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真美「エッチな」亜美「しりとり→!」
真美「じゃあ真美から始めるよ?」
亜美「オッケ→!負けないかんね!」
真美「真美だって!えっとねぇ…最初は……」
亜美「最初は?」
真美「こ……」
亜美「こ?『こ』のあとはなぁに?」
真美「こ…こ…コンドーム……」
亜美「!?!?!?」
真美「な、なにさ?」
亜美「いきなりエッチすぎるよ!ママに怒られちゃうよ!」
真美「だだだって……」
亜美「あ、亜美、ちょっとドキドキしちゃったよ」
真美「亜美の番だよ?『む』だかんね!」
亜美「む…胸タッチ…」
真美「!?」
亜美「ど、どうしよ…亜美、すっごいエッチなこと言っちゃったよ…」
真美「つ、次は『ち』だね……」
亜美「う、うん……」
真美「ち…乳首……」
亜美「!?」
真美「し、仕方ないじゃんかぁ!次は『び』だかんね!」
亜美「び…び……」
真美「こ、降参してもいいんだよ?」
亜美「やだ!ぜったい負けないもんね!」
真美「は、恥ずかしくなってきちゃった……」
亜美「ビーチク!」
真美「!?」
亜美「な、なにさ?」
真美「どこでそんな言葉覚えたのさ!?」
亜美「ど、どこだっていいじゃんかぁ!亜美、もう子供じゃないもん!13歳だもん!」
真美「エ、エッチすぎるよぉ……」
亜美「んっふっふ~。降参するかね?」
真美「やだやだやだ!」
亜美「ちょっと強烈すぎたかなぁ?んっふっふ~」
真美「んっと……口づけ!」
亜美「!?」
真美「な、なに?」
亜美「そ、それってつまり……その……チュ、チューのことだよね?」
真美「そ、そだよー!それも、大人のチューだよ!」
亜美「エッチだよ……亜美のお姉ちゃんは超エッチだよ……」
真美「んっふっふ~。これは真美の勝ちですかな?」
亜美「け…け……」
真美「無理しなくてもいいんだよ、亜美?」
亜美「経験済み……」
真美「!?」
亜美「し、知らない!亜美知らないもん!」
真美「姉として亜美の将来が心配だよ……」
亜美「ま、真美の番だよ?『み』だかんね?」
真美「み…み……」
亜美「どうやら亜美の方が一枚上手だったかな?んっふっふ~」
真美「『見てもいいよ?』」
亜美「!?!?!?」
真美「いいじゃんかぁ!」
亜美「……なにを見せるの?」
真美「ブ……」
亜美「ブ……?」
真美「ブラの肩ひも……」
亜美「ダ、ダメだよ真美!そんなの、旦那さん以外に見せちゃダメなんだかんね!」
真美「だ、旦那さんに言ったんだもん!」
亜美「強烈だよ、真美ぃ……」
真美「つ、次は『よ』だよ?」
亜美「よ…夜這い……」
真美「!?!?!?」
亜美「お、男の人が部屋に忍び込んできて……」
真美「そ、それから?」
亜美「あ、朝までゲームして遊んだり……」
真美「そ、そうなの?」
亜美「たぶん……」
真美「ダメだよ……朝までゲームとか不良のするけとだよ!」
亜美「あ、亜美はそんなことしないもん!」
真美「い…い……」
亜美「む、無理しなくてもいいんだよ?」
真美「淫乱……」
亜美「!?!?!?!?!?」
真美「だ、だって!」
亜美「しかも『ん』付いちゃったし!」
真美「あっ!」
亜美「……ちやみに、意味分かってんの?」
真美「えっと…誰とでも……」
亜美「誰とでも……?」
真美「チューしちゃう人……」
亜美「そ、そんなのぜったいダメだよ!!!!!」
真美「真美のことじゃないもん!!!!!」
亜美「亜美のお姉ちゃんはやっぱりエッチだよ……」
亜美「お、おやすみ!」
真美「おやすみ→!」
………
……
…
亜美「亜美、もう13歳だもん。子供じゃないもん。だから……」
亜美「あ、朝までゲーム、してみよっかな……」
お し ま い
真美は悪い子
読み返します
真美は可愛いなぁ
可愛いな
Entry ⇒ 2012.07.17 | Category ⇒ アイマスSS | Comments (0) | Trackbacks (0)
貴音「わたしが、やよいで!」やよい「私が、貴音」
P「えっ?」
やよい(貴音)「言葉の通りでございます」
貴音(やよい)「わたしが、貴音さんになっちゃたんです!」
P「……」
P「…やよい?」
貴音(やよい)「なんですかぁ?」
P「……」
P「…はい」スッ…
貴音(やよい)「たーっち!」スッ…
P&貴音(やよい)「いぇい!」パァン…
P「……」
P「…面妖な」
やよい(貴音)「はい」
やよい(貴音)「なんでございましょう?」
やよい(貴音)「あなた様」
P「……」
P「…どっきり?」
やよい(貴音)「いえ…」
やよい(貴音)「誠に面妖ながら…」
やよい(貴音)「私とやよいの精神が…」
貴音(やよい)「入れ換わっちゃったんですよー!」
P「……」
P「…面妖ってレベルじゃないぞ」
ここまでは考えた
P「…貴音」
やよい(貴音)「はい」
P「……」
P「(なにこの落ち着きのあるやよい…)」
P「…やよい」
貴音「はぁい!」
P「……」
P「(ハイテンションな貴音…)」
P「(…こっちはちょっとアリだな)」
誰か頼む
俺からの最後の願いだ
やよい「それが・・・」
やよい「よく分からないのです」
P「いやいや、普通あるでしょ!」
P「頭をぶつけたとか、階段から一緒に落ちたとか・・・」
P「そういうベタなのが!」
貴音「でも本当に気づいたらこうなってたんですー!」
P「うーん・・・」
やよい「戻るときも案外自然と戻るのではないでしょうか?」
貴音「なんだか1日くらいはこのままって声が聞こえます!」
P「分かった! それ以上は言うなやよい! そういう設定なんだな!?」
やよい「決して理由を考えるのが面倒な訳ではない・・・とも」
P「シャラーーップ!!」
やよい「そうですね・・・」
貴音「うっうー! これからどうしましょう?」
P「・・・」
P「よし! 皆には黙っていよう」
やよい「その心は?」
P「面白そうだから」
やよい「・・・」ゴゴゴゴゴ…
P「ひっ!」
P「もしバレたりしたら亜美たちにからかわれたりして大変だぞ?」
P「1日くらいなら仕事もなんとかなるだろうしさ!」
やよい「はぁ・・・よくもまぁ口が回るものです」ジトー
P(オウフ・・・ジト目のやよいもいいわ)
貴音「でもプロデューサーの言ってること、合ってるかも・・・」
P「な? 楽しめばいいさ!」
やよい「わたくしは、本日の仕事は終了致しましたが・・・」
貴音「あっ! 私さしすせその収録がありました!」
P「そうか、なら貴音は収録に向かってくれるか?
やよいはなるべく俺と一緒に居てくれると助かるんだが・・・」
貴音「うっうー! 分かりました!」
P「二人共バレないように一応お互いの真似をしとくんだぞ?」
やよい「承知しました。やよいの真似をすればいいのですね」
貴音「月が・・・わたくしの封印されしまぞくの血を呼びさまします!」
P「うん、やよいは全然違うから無理しなくていいや」
やよい「分かりました。水瀬伊織」
伊織「えっ、今・・・」
やよい「参りましょうか」キリッ
伊織「は、はい」
スタスタ
P「本当に分かってんのかな、貴音のやつ・・・」
伊織「・・・」
伊織「ねぇ、やよい。何か怒ってる?」
やよい「ウッウー?」コクッ
伊織「なんだかさっきから全然喋んないし・・・もしかして私のこと嫌いになった・・・?」グスッ
やよい「・・・そんなことはありませんよ。伊織」
伊織「本当に?」
やよい「ええ。わたくしが伊織を嫌いになるはずがありません」ナデナデ
伊織「なっ・・・」カァァ
やよい「ふふ・・・」
伊織「わ、私もやよいのことは・・・ずっと、好きよ」モジモジ
やよい「それはそれは・・・」
やよい(後でやよいに伝えてあげなければいけませんね)クスッ
伊織「・・・///」
P「おーい! あんまり走り回るなよ」
貴音「あっ、ごめんなさい! 貴音さん身長高いから、面白くて・・・」
P(やよいが入った貴音って不思議な感じだけど、違和感はないんだよな・・・)
P(二人共天然っぽい所あるから似てるのかな?)
貴音「~~♪」ポヨンポヨン
P(しかしイイね)
ドサッ
P「ん?」
貴音「はぁ・・・はぁ・・・」
P「やよい!!」
貴音「なんか・・・急に頭がフラフラして・・・」
P(身体も震えてる・・・。やよいに一体なにが・・・)
P(いや、待て。これは貴音の身体なんだ)
P(クソッ! まさかあいつ、俺達に隠している病気が・・・?)
グゥゥゥ~~~~
P「って、ん?」
貴音「あぅぅ~///」
やよい「ウッウー。有難うございます」
D「早速なんだけど、打ち合わせに入ろっか・・・」
やよい「もし。そのことで一つお願いがございます」
D「うん?」
やよい「出来れば本日のめにゅーは、らぁめんにして頂きたいのですが・・・」
D「えっ、どうしたのよいきなり?」
やよい「らぁめん以外は、作り慣れていないもので・・・」
D「えぇ? いや、この前まで出来てたじゃない。あんな感じで大丈夫だからさ! ちゃっちゃと作っちゃってよ」
やよい「ちゃっちゃ・・・? 今ちゃっちゃと仰いましたか・・・?」
D「そ、そうだけど・・・」
やよい「日々の生活を支えている料理に対して、ちゃっちゃとは何事です!!」バン!
D「ひぃぃ!?」
やよい「はっ」ガバッ
やよい「ふっ!」ジャバッ!
カメラマン「おおっ! あの湯ぎりは・・・天空落とし!!」
やよい「せやっ!」ババッ!
やよい「まだです!」シュババッ!
スタッフ「今度は見たことない湯ぎりだ・・・! 決して天空落とし以外知らない訳ではないぞ!」
D「もうこれ子供向けの料理番組じやないよね・・・」シクシク
ゴトン
貴音「はわっ、これ全部食べてもいいんですかぁ?」キラキラ
P「ああ、好きなだけ食べなさい」
貴音「うぅうー! いただきますー」
P(ラーメン不足で禁断症状が出るって・・・どんだけだよ!!)
貴音「すごいですよプロデューサー! 食べても食べてもお腹一杯になりません!」
~~~~~
やよい「うぅ・・・出来上がったらぁめんが全然食べれません・・・」グスッ
貴音「ごちそうさまでした! プロデューサー!」ガルーン
貴音「もやしも沢山食べられて、大満足ですー!」
P「そっか、そりゃぁ良かった」
P「あれやっとくか?」スッ…
貴音「はい! たーっち」パァン…ポヨン
P(オウフ、貴音のボディにその無邪気さはアカン)
P「・・・」
P「・・・はい」スッ…
貴音「? たーっち」パァン…ポヨヨン
P「へへへ・・・」
貴音「うーん、えーっとぉ・・・」
貴音「そうだ!」
貴音「プロデューサー、私・・・」
貴音「大人しか出来ないことが、したいです・・・」
P「なんと」
ウィーン
貴音「わーい! もやしを大人買いしちゃいましたー!」
P(うん、俺は何もやましいことは考えてないですよ?)
貴音「こうするのがずっと夢だったんですー!」ルンルン
P「なぁ、やよい。大人買いはな・・・別に大人じゃないと出来ない訳じゃないぞ」
貴音「ええっ?! そうだったんですか!?」
貴音「私ずっと大人しかやっちゃいけないのかと思ってました・・・」カァァ
貴音「大丈夫です! 長介たちがいますから・・・ああっ!」
貴音「今の私・・・貴音さんでした!」
P「そうだ・・・家のこと全く考えてなかったな。貴音を呼ばないと」
やよい「その必要はありません・・・」
P「おお、貴音。なんでここに」
やよい「」ジワッ
貴音「貴音さん・・・? はわっ」ダキッ
やよい「やよい、今すぐ元に戻りましょう。らぁめんが! らぁめんがあぁ!!」ヒックヒック
P「何があった」
やよい「らぁめんを伸びきらせてしまうとは・・・わたくしは・・・」ドヨーン
貴音「よしよし」
P「貴音、今夜は皆でやよいの家に泊まらないか? やよいも貴音の家は分からないし、そっちの方が戻りやすいかもしれないぞ?」
やよい「・・・そうですね。わたくしがやよいの家にいなければご家族
が心配するでしょうし、一人では勝手も分かりません」
やよい「お願い出来ますか、やよい?」
貴音「はい、もちろんです!」ニコッ
やよい「ふふ、不思議なものですね・・・」
貴音「?」
やよい「自分の笑顔に、癒されるというのは」クスッ
長介「姉ちゃんおかえりー」
P「お邪魔します」
貴音「えと・・・お邪魔します」
長介「えっ、誰?」
やよい「この人は、四条貴音。765プロのアイドルの一人ですよ、長介」
貴音「よ、よろしくね?」ニコッ
長介「」キュン
長介「お、俺! やよい姉ちゃんの弟の、長介っていいます! よろしく!」
貴音「う、うん」
P(長介、気持ちは分かるが中身はお前の姉だ)
貴音「はい!」
スタスタ
長介「いってらっしゃーい。えへへ・・・」
P「長介、俺は兄弟の面倒見るのを手伝うよ」
長介「あれ、いたのプロデューサー」
P「こ、こいつ・・・」
貴音「はい! 秘伝のタレを使ってて、とっても美味しいんですよ!」
P「俺も久しぶりだからワクワクしてきたよ」
長介「姉ちゃん達、何ぶつぶつ言ってるのさ。早く食べようよー」カンカン
貴音「こらっ! 食器で音を立てちゃ駄目って言ったでしょ! めっ!」
長介「あ、う、うん・・・///」
P(長介、そこを変われ)
やよい「貴音」
貴音「あっ・・・ご、ごめんなさい。つい」カァァ
やよい「ごほん・・・それでは始めましょうか。もやし祭り、開催です!」
>やよい「貴音」
このたった一行から凄まじいものを感じる
貴音「たか・・・やよいさん、そんなに焦らなくてもまだ沢山ありますよ」
やよい「わたくしにはまだ食べれるものがあったのですね・・・こんなに嬉しいことはありません」ポタポタ
長介「・・・」ポーッ
P(なんだこのカオス)
P「ほら行くぞ、長介」
長介「うん・・・」ポーッ
P「ダメだこりゃ」ズルズル
やよい「はて、わたくし達はどうしましょう・・・」
貴音「あの、同じ布団で寝ませんか?」
やよい「夜伽を・・・同じ布団で?」
貴音「はい、プロデューサーも出来るだけ側にいた方がいいって言ってました。
・・・それに貴音さんと一緒にいたいなーって。見た目は私ですけど・・・」
やよい「・・・ええ。構いませんよ」
貴音「うっうー。嬉しいです」
ともかく何かと間違えた
忘れてくれ・・・
貴音「・・・」
やよい「そういえば、伊織がやよいを、ずっと好きだと言っていましたよ」
貴音「伊織ちゃんがですか・・・なんだか恥ずかしいです・・・///」
やよい「ぜひ伝えねばと思っていたものですから」
貴音「・・・」
やよい「・・・」
貴音「・・・私、貴音さんになったおかげで、大人買いが出来ました」
貴音「プロデューサーに、大人じゃなくても出来るんだよって、言われちゃったけど・・・えへへ」
やよい「やよいはかわいいですね」クスッ
貴音「そんな・・・貴音さんの方が全然美人ですー」
やよい「やよい、他人と自分を比べるのは無粋というものですよ」
やよい「今日入れ替わってわたくし達は親睦を深めることが出来た」
やよい「それで善いではありませんか」
やよい「それでは、眠りましょうか・・・」
貴音「あれ、急に眠気が・・・」ウトウト
やよい「きっと・・・夢が終わる時がきたのです」
やよい「可笑しなものですね。これから眠りにつこうという時に・・・」
やよい「ふふ・・・」ウトウト
―――――
――――
―――
やよい「あ・・・あー!!」
やよい「元に戻ってますー!」
貴音「起きましたか、やよい」
やよい「貴音さん! おはようございます!」ガルーン
貴音「御早う、やよい。戻って良かったですね」
やよい「はい! ・・・あ、私、朝食の支度をしなくちゃいけないんだった!
早速行ってきます!」タッタッタッ
貴音「やよい・・・いつもお疲れ様です。それではわたくしも・・・」
長介「「うおーー!? こ、子供になってる!?」」
P「「なんだよこれー?! 兄ちゃんどうなってんの!?」」
貴音「・・・はて?」
おわり
そんな妄想が捗りました
Entry ⇒ 2012.07.16 | Category ⇒ アイマスSS | Comments (0) | Trackbacks (0)
貴音「らぁめんこわい」
貴音「ですから、らぁめんがこわいと申しました」
真(オーケー、落ち着こう)
春香「きゃん!」ドガラガッシャーン!
真(春香はいつも通りコケてるし・・・)
美希「Zzz・・・あふぅ・・・」
真(美希が覚醒したりってこともなければ・・・)
小鳥「ぼけーっ」
真(小鳥さんも相変わらず仕事していない・・・)
真(大丈夫。天変地異が起こるってワケじゃなさそうだ)キリッ
貴音「実は先日、落語の寄席を観覧したところ、『まんじゅうこわい』なる噺を知りました」
真「なるほど。はい読めたよ、読めました」
貴音「その時にふと思ったのです」
貴音「らぁめんこわいと申せば、皆がらぁめんを恵んでくれるのではないかと」キラキラ
真「うん。そんなことだろうと思った」
そもそもあの噺って周りの人が怖がらせようとするから成立すると思うんだ?」
真「765プロの誰かが貴音にいじわるするとは思えないから成り立たない気が・・・」
貴音「いえ、そんなことはありません! らぁめんの美味しさを知る者ならば、その美味しさを他人に伝えずにはいられないはず!
わたくしがらぁめん嫌いと知れば必ずや、その魅力を説く者が現れることでしょう!」フフンッ
貴音「また、元の噺通り悪戯として出されるパターンも双海姉妹で想定しております」ドヤッ
真「貴音なりに色々考えたんだね・・・」
真(ただ根本的に抜けてるのが、貴音のラーメン好きが既に知れ渡ってるっていう点なんだけど・・・・・・)
貴音「さて、先ずは誰からにしましょうか・・・」ワクワク
真(流石にストレートすぎて言えない・・・)
真「はぁ・・・」
春香「まーこーと!」ヒョコ
真「ん? あぁ、春香・・・」
春香「大丈夫? 元気ないよ? ほら、クッキー焼いて来たんだけど、真もどう?」
真「・・・うん、それじゃあ一つ貰おうかな。へへっ」
貴音「・・・・・・ふむ」ジーッ
春香「良かった。貴音さんもお一ついかがですk「春香」・・・は、はい?」
貴音「実はわたくし、今まで隠していた秘密があるのです。聞いて頂けますか?」
真「む、ごふっ?!」
春香「秘密、ですか・・・?」
貴音「はい。何を隠そうわたくしは・・・」
春香「わ、わたくしは・・・?」ゴクリ
貴音「らぁめん恐怖症だったのです!!」ドン!
春香「へ・・・? えっ? は?」ポカーン
貴音「ふふふ・・・」ニヤニヤ
春香(真・・・何これ!? なんて返すのが正解なの?!)ボソボソ
真(ぼ、ボクに聞かないでよ・・・)
貴音「どうでしょう? この哀れなわたくしに何か言うことはありませんか?」チラッ
のワの「え、ええっと・・・」
貴音「あ~つれー。実質麺類食せないからつれーわー。
実質麺類全般食せないからなー」チララッ
春香「そ、そそそそうだ! 実質麺類全般が食べれない貴音さんには、こ、このキャラメルもお付けします!」ススッ
貴音「・・・ほう。キャラメル、ですか」
真(765プロ随一のコミュ力を持つ春香が、為すすべもなく撤退した・・・)
貴音「キャラメルを手にいれました」
貴音「これはさながら、ぱーふぇくとこみゅにけーしょん、といった所でしょうか」フフン!
バッドコミュニケーション!
真「よ、良かったね・・・」
貴音「しかしこれではっきりしました。わたくしのぷらんに狂いはないと!」
真(どうしよう妙な自信がついちゃったみたい)
貴音「さぁ、次なる使者よ! うぇるかむです!」
貴音「プロデューサーですか・・・。これは早くも本命ですね」ワクワク
真「そうなの?」
貴音「はい。世話好きなあの方ならばおそらく・・・」
P『何っ!? ラーメンが食べられないだとっ!?』
P『それは一大事だ! 貴音、俺と一緒に特訓しよう。もちろん俺の奢りだからな!』
貴音『はい、あなた様とならば・・・』
P『いざ、二十郎へ!』
貴音「となること請け合いです!」
真「それはないんじゃないかな」
真「うん、もう貴音に何言っても無駄なんだね」シクシク
貴音「あなた様っ!」バーン
P「お、おう貴音・・・どうした?」
貴音「わたくし・・・あなた様に秘密にしていたことがあるのです」ダキッ
P「えっ・・・ひ、秘密?」ドキッ
貴音「今日まで黙っておりましたが・・・」
P「おいおい、それは流石にイカンて・・・」ドキドキ
貴音「わたくし、らぁめんがこわいのです」
P「ああ、俺もだよ・・・って、は?」
貴音「らぁめんこわい」キリッ
P「え、なにいってんの?」
P「いやいや、今まであんなに・・・どういうことこれ?」チラッ
真「え、えーっと・・・」
貴音「」ソワソワ
真(ら・く・ご!)パクパク
P「あ、あぁあ~・・・なるほど、把握したわ・・・」
貴音「分かって頂けましたか?」
P「・・・そうかそうか。こりゃあ大変なことだ。なんとかしなくっちゃな」
貴音「はい! 是非とも」パァァ
貴音「はい!」テカテカ
P「亜美隊員ー! 亜美隊員ー!」
亜美「アイアイサー!」シュタッ
P「いいか亜美、ゴニョゴニョ・・・」
亜美「ほうほう・・・」
貴音(これは・・・双海姉妹を使った特訓に違いありません! やりましたよ真!)
真(え~? 本当かなぁ・・・)
亜美「ラジャ→!!」バッ
貴音「あなた様・・・今のは一体・・・?」オズオズ
P「ああ、亜美に頼んだんだ」
P「給湯室にあるラーメンの買い置きをすべて捨てるようにな」
真「えっ」
貴音「なん・・・だと・・・?」ガクガク
P「そんなことないさ。貴音がラーメン怖いって言うならこれくらいはしないとな」
P「それにこの事務所で即席めんを食べるのは俺だけだ。捨てても問題ないだろ?」
貴音「わ、わたわたくしの・・・秘蔵これくしょんが・・・」ガタガタ
P「ん~~? 聞こえんなァー?」
貴音「はっ・・・がっ、ぐはっ・・・!」ワナワナ
真「ちょっと! プロデューサー!」グイグイ
P「なんだよ真?」
P(うむ、効いてるか・・・)ニヤニヤ
真(やり過ぎじゃないですか? 嘘だって分かってるんでしょ?)
P(いや、貴音のやついくら太らないからってラーメン食べすぎだったからな。以前から不摂生だと注意してたんだ)
P(それを聞かないばかりかこんな事をするとはな。ま、良い薬だよ)
真(そうかもしれないですけど・・・)
P「フフフ・・・」
真(絶対楽しんでるだろこの人)
真「あ、待ってくださいよー!」
真「はぁ・・・任せるってどうすりゃいいんですか・・・。あ、そういえば貴音h」チラッ
貴音「ひぃー・・・ひぃー・・・」ゼェゼェ
真「か・・・過呼吸になっとる」
貴音「ひっ、ひっ、ふー! ひっ、ひっ、ふー!」
真「いやそれじゃラマーズ法だから」
―――――
―――
真「少しは落ち着いた?」
貴音「はい、見苦しいところを見せてしまいました・・・」
真「もう諦めた方がいいんじゃないかな・・・」
貴音「いえ・・・これも未来のらぁめん食べ放題への試練と受け取りました」
貴音「わたくしは必ずらぁめんを得てみせます! 散っていったこれくしょんの為にも!」ゴゴゴゴゴ…
真「なんかもうボクは貴音の執念が怖いよ」
真「そんなお経みたいに唱えていても効果ないって」
ドサッ…
真「ん?」
響「あ・・・あ・・・」プルプル
響「たかねー!」ダキッ
貴音「ひ、響・・・?」
真(効果ありそうなのが一人いた)
響「どうしちゃったんさー? 貴音!? らぁめんこわいなんて言い出して!」
貴音「響・・・心配してくれるのですね。わたくしがらぁめん恐怖症ということを」
響「そんな・・・前はあんなに美味しそうに食べてたのに!!」
貴音「はっ! い、いえ・・・それは・・・」アセアセ
響「うわーん! 貴音がおかしくなっちゃったぞー!」
響「ラーメンが無理ならまずは沖縄そばからにしよう! 自分いい店知ってるんだ!」
貴音「響・・・」ホロリ
真(響・・・なんという良い子・・・)
P「ストーップ! 駄目じゃないか響! 勝手なことをしちゃあ」
響「えっ、でもプロデューサー・・・」
P「貴音が怖いって言ってるんだ。無理に食べさせるのは良くない。今は出来るだけラーメンから離れさせてあげるべきだ」
貴音「い、いえわたくしは・・・」
響「・・・うん、そうかもしれないぞ。また突っ走っちゃったな自分・・・」
響「ごめん貴音。こっちの気持ちを押し付けたりして」
貴音「なっ・・・あ、あっ・・・」ガクガク
真(響・・・なんという怒られ損・・・)
響「うん、連れてってあげるぞ。美味し過ぎてびっくりしても知らないからね!」
P「そりゃ楽しみだ。今度一緒に行こう。二人だけで」ニヤニヤ
キャッキャッ
真(プロデューサーがかつてないほど輝いてる気がするんだけど)
貴音「ひっ、ひっ、ふー! ひっ、ひっ、ふー!」ゼェゼェ
真「って貴音はまた!? さっきから一体何産もうとしてるのさ!?」
真「あ、あのさ貴音・・・やっぱり最初から無理があったt」
貴音「・・・月は出ていますか」
真「はい?」
貴音「月は出ているかと聞いています!!」バン!
真「はわぁっ!?」
真「そ、そんなこと聞いてどうするのさ・・・?」
貴音「かくなる上は」
貴音「さてらいときゃのんをぶち込みます」
真(ナンテコッタイ。貴音が壊れちゃった)
真(わっ! 貴音の銀髪がX字に割れて輝きだした・・・!?)
真「・・・」
真「・・・あの、盛り上がってるとこ悪いんだけどさ」
貴音「何でしょうか?」クワッ
真「月が出るとか出ないとか以前に・・・」
真「今昼なんだけど」
貴音「なんとっ」
雪歩「あ・・・四条さん・・・」
雪歩(椅子に座って窓の外を眺めてるだけなのに、かっこいいなぁ・・・)
雪歩「あの、何を見てらっしゃるんですか・・・?」
貴音「・・・雪歩ですか。わたくしは何も見てはおりません」
雪歩「え?」
貴音「しいて言うならば」
貴音「燃え尽きたのです。真っ白な灰に・・・」ルルルー
雪歩「ほぇぇ・・・」
の時は昼です。
雪歩「それって、プロデューサーと喧嘩しちゃったってこと?」
真「まぁ、喧嘩ってほどでもな「それです!」 っ!?」ビクッ
雪歩「ひっ?!」ビクッ
貴音「たった今、プロデューサーへの攻撃方法を思いつきました!」
雪歩「攻撃ですかぁ・・・?」ビクビク
貴音「そう、こーどねーむは・・・名付けて、『プロデューサーこわい』作戦!」バーン!
真「いやコードネームになってないから。内容バレバレだから」
本当に貴音が怖いんだけどナー(チラッチラッ
P「うん、どうした?」
P(そろそろ音を上げたかな)
貴音「わたくし・・・わたくし・・・」
貴音「あなた様が嫌いです」
P「」グサッパリーン!
真(プロデューサーの眼鏡が吹き飛んだ)
P(貴音に嫌われた? うそーん!)
P「ま、待ってくれ貴音・・・」アセアセ
貴音「むっ」ツーン
P「いや違うんだよ! あれは貴音の為を思って・・・」
貴音「もう知りません」プイッ
P「あばばばばば」
真「ははは、見てる分には面白いね」
雪歩「ま、真ちゃん、いくら振り回されたからって・・・」アワワ
貴音「」ピクッ
P「軽い気持ちだったんだ! ほら、良くあるじゃないか・・・」
P「好きな子にはイタズラしたくなるって!!」
貴音「!」
雪歩「はわわっ」
P「あっ、いいい今のはっ」
貴音「あなた様の・・・まことの気持ち、ですか?」
P「・・・・・・ああ、そうだ」
真「えっ、何。結局こういう結末?」
響「イヌ美も食わないとはこのことだぞ」
貴音「それも・・・こわくなるくらいに・・・」
P「貴音・・・」ギュ
貴音「・・・ふふ」
P「どうしたんだ?」
貴音「わたくし、また一つこわいものが出来てしまいました」
P「おいおい、次はなんなんだ?」
貴音「そうですね、次はわたくし」
貴音「接吻がこわい、です」クスッ
真「ちゃんちゃん」
Entry ⇒ 2012.07.16 | Category ⇒ アイマスSS | Comments (0) | Trackbacks (0)
P「皆に冷たい態度とった後に優しくしてみる」
P「ん?なんだ?」
春香「いつもはクッキーなんですけど今日は頑張って……じゃじゃーん!ちょっとしたケーキにしてみました!」
P「あぁそうか」
春香「いつもクッキーじゃ飽きると思って!よかったら食べてください!」
P「うん」
春香「ど、どうですか……?」
P「別に」
春香「え?……お、おいしくなかったですか?」
P「別に」
春香「おいしくないなら……おいしくないって言ってください……次また頑張りますから」
P「いやそういうことじゃない」
春香「え?」
P「そもそも期待してない」
春香「!!!」ジワッ
春香「……そう、ですよね……。勝手に持ってきて迷惑、でしたよね……」
P「それも思わん。だからどうでもいい」
春香「っ……!わ、わかりました……すみませんでした……!」ダッ
P「おい春香」
春香「っ!……はい」
P「俺はクッキーだとかケーキだとかどうでもいい」
春香「………」
P「味だって期待してない」
春香「わ、わかりましたから……も、もういいですよね……」グスッ
P「ダメだ。お前は何にもわかってない」
春香「……え?」
P「お前が作ってきたものなら何でもいいに決まってるだろ」
P「クッキーでもケーキでも毎日作ってきてくれる」
P「砂糖と塩を間違えたときもあっただろ」
P「でもそんなの俺は気にしない」
P「お前が、お前が作ってきてくれることが楽しみなんだから」
春香「ぷ、ぷろでゅーさーさぁん……」
P「だからさ、無理に頑張らなくていいぞ?」
春香「……いえ、私もっともっとおいしいお菓子作ってプロデューサーに食べてもらいたいんです!」
P「そっか」
春香「その時はちゃんと、味も判定してもらえますよね…?」
P「もちろんだ」
春香「……ふふっ。わかりました!それじゃ楽しみにしててくださいよ?」
P「あぁ、楽しみにしてる」
春香「また明日も、絶対作ってきますから!……プロデューサーさんのため、ですからね?」
完
こんな短いのでいいのか?今のうちに路線変更できるなら誰か案をくれ
流石は春香普通すぎる
P「そこはこうだろ」
千早「あ、なるほど。ありがとうございます」
千早「すみませんプロデューサー、こっちは感情の変化を付けた方がいいでしょうか」
P「どっちでも構わない」
千早「わかりました」
千早「何度もすみませんでしたプロデューサー今日は」
P「気にしてない」
千早「……やっぱり、怒ってますか?」
P「怒ってるわけないだろ」
千早「でも、いつもよりしゃべって無い気がします」
P「気のせいだ」
千早「私がこんなこと言っていいのかわかりませんが、プロデューサーはもっとたくさん声をかけてくれます」
千早「いえ、もっと悪いときは指導してくれて、いい時には褒めてくれます」
千早「それは私にとって、活動する上でとても重要でした」
千早「でも今日は、対応するのが面倒な、適当に答えておけばいい、と言った印象で」
千早「何か悪い点があったなら言っていただければ直します」
P「……そんなものは特にない」
千早「でも……」
P「……」
千早「わかりました……プロデューサーはもう私を見限られたと」
P「……違う」
千早「いいんです、私の力不足でしょうから」
P「……」
千早「今までお世話になりました。それでは」
P「…待て千早」
千早「止めないでください。もうプロデューサーに迷惑はかけられません」
千早「ダメ、とは?」
P「誰がお前みたいな逸材を見限るかよ」
千早「い、逸材なんてそんな……」
P「謙遜しなくてもいい。お前はそれだけ力がある」
P「それは俺の予想を超えてたんだ」
千早「そんなこと……」
P「普段の練習についててしばらく、俺の指導では足りない。圧倒的に力不足、それは俺だった」
P「プロデューサーとして、アイドルにすべてを任せるなんてこと、できなかった」
P「でも、千早自身が考えた方がよくなってる。そう気が付いたとき」
P「俺は千早に指導するのをやめよう。そう思ったんだ」
P「それでも、俺は結局千早をダメにしてしまうんだな……」
千早「……ふふっ」
P「……何がおかしい」
P「……それはホントに思ってる」
千早「今日の感じ、どうでしたか?私に任せた場合、ですよね」
P「これといって目立たなかった、気はするが」
千早「プロデューサーに指導されてどれくらい経ってると思ってるんですか」
千早「今日の些細な質問の回答からでも、いい方に改善してもらえる。そう核心してました」
千早「でも、やっぱり今日はこれといって目立たなかった。それはやはりプロデューサーの分です」
P「……」
千早「それに、全部任せてもらえるなら引き留めたりしないでしょう?」
P「なっ……まさかお前」
千早「ちょっとした、冗談です。プロデューサーが思いつめてることくらい、なんとなくわかります」
P「全くお前は……」
千早「私のプロデュース、もうあきらめますか?私に任せてしまいますか?」
P「いや、最後までやらせてもらう。やらせてくれ」
千早「それでこそ、プロデューサーです。でも条件があります」
千早「ちゃんと、指摘してくれること」
P「……そうだな。いままでと同じように」
千早「はい。……できれば褒めても欲しいですけどね」
P「ん?なんか言ったか?」
千早「いえ、何も。ではこれからもよろしくお願いします」
P「あぁ」
千早「はい。それではお先に失礼します」
P「……千早」
千早「はい?」
P「お前のそういうとこ、好きだぞ?」
千早「え、あっ、は、はい?今なんて?」
P「なんでもないなんでもない。それじゃな」
千早「あ、はい……ふふっ、やっぱり私のプロデューサー、だな」
千早編 完
順番はもうなんか適当だから気にスンナよな!
続けて、どうぞ
P「おはよう」
美希「ハニー!今日はやる気が出ないから一緒にデートしよっ!」
P「バカいうな」
美希「いいでしょーまだレッスンまで時間あるしイキヌキって必要だと思うな!」
P「……」
美希「むー…無視しないでほしいの!じゃあ、ハニーのお仕事終わってからでいいよ!」
P「……」
美希「ミキはね~遊園地とか行きたいの!あ、でも人がいっぱいで大騒ぎになっちゃうかも…」
P「……」
美希「しかもハニーと一緒に歩いてるところを観られちゃったら……!あ、でもハニーだったらいいの!ね、ハニー?」
P「……」
美希「……ハニー?」
P「なんだ」
P「別にしてないじゃないか」
美希「さっきからミキが独り言言ってるだけなの!」
P「そうだな」
美希「……お仕事の邪魔?」
P「まあそうだな」
美希「……ごめんなさい。でも、ハニーとおしゃべりしたかったから」
P「邪魔ってわかってるならちょっと黙っててくれ」
美希「っ……わかったの……」
P「……」
美希「……ねぇハニー」
P「なんだ」
美希「ハニーはミキのこと好き?」
P「仕事してるの、わかってくれたんじゃないのか」
美希「答えて」
美希「好きかどうか、聞いてるの」
P「じゃあ、好きじゃない。これでいいか?」
美希「……」
P「俺は、お前が、好きじゃない」
美希「わかったの……もういいの……」
P「…・…レッスンはいいのか?」
美希「……今そういう気分じゃないの…」
P「そうか……」
P「じゃあもうお前来なくていいぞ」
美希「え!?」
P「仕事できない上に仕事邪魔するやつはいらない」
美希「い、嫌!う、嘘なの!これからレッスンに行ってくるから!」
P「ホントか?」
P「いやいややったレッスンなんてやるだけ無駄だ」
美希「……でも、レッスンしなきゃ、ハニーと会えなくなっちゃうの……」
P「レッスンしないお前に会えなくても俺は問題ない」
美希「や、やだよハニー!ごめんなさい!ミキ、ミキちょっとだらけてだだけなの!」
美希「これから本気でやるから、嫌いにならないで!」
P「じゃあ行ってこい」
美希「は、ハニー……」
P「行かないのか?」
美希「っ……!」ダッ
P「待て」
美希「な、何?れ、レッスンいかなくちゃ……」
P「なんでレッスンに行くんだ?」
美希「そ、それは……レッスンにいかなきゃハニーに会えなくなるから…」
P「だったら行く意味ないって言っただろ」
P「美希」
美希「……グスッ」
P「美希」
美希「はい……なの…」
P「お前は何のためにアイドルになったんだ?俺に会うためか?」
美希「違うの……ミキはもっとキラキラしたいから……」
P「だったら、レッスンはなんのためか、もう一度思い出してみろ」
美希「……」
P「俺はキラキラしてる美希が好きだ」
美希「え?」
P「ただし、キラキラしてない美希は嫌いだ。大嫌いだ」
美希「……」
P「だったらお前がやることわかるよな?」
美希「ミキ……」
P「………なんのために?」
美希「もっとキラキラするために。それでキラキラした姿をファンのみんなやハニーにみてもらうためなの!」
P「……よし」
P「美希、こっちにこい」
美希「え?……きゃっ!」グラッ
P「俺は、そういうお前が好きだから。嫌だったりやる気がでないこともあるかもしれない」ギュッ
P「それでも、お前にはずっとキラキラして欲しいんだ」
美希「ハ、ハニー……うん、ミキ間違ってた」
美希「もっともっとキラキラしてハニーに見せてあげる!楽しみにしててよね!」
P「あぁ。それでこそ美希だ」
美希「そしたら……」
チュッ
美希「あはっ♪それまで絶対待っててよね、ハニー?」
美希編 完
徐々に追い詰められて長くなりつつある俺がいる
最後のキャラとかとんでもないことになりそうで怖い
P「あぁ」
雪歩「……」
P「……」
雪歩「……」
P「……なんだ?」
雪歩「あっ!い、いえ別に……」
P「………」
雪歩「えっと……その……」
P「ん?」
雪歩「お、お茶大丈夫…ですか?」
P「あぁ」
雪歩「おいしくなかったり……」
P「別に」
P「……」
雪歩「あ、あの!」
P「ん?」
雪歩「お菓子もよかったら……」
P「あぁ」
雪歩「………」
P「……雪歩」
雪歩「は、はいっ!」
P「なんでそんなかしこまってるんだ?」
雪歩「え!い、いやその……お、怒って、ますか…?」
P「いや」
雪歩「その……あんまりしゃべらないというか……」
P「何がいいたいんだ」
雪歩「うぅ……そ、その……今日のプロデューサーはちょっと……怖いというか…」
雪歩「だからその……お茶がおいしくなかったりしたのかなって……」
P「普通だぞ」
雪歩「い、いつもなら……お、おいしいって言ってくれるのに……」ボソボソ
P「ん?聞こえないぞ?」
雪歩「ひゃぁ!い、いえ!………怒っては、ないんですね」
P「あぁ」
雪歩「それなら……いいんですけど…」
P「もし怒ってるとしたら、そういうとこじゃないのか?」
雪歩「え?」
P「怒ってない人に怒ってる?って聞くって相手が無愛想だって言ってるようなもんだろ?」
雪歩「あ、いや……そ、そんなつもりじゃ……」
P「ブツブツ言わないではっきり言ったらどうだ?」
雪歩「ぃや、その、あうぅ………」ジワッ
雪歩「うぅ……」グスッ
P「別に怒ってないんだけどな。なんか気分が悪い」
雪歩「………」
P「ボソボソ言ってたら伝わるものも伝わらないだろうに」
雪歩「………」
P「そんなんじゃ相手に失礼にあたる」
雪歩「………」
P「言葉を選んでブツブツしゃべるくらいなら思ったことをぶちまけた方がいいだろ」
雪歩「だって……」
P「だってとかでもとか言ってるようじゃダメだな」
雪歩「私だって……!」
P「ん?なんか言ったか?」
雪歩「プロデューサーが何も言ってくれないからじゃないですか!!」
雪歩「いつもはちゃんと、ありがとうとかおいしいとか言ってくれるのに!」
雪歩「今日は受け取る返事だけで、もしかしたらいらなかったのかなとか」
雪歩「そのあとも全然話しかけてくれないからおいしくなかったのかなとか」
雪歩「不安で不安で……それでもプロデューサーが何も言ってくれないから」
雪歩「怒ってるんじゃないかって……私が怒らせたのかなって……」
雪歩「それだけなんです……それが言いたかっただけなんですぅ……」
P「言えたじゃん」
雪歩「……え?……あ、あぁっ!」
雪歩「い、いやその、ぷ、プロデューサー!い、今のはそのぉ……」
P「しっかり伝わった。最初からそうやって伝えればいいんだ」
雪歩「あぅ………」
P「むしろ最後は雪歩が怒ってるように見えたけどな」
雪歩「っ!わ、私なんて……!もう穴掘って埋まってますぅ~!!」
雪歩「ふぇっ……?」
P「お前は相手に気を使って自分の意見を閉じ込めてしまうことがある」
P「もちろんそれはすごいことだ。でもずっとそれじゃあ自分が成長しない」
P「そうやってちゃんと自分の気持ちを、相手に伝えられるようになって欲しかったから」
雪歩「ぷ、ぷろでゅーさー……」
P「ちゃんと大きな声で言えば伝わるんだ」
雪歩「そ、そうですね……わ、私頑張ります!」
P「あぁそうだな」
P「でも、怒鳴りつけられても、雪歩だったら平気かな」
雪歩「え、え?」
P「必死な雪歩、可愛かったから」
雪歩「っ~~~!も、もう埋まってますぅ~~~!!!!」
雪歩「……でも…ありがとうございました、プロデューサー!」
雪歩編 完
誰か書いてくれてもいいのよ
ネタ切れついでに休憩 とりあえず1時間くらい離れる
P「なんだ伊織」
伊織「なんだもこうだもないわよ!なんで私がお笑い番組にでなきゃいけないわけ?」
P「良いだろ別に」
伊織「よくないわよ!よりによってこの伊織ちゃんが!熱湯風呂に入るような真似をしなきゃいけないの?」
伊織「そんなの無理に決まってるじゃない!誰もそんなの望んでないわ!」
P「仕事だからな」
伊織「……あんた、本気で言ってるわけ?」
P「あぁ」
伊織「アイドルの仕事ってもんをちょっと考えたらどうなの?本人の了解もなしにこんな……!」
P「いやならやめればいい」
伊織「え?」
P「そしたらもうお前は知らん。他のやつにプロデュースしてもらえばいい」
伊織「ちょ、ちょっと待ってよ。どうしてそうなるのよ!」
伊織「っ~~!いいわそういうことならそれでいいわよ!」
P「あぁ。それじゃあな」
伊織「…………ねぇホントにもういいの、プロデューサー?」
P「もう俺はお前のプロデューサーじゃないぞ」
伊織「なっ!い、今ならさっきの発言をなかったことにしてもいいわよ!」
伊織「こんな仕打ちしておいて、許してあげるんだからありがたく思いなさいよねっ!」
P「お前は誰に口をきいてるんだ?」
伊織「…え?」
P「もうお前と俺は同じ事務所ってだけだ。俺は年上だ。敬語を使え」
伊織「っ………」
P「それじゃああの話は取り消しておくからあとはお前で頑張れ」
伊織「……待ちなさいよ」
P「なんだまだ話があるのか」
伊織「……そ、そこまで言うなら……出てあげるわよ……」
伊織「いい加減にしなさいよ!どうせドッキリかなんかなんでしょ!」
P「……」
伊織「む、無視するんじゃないわよ!」
P「……」
伊織「ね、ねぇってば……」
P「………」
伊織「プロデューサー……」
P「……」
伊織「話を聞いてよ……」
P「……」
伊織「っ……聞いて……ください……」
P「なんだ」
伊織「だ、だから……出てあげ……私番組に出させてください…」
P「嫌だったんじゃないのか?」
P「無理してないか?別にいいんだぞ」
伊織「も、もう!出るっていってるでしょ!!」
P「………」
伊織「っ~~~~!!!」
伊織「…………さい」
P「ん?」
伊織「ごめんなさい!!私、私わがまま言って!プロデューサーに迷惑かけて!」
P「……」
伊織「私、プロデューサーがいいの!お願い!もうわがままいわないから!!」
P「いいんだな?」
伊織「…………はい」
P「よし、合格だ」
伊織「……え?」
P「一回プライド砕いておくくらいが自然になると思ってな」
伊織「………」
P「ん?どうした?」
伊織「あ、あ、あんたは~~!!!!」
P「敬語はどうした」
伊織「あ、っと……その……」
P「……ぷっ!はっはっは!しっかり身についてるな。よかったよかった」
伊織「っ~~!!!!こ、この変態!!!絶対に!絶対に許さないんだから!!」
P「まあそういうなって」
伊織「はぁ……なんかものすごく疲れたわ……」
P「俺は楽しかったけどな」
伊織「あんた今日は夜道に気をつけなさいよ……」
伊織「全く……もうあんたにプロデュースしないなんて言わせないんだから!覚悟してなさいよね、にひひっ♪」
伊織編 完
次はだれかな
P「そうだな」
やよい「ここが次のライブ会場なんですか~……」
P「あぁ」
やよい「ここ、ぜーんぶにお客さんがいるんですよね!うぅ……緊張してきちゃいます……」
P「そうだな」
やよい「……プロデューサー?」
P「なんだ」
やよい「具合でも、悪いんですか?」
P「別に」
やよい「さっきからあんまりお話できてなかったので……あ、私もうちょっと見てるので座っててもいいですよ!」
P「大丈夫だ」
やよい「そうですか~。あ、もしかしてプロデューサーも緊張してますか~?」
P「そんなわけないだろ」
P「俺のことは気にするな」
やよい「は、はい……」
P「…………」
やよい「………」
P「………」
やよい「……プロデューサー、ちょっと座ってください」
P「なんでだ?」
やよい「とにかく座ってください!」
P「なんでそんなことしなきゃいけないんだよ」
やよい「いいんです!座ってください!」
P「………これでいいのか」
やよい「はい!そしたら………えいっ!」ダキッ
P「………何やってるんだ」
やよい「そんなときはこうやって、抱きしめてあげるんです。嫌なことがあったら私に、話してください」
やよい「あ、でもプロデューサーの悩みは私に解決できるかわからないですけど……話すだけでも気分は変わります!」
P「あのだな……」
やよい「なんですか?緊張しなくていいんですよ?」
P「そういうことじゃなくて…………それならひとつ聞いてくれ」
やよい「はい、私でよかったら!」
P「一旦抱き着くのをやめてもらっていいか」
やよい「あ、はい」
P「……やよい」ダキッ
やよい「ひゃぁっ!ぷ、ぷろでゅーさー…?」
P「お前はやっぱり、すごいな」
やよい「え?そ、そんなことないですよ……他の皆さんと比べたらまだまだ歌も踊りも……」
P「まあそうかもしれないけど、お前には誰にも負けない元気がある」
やよい「元気……そうですね、他のみなさんにも負けないくらい元気はあります」
やよい「え?」
P「いやなんでもないさ。おかげさまで悩みが消えたよ」
やよい「そうですか?それならよかったです!!」
P「あぁ」
やよい「それじゃあもうちょっといろいろ見てきますね!」
P「あぁ……やよい」
やよい「はい?」
P「お前の元気さは宝物だ。俺はやよいのそういうところが好きだからな。誇りに思っていいんだぞ」
やよい「好き、ですか!?そ、そういってもらえると嬉しいです!私頑張りますね!」
P「あぁ」
やよい「私もプロデューサーが大好きです!あ、でも……元気な方がもっと好きですよ!プロデューサー!」
やよい編 完
やよいは冷たくできなかった どういうことだってばよ
グダグダ話してるのはネタ切れだからなの許してね……
減速するけど全員書くつもりだ
④
P「あぁ」
真「衣装を自分でそろえる番組の準備なんですけど、僕だけだとちょっと不安なので」
P「そうか」
真「プロデューサーは時間とか大丈夫だったんですか?」
P「別に」
真「……もしかしていやいや来ました?」
P「いや」
真「……それにしては気がすすまなそうなんですけど……」
真「まあいいです、今日はよろしくお願いしますね!」
P「あぁ」
P「いいんじゃないか」
真「うわぁこっちもいいなぁ……どうですかねプロデューサー?」
P「良いと思う」
真「………あーこれもよさそうだなーどうおもまいすかーぷろでゅーさー?」
P「あーいいぞ」
真「……プロデューサーは何をしに来たんですか?」
P「何って」
真「僕が今見せたの子供用ですよ!全然みてくれてないじゃないですか!」
P「あぁ」
真「あぁって……結構重要なんですから!真剣に選んでくださいよ!」
P「別になんでもいいだろ」
真「な、なんでもって!僕に子供用のを着ろっていうんですか!」
P「そんなわけないだろ。第一着れないだろうし」
真「……プロデューサーはやっぱり嫌、だったんですね……」
真「じゃあ!なんでそんな適当に選ぶんですか!やっぱり面倒だからなんじゃないんですか?」
P「じゃあそれでいいさ。お前ひとりで選ぶといい」
真「なっ!……わかりました。プロデューサーは座っててください。別に僕一人だけで大丈夫ですから」
P「あぁそうする」
真「……これもいいかなぁ…」
真「あ、これは新しいかも…・・うん、いい感じ」
真「わぁこれ新色!いいなぁ……似合うかな?プロデューサ!……あ、座ってるんだっけ」
真「……やっぱり一人で選ぶのは……」
P「終わったか?」
真「わぁ!きゅ、急に現れないでくださいよ!」
P「で、終わったのか?」
真「……まだですよ。急かさないでください。ここから厳選するんです」
P「どれでも一緒だろ」
真「なっ!!プロデューサーがそんな女心のわからない人だとは思いませんでした!!もう先に帰っててもらって結構です!!」
真「あっ……ううん、プロデューサーがあんなこと言うと思わなかった!これでいいんだ!」
真「そうだなぁ…こっちの色にはこれが合うけど……」
真「模様はこっちがいいかな……でもちょっと目立ちすぎるような……」
真「……ホントは……プロデューサー!どうですかこれ!」
真「あぁ、似合ってると思うぞ。そ、そんな………はっ!な、何を考えてるんだ僕は!」
真「……でも、ちょっとデートみたいだって思ったのに……あんな……」ジワッ
P「おい真」
真「…え?ぷ、プロデューサー!?」
P「いつまで選んでるんだ。ちょっと来い」
真「ま、またそんなことを!ちょ、ちょっと引っ張らないでください!」
P「もう買っておいた。これでいいだろ」
真「そんな適当に!……しかもどうせ男ものばかりなんでしょう……?」
真「……これは……新作ばかり……しかもフリフリの……こ、こんなかわいいの僕に似合いますかね…?」
P「どうだろうな」
真「ちょ、そ、そこはせめて似合うって言ってくださいよ……」
P「だって気にしたことないさ。真は男ものでも女ものでも似合う。ってことは何でも似合うんだ」
真「え?」
P「真にはなんでも似合う。それは俺が保障する」
真「そ、そんなこと言って……適当なこと言っても嬉しくないですよ……?」
P「じゃあ、着てみろよ」
真「え?……は、はい……」
真「ど、どうですかね……」
P「可愛いじゃないか」
真「なっ!そ、そんな……」
P「やっぱりあんなにダラダラ悩む必要なかったんだ」
P「正直選ぶ楽しみはわからん。でも似合うんだからこれで問題ないだろ?」
真「全くもう……そういうことにしときますよ」
P「お前のそういう女の子らしさはすごく魅力だ」
P「だからこそこういうことはもっと自分の思う方に引っ張ってってもいいと思うぞ?」
P「力みたいな外見だけ男らしくていざという時女の子が出せなかったらもったいないもんな」
真「な、なんかセクハラっぽいですよプロデューサー!」
真「でも……わかりました。僕、これで番組でますよ!プロデューサーが選んでくれた服で!」
P「あーそれ店員に適当に見繕ってもらったやつ」
真「え!?ぷ、プロデューサー!!!」
P「似合ってるからいいじゃないか。可愛いぞ」
真「またそんなこと……今回だけですよ?女の子は可愛いに弱いんですから……ね、プロデューサー?」
真編 完
P「なんだ」
亜美「しりとりしようよ!」
P「やだ」
亜美「え→いいじゃ~ん!」
P「なんで」
亜美「んーなんかやりたくなっただけ→」
P「そうか」
亜美「ん~?なんか今日テンション低くない?」
P「別に」
亜美「ふ~ん。じゃあ亜美がテンションアゲアゲ↑にしてあげる!」
P「そうか」
亜美「えいえい!」
P「なにやってんだ」
亜美「いや、くすぐってんだけど……兄ちゃん強いね?」
亜美「なんか兄ちゃん、別に。とか。そうか。とかどっかの芸人さんじゃないんだからさ~」
P「……」
亜美「あれ?怒っちゃった?」
P「……」
亜美「あらら→やってしまいましたか亜美さん。はい、ちょっと予想外でしたねー」
P「……」
亜美「んーこれでも反応なしか→」
P「……」
亜美「……なんか変だよ兄ちゃん?なんかあったの?」
P「別に」
亜美「またそれか~。じゃあ今からする質問にYESかNOで答える事!」
P「いいえ」
亜美「はーやーいー!じゃあいくかんね!」
P「NO」
亜美「ほうほう。それじゃああんまり話をしたくない気分だ!」
P「YES」
亜美「そうなのか~……・え?」
P「YESだ」
亜美「そ、そうだったのか~……どうして?」
P「ただそういう気分じゃないだけだ」
亜美「……亜美、邪魔だったかな?」
P「そういうことでもないが」
亜美「じゃあなんで今日は……いつもと違うの?兄ちゃんいつももっと構ってくれるじゃん……」
P「そういう気分にならないってことだな」
亜美「そっか……じゃあ何しようか~」
P「まだそこにいるつもりか?」
亜美「え?あ、亜美のこと……?」
亜美「あ、亜美……ここに居ちゃ、ダメだったかな……」
P「……」
亜美「兄ちゃんと、遊びたかっただけなんだけど……」ジワッ
P「……」
亜美「………そっ、か……ごめんね兄ちゃん邪魔しちゃって……」グスッ
P「どこ行くんだ?」
亜美「ふぇ?だ、だってここにいちゃ迷惑になるから……」
P「そこは迷惑だ。もっとこっちにこい」
亜美「え?ど、どういうこと?」
P「こっちだ」
亜美「わぁ!ど、どうしたの兄ちゃん?」
P「お前が急にしりとりなんか言い出すからな。いつもなら飛び込んでくるところを」
亜美「……」
P「仕事で何かやらかしたんだろう」
P「俺を元気づけようとして、自分も励まそうとする。バレバレだぞ」
亜美「……」ジワッ
P「何よりお前がいつもの調子じゃないと俺まで調子が狂う」
P「ネガティブな亜美は亜美じゃない。いつも通りポジティブな亜美がみたい、いつもの亜美と話がしたいんだ」
亜美「に、兄ちゃん……」
P「まあ今日くらいは泣いてもいいぞ?理由は聞かないでやる。だけどまだ、お前は子供なんだ」
亜美「兄ちゃん……うわあああああああん!!」
P「…………落ち着いたか?」
亜美「う、うん……ごめんね兄ちゃん…」
P「別にいいんだ。ただ、お前は頑張り過ぎちゃうとこがあるからな。これくらいしないと折れなかっただろ」
亜美「まんまと兄ちゃんのジュッチューにハマったわけですな……」
P「そうだな。いつものおかえしってわけだ」
亜美「むむやりますな兄ちゃん……そしたら……えいっ!」チュッ
亜美「んっふっふ→これが今日の亜美のイタズラ!次はもっときっついのをお見舞いするから覚悟しててね、兄ちゃん!」
亜美編 完
P「なんだ」
真美「最近……さ、亜美ってどう?」
P「どうって別に」
真美「その……気になったりしない?」
P「何をいってるんだお前は」
真美「だって……」
P「ん?」
真美「ま、真美は……」
P「なんだ」
真美「…………」
P「何もないなら後にしてくれ。今忙しい」
真美「っ………わ、わかった……」
P「あぁ」
真美「…………」
P「なんだ」
真美「亜美はすごいんだよ」
P「そうか」
真美「竜宮小町ってやっぱり真美が思ってるよりすごくって。そこにいる亜美はやっぱりすごくって」
P「そうだな」
真美「真美も亜美みたいになりたいって思うけど、やっぱり難しいかな」
P「そうだな」
真美「え?む、無理……なの?」
P「あぁ」
真美「ちょ、ちょっと兄ちゃん!ちゃんと答えてよ!」
P「亜美みたいになるのは真美には無理だって言ったんだ」
真美「っ!!そう……なんだ……だから真美じゃなくて亜美が……」
P「それでもお前は、亜美になりたいのか?」
真美「えっ?」
真美「………真美、亜美…みたいになれるのかな?」
P「さぁな」
真美「うん……だったら真美、頑張ってみる!」
P「そうか、頑張ってみるか」
真美「うん!兄ちゃんも応援してよね!」
P「あぁ、それはできない」
真美「……え?」
P「俺は亜美になりたい真美をプロデュースするためにプロデューサーをやってるわけじゃない」
真美「ちょ、兄ちゃん……ど、どういうこと?」
P「とにかく俺はもうお前のプロデューサーじゃない」
真美「え、そ、そんなのやだよ!じゃ、じゃあ今まで通りで頑張るから!」
P「一度決意したことを投げ出すのか?」
真美「そ、それは……」ジワッ
P「そんなんじゃ亜美になんてなれるわけないだろ」
P「なんだ?」
真美「真美だって……ホントは亜美みたいにみんなの前でキラキラしたいもん……」
P「それは亜美みたいに、か?」
真美「違うもん!真美は、真美は真美らしく頑張りたいって思ってる!思ってるけど……」
P「だったら頑張ればいいじゃないか」
真美「え?」
P「お前は絶対亜美にはなれない。なぜならお前は真美だからだ」
P「亜美だって真美にはなれない。どんな似てる双子だって同じにはなれないしなる必要もない」
P「頑張れば、それはどうなったとしても頑張ったことを認めてくれる人はいる」
真美「に、にいちゃん……」
P「それでも亜美になりたいっていうならもう俺は知らない」
真美「うん、兄ちゃん、真美が間違ってた……真美頑張る!それで、亜美に勝ってやるんだ!」
P「真美」
真美「何?にいちゃ……ひゃぁ!」ドサッ
P「亜美にもこうしてやったからな。お前もいいぞ。甘えて」
真美「ちょ、ちょ、ちょ兄ちゃん!せ、セクハラだよ!!」サッ
P「なんでだ?亜美は喜んでたぞ?」
真美「そ、そういう問題じゃないっしょ→!ま、全く……」
P「よくわからんな。でも真美も可愛いからな。心配しすぎるなよ」
真美「ふぇっ!?か、か、かわ………!」
P「亜美とお前は違うんだから。別に競争しなくてもいいんだ」
真美「そ、そうだね…………でもね兄ちゃん」
P「ん?」
真美「……女には戦わなきゃいけないときがあるんだよ……」
P「なんだそりゃ」
真美「教えてあげな→い!……亜美に勝ったら、その時は、覚悟しててよ?兄ちゃん!」
真美編 完
亜美真美は天使
残りは響、貴音、あずさ+αかな?
ちょっと休憩してくる
できれば寝ずに終わらせたい
がんばれ
律子&小鳥さんをαにしたのに悪気はないんだ!悪かった!
できれば一気に描き切りたいね
だったら無駄レス叩いてないで書けって話ですな
P「あぁ」
響「ん、どうしたんだ?元気ないのかプロデューサー?」
P「別に」
響「まあそういう日もあるさ!でも元気があった方が気分もいいぞ!」
P「そうだな」
響「そうだ!そういう時は動物と触れ合うのがいいんだ!よかったら今からうちにくるか?」
P「いやいい」
響「遠慮しなくていいぞ!うちのみんなは家族だからな!噛んだりもしないしみんな人懐っこいんだ!」
P「そうか」
響「あ、プロデューサーはいぬ美を見たことあるもんな。だったらなおさら仲良くできるぞ!」
P「いい」
響「もう、強情だな!そんなに沈んでたら何もうまくいかないぞ!ほらほら早く!」
P「いいって言ってるだろ」
P「あぁ」
響「ごめんなさい……でもプロデューサーすごく暗かったから……」
P「俺、暗いか?」
響「あ、いつもと比べるとなんか……」
P「そうか。お前の中で暗いってなんだ?」
響「え?………しゃべらなくなるとか、下を向いてるとか?」
P「俺はちゃんと会話してたし下も向いてなかったが」
響「あ、そっか。じゃあえーっと……」
P「理由もなしに人を暗いとかいうのか?」
響「い、いや!そんなつもりじゃ!」
P「暗いなんて言われて喜ぶ人間はそうそういないぞ」
響「ご、ごめん……そういうつもりじゃ……なかったんだけど……」
P「その挙句無理やり人を連れて行こうとして」
響「うぅ……じ、自分が悪かったぞ……」グスッ
響「え、えぇと、自分がプロデューサーが嫌だって言ってるのにうちに連れてこうとして、しかも暗いとか言っちゃって……」
P「お前、最初に自分で言ったこと思い出してみ」
響「え?えっと………プロデューサーを励まそうとして……」
P「そうだろ?」
響「それで……うちに呼んでもプロデューサーが来ないって言って……あれ?なんで話が変わってるんだ?」
P「お前が勝手に変えたんだ」
響「だ、だって、今日のプロデューサー怖かったし……」
P「響」
響「は、はい!」
P「お前のその元気、動物の印象も相まってすごく安心できる」
響「そ、そんな!う、嬉しいけどちょっと恥ずかしいぞ……」
P「だが、暗くなってる人にこそ与える元気が、裏目に出てどうする」
P「暗い人にはとにかく押すんだ。それができないなら最初からやらない方がいい」
P「俺はさっき、途中で多少屁理屈を言ってかわした。が、やるなら家まで連れて行って励ますまでしなきゃだめだ」
P「だからと言って無理やりはダメだ。嫌ならさっさと諦めること」
響「な、なるほど……・自分何も考えずにやっちゃったから……」
P「でも何も考えなくてもうまくいくことだってあるしな」
響「むー……わかってても言われるとなんか悔しいぞ……」
P「まあ、そこが響のいいところだ」
響「そ、そうか……えへへ、自分もっと頑張るぞ!」
P「あとそうやってなんでもうのみにするのもやめろよ。自分の考えを貫かなきゃダメだ」
響「あ、はい……うぅ……なんだか難しいな……」
P「気にするな。ここまで全部作り話だ」
響「え?うぎゃー!そ、そんなのってないさー!」
P「まあお前のやってることは間違ってないってことはホントだ。それとそれがお前のいいところってのもな」
響「そ、そうか……うん!自分もっともっと頑張るぞ!ありがとな、プロデューサー!」
響編 完
P「あぁ」
貴音「すっかり遅くなってしまいましたが今日は始めてですね。おはようございます貴方様」
P「あぁ」
貴音「……どうかなさいましたか?」
P「いや」
貴音「そうですか……」
P「……」
貴音「貴方様はこの時間まで何を?」
P「別に」
貴音「そうですか……」
P「……」
貴音「貴方様?」
P「なんだ」
P「……答える必要があるか?」
貴音「………七夕、ご存知ですよね?」
P「あぁ」
貴音「それでは願い事はされましたか?」
P「いや」
貴音「そうですか。私もまだ短冊をつけておりません。と言ってももう数年付けておりませんが」
P「……」
貴音「外で子供たちが短冊に願いを書き、笹に付けているのを見ると何やら懐かしく感じまして」
P「……」
貴音「先ほど書いたのですが、お見せしましょうか?」
P「……いい」
貴音「そうですか……」
P「用件はそれだけか?」
P「そうか……」
貴音「貴方様ももうお帰りになるのですか?」
P「……あぁ」
貴音「それでしたら……一緒に短冊を付けていきませんか?」
P「……」
貴音「いやでしたらいいのです。私一人で」
P「……行こう」
貴音「……はい」
貴音「……願い事は決まったのですか?」
P「……もとよりいい年した大人が願い事何てこっぱずかしいがな」
貴音「そんなことはありません。いつになっても人は願うものです」
貴音「いつになっても叶うわぬもの、いつであっても叶うもの、それぞれです。少しくらい願っても罰はあたらないでしょう」
P「……」
貴音「それで……なんて書かれたのですか?」
貴音「そうですね。ですが、私も見せる必要はありません。それでは一緒につける意味がないというものです」
P「……」
貴音「同時に、見ましょうか」
P「……あぁ」
貴音「 」
P「 アイドルたちがみんな成功しますように 」
P「……なっ!」
貴音「ふふっ、騙してしまったようで申し訳ありません。ですが、どうしてもこうしたかったのです」
P「……一体なんだ」
貴音「先ほど会った時、いつもの貴方様とは雰囲気が異なっておりました」
貴音「その後、会話をして感じました。貴方様は何か考えがある、と。」
貴音「そこで七夕の話をさせていただきました。もとから短冊にはなにも書いておりません」
貴音「もし、貴方様が悪い考えを企んでいるようであれば短冊、もしくはそのまま帰ると思いました」
貴音「ですが、その短冊を見る限り貴方様は変わっておりません。……何があったのですか?」
P「その通り、俺はお前を待っていた。ただ、お前の演技力を試そうとしただけだが」
P「こちらのそっけない返答を何事もなくかわされて、七夕の話をされたときはどうしようかと思ったが」
P「……もう必要はないみたいだな」
貴音「そういうことでしたか……いえ、私のことを思っていただいてとても嬉しく思います」
P「……たくらみも何もないけどな」
貴音「なにより、短冊が全てです」
P「……これはとっさに……」
貴音「貴方様。やはり貴方様です。無理に手を煩わずとも貴方様のその気もちがあれば私達は成功します」
P「……・貴音」
貴音「では……私も短冊を書かせていただきましょう」
P「なぁ貴音」
貴音「なんでしょう?」
P「お前の中で俺は、これでいいと思うか?」
貴音「……さぁ?」
貴音「貴方様の、好きなようにすればいいかと」
P「そうか……ありがとう貴音」
貴音「いえ、私も楽しませていただきました」
P「はぁ、大した奴だよまったく」
貴音「……よし、できました」
P「そうか」
貴音「 事務所の背が幸せになりますように 」
貴音「つきなみな言葉ですが、これが一番よいかと」
P「そうだな。……でもさ。……皆って字がちょっと違うんだけど……」
貴音「え?……あっ!」
P「……ぷっ!あっはっは!こういう弱点があったか!やっぱり貴音可愛いとこあるな!」
貴音「っ~~!!い、いけずです!貴方様!!」
貴音「 ~~ますように 」ペラッ
「 この恋が綺麗なままでありますように 四条 貴音 」
貴音編 完
P「いえ」
あずさ「どうしてこう迷子になっちゃうのかしら~……」
P「はい」
あずさ「最初は目的地に向かうんですですけど、ふっと意識したときには別の場所についてるんですよねぇ~」
P「はい」
あずさ「……聞いてます?プロデューサーさん」
P「はい」
あずさ「さっきからはい、ばっかりですね。もしかして、怒ってます?」
P「いいえ」
あずさ「確かに私が悪かったんですけど、お話はちゃんとしたいです」
P「そうですね」
あずさ「でもこうやって毎日迷子になってたら大変、なんとかならないかしらねぇ?」
P「頑張ってください」
あずさ「もう!そういうときは、嘘でも僕が迎えに行きますくらいのこと言ってもらわないと!」
あずさ「プロデューサーさん……ちょっとふざけてます?」
P「いえ別に」
あずさ「もう……女心がわからないと他のアイドルの子にも嫌われちゃいますよ?」
P「他の子には嫌われても大丈夫です」
あずさ「……え?そ、それってどういう?」
P「そのままの意味です」
あずさ「……そ、そんな急に言われても……」
P「あずささんは僕が迎えに行く分嫌う理由がないでしょうし」
あずさ「えっ!?…………」
P「あの、あずささん?」
あずさ「……プロデューサーさん?」
P「あ、はい」
あずさ「さっきの、どういう意味か説明してくださる?」
P「え、えっと、迎えに来てほしいってことは嫌われたら迎えが来ない可能性もありますから嫌わないって確証があるってことです」
P「あ、いやその。聞かれたからといいますか」
あずさ「そもそも!プロデューサーさんの迎えに来る、は私の言葉じゃないですか」
あずさ「その上勘違いするような言葉を言っておいて、嫌わない確証?」
あずさ「そんな言葉を言われたら嫌いになるに決まってるじゃないですか!」
P「そうですか。じゃあ嫌ってもらっても結構ですけど道、どうします?」
あずさ「し、知りません!後でどうとでもします!」
P「あ、おひとりで帰られるんですか?」
あずさ「そうです!」
P「嫌っていいならもう僕、追いかける必要ないんで二度と会えなくなるかもしれないですけどいいですか?」
あずさ「え?…………そ、それは…」
P「嫌いなら、いらないはずですけど」
あずさ「どこまであなたって人は………」
P「まあ僕もそろそろ帰りたいので、隠れて後ろからついてきてもらってもいいですけど」
P「まあ独り言なんですけど。嫌いってすごく不安定な言葉ですよね」
あずさ「…………」
P「どこまで嫌いなのかそれだけじゃわからないし、嫌いって言葉の中に好きが混ざってたり」
P「でも逆の言葉好きって言うのはそこまで不安定じゃないんですよ。純粋一方通行の感情」
P「だから好きって思ってから嫌いって思っても嫌いって思えなくなるんですよね」
あずさ「…………」
P「僕も、迷子を迎えにくるのはめんどくさいです」
あずさ「っ………」
P「でも、迎えに来ちゃうんですよね。嫌いになれないというか」
あずさ「……」
P「だから、僕は嫌いになれないんです。その人を」
あずさ「プロデューサーさん……」
P「もう二度と会えないって、ドキッとしたのは僕の方だったりして」
あずさ「プロデューサーさん、貴方は……」
あずさ「は、はい」
P「でも、僕があずささんを嫌いじゃない。嫌いになれないってことを知っておいてもらえれば」
あずさ「わかり、ました」
あずさ「それじゃあ私の気持ちも知ってくれますか?」
P「はい」
あずさ「嫌いになれませんでした。それだけです」
P「わかりました」
あずさ「でも、私は言います。話を付けますよ」
P「……」
あずさ「私はプロデューサーさんのこと………」
あずさ「めんどくさいって思ってます」
P「!」
あずさ「そんな回りくどい話までして迎えの時も中途半端で、気持ちもあやふやで」
あずさ「そんなプロデューサーさんはめんどくさいです。でも」
P「……そう、ですね」
あずさ「ふふっ。これで、プロデューサーさんが私を迎えに来ないという可能性はなくなったわけですよね?」
P「そうなるのかもしれませんね」
あずさ「……こんなことしてたらやっぱり他の子には嫌われちゃいますよ?」
P「そうかもしれませんね」
P「でも、他の子にだけは嫌われてもいい」
あずさ「そうですね。といいたいところですけどそれはダメです」
P「ははっ、わかってますよ。言葉遊びのつもりです」
あずさ「今のプロデューサーさんはどこまでが本気かわからないですから」
P「まあ確かに。まあ不安定さが売りといいますか」
あずさ「ふふっ、でもそろそろ安定させてくださいね?」
P「はい」
あずさ「いつかは嫌いじゃない、じゃないたった一つの感情を。あなたに捧げますから待っててくださいね?」
あずさ編 完
とりあえずメンバーは制覇
サブと見せかけてメインイベントお二人はちゃんと書きたいからホントは寝てからがいいななんて
保守してくれたりしますかね
昼位に戻ってくるはず
保守サンクス 寝起きだからちょっと遅いかも
でも二人だから一気に書こうとは思う
P「あぁ」
律子「今日も忙しいんですから、シャキッとしてくださいよシャキッと」
P「あぁ」
律子「……体調でも悪いんですか?」
P「いや」
律子「じゃあなんでそんな返事がそっけないんですか」
P「別に」
律子「だからそういうところですよ。具合が悪いなら多少こっちで調整しますから休んでてください」
P「いやいい」
律子「よくないですよ。そんな状態でアイドルを任せられますか」
P「今までだってそうしてきただろ」
律子「……今日のプロデューサーはちょっといつもとは違います。だからこうして心配を」
P「お前はいつも俺を見てるのか?」
律子「え!?あ、、い、いや、そんなわけじゃ……」
律子「そういうことじゃないんですけど……」
P「じゃあどういうことだ」
律子「そんなに突っかかってこなくてもいいじゃないですか……ただ私は…」
P「なんだ」
律子「……わかりました。じゃああとはご自分で頑張ってください。アイドルはしっかり任せましたから」
P「おいおいちょっと待て」
律子「え?」
P「律子も具合悪そうだぞ」
律子「え?いや、そんなわけないですよ。大丈夫ですから」
P「いや、なんかいつもと違う気がする」
律子「も、もう……さっきのお返しですか?なら、プロデューサーは私のこといつも見てるってことですか?」
P「あぁ」
律子「……え?」
律子「……とらえ方によっては通報できますけどね、それ」
律子「心配してくれてるのはありがたいですけど、ホントに大丈夫なんで」
P「だからそういうところだって」
律子「はい?」
P「律子は、ホントは俺のことしっかり見てくれてたんだろ」
律子「あ、そ、それは……まあいつも仕事で会いますしある程度は……」
P「他のアイドルの事も、しっかり見てるしお前はすごいと思うよ」
律子「い、いえ……なんですか急に」
P「ただ、お前は一人だけ見てない」
律子「え?」
P「律子自身だ。もしかすると、俺は律子より律子を見てきたかもしれない」
律子「な、何言ってるんですか!そんなわけ……」
P「事務所にきたらまずスケジュールを確認してみんなに声をかける」
律子「っ……」
律子「……」
P「……ごめん、先に謝っておくよ」スッ
律子「え?……きゃぁ!」グラッ
P「……律子」ギュッ
律子「え、あ、えぇ?ちょっ!な、何してるんですかプロデューサー!セクハラで訴えますよ!」
P「別に変な気はない」
律子「へ、変な気はないって……十分変ですけど……」
P「急に、悪いな。でも、これくらいしないと律子は律子のままだ」
P「この際だから、自分に声をかけてみるんだ」
律子「……自分に……?」
P「今朝、俺にかけてくれたように、励まして、でも自分のやってきたことは正しいって」
律子「………」
P「お前はまだ若い。限界がどこかわからないまま走ってたら、気づくのは倒れてからになってしまうからな」
P「だから、ここで一呼吸置くんだ」
P「いたって俺は真剣なんだけどな」
律子「そういうことじゃないですよ……もっとこうムード的なものが……」
P「ん?」
律子「な、なんでもないですよ……」
P「そうか。意識的にリラックスできないなら目をつぶって、深呼吸するだけでも結構変わるはずだ」
律子「この状況でどうやってリラックスしろと……すぅーはぁー……」
P「……どうだ?少しは、楽になったか?」
律子「……そうですね。確かに、自分でも気が付かない疲れがたまってたかもしれません」
律子「その点では、ありがとうございます。でも……」
P「でも、なんだ?」
律子「……いい加減、離してもらえませんか?」
P「あぁ、そうだな。……離したくないって言ったら?」
律子「……え!?あ、っと…・・」
律子「っ…………バカ……」
P「なんか言ったか?」
律子「言ってませんよ!さっさと仕事してください!」
P「うん、いつもの律子だな」
律子「え?そ、そんな変わりました?」
P「いや、なんとなく。だって俺いつも見てるし」
律子「ま、またそれですか……そういうことをペラペラ吐かないでくださいよ?誤解を生みますから」
P「まあ見てることはホントだしなぁ」
律子「っ~~~!そ、それがダメだっていってるんです!」
P「そうだな。わかったわかった」
律子「もう……ただ、プロデューサーも人のこと言えませんからね?」
P「ん?」
律子「無理はしないでくださいよ!私だって…プロデューサーのこと見てるんですからねっ!」
律子編 完
たいへんよいものだ
P「はい」
小鳥「今日はアイドルのみんな、こないんですよね?」
P「そうですね」
小鳥「でも、ずっとお仕事してますよね?」
P「はい」
小鳥「ちょっと気になっただけなんですけど……」
P「はぁ」
小鳥「お手伝い、した方がいいですか?」
P「いえ」
小鳥「そ、そうですか……」
P「はい」
小鳥「……」
P「……」
小鳥「あの……プロデューサーさん?」
小鳥「何度もすみません。その……もう少しで終わるなら、今日一杯どうかなーなんて……」
P「まだ終わりそうもないので」
小鳥「そ、そうですか……あ、でもちょっとくらいなら待てますよ!全然!」
P「いえ」
小鳥「そうですか……」
P「……」
小鳥「……」
P「……」
小鳥「やっぱり……お手伝いしましょうか?それだけ時間がかかったら明日大変でしょうし…」
P「大丈夫です」
小鳥「プロデューサーさん、私の力を見くびってますね?これだけ事務員やってるんです!デスクワークは得意ですよ!」
P「大丈夫です」
小鳥「……どうして今日はそんなに冷たいんですか……?」
P「別に」
P「……音無さん」
小鳥「は、はいっ!」
P「ちょっと静かにしてもらっていいですか?」
小鳥「あ、はい……すみません……」
P「……」
小鳥「……うぅ……」
P「……音無さん」
小鳥「は、はい……」
P「帰らないんですか?」
小鳥「え?あ、あの……いたらマズイ、ですかね?お邪魔だったりしますかね?」
P「いえ別に」
小鳥「うぅ……そ、そういうことなら…・・お先に失礼します……」
P「そうですか」
小鳥「はい………では…」
小鳥「……」チラッ
P「……」ガタッ
小鳥「!」
P「……音無さん」スッ
小鳥「は、は、はい!」
P「今、見ました?」
小鳥「え、あ、いや、その……み、見てないです!別にパソコンを覗いたりなんて!」
P「そうですか。それならいいんですけど」
小鳥「……ほっ…」
P「……もし見られてたら帰すわけにはいかなかったんで」
小鳥「ピヨッ!?」
P「……見たんですか?」
小鳥「い、いえ!ち、ちらっと見ようとしましたけど!べ、別にそんな中身までは見えなかったといいますか!!」
P「……こっちに来てください」
P「で、どうしましょうか」
小鳥「ど、どうと言われましても……あ、あんまり変なことすると流石にまずいですよ……?」
P「大丈夫です。急とはいえ、同意してくれるのなら」
小鳥「ど、同意!!?そ、そんな、い、いくら私でもそんな、急すぎます!じゅ、準備ができてないです!」
P「まあそうでしょうけど、やっぱり見られてましたか。それならしょうがないです」
小鳥「だ、だから見てませんってばぁ!」
P「だったらなんでそのことを知ってるんですか」
小鳥「え?あ、いや!これは偶然!口から出ただけです!ホントです!」
P「そうですか……」スッ
小鳥「ひゃぁ………うぅ……」
P「そんなに怖がらなくてもいいんですよ?」
小鳥「……だ、だって……や、やっぱり…こういうことは話を重ねてからの方が……」
P「確かに普通はそうしますけど。それじゃ意味がないんです」
P「それにこの方が、音無さん喜ぶとおもいましたし」
P「大丈夫です。俺も初めてなんで」
小鳥「そ、そうなんですか!……だったら…安心、かな……」
P「それなら、一緒にイってくれますか?」
小鳥「……わかりました。覚悟はできてます」
P「ありがとうございます。それじゃあちょっと準備してきます」
小鳥「は、はい……!う、うぅ……緊張する……な、なんでこんな急に…」
小鳥「し、しかもよりによって夜の事務所で!や、やっぱりまずいわよね……でもこんなシチュエーション…」
P「お待たせしました。」
小鳥「ひゃ、ひゃい!!……その……今すぐ、ですか?」
P「流石にそれはちょっと。もう少ししたらですかね」
小鳥「わ、わかりました……それまでに私も心を決めておきます」
P「覚悟決めたんじゃないですか?」
小鳥「そ、そんなこと言ったって怖いものは怖いんですよぉ!」
P「大丈夫です。じゃあこれを」
P「秘密に計画してたのにまさかです。サプライズの方が喜んでくれるかと思ったんですけどね」
P「見られてしまったならかくしててもしょうがないですし。俺も楽しみですよ」
小鳥「え、っと……その…………今までの話は……」
P「? いつも音無さんにはお世話になってますから。ちょっとしたプレゼントです」
小鳥「そ、そういうことだったんですかぁ~~~…………」
P「いや、同意してくれたじゃないですか」
小鳥「そ、そうですね……嬉しいですはい嬉しいですよ」グスッ
P「そ、そんな泣かなくても……」
小鳥「うぅ……怖かった……」
P「いや、これからでしょ……?」
小鳥「怖かったったら怖かったんですっ!」
P「は、はぁ……」
小鳥「全くもう……でも、いいんですか?」
P「はい。俺も行ったことなくてちょうどオフが被るじゃないですか」
P「きゅ、急に積極的になりましたね」
小鳥「冷たくされて、その上あそこまで仕打ちをうけたんです!」
P「は、はぁ」
小鳥「当日は覚悟しててくださいよ!」
P「わ、わかりました」
小鳥「でも……よかったかな」
P「はい?」
小鳥「いえ、プロデューサーさんはプロデューサーさんだったってことです」
P「さっきからよくわからないんですが…」
小鳥「いいんですよ!さっきのお返しです!」
P「うーん、何かしたかなぁ…」
小鳥「……当日はちゃーんと、準備していきますから、プロデューサーさんも覚悟しててくださいね!」
小鳥編 完
後日談とかやってたらもう一日かかりそうなんで補完してくれい
長々と支援保守サンクス
全員書いたのは初めてだったからやたら波があると思う反省している
まあ乗っ取りでここまでやれたら満足
あとはそれぞれ脳内で好きにするといいさ!
乙
乙
Entry ⇒ 2012.07.13 | Category ⇒ アイマスSS | Comments (0) | Trackbacks (0)
雪歩「一等、プロデューサーと結婚できる券…?」
雪歩「うぅ…というか当たったところで使えなかったら意味ないし」
雪歩「どうせ偽物だよね…」
雪歩「…」
雪歩「あ、あの!ぷ、プロデューサーくじひとつください!」
雪歩「…」どきどき
雪歩「七等…プロデューサーと手をつなぐ?」
P「おーい雪歩」
雪歩「は、はいぃ!」
P「探したぞー休憩終わり、戻って撮影再開だ」ぎゅっ
雪歩「ひゃあっ」
雪歩「手、つないじゃった…プロデューサーと」
雪歩「えへへ」
雪歩「後でまたあのお店にいってみよう」
スタッフ「萩原さん撮影入りまーす」
雪歩「は、はい!」
雪歩「お店がなくなってる…」
雪歩「うぅ…夢だったのかなぁ」
雪歩「でも券は手元に残ってるし…」
雪歩「屋台みたいなお店だったから、移動してるのかも」
亜美「くじの屋台ね→」
雪歩「う、うん。見つけたら教えて欲しいんだけど…」
真美「おっけ→☆」
亜美「なんかおもしろそ→じゃん★」
真美「でっでっ景品は→?」
亜美「亜美たちが一等当ててやるっしょ♪」
雪歩「えぇっ!?それはだめだよぉっ!!」
真美「え→なんでなんで?」
亜美「そんなにいいものなのかな?」
真美「高級緑茶セットとか?」
亜美「まあとりあえず探してみよ→」
真美「でもど→やって探そうかぁ」
亜美「んっふっふ~そんなの簡単じゃん」
伊織「くじの屋台?」
亜美「いおりん検索なら一発っしょ?」
伊織「なによその検索法…まあいいわ、ちょっと待ってなさい」
伊織「ふふん、これぐらいは当然よっ」
真美「さっすがいおりん☆」
亜美「さてさてくじを引いてみよ→」
真美「なにこれ『プロデューサーくじ』?」
伊織「私たちをピンポイントに狙ったようなくじね」
亜美「一等、プロデューサーと結婚できる券?」
真美「なるほど→ゆきぴょんこれが欲しかったんだ」
伊織「ふん、ばからしい」
真美「七等、プロデューサーにラッキースケベされる、だって→」
伊織「あのねえ、こんな子どもだまし信じてるんじゃないわよ」
P「おーい亜美、真美ー!」
亜美「あっ兄ちゃんだ→」
真美「あれー?今日真美たちオフだよね?」
亜美「…?あーっ!今日りっちゃんと次のステージの衣装選ぶ約束してたんだった!!」
P「ほら、律子なら車でこっちまで来てくれてるから」ぎゅっ
亜美「あっ…」
真美「あーっ!亜美だけ兄ちゃんに手つないでもらうなんてずるいよ」
P「うおっこら真美あぶなっ!うわあっ」ドスン
真美「痛…うわっ兄ちゃんの顔が真美の太ももにいい感じに挟まってる!?」
亜美「同じ七等なのに真美の方が美味しいなんて…がくっ」
律子「はいはいあんたはさっさと車に乗る!」
亜美「真美たいちょー!亜美隊員の分も大人買いっといてくれー!!」バタン
真美「亜美隊員…お前の犠牲は忘れない!さあ次のくじを…」
真美「お金、もうなかったorz」
伊織「ええそうよ、全部!そこにあるくじありったけ!」
真美「いお…りん?」
伊織「全部よ!全部!!」
伊織「まあ、プロデューサーも幸運よね!」
伊織「こんなにかわいいお嫁さんができるんだもの」
真美「うー!いおりん全部はずるいよー!」
伊織「何よ、私はずるなんてしてないわよ。家のお金じゃなくて、ちゃんと自分の稼いだお金で買ったんだから!」
伊織「もうすぐ解析班が結果を報告する頃ね。まあ、結果は決まってるけど」
伊織「え…?全部外れ?」
真美「…いおりん」
伊織「何よそれ…じゃあ結婚はおろか、手もつなげないの…?」ふるふる
真美「あれ、一枚落ちてるよ?」
伊織「ぐすっ…ふぇ?」
真美「いおりんの買ったやつじゃない?開けてみなよ」
伊織「…」ぺりぺり
伊織「六等…頭をなでなで?」
P「何泣いてるんだ伊織?」
伊織「ッ!?」
P「どうした?やなことでもあったのか?」なでなで
伊織「…な、なにもないわよっ」
真美「あちゃーいおりんとろけた顔バレバレだよ…」
真「へー…わかった、見つけたら連絡するよ」
春香「うん、私も探してみるね」
雪歩「ふたりともありがとう」
真「まだ見つけてないからお礼はいいよ雪歩」
春香「でも雪歩がくじに興味あるって珍しいね」
雪歩「はぅっ…あの、それは…ひみつ」
春香「雪歩が言ってたお店ってあれかな」
春香「連絡してあげようっと」
春香「あっ雪歩?お店見つけたよっ」
春香「うん、うん、そうそう公園の中」
春香「雪歩が来るまでちょっとお店を見てみようかな」
春香「わあっ本当にくじのお店なんだ」
春香「プロデューサーくじ?」
春香「一等は…ええっ!?」
春香「…」きょろきょろ
のヮの「すいませんプロデューサーくじひとつ」
春香「雪歩には悪いことしちゃうよね…」
春香「やっぱり開けるのやめようかな…でも私だって」
春香「…」ぺりぺり
春香「五等、プロデューサーに抱きしめられる?」
春香「ええっ!?私とプロデューサーさんが…そんな、そんなわけ」わたわた
春香「ひゃあ」コケッ
P「春香危ない!」ぎゅうっ
P「偶然通りかかって良かった。大丈夫か春香?」
春香「は、はいっ」
P「大事な身体だからな、大切にしろよ」
春香「や、やだっプロデューサーさん!大事な身体なんて…」どきどき
P「じゃあ俺は行くから、気をつけろよ」
のヮの「もう一枚くらい買ってもいいかな」
真「ん?あそこにお婆さんがいる?」
真「階段を登るのに苦労してるみたいだ」
真「あの、ボク手伝います!」
真「ふーっ着きましたよお婆さん」
真「えっ!?お礼なんていりませんよ」
真「どうせひろいものだから?でも…ありがとうございます」
真「紙切れ?プロデューサーくじ?」
真「プロデューサーにお姫様だっこされる?」
真「うーん、こんなことそうそう起こらないと思うけど…」
真「でも…あこがれちゃうなぁ」(´ω`)
真「いたっ!?…足が…」
真「さっき痛めたのかな…くそっこんなこと滅多にないのに」
P「真…?どうしたんだこんな所で!?」
P「全然重くないよ真」
真「あのっ降ります!腕つかれますよね!?」
P「いや、むしろ役得だな」
真「えっ?」
P「真みたいなかわいい女の子をお姫様だっこして街中を歩けるんだぞ?俺得ってやつだ」
真「ッ…きゅうっ」ぷしゅー
P「ん、真…?なんで気絶するんだ真ー!?」
雪歩「あ、あったぁ」
雪歩「あ、あの…プロデューサーくじひとつください」
雪歩「…プロデューサーと結婚できますようにプロデューサーと結婚できますように」ぺりぺり
雪歩「四等…」
雪歩「プロデューサーとデートする?」
雪歩「はぅっ…これはこれで当たりかもですぅ」
雪歩「えへへ」
雪歩「どうしたんですかプロデューサー?」
P「ごめんな雪歩、今日のロケ中止になってしまった」
雪歩「そうなんですか」
P「変わりに今日は好きなとこに連れて行ってやるぞ」
雪歩「えっ?いいんですか?」
P「ああ、雪歩は最近レッスンも頑張ってるからな」
雪歩「えへへ、わかってても嬉しいです」
P「?」
やよい「プロデューサーが仕事持ってきてくれるって言ってたけど」
やよい「あれ?お店がある?」
やよい「プロデューサーくじ?」
やよい「一等…」
やよい「うー…でも無駄遣いは…」
やよい「あ、あのー」
やよい「今月の給食費どころかお夕飯も作れないかも」ぺりぺり
やよい「三等、プロデューサーが大きいお仕事と夕飯を持ってくる?」
P「や、やよいー!?」
やよい「プロデューサー?どうしたんですかー?」
P「う、受かってしまった…」
やよい「うー?なにがですかー?」
P「ハリウッドに出演だよやよい!しかも準主演だ!!今月どころか何年も先の給食費まで払えるぞ!!」
やよい「え、ええーっ!?」
P「すごいぞやよい!ついでに何故かさっき福引きで大量のもやしが当たったからやるよ」
やよい「うっうー!感激ですぅ!!」
真美「え、何いおりん?今ちょっとゼノモーフに苦戦中なんだけど!」かちゃかちゃ
亜美「真美上等兵!火炎放射したら燃えたまま突っ込んでくるからだめだよ!」かちゃかちゃ
真美「うお→パルスガン当たんないっしょ→」
亜美「ふっ甘いな…一回殴るんだよ上等兵」
伊織「ちょっとあんたたちゲームしてる場合じゃないわよ!」
伊織「プロデューサーが今この瞬間も一等を引かれる危険性を孕んでるのよ!?もう三等くらいはでてるかもしれない!!」
伊織「ぜったいぜったい他の子が一等を出すなんてだめなんだから!」
真美「いやーいおりん考え過ぎだよ→」
亜美「そうそう→他の子には滅多に見つけらんないし」
真美「第一あのお店知ってるの真美たちとゆきぴょんだけだし」
亜美「兄ちゃんはやよいっちの付き添いでハリウッドだし」
響「ん?どうしたハム蔵?」
響「ええっ!?お店を見つけた!?」
響「うん…うん…」
響「一等はプロデューサーと結婚!?」
響「プロデューサーと結婚かあ…えへへ」
響「うん、よーし自分早速行ってくる!ありがとうハム蔵!!」
響「よし!すいませーん!自分一回引きたいんですけどー!!」
響「うーん、これくださいだぞ」
響「…」ぺりぺり
響「あ、三等だ!」
響「えーっと、プロデューサーと一晩を明か…す?」
響「あわわそれはいきなりすぎるぞー!!」
響「わあ!?ほ、ほんとに来たぞー!?」
P「はぁ…はぁ…響…良かった間に合って…」
響「ぷ、プロデューサー、今やよいと一緒にハリウッドじゃ…」
P「響も明日大事な仕事だろ?急いで戻ってきたんだ」
響「えっやよいはどうするんだー?」
P「やよいは律子が変わりに見てくれてる。響と先に仕事する約束してたからな、そっち優先だ」
響「で、でも…」
P「明日の仕事が終わったらちゃんとやよいのとこに戻るよ、お前は明日の仕事のことを考えてろ」なでなで
響「プロデューサー…」じーん
P「それにしてももうこんな時間か…」
P「今日はどこかに泊まるか」
響「え、ええっ!?」
P「しょうがないだろ、明日の仕事は早いから事務所に集まってる時間もないし丁度いい」
響「で、ででででもっ」
P「大丈夫だ、部屋は分けてもらうから」
P「うーん、なぜこうなってしまったんだ」
響「あわわ…布団がぴったりくっついてるぞ」
P「なんかホテルの人が勘違いしたみたいでな」
響「こ、これは…もう覚悟を決めるしか…」ブツブツ
P「さ、明日もはやいし寝るか」
響「う…うん」もそもそ
P「はじっこだと寒いだろ?もっとよれよ」
響(ううぅ…嬉しいけど全然寝らんないぞ~!!)
