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絹恵「セレッソ勝っとったで!」洋榎「よっしゃ!」
絹恵「ああ、今日のJリーグの結果見とるんです。」
恭子「Jリーグ?サッカーか。絹ちゃんキーパーやっとったもんなあ。」
洋榎「お!セレッソどやった!?セレッソ!」
絹恵「セレッソ勝っとるみたいやでお姉ちゃん。」
洋榎「ホンマか!よっしゃ!」
絹恵「柿谷が決めたようやで。」
洋榎「おお~流石や!うちの新エースは柿谷で決まりやな!」
絹恵「清武・ボギョンが居なくてもなんとかなるかもしれんなー。」
恭子「主将と絹ちゃんは、その…えーと?セレッソ?ってチーム応援しとるんです?」
洋榎「なんや恭子、セレッソ知らんのかいな。」
絹恵「セレッソ大阪っちゅうチームなんです。長居にホームスタジアムがあるんですよ。」
恭子「そういえばありましたねそんな名前のサッカーチーム。」
洋榎「あ!今恭子「ふーん」って顔したやろ!セレッソなめたあかんで!」
恭子「いや…別になめとる訳では…(汗)」
洋榎「香川って知っとるか。香川真司。」
恭子「まあ、流石に。知っとる言うても、マン…なんとかっちゅうイギリスの強いチームに入った選手って事位ですけど。」
洋榎「マンチェスターユナイテッドな。で、その香川が日本でプレーしとった時おったチームがセレッソなんや。どやーすごいやろー。」エッヘン
恭子「別に主将が凄い訳ではないでしょうに…(汗)」
洋榎「他にも乾とか清武とか、セレッソから海外に行っとるんやでーすごいやろー。」モイッカイエッヘン
恭子「だから主将が(ry」
洋榎「い、いやーまー…ハハハ…」
恭子「?」
絹恵「いい選手がどんどん海外に引き抜かれるんで、実は結構苦戦しとるんです。今年もJ1残留が目標って感じで。」
恭子「なるほど…上手くいかないもんやね。」
絹恵「うちからお姉ちゃんや末原先輩が引き抜かれるようなもんですからね。たまったもんやないですわ。」
洋榎「クルピが戻ってきたからいけるわー!絶対残留やー!いや優勝やー!やったるでセレッソー!大阪の底力見せたるでー!」
絹恵「お姉ちゃん、あんまり大声上げんといてーやー」
怜「む…?セレッソ?」
洋榎「な!い、いきなり何や!」ビックリ
絹恵「千里山の園城寺怜と清水谷竜華やないですか。」
怜「やっぱ愛宕洋榎か。やかましいはずやで。」
恭子「どうも。うちのがうるさくてスミマセン。」
竜華「こちらこそ急に話しかけてゴメンな。怜ーどうしたんよ。」
怜「ちょい聞き捨てならん言葉が聞こえてきてな。」
洋榎「なんや、うちなんか気に障ること言うたか?」
怜「大阪といったらガンバや!セレッソやない!」
洋榎「」
絹恵「はい。ガンバ大阪。吹田の方をホームにしとるチームです。」
恭子「あー、そんなチームもあったかなー。」
怜「大阪っちゅうたらガンバやろ。セレッソとは知名度が全然ちゃうわ。オリジナル10は伊達やないで。」
恭子「オリジナル10?」
絹恵「Jリーグが始まった時の10チームのことです。」
恭子「え、Jリーグって何チームあるん?」
絹恵「J1が18チーム。J2が22チームあります。」
恭子「お、多いねんなあ…。」
怜「そんなん関係あらへん。サポはガンバの方が多いやん。」
洋榎「ぐっ。そ、そやけど、香川!香川育てたんウチや!清武もな!
洋榎「代表主力を次々生み出すセレッソこそが大阪を代表するクラブや!」
怜「代表で言うんやったら、遠藤と今野がうちにおるわ。代わりのおらん、まさに日本の主力や。」
洋榎「今野は東京から獲ったやつやんけ!うちは自前やぞ自前!」
怜「どうやろか。凄いんは大分ユースの間違いちゃうん。」
洋榎「前線が外人頼りのガンバに言われとうないわ!臨海か!」
怜「そ、それは…外人からみても大阪といえばガンバやって認識になっとる証拠やで。」
洋榎「ぐぬぬ」
恭子「うちの主将がスミマセン。」
竜華「いえいえこちらも怜がスミマセン。」
洋榎・怜「なんでや!」
恭子(なんで息あっとんねん…)イラッ
絹恵「今年どっちも弱いやん…惨めになるだけやで…。」
洋榎「」
怜「」
恭子「うん?ガンバも弱いんです?」
竜華「ガンバもセレッソも、今年はJ2降格せえへん事が目標や。それで察してーや。」
恭子「な、なんとなくわかりました。」
怜「そっちこそJ2落ちて来年のダービー無しとかならんようにしてや。」
洋榎「…お互い、残留するで。」
怜「当たり前や。」
ガシッ(握手)
竜華「ホンマごめんなー。怜ったらガンバの事となると頭に血が上るから。」
怜「そ、そんなことあらへんよーうち病弱やしー。」
洋榎「病弱ちゅうテンションやなかったで…。」
恭子「…」
洋榎「え、あ、ちょっ、引っ張んなや。」
絹恵「あ、末原先輩、お姉ちゃん。っと、失礼しますね。また今度。」
怜「ほんならなー」
・・・
怜「竜華ー。インハイ終わったらガンバの試合見にいこなー。」
竜華「体調よかったらな。無理したアカンで。」
怜「うち病弱ちゃうしー。」
竜華「さっきと言ってること逆やん…。」
恭子「明日の試合の対策を練らないといけないんです。早く帰りますよ。」
洋榎「わかったわかった。わかったから引っ張んな。」
恭子「…サッカーの試合、見に行くんですか?」
洋榎「え?あ、ああ。インハイ終わったら行こうかと…。」
洋榎「ははーん、恭子も行きたいんやな?よっしゃ!一緒に行くで!ええで~スタジアムでの観戦はええで~。」
恭子「しゅ、主将が来いと言うなら…行くのもやぶさかではありませんが…。」
洋榎「素直やないなー ま、ええわ、一緒に来いや、な?」
恭子「わ…わかりました。そこまで言うなら一緒に行ってあげます。」
恭子「ズコー
絹「お、お姉ちゃん…(汗)」
洋榎「へ?」
恭子「アホ…。」ボソッ
短いけどカン!
淡「照ー!やったよーFC東京勝ったよー!」
照「そう。よかったわね。」
淡「あれー?あんまり嬉しくなさそう。」
照「うん、私…東京ヴェルディのサポだから…。」
淡「が、照はそっちだったのかー。」
照「かなり苦しいけど、今年こそJ1に上がりたい。」
淡「絶対上がってきてねー また東京ダービーしたいし。」
もいっこカン!
煌「アビスパ勝ちましたよすばらです!」
優希「パルセイロはとっととJ2に上がるじぇ!」
穏乃「奈良にサッカーチームってあったかなー…。」
ダヴァン「ワンバックはすごいでスネー。」
今度こそカン!
なんとなくガンバは市内じゃないから応援しづらい
Entry ⇒ 2012.09.16 | Category ⇒ 咲-Saki-SS | Comments (16) | Trackbacks (0)
淡「テルー、ちゅーしようよー」
照「……えっ」
淡「はやくー」
照「しないよ……」
淡「だめ?」
照「だめに決まってる」
淡「あー、今ケーキ食べてるから? じゃあ食べ終わったらね」
照「そういう問題じゃ……」
尭深「お茶」コトッ
淡「ありがとー」
誠子「淡、先輩には敬語を使いなさい」
淡「サー」
菫「は?」
菫「は?」
菫「待て、ケーキ返せ……じゃなくて、なんださっきの発言」
淡「え? だってスミレ、フォーク止まってるし」
菫「そこじゃないよ!」
尭深「落ち着いてください……」コトッ
菫「ああ、ありがとう……尭深はなんで落ち着いてるんだ?」
誠子「ケーキ残り一つ、誰か食べます?」
淡「はいはい!」
誠子「わかったわかった、その前に口についたクリームを拭くこと」
淡「はーい」
菫「なんで誠子も落ち着いてるんだよ……照も一言言ってやれ」
照「確かに。 淡、皆の前でキスするのは常識がない」
淡「えー」
菫「そうそう、それでいいんだ、それで」
尭深「新しく厳選したやつ……よかった」
菫「うん、ケーキにも合う……そうじゃないだろ!」バン
照「菫、テーブル叩かないで」
誠子「どうしたんですか」
菫「え、これ私がおかしいのか? なあ?」
照「なにが」
菫「照、皆の前でキスするのは常識がない、ってどういう意味だ!?」
照「そのままの意味だけど……」
菫「皆の前じゃなきゃ、お前は淡とキスするのか!?」
照「菫、落ち着いて」
誠子「そうですよ、早まりすぎです」
菫「そ、そうか、私の勘違いならいいんだが……」
照「ううん、合ってるよ」
菫「合ってるのかよ!」バン
淡「だよねー」
菫「私はおかしくないよ! おかしいのはお前らだよ! なんで皆平然としてるんだ!」
淡「私がテルとちゅーしちゃだめなの?」
菫「いや、ダメとかそういう問題じゃないだろ!」
誠子「弘世先輩、落ち着いてください」
菫「落ち着けるか!」
淡「タカミー、お茶おかわりー」
尭深「うん……」
誠子「先輩をこき使うな」
淡「だってタカミーのお茶おいしいんだもん」
尭深「……嬉しい」
照「私も、おかわり」
菫「なんだこれ……なんだこれ……」
照「何?」
淡「教室に忘れ物しちゃったから、帰りに一緒に取りいこ?」
照「いいよ、その時でもいい?」
淡「やった!」
菫「何がその時でもいいんだよ……」
照「キスだけど」
淡「えへへ……今から楽しみー、キャー!」
菫「うん、そうだよな、聞いた私がバカだった……」
淡「スミレ、またフォーク止まってる、食べちゃうよ?」
菫「ああもう、好きにしてくれ……」
誠子「また今度もこのケーキにするか」
尭深「……うん」
淡「テルー、ちゅーがだめなら抱っこして!」
照「皆いるでしょ」
淡「これくらいならいいじゃん! ほらほら!」
照「はいはい」ギュウ
淡「……ふふ、ちゅー」
照「やだ」ヒョイ
淡「ばーか!」
照「離すよ?」
淡「やだやだ、ごめんなさい」
菫「……麻雀部に何が起こったんだ」
淡「……ううん、違うよ」
菫「えっ、じゃあなんでキスしてるんだ……」
照「なんだろ?」
淡「なんだろうね?」
照「ただ普通に、日常的な出来事として、みたいな」
菫「日常的なんだ……」
尭深「結構有名です……」
誠子「記者にバレないかだけが心配ですね」
菫「いやそれも問題だけど……そうじゃないだろ……」
照「そろそろ麻雀しよ?」
淡「えー、もうちょっともうちょっと」ギュウ
菫「もう今日は麻雀はいいよ……それどころじゃない」
淡「いつからかな? あんまり覚えてないや」
照「一ヶ月前くらい、かな」
誠子「多分もっと前ですね。 私が最初に二人のキスを見たのは、確か一ヶ月半くらい前です」
菫「見たんだ……」
淡「え、見られてたの!?」
誠子「一年の教室前を通った時、キスしているのをガラス越しに、ね」
照「いつの教室だかわからない……」
淡「ねえ、もう見られてるなら部室でちゅーしても一緒じゃん!」
照「それとこれとは別」
淡「もー!」
誠子「当時のこと、聞きます?」
菫「別にいい……」
誠子「あの時は確か、宮永先輩が椅子に座って、その上に淡が向い合って座ってました」
菫「語っていくのか……」
……‥
淡「テルの髪、すごいいい匂い……」
照「ちょっと淡、離して」
淡「やだ!」
照「もうすぐ他の部活の解散時間、見つかったらどうするの?」
淡「大丈夫でしょ、大体麻雀部が一番終わるの遅いし……えへへ、落ち着くなー」
照「……なら、後十分だけね」
淡「しょうがないなー」
照「こっちのセリフ」
淡「……ねえ、ちゅーしようよ! 時間がもったいないもん」
照「ま、また? それに、約束は膝に乗っけるまで、だったはず」
照「全然違うと思うけど」
淡「いいもん、もう。 どうせテル動けないし、無理矢理にでもちゅーできるからね!」
照「……はあ、わかった。 したいならしていいよ」
淡「じゃあするね……ちゅっ」
照「……っ」
淡「……テルとちゅーするの、すごい最高だね」
照「そ」
淡「もう一回いい?」
照「別に、いいよ」
淡「……んむっ」
照「んぅ……っ」
淡「……ふぁ」
淡「入れたくなったんだもん、いいでしょ?」
照「……まあ、いいや」
淡「テルって、舌入れると目つぶるよねー。 もう一回していい?」
照「ご自由に」
淡「んぐっ……ぅ」
照「……んっ……ちゅぷっ」
淡「……んぅ」
照「……うぁ……終わった……」
淡「ふぅー……へへ、やっぱり目つぶるね!」
照「集中してる証拠」
淡「なーんだ、照れてるかと思ったのに」
照「私は確認できないけど、そういう淡はどうなの?」
淡「私も目つぶってますよーだ」
淡「テルって、私が口離すまで目開けないんだもん。 先に見るくらいの余裕はあるよ」
照「そっか……っていうか、心臓がすごいね」
淡「え?」
照「密着してるんだから、それくらい伝わる」
淡「わ、気付かなかった」
照「目瞑ってるし、やっぱり照れてるの?」
淡「当然でしょ!」
照「それなのに、私にキスしろキスしろ言ってくるの?」
淡「だって、ちゅーしたいんだから仕方ないでしょ」
照「なら、仕方ないか」
淡「だね。 もう一回するよ?」
照「その前に、一ついい?」
照「顎の横によだれが垂れてる、気持ち悪い」
淡「あー……ほんとだ」
照「拭いて」
淡「……ぺろっ」
照「ん……ちょっと」
淡「……どう?」
照「どうも何も……」
淡「……ちゅっ」
照「……わざと? 舌で舐められても、何も変わらないって」
淡「もー、楽しかったのに!」
照「もういい、自分で拭くから降りて」
淡「やだ」
淡「はいはーい、しょうがないなあ……あれ?」
照「どうしたの?」
淡「ハンカチ入ってなかった。 カバンの方に入ってるかも、残念」
照「降りて取りに行く気はないの?」
淡「ないよ!」
照「十秒もかからないのに?」
淡「うーん……ちゅーしてれば、そのうち気にならなくなるでしょ」
照「まだする気だったんだ……」
淡「だって我慢できないしねー、いちいち拭くのも面倒くさいじゃん」
淡「ほらテルー、ちゅー」
照「ぅ……ん」
淡「……んぐ……んっ」
………
…………
誠子「後は、ずっとそんな感じでした」
淡「あ、それ初めて教室でちゅーした時だね」
照「やっぱり見られてた、だから教室はだめって言ったのに」
淡「でも見られたのがセーコで良かったじゃん、それにちゅーできる場所が広がって、ほぼ毎日できるようになったんだしさ」
誠子「敬語」
淡「はい」
誠子「三十分ほど眺めた末にメールに気付いて帰宅したので、最後まではわかりませんけれど」
菫「毎日……しかもそれだけ語って最後までじゃないって、一体どれだけやったんだよ……」
淡「一時間だったかなー」
菫「なが……」
尭深「…………」
尭深「……私、もっと前に見ました」
照「ほら、尭深にも見つかってる」
淡「だーかーらー、じゃあ部室でちゅーしても一緒じゃん! しようよー」
照「一線越えてるか、越えてないかの違い」
菫「安心しろ、もう十分越えてるから……」
誠子「で、尭深はいつ見たの?」
尭深「えっと……」ペラペラ
菫「え? 何そのノート? 分厚くない? そんなもの持ち歩いてたの?」
尭深「あった、64日前……です」
菫「なんでそんなにビッシリ書き込まれてるの? ねえ」
尭深「読み上げていいですか?」
菫「なんで答えてくれないの?」
尭深「◯月×日△曜日、本日よりこの日記帳を……」
菫「ねえ尭深? 聞いてる?」
………
◯月×日△曜日
本日よりこの日記帳を、淡照(淡ちゃん×宮永先輩)専用の観察日記へと変更します。
私は新しいお茶が手に入ると、決まって部室に一番乗りするのです。
昨日に入手したお茶が大変美味しいものだったため、本日も例に漏れずに真っ先に部室へと乗り込み、給湯室にてお茶の準備をしていたところから事件は始まります。
今にして思えば、前日にタイミングよくお茶を入手していた時点で、既に何かの縁が働いていたのかも知れません。
私は部室へ足をつけた途端、まず形容し難い違和感をキャッチしました。
誰もいない部室の雰囲気を、誰よりも知っている私だからこそ、感じ取れたであろう違和感。
その違和感は、ベットの方から聞こえる一つの声によって氷解します。
ただの唸り声ながら、よく透き通った音――それは間違いなく、宮永先輩のものでした。
そうとわかれば何も恐れる必要はありません、安心してお茶の準備に取り掛かることができます。
なぜ宮永先輩が私よりも早く部室に顔を出し、おまけにベットの上で眠りこけていたのかはわかりません。
私は宮永先輩を起こさぬように、音を殺しつつ給湯室へ向かったのみですから。
それから数分後、今度は淡ちゃんが部室へと参上しました。
軽い挨拶を引き下げて入ってきたために、顔を見るまでもなく正体を特定できました。
「夜更かししちゃったから、眠いなぁ。 皆来るまでベット借りよっと」
淡ちゃんが早くくるのは珍しいものの、その理由は先の独り言に集約されていました。
ちょうどその位置で落ち着いていたために、淡ちゃんは私が先客だということに気が付かなかったのでしょう。
私はハイテンションで挨拶ができるほど肝の座った性格ではありませんから、気付かれるまで大人しく構えてようと思っていたのです。
「わ、テルが寝てたら私が寝られないじゃん!」
勢いよく開けられたカーテンの悲鳴を聞いた直後、淡ちゃんの発言を耳に入れました。
先客が宮永先輩であるという私の推測は外れておらず、この時妙に勝ち誇った気分だったことを覚えています。
しかしそんな些細な感情は、すぐに上書きされることとなりました。
「テルー、起きてるー?」
その発言をきっかけとして、淡ちゃんは何度も宮永先輩の状態を確かめていました。
割って入ってはいけないと忠告する本能に従い、私はこの大人しくする方針を貫き、黙ってその様子を眺めることとしたのです。
結果的には、これは英断だったと言えるでしょう。
淡ちゃんの顔を一つ拝見した時、その頬はやや赤く染まっていました。
そして同時に、鯉のように口元を開いては閉じ、閉じては開いてを繰り返していたのです。
淡ちゃんが全身から発している雰囲気にも通行止めを食らってしまい、大人しくしようと二重に決意を固めた時でした。
「……テル、好き。 好き、好き……」
淡ちゃんは顔を枕元へ向け、後は零すように「好き」を繰り返すのみでした。
淡ちゃんの顔が徐々に加熱されてゆくのを見守る中、私は心中にて淡照を愛でる気持ちが、淡ちゃんの顔の如く加熱されていくのを自覚していました。
以前から照菫か淡照かは悩むところでしたが、こうなればもう迷う余地はありません。
とはいえ今は、そちらに構っている場合ではありませんでした。
唐突な出来事は、それから少ししたあたり。
淡ちゃんが、仰向けで眠る宮永先輩へとキスを仕掛けたのです。
それも、一度でも二度でもありません。
淡ちゃんは顔をひどく引っ掻いたように真っ赤にしながら、五回六回とキスを繰り返しており、私はついにその数を数えることをやめてしまったのです。
淡ちゃんが勢いよくカーテンを開けてくれたため、事件の全体像を眺めることができたのは幸いの一言。
無論、こんなことをされて目覚めないはずはありませんでした。
「淡……?」
「あっ……お、おはよう、テル……」
「……ま、まさか、キスしたの?」
「…………」
「答えて」
「……う、うん」
淡ちゃんとは対照的に、宮永先輩は特別顔を染める様子はありません。
何が起きたのか言葉にできないといった体で、ただただ淡ちゃんを見つめていました。
「……キス、したいの?」
「えっ?」
「いいよ、したいなら」
宮永先輩は淡ちゃんを許容しても尚、恥ずかしがるところを見せません。
キスを仕掛けた当人である淡ちゃんの方が、いつもの様子を裏返しにして、頭を動かしたり指を動かしたりの挙動不審に陥っていたのです。
心の中で腕を握りつつイエスと返答、それが通じたのでしょうかはわかりません。
「……うん、テル、ちゅーしたい……」
淡ちゃんはそれ以降、貪るが如く――いいえ、事実宮永先輩の唇を貪り始めたのです。
宮永先輩は先刻淡ちゃんへと問いかける際、共通して寝たままの姿勢でした。
その姿勢を一度崩して、ベットの上で改めて正座をし、再び淡ちゃんを見つめ直します。
「動かないから、していいよ」
宮永先輩の口から出た言葉が、淡ちゃんの理性を噛み砕いたのでしょう。
淡ちゃんは宮永先輩の腕を巻き込みつつ抱擁し、磁石の如く引き寄せた後は、何度も何度もキスの繰り返し。
二人は区切りがつく度に、過呼吸なのでは、と疑いたくなるほどに酸素を補給していました。
淡ちゃんの場合、酸素を必要とする要因の一つに、興奮も含まれていたことでしょう。
そうして一呼吸終われば、一回が非常に長いキスを再開していき――何回も何回も、その繰り返し。
一生無縁と思っていた無音カメラをスマートフォンのマーケットからダウンロードする為、興奮を抑えつつ最速でタッチパネルを操作するのには大変な労力を要しました。
淡ちゃんと宮永先輩のキスが始まり、どれほどの時間が経過したのかはわかりません。
淡ちゃんは休憩の際に時々咳き込むほど呼吸を繰り返しており、休憩時間も徐々に長くなっていきました。
半ば意地によって支配されている面もあるかもしれません。
一連の中で最も長く、最も咳き込んだ休憩が終わった直後。
「テル、もっと深いちゅーがしたい……」
「今更本気も何もないでしょ」
「……いいよ」
「遠慮しないから……」
とてもそうには見えませんが、まるで今まで遠慮していたかのような言い回しで、淡ちゃんは宮永先輩に確認を求めます。
宮永先輩は特に答えず、ただ目を少し逸らすのみでした。
淡ちゃんも宮永先輩の心中を察してか、あるいは復活しかけたリミッターが再び解除されたためかはわからないけれど、もう好き勝手に宮永先輩の舌に自らの舌を重ねていました。
さすがの宮永先輩も参った模様、頬に赤みが見え隠れしています。
そして先述の休憩の際には、透明な糸が二人を繋げたり、千切れ落ちたそれが宮永先輩のスカートやベットに侵食もしていました。
「こんなことがあるなら、眼鏡に頼らずに視力矯正をしておけば良かった」と今日ほど悔やんだ日はありません。
肉眼に記憶するのが最善ですが背に腹は代えられない、無音カメラのズーム機能に頼り、今回は幕引きすることとしました。
気付かれぬように、行為中に音を立てずに脱走し、澄ました顔で再び入室しました。
今日の出来事はこれで終わり、惜しいですが引き際が肝心です。
もし弘世先輩あたりにバレて、二人を引き裂かれたらたまったものではありません。
◎おまけ
私の中に意外にも残っていた冷静さは、宮永先輩がディープキスの際に目を閉じる癖を発見してくれたため、記念としてここに記そうと思います。
…………
尭深「……以上。 残り三ページは淡照と当日の事件についての考察だから、見る意味はないです……」
菫「尭深がそんなに喋ってるの初めて聞いたよ……意外な一面を見られて嬉しいけど、ちょっと意外すぎかな……」
淡「……うぅ」
照「淡、どうして顔赤いの?」
淡「……もう! なんでわかんないの!」
照「??」
誠子「宮永先輩……それは淡がちょっと可哀そうというか、おかしいですよ」
菫「本当だよ……お前らおかしいよ……」
尭深「ねえ……後でさっきの教室の話、メールで文章にして私に送ってくれない?」
誠子「え? うん、いいよ」
尭深「ありがとう……これでピッタリ30ページ目……」
菫「そんなに記録してるのか……」
尭深「ふふ……やった」
菫「うわ……たかみーが笑ってる……お茶とかブドウの話の時くらいしか笑わないのに……」
尭深「あの、今日は試したいことがあって……大会ルールじゃなくて、ローカルルール適用でいいですか?」
照「いいよ、何?」
尭深「アリアリ、大四喜・十三面他ダブルあり、トビなし、二位抜け……いいですか?」
誠子「ああそれね、いいよ」
照「うん」
淡「私も! ダブルないともったいないもんねー」
尭深「じゃあ、このルールでやる時、いつもやる罰ゲームもアリ……いいですね?」
誠子「尭深から言ってくるのは珍しい。 私は構わないよ」
淡「だねー」
照「ほら菫、起きて」
菫「もう勝手にしてくれ……砂になりたい……」
淡「?」
尭深(今のアイコンタクトで、全てが通じるはず……)
淡(私とテルを見た……もしかして、テルを協力して倒せばいいの?)
淡(このルールはトップ者がそれ以外の人を選んで、損をしない程度の罰ゲームを負わせられるルール……)
淡(もしテルが連荘しても、トビがないからオーラスのタカミー、しかも親まで回ればまず勝ち……でも、実際タカミーはラス親なんて滅多に引かない)
淡(……さっきの様子を見ると、タカミーが勝った時に私達に科すゲームは)
淡(……よし、そうとなれば私が勝つ必要はない! それよりも確実に勝つ道……卓上に与えるべき支配力を、全て親決めに注ぐ!)
東:誠子 南:照 西:淡 北:尭深
淡(やった!)
淡(後は和了を狙いつつも、テルとセーコの阻止……最悪、和了を放棄してでも妨害重視でいいかな)
尭深「……自摸。 国士十三面」
連荘
尭深「自摸。天和、国士十三面」
尭深「天和、国士十三面」 尭深「天和、国士十三面」
尭深「天和、国士十三面」 尭深「天和、国士十三面」
尭深「天和、国士十三面」
尭深「天和、国士十三面、八連荘」
誠子「ね、ねえ……そろそろ無理じゃない? これ」
尭深「あっ、そっか……ごめんなさい」
照「普通の麻雀させて……」
淡「で、タカミーはどんな罰ゲームがいいの?」
誠子(いつもなら、尭深のことだから「お茶淹れてください」程度の優しいものだけど……)
尭深「……宮永先輩、淡ちゃんにキスしてください」
淡「だよねー!」
照「……は?」
尭深「はい」
照「それはちょっと……恥ずかしい」
尭深「でも、もう既に皆にバレたじゃないですか」
照「でも、見るのと聞くのは違う、っていうか……」
尭深「……じゃあ見せます、はい」
誠子「ん?」
尭深「これ、ベットで淡ちゃんと宮永先輩がキスしてた時の写真……」
淡「わ、ちょっとちょっと! プライバシー!」
尭深「……キス、したくないの?」
淡「そりゃ、すごいしたいけどさ!」
尭深「今日だけじゃない。 明日以降、部活内で好きなだけできるようになるよ……?」
淡「……うぅ、もう、わかった! 恥ずいいい‥…」
尭深「それでいい」
誠子(尭深が輝いてる……)
照「な、なに?」
淡「もう皆にバレちゃったし、いいでしょ?」
照「…………」
淡「ま、ダメって言われてもするけどね! テルってば押しに弱いんだもん」
照「まあ、確かに今更かな」
淡「でしょ! ちゅー」
照「その前に、一つ聞いてないことがある」
淡「え、なんかあるの?」
照「……淡は、私の事が好きなの?」
尭深(今更?)
誠子(本当に気付いてないのかと思った……)
照「尭深から聞いて、やっとわかった。 そこだけハッキリさせたい、どうなの?」
淡「……テ、テルは?」
照「今質問してるのは、私」
淡「……やだよ、もしテルから振られたら、私もう何もできなくなっちゃう」
淡「だから、これでもいいやって思って……それで、あんなこと……」
照「……私も一緒、万が一にも振られることは怖い。 だからあの時、淡にキスをさせた」
淡「え……」
照「好きでもない人に、キスさせるわけないでしょ?」
淡「……テル、好き」
照「うん」
淡「付き合って、それで、これからもずっと……」
照「……うん」
照「いいよ」ギュッ
淡「頭、撫でて」
照「うん」
淡「えへへ……すっごい幸せ!」
照「……キスは、しないの?」
淡「テル、タカミーの言葉、覚えてる?」
照「罰ゲーム、キス、するんでしょ?」
淡「もう罰でもなんでもないけどね。 ちゅーはするけど、私はしないよ」
照「どういうこと?」
淡「タカミーは、テルの方から私にちゅーして、って言ったんだよ」
淡「そんなの関係なく、テルからして欲しいけどね。 思えば、私が一方的にちゅーしているだけだったもん」
照「……わかった。 顎の力抜いて」スッ
淡「ん……」
淡「っ……うぁ……」
照「……ふぅ……淡、顔真っ赤」
淡「えへへ、なんでだろう……なんか、テルからちゅーされるの、すごいいいよ」
照「……んぐっ」
淡「あ……んむっ……ぅ……」
照「んっ……ぷはっ」
淡「……ねえテル、もっとやっていいよ?」
照「遠慮しないからね……んっ」
誠子(振られるわけないんだよなぁ……)
尭深「……今日は赤飯」ゴロゴロ
誠子「尭深、床で寝っ転がるのやめて」
菫(決勝戦の中堅戦前は、尭深に二人のキスを見せることにしようかな……)
菫(もうどうにでもなれ……)
おわれ
ちょーよかったよー
すばらでしたよ
Entry ⇒ 2012.09.15 | Category ⇒ 咲-Saki-SS | Comments (0) | Trackbacks (0)
菫「なに?はやりんの握手会だと!?」
菫「………」ジー
「\ハッヤリーン/」「はぁーい!はやりの麻雀教室、はっじまるよ~」
菫「えっ?何だって?」
照「………」
菫「………」ジジー
「はやりマイッチング~」
尭深「先輩方、また部室に遊びに来たんですか……」
照「あ、尭深に誠子……うん、お邪魔してる」
尭深「菫さんは相変わらず、高画質ではやりさんを見れるからってここに来てるわけですね?」
菫「………」ジー
誠子「人に見られるのが恥ずかしいって理由で部室に入室制限かけるし……HAHAHA!ボスには困ったもんデス!」
「今度、はやりの握手会をするよ!皆もきてきてきてね~☆」
菫「握手会……」ホゥ
照「へぇ、瑞原プロの握手会ねぇ……」
誠子「ボスを誘って行ってみたらどうです?」
照「え……?」
尭深「ほら、二人で遊びに行きたいって言ってましたし」
照「ふんふむ……」
菫「………」ジー
「それではまた来週☆」
菫「照、どうした?」
照「その……なんだ……瑞原プロの握手会に二人で行かないか?」
菫「なんだって!?」
照「だから瑞原プr 菫「行くっ!」
菫「はやりんに会いに行くっ!」
照「」
尭深「大友とか言われるの恥ずかしいですからね」プフ
菫「それにほら……誰かを誘おうにも恥ずかしいし……」モジモジ
誠子「ボス、引退してから丸くなりましたね」
尭深「うん……まるで別人」
菫「だからね……照が誘ってくれてすっごく嬉しい!」
照(……私の知ってる菫はどこいった)
菫「うるさいな、自覚はある」
照「ほら、笑って笑って」ホッペタギュム
菫「ひだだだだだ……」
菫「おまへこそ普段は大概じゃにゃいか」ホッペタギュム
照菫「ぐぬぬぬぬ……」
尭深「……微笑ましい」ズズズ
照「え?なんで?」
菫「あいつに話したら弄り倒されるに決まってる」
照「そんなことないと思うけど……」
菫「いや、前に淡にプリキ 淡「こんにちはー!」
淡「あ、テルーにスミレさん!遊びに来てくれたんだぁ」
照「うん」
淡「んで、淡がなんだって?」
照「実はな……」
菫「うぉい!」
菫「くっ……こうなるから嫌だったんだ」
照「その……ごめん」
菫「こんなところにいられるか!私は帰るぞ!」
淡「あ、帰っちゃった……」
アリですね
照「淡も一緒に行きたい?」
淡「……やめとく。テルーと遊びに行きたいけど、テルーはスミレさんと二人きりで行きたいんだよね?」
照「……まぁね」
淡「だったら、今回は淡は我慢するよ」
照「そう……それじゃあ私も帰るよ」
淡「あ、テルー」
照「……ん?」
淡「いっぱい楽しんできてよね!」
照「うんっ!」
菫「待ち合わせの一時間前に来てしまった……」
菫「昨夜も興奮してあまり寝られなかったし……」
菫「隈とか出来てないよね?はやりんに会うのに恥ずかしくない格好だよね?」
菫「うぅ~今から緊張してきちゃった」
菫「照の奴……まだかな?」ソワソワ
菫「………」キョロキョロ
菫「………」マエガミトトノエ
菫「………」ミダシナミトトノエ
照「なんだあの可愛い生き物」
照「とりあえず淡に写メ送っておこう」
照「か、わ、い、い、ス、ミ、ス、ミ、っと……送信」
菫「遅いぞ、照!」
照「いや、待ち合わせの時間ぴったりだよ!?」
菫「あ……」
照「なるほどね……菫は一時間前から待ってたのか」
菫「ど、どどどうしてそれを」
照「えっ?ホントだったの?カマかけただけだったんだけと……」
菫「あうあう……」カァァ
照「はいはい」
菫(あぁもう!嬉しすぎてにやけちゃうじゃないか!)
菫(はやりんに会えるのもそうだが、何よりあの照が誘ってくれたことがすっごく嬉しい!)
菫(あの照がだよ?麻雀以外何やらせてもダメな照がだよ?どうして誘ってくれたかは分からんが、とにかく嬉しいっ!)
菫(……っと、こんな顔を照には見せられんな)キリッ
菫「はやりんの握手会だならな。当然だ」
照「でも、私たちくらいの歳の子はいないね」
菫「そうだな……って、あそこにいるぞ?」
霞「あらあら……すごい人ね」
初美「ホントですねー」
初美「大体、何でこんなに人気あるんですかねー?おもちの大きい人は頭わr 霞「はっちゃん……?」
初美「おばさんやめちくり~」
照「菫、何を言ってるんだ?あれはどう見ても親子連れじゃないか」
菫「えっ?」
照「人混みに酔ってきた……」ウプッ
「皆!せーので牌のおねえさんを呼んでね!」
「\ハッヤリーン/」
菫「ハッヤリーン!」
「はぁーい☆」
菫「照、はやりんきた!はやりんきたよ!」
照「そっか……よかったね」
菫「はっやりーん!は、はーっ、ハヤヤーッ!!ハヤーッ!!」
照(病気だ……)
「世界一ちょーかわいいよー」
照(瑞原プロが出てきた瞬間、明らかに子供じゃないのが目立ってきたな。うわっ……子供たち引いてる……これが大きな友達か)
照「菫、私は後ろの方で見てるから」
菫「照、はやりんこっち見た!こっち見たよ!?私、ちゃんと笑えてるかな?」
照「………」
霞「あらあら?宮永さん?」
初美「チャンピオンが何でこんなとこにいるですかー?」
照「あぁ……永水の石戸じゃないか」
霞「あらあら……お友達の付き添いでここに?」
照「まぁね。そっちは娘さんの付き添い?」
霞「」ピシッ
初美「私たちは姫様の付き添いですよー」
照「ロリ咲可愛い……」ギュー
霞「あらあら」
霞「しかしすごい熱気ね……小蒔ちゃん大丈夫かしら?」
初美「心配ですよー」
照「あ、菫からメールが……なになに『どうしよう照……私の心をシャープシュートされちゃった』」
照「…………」
照「はいはい削除削除」
小蒔「ただいま戻りました」
初美「おかえりなさいですよー」
霞「小蒔ちゃん、おかえりなさい」
小蒔「あれ?宮永さんもご一緒でしたか。お久し振りです」
照「神代か……個人決勝以来だね」
小蒔「宮永さんもはやりさんのファンだったんですか?」
照「いや、私はただの付き添い」
小蒔「そうですか……」シュン
照「私の友達の方は大ファンみたいだけどね」
菫「照!探したぞ!せっかくはやりんが間近で見れるというのに……仕方のない奴だな」
照「……噂をすれば」
菫「あぁ、会場で意気投合した宮守の姉帯さんとエイスリンさんだ。お前と違って話の分かる人達でな」
豊音「ちょー楽しかったよー」
エイスリン「タノシカッタ!」
霞「あらあら……すごい偶然ね」
初美「びっくりですよー」
小蒔「豊音さんとエイスリンさん、お久し振りです」
豊音「あ、神代さんだーちょー久し振りだよー」
エイスリン「ヒサシブリ」
豊音「私も貰ったよー」
エイスリン「ワタシモ!」
照「そ、そうか……それは良かったね」
豊音「宮永さん!?サインください!サイン!」
小蒔「緊張して何も話せませんでした……」シュン
霞「あらあら……」
初美「ま、予想はしてましたけどねー」
小蒔(この右手ではやりさんと握手しちゃったんですよね……しばらく洗わないでおこう)ホゥ
初美「いいですねー」
小蒔「それは楽しそうですっ!」
豊音「ちょー行きたいよーエイスリンさんも行くよね?」
エイスリン「ウンッ!」
菫「そうだな……いっぱい叫んできたから何か飲みたいと思ってたところだ」
霞「……決まりですね」
照(すっごい顔が弛んでる……)
菫「照もはやりんと握手すれば良かったのに……勿体ないなぁ」ニッコニッコ
照「菫、顔がにやけてるぞ?」
菫「そ、そうかなぁ~?」ニッコニッコ
照「あぁ、ひどい顔になってる」
菫「えっ?嘘……私、顔引きつってた!?」
照「いや、普段と違いすぎるんだよ……」
照(ま、菫が嬉しそうでなによりだが)
霞「本日は皆様お疲れ様でした」
「お疲れ様でした~」
菫「今日は柄にもなくはしゃいでしまったな」
豊音「あははー」
小蒔「しかし、間近で見るとやはり違いますね。なにかこう……テレビで見るのとひと味違うといいますか」
エイスリン「オモチドハクリョク!」
菫「実際に話してみてますます好きになってしまったよ。なんといいますか!心が洗われるというか」
豊音「はやりんいいよーちょーいいよー」
霞「そうねぇ」
菫「はやりんの手は柔くてすばらだったな」
豊音「ちょーすばらだよー」
エイスリン「スバラ!」
小蒔「握手した瞬間、まさに天に昇るような心地でしたねっ!」
菫「私なんか心をシャープシュートされてしまったよ」
豊音「この温もりをさえあればずっと大安だよー」
霞「そうねぇ……私たちが引退してから少し落ち込んでたみたいだったから」
照「そうだったんだ……」
霞「宮永さんのところは?」
照「引き継ぎはあらかた終わってるかな?安心して任せられる後輩がいるしな」
初美「六女仙が3人も抜けたら、うちは来年はどうなってしまうんですかねー?」
初美「来年の麻雀部はどうなるんですかねー?って話ですよー」
エイスリン「アッ……」
照「………?」
霞「ふんふむ……」
エイスリン「ライネンダレモイナクナル……」
初美「それはなかなかのなかなかですねー」
エイスリン「トヨネ!」
豊音「そんなのちょー寂しいよー」
霞「宮守の方は全員引退することになりますからね……」
エイスリン「………」
菫「そう悲観することでもないだろ」
照「菫……少しは空気を読んでよ」
菫「別に後輩に何かを残すために麻雀をしてるわけでもなし、部がなくなったとしても思い出までなくなることはない、そうだろ?」
菫「自分自身が楽しめたならそれでいいじゃないか。そう割り切って考えないと辛いだけだと私は思うがな」
菫「確かに別れは寂しいものだが、二度と会えなくなる訳でもない。会おうと思えばまたいつでも会えるさ」
エイスリン「ホントニ……?」
菫「あぁ……そう簡単に繋がりは消えんよ。何かで繋がってる限りな」
菫「それは麻雀だったり、絆だったり、はやりんだったり……」
菫「泣くなよ……はやりんにいっぱい元気貰ってきたんだろ?」
小蒔「はい……」
エイスリン「ワタシ……ニュージーランドカエッチャウケド、マタアエルカナ?」
菫「はやりんがニュージーランドでイベント開くなら、私がすぐにでも飛んでいくさ」
エイスリン「ウン!」
豊音「今日のことは一生忘れないよー」
菫「当然だろ?なんたってはやりんと握手出来たんだからな。忘れようものならシャープシュートするならな」
豊音「えへへー」
菫「少なくとも私たちははやりんという名の絆で繋がってるんだ。別れなどあるはずがない」
「イエス!はやりん!!」
初美「部活の話してたはずなのに、いつの間にかよく分からない方向に話が進んじゃってますねー」
霞「はっちゃん、しっ!」
照「繋がり、か……」
菫「………」クークー
照「菫、寝ちゃったか……まぁ、あれだけはしゃげば当然だけどね」
照「繋がりがある限り別れなどない、ね……」
照「そんなこと言う癖に、私と咲の時は鬱陶しいくらい手回ししてきたのにね」
照「……でも、菫がいなかったら咲とも仲直りすることなんて出来なかった。意固地で意気地無しの私の背中を押してくれた菫がいなかったら、ずっと咲との繋がりは壊れたままだった」
照「ずっと私の世話を焼いてくれてた菫……」
照「3年間、ありがとね」
菫「電車の中で恥ずかしい独白するなよ……」
照「なっ……菫、起きてたの!?」カァァ
菫(照れる照……)
最後1レス落とす前寝ちゃったぜ槓!
Entry ⇒ 2012.09.14 | Category ⇒ 咲-Saki-SS | Comments (0) | Trackbacks (0)
優希「決めた、京太郎に会いに奈良へいくじょ!」
和「……それだけじゃないんですけどね」トンッ
咲「部長はもう卒業だもんね」トンッ
和「ええ、しかし一気に二人減ると寂しく感じますね……」
咲「うん……」
優希「京太郎は、来年度から共学になる阿知賀にいくんだったっけか」
咲「阿知賀って和ちゃんのいた学校の高等部だよね?」
和「はい、穏乃や憧も夏以来連絡とってないので詳しくはわかりませんが」
優希「むむむ……」
和「もうすぐ春休みですね……染谷先輩もお店の手伝いや部活にあまりこれないらしいです」
優希「むう……暇だし京太郎に電話してみるか」
てるるる
京太郎「もしもし?」
優希「京太郎か?私、優希様だじぇ」
京太郎「お前が電話かけてくるなんてめずらしいな」
優希「ふふん、そちらは私がいなくて寂しかろう?だからかけ……」
「なになに?彼女サンからの電話ー?」
「へー、恋人とかいたんですね!」
京太郎「ちょ、うるせえ、ちげーよ!」
優希「ぁ……」
京太郎「ワリ、周りがちょっとうるさいけど気にしないでくれ」
優希「いや、元気そうで、なにより…だ……ところで、今どこにいるんだ?」
京太郎「ん?今は阿知賀の麻雀部にいるけども……」
優希「そ、そうか……」
「須賀さんの恋人私気になります!」
京太郎「おい、ちげーっての」
京太郎「ったく……そっちはどうだ?」
優希「ま、まぁ……ぼちぼち……じゃ、またいつか掛け直す!」
和「どうでした?」
和「そうでしたか」
優希「む~……」
和「まぁ、親の都合での転校は仕方のないことです」
優希「のどちゃん……」
優希「そうだ、この春休みに奈良まで行ってそいつらの顔を拝んでやるじぇ!」
咲「は、話が飛躍してるけど……」
優希「私は奈良へ旅立つ!」
和「待ってください」
優希「じょ!?」
優希「お、お小遣いで……」
和「往復で何万円かかると思ってるんですか」
優希「う……うぐ……」
和「それに泊まる場所とかも決めないといけないでしょう?」
優希「京太郎の家に泊まるとか……」
和「はぁ……仕方ないです、私もついて行きます」
優希「本当か!?」
和「私も穏乃や憧、玄さんに会いたいですからね」
咲「わ、私はお留守番してるね…迷子になりそうだし」
優希「咲ちゃんはいかんのか?」
咲「うん、私はいいよ」
和「そんなにはしゃがなくても……」
優希「ふんふ~ん♪」
優希「……」ウトウト
優希「すぅ……」
優希「ついたじょ!」
和「やっぱりあの時と変わってませんね……」
優希「で、のどちゃんはどこに宿をとったんだじょ?」
和「宿は……松実館にしときました」
優希「ほほう……」
優希「おうともよ!」
和「阿知賀学院……」
優希(京太郎……)
和「麻雀部は……ここですね」
優希「やってるみたいだじぇー」
和「そうですね」
優希「よ~し……た~の~も~!!」バァーン
穏乃「おおう!?」
優希「京太郎を出さんかー!」
和「ちょ、優希……」
京太郎「……」ポカーン
憧「お、スガくんの彼女が登場?」
優希「おい犬、人様に迷惑かけてないだろうなー」
京太郎「こいつ彼女ちゃいます!それと俺は犬じゃないだろ!」
優希(ッ……)ズキ
憧「へー」ニヤニヤ
京太郎「……ニヤニヤしないでください」
憧「えーだってー」ニヤニヤ
玄「憧ちゃん、須賀君いじめちゃダメだよ……」
和「……驚きました、すっかり溶け込んでますね」
穏乃「いえいえ、今まで女しかいなかったんで助かりますよ」
京太郎「ハハハ……ありがとうございます……」
優希「……」
京太郎「それと来るならちゃんと言ってくれてもよかったのに……」
和「須賀くんに連絡いってなかったんですか?」
憧「ぁ……忘れてた☆」
京太郎「ひでえ!」
優希「……」
優希(仲、よさそうだじぇ……)
和「まぁ、せっかくここまできたんですから打ちましょう」
穏乃「和が打つなら私はいる!」
灼「じゃ、私は見てるね」
和「優希、はいりましょう」
優希「……おう!」
優希「くぁぁ~……のどちゃんはやっぱ強いじょ……」
和「優希が甘いだけです」
優希「ガ~ン……」
穏乃「和は相変わらず強いけど……片岡さんも東場の爆発力とんでもないですね!」
優希「ふっ、私はそれが取り柄だからな……」
穏乃「もう一回、いいですか?」
優希「かかってこい!」
灼「じゃ、今度は私も」
玄「わたしも入りたいなー」
わいわい
和(ついてきてよかったですね……ん)
和「須賀君はやらないんですか?」
京太郎「あぁ、今はそんな気分じゃなくてな」
和「はぁ」
和「え、松実館ですけど……」
京太郎「だよな……そこしかないもんな……」
和「……?」
憧「あー、スガくんあそこに一時的だけど泊まらせてもらってるんだっけ?」
京太郎「あぁ、実家は改修工事のせいでなー」
和「い、いつまで!?」
京太郎「春休みが終わる頃には工事も終わるとか言ってたけど……」
和「そ、そうでしたか」
京太郎「へっ?」
京太郎「お世話にはなってるけど流石にそんなことはしねーよ」
和「そうですか……」ジトー
京太郎「してないですよ?」
和「まぁいいです」
憧「あらあら……」
和「ハッ!?」
和「違います!これは違いますから!」
憧「ふーむふむ、なるほどー」
和「あぁぁぁぁ……」
京太郎「玄さん、熱中してるのはいいんですけど時間大丈夫ですか?」
玄「あー、そろそろ帰らないと!!」
灼「じゃ、今日はここまでだね」
穏乃「はーい」
玄「和ちゃん、うちに泊まるんでしょ?」
和「あ、はいそうですね……」
優希「おう、もう終わりか」
玄「ではみなさんまた明日であります!」
和「帰り道はいつも二人で……」ジトー
京太郎「タスケテー」
玄「?」
和「優希、どうしたんですか?」
優希「へ?なんでもないじょ」
和「なんか元気ないように見えましたけど……」
京太郎「やっぱり長野じゃないと落ち着かないのか?ん?」
優希「こんのバカ犬!私がそんな子供なわけないだろうが!」
優希「がるる……」
和「相変わらずですね、この二人は」
玄「見てて和んじゃうね」
和「ですね」
和「ここも変わってないですね、あの頃をおもいだしますよ」
玄「ふふ、たしかに」
宥「玄ちゃんおかえりー……」
玄「ただいまお姉ちゃん、今日泊まる二人もいるよー」
宥「うん、ではこちらへ……」
優希「おー、うまいじょ!」ガツガツ
和「……食べすぎないでくださいよ」
玄「す、すごい食べっぷり……」
優希「腹八分で止めるから大丈夫だじぇー!」
玄「は、ははは……」
和「おいしかったですね」
優希「もうここに住みたいくらいだじぇー」
和「もう、そんな無理があること言って……」
優希「まぁいいじゃないかー!」
和「……そうですね」
優希「のどぱいを拝めそうじゃ……ふひひひひ」ワキワキ
和「……」スッ
優希「冗談です」
カポーン
優希「ふひー…長旅だったから疲れたじぇ……」
和「でも、こういうのも悪くはないですね」
優希「そうだな……あいつの楽しそうな顔も見れたし……ぐすっ」
和「……優希?」
優希「な、なんでもないじぇ」
優希(あいつだって楽しそうにしてた、これで……いいんだよな)
優希「逆上せちゃうから先にあがるじぇ」
和「はい」
優希(諦めなきゃ、いけないよね……)
そして私の周りには、二人の子供と一人の―――
優希「ん、夢か……というか何時の間に寝て……」
優希「……トイレ」
和「すぅ……すぅ……」
優希「ん、ここは……」
優希(……見てもバチは当たらないよね?)スー
京太郎「ぐー」
優希(……)
優希(やっぱり私がここにくることは京太郎にとって邪魔なんじゃないだろうか)
優希(……)グッ
優希(甘えるのは、これで最後にしよう)
優希「だから、一度くらいは許してください」
優希(……)
優希「……んっ」
優希「ごめんね」
優希「さて、部屋に戻って寝ないと……」
優希(おやすみなさい)
優希「おう、楽しかったじぇ!」
和「ええ、みんな元気にしてたのでよかった」
咲「京ちゃんはどうだった?」
優希「……楽しそうにしてたじぇ」
咲「……そっか」
優希「でも、踏ん切りはついたから大丈夫だじぇ」
優希「私、プロになった後アイツに想いを伝えようと思う」
和「応援しますよ」
咲「私も応援するよ!」
優希「ありがとうみんな」
優希(その時にはもう手遅れかもしれないけれど私は信じたい――――そう思った)
カン!
乙
乙乙
京太郎の側からの描写が欲しかった気もする
Entry ⇒ 2012.09.14 | Category ⇒ 咲-Saki-SS | Comments (0) | Trackbacks (0)
衣「咲が欲しい」
透華「…………は?」
衣「だから、咲が欲しいと言っているんだ」
一「咲って……清澄の大将の?」
衣「ほかに誰がいると言うんだ?」
純(ますますわからねぇ……)
透華「あ、ああ! 麻雀を一緒にやりたいということですわね!」
透華「衣のためならそれくらいお安い御用ですわ! 明日の放課後、すぐに清澄に使いのものを……」
衣「確かに再び卓上で矛を交えるのもいいが、衣が言っているのはそういうことじゃないぞ」
一「え……じゃあ一緒に遊びたいとか……」
衣「違う、衣は咲を伴侶としたいのだ」
透華「」
智紀(やっぱりそう言う意味……)
透華「……そ、そうですわよね」
透華「衣が初めて自分で作ったお友達ですもの」
透華「そろそろ『親友』にステップアップしてもいい頃ですわよね、オホホ……」
衣「とーかの国語の成績は良かったと記憶しているんだが、気のせいだったのか?」
一「えっと……具体的にはどういうことをしたいの……?」
衣「うむ、いろいろとしてみたいことはあるが、やはり情交は外すことができないな」
透華「」
一(ああ…………)
純(これはマズイ)
智紀(新鮮なネタが入荷した)
透華「……」
透華「申し訳ありませんが、私少々疲れているようでして……」
透華「どなたか通訳を頼めませんこと?」
純「いやぁ……そのまんまの意味だろ」
純「つまりあの嶺上使いとヤりた 透華「ハギヨシ」
ハギヨシ「はっ」ガシッ
純「いやっ!? ちょっと待て! 俺は聞かれたから答えただけだろ!」
純「俺は何も悪くな」バタンッ
透華「申し訳ありませんが、私少々疲れているようでして……」
透華「どなたか通訳を頼めませんこと?」
一(無かったことにされた……)
智紀(見た目的にはおねロリになるんだけど、実際はほぼ同い年というのが最高)
一「えっと、つまり……宮永さんともっともっと仲良くなりたい、ってことだよね?」
衣「確かに大きくずれてはいないが、ころ 透華「そうですわよね!」
透華「そう、そういうことでしたら、私は助力を惜しみませんわ!」
衣「おいとーか、人の話は最後ま 一「と、とにかくさ!」
一「仲良くなるにしても、まず段階を踏んでいくことが大切だと思うんだ」
一「だから、まずはそのために色々とやっていかなきゃいけないことがあるんじゃないかな」
衣「そうだな、確かに一理ある」
衣「なら衣はまず>>25」
① 咲とデートする
② ほかの人で練習する(名前も併記)
③ その他
衣「咲をデートに誘おうと思う」
透華「あら、遊ぶ約束をするんですのね?」
透華「なら、今電話をかけさせますわね。ハギヨシ」
ハギヨシ「こちらに」スッ
一(純くんはどうなったんだろ……)
透華「では明日、宮永さんをここ(衣屋敷)にお呼びするということで」
衣「いや、衣は咲と街へ出てデー 透華「あ、もしもし、夜分遅くに失礼します」
一(だめだ、完全に脳内フィルターが働いてる)
智紀「衣」チョンチョン
衣「ん? どうした」
智紀「後で街へ出かけられるように手を打ってあげる」ボソボソ
衣「本当か!」
智紀「声が大きい……」
智紀(こんな好機、みすみす逃すわけには行かない)
一(こっちはこっちで話を厄介な方へ……)
智紀「とにかく、私がデートスポットを纏めておいてあげるから」ボソボソ
智紀「明日はそれに沿って行動すれば、間違いなし」ボソボソ
衣「感謝するぞ」ボソボソ
一(ボクは……どうしよっか……)
透華「衣、明日の10時頃こちらへつくように手配しましたから、寝坊しないようになさいね」
衣「うむ、助かるぞ、とーか!」
智紀「じゃあ衣は早く寝るみたいだし、私も今夜はこれで」
透華「あら、もう行きますの? おやすみなさい」
一(透華に付いて衣と宮永さんがくっつかないようにするか)
一(ともきーと一緒に衣の応援をするか……)
>>37
妨害or応援
一(ボクだって透華のことが……好き、なわけだし)
一(女の子同士の恋愛だからって、衣の恋が実らないのは嫌だな)
一(それに、これを機に透華が衣離れしてくれるかもしれないし)
一「透華、ボクも今日は先に寝させてもらっていいかな?」
一「明日はしっかり準備をして、宮永さんをもてなさないといけないしね?」
透華「それもそうですわね……」
透華「では私も今日は休むことにしましょうか」
透華「ハギヨシ、では明日のことをよろしく頼みますわよ」
ハギヨシ「畏まりました、おやすみなさいませ」
――廊下――
一(しまった、もしかしたら萩原さんが直接宮永さんを迎えに行くかもしれない)
一(萩原さんは多分、透華の味方だ……)
一(どうしよう……一度宮永さんがここに来ちゃったら、きっともう透華の監視の目から離れられない)
智紀「そう、それが一番の問題」
一「」ビクッ
智紀「私たちに用意されてる手段は多くはない」
智紀「それでも、衣の恋は成就させてあげなくては……」ゴゴゴ
一(なんだろう……麻雀やってる時以上の、凄まじい気迫を感じる……)
一「そ、それはいいんだけど、どうしたら……」
智紀「>>60」
① ハギヨシ懐柔を試みる
② 衣を朝一で咲のところに送り届ける
智紀「透華の手が回る前に、衣を宮永さんのもとへ送り届けるしかない」
一「でも……ここから清澄周辺まで結構距離があるよ?」
智紀「心配いらない……二輪の免許を持っているし、ガレージにはサイドカー付きの愛車がある」
一(全然知らなかった……そしてイメージと全く合わない……)
智紀「一は寝る前に衣にこの話を」
智紀「私は準備を整える」
智紀「作戦決行は、明日の朝4時、裏門のところへ集合」
一「衣は起きられるのかなぁ……」
智紀「起きられなかったら、旅行カバンに詰めて持ってくればいい」
一(完全に誘拐犯だよ……)
~翌朝4時~
――裏門への道――
衣「むにゃむにゃ」スヤスヤ
一(予想通り起きられなかったから、リュックに入れて持ってきたけど……)
一(ってか流石に重い……純くんが手伝ってくれればよかったんだけど、部屋にいなかったし)
一(それにしても……無事にたどり着けるんだろうか……)
?「そこまでです」
一「!?」
純「どうかお引き返しください」
一「??? あれ? 純くん……だよね?」
一(え、どういうことこれ? なんか雰囲気が別人なんだけど)
純「衣様が不純同性交友に走らないように見張れとの、透華お嬢様からのお達しがありました」
一(マズイ……目が完全にイってる……)
一(ハギヨシ素敵滅法をくらったんだ、きっと……)
純「さぁ国広さん、今ならお咎めなしで済ますことができます……」
一(どうする……どうするボク!?)
>>80
① 洗脳の解除を試みる
② 智紀の助けが来るまで粘る
一(とりあえず衣を下ろそう……)ドサ
一「純くん……」
純「飽くまで抵抗する気ですか……」
純「不本意ではありますが……力ずくで取り押さえさせていただきます」
一(抵抗するにしても、肉体的にボクが不利なのは明らか……)
一(なら、何とかして純くんの洗脳を解く!)
一(でも、相手はあの萩原さんによって洗脳されている)
一(生半可な刺激じゃない……もっと本能に訴えかけるような衝撃を!)
純「参ります……」ダッ
一(来たっ!)
純「……」ガシッ
一(わざと掴ませると同時に……倒れながら相手の軸足を払うっ!)
純「!」グラッ
一(こちらに倒れ込んでくる純くん……目標は……)
一(唇!)チュゥ
純「!?」ドサッ
一・純「「んんっ……むぅ」」
一(ごめん透華……これも衣のためなんだ……)
一(純くん……元に戻って!)
智紀 「……」●REC
一「ぷはっ」
一「はぁ……はぁ……」
一「って、ともきー!?」
智紀「良い絵が撮れた」グッ
一「いやいやいやいつからいたの!?」
一(既にリュック(衣入り)背負ってるし!)
純「……いったいどういうおつもりですか?」
一(効いてなーい!)
智紀「ふんっ」ウィリイイィィィ!
純「!?」ドガァ!
一「ええぇーーー!?」
智紀「さあ、早く乗って。ハギヨシさんが来る前に」
一「ちょっとともきーバイオレンス過ぎない!?」
ブロロロロロロロロ……
衣「う~ん」スヤスヤ
智紀「宮永咲の家まであと30分ほど」
一(純くん、大丈夫かな……)
一「っていうかこれ、おまわりさんに見つかったら確実に捕まるよね?」
智紀「この時間のこの道路は、いつもの巡回ルートではないから、見つかる可能性は低い」
一(なんで知ってるんだろう)
一「でもさ、このままだと6時前には着いちゃうよ?」
一「宮永さんの準備も必要だと思うんだけど」
智紀「心配ない。>>100」
① 連絡は済んでいる
② 衣に夜這いさせる
智紀「衣に夜這いさせる」
一「ブッ!」
智紀「既成事実を作ってしまえば、透華も口出しできなくなる」
一「もうともきーがぶっ飛びすぎてて、何を言っていいのかわからないよ……」
一「ちょっとだけ後悔してきたかも……」
智紀「私に協力することを選んだ時点で、既にこちらの道に足を踏み入れてる」
智紀「もう、後戻りはできない」ニコッ
一(せ、背筋が……)ゾクッ
智紀「着いた」
智紀「衣、起きて」ユサユサ
衣「ぅうん? ……ここは」
智紀「宮永さんの家の傍。これから衣には夜這いをかけてもらう」
衣「咲の……いえ……」
衣「ハッ!」
衣「そうか! 今咲の家まできたところか!」
智紀「衣の獲物は目と鼻の先。気を引き締めて」
衣「食べ放題というわけだな! さすがともきだ!」
一(どんどん加速している……衣も受け入れちゃうんだ……)
一「夜這いってことは、どこかから侵入するんだよね?」
一「まさか玄関から入るわけにもいかないし……」
衣「こっちだ! こっちから咲の匂いがするぞ!」
智紀「夏場だから、網戸の状態」コソコソ
衣「咲だ! 咲が寝てるぞ!」コソコソ
智紀「じゃあ衣、今から持ち上げて部屋の中に入れる」
智紀「あとは好きなように楽しんできて」
智紀「あ、できればある程度イかせたあと、焦らしておねだりを引き出してくれると嬉しい」
智紀「あと、このバッグの中には秘密の道具が入ってるから、持っていくといい」ズシッ
衣「よくわからないが、とにかく咲を悦ばせればいいんだな」
智紀「そういうこと、じゃあいってらっしゃい」グイッ
衣「……」ソロリソロリ
智紀「一、これで中の様子を撮っておいて」スッ
一「え、ともきーはどこかに行くの?」
智紀「宮永さんのお父さんと“お話”してくる」
一「」
衣(気持ちよさそうに寝ている……)
衣(そっと布団に入って……)ゴソゴソ
衣(えへへ、あったかい……)
衣(……これから、咲と……)
衣(い、いざとなると、緊張するな……)
衣(ま、まずは接吻からするのがマナーなのだろうか)ドキドキ
衣(咲の唇……)ゴクリ
一(良かった……衣は純情だったみたい)
衣(咲……)
チュ
ジリリリリリリリリリリリ
衣・一「!?」
咲「うぅん……」ゴソゴソ
咲「朝……」ポチ
咲「ふあぁぁぁぁ……」ノビー
咲「……って、あれ?」
衣「えへ……」ニコッ
咲「衣……ちゃん?」
コンマ判定 >>135
00~79 「衣お姉さんだ!」
80~99 「えいっ!」(押し倒す)
衣「衣お姉さんだ! 私は咲より年上だぞ!」
咲「あはは、そ……そうだったね……」
咲「で、でもさ……仲のいい人は下の名前に“ちゃん”付けで呼んでるから」
咲「“衣ちゃん”じゃ、だめ……かな?」
衣「っ」キュゥゥン
衣「こ、ころもは別にそれならそれで……」モジモジ
咲「えへへ、でさ、衣ちゃん」
衣「うん?」
咲「な、なんでここに居るのかなぁ……って」オズオズ
衣・一「」
智紀「衣が咲さんが来るのを待ちきれなかったの」ガラッ
咲「!?」ビックゥ
衣「と、ともきー!」
咲「え、あれ? な……なにがどうなってるの?」
智紀「宮永さんのお父さんに入れてもらった」
智紀「お父さんは今“お休み”になられてる」
咲「そ、そうなんですか……」
一(ああ……純くんに次ぐ犠牲者が……)
衣「さ、咲! それより早くデートへ行こう!」
咲「え!? デートって……っていうか龍門渕さんの家に行くんじゃ……」
智紀「龍門渕家で急なパーティが開かれることになった」
智紀「だから、申し訳ないけど今日は街でブラブラすることになった」
咲「街でブラブラ……ですか」
衣「咲は衣とデートするのは……嫌か?」ウルウル
咲「そんなことないよ! ただ、なんか……その」
衣「?」
咲「寝起きのみっともないとこ見られて……恥ずかしくなってきたというか///」
衣・一(か、かわいい……)キュン
智紀(これは完全にネコの顔。やはりロリ×おねこそ至高)
咲「えっと……衣ちゃんたちは、朝ごはんは……?」
衣「まだ食べてないぞ?」
智紀「私はカロリーメイトが」
一(ボクはお腹減ったな……)
咲「その……ご飯食べていきます?」
>>150
① 衣「咲の手料理!」
② 智紀「(追手の危険が)どうせだから外食に」
智紀「せっかく外出するんだから、外で食べよう」
咲「え……でもわたしそんなに贅沢できるほどお金が……」
衣「心配するな! 衣に全部任せておけばいい!」
咲「でも……」
衣「好意を素直に受けるのも、礼儀のひとつだと思うが?」
咲「……うん、じゃあとりあえず朝ごはんは衣ちゃんに頼っちゃおうかな」
衣「わーい!」
一(ボクはどうなるんだろう……)
>>160~170
デートプラン募集
とりあえずハミレスに行こうか
咲「ハンバーグ、久々に食べた気がする」モグモグ
衣「タルタルうまうま」モグモグ
咲「それにしても、沢村さんは一緒じゃなくて良かったのかな」
衣「衣と咲のデートだからな! きっと気をつかってくれたに違いない!」
咲「あはは」
――外――
智紀「いい雰囲気。これなら今日中に合体も可能」ズルズル
一「なんでボクたちはカップ麺なの……」ズルズル
智紀「完全なる観測者に徹すること、それがこの道の常識」キリッ
一「えー」
咲「あ、衣ちゃん、人参も食べないとダメだよ?」
衣「こ、衣はお姉さんだから食べなくても平気なんだ」
咲「お姉さんなら、食べられると思うんだけどな……」
衣「む……うむむ」
咲「ほら、あーん」ヒョイ
衣「! あ、あーん」パク
咲「ほら、ちゃんと食べられた」
衣「うぅ……まずい……」
咲「そんなこと言っちゃダメだよ?」
衣「苦手なものは苦手なんだ……」
智紀「」ガタッ バシャ
一「あっづうううううぅぅ!?」
咲「美味しかったね」
衣「今度は人参の入っていないエビフライとハンバーグのセットを頼もう……」
咲「だめだよ、好き嫌いは体に悪いよ?」
衣「……次も、咲が食べさせてくれるなら……考えてやらんこともない」
咲「……ふふ、可愛いなぁ」ナデナデ
衣「な、こ、衣を子供扱いするなぁ……」
智紀「おかしい…… 「ソース付いてるよ→ペロッ」のコンボが無いだなんて……」
一(相当重症だよね、ともきー……)
まぁ若いからな
咲「次はどこに行こっか?」
衣「衣はどこでもいい……(っは、そういえばともきが「相手の趣味にあった場所を」と)」
衣「さ、咲は麻雀以外の趣味とかはあるのか?」
咲「うーん、読書は大好きだなぁ」
咲「麻雀部に入る前は、本ばっかり読んでたし」
衣「よし! では本屋に行こう!」
智紀「衣……その調子」
一(なんか、羨ましいな……)
――木間書店――
咲「あ、この本新刊出てたんだ!」
咲「これ、この前映画化されたやつだ! 時間がなくてチェックできなかったんだよね」
衣「……」
衣(咲が楽しそうなのはいいんだが、あんまりにも夢中になりすぎてて、ちょっとさみしいな……)
衣(ちょっとくらい構ってくれても……)トテトテ
咲「この作家さん、筆が遅いから、シリーズ終わるのかどうか心配なんだよね……」
一「あぁ、衣が……」
智紀「いや、待って欲しい。これはふたりの関係における最初の試練でありスパイスに(ry」
衣(思えば、最初は家に来る予定だったのに、無理やり連れ出してしまった)
衣(やはり、自分勝手すぎたのだろうか……)
衣(今まで透華が敷いてくれた軌道の上をただただ歩いてきただけだったから)
衣(こういった時にどうすればいいのかわからない……)
衣「はしゃぎすぎてしまったのか……」ボソッ
咲「こーろもちゃん!」ギュ
衣「わ! わ! さ、咲!?」
咲「ごめんね、本に夢中になっちゃって」
衣「べ、別に咲が楽しければ衣はそれで……」
咲「ダメだよ。だってこれは『二人のデート』なんでしょ?」
衣「……うんっ!」パアァ
智紀「ハァハァハァハァ」●REC
一(なんだかんだで上手くいってるなぁ)
衣「もういいのか?」
咲「うん、欲しい本はだいたい買えたしね」
衣「衣が買ってやると言ったのに……」
咲「そこまで衣ちゃんには頼れないよ」
咲「その代わり、ちょっと行きたいところがあるんだけど、着いてきてくれる?」
衣「? 衣は別に構わないが……」
咲「じゃあ、こっち行こっか」ギュッ
衣(あ、手……)カァ
智紀「衣はあの手を1週間は洗わない。断言する」
一(清と汚の対比が激しい……)
――アクセサリーショップ――
咲「ここだよ」
衣「うわぁ」キラキラ
衣「すごいぞ咲! こんなに煌びやかなところは初めて来たっ!」
咲「いろんな石を使ったアクセサリーがあるんだよ」
咲「宝石みたいに高いわけじゃないけど、どれもみんな綺麗でしょ?」
咲「うーん、どれがいいかなぁ……」
衣「この黒い石など、とても気品があって素晴らしいな!」
咲「衣ちゃん、ちょっといい?」
衣「ん?」クル
咲「うん、やっぱり衣ちゃんにピッタリ!」
咲「衣ちゃんは海底で和了るでしょ? だから月の形をしたネックレスが似合うと思って」
咲「やっぱり、すごく似合ってるよ」ニコッ
衣「あ……」パァァ
衣「な、なら、衣は咲にこれを買ってやるぞっ!」ビシッ
咲「え、このブーケの……って、高っ!」
衣「遠慮するな! 衣が海底なら咲は嶺上だろう?」
衣「そっちだけ受け取るのを拒むなどということは許されないぞ!」
咲「え、う……うん」
咲「じゃぁ……ありがたくもらっちゃおう、かな?」
衣「うむ、そうだぞ、素直なのが一番だ」
衣「あ、店員さーん! あのケースノナカノ……」
智紀「もう死んでもいい」ダラダラ
一(透華にあげるなら、やっぱり水をモチーフにしたものがいいよね……)
咲「二人でネックレス買っちゃったね♪」
衣「今日はずっとつけていなくちゃダメだぞ!」
咲「わかってるよ、ふふ」
咲「あ、あれ、あの人……」
>>207
①かじゅモモ
②部キャプ
③その他カプ
咲「部長と……風越の」
久「あら、咲じゃない」
美穂子「あ、確か……宮永さん、と天江さん?」
咲「は、はい……どうも」ペコッ
衣「お前たちは、どうしたんだ?」
久「見て分からない? 美穂子とデートしてるのよ」
美穂子「う、上埜さんっ!」
久「別に隠すことじゃないでしょう?」
衣「そうか、なら衣たちと一緒だな!」
久「あら、咲……あなたたちそういう関係だったの?」
咲「そういうというか……なんといいますか……」
衣「照れることはないぞ咲!」
咲「う、うん」
久「へぇ……」ニヤニヤ
久「そういえば、向こうにあるケーキ屋さん」
久「今二人で行ってきたんだけど、カップル割りやってるわよ」
久「2割引になるから助かっちゃった。あなたたちも行ってくれば?」
咲「え、部長はカップル割を?」
久「そうなんだけどね、美穂子が恥ずかしがっちゃってさ~」
美穂子「う、上埜さんがいきなりキスしてくるから……」
久「だって、カップルだって証明しなくちゃいけなかったじゃない」
咲「き、キス……」カァァ
衣(今朝寝ている隙にしたんだけどな……)
美穂子「そ、そんなにくっつかれると恥ずかしいです!」
咲「……」ポカーン
衣「よし、咲、一緒に行こう!」グイ
咲「あ、ちょ……」
――カフェ『赤い糸』――
衣「このケーキセット二人分、カップル割りで!」
咲「ちょ、こ、ころもちゃん!」
店員「畏まりました、では……」
衣「キスすればいいんだな!」
咲「え、ちょ、ちょっと待って衣ちゃん!」
店員「い、いえ、こちらは特に条件はございませんので」
咲・衣「「え?」」
衣「で、では衣たちがカップルだということはどうやって証明するのだ!?」
店員「自己申告で結構でございますが……」
咲(よかった)ホッ
衣(うう……せっかく大義名分を得たと思ったのに……)
店員「ではこちらのケーキセットを二つ、カップル割りでよろしいでしょうか?」
咲「あ、はい、お願いします」
店員「畏まりました、少々お待ちください」
智紀「」スッ
一「待って、どこに行く気」ガシッ
智紀「あの店員とお話(ry」
一(っていうか、竹井さん……ただキスしたかっただけだったんだ……)
衣「美味!」モグモグ
咲「ほんとに美味しいね、また今度みんなと来てみたいな」モグモグ
衣「……みんなと?」
衣「咲は、衣以外ともデートするのか?」ウルウル
咲「い、いや! そういうことじゃないよ!?」
咲「ただ、友達として他の人と来たいなぁって」アタフタ
衣「そうか! そういうことなら全く問題はないな!」
咲「はは……あ、衣ちゃん、クリーム付いてるよ」キュ ペロ
衣「む、そうか、すまないな」
智紀「キt 一「はい、大人しくしてようね」
咲「これからどうしよっか?」
咲「朝一番で行動し始めたから、もう一通り回っちゃったよね……」
衣「まだ、正午を少し回ったところだしな……」アフゥ
咲「衣ちゃん、もしかして眠いの?」
衣「むにゅう……そんなことは……あふぅ」
咲「時間ならたくさんあるわけだし、そこの公園でちょっとお昼寝していく?」
衣「む……そうだな……」フラフラ
咲「あ、ちょっと衣ちゃん! 危ないよ!」
咲「衣ちゃん、ここに横になっていいよ」ポンポン
衣「おお、咲が膝枕をしてくれるのか!」
衣「しかしそれだと咲が……」モジモジ
咲「私はさっき買った本を読んでるから平気」
咲「さ、遠慮しないで?」
衣「……では、好意に甘えるとしよう……」ゴロン
衣「咲……咲は楽しかったか……?」
咲「うん、すっごく楽しかったよ? 久しぶりに女子校生っぽいことができたかな」フフフ
衣「そうか……なら……よ、か……」
衣「……」スゥスゥ
咲「ふふふ」ナデナデ
智紀「完璧……ここまでの流れは完璧」ハァハァ
一(っていうか、これはボク達が暇だよね)
一行動安価
>>255
あかんwwwww
一(っていうか、ボクも眠たいよ……)ウツラウツラ
一「ねぇともきー、ボクもどこかでちょっと寝てきていい?」
智紀「向こうの方に個室の漫画喫茶がある」
智紀「私はここで観察してるから、そこで寝てくればいい」
一「わかったよ、何かあったら連絡してね」
一(さすがに疲れたよ……)
一「って、うわ!」
一(気づかなかったけど、透華から山ほど着信が)ブルブル
一(透華……怒ってるんだろうなぁ……)
一(っていうか、透華は衣に対して過保護すぎなんだよ!)プンプン
一(ボクだって……透華の家族……)ズキッ
一(そう、透華にとってボクは家族なんだよね)ズキズキ
一(透華……もっとボクのこと見てよ……)
一(今日の二人みたいに、もっと触れ合いたいよ……)
一(そ、それで最終的には……こ、衣みたいに情を……)カァァ
一(や、やっぱりボクは……抱かれたい……かも)
一(手錠とかで、その、拘束されたりして……)ジュン
一(はぁ……とうかぁ……)クチュ
**************************
一「……はっ!」ガバッ
一「そ、そっか、ボク……一人で……シて……」カァ
一「って、今何時!?」
一(良かった……まだ2時間くらいしか経ってないし、連絡も入ってない)
一(そろそろ戻ろっかな……)
ピカピカピカ
一(着信……透華…………じゃない、ともきー!?)
