スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

やよい「おとなに、なりたい」

引用元: ・http://hayabusa.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1341321235/
1: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/07/03(火) 22:13:55.03 ID:JCQU2rcFO

――765プロ事務所
――PM19:30

やよい「うっうー!プロデューサー!今日もお疲れ様でしたぁ!」

P「おう!お疲れ様、やよい」カタカタ、カチカチ、

やよい「…?プロデューサー?パソコンとにらめっこして、どうしたんですかー?お茶の準備してきましょうかー?」

P「いや、大丈夫だよ。ありがとな?」ナデナデ、

やよい「えへへ…」テレテレ、

P「…」

P「…なぁ、やよい」


4: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/07/03(火) 22:18:48.10 ID:JCQU2rcFO

やよい「はい?何ですかー?」キョトン

P「…」ハァ...

P「いや、やっぱりなんでもない。もう夜も遅いから、家まで送って行くよ」

やよい「うっうー!ありがとうございまーす!」ピョンピョン

P「…」

いつからだろう。自分の担当アイドルを、意識するようになったのは。

やよい「…プロデューサー?私の顔に、なんか着いてますか?」ジー

P「っ!いっ、いや何でもないんだ。なんでも…」

やよい「…」

いつからだったのかな。プロデューサーの事が、すっごく、すっごく気になり出したのは。


6: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/07/03(火) 22:22:51.51 ID:JCQU2rcFO

――Pの車内

P「…」

やよい「…」

長い沈黙。普段のやよいなら、もっとおしゃべりがあってもいい筈だ。

P「なぁ、やよい?」チラッ

やよい「何ですか?」

後部席に座るやよい。表情は…ここからは見えない。

P「悩み事でも、あるのか?」

やよい「えっ?」

P「いや、今日の…というより、今のやよいかな?あんまり元気が無いみたいだからさ」

やよい「えへへ…悩み事とか、そういうんじゃ、ないんです」


8: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/07/03(火) 22:27:36.68 ID:JCQU2rcFO

P「どういう意味だ?」

やよい「プロデューサーは…おとなです」

P「えっ?」

やよい「おとなだから、車も運転出来るし、みんなのプロデューサーも出来るんです。みんなを大切にしてくれて、守ってくれて」

P「…」

やよい「あの…プロデューサー!」

P「…ん?」

やよい「私、おとなになりたいんです」


10: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/07/03(火) 22:32:49.14 ID:JCQU2rcFO

ずっと、ずっと考えてた事。おとなになれば、プロデューサーが気になる原因も分かる気がします。でもそれは、言っちゃいけない言葉だったみたいです。

P「…」

P「やよいはさ、何で大人になりたいんだ?」

やよい「えっ?何でって…」

P「やよいは、今のままでもしっかりやれてる。家では優しいお姉ちゃん、TVの前では元気なアイドル」

P「それじゃ、不満か?」

いつか、予想はしていた。やよいが、『大人』に憧れる事。そして、その『大人』が、俺である事。


11: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/07/03(火) 22:36:59.68 ID:JCQU2rcFO

やよい「えへへ…そうですね!うっうー!ヘンな事言ってごめんなさい!」

P「いいよ。誰だって、悩む事ぐらいあるさ」

やよい「…」

P「ほら、着いたぞ?ちゃんと、歯を磨いてから寝るんだぞ?」ニヤッ

やよい「あ~!私、そんな子どもじゃありませんー!」ムスー

P「ははっ。そっか。そうだな」

やよい「はい!」ムスッ

P「じゃあ、また明日な?」

やよい「はい!また明日です!プロデューサー!」

やよい「おやすみなさい」


14: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/07/03(火) 22:43:01.37 ID:JCQU2rcFO

――やよいの部屋

やよい「もっと、わかんなくなっちゃった」

おとなってなんだろう。私の知ってるおとなは、お父さんとお母さん。
それと…プロデューサー。

やよい「うっうー…難しいです…」

――同時刻
――Pの部屋

P「…ふぅ」グビッ

酒で、気が紛れるとは思わない。だけど、飲む。そうじゃないと、気がおかしくなりそうだった。

P「やよい…か」グビッ

最初は、担当アイドルとして接した。それ以上は、無い筈だった。

P「ガキは、俺の方か」

携帯を開く。待ち受けは、いつかやよいと二人で撮った写真。


15: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/07/03(火) 22:48:03.69 ID:JCQU2rcFO

