみて! 当たったわ! くらげ三姉妹のぬいぐるみよ!」

千歳「わぁ! 綾乃ちゃんすごいなあ! しかもこんなに大きいぬいぐるみをクジで当てるなんて、ついてるわぁ!」

千鶴「杉浦さん……おめでとう」

綾乃「二人が応援してくれたおかげよ。ありがとう」ニコッ

千歳「でも、そんなに大きいの持ってお祭り歩けるん? ここ、うちの近所やし、いったんうちの家に置きに行かない?」

綾乃「そうだわ……。じゃあ、お願いしようかしら。千鶴さんもそれでいい?」

千鶴「えっと……私が置きに行ってくるから、二人で屋台でもまわってて」

綾乃「それはダメよ。今日は3人で夏祭りを楽しむ約束でしょ? 千鶴さんだけ置いて楽しめるわけないじゃない」

千鶴「あ、ありがとうございます……///」

千歳「せやでえ。三人で一緒に、ぬいぐるみ置きに行こうか」ニコニコ

綾乃「まだまだお祭りはこれからよ! 焦らずゆっくり楽しみましょう?」ニコッ

千鶴(二人とも……優しい)


78: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/11(土) 22:54:28.96 ID:4ltRcd3J0

※祭りの喧騒から少し遠のいた路地を歩き、池田宅へ向かう3人


綾乃「千歳って、水風船の扱い上手ねえ」

千歳「えー? そう? こんなんに上手いも下手もあらへんと思うけどなあ」ポンポン

千鶴「姉さんは昔から、お祭り大好きだったから。よく射的で景品を取ってくれた」

綾乃「あら、そうなんだ。じゃあ後でお手並み拝見といこうかしら」フフフ

千歳「ええよ~」ニコニコ

綾乃「千鶴さんは、何か見てみたい屋台とかはある?」

千鶴「えっと……綿あめとか、食べてみたいです」


79: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/11(土) 22:55:17.50 ID:4ltRcd3J0

綾乃「綿あめかぁ…私も食べたいわ。後で行きましょう?」

千鶴「は、はい……」

千鶴(……綿あめは、綿が頬っぺたにくっつきやすいから……)


千歳『綾乃ちゃん、ほっぺに綿あめついてるよ?』

綾乃『え? どこどこ?」

千歳『こ・こ・や・で・♪」ペロッ

綾乃『ひゃんっ/// もうっ、千歳ったらぁ///」


千鶴「だばー」

綾乃「ち、千鶴さんヨダレヨダレ!」フキフキ


84: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/11(土) 22:59:57.68 ID:4ltRcd3J0

※再びお祭りへ

綾乃「むむむ……射的って難しいわね……」

綾乃「留め具で景品固定しているに違いないわ……これは罰金バッキンガムよ……」ブツブツ

千歳「綾乃ちゃん、コツ教えてあげようか?」スッ

綾乃「ち、千歳!? そんな密着して……///」

千歳「手取り足取り教えたほうが早いんよ~。左手はこうで、右手はこうで……」サワサワ

綾乃「う、うん。なるほど……これはこうするのね」

千歳「そうそう。これであとは引き金を引くだけや」

千鶴(お祭り最高……///)だばー

綾乃「よし……行くわよ……それっ!」パンッ


85: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/11(土) 23:01:18.78 ID:4ltRcd3J0



綾乃「千歳のおかげで、くらげ三姉妹のストラップをゲットできたわ! ありがとね」ニコッ

千歳「どういたしまして。綾乃ちゃんが嬉しいならうちも嬉しいわぁ」ニコニコ

綾乃「ってわけで、これは千歳にプレゼントするわ」スッ

千歳「え? ええの? このストラップ、綾乃ちゃんが射的でずっと狙ってたやつやろ?」

綾乃「実は私、これと同じのもう持っているのよね。千歳におそろいのをプレゼントしたかったから狙ってたのよ」

千歳「綾乃ちゃん……/// うち今、絶賛感激中や……///」

千鶴(射的最高……!)だばー

綾乃「あと、千鶴さんにもプレゼント」スッ

千鶴「え?」


86: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/11(土) 23:02:04.25 ID:4ltRcd3J0

綾乃「同じストラップを、もともと2個もってたのよ。今回の射的で3個目なの」ニコッ

千鶴(……そ、それじゃあ、杉浦さんは最初から、私ともお揃いにしたくて……///)

