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マミ「マジカル・ミルキーウェイ」
「わーい、マミせんせーだー」
「きょうも、おはなししてくれるの?」
マミ「みんなは今日が何の日かしってるかな?」
「しってるー!」
「たなばたー!」
マミ「うん、そうだね。今日は七夕なの」
「じゃあ、たなばたのおはなしなの?」
「おりひめとひこぼしでしょー?」
マミ「うん、でもみんなの知ってるの七夕とはちょっとだけ違うお話しかな?」
マミ「いい?みんな、始めるよ?」
「はーい!」
マミ「そのお話しはね?まだ先生が子供の頃で―」
ほむら「………」
杏子「ほむら、何してんのさ?」
ほむら「星を眺めていたの」
杏子「星?」
ほむら「ほら、見てみて?」
杏子「あっ…」
ほむら「綺麗でしょ?」
杏子「うん…そうだな…!」
ほむら「………」
杏子「でもどうしたのさ?星なんか眺めちまって」
ほむら「…こうして見ていると、彼女を感じることができるの」
杏子「……そっか」
杏子「…そういや、今日は七夕だっけ?」
ほむら「そうね」
杏子「七夕ねぇ…たしか織姫と彦星が1日だけ会える日なんだよな」
ほむら「ええ、夫婦の2人がたった1日だけ再開できる特別な日」
杏子「なんで夫婦なのに1日だけしか会えないんだろうな?」
ほむら「…たった1日だけでも会えるのなら……」
ほむら「それだけでも…十分羨ましいわ」
杏子「ほむら…」
杏子「ん?キュゥべえか」
キュゥべえ「1日でも会うチャンスがあるのなら、そのまま一緒にいればいいじゃないか」
キュゥべえ「なのにどうしてまた離れ離れになってしまうのかな?」
杏子「さあね…ま、年に一度天の川で、ってのがロマンチックなんじゃないの?」
キュゥべえ「わけがわからないよ、会いたいのなら会えばいいじゃないか」
ほむら「会いたくても会えない…単純なことよ」
キュゥべえ「きっと2人はずっと一緒にいられる」
キュゥべえ「ハッピーエンドってやつじゃないのかな?」
杏子「あんたは何にもわかってないね、それじゃロマンがないじゃん?」
キュゥべえ「ロマン…ね。君たち人類は本当によくわからないよ」
キュゥべえ「そもそもロマンって何なんだい?」
杏子「そのくらい自分で考えな」
キュゥべえ「やれやれ」
キュゥべえ「ヒント?」
杏子「ああ、ほむらを見てみなよ」
キュゥべえ「ほむらを?」
ほむら「………」
キュゥべえ「わけがわからないよ、ただ黙って星を眺めているだけじゃないか」
杏子「ただ眺めてるだけじゃないんだって」
キュゥべえ「そうなの?」
ほむら「………」
マミ「みんなー」
マミ「ふふっ。これの準備をしていたの!」
杏子「準備?」
マミ「じゃーん!」
杏子「あっ、これって…」
キュゥべえ「これは何なんだい?」
マミ「短冊よ!」
杏子「へぇ…懐かしいな」
キュゥべえ「短冊?よくわからないよ」
キュゥべえ「これは何につかうのかな?」
マミ「ふふ、短冊はね?願い事を叶えてくれるのよ!」
キュゥべえ「願い事を…?」
キュゥべえ「へぇ…こんな紙切れが僕たちの力と似たシステムを持っているんだ」
キュゥべえ「なかなか君たちの国は面白いね」
マミ「どう?凄いでしょ?」
キュゥべえ「でも本当に願い事が叶うのかな?」
キュゥべえ「紙切れで願い事が叶うのならインキュベーターはいらないよ」
杏子「何拗ねてんだよ」
杏子「ふーん?」
マミ「キュゥべえ、この願いはたしかにあなたのように確実に叶うとは限らないわ」
キュゥべえ「だろう?」
マミ「でもね?信じていれば何時かきっと叶うはずなよ」
マミ「私はそう信じてるから…!」
キュゥべえ「そうなんだ」
マミ「ね、佐倉さん?せっかくだし願い事を書いてみましょうよ」
杏子「願い事…ね。あたしは魔法少女になった時点で願い事を1つ叶えてるんだ」
杏子「だからさ、これ以上望むのは野暮ってやつなんじゃないの?」
マミ「そうかしら?私はそうとは思わないわよ?」
杏子「……」
マミ「それに、何かを願うのは悪くないことだと思うわ」
マミ「あたなもそう思うわよね?暁美さん」
ほむら「………」
マミ「暁美さん?」
ほむら「あっ…マミ」
マミ「暁美さんもそう思うわよね?」
マミ「あら?そうだったの?」
杏子「ほむらはずっと星を眺めてたからね」
ほむら「ええ、天の川よ」
マミ「星を…あっ!たしかに綺麗ね…!」
マミ「綺麗なミルキーウェイ…!」
ほむら「………」
マミ「暁美さんは何かを感じているの?」
ほむら「…こうして星を見ていると、彼女が星の向こうにいるような気がするのよ」
ほむら「いえ、きっとそうだって信じてるわ」
マミ「そう…暁美さんは信じているのね」
ほむら「ええ…!」
杏子「星の向こう側…ね」
杏子「ひょっとしたら、星の向こう側にあいつもいるのかもしれないな…!」
キュゥべえ「星の向こう側には僕たちの故郷があるよ」
キュゥべえ「それに、君たち人類なんていやしないよ」
杏子「ほんとわかってねぇな」
マミ「もう、キュゥべえにはロマンの良さがわからないのね?」
マミ「ロマンのない男子は嫌われちゃうぞ?」
キュゥべえ「え?僕は本当のことを話しただけだよ?」
キュゥべえ「それに僕には性別なんてないんだけどな」
マミ「それでもよ」
キュゥべえ「わけがわからないよ…」
キュゥべえ「えっ?酷いよ、マミ!」
ほむら「………」
マミ「はい、暁美さんの分よ」
ほむら「短冊…」
マミ「ええ、それに願い事を書きましょう?」
マミ「そうすれば、暁美さんの願いだって叶うかもしれないわ!」
ほむら「私の…願い…」
マミ「うん、暁美さんにだって叶えたい夢はあるでしょ?」
マミ「大丈夫」
ほむら「えっ?」
マミ「大丈夫よ!信じましょう?きっとまた会える日が来るはずよ」
マミ「彼女に…!」
ほむら「………」
マミ「星の向こうから…ミルキーウェイから暁美さんに会いに来てくれるかもしれないわ」
マミ「だから、ねっ?信じましょうよ!」
マミ「ねっ?」ニコッ
ほむら「…ふふっ、そうね」クスッ
ほむら「信じていれば、また会えるかもしれない…」
ほむら「うん、信じるわ」
マミ「ええ。はい、暁美さんの短冊よ」
ほむら「ありがとう」
杏子「……」
マミ「ふふ、佐倉さんも我慢しないで書いてみましょうよ」
杏子「…いや、でもさ」
マミ「契約して願い事を叶えることと、短冊に願い事をとじゃ話が違うじゃない?」
マミ「でしょ?」
杏子「でもさ、あたしは…あたしの願い事はさ」
杏子「叶わない…つーか…その、さ」
杏子「あいつともう一度だなんて…無理だし…」
マミ「あいつって…」
杏子「…マミにもわかるだろ?あいつはもう…消えちまったから…」
マミ「…たしかに、いってしまったのかもしれないわ」
マミ「円環の理に導かれて…」
マミ「でもだからって、絶対に会えないと決まったわけじゃないわ!」
マミ「どんな形になるかはわからない…」
マミ「でも何時か信じていればきっと会えるかもしれないわ」
マミ「いえ、会えるはずよ!」
杏子「……!」
マミ「だから…佐倉さんも信じてみましょうよ?」
杏子「…ま、まあ…書くくらいならやってもいっか」
杏子「…な、なんか照れるなぁ」
マミ「うふふっ」
キュゥべえ「マミ、マミ」
マミ「どうしたの、キュゥべえ?」
キュゥべえ「僕も…」
マミ「えっ?」
キュゥべえ「…いや、なんでもないよ」
マミ「キュゥべえ…ふふっ」
キュゥべえ「ん?」
マミ「はい、これ」
キュゥべえ「えっ?」
キュゥべえ「な、何を言ってるんだよ、マミ!」
マミ「照れちゃダメよ?キュゥべえだって自分の願い事も叶えたいでしょ?」
キュゥべえ「……」