一「も、もしもし?」
智紀『まずい、ハギヨシさんがこちらに接近してる』
一「え? え? どうやって場所を……って、はっ!」
智紀『そう、ころたんレーダー……!』
智紀『衣はもう起きて、宮永さんと予約していたホテルへ向かった』
智紀『衣のGPSは私が受け取ったから、撹乱するために移動している』
智紀『これで当分は……ッチ』
一「と、ともきー?」
智紀『マズイ……完全に見つかった……』
一(あわわ……ど、どうしよう……)
ハギヨシ『沢村さん……衣様と宮永様はどちらに……』
智紀『素直に言うと思ってるんですか?』
智紀『まぁ、強いて言うなら……』
智紀『あなたの手の届かない、安全な場所にいますよ』ニヤッ
ハギヨシ『……あなたには前々から期待していたのですが……まさかこんな形で対立することになろうとは』
智紀『それはこっちのセリフ……』
智紀『どうしてあなたほどの人が、今回のような透華の指示に従っているのかわからない』
智紀『せっかく巡り会えた同士だと思っていたのに……』
智紀『失望した』
一(え、なにこれ、どういうこと?)
ハギヨシ『私は一人の百合男子である前に、龍門渕に仕える執事なのです……』
ハギヨシ『これは変えることのできない真実です』
ハギヨシ『それゆえに、透華お嬢様の命に従うことが自らの願望に優先するのは当然のこと』
一(何を言っているのかわからない……)
智紀『ならばこの場で雌雄を決するのみ』
智紀『衣と宮永さんの濃厚「ピーーーーーーーーーーー」を邪魔したいのならば』
智紀『まずは私を倒してからにして欲しい』
ハギヨシ『やはり、引く気は無いようですね……』
ハギヨシ『よろしい、ならば全力でお相手しましょう』
ハギヨシ『参ります……』
一(ど、どうしよう……僕は一体どうすれば……)
>>275
① 「付け入る隙はある……ともきーを助けて、ハギヨシさんと戦いに行こう!」
② 「悪いけどともきーの屍……超えさせてもらうよ!」
一(萩原さんの本当の願望が衣の恋愛成就にあるのなら)
一(付け入る隙はある! 行こう!)ダッ
――どこかの路地裏――
智紀「はぁ……はぁ……」
ハギヨシ「終わりですか……沢村さん……いや」
ハギヨシ「壁サークル『茶ッ婦愛(さっふぉー)』の筆頭作家「トモキー」さん?」
智紀(ま、まだ終わるわけにはいかない……)
智紀(なんとしても時間を稼いで……衣の想いを成就させなければ……)
一「ともきー!」
智紀「は、一……」
ハギヨシ「国広さん……」
一「萩原さん……」
ハギヨシ「姿が見えないと思っていましたが、やはりそちら側についていましたか……」
ハギヨシ「今ならまだ間に合います、どうか衣様と宮永様の向かった場所を教えてください」
一「萩原さん、なんであなたは自分の気持ちに嘘をつくんですか……?」
ハギヨシ「……執事が主のために己を殺すことは、当然のことだと思いますが」
一「……ウソですね、あなたの目にはいつもなんの迷いもない」
一「でも今その瞳は、かつて見たことがないくらい揺れ動いている」
一「それは、萩原さんが自分を殺しきれていない証拠にほかなりません!」
ハギヨシ「……」
コミケが開催するまでの場つなぎじゃない! 百合アニメが放映されるまでの時間稼ぎじゃない!
他の何者でもなく! 他の何物でもなく!
あなたの力で、百合ップルが誕生する瞬間を守るって誓ったんじゃないんですか!
ずっとずっと現実(リアル)で見たかったんでしょう! 同人誌みたいにアニメみたいに
命をかけて、襲いかかる現実から女の子たちを守る、百合男子になりたかったんでしょ!
だったらそれは全然終わってない!! 始まってすらいない!!
ちょっとぐらい長いプロローグで絶望しないでください!!
――手を伸ばせば届くんです。いい加減始めましょうよ、百合男子!」
ハギヨシ「私は……」
コンマ判定 >>285
00~79 「私は……間違っていたのかもしれません……」
80~99 「それでも、主の命は守らねばなりません……!」
ハギヨシ「私は……間違っていたのかもしれません……」
ハギヨシ「百合男子として……そして何よりも衣様にお仕えするものとして」
ハギヨシ「あのふたりの仲を、たとえ透華様に逆らってでも取り持つべきだった……」
一「大丈夫です……まだ間に合いますよ」
一「だって、萩原さんとボクたちは、分かり合えたじゃないですか……」
ハギヨシ「国広さん……」
ハギヨシ「……透華様を説得しに行ってきます。こちらのことはお任せ下さい」
智紀「ハギヨシさん……」
ハギヨシ「衣様のこと、よろしくお願いします」スタスタ
一「ハギヨシさん……」
智紀「私たちも行こう、そろそろスイートルームにディナーが運ばれてくる時間のはず」
智紀「万が一にでも撮り逃したら、今までの苦労が水の泡」
一(ともきー……)ガクッ
――スイートルーム――
衣「さぁ咲! 今宵は存分に楽しんでくれ!」
衣「あまり堅苦しくても咲に悪いと思ってな、ビュッフェ形式にしてもらった!」
咲「こ、こんなに豪華なもてなしをされるなんて思わなかったよ……」
衣「今日は二人の初デート記念日だ」
衣「出し惜しみなどしていられないからな」
智紀「良かった、上手くいっている」
一「わざわざ対面のホテルの部屋を取っておくとか、いったいどれだけ情熱をかけてるの?」
智紀「宮永さんの好物に睡眠薬を仕込んでもらっておいた」
智紀「このままいけば、すぐに昏睡レイプを収めることができる」ワクワク
一「最低だこの人」
~20分後~
咲「あ、れ……なんだか眠くなってきた……」
衣「大丈夫か、咲?」
咲「う、うん……ちょっとだけ休ませてもらってもいいかな……?」
衣「衣は一向に構わないぞ、ゆっくり休むといい」
咲「うん、ごめん……ね……」ドサッ
咲「……」スゥー
衣(こ、これがともきの言っていた「据え膳状態」か……)ゴクリ
衣(い、いっても良いん……だな?)オズオズ
智紀「そう、そこ、さあ一気に」●REC
一(ほんとに良いのかな、こんなやり方……)
衣(ま、まずはキスから……)
衣「ん……」
咲「……」パチッ
衣「……」
咲「……」
衣「……起きていたのか」
咲「うん……」
衣「ともきが『咲はすぐ寝るから』って」
咲(やっぱり盛られてたんだ……)
咲(原村さんに盛られまくって、耐性がついていたとは言えない……)
智紀「Bull shit !!」ガンッ!
一(良かった……)
衣「」ビクッ
咲「衣ちゃんは……その、私としたい……の?」
衣「咲は……嫌なのか?」
咲「……」
>>300
① 「その前に、まだ聞いてないことがあると思うんだけど?」
② 「……ごめん」
咲「その前に、まだ聞いてないことがあると思うんだけど?」
衣「え?」
咲「衣ちゃんは、どうして私と……したいと思ったの?」
衣「それは咲のことが……はっ!」
衣「さ、咲のことが好きだからだ! 衣は……咲のことが大好きなんだ!」
衣「ひとりぼっちだと思い込んで、月夜の帳に引き籠って、周りのものを傷つけることしかできなかった衣を」
衣「光の下に連れ出してくれた」
衣「だから衣は……咲のことが欲しい!!」
咲「えへ……面と向かってそう言われると、照れちゃうな……」
咲「……うん、私も衣ちゃんのことが大好きだよ」
咲「いいよ、衣ちゃん……来て?」
衣「咲……さきぃ!!」ガバッ
智紀「YEAAAAAAAAAA 一「はいそこまで」ゴキッ
智紀「」ダラーン
一「こっから先は、余計なギャラリー不要だよ」
一(衣……よかったね)
*************************
一(その後、衣は宮永さんの家に引っ越し、一緒に暮らし始めた)
一(透華はかなり渋っていたけど、ボクや萩原さんの説得と、衣と透華の距離が離れることを喜んだ透華のお父さんのおかげで、衣の願いはかなった)
一(衣は原村さんと激しい対立を繰り広げたみたいだけど、今は宮永さんと平穏に暮らしている)
一(それにしても、衣の恋が実って良かった……)
一「次はボクが頑張る番、かな?」
カンッ!
安価のおかげでハッピーエンドに持ってくることができた
衣系カプのSSがもっと増えますように
衣が幸せなのはとてもいいことだけど、とーかがなんか不憫
はじめちゃん頑張れ
咲さんかわいい!!
衣もかわいい!!
Entry ⇒ 2012.09.13 | Category ⇒ 咲-Saki-SS | Comments (0) | Trackbacks (0)
姫子「こん眺めは……」煌「ええ……すばらです」
煌(これこそ私たちが探し求めてきた桃源郷……)
姫子(世界の闇ば太ももという光が打ち消しちょるばい……)
煌(驚きの眩しさ……すばらです!)
哩「姫子!花田!部活の最中に何しとっと?」
姫子「ごめんなさい、ぶちょー」ゴンッ←雀卓に頭ぶつけた音
煌姫子「あいてっ!」
哩「お前ら……インハイ前に弛んどるんじゃなかと?」
仁美「」チュー
美子「………」
煌「いえいえ、そんなことないですよ?」
姫子「そうですよ、ぶちょー」
煌「そうですね……強いて言うなら広大な砂漠を潤すオアシスが」
姫子「荒廃した世界に降り立った天使がいたとです」
哩(頭ぶつけておかしくなったか?)
煌「すばらでしたね、姫子さん!」
姫子「うんっ!すばらだったよ花田!」
煌「あはは」
姫子「うふふ」
哩「お前ら……」プルプル
煌「はいっ!」
姫子「分かりました、ぶちょー!」
哩「雀卓の下さ一体何が……」モゾモゾ
美子「わわっ!哩ちゃん、お尻見えてる!」
仁美「」チュー
姫子「まったくもって!」
煌「これでは部活に集中出来ませんね……すばらくないことです」
姫子「ぶちょーばあげん目で見てしまうなんて……私、最低ばい」
煌「いいえ……すばらなものをすばらだと感じる姫子さんは何も間違ってませんよ」
姫子「花田ぁ……」
煌「姫子さん、私たちは同好の士ですよ?」
姫子「」ガシッ
煌「」ガシッ
煌「それはすばらですね。しかし、膝枕も捨てがたい」
姫子「もちっとしてて!」
煌「プルッとしてて!」
姫子「すべすべで!」
煌「すばらで!」
姫子「はぁ……ぶちょーの太ももが眩しすぎて生きるんが辛い」
煌「同感です」
煌「すばらです!」
哩「よしっ、再開すっとよ」
煌(しかしこの眺めはすばら……)モゾモゾ
姫子(眩しい……眩しすぎて目が~目がぁ~)モゾモゾ
哩「お前らぁ……」プルプル
仁美「」チュー
仁美「」チュー
美子「姫子ちゃんも煌ちゃんもインハイ前だから緊張してるのかな?」
哩「何とかしてやれればいいが……」ムムム
美子(哩ちゃんの太ももに夢中とはちょっと言いづらいかな……)
仁美「」チュー
煌「おおぅ……それはすばら!」
煌「私は部長が校舎裏で迷い猫を膝の上に乗せてたのを見ましたね」
姫子「なにそれ見たい!」
煌「情報を交換出来る友がいるというのはすばらなことです」
姫子「花田は私の最高の友達たい!」
煌「ふふっ」
姫子「うふふ」
姫子「うんっ!」
姫子「こんにちはー」
煌「皆さんお揃いですね!すばらです!」
哩「姫子、花田……」
姫子(ぶちょー……どげんしたとですかね?)
煌(ええ……何か様子がおかしいのは太ももを見れば一目瞭然です!)
仁美「」チュー
哩「うぅ……///」カァァ
煌(どうしたということでしょう……)
姫子(ぶちょーが頬ば染めとるばい)
煌(でも、太ももは紅潮してませんね)
哩「なぁ姫子、花田……私がお前たちにしてやれることはなかと?」モジモジ
煌姫子「……!?」
姫子(なかなかのなかなかばい……)
哩「あの……その……お前たちもインハイ前で緊張しとっと?最近、お前たちの様子がおかしいのは知っとる……なぁ、私が部長として何かしてやれることはなかと?」
煌(これは……棚からすばらというやつですね)
姫子「あのー何でもよかとでしょうかねぇ?」
哩「あぁ……私に出来ることなら」
姫子(花田ぁ……)グッ
煌(姫子さん!)グッ
哩「ひぅ……っ」ビクッ
煌「すばらです!」
哩「そ、そうか……すばらか」
煌「それではお言葉に甘えて……」
哩「………」ドキドキ
煌「そうですね……部長の膝の上に座りたいです」
哩「これでよかと?」
煌「えぇ、すばらですよ」
姫子(花田ん奴ぅ……羨ましか……)
煌(ふふ、姫子さんの言ってた通りすばらですね)
煌(座り心地のすばらな膝の上、耳に僅かばかりかかる部長の吐息、重力に逆らうよう私のお尻を弾く部長の太もも……)
煌(スカート越しでも分かる……この太ももの肌触りが!)
煌(すばらぁ~すばらぁ~)
哩「花田……これで満足したと?」
煌「部長、そちらを向いてもよろしいでしょうか?」
哩「……えっ!?」
煌(部長の顔も見れるこの姿勢……すばらです!)
姫子(ぐぬぬ……花田ん奴ぅ~ぶちょーの首に腕ば回しよって……調子乗ってぇ~)ギギギ
煌(ふふ、ちょっと伸ばせばキスも出来てしまいそうですね)
哩「……っ!?」ビクッ
姫子「ダメぇーーーっ!」ドンッ
煌「すばらっ!?」
姫子「ぶちょー!次は私の番ですね?」
煌「いたた……こんなのすばらくない……」
姫子「………」モジモジ
哩「姫子は何にすると?」
姫子「えっとぉ……その……」モジモジ
哩「ん?」
姫子「ぶちょーに膝枕してもらいたかとです!」
姫子「えへ、えへへ……」モゾモゾ
煌(みるみる姫子さんの顔が緩んでいきますね……すばらです!)
姫子(ぶちょーの太もも……もちもちっとしてて、やわっこくて、すべすべで……)
姫子(このまま蕩けてしまいたいです……)
姫子(花田が言ってた通りすばらだったと)
姫子「ぶちょー……頭なでなでしてもらってもよかとでしょうか?」
哩「こ、こうか?」ナデナデ
姫子「ふにゅー……」ゴロゴロ
煌「大変すばらでしたよ。部長!」
哩「そ、そうか……それはなによりだ」
煌「さぁ!今日も張り切って部活といきましょうか!」
姫子「やりましょー!」
哩「そうだな」
煌(でもこの眺めはホントすばら……)モゾモゾ
姫子(ふぉぉぉぉ……)モゾモゾ
哩「………」プルプル
煌「えぇ、すばらでした」
姫子「はぁ……またぶちょーにしてもらいたいよぅ」
煌「かつての偉い人はこう言いました」
姫子「……?」
煌「長期的自己実現で福楽は得られない。幸せは刹那の中にあり、と……しかし、永遠に生きる幸せの形があってもいいんじゃないでしょうか?」
姫子「どういうこと……?」
煌「写真に収めましょう。あの最高にキラキラでワクワクなすばらな光を!」
煌「でしょう?すばらでしょう?」
姫子「すっごくすばらだよそれ。でも、安物のカメラば使うんは……」
煌「えぇ、最高品質の……ハイエンドのカメラでなければあの太ももに相応しくない」
姫子「なら、結構な額が必要になるか……」
煌「私たちは麻雀部員、金がなければ雀荘にいけばいいじゃない」
姫子「それもそうだね」
煌「ツモ!すばらです!」
姫子「ふふ、こん調子ならすぐに目標額までいけそうだね」
煌「えぇ、すばらなことです」
「先生、お願いします!」
姫子(代打ちば連れてきたんか……)
煌(勝ちが過ぎたようですね……ここが勝負所です!)
咲「けど、私はレアだよ?」
咲「ツモ……嶺上開花四槓子四暗刻大四喜字一色」
煌「……は!?」
姫子「……は!?」
「一局スリーキルゥ……」
「こっちも商売なんでね……勝ちが過ぎるいけない子にはお仕置きしなきゃな」
煌「あ、あぁ……」ガタガタ
姫子「ぶ、ぶちょー……」ガタガタ
咲「………」
美子(短信を三回、長信を三回、短信を三回……これってもしかして……)
美子「哩ちゃん!姫子ちゃんと煌ちゃんが……」
哩「あぁ、分かってる。美子、仁美……ちょっとあいつらを迎えに行ってくる」
仁美「」チュー
美子「うんっ!」
哩「私、出番ぞ!」
いつも思うけどこのAAかわいすぎ
「さぁ、ちょめちょめして負け分払ってもらおうか」
姫子「ちょめちょめ……」カタカタ
煌「そんなのすばらくない……」カタカタ
咲「………」ピクッ
「どうかされました?先生」
哩「姫子!花田!」ガラッ
煌「すばらっ!」
哩「全く……心配ばかりかけて」ダキッ
煌「ごめんなさい……」
姫子「ぶちょー……」
哩「怪我はないな?良かった……」
「お、おいっ!」
哩「この子らを連れて帰りたいんだが、構わないな?」
「そいつは出来んな……そいつらの負け分をまだ貰ってない」
「アンタが代わりにちょめちょめしてくれんなら話は別だがな!」
「ふひひ……」
「それとも先生と戦って負け分をチャラにするかい?」
哩「いいだろう……この子らの為だ、誰であろうが相手になってやる!かかってこい!」
咲「ふふ……かかってこい、ね……」
「先生!」
咲「興が醒めちゃったよ……あなたの好きにしていいよ」
哩「……悪いな。姫子、花田帰るぞ」
「ちょっ、先生!?」
咲「うるさいなぁ……麻雀楽しませるよ?」
「ひ、ひぃっ……」ガタガタ
これが脅迫になるとは流石魔王
なんて恐ろしい言葉だ
煌「すばらぁ~」ヒーン
哩「もう二度とこんなバカな真似はするなよ?」
姫子「ぐすっ……ひっく……はい……」
煌「もうしませんの……」
哩「ホント……心配したんだからな……」
姫子「ぶちょー……」
哩「ホント良かった……大事なくて……」
姫子(もうぶちょーの太ももば写真に収めなくったっていい……だって、ここにあるんだから……)
哩「さ、美子も仁美も待ってる……帰るぞ」
煌姫子「……はいっ!」
槓!
すばらでした!
Entry ⇒ 2012.09.13 | Category ⇒ 咲-Saki-SS | Comments (0) | Trackbacks (0)
哩「グーチョキパーでーグーチョキパーでー何作ろー?何作ろー?」
(両手を頬にやって指を前に向ける)
哩「はーなーだー♪はーなーだー♪」
姫子「ぶちょーが壊れたー!?」
※方言がわからんですが許せる人のみどうぞ
姫子「そやけんぶちょー、私には頭おかしくなったようにしか見えんとです」
哩「そいは、お前が花田へのリスペクトが足りとらんから…」
姫子「花田へのリスペクト!?暑さでどうにかなったとですか!?」
哩「私は極めて正常よ」チョキチョキ
姫子「」
仁美「」チュー
姫子「あ、先輩」
哩「どうした、美子」
美子「当人が……」
煌「おはよーございまーすっ!」すばらっ
哩「」
煌「おや……」
哩「は、花田、こ、こいは訳ばあってな、決して馬鹿にしとうは……」チョキチョキ
哩「へ?」
姫子「は?」
仁美「」チュー
煌「よもや……よもや!私の敬愛する部長が私なんかの真似をして下さるとはっ!すばらです!感激ですっ!」
哩「花田……わかってくれたか……っ私の……私のリスペクトば……っ」ジーン
姫子「」
姫子「どうして花田が仕切りよるん……あいつ副部長でも無いやろ……」
哩「このムード作り、明るさ、やる気……よし、私は次期部長に花田ば推薦すっとよ」ガッツポ
姫子「」
姫子「どうしてそうなるとですか!あいつは麻雀トバんだけで腕前は素人に毛が生えた程度ですよ!?」
哩「部長に必要なんは、みなば引っ張ってけるかどうか……あいつは、そいば持っとる」
姫子「でも部長で麻雀が強くないのはおかしいとです!」
哩「やけど、実際そういうとこもある」
智美「へっきし!」
桃子「風邪っすか?」
佳織「智美ちゃん……大丈夫?」
智美「ワッハハ……こりゃあ誰かに噂されてるなあ……ゆみちんかな」ズルズル
智美「そういやゆみちん進路希望がうんたら言ってたなー」
桃子「たぶんそれっすよ」
佳織「智美ちゃんそっちは行かなきゃ大丈夫じゃないよ!」
睦月「うむ…」ウム
哩(うちもそうやし……な)
姫子「どうして、私じゃなかとですか……」
哩「……」
姫子「私……私っ、部長に憧れて……必死こいて麻雀頑張って……同じ学校受けて……っ」
哩「……」
姫子「そして今回、大将任されるまでなって。みんなの、部長の信頼をやっと勝ち取ったんやと思った……それなのに」
姫子「そいぎ……なんで簡単に花田の奴に部長任すとか言うとですか……っ!」
哩「姫子……すまん」
哩「完全なえこひいきよ」シレッ
姫子「何馬鹿なことすっぱり言い切りよるですかぁあこの人ぉ!!?」ガビーン
姫子「やけん私、諦めんとですよ。ぶちょーに認めて貰えるまで」ギリリ
哩(う~ん……認めてはいるんやけどね)
煌「部長~!一緒に打ちませんかっ」すばらっ
哩「おお……花田からご指名とは、光栄やね」
姫子「~~…………っ」メラメラ
煌「すば…らっ?」びくっ
煌(さ、殺気……ですか?)
哩「花田」
煌「はいっ」しゃきっ
哩「ちょっくらトイレに付き合え」
煌「えっ……そ、それってまさか」
哩「連れションよ」
煌「いやいやいやいや!言わなくてもわかりますって!」あわわわ
姫子「……」
哩「……花田、部活後予定空いとる?」ジャー
煌「ええ、まったくもってすっきりすっぽりですが」
哩「部長命令ぞ。私に付き合え」フキフキ
煌「すばらっ!?な、な、なにを……そんな、唐突にっ」
哩「嫌か?」
煌「いやいやいやいや!そうでは無いです確実に!ただ」
哩「ただ…何ね?」
煌「私なんぞに、その、務まる…かな、って」
哩「……」
煌「そんな私が、部長に釣り合うかどうかが」
ハナギュッ
煌「ひゃあ!?」
哩「まったく……お前は何ば聞いとったと」
煌「……」口ぱくぱく
哩「こいは部長命令ぞ。……ハナからお前に選択肢なんぞ無か」
煌「ぶ……部長……」
哩「少しの間、私にお前ば預けてくれんか」
煌「……嬉しいことです!」
哩・煌「「そんなすばらなことはない」」
煌「!」
哩「ぷっ」
煌「ふふ」
アハハハハハ……
アハハハハハ……
??「うう…っ」
煌「う、う~」てくてく
哩「どうした花田」テクテク
煌「や、やっぱり、すごく緊張してしまって」
哩「今からそんな調子じゃ、店まで保たんぞ?」
煌「はい~……」ぷしゅー
哩「」
哩(ダメやね……やっぱこいつ、掛け値なしで可愛いわ…)
煌「あ、この喫茶店」
哩「知っとう?」
煌「あ、ハイ。来たことはあると思います」
哩「なら、気負う必要ば無かね」
煌(ああ……部長と喫茶店。夢みたいですね)すばらっ
煌「あ、私アイスコーヒーで」
哩「砂糖とミルクは」
煌「え~と抜きで」
哩「……花田、お前甘いのダメやったっけ」
煌「いえ?そんなことはないですけど」
哩「そいじゃどうしてブラックにすっとよ?」
煌「え…と、その」
煌「砂糖とミルクを抜くと、10円安くなるので……」てへ
哩「……はぁ」
哩「お前は阿呆か」
煌「なっ」がーん
哩「そんな雀の涙みたいな値段で我慢してどうすっとよ……」
煌「でも、手持ちがややアレなもので…」
哩「……」イラッ
店員「はい」
哩「アイスコーヒーとクロワッサンば2つずつで」
店員「かしこまりましたー少々お待ちくださいませー」カタカタ ジャー
煌「ぶ、ぶぶ部長!私の話聞いてましたか」
哩「やかましい」ズビシ
煌「はうっ」
哩「私が出すけん……そんなら問題無かとよ」
煌「部長……」
哩「」イラッ
煌「誰かに出してもらうなら、し・か・も 好きな人なら尚更!会計を安くしなければ申し訳が……」
哩「花田っ!!」ガッ
煌「ひゃ、ひゃいっ!?」
哩「他の客の迷惑になるけん……先座っとれ……!」ゴゴゴゴ
煌「は、はいぃ」あわわわ
哩「……」カチャカチャ
煌「あ……あのぅ」ちらっ
哩「なんね」カタン
煌「ありがとう、ございます」ぺこ
哩「……もとより私のワガママに付き合ってもろうとる。礼ば言われる筋合い無かよ」
煌「いや、その、……なんて言いますか」
煌「すばら過ぎて、なんだか……ありがとうしか、出てこなくて。言葉が」
哩「……」
煌「えへへ、変ですよね」もじもじ
哩「いや」
哩「良かと……思う」
煌「……」もむもむ
哩「……」ゴクゴク
煌「……」ちゅー
仁美「」チュー
哩「!?」ビクッ
煌「? どうしました?」
哩「いや……気のせいやと思う……多分」
煌「?」
煌(加えてコーヒーのすっきりした喉ごし、絶妙に合わさった苦味と甘味、まろみとコク)
煌「すばらですね……!部長」
哩「ああ、すばら……しいな」ハッ
煌「!」
哩「……っ」ワタワタ
煌(部長っっすばらです~~っ!!)きゃっ
哩「はい(千円札)」
店員「千円お預かりします~」ガチャガチャチーン
煌「あ、あの」
店員「お釣りの方160円です」チャララ
哩「どうも」
店員「またのお越しを~」
煌「ぶ、部長」
哩「なんね」
煌「せめて私の分のコーヒー代、出させてくださいっ」
哩「くどい」
煌「でも」
哩「くどい!」クワッ
煌「ひゃわわっ」
煌「聞いてました!いや聞いてましたけども!このままじゃ私、申し訳がたたな……」
哩「そいじゃその分、支払ってもろうとすっとよ(ネクタイを掴み引き寄せる)」グイッ
煌「ふわあっ!?っん……!」びくっ
哩「…………(顔を寄せる)」
煌「ち、近い、ですよ、部長、あっ」
煌「」
??「」
煌「っん……んん……っ!」ふるふる
哩「っふ……これで、おあいこよ」
煌「……す……」
煌「すば……ら……っ!」うるうる
哩「な、泣くほど嫌やったと!?」
煌「ふぁ、ファースト……キス……(唇に手をやり)」
哩「えええッ!?そ、そいはもらい過ぎたッ」
煌「ふえぇ……すばら……すばら過ぎますよお……」ぽろぽろ
哩「花田……」
哩(嫌や無かってん良かと……泣いてるとこば、初めて見よった……ごめんな…花田)ギュッ
哩「な、なんね…?」
煌「…………」ふるふる
(涙を袖で拭う)
哩「……そ、その」アセアセ
煌「…………責任、取ってくださいねえっ!」ぱああっ
哩「」ズギューンッ
哩「花田ーッ!」ギュムム
煌「ぶっ、部長っ!く、くるし、でっ、すっ」
哩「愛しとるぞーッ!!」ギリギリギリギリ
煌「す……すば…………らっ」がくっ
煌「は、はい……部長は……?」
哩「……もう、落ち着きよった。恥ずかしか、話とよ」カアァ
煌(恥ずかしがる部長……すばらです)
リーン リーン
煌「虫の声、綺麗ですね」
哩「……ああ」
煌「星空も」
哩「…ああ」
煌(……この時が)
煌(このすばらな時間が、このまま一生続けばいい――――。)
煌「そう言えばこの道、電灯無かったですね」
哩「電灯……」
煌「電灯でんくそくらえで、ヒューズば先端に持ってくる」きりっ
哩「馬鹿にしよっと?」ガッ
煌「ごめんなさいごめんなさいっ」ひえー
哩「そう言や、聞いとったんやっけね……私と、姫子の話」
煌「…盗み聞きするつもりは無かったんですけどね」
哩「良かとよ。こちらの不注意ば原因やった……あれは、…お前だけには聞かれとう無かった」
哩「本当に済まんかった……」シュン
煌「何を仰いますか!私は逆に感謝までしてますよっ!」すばらっ
哩「感謝…?」
煌「先生のそのお考えがあったからこそ、私は代表に選ばれ…。全国の場に立てました。嬉しいことです」
哩「そいけん」
煌「良いんですよ。……私は、確かにみっともない結果しか残せませんでしたが」
煌「部長と……みんなと同じ舞台に立てたこと。本当に嬉しかった」
哩「…花田?」
煌「部長の手、暖かいですね」
哩「心が冷たいからな」
煌「そんなことはないです!」
哩「初めは」
哩「……初めは……この気持ち。ただの同情やと思ってた」
煌「同情でもありがたいですけどねえ」
哩「やけど、違っとった。お前ば気にかけて、目で追って、そっから、少しずつ惹かれよった」
煌「……」にこ
煌「……すばら」
哩「花田。いや……煌。今更かも知れんが……伝えさせて欲しかよ」
哩「……」フゥ
哩「……」スゥッ
哩「好きです。私と、付き合ってください」
煌「……」じ~ん
煌「あの、その」
哩「今度自分のことば卑下して我慢したら、キスじゃ済まさん」
煌「ひっ!?」
煌(逃げ道、塞がれちゃいましたね)
煌(でも)
哩「姫子?」
煌「あの方は、ほぼ間違いなく部長に心を寄せてます。……あの方の気持ちを、無碍には出来ないと思うんです」
哩「……」
煌「ねぇ部長……」
煌「鶴田さんは私より可愛くて麻雀も強くて、よっぽどすばらなしっかり者さんです。だから、私じゃなくても」
哩「煌」ダキッ
煌「はひっ!?」どきっ
哩「言っとったよな?自分ば卑下して我慢したら今度はキスじゃ済まさんと」
哩「問答無用」グイ
チュッ
煌(すっ……すばら~っ!セカンドキスも部長だなんて!ってあれ?)
煌(キスじゃ済まさんって言ってましたけど……キス、してますね)
クチュ
煌「んぅっ!?」
哩「ちゅ、ん、ちゅぷ」(煌の手を取り指を絡ませる)
煌(あ、あっ、あっ…、あたま、とけそ)
哩「ちゅぅ……っ」
煌(舌、舌が、すわれてっ、ふ、ふにゃあ…っ)
哩(煌……凄い蕩けた顔、しとる)
哩(たまらん……っ)
煌「はぁ……はぁ……っ」
哩(唾液の橋出来よる……エッロ……)
哩「…もしかして……誘っとった…?」
煌「ち……っちがいま…すよぉ……もおっ」かあぁ
哩(ああ)
哩(本当可愛いな、煌)ニヘ
煌「……わっかりました。もう、自分に嘘は付きません。他人も関係ありません」
哩「……ん。それでいい」ギュ
哩(本心からの結論なら、例え振られても構わん……それが煌の選びよった道ならば)
煌「私……花田煌は、本日、この時を以て」
ぎゅう
哩「!(手を……)」
煌「白水哩さんの隣に、立候補いたします!」びしっ
煌「さて、多数決を取りましょう。賛成の方は手を挙げて!」ばっ
哩「……」スッ
煌「…ありがとうございます」
煌「……では、過半数を超えましたので、これを可決としま」
??「反対ィィイッッ!!」
哩・煌「」
煌「あ……鶴田、さん…?」
姫子「花田の奴にぶちょー渡すくらいやったら、私、私ぐふっ」
美子「空気読みィ!」ズビシッッ
仁美「」ズズズ
哩「」
姫子「はい……」
哩「正直、見損なったとよ……お前が、ここまでデリカシーの無か奴やったとは」
姫子「返す言葉も無かとです……」
美子「まったく、私は止めよったのに」
哩「美子。お前も同罪ぞ」
美子「ええ!?」ガーン
哩「ええ!?や、なか!後輩の犯罪行為ば見逃す奴があるか!」
美子「止めよったんに~」
哩「結果止まっとらんから言っとる!大体お前は~……」ガミガミ
煌「あ……あはは~……どうしたら良いんでしょ、コレ……」
仁美「」ズズ
それカンッ!
哩「まったく、本当に空気ば読めん奴らよ」
姫子「ごめんなさいぶちょー…」
哩「もうええけどさ……」
煌「……」しゅん
哩「……煌」サッ
煌「部長…?」
哩「手。…繋いでくれんか」ワキワキ
煌「」ぱああっ
煌「はいっ、哩さん!」ぎゅううっ
もいっこ、カン!
煌「良いんじゃないでしょうかね~、昨日は…それはもう今まで生きてきた中でも大変すばらな1日でしたから!」すばらっ
哩「お前がそう言うてくれて、助かるとよ」ニコ
煌(すばら~っ!部長…いやさ、哩さんの笑顔いただきました~っ!)
姫子「私は諦めんとですよ…ぶちょー…!」メラメラ
美子「いや、もう手遅れやて」
仁美「」ゴクリ
嶺上開花、対々和、三槓子、ドラ6!
三倍満ですっ!
煌「ん~ふふ~♪早起き出来たし、天気も良いしっ!今日はとてもすばらですっ!」
煌「待ち合わせの時間まで、後二時間ですか……ん~っ待ちきれないっ!もどかしいっ!」
煌「いっそのこと、もう一時間くらい早く行って困らせちゃいましょうかね~」
煌「……でも、あのお人ならそれくらいの時間にでも、普通に待っててくれてそうですね」
煌「よし決まりっ!一時間早く着くように準備しましょうっ!」
煌「今日も特別すばらな日にしましょうね……哩さんっ」すばらっ!
四槓子
拙い文章ですが見てくださった方々ありがとうでした
哩煌は俺のジャスティス
おやすみなさい
Entry ⇒ 2012.09.13 | Category ⇒ 咲-Saki-SS | Comments (0) | Trackbacks (0)
咲「部長と5秒以上見詰め合うのは危険だよね」
洋榎「……」
久「……」ジー
洋榎「……な、なんやねん」
久「いえ、別に何も?」
洋榎「なんもないんやったら見るなアホ……」
久「ふふ、ごめんなさい」ジー
久「なに?」ジー
洋榎「喧嘩売っとるやろ?」
久「そんなことないわよ。洋榎が可愛いから見ていたいだけ」
洋榎「なっ……」
久「ふふ、あなた以外とウブよね。そういうところのギャップも可愛い」
洋榎「お、お前もう帰れ! だいたいなんでウチの部屋にしれっとおんねん!」
久「だって暇なんだもん。合同合宿なんて夜はやることないんだもん」
洋榎「まあ確かにそやけども……」
洋榎「っ……だ、だから! 見つめてくんなアホっ!」
久「ただ見てるだけじゃない、どうしてそんなにも恥ずかしがるの」クスクス
洋榎「じろじろ見られて気悪くせえへんヤツなんてそうおるかい……」
久「私は別に気にしないわよ? どれだけ見つめられても」
洋榎「……ほう、言ったな? それじゃ睨めっこで勝負や! ウチが勝ったら自分の部屋に戻ること、ええな?」
久「あら、面白そうね。いいわよ」
久「ふふ、絶対に負けないからなんでもいいわよ」
洋榎「そこまで言われたからにはこっちも負ける訳にもいかんな……勝負や、久」
久(こんなくだらないことで本気になれる洋榎が素敵だわ)
久「で、睨めっこはもう始まってるってことでいいのよね?」ジー
洋榎「まあ、スタートの合図なんていちいち要らんしな」ジー
久「それもそうね。洋榎がどれくらいまで持つか楽しみだわ」
洋榎「こっちのセリフや」
洋榎(……ヤバい、めっちゃ気恥ずかしい)
久「……」ジー
洋榎(久が顔を背ける未来が想像出来んというか、早々に限界が来てる気がするというか……)
久「ふふ、ねえ洋榎。目を背けるのはアリなのかしら?」
洋榎「あ、アリや! 顔はちゃんと向けてるんやからな!」
久「りょーかい」ジー
久(この状態の洋榎を観察するのってすごく楽しいかも……)
洋榎(アカン……ウチが折れんかったら何十時間でもこの状況が続きそうな気がする……)
久「……」ジー
洋榎(てかなんやねんコイツ……なんでここまで堂々と出来るねん、意味分からん……)
久(気まずそうな様子で顔を赤くして、視線をうつむけさせて……可愛い)
久(このまま進展が無いのもあれだし、少しからかってみようかしら)
久「ねえ洋榎。あなた好きな人とかいる?」
洋榎「は、はぁぁ!? いい、いきなりなんやねん!?」
久「だから、好きな人いるの洋榎?」
久「うーん、前から気になってたし、特に理由はないけど」
久「それで、どうなの洋榎? 好きな人いるの? 付き合ってる人とかも」
洋榎「そんなもんおるかアホ!!」
久「そっか。それじゃあ私にも十分チャンスがあるってことね」
洋榎「……は?」
久「ま、別に洋榎に好きな人がいても関係ないといえば関係なかったんだけど」
洋榎「え……さ、さっきの、どういう……」
久「ところで。この勝負で洋榎が勝ったら私は自分の部屋に戻るわけだけど」
久「私が勝ったら洋榎は何をしてくれるのかしら?」
洋榎「っ……!?」
洋榎「……ウチはどこで寝るねん」
久「一緒に寝ればいいじゃない。きっと気持ちいいわよ?」
洋榎「ほ、ホンマなに考えとんねんお前……」
久「今は洋榎のことで頭がいっぱいだわ。本当に好きになっちゃったのかも」
洋榎「っ……冗談は休み休み言えアホ……」
洋榎「ふんっ……そう簡単に思い通りになってたまるか」
久「相変わらず目は合わせてくれないけど」
洋榎「……な、なあ久。たぶんこの勝負、決着つかんと思うねん」
久「そうかしら? 私的にはあともう一押しだど思うんだけど」
洋榎「そ、そんなことないわ! どない押されてもウチは揺るがん!」
洋榎「とにかく。終わらん勝負続けても時間の無駄や。ここは、その……引き分けで手を打たんか?」
久「ふむ。引き分けね。その場合私はどうなるのかしら?」
久「却下するわ」
洋榎「なんでやねん!」
久「だって今、明らかに私が優勢なのにそれじゃあ損だわ」
洋榎「うっ……じゃあどういう条件やったらええねん」
久「うーん、そうね……洋榎が私にキスしてくれたら引き分けでもいいわ」
洋榎「……却下やアホ」
久「それじゃあキチンと決着をつけましょうか」ニッコリ
洋榎(このまま勝負を続ければウチは負ける……負けて久と一緒に寝るんか、今キスして帰らせるか……一体どうすれば……)
久(ふふ、悩んでる悩んでる。楽しいわ♪)
洋榎(……負けるのはやっぱり嫌や。負けを認めるくらいやったら、引き分けにして適当な場所にキスして帰らせるのが一番……)
久「あ、そうそう。引き分けにするなら、キスはちゃんと唇にしてね?」
洋榎「はあ!?」
久「そりゃそうでしょ。だってキスだもん」
洋榎「お、お前頭おかしいんとちゃうか!? ウチら女同士やぞ!?」
久「むしろ女同士だから気軽だと思うんだけど、洋榎にとってはそうじゃないのかしら?」
洋榎「そそ、そんなわけあるか!」
久「なら問題ないわね」
久「ふふ、さすが洋榎。そうでなくっちゃ面白く無いわ」
洋榎「覚悟せえよ久……! もう目線そらしたり弱気吐いたりせんからな……!」
~数分後~
洋榎「……な、なあ久」
久「?」
洋榎「やっぱりさ……その……もう一度話し合って穏便に……」
久「目線そらしてるわよ? 洋榎」
久「私は楽しいから別にいいけど……洋榎が嫌ならギブアップすればいいんじゃないの?」
洋榎「……言い出しっぺやのに負け認めるなんて嫌や」
久(変な意地張って、子供みたいで可愛い)
久「えっと、洋榎は負けを認めたく無くて、でもこのまま長くゲームを続けるのも私の条件で引き分けにするのも嫌なのよね」
洋榎「せや」
久(ここまで虫の良いことってそう言えるものじゃないわね……)
久「それじゃあ……気持ちよく負けさせてあげるわ」
洋榎「へ?」
洋榎「きゃあ!?」
久(洋榎の上に覆い被さってっと)
洋榎「なっ、ななな……!?」
久「ねえ洋榎……キス、したことある……?」
洋榎「はぁ!?」
久「無いんだったら……私が初めての相手ね」
洋榎「ちょ……おまっ……」
洋榎「っ~~~!!」
久「はい、私の勝ち」
洋榎「……は?」
久「だってほら、私が顔近づけたとき、目をつむりながら顔を背けたじゃない」
久「だから私の勝ち」
洋榎「……」ポケー
久「ふふ、洋榎ってあんなにも可愛い顔も出来るのね。なんだか良いもの見ちゃった」
洋榎「ふざけんなぼけえええっ!!!」
久「うっ……」キーン
洋榎「もう帰れ!! 出てけ!! アホ! ボケ! 乙女心弄んで……このド外道っ!!」バシッバシッ
久「痛い、痛いっ。枕で叩かないで洋榎」
洋榎「やかましい!! 天誅やこの畜生!! 卑怯過ぎるやろ!!」
洋榎「それでもやっていいことと悪いことがあるやろ!」
洋榎「あ、あんな風に押し倒してキスするフリするなんて……!」
洋榎「このっ、ボケっ、アホっ!」バシッバシッ
久「ふふ、ごめんなさいってば……あっ、洋榎」
洋榎「はぁ、はぁ、はぁ……?」
久「顔、真っ赤よ?」
洋榎「っ~~~!?」
久「あはは、痛い痛い痛い」バシッバシッ
洋榎「はぁ、はぁ、はぁ……」
久「落ち着いた? 何か飲む?」
洋榎「なんもいらん! てか誰のせいやと思ってんねん……」
久「あんなに怒るとは思わなくて。もしかして洋榎ってそういうことまだしたことないの?」
洋榎「しょ、処女で悪いか! てか高校生なんやから当たり前やろ!!」
久「当たり前かどうかは分からないけど、キス一つであそこまで動揺されるとは思わなかったから」
洋榎「くっ……もうええ。次あんなふざけた真似したらどつき回すからな」
久「了解♪」
洋榎「はぁ、無駄な汗かいてもうた……風呂入ってくる」
久「お風呂?」キュピーン
久「はは、分かってるって。覗いたりしないから」
洋榎「当たり前や。……もし覗いたら半殺しやからな」
久「もう、怖いこと言わないでよ。……ところで、私ここに居てもいいの?」
洋榎「……まあ、手段は卑怯でも負けは負けやし。約束は守る」
久「さすが洋榎♪」
洋榎「その代わり! 変なことした瞬間退場! 寝るときは久は床! ええな?」
久「うーん、床かぁ……」
洋榎「……敷き布団くらい用意したるから」
久「心遣い嬉しいわ。一緒に寝れる方がもっと嬉しいけど」
洋榎「……アホ」
~浴室~
洋榎「はぁ……」
洋榎(にしても久が何をしたいのかまったく分からん……)
洋榎(なんかウチのこと好きみたいな雰囲気出したり、冗談でキスしようとしてきたり……)
洋榎(ウチをからかってるだけやったらあまりにタチ悪いな……)
洋榎(変なことするなと釘刺したものの、久のことやから信用ならん……)
洋榎(……早めにあがろ)
洋榎「……あれ。ウチの脱いだ服ない。てか用意したのもないし下着も……」
洋榎「ってなんやこのやたらデカイTシャツ……こんなもん誰が……」
洋榎「ま、まさか……」
久「はいはい。って洋榎、あなたちょっと口が悪すぎない? 女の子なんだからもっと慎みを持たないと」
洋榎「誰が慎み無くさせとんねん! ってそんなことより、ウチの着替えもろもろ持ってったのお前やろ!?」
久「ええ、そうよ」
洋榎「即答て……」
久「だって嘘ついても仕方ないし」
洋榎「……今やったらまだ許したる。だからウチの着替え持ってこい」
久「ふふ、やだ♪」
洋榎「」
久「もう、そんな怖い声出さないでよ。ちょっとしたイタズラだし、着替えもちゃんと部屋に置いてあるから」
久「それに、代わりの服ちゃんと用意してあるでしょ? 洋榎にピッタリだと思うの」
洋榎「……なんやねんこのアホみたいに大きいTシャツ。どっから持って来た」
久「宮守の姉帯さんから借りて来たの。洋榎に着せたら可愛いかなー、って思って」
洋榎「……」
久「ね、だから早く着替えて出て来てちょうだい」
洋榎「ふざけんなボケ!! こんなもん着れるわけないやろ!!」
洋榎「……久、悪いことは言わんから早くウチの服持ってこい。な? こんなことして誰が得するんや」
久「今、私はすごく楽しいわよ?」
洋榎「久ァ……! このことはしっかり覚えとけよ……! 絶対に許さんからな……!」
久「ふふ、洋榎の可愛い姿が見れるなら本望だわ」
洋榎「くっ……」
洋榎(このまま駄々こねてると、自分が着させるとか言い出しかねん)
洋榎(ここは一端これを着て、さっさと着替え回収するのが一番か……)
洋榎(うぅ、悔しい……! 久の思い通りに動くのが癪に触ってたまらん……!)
久「うふふ」
洋榎(……なんやねんこれ。ウチが来たらワンピース状態やん……微妙に丈短いし……)
洋榎(くそぉ……! おのれ久め……! 一発どつかな腹の虫がおさまらん……!)
洋榎「久!」
久「あ、やっと出て来た。……ふふ、やっぱりすごく似合ってる。丈は短そうだけど」
洋榎「ウチの着替え返せ……!」
久「そんなに怖い顔しないでよ。あ、一枚写メ撮っていい? すごく可愛いのにもったいないわ」パシャ
洋榎「りょ、了承得る前に撮るヤツがおるかアホ! 今すぐ消せ!」
久「あんまり動いたら下が見えちゃうわよ?」
洋榎「っ!?」
洋榎「くぅぅ……!」
久「ふふ、その顔も可愛いわ」
久「分かってるって。はい、これ」
洋榎「お、おぅ……?」
久「ごめんね、子供みたいなイタズラしちゃって。ちょっと魔が差しちゃっただけだから」
洋榎(えらいすんなり返すんやな……返して欲しかったら~しろ、とか言われると思ったんやけど……)
洋榎「ま、まだ許したわけやないからな! 着替えたあと一発どついたるから待っとけよ!」
久「……」
洋榎(着替えを持って、また浴室横の洗面所に戻ろうとしたそのとき)
久「……」ギュッ
洋榎「へ?」
洋榎(久に、後ろから抱きしめられた)
久「そんな無防備な背中、私に見せたらダメじゃない」
久「我慢出来なくなっちゃう……」
洋榎「ひ、久……? な、なにを言って……」
久「洋榎、とても良い匂い……肌も柔らかくて、温かくて……」
久「はは、どうしよう……私、自分が思ってるよりも洋榎のこと好きみたい」
洋榎「……は?」
久「洋榎……好き。大好き……」
久「洋榎の好きはどういう好き?」
洋榎「えっ……」
久「こういう好き?」
洋榎「っ!」
洋榎(く、首筋にキスっ……)
久「ん……」
洋榎「っ~~~!!」
洋榎「ひゃ!?」
久「洋榎……」スリスリ
洋榎「や、やめろアホ! 何考えてんねんお前!?」
久「洋榎のことを考えてる」チュッ
洋榎「やっ……」
久「私ね、人に好きになられることは今まで何度もあったけど……」
久「こんなにも人を好きになるのは初めてなの」
久「ねぇ、どうしよう洋榎……私、我慢出来ない……」
洋榎「ひ、久ぁ……!」
洋榎「ひっ……やっ、やめろボケ!!」
洋榎「ウチら女同士やぞ!? 頭のネジ飛んだか!?」
久「愛に性別なんて関係ないわ。……それに、ネジを飛ばしたのは洋榎だしね」
洋榎「しょ、正気か久……? こ、こんなことっ……」
久「洋榎は嫌?」
洋榎「あっ」
久「私にこういうことされるの」
久(むう、やっぱちょっと強引過ぎたかも……まだ理性が働いてるって感じね)
久(でも、分の悪い勝負だからこそ燃えるわ)
洋榎「久、もう離せって……今やったら許したるから……」
久「やだ……離れたくない……」
洋榎「お前なぁ……」
洋榎「……どないせえっちゅうねん……」
久「洋榎が私を受け入れてくれればいいわ」
洋榎「受け入れろ言われてもんなこと出来るわけないやろ……」
洋榎「久やからとかじゃなくて……」
久「私が女だから?」
洋榎「……」
久「じゃあ、私が男だったら洋榎は受け入れてくれたの?」
洋榎「……たぶん」
久「そっか……」
洋榎(久が、離れて……)
久「ごめんね、変なことしちゃって。もう帰るわ」
洋榎「え?」
洋榎「!」
久「あはは、ちょっと頭に血が上ちゃってたみたい」
久「今日のこと、忘れろなんて言えないけど……あんまり意識しすぎてくれないと助かるわ」
久「じゃあね」
洋榎「ま、待て!」
久「……なに?」
洋榎「……なんで泣いとんねん、お前……」
久「ふふ、らしくない? でも、私だって女の子だもん。悲しいときに涙は出るわ」
洋榎「っ……」
久「私でもこういうことで泣いちゃうんだな、って」
洋榎「……」
久「女の子を泣かせたことはたくさんあるけど、まさか自分が泣かされるなんてね……」
久「思ってたより、ずっと辛い……」
洋榎「久……」
久「どうしよう洋榎、涙、止まらな」
洋榎「お前それ嘘泣きやろ」
久「あ、ばれた?」
洋榎「……」
久「うーん、大阪の人は情に深いって聞いたんだけど、これもダメかぁ……」
洋榎「お前もう帰れや!!」
洋榎「ウチをそこらの女と一緒にすんなアホ……」
洋榎(わ、割とマジで騙されかけたけど……カマかけてみるもんやな……)
久「大体のお堅い子はこれで大丈夫だったんだけどなぁ」
洋榎「今までどない女遊びしてきたねん……はぁ。なんか気抜けたわ」
久「でも洋榎が好きって気持ちは本当よ?」
洋榎「はん、今まで何人の女にそう言ってきたのやら」
久「あはは……」
久(本当に手強い)
久「布団取りに行きましょうか」
洋榎「この期に及んでまだウチの部屋で寝ようとしとんのかお前は……」
久「もちろん。約束はちゃんと守ってくれると思ってるから」
洋榎「くっ……あんな勝負せんかったら突き返してるところやで……」
久「あは♪」
久(こういう妙に律儀なとこに付け入れそうね)
久「それじゃあ行きましょうか」
洋榎「の前にや」
久「?」
洋榎「このふざけた服の件について落とし前つけんとなぁ……」
久「あ、あはは……」
久(本当に手強いわー)
――――――
久「痛い……」
洋榎「自業自得や」
久「何も本気で殴らなくていいじゃない……たんこぶ出来たわ」
洋榎「ウチをからかった罰や。ふざけたこと言ってきた分もな」
久「洋榎が好きって言ったこと? 別にふざけてなんかないし、本気よ?」
洋榎「っ……! ホンマしれっと恥ずかしいこと言うなぁ、お前は……」
久「思ってることを口に出してるだけだわ。嘘も言ってないしね」
洋榎「嘘泣きはするようやけどな」
久「うるって来たのは本当よ? 私が男だったらなー、って思うと悲しくもなったし」
洋榎「……」
洋榎「……ええ性格しとるわ」
久「ふふ、洋榎もね。こんなにも恋愛で燃えてるのは生まれて初めてだわ」
洋榎「その情熱を是非とも麻雀に向けてくれ、頼むから……」
久「だって拒まれてる理由が私にあるならまだしも、女同士だからって理由なんかじゃねー」
久「すごく気持ちよくなれるのに」
洋榎「なっ……なに言うとんねんお前!?」
久「ふふ、洋榎にもいつか知ってもらいたいわ……」
久(あと数時間後くらいに)
洋榎「謹んで遠慮願うわ……」
―――――
洋榎「はぁ、酷い目にあったわ……」
久「まあ、私たち二人が一緒に敷き布団なんて探してればね」
洋榎「どうしてくれんねんホンマ……絹たちの前であんなこと言いよって……」
久「いやー、なんか面白そうだったから、つい」
洋榎「あの状況のどこが面白そうやねん! あんな血相変えた絹初めて見たわ……」
久「ふふ、洋榎ってやっぱりモテるのね。ますます手に入れたくなったわ」
洋榎「もうお前黙れ」
洋榎「おいコラ! なんで今の会話の流れで部屋の鍵締めんねんおかしいやろ!!」
久「だって誰か入ってきそうじゃない」
洋榎「誰か入ってきたら困るようなことをするつもりなんか? おぉ?」
久「まあまあ。さっきあんなことがあったし、私も怖いの。寝込みを襲われるようなことになると」
洋榎「寝込み襲われるようなこと抜かしたお前が悪いやろ……」
久「ま、洋榎なら守ってくれるって信じてるけど♪」
洋榎「はぁ……」
久「はーい」
洋榎「……ウチのベッドに上がってきた瞬間追い出すからな」
久「もう、そんな堅いこと言わないでよ」
洋榎「ってなんで早速あがってきとんねん!?」
久「だってこのベッド結構広めだし、二人でも十分寝れるわよ」
洋榎「なんのために敷き布団用意したか考えろアホ!」
久「私と洋榎の関係をアピールするため?」
洋榎「」
洋榎「お、おい久!」
久「何もしないってば。意識しすぎよ? 洋榎」
洋榎「信用出来るわけないやろ!」
久「もう、じゃあどうすればいいの?」
洋榎「大人しく下で寝ろ」
久「嫌」
洋榎「話進める気あんのかコラ!」
久「本当に何もしないから。信用出来ないなら私にこれ付けていいわ」
洋榎「? なんやねんこのふわふわしたの……」
久「手錠」
洋榎「……」
洋榎「てかウチに使う気で用意したやろ!?」
久「まあそうだけど」
洋榎「おい! ちょっとは否定しろや!」
久「だってこんなもの持ってるなんて明らかにやましい気持ちがあるってことじゃない。言い訳のしようがないわ」
洋榎「あ、あのなぁ……」
久「まあ別になんでもいいじゃない。とにかく、私がこれを付ければ洋榎に何も出来ないでしょ?」
久「何も出来ないなら一緒に寝てくれるでしょ?」
洋榎「どんだけウチと一緒に寝たいねん……」
久「こんなもの自分に付けろって言うくらいよ」
洋榎「はぁ……」
久「やた♪」
洋榎「久の考えることがホンマに分からんわ……」カチャカチャ
久「洋榎と一緒に寝たい、それだけしか考えてないわ」
洋榎「さいで……ってこれ結構頑丈やな……」
久「ふわふわのおかげで手首も痛くならないし、よく出来てると思うわ」
洋榎「てか本来何に使うねんこれ」
久「そりゃ、そういうことでしょ」
洋榎「そ、そういうことって……」
絹恵「お姉ちゃん!!」バァン
絹恵「そんなに女に騙されたらあか……ん……」
洋榎「」
久「♪」
洋榎「な、なんで……か、鍵は……」
久「えへへ」
洋榎(こ、コイツ……!!)