貴音「プロデューサーは『はりうっど』に出張中とのこと」
貴音「つい、食べる量も増えてしまいますね…」
貴音「あなた様…あなた様が居ないとわたくしは…」
貴音「…プロデューサーくじ?」
貴音「はて、此処には行きつけのらあめん屋があったはずですが」
貴音「なんと面妖な」
貴音「…」
貴音「もし、一枚くじを頂きたいのですが」
貴音「…」ぺりぺり
貴音「三等、プロデューサーと接吻?」
貴音「はて?プロデューサーは海外…斯様なことが、本当に起こるのでしょうか?」
真美「お姫ちんにもプロデューサーくじがバレてたなんて…」
亜美「でも兄ちゃん海外だよね?さすがにムリっしょ」
伊織「このままじゃ誓いのキスの時私が初めてなのにプロデューサーは初めてじゃないなんてことになっちゃうじゃない!」
真美「いおりん…」
亜美「いおりん…」
伊織「阻止よ阻止!絶対に阻止!」
P「ようっ貴音」
貴音「何故こちらに?『はりうっど』のはずでは?」
P「響の仕事でちょっとな」
貴音「そうなのですか」
P「ん?ははっ貴音、ほっぺにお弁当つけてるぞ」ずいっ
貴音「あっ…」
伊織「阻止よ!」どん
P「うわっ…んぷっ」ちゅっ
貴音「んむっ」ちゅっ
亜美「あーあちゅーしちゃった」
真美「いおりん、タックルなんかするから…」
亜美「ナイス自爆…」
雪歩「はい…あ、あのもし見つけたら…」
小鳥「わかったわ、雪歩ちゃんに知らせればいいのね?」ぴよよ
雪歩「はい、お願いします!」
小鳥「でも…どんなくじなの?雪歩ちゃんて、あんまり賭け事なんてしないイメージだけど?」ぴよぴよ?
雪歩「はぅっ…それは内緒ですーっ!」
小鳥「あっ!事務所は走らないでねー!?」ぴよー!?
小鳥「うーん気になるなぁ」ぴよぴよ
美希「どこだろうねー美希も覚えてないの」
あずさ「うふふ、迷子になっちゃったわね」なでなで
美希「えへーっあずさに撫でられるの好き!」
あずさ「甘えん坊さんね、うふふ」
美希「あれ?何かなあそこ?」
あずさ「おでん屋さんかしら?」
美希「ねーねー行ってみようよっあずさ」
あずさ「あらあら?一等は…まあっ」
美希「うーん、美希的にはプロデューサーとか別にどうでもいいかな」
あずさ「私はやってみようかしら♪」
あずさ「ほらほら美希ちゃんも」
美希「えー?」
あずさ「ほらほら、うふふ」
美希「美希二等だよ?あずさにあげようか?」
あずさ「ううん、それは美希ちゃんのだから美希ちゃんが持ってて?なんて書いてあったの?」
美希「うーんとね、プロデューサーに命を救われて彼の本心を知る…だって」
あずさ「私は…あら、ラッキースケベですって、うふふプロデューサーさんのえっち♪」
美希「どうでもいいから早く行こーよあずさー」
あずさ「ッ!?美希ちゃん!!!」
美希「えっ?」
P「美希ーッ!!!」
美希「えっ?えっ?プロデューサー?車…?」
あずさ「美希ちゃん!!!プロデューサーさん!!!」
P「美希…無事で良かった」
あずさ「動かないでください、大怪我してるじゃないですか!!」
P「今日…レッスン入ってただろ…?サボリは…よくないぞ」
美希「プロデューサー、もしかして…美希を探して…」
P「大変なことになる前に見つかって良かった…」
美希「ごめんなさい…ごめんなさいプロデューサー…」
P「謝んな…助けるに決まってるだろ?」
P「お前も大切な、俺のアイドルなんだから」
P「才能はある…俺が保証する!」
美希「プロデューサー…」
P「俺のアイドルたちはみんなダイヤの原石だ…ただの石ころなんてひとりもいない」
P「確かに…すこし怠け者なところがあるけど…ファンをとびきり大事にしてる」
P「お前の明るさ、マイペースさがファンだけじゃなく、俺だって幸せにしてくれるときもある」
P「大丈夫、美希は素敵なアイドルだよ…今度から、また二人で頑張ろう」
美希「…うん、美希頑張る」
P「ああ、約束だ」
P「はい、すいません心配をおかけして」
社長「いやいや、安心したよ。本当に良かった」
P「ん、美希…?髪型かえたのか?似合ってるぞ」
美希「あ、あのね…美希決めたのっ本気で頑張るって!」
P「おおっ偉いな」なでなで
美希「ほんと?ハニー嬉しい?」
P「ハニー?」
美希「えへへっ美希絶対一等賞取るねっ」
P「???」
美希「おーいくじ屋さーん、プロデューサーくじひとつくださいなのーっ」
千早「八等…プロデューサーから貰った牛乳をのんで胸囲が0.000072㎜アップする…」
千早「…」
真美「亜美ーハンター相手に肉弾戦はないっしょ→これ難易度レジェンドだよ?」かちゃかちゃ
亜美「ぬわーっ」かちゃかちゃ
真美「亜美…飛ばされたかっただけっしょ」かちゃかちゃ
亜美「バレた?」
伊織「だからゲームしてる場合じゃないでしょ!?」
伊織「プロデューサーよ!?結婚なのよっ!?」
真美「最近のいおりんには余裕がありませんな」
亜美「ですな」
真「どこにあるんだろう」
小鳥「気になるぴよ」
千早「もう一回やってみようかしら…」
やよい「うっうー!久しぶりの日本ですーっ」
あずさ「あのくじ、また引きたくなっちゃった♪」
美希「くじ屋さーん、プロデューサーくじ引きたいのーっ」
貴音「はて?あの屋台は…」
響「うう、今度こそ一等当てるさー」
雪歩「えーっと情報だとこのあたりに…ってふぇっ!?みんな!?」
伊織「させないわっ!」だっ
真「あっ!こら伊織!」だっ
あずさ「あらあら」シュバッ
春香「ええっ!?あずささん早い!?」
小鳥「なんか面白そうぴよっ!参加するぴよっ!」
雪歩「ふわぁっ!?みんな待ってよぉっ」
雪歩「あ、あの…プロデューサーくじ…」
雪歩「えっ…最後の一枚…」
雪歩「は、はい…」
雪歩「うぅ…みんな買いすぎだよぉ」ぺりぺり
雪歩「え…?」
雪歩「一等…」
雪歩「一等…当たった?」
亜美「亜美一等とっちゃったよー!」
伊織「やったわ!一等!」
あずさ「あらあら、当たっちゃったわ~うふふ」
美希「一等賞なのーっハニー!」
春香「やった一等とっちゃったごめんねみんな(のヮの」
小鳥「よくわかんないけど一等賞!」ぴよっドヤッ
響「あわわ、まさかの一等だぞ!?」
貴音「…この券は宝物にしたいです」
真「ボクが一等!?やっりぃ!」
全員「……えっ?」
社長「プロデューサーくじなんて普通誰も買わないと思ってたんだが」
社長「ふむ…今度はアイドルくじでも作ってみようかな」
社長「はっはっはっ」
真美「というかどうなっちゃうのかな?」
雪歩「ううぅ…折角一等取ったのに…」ざくざく
貴音「雪歩、穴を掘ってはなりませんよ」
伊織「た、大変よ!?」
真「どうしたの伊織?」
伊織「ほ、法改正よ…」
春香「へ?」
伊織「たった今、重婚を認める法律が可決されたのよ!!!」
全員「ええーっ!?」
雪歩「で、でも良かったです…喧嘩にならなくて」
雪歩「これでみんな、プロデューサーのお嫁さんだねっえへへ」
おわり
皆好きなら個別に書いてもいいのよ
乙
面白いかった
Entry ⇒ 2012.07.12 | Category ⇒ アイマスSS | Comments (3) | Trackbacks (0)
美希「秋月律子、死す!なの」律子「ナニィ!?」
律子「(……?)」
「――さん!」
律子「(誰かが何か叫んでる……良くは聞こえない)」
「大――か!お―、――っ!」
「―子、しっか―――!」
律子「(……あれ、何だか……気が、遠のい、て……)」
律子「……ん……」
ムクリ
律子「………」
律子「ベッドの上……?」
律子「整理中に棚の上に積んであった段ボールがなだれ落ちて……下敷きになって」
律子「……そこから先の記憶がないわね。気絶した……?」
律子「手足は……大丈夫。大したケガはしてないみたい」
律子「周りには、誰か……」キョロキョロ
P「…」
律子「あ……プロデューサー!」
律子「あの……そ、そんな真剣な目で見つめられると、ちょっと恥ずかしいんですけど!」
P「…」
律子「ちょっと、聞いてます?」
P「…」
律子「……プロデューサー?」スッ
スカッ
律子「あれ?」
律子「……頭に包帯巻いた私が寝てる……」
P「…」
律子「えっ?……ちょ、ちょっと待って?どういう事?」
P「……うーん、なかなか起きないな」
P「あのヤブ医者、すぐに目覚めるでしょう、とか適当な事言いやがって」
律子「リッチャンハ、オキテマスヨー?プロデューサー?」
P「……おっと、悪いな律子、もう時間だ。また、後でな」ガタッ
律子「あっ、ちょ!どこに行くんですか!」
P「ただ今戻りました」
小鳥「プロデューサーさん、律子さんは……?」
P「医者が言うには、頭に小さなタンコブができてる以外に大きなケガはないそうです」
小鳥「よ、よかったぁ」ホッ
P「ただ、まだ意識が戻らなくて。今日はちょっと、現場復帰は厳しいんじゃないですかね」
律子「だーかーらー、私はここにいますってば!」プンスカ
律子「参ったわねー。もしかして、これが俗に言う幽体離脱?臨死体験?」
律子「……いやいやいや、まだ私死んでないっての。と言うか死んでも死にきれません」
律子「死因が段ボール箱の下敷きって……ないない。流石に」
P「………」ブルッ
小鳥「どうしました、プロデューサーさん」
P「いやぁ、なんかさっきから肩が重くて……寒気もちょっと」
小鳥「夏風邪ですか?」
律子「何か空も飛べる気がする……結構自由な感じよね」フヨフヨ
P「……しかし、どうしたものか。律子達のスケジュールが今日どうなってるか、分かります?」
小鳥「そう言えばホワイトボードの予定表、先週のままでしたね……」
亜美「なになに?律っちゃんがどうかしたの、兄ちゃん」
P「お、もう来てたのか」
あずさ「こんにちは~、プロデューサーさん」
伊織「午後に仕事入ってるからって昨日言ってたのに、本人がいないってどういう事?」
律子「あっ……し、しまった!」
亜美「ということは、休み!?」パァァ
P「いや、まだそうと決まった訳じゃ……」
P「そうだ、今日のスケジュール、お前達は聞いてないか?」
伊織「まだ何にも。今日来た時に言うつもりだったんじゃない?」
あずさ「あの~、律子さんに連絡は……?」
P「うーん、それもちょっと難しいんですよね」
亜美「じゃあお休みで良いよね、もう!」
律子「は?……ちょ、ちょっと、何馬鹿言ってるの!?」
小鳥「律子さん、スケジュール帳をいつも持ち歩いていませんでしたっけ?」
律子「そ、そうそれ!小鳥さん冴えてる!」
亜美「!」ササッ
P「あー、あれですか。じゃあ律子のバッグの中にでも入ってるかな」
P「んん?……無いなぁ」ゴソゴソ
亜美「…」のヮの
律子「……亜ァ~美ィ~?」
P「いや、流石に律子に無断でお前達を帰らせるわけには」
律子「そうです、そうですよ!」
伊織「じゃあこのまま事務所で待機してろってわけ?あたしはイヤよ」
P「うーん……」
あずさ「あっ……」
P「どうしました?」
あずさ「そういえば、駅前に新しい洋菓子屋さんが出来たんですよね~」
律子「な、何がそういえばなんですか、あずささん!?」
伊織「ふーん……そこまで言われると気になるわね」
律子「だあぁもう、このスイーツ脳共めが……!」
亜美「ハイハーイ!亜美から提案!」
亜美「事務所で待ってる位なら、みんなでそこに行っちゃおうYO!」ビシッ
律子「亜ァァ美ィィ!?」
律子「じょ、冗談じゃないわよ!んなとこ行ってたら予定のオーディションに間に合わなくなるじゃない!」
P「おい、亜美!」
律子「プロデューサー!早くこいつらを何とかして……」
P「俺にはシュークリームを頼む」グゥ
律子「ちょっとォォォォォッ!?」
律子「でもこのまま、亜美の思い通りになるのはっ……!」
律子「……何か、何か手があるはず」
律子「逆に考えるのよ、律子……この状態だから何もできないんじゃない」
律子「この状態だからこそ、出来る事が……!」
美希「Zzzz」
律子「……あった」
P「シュークリームでその店の味が分かるんだよ」
伊織「何言ってんだか。コンビニで買ってるまともなスイーツがシュークリーム位だからでしょ」
P「おい、コンビニスイーツをバカにするんじゃない。あれ結構イケるんだぞ」
小鳥「あ、じゃあ私もシュークリームで」
あずさ「はい~、それじゃ、買ってきますね~」
亜美「あっ、ちょっと待ってよ!あずさお姉ちゃ……」
美希「待たんかコルァァァァッ!!」ガバッ
「「「「「!?」」」」」
P「み、美希……?」
美希「……亜美?」ニコォ
亜美「な、何?ミキミキ」
美希「スケジュール帳、はみ出てるよ?」
亜美「えっ!ウソ!?」バッ
美希「……そこね」ヒョイ
亜美「あっ」
美希「プロデューサー、はい、これ」スッ
P「あ、あぁ。ありがとう……亜美が持ってたのか」
亜美「えぇー?ホントにー?」
P「スイーツなんか買いに行ってる場合じゃないぞ。すぐ会場に行かないと」
伊織「ちょっと待ちなさい。一体誰がそこまで送ってくれるのよ」
P「あっ……」
あずさ「……あ、あの~、私、最近免許をですね」
P「ダメです」
あずさ「…」シュン
P「それがだな……俺も丁度、この時間にトレーニングが入ってて」
美希「誰の?」
P「春香と千早と真美の三人だ」
美希「向かいにあるレッスン場なら、歩けばすぐだよ?」
P「今日はダンスのトレーニングだからな。不得意な分野だと、あいつらすぐ手抜きするんだよ」
美希「それならミキが見てあげますから」
P「そうかー、美希が見てくれるなら安心……」
P「はい?」
P「い、いや、ダメって事もないが……美希に任せるというのは、ちょっと」
美希「プロデューサーは、ミキの事信じてくれないの?」ウルウル
P「……わ、分かった。信じる、信じよう」
小鳥「えっ……」
伊織「よりによって美希に任せるとか、人選間違ってない?」ヒソヒソ
亜美「流石に、ねぇ」ヒソヒソ
美希「あ、そうそう。律子さんから、伊織達に伝言」
伊織「……何?」
美希「あんた達、もしオーディション合格しなかったら、明日から地獄の特訓だからね?」
亜美「」
伊織「」
あずさ「あら~……」
伊織「ぷ、プロデューサー!さっさと会場に連れてきなさい!」
亜美「……合格しなきゃ、合格しなきゃ、合格しなきゃ……」ガタガタ
P「そ、それじゃ、行ってきますね!小鳥さん」
小鳥「は、はい!」
美希「行ってらっしゃいなの~」
小鳥「………」
美希「……さて」ゴソゴソ
小鳥「……み、美希ちゃん?何してるの?」
美希「小鳥さーん、髪留めあります?」ゴソゴソ
小鳥「髪留め?……ゴムならありますけど」スッ
美希「あ、それでいいです。髪がバッサバサだと鬱陶しくて……」シュルシュル
小鳥「(……美希ちゃんが私に敬語を使ってる、だと……!?)」
美希「……これでよしっと」
美希「あとはジャージに……私の眼鏡、は使えないから……伊達眼鏡でいいかな~」ゴソゴソ
小鳥「(……あ、三つ編みも中々……)」
ガチャッ
春香「こんにちは、プロデューサーさ……あれ?」
美希「流石に春香は時間通りね」
春香「美希なの?……ど、どうしたの、その格好」
美希「今日はプロデューサーの代わりに、ミキが春香達を見ることになったの」
春香「な、なんだってー!」
美希「……他の二人は?」
春香「うーん、もうすぐ来るはずだけど……」
ガチャッ
千早「……み、美希……?」
美希「こんにちは、千早さん」
美希「プロデューサーから今日やる事、全部教えてもらったから大丈夫なの」
千早「………」
美希「不安?」
千早「不安にならない方がおかしいでしょ」
春香「拍子抜けだよね~……」
美希「そう。じゃ、さっさと始めよっか。時間も押してるし」
千早「えっ?」
美希「口を動かす暇があったらさっさとやる!」
春香「は、はい!」ビクッ
春香「何だか変な感じ……」キュッキュッ
千早「……ヒョーシに合わせて、チョーシが狂う……プッ」キュッキュッ
春香「ちょっ、変な事言わないでよ千早ちゃわっ……あ、っとと、うわわっ!?」ステーン
春香「あいたたた……」
美希「大丈夫?」スッ
春香「あ、ありがと」
美希「……千早さん。ミキしか見てないからって、手抜きしちゃダメだよ?」
千早「べ、別に手を抜いてなんか」
美希「トレーニング中にダジャレを考えるより、ちゃんとダンスに集中してね」
千早「うっ……」
春香「はぁ……はぁ……も、もう、動けない……」ペターン
千早「……け、結構、ハードに、やったわね……」ゼェゼェ
美希「運動で肺活量を鍛えるって、大事なことだよ?」
美希「千早さんも歌手を目指すなら、歌以外やらなくていい、なんて言ってられないと思うな」
春香「(……何だか、今日の美希ってすごくインテリジェンス……)」
千早「(……正論、なんだけれど……よりによって、美希に言われてるのよね……)」
ガチャッ
真美「やぁやぁ兄ちゃん、遅れてごんめー!」
春香「今日は美希がプロデューサーさんの代わりなの」
千早「と言うか真美、あなた随分と遅刻したわね……」
真美「丁度駅前のお菓子屋さんで、レディースデーやってたかんねー。ほらこれ、お持ち帰り~」ガサガサ
真美「あ、ミキミキも食べ……」
美希「………」
真美「ププ~ッ、何その格好?律っちゃんのマネでもしてんの~?」
美希「自分がこの中で一番ダンスが上手いから、遅れても文句言われないっしょー、位の気持ちだった?」
真美「えっ……?」
美希「真美は特別にみっちり鍛えてあげるから。覚悟なさいね」ゴゴゴゴゴ
真美「こ、このオーラは……律っちゃん軍曹、だと……!?」ガタガタ
千早「……ちょっと真美、事務所に着いたわよ。起きなさい」
真美「」グッタリ
小鳥「あ、おかえりなさーい」
P「お、帰ってきたか、美……」
美希「ただいまなの~……ふぅ」
P「!?」ドキッ
美希「三人に舐められないように、律子さんの真似、してみたんだけど……どう?」
P「う、うん……ギャップ萌えというか、何というか。様になってて、なかなかいいんじゃないか?」
美希「ふふっ……それで、オーディションは?どうだったの?」
P「オーディションな。あれはちゃんと合格したぞ」
美希「そうなの……お疲れ様でした。プロデューサー」ギュッ
P「!?……お、おう」ドキドキ
美希「あっ……そ、そう?」
P「美希にプロデューサー、なんて呼ばれるのは実に久しぶりというか、何というか……」
美希「やっぱり……ハニーって……呼んだ方がいい?」
P「改めてそう言われるとなぁ。うーん」
美希「……は、ハニー……」ボソッ
P「ん?」
美希「だ、ダメッ!やっぱりダメッ!!」ジタバタ
美希「あ、あはは……えぇっと……」
P「熱でも出たか?」ピト
美希「ふぇっ!?」ドキッ
P「ん?何かだんだん熱く……」
美希「あうあう……」ドキドキ
P「……手を当てただけじゃ良く分からんな。よし、額を貸せ」
美希「そ、それはちょっと……!」ドキドキ
P「いいからいいから」グイッ
美希「ひゃあっ!?」
美希「……?」
P「美希?」
美希「!?……きゃあああああああっ!」
バチーン
P「へっぷばっ!」ガターン
美希「……な、なんでハニーが、目の前に……!?」
律子「はい、無理でーす。私には無理!」プルプル
律子「プロデューサーのおかげでオーディションも成功した訳だし……とりあえず」
「これでもう思い残す事はありませんよね」スチャッ
律子「そうね、これで安心して成仏……いやいやいや、まだ死んで……ん?」
ブォオン
ズシャアアアア
「避けないでくださいよぉ。この大カマ、振り回すの結構大変なんですから」
律子「り、涼?……あ、あんた、私が見えるの!?」
涼「はい、見えてます。ですが、私は貴女の知っている秋月涼、という人間ではありません」
律子「は……?」
涼「えっと、一般的には死神、と呼ばれてるらしいですね~」
涼「はい。死後も現世に留まる魂を刈り取り、あの世に送ってさしあげるのが私の役目です」
律子「そ、それが何で涼の姿を……」
涼「普通、私はその人間の人生において最愛の人間に扮し、死者の魂には心地よくあの世に行ってもらう訳ですが」
涼「現世に留まり災いをなす悪霊には、その人生において最も見たくないトラウマが映る仕組みになってます」
律子「災い!?わ、私何も……」
涼「貴女の場合は霊障を起こしたり、星井美希さんの体乗っ取ったりしてましたね、ハイ」
律子「って言うか私にとって、涼がトラウマって……?」
涼「りゅんりゅん♪」
律子「」
律子「ちょっと待ちなさい!私まだ死んでないから!生きてるからっ!!」
涼「ウソはいけませんよぉ。貴女の名前はちゃんと、このデスノートに……」ペラッ
涼「あれ?ホントだ、名前がありませんね。おかしいなぁ」
律子「わ、私だって、好きでこんな状態になった訳じゃないのよ」
涼「なるほど……そういう事でしたら、貴女が自分の体に戻るまでの猶予を与えましょう」
涼「私がAlice or Guiltyを1コーラス歌い終わるまでに戻れば、何も咎めません」
律子「……は?」
涼「それまでに戻れなければ、私と一緒にあの世に来てもらいます」
律子「ちょ、ちょっと、何勝手にそんな事決めて」
涼「うぅーそぉーのぉーこぉーとぉーばぁーがぁー」
律子「っ!」ダッ
涼「あふぅれっ♪」ニタァ
律子「私のいる病院は、そう遠くないはず……!」
涼「うぅーそぉーのぉーとぉーきぃーをぉー」
ブォオン
ズシャアアアアア
涼「きぃざぁむぅ♪」
律子「ぎゃあああああああああっ!?」
涼「ちぇー、また外しちゃった。結構しぶといですね」
律子「あ、あぶ……危なっ、危ないじゃないっ!いきなり何すんのよ!!」
涼「猶予を与えるとは言いましたけど、手は出さないとは言ってませんからね」ニコッ
律子「よりによって、あんな涼に追いかけられるだなんて……もう、最悪……!」タッタッタッタッ
律子「あった!確かこの病院!」
涼「君を見失う……Guilty」
律子「!ちょ、ちょっと!何歌詞端折ってんのよ!そこはAliceでしょ!?」クルッ
涼「あ、良く分かりましたね」ブォオン
律子「ひぃっ!?」ワタワタ
涼「あはははは、病室は三階の×××号室ですよぉ、りゅんりゅん♪」
涼「こぉっえぇーのぉー♪届かない迷路をこぉーえぇーてぇー」
律子「(余裕しゃくしゃくで階段上がって来てる……)」
涼「やっぱり、階段駆けあがるのは霊体でもキツいですか?」ニコニコ
律子「あ、あんた……人が死にそうなのに、楽しんでるでしょ……!?」
涼「…」
涼「暇を持て余した」
涼「死神の」
涼「遊び」キリッ
律子「うるせぇぇぇぇぇぇぇっ!!」ダッ
涼「手ぇをぉ伸ぉばぁせぇたぁーらぁー♪」
涼「つっみっとぉー♪罰を全て受け入れぇーてぇー」ブォオン
律子「絶対にイヤよっ!」
ガチャッ
涼「今っ♪君のっ♪」
律子「間に合えぇぇぇぇぇっ!」
涼「裁ぁーーーきぃーーー……」
律子「ダァァァァァァァイビィィィィィィィンッ!!」
涼「DEATH☆」ブォオン
ズシャアアアアア
涼「あっ……め、目が覚めたんだね!律子姉ちゃ」
律子「ぎゃあああああああああああああああっ!!?」ドゴォ
涼「」
律子「はぁ……はぁ……わ、私……生きてる……?」
涼「ゲホッゲホッ……い、いきなり何するんだよっ!」
律子「涼?……あなた、本物の涼?」
涼「もう、何言ってるんだよ……ったく」
涼「律子姉ちゃんが倒れたーって聞いて、折角お見舞いに来たってのに……」ブツブツ
涼「僕の夢?そりゃあ、男らしいイケメンになる事だよ」
律子「ほ、ホントに?」
涼「う、うん……それが何?」
律子「………」ポロッ
涼「えっ」
律子「グスッ……良かった……ホンットに、良かったっ……」ポロポロ
涼「え?ちょっ……な、何で泣くの?」
律子「あぁ、生きて……ホンット、生きてて良かったっ……!」ポロポロ
涼「り、律子姉ちゃん……?」オロオロ
律子「おはようございます」
P「お、律子。もう大丈夫なのか?」
律子「えぇ、何とか」
P「いやぁ、良かった良かった。やっぱ律子がいないと回らないよ、この事務所」
律子「私がいない間に、何かありました?」
P「あったと言えば、あったんだが……大体は美希のおかげで何とかなったよ」
律子「へぇ……その美希は?」
P「あっちでまた昼寝でもしてるんじゃないか?」
律子「美希~?」
美希「あっ、律子、さん」
律子「聞いたわよ。あなた昨日、大活躍だったそうじゃない」
美希「みんなそれ言ってるんだけど……ミキ、全然分かんないの」
律子「ふふっ……そう。はい、これ」スッ
美希「?……おにぎり?」
律子「ローソンで美希が好きそうなおにぎり、選んで買ってきたの。そろそろお昼時でしょ?」
美希「も、もらっていいの!?」
律子「いいのいいの。これは私の感謝とお詫びの気持ち」
美希「良く分かんないけど……ありがと、律子さん!」ギュッ
律子「あら、いたの亜美」
亜美「律っちゃん!亜美もね、昨日のオーディションすっごく頑張ったんだよ?」
律子「そう。それはよかったわね」
亜美「だから亜美もね、律っちゃんからごほうびがほしい訳よ、ウン」
律子「ふーん……そういえば亜美、私のスケジュール帳知らない?」
亜美「えっ?……ち、違うよ!もう亜美は隠したりなんかしてないかんね!」
律子「っと、ちゃんと持ってたわね、これはうっかり……ん?隠す?スケジュール帳を?」
亜美「あっ……や、やっぱり、ご褒美は要らないかな~、ウン」
P「おう、いってらっしゃい。亜美も伊織もあずささんも、頑張って」
あずさ「は~い、いってきますね」
伊織「言われなくったって頑張るわよ」
亜美「亜美達はようやく登り始めたばかりだからな、この果てしなく遠いアイドル坂をよ……!」
律子「バカな事言ってないで、さっさといくっ」
律子「(私の夢の為にも、この子達の為にも……志半ばで死ぬわけにゃあいきませんよ)」
律子「(……あぁ、生きてるって、素晴らしい!)」
おわり
面白かった
律っちゃんはかわいいなぁ
Entry ⇒ 2012.07.11 | Category ⇒ アイマスSS | Comments (0) | Trackbacks (0)
響「はいさーい!」
響「そ、そんなことない……よ」
P「本当か?」
響「そうだz……よ」
響「た、多分そうです」
P「~ッス。 みたいなもの?」
響「た、多分」
響「うん、いい……よ、そのかわり自分が勝ったらご褒美もらうからな」
P「ほぅ、いいぞその方が燃えるしな。で、ご褒美ってなんだ?」
響「それは秘密。じゃあスタート」
あずさ「へー響ちゃんの訛りが直ったらご褒美を」
↓
やよい「訛りが直ったらご褒美ですかー」
↓
雪歩「響ちゃんの訛りが直ったら、Pが響ちゃんに良い事を?」
↓
千早「我那覇さんの訛りが直ったら、Pと……」
↓
春香「響ちゃんの訛りが直ったら、Pさんと結婚!?」
↓
やよい「えっ、Pと響さん結婚するんですか」
↓
真・美希・伊織・真美・亜美「えっ」
貴音「らぁめん美味しいです」
千早「軽率だわ、訛りを直すだけで結婚だなんて」
真「そうだよね、響もPもまだ若いのに……」
雪歩「響ちゃんの為にも、結婚を阻止した方がいいと思う……響ちゃんの為にもね」
真「うん響の為にも」
春香「そうだね、響ちゃんの為に」
美希「……そうなの!!ハニーは絶対渡さないの」
春香「よーしっ行くよーーー」
765プローーーーーーーーー
ファイトーーーーーーーーーー
P「えーっと、事務所で雑誌のインタビュー……くらいだな」
響「それだけなら、今日の勝負は自分の勝ちだな」
P「それはどうかなー、インタニューだぞ?」
響「大丈夫だ……もん」
響「何だ春香、自分に用事か……な?」
春香「えーっと、あーっと、響ちゃんと挨拶まだだったかなーって」
響「えっ、朝挨拶した……よ」
春香「あっれーそうだっけー?」
響「……」チラッ
P「……」
響「おはよう」
春香「あ、あっれー響ちゃん『はいさーい』は?」
響「自分、沖縄訛り直すようにしてるんだ……よ」
響「そう……かな?」
春香「そうだよ、響ちゃんは沖縄訛りあってこその響ちゃんだよ」
響「そっ……か、じゃあ自分これからも沖縄訛りでいく」
春香「それが良いよー」ニヤッ
響「けど今日は、沖縄訛りはしない……勝負だからな」
響「なっP」二ッ
P「お、おう」
春香「チィ」
響「う、うん」
響「……P、自分存在感ないのかな?」
P「えっ」
響「朝、春香と挨拶して世間話もしたんだ……けどな」
P「……」
響「どうかしたのか、真、雪歩?」
雪歩「用って程ではないんだけどね……」
真「響が沖縄訛りを直すとか直さないとか聞いたからさ」
響「あぁそのことは何でもないぞ、よ」
スッ
P「……セーフ」セーフ
真「くっ」
雪歩「惜しいですぅ」ボソッ
響「ホッ、今日一日は沖縄訛りは使わないんだ」
雪歩「今日使わなかったら、Pが盗られちゃいますぅ……」ボソッ
雪歩「そういえば今日、響ちゃんインタビューあったよね?」
響「う、うん」
雪歩「もしかしてそれも訛りをやめるの?」
響「そのつもりだ……よ」
響「マズイ?」
雪歩「だって、その雑誌だけ沖縄訛りがないのは変じゃない?」
響「うっ……」
雪歩「それに響ちゃんが沖縄訛りがなくなったら、個性がないよっ」
響「えっ」
雪歩「運動なら真ちゃんの方がゴリラみたいに出来るし、響ちゃんのアイデンティティがなくなっちゃうよぉ」
真「えっ」
響「えっ」
雪歩「頑張って頑張って、訛りを隠そうとしている モガァモガァ」
真「ちょ、雪歩」
羽交い絞め&口塞ぎ
雪歩「もgぁあdkjh」
真「ごめん響。ちょっと雪歩疲れてるみたい、それじゃ」
響「お、おー、お大事に」
P「ん」
響「自分、沖縄訛りなかったら無個性かな?」
P「いや、少なくとも春香よりはあるな……10人に聞いて11人は響を選ぶよ」
響「そうかな?」
P「それに例え響が無個性でも、響が可愛い事には変わらないだろ」
響「そっか」ニコッ
記者「ありがとう、ございました」
P「こちらこそありがとうございました」
記者「我那覇さん、今日は違った雰囲気でよかったですよ」
P「そうですか、ありがとうございます」
記者「また機会がありましたらよろしくお願いします」
P「はい、何卒よろしくお願いします」
ガチャ
P「ふぅ……だってよ響」
ヒョコ
響「はは、良かったー」
響「ふっふっふ、絶対ご褒美もらうz……のー」
P「危うすぎる……」
響「大丈夫だ、よー」
P「ふっ、で響は俺に何をしてもらいたいんだ?」
響「……えっと、んーっと、まだ秘密///」
コソ
千早「くっ……」
響「うわっ、どうしたんだ千早?」
千早「突然なんだけど我那覇さんって、鍋の具財で何が好きかしら?」
響「えっと、豆腐とか魚とか……」
千早「あの、野菜的な物では何が好きかしら?」
響「野菜かー……ネギかな」
千早「あっ、……そう」
響「えっ?」
千早「……はくさーい」ぼそっ
P「ん?」
千早「いえ、なんでもないわ」
千早「そういえば、増税が決まったそうね」
響「あぁ、千早は一人暮らしだから、大変だ……すよね」
千早「我那覇さんもペットが多いから大変でしょう?」
響「そうだなー」
響「そうだなー」
千早「増税はんたーい」
響「?……うん」
千早「増税はんたーい、はい我那覇さんも一緒に」
千早「増税はんたーーーーい」
響「??増税はんたーい」
千早「」チラッチラッ
P「……?」
P「えっ?」
千早「……いえ何でもないです」
千早「くっ……じゃあ我那覇さんまた後で」
響「お、おー」
響「結局なんだったんだ?」
P「……」
P「……んー」
響「けど、あと少しで時間だ……な」
P「だなー」
響「でP、自分へのご褒美っていうのが……///」
亜美「あ、いたいたひびきん」
響「んあ、今度は真美と亜美か?」
真美「ねぇねぇ、コレ読める」
亜美「呼んでみてー」
[high]
響「えっと、ハイ?」
亜美・真美「おー」
[賽]
響「……さ、さい?」
亜美真美「ピンポンピンポーン」
響「おー当ったー」
亜美「じゃあ、繋げて」
真美「読んでみるとー」
[high] [賽]
響「ハイ、さい」
亜美真美「もっと、もっと」
響「はいさい」
亜美真美「もっともっと♪」
響「はいさい」
亜美真美「はいさーい」
響「はいさーい」
響「はいさ、!!うわー自分言っちゃったのか」
パチパチパチパチ
千早「残念だったわね我那覇さん」
春香「これはしょうがない、しょうがないよ響ちゃん」
パチパチパチパチ
真「ドンマイだよ響」
雪歩「良かったね響ちゃん、響ちゃんのアイデンティティは保たれたよ」
P「いやいやいや、お前ら無理やり言わせてただろ」
亜美「無理やり→?言わせた亜美?」
真美「記憶にないですなー」
響「うぅ……セーフか、P?」
千早「ダメよ我那覇さん、そんなに世の中甘くないわ……甘くないのよ」キリッ
響「うぅ……自分頑張ったのに……」
千早「ちょP、酷いです」
P「えっ」
千早「だって私と我那覇さんが喋ってるときも『はいさーい』って言ってましたよ」
P「言ってねーよ、少なくとも千早時には言ってねーよ」
千早「いえ言ってました、Pは甘いですが私は聞きました」
P「千早が『はくさーい』って言ってたのは聞いた」
千早「わ、私はそんな事言ってません///」
P「……」
千早・春香・亜美・真美・雪歩・真「ホッ」
P「そうか、じゃあ俺の勝ちだな」
響「うぅ……うん」
響「うぅ……自分の家で一緒にご飯を食べたいなって思って……」
千早・春香・亜美・真美・雪歩・真(あれ結婚じゃないの?)
響「いぬ美やハム蔵も喜ぶからさ……」
千早・春香・亜美・真美・雪歩・真(まぁ、ご褒美なしだから大丈夫か……)
P「じゃあ罰ゲームの発表だ……」
響「うん……」
P「罰ゲームは、響が俺の為に料理を作るだ」
響「えっ」
千早・春香・亜美・真美・雪歩・真「えっ」
——————————————
貴音「……!ご飯!!」
春香「えっ、罰ゲームて?誰に対しての罰?」
雪歩「キューン」
真「わわ、雪歩」
真美「奴はとんでもない物を盗んでいきました」
亜美「いいえ、あの方は何も盗らなかったわ」
真美「ひびきんとの食事です」
貴音「食事は……」ジュル
響「……いいのかなP?」
P「あぁ……あと俺は響は沖縄訛ってる方が俺は可愛いと思うぞ」
千早・春香・亜美・真美・雪歩・真「!?」
響「えっ……そ、そうかな///」もじもじ
P「あぁ、絶対そう」
響「そっか///」
P「じゃあ行くか」
響「はいさーい」
end
響かわいい
乙
Entry ⇒ 2012.07.10 | Category ⇒ アイマスSS | Comments (2) | Trackbacks (0)
P「小鳥さんに甘えてみよう」
P「小鳥さん、今夜はヒマですか?」カタカタ、カチカチ、
小鳥「えっ?今夜ですか?」カタカタ、カタカタ、チラッ、
P「はい。今夜…ウチに来ませんか?」カタカタ、チラッ、
小鳥「えぇ。いいですよー?」カチカチ、
小鳥「って!えっ?プロデューサーさん?///」バッ
P「ん?どうしたんですか?」
P「えぇ。言いました。この間戴いたお裾分けの肉じゃがが美味しかったので、また食べたいなぁ…と」
P「…ははっ。いきなりすぎましたね、スミマセン」
小鳥「いっ!いえっ!きょっ今日は私、何も用事が無いので!」モジモジ、
P「本当ですか?ははっ。嬉しいな、ありがとうございます」
小鳥(プロデューサーさんのお家でお料理…///)
P「…じゃあキリもいいですし、今日はもう上がっちゃいましょうか」
小鳥「はっ、はいっ!///」
P「ん~!今日もお疲れさまでした」
小鳥「ふふっ。何だかおじさんみたいですよ?プロデューサーさん」クスクス、
P「ははっ。そうですか?まだまだ若いつもりでいるんですけど」
小鳥「ふふっ。じゃあ、買い物から行きましょうか」クスッ
P「今日は何を作ってくれるんですか?小鳥さん、料理が上手いから楽しみです」
小鳥「ふふっ。おだてても何も出ませんよ?今日はですね?コロッケを作ろうかと」
P「お、いいですね!コロッケだったら、酒の肴にもなりますし」
小鳥「あら、私を酔わせて、どうするつもりですか?」クスクス、
小鳥「ただ?」
P「小鳥さんと、ゆっくりお話がしたかったんですよ…」
小鳥「///」カァァァァ
P「///」
P「ほっ、ほら!時間がもったいないです!はやく買い物に行きましょう!」キュッ
小鳥「!」グイッ
小鳥(プロデューサーさんのて…あったかいなぁ…)
P「あっ!スミマセン…いきなり手なんか握っちゃって…」
小鳥「いっ、いえ…なんならこのまま…」
小鳥「いっ、いえ!なんでもないです!なんでも…」アセアセ、
小鳥(うぅ…私の意気地無し…)シュン
P「…」スッ、キュッ
小鳥「あっ…」キュッ
P「じゃ、じゃあ…行きましょうか…///」テレテレ、
小鳥「はい…///」
小鳥(プロデューサーさん…)キュン
P「小鳥さん!スーパーですよ!スーパー!」
小鳥「ふふっ。そんなにはしゃいじゃって…。何だか子どもみたいですよ?」クスクス、
P「いやぁ、小鳥さんとスーパーに来るとか滅多に無いんではしゃいじゃいました。ははっ、お恥ずかしい…」
小鳥「…」チラッ、
P「小鳥さん?」
小鳥「私だから…ですか?」チラッ、ウワメヅカイ
P「…」キュン
P「そうです。今日は小鳥さんにとことん甘えてみようと思ったんで」
小鳥「…///」テレテレ、
P(照れた小鳥さんは可愛いなぁ…。心のビデオに録画しておこう)
小鳥「プロデューサーさん?どうしたんですか?」ジー
P「いっ、いえ!何でも無いですよ?何でも」アセアセ、
小鳥「くすっ。ヘンなプロデューサーさん♪」クスクス、
P「はいっ!」
――買い物中
P「小鳥さーん!お菓子も買っていいですかー?」
小鳥「ふふっ。いいですよー?あっ、でも!あんまり買いすぎちゃダメですからねー?」クスクス、
P「はーい!」
小鳥「ふふっ。今日のプロデューサーさん、何だか可愛いなぁ」クスッ
小鳥「さてとっ!私も買い物しちゃおう!…え~っと」キョロキョロ
小鳥「じゃがいも、挽き肉、にんじん、玉ねぎ…」サッサッ、サッサッ
P「小鳥さーん!」
小鳥「くすっ。今度はなんでしょう?」
小鳥「はーい!どうしたんですかー?」クスクス、
P「ジュースとお酒は、俺が買って、帰りも持ちますねー!」
小鳥「ふふっ。あんなにはしゃいじゃって」クスクス、
小鳥「はーい!わかりましたー!」
小鳥「ふふっ。あの娘たちが見たら、どんな顔をするのかな?」クスッ
小鳥「…さてと!買うものも集まったし、プロデューサーさんと合流しようかな」
小鳥「プロデューサーさーん!」トテトテトテ、
P「」フルフル、フルフル、
小鳥「?どうしたんですか?」キョトン
P「アイス…」
小鳥「えっ?」
P「アイスが食べたいんですが…買ってもいいですか?」
小鳥「あはっ!可愛いなぁ!もうっ!可愛いすぎですよっ!///」キュンキュン、ナデナデ、ナデナデ
P「ちょっ!恥ずかしいですって!小鳥さん!」テレテレ、
小鳥「ふふっ。ごめんなさい。アイス、買ってもいいですよ?」クスクス、
P「ありがとうございます!」
小鳥「ふふっ。思ったよりもいっぱい買っちゃいましたね」クスクス、
小鳥「荷物、重たくないですか?」
P「そうですね。誰かと買い物するのなんで、本当に久しぶりだったんで…ついはしゃいじゃいました」
P「あ、荷物は大丈夫ですよ?小鳥さんも持ってくれてますし」
小鳥「ふふっ。はしゃいでるプロデューサーさん、とっても可愛かったですよ?」ニコニコ
P「ははっ。お恥ずかしい」
P「…あ」
小鳥「くすっ。今度は何ですか?ジュース?お菓子?」クスクス、
P「こうして二人で荷物持って歩いてると…何だか…その…」
小鳥「?」キョトン
P「新婚さん…みたいですね…///」
小鳥「///」カァァァァ
小鳥「もっ!もう!変なこと言ってると、置いて行っちゃいますよ?///」テレテレ、
――Pの部屋
P「ふぅ。ただいまー」ガチャッ、
小鳥「お邪魔します。プロデューサーさん♪」
P「…」ジー
小鳥「?」キョトン
P「ちょっと玄関に居てください」ガチャッ、バタン
小鳥「どうしたんだろ。プロデューサーさん」
――ガチャッ、
P「だだいまー!」
小鳥「…ふふっ。なるほど」クスッ
小鳥「お帰りなさい。P」
小鳥「どっ、どうしました?」アセアセ、
P「誰かが出迎えてくれるって…いいですね。やっぱり…」グスッ
小鳥「…プロデューサーさん…」キュンキュン
小鳥「…ふふっ。私でよければ、いつでも、出迎えますよ?」スッ、ギュッ
P「小鳥さん…」ギュッ
小鳥「ふふっ。さて、私たちの時間はこれから始まるんですよ?早く入ってください!」クスクス、
P「…はいっ!」
小鳥(プロデューサーさん…寂しかったのかな)
小鳥「わかりました!ふふっ。腕によりをかけて作りますよー?」
P「ははっ。期待してますね?」
小鳥「じゃあプロデューサーさんはお風呂にでも入ってきてくださいね?今日も暑かったですし」
P「わかりました。小鳥さんも後で入りますよね?」
小鳥「…///」カァァァァ
P「あっ!…すっ、すみません///」
小鳥「いっ、いえ…///」カァァァァ
P「じゃあ俺、風呂入ってきます!」タッタッタッタッ
小鳥「…プロデューサーさん…///」
P「勢いであんな事言っちゃったけど…嫌がって無かったよな?」
P「…はぁ…」
P「よし!小鳥さんにもっと甘えてみよう!」
――その頃、キッチン
小鳥「~♪」コネコネ、コネコネ、
小鳥「じゃがいも、ぎゅっぎゅっぎゅ~♪」コネコネ、
小鳥「ふふっ。誰かのために料理するのなんて、いつ以来かな。随分と久しぶりな気がする」
小鳥「プロデューサーさん、喜んでくれるかな」
P・小鳥「「はぁ…」」
小鳥「ふふっ。お湯加減はどうでした?」
P「えぇ。バッチリでした。でも、よくウチの風呂場の使い方わかりましたね」
小鳥「ふふっ。実は私の部屋と一緒だったんです」クスッ
P「あぁ、なるほど。凄い偶然ですね」
小鳥「えぇ」クスクス、
P「…で」
小鳥「はい?」キョトン
P「さっきから、ものすごく美味しそうな匂いがしているんですが…」グゥゥゥゥ
小鳥「くすっ。腹ペコですか?」クスクス、
P「…お恥ずかしながら…」テレテレ、
P「…おぉ…。ウマそうだ…」キラキラキラ
小鳥「さぁ、プロデューサーさんはお皿の準備とかしてください。働かざる者、食うべからず」
小鳥「ですよっ♪」クスッ
P「」ズキューン
――準備後
P「コロッケ!」キラキラキラ
小鳥「ふふっ。野菜もたっぷり入った、音無家のコロッケです♪」
P「では…手を合わせて…いただきます!」パシンッ
小鳥「ふふっ。どうぞ、召し上がれ?」クスクス、
P「あむっ」サクッ
小鳥「ふふっ。お味の方はいかがです?」
P「美味しいです!やっぱり小鳥さんは料理上手ですね!」モグモグ、ガツガツ
小鳥「ふふっ。ありがとうございます。で・も!」クスッ
P「んぐ?」ガツガツ
小鳥「まだまだありますから、あんまりガッついて食べないでくださいね?」クスクス、
P「ははっ。面目ないです。あまりにも美味しくて」テレテレ、
小鳥「ふふっ。じゃあ私も。いただきます」
P「はい。召し上がれ?」
小鳥「もうっ!プロデューサーさんったら!」クスクス、
P・小鳥「「あはは」」
P「もぐもぐ。でもですよ?小鳥さん」モグモグ
小鳥「はい?何です?」
P「何で小鳥さんは、こんなに俺に甘えさせてくれるんですか?」モグモグ
小鳥「どういう意味、ですか?」
P「いや、普通はですよ?こんな時間に男の、しかも一人暮らしの部屋に来てはくれませんから」
小鳥「…」プクー
P「小鳥さん?」
小鳥「いいですか?プロデューサーさん!」キッ
P「はっ!はいっ!」
P(小鳥さん、怒ってる?)ドキドキ、ドキドキ、
小鳥「私はですね?ずっと待ってたんです!」
P「待ってた?」
小鳥「そうです!プロデューサーさんから、こうやって誘ってくれるのを待ってたんです!」
P「…」
小鳥「次、そんな事言ったら…罰ゲームですからね?」ムスッ
P「すっ…すみません」アセアセ、
小鳥「ふふっ。分かればいいんです!分かれば!あ、おかわりします?」
P「あ、お願いします」
小鳥「ふふっ。分かりました♪」トテトテトテ、
小鳥「私の好きになった貴方は、絶対に誰かの嫌がる事なんかしません」ボソッ
P「ふぅ!お腹いっぱいですよ!小鳥さん!」
P「ご馳走様でした!」
小鳥「ふふっ。お粗末様でした♪」クスクス、
P「それで…ですね?小鳥さん」チラッ
小鳥「はい?何ですか?」
P「今日は、金曜日…ですね」モジモジ
小鳥「…はい…」モジモジ
P「もう夜も…遅いですよね?」
小鳥「…はい」チラッ
P「その…泊まって…いきませんか?」
小鳥「…っ!」カァァァァ
小鳥「…はい///」
P「それと着替えなんですが、俺のでもいいですか?」
小鳥「…///」コクン
P「///」
小鳥「…じゃあ、お風呂…入ってきます///」テレテレ、
P「いってらっしゃい、小鳥さん」
小鳥「はい…///」トテトテトテ、ガチャッ、バタン
P「…緊張した…」ドキドキ、ドキドキ、
――
小鳥「緊張…しちゃった…」ドキドキ、
小鳥「…」チャプン
小鳥「~///」ブクブクブク
小鳥「これって…そういう事よね…///」
小鳥「顔を真っ赤にしてるプロデューサーさん、可愛かったなぁ…」
小鳥「///」ブクブクブク
――その頃、リビング
P「これって、そういう事、だよな?」
P「…よし、落ち着こうか。俺」
P「伊達にアイドルのプロデューサーはやってない。男は度胸!」
――
P・小鳥「「小鳥さんプロデューサーさん…」」
小鳥「プロデューサーさん、お風呂、ありがとうございました」ホカホカ、
P「お帰りなさい、小鳥さん。着替え、大丈夫でした?」
小鳥「はい。ちょっぴりサイズがおっきいですけど、大丈夫です」
P「そうですか。よかったです」
P(小鳥さんが俺のシャツとズボンを着てるし履いてる…)
小鳥(何だかプロデューサーさんに抱かれてるみたい…///)
P・小鳥「「あっ!あのっ!」」
P・小鳥「「あっ」」
小鳥「プロデューサーさんから…ど、どうぞ///」テレテレ、
P「…小鳥さん」スッ、キュッ
小鳥「ッ!はっ!はいっ!」ビクン
小鳥(プロデューサーさんのて…震えてる?)
P「あの…ですね?今日の事…何ですけど…」
P「俺、最初は小鳥さんに甘えたかったんです」
小鳥「…」
P「小鳥さん優しいから…甘えさせてくれるかな、って」
小鳥「…」
P「でも、ですね?それには理由があって…俺…」フルフル、
小鳥「…待ってください」スッ
P「えっ?」
小鳥「私は、プロデューサーさんが好きです」
小鳥「大好きです」
P「小鳥さん…」
小鳥「ねぇ、プロデューサーさん」
小鳥「何で私が、先に告白したと思いますか?」
P「えっ?」
小鳥「答えは簡単。私は、ズルい女なんです」クスッ
小鳥「貴方にもっと好かれたい。好きになってもらいたい」
小鳥「だから、先に告白…しちゃいました」クスッ
P「じゃあ、俺は」スッ、
小鳥「えっ?」クイッ
P「ちゅっ」チュッ
P「俺は、態度で示しますよ」
小鳥「プロデューサーさん…」
P「違います。俺の名前は、プロデューサーじゃありません」
小鳥「…ふふっ。そうですね。P…んむっ」チュッ
小鳥「…ふぁっ!むぅ、ズルいですよ?」ムスッ
P「ははっ。俺も、ズルい男ですから」
小鳥「…」ムスッ
P「小鳥さん?」
小鳥「…」ブンブン
P(あぁ、なるほど。小鳥さんはやっぱり可愛いなぁ)
P「小鳥」
小鳥「…」コクン
小鳥「ちゅっ」チュッ
小鳥「あの…P?」テレテレ、
P「はい?何です?」スッ、ギュッ
小鳥「何だか、恥ずかしいですね///告白した後って」テレテレ、
P「あ、小鳥さんもですか?俺もです」
小鳥「…小鳥…」プクー
P「ははっ。小鳥、ありがとな?」ナデナデ、
小鳥「…お礼を言うのは、私の方です。ありがとうございます。P…」
小鳥「…これからはその幸せが、当たり前になるんです。それも、幸せ、ですよね?」ギュッ
小鳥「…それと…」
P「うん?」
小鳥「…私に敬語を使わないで話してくれたら…もっと幸せに…なれます。私…」チラッ、ウワメヅカイ
P「」ズキューン
P「ははっ。分かったよ、小鳥」ナデナデ、
小鳥「…ふぁ…。あ、スミマセン///」テレテレ、
P「眠くなっちゃった?」ナデナデ、
小鳥「…Pの傍にいると、安心…するんですよ」
P「そっか。じゃあ、もう寝ようか」ナデナデ
小鳥「…はい。でも、何だかもったいない気が…」ハァ...
P「何で?」
小鳥「せっかく貴方と通じ合ったのに、もう寝ちゃうなんて…」
P「ははっ。なぁ、小鳥?」
小鳥「むっ、何で笑うんですか?」ムスー
P「そりゃ笑うさ。小鳥がこんなに可愛いんだし」ナデナデ
小鳥「…むぅ」
P「だから、明日は今日よりもっと、俺に甘えさせてくれるか?」ナデナデ
小鳥「…ふふっ。もちろんです///」チュッ
P「ありがと。じゃあ、今日はもう寝ようか」
小鳥「そうですね///」
P「おやすみ。小鳥」
小鳥「おやすみなさい。P」
P「…ははっ」ナデナデ
小鳥「…むにゃ…」スヤスヤ
P「おっと」ナデナデ
P「…」ナデナデ、ナデナデ
小鳥「…はふ…」スヤスヤ、スゥスゥ...
P「今度は、小鳥に甘えてみよう」チュッ
小鳥「…えへへぇ…」
おわり
すばらしい
Entry ⇒ 2012.07.10 | Category ⇒ アイマスSS | Comments (0) | Trackbacks (0)
冬馬「うおおおおおお、たかねええええええええ!!」
貴音「…ジュピターの天ケ瀬冬馬」
冬馬「俺の名前覚えてたのか。確かあんたは…四条貴音だっけか?」
貴音「はい。あまり面識が無いので覚えておられないかと思いましたが」
冬馬(寿司屋のインパクトがでかすぎて忘れたくても忘れられねぇよ)
貴音「先日は大変失礼致しました。私、少々ムキになってしまいご迷惑を…」
冬馬「え?ああ、別に気にして無いぜ。席の並び的にあんたの方が先に取るべきだったしな」
冬馬(あれは流石にぶったまげたな…胃袋ブラックホールかよ)
貴音「立場が逆で私があのような事をされれば…怒りで我を失うかもしれません」
冬馬「そんなことで我を失うのか…」
貴音「私海よりも深く反省しております。どうかお許しください」ペコッ
冬馬「お、おい…大袈裟だな。だから気にしてないっての」
冬馬「しつけぇなぁ…もういいっての…」
貴音「いえ、このままでは収まりがつきません。他の御二方にもいずれ必ず」
冬馬(こいつ絶対譲らないタイプだな…仕方ねぇ)
冬馬「あー、じゃあ寿司奢ってくれよ。前と同じ店で良いからよ」
貴音「そのようなことでよろしいのであれば」
貴音「……」グゥゥ
冬馬「…あんた腹減ってるみたいだが何も食べないのか?」
貴音「これは私の罪です。どうかお気になさらず…」
冬馬「じゃあまずはとりあえずハンバーグ2つ」ピッピッ
貴音「……」グゥゥ
冬馬「クリームソーダとかあれば最高なんだけどな…しゃあねえか」
貴音「……」グゥゥゥ
貴音「……」ゴクリ
冬馬「次はほたてにいくら…サーモンもついでに…」ピッピッ
貴音「……」ダバー
冬馬(アイドルが涎垂らすなよ…)
冬馬「……」
貴音「……」グゥゥゥゥ
冬馬「あのよ…マジで何か頼めよ。俺も気が引けて食う気が失せちまうぜ」
貴音「いえ…これは私への罰なのです。あなた方はこの苦しみを味わったのですからこのぐらいは当然です」
冬馬(俺達の何百倍も苦しんでるように見えるぜ)
貴音「……」ダラー
冬馬「…あー、もう分かった!四条貴音、俺と勝負しろ!」
貴音「勝負…ですか?」
冬馬「負けたやつは代金を全払い、どうだ?」
貴音「ですが…それでは償いに…」
冬馬「良いんだよ!俺はこういう方が性に合ってんだ!それとも自信無ぇのか?」
貴音「無いわけでは無いのですが…」
冬馬「フン、それとも765プロはやっぱりその程度の事務所だったってことか?がっかりだ」
貴音「…そこまで言われると引き下がれません。受けて立ちましょう」
冬馬(あー、あんまり手持ち無ぇな…足りるか?)
貴音(まだ…腹6分目なのですが…)
冬馬「ちっくしょ…俺の負けか」
貴音「や、やはりここは私が…代金の大半は私によるものですし…」
冬馬「うるせぇ!俺は負けたんだ!俺が払う!」
貴音「…先ほど申し上げた通り、私はあなたにお詫びを」
冬馬「男に二言は無いぜ!」
貴音「な、ならばせめて半額だけでも!これでは何のために…」
冬馬「あー、聞こえねぇな」
貴音「更に借りを作ってしまいました」
冬馬「貸しだの借りだの気にすんなよ。勝負だからそういうのは無しだ」
貴音「……」
冬馬「そんな顔しても無駄だからな。諦めろ」
貴音「…分かりました。また別の形で…」
冬馬「分かってねえだろ…それじゃまたな」
貴音「はい、ではまたどこかで」ペコッ
貴音「天ケ瀬冬馬」
冬馬「ん?」
貴音「本日は真にありがとうございます。中々楽しかったです」ニコッ
冬馬「…!べ、別に寿司食っただけじゃねぇか!」ドキドキ
貴音「ふふっ、確かにそうですね。それでは」
冬馬(……な、何で俺はドキドキしてんだよ)
冬馬「あ、あいつ…いつの間に俺の鞄に金入れやがったんだ…それに何か用紙が…」
貴音『私のお勧めらぁめんスポットを事細かに記しておきました。
何れ機会があれば伊集院北斗、御手洗翔太と是非足を運んでみてください』
冬馬「…ばっかじゃねーの」
北斗「よく見つけられたね。冬馬ってそんなにラーメン好きだったのかい?」
冬馬「俺も今日初めて来た店だ。味の保証はしないぜ」
翔太「お、おいしい…!スープに魚介類の旨みが凝縮されてる!」ズズー
北斗「麺のコシや硬さも申し分ないよ。どうすればラーメンの美味しさが引き立つか相当研究されてる…」モグモグ
冬馬「ハフハフッ!うめぇ!うめぇぞ!最高じゃねぇか!」ズルズル
北斗「…美しくとは言わないがもう少し落ち着いて食べてくれよ」
翔太「冬馬君ってやっぱり子どもっぽいよねー」
冬馬「う、うるせぇ!こうして食べる方がうまいんだよ!」
冬馬「あいつに礼でも…あ、メルアドも電話番号も知らねーや…」
冬馬「しゃあねぇな…諦めるか」
冬馬「……」
冬馬「そうだ!765プロの事務所に行けば良いじゃねえか!」
冬馬「…やっぱやめだ。んな事で訪問したら何て言われるか。特にあの双子」
冬馬「…って何でそこまでしなきゃなんねーんだ。ばからしい」
冬馬「……」
冬馬「そうだよな、あいつはあれでも売れっ子アイドル。そう簡単には…」
冬馬「ふぅ…腹減ったな。そういえばこの辺りにもあいつお勧めのラーメン屋があったはずだ」
冬馬「おぅ!見つけたぜ!人も並んで無いしラッキー!」ガラガラ
冬馬「…あ」
貴音「む、あまふぁせふぉうまれふぁないれふか」ズルズル
冬馬「飲み込んでから喋れよ」
冬馬「わざわざ言い直さなくても良いと思うぜ」
貴音「以前は御馳走していただきありがとうございます」
冬馬「何言ってやがる。代金全額俺の鞄に入れやがって」
貴音「はて…何の事でしょうか」
冬馬「……」
貴音「それにしてもこのような場所で出会うとは奇遇ですね。何故ここに?」
冬馬「いや、あんたが俺にお勧めのラーメン店を書いた紙くれたんじゃねえか。だから来たんだよ」
貴音「…なるほど、そういえばあの紙も忍ばせておいたのでした」
冬馬「大体あのメモに書いてあったラーメン屋は回ったぜ。ここは初だけどな」
貴音「そうなのですか、渡した甲斐がありました。ここでの私の一押しは大豚ダブル野菜マシマシ醤油らぁめんなのですが」
冬馬「ふーん、じゃあ普通の醤油ラーメン頼むとするか。クリームソーダは…まあ無いよな」
貴音「……」
貴音「それは私も嬉しい限りです」
冬馬「おかげで最近ラーメン食い過ぎちまって身体に悪いぜ」
貴音「そのようなことはありません!らぁめんを食べて健康を損なうなどあり得ません!」
冬馬「いや、それはあんただけだろ…普通の人間はその内調子崩すと思うぜ。俺も気のせいか最近…」
貴音「…もしやらぁめん店の紹介はいらぬお節介でしたか?」ズーン
冬馬「え!?」
貴音「……」
冬馬「い…いや!俺もうまいラーメン食えて良い調子なんだよ!この間のライブも大成功だったからな!」
貴音「なんと!らぁめんの力が早速働いたのですね」
冬馬「ああ!これもラーメンと四条のおかげだ!サンキュー!」
貴音「ふふふ、礼には及びません。これで借りを返せたというものです」
貴音「良い食べっぷりでしたね。大変幸せそうに見えました」
冬馬「そ、そうか。北斗達にはもっと大人しく食えって言われるんだが」
貴音「そうなのですか…ですが食の形も人それぞれ」
貴音「マナーを守り周囲に迷惑を掛けなければ後は各自の好みでは無いでしょうか」
冬馬「だろ!?俺もそう思うぜ!あいつらは一々口煩いんだよなー」
貴音「…最も頬にネギをつけたままというのはどうかと思いますが」
冬馬「…マジかよ…だせぇ…」ゴシゴシ
貴音「……」スッ
冬馬「んな!?」
冬馬(ほ、頬に手が…うわぁああああ!やべぇ!!)
貴音「お取りしました。あなたもアイドルなのですからせめて顔には気を配った方がよろしいかと」クスクス
冬馬「お、おう」ドキドキ
冬馬「そうか…何か悪いな。待たせちまって」
貴音「いえ、お気になさらず。昼食の時間は余裕を持って取ってありますから問題ありません」
冬馬「なら良かったぜ」
貴音「はい、ではまた」
冬馬「あ、待ってくれ!」
貴音「何でしょうか?」
冬馬「あの…その……なんだ……」
貴音「…?」
冬馬「あー、…今度俺達のライブがあるからよ…良かったら来ねえか?」
貴音「……」
冬馬(う…やっぱりやめときゃ良かった…いきなり何言ってんだとか思われてるだろうな…)
貴音「楽しみにしております。ですが詳しい日時が分からぬ事には何とも…」
冬馬「え!?あ、そうだよな!あー、それならメルアド交換しようぜ!また連絡すっから」
貴音「なるほど、それは良いあいでぃあです。では早速…」
貴音「それでは、またご連絡をお願いします。失礼します」
冬馬「お、おお!じゃあな!」
冬馬「勢いでメルアド交換しちまった!」
冬馬「絶対怪しまれてるだろ!!!俺は何やってんだ!!」
冬馬「ライブ見に来てくれとか急に何だよ!意味分かんねえよ!ラーメンのおかげってもう…うあああ!」
冬馬「大体何で俺はこんな必死になってんだよ!ただの765プロのライバルじゃねぇか!」
冬馬「…そうだ!俺はあいつらをねじ伏せてやるために仕方なく情報を集めてるだけだ!」
冬馬「特にあの四条貴音は得体のしれねぇやつだしこの位やらないとな!」
冬馬「……」
冬馬「何てメール送れば良いんだ…今日は楽しかったです…ってバカか!!」
[SUB]天ケ瀬冬馬だ
ライブの詳しい日時が分かった。
丁度2週間後の18:00から駅前のライブハウスでやる。
暇なら来てくれ。無理に来なくても良いからな。
別に予定があるならそっち優先しろよ。
暇で死にそうなら来てくれ。
冬馬「3時間もメール内容考えるとか初めてだぜ…これで良いよな。うん、送信っと」ピッ
冬馬「……」
冬馬「……」
冬馬「って待っててもそんなすぐに連絡来ねぇだろ!」
冬馬「あー、風呂でも入って来るか!」
冬馬「…まだ返事来ねぇ…何かマズかったか?」
冬馬「もしかしてマジでメールするとかキモイとか思われてるんじゃねえのか!?」
冬馬「やっちまったな…くっ…もう良い寝る!!」
ブブブ
[FROM]四条貴音
[SUBJECT]四条貴音です。
諸事情で返事が遅れてしまいました。
申し訳ありません。
その日は仕事が入っております故まだ分かりません。
予定通りに終わったなら恐らく大丈夫なはずです。
私としても是非見に行きたい所なのですが…。
また追って連絡致します。
冬馬「来れるかどうかは微妙か…そうか…」
冬馬「……」
冬馬「…へ、返事来たぜ!どうだ、見たか!俺だって女とメールぐらいするんだよ!」
冬馬「…誰に言ってんだ俺は…とりあえず返事……長すぎたらキモイよな…」
[SUBJECT]無題
了解。
冬馬「俺はこのメールうつのにどんだけ時間かけてんだ…送信」ピッ
冬馬「……」
冬馬「……」
冬馬「…だから何携帯見つめてんだよ!きめえ!」
北斗「どうした冬馬?本番前なのに顔が暗いぞ」
翔太「ホントだー。もしかして緊張してるの?前はあんなに大勢の前でも歌ったのにさー」
冬馬「ば、バッキャロー!んな訳無いだろ!俺はいつでも万全の状態だ、行くぞ!」
キャートウマクーン!! ショウターカワイイー!! ホクトーホクトー!! ピギャアアアア!!
冬馬(…観客の中に…あいつはいないか…)
冬馬(いや、関係無ぇ!俺は今このライブに来てくれた皆のために全力を出すだけだ!)
翔太「そうだね。あー疲れた…」
北斗「あのエンジェルちゃん達の笑顔を見たら疲れなんて消し飛んだよ」
冬馬「はいはい、ちょっくら便所行ってくるぜ」
貴音「天ケ瀬冬馬」
冬馬「んなぁ!?」
貴音「ど、どうしたのですか…あられも無い声を出して」
冬馬「お、お前仕事で来れなかったんじゃないのかよ!!連絡もねぇし…」
貴音「少々さぷらいずを…と思いまして。驚いて頂けましたか?」
冬馬「当たり前だろうが!客をどんだけ探しても見当たらなかったのによぉ」
貴音「私は気配を殺していましたので。あのように人の多い場所では容易い事です」
冬馬(やっぱこいつ分かんねえ…)
冬馬「ん?ああ、そりゃありがとよ」
貴音「961プロ時代よりも更に腕を磨いていますね。再び我々の眼前に立ち塞がる日も近いでしょう」
冬馬「ふっ、当たり前だぜ。おっさんの時と同じ…それ以上のレッスンをしてるんだからな」
貴音「その直向きな向上心…敵ながら天晴れです」
冬馬「そ、そんな誉めても何も出ないぜ」
貴音「何よりあなた方が楽しんでいるのが伝わって来た事が私にとっては印象的でしたが」
貴音「それに以前よりも御手洗翔太、伊集院北斗と打ち解けているのでは無いのでしょうか」
冬馬「…別に仲の良さなんか前と大して変わらねぇ気がするが」
貴音「ふふ、そうかもしれませんね」
冬馬「なんだよー…」
冬馬「差し入れ?」
貴音「はい、くりぃむそぉだというものを…即席ですが如何でしょう?」
冬馬「く、クリームソーダだと!?」
貴音「はい、お気に召しませんか?」
冬馬「大好物だぜ!お前俺の好きな食い物知ってたのか!?」
貴音「一緒に食事をした際に何度か口走っていらしたので」
冬馬「よく覚えてるな…俺そんなこと言ってたか?」
貴音「はい、確かに」
冬馬「マジかよ…まあ良いや。ありがとよ、早速いただくとするぜ!」
冬馬「うんめえ!うめえよ!マジで!」
貴音「それは安心しました。見よう見まねで作ったのであまり自信が無かったのですが」
冬馬「四条って料理の才能あるんじゃねぇか?」
貴音「めろんそぉだにバニラアイスを入れて多少果物を加えただけなのですが…」
冬馬「ばっか、その配分が最高だって言ってんだ!」
貴音「そこまで誉められると少々照れくさいですが…」
貴音「嬉しいものですね」ニコッ
冬馬「……!」ドキッ
冬馬「え……あ、そうだよな」
貴音「後のお二人にもよろしければお渡し下さい」
冬馬「……おう」
貴音「それでは」
冬馬「…じゃあな」
貴音「歌っているお姿、普段以上に凛々しく見えましたよ」
冬馬「…は?」
貴音「何でもありません。ライブお疲れさまでした」
翔太「冬馬君ニヤニヤしててちょっとキモーイよ」
冬馬「う、うるせぇ!」
北斗「帰ってきたらこの顔だからな…冬馬まさかトイレで…」
翔太「元気注入されちゃったとか?…うん、ボクは本人が良いならそっち系でもOKだと…」
冬馬「どうしてその方向に話が転がるんだよ!んな訳ねぇだろ!」
北斗「じゃあその大事そうに抱えてる紙袋は何だい?」
翔太「確かにただの差し入れには見えないけど…まさか道具!?」
冬馬「はぁ!?」
北斗「翔太!冬馬を抑えたぞ!!」ガシッ
翔太「よっしもーらい!」ヒョイッ
冬馬「あ、バカ!やめろ!!これはお前達にはやらねぇ!」ジタバタ
翔太「……なぁんだ、クリームソーダか…そりゃ冬馬君も必死になるよね」
北斗「冬馬がそっちの人じゃ無くて安心したよ」
冬馬「ねーよ!返せこら!」ヒョイッ
[SUBJECT]四条貴音ですよ。
本日はお疲れ様です。
ファンとジュピターが一体になった素晴らしいライブでした。
機会があれば是非私達のライブにもいらして下さい。
歓迎します。
差し入れ、他のお二人への評判は如何でしたか?
あなたの喜びっぷりを見ると今でも少し笑いが込み上げてきてしまいます。
冬馬「うおおおお!メール来たああああ!俺から送るべきか悩んでたら向こうから来た!」
冬馬「テンション上がるじゃねぇか!ちくしょう!そっちのライブに呼んでくれよ!」
冬馬「…そんなに俺喜んでたか?ガキ臭いと思われたかもしれねぇ…」
冬馬「はぁ…たかがメールでこんなにはしゃぐなんて俺どうしちまったんだ」
[SUBJECT]無題
おう、今度はお前のライブ呼んでくれよ。
暇なら行ってやるから。
あいつらも美味しいって言ってたぜ。
あと俺の反応は忘れろ!
冬馬「こんなもんか…また1時間頭使っちまった。あいつらには差し入れあげてねぇけど送信っと」ピッ
冬馬「……」
冬馬「何だこの妙な感じ…あいつのこと考えると…」
冬馬「…まさか俺は…」
冬馬「……」
冬馬「いや、違う!俺はただ情報を…」
冬馬「きたあああああああああああ!メールゲッチュ!…添付ファイル?」
[FROM]四条貴音
[SUBJECT]四条貴音ですが…。
はい、次回のライブが開催される時は連絡致します。
予定が合えば良いのですが…。
そうですか。安心しました。
あの反応は忘れようにも…忘れられませんね。
新たに見つけたこのらぁめん屋…素晴らしかったです。
冬馬「連絡、絶対連絡しろよ!予定なんかこじ開けるもんだろ!」
冬馬「俺の事忘れようにも忘れられないだと!?」
冬馬「そして…この写真…店前でピースしてる四条…」
冬馬「うおおおおおおおおおサンキュー、ラーメン!」
冬馬「落ち着け…一回冷静になれ…俺」
[SUBJECT]ラーメン良いな
連絡よろしく頼むぜ。
俺も寿司事件は忘れたくても忘れられねぇ。
このラーメン屋うまいのか?
俺も行ってみたいぜ!連れてってくれよ!
冬馬「これ…ごく自然な感じだよな?おかしくないよな?」ドキドキ
冬馬「……いっけええ!」ピッ
冬馬「……」
冬馬「やっちまったあああ!!絶対1人で行けって思われてるだろこれ!!」
冬馬「連れてってって何だよ!!場所教えてもらうだけで良いだろうが!」
冬馬「メールを見るのが…怖いぜ…」チラッ
[FROM]四条貴音
[SUBJECT]四条貴音だったりします!
お互い忘れられぬのですね。
これはつまり私達の間に深い繋がりが出来たと…。
はい!こちらもお互いの予定が合い次第行きましょう。
このらぁめんの虜になること間違いないです。ふふふ。
冬馬「……」プルプル
冬馬「っしゃあああああ!!オラァ!!!」
冬馬「深い繋がり…はい!俺死んだぜ!俺今死んだ!」
冬馬「予定?合うに決まってんだろ!!どうだ!!俺だってデートに誘うぐらい出来るんだよ!」
貴音「……」
トントン
冬馬「あ?」クルッ
冬馬「…!よ、よぉ」
貴音「こんにちは。まさかこの時間に来ているとは思いもよりませんでした」
冬馬「いや、俺も今来たところだからよ」
冬馬(人生でいっぺん言ってみたかった台詞!たまんねぇ!!)
冬馬「そ、それより行こうぜ!腹減って死にそうだ!」
貴音「…何やら顔が赤いですが大丈夫ですか?体調が優れないのなら別の機会にでも…」
冬馬「べ、別に健康体だっての」
貴音「ふむ…では失礼」ピトッ
冬馬「なっ、なっ、なっ…き、急に何だよ…俺の頭がどうかしたのか?」
貴音「…やはり体温がやや高いようです。本日はもうお止めになった方が…」
冬馬「お、俺平熱が高いんだよ!全然平気だ!!早く行くぞ!」
貴音「…確かに顔色以外は別段問題は無いように見えますね。向かいましょうか」
冬馬(うわぁあああああ、触られた!!っらあああああああ!恋をはじめよう!!)
冬馬(やべぇ…普段の凛とした雰囲気とのギャップが…)
貴音「この至福の時にもはや多くの言葉は必要無いでしょう…」チュルル
冬馬(可愛いな…おいしそうに飯食う姿って悪くないじゃねぇか)
貴音「……あの…先ほどから箸が進んでいないようですが」
冬馬「!!あ、あまりにうますぎて!感動の余韻に浸ってたんだ!」
貴音「その気持ちも分かります…ですが冷めて麺が伸びてしまえば美味しさは半減です」
貴音「出来れば今の状態で食して欲しいのですが…」
冬馬「わ、分かってるっての。そんな悲しそうな顔すんなよ」
冬馬「やっぱうめぇ!お前うまいラーメン屋見つける天才だな!」ズルズル ズズー
貴音「好きこそ物の上手なれ…です」モグモグ
冬馬「それ意味合ってるか?」フーフー
貴音「言葉とは大意が伝わればそれで良いのです」ズルズル
冬馬「ごっそさん!」
貴音「御馳走様でした。真美味しゅうございました」ニコニコ
冬馬(うっ…この笑顔がたまんねぇ……ってここではい、さいならじゃ進展しねぇ)
貴音「さて…私達の目的も果たした所で」
冬馬(言え!俺…!言うんだ!!ここで!言え!)
貴音「今日の所は」
冬馬「ちょ、ちょっと待てよ!」
貴音「?」
冬馬「丁度映画のチケット2枚北斗に貰ったからさ!一緒に見ようぜ!」
貴音「……」ボリボリ
冬馬(何か良い匂いがする…これが貴音の香りか…)
貴音「……」モグモグ
冬馬「……」チラッ
貴音「……」バリボリ
冬馬(…良い)
ビー
貴音「始まりましたね」モグモグ
冬馬(人気の映画何でも良いっつったらまさかのホラー映画かよ…!)
冬馬(俺苦手なんだよ…だせぇとこ見られたら…)チラッ
貴音「め…面妖な…」プルプル
冬馬(目瞑って震えてる!何!?ホラー苦手なのか!?)
キャアアアア コカンニナニカガ
貴音「……」ビクビク
冬馬(ビビってる!超ビビってる!音だけなのに!)
ギャオオオオオオオン
貴音「……」ハッシ
冬馬(手…!!手握られた!!うおおおおおお!!)
冬馬(柔らかい!スベスベ!あったかい!!手小さい!!)
貴音「…天ケ瀬冬馬のいけず」
冬馬「ぇ」
貴音「あのような映画を見せるとは…どういうつもりなのですか…?」
冬馬「いや…その、お勧め映画って言われたからよ…」
貴音「もう少し考えて下さい…映画を見終える頃には日は落ちているのですよ」
冬馬「あ…ま、まあ別に大丈夫だろ。人通りも少ないわけじゃねぇし」
貴音「…駅まで送ってください」
冬馬「…!!お、おうよ!!」
冬馬(俺の服掴んでる!頼りにされてる!!)
貴音「……」
ワオーン
貴音「…!!い、犬の鳴き声ですか」ビクッ
冬馬「ビビりすぎだろ…あんたのイメージ丸つぶれだぜ」
貴音「誰にでも苦手なものはあるというもの…どうしようもありません…」
ヒュウウウウ
貴音「!!…か、風の音でしたか」
冬馬「何か今更ながら、すげえ申し訳ない事したような気がする」
貴音「…ありがとうございます」
冬馬「ちゃんと家帰れるんだろうな?」
貴音「はい、ご心配なく」
冬馬「そうか、まあ困ったら連絡しろよ。た、た、た、た、」
貴音「た?」
冬馬「た、貴音」
貴音「……」
冬馬(な、何か難しい顔してる…名前呼びは早すぎたか!?)
貴音「はい、頼りにしていますよ。冬馬」
冬馬「お、おう!!任せな!」
[SUBJECT]今日は悪かった
ちゃんと家帰れたか?
せっかく店紹介してもらったのに、嫌な思いさせちまったな。
悪かった。
また今度埋め合わせはするから。
あ、ラーメンは最高だったな!
[FROM]四条貴音
[SUBJECT]四条貴音…です…。
心を無にして帰りました。
はい、今後二度とあのような事はしないで欲しいです。
埋め合わせはらぁめん5杯で勘弁しましょう。
ふふふ、そうでしょう。冬馬にも素晴らしさが伝わったようですね。
以前は豚骨を食したのですが、今回の味噌もまた素晴らしかったです。
それと今日一日冬馬の歯に葱がついておりました。
冬馬「ネギ……うわああああああああ」ガンガン
冬馬「あ、あれは765プロのプロデューサーと…」
冬馬「貴音!?」
貴音「…?」
冬馬(ヤベッ)
P「どうした貴音?」
貴音「…いえ、何でもありません。あなた様」
冬馬「何で俺は逃げたんだ…逃げる必要なんてどこにも…」
冬馬「…貴音のやつ楽しそうな顔してやがったな」
冬馬「……」
冬馬「…プロデューサーとアイドルだし一緒にいるのは当然じゃねぇか」
冬馬「ははは!」
冬馬「……クソッ、何でイラツクんだ」
[SUBJECT]四条貴音でした。
ライブの日時が決定いたしました。
丁度一月後の18時から海の公園近くの会場で行います。
765プロでは無く私の…ですが。
良ければいらしてください。
冬馬「っしゃああ!!行くに決まってんじゃねぇか!ソロライブだと尚更な!」
冬馬「1カ月も待つのが辛いぜ!」
[TO]四条貴音
[SUBJECT]分かった
予定がまだ分からねぇ。
行けたら行く。
当日また連絡する。
冬馬「良し、これならがっついてる感もねぇ」ピッ
冬馬「俺も差し入れしねぇとな!何にすっか…」
冬馬「あー、興奮しすぎて眠れないなんてガキじゃあるめぇし」
冬馬「あー、どんな衣装でくるんだ!?」
冬馬「何歌うんだ!?フラワーガールか?風花か?まさかのオーバーマスターソロverか!?」
冬馬「あなたがすっき♪」
冬馬「とか生で言うのかあああああああああああああ!?」
冬馬「テンション上がってきたああああああ」
[SUBJECT]ライブ
今日は暇だから行くぜ。
冬馬「送信…」
冬馬「待てよ…これはこの間の仕返しに俺も…」
冬馬「ふふふ、やっぱやめとくか」
冬馬(人多すぎ…観客側になるとやっぱ違うな)
冬馬(あー、開演5分前…ここまで長かったぜ…)
冬馬(サイリウムもタオルも予習も完璧!後はぶっ倒れる直前まで楽しむだけだ!)
冬馬「うおおおおおお、たかねええええええええ!!」
冬馬「ハイ!ハイ!ハイ!ハイ!」ブンブン
冬馬「ハーイ!ハーイ!ハイハイハイ!」ブンブンブンブンブン
冬馬「ウォォォォ!ハイ!ウォォォォ!ハイ!」ブン ブン
冬馬「ふぉおおおおおおおおおおおお!」ブンブンブン
ガッ
冬馬「あ、スイマセン」
冬馬「フォフォフォフォ!」ブンブンブン
冬馬「フフゥ!フフゥ!フフゥ!」
冬馬「いええええええええええええい!」ブンブンブン
冬馬「ったく何であんなに歌うまいんだよ!」
冬馬「あの如月千早の蒼い鳥まで自分の歌にしちまうし…すげぇぜ!」
冬馬「けしからん衣装まで着やがって!全く最高だぜ!」
冬馬「俺が来たって気付いてるかなあいつ…」
冬馬「貴音のことなら『すべてお見通しです』とでも言いそうだぜ」
冬馬「よしっ!ちょっと顔見に行くか!この差し入れを持って…」ドキドキ
冬馬「あー、ちょっと緊張してきたぜ。喜んでもらえると良いが…」
冬馬(ん?ちょっとドアが開いて…)コソッ
P「良くやったな、貴音!」
貴音「私の力だけではありません。ライブスタッフや応援して下さる方々…そしてあなた様がいたから最高のライブになったのです」
P「おいおい、俺は大したことはしてないぞ。一番頑張ったのは他の誰でも無い貴音だ」
貴音「いえ…あなた様が側にいたから私は今回も最後まで全力でやり通すことが出来たのです」
P「そう言われると照れくさいが…ありがとうな。貴音も可愛くて美人で最高だったぞ」
貴音「そ、そのような事をおっしゃられると…私は…」モジモジ
P「だって事実だろ?」ナデナデ
貴音「…あなた様はいけずです。また私をからかって」カァー
俺もキツイよ
貴音「ぁ…ぅ…」
P「ふむ…やっぱりちょっと熱っぽいかな?」
貴音「…あなた様」ギュッ
P「うおっ!?急にどうした!?」
貴音「お、お返しですよーだ」
冬馬「……」ダダッ
冬馬「ははっ、そりゃ当然だよな。何度か飯食ったぐらいで何舞い上がってたんだ…」
冬馬「男として見られてたかどうかも怪しいぜ」
冬馬「ばっかじゃねぇの…マジで」
冬馬「こんなんだから北斗や翔太にも…」
冬馬「……」
冬馬「あー、やめだやめだ!あいつはただの敵、それだけだ」
冬馬「向こうも俺の事をそのぐらいにしか思ってくれてねぇだろうしな」
冬馬「……」
冬馬「あのプロデューサーか…確かに良い奴だな」
冬馬「……」
冬馬「クソッ…ちくしょう…!」グスッ
[SUBJECT]四条貴音だぞー!
本日は何か予定が入っていたのでしょうか?
今回のライブは自惚れかもしれませんが私の持てる力を十二分に発揮できたと思います。
冬馬にも是非見ていただきたかったです。
よろしければ、再びライブを開催する際はご連絡しますが。
冬馬「……」
[TO]四条貴音
[SUBJECT]無題
そうか、それは良かったな。
連絡は別にしなくて良い。俺はあんたと馴れ合うつもりは更々無い。
冬馬「これで良いんだ…これで…!」
[SUBJECT]馴れ合い…ですか。
そうですか…。承知しました。
私だけ招待されたままなので冬馬にも私のライブを…と思っていたのですが。
話は変わりますがまた新たならぁめん屋を見つけたのですが…今度如何ですか?
[TO]四条貴音
[SUBJECT]無題
ラーメンなんか1人で食いに行けるだろ。
そういうのが馴れ合いって言ってるんだよ。俺たちは敵同士なんだ。
冬馬「……」ピッ
冬馬「あー…こういう所がダメなんだろうな俺」
冬馬「…もうどうでもいいか。寝て何もかも忘れちまおう」
ブブブ
冬馬「…あ、メール来てるな…もう見たく…無ぇや。消去…っと」ピッピッ
>>151のSUBJECTが
なんとも・・・。
と思ったけど、よく考えたらコイツまだ高2くらいだし、こんなもんだよな
お、あまとうってそんなに若いのか・・・
チャオ20、羅刹17、トイレ14だったはず
冬馬「またあいつ…」
[FROM]四条貴音
[SUBJECT]四条貴音…です…。
美味しいくりぃむそぉだとらぁめんが出てくる店を見つけました。
冬馬なら喜ぶと思うのですが。
今度御一緒しませんか?
冬馬「プロデューサーとでも行けば良いだろ…」
冬馬「それとも好きだからそんなの恥ずかしいってか?」
冬馬「……」
冬馬「もうこれからメールが来ても何もしないで良いか…」
冬馬「返事するのも内容見るのもきついぜ…」
冬馬「…それなら着信拒否…か」
冬馬「……」
なんでこんなに切ないんだよ
貴音「…お久しぶりです」
P「お、お前は天ヶ崎竜馬じゃないか!こんなところで出会うなんて!」
冬馬「……」
P(あ、あれ?)