千鶴「あ、ありがとう……ございます///」ペコリ

千歳「ふふっ、よかったなあ千鶴」ニコニコ

綾乃「それじゃあ、どんどん回りましょう! まだまだお祭りはこれからよー!」

千歳「うんうん。ホンマに今日は楽しい日やなあ。千鶴もそう思うやろ?」ニコニコ

千鶴「うん……。こんなに楽しいお祭り、初めてかも……///」


千鶴(姉さんと杉浦さんがイチャイチャするとこを見るのだけが目的だったけど……)

千鶴(今は違う。純粋にこのお祭りが……楽しくて仕方がない)

千鶴(二人とも、本当にありがとう……)


おわり



88: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/11(土) 23:05:52.18 ID:4ltRcd3J0

生徒会室で、お昼を食べているちとりせ


千歳「家で沢庵を漬けてきたんですけど、よかったら食べてください」ニコニコ

りせ「…………」

千歳(あ、ちょっと嬉しそうや!)

千歳「会長さんのお弁当、漬け物が入ってること多かったから、もしかしたらお好きなんやないかな~って思って」

りせ「…………」コクン

千歳「よかったわぁ。ほな、どうぞどうぞ」スイッ

りせ「…………」ヒョイ、パクッ

りせ「…………」モグモグ


89: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/11(土) 23:07:10.52 ID:4ltRcd3J0

千歳「……お口に合いました?」

りせ「…………」コクン

千歳「嬉しいわぁ。実はこれ、味付けを新調した自信作なんです」ニコニコ

りせ「…………」スッ

千歳「? 会長さんのお弁当?」

りせ「…………」

千歳「もしかして、お返しにおかずを何か食べていい、ってことですか?」

りせ「…………」ウンウン

千歳「ありがとうございます。会長さんはほんまに優しい人ですなぁ」ニコッ

りせ「…………///」ブンブン


91: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/11(土) 23:12:31.27 ID:4ltRcd3J0

千歳「ははっ、そんなに謙遜せえへんでもよろしいよ。ほな、ほうれん草のお浸しを一口、もらってもええですか?」

りせ「…………」ウンウン

千歳「では、いただきます……」パクリ

千歳「……うん、美味しいなぁ」ニコッ

りせ「…………」

千歳「?」

りせ(今日のお弁当はお母さんに作ってもらったものだけど、美味しい沢庵のお返しに今度は……)

りせ(私が何か、作ってもってこようかな)


おわり



92: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/11(土) 23:18:34.67 ID:4ltRcd3J0

学校近くの最近整備された遊歩道を、千歳と二人で歩いて行く。
とくに目的があるわけではない。今日の学校は午前中で終わりだったので、少しお散歩でもしてみようと思ったのだ。

「綾乃ちゃん、歳納さんをデートに誘ってみたりせえへんの?」

いつもの笑顔で、千歳が語りかけてくる。私は顔を真っ赤にして反論するも、その柔らかな笑顔にすべて受け流されてしまった。

「歳納さんを遊園地デートに誘う綾乃ちゃん。愛し合う二人は、夕方の観覧車で身体を寄せ合い、愛の……愛の蜜をぉぉぉ!」

……鼻血を出すのも、いつも通りだ。

「けど、奇遇ね。ちょうど私、遊園地に誘おうと思ってたんだ」

千歳を、ね。

「……なんでうちなん? 勇気を出して、歳納さんを誘ってみようよ。うちも協力するから……」


93: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/11(土) 23:21:38.07 ID:4ltRcd3J0

「いいの。私は、千歳と一緒に行きたいんだから」

「うちなんかで我慢してたら、あかんよ」

「我慢なんかじゃないわよ」

「じゃあ、妥協?」

「それも違うわ」

「じゃあ……逃げてるだけと違う?」

……なんでよ。なんでそんなに嫌そうなの。
千歳こそ、私と一緒じゃ不満なの?