末原「はぁ、はぁ……ちょっと待ちって絹ちゃん……」
末原「……」
洋榎「ち、違う。誤解や絹、恭子……こ、これは久が……」
絹恵「」
末原「ほどほどにしといてくださいね? この子連れ帰っときますんで、まあ、その……」
末原「ごゆっくり……」
洋榎「恭子ー!?」
久「ふふ、なんか誤解されちゃったわね」
洋榎「帰れ。今度こそ帰れ。もう絶対に許さん……!」
久「なんでそうなるのよ。鍵は洋榎が締めて欲しく無さそうだったから空けただけじゃない」
洋榎「嘘付け! 絶対にこうなるってこと計算してやったやろ!」
久「やあね、そんなこと出来るわけないじゃない」
久「さて、早く寝ましょう。明日のことは明日考えればいいわ」
洋榎「いけしゃあしゃあとそんなことを……! ウチの人望と信頼を返せボケ!!」
久「いいじゃない。18歳にもなって恋人の一人もいないほうが人望なくなるわよ?」
洋榎「やかましい!」
久「ほら、クールダウンして。興奮してちゃ寝れないわよ?」
洋榎「誰のせいやと思ってんねん……」
洋榎「はぁ……」
久「うふふ」
久「腕は使えなくでもキスくらいなら出来るわね」
洋榎「その状態で放り出したろか?」
久「ふふ、冗談よ」
洋榎「そもそもなんでウチと一緒に寝たいねん……」
久「好きな人と一緒にいたいと思う気持ちは普通でしょ?」
洋榎「……だからそういうこと言うのやめえ」
久「あぁ。焦れったいわ。洋榎が目の前にいるのに何も出来ないなんて」
洋榎「なんかされたら困るっちゅうに……」
洋榎「……」
久「……」スッ
洋榎「ひゃっ」
洋榎「お、おいコラっ……」
久「これくらい別にいいじゃない」
洋榎「よくあるかアホ。ひっついてくんな……」
久「せっかく一緒に寝てるんだからこれくらいさせてよ」
久「はぁ、洋榎良い匂い……手が使えたら間違いなく犯してるわ」
洋榎「……背筋さぶなるようなこと言わんとってくれ」
洋榎「……アホ言え。ウチにそんな趣味はない」
久「据え膳食わぬはなんとやらよ?」
洋榎「んな腹壊しそうな据え膳があってたまるか」
久「むぅ」
洋榎「はよ寝ろよ」
久(なんか悔しい)
久(でも……楽しいかも)
久「……」スリスリ
洋榎(今日はなんだかんだ振り回されっぱなしやったし、このまま気持ちよく夢の中に……)
久「……」クンクン
洋榎「……おい」
久「?」
洋榎「なにやっとんねん。てか顔近い」
久「頑張ればキス出来そうね。どうしましょう」
洋榎「はぁ。よっぽど寝る気ないらしいな……」
久「だってもっと洋榎と話したいもの」
洋榎「ホンマにそれだけか?」
久「さあ?」
久「私は洋榎と話してたら楽しいわ」
洋榎「さいですか」ハァ
洋榎(……ここまでまっすぐ好意向けられるってのも、初めてやな……)
洋榎「……なあ久。ウチのこと好きってホンマなんか?」
久「もちろん。愛してるわ」
洋榎「……その清々とした態度が胡散臭いねん」
洋榎「なんちゅうか、役者がドラマで臭いセリフ吐くような感じに似てるというか……」
久「つまり、洋榎は私の好きって気持ちが信じられないってこと?」
洋榎「……まあ。大体あっとる」
洋榎「どうしたって信用できん。そもそもウチと久は出会って数ヶ月も経ってないやろ?」
洋榎「そんな出会って間もないヤツに急に言い寄られてもやな……」
久「でもこうやって一緒に寝てくれるくらいには仲良くなれたじゃない」
洋榎「せやけどもやな……」
洋榎「……久、遊んでそうやし」
久「え」
洋榎「こう、星の数ほどの女を手込めにしてそうというか……ウチもその中の一人にされそうというか……」
久「風評被害だわ……」
洋榎「嘘付け!」
久「なんで嘘だと思うのよ……」
洋榎「恋愛経験ない割りには手慣れ過ぎとる。お前みたいな処女がおるか」
久(なかなか鋭い……)
久「た、確かに恋愛経験がないと言えば嘘になるわ」
洋榎「ほれ見ろ」
久「ただ、それは私を好きになっちゃう子の相手をしてるだけであって……」
洋榎「やっぱり遊んどるやんけこのスケコマシ!!」
久「うっ」
洋榎「何をどう勘違いしとるんか説明してみいアホ」
久「私は今まで言い寄られることはあっても、一度も自分から言い寄ったことはないわ」
久「つまり、私が本気で好きになったのは洋榎が初めてなの」
洋榎「なっ」ドキッ
久「こうやって自分からアタックするのも初めて。本当よ?」
洋榎(……た、確かに。恋愛経験はあるけど自分からアプローチすることはなかったから、こんなネジの飛んだことしてくるってのは納得がいくような……)
久「だからこう、言葉の重みはないかもしれないけど、私の好きって気持ちを蔑ろにされるのは……ちょっと悲しいわ」
洋榎「うっ……ご、ごめん」
洋榎「……」
洋榎(ってなんやこの空気……)
洋榎「え、えと、まあなんや。久がウチのこと好きなんは……信じる」
久「ホント? じゃあキスしましょう」
洋榎「なんでやねん! お前はサルか!!」
久「むぅ。洋榎はガードが固いのね……」
洋榎「最初から股開いとるような女どもと一緒にすんなアホ……」
洋榎「……アホ。分かったからはよ寝ろ……」
久「洋榎がぎゅって抱きしめてくれれば、ぐっすり眠れるような気がするんだけど」
洋榎「どんだけ厚かましいねん。一緒の布団で寝てるだけ感謝しろ」
久(一向にデレが来ない……)
久「はぁ。抱きしめてくれないならくっつく」
洋榎「……暑いからやめい」
久「やだ」
洋榎「なんでお前がヘソ曲げんねん……」
洋榎「はぁ……友人としては好きやでー」
久「恋愛対象としては?」
洋榎「……何度も言うようにウチにそういう趣味はないし持つ気もないわ」
久「あらら」
洋榎「……ただ、久とはこれからも良い友人であり続けたいとは思うかな」
久「嬉しいような悲しいような」
洋榎「そこは素直に喜んどき」
久「良い友人とならキスくらい……」
洋榎「放り出すぞ」
洋榎「今度はなんや……」
久「私、ご存知の通り洋榎が好きだから、その、あんまり一緒にいるといつか我慢出来なくなっちゃうと思うの」
洋榎「……己の身を守りたければ突き放せってか?」
久「まあ、つまりはそういうことよね」
久「……私も洋榎と一緒にいたいから自重するようには努めるけど、何かの拍子に爆発しちゃうかもしれないし。だから、その……」
洋榎「……アホ。くだらん心配すな」
久「え?」
洋榎「貞操奪われそうになったらこっちがボコボコにして目覚まさせたる」
久「洋榎……」
洋榎「だから。その……変なこと考えんな。一緒にいたいんやったら好きなだけ一緒におったらええやろ。ウチは絶対に拒んだりせえへんから」
久「……ふふ」
洋榎「な、なんやねん」
久「ありがとう、洋榎。愛してるわ」
洋榎「……だからそういうことゆーなって」
久「ふふ、そうね。私も今日はこれで満足だわ」
洋榎「今日はってなんやねんそれ……明日以降ももう満足せえ」
久「嫌よ。いつか絶対に洋榎とキスしてえっちするんだから」
洋榎「……こんだけ言ってもブレんのやな久は……」
久「待つのは馴れてるから。洋榎が私を受け入れてくれるようになるまでなんて、きっとすぐよ」
洋榎「きっとすぐ、ね……ウチは死ぬまでありえんように思えるわ……」
久「案外触れ合えば一瞬だったりするのよ? 恋に落ちるのって」ギュ
洋榎「……へ?」
洋榎「なっ……!!」
久「ふふ、やっと気付いた?」
洋榎「ひ、久お前っ……!?」
久「手錠の鍵について言及しなかったのが洋榎の最大のミスね」
久「ま、そのことを意識させないためにわざわざ部屋の鍵を開けておいたんだけど」
洋榎「や、やめろ! 離せボケ!!」
久「ふふ、洋榎は私が暴走したら止めてくれるのよね」
久「……止められなかった場合は、どうなるか知らないけど」
洋榎「ッ……!?」ゾクッ
久「ふふ、さっきの洋榎の言葉で爆発しちゃった」
洋榎「ふあっ……!?」
洋榎「や、やめろアホぉ!! 胸触るなぁ!!」
久「柔らかい……良い匂い……あぁ、洋榎、好き、大好き……」サワサワ
久「うなじも、とっても綺麗……」
洋榎「ひぁぁ……!!」ゾクゾク
久「んっ……ふふ、おいしい……」
久「っと」ガシ
洋榎「なっ!?」
久「酷いじゃない、殴ろうとするなんて」
洋榎「このっ……離せ……!!」
久「こんな悪いことしようとする手は……」
久「こうしないとね♪」カチャン
洋榎「!?」
久「さて、左手も頂こうかしら」
洋榎「こ、コイツ……!」
久「ごふ!? お、女の子に向かって本気で膝蹴り入れるなんてぇ……」
洋榎「はぁ、はぁ……! 貞操の危機やぞ!? 必死にもなるわ!!」
久「ごほっ、ごほっ……! うぅっ、いたい……」
洋榎「なっ」
洋榎「す、すまん。大丈夫か久……? さすがに感触良過ぎたと思ったんや……」
久「ごめんなさい……少し手を貸してくれたら嬉しいわ……」
洋榎「こ、こうか?」
久「そう、そんな風に」カチャン
洋榎「……おい」
久「ふふ、騙されやすい洋榎も好きよ?」
久「油断は禁物ってね。あとさっきの膝蹴りは本当に痛かったわ」
洋榎「これ外せやボケ! ご丁寧に後ろ手にかけおって!」
久「正直ここまで上手くいくとは思わなかったわ。洋榎が優しくて本当に良かった」
洋榎「くっ……!」ギリ
久「ふふ、その反抗的な目がたまらない……」
洋榎「ウチに指一本でも触れてみろ! 蹴り飛ばしたるからな!!」
久「蹴られるってことが分かってるなら、足くらい掴めるわよ?」
洋榎「なっ……こ、こっちくんな!!」
久「 むやみやたらに足を振り回したら疲れると思うんだけど…… 」
――――――
洋榎「はぁ、はぁ、はぁ……!」
久「……これで終わりね、洋榎」トンッ
洋榎「きゃっ……」ドサッ
久「呆気ない。どんな高い壁でも、頭と道具を使えばすぐに上れちゃうのね」
洋榎「や、やめろ久……この先はホンマに洒落にならん……今やったらまだ戻れる、だからっ……」
久「戻る、か……」
久「ただ戻っていつまでも前に進めないくらいなら、私はどこまででも前に進んでみたいわ」
洋榎「ひ、さ……」
久「こんなにも誰かを愛おしくなるなんて……こんな気持ち、初めて」
久「顔を近づけてすることなんて一つしかないと思うけど?」スッ
洋榎「や、やめっ……」
久「教えてあげるわ」
久「女同士でも気持ち良くなれるってこと」
洋榎「んっ……!?」
「んぁ、んんっ……」
――――――
「んっ……はぁ、はぁ……ぁ……」
久「……どう? 初めてのキスの感想は」
洋榎「くたばれ……このクソレズ……!」ギリッ
久「……ごめんね。洋榎。本当に、ごめん」
洋榎「……なんでやねん……」
洋榎「謝るくらいやったら……泣くくらいやったら……最初からすんなや!!」
久「……」
久「……」
洋榎「なんで久が辛そうな顔しとんねん……泣くのは普通ウチやろ……ホンマ、意味分からん……」
久「……キスしたときね、すごく切なくなったの」
久「洋榎の唇も体も、今は全部私のものなのに」
久「心だけは手に入らないんだなぁ、って」
洋榎「……なに当たり前のこと言うとんねん、アホ」
洋榎「ウチのもんは全部ウチのもんや。久になんかやらん」
久「ふふ、それでこそ私が好きになった洋榎だわ」
洋榎「……ウチに拒否権なんてないやろ」
久「それもそうね」スッ
洋榎「ん……」
「……んぁ……ん……」
久「……柔らかい」
洋榎「……」
久「ごめんね洋榎。もうすぐ終わるから、あと少しだけ……」
洋榎「……泣くのやめろ。涙が顔にかかって気持ち悪い……」
久「ふふ、こんな時でも口が悪いのね、洋榎は。でも優しい……」
洋榎「やかましい……」
――――――
久「……手錠、外すわね」
洋榎「……あぁ」
久「ありがとうね。なんか、私の我がままに付き合わせちゃって。これ以上は本当に何もしないから」
洋榎「当たり前や。……これ以上しようもんなら大声出して本気で暴れるわ」
久「キスしたときそれをしなかったってことは、少しは期待してもいいのかしら?」
洋榎「自惚れんな、アホ」
久「ふふ、頭と道具で手に入れられるものはむなしいだけね」
洋榎「……んなもん使わんと正々堂々かかってこい」
久「!」
洋榎「殴り飛ばしたるから」
久「ふっ……あはは。キスよりもそっちの方が満たされそうだわ」
洋榎「暑いし窮屈やからくっつくなて……てかこの期に及んで一緒に寝る気なんか……」
久「この期に及んで突き放しもせず逃げ出しもしない洋榎の方がよっぽどだと思うわ」
洋榎「うっ」
洋榎(ぐうの音も出んとはこのことか……)
久「おやすみなさい。今日は最高の一日だったわ」
洋榎「おやすみ。最低の一日やったわ」
久「また明日もよろしくね、洋榎」
――――――
洋榎「ん、んぅ……」
洋榎「ん?」
久「……」スゥスゥ
洋榎(なんで久がここに……あ、そういえば昨日一緒に……)
洋榎「はぁ……。気持ち良さそうに寝て、ずいぶんとええ身分やな」
洋榎「……」
洋榎「……」ナデナデ
久「んぅ……」
洋榎「……」
『―――案外触れ合えば一瞬だったりするのよ? 恋に落ちるのって』
洋榎「……」
久「……」
洋榎「……んなわけあるか、アホ」
終わり
途中で消えまくって保守させて申し訳なかったです
支援ありがとうございました
すばらだった
最高だった
Entry ⇒ 2012.09.12 | Category ⇒ 咲-Saki-SS | Comments (0) | Trackbacks (0)
尭深「今年もたくさん収穫できそう……」
照「これ、おいしそう……」
誠子「勝手にとったら尭深がかわいそうですって」
尭深「……」
照「ごっごめん」
尭深「……もう少しでハーベストタイムなので、その時におすそわけ……」
照「尭深……」ジーン
淡「いいなぁ……」
尭深「淡にも」
淡「やったー! たかみーだーい好きっ!」
誠子「……」
菫「……」
コソコソ……
菫「クソッ! 私も欲しいって言い出せなかったが、本当は欲しかったんだぞ!」
菫「よし、誰もいないな……」
菫「これは……葡萄か」ジュルリ…
菫「よし、これを頂いておこう……」
菫「貰うものを貰ったら撤退だ!」
コソコソ……
誠子「弘世先輩……」
・翌朝
尭深「葡萄が減ってる……」
淡「ホントだ……ひどーいっ!」
尭深「ぐすっ……」
菫「……」
誠子「弘世先輩」
菫「ドキッ!? ……なんだ、亦野か……」
誠子「尭深の葡萄、盗まれたらしいですね」
菫「……ああ、そうらしいな」
誠子「世の中には酷いことをする人もいるもんだ」
菫「あ、ああ……」
誠子「尭深、可愛そうに……。せっかく育てた葡萄を……。泣いてたなぁ」
菫「……」
誠子「先輩知ってますか? 今年台風が来ましたよね?」
菫「あ、ああ、そうだったかな」
誠子「尭深、その時何をしていたと思います?」
菫「さあな。台風だから部屋に閉じこもってコロッケでも食べていたんじゃないか?」
誠子「……葡萄が折れないように、一晩中シートをかけて固定してたんですよ」
菫「!!!」
菫「尭深……」
誠子「そのあとお見舞いに行ったんですけどね。尭深のやつ、笑ってましたよ」
菫「な、なんで?」
誠子「葡萄が無事でよかった……って」
菫「……」
誠子「そんだけです」
ザッザッザ……
菫「……」
菫「たかみ…………」ポロッ……
菫「尭深! すまない!」フカブカー
尭深「?」
菫「実は葡萄、盗んだの私なんだ!」
尭深「!?」
菫「照と淡が葡萄を貰えるって聞いて……羨ましくなって……それでわたしも……グスッ……でも言い出せなくて……」
キュッ
菫「……尭深?」
尭深「ハーベストタイムには、もっと美味しい葡萄をおすそわけします……」
菫「尭深……グスッ……すまない……うわぁぁ――――――――――――んっ!!!!!」
誠子「……やれやれ」
誠子「それにしても弘世先輩にもあんな一面があったんだなぁ……」シミジミ
タッタッタ…
尭深「――まって」
誠子「ん? 尭深?」
尭深「……はぁっ……はぁっ……追いついた……」
誠子「そんなに息を切らして、急用か?」
尭深「そうじゃないけど……お礼を言おうと思って……」
誠子「お礼? 礼を言われることなんてしたっけな?」
尭深「……それでもいい。ありがとう……」ペコリ
誠子「……やれやれ、礼を受け取っておけばいいんだな?」
尭深「うん……それに、ハーベストタイムも……」
誠子「ハーベストタイム? それって俺にも……」
尭深「うん、楽しみにしていて……」
誠子「それは確かに……楽しみ、だな!」
淡「おいしそーっ! 見てみてテル! これ! たかみーこれもいい?」
尭深「…」コクッ
照「じゃあ私はこの高いのを……っと」
菫「危ないぞ、私が取ってやる」
照「おっと、すまないな」
菫「尭深! このへんは全部収穫か?」
尭深「……うん、食べごろ」
誠子「美味しいぶどう酒ができそうだなぁ……」
尭深「だめ……」
誠子「……じゃあ葡萄ジュースで」
尭深「それなら、いい……」
尭深「私も手伝うから、みんなで一緒に食べよう……」
カンッ!
亦野さんかっけえ
Entry ⇒ 2012.09.12 | Category ⇒ 咲-Saki-SS | Comments (0) | Trackbacks (0)
京太郎「『全国麻雀大会身体検査のスタッフを募集中』……?」
京太郎「(牌の持ち込み等の不正防止のためには必要なんだろうけど……)」
京太郎「(バイト代は……安っ! でも大会の裏側ってちょっと興味あるな)」
京太郎「(よし、応募してみるか)」
「あ、ありがとうございましたっ////」
京太郎「ふぅ……、身体検査も楽じゃないなぁ……」
京太郎「次の人どうぞ~」
咲「お、お願いします………って、え?」
京太郎「おお、次は咲だったか」
咲「きょ、京ちゃん!? どうしてここに!?」
京太郎「どうしてって……身体検査のスタッフだよ」
咲「そ、そんな冷静に……」
咲「もしかして……(京ちゃんに裸見られちゃうのぉ!?)」
京太郎「それじゃあ咲」
京太郎「服、脱ごうか」
咲「 」
京太郎「うん、異常なし。 もう行っていいぞ」
咲「あ……ありがとうございました……////」
京太郎「……咲の奴、随分息荒かったな。 緊張してたのかな?」
京太郎「まぁいいや。 次の人、どうぞ~」
和「お願いします……って須賀くん!?」
京太郎「咲がいるだもん、和もいるか。 やぁ」
和「そ……そんな……どうして…///」
京太郎「スタッフのバイトだよ。 それよりほらここ座って」
和「で……でも私……男の人に裸なんて……初めてで……///」
京太郎「そうかぁ……それじゃぁ」
京太郎「和の初体験は俺が貰っちゃおうか」
和「 」
和「……うぅ……///」
京太郎「どうかしたか? 診た限りじゃ至って健康極まりない綺麗な体だったけど……」
和「っ、!? は、恥ずかしいこと言わないでください……////」
京太郎「……また胸でかくなってる気がするなぁ。 ホント、可能性は無限大だぜ」
京太郎「次の人どうぞ~」
優希「へい! よろしく頼むじぇ!……おおっ!?」
京太郎「おっす。 相変わらず元気だなお前は」
優希「京太郎……私に会いたくてこんなトコロにまで……」
京太郎「はーい、腕伸ばしましょうねー」
優希「コラァ! レディに向かって何たる扱い!」
京太郎「漫才してる暇は無いんだよ。 ほらさっさとするぞ」
京太郎「夫婦漫才ならいつでもしてやるから」
優希「……えっ!?」
優希「……あぅ……///」
京太郎「?」
京太郎「……検査中は随分しおらしかったな……。優希も人並みの恥じらいはあるってことか」
京太郎「次の人どうぞ~」
久「よろしくおねがいしまーす……ってあらま」
京太郎「部長。 その節はどうも」
久「……須賀くん……。 いくら健全な高校生だからと言ってこんな所にまで……」
京太郎「人を犯罪予備軍みたいに言わないでくださいよ」
久「どうせバイトでしょうけど……。 ふふ、私の体に見蕩れても知らないわよ?」
京太郎「そりゃあ、難しいなぁ」
久「えっ?」
京太郎「だって部長、俺好みなスタイルなんですもん」
久「 」
久「……須賀くんって意外と……」
京太郎「えっ?」
久「……いや、なんでもないわ……ええ、なんでもないもの……」
京太郎「……部長がモゴモゴしてるなんて珍しい。なにかあったのかな?
京太郎「……まあいいや、次の人どうぞ~」
まこ「おう、頼むわ…………ぁあああ!?」
京太郎「まこ先輩っ、声大きいですよっ」
まこ「わ、わりゃぁ……なにしとんじゃ……ああぁ…///」
京太郎「見ての通り、身体検査係員ですけど」
まこ「い、いけしゃあしゃあと……」
京太郎「ほら、時間もありませんし」
京太郎「まこ先輩の体、俺に見せてください」
まこ「うぇえええええ!?」
まこ「お……おおぅ……おうおうおう……」
京太郎「先輩、そっちは入り口です」
京太郎「目が定かじゃなかったな……。 一応先生呼んどくか」
京太郎「さてと。 少し休憩するか」
____________________________
____________________________
咲「きょ……京ちゃんに……見られちゃった……////」
和「……もう、お嫁に行けません……////」
優希「……夫婦……私と……アイツが……///」
久「……なんか随分と呆けてるわねぇ……。 あら、まこ。 お帰り……」
まこ「ぶ、ぶぶ、部長ぉ……いい、今帰ったわ……あわわわ……」
久「………」
久「……こりゃぁ、面白くなってきたわね……!」
『龍門渕高校の生徒は、速やかに身体検査場に集まってください』
純「おーい、オレらの番だぞー」
透華「やっとですね……。待ちくたびれるかと思いましたわ!」
一「ここに来て15分も経ってないよ。 全く、透華は短期なんだから…」
純「おめーら忘れもんは無いかー?」
智紀「……」コクコク
一「まるでお父さん見たいだね、ジュンくん」
純「うるせーオレは女だよ」
純「……って、衣の奴は?」
透華「もう先に行きましたわよ?」
純「……」
一「身体検査なんて衣には初めてだろうしね、待ちきれなかったんでしょ」
透華「衣のことですから心配ないでしょう……。 それじゃあ行きましょう?」
智紀「……」コク
テテテ
ピョン
衣「衣だ! 気楽に頼むぞ!」
京太郎「おお、龍門渕の。……何故俺の膝の上に?」
衣「わからん! ……だが差し支えなければこのままで頼みたい」
京太郎「……」
京太郎「まあいいか」
衣「~♪」
衣「むっ。 人を見附で判断するのは好かんぞ。 こう見えても衣はおとななのだ!」
京太郎「……」
衣「なんだ? 衣の顔に何かついてるか?」
京太郎「……いや、なんでもないです。 それじゃあ服を脱いでください」
衣「うむ、頼んだ」バッ
京太郎「……?なぜ万歳を?」
衣「ん? 万歳は脱がせやすくする為にするものだとハギヨシから聞いたぞ?」
京太郎「あ、俺が脱がすのか。 んじゃ、失礼しますね」
衣「んっ……。 どうだっ?」
京太郎「ええ、とても脱がせ易かったです。 ありがとうございました」
衣「えへへ。 衣、偉いか?」
京太郎「偉い偉い」ナデナデ
衣「ふぁっ……」
衣「……えへへー////」
衣「はーい! ありがとうきょーたろー!」バイバイ
京太郎「またねー」バイバイ
京太郎「……やっぱどう見ても年上には見えねえなぁ」
京太郎「撫でられると喜ぶ所とか歳相応だと思うし……」
京太郎「……世の中広いんだな……」
衣「とーかー」テテテ
透華「おかえりなさい、衣。 ちゃんと検査は受けられましたか?」
衣「うん! とっても優しく、暖かかった!」
透華「ふふ、そうですか。 ……うん?」
衣「えへへ……///」
純「失礼するぜー」
京太郎「おー、おっきいなぁ」
純「うっ……結構気にしてんだよそれ……」
京太郎「ああ、すいませんでした。それじゃ衣服はそこに置いてくださいね」
純「おうっ」
京太郎「……はい、いいですよ。異常はどこにもありません」
京太郎「至って健康な体です」
純「おう、サンキュッ」
京太郎「とてもスレンダーで綺麗な体ですね」
純「うええっ!?」
京太郎「……まあ、これは個人的な意見ですけどね」
純「あ……、ああ……」ドキドキ
一「おかえり。…? ちょっと顔が赤いよ? 熱でもあるの?」
純「い、いや。 別にどこも異常はなかったよ……」
純「無かったんだけど……」
一「?」
純「(……男に裸見せるなんて全然気にならないことだと思ってたのに……)」
純「(今思うとむちゃくちゃハズい……!!)」ドキドキ
純「ぅうあああああああああ!!」
透華「ど、どうしたのでしょう……?」
智紀「」オロオロ
京太郎「ホント、世界は広いなぁ」
京太郎「……次の人どうぞ~」
智紀「おねがいします……」ペコリ
京太郎「はい、衣服はこちらにおねがいしますね」
智紀「はい……」
京太郎「……」
智紀「……ん……」ヌギヌギ
京太郎「……」
智紀「……っしょ」
ブルンッ
京太郎「!?」
智紀「……」
京太郎「………」ジー
智紀「……あの…」
京太郎「……………」ジー
智紀「そんなに……見つめられると……」
京太郎「………………」ジー
智紀「……////」
京太郎「……あ、これでおしまいです。 出口はそちらです」
智紀「あ……ありがとうございました……」ペコリ
京太郎「いえいえ。こちらこそ、どうも」
智紀「ぁぅ……////」
智紀「えっと………」
智紀「(………)」
~~~~~~~~
京太郎「……」ジー
智紀「……////」
~~~~~~~~
智紀「っ! ////」フルフル
一「……? よ、よくわかんないけど大丈夫そうだね……」
智紀「はぃ………////」
京太郎「ふぅ……」
京太郎「…………世界は広い」
京太郎「………故に可能性は無限だ」
京太郎「我々はそれを只々暖かく見守ろうと思う」
一「珍しい呼ばれ方されたよ……、よろしく」
京太郎「はい、こちらこそ。 衣服はそちらに……」
一「……?」
京太郎「……」ジー
一「な、なにさ……」
京太郎「……あー」
京太郎「このままでいいか」
一「!?」
透華「は、はじめ!? 一体どうしたのですか!? まさか命に関わる病気でも……!」
一「そ、それは無かったけど………無かったけどぉ……!」
透華「では一体…?」
一「………うぅ……///」
透華「……?」
一「うきゃぁあああ! ////」ダッ
透華「は、はじめェ!?」
一「男の人って……! 男の人って……! ////」
一「う……うわああああああ/////」
京太郎「……」
京太郎「むしろよく今まで恥ずかしいと思わなかったもんだな……」
一『ちょっと! 脱がなくていいってどういうことさ!』
京太郎『? いや、だって……その服……』
一『…? この服がどこか変かい?』
京太郎『……ちょっとこちらに近づいて貰えますか?』
一『……?』
京太郎『……いやね? ちょうど俺からの目線だと』
京太郎『見えてるんですよ、ポッチ』
一『……』
京太郎『……』
一『……』
一『 あ!! 』
京太郎『はい』
この世界の異常に気づいたら消されるぞ
京太郎「…次の人どうぞ~」
透華「よ、よろしくお願いしますわ」
京太郎「はい。 脱いだ衣服はそちらに置いてくださいね」
透華「……」モジモジ
京太郎「……どうかされましたか?」
透華「…わたくし、生まれてこの方異性に裸を見せる経験が浅くて……」
透華「少々……恥ずかしいですの……////」
透華「ですから、至らぬ点があるかもしれません……」
京太郎「……おぉ」
透華「その……ですので……」
透華「不束者ですが……よろしくお願いします……わ……////」
京太郎「……」
京太郎「(……え?)」
京太郎「その……ただの身体検査なわけなんだし……」
透華「あ……そ、そうですわね! わたくしったら……全く……!」
京太郎「は、ははっ……」
透華「ほ、ほほほっ……」
「…………」
「…………」
京太郎「……それじゃあ」
透華「!」ビクッ
京太郎「脱がせますね?」
透華「……」
透華「はい……////」
透華「あ、ありがとうございました……」
京太郎「……」
透華「……そ、それでは…」
京太郎「 龍門渕さん 」
透華「っ、……なんですの?」
京太郎「とてもお綺麗なお体でした」
透華「 」
京太郎「出る所は出て、引っ込むところは引っ込む。 全くのムダのないパフォーム」
京太郎「その指一本一本まで丁寧に磨き上げられたかのようで、肌の肌理細やかさも素晴らしい」
京太郎「まさしく、『透き通るような華やかさ』がありました」
透華「 」
京太郎「……」
京太郎「……お大事に……」
京太郎「……休憩するか」
_____________
_____________
透華「 」
ハギヨシ「お疲れ様ですお嬢様。 検査の結果はどうでしたか?」
透華「 」
ハギヨシ「……透華お嬢様?」
純「うおおおおお!! オレってやつはぁあああ!!」
智紀「ぅぅ…………////」
一「皆……皆今まで僕のこと……そんな目で……!」
ハギヨシ「こ……これは一体……!?」
衣「また検査したいなぁ~……。 そしたらまた、撫でてくれるかな……」
ハギヨシ「……どうやら原因は検査にあるようですね……ならば」
ハギヨシ「 私も受けるべきですね 」
-カンッ!-
その嶺上牌取る必要なし!
上がったらどっかの高校書く
希望があるならどうぞ
京太郎「大丈夫ですよ、脱いでる間は俺が温めますから」
『永水女子高校の生徒は、速やかに身体検査場に集まってください』
霞「あら、私達の番ね」
巴「身体検査なんて久しぶりね~」
初美「きっと今年は大きくなってる!! ……気がします……」
春「……無駄な足掻き……」
初美「うわー!! なんでそういうこと言うんですかー!!」
小蒔「ま、まあまあ、そのくらいにして……。 そろそろ行きましょう?」
初美「うっ……、はーい……」
霞「ところで小蒔ちゃん、前より大きくなってるわよね?」
小蒔「あう……。 で、でも霞ちゃんほどじゃないし……」
霞「大丈夫、まだまだ大きくなるわよっ。 きっと」
初美「……泣きたいです……」
巴「……今は同情するわ……」
京太郎「わざわざ遠いところから来たんだ、しっかり検査しないとな」
京太郎「……最初の人どうぞ~」
初美「よろしくおねがいしま~す」
京太郎「 」
初美「? どうかしましたか~?」
京太郎「…あ、いや。 随分露出の多い巫女服だな、っと」
初美「あー、係員さんエッチですね~! 私の体に見とれちゃいましたか~?」
京太郎「(誰でもそう思うと思うけど……ここは無難に……)」
京太郎「ははっ。 まぁ、そういうことで」
初美「えっ……えええええっ!?」
京太郎「…えっ?」
京太郎「え? あ、はい……。とっても可愛いと思いますよ?」
初美「……そ、そんなっ! そんなこと言われたの……生まれて初めてぇ……////」
京太郎「(……もしかして、選択間違えた?)」
初美「うわぁ! うわぁ! どうしよう! すっごい嬉しいです……////」
京太郎「そ……それじゃあ、始めましょうか、検査」
初美「あっ! そ、そうでしたっ!」
初美「(生まれて初めて私に可愛いって言ってくれた……)」
初美「(この人になら……全部……)」
初美「それじゃ……私の全てを見てください!! ///」バッ
京太郎「うおっ!? 下まで脱がなくていいんですよ!!?」
初美「あ、ありがとうございましたー! とっても嬉しかったですよー!」
京太郎「は……はは……」
巴「おかえりハッちゃん。 どうだった?」
初美「えへ……えへへー……/// 知りたいですかー!? 知りたいですかー!?」
巴「あ、ごめん。 やっぱいいです」
初美「えへへ……可愛いって……可愛いってー!! キャー!!」
春「……どうしたんでしょう」
巴「……さぁ?」
京太郎「外見を見て一瞬デジャヴかなと思ったらそんなことなかった」
京太郎「もっと恐ろしい、3年生とは思えないあの言動と行動……」
京太郎「世界って……広い……」
京太郎「……つ、次の人どうぞ~」
春「よろしくおねがいします」
京太郎「こちらこそ。 脱いだ衣服はこちらにお願いします」
春「はい」
京太郎「(良かった……普通っぽい人だ)」
京太郎「……」
春「……」ゴソゴソ
京太郎「……」
春「……」ポリポリ
京太郎「すいません、その黒糖も置いてください」
春「 」ポロッ
春「……ありがとうございました」
京太郎「どういたしまして。 出口はそちらになります」
春「……」 つ【黒糖】
京太郎「あ、貰っていいんですか?」
春「……」コクリ
京太郎「いただきます。 ……あ、美味い」
春「……」ニコリ
春「……バイバイ」
初美「おかえりはるる! どうだったですかー?」
春「特には……」
春「……ふふっ」
巴「! 春が笑ってる…!」
初美「お……おっぱい大きくなったのかな……?」
京太郎「……美味いなこれ」ポリポリ
京太郎「次の人どうぞ~」
巴「し、失礼しまーす……」
京太郎「強張らずに、そこにどうぞ」
巴「は、はい……。 うぅ……緊張する……」
京太郎「リラックス、リラックス」
巴「あ、メガネ外したほうがいいですか!?」
京太郎「……」ははっ」
京太郎「(すっごいマトモな人だ!)」
京太郎「(良かった! 本当に良かった!)」
巴「あ……ありがとうございました……」
京太郎「……まだ緊張してたんすか……」
巴「な、慣れないことだもの……しょうが無いでしょっ。男の子に裸見せるなんて……」
巴「(しかもこの子結構好みだし……!)」
小蒔「あ、おかえりなさい巴さん」
霞「悪いところは見つからなかった?」
巴「特にはありませんでしたよ。 ……ただ……」
巴「(私好みってことは……この二人の好みでもあるのよねぇ……)」
巴「……無事を祈るわ…」
小蒔・霞「?」
京太郎「っ、……なんだ? 寒気が……」
京太郎「まぁいいや……。 残り二人っ」
「あ、失礼します……」
タプンッ
京太郎「おもち!!」
小蒔「ふえ!?」
京太郎「……すいません、少し取り乱しました」
小蒔「い、いえ。 気にしないでください……こちらこそ驚いちゃって……」
京太郎「いえいえ、こっちこそ急に叫んだりして……」
小蒔「そんな…、私こそへんな声出しちゃって……」
京太郎「……」
小蒔「……」
京太郎「(……埒があかない)」
小蒔「あ、あのぅ……それなんですが……」
京太郎「はい?」
小蒔「私の巫女服……どうも着付けが悪かったのか中々胸元が開けなくて……」
小蒔「できれば……手伝ってくれませんか?」
京太郎「oh...」
京太郎「ここですか?」
小蒔「は、はい……。 力一杯開いてください……」
京太郎「……」
京太郎「(巫女さんの胸襟に両手突っ込んで広げようとする俺)」
京太郎「(傍から見たらどんなもんだろうか……)」
グイッ
小蒔「んあんっ!」
京太郎「あ! どこか痛かったですか!?」
小蒔「だ……大丈夫です……ですから…」
小蒔「もっと……強く……お願いします……」ハァハァ
京太郎「わ……わかりましたっ」
グイッ
小蒔「ふぁんっ! んあああっ!」
小蒔「そ……そうですっ……もう少しで……」ハァハァ
小蒔「イヤンッ……はあんっ!……そこっ……いいですぅ……!」ハァハァ
京太郎「………」
京太郎「(なんでこの人息荒いの)」
京太郎「あ……開いて来ましたか…!?」
小蒔「はいっ! ……だからもっと強くお願いしますぅ……!」ギュム
京太郎「んぐっ……!」
京太郎「(抱きつかれた? え、なんだこの感触、スゲェ)」ムギュムギュ
小蒔「ふぁあ! そんなにしたら……ああっ……あああああ!!」
ギチギチ ギチッ!
小蒔「イっちゃいますぅううううううう!!!」
ドプルンッ
「その時見えたのは今でも鮮明に覚えている」
「人間にあるはずのない、『何か』が」
「俺の目の前で、神代さんの前で」
「これでもかというほど」
「 暴れていた 」
小蒔「あ…気付かれましたか?」
京太郎「俺は……。 あ、そうだ! 胸元!」
小蒔「安心してください! 京太郎さんのお陰で……ほらっ」
ドプルンッ
小蒔「ね?」
京太郎「うわ、強烈」
巴「霞さん……。 今、姫様が……」
霞「ええ……一瞬だけど、『寝た』みたいね……」
初美「中でいったい何が……」
春「……」ゴクリ....
小蒔「は……はい。 ありがとう……ございました……////」スッ
小蒔「……あの、京太郎さん!」
京太郎「は、はい?」
小蒔「……今日あったこと、私絶対に忘れません……っ///」
京太郎「……」
小蒔「……で、ではっ」トテテ
小蒔「か、霞ちゃん!」
霞「あらあら、はしゃいじゃって。 なにかイイコトでもあったの?」
小蒔「はい! 私、絶対忘れません!」
小蒔「えへ……えへへ……////」
巴「……一応お祓いしましょうか」
初美「そうですね。 なんか乗り移ってそうですし」
京太郎「……」
京太郎「そうだ、トイレ行こう。」
京太郎「……ふぅ。 次で最後だ」
京太郎「次の人どうぞ~」
霞「は~い」
ドドタプンッ
京太郎「 」
京太郎「 」
京太郎「 」
京太郎「嘘だろおい」
霞「(この子……私のドストライクだわ……)」
霞「ふふっ……」
霞「(得意分野、いかせてもらおうかしら)」
霞「係員さん? 巫女服、脱いでもよろしいですか?」
京太郎「えっ。 あ、ああ。 どうぞどうぞ……お願いしますっ」
霞「(わたわたしちゃってる……可愛いっ)」
霞「んっ……んんっ…」ググッ...
霞「ふぅっ」グイッ
※効果音はイメージにお任せします
京太郎「あ……ああ……」
霞「さて……係員さん……」
霞「しっかり検査、してくださいね?」
霞「ふふ……うふふふ……」ツヤツヤ
京太郎「お、お疲れ様でした……お出口はそちらからです……」
霞「ありがとうございましたっ。 ……とっても有意義でしたわ……ふふっ」
京太郎「(検査に有意義もなにも無いと思うけど……)」
霞「ああ、そうでした。 係員さん」
京太郎「は、はい」
霞「私達永水女子の巫女は皆伝統ある決まりごとを守ってまして」
霞「その決まりの1つにこんなものがあるんです」
「異性に裸を見せた場合、その者を生涯の伴侶としなければならない」
京太郎「 」
京太郎「え?」
霞「ふふふ……それは周りを見ても言えるかしら?」
京太郎「え……、うわっ」
初美「えへへー……京太郎さーん、一生一緒ですよー」
春「毎日黒糖、食べさせてあげる……」
巴「ま、まあ? 決まりごとだもの、しょうが無いじゃない?」
小蒔「私、将来の夢はいいお嫁さんになって旦那様の側にいることなんです……///」
小蒔「今、ようやくその夢が叶うと思うと……嬉しくて嬉しくて……////」
京太郎「……」
霞「……そういうわけで、がんばってね?」
「 私達の旦那様っ 」
-カンッ!-
それじゃあ寝る。おやすみ
読んでくれてありがとう
スレ立てするか、似たようなスレあったら乗っ取るか
改めて、支援してくれてありがとう
おうおつかれ
Entry ⇒ 2012.09.11 | Category ⇒ 咲-Saki-SS | Comments (0) | Trackbacks (0)
咲「お、お風呂? 一緒に!?」 照「……」コクッ
父「給湯器が壊れたみたいで、お湯の温度が保てないんだ。だから温かいうちに…」
咲「あっ、だからお父さんとお母さんも一緒に……」
父「そういう事だ。今日はかなり汗かいたから、入らないのは無理だろ? だからパパっと二人一緒に入っちゃってくれ。」
咲「い、一緒に…」
照「……」グイッ
咲「!」
咲「お、お姉ちゃん!? (引っ張られて…)」ズルズル
照「……」クルッ
咲「ほ、本当に一緒に入るの……?」アセアセ
照「……」コクッ
咲「なっ……」
照「……」ズルズル
咲「……」ズルズル
咲(全国大会が終わって、夏休み中は長野にずっといるって言って、一緒に住むようになって……)
咲(最初はやっぱり色々照れ臭くて、それでも徐々に慣れて来たんだけど……)
咲(さすがにお風呂一緒は恥ずかしいよぉ……)アセアセ
咲(脱衣所まで来ちゃったけど……)
照「……」スーッ
咲「! (お、お姉ちゃん、普通に脱ぎ始めちゃったよぉ!)アセアセ
咲「お、お姉ちゃん!」
照「……」クルッ
咲「ほ、本当に一緒に入るの?」
照「……」
咲「……」ドキドキ
照「……一緒にお風呂に入った事なんか、数え切れない程あるでしょ」
咲「! ま、まぁ、そうだけどさ……それは小さい頃だから……」ドキドキ
照「……何年経っても、姉妹は姉妹。恥ずかしがるような相手じゃない」
咲「そ、そうだけどさぁ……」
照「……」スーッ
咲(あぁ……どんどん脱いでくよぉ……)アセアセ
咲(お姉ちゃんの方が見られないよぉ……)アセアセ
ガラガラガラ
照「先に入ってるから」
咲「? 咲に牌っ照?」
照「……」
照「……私が先にお風呂に入るから」
咲「あ、そ、そういう事か……(私ってば、まだ全国大会の事で頭の中が……)……う、うん!」
ガラガラガラ ピシャッ
咲「……」
咲(ど、どうしよう……私も脱いで、入るべきなのかな……)
咲「……」
咲(スリガラス越しに、髪洗ってるのが見える)
咲(とりあえず、お姉ちゃんが体まで洗い終わって湯船に入るのを待った方が良いよね)
ワシャワシャ
咲「……」
シャーッ
咲(リンスを流したみたいだね)
咲(これで体を洗ったら、とりあえず湯船に入るだろうから……)
照「咲」
咲「!」
照「咲」
咲「ど、どうしたの?」アセアセ
照「早く」
照「それじゃあ遅い」
咲「お、遅い?」
照「背中を流して欲しい」
咲「!」
照「早く」
咲「え、そ、そんな……」アセアセアセアセ
照「給湯器がいつまで持つかもわからない」
咲「そ、そうだけど……」
照「体を洗い合って、一緒に流してしまった方が効率的」
咲「!」
照「早く」
咲「う、うん……(ど、どうしよう……)」アセアセ
咲(とりあえず……脱いだけど……)
照「早く」
咲「!」
咲「う、うん」
咲(お姉ちゃんが先にタオル持って入ったみたいだから……)
咲(温泉とかみたいに隠す事も出来ないよぉ……)アセアセ
照「咲」
咲「!」
咲「う、うん。今行くよ」
咲「……」ゴクッ
咲(……し、姉妹だもんね。は、恥ずかしがるのがおかしいんだよね)
ガラガラガラ
照「……」
咲「……」カァッ
咲(さ、さすがに思いっ切り見ちゃうと照れるよ……)アセアセ
咲(お姉ちゃん、脱ぐとこんなにスラッとしてるんだ……)
咲(胸は……やっぱり血は争えないね……)
照「……」
照「これで」スッ
咲「う、うん」カシッ
照「背中、お願い」
咲「う、うん」
咲「う、うん」
照「……」
咲(お、お姉ちゃんの……背中……)
咲「じゃあ、いくよ」スッ
照「……」
咲「……」ゴシゴシ
照「……」
咲「……」ゴシゴシ
照「……」
咲(なんか……)ゴシゴシ
照「……」
照「……」
咲(あれだけ遠くて……)ゴシゴシ
照「……」
咲「大きな存在だった……お姉ちゃんの……)ゴシゴシ
照「……」
咲(背中が……)ゴシゴシ
照「……」
咲(いざ目の前にしてみると……)ゴシゴシ
照「……」
咲(こんなに小さいなんて……)ゴシゴシ
照「……」
咲(なんか、可愛いな)ゴシゴシ
照「……」
咲「お姉ちゃんさ」ゴシゴシ
照「!」
照「な、なんだ」
咲「……」ゴシゴシ
照「……?」
咲「……なんでもないよ。えへへ」ゴシゴシ
照「……無駄な口を利かせないで」
咲「姉妹なんだから良いじゃん」ニコニコ
照「……」
照「……」コクッ
咲「じゃあ、次はお姉ちゃんが私の背中を洗ってくれる番だね」スッ
照「あ、あぁ」
咲「よ……っと」ストッ
咲「じゃあ、お願いね」
照「……」スッ
咲「……」
照「……」ゴシゴシ
咲「今日は私もいっぱい汗かいちゃったよぉー」
照「……」ゴシゴシ
咲「……」
照「……」ゴシゴシ
咲「……お姉ちゃんってさ」
照「!」ゴシゴシ
照「……な、なに」ゴシゴシ
咲「意外と、小さいんだね。えへへ」
照「!」ゴシゴシ
咲「……とか言って、気を悪くしないでね」
咲「背比べしてたのなんか、もうずっと昔の事だからさ」
照「……!」ゴシゴシ
咲「お姉ちゃんは私よりずっと大きいっていうイメージのままで……」
照「……」ゴシゴシ
咲「色々あって……そのままそのイメージがどんどん大きくなってたんだけど……」
照「……」ゴシゴシ
咲「今、背中流してみてら、意外と小さくてさ」
照「……」ゴシゴシ
咲「なんか可愛いなって。えへへ」
照「!」
咲「とか言って、ごめんね」
照「……」ゴシゴシ
咲「妹が姉に小さくて可愛いなんて言っちゃダメだよね」ポリポリ
照「……」ゴシゴシ
咲「……」
照「……さ、咲は」ゴシゴシ
咲「! うん?」
照「その……」ゴシゴシ
咲「うん?」
照「いつの間にか……こんなに大きくなってたんだ」ゴシゴシ
咲「うん! 私ももう高校生だからね」ニコッ
咲「……」
照「……終わった」ピタッ
咲「お、ありがとう」
ノドカッ ノドカッ ノドカッ
咲・照「「!」」
咲「給湯機が変な音出してるねぇ」
照「……多分もう、あのラインまで溜まってる湯しか出ない」
咲「そっかぁ。結構少ないね……」
照「だから、他の箇所も洗って、全部一緒に流した方が良い」
咲「そうだね」
照「じゃあ私から…」
咲「じゃあ他の所も、洗い合いっこしよっか」ニコッ
照「!」
咲「?」
照「なにを……」アセアセ
咲「いや、その、変な意味じゃないよ? (あれ……ちょっと甘えたかっただけなんだけど……変な誤解されちゃったかな……)」アセアセ
照「じゃあどういう……」
咲「いや、その、だから……」
照「……」
咲「ほ、他の所もお互いに洗い合いっこするっていう……」
照「……」
咲「あ、あれ……そのまんまだね……(私、うっかり変な提案しちゃってたんだ……)」
照「……」
咲「ご、ごめん。なんでもないよぉ」アセアセ
照「……」
照「……とりあえず、もう一回座って」
咲「す、座ったよ?」
照「……もう少し、前に」
咲「前に? 浅くって事?」
照「このバスチェアー大きいから、背中合わせで二人で座れる」
咲「! あ、そういう事かぁ」
咲「……」ススッ
咲「これで良いかな?」
照「……」コクッ
照「……」ストン
咲・照「「……」」背中ピトッ
咲・照「「……」」カァッ
咲「そ、そうだね」ドキドキ
照「……」クシュクシュ アワアワ
咲「……」クシュクシュ アワアワ
照「……」ゴシゴシ
咲「……」ゴシゴシ
照「……」
咲(お互いに……見てる方は真逆だけど……)
照「……」
咲(生身の背中全体が触れ合ってるってなんか、緊張するなぁ)ドキドキ
照「……」
咲「!」
照「……」
咲(背中越しに、お姉ちゃんの鼓動も伝わってくる……)
照「……」ゴシゴシ
咲「なんか嬉しいよ」
照「!」
照「嬉しい?」
咲「うん」コクッ
照「なにが……」
咲「こうやって、小さい頃みたいに出来てさ」
照「!」
咲「あのさ」
照「う、うん?」
咲「なんで全国大会で、お姉ちゃんの高校の大将さんに勝てたかって言うとね」
照「……」
照「……」
咲「そのー……」
照「……」
咲「清澄のみんなの応援があったからなんだよ」
照「そう」
咲「うん」
照「良いチームメイトに恵まれたな」
咲「うん!」
照「……」ゴシゴシ
咲「……」ゴシゴシ
咲(……っていうのは大前提で)
咲(本当はなにより……あの試合に勝てば……)
咲(なんか……小さい頃みたいに戻れる気がしたからなんだよね)
照「……」
咲(来てからもすごくぎこちなかったけど……)
照「……」
咲「ふぅー」
照「……」
咲「ねぇ、お姉ちゃん (やっと……)」
照「……?」
咲「なんでもないよ。えへへ (やっと、大きな大きな枷が取れた気がするよぉ)」
照「……」ツネッ
咲「痛っ」
照「……こっちも」
咲「じゃあ流そっか」
照「……」
照「いや、髪も洗ってしまった方が良い」
咲「髪も?」
照「咲はまだ洗ってないだろ」
咲「まぁそうだけどぉ……」
照「多分思ってる以上に残りの湯は少ない。これで体を流すのに使って、髪を洗う分が無くなったら困るだろ」
咲「それもそうだね。……じゃあお姉ちゃんだけでも流して、先に湯船に…」
照「それじゃ意味無いだろ」
咲「そ、そうだけど……なんか待ってて貰うのが……」
照「私が洗う」
咲「え?」
照「……」コクッ
咲「な、なんか悪いよぉ」アセアセ
照「ショートだから、パパッと終わらせる」
咲「そ、そっかぁ」
照「……」シャンプー プシュッ
照「……」クチュクチュ
照「……」ペタッ
咲「……」
照「……」ワシャワシャ
咲「……」
照「……」ワシャワシャ
咲(な、なんか……これはこれで……すごく照れるなぁ……)カァッ
咲「……」テレテレ
照「……」ワシャワシャ
咲「……」テレテレ
照「……」右腕シューーー
咲「!?」
照「……」右腕シューー
咲「お、お姉ちゃん!?」
照「……」コークスクリュー洗髪 ワシャワシャワシャワシャ
咲「お、お姉ちゃん!!」
咲「お姉ちゃん痛いよぉ!」オロオロ
照「この方が効率が良い」ワシャワシャワシャワシャ
咲「い、痛いってばぁ!」オロオロ
照「……そうか」ピタッ
咲「もう!」クルッ
照「……」
咲「……」ジトーッ
照「……」
咲「……」プクーッ
照「……ぷっ」
咲「!」
照「ぷはっ……あっはははは」
咲「!!」
照「あっはは」
咲「もう~」
照「……ふぅ」
咲「でも、良かった」
照「よ、良かった?」
咲「お姉ちゃん、人変わっちゃったのかと思ってたよ」
照「!」
照「……!」カァッ
照「そ、それは……た、ただの……よ、よくある思春期の変化であってゴニョゴニョ」アセアセ
咲「ふぅん」ジトーッ
照「……」アセアセ
咲「でも、なんか、やっとしっかり言える気がするよ」
照「しっかり言える……?」
照「……?」
咲「……」スッ
照「……?」
ギュッ
咲「お姉ちゃん、おかえり」ギューッ
照「!」
咲「……ずっと待ってたんだよ」グスッ
照「……!」
咲「……」ギューッ
照「……」
照「ただいま」ポンポン
咲「……!」
すばらしい
パッ
咲・照「「……」」カァッ
咲(よ、よく考えてみたら、なにしてるんだろう私達……)ドキドキ
照「……」ドキドキ
咲(は、裸で抱き合うなんて……)ドキドキ
照「……」ドキドキ
咲(お姉ちゃんも顔真っ赤になってるし)
照「……」ドキドキ
咲(とりあえず……)
咲「……」クルッ
咲「お、お姉ちゃん、洗髪の続きだよぉ!」
照「! あ、あぁ」
咲「さっきの奥義的なのはダメだよ」
照「わ、わかってる」
咲「……」
照「……」ワシャワシャ
咲「あ、あのさ」
照「な、なに」ワシャワシャ
咲「一つ思ったんだけどさ」
照「あぁ」ワシャワシャ
咲「お湯、給湯器の中のが無くなっても、洗面器あるんだから湯船の使えば良いんだよね」
照「」
咲「それともう一つ」
照「……な、なに」
咲「さっき、あの距離まで体を近づけ合ったのに、お互いに胸が当たらないってすごく深刻だよね……」
照「……」
終
おつおつ
Entry ⇒ 2012.09.09 | Category ⇒ 咲-Saki-SS | Comments (0) | Trackbacks (0)
智美 「ワハハ、今日も笑顔でみんなを元気にするぞ」
怜 「コホッ……」
竜華 「怜、大丈夫か? 膝枕する?」
怜 「すまんな、竜華。そうさせてもらうわ」 ポフッ
竜華 「ええって、無理したらアカンよ?」 ナデナデ
怜 「……」
竜華 「怜は体が少し弱いんやから」
怜 「ウチがもっと元気なら、みんなに迷惑かけへんのに……」
智美 「ワハハ」
怜 「お? なんか急に元気湧いてきたわ」 スクッ
竜華 「え?」
――三ヵ月後
怜 「う~っす」 ムキムキ
竜華 「と、怜……遅かったなぁ」
怜 「さっきまで筋トレしとったからなぁ」 ムキムキ
セーラ 「またかいな、やりすぎとちゃうんか?」
怜 「病弱だった反動で、鍛えることに目覚めたわ。ガハハ!」 ムキムキ
泉 「もう筋トレ部に入ったらどうですか?」
怜 「なんやとー、泉は生意気言うようになったなー」 ムキムキ
怜 「うりゃ! ヘッドロックやで!」 グリグリ
竜華 「怜、やめ! 泉が死んでまう!」
泉 「」
怜 「またまた、竜華は大袈裟やで」 ムキムキ
浩子 「また大きくなりましたね、園城寺先輩」
浩子 「胸囲、握力、背筋など……データとらせてもらいますよ」
怜 「かまへん、かまへん! 代わりにいつものプロテイン頼むで!」 ムキムキ
怜 「セーラは速筋ばっかやな。自分、もう少しインナー鍛えなアカンで」 ムキムキ
セーラ 「ああ、うん……」
怜 「さて、筋トレで疲れたわー。竜華、膝貸してもらうで?」 ズイッ
竜華 「う……うん……」
怜 「うーん……。竜華も、もっと太もも鍛え方がええんやないか?」 ムキムキ
怜 「もっとこう、パンパンにせな! ほな、一緒に筋トレ行くで!」 ガバッ
竜華 「もう堪忍して……」
第一話 完
まこ 「実際、どうすりゃええんかいのう」
久 「なにが?」
まこ 「ワシの人気を、上げるためには」
久 「いきなり無理難題を突きつけないでちょうだい」
まこ 「無理難題!?」
久 「ええ、小鍛治プロと三尋木プロと宮永照を同時に飛ばすより難しいわ」
まこ 「そんなに!? ……どうすりゃええんじゃ」
智美 「ワハハ」
久 「まこ、作戦を考え付いたわ」
まこ 「え?」
――三ヵ月後
恒子 『さ~、今日は女子高生の間で流行っているという』
恒子 『ワカメのみそ汁専門店の取材にやってきました!』
恒子 『店長! ワカメブームの人気の秘密は?』
店長 『やっぱり健康に良いからかねえ』
恒子 『なるほど! では、今日はこの辺で! また来週~!』
店長 『失敬!ドヒューン』
久 「どう? 健康ブームに乗っかって、人気急上昇よ!」
まこ 「……髪型変えるわ」
第二話 完
和父 「和、来週には東京へ行くぞ」
和 「……え?」
和父 「仕事の異動が決まった。もう、手続きも済んでいる」
和父 「もう、こんな不便な田舎に住まなくていいんだ。良かったじゃないか」
和 「……お父さん、私長野に残りたいです」
和父 「なに言ってるんだ。約束しただろう、全国優勝できなければ東京に行くと」
和 「私だけ残らせてください! お願いします!」
和父 「一人娘を残していけるわけないだろう! 馬鹿なことを言うんじゃない!!」
智美 「ワハハ」
和父 「よし、長野に永住しよう」
和 「え?」
和父 「前々から思っていたんだ! この大自然、素晴らしいじゃないか!!」
和 「私は嬉しいですけど……仕事は大丈夫なんでしょうか?」
和父 「仕事なんて関係ない! 人間の本質は自然に回帰することだ!」
和 「は?」
和父 「さあ、山が私を呼んでいる!!」 スポポポーン
和 「な、なぜ全裸に……って、外に行く気ですか!?」
和父 「ウララァァァラァァァラアアアアアアアアーーーー!!」
――三ヵ月後
咲 「今日も畑が獣に荒らされてたんだって」
優希 「怖いじぇ~」
和 (お父さんは、今どこでなにをしているんでしょうか……)
第三話 完
灼 「お待たせ」
玄 「灼ちゃん! 今日は晴れて良かったねぇ~」
灼 「うん、お出かけ日和」
宥 「あったかい……」
憧 「ねぇ、シズ。灼の服……ちょっとダサくない?」
穏乃 「いや……えーっと」
灼 「そんなわけない……!! ハルちゃんが似合ってるって……」
憧 「でも……っ」
智美 「ワハハ」
憧 「……でも、よく見たらめちゃくちゃ可愛いくない!?」
穏乃 「え?」
灼 「そ、そう? なんなら、憧もこの服買えば///」
憧 「うん! 買う! 絶対買う! ていうか、みんなも買おう!?」
穏乃 「え、それはちょっと……」
宥 「平成狸合戦」
玄 「ぽんぽこ~」
憧 「よし! じゃあ今日は予定を変更して、たぬT買いにいくよ~!」
灼 「アライグマなんだけど……」
穏乃 「どっちでもいいですよ……」
――三ヵ月後
えり 『続いて、奈良代表は阿知賀女子学院です!』
えり 『何故か全員、お揃いのTシャツを着て出場ですが……』
えり 『三尋木プロ、これはどういうことでしょう?』
咏 『いや、知らんし』
えり 『おばあちゃんって、あんな感じの謎のメーカーの服を買ってきたりしますよね』
咏 『まあ確かにダサいけど、若いからいいんじゃねーの?』
晴絵 「……なんで私まで」
灼 「ハルちゃんとお揃い……///」
穏乃 (赤土さんはきっついなー)
第四話 完
美穂子 「……どうしましょう」
未春 「キャプテン、どうしたんですか?」
美穂子 「少し席を外していたら、パソコンの画面が真っ暗になってしまったの」
未春 「ちょっと見せてください……。ああ、スリープモードですね」
美穂子 「すりーぷ? 最近のパソコンは睡眠が必要なの?」
未春 「いえ、そうじゃなくてですね。…………ということなんですよ」
美穂子 「そうなの……。ごめんなさいね、私がもっと機械に強ければ」
智美 「ワハハ」
美穂子 「あれ、ブラインドタッチって思ったより簡単ね」 カタカタ
未春 「え?」
――三ヵ月後
美穂子 「……」 カタカタ
華菜 「……あのー」
美穂子 「上埜さんと風越のキャプテンは付き合ってるらしい、と」 カタカタ
華菜 「……キャプテン」
美穂子 「ちっ、また加治木派が噛み付いてきたわ」 カタカタ
美穂子 「串を通して、ID変えて自演しましょう」 カタカタ
華菜 「キャプテン、食べるもの持ってきました」
華菜 「あと、空のペットボトルも……」
美穂子 「ありがとう華菜、そこに置いておいて。さあ、スレの流れは……」 カタカタ
美穂子 「あああああぁぁああ! もおおぉおぉ! 今度は国広派が湧いてる!」 ドンッ!
美穂子 「華菜もそっちのパソコンで援護して!」 バンバンッ!
華菜 「は、はい!」
未春 「……部活やめよっかな」
星夏 「そうですね」
第五話 完
衣 「衣には友達ができないんだ……」
純 「おいおい、またそんなこと言ってるのかよ」
一 「そうだよ、僕たちがいるじゃないか」
衣 「わかっている。でも、龍門渕にトーカたち以外の友達が一人もいない」
智紀 「言われてみれば……」
透華 「自分から声をかけてみるのも大事かもしれませんわ」
衣 「衣がそんなことしても、みんな迷惑に決まっている……」
智美 「ワハハ」
衣 「決めた! 今から街に出て、友達をつくってくるぞ!」
純 「え?」
――三ヵ月後
ガヤガヤ
衣 「透華~! 今日も、友達をいっぱい連れてきたぞ!」
副会長 「衣ちゃん……」 ハァハァ
デブ 「ころたん、今日も可愛いよ~」 ブヒブヒ
オタク 「デュフフwwww さあ、今日も遊ぶでござる」
衣 「よし、今日はみんなでプリキュアごっこをするぞ!」
透華 「」
智紀 「大きなお友達……」
第六話 完
姫子 「インハイのレギュラー、なんで花田が先鋒とですかね?」
哩 「先鋒は捨てるんやってさ」
姫子 「えっ」
哩 「あいつだけプロ相手でも箱にならんやった……あいつはトバん」
姫子 「捨て駒で先鋒ですか、花田が聞いたらマジへこむやろうなぁ……」
煌 「聞いてしまった」
煌 「うわぁショック~」
煌 「なんってことはないd 智美 「ワハハ」
煌 「捨て駒なんて任されるわけないじゃないですかああああああああ!」
哩 「えっ」
姫子 「今の叫び……花田!?」
――三ヵ月後
煌 「御無礼、ツモです……48000」
照 「な……」 ガタガタ
咏 「わ、わかんねー……」 カタカタ
健夜 「そ、そんな……」 ブルブル
煌 「これで御三方、飛び終了ですね」
煌 「すばらです……くくっ」
哩 「九州に魔物が生まれてしまったけん」
姫子 「花田は大将に置きましょう」
第七話 完
久保 「池田ァ!」
華菜 「は、はいっ!」
久保 「今日の打ち方はなんだァ! お前、まだ腑抜けてるのかァ!?」
華菜 「さ、最近、キャプテンの世話で忙しくて……」
久保 「言い訳すんなァ! よし、歯ァ食いしばれ……」
華菜 「えっ!? そ、そんな……勘弁してください」
久保 「うるせぇ! おらああああああああ!!」
智美 「ワハハ」
久保 「池田ぁ……」
華菜 「え?」
――三ヵ月後
久保 「池田ぁ……」
華菜 「は、はい」
久保 「今日も可愛いなぁ、池田ぁ///」
華菜 「え……」
久保 「ほら、こっちこい。頭撫でてやる///」
華菜 「い、いえ。遠慮しておきます」
久保 「……なんでだぁ」 シクシク
華菜 「コ、コーチ、泣かないでください!」
久保 「池田は優しいな……」
久保 「私、こんなに優しくされたの初めてだぁ……///」
華菜 「うおええええええええっ」
久保 「やっぱり、池田は私が嫌いなんだぁ!」 シクシク
華菜 「うっぷ……だから泣かないでくださいってば!」
美穂子 「風越のコーチと大将が痴話喧嘩wwww ……っと」 カタカタ
華菜 「キャプテンはデマ流さないでください!」
未春 「私、吹奏楽部に入部届け出してきた」
星夏 「あ、私も吹奏楽部です」
純代 「私だけ相撲部……」
第八話 完
佳織 「みなさん、お茶が入りました」 カチャ
ゆみ 「ありがとう」
睦月 「うむ」
佳織 「ええと……桃子さんも、どうぞ?」 カチャ
桃子 「そこはおっぱいっす」
佳織 「あ! ごめんなさい……」
桃子 「見えないにも限界があるっす……」
智美 「ワハハ」
佳織 「あれ、桃子さんが急にはっきり見えるようになりました」
桃子 「え?」
――三ヵ月後
ゆみ 「すまない、遅れた」
佳織 「あ、加治木先輩、隣に軍人の方がいますよ」
ゆみ 「うわっ!」
佳織 「そんな怖がらなくても大丈夫です、優しそうな人ですから」
桃子 「顔はどんな感じなんすか?」
佳織 「あ、顔はないです。戦地で飛ばされたみたいで……」
ゆみ 「うぷっ……」
佳織 「視えるっていいですね~、なんかすごく楽しいです!」
睦月 「うむ」
第九話 完
照 「ツモ。6000オール」 ギュルルル
誠子 「これで宮永先輩のトップで終了ですね」
尭深 「……」 ズズー
菫 「今日は一段と強かったな」
淡 「……」 ウズウズ
淡 「てる~」
照 「淡、なに?」
淡 「私も、てるみたいに回転できるようになりたいな~!」 ワクワク
智美 「ワハハ」
淡 「わ……私は……不滅の命を持つ……大星淡だーっ!!」
照 「えっ」
――三ヵ月後
ギュルルルルルルルルルルルルル!!
菫 「淡がきたか……」
誠子 「今日もサンシャインのように体を回転させてますね」
ガチャン! ガシャン! バシャッ!
尭深 「……」 ビシャビシャ
菫 「お茶が頭に……。渋谷、大丈夫か?」
誠子 「卓と牌も滅茶苦茶ですね……。宮永先輩、お願いします」
照 「わかった。右腕の逆回転で、相殺する……」 ギュルルル
ギュアアアアアアアアアアアアアア……ピタッ
淡 「おっとっと……。あ、てる~! おはよ~!」
照 「へのツッパリはいらんですよ」
第十話 完
豊音 「神代さんにサイン貰ったんだ!」
塞 「本当だ、って筆で書いてある!?」
胡桃 「すごいね~、永水の人たちって謎だよね」
白望 「あの橋が一番謎……」
ワイワイガヤガヤ
エイスリン (カイワニ、ハイレナイ……)
胡桃 「エイちゃん、どうしたの?」
エイスリン 「モット、ニホンゴ、ウマケレバ……」
智美 「ワハハ」
エイスリン 「……なんでやねん」
塞 「え?」
――三ヵ月後
エイスリン 「おおきに~! みなはん、もうかってまっか~?」
塞 「お、おはよエイスリン……」
エイスリン 「塞はんは朝から陰気でんな~。そんなんじゃ、金も嫁も逃げまっせ!」
塞 「ご、ごめんね」
エイスリン 「シロは今日も腹すかしとんのかいな?」
エイスリン 「飴ちゃん食う?www 飴ちゃん食う?www」
白望 「いらない……」
エイスリン 「豊音は今日もでっかいな~! そろそろ、通天閣越したんとちゃいます?」
豊音 「え、あ、え?」
エイスリン 「……ん? んん?w」 チラッ チラッ
胡桃 「な、なんでこっち見るの?」
エイスリン 「胡桃ちゃん、自分のツッコミポジション忘れたらあかんや~ん!」
胡桃 「え?」
エイスリン 「そうそう、豊音はそろそろスカイツリーぐらいに……って、そんな高い人間おるかい!」
エイスリン 「ぐらいのノリッツコミが欲しかったわ~」
エイスリン 「ボケにはツッコミ、ツッコミにはボケ、大阪人ならわかるやろ?」
胡桃 「ご、ごめんね」
エイスリン 「ちゃうやろ! ツッコミ! 自分、岩手の人間やないか!!」
胡桃 「エイちゃんはニュージーr エイスリン 「そこは、言わせへんよ~?」
白望 「ダルい……」
第十一話 完
巴 「さあ、ご飯の準備ができましたよ」 ボイン
春 「いただきます……」 ボボイン
小蒔 「今日はお魚ですね! 私、大好きです!」 ボボボイン
霞 「小蒔ちゃんは好き嫌いが無いから、すくすくと育ったわね」 ドォーン!
初美 「……」 ペタン
初美 「私だって好き嫌いしてないのに、どうしてですかー!!」
智美 「ワハハ」
初美 「永水の格差社会を埋めてやりますよー!」
小蒔 「えっ」
――三ヵ月後
巴 「さあ、ご飯の準備ができましたよ……」 ペタン
春 「……」 ペペタン
小蒔 「今日もお魚ですね…… 私、大好きです……」 ペペペタン
初美 「いただくのですー♪」 ペタン
ガラッ
霞 「遅れてごめんなさいね~」 ブルルウォウゥゥォォン!!
初美 「なんでさらに大きくなってるんですかー!?」
霞 「なんか、みんなのが集まっちゃったみたい」
霞 「はっちゃん成分はゼロだけど」
初美 「えっ」
第十二話 完
洋榎 「ロン、インパチや」
漫 「えぇー! そこですか!?」
由子 「これでまた、漫ちゃんがトビなのよー」
絹恵 「三連続ですね……」
郁乃 「すえはらちゃ~ん、爆発ま~だ~?」
恭子 「漫ちゃん、もっと爆発みせてーな……」
智美 「ワハハ」
漫 「……チッ」
恭子 「え?」
漫 「うるっせえええええんだよおおおおおおおお!!」
漫 「どいつもこいつもよおおおおおおおおおおおお!!」
洋榎 「うわっ、漫が切れた!」
由子 「違うわ、これが爆発なのよー」
漫 「おい! 愛宕!」
洋榎・絹恵 「はいっ!?」
漫 「姉のほう!おめえはちげえよ!」
洋榎 「すんませんでした!!」
恭子 (今のは逆切れやろ……)
漫 「もう愛宕はええわ!」
絹恵 「すんませんでした!」
漫 「おい、末原!!」
恭子 「な、なんや漫ちゃん」
漫 「爆発、爆発って、そんな理由でレギュラーに推すなやああああ!」
恭子 「ご、ごめんな」
漫 「私はボンバーマンかっつううううううのおおおおおおおおお!!」
郁乃 「どっちかって言うと、ミソボンのほうやね」
漫 「もうやられてんじゃねえかよおおおおお!!」
洋榎 「火に油注ぐとは、このことやね」
由子 「今度から、引火物につき火気厳禁ってつけておくのよー」
――三ヵ月後
優希 「ダブルリーチだじぇっ!」
漫 「……」 ブチッ
漫 「おめえええええよおおおおおおおお!!」
優希 「!?」
漫 「さっきから、なんなんだよおおおおおおおおお!!」
漫 「東場に強いからって、そんなに速く手ができるわけねえだろおおよおお!!」
漫 「イカサマか? イカサマなのか!? イカサマなんだろおおおおおおお!?」
優希 「は、はい……」 ブルブル
漫 「はい! 罰符うううううううううううううううううううううううう!!」
洋榎 「あれはあれで役に立つなぁ」
恭子 「どこで間違ったんや……」
第十三話 完
智美 「ワハハ、この間は良い仕事をしたな~」
智美 「いっぱい人助けができたぞ~」
智美 「ただいま~」
母 「おかえりなさい。部屋に友達がきてるわよ」
智美 「友達?」
智美 「ワハハ、ゆみちんかな~?」
ガチャ
和父 「アーーーアーーーーアァーーーーー!!」
智美 「えっ」
霞 「あら、お邪魔してます」 ボリュウウウミイイイイイ!
エイスリン 「ほれ! ワカメのみそ汁できたで!」
漫 「なんで豆腐が入ってないんだよおおおおおおおおおお!!」
憧 「そんなことより、みんなタヌT着ようよ!」
ギュルルルルルルルルルルルルルルルル!
和父 「……ひゃあうっ!!」 シュバッ!
美穂子 「上埜さんの画像フォルダが無いじゃないの!」 カタカタ
美穂子 「……regedit format C:」 カタカタ
煌 「すばらです……くくっ」
久保 「池田ぁフォルダぁはないのかぁ?」
佳織 「そこに池田さんの生霊ならいますよ」
怜 「一度幽霊と肉弾戦やってみたかんや!」ムキムキ
衣 「わーい! 友達がいっぱいだー」
バタン
智美 「なんだー、夢かー」
智美 「私も疲れてるんだなー」
智美 「最近、頑張りすぎてたからなー」
智美 「……」
智美 「ワハハ」
ガチャ
漫 「こら、なに閉めとんじゃボケ」
バタン
智美 「おかーさーん」
母 「あら、お友達は?」
智美 「お友達なんていない、いなかったんだよ」
母 「もしかして、あんまり仲良くなかった?」
智美 「逆になんで仲が良いと思ったのか」
母 「あら、だってあんた友達多いじゃない」
智美 「裸のおっさんとかいたけどなー」
母 「あの人は窓からターザンロープで入ってきたから、止めようが無かったのよ」
母 「でも、友達が多いっていいことよー。笑顔も増えるし」
母 「うちの家訓を忘れたの?」
母 「笑うかどには、福きたるって」
母 「ほら、笑顔笑顔!」
母 「ワハハ」
智美 「ワハハ」
智美 「今日から笑うのやめるわ」
母 「えっ」
智美 「ワハハ、今日も笑顔でみんなを元気にするぞ」 完
昨日の総合で、ワハハ介入でみんな幸せになるという流れが面白かったので書いた
やっぱりワハハは不幸系じゃなくて、幸せが似合うと思う
ワハハ、簡単に書けたし、楽しく投下できたので良かったぞー
乙
Entry ⇒ 2012.09.07 | Category ⇒ 咲-Saki-SS | Comments (0) | Trackbacks (0)
咲「お姉ちゃん!」久「はいはい」照「!?」
咲「お姉ちゃん!」ギュー
久「はいはい、甘えていいのよ」ナデナデ
照「これは何かの間違いだ、そうに違いない。つけて確かめないと」コソコソ
照「あっ、迷子になった。」
照「そうだ、今出て行って助けてあげればさっきの子にしてたみたいに抱きついてくれるかもしれん」ゴクッ
照「よしっ、今だ!」ダッ
スッ
久「大丈夫?咲。あなた迷う癖があるのだから他の人と行動しないと」
久(現実逃避と一緒に幼児後退のような面もあるし、気をつけないとだめね)
咲「うん、わかった。お姉ちゃん。」ギュー
久「じゃあ、一緒に歩こうか」ナデナテ+テヲツナグ
照(間に合わなかった)グヌヌ
久「偶然ね、一緒にまわる?」
美穂子「えぇ、私なんかでよければ」
咲「えへへ、お姉ちゃんたちと一緒」ニコニコ+フタリトウデクミ
照「やっぱり、あの取材がいけなかったのかな。わたしの妹だと言うといろいろ周りが姉妹戦だの大きく取り上げて迷惑になると思ったのに」
美穂子「わたしはどこでもかまいません。咲ちゃんは何か食べたい?」
咲「私もどこでも大丈夫! あっ、やっぱりもんじゃ食べたい!」
久「そうね、美穂子もそれで構わない?」
美穂子「えぇ、いいですねもんじゃ」
照(こういう時どうすれば、あぁ、でもいきなり出てきても気まずくなるだけだし)コソコソ
美穂子(何か後ろに怪しい人がいるけどほっといていいのかしら)
店員「あのー、おひとりさまですか」
照「はい」キッ コワイカオ
店員「えぇと、奥へどうぞ」ビクビク
咲「お姉ちゃん、あ~ん」
久「」アーン
久「おいしいわ、咲」
咲「うん」エヘヘ
咲「お姉ちゃんもあ~ん」
美穂子「」アーン
美穂子「うん、おいしい。ありがとう」ナデナデ
美穂子(久さんと結婚したらこうなるのかな)カァァ
照「・・・・」ヒザガクガク
照「咲には、グスッ、私なんかより、グスッ、いいお姉ちゃんが、グスッ、いるんだ。私なんか、グスッ、必要ないんだ・・・」レイプ目
店員「なに、あの子怖い」
久「迷子になんないようにね」
咲「さすがにお店の中で迷子にはなんないよ」
久「いやぁ~、咲ならありえそうだからね」ケラケラ
久(だいぶ安定してきたな)
咲「もー」プンスカ
トコトコ
咲「あの、トイレどこですか?」
店員「あちらの奥にあります」
咲「はい、ありがとうございます」トコトコ
ジャー
咲「ふー、すっきりした」
サキィー サキィー
咲「」?