貴音「私達これかららぁめん屋に行くつもりなのですが…」
冬馬「……」
P「そうだ、一緒にどうだ?」
冬馬「行かねえよ。あんたらと遊んでる暇は無い。じゃあな」スタスタ
貴音「……」
P「相変わらずツンツンしてるなぁ。…どうした貴音?」
貴音「いえ…」
冬馬(はぁ…相変わらず仲良しごっこが好きなんだな。765プロは)
冬馬「こんな時はやっぱサッカーでストレス解消に限るぜ」
貴音「……」
冬馬「何でこんなところにいるんだ…ほとんど誰も来ねぇグラウンドだってのに」
貴音「御手洗翔太、伊集院北斗に冬馬の最近の動向を教えてもらったので」
冬馬「あいつら…」
貴音「…何故、ですか?」
冬馬「は?」
冬馬「……」
貴音「…理由も分からずに……あまりに辛い…」
冬馬「…俺は元から馴れ合いなんか大嫌いなんだよ」
貴音「では、何故以前は私と共に食事をして下さったのですか…?」
冬馬「……」
貴音「何故私をライブに招いてくれたのですか…?」
冬馬「そんなのは…ただの気まぐれだ」
貴音「私にはそうは思えません」
冬馬「あんたに…俺の何が分かるんだ」
貴音「確かに私は今はまだ冬馬の事をほとんど何も分かっていないでしょう」
貴音「ですが…だからこそより深く知りたいと思う相手と友人になるのではないですか?」
貴音「……」
冬馬「もう…俺に関わらないでくれ」
貴音「え…?」
冬馬「正直うんざりだ。あんたと顔を合わすのも」
貴音「そうだったの…ですか…」
冬馬「ああ、俺たちはただの敵同士。会話はステージの上だけで十分だ」
貴音「…分かりました。最後に渡しておきたいものがあります」
冬馬「…何だよ」
貴音「最近冬馬の調子が優れないとのことで…くりぃむそぉだを…」
冬馬「……いらねぇ」
貴音「そう…です…か…」
冬馬「…ああ。あばよ」
冬馬「もう…最低すぎるぜ。何もかも…」
北斗「全く最低だぞ。女性を悲しませるなんて…それも俺達が以前迷惑をかけたエンジェルちゃんに」
冬馬「…は?」
翔太「そんなんだから冬馬君は冬馬君なんだよ」
冬馬「な、何でお前らが知ってるんだよ!?」
北斗「そりゃ何があるか気になって見に行ったからに決まってるじゃないか☆」
翔太「急に貴音さんに冬馬君のこと聞かれたら…もう尾行するしかないじゃん」
冬馬「ああああああああ!!くそおおおおおおお」
翔太「結構きついこと言うよねぇ。ちょっと驚いちゃったよ」
冬馬「……ああ、俺は最悪の糞野郎だ。自分でもビックリするぐらいのな…」
冬馬「…簡単に言ってくれるじゃねぇか」
北斗「好きな相手だから余計気まずいんだろ?」
冬馬「ああ…」
冬馬「ってはあああああああああああああああ!?」
翔太「え?好きじゃないの?」
冬馬「は?は?意味わかんねぇ!どうしてそうなんだよ!!」
北斗「今まで相手までは分からなかったけど好きな人がいるって事は丸分かりさ☆冬馬の行動を見ればね」
翔太「えー、北斗君知らなかったの?冬馬君が貴音さんのライブに行った事」
北斗「ライブは知らなかったな。…つまり冬馬は好きな子猫ちゃんほどいじめたくなるタイプだろ?」
冬馬「……」プルプル
北斗「逆切れしてるって訳だね」
冬馬「ああ…」
翔太「擁護しようが無いよ…」
北斗「うん…正直フォロー出来ない…」
冬馬「うっせえ!そんなの分かってんだよ!!」
翔太「…ここまでしちゃったなら告白しかないね」
北斗「ああ。自分の誠意を見せるしかない」
冬馬「こ、告白だと!?」
北斗「自分の気持ちを包み隠さず話すのが今出来る唯一の償いだと思うよ」
冬馬「……」
翔太「冬馬君はこのままでいいの?本当にそう思ってる?」
北斗「自分の気持ちも伝えず、相手を傷つけたまま終わりで本当に良いのか?」
冬馬「……俺は……俺は……」
冬馬「俺は常に…真っ向勝負だ!どんな事でもな!そんな終わりで良いわけねぇだろうが!!」
翔太(うわぉ、あっさりのってくれた)
北斗(ちょろすぎるな)
翔太(どうなっても楽しそうだね)
それはないだろうと思うところもある。
よう俺
[SUBJECT]無題
あんな事言っといて虫が良すぎるのは分かってる。
だけどお前にどうしても直接伝えたい事がある。
1週間後の俺達のライブに来てくれ。場所と時間はあの時と同じだ。
ライブ後に…話す。
冬馬「……」
冬馬「……」ピッ
冬馬「…後は…俺が出来る事をするだけだ」
貴音「…はっきり申しますと…実はこの場に来たくはありませんでした」
貴音「あのような事があった後で…私は本当にこの場に来て良いものなのか…それさえも不安でした…」
冬馬「だろうな…」
貴音「ですが…私も冬馬とこうして話したかったのもまた事実」
貴音「あなたが私にどうしても伝えたい事…とは一体」
冬馬「……」
貴音「……」
冬馬「愛してる、愛してるいつか未来で。僕が君に誓うから」
貴音「…『恋をはじめよう』…ですか?今日のライブでも歌っていた…」
冬馬「……」スー
冬馬「俺は…貴音、あんたが好きだ」
冬馬「……」
貴音「…それは真ですか?」
冬馬「ああ、あんな事言った後に何言ってるんだと思うかもしれねぇが…」
冬馬「冗談でも何でも無い。本気だ」
貴音「…私も…冬馬の事は」
冬馬「いや、違う。俺の好きとお前の好きは全く違うんだ。分かってる」
貴音「……」
貴音「……」
冬馬「貴音、俺と付き合ってくれ」
貴音「……」
冬馬「……」
貴音「…冬馬の気持ちを知ることが出来てとても嬉しいです。そして私などを選んでくれてありがとうございます」
冬馬「……」
貴音「…ですが…私では冬馬の気持ちに応える事が出来ません。申し訳ありません…」
冬馬「そう…か…」
冬馬「…なんてな!なーに暗い顔してんだ!俺の完璧な演技に引っかかったな!」
貴音「はい?」
冬馬「ハハハ、自分でも驚きだぜ!あの四条貴音も騙されるぐらいだからな!」
冬馬「ドッキリ大成功!ってか」
貴音「……見事に騙されました」
冬馬「腹痛いぜ!貴音の鳩が豆鉄砲食らったみてぇな顔、中々拝めねぇぞ」
貴音「……」
冬馬「…あー、ホント。笑いすぎて泣けてきやがったぜ」
貴音「いえ、気にしておりません。何か事情があったに違いが無いのですから」
冬馬「貴音は…優しすぎるな。程々にしといた方が良いかもしれねえぜ」
貴音「どういう意味でしょうか…」
冬馬「…世間には身の程知らずなバカがいっぱいいるって事だ」
貴音「……」
冬馬「さてと…言いたい事も全部言えたし、解散だな」
貴音「…本来なら最初に言うべきでしたが」
冬馬「ん?」
貴音「本日のステージも素晴らしかったです」
冬馬「…へっ!当然だろ」
貴音「逃げる…とは?」
冬馬「飯に誘うなら俺なんかよりも一緒に食いたい奴がいるんじゃねぇか?」
貴音「…!」
冬馬「俺みたいに逃げたら碌な事にならねぇからな。ぶつかっていけ」
貴音「…ふふっ、あの方から逃げているように見えるのですか。私もまだまだですね」
冬馬「…精々頑張るんだな」
貴音「分かっています。あの方は皆に好かれていますから」
冬馬「…じゃあな、他の連中に絶対負けんなよ!!絶対にな!」
貴音「冬馬」
冬馬「あ?」
貴音「ありがとうございます」ニコッ
冬馬「っ…」プイッ
冬馬「あぁ…!」グスッ
貴音「どうしたのですか?」
P「いやな、いきなり冬馬君に『貴音を悲しませたら俺が殴る』とか言われてさ」
P「まず悲しませるの意味が分からんし…仮にそうなっても彼が俺を殴る理由も分からないし…」
貴音「私を悲しませる人にあなた様は見えたのでしょう。もっと私を大切にしてください」
P「大切にしてるぞ!765プロのアイドルは皆俺の大事な仲間だ!」
貴音「…あなた様はいけずです」
P「何故」
貴音「冬馬…やはり来てくれていたのですか」
P「んでこれを貴音に渡してくれって頼まれたんだが」
貴音「何でしょうか…中々大きな物ですが」ガサガサ
翔太「だってあの楽屋裏戻ってきた瞬間の冬馬君の男泣き!結果は分かってたのにさー」
北斗「人はああいう経験を経て成長していくんだから恥ずかしい事じゃないさ☆」
冬馬「う、うるせぇ」
翔太「でもあの手作りフィギュアを渡したんでしょ?手渡しじゃ無いにしてもその勇気はすごいね」
冬馬「その言い方明らかにバカにしてるだろ」
北斗「それも1週間であのクオリティ…ある意味尊敬に値するよ」
冬馬「前作ってたやつベースにしたから完成が早かっただけだ!勘違いすんな!」
翔太「好きな人と恋敵のウェディングフィギュアってのもどうかと思うなー」
冬馬「もう、俺は気持ちを吐きだしてふっきれたぜ。後はあいつが幸せなら満足だ」
北斗「うん、冬馬は少しだけ大人になったのかな」
翔太「1ミリぐらいね」
冬馬「なんだと、このチビ」
P「何だった?」
貴音「み、見てはいけません!とっぷしーくれっとです!」
P「えぇー、見せてくれよー」
貴音「…強いて言うなら…私とあなた様の未来が描かれた物…ですね。これ以上は言えません」
P「占い本か何かか?」
貴音「その時が来れば…あなた様にも見せてさしあげます」
P「その時?」
貴音「私、皆には負けませんから!」
P「…うん!何か良く分からんが頑張れ!」
貴音(冬馬、きっとあなたなら…素晴らしい人に出会えるはずです)
冬馬「いええええええええええええい!」ブンブンブン
冬馬「お前ら、この後楽屋裏に行くからな!今回のフィギュアは力作だぜ!」
翔太「あ、うん…ドンビキだよ。本人だともっとヒクんじゃないかな」
北斗「これで何個目だ…流石に迷惑じゃないか?正直神経を疑うレベルだぞ…」
冬馬「何言ってやがる!そんなはず…あ!貴音が俺を見たぞ!手振ってくれたぜ!」
翔太「…なんだか別の方向にもふっきれちゃったよ」
北斗「本人が幸せなら良いのかもしれない…多分ね」
冬馬「うおおおおおお、たかねええええええええ!!」ブンブン
終わり
たまにはこういうほろ苦い話もいいな
横アリでもあまとうは、来てたんだろうな。
乙
Entry ⇒ 2012.07.06 | Category ⇒ アイマスSS | Comments (3) | Trackbacks (0)
やよい「おとなに、なりたい」
――PM19:30
やよい「うっうー!プロデューサー!今日もお疲れ様でしたぁ!」
P「おう!お疲れ様、やよい」カタカタ、カチカチ、
やよい「…?プロデューサー?パソコンとにらめっこして、どうしたんですかー?お茶の準備してきましょうかー?」
P「いや、大丈夫だよ。ありがとな?」ナデナデ、
やよい「えへへ…」テレテレ、
P「…」
P「…なぁ、やよい」
P「…」ハァ...
P「いや、やっぱりなんでもない。もう夜も遅いから、家まで送って行くよ」
やよい「うっうー!ありがとうございまーす!」ピョンピョン
P「…」
いつからだろう。自分の担当アイドルを、意識するようになったのは。
やよい「…プロデューサー?私の顔に、なんか着いてますか?」ジー
P「っ!いっ、いや何でもないんだ。なんでも…」
やよい「…」
いつからだったのかな。プロデューサーの事が、すっごく、すっごく気になり出したのは。
P「…」
やよい「…」
長い沈黙。普段のやよいなら、もっとおしゃべりがあってもいい筈だ。
P「なぁ、やよい?」チラッ
やよい「何ですか?」
後部席に座るやよい。表情は…ここからは見えない。
P「悩み事でも、あるのか?」
やよい「えっ?」
P「いや、今日の…というより、今のやよいかな?あんまり元気が無いみたいだからさ」
やよい「えへへ…悩み事とか、そういうんじゃ、ないんです」
やよい「プロデューサーは…おとなです」
P「えっ?」
やよい「おとなだから、車も運転出来るし、みんなのプロデューサーも出来るんです。みんなを大切にしてくれて、守ってくれて」
P「…」
やよい「あの…プロデューサー!」
P「…ん?」
やよい「私、おとなになりたいんです」
P「…」
P「やよいはさ、何で大人になりたいんだ?」
やよい「えっ?何でって…」
P「やよいは、今のままでもしっかりやれてる。家では優しいお姉ちゃん、TVの前では元気なアイドル」
P「それじゃ、不満か?」
いつか、予想はしていた。やよいが、『大人』に憧れる事。そして、その『大人』が、俺である事。
P「いいよ。誰だって、悩む事ぐらいあるさ」
やよい「…」
P「ほら、着いたぞ?ちゃんと、歯を磨いてから寝るんだぞ?」ニヤッ
やよい「あ~!私、そんな子どもじゃありませんー!」ムスー
P「ははっ。そっか。そうだな」
やよい「はい!」ムスッ
P「じゃあ、また明日な?」
やよい「はい!また明日です!プロデューサー!」
やよい「おやすみなさい」
やよい「もっと、わかんなくなっちゃった」
おとなってなんだろう。私の知ってるおとなは、お父さんとお母さん。
それと…プロデューサー。
やよい「うっうー…難しいです…」
――同時刻
――Pの部屋
P「…ふぅ」グビッ
酒で、気が紛れるとは思わない。だけど、飲む。そうじゃないと、気がおかしくなりそうだった。
P「やよい…か」グビッ
最初は、担当アイドルとして接した。それ以上は、無い筈だった。
P「ガキは、俺の方か」
携帯を開く。待ち受けは、いつかやよいと二人で撮った写真。
空になった空き瓶が、いくつか並んでいた。
P「…大人は、あんまりいいもんじゃないよ。やよい」
――次の日
――765プロ事務所
やよい「えっ?あの、それって…」
P「やよいがメインヒロインのドラマが決まった。単発だけど、ゴールデンで流れる二時間モノだ」
P「おめでとう!やったな!」ナデナデ、ナデナデ
やよい「うっうー!ありがとうございますー!それで、どんなお話なんですかー?」
P「恋愛モノだ!」
やよい「えっ?」
恋愛?誰と?私が?
やよい「はい!この人なら、知ってますけど…」
写真に写るこの人なら、何度かバラエティで一緒になった事もある。
P「向こうが、お前の事を気に入ってるみたいでな?名指しでの推薦だ」
嬉しいのか、そうじゃないのか、私はわかりません。でも、プロデューサーは嬉しそうだったから。
やよい「はい!うっうー!ドラマ、頑張りまーす!」
だから、私も嬉しい。
やよい「ふぇっ!?きっ、きすっ!?あのっ!そのっ!わっ、私が…この人と…ですか?」
痛い。どこが痛いのか分からないけど、痛い。何でだろ…。
P「そうだ。でも、多分フリだ。キスする、フリ」
平静を装う。動揺してはいけない。やよいを、不安にさせてはいけない。
やよい「うっうー…出来るかなぁ…」
P「大丈夫。やよいなら、大丈夫」
大丈夫。いつもなら安心出来るその言葉が、痛かったんです。
やよい「うん!今日も天気で良かったね!これなら、今日のデートもバッチリだね」ニコニコ
てを繋ぐ。知ってるだけの、この人と。
やよい「う~、今日はちょっと寒いね。…あっ…///」
肩を抱かれる。撫でられた事の無いこの人に。
やよい「えへへ…ありがと」ニコッ
笑いかける。笑い合った事の無い、この人に。
P「…」
プロデューサーは、それをじっと見てました。
肩を抱かれ、てを握られ、笑顔を向けるやよい。…その相手は、俺じゃない。
見るのが、辛かった。
P「…プロ、失格だな…」
でも、見る。それが俺の仕事だから。それが、大人だから。
やよい「うっうー!プロデューサー!撮影、明日で終わりですー!」
P「あぁ、本当によく頑張ったな。偉いぞ?」ナデナデ、ナデナデ、
久しぶりに撫でる、やよいの髪は柔らかかった。
久しぶりに撫でられました。プロデューサーのては、やっぱり安心しました。
やよい「…」チラッ
P「…」チラッ
P・やよい「「あのな?/あのっ!」」
P「…」スッ
やよい「?」
覚悟を、決める。誰にも、渡さない。渡したくない。それが例え、プロデューサーとして、プロとして、大人として、許されたものじゃ無いとしても。
P「…」スッ、ナデナデ、
やよい「んっ…」ピクン
――チュッ
やよい「あっ…」ポロ...
P「謝らない…から」
嫌われても仕方がない。だけど、誰にも渡したくなかった。ならいっそ、俺が。
やよい「んっ…」チュッ
P「!」チュッ
やよい「えへへ…私も、謝りません」
嬉しい。プロデューサーにキスされて、嬉しい。これが、プロデューサーが気になってた原因?
やよい「あ…そっか…」
私、好きだったんだ。
プロデューサーの腕に、抱き着く。はぁ…落ち着きますー。だって、
P「ははっ」ギュッ
やよいが、俺の腕に抱き着く。許されたものじゃないけど、こればかりは仕方がない。だって、
P(好きなんだから)
やよい(好きなんだもん)
――最終日
やよい「あの…話って…何かな?」チラッ
残りの撮影は、キスシーンだけ。でも、前みたいな不安はありません。だって…ホントのキス、しちゃいましたから。だから、我慢出来る。しなくちゃいけません。だって
やよい(これが、私のお仕事なんだから)
やよい「うん…私も、私もダイスキ!あの…だから、ね?」チラッ
やよい「私を…アナタの恋人に、してください」
告白。うその告白。そして、男のアイドルさんの顔が少しずつ近付く。
やよい「…」ギュッ
恐い。恐い。恐い。必死に、眼を閉じる。早く、早く終わって。
プロデューサーの怒鳴り声が聞こえる。眼を開けると、私の目の前にプロデューサーがいた。
男性アイドル「ちっ。フザケンナよ?俺の事務所、どこだか知ってンだろ?」
男のアイドルさんはプロデューサーを睨んでいました。
P「…」スタスタスタ、
男性アイドル「あ?やんのか?あ?」
P(ウチのアイドルに、手ェ出したな?覚悟しとけ)
男性アイドル「ひっ」ペタン
いいと思います!
P「やよい、お疲れ様。収録、終わったぞー。監督もいい画が出来たって喜んでた」ナデナデ、ナデナデ
やよい「うっうー!良かったですー!で、でも…」チラッ
P「ん?どうした?」
やよい「あの人は…いいんですか?」
男のアイドルさんは、まだ座ったままでした。
P「あぁ、いいんだよ。ほっとけばいい」ナデナデ
やよい「えへへ…プロデューサー///」
P「じゃ、挨拶してから事務所に帰ろうか」ナデナデ
やよい「はい!」
そうして、ドラマの収録は終わりました。
P「なぁ…やよい」ギュッ
やよい「はいー?何ですかー?」ギュッ
P「まだ、大人になりたいか?」
やよい「…」
えへへ…。そういえば、そんな事も言ってたっけ。
やよい「あの、プロデューサー?」ギュー
やよい「私を、離さないでくださいね?私が、おとなになれるまで」
これが、私のわがまま。今はまだ子どもだから、わがまま。
それでいつか、私がおとなになれたら、その時は…。
おわり
ぅゎゃょぃヵゎぃぃ
Entry ⇒ 2012.07.06 | Category ⇒ アイマスSS | Comments (1) | Trackbacks (0)
P「律子、ちょっといいか?」 律子「はい、なんですか?」
律子「えっ……」ショック ガーン
P「だって、律子は可愛いってよりも綺麗だからさ」
律子「えぇっ!?」アタフタ アタフタ
P「今の、眼鏡掛けてパイナップルみたいな髪形が素敵だなって」
律子「うぅぅっ……」テレテレ
これから仕事なので代わり宜しくお願いします。
P「思ったままを言ったんだよ」
律子「そんなこと言われたら照れちゃうじゃないですか……」
P「……やっぱり可愛くないってのは撤回するわ」
P「ハハハッ、すまんすまん」
律子「そういうこと言われたら勘違いしちゃうじゃないですか……」ボソッ
P「んっ、どうかしたか?」
律子「なんでもないです……」
P「本当に?」
律子「なんでもないです!」
律子「聞こえてたんですか!?もう信じらんない!本当に、あなたって人は……」
P「『あなたって人は?』」
律子「あなたって人は、ずるいですよ……」
P「おぅふっ」
小鳥「えっ!?なんですかいきなり!っていうかプロポーズっ!?」
小鳥「あぁ、間違えた。すまん、律子……」
小鳥「えぇー……。間違い……だったんですか?」
小鳥「本当は結婚を前提に付き合ってくれって言おうと思ったんだ」キャーッ
小鳥「えっ、プロデューサーさん?本当なんですか?」
こと……さん、こ……りさんってば!
小鳥「あぁ、この気持ちに偽りはない」
小鳥「プロデューサー……」
小鳥「律子……」
P「この人何言ってんだ?」
P「今の小鳥さんはトリップしてるから、その隙にノートを覗いてみるぞ!」
P「えーと、なになに?……これは、俺と律子で妄想して……?」
P「……ふむふむ、なるほど!これは、イケる!」
P「おーい、律子。ちょっといいか?」
律子「あっ、はい!なんですか?」
P「律子って可愛くないよね?」
律子「」ブワッ
P「えぇっ!?」
律子「っ!」ダッ
P「……えー?どうしよう……」
P「俺が……悪ふざけで……りちゅこを……」
P「うっ……うっ……うぅっ」
伊織「あんたまで何泣いてんのよ!?」
だけど真意だとわかるとやたら慌てふためく律ちゃん可愛い
伊織「なんでもいいから詳細を教えてよ」
P「あぁ、実は律子に………………」
伊織「はぁ!?あんた、馬鹿なんじゃないの!?ていうか、馬鹿でしょ!」
P「だって、小鳥さんのノートだと成功してたから」
伊織「あれは小鳥の妄想だからよ!普通にわかるでしょ!」
P「なん……だと……?」
P「すまん、伊織。俺が頭が悪いばっかりにこんな事になってしまって……」
伊織「……はぁ、アンタってほんっと馬鹿よね……」
P「だからすまんって……」
伊織「謝る相手が違うでしょ?」
P「あっ……」
P「あぁ、ああ!わかったよ伊織!」ガチャッ
ドアを開けるとそこには律子が立っていた
P「えっ……?」
律子「あの……その……」
伊織「(さーて、邪魔者は退散退散、と)」
伊織「(頑張りなさいよね!律子、プロデューサー)」
律子「あぁ、いやもうその事は気にしてません」
P「良かった……」
律子「それよりも、さっき伊織と話してた時に出た『小鳥さんのノート』ってなんですか?」
P「その事なんですが、その質問に答える前に一つだけ質問させてください」
律子「はい、いいですよ?」
律子「あぁ、その事ですか。」
律子「さっき泣いて出てった時伊織とすれ違って、その時に呼び止められちゃって……」
律子「訳を話したら、伊織が『多分それは律子の勘違いよ。とりあえず私がアイツと話してみるからそこに立って聞いてなさい』」
律子「そう言って今までの話をずっと聞いてたんです。」
律子「それではこちらの質問に答えて貰っていいですか?」
P「あぁ、はい。えーっと……これなんですけど」
律子「これって……『小鳥さんの妄想ノート?』」
P「中、読んでみてくれ」
律子「……はい」
律子「……!」
律子「……」
律子「……あの、本間違えてません?」
P「えっ!?嘘!?……いや、それで合ってるよ」
律子「! ……そうですか、つまりこの小鳥さんの妄想ノートを参考に私を辱める算段だったんですか……」
律子「」
律子「だって、このノートでは
『律子「あなたって人は、ずるいですよ……」
P「おぅふっ」 』で終わってますよ!」
律子「これだけだと、私がただプロデューサーの好いように弄ばれてるだけじゃないですか!」
P「あぁー……そっか、そっかそっか……。確かにそうとも取れるな……」
P「どうしよう……」
律子「どうしようって、どういうことですか?まさか、まだ私を……」
P「ああ、違う違う!そうじゃなくて……」
P「(どうにかして誤解を解きたいが、誤解を解くということは……)」
P「ん~~~!すまん!少しだけ時間をくれないか?」
P「そうじゃない!……そういうことじゃないんだ。確かに俺は律子を傷つけてしまった」
P「本当は律子に伝えたい事があって……!でも、それを伝えるのが怖くて……」
P「申し訳ないが、覚悟を決める時間をくれないか?そんなに時間はとらせないから」
P「いや、出なくていいよ。気持ちの整理が付いたらすぐにでも伝えたいから……」
律子「……そうですか、わかりました」
P「……」
P「……」
P「(ただ、律子に『好きだ』と伝えればそれで済んだのに……)」
P「(なのに俺は、小鳥さんのノートを見て『これはイケる!』とか、勘違いして)」
P「(律子を傷つけた……)」
P「(ここで時間を貰ってる時点でヘタレと呼ばるだろう……)」
P「(俺は律子が好きだ。だから好きな子にこれ以上かっこ悪いところを見せたくない!)」
P「よし!」
律子「それで、覚悟とやらは決まったんですか?」
P「ああ!それで早速だが一つ『お芝居』に付き合って欲しい」
律子「『お芝居』ですか?」
律子「はぁ!?なんでそんなこと……」
P「頼む……」
律子「何をしようとしているのかわかりませんが、わかりました。プロデューサー」
律子「『えっ……』」
P「『だって、律子は可愛いってよりも綺麗だからさ』」
律子「『えぇっ!?』」テレッ
P「『今の、眼鏡掛けてパイナップルみたいな髪形が素敵だなって』」
律子「『うぅぅっ……』」テレテレ
P「すまん、我慢して続けてくれないか?」
律子「でも……」
P「」ジッ
律子「うぅっ……わかりましたよ、もう……」
P「『思ったままを言ったんだよ』」
律子「『そんなこと言われたら照れちゃうじゃないですか……』」
P「『……やっぱり可愛くないってのは撤回するわ』」
P「『ハハハッ、すまんすまん』」
律子「『そういうこと言われたら勘違い、しちゃうじゃないですか……』」ボソッ テレッ
P「『んっ、どうかしたか?』」
律子「『なんでもないです……』」
P「『本当に?』」
律子「『なんでもないです!』」
律子「『聞こえてたんですか!?もう信じらんない!本当に、あなたって人は……』」
P「『あなたって人は?』」
律子「『あなたって人は、ずるいですよ……』」
P「すまん、俺のセリフがまだ残ってるんだ。もう少しだけ付き合ってくれ」
律子「えっ?あぁ、はい。私の気が早かったですね、すみません」
P「じゃあ、やるぞ。……『おぅふっ』」
P「律子、結婚してくれないか?」
律子「……えっ?えぇっ!?えぇぇっ!?」オドオド
P「あぁ、間違えた。すまん、律子……」
律子「えっ?間違い……だったんですか?」
P「本当は、結婚を前提に付き合ってくれって言おうと思ったんだ」
P「……律子、俺は律子の事が好きだ」
P「この気持ちに偽りはない」
律子「プロデューサー……」
――――
――
一人の事務員が書いた妄想小説で一つの恋が実り
それを知ったアイドル達が事務員に嘆願する日々が暫く続いた。
そして、
律子「あの時って?」
P「ほら、俺がプロポーズした時だよ」
律子「あぁ……。実は、あの時告白されるんじゃないかなって薄々は気付いてたんだけどね」
P「えっ!?本当に?」
律子「そりゃあ、告白前にあんな前フリやっちゃうんですもん。鈍感な人でも気付きますよ」
律子「もしかして、バレないと思ったとか?」
P「」コクリ
律子「あっはは!なんていうか、プロデューサーらしくて……いや今は違いましたね」
「ダーリンのそういうところも、大好きですよ」
「ずっと、ずーっと一緒にいましょうね」 完
抜ける事があったのにも関わらず保守してくれて嬉しかったです。
用事があってまた抜けますが、続きを書きたいとか、間を書きたいって人は書いてくれても構いません。
読んでくれてありがとうございました。
乙
いい律子SSだった
Entry ⇒ 2012.07.06 | Category ⇒ アイマスSS | Comments (1) | Trackbacks (0)
P「忘れた書類を取りに、アイドルを俺の部屋に向かわせる!」
小鳥「こんにちは。解説の音無小鳥です」
P「いやぁ、音無さん。ついにこの日がやってきましたねぇ」
小鳥「満を持して、という感じですねぇ」
P「そうですねぇ。それではここで、今回のルール説明です」
1.『忘れた書類を取りにいかせる』という名目で、アイドルを1人ずつ、Pの部屋に向かわせる
2.履き物を脱いで部屋に上がったところでタイム計測開始
3.テーブルの上の書類を持った時点で計測ストップ。最も早かったアイドルが優勝!
4.制限時間は計測開始から20分
P「ええ。しかしそこは、我が765プロのアイドル達ですから」
小鳥「そう簡単にはゲームは終わらないでしょうね」
P「その通りですねぇ」
小鳥「ふふ。非常に楽しみです」
P「相変わらずダメな大人ですねぇ」
小鳥「最高のホメ言葉です」
音無「あ、映りましたね。1Kタイプの部屋ですね」
P「ええ。7帖のフローリングと、3.5帖のキッチン、そしてユニットバスです」
小鳥「一人暮らしの男性の部屋にしては片付いていますね」
P「けっこうキレイ好きなもので。というか、一人暮らしの男性の部屋に招かれたことがあるんですか?」
小鳥「あっ、玄関のドアが開きましたよ!」
P「おっとぉ!早くも、1人目のアイドルが部屋を訪れたようです!トップバッターは一体誰なのか!!!」
P「そうです!765プロの正統派アイドル、天海春香の登場であります!!!」
小鳥「今日はピンクのリボンですねぇ。プロデューサーさんの部屋をピンク色に染めてくれることを期待しましょう」
P「そうですねぇ。そしていま履き物を脱いで、私の部屋に足を踏み入れました!!!」
小鳥「ゲーム開始ですね!!!」
小鳥「テーブルは洋室の中央に置いてありますから、書類もすぐに視認できますね」
P「なるほど。おっと、音無さんの言葉通り、早くも書類を視界に捉えたようであります!」
小鳥「ここからが本当のゲーム開始ですねぇ」
P「そうですねぇ」
P「書類以外に用は無いはずですが、そこは年頃の女の子!どのような感じなのか、やはり気になるようです!」
小鳥「当然ですね」
P「おっと!ここでテーブルとは関係の無い方へと歩き始めましたよ!」
小鳥「ベッドですね!」
P「はい!ベッドですね!」
P「ええ!書類などどこ吹く風、と言わんばかりに私のベッドの側を歩き回る天海春香!そこには一体どんな意図が隠されているのか!!!」
小鳥「狙ってますよ!隙を窺っています!」
P「あぁっとぉ!!!ここで転んだぁ!!!その先にはもちろん!!!」
小鳥「ベッドですねっ!!!」
P「天海春香、ベッドにタッチダウーン!!!」
P「立ち上がる気配など微塵も見せず、ベッドの上で転げ回る春香!これは遅延行為を取られても文句は言えません!」
小鳥「故意ですねぇ!間違いありません!」
P「やはり故意ですか!!!」
小鳥「そして恋でもあります!!!」
P「照れながら言わないで下さい!!!」
小鳥「ごめんなさい!!!」
小鳥「少し時間を使い過ぎましたねぇ」
P「そうですねぇ」
律子『実況席のプロデューサーさん』
P「サブスタジオの秋月律子さん、どうぞ」
律子『残念ながら失格となってしまった春香なんですが、『えへへ。またコケちゃいました。おかしいなぁ』と笑顔を見せていました』
P「なるほど」
小鳥「言いますねぇ」
小鳥「ドアが開きましたよ!」
P「はい!注目の2人目は……」
小鳥「真美ちゃんですね!!!」
P「ええ!左側で結んだサイドポニー、双海姉妹の姉、真美の登場であります!」
小鳥「まだまだイタズラ好きな真美ちゃんですからね。期待しましょう」
P「いま玄関で履き物を脱いで、真美のタ→ン開始であります!!!」
P「ええ。そしていま、書類を確認したようですが……」
小鳥「無視してますね」
P「そうですねぇ。しかしこの展開は想定の範囲内と言ったところか」
小鳥「そしてゆっくりと……」
P「PCに向かいましたね!そして電源を入れています!止めて!」
小鳥「何か見られては困るものでも?」
P「ダ・カーポⅡが……」
小鳥「何でいまさら……」
P「音姉に会いたくて……」
小鳥「どのような挨拶を交わしているんでしょうねぇ」
P「おっと!ここで何やらPCを操作し始めましたよ!」
小鳥「手慣れてますねぇ」
P「そうですねぇ。そしてこれは……」
小鳥「プリントアウトしてますよ!!!」
P「双海真美!ここで音姉の画像をプリントアウト!意図が見えません!!!」
P「はい!そしてここで書類を持ちました!タイム計測はここで終了となります!!」
小鳥「ですが、これは……」
P「何をするつもり……あっ!!!」
小鳥「書類の包みの中に入れましたよ!!」
P「何と双海真美!プリントアウトした音姉を、書類の中に忍ばせました!!!」
小鳥「ちなみに、書類の包みには宛名は書いてあるんですか?」
P「『バンダイナムコ様御中』と……」
小鳥「あぁ……」
小鳥「本当に提出する書類だった危ないところでしたねぇ」
P「私は土下座コースでしたねぇ」
小鳥「見てみたいですけどね」
律子『実況席実況席。真美のコメントです。』
P「秋月さんどうぞ」
律子『はい。『兄ちゃんも男だねぇ。真美に言ってくれればいつでも』と言いかけたところで私が止めました』
P「ご苦労様」
小鳥「私だっていつでも」
P「さぁ、3人目を待ちましょう!」
小鳥「そうですね!」
P「どうしました?」
小鳥「あずささんは部屋までたどり着けるのでしょうか?」
P「何とかなるでしょう」
小鳥「そこは適当なんですね。さすがです」
P「おっ!ここで3人目のアイドルが登場したようですよ!」
小鳥「千早ちゃんですね!」
P「はい!真面目という点では765プロで3本指に入るであろう如月千早!一体どんなゲームを見せてくれるのでしょうか!」
小鳥「是非とも、見せ場を作って貰いたいですねぇ」
P「いまゆっくりと履き物を脱いで、3人目のゲーム開始です!!!」
P「特に珍しい物は置いてありませんからねぇ」
小鳥「私の台所にはビールサーバーがありますけどね」
P「行きませんけどね」
小鳥「ここで書類を視認しましたね」
P「そうですねぇ。ここまでは淀みない展開です」
P「そうですね!これはどうやら……ベッドに向かっていますね!」
小鳥「春香ちゃんと同じ展開ですね!」
P「はい!如月千早、親友である天海春香と同じ轍を踏んでしまうのか!」
小鳥「ベッドに座りましたよ!」
P「如月千早、ベッドに腰を降ろしました!そしてあらためて部屋を見回しています!」
小鳥「『プロデューサーさんのベッドから見える景色』を目に焼き付けているんでしょう!」
小鳥「抱きしめてます!プロデューサーさんの枕を抱きしめてますよ!!!」
P「なんということでしょう!私の枕をきつく抱きしめ、そして頬をうずめております!!!」
小鳥「可愛いですね!!!」
P「可愛いです!!!普段はクールなだけに、より一層破壊力が高まります!!!」
小鳥「録画して私に下さい!!!」
小鳥「そんなのどうでもいいですから録画して私に下さい!!!」
律子『実況席のプロデューサーさん。千早のコメントです』
P「秋月さんどうぞ」
律子『『せ、7thアニバーサリーが終わって気が弛んでいたのよ、きっと……』だそうです』
小鳥「ふふ…可愛いですねぇ」
P「まったくですねぇ」
小鳥「いえ、DVD3枚で。観賞用と保存用と」
P「あとにして下さい」
小鳥「ごめんなさい」
P「おっ!玄関のドアが開きましたよ!」
小鳥「あれは……伊織ちゃんですね!!!」
P「ええ!例のごとくウサギのぬいぐるみを抱えてのご登場!水瀬伊織であります!」
小鳥「伊織ちゃんも読めませんねぇ」
P「そうですねぇ。そしていま履き物を脱いで、伊織タイムのスタートです!!!」
P「そうですねぇ。あっと。いまテーブルの上の書類を確認しましたね」
小鳥「次の一手が重要ですよ」
P「さぁ、水瀬伊織!いま洋室に足を踏み…入れない!台所に引き返しました!」
小鳥「どうしたんでしょうね?」
P「ちょっと分かりませんねぇ」
律子『プロデューサーさん』
P「どうしましたか秋月さん?」
律子『どうやら、食器棚からグラスを取り出しているようです。それも2つ』
小鳥「2つ?ますます分かりませんねぇ」
小鳥「牛乳?」
P「まぁ、伊織が飲めそうなのはそれくらいですからね。ジュース類は置いてありませんから」
小鳥「なるほど。ですが、なぜグラス2つなんでしょう?」
P「読めませんねぇ。おっと!ここでようやく洋室に足を踏み入れました!手には牛乳を満たした2つのグラスであります!」
小鳥「テーブルの前に座りましたよ!」
P「はい!そしてグラスをテーブルに置いて……ああっとぉ!ぬいぐるみを向かい側に座らせました!!!」
小鳥「恋人気分ですね!よく分かります!!!」
小鳥「何か話しかけてますよ!!!」
P「残念ながら、音声は拾うことができません!!」
小鳥「プライバシーの保護ですね!!!」
P「説得力ゼロですけどね!!!」
小鳥「あっ!いま、『お疲れさまプロデューサー』って言いましたよ!!!」
P「何で分かるんですか!!!」
小鳥「読唇術です!!!」
P「どこで覚えたんですか!!!」
小鳥「通信教育です!!!」
小鳥「今度は『いつもありがとう』って言いましたよ!!!」
P「プライバシーの保護はどこに行ったんですか!!!」
小鳥「あっ!『キツいことばっかり言って、ごめんなさい』って!!!」
P「何というご褒美!!!これからも頑張れます!!!」
小鳥「今日の晩ご飯が美味しくいただけますね!!!」
小鳥「そんなのどうだっていいですから、あと一時間くらい眺めてましょうよ!!!」
P「私もそうしたいのですが、運営スタッフがゲームを止めてしまいました!!!」
小鳥「残念です!!!」
律子『実況席のプロデューサー。伊織の談話が入りました』
P「お願いします」
律子『開口一番、『お、お芝居の稽古よ!』と』
小鳥「ふふ……」
律子『それから、『これからも…その…』と言ったあと、口ごもってしまったようです』
P「ふふ…ありがとうございました」
小鳥「何でしょうか?」
P「失格にはなってしまいましたが、何かこう、かけがえの無い物を残してくれましたね」
小鳥「ええ。持ち帰るDVDが3枚増えました」
P「さぁ、現在12人中4人が終了し、これから中盤戦へと突入いたします」
小鳥「楽しみですねぇ」
P「そうですねぇ。……おっと!ここでドアが開きましたよ!5人目のアイドル登場です!」
小鳥「あれは……雪歩ちゃんですね!」
小鳥「それに真面目ですからね。書類だけ持って、何もせずに部屋から出ることも考えられます」
P「その可能性が最も高いのは雪歩でしょうねぇ」
小鳥「やっぱり似てますねぇ」
P「何がです?」
小鳥「雪歩ちゃんと、高校3年生のころの私が」
P「さぁ!履き物を脱いで、ゲーム開始であります!」
小鳥「期待しましょう!」
小鳥「あっ!書類を持ちましたよ!!!」
P「持ちましたね!予想通りというべきか、他の物には目もくれずに書類を掴みました!!!手元の時計では12秒!瞬殺であります!!!」
小鳥「そしてそのまま玄関に向かってますねぇ」
P「いやはや、予想通り過ぎて拍子抜けしてしまいます……おや?」
小鳥「ドアを開ける前に立ち止まりましたね」
P「何やら思案中のようですが……」
P「ええ!何やら意を決したような表情で、再び洋室へと舞い戻ってまいりました!」
小鳥「そして…デスクに向かってますね」
P「そうですねぇ。ゲーム自体は終了していますが、引き続き雪歩の様子をお伝えいたします」
小鳥「あれは…ボールペン?それからメモ用紙を一枚」
P「私への書き置きでしょうか?」
小鳥「雪歩ちゃんは几帳面ですからねぇ」
P「秋月さんどうぞ」
律子『えっとですね……天井にもカメラが仕掛けてありまして、サブスタジオからは雪歩が何と書いているのか分かるんですが……』
P「何と書いているんですか?」
律子『えっと……』
小鳥「どうしたんですか律子さん?」
律子『プロデューサーへ 2012年 7月4日 萩原雪歩』
P「はい」
律子『続きは…読みたくありません』
小鳥「えっ!?」
小鳥「デスクの一番下の引き出しに入れましたね!それも、ずいぶん奥の方に!」
律子『えっとですね…』
P「どうしました秋月さん?」
律子『3年くらい経ったら読んであげて下さい』
P「3年?」
律子『現在の雪歩の正直な気持ちが書いてありますから。プロデューサーに対する』
小鳥「ひょっとして……ラブレター?」
P「……マジで?」
律子『はい……』
小鳥「ど、どぎまぎし過ぎですよ!!!」
P「し、仕方ないでしょ!!!」
律子『雪歩の談話なんですが……』
P「は、はい!!!」
律子『その…『メモの内容を喋ったら埋めちゃいますぅ!』と……』
小鳥「やりかねないですね…今回ばかりは本気で……」
P「さ、3年経ったら読みます!」
律子『そうしてやって下さい……』
小鳥「つ、次のアイドルを待ちましょう!ねっ!」
P「そ、そうですね!きっと雰囲気を変えてくれることでしょう!」
小鳥「あっ!入ってきましたよ!」
P「ええ!あれは……亜美ですね!双海姉妹の妹、亜美の登場です!」
小鳥「一番イタズラ好きな子ですからね!期待したいところです!」
P「そうですね!そしていま履き物を脱いで、亜美のゲーム開始であります!!!」
小鳥「ベッドに向かいますね!おそらく目的はベッドの下でしょう!」
P「あっ!音無さんのおっしゃる通り、ベッドの下を覗き始めました!」
小鳥「ダメよ亜美ちゃん!!!そんなところには無いわ!!!」
P「なぜそう思われますか?」
小鳥「勘です!!!おそらく……洋服タンスの上から3番目の引き出しです!!!」
P「何で分かるんですか!!!」
小鳥「勘です!!!」
小鳥「洋服タンス!!!洋服タンスよ亜美ちゃん!!!」
P「必死で声を送る音無さん!!!何が彼女をこれほどまでに駆り立てるのか!!!」
小鳥「いろいろ面白いからです!!!」
P「ストレート過ぎます!!!」
小鳥「違う!!!そこじゃ無いわ亜美ちゃん!!!」
P「聞こえるはずの無い声を届け続ける音無さん!!!さながら『腐女の宅急便』といったところでありましょうか!!!」
小鳥「違うの!!!テレビの裏じゃ無いわ!!!」
小鳥「まだ時間はあるわ!!!落ち着いて対処するのよ亜美ちゃん!!!」
P「そして上から3番目の引き出しを……開けました!!!」
小鳥「見せて!!!カメラに向かって!!!」
P「隠しカメラなんですが……」
小鳥「亜美ちゃんズルい!!!自分1人だけ読むなんて!!!」
P「エキサイトし過ぎです……」
小鳥「そんなことよりカメラに向かって掲げて!!!」
P「ヒドい…いまさらながらヒドい……」
律子『実況席のプロデューサーさん。亜美のコメントです』
P「秋月さんどうぞ」
律子『えっと…『兄ちゃんは人妻』
P「ストーップ!!!」
小鳥「人妻!?人妻がどうしたんですか!?なって欲しいんですか!?結婚しますか!?」
P「それは無いですね」
小鳥「そうですよね」
小鳥「予想以上ですね」
P「後半戦に向けて何か一言いただけますか?」
小鳥「もっとカメラを意識して欲しいですね」
P「いや、ですから隠しカメラです……」
小鳥「隠しカメラでも、です。つまりですね」
P「間もなく後半戦のスタートです!」
小鳥「切り替えていきましょう!」
小鳥「きゃー!真ちゃんですね!」
P「全国の女性ファンの皆様、お待たせいたしました!真、まことの王子様!菊地真見参であります!!!」
小鳥「真ちゃんも真面目ですけど、ワイドな展開を期待したいですね!!!」
P「そうですね!いま履き物を脱いで、王子様タイムスタートです!!!」
小鳥「書類を視界に捉えましたね!」
P「ですが、ここはスルーします!そして向かう先は……」
小鳥「ベッドですね!」
P「はい!春香、千早、亜美に続き、真もベッドを選択した模様であります!!!」
小鳥「あっ!ベッドの側の床に座りましたよ!しかも女の子座りです!!!」
P「そしてそのまま……ベッドに頬をうずめました!!!」
小鳥「本当はプロデューサーさんのベッドに寝転がりたいんでしょうねぇ」
P「ほぅ……しかし、抵抗があると?」
小鳥「恥ずかしいだと思います。だからほっぺただけ」
P「……可愛いですねぇ」
小鳥「私にもそんな時代があったなぁ……」
P「あぁ、そうですか」
小鳥「はい」
小鳥「何か書いてるんじゃないでしょうか!!!」
P「なるほど!!!サブスタジオから確認できますか?」
律子『サブスタジオです!どうやら、プロデューサーさんの名字を書いているようです!』
P「私の、ですか?」
律子『そしてその下に…ふふ……『真』と』
小鳥「あら…うふふ……」
P「それは……照れくさいですねぇ」
律子『ふふ……何度も何度も書いていますね。サブスタジオの全員が微笑みを浮かべながらモニターを眺めています』
小鳥「ごちそうさまでした」
律子『実況席、真のコメントです』
P「どうぞ」
律子『はい。『あ、あれはその…た、ただの姓名判断だよ!』』
小鳥「あらっ!真ちゃんのツンデレですか!」
律子『その後に、『まぁ、相性は悪くないみたいだけどさ…』と、頬を真っ赤にしながら語っていたようです』
小鳥「うふふ。かさねがさね、ごちそうさまでした」
P「私も頬が赤くなりそうです……」
小鳥「そんなことがどうでも良くなるくらい、ほっこりした気持ちになれましたね」
P「そうですねぇ。ちょっと照れくさいですが……」
小鳥「実は私との相性も悪くない」
P「さぁ、続いてのアイドルは誰なのか!間もなく入室してくる模様です!!!」
小鳥「ふふ…プロデューサーさんたら照れちゃって……」
小鳥「そうですねぇ。となると、次のアイドルはおそらく……」
P「あずささんでしょうね……」
小鳥「はい……」
律子『プ、プロデューサーさん大変です!』
P「どうしたんですか秋月さん!?」
律子『そのあずささんなんですが、やはり迷子になってしまったようで……』
小鳥「あぁ、やっぱり……」
P「それで、あずささんはいまどちらに?」
律子『それがですね……どうやら、都内某所にあります、プロデューサーさんのご実家にいらっしゃるようです!』
P「えっ!?」
P「そ、それであずささんは?」
律子『お母さまがご在宅だったみたいなんですが、『部屋に書類を取りに来ました』と言って、ご実家の中に入ったようです!』
P「違うんですあずささん……その部屋じゃないんです……」
小鳥「それはどなたからの情報なんでしょう?」
律子『つい先ほど、プロデューサーさんのお母さまから電話がありまして……』
P「母さん……」
律子『これからお2人で夕食の買い出しに行くそうです……』
小鳥「早くも打ち解けてますね……さすがあずささんです……」
P「何でしょう……?」
律子『えっとですね。『あずさちゃんにしときな』と』
小鳥「最も手ごわい外堀を埋めましたね……」
P「恐るべしあずささん……」
小鳥「ちなみにご実家の住所は?」
P「千代田区1―1です」
小鳥「メモメモ……」
小鳥「そこはホラ…あずささんですから……」
P「ですよね……」
小鳥「き、気を取り直していきましょう!」
P「そ、そうですね!残すはあと4人!次に登場するアイドルは誰なのか!!!」
小鳥「楽しみです!!!」
小鳥「やよいちゃんですね!」
P「はい!いつも元気な妹系アイドル、高槻やよいの登場であります!!!」
小鳥「やよいちゃんは素直で、それにしっかりしてますからね!書類以外には目もくれない展開も想定できます!」
P「そうですね!そしていま玄関で履き物を脱いで、やよいゾーンの開幕です!!!」
小鳥「キョロキョロしてますよ!予想外です!」
P「書類は目の前のテーブルに置いてあるんですけどね!あっと、ここでデスクに向かった!!!」
小鳥「何かを探しているようですね!」
P「おっと。何やら首を傾げております。手には数本のペン。音無さん、どういうことなんでしょうか?」
小鳥「……まさか」
小鳥「みんなには、どのような方法で伝えたんですか?」
P「へ?俺からメールで『部屋に書類を忘れたから取ってきてくれないか』という文章と、部屋の住所を
やよいには事務所から貸し出した携帯電話宛に送信しましたけど」
小鳥「読めなかったんじゃないでしょうか……?」
P「何がです?」
小鳥「ですから…『書類』が……」
P「……え?」
P「では、『書くたぐい』の物を……?」
小鳥「はい……」
P「は、ははは。まさかぁ」
小鳥「あっ!ペンを全部ポケットに入れましたよ!」
P「えっ!?どういうこと!?」
小鳥「『どれか分からないから全部持って行こう』作戦です!!!」
P「ワケが分かりません!!!」
P「書類は!?」
小鳥「テーブルの上に置いたままです!!!」
P「明日から漢字ドリルやらせます……」
小鳥「お察しします……」
律子『プロデューサーさん。やよいのコメントです』
P「どうぞ……」
律子『はい。『うっうー!勉強になりましたぁ!』と言ったあと、いつものお辞儀をしてたようです』
P「可愛いから困る……」
小鳥「お察しします……」
小鳥「3人とも全く異なるタイプですからね。非常に見応えがあります」
P「そうですねぇ。おっと!ここでドアが開きました!」
小鳥「響ちゃんが入ってきましたね!」
P「ええ!765プロのオールラウンダー、我那覇響の登場です!」
小鳥「響ちゃんも楽しませてくれそうですね!」
P「いま履き物を脱ぎました!ゲーム開始です!!!」
小鳥「洋服タンスと壁の隙間に逃げ込んでしまいましたね!!!」
P「響も手を差し込もうとしていますが……やはり入らないようです!」
小鳥「大幅なタイムロスですねぇ」
P「そういえばタイムを競う企画でしたね……」
小鳥「私もすっかり忘れていました……」
小鳥「隙間に入りそうな物を探していますねぇ。それでハム蔵ちゃんを掻き出す気でしょう」
P「おっと!ここで書類を掴んだ!!!」
小鳥「久しぶりですね!!!」
P「速報タイムは3分28秒11!久しぶりに記録が出ました!そしてそのまま、書類を隙間に差し込みました!!!」
小鳥「それはそういう使い方するものじゃないのよ響ちゃん!!!」
小鳥「あっ!書類をテーブルに戻しましたよ!!!」
P「なんということでしょう!!!そのまま部屋をあとにしてしまいました!!!一体何をしに来たんでしょう!!!」
小鳥「オールラウンダーとは一体何だったんでしょうね!!!」
P「あとで叱っておきます!!!」
小鳥「響ちゃんも私たちから叱られたくはないでしょうね……」
P「それもそうですね……」
P「秋月さんどうぞ」
律子『はい。『また若さが出た。自分、まだまだだぞ……』だそうです』
小鳥「若さゆえの過ち、ですか」
P「そんなに格好のいいものでは無い気が……」
小鳥「私もいまだに過ちを犯しますから。若さゆえの」
P「さぁ、残すはあと2人となりました!いよいよクライマックスであります!!!」
小鳥「最後まで気を抜かずにいきたいですね!!!」
小鳥「入ってきましたよ!」
P「おお!あの豪奢な銀色の髪は!」
小鳥「貴音ちゃんきましたね!!!」
P「やってまいりました!765プロが誇る銀色の女王、四条貴音であります!!!」
小鳥「貴音ちゃんもあまり余計なことはしないタイプだと思いますね!」
P「私も同感です!そしていま履き物を脱ぎ、11人目のゲームスタートです!!!」
小鳥「広いお屋敷が似合いそいですよね。それも和風の」
P「そうですねぇ。あっと!そして早くも書類を掴んだ!!!」
小鳥「やっぱり早いですねぇ!」
P「速報タイムは18秒!ゆったりとした足取りだった分、雪歩のタイムには及びませんでした!」
小鳥「ここからどうするかですねぇ。そのまま帰るのか、あるいは……」
P「いえ。どうやら帰る気は無いようですね。部屋の中を見回し始めました!」
P「そうですね!近付いていきます!」
小鳥「いろいろ触っていますが……」
P「立ち上げ方は分かるんでしょうかね?」
小鳥「たぶん、知らないと思いますけど……」
P「おっと!PCの前で首を傾げていますよ!」
小鳥「頑張って貴音ちゃん!」
小鳥「まさか……まさか!!!」
P「そしてリモコンをPCに向け、電源ボタンを連打しております!!!」
小鳥「ものすごくシュールな光景ですね!!!」
P「しかし貴音本人は大真面目な顔をしています!!!」
小鳥「今度はリモコンの裏蓋を外しましたね!!!」
P「電池を入れ直しております!!!接触が悪いと思ったのでしょうか!!!」
小鳥「また連打してますよ!!!」
P「シュールです!!!現代アートの世界であります!!!」
小鳥「教えてあげたい……いますぐ『そうじゃない』って教えてあげたい……」
P「私も同じ気持ちです!!!」
律子『プロデューサーさん!』
P「秋月さんどうぞ!」
律子『サブスタジオのスタッフさん達も口々に、『そうじゃないんだ……』と呟いています!』
小鳥「ここにきて、みんなの気持ちが1つになりましたね!!!」
小鳥「今度事務所のPCでレクチャーさせてもらいます」
律子『プロデューサーさん。貴音の談話が入りました』
P「お願いします」
律子『まずは開口一番、『思っていたよりも手入れの行き届いたお部屋で、感心いたしました』と』
P「ありがとうございます……」
律子『それから、『もしかして、このリモコンだったのでしょうか?』と言って、エアコンのリモコンを手に取っていたようです』
小鳥「早急にレクチャーします……」
P「よろしくお願いします……」
小鳥「美希ちゃんですね!彼女が何事も無く終わるはずはありませんから、楽しみです!」
P「そうですねぇ。あっと!ここでドアが開いたぁ!本日最後のアイドル、星井美希の入場であります!!!」
小鳥「最後にガツーン!とかましてもらいたいですね!」
P「期待しましょう!そしていま履き物を脱いで、星井美希のゲームがスタートしました!!!」
小鳥「早々と洋室に入り……部屋の中を見回していますね」
P「私の予想では、このあとベッドに向かうかと」
小鳥「私もそう思いますね」
P「おっと!ここで見回すのを止めました!一点を見つめております!」
小鳥「視線の先には……」
P「窓際に干してあるYシャツ……でしょうか?」
小鳥「歩み寄っていきますね」
小鳥「どうするつもりでしょう?」
P「あっとぉ!Yシャツに袖を通し始めましたよ!!!そして袖口をつまんでいます!!!」
小鳥「『ちょっと大きなあなたのシャツ。通した袖をつまんでみる』ですね!!!」
P「『squall』ですか!!!」
小鳥「『squall』ですね!!!」
小鳥「小鳥心もくすぐられます!!!」
P「そしてそして!!!ベッドの上に体育座りであります!!!完璧です!!!」
小鳥「膝抱えちゃってますよ!!!そして袖にほっぺをスリスリしてます!!!」
P「くそっ!!!可愛いじゃないか!!!」
小鳥「ありがとうございます!!!」
P「どういたしまして!!!」
P「目に焼き付けておきます!!!」
小鳥「DVDにも焼き付けてください!!!」
律子『プロデューサーさん』
P「何でしょう?」
律子『サブスタジオの面々も、美希の姿を焼き付けるために目を見開いております』
P「仕方ないですねぇまったく」
小鳥「ダメな大人達ですねぇ」
※Tシャツの上から着ておりますよ
小鳥「全く問題ありません!!!」
P「まさに、『記録より記憶』ですね!!!」
律子『実況席実況席。美希のコメントが入りました』
P「秋月さんどうぞ」
律子『はい。『今度はハニーが着せてね。あはっ』と言っていたようなので、あとで頭にゲンコツ入れておきます』
小鳥「お手柔らかに……」
P「あなたじゃなくて美希ですから……」
小鳥「優勝タイムは雪歩ちゃんの12秒ですね。お見事です」
P「そうですねぇ。それでは音無さん、総括をお願いします」
小鳥「はい。やはりですね、みんなまだまだ若いですね。経験不足は否めません」
P「ほぅ」
小鳥「私ならまず、部屋を映像に収めるところから」
P「それでは皆様、ご機嫌よう!」
小鳥「あっ、ここから大事な話しに」
律子「もう良いですよね小鳥さん?」
小鳥「はい、もうけっこうです……」
お し ま い
最後までお付き合い感謝!
読み返し~
エクストラステージで事前収録してたことりつことかあればいいのにな(チラッ
おもしろいんだが
一部のアイドルの扱いが雑な点に関しては訴訟も辞さない
お姫ちん…きゃわわ
Entry ⇒ 2012.07.05 | Category ⇒ アイマスSS | Comments (0) | Trackbacks (0)
P「小鳥さんを監禁してみた、んだけど……」
小鳥「(あれ……?私……)」
小鳥「(たしか、事務所でプロデューサーさんと一緒に……)」
小鳥「(雪歩ちゃんが淹れてくれたお茶を一緒に飲んでて……)」
小鳥「うっ……二日酔い……?」クラッ
小鳥「とりあえずここは、事務所じゃないみたいね……」
小鳥「あ、あれ……両手が後ろに……」
小鳥「(!……ま、まさか、これは……この展開はっ……!)」
ガチャッ
P「おはようございます、小鳥さん」ニヤニヤ
小鳥「(き、キタァァァァァァァッ!!)」
小鳥「(監ッ禁ッ!プロデューサーさんに、監ッ禁ッッ!!)」
P「はい」
小鳥「な、何なんですか?……ここ、どこなんですか……?」プルプル
小鳥「どうして私、両手をイスに縛りつけられてるんですか……?」ガタガタ
P「落ち着いてください、大丈夫ですから。手錠で繋いでるだけです」
小鳥「て、手錠で?……プロデューサーさん、まさかこれ、プロデューサーさんが……!?」ガタガタ
P「はい」
小鳥「(……我が世の春が来たァァァァァァァァッッ!!)」
P「はい。雪歩にはちょっと手伝ってもらいました」
小鳥「私の服を脱がせて、足に鎖も付けたんですね?」
P「いや、そこまではしてませんから安心してくだs」
小鳥「何でっ!?」
P「えっ」
小鳥「普通は着せませんよね?」
P「はい?」
小鳥「ほら、私逃げ出しちゃうかもしれないでしょうっ!?」
P「は、はぁ……」
P「えっと、それh」
小鳥「まさか私を、飼うつもりなんですか!?」
P「ちょっといたずr」
小鳥「そうなんですねっ!?」
P「……はい」
小鳥「これでもう小鳥さんは籠の中の小鳥だなぁグへへ、なんてウマい事考えてたんでしょう?」
P「いや、まったk」
小鳥「考えてたんですよねっ!?」
P「……はい」
P「いいえ、それはないです」
小鳥「わ、私は負けませんから。絶対おちんぽなんかに……え?」
P「いかがわしい行為などは一切しませんので安心してください」
小鳥「え、一体なにを言って……?」
P「社長の命令で小鳥さんを調教するように言わせました」
小鳥「ちょ、調教!?やっぱり私にえっちなことを……!?」ガタガタ
P「今日から1ヶ月間、小鳥さんにはネット閲覧やオタクグッズを禁止しこの部屋で書類仕事をしていただきます」
小鳥「ぴ、ぴよおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!???」
P「そ、そうですね」
小鳥「今頃私がいなくなって、社長やみんなが心配してるかもしれないっ……」
P「あ、それはないです」
小鳥「はっ……ま、まさか、私がいなくなってもいいように、偽装殺人を……!?」
P「そんな事してませんから」
小鳥「こ、こんな事をしても、私は事務員を辞めたりしませんから!」
小鳥「765プロの人気プロデューサーが事務員と愛の逃避行、だなんて三面記事に載らない限りはっ!!」
P「(……載ってほしいのか……)」
…え?
春香「プロデューサーさん、お帰りなさい」
P「……おかしい、何かがおかしい」
雪歩「小鳥さん、すごくがっついてますね……」
P「最初の震えた姿を見て『あ、カワイイ』と思った俺がバカだったのか……?」
響「プロデューサー、八宝菜出来たぞー!」
P「おう、悪いな響。お前はいい嫁さんになれるぞ~」ナデナデ
響「そ、そうか?……えへへ」テレテレ
小鳥「わぁ、おいしそう!」
P「それじゃ、食べられるように手錠を外しますね」カチャカチャ
小鳥「何でっ!?」
P「えっ」
小鳥「外したら暴れるかもしれないじゃないですかっ!」
P「あ、暴れるんですか?」
小鳥「でもプロデューサーさんには、すぐに組み伏せられてしまうかもしれないですね」
P「そうですかね……?」
小鳥「足枷してないんですから、妥協してください!」
P「いやそのりくつはおかしい」
小鳥「そ、それは……プロデューサーさんが、アーンしてくれるんじゃないんですか?」
P「それじゃご褒美になっちゃうじゃないですか……」
小鳥「じゃ、じゃあ……口移し……」モジモジ
P「そんなはしたない真似できませんよ。あんかけ、結構熱いですし」
小鳥「何があんかけだよアーンしろオラァァァ!!」ジタバタ
P「うわっ!ちょっ、八宝菜こぼれる!」
小鳥「あー…んっ」モグモグ
P「……おいしいですか?」
小鳥「おいひぃでふぅ」モゴモゴ
P「はぁ」
小鳥「ごくんっ……プロデューサーさん、もう一口!」
P「はい、アーン」
小鳥「あむっ」
小鳥「……んー」モゴモゴ
P「いや、そんな顔したって口移しなんかしませんから」
小鳥「むー」モゴモゴ
P「はい、ごちそうさまでした。じゃ、食器片づけますんで」カチャカチャ
小鳥「早速ですが運動がしたいです。こんなに食べると動かないと太っちゃうんで」
P「いや、それは我慢してください」
小鳥「できれば二人で出来るような運動がしたいです」
P「だから我慢して……」
小鳥「ゴムなしでお願いします」
P「……分かりました、分かりました。ちょっと待ってて下さい」
小鳥「(っしゃぁぁぁぁぁおらぁぁぁぁぁぁぁっ!!)」
春香「こんにちはっ!早速手錠を外しますね」カチャカチャ
小鳥「……あ?」
春香「それでは、屋内で出来る運動を……まずはスクワットですね!」
小鳥「は?」
春香「……ゴムを使わない運動をさせろって、プロデューサーさんが」
小鳥「っざけんなよ、小娘相手にナニしろっつーんだよクソが(春香ちゃん、冗談はやめましょう?)」
春香「小鳥さん、本音と建前が裏返ってます」
小鳥「ぜぇ……ぜぇ……」
P「(……むっちゃ息切れしてる……)」
小鳥「さ、流石に、デスクワークしかしてない身だと、堪えますね……」
P「……逃げ出せるチャンスだったのに、何故か居残りましたよね。律義にも手錠までして」
小鳥「だって、こんなチャンス滅多にありませんからね!」
P「そ、そうですか……」
P「はい?」
小鳥「……と、トイレの方を……」モジモジ
P「トイレならそこの大便器でお願いします。イスから手錠を離しますね」カチャリ
小鳥「み、見ないでくださいね!絶対に見ないでくださいね!」
P「はい。それじゃ、俺は部屋を出てますんで」スタスタ
小鳥「何でっ!?」ガシャン
P「えっ」ビクッ
P「い、いや、それ程でも……つーかひり出すって……」
小鳥「でも絶っ対に見ないでくださいね!絶っっ対に見ちゃイヤですよ!」
P「はぁ……ですから、外に出t」
小鳥「プロデューサーさんはそこにいてください!」
P「えっ」
小鳥「それでも私がトイレする姿、絶っっっ対に見ないでくださいねっ!!」ガシャン
P「一々パイプイス蹴り飛ばさないでください、小鳥さん。ビビりますから」
P「(……見せたいんだか見せたくないんだか……)」
小鳥「プロデューサーさーん」
P「はい?」
小鳥「お尻を拭いてくださーい」
P「えっ」
小鳥「私一人じゃ拭けませーん。ほら、手錠が」
P「いや、手錠してても両手が使えるでしょう!?バカな事言わないでくださいよ」
小鳥「……チッ」
小鳥「スッキリしました」
P「そうですか」
小鳥「……勃起、しましたね?」サワサワ
P「うわっ、ちょっ!な、何するんですか小鳥さん!」
小鳥「ご、ごめんなさい!男の人ですもんね、こんな環境じゃしょうがないですもんね」サワサワ
P「謝りながら何で触り続けるんですか!つーか人の股間ガン見しないでくださいよ!」
小鳥「……生理現象ですから、仕方ないんです」
P「生理現象!?」
P「だからそういう事はしませんって」
小鳥「……ぷ、プロデューサーさん、もしかして、ボーイズがラブ的な……?」カァァ
P「違いますから。そこ頬赤らめるトコじゃないですから」
小鳥「まぁいいです、とりあえず私を抱きしめて落ち着いてください」
P「いや、俺は十分落ち着いてます」
小鳥「くっ……手錠さえなければ、抱きしめられるのに……!」ガチャガチャ
P「今更そんな事言われましても……」
P「じゃ、さっき逃げればよかったじゃないですか。誰も止めなかったのに」
小鳥「止めてくださいよっ!」
P「えっ」
小鳥「はぁ……そうですか、今分かりましたよ」
P「何がですか」
小鳥「プロデューサーさんの考えてる事がです」
P「えっ」
小鳥「ズバリ、キスで私を説得しようってんですね!エロ同人みたいに私の頭をふやかそうと!」
P「えっ」
小鳥「しかもキスで脳内がふあぁっととろけた私を、そのまま一気に堕とそうだなんて……なんて卑劣漢なの!」
P「いやいやいや、何勝手に人の考え語ってくれちゃってんですか」
小鳥「やめてっ!私に乱暴する気でしょう?エロ同人みたいに!エロ同人みたいにっ!」
P「二回も言わなくていいです」
小鳥「で、でも……き、キス位なら、うん……」
P「えっ?」
小鳥「な、何回でもしてあげるわよ、キス位!それであなたの気が済むのならね!!」
P「気が済むも何も、そんな気はまったく……」
小鳥「私は絶対にキスなんかに屈したりしないっ!!」キッ
P「え?……何これ?キスしなきゃいけない流れなの?」
小鳥「………」
P「……じゃあ、一回だけ」
小鳥「ほ、ホントに!?」
P「一回だけですからね」
小鳥「……は、はひ」ドキドキ
P「………」
小鳥「……んっ……」プルプル
雪歩「はい、そこまで」スッ
小鳥「えっ」
小鳥「……は?」
雪歩「プロデューサーは、ちょっとこっちに来てください」
P「わ、分かった」
小鳥「ぷ、プロデューサーさん!?ちょっ、待ってくださいよ!」ガタガタ
小鳥「こ、こんなのって!こんなのって無いですよっ!プロデューサーさーんっ!!」ガタガタ
雪歩「プロデューサー、私達は音無さんを監禁してるんですよ?」
P「はい」
雪歩「音無さんが素直に喜ぶような真似してどうするんですか?」
P「め、面目ない」
雪歩「監禁対象にはこうやって、真綿で首を締めるようにストレスを与えていかないと、ね」クスクス
響「雪歩の笑顔が怖いぞ……」
春香「大体プロデューサーさんが監禁した事になってるんですから、もっと鬼畜になってもいいんじゃないですか?」
P「お前らの方が鬼畜過ぎるんだよ、まったく……努力はしてみるよ」
小鳥「っざけんなぁぁぁぁぁぁっ!後ちょっとで処女捨てれたのにぃぃぃぃぃぃ!!」ガシャーン
P「いやぁすみません小鳥さん、どうもお待たせしました」
小鳥「……もういいです、プロデューサーさん」
P「はい?」
小鳥「寸止めされて絶望して、心も荒んで、イライラしてるんです」
P「はぁ」
小鳥「だからいっそのことケダモノになって、私をメチャクチャにしてください!」
P「えっ」
小鳥「動物みたいに犯されまくって、もう人間の尊厳を無くしたいんです!」
P「そういう類の発言をするような人が、まだ人間の尊厳持ってるんですかね……」
P「そんな寝そべって『さぁ!』とか言われても困りますよ……」
ガチャッ
春香「もうこれ、ドッキリ大失敗、でいいんじゃないですか」
P「お前ら……」
小鳥「はやく!はやく!はやく!」ジタバタ
雪歩「いいじゃないですか、望み通り心を壊してあげれば」
P「雪歩……このダイヤより硬いメンタルの人をどうやって壊せと」
春香「ナニやっても喜んで受け入れそうですもんね……」
雪歩「……小鳥さん。八宝菜、食べましたよね?」
小鳥「えぇ。プロデューサーさんの手料理ですから、おいしく頂き……!」
小鳥「ま、まさか……プロデューサーさんの排泄物が、あの中に……!?」ガタガタ
P「いやいやいやいや」
雪歩「……あれがまだ、プロデューサーの手料理だと思ってるんですか?」
小鳥「え……?」
小鳥「……う、ウソ、ですよね?……プロデューサーさん……?」ガタガタ
P「違いますよ。あの八宝菜は俺が作ったんじゃないです」
響「自分が作ったんだぞ!美味かったかー、小鳥ー!」ヒョコッ
小鳥「ガフッ」ブバッ
P「と、吐血したっ!?」
響「えっ」
P「こ、小鳥さん!大丈夫ですか!?」
小鳥「よ、よりによって……他の女が作った手料理を食べて、美味しいって……」ドクドク
P「えっ」
小鳥「私の消化管が……食道が、胃が、腸が……」ドクドク
小鳥「響ちゃんの栄養で、汚染されちゃったんですね……」ドクドク
響「えっ……」
P「なにそれこわい」
春香「どんだけ排泄物に拘るんですか」
小鳥「だとすれば……あの、あんかけ……」ドクドク
P「あんかけが、何です?」
小鳥「はぁ、はぁ……あ、あれは……」ドクドク
小鳥「響ちゃんの、愛え……」ガクッ
響「プロデューサー、ちょっと小鳥ぶん殴っていいかー?」
P「気持ちは分かるが落ち着け」
高木「………」
律子「………」
P「……一応、録画録ってるんですけど。これ、TV局には」
高木「余裕でNG」
律子「お疲れ様でした」
P「ですよねー、闇に葬っときます」
P「いや、もう二度としませんから」
小鳥「ど、どうして?まだ私、孕んでもいませんよ!?」
P「お願いですから小鳥さんは、もう少し貞淑になってくださいよ」
P「大体あの状況で何で小鳥さんの方が盛り上がるんですか……」
小鳥「あの状況で燃えなくていつ燃えるんですかっ!」バンッ
小鳥「ダメですよ、監禁するならもっと危ないクスリやらチラつかせて……」
小鳥「最終的に歪んだ愛をもって、自分の色に染め上げなきゃ!」グッ
P「……別にそういう人の愛し方もある事を否定はしませんけどね」
P「俺自身は、本当に好きな人にはそういう事、したくないですから」
小鳥「えっ?」
P「さて、と。お仕事お仕事」スタスタ
小鳥「あの、プロデューサーさん?今、なんて?」
小鳥「……プロデューサーさーん!?」
おわり
監禁と思ったら放置プレイだった
Entry ⇒ 2012.07.04 | Category ⇒ アイマスSS | Comments (0) | Trackbacks (0)
貴音「765らあめん 麺や貴音」
貴音「風味よし。これならば期待できるでしょう」
真美「お姫ちん、何してんの→?」
貴音「おや、真美ではありませんか。まだ開店前ですよ」
P「それ以前に立ち入り禁止って札かけといたはずだが」
真美「だってなんか変な匂いするんだもん! そのボコボコいってる鍋、何やってるのさ?」
P「ん、そんなに匂うか? 慣れちまってわからなかったな」
貴音「臭みを消すための野菜を控えましたからね……これは申し訳ないことをしました」
真美「別にいいからさ→、何やってるのか教えてYo!」
貴音「これはらあめんのスープ……豚骨でスープをとっていたのですよ」
真美「え? うわ→本当だ、真っ白じゃん!」
P「煮込んでる最中の豚骨ってクセが強いからな、苦手な人にはつらいかもしれん」
真美「でもトンコツって本当に煮ると白くなるんだね→、真美初めて見たYo!」
貴音「真美、豚骨だから白くなるというわけではないのですよ?」
真美「え、そうなの?」
貴音「ええ。都内にも豚骨醤油などの店が多くありますが、濁りの少ない透き通ったスープを出している店も多いでしょう?」
真美「えっと……真美、そんなにわかんない……」
貴音「その違いというのは火加減なのです」
真美「火?」
真美「おおっ!? ボコボコ言ってると思ったけど凄い強火じゃんYo!」
貴音「その通り。こうして強火で炊くことによって白く濁ったスープが出来上がるのです」
貴音「そしてそれは豚骨以外のスープでも言えることなのですよ?」
真美「え、じゃあ鳥とかでも白くなるの?」
貴音「はい、見事な白濁スープがとれますよ」
P「鶏白湯(パイタン)がそうだな」
貴音「逆に濁らせたくなければ弱火で長時間煮込むのです。昔ながらの透き通った鶏がらスープなどはそうしてとっているのですね」
貴音「強火で炊くとこくや旨みの強い濃厚なスープがとれます。ただしくせも強くなってしまいますが」
貴音「逆に弱火で煮込むとあっさりとしたスープになります。個性は弱まりますがくせがなく、他の食材とも合わせやすいですね」
真美「ふえ→、なんか難しいんだね」
真美「マジで!? あ、でもこの間みたいなのだと……」
貴音「ご心配なく。今度のものは二十郎ほどのぼりゅうむはありませんよ」
真美「本当? んじゃ食べる!」
貴音「かしこまりました……さて、そろそろ本日の主役が来るころなのですが」
ガチャ ハイサーイ!!
P「……」ガタンッ
エ? ドウシタンダプロデューサー ジブンナニモワルイコトシテナイ… チョッ ナンデモチアゲ… ウギャーッ
P「はい一名様ご案内~」バサッ
響「はっ、この店は!? いぬ美が雪歩暴走させちゃったから自分が責任取らされるのか? やっぱそうなのか!?」
美希「ハニー! 響ばっかり抱っこしてずるいの! ミキも運んでくれていいって思うな!」ズリズリズリ…
P「ついでにもう一名様ついてきちまったけど……まあいいか、ご案内~」
真美「なんか無理矢理つれてこられたように見えたけど……」
響「貴音ぇ、前のお店だいなしにしちゃって悪かったよ……お願いだから許してほしいぞ……」
貴音「響。何も許すことなどありませんし、そもそも怒ってなどいませんよ」
響「ほ、本当か?」
貴音「もちろん。それどころか、新装開店の最初のお客様は響と決めておりました」
貴音「予期せぬ店休ではありましたが、その分だけあいであを詰める時間をいただけましたので……期待できるものが出来上がったかと」
響「自分のために……うう、嬉しいぞ貴音ぇ!」
真美「そっか、んじゃあのトンコツスープってひびきんのためだったんだね!」
美希「あれ? 響のペットって豚もいたような気がするの……」
響「え? あはは! まさか、貴音がそんなことするはずないさー!」
貴音「……」
P「……」
響「……え? あれ?」
美希「ナンマンダブ、なの……」
響「ぶ、ぶぶぶぶっ……ブタ太!? ブタ太ーっ!?」
ドタドタドタ…
ブタ太「ブイ」
響「よ、よかったぁ……ちゃんといてくれたぞ……」
P「さすがにブタ太で作ってたのを響に食わせたら放送禁止ものだしな」
響「だったらすぐに違うって言ってほしいぞ! 自分、心臓止まるかと思ったさー!」
貴音「ふふ、すみません。響の反応が興味深かったもので、つい」
響「うう……ひどいさー……」
貴音「ブタ太殿はまだ子豚。スープの材料にするはずがありませんよ」
響「あ、あはは……そうだよな。ブタ太、まだ小さいもんな!」
美希「あれ? でもそれって、大きいブタさんだったら……」
真美「……」
P「さあさっそく作ってもらおうか! 響ラーメン四つ!」
貴音「響らあめん四つ、承りました!」バサッ
響「ちょっと! ブタ太がもし大きかったらどうなってたんだ!? 貴音! プロデューサー!?」
P「はいはい、店主は調理で忙しいので大人しく待っててくれなー」
響「ん? どういうことだ?」
美希「うん。ミキだったら、もしブタさん飼ってたら食べらんなくなりそうって思うな」
響「家族と食べものは別物さー。自分は別に平気だぞ?」
響「それに農家の人だって、いつか食べちゃう動物にすっごく愛情込めて育ててるんだ。可愛がるのと、それで食べられなくなっちゃうのは違うと思うさー」
真美「ふ→ん……なんかひびきん、凄いね」
響「まあ自分は完璧だからな!」
響「でも、なんていうか……こうやって色んな家族がいるからかな? 食べる時は本当に、ありがとうって思うぞ」
P「そうか……うん、その気持ちを大切にな」
美希「ハニーハニー! ミキもこれから、もっとおにぎりさんありがとうって思うの!」
P「まあ間違っちゃいないが……もう少し前の段階でもありがとうでいいんじゃないか?」
響「あはは……でもさすがに、いざ食べる時はブタ太は別の所に行っててもらうさー」
貴音「お待ちどう様です」ドンッ
美希「でっかい骨付きのお肉が乗ってるの!」
真美「……あれ? これってさっきのトンコツスープじゃないよ?」
響「これってもしかして……沖縄そばなのか?」
貴音「ええ。あくまでもソーキそば風のらあめんですが」
真美「ソ→キ?」
P「豚のアバラ肉のことだな。こういうしっかりした骨の部分だとスペアリブとも言うぞ」
響「それに沖縄かまぼこまで乗ってるさー。懐かしいな!」
美希「かまぼこ? なんか茶色っぽいのしか入ってないよ?」
響「沖縄かまぼこは油で揚げて作るんだぞ。薩摩あげとかと似てるかな」
貴音「お待ちください。実はまだ仕上げが残っていまして」
真美「え? 何その大きい中華ナベ……」
ジュパアッ ジジジッ
美希「う……!? けほっ! こほっ! なんか目にきたのー!?」
響「うわわわっ!? 丼が真っ赤っかだぞ!?」
P「これ、ラー油か? しかしとんでもなく匂いが立つな……!」
貴音「はい、島とうがらしで作った自家製の香味油……つまりラー油ですね」
貴音「これで響らあめんの完成です。さあ、ご賞味あれ」
真美「本当に食べられるかな……」
P「まあその、無理はしなくていいぞ?」
貴音「大丈夫ですよ。さあ、わたくしを信じて」
響「よ、よーし……貴音が自分のために作ってくれたんだからな……いただきますっ!」
ズッ ズズ ズルズル ズズズーッ
響「おっ!? 辛くない……というか、濃厚で甘いくらい……!?」
P「おお、本当か!?」
響「うん、特にソーキが角煮みたいに甘くって……ん、んん?」
真美「……ひびきん?」
響「う……うぎゃーっ!? 辛い! 辛いぞおおっ!?」
P「後から来たのか……」
P「おい貴音、さすがにあれは多すぎたんじゃ……」
響「ひっ……ひいい……」
響「……」
響「おさまった」カチャ
真美「えっ!? ちょっとひびきん、なんでもう箸持ってんの!? あんなに辛そうだったのにまた食べんの!?」
響「いや自分もすっごい辛くてびっくりしたけど、すぐにおさまっちゃって……そしたらまた食べたく」ズズズ
響「うひい、辛い……! でも美味い! おいしいさー!」ズズーッ ズルルッ ハグッ
P「……」ゴクリ
P「どれどれ、俺も……」
真美「えっ……えっと、じゃあ真美も!」
美希「ハニーが食べるなら、ミキだって……!」
真美「んんっ……でもこれ、本当に美味しいじゃん! 濃いんだけど、なんかあっさりしてる感じ!」
P「豚骨だけじゃない……魚介系か? 本当、ラー油以外は甘みが強くて意外と食いやすいな」
貴音「ええ、沖縄そばももともと豚と鰹のだしで作っているお店が多いんですよ」
貴音「今回はらあめんらしく濃厚な豚骨スープに、たっぷりの鰹だしのスープを直前で合わせてみたのです」
真美「ん……こっちのかまぼこ、これって何? 緑っぽいよ?」
響「フーチバーだぞ! ああー、本当に懐かしい感じがする!」
美希「ふーちばーって何なの?」
P「ヨモギのことだな。普通のとヨモギを練りこんだの、二種類のかまぼこが乗ってるらしい」
貴音「その分くせも強く、かなり好みが分かれると聞きますが……響、どうぞ」コトッ
P「ん、これは?」
響「生のフーチバーに、コーレーグースまで……!? ううう、貴音! 愛してるさー!」
貴音「響……! 愛している、などと……!」
真美「こ→れ→ぐ→す?」
P「ああ、これがそうか……何でも島とうがらしを泡盛に漬け込んだものらしい。沖縄そばの店には付き物らしいが」
貴音「ええ、人を選ぶものですから……なので今回のらあめんではあえて間接的に使ってみたのです」
貴音「とはいえやはり、響には本来のものも味わえるようにと」
響「うおお……沖縄に帰ってきたみたいさー!」
真美「……」クンクン
真美「うええ……真美、これだけは本当に無理っぽい……」
P「ああ、無理せずやめとけ。俺もこれはちょっと苦手だったよ」
真美「麺もモチモチしててあんまり伸びないからいいけど、もうお腹いっぱいになってきたよ→」
美希「ミキ、もう口の中ピリピリで食べられないの……」
貴音「美希」
美希「貴音……辛いの苦手だとどうしても無理って思うのな…・・・」
貴音「そんな美希には特別に、このようなものを」コトッ
美希「え……?」
美希「これ、おにぎり!? 形はちょっと違うけどおにぎりなの!」
貴音「ええ、スパムおにぎりです。焼いたスパムをご飯に乗せ、のりで巻いたものですね」
美希「あむっ……ジューシーで、辛さも気にならない……!」
美希「ミキ、これだったらラーメンもまだ食べられるの!」
P「とんでもない食欲だな……真美は無理しないでいいぞ?」
真美「……」
P「真美?」
美希「おにぎりにラーメン……この組み合わせは有りだって思うな!」ムチーン
貴音「ふふ……気に入ってもらえたようで何よりです」タプーン
真美「……」ナデリナデリ
P「真美、どうした?」
真美「兄ちゃん……真美、向こう側に行けるように頑張って食べる!」
真美「真美は成長期なんだかんね! うおおおおっ!」ズズズズズ…!!
P「おいおい、本当に無理だけは……」
クッ!!
P「ん?」
美希「お腹いっぱいで眠いの……あふぅ」
真美「く……真美だって、真美だって来年の今頃は……むねん」ガクッ
P「何やってるんだか……まあとにかく、新装開店のメニューとしてはインパクト抜群でよかったんじゃないか」
貴音「ええ。ですが復帰したからには、来週に向けてすぐに準備を始めなくてはなりません」
P「えーと、春香・やよい・雪歩、それに響ラーメンがこれで完成か。次は誰だっけ?」
貴音「あなた様、お忘れですか? 次は>>60ですよ」
P「……」
千早「……」
P「なあ、千早? 俺何か気に障ることしたか?」
千早「……何もありません」
P「じゃあ何でそんなに不機嫌なんだ? 今回は千早ラーメンだぞ?」
P「やよいラーメンの時はあんなに夢中になってたじゃないか」
千早「ラーメンについて認識が変わったのは確かですが……何も今週にやらなくても……くっ!」
P「何を気にしてるか知らんが……ほら、腹いっぱい食べて機嫌直せよ」バサッ
亜美「兄ちゃん遅い! 亜美もうお腹ペコペコだYo!」
千早「亜美?」
P「おいおい、先に入ってるのは新パターンだな。どうしたんだ?」
亜美「だって先週は真美だけ食べたらしいじゃん! 亜美もラーメン食べたいもん!」
亜美「それに、真美に聞いたよ。お姫ちんにミキミキ、ひびきん……あのむっちむちぼで→の秘密はこの店にある! って……」
亜美「でも今日は千早お姉ちゃんかあ……帰ろっかな→」
千早「どっ……どういう意味よ! くぅっ……!」
P「おいおい千早……何も本当に涙目になるほどショックを受けんでも……」
千早「四条さ……」
貴音「?」タプーン
千早「くっ……! 四条さんに私の気持ちはわからないわ!」
貴音「おや……嫌われてしまったでしょうか……」
P「まあ意地になってるから仕方ない。このまま溝を深めるよりも、早いとこ千早ラーメンを出してやってくれ」
貴音「かしこまりました……では」バサッ
P「アイドルは体型や体調の管理も仕事のうちだからな、変に食べ過ぎて太ったり調子を崩されても……」
亜美「兄ちゃん兄ちゃん」
P「何だ?」
亜美「千早お姉ちゃん、またダメ→ジ受けちゃってるんでない?」
千早「体型の管理……くっ!」
P「千早……あのなあ、そう悪い方悪い方にとるんじゃない。お前はお前で」
千早「どうせ私は四条さんたちとは違います……そんなに食べたら、きっと私の場合ウェストがバストを超えてしまうんだわ……くうっ……!」
P「これは重症だ……」
亜美「噂に聞く千早スパイラルというやつですな→」
貴音「お待たせ致しました……あの、よろしいでしょうか?」
貴音「いえ……では召し上がれ」コト
P「……んん?」
亜美「ええ→!? 何これ、麺だけしかないじゃん!?」
P「汁なしのあえそば……? いや、タレすら入ってないな」
千早「……」ガタン
P「お……おい、千早?」
千早「四条さん……あなたは高みを目指そうともけして人を見下したり、侮辱したりしない人だと思っていました……」
千早「でもこれは! これはひどすぎるでしょう!?」
貴音「というと?」
千早「馬鹿にして……! どうせ私はこのラーメン……いえ、ラーメンですらないメンと同じで足りないものだらけ! 貧相な女……そう言いたいんでしょう!?」
千早「嘘! じゃあこれは……!」
貴音「ですから千早。これは、これだけでらあめんとして完成しているのです。足りないものなど何もない」
千早「え……?」
亜美「うっそ→? 麺しかないのに?」
P「まあ確かに、白っぽいのと黒っぽいのの二色で変わってるとは思うが……」
貴音「わたくしを信じて、食してみてはもらえませんか?」
千早「……」
千早「……いただきます」ズッ…
千早「……!?」
亜美「ええーっ!? うん、やっぱ麺だけだよね? 何コレ、すっごい美味しいじゃん!?」
P「ああ。それも、ちゃんとスープと搦めて食べているような味がする……」
千早「四条さん、これは……?」
貴音「千早。わたくしから見た千早という人間は、一言で言うなら求道者なのです」
貴音「何事もただひたすらに打ち込み、洗練し、磨きこむ……その姿は高みを目指すわたくしにとって憧れですらあると言えましょう」
貴音「では、その千早をらあめんで表すならどうするか……それはらあめんの、らあめんたりえる所を突き詰めることだと考えました」
貴音「らあめんとは自由なもの。味も具も形も様々で、温度やスープの有無すらも自在」
貴音「その中で唯一変わらない、らあめんたらしめているもの……それが麺」
貴音「そこで千早らあめんは『麺だけで完成しているらあめん』を目指したのです」
貴音「ええ……白い麺には丸鶏でとったスープを、黒い麺には黒酢をあわせた醤油だれを練り込んであります」
千早「それだけじゃないわ。それだけだと、こんなに香ばしい匂いは出せないはず」
貴音「さすが千早、お目が高いですね……その通り。茹で上がった麺に鶏油を搦めてあるのですよ」
亜美「チーユ? 何それ?」
P「鶏の皮なんかからとった油だな。旨みと香りが良くて、ラーメンだと仕上げの香味油によく使われてる」
亜美「へえ→……でも、本当にこれだけでラーメンっぽくなるんだね」
千早「……」
千早「四条さん、ごめんなさい!」
亜美「千早お姉ちゃん!?」
千早「四条さんがそこまで私のことを評価して、考えてくれていたなんて……何も知らずにひがんだ自分が恥ずかしい……!」
千早「食べてみてわかった……本当に、これを私をイメージして作ってくれたのなら!」
千早「誇りに思う! それくらい美味しいラーメンだったわ!」
P「……そうか?」
千早「……えっ」
P「確かに千早ラーメンはよくできてると思うが……本当にこれで完成してると言えるのか?」
亜美「なになに!? ど→ゆ→ことなのさ兄ちゃん!?」
千早「そうです! これだけ美味しいラーメンなのに、いったい何を……」
P「見た目だよ」
貴音「……」
P「確かに味は凄く良かった……二色の麺は珍しいし、興味も引かれると思う」
P「だが、汁なしどころかタレも具もない。そんな麺だけを出されて、それを完成したラーメンだって思えるか?」
千早「それは……」
P「現に俺たちも貴音に「信じて食べてみてくれ」と言われなければ食べなかっただろう」
P「この地味な見た目で『アイドルの千早』をモデルにしたラーメンとして、番組のコーナーを飾れるのか?」
千早「プロデューサー、そんな言い方って……!」
亜美「そ→だよ! 兄ちゃんだってびっくりしてたじゃん!」
貴音「……ふふっ」
千早「し、四条さん?」
亜美「お姫ちん、どうしちゃったの? どっか具合悪くなっちゃった?」
貴音「ふふふ……あなた様には敵いませんね」
貴音「ご指摘の通り。このままでは千早らあめんはらあめんとしては成立しても、店のメニューとしては成立しないでしょう」
千早「え……ええっ!?」
亜美「あれ? じゃあもしかして」
貴音「ええ、メニューとしてのらあめんには加えるものがあるのです」
亜美「あっ、今度はタレっぽいのがかかってる?」
千早「それに茶色っぽい粉が……何かしら?」
貴音「ふふ、麺によく搦めて召し上がれ」
千早「ええ……では」ズズッ
亜美「わ……!? さっきより香ばしい!」
千早「本当……それに、鶏の味もさっきよりはっきりしている……」
P「おお……これはネギ油に、それに鶏を粉にしてるのか……!?」
貴音「そこで……たれに見えるのは先ほど麺にあえていた鶏油で細かい青ネギを炒めたもの」
貴音「かかっている粉は鶏そぼろをふりーずどらいし、粉状にしたものなのです」
P「あくまで鶏の味を強めただけってことか……」
千早「プロデューサー、これなら……!」
P「ああ、ネギの色も加わって見た目も格段に良くなった。これならメニューとして通用するだろう」
亜美「自分でこうやって混ぜて食べれる方が楽しいしね→」
千早「ラーメン……本当に奥が深いものなのね」
貴音「千早、らあめんの世界はまこと広いものですよ。興味を持っていただけたのなら、今後とも麺や貴音をごひいきに」
千早「う……体型維持は大丈夫かしら……ええ、考えてみるわ」
P「千早の機嫌もすっかり直ったみたいだな。よかったよかった……って亜美、どうした?」
亜美「な→んか納得いかないんだよね」
亜美「千早ラーメンって麺だけで完成なんでしょ? でもそれだけはメニューにできないってことは」
亜美「やっぱり千早お姉ちゃんって地味で物足りないってことになっちゃうんじゃないの?」
千早「!?」
貴音「麺だけでも千早らあめんが完成しているのは確かなのです。けれどもさらに美味に、さらに華やかになれる」
貴音「つまり、完成されていても成長の余地があるということですよ」
千早「なるほど……私も足りないとばかり思って見ているのでは駄目ね……!」
千早「私は私で完成している……そして、まだまだ成長できる!」ガタン
千早「四条さんありがとう! 私、もっと頑張れる……こうしてはいられないわ!」バサッ
貴音「またのご来店をお待ちしています」ペコ
亜美「な→んかうまいこと言われただけな気がするんだけど」
P「千早も意外と単純だよな」
P「おいおい貴音、一度に持ちすぎだぞ!」
貴音「あなた様……早く食材を運び込んでしまいたかったもので」
P「ラーメン好きなのはいいが、お前は料理人じゃなくてアイドルなんだからな。その辺りには気を遣ってもらわないと困るぞ」
貴音「はい……肝に銘じておきましょう」
P「にしても、今回も大量に仕入れたな……次は誰の番だっけか?」
貴音「>>100ですよ」
P「お……」
真「へへっ、おはようございまーす!」
貴音「開店前に並ばれているとは……麺や貴音も有名になったものですね」
P「というか真、次はお前だって誰に聞いた?」
真「え? 次ってボクだったんですか!? やっりぃ!」
P「お前……知らないのに開店前から並んでたのか!?」
真「いやー、だって春香の時以来じゃないですか! みんなから話聞いてたらもう一度食べたくなっちゃって!」
貴音「ふふ、そこまで賞賛されるとわたくしも意気が高まるというものです」
貴音「真らあめん、期待していただきましょう」
P「真、誰か一緒に並んでたのか?」
真「え? いえ……ボクはずっと一人で待ってましたけど……」
P「ふーん……」
P「よーし、それじゃあ一名様ごあんなーい! 今日は開店前から並んでくれたサービスで、貸切にするかあ!」
P「内側から鍵かけちゃうからもう誰も入れないなー! 真だけの特別メニューだもんなー!」
真「すごい待遇ですね……でもプロデューサー、なんでそんな大声で」
「待って! 閉めるの待ってくださぁい!」
雪歩「お、お邪魔しますぅ……」
真「どうしたのさ雪歩、そんなに縮こまっちゃって」
雪歩「あの……その……」
貴音「雪歩」
雪歩「ひゃいっ! ごめんなさいごめんなさい! ダメダメでごめんなさい!」
真「雪歩、ちょっと落ち着いて! カウンターの下に潜らないで!」
貴音「雪歩……謝ることなどありませんし、怒ってもいません」
貴音「前の店のことなら、雪歩の犬嫌いは重々承知ですし」
貴音「伝えたはずですよ? 雪歩には芯のある強さがあるのですから……もっと自信を持つようにと」
雪歩「四条さん……はい、ありがとうございます!」
真「うわ、中華鍋とおたまの使い方かっこいいなあ……」
雪歩「うん、本当に中華の料理人みたいだね」
P「ああ、二人とも中華鍋使ってる時にはいなかったか。他の週だと結構使ってるんだが」
P「練習の甲斐あってもう手馴れたもんだな。後姿が様になってるよ」
真「うん……なんていうか、女の子っぽい料理上手とはまた違った感じで憧れるよね!」
雪歩「料理人っていうか、職人さんって感じかな?」
P「貴音もすっかり気に入ったようでなー、本人に言ってやってくれ。相当喜ぶぞ」
真「はい! でもいい匂いがしてきたなー、ゴマの匂いかな? 香ばしくって」
雪歩「ん……あれ? でも何か、鼻にしみるような匂いも……」
貴音「お待ちどう様です」ドンッ
P「おおっ! これはド迫力の坦々麺だな!」
真「え、これ坦々麺なんですか? 真っ黒で全然赤っぽくないですよ?」
雪歩「んっ……でも、しみるくらい匂いが……! 辛そうです……!」
貴音「黒ごま坦々麺というものですね。もちろん真らあめんというからには、それで終わるつもりはありませんが。さ、ご賞味あれ」
真「よーし! いっただっきまーす!」ズズズーッ!!