「私は! 千歳と二人で行きたいの! 確かに歳納京子とも行きたいけど……でもやっぱり、千歳との時間も、大切にしたいっていうか……」

「……綾乃ちゃん、ありがとうな。けど……」

「もう! 私は千歳とデートしたい気分なの! 歳納京子とか関係ない! 私じゃ……不満?」

「ううん! そんなこと絶対ないで! 綾乃ちゃんと遊べるなら嬉しいわ」


94: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/11(土) 23:23:10.55 ID:4ltRcd3J0

……本当に?
最近千歳との間に、溝ができた気がする。
普通に見ればいつも通りなんだけど……
私との間に、若干距離を置かれているというか。
なんだか……このまま千歳が、遠くに行ってしまいそうで、私は怖かった。

「綾乃ちゃんが歳納さんと上手く行き始めたら……もう二人きりで遊ぶのは、やめにせなあかんしな。今だけは……綾乃ちゃんと……」

「……え?」

「だって、綾乃ちゃんと歳納さんが恋仲になったのに、うちがいつまでも綾乃ちゃんとべったりだったら……歳納さんに申し訳ないやろ?」

そ、それは……
考え過ぎよ、なんて言えなかった。

……ああそうか。千歳は、私の恋を応援してくれているからこそ、私と距離を置き始めたんだ……

「そんなの……そんなの嫌! 千歳と離れるなんて……嫌よ!」


97: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/11(土) 23:30:55.64 ID:4ltRcd3J0

「何かを得るには、何かを失わなあかん。綾乃ちゃんの恋は、女の子が相手なんやで。だったら、他の女の子と一緒に遊ぶのも浮気と取られてもしゃあないやろ?」

「でも……」

「大丈夫。うちはそれでも……綾乃ちゃんの友達やから」

痛々しいほど眩しいその笑顔に耐えかねて……
私は千歳を抱きしめた。

「あ、綾乃ちゃん!?」

「わからない……わからないよ! 私、自分の気持ちがよく……わからない……」

歳納京子と結ばれるためには、千歳と離れなければならない? そんなの認めたくない。けれど、千歳は真摯に応援してくれている。私もその期待に答えなければならない。だけどだけど!

「やっぱり……一番大切なのは……私にとって一番大切なのは、あなたよ。千歳……」


98: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/11(土) 23:35:44.72 ID:4ltRcd3J0

「えっ、えっ、ええ!? そんな、何言うてんの綾乃ちゃん!?」

失いかけて初めて気づいた。
本当に手に入れたいものは、すぐそばにあったこと。
いつまでも一緒にいたい人。私のすべてを預けられる人。私にすべてを預けて欲しい人。
これから先も、共に歩んで行きたい……
最愛のパートナー。

「千歳……好きよ」

返事を聞かせて、くれるかしら……

「綾乃ちゃん、気持ちは嬉しいんやけど……」

「……ここ、少ないとはいえ人いるわけやし、恥ずかしいわ……///」

……うっかりしていた。
ここは真昼の遊歩道だったのに……!


……あれから10年が経った。
当時の告白は今でも笑いの種にされていて、その度に恥ずかしい思いをしている。

「まったく、私の奥さんったら……」

まあ、ニコニコほほ笑むその笑顔の前では、暖簾に腕押しだけどね。
本当に……可愛い人なんだから、千歳は。


おわり



108: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/12(日) 00:06:54.70 ID:AwO1ZBfe0

あかり「わぁい図書室! あかり図書室大好き!」ルンルンルン

あかり「あ、あれって池田先輩……の妹さんだ!」

千鶴「…………」ジーッ

あかり(なんか難しそうな本がいっぱい置いてある棚を見てるよぉ)

あかり(どんな本を読んでるのかな? 真剣に選んでるから邪魔しちゃいけないけど、少しだけ覗いてみよう)

千鶴(……これはどうかな)スッ

『思想家たちに学ぶ、恋愛哲学』

あかり(わぁ……! 難しそうな本だけど、先輩って恋愛の本とかも読むんだぁ)


109: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/12(日) 00:08:50.80 ID:AwO1ZBfe0

千鶴(………)パラパラ

千鶴(………ダメだ、この本は女性同士に応用できない)バタン

千鶴(別の棚を探すか)クルッ

あかり「あっ……」

千鶴「……赤座……さん?」

あかり「は、はい! こんにちは、池田先輩」ニコッ

千鶴「……こんにちは」

あかり(えっと……どうしよう、)オロオロ

千鶴(どうしよう……そういえば、後輩とまともに話したことなんてないし……)

あかり「あ、あの、先輩って読書家なんですか? あかりも最近、図書室に通い始めたんですよぉ! ホントに最近ですけど」

千鶴「……はい。本を読むのは昔から好きで……図書室の雰囲気とかも好きです」


111: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/12(日) 00:15:12.66 ID:AwO1ZBfe0