咲「あれ、あそこから、私の名前呼んでるような気がするけど」
照「さきぃ、さきぃ・・・・・」コクウヲミツメ
咲「・・・・・・・・」
照「咲ィィィィィィィ」ガバッ
咲「きゃぁ」バタン
照「咲ィィ、咲ィィ、」ホオズリ
照「私だけが咲のお姉ちゃんなんだからぁぁぁぁ」ギュー
咲「お姉ちゃん、なんだかよくわからないけど苦しい。それに私の本当のお姉ちゃんはお姉ちゃんだけだよ」
照「ごめんねぇ咲、ごめんねぇ。絶対放さない」
咲「うん、苦しいけどお姉ちゃんと話せてうれしいよ」ニコニコ
照「うえぇぇぇぇん、咲ぃぃぃ」
咲「えへへ、いいこいいこ」ナデナデ
久「迷ってはなかったようね」コソコソ
美穂子「彼女が咲さんのお姉さんですか?」コソコソ
久「えぇ、けんかか何かしてたんだろうけど仲直りできたみたいでよかったわ」クスクス
美穂子「はい、ほんとうに」クスクス
完
池田「キャプテンとはぐれた」
Entry ⇒ 2012.09.06 | Category ⇒ 咲-Saki-SS | Comments (0) | Trackbacks (0)
穏乃「憧に告白したら泣かれた」
穏乃「う、うん」
憧「シズぅぅ……」ギュッ
穏乃(冗談のつもりだったのに後に引けなくなった)
穏乃「灼さん!?なんでそんなとこから!?」
赤土「おめでとう、憧」ヌッ
穏乃「先生まで!?」
宥「おめでと~」スッ
玄「おめでとうございます、お二人とも」スッ
憧「みんな…ありがと~…」グスッ
穏乃(憧、みんなが隠れてたことに疑問を感じないのか…)
穏乃「でも…みんなはどうして物陰とかに…?」
赤土「ああ、憧が誰かに呼び出されたとかで、怖いから隠れて見守ってて欲しいとか言うもんだから教育者として見過ごせなくてね」
灼「部長として」
宥「先輩として~」
玄「同じく!」
穏乃(ああ、呼び出しの手紙に名前書いてなかったもんな…)
赤土「でもまさかこんなことになるなんてな」
宥「うん~」
赤土「世間じゃ認められる恋じゃないし、辛いこともあるだろうが負けるんじゃないぞ」
憧「はい…!」
灼「憧、穏乃を泣かせたら許さないからね」
憧「言われなくとも…!」
穏乃(あれれー、どうしてこうなった…)
赤土「おーい、しずー?」
玄「きっと告白が受け入れられたのが信じられなくてぼんやりしちゃってるんだよ」
憧「そ、そっか…///」
宥「それじゃ、二人の邪魔しちゃ悪いし私たちはもう帰るねー」
灼「それじゃ」
憧「う、うん」
赤土「あ、それと」ヒョコッ
赤土「高校生らしい付き合いをするんだぞ?ハメを外しすぎないように、なっ」グッ
憧「な、何言って…///」
憧「まったく、晴絵ったら下世話なんだから…」
憧「えへへ、実は小学校の頃からずっとしずのこと好きだったんだよね」
穏乃(こんな幸せそうな憧に、やっぱりドッキリだったなんて言えるのか…!?)
穏乃(確かに憧のことは好きだけど、それは恋人とかそういうんじゃなくて…)
穏乃(だから、憧と付き合うのは失礼だ…!)
穏乃「あ、あのね、憧…」
憧「な、何…?」ドキドキ
憧(いつもバカっぽいけど、こんな風にたまに見せる真剣な顔がカッコイイのよね…///)
穏乃「ごめん、実は…」
憧「え…何…?」サーッ…
穏乃(うわっ、すごい青ざめてる…。ダメだ、私には…)
穏乃「私を受け入れてくれてありがとっ!」
憧「ま、まったく、ドキドキさせんじゃないわよ!ふぅー、てっきりやっぱなしとか言うんじゃないかと思って損したわ」
穏乃(憧…)
憧「とりあえず今日はもう遅いし帰りましょ。あ、あと明日は学校も休みなんだし…」チラッ
穏乃「わかった。どっか遊びにいこっか」
憧「うんっ♪」
穏乃(あ…しまったー!!恋人同士で遊びに行くって、完全にデートじゃんか!?なんかどんどん引き返しにくくなってきてるぞ…)
穏乃(どうしよう…)
穏乃母「どうせまた山で土だらけにしてくるんでしょ?ジャージでいいじゃない。というかジャージしか持ってないでしょあんた」
穏乃「あー、そういえばそうだった…。まだ暗くなるまで時間あるし、デートに恥ずかしくない服買ってこよ」
穏乃母「デート!?まさかあんたがデートとはねぇ…。これ持ってきなさい」
穏乃「おお!三万円もある!いいの、お母さん!?」
穏乃母「無駄遣いするんじゃなくて、ちゃんと明日の為の服を買うのよ?」
穏乃「はーい。ありがとう!」
穏乃(でも、デートの服なんていってもどんなの買ったらいいかわかんないな…)
穏乃(誰かに一緒に来てもらって一緒に選んでもらおう。電話電話っと…)トゥルルルルル
穏乃「そんな、全然待ってないですよ玄さん」
玄「憧ちゃんと明日デートするんだって?」
穏乃「あはは、まあ…。それで、普段ジャージしか着ないからデート用の服を一緒に選んでもらおうかと」
玄「ふぅ~む、なるほどなるほどなるほど~…。そういうことならお洋服選びはお任せあれ!」
穏乃「ありがとっ、玄さん!」
玄「うふふふ~、いいのいいの~」
穏乃「おおっ、来たことないや…」
玄「しずちゃんにはどれが似合うかな~」
穏乃「お手柔らかにお願いします」
玄「うふふ、しずちゃんはちっちゃくて可愛いから、可愛い系でいこっかな~」
穏乃「わわっ、私がこんな服ですか!?」
憧「明日はしずと恋人になってからの初デート!服も新調しよっかな~♪…あれ、しず…。玄も一緒だ…。なんで…」
穏乃『わわっ、こんなの似合わないですって!』
キャッキャウフフ
憧「うそ…。しず、私と遊ぶときなんかいつもジャージなのに…」
憧「…帰ろう」テクテク
穏乃「あれ?さっき誰かに見られてたような…」
玄「むむっ、近辺に怪しい人影は…」キョロキョロ
玄「店員さんしかいないみたいだよ」
穏乃「気のせいだったか」
玄「しずちゃんはいつも山にこもってるから敏感なんだよきっと」
…
穏乃「何だよ、憧の奴遅刻かー?電話かけてみよう」
憧『もしもし…』
穏乃「もしもしじゃないよ!今何時だと思ってるんだよ!待ち合わせの時間過ぎてるだろ!」
憧『ごめん、しず…。ちょっと体調悪いから今日はパスで…。それじゃ』プツッ
穏乃「なんなんだよ、憧の奴…」
穏乃「でも、デートしなくて済んだのか…」
穏乃「………」
…
ドンドンドンドンドン
憧「うるさいなー、もう!今日は出かけるのなしにするって朝に言ったで…しょ…?」
穏乃「やっほー」
憧「し、しず!?何勝手に入ってきてんのよ!?」
穏乃「一応家の人の許可は取ったんだけどな」
憧「ちょっとあっち向いてなさいよ」スッ スッ
穏乃「あはは、そんな慌てて身だしなみ整えなくても憧は可愛いのに」
憧(昨日あんなの見ちゃったけど、やっぱりしずが好き…。しずの前で身だしなみ気にしないなんてありえないから…。しずのバカ…)
穏乃「何しにって、待ち合わせに憧が来ないから御見舞い…とか」
憧「そう…」
穏乃「でも、元気そうでよかったよ。電話での声、元気なかったし、てっきりもっと具合悪いのかと」
憧「………」イラッ
憧(どうせ今日のその服、昨日玄と買った奴なんでしょ!確かに可愛いけど…!よし、しずに意地悪してみるか…)
穏乃「あ、もしかして憧、昨日あそこに居たの?」
憧「まあね。で、その服はどうしたの?どうせ玄と一緒に買った奴なんだろうけど」
穏乃「うん。憧とデートするのに、どんな服選んだらいいかわかんなくて、昨日は玄さんに一緒に見てもらったんだ」
憧「えっ…。玄とデートしてたんじゃないの…?」
穏乃「えっ…?何で私が玄さんとデート?そんなわけないじゃん。生まれてから一度もデートなんかしたことないってのに」
憧「あ、あはは、そうだよね!あははは」
憧(あたしったらしずに対してなんてことを…。しずがそんな奴じゃないって知ってたのに…)
憧「えっ…」
穏乃「ほら、憧ってモテるでしょ?だから、どんな反応するのかなーって」
憧「………」
穏乃「でもさ、あれから色々考えたんだ…。そしたら、私、憧のこと…」
憧「えっ!?」
穏乃「最初はわかんなかったんだ。憧への自分の気持ちが…。中学が別々になってすごく寂しかった」
憧「うん…」
穏乃「離れ離れになって、憧はすっごく可愛くなったし、県下でも有数の進学校に進学するっていってすっごく距離を感じてた」
憧「そんな!それは…!」
穏乃「わかってる。だから最後まで言わせて」
憧「うん」
穏乃「高校でまた一緒になれたときは嬉しかった。憧は全然変わってなんかいなかったんだってわかったし」
憧「そんな、それはしずだって…」
憧「自分の気持ちにも気付かないだなんて、しずらしいよね」
穏乃「あはは、それはバカってことなのかな?」
憧「そ。しずは大バカよ」
穏乃「ふぅ…。改めて告白するけど、憧…。私と付き合ってくれないかな」
憧「そんなの…もちろんオーケーに決まってるじゃない!」
穏乃「えへへ、憧…大好きだよ」
憧「うん…。なんか昔に戻ったみたい」
穏乃「よし、じゃあこれからデートだ!」グイッ
憧「ちょっ、せめて着替えさせなさいよ!」
穏乃「早く早くー」
完
Entry ⇒ 2012.09.05 | Category ⇒ 咲-Saki-SS | Comments (1) | Trackbacks (0)
照「究極極上天上天下無双プリン?」菫「食べに行くか…」
照「!?」ガタッ
菫「対局中だ座ってろ」
照「……」ギギギ
淡「きゅうきょく……ごく? 天うえ? プリン? まったくもって!」
照「究極極上天上天下無双プリン?」
菫「食べに行くか……」ガタッ
お茶「座って。対局中」
菫「たまにはこういうのもいいものだな」ワクワク
尭深「たまにって先週も来た」
照「……」ゴオオ……
誠子「糖分は吸収効率が云々」
高校生A「わーい! プリンだー!」
高校生B「こらこら、はしゃがないで。周りのお客さんに恥ずかしいよ」
高校生C「おまえの格好はどうなんだよ」
高校生D「おーっほっほ! わざわざ並んで注文したかいがありましたわ!」
高校生E「……」
菫「よしみんな例のプリンでいいか」
照「」コクコク
尭深「私は緑茶」
淡「えーたかみー空気読もうよー。わたしはぱふぇ!」
菫照尭深「……」
誠子「モンブランで」
菫「いえ私達プリンを食べに来たので」
照「」コクコク
店員「あーごめんだじぇ。普通のプリンならあるけど究極のなんとかかんとかプリンはついさっきで売り切れだじぇ!」
照「……」ガタッ
尭深「……座って」
淡「じゃーいちごパf 菫「なんでよ!!!!」
照尭深淡「!?」ビクゥ
店員「ごめんだじぇ」
菫「楽しみにしてきてるのがわからなかったの!?」
誠子「やめろ菫。落ち着け。話の筋が通ってないぞ」
高校生D「あら、あちらで何か問題でも起きたんですの?」
高校生B「やめなよ透華。面倒見がいいのはいいけど他人様にまで首を突っ込んだらこっちが手を焼くんだから」
高校生C「無視無視」
高校生E「っしゃ紅玉ゥ……」
高校生D「そうは申しましても衣が……」
BC「!?」ガタッ
店員「何だじぇ?」
A「なにか問題か?」
店員「ご迷惑おかけしてますじぇ。当店の人気商品究極のなんとかかんとかプリンが売り切れでおこられちゃったじぇ」
菫「グス……ヒッグ……」
照「すみれ……」ナデナデ
淡「まったくもって!」
尭深「すみませんご迷惑おかけしてます」
誠子「戦況を冷静に判断しろ」
A「衣のせいで、おねえさんを泣かせてしまった」
A「とーか!」
D「お話は伺いましたわ! ハギヨシ!」
ハギヨシ「はっ、ココに」
透華「この店のプリンのレシp 菫「まって!」
菫「ごめんなさい、そうじゃないの」
衣「おねえさん……」
透華「かまいませんわ!」
菫「ただ、私たち、いえ私は仲の良いみんなでちょっとお茶したかっただけなんです」
尭深「お茶?」ガタッ
淡「おめえじゃねえ座ってろ」
菫「ただちょっとチラシにあったプリンが美味しそうだったから期待しちゃって」
照「……」コクコク
菫「この店に来れば食べられるものだと思って期待ばっかり大きくなっちゃったから」
菫「ちょっと大げさにしすぎました」
菫「ごめんなさい」
衣「とーかのうちに来るか?」
透華「といっても東京の別荘ですけど」
菫「そんな、お気遣いありがとうございます。でも初対面の方にそんなにしてもらうなんて」
照「おじゃましない?」チラッ
衣「……」ウルウル
尭深「子どもちゃんが泣きそう」
衣「子どもじゃない! ころもだ!」
透華「決まりでしてよ! ハギヨシ!」
ハギヨシ「はっ、すでに人数分ハイヤーを手配しております」
>ハギヨシ「はっ、すでに人数分ハイヤーを手配しております」
みんなで仲良く行かせてあげてよwww
淡尭深菫照「」
透華「ささ、遠慮なさらずに」
衣「わーい! 一番のりー」
誠子「慣れない建物だな。非常口と隠れられるスペース云々」
透華「お茶の準備はできていましてよ!」
照「トウカさん」クイクイ
透華「?」
照(ゴニョゴニョ)
透華「まあ! 素敵ですわ!」
照「しぃ~っ!」
菫「?」
淡「それ補導されないの?」
一「ああ、何度か職質はされたけど」
純「龍門渕の力で何とかなってるのかもな」
衣「わーい! ころもの勝ちだー」
尭深「なんなの」
智紀「ころもとポーカーするといつもこう」
誠子「まさか役がひとつもつかないなんて……」
淡「あれ? テルーは?」
一「そういえば一人みえないね」
照「おまたせ」
淡「あ、テルー!」
照「プリン……」
透華「皆さんのために宮永さんが作ってくれましてよ!」
衣「わーい! 衣プリン食べるー!」
尭深「お茶請けに……」
誠子「だから一さんはスパッツを履けばいいのではないかと」
一「あれぴっちりしてて嫌なんだよね」
めでたしめで……
全員「!?」ブッ
菫「照、おまえ……」
照「砂糖と塩……」
透華「間違えましたわね」
照「てへぺろ」きゃるん☆彡
めでたしめでたし
ありがてえ
Entry ⇒ 2012.09.05 | Category ⇒ 咲-Saki-SS | Comments (1) | Trackbacks (0)
穏乃「一〇年前にタイムスリップしてしまった……」
穏乃「しかも微妙に部室が新しい。卓もたくさん置いてあるし……」
穏乃「どういう事……?」
穏乃「あ、麻雀の雑誌がある」パラパラ
穏乃「『熊倉トシ、またしてもタイトル防衛!』って、熊倉さん? この写真では随分若いけど……」
穏乃「あれ? この雑誌の日付……」
穏乃「一〇年前!?」
穏乃「和が聞いたら『そんなオカルトありえません』って言われるだろうけど……」
ガヤガヤ
穏乃「誰か来た……」
ドア「ガラ!」
晴絵「あれ? 誰かいる」
望「あ、ホントだ」
穏乃「赤土さん、望さん……」
穏乃(本当に一〇年前に来てしまったんだとしたら、二人共私と同い年、なんだよね……)
望「もしかして前に会った事ある?」
穏乃「前にといいますか、後にといいますか……」
晴絵「なに言ってるんだ?」
穏乃「気にしないでください、こちらの話しですから」
晴絵「そうなのか?」
望「それより、キミの名前は? 入部希望者?」
穏乃「私は……」
穏乃(あれ? そもそも素性を隠す必要あるの? むしろ事情を話した方がいいんじゃないか?)
穏乃(……いや、信じてもらえるワケないか。それにタイムパラドックスとかって話しも聞いた事あるし、黙っているが吉か)
望「キミ?」
穏乃「……和。私の名前は原村和です」
晴絵「よろしくな、和」
穏乃「はい」
望「それと、私らも一年だからタメ口でいいよ?」
穏乃「そう……なんだ」
穏乃(赤土さんと望さんにタメ口きくって、すごい違和感がある……)
穏乃「え? どういう事?」
望「今日は先輩達がいないの。見学に来てくれたのに、ゴメンね?」
穏乃(ああ、そういえばそういう設定だっけ……)
穏乃「それじゃあ今日のところは帰って、また今度出直す事にするよ」
晴絵「せっかく来たんだ、ちょっと打ってかないか?」
穏乃「残念だけど、このあと用事があるんだ」
望「そうなんだ。でも必ずまた来てね?」
穏乃「……それじゃあ、また」
晴絵「なあ、一つだけいいか?」
穏乃「なに?」
晴絵「裸ジャージはどうかと思うぞ?」
穏乃「放っておいて!」
穏乃「この時代で行くあてなんてないし……兎に角、元の時代に帰る方法を探さないと」
郁乃「あ、やっと見付けた~」
穏乃「え? 私ですか?」
郁乃「せやで~。困っとるやろ~思うてな~」
穏乃「なんでその事を……アナタは一体……」
郁乃「私は赤阪郁乃言うてな~、この阿知賀女子麻雀部の顧問をやっとるよ~」
穏乃「赤……阪さん?」
郁乃「よろしゅうな~、高鴨穏乃ちゃん?」
穏乃(この人、どうして私の名前を……それに見付けたって……。まさか……)
穏乃「……この状況について、説明してもらえませんか?」
郁乃「賢しい子やね~。嫌いやないよ~」
穏乃「私の質問に答えてください」
郁乃「でも、せっかちな子供は嫌いやで~?」
穏乃「話しをはぐらかす大人も嫌いです」
郁乃「恐い顔しないで~な~。立ち話もあれやし~、場所を変えよか~」
穏乃(掴みどころのない人だな……)
郁乃「一人暮らしやから遠慮せずにあがってな~」
穏乃「おじゃまします……」
穏乃(こんな大きな一軒家で一人暮らし?)
郁乃「まあ、すぐに二人暮らしになるけどな~」
穏乃「誰か引っ越してくるんですか?」
郁乃「アンタやで~、穏乃ちゃん」
穏乃「え? どういう意味ですか?」
郁乃「この時代で行くあてなんかないやろ~? せやからうちに住めばええよ~」
穏乃「……素性も知らない人の下に身を寄せろと?」
穏乃「それに私は身寄せできる場所よりも、元の時代に戻る方法が知りたいのですが」
郁乃「戻れない、って言うたらどないする~?」
郁乃「今のままでは、が付くけどな~」
穏乃「どういう意味ですか? いや、それ以前にアナタはなぜそんな事を知っているんですか?」
郁乃「私の事は取り合えず横に置いといて~」
郁乃「アンタ、どうしてこの時代に来たか覚えとる~?」
穏乃「覚えてるもなにも、私はただインハイの準決勝を戦っていただけで……」
郁乃「インハイの準決勝を戦っていたら一〇年前にタイムスリップしていた、という事は、またインハイの準決勝に行けばタイムスリップできるかも。そう思わん?」
穏乃「『インハイの準決勝』がタイムマシンになっているとでも言いたいんですか?」
郁乃「そんなワケないや~ん。そもそもアンタをこの時代に飛ばしたんは私やし~」
穏乃「……今なんと?」
穏乃「そんな! どうやって!?」
郁乃「私の能力みたいなものやよ~。まあ、いろいろと条件があるけど~」
穏乃「……つまり、『インハイの準決勝』がその条件、という事ですか?」
郁乃「察しがええなあ~。でもそれじゃあ半分やで~」
穏乃「半分?」
郁乃「『インハイの準決勝』は場所の条件。もう半分はタイムトラベルする人間の条件や~」
穏乃「……今のままでは、場所の条件を満たしても元の時代に戻れない?」
郁乃「その通りや~」
郁乃「アンタ、麻雀弱いやろ~?」
穏乃「……」
郁乃「あ、気ぃ悪くせんといてな~。あくまで、魔物クラスと比べたらの話しやで~?」
穏乃「いえ、私が弱いのは事実ですから……」
郁乃「も~、だから気ぃ悪くせんといてって言っとるや~ん。それに、強くなる為にこの時代に来たんやから~」
穏乃「強く? それがもう一つの条件ですか?」
郁乃「せやで~。私のタイムスリップが発動するのは『弱い人』が『負けられない戦いに挑む時』なんよ~」
穏乃「そして、『強くなってもう一度同じ舞台に立つ』。そうすれば、元の時代に戻れる……。そういう事ですね?」
郁乃「今度は満点正解やね~」
郁乃「そういう細かい事は心配無用やよ~」
穏乃「本当ですか?」
郁乃「この時代の私は阿知賀の教師やから、穏乃ちゃん一人ぐらいなら転校生としてねじ込めるで~」
穏乃「ねじ込むって言い方はどうかと思いますけど……そういう事でしたらお願いします」
郁乃「おまかせや~」
郁乃「名前がどうかした~?」
穏乃「この町には一〇年前の私かすでにいるんです。ですから、この時代では『原村和』と名乗っておきたいんです」
郁乃「判ったで~。それと、登校は明日からやからな~」
穏乃「そんなに早く転入の手続きなんてできるんですか?」
郁乃「善は急げやからな~」
郁乃「でも、一つだけええか~?」
穏乃「なんですか?」
郁乃「裸ジャージはどうかと思うわ~」
穏乃「放っておいてください!」
穏乃「初めまして。今日からこのクラスでお世話になる事になりました、原村和です。よろしくお願いします」ペコリン
穏乃(本当に翌日にねじ込むとは……。しかも赤阪さん、担任だし)
郁乃「それじゃあ和ちゃんは晴絵ちゃんの隣の席な~」
晴絵「まさか転入生だったとは、ビックリしたよ」
穏乃「赤土さん……」
晴絵「晴絵でいいよ、和」
穏乃「判ったよ、晴絵」
穏乃(正直違和感しかないけど……)
郁乃「というワケで~、新入部員の原村和ちゃんで~す」
穏乃「よろしくおねがいします」
晴絵「こちらこそ」
望「改めて、よろしくね」
穏乃「所信表明ですか?」
郁乃「まあ、目標でもええけど~」
穏乃「……目標は、インターハイ優勝です!」
部員全員「「「お~お」」」
晴絵「インハイ優勝とは、大きくでたな」
望「でも、奈良には三〇年間連続でインハイに出場している晩成高校がいるのよ?」
穏乃「だったらその晩成を倒せばいい、それだけだよ」
晴絵「へ~、言うじゃないか。気に入ったよ」
郁乃「ええ感じに志気が上がってきたな~。さあ、地区予選に向けて練習しよか~」
部員全員「「「はい!」」」
レジェンドがインハイ行ったのは1年の時
他のチームメイトは穏乃の発言から3年っぽい
おおそうだったか凄いなレジェンド
晴絵「和、デカイ口きくだけあってなかなか強いじゃないか」
穏乃「私なんてまだまだだよ。晴絵には勝ててないし」
望「晴絵はうちで一番強いからね、仕方ないよ」
穏乃「でも、今のままじゃインハイ優勝なんて夢のまた夢……」
望「本当に狙ってるんだ」
穏乃「私にはインハイに行かなきゃならない理由があるから……」
晴絵「理由?」
穏乃「……とある人と、インハイの決勝で会おうって約束したんだ」
晴絵「約束……か」
望「その人は和にとってどんな人なの?」
穏乃「……とても大切な友達、かな」
晴絵「そうか……。なら、絶対に行かなきゃな、インハイ」
穏乃「うん……必ず」
郁乃「の~ど~か~ちゃ~ん♪ 帰りましょ~♪」
穏乃「あ、はい」
望「なになに? どういう事?」
郁乃「和ちゃんと私は同棲しとるんよ~」
晴絵「マジで?」
穏乃「まあ、ね」
望「二人って親戚なの?」
郁乃「人類皆兄弟やで~」
晴絵「さすが先生! 心が広い!」
望「いいのかそんなんで!?」
穏乃「私は居座らせてもらってる立場だからなんとも……」
郁乃「細かい事は気にせんように~」ニッコリ
望「は、はい……」
郁乃「なあ~、穏乃ちゃ~ん?」
穏乃「なんですか?」
郁乃「お料理できる~?」
穏乃「できますよ。人並み程度になら、ですけど」
郁乃「よしよし、今日から穏乃ちゃんをお料理担当に任命しま~す♪」
穏乃「料理担当、ですか?」
郁乃「二人暮らしなんやから~、家事を分担した方がええやろ~?」
穏乃「ああ、そういう事ですか。だったら分担なんて言わずに、私に一任してもらえませんか?」
穏乃「私は居座らせてもらっている立場ですから、それぐらいはやらせてください」
郁乃「それは助かるけど~、全部押し付けるんは心苦しいなぁ~」
穏乃「なら、手の空いている時には手伝ってもらう、という事でどうでしょう?」
郁乃「了解やで~」
穏乃「それじゃあスーパーに買い物に行くので、さっそく手伝ってもらえますか?」
郁乃「おまかせあれや~」
穏乃「なにか夕飯のリクエストはありますか?」
郁乃「そ~やね~、フグ刺しがええ~な~」
穏乃「スーパーでフグなんて売ってるワケないでしょ」
郁乃「その言い方なら~、フグが売ってたらフグにしてくれるん~?」
穏乃「まあ、フグのさばき方ぐらいなら知ってますけど……」
郁乃「なんで!?」
穏乃「あ、新ジャガが売ってますね。今日は肉じゃがにしましょう」
郁乃「ねえなんで!?」
郁乃「ほえ~、穏乃ちゃんは手慣れてるんやね~」
穏乃「人並みですよ……って、摘み食いしないでください」
郁乃「味見や味見~。うん、おいしい~」
穏乃「お口に合ったのなら幸いですが、邪魔をするならテレビでも見て大人しく待っていてください」
穏乃「もう少しでできあがりますから」
郁乃「はいは~い」
穏乃「返事は一回ですよ」
郁乃「は~い」
穏乃「はい、できあがりましたよ」
郁乃「ありがと~な。う~ん、食欲をそそるいい匂いやね~」
郁乃「いただきま~す」
穏乃「どうぞ召し上がれ」
パクパク
郁乃「やっぱり穏乃ちゃんはええ腕しとるよ~。こりゃ将来はええお嫁さんになるな~」
穏乃「相手がいませんよ」
郁乃「そうな~ん? 穏乃ちゃんかわええから相手ぐらいおりそうやけど~」
穏乃「そういうのは私じゃなく、憧や玄さんでしょうね。それに、今はそれよりも重要な事がありますから」
郁乃「そういうもんなんか~?」
穏乃「そういうものです」
穏乃「お粗末様でした」
郁乃「なあ穏乃ちゃ~ん、お風呂入ろ~?」
穏乃「ダメですよ、食器の片付けがあります。先に入っちゃってください」
郁乃「え~、一緒に入りたいや~ん」
穏乃「そもそも、この家のお風呂じゃあ二人は入れないでしょう?」
郁乃「なら待ってるから松実館の温泉に行こうや~。あそこは温泉だけでもオーケーやったはずやし~」
穏乃「松実館……」
郁乃「……温泉関係なく、行ってみる?」
穏乃「そう……ですね……」
穏乃「宥さんと玄さんとはまだですけど、お二人のお母さんとは少し面識があるんです」
穏乃「……あと一年、だったかな」
郁乃「一年?」
穏乃「松実さん、亡くなられるんです」
郁乃「そう……なん……」
穏乃「でも、悲しい事ばかりでもないんです。別れがあれば出会いもある」
穏乃「玄さんと知り合ったのは、松実さんのお葬式の時でしたから」
郁乃「……松実さんが、二人を引き合わせてくれたんかね~」
穏乃「そう思っています」
穏乃「さて、洗い物も終わりましたし、行きましょうか」
郁乃「お~!」
郁乃「温泉貸してくださいな~」
松実母「いらっしゃいませ。温泉ですね? あちらの通路の奥にございますので、ご利用ください」
穏乃「……ありがとうございます」
穏乃(松実さん、まだ元気そうだ……)
松実母「あれ? 貴女……」
穏乃「……」
松実母「もしかして……穏乃ちゃん?」
穏乃「!?」
穏乃「……判るんですか?」
穏乃「高校一年です。……驚かないんですか? この時代の私は、まだ六歳なのに……」
松実母「長く生きていると、不思議な出来事にも出会うものよ。これぐらいじゃあ驚かないわ」
穏乃「はあ……」
松実母「納得できない? でも今、その不思議な出来事の中心にいるのは貴女なんじゃない?」
穏乃「それはそうなんですけど……どうしても釈然としません」
松実母「フフ、大人の余裕だと思って許してね?」
穏乃「……変わりませんね、松実さん」
松実母「そういう穏乃ちゃんは変わったわね。一〇年経っているだから当たり前だけど……」
松実母「取り合えず温泉入ってくれば? お友達も待ってるみたいだし」
穏乃「そうさせてもらいます」
松実母「それと、一つだけいいかしら?」
穏乃「なんですか?」
松実母「裸ジャージはどうかと思うわ」
穏乃「放っておいてください!」
郁乃「ああ~、ええお湯やね~」
穏乃「そうですね。ここの温泉はいつの時代でも変わらない……」
郁乃「それよりも、穏乃ちゃん」
穏乃「なんですか?」
郁乃「『原村和』を名乗るには、些か以上に貧相やないか? 胸が」
穏乃「あれとは比べないでください! それに和に比べれば赤阪さんだって貧相でしょう!」
郁乃「私は平均はあるからええんよ~」
穏乃「クッ!」
郁乃「温泉、楽しかったな~」
穏乃「……もうお嫁に行けない」
郁乃「そんな大げさな~」
穏乃「あの後松実さんまでやって来て……二人してあんな事を……」
郁乃「まあまあ~、本物の原村和に近づく為やと思うてあきらめ~や~」
穏乃「揉んで大きくなるなら今頃悩んでなんか……あ」
郁乃「へぇ~。試した事あるんや~?」
穏乃「うぅ……」
郁乃「別に引け目を感じる事はないや~ん。自分の身体にコンプレックスを抱えるのは至極当然の事や~」
郁乃「そういう涙ぐましい努力もな~」
穏乃「涙ぐましいとか言わないでください!」
郁乃「また手伝ってあげよか~?」
穏乃「結構です!」
郁乃「いきなり本題やね~」
穏乃「強くならないと……なにも始まりませんから」
郁乃「せやね~。でも、急いては事をし損じると言うで~」
穏乃「……私はインハイまでできる限りの努力をして来たつもりでした」
穏乃「でも、それじゃあ足りなかった。本当に強い人達の前ではどうしようもなかった……」
穏乃「だから、急ぎすぎるなんて事はないんです」
穏乃「ちょっと赤阪さん!」
郁乃「大丈夫~。明日はちゃんと修行に付き合ってあげるから~」
穏乃「本当ですか……」
郁乃「ホントやホント~。私はウソは吐かんよ~」
穏乃「でしょうね」
郁乃「判ってくれた~?」
穏乃「貴女はウソは吐かない。けどその代わり真実も話さない。そういう人ですもんね」
郁乃「よくご存じで~」
郁乃「それじゃあサプライズにならんや~ん」
穏乃「もうその反応がサプライズですよ」
郁乃「え~?」
穏乃「まあ、今日は色々あって疲れました。私ももう寝かせてもらいます」
郁乃「だったら~」ギュッ
穏乃「なんで急に抱きついてくるんですか?」
郁乃「判っとるクセに~」
穏乃「子供じゃないんですから一人で寝てください」
郁乃「でも穏乃ちゃんはまだ子供やろ~?」
穏乃「なら大人になる為にも、一人で寝る練習をしなくてはいけませんね」
郁乃「も~! 穏乃ちゃんのいけず~!」
郁乃「おはよ~……」ネムネム
穏乃「おはようございます、赤阪さん。もう少しで朝食できますからね」
郁乃「ありがと~……。穏乃ちゃんは早起きさんなんやね~」
穏乃「赤阪さんがお寝坊さんなだけです。結局、昨夜私の布団に忍び込んでくるからですよ」
郁乃「なら条件は穏乃ちゃんと一緒やないか~。どうして穏乃ちゃんだけ早く起きられるん~?」
穏乃「気の持ちようです。常に緊張感を持って生活していれば、寝坊なんかしませんよ」
郁乃「え~、穏乃ちゃんも寝坊してそうやのに~」
穏乃「べ、別にインハイ当日に寝坊しそうになったとかはありませんよ……」
郁乃「それはそれですごい事やな……」
郁乃「朝はアジの開きやね~、美味しそうや~。いただきま~す」
穏乃「はい、召し上がれ」
パクパク
郁乃「う~ん、やっぱ日本人の朝食はこうでないとな~」
穏乃「赤阪さんは、朝食は和食派なんですか?」
郁乃「別に和食やないとダメって事はないで~。パンがいいと思う日もあるしな~」
穏乃「それでは朝食はランダムでいいですね。前日に安かった物、という事で」
郁乃「穏乃ちゃんに任せるで~」
穏乃「はい、任されました」
郁乃「……」
穏乃「あれ? もしかして余計でしたか?」
郁乃「いや、そうやないんよ~。ただ、お弁当なんて学生の時以来やから、ちょっと感慨深くてな~……」
穏乃「喜んでい頂けたのなら幸いです」
郁乃「毎日作ってくれるん~? 大変やない~?」
穏乃「朝食を作るついでに作れますから、問題ありませんよ」
郁乃「穏乃ちゃん、ホンマに女子力高いな~。惚れてまうわ~」
穏乃「惚れる前に学校へ行く支度をしてください。ほら、髪の毛まだ跳ねてますよ」
郁乃「穏乃ちゃん髪とかして~」
穏乃「はぁ、判りましたよ」
郁乃「ありがとうなぁ~♪」
郁乃「さあ、出席確認するで~♪」
晴絵「先生、今朝はやけにご機嫌ですね。なにかいい事でもあったんですか?」
郁乃「まあ~ねえ~♪」
望「今日は髪がサラサラみたいですけど、それですか?」
郁乃「あ、判っちゃう~? 実は~、今日の髪は和ちゃんがセットしてくれたんよ~♪」
クラス全員「「「!?」」」
穏乃「あ、赤阪さん! 学校でそういう事を――」
クラス全員「「「キマシタワー!!!」」」
穏乃「!?」
穏乃「へ、変な誤解をしないように! 赤阪さんも学校でプライベートの話しをしないでください!!」
郁乃「え~、昨夜の話もしちゃいかんの~?」
穏乃「なんですか昨夜の話って!」
ざわ……ざわ……
キマシ……キマシ……
穏乃(クッ! 根の葉もないウワサでもこの人たちにはいい栄養という事か……)
穏乃「と、兎に角、HRを続けてください」
郁乃「……昨夜はあんなに愛し合ったのに」
穏乃「ちょ!?」
クラス全員「「「キマシツリー!!!」」」
穏乃「晴絵!?」
郁乃「昨夜、急に和ちゃんが私の布団に入り込んできて、嫌がる私を無理矢理……」
穏乃「それは赤阪さんでしょう! 住居費だからって……」
クラス全員「「「攻守逆!?」」」
穏乃「あ、いや……」
望「あれ? 今度は否定しないの?」
穏乃「そ、その……」
郁乃「ホントの事やもんね~」
穏乃「……はい」
クラス全員「「「すばらっ!!!」」」
郁乃「の~ど~か~ちゃ~ん♪ お昼にしましょう♪」
穏乃「悪いですけど、晴絵たちとの先約がありますから」
郁乃「え~」
望「いいじゃない、先生が一緒でも。ねえ、晴絵?」
晴絵「もちろん。先生にはいろいろと訊きたい事もあるし」
郁乃「ありがとうな~、二人とも~」
穏乃「……」
郁乃「なんや、穏乃ちゃんは私と一緒は嫌なんか?」
穏乃「べつにそういうワケじゃありませんけど……」
望「HRでの事をまだ気にしてるの?」
穏乃「……」
晴絵「なら、仲直りする為にも一緒に食べないとね」
穏乃「……」パクパク
郁乃「ねえ~、和ちゃ~ん。食べさせっこしよ~」
穏乃「お弁当の中身は同じなんですから意味ないでしょう」
郁乃「食べさせ合うからええんや~ん」
穏乃「そんな事言って、嫌いなものを私に食べさせようとしてるだけでしょう?」
郁乃「だ、だってピーマン苦いんだも~ん」
穏乃「ピーマンは栄養があるんです。ちゃんと食べてください」
郁乃「だって~」
穏乃「はぁ、しょうがないですね……。はい、あーんしてください」
郁乃「え……?」
穏乃「食べさせてあげます。ただし、赤阪さんの嫌いなものだけですけど」
郁乃「和ちゃん……」
穏乃「食べるんですか? 食べないんですか?」
郁乃「食べるに決まっとるや~ん!」パク
望「いいんじゃない? ラブラブな二人が見られたんだし」
晴絵「でも、見せつけられるだけっていうのもなぁ~」
望「ならこっちも見せつけてやる?」
晴絵「え?」
望「はい、あーん」
晴絵「あ、あーん……」パク
望「美味しい?」
晴絵「う、うん……」
望「よかった」
晴絵「……」カアァァ
穏乃「……熱いですね」
郁乃「……熱いな~」
穏乃「なんですか?」
郁乃「その~、HRではごめんな。私、舞い上がってしもうて……」
穏乃「……もういいですよ。べつに気にしてませんし」
郁乃「ホンマ~?」
穏乃「本当です」
郁乃「じゃあ今日も夜這いしてもええ?」
穏乃「ダメです!」
郁乃「やっぱりまだ怒ってるや~ん」
穏乃「当たり前です! 昨夜だって嫌だって言ってるのに結局最後まで……」
郁乃「だって和ちゃんがかわええからつい~」
穏乃「と、兎に角今日はなしですからね!」
郁乃「う~……」
望「聞かなかった事にしよう。教師と生徒の交際なんてなかった」
晴絵「い、いいのか?」
望「リークしてもいけど、麻雀部はなくなるよ?」
晴絵「よし、私はなにも見なかった、聞かなかった」
望「聞き分けがいいのは美徳だ」
晴絵「……アンタは一体なにキャラなの?」
望「気にしな~い気にしな~い」
晴絵「なんだかな~」
郁乃「さあ~て、部活を始めるで~♪」
部員全員「「「はい!」」」
穏乃「赤阪さん」
郁乃「なあ~に?」
穏乃「強くなる為のサプライズっていうのは、なんですか?」
郁乃「せっかちさんやね~」
穏乃「言ったハズです。急ぎすぎるという事はないと」
郁乃「家に帰ってからな~」
穏乃「……」
麻雀部員②「もちろんですわ。家に帰ってから……意味深ですわね」ヒソヒソ
麻雀部員③「いえいえ、むしろストレート過ぎますわ」ヒソヒソ
麻雀部員④「皆さん、少し興奮しすぎではありませんか?」ヒソヒソ
麻雀部員⑤「あら、ご自分が一番聞き耳を立てていたクセに」ヒソヒソ
麻雀部部員⑥「まあ、なんにしてもすばらですよ!」ヒソヒソ
穏乃「……部内にまで変なウワサが」
晴絵「事実だからしょうがない」
望「そうだね」
郁乃「そうやで~」
穏乃「……いいのかこれ?」
穏乃「本当に部活中はなにもないんですね……」
郁乃「特訓するんは穏乃ちゃんだけでええからな~」
穏乃「チーム全体の底上げをすればいいじゃないですか」
郁乃「それができれば一番なんやけど~、多分他の子には耐えられんと思うんよ~」
穏乃「耐えられない?」
郁乃「私が直々に相手してあげるからな~」
穏乃「……変な意味じゃないでしょうね?」
郁乃「信頼ないな~。それとも期待しとる~?」
穏乃「強くなれるならなんでもいいですけどね」
郁乃「なんでも~?」
穏乃「肉体関係はなしですよ」
郁乃「なら、今日の夕飯はハンバーグを所望します~!」
穏乃「なぜ夕飯の話になるんですか……。まあ、考える手間が省けていいですけど」
郁乃「わ~い♪」
郁乃「ごちそうさま~。穏乃ちゃんが作ってくれたハンバーグ、美味かったな~」
穏乃「お粗末様でした。よろこんでいただけたのならなによりです」
郁乃「空腹も満たしたし、練習と行こか~」
穏乃「ようやく本題ですね。なにをすればいいんですか?」
郁乃「私と二人打ちやで~」
穏乃「それだけですか?」
郁乃「打ってみれば判るで~」
穏乃「はあ……」
郁乃「ロン」
郁乃「ロン」
郁乃「ロン」
郁乃「ロン」
郁乃「ロン」
郁乃「ロン」
郁乃「ロン」
郁乃「ロン」
穏乃「勝てない……。全部振り込まされた……」レイプメ
郁乃「あ~、ちょっとやり過ぎちゃった~?」
穏乃「もう一回お願いします!」キラキラ
郁乃「そうこなくっちゃな~」
穏乃「そ、そうですね。それで、どうやったんですか? 私は最善と思う打ち方をしたハズですけど……」
郁乃「ホントにそう~?」
穏乃「え?」
郁乃「ホントに最善やったら振り込んどらんハズやろ~?」
穏乃「それは、そうですけど……」
郁乃「じゃあ最後のドラ切りはなんや~? 私はリーチかけてて、しかもしかもドラはスジやったろ~?」
穏乃「今までの赤阪さんの待ちはスジと見せかけて、こちらが逃げる手を狙われたので、突っ張ってみようと思って」
郁乃「でも結局当たり牌やったろ~?」
穏乃「う……」
郁乃「ちょっとイジワルやったかな~? つまり、穏乃ちゃんをそうやって打つように誘導したんよ」
穏乃「そ、そんな事ができるんですか!?」
郁乃「今やってみせたやろ~。まあ、そんな簡単にできる事やないけどな~」
穏乃「……一度も和了れなかった」レイプメ
郁乃「ゴメンな~。でも本気にさせる穏乃ちゃんが悪いんやで~?」
穏乃「……お風呂入って来ます」
郁乃「あ~、それなら松実館行こうや~。また一緒に入りたいし~」
穏乃「……」
郁乃「松実さんにも会えるで~?」
穏乃「……行きます」
郁乃「それはそれでなんか妬けるわ~」ボソ
穏乃「なにか言いましたか?」
郁乃「なんでもあらへんよ~」
郁乃「ふぅ~、やっぱり広い風呂はええな~」
穏乃「それで、さっきの特訓にはどんな意味があったんですか?」
郁乃「ん~? 意味~?」
穏乃「それを意識しながら打てば、効率も上がると思うんですけど」
郁乃「準決勝に行く頃には判るかもな~」
穏乃「なんですか、それは?」
郁乃「自分で考えなさいって事やで~」
穏乃「はあ……」
郁乃「それよりも~」ワキワキ
穏乃「ま、まさか……」
郁乃「昨日の続きや!」ガバッ
穏乃「いやー!」
穏乃「うぅ~……」
松実母「あら、また郁乃さんに変な事されたの?」
郁乃「私がいつも穏乃ちゃんに変な事しているみたいな言い方やめてくださいよ~」
松実母「違うの?」
郁乃「違いません!」
松実母「いい返事ね」
穏乃「そもそも変な事をしなければいいんですよ!」
郁乃&松実母「え~」
穏乃「『え~』じゃないでしょうが、もう!」
郁乃「なあ?、穏乃ちゃ?ん」
穏乃「今夜は絶対にダメですからね」
郁乃「穏乃ちゃんのドケチ?」
穏乃「赤阪さんが節操がないだけです」
郁乃「ぷーう」
穏乃「むくれて見せたってダメです。私はもう寝ますからね」
郁乃「せ、せやったらせめて同じ布団で寝んか?」
穏乃「……」
郁乃「ダメめ……?」ウルウル
穏乃「まあ、妥協点としは妥当なところですか」
郁乃「わ?い!」
穏乃(まったく、一緒に寝るかどうかでこんなに一喜一憂すてもらえるなら、安いものですよ)
郁乃「ん? なんや、人の顔ジィ?と見て。私の顔になんか付いとる??」
穏乃「いえ、なにも」
晴絵「な、なあ和、昨夜はなにかあったか?」
穏乃「開口一番なに言ってるのさ……」
望「昨日、和と先生の話聞いてからずっとこんな感じなんだよ」
穏乃(そう言えば赤土さんの浮いた話とか聞いた事なかったけど、まさか……)
晴絵「なあ、どうなんだ!?」
穏乃「昨夜はなにもなかったよ」
晴絵「本当か……?」
穏乃「本当だよ」
晴絵「なーんだ」
望「失礼でしょう」
穏乃「いいよ。晴絵がそういう人だって認識したから」
晴絵「ち、違う!?」
穏乃「いいんだよ、晴絵。晴絵だって年頃の女の子なんだから、そういう事に興味があってもおかしくないもんね」
晴絵「そ、そんな慈愛の眼差しをむけるなー!!」
郁乃「さあ~、今日も始めるで~」
部員全員「「「はい!!!」」」
晴絵「あれ? 和、打ち方ちょっと変じゃない?」
穏乃「そ、そう?」
晴絵「うん。なんか昨日と打ち方が違う。昨日はもうちょっと突っ張ってたと思うけど……」
穏乃「わ、私だって降りる時には降りるよ?」
晴絵「まあ、そうかも知れないけど……」
穏乃(昨日の赤阪さんとの修行でひよってるなんて言えない……)
穏乃「な、なんでそう思うの?」
望「だって、部活が始まったら急に表情が固くなったし」
穏乃(うぅ……。望さん、この頃から人の気持ちに敏感だなぁ)
穏乃(昔憧とケンカした時も、なにも言ってないのに望さんがいち早く察知してくれて、アドバイスしてくれたし)
望「ねえ、どうなの?」
穏乃「本当になんでもないよ」
望「そう? ならいいんだけど、悩みがあったら言ってね? 微力ながら力になるわよ?」
穏乃「なにかあったら相談する事にするよ。ありがとう」
穏乃(……なんだか、こういうのもいいなぁ)
郁乃「穏乃ちゃ~ん、今日の部活はどうやった~?」
穏乃「昨日と特に違いはありませんでしたけど……って、赤阪さんもいたじゃないですか」
郁乃「そうやのうて~、麻雀の方や~」
穏乃「麻雀、ですか?」
郁乃「昨日と打ち方変わったんやない~」
穏乃「う……。さすがに鋭いですね」
郁乃「これでもアンタの師匠やからね~。それで、どうやった~?」
穏乃「……ひよっていつも通りの打ち方ができませんでした」
郁乃「さよか~。やっぱり穏乃ちゃんは私の見込み通りの子やね~」
郁乃「そんな事ないよ~。普通の子はね、昨夜みたいな打ち方されたら牌すら触りたくなくなるんよ~」
穏乃「昨日言っていた『耐えられない』って、そういう意味だったんですか……」
郁乃「せやで~。でも、穏乃ちゃんは大丈夫みたいやし、問題あらへんな~」
穏乃「あの修行を続けるって事ですか?」
郁乃「その通りやで~。その内成果が出てくると思うしな~」
穏乃「まあ、私に選択肢はないワケですが……」
郁乃「私を信じてや~」
穏乃「その一言で信頼しきれなくなりました」
郁乃「なんで!?」
穏乃「ロン」
望「あちゃ~、また和にやられちゃったか~」
晴絵「最近調子がいいな、和」
晴絵「突っ張ってるのになかなか振り込まないし、降りる時はキレイに降りるし」
望「なんか吹っ切れたって感じよね~」
穏乃「まあね」
穏乃(ようやく修行の成果が出て来たってとこかな)
望「ねえ、なにか秘訣でもあるの?」
穏乃「なにもないよ。でも、強いて言うなら努力かな」
晴絵「は! 言うようになったじゃないか!」
穏乃「お陰様で、ね」
郁乃「穏乃ちゃん、最近調子ええらしいな~」
穏乃「ええ、まあ。修行の成果ですかね」
郁乃「なにか判ってきたんか~?」
穏乃「少し……牌の声が聞こえるようになりました」
郁乃「お~、穏乃ちゃんは私の見込み以上かも知れんね~。もう牌の声が判るようになったか~」
穏乃「まだノイズってレベルですし、赤阪さん相手だとまるで聞こえなくなっちゃいますけど」
郁乃「十分や~。続けていればもっとよく聞こえるようになるハズやで~」
穏乃「それでも赤阪さんに勝てる気がしませんよ」
郁乃「師匠に勝とうなんて一〇年早いで~」
晴絵「つ、ついにこの日が来たな……」
望「晴絵、もしかして緊張してるの?」
晴絵「わ、私だって緊張ぐらいするさ。そういう望はどうなんだよ」
望「……実はガクガクです」
穏乃「ふふ」
晴絵「な、なに笑ってるんだよ、和」
穏乃「緊張してる二人、かわいいなぁ~って思っただけだよ」
望「なによー、和は緊張してないって言うの?」
穏乃「二人よりは、ね」
晴絵「和のクセに~!」
穏乃「悔しかったら緊張を解す事だね」
晴絵「わ、判ってるよ」
晴絵「一回戦からいきなり晩成と……」
穏乃「関係ないよ。勝ち続ければいつかは当たるんだから。それが少し早まっただけ」
望「そうだけど……」
郁乃「和ちゃんの言う通りやで~」
晴絵「先生……」
郁乃「大丈夫や。今のアンタらなら晩成にだって勝てる」
望「だけど、晩成はこの三〇年間一回もインハイ出場を逃してないんですよ? そんな強豪校に……」
穏乃「だったら、私たちがその『一回』をつくればいいんだよ」
晴絵「……そう、だよね。うん、そうだ!」
望「晴絵?」
晴絵「燃えてきたッ!」
望「単純だなぁ」
郁乃「うんうん。それでこそやで~」
先鋒:赤土晴絵
次鋒:モブ①
中堅:新子望
副将:モブ②
大将:原村和(高鴨穏乃)
~地区予選 一回戦 先鋒戦~
晩成先鋒「キングの闘牌はエンターテイメントなければならない! リーチ!」
晴絵「ロン!」
晩成先鋒「待って!!」
~地区予選 一回戦 中堅戦~
望「ポン!」
晩成中堅「三副露晒して満貫まであるじゃねえか! インチキ麻雀もいい加減にしやがれ!」
望「ツモ!」
~地区大会 一回戦 大将戦~
穏乃「ロン!」
晩成大将「こちらの待ちをキレイに躱して七対子? おい、普通の麻雀しろよ」
穏乃「やったね」
郁乃「なんや~、一番意欲のあった和ちゃんが一番反応が薄いな~」
穏乃「喜んではいますよ。でもインハイ決勝までの道のりは遠い。まだまだ気を抜けませんからね」
郁乃「和ちゃんは真面目さんやね~」
穏乃「浮かれて勝てるのなら、いくらでも浮かれますよ」
晴絵&望「……ゴメンナサイ」
穏乃「あ、いや、喜ぶ事がいけないって事じゃないよ?」
郁乃「真面目さんは空気が読めなくていかんな~」
穏乃「う……。と、兎に角勝てばいいんですよ!」
郁乃「そういう言い方もどうかと思うけどな~」
穏乃「うぅ……」
晴絵&望「優勝したぞー!!」
穏乃「インハイ出場だね」
郁乃「やっぱりあんまり喜んでないな~」
穏乃「喜んでますって。ただ、緊張が解けて安堵してるだけです」
郁乃「さよか~?」
穏乃「それよりも祝賀会の話を」
郁乃「あ~、そやったね~」
晴絵「祝賀会あるんですか!?」
郁乃「当たり前や~ん。みんな、このあと時間あるよな~」
望「ありますけど、一応両親に連絡を入れとかないと……」
郁乃「それならもうしておいたで~。というかみんなに拒否権はないで~」
望「さすがというか、横暴というか……」
晴絵「それで、どこでやるんですか?」
郁乃「松実館やで~」
郁乃「お邪魔します~」
松実母「いらっしゃいませ……ううん、お帰りなさい、かしら」
穏乃「宣言通り、インハイの出場権を持って帰って来ましたよ」
松実母「テレビで見てたわ。さすがね、穏乃ちゃん」
望「穏乃?」
穏乃「み、みんなの前では『和』って呼んでくださいって言ったでしょう!」ヒソヒソ
松実母「あ、そうだったわね、和ちゃん」
望「ねえ、今聞き覚えのある名前が聞こえたんだけど」
穏乃「き、気のせいじゃない?」
望「そういえば、最初に会った時も思ったけど、和って誰かに似てる気がするんだよね……」
望「具体的に言えばそう……穏乃に」
穏乃「穏乃って?」
望「前に話した事あるでしょう? 私の妹の友達」
穏乃「そうなんだ。それで、その子と私が似てるの?」
望「似てるって言っても、雰囲気、というか、感覚がっていうか……すごく曖昧な部分で、っていう話なんだけど」
穏乃「そういう人っているよね。ぱっと見の印象が他の人と被る人」
望「うん、まあね」
穏乃(こういう時はヘタに否定しないが吉)
郁乃「もうバラしてもいいんちゃうの~、穏乃ちゃん」
穏乃「な!?」
望「やっぱり穏乃、だよね」
郁乃「そうやで~。実はこの穏乃ちゃんは一〇年後の未来から来たんや~」
晴絵「へぇ~」
穏乃「……反応それだけ?」
望「先生は変な事は言うけど、決してウソは言わないからね。少なくともウソだとは思ってないよ」
望「それに、和……ううん、穏乃の言動も少しこの時代とはずれていたしね」
穏乃「でも、証拠もないのに……」
晴絵「お前のその反応が証拠みたいなものじゃないか」
穏乃「……」
晴絵「なあ、一つ訊いていいか?」
穏乃「なに……?」
晴絵「一〇年後では裸ジャージが流行ってるのか?」
穏乃「マイノリティだよ!」
晴絵「ふ~ん、だからインハイ出場を目指してたんだ」
穏乃「ゴメン……」
望「なんで謝るの?」
穏乃「……みんなに、ウソ吐いていたから」
晴絵「でも大切な人との約束は本当なんでしょう?」
穏乃「うん……」
望「なら、頑張らないとね」
穏乃「……ありがとう」
郁乃「うんうん。謝るぐらいなら感謝した方がえええで~」
穏乃「誰のせいでこうなったと思ってるんですか……」
郁乃「悪い事ばかりやなかったろ~?」
穏乃「それはそうですけど……。赤阪さんに言われるとどうも釈然としません」
晴絵「……ついに来たね、インターハイ」
望「穏乃は二回目?」
穏乃「うん……」
郁乃「今回はどんな気持ち~?」
穏乃「……前回よりは緊張してない、ですかね」
郁乃「勝てそう~?」
穏乃「そればっかりは実際に対局してみないと……」
晴絵「なんだよ。『勝ちます』ぐらい言ってみろよ」
穏乃「……」
望「ひよってる?」
穏乃「……かもね。でも、私は勝たなくちゃいけないから……」
郁乃「『私たちは』やろ~?」
穏乃「……はい」
晴絵(これが最強との呼び声高い土浦女子の先鋒……小鍛治健夜)
晴絵(気弱そうな顔をして、その実恐ろしい麻雀を打つ……)
晴絵(そういえば穏乃が言っていたな)
晴絵「……アラサーだって」ボソ
健夜「ティーンだよ!」トン
晴絵「あ、それロン」
健夜「へ?」
晴絵「跳満、12000」
健夜「……許さない」ゴゴゴゴゴ
晴絵「!?」ビクッ
穏乃「……伝説はこうやって作られたのか」
望「伝説って?」
穏乃「ああ!」
望「え?」
郁乃「未来ジョークやね~」
晴絵「ゴメン……」
望「あんな麻雀されたんじゃ仕方ないよ」
晴絵「でも……」
穏乃「大丈夫。後ろには私たちがいるから」
望「そうだよ。なんの為のチームメイトさ」
晴絵「二人共……ありがとう」
郁乃(でも、穏乃ちゃんは大将戦が始まったらもう……)
穏乃「さて、私の出番だね」
晴絵「……行くのか?」
穏乃「うん」
望「また会える?」
穏乃「うまく行けば一〇年後に、ね」
晴絵「そうか……長いな」
穏乃「気長に待っててよ。必ず、また会えるから」
望「うん、待ってるよ」
郁乃「うん?」
穏乃「今まで、お世話になりました。この四ヶ月弱、いらいろありましたけど、楽しかったです」
郁乃「それはお互い様や~。私も穏乃ちゃんと一緒で楽しかったで~」
穏乃「……」
郁乃「……」
穏乃「……行ってきます」
郁乃「行ってらっしゃい」
穏乃「ん? ……戻ってきた?」
晴絵「どうしたシズ? こんな大切な時にボーッとして」
穏乃「……晴絵?」
晴絵「え?」
穏乃「あ、ごめんなさい。なんでもないです。次、大将戦ですよね」
晴絵「穏乃……?」
穏乃「……うん」
晴絵「……本当に一〇年なんだな」
穏乃「待った?」
晴絵「きっかり一〇年待たせてもらったよ」
穏乃「……ゴメン」
穏乃「うん。必ず勝ってくるよ」
晴絵「よし、なら行ってこい。そして試合が終わったら赤阪先生のところに挨拶に行けよ」
穏乃「赤阪さん、来てるの?」
晴絵「姫松の監督代行をやってる。姫松も明日準決勝だよ」
穏乃「なら、吉報を持って行かないとね!」
憧&灼「なに、あの二人の空気感は!?」
恭子「代行、お客さんです」
郁乃「お客さん?」
恭子「どうぞ」
穏乃「失礼します」
郁乃「……穏乃ちゃん」
穏乃「お久しぶりです……と言っても私としてはたかだか数時間ぶりの再会ですけど」
郁乃「感動の再会にそういう事を言うのはなしやで~」
穏乃「そうですよね……」
郁乃「……」
穏乃「……」
郁乃「……おかえり、穏乃ちゃん」
穏乃「はい、ただいまもどりました」
穏乃「情報が早いですね。ビックリさせようと思ったんですけど」
郁乃「うちと当たるかも知れない相手やからな~。情報はちゃんとチェックしとるよ~?」
穏乃「光栄ですね」
郁乃「ちょ~っと寂しい気もするけどな~……」
郁乃「せや、紹介しとこか~。末原ちゃん、この子は高鴨穏乃ちゃん。阿知賀の大将をしとる子やで~」
恭子「末原恭子です。私も姫松の大将をしとります」
郁乃「穏乃ちゃんはね~、末原ちゃんの兄弟子に当たる子なんやで~」
穏乃「そうなんですか……」
恭子「兄弟子?」
郁乃「その内判るで~」
恭子「はぁ……」
郁乃「なんや、もう帰るんか~? 明日は試合ないんやろ~? ゆっくりしていけばええや~ん」
穏乃「明日はそっちの試合があるでしょう? それに他校の私がいたらマズイですし」
郁乃「私はべつに構へんで~? それに、一〇年ぶりの穏乃ちゃんを感じたいし、な?」
穏乃「浮気はよくないですよ。今は末原さんがいるんでしょう?」
郁乃「私はこの一〇年、穏乃ちゃん一筋やで?」
穏乃「え……?」
郁乃「穏乃ちゃん」ギュッ
穏乃「あ……」
郁乃「今日、泊っていってくれるやろ?」
穏乃「……はい」
カン!
いや、ウソです。
でも、一〇年前とういう設定だからこそできるネタとかはあると思うんです。
このSSではあまりそういう設定は生かせてませんでしたけど。
ちなみにオレの中で代行は、妖怪のような設定になってます。
最後の方はグダグダになってしまいましたが、こんなSSに長らくお付き合いいただき、本当にすばらでした!
シズも代行もかわいいよ
みごとにすばらでした
Entry ⇒ 2012.09.04 | Category ⇒ 咲-Saki-SS | Comments (0) | Trackbacks (0)
照「地上波…?」
照「勿論咲の事は伏せて一人っ子設定にしておいた」
照「てっきりCSか何かだと思っていたら、まさかの地上波朝イチニュース番組」
照「再現ドラマまで作ってあるって…」
照「明日藤TVで…うう、どうしよう」
淡「何で?テルーはカメラの前ならどこも恥ずかしくないよ?」
渋谷「喜ばしい事じゃないですか」
亦野「私も帰ったら録画の準備を」
照「もしも咲に観られたら…どうなるか分かる?」
照「うん…例え放送日以降どれだけの愛を注ごうとも、こればかりは拭えない汚点になる」
照「きっと咲は社会的に死んだ扱いになり、無理矢理高校も辞めさせられ」
照「やっとの思いでボロボロニなって東京に辿り着き…そこを優しく介抱する私」
照「やがて姉妹の粋を超えた本物の愛情がお互いに目覚め…」ホワホワ
渋谷「無いでしょうね」
亦野「無理でしょうね」
淡「さすがに夢を見過ぎかも…」
照「ですよね」
菫「TV局に抗議の電話を送れば済む話じゃ…」
渋谷「菫先輩、相手はあの悪名高い藤TVですよ?多分軽く流されて終わりです」
淡「この前もバラエティの麻雀で元議員のタレントが全裸になってたし…///」
亦野「あそこまで議員がはっちゃけるとは誰も思わなかっただろうな」
照「…………そうだ!嵐を長野県に呼び込めば…この右手で!」ギュルギュル
照「いけー!」ギュルギュル
照「雨雲よ、長野にぃぃぃぃ!」ギュルギュル
菫「…ところで今の天気は?」
亦野「快晴です」
菫「今照が頑張って右手を突き出してる方向は?」
渋谷「西北西です」ズズズ
菫「明日の長野の天気は?」
淡「今の所ずーっと晴れだってさ」
・
・
・
照「ううう、腕と顔が痛い…陽が落ちるまでずーっと嵐を呼んでたからな…」ヒリヒリ
照「しかも長野県は晴れ照…くそっ、私の力が足りないばっかりにっ!」
照「あああ、まずい、まずいっぞっ!アイキャッチが出てきて、CM明けには私のインタビューが…」
照「ああああああああああ!」
~~~~~~~~~~~~~~
ナレーション『本日、取材を快く受けてくれたのは』
照(くっ…取材料を何度も上げてしつこかったから引き受けただけなのに…)
ナレーション『白糸台の中でもファンクラブが存在すると言う美人過ぎる先鋒、宮永照』
照「!?」
渋谷「!?」
亦野「~ッ!?」
淡「!?」
菫「」ビクッ
照「お願いします」スマイルッ
照(うわあ、我ながらわざとらしい…)
レポーター「まず最初になんですが、麻雀を始めたきっかけは?」
照「麻雀好きな両親でして、家の中に全自動の卓があったんですよ」
照「ですから自然にのめりこんでいったんだと思います」スマイルッ
照(あああああ、最初はかじる程度だけだったけど咲に教えたくて上達したのに…)
照(そんなに言うの!?とても嫌な予感がする…)
注意書き『この映像は、本人の回答を元に番組側で再現したものです』
・
・
・
ナレーション『宮永照…父親の故郷だった長野県で産まれる』
ナレーション『一人っ子というだけあり、珠のように愛情をこめて育てられた』
照(ごめんよおおお咲いいいいいい)
照父『あはは、照は強いなあ』
照母『将来は立派な麻雀プロになるかもしれないわね!』
黒人『ホンマ、べっぴんはんやしホント将来が楽しみやわぁ』
照(誰だコレー!?)ガビーン
ナレーション『麻雀に早くから触れ、家族とホームステイしている留学生と共に遊ぶ毎日』
照(何で留学生!?そんな事私一言も言ってない!)
ナレーション『だが、崩壊の序曲は奏でられ始めていた…』
照(!?)
照母『あなた…今日こそはお酒を飲んで来ないって言ったじゃない!』
照父『うるせぇっ!カン!』ドゴォッ
照母『きゃぁっ!…今日は照の誕生日なのに…』
ガチャッ
幼照『………パパ…今日、私の』
照父『うぼぉえっ!』ボチャボチャ
幼照『…………』パタン
ナレーション『この頃から両親の仲が悪化…父親は夜遅くに酒を飲んで帰り、母親に暴力を振るう毎日』
照「」
ナレーション『最愛だった父親との別れ。当時の事はあまり覚えていなかったと言う』
ナレーション『だが転校した小学校で、照を待ち受けていたのは……』
子供A『お前長野から来たんだろー!田舎者は出てけ!』
子供B『そうだそうだ!食らえ黒板消し!』バフッ
幼照『ううっ…やめてよぉ』シクシク
ナレーション『壮絶ないじめの数々。更に母親はパートに出かけ孤独で貧乏な生活を送る』
照『…角砂糖、ですかね…喫茶店とかに置いてるあの…』
ナレーション『当時唯一の楽しみは角砂糖。その生活の酷さが伺える…』
照(あれは砂糖は粉か角かどっちかって質問の回答だったのに…)
ナレーション『中学を出てもいじめられるのは変わらず、この時は本気で自殺を考えたと語る』
照(語ってないよ!)
ナレーション『しかし、その時救いの手が差し伸べられた…』
中学照『…貴方は……』
ナレーション『以前長野に居た時ホームステイしていた、あの留学生と偶然出会った』
ナレーション『彼は努力の果てに念願が叶い有名な大学に合格し、順風満帆な学園生活を送っていたとの事』
照(だから誰なんだー!?)ガビーン
中学照『でも、今の私に取り柄なんて…』
黒人『照ちゃんには麻雀があるやないか!』
中学照『…麻雀…?』
黒人『ワイなんかずーっと照ちゃんに勝てへんかった!絶対素質あるわ!それでいじめっ子全員見返してやりゃええやん!』
ナレーション『これが、宮永照を麻雀の道に歩ませる事となった言葉である…』
照(違ーう!)
中学照『ツモ、6000オール!』バーン!
中学A「」ぐにゃあ~
中学B「」ぐにゃあ~
中学C「」ぐにゃあ~
ナレーション『かつてのいじめっ子達に麻雀で勝負を挑み、なんと負けた回数は0』
ナレーション『照本人の収入は約600万にも及び、その金額を持って闇金業者の借金を完済』
照(借金!?してないよ!)