マミ「遠慮なんていらないから、キュゥべえも書いてみましょうよ」
キュゥべえ「…ま、マミがそこまで言うなら…」
マミ「はい、ペンは持てる?」
キュゥべえ「大丈夫だよ」ピョコッ
杏子「…よし、こんなもんかな?」
マミ「さーて、私も願い事を書かなきゃ!」
杏子「マミの願い事は何なのさ?」
マミ「私?私の願い事は…」
マミ「何時までも、ずっとみんなと一緒にいたい…かな?」
マミ「高校生になっても、大学生になっても」
マミ「大人になっても…」
マミ「佐倉さんや暁美さん、それにキュゥべえもね」
マミ「こうやってみんなと仲良くしていたいわ」
マミ「…ふふっ、叶うかしら?私の願い…」
杏子「…ああ!」
ほむら「叶うわよ」
マミ「佐倉さん、暁美さん…」
杏子「あたし達、魔法少女はさ…こうして友達になれたんだ」
杏子「…今は3人になっちまったけどさ」
マミ「……」
杏子「でも、もうこれ以上友達を失いたくなんかない…!」
杏子「失ってたまるか!」
杏子「だからさ、マミの願いは絶対に叶うさ」
杏子「あたしが叶えてやる!」
マミ「…ありがとう、佐倉さん」ニコ
杏子「へへっ」
ほむら「…私もよ」
マミ「暁美さん…!」
ほむら「私も…もう二度と仲間を…友達を…」
ほむら「あなた達を失いたくはない…」
ほむら「…だから、私も叶えてみせるわ」
ほむら「マミの願いを」
ほむら「そして…私の願いも…!」
ほむら「ふふっ」
杏子「これからもあたし達3人で頑張ろうな」
ほむら「ええ」
キュゥべえ「……」
マミ「ううん、3人と1匹ね」
キュゥべえ「…マミ」
杏子「ははっ。そっか、キュゥべえも一緒にだもんな」
ほむら「そうね」
キュゥべえ「君たち……」
キュゥべえ「…べ、別に僕はそんな…」
杏子「あははっ!照れんなって!」
ほむら「ふふっ」
キュゥべえ「……ふふ」
マミ「あ、そうそう。キュゥべえは何を願ったの?」
キュゥべえ「えっ?」
ほむら「たしかに気になるわね」
杏子「どんなんだー?」
キュゥべえ「ちょ…ちょっと!見ちゃダメだよ!」
杏子「照れない照れない」
杏子「まあいいじゃねーかよ…っと」ヒョイ
キュゥべえ「あっ!返してよ!」バッ
杏子「ほら、マミーパス!」
マミ「オッケー」
キュゥべえ「マミっ!」ピョン
マミ「暁美さんっ」
ほむら「ええ」
キュゥべえ「ほむらー!」ジタバタ
杏子「さあほむら、読みな!」
ほむら「わかっ…!?」
マミ「何て書いてあるの?」
キュゥべえ「うわぁー!」
杏子「ほむら?」
ほむら「自分の目で確かめるといいわ」
杏子「ん?」
キュゥべえ「やめてよぉー!」
杏子「…へへ、そっか。なるほどね」
マミ「?」
杏子「マミも見てみなよ」
マミ「ええ」
キュゥべえ「期待しちゃダメだよ!全然大したこと書いてないから!」
ほむら「ふふっ、その割には慌ててるわね」
マミ「まあ!キュゥべえ…あなた、こんなことを…」
マミ「なんて書いちゃって」クスッ
キュゥべえ「だ、だって仕方ないだろう?僕はインキュベーターなんだから!」
キュゥべえ「むしろ、宇宙の寿命の為に僕たちは存在するんだよ!」
キュゥべえ「だからそう願って当然じゃないか!」
マミ「ふふっ。はいはい、その通りね」
キュゥべえ「あー!今笑ったよね?マミ!」
キュゥべえ「いやいや!笑ってるじゃないか!」
杏子「幻だよ幻」
マミ「そうよ、ロッソ・ファンタズマよ」
キュゥべえ「嘘はよくないよ!」
ワイワイ
ほむら「…ふふ」クスッ
ほむら「キュゥべえ、変わったわね」
ほむら「そして私も…」
ほむら「…私たちはこうして変わることができたわ」
ほむら「それも…あなたが新しくこの世界を作ってくれたおかげよ」
ほむら「たしかに、あなたの姿はないわ」
ほむら「…でも、私は信じてる」
ほむら「きっと、今もあなたは私たちのすぐ側にいてくれるって」
ほむら「私たちに優しく微笑みかけてくれているって」
ほむら「そして…何時かはまた私と…」
ほむら「………」
ほむら「本当に綺麗な天の川…」
ほむら「!?」
杏子「ん?どうしたんだよ、ほむら?」
杏子「流れ星でもあった?」
ほむら「…ううん」
杏子「?」
マミ「まあ!さっきよりも夜空がとっても綺麗になってるわ!」
キュゥべえ「星のみんなも見ているのかな?」
杏子「たしかにすっげー綺麗だな…!」
杏子「あいつも…向こうで見てんのかな…」
ほむら「……ふふっ」
ほむら「あなたはやっぱり側にいてくれたのね?」
杏子「えっ?誰と話してるんだ?」
マミ「暁美さん?」
ほむら「…ううん、気にしないで?」
ほむら「ただ、本当に願い事を叶えてくれるのね」
ほむら「七夕は…!」
杏子「…!」
杏子「そっか…そうだよな」
マミ「私もそう思うわ、七夕が…短冊が」
マミ「そしてあのミルキーウェイが願いを叶えてくれるのよ」
キュゥべえ「宇宙が平和であり続けてくれるって思えるよ」
杏子「ああ…きっと、そうなんだよ」
マミ「あのミルキーウェイが私たちに魔法を書けてくれてるのかもしれないわね」
キュゥべえ「魔法を…天の川が…?」
マミ「ええ…!」
ほむら「うん…私もそう思うわ」
杏子「そうだな」
杏子「ん?」
キュゥべえ「なんだい?」
ほむら「……」ニコ
マミ「こうして来年も再来年もずっとずっと…」
マミ「みんなでこのミルキーウェイを見ましょうね」
キュゥべえ「うん」
杏子「ああ!」
杏子「ただ…できれば…あいつを入れた4人と1匹で…見たいな」
杏子「…いや、見られる気がする」
杏子「見れるんだ!」
杏子「そう信じてるから…!」
マミ「絶対に見れるわよ…!」
キュゥべえ「短冊は僕たちと同じ力を持っているんだよね?」
キュゥべえ「なら大丈夫、見られるよ」
杏子「ああ…!」
ほむら「……」ニコニコ
マミ「さーて、帰りましょうか!」
マミ「今日は七夕だし、ご馳走を作ってみせるわ!」
杏子「おっ!マジで?」
マミ「ええ。ほら、暁美さんも帰りましょう?」
ほむら「ううん、私たちはもう暫くここにいるわ」
キュゥべえ「え?」
杏子「…!」
ほむら「お願い」ニコ
マミ「…ふふっ。ええ、わかったわ」
マミ「さ、佐倉さん、キュゥべえ。帰りましょう」
杏子「うん、そうだな」
キュゥべえ「ほむらは1人で何をする気だい?」
マミ「うふふ、なんでしょうね?」
杏子「さぁ?わかんねーや!」
キュゥべえ「?」
マミ「佐倉さん、帰ったら2人でお料理よ!」
杏子「オッケー!」
ほむら「………」ニコニコ
―――
マミ「もう何年も前のお話だけど、本当のお話よ」
「じゃあ、マミせんせーと、きょーこせんせーと、ほむらせんせーのおはなしなんだ!」
マミ「うん、そうだね」
「ねーねー!マミせんせーのねがいはかなったの?」
マミ「うん!だって今もこうして杏子先生とほむら先生と…そしてみんなと一緒にいられるからね」
「なら、おそらがねがいをかなえてくれたんだー」
「まほうみたーい」
マミ「魔法…うん、そうね」
マミ「マジカル・ミルキーウェイね」
「なにそれー?」
「ちろひなーれのともだち?」
マミ「ふふ、マジカル・ミルキーウェイはね?」
マミ「年に一度だけ私たちの願いを叶えてくれる」
マミ「魔法のお星様なの」
「すごーい!」
「きせきもまほうもあるんだー!」
マミ「うん、奇跡も魔法もあるんだよ」
「あたしも、おほしさまにおねがいすればかなうの?」
マミ「うん、きっと叶うよ」ニコッ
「わぁー!ならおほしさまにおねがいするー!」
この子の将来がとても心ぱ、いや楽しみです
「うんっ!」
マミ「どんなお願いをするの?」
「んーと…ないしょだよ!」
マミ「ふふ、そっか」
「マミせんせー次はなにするのー?」
マミ「次は歌を歌いましょうか」