P「…少し、飲みすぎたかな?」

空になった空き瓶が、いくつか並んでいた。

P「…大人は、あんまりいいもんじゃないよ。やよい」

――次の日
――765プロ事務所

やよい「えっ?あの、それって…」

P「やよいがメインヒロインのドラマが決まった。単発だけど、ゴールデンで流れる二時間モノだ」

P「おめでとう!やったな!」ナデナデ、ナデナデ

やよい「うっうー!ありがとうございますー!それで、どんなお話なんですかー?」

P「恋愛モノだ!」

やよい「えっ?」

恋愛?誰と?私が?


18: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/07/03(火) 22:52:51.84 ID:JCQU2rcFO

P「相手役は今売れてる男性アイドルだ。知ってるだろ?この人」パラッ

やよい「はい!この人なら、知ってますけど…」

写真に写るこの人なら、何度かバラエティで一緒になった事もある。

P「向こうが、お前の事を気に入ってるみたいでな?名指しでの推薦だ」

嬉しいのか、そうじゃないのか、私はわかりません。でも、プロデューサーは嬉しそうだったから。

やよい「はい!うっうー!ドラマ、頑張りまーす!」

だから、私も嬉しい。


20: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/07/03(火) 22:58:51.40 ID:JCQU2rcFO

P「それでな?今回のドラマの目玉は、キスシーンだ」

やよい「ふぇっ!?きっ、きすっ!?あのっ!そのっ!わっ、私が…この人と…ですか?」

痛い。どこが痛いのか分からないけど、痛い。何でだろ…。

P「そうだ。でも、多分フリだ。キスする、フリ」

平静を装う。動揺してはいけない。やよいを、不安にさせてはいけない。

やよい「うっうー…出来るかなぁ…」

P「大丈夫。やよいなら、大丈夫」

大丈夫。いつもなら安心出来るその言葉が、痛かったんです。


22: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/07/03(火) 23:04:16.28 ID:JCQU2rcFO

そうして、撮影が始まりました。

やよい「うん!今日も天気で良かったね!これなら、今日のデートもバッチリだね」ニコニコ

てを繋ぐ。知ってるだけの、この人と。

やよい「う~、今日はちょっと寒いね。…あっ…///」

肩を抱かれる。撫でられた事の無いこの人に。

やよい「えへへ…ありがと」ニコッ

笑いかける。笑い合った事の無い、この人に。

P「…」

プロデューサーは、それをじっと見てました。


24: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/07/03(火) 23:08:25.61 ID:JCQU2rcFO

見るのが、辛かった。笑うやよいを見るのが。
肩を抱かれ、てを握られ、笑顔を向けるやよい。…その相手は、俺じゃない。
見るのが、辛かった。

P「…プロ、失格だな…」

でも、見る。それが俺の仕事だから。それが、大人だから。


26: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/07/03(火) 23:12:51.47 ID:JCQU2rcFO

撮影が始まって、数日が経ちました。今夜は、撮影終了の前日です。

やよい「うっうー!プロデューサー!撮影、明日で終わりですー!」

P「あぁ、本当によく頑張ったな。偉いぞ?」ナデナデ、ナデナデ、

久しぶりに撫でる、やよいの髪は柔らかかった。
久しぶりに撫でられました。プロデューサーのては、やっぱり安心しました。

やよい「…」チラッ

P「…」チラッ

P・やよい「「あのな?/あのっ!」」


27: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/07/03(火) 23:16:26.52 ID:JCQU2rcFO

やよい「えへへ…プロデューサーから…お話、してください」

P「…」スッ

やよい「?」

覚悟を、決める。誰にも、渡さない。渡したくない。それが例え、プロデューサーとして、プロとして、大人として、許されたものじゃ無いとしても。

P「…」スッ、ナデナデ、

やよい「んっ…」ピクン

――チュッ

やよい「あっ…」ポロ...


30: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/07/03(火) 23:20:52.39 ID:JCQU2rcFO

やよい「…」ポロ...ポロ...