ナレーション『そして今現在白糸台の一軍として活躍し、3年連続インターハイ制覇と言う快挙を成し遂げようとしている…』
レポーター『貴女にとって麻雀とは?』
照『…全て、ですかね……』
照「どうしてこうなった…」
照「…皆、朝の再現ドラマ、あれは」
渋谷「照先輩、これを」スッ
照「…お茶?だからあのドラマは」
亦野「先輩、何かあれば連絡してください、いつでも助けになります」
照「だからあれは」
菫「照…」ダキッ
淡「テルー!」ダキッ
照「!?」
菫「照…がんばっだな…よくここまで…ぐすっ」
淡「ぜったいぜったいぜーったいインハイ勝とうね!そしておかーさんに…」
照(…今言ったら多分私の命がまずいな…)
照「来てしまった…どうしよう、咲にどんな顔して会ったら良いんだ…」
菫「咲?ああ、清澄の宮永咲か…何でそんなに気にしてるんだ?」
渋谷「先輩は一人っ子なのに…あ、もしかしたら親戚とか…」ズズズ
照(やばい、何で誰も信じて疑ってないんだ…)
淡「ところで、そのサキって人強いの?」
亦野「強いからここまで来たんだろう…ん?」
ゴッゴッゴッゴッゴッゴッゴッゴッ
照「あれは…まさかさ…き…?」
咲「…………」ゴッゴッゴッゴッゴッゴッ
咲「………」ゴッゴッゴッゴッゴッゴッゴッゴッゴッ
照(だがしかし、ここは心をこめて謝るしかない…)
照(見せてあげよう、お姉ちゃんの土下座を!)
照「咲…ゴメ」
淡「テルー!早く行くよ!」グイッ
照「!?」
菫「さあ行くぞ皆、一人っ子だった照の為に!」
渋谷「今度は私達があの留学生の代わりに助ける番ですっ!」
亦野「絶対に繋ぐ…命に代えてもッ!」
照(はわわわわわわわわわわ)
咲「………ユルサナイ…」ゴッゴッゴッゴゴゴゴゴゴゴゴゴ
照「私のファン…?頂きます」ムシャムシャ
優希「うわああああああん!」
照(うっ…いきなり辛い物を食べたせいで…)ギュルギュル
怜(なんや、あんまり怖くないなあ)
玄「」ガタガタガタガタ
菫「貰った!」ドシュッ
まこ「キング・クリムゾンッ!矢は通り抜けるッ!」ドギャーン
ドスッ
京太郎「なっ…」
宥(あったかくない…)ガタガタ
泉「」ガタガタガタガタ
京太郎・・・どうして・・・
久「あ、ちょっと貰うね…ぷはーっ!ちょうど温かい物飲みたかったのよね」
渋谷「」
憧(白糸台の動きが止まった…今がチャンス!)
セーラ(セーラー服スースーする…)モジモジ
亦野「私は『荒野の狼』と呼ばれていた…(戦場で)」
和「私は『亜光速の天使』と呼ばれていました…(ネット上で)」
船久保「私は『フナキュー』と呼ばれている…(部内で)」
灼(何これ…)
菫「いよいよ淡の出番か…」
照(全体的には清澄が追い付こうとしている…うっ)ギュルギュル
渋谷「ぐすっ…(お茶があったらあんな振り込みは…)」
亦野「今となっては淡が逃げ切れるかどうか…」
竜華(私達にもまだ逆転のチャンスはある…)
ゴッゴッ
隠乃(私は絶対に諦めないっ!)
ゴッゴッゴッゴッ
淡(いつもより差は小さいけど、まあ勝てるよねっ♪)
ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴッ…
咲「…………」
恒子「逃げる白糸台、追う三高!大将戦開始ぃーっ!」
淡(とは言っても能力を2つ持つ私の敵にはならないと思うけど)
淡(第一に私以外の相手を「淡く」…高い役を決して作れなくする)
淡(そして第二に字牌を好きに操れるから、大七星なんか簡単に、条件が揃えば四暗刻だって)
淡(絶対私は負けない。皆には踊って貰うかな?)
咲「ツモ」ゴッ
淡(あ、ゴミ手で上がる?それならいくら上がったって…)
淡「えっ」
竜華「えっ」
隠乃「えっ」
恒子「えっ」
健夜「えっ」
咲「…『天地抹消』(エンドオブザコスモス)」
健夜「これってありなの?ねえ…」
恒子「大会側のアクシデントですが、出来ちゃったものは仕方ない!役満扱いとなりますっ!」
亦野「ぬう…あれは轟盲牌!」
渋谷「知っているの、誠子!?」
亦野「圧倒的な指の力をもって表面を削り白牌を創る技だが…あそこまでの精度とは…」
※『玄人超人伝~これぞ神業なりや~(民明書房)』より抜粋
照「咲…うっ、また波が…」ぎゅるぎゅる
竜華(顔が見えないと思ってたらとんでもない化け物やった…でも白糸台は落ちた!)カチャッ
隠乃(この機を逃さないっ!)チャッ
咲「……」ゴッ
菫「まずい、出鼻に役満を喰らってか淡の様子が…」
渋谷「支配が効いてない…に、逃げて淡っ!」
咲「ツモ」ゴッ
淡「えっ」
隠乃「えっ」
竜華「えっ」
恒子「えっ」
健夜「えっ」
宥(あったかそう…)ホワホワ
咲「……真紅中線(スカーレットセンターズ)」ゴッ
健夜「ねぇ、これ本当に大丈夫なの?クレームとか来ないよね…」
恒子「出来ちゃったものは仕方ないので、役はしっかり数えますっ!」
亦野「あれは轟紅牌!」
渋谷「知っているの、誠子!?」
亦野「己の血をもって赤牌を生成する技だが…あそこまでの精度とは…」
※地獄麻雀列伝~息子の骨牌で麻雀を打った男~(民明書房)より抜粋
照「…咲ぃーっ!」
照「咲、お前はそんな事をする子じゃ無いっ!純粋に麻雀を楽しんでた!」
係員「ダメっ・・・乱入はダメっ・・・」グイグイ
咲「…………」
照「嶺上の話まで忘れたのか!?誰でもいい、嶺上で上がってくれ、そして咲に…はうっ!?」ぎゅるぎゅる
恒子「…はい、お騒がせしました!何なんでしょうね全く!」
淡(…リン……シャン…咲く…サキ…?)
淡「カン」チャッ
ドスッ
竜華「!?」
隠乃(ラーメン食べたくなってきたなぁ)
淡「…あ…れ……?」
咲「…槍積」ゴッ
淡(テルー、ごめんね?私のせいで白糸台は…あれ…一人っ子って…)
淡(…違う…そうだ、前テルーは言ってた…妹が居るって…それが…)
淡(今サキを救えるのは私だけなんだ…だから…)
淡「カン!」
ドスッ
淡「ぐぶっ…(私が、やらなきゃ…)」
咲「…………」
ドス
淡「カン…!」
ドスッ
淡「…カ…ン…」
ドスッ
淡「……(もう、駄目かもしれない…視界が暗く…)」
淡(血が足りない…私。ここで死ぬのかな)
淡(麻雀で死ぬのも、悪くないかも…さよなら、みんな…)チャッ
「カン!」
穏乃「うっ…!結構効くかも…」
淡「そんな…アナタがどうして…」
穏乃「あんなにチャンピオンから頼まれたんなら…やらないわけがない!」ドヤァ
竜華「…カン!」
ドスッ
竜華「ぐっ…」
淡「…アナタも…下手したら死んじゃうのに…」
竜華「だったら尚更、1年のお嬢ちゃんには任せられんわ」
竜華「勘違いせんといてや、チャンピオンのお願いやからしてるだけやからな!」
淡「はぁ…はぁ…(そろそろ、かな…)」
穏乃「はぁ…っ…(もう、駄目かも…)」
竜華(怜…もっと膝枕させた方がよかったんかな…)
淡(点数的に見ても…後一回…これで…)
咲「……」チャッ
淡「カン!(お願い、通って…)」
咲「……」ヒュッ
淡(~~~~~ッ!)
スカッ
竜華(外した…これで…)
穏乃「行け…っ!」
淡「…ツモ!リンシャン…のみ…!」
咲「…………!」
ガシャーン
咲「…ぐすっ…ごめん、なさい…酷いこと、しちゃった…」ボロボロ
穏乃「…勘違いしないで、よっ!」
咲「…え……」
穏乃「今の私は…あなたと麻雀を楽しみたいんだよ…だから謝る必要なんか無いって!」
竜華「さて、終わった事やし…改めてやらせてもらうでー」
穏乃「たはっ!手厳しい…」
淡「…二人とも、ありがとう……」
穏乃「いいっていいって!」
竜華「何か言ったか?」
穏乃「あ、それロンっ!」
竜華「何やと!?」
淡「……(何て緊張感の無い試合…だけど)」
咲「カン!ツモ!リンシャン!」チャッ
淡(みんな凄く楽しそう…)
淡(テルー、ごめんね。三連覇は無理みたい)
淡(けど、今はこの雰囲気をもう少しだけ…)
白糸台 100000
千里山 100000
阿智賀 100000
清澄 100000
穏乃「」
竜華「」
咲「ありがとうございましたっ!」ペコリ
淡(え…あれ…普通に楽しんで打ってたら…あれ…?)
穏乃(あれ…誰が一位なのこれ…え…?)
竜華(何でこんな事出来るんや…そんな…今までの努力は…)
咲「麻雀って…楽しいよね!」
カン
咲「わひゃあ!?お、お姉ちゃん!」
照「ごめんね!藤TVにまちがったドラマを作らされて本当にごめん…」
咲「ううん…その気持ちが分かっただけで十分だよ…」
照「咲……」ギュッ
咲「決勝、仕切り直しだってね…」
照「ああ、二人で戦えないけど…淡は強いぞ」
咲「お姉ちゃんだって…次こそは本調子で戦ってね?」
照「ああ!」
照「咲……」
咲「またまた決勝が仕切り直しだって!」
照「あ、ああ…もう5度目だが、お父さんは心配してないのか?」
咲「お姉ちゃんと居る時間が長くなるから、そっちを大事にしろってさ…」
照「そうか……」
咲「次の決勝も、私頑張るからね!」
照「ああ…」
照「ひぃいっ…!」ビクッ
咲「もう18度目だけど、また全員同点だから仕切り直しだってさ!」スリスリ
照「そ、そうか…もうみんなして引き分けで良いんじゃないかな」
咲「そんなぁ…やっぱり順位ははっきりさせるべきだと思うんだけどな…」
照「皆も色々有るだろうし、もうじき決まって欲しいな…」
咲「うん…でも、お姉ちゃんと離れ離れになるの、やだな…」
照「」ゾクッ
照「」
淡「」
咲「もう82度目の仕切り直し…ずーっとお姉ちゃんと一緒に居られる…それにさ」
咲「和ちゃんも喜んでるんだよね、咲さんと一緒に居られる時間が増えてるって」
咲「京ちゃんもタコス研究に時間を費やせる、こっちには何の不利益も無い」
咲「勿論そっちにも損は無いよね?麻雀をずーーーーーーーっと楽しめるんだから」
照「あ…あああ…」
淡「あ…あああああ……」
咲「これからも、麻雀を楽しもうね!」スマイルッ
照淡「ウワアああああああああああああああああああああああああああ!」
今度こそカン
運営まで支配下においたってことか・・・
まぁ西入り北入りは最低してるんだろうな
Entry ⇒ 2012.09.04 | Category ⇒ 咲-Saki-SS | Comments (0) | Trackbacks (0)
洋榎「絹の胸を思う存分揉みしだきたいなぁ」
洋榎「その大きさの秘密を探って、うちも実践するんや! なんて……」
絹恵「……ええよ?」
洋榎「えっ?」
絹恵「やから、私はお姉ちゃんにならされてもええで」
洋榎「……ほんま?」
絹恵「う、うん」
洋榎「な、なら失敬して……おぉう」ムニッ
洋榎「なんや」フニフニ
絹恵「なんか喋ったらどないなん……んっ」
洋榎「堪忍、あんまりにあんまりだったもんやから、つい」フニフニ
絹恵「……ぅ」
洋榎「絹のお顔がまっかっかー」フニフニ
絹恵「……うっさい、喋らんで」
洋榎「どっちやねん」フニフニ
絹恵「う、うん」
洋榎「……ほれっ」グニッ
絹恵「うぁっ」
洋榎「おっとここで洋榎選手、やや強く揉みにいったぁ!」グニグニ
絹恵「あほ!」バシッ
洋榎「いたっ!」
絹恵「もう、私部屋戻るで」
洋榎「ええー、ちびっと実況しただけやんけ……あーいってしもた」
洋榎「しかしなかなかやったなぁ、ぷちぷちみたいに癖になってまうわ」
…………
………
絹恵「…………う、うわあぁああぁ」
絹恵「めっさドキドキしてもうた……」
絹恵「や、スキンシップとか冗談のつもりなのはわかっとるんやけど……」
絹恵「鏡、鏡……うっわ、顔赤っ。 し、心臓バクバクしすぎて頭痛いし」
絹恵「どないしよ、とりあえず寝てまうか……」
洋榎「絹ー?」ガチャ
絹恵「ひっ!?」
洋榎「何びびっとるんや、夕飯やで」
絹恵「そ、そか、夕食か……。 後で行くわ」
洋榎「なあ、体調でもあかんのか? まだ顔真っ赤やん、ちとデコ貸してみ」
絹恵(デコくっつけるんか!? ちょ、顔近っ……)
洋榎「ううむ、微熱ってところか」ピトッ
絹恵(な、なんや、手か……)
洋榎「ほい、さんきゅー。 ……おーい、絹?」
絹恵(はぁ、デコが良かった……って、これじゃまるで変態やんけ!)
…………
………
絹恵「……胸触りながら哲学語るもんとちゃうで」
洋榎「そない言うても、うちら姉妹でこれだけサイズが違うのは不思議やな」フニフニ
洋榎「生活環境で変わったりするんやろか。 絹はサッカー部やったし、運動したらこうなるんかな? ああやから胸にボール二つついとるんやな」フニフニ
絹恵「ん……ちょい黙って」
洋榎「なんやノリ悪いな」フニフニ
絹恵(私はそれどころとちゃうわ、そないな余裕あらへん……)
洋榎「で、ほんまのとこどないなん?」フニフニ
絹恵「知らへんわ、いつの間にか……っ」
洋榎「ほー、言うことがちゃうな」フニフニ
絹恵「……でも色々ゆうやん、牛乳飲めとか、恋せえとか」
洋榎「何や絹、恋しとるの?」フニフニ
絹恵「……さあなぁ」
洋榎「なんやねんもったいぶって」
………
洋榎「絹、また触らせてくれへん?」
絹恵「ま、また? ここんところずっとそんなやん……」
洋榎「そう言われてもなぁ。 絹の胸、なんかクセになるんよ」
絹恵「おやじかいな! まあ、ええけど……」
洋榎(ええんか……ここ最近ずっとこんなんやな)
絹恵(うう、既に心臓おかしい……倒れてもおかしくないわ)
洋榎「じゃあ遠慮なく」フニフニ
絹恵「……あぅ」
洋榎(また顔真っ赤やん。 最初は冗談のつもりやったんやけど、こう見ると絹って)
洋榎「なんかむっちゃえろいわ」フニフニ
絹恵「お姉ちゃん、身体目的かいな……ん」
洋榎「胸触っとる最中に『身体目的かいな』はないやろ」フニフニ
絹恵(……あほ)
ギュルルルルルルルル!!!!
カンカンモイッコカン!!!!
絹恵「はぁ、はぁ、ちょいタンマ……お水飲んでくる」
洋榎「お、おう……うちのも頼むわ」
絹恵「了解……」
絹恵(あかん、お姉ちゃんはうちに気があってこないなことしとるわけやない)
絹恵(クセや言うて続けてたら、その内絶対気持ち抑えられなくなる……)
絹恵(その前になんとか止めな。 でも今日は続けよか、中途半端になってまうし)
絹恵(はぁ、意思弱いなぁ……)
洋榎(うわっ、今気付いたけど、顔汗でぐしょぐしょやんけ。 どないしよ)
洋榎(……って、ティッシュかなんかで拭けばええか。 うちは何焦っとるんや)
洋榎(よく見たらうちも絹に負けんくらい顔真っ赤やし、昨日までそんなことあらへんかったけどなぁ)
洋榎(なんでやろ……あ)
洋榎(そないなことずっと前から知っとったねんけど、でもそないな意味やのうて……。 うわわわ! だからか、だからなんか!?)
洋榎(こんな不純な動機で気が付くなんて、もうくたばったほうがええんとちゃうんかこれ……)
絹恵「ただいまぁ」
洋榎「う、うおいっ!」
絹恵「何アホなビビり方しとんの」
洋榎「い、いや、なんでもあらへん……」
絹恵「コップ、ここ置いとくで」
洋榎(な、なんか意識すると顔合わせられへん……)
絹恵「そ、それで、どないする?」
洋榎「何が、って……」
絹恵「む、胸……」
洋榎(そらそうか……)
絹恵「私は、別にかまへんけど……」
洋榎「い、いや、今日はもうやめとこ。 うちもう部屋戻るで」
洋榎(……むっちゃ息熱いな、麻雀のどんな大会でもこんな状態になったことあらへんのに)
洋榎(もしかして、絹が一昨日熱っぽかったのはこのせい?)
洋榎(絹も私と同じ心境……? ってことは両想い……いやいやいや考えすぎや! あほ!)
洋榎(どちらにせよ、さっきまで絹の胸、めっちゃ触っとったことに変わりないんや。 さっきどころか三日前から……)
洋榎「かあああああ! 熱い熱い、全身びしょ濡れやん! クーラーつけよ……」
絹恵(お姉ちゃん、なんで途中でやめたんやろ……もちろんそれが一番普通なんやけど)
絹恵(もしかして、もう飽きてもうた、とか……)
絹恵(あほか、お姉ちゃんがそないな勝手なことするわけない。 私が一番わかっとることや!)
絹恵(……げ、身体めっさ火照ってる)
絹恵「……お風呂入ろ」
洋榎「…………」
絹恵「…………」
洋榎(き、気まずい……夕食の時は、いつもはこれでもかっちゅうくらい喋るのに)
洋榎(まずまともに顔も見られへん……)
絹恵(お姉ちゃん、顔すら向けてくれへん……なんでや)
洋榎「おかん、今日遅くなるらしいわ」
絹恵「ああ、うん」
洋榎「……テレビでも、つける?」
絹恵「せやな」
洋榎(絹もなんか落ち込んどるし、どないしよこの空気……)
洋榎「あ、それうちのTシャツ……」
絹恵「え、あっ、あかんかった?」
洋榎「いや、そういうわけやあらへんけど」
洋榎(なんか、こないなつまらんことでもドキドキしてまうな……)
洋榎(餅つきができるんはありがたいんやけど、このままやあかんな)
洋榎(思うに絹の口数が少なくなったんは、うちが絹の胸で遊ぶようになってからや)
洋榎(……あれ、普通そんなんが理由になるか? これが男と女やと問題やけど、うちら女同士な上姉妹やん)
洋榎(絶対絹もうちのこと好きやろ……いやでも都合良すぎる考えや、高まって思考全くまとまっとらんし……)
洋榎(とりあえず、しばらくは絹にちょっかい出さへんでおこ)
絹恵(最近いつもみたいに会話ができへん、そのせいでお姉ちゃんまで暗くなっとるし、あかん……)
絹恵(お姉ちゃんとは姉妹だけでいられれば十分って、決心したはずなんやけどなぁ……はぁ)
絹恵(私の決意をなんや勝手に掘り返して……)
絹恵(明日……明日までは胸触られてもセーフにしよか。 今日あんなやったし、うん)
絹恵(私もおねーちゃんみたいに、こういう時すぱっと決められればええんやけどなぁ)
洋榎「絹、最近部活で麻雀に集中できとらんとちゃうん?」
洋榎(まあ、正直うちも人のこと言えへんけど……)
絹恵「せやな。 ちょい気い付けるわ」
絹恵(誰のせいやと思っとるんよ……)
洋榎「おー、アイスある。 ほれ、食べ」
絹恵「先に制服着替えてくる。 お姉ちゃんも制服着替えとき」
洋榎「ええやん、後で」
絹恵「だって……今日もやるんやろ、あれ」
洋榎「……ん、おぉ」
洋榎(Noと言えへん自分が憎い……)
絹恵「……ど、どうぞ?」
洋榎(ちょ、そないなん反則やで……目合わせられへんわ……)
洋榎「な、なぁ絹?」
絹恵「なんや?」
洋榎「あっち向いてくれへん?」
絹恵「え?」
洋榎「た、たまには後ろから……なんて」
絹恵「あー……よいしょ」
絹恵(良かった、何言われるかと思た)
洋榎(……なんやねん、これはこれで恥ずい)
洋榎「んじゃあ、失礼して……」
絹恵「…………」
洋榎(いつまで続ければええのかわからへん……)フニフニ
洋榎(うちはずっとこのままでも至福やけどなぁ。 でもさすがに疲れてきた)フニフニ
洋榎「絹、しんどいから身体寄せるで」グイッ
絹恵「……ぁ」
洋榎(……髪の匂い嗅いだろー)
洋榎(なんか、ええなぁ……)
絹恵「っ……いっ……」グデッ
洋榎「?」
絹恵「……ぅ……ん」
洋榎「なあ、絹どないしたん? 腹痛い?」
絹恵「……ぁ、お、お姉ちゃん……ティッシュ」
洋榎「え? そっち側にあるやん」
絹恵「動けへん……」
洋榎「まあええけど、ほれ……うおっ」
洋榎(びっくりした、顔赤すぎやろ……)
洋榎(しかもよだれ垂れとる、なんか可愛い……って危ない人かうちは!)
絹恵「お姉ちゃん、拭いて……」
洋榎「……わかった、じっとしといて」
洋榎(うっわ、むっちゃ手震える……)スッ
洋榎「…………」
洋榎「終わったで……ほら」
絹恵「堪忍な……へへ」
洋榎「え、ええよ……」
絹恵(軽蔑されるかて思たけど、やっぱりお姉ちゃんはやさしいなぁ……)
………
絹恵「今日はやらへんの?」
洋榎(そ、そろそろやめにしたほうがええんやないか……)
洋榎「えーっと……なんちゅーか、あんな、その……」
絹恵「……なぁ、お姉ちゃんがやらんやったら私がすんで」グニッ
洋榎「ううぇええぇ!?」
絹恵(……むっちゃ心臓動いとる、跳ね返されそうやわ)
絹恵(私のそれとはちゃうかもしれへんねんけど、なんや嬉しいなぁ)
絹恵「お姉ちゃん、リンゴみたいな顔しとるわ……」
洋榎「や、やかましいわ! 自分も人のこといわれへんやろ!」
絹恵「これ、お姉ちゃんが私にやってきたこととちゃうの」
絹恵(で、でも、私もこっから手動かせへん……緊張で固まってまうし、もったいないけど離そか……)
絹恵「……お、お姉ちゃんの番や、離すで」スッ
洋榎「あ、あかん!」グイッ
絹恵「わっ!」
絹恵(お姉ちゃん……そない目瞑られると、私おかしくなりそうや……)
絹恵(このままちゅーしても怒られへんかな……なんて考えるあたり、私もうおかしいんかもしれへん)
洋榎「…………」
絹恵「……ぅ」
雅恵「ただいまー」ガチャ
絹恵「うわあっ!」ビクッ
洋榎「あっ……」
雅恵「おい、なに人を化け物扱いしてくれとんのや」
洋榎「…………」
…………
………
洋榎(なんとか誤魔化せたけど、絹には絶対けったいな目で見られた……)
洋榎(あないな行動に出たんはなんでやねん、なんて言い訳したらええんよ……)
洋榎(なんやねんこれ、寂しくて泣きそうや……絹……)
絹恵(お姉ちゃんは鬼や……私を惚れさせておいて、諦めた途端に掘り返して)
絹恵(したら今度はあんな顔して、耐えられる人なんかおらへんやろ)
絹恵(いや惚れたのは私の勝手やけど、でも……)
絹恵(今日もお母さんが帰ってこなかったら、きっとあかんことしとったなあ……)
絹恵(既にこの習慣があかんことやろうな……やめよ思うてから結局やめられてへんし、なんやもう、頭ぐちゃぐちゃになってわけわからへん)
絹恵「お姉ちゃんから言うて来たのに?」
洋榎「まあ、そらそうなんやけど……ええと」
絹恵「……なあ、ずるくあらへんか? なんでお姉ちゃん、私の気持ちをそない揺さぶることするんや?」
洋榎「な、なにが……」
絹恵「何とぼけとるん、もういい加減わかっとるやろ。 私はお姉ちゃんが好きや……愛してる」
絹恵「ちょっと前に、恋がどうたら言うたやろ。 あれ、お姉ちゃんに恋しとるってことやで……」
洋榎(う、ほんまに当たっとった……)
絹恵「……最初にお姉ちゃんに胸触られた時の気持ち、わかる? 頭に血上るわ、心臓が大騒ぎするわで大変やった……」
絹恵「もちろん、それからもずっと。 姉妹やしこんな感情やめにしよう思ってたのに、こないなことされて、なんやねんもう自分でも自分がわからへんわ……」
洋榎「……何泣いとんねん、拭き。 うちだってな、絹のこと……」
絹恵「なあ、そんなら、受けていれてくれへん?」
洋榎「……何を」
絹恵「…………」グイッ
絹恵「ん……んぐっ……」
洋榎「……ぁ」
絹恵「……ふぁっ」
洋榎「……へへ、うち一応ファーストやで? こう強引にされたらたまらんな、傷が残る」
絹恵「やかましい……んっ」
洋榎「……んぅ……っ」
絹恵「ぅ……ふはっ」
洋榎「……なぁ、うちも絹のことが好き、受け入れる。 わからへんか?」
絹恵「わからん、わからん……なんで……」
洋榎「ほな、しゃあないな。 わかるまで好きに乱暴したらええよ、もう……」
絹恵「あ……んむっ」
洋榎「…………ぅ」
………
絹恵「……ん」
洋榎「っ……なぁ、何度目やっけ、これ」
絹恵「知らんよ……」
洋榎「落ち着いた?」
絹恵「うん……なんやこれ、むっちゃ火照るんやな……」
洋榎「顔に出とるわ」
絹恵「お姉ちゃんこそ」
洋榎「出えへんほうがおかしいわ。 絹……好きやで」
絹恵「うん、私も……」
洋榎「……へへ、ちと締まらんけど、うちらの恋も成熟したことやし」
洋榎「これからは、こっちのがええか」
絹恵「ちゃうやろ、両方や……ん」
洋榎「そか、へへ……んー」
おわれ
Entry ⇒ 2012.09.04 | Category ⇒ 咲-Saki-SS | Comments (0) | Trackbacks (0)
恒子『もしもしすこやん? 今からウチ来ない?』 健夜「えっ」
健夜「お邪魔します」
恒子「おかえりすこやーん!」
健夜「……何でおかえり?」
恒子「ふふ……ご飯にする? お風呂にする? そ・れ・と・も」
健夜(あっ、これはベタな流れだスルーしよう)
恒子「帰る?」
健夜「今来たばっかりなのに!?」
恒子「冗談だよ冗談」ケラケラ
健夜「もう……」
恒子「さ、上がって上がって」
健夜「……おじゃまします」
恒子「どぞー」
恒子「さて寝よう」
健夜「いきなり!?」
恒子「うん」
健夜「こーこちゃんが呼んだんだよね? 遊びに来ないかって……」
恒子「とりあえず暇だったから」
健夜「……」ジトー
恒子「すこやんに会いたかったんだよ」キリッ
健夜「……そういうのはいいから」
恒子「ちぇー」
恒子「じゃあ、なんかやりたいことある?」
健夜「…………えっと」
恒子「やることもないし、さ、寝よう」
健夜「……」
健夜(せっかく来たのに寝ちゃうとか……)
恒子「よいしょ」ゴローン
健夜「客人はほったらかしなの……」
恒子「なんか適当に遊んでいーよー」ヒラヒラ
健夜「えぇ……」
恒子「あんまり部屋の中漁っちゃダメだよ」
健夜「こーこちゃんじゃあるまいし、そんなことしないよ!」
健夜「はぁ……」
健夜(雑誌でも借りようかな……)
恒子「……」ジー
健夜「……?」
恒子「……」ジー
健夜「なに?」
恒子「いや……」
健夜「寝ないの?」
恒子「寝る」ゴロ
恒子「……けど」
健夜「けど?」
恒子「すこやんもこっち来て一緒に寝よう!」ポンポン
健夜「……」
恒子「ほらほら」
健夜「……」
恒子「タオルケットもあるから」バサッ
健夜「……はぁ」ノソ…
恒子「こっちこっち」ポンポン
健夜「ん……よいしょ」ゴロリーン
恒子「へへー」
恒子「……」
健夜「……」
恒子「……」
健夜「……」
恒子「おかしい眠れない」
健夜「私は別に眠くなかったし……」
恒子「テレビでもつける?」
健夜「あ、うん」
恒子「リモコンはーっと」キョロ
健夜「あ、台の上……」
恒子「……」
健夜「……」
恒子「起きて取り行くのめんどくさい」グデー
健夜「そーなるよね……」
恒子「すこやん取ってきてー」
健夜「えぇ……」
恒子「一生のお願い!」
健夜「それ今まで何回聞いたかわかんないよ……」
恒子「てへっ」
健夜「もう……しょうがないなぁ」ノソリ
恒子「……」
恒子「待った」ガシ
健夜「?」
恒子「やっぱいいや」
健夜「え?」
健夜「リモコンいいの?」
恒子「うん」
健夜「……?」
恒子「まぁまぁ、こっち来てくださいよ」グイ
健夜「わっ」
恒子「うん、よし」ギュー
健夜「……」
恒子「ふぅ……」
健夜「……」
健夜(あったかい……)
健夜「こーこちゃん」
恒子「んー?」
健夜「……私からも、ぎゅってしていい?」
恒子「いーよー」
健夜「……」オズオズ
健夜「……」…キュ
恒子「ひかえめだね」
健夜「……あんまり強くしたら痛いでしょ?」
恒子「え?」
健夜「え?」
恒子「あ、いや、抱きしめる力加減じゃなくて、胸が」
健夜「今言うことじゃないよね!?」
恒子「いやだって当たるし」
健夜「…………」スッ
恒子「って、離れていかないでよすこやん!」
健夜「台なしだよ……」
恒子「ごめんごめん」ギュ
健夜「……」ドキ
恒子「ふー」
健夜「……」
恒子「すこやんあったかー」
健夜「……」
恒子「てか熱くない? 体温」
健夜「えっ」
恒子「熱ある?」
健夜「や、ないと思うけど……」
恒子「どれどれ」コツン
健夜「!!」ビクッ
健夜(お、おでこ……)
恒子「んー、やっぱ熱いよ。大丈夫?」
健夜(顔近い……)コクコク
健夜「……大丈夫、だから」プイ
恒子(耳まで赤いんですけど)
恒子「すこやん?」
健夜「……なに?」
恒子「なんかめっちゃ心臓バクバクしてるけど」
健夜「……そ、」
健夜「そんなこと、ないよ……」
恒子「いやあるけど」
健夜「だ、大丈夫だから。ほらこーこちゃん、眠いんじゃなかったの?」
恒子「あーそういえばそうだった」
健夜「うん、おやすみ」
恒子「『起こすの』何時?」
健夜「まだ言ってる……もう」
恒子「HEHE」
健夜「なんだかんだしゃべってて寝ないよね」
恒子「ぐー」
健夜「……わざとらしい」
恒子「ぐおー」
健夜「……」
恒子「くー……」
健夜「……」ウツラウツラ
健夜「……」キュ
健夜「……」スー
恒子「……」
―――――
―――
健夜「……」スースー
健夜「……」モゾ…
健夜「……ん」パチ
恒子「●REC」ジー
健夜「!?」ガバッ
恒子「あれ、おはよう」ジー
健夜「なななな何してるの!?」
恒子「突撃! 寝顔拝見! ~小鍛治健夜編~ の撮影」ジー
健夜「ちょっ……止めてよ!」バッ
恒子「おっと」ヒョイ
健夜「く……このっ……」グイッ
恒子「ぅわっ」
バタンッ
健夜「いたた……ご、ごめ……」
恒子「やーん、すこやんに犯されるー(棒読み)」
健夜「な、何言ってるの!?///」ボンッ
恒子「いや、だって押し倒されてるし」
健夜「ぅ……」
健夜(た、確かにこの体制は、端から見たら私がこーこちゃんを押し倒してるようにしか見えない……)
健夜「……っ///」
恒子「すこやん?」
健夜「な……なに……」
恒子「ちゅーしていい?」
健夜「……」
健夜「えっ」
健夜「えぇ!?///」プシュー
健夜「ななな何言ってるの!?」
恒子「すこやん私のこと嫌い?」
健夜「……す」
健夜「…………好きだけど」カアァ
恒子「私も好きだよ?」
恒子「す・こ・や・ん」
恒子「のことがNE☆」ペロッ
健夜「あ、ありがとう……」
健夜「けど、そのポーズは余計だね……」
恒子「てへ☆」
恒子「てゆーか」
恒子「むしろ私らって付き合ってるんじゃないの?」
健夜「え?」
恒子「え?」
健夜「な、何でそう思ったの……」
恒子「え? 流れ? みたいな」
健夜「いい加減だね……」
恒子「そう? そんなもんじゃないかな」
健夜「えぇ……」
健夜「お、お付き合いっていうのはちゃんとお互いに気持ちを確認して云々」
恒子「あー」
健夜「キ、キスするにしたって、そんないきなりじゃなくて、まず手を繋いでから……///」
恒子「すこやん、アラフォーにもなってそんな中学生みたいな初々しい……」
健夜「アラサーだよ!!」
健夜「……まぁとにかく」
恒子「うむ」
健夜「つ、付き合ってるとかそんなんじゃ……ない、んじゃないかな……」
恒子「じゃ、付き合おうよ」
健夜「えっ」
恒子「気持ち云々って言ってたけど、そこはクリアしてるし」
健夜「えっ」
恒子「私、すこやん好き。すこやん、私好き」
恒子「でしょ?」
健夜「えっ……あ、えと……」
恒子「はい、で、付き合いました」
健夜「えっ」
恒子「手をつないでっと」キュ
健夜「わっ」ドキ
恒子「次は?」
健夜「つ、次……?」
恒子「すこやんの言ってた順番ってやつ」
健夜「えっ、と……」
恒子「キス?」ワクワク
健夜「ま、まだだよ!///」
健夜「次は……えと、……抱き合う?」
恒子「ふむふむ」
健夜「それから……ほっぺにちゅー、とか……///」ポワー
恒子「それからそれから」
健夜「それで口と口で……かな……」
健夜「って、何言わせ……」
恒子「はい、ぎゅー」
健夜「へ……?」
恒子「それからほっぺに……」
健夜「えっ……ちょ……」
チュッ
健夜「っ!?///」
恒子「はいそれでー」
健夜「こっ、こーこちゃん!」
恒子「しーっ」
チュッ
健夜「っ……!!///」ギュ
恒子「よーしクリア」
健夜「……あの、」
恒子「じゃあ更に次のステップにー」
健夜「……えっ」
恒子「んー」チュー
健夜「わっ、こ、こーこちゃ……」ビク
恒子「んん……」チュ
健夜「っ、んくっ……」
恒子「ん……」スル…
健夜「!!」ビクッ
健夜「ちょ、こーこちゃん、どこに手、入れて……」
恒子「よいしょー」
健夜「え、ちょ、待っ……ひゃああああ!?」
――――ここで録画は終わっている……。
おわり
リアルタイム実況生中継はよ
ふくすこええなあ
Entry ⇒ 2012.09.02 | Category ⇒ 咲-Saki-SS | Comments (0) | Trackbacks (0)
絹恵「お姉ちゃん、胸触ってもええ?」
絹恵「キスもしたい……んやけど」
洋榎「……ぅ」
絹恵「……なぁ」
洋榎「ちょ、ちょいタンマ」
絹恵「はよしてくれへんか、せっかく心の準備したんに崩れてまうやろ……」
洋榎「うちがまだできてへんって……」
絹恵「もう」グイッ
洋榎「ひっ!?」
絹恵「……お姉ちゃんのビビリ」
洋榎「き、絹ががっつきすぎや……」
絹恵「お姉ちゃんの方から手出したくせに」
洋榎「そら、そうやけど……そうやないっちゅうか……」
絹恵「余裕ぶって受け入れてくれたんにな」
洋榎「あれは、吹っ切れたっちゅうか……ええと」
絹恵「お姉ちゃん、歯切れ悪すぎやわ」
洋榎「……絹だって、吹っ切れとったやんけ。 今だから言えるんやけど、むっちゃ痛かったで」
絹恵「私は本気やもん。 せやから玉砕するつもりでああしたし、付き合った後も私からばっかりやん」
洋榎「…………」
絹恵「お姉ちゃんは私のこと本気で好きなん?」
洋榎「もちろん、好きやわ! ……落ち着きたいのにこないなこと言わすな、あほ」
絹恵「……知っとったけど、改めて聞くとなんかドキドキするわ」
絹恵「あかんあかん、緊張する……」
洋榎「じゃあ聞かんでええやろ……」
洋榎「…………」
絹恵「で、キスしてええ?」
洋榎「ま、まだ」
絹恵「……お姉ちゃんって結構ヘタレやな」
洋榎「やかましい……」
絹恵「未だにキス一つで赤くなっとったら敵わんで」
洋榎「……絹も人のこと言われへん」
絹恵「私はその分やる気満々やもん」
洋榎「……頼むからうちの緊張煽らんといて」
絹恵「……お母さん、帰ってきてまうで」
絹恵「お姉ちゃんがスパっと決めてくれれば、もう少し二人きりでおられるんに」
洋榎「……ああもう! わかった、わかった!」
洋榎「キスでもなんでもええわもう、はよせえ!」
絹恵「……俯かれたら、できるもんもできへんわ」
洋榎「…………」
絹恵(動かへん……しゃあない、顎持ち上げよか)クイッ
洋榎「!」
絹恵「……んむっ」
洋榎「ぅ……んっ」
洋榎「……はぁ、はぁ……びびった」
絹恵「……お姉ちゃんが顔あげんのが悪い」
洋榎「しゃあないやろ……あっつ」ゴシゴシ
絹恵「ちょ、制服で顔拭いたらあかんて言うとるやろ」
洋榎「ああ、うん、着替えてくる……」
絹恵「……なぁ」
洋榎「ん?」
絹恵「わ、私が着替えさせよか……?」
絹恵「…………」
洋榎「…………」
絹恵「……な、なんか喋って」
洋榎(断れへん、絹の言う通りヘタレかもしれへんな……)
洋榎「ま、まぁ」
絹恵「手、後ろ置いといて……」
洋榎「……なぁ、顔近い」
絹恵「お、お互い様……ボタン外すで」
洋榎(……ああ、これ、最後までやるパターン……準備できとらん、気絶しそ……)
絹恵「あ……」パッ
洋榎「……な、なんや? やらへんの?」
絹恵「や、お母さん帰ってきた……バレへんようにしといて」
洋榎「……わかった」
洋榎(消化不良っちゅうんかな、複雑な気分……)
………
絹恵「お姉ちゃん、おやすみ」
洋榎「おやすみー」
洋榎「手回してええ?」
絹恵「ええよー」
洋榎「ほな失礼して……抱き枕やなぁ」ギュッ
絹恵「へへ……おやすみ」
洋榎「んー」
絹恵「…………」
洋榎「……なんか、キスしたいんやけど」
絹恵「えっ、あ……寝れなくなるから、一回だけやで」
洋榎「わかった……ちゅ」
絹恵「んっ……」
洋榎(ん……かわええな)
絹恵「あいてて、お姉ちゃん、強く締めすぎや」
洋榎(……あかん、抑えきれへん……膝なら、なんとか)
洋榎「…………」グイッ
絹恵「いっ……お姉ちゃん、待って……」
洋榎「声出したらあかんよ……っと」グリッ
絹恵「ん……ぃ……うああっ」
洋榎「ちょ、おかんに聞こえる……んむ」
絹恵「っ……んぅ……んんんっ!」
絹恵「ぁ……お姉ちゃん、お姉ちゃん……」
洋榎(あかんあかんあかん、むっちゃ興奮する……なんやこれ、背徳感、か?)
洋榎「……へへ、絹、弱いなぁ」
絹恵「…………」
………
絹恵「お姉ちゃん、それ一個ちょうだい」
洋榎「弁当の内容同じやん」
絹恵「ええやん、これ好きなんやし」
洋榎「ほれ」ヒョイ
絹恵「おおきにー」
洋榎「……ちゅうかこの部屋、なんや少しほこりっぽくていやや」
絹恵「二人きりになるんやったら、この部屋しかあらへんもん、我慢せえ」
洋榎「図書室はー?」
絹恵「さっき見てきたんやけど、汚れるから飲食禁止、って張り紙がされとったで」
洋榎「ほー、図書室で飲食するやつがおったんか」
絹恵「この前そぼろこぼしとったの誰や……」
洋榎「ちとねむ……肩貸してくれへん?」
絹恵「ええよー」
洋榎「んしょ……ふふふ」
絹恵「なんやけったいな笑い方しよって」
洋榎「やかましい……まあなんや、こういうのもええなーって思うてな」
絹恵「それなら、同意しとこか」
絹恵「お姉ちゃんがもう少し度胸があったら、尚の事ええんやけどなー」
洋榎「……絹も度胸あるかどうかは微妙やん」
絹恵「お姉ちゃんよりはあるで、ほんなら試してみる?」
洋榎「え、なんや……んぅ」
絹恵「んっ……」
絹恵「やっぱ私のほうが度胸あるなあ、これで決まりやん」
洋榎「……あーむかつく、絹、膝座り」
絹恵「え、うん……んしょ」
洋榎「ちょ、なぁ、なんでこっち向いて座るん……普通背向けるやろ……」
絹恵「度胸試しやろ、これくらいせえへんでどないするん」
洋榎「そないなこと言うても、目むっちゃ泳いどるで」
絹恵「……やかましい」
洋榎「まぁ、そんなとこも、か、かわええ、けど……」
絹恵「……ぅ」
洋榎「……勇気出して言ったんや、なんか返さんかい」
絹恵「照れる……」
洋榎「んなん、顔見りゃわかるで」
洋榎「胸が重い」
絹恵「あほ」
絹恵「……さ、触る?」
洋榎「え、はっ……本気……?」
絹恵「毎日やっといて、今更本気も何もないやろ」
洋榎「や、ここ学校……」
絹恵「……根性なし」
洋榎「……もう、やればええんやろ!」フニッ
絹恵「っ……」ギュッ
洋榎「……腕掴むな」
絹恵「絶対途中でびびってやめるやん……」
洋榎「やめてほしくないんか……」
絹恵「……まぁ」
絹恵「……はぁ、ぁ……ふぁ……」
洋榎「……くしょん!」
絹恵「うわっ! な、なんやねん!」
洋榎「息がこそばかった……」
絹恵「あー、かんにん……」
洋榎「……なんや緊張感なくなったな、休憩しよか」
絹恵「顔を見るに、全然そうは見えへんけど」
洋榎「ムードのことや、ムード」
絹恵「緊張感ないほうがやりやすいんとちゃうん」
洋榎「あった方がええやろ」
絹恵「お姉ちゃん、現状ではありすぎやけどな、これくらいでちょうどええんとちゃうか」
洋榎「あった方が興奮する……」
絹恵「……変態」
洋榎「やかましいわ……」
絹恵「……離したらいやや」
洋榎「…………」
絹恵「……なぁ、思うたんやけど」
洋榎「な、なに?」
絹恵「私たち女同士で、姉妹やないけ」
洋榎「せやな、うん……」
絹恵「こないなことして、あかんな……」
洋榎「ま、まぁ」
絹恵「ただでさえ見つかったらあかんのに、ここ学校やで、もし見つかったらどないするん……?」
洋榎「……ぅ」
絹恵「……この部屋、鍵閉めとらんよ」
洋榎「え、あ……手、離そ、見つかる……」
絹恵「だめ」
絹恵「言うくせに、力任せに振りほどく気はあらへんのな」
洋榎「そないなこと言われて、力入るわけないやろ、あほ……」
絹恵「…………」フニッ
洋榎「いっ!? こら、触んなぁ……」
絹恵「うわ、バクバクやん……わかりやすいなぁ、かわええ」
洋榎「っ、やかましい……絹も手震えとるくせに……」
絹恵「へへ……キスしよっか」
洋榎「なんや唐突に……本気?」
絹恵「うん」
洋榎「……ほれ」
絹恵「……んぐっ」
洋榎(あ、足音聞こえる……)
絹恵「……んむ……っ」グリグリ
洋榎(っ……絹、やめて……)
絹恵(お姉ちゃん、露骨……)グリグリ
洋榎「ん……ぁ」
絹恵(音が近くなってきた……私も怖いけど、もう引かんで)グリグリ
洋榎(あかん、ほんまにあかん、誰か来る……!)
絹恵「…………」グリッ
洋榎「……っ、んんぅ!」
絹恵「……ふぁ」
絹恵(良かった、足音どっか行った……)
絹恵(あかん、私ら心臓イカれてまう……)
絹恵「……お姉ちゃん」
洋榎「……ぃ」
絹恵「足音、どっか行ったで」
洋榎「…………」
絹恵「……お姉ちゃん、足音聞こえた時、思いっきり身体震えとったなぁ」
絹恵「こういうのが好きなん?」
洋榎「……っ」
絹恵「……あーあ、チャイムなってもうた……立てる?」
洋榎「……まだ」
絹恵「へへ、なら遅刻決定やなぁ」
………
絹恵「ただいまー」
洋榎「んー……着替えてこよ」
絹恵「なんや珍しいな、いつも私が言わへんとそのままなのに」
洋榎「誰のせいやと思うとるんや」
絹恵「え?」
洋榎「汗っぽくてしゃーないからなぁ」
絹恵「……せやったら毎日学校でキスしたろか」
洋榎「……っ」
絹恵「それならお姉ちゃんも、毎日制服着替えるようになるやろ」
洋榎「……もう今日からちゃんとするわ」
絹恵(なんや、つまんないの……)
絹恵「お湯わかす?」
洋榎「また後で入ると思うし、シャワーだけでええよ」
絹恵「そか」
洋榎「……それか、お湯わかすんやったら一緒に入る?」
絹恵「…………」
洋榎「……一緒に入って」
絹恵「……わ、わかった」
洋榎(だ、だいぶ無理して誘ったけど、やられっぱは悔しいしな……)
絹恵「お湯、沸かしてくるな……」
洋榎「頼むわー」
絹恵(……あかん、風呂入るだけやとわかっとるけど……準備ができてへん)
絹恵「お、お姉ちゃんこそ……」
洋榎(この空気……)
絹恵(お姉ちゃんの裸、思えば全然見たことあらへん……緊張する……)
洋榎「わかった、うちから脱ぐから、ちとあっち向いて」
絹恵「……うん」
絹恵(……んー、背中すらっとしとるなぁ……ちと触りたい)
絹恵(あー、知っとったけど、こう見るとお姉ちゃんちっこくてかわええなぁ……)
洋榎「……終わった、って、ガン見しとるやん!」
絹恵「あっ、堪忍」
絹恵(むっちゃ集中して見てもうた……お姉ちゃん顔真っ赤やな)
洋榎「な、なぁ……いつまでも見とらんで、次、絹……」
絹恵「う、うん」
洋榎(うあああ、もう……恥ずい恥ずい恥ずい……)
洋榎(絹、なんでんなぐいっと着替えられるんよ……)
洋榎(……胸でっか、爆弾かて)
絹恵「……なんや胸ばっか見て」
洋榎「絹がでかいのが悪いんや、ちゅうか、絹こそじろじろ見んといて……」
絹恵「……お姉ちゃんこそ」
洋榎(風呂入る前に逆上せそ……あかん、うちこんなんばっかりやん……)
絹恵「……さっさと入ろか?」
洋榎「お、おぉ」ガチャ
絹恵「あ、お姉ちゃん、髪結ったまんまやで」
洋榎(うわ、素で忘れとった……緊張しすぎや……)
洋榎「……って、絹も、眼鏡」
絹恵「え、あ……」
洋榎「……さ、触る?」
絹恵「う、うん……じゃあ、ついでに私が洗うで」
洋榎「え、あ、そりゃ嬉しいんやけど……なんでまた前向き」
絹恵「……顔とか、見たいから」
洋榎(……もう限界、反則や……立てへん)
洋榎「ちと座らして、そのまま洗ってくれてええから……」
絹恵「え? うん、じゃあ目瞑って……よっ」
洋榎「……ちめたっ!」
絹恵「……あ、お湯になっとらんかった! かんにん!」
洋榎「ええんやで、まぁ……このくらいが頭冷えてぴったし、なんて」
絹恵「今お湯にしたから……どう?」
洋榎「うん、ええ感じ」
絹恵(アホなミスするし、手も震えとる……どんだけ緊張しとるんや)
絹恵(むっちゃ小動物みたいやった……)
洋榎「うん……次、うちが洗ったる」
絹恵「ほんま? なら頼むで……よいしょ」
洋榎「……自分だけそっぽ向くのはずるくあらへんか?」
絹恵「え……」
洋榎「こっち向き」
絹恵「……うん」
洋榎「…………」
絹恵「ねぇ、恥ずかしいからはよして……」
洋榎「……ちゅっ」
絹恵「っ!?」
絹恵「ぇ、な、なに……」
洋榎「……今までのお返しや、ほら頭上げ」
絹恵「ま、また……?」
洋榎「いや、ちと頭あげてくれへんと洗いにくい」
絹恵「あ、うん……」
洋榎「かけるでー」
洋榎(……前から見たら、ほんまに胸でかいなこの子)
絹恵(あー……不意打ちは卑怯やわ、頭ぼーっとする……)
絹恵(お姉ちゃん、頭洗ってくれとるはずなのに、胸にばっかり視線感じるし)
絹恵(力抜ける……けど、その分頭が気持ちええなぁ)
絹恵「お姉ちゃん」
洋榎「んー?」
絹恵「……おおきに」
絹恵「……うん」
洋榎「か、身体は……さすがに自分で洗おか……?」
絹恵「……あかん、せっかくやし私がやる」
洋榎「…………」
絹恵「……触ってええ?」
洋榎「ちょ、いいからはよせえ」
絹恵(とか言うても、まだ頭ぼーっとしとる……無理したかな)
絹恵(目つぶってると、ほんまに小動物そのものやん……)
絹恵「痒くない?」
洋榎「うん……」
絹恵(どないしよ、むっちゃ抱きしめたい)
絹恵(耐えきれへん、どうせ家やしもうええか……)
洋榎「え、えっ? ぅ、なぁ、絹……」
絹恵「…………」ギュウ
洋榎「ぁ、ちょ、絹……」
絹恵(あかん、なんで私達裸で抱き合っとるん)
絹恵(お姉ちゃん、むっちゃバクバクいっとるやん……私も)
洋榎(なになに、なんやもう、意味わからん……)
洋榎(ああああ、絹、絹……胸むっちゃあたっとる……)
洋榎(もう頭動かへん……)
雅恵「絹ー?」コンコン
絹恵「!?」
洋榎「うおっ!?」
絹恵「え、もう帰ってきてたん!?」
雅恵「もうも何も、普通に帰ってくる時間やけど」
絹恵(私らどれくらい浴槽に居たんやろ……感覚麻痺ってきとる)
雅恵「飯何がええ?」
絹恵「う、うどん」
雅恵「おー、ああそれと、バスタオル忘れとるからここ置いとくで」
洋榎「……なぁ、バレてへん?」
絹恵「多分……」
洋榎「は、心臓飛び出そうになったわ……数ミリ位置動いたで」
絹恵「もうさっさと出とこか」
洋榎「……もう少しこのままがええ」
絹恵「っ……わかった」ギュウ
洋榎「ん……」
………
絹恵「お姉ちゃん、消化終了した?」
洋榎「夕食もうどんやったし、まあ多分大丈夫やと思うで」
絹恵「咄嗟に選んだにしては、なかなかの選択やったやろー」
洋榎「……どうせするんやろ?」
絹恵「どうせってなんや、どうせって」
洋榎「まぁ、うちも半端なところで終わっとったし……」
絹恵「……なぁ」
洋榎「?」
絹恵「上半身だけでも、裸の方がええかな?」
洋榎「ま、任せる……」
絹恵「……やったら、勝手にさせてもらうで」グイッ
絹恵「……もう」
洋榎「もう、やあらへん! ちょ、ガン見すな……」
絹恵「……しゃあないなぁ、んしょ」
洋榎「……終わった?」
絹恵「うん……何も目つぶらんくても、どうせ最終的に見るやん」
洋榎「気分的な、なんちゅうか……わっ」
絹恵「……暖かい」ギュウ
洋榎(ま、また絹に抱擁されるんか……頭が……)
洋榎(ほんまに積極的やな、この子……)
絹恵「……やっぱ直やと、鼓動とか震えとかモロに伝わるで」
洋榎「や、やかましい……絹もうちのこと言えへん」ギュッ
絹恵「……ぅ」
洋榎「……あむ」
絹恵「んっ! ちょ、どこ噛んどんねん……」
洋榎「くび……ん」
絹恵「い……跡がつくやろ……」
洋榎「……知らんわ、今日うちにひどいことした罰や……んぐ」
絹恵「いだっ」
洋榎「…………」
絹恵「い、あっ……ぁ……」
洋榎(なんやこれ、中毒になってまう……)
洋榎(こないなことしよったら、絶対跡残るんはわかるんやけど……)
絹恵「んっ……ぅ、いっ……」
洋榎(ただの変態やん、これ……でもやめられへん)
絹恵「うあっ……」
絹恵(痛い……のに、なんでやめて、って言えへんの……)
洋榎「……んぐ」
絹恵「いぃ……」
洋榎(首周りだけ赤くなっとる……あかん、のは、わかっとるけど……)
洋榎「……脚、広げて」
絹恵「う、ん……」
洋榎「…………」グニッ
絹恵「うあぁ……蹴んなぁ……」
洋榎「……ん」グニグニ
絹恵「いたっ、あ……ぅ、ん……」
洋榎「声」グニグニ
洋榎「あんま出すと、おかんにバレるで」グニグニ
絹恵「うぁ……あ」
絹恵「いっ、いだぁ! ……んっ、ぇ、ああっ!」
絹恵(なんや、これ……っ)
洋榎「……変態」
絹恵「ぅ、あぁ……」ドサッ
洋榎(絹にこないなことしてしもうた……首真っ赤……)
洋榎(明日学校行けるかもわからへん……なんやこれ、やっぱ背徳感っちゅうもんか……?)
洋榎(ほんまにうち病気とちゃうか、これ……)
絹恵「っ……おねえ、ちゃん」
洋榎「……かんにん」
絹恵「ええよ……へへ」
洋榎(……あかん、興奮する)
絹恵「あんだけやっといて、大丈夫もなにもあるかい」
洋榎「……しばらくは、あれやめとこか」
絹恵「え……」
洋榎「……なんや、やりたいん?」
絹恵「……やかましい」
洋榎「あれでバテたのは自分やで」
絹恵「……ちと、クセになりそうやった」
洋榎「うおぉう、ほんまか……」
絹恵「お姉ちゃんが強引にくること少ないしなぁ」
洋榎(そっち……)
絹恵「とりあえず今の赤みが引いてから考えよか、冷やしとけばどうとでもなるやろ」
洋榎「なんや」
絹恵「部活で結構遅くまで残って、んで帰宅したら、またすぐお母さんが帰ってくるやん」
絹恵「したら、全然時間ないなぁ、って思うて」
洋榎「そらそうやけど……」
絹恵「……ちと、早帰りしたいなぁ、とか思うたんやけど」
洋榎「…………」
絹恵「……さすがに、私達行くところまで行っとるし、行き過ぎかなぁ」
洋榎「一週間……」
絹恵「?」
洋榎「うちも、消化不良なんは嫌やし」
洋榎「一週間だけ、そうしてみよか……」
………
洋榎「…………」フニフニ
絹恵「…………」
洋榎「最近キスばっかりで、思えば全然胸触っとらんかったな」フニフニ
絹恵「せやから、触っとる時にぺらぺら喋るのやめ……」
洋榎「口が侘しくなるんやもん」グニッ
絹恵「……んぅ」
洋榎「今こうして、後ろから揉んどるけども」
洋榎「前からと、どっちがええ?」フニフニ
絹恵「っ……前」
洋榎(うちは前やないほうが、余裕持って攻められるんやけどなぁ)
洋榎「位置、変えよか」
絹恵「……自分だけずるい」
洋榎「なこと言われてもなぁ」
絹恵「次、私がやるで」グイッ
洋榎「な……っ」
絹恵「逃げるの禁止」フニッ
洋榎「ぅ……」
絹恵「……ほら、すぐ赤くなる、緊張する」
洋榎「…………」
絹恵「お姉ちゃんのって、触っとるだけで十分やから楽やな」
洋榎「……あ、あほ! やかましい!」
絹恵「冗談や」
絹恵(お姉ちゃん、前と比べたら多少は耐性ついてきたんかなぁ……当然やけど、むしろ遅すぎや)
絹恵「お姉ちゃん?」
洋榎「な、なんや」
絹恵「……直に触りたい」
洋榎「っ……え、う……」
絹恵(……あ、跳ねた)
絹恵「服は、そのままでええよ」
洋榎「は、どういう……」
絹恵(一回、服来たまま直に、って試してみたかったし)
絹恵「……んしょ」グイッ
洋榎「うわっ、わ……」
洋榎「……ぅ」
絹恵(……キスしたい)
絹恵(両腕ふさがってても、この様子なら動けへんと思うし……いこ)
絹恵「……んぐっ」
洋榎「ぅ……んむぅ」
絹恵「ん……」
洋榎「ぁ……ふっ」
絹恵「……んぁ」
洋榎(お、終わった……?)
絹恵「も一回……ちゅ」
洋榎「んっ!? ん……んぅ」
洋榎「……んんっ……ぅ」
絹恵「っ……ふぅ、もうちと……んむっ」
洋榎「うぁ……ん……っ」
洋榎(絹、今日、おかしい……)
洋榎「……ぷはっ、絹、何がしたいの……」
絹恵「そない顔真っ赤にして責められても、全く迫力ないで」
洋榎「……教えてくれてもええやろ」
絹恵「……むっちゃくだらないけど」
洋榎「ええよ、なんやねん」
絹恵「キスだけで攻められへんやろか、とか……」
洋榎「……そか」
絹恵「なんも突っ込まへんの?」
洋榎(正直かなり危ないところやったし、冗談になっとらん……)
絹恵「逃げてまうかと思うて、こうしとるんやけど」
洋榎「そないな体力、残ってへん……」
絹恵「そか、なら窓開けるで……んしょ、届いた」ガラッ
洋榎「? クーラーつければええやんけ、なんで窓……」
絹恵「……ここの位置やったらな、外からよう見える」
洋榎「! ちょ、あかんあかん……」
絹恵「……んぐっ」
洋榎「っ! んっ……ぅ」
絹恵「ふぁ……もっと、っ」
洋榎「んん……ぁ、ぅ……」
洋榎(絹、絹……うちもう壊れる……)
絹恵(わかりやすっ……ああ、かわええなぁ、お姉ちゃん……)
絹恵「……お姉ちゃん、口閉じて! よだれ漏れとる……」
洋榎「…………」
絹恵(あかん、完全に力抜けとる……正直たまらん、けど)
絹恵「なんか拭くもん持ってくる……っ」
洋榎「や、待って……」グイッ
絹恵「……なぁ、私、耐えられへんのやけど」
洋榎「……ぅ」
絹恵「バレるバレない構わずにキスするで」
洋榎「……うん」
絹恵「舌、出して……」
洋榎「……んぁ」
絹恵「……あむっ」
洋榎「っ……んぅ」
絹恵「ちゅぷっ……んっ……」
………
洋榎「ただいまー」
絹恵「はぁ、もうそろそろやなぁ」
洋榎「なんや」
絹恵「一週間や、さすがにこれ以上の早帰りはできひんしなぁ」
洋榎「まぁ……ちとやりすぎた感もあったやろ、それくらいでちょうどええ」
絹恵「……せっかくやから、少し過激なことしたいんやけど」
洋榎「えっ……」
絹恵「身体貸してくれへん?」
洋榎「……うん」
洋榎「何するん……?」
絹恵「前、私がされたこと」
絹恵「……んにっ」
洋榎「うっ……」
洋榎(ああ、首か……一度うちがやっただけに、拒絶すらできひん……)
絹恵「……んっ」
洋榎「ぅ……ふぅ」
絹恵「かぷっ……」
洋榎「いっ……ぁ……」
絹恵(もう後戻りが無理なくらい依存しとるのかもしれへん…‥ま、戻るつもりなんかあらへんけども……)
絹恵「……んぐ」
洋榎「ぃ、うぁっ! ぅ、げほっ……」
洋榎(喉のど真ん中噛むやつがあるか……っ)
絹恵「っ……お姉ちゃん、上脱がすで」
洋榎(ああ、うち、またこのまま貪られるんやな……)
洋榎(……それも、ええかも)
洋榎「ぅ……ぁ……」
絹恵「ぅ、ぐっ……」
洋榎「いいっ……っつ……んっ」
絹恵(やめるタイミングがあらへん……どれくらい時間たったんやろ)
洋榎(首も肩も、二の腕まで真っ赤…‥次どこや……)
洋榎(ああ、胸、か……)
絹恵「……ちゅ」
洋榎「ふぁ……」
絹恵「……あぐっ」
洋榎「うあっ、あっ、い……」
雅恵「……あんたら、何しとるん?」
絹恵「…………」
洋榎「……ぇ?」
雅恵「ああ、なるほどなぁ、今の体育祭はずいぶんとレベルが……んなわけあるか、こら」
洋榎「ちょ、今何時……?」
雅恵「帰ってくるのが早すぎたと? 当然や、部活早帰りして何やっとるんか教えろって、うちに連絡きたからな」
雅恵「んで帰ってみたら、な、なんかようわからんことしとるし……人生で一番の衝撃間違いなしやわ」
絹恵「……かんにんして」
雅恵「……そういうのええから、とりあえず服着てリビング集合な」
…………
………
雅恵「ああ、うん、大体の流れはわかったけど……え、ほんま? ほんまに?」
絹恵「ほんま……部活にまで支障が出たのは改善するけど、お姉ちゃんが好きなのは曲げられへん」
洋榎「……うちも、同意見や」
雅恵「ほんまか、マジか……なんやこれもうむっちゃ頭痛い……」
洋榎「あかんか?」
雅恵「どうせ言っても聞かんやろ……」
雅恵「ただし……特に洋榎、あんたは特待生なんやから、部活に支障をきたすな」
洋榎「……わかった」
絹恵「……うん」
…………
………
洋榎「……これがちょうど昨日の出来事、まあ迷惑かけた分は挽回するな、かんにん」
恭子「主将……なんてコメントすればええのかわかりませんわ……」
洋榎「恭子が理由聞いたから、馴れ初めから説明したまでやん」
恭子「……馴れ初めって、どれのこと指しとるんですか?」
洋榎「うちが絹に、胸触らして、って言ったとこ」
恭子「ああ、それが最初……」
絹恵「お姉ちゃんおる?」
洋榎「絹! 待っとった!」
恭子(……散歩する時の犬みたいやな)
恭子「わかりました」
絹恵「末原先輩、お疲れ様です」
恭子「おつかれ、また明日」
恭子「…………」
恭子(……もう絹ちゃんのこと、今までと同じ視線で見られへん)
漫「……あ、よかった! 開いてたんですね」
恭子「わっ……もう帰ったんとちゃうん?」
漫「や、忘れ物してもうたんですけど、まだ鍵閉められてなくて助かりました」
漫「……あった! それじゃ末原先輩、また明日」
恭子「……漫ちゃん?」
漫「はい?」
恭子「……胸触らしてくれへん?」
漫「……えっ?」
おわれ
乙ん
Entry ⇒ 2012.09.02 | Category ⇒ 咲-Saki-SS | Comments (0) | Trackbacks (0)
菫「赤ん坊はコウノトリさんが運んでくるんだぞ」ドヤッ 淡「へ~」
菫「おぉ照か。いやちょっと、大星がどうやったら赤ん坊が出来るかが知りたいらしくてな。おしえてやってたんだ」
淡(テルー、やっぱり思ったとおりだったよ)
照(は?・・・あぁそういうことか・・・淡gj)
渋谷(しかしこの年になって子供の作り方も知らないなんて・・・)
照(純粋なすみれん・・・)
照淡尭深(((かわいいなぁ・・・)))
菫「ん?どうしたお前ら」
はい
淡(変な男にひっかけられる前に私たちでちゃんと教えてあげたほうがいいんじゃない?)
照(それを淡がやってくれるの?)
淡(いやいや私には無理ですって。ここは付き合い長いテルがびしっと言ってやるべきだよ)
菫「どうしたんだ。みんなこそこそと」
照「い、いや、なんでもない!」
渋谷「あ、わたしそろそろ時間なので帰ります」スッ
亦野「私も」スッ……ガラガラピシャッ
照・淡「逃げた……」
照(話を振ったのはお前だろう。お前が責任持って菫に子供の作り方をレクチャーするんだ)
菫「いい加減にしてくれ!二人とも私に言いたいことでもあるのか!」
照・淡(うん、そうなんだけどさ……)
菫「もしかしてさっきの質問のことか。ふたりは赤ちゃんがキャベツ畑から生まれるという説を信じているのか。それでコウノトリ派の私を2人して笑っているのか」
照「い、いやそういうわけでは」
菫「じゃあ何なんだ一体!」
淡(……ここは私が腹をくくるしかなさそうね)
淡「スミレ、落ち着いて聞いて。赤ちゃんはコウノトリが運んでくるんじゃないのよ」
菫「ならやっぱり……」
淡「キャベツ畑でもないの」
照(この子小中学校で性教育受けたことないの?てか生理来てないの?)
淡「いや、説っていうか真実っていうか……ちょっと口では説明しづらいから、照、タブレット貸して」
照「はい」
淡(まずは小学生向けの性教育サイトからだよね)
淡「読んでみて」スッ
菫「……」
照(文字を追うにつれて菫の表情が)
淡(どんどん赤くなっていく)
菫「……」//
照(あ、軽く涙目)
照・淡(かわいい……!)
菫「あ、あ、淡……、この図は一体」ユビサシ
淡「『男性器について』って下に書いてあるじゃん」//
淡(さすがにわたしも口に出すのはちょっと恥ずかしい)//
照(……淡もかわいい)
菫「//」コクリ
淡(テルが楽しんでる。なんか腹立つ)
淡「あー、喉渇いちゃった。飲み物買ってくるねー。すぐ戻るから二人とも待ってて」
照「なら私も行く」
淡「ダメだよ」
照「なぜ」
淡「スミレにわからないことがあったら答えてあげる人が必要でしょ」
照「」
菫「」ギュ
照「!」
菫「ここにいてほしい」//
淡「だってー。どうする、テルー?」ニヤニヤニヤニヤ
照「わ、わかったからさっさと行って来い!」
淡「じゃ、行ってきまーす」ガラガラ
菫・照「……」
照(それにしてもシュールな光景だ)
照(友人が性教育サイトを見てる横で突っ立ってる女子高生とかどうなの)
菫「う、わぁ……」//
照(まあ菫がかわいいからいいや)
菫「照、この図について解説してくれ」//
照(よくなかった)
菫「つまり、男性のアレがアレして女性のアレにああすれば赤ちゃんができるわけだな」//
淡「端的に言えばね」
照(菫を愛でるだけのつもりが)//
淡(私たちまでアレな目に)//
淡「あ、もうこんな時間だしそろそろ帰ろうよ」
淡(というかそろそろこの空気に耐えられない)
照「そ、そうだな」
菫「また明日」//
菫(今日はとんでもないことを知ってしまった)
菫(なんで今まで誰も教えてくれなかったのか。生理が始まったときも母さんは処理の仕方しか教えてくれなかった。これが子供を作るためのものだったとは)
菫(ん、母さん……?)
菫(私がここにいるってことはつまり、父さんと母さんは……)
菫(ということは子供が欲しかったら、私もいつかはあんなことを)//
菫(うちに帰ったらパソコンでもっと調べてみよう)//
菫(とりあえず概要はつかめたし、行為についての詳細を詰めていこう)
検索ワード:sex
菫(約 3,340,000,000 件……予想以上のヒット数だな。とりあえずwikipediaから見ていくか)
菫(複数で行う一連の行為のことであり、しばしば快楽や愛情表現を伴い、必ずしも生殖には結びつかない。)
菫(「本来、子孫を残すために行うもの」「生殖本能によってするもの」などと言われることもある行為であるが、実際にはそればかりではなく、パートナー間のコミュニケーションの手段や、快楽を伴う行為自体を目的として行われる場合も多い。)
菫「なるほど。セッ……とは赤ちゃんをつくるためだけのものではないのか」
菫(快楽……どんな感じなんだろう)
菫(普段お世話になってる百科事典にこんな一面があったなんて)
菫(何々……パートナー無しでも行われるオナニー(マスターベーション、自慰)も性行為の一種である。だが「性交」には含まれない)
菫「一人でもできるのか……」
菫「い、いやいや何を考えているんだわたしは!//」ブンブン
菫「わ、わたしはまだ高校生なんだ。まだ早い!」//
菫母「どうしたの大きな声出して」ガチャ
菫「!」ビクゥ!