あかり「そうなんですかぁ! ところで、先輩ってどんな本を読むんですか?」

千鶴「色々……。哲学や科学や政治経済とか……小説もよく読みます。基本、なんでも読むというか……」

あかり「すごいなぁ。あかり難しい本とか苦手だから、尊敬しちゃいます」ニコニコ

千鶴「…………どうも///」

あかり「小説はどんなの読むんですか?」

千鶴「百合……じゃなかった、え、SFとか」

あかり「SFって、タイムマシンとか幽霊とかのことですよね! あかりも興味あります!」

千鶴(幽霊……? それはオカルトだけど……ま、いっか)

あかり「なにかオススメの本とか、ありますか?」

千鶴「はい。こっちのコーナーに……」

グラッ

あかり「ひゃっ!」

千鶴(棚の本が落ちてきて……赤座さんの頭上に!)

千鶴「くっ」ギュッ

あかり「あっ!」


112: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/12(日) 00:17:04.78 ID:AwO1ZBfe0

ヒュー……バタンッ

あかり(た、助かった……ってああっ!///)

千鶴(まったく……近頃の連中は、本の置きかたが雑すぎる……。取ったらキチンとしまうのがマナーなのに……)

あかり「ああああ、あのっ!///」アワアワ

千鶴「っ!? (赤座さんを抱きしめたままだった!///)」バッ

あかり「あああ、ありがとう……ありがとうござい……ます///」

千鶴「ど、どういたしまして……///」

あかり(先輩に抱きしめられちゃった……///)ドキドキ

千鶴(どうしよう……なぜだかわからないけど、ヨダレ出てきそう……///)ドキドキ

ちづあか「「あっ、あの!」」

千鶴「…………///」

あかり「…………///」

千鶴「えっと、オススメはこっちのコーナーだから……///」スタスタ

あかり「は、はい! ありがとうございます///」スタスタ


おわり



113: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/12(日) 00:21:14.86 ID:AwO1ZBfe0

綾乃「冬にする花火ってのも、なかなか良いものね」バチバチ

千歳「ほんまやねえ。なかなかオツなもんや。これも、千鶴が夏の使い残しの花火を見つけてくれたおかげやな」ニコッ

千鶴「こっちこそ、付き合ってくれてありがとう。杉浦さんも……」

綾乃「ふふっ、千鶴さんとこうして遊ぶのも久しぶりだから、嬉しいわ。今日はありがとうね」ニコッ

千鶴「どういたしまして……」

綾乃「あ、そうだ。暖かい飲み物でも買ってくるわ。何か飲みたいのある?」

千歳「ありがとうなぁ。お茶で頼むわ」

千鶴「私も、お茶でお願いします」

綾乃「うん、了解。それじゃあ、すぐに戻ってくるね」スタスタ


千鶴「杉浦さん……優しい」

千歳「せやろぉ。うちの自慢の親友や」ニコニコ

千鶴「姉さんは……杉浦さんと親友以上の関係になる予定は、ないの?」

千歳「な、何を言い出すん? 親友以上って、つまり……///」

千鶴「こ、恋人……とか」


114: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/12(日) 00:23:27.87 ID:AwO1ZBfe0

千歳「……そのつもりはないよ。だって、綾乃ちゃんには他に好きな人がいるんやから……」

千鶴「……姉さん……」

千歳「けどな、心のどっかでは、うちは綾乃ちゃんと……って、綾乃ちゃんには内緒やで」ニコッ

千鶴「……うん」

千歳「……でも、ときどき……寂しく思うときもあるんやで。綾乃ちゃんがどこか遠くに行っちゃいそうで……」

千鶴「……私は、どこにも行かないから」

千歳「千鶴……」


115: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/12(日) 00:27:55.45 ID:AwO1ZBfe0

千鶴「姉さんが誰を好きでも、杉浦さんが誰を好きでも……」

千鶴「私は姉さんの妹だから、ずっとそばにいるよ……。いや、そばにいさせて……」

千歳「……ありがとう。ほんまに……ありがとうな」ニコッ

千歳「千鶴みたいな妹がいて……うちは幸せや///」

千鶴「姉さん……///」


綾乃「飲み物買ってきたわ」スタスタ

千歳「おお綾乃ちゃん、ありがとうな」

千鶴「ありがとうございます」ペコリ


116: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/12(日) 00:32:11.66 ID:AwO1ZBfe0