P「うお、最初から舌にビリビリくる辛さだな、これは……!」
真「でも辛いだけじゃないですよ、これ! ゴマの味が濃くって、スープも美味しくって!」
貴音「ふふ……辛味は黒こしょう、コチュジャン、とうがらしと三方向から攻めてみました。最初も後からも、飽きない辛さが味わえるはずですよ」
雪歩「し……舌が休まりまひぇぇんっ……」
P「ベースは豚骨スープで、黒ゴマもたっぷり使ってるな。でも、まだ他にもこう、ガツンとくるようなものが……」
貴音「ええ。香味油も黒くなるよう、マー油をあわせてありますので」
真「マー油?」
P「焦がしニンニクで作る香味油のことだな。豚骨ラーメンとの相性が抜群なんだ」
真「へえ……! なんていうか、箸が止まらないですね!」
P「ん、どうした? 真」
真「いえ……自分でも納得はいってるんですけど、やっぱりボクをイメージすると男っぽくなるんだなあって」
P「ん……」
真「イメージカラーが黒っていうのもあるんですけどね、完全に男向けガッツリラーメンじゃないですか」
真「悔しいことに、美味しくてしょうがないんですけどね……ああ、可愛いイメージになりたいなあ」
雪歩「……あれ?」
真「ん、どうしたの? 雪歩」
雪歩「えっと……食べ慣れてきたのかな? なんだか食べやすくなってきて」
雪歩「それに……甘くなってきた?」
真「え? そういえば……!」
貴音「ご名答です」
貴音「実はスープを注ぐ前にテンメンジャンをベースにした甘味噌を丼の底に塗って、火であぶっておきまして」
真「食べてるうちにだんだん甘くなってくるってことか!」
雪歩「凄いです! あんなに辛かったのに食べやすくて、それにもっと美味しく……!」
P「ゴマのペーストもさらに仕込んであったな? だから溶け出すとゴマ自体の香りと甘みも増してるんだ」
貴音「ええ。一見ぼーいっしゅながら、中身は繊細で甘い女性……そんな真を表したらあめんですから」
真「え……」
真「あはっ……やだな、貴音、そんなふうに見てくれてたなんて……」
真「何だろ、嬉しくって……ちょっと泣けてきちゃうじゃないか」グス
雪歩「真ちゃん……」
貴音「これはまた……綺麗に完食してくれたのですね」
真「へへっ、美味しかったし……貴音の気持ちが嬉しかったからね!」
貴音「そういえば開店当初……春香らあめんもスープも残さず完食してくれていましたね」
真「あはは……美味しくってついね。アイドルらしくないけどさ」
貴音「いえ……らあめんを作る者にとって、綺麗に空になった丼は幾千の言葉よりも心に響くのです」
貴音「真……わたくしのらあめんを食してくれて、ありがとう」
真「や、やだなあ! そんなに深々と頭下げられたら困っちゃうよ!」
真「こっちこそ、美味しくて素敵なラーメンをありがとう……貴音!」
P「ん……おい、雪歩? お前、何か目が……」
雪歩「真ちゃんっ!」ガタンッ
真「うわっ!? 何、どうしたのさ雪歩?」
雪歩「真ちゃんが可愛いこともかっこいいことも、私が一番知ってるんです……四条さんよりも、ずっと……!」ズイ
真「ゆ、雪歩……?」
雪歩「だから私、真ちゃんに合う服! たくさん用意してきたんです!」ズズイ バサッ
雪歩「前の放送の時はかっこいいのメインだったから! 真ちゃんのかっこよさを生かした可愛いのもいっぱい!」ズズズイ バササッ
真「ちょ、雪歩!? そんなのどこに今まで……」
P「まさか……あの時隠れてたのは店に入りたかったんじゃなくて、真を狙ってたのか……?」
雪歩「そんなの関係ありません! ほらほら真ちゃん、このブラウスどうですか!?」
真「ちょっと、雪歩やめ……うわっ!? どこ触って、やめ! 脱がすな引っ張るなぁ!?」
雪歩「メイド服とかも意外といけるんじゃないですか!? 私自分で作ったんですぅ!」
真「う、うわああ!? 誰か止めて! 助けてーっ!?」
ドスン バタン ガッチャーン!! パリーン
貴音「……さて、来週の開店は」
P「……諦めろ」
≪おしまい≫
ちょっと長くしすぎたか……
これで6人、まだ半分もいってないな。
ありがとうございました。
他はまたいずれ。
だがこんな時間に書いた事は許さない許されない
Entry ⇒ 2012.07.04 | Category ⇒ アイマスSS | Comments (0) | Trackbacks (0)
美希「いつか、星の海で」
――PM23:50
美希「あふぅ…もうこんな時間なの」パラッ、パラッ
美希「美希も、こんな小説みたいな恋愛したいの…」パタン
美希「…ハニー…」
窓の外を見る。今日は、朝から雨。…ねぇ、ハニー?美希のハートも、雨模様なの。
美希「明日は、晴れるといいな」
美希「…おやすみ。ハニー」
――765プロ事務所
美希「おはよー!なの!」ガチャッ、バタン
P「おぉ、美希!おはよう!」ニヤニヤ
美希「?」
今日のハニー、何かヘン。すっごく機嫌がいいの。
美希「おはよ、ハニー。どうしたの?そんなニヤニヤして」
P「ふっふっふ。驚くなよ?美希…」ゴソゴソ、
美希「?」キョトン
P「これを見ろ!」バッ
美希「なになに?」チラッ
美希「…」フムフム
美希「っ!」
美希「ハニー!これ、ホント!?」
P「あぁ、ホントだ!やったな!海外での写真集撮影だ!」
美希「ミキの…ミキだけの写真集…」
そう。今回は、ミキ一人だけの撮影。嬉しいの!
美希「…ねぇ、ハニー?」チラッ
P「ん?何だ?」
美希「ハニーも…来てくれるんだよね?」
P「もちろん!俺は美希のプロデューサーだからな」
やった!美希とハニー二人きりの海外なの!
美希「えへへ…ハニー?」ギュッ
P「ほら、そんなにくっつくなって」
もうっ!ハニーのニブチン!
美希「むっ!そんな事言うと、もっとくっついちゃうよ?」ギュー
ハニーとの海外…すっごく楽しみなの!でも、やっぱり今日も…雨模様。
P「ははっ。現金なヤツだなぁ…」ナデナデ、ナデナデ
美希「ミキ、いつも頑張ってると思うな」プクー
P「そうかぁ?」ナデナデ
美希「そうなの!そんな事言うハニー、嫌い!」
美希「…でも」
P「でも?」ナデナデ、ナデナデ
美希「ハニーのなでなでが気持ちいいから、やっぱりスキ!」
――PM16:30
――ザー、ザー、パシャパシャ、
美希「はふぅ。雨、止まないね」チラッ
P「そうだなぁ。昨日から、ずっと雨だからな。お天気娘の美希も、さすがに気が滅入るか?」
美希「お天気娘って…。ハニー?オジサンみたいなの」クスクス
P「ははは。俺もそんなに若くはないからな」
美希「そんな事ないよ?ハニーはカッコいいの!」
運転するハニーの横顔は、いつ見てもカッコいいの…。
P「ははっ。ありがとな?」ナデナデ、
美希「ハニー?なでなでするのもいいけど、ちゃんと運転してね?だって明日は…」
明日は、ハニーとの海外。今から、楽しみなの!
美希「そうなの♪だから、安全運転だよ?ハニー」クスクス
P「わかったわかった。大事なお姫様も乗せてる事だしな」チラッ
美希「…ばか」
自然にそんな事言うから、みんなスキになっちゃうの。自覚してる?
美希「…はぁ…してないの…」ボソッ
P「ん?何か言ったかー?」チラッ
美希「ニブチンなそこの人には、関係ないの」ムスッ
P「おっ?久しぶりに聞いたな。ソレ」
――PM19:45
美希「じゃあハニー、明日は一度、事務所に行けばいいんだよね?」
P「おう。事務所前から、タクシーで空港に向かうからな」
美希「ふふっ。早く、明日にならないかなー!」
P「明日には、この雨も止むだろうしな」
美希「明日、晴れればいいね!」
P「そうだな。じゃあ、美希。明日な?」
美希「うん。じゃあ、おやすみ。ハニー」
P「おやすみ。美希」ガチャッ、バタン
――ブーン
美希「…」フゥ...
ハニー、行っちゃった…。
――PM23:50
美希「…」パラッ、パラッ
美希「…」パラッ、パラッ
美希「…ふぅ」フゥ...
――ザー、ザー、バシャバシャ
美希「…」
美希「うそつき」
雨、止みそうにないの。いつになったら、止むのかな。
美希「…寝るの」パタン
読んでた本を閉じて、枕元に置く。ミキ、読みかけの本は、近くに置いとかないと落ち着かないの。
美希「…」チラッ
――ザー、ザー、バシャバシャ
美希「…」
美希「…おやすみなの」
――海外の空港
美希「ハニー!着いたのー!」ピョンピョン、ピョンピョン
P「ははっ。落ち着け、美希。みんな見てるぞ?」
――ガヤガヤ、ガヤガヤ、
美希「いいの!だって、知ってるヒトいないし!」ピョンッ、ギュー
P「ははっ。お前はそういうヤツだったな…」
美希「…ねっ!ハニー?」ギュー
P「ん?どうした?」ナデナデ
美希「あふぅ」ウットリ
美希「って、違うよ!ハニー?スタッフさんとかは?」
P「あぁ、その事か」
P「いない」
美希「えっ?」
P「だから、いない」
美希「…えっ?」
P「あっ、部屋は別々だからな?」
美希「…むっ。そこも俺、が良かったの」ムスー
P「ははっ。カンベンしてくれ」
美希「…でも、ビックリしたの。全部ハニーがしてくれるんだね!」
ミキ、ビックリはあんまり好きじゃないけど、今みたいなビックリは好きになれそう。
P「あぁ。だから、ありのままのお前を見せてくれよ?」
美希「うん!」
日本と違って、グアムは晴れ!ミキのハートは…晴れになるかな?
――PM16:00
P「じゃあ、美希の部屋は俺の隣だから。なんかあったら、携帯に電話くれ」
美希「撮影はいつするの?」
P「もう夕方だし、軽く海岸を歩こうか。衣装はトランクに入ってるから、好きなの着ていいぞ?」
P「そうそう。夕陽が綺麗みたいだから、夕陽に映える衣装がいいかな?」
美希「ハニーのリクエストだね?ミキ、オシャレするの♪」
P「期待してるよ。じゃあ、用事が出来たら電話してくれ」
美希「わかったの!じゃあ、また後でね?ハニー!」ガチャッ、バタン
美希「~♪」ゴソゴソ、
ハニーと二人きりで海岸を歩く。楽しみなの!
美希「どんな洋服があるのかなぁ…」ゴソゴソ、ゴソゴソ
トランクを開けてみる。あはっ!色んな洋服があるの!
美希「ふふっ。ハニーって、ほんとピンクと黄色が好きなんだね」クスクス
見ると、ピンクと黄色の洋服が気持ち多めに入ってるの。
美希「…う~ん。あはっ!うん、これにするの!」
ミキが選んだ洋服。それは
P「あいつ、嬉しそうだったな…」
美希の笑顔は、人を幸せにしてくれる。それは、俺も例外じゃない。だからこそ、
P「意識、しないようにはしてるんだけどな…」
でも、やっぱり、
P「意識、しちゃうよなぁ…」
美希の笑顔は、俺を幸せにしてくれる。
――ダイスキーハーニィー♪
P「おっ?もしもし?ん、わかった。じゃあ、部屋の前で待ってるから」プツッ
さて、行くか。
美希「…どう…かな?」チラッ
P「美希…お前、それ…」
あはっ!ハニー、ビックリしてる!でも、当たり前かな?
美希「あはっ!ビックリした?そうなのっ♪ハニーと二人きりでしょ?だから、ね?」チラッ
P「…じゃあ、行くか」
美希「むっ!ハニー、照れてるのー♪」タッタッタッタッ
ミキの服はね?あはっ!『プロデューサー』が初めてミキに買ってくれたご褒美の洋服!
美希「ねぇ、ハニー?」トテトテトテ、
P「ん?何だ?」パシャッ
二人で海岸を歩く。時々、ハニーがミキを撮ってくれる。…あはっ!何だか、変な感じ。
美希「晴れて、良かったね」トテトテトテ、
P「そうだな。外は夕陽が傾いてきたけど、夜空も綺麗そうだし」
時々、美希を撮る。ファインダーの中の美希は、笑顔だったり、少し物憂げだったり。俺に、色んな表情を見せてくれる。
美希「…」ギュッ
P「美希?」
美希「…」ギュー
P「…写真、撮れなくなるぞ?」
美希「いいの…」
P「…」
美希「…ミキが、プロデューサーって呼んで…どう思った?」
傾きかけた夕陽が、最後に美希を照らす。
美希「ねぇ、プロデューサー」
P「…」
美希「ミキが、ハニーって呼んで、どう思った?」
少しずつ、夕陽が落ちて、
美希「ねぇ、ハニー」
P「…」
美希「次は、何て呼べばいいの?」
夕陽が完全に傾いて、少しずつ、星が出てきた。
美希「…ミキね?知ってるよ」
P「何を?」
美希「ハニー…ううん、プロデューサー」
美希「無理、してる」
P「なんで、そう思う?」
美希「だって、ミキもだから」
P「えっ?」
美希「ミキも、無理してるから」
…言っちゃった。でも、もう無理なの。ごめんね?ハニー。
美希「あのね?ミキはスキだよ。プロデューサーの事」
美希「いつもプロデューサーはミキを子ども扱いしてるけど」
プロデューサーって言葉が、痛い。ミキに本気でそう呼ばれたのは、いつ以来だろうか。
P「暗く…なってきたな」
美希「誤魔化さないで」
海のような星空で…星が、泣いていた。
美希「ねぇ、プロデューサー。このまま、ハニーって呼んでいいの?」グスッ、
P「…」
P「なぁ、美希」
美希「なに?」
プロデューサーが、空を見る。ミキも、つられて空を見る。
美希「…綺麗なの…」
星の海。星がいっぱいで、海みたいなの…。
P「美希は、さ」
美希「うん?」
空を見上げたままのプロデューサー。
P「俺には、眩しすぎるんだよ」
美希「…えっ?」
俺は、砂浜に寝転がり、星空を見つめる。
美希「…何が怖いの?」ストン
その横に、美希が座った。ははっ。まるで、デートみたいだ。
P「星って、いつかは消えるだろ?雲に隠されたりして」
美希「…」
P「だから、美希もいつかは俺の前から隠れるんじゃないか…違うな。この場合は、いなくなるんじゃないか」
P「そう、思い始めちゃったんだよ」チラッ
美希「…ハニー…」
ミキを見たハニーの顔。いつものハニーとは違う、ミキに見せたことの無い顔。
美希「…いいの」ボソッ
P「えっ?」
ハニーがそんな顔をするなら、ミキも見せてあげる。ハニーが、見たことの無いミキの顔。
――チュッ
P「みっ、美希?」
美希「ちゃんと、見てた?」スッ
P「えっ?」
美希「なら、もう一回。ちゃんと、見ててね?」
美希「…ちゅっ」チュッ
P「美希…」ギュッ
美希「…あはっ。何だか、恥ずかしいね」
だって星は、空があるから光って、輝いて、眩しいんだから。
美希「やっぱり、これからもハニーって呼ぶの」
美希「ハニーには、ミキが着いていないとダメダメなの」クスクス
P「…美希」ギュー
美希「…あはっ!やっと気付いたの?ミキの大切さに♪」クスクス
P「あぁ。気付いたよ。気付けた」ナデナデ、ナデナデ
美希「ほんと、ハニーはニブチンだね」
美希「ハニーがいてくれるからなんだよ?だからミキは、キラキラでいられるの♪」
P「じゃあ、俺がもっとキラキラさせてやらないとな」ナデナデ
美希「今頃気付いたの?あはっ!ほんと、ミキがいないとダメダメなの」
P「ダメダメ言うなよ…」
美希「…あはっ!じゃあ、もっとミキをキラキラにさせてね?」ナデナデ
P「…あぁ。約束する。あの星みたいに、美希をキラキラさせる」
美希「…」
美希「…じゃあ、約束」
P「約束?」
美希「うん」
P「…どういう意味だ?」
美希「ミキ、もっとキラキラになるから、だから…」
美希「たくさんのキラキラ…たくさんのアイドルたちがいる中で」
美希「たった一人の、ミキを見付けて」スッ
――チュッ
美希「…いつか、星の海で」
P「…見付けたよ、美希」
美希「…あはっ!見付かっちゃったの」
P「お待たせ、美希」
美希「…うん。すごく、すっごく待ったの」ムスッ
P「じゃあ、行こうか」スッ、ギュッ
美希「うん!ねぇ、ハニー?」ギュッ
美希「…いつか、ミキ言ったよね」
美希「…ミキを見付けてって」
P「あぁ…言ったな」
美希「見付けてくれて、ありがとう」
美希「…だから、また約束」
美希「今度は、幸せを見付けていこう?」
美希「二人の、星の海で」
よかった……バッドじゃなかった……
乙
Entry ⇒ 2012.07.03 | Category ⇒ アイマスSS | Comments (1) | Trackbacks (0)
黒井「生レバーが……終わってしまった」P「そうですね」
黒井「そこのレディ。生レバーをひとつ」
店員「申し訳ございません。生レバーは取り扱いできなくなりましたので……」
黒井「そ、そうだったか……ではユッケを……」
P「黒井社長……!もういい……!もう休んでください……!」
冬馬「まぁさくらユッケでも食って元気だせよ」
黒井「馬は好かん」
翔太「せっかく冬馬君が気を使ってあげてるのに……」
北斗「やれやれ。重症だな」
黒井「禁止されるなどあってはならない……」
黒井「あってはならないことだ!」
P「俺が引き抜き!?」黒井「ウィ」
P「冬馬が765プロに?」黒井「ウィ」
P「冬馬はどんな女が好みなんだ?」冬馬「そうだな……」
P「今日真美と亜美の誕生日なんだよ」冬馬「へぇ」
P「ピジョンの次なんだっけ?」北斗「コダックですよ」
冬馬「寿司食いに行かね?」P「いいな
P「そういえば律子も二十歳になるんだよな」黒井「ほう」
P「法律で決まったんだから仕方ないでしょう」
冬馬「そんな言うほど美味いか?あれ」
翔太「僕生肉はあんまり好きじゃないなー」
黒井「美味いから売れるんだろう!この馬鹿共が!」
北斗「まぁまぁ……ほら、お酒きましたよ」
黒井「フン……」
黒井「大体生レバーを禁止するなら何故刺身も禁止しない!」
黒井「これは不公平ではないのか!」
P「荒れてるなぁ」
冬馬「嫌な時に来ちまったぜ」
P「飲みに行くのは大歓迎だけどな」
店員「申し訳ございません……もう品切れになってしまいまして……」
黒井「ふざけてるいのか!店長を呼べっ!」
冬馬「おい!いい加減にしろよおっさん!」
P「あ、君もういいから。生中ふたつお願いします」
店員「は、はい……」
翔太「せっかくのんびり焼肉できると思ったのになー」
北斗「まぁそう言うなよ。これもう焼けてるぞ」
翔太「ありがと北斗君っ!」
黒井「生レバーが食べたい……ごま油と塩と生姜をつけてセレブにいただきたい……」
冬馬「ズルッと……」
P「気持ち悪いからやめろ」
北斗「どんな手を使うつもりだったんです?」
P「響のペ」
冬馬「それ以上いけない」
翔太「洒落になんないよそれ……」
P「やっぱりそうか……少しくらい分けてくれないかと思ったんけど」
冬馬「少しでも肝臓とったら牛も死んじまうだろ……」
P「うーんどうにかならないものか」
北斗「レバー焼けましたよ社長」
黒井「生がいい」
P「子供かこの人は……」
冬馬「次何頼む?」
翔太「バラとマルチョウ!」
北斗「あ、俺もお願いします」
冬馬「俺今日はいいや」
翔太「クロちゃんは?」
黒井「生レバー」
冬馬「もうないって言ってるだろーが!セレブなら1回で覚えろ!」
黒井「!!!!」
黒井「……何もいらん」
P「あーあスネたよ」
翔太「冬馬君が怒鳴るからー」
冬馬「な、なんだよ俺のせいかよ……」
北斗「まぁそれなりには」
P「……俺は~~だ」
北斗「厳しいですね……俺達は~~でしたよ」
P「」
翔太「プロデューサーさん!そのチヂミもらっていい?」
翔太「あれ?なに固まってるの?」
北斗「俺達の給料に衝撃を受けたらしい」
冬馬「トップアイドルとただのプロデューサーじゃな」
P「お、俺だってアイドルいっぱい掛け持ちしてるのに……」
北斗「悲しい現実ですね」
翔太「例えば?」
P「カニとかどうだ」
黒井「カニはいいぞ。セレブの嗜みだ」
冬馬「もう復活しやがった」
北斗「カニですか……しばらく食べてないですね」
冬馬「俺カニ食べたらなんか胸がウッてなるんだ」
P「あぁ、たまにいるな」
翔太「へぇー」
冬馬「嫌いじゃねーんだけどよ……体質なんだろうな」
P「皆は食べたいのないのか?」
翔太「僕今度は回らないお寿司食べたい!」
北斗「誰かが食い倒れてたな」
翔太「そんなマヌケな人いるの?あははっ笑えるねっ!」
冬馬「うるせーな!」
黒井「寿司か……回らない寿司か。セレブだな」
黒井「ネタに生レバーがないのも素晴らしい」
P「それは想像しただけで気分が悪くなりますね……」
翔太「じゃあ?」
黒井「ウィ。行くか……寿司屋へ!」
冬馬「っしゃぁ!大トロ、だぜ!」
P「高級なとこだと海老が美味いんだよ海老が」
北斗「適当に炙ってもらうのもいいですよ」
P「今週ならいつでもいいですよ」
冬馬「んじゃ明日にしようぜ!」
北斗「えらく乗り気だな冬馬」
冬馬「回らない寿司なんて滅多に食えねぇからな」
翔太「僕たちのお給料なら余裕と思うんだけど」
P「給料の話は俺が落ち込むからやめてくれ……」
冬馬「だからあんたも961に来ればいいんだよ。倍は出るだろ?な、社長」
黒井「負け犬脆弱765プロの高木と同格扱いされては堪らんしな」
P「給料が全てじゃないんで」キリリ
冬馬「んな格好つけてるから貧乏なんだよ」
P「くっ……」
北斗「寿司の話してたら、どうでもよくなっちゃったな」
黒井「そろそろ出るか。生レバーの無い店にこれ以上居る気になれん」
冬馬「このままラーメン食いに行こうぜ!」
北斗「俺はもう腹一杯だからパスだな」
P「飲んでも無いのに食後にラーメン食べたがるお前の精神がよくわからないよ」
冬馬「むしろ飲んでから食いたくなる意味がわかんねー」
北斗「さっきまで焼肉食べてたじゃないか」
冬馬「好きなもんは別腹なんだよ」
黒井「バラを食べた後で別バラのラーメンを食べる。バラだけに……どうだ?」
翔太「それギャグでもなんでもないよ」
黒井「そうか……」
黒井「次に来る時までに生レバーを仕入れておけよ」
翔太「もう焼きレバーを生で食べたらどうなの?」
P「流石に危険すぎるな」
黒井「死亡率や発症数で言えば餅のほうが上だろうに哀れな生レバーだ……」
冬馬「餅と生レバーなら生レバーが消えたほうがいいだろ」
黒井「ノンノン。どちらかを禁止にするという発想がナンセンスなのだ冬馬よ」
P「比較したのは黒井社長からなのに」
北斗「しばらくは言わせておくしかないですね」
P「だな」
黒井「そうだな」
P「寿司……寿司か……」
冬馬「おい何考えてるんだ」
P「いや、寿司といえば765プロに……」
北斗「明日は5人で行きませんか?ほら、気楽に」
黒井「どうせ頼む順に文句をつけるような奴だろう。認めんぞ」
P「回る寿司も食べたこと無さそうな子がいたな……」
黒井「連れて来い」
北斗「やっぱり6人がいいですよね」
冬馬「そいつにサーモンの美味さを教えてやるぜ」
黒井「ウィ。胃を洗って待っていろと伝えておけ」
冬馬「こえぇよ……」
北斗「今回は賭けにならないな」
翔太「皆同じ子に賭けるもんねっ!」
冬馬「なら最初に頼むネタでどうだ?」
黒井「いいだろう」
P「俺も参加しようかな」
北斗「被り無しで正解者の分を4人が払うってルールでいいですよね」
黒井「流石に今回は私が払おう。余興として賭けるぞ」
翔太「ネタかぁ……うーん」
P「おはようございまーす」
小鳥「おはようございま……プロデューサーさん……」
P「おはようございます音無さん。どうしました?」
小鳥「昨日焼肉食べましたね?」
P「えっ何でわかったんです?」
小鳥「Nice smell」
P「really?」
小鳥「ya」
P「OH...」
やよい「おはようございますー!」
P「お、来たな!待ってたぞやよい!」
やよい「え?」
P「今夜寿司食いに行こう!」
小鳥「はい!」
小鳥「はい!」
やよい「お、お寿司ってあの1パック980円のあれですか!?」
P「まぁ見た目はそれだな」
やよい「い、行ってみたいかも……!」
P「よし、じゃあ帰りに一緒に行こうな。知り合いも一緒だけどいいか?」
やよい「はい!うっうー!楽しみですー!」
春香「なんの話してるんですか?」
P「ちょっとな。それより相変わらず素敵なリボンだな」
春香「急に変なこと言わないでくださいよぉ!えへへ……」
P「ははは」
小鳥「……」
小鳥「はい!」
真 「ギャピー!マコマコリーン!」
真 「どう?」
雪歩「30点くらいかも……」
真 「キレが足りないのかなぁ。あ、プロデューサー!」
P「おはよう。朝から可愛くなる特訓か?」
真 「はいっ!ここに来る前も可愛いランニングしてきたんですよ!」
P(可愛いにランニングもキメポーズも関係ない気がする)
P「そ、そうか……頑張れよ」
真 「へへっ!応援されちゃったよ雪歩!」
雪歩「よ、よかったね……あ」
雪歩「プロデューサー焼肉食べたんですか?」
雪歩「スンスン……バラ、カルビ、マルチョウ、テッチャン、ツラミ、タンですか。いいなぁ」
P「えっ」
雪歩「今度また私も連れて行ってくださいね!」
P「あ、あぁ……」
やよい「プロデューサー!今日のお仕事なんですか?」
P「あ、えっと今日は……なんだったかな」
律子「今日はレッスンの後ミーティングですよ」
P「そうだそうだ午前中はレッスンだったな!」
律子「しっかりしてくださいよ」
やよい「今日はいつもよりもっとうわ~っ!て感じで頑張っちゃいますー!」
P「気合入ってるな!」
やよい「はい!」
小鳥「お寿司かぁいいなぁ。今日は奮発して100円じゃないお寿司屋さんでも行こうかしら」
伊織「一瞬で数時間吹っ飛んだ気がするわ」
春香「はぁ……帰って勉強しなきゃ……」
真 「げっ!嫌なこと思い出させないでよ春香……」
伊織「普段から勉強してないからこういう事になるのよ」
春香「伊織は余裕そうだね……」
伊織「伊達に生徒会やってないわよ。にひひっ」
律子「それじゃ今日もお疲れ様。気をつけて帰ってね」
P「やよいは俺と一緒だな」
やよい「あ、はい!すっごく楽しみですっ!」
小鳥「……」
P「諦めてください」
小鳥「はい……」
P「んー……まぁやよいなら事前に話してもいいか。961プロだよ」
やよい「くろい……?」
やよい「はわっ!?961プロですか!?」
P「あぁ。たまたま一緒に食事することになってさ」
P「やよいの話をしたら是非一緒に来て欲しいって言われたんだ」
やよい「プロデューサーすごいです!よその事務所と仲良くなるなんて!」
P「はは……」
P「ちなみに他の子達には言うなよ。俺がスパイ扱いされるからな」
翔太「こんばんはー!」
北斗「やよいちゃん、チャオ☆プロデューサーさんもお疲れ様です」
P「俺はついでか……」
冬馬「よう。相変わらずシケた顔してんな高槻は」
やよい「あ、あの!こんばんは!」
黒井「ウィ。では行くか……今日は本当の寿司をその貧相な身体に刻み付けてやる」
やよい「よろしくお願いしますっ!」
P「どこ行くんですか?」
黒井「そこそこな値段の店を見繕っておいた」
翔太「へぇー楽しみだねっ!」
北斗「俺達はもう決まりましたよ」
冬馬「やっぱトロだろ。食ってみたい寿司といえばトロのはずだぜ」
翔太「僕はウナギ!」
北斗「節約家のやよいちゃんだし、俺は玉子にしました」
黒井「私は茶碗蒸しだ」
P「それ黒井社長の好みじゃないですか……」
やよい「なんの話ですか?」
P「あ、いや。好きな魚の話だよ」
やよい「そうなんですか!私は」
冬馬「ウェーイ!ウェイウェイ!」
北斗「ほらやよいちゃん!もうすぐお店だよ!」
やよい「はわっ!私ドキドキしてきちゃいましたプロデューサー!」
冬馬「いかにも寿司屋って感じだな!」
翔太「寿司屋 回らないで検索したら出てきそうなお店だね!」
黒井「紹介ご苦労。では入るぞ」
店員「いらっしゃい!」
黒井「6人だ」
店員「どうぞー!」
やよい「……」
P「どうしたんだ?やよい」
やよい「き、緊張しちゃって……これノレンって言うんですよね?」
P「あぁ寿司屋といえば暖簾だろ。知らないけど絶対そうだ」
冬馬「早く入ろうぜ!」
やよい「は、はい!」
北斗「さて……プロデューサーさん?」
P「あぁ、俺はこれだ!」
北斗「赤出汁ですか」
冬馬「寿司じゃねーのかよ!」
翔太「まぁクロちゃんも茶碗蒸しなんだけどね」
P「家庭的だし味噌汁は基本だろ!まずそっちにいくはずだ」
黒井「考えたな……」
やよい「あ、あのぉ」
P「あぁやよいごめんな。さ、好きなの頼んでいいぞ」
やよい「じゃあ……」チラッ
やよい「!?!?!?!?」
いわし80円 えび250円 サーモン320円 うなぎ400円
P「なんだ?」
やよい「え、えびが1皿250円するんですか!?」
冬馬「1貫の値段だから実質500円だな」
北斗「意外と安めなんですね」
黒井「安くて美味いんだここは」
やよい「2個で500えん……この前買った小麦粉はひとつ30円……」
P「で、どうするんだ?遠慮することはないからな!」
やよい「えっと……」チララ
やよい「じゃあこれ……」
黒井「ガリ……だと……」
北斗「や、やよいちゃん?これ生姜だよ?」
冬馬「それ好きに食っていいやつだから、別で寿司頼むんだぜ」
やよい「私なんかがこんな何百円もするお寿司食べたらダメかなーって……」
いつも頑張ってるから食べてええんや…!
やよい「だって長介達は普通のご飯食べてるのに……」
北斗「長介?」
P「弟だよ。大家族の長女なんだやよいは」
黒井「つまりセレブな私に対しての挑戦状だな」
冬馬「は?」
黒井「その貧相でしょぼくれた顔は気に食わん」ピッ
黒井「あぁ私だ。765プロの高槻やよいはわかるな?」
P「な、何を……」
黒井「家族は何人いるんだ」
P「え、えっとやよい入れて8人だったか?」
やよい「は、はい」
黒井「今居るのは7人だな……特上桶を3。後は適当に頼め」
冬馬「何がよしなんだよ」
黒井「ランクは低いが寿司は寿司だ。今日のところでこれで納得しろ」
やよい「?」
P「宅配寿司ってやつですか?」
翔太「宅配ってたまにチラシ入ってる銀のあれ?」
黒井「ウィ。ここの半額程度だが、まぁ子供だましにはなるだろう」
冬馬「特上って言ってたよな……」ポチポチ
冬馬「うおっ! 1万!?」
P「3万円分か……」
冬馬「つーかこれ全部で15人前だぜ……食えるのかよ」
黒井「足りないよりはマシと思ってな」
店員(いいからさっさと注文しろよ……)
P「やよいの家に寿司が届くんだよ。黒井社長の奢りだ」
やよい「ええ!?そんなの無理です悪いです!」
翔太「いいえ黒井です」
黒井「ぶふぉっ!」
冬馬「悪いは褒め言葉だぜ」
黒井「だ、代金引換だが話は通してある。心配は無用だぞ」
やよい「で、でもぉ……」
P「なぁ特上って何貫入ってるんだ?」
冬馬「45貫って書いてた」
翔太「やよいちゃんより下の子達がそんな食べられるの?えっと」
北斗「135貫だな」
翔太「そうそう。お腹破裂しそうだよ」
P「親御さんもいるし大丈夫かな……」
黒井「貴様がトップアイドルにならない限り一生縁がないものばかりだぞはーっはっはっは!」
やよい「じゃ、じゃあこれ……」
P「いわし?随分渋いな……」
冬馬「一番安いやつじゃねーか」
北斗「関係ないけど、やよいちゃんの食べてみたい魚ってなんだい?」
やよい「ウナギです!」
P「よし、ウナギな」
やよい「あっ!」
翔太「そういえばセットじゃないんだね」
黒井「好きなものを好きなだけ食べるのがセレブだからな」
冬馬「かっけぇ!」
冬馬「俺大トロ!」
翔太「僕もっ!」
やよい「ひ、ひとつ800円ですよ!?」
冬馬「高槻も頼め!おっさんの奢りだ!」
北斗「俺はヒラメとウニと……」
黒井「茶碗蒸しと炙り和牛」
P「イクラとハマチとあと剣先イカで」
店員「あの、お飲み物をまだ伺って……」
P「あ、そうでしたっけ」
北斗「とりあえずの生3つで」
やよい「お茶があるんでいいです!」
P「コーラでも頼んどくか」
北斗「そうですね」
翔太「僕ウーロン茶!」
やよい「で、でも380円もしますよ?特売のケチャップが3本買えて……」
冬馬「んなもんここじゃ誤差の範囲だぜ。俺ハイボール!」
P「バカ!お酒は二十歳になってからだ!」
黒井「さっさと持ってこないか。要領の悪い店員だ」
店員「……生中3コーラ1ウーロン茶1ですね」
店員(こいつらうぜええええええ!!)
冬馬「まぁ寿司なら茶が合うだけマシか……」
やよい「わぁ……ご飯が見えませんよプロデューサー!」
翔太「このウニ誰の?」
北斗「あ、俺だ」
黒井「では始めるか」
P「はい!今日もお疲」
黒井「生レバーの通夜を……」
冬馬「は?」
翔太「へ?」
やよい「なまればー?」
黒井「昨日、私の愛して止まない食べ物がこの世から姿を消したのだ」
翔太「なんか始まっちゃったよ……」ボソボソ
P「まだ引きずってたんだな……」
やよい「プロデューサーなまればーってなんですか?」
P「牛の生きた肝臓のことだよ」
やよい「か、かんぞうって内臓じゃ……あわわ……」
黒井「本日は、ご多用にも関わらず亡き生レバーのためにお集まりいただき誠にありがとうございます」
黒井「生レバーもこのように皆様に見守ら……見守られて……うっ……ぐすっ」
店員(何やってんだこいつら……)
冬馬「な、なぁとりあえず食おうぜ?炙りもんが冷めちまうよ」
黒井「黙れ!私がルールだ!」
北斗「」モグモグ
冬馬「あ、こいつもう食ってやがる」
P「俺達も食べるか」
やよい「いいんですか?」
北斗「いいんだよ。何か頼みたくなったら好きに言っていいからね」
翔太「いっただきまーす!」
黒井「……今日は誠にありがとうございました……」ポロポロ
やよい「はわぁぁ!」
やよい「プロデューサー!ウナギってこんなにジューシーなんですね!」
P「凄いだろ!このイカも半分やるから食べてみろ!」
冬馬「うめうめ」
翔太「ていうかさぁ僕クロちゃんが生レバー食べてるの見たことないんだけど」
P「俺もないな」
やよい「」ポリポリ
黒井「この前の焼肉でも頼んでただろう」
冬馬「あれだろ?ワールドカップの時だけサッカーファンになるようなもんだろ?」
黒井「何を言ってるんだお前は」
やよい「うぅー……ガリって美味しくない……」
冬馬「オフサイド知ってんのかよオラ!にわかばっか増えやがって!」
P「お、落ち着けって」
北斗「次何頼む?」
翔太「僕サーモンにしようかな」
P「ほら冬馬!サーモンだぞ、サーモン!お前もいるか!?」
冬馬「ちっ……俺の分も頼む」
P「どうした?」
やよい「これ食べてみたいんですけど……」
P「おぉイクラか。他に何かあるか?」
やよい「えっと、じゃあ北斗さんが頼んでたあの白いのが」
P「白?ヒラメかな」
北斗「これかい?」ヒョイ
やよい「は、はい」
P「じゃあそれも頼もうな。俺はアナゴとタイで」
黒井「全く少しはジュピターらしく落ち着け」
冬馬「すまねぇ……ついイラっとして……」
北斗「知り合いのお店は今まで通り出すらしいですよ」
黒井「なんだと!」
冬馬「違法じゃねーか」
やよい「んー……」チョロロ
北斗「出すときに各自で焼いてください、と付け加えるらしい」
P「そんな灰色なやり方すぐ行政指導入るだろ……」
やよい「あっ、かけすぎちゃった……」
北斗「つまり絶望的ってことですね」
翔太「生レバーって牛だけなの?」
P「鳥や豚もあるらしいが」
北斗「鳥のほうが危険な気がしますけど……」
北斗「危険なものほど美味しいですよね」
翔太「フグとか?」
黒井「まさに死ぬほど美味いというやつだな」
P「やよいはフグ食べたことあるか?」
やよい「わぁーこぼれそう!あ、すみません何ですか?」
P「いや、楽しんでくれてるようで良かったよ」
冬馬「ま、ねーよな……」
北斗「だな……」
P「ほらやよい次はこれなんてどうだ?」
やよい「イカ明太子ですか?」
P「結構美味そうだろ。二人で半分こしよう」
やよい「はい!うっうー!美味しくて楽しくて幸せですー!」
P「うんうん……あれだよ。最初にフグを獲った翔太が食べて死ぬんだ」
翔太「いきなり死ぬの!?」
P「で、次に腹減ってどうしようもない冬馬が食べるけど中々死なない」
冬馬「嫌な例えだな……」
P「でも途中まで食べて結局死んでしまう。今度は北斗が食べるんだが、ふと考えた」
P「なんで翔太は即死したのに冬馬はしぶとかったのか」
黒井「全てが毒ではないのでは。と思うわけか」
P「はい。そうやって判断していったんだよ」
P「って音無さんが言ってた」
店員(誰だよ……)
北斗「フグ本体よりてっちりの雑炊のほうが好きだな」
P「美味いよなぁあれ……今度行きますか」
黒井「気が向いたらな」
やよい「うんうん」モグモグ
冬馬「しかしこいつも結構食うな」
P「こんな輝いてるやよい見るのは久しぶりだよ」
やよい「えっ?なんですか?」
北斗「なんでもないよ。赤出汁頼んでみる?」
やよい「あ、はい!」
冬馬「癒されるぜ……」
黒井「ウィ……生レバーのことを忘れそうになるな」
北斗「今度はなんだ?」
冬馬「カニを最初に食べたやつってすごくねぇ?」
P「まぁ見た目はキモいよな」
北斗「完全にエイリアンですもんね」
やよい「カニはクモの仲間なんですよ!」
冬馬「はぁ?寝言は寝て言えよ高槻」
北斗「脚が多いのは似てるけど、流石にクモはないと思うよ」
やよい「うぅー本当なのに……」
黒井「本当だぞ」
P「えっ!?」
黒井「タラバさんとクモは遠縁の親戚だな」
店員「マジか……」
冬馬「あ?」
店員「あ、赤出汁とイカ明太子です」
冬馬「じゃあ翔太の代わりに高槻呼んでカニ食いに行こうぜ」
P「いいな」
翔太「嘘!嘘嘘!ほんとはカニ大好きだよっ!」
やよい「あ、カニはたまに食べますよ」
北斗「意外だな……っと失言だったか」
P「カニって高級品じゃないのか?」
やよい「たまーにスーパーに並んでる時に買うんですっ!」
冬馬「へぇ。タラバか?マツバか?カニカマじゃねーだろうな」
黒井「有り得るな」
やよい「セコガニです!一人一匹は無理ですけど、三等分くらいにして食べるんですよ!」
翔太「セコガニ?」
P「聞いたことないな」
黒井「」ブワッ
北斗「ど、どうしたんです社長?」
松葉ガニの雌個体であり、卵や味噌は珍味として親しまれているが身は驚くほど少ない。
値段は1匹500円程度である。ちなみに雄は数千円は普通にする。
黒井「高槻やよい……」
やよい「は、はい」
黒井「必ず最高級のカニを食べさせてやる。家族全員にだ」
やよい「ありがとうございます……?」
P「あの一瞬で何が起こったんだ」
北斗「さぁ……」
黒井「他に何か食べたいものは無いのか?船盛りでもいいんだぞ」
やよい「も、もうお腹一杯かなーって」
黒井「そうか……遠慮など不要だからな」
冬馬「50台のおっさんが中学生に媚びる姿は哀愁漂うな」
P「完全に変質者のそれだな……」
でもこれ三人で分けるくらいならカニカマのほうがマシだよな…
やよい「本当に一杯です!もう一生分のお寿司食べたかなーって!」
黒井「」チョイチョイ
店員「なんでしょ」
黒井「棒寿司2本持ち帰りだ。すぐにできるな」
店員「15分もあればできますよ」
黒井「5分でやれ」
店員「そんな無茶な……」
黒井「」スッ
店員「諭吉殿が2人…!」
黒井「やれるな」
店員「御意」
翔太「このちょっと気持ち悪い感が最高だよね!」
北斗「そういえば酒全然飲んでなかったな……」
冬馬「たまにはいいんじゃねーの?」
店員「ではお会計は……」
やよい「……」
店員「……!」
やよい「……っ!」
冬馬「早く言えよ!」
店員「5万5千100円になりまーす!」
やよい「ゴッ……!?」
P「流石に高い……俺じゃ到底無理だ」
北斗「社長に感謝ですね」
やよい「ごっごごっご」
やよい「5万円……晩ごはん1回が5万円……」フラフラ
店員「こちらが棒寿司になります」
冬馬「なんだこれ」
黒井「貧乏暇なし高槻やよいへの土産だ」
黒井「少しはセレブな気分に浸れるだろう」
やよい「あ、ありがとうございますぅ……」クルクル
翔太「僕たちの分は?」
黒井「甘えるな」
冬馬「ひでぇ……贔屓だぜ贔屓」
P「ありがとうございます黒井社長」
黒井「勘違いするなよ。セレブな私が庶民に施しをしただけだ」
黒井「この私も哀しみを背負うことができた……」
冬馬「覇王にでもなるつもりかよ」
P「いずれ緩和されることを期待しときましょう」
黒井「そうだな……」
やよい「あ、あの!元気出してください!」
やよい「よくわかんないですけど、黒井社長は良い人だからきっと大丈夫ですよ!
冬馬「ぐあぁ!」ガクッ
翔太「ど、どうしたの?急に胸なんか押さえて」
冬馬「お前にはわかんねーのか……あいつの攻撃力が……」
P「オタクは萌え~って言うんじゃないのか?」
冬馬「マジな場面だと、そんなふざけたこと出来なくなるんだよ……」
北斗「スッキリした顔してますよ」
P「憑き物が落ちてるな……」
冬馬「はぁ……いいもん見れた。帰ろうぜ」
黒井「タクシーを2台呼んである。765プロは負け犬らしく二人で帰れ」
P「毎度助かります」
北斗「今日は楽しかったよやよいちゃん」
翔太「今度はまたどこか行こうねっ!」
冬馬「緑の姉ちゃんとか萩原と比べたらお前のほうがマシだからな。歓迎してやるよ」
やよい「私も楽しかったです!またよろしくお願いしまーすっ!」
北斗「おっ久々にガルウィング見たな」
翔太「そういえば今日1回も見てなかったね」
黒井「ではな」
P「お疲れ様でした!皆もまたな!」
北斗「チャオ☆」
なんでコイツら選んだんだよwww
なんとなく合ってるけどさww
やよい「あぁー!!」
P「な、なんだ!どうした!?」
やよい「……お寿司の写真撮るの忘れてたぁ……」
P「しゃ、写真?」
やよい「弟達に見せてあげようと思ってたんです……」
P「なるほど……まぁまた行けばいいじゃないか」
P「やよいがトップアイドルになったら今度は俺が奢ってやるからさ」
やよい「は、はいっ!」
やよい「でもその時は私が出したいかも……えへへ」
P「いーや俺だな」
やよい「私ですー!」
キャッキャ
運転手(うぜぇ……)
P「喜んでもらえて嬉しいよ。また誘えたら誘うからな」
やよい「はいっ!」
やよい「あ、これ黒井社長からもらったものですけど、ひとつ持って帰ってください!」
P「棒寿司か……多分俺だけじゃ食べきれないだろうから、2本ともやよい達が食べてくれ」
やよい「え、でも……いいんですか?」
P「食べたら感想聞かせてくれると嬉しいな。黒井社長にも話しておくからさ」
やよい「じゃあ食べたら電話しますね!」
長介「やよい姉ちゃん!」
やよい「あ、長介。ただいまー!」
長介「今日すごかったんだ!変な人が寿司置いていってさ!金はいらないって!」
長介「あ、ちゃんとやよい姉ちゃんの分も残してるから!」
やよい「えへへ……」
P「姉弟っていいなぁ」
長介「な、何笑ってるんだ?」
P「お姉ちゃん借りて悪かったな」
長介「い、いえ……」
やよい「プ、プロデューサー!」
P「ん?」
やよい「あのぉ……最後に、楽しかったですって意味で」
やよい「えっと……」モジモジ
P「あぁ、久々にやるか!いくぞ、ハイターッチ!」
やよい「ターッチ!」パチン
やよい「いえーいっ!」
P「いやっほーう!」
長介「やよい姉ちゃん!早く入ろうよ!」
P「っと。これ以上弟君を嫉妬させちゃ悪いな。明日に備えてゆっくり休んでくれ」
長介「べ、別に嫉妬なんて……」
やよい「ありがとうございましたー!」
P「ただいまっと」
P「んー美味かったなぁ寿司」
P「なんだか平和な一日だったな……生レバーでひと悶着あるかと思ったが」
P「今度はカニかな……それともフグかな。裏をかいて旅行もいいかもしれないな」
P「音無さんに自慢するのが今から楽しみだ……ん?」ピッ
P「あぁやよいか。えっもう食べてるのか!?さっきお腹一杯って……」
おわり
モスのカルビ焼肉が消えた時も失神しそうになったけど、生レバーの知らせには眩暈がした。
食べた人以外にも被害が拡散する恐れがあるし、ちかたないよね。ちかたない……。
支援ありがとうございました。お疲れ様でした。やよい可愛い
961とPが終始綺麗なまま…だと?
ともかく面白かった、乙
やよいはかわいいなあ!
Entry ⇒ 2012.07.03 | Category ⇒ アイマスSS | Comments (1) | Trackbacks (0)
貴音「らぁめんに飽きました」
亜美「ただいま~♪」
真美「ふぃ~疲れたよ~……」
小鳥「お帰りなさい、二人とも。お仕事どうだった?」
真美「ふっふっふ、バッチリだったよ~♪」
亜美「でもお腹空いちゃった~。なにかない?ピヨちゃん」
小鳥「そうねぇ。お夕飯には早いし……あ!そうだ、給湯室に貰い物のカップラーメンがあったはずだから、それでいい?」
亜美「カップラーメン!うんうん!オーケーだよ!」
真美「真美はシーフードがいいなぁ」
小鳥「いろんな味があったはずだから好きなのを食べていいわよ」
亜美「やったー!」
真美「やったー!」
亜美「ラーメン~ラーメン~」
真美「あったあった。んっふっふ~シーフードはっけ~ん♪」
亜美「じゃあ亜美はカレーにしよーっと」
真美「お湯沸かすよ~」
亜美「早く沸かないかな~」
貴音「おや。亜美、真美こちらにいたんですか」
亜美「あ、お姫ちん。どったの?」
貴音「いえ、特になにもないのですけどね。これから食事ですか?」
真美「うん!カップラーメン食べるんだ~。お姫ちんも食べる?」
貴音「私は結構です」
真美「そうだよね、じゃあお姫ちんは何味に……えっ?」
亜美「お姫ちん……今なんて……」
貴音「私は結構ですと申したのですよ」
P「あ~……疲れた。営業回りも楽じゃないってね」
ガチャ
P「戻りました~」
小鳥「お帰りなさい、プロデュ……」
亜美「兄ちゃ~ん!!」
真美「大変だよ~!!」
P「うわっ!?どうしたんだよ、二人とも」
亜美「こっち!こっち来て!」
真美「お姫ちんが!お姫ちんが……」
P「貴音が?お前たちまた何かやったのか?」
真美「いいから早く~!!」
P「はいはい。わかったよ」
~給湯室~
P「お疲れさん、貴音」
貴音「お疲れ様です、プロデューサー」
P「で、貴音がどうしたんだ?二人とも」
亜美「テーブルの上を見て!」
P「テーブル?……貴音、よく食べるのはいいがカップラーメン二つはさすがに体に悪いんじゃないか?」
貴音「いえ……それは……」
亜美「そのカップラーメンは亜美たちのだよ」
P「そっか。貴音は食べないのか?」
貴音「はい、いただきません」
P「亜美真美、何がおかしいって言うんだ?いつも通り……今、なんて言った」
貴音「ですから、私はカップラーメンをいただきません。と」
P「なん……だと……っ!?」
亜美「ね?おかしいっしょ?」
真美「あのお姫ちんがラーメンを食べないなんて」
P「貴音……ちょっといいか?」
貴音「はい」
P「………」ペタッ
貴音「………」
P「熱はないか……。体調でも悪いのか?」
貴音「いえ、至って健康ですが」
P「じゃあなんで……どうしてラーメンを食べないんだ?」
貴音「そのことですか……それは…」
貴音「私、らぁめんに飽きました」
亜美「お姫ちんが……」
真美「ラーメンに……」
P「飽きた……?」
貴音「ええ。飽きました」
P「ううう嘘はよそう。ほら、この前だって『一日三食らぁめんでも構いません』って言っていただろう」
貴音「そう思っていた時期が私にもありました」
P「……………」
貴音「……………」
亜美「……………」
真美「……………」
ピィィィィィッ!
真美「あ、お湯が沸いたよ亜美」
亜美「じゃあ亜美たちは食べちゃおうか」
真美「そだねー」
P「おいおい……こんなときに」
亜美「腹が減っては道草もできぬって言うっしょ」
P「戦はできぬだ」
真美「それに真美たちお腹空いてるんだよ」
亜美「お湯入れておくよー」
真美「ありがと、亜美」
貴音「…………っ」
P「ん?どうした、貴音」
貴音「い、いえ……」
亜美「カップラーメンって待ってる時間が長く感じるよねぇ」
真美「うんうん、でもほかのことしてるといつの間にか過ぎちゃったりね」
貴音「………ゴクリ」
P「貴音?」
貴音「な、なんでしょう?」
P「お前も食べたいんじゃないか?カップラーメン」
貴音「そ、そんなことはございません!それになにより私は今……」
貴音「お腹は空いていませんから!」グゥゥゥゥ
P「とりあえず腹の虫と意志疎通しといた方がいいんじゃないか?」
貴音「くっ……面妖な……」
P「腹が減ってるなら食べればいいじゃないか」
貴音「だから先程から言っているではないですか」チラッ
亜美「あと一分~♪」
貴音「私はらぁめんに」チラッ
真美「真美はもう食べちゃお~♪」
貴音「飽きました、と」ジュル
P「どう見ても飽きてないだろ」
貴音「…………」
P「何があったんだ?我慢していても体に悪いぞ」
貴音「……わかりました。お話いたします」
貴音「一週間ほど前のことです」
貴音「仕事の内容に水着のグラビアというものを見つけました」
P「あぁ、確か来週にあったな」
貴音「自分では特に体つきに変化は感じなかったのですが、一応計り直して見ようと事務所にあった体重計をお借りしたのです」
貴音「そこで私は驚愕してしまいました。そこには……」
響「ただいまさ~!!」
P「空気読んで!!」
響「な、なんだよ。いきなり……」
P「いや、すまん。なんでもない。続けてくれ、貴音」
貴音「はい。それで体重計に乗ったところ……体重が増えていました……」
P「だから食事制限ってわけか……」
貴音「はい……」
P「でもなんで飽きたなんて言ったんだ?」
貴音「それは、そうでも言わなければ誘惑に負けてしまいそうだったので」
響「ねぇ、なんの話?なんの話?」
P「そっか……そんなことか。俺はてっきりお前になにか重大なことが起こったのかと思ったよ」
亜美「ちょっと兄ちゃん!」
P「おわっ!なんだよ」
響「ねぇ、なんの話?」
真美「女の子にとって体重が増えるってことは人生でも重大事件だよ!」
亜美「それをそんなことって!」
P「そ、そうなのか……」
貴音「よいのです。亜美、真美。ただ私の体重が増えただけなのですから」
響「ん?貴音太ったのか?」
貴音「ぐっ……」
響「健康管理もしっかりしないと駄目だぞ。その点自分は完璧だからそんなことは……」グゥゥゥゥ
P「…………」
貴音「………響」
響「こここここれは別にダイエットとかじゃなくて……その……」
P「響のことは置いといて、だからって空腹で過ごすのは体に不味いだろう」
貴音「わかっているのです。ですが私にはいまいちどのようにして体重を落とせばよいのかわからず……」
亜美「だから一番簡単な食べないことを選んだんだね」
真美「一番簡単だと思うけど一番辛そうだよ」
貴音「はい……。私が甘かったようです」
貴音「気づいたら食べ物を手に取っていたり、夢に出てきたりと」
P「重症だな」
貴音「どのようにして落とすのが一番よいのでしょうか……」
P「う~ん、俺にはわからないから詳しそうな人に聞いてみようか」
春香「で、私が呼ばれたんですね?」
P「あぁ、春香なら色んなダイエット方法を知ってるんじゃないかなって」
春香「どういう意味ですか……それ」
貴音「春香、私からもよろしくお願いいたします」
春香「そ、そんな頭を下げないでください。わかった、わかりました」
P「教えてくれるのか!」
春香「私がやったことあることだけですよ?」
貴音「構いません。それで十分です」
春香「え~と、リンゴダイエットとバナナダイエット、こんにゃくゼリーダイエットにヨーグルトダイエット」
P「食べ物系ばっかなんだな」
春香「ほ、ほっといてください!」
春香「こういうのは一日にその食べ物しか食べないって言うダイエットだね」
貴音「時に春香。らぁめんダイエットと言うものは……」
春香「残念ながらないですねぇ」
貴音「そうですか……」
春香「あとは体を動かす系のブートキャンプやピラティスなんかですかね」
P「何日続いた?」
春香「二日ですかねってプロデューサーさん!!」
P「すまんすまん」
春香「まったく……。だけど貴音さん」
貴音「なんでしょう?」
春香「やっぱりダイエットで一番いい方法はよく食べてよく運動することだと思います」
貴音「食べて……運動……ですか」
春香「はい。無理な食事制限は体に悪いですからね」
貴音「そうなのですか」
P「ありがとう、春香」
春香「いえ、お役に立てればいいんですけど」
P「十分役に立ったよ」ポムポム
春香「っ!?……えへへ」
P「とまぁ、春香から話を聞いたわけだが運動といってもレッスンでだいぶ動いてるんだろ?」
貴音「はい。やはりそれに加え自主的な運動をしなくてはならないのですね」
P「じゃあこれから夕方辺りに事務所の周りを走ってみるか」
貴音「!?手伝ってくれるのですか……?」
P「当たり前だろ。アイドルが困っていたら助ける。それがプロデューサーだ」
貴音「……ありがとうございます。プロデューサー」
P「そんなにかしこまらかなくてもいいって。俺も最近体重増えたしいい機会だからな」
貴音「ふふっ、では今日から走ってみましょうか」
P(それから俺と貴音の夕方ジョギングが始まった)
P(最初のうちは息を切らしていた俺だったが三日もすると慣れてきたようだ)
P(しかし貴音はすごいな。まったく息を乱さない……。これが現役アイドルか)
P(たまにラーメン屋を横切るとそちらに目がいくが必死に我慢しているようだった)
P「はぁ……はぁ……お疲れ、貴音」
貴音「お疲れ様です、プロデューサー」
P「……疲れた」
貴音「ふふっ。無理をしなくてもよいのですよ」
P「いや、貴音が元の体重に戻るまで付き合うさ」
貴音「ありがとうございます」
~翌日~
P「ふぃ~……今日も一日が始まる……」
ガチャ
P「おはようございます」
小鳥「おはようございます、プロデューサーさん」
P「相変わらず早いですね小鳥さん」
小鳥「はい。すっごい眠いです」
P「寝ぼけてミスとかしないでくださいよ?」
小鳥「わかっていますよ。仕事はちゃんとします」
P「では今日も一日よろしくお願いします」
小鳥「こちらこそ」
P「とりあえず情報収集にニュースでも見てみるか」
P「~♪~♪……ん?なんだこの記事……」
やよい「おはようございま~す!」
小鳥「おはよう、やよいちゃん」
P「あ、おはよう、やよい。今日も早いんだな」
やよい「はい!事務所のお掃除頑張ります!」
P「ありがとう、やよい。あ、ちょっといいか?」
やよい「?どうしたんですか?」
P「いや、この記事どう思う?」
やよい「?」
やよい「『ぎんぱつのゆうれい』『ラーメン店に夜な夜な現れるゆうれい』」
やよい「こ、これなんですか?お、おば、おばけですか?」
P「いや、多分違うと思うんだが……」
やよい「そこに書いてあるラーメン屋さんって……こ、ここの近くですよね……もしかしてこの近くに……うぅ……グスッ」
P(まさかの泣きっ!?)
伊織「おはようございま~す」
P(このタイミングでだとっ!?)
やよい「あ……グスッ……伊織ちゃん……」
伊織「!?ちょっと!どうしたの!やよい!」
やよい「あ、いや……その……プロデューサーの……」
伊織「……あんた、やよいに何かしたの?」
P「いやいや!なにもしてない!ただこれを見せただけだ!」
伊織「なになに……銀髪の幽霊?ラーメン屋に?これ貴音のことじゃないの?」
P「やっぱりそうだよな」
やよい「ふぇ?貴音さんなんですか?」
P「まぁ、銀髪でラーメンなんて連想されるのは貴音くらいだからな」
伊織「でもおかしいじゃない。貴音は今あんたとダイエットしてるんでしょ?」
伊織「なのになんでこんなニュースに乗るレベルでラーメン食べてんのよ」
P「俺が聞きたいさ」
P「というわけで張り込みをしてみよう」
律子「で、なんで私までプロデューサー殿の酔狂に付き合わないといけないんですか」
P「だって銀髪の幽霊が出るのは夜だって言うじゃないか。小さい子をつれ回してると職質されかねんからな」
律子「一人でやればいいでしょう。もしくは小鳥さんとか」
P「小鳥さんと夜に二人とか怖いし。それにお前を頼りにしてるから頼んだんだ、律子」
律子「プロデューサー……」
P「お前が言ったことならみんな信じるからな」
律子「言ってて寂しくないですか?」
P「どうせ俺は狼少年だよ」
P「でもこうしていると無性に牛乳とあんパンが食べたくなるよな」
律子「子供ですか……」
P「頼む!そこのコンビニで買って……」
律子「買いません。もう、見張るならちゃんと見張ってくださいよ……あ」
P「どうした?律子」
律子「出てきましたよ、貴音です」
P「本当だ。どこに行こうっていうんだ?こんな時間に」
律子「ラーメン屋なのは確実だと思いますがね」
律子「……ですけどなにか様子がおかしくないですか?」
P「ん?様子?」
貴音「…………メン…ラーメン……」
P「確かに……」
P「とりあえず尾行していこう」
律子「ちょっ……待ってくださいよ!?」
~ラーメン屋~
P「ここに入っていったか」
律子「案の定でしたね。それで、入るんですか?」
P「当たり前だろう。なんのための尾行だ」グゥゥゥゥ
律子「素直にお腹が空いたと言ってください」
ガラガラ
「いらっしゃいませ~!」
P「いた。貴音だ」
貴音「………ラーメン……ラーメン……」
律子「心ここにあらずって感じですね……」
P「すみません。ラーメンと餃子」
律子「なに、ナチュラルに注文してるんですか」
律子「私はいいです。この時間に食べるのはなにかと危ないですから」
律子「って違うでしょ!貴音ですよ!貴音!」
P「あ、そうだった」
P「お~い、貴音~」
貴音「……ズル……ズルズル……」
P「聞こえないことはないだろうけど……貴音~」
貴音「ズル……ズル……」
律子「近づいてみればいいんじゃないですか?」
P「それもそうだな。ちょっと行ってくる」
律子「行ってらっしゃい」
P「………」
律子「どうしたんです?」
P「なんか今の夫婦みたいだったなって」
律子「さっさと行く!!」
P「お~い、貴音~……」
貴音「……ズル……ズルズル……グー……スー……」
P「……こいつ、寝ながら食べてやがる……!?」
律子「もう、何してるんですか、プロデューサー殿」
P「あ、律子か。今俺は人の究極に巡りあったよ」
律子「なにバカなこと言ってるんですか。貴音もなにか言って……寝てる!?」
貴音「スー……ズルズル……スー……」
律子「けど食べてる!?」
P「食への執念ってすごいんだな」
律子「言ってる場合ですか!貴音!起きなさい貴音!」
貴音「はっ!私は……それにここは……」
P「起きたか」
貴音「プロデューサー……それに律子。私は……いったい……」
律子「あなたの目の前にあるものを見ればわかると思うけど」
貴音「……らぁめん」
P「お前はここ数日夜な夜な無意識のうちにラーメンを食べ歩いていたようだ」
貴音「そ……そんな!?ではジョギングの成果などは」
律子「こんな時間にこんなものを食べていればプラスマイナス0かもしくはまったくの無意味か……ね。残念だけど」
貴音「せっかくプロデューサーに手伝っていただいたのに……」
貴音「プロデューサー……」
P「大丈夫だ、貴音。まだ時間はある。頑張っていこう」
貴音「ですが……」
P「ここで諦めたらすべてが台無しだ。それでいいのか」
貴音「それは……嫌です」
P「なら頑張ろう。まだ時間はあるじゃないか」
貴音「そう……ですね」
P「律子も一緒に頑張ってくれると言ってるからな」
律子「え?あ……う、うん。私も頑張りますよ。なにをかはわからないけど……」
貴音「誠にありがとうございます……」
~翌日~
P「水着のグラビアまであと三日。この三日間でどこまでできるかが鍵だ」
貴音「はい。肝に命じております」
P「というわけで今日から特別コーチも参加する」
貴音「特別……コーチ?」
P「そうだ。来ていいぞ」
真「きゃぴぴぴぴ~☆菊地真ちゃんなりよ~☆」
P「…………」
貴音「…………」
真「あ……あれ?」
P「やり直し」
真「えぇ~!?」
真「わかりましたよぅ。貴音、今日から三日間。バリバリ運動しようね」
貴音「ありがとうございます。真」
P「あと量を気にしつつラーメンを食べることな」
貴音「なんと!?しかしそれでは……」
P「また夜中に無意識で食べにいったら貴音が困るだろ?」
貴音「確かに……。わかりました、腹八分目まで食べることに……」
P「半分くらいにしておけ」
貴音「……いけずです」
P「で、菊地先生。どんな運動をするんだ?」
真「そうですね。あと三日ですからここはあれです」
貴音「あれ?」
真「そう!真'sブートキャンプ!」
P「真's……」
貴音「ブート……」
美希「キャンプ……なの」
P「うわっ!?美希、いつからそこに……」
美希「ずっといたの。ミキが寝てたらハニーたちが来たんだよ?」
P「起こしちゃったか。すまんな」
美希「ううん、いいの。それになんか面白そうだしミキも参加するの」
P「そっか。ありがとう、美希。辛くなったらいつでも休んでいいからな」
美希「わかったの」
P「じゃあ貴音、準備はいいか?」
貴音「はい、バッチリでございます」
真「それじゃあ始めるよ!真'sブートキャンプだ!」
真「これから流れるリズムに合わせてキックとパンチを交互に出すよ」
真「キック!」
貴音「キック!」
真「パンチ!」
美希「パンチなの!」
真「キック!」
P「キック!……ってちょちょちょ、真!」
真「なんです?プロデューサー」
P「いや……なんかこれってブートキャンプというか昔あった……」
真「気のせいですよ。パラッパラッパーではありません」
P「やっぱりパラッパラッパーか!」
真「いいじゃないですか。あれもなかなか運動なんですよ?」
P「確かにな……。じゃあいいか、マコッパラッパーを続けるか」
真「変な名前つけないでください!」
真「じゃあ続き行くよ。今度はもっと素早く動くよ。キック!」
美希「キック!なの!」
真「パンチ!」
貴音「パンチ!」
真「キック!パンチ!チョップ!キック!キック!パンチ!昇龍拳!」
P「キック!パンチ!チョップ!……って俺の時だけ激しすぎだろ!」
真「気のせいです」
P「目に見えて、耳に聞こえて明らかに量増えたよね!?」
貴音「プロデューサー、先程から全然先に進みませんが……」
P「あ、悪い。そうだよな、いちいち止めてたら運動にならないよな」
P「すまん。真。続けてくれ」
真「わかりました。では行きます!」
真「次からもっと激しく動くよ。ボクについてこれるかな」
真「キック!パンチ!チョップ!」
貴音「キック!パンチ!チョップ!」
真「キック!キック!チョップ!」
美希「キック!キック!チョップ!なの!」
真「パンチ!パンチ!チョップ!」
春香「パンチ!パンチ!チョップ!」
真「みんないい感じだよ。じゃあ次は手を顎の前にもっていってファイティングポーズ!」
真「そして頭を∞にそって動かすよ!はい!」
真「テンプシー!テンプシー!」
貴音「テンプシー!テンプシー!」
真「まっこのうち!まっこのうち!」
春香「まっこのうち!まっこのうち!」
P(しれっと春香が混ざっているが黙っておこう……)
真「ふぅ……。じゃあ少し休憩しようか」
貴音「なかなかの運動量でしたね。これなら……」
春香「そうだよね。特にテンプシーなんかお腹周りに効きそう」
美希「あれ?春香、いつからいたの?」
春香「はは。最初の方から見てたんだけどね。楽しそうだからつい参加しちゃった」
春香「千早ちゃんも誘ったんだけど断られちゃった」
P「千早には必要なさそうだからなぁ」
春香「ええ、同じこと言われちゃいました……」
P(真のマコッパラッパーはだんだんと難易度をあげていった)
真「次は指だけで腕立て伏せだ!はい、アップ!」
貴音「あ……アップ…」
真「……ダウン!」
美希「ダウン……なの…」
真「次は足をあげての腹筋運動。一!二!」
春香「い……いちぃ…」
P「に………に………」
真「声が出てないよ!みんな!はい、三!四!」
貴音「はぁ……はぁ……さ…ん……」
美希「よ……ん……ぷはぁ~……ミキもうだめなの~……」
P「俺もどうやら……ここまでのようだ……」
春香「プ…プロデューサー……さん……私も……もう……」
真「えぇ~。みんなもう終わりですか?これからもっと激しいのがあるんだけどなぁ」
P「いや、まぁまだ初日だから……この程度で……な?」
真「……わかりました。じゃあまた明日ですね。それじゃあボクは事務所周りをジョギングしてきますね」
P「あ……ああ……」
真「いってきま~す!」
春香「真……恐ろしい子……!?」
貴音「はぁ……はぁ……」
P「大丈夫か?貴音」
貴音「は……はい……」
P「すごい汗だぞ?着替えたらどうだ」
貴音「そうですね……ですが着替えるにしても一度体を洗いたいですね」
美希「ミキもお風呂入りたいの~」
春香「あ、そうだ!ならみんなで銭湯いきましょうよ」
P「銭湯か。そういえば近くにできたらしいな」
春香「はい。少し気になっていたのでちょうどいいかなと思って」
美希「さんせ~い!」
貴音「皆で入る湯というのもよいですね」
P「じゃあ行くか。準備したらすぐに出発だ」
「は~い!(なの!)」
P「ここか……」
春香「開店したてなだけあって綺麗ですね」
美希「う~……ベタベタする……早くお風呂入りたいの~……」
貴音「そうですね。では入りましょうか」
P「じゃあ上がったらここでまた」
美希「え~……ハニーと一緒がいい~」
P「無茶言うな」
春香「そ、そうだよ美希!なに言ってるの!?」
美希「あ!でももしかしたらミキだったら男湯に入っても……」
P「バカかっ!」
美希「冗談なの……」
貴音「ではプロデューサー。また後程」
P「ああ、ゆっくりしてこい」
P「うん、そうだ。そうに決まってるさ」
カポーン
P「客は俺だけか。まぁ、こんな中途半端な時間だしな」
P「まずは体を流して……っと」
ザブゥゥゥン
P「ふぅ……あぁ~……いい湯だ」
P「疲れた後の風呂は最高だよな……」
美希『ハニー!いるー!?』
P「ぶっ!?」
春香『ちょっ!?美希!他にもお客さんがいるかもしれないのに!』
美希『だって~……ハニーと一緒っていうのを感じたいんだもん』
貴音『ですがこのような時間ですから案外貸しきりだったりするのではないですか?』
美希『貸し切りだったらミキもそっち行くの~!』
春香『絶対にダメ!美希!』
貴音『はて?』
春香『貴音さんってスタイルいいですよね。出るところ出てますし』
貴音『ふふっ……春香だってなかなかのものをお持ちではないですか』
春香『そ……そんな……ひゃっ!?』
美希『本当なの~。意外と大きいんだね、春香の胸』
春香『ちょっ……み……美希……はぁん……ダメ……』
P「あいつらなんてことを大声で……」
P「お~い!丸聞こえだぞ~!」
春香『え?え?あ……プ……プロデューサーさんのエッチ!』
P「なんでそうなる……」
美希『ねぇ、ハニー!そっちどんな感じ~!』
P「ん?誰もいないな。貸し切りだ」
美希『じゃあミキもそっちに…』
P「駄目だ!」
美希『ぶぅ……ハニーのわからず屋さん』
P「どっちがだよ……ところで貴音」
貴音『はい?』
P「ちゃんと体をほぐしておけよ。今のままだと明日が辛いからな」
貴音『はい、心得ております』
P「春香たちもな~」
春香『うぅ……変な声出たの聞かれちゃったよぅ……』
美希『ハニーと一緒に入りたいの……』
P「聞いちゃいねぇ……」
P「お、磨りガラスに人影が……」
P「人が入ってくるみたいだからもう大声出すなよ~」
貴音『承知いたしました』
P「ふぅ……やっと静かになるな」
???「あらあら~広いお風呂ですね~」
P「ん?この声……」
あずさ「でも千早ちゃんはいったいどこ行っちゃったんでしょう」
P「あなたがどこに来ちゃってんですか!?」
あずさ「え?プロデューサーさん?あの……ここは……」
P「こっちは男湯ですよ!あずささん!」
あずさ「あらあら……」
美希『えっ!?あずさそっちにいるの!?ずるいの!ミキも行くの!』
春香『プロデューサーさん!どういうことですか!』
貴音『面妖な……』
P「はぁ……はぁ……なんとか美希をこっちに来させずあずささんの移動が成功した」
あずさ『すみません、プロデューサーさぁん。私ったら……』
P「いえ……次から気を付けてくださいね」
あずさ『はい……それとプロデューサーさん』
P「どうしました?」
あずさ『あの……見ました?』
P「ぶはっ……み、見てません!見てませんから!」
あずさ『うふふ。ならよかったです』
春香『千早ちゃんも来てたんだね』
千早『えぇ、あずささんに誘われて……』
貴音『どうしました?千早』
美希『ミキがどうかしたの?』
千早『くっ……』
春香『き、気にしちゃ駄目だよ千早ちゃん』
千早『えぇ……そうするわ』
貴音『しかし皆で入る湯は楽しいですね』
あずさ『そうねぇ、他のみんなも誘えばよかったかしら』
美希『ねぇねぇ春香』
春香『なに、美希』
美希『あそこにサウナがあるの。一緒に入ろう』
春香『いいね。あ、貴音さんもどうですか?』
貴音『そうですね。では入りましょうか』
美希『あれ?誰か入ってるの』
春香『じゃああんまり五月蝿くしないようにしないと……』
バタン
響『うあぁぁ!もう限界だぁぁ!』
貴音『響……なぜここに……』
響『ふひゅう……熱いぞ~……』
あずさ『あらあら、大変。こっちに水風呂があるわよ、響ちゃん』
響『うぅ……ありがと……あずさ……』
千早『どうしてこんなになるまでサウナに?』
響『ふぇ……これはダイエッ……はっ!ななななんでもないぞ!ただ自分の限界に挑戦してただけさ!』
P「響~!無理はするなよ~!」
響『え!?プププ、プロデューサー!……それにみんなもなんでいるの!?』
美希『いまさらなの』
美希『まぁ、いいの。サウナ行こ、春香、貴音』
春香『うん』
貴音『そうですね』
春香「ふぅ……やっぱり暑いねぇ」
貴音「響が言うようにこれも一つのダイエットなのですか?」
春香「うん。汗をかいて老廃物を出してみたいな感じかな」
美希「ねぇ、二人とも。もっと暑くしていい?」
春香「え、いいけど少しずつ……」
美希「えぃ!なの!」
バシャアアア
ジュウウウウ
春香「ちょっ!?美希!一気にかけすぎ!」
貴音「水蒸気がすごいですね」
美希「だってミキ、あついの大好きだもん。恋も季節も」
春香「だからって……」
ギィ
あずさ「ご一緒してよろしいですか?」
美希「あ、あずさ」
春香「はい。歓迎ですよ」
あずさ「あら、少し暑めなのね」
春香「はは……これは美希が……」
美希「暑いの大好きなの!」
あずさ「うふふ、私も好きよ。貴音ちゃんも気持ちいい?」
貴音「えぇ、頭がボーッとしていい気分です」
春香「え?それ大丈夫なんですか?」
貴音「えぇ……気分はなんだか……いい気分です」
美希「貴音、大丈夫?顔が赤いの」
あずさ「無理はダメよ?」
貴音「無理などは……しておりません……」
春香「限界だったら言ってくださいね?」
貴音「えぇ……わかっております……わかって……」フラッ
春香「た、貴音さん!?」
P「~♪~♪」
春香『プ、プロデューサーさん!大変です!貴音さんが!』
美希『貴音が倒れちゃったの!』
P「な、なにぃ!?」
P「…………」ソワソワ
P「………」ソワソワ
春香「あ、プロデューサーさん」
P「春香!貴音は!?」
春香「はい、今はもう大丈夫みたいです。まだフラフラするみたいですけど」
P「大事にならなくてよかった……」
貴音「プロデューサー……お騒がせしました」
P「お、大丈夫か貴音」
貴音「えぇ、お恥ずかしい限りです」
美希「いきなり倒れちゃうからビックリしたの」
あずさ「次からは気を付けましょうね」
貴音「申し訳ございませんでした」
P「あれ?千早と響もいたんじゃないのか?」
春香「あぁ、千早ちゃんは響ちゃんがもう少しサウナに入るっていうから付き添いとして残るそうです」
P「響も無理しなければいいんだがな」
あずさ「では帰りますか」
美希「そうだね。楽しかったの~」
貴音「私も楽しかったです……」フラッ
P「おい!?」ガシッ
貴音「すみません……。少し風に当たれば大丈夫です」
P「………しょうがないな」
P「こんな状態じゃ危ないから貴音は俺が送っていくよ」
春香「そうですね。それがいいです」
あずさ「貴音ちゃんを頼みましたよ?プロデューサーさん」
美希「送り狼だけはダメだからね!ハニー!」
P「どこでそんな言葉覚えたんだよ」
貴音「?」
P「いや、おんぶだよおんぶ」
貴音「いえ……それは流石に」
P「遠慮すんなって。また倒れても困るだろ?」
貴音「……わかりました」
P「よし、じゃあ立つぞ」
P「…………ん?」
貴音「どうしたのですか?」
P「いや……軽いなってさ」
貴音「っ!?」
P「本当にダイエットなんて必要なのか?」
貴音「お、下ろしてください」
P「駄目だ。このまま帰るぞ」
P「でも本当に軽いぞ。その身長でこれだと逆に心配だ」
貴音「体感はわかりませんが事務所の体重計ではかなり増えていました……」
P「これで思い悩むって女の子ってのは大変なんだな」
貴音「……はい」
P「でもその割りにはいつも大分食べるよな?」
貴音「それは……っ」
P「でも俺はよく食べる子の方が好きだけどな」
貴音「……そうなのですか」
P「ああ。ってお前の家ってこっちでいいんだっけ?」
貴音「歩いて帰るとなると少し遠いですよ?なん駅か離れていますゆえ」
P「そうだったっけ?」
貴音「ええ、そうです」
P「な、なぁ……俺の家の方が近いんだが……」
貴音「……はい」
P「こんなだし、俺の家に……ってなに言ってんだろうな」
貴音「えぇ、よろしいですよ。プロデューサーの……いえ、あなた様のお家ならば」
P「だよな……やっぱりダメ……今なんて……」
貴音「よろしいですよ。と言ったのですよ、あなた様」ギュッ
P「っ!?た、貴音……」
貴音「どういたしました?」
P「…………」
貴音「あなた様?」
P「やっぱりお前の家まで歩くよ。少し遅くなるかもしれないけどな」
貴音「ふふっ……そう言うと思っていました」
P「はぁ……はぁ……流石に数駅歩くのは辛いな」
貴音「プロデューサー。私もう歩けますから下ろしていただいて構いませんよ」
P「そうか?じゃあ下ろすぞ」
貴音「ありがとうございます。ですがまだ少し不安もありますので……」
P「ん?」
貴音「腕をお借りしてもよろしいでしょうか?」
P「………ああ」
貴音「ふふっ。夜のウォーキングもダイエットにはいいらしいんですよ。春香が言っていました」
P「できるだけゆっくり帰るか」
貴音「はい」
貴音「プロデューサー」
P「どうした?」
貴音「もしもこのまま私の体重が変わらなくて」
貴音「どんどん数値を増やしていったらどうします?」
P「そうだな……。なるべく肌の露出するような仕事を避けたりお前が傷つかないように配慮するよ」
貴音「……もしも私がアイドルを続けられなくなってしまったら……?」
P「馬鹿を言わないでくれよ。そんなこと考えたくもない」
貴音「……お優しいのですね」
P「……そんなことはないさ」
貴音「ふふ……では我が家に着きましたし。今日はありがとうございます」
P「ああ、それじゃあまた明日な」
貴音「ええ、また明日」
P「………腕を離してくれなきゃ帰れないんだけど」
貴音「先程の答えはプロデューサーとしてのお考えですよね」
P「……まぁな。どうした?たか……」
貴音「振り向かないでくださいまし」
P「………」
貴音「どうかこのままで……プロデューサーとしての考えではなく、あなた様のお考えを……教えていただけますか?」
P「俺の……考え……」
貴音「私がアイドルでいられなくなったらあなた様は……どうしますか?」
P「………俺は」
~翌日~
P「おはようございます」
小鳥「おはようございます、プロデューサーさん」
P「あ、小鳥さん。体重計ってどこにあります?」
小鳥「体重計ですか?たしか倉庫の方にあったはずですけど」
P「わかりました。ありがとうございます」
小鳥「どうしたんですか?そろそろ気になっちゃう感じですか?」
P「そんなところです」
P「体重計……体重計……っと」
P「ん?どこにあるんだ?」
やよい「うっうー!おはようございます!プロデューサー!」
P「おはよう、やよい。あ、そうだ。体重計知らないか」
やよい「体重計……ですか?う~ん……」
P「いや、わからないならいいんだけど」
やよい「あ!そういえば!」
P「わかるのか?」
やよい「この前響さんが持っていくのを見ましたよ」
P「響が……?」
やよい「はい!」
P「そうか、ありがとうやよい。今日も頑張ってくれ」
やよい「うっうー!」
P「響が持ち出した体重計……貴音もそれを使ったんだよな」
P「それにここ最近の響の様子……そういうことか」
P「とりあえずまずは響に体重計を返してもらわないとな」
ガチャ
響「おはようございま~す……」
小鳥「おはよう、響ちゃん。どうしたの?元気ないわよ?」
響「なんでも……ないさ……」
P「響、ちょっといいか?」
響「な、なに?プロデューサー」
P「聞きたいことがあるんだけどな」
P「事務所の体重計ってどこにあるかわかるか?」
響「た、体重計……あ、ああ。あれはちょっと借りてて……」
P「今から持ってきてくれるか?」
響「え?今から?」
P「ああ、少しばかり急ぎのようだ。今日は午前中はオフだろ?頼む」
響「あ、うん……勝手に借りたの自分だから……わかったさ。……あんまり見たくないんだけど」
P「ん?」
響「なんでもない。じゃあちょっと取ってくるね」
P「ああ、待ってるぞ」
ガチャ
貴音「おはようございます」
雪歩「おはようございます」
小鳥「おはよう。貴音ちゃん、雪歩ちゃん。一緒に来たの?」
雪歩「はい。駅でばったり会って」
貴音「時にプロデューサー。なにやら響が急いで出ていきましたけどなにか?」
P「いや、大したこと……まぁ、気にするな」
貴音「はて?」
雪歩「今日は私も真ちゃんと一緒に運動しようかな」
貴音「ええ、多い方が楽しいでしょう」
P「昨日のこともあるし無理はするなよ?」
貴音「わかっております」
P(俺の考えがあっているなら別に必要ない気もするんだがな……)
美希「おはようなの~!ハニー!昨日はちゃんとなにもしないで帰ったの?」
P「いきなりなんだよ。なにもしてないよ」
美希「意気地無しなの~」
P「なっ!?そういうことじゃないだろ!?」
美希「でも貴音ほどの子を一切手を出さないなんておかしいの」
P「出したら出したでなんか言うくせに」
美希「出してたら許さないの」
P「ですよね~」
P(響が出てってそれなりに経ったな……)
P「そろそろ戻ってくると思うんだが……」
響「戻ったぞ!プロデューサー!はい、体重計」
P「サンキュー。響」
P(これか……。目盛りは……なんもおかしくないな)
響「なにそんなに体重計をジロジロ見てるんだ?」
P「いや、ちょっとな……」
P(う~ん……実際に使ってみるか)
P「しょっと……」
響「お?プロデューサーって意外に重いんだなぁ」
P「……やっぱり」
響「?」
P「貴音、ちょっといいか?」
貴音「どうしました?プロデューサー」
P「貴音が使ったのはこれでいいんだよな」
貴音「……ええ」
P「ちょっと乗ってみてくれ」
美希「ちょっとハニー!それはいくらなんでも……」
貴音「よいのです。美希」
美希「貴音……」
貴音「では……乗りますね」
貴音「………っ!?」
P「どうだ?貴音」
貴音「………あの時より……変わっておりません」
P「……そうか。よかった」
貴音「っ!?」
美希「ハニー!!」
P「へ?」
パァン
美希「今のはいくらなんでも酷いの!見損なったの!」
貴音「……美希」
美希「貴音はあんなに頑張ってたのに!それもわからないなんて!ハニーの馬鹿!」
P「ちょちょちょ……ちょっと待ってくれ。話を聞け」
美希「ん?なんなの?言い訳?」
P「違うよ。貴音の体重が増えた理由だよ」
貴音「増えた……理由ですか?」
P「ああ、この体重計壊れてるんだよ」
貴音「え?」
美希「え?」
響「えぇぇぇ!?」
美希「な、なんでそんなことがわかるの?」
響「目盛りはちゃんとしてるじゃないか!?」
P「見た目はな。けど俺は昨日の銭湯でデジタル式の体重計で計ったんだよ」
P「そして今乗ってみたら五キロは増えていた。流石に一日で五キロは増えないだろ?」
響「そ……そんな……じゃあ自分は……」
貴音「そう……でしたか」
P「ああ、だからもうダイエットなんてする必要もない」
美希「なんだ。そうだったの……あ!?は、ハニー!ご、ごめんなさいなの!」
P「いやいや、俺の言い方が悪かっただけだし」
亜美「どったの~?」
真美「ダイエット成功?」
貴音「ふふ、私の勘違いだったようです」
春香「なんだ。そうだったんだ」
伊織「まったく人騒がせなんだから」
雪歩「それじゃあ水着のグラビアもいつもみたいにできそうですね」
貴音「ええ」
真「グラビア頑張ってきてね」
響「応援してるぞ!貴音!」
P「……なに言ってるんだ?みんな」
「え?」
P「あのグラビア、全員参加だぞ?」
「えぇぇぇぇぇ!?」
春香「どうしよう!どうしよう!最近怠けてたよー!」
亜美「うあうあ~!次のグラビアまでにボンキュッボン計画が~!」
真美「全然考えないで食べてたよ~!」
伊織「まったく。普段から気にしてないからそうなるのよ」
千早「グラビア……くっ」
雪歩「ふぇぇ……ちんちくりんな私なんて穴を掘って埋まってますぅ」
P「阿鼻叫喚だな……」
貴音「プロデューサー」
P「ん?どうした?」
貴音「この度はお騒がせしました」
P「いや、いいんだよ。俺はお前たちに振り回されるのがお似合いだ」
貴音「なんと。それは嬉しいことです」
貴音「ふふっ。ところで一つ質問がございます」
P「なんだ、言ってみろ」
貴音「昨晩言っていただいた言葉は」
貴音「これから先も信じてよろしいのですよね?」
終わり
では、ここまで読んでくれた方おつ
貴音かわいい
乙
貴音はかわいいなぁ
乙
らぁめんたべたい
Entry ⇒ 2012.07.02 | Category ⇒ アイマスSS | Comments (0) | Trackbacks (0)
P「千早!誕生日おめでとう!!」
千早「夜6時に事務所に来てくれってどういう事なのかしら?」
ガチャ
パーン パン パーン
千早「きゃっ!」
P「千早!誕生日おめでとう!!」
千早「え?」
春香「千早ちゃんおめでとう!」
美希「おめでとうなの!」
千早「え?・・・・え!?」
P「ハハッ、千早もいきなりの事だからビックリしてるぞ」
小鳥「ふふ・・・みんなで準備してよかったですね」
伊織「ま、あたしにかかればこんなものよ」
貴音「らぁめんもよいのですが、これもおいしそうですね」ジュル
響「だめだぞ貴音、まずは千早がロウソクの火を消してからだぞ!」
亜美「ロウソクもってきたよー!」
真美「16本でよかったよね?」
P「バッチリだ!さぁロウソクに火をつけるぞ」
千早「・・・・・・」
まて、>>1の時間をよく見ろ……
00:12:48.11
12+48+11=71
これに>>1を足すと72……
つまり>>1は初めからこのことを計算していたんだよ!!
そこに気付くとは…やはり天才…
高木「あぁ、それなら私がやろう」 パチン
律子「ここはやっぱりお決まりのアレですよね?」
伊織「765プロのアイドル全員が千早の為に歌うなんてね~」
ミキ「千早さんは幸せものなの!」
春香「自分で言っちゃうんだ、それ」
雪歩「私達だけじゃなくてプロデューサーさん達も一緒がいいですぅ」
P「そうだな!みんなで歌おう!」
ハッピーバースディ トゥ ユー
ハッピーバースディ トゥ ユー
チハヤチャーン
ハッピーバースディ ディア チーハヤー
ショッボイバーストォ チハヤサーン
マナイター
ハッピーバースディ トゥ ユー♪
全員「おめでと~!!」
千早「み、みんな・・・・」
P「どうしたんだよ千早、感動したからってそんなに大声で」
小鳥「ケーキは今切るからちょっと待ってね千早ちゃん」
亜美「この上に乗ってるチョコレート食べたいなー」
千早「違うんです!誰ですか、このサプライズパーティを企画したのは!」
P 「誰って・・・そりゃここにいる全員で、なぁみんな?」
やよい「はい!一生懸命考えたんです!」
千早「ありがとね、高槻さん・・・ってそうじゃなくって!」
P「え?俺は律子に聞いたんだけど」
律子「そうでしたっけ?私は小鳥さんに聞きましたけど」
小鳥「はい、確かに律子さんに伝えましたよ」
千早「じゃあ音無さんが!」
小鳥「でも私は社長から聞いたので」
千早「くっ・・・」
社長「待ってくれ!私は春香君がその話をしているのを耳にしてだな」
春香「え、え?私は伊織から」
千早「伊織!」
伊織「美希から」
千早「美希!」
美希「亜美と真美」
亜美「お姫ちん」
真美「お姫ちん」
貴音「響」
響「真」
真「やっと出番きた!雪歩からです」
雪歩「あずささん」
あずさ「プロデューサーさんから」
千早「あれ?」
P「ほんとだな、世の中不思議な事もあるもんだなハハハ」
千早「ハハハじゃないです!」
P「別にいいじゃないか、本当にみんなで企画したことなんだから」
千早「だって・・・私の誕生日は・・・・・・・・・・・・・・2月・・・・です」
!?