菫「なななななんでもないから!」カチカチカチ
菫母「あら、そう」ガチャ
菫(あ、危なかった……こんな危険なこと調べてるなんて知られたら、きっと家を追い出されてしまう)
菫(……)
菫(さて、これで邪魔は入らない)
菫(かといって実際に一人でやってみる、というのは少し怖いな)
菫(いざという時のために方法だけでも調べておこう)//
菫(『女性は18歳までに約80%が自慰行為を経験している』)
菫(ということは私が行っても不自然ではないわけか)
菫(80%……虎姫は5人だから、わたしがやってないとすると他のみんなは全員……)
菫(いや、18歳までって書いてあるし統計が必ずしも当てはまるとは限らない。)
菫(て、照はしてるのだろうか)//
菫「指なんか入るのか……?」
菫(いや、そもそも本当にするときには男の人のアレが入るんだよな)
菫(どう考えても無理だと思うんだが)
菫「……確かめてみるか」スルッ
菫(……)
菫(下着を脱いでも自分ではよく見えない)
菫(とりあえず指で探して……場所は……このあたり)クチュ
菫(自分で見るのは無理だな)
菫(あ、そうだ)
菫(鏡を使えばいい)
菫(思わず声を出してしまった。今更だけど)
菫(グロい。そして小陰唇?とかいうののせいで肝心な入れる場所が見えない。これでは入りそうかどうかわからない)
菫(これを開いてみれば……)クチュ
菫(……水分?)
菫(ああ、これが『濡れる』というやつか)//
菫(つまりわたしは今の行為で性的に興奮した、ということ)//
菫(本題は確認できていないが、これ以上コレに触るのは危険な気がする。やめておこう)スルッ
菫(結局あれから特に何もすることはなかった。ひたすらインターネットで情報を仕入れるくらいしか)
菫(行為そのもののほかにわかったことと言えば、恋愛と性行為というものは不可分なものらしいということ。割り切って考える人もいるみたいだけど、一般的に見て褒められたことではないらしい)
菫(つまり、セックスは好きな人としかするべきではない、ということ)
菫(まだ恋愛なんてよくわからないけれど……好きな人としかセックスできないのなら、仮にその人が同性だった場合はどうすればいいのだろうか)
照「淡、わたしのプリン食べたろ」
淡「昨日自分で食べてたじゃん」
照「そうだっけ?」ポケー
淡「すっとぼけんなー!!」
菫(昨日あんなこと考えてしまったせいで二人の顔をまともに見れない)//
菫(淡はともかく、照がひとりでそういう行為に勤しんでいるという姿がまったく想像できない)
照「どうした菫。今日は一局も打ってないじゃないか」
菫「あ、いや、その、ちょっと気分が優れなくてな」
照「言われてみると確かに顔色が悪い。昨日夜更かしでもしたの?」
菫「まあ、ちょっとだけ」
菫(生まれて初めてともいえる性的衝動に襲われたものの自慰する勇気もなく一人悶々としてたなんていえるわけがない)
菫「何?」
照「飲んどいたら?」
菫(照の飲みかけのスポーツドリンク……)
菫「ありがとう」ゴクリ
菫(間接キス……今までなんとも思わなかったのに)
菫(……なんか複雑な気持ち)//
照「全部飲むな」ヒッタクリ
照「」ゴクリ
菫(なんのためらいもなく飲んだ。……やはり意識する私がおかしいのか)
照「一年が仕切るな。でもそうだな、今日は解散にするか」
菫「迷惑かけて申し訳ない」
照「今日はちゃんと寝るんだぞ」
菫「ああ」
帰宅中
淡「ねえテル、もしかして昨日のアレがまずかったのかな」
照「アレ?」
淡「ほら。性教育のサイト見せたじゃん。スミレに」
照「いつかは知るべきこと」
淡「でももうちょっと段階をふんでからのほうがよかったかなーとか思ったり」
照「……確かに。今日菫の調子が悪かった原因がそれだとしたら、少し申し訳ないことをしたかも」
照「母さん、今日のごはん何ー?」ドタバタ
シーン
照「……母さん?」
照(そういえば、今日は仕事が入ったから夕食は任せたって朝言ってた)
照(母さん、わたしが料理できるとでも思ってるの?ばーかばーか)エヘン
照(ボケてる場合じゃねぇ)ヒヤリ
照(どう切り抜ける、この状況……)アセアセ
照「あ、そうだ」
菫(やっぱり昨日あんなこと考えたのがいけなかった。たぶん間接キスに動揺したのも、キスの持つ意味を知ってしまったからか)
菫(キスの意味を知った上で間接キスをして、私はどう感じた?)
菫(……正直、ちょっと嬉しかった)
菫(まさか、私は本当に照のことを……)
プルルルル
菫「携帯?」
菫(このタイミングで照からか。出づらいことこの上ないな)
菫「もしもし」
菫「ああ」
照「緊急事態。すぐうちに来て」
菫「何かあったのか」
照「母いない。夕食ない。お腹すいた」
菫「は?」
照「お腹すいたからうちに来て」
菫(こいつ料理できなかったのか……)
菫「買い物していったほうがいいのか?」
照「食材はやたら冷蔵庫に入ってるからたぶん大丈夫」
菫「全く……今から行くから待ってろ」
照「すぐ来て」グーキュルルルル
ポチ
菫「このタイミングで、か……」
菫「お邪魔します。で、キッチンどこ?」
照「こっち」テクテク
菫「冷蔵庫は」バタ
菫「うわ、ほんとにやたらいろいろ入ってるな」
菫「なにかリクエストある?」
照「カニクリームコロッケ」
菫「なぜよりによってそんなクソめんどくさい料理をチョイスするんだ」
照(そういや菫今日調子悪いんだっけ。忘れてた)
照「えっと、じゃあ……」
菫「……それでいいや」
菫「照のわがままはいつものことだしな。食べたいんだろう?カニクリームコロッケ」
菫「時間かかるからTVでも見てて」
照「手伝おうか?」
菫「気持ちはうれしいが、一人で大丈夫だ。むしろ一人になれてるからそっちのほうがやりやすい」
菫(はぁ……なんだかドツボにはまってしまった感がものすごいな。意識すればするほどまた意識してしまう)
照「」グワッ
菫「う、うわぁ!!」ガランガラン
菫「ど、どうしたんだいきなり現れて」
照「いや、わたしだけ休んでるのも気が引けるので、せめて邪魔しないように菫の料理姿を眺めていようと」
菫(さっきと同じ理由では追い返せないな……。気が散るから、と言ってしまうのも照に悪いし)
菫「……分かった。くれぐれも邪魔だけはしないようにな」
照「了解」
菫(余計に集中しないとな)
照「ようやく完成か」
菫「待たせてしまってすまない」
照「いや、元はと言えば面倒な注文したわたしが悪いし」
菫(理由はそれだけじゃないんだが。言わないけど)
照「さて、せっかく菫が腕を振るってくれたんだ。冷めないうちにいただこうじゃないか」
菫「食器並べてあるのか。気が利くな」
照「」ドヤッ
菫「そこまでエラそうにすることじゃないけどな」
菫「大丈夫だ。調子が悪いといっても気分の問題だ。寝れば直る。」
照「そのことなんだが」
照「昨日わたしと淡があんなことをしたのが原因なのか?」
菫「……」
照「わたしも淡もすまないと思っている。調子に乗りすぎた」
菫「それとはまったく関係がない……と言ったら確かに嘘になる。だが今私が悩んでるのは私自身の問題なんだ。照や淡が気に病むことじゃない」
照「そうか、悩んでることがあるのか」
菫(口が滑ったな)
照「わたしでよければ聞くけど」
菫「……いや、いい。気持ちだけ受け取っておくよ」
菫(昨日から妙にあなたのことを意識してしまうんです、なんて相談できるわけないだろう)
菫「ああ、ありがとう」
菫(騙しているようで、罪悪感が半端ないな)
菫「辛気臭い話題はやめにしないか。せっかくの食事なんだ。楽しくないと味も落ちる」
照「そうだな。菫の手料理を食べれる機会なんて滅多にないからな」
菫「……頼まれればいつでも作ってやるぞ」
照「じゃあ明日もお願い」
菫「調子に乗るな」パシッ
照「……」フフ
……
クルッポークルッポー0ジヤデー
照「もうこんな時間か」
菫「本当だ。いつの間に」
照「楽しい時間は早く過ぎるというじゃないか。わたしは菫と食事できて楽しかったぞ」
菫「そう言って明日も作らせようという魂胆だろう?」
照「するどい……でも楽しかったというのは本当だ。」
照「あ、そうだ。今日泊まって行くよな?」
菫「え?」
照「こんな時間に一人で帰るのは危険すぎるだろう」
菫(これはいわゆるお泊り、というやつか。昨日仕入れた知識だと、このセリフはフラグらしい。だが……照の様子を見る限り、そういう意図は全くなさそうだ
菫「そうさせてもらおうかな」
照「あ、でも痴漢程度なら菫なら普通に撃退できるか」ニヤリ
菫「やかましい」
菫(照にそういう意図がないとわかっていてもあらぬ想像をしてしまうのは、やはり私が照をそういう目で見ているから、なのだろうか)
菫「気が利くじゃないか」
照「」ドヤァ
菫「今回のは普通に感心した」
照「張り合いがないな。それはそうと、わたしが食器片づけとくから菫は先に入っててくれ」
菫(風呂、風呂か。もしかしてこれはチャンスなんじゃないだろうか。昨日調べた情報によると、恋愛感情を持つと、人間はその相手に性的な欲求を感じるらしい。)
菫(ということは、私が照の裸を見てエッチなことをしたくなれば、それは私が本当に照にそういう感情を抱いているという証明になるじゃないか)
照「着替えは私の使ってくれていい。下着は新品あるし。場所は廊下をまっすぐ行って右。わたしは洗い物終わったら入るから」
菫「待て」ガシ
照「?」
菫「一緒に入ろう」
菫「たまにはいいじゃないか」
照「え、でも……」
菫「ダメか?」
照「ダメ、というわけでは……」//
菫「なら決まりだ。さっさと洗い物済ませていくぞ」
照「あ、ああ」
菫「なんだ」
照「その……じっと見られてると、脱ぎにくい」//
菫「ああ、悪い」//
照「……」スルリ
菫(照の、全裸……)
照「先入ってるから」ガチャ
菫「す、すまない、やっぱり私は後で一人で入る」
照「菫が一緒に入ろうって言い出したんじゃないか」
菫「と、とにかくすまない!!」ダダダッ
照「……」
菫(照の裸を見て、私は完全に欲情してた)
菫(あのまま一緒に入っていたら、照にひどいことをしてしまったかもしれない)
菫(そうか。私は照のことが好きだったのか)
菫(昨日今日の流れが起爆剤になったのは確かだけれど、私は以前から照に特別な思いを抱いていた。まさかそれが恋愛感情というものだったとは思いもしなかったが)
菫(さて、これからどうするか)ハァ
照「お風呂、上がった」
菫「うん」
菫(このままじゃ、いけないよな)
菫(気づいてしまったからには、決着をつけよう)
照「……ノーリアクションか」
菫(シチュエーションとかタイミングとかいろいろ考慮すべきなんだろうが、あいにく私はそんな知識持ち合わせていない)
菫(とにかく、さっさと告げてしまおう。このまま照を騙して一緒にいるのもなんだか気が引ける)
菫「……単刀直入に言う。照、お前が好きだ」
照「……そう」
菫「驚かないんだな」
照「お風呂で逃げられたときいろいろ考えたから。そういわれるかも、って思った」
照「だけど菫。お前は本当にわたしのことが好きなのか?」
菫「……どういうことだ」
照「昨日、今日と急にいろいろな知識が入ってきて、菫がそう思い込んでるだけなんじゃなかと思う」
菫「いや多分それはない」
照「なぜ?」
菫「淡の裸想像しても全然なんともないけど照の裸想像するとエロい気分になる」
照「わたしは真面目に……」ムカ
菫「とにかくお前見てると変な気分になるんだ。よくわからん理屈こねなくても、それでいいじゃないか」
④
菫「なら」
照「……誘ったのは、菫なんだからな」
菫(て、照の顔が突然近づいて……)
菫「ちょ、て、照!ん」ムグ
菫(キス、されて……)
照「」
菫「……ん」プハッ
菫「お、お前いきなり」
照「人がせっかく戻るタイミングを用意してあげたのに。ここまで誘われたらわたしも引けない」
菫「先……?」
菫(いいのだろうか、高校生の分際で。しかも相手は同性だ)
菫(さっきのキスよりもっと気持ちいいのだろうか……)
菫「いい」
照「よかった。断られても中断できる自信はなかった」
菫「……私はどうすればいい?」
照「何もしなくていい。私も初めてだけど……なんとかする」
菫「……座ったまま?」
照「寝てて」
菫(上着のボタンが、外されて……)
照「……さすがに大きい。格差ひどすぎて軽くへこむ」
菫「あんまり見るな」//
照「それは無理な相談だな」ツー
菫「ひゃぅっ」//
菫「さ、触るなら触るといえ!」
菫(変な声が出てしまった……)
照「かわいい」クスッ
菫「て、照はあるのか?」
照「わたしはある」
照「こんな日を夢見ていた」
菫(照が、一人で……)//
照「あ、赤くなった」
照「わたしが一人でしてるとこでも想像した?」
菫「い、いちいちそんなことを聞くな」
照「だってさっきは触るときは言えって」ペロリ
菫「んっ……!」
菫(舌の、ザラザラが、当たって……!)
照「無理に声我慢しなくてもいいのに」チュ‐
菫「……んぁ!」
菫「す、吸うなら吸うと」//
照「さっきから言ってることむちゃくちゃだぞ」
菫「そんなに私の胸がいいのか?」
照「自分の持っていないものへの憧れかな。あと物事には手順ってものがある」クチュ
菫「!」
照「ズボンの上からなのにもうこんなに……ここまで濡れれば十分か」ズッ
菫(い、いきなりズボンを……)
照「うわあ。この下着新品だったのに」クチャ
菫「ひゃっ!」
菫「そ、そんなこと」
照「でもこれだけ感じてくれるとわたしも触りがいがある」スッ
菫「……!」プルプル
照「まだ下着の上からなのに、こんなになっちゃって」
照「ほんとに菫かわいい」クチュ
菫「ん……」
菫(なに、これ……胸の時とは全然違う感じ……)
菫「て、照。なんか、妙に手馴れて……っ」
照「簡単なこと。同性だからどこをどう触れば気持ちいいかは大体わかる」
菫(それって照が自分の身体で慣れてるってことだよな……)
菫「照。お前、案外性欲強かったんだな。お前はそういう話とは無縁だとずっと思ってたんだが」
照「生意気。同性に触られてこんなになってる奴に言われたくない」ムカ
菫(効いてるな。ちょっとは反撃できた、か)
菫「照」
照「ちょ、す、菫!」ゴロン
照「ど、どうしたの急に」
菫(今は私が照に覆いかぶさっている状態。完全にわたしが有利だ)
菫「脱がすぞ」
照「ひゃっ!」スル
照「い、いきなり下からとか……」
菫「人のこと散々言ってたくせに、自分はまだ胸すら触られてもいないのにこんなに濡れているじゃないか」クチュ
菫「私に触ってて興奮したのか?」
照「」カァ//
菫「悪くない。うれしい」チュ
照「んっ!」
菫(照の唇……柔らかいな……)
照「んぁ! 調子に乗るな。菫のくせに」
菫「と言いつつさっきより濡れてるぞ、照」クチュ
照「見るな!触るな!」//
菫「触ったけど見てはいないぞ。この位置からだと肝心な部分は見えない」
照「どうした?」
菫「見える位置に移動しようと」
照「バ、バカ!」
菫「もうちょっと足開いてくれ」スイ
照「」//
菫「……綺麗」
菫(昨日見た自分のとはずいぶん違う。やっぱり個人差があるのか)
菫(な、なんだ突然)
照「菫のも、綺麗」
菫(照も私のを見て……じゃあさっきの感触は)
菫「……ん!」クチャ
菫(このザラザラした感じ、まさか……)
菫「……」ペロ
照「ひゃぅ!」
菫「変な味」
照「じゃあやめろ」//
菫「変……だけど嫌いじゃない」ペロ
照「……んっ!」//
菫「て、照……」
照「なんだ?」
菫「ちょっと、おかしいんだ。っ!」
照「どういう風に?」
菫「照に舐められてると、なんだか、身体がさっきまでとは違う感じに、ひゃ、なんていうか、飛んで行ってしまいそう、というか」
照「それはおかしいことじゃない。この行為を行っていれば、必ずしも訪れるもの」
菫「照にも?」
照「わたしにも」
菫「だから……?」
照「一緒に、頑張ろう」クチュ
菫「ぁ! 不意打ちはずるい、ぞ」
照「……ん!」
菫「ひゃ・・・ぅ!」
照「……」
菫「……」
照「そ、そろそろ!」クチュ
菫「わ、私も、何か、何か来る!!」クチュ
照・菫「…………んぁあぁ!!!」
照「何」
菫「インターハイも終わったし、たぶん私、昨日今日ほど強烈な体験を怒涛のスピードでこなすことって一生ないんじゃないかと思う。
昨日子供の作り方を知って、その行為に生殖以外の意味があることを今日すぐに実体験として知った」
菫「私と照、同性間のセックスは決して子供の産まれることのない非生産的な行為だが、決して無意味なことじゃない」
菫「照をこういう形で感じることができて、私はとても幸せだ」
照「何言ってるのか全然わからないんだけど」
菫「私もわからん。なんかよさげなことを言いたくなっただけだ」
照「でも、今幸せだって部分には同意しておく」
菫「……私たちは多分、ずっと幸せだ」
照「そうなるように、祈っておくよ」スッ
チュ
カン!
ノリでテンションに任せてかいてたらこんな悲惨なことになってしまうのね……
最後は眠かったのでとにかく早く寝たかった
いろいろ勉強になった。おもに反省。
夕方のクッソ長い保守ありがとうございました。
おやすみなさい。
すばらだった
やはり照菫は良いものだな
以下、カニクリームコロッケスレ
カニクリームコロッケって普通の高校生が作れるもんなのかよwww
菫ちゃんの家事スキルが高い
もちろん卵とパン粉と小麦粉は必須だけどさ
缶詰のホワイトソースはほぼ固形だから形作るのは難しくないよ
レストランの手作りのやつとかは知らんけど
ホワイトソース作った後油敷いた容器にいれて冷蔵庫で冷ます
そうすれば形を作れる程度に固まる
照に食べさせてあげたいから
Entry ⇒ 2012.09.02 | Category ⇒ 咲-Saki-SS | Comments (0) | Trackbacks (0)
咲「フュージョン麻雀ですか?」
和「そうですね。先鋒から大将まで朝からやって夜までかかりますね」
久「それで時間短縮のために、フュージョンしようって事になったわけよ」
和「な、なるほど・・・(咲さんと一つになれるだなんて//)」ウヘヘ
咲「何ですか?フュージョンって」
久「あら、咲は知らないのね。大幅にパワーアップする技よ。ただし合体していられるのは30分間だけど」
久「ロンより証拠。とりあえず、動きを教えるからみんなでやってみましょう」
・
・
・
久「うん、それで合体するときに「フュ~~~ジョン!はッ!」と叫んでね。じゃあ、咲、和。とりあえずやって見せてちょうだい」
和「わかりました!」ゴゴゴ
咲「うーん、とりあえずやってみます」
ゴゴゴ
久「どうやら、上手くいったみたいね」
京太郎「こ、これは!?基本は咲のままなのに、和の大きいおもちが!!」
優希「髪型はツインテールだじぇ」
咲「うわー!!すごい!胸がこんなに!!」ポヨンポヨン
まこ「声は、和ボイスなんじゃな」
・
・
・
優希「うーん、強すぎる。もう東場でも歯が立たないじぇ」
咲っち「すごいねー。牌効率って言うのかな?なんか最速手順が、頭に浮かんでくるようだよ!」
久「あぁ、それとね。フュージョンが改良されて、五人まで合体出来るようになったのよ。よし、次は優希とよ」
ゴゴゴ
咲「うーん、さっきと外見はあんまり変わらない気がするじぇ」
京太郎「おおっ!外見に変化はあんまりないが、声が優希のカワイイ釘宮ボイスに!!」
咲「おぉ、犬。そこに気が付くとは!」ポヨンポヨン
まこ「これで東場無双もついたか・・・。よし、次はわしじゃな」
ゴゴゴ
久「ふーむ」
咲「あれ・・・視力が・・・。メガネメガネ・・・」
京太郎「むむ!基本はさっきと変わらないが、メガネ装備になったツインテール咲か!」
咲「あれ・・・、髪の毛にパーマかかっちゃったじぇ」
久「さてさて、最後は私っと。外見は咲ベースなのね。多分、雀力が高い人がベースになる感じね」
ゴゴゴ
咲「・・・須賀君?どうだじぇ?」
京太郎「あっ、髪の毛もストレートに戻ったみたいですね。色は・・・オレンジ。部長か」
京太郎「しかしまぁ、外見は咲でメガネつけてて、髪型がツインテールで立派なおもち持ってて、声がくぎゅで・・・。もう何が何だか、わからないですね」
咲「はぁ・・・、確かに。完全に別人だじぇ。とりあえず、須賀君、タコス」
京太郎「へいへい」スッ
咲「ネット麻雀で腕試しするじぇ。須賀君、牌譜取っといてね」
京太郎「地獄待ちで上がったのが数回、嶺上開花で数回、平均聴牌率80%超え、全て東場で飛ばして終了か・・・」
京太郎「こりゃ化け物だな」
咲「30分たったじぇ。解除」
バシューン
咲「あっ・・・おもちが」スカスカ
優希「ううう、私も」スカスカ
まこ「そーいや、さっきのネトマ、メガネ外してなかったぞ。リアル麻雀ではもっと強い」ドヤッ
和「私にとってはありえない牌効率、牌選択でしたが、そこは大目に見ます」
久「まぁ、他の高校もみんなフュージョンしてる来るから、きっと手強い相手になってる。気を引き締めて、頑張りましょう」
・
・
・
洋榎「おおお!!これが夢にまで見たおもちなのよー!!」ポヨン
恭子「妹さんのですやん。じゃあ、最後はうちとですよ」
洋榎「胸、縮まないか心配なのよー」
恭子「くっ・・・、慢ちゃんのデコあるから落書きしたいデコしとんなぁ!」
洋榎・恭子「フュ~~~ジョン!はッ!」ピカー
ゴゴゴ
洋榎「そない似てます?」
赤坂「うん、まぁデコが広がってるのと、声が真瀬さん。あら・・・、末原ちゃん成分があんまりないわね~」
洋榎「うーん、確かになのよー」
赤坂「うん、可哀想だから、このリボンつけてあげましょう~見かけから~」
洋榎「はっ…!?」
小蒔「いえいえ、これはこれで動きやすくなっていいですよ」ポリポリ
霞「メガネ姿もカワイイわー。写真撮っときましょう。そして、最後は私ね」
・
・
・
小蒔・霞「フュ~~~ジョン!はッ!」ピカー
ゴゴゴ
小蒔「あちゃー、やっぱりおもちが大きくなってしまいました」ドタプーン
小蒔「しかも本来の私の体よりも大きくて・・・。重いですねーこれ。霞さんの肩が凝るわけです。解除したら、肩をお揉みしてあげましょう!」ポリポリ
白望「豊音、大丈夫だから。ゆっくりスケッチブック書いて」
トシ「しかしまぁ、随分と身長が縮んで、普通の女の子になったわね」
白望「えぇ。私と同じくらい。胡桃と豊音の身長を足して半分にすると、平均くらいですからね」
豊音「ウルサイ、ソコ」
トシ「最後はあんただよ、シロ」
白望「この動き・・・ダルいんだよなー」
・
・
・
豊音・白望「フュ~~~ジョン!はッ!」ピカー
ゴゴゴ
豊音「」カキカキ
トシ「あー、書かなくてもわかってるわよ。ダルいでしょ?」
トシ「とりあえず、塞げるか私と麻雀打ってみましょう」
豊音「」コクコク
すこやん「二時間くらいで終わりそうだよねー。これがキンクリってやつなの?」
こーこ「えぇ、キンクリです!さてさて、ルールの方は本来の全国大会と同じで10万点持ちですけどね」
すこやん「うん、25000点だと、一瞬で終わっちゃうケースもあるからね。本来五人の団体戦だし、いいんじゃないかな」
こーこ「ちなみにすこやんは、誰とフュージョンしたいですかー?」ニヤニヤ
すこやん「えっとねー、この前ブラジル大会で出会った・・・、15歳くらいで小さくてカワイイ・・・って、何言わせるのー!?」
小蒔「あら貴方は、タコス好きなのね。黒糖はいかがかしら?」ポリポリ
豊音「」カキカキ
小蒔「あらあら、ふふふ。貴方も欲しいのね。はい、どうぞ」
豊音(ちょーうれしいよー)カキカキ
洋榎(コイツら平和やなー。和むわー)
咲「ダブルリーチ!!」ゴッ
洋榎(はやっ!?まぁ、聞いてた通りなのよー。しかも嶺上開花もあるかもしれんし、満貫手以上も簡単なのよー)トン
豊音(ダルい・・・。全体効果系は塞げないよー。こんなの当たったら事故だし、仕方ない)トン
小蒔(北と東、多分アンパイですね。初美ちゃん効果で、もう4枚ずつ持ってますし)トン
・
・
・
咲「カン!嶺上開花、ツモだじぇ!」クルクル、パシッ
洋榎(マナー悪いのよー)
咲「絶好調だじぇー!ダブルリーチ!!」ドン!!
洋榎(またなのよー。このガキ、ノリノリやなー)
豊音(いい配牌だよー。ここは嶺上開花を塞いどいて・・・)
・
・
・
豊音(よし!聴牌出来た!!)
豊音「」カキカキ
洋榎「通らばリーチ?そんなん書かんと、黙ってリー棒出しゃいいのよー」
咲「東場で競り負けた!カン材も持ってたのに・・・」
・
・
・
咲「ダブルリーチ!!」ドン!!
豊音「リーチ」カキカキ
洋榎「追っかけるけどー?はいはい、わかったわかった」
豊音(流石にこの清澄の人の嶺上開花、塞ぐのはキツイよー。って永水も大人しいし・・・。永水もいずれ塞がないとダメな時が来るし)
豊音(これで清澄の親番は蹴ったから、もうしばらく塞がないよ。塞ぐなら・・・、あのオッパイ痴女さんだよー)チラッ
小蒔「・・・ふふふ」ドタプーン
洋榎「そーいや、突っ込んだら負けと思ってたから、突っ込まへんかったけど。ブラジャーとかせんでええんか?」
小蒔「ブラジャー合うサイズがなくてね」ニコニコ
小蒔「さて、私のラス親。全力以上で当たらせて貰うわよー」ゴゴゴ
洋榎(二色しかないな)
咲(流石に、東四局になるとタコスパワーも切れてくるなぁ)
・
・
・
咲「」トン
小蒔「その北、ポンよ」
洋榎(コイツ、アホなのよー。永水相手に北と東を捨てちゃダメって研究して来んかったんかいな)
豊音(そろそろかな・・・、塞ぐよー)ギロッ
小蒔(さて、次のツモで東引いて・・・、あれ?東じゃない?)
小蒔、打牌東
咲「ロン、七対子」
洋榎「はっ!?永水相手に、東単騎待ちやと!?」
咲「うん、出るかもしれないと思ったからだじぇ」
洋榎「いやいや、永水が三枚握っててもおかしくないし、一番上がりから遠い牌なのよー!」
・
・
・
こーこ「前半戦終了!南場で永水女子高校が役満を上がり、トップを走ってます!」
すこやん「姫松は苦しいよね。もう三万点しか残ってないし・・・。もちろん逆転も全然ありえるんだけど」
こーこ「次も東場ですからね。清澄が盛り返すでしょうか!」
すこやん「清澄は、降りるのが上手いから一度トップを取ってしまえば怖いよ」
ポポーン
塞「はぁはぁ・・・、クッソしんどいわよ!全く」ガクガク
胡桃「充電充電」ムギュ
豊音「私も充電さしてよー」ムギュ
白望「もう・・・疲れてるんだか、くっついて来ないでよ。ダルい」
ポポーン
久「咲、貴方またメガネ外すの忘れてたわよ」
咲「あっ、すいません。メガネない牌が見えにくくて」
まこ「いいんじゃいいんじゃ。トップ取ってからでも遅くはない」
優希「タコスータコスー」
京太郎「へいへい、こちらに。いっぱい食べて、後半戦も頑張ってくれよー」
和「部長が言ってた通り、本当に小四喜を上がられましたね」
久「もー、だから言ったじゃない。ってまぁ、捨てたのは咲なんだけどね」
咲「ごめんなさい。何となく大丈夫な気がして・・・」
ポポーン
洋榎「ってヤバいでーヤバいでー。うちらダントツのドべやん!!」
恭子「普通の麻雀させてくれませんでしたね」
絹「いやー、不思議な事が起こる麻雀ですよねー」
慢「どどどとどど、どうするんですかー!このままじゃ、後半戦飛ばされかねませんよ!!」
由子「大丈夫なのよー。慢ちゃんが大爆発すればいいのよー」
洋榎「せやな。この点差や。慢ちゃんの大爆発に期待してもいいよな」
恭子「はい、あかんかったらオデコに何書きましょう?」
絹「これって自分のオデコに何か書く事になるんちゃいますかねー」アセアセ
ポポーン
初美「おおっ、やっぱり体が軽いっていいなー!」
春「」ポリポリ
巴「しかし、姫様。後半戦、寝れそうですか?」
霞「無理じゃないかしら。合体の影響で、全く眠たくないですもの」
小蒔「みなさん、すいません。私の力が至らないばっかりに」
霞「いいのよ。初美ちゃんのおかげで役満も上がれるし、私も苦手分野が苦手じゃなくなってるし」
初美「そうですよー。私達が20万点でも、30万点でも稼げばいいんですよー」
東一局
咲「ダブルリーチ」ドン
豊音(もう体力もあまり残ってないし、塞げないな)
小蒔(早さだけは対応出来ないのよねー。しかし、絶一門状態でもお構いなしなのね)
洋榎(だから、普通の麻雀させてーなー!!)カタカタ
咲「嶺上開花、ツモ、ダブリー」ゴッ
こーこ「おおっと!後半戦は清澄の大反撃だー!すでに、3連荘で、親の連荘だー!!」
豊音(流石にこれ以上はマズイ。とりあえず嶺上開花は塞ぐ!)
豊音「ポン!」
洋榎(おっ、なにか仕掛けてくる気か)トン
小蒔(・・・清澄の親が終わるなら、振り込んでもいいわね)トン
豊音「ポン!ポン!ポン!」
豊音「」カキカキ
洋榎「ぼっちじゃないよーって?はいはい、わかったわかった」
洋榎「裸単騎で、ダブリーに勝ちゃったのよー」
小蒔「ふふふ」
咲「・・・」
咲「あの、宮守の方。モノクル外しといた方がいいですよ。危ないから」
豊音「???」
豊音(まぁ、もう塞ぐ体力ないからもういいけど)スチャ
咲「私も、メガネ外しますね」スチャ
ゴゴゴ・・・、パリーン!!!!!!!!!!!
豊音(この人、ちょー怖いよー!!ちょーダルいよー!!)カタカタ
洋榎(あれ、うちの決め台詞まだ言ってないんとちゃうか)
咲「キングクリムゾン」ゴッ
清澄控室
京太郎「あっ、咲が発熱した。相手は死ぬ」
すこやん「うん、東場で一気に清澄が大量得点かと思いきや、南場の姫松の親で姫松が大爆発」
すこやん「私は清澄がわざと姫松に振り込んだように見えたけど・・・」
すこやん「そして、最後は1000点で親流し。一位は清澄、二位は姫松。宮守と永水は残念だったね」
咲「ありがとうございました」ペコリ
宮永照、親番8本場
照「ロンだ!」
怜「はっ!?また狙い撃ち」
憧「もーーーー、ドラと赤い牌ばっかりで点数は高いのに、チャンピオンに追いつけないじゃない!」
姫子「うーん、もう考えても仕方ないばい。多分、うちは飛ばんし」
えり「すごいですねー。このままチャンピオンの親だけで終わりそうですね」
咏「そだねー。多分、新道寺以外飛ばして終わるんじゃないかな。知らんけど。」
終わり
Entry ⇒ 2012.09.01 | Category ⇒ 咲-Saki-SS | Comments (0) | Trackbacks (0)
怜「誰や……うちのパソコン壊したんは……」
怜「お、この画像ええな。うち好みのイラストや」
怜「ふふふ……」カチッ
怜「やっぱり阿知賀の松実玄ちゃんはかわええなぁ……」
怜「このニーソからはみ出るむちむちの太ももが最高なんや」
怜「お、新道寺の大将もええ感じやん! 保存しとこっと……」カチッ
怜「うちあんま胸の大きさって気にせんのやけど、このおもちはちょっと揉んでみたい……」ゴクリ
怜「……はぁ……ええなぁ」
怜「……」カチカチ
怜「ふわぁ……眠い」
怜「……」チラッ
怜「もうこんな時間なんか……明日学校めんどうやなぁ」
怜「……」
怜「仕方あらへん、お風呂入ってこよ……」スタスタ
怜「ふわぁ……」
竜華「怜ー! おはよー!」ダキッ
怜「う゛っ……!」
竜華「怜ぃ……」スリスリ
怜「り、竜華……重いって……」
竜華「ぶぅ、なんやそれー。女性に対して失礼やろー」
怜「ごほっ、ごほっ……」
怜「うち病弱やねんから、もっと身体に気ぃ使ってほしいわ……」
竜華「あ、ごめん……」
怜「……」
怜「うん……なんだか今日は調子悪いんや」
竜華「ホンマごめんな……怜の体調考慮せんと、いきなりあんな抱きついたりして……」
怜「ええよ。これから気をつけてくれれば」
怜(ほんまはただの寝不足やしな……)
竜華「ありがとうー、怜ー」スリスリ
怜「だ、だからそれやめえって……」
怜「あ、セーラ。おはよう」
竜華「せやろー! 怜とうちは夫婦みたいなもんやしなー」
怜「な、なにいうてんの……うちら女同士やん」
竜華「愛に性別は関係あらへんやろー」
セーラ「まぁお前らならそのくらいの障壁なんとかしそうではあるな」
怜「せ、セーラまで……」
竜華「せやってー。がんばろうなぁ怜ー」スリスリ
怜「……」
セーラ「せやな。竜華もそこまでにしとき」
竜華「仕方あらへんなぁ……」
竜華「続きは後でなー、怜♪」
怜「……」
怜(……いつからこんななってしもうたんやろなぁ)
怜(竜華でもええっかなぁと思った時期もあったけど、うち今は松実玄ちゃん一筋なんや)
怜(それに、リアルでの付き合いはなんかだるそうやし……うちは画像愛でてる方が好きやわ)
怜(竜華は全然気づいてないみたいやけど……)
竜華「一限は……体育やな。怜は見学しとき?」
怜「言われなくてもそうするわ」ガサゴソ
竜華「別にわざわざ体操着に着替えんでもええのに」ヌギヌギ
怜「なんかサボってると思われたくないんや」
セーラ「いや、実際サボってるやん」
竜華「セーラは黙っとき!」
セーラ「うわ、ごめんごめん」
怜(……セーラの言う通りやけどな)
怜「あぁ……ただのノーパソやで」
竜華「はぁ? なんで怜がそんなもの持ってきとるん?」
怜「いや、うちもフナQを見習ってデータ麻雀を打とうかなーと」
セーラ「ははっ、似合わねー」
竜華「セーラ!」
セーラ「はいごめんなさい」
竜華「でもほんま怜らしくないで。一体どういう風の吹きまわしなん?」
怜「みんなに迷惑かけないためにも、もっと強くなろうと思ったんや」
竜華「怜……」ウルッ
セーラ「見直したで怜! その調子で頑張れよ!」
怜「へへ……ありがとう、二人とも」
怜(……ほんまは学校で画像整理したいだけなんやけどな。部室はLANも引いてあるし、ネット使い放題やで)
怜(体育の時間でも、バレへんようにすればパソコンいじるくらい余裕やろ)
怜「ほな、遅れんうちにはよ行くで」
竜華「うん!」
怜「~♪」カチカチ
怜(新しく新道寺フォルダを新設したで)
怜(新道寺ってすごくマイナーやけど、けっこう粒揃いなんやなぁ……今気付いた)
怜(デビ子ちゃんは言わずもがな、部長の哩先輩の太ももなんか最高やろ……)
怜(あのムチムチな太ももで絞め殺されたいわ……)
怜(他のメンツは……まぁそこそこちゃうか? うちはあんま好みやないけど)
怜(なにより、新道寺は全員黒ソックスかニーソなんや! ここはほんとでかい!)
怜(白い太ももには黒のニーソが一番映える……! これは宇宙の真理やで!)
太もものチェックは欠かさないんだな
セーラ「お前はもうちょっと普段から運動せえよ」
怜(あ、もう終わりか……)
怜「お疲れさまやで、二人とも」
竜華「うん、ありがとー怜」
セーラ「お前、見学中もパソコンいじってたんか。熱心なやっちゃなぁ」
怜「まぁな。みんなに一歩でも早く近づこうと思って」
竜華「怜はほんまええ子やなぁ……でもあんまり無理せんといてな? それで身体壊してたら元も子もないで」
怜「うん、気をつけるわ」パタン
怜「それじゃ、部室いきますか」
セーラ「おう」
竜華「あ、二人とも先行ってて。うちちょっと職員室に用あるから」
怜「わかったわ。フナQたちにも伝えとくで」
竜華「うん、おおきに」
セーラ「んじゃ俺たちは一足先に行ってるか」
怜「うん」
怜「? なんのこと?」
セーラ「パソコンやパソコン。オレなんか10分くらい画面見ただけでもう頭クラクラや」
怜「はは、なんやそれ。セーラはほんまに文化系なんか」
セーラ「パソコンなんか使えなくても麻雀は打てるしな!」
怜「でもそれだとネトマは打てないで」
セーラ「そーなんだよなー。ま、苦手なもん使って無理やり打ってもいい結果なんか残せないしな」
セーラ「うちはアナログ一筋の女や!」キリッ
怜「ふふ、セーラらしいわ」
セーラ「おーっす……って誰もいないんか」
怜「いや今さっき自分で鍵開けたやん」
セーラ「はは、せやったせやったー」
怜「誰もいないんならしばらく、牌譜でも見てるわ」
セーラ「じゃ、オレ飲みもん買ってくるー。怜はなんかほしいもんあるか?」
怜「うち炭酸以外ならなんでもええよ」
セーラ「おう、じゃあちょっくら購買行ってくるわ。留守番よろしくなー」
怜「うん、任せとき」
ガチャン
怜「なーんていうのは冗談で、もちろんやるのは画像漁りや」カチカチ
怜「今日はVIPでスレ立てて、うちがまだ持ってない玄ちゃん画像を探すで」カチカチ
怜「『阿知賀の松実玄ちゃんの画像が集まるスレ』っと……」カタカタ
怜「……」ワクワク
怜「おっ……さっそくきたで」カチッ
怜「……む、これ見たことない。なんかの同人作品なんかな?」
怜「『詳細希望』っと……」カタカタ
ガチャ
怜「っ!」ビクッ
フナQ「どうもー」
フナQ「はいそうですけど……どうしたんですか?」
怜「いや、別に何でもないで」
フナQ「?? まぁええですわ」
フナQ「それより園城寺先輩、そのパソコンどうしたんですか?」
怜「あぁこれ? これはあれや、フナQのそれ……なんやったっけ?」
フナQ「タブレットですか?」
怜「そうそれ! それと同じやで」
フナQ「??」
怜「つまり、うちもフナQを見習ってデータ麻雀を行なうことにしたんや」
怜「え、なんか反応薄いなぁ……」
フナQ「いえ、園城寺先輩がパソコンってなんか似合わんと思いまして」
怜「うーん、やっぱそう?」
フナQ「はい。それにデータの収集・解析でしたらうちが全部やりますし」
フナQ「園城寺先輩が無理する必要はありませんよ?」
怜「そっかぁ……」
怜(あかんな……このままじゃうちが部室にまでパソコンを持ちこんで使う理由がなくなってまう……)
怜(どうしたもんかなぁ……)チラッ
怜「……!」ガタッ
怜「ふ、フナQ……それ……!」
フナQ「え? ……これですか?」スッ
怜「こ、これ玄ちゃん画像やないか! どないしたん!?」
フナQ「え、えっと……」
怜「あ、ごめん……いきなり取り乱してもうて」
フナQ「別にかまいませんけど……ちなみに、これは知人に描いてもらったイラストです」
怜「へ、へえ……」ゴクリ
フナQ「……」
怜「あ、ごめんごめん」
フナQ「先輩、もしかして……」
怜「え……な、なんや……?」
怜「え……あ、あぁ! そうなんや! うちその子の大ファンやねん!」
フナQ「やっぱり……さっきの反応、常人のそれとは明らかに違いましたからね」
怜「……そ、そんな変やった?」
フナQ「ええ、血に飢えた猛獣のようでした」
怜「っ!」ギクッ
フナQ「……先輩」
怜「は、はい……」
フナQ「……ほんとにそれだけですか?」
怜「……」
怜「そ、そう?」
フナQ「パソコン買ったのいつでしたっけ?」
怜「えっと、一週間くらい前やったかな……」
フナQ「たったの一週間でこれだけの数を集めるとは……1000以上はありますよ?」
怜「まぁ徹夜して漁りまくった日もあったしなぁ」
フナQ「それで病弱とかホンマ詐欺ですわ」
怜「詐欺ちゃう。根性や根性」
フナQ「ま、そういうことにしときましょう」カチカチ
セーラ「うぃ~、買ってきたデー」
怜「ふ、フナQ閉じて閉じて!」
フナQ「はい」パタン
怜「お、お疲れセーラ」
セーラ「おう。ほれカルピス」ヒョイ
怜「うわっ、とっと……おおきに」
セーラ「ちゃんとあとで金徴収するからなー……って浩子もいたんか」
浩子「ええ、どうもです」
セーラ「残念ながら浩子の分は買ってきてないでー」
浩子「うちマイ水筒持ってきてますんで、お気遣いなく」
泉「どうもー」
竜華「お待たせー」
セーラ「おぉ、一気にきたなー」
泉「職員室で先輩と偶然お会いしたんです」
フナQ「なんや泉、赤点でもとったん?」
泉「ち、違います! それにこの時期テストなんてありませんやん!」
竜華「愛宕先生に用があったんやって」
泉「そうです、麻雀特待の手続きの関係で先生にお話があって」
セーラ「なんだ、自慢かよ」
泉「自慢じゃありません! それに先輩だってうちと同じ特待じゃないですかー!」
怜「……フナQ、この話はまた今度な」ボソッ
フナQ「ええ、わかっとります」ボソッ
竜華「んー、二人でなにコソコソ話とるんー?」
怜「べ、別に何でもないで!」
竜華「? そうなん?」
怜「せやせや! な、フナQ?」
フナQ「ええ、ちょっとパソコンの使い方に関して園城寺先輩にアドバイスしとっただけです」
竜華「なんだー、そんなことやったん」
怜「そうなんよー。あはは……」
怜(フナQ、ナイスフォローやで)ビシッ
フナQ(……いいってことですよ)ビシッ
セーラ「でも、5人やし誰か一人抜けなあかんな」
怜「うち抜けてもええで。データ取りたいし」
怜(……ええか? フナQ)
フナQ(……はい、ごゆっくりと)
セーラ「そうか、じゃ久々の浩子参戦やな」
フナQ「いや、普段もうちとけっこう打ってますやん。うちかてデータだけ取ってるんとちゃいます」
泉「そうですよ先輩。船久保先輩を千里山のパソコン担当みたいに言うの止めてください」
セーラ「いやさすがにそこまでは言うとらんわ」
泉「えっ……」
フナQ「泉……覚悟しときぃよ」
泉「ひ、ひぇええっ! すんません!!」
泉「はやっ!」
竜華「セーラ、今日はバカヅキやなー」
フナQ「……そろそろ泉だけ狙い撃ちすんの止めますか」
泉「そんなことしとったんですか!?」
ワーワー!
怜「……」カチカチ
怜(お、知らんうちにさっきのスレの画像がこんなに……)カチッ
怜(『おおきにー』っと……)カタカタ
怜(うちも少し、自慢の玄ちゃん画像を提供しますか……)カチカチ
怜(……)カチカチ
怜(ふぅ……そろそろ他の子の画像も探そか)カチッ
セーラ「よっしゃー、点棒がっぽりやでー!」
泉「またうちが最下位……」ガクッ
フナQ「まぁ、こんなもんですかね」クイッ
怜「ん~」ノビー
竜華「怜ー、そろそろあんたも混ざらんー?」
怜(そろそろ目が疲れてきたし、気分転換に打ちますか……)
怜「うん、今行くでー」
フナQ「じゃ、うちが抜けますんで」ガタッ
セーラ「おーう」
怜「ぼちぼちやな」ボソッ
フナQ「パソコンちょっと拝見させて頂いても?」ボソッ
怜「別にかまへんで。ただ席離れるときはウィンドウ閉じてロックしといてな」
フナQ「了解です」ボソッ
怜「データも取れたことだし、気張っていくでー」
セーラ「よ、新生トキのお披露目や!」
泉「お、お手柔らかにしてくださいー」
竜華「怜、あんま無理せんといてな」
怜「わかっとるよ」
セーラ「うわ、さっそくきちまったかぁ」
泉「誰か鳴ける人いないんですかー?」
竜華「いても言わんやろ」
フナQ「……ふむ」カチカチ
フナQ(園城寺先輩は黒ニーソ好きなんですかね。さっきも松実玄のイラストに過剰な反応示してましたし)
フナQ(そういえば清水谷先輩は白ニーソですけど、そこに関してはどう思ってんでしょうかね? あとで訊いときましょ)カチカチ
フナQ(というか千里山フォルダがありませんね……まぁいつも見慣れてるからかもしれませんが)
フナQ(ちなみにうちは、江口先輩を筆頭に千里山勢の画像はダントツですけどね。もちろん園城寺先輩のもあります)カチカチ
フナQ(たしかに数はあるけれど、女の子の種類が圧倒的に少ない。重複もちらほら見受けられますし)
フナQ(長野の高校の画像は豊富にあるので、あとでお裾分けしてあげましょ)カチカチ
フナQ「……ぅ」ゴロゴロ
フナQ(……なんやろ、急にお腹の調子が……)
フナQ「……」
フナQ(少しおさまったんか……)
フナQ(大丈夫なんやろか……あとでちゃんとトイレ行っとかんと……)カチカチ
フナQ(お、この新道寺の子ええですやん! ブカブカな袖と胸のぺったんこ具合がたまりませんわ!)
セーラ「なんや、今日も調子良かったんは最初だけかー」
泉「もう……めげます……」
怜「元気だしぃ、泉」ポンポン
泉「はい……気分転換にジュース買ってきます」
竜華「泉ー、うちのもー」
泉「はい、なにがいいですか?」
竜華「お茶で。種類は何でもええよー」
泉「了解です。他の先輩方は?」
セーラ「うちらはええわ。さっき飲んだばっかやしな」
怜「うん」
泉「ほな、行ってきます」ガチャ
怜「うん、そうさせてもらうわ」ヨイショ
竜華「どう具合は? 今朝気分悪いって言うてたやろ?」
怜「あぁあれ? もうすっかりよくなったわ」
怜(授業中寝たからな)
竜華「そ、ほんならよかった」ナデナデ
怜「……ん」
怜(あぁ……やっぱリアル太ももの感触はええなぁ)
怜(これが哩先輩のやったらどんな感じやろ……もっと弾力感あって気持ちよさそうやなぁ)
怜(目閉じて、次開けたらそこには哩先輩が……とかあらへんやろか?)
怜(……)
怜(まぁ目閉じるだけでも、その妄想に浸れるからええか……太ももだけはいっちょ前やしな、竜華は)
竜華(ふふ……かわええなぁ、怜は)
怜「……っ」ブルッ
竜華「ん、どうしたん怜?」
怜「ちょっと飲みすぎたんかも。おトイレ行ってきます」
竜華「大丈夫? ついて行かんでええ?」
怜「さすがにだいじょぶやて。竜華は心配症やなぁ」
セーラ「オレもちょうど行きたかったし、ついて行くから安心しろや」
竜華「ほなセーラ、任せたわ」
セーラ「おう」
ガチャ
竜華「……」
竜華「……フナQ、あんたなにしとるん?」
フナQ「……うぐ……ぐ……」
竜華「ちょ、あんた大丈夫なん!?」
フナQ「お、お腹が……ぐふ」
竜華「……」
竜華「バカ……はよ、トイレ行ってき」
フナQ「はい……」ヨロヨロ
フナQ「これ……そこの机置いといて下さい」
竜華「あぁ、怜のパソコンか。わかったで」
フナQ「……ほな、行ってきます」ヨロヨロ
ガチャン
竜華「……大丈夫なんかな、浩子のやつ」
竜華「怜、これわざわざ学校まで持って来たんか。帰りはセーラあたりに持たせんと」
竜華「そういえば、データ収集ってどういうことしとるんやろ」チラッ
竜華「でも、さすがに人のパソコン勝手に見るんはまずいかなぁ……」
竜華「……」
竜華「ま、えっか。どうせたいしたもんじゃないやろし」パカッ
竜華「ええっと……ん、なんや電源つけっぱやん。もしかして浩子も使っとったんかな」カチカチ
竜華「んーと……って、え……?」カチカチ
竜華「……」
竜華「……え……?」
竜華「……」
竜華(……女の子の画像ばっか……しかも、どれもインハイで見た覚えのある子ばっかや)
竜華(……意味わからん……なんで怜のパソコンにこんなもんが……?)
竜華「……」カチカチ
竜華(『お気に入り』って……ウソやろ……?)
竜華(と、怜はこんな……こんな子がええっちゅうんか……?)フルフル
竜華(わけわからん……わけわからん……!)カチカチ
竜華(なんなんや……なんなんやこれ……!!)カチカチィッ!
竜華「うぁ……」
竜華「うわぁああああああああああああああああぁあああ!!」
ガンッ
竜華「こんなもん! こんなもんウソや!!」ガンガンッ
竜華「怜はうちのことが一番好きなんや!! こんな画像の中だけの女、好きになるわけない!!」ガキンガキンッ
『鶴田姫子ちゃんフォルダ』
竜華「いやぁああああああああああああああああああ!!!」バキバキッ!
ガチャ
泉「せんぱ~い、買っt」
泉「せ、先輩!? な、なにやっとるんですか!?」
竜華「ウソや……全部ウソやァ!!!」バキバキィッ!
泉「や、やめてください!! い、一体なにがあったんですか!?」ガシッ
竜華「離してや!! 離せぇ!!」ジタバタ
セーラ「浩子のやつ大丈夫なんかなー」
怜「さぁ?」
泉「あ、先輩たち……」
竜華「……」
怜「ただいまー……ってなにかあったん?」
泉「そ、それが……」
竜華「……」
怜「竜華、どうかしたん?」
セーラ「ん、なんやそれ……って、うわ……」
怜「どないしたんセーラ」
怜「……えっ」
その姿は、見た者なら誰もがわかるように、ハードディスクの中身が到底無事では済まされないことを物語っていた……
怜「……れ……」
怜「だれ……? 誰……?」
セーラ「と、怜……」
怜「誰や……うちのパソコン壊したんは……」
怜「……誰……?」
泉「せ、先輩……」
竜華「……」
怜「……」
ダンッ!
怜「誰やっちゅうとるやろボケ!!!!」
竜華「……」
怜「……セーラは白。うちと一緒にいたからな」
セーラ「と、怜……落ち着けって……」
怜「……泉……あんたか?」
泉「う、ううううウチちゃいます……」ガタガタ
怜「ほんまか……? ホンマに違うんか?」
泉「は、ぃ……ぁ……」
ダンッ!
怜「はっきりせえや!!」
泉「ひっ!!」ジワッ
泉「だ、だからもう……もう許して下さい……」ガタガタ
セーラ「怜! 泉もこう言ってるんやし、信じたれよ!」
怜「……」
怜「わかったわ……信じたる」
泉「……ぁ……はぃ……」ガタガタ
怜「……じゃあ残りはフナQか竜華やなぁ……」
怜「フナQはあの調子じゃこんなこと出来そうもあらへんし……」
怜「……」
竜華「……」
怜「あんたなんか……あんたがこわしたんか……?」
竜華「……」
怜「おい竜華……」
竜華「……」
怜「……」
竜華「はははははは、はは」
竜華「あはははははははははは!!!」
セーラ「り、竜華……」
竜華「あははははは……はぁ……」
怜「……」
竜華「ふふ……うちが壊したよ?」
竜華「うちが壊した……あは……うちが壊しちゃった……あは、は」
怜「……」
竜華「ぶっ、はははははは!! 壊しちゃった!! あははははははは!!」
怜「……」
怜「……」
竜華「あんたがあんなもん……あんなもん集めとるから……」
竜華「……なんなんあれ……? ねぇ、なんなんあれ……?」
怜「……」
セーラ「な、なんの話や……?」
泉「」ガタガタ
竜華「……まぁええわ」
竜華「これでなんもかんも、全部消えた……」
竜華「もう、怜にはうち……うちしかおらへん……そうやろ?」
怜「……」
竜華「ねぇ、怜……なんでだまっとるん……? なんで……」
竜華「……?」
怜「ぁあ……ぁああぁあ……」
セーラ「と、怜……?」
怜「ぁぁぁあああぁあああああッ!!!!」ガシャンッ!
怜「ぁアアアアああ嗚呼あああッ!!」ガシャガッシャンッ!
セーラ「怜! ヤメロッテ!!」
怜「ぁアアアアああ嗚呼ああああああァァァァあああッ!!!!」ガシャガシャンッ!!
怜「なんでや!! なんでや!! なんでやぁアアアアああ嗚呼ああッ!!!」バキィッ!
怜「イヤや!! いやぁアアアアああ嗚呼ああ嗚呼!!! うわぁああああああああああん!!!」ガシャガシャ!
セーラ「怜……」
竜華「……」
怜「うぁ……ぅ……うわぁぁあああん!」ボロボロ
怜「うちのぉ……うちのデータがぁ……うわぁああああああああん!!」
竜華「……」
セーラ「……」
泉「」
怜「……ひっく……っく……」
竜華「……」
怜「うれしいか……?」
竜華「……」
怜「きがすんだか……?」
竜華「……」
怜「……」
竜華「……」
怜「……しね竜華。しね」
竜華「……」
怜「……一生のろってやる。しね」
竜華「……」
怜「……地獄へいけ」
竜華「……」
怜「……」
竜華「……」
怜「……うちは絶対あんたのことゆるさへんからな」
怜「……絶対ゆるさへん。絶対や」
竜華「……」
怜「……絶対こうかいさせてやる。しね」
竜華「……」
怜「……っく……」
竜華「……」
怜「絶対に……っ……ゆるさへんから、な……」ボロボロ
竜華「……」
怜「うっぐ……っく……し、ねぇ……」
怜「し、ね……しねぇ……っぐ……」
セーラ「……」
泉「」
フナQ「ダメや……完全に入るタイミング見失ったわ」
怜「……」
セーラ「怜……」
怜「……ごめん、セーラ。うち帰るわ」
セーラ「……あぁ、あとはオレが片しておく」
怜「……堪忍な」
泉「」
怜「……泉もごめん」
泉「」カタカタ
怜「……」
竜華「……」
怜「いつか絶対……あんたの大事なもん、壊したるからな」ボソッ
竜華「……」
怜「覚えときよ、クソ女」
竜華「……」
竜華「……」
セーラ「……竜華」
竜華「……」
セーラ「……」
竜華「……」ポロッ
竜華(なんでやろ……涙が……)
竜華(……)
竜華(……うち、バカやな……)
竜華「……っ」
竜華(……ほんと……バカや……)
竜華「ぅぅ……」
竜華「……うぐぅぅう……うぅう゛う゛う゛ううぅ……」ボロボロ
セーラ「……」
泉「」
怜「……」バタッ
怜「……」
怜「……なんでやろ……もう涙も出てこんわ」
怜「……」
怜「……なんちゅうか……なんもかんも、気力が湧いてきいひん」
怜「……はぁ」
怜「……」
怜(……でも、竜華だけはゆるさへん)
怜(……)
怜(あの女……絶対に後悔させてやる……)ギギ
「おはよー」「おっはー」
竜華「……」
セーラ「おっす、竜華」
竜華「……」
セーラ「怜は……さすがに一緒じゃねえか」
竜華「……」
ガチャ
『しね、クソ女』
竜華「……」
竜華「……」ペラッ
セーラ「ん、なんやそれ?」
竜華「……なんでも」
竜華「……」
セーラ「……おっす、怜」
怜「……」クルッ
竜華「……」
怜「おはよ、セーラ」
セーラ「……あぁ」
怜「……どうしたん?」
セーラ「……」
セーラ「あのさ、怜……」
怜「そういえば!」
セーラ「……」
怜「そういえば、新しくパソコン買ってもらえることになったんよ。ええやろー?」
セーラ「怜……」
セーラ「あ、あぁ……」
ガララッ
「おらー、出欠とるぞー」
セーラ「……」チラッ
竜華「……」
セーラ(竜華……)
怜「……」
怜(今朝のは利いたやろか……?)
怜(……)
怜(……あんたの大事なもの、結局見つからへんかった)
怜(でもなぁ、うち気づいたんや……あんた自身を壊してしまえば、そんなの関係ないって)
怜(……)
怜(まだまだこんなもんじゃ終わらへんからな……竜華)
セーラ「腹減った~、メシメシっと」ガサゴソ
セーラ「……」チラッ
竜華「……」モソモソ
セーラ(竜華……)
ガタンッ...バララ
怜「おっとごめんな」
竜華「……」
セーラ「おい、怜……!」ガタッ
怜「え、なに?」
怜「だから謝ったやん」
セーラ「ふざけんな、ちゃんと拾ってやれよ」
怜「……」
怜「はいはいわかりましたぁ」
セーラ「……」
怜「めんどくさいなぁ……」
怜「なんや、ゴミと弁当の区別がつかへんわ」ポイッ
セーラ「おい怜、てめえ!!」ブンッ
竜華「……セーラやめ」
セーラ「ぐっ……」
怜「……」
怜「そう? じゃ頼むわ」
グシャ
竜華「……」
怜「……あと、怜っていうのやめてくれへん?」ボソッ
竜華「……うん、わかった」
怜「……」
スタスタ
セーラ「おい竜華……なんで止めたんや」
竜華「ごめん……でも、これはウチととk……園城寺さんの問題やから」
竜華「セーラ……あんたは今後、うちらの問題に口挟まんといて」
セーラ「……そんな……」
竜華「……頼む」
セーラ「……」ギリッ
怜「ロン。2600」
竜華「……はい」
泉「お、園城寺先輩は強いやんなぁ!」
怜「ありがとう、泉」ニコッ
泉「いえいえ~、あはは~」
泉「はは、は……」
泉「……」
セーラ「……」
セーラ(くそっ……麻雀打ってるのに、全然楽しくあらへん……)
怜「……ふふ」カチャカチャ
セーラ「ゲスト……?」
怜「せや。もうすぐ来る頃だと思うんやけど……」チラッ
ガチャ
フナQ「どうもお待たせしてすみません」
怜「おう、待っとったでフナQ。それで、お客さんは?」
フナQ「ちゃんと連れてきました。ほら入って」
洋榎「どうも~」
絹恵「お、お世話になりますぅ」
セーラ「あん……? たしかあんたら姫松の……」
フナQ「うちの従姉妹……愛宕の姉妹です」
洋榎「せやでー。うちの母がいつもお世話になっとるなぁ」
泉「いえ、世話になっとるんはこっちですけど……」
怜「絹ちゃん久しぶりやでー!」ダキッ
絹恵「え……えっ!?」アセアセ
怜「……うちが園城寺です」コソッ
絹恵「あ、あぁ……わかりました」コソッ
絹恵「と、怜ちゃん久しぶりやー!」ギュゥ
絹恵(うぅ……恥ずかしいわぁ……)
洋榎「なんや、知り合いか?」
絹恵「う、うん……」
怜「あ、千里山の園城寺怜です」ペコリ
洋榎「おぉ、あの一巡先を見る~ってやっちゃな?」
怜「せやで。これからよろしゅう」
フナQ(まさか絹恵と園城寺先輩が知り合いやったとは……)
フナQ(でもおかしいんよなぁ……園城寺先輩は絹恵のアドレス知らなかったっていうし、絹恵から園城寺先輩の話を聞いたことは一度もあらへんかったし……)
フナQ(……)
フナQ(まぁええか)
怜「絹ちゃん~、またいつもの膝枕してえなぁ」
竜華「!」
絹恵「えと……うん、わかったでー!」
怜「わーい!」ダダッ
怜「うん……あぁ、気持ちええ……」
竜華「……」
洋榎「なんや、エライ仲良しやなぁ」
絹恵「う、うん……まぁね」ナデナデ
怜「……あ、それもっとやってぇ」
絹恵「ひゃぁ! こ、これ……?」ナデナデ
怜「うん……そう……」
絹恵「……」ボーッ
絹恵(なんか……園城寺さんってすごくかわいい……)ドキドキ
竜華「……っ」
セーラ「……あ、あぁ。よろしくな」
洋榎「あっちは邪魔しにくい雰囲気やし、ここは一戦どうや?」
セーラ「せ、せやな……」
セーラ「……」チラッ
竜華「……」
セーラ「……ぐっ」
洋榎「よーし、そこの子もどや? うちらと一局」
泉「あ、はい! よろしくお願いします!」
洋榎「おう、よろしゅー」
泉(うわ~……ほんものの愛宕洋榎や~)
泉「そ、それで待っとったんですか!」
洋榎「時には状況に応じて打ち方を変えるのも大切なんやでー」
泉「な、なるほど……」
竜華「……」
セーラ「……竜華、大丈夫か?」
竜華「……」
セーラ「竜華」
竜華「っ!」ビクッ
竜華「な、なに……?」
セーラ「いや、お前さっきからボーっとしとるから」
竜華「……あぁ……心配あらへんで」
セーラ「……ならええけど」
洋榎「ええってええって、うちらも久々に手強い連中と打てて楽しかったでー」
絹恵「うん、また遊びに来るで」
怜「ぜひぜひ、いつでも来てえなー」
洋榎「ほなら、さいなら~」ブンブンッ
絹恵「他の皆さんも、どうもお騒がせしましたー」ブンブンッ
フナQ「じゃウチ、あの二人送ってきますんで」
怜「うん、任せたでフナQ」
フナQ「ほな、お疲れ様です」
怜「お疲れー」
バタン
泉「うちも愛宕洋榎さんと打てて良かったです」
怜「せやろ? また近いうちに呼んだるで」
泉「ほんまですか! お願いします!」
怜「ふふ……」チラッ
セーラ「……」
竜華「……」
怜「セーラと、それに『清水谷さん』も……今日は楽しめたんやない?」
セーラ「……まぁな」
竜華「……うん」
怜「……」ニヤッ
怜「ほな、また明日な」
セーラ「……あぁ」
竜華「……うん、また明日」
怜「……」
スタスタ
セーラ「……」
竜華「……」
セーラ「……なぁ、竜華」
竜華「……」
セーラ「……もう辛いやろ……? 苦しいやろ……?」
竜華「……」
セーラ「怜やって性根は腐ってねえ……オレが一度ぶん殴れば目を覚ますはず」
セーラ「だからもうお前は我慢すんなや。全部俺に任せろ」
セーラ「な?」
竜華「……」
竜華「ごめん、気持ちは嬉しいけど……もうウチらに構わんといて」スタスタ
セーラ「……」
ザッ
竜華「セーラ……どいてや」
セーラ「いや、今回ばかりはオレも引きさがらねえぞ……竜華」
竜華「……」
セーラ「これはもう、お前と怜だけの問題やない……千里山の麻雀部全体の問題や」
セーラ「せやからその一員として、オレはこの問題を黙って見過ごすわけにはいかへんのや」
竜華「……」
セーラ「竜華……あとはお前の意思だけや。それでオレは思う存分動ける」
竜華「……」
セーラ「竜華!」
セーラ「オレはもうやるからな……ええんか!?」
竜華「……セーラ」
セーラ「……なんや」
竜華「……一日だけ待って。そしたらセーラのしたいようにしてええから」
セーラ「……? なんで一日やねん……」
竜華「……」
セーラ「おい竜華!」
竜華「……もとはと言えば自分が蒔いた種や……落とし前はきっちりつける」
セーラ「は……? お前なに言って……」
竜華「ほな、また明日なセーラ……さっきの、約束やで」スタスタ
セーラ「りゅう、か……」
ガチャ...バタン
竜華「……」
竜華「……どうしよ……あんなこと言うたけど」
竜華「ウチにはもうどうしようもあらへん……ウチがなにを言おうが、怜は絶対に許してくれへんやろうし」
竜華「でも……セーラには関わってほしくない。迷惑をかけたくないんはもちろんやけど……」
竜華「なによりこれ以上怜とセーラの関係が壊れたら……?」
竜華「怜は独りぼっちになってまう……そんなことにはさせたくあらへん」
竜華「……」
竜華「ふふ、ウチってホンマに卑怯やなぁ……こんな時まで好きな相手のこと考えてるふりか」
竜華「悲劇のヒロイン気取って、バカみたいや……」
竜華「……」
竜華「……っ……えっく……」
竜華「……う、ウチが怜に嫌がらせを受けるだけならかまへん……ウチが我慢すれば済むだけの話やし」
竜華「……だってウチが怜のパソコン壊したんが原因なんやから……当然の報いや」
竜華「……」
竜華「……いやそれはウソやな。もうこれ以上、ウチは耐えられんかもしれん」
竜華「次、あの姫松の子とイチャイチャされてるのを見せられたら、また発狂してしまいそうやもん……」
竜華「……っ」
竜華「あんなにされても、まだあんたのことが好きなんやで……これだけはウソやない。正真正銘の事実や」
竜華「……なんてゆうても、怜にはそんなこと関係あらへんか。言い訳にもならへん」
竜華「……」
竜華「メール……」
カチャ
『もう学校辞めちまえ、ぼけ』
竜華「……」
竜華「たしかにそれも考えたよ、怜……」
竜華「辞めるなんてぬるいことはせんと、ウチが自殺したら怜は満足するんやないかって……」
竜華「死ぬんは怖い……でもそれが仕方ないことなんやったら、ウチはやるつもりやった……」
竜華「……でも、そうしたらあんたはどうなるん?」
竜華「その事実に一生苛まれて生きていく羽目になる……セーラかて、絶対にあんたのことゆるさへんやろうし」
竜華「ウチは、そんなことになってしまうんが怖いんや……死ぬことと同じくらいにな」
竜華「……だから死ぬわけにはいかへん」
竜華「……」
竜華「……セーラには明日まで猶予をもらっとる。けどウチにはどうすることもできへん……」
竜華「でもこのままじゃ確実に壊れてく……ウチらだけやなくて、部全体の関係が……」
竜華「……死んで逃げることも……学校行かずに逃げることもできひん」
竜華「けど、セーラにも約束してしもうたし、ウチがなんとかせんと……」
竜華「……はは、これがいわゆる板挟みの状態ってやつやな……」
竜華「……」
竜華「……っく……ぅう……」
竜華「っく……どないすればええん……どないすれば……」
竜華「……っ」
竜華「……もうウチわからへんよぉ……っぐ……」
竜華「……っ……えっぐ……」
怜「……」
怜(ほんとに学校こなくなるとはなぁ……)
怜(ま、うちには関係あらへんことや)
怜「……」
怜「……」チラッ
怜「……ぐ」
怜(……なんでやろ……胸が痛い)
怜「……」
怜「……セーラ」
セーラ「……」
セーラ「……竜華、欠席やて」
怜「……」
セーラ「……」
怜(……セーラのこんなつらそうな顔……初めて見るわ)
怜(それもこれも、全部うちが原因なんよな……)
怜「……そ、よかったやん。“まだ”連絡あって」
セーラ「……」ギリッ
怜「……」
怜(なにいうてんの……なにいうてんのやウチは……)
怜「……ふーん」
セーラ「……」
怜「……なに? なんかウチに言いたいことでもあるんか?」
セーラ「……」
セーラ「……まだや。竜華との約束やからな」
怜「は……?」
セーラ「……」
怜「……」
怜(なんや……セーラのやつ……)
怜「……」
怜(また来てへんのかあいつ……ホンマしょうもない奴やで)
怜「……」ガタッ
怜「……ぅ」
怜(なんや、吐き気がする……どうして……)
怜「……っ」ダダッ
トイレ
怜「うぼぇえええええぇぇえ……」ボタボタ
怜「うげぇ……ぇ……」
怜「……ぅ」
怜「うげぇえええええええ……」
セーラ「……」
怜「……セーラか……おはよ」
セーラ「……具合悪そうやな」
怜「……まぁな……別に大したこと、あらへんよ」
セーラ「……」
怜「へへ……」
セーラ「……怜、放課後部室こいや」
怜「……」
セーラ「絶対やからな」
スタスタ
怜「……」
ガチャ
怜「……」
セーラ「……」
泉「……園城寺先輩……」
フナQ「……」
怜「あれ……今日は部活休みなんやないん……?」
セーラ「……」
セーラ「……今日のは部活じゃねえよ」
怜「……」
セーラ「……怜、だいたいの事情は浩子から聞いた。こいつが一昨日、自分から話してきた」
フナQ「……」
怜「……そう」
怜「……」
セーラ「……一発殴らせろ、ええな」
怜「……」
セーラ「……いくで」
バッシーンッ!