マミ「今日はほむら先生はお休みだから、マミ先生と歌いましょうね?」
「はーい」
マミ「それじゃあ、いくわよ」
マミ「サールティー」
「ろーやーりー」
「たまりーえー」
マミ「パースティアラーヤー」
「れーすちんがー」
~♪
杏子「……マミ先生は園児に何歌わせてんだか」
杏子「ま、これも平和の1つの結果…とでも言うのかな?」
杏子「…ふふっ」
杏子「さーて、今日はほむら先生は休みだし、あたしもその分働かないとね!」
杏子「それに、可愛い園児にカッコ悪いところ見せられないからな!」
マミ「んーっ…」ノビー
杏子「お疲れさん、マミ先生…いや、園長先生」
マミ「ありがとう。でも、もう園児たちは帰ったんだから」
マミ「いつも通りマミでいいわよ?杏子さん」
杏子「へへ、それもそうだね」
マミ「ふふっ」
杏子「それにしてもさ、やっぱ2人だときっついよなー」
杏子「ただでさえ3人でギリギリなのにさ」
マミ「ふふ、まぁいいじゃない」
マミ「それに、ほむらさんには七夕を心の底から楽しんでもらわないとね」
マミ「うん、だから今日くらいは…ね?」
杏子「そうだな」
キュゥべえ「本当に七夕は不思議だね」
杏子「うわ、ぬいぐるみが喋った」
マミ「ふふ、奇跡ね」
キュゥべえ「ちょっと!ここのぬいぐるみを全部僕に似せて作ったのは君たちじゃないか!」
杏子「あはは、ごめんな」
マミ「でも、園児には大人気よ?」
キュゥべえ「そ、そうかい?」
キュゥべえ「だけってなんだよ!」
マミ「ふふっ」
キュゥべえ「もー」
杏子「ははっ。さてと、あたしは庭の花に水やってくるよ」
マミ「ええ、お願い…いつも悪いわね」
杏子「いいって、いいって、仕事だしさ」
杏子「それに結構楽しいんだ」
マミ「ふふ、そっか」
杏子「んじゃ、ちょっくらいってくる」
マミ「いってらっしゃい」
キュゥべえ「いってらっしゃい」
杏子「これなら花も元気になるし」
杏子「それに今夜の天の川だって綺麗に見れるな」
杏子「それに、ほむらも…」
「―よーに!」
杏子「ん?」
「あっ、きょーこせんせー!」タタッ
杏子「あれ?まだ帰ってたかったの?」
「ううん、またもどってきたの」
杏子「ダメだよ、一人じゃ危ないよ?」
「ひとりじゃないよ?だって、きょーこせんせーがまもってくれるもん」
杏子「あはは…」ポリポリ
「ほんと?えへへ、やったー!」
杏子「ふふっ…」
「きょーこせんせーといっしょー!」
杏子「…それよりも、こんな所で何をしていたの?」
「おほしさまにおねがいしてたの!」
杏子「お星様にお願い?」
「うん!マミせんせーがいってたの」
「おほしさまにおねがいすれば、ねがいがかなうって!」
「それにね?いまからずっとおねがいすれば、はやくかなうかもしれないの!」
杏子「…だから昼過ぎからお願いしてたんだ」
杏子「ふふっ、可愛い子だね」ナデナデ
「えへへー」ニパー
杏子「どんな願いをしていたの?」
「きょーこせんせーとけっこんできますようにーって」
杏子「ちょっ…えっ?」
「あたしね?きょーこせんせーがだいすきなんだもん!」
杏子「…ふふっ、そっか」
「きょーこせんせーは、あたしのおよめさんになるのだー!」
杏子「……」ニコッ
「えへへっ!」
「うんっ!」
杏子「ありがとう、すっごく嬉しいよ」
「わーい!」
杏子「…でも、ごめんね」
「?」
杏子「杏子先生は女だから…」
「あっ、そっか…おんなのこどうしは、けっこんできないんだ…」
「あたしってほんとばか…」
杏子「いや、ばかじゃ…」
「ふぇ…」ウルウル
杏子「あっ」
「ふぇぇぇぇん」
「ふぇぇぇん」
マミ「大人気?どうしたの?」
杏子「あはは…マミ先生…」
「ぐすっ…あ、あたし、きょ…きょーこせんせー」
「きょーこせんせーとけっこんしたいのに…」
マミ「まあ!」
「なのに…できないって…ふぇぇ…」
マミ「…ちょっと、子どもに本気で答えてどうするのよ」
杏子「いや、だってさ…この子、あいつとそっくりだし…なんかさ…」
マミ「……そっくりだから、動揺したのね?」
マミ「もう、しかたないわね」
「ふぇぇぇぇん」
ほむら「大丈夫だよ」
「ふぇ…?」
杏子「あっ」
ほむら「大丈夫、大丈夫だから」ナデナデ
「うぅ…ほむらせんせー…」
マミ「ほむら先生…帰ってきたの?」
ほむら「うん、ただいま」
杏子「もういいのかよ?まだ昼過ぎだぜ?」
ほむら「大丈夫、彼女もいるから」ニコ
マミ「…そっか、側にいるのね?」
ほむら「ええ」
「うぅぅっ…」
ほむら「よしよし」ナデナデ
「うー…」
マミ「それにしても大丈夫って…どうして?」
杏子「いくら子どもにだからって、嘘はよくないぜ?」
ほむら「嘘じゃないわ、願うのよ」
杏子「!」
ほむら「だって今日はたな―」
「たなばただからおねがいすれば、いいんだ!」
ほむら「うん、そうだよ」
「おしえてくれてありがとう、おねーちゃん!」
杏子「えっ?」
マミ「お姉ちゃん…?」
「えへへ、お姉ちゃんの笑い方かわいいね!」
「まねしちゃお!」
「てぃひひっ!」
ほむら「……!」
ほむら「ふふっ、うん。そっくりだよ」
ほむら「もうすっかり夜ね」
「すー…すー…」
マミ「結局、この子…天の川見るって帰ろうとしなかったわね」
杏子「そう言うとこも含めて、あいつにそっくりだよな」
マミ「ふふ、そうかもね。それに上条さんは杏子先生になら安心して預けられるって言っていたわ」
杏子「親がそう言ってるのなら、あたしが面倒みるしかないじゃんか」
ほむら「とか言って、本当は面倒見れて嬉しいんでしょ?」
杏子「うっ」
ほむら「満更でもなさそうだったわよ?」
杏子「み、見てたのかよ?」
ほむら「ええ、2人でね」
マミ「ふふ、そっか」
杏子「な…なんか恥ずかしいじゃんかよ…」
ほむら「ふふっ」
「ん…」
杏子「あっ、おはよう」
「んん…あっ、きょーこせんせー!」
マミ「もうすぐ天の川が一番よく見えるよ?」
「マミせんせー!」
「ほむらせんせー!」
「おねーちゃん!」
「えっ?あ!うん!あたしもとりたいー!」
杏子「どうしたの?」
「おねーちゃんが、みんなでしゃしんとろーって!」
ほむら「そうね、みんなで記念撮影をとりましょう」
マミ「うん、ミルキーウェイをバックに…綺麗な一枚になると思うわ」
杏子「オッケー、んじゃカメラ持ってくるぜ
「あっ、あたしもいくー!」
杏子「うん、いいよ。一緒に取りにいこうね」
「わーい!」
マミ「あら、キュゥべえ」
キュゥべえ「なら僕も一緒にとらせてもらうよ」
ほむら「構わないけれど、キュゥべえはカメラに写るのかしら?」
キュゥべえ「あっ、そっか…」
ほむら「…そうね、あなたもカメラには…」
ほむら「えっ?信じようよって…」
ほむら「…うん、そうね」
ほむら「こうして今あたなと一緒にいることも」
ほむら「あの子が生まれ変わったのもみんな」
ほむら「あの日、そう願ったから…そうよね?」
ほむら「うん…!」
マミ「ふふ、つまりね?信じていれば奇跡は起こるってことよ」
キュゥべえ「…そっか、なるほどね」
マミ「だからキュゥべえも信じましょうよ」
キュゥべえ「うん、わかったよ」
ほむら「あなたは真ん中に…えっ?端っこでいいの?」
ほむら「でも、せっかくなんだから…え?あの子を真ん中にしようって?」
ほむら「…うん、そうね」
「カメラもってきたよー!」
ほむら「来たようね。さっ、とりましょうか」
マミ「ミルキーウェイをバックにね」
「わぁー!」
杏子「やっぱり綺麗だな…!」
ほむら「うん…!」
マミ「ええ…!」
「おねーちゃんもすっごくよろこんでるね」
「うぇひひ!あたしもたのしーよ!」
キュゥべえ「今の僕にならその気持ちがわかるよ」
マミ「場所はこれで大丈夫ね?」