P「謝らない…から」

嫌われても仕方がない。だけど、誰にも渡したくなかった。ならいっそ、俺が。

やよい「んっ…」チュッ

P「!」チュッ

やよい「えへへ…私も、謝りません」

嬉しい。プロデューサーにキスされて、嬉しい。これが、プロデューサーが気になってた原因?

やよい「あ…そっか…」

私、好きだったんだ。


32: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/07/03(火) 23:25:22.60 ID:JCQU2rcFO

やよい「えへへ…プロデューサー」ギュッ

プロデューサーの腕に、抱き着く。はぁ…落ち着きますー。だって、

P「ははっ」ギュッ

やよいが、俺の腕に抱き着く。許されたものじゃないけど、こればかりは仕方がない。だって、

P(好きなんだから)
やよい(好きなんだもん)


35: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/07/03(火) 23:32:02.45 ID:JCQU2rcFO

――ドラマロケ地
――最終日

やよい「あの…話って…何かな?」チラッ

残りの撮影は、キスシーンだけ。でも、前みたいな不安はありません。だって…ホントのキス、しちゃいましたから。だから、我慢出来る。しなくちゃいけません。だって

やよい(これが、私のお仕事なんだから)

やよい「うん…私も、私もダイスキ!あの…だから、ね?」チラッ

やよい「私を…アナタの恋人に、してください」

告白。うその告白。そして、男のアイドルさんの顔が少しずつ近付く。

やよい「…」ギュッ

恐い。恐い。恐い。必死に、眼を閉じる。早く、早く終わって。


38: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/07/03(火) 23:38:22.40 ID:JCQU2rcFO

P「おい!契約が違うぞ!キスシーンはフリの筈だ!」

プロデューサーの怒鳴り声が聞こえる。眼を開けると、私の目の前にプロデューサーがいた。

男性アイドル「ちっ。フザケンナよ?俺の事務所、どこだか知ってンだろ?」

男のアイドルさんはプロデューサーを睨んでいました。

P「…」スタスタスタ、

男性アイドル「あ?やんのか?あ?」

P(ウチのアイドルに、手ェ出したな?覚悟しとけ)
男性アイドル「ひっ」ペタン


39: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/07/03(火) 23:40:19.47 ID:JaUoL9Gy0

このご都合主義・・・
いいと思います!


41: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/07/03(火) 23:43:01.74 ID:JCQU2rcFO

プロデューサーがそのまま監督さんと何やらお話してます。あっ、プロデューサーが帰ってきた。

P「やよい、お疲れ様。収録、終わったぞー。監督もいい画が出来たって喜んでた」ナデナデ、ナデナデ

やよい「うっうー!良かったですー!で、でも…」チラッ

P「ん?どうした?」

やよい「あの人は…いいんですか?」

男のアイドルさんは、まだ座ったままでした。

P「あぁ、いいんだよ。ほっとけばいい」ナデナデ

やよい「えへへ…プロデューサー///」

P「じゃ、挨拶してから事務所に帰ろうか」ナデナデ

やよい「はい!」

そうして、ドラマの収録は終わりました。


42: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/07/03(火) 23:49:03.55 ID:JCQU2rcFO

――765プロ事務所

P「なぁ…やよい」ギュッ

やよい「はいー?何ですかー?」ギュッ

P「まだ、大人になりたいか?」

やよい「…」

えへへ…。そういえば、そんな事も言ってたっけ。

やよい「あの、プロデューサー?」ギュー

やよい「私を、離さないでくださいね?私が、おとなになれるまで」

これが、私のわがまま。今はまだ子どもだから、わがまま。
それでいつか、私がおとなになれたら、その時は…。

おわり


47: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/07/03(火) 23:54:35.30 ID:JCQU2rcFO

はい。ここまでありがとうございました


43: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/07/03(火) 23:49:26.37 ID:khPkNfq90

乙乙


45: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/07/03(火) 23:53:30.49 ID:jjYwxTel0

おつだ!


46: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/07/03(火) 23:53:43.68 ID:ckCWMkJn0


ぅゎゃょぃヵゎぃぃ


この記事へのコメント

- 餃子 - 2012年07月06日 22:45:52

とりあえずやよいがマジ天使なのだけは今更過ぎる程に再認識させられる作品だったな

トラックバック

URL :

最新記事
スポンサードリンク
カテゴリ
月別アーカイブ
おすすめサイト様新着記事