ガシャーン!
P「なん・・・・だと!?」
律子「五カ月も間違えていたというの?」
社長「そんなバカな!プロフィールにはちゃんと!!」ペラペラ
やよい「あー!2月25日ってかいてます!!」
P「な、72ィィィィィィィィィィ!!!!」
美希「一体72がおこってるの!!」
真「72がどうなってるんだ!」
伊織「誕生日を間違えるなんて・・・72やってんのよ!!」
社長「い・・・いや私も72が72やら」ニヤニヤ
P「ま、まだ72かあるのか千早!」
千早「先ほどの歌ですが」
P「歌がどうかしたのか?」
千早「私、みんなが私の為に歌ってくれるっていうから録音してたんです」
貴音「それが72か問題でも?」
千早「みんな、静かに聞いてね」
チハヤチャーン
ハッピーバースディ ディア チーハヤー
ショッボイバーストォ チハヤサーン
マナイター
P「いや・・・これはバラバラというより」
小鳥「あきらかに1人だけ意図的にはずしてますよね」
千早「私には・・・・しょ、しょぼいばすとでぃあまないたと聴こえるんですけど」
社長「そ、空耳ではないのかね?」ドキドキ
P「いや、でもこの濁った悪役に似合いそうな声は」
社長「おいおいキミ失礼な事言わないでくれたまえ」
千早「社長!!」バンッ
社長「・・・ヒッ!」
小鳥「社長だったんですか!?」
社長「・・・・フフフハハハハハ!バレてしまっては仕方ないね!
いや72、今日7月2日は偶然にも如月君が普段から気にしている
胸のサイズと同じでね!世の中では今日が千早記念日!
なーんて騒いでる所もあるくらいなんだよ!そこで我が765プロでも
いっそのこと7月2日に盛大にお祝いしてみようと思ったんだよ!
まぁ残念な事に胸は盛大ではないんだけどね!
いやぁーでも誰1人疑問を抱かずにパーティの準備をしてくれるなんて
765プロの結束はすばらボロォァァァ!!!!」 ゴシャアァ
千早「はぁっ・・・はぁっ・・・はぁっ・・・!」
P「いいのが顔にはいったなぁ」
律子「元々顔は見えてないから殴りほうだいですよね」
千早「いいんです・・・悪いのは社長ですから」
P「そ、そうかそういってくれると少しは・・・」
千早「でも自分がプロデュースしているアイドルの誕生日くらいは覚えていてほしかったです」
P「す、すいません・・・」ショボーン
千早「フフ・・・冗談ですよ、それに・・・今日が記念日というのは本当ですから」
社長「・・・ゴボォ、ホォラやっぱりわたしの言った通りバストブォォォ!!」メコッ
P「記念日・・・・まさか!」
千早「わかりました?」
P「そ、そうか!今日はアイドルマスターLIVEinSLOT全国ホール導入日だ!!
あのゲームやモバゲー、アニメで大人気のアイドルマスターがついにスロットに
ゲームのようなカスタマイズ機能を搭載して養分の諭吉を吸い取る事間違いなし!」
俺「よぉーし!今日はもう寝て朝一で並ぶぞぉ!!」
全員「おー!!」
おわり
Entry ⇒ 2012.07.02 | Category ⇒ アイマスSS | Comments (1) | Trackbacks (0)
P「ピジョンの次なんだっけ?」北斗「コダックですよ」
北斗「コダック、コラッタ、ズバット、ギャロップでしたね」
冬馬「なんだよその適当なメンバー」
P「えっ冬馬知らないのか?」
北斗「ポケモン言えるかなだよ。昔流行っただろ?」
冬馬「俺の時代はダイパだし」
P「15年くらい前の歌だしな……」
P「じゃぁポケモン音頭は?」
冬馬「知らねーな」
黒井「ドッドッドガーッス!ドッドッガド!」
P「シャー!……ってやつだ」
冬馬「イカれちまったのかと思ったぜ……」
北斗「セーラーマルチいいですよね」
P「そこはセントナースだろ」
冬馬「翔太、わかるか?」
翔太「僕デジモン派だし……」
P「アニメやゲームはやっぱり世代によって大分違うな」
北斗「ちなみに俺はエフエフ派でしたよ」
黒井「普通はファイファンだろう」
P「その話題は喧嘩になるから止めよう」
黒井「アバンテ派だ」
北斗「俺はソニックですね」
冬馬「社長にDVD借りたけど、やっぱマグナムだろ」
P「翔太は……今っておもちゃって流行ってるのか?」
翔太「うーん、仮面ライダーなら流行ってたけど」
P「最強はRXだよな」
北斗「ディケイドですよ」
P「あ?」
北斗「なにか?」
翔太「冬馬君の家にいっぱいフィギュアあったよね」
冬馬「俺はクウガから全部見てるぜ」
北斗「クリムゾンスマッシュ破ってから言ってくださいよ」ビキビキ
翔太「マニアックだなぁ……」
冬馬「つかプロデューサーは仕事いいのかよ」
P「今日の予定は終わらせてるし問題ないさ」
北斗「あ、話から逃げたんで俺の勝ちということで」
P「おい!逃げてなんかないぞ!」
黒井「馬鹿馬鹿しい……もう遅い、このまま夕食に行くぞ」
P「ちっ……一時休戦だな」
北斗「仕方ないですね」
黒井「ウィ。場所は追って連絡しよう」
冬馬「今日はどこ行くんだ?」
黒井「何が食いたいかによるな」
北斗「この前飲みに行って以来ですからね……」
翔太「僕焼肉がいいな!食べ放題じゃないやつ!」
P「焼肉か、そういえば焼肉好きの女の子が765プロにもいたな」
黒井「ほう……面白い。そいつも連れて来い」
P「え、いいんですか?」
冬馬「女なんか来ても空気悪くなるだけだろ?やめとこうぜ」
北斗「俺は賛成だな、華やかになりそうだ」
翔太「僕はお肉食べられるなら何でもいいよ」
黒井「ただし誰が来るかは言うなよ」
P「なぜです?」
北斗「賭けるんですよ」
P「なるほど……」
冬馬「焼肉ならあの緑のねえちゃんか菊地だろうな」
P「さて、どうかな」
北斗「真ちゃんが理想なんですけどね」
黒井「早く行ったらどうだ。時間も押してるだろう」
P「っとそうでした。それじゃ現地で!」
翔太「またねー」
小鳥「お帰りなさい、プロデューサーさん」
春香「今日もお疲れ様でしたプロデューサーさん!」
美希「プロデューサー!今からミキ達ご飯なんだけど一緒に来るよね?」
P「え、そうなのか」
真 「へへっ久々に皆一緒にあがるんで!」
P「それって雪歩も行くのか?」
雪歩「は、はい」
P「そうかぁ……飯誘おうと思ったんだけど、タイミング悪かったな」
春香「ええ!?」
P「ちょっと特別な人がいるから雪歩だけがベストなんだよ」
あずさ「特別ですか……」
P「特別というか特殊というか」
P(961プロと晩飯なんて律子達にバレたら何言われるか……)
雪歩「い、行きます!」
伊織「ダメよ!」
真美「そうだよ!ゆきぴょんは真美達とご飯なんだかんね!」
美希 「抜け駆けはダメなの!」
雪歩「そ、それでも……!」
雪歩「私、プロデューサーの特別な人に会いたいです!」
P「そ、そうか?ならいいんだが……」
美希「ぐぬぬ……ありえないの……ミキじゃないなんて……」
雪歩「は、はい!」
貴音「プロデューサー……」
P「なんだ?」
貴音「私は二人目でも構いませんので」
P「二人目?」
律子「スタァーップ!それ以上はダメよ!」
小鳥「はぁはぁ」
真 「ボク達はもう行こう……」
春香「酷いですプロデューサーさん」トボトボ
P「なんとでも言え。今日は雪歩しか誘えない事情があるんだ」
雪歩「はぅ……!」
小鳥「クリティカルヒィーット!プロデューサーさんに3ポイント!」
P「何言ってるんですか……」
小鳥「はーい。それじゃプロデューサーさん、お疲れ様でしたっ」
P「お疲れ様でしたー」
P「あと10分もしたら出るから待ってくれな」
雪歩「は、はい!」
雪歩(これってアレだよね特別な人とのご飯に私だけを呼ぶって)
雪歩(そういうことだよね!)
雪歩「う、嬉しいですプロデューサー!」
P「そ、そうか?そう言ってくれたら俺も嬉しいけど……」
P「それじゃ行くぞ。忘れものはないな?」
雪歩「はい!あ、あのプロデューサー!私がんばりますね!」
P「はは、まぁほどほどにな」
雪歩「はいぃ!」
雪歩「と、ところで、特別な人ってやっぱり……」
P「ん?あぁ多分雪歩が見たら驚くと思うよ」
P「3人はもう店に入ってると思うから、俺達も急ごう」
雪歩(3人!?お父様とお母様と……ご兄弟とか?)
雪歩「しっかりアピールしなくちゃ……」
P「なんだか気合入ってるなー」
P「お待たせ!この子が焼肉アイドルだ!」
冬馬「おい!萩原じゃねーか!」
黒井「音無君だと踏んだんだがな……」
翔太「理由つけて春香ちゃんが来ると思ったんだけどなー」
北斗「やれやれ、全員外したな」
冬馬「この場合どうなるんだ?」
北斗「全員はずれの場合は雪歩ちゃんの分を俺達で支払いだな」
冬馬「くそっ今月ピンチだってのによ……」
雪歩「プ、プロデューサー?」
P「驚いたろ?今日は961プロと飯なんだ」
冬馬「3人?俺達4人だけど」
P「悪いな。俺の中ではディケイド信者は人間じゃないんだ」
北斗「言いますね……!」
黒井「普段は敵同士だが今夜は歓迎しよう。席につくがいい」
雪歩「ひっ」
北斗「ダメですよ社長。雪歩ちゃんは男性が苦手なんですから」
翔太「とりあえず端っこかな?隣がプロデューサーさんで」
冬馬「つーか男嫌いならなんで来たんだよ」
P「そういえば苦手だったな」
黒井「貴様は本当にプロデューサーなのか……」
雪歩「……ぐす」
P「え?」
雪歩「うぅ……」
P「お、おい」
翔太「なーかしたなーかした!」
P「う、うるさい!雪歩?なんで泣くんだ?そんなに野郎の集いが嫌だったのか?」
雪歩「い、いえ……全部私の勘違いがいけないんですぅ……」
雪歩「ちょっと穴掘ってきますね……」
P「いやいやいや落ち着け!」
冬馬「お、おいどうすんだよ……」
翔太「僕に言われても……」
北斗「ふむ」
北斗「プロデューサーさんが一番気に入ってるアイドルって雪歩ちゃんだったんですね」
P「えっ」
雪歩「墓穴掘っても掘り抜け……え?」
北斗「今夜俺のお気に入りの子を連れてくるってね」
北斗「まさか雪歩ちゃんとは……ねぇ社長」
黒井「ん?あ、ウィ。私は音無君あたりかと思っていたんだがな」
黒井「なかなか見る目があるではないか」
P「何の話です?俺はただ……」
冬馬「ウェーイ!ウェイウェーイ!とりあえず飲み物頼もうぜ!」
雪歩「そ、そうだったんですか……プロデューサーが……」
翔太「雪歩さん何飲むの?」
雪歩「あ、私は冷たいお茶でいいよ。ふふ」
P「なんだ急に機嫌が良くなったな」
北斗「俺も同じで」
黒井「私もだ」
冬馬「俺も」
P「おい」
冬馬「ちっ……クリームソーダあります?あ、ない?じゃぁドリンクバー2つで」
翔太「ありがとう冬馬君っ」
黒井「さて、何を頼むか……」
冬馬「適当に食いたいもんでいいじゃねーの」
黒井「そうだな」
翔太「あ、僕ジュースいれてくるよ!冬馬君何がいい?」
冬馬「じゃあカルピス頼むぜ」
冬馬「おい翔太、お前ちゃんぽんしやがったな」
翔太「なんのこと?わかんないなー」
P「それじゃ今日も一日お疲れ様でした!乾杯!」
雪歩「か、かんぱいですぅ!」
翔太「パンカーイ」
冬馬「うぇ……これメロンソーダ混ぜたのか……なんとか飲めるけどよ」
北斗「うーん、やはり最初の一杯は最高ですね」
黒井「ウィ。疲れが吹き飛ぶな」
P「雪歩はご飯モノ何か頼むか?」
雪歩「白ごはんで!」
P「あ、あぁ……すごい気合だな」
冬馬「俺は石焼ビビンバ食おうかな」
翔太「僕クッパ!」
雪歩「焼肉といったら白いご飯だろうが……」ボソッ
P「ゆ、雪歩?」
雪歩「え、何ですか?」
P「あ、いや、聞き違いかな……?」
黒井「私と北斗も何もいらんからな」
雪歩「待ってください!!!」
黒井「うおっ!?」
P「ど、どうしたんだ?」
雪歩「先に網を熱さないとお肉を置いたら網に引っ付いちゃいます」
黒井「そ、そうだったのか……」
冬馬「めんどくせぇな、適当に焼いて適当に食えばいいじゃねーか」
雪歩「っ!」キッ
冬馬「な、なんだよ……睨むなよ……悪かったよ……」
北斗「ま、まぁまぁ。そろそろ網も熱くなったんじゃないか?」
黒井「……では今度こそ」
雪歩「待ってください!!!」
雪歩「世間一般的に考えて最初に置くのはタン塩なんです!」
P「ま、まぁいいじゃないか雪歩。たまには好きに食べたって……」
雪歩「それじゃダメなんです!」
P「ひぃっ」
冬馬「めんどくせーぞこいつ」ヒソヒソ
翔太「僕お腹空いたんだけど……」ボソボソ
P「わかった!じゃぁ先に塩焼きを乗せてこの話はやめよう!はい、ヤメヤメ」
黒井「仕方あるまい……」
雪歩「……じゃぁ乗せていきますねー」ニコニコ
卒倒しそう
P「……」
黒井「……」
翔太「あの、雪歩さん」
雪歩「な、なに?」
冬馬(普通に戻ってるぜ!)
P(よかった!本当によかった!)
翔太「の、飲み物は好きなの飲んでもいいんだよね?」」
雪歩「うん、焼肉は自由に楽しくするものだから。翔太君の好きなようにしていいよ」
黒井(どの口が言うのだ……)
P「そ、そろそろ食えるよな?」
北斗「そうですね、食べましょう」
雪歩「まだ早い」
黒井「ウィ?」
雪歩「まだ早いと言いました」
雪歩「じっくりしっかり焼かないと、後から体調を崩してしまうかもしれません」
黒井「そ、そうか」
雪歩「……あ、もういいんじゃないでしょうか!ど、どうぞですぅ!」
冬馬「あ、ども……」
翔太「ねぇ、10秒くらいしか違わないんだけど」ボソボソ
北斗「その10数秒が重要なんだろうさ……」ヒソヒソ
雪歩「は、早く食べないとコゲますよ」
北斗「おっと」
雪歩「楽しみですねっプロデューサー!」
P「は、はは……そうね……」
翔太「やっと楽しくなってきたねー冬馬君ビビンバ一口ちょうだい」
冬馬「交換しようぜ交換」
黒井「ビール追加だ。お前達はどうだ」
P「あ、俺も」
北斗「お願いします」
黒井「ウィ。萩原雪歩よ、店員を呼び出してくれ」
雪歩「今焼いてるんで無理です」
黒井「そ、そうか……」
P「お、俺!俺が呼びますよ!店員さーん!」
黒井「食欲を刺激する匂いだな」
冬馬「焼けてきたかな」ペロン
雪歩「!!!!」ガタッ
翔太「ひぃぃぃ!」
北斗「ま、待ってくれ雪歩ちゃん!まだ俺達何もしてないだろ!?」
雪歩「冬馬君……今ひっくり返したよね」
冬馬「そ、それがなんだよ……どれくらい焼けたか見ただけじゃ……」
雪歩「お肉はっ!!!」
P「うわぁ!」
雪歩「1回しかひっくり返したらダメなんですよ!!!」
雪歩「脂の多いお肉を何回も返してしまうと、肉汁と一緒に旨みが逃げ出してしまうんです」
雪歩「牛さんの尊い命を犠牲にするんですから、出来る限り美味しく食べてあげないとダメです」
雪歩「……あ、そろそろひっくり返しますねっ」ペロロン
翔太「もうやだぁ!帰りたいよ!」
P「馬鹿!落ち着け!」
雪歩「は、早く返さないとコゲちゃいますぅ!」
冬馬「お、おう……」
北斗「……」モグモグ
翔太「あ、僕ジュース……冬馬君いる?」
冬馬「俺まだ入ってるから……」
雪歩「美味しいですねプロデューサー!来てよかったですぅ!」
P「そ、そうか……よかったよ」
雪歩「……」ジワッ
P「た、楽しいなぁ!雪歩とこれてよかったよ!最高!」
雪歩「はいぃ!」
黒井「……では帰るか」
冬馬「萩原さんの分俺達が出すんだよな」
雪歩「え、そ、そんなの悪いです!私もちゃんと払いますから……」
P「あ、いいよ。今日は俺が奢るよ。マジで」
北斗「じゃぁ5人で割り勘にしときましょう」
P「悪いな……」
翔太「お肉は美味しかったから気にしないでっ」
雪歩「あ、ありがとうございますぅ……」
黒井「ウィ。夜道は危険だからな」
雪歩「そ、それでは皆さん!今日はありがとうございました!」
冬馬「あ、あぁ」
北斗「焼肉、美味しかったよ雪歩さん」
翔太「ちょっと寿命縮むくらい美味しかったよっ」
P「明日も早いから家に帰ったらゆっくり休んでくれ」
雪歩「はいぃ……その、プロデューサー、また誘ってくださいね!」
P「は、はい……」
雪歩「それでは失礼しますぅ!」
P「すまん……本当にすまん……」
冬馬「何食ったか覚えてねーよ……」
P「いつもはあんな感じじゃないんだ。ほんわかしてて、おっとりしてて」
P「なんていうか、庇護欲を誘う子なんだよ」
北斗「俺も彼女とは何度か会ってますが……」
翔太「あんなの初めてだったね……」
黒井「恐らく萩原雪歩さんは焼肉奉行なのだろう」
翔太「焼肉奉行?」
P「鍋に材料を投入するときに独自ルールを持ってる人ですよね」
黒井「ウィ。恐らく彼女はそれの亜種だ」
北斗「だから焼肉奉行ですか……」
翔太「普段は優しいから余計に怖かったね」
冬馬「社長泡吹いてたぜ」
黒井「ば、馬鹿を言うな!そんな痴態は晒していない!」
P「はぁ……雪歩にも悪いことしちゃったな……」
冬馬「なんでだよ。俺達が完全に被害者じゃねーか」
P「だってこれ雪歩のイメージダウンにしかなってないじゃないか」
P「普段は水が減ったら注いでくれて、醤油が欲しいと思ったら取ってくれる子なんだよ」
冬馬「バーベキューとかもやべぇのかな」
北斗「それは大丈夫とは思うが……」
P「なんか埋め合わせ考えないとな……」
翔太「そういえばライダーの強い弱い話はどうなったの?」
北斗「RXが最強でいいさ」
P「どっちでもいいよ……今日は疲れた」
黒井「では解散にしよう。気をつけて帰れよ」
冬馬「お疲れ、またなプロデューサー」
P「あぁ、またな」
翔太「さよならー」
北斗「チャオ☆」
P「おはようございます」
小鳥「おはようございます。あれ?なんだか元気ないですね」
P「ちょっと色々ありまして……」
伊織「雪歩と食事に行って!」
真 「色々あって!」
美希「つ、疲れたって!」
春香「どういうことなんですか!?」
P「その前にひとつ聞きたいんだが、皆は雪歩と焼肉行ったことあるか?」
千早「もうその話はやめましょう」
真美「ヤキニクダァーッシュ!」
響 「今日もファイトだぞー!」
P「あ、おい」
雪歩「おはようございますプロデューサー!」
雪歩「お疲れ様でしたっ私すごく楽しかったですぅ!」
やよい「雪歩さんつやつやしてますね!」
雪歩「うん!昨日はね、プロデューサー達と焼肉食べてきたんだよっ」
やよい「はわっ!怖いですー!」タッタッタッ
P「……」
P(雪歩も可哀想だな……望んで奉行になった訳ではないだろうに)
P「……よし!俺がなんとかしてやる!」
雪歩「ど、どうしたんですか?」
P「雪歩!焼肉はどれくらい好きだ!」
雪歩「ま、毎日食べても大丈夫なくらいですけど……」
P「じゃあ今日もやるぞ!久しぶりの秘密特訓だ!」
雪歩「えぇ!?」
小鳥「もう皆レッスンに行っちゃいましたよ」
P「なんて逃げ足の速い連中だ……」
P「……小鳥さんは」
小鳥「流石に朝から焼肉は色々と不安な面がありまして……てへへ」
P「ですよね」
P「仕方ない……助っ人を呼ぶか」
小鳥「助っ人ですか?」
P「俺の戦友達です。きっと力になってくれるはず」
雪歩「え、えっと……」
P「心配するな雪歩。俺達が必ず平民に戻してやるからな!」
P「ということで今日は仕事休みますね」
小鳥「えっ」
P「それじゃ行ってきます!雪歩はここで待ってろ!」
黒井「無理だ」
P「なんでですか!俺と黒井社長の仲じゃないですか!」
黒井「馬鹿か貴様は!昨日の今日で何を言い出すのだ!」
P「くっ……冬馬!」
冬馬「悪いな。社長がNOって言うならNOだ」
P「北斗!」
北斗「すみません」
P「翔太……」
翔太「ごめんねプロデューサーさん」
P「……わかったよ」
P「俺一人で雪歩を更正させてやる!もう誰にも頼らない!」ダッ
冬馬「行っちまったよ……」
高木「あ、君!急に休むなんてどうしたんだね?」
P「すまん雪歩……俺と二人で食事になりそうだがいいか?」
雪歩「は、はい!むしろ望むところというか……その、フニョフニョ」
P「?まぁいい。それじゃ買出し行くからついてきてくれ」
雪歩「お店じゃないんですか?」
P「さすがに午前中からは開いてないからな……匂いは諦めて俺の家でやるぞ」
雪歩「プ、プロデューサーのお家でですか!?」
P「やっぱまずかったか?」
雪歩「い、いえ!どんとこいですぅ!」
P「いい返事だ!それじゃスーパー行くぞ!あ、社長お疲れ様でした!」
高木「君ぃ……」
小鳥「行ってしまいましたね……」
P「あ、野菜とかホルモンもいるなら買うけど」
雪歩「と、特訓ですし、お肉だけで大丈夫と思いますけど……」
P「そうか……とりあえず肉5キロとあとはウーロン茶を持てるだけ買おう」
雪歩「はい!」
P「あ、すみません肉もっと買いたいんですけど……はい、5キロほど」
雪歩「な、なんだか夫婦みたいですね……」
P「肉5キロと茶だけ買う若い夫婦なんて異常だけどな……」
雪歩「はぅ」
雪歩「す、すみません……やっぱり私が半分出したほうが」
P「いや、いいんだ。これは俺が考えた秘密特訓なんだからな」
P「俺が全て責任取るよ!」
責任取るよ……責任取るよ……責任取るよ……結婚しよう……
雪歩「は、はい……不束者ですがよろしくお願いしますぅ!」
P(焼肉のことになるとやっぱり気合入るんだな……)
雪歩「お、お邪魔しますぅ……」
P「はは、そう遠慮するなよ。自分の家だと思ってくつろいでくれ」
雪歩「じ、自分のですか!?は、恥ずかしい……」
P「よし、それじゃ今回の特訓の趣旨を説明する前に」
雪歩「そういえば聞いてませんでした……」
P「雪歩は焼肉食べてるときの自分ってどんな感じだと思う?」
雪歩「え、ふ、普通と思いますぅ」
P「ビデオカメラを設置してその前で焼肉するんだ……っと、ここでいいな」
雪歩「それが秘密特訓になるんですか?」
P「あぁ、皆と団結していく上で避けては通れない道なんだ。理解してくれ」
雪歩「プロデューサーがそこまで言うなら……」
P「じゃぁ始めるぞ!焼肉特訓の始まりだ!」
雪歩「は、はい!頑張りますね!」
P「あぁ!目指せ平民だ!」
P「さーて網置いたしコンロ点けた!肉置くぞ!」
雪歩「ま、待ってください!まだ網が温まって……」
P「俺は今すぐ肉が食いたいんだ!そぉれ!ほいほいほい!」
雪歩「あぁああああ!!な、何するんですかぁ!プロデューサー!!」
P「よーし!ひっくり返すかぁ!」
雪歩「だ、だめですぅ!!」
P「なんでさ」
雪歩「お肉は何回もひっくり返したら旨みや肉汁が……」
P「そんなの関係ねぇ!俺はひっくり返す!」ペロリン
雪歩「!!」
P「あれ?あんまり焼けてないな。戻しとこっと」ペロロン
雪歩「ちょっと正座しろ!!!」
P「えっ」
雪歩「わかりましたか?プロデューサー」
P「……」
雪歩「わかったか聞いてるんですぅ!」ドン!
P「は、はい!」
雪歩「……それじゃ、続きしましょう!」ニコニコ
P「ここだ!雪歩ストップ!ちょっと休憩だ!」
雪歩「え?」
P「言っただろ?特訓だって。まず雪歩の現状を見せてやるよ」
雪歩「?は、はい……」
雪歩「え……」
ビデオ《ガミガミガミガミ!》
ビデオ《はい……すみません……おっしゃる通りで……》
ビデオ《謝罪よりなぜこんなことをしたのか教えてください!》
ビデオ《すみません……すみません……》
雪歩「な、なにこれ……私……?」
P「やっぱり自覚が無かったんだな」
雪歩「プ、プロデューサー?」
P「雪歩はな……焼肉奉行なんだよ」
雪歩「ぶ、奉行ですか?」
P「焼肉をした次の日、友達がよそよそしかったりしないか?」
雪歩「そ、そういえば……真ちゃんと行った次の日なぜか謝られました……」
P「お前は肉を見ると自分の思った通りにしたくなるんだ」
雪歩「そんな……私そんなこと……」
P「信じられないのも無理は無い。だけど実際そうなんだ」
P「俺や黒井社長達も昨日ビデオのような目にあったんだよ」
雪歩「う、うそ……」
P「わかったか?これが今のお前なんだ」
雪歩「……」ジワ
P「え、お、おい」
雪歩「私……今までそんなことしてたなんて……」ポロポロ
雪歩「え……」
P「俺が必ずお前を治療してやる!そして皆で一緒に焼肉を食べよう!」
雪歩「ぷろでゅうさぁ……」ポロポロ
P「わっおいだから泣くなって……あぁもう」ナデナデ
雪歩「……」
P「落ち着いたか?」
雪歩「ぐす……はい」
P「焼肉食えそうか?」
雪歩「……はい」
P「それじゃ特訓再開だ。さっきはかなり強引に怒らせたが」
P「次からはジワジワいくからな。怒りそうになったら俺が止める」
P「雪歩はひたすら焼いた肉を食べてくれ」
雪歩「わ、わかりました!」
P「……」チラッ
雪歩「……」ジーッ
P「よし、ひっくりかえ……」
雪歩「」ガタッ
P「さない!」スカッ
雪歩「!……あ」
P「どうだ雪歩、さっきまでの記憶はあるか?」
雪歩「は、はい……プロデューサーの手をずっと見てて……」
雪歩「お肉にお箸が伸びた瞬間、頭がカァって熱くなって……」
P(こえぇ……)
P「ま、まあ自分を認識できただけ進歩したな!この調子でいこう!」
雪歩「はいぃ!」
P「肉、なくなっちゃったな……」
雪歩「はい……」
雪歩「やっぱり私には無理なんですよ……」
P「雪歩……」
雪歩「これからは一人寂しく焼肉ランチを……」
P「馬鹿、そんなこと言うんじゃない」
雪歩「で、でも……もう……」
P「5キロ全部食べてもダメだとは想定外だった……」
ピンポーン
P「……居留守使うわけにもいかないか……ちょっと出てくる」
雪歩「……」
P「はーい」
ガチャッ
冬馬「よう」
P「と、冬馬?どうしたんだよお前」
北斗「俺達もいますよ」
翔太「お肉いっぱい買って来たよ!」
北斗「朝から焼肉屋なんて普通は開店してないでしょう」
冬馬「となると、765プロかあんたの家の二択になったわけだ」
翔太「実は最初事務所に行ったんだけどね……へへっ」
冬馬「あんたが珍しく俺達を頼ったんだ。応えないわけにはいかねぇよな」
北斗「普段社長が世話になってますからね」
翔太「ちなみにクロちゃんは、あの後トイレに引き篭って脱水症状で病院に運ばれたよ」
冬馬「無理に肉食いすぎて腹壊してたんだとさ……金だけ渡して倒れちまった」
P「そ、そうだったのか……皆ありがとう。恩に着るよ」
冬馬「へっ、よせよ」
北斗「俺達は義兄弟じゃないですか」
P「……よし!今度こそ雪歩を治療するぞ!」
冬馬「邪魔するぜ。俺達も協力しにきた」
北斗「昨日は邪険にしてごめんね、雪歩ちゃん」
翔太「今日は一日付き合っちゃうよ!」
雪歩「あ、あの……」
P「皆も手伝ってくれるそうだ。肉だって、ほら」ガサッ
雪歩「わっ、す、すごい……スーパーじゃなくてお肉屋さんのお肉だなんて……!」
冬馬「おっさんテンパって財布ごと渡してきたからな。好きに使ってやったのさ」
P「恐ろしい奴……」
北斗「でもこれだけあれば大丈夫でしょう」
P「あぁ、用意した5キロに加えて、さらに10キロあるんだ。十分なはずだ」
P「いくぞ雪歩!今日でお前を奉行職から引き摺り下ろしてやる!」
冬馬「俺達が本気出したらこれくらい楽勝、だぜ!」
P「止まれ!雪歩、そこで我慢するんだ」
雪歩「うぅ……」
北斗「逆に考えるんだ。ひっくり返しちゃってもいいさって考えるんだ」
雪歩「う、あぁぁああああ!!!」
翔太「うわぁ!暴走しちゃったよ!」
ビデオ《ちょっと正座しろ!!!》
雪歩「!」ビクッ
冬馬「危ねぇ……間一髪だったな」
翔太「冬馬君ナイス!」
雪歩「あ、みんな……私、また」
P「ちょっと我慢できたじゃないか!気を取り直して次いこう!」
雪歩「うぅ……白ごはんが食べたいですぅ……焼肉といえば白いご飯……」
冬馬「ダメだ。今は焼肉とカップラーメンしかないぜ」
雪歩「や、焼肉にラーメンなんて……!」
P「雪歩!まだだ!まだ慌てるような時間じゃない!」
雪歩「ぐっ……はっはぁっ……!」
北斗「大丈夫。落ち着いて一本いこう」
翔太「お茶じゃなくて抹茶オレ持って来たよ!さぁ飲んで!」
雪歩「うぐぐ……!」コクコク
P「そうだ……怒りを静めるんだ!明鏡止水だ!」
P「よーし肉置いたけどすぐひっくり返しちゃうぞ!」ペロン
雪歩「っ!」
冬馬「なんとなく気に入らないから俺がもう一度めくるぜ!」ペロロン
雪歩「ぅ……」
北斗「雪歩ちゃん、さっき網に肉が引っ付いて千切れちゃったよ」
雪歩「き、気にしないで!」
翔太「ごめーん雪歩さん!白ごはんと間違えて炒った豆持ってきちゃった!」
雪歩「よ、よくあるよ……!」ポリポリ
冬馬「長かったな」ペロロン
北斗「そうだな……」ペロリン
翔太「雪歩さんよく食べられるね」ペロリンチョ
雪歩「ふふ、皆が応援してくれるから」ペロリーン
P「あ、そろそろ焼けたか?」
冬馬「ほら、食えよ萩原」
雪歩「はい。頂きます」
雪歩「……」モグモグ
P「……」 冬馬「……」
北斗「……」 翔太「……」
雪歩「……」ゴクン
雪歩「ふぅ……ご馳走様でした」
翔太「僕達、勝ったんだよね……?」
北斗「あぁ、文句なしだ」
冬馬「へっ俺達が集まればこんなもだぜ!」
雪歩「うぅ……みんな……」
P「雪歩、おめでとう!」
北斗「おめでとう!」
冬馬「おめでとさん」
翔太「おめでとう!」
雪歩「……」ニコッ
雪歩「苦しい、ですぅ……」バタッ
P「え、雪歩?……雪歩ォオオオ!!!」
萩原雪歩は重度の過食により胃を悪くし、一週間の療養を余儀なくされた。
体重も重度なことになった。
冬馬「そりゃ15キロも肉食ったら胃もぶっ壊れるよな」
翔太「争いは何も生み出さないんだね……」
北斗「あぁ、雪歩ちゃんはそれを俺達に教えてくれたんだ」
P「皆、胸を張ろう。雪歩が戻ってきた時に笑顔で焼肉を食べるために」
冬馬「あぁ……そうだな」
北斗「行こう。社長が俺達の報告を待ってるはずだ」
冬馬「それじゃ、プロデューサー」
翔太「また会おうね」
P「あぁ、必ず」
P「……雪歩……」
雪歩「やっと退院できた……病院は怖かったなぁ……あれ?」
P「お帰り、雪歩」
雪歩「プロ、デューサー……?どうして病院に……」
P「今日退院って先生から聞いててな、迎えに来たんだ」
雪歩「あ、ありがとうございますぅ……でも、私も事務所に行くのに」
P「あぁ、今日は765プロは休みだよ」
雪歩「え?」
P「雪歩の退院祝いをするんだ。もう皆店で待ってるぞ」
雪歩「え、お店って……もしかして」
P「あぁ……行こう!焼肉屋に!」
美希「やっと来たのーミキ待ちくたびれちゃった」
真美「なんかふっくらしてるNE!」
真 「雪歩!」
雪歩「真ちゃん……心配かけてごめんね」
真 「いいんだよ。話は全部プロデューサーから聞いたんだ」
千早「退院祝いもあるけど、一番の目的は別なのよ」
伊織「雪歩……あんたの成長、見せてもらうわよ」
雪歩「……うん」
高木「それでは、萩原君!よく戻ってきてくれたね!」
高木「病み上がりでこんな場所はどうかと思 小鳥「それじゃ皆グラス持ってー!」
律子「雪歩!退院おめでとう!」
あずさ「おめでとう雪歩ちゃん!かんぱーい!」
雪歩「はい……!」
千早「高槻さん、今日は何でも好きなものから食べていいのよ」
やよい「え、で、でも……」チラッ
雪歩「私は大丈夫だよ、やよいちゃん」
やよい「じゃ、じゃあ、この美味しそうなお肉から食べたいなーって……」
律子「ロ、ロースね……!」
やよい「……」ソーッ
雪歩「ふふ」ニコニコ
伊織「す、すごい……!あの雪歩が!」
響 「ビビンバ頼んだら凄い顔になってた雪歩が!」
小鳥「焼き加減チラ見したら床ドンしてた雪歩ちゃんが!」」
春香「最初に塩系を焼かなくても何も言わないなんて……!」
美希「なんて……」チラッ
雪歩「あ、やよいちゃん、ドリンク取ってくるよ」
美希「おぉ……なの!」
響 「よーっし!食べるぞー!」
貴音「私、一度てーるすーぷなるものを食してみたかったのです」
小鳥「飲みましょう!プロデューサーさん!あずささん!社長!飲んじゃいましょう!」
あずさ「はいっ!」
高木「今日は記念日だね君ぃ!」
P「黒井社長、冬馬、北斗、翔太……終わったよ」
黒井「来たか」
P「お疲れ様でーす」
翔太「雪歩さん!退院おめでとうっ!」
北斗「あれから調子はどうだい?」
雪歩「皆さん……はい、無事に良くなって、今では週に1回焼肉食べてますぅ!」
冬馬「無事に完治できて何よりだぜ」
黒井「ウィ。では始めるぞ」
北斗「完治した雪歩ちゃんと」
P「俺達のがんばりと!」
翔太「クロちゃんの退院を祝して!」
冬馬「乾杯、だぜ!」
雪歩「か、かんぱーい!」
黒井「さすがに当分肉はいらん……」
雪歩「す、すみませんでした……」
冬馬「気にすんなよ。社長が歳なのが原因なんだ」
北斗「そうそう、若い俺達には想像もできないさ」
黒井「おい!失礼なことを言うんじゃない!」
翔太「あ、僕ソバ飯頼んでいい?」
P「カレイのから揚げ頼もうかな」
雪歩「く、黒井社長、ビールお注ぎしますぅ」
黒井「ウィ。いい心がけだ」
雪歩「あ、ありがとうございます……」
翔太「また誘ってもいいって言ってたじゃん」
黒井「あんなもの社交辞令だ。あの後私は一晩中トイレにいたんだぞ」
P「まぁまぁ、雪歩だって好きでああなったんじゃないんですよ」
北斗「普段の雪歩ちゃんからは想像できませんでしたよ」
雪歩「はぅ……」
翔太「でも本当に治ってよかったね!」
雪歩「うん、翔太君もありがとう」
北斗「そういえば男性恐怖症も克服したんですか?」
P「俺とジュピター限定で大丈夫らしい。きっと怒りが恐怖心を超えたんだな」
冬馬「恐ろしい女だぜ……」
黒井「ん?このセレブな私が含まれてないようだが」
P「きっとあの場にいなかったからでしょうね……」
黒井「ウィ……」
北斗「ん?あぁ、ありがとう雪歩ちゃん」
P「な?な?欲しいと思った料理とかもすぐ取り分けてくれるんだ」
P「すごいだろ?うちの雪歩は」ドヤァ
冬馬「すげぇ……幼馴染キャラだぜ」
翔太「じゃぁ僕の今ほしいものわかる?」
雪歩「ふふ、はい、卵焼き」
翔太「すごい!冬馬君と交換してよプロデューサーさん!」
冬馬「なんてこと言いやがる!」
P「やらんぞぉ!雪歩は俺のものなんだ!他の誰にもやらん!」
雪歩「そうですよっ私はプロデューサーのものなんですから!」
黒井「ちっ……酒が入ったらこれだ……帰りたくなってきたな」
北斗「いいじゃないですか、俺達も酔っちゃいましょう」
冬馬「萩原も素面のくせにテンションたけーな……やっぱ男だけのほうが気楽だぜ」
おわり
雪歩にはこうなってほしくなかったので更正してもらった。雪歩可愛い。
お疲れ様でした
雪歩かわええ
次も楽しみに待ってる
今後も期待してます
Entry ⇒ 2012.06.30 | Category ⇒ アイマスSS | Comments (0) | Trackbacks (0)
貴音「今日は、どこに食事に行くのですか?」小鳥「ひみつ」
貴音「ここは、らぁめん屋ではないのですね」
小鳥「そうっ、今日は……居酒屋さんでーす」
貴音「わたくし、まだ未成年なのですが……」
小鳥「大丈夫。お酒を飲むのは私と、これから来る人の二人だけで貴音ちゃんは飲まなくてもいいのよ」
小鳥「ふふっふ、甘い、甘いわよ貴音ちゃん」
貴音「どういう事ですか小鳥嬢?」
小鳥「居酒屋はお酒を飲むだけの場所ではないってことよ」
貴音「……」
小鳥「ふふっ、まぁ騙されたと思って入りましょう♪」
貴音「独特な雰囲気を感じますね」
小鳥「ちょっとうるさいけど大丈夫。すぐに慣れるわ」
貴音「そんな物でしょうか……」
小鳥「さっ、この中から適当に選んじゃっていいわよ」
小鳥「色々な種類があるのですね」
店員「はい、注文ですね。どうぞ」
貴音「では、———————————」
貴音「——————あと、」
小鳥「まって貴音ちゃん。後でまた注文できるから今はこれで終わりにして」
貴音「そうですか……」
小鳥「ほっ、じゃああと生中ひとつでお願いします」
店員「以上でよろしいですか」
小鳥「はい」
店員「かしこまりましたー」
小鳥「えっ……いやー、たまにかな、本当たまに」
貴音「そうなのですか、慣れ親しんでる様子だったので良く来られてるのかと思いました」
小鳥「さすがに一人じゃ来られないからね」
店員「しつれいしまーす、えーっと生中と……芋焼酎になります」
店員「はい、そう……ですね」
小鳥「ビールは私が頼んだんだけど……」
貴音「芋はわたくしです」
小鳥「えぇー」
店員「はい、すいません」ゴトッ
失礼しまーす
小鳥「ありゃー貴音ちゃんなんで頼んじゃったの?」
貴音「芋……でしたから」
貴音「では、いただきます」
小鳥「ちょちょ、だ、駄目ですよ!!」ひょい
貴音「あぁ……」
小鳥「もー貴音ちゃんは未成年なんだから駄目でしょ、これは私が飲みます」
店員「失礼します、焼き鳥です」
店員「盛り合わせと――――――――――――」
小鳥「なんで、盛り合わせと各種それぞれの焼き鳥を……」
貴音「かんぱいです」チーン
小鳥「貴音ちゃんはウーロン茶だけどね」
貴音「分かっていますよ小鳥嬢」
~10分後~
小鳥「貴音ちゃん飲んでる~?///」
貴音「えぇ、美味しい芋ですね」ゴクゴク
貴音「料理も真美味なる物ばかりです」
小鳥「そうなのよー、だからあたしもここは良く使うのー///」
貴音「この、あんかけ卵焼きとは初めて食べました」
小鳥「やっぱりー、貴音ちゃんは創作料理みたいなの食べたことないだろうなーって思ってたろよー///」
小鳥「さぁっすが貴音ちゃん~よくわかってる///」
貴音「もぐもぐ、ごくごく」
小鳥「そろそろ~もう着くころかしらね~///」
貴音「もぐもぐ……そういえば、どなたが遅れてくるのですか?」モグモグ
小鳥「ん~っとねぇ~///」
小鳥「あっ、ちょ~どきた~///」
貴音「……」
あずさ「あらあら~遅れてすいません~」
小鳥「おっつかれさまですあずささ~ん///」
貴音「三浦あずさでしたか」
あずさ「貴音ちゃんも居たのね~、あっ白ワインをお願いします」
店員「あっしたー」
貴音「いえ、わたくしはお酒をのm」
小鳥「そんなことより、あずささんお仕事はどうだったんですか~?///」
あずさ「雑誌の撮影だったんですけど、直ぐに終わりましたよ」
貴音「雑誌の撮影だったのですか」モグモグ
小鳥「あずささんは~今日はどんなエッチな服を来たんですか~///」
あずさ「も~小鳥さんったら」
店員「しつれいしま~す、白ワインになります」
あずさ「すいません、ありがとうございます」
貴音「すいません、注文よろしいですか?」
あずさ「そうですか?そんなことないと思いますけど……」
小鳥「いやいや、あずささんは際どいの多いですよ~、ウエディングドレスの奴だってちょっと際どかったですよ~///」
あずさ「あの時は大変でした~」
小鳥「本当にあずささんはエッチな身体で羨ましいですよ~///」
貴音「―――をお願いします」
店員「かしこまりましたー」
小鳥「いやー本当ですって///この前もPさんがあずささんの載ってる雑誌みてニヤニヤしてましたもん///」
あずさ「それ本当ですか」
小鳥「ほんとうれすよ~///Pさんも男ですからね~///」
あずさ「じゃあこれからも雑誌の撮影は頑張らないと」
貴音「ふむ、雑誌の撮影ですか」
貴音「……そうですね、撮影してもらいたいものですね」
小鳥「私も撮影してもらいたいです~///まだまだ私もいけると思うのよ~///」
あずさ「音無さんなら大丈夫ですよ~うふふ」
貴音「そうですね小鳥嬢なら大丈夫でしょう」
あずさ「それは……どうなんでしょう」
貴音「釘付けですか……」
小鳥「いやーPさんも最近私を見る目がイヤラシイですからね///」
貴音「それは……」
あずさ「ないかと……」
小鳥「ええぇーーーー」
小鳥「あずささんも早いですね~///」
貴音「もぐもぐ」
あずさ「ふぅ~最近私Pさんに会ってないですよ///」
小鳥「竜宮は律子さん担当ですからね~///」
あずさ「貴音ちゃんがうらやましいわ~///」
貴音「もぐもぐ」
あずさ「えぇー小鳥さんはPさんの事をどう思ってるんですか?///」
貴音「ごくごく……」ピクッ
小鳥「Pさんは良い人ですよね///私大好きですよ~///」
貴音「ごくごく」ピクピク
あずさ「やっぱりそうですね~///」
あずさ「小鳥さんも抜け駆けしないでくださいよ~///」
貴音「二人ともぷろでゅーさーの事が好きなのですね……」ゴクゴク
あずさ「貴音ちゃんったら……二人だけかしら?
貴音「?」
小鳥「ふふふ///」
貴音「どうしたらですか……」
小鳥「わぁたしぃは~Pさんと……××的 あずさ「貴音ちゃんはどうかしら~?///」
貴音「そうですね、わたくしは……」
あずさ「んーふふふ///」
あずさ「えっ、何かしら?」
貴音「わたくしが幸せになるのは、らぁめんでしょうか」
あずさ「あれれっ」
小鳥「それでPが私に××で~///」
貴音「一緒にですか……」
――――――――――――――――――
貴音「ズルズルズル」
貴音「やはり二十朗のらぁめんは美味ですね」
P「はは、貴音は本当に美味しそうにラーメンを食べるな」
――――――――――――――――――
小鳥「ぐふふwwwwwPったら~wwww///」
貴音「?」
小鳥「Pさんですか~www私ですよPさんwwwww」
携帯「―――――――― ―――――――――」
貴音「……」ビクッ
小鳥「ドュフフwwwww今ですね―――――」
あずさ「あらあら」
小鳥「うわぁあん、怒らないで下さいよPさん」
携帯「ガーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー」
小鳥「分かりました、分かりましたから」ピー
あずさ「あらあら、お開きのようね~」
貴音「そのようですね」
あずさ「貴音ちゃん1人で大丈夫?」
貴音「えぇ、問題ありません」
小鳥「ぶぇぇぇ、あずさちゃんPさんに怒られましたー、明日説教だってー……うぅー気持ち悪い」ピーピー
あずさ「大丈夫ですよー、Pさんもしっかりと誤れば許してくれますよ」
貴音「小鳥嬢……あずさ……また食事をしたいですね」
あずさ「ふふ、そうねまた機会があったらね」
小鳥「うぅ……うっぷ……」
あずさ「お酒は抜きでね、ふふ」
小鳥「貴音ちゃんバイバ……うぅ……」
貴音「えぇ、ではまた」
・
・
・
貴音「今宵は楽しい夜でした」ふら~ふら~
貴音「しかし、お酒というものは不思議な物です」ふら~ふら~
貴音「それにしても小鳥嬢は電話でぷでゅーさーに、こってりとしかられてましたね、ふふっ」ふら~ふら~
貴音「ぷろでゅーさーは今、何をやっているのでしょうか……」ふら~ふら~
貴音「……」
貴音「……らぁめんを食べたいですね」ぼそっ
P「なら食べに行くか?」
P「はぁ~見つかって良かった」
貴音「どうしてここに?」
P「さっき小鳥さんからの電話を切ってからすぐにこっちに向かったんだよ」
貴音「それで、ここにいるのですか」
P「未成年に酒を飲ませるなんて小鳥さんは何を考えてるんだかな……」
貴音「ふふ、でも楽しい食事でした」
貴音「そうですか
P「さて帰るか、送ってくぞ」
貴音「……」
P「……どうした貴音?」
P「えっ、あれは冗談のつもりだったんだが……」
貴音「らぁめん」
P「……」
貴音「らぁめん……」
P「分かった分かった、一杯だけだぞ」
P「じゃあラーメン食べに行くか」テクテク
貴音「えぇ、行きましょう」ふら~ふら~
P「あぁふらふらして危ない、ほら俺に捕まって」
貴音「はい、あなた様」ダキッ
三浦あずさがあの時に言っていた事は良くわかりませんが、今わたくしが分かる事がひとつあります……
わたくしは今、とても幸せです。
END
小鳥「はい、着きましたよ」
貴音「ここは…?」
小鳥「一皿百円庶民の味方!無添加寿司のくら寿司へようこそ!」
貴音「お寿司ですか」
小鳥「貴音ちゃんは回転寿司は初めて?」
貴音「はい、お恥ずかしながら」
小鳥「それは良かった。さあ入りましょう」
ラッシャーセー
貴音「なにやらお寿司がべるとこんべあに乗って回転しているとは…面妖な…」
小鳥「フフフ、だから回転寿司なのよ」
店員「いらっしゃいませ。お客様くら寿司の容器のご利用方法はおわかりになりますか?」
小鳥「あ、えーと…一応教えてください」
店員「それでは容器の説明させていただきます」
貴音「容器の説明?」
店員「お皿の手前の方を上に持ち上げますとフタが開きますので、そのままお取り下さい」カパッ
貴音「な、何と面妖な!?」
店員「?」
小鳥「いや別にそこまで驚かなくても…」
小鳥「さ、いくわよ貴音ちゃん」
貴音「ま、待って下さい小鳥嬢」
小鳥「さて、それじゃ回転寿司の基本的な作法を教えます」
貴音「よしなに」
貴音「この流れているのは自由に取っていいのですか?」
小鳥「もちろん。自分が食べたいのが来たらタイミングを見計らって…ほいっ」サッ
[甘エビ]
貴音「おお、お見事です」
小鳥「そんな大層なもんでもないって」
貴音「そういえば、この店はお茶どころかお冷やも出さないのですね。店員を呼んで問いたださねば」
小鳥「あああ待って待って。回転寿司はお茶はセルフサービスなの」
貴音「なんと。しかし、湯呑みや急須が見あたりませんが」
小鳥「湯呑みはね…レーンの上にあるわ」ヨイショ
貴音「何と、そのような場所に」
小鳥「お茶葉はこれ」カパッ
貴音「これがお茶葉…抹茶のようにも見えますね」
小鳥「この蛇口に黒いボタンがあるでしょ?これを湯呑みで押すと…」ジョボボボボ
小鳥「あとはお箸かなんかでかき混ぜて…よし、できた!」ドヤッ
貴音「成る程、やってみます」
貴音「まず…お茶葉を一掬い…あっ」ボロッ
貴音「…こぼれてしまいました」ドヨーン
小鳥「そんなにいっぱい入れなくてもいいんだけど…」
貴音「お茶は濃いめが好きなのです。次こそはこぼさず移し替えてみせます」
小鳥「…二回に分けて入れればいいんじゃないかな」
貴音「……!流石は小鳥嬢!」
小鳥「あ、うん、ありがとう」
貴音「お湯を」グッ
貴音「お湯…」グググ…
小鳥「?」
貴音「…小鳥嬢。どうやらお湯のぼたんが故障したようです」
小鳥「ええっ?」グッ ジョボボボボ
小鳥「…出るわよ」
貴音「…面妖な」
小鳥「さて、食べましょう」
貴音「…………」ジー
小鳥「あ、あの、貴音ちゃん?取らないの?」
貴音「シッ、静かに」
貴音「目的のお寿司を取るため、集中力を高めている所です」
小鳥「あ、そ、そう。ゴメンね」
貴音「…………」ジー
貴音「今です!」サッ
[マグロ]
小鳥「フフッ、お見事」
貴音「では、お醤油をつけて…いただきます」パクッ
貴音「…おや?」
小鳥「昔よりだいぶ質が上がってるとはいえ、やっぱり安い分…ね?」
貴音「いえ、そうではないのです」
小鳥「ピヨ?」
貴音「このお寿司…サビが入ってないではありませんか!」カッ
貴音「サビの無いお寿司など、具の無いらぁめんのようなものです」
小鳥「それはちょっと言い過ぎな気もする」
貴音「作っている方が入れ忘れたのでしょうか?」
小鳥「あー…うん。言い忘れた私が悪かったわ」
小鳥「くら寿司はね、全部サビ抜きなの」
貴音「なっ…何と…!?」
小鳥「だからワサビが苦手な小さい子供でも気軽に流れてるのを取れるように、全部サビ抜きなのよ」
小鳥「でも大丈夫よ。ほら、別ぞえでワサビはちゃんとあるから」
貴音「それを聞いて安心致しました。では早速…」
小鳥「さて、食事再開っと」
小鳥「ん、何?」モグモグ
貴音「あれ!あのお皿に、面妖な物が!」
小鳥「ん…ああ、あれはエビアボカドね」
貴音「えびあぼかど?」
小鳥「エビの上にアボカドと野菜を乗せてマヨネーズをかけたものよ」ヒョイ
小鳥「ヘルシーで女性に人気の一品よ。食べてみる?」ハイ
貴音「で、では…」アーン パクッ
貴音「!!!!」
貴音「よもやらぁめん以外にもこのようなものがあろうとは」モグモグ
小鳥「気に入ってもらえたようで何より」
貴音「もう一つ頂きたいのですが、宜しいでしょうか」
小鳥「宜しいですよ、たんと食べてくださいね♪」
貴音「…………」ジー
貴音「…………」ジー
貴音「…………」ジー
小鳥「…貴音ちゃん?」
貴音「えびあぼかどを待っています」ジー
貴音「なんと。では早速店の者を」
小鳥「呼ばなくてよろしい。この上にあるタッチパネルで注文できるから」
貴音「このような便利なものが…」
小鳥「えーとエビアボカドは…っと」ピッピッ
小鳥「あったあった。エビアボカドを一皿…」
貴音「ま、待って下さい小鳥嬢!」
小鳥「ん?他のも頼む?」
貴音「いえ…それを見たところ、一皿以上も頼めるのでは?」
小鳥「あーうん、五皿までならいっぺんに頼めるけど…って、まさか」
貴音「五皿お願い致します」
小鳥「ですよねー」
小鳥「来たらパネルから音がして教えてくれるからね」
貴音「はい…ん?小鳥嬢が今取ったお皿、普通のお皿と違うようですが。分厚いというか」
小鳥「ああ、これは二皿まとまってるの。くら寿司は基本的に一皿百円だけど、これは二百円なのよ」
貴音「なんと、百円以外の物もあるのですか」
小鳥「そうね…季節によって色々変わるけど、天ぷらやスイーツ、うどんなんかもあるわよ」
貴音「何でもあるのですね…私、寿司屋というものを軽んじておりました」
小鳥「まあそこまで深く考えなくてもいいけどねー」
貴音「な、何事ですか!?」
小鳥「ほら、さっき注文したやつが来たわよ。タッチパネルを押して音を止めて…と」
貴音「『注文品』と書かれた赤い器に入ったえびあぼかど…あれが?」
小鳥「そうよ。ちなみに間違っても人の注文したお寿司を取ったらダメよ?」ヒョイヒョイ
貴音「心得ました」ヒョイヒョイヒョイ
[エビアボカド]x5
小鳥「それはいいけど…おねーさんそろそろお腹いっぱいかなーって」
貴音「何と。ではいささか名残惜しくはありますが、出るとしましょう」
小鳥「ちょーっと待った!」
貴音「?」
小鳥「会計の前に…くら寿司最大のお楽しみがまってるんだなコレが」
貴音「お楽しみ…?」
貴音「びっくらポンとは…?」
小鳥「フフン、百聞は一見にしかず。食べたお皿をこの投入口に入れると…」カシャンカシャン
ピピピピピピピピピピピピ
貴音「あ、何か動きだしましたよ!」
小鳥「このルーレットが当たりに入れば、上のカプセルが落ちてくるのよ」
『はずれ』
貴音「…外れてしまいましたね」
小鳥「まあそんな簡単には当たらないわよ。あくまでもオマケ的な感じだからね」
小鳥「ちなみに五皿ごとに一回だからまだまだできるわよ」カシャンカシャン
ピピピピピピピピピピピピ
貴音「あ、先ほどとは違う画面に」
小鳥「スロット来た!これは熱い!」
貴音「…そういうものなのですか?」
貴音「はあ、左様ですか」
ピピピピ…ピピ…ピ
『はずれ』
小鳥「…皿ならまだあるのよ?」カシャンカシャン
ピピピピピピピピ…ピピピ…ピ
『はずれ』
小鳥「まだまだぁ!」カシャンカシャン
ピピピピピピピピ…ピピピ…ピ
『はずれ』
小鳥「」
小鳥「…貴音ちゃん。あと二皿ぐらいエビアボカド食べたくなぁい?」ニコリ
貴音「二皿程度造作もありませんが…小鳥嬢の笑顔が怖」
小鳥「注文するわよ?」
貴音「宜しくお願い致します」
小鳥「ようし、最後の五皿!」カシャンカシャン
ピピピピピピピピピピピピッ
『当たり』
小鳥「やった!貴音ちゃん、当たったよ!」
貴音「おめでとうございます、小鳥嬢」
ウィーン…ガチャッ
小鳥「さぁて、何がでるかな…」パカッ
[むてん丸マスコット]
小鳥「おっ、むてん丸」
貴音「むてん丸?」
小鳥「悪の添加物軍団と戦ってるとか何とか。ごめん詳しく知らないんだ」
貴音「いえ、今の話を聞けば大まかな流れはわかりました故」
小鳥「そう。それじゃあ…はいっ、これあげちゃう!」
貴音「…いいのですか?小鳥嬢が引き当てた物なのに」
小鳥「ううん、お皿の半分以上貴音ちゃんのだったからね。それは貴音ちゃんにあげます」
小鳥「初めて回転寿司に来た記念ってとこね」
貴音「…はい」
貴音「はい」
店員「えーっと、お寿司60皿で6,300円ですね」
小鳥「ピヨーーッ!?」
亜美「ん?ね→ね→お姫ちん、なにそれ」
貴音「これですか?これはむてん丸殿です」
真美「むてん…丸?」
貴音「ご存知ありませんか?では今晩、私と一緒に回転寿司に行きましょう。そこで教えてさしあげます」
真美「回転寿司!そんなのもあるのか」
亜美「おっけ→☆」
P「はよーす」
真美「あっ、ピヨちゃんもお姫ちんと一緒に回転寿司行かない?」
小鳥「え゙っ…私は今回はその…遠慮しときます!」
亜美「ありゃあ…じゃあ兄ちゃんは?」
P「回転寿司か。いいな、行くか」
亜美「ひゃっほい!そうこなきゃ!」
真美「んっふっふ~、真美手加減なしで食べちゃうよ~」
P「はっはっは、構わんぞ。気の済むまで食うがいい」
貴音「では私も、全力でいくとしましょう。ふふっ」
その夜、とある回転寿司屋の前で灰になったPが目撃されたとかされなかったとか…
おしまい
ピヨたかには無限の可能性があると思うんだ…
面白かった
いいねこの組み合わせ
Entry ⇒ 2012.06.30 | Category ⇒ アイマスSS | Comments (0) | Trackbacks (0)
あずさ「いえ~いっ!」
あずさ「いえ~いっ!」
あずさ「目覚ましで飛び起きて、笑顔で着替え」
・
・
・
あずさ「ふぅ……プロデューサーさん、どうでしたか?」
P「すごく上手でしたよ。亜美真美の持ち歌ですけど、これはこれでアリですね」
あずさ「ほかの曲のリクエストありますか?」
P「ん~と、それじゃあ……」
P「って、何やってるんですかね、俺たち。こんな夜中にカラオケとか……」
あずさ「すみません。付き合わせてしまって……」
P「いえ、かまいませんけどね。どうせ、俺も明日はオフ ですし……」
P「家の鍵を失くした?」
あずさ「朝、事務所に来たときはあったんですけど」
P「仕事から戻ってきたら、鍵がなくなっていた」
あずさ「はい……」
P「どこかで落としたのかもしれませんね」
あずさ「私もそう思って、探しに行こうと思ったんですけど……」
P「鍵を見つける前に、あずささんが迷子になってしまうでしょうね」
あずさ「はい……」
あずさ「自宅に……」
P「それじゃあ、あずささん今日は帰れないってことじゃないですか」
あずさ「えぇ! ぷ、プロデューサーさん、どうしましょう?」
P「どうしましょうって、普通に大家さんに連絡して開けてもらうしかないと思いますけど」
P「連絡先、知ってますか?」
あずさ「あっ……えっと」
Prrrrr Prrrrr
あずさ「……」
Prrrrr Prrrrr
あずさ「……」
P「出ませんね」
あずさ「……」
P「どうするつもりですか、これから?」
あずさ「う~ん。とりあえず……」
P「とりあえず?」
グゥ……
あずさ「夕飯を食べようと思います~///」
P「今日も忙しかったですしね」
P「いいんですか?」
あずさ「はい~。いつも一人で食べていますから、たまに誰かと一緒に食べたくなるんです」
P「あぁ~、わかります。そういう時ありますよね」
P「でも、本当に俺でいいんですか?」
あずさ「もちろんです。プロデューサーさんなら、大歓迎です~」
P「あっ、ありがとうございます」
あずさ「どういたしまして~」
P「すみません。俺の方がたくさん食ったのに割り勘にしてもらって」
あずさ「いいんですよ。プロデューサーさんは男の方ですから、たくさん食べて当然です」
P「それはそうでしょうけど……会計、別々でよかったんですよ?」
あずさ「私から誘いましたから」
P「まぁ、あずささんがそれでいいなら……」
あずさ「あの……プロデューサーさん。非常に申しあげにくいんですが」
P「はい」
あずさ「実は、私なにも考えていないんです~」
P「……それ、不味くないですか?」
あずさ「あら~、そうですか~?」
P「ごまかさないでくださいよ」
あずさ「それは……」
P「それは?」
あずさ「プロデューサーさんのことです」
P「……」
あずさ「……///」
P「食事中に話相手に意識が向くのは当然ですよね」
あずさ「は、はい。その通りです~」
あずさ「全然、不思議じゃありませんよね」
あずさ「そう言えば今の話からいくと、プロデューサーさんも私のことを考えていたんですか?」
P「そ、それは……はい」
P「本当にこれからどうするんですか?」
あずさ「う~ん。良い案が思いつきません」
P「いっそ、夜通し遊んだらどうですか。俺も友達とはしゃぎすぎて終電逃した時は、カラオケに行って朝まで歌ってましたよ」
P「まぁ、どっかのホテルで一晩過ごすのが一番現実的ですけどね」
あずさ「それです、プロデューサーさん!」
あずさ「違いますよ、プロデューサーさん。行くのは、ホテルじゃありません。カラオケです」
P「……マジですか?」
あずさ「大マジです~」
あずさ「家に帰れなくて、憂鬱なこの気持ちを歌でも歌って吹き飛ばしたいんです」
P(憂鬱って、とてもそうには見えないけど……)
あずさ「それなら問題ありません。明日は1日お休みなので」
P「それなら平気ですね」
あずさ「プロデューサーさん、一緒に来てくれるんですか?」
P「どうやってカラオケまで行くんですか?」
あずさ「あぅ……」
P「さっ、行きましょう」
ガシッ
あずさ「あっ……」
P「どうかしました?」
あずさ「いえ、何でもありません」
あずさ(気づいてないのかしら……)
あずさ(プロデューサーさんの手、大きいのね)
あずさ「プロデューサーさんも歌、上手ですね」
P「自分より遥かに上手い人に言われても、何だかなぁ……」
あずさ「あっ、プロデューサーさん。私の歌もありますよ!」
P「それはそうですよ。むしろ、ポジティブがあるのに9:02 PMがなかったら俺泣いちゃいますよ……」
あずさ「?」
P「あずささんには、明るくて元気な曲もいけるって話です」
P「今まで売り出した楽曲が楽曲でしたから、しっとりとした楽曲を歌うイメージがついてしまっていますから」
あずさ「ギャップのようなものでしょうか?」
P「そうです。これは、あずささんのプロデュースに新たな方向性が見つかりましたね」
あずさ「それ、面白そうですね」
P「お願い出来ますか?」
あずさ「はい、任せてください」
P「あずささんのソロライブですね。観客は俺だけですけど」
あずさ「ふふっ、それじゃあ今晩はプロデューサーさんのためだけに歌いますね」
P「うちのアイドルの楽曲、片っ端から歌いましたからね」
P「喉、大丈夫ですか?」
あずさ「水をたくさん飲みましたし、プロデューサーさんがくれたのど飴がありますから」
あずさ「ありがとうございます」
P「のど飴なんかで大げさですよ」
あずさ「そうですね。普段でしたら、お休みの時に散歩する時にしか来ませんし」
P「そういう時は、まだ太陽が昇っている時ですしね」
あずさ「とても静かですね……」
P「まぁ、時間が時間ですしね。俺たち以外、誰もいないと思いますよ」
あずさ「まるで世界に私達、二人しかいないみたいです」
あずさ「ロマンチックですね」
P「あずささんの相手が俺っていうのは、すこし絵的に釣り合いませんけどね」
あずさ「そんなことないです。プロデューサーさんは、十分素敵な方ですよ」
P「あずささんほどに綺麗な女の人にそう言ってもらうのは、男として誇らしいですね」
あずさ「そんな……綺麗だなんて……」
P「かわいいでも良いですよ?」
あずさ「……///」
あずさ「どうしたんですか、ベンチに座って」
P「いや、空が綺麗だったので……」
あずさ「隣、いいですか?」
P「いいですよ」
P「えぇ、そうですね」
P「そう言えば、貴音も星を見るのが好きだったけ……」
あずさ「むぅ……」
P「どうしたんですか、あずささん?」
あずさ「今は、私達二人しかいないんですから」
あずさ「他の女の子のこと考えたら、嫌です……」
P「これは失礼しました」
P「今は、俺とあずささんの世界なわけですからね。あずささん以外の人を想うのは、無粋でしたね」
P「すみません、気のきかない男で」
あずさ「私に気をきかせてくれませんか?」
P「……」
P「それって……」
グイッ
あずさ「あっ……」
P「こうやって、近くに肩を寄せ合っていいってことですか?」
あずさ「はい……」
あずさ「……」
P「あの……あずささん」
あずさ「……」
P「……あずささん?」
あずさ「スゥ……スゥ……」
P「寝ちゃったのか……こんな時間だしな」
あずさ(襲ってくれないかしら~)
P「あずささん、起きてください。こんな時期とはいへ、風邪引きますよ」
あずさ「んっ……んんっ……スゥスゥ……」
P「気持ち良さそうに寝て……」
P「あずささ~ん、起きてください。イタズラしちゃいますよ?」
あずさ(……っ!)
あずさ「んっ……」
P「……」
ツンツン……
P「柔らかいな……」
P「しかし……」
あずさ「……」
P「触っても起きないか」
あずさ(キスくらいしてくれないかしら~)
あずさ(えっ……えぇええ!)
P「あずささんの胸か……」
あずさ(お、襲ってほしいけど、む、胸!? そんないきなりですよ、プロデューサーさん!)
P「普段は見るだけで終わっている、あずささんの胸を触る……」
P「魅力的だ」
あずさ(……///)
P「よっ……」
ムニッ……
あずさ「んっ……んぅうんっ」
P「へぇ……」
ムニムニ……
あずさ(ぷ、プロデューサーさんの手が私の胸に……)
ムニッ……
あずさ「んっ……」
P「実にいいね」
P「でも……」
P「深夜の公園で、若い男が寝ている美女の胸を揉んでいる。しかも合意じゃない……」
P「通報ものだな……」
P&あずさ(誰も来ませんように……)
あずさ「んっ……」
あずさ(もう、ダメ……)
あずさ「うん、うんんんっ」
P「……っ!」
サッ……
あずさ「ぷ、プロデューサーさん」
P「ご、ご機嫌いかかが、あずささん?」
P(って、何言ってんだ俺)
あずさ「え、えっと……」
あずさ「とても気持ち良かったです……///」
P「えっ……」
あずさ「えっ……」
あずさ「や、やだ……私」
あずさ「……はい」
P「……」
あずさ「ぷ、プロデューサーさん、大丈夫ですか? 汗、びっしょりですよ」
P「そうですか……ハハハ」
あずさ「えっ、えぇええ! ぷ、プロデューサーさん!」
あずさ(土下座している……)
P「ほんの出来心だったんです。他意はなかったんです。しかたなかったんです。」
P「蝶が花に引き寄せられるように、俺の腕もあずささんの胸の引力に逆らうことができなかったんです!」
P「えぇ、それはもう……」
あずさ「なら、いいです」
P「えっ……」
あずさ「プロデューサーさん、顔をあげてください。私、怒ってなんかいませんから」
P「あずささん……」
P「そ、それは……」
あずさ「じぃ……」
P「まぁ……言わなくてもわかるじゃないですか///」
あずさ「い~え、わかりません」
P「あっ、あずささん!」
あずさ「ふふっ、どうなんですかプロデューサーさん?