「あたし、きょーこせんせーのそばがいい!」
杏子「ふふっ。うん、いいよ」
「やったー!」
キュゥべえ「僕はマミの肩がいいな」
マミ「ええ、おいで。キュゥべえ」
ほむら「私たちはここでいいわよね?」
「おねーちゃんはほむらせんせーがだいすきなんだね!」
「あーっ!おねーちゃん、かおがあかいよ?」
「てぃひひっ!おもしろーい!」
マミ「ね、フラッシュと同時に願い事言ってみない?」
マミ「たぶん、みんな同じ願い事だと思うから」
ほむら「そうね、私たちも賛成よ」
キュゥべえ「おもしろそうだね」
「あたしもいいたーい!きょーこせんせーもいっしょだよ!」
杏子「うん、わかったよ」
マミ「ふふ、ありがとう。みんな」
マミ「いくわよ―――」
カシャッ
~♪
「ん?電話だ」
「もしもし?」
『あっ、上条さん。今時間大丈夫?』
「えっと…この後用事があるけど今は大丈夫、どうしたの?」
『ほら、この前上条さんが家にアルバム持ってきてくれたでしょ?』
「うんうん、持ってったね」
『そしたら上条さん全部忘れて帰っちゃうんだもーん』
「あっ、ごめんごめん!持って帰るのわすれてたわ」
『これで忘れ物したの何度目よ?』
「えーと…三回くらい?」
『バカ!もう両手で数えられないくらいよ』
『まじよ、まじ』
「あはは、あたしってほんとバカ!」
『もー、次からは気をつけてよね?』
「りょーかい!」
『でさ、ちょっと聞きたいことがあるんだけど』
「ん?なに?」
『先に謝るけどごめんっ!アルバム全部見ちゃった!』
「あー、いいよいいよ。ぜんぜん見ちゃってオッケー!」
『ありがと、でさ?アルバム見てて気になったんだけど』
『マジカル・ミルキーウェイってなに?』
『ならもっと分かりやすいタイトルにしなよー?』
「えー?まんまじゃん」
『まんまって…』
「魔法の天の川」
『いや、天の川は写真見ればわかるけどさ』
『魔法は関係なくない?』
「関係ないかと思った?残念!関係あるのだー!」
『えー?どうして?』
「見てわからない?」
『…もしかして、この人たち魔法使えるの?』
「えっ?」
「うん、あんたも会ったことあるでしょ?」
『まあね、あんたとよく一緒にいるし…とくに杏子先生だっけ?赤毛のさ』
「うんうん、杏子先生だよ」
『上条さん、未だに杏子先生とかなり仲良いもんね』
「えへへー、まあねー」
『でもさ、もう卒園して10年近くたつじゃん?あたしらもう中2よ?』
「うん、そうだね」
『杏子先生も、マミ先生も、ほむら先生も若すぎない?』
『全然年取ってるように見えないんだけど…』
「んー…言われてみればそうだけど…」
『それにこのピンクの女の子なんて、あたしらと同い年くらいにしか見えないよ?』
「だよねぇ」
『だよねって…上条さんが幼稚園の頃から毎年、七夕に写真取ってるっぽいけど』
『普通10年も外見変わらないとかあり得なくない?』
「あはは、奇跡も魔法もあるんだよ!」
「信じれば起きるんだよなー、これが!」
『…そう言うものなのかな?』
「そう言うものなの!」
『そっか、まぁ…そう言うことにしとくね』
「うんうん」
『他にもさ、マミ先生の肩に乗ってるぬいぐるみもいつも同じなんだね』
「あれはマミ先生のお気に入りだからね」
『そっか』
「そうそう」
『んじゃ、最後に聞いてもいい?』
「うん、いいよ」
『ほむら先生の横にいる女の子さ、何で七夕の時にしか写真に写ってないの?』
『この女の子だけ、どうして七夕の時にしかいないわけ?』
「それは…」
『それに、外見が中学生くらいのままから全然変わってないのがさ…』
『…何者なの?』
「……怖い?」
『えっ?いや、たしかに気にはなるけど怖いわけないじゃん』
『だってすっごく可愛い笑顔なんだよ?』
「あはは!そうだよね!」
『うん、でもやっぱり気になるのは気になるんだよねー』
『誰なの?』
「あたしも、名前は知らないんだ」
「うん」
『な…なんでっ?毎年一緒に写ってるんだよ?』
「その子は、ほむら先生の…」
『え?』
「ほむら先生の織姫だから」
『…はぁ?』
「年に一度、七夕の時にだけ会いに来てくれるんだ」
『……本気で言ってんの?』
「うん」
『織姫って…七夕じゃあるまいし…』
「いやいや!七夕じゃん!」
『あ、そうだけどさ…その、何て言うか…あれは作り話でしょ?』
『えー?』
「たしかに作り話かも知れないけどさ、もしかしたら本当の話しかもしれないんだよ?」
『そうかなぁ?』
「そこにロマンがあるんだよ!」
『ロマンねぇ…』
「そして、あたし達にも実際に来てくれるんだよ」
「織姫がさ」
『織姫…』
「ね?なんかそう考えた方が素敵でしょ?」
『うん…そうかもね』
「でしょ?でしょ?」
『うん…!』
『えっ?』
「あたし、今から杏子先生達に会いに行くんだ」
「そしたらさ、織姫にも会えるかもよ」
『ほんと?』
「うん。だからさ、おいでよ」
「あたし達の七夕に」
「マジカル・ミルキーウェイにさ!」
ほむら「当然よ、あなたに会いたい気持ちは今も昔も変わらないんだから」
ほむら「……彦星と織姫は年に一度しか会えないのよね」
ほむら「うん、2人は夫婦なのに引き裂かれてしまって…」
ほむら「なら私たちはどうなのかしらね?」
ほむら「えっ?私が織姫なの?」
ほむら「いや、あなたが織姫よ!」
ほむら「なら、2人とも織姫…ふふ、そうね」
ほむら「そして…うん、そうよね」
ほむら「私たちは最高の友達」
ほむら「これからも、ずっとずっと…そうだよね」
ほむら「まどか」
おわり
いいSSだった
Entry ⇒ 2012.07.07 | Category ⇒ まどかマギカSS | Comments (0) | Trackbacks (0)
える「ほう、ほう、ほうたるこい」
里志「いやー、梅雨も明けたしもうすっかり夏だね。暑い暑い」
摩耶花「あっふくちゃん!遅いわよもう!」
本当に暑いと感じているのか疑問になるほどの軽い口調で福部里志が部室に入ってきた。
手芸部から直接古典部の部室に来たようで、またよくわからない布を制服の上に纏いながら、
その上からさらに纏わりついてくる勢いの伊原をやりすごしている。
里志「やあホータローに千反田さん。何をしてたんだい?」
える「こんにちは福部さん。私は今日出された数学の課題をやっているところです」
俺は黙って今読んでいる文庫本の表紙を里志に見せてやる。
里志と違って本当に暑さにうんざりしているので口を動かすエネルギーも惜しい。
相変わらず失礼な奴だ。
奉太郎「俺だって季節の移ろいに美しさを見出すくらいの感性は持ってるよ」
摩耶花「どうだか。あんたの目には桜も紅葉もみんな灰色に見えてるもんだと思ってたわ」
もっと失礼な奴がいた。
奉太郎「さいで」
まあこいつにはどんな反論をしても無駄だろう。
俺は無視を決め込み読書に戻ることにした。
伊原が一瞬拍子抜けしたような顔をしたが、俺の知ったことではない。
その本にも蛍はでてくるのかい?ホータロー」
奉太郎「なんだ。内容を知らないのか」
それなのによく趣のあるだのなんだの言ったものだ。
里志「僕が知ってるのはそれが川三部作のうちの一作だってことだけ。
まあ大事なのは今が蛍の季節で、その本のタイトルが『蛍川』だってことさ。
それにしても蛍はいいねえ。実は僕、まだ本物の蛍ってやつをちゃんと見たことがないんだ。
だからかな、こんなにも心ひかれてしまうのは」
える「蛍でしたら、私の家の庭で見ることができますよ、福部さん。
もしよろしければみんなで蛍を見ませんか?」
ぜひお邪魔させてもらいたいよ!」
摩耶花「ねえ、だったらせっかくだからちーちゃんの家でお泊まり会しない?