綾乃「ふぅ……コタツってなんでこんなに素晴らしいのかしら……」ヌクヌク

千歳「ほんまやなぁ。花火も楽しかったけど、こうやって綾乃ちゃんと千鶴とコタツを囲んで蜜柑を食べるのも、また幸せやで」

千鶴「うん。ところで……杉浦さんは、冬休みに予定とか空いてますか?」

綾乃「予定? 一応空いているわよ」

千鶴「もし良かったら、三人で今度は……スキーにでも、行きませんか?」

綾乃「いいわね! ぜひ行きましょう」

千歳「スキーええなぁ。千鶴はスノーボードも滑れるんよ」

綾乃「スノーボード滑れるの? カッコいいわぁ。私はスキーしかできないから、憧れちゃうな」

千鶴「い、いえ/// そんなたいしたものでは……///」

千歳「照れんでもええよ。千鶴の滑りはカッコええもん」

千鶴「姉さんまで……///」

綾乃「そういえば、ここら辺からなら日帰りでも普通に行けるけど、どうするの?」


117: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/12(日) 00:33:15.26 ID:AwO1ZBfe0

千歳「できれば泊まっていきたいなぁ。夜は温泉に入って、冷えた体を暖めたいし」

千鶴「うん。泊まりで行きたい……」

綾乃「じゃあ、なにか宿で遊べるモノも持って行かない? トランプとか人生ゲームとか!」

千歳「うんうん。だったらうちは……」


千鶴(杉浦さんも姉さんも乗り気で、嬉しいな……)

千鶴(こんな日常が……こんな幸せが、いつまでも続きますように)


綾乃「もうっ! 千歳ったらぁ……///」

千歳「綾乃ちゃんかわええなぁ」ニコニコ

千鶴「…………///」ダバー


おわり



121: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/12(日) 01:01:07.33 ID:AwO1ZBfe0

「千歳、一緒に星座を見に行きましょう?」

夏休みに入って少し経ったある日、綾乃ちゃんに誘われ、うちは星座を見に山を登った。
灯りなんてない田舎の山道。懐中電灯で足元を照らしながら、二人でゆっくりと進んでいく。

木々の間から零れる月明りに照らされた綾乃ちゃんの顔を、そっと盗み見てみた。

綺麗やな……

けど、どこか思いつめているようにも見える。
苦しそうな、切なそうな……
何かを躊躇している……そんな気がする。

思えば、ここしばらくの綾乃ちゃんは変やった。
うちが歳納さんの話を振っても動揺が少ないし、なぜだか悲しそうな顔になる。
歳納さんと顔を合わせても、どこか上の空で……

もしかしたら綾乃ちゃんは、歳納さんのことを諦めてしまったんかなぁ。

この山の頂上に、その答えが落ちている気がした。


126: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/12(日) 01:08:21.75 ID:AwO1ZBfe0

「それでね、この前コンビニ行ったらプリンの新作が出てて、すぐさま買おうとしたんだけど財布を家に忘れてて……」

一見普段通りの、他愛ない会話。
お互いに話題を振り、お互いに相槌を打ち、お互いにほほえみ合う。こんな普段通りが、いつもならうちにとっての幸せな時間のはずなのに……

普段より互いの距離が、遠い気がするのは何で?


山頂付近の空気は澄み渡っていて、おまけに冷んやりしていた。夏だというのに風が冷たい。
こんな事態を予期していたのか、綾乃ちゃんがカバンから上着を取り出し、そっとうちにかけてくれた。
その準備の良さと優しさに、思わず胸がドキドキしてしまう。

綾乃ちゃんと歳納さんが手を取り合う姿を思い浮かべて、心を落ち着ける。

そうや、うちは綾乃ちゃんの恋を応援することに決めたんやから、綾乃ちゃんにドキドキなんかしてはいられへん。友達として、一緒に楽しめればそれで充分なんや。

ペースをあげて、歩を進める。あと10メートル……5……3……1……

「すごい……キレイや……」

頂上に着くまで、なるべく空を見ないように足元ばかり見て進んできた。それが今……報われた瞬間だった。

夏の大三角が、東の空からうちらを出迎えてくれていた。

「ねえ、千歳……たった今、決心できたわ」

「私は……千歳のことが好き。千歳と、いつまでも一緒にいたい……。冗談抜きで、一生ね」


130: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/12(日) 01:15:06.93 ID:AwO1ZBfe0