あずさ「……」
P「あの、何か言ってもらわないと困るんですけど……」
あずさ「は、はい……その……」
あずさ「私も、あなたのことが大好きです。プロデューサーさん」
P「あずささん……」
ギュッ……
あずさ「プロデューサーさん……っ!」
P「すみません、強かったですか?」
あずさ「いいえ、このまま強く抱きしめてください」
あずさ「この瞬間を、喜びを、私の体に刻み込みたいですから……」
P「何ですか?」
あずさ「私、今日は家に帰れないんです」
P「そうですね」
あずさ「だから……」
P「あずささん」
P「俺の部屋、来ますか?」
あずさ「……」
あずさ「はい……」
P「んっ……朝か」
P「今日は休みだから、まだ寝ていられる」
P「あれ、なんで俺……裸」
P「あぁ……そうか。あずささんを部屋に連れて……」
P「俺があの時胸もんだのがすべての原因だったな」
P「まぁ、いいか……」
P「あっ、あずささん。おはようございま……」
P「……」
あずさ「どうしました、プロデューサーさん?」
P「いやっ、あずささん。その恰好は?」
あずさ「さすがに昨日の服を着るのは少し……」
P「そ、そうですか……」
あずさ「いけませんでしたか?」
P「い、いえ、構いませんよ」
P(俺のワイシャツ……狙っているようにしか思えない)
P「優雅なモーニングコーヒーになりそうですね」
あずさ「美味しく淹れられたかはわかりませんけど」
P「あずささんなら、心配していませんよ」
あずさ「プロデューサーさん……あっ、あの、洗濯の方も回しておきました」
P「何から何までありがとうございます」
あずさ「ふふっ、いいんですよ。私がプロデューサーさんのためにしてあげたいだけですから」
P「そうですね。特に何も考えていませんでしたね」
P「昨日、けっこう遊んだわけですし……今日は1日何も考えずダラダラするつもりですよ」
あずさ「そうですか。それなら私も、その……まだ痛くて」
P「だったら、横になっていればよかったのに……」
あずさ「プロデューサーさんに寝顔を見られるの恥ずかしいじゃないですか」
P「昨日、見せてましたよ」
あずさ「あれは寝たふりですから、カウントに入りません」
あずさ「そうですね。意外にいけるものなんですね」
P「あまり健康的とは言えませんけど」
あずさ「今度は散歩とか一緒に行きたいです」
P「これからそういう時間を作っていきましょう」
あずさ「私達、これからですね」
P「そうですね。お互い、まだ色々と知らないこととかありますから」
あずさ「はい……」
あずさ「それじゃあ、プロデューサーさん。また明日……」
P「えぇ、また明日。そいつ大事使ってくださいね」
あずさ「ふふっ、わかりました」
あずさ「そうですね。意外にいけるものなんですね」
P「あまり健康的とは言えませんけど」
あずさ「今度は散歩とか一緒に行きたいです」
P「これからそういう時間を作っていきましょう」
あずさ「私達、これからですね」
P「そうですね。お互い、まだ色々と知らないこととかありますから」
あずさ「はい……」
あずさ「それじゃあ、プロデューサーさん。また明日……」
P「えぇ、また明日。そいつ大事使ってくださいね」
あずさ「ふふっ、わかりました」
あずさ「うんっ……」
PiPiPiPi……Pi……
あずさ「う~ん、いい朝ね」
あずさ「何だかいつもよりぐっすり眠れた気がするわ」
あずさ「それって、やっぱり……」
あずさ「このワイシャツのおかげかしら?」
あずさ「こ、これが愛の力なのかしら……///」
あずさ「い、いけない。着替え、着替え!」
あずさ「ふふっ……」
・
・
・
あずさ「いってきます~」
P「あっ……」
あずさ「あっ、プロデューサーさん」
P「……こうして、改めて顔を合わせると少し恥ずかしいですね」
あずさ「そうですね。でも、プロデューサーさんに会えて、とても嬉しいです」
P「俺もですよ」
あずさ「プロデューサーさん……」
P「おはようございます、あずささん」
あずさ「……」
おはようございます。プロデューサーさん♪
fin
Entry ⇒ 2012.06.29 | Category ⇒ アイマスSS | Comments (1) | Trackbacks (0)
P「おい、鬼畜メガネ」律子「何ですか、スケコマシ」
軽口「2番の君達だ!気にいっちゃったよ、オレ!」ビシッ
真美「oh...」
真「やーりぃ!」グッ
響「やったぞー、プロデューサー!」
P「よくやった!作戦通りだったな」グッ
律子「……プロデューサー殿」
P「ん?」
律子「ちょっと、話があります」チョイチョイ
P「え、何が?」
律子「ボーカルとビジュアル担当の審査員を帰らせてしまうなんて……」
P「んー……まぁ、確かに?うちのユニットが音程とアピールのタイミングを外したりしたけども」
P「審査員に飽きられて帰らせちゃったってのは、俺達が直接的な原因じゃあないよね」
律子「ぐっ……そ、それは、そうですけど」
P「ボーカルとビジュアル面を相当アピールした律子達には、足を引っ張る形になって悪い事したと思ってるけどさ」
P「俺達にとっては、これは大きなチャンスな訳だよ。ま、今回は俺達の勝ちって事で一つ」
律子「ぐぬぬ……」ギリッ
P「……あぁ、挑戦ならまたいつでも受けて立つぞ?セ・ン・パ・イ」ヘラヘラ
律子「っ~~~~~~!」ムカムカッ
P「ただいま戻りました~」
小鳥「お帰りなさい、プロデューサーさん!」
小鳥「今日のオーディション、大成功だったようですね」
P「あはは……いや、偶々ですよ、偶々」
P「さてと、来月の流行に合わせて、取り寄せておいた衣装を確認して……」ゴソゴソ
P「あ、あれ?……小鳥さん、そこに置いてた紙袋、知りませんか?」
小鳥「あぁ、それならさっき律子さんが……」
律子「ええ。それが何か?」
P「ばっ……あ、あれは、来月用の大事なステージ衣装なんだよ!」
律子「あら、そうだったんですか?幼稚園服が入ってたものですから、てっきり古着かと思って」
P「あれはチャイルドスモックって衣装なの!男のロマンが詰まった衣装なんだよっ!!」
律子「……まぁ、衣装なんかに頼らなくても?そのプロデューサー殿の腕なら大丈夫ですって」
P「り、律子ォ……!」ギリッ
律子「それじゃあ私、仕事が残ってるので、これで」スタスタ
P「っ~~~~~~!」ムカムカッ
P「俺はこれまで培ってきたお前たちの実力を信じている。絶対に負けるな!」
真美「何か兄ちゃん、めっちゃ怒ってるっぽい……?」ヒソヒソ
響「エサ抜いた時のいぬ美と同じ目をしてるぞ……」ヒソヒソ
律子「いい?今日はあのプロデューサーが率いるユニットとフェス対決よ」
律子「あの卑怯者はどんな手を使ってくるか分からないわ、気をつけなさい!分かった!?」
亜美「よく分かんないけど、兄ちゃんと律っちゃん……ケンカ中?」ヒソヒソ
伊織「下らないわね。代理戦争でもしてるつもりなのかしら、まったく……」ヒソヒソ
小鳥「おかえりなさ……」
P「今日は俺達の勝ちだな、律子!」
律子「いいえ違います、私達の方が圧倒的に勝っていました。アンコールも受けましたし」
P「いいや、あれはうちがアンコールを受けたんだ」
律子「いいえ、あれは私達が」
P「………」
律子「………」
小鳥「(……何この空気……)」
律子「構いませんよ、結果は変わらないと思いますけど」
P「真、響、真美!今日やった奴をここでもう一回やるぞ!」
真「え、えぇ?」
真美「な、何それぇ~?」
律子「伊織、亜美、あずささん!このバカにはっきり分からせてやって!」
伊織「はぁ?」
あずさ「あらあら……」
小鳥「ちょ、ちょっと二人とも!落ち着いてください!」
P「事務所に私物、それも食べ物なんかを残しておく方が悪いだろ」
P「それよりもだ。そこに置いてあったXbox360のコード類諸々、一体どこにやったんだ」
律子「ちゃんと片づけましたよ。使わないのに出しておく方が悪いじゃないですか」
P「帰ったら遊ぶつもりだったんだよ!つーか勝手に人の私物に触るんじゃない!」
律子「あ、あなたが人のこと言えた義理ですかっ!?」
小鳥「あの、すいません。私を挟んで口喧嘩しないでもらえませんか」
小鳥「すごいツバ飛んでるんで。私に全部引っかかってるんで」ポタポタ
P「アーホ」
律子「死ね」
P「お前が死ね」
律子「いやプロデューサーが死ね」
P「いやお前もプロデューサーだから」
律子「あ?」
P「あ?」
小鳥「あの、私を挟んで罵詈雑言を飛ばさないでいただけませんか」
小鳥「私が言われてるようですごい不愉快です」
律子「……あんなの、フェアじゃありませんし。私は認めたくないですね」
律子「それにあんなアホな衣装を採用するだなんて、頭どうかしてるんじゃないですか?」
P「」カチン
P「アイドル崩れにプロデュース業の何が分かるってんだ」ボソッ
律子「っ!」
小鳥「!プロデューサーさん、それh」
パン
律子「……今日はこれで帰ります、お疲れ様でしたっ!」ダッ
伊織「ち、ちょっと律子!?」
小鳥「あっちゃー……」
真「あんな綺麗な平手打ち、見たことないや……やるなぁ律子」
亜美「……流石に今のは兄ちゃんが悪い」
響「……そだな」
律子「それじゃ小鳥さん、私出かけてきますね」
小鳥「あ、はい律子さん、行ってらっしゃい」
P「…」
伊織「互いに互いを無視する、夏なのに冷え切った日々が続いてるわね」
雪歩「じ、事務所の雰囲気が最悪です~……」
貴音「……困ったものですね」
千早「そうかしら。元々が競合相手だったのだし、いつこうなってもおかしくなかったと思うけれど」
やよい「例えそうだとしても、私は仲良くしてほしいです……」
美希「Zzzzz」
真美「亜美、準備は出来てる?」
亜美「モチロンだよ真美。ほら、律っちゃんの外出前に携帯、抜き取っておいたから」
伊織「?……あんた達、一体何してんのよ」
真美「この変態!ド変態!!変態大人っ!!」
伊織「!?」
亜美「……んっふっふ~、早速兄ちゃんに電話をかけるよ~」カチカチ
亜美「こ、これは……」
真美「律っちゃんの携帯、兄ちゃんの登録名が『クソ野郎』になってる……」
伊織「……根はかなり深いようね」
亜美「……出ないね」
真美「おかしいなぁ、さっき見た時は事務所で仕事してたんだけど……」
ガチャッ
P『……何だ』
亜美「あ、兄……コホン、プロデューサー殿ですか?」
P『俺の番号なんだから、俺が出るのは当たり前だろ……で、何の用だ?律子』
亜美「オッケィ、まずは第一段階突破……」ヒソヒソ
真美「真美達の十八番はモノマネだかんねー」ヒソヒソ
伊織「あんた達はそういう無駄な才能を磨く努力を、少しでもアイドル活動に向けなさいよ」
P『………』
亜美「プロデューサーが用意した衣装を捨てちゃって、本当にごめんなさい!」
P『……それで?』
亜美「あの……私と仲直り、してくれませんか?」
亜美「遊園地の一日フリーパス、取ってあるんですけど……今度皆がオフの時に、一緒にどうかと思いまして」
伊織「……何で仲直りに遊園地なのよ」ヒソヒソ
真美「え、ダメなの?」ヒソヒソ
伊織「ダメって訳じゃないけど……何か不自然過ぎて、逆に怪しまれるわよ」ヒソヒソ
亜美「今は仕事中なので、ちょっと手が離せませんけど……」
亜美「できればそこで、二人だけで……改めて、謝りたいって思ってるんです」
P『………』
真美「く、来るか……!」ドキドキ
P『ま、まぁ……別に、いいけど?律子がそこまでして、俺に謝りたいんなら……』
亜美「っしゃあ!第二段階クリアー!」ヒソヒソ
真美「兄ちゃんチョロいよ兄ちゃん」ヒソヒソ
伊織「……ヘタレね」
律子「ただ今戻りましたー」
あずさ「律子さん。はい、これ」
律子「あっ、私の携帯!……やっぱり事務所に忘れてきちゃってたんですね。どうもすみません」
あずさ「……あのー、律子さん?」
律子「はい?」
あずさ「プロデューサーさんが、律子さんにどうしても謝りたいそうで……」
律子「……謝りたいなら、本人がここに来ればいいじゃないですか」
律子「?」
あずさ「実はその件で、プロデューサーさんが遊園地に」
律子「ゆ、遊園地?」
あずさ「はい~、それで――」
真美「あずさお姉ちゃんの話なら、確実に聞いてくれるよね~」
亜美「これで第三段階もオッケィ!あとは……」
伊織「あとは?」
亜美「オラ達に、オラ達に力を分けてくれェ!」バッ
伊織「……ここで人頼みってわけ?」
亜美「遊園地に二人を連れてって、仲直りさせたいんだよぉ~」
真美「あんな兄ちゃんと律っちゃん、真美達もう見たくないんだよぉ~……お願いだよぉ~」グスッ
伊織「……バカね。あんた達だけで成功させられるなんて、ハナから思っちゃいないわよ」
真美「いおりん……」
貴音「ですから、わたくし達の手も使って、成功させなければなりませんね」
亜美「お姫ちん……!」
やよい「うっうー!絶対に成功させましょう!」
雪歩「わ、私も力になりたいです!」
千早「はぁ、まったく……しょうがないわね」
真「……遊園地、行ってみたかったんだよね~」
春香「一時は恋愛の神様と言われたこの私に万事任せなさい!」フンス
亜美「み、みんなぁ……」グスッ
真美「こ、心の友よぉ~」グスッ
美希「Zzzzz」
P「参った、参った……こんなに道が混んでるとは思わなかった」
P「(うっ……ホントに入口で待っててやがる。しかも俺より先に)」
律子「………」
P「……お、おはよう」
律子「……おはようございます」
P「(会話が続かん……つーか謝ってこないな)」
律子「(……いつ謝ってくるのかしら)」
やよい『二人は無事に合流して、遊園地内に入ってきました!どうぞー』
真美「んっふっふ~、いおりんのおかげで大規模な作戦ができそうだよ~」
伊織「……それはいいんだけど」
伊織「何であたし達全員、黒スーツにネクタイ締めて、サングラスまでかけなきゃなんないのよ」
亜美「遊園地や時代劇村でのターゲット追跡なら、この格好しかないっしょ?」
真美「お約束って奴だよ、いおりん」
律子「はい」
P「誘ってくれたのは嬉しいんだが、そろそろ本題に……」
律子「?……プロデューサーが、私に謝るために誘ったんじゃないんですか?」
P「は?何で俺がそんな事しなきゃなら……ん?」チラッ
やよい「!」ササッ
P「………」
律子「どうしました?」
P「……ちょっとそこで座って話そう」
P「ちょうどそこの植え込みの陰に隠れてる」ヒソヒソ
律子「な、なんであの子がここに……」ヒソヒソ
P「おかしいと思ったんだよなぁ、律子から謝ってくるだなんて」ヒソヒソ
律子「……それってどういう意味ですか」ヒソヒソ
P「俺達は多分、ハメられてる。あいつらがこういうことを仕組んだってトコだろう」ヒソヒソ
P「今日は都合よく全員オフだしな。伊織辺りも動いてるんじゃないか、多分」ヒソヒソ
P「仲の良いフリをして安心させて、適当にうまく撒いた後に解散するか」ヒソヒソ
律子「……結局、謝らない訳ですね」ヒソヒソ
P「何で俺が謝る必要があるんだ?謝るのは律子の方だろ」ヒソヒソ
律子「はいはい……じゃ、仲の良いフリ、しましょうか」ヒソヒソ
律子「ダーリンごめんねー、私が悪かったわー、和解の握手をしましょー」
P「あーはいはい俺も悪かったー、ごめんなー律子ー」
やよい「!」ガサッ
律子「ごっめんねー!素直じゃなくってー……っ」ギュウウウウ
やよい「!?」ガサガサ
亜美『やよいっち隊員ー、現況報告、どうぞー』ガガッ
やよい「あ、あの!急に謝って、急に仲良くなったみたいです!……どうぞー」
真美『……マジでか、どうぞー』
やよい「マジです、どうぞー」
伊織『怪しいわね……感づかれたかしら?』
亜美『やよいっち隊員、そのまま尾行を続けてくれたまえ、どうぞー』
やよい「うっうー!了解でーす、どうぞー」
律子「明敏なプロデューサー殿は、この場合どうするんです?」スタスタ
P「(まぁ、考えがない訳でもない、が……)」
P「よーし律子ー、あれに乗るかー」
律子「!……きゃーやだー、あれに乗るのー?私こわーい」
P「あぁそうだー、でも爽快だぞー」
亜美『こちら司令部、やよいっち隊員、何か異変が?どうぞー』
やよい「二人はどうやらアトラクションに乗り込むようです」
やよい「律子さんは怖がってるようです。私もアレに一緒に乗り込みます!どうぞー」
亜美「アトラクションねぇ。真美はどう思う?」
真美「うーん……乗り物で怖い、と言ったら絶叫系かなぁ?」
伊織「乗り物じゃなくて二人の様子の方が重要じゃないの?まったく」
亜美「?……でもさ、地図見る限り、やよいっちの周辺にジェットコースターはないっぽいよ?」
真美「じゃ、一番近いこの乗り物じゃない?フリーフォール系の絶叫マシーン」
伊織「ふ、フリーフォール系ですって!?」ガタッ
伊織「やよい、その乗り物には乗っちゃダメよっ!……やよい!?やよい、返事しなさいっ!!」
やよい『い、伊織ちゃん……高いよ……怖いよ……』ゴトンゴトン
伊織「や、やよい、落ち着きなさい!安全だからっ!しっかり目をつぶってっ!!」
やよい『高い、怖い、怖い高い、怖い高い怖い怖いやあああああぁぁぁぁぁぁああぁぁぁあ』
ブツッ
亜美「………」ゴクリ
伊織「や、やよいぃぃぃぃぃ!」ダッ
真美「あぁっ、いおりん!?」
ざわ…… ざわ……
P「……許せ、やよい」
律子「呆れた。高所恐怖症だって、知ってて選んだんですね……最低」
P「じゃあどうすればよかったんだ。こうでもしないと、どこまでも付いてくるだろ」
P「他に案があったんなら、こうする前に是非出してほしかったもんだね」
律子「………」
伊織『……やよいは医務室に連れていったわ』
伊織『あたしはやよいに付き添うから、あとはあんた達でやりなさい』
真美「やよいっち、無茶しやがって……」
『……伊織お嬢様、シートの掃除は……』ザザッ
伊織『っ!あたしに聞かなくてもそれ位やっておきなさいよ、このバカッ!!』
伊織『……しばらくこの乗り物は運休よ!いいわねっ!!』
『……かしこまりました』
亜美「oh.....」
亜美「そうだね、真美……で、二人が向かった先に今一番近いのは」
春香『見つけました!プロデューサーさんですよ、プロデューサーさん!』ザザッ
美希『あふぅ……なんでこんな暑いのに、こんな格好しなきゃいけないの?』
真美「はるるんとミキミキだね!」
亜美「ミキミキは正直当てにしてないけど、はるるんならバッチリお仕事してくれるって信じてるよ!」
美希「っていうか、何でハニーが律子と一緒にいるの?」
春香「ちょっ、美希!ちゃんと隠れてよ!」コソコソ
P「リボンを外せばバレないとでも思ったのか、あいつは?……まったく」
律子「美希に至っては隠れる素振りもありませんね」
P「で、どうするよ?」
律子「……それじゃあ、無難にコーヒーカップにでも乗りましょうか、ダーリン」ギュッ
美希「!」
P「ん?……あ、あぁ、そうだな」
美希「………」ギリッ
P「……こんな歳になっていざ乗ってみると恥ずかしいな、これ」
P「テーブル回せば回転するんだっけ?ガキの頃はよく乗ったし、懐かしいなぁ」クルクル
律子「遊んでないで、ちゃんと私に協力してくださいよ。もっと寄ってください」
P「ん?……こんな感じで、寄ればいいのか?」スススッ
律子「そうです。もっと近くに、カップル風に装って……手を、重ねてください」スススッ
P「………」
美希「は、ハニーが……律子と、一緒に……」
春香「何だかちょっといい雰囲気かも……?」
美希「痛いよ……胸の奥が、ズキズキする……」グルグル
春香「美希?」
美希「どうして?……何で、こんなに痛むの……?」グルングルン
春香「……あの、美希?わ、分かったから、それ以上テーブル回さないで?」
美希「何でミキはハニーの隣にいないの?」グルングルングルン
春香「ちょ、やめっ!回すの、やめて美希っ!聞いてる!?」
美希「……何でミキは、春香なんかと一緒にこんなのに乗ってるのっ!?」グルグルグルグルグル
春香「ひゃぁぁぁぁぁぁあああっ!!?」
美希「うっぷ……」グッタリ
P「美希に嫉妬させて自滅させるとは、やる事が下衆いな」
律子「お言葉ですけど、プロデューサーがアイドルと関係を持つ方が問題でしょう?」
律子「そういうのは風当たり、強いんですから。火遊びは厳禁ですよ」
P「……じゃあ聞くが、律子は男相手に、いつもこういうカマをかけてるのか?」
律子「まさか」
P「………」
律子「………」
亜美「怪しいけど、ここまでは普通にデートしてるっぽい感じではあるよね」
真美「お姫ちん、兄ちゃん達の行く方向に誰かいない?」
貴音『響と真の二人が、丁度近くにいるようですが……』
響『真ー!プロデューサーがこっちに来るんだってさー!』
真『えへへへへへ……』
亜美「!?」
真美「まこちん……?」
響「……なぁ真ー、まだ乗る気なのかそれにー?」
真「うるさいなぁ、フリーパスなんだから何回乗ったっていいだろー?」
響「でも、それメリーゴーラウンド……」
真「メリーゴーラウンドで楽しんで一体何が悪いのさ?」
響「いや、そういう訳じゃないけど……ほ、ほら、プロデューサーと律子がー」
真「ボクは満足するまで絶対ここを動かないからな」ギュッ
真「ここで一生分、楽しんでやるんだから……」
亜美「まこちん……メリーゴーラウンドに魂を引かれたか」
真美「と言うか、一人だけ普通に満喫するつもりだよね……こりゃバターになるまで帰ってこないね」
亜美「となると、ここで頼れるのは、ひびきんしかいないかぁ」
響『えっ……自分だけか?』
真美「全てはひびきんの肩にかかってると言わざるを得ないね」ウンウン
亜美「ひびきんには期待してるよ、超頑張って!」
響『ま、任せろ!自分、完璧だからなー!』
絶 対 に だ
律子「結構厄介なんじゃないんですか?撒くのは」
P「まぁ、そうだな。そんじゃここは一つ、頭を使うとしますか」
律子「頭を……?」
響「今頼れるのは、自分しかいない……」
響「園の外にいるハム蔵達に笑われないように、頑張って追跡するぞー!」サササッ
響「あいたっ……!」
響「うぅぅ、また鏡にぶつかったぞ……」サスサス
響「プロデューサーと律子は、どんどん先に行っちゃうし……」
響「一体何なんさー、このアトラk」
ゴンッ
響「はうっ!?」
P「遊園地っつったら、ミラーハウスだよなぁ」スイスイ
律子「よく道順、分かりますね」
P「前を見るな、下を見ろってね。鏡と床の継ぎ目があったりするんだよ」
律子「……それはそうと、響はわざわざここに入らなくても、出口で待ってればよかったんじゃ……」
P「そこまで考えが至らないのが響なんだよ。俺はそういうトコも含めて好きだけどな」
亜美「あ、あれ?ひびきんは?」
響『グスッ……ど、どっちから入ってきたんだっけ……』
真美「……ひびきん?」
響『!……な、なんでもないぞ!こっちはなんくるない、なんくるないさー!』ブツッ
亜美「あっ、切れちゃった……」
真美「……ひびきんも案外頼りにならなかったね~」ヤレヤレ
亜美「まぁ、ひびきんだししょうがないよね~」ヤレヤレ
亜美「あ、あずさお姉ちゃんからだ」
あずさ『プロデューサーさんと、律子さんの姿を確認しました~』
真美「あずさお姉ちゃんが、ターゲットを捕捉した、だと……!」ガタッ
亜美「い、今二人はどこに向かってるの?」
あずさ『えっと~……何だか、黒い建物の方に向かってるようですね~』
亜美「黒い建物……んっふっふ~、これはチャンス到来ですな」
真美「あずさお姉ちゃんは、そのまま二人を尾行して!」
あずさ『了解で~す』
亜美「さっそくあそこで準備してる二人に、連絡を取らないとね~」
律子「そのようですけど……何か?」
P「どうもおかしい。いくら撒いても、俺達の行く先が向こうには分かっているようだ」
律子「つけられる前から、監視でもされているとか?」
P「それは分からんが……撒かれても大丈夫なようにしてはいるようだな」
律子「ま、それはおいおい考えるとして。こっちですよ、ダーリン」
P「……なぁ、その『ダーリン』は何とかならんのか」
律子「……私だって好きで呼んでる訳じゃないです。フリですから、フリ」
千早「入ってきた辺りで速攻脅かして、二人が恐怖を抱くことで吊り橋効果を狙う、ねぇ」
千早「……本当にそんな上手くいくのかしら?」
亜美『絶対に上手くいくって~』
真美『これでオチないカップルはいないって、はるるんも言ってたしね』
千早「だから不安なのよ……はぁ」
あずさ『こちらあずさです、プロデューサーさん達が中に入りました~』
雪歩「よ、よ~し……気合入れて、脅かすぞぉ~」ドキドキ
千早「……萩原さんは逆に脅かされそうね」
千早「準備はいいわね、萩原さん」
雪歩「ミスミスミスター、ドリドリラー……ミスミスミスター、ドリドリラー……」
千早「な、何、その呪文は……?」
雪歩「じ、自信をつけるおまじない……かな」
カツーン カツーン
千早「(今だっ……!)」ダッ
千早「んあぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!」ガバッ
雪歩「お、おばけだぞーっ!?」ガバッ
「……ふぅ」パタリ
雪歩「ち、千早ちゃん!……こ、この人、あずささんだよ!」
あずさ「」
千早「え、えぇー……な、何であずささんがプロデューサーより先に……」
カツーン カツーン
雪歩「だ、誰か来たみたい……」
千早「ち、ちょっと、このあずささんはどうするの!?」
雪歩「……と、とりあえず、隠しましょう!」ズルズル
律子「プロデューサーがトイレに行ってる間に、あずささん、勝手に入って行っちゃいましたけど」
P「えっ、そうなの?」
律子「……お化け苦手なのにこんな所にホイホイ入っちゃって、大丈夫だったかしら」
P「その割には、姿を見かけないが……?」
律子「持ち前の迷子スキルで、もう外に出ちゃったのかもしれませんね」
千早「な、何で脅かす側なのに、私達が隠れなきゃならないのよ……」ヒソヒソ
雪歩「だ、だって……あずささんを脅かして気絶させたなんて、千早ちゃんは言える?」ヒソヒソ
千早「……まず怒られるわね。『真面目なお前達まで一体何やってんだ』って」ヒソヒソ
雪歩「グスッ……や、やっぱり、私には脅かすなんて無理だったんだ……」ヒソヒソ
律子「はぁ?何で私がプロデューサー殿の前で怖がらなきゃいけないんですか?」
P「……そんなんだから可愛くないんだよ」
律子「えぇそうですねどうせ私は可愛くないですよ。大きなお世話です」
P「……ストップ」
律子「?」
P「右斜め後方、フードコーナー。テーブル席の着ぐるみ」
律子「着ぐるみ?……あっ」
「………」チュルチュル
「ふぅ……まこと、美味でした」ゲプー
律子「……どうするんです?」
P「どうするもこうするも、やることは一つだ」
P「おーい、貴音ー!」
貴音「!……な、なぜわたくしだと……!?」
P「俺達に追いついてこれるかー?」グイッ
律子「えっ、ち、ちょっと!?」タタッ
貴音「こ、ここで二人を見失う訳には……!」キュッポキュッポキュッポキュッポ
律子「一体どこまで走るつもりなんですか、もう!」
P「んー、園内を半周程すれば、諦めるかな」
律子「へ?」
P「こんなクソ暑い日にメシを食った直後、ブ厚い着ぐるみを着て走ればどうなる?」
律子「……あっ」
貴音「コヒュー……コヒュー……」ダラダラ
貴音「………」ヨタヨタ
バタリ
亜美「お、お姫ちぃぃぃぃんっ!!」
真美「お姫ちんまでダウンしちゃったか~……」
亜美「……どうやら、覚悟を決める時が来たようだね、真美」
真美「そうだね。やっぱり真美達じゃないと、ここはしまんないかな~」
亜美「お姫ちんが亜美達に託してくれたものは、無駄にはしないよ!」
真美「んっふっふ~、律っちゃん達は流石に気づいてないよね~」
亜美「撒いて逃げてるつもりが、実はその場所に追い込まれてた、なんてね~」
真美「兄ちゃん達が向かった先は、この遊園地内最大にして最高のスポット……!」
亜美「亜美達の戦場は、観覧車にあり!いざ、出撃ィ!!」
P「ま、ここなら周りに気を使わなくていいしな。勘違いするなよ?」
律子「ハッ、誰が勘違いするもんですか」
P「…」
律子「…」
ガコォン
P「!?」グラッ
律子「な、何!?」フラッ
『ただ今観覧車にて、電気系統のトラブルが発生いたしました~』
『再稼働するまで約一時間程、お時間をいただきますようお願い申しあげま~す』
律子「わ、私の声……!?」
P「こ、このふざけた調子……まさか、あいつらの仕業か?」
職員「き、君達、こんな事をしてタダで済むと……!」
亜美「いーからいーから、亜美達は水瀬財閥の関係者なんで~」
職員「えっ」
真美「そうそう、責任はす・べ・て水瀬財閥が取りますので~」
中川コンツェルンの関係者だ、みたいな。
P「履歴に残ってるはずだぞ。まぁ、うまく真美達に騙されたみたいだなぁ」
律子「……置き忘れたと思ってたあの時にやられたみたいね。迂闊だった……」
P「で、ここまでして律子と俺との時間を作りたい理由、原因は……」
律子「………」
P「………」
律子「……はぁ。何だか、どうでも良くなっちゃった」
P「あいつらを心配させるほど、ここまで引っ張る事じゃなかったよな……」
律子「あんなにムキになってた自分が、バカみたいです」
律子「えっ?」
P「アイドル崩れだなんて言って、さ。本当にすまなかった」
律子「あ……そ、その事はもう、気にしてませんから」
P「そ、そうか……」
律子「……私も、プロデューサーの衣装を勝手に、捨てた、なんて言ったりして」
律子「ホントはそんな事してないのに、何だか意地悪してみたくて……つい」
P「す、捨ててなかったのか……?」
律子「最初はそっちが謝るなら、返してやろうかなって……今思えば、本当に幼稚でした」
律子「……プロデューサー、ごめんなさい」
P「あっ……お、俺もな、そんなに怒ってないから。うん」
「「………」」
亜美「あ、降りてきたよ!」
P「よう、お前ら」
真美「兄ちゃん、律っちゃん!」
亜美「仲直り……できた?」
律子「えぇ、まぁね」
P「お前らには心配掛けたようで、悪かったな」
真美「ホントに?ホントにもう喧嘩しない?」
P「あぁ、もちろんだ」
律子「約束するわ」
亜美「――こうして、亜美達は律っちゃん達を仲直りさせることに大☆成☆功し」
真美「その栄光を讃え、真美達は兄ちゃん達にパフェを奢ってもらえる事になっ」
P「で?これは一体何の騒ぎなんだ?説明してもらえるかな、二人とも」
真美「あ、あれ……?」
亜美「ま、まっすぐを流したのに、ハッピーエンドにならない……!?」
律子「なる訳ないでしょう?あんた達にはたぁっっっっぷりと聞きたい事があるんだから」
亜美「……たった一つだけ策はある!とっておきのやつだ!」
真美「そ、その、策は……!?」ゴクリ
亜美「フフフフ……逃げるんだよォォォーッ!」ダッ
真美「あぁっ!ま、待ってよ、亜美ィ~!!」ダッ
律子「くぉらぁぁぁ!待ちなさぁぁぁぁいっ!!」ダッ
P「……ま、一件落着、とはいかないよなぁ」
prrrr prrrr ピッ
P「はい、もしもし」
響『グスッ……エグッ……ぷ、ぷろ゙でゅゔざぁ゙……だずげでぇ゙……』
P「えっ」
おわり
ガターン
小鳥「全員オフで仕事ないからって事務作業全部私に押しつけて行きやがってぇぇぇぇぇっ!!」
ガチャーン
小鳥「私のアフターファイブを返せよっ!返しなさいよぉぉぉぉぉっ!!」
バリーン
小鳥「はぁっ、はぁっ……もうキレた、もーキレた!」
小鳥「私をキレさせたら大したもんですよ、そりゃね!でもハイ、もうキレました!もう遅いっ!」
小鳥「こうなったらストですよ、スト!事務員の待遇改善を求めて訴えてやりますっ!!」
高木「残業お疲れ様、音無君。今日は私のおごりで一杯、どうかね?」
小鳥「はい、社長!是非ご一緒させていただきますっ!」
この話で一番かわいかったのは響
異論は認めない
Entry ⇒ 2012.06.28 | Category ⇒ アイマスSS | Comments (0) | Trackbacks (0)
貴音「あぁっ!あなた様っ!あなた様ああぁぁぁっ!」
P「貴音っ!」
貴音「あなた様…?どうか…されたのですか?」
P「たっ…貴音っ!貴音っ!」ガッシ
貴音「あなた様…!?」
P「貴音っ…!た、貴音!貴音ええぇぇ!!」
貴音「あっ…!い、いけません…あなた様っ…!」
P「たった貴音!先っちょだけだから!先っちょだけだからなぁ貴音!!」
貴音「そんなっ…!先っちょだけだなんてあなた様っ…!いけずですっ!いけずですぅっ!!」
P「たかねえええええぇぇぇぇ!!!」
貴音「あなたさまああああああぁぁぁぁぁっ!!!」
貴音「…」
貴音「……」
貴音「………」
貴音「夢、ですか…」
貴音「…」
貴音「め、面妖な…///」
貴音「なぜ今朝はあのような夢を…」
貴音「おかげで今日の仕事は半ば上の空でした…」
貴音「…」
貴音「いこんなことではいけません…」
貴音「故郷の者にも示しがつきませんね…」
貴音「このような浮ついた心では…」
貴音「お疲れ様です…おや?」
シーン
貴音「どなたも戻っておられないのでしょうか…」
貴音「しかし明かりが…?」
貴音「これは…」
貴音「あの方の上着…ですか」
貴音「……」
貴音「………」スッ
貴音「…はっ」
貴音「い、いけませんこのような……」
貴音「こ、故郷の者達にも、示しが…っ」ギュ
貴音「あ、あああっ…」
貴音「す、少しぐらいであれば…」
貴音「…」スンスン
貴音「あなた様…///」クンカクンカ
貴音「はぁ…///」スーハースーハー
ガチャバタン
P「お、なんだ貴音戻ってたのか」
貴音「な、何奴ううぅぅぅ!!」バッサァ
P「!?」
P「ど、どうした貴音!」
貴音「い、いえその…」
貴音「む…虫が…」
P「虫?」
貴音「は、はい、虫なのです」
P「そうかぁ最近暑くなってきたからな…」
貴音「はい、そうです。虫がいたのです」
貴音「?」
P「真も虫が苦手だよなぁ」
貴音「真も…確か、そうでしたね」
P「この間の話なんだけどな、写真撮影でスタジオに入ったんだけど…」
貴音「はい」
P「そのスタジオが結構古くてな、撮影中にゴキブリが出てな…」
貴音「まぁ…」
貴音「…」
P「か、カメラマンの人もwww笑っちゃってwwwww」
貴音「……」
P「真なんてもうwww真っ赤になっちゃってwwwww」
貴音「………」
P「いやー…あの時の真は可愛かったなwwwww」
貴音「…!」
P「貴音?」
貴音「あなた様は…」
P「?」
貴音「やはり真のような…元気な…」
P「真?」
貴音「い、いえ…それでは、私はこれで…」
P「あれ?帰っちゃうのか?一緒に飯でもどうかと思ったんだけど」
貴音「お供いたします…!」スッ
P「お、おう」
貴音「…」
貴音「はぁ…」
貴音「いけませんね…あのような言葉に心乱されるとは…」
貴音「…心」
貴音「いけません…そもそもそのような想いなど…私には…」
貴音「おはようございます…」
シーン
貴音「おや…誰も居ないのでしょうか…」
貴音「しかし鍵は…無用心な…」
貴音「…?」
貴音「これは…」
貴音「あの方のこーひーかっぷ…」
貴音「………」スッ
貴音「は」
貴音「い、いけません…私は何を…」
貴音「破廉恥な…」
貴音「…」
貴音「……」
貴音「………」ちゅ
貴音「!?」
P「お?なんだ貴音、来てたのか。おはよう!」
貴音「面妖なああああぁぁぁぁっ!!」ガシャーン
P「!?」
P「た、貴音!大丈夫か?」
貴音「も、申し訳ありません…」
P「いいから、怪我は!?」
貴音「い、いえ…私は大丈夫です…」
P「そっか、よかった…」
貴音「申し訳ありません…あなた様のこーひーかっぷを…」
P「いや、貴音に怪我がなければそれでいいんだ」
貴音「あなた様…」キュン
P「いやいや俺がやっておくよ」
貴音「しかし、それでは…」
P「いいっていいって、アイドルに怪我させちゃったら大変だからな」
貴音「アイドル…ですか…」
P「あぁ」
貴音「…」
P「…?貴音?」グサ
貴音「あっ」
P「ぐああああああああ!!」ブシャー
貴音「あっあなた様ああぁぁぁっ!!」
貴音「あなた様っ…」
P「いやちょっと切っただけだから、そんな顔しなくても」
貴音「あなた様、傷を…」キュ
P「貴音?」
貴音「ん…」ちゅ
P「」
P「たったかったかか」
貴音「………」チュパ
P「な、何もそこまでしてくれなくても…」
貴音「…っ…はぁ…」
P「…」ゴクリ
貴音「こーひーかっぷの、お詫びです…」
P「た、貴音…」
貴音「あなた様…」
P「貴音…」
貴音「あっ…あなた様…」
ガチャバタン
響「はいさーい!!」
貴音「し、痴れ者おおおおぉぉ!!」ズザザザザ
P「うおおおおおおおぉぉぉ!!」ガッシャアァァァ
響「!?」
貴音「響っ…!……ひびきっ!!」
響「!?」
貴音「はぁ…また、あのような事を…」
貴音「いけません…私は…」
貴音「はぁ…」
貴音「今日こそは、しっかりと気を持ちませんと…」
ガチャ
貴音「お疲れ様です…」
P「Zzzz…」
貴音(あああぁぁぁああっぁぁあぁぁ…)
P「Zzzz…」
貴音「はっ……」
貴音「あなた様、この様な場所で眠られてはお体に障ります…」ユサユサ
P「んん…」
貴音「あなた様…」
P「…ん…たかね…」グイ
貴音「あっ…!?」
貴音「あんっ…あなた様…っ」
P「んんん…」ガッシ
貴音「あぁっ…いけませんあなた様っ…このような…困ります…」
P「んー…」ナデ
貴音「ふぅっ…」
小鳥「…」
貴音「…」
P「Zzzz…」
小鳥「…」パシャ パシャッ
貴音「」
貴音「小鳥嬢…!!」
小鳥「貴音ちゃん、かわいかったわあぁ!」
P「す、すまん貴音…!」
貴音「小鳥嬢!!」ガッシ
小鳥「ひい!すいませんごめんなさい!」
貴音「や、焼き増しを…!」
小鳥「」
貴音「はぁ…」
貴音「はぁっ……」
貴音「ふぅ………」
貴音「まさか…この様な…」
貴音「…はぁ」
貴音「…今日の仕事は、何でしたでしょうか?」
貴音「写真撮影…ですか」
貴音「私一人、ですね…」
カメラマン「いいわぁ~ん!貴音ちゃん!」パシャ
貴音「ふふ、ありがとうございます」
カメラマン「次はもっと、こう…こう…!」パシャ
貴音「こう…でしょうか?」
カメラマン「イイ!いいわぁ~!首ちょっとこう…そう!イイわぁ~!!」パシャパシャ
貴音「…」
カメラマン「表情ちょっと…そう!そう!イイわぁ~貴音ちゃんすごくイイわぁ~!!」パシャシャシャシャ
貴音「ふふ…」
カメラマン「じゃ次はちょっと色っぽくしてみましょうかぁ!!」
貴音「も、もうしわけございません…」
カメラマン「いいのよいいのよ~ん!でも困ったわねぇ~…」パシャ
P「お疲れ様でーす」
貴音「!?」
カメラマン「あらPちゃん、今日は来れないんじゃなかったのん?」
P「えぇ、ちょっと時間空いたんで、貴音の様子を見に…」
貴音「あなた様…」
P「調子はどんな感じです?」
カメラマン「それがねぇ…ン?」
貴音「………」
貴音「はい…」
カメラマン「すごくいいわぁ!大人よ!大人よおおぉぉン!!」パシャシャシャシャ
貴音「ふぅ…」
P「…」
カメラマン「ちょっとPちゃん前かがみになってないで!ちゃんと貴音ちゃんの視界に入るのよ!」パシャシャシャシャ
P「ちょwww」
貴音「あ、あなた様…///」
カメラマン「うおォン!!いいわああぁぁぁ!!貴音ちゃんいいわああぁぁぁん!!」パシャシャシャシャ
貴音「昨日は良い仕事をさせて頂きました…」
貴音「このような想いが、仕事に役立つことがあるのですね…」
貴音「しかし…」
貴音「この想いは…」
ガチャ
貴音「お疲れ様です…」
P「お、貴音か。お疲れ」
貴音「あなた様…」
貴音「あなた様…お疲れですか?」
P「ん?あぁ、事務仕事は肩に来るなぁ…最近肩こりがな」
貴音「……」
貴音「よろしければ、肩でもお揉み致しましょうか?」
P「いや、アイドルに肩を揉ませるのも悪いよ」
貴音「良いのです…あなた様には、この所ご迷惑をお掛けしておりますし…」
P「う、うーん…じゃあお願いするかな…」
貴音「はい…!」
P「あぁ、いい感じだ。結構うまいんじゃないか?」
貴音「ふふ、そうでしょうか…」
P「アーソコソコ…」
貴音「…」
P「…」
貴音「…はぁ」スンスン
P「…?」
貴音「…ふぅ」クンカクンカ
P「た、貴音?」
貴音「あなた様…」キュ
P「!?」
貴音「あっ…」
P「ありがとうな貴音!」
貴音「いけずです…」
P「それじゃあお返しに貴音の肩も揉んであげようかな!」
貴音「!」
P「なーんて…」
貴音「お願い致します」
P「えっ」
貴音「ご迷惑じゃなければ、ですが…」
P「お、おう」
貴音「はい…」ギッ
P「…」
貴音「…」
P「た、貴音…?」
貴音「はい、あなた様…」
P「なんで俺の膝の上に座るの…?」
貴音「あ…申し訳ございません…」
貴音「重かった…でしょうか?」
P「い、いや重くはないんだけどな?」
貴音「それでは…」
P「たっ…対面…!?」
貴音「どうでしょう、あなた様………」
P「こっ…これはちょっと…」
貴音「えぇ…確かに少し…不安定ですね…」
貴音「あなた様…私の腰を支えていただけますでしょうか?」
P「えっ」
貴音「あなた様…っ」
P「」ムニ
貴音「あっ…」
貴音「あ、あなた様…そこは…」
貴音「お尻です…///」
P「す、すいません」
貴音「まぁ…私としたことが…」
P「お、おう」
貴音「では…失礼ながら、私があなた様の首に手を回しますので…」スッ
P「」
貴音「あなた様…それではお願いします……」
P「お、おうおう…」ムニ
貴音「…んっ」
P「ど、どうだろう貴音…」ムニュニュ
貴音「あなた様っぁ…そこは…」
貴音「胸です…///」
P(間違えた)
貴音「いえ…良いのです…」
P「たっ…貴音…」
貴音「あなた様…」
P「貴音…」
貴音「あなた様ぁ……」
P「貴音…っ!」ガタ
貴音「あ、あぁっ…!あなt
ガチャバタン
響「はいさーい!自分、我那覇響!!」
P「う、うおおおぉぉぉぉ!!!!」ゴロゴロゴロゴロガッシャアアアァァァン
貴音「あっあなたさまあああぁぁぁぁぁっ!!!」
響「!?」
貴音「ひびきっ…!あ、あぁ…ひびきっ……!!」
響「!?」
楽屋
貴音「はぁ…」
貴音「まさか…あのような事をしてしまうとは…」
貴音「はしたない女だと、思われたでしょうか…」
貴音「ふぅ…」
貴音「あなた様…私は…」
貴音「苦しい、です………」
コンコン
貴音「…!」
貴音「…ど、どうぞ!」
貴音「あ…」
涼「?」
貴音「秋月涼…本日は、お疲れ様でした」
涼「はい…貴音さん、誰か待ってるんですか?」
貴音「い、いえ…」
涼「それじゃ、時間があったらですけど、どこかで夕飯でもどうでしょう?」
貴音「お供いたします…!」スッ
涼「あはは…」
店主「はい銀月のお嬢、お待ちどう」ゴト
貴音「ありがとうございます…」
店主「はいおじょ…兄さん、お待ちどう」ゴト
涼「は、はは…じゃ、いただきます」
貴音「いただきます…!」
涼「ん…」ハフハフ
貴音「…」ジュルルルズバッズゾゾゾゾ
涼「」
涼「えぇ、お陰様で」
貴音「それは何よりです…」スババババ
涼「沢山の人に迷惑を掛けてしまいましたからね…その分、頑張ります」
貴音「…桜井夢子とも、順調なのですか?」ズルル
涼「ぶばッ!」
貴音「おや…どうしました?」
涼「げほっ!げほげほっ…!どっ…どうして、それを…」
貴音「さて…どうしてでしょうね?」
涼「う、う…はは、まぁ…順調、なんでしょうかね?」
貴音「それは僥倖…」
涼「あ、あはははは…」
貴音「?」
涼「さっき、楽屋で。誰かを待っているように見えましたから…」
貴音「そう…でしょうか………?」
涼「えぇ、だって貴音さん。訪ねて来たのが僕だとわかって、すごい残念そうな顔してましたよ?」
貴音「も、申し訳ありません…他意はないのです…」
涼「あはは…いえ、大丈夫です…」
貴音「ただ…」
貴音「ただ、私は………」
涼「…?」
貴音「いえ………店主、替え玉を」
店主「はいよ」
涼(まだ食べるんだ…)
貴音「…?」ズゾゾゾゾ
涼「でも、…ちゃんと、言いたいですよね…」
貴音「そう…そうですね…」
涼「言わなくても、伝わることっていうのはありますけど…。それでも」
貴音「涼…あなたはしかと、誰よりも強く言葉として伝えたではありませんか」
涼「…そうでしょうか?」
貴音「えぇ、あなたの言葉は、伝わっていますよ」
涼「ありがとうございます…」
涼「貴音さんも、伝わるといいですね?」
貴音「………そう、ですね…」
涼「はい」
貴音「………店主、替え玉を」
店主「はいよ」
涼(まだ食べるんだ…)
『秋月涼!四条貴音と深夜のラーメンデートか!?』
貴音「!?」
貴音「あ、あなたさまあぁぁぁぁっ!!」
P「お、おう、貴音か」
小鳥「おはよう貴音ちゃん」
貴音「あなた様っ…!これは、これは違うのです!」
P「お、おう」
小鳥「貴音ちゃん、さっき876の石川社長さんから電話があったのよ」
貴音「そ、そうですか…」
P「…本人も否定してる。迷惑掛けて申し訳ない、とさ」
貴音「そ、そうでしたか…申し訳ありません、取り乱しました…」
貴音「申し訳ありません…私は、そのようなつもりは…」
P「お、おう…」ホッ
貴音「わ、私は…わたくしは…あなた様っ……」
P「……っ」
P「あ、アイドル…だもんな?」
貴音「…!!」
P「うん」
貴音「そうですね…私は…」
小鳥「…」
響「…」
響「プロデューサー」
P「お?響、来てたのか」
響「あんまりだぞ」
貴音「響…」
響「ひどすぎるぞ!」
P「…」
響「うぅ、でも…」
貴音「良いのです…ありがとう、響…」
響「うぅぅ…」ギュ
P「…」
貴音「もう、こんな時間ですね…」
響「…」
貴音「それでは…私は仕事に参りますので…」
P「…」
小鳥「プロデューサーさああぁぁぁん!!」
響「プロデューサーああぁぁぁ!!」
P「!?」
小鳥「もおおおおおおおおお!!」
響「プロデューサーにはがっかりだぞ!!」
P「い、いやっ…俺は…」
小鳥「プロデューサーさんにはがっかりです!!」
響「見損なったぞ!ハム蔵のうんこ以下だぞ!!」
P「うんこ!?」
P「…」
P「………」
P「貴音、遅いな…いつもはこのぐらいに…」
ガチャバタン
P「!?」
社長「…」
P「あ…社長…!お、お疲れ様です」
社長「うむ…」
社長「四条君は?」
P「え、えーっと…まだ、連絡はない、ですね…」
社長「ふぅむ…困ったものだねぇキミぃ」
P「も、申し訳ありません…本人には、強く言っておきますので…」
社長「…キミに言ってるんだがね?」
P「…え?」
P「…」
社長「アイドルは確かに『アイドル』としてあるべきだ」
社長「だがね、そのアイドル自身がだね」
社長「アイドルであることが、彼女の幸せを奪ってしまうのであれば」
社長「それはちょっと、違うとは思わないかね?」
P「…」
社長「不幸なアイドルなんて、誰が見たいと思う?」
P「…」
社長「…ふぅむ、あぁそうそう、雨が降ってきた様だよ」
P「…」
社長「ふぅ…」
小鳥「しゃっちょおおおおおぉぉぉ!!」
響「しゃちゅおうううううおうおう!!」
社長「おや?いたのかねキミたち」
小鳥「社長!いつになくかっこいいですううぅぅ!!」
響「社長見直したぞ!!ただ座ってるだけの人じゃ、なかったんだな!!」
社長「はっはっは褒めても何も出んよキミたちぃはっはっはっは!!」
貴音「…」
貴音「雨、ですか…」
貴音「月が、見えません…」
貴音「あなた様………」
貴音「………」
貴音「私は………」
貴音「…っ……うっ…」
貴音「どうすれば、よかったのでしょうか?」
貴音「もう、私は……っ…」
貴音「………」
P「貴音…」
貴音「あなた様…傘も持たずに、この様な場所に…」
P「貴音、濡れるぞ」
貴音「あなた様こそ…」
貴音「それに、もう濡れております…」
P「貴音…」
貴音「あなた様…」
貴音「月が見えません…あなた様…」
P「貴音…?」
貴音「…」
貴音「…月恋し私雨に濡れにけり」
貴音「……っ…いけません、ね…このようなもの、句などと…っ」
貴音「…っ…っ…うっ…」
P「貴音っ…!」ギュ
貴音「…っ!」
貴音「あなた様っ…」
貴音「辛いのです…苦しいのです…あなた様…っ」
貴音「私を…救ってくださいますか…?あなた様…」
P「貴音…」
P「なんだっけ…つきこいし…?」
P「………」
P「…露を払うは」
貴音「つゆを、はらう、は………」
P「……っ」
貴音「んっ………」キュ
真美「ぴーよちゃーんがぁー」
亜美「…んお?」
真美「ん?どったの亜美?」
亜美「あれお姫ちんじゃね?」
真美「え?ほんとだ兄ちゃんもいるし」
亜美「…傘もささないで何やってんの?なーんかアヤシイかも?」
真美「ほんとだよ…む、これはもしかしてアイビキ?」
亜美「アイビキ?何?ハンバーグでもこねてんの?」
真美「ハンバーグじゃなくて………うえぇ!?」
亜美「うお!?兄ちゃんいった!?」
真美「いった!!!」
真美「おう!!」ピロリンピロリン
亜美「やべえよwwwwスキャンダルだよ真美wwwww」
真美「こんな公園でwwww何してんのさwwwwww」
亜美「うわああぁぁwwww!!長いwwwww深いwwwwwww」
真美「あれ絶対入ってるよね」
亜美「!?…やばい!気づかれた!!」
真美「うわっ!こっち来た!ずらかるぞ!!」
亜美「おうwwwwwwwwww」
亜美「みなさ~~~ん!」ダダダダダ
真美「き~てください!実は~~~~…」ダダダダダ
P「ちょ…!?やめれ!やめて!!」
貴音「…ふぅ」
貴音「はぁ………」
貴音「……?」
貴音「まぁ、月が…」
貴音「雨が上がりました、あなた様………」
貴音「………」
貴音「露を払うは……」
貴音「ふふ……」
落月 ~きみのくちづけ~
おわり
Entry ⇒ 2012.06.28 | Category ⇒ アイマスSS | Comments (2) | Trackbacks (0)
P「俺が付き合ってくれって言ったらどうする?」律子「もちろん…」
律子「って……えっ?」
P「んっ?」
律子「い、今なんて?」
P「だから俺が付き合ってくれって言ったらどうする?」
律子「い、いきなり何聞いてんですか!?」
P「いや、興味本位で聞いただけ」
律子「そんなくだらない事聞いてる暇があるのなら手元の書類を片づけてください」
P「えー。教えてくれよー」
律子「嫌です」 キッパリ
P「俺は律子のこと好きだぞ」
律子「はいはい、分かりましたから」
P「何でそんなに冷たいんだ?」
律子「冷たいって……。今は仕事中です」
律子「それに、何でそんなに聞きたがるんですか?」
P「いや、だってさー。律子ってよく考えると仕事ばっかりじゃん?」
P「律子も恋愛とか興味あるのかなー、って思って」
律子「そりゃ……私にだって興味ありますよ」
P「えっ!?律子も恋愛に興味あるのか!?」
律子「そこまで驚かれる意味が分からないのだけど……」
P「すまんすまん、でもビックリした。律子も彼氏とか欲しいんだな」
律子「私だって興味ぐらいありますよ」
P「じゃあ律子の好きなタイプとかは?」
律子「好きなタイプですか……。んーなんだろ……」
律子「仕事が出来て周りの気配りもしっかりして何だかんだ私の心配してくれて……」
律子「いつも偉そうなんだけれども笑って話しが出来て、私たちの事を一番に思ってくれてる……」
律子「そんな、人ですかね……//」
P「……ま、まさか……」
律子「………//」
P「社長か!!」
律子「プロデューサーです!!」
P「え?」
律子「あ」
P「い、今俺って言ったよな!?」
P「春がキタァァァァァァァァァァァァァァァァァァ!!!」
律子「ち、違うんです!今のは、その……。」
律子「だ、だいたいタイプの話!!プロデューサーが好きとは言ってません!!」
P「ひゃっはぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」
律子「話しを聞けぇ!!」
P「ふぅ……すまん、嬉しさのあまりちょっと叫んでしまったな」 タンコブ
律子「全く……。他のアイドルいたら大変なことになってますよ?」
P「えっ?なんで?」
律子「……もういいです」
P「???」
律子「そ・れ・よ・り・も!さっきのはタイプの話ですからね!!」
律子「プロデューサーのような男性が好きとは言いましたがプロデューサーが好きとはまだ言ってません!!」
P「まだ?」
律子「あっ……うぅ……//」
P「自爆して照れるりっちゃんカワユス。抱いていい?」
律子「ダメに決まってるでしょこのバカぁ!!」 パチコーン
P「そんなに照れなくてもいいじゃないか」
律子「照れてません!!」
P「ははは、可愛い奴め」 ナデナデ
律子「本気のコークスクリューかましますよ?」
P「ごめんなさい」
律子「はぁ……。とりあえずお茶でも飲んで一息いれようかしら……」 ヨイショ
P「あっ、俺のもお茶入れてくれ」
律子「はいはい、了解です」
律子「はぁ……。なんであんなにバカなのかしら……。おまけに抱いていい?って……」
律子「そりゃプロデューサーにならいいと思うけど……」
律子「はっ!ダメよ私!そんな考えはしてはダメ」
律子「……でも、プロデューサーは私のことどう思っているのかしら……?」
小鳥「話は聞かせてもらいましたよ!!」 シュタッ
律子「こ、小鳥さん!?」
小鳥「ふふ…律子さんも今じゃすっかり恋する乙女ですね……」
律子「……ちなみに聞きますがどこから聞いていました?」
小鳥「えっ?初めからに決まってるじゃないですか♪」
律子「……ものすごく帰りたい」
小鳥「大丈夫ですよ、律子さん!この765のキューピットと呼ばれる私に任せておけばプロデューサーさんなんてイチコロです!」
律子「その呼び名初めて聞きましたよ……」
小鳥「呼び名はおいといて……。まずは律子さんに質問です。いいですか?」
律子「もうなんでもいいです……」
小鳥「じゃあ遠慮なく聞きますがプロデューサーさんとはおつき合いしたいですか?」
律子「い、いきなりその質問ですか……」
小鳥「どうなんですか!律子さん!」
律子「そ…それは……」
律子「つ、付き合いたいです……//」
小鳥「はい♪よく言えました♪」
小鳥「では好きと分かった上でのやりかたですが……」
小鳥「やりかたは……」
律子「やり方は……?」
小鳥「ちょっと可愛子ぶって相手を攻めればどんな男も落ちますよ」
律子「相談する人間違ったな……」
小鳥「これでイケます!絶対イケます!」
律子(この人よりインターネット使った方が有効な気がする)
律子「……本当にそんなのでイケるんですか?」
小鳥「あー!律子さん信じてないですね?」
小鳥「私の経験上でいえば確率100%ですよ♪」
律子(……経験上?夢の中かしら……?)
小鳥「しょうがないなぁ♪私がお手本見せてあげるので律子さんも参考にしてください」 スタスタ
律子「ちょ!?小鳥さん!?……って行っちゃった」
P「律子遅いなぁ……。律子の入れてくれたお茶飲みながらいろんな妄想したいのに……」
小鳥「プロデューサーさん♪」
P「あぁ、小鳥さん。いたんですね」
小鳥「あーひどーい。小鳥を忘れるなんてひどいプロデューサーさん♪」 ペチ
P「……はっ?」
小鳥「プロデューサーさんは小鳥のこと忘れちゃダ~メ★」
小鳥「小鳥悲しくなってえんえん泣いちゃうぞー?」
P「小鳥さん」
小鳥「なにかなぁ?」
P「歳考えてやって下さい」
P「あと仕事の邪魔になるのでやるなら向こうで」
小鳥「……ピヨォ」
小鳥「ダメでした、てへっ★」
律子「当たり前です。それと私の前でもやらないで下さい。手出そうです」
小鳥「ピヨォ……」
律子「だいたいあれで本当に成功してきたんですか?」
小鳥「夢の中ではみんなこれでイケてたんですよ!?」
律子(あっ、やっぱり夢の中なのね)
小鳥「律子さん、プロデューサーさんは一筋縄ではいきそうにないですよ…」
律子「それは小鳥さんのやり方が間違ってたからだと想います」
律子「とりあえず私はお茶入れて向こう戻るので小鳥さんも静かに仕事して下さいね」
小鳥「律子さん怖い……」
律子「はい、お茶です」 コトッ
P「おっ、ありがとう。遅かったな」
律子「2X歳のぶりっこしてる人に絡まれてまして……」
P「なるほど。災難だったな」
律子「ホントですよ……。小鳥さんに聞くんじゃなかった……」
P「聞く?なにを?」
律子「プロデューサーには関係ないことですよ。それより仕事しましょう」
P「俺はさっきからやってるんだけどー」
律子「ではそのまま継続して頑張って下さい」
P「えー、ずっと頑張ってるんだから『まだまだ頑張ろうね!ダーリン★』みたいなの言ってくれよー」
律子「言いません!絶対言いません!」
P「ケチ」
律子「あっ?」
P「さーて、仕事ー仕事ーっと」
律子「よろしい。ですが今日もうちょっとだけ頑張ったら晩ご飯ぐらいは奢ってもいいですけど?」
P「えっ?マジ?」
律子「マジです。たまにはプロデューサーと一緒にご飯でもと想いまして」
P「ひゃっはぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」
律子「だからうるさい!!」 パチコーン
P「すまないな。気分が高まると叫びたくなってしまう」
律子「もうなれました……」
P「よし、切り替えてきちんと仕事するぞ」
律子「初めからそうして下さい……。全く……」
P「そう言うなって。とりあえずそっちの書類こっちに少しくれ」
律子「了解です。…どうぞ」
P「ありがとう。こっからは本気出すぞー!」
律子「はいはい、出しちゃって下さい」
P「………」 カキカキ
律子「………」 カキカキ
律子(こうやって真面目に仕事してればカッコいいんだけどなー)
律子(何で普段はあんなにアホなのかしら……)
P「律子、手が止まってるぞ。」
律子「ふぇ!?す、すいません」
P「別にいい。それよりそっちの判子取ってくれ」
律子「は、はい」
P「ありがとう。それとこの書類終わったらちょっとテレビ局行ってくる」
律子「了解です。今度のライブですか?」
P「うん。そろそろ衣装や演出の話しとかなきゃいけないだろうからさ」
律子「分かりました。残った書類は私と小鳥さんでやっときます」
P「うん、頼むよ」
P「……よし、こっちは終わった。律子の方は?」
律子「えっ…と、こっちはまだまだ掛かりそうですね……」
P「手伝わなくて大丈夫か?」
律子「大丈夫です。プロデューサーはテレビ局行ってきて下さい」
P「分かった。じゃあ戻るまで頼むよ」 ガチャ
律子「はい。いってらっしゃい」
律子「………ふー」
律子「……プロデューサーが戻るまでに終わるかしら?」
小鳥「りーつこさん♪」
律子「……また来た……」
小鳥「あー嫌そうな顔してるー」
律子「手伝いに来てくれたんなら歓迎しますが?」
小鳥「もちろん手伝いますが……、律子さんたら見てて可愛いんだもの♪」
小鳥「書類書いてるときプロデューサーさん見て仕事の時はカッコいいなぁとか思ってませんでした?」
律子「そ、そんなこと思ってる分けないじゃないですか!」
小鳥「本当ですかー?怪しいなぁ」
律子「怪しくてもいいんで早く手伝って下さい。まだまだ残っているんですよ」
小鳥「了解です♪早く終わらせてプロデューサーさんとご飯行きたいですものね?」
律子「べ、別にそんなんじゃありません//」
小鳥「ふふふ、そう言うことにしておきますね♪」
小鳥「……よし!やっと終わったぁー!!」 ノビノビ
律子「ありがとうございます、小鳥さん」
小鳥「いえいえ♪でもプロデューサーさん戻ってくる前に終わって良かったですね」
律子「それはありますね。帰ってきてまた書類やらすのは何だか気が引けますし……」
小鳥「まぁ早く終わったんで良しとしましょう♪あ、そうだ!律子さんは今日のご飯何着ていくんですか?」
律子「えぇ?今着てるスーツですけど……」
小鳥「ダメです!ぜんぜんダメです!!」
小鳥「お相手は一筋縄ではいかないあのプロデューサーさんですよ!?ちょっとお洒落すればイチコロです!!」
律子(まーた始まったわね)
律子「逆に言いますが、あのプロデューサーなら何着ても変わらない気が……」
小鳥「そんな事無いです!」
律子「はぁ……」
小鳥「ちょうど私のロッカーに可愛い服が入ってるのでそれで行きましょう!!」
律子「えぇー……小鳥さんの服ですか……?」
小鳥「サイズなら大丈夫です。律子さんにもきっと合います!」
律子「いや、そうじゃなくて……」
小鳥「ささ、律子さん。こっちに来て着替えましょう!!」 グイグイ
律子「って、ちょっと!引っ張らないで下さいよ!」
小鳥「うわっ!すごく可愛いですよ律子さん!!」
律子「……これなんですか?」
小鳥「えっ?メイド服ですけど?」
律子「見れば分かります。殴りますよ?」
律子「てか何でこんな物持ってるんですか!?こんな服でご飯いけるわけ無いでしょう!!」
小鳥「細かいことは気にしないでそのまま行きましょう」 グッジョブ
律子「行けるかぁ!」 パチコーン
律子「全く!もう着替えますからね!」
小鳥「えぇー、もう着替えちゃうんですか?せめてプロデューサーさんが帰ってくるまで待ちましょうよー」
律子「待つわけ無いじゃないですか!」
小鳥「じゃ、じゃあ最後に一つだけお願いがあるんですが…」
律子「……何ですか?」
小鳥「お帰りなさいませご主人様♪ってだけ言って下さい!」
律子「嫌です」 キッパリ
小鳥「お願いします!!ホントにお願いします!!一生のお願いです!!」
律子「……どんだけ言って欲しいんですか……」
小鳥「いいじゃないですか~。減るものじゃないんですし」
律子「はぁ……。じゃあ一回だけですよ?」
小鳥「お願いします♪」
律子「ん……コホン……」
律子「お、お帰りなさいませ♪ご主人様//」
小鳥「す、すごくいい!!破壊力ヤバいです!!」
律子「……もういいですか?」
小鳥「はい!十分お腹一杯になったのでもういい……で……す」
律子「……小鳥さん?」
小鳥「あはは……律子さん、後ろ」
律子「……え?」 クルン
律子「プ、プロデューサー!?」
小鳥「今までのやりとり見てたみたいですね……」
律子「ち、ちがうんです!これは……」
律子「……って、プロデューサー…?」 フリフリ
P「………」
小鳥「あー……立ったまま気を失ってるみたいですね……」
小鳥「じゃあ、プロデューサーさんは律子さんに任せて私は買い物にでも……」 スタコラ
律子「えっ!?小鳥さん!?」
律子「どうすりゃいいのよ、コレ……」
P「………」
P「……はっ!ここは天国か!?」
律子「やっと起きましたか、プロデューサー」
P「うん?何で律子が天国にいるんだ?俺は天国で素敵な天使を見かけたんだが」
律子「天国で天使じゃなく事務所で私と会ったんですよ」
P「そうだったのか……。あのメイド姿は律子だったのか……」
律子「お願いですから忘れて下さい……」
P「それは無理だ!俺の脳内フォルダにはすでに保存されてしまっているからな」
律子「はぁ……。もう諦めますよ」
P「しかし……、一つ聞きたいことがあるんだけど」
律子「何です?」
P「もしかして、俺は今律子に膝枕されているんじゃないのか?」
律子「……もしかしても何も私の膝枕ですね//」
P「………」
律子「……な、なんですか?」
P「ひゃっはぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」
律子「膝の上で騒ぐな!!」 パチコーン
P「ごめん、あまりにも嬉しくて」
律子「全く、調子いい事ばっかり言って……」
P「でも膝枕って懐かしいなぁー。小さい頃お袋にされた以来だな」
P「なんだかこうやってると癒されるよ……」
律子「それは良かったです。ですが目を覚ましたのならどいてくれます?」
律子「私も足しびれてきたのでそろそろキツいんですけど……」
P「そうだな……よっと……」
律子「ふふ、髪の毛くしゃくしゃになってますよ?」
P「んん?髪の毛ぐらい後で直すよ」
P「それよりも……、律子」
律子「はい?」
P「ありがとな。気持ちよかった」
律子「ベ、別にいいです。枕があったら楽かと思っただけ何で//」
P「また今度お願いしてもいいかな?」
律子「……考えときます」
P「あぁ。頼んだよ」
小鳥(律子さんいいなぁー。私も誰かとイチャイチャしたい……)
P「そういえば書類は終わったか?」
律子「え、ええ。小鳥さんも手伝っていただいたおかげでなんとか終わりました」
P「そうか。小鳥さんもありがとうございました」
小鳥「いえいえ、大丈夫です」
P「それじゃあ、今日の仕事は終わりかな?」
律子「終わりです。後は明日でも大丈夫な書類とかですね」
P「よし!それじゃあ楽しみにしてた晩ご飯いこうか」
律子「そんな話しましたっけ?」
P「あばばばばばばばばばばば」 カクカク
律子「嘘ですから変な動きしないで下さい……」
P「よかった。俺死んじゃうかと思ったぐらいだ」
律子「……大げさです。行くなら早く行きますよ」
P「そうだな、それじゃあ小鳥さん、お疲れさまでーす」
律子「お疲れさまです」
小鳥「はーい。いってらっしゃーい♪」
店員「いらっしゃいませー。何名様ですか?」
P「二人です」
店員「こちらどうぞー」
P「よいしょ……。律子、かばんこっちに置くか?」
律子「あ、お願いします」 ハイッ
P「ん、ここ置いとくからな。それじゃあ、頼もうかな」
律子「そうですねー。とりあえずプロデューサーはお酒ですか?」
P「頼む。律子もお酒かな?」
律子「……未成年ですけど?」
P「はは、冗談だ。律子はウーロン茶でいいのかな?」
律子「んー、じゃあ、オレンジジュースで」
P「オッケー。すいませーん」
店員「はい、なんでしょうかー?」
P「このチューハイとオレンジシュース下さい」
店員「かしこまりましたー。少々お待ち下さい」
P「よし、飲み物も来たことだし……」
P「乾杯!」 カチン
律子「乾杯」 カチン
P「んぐ…んぐ……。プハァー!!美味い!!」
律子「お酒ってそんなに美味しいんですか?」
P「ん?まぁ人によるんじゃないか?俺はビールとかは飲めるが芋焼酎とかは無理だし」
律子「へー。ちょっと興味ありますね」
P「だ、だめだぞ?律子は未成年だろ?」
律子「分かってますよ。ただ言ってみただけですって」
P「それならいいが……。あっ、ちょっとトイレ」
P「食べたい物があるなら頼んでていいからな」
律子「了解です」
律子「………」
律子(さっきは冗談て言ったけど……。お酒って気になるのよね……)
律子「……一口くらいなら……いいわよね?」
律子「………」 ゴクン
律子「……うぇ、変な味する…」
律子「これのどこが美味しいのかしら……」
P「ただいま……って、律子。おまえ顔赤くないか?」
律子「えぇ?何言ってるんですかー。私が赤いはず無いでしょー?」 パタパタ
P「……もしかしてチューハイのんだ?」
律子「うふふ♪どっちだと思いますぅ?」
P「…これは飲んだな……」
律子「はーい、せいかーい♪」 パチパチ
P「お前な……バレたらどうするんだよ…」
律子「大丈夫♪あたしは普通ですからー」
P「はぁ……それのどこが普通だよ……」
律子「それにしても暑い……。ちょっと脱ぎますねー」 ヌギヌギ
P「ば、バカ!こんなところで脱ぐなって!」
律子「あははははー♪」
P「すいませーん。飲み物しか頼んでないですけどお勘定いいですか?」
律子「あれ?もう帰るんですかぁ?」
P「誰のせいだよ誰の……」
店員「ありがとうございましたー」
P「はぁ……。一人で歩けるか?」
律子「まっかせて下さい♪よっ…とっ…とっ…」 フラフラ
P「おいおい、無理じゃないか……。一人で帰らすのは危ないな……。律子の家ってどこらへん?」
律子「なーに言ってるんですか♪あっちですよ、あっち♪」
P「しょうがない……家に連れてくか…。律子、背中乗れ」
律子「はーい!」 ヨイショ
律子「あはは、高い高ーい♪」
P「お、おい。背中の上で動くな、落ちちゃうぞ…」
律子「あははー♪」
P「はぁ……。まさか律子の面倒見る日が来るなんて思わなかった……」
律子「プロデューサー?」
P「うん?どうした?」
律子「プロデューサーって私のこと好きなんですかー?」
P「……うん?」
律子「だーかーらー。プロデューサーは私のこと好きなんですかー?」
P「ちょ……声大きい。もう少し静かに喋れ……」
律子「どうなんですか?」
P「……律子が酔ってないときに教えてあげるよ」
律子「えー。ケチ」
P「ケチで結構。ほら、もうすぐ着くぞ」
律子「プロデューサー?」
P「……今度はなに?」
律子「……気持ち悪い」
P「……は?」
律子「……吐きそう」
P「ちょちょちょ!!マジで!?」
P「ちょい急ぐからな!掴まってろよ!!」
律子「…はい。……うぷ」
P「はぁはぁ、無事に着いてよかった……」
P「何とか律子もトイレに運べたし大丈夫かな?」
P「ちょっと様子だけでも見に行くか……」
P「律子ー?大丈夫かー?」 ガチャ
律子「……うぅ」
P「あっ、こりゃダメだな……」
P「しょうがない……。布団に運ぶか……」
P「律子、ちょっと持ち上げるからな?」 ヨイショ
律子「……うぅ、すいません……」
P「いいって。今日はゆっくり休め」
律子「ふぁい……。うぅぅ……」
P「よいしょ……。もう今日は寝ろよ?明日起こしてやるから」
律子「………」
P「って、もう寝ちゃったか……」
律子「……プロデューサー」 ムニャムニャ
P「……はは、こうやってみるとホントに可愛いな」 ナデナデ
P「さて、俺も向こうのソファーで寝るとするか……」
P「明日説明大変そうだな……。律子覚えてなさそうだし……」
P「まぁ……いいか。明日になったら考えよう……」
P「それじゃ、お休み、律子」
――朝――
P「……んっ?朝……?」
律子「お目覚めですか?プロデューサー殿」
P「うん!?律子!?何で家に……って昨日のことがあったんだな」
律子「ふふ、酔っぱらってないプロデューサーが忘れてちゃダメじゃないですか♪」
P「はは、そうだよな。って、昨日のこと覚えてるのか?」
律子「そのお話はご飯食べながらでいいですか?もう準備はしてあるので」
P「おっ、ご飯の準備してくれたのか?」
律子「……まぁ、昨日の罪滅ぼしだと思って下さい」
P「じゃあ、飯食いながら話すとするか」
律子「はい」
P「うん、美味い!」
律子「ふふ、ありがとうございます」
律子「オカワリもあるのでゆっくり食べて下さいね」
P「ありがとう。ところで……」
律子「あっ、昨日の話ですね」
P「うん、昨日のことは覚えているのか?」
律子「うーん……。所々ですねー」
律子「なぜプロデューサーの家にいるのかは分かりませんが話していたことなら少しだけ覚えています」
P「あっ、勝手に家に運んで悪かった……。律子が家に帰るの難しそうだったから……」
律子「大丈夫です。そこらへんは分かっていますから」
律子「でも、朝起きたときは凄くパニックになりましたけどね」
P「はは、そりゃ朝起きて自分の家じゃなかったらビックリするな」
P「でもよかったよ。二日酔いになってなくて」
律子「ですねー。二日酔いって大分辛いんですよね?」
P「辛いぞー。仕事どころか何もしたくないぐらい頭痛とかに襲われるし」
P「あっ、そうだ。お前お酒は飲んじゃダメだぞ?なんで飲んだんだ?」
律子「……すいません。出来心です……」
P「近くに俺がいたからいいが……。金輪際そういう事するなよ?」
律子「……はい。ごめんなさい」
P「うん、分かればよろしい。いつまでも暗い顔してないで笑ってくれ。俺は律子の笑った顔で妄想してるんだから」
律子「せっかくいい感じにまとまったのに最低ですね……」
P「妄想ぐらいいいだろ?」
律子「頼むから辞めて下さい……」
P「よし、それでこそいつもの律子だ」
律子「変なこと言わなくても普通に戻りますよ……」
P「それもそうか。さて、早く食べて事務所行かなきゃな」
律子「……プロデューサー?私も一つ聞いていいですか?」
P「ん?どうした?」
律子「き、昨日の答え……聞かせてもらってもいいですか?//」
P「昨日……?」
律子「プ、プロデューサーが私の事どう思っているかです//」
P「それは覚えていたのか……」
律子「プロデューサー言ってましたよね?」
律子「酔ってないときに教えてくれると……」
P「うん、言ったね。聞きたい?」
律子「……教えてくれると助かります」
P「えー。どうしよっかなー」
律子「……じゃあいいです」
P「ちょ、嘘だって」
律子「お酒が入ってその場のテンションもありましたが」
律子「私はちゃんと言いましたよね?」
P「う……言いました……」
律子「それじゃあプロデューサーもどうぞ」
P「分かった……。きちんと正直に言うよ」
律子「あっ、真面目にお願いしますね?先に行っとかないとふざけるかもしれないので」
P「……そんな適当な男に見える?」
律子「はい、十分見えますね」
P「……まぁいいや。それじゃあ改めて……」
P「律子」
律子「……はい」
P「お前が好きだ」
P「真面目な時も、失敗して落ち込んでる時も……」
P「笑ってる時も、俺が調子乗りすぎて怒ってる時も……」
P「全部ひっくるめて、お前が好きだ」
P「俺と、いつまでも一緒にいてくれないか……?」
律子「……ふふっ」
P「な、なんだよ……。笑う所じゃないぞ……」
律子「すいません、何だかオカシくって……」
P「い、一応聞くけど律子は……」
律子「私ですか?んー、どうしよっかなー」
P「無理なんだな?よし、死んでくる」 ガッ
律子「まだ何にも言ってないから窓に手と足掛けるの止めて下さい」
P「だって……。律子が意地悪するから……」
律子「はいはい、ごめんなさい。それじゃあ私も真面目に言います」
律子「私は……」
P「うん……」
律子「私は……、ううん、私も貴方のことが好きです……//」
律子「アイドル達のために頑張ってる貴方、仕事を教えてくれる貴方……」
律子「社長とHな話してる貴方、私に本気で怒られてヘコんでる貴方……」
律子「全部まとめて大好きです……//」
律子「こんな私ですが、よろしくお願いします//」
P「ほ、ホントに?ホントに俺でいいの?」
律子「…プロデューサーだからいいんですよ……//」
P「よっしゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」
P「ひゃっはぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」
P「って、悪い。またデカい声だしちゃったな」
律子「ふふ、今だけ許してあげます」
律子「ホントは私も叫びたいくらい嬉しいんで♪」
P「よし、じゃあ一緒に叫ぶか!?」
律子「叫びません」 キッパリ
P「ツマらん奴だな……」
律子「な・に・か言いましたか?」
P「うん、律子は可愛いなぁー」
律子「全く……って、もうこんな時間!?プロデューサー!遅刻しますよ!?」
P「え?ぬぉぉぉ!ヤバい!律子、急ぐぞ!!」
律子「私先に行ってます!!」 ガチャ
P「えっ!?ちょっと待ってくれよ!おーい、律子ー!!」
――とある日の事務所――
P「…はい…はい。申し訳ありませんでした……。」 カチャ
P「……はぁ。遅刻して逆ギレはいけないだろ……」
P「次から使ってもらえなさそうだな……。はぁ……」
律子「なーに落ち込んでるんですか?」
P「ん?何か向こうでヤラカしてくれたらしい……」
律子「そのクレームの電話が来たと?」
P「その通り…」
律子「あちゃー、それも災難でしたね……」
P「全くだよ……。はぁ……」
律子「じゃあ励ましてあげましょうか?」
P「えっ?」
律子「頑張って!ダーリン!」
P「………おぅ」 ダラダラ
律子「ちょ!?何で鼻血が出るんですか!?」
P「……破壊力抜群すぎる」 ダラダラ
律子「そんなこと言ってないでティッシュ!」 ハイッ
P「おう、ありがとう」
律子「子供じゃないんだからしっかりして下さい……」
P「俺はそこまで子供じゃないぞ」
P「あと今日の晩ご飯はハンバーグが食べたい」
律子「そういう所が子供っぽいと思うのだけど……」
P「いいじゃんハンバーグ。俺好きなんだよ」
律子「そういう事じゃないわよ……。まぁ、作ってあげますけどね」
P「サンキューりっちゃん!」
律子「りっちゃん言うな!」 パチコーン
P「そう怒るなって。あと律子に一つ聞きたいことがあるんだけど」
律子「はいはい、なんでしょうか?」
P「俺が結婚してくれって言ったらどうする?」
律子「もちろん…」
終わり
これの律子で続きや他のアイドルで書こうかなーって思ったが駄作になりそうだな……、止めとくよ。
最後に保守してくれた人、読んでくれた人、本当にありがとう
乙ゆっくり休め
Entry ⇒ 2012.06.28 | Category ⇒ アイマスSS | Comments (0) | Trackbacks (0)
美希「ハニーひとりだけでいいの」
「おかえりなさい、ハニー」
いつものように軽く言葉を交わして美希の隣に腰を下ろす
今日もいつもと同じような顔――どことなく冷たい表情の美希は顔色を変えない
そんな様子に驚きはせず、むしろ安心した
俺は美希を優しく自分の方へ引き寄せた
少し安心したように美希はなすがまま俺に倒れ掛かるが、その表情は依然暗いままだ
「今日はさ、春香が歌の番組でMVPを獲ったんだ。あとは亜美と真美もついに海外進出するみたいだ」
「そうなんだ……よかったね、みんな」
それに対してこれと言って感情的になるわけでもなく、また惰性で聞き流すわけでもなく
無機質な表情の美希は楽しみに待っているのだ
「……ここでの生活は……もう慣れたか?」
「…うん…美希、ここでハニーと暮らせて幸せだよ」
ほぼ毎日、ここに帰ってきている
それも美希のために
今の美希は昔と違うのだ
美希は―――――足が動かなくなってしまったのだ
―――
――
―
「おはよう、美希。今日は元気だな」
「美希はいっつも元気だよ!とくに今日はもっともっと頑張れるって感じ!」
「おぉ、それは期待してるぞ」
大きなコンサートの後、美希は俺のことをハニーと言うようになった
見違えるようにやる気も出てきたし、こちらとしてはありがたい限りだ
星井美希。中学生にして抜群のスタイルと天性の才能を持ち、今となっては知らぬものはいない伝説のアイドル
しかし事務所入りたてはそんな様子を微塵も、いや少しはにじみ出ていたのかわからないが”物がいい”だけに調子に乗っているものとばかり思っていた
これじゃあ結果は目に見えてるなと思うも、いざ本番をやらせてみると完璧にこなす
まさに才能だった。しかしそれにも限界は訪れ、一度の挫折が彼女をこの世界から遠ざけた
俺は必死に説得した。初対面の時には感じた憤りのようなもの、プロデューサーとしてのプライドすべて投げ捨てて
そして彼女の気が変わってくれることを信じ、大規模なライブが行われた
ハードスケジュールだったのにもかかわらず終わった後のこちらに見せた美希の笑顔は今でもしっかりと覚えている
そして今現在、すっかりなつかれてしまったわけだが効率は見違えるように上がり仕事も上々
行く末トップアイドルになる人材であることはこのころから核心へと変わっていた
がその矢先、一つの問題が発生してしまったのだ
「どうしたのハニー?今日はこれから歌番組の生放送だよね?」
「あぁ!それが他のアイドルも出られることになったんだ!これは大チャンス…こうしちゃいられない!」
事務所には10人前後アイドルがいる。その中で美希は頭一つ抜けて仕事をこなしていた
しかし今回、他のアイドルにもそのおこぼれと言うべきか否か、チャンスが舞い込んできたのだ
それぞれ活動はしているもののこれといった起爆剤がないため
この機会を生かし、事務所全体で業界の目に付けば将来は安泰であろう
言うまでもなく僥倖。この時俺はそう思っていた
「な、なんでも…ないの。そろそろ時間だよね、頑張ってくるの!」
「おう、全力で頑張ってこい!」
本番前の美希の目が一瞬曇ったのを俺は見逃さなかった
他のメンバーも着々と準備を進めているのがわかったがこの時は何が起きたか深く考えることはしなかった
そして本番。美希を中心とした事務所全体のパフォーマンスは素晴らしいもので、スタッフたちの反応もよかった
だが終盤、事件は起こってしまった
「きゃっ!」
バタン!という音が短い悲鳴の後につながってスタジオに響く。すぐさま音楽にかき消されるが、その音楽もすぐに止んだ
「…………」
俯いてしまい何も答えない美希。それならばと
「誰か、美希が苦しそうにしてるところを見てたって人はいないか?」
「…………」
あろうことか誰も反応しない。すると俺はここで気づいてしまった
誰一人として美希をいたわろうとしないことを
思い返してみれば美希以外のオファーの際、多少美希が中心であることを強調しすぎたかもしれない
だからと言って、こんな逆恨みのような、あろうことか仲間を見捨てるなんということがあってよいものか
と考えているうちに、恐ろしい結論を導きだしてしまった
「…………」
「なんで……なんで何も答えないんだよっ!!」
「…………」
「やってないならやってないって……言ってくれよ……」
序盤は怒りに任せて、終盤は想いむなしく、全員が下を向いて何も言おうとしない
こんな時にすべきことはなんだ?結局美希から聞き出すしかないのか?そもそも今一番つらいのは美希だ
今の状況を認めたくなくて、そうであってほしくない思いを片隅に残しながら、美希を抱えて控室を後にした
――
―
美希は相も変わらず俯いたまま、かと思いきややはり少し苦しそうな表情を見せた
「……美希。辛いと思うけど、理由があったら聞かせてくれないか?」
「…………」
「アイドルってこういうこともあって辛いんだ。でもずっと耐えるわけにはいかないだろ?」
「…………」
「もちろん他のみんなもサポートするつもりだけど、まずはお前を助けるからさ」
「…………」
「無理はしなくていい。ゆっくり話してくれればそれで…」
「……嫌…」
「…え?」
「……他のみんなも一緒なのは……嫌…」
「美希……」
合ってほしくなかった事務所内でのイジメ。原因不明の美希の怪我。
どちらも原因がわかったということで安堵したというには言葉が足りないだろうか
プロデューサーとしてこれほどの屈辱はない
自らがプロデュースしているアイドル同士が痛めつけ合う姿を見るなど目玉をえぐられる思いだ
何よりそんなやつらであったことが残念で仕方がない
もちろん主犯と加担してるやつら、標的にされないために加担する振りをしているやつらいるだろう
しかし、それでもあろうことか仕事中にけがをした仲間を見捨てるとは言語道断であろう
今後はやつらとはぜひとも距離を置きたい。が、それは無理な注文であるだろうし、そんなことをしたらますます被害が拡大する
……だがこんなことをやすやす許しておくわけにもいかない
美希につきつつもあまり目立たない用に今まで通りのスタイルを貫く
だがそれは思った以上に過酷なものだった
そして限界はすぐに訪れたのだ
「美希……そうか…それじゃあ少し休め」
「…………美希…あのさ」
「やめて!」
絞り出すように叫んだと思うと、胸めがけて倒れこむように泣き崩れた
これだけ弱気な美希を見たのは初めてだった
しばらくして泣き止んだ美希は俺にもたれかかったまま離れようとしない
そしてゆっくり話始めた
「……美希ね。思うことたくさんあるの。でも……今言っちゃったら耐えきれないと思うから…」
「……うん」
「もし……もしもう耐えられなくなったらハニーに全部話すね…?」
「……わかった」
「……ごめんね……ごめんねハニー…」
それでもアイドルとして輝く美希が見たいと思う自分が正しいのかわからなくなる
「…………ハニー…」
「なんだ?」
「大好き……大好きなの……」
「そうか……ありがとうな」
「大好きで大好きで……それでも……今のままじゃ辛いのに辛いからハニーに迷惑かけちゃって……」
「何も迷惑なんかじゃないさ。少しでも困ったら俺を頼っていいんだ。甘えていいんだ」
「ありがとう……ごめんなさい……大好きだよハニー……」
眠っていれば何も苦しむことはないだろう
幸せそうに眠る美希の髪を梳いてやる
もうすでに俺は美希のことを好いているのだろう
平等なんてとっくの昔に壊れていたんだ
徐々に傾いていた自分の中の天秤が音を立てて地に着いた
もう目に見えて美希びいきの生活になりつつあった
だが事務所はそれに驚きもしない。むしろ気づいていたかのように、それが自然と言わんばかりの通常運行
それなのに、なのにもかかわらず目を離すと美希は傷が増えていた
もはや憤りなどはなく、ただただ美希が心配で、愛おしくて。美希を守る自分に価値を見出している頃
ついに美希にヒビが入ってしまう
「ごめんね……ハニー……もう無理……みたい…」
「……美希…?……美希!……おい美希!しっかりするんだ美希!!」
美希は俺に守られていることさえストレスに感じてしまっていたのだろうか
病室に横たわる美希。約1日経った今も目を覚ましてはいない
仕事そっちのけで見守る。事務所のことなど全く意識にない
ただひたすら美希を眺め、祈っていると電話のバイブが作動した
電源を切ることすら忘れていたらしい
「はい。私ですが……はぁ、はいありがとうございます。」
そっけなく返して10秒にも満たない電話は終了する
社長から美希の看病に専念できるよう有給にしてくれるとの話だ
とは言っても元から休みなど眼中にない
美希が回復してくれるまで、何をする気もおきないだろうと自覚していた、とその時
「み、美希!!」
「ん……は、ハニー……?」
美希はすっかり良くなったようで
「ハニー……甘えん坊さんなの……」
「美希……大丈夫なのか?って大丈夫…じゃないよな…」
「ううん、休んだからもう大丈夫だよ。ただ……」
「あぁ、もちろん話はつけてあるから心配するな。落ち着くまで休暇を取ろう。お前なら復帰しても十分売れるはずさ」
あ、うん。と言ったものの美希の顔はひきつったまま俯いている
危惧していたのはそれじゃないのか?と考えても答えは出てこない
「どうした?他に心配ごとがあるのか?もちろん無理に詮索したりはしないからゆっくり時間をかけて…」
「あのねハニー。もう……ずっとこのままじゃ仕方ないと思うから。」
「そうか……」
その言葉で理解する
美希は順序良く、事を話し始めた
「あぁ…」
「それでも……それでも、離さなきゃいけないって思ったの」
「うん」
「美希がこんなこと言っていいのかわからないけど、ハニー、落ち着いて聞いてね?」
「あぁ、わかったよ」
まさか美希から心配されるとは思っていなかった
落ち着いて聞くつもりだが憤ることは間違いないだろうと歯を食いしばるように耳を向けた
「えっと、歌番組の時の足の怪我はね、別に事務所のみんなのせいじゃないの」
「えっ?どういうことだ?」
「あの番組ディレクターさんにこの後お食事でもってさそわれて、でも興味ないから断ったら強引に行こうよって言われたの」
「それでちょっと怖くなって、逃げようとしたら腕をつかまれて、必死に振りほどいたら足を捻っちゃって」
「そしたら謝ってくれて、なんとか逃げられたんだけど…」
美希の音しか聞こえてこない
変わらず耳を澄ませる
「それでも春香が気が付いて、スタッフさんに言っちゃったの。そしたらスタッフさんが……」
『美希ちゃんが出ないってなると厳しいよねー』
「…って言っちゃったの。それを聞いてたのは春香だけじゃなくほとんど全員で…」
「そんな空気になっちゃったらもう出るしかない…って。美希の勝手で他のみんなに迷惑かけたくないって思ったから」
ここまで聞いてまだ脳内の処理が追いついていない
が、質問が脊髄反射的に飛び出た
「じゃあなんでみんな、美希が倒れたときになにも言わなかったんだ?」
「それは……やっぱり美希が倒れちゃったことで番組が台無しになっちゃったし…」
「そんなことだけで…やつらはお前を見捨てたのか?」
「ち、違うの!ただ……みんなはそこまでして美希とお仕事したくなかっただけなんだと思う……」
「何?」
「みんな言ってた……美希が凄いのは認めるけど、そのついででしかないなら自分たちなりに頑張るって」
「そう……か」
が、まだいくつかわからない点が残っている
「それなら……美希が他の人が嫌だっていったのは他の人のためか?」
「うん……」
「なんでそんなわざわざ、自分が悪者になる可能性もあっただろうに」
「ううん、美希もう悪者だよ。でも後悔はしてないの。美希は美希なりに、他のみんなは他のみんななりに頑張っているのに勝手なことしちゃったから」
「そんなこと…」
「美希はね、お詫びのつもりだったの。でもハニーが毎日ついてくれたから、嬉しくって、なのに……なのに辛くって…」
「でもイジメとかではないってことだろ?それならなんで毎日あんな…」
「違うの……違うんだよハニー…。ハニーが事務所で一人になっていく姿を見るのが辛かったの…」
と瞬間、徐々にいつもの働きを取り戻した俺の脳内は演算処理をするごとに熱を帯びていた
美希が孤立する原因となったのはなんだ?俺が他のメンバーを誘ったから?
なんでもない彼女らを疑い、怒鳴り散らした上、一人孤立した美希を連れ出す
挙句の果てには平等というアイドルプロデュースの根本をあっけなく無視し敵と見る
…………敵は俺だったか。主犯は俺だったか。
気が付いた時にはもう真っ白で、いてもたってもいられなくって
気が付いたら―――病室を飛び出していた
その声ももう聞こえなくなって、どこへ、どこへ?
何を思って走ってるのか、それすらわからなくて
我に返ったときには暗くなった事務所の前にいた
ゆっくり扉を開ける。なんだろう、すごく懐かしく感じる
一歩ずつ、一歩ずつ、歩いて自分の机の前について軽く撫でる
馬鹿みたいにはしゃいで机がめちゃくちゃにされたこともあった
やたらおいしそうな手作りのクッキーがおいてあることもあった
みんな、みんなが笑顔を持ち寄って俺の周りに集まってきてくれていた
それなのに、それなのに。
その思いでさえ自分の黒い心をさらに黒くするには十分だった
俺の勝手な勘違い。ちょっとした勘違い
美希は本当に素晴らしい人材だ。プロデューサーですら虜にしてしまうんだから
虜になり、盲目になり、自分が本来何をすべきか見失わせてしまう姿はまるで天使か悪魔か?
俺が、この事務所を崩壊させてしまったのか
そう思おうと、思うまいと、澱んだ心は少しも光ろうとはしなかった
ここは事務員さんが座っていたかなぁ。もう記憶すら曖昧
机に手をやり、少し撫でてその手とは反対に目を向ける
テープで記された”765プロ”の文字だ
この窓って開くのかな、そう思う前に開けていた
風が寒い。ほとんど何も感じない
一旦後ろを振り返る。暗くも、思い出に満ち溢れた事務所は今ではぐちゃぐちゃに塗りつぶされた読めない落書きのような
もう、自分には必要ないもの。何も自分には必要ないのかな
窓から下を覗いて、特にこれと言って思うこともない
もう思考するのも辛い、というかほとんど考えてないに近いのか
長い長い記憶整理は多分数分、いや本当に数時間たってたかもしれない
氷のように冷たくなった自分はそのまま虚空へ倒れ込むように―――――
なんだ、何をしていたさっきまでの自分は。というかいつの自分だ
ふわふわと浮くような感覚にさいなまれながらしばらくして頭の中に響く声
「…………ニー……」
聞き覚えのあるこの声
愛おしくなるこの声
「……ハニー……」
そうだ、ハニー……ハニーは俺か?俺は………
「ハニー!!」
我に返ると虚空を眺めている俺、と必死に手をひっぱる……俺をハニーと呼ぶ少女
とにかくこの少女の元に帰らねばという潜在意識が働き、直感的に重力にあらがうように体を動かす
もう少し、なぜか体が思うように動かないが既に落ちる心配はないだろう
最後の一押し、ならぬ一引き。本来では少女一人で大の大人を引き上げられるわけなどないのだが
踏みしめる足の感覚、とともに戻ってくる感情。そして視界には――
ハニーと呼ぶ少女……そうだそうだ。俺がこの世で最も愛し、貴く思い、すべてをささげようと誓った――
ほぼ同時に二人は半ば倒れ込むように事務所の床へ座り込んだ
「美希………どうして……」
美希。そう美希だ。まぎれもなくあの美希だろ?
美希は満身創痍といった様子で倒れ込んだあとも俺にもたれかかっている
「ハニー……辛いよね……美希が、美希があの時言ってればこんなに辛くて苦しい思いをさせずに済んだのにって…」
「何度も、何度も思ったんだよ?でも、そのたびにこうなるハニーのことが浮かんだから…」
「だから……ここに来てくれたのか。俺を助けてくれたのか……」
「ハニー……もう大丈夫。大丈夫なの。みんなハニーのこと恨んだりしてない。事務所だって大丈夫だから、ね?」
そういう美希の目からは涙がこぼれそうで
愛しい、これほどに愛しいと想えることがすごいと我ながらに思う
みえる限りの美希をくまなく眺める。あぁ、美希だ。俺の知っている美希だ
生きていることを実感する。自殺未遂の死の恐怖が遅れてきたんだろうか
と、みていると気が付いた。傷がどこにもない。どこにもないじゃないか
そうか。あの傷は……美希が。俺をこうさせないために……
そう思った瞬間堰が切れた
「俺が、俺じゃなくなる気がして。事務所が俺の居場所じゃなくて敵の本拠地みたいで」
「怖い。怖いんだ。本当に、でも美希が、美希の声が聞こえたから」
「俺、戻ってこれたんだ。そう思った、また美希と苦しんだり辛い思いをしたりしたとしても」
「美希がいない俺なんて考えられないんだ」
「俺は……星井美希、お前を愛してる」
「だから…こんな俺だけど、最後まで一緒にいてくれるか?」
「…………もう苦しんだりするのはいや、かな」
「でも。ハニーがいないなんてつまらないもん。だからこれまでの責任として、これからも一緒にいてくれるよね?」
「美希……美希ぃ!うわあああああああああああああ!」
所謂洪水の涙とか形容されるのはこういうことなのか
全身の水分がという表現もあながち大げさではない
泣いて、泣いて、泣いて、泣いて、とにかく泣いて
今までのことを自分の中で水に流したくて。もちろんそんなことじゃ消えはしないし消えたら困る
でも今は美希のぬくもりにすがっていたくて、そのまま眠りに落ちた
―――
――
―
無理な衝撃とショックによる症状は原因不明
まあ原因は大まかに予想がつくが、それでも少しばかりの地獄を味わった俺たちには対したことじゃないと思っていた
だって俺たちの傷が癒えたころにきっとよくなる。そう信じてたし妙な核心があった
毎日美希の病室に顔をだす、というかやはり帰ってきたの方が正しい気がする
ここから出勤して、帰ってきてここで寝てしまうことがほとんどだ
プロデュース業をやめることも覚悟だったが、美希の意見で続けることにした
美希が言った通り皆許してくれて、今では問題なく仕事ができている
美希はその状態だからアイドルは休んでいるがきっと復帰できると信じて
今日もまた同じような顔をした美希、その冷たく暗い顔は
きっとトラウマになってしまっているからだろう
俺が来るとちょっとバツの悪そうな顔をするのは、本人が言いはしないが俺のあのシーンがフラッシュバックするからだと思う
それでもなんとか笑顔で、言葉は心から感謝をこめて。対応してくれる美希と俺は幸せかと言えば幸せだと思う
今日はいつもと違う話題を振ってみた
ちょっと目を見開いたがすぐ元通り無機質な表情で
「うーん、どこかいい場所があるの?」
「その前に、だ。」
懐から四角い箱を取り出す
「あと1年あるけど、むしろ完全な状態で結婚したいからどうかなって思ったんだ」
と言うと同時に箱を開けて中身を見せる
美希はこれと言って表情を変えない、むしろより表情が硬くなったか
「そう……ありがとう…すごく嬉しい…」
「俺……いまだに忘れてないよ。でも、忘れなくてもよくなる気がするんだ。新しい俺たちの家にいかないか?」
必死に稼いで1年間。美希以外に割いた時間はごく少数だったため自然と給料は最低分以外残るというシステムで
新しい住まいは車椅子でも快適に過ごせるようなものだ
アイドルに戻ったときの設備なども充実させた
何よりも、俺との時間をより増やしてトラウマのショック療法という名目が一番強いのだが
「そしたら俺が手を握っててやる。美希にしてもらったように、今度は俺がこっちに呼び戻すから」
「ハニー……」
「全部俺のせいだっていうことの償いもあるけど、お前と一緒に過ごす時間がもっともっと欲しいんだ」
というと半ば強引に唇を重ねる
そういえば初めてだったかな、と変に冷静な俺をよそに美希に変化が
「ハニー……」
ポロポロと涙を流している
感情が封じ込められたかのような先ほどまでとは一転、子供のようになきじゃくる美希を見て一瞬ひるんだが
「大丈夫、大丈夫だから。」
そういって抱きしめる
が、美希は振り払い、目をごしごし擦って何回か瞬きをした後、こちらを見て
とびっきりの笑顔を見せた
「ハニー…!!笑えるように…なった……あはっ。夢みたいだね…王子様のキスで呪いが解けちゃったみたいに…」
「……お前の笑顔を見た瞬間恥ずかしながらも同じことを思ったよ」
すると美希は思い立ったように自らの足にかぶさっている布団を剥ぎ取り
下半身を手を軸にくるりと回して、空中に浮いた両足を一瞬みて、その後俺を見る
「もしかしたら、もう1年いらないかもね?」
と言うと徐々に足に力を入れている様子―――かと思いきや、すっと立ち上がる美希
それを見て軽く笑みがこぼれる
「お前、1年ってそういう1年じゃないんだぞ。しっかり待っててくれよな」
ちょっと馬鹿にしすぎたかな
わかってるよっ、と突っ込みをいれ、ピョンピョン跳ねて飛びついてくる美希の笑顔は俺の知ってたもので
「美希、ハニー一人だけでいいの」
「ん?」
「って足が動かないときずっと思ってた。ただお話を持ってきてくれて、好きな人と過ごせるだけで幸せだなって」
「うん」
「でも、今は違うの。やっぱり美希はみんなと一緒に楽しくすごして、もっともっとキラキラしたいの!」
「んーでも結婚するならアイドルは厳しいんじゃないか?」
「あ、そういえばそうなの……でもなんとかなるって思うな!」
一度伝説になったアイドルだ、やりかねない
そんなことを思いながらふといじわるをしたくなった
「お前の”ハニー”ってのは美希の言うみんなか?」
と、ちょっとやってやった顔をするが、美希も負けじといい顔で
「そうだね、ハニーはみんなかも!」
内心え、とちょっと焦る。だがすかさず
「もうハニーは、旦那様だもんね!あなたっ!!」
と返される。こりゃ一本とられたなと思いながらも
「でも不思議と、ハニーの方がしっくりくるんだよな」
「あはっ!美希もちょうどそう思ってたところなの!というわけでこれからよろしくね?マイハニー♪」
やっぱり、そうだな
ハニーは俺一人で十分だ
Fin
美希のイチャラブ書きたかっただけなのにどうしてこうなったのか今でもわからん
出来れば全員分イチャラブ書いていきたいと思ってる
それではおやすみ
非常に良かった
Entry ⇒ 2012.06.27 | Category ⇒ アイマスSS | Comments (0) | Trackbacks (0)
貴音「創作らあめん 麺や貴音」
真「どうしたのさ春香、入口で立ち止まったら事務所に入れないじゃないか」
春香「えっと……765プロの事務所ってこんなに狭かったっけ?」
真「え……? 本当だ、何か足りないような」
春香「あっ! いつも美希が寝てるソファーとか、テレビもなくなってる!」
真「っていうか、リビング自体がなくなって壁になってるね……ん、のれん?」パサッ
貴音「いらっしゃいませ、お待ちしておりました」
春香・真「えっ」
貴音「さあ、どうぞ席に」
春香「いや、あの……貴音さん? ここ事務所ですよ?」
真「うわ、カウンターにキッチンも……本格的だなあ」
P「まあまあ、いいから二人とも座れ」
春香「プロデューサーさん!? どうなってるんですかこれ、新手のドッキリですか!?」
貴音「春香、どっきりなどではありません。真剣なのです」
P「そうそう、正式な仕事だからな」
真「仕事……これがですか?」
P「生放送は終了したが、ああいうグルメコーナーをニュースの1コーナーでやってみないかってオファーがあったんだ」
春香「凄いじゃないですか!」
真「でもあれって貴音がお店に食べに行くコーナーでしたよね? どうしてこんなセットを……?」
P「それがな……どうも貴音のやつ、食うだけでは飽き足らずラーメンのアイディアも書き溜めてたらしい」
P「俺にも黙ってディレクターに企画を持ち込んじまって……これがまたウケてな」
貴音「そうした経緯により、こうして『麺や貴音』が誕生したのです」
春香「貴音さんってたまに凄い行動力だよね……」
真「うん……まあ春香も人のこと言えないけど」
貴音「それはわたくしの作るらあめんに、765プロがなくてはならないものだからですよ」
春香「え……ま、まさか事務所を材料に……!?」
P「春香のは特別メニューでそうするか?」
春香「ちょっと、プロデューサーさぁん! 意地悪言わないでくださいよー!」
貴音「もちろん建物は使いませんが……わたくしのらあめんは765プロの皆を表したものなのです」
貴音「今日用意したのは春香……あなたをいめえじしたものですよ」
春香「へー……って、え? 私!?」
P「春香ラーメン三丁!」
貴音「春香らあめん三丁、承りました!」ザッ
春香「春香らあめん……」
真「ん? 春香、複雑な顔してるけどどうかした?」
春香「何か、私が具のラーメンみたいで嫌だなあって」
P「はは……まあ、出てくるものはまともなはずだから安心していいぞ。ちゃんとプロの監修で試作してるはずだからな」
春香「はずって、何だか不安になる言い方ですね……」
貴音「今です!」ザパアッ ジャッ!! ジャッ!!
真「でも貴音、凄く手際いいね。期待していいんじゃない?」
春香「真……忘れたの? 亜美と真美が一緒の時の収録……」
真「あー……」
春香「さすがにあれが出てきたら私ちょっと……」
貴音「春香」
春香「わっ!? は、はいっ!」
貴音「ですが、らあめんにおいてそれは一要素にしか過ぎません」
貴音「さ、お待たせ致しました。どうぞ召し上がれ」トンッ
春香「う……あれ? ヤサイの山がない……」
P「ネギ、チャーシュー、メンマ、煮卵……昔ながらの醤油ラーメンって感じだな」
真「春香だけに普通のラーメンってことか」
春香「ちょっと真、それってづいう意味?」
P「まあいいから、伸びないうちにほら」
「「「いただきまーす」」」
春香「ん……!」
貴音「お味はいかがですか?」
真「うわ……! これ、美味しいよ!」
春香「う、うん……なんていうか、甘みがあって……」
P「ん。鶏がらと煮干しのスープの味が強く出てて、醤油っていっても塩辛さより旨みが強いな」
貴音「ふふ……普通とは王道、王道とは良いものだから王道なのです」
貴音「実直に王道を歩み続けるその姿勢は、もはや一つの個性であると言えましょう」
真「んー……でもやっぱり春香って普通なんだね」
春香「ちょっと真! せめてもう少し浸らせてよー!」
P「まあ、それでこそ春香らしいとも言えるかな」
春香「もー、プロデューサーさんまでひどいですよー!」
貴音「……本当にそうでしょうか?」
これほど素晴らしいものはない
貴音「春香は普通……それだけでは決して春香たり得ません」
貴音「このらあめんには、もう一つの春香を表す仕掛けがあるのですよ」
春香「もう一つの私……?」
P「うおっ、何だこりゃ!?」
春香「わっ……プロデューサーさん、どうかしたんですか?」
P「煮卵を割ったら中から赤いスープが……」
真「ん、この匂い……カレー?」
真「うわっ、辛い!?」
P「うおお……相当な辛口だぞ、これは……!」
春香「ん……でも、なんだか甘さも強くなったような……?」
真「あ……本当だ。それに醤油味からカレー味になったのに、全然変な感じもしない……」
貴音「そう、この半熟煮卵の中には注射器でカレーが注入してあるのです」
貴音「辛さを強くした代わりに加えているもの……それが鶏、そしてとまと」
P「チキンカレー……なるほど、だから鶏がらベースのスープと馴染むってわけか」
春香「この甘さってトマト? 最初よりもすっきりしてて、辛いけどどんどん食べたくなってくる……!」
美味そう
「「「ごちそうさま!」」」
真「ふあ……スープまで全部飲んじゃったよ」
春香「私も……うわあ、体が熱い……」
貴音「ふふ、お粗末様」
P「しかし、何であんな辛いカレーなんだ?」
貴音「普通と言われる春香ですが、時に凄まじい情熱……そして切れ味の鋭いかりすま性を見せることがあります」
貴音「閣下、などと呼ばれていたでしょうか」
貴音「春香にはこの強く激しい部分が確固としてあり、だからこそ普通が、王道が映える……」
貴音「春香らあめんは……天海春香は、そう単純なものではないのです」ニコ
春香「え、ええっと……褒めすぎじゃないかなあ? あはは……」
貴音「春香……この一杯がわたくしの正直な気持ちです」
貴音「共に高みを目指す者として……時に強く、気高く王道を歩むあなたを、わたくしは尊敬しているのですよ?」
春香「あう……」
真「あーあ、トマトみたいに真っ赤になってるよ」
P「まさにイメージカラーだな」
春香「ううう……嬉しいけど、私の扱いってもう少し良くなりませんか……!?」
貴音「ふふ、そんな部分も含めて王道なのですよ」
真「え、これってレギュラーコーナーなんですか?」
P「週1だけどな。もちろん次は別の誰かをイメージしたラーメンが出てくる予定だ」
春香「来週のももう決まってるんですか?」
貴音「ええ……来週は>>33ですよ」
P「……」
貴音「……」
ウッウー!! オッハヨウゴザイマース!!
P「!」ガタッ
アッ プロデューサー エ? ドコイクンデスカ? ナンデスカ?
P「はい一命様ご案内~」
貴音「いらっしゃいませ、やよい。お待ちしておりました」
やよい「え? あ、はい! おはようございまーす!」
伊織「……じゃないわよ! 朝っぱらからいきなりやよいだけ抱えていってどういうつもりよ!?」バサッ
千早「高槻さん、無事!?」バサッ
P「はい、続いて二名様ご案内~」
貴音「繁盛して参りましたね」
P「どういうって……れっきとした仕事だが」
千早「この内装……立ち入り禁止になっていたけど、これは撮影用のセットなんですか?」
貴音「先週より開店致しました、『麺や貴音』です。どうぞ、よしなに」
貴音「本日はわたくしの765らあめん第二号、やよいらあめんを皆に食していただきましょう」
やよい「私ですか?」
伊織「なんていうか……もう完成図が予想できるんだけど」
千早「朝からラーメンだなんて、胃が受け付けないわ……」
伊織「ちょっと! まだ食べるって言ってないでしょ!?」
千早「私もその……一杯どころか半分も食べきる自信が……」
P「まあまあ、いいから座った座った」
やよい「うっうー! ラーメン食べさせてもらえるんですか!? 嬉しいですー!」
やよい「ラーメンなんていつぶりかな……ああっ、でも長介たちに悪いかな……?」
千早「高槻さん……」
P「やよい、家族の分も用意してもらおう……夕食時に連れてきていいぞ……」
やよい「本当ですか!? 夢みたいですー!」
伊織「やっぱり……」
やよい「うっうー! 凄い量のもやしです! もやし祭りができちゃいます!」
貴音「……はっ!」ジャーッ!!
千早「中華鍋で炒めるのね……量が多すぎて二つも鍋を使ってるわ」
P「なかなかの手さばきだろ? この一週間ずっと鍋振りの練習してたからな、貴音は」
伊織「アイドルに何やらせてんのよ……」
やよい「香ばしくっていい匂いがします……」クンクン
伊織「で、あのもやしの炒め物乗せて出来上がりでしょ? 何一つ予想外のことがないじゃない、テレビ的にNGよ!」
P「いや、まあ……あれだ、王道というものはいいものでな?」
千早「もやしラーメンは王道なのでしょうか?」
P「……」
やよい「王道です!」
P「……うん、王道だよな、やよい……スマン……」
貴音「……お待ちどう様です」ゴトッ
伊織「って、馬鹿じゃないの!? 具がもやししかないうえに、麺も何も見えないくらい乗せてんじゃないわよ!」
千早「プロデューサー……あの、見るからに私には完食できなさそうで」
貴音「百聞は一見に……いえ、一食にしかずです。どうぞお早めに」
伊織「……わかったわよ、食べればいいんでしょ?」
千早「うう……あら? ごま油のいい匂いが……これなら確かに、ちょっと食べてみたくはあるかも……」
ズ… ズズーッ シャクシャク ズズッ!!