蛍を見るのは暗くなってからでしょ?今の季節なかなか暗くならないし、そうなってから帰るのは面倒だし。
あ、もちろんちーちゃんの家の都合が悪くなければ、だけど」
える「お泊まり会!いいですねえお泊まり会!古典部のみなさんでしたら大歓迎です!」
里志「それはいいね。あの豪邸で蛍を見ながら一泊できるなんて、それこそ夢のようだ」
伊原め。余計なことを。いつか温泉に行った時のことが思い出される。
える「折木さんも!しましょう!お泊まり会!」
奉太郎「そう、だな……。お邪魔させてもらうよ」
まあ、何時間もかけて田舎の温泉宿に行くよりは省エネだろう。
そういう合理的な理由で俺は誘いを受けたんだ。だからそんな目で俺を見るんじゃない里志。
える「ふふふ。みんなでお泊りです。ほう、ほう、ほうたるこい。ふふふ」
摩耶花「じゃあ、いつにしよっか。都合のいい日とかある?ちーちゃん」
える「そうですね。たしか来週の金曜日に地域の寄りあいのようなものがあって、その日は両親がそちらに出席して帰って来ないんです。
ですからその日はどうかと思うのですが、皆さんどうでしょうか」
それは都合がいい、とばかりに伊原と里志は口々に賛成の意を表明する。
摩耶花「こいつに予定が入ってる日なんてあるわけないでしょ」
奉太郎「俺にだって予定がある日くらいたまにはあるさ」
摩耶花「あら、じゃあ折木は来週の金曜は都合が悪いわけね。残念。私たちだけで楽しむことにするわ」
える「折木さん、来られないのですか……?」
途端に千反田の顔が悲しげに曇る。伊原め、今日はいつも以上に意地が悪い。
奉太郎「すまない。見栄を張った。俺もその日は暇だ」
える「そうですか!ではその日に決定ということで!」
摩耶花「最初からそう言ってればいいのよ。ほんとに折木は折木なんだから」
その日は僕のとっておきを持っていくからみんな期待しててよ」
える「なんですか福部さんのとっておきって」
里志「今は内緒さ。まあ当日までのお楽しみってことで」
という里志のなんとも嫌な予感のする言葉とともに、本日は各々帰宅の途につくこととなった。
お泊まり会当日
える「いらっしゃいませ皆さん。どうぞゆっくりしていってください」
里志「お邪魔します、千反田さん。やっぱりいつ来てもすごい家だね」
翌週の金曜日、我ら古典部の面々は割烹着を着た千反田に出迎えられていた。
以前集まったときとは違う離れに通される。どうやら普段から客を泊めるために使われているようだ。
一度それぞれ自分の家で着替えてから来ているため、全員が私服姿である。
える「はい。ちょっと早いですが、晩ご飯を食べて、お風呂に入っていればちょうどいい時間になると思って
あとはご飯が炊ければ出来上がりです。もうちょっとですよ」
摩耶花「ごめんねちーちゃん。何も手伝えなくて」
える「いえ。皆さんは一度帰ってからわざわざ来てもらっているので、これくらいは招待した者の義務ですよ」
よほど楽しみだったのだろう、千反田は少し上気した顔をしている。
しかし、友人が泊まりに来るだけなのにここまでしなければいけないとは初めて知った。
これはうかつに人も招けんな。なるべく俺の家には誰も上げないように気をつけよう。
里志「よくぞ聞いてくれました。まさにこれこそが僕のとっておきさ」
そう言って里志が得意げに包みから取り出したものは、見るからに高級そうな日本酒だった。
摩耶花「なになにふくちゃん……ってこれお酒じゃない!」
える「お酒、ですか?」
里志「いやー、縁側で蛍を見ながら晩酌だなんて風流だと思わないかい?