怜「……っ」
セーラ「はぁ……はぁ……っ」
泉「……ひっ」
フナQ「……」
セーラ「っ……この、大バカ野郎!!」
怜「……」
怜「……」
セーラ「……」
セーラ「昨日、あいつからメールがあった。『休んでしまってごめんなさい』だってよ」
怜「……」
セーラ「あいつはもう一杯一杯や……周りに謝っとかんと気が済まねえほどに心が敏感になっとる」
怜「……」
セーラ「お前がどれだけ、あのパソコンのこと大事にしてたんか、オレは知らねえ……」
セーラ「せやけど、そっちを優先させちまった結果、今お前の手元に残ってるもんはなんだよ、あぁ!?」
怜「……」
セーラ「お前が選択したのは、こういうことなんだよ!!」
怜「……」
泉「……」
フナQ「……」
怜「……」
セーラ「……」
怜「……行ってきます」
セーラ「……」
怜「……っぐ……行って、きまず……」
泉「園城寺先輩……うちも」
セーラ「……泉、一人で行かせえや」
泉「……はい」
怜「……うっぐ……ぅう……」
セーラ「……竜華には連絡しといた。今からお前がそっちに向かうって」
怜「……っぐ……っ」
セーラ「……ちゃんと互いの気持ち、清算してこい。わかったか?」
怜「……ぅん……っく……うん……っ」
セーラ「……」
怜「……はぁ……はぁ」
怜(こんな走るの、久々や……)
怜「っぐ……はぁ……」
怜(……胸が苦しい……)
怜(でも、これは竜華が感じてた痛みのほんの一部でしかないんやな……)
怜(……)
怜(……許してくれるかわからへんけど……それでも今は竜華の顔が見たい、そんで謝りたい……っ)
怜(ウチのホンマに大事なもんが、こんな近くにあったなんて……ヒトってのはつくづく愚かもんやな……)
怜「ぐっ……はぁ……」
怜(待ってて……待っててよ、竜華……っ)
タッタッタッタッ
竜華「……」
竜華(……もうすぐ、怜がここにやってくる……)
竜華(……)
竜華(……ウチ、怜とどんな顔して合えばいいんかわからん……)
竜華(……)
竜華(……怜はウチのこと、許してくれるんやろか……?)
竜華「……」ブルブル
竜華(怖い……怖いよ……)
竜華「っ!」ビクッ
竜華「……怜……なんか?」
竜華「……」
スクッ
竜華「もうウチも、逃げたらアカンやな……ちゃんと向き合わんと」
竜華(自分のしたこと……それから、怜自身と……)
スタスタ...ガチャ
怜「はぁ……はぁ……」
竜華「怜……」
竜華「あんた……大丈夫なん?」
怜「……っ……う、うん……」
竜華「……」
竜華「……とりあえず上がって」
怜「うん……お邪魔します」
...ガチャ
竜華「……入って。ウチ、お茶持ってくる」
怜「あ、うん……」
怜(竜華の部屋……なんかずいぶん久しぶりって感じや)
ガチャ
竜華「……おまたせ」コトッ
怜「ん、ありがと……」
竜華「……」
怜「……」
怜・竜華「……」ゴクリ
怜・竜華(な、なにから話したらええんやろ……)
竜華「……えっと」
怜・竜華「あの……!」
竜華「……ど、どうぞ怜から」
怜「いやいや、竜華の方がちょっと早かったし……」
竜華「え、そんなことないやろ……」
怜「いや、0.2秒くらい早かったで」
竜華「はぁ? なんやそれ……」
怜「……」
竜華「……」
竜華「……なにが」
怜「……ウチ、竜華にひどいことした……」
怜「……っ」
怜「……り、竜華の気持ち……きずつけた……」
竜華「……」
怜「だ、から……っぐ……ごめ……っ、ごめんなさい……」
怜「……っ……うぅ……うぅううう……」ポロポロ
竜華「……」
ダキッ
竜華「もう泣かんで、怜……もうええから……」
怜「う゛ぅうう……ぅうぁあああああああん!!」ギュゥ
竜華「もうええ……もうええんよ……」
怜「……ひっく……」
怜(竜華の胸の中……あったかい……)
怜(やっぱウチ……ここやないと安心できへんみたいや……)
竜華「……」ナデナデ
竜華「……怜、ウチもあやまらなあかん」
怜「……それはもうええって」
竜華「いや、パソコンのことだけやないんや……ウチ、怜を束縛し続けてた」
竜華「ウチが心から怜のこと好きでいれば、怜の方も必ず応えてくれるって、妄信してた……」
怜「……」
竜華「ウチの想いが……怜を縛りつけてた……」
怜「……うん」
怜「せやから、あんな画像に逃げてたんやと思う」
竜華「……うん」
怜「けど、今竜華に抱きしめられてて気づいたんや」
竜華「なにを?」
怜「やっぱり人肌の温もりが、一番心を溶かしてくれるんやって……」
怜「そんでウチ……やっぱり竜華のこと好きやったんだって」
竜華「……怜」
怜「……」
怜「……もう一度聞くで、竜華。ウチはあんただけやない……部全体を巻き込んで、最低なことをしくさった……」
怜「竜華の一番大事なものやった……学校での居場所さえ壊して、ないものにした」
竜華「……」
怜「それでも……それでもウチのこと、許してくれますか?」
竜華「……」
怜「なに、竜k」
チュ
竜華「……っ」
怜「……っ……り、竜華!?」
竜華「ごめん……いきなり」
怜「い、いや別にかまへんのやけど……」ドキドキ
怜「ホンマいきなりやったからビクッてなったわ……今度からはする前にちゃんと声かけてえな」
竜華「……ん、それって……これからもたくさんしてくれるっちゅうこと?」
怜「いや……そ、それは……っ」
竜華「なーんて……ふふ、ちょっとからかっただけや」
怜「り、竜華!」
怜「むぅ……」
怜「……」
怜「い、いやまぁ……竜華がええんなら、な? ウチも別にかまへんよ?」
竜華「……」
怜「な、なに?」
竜華「いや、相変わらず素直やないなぁと思って」
怜「う、うっさいわボケ!」
竜華「ふふ……まぁ怜の場合、そこがかわええんやけどなー」
怜「や、やめえって! 恥ずかしい!」
怜「なに?」
竜華「……さっきあんた、ウチの大事なもん壊したって言うたやろ?」
怜「う、うん……」
竜華「……心配あらへんよ。ウチの大事なもんは、あんたには一生見つけられへんと思うから」
怜「え、なにそれ……めっちゃ気になる。教えて」
竜華「……んー」
怜「??」
竜華「ふふ、内緒♪」
怜「えぇ~! なんやそれ~!」
セーラ「これで一件落着やな……」
泉「よ、よかったですね……」ポロッ
フナQ「ホンマや」
セーラ「……」フッ
―――やっぱりあいつらは……仲良く、笑顔でいるのが一番似合ってるな……
竜華とセーラが言い争って、それを見た泉が右往左往して、フナQが我関せずといった感じでタブレットをいじっとる……そんな日常が。
今回の事件のおかげで、ウチ……いやウチらにとっては、そんな当たり前な日常こそが本当の宝物で、一番大事なもんなんやって……そう気づけた。
今、ウチのパソコンには大事な画像が入っとる。麻雀部の5人で撮った、思い出の記録としての画像が―――。
でも、今度パソコン壊されてもウチは怒らへん……だって、なくなったんなら、また作っていけばいいんやから。
これからも、ウチらは思い出のアルバムをどんどん増やしていく……そんでもって、竜華と二人での思い出も同じくらいに、な。
カン
手探り状態でしたが、なんとかハッピーな感じで終わらせられてよかった……
保守・支援どうもでした!!
あと絹恵の気持ちはどうなる!!
たしかに
イタズラにときめき持たされて放置って
ある意味一番の被害者かもなw
Entry ⇒ 2012.08.31 | Category ⇒ 咲-Saki-SS | Comments (4) | Trackbacks (0)
憧「シズへの気持ちが一方通行で辛い」
穏乃「好きだよ!」
憧「じゃあ玄のことは?」
穏乃「好きだよ!」
憧「宥姉、灼さん、ハルエも?」
穏乃「好きだよ!」
憧「ぐぬぬ」
穏乃「みんな一番好きだよ!」
憧「あえて順位をつけるなら!」
穏乃「ええー? それは、うーん」
憧「……」ドキドキ
穏乃「お母さんとか?」
憧「確かにお母さんは大切よね、うん……」
穏乃「いやー、改めて口にされるとハズいなー」
憧「でも、それはそれとして!」
憧「阿知賀麻雀部の中から誰か1人好きな人を選ぶとしたら……」
穏乃「ねえ憧。さっきから変な質問ばかりどうしたの」
憧「えっ?」
穏乃「好きに順位付けなんてしなくてもいいじゃん」
憧「それはその……」
穏乃「みんな好きってんじゃ駄目なの?」
憧「駄目じゃない……、けど……」
憧「うわーん! シズの馬鹿ぁー!」
穏乃「えええええ!?」
憧「悪いこと言ったってわけじゃないけど、鈍感っていうか……」
穏乃「うーん。なんかよく分かんないけどごめんな、憧」
憧「!!」
憧(あたしが勝手に空回ってるだけなのに、自分から謝ってくるなんて!)
憧(やっぱりシズはいい子! というか可愛すぎ!)
憧「あたしの方こそ、なんか訳分かんないこと言ってごめんね」
穏乃「いいよ別に。気にしてない!」
憧「仲直りの印にラーメンでも食べにいく?」
穏乃「いいね。玄さんとかも誘ってみる?」
憧「!?」
穏乃「玄さんも一緒の方が賑やかで楽しいかなー、って」
憧「うぐぐ」
穏乃「あれ? もしかして憧、玄さんのことあんまり好きじゃないの……?」
憧「そういう訳じゃない!」
憧「というか、好きか嫌いかなら好きに入る、けど……」
穏乃「けど?」
憧「せっかくだしあたしはシズと2人で……、ごにょごにょ」
穏乃「変な憧ー」
憧「え?」
穏乃「ラーメンのこと考えてたらもう腹減って腹減って」
憧「あのさ、玄に連絡はとらなくていいの?」
穏乃「だって憧は皆でわいわいって気分じゃないんでしょ?」
憧「う、うん」
穏乃「それなら私は2人だけでもいいよ」
憧「シズ……」
穏乃「たまには憧と2人きりってのも悪くないし!」
憧「!!」
憧(ふふっ、シズったらもう)
穏乃「あ。灼さんだ!」
憧「えっ」
灼「穏乃に憧。外で会うなんて偶然だね」
憧(ちょ、これ駄目な流れじゃ)
穏乃「灼さんは何してるところなんですか?」
灼「ハルちゃんと一緒にラーメン食べる約束してて」
憧(あああああああ!)
灼「そうなんだ。2人は仲がいいね」
憧「さすが灼さん! 分かってるー!」
灼「そ、そう? どうも」
穏乃「そだ。せっかくですし一緒にラーメン屋に行きません?」
憧(ガーン!)
灼(えっと……、なんか露骨に憧の態度が何かを訴えてるんだけど)
憧(お願い断って! 断って! 断って!)
灼「……」
灼「部長と顧問で真面目にお話ししたいから、悪いけど今回は」
憧(ありがとう! ありがとう灼さん!)
穏乃「うーん。それなら仕方無いですね」
灼「それじゃあ私はあっちの方向のお店だから」
穏乃「はーい! ではまた部活でー!」
憧(ふうっ。なんとか2人きりキープできた)
憧「あたしは塩かな」
通行人A「テルー。東大寺はまだー?」
通行人T「待ってて。多分もうすぐだから。多分」
通行人A「あれ? この地図逆さ」
通行人T「えっ」
通行人A「観光って難しいね……」
通行人T「うん……」
憧「……」
憧(今すれ違った2人組、あたし達と同年代ぐらいなのに手を繋いでた)
憧(そういうのもありか!)
穏乃「ん?」
憧「久々に手でも繋がない?」
穏乃「え。嫌だよ」
憧「え? ……そ、そっか」
憧(なんだろ、断られても思ったよりは平静でいられて、それは自分でもビックリなんだけど)
憧(ただ、心臓が冷たくなったみたいな嫌な感じが胸の中に広がってる……)
憧「考えてもみればそうだよね、こんな年で手繋ぐとかキモいか……」
穏乃「別に気持ち悪いとかはないよ」
憧「え!? それならどうして?」
穏乃「だーってこの暑いのに手なんて繋いだらますます暑いじゃん!」
憧「あ、あははは……、なーんだ。そんな理由」
憧(よかった。あたしだから嫌ってわけじゃなくて)
憧「うら若き女子高生がチャーシュー麺とかどうなのよ」
穏乃「美味しければいいの!」
憧「ま、そのぐらいの方がシズらしいか」
穏乃「ちゅるるるっ、ちゅるっ」
憧「……」
穏乃「ちゅるるるる」
憧(こうしてみると、シズがラーメン食べてる姿って……)
憧(なんかちょっとセクシーじゃない!?)
穏乃「あの……。そんなに見られてると食べにくいんだけど」
憧「ごっ、ごめん」
穏乃「美味しかったなー」
憧「ラーメンも時々はいいもんだよねー」
穏乃「私は毎日でもいけるよ」
憧「そりゃさすがにおかしい!」
穏乃「えへへへー」
憧(ああ、シズ可愛いなぁ)
穏乃「……」
憧(高校卒業しても一緒にいられるのかなあ)
穏乃「憧。私重要なことを思い出した」
憧「ん? デザートでも頼み忘れた?」
穏乃「そうじゃなくて……、いや、それもあったか……」
穏乃「おじさーん、ソフトクリーム1つー!」
憧「本当に食べるんかい! ……で、思い出したことっていうのは?」
穏乃「小さい頃に埋めたタイムカプセル!」
穏乃「急に思い出したよ! 懐かしいな」
憧「……」
穏乃「ちょうどここに2人揃ってるわけだし今から掘り返さない?」
憧「それはえーと、どうかなー」
憧(無理無理無理! あの中には、あの中には……!)
憧(シズがまだ平仮名しか読み書きできないのをいいことに適当言ってサインさせた、2人の結婚届け(仮)が!)
憧(あれを今見られたら恥ずかしすぎる!)
穏乃「えー。付き合ってくれないの?」
憧「喜んで付き合うよ!」
穏乃「よっしゃー!」
憧(しまった! 付き合うという言葉がシズの口から出たもんだから、つい条件反射で!)
憧「よく埋め場所なんて覚えてたね。シズのことだから忘れてるものだとばかり」
穏乃「んー、まあね。憧との大切な思い出だし」
憧「……さっきまでタイムカプセルの存在自体忘れてた癖に」
穏乃「それはそれ! これはこれ!」
憧「調子いいんだから、もう」
憧(大切な思い出、か)
憧(そうだよね。どんなに恥ずかしくても、あたしにとってもあれは大切な思い出だ)
憧(仕方無い。腹をくくるか!)
憧「入り口から右手に見える水色のシーソーのそば、に……、えっ?」
穏乃「……」
憧「……」
穏乃「うっ、うそぉー!? コンクリートで舗装されてる!? いつの間に!」
憧「あれからだいぶ経ったもんね……。無理もないよ」
憧(そうだよね。時間が経てばどんなものだって変わっちゃう)
憧(あの日の淡い気持ちも、今は冷たいコンクリートの下、か)
憧(なんだか寂しいな……)
憧「だねー」
穏乃「さらば私のスーパーボール」
憧「あんたそんなもの埋めてたんかい!」
穏乃「うん……。あと未来の自分宛の手紙とかも入れたかも」
憧「普通気にするのはそっちでしょうに」
穏乃「憧は何入れたのか覚えてる?」
憧「あたし? あたしは、その……」
憧「シズと一緒で未来の自分宛の手紙と、お気に入りのビーズか何かと、それから……」
穏乃「それから?」
憧「け、けっ……、けっこ……」
 ̄ ̄ ̄ ̄
『タイムカプセルの中に入れられた未来宛の手紙』
未来の新子あこへ
この手紙を読むころ、あなたはいくつになっているのでしょうか
背はのびているのかな
マージャンも強くなってるとうれしいな
だけど一番の気がかりはシズと仲好くやれているかどうかです
あたしは、少なくともこの手紙を書いた時点ではシズのことが好きです
ただそれをシズに伝えるゆう気はまだありません
もしも未来のあたしが同じようにシズのことを好きなままでいて
しかも同じようにシズに気持ちを伝えられずにいるのなら
一しょに入れた結婚届けにはげまされて、がんばってみて下さい
すでにシズに思いを伝えられているのなら、こんなこともあったなとなつかしんてください
万が一、シズが一番好きな相手でなくなっていたならば……
自分が昔シズのことを好きだった気持ち、ちょっとでいいから思い出してね
でもそれはやだな。この気持ち忘れたくないや
なんだかシズのことばかりですが、これにて筆を置きたいと思います
未来のあたし、がんばってね
新子あこより
憧「そういえばさ、舗装された地面を突き破って花が生えることもあるって言うじゃん」
穏乃「うん? 確かに聞いたことあるけど……、どうしてそんな話を?」
憧「なんていうかなー」
憧「時間が経ってコンクリに埋められて見えなくなっちゃったとしても、その上に新しい花が咲くこともあるっつーか……」
憧「ああ待って、やっぱりこれ無し。まどろっこしいのは止め止め!」
憧「……あたしね。あのタイムカプセルの中に、結婚届けを入れてたんだ」
穏乃「結婚届け?」
憧「うん。婚姻届じゃないところが、子供の浅知恵だよね。ドラマか何かでうろ覚えだったのかな」
穏乃「そんなもの入れてたんだー。憧ませてるぅー!」
憧「でね。その結婚届けってのが……、あたしとシズの結婚用のものだったの」
穏乃「ええっ!?」
憧「当時の気持ちは今となってはうろ覚えだけど、未来に想いを馳せて、そんなもの作ったんだったと思う」
穏乃「そうだったんだ……」
憧「馬鹿だよね。現実見えてないよね。シズは女の子なのにね」
穏乃「じっ、自分のことそんなに馬鹿なんて言っちゃ駄目だよ!」
穏乃「憧が私のこと好きでいてくれたって知って、嬉しいよ?」
憧「ありがと、シズ」
憧「でもね。あたしが馬鹿なのは今も同じなんだ」
穏乃「え? それって、その……」
憧「うん……」
憧「あたしのこと他の麻雀部メンバーと同じにしか見てないってのは痛いぐらい分かってる」
憧「でも、私、シズの特別になりたいよ……」
憧「だってシズのこと、一番大好きだから」
穏乃「憧……」
憧「だからお願い。あたしと特別な関係になって下さい」
穏乃「……」
憧「シズ?」
穏乃「どう答えればいいのか分かんないよ……」
憧「……」
穏乃「だって、憧がそんな気持ちだなんて知らなかったし。そんなこと考えてもみなかったし」
穏乃「なんかビックリしちゃって、頭の中ぐちゃぐちゃで」
憧(シズを困らせちゃった……)
憧「ごめんね、シズ」
穏乃「ううん。謝ることじゃない」
憧「でも……」
穏乃「ねえ憧。手繋ごっか」
憧「へ?」
穏乃「繋ごうよ」
憧「あ、うん」
憧「うん、そうだね」
穏乃「あのさ。憧」
憧「……」
穏乃「このまま今から山登ろう!」
憧「はぁ!? 山!?」
穏乃「ね!」
憧「まあ……、いいけど。惚れた弱味っていうか。にしても突拍子ないな」
穏乃「ありがと。頂上につくまでには気持ちの整理するから」
憧「あの、無理して急ぐことないよ……?」
穏乃「ううん。何より他でもない私自身が、この胸のもやもやを整理しちゃいたいの」
憧「そっか」
穏乃「ここらでジュース飲むか」
憧「おー」
「おねえちゃーん、疲れたよー」
穏乃「ん? あの声は?」
宥「頑張ろう玄ちゃん!」
玄「うぅー、おもちで栄養補給したいよぉー」
憧「玄に宥姉……」
宥「あれ? 憧ちゃんと穏乃ちゃんだ」
穏乃「こんにちはー! 山登りですか?」
玄「旅館で使う山菜を集めてきた帰りだよ」
穏乃「え?」
玄「ふぅーむ、なるほどざわーるど」
玄「シズちゃんと憧ちゃん、今日は手を繋いでて仲良しさんだね!」
憧「あっ」
穏乃「あははー。そりゃもう幼なじみですし」
憧「……ん?」
憧(あれ? シズの顔も、ちょっと照れた感じになってる?)
憧(なんか……、小さなことだけど嬉しいな、えへへ)
憧(今までだったら照れてすらもらえなかったはずだから……)
穏乃「はい! お気をつけてー!」
玄「2人も熱中症にはご注意をば!」
憧「熱中症ってったらそんな格好してる宥姉が一番心配だよー」
宥「私?」
玄「お姉ちゃんには私がついてるから大丈夫!」
穏乃・憧(あんまり大丈夫な気がしない……)
穏乃「山頂!」
憧「到着ー!」
穏乃・憧「いえーい!」パンッ
憧「おっつかれー、シズ!」
穏乃「おっつかれー、憧!」
憧「山を登りきるとテンション上がるよねー」
穏乃「本当、本当。勢いであと2往復ぐらいしたくなってきた!」
憧「ごめん。それはさすがに付き合いきれない……、かも」
穏乃「なはは冗談冗談」
憧「にしても、ここはいい空気だね」
穏乃「うん。変わらないなぁー」
憧「ん?」
穏乃「実は私も何年か前、お前に言えなかった言葉があったことを思い出したんだ」
憧「えー、なんだろ。愛してるぜ憧とか?」
穏乃「ぶっぶー」
憧「ハズレかー!」
穏乃「正解は、『行かないで憧』、でした!」
憧「行かないで……? どういう意味?」
穏乃「今だから白状できるけどね。本当は私、憧と和と3人で同じ中学に行きたかったんだ」
穏乃「うん。言いたかったけど、言っていいことなのかどうか分からなくってさ」
穏乃「憧の意思を尊重するのが正しいのかなって、迷ったあげく結局そっちに転んじゃったんだ」
憧「そうだったんだ……」
穏乃「こうやってバラバラになるのが大人になるってことなのかなー、なんてね」
穏乃「無理に背伸びして強引に納得しようとしてたのかも」
憧「シズも色々考えてたってわけかー」
穏乃「当然だろ」
憧「なんか意外だ」
穏乃「いやおい、私のことなんだと思ってたんだよ!」
憧「ぷっ……。ごめんごめん!」
穏乃「あの時って?」
憧「ほら、和がインターミドルで優勝した日の電話」
穏乃「ああ!」
憧「今のシズの話からすると、あれも……」
穏乃「うん。本当は阿知賀にきてって言いたかったけど、そんな風に憧の進路を乱していいのか分からなくて、言えなかった」
憧「そうなんだ……」
穏乃「それだけに憧が自分から駆け付けてきてくれた時はすっごく嬉しかったよ!」
憧「……」
憧(あたしが部室に行った時、シズは喜んでくれてたんだ……)
憧(うーわー。その事実だけで胸がどきどきする!)
憧「うん」
穏乃「私、こうして憧といると楽しいよ」
憧「うん」
穏乃「それだけじゃ、憧はいや?」
憧「……うん」
憧「あたしシズのこと……、やらしい目で見ちゃってるから」
憧「だからごめん。ごめんね。ただ一緒にいるだけじゃ寂しいんだ」
穏乃「そっ、か」
憧「うん」
穏乃「特別な好きになったら、憧はずっと私と一緒にいてくれる?」
憧「それは……、約束する!」
穏乃「大事なこと黙って決めちゃったりしない?」
憧「うん!」
穏乃「分かった。それなら付き合おう、憧」
憧「え?」
穏乃「恋人になろ!」
憧「えと……、マジで!?」
穏乃「マジで!」
穏乃「うん!」
憧「あたし、その……、シズとキスとかエッチなこととか、したいと思っちゃうような人間だよ……?」
穏乃「さっきやらしい目で見てるとか聞いたからそんなの分かってるよ」
憧「それでも、あの」
穏乃「もーっ! いいから黙って私の胸に飛び込んでこい!」
憧「……、うんっ!!」
穏乃「聞こえてるよ」
憧「ずっと好きだったんだよ……」
穏乃「ありがとう」
憧「恋人になれて嬉しいよシズ……」
穏乃「私も嬉しいよ」
憧「大人になっても一緒……?」
穏乃「もっちろん! アラサーになってもアラフォーになってもずっと一緒だ!」
憧「それとシズ……」
穏乃「今度は何?」
憧「汗、超かいてる」
穏乃「やっ、山に登ったんだし仕方ないじゃん!」
憧「確かに。ふふっ」
穏乃「えええっ!? 外で!?」
憧「どうせ山の上だし誰も見てないよー!」
穏乃「そっ、それでも外でってのはどうなの?」
憧「大丈夫大丈夫!」
憧「それにあたし、何年も我慢してきたんだもん。もう我慢したくないよ」
穏乃「じゃあえっと……、キスしよっか」
憧「やたっ!」
憧「あー。それは……。どっちなんだろ?」
穏乃「うわー! なんか私ダメダメだー!」
憧「ではここは一つ、目を開けたままキスしよう!」
憧(テレビかなんかで閉じる方が多数派って見た気がするけど、開けた方が顔が見れていいよね?)
憧「だってこっちの方が近くでシズのこと見れるから……」
憧「なっ、なーんちゃって! あはは!」
穏乃「……」
憧「えと……、急にベタベタ過ぎて引いた?」
穏乃「憧ってさ」
憧「うっ、うん」
穏乃「なんか可愛いよね」
憧「かわっ……、あ、ありがと……」
 ̄ ̄ ̄ ̄
穏乃「……で、けっきょく一人だけ目閉じちゃうんだもんなー」
憧「ごめーん。いざシズの顔が近付いてきたら、なんだか予想以上に恥ずかしくて……」
穏乃「憧って案外ヘタレ?」
憧「ぐぬぬ。反論できない」
穏乃「でもそういうとこも好きだよ」
憧「……」
憧(可愛いとか好きとか言われるだけで嬉しくなるとか、あたしってこんな安い女だったんかい!?)
憧(くぅー、なんか負けた気分!)
憧(でもいいや。シズにはもうとっくの昔から負けてたし……)
穏乃「んー?」
憧「あたしのことどう思う?」
穏乃「大好きだよ!」
憧「!!」
憧「シズへの気持ちが一方通行で辛い」
おわり
おい
Entry ⇒ 2012.08.31 | Category ⇒ 咲-Saki-SS | Comments (0) | Trackbacks (0)
モモ「リンシャンさんとヤってる所を先輩に見られたっす」
咲「モモちゃんは相変わらずおっぱいが敏感だよね」クリクリ
モモ「そこばっかりっ……リンシャンさんは変態っすねっ……!」ハァハァ
咲「そうだよ? だって私おっぱい大好きだもん」クリクリ
咲「もしかして今まで気づかなかった?」クリクリ
モモ「おっぱいさんにべったりな時点で、周知の事実だと思うっす……け、ど……ぁう…」ビクッ
咲「原村さんとは……別にそんな……」
モモ「…………」
モモ「わかってるっす、それに」グイッ
咲「んぅ!?」チュウ
モモ「はぁっ……浮気してるのは……私の方っすから」
咲「モモちゃん……」
モモ「リンシャンさん……焦らされるのは辛いっす……」
モモ「だから……もっと……」
咲「」ムラッ
モモ「ううっ、先っぽがヒリヒリするっす……」
咲「モ、モモちゃんが悪いんだよ!?」
咲「あんな誘い方するから……」
モモ「それでも乳首でイクまでいじり続けるのはおかしいっすよ」
咲「それは……だって開発されすぎなモモちゃ、あ……」
モモ「…………」
咲「ごめん……」
咲「…………ねぇ」
咲「やっぱり、私たち……」
モモ「咲さん」
咲「」ビクッ
モモ「絶対にバレませんよ」
咲「でも……」
モモ「いくら先輩でも、リンシャンさんとの関係に気づくことはないっすよ」
モモ「私を誰だと思ってるんっすか?」
モモ「私は、ステルスモモっすよ?」
――鶴賀麻雀部部室――
かじゅ「だから、久とは何もないと言っているだろう!」
モモ「何もないのに下の名前で呼ぶことがおかしいって言ってるんじゃないっすか!」
かじゅ「だから……」イラッ
モモ「どうせ、あの女にいいように言いくるめられたに決まってるっす」
モモ「なんて言って近づいてきたんすか、あの女」
かじゅ「久とは純粋に麻雀だけの関係だ、やましいことは何も……」
かじゅ「……モモッ、お前っ」
モモ「あ、もしかして、先輩が抱かれたんすか?」
かじゅ「いいかげんにしろっ! モモ!」
かじゅ「お前、少しおかしいんじゃないか!?」
モモ「一晩であんなに親しくなるっていうのが異常なんすよ」
モモ「そもそも清澄のあの女、風越のキャプテンにも色目を使ってたみたいじゃないっすか」
かじゅ「……っ!」イライラッ
モモ「相手がそんなとんでもない女って言うんじゃ、いくら先輩の言うことでも……」
かじゅ「だが、べつにこれは珍しいことではない」
かじゅ「今まで友人のいなかったお前には、わからないかもしれないが……」
モモ「……!!」
かじゅ「……あ」
モモ「もう……いいっす」ユラッ
かじゅ「! ま、待ってくれモモ!!」
モモ「さよなら、っすよ」
モモ「先輩」スゥゥ…
かじゅ「モモ! 違うんだ! モモッ!!」
モモ(あの優しい先輩が、あんなこと言うはずないっす)
モモ(あの女が先輩に何かしたに決まってるっす)
モモ(見つけ出して……二度と先輩の目に現れられないようにしてやるっす……!)
モモ「それにしても、麻雀部の部室はどこっすかね……」
モモ(こっちの校舎の中にはなかった、ってことは)
モモ(あっちの建物っすかね)トコトコ
モモ(一応清澄の校舎みたいだし)
モモ「リンシャンさん?」
モモ(どうやら、私が向かってた建物を目指しているようっすね)
モモ(ビンゴっす!)
モモ(このままリンシャンさんに憑いていけば、労せずしてあの女のもとに)
モモ(……許さないっすよ)ゴゴゴ
咲「!?」ゾクッ
モモ「あっ、やば」ビクッ
モモ「って、え」グラッ
モモ(やば、土手に落ち)ゴロッ
モモ「きゃあああ!」ゴロゴロゴロ
咲「! いけないっ」ダッ
モモ「……っ、いったた……」
モモ(バレてビビって転げ落ちるとか、最悪っす……)
咲「大丈夫ですかー!」
モモ(これはちょっとやばいっす)ダラダラ
咲「今、そっちに降りますね!」
モモ(イチかバチか、ステルスで逃げっ……っ!)ビキビキッ
モモ(あ、足、挫いちゃったすか!?)
モモ(うう、どうすれば……)
モモ(ハッ、そうっす!)
モモ(!? 影の薄い私を覚えているとは……意外っす)
モモ「あー、えーと、県予選で副将やってた、東横っす」
咲「あ、原村さんと戦った……」
モモ「そういうあなたは、清澄の大将の、えーと、リンシャンさん?」
咲「あ、はは、確かに嶺上開花は得意ですけど……」
咲「清澄の、宮永咲です」
モモ「宮永……そういえばそんな名前で」
咲「えっと、怪我とか大丈夫ですか?」
モモ(キタッ)
モモ「恥ずかしながら、自分で立つことができないみたいっす」
咲「ちょ、大変じゃないですか!」
咲「ちょっと見せてください!」ガバッ
モモ「わわ、こ、ここで見てもどうにもならないと思うんすけど」
モモ「冷やすものとかもないっすし」
咲「あ……そうか」
咲「冷凍庫の中に氷もあったと思いますし、簡単な救急セットもあると思います」
モモ(ふふ、狙い通りっす)
モモ「いいんすか、そこまでしてもらって……」
咲「良いもなにも、そうしなくちゃダメですっ!」
咲「捻挫だって、ほうっておくと酷いことになるかもしれないんですよ!?」
モモ「は、はいっす……」
咲「じゃあ、はいっ」シャガミ
モモ「え?」
モモ「いや、そこまでしてもらうわけには……」
咲「けが人は素直に言う事を聞いてくださいね」ニコッ
モモ「」ゾクッ
モモ「分かったっす。ちょっとの間お世話になるっす」
咲「よ、いしょ、っと」ググッ
咲「大丈夫です、原村さんと比べればこれくらい……」
咲「あ、べべべ別に原村さんが思いとかそういうわけでは……」
モモ「私に弁解してどうするんすか…」
モモ・咲(それにしても)
モモ(なんかちょっと、罪悪感が……)キリキリッ
咲(おっぱい大きいなぁ……)ショボン
咲「ちょっと待っててください、今鍵開けますから」ガチャガチャ
モモ(部活に一番乗りっすか)
モモ(とりあえずしばらく様子見っすね)
咲「よし、じゃあ中に入りますね」グイッ
モモ「あたた…」
咲「あ、ごめんなさい!」
モモ「いや、大丈夫っす、心配しないで欲しいっす」
モモ「はいっす……ふぅ」ボス
咲「今、氷と救急箱持ってきますね」
モモ(それにしても、随分といろいろ揃ってる部室っすね)
モモ(プロジェクターのスクリーンとパンドラの棚しかないうちの部室とは大違いっす……)
モモ(しかもちゃんと自動卓まで……)
モモ(うちと同じ無名校の清澄が、どうやってここまでの設備を集めたのか……)
モモ「いや、手当してもらえるだけでありがたいっすから」
咲「じゃあ、痛めた方の足出してください」
モモ「あ、すいませんっす」
咲「腫れてる……ごめんなさい、すごく痛かったでしょ……」
咲「もっと急いでこれればよかったんだけど……」
モモ「いや、もうホントに気にしないで欲しいっす」
モモ「なんか、こっちが申し訳なく……」
モモ「ほかの部員の方は、何時頃いらっしゃるんっすか?」
モモ「今って授業終わってから結構経ってると思うんすけど」
咲「今日は部活、お休みなんです」
咲「私はここにある本を借りていこうと思っていただけで……」
モモ(なん……だと……)
モモ(じゃああの女は今日はここに来ないってことすか)ガーン
モモ(情けないっすよ……何してんすかね……)ジワッ
咲「わわっ、痛かったですか!? ごめんなさい!」ワタワタ
モモ「ち、違うんす、これは、その……」
モモ「ちょっと花粉症が……」
咲「花粉症……ですか……」
モモ「はいっす……」
咲・モモ「…………」
咲「ここまで来るってことは、麻雀関係のことだと思うんですけど」
モモ「いや、その、ちょっと」
モモ(まさか「あんたのとこの部長を〆にきた」なんて言えないっすよね……)
咲「あ、もしかして部長に何か用が……」
モモ「っ!」ザワッ
咲「……ぇ」ゾワゾワ
モモ「あー、そんな感じだったんすけど……」
モモ「そんなに急ぎの用でもないんで、またの機会にするっす」
モモ「?」
咲「もしかして、うちの部長が何かしました?」
モモ「!?」ガバッ
咲「……やっぱり」
咲「東横さんが滑り落ちる直前と、今、なんだかすごくゾッとする気配がしたんです」
咲「もしかして、部長に、その……何か言いたいことでもあったのかなぁって……」
モモ「…………そうっすよ」
モモ「私はここの部長を、あの女を先輩から引き離すために来たんす」
咲「え?」
咲「そうだったんですか……」
モモ「先輩があんなこと言うわけなんてないっす」
モモ「あの女になにか吹き込まれているに違いないんすよ……!」
咲「…………でも」
咲「うちの部長、そこまでひどい人でもないと思うんですけど……」
モモ「は?」
咲「いえ! た、たしかにちょっと普通よりは誠実さが足りないというか、ちょっと問題はありますけど」
咲「そんな風に、人の心をあえて傷つけるような真似は……」
咲「しなく…………なくも……なくも……あれ?」ウーン
モモ「やっぱり……」
咲「だから、その、加治木さんとは仲直りして欲しいというか……」
モモ「先輩は寝取られたんす。原因をどうにかしないと、臭いものに蓋のままじゃ何も解決しないっす」
咲「寝取っ……!」カァァ
モモ(一気に顔が真っ赤に……ウブな反応っすね)
咲「その、あの……東横さんと加治木さんは……どういった関係で……」モジモシ
モモ(興味があるけど恥ずかしくて聞けない……)
モモ(同性間の恋愛に拒否感を持ってるわけじゃなさそうっす)
モモ(ちょっと……かわいい、っすね)
モモ(なんか、先輩に初めて抱かれたときのことを思い出すっす……)
モモ(先輩……)
モモ(…………先輩が、浮気したって言うなら……)
咲「え?」
モモ「リンシャンさん」グイッ
咲「へ? はえ?」ドサッ
モモ「そんなに興味があるんだったら」
モモ「私と先輩の関係、教えてあげるっすよ?」
咲「…………え」
咲「モモちゃん、今日は泊まっていかないの?」
モモ「……さすがに明日は学校があるっすから」
咲「ふぅん……」
咲「加治木さんに、会いにいくの?」
モモ「!」ビクッ
咲「ねぇ、もう……私たち……」
モモ「先輩と私は、もう終わってるんっす」
モモ「それでも、いつまでも逃げてるわけには行かないっすから」
モモ「だから、その最後のけじめを付けに行くだけっすよ」
咲「ホントに……私たちこのままでいられるの?」
モモ「無論っす」
モモ「リンシャンさんはもう私のものだし、私ももうリンシャンさんのものっすから」
咲「そ、染められたって……」カァァ
モモ「まさか、私がリンシャンさんに対してネコになるとは思ってなかったっす」
モモ「しかも、こんな時には赤面するくせに、ベッドの上ではあんなに」
咲「わぁわぁわぁ!! そ、それ以上はダメ!」
モモ「ふふっ」
モモ「じゃあ、また週末に来るっす」
咲「…………うん、またね」
咲(モモちゃんはああ言ってたけど)
咲(やっぱり、不安だよ……)
咲(ずっと加治木さんを避け続けてるって言ってたけど、話を聞くと加治木さんの方も諦めずに探し回ってるみたいだし……)
咲(たぶん、モモちゃんも諦めきれてない……)
咲(もし、二人が仲直りしちゃったら……)
咲「!!」ゾワゾワゾワ
咲「だめ!っそ、そんなの」ガバッ
咲(加治木さんにモモちゃんが抱かれるなんて……考えただけで……)ズキズキズキズキ
咲「モモちゃん……」
咲(うん、決めた)
咲(いつまでも、私をその気にさせてる、モモちゃんが悪いんだからね)
咲(今日聞いた時が、最後のチャンスだったんだ……)
咲(もう、絶対に離して上げないんだから……)
――鶴賀校舎裏――
モモ(あと20分ぐらいで、先輩が来るっす……)
モモ(そしたら、ちゃんと言うっす)
モモ(もう、金輪際私に関わらないでくれって……)
モモ(うぅ……)ズキズキ
モモ(胃が……胸が痛いっす……)ズキズキズキズキ
ザッザッ
モモ「!?」バッ
モモ(それとも、先輩も待ちきれなくって)ドキドキ
咲「……」スッ
モモ「えっ!?」
モモ「リンシャン……さん?」
モモ(な、なんでここに……?)
咲「ねぇ、モモちゃん、加治木さんとはちゃんと別れられた?」
モモ「い、いえ、これからここで話をするつもりだったっす……」
咲「ねぇ、モモちゃん」
モモ「っ!」ビクッ
モモ(なんか、リンシャンさんの雰囲気が……)
咲「手伝って、あげるよ?」ニッコリ
モモ「……え?」
かじゅ(やっと、モモと連絡を取ることができた……)
かじゅ(いままでずっと避け続けられて)
かじゅ(携帯からの連絡にも全く応じてくれなかったモモが)
かじゅ(会いたい、ものすごく会いたい)
かじゅ(会って、抱きしめて、謝りたい)
かじゅ(許してもらえなくても、せめて顔を見るくらいは……)
かじゅ(ああ、モモ…………)
かじゅ(このあたりのはず……)
かじゅ「ん?」
ヘェ コンナニナッテルノニ ダメナンダァ
モ、モウユルシテクダサイッス コレイジョウハッ!!
ジャア ヤメテアゲル
アッ… ハァハァ
ウウゥ……
かじゅ(先客…か……何をしているんだこんな時間から……)ブルブル
かじゅ(はは、全く、モモと待ち合わせだというのに……とんだハレンチなやつらがいたものだ)ガタガタブルブル
ソロソロイイカナ クチュ
アアァァァァ!!
ヤメ、ヤメテッテ…アア!
ハイ、ヤメタ
ア、アア……アアア
モイッコイコッカ
モ、モウイヤッス! イカセテクダサイッ!!
かじゅ(や、やれやれ、おまけにモモにそっくりな声だとは)ガクガクガク
かじゅ(すこし、説教を、してやらねば)ガクブルガタガタ チラッ
かじゅ「」
モモ「これ以上、焦らさないで欲しいっす!」
咲「もうちょっと、ね? 加治木さんが来るまでがんばろ?」クリクリ
モモ「あぁ! ち、乳首……それっ」ガクガク
咲「おっと、あぶない」パッ
モモ「ひぃ、ひぃ……」ガクガク
咲「モモちゃんのおっぱいがとってもえっちだって忘れてたよ」クチュ
モモ「あひぃ……も、ゆる」ビクビク
ザッ
かじゅ「モ……モ…?」
モモ「…………え」
モモ(あ……私が……呼んだ、っす、か)
モモ「あ……ああぁああぁぁ……」ガクガクガクガク
咲「あ、加治木さん、いらっしゃったんですね」ニコッ
かじゅ「き、貴様、宮永……」ブルブル
咲「モモちゃんが加治木さんにお別れを言いたいって言うから、手伝ってたんですよー」ニコニコ
かじゅ「な、にを」ブルブル
咲「どっかの誰かさんが、モモちゃんを冷たくあしらったりするから……」
咲「モモちゃん、すごく傷ついてたんですよ?」
かじゅ「そんな、わたしは……」
咲「だから……」
咲「もう、モモちゃんをみっともなく追い回すのは止めてくださいね?」ニコッ
モモ「リ、リンシャンさん……」
モモ「あっ……」
咲「これで、自由に動けるでしょ?」
咲「ねぇ、好きな方、選んでいいよ?」
モモ「え……?」
かじゅ「な……」
咲「私か、加治木さん、好きな方を選んでよ」
咲「私を選んだら、今までで一番気持ちよくしてあげるし、これからもずっとずっと気持ちよくしてあげるよ?」
咲「絶対にモモちゃんを裏切らないし、いつでも傍にいてあげる」
咲「どんなに存在感を消したって、必ず見つけ出してあげるから」
咲「ね?」
かじゅ「モモ!!」
モモ「!」ビクッ
かじゅ「私が……私が悪かった……!」
かじゅ「誤解されるようなことをしたのも、ひどいことを言ったことも謝る!」
かじゅ「だから、だから戻ってきてくれ……!」
かじゅ「モモっ……!!」
かじゅ「私は……君がいないと、ダメなんだっ!」
モモ「せ、せんぱい」ブルッ
咲「ねぇ、モモちゃん」
咲「私のこと……捨てるの」ウルッ
モモ「……あ」
咲「私はモモちゃんのモノで、モモちゃんは私のモノだって」
咲「言って……くれたよね……?」ウルウル
咲(なんで……なんで迷ってるの、モモちゃん……!?)
咲(モモちゃんは、私のものなんだよっ!?)
咲(絶対、絶対離さないんだから!)
モモ(そうっす、私はもうリンシャンさんのもので……)
モモ(先輩は……私に……)
かじゅ「モモっ!!」
かじゅ「私は! 君が欲しいっ!!」
モモ「っ!!」ブルルッ
咲「モモ……ちゃん?」
モモ「ごめんなさいっす……やっぱり、わたし……先輩のことが……」
かじゅ「モ、モモっ!!」
咲「え……そんな……モモちゃん?」
咲(うそ)
咲(だって、モモちゃんは)
咲(…………)
咲「フフッ」
モモ「先輩、く、苦しいっす……」
かじゅ「ごめん! ごめんなっ!モモ!」ポロポロ
かじゅ「もう、二度と悲しい思いはせないっ!」ポロポロ
モモ「先輩……泣かないでくださいっす……」ナデナデ
モモ「私も、さんざんワガママ言って……」
モモ「ごめんなさいっす……」
咲「モモちゃん」
モモ「!」バッ
咲「ずっと……いっしょ……なんだよね……」ユラッ
モモ(あれっ……ナイフ!)
咲「ねぇ、モモちゃん……」
咲「私にも、おんなじことするの?」
咲「加治木さんが、モモちゃんにしたみたいに」
モモ「そ……れは……」
かじゅ「た、頼む! モモにだけは、手を……モモだけはっ」
かじゅ「責は全て私にあるっ……だから!」
モモ「先輩っ……!」
モモ「リンシャンさん!」バッ
かじゅ「モモッ!!」
モモ「私が、私が悪かったっす!」
モモ「先輩と仲違いした鬱憤を……リンシャンさんを使って忘れようとしてしまったっす!」
モモ「みんな、みんな私が悪かったんっす!」
モモ「だから、だから……」
モモ「私を殺して、気が済むなら……」
モモ「どうぞ、やっちゃって……くださいっす……」ニコッ
モモ「先輩!!!」
かじゅ「!」ビクッ
モモ「先輩に欲しがられて、嬉しかったっす」
モモ「先輩は、私が悪いのに、私を追いかけてくれて、謝ってくれて、必要としてくれて」
モモ「私を、赦してくれたっす」
モモ「もう思い残すことは……いえ、やっぱりもっと先輩といたかったっす」
モモ「……でも私は、私が生んだ結果に、けじめをつけなくちゃいけないっす」
モモ「先輩……ありがとうございました……」ニコッ
かじゅ「モモ……」
かじゅ(なんでだ……動かなくちゃいけないのに……モモを守らなきゃいけないのに……)
かじゅ(モモの目を見てから……体が、動かないっ!!)ギリッ
咲「…………」
カランッ
モモ「!?」
咲「……ぃ、だょ」ポロッ
咲「無理ぃ……だよぉ」ポロポロ
咲「モモちゃんを傷付けるなんて……出来るわけないよぉ……」ポロポロ
モモ「リン、シャン…………さん」
咲「うぅっ…………ひっ、ぐぅ………うえぇぇぇ…………」ボロボロボロボロ
咲「ゔえ゙えぇぇぇぇ…………モ゙モ゙ぢゃああああん!」ボロボロボロボロ
咲「ひっ、うわあああああぁぁぁっあっあぁぁぁ!!」ボロボロボロボロ
モモ「ごめんなさいっ、ごめんなさいっ」ギュウゥゥ
モモ「私っ……が、私が……!」
咲「ひっぐ……うぅう」グズッ
モモ「ホントに……ごめんなさいっす……!」
咲「……っう、ねえ、モモちゃん」
咲「最後に、ひとつだけお願い聞いてくれる……?」
モモ「……なんでも、聞くっす」ギュウ
咲「私のこと……名前で読んで……?」
モモ「っ!」ジワッ
咲「もう一度、最後のお別れは、名前で呼んで……?」
モモ「っうう、ひっぐ……」ポロポロ
モモ「咲っ……さん」
モモ「咲さんっ、咲さんっ!!」ギュウゥウゥ
咲「モモ、ちゃん」ギュウゥ
咲「加治木さんと、仲良くしてね……?」
咲「幸せに……暮らしてね……?」
モモ「咲さぁん……」ボロボロ
咲「……」スクッ
咲「加治木さん」
かじゅ「……なんだい」
咲「次は、絶対に許しませんから」キッ
かじゅ「……ああ、誓うよ」
咲「モモちゃん」
モモ「ひっぐ……咲、さん」
咲「バイバイ、モモちゃん」
モモ「ぁあ……咲、さん」
モモ(私は、たくさんあなたに癒してもらったのに……)
モモ(私……あなたに…何もしてあげられなかった……っす)ボロボロ
カン!
その完、成立せず
嶺上開砲で全てを灰燼に帰すエンドも考えたけど、欝は無理
とりあえず呑気にクロチャー貼ってた>>1は凌遅刑な
IFで咲選んだ場合はまだかなチラッチラッ
仕方ない
ちょい待ち
咲「ねぇ、モモちゃん」
咲「傍に、居てよぉ」ウルッ
モモ(…………)
モモ「先輩……」
かじゅ「!」ビクッ
モモ「先輩には、ホントに感謝してるっす」
モモ「誰からも必要とされてこなかった私に光を当てて、存在意義を、生きる意味を与えてくれたっす」
モモ「こんなにどうしようもない私のことを、疑り深くて嫉妬深くて面倒くさい私のことを」
モモ「リンシャンさん……咲さんは、先輩と同じように必要としてくれたっす……」
モモ「どっちも……どっちも掛け替えのない、大切な人達っす」
モモ「でも、私は咲さんと約束したっす」
モモ「私は、咲さんのモノだって」
モモ「その咲さんが、今私のことを必要としてくれてるっす」
かじゅ「モモ……」
モモ「咲さんと付き合っていて、清澄の部長のことを知って、全部私が悪かったって気づいたっす」ポロッ
モモ「本当に、救いようのない間違いをしてしまったっす」ポロポロ
モモ「でも、もう引き返せないんす」ポロポロ
モモ「咲さんのことを、忘れることなんてできないんっす!」ボロボロ
かじゅ「…………」
モモ「どんな罰でも受けるっす」
モモ「それでも……それでも咲さんは諦められないっす……!!」
モモ「…………」ポロポロ
かじゅ「君が、なにか必死になれるものを見つけられただけで」
かじゅ「私はそれで……それだけで、満足…だよ」ポロッ
かじゅ「君が……陰ではなく、光の当たる場所で笑っていられることが」ポロポロ
かじゅ「私は嬉しい」ポロポロ
モモ「せんぱぁい……」ボロボロ
かじゅ「モモ、君は自分を「誰からも必要とされない」人間だと思い込んでしまいがちだが」
かじゅ「こんなにも君を想っている人がいる」
かじゅ「そのことを、絶対に忘れないでくれ」
かじゅ「自分を卑下しないでくれ」
かじゅ「じゃあ、さよなら、モモ」
モモ「先輩……ごめんなさいっす……」ボロボロ
モモ「咲、さん……?」
咲「モモちゃん……ごめんねぇ……」ポロポロ
咲「わた、し……どこかでモモちゃんのこと疑ってた……」ポロポロ
咲「モモちゃんは、やっぱり加治木さんのことを選ぶんじゃないかって……」ポロポロ
咲「やっぱり私のところを、離れていっちゃうんじゃないかって……」ポロポロ
咲「それで……加治木さんに見せつけるみたいに……こんな、ひどいこと……」ポロポロ
モモ「二人を悲しませてしまったのは、全部私が悪かったんす」
モモ「先輩への贖罪は、到底できっこないっす」
モモ「罪の意識は、これからもずっと背負っていくっす」
モモ「でも……だからせめて」
モモ「私は咲さんには幸せになって欲しいっす」
モモ「咲さんが私を求めてくれるなら、全身全霊でそれに応えたいっす」
咲「モモちゃん」ギュッ
モモ「咲さんっ」ギュゥゥ
モモ「はいっ!」
咲「モモちゃん……んっ」チュゥ
モモ「はっ……む」
咲「……っはぁ、ね、モモちゃん」
咲「ずっと一緒だよ!」
モモ「もちろんっす……!」
*************************
モモ(あれから私は、咲さんの家で暮らすことになったっす)
モモ(もとは4人家族だったから部屋が余っているとかで、咲さんがお父さんに交渉してくれたみたいっす)
モモ(しかも都合がいいことに、咲さんのお父さんが単身赴任になって、実質咲さんと二人暮らしの状態っす)
モモ(それなりに爛れた生活を送りながらも、別々の高校で麻雀をやり続けているっす)
モモ(東京の大学に入学したっす)
モモ(そこで竹井久さんとばったり遭遇して)
モモ(最終的にあの二人もカップルになったみたいっす)
モモ(先輩も幸せそうにしている……)
モモ(そんなことで若干心が軽くなってしまうあたり、私はどうしようもない人間みたいっす……)
モモ(先輩がくれた思い出は、今でも大切な心の拠り所になってるっす)
モモ(そして、それと切り離すことができない罪悪感……)
モモ(私はそれを、咲さんの気持ちに応え続けることによって、覆い隠そうとしているのかもしれないっす……)
モモ(どんなにそれが褒められない形でも、私は、咲さんの笑顔のために生きるって誓ったっすから……)
もいっこカン!
まさに焼け石に水……!
何の役にも立たない……!
脳が動かないから寝ます
Entry ⇒ 2012.08.30 | Category ⇒ 咲-Saki-SS | Comments (0) | Trackbacks (0)
咲「じゃあね、また明日」 和「はい」
和「わ、私だって負けませんよ! 明日は今日よりコテンパンにしますからね!」
咲「お! 楽しみにしてるよ」
和「はい!」
咲「じゃあね!」ザッ
和「はい。では」ザッ
和「あ、ちょっと待って」
和「? どうしたんですか?」
和「一言だけ言って良い?」
和「な、なんですか……?」
和「大好きだよ」
和「なっ……」
和「いきなりごめんね」
和「あ、いや……」
和「ごめんね。私も、いきなり自分の口から本音が飛び出ちゃって、びっくりしたよ」
和「なっ……」カァッ
和「本音も本音だよ?」ニコッ
和「……!」カァッ /////
和「それを伝えたかっただけだから、ごめんね」クルッ
和「……」
和「また明日ね!」
和「ちょ、ちょっと待ってください!」
和「? どうしたの?」
和「の、和ちゃんからも?」
和「は、はい……!」
和「……?」
和「……わ、私だって……」
和「……!」
和「私だって咲さんの事、大好きですよ!」
和「え……!」
和「……」
和「ふふ」
和「ふふふ」
ザッ
咲「の、和ちゃん?」
和「!!!!」
咲「和ちゃん……」
和「あ……いや……」
咲「なんで……」
和「その……」
咲「なんで一人でやっちゃったの?」ウルッ
和「……え?」
咲「告白なんて一度しかないすっごく大事なイベントなんだから、しっかり私の口から言いたかったのに……」
和「!?」
咲「ずるいよ……私が言うべきの「好き」も、和ちゃん一人で言っちゃうなんて……」
和「なっ……」
咲「……もう二番煎じになっちゃうけど言って良い?」
和「え……」
咲「私、和ちゃんの事好きだよ」ニコッ
和「!!」
咲「いきなりでごめんね」
和「あ、いや……」クラクラ
咲「でも、和ちゃんが悪いんだよ? いきなり先にやっちゃうんだもん」
和「ふふふ」
和「ふふふ」
和「……ふぅ」ペリッ
エトペン「……」
和(エトペンに咲さんの顔写真貼って妄想するのも何度やっても飽きませんね)
カタッ
和「!!」
和(物音……!?)
クルッ
咲「え、えへへ」
和「!!」
和「え……」
咲「ご、ごめんね……」
和「い……い、いつから……」
咲「5時間目がかなり早く終わったから、和ちゃんが来るより前に来てて、そこのソファーで仮眠してたんだ」
和「!!」
咲「正直、びっくりしちゃったよ」
和「その……」
咲「和ちゃん……」
和「いや、その……」
咲「なんで私がいつも部屋でしてる事知ってるの?」
和「!?」
咲「そ、それとも偶然なのかな。真似してたわけじゃなくて、和ちゃんもしたくてしてたとか……」
和「な……」
咲「それだったらすっごく嬉しいな。えへへ」
和「!」
咲「うん?」
和「さ、咲さんも……」
咲「あ、やっぱり私が部屋でこういう事してるの知ってて、それをからかってきてたわけじゃないんだね」
和「そ、それは違いますけど……」
咲「そっか。良かった」
和「そ、それはつまり……」
咲「そうだね。だから、お遊びじゃなくて、しっかり言うね」
和「!」
咲「私、和ちゃんの事、好きだよ」ニコッ
和「!!」
和「なっ……」
咲「や、やっぱり本人に向かって直接言うと照れるね。えへへ」カァッ
和「あっ……」クラクラ
咲「顔写真に向かって言った事はもう何回もあったんだけどね。えへへ」ポリポリ
和「……」クラクラ
咲「いきなりごめんね」
和「いや……」
和「……」キリッ
咲「……?」
和「私もですよ!」
咲「!」
和「私も、咲さんの事、大好きですよ!」
咲「!!」
和「当たり前じゃないですか! 私だって素でああいう事してたんですから!」
咲「そ、そっか」
和「大好きですよ!」グイッ
咲「……!」カァッ
和「咲さんも言ってくれましたよね!」
咲「う、うん。じゃあこれで……正式に……」
和「は、はい……!」カァッ ////
咲「……」ボタン ポチッ
スピーカー「えんだぁぁぁぁぁぁぁいやぁぁぁぁぁ」
咲・和「「ぷっ」」
咲「あははははは」
和「ふふふふふふ」
和「本当ですね」
咲・和「「ふぅ」」
咲「正式にお付き合いするようになってからは、和ちゃんの部屋に来るたびにこんな事やってるね」
和「い、良いじゃないですか」ツン
咲「い、嫌とかじゃないよぉ。私も楽しいよ? でも和ちゃん、これすっごく好きだよね」
和「告白の場面ってのは、一度しか出来ないですもん」ツン
咲「そうだよね。疑似でも良いから何度でもしたいよね」
和「はい」
咲「……」
和「……?」
咲「……とか言って、もう一つ事情があるでしょ」
和「は、はい?」ギクッ
和「……!」 ギクギクッ
咲「恥ずかしくて、好きって言えないんでしょ!」
和「……」アセアセ
咲「たまには言ってよ、演技じゃなくてさ」ニコッ
和「……!」カァッ
和「……」
咲「ね」
和「……す」
和「好きですよ! 大好きですよ!」カァッ ////////
咲「やった~!」ダキッ
和「……」テレテレ
咲「私も和ちゃん、大好きだよ~!」ギューッ
和(あぁぁぁぁぁぁ)ガクガクガクガク
終
Entry ⇒ 2012.08.29 | Category ⇒ 咲-Saki-SS | Comments (0) | Trackbacks (0)
一「純くんのことを考えると胸がドキドキするんだ……」
一「…暑いなあ…8月下旬とはいっても、まだまだ夏の暑さは健在だねえ…」
一「…うぅ」
一「透華と衣は野球観戦に行ってるし、ともきーは部屋に引きこもってネトゲだし…」
一「暇だなあ…」
一「ん…あれは…」
純「~♪」
一「…純くん?」
一「純くんなにしてるの?」ヒョコ
純「おわっ!」ドテッ
一「あ、ごめん…」
純「いてて…く、国広くん…?」
一「うん、こんにちは。立てる?」スッ
純「ああ…」ヨッコイショ
一「えと、暇だったからここらへんをブラブラ散歩してたんだ。そしたら、純くんg
純「っと、そうだった!」タタタッ
一「…」
純「あーあ…逃げられちまったかぁ…」
一「なにしてたの…って、もしかして釣り?」
純「ああ、そうだよ。バス釣り」
純「違う違う、魚だよ。ブラックバス」
一「あ、聞いたことある」
純「まあ名前だけなら知ってるやつも多いだろうな」
一「なんとなく、あまりいいイメージはないけどね」
純「…というと?」
一「たしか生態系に悪影響を及ぼしてるって、だいぶ前にテレビで…」
一「外来種なんだよね?」
純「そうそう、しかも異様に生命力が高い」
一「へえ…たしかに獰猛そう」
純「まあ獰猛っちゃ獰猛だな。だからこそ釣りがいがあるんだけど」
一「純くんが釣り好きだったなんて、なんか意外」
一「たしかにインドアタイプっぽくはないよね」
純「まあ麻雀は打つし、好きだけどな?」
一「むしろそっちのが意外性あるのかもね」クスクス
純「なんだよそれ…そうだ、国広くんもやってみる?」
一「…? やるってなにを…?」
一「ぼ、ボクが釣り…?」
純「ああ。意外にやってみたらハマるかもよ?」
一「うーん…じ、じゃあやってみようかな」
純「そうこなくっちゃな」
一「でも、ボクやり方全然知らないよ?」
純「心配すんなよ。俺が手とり足とり教えてやるから」
純「おうよ」
純「まず、釣りは竿を使って行う。タモなんかでも場所によっちゃ魚は取れるけど、それじゃ釣りの醍醐味は味わえない」
一「釣りの醍醐味…?」
純「ああ。国広くんは釣りってなにを楽しむものだと思う?」
一「んーと…釣ったお魚を食べること、かな?」
一「むむ…じゃあ、他にまだ楽しむ要素があるってこと?」
純「モチ」ニヤッ
純「たしかに、釣れた魚を食べることに価値を見出す人も少なくないし、それを間違ってるとは思わない」
純「でも、オレに言わせれば釣りの醍醐味ってのはそこにあるんじゃない」
一「…」ゴクリ
一「うん」
純「…ッ!」シュッ
一「おお」
ポチャン
純「ここのバスはスれてないから、他のとこと比べて釣りやすいんだ」
一「す、スれ…?」
純「簡単にいえば、魚がニンゲン慣れしてるかどうかってこと…っ!」ググッ
純「魚がかかったったことさ。でも焦っちゃダメだ…っ」ググッ
一「…う、うん」
純「魚を泳がせて…動きが止まったと思ったら竿を立てて一気に巻く…!」ジジジッ
一「わっ…」
一(す、すごい…)
一「に、逃げちゃわないの…?」
純「さっき竿をクイッって立てたろ? あれでルアーの針を食い込ませたから、もう逃げられないよ」
一「うわ…なんか痛そう」
純「痛いのかな…まあ、弱肉強食の世界なんてそんなもんさ」
一「ま、まあボクだってお肉やお魚食べてるわけだしね…」
一「わわっ…」
純「今度は国広くんが引いてみろ」スッ
一「え、ええっ!?」
純「大丈夫だよ。俺が後ろで補助しててやるから」
一「そ、そんなこと言ったって…」アセアセ
一「…っ」ドキッ
一「じ、純くん…!?」
純「ほらちゃんと持てって…魚が逃げるぞ」
一「う、うん…」
一(じ、純くんの手…おっきい…)ドキドキ
一「うぅ、なんかうまく回せないよ…」
純「…国広くんって、もしかして不器用?」
一「う、うるさいよ!」
一(さ、さっきから純くんの胸が背中にあたって集中できないんだ…っ!)
一「さ、魚だ…!」
純「そのままの体勢でいろよ」
一「お、重いぃぃ…」
純「…おし。なかなかのサイズだな」
一「つ、釣れたの…?」
純「ああ、もう竿から手離してもいいよ」
純「ま、これが釣りの醍醐味ってやつだ」ニコッ
一「な、何がなんだかよくわからなかったけど…」
純「はは、まあやってるうちにわかってくるさ」
一「うん…でも、釣りは僕には合わないかな。ボクって力ないし…」
一「そ、それを先に言ってよ…」
純「はは、ごめんごめん」
純「まあ国広くんさえよければ、今度また別の場所にでも連れて行ってやるよ」
一「えっ…」
一「…う、うん」ドキドキ
純「んじゃ時間もいい頃合いだし、ちゃちゃっと片づけして帰りますか」ボチャン
一「あ、あれ…逃がしちゃうの?」
純「バスは食用じゃないからな。完全に釣り用の魚なんだ」
純「そんなに食べたかった?」
一「別にそうじゃないけど、ますます釣りってものがよくわからなくなったよ…」
純「はは。まあそんなにお腹すいてるなら、帰りにファミレスにでも寄っていくか」
一「だ、だから違うってば!」
純くんのことは前々からおもしろい人だなぁと思っていたけど、今日はことさらにおもしろい話をいくつも聞かせてくれた。
あまり興味のなかった内容でも、純くんが話し出すとなんだか面白いことのように思えて…純くんの話術がすごいのか、それとも…。
自分の話をするときも、ところどころつっかえながらですごく恥ずかしかった。純くんはちゃんと笑わずに聞いてくれていたけど…。
他にもけっこう恥ずかしいところを見られてしまったかもしれない。それでも純くんは気さくに笑っていてくれて、それがボクにはとても嬉しかったんだ―――
純「まぁ明日もどうせ休みだし、いいんじゃねーの?」
一「そうだね…あ、ボクはこっちだから」
純「ああ。それじゃ、また今度な」
一「う、うん…」
一「お、おやすみ…純くん」
純「ああ、おやすみ」ニコッ
一「…」ドキドキ
一「すぅ…はぁ…」
一「…っ」ダダッ
一「はぁ…はぁ…」
透華「あら、一。おかえりなさいまし」
一「あ、透華…ただいま」
透華「もうとっくにお夕食はできてましてよ。早く食べてしまいなさい」
一(あ、そっか…連絡入れておくの、すっかり忘れてた…)
透華「ちょ、一!?」
バタンッ
透華「もう! 一体何なんですの!?」
一「今日はどっと疲れたな…」
一「…」
一「…なんでこんなに胸が苦しいんだろう」ギュゥ
一「…」
一「純くん…」
一「…んぁ」
一「あ、れ…ボク知らないうちに寝ちゃってたのか…」
一「まぁいっか…」ボフン
一「今日もどうせ休みだし、少しくらいぐーたらしてても罰は当たらな
「はじめーっ! いますのー!?」
一「っ!?」ビクンッ
一「と、透華…? なに?」
透華「…なんでドアを半開きにしてますの?」
一「ボク昨日お風呂入るの忘れちゃって…」
透華「別にそのくらいいいではありませんの。それより」
透華「純があなたのことを呼んでいましてよ」
一「えっ」
透華「え、ええ…」
一「な、なんて言ってた!?」
透華「? なんかプールにでも行かないかって言ってましたけど…」
一(ま、まずい…!)
一「と、透華! 純くんにすぐ行くからちょっと待っててって伝えて!」
一「シャワー浴びてくる!」ダダッ
透華「…?」
透華「どちらにせよプールに入るんだから変わらないでしょうに…どうしたのかしら一」
一「早くしないと帰っちゃうかも…! 急げボク!」ダダッ
ドンッ
一「あ、痛っ」
「お、ごめんごめん」
一「い、いえこっちこそ…って」
一「…」
純「ん、どうした? てか、さっき透華と会わなかった?」
一「…」
純「おっかしいなぁ…国広くんにも伝えとけっていったはずなのに」
一「み…」
純「…?」
純「お、おい国広くん!」
純「…ったく、どうしたっていうんだ?」
一「はぁ…はぁ…」
一「うぅ…もうお嫁に行けないよ…」グスン
一「とりあえずシャワーは浴びなくちゃ…」トコトコ
シャワーシーン略
一「ふぅ…さっぱりしたよ…」フキフキ
コンコン
一「はーい、入ってまーす」
一「じ、純くん!?」
純「ああ、そうだけど…」
一「な、なんでまだいるの!?」
純「なんでって、みんな国広くんのこと待ってるんだよ」
一「み、みんな…?」
透華「遅すぎでしてよ、はじめ!」
智紀「③サーバーのクエが…」
一「…」
純「ほら、国広くんもきたことだし、さっさと行こうぜ」
衣「しゅっぱーつ!」
純「わかったわかった、向こう着いてからな」
智紀「…幻の薙刀…幻の薙刀…」ブツブツ
透華「智紀はなにを言ってますの!? そんな暗い気持ちではプールも逃げてしまいましてよ!」
純「いやプールは逃げねえだろうけどさ…」
一「…」
一「!」
一「な、なんでもないよ…」プイッ
純「…?」
一「…」
一(ああっ…ボクは何をやってるんだよ…)
一(関係ない人にまでやつあたりなんて、最低だよ…)
一(い、いやそのことじゃなくって…!)
一(…)
一(透華たちもくるなんて予想できることじゃないか…そもそも純くんがボクだけ誘うなんて道理がないし…)
一(せっかく純くんが誘ってくれたんだ…精一杯楽しまなくちゃ!)