伊織「おいしっ……!」
貴音「ふふ、光栄です」
伊織「ちょっ……別にアンタに言ったんじゃないわよ!」
伊織「でもまあ、シンプルな醤油ベースの味付けでいいんじゃない? 平打ちの麺にも合ってるとは思うわよ」
千早「え……?」
伊織「な、何よ千早? 伊織ちゃんの感想に何か文句あるわけ?」
千早「あの、確かに美味しいけど……醤油ベースじゃなくて、甘辛い味付けじゃない?」
伊織「え?」
千早「え……?」
P「鍋を二つ使ったのはもやしが多いからじゃなく、もともと二つの味付けを作るからだったってことか」
貴音「はい。片方は伊織の言う通り、スープと醤油ダレをベースに味付けしたもの」
貴音「もう片方は千早の言う通り、コチュジャンやテンメンジャンを加えた甘辛い味付けにしています」
やよい「それに、何だか海の味がします!」
貴音「ええ、スープは魚介ダシを基本としたあっさり味に仕上げました……あくまで主役はもやしですので」
千早「そうね……確かに味は素晴らしいけれど、炒め物をこんなに多くは……」ズズー シャクシャク
伊織「……」ズズーッ シャクシャク
千早「……」ズズーッ シャクシャク
伊織(……気のせいかしら? これって)
千早(おかしい、箸が止まらないどころかどんどん進んで……)
伊織・千早「時間が経つほど美味しくなってきてる……!?」
P「……二種類のもやしの味付けが、スープの味を変えてるのか?」
貴音「ご名答です」
貴音「スープはあえて魚介の薄味に仕上げましたが、もやしの醤油味と甘辛味がだんだん溶け出してきます」
貴音「さらに、もやしの味付けに使ったのは鶏がらスープ」
貴音「時間と共にもやしに絡んだスープが溶け出し、Wスープのラーメンへと変貌を遂げるのです!」
千早「はあっ……ん、あら?」
P「おお、二人とも綺麗に完食したな。スープまで夢中になっちゃって」
伊織「違っ……だって、せっかく作ってもらったもの、残すのも礼儀知らずじゃない!」
千早「あの、プロデューサー、私本当にいつもはこんなに食べられるわけではなくて……」
やよい「美味しかったですー! 幸せ……」
伊織「あ……」
千早「う……」
伊織「ええそうよ、美味しかったわよ! 夢中になっちゃったわよ! 悪い!?」
千早「気付いたら丼が空っぽで、まだ食べられそうなくらいで……ラーメンは脂っこくて苦手だったのに、癖になりそう……」
貴音「安いというだけではなく、もやしというものは本当に素晴らしい食材であるということです」
貴音「本当に美味しく食すことができ、また違う味を取り持つこともできる存在……」
貴音「やよいはそうした存在だと思うのです」
貴音「こうして、決して素直とは言えない二人に慕われていることがその証明と言えましょう」
伊織「素直じゃなくて悪かったわね!」
貴音「そして、このらあめんが時を経てさらに味を良くするように、やよいには素晴らしい素質があります」
貴音「大器晩成。いつか高みへ昇る、やよいの未来をこの一杯に込めました」
千早「高槻さん?」
やよい「えっと、あんあり難しいことはわからないですけど……」
やよい「大好きなもやしを使ってて、それがすっごい美味しいラーメンで、それが私を表してくれてるって……」
やよい「なんだか私、すっごく幸せかなーって!」
貴音「ふふ……そのように言ってもらえると、わたくしも自然と笑顔になりますね」
伊織「ま、そうでなくちゃやよいって感じしないわね!」
千早「ええ……私もあんな風になれたら……」
伊織「もう遅いんじゃない?」
千早「……くっ!」
かすみ「うん、本当……」
やよい「ほら、みんな慌てないで! ちゃんと貴音さんにお礼言わないと駄目だよ?」
長介「うん。貴音姉ちゃん、ありがとう!」
貴音「こちらこそ……ふふ、皆の喜びの顔が何よりの報酬ですよ」
P「さて、来週は>>64だったな。また取材先に連絡入れとかないと」
雪歩「な、何なんですか!? 私何されるんですか!?」
あずさ「あの、雪歩ちゃん? ちょっと落ち着いて~」
貴音「はて……雪歩はなぜこうまで怯えているのでしょうか」
P「この間出演したバラエティで、スタジオに大型犬が登場してな……仕込みのハプニングだったんだが相当応えたらしい」
雪歩「あの寸胴の中ですか? それともカウンターの陰に犬が隠れてるんですか!? 穴掘って離脱しますぅー!」
あずさ「駄目よ雪歩ちゃん! 事務所の床は掘っちゃダメって何度も言われてるでしょう~!?」
貴音「わたくしはどのような仕事も選り好みはしませんが……場合によっては選ぶべきかと」
P「今後はなるべく善処する」
雪歩「四条さんが仕掛け人だなんて……765プロには神も仏もいないんですぅー!」
あずさ「雪歩ちゃん! ここはそういう場所じゃないのよ~!」
貴音「あなた様…雪歩に何をしたのですか」
P「そういえばここに連れ込んだやり方が、前のバラエティに誘い込んだ時と似てたかも……」
貴音「それはどのような」
P「こう、脇に抱えてポイッと」
貴音「あなた様……自重なさいませ」
P「できる限り考えてみる」
雪歩「犬ラーメンなんですか!? そうなんですね!?」
あずさ「それは私も遠慮したいわね~……」
P「こりゃ駄目だ。貴音、とにかく作ってから考えよう」
貴音「釈然としませんが……わかりました」バサッ
貴音「さて、冷蔵庫のあれを泡立て直して……と」
ザバーッ ジャッ ジャッ!!
あずさ「あら、綺麗……」
雪歩「え? わ……丼の上がフワフワでキラキラしてますぅ」
貴音「雪歩のイメージカラー、白で纏めてみました。乗っているのは卵白を泡立てためれんげですよ」
P「ん、スープも白いんだな……豚骨か?」
雪歩「え……私、豚骨ってちょっと癖が強くて苦手です……」
貴音「それなら大丈夫ですよ。さ、召し上がれ」
雪歩「ふわ……これ、豚骨じゃない? 味はしっかりしてるけどさっぱりしてます……!」
P「なるほど、鶏白湯か」
あずさ「あら~、プロデューサーさんったら、こんな早い時間からパイタンだなんて……」
P「……俺何か変なこと言いました?」
雪歩「鶏なんですか? 鶏がらスープはわかりますけど、それよりずっと濃い感じがしますぅ」
貴音「そうすることで白濁した、旨みとこらーげんたっぷりのスープがとれるのですよ」
雪歩「そうなんですか……濃厚そうなのに、あっさりしてて食べやすいんですね」ズズーッ
貴音「癖のない塩ダレを使っていますし、メレンゲにはレモンを加えてありますから……後味はさわやかになるかと」
P「塩ダレの絡んだ白髪ネギもいいな。いい感じに味を引き締めてくれてる」ズルズル
あずさ「あら? メレンゲの中に何か……まあ!」
貴音「その通り。卵黄とみじん切りのネギをたっぷり加えた、特製のつくねです」
貴音「優しくなりすぎるくらいの雪歩らあめんにおいて、しっかりとしたぼりゅうむ感を担ってくれるでしょう」
あずさ「柔らかくって……ああっ、とってもジューシーだわ!」
雪歩「えっと、つくね、つくね……ありましたぁ!」
雪歩「んっ……なんだかメレンゲの中のつくねを探すだけで楽しくなっちゃいます!」
あずさ「美味しかったわ~、真っ白なラーメンだったけど優しいだけじゃなくて飽きない味なのね」
雪歩「……!」
貴音「ええ。雪歩のイメージカラー、白で纏めましたが……堂々とした、自信の溢れるらあめんに仕上げられたと思っています」
雪歩「これ、雪歩ラーメン……私のラーメンなんですよね?」
貴音「はい。わたくしの雪歩のイメージを形にしたものです」
雪歩「……私、前のショックを引きずっちゃうし、自信も持てないダメダメな子ですけど……」
雪歩「でも、四条さんのラーメンに近づけるように頑張ります!」
オイ イヌミ、ソッチイッチャダメダゾ!! ゴハンナラアルカラ!! イヌミッタラ!!
バササッ!!
雪歩「え?」
いぬ美「……」
雪歩「……」
いぬ美「……わふっ」
雪歩「……」プチン
雪歩「穴掘って埋まってますぅぅぅぅぅ!!」ザクッ ザクッ ガキンッ バキッ
あずさ「雪歩ちゃん駄目よ~! 落ち着いて~!」
貴音「この店は、来週までに復旧できるでしょうか」
P「無理だな」
≪おしまい≫
一応全キャラ分のレシピは考えてあるので、他のはまたいずれ。
ありがとうございました。
またの機会を楽しみにしてるよ
レシピ詳細教えてくれてもいいのよ?ってか教えてください
乙
腹減ったなぁ
Entry ⇒ 2012.06.27 | Category ⇒ アイマスSS | Comments (0) | Trackbacks (0)
愛「反抗期だよー!」 舞「ふーん?」 愛「げえっ! ママ!」
踊り場に大好きな二人を見つけるだけで、あたしは嬉しくなれるんです。
愛「涼さん、絵理さん! おはようございまーす!」
絵理「愛ちゃん、今日も元気?」
愛「はい! げんきですよー!」
涼「おはよう、でも、声が大きいよ?」
愛「ねえ! どうして部屋に入らないんですか?」
絵理「新しいプロデューサーが、来てるの」
愛「!!」
愛「挨拶してきます!」
ガチャ バタン。
絵理「行っちゃった」
涼「まあ、あのプロデューサーさんは愛ちゃんのパワーにも負けないだろうね」
絵理「亀甲縛りより年の功?」
涼「それちょっと違うような……どこがかはちょっとわからないけど」
絵理「ふふっ?」
ガチャ バタン
愛「挨拶してきました……」
涼絵理(あれ? 元気ない?)
愛「う~。どうしよう絵理さん涼さん、あの人、あたしの嫌いな人でした……」
涼絵理「えっ?」
~876プロ前通り~
絵理「ねえ、愛ちゃん? 前に会ったことあったの? プロデューサーと」
愛「初めてですけど……」
涼「ま、とにかく、駅に向かおうよ」
涼さんは男の人だけど、まだ女の子の格好で歩きます。
でも最近、お兄ちゃんだなあと思うことがあります。
愛「うう~」
気にしてくれる2人に申し訳なくて、頭を抱えちゃいました。
そのプロデューサーさんはちょっとの間だけ働くそうです。
涼さんが男の子になって、男の子アイドルとして売り出していくけど
女の子が男の子になるなんて何が起きるかわからないから
経験ホウフなプロデューサーさんを呼んで
ついでにまなみさんにも勉強してもらうんだって社長は言っていました。
愛「じゃあじゃあ、スゴ腕プロデューサーさんなんですか!?」
P「腕はどうでしょう。少なくとも期間は長いですよ。15年ですね」
愛「15年! あたしが生まれるより長いんですね! すごいです!」
P「ありがとうございます」
大学を卒業して……大学って22才で卒業だっけ? 37才になるのかな。
てことは……一年前はあたしの3倍だったことになります!
そういう男の人と話すのはあんまりないから、思わずまじまじと見ちゃいました。
地味なスーツでまじめで優しそうな印象です。
ママと同じ指に指環をしてるから、結婚もしてるはずです。
もしかして子どもはあたしと同じくらいかもしれません!
あたしがじーっと顔を見ていたら、少し困ったように眉を下げて
でも目はそらさないでいてくれました。
ママよりもずっと年上だけど、パパってこんな感じなのかも。
嬉しくってにっこり笑うと困ったような顔のままでうなずいてくれました。
わかった! このひとは優しい人です!
まあ、スーツの襟にステッチが入ってて
ズボンの裾も折り返してて
袖がカフスボタンだからママは嫌いだろうけど。
「ステッチが入ってる男にろくな奴はいないわよ、愛」
「裾がダブルの男にろくな奴はいないわよ、愛」
「カフスしてる男にろくな奴はいないわよ、愛」
ぴったりですよ!!
愛「うふふ」
P「どうしましたか?」
愛「なんでもないです。プロデューサーさんの格好が
いつもママが言ってるとおりだったから」
P「……え?」
プロデューサーさんの困り顔が固まっちゃいました。
P「お母さんが、……舞さんが、私のことをなにか?」
愛「……え?」
愛「あ、な、なんでもないです。
ステッチっていうんですよね? その襟のと
ズボンの裾を折るのと
カフスボタンが、全部ママが嫌いだったからおかしかっただけで」
プロデューサーさんは、おかしいくらいほっとしたみたいでした。
それだけであたしはわかりました。
この人もみんなと同じだって。
お仕事で会う、ずっと年上の、昔のママを知ってる人たちと同じ。
あたしを向いててもあたしは見てない。あたしの向こうにママを見てる人たち。
その目で見られると、なんだか頭をぎゅうっと
押さえつけられたような気分になっちゃいます。
今もなっちゃいました。
~876プロ前通り~
涼「なるほどね」
絵理「愛ちゃん、かわいそう」
愛「あ! いいえ! あたしが変にひがんでるだけですから!」
口に出してハッとしました。
あたし、ひがんでたんですね。ママのこと。
アイドルデビューして、それなりにお仕事もできるようになって。
CDも出して写真集も出してファンクラブもできて。
でも、日高舞の娘だってバレた時、そんなの全部吹き飛んじゃいました。
ママと一緒に番組を、という依頼だけで3日くらい事務所の電話がずっとリンリン言ってました。
「私は愛の仕事にはノータッチだから。
復帰はまったく考えてないわよ。
もし万が一そういうことがあったとしても
私の娘だってわかったら愛を特別扱いするようなところとは
絶 対 に
お付き合いしないからよろしくね。
それと、警察呼んであるから散ったほうがいいわよ」
ママが取材の人たちにそう言ったのがひと月前です。
ママのおかげで変に仕事が増えたり減ったりはしませんでしたけど
それでも、比べられちゃうのはしょうがないですよね。
しょうがないんですけど。わかってるんですけど。
ママと比べてがっかりされるとしょんぼりしちゃいます。
舞「~♪ 愛ー。そろそろ机拭いてくれるー?」
愛「はーい」
舞「何、元気ないわね」
愛「なんでもないよ。あ、今日来た新しいプロデューサーさんが
ママの嫌いなファッションだったよ」
舞「え? プロデューサー変わったの? まなみさんて人は?」
愛「涼さんの男の子デビューを助けてくれるんだって。
あと、すごい人だからまなみさんも一緒にお勉強するんだって」
舞「そうなんだ。それがどうしたって?」
愛「襟がステッチで、ズボンが折り返しで、カフスボタンなの」
舞「最悪ね。でも、不潔でさえなければ気にしない方がいいわよ。
私が嫌ってるのも大した理由じゃないし」
愛「うん。いいお父さんって感じだった」
舞「……けっこう年なの?」
愛「んーとね? 37かな? 15年も働いてるって言ってたから」
舞「……37」
愛「ママ?」
舞「もうすぐできるから、お味噌汁とご飯よそって」
愛「あと冷蔵庫からおしんこだよね」
舞「そう。ところで愛、そのプロデューサー、なんて名前?」
愛「えーとね、携帯のメモもらったんだ」
ママはそのメモを見て、首をかしげて返してくれました。
知ってる人じゃなかったみたいです。
今日もご飯は美味しかったです! おやすみなさーい!
~翌日 876プロ~
涼さんが給湯室から手招きしてました。
涼「愛ちゃん愛ちゃん。ちょっと」
愛「何ですか? 涼さん」
涼「昨日、律子姉ちゃんにプロデューサーさんのこと聞いてみたんだ」
涼さんのイトコのお姉さんは765プロでプロデューサーをしています。
竜宮小町を考えた人なのに、まだ20才!
まなみさんも尾崎さんも話したあとで
いっつも「緊張した」って溜息つくスゴい人です。
あ、でも、あたしたちには優しいんですけどね。
あ、じゃなくて、あたしと絵理さんには優しいんですけど。
涼「それでね、律子姉ちゃん、名前を聞いたらお茶吹いてた」
愛「え?」
涼「律子姉ちゃんがプロデューサーになって1年なんだよね。
その姉ちゃんですら名前を知ってるんだから、スゴい人なのかも」
愛「律子さんは何て言ってるんですか?」
涼「信じてついていけば間違いないって。それはいいんだけど。
愛ちゃんもプロデュースするのかってわざわざ訊かれたんだよね」
愛「?」
涼「愛ちゃん、心当たり――なさそうだね」
絵理「あ、愛ちゃんこんなところにいた」
愛「絵理さん?」
絵理「愛ちゃん、愛ちゃんちの電話番号って03-XXXX-8700?」
愛「そうです。教えましたっけ?」
絵理「ううん? 前に何かの書類で見た?
その時、あー、ハナマルなんだって思ったの」
涼「8700でハナマルか。愛ちゃんにぴったりだね」
愛「えへへー。それで、うちの番号がどうかしたんですか?」
絵理「プロデューサー、愛ちゃんのお母さんと知り合いかも?」
愛「え?」
絵理「携帯が机に置きっぱなしで、着信があって渡したの」
涼「その番号が愛ちゃんちの電話番号だったの?」
絵理さんはうなずいて、あたしは涼さんと顔を見合わせました。
絵理「それで、会う約束をしてたみたい?」
P「外回りに行ってきます」
玄関のほうでプロデューサーさんの声がして、3人ともビクっとなりました。
ちなみに3人でいちばん仕草がかわいいのは涼さんだったと思います……。
絵理「愛ちゃん、涼さん、鉛筆持ってる?」
愛「あ、ありますけど」
渡した鉛筆を持って、絵理さんはプロデューサーさんの席に行きました。
メモ用紙のいちばん上の
何も書かれていない紙を鉛筆でシャッシャとなぞって
絵理「うそ? うまくいった」
涼「絵理ちゃんってすごい」
メモ帳には、時間と駅と何かの名前が浮き上がっていました。
絵理「(カチカチ)うん。これ、喫茶店。麻布だね?」
涼「も、もう検索したんだ!?」
愛「ここでママとプロデューサーさんが会うんでしょうか?」
絵理「たぶん間違いない? 何を話すか聞いてみたいな」
涼「確かに。あ、でもわかるの時間だけだね」
絵理「日付が書いてないってことは明日? それにこの喫茶店は火曜日定休?」
愛「絵理さんすごいです! 探偵さんみたいです!」
そういうと絵理さんはすこしかっこつけて顎に手を当てました。
いつものポーズとあんまり変わらないんですけど。
涼「そうかあ。明日の11時か。
それでどうするの? 愛ちゃん?」
愛「え?」
絵理「この喫茶店に待ち伏せして、2人の話を盗み聞きする?」
盗み聞き? え?
愛「あ、明日って学校ですよね」
2人ともきょとんとした顔をしました。
当たり前です。お仕事がはいるようになったから
学校を休むのにも慣れちゃったって笑ったのはつい昨日なんですから。
涼「気が進まないならやめておく?」
ああ、涼さんはやさしいなあ。
絵理「わたしは、はっきりさせた方がいいと、思う?」
絵理さんもやさしいです。
愛「……あたし、行ってみます。この喫茶店」
絵理「それはムリ」
愛「えっ」
絵理「話が聞こえるくらい近い席だったら、お母さんに気づかれる、きっと」
涼「それに、月曜の午前中に愛ちゃんが1人で喫茶店にいたら
たぶん補導されちゃうと思うよ」
愛「ああ……」
残念なような。
でもホッとしたような。
絵理「だから、わたしたちも一緒に行ってあげる。ねえ、涼さん?」
愛「え? そんな、悪いです」
涼「遠慮しないでよ! 愛ちゃんの大事なことじゃないか。
あ、でも僕たちだって近くに座れないよね」
絵理「大丈夫だ、問題ない?」
絵理さんも涼さんも大好きです!
~翌日 午前10時 喫茶店~
その喫茶店は半分地下になってるところで
薄暗くて、ねむーくなる音楽がかかってるお店で
奥の方の席で、3人ともココアを頼みました。
絵理「これ、耳につけて?」
涼「ラジオ?」
愛「なんですか?」
絵理「FMを受信できるラジオ」
涼「地下だと電波入らないよね?」
絵理「電波はサイネリアが出す?」
涼「ネット廃人ってそんなこともできるの?」
絵理「わたしならできるけどサイネリアにはまだムリ。
だからFMトランスミッターを使う」
絵理さんの話をまとめると
鈴木さんがプロデューサーさんとママのすぐ隣に座って
髪留めがマイクで
鈴木さんのバッグの中にあるFMトランスなんとかで
あたしたちに話してる声を送ってくれるそうです。
カラン、とドアが開く音がしてみんな頭を下げました。
念のためお店のいちばん奥の席に座ってるけど
ママかプロデューサーさんか、どっちかが奥のほうに来たらアウトです。
絵理さんはきっと大丈夫って言ってましたけど。
涼「(プロデューサーさんだ)」
絵理「(こっちに来そう?)」
涼「(ううん。窓際の席に座ったよ)」
絵理「(やっぱり?)」
愛「(どうしてわかったんですか!?)」
絵理「(あの席が、いちばんEモバの電波が入るから、かな)」
プロデューサーさんはこっちに向くようにしてソファに座りました。
さっそくパソコンを取り出して開きました。
絵理「(できる人はちょっとの空き時間でもメールチェックする。これ常識?)」
涼「(それはイケメンだ!)」
絵理「(涼さんの規準が、わからない)」
愛「(こっち気づかないですね)」
そして。
11時少し前に、ほんとにママがお店に入って来ました。
愛「(ママ……。いつものカッコだ)」
ちょっとホッとしました。
だって、もしかしたら、ほんのちょっとだけ、
プロデューサーさんとママが昔お付き合いしていたとか
そういうことも想像しちゃったりしてたから。
絵理「(サイネリア、ゴー)」
絵理さんがすごい速さでメールを打つと、
1分もしないうちに鈴木さんが入って来ました。
絵理「(イヤホン、つけて?)」
ザー
ザザ
焦ってラジオを調節すると、ママの声が聞こえてきました。
舞『――コンしたのね』
P『おかげさまで』
舞『あの時付き合ってたひと?』
P『別の相手です』
舞『ふーん。で、まだプロデューサーやってるの? どこで?』
ママ、怒ってる?
P『ショットの仕事でつないでいますよ。それでもう14年』
舞『よく辞めなかったわね』
P『辞めませんよ』
舞『恥ずかしくはないんだ。すごいわね。真似できない』
ママ、ちょっと子どもっぽいかも。
P『追い出されない限りはしがみつきます。この業界が好きなんです』
舞『どうせ吉原の接待が忘れられないんでしょ?』
P『ああいうことは、今はもう、やっていません』
舞『まああんたに金を任せる人ももういないわよね』
絵理「(すごく、険悪?)」
涼「(14年前って、愛ちゃんのお母さんが
アイドルの頃の知り合いってことだよね?)」
舞『石川さんも甘いわよね。いつ問題起こすかわからない人なんか使って』
P『権限を限定して、常に監視して、期間を抑えて。
そういう使い方なら大きなトラブルは起きないものです』
舞『ひとごとみたいに。
でもそうやってあれから飼い殺しだったのね。いい気味だわ。
昔は10年で社長になるとか言ってなかったっけ?』
P『はは。そうでしたか』
舞『何がおかしいのよ?』
P『いえ。少し前に会った人を思い出しましたんです。
その子は若手が5年で社長になれると信じていた。
15年前の私は10年かかると思っていたんですか。
なるほど最近の若い人は気宇が壮大だ』
舞『どうでもいいわよそんなこと』
しん、と静まりました。
舞『とにかく!
あなたに愛の近くにいてほしくないの。
これでも親バカなのよ。
娘に汚い物は見せたくないわ』
P『それは石川社長におっしゃってください。
社長が解消と言えばもちろん従います』
舞『契約の面倒くささくらいは知ってるわよ。
だからこうしてあなたの良心にすがってるんでしょ』
P『私の良心は、汚い物を見せないように
そうならないように努力することで』
舞『――ねえ。さっきからなによその言葉づかい』
P『当たり前でしょう。あなたはうちのアイドルのお母様ですから』
舞『ああ言えばこう言うんだから!
だいたいなんで引き受けたの?
石川さんはあなたが私のプロデューサーだったことを知ってるわよね。
愛が私の娘だって言われなかったの?』
P『876プロに日高舞の娘なんておりませんよ。
いや、戸籍の上ではいるのかもしれませんが』
愛「……」
P『誰々の娘なんて安い売り方をする子は1人もいません』
そのまま事務所に戻ったら学校をサボったのがばれちゃうので
涼さんのお買い物に付き合ってご飯も食べました。
ママがあそこまで子どもっぽく怒るのを初めて見たので
なんだかずっとドキドキしてましたけど
反対に2人はすごく明るくなってました。
絵理「つまり……まとめると?」
プロデューサーさんはアイドル時代のママと働いてて
その時2人はケンカ別れしちゃったんです。
よく追い出されなかった、ってママが言ってたから
プロデューサーさんが悪いことをしたのかも。
愛「涼さん、吉原の接待ってなんですか?」
涼「うーん。吉原ってあれだよね。時代劇で花魁がいるところ。
でも今は花魁なんていないよね?」
絵理「今もあるって、google先生が言ってる」
涼「そうなんだ? それってもしかして」
絵理「うーん、新宿の歌舞伎町みたいな感じ、なのかな?」
ママはプロデューサーさんのことをとても嫌いみたいですけど
むかし悪い人だったとしても、今は違うんじゃないかな?
絵理「でも、ひどい人じゃなさそう?」
涼「うん、愛ちゃんを『日高舞の娘』として売りだそうとする人なら
肝心のお母さんにあんな態度はとらないよ」
それで今は、ママの娘じゃない、あたしをアイドルとして見てくれる……。
なんだか燃えてきました!
あたし、がんばっちゃいますよー!
~数日後 都内公園~
愛「がんばりたいんですよー!」
P「いいことです」
愛「がんばりたかったんです」
P「伝わってきました」
愛「あたしのがんばりが足りなかったんでしょうか……」
がんばると決めて最初のお仕事はテレビのお料理番組でした。
といってもお料理するのは小学生の子どもたちで
あたしはその子たちのお姉さん役でした。
ああいうのもちゃんと脚本があるんですね!
あたしの役割は、画面の端っこでいつも遊んでいる男の子の面倒。
公園での料理だからお料理より楽しいことがたくさんあって
ついふらふら離れちゃう四年生の男の子タケシくんを
あたしがこらーって連れ戻して、最後はちゃんとまじめな顔でお手伝いしてくれる。
そういうあらすじだったんですけど。
P「実際のところいいものが取れましたよ」
愛「うう。そうですかあ?
あたしはもっと、タケシくんと取っ組み合いとかしたかったです」
P「はは。そうなったら楽しかったでしょうね。
特に今回はリーダーのマキちゃんがとてもテレビ映えする子でした。
あれならもっと子役たちに重みをおいて
タケシくんはもう少しわんぱくでもいけましたね」
愛「ですよね!」
P「でも、その場でいきなり構成を変えることはできないんですよ。
みんな、今ある台本でイメージをしてきているんですから」
愛「うう……わかってるんですけど」
うそです。ぜんぜんわかってません。
もっといいものになるかもと思ったら
ダメでもともとそっちに突っ走るべきなんじゃないでしょうか?
P「お疲れ様でした。今日は帰りましょう。
今週中には第一稿のVが上がってくるはずです。
それを見ながらもう一度このお話の続きをしましょうか」
愛「え? 続き、していいんですか?」
P「仕事をして、日高さんが納得していないことがあったら
その説明をしてあげるために私たちはいるんですよ。
せっかく仕事をしたんだから栄養にしないともったいないでしょう」
愛「はーい!」
事務所に戻ったら涼さんが飛んできました。
涼「プ! プロデューサーさん! さっき! あの! 電話があって!」
P「はい」
涼「ジュ、ジュピターの天ヶ瀬さんが駅まで来てるって!」
ジュピター!
ちょっと前まで大人気だった男性アイドルです!
解散したって話を聞いてたんですけど。
P「誰か迎えに行きましたか?」
涼「お、岡本さんが」
P「昨日思いついて頼んだばかりなので
メールで連絡を済ませてしまいました。
涼さんはあまりメールは読まないんですね?」
涼「あ、あの、社内メールは仕事のない日はあんまり読んでなくて
もしかして送ってもらってたんですか!?」
P「いいえ。送信者責任といって
メールが読まれたかどうか確認するのは送った人間の責任です。
電話をするべきでしたね。すみません」
涼「あ、そんな!」
P「涼さんが受けてきたレッスンはすべて女の子としてのものでした。
トレーナーさんも女性の仕事が多い方です。
今日は涼さんというよりも、トレーナーさんに男性アイドルの
実践的な振りつけと勘をつかんでもらうのが目的です」
涼「は、はい」
P「天ヶ瀬さんは3人のなかでいちばん努力家でしたから、
理屈で話してくれるでしょう。
身長も涼さんと……もう、162ではありませんね?」
涼「あ、はい。今165かな?」
P「変声期がまだ始まっていないこと、手と足が身長に比べて大きいことを
考えると確実に天ヶ瀬さんくらいにはなるでしょう。
彼の動きは参考になりますよ」
涼「じゃあこれからレッスンスタジオに?」
P「はい。車で行きますので用意をしてきてください」
~事務所 ミーティングデスク~
別の日。まなみさんと絵理さん、プロデューサーさんが
机でむつかしいお話をしています。
あたしはそのそばで3人のお話を聞いてます。
絵理「確かにソーシャルは楽しそう。でも課金兵にはなりたくない?」
P「そうですよね。射幸心だのなんだと批判されるのは、
批判している人たちも魅力を理解できるからです
そして自分や知人が何かのきっかけで溺れかねないと警戒するからです」
プロデューサーさんはだいたい涼さんにつきっきりで
あたしの方も時間があれば一緒にいてくれますけど
絵理さんとは一緒にお仕事していません。
たまに尾崎さんが忙しい時付き添いするくらいです。
絵理さんには尾崎さんがいるから当たり前なんですけど。
だから絵理さんとプロデューサーさんが話してるだけでなんだか嬉しくなっちゃいます。
絵理「プロデューサーはやってみた? ソーシャルゲーム」
P「はい。人気があったものをいくつか、2ヶ月間。
無課金で1ヶ月。もう1ヶ月は5万円課金してみました」
絵理「すごく真剣。よく、やめられたね?」
P「だいたいわかった、と思いましたからね」
まなみ「でもガチャってイメージがよくないですよね。
事務所として関わるのはどうなんでしょう」
P「イメージが悪いのは儲けようとするからです。
逆にいえば、不当に利益を得ようとしない限り批判はされません。
手法自体は有効なのに毛嫌いするのもよくない」
絵理「それは、そうかも? でも儲けなくてもいいの?」
P「CDもPVも簡単にダウンロードできるような昨今で、
確かに私たちは新しい儲け方を考えないといけません。
が、それはパチンコのまがいものではないはずです。
そうなると、ライブや物販もそうですが、もう一つあります」
まなみ「なんですか?」
P「やっぱりCDやDVDなんですよ。
私たちのファンだけはきちんと買ってくれる状況を作る。
つまり、ファンのモラルを高める努力をすることです」
絵理「そんなに甘くない、と思う? だって、タダだから」
P「控えめな指摘ですね。
絵理さんは違法ダウンロードはしますか?」
絵理「う……この流れで言わせる?」
P「これは申し訳ない。では違法コピーをしてもいいと
誰かに思わせる要素を挙げます。
納得できないものは指摘してください」
絵理「うん、わかった。でもあんまり、期待しないで?」
P「岡本さんも。
まず一つ。その商品を購入するだけのお金がない場合」
これはあたしもわかります!
うんうんとうなずいたらプロデューサーさんは笑ってくれました。
P「次は、もう既に商品が店頭になく購入できない場合。
ここまでは当たり前ですね」
P「続いて、商品それ自体に価値を見出していない場合。
あれば嬉しいけれど、必要ではない場合ですね」
絵理「よくわからない……たとえば、どんな?」
P「水谷さんがネットアイドル時代に作った3作目のPVを見ました。
フルメタルジャケットのハートマン軍曹のセリフを使用していますね。
あれは、DVDを購入しましたか?」
絵理「うう……YouTubeから。ごめんなさい」
P「謝る必要はありません。
私は実際、そこは厳密に問題視するべきではないと思っています。
なぜならあのPVを完成させるためにハートマン軍曹は必要ではないからです。
だからお金を払うように規制するコストの方が大きくなります」
P「そして最後に、これがいちばん大きな条件だと思いますが
違法ダウンロードをしたことを誰にも知られなくていい場合」
絵理「うん。そうね。わたしもいま、ハートマン軍曹のこと言うの、ためらった?」
まなみ「でも、パソコンでちゃちゃってコピーできちゃいますよね?
誰かに知られる場合のほうが少ないですよね?」
P「誰にも、というのは他の人のことじゃありませんよ。
四知――知ってますか?」
絵理「英語で都市の」
P「それはシティです。
四知とはむかしの中国の故事で
要するに、悪事をしても自分はそれを知っています
という意味ですね」
絵理「……やっぱり、苦手?」
P「何がですか?」
絵理「なんでもない、です」
P「私たちは普段、自分のしたズルを許して忘れます。
だったら、つどつど思い出す環境をファンに与えればいい」
絵理「それって、どういう?」
P「ファン同士の交流をもっと盛んにさせる。
それも、オンラインではなく現実で。
ガチャはそのために使いたいと考えています」
絵理「よく……わからない?」
P「ガチャは無料。無料の登録会員のみが1日1回引くことができます。
そして一度引いたものを再度引くことはなく、
一度引いたものは再ダウンロード自由です」
絵理「うん……続けて?」
P「手に入るものはスマートフォン向け画質の十数秒程度の動画ファイル。
数分の動画を分割したものです。
その代わり配布期間はデイリーで3~4は提供します」
絵理「毎日3? そんなに……あ、でも、
短くていいなら1分のファイル分割で3つは作れるかな?」
P「公式サイトに画像ファイルの一覧を作り、それぞれの残数を公表します。
ノーマルは1000ファイル以上落とせますが、レアは50ファイル以内です。
ダウンロードするとファイルの冒頭にダウンロード者のニックネームとIDが刻印されます。
そしてこのファイルは、会員同士が直接やり取りするならコピー無制限とします」
絵理「つまり、コピーを前提としてる?」
P「はい。デイリーで3提供され、ガチャで手に入るのは1日1ファイルですから
1人では絶対に集めきれません。
一方で、ノーマルにも総数があるから
かならず誰かがレアを手に入れます。
みんなで挑み、手に入れた人は感謝だけを受け取って分け与える。
そんな環境を作りたいんです。
そして、ファイル交換の最大の場をライブとしたいのです」
まなみ「知らないファン同士が知り合うきっかけになりますね!」
P「狙いはそれです。ファンに現実の知人を増やすこと。
現実の知人の前で違法ダウンロードをしているとは
なかなか言わないものです。
他の曲は落としたとしても
あなたたちの曲や映像にはお金を払ってくれる人が増えればいい」
絵理「認証は、どうするの?」
P「そこはすみませんが門外漢です。
一つ考えているのが、ファイルを渡す側のメールアドレスにパスコードを送り
それを受け取る側の画面から入力させるものですね」
絵理「んー。でも、それなら直接会わなくても
電話とかメールでパスを教えられる?」
P「はい。そこはあまり厳密にやらないほうがいいでしょう。
オフラインでは会えない事情のある方もいらっしゃるでしょうから
その方々が手に入れる手段は残したい」
絵理「だいたいわかってきた……うん、イメージできた。
少なくとも、そのやり方で悪口は言われない、と思う?」
まなみ「でも、プロデューサーさんには涼くんの件をお願いしたのに
こういうことまで考えていただけるんですね」
P「いや、これは涼さんのためなんです」
むつかしい話で眠っちゃいそうだったんですけど
涼さんのため、という言葉で目が覚めました!
涼さんのためならあたしもがんばって起きてますよー!
絵理「涼さんの、ため?」
P「これまで女性だったアイドルが男性として売りだすのは
私にとっても初めての経験です。
展開が異次元すぎます。
なるべく体制は万全にしたいんです」
まなみ「万全、ですか?」
P「はい。主に二つあって
一つは、ファンを騙していたというマイナスを
すべて事務所が吸収すること。
もう一つは、公式の発表より前に
涼さんが男であることを浸透させることです」
まなみ「事務所が吸収……」
P「当たり前ですよ。何を言ってるんですか。
涼さんが女性アイドルのデビューを望んでいたとでも言うつもりですか。
本人の希望に沿わない嘘をつかせたのは誰ですか」
まなみ「あ、あの」
絵理「プロデューサー、もしかして、怒ってる?」
P「いえ、怒ってはいません。
怒ったら冷静な判断ができませんから。
だから怒りません」
プロデューサーさんはいつもの笑顔でした。
でもすっごく怖いのは気のせいでしょうか……。
P「全部ひっかぶるために事務所はクリーンでなければいけません。
その一環ですね。ボロ儲けできるガチャを導入しながら
サービスに徹すれば必ず評価されます。
岡本さん。絶対に忘れないでください。
ルールがあったら完璧に守らなければいけません。
でなければそこを刺されて終わります」
まなみ「さ、さすがはミスターコンプライアンス」
愛「こんぷらいあんす? ってなんですか?」
プロデューサーさんがよく呼ばれるあだ名です。
そう呼ぶ人たちは、なんかいやらしい感じがして好きじゃありませんでした。
だから悪口だと思ってたんですけど。
絵理「(カチカチ)遵守? 従順? 法令遵守?」
愛「ホウレイジュンシュ?」
まなみ「ルールをしっかり守る人ってことよ」
愛「それっていいことですよね?」
だったらなんで、悪口みたいな感じだったんでしょう?
芸能界だとそういうのはダメなんでしょうか?
P「それはともかく。
体制を整えた上で女性のデビューは事務所の作戦だと言い張ります。
そうすれば、涼さんに非難を向かわせずにやり過ごせる可能性が出ます」
絵理「そもそも、涼さんが悪いなんて誰も考えない?」
P「そうであってほしいものです。
もう一つが、噂と映像を使って浸透させることですね。
お披露目のミニライブは年末を予定していますが
それまでには公然の秘密になっているのが望ましい」
絵理「レア映像で男の子の涼さんを見せる?」
P「いえ。あくまで女の子の姿で。
ただ、しっかり探せば男であるという指摘ができるように散らします。
例えば、マグカップが一つだけ大きいとか」
絵理「でも、涼さんのマグカップ、3人でいちばんかわいい?」
P「それが涼さんのであると示す必要はありません。
ただ、画面のすみに涼さんのイメージカラーでごついマグカップが映ればいい。
他には、二つ動画を合わせると、トイレに行って戻ってくる時間が
女の子にしては短いことに気づくとか」
愛「男の人って短いんですか?」
P「トイレの所要時間は、男女の平均で14倍差があるそうです」
愛「そうなんだ!」
P「そういう、あやふやな傍証を積み上げることで
ファンの間に覚悟を積み重ねてもらいます。
変声期が終わるまでは女の子としても活動するかもしれませんね。
猶予期間を設定するわけです。
ただ、いじられ役になるからやりたくはありませんが」
そう言うとプロデューサーさんはくたびれたふうに椅子にもたれました。
P「いたましい話です。
ただこの件は前例がなさすぎるから
ベストの選択はもちろんベターな選択すらもわかりません。
涼さんには申し訳ないけど、手探りで進むしかない」
P「水谷さんに話を聞いてもらったのは
まず、私のプランがネット世界にどう思われるか意見が聞きたかったから。
そして、動画を社内で大量生産することが今の環境で可能か
判断していただきたかったからです」
絵理「ガチャとか認証とかのプログラムは作らない?」
P「そこはプロに頼みます。あくまで動画を作るところだけ」
絵理「うん……問題ない、と思うけど。
2日くらい考えたい? サイネリアにも意見を聞きたい?
涼さんの大事なことだから」
P「2日なら充分です。わからないことがあったら
夜中だろうとすぐに電話で訊いてください。
岡本さんは社長説明用の資料作りです」
まなみ「またシゴかれるんですね……」
P「資料づくりは数をこなすしかありません。がんばりましょう」
むつかしい話が終わったみたいなので、
プロデューサーさんを引っ張ってテレビの前に行きました。
あのお料理番組のDVDが届いたのでこれからチェックです。
絵理さんもそのまま一緒に見てくれることになりました。
涼さんが最近ダンスとボーカルのトレーニングで忙しいから、
絵理さんは何かと理由をつけて一緒にいてくれます。
こうしていると家族みたいだなあって思っちゃいます。
プロデューサーさんがパパで、絵理さんがお姉ちゃん。
絵理「愛ちゃん、可愛い」
愛「えへへ! ありがとうございます!」
できあがったビデオは想像してたよりもずっとずっと楽しかったです。
最初、リーダーのマキちゃんはわんぱくなタケシくんに困ってたけど
愛おねえちゃん(あたしです!)がうまくタケシくんのやる気を出させてあげて
そのタケシくんがもっと小さな子たちをまとめて最後の盛りつけをする。
そしてみんなの「いただきます!」
自分が出た番組なのに、ハラハラして、安心して、嬉しくなっちゃいました。
P「いい出来ですね」
愛「はい!」
絵理「マキちゃんも、可愛い」
愛「はい!」
タケシくんが小さな子たちをまとめはじめた時の、
ほっとしたマキちゃんの顔はとってもとってもよかったです!
P「さて、検討と指摘はあとでするとして
日高さんとは少し内容について話してもいいですか」
愛「え? でもいい出来なんですよね?」
P「はい。番組としてはいいです。
あとはアイドル日高愛として」
愛「え? うーん?」
プロデューサーさんはもう一度最初から再生してくれました。
愛「あ! 最後の食べてる美味しいシーンで
あたしのアップだけありませんでした!」
P「そうです。料理番組でいちばん大事なのは最後の笑顔です。
食べる時の笑顔だけで仕事を取れる人もいるくらいですからね。
けれど今回は使ってもらえなかった。
これはもう契約不履行レベルで、もちろん指摘しますが
どうして使ってもらえなかったかわかりますか?」
愛「うう。あたし、変な顔してましたか?」
P「笑顔はとてもよかったですよ。今回は、良すぎたんです」
あたしはプロデューサーさんの言ってることがわかりませんでした。
いい笑顔を使ってくれないなんて、そんなことあるわけありません。
それくらいのことはあたしにだってわかります。
P「納得がいかない顔をしていますね」
愛「はい! ぜんぜんわかりません!」
P「いい返事です。
ではここで日高さんの笑顔を組み込んだらどうなるか想像してみましょう。
この番組は、最後のアップは芸能人から子どもたちという順番にしています。
なぜか?
こと笑顔という単純な表情にかけて
芸能人は子どもには絶対に勝てないからです」
絵理「それは、そうかも?」
絵理さんはそれからあたしの方を見てにっこりと笑ってくれました。
絵理「愛ちゃんの笑顔にも勝てない?」
愛「ありがとうございます!
でも、あれ?
それってあたしが子どもってことですか?」
絵理「気づいた? えらいね」
愛「ひどいです!」
P「水谷さんの言う通りです」
プロデューサーさんまで!?
P「大半の芸能人は日高さんの笑顔には勝てない。それが最後のアップから外された理由です」
愛「え?」
P「収録が終わった時のことを思い出してください、日高さん。
あの時日高さんはしょげてましたよね」
え? そんなことあるわけありません。
だってこんなに楽しそうな番組だったんですから……あれ?
P「しょげてましたよ。もっとやれるけどやらせてもらえなかったって」
そうでした。
あたしはちょっとフホンイだったんでした。
P「あの時日高さんはベストじゃないと思っていた。
実際、スタッフみんな6割くらいの力しか使っていなかったはずです。
それは大人の芸能人たちもそうです。
彼らのほとんどは夜にも仕事があっただろうし
次の日もその次の日も仕事があったから。
日高さんのようにいつも10割全力とはいかないんです」
絵理「私も、わかる。愛ちゃんと全力でダンスすると、翌日がだるい?」
P「水谷さんはもっと頑張って。
へとへとになってもご飯を食べて眠れば復活できる年頃ですよ。
今無理をしないでいつするんですか」
絵理「あら。やぶ、つついちゃった?」
愛「でも、それっておかしいです!」
とっても美味しかったから、思いっきり笑うのは当然です!
それであたしだけが外されるなんて
納得とかどうとかじゃなくて意味がわかりません!
P「でも、みんなが6割の力をあわせて作ったVを見て
日高さんは最初満足してましたよね」
愛「うう。それは、そうですけど」
P「そういうものなんですよ。
全員が6割の力で作ってもソツなく良い物ができあがる。
それはスタッフのノウハウのお陰でもあるし
日々進歩しているハードとソフトのお陰でもあります。
何より、今はそのレベルのもので良いとされているんです」
愛「じゃあ、プロデューサーさんは、あたしに手を抜けって言うんですか?」
手を抜けって、口に出してみましたけど
うんそうだよって言われたらどうしたらいいのかわかりませんでした。
だって全力でぶつかるのは簡単だけど
止まってるのも簡単だけど
痛くないようにぶつかるとか
直前で止まるとか
すっごく難しくないですか?
P「いや? 日高さんにはずっとそのままでいていただきたい。
日高さんのためにも、みんなのためにも」
絵理「みんな?」
P「すぐにわかりますよ。きっと」
愛絵理「?」
次の日、あたしは歌番組に出演してました。
少し前に出した「はなまる」がスーパーの店内音楽で人気になって
それで呼ばれたんです。
ちなみに有線会社さんに売り込んでくれたのは
まなみさんのアイデアだったそうです。
「私にはできない発想です」ってプロデューサーさんがとっても喜んでました!
歌い終わって、ふーってしてたら、殺されるかと思いました。
??「すごいの! すごいの! すごかったのー!」
愛「うわわわわっ!?」
振り向こうとしても、ぎゅーっと抱きつかれて見えませんでした。
でも誰かはわかりました。
新人No.1アイドルの星井美希さんです。
美希「愛、すごいね!? 律子のイトコなんだよね!?
あははっ! ほんとすごいの! カワイイの!
さっすがは律子のイトコなのー!!」
愛「あ、あの、律子さんのイトコは涼さんです!」
美希「ほえ? そうなの?
でもそんなのどーでもいーの!
愛ほんといっしょーけんめいで、とってもとってもキラキラしてたの!」
星井さんはしばらくあたしをもみくちゃにしてから
ディレクターさんのところに走っていきました。
星井さんの撮影はもう終わったはずなのに、またスタッフさんたちが動き始めました。
ライトの下で星井さんがあたしに向かって手を振りました。
美希「愛ー!」
もう身体いっぱいで手を振ってくれてます。
よくわからないけど、あたしもうれしくなって手を振りました。
美希「愛に負けないようにミキがんばるからねー! 見ててねー!」
P「はは。なるほど。星井さんらしい」
まなみ「笑い事じゃありませんよ。
星井さんのリテイクはもう完璧。
その結果、愛ちゃんのシーンが30秒も削られるんですよ」
P「本気の全力の星井さんにはさすがにかないませんでしたね」
まなみ「愛ちゃんもすごくいい出来だったんですけど。
で、それでですね。
来週なかばから愛ちゃんに急なオファーが入ってるんです。
全部765プロがらみです」
P「そうなんですか。それはよかった」
まなみ「星井さんが言ったらしいです。
愛ちゃんといっしょの仕事は楽しいって。
でもそんなことでこっちにオファー入れさせるなんて」
P「765プロは飛ぶ鳥を落とす勢いですからね」
まなみ「あの人たち、愛ちゃんを潰す気なんでしょうか」
P「そうかもしれませんね」
まなみ「あの、プロデューサー?」
P「はい?」
fまなみ「765の男性の方から言われたんですけど」
P「おや」
まなみ「愛ちゃんの勉強になるからどんどん仕事入れていいって
許可したんですか?」
P「許可ではなくお願いですが、そのとおりです」
まなみ「やっぱり……来週半ばから再来週
765プロとの仕事が3本ですよ。全部飛び入りで。
スケジュール縫ってうまくすべりこんできたから断れないし
これじゃ愛ちゃん潰れちゃいますよ!」
P「潰れそうなら助けましょう。
でも日高さんは潰れないんじゃないかな」
~二週間後~
愛「プロデューサーさん、もうばたんきゅーです……」
P「よくがんばりましたね。はいココア」
なんだかすごかった一週間でした!
それまで2日続けてお仕事ってあんまりなかったのに
4日続けて、1日休んで、2日でしたよ!?
あたしが想像してた売れっ子アイドルは毎日朝から晩までスケジュールが入ってます。
今ならわかります。そんなの絶対にムリです!
愛「みなさんすごかったです……」
雪歩先輩は自分が主演のミニドラマにわざわざ私の役を作ってくれました。
セリフは少なめだったんですけど、一緒のシーンが多くて。それが2日。
真さんと春香さんは情報番組のレポーターに呼んでくれて
あずささんはあず散歩に呼んでくれて。
どうしてそうなったのか、わけがわかりません。
P「どんどんVは上がってきますよ。まずは星井さんとの番組ですね」
星井さんはもう、すごかったです。
リテイクはその前に見ていたのとはぜんぜん違いました。
P「星井さんはすごいでしょう」
愛「すごいです」
とってもかないません。
765プロの皆さんはいい先輩でやさしくしてくれますけど、ライバルです。
ライバルに毎日毎日負けちゃってたからさすがにしょんぼりです。
P「これはリテイクだったんですよね」
愛「そうなんです。星井さんに抱きつかれて、お話をしたら
いつの間にかリテイクが始まってました」
P「前に話しましたよね。料理番組の時に。
10割の力を出すのはみんなのためにもいいって。
あれはこのことです」
愛「え?」
P「星井さんはすごいでしょう」
愛「すごいです」
とってもかないません。
765プロの皆さんはいい先輩でやさしくしてくれますけど、ライバルです。
ライバルに毎日毎日負けちゃってたからさすがにしょんぼりです。
P「これはリテイクだったんですよね」
愛「そうなんです。星井さんに抱きつかれて、お話をしたら
いつの間にかリテイクが始まってました」
P「前に話しましたよね。料理番組の時に。
10割の力を出すのはみんなのためにもいいって。
あれはこういうことです」
愛「え?」
P「765プロの皆さんは日高さんより一歩先に人気が出ました」
ほんとに一歩だけなんでしょうか。
あたしは遅れてるだけなんでしょうか。
自信がなくなってきました。
P「毎日のように仕事が入り、若い彼女たちでも体力がもちません。
ごくごく自然に、力を抑えてこなすようになります。
以前はお昼の生番組がありました。あそこで発散していましたが」
生っすかですね。
あたしも楽しく見てたんですけど、いきなり終わっちゃいました。
P「10割の力でがんばると周りから浮くのはよく知っていますよね?
彼女たちもそうなって、どこで全力を出していいのかわからずに、
不完全燃焼でいたはずです。
そんな時に、星井さんは日高さんを見つけました」
愛「あたしを?」
――愛ほんといっしょけんめいで、とってもとってもキラキラしてたの!
あれってホントのことだったのかな。
P「星井さんのところには翌日にはVが届いたはずです。
リテイクの、全力の、魅力的なVがね。
日高さんの映像と一緒にみんなに自慢する星井さんが目に浮かびます」
プロデューサーさんはなんだか星井さんのことを知っているように話します。
P「それで早速、調整がつけやすい子たちから
日高さんと仕事をするように動いたんでしょう。
全員とまではいかなくても、あと何回かは希望が来ると思いますよ。
そしてこれからも、全力で仕事をしたかったら日高さんを呼ぼうとするでしょう」
愛「うう~。あたし、もつんでしょうか」
P「全力でぶつかって、こてんぱんにされてきてください。
それが売上になるし、日高さんの成長になりますから」
愛「でも、毎日あんなにきついお仕事なんて~」
P「毎日にはならないはずですが、考え方を変えましょう。
楽しかったですか?」
愛「はい! とっても!」
P「これからも楽しめそうですか?」
愛「はい! もちろんです!」
P「だったら心配ありませんね」
愛「あ、あれ? そうかも。あれ?」
プロデューサーさんはおかしそうに笑っていました。
それで不安がどっかにいっちゃいました。
あたしがすっかりプロデューサーさんと仲良しになると
やっぱりママと仲が悪そうなのが気になります。
昔ママのプロデューサーだったなら、今だって仲良くすればいいのに。
そう思ったときハッとしました。
ママがアイドルのお仕事をやめたのは妊娠したから。あたしができたから。
その時プロデューサーさんはどう感じたんでしょうか。
ママはすごい人気者だったって言われます。
妊娠はもう日本中がびっくりするくらいのニュースになったって。
プロデューサーさんもすごくびっくりしたんじゃないでしょうか。
もしかして。
ママがプロデューサーさんのことを悪く言ってたのは
それが関係あるのかもしれません。
例えば、パパとケンカしちゃったとか……
ママの引退に反対したとか……
そうでもないと、やさしいママがあんなに嫌うのはおかしいです!
でも、でも、そうしたら。
プロデューサーさんはあたしのことをほんとはどう考えているんでしょう。
もしかして
もしかして。
『この子さえ生まれなかったら舞は引退しなかった』
とか思ってるんじゃ……。
舞「愛? 愛? どうしたの?」
愛「あ、ごめんママ。ぼんやりしてた」
舞「ふふ。おかしなの」
愛「んー」
お仕事のない、土曜日の午後です。
おひさまが差し込んでくる窓際で、ママはお洗濯をたたんでいます。
あたしはお出かけせずにおうちにいることにしました。
今日はあのお料理番組が放送されるから、ママと一緒に見るんです。
あたしは寝転がって、ママのふとももの上に頭を乗せました。
ママがお洗濯物を取り込んでる時にこうすると
ママは私の顔の上でお洗濯物をたたみます。
お日さまと洗剤のにおいに包まれるのがとっても気持ちいいんです。
愛「ねえママ」
舞「なに?」
愛「涼さんのプロデューサーさん、
昔のママのプロデューサーさんだったんだよね?」
舞「なに? あいつが言ったの?」
愛「う、ううん。
一緒にいたら『親子二代だね』って言ってくる人がいて」
舞「まあそうね。あいつが入社してすぐ私の担当になって
私がやめるちょっと前に担当じゃなくなったのよ」
愛「今みたくすごい人だった?」
舞「ろくなもんじゃなかったわよ」
ママのふとももが固くなりました。
怒ってる感じです。
あたしはママから離れました。
舞「いやな奴だったわ。
自分のやり方を押し付けてきて、こっちの意見は聞かない。
あのころ私は今の愛と同じくらいだったから怖くて従ってたけど。
休みはくれない友だちとも遊べない。
いやな奴にもペコペコさせられる」
愛「……そうなんだ」
舞「あんた、あいつにつらいことさせられてないわよね?
何かあったらすぐに言うのよ?」
愛「ぜんぜん! すっごくやさしいよ」
次の言葉は、言ってすぐ後悔しました。
愛「パパってあんな感じなのかな」
ママの顔色が変わりました。
舞「そういうの、冗談でもよして、愛」
愛「ご、ごめんなさいママ」
舞「ほんとはママね、
愛の近くにあいつがいると思うだけでいやなのよ」
愛「ごめんなさい……」
でも。
どうしてもママの言うことが正しいとは思えませんでした。
パパみたいって言ったのはあたしが悪かったけど
いつも私たちのために頑張ってくれてるプロデューサーさんに
ひどいことを言われたまま終わりたくありませんでした。
愛「でも」
舞「なによ」
愛「いい人だよ、プロデューサーさん」
ぱちん、という音はほっぺたが痛くなってから聞こえました。
あたしはただぼんやりと、ほっぺたを抑えてママの顔を見ていました。
ママは泣いていました。
ママが泣くところを初めて見ました。
舞「いい人なわけないじゃない!」
舞「あいつが! あんな事件を起こしたせいで! みんな現場から外されて!
みんなで花火を上げるはずだった!
あいつがいちばんやりたがってたじゃないの!
それは信じてたから
それだけは信じられたから
あんなやつでも我慢してたのに……」
あたしはおろおろと手元のタオルをつまんだりねじったりしてました。
もうタオルにはおひさまのにおいは残っていませんでした。
ママは正座したまま、顔を隠そうともしないで、ぽろぽろと涙をこぼしていました。
舞「あの時、あのメンバーじゃなきゃできなかったのよ
私、鯉沼さん、真城さん、神田さん、落合さん、あいつ……。
みんなバラバラになっちゃって
私は妊娠なんかしちゃうし」
愛「え?」
さっき叩かれたほっぺが、触られたわけでもないのにもっともっと痛みました。
愛「ママ、いま」
ママの顔は、紙粘土みたいに白くなってました。
目が真っ赤で、髪が乱れて、ママじゃない知らない人みたいでした。
舞「うそ。うそよ、愛」
『この子ができなかったら引退しなくてよかったのに』と
プロデューサーさんが思ってるんじゃないかって怖がってたけど。
愛「いま、いま、なんて」
でもちがいます。
プロデューサーさんにどう思われたって
あたしはどうでもよかったんです。
舞「愛、うそだから」
あたしが怖かったのは。
同じことを。
愛「ママ、あたし……
生まれないほうが、よかったの?」
ママも思ってるんじゃないかって……。
気がついたら知らない場所を1人で歩いていました。
とにかく家を飛び出して、前も見ないで一生懸命走って。
そんなに遠くまで来てるはずないけど、みたこともないところでした。
泣きながら歩いていたから、通りがかったおばさんが交番まで連れて行ってくれました。
おうちの人は? と言われて電話を渡されて
少し考えたあとで、その番号を押しました。
P『はい、もしもし』
プロデューサーさんの声を聞いたとたんにまた涙がぼろぼろ流れてきました。
P『もしもーし。どちらさまですか?
……。
もしかして、日高さんですか?』
愛「はい。愛です……お父さん」
P『おと……?
どこにいるんですか? この番号、家じゃありませんよね?』
愛「あの、交番……」
P『今、水谷さんの立ち会いをしています。
あと1時間で上がり、家に送ってから迎えに行きます。
待っていられますか?』
あたしは何もしゃべれなくて、ぶんぶんと頷きました。
P『よさそうですね。
それではお巡りさんに代わってください。
私が行くまでそこにいさせてもらうようお願いします』
愛「ごめんなさい、ごめんなさい」
P『大丈夫、安心して。大丈夫だから』
泣きながら電話機をお巡りさんに渡しました。
プロデューサーさんが来るまでには涙も止まりました。
すごく不思議なんですけど、「泣き顔見せちゃうのか」って考えたら
ぱたっと止まっちゃったんです。
それでも、交番の前に事務所のバンが止まった時にはじわっときちゃいましたけど。
2人でお巡りさんにありがとうをして
とりあえず、ということでファミレスに落ち着きました。
P「聞きたいことはたくさんありますが、お母さんには?」
あたしが首を振ると、プロデューサーさんはすぐに携帯を取り出しました。
愛「ママには言わないでください!」
そう言ったんですけど、プロデューサーさんの目を見たら
何も言えなくなっちゃいました。
お仕事の時は見たことがないくらい怖い顔でした。
P「日高さんですか? 私です。愛さんを保護してます」
そして、電話を耳から離して顔をしかめました。
向かいに座っているあたしにもママの声が聞こえてきました。
ああ、怒ってる……。
P「日高さん、落ち着いてください。何も心配は。ですから、いえ、それは……」
プロデューサーさんは困り顔のまま息を吸うと、少しだけ大きな声を出しました。
P「落ち着け、舞! いい子だから」
あたしと同じで電話の向こうのママもびっくりしてしまったみたいでした。
P「迎えに来るのはいい。でもそれは君が落ち着いてからだ。
愛さんが不安なのに君まで取り乱してどうする。
ドラムを聞け。ベースを見ろ。
一旦切るから、落ち着いたらまた電話してきてくれ」
プロデューサーさんは電話を机の上に置くと、ふうと息を吐きました。
P「さて。お母さんの方はいずれ落ち着くでしょう。
それまで待って、送っていきますよ。
デザートでも何か――」
愛「あの! プロデューサーさん!」
P「はい」
愛「ごめんなさい。今日ちょっとママに会いたくなくて」
いくらあたしだって、ママがあたしを好きなことは知ってます。
でも、今日のことはすごくショックだったし
どうやってママと話したらいいのかわかりません。
P「そうですか……」
愛「今日、おうちに泊めてもらえませんか?」
P「は?」
電話がまた震えました。
P「私です。はい。はい。落ち着いたね。
それでだけど、愛さんが今日は家に帰りたくないと言ってるんだ。
彼女は今とても興奮している。君もだろう。
今日はお互い頭を冷やしたほうがいいと思うけど、どうですか。
――ああ、うん。
なら、どこか泊めてくれる親戚の家でも」
プロデューサーさんの言葉で慌てました。
うちは涼さんの家とは違うから
仲の良いイトコのお姉さんはいないんです。
P「――ああ、そうか。となると
え? 嫁? それはまあ、いるにはいるが。
いや、それは――まあ、たしかにそうは言ったが」
プロデューサーさんの顔は、いつもに戻っていました。
いつも、あたしや涼さんや絵理さんと話すときの顔です。
まなみさんや尾崎さんへの厳しい顔じゃなくて。
あたしたちへのやさしい顔でした。
その顔のまま電話を切りました。
「明日朝送っていく」と言ったので
今日は帰らなくていいことはわかりました。
P「まあ、お母さんの方は落ち着きました」
愛「ママ、怒ってました?」
P「心配してましたよ。悪い子ですね」
愛「ごめんなさい……」
P「まずは何か食べましょうか。
昼から食べていないので腹が減りました」
あたしのお腹も賛成して、2人で顔を見合わせて笑いました。
P「なるほど、反抗期ですか。
きっかけが私というのは心苦しいけれど、おめでとうございます」
愛「反抗期ってどなったりすることですよね?
でもあたし、ママのこと大好きです」
P「反抗期というのは親を嫌いになることじゃありません。
それはたまたま出てくる態度の一つなだけで
親子ともに気づかず、始終ニコニコと終わる反抗期だってあります」
愛「そうなんですか?」
P「はい。子どもは生まれてきて、まず誰を頼りにしますか?」
愛「ママです!」
P「そう。親ですね。
子どもの世界は狭いから、親が正しいと考えてすべてうまくいきます。
でも、中学生になったあたりでしょうか。
親のルールじゃいけないことが増えてきます。
実は、親がすべて正しいわけじゃないことに気づき始めます」
そうです。ママがなんと言おうと、プロデューサーさんはやさしい人です!
P「そうすると子どもは自分なりの考え方――価値観といってわかりますか?」
愛「な、なんとなく。
リンゴよりバナナが好きってことですよね?」
P「まあ、今はそれでよしとしましょうか。
お母さんがバナナよりリンゴが好きでも
愛さんはバナナが好きです。
それはつまり、愛さんの世の中では
バナナの方がいいものだということになります」
愛「ママとケンカせずに半分こできます!」
P「お母さんはいい人だから半分こしてくれるでしょう。
でも中には、自分が好きなんだから
愛さんもリンゴを好きになれという親もいます。
それにリンゴとバナナだったらふつうの親は気にしませんが
もっと大事なことの場合
子どもに自分と同じ考えをしてもらいたがります」
ママはプロデューサーさんがあたしのそばにいることに我慢してくれてました。
だけど、目の前で好きだというのは許してくれませんでした。
そういうことなのかな?
P「念のため言っておきますけど、それは子どものことが大事だからです。
世の中はとても大変なところで自分はなんとかやってこれました。
この考え方で失敗しないことはわかっているんです。
だから、子どもには同じように幸せになってもらいたいんです。
親はすべて、子どもの幸せを願っているんですよ。わかりますね?」
愛「はい」
P「しかしそれは、子どもにとっては押しつけにすぎません。
親子といっても別の人間です。
身体がちがうように考え方がちがうのも当たり前なんです。
だから、子どもは少しずつ親のコピーではなく
自分で考えるようになります」
P「それを歓迎する親のもとでは反抗期は目立たずに終わります。
押さえつけようとする親のもとでは
お互いケンカのようなことになるでしょう。
でも、子どもにとってのゴールはどちらも同じです」
愛「それって、なんですか?」
P「親を許すこと」
愛「許す……?」
P「まだまだ不十分で、いきあたりばったりで、考え不足で、いい加減な
それでも一生懸命つくりあげた自分だけの考え方を大事にして
同時に、親だって完全じゃないんだということに気づくこと。
今まで完璧で正しいと思っていた親の
間違っているところ、ダメなところに気づくこと。
そしてそれをやさしく許すこと。
子どもは、まず親を許すことで
一人の人間として、他の人間を許してあげられるようになるんです」
許す。
ママはいつも正しいから、間違ってるのはあたしだから
ごめんなさいはあたしがすることで
許してくれるのはいつだってママの方でした。
許す。
ママを許すなんて想像もできません。
愛「よくわかんないです」
P「そういう時はどうするんですか?」
愛「今わからなくてもあとで思い出してわかるから、真面目に聞いてます」
P「その通り。日高さんは本当にいい子ですね」
あたしは鼻水をすんとすすって、にっこり笑いました。
P「それで、話の流れで今夜は私の家に来てもらうことになりました」
プロデューサーさんはどこか困ったような顔をしていました。
それでようやく、大事なことに気がつきました。
愛「あ! だったらプロデューサーさんの奥さんに会えます!」
P「いや、それが無理なんですよ」
愛「ええ? でもさっき電話でママにいるって」
P「あれは嘘なんです」
愛「え?」
うそ?
P「私は実は、独身なんです」
え?
愛「おじゃましまーす!」
P「お願いですから静かにしてください。
聞かれたら親戚の子どもだと言いますが
聞かれないにこしたことはないから」
愛「あ、ごめんなさい!」
P「ボリュームが落ちない……。
今更ながら涼さんの気持ちがわかりますね」
なんと、あたしは今プロデューサーさんの家にやってきています!
お部屋は台所の他には1部屋だけでずいぶん散らかってます!
脱ぎっぱなしのシャツはあちこちにあるし、ビールの空き缶が20個以上並んでます!
お布団は敷きっぱなしで枕もとは雑誌が積まれてます!
あたしがこんなに散らかしたら、座れなくなるくらいママにお尻を叩かれます!
愛「すごく汚いですね!」
P「そうでしょうか?
一応、3時間掃除すれば男友達を呼べる程度には
普段から片づけているつもりなんですけど」
愛「ママはいつもきれい好きだから、大掃除でも3時間もかけませんよ! うちは!」
P「ですからちょっと声を落としてください」
そう言われてあたしは口を両手でふさぎました。
そのぶん目で一生懸命あたりを探検すると、1枚の写真を見つけました。
愛「あー! ママですよね!」
P「そうですよ。若い時の日高さんのお母さん
私、あとは仲の良かったスタッフたちです」
写真の中のママはびっくりするくらい子どもでした。
隣にいるのがプロデューサーさんで、こっちも若くてかっこいいです!
ママはプロデューサーさんと肩を組んで、すごく大きく口を開いて笑ってました。
愛「あれ? この後ろの人」
P「見覚えがありますか?」
愛「はい」
前に一度現場で挨拶したことがあります。
カントクさんがぺこぺこしてたから、すごくえらい人なんだと思います。
あたしが覚えているのは、苦手な人だったからです。
あたしを見ないで、あたしの後ろのママを見ている人だったからです。
愛「この人、アイドルだったママと友だちだったんですか」
P「友だちではないですね。
皆さん、その当時はあるテレビ局のスタッフです。
左から……」
みんな、ママが泣きながら言った名前でした。
愛「あたし、この女の人以外は会ったことあります」
みんな、あたしの向こうのママを見ていた人たち。
あたしが苦手だった人たち。
P「そうかもしれませんね。
みなさんもう役員になっていますがたまに現場でお見かけします。
舞さんの娘さんがデビューしていると聞けば顔を見に来るでしょう」
愛「そんなにママは人気者だったんですね……」
プロデューサーさんは黙って紅茶のおかわりをくれました。
P「人気者、というのとは少し違いました。
彼女は太陽でした」
愛「太陽?」
おひさま?
P「どこにいても周りを照らして熱くさせる。
でも近づきすぎるとやけどする。
料理番組のオンエアは見ましたか?」
愛「あっ! 見てないです……」
その時間、あたしは交番でしょんぼりしてました。
今日だけで、ほんとにほんとにたくさんのことがありました。
P「録画してあるのであとで見ましょう。
ちゃんと日高さんのアップも使われてましたよ。
子どもたちに挟まれてましたけど」
そうでした。あたしが笑いすぎるからって
最初はアップを外されてたんでした。
P「お母さんにも同じことがいつも起きていました。
彼女が関わると共演者やスタッフの力不足や手抜きがバレてしまうんです。
彼女と仕事をすると食われる、と言われて営業は大変でしたよ。
露出を増やして、イメージを操作して
ファンやスポンサー側が求めるようにするしかなかった」
――休みはくれない友だちとも遊べない。
――いやな奴にもペコペコさせられる。
P「それでも彼女に惹かれて集まる人たちがいました。
それがその写真のメンバーです」
P「みんな今の私くらいの年齢で、素晴らしい職人たちでした。
全員が才能とやる気の塊で、そんな人たちが1つの局の同期に集まったのは、
結果だけ見たら奇跡としか思えない」
P「テレビの現場で暴れまわり
そろそろ現場は離れようかと考えはじめた頃
彼らは日高舞という素材を見つけたんです。
いまでは舞さんだけが凄かったように言われます。
ですが実際はあべこべです」
あたしが生まれる前のママのことを
まるでついさっきのことみたいに話すプロデューサーさんと一緒にいるのは
なんだかとても不思議な感じがしました。
P「舞さんはその頃、ただのおしとやかでかわいらしい
世間知らずの女の子でした。
ただ一つ、静かな負けん気だけは強かった。
泣きながらもう嫌だ、帰りたいって喚いて
じゃあ帰るか? と聞くと歯を食いしばって戻って行きました。
そこが気に入られたのでしょう。
その写真の人たちは徹底的に舞さんをしごきました」
P「人間が成長するのは全力を出した日だけです。
14才から15才のあいだ、舞さんは毎日全力だったんです。
愛さんが音を上げかけたような暮らしを1年以上。
それも業界トップの人たちと取っ組み合いで。
残した結果は、ささやかにすぎると私は思います」
愛「すごい……」
P「時代もよかった。あの頃はまだ、テレビは娯楽の王様でした。
テレビには大人が全力をかける価値があった。
今、どうかは、口には出したくありませんが」
P「みんなが6割の力を出して、ノウハウと技術で合格点のものに仕立て上げる。
それはとても大変なことで、とても素晴らしいものですが
最後の良かった時代を知っている私にとっては少し残念ですね。
その写真の全員が今この時代にいたとしても
花火を上げようと想像することさえできなかったはずです」
その言葉には聞き覚えがありました。
愛「あの、プロデューサーさん。花火を上げるってなんですか?
ママも言ってました」
ママがやりたかったこと。
この写真の人たちと一緒に。
プロデューサーさんは目をまんまるにしてあたしの顔を見ていました。
P「……舞が?」
愛「みんなでやりたかったって」
プロデューサーさんは何回か目をぱちくりさせると
なんにも言わないでお台所に行きました。流しで顔を洗って……
あれ? このお家、洗面所がないんですか? 不思議なお家です。
トイレはあるんでしょうか。心配してるうちに戻ってきました。
P「花火を上げるというのは、私たちの合言葉みたいなものです。
それは、私たちが、その写真のメンバーがやりたかった企画です。
21週で土曜日19時から20時。プロ野球に真っ向勝負を挑むドラマの生放送です」
愛「生放送? あれってお昼の番組だけじゃないんですか?」
春香さんたちが少し前までやってた生っすかは生放送だったはずです。
P「最近ではそうですけど、私が生まれる少し前までは夜の生放送もよくあったんです」
愛「そうなんですか~って、ド、ドラマ!?」
P「はい。ドラマです」
愛「生放送でドラマ!?」
このあいだ、雪歩先輩と一緒にミニドラマを撮りました。
ほんのちょっと、30秒くらいのシーンで刻んでつないでましたよ!?
愛「ええっ!? セットの移動はどうするんですか!?」
P「他のシーンを回してる間にどんな大スターでも走ります」
愛「衣装はどうするんですか!?」
P「その場で着替えますよ。当たり前でしょう」
愛「ええっ!? もし転んじゃったら」
P「転ぶ姿がお茶の間に届きます」
愛「もしカメラが壊れちゃったら」
P「ほかのカメラだけで回しつつ、その場で直すか替えを用意します」
愛「地震は」
P「何事もないかのように振る舞うか、無理なら即興で組み込みます」
愛「火事」
P「映らないように消すか、無理ならば自然に舞台を移します。
実際、小さなボヤ程度ならば消し止めて警察への報告もなかったといいますし」
プロデューサーさんの目がいきいきとしてきました。
P「その日いい俳優がいたらその人が主役を食います。
脚本家は詰めっぱなしですぐにストーリーを変更して
カメラはいい表情の人だけを追い続けます。
下手すると、映るはずだったセットに座ったままで
結局出番のない人だって出るでしょう。
最高のキャストとスタッフが、その日の最高を伝えるために
最初から最後まで真剣勝負です。
まさに花火です。全力で戦って、終わったら酒瓶片手にぐったりする」
愛「あたまがくらくらします」
今のお仕事だと失敗しても帰るのが遅くなるだけです。
でもその生放送というのは、終わればぴったり時間どおりに帰れるけど
次の日の学校でみんながあたしの失敗を知ってるわけです。
というか、あたしなんか映れないかもしれません。
ママは、今のあたしとそんなに違わない年で、
この写真の人たちとそんなことをやろうとしていたんです。
愛「あたしが生まれなかったら、ママはそれをできたんですね」
また鼻がぐずぐずしてきました。
P「違いますよ」
P「違いますよ」
愛「え?」
P「できなくなった原因は、私が罪を犯したからです。
そのメンバーの中で私の役割は根回しと人集めでした。
舞さんの影響力を強めて反対する人たちを減らし
協力してくれる人たちを増やすこと。
特に舞とやりあえるような名優を集めること。
つまり制作の仕事ですね。
そこで私は焦りすぎて、ルールを破りました。
事務所のお金を使い込んで強引な接待をしたんです」
愛「あ……」
プロデューサーさんが『ミスターこんぷらいあんす』って呼ばれるのは
褒められてたわけじゃなかったんです。
昔ルールを破ったことを
きっと今でも言われてるんです。
だからあんなに、まなみさんにルールを守れって言ったんでしょうか。
P「写真の仲間たちはみんな、無理を言って現場に残っていたんです。
私のことがあって、わがままを言いづらくなって
それぞれ現場を離れてしまいました。
本当は、最後に花火を上げて
安心してくれって言って送りだすつもりだったんですけど」
愛「……」
P「私以外の誰が欠けてもできないことでした。
それを、いちばん必要ではなかった私が台無しにしたんです」
プロデューサーさんの顔はさっぱりしてました。
でも、話しかけられないくらい寂しそうでした。
P「とても残念ですが、過ぎたことです。
昔には戻れません。
それに、日高さんがいます」
愛「え? ええ? なんでそうなるんですか!?」
P「765プロの子たちの話ですよ」
愛「え? え?」
力を抑えることが当たり前になりつつあったテレビ業界、いや芸能界に
全力を振り絞った証を残しておかなければと思ったからです。
それをいちばん表現できるのが生放送だっただけです。
舞さんはそこで主役を守りきって
スタッフや共演者、全員から全力で挑まれる目標として芸能界に輝いたはずです。
力を抜かない世界を、せめて一角だけでも残して伝える。
それが、そのメンバーにとっての最後のおつとめだったんです。
私が潰したのはそういうものでした」
P「でも、日高さんが出てきました。
不器用で、才能もなくて、あるのは元気だけで
でも、一生懸命がまわりにあふれるような女の子が」
そ、そこまでも言わなくていいじゃないですかあ。
P「舞さんは太陽になる予定でした。
近寄らなければ凍え死ぬ。うかつに触れたら焼き殺される。
そうして芸能界の張りを守る予定でした。
それは寂しくて辛いことですが、舞さんはやさしい子でしたから
前の世代の人たちの願いを継ごうとしてくれていたんです」
P「愛さんは違います。
愛さんはのびのびと遊べるおひさまになるんです。
挑まなければ仕事がないから、ではなくて
愛さんと一緒だとめいっぱいできて楽しいから
みんなが寄ってくるおひさまになるんです。
765の子たちが寄ってきたように」
愛「そ、え、そ、そうなんですか?」
ほんとのところ、プロデューサーさんの言ってることの
半分もわからなかったです。
こんなあたしがおひさまとか……
でもママの言葉を思い出しました。
いいこと言ってるなと思ったら、とにかく一生懸命聞いておきなさい。
愛がわかる年ごろになったらぱあっと思い出すから。
ママは、写真のすごい人たちの言ってたことを
そうして思い出してきたんじゃないでしょうか。
きっと、プロデューサーさんの言ったことも。
P「わかってませんね」
愛「はい! ぜんぜん! でも覚えます!」
P「はは。いい返事です」
愛「えへへ」
P「ご褒美に一ついいものを見せてあげましょう」
隣りのお部屋もプロデューサーさんが借りてるお部屋でした。
そこに連れて行かれて、びっくりして動けなくなりました。
事務所の本棚の何十倍かわからないくらい、たくさんの本とCDとDVDが並んでました。
全部芸能界の雑誌で、アイドルのCDで、DVDで、ビデオテープもありました。
あたしがあたりを見廻している間に、おっきなテレビから音楽が流れててきました。
愛「ママだ……」
若いママが、キラキラしたステージに立っています。
とっても優しそうな顔は
あたしが見たどんな昔のママよりも、今のママに似てました。
P「彼女の最後の歌です。タイトルは『ALIVE』
この時すでに、お腹にはあなたがいます」
愛「!!!」
そう言われてテレビに顔を近づけたけど、もちろんおなかはペタンコです。
P「まだ外からはわかりませんね。
ただ、誕生日から逆算して、気づいていてもおかしくない頃です。
私は気づいていたと思います」
ひとつの命が生まれゆく
二人は両手をにぎりしめ 喜びあって……
P「この曲、作詞家から上がってきたのは
この映像の一年前のことでした。
私がまだプロデューサーをしていたころです。
2人とも一度聞いてボツにしました」
愛「!?」
P「私も舞さんも自分たちが輝くことしか考えていませんでした。
そんな2人にとって、この曲はあまりにつまらない。
自分たちには成功しかないと考えていましたからね」
しかし闇は待ち伏せていた……希望失って悲しみに暮れ……
P「どん底にいた時、この曲がテレビから聞こえてきて
背中を押された気がしました。
舞は新しい気持ちで歩き出そうとしている。
私も、もう一度やろうと思いました」
どんな時も命あることを忘れないで
未来の可能性を信じてあきらめないで
P「876に来た最初の頃にお母さんに言われたんですよ。
まだこの業界にしがみついているのかと。
恥ずかしくないのかって。
自分で背中を押しておいてひどい話です、まったく」
愛「ママ……」
ゆっくりしたメロディが気持ちいい。
あたしはそれにあわせて身体をゆすっていました。
小さなあなたに願ったのは 愛し続ける優しさ
けして揺るがない強いこころ もてますように……
初めて聞いたのになんだか懐かしい曲でした。
画面が暗くなりました。
あたしはそれでも身体をゆすっていました。
P「人気絶頂だったアイドルの突然の妊娠は
もちろん大スキャンダルでした。
しかしファンの動揺がそれほどでもなかったのは
この曲のおかげだったと思います。
私も思いましたからね。
『あんなに愛している子を生むのだから
もう祝うしかないじゃないか』
ってね」
愛「プロデューサーさん……」
――うそ、うそよ、愛。
ママの顔を思い出しました。
――愛、うそだから。
ママは嘘だと言ったけど、嘘じゃなかった。
あたしが生まれなかったほうがよかったって
きっと何度も何度も思ったはずです。
そうでしょう?
だって、こんなにキラキラした世界で活躍してたんだもの。
ママはそれでもあたしを産んでくれた。
それなのに、後悔しちゃいやだ、なんて言えません。
ママはあたしを選んでくれたんだから
後悔させないのはあたしのお仕事だったんです。
でも、あたしはそれをちゃんとしてきたんでしょうか。
P「ファミレスの電話で、ひどいことを言ってしまったと。
謝ってくれと。お母さんは泣いていました」
もうこらえられませんでした。
愛「……プロデューサーさん、ママに会いたいです。
……ごめんなさいって、大好きだよって言いたいです」
P「はい」
愛「……ごめんなさい。おうちに帰りたい」
あたしは目をぎゅっとつぶって、でも涙が止まらなかったけど
プロデューサーさんがうなずいてくれたのはわかりました。
P「送っていきます。帰りましょう」
プロデューサーさんの言葉を遮るように、ドアを叩くうるさい音が聞こえました。
隣りの部屋でした。
舞「愛! 愛! いるの!? 帰ろう? ママよ!」
顔を上げて、プロデューサーさんの顔を見て
あたしは走り出しました。
愛「ママ! ママぁ!」
部屋を出る時、何かにぶつかったみたいで
プロデューサーさんの慌てた声と、何かがたくさん落ちる音が聞こえました。
舞「……それにしても、独身オヤジの部屋に
中学生の女子を引きずり込んだのね、あの変態」
ママにぴったりくっついて。腕に包まれて。
耳の中ではまだあの歌がゆっくり流れています。
愛「変態じゃないよう。
あたしたち、たくさんたくさん迷惑かけたんだからね!」
ママは小さく笑うとあたしの身体をゆすりました。
愛「ママ、ごめんね」
舞「ママこそごめんね」
愛(あ……)
なんで今まで気づかなかったんだろう。
ママはいま、本当にごめんなさいと思ってます。
これまで、ごめんって言ってくれてても
口だけだと思ってました。
でも違います。
ママも悪いことをしたと思ってて
ほんとに謝りたかったんです。
でもあたしは、ママが謝るなんて思わなかったから
許してあげるなんて考えもしませんでした。
ママもいつも、何かしちゃった時は、あたしに許してほしかったんです。
愛「いいよー。許してあげます!」
舞「何よ! 生意気に!」
ほら、とってもホッとしてます!
愛「ゆーるしーてあーげまーすよー。ママー」
舞「何よその歌」
愛「今日、一緒にお風呂はいってくれたらかな」
舞「どうしちゃったの」
愛「だってあたし反抗期だもん!」
舞「は? え? 反抗期?」
あたしは身体の向きを変えて、ママの髪の毛の中に顔を埋めました。
少し汗臭いけど、ママのにおいです。
大好きなにおいです。
愛「あたし、反抗期なんだよ」
だから許してあげるんです。
もう子どもじゃないから。
ママは絶対じゃなくて完璧でもないって知っちゃったから。
だから、ママが悪くても許してあげて
大変で寂しいときはいっしょにいてあげるんです。
舞「え、なに。これがゆとり教育ってやつなのかしら……?」
愛「それ、土曜日いっつもお休みするヤツでしょ?
何年か前におわったんじゃないかなあ」
舞「でもゆとり教育以外にこの気味悪さを説明できないわ」
愛「どうでもいいよう。ねえママ。
ALIVEって曲、あたしが歌っていい?」
舞「あー、あの曲かあ。
思い出の曲なんだけどね。
でもまあ、いいわよ。他の子に歌われるより。
愛は昔から好きだったものね」
愛「え? 今日初めて聴いたよ?」
舞「覚えてないのね。
愛が赤ちゃんの頃、グズった時はいつもハミングしてあげてたのよ」
だから、なつかしい気持ちになったんでしょうか。
舞「でもいいわね。面白いわ。
あの変態はALIVEをダメだって言ったからね。
いい気味よ。結局愛は私のもとに戻ってきたんだわ」
愛「もう。ママったら」
ママはまだプロデューサーさんに反抗期してます。
いつになったら許してあげられるんでしょう?
愛「先輩だからあたしが教えてあげるよ」
舞「さっきから何言ってるの?」
愛「反抗期のやり方」
舞「ゆとり教育ってほんとにまずいのかしら……」
~876プロ前通り~
街なかがすっかり赤と緑のクリスマスになったある日。
あたしは事務所にいく途中で郵便ポストに寄りました。
友だちには30日くらいに慌てて出してるけど
その年賀状だけはちゃんと1日に届いてほしいからです。
届け先は、プロデューサーさんのおうち。
涼さんの準備が終わって、プロデューサーさんは876プロを離れました。
今はまなみさんと涼さんが
メールと電話でアドバイスを受けるケイヤクらしいです。
まなみさんたら毎日一回は怒られて、嬉しそうにしてます。
だからもう会うことはありません。
年賀状を喜んでくれたら嬉しいです。
年賀状には写真を載せました。
あの料理番組みたいにニコニコ笑ってるあたしと
嫌そうな顔でそっぽ向いてるママ。
ママは相変わらず困ったひとです。
これからも年賀状はだそうと思います。
ママがまだ反抗期だってことを
プロデューサーさんには伝えないといけません。
考えたけど、ママだけが悪いんじゃないです。
プロデューサーさんも、今の気持ちでちゃんと謝らないとだめです。
だから、プロデューサーさんがちゃんと謝って
ママがちゃんと許してあげるまで
年賀状は出そうと思います。
何年かあと、とっても喜んでくれるといいな。
お正月の朝に、洗面所とトイレがないあの不思議なおうちで。
今からそれが楽しみです!
涼「愛ちゃーん!」
事務所の前で涼さんが手を振ってます。
今日は876プロ3人の年末合同ライブ。
男の子になった涼さんのおひろめのライブです。
もう、ネットでは当たり前になってるんですけど
男の子としてステージに立って、正式に認めるのは今日が初めてです。
すごいプレッシャーのはずなのに、涼さんはいつもどおりの笑顔でした。
涼さんのソロの前に、あたしが1人でALIVEを歌います。
「愛ちゃんの歌に励ましてほしいんだ。愛ちゃんのALIVEは元気が出るから」
涼さんにお願いされました。
今日は一生懸命歌います。
いつも一生懸命ですけど
一生懸命の記録を塗り替えるくらいの一生懸命です。
どんな夢も願っていればいつかは叶うよ
怖がるのは恥ずかしくない 最初だから
そうだよね! ママ?
そうですよね! プロデューサーさん?
大きく息を吸い込んで
顔いっぱいでにっこり笑って
ぶんぶん手を振って
あたしは走り出しました。
今日はすごくいい日になるよ。みんながニコニコする日になるよ。
なんでか、それがわかりました。
<おしまい!>
ホントに
お疲れ様でした
面白かった、乙
日高親子は良い、仲良しな876も好き、愛ちゃんを撫でたい
Entry ⇒ 2012.06.26 | Category ⇒ アイマスSS | Comments (0) | Trackbacks (0)
伊織「ぱぱー!」P「……へ?」
P「あ、どうも新堂さん。いつもお世話に……え?」
P「伊織が、頭を打って……意識が……?」
P「は、はい、はい、ええ、すぐ参ります」
P「~病院の~病棟ですね?」
P「は、はい、ではまた……」
P(伊織……!!)
P「伊織、大丈夫か!!」
新堂「病院ではお静かに……」
P「あ、すんません……」
P「って……伊織は?」
??「ぱぱー!」
P「……へ?」
P(これは……?)
新堂「検査の結果、お嬢様の脳波に異常はなく、
画像診断でも特に異常はございませんでした」
新堂「しかし……」
伊織「ぱぱー!」
新堂「このような有様で……」
P「なんと……」
新堂「……それが……」
伊織「ぱぱー、ぱぱー」
新堂「と、あなた様の写真を指差してしきりにお呼びになっているものですから」
P「俺を呼んだ……と」
伊織「ぱぱ……、ふえ~ん!!」
P「っ!!い、伊織、どうした?」
伊織「ぱぱ~……グスっ……こっちー!」
P「あ、そ、そっちに行けばいいのか?」
P「伊織……」
新堂「どうにも……あなた様を父親と認識しているようです……」
P「なんと……」
新堂「あなた様がいないと、お嬢様はかなり情緒不安定な状態に……」
新堂「お願いします!お嬢様が元にも戻られるまで、傍にいてくださいませんか?」
P「……」
P「……少々、時間をください……」
P「あ、社長。ええ、その件で……」
P「ええ、伊織は無事です」
P「ただちょっと問題が……」
P「ええ、はい、長めのオフを頂きたいと……」
P「ええ、よろしくお願いします」
P「よし」
―病室―
新堂「……あの……」
P「オフを貰ってきました。お引き受けしましょう」
新堂「ありがとうございます!!」
伊織「ぱぱ、こっち、こっち」
伊織「む~、ぱぱ~、あそぶの~」
P「あ、ごめんごめん」
P「ほーら、いないいない~、ば~!」
伊織「……つまんない」
P「……ぐ……(わがままなのは変わらずか)」
伊織「おはなししてー」
P「お、おはなし?えーっと、むかーしむかし……」
伊織「……くー……」
P「……やっと寝たか……」
P「どれ、ちょっと飲み物でも買ってくるか……」
~~~
伊織「……ん~……」
伊織「……?……」
伊織「ぱぱ……ぱぱ~……ふえ……」
伊織「ふえ~ん!!ぱぱ~!!」
P「伊織!!」
伊織「ぱぱ~!どこ~!!ふえ~ん!!」
P「伊織、パパはここだぞ~」
伊織「ぱぱ~」
P「ははは、ごめんな、伊織」
伊織「えへへ……」
P「ん……?ニオイが……」
P「ちょっとフトンめくるぞ……うっ……」
伊織「ぱぱ、きもちわるい~」
P(オネショとは……どうしたもんか……)
伊織「うん~」
P「はい、よくできたね~」
伊織「えへへ……」
P(ちょっとまて……これトイレどうするんだ……?)
P(あと風呂とか……)
伊織「いやっ!ぱぱといくのっ!!」
P(さすが伊織は伊織か……)
P「ん?パパと行く?」
伊織「ぱぱ」
P「俺か……」
看護師「うーん、どうしたものかしら……」
P「……覚悟は決まってます……」
P「いろいろと」
伊織「ぱぱ、起きて」
P「うーん……もうすこし……」
伊織「もうっ、はやく起きてよね!!」
P(ん……?)
P「伊織!!」
伊織「ふえ?どうしたの?ぱぱ」
P「な、ナースコール!!」
P(この調子なら、多分元に戻れるようだ)
P(……冷や冷やしたぞ……マジで……)
伊織「ぱぱ、ご本読んで」
P「よーし、じゃあ『眠り姫』を」
伊織「わーい!!」
P(伊織は退院することになった)
P(オネショはするが、体調に異常は全く見当たらないし )
P(家にいた方が、伊織もいろいろと思い出しやすいのではないか)
P(そういう話だった……)
P「では、俺はこれで……」
新堂「少々お待ちください」
P「はあ……、まあでも、家に帰れたなら俺もお役御免で……」
新堂「……そのことについて、旦那様からお話が」
P「だ、旦那様って、伊織のお父さんですか?!」
新堂「はい、本日帰国なさいまして……」
新堂「こちらでございます」
P「し、失礼しまーす……」
伊織「あ、ぱぱ!」
伊織父「……ふむ……」
伊織父「まあ、掛けなさい」
P「は、はい、失礼します……」
伊織「ぱぱー、だっこー!!」
P「い、伊織、俺じゃない!パパはあっち!」
伊織「ふぇ?」
伊織父「……見ての通りだ。私は、今の伊織には、父親と認識されていないようだ」
伊織父「頼む!もうしばらく、ここで伊織の傍にいてやってくれないか?」
伊織父「このとおりだ!!」
P「そ、そんな!頭をお上げください!!」
伊織父「頼む……」
P「わ、分かりました。伊織が元に戻るまで、俺が世話します」
伊織父「そうか……ありがとう……」
伊織父「よし、新堂、始めてくれ」
P「はい?」
伊織父「何、気にしないでくれたまえ。監視カメラを伊織の部屋に設置してるだけだから」
P「はあ?」
伊織父「少々記憶が混濁しているからと言って、年頃の娘と男を一緒の部屋に……」
伊織父「まさかこんなに早く娘をさらわれる父の気持ちを味わおうとは……」
P「あの……」
伊織父「まあよろしく頼むよ、はっはっは!」
P「すいません、その立派な猟銃仕舞っていただけますか?」
P「部屋でけえ……」
伊織「ぱぱ、だっこー」
P「あー、はいはい、だっこねー」
P「ほーら!」
伊織「きゃっきゃっ!」
伊織「もっとー!!」
P(体力もつか?俺?)