実はずっと憧れていたんだ」
奉太郎「お前、ただ酒を飲みたかっただけなんじゃないだろうな」
里志「とんでもない!言っただろ、『蛍を見ながら』っていうのが重要なんだ。
みんなもどうだい?これはいい酒だよ。まあ正確にはいい酒らしい、かな。僕もまだ飲んだことはないからね」
える「ばれないようにすれば大丈夫ですよ。それに、私も日本酒には興味があったので」
おいおい。ウイスキーボンボンで酔っぱらって大変な目に遭ったというのにこのお嬢様は。
奉太郎「千反田は弱いんだからやめておけよ。いつかのウイスキーボンボンのことを忘れたのか」
える「でも私、親戚の集まりで大人が日本酒をおいしそうに飲む姿を見てきて、ずっとどんな味がするのか気になっていたんです。
ちょっと味を確かめるくらいでいいんです。折木さんにご迷惑はかけないように気をつけますから。
……だめでしょうか?」
里志「それに、この酒は僕のだぜ。その僕が飲んでいいって言ってるんだからそれでいいじゃないか。
もしちょっとくらい酔っぱらったとしても、僕らは今日ここに泊まるんだから帰り道の心配もいらない。
なにもこれ一本を全部空けようってわけじゃないんだから、大目に見てくれよ」
酔い潰れて俺に迷惑かけないでくれればそれでいいさ」
里志「じゃあ決まりだね!いやー、やっぱり持ってきて正解だったなあ」
摩耶花「ほどほどにしてよねー、ふくちゃん」
える「あ、ご飯が炊きあがったようですね。それではみんなで晩御飯にしましょうか」
千反田が作った晩飯は文句なしに絶品だった。
そして信じられないほどの量だった。
田舎のおばあちゃんが久々に遊びに来た孫のために腕によりをかけて作った、といった感じの量だった。
完食するのは少し、いや大分辛かったのだが、あの嬉しそうな千反田の眼差しに見つめられては誰ももう腹いっぱいだとは言えなかったのだろう、全員がしっかりと
一粒の米も残らず完食した。
寝る準備万端で行った乾杯の時点ではまだ若干の明るさを残していた空も、調子に乗った里志とそれに付き合わされた伊原が酔い潰れて眠ってしまうころには
もうすっかり深い夜に包まれていた。
奉太郎「ふう。まったく里志の奴め。こうなるんじゃないかと思ってたんだ」
える「でも、お二人ともすごく楽しそうでしたよ。摩耶花さんも福部さんにぴったり寄り添って眠っていて。
ふふふ。かわいいです、摩耶花さん」
奉太郎「伊原が里志から離れないせいで布団まで運ぶのが倍大変だったけどな」
どうしても伊原が里志から手を放そうとしなかったため、結局二人を隣同士の布団に寝せることになった。
伊原は布団の上に寝ているが、里志の体はふた組の布団の隙間に落ちていて若干寝苦しそうだ。
まあ二人が離れようとしないから仕方ない。寄り添った状態では二人ともちゃんと布団には寝れんからな。
える「そうですね」
四人分の布団のうち、端のふた組は伊原と里志が使っている。
となると当然俺たちも隣同士の布団に寝ることになる。
える「今日はわざわざ来てくださってありがとうございました。とても楽しかったです」
奉太郎「そんなことないさ。わざわざ晩飯の準備やらなにやらさせてしまって悪かったな」
える「あれは私が好きでやったことですから。それに折木さんたちも後片付けは手伝ってくれましたし」
奉太郎「まあそれくらいはな。さすがに何もかも任せるわけにはいかないだろ」
える「折木さんはいつも優しいですね。さっきだって摩耶花さんと福部さんを無理やり引きはがそうとはしませんでしたし」
える「思ったことを正直に言っただけですよ。折木さんはすごく優しいって、私、本当にそう思っています。
いつも私の疑問に答えを出してくれます」
奉太郎「いつも言ってるだろ、たまたまだって。それに、それは単にお前が断らせてくれないだけだ」
える「そんなことないですよう。折木さんは優しいから私の頼みを断らないんです」
なんだか会話が成り立たない。こいつ、酔っぱらっているのか。
まあウイスキーボンボンで酔っぱらってしまうような奴だ。無理もないか。
奉太郎「さっきから同じことばっかり言ってるぞ。お前酔っているんじゃないのか」
える「そうですね。少し酔っているのかもしれません。でも自分が何を言っているのかは分かっていますよ。
ただ、いつもよりも本音が出てしまっていますね」
える「ふふ。折木さんらしいですね。
ああ、なんだか変な気分です。胸がどきどきして、全然眠くならないんです。
酔っているせいなんでしょうか。それとも折木さんが隣にいるせいでしょうか」
奉太郎「私、気になりますってか?」
える「先に言われてしまいました。ふふふ。
ねえ折木さん、まだお酒もちょっと残っていましたし、眠くなるまで一緒に蛍を見てくれませんか?」
酔っているせいなのか千反田が隣にいるせいなのかはわからんがな、とはもちろん口には出さない。
ともかく里志と伊原が飲み残した酒瓶を持って二人で縁側に腰かけた。
える「外は涼しいですね。風が気持ちいいです」
奉太郎「今が一番いい季節かもな。これから熱帯夜に悩まされると思うと嫌になる」
える「そうですね。私も冷房が苦手なので暑い夜は大変です。
でも、暑くなる分夏休みが近づいてくるのは楽しみです。去年の夏休みは楽しかったですね。
また今年もみんなでどこかに遊びに行けたらいいですね」
える「では、近くの温泉宿で一泊」
奉太郎「お前は本当に泊まりが好きだな」
える「楽しいじゃないですか。みんなでお泊まり。あと、私実は一人で寝るのがあんまり好きじゃないんです。
小さな頃から甘えん坊でして。だから今日皆さんを招待したのも一人で家にいるのが寂しかったからなんです」
奉太郎「なるほどな。だからあんなにしつこかったわけか」
える「む。意地悪です、折木さん」
俺と目が合うといっそう大きく頬を膨らませてみせたが、すぐに穏やかな顔に戻った。
大きな目だ、と改めて思う。
どれほどの時間が経っただろうか、先に目をそらしたのは千反田だった。
える「きれいですね。私、この庭の蛍をお友達と一緒に見るのは初めてなんです。ほう、ほう、ほうたるこい。ふふふ」
奉太郎「そいつは光栄だ」
える「蛍の光って、まるでお月さまみたいですね。丸くて、黄色くて」
そうだろうか。月のようだというには蛍の光はあまりにも儚げに見えるのではないだろうか。
しかし、その疑問はすぐに解けた。やれやれ、いつのまにか随分と詩的な人間になってしまったものだ。
これも酒のせいなのだろうか。そうだとしたら里志に感謝しないといけないな。
ともあれ、答えがわかったのなら発表しなければ。
待て待て千反田。それは男の俺が言うべき言葉だ。
奉太郎「蛍が綺麗だな、千反田」
える「…………はい」
千反田は一瞬驚いた顔をしたが、すぐにうつむいてそう言った
える「分からないと思ったんですけどね。でも、分かってほしいと思っていたのかもしれません。
ごめんなさい、折木さん」
しゅんとして、うつむいたまま千反田はぽつぽつと話す。まったく世話の焼けるお嬢様だ。
奉太郎「俺はお前をそんな顔にさせるために言ったわけじゃないんだぞ。
……今はこれだけしか言えんが、いずれちゃんとした言葉で言うよ。
そのときまで待っていてくれないか」
千反田が俺の手を握り返してくるのが分かった。それは感じたことのないほど優しい力だった。
える「今はそれだけで十分です。嬉しいです、折木さん」
そう言うと千反田は俺の肩に頭を預けてきた。
その時千反田が泣いていたのか、笑っていたのかは分からない。
千反田の体は思った以上に華奢で、布団まで運ぶうちに間違って折れてしまわないか心配になるほどだった。
しかしそれ以上に困ったことに、千反田も俺を放そうとしてくれないのだ。
俺は観念して千反田と同じ布団にもぐり込んだ。
朝里志たちにからかわれるだろうか。
かまうもんか、奴らも似たようなことをしているんだ。
覚悟を決めてもう眠ろうとしたとき、千反田の口がむにゃむにゃと動いた。
える「ほうたる、ほうたる……」
奉太郎「またそれか。お気に入りだな。そこのフレーズしか知らないということもあるまいに。
……いやそうか、ほうたるってのは俺のことか」
道理で歌っているとき楽しそうに俺のほうを見てくるわけだ。
俺はもう少し千反田の方へ体を近づけて、そして今度こそ目を閉じた。
まどろみの中で、千反田がもう一度、ほうたるこい、とつぶやいた気がした。
END
駄文に付き合ってくれた方々に敬礼
乙!
Entry ⇒ 2012.07.07 | Category ⇒ 氷菓SS | Comments (0) | Trackbacks (0)
咏「わかんねぇ……すべてがわかんねぇ……」
咏「ちょ、ちょっと待ってよ~、和服じゃ走れねーしー」
えり「もう、もっと裾をたくしあげて走ればいいでしょ」
咏「そんなはしたないマネ……ふぎゃっ!」ドテッ ゴツン
えり「み、三尋木プロ!? 大丈夫ですか!」
咏「う、うう……」
えり「大丈夫ですか……? 思いっきり頭打ってましたけど」
咏「ん、あれー……アンタ誰?」
えり「何をふざけてるんですか……なんともないなら、早く行きますよ」
咏「あれっ、ここってどこ?」キョロキョロ
えり「もう、いつまでやってるんですか……早く立って下さい三尋木プロ」
咏「みひろぎ……って、私のこと?」
えり「何をわかりきったことを」
咏「あれっ、そうだっけ……うーん、思いだせねー……」
えり「えっ……」
咏「うーん、わかんねー……すべてがわかんねー」
えり「も、もしかして本当に忘れちゃったんですか?」
咏「てゆーか、ここどこなんだよー、帰りたいよー」
えり「か、帰っちゃダメですよ……これから仕事あるんですから」
咏「仕事~? あんた私の仕事仲間なわけ?」
えり「まあ、そんな感じですね。
私がアナウンサーで、あなたがプロの雀士です」
咏「え、私が? プロ雀士? うっそだー」
えり「本当ですよ……もしかして麻雀のことも忘れたんですか?」
咏「忘れるも何も、麻雀なんてやったこともないよ」
えり「完全に忘れている……」
咏「んで? これから私たちは何の仕事すんの?」
えり「え、ああそれは……」
「あっ、針生さんに三尋木さん、こんなところにいたんですか!