隣にいる綾乃ちゃんの顔は、雲一つない真夏の夜空よりも晴れやかだった。

「え……? ど、どういうことなん……? だって、綾乃ちゃんは歳納さんのことが……」

困惑する。ドキドキする。狼狽する。顔が熱くなる。綾乃ちゃんが、うちを? そんなのウソだってわかってるのに……

「千鶴さんがね……千歳の本当の気持ちを、私に教えてくれたの……」

「最初聞いたときは、耳を疑ったわ。まさか千歳が、私のことをそんなふうに思ってくれていたなんて……」

「……そして、考えたわ。ずっとずっと、必死に。朝から晩まで、授業中もご飯を食べるときも寝るときも……ずっと考えてた」

「私にとって本当に大切な人は……本当に一緒にいたい人は誰なのか、ってね」

「答えは今……見つかったの」

綾乃ちゃんがうちの顔を真っ直ぐ見つめてくる。
道中の迷いが見て取られた表情とは違う。決意を固めた真剣な顔で……


131: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/12(日) 01:21:57.69 ID:AwO1ZBfe0

「ホンマに……? それ、本気で言ってるん?」

わかっていても、聞き返せずにはいられない。

「本気よ……」

「ウソ……だって、うちは綾乃ちゃんの恋を応援しようって、そう決めて今まで……」

「言葉にしてくれなかった。千歳は、私のことを本当に大切に想ってくれていたから。私の幸せを願ってくれていたから。けど……」
「今の私にとっての幸せは……千歳と一緒に生きることなの」

「綾乃ちゃんが、うちと……?」

「……そうよ。だから、その……」
「千歳の気持ちを、聞かせてくれるかしら。今度は……千歳の言葉で」

うちの言葉で……?
そんなもん口にしたら、今までの関係が壊れてしまう。そう思ってずっと堪えてきた。
でももう、恐れる必要はない。今までの関係が壊れたって、今よりもっと深い関係を築ける。綾乃ちゃんがそれを望んでくれているから。

「……好きや」

あとはうちが、踏み出すだけ。

「うちは綾乃ちゃんのことが好き!」

抑えてた感情と一緒に、涙が溢れ出る。鼻声になりながらも、うちは叫ぶ。

「ずっと一緒に居たい! 綾乃ちゃんが好きで好きでたまらない! もう、自分の気持ちにウソはつかへん!」


133: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/12(日) 01:27:39.92 ID:AwO1ZBfe0

本音を残らず吐き出したうちを、綾乃ちゃんはそっと抱きしめてくれた。
綾乃ちゃんの心臓の鼓動が伝わってくる。綾乃ちゃんも告白するのに緊張してたんやな、とわかって少しだけほっこりする。

「千歳……ありがとね。本当に……ありがとう……」

「ううん、こちらこそ……」

しばらくそうして互いの身体を預けあっていた。


「ここ、とても良い眺めよね……」

「うん。星がこんなにキレイに見れるなんて思わんかった」

二人でベンチに座り、山頂から夜空を見上げる。ぴったりと寄り添いながら、互いの指で星を指して。
ベガもデネブもアルタイルも、うちらを祝福してくれているような……そんな気さえしてくる。

綾乃ちゃんからは今日、二つのプレゼントをもらった。
この美しい星空と……
それから、綾乃ちゃん自身を。

お返しは、一生かけて返させてもらうで。大好きなうちの恋人に、ずっと捧げたい。
これからの自分を全て。

おわり



134: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/12(日) 01:32:34.29 ID:AwO1ZBfe0

千鶴(今朝、家の階段で脚を滑らせたと思ったら、姉さんと自分の身体が入れ替わっていた……)

千鶴(な……何を言ってるかわからないと思うけど、私もわからない……)

千鶴(どうやら階段の下にいた姉さんと互いの頭をぶつけて、その拍子に入れ替わったらしい……)

千鶴(ど、どうしよう……これから学校なのに……!)

千歳「まぁまぁ。せっかくやし、お互い入れ替わったまま過ごしてみるのはどうやろ?」

千鶴「そ、そんなのんきなこと言ってる場合じゃ……!」

千歳「うーん……それはそうやけど……確かに一大事やしなぁ……ここは正直に話して、みんなに協力してもらうのがええかもなぁ」

千鶴「そ、そうそう。いくら双子とはいえ、身体が入れ替わったままっていうのは……恥ずかしいし……///」

千歳「あらあら。けど、うちは千鶴の身体のことならなんでも知ってるけどなぁ。ずっと一緒に過ごしてきたわけやし」ニコニコ

千鶴「……うぅ……///」

千鶴(今、私が動かしているこの身体は……姉さんの……///)