一「じ、純くん…」
純「ん、どうした?」
一「そ、その…さっきは、ごめん」
純「…?」
純「?? オレ、国広くんにひどいことなんて言われたっけ?」
一「えっと…」
純「まあ、よくわからないけど気にすんなよ。俺だって気にしてないから」ニコッ
一「あ…うん…」
一「…」ドキドキ
透華「衣、転びますわよ!」
智紀「…巨大」
純「県内最大規模らしいぞ。透華と衣は迷子にならないように注意な」
透華「なーんーでー、私も含まれてますの!?」
純「透華はしっかりしてるようでどっか抜けてるからな」
一「はは、言えてるね」
衣「透華、見ろ! あのプールおもしろそうだぞ!」
透華「えっと、どれどれ…な、なんなんですのアレは!?」
純「ありゃ流れるプールだな。その名の通り、流れのあるプール」
透華「ひ、人が流れていってますわ…!」
衣「早く行こう、透華!」ダダッ
透華「ええ、一番ノリですわ!」ダダッ
純「はは、だな」
智紀「…」
一「ともきーは泳がないの?」
智紀「…寝不足だから」
一「もう…夜中までネトゲばっかしてるからだよ」
純「いや、こいつ泳げないんだよ」
智紀「純、黙って」
純「あいつらはそのうちくんだろ。そしたら智紀も誘ってボール遊びでもすればいいよ」
一「そうだね」
純「それより、スライダー行こうぜスライダー!」
一「スライダーって、まさかあの…」
純「そそ、ジュバッって滑り降りるやつ」
純「高所恐怖症?」
一「な、なんでそれを!?」
純「いやなんとなく」
一「へ、ヘンに鋭いよね…純くんって」
純「まあ心配すんなよ。一緒に滑りゃ怖くないって」
一「えっ」
純「ほらああいう感じで」
キャー! ウワー!
一「あ、あんなのする気!?」
純「うん、ダメか?」
一「だ、ダメっていうか…」
一(あれって恋人同士がするようなものじゃないのかな…!?)
一「ちょ、ちょっと!」
純「大丈夫大丈夫。目、閉じてれば怖くないって」
一「そ、そっちの問題じゃなくってさ!」
純「ほれ、俺が前に座ってやるから国広くんは後ろで同じように構えて」
一「しかもボクがそっち側!?」
一「う、うん…」
純「れっつごぅ!」ジュバッ
一「ま、待って!」ジュバッ
純「うぉおおおおおおおお!!」
一「ひ、ひゃぁあああああああ!!」
バッシャーンッ!
純「うひゃー! 爽快だな!」
一「こ、こっちは怖くてたまらなかったよ…」
純「もっかい行くか!」
一「イヤだよ!」
衣「おーい」
一「あ、衣」
純「お前らもきたかー」
純「流れるプールで目を回す奴なんて初めて見たぞ…」
衣「全く情けない奴だ」
衣「それよりも、衣もさっきのがやりたいぞ!」
一「さっきのって…まさか見てた!?」
衣「ああ、実に楽しそうだった!」パアァ
一「うぅ…恥ずかしい…」
衣「うん!」
一「あ、ちょっと…!」
バシャバシャッ!
一「…」
透華「はっ…ここはどこなんですの!?」
一「…プールだよ、透華」
バッシャーンッ!
衣「もっかい行くぞ! ジュン!」
純「よし、任せろー!」
ハハハッ!
一「…」ブクブク
透華「はじめ? さっきからなにをしてますの?」
一「…」ブクブク
一「…」ブクブク
透華「そういえば知ってます? 智紀はカナヅチなんですの! まったくとんだデクノボウですわね!」
一「…」ブクブク
透華「はじめ…」
一「…」ブクブク
透華「…」
一「純くん…」
純「ったく、衣のやつ…5往復も付き合わせやがって…」
一「大丈夫…?」
純「まあな…それより衣と、それから透華は?」
一「…」
一「あっちの波のプールってとこに行ったよ」
衣「ぷはっ…なんだー透華ー?」
透華「あっちにある波のプールに行きませんことー!?」
衣「波のプールだってー!? 行くぞー!」バシャバシャッ!
一「…」
透華「ほら、はじめ! そんなことしてたら、時間がもったいありませんでしてよ!」
一「透華…」
一「!」
一「…」
一(…ボクは…ボクは…)
純「んじゃちょっくら行ってくるわ」バシャ
ギュ
純「えっ」
純「ん…?」
一「ボクは…行って欲しく、ないな…」
純「? 国広くん…?」
ギュ
一「…っ」
純「ど、どうしたんだよ?」
純「…」
一「っく…えっく…」
純「…わかったよ。一緒に遊ぼう」
一「ぇ…?」
純「なに泣いてるんだよ。国広くんらしくないぞ?」
一「な、泣いてなんか…!」ゴシゴシ
一「…」
純「またスライダーでも行くか?」
一「…それはイヤ」
純「じゃあどこ行くんだよ?」
一「…ど、ドクターフィッシュプール」
純「ああ、あそこか。あの小魚が泳いでる」
一「…」コクン
一「…でも人気らしいよ? 肌の角質も取れるって…」
純「へえ…ま、とりあえず行ってみるか」
一「…うん」
一「ほ、ほんとだね…」
純「よいしょっと…」
純「うおっ…な、なんかくすぐったい…!」
一「い、いきなり群がってきたよ…!」
純「くすぐ…ってか痛い、これ痛いぞ…!」
純「なんでこいつらオレの足にばっか集まるんだ!」
一「きっとおいしい角質がいっぱいなんだよ」クスクス
純「あ、あまりいい気分ではねえな…」
一「かわいいねえ」
純「俺はバスの方が好きだなぁ…いてっ」
一「そうだね」
一「あ、あの…純くん」
純「ん?」
一「さ、さっきはその…ありがと」
純「…別に気にしてないよ。国広くんが楽しめたならそれでいいさ」
一「…」
純「なんだい?」
一「ぼ、ボクなんかと一緒で…その…」
一「ち、ちゃんと楽しめたのかな…って」モジモジ
純「…」
ポンッ
一「ふぇ…?」
一「じ、純くんってば…なにすんの…っ」
純「国広くん見てるとおもしろいしさ。なんか小動物みたいで」
一「そ、それは褒めてるの!? けなしてるの!?」
純「はは、どっちも」
一「なっ…むう!」
純「ははっ、やっぱおもしろいや、国広くんは」
衣「なぁ透華…衣たちはいつまでこうしてればいいのだ?」
透華「もうちょっとですわ、衣」
衣「もうちょっとっていつなんだ…んぐ」
透華「…」
透華(ふふ…よかったですわね、はじめ)
透華「…」
透華「…っく…っ」
透華「な、なんですの智紀…?」
智紀「…別に」
透華「ま、まったく! 人の顔をジロジロ見るなんて失礼ですわ!」
衣「とーか、泣いてるのか…?」
透華「こ、これは水滴ですのよ!!」ゴシゴシ
透華「!」
智紀「…おかえり」
一「ただいま。ごめんね、待たせちゃって」
衣「いいぞ! そんなことよりジュン、またスライダーへ行くぞ!」
純「あほ、もう帰るんだよ」
衣「な、なんだと!?」
透華「また連れてきてあげますから、今日は我慢しなさいな」
衣「むむぅ…」
衣「ああ、衣も楽しかった!」
智紀「…なんだかんだでいい気分転換になった」
透華「智紀はこれを機会にもっと外で遊ぶことを心がけるべきですわ!」
智紀「…家に帰ったら、サブキャラのレベル上げしつつ緊急クエ待機」
透華「人の話を聞きなさいまし!」
一「ふふっ…」
純「おう、また今度どっか行こうぜ」
衣「衣はプールに行きたい!」
純「またかよ…」
衣「智紀も無理やり連れて行くぞ!」
智紀「…やめて」
一「ははっ」
透華「…」
智紀「…乙」
衣「じゃーなー!」ブンブンッ
一「じゃあねー」
衣「いやぁプールというものは楽しいものだな! 衣もいつか自力で泳げるようになりたい!」
一「ふふ、練習するなら誰かが見てるところでやってよ?」
衣「大丈夫! 透華がいつもついててくれるし!」
透華「…」
一「透華…?」
透華「…はじめ、いいんですの?」
一「えっ…?」
透華「もうすぐ夏も終わりなんですのよ…それなのに、このままでいいんですの?」
一「ちょっと透華…? なにをいって…」
一・衣「!」ビクッ
透華「…ですわ」
一「な、なに…?」
透華「ダッシュですわ!」
一「は、はぁ!?」
透華「早く行きやがれですわ!」ブンッ
一「ちょ、なにすんのさ透華! 危ないって!」
透華「どこにでも行ってしまったらいいんですわぁあああ!!」
一「わわっ…!」タタッ
衣「ま、待ってくれはじめ…衣も連れて…」
透華「衣は逃がしませんわ」ガシッ
衣「ひっ!」
キャー
一「な、なんだったんだろ…あれ」
一「さて、どうしたもんだろ…」トコトコ
「あれ、国広くんじゃないか」
一「えっ…純くん!?」
純「なんでここに? 帰ったんじゃ…」
一「いや純くんの方こそ…」
純「いやなんか智紀に追いかけまわされてさ…」
一「そ、それはちょっと怖いね…」
純「あいつらなに企んでんだろうな」
一「さぁ…」
一(ん…企む…?)
一「…」
一「…!」
『もうすぐ夏も終わりなんですのよ…それなのに、このままでいいんですの?』
一「まさか透華…応援してくれてる?」
一「あ、いや別に…」
一「…」ドキドキ
一(き、気持ちはありがたいけどそんなの無理だって…! 純くんのことは昨日意識しだしたばかりなんだから…!)
『時間なんて関係ありませんわ! 当たって砕けろ、ですわ!』
一(聞いてもいないのに、こんな言葉が出てくるなんて…ボクもいよいよおかしくなったかな…)
一(…でも、あながち的外れでもない…かも)
一「…」ゴクリ
一・純「あ、あのさ…」
一「え、っと…」
一(は、ハモっちゃった…)
純「さ、先話していいよ…」
一「え、ええっ…純くんが先でいいよ」
一「…」
純「んー…まぁなんだ…」ポリポリ
一「…?」
純「あ、明日さ…どっか行かないか? ふ、二人で…」
一「えっ…」
純「い、嫌ならいいんだ! そ、それとも…」
純「お、オレと二人が嫌…とか?」
一「!」
純「!」
一「あ、ごめん…いきなり大声出しちゃって…」
純「い、いや…」
一「ぼ、ボクも…」
純「…?」
一「ぼ、ボクも…純くんと、どこか行きたい…な」カアァ
純「っ!」ドキッ
一「う、うん…」
純「…」
一「…」
純「ど、どこ行きたい?」
一「…純くんが行くとこなら、どこだって」
純「んな適当な…」
一「だって、ボクよく知らないし…」
純「ん…?」
一「純くんといると、いろんなことが楽しく思えてきて…」
一「次はどんなおもしろいことを教えてくれるんだろうってワクワクしてきて…」
一「それで…」
純「…」
一「一緒にいると…す、すごく幸せなんだ…」カアァ
純「国広くん…」
一「どこでもいいから…ボクに、純くんの世界を少し分けてほしい」
純「…」
純「ああ、いいよ」
一「…ぁ」
一「…う、嬉しいな」
一「…うん」
純「オレも、国広くんといると楽しいよ…」
一「…」
純「なにか教えると、子供みたいに興味津々に聞いてくれるし」
純「なにより、そんな君が見てて愛おしいっつーか…」
一「…っ」
純「な、なに言ってんだろうなオレ! まったく恥ずかしいぜ!」カアァ
一「ぼ、ボクは嬉しい…な」
一「…うん」
純「く、国広くん!」
一「な、なに?」
純「残りの夏休み…いや、その先も…!」
純「二人でいろんなこと、たくさんしていこうな!」
一「…」
一「…っ」グスン
一「う、うん! 期待してるよ、純くん!」ニコッ
遊びそのものも楽しいけど、なによりそれを教える純くんの笑顔がボクには最高の宝物だった。
夏は、もうすぐ終わる。でもボクたち二人の夏はこの先も続いていく―――
カンっと
おつおつ
ところで純くんの水着ナチュラルに海パンが浮かんでたんだけど
実際ビキニなのかねぃ
アニメかなんかじゃビキニじゃなかったっけ? 海パンはさすがにアカン
規制解除を記念して以前から書きたいと思ってたカップリングを書いてみた。
咲日和でのこの二人の絡みがほほえましすぎる!
王道ではないがゆえの良さもあると思うのです。お疲れさまでした。
咲日和の二人のノリは可愛い
Entry ⇒ 2012.08.28 | Category ⇒ 咲-Saki-SS | Comments (0) | Trackbacks (0)
穏乃「私も必殺技が欲しい!」 憧「は?」
穏乃「違うよ、麻雀の話! 私もここぞっていう時の必殺技が欲しいんだ!」
穏乃「場の流れが見える能力とか、ツモる牌が分かる能力とか、決まった種類の牌が必ず手牌に来る能力とか……」
憧「バッカねーしず。そんな能力なんてあるわけ……いや、あるか」
穏乃「だろ? だから、私も全国の猛者と互角に戦う為の必殺技とか能力が欲しいんだ」
憧「んなこと言われても……」
憧「あたしに言われても……そういうのは玄とか宥姉に聞いた方がいいんじゃないの?」
穏乃「うん。でもあの二人を見ていても何も得られなかった」
憧「そうなんだ……」
穏乃「というわけで、他校の生徒に聞きに行こう!」
憧「他校のって……マジでいってんの?」
穏乃「大マジだ! まずは>>6のところに行く!」
憧「花田さんって……誰よそれ」
穏乃「覚えてないのか。あのすばらすばら言う人」
憧「ああ、あの人か……。でもあの人って能力持ちじゃないんじゃ、」
穏乃「行くぞ! 新道寺へ!」
憧「……って聞いてないし!」
穏乃「まぁ、そこは大人の事情って事で……こんにちはー! 阿知賀女子麻雀部の高鴨穏乃です!」
姫子「阿知賀……? おお、遠い所からお疲れ様ですばい」
穏乃「花田煌さん、いますかっ?」
姫子「花田? さっきまでいたとですが……なんの用事で?」
穏乃「はい! 実は花田さんの強さの秘訣を伝授していただきたく!」
姫子「花田の……それはやめときんさい」
穏乃「なんで……ですか?」
憧(うわぁ……リアル熊本弁や)
姫子「……けどな、やっぱり」
「私になんのご用ですかなー?」
憧「え!? どこから声が……」
穏乃「憧! 雀卓の下から変な毛が……!」
憧「え……? うわっ、きしょっ!」
「ふふふ……どこからともなく現れる……」
煌「すばらですっ!」
姫子「ど、どこから出てきよるんじゃ、アホっ」
穏乃「花田さんっ! お願いがあります」
煌「はぁ……私に、ですか?」
穏乃「はい! 花田さんの強さの秘訣を、ずばり教えて下さい!」
煌「私の強さの秘訣……ですか」
穏乃「花田さんは、過去、一度も飛ばされたことはないと聞きました。つまり、それをなせるほどの秘密がなにかあるのではないかと」
煌「……いや、そんなのありませんし」
穏乃「ええっ!?」
煌「それに、仮にそんなものがあるとしたら、他の部員に聞いた方が賢明ですよ」
姫子「花田……」
憧(あれ……? なんかノリで来たのに、すごい真面目な雰囲気になってるんだけど)
穏乃「でも……それでも、なにか、花田さんの支えになっているものが知りたいんです」
煌「……分かりました。そこまで言うならお教えしましょう」
穏乃「本当ですかっ!? ありがとうございます。では、その極意を……」
煌「ええ。その極意とは……」
穏乃「極意とは……?」
穏乃「はい、ありがとうございました!」
憧「え? 今ので分かったの!?」
穏乃「もう十分。まさか憧、分からなかったのか?」
憧「いや、さっぱり……なによすばらって」
煌「ほぉ。これがすぐ理解できるとは、すばらですね。あなたとはとてもすばらな関係になれそうです」
穏乃「はい! 私もすばらに励むようがんばります!」
憧「もうついて行けないわ……」
姫子「同じくやけど、すばらの言葉を別の言葉に置き換えれば、理解できますばい」
憧「別の言葉……ね」
憧(今までのすばらをホモセクシャルに置き換えたとしたら……)
憧「なるほど。理解したわ」
えっ
憧「はやっ!? まぁいいわ。何か得るものがあったんでしょ?」
穏乃「当然! 早速、打ってみよう! 玄さーん、宥さーん!」
宥「……今から麻雀? いいけど……」
玄「なにか試したいことがあるの? 私でいいなら相手になるよ」
憧「よりによって、この能力姉妹か……」
穏乃「いいじゃないか、憧。敵は強い方がやりがいがあるってもんだよ。この展開……すばらです!」
憧「うわ……早速使ってるし」
穏乃「というわけで、玄さん、宥さん。手加減なしで来て下さいね!」
宥「よろしくお願いします……」
玄「お任せあれ!」
穏乃「……」
憧「確かに、飛んでないわね。あと満貫一回で飛んでたけど」
穏乃「……うう、すごく……すばらじゃない……」
玄「穏乃ちゃん。もう一回やる?」
穏乃「いや、やりません」キッパリ
憧「こらこら。それじゃなんの意味もないでしょ」
穏乃「そもそも花田さんに聞いたのが間違いだったんだ。正直、すばらってなんなのか分からないし」
憧「分かんないのかよっ」
穏乃「憧は理解できたのか?」
憧「当然! 理解できて……ない、よ……」
穏乃「だよね。やっぱり人それぞれの世界観とかってあるし!」
憧「そ、そうよね!」
憧「しず。もうやめない?」
穏乃「やめない! 私たちはもっと強くならないといけないんだ!」
穏乃「全国で和と遊ぶんだろ!?」
憧「そうだけどさ……」
穏乃「じゃあ、次は>>46に会いにいく!」
穏乃「ほら、宮守女子だよ。Bブロックの」
憧「ああ。そういえばいたわね……しずって、以外と他校のメンバー詳しいわね」
穏乃「いやぁ、それほどでも……んじゃ、行くか。岩手県!」
憧「北から南へと……大忙しだわ」
穏乃「こんにちわ! 小瀬川さんに姉帯さん、いますか-っ?」
「エッ……ダレデスカ」
憧「が、外国人!?」
「エート……」
憧「もしかして、あたしたち間違えて外国に来ちゃったんじゃないの?」
穏乃「いや、そんなはずは……確かにここは岩手のはず」
憧「とりあえず……名前は? じゃなくて……ワッツユアネーム?」
エイスリン「エイスリン……デス」
憧「エイスリンさん。だって。一応日本語通じるのね」
穏乃「エイスリンさん。小瀬川さんと姉帯さんっていますか?」
エイスリン「……シロ?」
穏乃「シロ? よくわかんないけど、多分その人」
「お客さん? だる……」
穏乃「噂をすれば……小瀬川さん!」
白望「なに……なんかよう?」
穏乃「はい! 私を弟子にしてください!」
憧「単刀直入!?」
白望「やだ」
憧「しかも即、断られてるし」
エイスリン「……!」カキカキ
エイスリン「……」サッ
穏乃「? なんですか、この絵は」
白望「おととい来やがれ、だって」
憧「絵の意味、わかるの!?」
白望「だるいから、さっさと言って……」
穏乃「是非、小瀬川さんの強さの秘訣を教えて下さい!」
白望「秘密? 別にないけど……」
穏乃「またそのパターンか……」
憧「しず。もう諦めなよ」
穏乃「いや、能力を開花させる糸口を掴むまでは、阿知賀には帰れないよ」
白望「能力?」
穏乃「はい。能力です。とても欲しいと思います」
憧「なんでカタコト?」
白望「能力を求めてるんだったら、私よりもトヨネのほうがいい。ついてきて。案内してやる」
穏乃「本当ですかっ!? ありがとうございます!」
憧「なんか迷惑ばっかりかけてる気がする……」
白望「だる……」
「いるよー」
白望「いるみたいだ。じゃあ、かえる……」
穏乃「はい。お世話になりました!」
穏乃「……失礼します! 阿知賀女子麻雀部の高鴨穏乃です! と、ついでに新子憧です」
憧「ついでは余計よ、ばか」
「はーい。何か用?」
穏乃「はい。実は小瀬川さんから能力のことを聞くなら姉帯さんのほうがいいって……って、でかっ!?」
豊音「能力? なんのことかなー」
穏乃「聞くところによると、姉帯さんはおっかけリーチの天才だとか」
豊音「おっかけか-。確かにそうとも言えなくはないねー。けど、私の能力は一つじゃないし」
穏乃「え? 他にもあるんですか?」
豊音「うん。多分ジャージさんにはこっちの方が合ってると思う。知りたい?」
穏乃「ぜひ、お願いしますっ!」
豊音「じゃあ、まずはね……」
憧「相変わらずの超展開ね。っていうか、あれからあたしを部屋から追い出して二人だけで特訓してたけど、なにしてたのよ」
穏乃「ふっふーん。秘密の特訓だよ」
憧「あんた、糸口を掴むまでは阿知賀に帰れないとか言ってたけど、今度はちゃんと得るものあったんでしょうね?」
穏乃「当然! なら、先に憧には見せておいてもいいかな……」
憧「自信満々ね……。なら、見せてみなさいよ」
穏乃「行くぞ……姉帯さん直伝。必殺、裸単騎!」
ジィ~ッ……バサッ!
憧「って、うわぁああぁぁあっ!? なにしてんのよバカしず!?」
穏乃「何って、裸単騎だよ。この一糸纏わない捨て身の裸体。これこそ、裸単騎の神髄だ!」
憧「神髄だ、じゃないわよ! 禁止、絶対禁止! 二度とやるな!」
憧「当たり前でしょ。あんたこの歳で連行されたいの?」
穏乃「今回も失敗か-。めげずに次は>>65に行きますか!」
憧「その前に服を着ろっ!」
憧「また九州か……。だったら新道寺にいったついでに来ればよかったでしょ」
穏乃「いいだろ。憧……大事なのは直感なんだ」
憧「はいはい。さっさと行くわよ。つーか、強豪校ばっか選ぶわね。その行動力は晴絵も顔負けだわ」
穏乃「憧。褒めても何も出ないぞ」
憧「いいから、さっさと結果を出しなさい」
穏乃「……こんにちはー。誰かいますか?」ガラッ
「はい。いますよー」
憧「うわ、巫女さんだ。生巫女さん!」
そうそう
憧「いやぁ。親近感っての? あたしのうちも神社だし」
「そうですか。それはそれは……」
穏乃「あなたは確か……神代小蒔さんですよね!」
小蒔「はい。以前お会いしたことってありましたっけ?」
穏乃「いえいえ、有名ですよ。その神代さんに折り入ってお願いがありまして……」
小蒔「なんでしょう?」
穏乃「神代さんの全国区のその力の秘密を、教えていただきたくはるばる奈良から来ました!」
小蒔「……」
穏乃「なので、能力の秘密を教えて下さい!」
小蒔「……」
穏乃「……あの、」
小蒔「……はっ! すみません、寝てました」
憧「今の流れでっ!? 巫女と天然さんかー……典型的な萌えキャラね」
穏乃「本当ですか! ありがとうございます」
神代「では、まずこれに着替えて下さい」
憧「これって……」
憧「巫女服じゃん! なんか久々に着たなー……。しずはどう? 着られた?」
穏乃「ばっちし!」ドンッ!
憧「へぇ-、以外と……って、下をはきなさい! 下を!」
穏乃「いいだろ。この方がしっくりくるんだ」
憧「もうなんでもいいわ……」
小蒔「着替えましたか。では、まずはその石の上に座って下さい」
憧「こ、こう……?」
穏乃「以外と楽そうだな……」
小蒔「そのまま、12時間座り続けます」
憧「できるかっ!」
穏乃「いやいや、12時間なんて無理ですって」
小蒔「そうですか……それでは修行になりませんね」
穏乃「もっと手っ取り早く出来る方法はないんですか!?」
小蒔「あるにはありますが……かなり過酷な修行になりますよ?」
穏乃「大丈夫ですっ! 絶対に耐え抜いてみせます!」
小蒔「分かりました。いい覚悟です。では、まずはその滝に飛び込んで下さい」
穏乃「えっ……!?」
憧「うわー……軽く10メートル以上はあるわね……」
穏乃「命綱とかってのは……」
小蒔「ないですね」
憧「しず、本気?」
穏乃「……! やっぱやめます。ごめんなさい」
憧「折れるの早っ!」
穏乃「5年!? そんなにかかるんですかっ?」
小蒔「当然です」
憧「巫女さんの道は甘くないわね……」
穏乃「すみません。実家に帰らせていただきます」
小蒔「わかりました。その巫女服は差し上げますので、また修行する気になったら来て下さいね。待ってます」
穏乃「……よし、憧。次いこうか」
憧「あんた……こりないわね」
穏乃「当然だ。>>82! そこに私の可能性がある!」
やえ「おお、初瀬……じゃない! 誰だお前!」
穏乃「やだなー。地区予選で戦った中じゃないですか」
やえ「ああ。阿知賀のジャージの子か。巫女服着てるから誰だか分からんかったわ」
憧「初瀬、おひさー! 地元だから安心するわ」
初瀬「あ、憧……? な、なによ突然。まさか私に会いに来てくれたの?」
憧「うん?」
初瀬「ま、まぁ? そりゃ腐れ縁の私たちだし、たまにはこうして合うのもいいけどさっ? 全国行ってから何の連絡もないって、ちょっと……冷たすぎない?」
初瀬「いや、別におまえの連絡を待ってたとかそういうんじゃないからな!?」
憧「あーごめん。忘れてたわ。それに今日は小走さんに会いにきたわけだから、ついでに初瀬にもあえてよかったよ」
初瀬「ついで……ついでか-……」
憧「どしたの?」
初瀬「な、なんでもないわよ、ばかっ!」
穏乃「はい。小走先輩の力の秘密を……って、今思えば、もう聞く必要もないんですよね」
やえ「ど、どういうことだそれっ?」
穏乃「いや、だって……もう超えた相手ですし、強者は後ろを振り返らないといいましょうか」
やえ「ふん! にわかが言ってくれるじゃないか」
やえ「だが、確かに負けたことは事実だ……。いいだろう。この小走やえが、特別に王者の打ち筋を伝授してやろう!」
穏乃「本当ですか? わーい(棒)」
やえ「なんか気に食わんな……」
やえ「まぁ、いい。やるからには本気だ。巫女コンビ、初瀬。卓につけ!」
初瀬(まさか小走先輩から直に指導をしてもらえるなんて……! やった!)
憧「あたしもですか? まぁいいけど」
穏乃「よろしくお願いしまーす(棒)」
穏乃「ありがとうございました」
憧「結局、普通に指導麻雀をやって終わったわね」
穏乃「なんとなくそんな気はしてたよ。にわかだし」
憧「でも、久しぶりに初瀬に会えたからよかったな。初瀬元気そうでよかったわ」
穏乃「……憧」
憧「なによ、しず。妬いてんのー?」
穏乃「そろそろ巫女服脱がないか?」
憧「そ、そうね……」
穏乃「……よし、いつも通りのジャージに着替えたし、気を取り直して>>94!」
憧「そろそろ、為になる相手を選んでよね」
憧「って、まさか……」
穏乃「決まってるだろ。王者白糸台高校のクールビューティー、弘世菫さんのところだ!」
憧「ちょっと……マジっ!?」
穏乃「というわけで、来ました。東京だよ、都だよ!」
憧「東京来るの久しぶりだなー。えーと、白糸台高校は……」
穏乃「こっちだ。んで、部室がこっちで……」
憧「なんでも知ってるのね、あんた」
穏乃「ここだ! 弘世さん。いますかー?」
「……なんだ。私に何か用か?」
穏乃「はい。阿知賀女子麻雀部の高鴨穏乃です! 弘世さんの強さの秘訣を教えて下さい!」
菫「阿知賀……あぁ、そういえばいたな。同じブロックに」
菫「断る。私は人に物を教える主義じゃないんだ」
穏乃「そこをなんとか……」
菫「見たところ、かなり思い詰めているようだな」
穏乃「はい。いろんな選手に聞き回っているんですが、得られたものがほとんど無くてですね……」
菫「わかった。わざわざ関西から来たんだ。ここで追い返すほど、私も人間ができていないわけじゃない」
穏乃「本当ですかっ!?」
菫「ただ、一つ条件がある」
穏乃「なんなりとっ」
菫「では、私とキスをしろ」
穏乃」「」
菫「そうか? 見たところ、そのジャージの子。まだ女というものを知らないようだからな」
憧「当たり前でしょ! しずよっ?」
菫「まぁ、私としてはきみでもいいんだが……」
憧「あ、あたしっ?」
菫「そうだ。きみはそれなりにできそうだからな……」
憧「いや、あたしだって……でも、それでしずが報われるのなら……」
憧「……わかった。やります」
菫「そう。私は潔い子は好きだよ」
穏乃「ちょっと憧っ!」
穏乃「邪魔するに決まってるだろっ!? 憧の貞操が奪われようとしてるんだぞ!」
憧「分かってるわよ……。でも、それでしずが強くなれるんだから、安い犠牲よ」
穏乃「だってしず……初めてなんだろっ?」
憧「……。しずは黙ってて」
穏乃「もういい……勝手にしろっ!」
菫「覚悟は決まったのか?」
憧「はい……いつでもいいですよ」
穏乃「……」
憧「は、はやくしなさいよ……」
穏乃(憧バカ……憧のバカっ! 人の気持ちも知らないで……)
菫「やる前に先に行っておくが……舌を入れてもかまわないな?」
憧「し、舌っ?」
菫「そうだ。ただ唇同士を付け合う子どものキスじゃない。舌と舌、体液と体液が絡み合う大人のキスだ」
憧「す、好きにしなさいよっ……」
菫「いい子だ。では……」
憧「あっ……!」
穏乃「うわぁぁああああーーーーーーーーーーーっ!!」
ドンッ!
菫「痛いな。なにをする」
憧「し、しず?」
穏乃「やっぱりダメだぁーーーっ!!」
穏乃「うるさい! 帰るぞ憧」
憧「痛っ!? ちょっと引っ張らないでよっ」
菫「くくっ……あははっ!」
穏乃「なにがおかしいっ!」
菫「いや。面白い反応をしてくれた、と思ってな」
穏乃「人をからかって……!」
菫「そうだ。からかった。もともとキスなんてするつもりはなかったさ。けど、合格だ」
穏乃「は……合格?」
菫「いくら私でも、見ず知らずの人といきなり接吻などしない。もとから寸止めで止めるつもりだった」
菫「まぁ、そこまでいってもジャージのきみが動かなかったら、その時点でさよなら、だったけどな」
穏乃「意味がよく分からないです」
菫「つまり、二人の仲と人間性を試したということさ。少なくとも、つまらない人間でないことは分かった。力になってやろう」
穏乃「……?」
憧「要するに、認めてもらったって事よ」
菫「気にするな。ここは怒っていいところだぞ」
穏乃「いや、なんか怒るを通り越して力が抜けたと言いますか……」
菫「でも、ツインテールの子とキスしたかったのは本当だ。もしよければ、いつでも相手になるよ」
穏乃「やっぱり怒ります! うがーっ!」
菫「ははは。面白いやつらだ」
憧「あはは……」
穏乃「はい。今まで会って来た人達は話しにならなくてですね……。それで、ついに王者白糸台高校にまで行き着いたわけですよ」
菫「そうか。それは懸命な判断だな。けど、私はそれを伝授することはできない」
穏乃「なっ……! どうしてですかっ?」
菫「どうしてかって……? 簡単だ。まだ阿知賀編の単行本では、私の実力が顕わになっていないからだ!」ドヤァ
憧「うわ、そう来たか……」
菫「それともう一つ、我が校には私よりも異能なやつがいるからな。そいつに聞いた方が早い」
穏乃「それって……!」
菫「そうだ。入ってこい……照!」
穏乃(照……宮永照……! 高校生最強の人だ……!)
照「……誰だ」
菫「ん?」
照「私のプリン……食いやがったの」
憧「ぷ、プリン……?」
照「……そうか」
穏乃「え……はぁっ?」
照「プリン……返してもらおうか」ギュルルル……
穏乃「なにを言っているのかさっぱり……って、うわぁっ!」
菫「……ってのは冗談だ。本当は淡が食べた」
照「……そう。後でお仕置きしないとな」
穏乃(た、助かった……のか? ていうかなんだあの右手……あれがあの人の能力……?)
穏乃「よろしくお願いしますっ!」
照「……」
憧「あのー……。宮永さんって、確かもっとこう、しゃきしゃきしてる人でしたよね」
照「……それがなにか」
憧「いや、インタビューの時と全然印象が違うなーって……。まさか、別人……妹とか?」
照「ふん……」スクッ
菫(あ、また出るぞ、あれが……)
憧「ど、どうしたんですか、いきなり立ち上がって……。変なこといったのなら謝りますけど……」
照「私に……」
照「私に妹などいない!!!!」ドンッ!
憧「あ、そうですか……」
穏乃「私もっと……強くなりたいんです!」
照「そうか。では一つだけ聞こう……」
穏乃「はいっ!」
照「お前に……妹はいるか」
穏乃「へ……?」
照「妹はいるかと聞いている」
穏乃「いや、いないですけど……」
照「そうか……。もう何も言うことはない。帰れ」
穏乃「なんでですかっ!?」
照「ましてや、姉のいないやつに最強を目指す資格などない……そうだよね、咲ぃ」
穏乃「は、はぁ……」
憧「なんか私の知ってる宮永さんのイメージとだいぶ違うなぁ……」
菫「これが素の照だ。知っている人間はごく僅かだけどな」
穏乃「じゃあ、私は……私はどうすれば強くなれるんですか!?」
照「仲間と共に……切磋琢磨」
穏乃「え……?」
照「今いる仲間を大事にして、みんなで強くなれ。お前は一人で強くなることはできない。限界がある」
照「だから、みんなで強くなって、そして私たちをチーム全員の力で倒しにこい」
穏乃「宮永さん……。はい、分かりました、ありがとうございましたっ!」
憧「宮永照……。やっぱりチャンピオンは言うことが違うわね……。敵わないわ」
照「まぁ、私たち姉妹の絆には敵わないけどな……。待っててね、咲ぃ」
憧「……あれ?」
菫「ああ。がんばれよ。新子憧ちゃん、だったな。また今度、二人でお茶でもしようか」
憧「遠慮します。お世話になりました」
菫「そうか。残念だ」
照「早く会いたいよ……咲ぃ」
憧「やっぱりさ、行き着く所は仲間、なのよね」
穏乃「そうだな。私、小さな事に囚われていて、周りが見えなくなってた」
憧「分かればいいのよ。さ、部室に戻って練習しましょ……みんなで」
穏乃「待って、憧」
憧「へ?」
穏乃「みんなの所に行く前に……憧に言いたいことがあるんだ」
憧「そ、それって……」
穏乃「憧……。私……」
憧「いや、ちょっとダメだって……まだ、心の準備が……」
穏乃「やっぱり裸単騎が一番効果あると思うんだ! 裸単騎!」
憧「えーと……何?」
穏乃「だから裸単騎だよ! 姉帯さんに教わっただろっ? やっぱりあれが一番、何かを得られた感じがするんだ」
穏乃「生まれながらの姿になることで、神経が研ぎ澄まされ、牌が見える……これだ、これだよ!」
憧「……はぁ」
穏乃「な、どうだ憧! よければ憧も一緒に!」
憧「ちょっとは、学習と反省をしろっ!」ゴツッ!
穏乃「いたぁっ!? なにすんだよ憧!」
憧「ふーん。もうしずなんてしらないんだからっ! べー!」
穏乃「な、そういう言い方ないだろっ! 待てよ、憧-!」
おわり
Entry ⇒ 2012.08.27 | Category ⇒ 咲-Saki-SS | Comments (0) | Trackbacks (0)
怜「催眠術?」竜華「せやでー」
竜華「練習しててなー、最近出来るようになったんよー」
怜「なんや初心者かいな……」
竜華「いや、そんなことないで!ぜひ怜に体験してもらいたくて……」
怜「でもなぁー。私催眠術とか掛からないと思うで」
竜華「え、今までそういう経験あるん?」
怜「途中で絶対寝る自信ある」
竜華「あぁ……」
怜「まぁ、竜華の膝枕でもええんなら、ええよ」
竜華「寝る気まんまんやな……まぁ、ええよ」
怜「では、お邪魔して」ポフッ
竜華「どうぞー」
竜華「それじゃ、始めるから、うちの言葉聞いてなー」
怜「あかん、もう寝そうや……」
竜華「はやっ!」
怜「いや、なんかうとうとしてまう…」
竜華「リラックス出来とるいい証拠やん。きっと怜は催眠術掛かりやすいで」
怜「そうかぁー?」
竜華「リラックスは掛かるために必要なことやしな。何より一番大事なのは、互いの信頼関係や」
怜「信頼関係か。それならまぁ、掛かるかも知れんな」
竜華「せやろー。それじゃ、改めまして。うちの言葉、よく聞いてな?」
怜「はーい先生」
竜華「いちいち返事せんでええから。怜はリラックスして、うちの声だけ聞いとけばええんよ?」
怜「なんやつまらんなぁ」
竜華「ええからええから……はい、深呼吸」
怜「……」スー、ハー
竜華「うちの声に合わせて深呼吸してみよか。はい、吸ってー、吐いてー……」
怜「…スー……ハー……」
竜華「その調子やでー……吸ってー……吐いてー……」
怜「……あかん、寝てまう……」
竜華「目を瞑ってもええよー、うちの声に集中して、しっかり聞いといてなー」
怜「うん……」
竜華「目を瞑ったら、もっと、もーっと深ーい深呼吸しよかー」
竜華「はい、吸ってーー……吐いてーー……」
怜「スーッ……ハーッ……」
竜華「寝ながら深呼吸すると、気持ちいいやろ?ほら、もっと深呼吸して」
怜「スーッ……ハーッ……」
竜華「なんだかぽかぽかしてて気持ちええなー……お腹のあたりに意識を向けてみぃ?」
怜(ほんま、なんかぽかぽかするなぁ……)
竜華「お腹に意識を向けると、お腹がもっとぽかぽかするで。ほら、深呼吸」
怜(あ、ほんまや……なんかそんな気がする……にしても眠いなぁ……)スー、ハー
竜華「うんうん、お腹ぽかぽかしてきたなぁ。それじゃあ今度は、右手に集中しよか」
竜華「右手に集中したら、今度は右手が、ぽかぽかしてくるでー」
怜(なんやこれ……どんどん眠くなるやん……ほんとに右手もぽかぽかしてきたし……)
竜華「はい、右手もぽかぽかしたな……じゃあ次は、左手」
怜(ぽっかぽかや……気持ちええなー)
竜華「右手も左手も、ぽっかぽかして気持ちええなー。今度は両足いっきに、いこか」
怜(足に意識を……おぉ、ほんまにぽかぽかするなぁ……)
竜華「うんうん、足もぽかぽかやね……それじゃもう、全身ぽっかぽかやな」
怜(全身、ぽっかぽか、やなぁ……)
竜華「全身ぽっかぽかやと、もう寝むぅて仕方ないな。この暖かさに浸って、少し気持ち良くなっとこかー……」
怜(うん、もう、めっちゃ寝そうわ……)
怜(……スーッ……ハーッ……)
竜華「怜、すっかり催眠状態やなぁ……やっぱり掛かりやすいでー」
怜(ん……こんなんが催眠術なん……?ただのお昼寝みたいなもんやん……)
竜華「ところで、怜」
竜華「右手に力入らんくなってるの、気付いてるー?」
怜(ん……?)
竜華「ほら、怜はもう、右手に力が入らんよ」パチンッ
怜(んっ……なんや……ほんまに……?)
竜華「試そうとすればするほど、右手から力が抜けてくでー。ほら、すぅっ、て」パチンッ
怜(あ、力が……)ガクッ
竜華「ほーら、力入らんやろー。怜は催眠術に掛かってるから、もう、力入らへんでー」
怜(ほ、ほんまに……催眠術……?)
怜(あっ……)ガクッ
竜華「怜は偉いなー。ちゃーんと催眠にかかっとる」
怜(力が……)
竜華「ほら、不安がらんでええよ。全身がぽかぽか。気持ちいいんやろ?」
怜(……ぽかぽかして力抜くと……気持ちええ……)
竜華「右足も……すぅっ。左足も……すぅっ」パチンッ、パチンッ
怜(あ、もう……)ガクッ
竜華「うんうん、それじゃあ、全身ぽかぽかしたまま、全身の力抜くでー……」
竜華「……はい、すぅっ」パチンッ
怜(んっ……)ダラン
竜華「力抜けたなー。気持ちええなー。眠いなー。もう何も考えたくないなー」
怜(ん、そんないっぱい喋らん…といて……)
怜(何も考えんでええん……?)
竜華「全身ぽかぽかで、力入らなくて、何も考えない。すっごい気持ちいいなぁー」
怜(……気持ちいい……)
竜華「催眠状態、気持ちいいなぁ……。それじゃあ、もっと深い催眠、掛けてあげるな」
怜(さいみん……)
竜華「今から10から数え下ろすでー。数字が小さくなればなるほど、怜の催眠は、ふかーく、ふかーくなっていくからな」
怜(ふかく……ふかく……?)
竜華「0になった瞬間、怜は、完全に催眠状態になるで」
怜(ぜろ……さいみん……?)
竜華「ほな、いくでー」
竜華「じゅう、きゅう、はち……」
竜華「ほら、段々と、意識が薄れていくで」
怜(……じゅ、はち…ん…)
竜華「なな、ろく、ごぉ……」
竜華「もう半分まで来たで……全身ぽかぽか、気持ちいいな」
怜(ぽか…ぽか…)
竜華「よん、さん……」
竜華「全身ぽかぽか、力が入らない。催眠状態」
怜(ぜん…さいみ……?)
竜華「にぃ」
竜華「ほら、あと二つ数えたら、怜は完全に催眠状態になるよ。気持ちええなぁ」
怜(…ふた、つ……)
竜華「いーち」
竜華「ほら、もう、意識が落ちる寸前。気持ちよくて、何も考えられへん。気持ちいだけ」
怜(きも…ち……)
竜華「あと、ひとつ、数えたら、完全に催眠状態に落ちるよ?怜」
怜(さいみ……おち…?)
竜華「……ふふっ」
竜華「ぜろ、『堕ちて?』」
怜(あっ────────…………)
竜華「…………ほーら、もっともっと、深くいこか」
怜(───………)
竜華「10,9,8,7,6,5,4,3,2,1」
竜華「ぜろ、『堕ちて?』」
怜(ッッ────………)
怜「………」スー、ハーッ
竜華「……ふふっ、完全に催眠状態やなぁ。怜」
竜華「可愛いで……怜ぃ……」
竜華「ときぃ?催眠状態は気持ちええなぁ」
竜華「ずっとずっと、この感覚に浸りたいなぁ」
竜華「でも、いったん、目を覚ましてもらうで」
竜華「うちが1から10まで数えて、手を叩いたら、怜は目を覚ます」
竜華「ええ?うちが手を叩いたら、怜は目を覚ますよ」
竜華「ただし。うちが『堕ちて?』って言ったら、怜はすぐに、この催眠状態に帰ってこれるよ」
竜華「嬉しいなぁ。気持ちいい催眠状態に、すぐに帰ってこれるでー」
竜華「うちが手を叩いたら、怜は目を覚ます。うちが『堕ちて?』って言ったら、怜は催眠状態に堕ちる」
竜華「いくでー……」
竜華「1,2,3,4,5,6,7,8,9……」
竜華「じゅう!」パンッ
怜「んっ………」
竜華「怜ー、お疲れ様。目は覚めたかー?」
怜「ん、んんっ……ふぁーぁ……」
竜華「なんや怜、まだ寝ぼけとんのかー?」パンッ
怜「んっ!び、びっくりするなぁ……なんやねん」
竜華「いったんおはようやでー。どう?気持ちよかった?」
怜「あぁ、催眠術やったかいな……せやなー、あんまり覚えてないしなー」
竜華「えー、しっかり思い出してよー。ほら、全身がぽかぽかになって、力が抜けて…」
怜「え、あ、そ、そうやなぁ……なんか 竜華「『堕ちて?』」
怜「ッ────」ガクンッ
竜華「怜ぃ。一瞬で催眠状態まで落ちると、すっごく気持ちええやろー?」
竜華「意識が一瞬で飛ぶ瞬間、なんとも言えんくらい気持ちええやろー?」
竜華「これを何回も繰り返すとなー……ふふっ」
竜華「怜はもう、催眠状態の虜になっちゃうんやでー?」クスクス
竜華「はい、1,2,3,4,5,6,7,8,9」
竜華「じゅう!」パンッ
怜「!」ビクッ
竜華「怜、起きてー。目ぇ覚ましー」
怜「ん……あ、りゅうk」
竜華「『堕ちて?』」
怜「ッ─────」ガクンッ
竜華「1,2,3,4,5,6,7,8,9,10」パンッ
怜「ぁっ……」ビクッ
竜華「『堕ちて?』」
怜「ッ──────」ガクンッ
竜華「はい、もう一回いくよ。1,2,3,4,5,6,7,8,9,10」パンッ
怜「ぁ……」ボーッ
竜華「もうどっちがどっちか分らんなぁ」クスクス
竜華「『堕ちて?』」
怜「─────」
竜華「もう、手ぇ叩くだけで起きてね。いくで」パンッ
怜「……」ボーッ
竜華「『堕ちて?』」
怜「────」ダラーン
竜華「それじゃ、最後は、どでかいのいこかー。はいっ」パンッ
怜「……」ボーッ
竜華「怜、10,9,8,7,6,5,4,3,2,1」
怜「りゅぅ……」ボーッ
竜華「0、『堕ちて?』」
竜華「ほら、もっと『堕ちて?』。もっと『堕ちて?』。まだまだ『堕ちて?』」
竜華「何も分らない暗闇まで、ずーと落ちていこう?」
竜華「だから……ほらぁ、『堕ちて?』」
怜「──────」ビクッビクッ
竜華「あは、あはは…なんや怜、気持ち良すぎて少し痙攣しとるやないか」
竜華「まだまだ本番はこれからなのに……」クスクス
竜華「なぁ、怜?そんなに『堕ちて』大丈夫?」
怜「───」ビクッ
竜華「あぁ、ごめんなぁ。間違って『堕ちて』って言ってしまったわぁ」
怜「────」ビクッ、ビクッ
竜華「また『堕ちて』って言ってしまったわぁ。もう『堕ちて』って言わんようにしとこ」クスクス
怜「────ッッ」ビクンッ
竜華「ふふっ、そーんなに気持ちええんやぁ……」クスクス
竜華「これからもっと、もーっと気持ちよくしたげるからなぁ」クスクス
竜華「怜は今、深い、ふかーい催眠状態」
竜華「もううちの声しか聞こえへん。うちの声だけ聞いとけばええから」
竜華「うちの声だけを聞いてれば、それだけで気持ちいい」
竜華「ほら、聞けば聞くほど、気持ちよくなっていくやろー…?」
竜華「だから、うちの言う事は、どんどん聞いていこうなー」
竜華「うちの声聞いて、言う事聞いて、どんどん気持ちよくなっていこ」
竜華「ほら、もう一回、深いとこいくよー…」
竜華「はい、『堕ちて?』……」
────
──…
─…
…
…
─…
──…
───
竜華「はいっ!」パンッ
怜「っ!」ビクッ
竜華「はいはい、起きてー」
怜「な、な、なんやなんや……」
竜華「いつまでうちの膝で寝てるつもりやねん。もう起きぃや」
怜「なんや竜華。今日はなんか冷たいなー」
竜華「冷たくなんかないよ?なぁ怜」
怜「んっっ!!」ビクッ
竜華「どーしたん?いきなり大きな声出して……」
怜「い、いや、なんでも…」
怜(な、なんや…いまいきなり電流みたいなのが…?)
竜華「なんや、今日の怜なんか変やなぁ」
怜「んんっっ!!」ビクッ
竜華「……ほんまどうしたん?熱でもあるんか?」
怜「い、いや…なんもない…」
怜(あ、あかん…これなんや…めっちゃ変な気持ちになる…)
竜華「それはそうと、いつになったら膝からどいてくれるん?」
怜「あ、ああ。そうやな」ヨイショ
竜華「あ、そういえば怜」
怜「んはぁっ!」ガタッ
竜華「ど、どうしたん!?やっぱり体調悪いんか!?」
怜「はぁ……はぁ……だ、だいじょうぶ…」
竜華「怜、無理せんでええからな?うち、怜の事が心配やねん」
怜「ぁっ、ん……っっ!!」ビクッ、ビクッ
怜(か、身体がぁ……なんやねんこれぇ……)
竜華「な、なにエロい声出してんねん、怜」
怜「え、エロい声なんて…んっっ…」ビクッ
竜華「なぁ、怜」
怜「んはぁぅっ……」ビクッ
怜(竜華に……名前……)
竜華「ほんまに大丈夫か?と──」
怜「す、ストップ!」
竜華「ん?どないした?」
怜「うん、うん……よし、竜華。今日はうちの名前呼ぶの禁止な」
竜華「はい?」
怜「よし、よし……うん、もう大丈夫や!ほないこか!」
竜華「どうしたん?熱でもあるん?」ピトッ
怜「ッッ!!」ビクンッ
竜華「熱はないなぁ……まだ寝ぼけとるんかぁ?」ホッペプニー
怜「ぁっ、んんっ……」ビクッ、ビクッ
竜華「またエロい声出してぇ……発情でもしとるんか、怜?」
怜「ぁぁっ……!」ビクッ
怜(な、名前と……触られても……)
怜「りゅ、竜華ぁ…今日、うちに触るのもk──」フルフル
竜華「そんなに震えて……大丈夫、うちがおるで…」ギュウッ
怜「~~~~~~~~~~~~ッッッ」ビク、ビクンッ
怜「んはぁっ…はぁっ……はぁぁ……」
怜(い、い、イってしまった……)
竜華「怜ぃ」ボソッ
怜「ひゃぁぁッ……!!」ビクッ
竜華「今、イったな…?うちに抱きつかれて、イった…?」
怜「ゃ、ちがっ…」
竜華「うちに抱きつかれてイっちゃうような、エッチな子やったん……?」
竜華「なぁ、怜ぃ」ボソッ
怜「~~~~~ッッ!!」ビク、ビクッ
竜華「今度は名前囁かれただけでイったなぁ……」
怜「りゅ、りゅうかぁ……」
竜華「なんやー?うちはただ、部活の仲間の事を心配して、抱きしめてあげてるだけやで?」
竜華「そうやろ?怜?」ギュウッ
怜「あ、ぁ、ぁぁぁッッッッ!!!」ビクンッ
竜華「あぁ……抱きしめながら名前呼んでしまったわぁ…」
怜「りゅ、か……」
竜華「もう限界って顔しとるなぁ怜」
怜「んはぁぁっっ!」ビクッ
竜華「あかん……あかんて……」
竜華「うちももう、限界やわ……」
怜「りゅう…んんっっっ」
竜華「んっ…んっ…んぁ…はぁぅ……」
怜「ぁぁぁぅ……んぁぁ……んんんっ……」
竜華「キスでも感じてまう怜…かわいいなぁ……んっ」
怜「はぁ…ふぁっ……ぁぁぁっ……」
怜「ふぁぁぁ……ぁ、ぁ、ぁぁ……」ボーッ
竜華「もう目の焦点あってないやん…そんなに気持ちよかったん…?」クスッ
竜華「それとも、催眠が深く掛かりすぎたんかな…?」
竜華「まぁ、どっちにせよ、気持ちよすぎたんやな…ふふっ」ギュウッ
怜「ぁぁ、ぅぁ……」ボーッ
竜華「虚ろな怜めっちゃ可愛いけど……いったん、寝ようかぁ」
竜華「はい、怜。『堕ちて?』」
怜「ぁっ────………」
───
──…
─…
…
…
─…
──…
───
竜華「はいっ」パンッ
怜「んっ……」
竜華「怜ー、お目覚めの時間やでー」
怜「ん、んん……」
竜華「ほら、そんな眠そうにせんと。早く起き!」
怜「う、うん……ちょ、ちょっと待って……」ドキドキ
竜華「んー?」
怜(あかんあかんあかん………あかん!)
怜(竜華に……めっちゃキスしたい!!!!)
怜(あかん、何考えてんねんうち…そんなん意味わからんやろ!)
怜(ええか、竜華はうちの事を心配してくれて、膝枕してくれてたんや)
怜(それをっ!うちはっ!いやらしい気持ちでっ!この馬鹿っ!)
怜(よ、よし。冷静を装って。いつもどーりに…)
怜「お、お待たせー。そろそろ起きるなー」
竜華「うん、うちはいつでも大丈夫やでー」ニコッ
怜「ああああああああああああああかんん!!!!」
竜華「んー?」
怜(可愛い、可愛い…っ!あかん、めっちゃキスしたい……)
怜「りゅ、りゅうか…?」
竜華「どーしたん、怜?」ニコッ
怜「うち……うち……」ハァハァ
竜華「どーしたん?息荒いでー?」
怜「うち……もう……我慢……」ハァハァ
竜華「……ふふっ、我慢せんでもいいよ?」ニコッ
怜「!! りゅ、竜華ぁぁ!!!」ドサッ
竜華「んっ……んぁぁっ……」
怜「んはぁっ……んっっ……竜華、竜華ぁぁ……」
竜華「んんっ……はぁっ……」
竜華(私とキスしたくなるようにしただけなのに、怜ったら……)クスッ
怜「竜華ぁ、はぁっ、んっ、んんぁ……」
竜華「怜……」
怜「りゅ、竜華ぁ、あのなぁ」
竜華「……?」
怜「う、うちな……竜華のことがな」
竜華「え、あ、ちょっと──」ズキンッ
怜「すk───」
竜華「ごめん!『堕ちて?』!!」
怜「ぁっ────………」ガクンッ
竜華「………はぁ………」
竜華「……まだ、心がなんか痛い……」ズキンッ
竜華「うち……」ハァ
竜華「……こんなんで、怜に好かれたかったんやない……」
怜「スーッ……ハーッ……」
竜華「怜、今から怜に掛かってる、すべての催眠をとくで……」
竜華「それと…ごめんな。うちに帰ったら、ゆっくり寝てな…」
竜華「…今から10数えて手を叩くと、怜に掛かってる全ての催眠は解ける」
竜華「いくで…1、2、3…」
竜華「4,5,6……」グスッ
竜華「7,8,9,……」
竜華(これで良かったんや…明日からはまた、今までどおりのうちらで──)
竜華「じゅう!」パンッ
怜「んっ………」
竜華「おっはよー、怜。よく眠れたかー?」
怜「竜華……」
竜華「いやー、いつもに増して、熟睡してたなー怜!そんなにうちの膝枕気持ちよかったん?」ハハハ
怜「あー……そかぁ……あー…なるほどなぁ……」
竜華「どうしたん?怜?」
怜「どうりで……はぁ……悲しくなってきたわ」
竜華「え?え?ほんまにどうしたん?」
怜「竜華、うちの催眠、『すべて』解いたやろ?」
竜華「…………あ………」
竜華(催眠中の記憶──消してない──……)
怜「どーりでなー……うんうん」
竜華(私の気持ちも──卑劣なやり方も──全部──)
竜華(怜『どうりで……はぁ……悲しくなってきたわ』……)
竜華(怜に……)
竜華(怜に………嫌われたぁ……)グスッ
怜「やっぱり、詰めが甘いなぁ。それに、駄目駄目やん」
怜「あと一歩で、一生後悔するとこやったで…ほんま」
怜「……うちのど阿呆」
怜「ごめんな、竜華。もう一回だけ、眠ってな」
竜華「え……?」
怜「『おやすみなさい』」パチンッ
竜華「ぁ───………」
怜「……竜華に催眠掛けて、催眠術叩きこんで」
怜「うちに催眠術掛けて、いやらしいことするように仕組んで」
怜「自分の記憶は忘れるように自分で催眠掛けて……」
怜「ただの卑怯なやり方で、何の意味もない愛情を作って」
怜「自分は何も知らないふりで……竜華を苦しめたなぁ……」
怜「竜華、今から竜華に掛かってるすべての催眠を解くで」
怜「……ほんま、堪忍な」
怜「1,2,3,4,5,6,7,8…」
怜「9…じゅう」パンッ
怜「竜華、おはよう。いつもと立場逆やな」ハハハ
竜華「……」
怜「頭混乱しとるやろ?ごめんな。さっきまでの竜華の気持ち、全部あれ、うちが…」グスッ
怜「うちがぁ…グスッ…づぐった…偽物…やがらな……」
怜「ほんまごめんな……ぎら、ぎらいになっでも……ええから……」
竜華「怜」ギュウッ
怜「!!……りゅぅ……かぁ……」
竜華「怜に掛かってる催眠は、うちが全部解いたんよな?」
怜「……?」コクッ
竜華「それで、うちに掛かってる催眠は、怜がさっき、解いたんよな?」
怜「……」コクッ
竜華「はぁー……それはしんどいわー……なんでやろなー……ほんま」
竜華「ほんま、なんでうち、こんなに怜のことが、好きで好きで仕方ないんやろかぁ…」
竜華「はぁ。大体、催眠なんかで人の気持ちが操れるわけがないよなぁ」
竜華「行動は操れても!人の、一番大事な、恋心!そう簡単に操れる訳ないんや」
怜「……竜華……」
竜華「だからな、怜」
怜「───待って、竜華……」
竜華「待てへん。言うで」
怜「なんや……せっかちやな……まぁ、うちもやけど」クスッ
「「大好きやで」」
カン!
ほんとは最初みたいに催眠の様子をずっと描きたかったけど、時間の都合とやる気の(ry
支援感想…すばらでしたよっ!
すばらでした
すばらですよ
Entry ⇒ 2012.08.27 | Category ⇒ 咲-Saki-SS | Comments (0) | Trackbacks (0)
和「憧。百合に興味はありませんか?」アコス「へ?」
和「いえ。確かにそれも百合ですが、私の言っているのは植物ではない方の百合です」
アコス「植物じゃない百合?」
和「その調子では、どうやら憧は百合という言葉を知らないようですね」
和「百合というのはズバリ女性同士の恋愛のことです!」
アコス「はぁ!?」
和「本当にそう思いますか?」
アコス「あったりまえじゃん!」
和「……穏乃」
アコス「!!」ビクッ
和「憧が穏乃のことを好きだというのは、私の思い過ごしでしょうか」
アコス「ななななな!?」
和「いいえ、そんなはずがありません! 私の百合レーダーに狂いはない!」
アコス「なっ、何よ百合レーダーって!?」
和「百合レーダーは百合レーダーです!」
アコス「そこまで自信満々にこられると本当にそんなものがありそうな気がしてくるよ……」
アコス「……」
和「穏乃のこと、好きなんですよね?」
アコス「絶対誰にも言わない?」
和「ええ! マリア様に誓って!」
アコス「クリスチャンでもない和にそんなこと言われても何の気休めにもならないって……、まあいいけど」
アコス「和の言う通りあたしはシズのこと好きだよ」
和(いよしっ! よしよし!)
アコス(なんで気付かれたんだろ。そんなに態度に出てたかな……)
和「それはいけません! ちゅっちゅするような間柄を目指すべきです!」
アコス「そうはいってもさ、和。女同士とか正直普通じゃないじゃん」
アコス「シズには理解してもらえないだろうし、よしんばそこが上手くいったとしても世間から偏見浴びるのが関の山」
アコス「だったら今の仲良しこよしで満足した方が現実的だよ……」
和「いけません! 自分の気持ちに嘘をつくべきではないですよ、憧!」
アコス「もう! 他人事なのに勝手言わないでよ!」
アコス「あたしだって、そりゃ本当は……。でも……」
アコス「勘違い?」
和「まず1つ目の勘違い。私にとってこれは、単なる他人事などではありません」
和「というのも、真に非常に意外でしょうが、実は何を隠そう私は、女性のことが好きなのです!」
アコス(ああ。やっぱし)
和「ですから友人にして仲間である憧の恋路は他人事などではなく、まるで我がことのように大切なのです!」
アコス「……」
↓
山
和「百合は正義なので世間から偏見など浴びません!」
アコス「いやその論理展開はおかしいよ……」
和「最後、3つ目! 憧はIPS細胞というものをご存知ですか?」
アコス「ううん」
和「このIPS細胞というもの、様々な応用がきくのですが……」
和「なんと使い方次第では、同性でも子供ができるのです!」
アコス「えっ!?」
和「ええ。本当ですよ」
和「あと正しくはiPS細胞でした」
アコス(あたしとシズの赤ちゃん……)
和「ふふ。満更でもないようですね」
和「同性でも子供ができるなら、女同士で結婚するデメリットなどもはや皆無!」
アコス「けっ、結婚って! 何もそこまで!」
和「さ、どうですか憧。これでもまだ穏乃とお付き合いをすることに抵抗がありますか?」
アコス「……」
和「勇気を出してファイトです!」
穏乃「話って何?」
アコス「その。なんていうかな」
アコス「あたしね……、シズのこと、好きなんだ」
穏乃「ありがと。私も憧のこと好きだよ?」
アコス「本当!?」
穏乃「当ったり前だろー」
穏乃「おっと。そろそろ家の手伝いしないと」
アコス「へ?」
穏乃「ごめん憧! 続きは明日学校でいい!?」
アコス「……」
アコス(間違いない。コレ友達としての好きだと勘違いされてる空気だ)
穏乃「じゃ、またなー!」
アコス(うあーん!)
和「なるほど。恋愛感情とはとってもらえなかったと」
アコス「しくしく」
和「ふと思ったのですが」
和「ひょっとしたら穏乃にとって憧は身近過ぎて、家族の延長のような感覚になっているのかもしれませんね」
アコス「えええ!? それ恋人になるのは無理ってことじゃん!」
和「いえ。まだ手はあります」
アコス「本当!?」
和「ええ。距離が近すぎて駄目なら、一度あえて距離を置いてみればいいのです」
アコス「え……。やだよそんなの、シズと距離を置くなんて」
和「ここは我慢の時です、憧」
アコス「ううう……」
4年後
憧(それでシズとは違う中学選んだんだよねー)
憧(ああ、懐かし)
憧(ただ、こうして高校はまた同じになれたけど、あの頃とあんま変わらないんだよなあ……)
TELLLL TELLLL
憧(お。和から電話だ)
憧「もしもしー」
憧「今日はどんなご用件?」
『インターハイ前に最後の近況報告会を開こうかと』
憧「あいあい。と言ってもあたしの方はかわり無しだよ。まだ変化無し」
憧「今は麻雀に集中しなきゃだし、勝負はインターハイ終了直後かなって考えてる」
憧「そっちはどう?」
『私は……、ふふふ』
憧「まさかなんか進展あったの!?」
『はい! ついに咲さんと下の名前で呼びあえるようになりました!』
『キスはまだですが……、そっ、添い寝なら!』
憧「うおお! なんか凄い!」
憧「あ、そうそう。前も言ったけど、シズと一緒の時にインターハイの会場であうことがあったら……」
『ええ。私たちが今でも頻繁に連絡を取り合っていることはバレないようにする、でしたよね』
憧「うん。よろしくね。なんかシズには言い出せない空気でさ」
憧「あはは。健闘を祈ってって、それ麻雀の方? それとも別の」
『もちろん両方です!』
憧「和らしいや」
『とはいえ私の場合……』
憧「そだね。和は長野にいられるよう、全国優勝目指さなきゃならないんだっけ」
『ええ。ですから憧達とは、できれば一回戦では当たりたくありませんね』
憧「ま、ね。初戦で当たると必ずどちらか敗北だからなー……」
憧「シズには悪いけど、あたしも和とはトーナメント表近すぎないでほしい」
東京・インハイ組合せ抽選後
憧「直で会うのは超お久しだねー」
和「そうですね。何年ぶりか」
憧「あーあ。試合前の自由時間にお忍びで和と再会って、今更ながらシズを騙してるみたいで罪悪感」
和「誰かを傷つけない嘘ならそれもまた方便ですよ」
憧「ん。そーかな」
和「ええ。ということで、さっそくいつもの近況報告会です」
憧「いえー」
憧「ふっふふふ。あたしはシズと二人部屋だよー」
和「な!? それはもう実質結婚しているようなものではないですか!」
憧「それは言い過ぎ!」
憧「まっ、まあー。あたしとシズの心の通い合いは、熟年夫婦の域と言っても過言ではないけどね!」
和「ぐぬぬぬ」
憧「でもシズったら基本すぐに寝ついちゃうから、あんまりお話できないのが悩みどころよねー」
憧「各部屋に備え付けのちっこいお風呂に一人ずつ。和は?」
和「勝った! 私は大浴場です!」
憧「お。じゃあ咲さんと一緒に入れるのか。いいねー」
和「えっへん」
憧「何故威張る。ある胸を更に張っちゃって、このこの!」
和「きゃっ!? もうっ、憧ー。セクハラ禁止です」
和「そうですね。楽しい時間は過ぎるのがあっという間です」
憧「楽しさと体感時間の相関関係。これを新特殊相対性理論といいます」
和「嘘ばっかり」
憧「こんなでっち上げでもシズとか玄なら納得してくれんだけどなー、あはは」
和「あの2人は……、ふふっ、そうかもしれませんね」
憧「んじゃ、またね」
和「ええ」
憧「幸か不幸かトーナメント表は正反対。決勝で会えるよう頑張ろう!」
和「約束はできませんが、最善は尽くしします」
決勝翌日
憧「優勝おめでとー!」
和「ありがとうございます」
憧「いやはや、そちらの大将は強いね」
和「穏乃も土壇場で大物手をあがっていたではないですか」
憧「点差ありすぎて焼け石に水だったけどねー」
憧「和はあと個人もあるんだっけ?」
和「ええ」
憧「目指せ団体個人両制覇ー!」
憧「うん。近況報告会といきましょ」
和「こちらは……」
憧「全国中継されてる中で、咲さんとハグ!」
和「ううぅ、言わないでください……。あの時は優勝で感極まっていて……」
憧「まーまー。お熱いのはいいことじゃん」
和「優希にもからかわれてばかりで大変なんですよ……」
憧「つまり優希→和×咲?」
和「そんなんじゃないです!」
憧「誰のせいだ!」
和「おほん! それで、憧の方はどうですか?」
憧「あたしは……」
和「憧は?」
憧「シズと同じベッドで寝ちゃった! きゃー!」
和「なななななー!?」
憧「いやほら、シズったら試合後の夜になって気持ちが落ち着かなくなってきたみたいでね」
憧「決勝で負けたことが、後から悔しくてたまらなくなってきたみたいで」
憧「だから少しでもシズの心をあったかくできるよう……、えへへ。一緒のお布団でギュッてしながら寝ちった」
和「羨ましいです羨ましいです!」
憧「勢いでチューぐらいしときゃよかったかなー。なんちゃって」
憧「後だから言えることだわ、これ」
和「何がですか?」
憧「おっぱい淫乱レズピンク転校生と、こうも腹割って話せる仲になるなんて、ってね」
和「私は淫乱ではありませんし転校生だったのも昔のことです!」
憧「あはは。おっぱいレズピンクは否定無し?」
和「もうっ……。憧だって人のこと言えない癖に」
憧「なんにせよ、これからも仲良くできるといいね」
和「はい。本当に」
憧「そんじゃあたし、麻雀部で東京見物する約束あるからここいらで」
和「分かりました。では今回はお開きですね」
憧「個人戦ガンバ!」
和「憧も東京見物楽しんでください」
赤土「よし! 東京見物いくぞー!」
穏乃「お? あれが東京名物東京タワーか!」
憧「いや。それただの高層ビル」
穏乃「ガーン」
宥「玄ちゃーん……」
玄「ああっ、おねーちゃんがあったかそうにしつつも人波に押し流されていく!」
灼「はぐれる前に早く助けないと」
赤土「よし、4人はそこに固まっていて。私が救出してくる」
灼「あ。ハルちゃんも人波に巻き込まれた。二次遭難」
玄「赤土先生ー!?」
灼「駄目だこれ」
憧「……」
憧「ねえ、シズ」
穏乃「ん?」
憧「これ以上あたし達まではぐれないように手繋ごうよ」
その時、シズがほのかに、今まで見せたことのない類いの恥じらいを浮かべたのはあたしの気のせいだろうか
玄「こうなったらおねーちゃんと赤土先生の救出は私にお任せ……、わぁあああああ!?」
灼「うわ。ハルちゃんを助けにいった玄まで三次遭難」
灼「私がいくしかないか……」
穏乃「うわー! 灼さんが四次遭難!」
時と共に人と人の距離は移ろって、それにともない関係性や気持ちも変化して
この先シズとあたしが近くにいつづけられる保証なんてどこにもないけれど
憧(はからずもシズと2人きりですと!?)
憧(いやいや、迷子を喜んじゃいかんいかん)
憧「よし、こうなったらあたし達も突撃だ!」
穏乃「いけるかこれ!?」
憧「なんとかなるなる!」
きっと和との近況報告会で最高の報せが届けられる日に憧れを馳せて
インターハイ後もあたしの日々は続いていくのでしょう
和「憧。百合に興味はありませんか?」アコス「へ?」
おわり
また書いてね!
すばらです!
貴重な憧穏すばらです
Entry ⇒ 2012.08.24 | Category ⇒ 咲-Saki-SS | Comments (1) | Trackbacks (0)