早くしてくださいよ、もう始まっちゃいますよ!」
えり「あ、はいすぐに行きます! ほら、急ぎますよ!」
咏「ほえ?」
えり「ふう、なんとか間に合った……」
咏「ここで何すんの? てゆーかそもそもこれ何のイベントなの?」
えり「ああ、高校生麻雀部の全国大会をやってるんです……で、実況と解説をするんですよ」
咏「へえー、そーなんだ。頑張って~」ヒラヒラ
えり「ちょっと、三尋木プロもここで解説するんですよっ」
咏「えっ、いや無理無理! 私麻雀のことなんてわかんねーし」
えり「大丈夫です、いつもの調子でやってくれれば」
咏「いつもの調子ってのがわかんねーんだって」
えり「とりあえず私が話をふったら、はぐらかしてくれればそれで構いませんので」
咏「そんな適当でいいの……?」
えり「はい、いつもそんな感じなので」
咏「どんだけ適当なんだよ私は」
えり「あ、そろそろ始まりますよ」
咏「ええー、なんか緊張するなあ~……」
咏『うーん、わかんねー』
えり『点差はほとんど開いておりませんが、
この4校の中ならどこが一番強いんでしょうねえ』
咏『いや知らんし』
えり『ここで五萬切りですか……ということは、どうなるんでしょう』
咏『さっぱりわかんねー』
えり『おっと、振り込んでしまいましたね。どうでしょう三尋木プロ』
咏『うーん、知らん』
えり『前半戦は特に大きな動きもないまま終わりましたね』
咏『そうだねー、知らんけど』
えり『そろそろ終盤に入って来ましたが、どうでしょう、ここまで見てきて』
咏『全然まったく何一つとしてわかんねー!』
玄「今日の解説はいつにもまして適当だね……」
憧「いっつもこんな感じじゃない?」
咏「おっつかれー」
えり「三尋木プロもお疲れ様です……
記憶喪失になったのに駆り出しちゃって」
咏「てゆーか、ほんとにあんなんで良かったわけ?
『しらねー』と『わかんねー』しか言ってないけど」
えり「大丈夫です、いつもどおりなんで」
咏「いつもの私が心配になってきたよ……」
えり「で……まだ記憶は戻ってないんですよね」
咏「んー、全然思い出せないや」
えり「何を忘れて、何を覚えてるんですか?
自分の名前とか、住所とか、生年月日とか、電話番号とか……」
咏「住所とか生年月日……うーん、思いだせねー」
えり「ベネズエラの大統領の名前は? アルバニアの首都の名前は? ちょうりょうばっこを漢字で書くと?」
咏「ウゴ・チャベス。ティラナ。跳梁跋扈」
えり「なるほど、一般常識は覚えていると」
咏「常識かこれ」
綺麗サッパリ抜け落ちてしまってるみたいですね」
咏「なるほどねー。困っちゃうねえ」
えり「こういう時はやっぱり病院でしょうかね……何科かな、精神科?」
咏「いや、でももう夜だし……病院あいてなくね?」
えり「あー……そうかもしれませんね」
咏「病院は明日でいいよ。今日はとりあえず帰ろう、なんか疲れちゃったしー」
えり「帰るって言ったって……自分の家がどこか覚えてるんですか?」
咏「……わかんねー、はは」
えり「笑ってる場合じゃないでしょ……
住所がわかるものとか、持ってないんですか?」
咏「うーん……あ、免許証あった」ゴソゴソ
えり「ふむ、ここからそう遠くもないですね。
なんか心配なんで、家まで送っていきますよ」
咏「お、マジで? 助かるよ~、記憶ないまま歩きまわるのは不安だしさー。
いやー、私は優しい友達を持ってるみたいでよかったー」
えり「べ、別に友達とかでは……」
―――
―――――
えり「えーと……この辺ですよね、住所によると」
咏「マンション松岡……マンション松岡……うーん、どこだろ」
えり「あのーすみません、マンション松岡ってどこにあるかご存じですか」
通行人「ああ、それならすぐそこの、あのデカいマンションですよ」
えり「えっ、あ……あれが!?」
咏「うっわー、私あんなでっかいマンション住んでんの? マジで!?」
えり「す、すごい……」
咏「麻雀のプロって儲かるんだねー! 我ながらすげー」
えり「と、とりあえず……中入りますか」
咏「どんな部屋なんだろ~、楽しみ~」
えり「えーと、601号室ですね……」
咏「うっはー!しかも最上階じゃん!」
えり「まさかこんなすごいお宅にお住みとは……」
勝ち組っていいな
わかんねーのプロではない
咏「うわー、すっげー広いよー!」
えり「おお……こんな豪華なマンション初めてですよ」
咏「うっはー、シャンデリアとかある! テレビもでけー! 眺めいいー!」
えり「自分の部屋に感激しないでくださいよ」
咏「いやでもこれマジですごいよー?
ほら、このボタン押したらスクリーン降りてくるし!」ウィーン
えり「はあ……」
咏「なんか信じらんないな~、私がこんなすごいとこ住んでるなんて。
麻雀のプロってこんなに儲かるもんなの?」
えり「そりゃあプロの中でもトップの人はめちゃくちゃ稼いでらっしゃいますけど……
まさか三尋木プロがここまでとは……」
咏「わっはは、失礼だな~」
えり「あ、ちょっとお手洗い借りていいですか?」
咏「いいよー、場所わかんないから自分で探してね」
えり「はいはい」ガチャバタン
咏「……」
咏「あ、トイレの場所分かった? どこ?」
えり「このリビングを出て廊下を右に曲がったところの突き当りですよ」
咏「そっかー、なるほど」
えり「じゃあ、私そろそろおいとましますので」
咏「えっ、もう帰っちゃうの?」
えり「はい、いつまでもおじゃましてるわけにも……」
咏「明日も仕事?」
えり「いえ、明日はオフですけど……」
咏「ふーん……」
えり「? どうしたんですか?」
咏「いやあ……その、私、今記憶喪失中なわけじゃん?」
えり「はあ」
咏「さっきえりちゃんがトイレ行って一人きりになった時、初めて気づいたんだけどさ……
自分で自分のことがわからないのって……めっちゃくちゃ心細いんだよね」
えり「…………」
ちょっと不安っつーかなんつーか」
えり「…………」
咏「今現在、私のことを私よりよく知ってるのはえりちゃんだからさ、
一緒にいてくれると安心ってゆーか」
えり「…………」
咏「だからその……今日泊まってってくんないかなー、なんて……」
えり(うっ……こんなしおらしい三尋木プロを見るのは初めてだ……
いっつも飄々としてる分ギャップが……)
咏「だ、ダメかな……」
えり「……わ、わかりましたよ……
やっぱり一人にするのも不安なので……泊まらせてもらいます」
咏「マジで!? ありがとー、私はほんとにいい友達持ったよ~」
えり「だから友達とかじゃないですし……」
咏「いやー、えりちゃんがついててくれるならもう安心だ!