千鶴「ち、遅刻しそうだから早く学校行こう?」ダダッ

千歳「あら、もうこんな時間? うん、とりあえずは学校行こか?」

千歳「……あっ、うちらもともと双子やから身体がそっくりだし、話したところで信じてもらえんかもしれへんかもね」ニコニコ

千鶴「それは……そうかも」


135: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/12(日) 01:39:40.61 ID:AwO1ZBfe0


綾乃「え!? 千歳と千鶴さんの身体が入れ替わった!?」

千歳(身体は千鶴)「そうなんや。双子とはいっても、やっぱり元の身体に戻れるなら戻っといたほうがええかなぁとは思うし、何か案はないかなぁ……」

千鶴(身体は千歳)「私からも……お願いします」ペコリ

綾乃「あはは、ちょっと二人とも、冗談よしてよ~。身体が入れ替わるなんてそんな馬鹿なこと」ゲラゲラ

京子「おおっ! 千鶴が関西弁使ってるの初めてみた!」

千鶴「………」イラッ

綾乃「いくら双子だからって、そんな冗談は通じないわよ。私にはキチンと見分けがついてるんだから」

京子「そうそう。それにしても……お互いの口調を完璧に真似してくるなんて、なかなか手の混んだイタズラだね!」

千鶴「お前は黙ってろ!」

京子「ひゃぁっ!! ち、千歳に怒鳴られた……」ビクッ


139: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/12(日) 02:05:16.65 ID:AwO1ZBfe0


綾乃「え!? ちょ、千歳!?」オロオロ

千歳「千歳はこっちやで、綾乃ちゃん」ニコニコ

京子「おおっ……こんな柔らかに微笑む千鶴は初めてみた……! ちっづるーん!」ギュッ

千歳「あらあら、うふふ」ギュッ

千鶴「姉さんから離れろ!」バキッ

京子「グハァ!!」

綾乃「ええ!? 千歳がパンチ!? ちょ、これ、もしかしてホントに……入れ替わって!?」

京子「ええい! こうなったら、本気で確かめてやる! ……綾乃!」

綾乃「え!? な、何!?」

京子「あっやのーん!」

チュッ

綾乃「ッッッ!?!?!?!?!?!?///」ボンッ


138: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/12(日) 02:03:25.43 ID:AwO1ZBfe0

綾乃(と、歳納京子が私のほっぺたにキ、キキキキキ……キエエエエエエエ!!!!///)

千歳「アカンッッッッッッッッ!!!!!!!」ブシャー!

……バタン

千鶴「ね、姉さん!! 姉さんしっかり! 大変だ、姉さんが鼻血の出しすぎで気を失った!」

京子「あらら~、キスはさすがにやりすぎたか~」

綾乃「:47&@&;3/58@"'fddi36&¥(:/("""@!……///」バタンキュー

京子「あれ? 綾乃? どうしたの? おーい……」

千鶴「歳納! てめえ!」

ツルッ

千鶴(しまった! 床にぶちまけられた鼻血で、脚を滑らせ……)

ゴッチーン

千鶴「4)¥8((&#€~>€€£££☆☆……」バタン

京子「ああ! 千歳……じゃなかった、千鶴が滑って千歳と頭ぶつけて気絶した!」アワアワ


143: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/12(日) 02:19:16.85 ID:AwO1ZBfe0

京子「ほ、保健室に運ばなきゃ! 綾乃も手伝って!」

綾乃「…………あへへ……///」トローン

京子「って、どうしちゃったんだよ綾乃! そんなに私にキスされたのが嫌だったのか!」ガーン



京子「……で、保健室で目が覚めたらお互いの身体が元に戻っていた、と」

千歳(身体も千歳)「心配かけてごめんな~。頭ぶつけて入れ替わったわけやから、また頭ぶつければ元に戻る……って理屈やったんかなぁ」

千鶴(身体も千鶴)「元に戻ってよかったけど……」

千鶴(もうちょっとだけ、姉さんの身体で……って、何考えて!///)

綾乃「何はともあれ、二人とも元に戻って良かったわ! 頭の怪我もたいしたことなさそうだし、安心アンコールワットね!」ニコニコ

千歳「綾乃ちゃん、なにやらすごい嬉しそうやけど……(歳納さんと)何かあったん?」

綾乃「はぁぁ!? べ、べつに何もなかったわよ!!/// って、覚えてないの!?」

京子「頭を打った衝撃で忘れちゃったんじゃない? 実は実は、あの時私が綾乃に…」

綾乃「い、言わないでよ!/// 忘れなさいあのことは!!」カァァ

千歳「その話!! 詳しく!!」

綾乃「や、やめてよぉぉぉ!!///」


146: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/12(日) 02:29:56.76 ID:AwO1ZBfe0