P「ん?ああ、馬ね。よーし、パパ張り切っちゃうぞー」
P「……あのー、それナニ?」
伊織「えー、知らないのー?ムチー!!」
伊織「これでピシッとたたくと、お馬さん速くはしるんだよー!!」
P「……随分本格的だね……」
伊織「ほらー、はやくー!!」
P「……どうにでもしてくれ……」
P「ぜえ……ぜえ……。お、おんぶね……」
伊織「わーい!!」
P「ほーら、ゆっくり乗ってねー」
伊織「はーい!」
P「よーし、立ち上がるぞ」
伊織「わー、高ーい!!すごーい!!」
P「お、そうか?」
P「よーし、よーし」
伊織「じゃあ次はかたぐるまー!!」
P「ん?ああ……っておんぶしてるところから!!立ち上がっちゃ駄目でしょ!」
伊織「えー、だいじょうぶよー」グラッ
伊織「え?」
P「伊織!!」がしっ
伊織「ふえ~ん、ぱぱがおこったー!!」
P「伊織!!お前が危ない目にあったらどうするんだ?」
伊織「ふえ?」
P「伊織が危ない目にあったら、パパや新堂や……えーっと、
さっきのおじちゃんも皆悲しくなっちゃうんだぞ!」
伊織「私があぶないと……皆かなしい……?」
P「そう。だから、もう危ないことはしないでね!?」
伊織「うん、わかった……」
伊織父(命を繋いだね、君)
新堂「本当にお出かけに……?」
P「はあ……急に休んじゃって仕事も溜まってますし……」
新堂「お嬢様も連れて……」
P「ええ、事務所の皆と会わせた方が記憶も戻りやすいでしょうし」
新堂「大丈夫でしょうか……?お見舞いも眠っているとき以外はほぼ断っていましたし」
P「大丈夫です」
P「多分」
伊織「おはようございまーす!!」
P「お、元気なあいさつよくできました」ナデナデ
伊織「えへへー」
小鳥「!!!」ガタッ
小鳥「電話で話だけは聞いていましたが……」
小鳥「これは……」
小鳥(カワイイ……)
P「だから皆もいろいろ話しかけてやってくれ」
やよい「はーい!」
伊織「……ふえ……」
やよい「伊織ちゃん、よろしくね!!」
伊織「うん……」
やよい「あっちで遊ぼっか」
伊織「うん!」
伊織「……なーに?お姉ちゃん?」
春香「クッキー食べる?」
伊織「え?クッキーあるの?食べたい!」
春香「うん。はい、どうぞ」
伊織「ありがとう、お姉ちゃん!」
春香(これは……アリだね!!)
雪歩「伊織ちゃん、お茶……」
P「あー、すまんが、カフェインが入ってるのはNGな。夜眠れなくなるから」
雪歩「そ、そんなあ……」
響「かわいい!!なんであんなに生意気に育ったのかわからないさー」
千早「……くっ……乗り遅れたわ……」
貴音(如月千早の目が……血走っております……)
あずさ「あらあら~」
P「いやー、伊織はだっこが好きで……。」
P「ただ、流石に重いだろ?伊織、止めなさい」
あずさ「いえいえ、大丈夫ですよ。それじゃあ、あっちのソファの上で……」
伊織「やったー!!」
―だっこ中―
伊織(お胸が……、大きい……)ふにょん
あずさ「あ……」
P「あ、そーだ。今日は美希達レッスンだったな」
P「レッスンスタジオ連れてってみるか」
P「伊織ー、こっち来なさい」
伊織「なーに、ぱぱ?」
P「いい所に連れてってやろう!」
伊織「えー、いい所ー!やったー!!」
千早「……くっ……」
P「美希と真と真美がダンスレッスン中だな」
伊織「……ふええ……かっこいいー……」
美希「あ、プロデューサー!!」
真「……伊織!?伊織だー!!」
真美「おー、これはやっぱり様子が違いますなー」
伊織「お姉ちゃんたち、すっごくかっこいい!!」
真「お、お姉ちゃん!!」
美希「これは……かなりの破壊力なの……」
真美「……これ、ホントにいおりん?信じられない!!」
美希「やっぱり、ミキみたいにキラキラするの!」
真美「いや~、そこは真美みたいにきゅーとな感じで」
真「それより、ボクといっしょに……」
真美「それはだめっしょー!!」
真「なんでだよー!!」
伊織「うん……」
伊織「ぱぱ……、あのね……、私ね……」
伊織「大きくなったらアイドルになる!!」
P「うん。そうだな……。そうなったら、おれがプロデュースしてやる」
律子「あ、やっと帰ってきた―」
亜美「あ、いおりんー!!」
伊織「ふえ?お姉ちゃんだれ?」
亜美「ぐはっ……いおりんにお姉ちゃんと呼ばれる日が来るとは……」
律子「伊織ー、どう?何か思い出した?」
伊織「……お姉ちゃん……怖い……」
P「……鬼の特訓を思い出したみたいだな……」
伊織「えー、やだー、もっといるー!!」
千早「そうですよ!」
貴音「千早……いけません……」
やよい「うっうー、夜更かしすると、あうーってなっちゃいますよ!」
P「ああ、そうだな。さ、帰るぞ伊織。また連れてくるから」
伊織「うん……」
伊織「パパ……、早く起きなさいよ!」
P「んー……」
伊織「やっと起きたのね。もうっ、お寝坊なんだから」
P「ああ(ずいぶん、戻ってきたな……)」
P「さーて、じゃあ朝ご飯食べて、いい天気だし洗濯でも……」
伊織「……パパのぱんつと私のぱんついっしょに洗わないでよね」
P「……くっ……」
P「ああ、そうしよう」
―外―
P「伊織、あんまり遠くへ行くなよー」
P(つっても行けども行けども水瀬の敷地だが)
伊織「パパー!!早く早くー!!」
伊織「あ、かわいいお花!」
P「ああ、そうだな」
P(もう知能は小学生……後半くらいか……)
P(戻るのは、時間の問題みたいだな……)
P「ははは、あんまりはしゃぐから……」
伊織「ぱぱ……、行かないで……」
P「……」
伊織「行かないで……」
P「俺はずっとお前の傍にいるさ」
伊織「すー……すー……」
P「……」
―パパ、遠くに行かないで―
―伊織、すまないな―
―伊織は、トップアイドルの器です!―
―伊織、今度は一か月後だ―
―パパ、行かないで―
―俺が、君のプロデューサーだ―
―アンタが?―
―俺はずっとお前の傍にいるさ―
―プロデューサー……―
P「伊織!?」
伊織「何でアンタ、私をおぶってるのよ……?」
P「戻ったのか?」
伊織「はあ?」
P「……憶えてないのか?……」
伊織「何言ってるの?」
P「あ、スマン、降ろすよ……」
伊織「……もうちょっと……」
伊織「もうちょっとだけ、おぶってていいわよ……」
P「……そうか……」
社長「いやー、めでたい!!」
春香「それじゃあ、伊織の復帰を祝しまして!」
春香「カンパーイ!!」
社長(あ、僕の仕事が……)
伊織「ちょっと大げさじゃないかしら?休んでたのは結局そこまで長くならなかったし」
やよい「そんなことないよ。みんなとっても心配したんだから」
真美「もういおりんのあの姿を見られないと思うと……」
亜美「悲しいですなあ……」
響「ほんとだぞー……」
小鳥「千早ちゃん……これ……」
千早「?」
小鳥「あの時の様子をこっそり撮影したDVDよ」
千早「……!!」
小鳥「特別に譲ってあげるわね」
千早「……♪……」
小鳥(さて、あとは社長と、水瀬パパの分っと……)
P「お、俺か?」
伊織「ボサッとしない!!」
P「……ハイハイ」
―外―
伊織「……これ……」
P「これ……ネクタイ……?」
伊織「父の日は、だいぶ過ぎちゃったけど……」
P「伊織、憶えてるのか?」
伊織「恥ずかしすぎて、記憶から抹消したいわ……」
P「あー、そりゃあなあ……」
伊織「……でも、アンタが私のためにいろいろやってくれたのは憶えてるから」
伊織「……ありがと……」
P「そうか」
伊織「うん」
P「……えー……」
伊織「何残念そうな顔してんのよ……」
P「いや……そういや親父さんはどうだった?」
伊織「何か、パパって呼んだら泣いてたわ」
P「あー、やっぱりなー……」
伊織「プロデューサー」
P「ん?」
伊織「これからもよろ……伊織ちゃんのためにキビキビ働きなさいよ!」
P「……ああ、そうだな」
伊織(……パパじゃ、ダメなんだから)
伊織(プロデューサーじゃないと)
「あの……」
「落ち着きたまえ」
「す、すんません」
「まだ、だよ」
「そう……ですか……」
「なんとか……間に合いましたな……」
オギャー、オギャー
「は、はい!そうですか!」
「……にひひ……何情けない顔してんのよ」
「……これからもーっと頑張ってもらわないとね」
「……ね、パパ!」
終わり
後悔はしていない
いおりんもいいなと思いました
美希バージョンも見たい
Entry ⇒ 2012.06.26 | Category ⇒ アイマスSS | Comments (0) | Trackbacks (0)
雪歩「愛ちゃん、お誕生日おめでとう」
愛「そういえば雪歩先輩って、あたしにずっと敬語つかってますよね」
雪歩「え? そ、そうですかぁ?」
愛「そうですよ! 雪歩先輩のほうが年上なのに、そんなのおかしいって思います」
雪歩「うう、そんなにヘンでしょうか……」
愛「ホラ、また! ねえねえ雪歩先輩、一回、あたしのこと呼び捨てで呼んでみてください!」
雪歩「ええ!?」
愛「ほらほら~」
雪歩「わ、わわわかりましたぁ……今呼びますから、ま、待っててくださいね!」
愛「はいっ!」
雪歩「あ……、あ、あ……」
愛「……」ワクテカ
雪歩「愛!」
愛「! やったぁ!」ピョン
雪歩「……ちゃん」
愛「……えぇー……」
雪歩「うぅ、や、やっぱりもう癖になっちゃってるから、直すのは難しいですぅ」
愛「そんなぁ……」
雪歩「それに、ちゃん付けじゃなくて、呼び捨てで呼ぶのは、別に敬語とは関係ないんじゃあ……」
愛「え? ……それもそーかも! 涼さんや絵理さんも、あたしのこと呼び捨てしないもんね」
愛「さっすが雪歩先輩、頭イイっ!」
雪歩「えへへ……それほどでもないですよぉ」
愛「でもでも、それとこれとも関係ないです! 雪歩先輩は先輩なんだから、あたしに敬語つかっちゃダメですっ!」
雪歩「そんなこと言っても……わ、私、後輩とかあんまり出来たことないから」
愛「あれ、でも765プロには雪歩先輩より年下の人、けっこーいますよね?」
雪歩「年下の人? えーっと……」
愛「亜美ちゃんとか伊織さん、やよいさん、あとホシイミ……、美希センパイとかも」
雪歩「愛ちゃん、みんなのこと知ってるんですかぁ?」
雪歩「……あ、そ、そりゃそうですよね、私なんかと違って、みんな大人気だから……私なんかと違って……えへへ」
愛「わー! な、なんでいきなり落ち込んでるんですかーっ!?」
愛「美希センパイ以外のみなさんとは、レッスンスタジオで知り合って、たまにお稽古付けてもらったりしてるんです」
雪歩「そうだったんですかぁ」
愛「あれ、なんとなく見たことあるなぁって思ってたら、ちょー有名アイドルだったんですもん! あたしビックリしちゃって」
雪歩(ちょー有名なのに一目じゃわからなかったんだ)
愛「みんなあんなにスゴイ人たちなのに、事務所が違うあたしにもスゴイ優しくしてくれて」
愛「あたしの知らないことスゴイ色々教えてくれて、本当スゴイって思います」
雪歩「たしかに、みんなはスゴイですぅ」
愛「そーなんです、スゴイんですっ! 765プロのみなさんは、あたしの目標ですっ!」
雪歩「……私なんかじゃ、ちゃんと他の人に教えられるか不安……、むしろ教えてもらっちゃう方かも……えへ、えへへ」
愛「わー! ま、またなんで急に落ち込んでるんですかーっ!?」
愛「あれ? なんの話してたんだっけ……えーっと」
雪歩「亜美ちゃんとか伊織ちゃんが、私より年下って話ですかぁ?」
愛「そーです! 後輩できたことないって言ってたけど、年下なんだから、雪歩先輩より後輩ってことじゃないんですか?」
雪歩「えっと……、そういうわけじゃないんです。今のメンバーはみんな、ほとんど一緒の時期に入ってきた人ばかりだから」
愛「あれ、そーだったんですか?」
雪歩「うん。だから、センパイコウハイって言うより……、仲間って言ったほうがいいかも」
愛「仲間……」
雪歩「もちろん、年上のあずささんとか律子さん、四条さんには私も敬語をつかってますけど……」
雪歩「でもきっと、早く入ったからエライとか、年上だからエライってことはありません。そんなこと思ってたら怒られちゃいます」
愛(あたしにとっての、涼さんや絵理さんみたいなもんかな?)
雪歩(あれ? でも私……そういえば、年下の子たちに敬語つかわれたことないかも……。春香ちゃんにも……)
雪歩「そ、そんなことはどうでもいいんですぅ!!」
愛「!?」
雪歩「年上とか年下とか関係ないもん……だって、わ、私たちみんな……仲間だもんげ……うぅ」
愛「ゆ、雪歩先輩!? どーしたんですかっ!?」
雪歩「はっ! ……ご、ごめんね愛ちゃん、ちょっと衝撃の事実に気が付いちゃって」
愛「しょーげきの事実……」
雪歩「うん……私って年上の貫禄がないんだなぁって。きっとみんな、私のこと事務所の観葉植物くらいにしか思ってないんです」
愛「そ、そんなことありませんって!」
雪歩「うぅ……こ、こんな私なんて……穴掘って……収穫されるまでそのへんに埋まってますぅ!」
愛「ちょ、ちょっと雪歩先輩! ここ、あたしの部屋! 穴開いたらママに怒られちゃうよーっ!」
ガチャ
舞「うるっさーいっ!!!!!!!」
愛・雪歩「!?」キーン
舞「さっきから何ドタバタやってんのよ! 愛、あんたの声はただでさえ大きいんだから、ちょっとボリューム抑えなさいっ!」
愛「は、はい……ごめんなさい、ママ……」キーン
舞「ったく……あら、ゆっきー? どうしたの?」
雪歩「」
愛「雪歩先輩? ……し、死んでる!?」
雪歩「」
舞「なにバカなこと言ってんのよ。えーっと……うん、ただ失神してるだけね」
愛「あ、気絶してるだけかー、よかった……。それなら大したことないよね」
舞「よくあること」
愛「よくあることだもんね」
雪歩「」
舞「ま、いずれ気が付くでしょ。この子のことは置いといて……愛?」
愛「なーに?」
舞「休みの日にゆっきーが遊びに来るのは別に構わないけど、あんたたちどっか行かないわけ? ずっと部屋にこもっちゃって」
愛「うーん……、でもお仕事がない日曜日は、いつも家にいるから……どこに遊びに行けばいいのかわかんないよ」
舞「……」
愛「部屋でじっとしてテンション回復させて、夜プレゼントが届くのを待つのが普通じゃないの?」
舞「……ちょ、ちょっと前は、同じ事務所の子のライブを見に行ったりしてたじゃない」
愛「涼さんや絵理さん、あたしと違ってスゴ過ぎて、テンション下がっちゃうんだもん」
舞(ダメだこいつ……、早くなんとかしないと……。ゆっきーのネガティブ思考がうつっちゃったんじゃないかしら)
愛「だから、雪歩先輩が家で遊ぶのオッケーな人で良かったよーっ!」ピョン
舞「誰かと遊ぶのは構わないわけ?」
愛「うん! 大好きな雪歩先輩とお休みの日に会えて、とっても嬉しいくらいだもんっ!」
舞「……引きこもり、ってわけじゃないのね」ホッ
愛「引きこもり? そんなんじゃないってー。ただ、どこに行けばいいのかわかんないだけで」
舞「……」
舞(えーっと確か……、今日だって言ってたわよね)
愛「ママ? どーしたの?」
舞「よし、決めたわ。今からあんたちには、あるところに行ってもらいます」
愛「ええーっ!? あるところって……どこ?」
舞「遊園地よ」
―――
――
―
雪歩「……ほぁっ!」
愛「あ、雪歩先輩! 起きましたねっ! おはようございまーっす!」
雪歩「あ、おはようございますぅ……、じゃなくてぇ!」
雪歩「え、え? あ、愛ちゃん? どうしてここに? というかここはどこですかぁ? な、なんで私ここに連れてこられたんですかぁ!?」
愛「ここは、遊園地ですよっ、遊園地!」
雪歩「遊園地……?」
愛「そーですっ! えへへ、ママが珍しくお小遣いいーっぱいくれたから、今日は楽しんじゃいましょうっ!」
雪歩「な、なんで遊園地なんですかぁ?」
愛「えっと……あたしも実はよくわかってないんです! えへへ」
雪歩「そうなんですか……あ、そういえば」ガサゴソ
愛「カバンごそごそして、どーしたんですか?」
雪歩「……あ、あった……。よかったぁ……」
愛「雪歩先輩?」
雪歩「あ、ううん! なんでもないですぅ。ちゃ、ちゃんとカバンも持ってきてくれて、ありがとうございます」
愛「いえいえそれくらいお安いごよーですよ!」
雪歩「……えっと、じゃあ」
愛「はいっ! さっそくアトラクション乗りにいきましょーっ!」
雪歩「最初は、なにがいいかなぁ」
愛「やっぱり、ジェットコースターとか? 定番ですもんねっ!」
雪歩「じぇ、ジェットコースターっ!? む、むむむむムリですそんなの乗ったら死んじゃいますぅ!」
愛「あ、そーいえば雪歩先輩、絶叫系苦手でしたっけ。じゃあ……、お化け屋敷!」
雪歩「ひぃーん! な、なんでジェットコースターの次がお化け屋敷なんですかぁ……」
愛「あ、あれれー? お化け屋敷もダメですか?」
雪歩「きっと私、お化け屋敷なんて入ったら一生出て来れなくなりますよぉ……うぅ」
愛「そんな、おーげさな……」
雪歩「大げさなんかじゃありませぇん! 絶対ゼッタイ、ムリですぅ!」
雪歩「……取り残された私は、お化けの仲間となって、罪のない子どもたちを脅かし続けることになるんですぅ……」
愛「あは! そんなに可愛いお化けなら、あたし見てみたいかもーっ!」
雪歩「私はちっとも見たくありませぇん! もうっ……愛ちゃん、前も一緒に来たから知ってるはずなのにぃ……」
愛「あ、あはは……」
愛(あわわわ……間違っちゃった。これじゃあバッドメモリーだよー!)
愛「それで結局、これですねっ!」
雪歩「これが一番好きですぅ……、えへへ」
愛「メリーゴーラウンドっ! うわあ、雪歩先輩にぴったりのイメージかも」
雪歩「そうですか?」
愛「はいっ! だって雪歩先輩、なんというか、清掃でカレーで……、お嬢様って感じですから!」
雪歩(清掃? お掃除のこと? それにカレーって……?)
雪歩「か、カレーは甘口のほうが好きですぅ!」
愛「あは! あたしと一緒だー! ……あ、雪歩先輩! ほらほら、もうすぐあたしたちの番ですよっ!」
雪歩「あ、本当ですね……えへへ、楽しみかも……」
愛「あ、そーだ!」
雪歩「どうしたんですかぁ?」
愛「さぁ、雪歩先輩! お手を拝借!」スッ
雪歩「え?」
愛「ほらほらー。お嬢様でお姫様の雪歩先輩がいるなら、あたしがナイト様になるしかないじゃないですか」
雪歩「お、お姫様? ナイト?」
愛「そーです! ちょうど馬車に乗れそうですしね。ほら早く早くっ!」
雪歩「……じゃ、じゃあ……は、はは恥ずかしいけど」スッ
ギュッ
愛「えへへ、あたしちびだから、なんだかただ手繋いでるだけみたいですね」
雪歩「ふふ……、愛ちゃんはちっちゃくて、とっても可愛いですよぅ」
愛「そ、そんなこと……」モジモジ
愛「……さ、さあ、早く乗りましょうっ!」タタッ!
雪歩「あ、ま、待ってー」タタ
従業員「あぶないですから走って乗り込まないでくださーい」
ガチャ、バタン
雪歩「ふぅ、やっと座れましたぁー……」
愛「えへへ、係の人に怒られちゃった」
雪歩「そうですね、ふふっ」
愛「……」
雪歩「……?」
愛「あ、そ、そーいえばナイト様といえばあたし、前に涼さんのストーカーをやっつけたこともあるんですよ!」
雪歩「えぇっ!? ストーカー? そ、そんなのあぶないんじゃぁ……」
愛「全然ヘーキですっ! 涼さんに何かあったら大変ですもん」
雪歩「優しいんですね、愛ちゃん」
愛「そりゃあ、仲間ですから! 涼さんのガッコーの前で張り込みして、とうとう見つけたそのアヤシイ人物をですね……」
雪歩「へぇー……そんなことが……」
雪歩(愛ちゃんってちっちゃくてまだ中学生になったばかりなのに、私なんかと違ってすっごいパワフルですぅ。スゴイなぁ)
愛「えへへ、『ありがとう、小さな騎士様』って涼さんに褒められちゃいましたっ!」
愛「……雪歩先輩の手、冷たいですね」
雪歩「え? ……あ、そういえばまだ、手繋ぎっぱなしだったんだ」
愛「だいじょぶですか? も、もしかして風邪とか……!」
雪歩「大丈夫……ですよ。ただ平熱が低いだけだから……、それに風邪を引いてたら、逆に熱くなるだろうし」
愛「それならいーんですけど……」
雪歩「……気遣ってくれて、ありがとね、愛ちゃん」
愛「全然かまいません! あたしが付いていながら、雪歩先輩の具合を悪くさせるわけにはいきませんから!」
雪歩「えへへ……そんな風に言ってくれて、とっても嬉しいですぅ」ニコ
愛「そ、そんなこと……」
愛(雪歩先輩の笑顔って、不思議だなぁ……)
雪歩(……ちょっとずつ、敬語じゃなくして話してるんだけど……気付いてもらえてるかな?)
愛(見てるとなんか、こっちまで嬉しくなっちゃう。だ、ダメダメ、平常心平常心だよー!)
雪歩(今日で……今までよりちょっとだけでも、仲良くなれたらなぁ)
テクテク
愛「楽しかったですね、メリーゴーラウンド!」
雪歩「うん。……愛ちゃん、つまらなくなかった? 景色を見るだけだったし……」
愛「ぜんっぜんそんなことないですよ! 雪歩先輩と一緒なら、それだけであたしは楽しいですから」
雪歩「……そ、そうなの?」
愛「はいっ! さあ、次は何に乗りましょっか?」
雪歩「あ、え、えーっとじゃあ……、コーヒーカップとかはどうかな」
愛「いいですね! よーっし、思いっきりグルグル回すぞーっ!」
雪歩「ひーん! あ、あんまりまわしすぎないでくださいぃ……」
雪歩(……ちょ、ちょっとドキドキしちゃいましたぁ。あんな風に言ってもらえて、嬉しいなぁ……って、あれ?)
携帯『好きだよ♪ 心込めて♪ 好きだよ♪ 力込めて♪』
愛「電話ですかーっ?」
雪歩「そうみたいですぅ。えーっと……あ、春香ちゃんだ」
愛「春香さん?」
雪歩「うん。愛ちゃん、電話、出てもいいですか?」
愛「もちろん! どーぞどーぞ、遠慮しないでください」
雪歩「ごめんね、それじゃあ……」
ピッ
雪歩「もしもし、春香ちゃん? どうしたの? ……え? それって……」チラ
愛「……?」
雪歩「……うん、うん……わかりましたぁ、ちょ、ちょっと待ってて」
愛(どうしたんだろ、雪歩先輩。今あたしのこと、ちらって見たようなー?)
雪歩「愛ちゃん、ごめんなさいです……ちょっとだけ、あっち行って電話してくるね」
愛「え? ……は、はい、わかりました……」
雪歩「……お待たせ、春香ちゃん。うん、うん……それで……」テクテク
愛(え、え、あ、あたしに聞かれちゃマズイ話だったのー!?)
愛「……」チョコン
愛(雪歩先輩が、向こうで春香さんと話してる……)
雪歩「……? ……!」コクコク
愛(どんな話してるんだろー? うぅ、気になるよー!)
愛「だ、ダメダメ! あたしが聞いちゃいけないってことは、大事なお仕事の話かもしれないしっ!」
雪歩「……」ニコニコ
愛「でも……、むむむむ……」
愛(雪歩先輩、あんなに笑顔で……さっきのあたしに見せてくれたのと、またちょっと違って……)
愛「あー、もう!! あたしったらやな奴やな奴やな奴っ!!!」
通行人「!?」ビクッ
ザワ…… ザワ……
愛「あれ? 何人か、こっちを見てるような……」
??「あ、あの! 日高愛ちゃんですよね!?」ズイ
愛「はひ! え、えっと……、あたしのこと? そーですけど……」
ファン「やっぱり! わ、私、ずっと前から愛ちゃんのファンなんです!」
愛「あ、そーなんですか!? わぁ、ありがとうございますっ!」
愛(えへへ……こんなところでファンの人に会えるなんて! 今日はラッキーかも!)
ファン「何回かファンレター書いたり、ステージ映えするようなアクセサリー贈ったりしたんですけど……」※
愛「あ、あれ、あなたがプレゼントしてくれたんだ!」
愛「最初は神棚に飾っとこうかと思ったけど、大事に使わせてもらってるよーっ!」
ファン「キャー! 嬉しい!」
※アイマスDSではファンからアクセサリーやステージ衣装をもらって、アイドルたちは何の疑いもなくそれを身につけます
ファン「今日はひとりでここに?」
愛「あ、えーっと、他の事務所の先輩と一緒に……あそこにいる、雪歩先輩と」
ファン「……?」
愛「あれ? いない……?」
愛(さっきまであそこで電話してたはずだったのに、いつの間にいなくなっちゃったの!?)
愛(まさか……! 涼さんみたいに、ストーカーに連れ去られた、とか!? た、大変だよー!!)
愛「ちょ、ちょっとごめんなさい! あたし、探さなきゃ!」
ファン「は、はい。あの、応援してます! 頑張ってくださいっ!」
愛「ありがとねーっ!」タタタ
愛(雪歩先輩……、どこに……!?)
愛「はぁ、はぁ……雪歩せんぱーい……どこー……?」
愛(この辺りは一通り探したけど、全然見つからないよ……こ、こうなったら)
すぅー……
愛『雪歩せんぱーい!!!!!!!!!!』
通行人A「!!?」
―――…… ィィィイイイイン ……―――
愛『せんぱーい!!! どこですかー!!!!?』
通行人A「あれ? なにか……聞こえるような」
通行人B「み、耳がおかしい……? あれ、立ってられない……」
通行人A「あ、あ、あ……」ブクブク
―――…… ィィィイイイイン ……―――
愛『雪歩せんぱーい!!!!!』
雪歩「あ、愛ちゃん……!」プルプル
愛『あ、雪歩先輩っ! よかった、どこ行ってたんですか、もー』
雪歩「心配かけて、ご、ごめんなさいですぅ……だからちょっと、その声を止めてぇ……!」
愛『え? あ、ああ、ごめんなさいっ」
雪歩「ふぅ……、やっと収まりましたぁ」
愛「雪歩先輩、心配しましたよっ!」
雪歩「ご、ごめんね愛ちゃん。でも、それは普通の人じゃ聞き取れない周波数だから、あんまり使っちゃダメですぅ」
愛「はい……、ごめんなさい」
雪歩「そのおかげですぐ愛ちゃんを見つけられたから、結果オーライですけど……」
雪歩「相手がアイドルのとき、そしてココ一番の決闘(オーディション)のとき以外は、ゼッタイに禁じ手ですよ」
愛「……」シュン
愛(あたしったら、また雪歩先輩に迷惑かけちゃった……)
雪歩「でも、愛ちゃんに会えてよかったですぅ。もう一生会えないのかと思いました」
愛「え? そういえば、見つけられた、ってさっき言ってたけど……」
雪歩「ずっと探してたんですよ。ちょっと目を離したら、愛ちゃん、煙みたいに消えちゃってたから」
愛「ええっ!? 雪歩先輩こそ、急にどっか行っちゃって……、それであたし、いろんなところ探してたんですよっ!」
雪歩「そ、そうだったんですか? それじゃあ、入れ違いになっちゃったのかもしれないですぅ……」
愛「入れ違い……あの、雪歩先輩は、電話してるときにどこに?」
雪歩「え? えーっと……、あの、その……」
愛「?」
雪歩「そ、そうそう! 愛ちゃんがファンの人とお話してるみたいだったから、ちょっとお手洗いに……」
愛「トイレだったんですか! 雪歩先輩も、おしっことかするんですね!」
雪歩「あ、愛ちゃん! 声が大きいよ……そ、それに」
愛「あ、もしかして大きいほう……」
雪歩「違いますぅっ!! もう、アイドルがそんなこと言っちゃダメですよ……アイドルはおトイレなんかしませぇん!」
愛「雪歩先輩、自分でお手洗いに行ったって言ったのに……」
雪歩「そ、それとこれとは……、アイドルは幻想を守らなきゃ、って律子さんが言ってたから」
愛「幻想……ですか?」
雪歩「そうです。アイドルはおしっこもしなければ……、……もしません。そういう生き物なんですぅ」
愛「そーだったんだ……、あたし、アイドルじゃなかったのかも。だって毎日、朝とお昼休みに……」
雪歩「だ、だだだダメですぅ! あわわわわ……と、とにかくっ!」
愛「とにかく?」
雪歩「……コーヒーカップ、行きましょう? 今はまだまだ、ふたりで遊べる時間はいっぱいありますから」
愛「……はいっ!」
愛(あたしたちはそのあと、遊園地のいろんな場所を見てまわりました)
愛(あたしがコーヒーカップで頑張りすぎたせいで頭がぐるぐるになっちゃった雪歩先輩を、介護室で休ませて)
愛(一時間経ってようやく目が覚めた、まだ顔に青味の残った雪歩先輩を連れながら)
愛(自分の行いをいっぱいいっぱい反省していたあたしは、なるべくゆっくりとしたペースで雪歩先輩と歩いていたのでした)
愛(えへへ。そして今は……)
愛「……」ズーン
雪歩「あ、愛ちゃん? 元気出してください……私はもう、大丈夫だから」
愛「雪歩先輩がだいじょぶって言っても、だいじょばなくさせたのはあたしですから……」
雪歩「うぅ……、気分転換に、な、何か飲み物でも買ってきますね! 何がいいですか?」
愛「…………いちご牛乳、お願いします」
愛(実は今は、とってもとってもへこんでいるのです。理由は、コーヒーカップの件をいまだに引きずっているから)
愛(あたし、また雪歩先輩を困らせて……、うう、なんだか泣きたくなってきちゃったよ……)
愛「ちゅーちゅー……」ゴクゴク
雪歩「いちご牛乳、おいしいですか?」
愛「はい! えへへ、あたし、これ大好きですっ!」ニパー
雪歩「……よかったですぅ。愛ちゃん、元気になったみたいで」
愛「はっ! ……あ、あたしったら……、いちご牛乳飲んだだけで、雪歩先輩にしたことを忘れちゃうなんて……!」
雪歩「あ、ちょっと、そんなのもう、気にしてないのに……」
愛「雪歩先輩が気にしてなくても、あたしは忘れないつもりだったんです! なのに……」
愛「あ、あたしなんて……三歩歩いたらモノを忘れる、ニワトリのほうがまだお利口さんなんだぁ……」
雪歩「……あ、愛ちゃん……」
愛「うぇえええん……あたしのばがばがぁ!」グスグス
雪歩「……な、泣かないでぇ……。愛ちゃんが泣いてると、なんだか私まで……」ジワ
愛「う……」
雪歩「うぅ……!」
愛・雪歩「「うわぁあああああん……!」」
ポロポロ……
愛(あたしと雪歩先輩は、ベンチに隣り合って座りながら、泣いちゃいました)
愛(泣き虫のふたりを、いろんな人がヘンな目で見ていたけど……)
愛(そんなこと、もうあまり気にならずに……、ただただ、何が悲しいのかも忘れて、泣いていたのです)
愛(なんだかもう……、いろんなことがだめだめでした)
愛(今日は、久しぶりに雪歩先輩と会えて、とっても嬉しいはずだったのに……)
愛(せっかく、最高の気分で、明日を迎えられると思ってたのに)
愛(……でも、やっぱり、雪歩先輩だったんです)
愛(何がというと、あたしの涙を止めてくれたのが、です)
愛(初めて出会ったときとおんなじように、雪歩先輩は、いつだってあたしのことを助けてくれるんです)
カァ、カァ……
雪歩「……あ、愛ちゃん……」
愛「ばい゛……、なんですが……ぐす」
雪歩「あ、あのね゛……」
愛「……?」
雪歩「……ちょ、ちょっと待って」ゴシゴシ
愛「……」
雪歩「すぅ……ふぅ。もう、大丈夫」
愛(……雪歩先輩、自分で涙を……)
雪歩「愛ちゃん、ステージに行こう?」
愛「ステージ?」
雪歩「そうですぅ。もうそろそろ、始まるはずだから……」
愛「始まる、って、何が……」
雪歩「……」
スッ
雪歩「ほら、私の手を握って?」
愛「手……」
雪歩「愛ちゃんが、自分で立てないなら……、私が連れてってあげるね」
愛「……」
雪歩「きっと、楽しくて、嬉しいことが待ってるから。私、愛ちゃんにその景色を……、見せてあげたいんだ」
愛「雪歩先輩……」
愛(……気が付いたら、雪歩先輩は、あたしに対して敬語じゃなくて……)
愛(落ち込みがちな、いつもの雪歩先輩と違って……、ステージの上に立っているときみたいな、とっても強い目をしていました)
―――
――
―
ザワザワ…… ザワザワ……
愛「な、なにこれ!? こんなにいっぱいの人が……」
雪歩「えへへ、遊園地にいた人みーんな、このステージに来てるんだよ」
愛「すごい……、立ってる人も、こんなにたくさん。あたしがライブしても、こんなにたくさん集まらないかも」
雪歩「……そんなことないよ、愛ちゃん。だって、ここにいる人たちは、みんな……のために」
愛「え? なにか言いましたか、雪歩先輩?」
雪歩「……ううん、なんでもないですぅ!」
愛「? ……あれ、なんか、こっちに向かってくる人が……」
??「おぉ、いたいた! ようやく来たな、雪歩!」
雪歩「……! プロデューサー!」
P「遅かったな。もうみんな、準備出来てるぞ」
雪歩「ご、ごめんなさいですぅ。ちょっとトラぶっちゃって……」
P「……何があったかわからないが、ちゃんと来てくれたから問題ないな」
P「ほら、これが今日のセットリストだ」スッ
雪歩「はい……」ジー
P「……いけるな?」
雪歩「ばっちりですぅ! それじゃ、私は……」
愛「ゆ、雪歩先輩! ちょっと、何がなんやら、なにもわかんないんですけどーっ!」
雪歩「愛ちゃん……それはね、今日は……」
P「っと、雪歩、話してる暇はないぞ。この子には俺が話しておくから、メイクしてこい」
雪歩「……わかりました!」
愛(メイク? セットリスト? それって……)
タタタ……クルッ
雪歩「愛ちゃん……、最後に、これだけは、言っておくねっ!」
愛「は、はい!」
雪歩「あのとき愛ちゃんが私に言ってくれたこと、お返ししますぅ!」
愛「あのとき……?」
雪歩「……愛ちゃん! 今日は、めいっぱい! めいっぱい楽しもうねっ!」
タッタッタ……
愛「……」ポカーン
P「……ごほん! えー、君が、876プロの日高愛ちゃん、だね?」
愛「あ、はい。えっと、あなたは……」
P「俺は、765プロダクションのプロデューサーだよ。今日は来てくれてありがとう」
愛「プロデューサーさん? 雪歩先輩の?」
P「雪歩の、ってだけじゃないが……まあ、俺のことはどうでもいいんだよ」
P「今日は、君のお母さんのおかげで、こんなに素晴らしい舞台を用意することができた。ありがとうな」
愛「舞台って、ことは……今日はやっぱりここで……」
P「ああ、ライブをやる。でも……、ただのライブじゃないぞ」
愛「それって……
ピンポンパンポーン
小鳥『えー、マイクテスマイクテス……、本日はお日柄もよく……』
律子『ちょっと小鳥さん! そんなのどーでもいいですから、始めてください!』
小鳥『あら、そう? ……それじゃあ、春香ちゃん! ちゃちゃっとやっちゃってー♪』
春香『はーいっ!』
愛「春香さんっ!?」
P(音無さん、利益度外視だからって適当にやってるな……)
愛「あ、あの! これって、なんなんですかーっ!?」
P「ん、ああ……もう説明してる暇もないな。まぁ、あとでいろんな人から説明聞くと思うから、とりあえず今は楽しんでくれ」
愛「そんなこと言ってm
春香『会場のみなさーん!! こーんばーんわー!!!』
コンバンワー!!!
春香『今日は急だったのに、集まってくれてありがとねーっ!!!』
真『お待たせしちゃってごめーん! さあ、いよいよ始めるよーっ!』
春香・真『『765プロダクション……プラス!』』
涼・絵理『『876プロダクションオールスターズの、ゲリラライブっ!!』』
真『題して……!』
たったったった……
雪歩『ま、間に合いましたぁ! ……いぇええええーい!!』
キーン! イエェエエイ!!
真『ゆ、雪歩! それまだ違うって! ライブのタイトルコールして!』
雪歩『あ、あわわわ……ご、ごめんなさいですぅ!』
P「ははは……」
愛「雪歩先輩っ!?」
雪歩『え、えっと! 改めて、題しまして……、すぅー……』
『THE 愛!』
雪歩『……愛ちゃん! お誕生日、おめでとう!!!』
愛「……!」
真『へへーん! 今日は日曜日だから、本当の誕生日は明日。だからちょっとフライングだけど……ま、いいよねっ!』
春香『急だったからねー。舞さんが、なんでもかんでもどんどん進めていっちゃうんだもん』
絵理『本当は……わたしのライブ?』
涼『え、絵理ちゃん。それにみなさんも……、身内にしか通じないこと、言っちゃダメですよ』
真『涼、そんなこと言ったら、愛の誕生日ライブってことですでに身内ネタじゃない?』
春香『わ! 真、するどいね! あはは!』
涼『うぅ……、胃が痛くなってきた……』
雪歩『だ、大丈夫ですかぁ……?』
涼『はは……大丈夫です。それより雪歩さん、一曲目一曲目』
雪歩『はぅっ! そそそそうでした! えーっと確か最初の曲は……』
P(あいつら好き勝手やりすぎじゃないですかね)ビキビキ
愛「みなさん……! これ、あたしのために……!?」
雪歩『改めて……』
雪歩『愛ちゃん、お誕生日おめでとう』
パチパチパチ……!
ワーワー! オメデトーアイチャーン!
愛「雪歩先輩……、それに、会場にいるみんなも……」
P「みんな、君の誕生日を祝うために集まってくれたんだよ」
愛「でも、どうやって? これだけの人集めるなんて……あたし、全然気付かなかったし」
P「君の様子は逐一雪歩から連絡受けてたからな。765プロのスタッフ総出で、その隙を縫ったのさ」
P「……本当は雪歩とふたりで遊ぶはずだったんだろ? 無理言って、巻き込んだことはすまなかった」
愛「い、いえいえ! そんなこと……とっても、嬉しいでs
雪歩『いぇえええええい!!!』キーン
愛「!?」
雪歩『こ、今度はちゃんと出来ましたぁ! ……この会場のどこかにいる、あなたのために、歌いますぅ!』
雪歩『一曲目は……、“ALRIGHT*”!!』
~♪
READY SET GO!!
行きたいトコ 行ってみようよ
歩いたり 走ったり 休んだりして
READY BOY GIRL?
やりたいコトやってみようよ
目指して 追いかけて 自分信じて……
愛「雪歩先輩……、かっこいい……! やっぱり雪歩先輩、あたしの……!」
P(……雪歩は、良い後輩を持ったみたいだな……)
~♪
ALRIGHT*
今日が笑えたら
ALRIGHT*
明日はきっと幸せ
大丈夫!!
どこまでだって
さあ 出発オーライ
雪歩『どこまでだって さあ出発 オーライ♪』
パチパチパチ……
……~♪
ウォオオオ……!
愛「……! この曲って……」
~♪
今 目指してく 私だけのストーリー
BRAND NEW TOUCH 始めよう
SAY “HELLO!!”
絵理『涼さん……いい?』
涼『もっちろん! い、っせーの!』
涼・絵理『……ハッピーバースディ!! 愛ちゃん!!!』
愛「涼さん……、絵理さん……! うぅ、ありがとう……!」ジワァ
舞「愛、楽しんでるー?」
愛「もっちろん! こんなライブ初めて……って、ママっ!?」
舞「そう、私よ」
P「……お疲れ様です、舞さん」
舞「ほんとよもー。まなみなんて、私がやるはずだった雑務をちょっとやっただけで倒れちゃったんだから」
愛「ちょ、ちょっと! ママのおかげでライブできた、とか聞いたけど、どういうことっ!?」
舞「ああ、それはね……コレよ」スッ
愛「え? 人差し指と、親指で○を作って……って、それ」
舞「ハッハー! お金よ! 今回のライブ、スポンサーとプロデューサーはぜーんぶ私なわけ!」
愛「えぇえええ!!?」
舞「ビックリしたでしょう! どうだ、参ったか! あははは!!」
P(こ、これがあの伝説のアイドルなのか……)
舞「……涼さんや絵理さん、あたしと違ってスゴ過ぎて、テンション下がっちゃうんだもん!」キャピ
愛「…………なにそれ」
舞「昼間、あんたが言ってた台詞のマネだけど。きゃっぴぴぴ~ん!」
愛「やめてよっ! そんなの全っ然、似てないもん! オバサンが無理すんなーっ!」
舞「ああ?」ギロ
愛「ひぅっ! ……ま、負けないもん! ぐるるるる……」
舞「ったく、私はまだおねえさん、でしょうが。……そんなことより、愛?」
愛「……なーに?」
舞「アレを見ても、まだテンション下がる、って言えるわけ?」
愛「……」
~♪
今 咲き誇る芽生えた蕾
根を張って 胸張って
ねえいくつも実らせよう
涼『抱きしめる 私と言うヒストリ~♪』
絵理『BRAND NEW TOUCH 始めよう♪』
涼・絵理『『SAY “HELLO!!”』』
~♪
愛「……い、」
愛・涼・絵理「『『いっせーのっ!』』」
舞「……」
愛「……そんなわけ、ないじゃん……」
舞「何が、そんなわけないの?」
愛「あんなに輝いてる、涼さんや絵理さんを見て、テンションが下がるわけないもん! ……あ、あたしも……!」
愛「……あたしも……、あの場所へ……!」
愛「きらめく舞台(ステージ)に、私も立ちたい!」
P「その言葉が聞きたかった」
愛「え?」
舞「さあ、行ってらっしゃいっ!」
トンッ
愛「え、え?」
バンッ! ピカー……
愛「ま、眩しい……っ!」
涼『あ! 愛ちゃん、やっと来るみたいだよ!』
絵理『ふふ、ちょっと……遅刻?』
涼『ギリギリセーフ、じゃない? さあ愛ちゃん、早くっ!』
愛「……! は、はいっ! 涼さん、絵理さん!」
タッタッタッタ……
愛(スポットライトに照らされながら、あたしは走りました)
愛(涼さんや、絵理さん……春香さんに真さん、そして……)
愛(雪歩先輩の待つ、ステージへ……!)
小鳥「さ、こっちよ!」ガシッ
愛「え、え、ちょ! あなた誰ですかっ!? せっかく今良い感じで走ってたのにーっ!」
小鳥「私服のまんまステージに上がるわけにはいかないでしょ?」
律子「さー、行くわよ! 40秒で着替えさせてあげるからねっ!」
愛「あー…… れー……」
~♪
ポイッ トタタタ……
愛「はぁ、はぁ……お、お待たせしました」
涼「大丈夫?」
絵理「息……上がってる」
愛「ぜ、ぜんぜんヘッチャラですっ! それより、さっそく……」
涼「……そうだね! もうずっと間奏やってもらってるし」
絵理「じゃあ、改めて……!」
愛・涼・絵理『『『……いっせーのっ!!!』』』
~♪
“HELLO!!”
いってみよう みんな一緒にSTEP
転んでも 挫いても
OK信じれば大丈夫!!
どこまでも 続いてゆくストーリー
BRAND NEW TOUCH 始めよう
SAY “HELLO!!”
~♪
涼『BRAND NEW達♪』
絵理『始まりは そう♪』
愛『“HELLO!!”』
愛(そのあとも、何時間もライブは続き……)
愛(最後のアンコールに、みなさんで“THE 愛”を歌ってもらって……)
愛(あたしの、一生忘れられそうにない誕生日ライブは、終わりました)
―――
――
―
絵理「本当は今日、わたしがあそこでライブをするはずだったの」
愛「え!? そ、そーだったんですか?」
絵理「うん。でも、今日急に舞さんから事務所に連絡があって。それであれよあれよという間に……予定変更?」
涼「あはは、舞さんのバイタリティはすごいよね。僕も今日、実はさっきまで違うところで仕事をしてたんだ」
愛「そんな……じゃあおふたりは、今日のことを……」
涼「うん、知らなかった! というか、舞さんがこれ思いついたのが、今日だったらしいしね」
愛(あ、そういえばそんなこと言ってたかも……)
絵理「……愛ちゃん、お誕生日、おめでとう。これ……プレゼントだよ」スッ
涼「僕からは、これ。愛ちゃん、これからもよろしくね!」スッ
愛「涼さん、絵理さん……、うぅ……、ありがどうございまず……!」グスッ
愛「あれ、でも……知らなかったなら、なんでプレゼントを持ってこれたんですか?」
涼「ああ、それは……あの人が、わざわざここまで届けてくれて」
絵理「……」チラ
まなみ「」チーン
絵理「……完全燃焼?」
愛「な、なるほど……」
涼「まなみさんも、舞さんや765プロのプロデューサーさんにいろいろ頼まれたみたいで……すっごい頑張ってくれたみたいだね」
愛「ありがとうございます、まなみさん……なんまいだぶなんまいだぶ」パンッ
涼「あ、愛ちゃん! まだ死んでないよ!」
絵理「……たぶん?」
石川「……」
高木「どうしたのかね?」
石川「いえ……あの子も強くなったんだな、って思いまして」
高木「強く……、とは?」
石川「……まなみがうちを辞めたとき、愛は……、しばらく立ち直れてなかったんです」
石川「何日も泣きつづけて、仕事も休んで……。きっと、とても強くまなみに依存していたんでしょうね」
高木「ふむ……そんなことが」
石川「ええ。でも……貴方のところに所属する、あるアイドルが……愛を救ってくれたみたいなんです」
高木「私も、そのことは彼女から少しだけ聞いているよ。そのアイドルの名前は……」
石川「……ふふ、噂をすれば……」
涼「……あ」チラ
絵理「もうそろそろ、わたしたちは……退散しなきゃいけないみたいだね」
涼「そうだね。あとは、あの人に任せよっか」
愛「え? どうしたんですか、涼さん、絵理さん」
涼「それじゃあ愛ちゃん! また明日、月曜日に事務所でね!」
絵理「ばいばい」トコトコ
愛「え、えー!? そんな急に……」
涼「あ、最後に愛ちゃん! うしろを見て!」
愛「うしろ? えーっと……」
クルリ
雪歩「……愛ちゃん」
愛「雪歩先輩……!」
―――
――
―
ザァ…… サァ……
愛「……まっくらですね」
雪歩「うう……、ちょ、ちょっと怖いですぅ……。お化けが出るかも……」
愛「だいじょぶです! お化けなんか出たって、あたしがランクDちょっぷをお見舞いして追い払ってみせますっ!」
雪歩「ありがとうございます、愛ちゃん……でも、もうランクDじゃないですよね?」
愛「あ、そういえばそーでしたっ! えへへ……」
雪歩「……お化けに、ちょっぷは効くのかなぁ」
愛「どうなんでしょう……ポ○モンみたいに、格闘タイプの技は効かないかも」
愛(なーんて、他愛のない話をしながら、あたしと雪歩先輩は真っ暗な道を歩いていました)
愛(雪歩先輩が、あたしをお家まで送ってくれるって言ってくれたんです! もうカンゲキで!)
愛(……でも……)
愛(なんとなく……、カクシンをつかない、適当な話題しか、あたしは広げられないでいたのでした……)
雪歩「……」
愛「……」ムズムズ
愛(気まずいよーーーーー!!)
雪歩「……ありがとう、ありがとう……愛をありがとう♪」
愛「え? な、なにかお礼言われるようなことしましたかーっ?」
雪歩「ううん、これは“THE 愛”ですぅ。みんなで、最後に歌った曲……」
愛「……」カァァ
愛(恥ずかしいよーーーー!!)
愛「あたしったらまた勝手に勘違いしちゃって……もう、バカバカ」ブツブツ
雪歩「レッツゴー愛がある世界♪ レッツゴー愛らしい世界♪ ……ふふ、ふふふ♪」
愛「……」
愛(こんなときになっても、あたしは相変わらずバカだけど……でも)
愛(雪歩先輩が、笑ってくれるなら……もうなんでも、いいかな)
かち、かち……
雪歩「~♪」
愛「……」
愛(……雪歩先輩、さっきから歌ってばっかで、あたしのこと見えてないのかなーっ?)
雪歩「……~♪」チラ
愛(そうだよね、さっきのライブ、すっごい楽しかったもん)
愛(あたしの誕生日かどうかは関係なく、雪歩先輩はそのヨインに浸ってるんだ……うぅ)
愛「……」ジワァ
雪歩「……全員集合 手と手繋いで♪」
愛(……足と足揃えて 初めの一歩……)
愛(頭の中で、一緒に歌うことしか、あたしには出来ないよ……う、うぅ)
かち!
ボーン ボーン……
愛「え?」
愛(日付が変わって、あそこに立ってる時計が鳴ってるんだ)
愛「……ってことは、今この瞬間にあたしは……」
雪歩「……~♪」
~♪
おめでとう おめでとう
愛が生まれる
おめでとう おめでとう
HAPPY BIRTHDAY
愛「!」
雪歩「……愛ちゃん、お誕生日おめでとう」
愛「ゆ、雪歩先輩!」
雪歩「えへへ……タイミングぴったりですぅ!」
愛「た、タイミングって……」
雪歩「今日、この日に……、世界でいちばん最初に、愛ちゃんにおめでとう、って言うことができましたぁ」
愛「……」
雪歩「あ、あれ……愛ちゃん?」
愛「…………」
雪歩「ど、どうしよう、愛ちゃんの顔がひょっとこみたいですぅ! こ、これはひょっとして……」
愛「………………」
雪歩「ひぃーん! す、すすすすべっちゃいましたぁ……! あわわわわ……!」
愛「…………ぷ」
雪歩「うぅ……、せっかく、良いアイディアだと思って……、や、やっぱりこんな私なんて……」
雪歩「徹夜で考えたネタも受け入れてもらえない、こんなセンスのかけらもない私なんて……!」
愛「……ぷぷ。ゆ、雪歩先輩……べ、べつにすべったわけじゃ……」
雪歩「穴掘って、そのへんに埋まってきますぅーー!!!!!」タタタ
愛「ちょ、ちょっと、雪歩先輩っ!? 帰ってきてくださーいっ!!」
タッタッタッタ……
愛「ま、待ってください! このーっ!」ガシッ
雪歩「はぅっ!」
愛「……や、やっと捕まえた……ぜぇ、ぜぇ」
雪歩「捕獲されちゃいましたぁ……うぅ」
愛「……」
雪歩「愛ちゃん……、その、ごめんなさいですぅ。さっきのあんまり、良くなかったですか? そうですよね……」
愛「……そんなこと、ないです。とっても……とっても、嬉しかったもん」
雪歩「ほ、ほんとう?」
愛「ほんともほんとですっ! あんな風に、おめでとうって言われたのなんて……きっと初めてです」
ぎゅー
愛「雪歩先輩……、あたし、雪歩先輩のこと、だいすきです」
雪歩「!?」
愛「雪歩先輩は、頼りになるし、かっこいいし……あたしの憧れですっ! それで……」
雪歩「あ、あ、うん……そういう意味……、そ、そうですよね」
愛「?」
雪歩「なんでもないですぅ……えっと、それで……」
愛「それで……、あれ? な、なんて言おうとしてたんだっけ……」
雪歩「……?」
愛(忘れちゃったよーーーー!!! あたしのバカバカバカ!!!)プルプル
雪歩「あ、愛ちゃん?」
愛「うぅ……もっといろんな言葉をつかって、ありがとうって言おうとしたのにー! うわぁああーん!!!」
雪歩「……えへへ」
愛「うわああああああん!!! やっぱりあたし、バカなんだーー!!!」
雪歩「愛ちゃん……、泣かないで」
ぎゅーっ!
愛「んぎゅっ」
雪歩「……その気持ちだけで、十分だよ。言葉なんか、いらない」
愛「ゆ、雪歩先輩……」
ぎゅー……
雪歩「……私も、愛ちゃんのこと、だいすきだよ」
愛(雪歩先輩に優しく包まれながら、あたしは、こんなことを思っていました)
愛(……もう、泣き虫と弱気と……、お別れしちゃったはずなのに)
愛(雪歩先輩に、抱きしめられて、とっても嬉しいはずなのに……)
愛「うぇええ……! わかんない、わかんないよー……!」
雪歩「……なにがわかんないの?」
愛「おかしいんです……涙が、嬉しいのに、止まらないよ……!」
ポロポロ……
愛「雪歩先輩……、だいすきです……!」
雪歩「私もだよ。……何度も、何度だって、言えるよ」
雪歩「……愛ちゃん、だいすき」
雪歩「愛ちゃんと知り合ってから、これが最初の誕生日だったから……こうやって、一緒に過ごせたこと、とって嬉しいですぅ」
愛「あ、あだじもぉおおお……嬉しいでずぅ」
雪歩「こんな私と仲良くなってくれて、ありがとう。……一緒に頑張ったこと、一生忘れない……」
愛「ゆぎほぜんばーい゛ぃいい……!」ボロボロ
雪歩「だいすき……、愛ちゃん……!」
愛(こうして、涙でぼろぼろになりながら……)
愛(あたしの、十四回目の誕生日は、最高の思い出と一緒に、始まったのでした)
―――
――
―
愛「ごく、ごく……ぷはぁ! ってことがあってね! もーすっごいでしょ!?」
舞「あー……うん、良かったわねぇ」
愛「もう最高の誕生日って感じ! 今までにないし、これから先もないんだからーっ!」
舞「さっきから何度目よ、それ……で、次はこう言うんでしょ?」
愛・舞「「ママ、お茶淹れてーっ!」」
愛「はっ!? むむむ……ママ、もしかしてエスパー!?」
舞「フフフ、愛のことならなんでもわかるわよ? でももう、お茶はやめときなさい」
愛「えー、なんでー? せっかく雪歩先輩にプレゼントしてもらったのに……」
舞「いま何時だと思ってんのよ! 愛、あんた明日起きれなくなるわよっ!」
愛「ぶー……」ギンギン
―――
――
―
舞「ちゃんと休むのよ? 誕生日だからって、仕事は休めないんだから。むしろ忙しくなるのがアイドルよ」
愛「はーい」
舞「……それじゃ、おやすみ……」
ガチャ……バタン
愛「……」
愛(……えへへ。あんまり、眠れないかも)
愛(お茶のかふぇいんのせいとか、そういうんじゃなくて……)
愛(嬉しいことが、いっぱいで……ドキドキ、わくわくして、眠れない)
愛「明日は、どんな良いことがあるかなぁ……えへへ」
愛(……それでも、寝なきゃだよね。だって、私はアイドル、なんだから……)
愛「雪歩先輩……あたし、もっともっと頑張って、それで……いつか、きっと……」
愛「ゆきこせんぱい……みたい……に……」
ガチャリ
舞「……」ソー
愛「……zzz……」
舞「よしよし、ちゃんと寝た……、わね」
ガチャ……バタン
ソロリソロリ
舞「……雪歩先輩、雪歩先輩、か……」
舞(なんだかちょっと……、妬けちゃうかも)
舞「……」ナデナデ
愛「うーん……むにゃむにゃ」
舞「ふふっ、可愛い寝顔しちゃって。さすが、私の娘ね」
舞(……この子がアイドルになったら、きっと……私を目標にする、って思ってたんだけど……)
舞(いまはとっても良い時代ね、愛。私のときとは違って……目標も、ライバルも、たくさんいる)
舞「……あーあ。なんか、生まれる時代、間違ったかなぁ」
舞「つまんないつまんない、つまんないのー。愛も、近頃忙しいしー」プニプニ
愛「うぅーん……うるしゃい……zzz」
舞「おっと……」
愛「あたし、アイドルに……ママ……」
舞「……」
舞「そうだわ」ティン
舞「そうね、これだわ……。もう一度まなみに頼んで、それで……フフフ」
愛「……zzz……」
舞「ふふ、ふふふ♪ なんだか楽しくなってきちゃった! 愛、覚悟しときなさいよね!」
舞「今度は、ほんとのほんとに、本気でステージに立ってあげる」
舞「前みたいに、ちょこちょこ手を抜いたりしないわよ……ふふふ」
舞「それが……私からの、本当の誕生日プレゼント! まずはそうね……前みたいに、ゆっきーから倒す?」
舞「……ゆっきーなんかには、負けないんだから」
舞「最高の誕生日は、この子が生まれた、あの瞬間なのよ! それを教えてあげるわ……ふふふ!」
舞「……愛、お誕生日、おめでとう。明日プレゼントが届くのを、楽しみにしててね♪」
おわり
愛ちゃん、お誕生日おめでとう!
愛ちゃん誕生日おめでとう
Entry ⇒ 2012.06.26 | Category ⇒ アイマスSS | Comments (0) | Trackbacks (0)
あずさ「運命の人、み~つけた」
春香「プロデューサーさん! クッキー作ってきたんですけど、食べませんか?」スッ
真「最近ちょっと仕事頑張り過ぎじゃないですか? 肩でも揉んであげますよ」サッ
P「お、お前ら最近、おかしくないか……?」
春香「な、何がですか……?」アセアセ
真「そ、そんな事ないですよっ!?」テレテレ
P「そ、そうかあ?」
伊織「何よ春香たち、ゾッコンじゃない」
やよい「ぞっこん……? どういう意味ですかあ?」キョトン
亜美「んっふっふ~。やよいっちにはまだ分かんないか→」
真美「よーするに、はるるんとまこちんは、兄(C)にラブって事だYO!」
やよい「へ……? そうだったんですかあ」
雪歩「ま、真ちゃあん……」シクシク
あずさ「春香ちゃんたち、何だか楽しそうね~」
千早「はい。でも、いいんでしょうか?」
あずさ「……?」キョトン
千早「仮にも、アイドルがプロデューサーに恋心を抱くなんて……」
あずさ「あら。でも、プロデューサーさんは充分魅力的だと思うわよ~?」
千早「そ、そういう事ではなくてですね……」
あずさ「春香ちゃんも、真ちゃんも年頃の女の子なのよ~?」
千早「それは……そうですけど」
あずさ「恋のひとつやふたつ、経験しておいた方がいいんじゃないかしら?」
千早「あずささんは、恋愛した事はあるんですか?」
あずさ「無くはないけれど……。あまり良い想い出はないわね~」ハア
千早「そうですか。何にせよ、変に関係が拗れなければ良いのですけど」
あずさ「プロデューサーさんなら、心配ないと思うわよ~?」
千早「そうでしょうか。確かに、頼りにはなりますけど」
あずさ「ねえ、千早ちゃんは、プロデューサーさんの事、好き?」
千早「へっ? ま、まあどちらかと言えば」
あずさ「そう……。わたしも好きなのよね~」
千早「…………」
千早(飽くまでも、プロデューサーとして、って事よね……?)
あずさ「恋、したいわね~」ポー
千早「…………」
――――
――
あずさ「あら、ライアンちゃん、おはよう」ナデナデ
犬「わんっ!」ペロペロ
綾子「あずさちゃん。最近よく会うわね~」
あずさ「少し、早起きを心がけようと思いまして~」
綾子「そうなんだ。ね、リード持ってみる?」
あずさ「いいんですか~? それじゃあ」クイッ
犬「わんっわんっ!」タタタ
あずさ「あらあら。本当に元気ねえ~」ニコニコ
P「あ、あれ? あずささんじゃないですか」タッタッタ
あずさ「プロデューサーさん! 奇遇ですね~」ペコリ
P「ちょっと運動不足で……この辺を走っていたんです」ハアハア
綾子「あずさちゃん。この方は……?」
あずさ「わたしの、プロデューサーさんです♪」
P「いや、あずささんの他にも問題児は沢山居ますけどね」
綾子「あなたが……。私、上野綾子と申します」ペコリ
P「ど、どうもご丁寧に……。えーと、上野さんは、あずささんとはどういったご関係なんですか?」
綾子「この子のお散歩をしているときに、よく会うんです。時々こうして、お話をしているんですよ」
犬「わんわんっ!」
あずさ「挨拶しているのね~。偉いわライアンちゃん」ナデナデ
P「そうなんですか。あずささん、迷子になったりしませんでした?」
あずさ「プロデューサーさん。私、そんなにドジじゃありません」プクーッ
綾子「と、時々ふら~っと居なくなるコトがありますね……」
P「やっぱり。あずささん、あまり迷惑をかけちゃダメですよ?」
あずさ「そうそう! この子お手とおかわり、同時に出来るんですよ~」ホワーン
P「聞いてないし……。それじゃ、俺はもう行きますね」
綾子「お気をつけて下さい」
あずさ「プロデューサーさんも、迷子にならないように、注意してくださいね~」
P「自宅に戻るだけなのに迷うわけないでしょー!」タッタッタ
綾子「……優しそうな人ね」
あずさ「ええ……。とっても親切で、良い人ですよ~」
綾子「あずさちゃん、結婚したいんでしょう? あの人なんか、いいんじゃない?」パアア
あずさ「わ、私なんかじゃムリですよ~。他に可愛い子、いっぱい居ますから」
綾子「でも、最近よく会うって言ってたじゃない?」
あずさ「それは……ただの偶然だと思います~」
綾子「もしかしたら、運命かもしれないわよ?」ニヤッ
あずさ「運命……ですか?」
綾子「だってこの前も……」
あずさ「……」
綾子「こんな都会で、あんな偶然有り得ないわよ~」
――――
――
先日/10:00/街
P「あれ? あずささん?」
あずさ「プロデューサーさん。奇遇ですねえ~」トコトコ
P「こんな所で会うなんて、すごい偶然ですね」
あずさ「それはそうと、今日は良い天気ですね~」キラキラ
P「そ、そうですね……。それじゃあ、また」テクテク
あずさ「は~い」ノシ
13:00/CDショップ
あずさ「あら、プロデューサーさん」トコトコ
P「わっ、あずささん。今日はよく会いますね~」ハハ
あずさ「本当ですね~。あら、それは……」
P「なんか久々に聴きたくなっちゃって」ハハハ
あずさ「いい曲ですよね~」ウンウン
P「あずささん、お一人なんですか?」
あずさ「ええ。たまには、ゆっくり出掛けたいなあと」
P「迷子にならなかったのは奇跡ですね……」
あずさ「えー? 私だって、もう大人なんですよ~?」プンッ
P「…………」
P「それじゃ、俺はもう行きます」クルリ
あずさ「はい。行ってらっしゃい」ニコッ
17:00/公園
P「……!? あ、あずささん?」
あずさ「あらあら、プロデューサーさん。三度目ですね~」トコトコ
P「いや……この遭遇率は異常ですよ」
あずさ「それはそうと、噴水、キレイですね~」
P「ま、またマイペースな……」
あずさ「…………」テクテク
P「…………」
あずさ「プロデューサーさん?」
P「はい?」
あずさ「プロデューサーさんって、恋人は居ないんですか~?」クルリ
P「ええっ!? 今は仕事が忙しいですし……。それに、居たら休日に一人で出掛けたりしませんよ」ハハ
あずさ「それもそうですね~」テクテク
P「あずささんは、どうなんですか?」
あずさ「私も、同じです」ニコッ
P「そうですか……」
あずさ「……~~♪」
P「あの、あずささん」
あずさ「何ですか~?」
P「一緒に夕食でも、どうですか?」
あずさ「あらあら、いいんですかあ?」クルリ
P「…………?」
あずさ「迷わないように、ちゃーんと連れて行って下さいね?」ニコッ
――
――――
綾子「ほらあ。やっぱり運命じゃない?」
あずさ「そんな……。私じゃプロデューサーさんに相応しくないですよ~」
綾子「あずさちゃん。とっても美人なのに。っていうか」
あずさ「…………?」キョトン
綾子「もしかしたら、彼、あずさちゃんに気があるのかもしれないわよ?」パアア
あずさ「え、ええ~?」
綾子「たび重なる遭遇も、すべて図られていたのかも!」キラキラ
あずさ「そ、そんなこと……」
あずさ「……!!」ハッ
綾子「ん? どーしたのあずさちゃん」キョトン
あずさ(そういえば……あの日の占い、恋愛運だけやけに良かった気がするわ……)
あずさ(ま、まさかプロデューサーさんが……?)カアア
綾子「あずさちゃん、結婚っていいものよ~」ウンウン
あずさ「け、結婚?」
綾子「それに、私もうすぐ赤ちゃん生まれるの……楽しみだなあ」
あずさ「あ、赤ちゃん……?」
あずさ「…………」
あずさ「…………///」ポワン
綾子「……あらら。あずさちゃんったら、可愛いわね」クスクス
――――
――
翌週・休日/7:30/あずさ邸
あずさ「~~~~♪」チーン
あずさ「~~♪」コポコポ
あずさ「でーきた♪」
あずさ「やっぱり、朝はコーヒーとトーストに限るわね~」パクッ
あずさ「久しぶりに、早起きして良かったわ~」パクパク
あずさ「あ、占いが始まる時間」ポチッ
テレビ「は~い! 今日も元気に、亜美と真美がお兄ちゃんとお姉ちゃんの一日を占ってあげるコーナーいっくよ→」
テレビ「まずは~、おひつじ座から占っちゃお→」
テレビ「続いて、かに座の兄ちゃんと姉ちゃん!」
あずさ「……じーっ」パクパク
テレビ「今日は、最っ高の一日になるかもねっ! 特に……んっふっふ~♪ 恋愛運に恵まれてるようですなあ~」パチパチ
あずさ「やったあ♪」
テレビ「外でお買い物とかしてみたら、運命の相手と出会っちゃうかもよ→」
あずさ「……運命の相手ねえ~」パクパク
テレビ「それじゃ、しし座の……」
あずさ「……天気も良いし、出掛けてみようかしら~」ンーッ
――――
――
9:30/街
あずさ(とりあえず家を出てみたけれど……)
あずさ(何処に行こうかしら~?)ウーン
あずさ(ショッピングは友美に付き合ってもらったばかりだし……)
あずさ(食べ歩きもいいけれど……)キョロキョロ
あずさ「……どうしようかしら?」
P「あれ? もしかして、あずささん?」トコトコ
あずさ「……あら! ぷ、プロデューサーさん?」
P「はは。どうしたんですか? そんなに慌てて」ニコッ
あずさ(……え、どうしてプロデューサーさんが?)
あずさ(もしかして……占いの『運命の相手』って……)ドキドキ
P「あずささんは、今日はお一人で買い物ですか?」
あずさ「そ、そうですね~。プロデューサーさんもですか~?」
P「ええ、まあ。今朝、テレビで占い観ていたら、めちゃめちゃ運勢が良かったもんで」ハハハ
あずさ「実は、私もなんです~。もしかして、かに座ですか?」
P「はい。7月生まれで。ひょっとして、あずささんも?」
あずさ「はい。占いの『運命の相手』が気になってしまって~」
P「ははは。あずささんらしいですね……」
あずさ「…………」
P「…………」
あずさ(ほんとに……、プロデューサーさんが……?)
P(最近よく会うなあと思っていたら……まさか……)
あずさ&P(目の前に居るこの人が……運命の相手?)
あずさ「あの~……ぷ、プロデューサーさん?」
P「は、はい……。どうしました? あずささん」カチコチ
あずさ「今日は……お一人なんですか?」
P「え、ええ。考えなしにとりあえず出掛けただけなので……」
あずさ「実は……私もなんです~」
P「…………」
あずさ「…………」
P「よければ一緒に……」
あずさ「デート、しませんか?」
――――
――
10:00/古着屋「Beside」
あずさ「これなんか、どうかしら~?」トテテ
P「へえ……これからの季節には、良さそうですね」
あずさ「プロデューサーさんは、どんな服が好みなんですか~?」
P「そうですね……。割とタイトめで、派手過ぎない感じですかね」
P「あずささんは、どんな服が好きですか?」
あずさ「今日みたいなぽかぽか陽気の日は、ゆったり着れるものがいいですね~」
P「確かに、今日の服は自然な感じですね。まるで妖精みたいな……って」
P(うわ~、何恥ずかしいこと言ってるんだ俺……)
あずさ「あらあら。褒めていただいて、嬉しいです~」ニコニコ
P「そのファッション、最近流行ってましたよね? えーと、『林ガール』でしたっけ?」
あずさ「プロデューサーさん。それを言うなら、『森ガール』ですよ~」クスクス
P「ああそれだ。すみません疎くって。似合ってますよ、とっても」
あずさ「ファッションの勉強も、アイドルには必要なんです」エッヘン
P「俺も頑張らなきゃですね」
あずさ「ふふっ。じゃあ、私がカッコイイお洋服、選んであげますね~」ウキウキ
P「いいんですか? あずささんお洒落ですし、是非願いします」
あずさ「じゃあ、さっそく寸法を……」スッ
P「ちょ、ちょっとあずささん?」
あずさ「はい。何ですか? プロデューサーさん」ペタペタ
P「その……あまり近づかれるとですね……」
あずさ「はい……?」スッスッ
P(その果実のような、豊満なOPPAIが……)
P「…………」ドギマギ
あずさ「……はい。おしまい。それじゃ、ちょっと待っていて下さいね~」トテテ
P「は、はい……」
あずさ「…………♪」ルンルン
P「……」
P(……まあ、あずささんが楽しいならいいか)
――――
――
11:10/レコード店「9:02pm」
P「へえ、あずささんってレコードとか聴くんですか?」
あずさ「いえ……。何だか、こういうお店って、覗いているだけで楽しくなりませんか~?」
P「ああ、わかります。ある種の赴きがありますよね~」
あずさ「はい。記念に、一枚買っていこうかしら~」テクテク
P「あ、あずささん。前見て歩いてくださいよ」
あずさ「大丈夫ですよ~……きゃっ」ドン
店員の女の子「わわっ!?」
バサバサ……、バラバラ……。
P「あーあ。大丈夫ですか?」タタタ
あずさ「はい~。あの……お怪我はありませんか?」ペコリ
店員の女の子「すみません……こっちこそボーッとしてしまって」ペコリ
あずさ「あらら、レコードが散らばっちゃった」サッサッ
P「すみません……。売り物なのに……」ッス
店員の女の子「いえ……私の不注意ですので……」
あずさ「本当に、ごめんなさいね」
P「あずささん。気を付けてくださいね? 怪我でもしたら大変です。アイドルなんですから」
あずさ「はい。心配してくれて、ありがとうございます~」
店員の女の子「……あの、アイドルをされているんですかあ?」
あずさ「ええ。でも、まだ駆け出しなんですよ~」
店員の女の子「す、すごいですねっ! 良かったら、お名前をお聞きしてもいいですか? 私は、林田凛子っていいます」キラキラ
あずさ「凛子ちゃんね? 私は、三浦あずさと申します~」ペコ
店員の女の子「あずささん、ですか。私、応援しますね」パアア
あずさ「ふふっ。ありがとう。本当に、ごめんなさいね~」
店員の女の子「こちらこそスミマセンでした。お仕事、頑張って下さいねっ」ペコ
――――
――
12:30/カフェ「Sweet Doughnuts」
あずさ「ここのお店、トレンドなんです~」ニコッ
P「うわあ……なんていうか、ファンシーですね」
あずさ「とっても可愛いんですよ~? 絵本を飾っていたり、内装も……」
P「基本的に木目調だし、アットホームで落ち着きますね」
あずさ「はい。それにメニューも、可愛くて美味しいものばかりなんです」
P「はは。あずささんは素敵な所、たくさん知ってますね」
あずさ「楽しむことくらいしか、取り柄がありませんからね~」クスクス
P「それじゃあ、何食べましょうか」ペラ
あずさ「私のオススメは、このトマトのグラタンですね~」
P「へえ……、スイーツも充実してますね」
あずさ「ここのカフェラテも、ほんわか美味しいですよ~」
P「じゃあ、それに決めます」
あずさ「ふふっ。それじゃあ、私も」ニコッ
P(はあ……。何か、幸せだなあ)
13:10/カフェ「Sweet Doughnuts」
P「そういえば、この間の……、上野さんでしたっけ? もともと知り合いというわけでは、無かったんですよね?」
あずさ「そうですね~。ワンちゃんが可愛くって、撫でさせてもらっているうちに仲良く」ニコッ
P「あずささんって、実は結構、顔が広いですよね~」
あずさ「そうですか~? あ、そうそう、綾子さんの旦那さんって、ブリーダーさんなんですよ?」
P「ブリーダー? って、何のですか?」
あずさ「ワンちゃんのです。コンテストなんかも、あるらしくって」
P「へえ~。世の中、いろんな人が居るもんですねえ」
あずさ「最近、子犬が生まれたそうなので、今度抱っこさせてもらいに行く約束もしているんですよ~」ニコニコ
P「……なんか、あずささんって、本当に楽しそうに話をしますよね」
あずさ「そうですか~? あまり意識した事はないですよ~?」キョトン
P「いえ、何か……あずささんと居ると、こっちまで楽しくなってきます」ハハ
あずさ「そ、そうですか~?」テレテレ
P「はい。あ、俺会計してきますね」
あずさ「それじゃ、お金を……」ゴソゴソ
P「いや、俺が出しますよ」
あずさ「そんな、悪いです……」
P「今日は楽しませてもらってますから。ほんの気持ちですよ」
あずさ「それは私も同じですよ~」アセアセ
P「まあ、男ですから。これくらいは、させて下さいよ」ニコッ
あずさ「じゃあ、今回だけ……ですよ?」
P「はい。行ってきます」タタタ
あずさ「…………」
あずさ「優しいなあ、プロデューサーさん」
――――
――
14:00/街
P「こうして、少し人混みから離れた道を歩くのも、良いもんですね」
あずさ「そうですね~。ぽかぽか暖かくて、気持ちいいです~」
P「よくよく見れば、いろんなお店があるんですね」
P「帽子屋、古着屋、靴屋、楽器屋……。個人で経営している店も、案外多いみたいだなあ」
あずさ「…………」ジーッ
P「……? どうしました、あずささん」
あずさ「プロデューサーさん。あのお店、入りませんか?」スッ
P「……占い?」
あずさ「私、占いには目がないんです~」
P「いいですよ。面白そうだし、行ってみましょうか」
――――
――
14:00/占い屋「KING」
カランコロン……。
占い師「いらっしゃい。あらあら、素敵なカップルさんですね……」ニコニコ
あずさ「こんにちは~」
P「わ、綺麗ですね。これ」
あずさ「ほんとだわ~。この水晶玉を使って、占いをするんですか~?」
占い師「いろいろなやり方がありますよ。とりあえず、座ってください」
P「は、はい……座りましょう。あずささん」
あずさ「……」チョコン
お姉さん「さて、今日は何を占いましょう?」
P「あずささん、どうします? やっぱり仕事についてですかね?」
あずさ「う~ん……せっかくのデートだし……」
P「…………?」
あずさ「プロデューサーさんと私の、相性を占ってもらいましょう!」ポンッ
P「え、ええ!? 何か恥ずかしくないですか? それ」アセアセ
あずさ「嫌、なんですかあ?」シュン
P「そ、そんな事ないですよ!」
あずさ「それじゃあ、カップリング占いを……」
占い師「かしこまりました。それでは、まず手を繋いでください」
P「えええ!?」
あずさ「ぷ、プロデューサーさん」
P「わ、わかりました……」
ギュ……。
あずさ「……///」
P「…………」ドキドキ
占い師「続いて……そのまま向き合ってください」
あずさ「……」クルリ
P「……」
占い師「お互いの目を、よく見て下さい……」
あずさ「…………」ウルウル
P(や、やばい。あずささん可愛すぎる……)
占い師「うぬぬぬ……はああ……ふう……」
占い師「ジューシー……ポーリー……」ブツブツ
あずさ(……イェイ)
P(これホントに当たるのかあ~?)
占い師「見えました……」
P「ふう……」
あずさ「そ、それで……どうだったんですかあ?」ドキドキ
占い師「…………」
P「……」ゴクッ
あずさ「……」ゴクッ
占い師「あなた方の相性は……」
――――
――
15:30/公園・ベンチ
あずさ「陽射しが気持ちいいですね~」
P「そうですねえ。何だか眠くなります」
あずさ「プロデューサーさん。女の子と一緒にいるのに、お昼寝しちゃダメですよ~」メッ
P「す、すみません……。それより、さっきの占いですが……」
あずさ「……カップリング相性、91%……」カアア
P「あんなに高いとは、思いませんでした」ハハハ
あずさ(やっぱり……プロデューサーさんが、私の……?)ドキドキ
P「でも、良い結果が出てよかったですよね」ニコッ
あずさ「……そう、ですね……///」
P「…………」
あずさ「…………」
あずさ&P「「あ、あの……」」
P「あ、あずささんからどうぞ……」
あずさ「そ、その……」
P「…………?」
あずさ「て、手を……」モジモジ
女子高生「あ! あずささん!」トテテ
あずさ「きゃあっ!?」
P「うわあっ!?」
女子高生「ど、どうしたんですかあ?」
あずさ「り、凛子ちゃん……」
P「レコード店で会った……」
子「……もしかして、お邪魔でした?」ニヤッ
あずさ「そ、そんなことないわよ~。ね、プロデューサーさん?」ドギマギ
P「え、ええ。ただ休んでいただけですし……」アセアセ
凛子「そうですか。あの、ちょっとだけお話しませんか?」チョコン
あずさ「あらあら。良いですか?」
P「構いませんよ」
凛子「ありがとうございます。あずささんっ!」
――――
――
凛子「実は……、ちょっと進路の事で悩んでいるんです」シュン
あずさ「凛子ちゃんって、高校生だったのね~」
凛子「はい。何か、イマイチ受験勉強に打ち込めなくって……。バイトばかりしちゃって」
あずさ「そうだったの。プロデューサーさんは、高校生の頃は何をしていたんですかあ?」
P「う~ん。俺はバンドやってましたね。まあ、三年になってからは、予備校に通い詰めでしたけど」
凛子「へえ~、あずささんの彼氏さん、楽器が出来るんですかあ~」キラキラ
P「か、彼氏!?」
あずさ「そ、そう見えるかしら~?」テレテレ
凛子「へ? 違うんですかあ? 私てっきり……」
P「ち、違いますよ。俺はあずささんのプロデューサーなんです」
凛子「なーんだ。傍から見れば完璧にカップルでしたよ~?」
あずさ「ええ~? もう、困っちゃいますね、プロデューサーさん」テレテレテレ
P「あ、あずささん?」
凛子「あずささん可愛いですね~」ダキッ
あずさ「ちょ、ちょっと凛子ちゃん?」
凛子「……あずささんが、お姉ちゃんだったらいいのになあ」
あずさ「……どうしたの?」
凛子「私……、一人っ子なんですよ。パパもママも共働きで、遅くまで帰らないんです。だから、ちょっとだけ寂しくって」
あずさ「そうだったの……」
凛子「何も無いんですよ、わたし」
P「……どういうこと?」
凛子「やりたい事が、見つからないんです」
凛子「友達とかは、それぞれ将来の目標とか、夢とか持ってて」
凛子「それが……羨ましいんです……」
凛子「先が……見えないんです」
あずさ「凛子ちゃん……」
P「…………」
凛子「あーあ、世の中って、幸せなことばかりじゃないんですよね~」
凛子「魔法みたいに、楽しいことだけなら、いいのになあ」ハア
あずさ「……ねえ、私がどうしてアイドルになったか、教えてあげよっか?」ニコ
凛子「わあ、聞かせてください!」
あずさ「私を見つけてくれる、運命の人を探すため……」
凛子「へ……? 何だか間接的な理由ですね……」
あずさ「お仕事を頑張って、テレビとかに出ていれば、いつか出逢えるかなあって、始めたのよね~」
凛子「何だか、純粋なんですね。あずささんって」
あずさ「そんなことないわよ~。ねえ、プロデューサーさん?」
P「いや……何故そこで俺に振るんですか」
凛子「あはは。本当に、幸せそうですね」
あずさ「そうかしら~? でも、今日は特に楽しいことが多かったわね~」ニコニコ
凛子「この人と一緒だったからですかあ?」ニヤニヤ
あずさ「そ、そういうわけじゃ……///」
凛子「あ、赤くなった~」
あずさ「もうっ! からかわないで~」プンプン
凛子「ご、ごめんなさ~い」テヘペロ
あずさ「……ね、凛子ちゃん」
凛子「はい?」
あずさ「私は、近道をしても、良いと思うわ」
凛子「近道、ですか?」キョトン
あずさ「ええ。私ね、アイドルを始めてから、いろいろ学んだ事があってね?」
凛子「…………」
あずさ「人には、それぞれに合った生き方があると思うの」
あずさ「辛い時や、悲しい時にね? 少しくらい立ち止まって、他の道を歩いてみても良いんじゃないかしら? 見つけたいモノを探すの」
凛子「見つけたいモノ?」
あずさ「そうやって、幸せを掴めたらいいなって。自分で考えて、やってみる事で、結果的にそれが、近道になるかもしれないでしょう?」ニコニコ
凛子「あずささん……」
凛子「……そう、ですね。何だか、少しだけスッキリした気がします」ニパッ
あずさ「自分のペースで、歩いていけば大丈夫」ブイッ
P「まあ、あずささんは少々マイペース過ぎですけどね」
あずさ「ぷ、プロデューサーさん?」ムーッ
P「ははは。冗談ですよ」
携帯『ぷるるる、ぷるるるる』
あずさ「あら? 誰からかしら?」パカッ
電話『もしもし? 綾子でーす』
あずさ『あらあら、綾子さん。どうしたんですか~?』
綾子『今から少し、時間ないかしら? 子犬、抱っこさせてあげようかと思って』
あずさ『いいんですか~? ちょ、ちょっと待って下さいね』
P「どうしました?」
あずさ「綾子さんが、今から子犬を触りに来ないかって」
P「良かったじゃないですか」ニコ
あずさ「もちろん、プロデューサーさんも、来てくれますよね?」
P「え、いいんですか?」
あずさ「一緒がいいです。それと……」
あずさ「凛子ちゃんも、子犬、抱っこしたくない?」ニコッ
凛子「わ、わたしも行っていいんですか?」
あずさ「きっと大丈夫だと思うわ」
凛子「ありがとうございます。私、ワンコ大好きなんですっ!」キラキラ
あずさ「あらあら。それじゃ、住所聞くわね~」
P「ま、待ってください。住所聞くなら、俺が替わります」アセアセ
凛子「へ? どうしてですか?」
P「あずささんは、人類一の方向音痴なんですよ……」
あずさ「た、確かによく迷子になるけれど……。プロデューサーさん?」プクー
P「はいはい。文句を言うなら、これからは真っ直ぐ事務所に着けるようにしてくださいね?」
あずさ「……ごめんなさい」シュン
P「わかればよろしい」
P『あ、もしもし……僕、前にお会いしたあずささんの……』
凛子「ほんとに、可愛いひとですね。あずささんって」クスクス
――――
――
18:00/上野邸
P「どうも、お邪魔しました」ペコリ
あずさ「綾子さん。またいつかの朝に」
綾子「あずさちゃんも、お仕事ガンバってね」
あずさ「ふふっ。プロデューサーさんが居るから、大丈夫です~」
P「ま、任せてくださいっ!」グッ
凛子「綾子さん、私まで押しかけてしまって、ありがとうございました」ペコ
綾子「いいえ。あの子たちも楽しかったみたい。勿論、私もよ? またいつでも来てね?」ニコッ
凛子「はいっ!」
凛子「それじゃあ、私は本屋に寄ってから帰りますので、あずささんも、いろいろと頑張ってくださいね」パチン
あずさ「……いろいろ? ふふっ、凛子ちゃんもね」ニコッ
凛子「はいっ! 今日は、本当にお世話になりました~!」タッタッタ
P「元気になったみたいで良かったですね」
あずさ「はい。それじゃあ、私たちも、帰りましょうか?」
P「ええ。帰りましょう」
――――
――
18:20/土手・並木道
昼間、私たちをぽかぽかと照らしていた太陽も、そろそろ眠りにつくようだった。
プロデューサーさんと、爽やかな風を受けながら、並木道を歩く。
時折、私のほうをちらりと見て、歩調を合わせようとしてくれる気遣いとその距離感が、暖かくて嬉しかった。
P「なんだか、今日は色々ありましたね~」
あずさ「はい。とっても幸せな一日になりました」ニコ
P「ホント、あずささんって、すごいですよね」
あずさ「ええ~? 何がですか?」
P「なんて言うか、自然と人が集まるんですよね。周りに」
あずさ「そうですかあ?」
P「そうですよ。こうやって、人の輪をつくれる人って、素敵だと思いますよ」
あずさ「あ、ありがとうございます……///」
プロデューサーさんに素敵だと褒められて、少しだけ頬が上気するのを感じた。
今は夕日のおかげで隠せるけれど、何だか気恥ずかしく思う。
P「不思議な一日でしたね。示し合わせたわけじゃないのに……」
あずさ「ですね……。でも、少しだけ、予感はしてました」
P「へ……?」
今朝に観た、テレビの占い番組。数分眺めるだけで、幸せになれる魔法のおかげ。
もしかしたら、先日のように出会うのではないかと、私はひそかに思っていた。
あずさ「……お昼の占い、どう……思いますか?」カアア
P「え、ええと……まあ、素直に嬉しいですよ」
あずさ「……私もです」
探していた、運命の人。
特別な出会いや、容姿や、財産などには、興味はなかった。
ただ、自分が一緒に過ごしていて、心から好きと思える人。
そして、愛して欲しい人は、今、隣を歩いているこの人なのかもしれない。
あずさ「プロデューサーさん?」
P「はい。何ですか? あずささん」
あずさ「私……、アイドルを辞めちゃうかもしれません」
P「え、えええ!?!? どうしてですか?」アセアセ
あずさ「……だって」
あずさ「もう、運命の人、見つけちゃったんですもの」
P「へ……? そ、それはどういう……」
あずさ「ふふっ。冗談ですよ、プロデューサーさん」
P「あ、あずささん! 驚かせないで下さいよ!」
あずさ「ごめんなさい」
P「まったく……寿命が縮みましたよ……」ハアア
あずさ「ねえ、プロデューサーさん」
P「……はい?」
あずさ「少しだけ、近道しちゃダメかしら?」ググッ
P「……!?」チュッ
私より背が高いプロデューサーさん。
その唇に届かせるために、ちょっとだけ背伸びをする。
この人はプロデューサーなのに……という理性と、言いようのない充足感が心の中で葛藤する。
それでも、自然と、体が動いてしまった。
彼を求めてしまっていた。
あずさ「プロデューサーさんのこと、好きです」
P「……また、冗談ですか?」
あずさ「いいえ。私、運命の人、見つけちゃいました」
P「すみません」
あずさ「…………」
P「プロデューサーだってのに、すみません」
あずさ「…………?」
P「俺も、大好きですよ、あずささんのこと」
まるで、テレビドラマのラストシーンみたいに、私は抱きしめられていた。
ただひたすらに心地よくて、泣けるほどに暖かくて。
私がアイスクリームだったら、トロトロに溶けてしまいそうだった。
あずさ「一緒に、幸せを掴めたら……良いですね」
P「はい……。これからも、あずささんの隣、歩きたいです」
この人と一緒なら、どんな事があっても、楽しく過ごせると思った。
もし、毎日がつまらなくなって、何かに負けそうになったとしても。
目を開いていれば、幸せはきっと訪れる。
だから、これからもずっと、二人で歩きましょう。
たくさん、たくさん、近道をしながら。
――――
――
翌日/午後/765プロ事務所
春香「プロデューサーさん! 今日はドーナツを作ってきたんですよ♪ 是非、食べてくださいっ」キャイキャイ
真「ボク、耳かき得意なんです! プロデューサー、横になってください」キャピキャピ
P「お、お前らなあ……」
あずさ「春香ちゃん、真ちゃん」
春香「へっ? 何ですか? あずささん」キョトン
真「なんだか、怒ってるような……?」
あずさ「プロデューサーさんは、私の運命の人なんだから、ちょっかい出しちゃだめよ~」プクー
P「ちょ、ちょっとあずささん! その事は……」アセアセ
春香「ど、どいうことですか? 詳しく聞かせてください!」
真「あっ! 逃がしませんよ~! プロデューサー!」タタタ
P「あずささーん! 助けてくださいよ~」ドタドタ
あずさ「あらあら……」
千早「……更に拗れてますね……」ハア
あずさ「あ、そうだわ!」トコトコ
亜美「んー、どしたのあずさお姉ちゃん」キョトン
真美「真美たちに何か用事?」キョトン
あずさ「2人とも、ありがとう」ニコッ
亜美&真美「「な、なんのこと→?」」
あずさ『運命の人、み~つけた』 ―take a shorter route―
FIN
相変わらずアイマス愛を感じさせるSSだ
次も楽しみにしてる
Entry ⇒ 2012.06.25 | Category ⇒ アイマスSS | Comments (0) | Trackbacks (0)