千鶴(やっぱり姉さんには、姉さんの身体が一番似合うな……)

千鶴(あ……姉さんが私の身体で鼻血出したから、まだ貧血でクラクラす……)

ゴッチーン


千鶴(な……何を言ってるかわからないと思うけど、私もわからない……)

千鶴(また……身体が入れ替わっただなんて!!)ガーン

千鶴(しかも今度は……)

京子「おおおおお!! これが千鶴のおっぱ」

千鶴「おいコラッ! 私の身体で何してんだ!」ボガッ

京子「あべしっ!!」

千鶴(……と、歳納なんたらと身体が入れ替わるなんて……!)

おわり



147: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/12(日) 02:36:41.04 ID:AwO1ZBfe0

綾乃「暑い……なんで北海道なのにこんなに暑いのよ! これじゃあ避暑に来た意味ないじゃない!」

千歳「まあまあ。同じ日本なんやから、こんな日もあるって」ニコニコ

綾乃「うーん……まあ、それはそうよね。せっかくの二人きりの旅行なんだから、文句言っても始まらないわ! たっぷり堪能しましょう?」

千歳「せやせや。うち、ポジティブな綾乃ちゃんも好きやわぁ」

※その夜

綾乃「ふう……いい湯だわぁ……景色も良いし、最高の露天風呂ね」

千歳「洞爺湖温泉……気持ちええなぁ……」

綾乃「千歳……旅行に誘ってくれて、ありがとね」

千歳「ううん、こちらこそ、綾乃ちゃんが一緒に来てくれて嬉しかったわぁ……」

綾乃「ねえ、今度は……私のほうから、旅行に誘っていいかしら? 次はほら、反対側の沖縄とかどう?」

千歳「ふふっ、綾乃ちゃん気が早いなぁ。もう次の計画?」ニコニコ

綾乃「い、言ってみただけよ!」


148: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/12(日) 02:40:09.73 ID:AwO1ZBfe0

千歳「でも、綾乃ちゃんと何度もお出かけできるなら……こんなに嬉しいことはない」

綾乃「千歳……///」

千歳「せやけど、人間いつ死ぬかもわからんし、次もあるなんて保証はどこにもあらへん。せやからな、今だけは……」

千歳「今だけは、この時間を精一杯楽しもうな」ニコッ

綾乃「……そうね。私、今すごく……幸せよ」ニコッ

千歳「うちもやで」ニコニコ

千歳「……あっ、そろそろやな……」

綾乃「そろそろって、何が?」

千歳「綾乃ちゃん、お空見てみ?」

綾乃「空……?」


ヒュ~……ドッカーン!!


綾乃「は、花火だわ! すごい……キレイ……」


150: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/12(日) 02:47:30.16 ID:AwO1ZBfe0

千歳「洞爺湖ロングラン花火大会っていってな、四月の終わりから十月の終わりまで、毎晩打ち上げてるんよ」

綾乃「そ、そうなの!?」

千歳「うん。ささやかやけど、これがうちからの……サプライズプレゼント」ニコッ

綾乃「千歳……/// 感動で胸がいっぱいよ。……ありがとね///」

千歳「ふふっ、どういたしまして」


千歳(この花火も、めっちゃめーっちゃ素敵やったけど……)

千歳(やっぱりうちの親友の笑顔には、敵わへんなぁ)ニコニコ

千歳(来年も再来年も、この笑顔が見れるなら……)

千歳(うちはなんでもするつもりやで)ニコッ


おわり



151: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/12(日) 02:49:44.71 ID:AwO1ZBfe0

これで終わりです
読んでくれてありがとうございました
この中で気に入った話とかがあったら教えてくれると嬉しいです


152: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/12(日) 02:55:37.24 ID:U1DEMQSx0

超乙!
千鶴ちゃんの美術の宿題が可愛らしいなー
トラックが気になった…悪い意味でなく


154: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/12(日) 03:07:22.81 ID:b77+eAVO0

乙乙

洞爺湖そんなのやってるのか
ちょっと行ってみたくなった


155: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/12(日) 03:34:48.39 ID:3i9mms5/0

だばって最高だった!

社会人編とか好きよー
乙乙!


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