今夜は女二人でパーっと騒ぎますか!」
えり(さっきのしおらしさは何処へ……)
えり「あ、何か買ってきましょうか」
咏「あーいいよいいよ、出前とろう出前! 寿司とか!」
えり「す、寿司ですか」
咏「せっかくえりちゃんが泊まりに来てくれたんだから豪勢に行かないと~。
これ、新聞に挟まってた寿司屋のチラシ」
えり「また高そうな寿司屋ですね~。えっと、番号は……」ピッピッポッ
寿司屋『ハイ!小鍛治寿司です!』
えり「あ、出前をお願いしたいんですけど……松岡マンションの601号室」
咏「特上2人前ね!」
えり「えっ」
寿司屋『へい、特上2人前!すぐお持ちいたしやす!』
咏「あと日本酒もつけてね~」
えり「ちょっと三尋木プロ、特上なんて……」
咏「だーいじょうぶ、全部私のおごりだから! 遠慮なんかしなくていいって!」
えり「はあ……」
―――
―――――
咏「寿司うめー、久々に食べた気がするわー」モグモグ
えり「お寿司食べた記憶あるんですか?」
咏「いやないけど」
えり「そうですか……」
咏「しっかし、ここが私の部屋ってのは、
やっぱまだ信じらんないな~」キョロキョロ
えり「何か思い出したりしませんか?」
咏「うーん、さっぱりだねー。
てゆーかまず私がプロ雀士だったってとこから思い出せないわ。
ホントにプロだったの?」
えり「間違いなくプロ雀士ですよ。ほら、そこに雀卓もあるじゃないですか」
咏「はあー、これで私は麻雀打ってたわけか」
えり「そうですよ、本棚にだって麻雀の本がいっぱい並んでますし」
咏「へえ、なんか人んちの本棚観てる気分だわ」
えり「あっ、この雑誌……」
咏「うっわ、私が雑誌に載ってるよ! へえーマジすか~」ペラペラ
えり「結構雑誌のインタビューとか受けたりしてるんですよ。
たしか月刊麻雀ガイドの8月号でも……ほら」
咏「うはー、ホントだ~。
へえ、私ってほんとにプロの雀士だったんだねえー。
しかも結構強かったみたいだし」
えり「そうですよ、だから早く記憶を取り戻してもらわないと、……
あと週刊少年雀鬼の21号と、去年のNEW麻雀11月号にも記事があったような」
咏「ねー、もしかして」
えり「なんですか?」
咏「えりちゃんって私が雑誌に載ったのを全部チェックしてるわけ?」
えり「なっ……いや、別にそんなんじゃないですよ。
ただ仕事柄、常に新しい情報を入れておかないといけないので……」
咏「ふーん、私のファンってわけじゃないのかー」
えり「ち、違いますよ……それとその、えりちゃんっていう呼び方……」
咏「え、何?」
えり「いえ、なんでもないですっ」
まあ記憶戻るまではしかたがないのかも)
咏「私そろそろお風呂入ってくるよ」
えり「え、あ、はい……一人で大丈夫ですか?」
咏「別にお風呂の入り方まで忘れちゃったわけじゃないよ~。
もしかして一緒に入りたかった?」
えり「別にそういうんじゃないですから」
咏「なんだ、つれないな~。じゃあ入ってくるから~」
えり「はいはい……」
えり(さてと……他に三尋木プロが載ってた雑誌はなかったかな)
えり(というか三尋木プロ、麻雀雑誌片っ端から買ってるのか……?)
えり(ん、なんだろうこのノート)
えり(あっ、これ……全国大会に出る選手のデータじゃ……)
えり(すごい、自分が解説する対局の選手を一人一人研究してたのか)
えり(私も一応はざっとデータに目を通しはしたけど、ここまで細かくはやってなかった)
えり(三尋木プロ、水面下でこんな努力を……)
えり「早っ!」
咏「そうかな? てゆーか何見てたの?」
えり「あ、いやなんでも……って、なんて格好してるんですか!」
咏「あっいや、脱衣所に浴衣が置いてあったから着替えようと思ったんだけど
帯の締め方がわかんなくってさ~」
えり「はあ」
咏「えりちゃん分かる?ちょっとやってくんね?」
えり「いや、私もわかんないですよ、浴衣の着付けなんて」
咏「なーんだ……これだから現代っ子は困るね~」
えり「三尋木プロも分かってないじゃないですか……」
咏「いや、記憶があった時の私は分かってたんだよ。だから私の勝ちね」
えり「勝ち負けとかいう問題ですか」
咏「えりちゃん次お風呂入っていーよ。あ、お風呂もすんげーでかいからびっくりすんなよー」
えり「へえ、そんなに……じゃあお風呂お借りしますね」
咏「あ、そうだえりちゃん……」
咏「あのさー、記憶が戻ったらさ、
この『記憶がなかった時の記憶』は失われちゃうのかな?」
えり「えー……どうなんでしょうねえ」
咏「うーん、もし記憶が引き継がれなかったらまた混乱しちゃいそうだし、
記憶喪失中に何があったかメモに残しといたほうがいいかね」
えり「そうですね、万一のためにもそのほうがいいんじゃないでしょうか」
咏「だよねー。じゃあ早速書いとこっと」
えり「私お風呂お借りしますんで」
咏「あいあーい」
えり「記憶が戻ったら……か」
えり「もし今の記憶が失くなってしまうのだとしたら……」
咏『だからその……今日泊まってってくんないかなー、なんて……』
咏『ありがとー、私はほんとにいい友達持ったよ~』
咏『せっかくえりちゃんが泊まりに来てくれたんだから!』
えり「ちょっともったいない気がする……
って、何考えてるんだ私は……まったく」
咏「あっ、おっかえり~」
えり「何観てるんですか?」
咏「これ? レコーダーに録画されてたんだよね~、昨日の試合」
えり「昨日の……って」
咏「なんか見てて思い出せないかなーって思ってさ~」
えり『二回戦からは、上位2校の勝ち抜けになります』
咏『2校って……なんかヴァイオレンス感たりなくねー?』
えり『そうですか?これでも普通のトーナメントと同じく半分が敗退、
それもランダム性が強い競技でですよ? 頂きに至る道は狭く、遠く険しく……』
えり『彼女たちにとってチャンスの時期は短く限られている……
それが厳しくないだなんて、私には思えませんよ!』
咏「あっははは、えりちゃん何語っちゃってんのー?」
えり「いや……忘れて下さいこれは……
私もちょっと恥ずかしかったなって思ってるんですから」
咏「もう一回リピートしようっと!」
えり「やめい!」
アラフォーより若いとは思うけど
アラサーだよ!
えり「口で言ってもやめないからですよっ、まったく」
咏「てゆーかここでえりちゃんの黒歴史を止めたところで
全国規模で放送されちゃってるから意味ないと思うけどね~、ははっ」
えり「いいんですっ、とにかく私の前で見せつけられたくないので」
咏「しっかしえりちゃんがこんなポエマーだったとはねぇ~。
意外な一面ってやつ?」
えり「も、もういいじゃないですか! もう寝ますよ!」
咏「ええ~、まだ12時じゃーん。
これから二人で騒ごうと思ってたのに~」
えり「私は12時に寝るんですっ」
咏「仕方ないな~……ところでどこの部屋で寝るんだろ」
えり「さあ……」
咏「さっきえりちゃんがお風呂はいってる間に色々見て回ったけど、
ベッドのある部屋がなかったんだよね」
えり「うーん、じゃあそっちの和室を寝室に使ってるんでしょうか」
咏「まあ残るはそこしかないよね」
えり「あ、押入れに布団一式ありましたよ」
咏「お~、じゃやっぱりこの部屋が寝室なんだ」
えり「でも、布団一人分しかありませんよ」
咏「あら、ほんとだ……押入の奥とかにもない?」
えり「うーん……見当たんないですね……」
咏「そっか~、じゃあ仕方ないね~」
えり「そうですね、私はリビングのソファーで寝ますよ」
咏「え、なんで? 一緒の布団で寝ればいいじゃん」
えり「えっ、いやさすがにそれは……」
咏「いーじゃん、二人で寝よーよ、せっかくなんだしさあー」
えり「ええ、もう……分かりましたよ」
咏「やった~、ははっ」
えり「はあ、まさか三尋木プロと同じ布団で寝ることになるとは……」
咏「ははは、いい記念じゃーん」
咏「いいじゃん、その分くっつけて」
えり「枕も一つのを半分こだし……」
咏「いいじゃん、その分おたがいの顔が近くて」
えり「まったく……じゃあもう電気消しますよ」
咏「はーい」
プチッ
咏「…………」
えり「…………」
咏「はあー……一日が終わったね」
えり「……なんだか大変な一日でしたよ今日は」
咏「私も、未だに自分の状況を受け入れられてないよ~。
えりちゃんがいなかったらどうなってたか」
えり「お力になれたのなら、何よりですよ」
咏「ごめんねー、付きあわせちゃって」
えり「いえいえ……」
えり「なんですか?」
咏「こうやって家に誰かが泊まりに来るっていうのは
初めてな気がするよ」
えり「そういう記憶はあるんですか?」
咏「いや、記憶にあるわけじゃないけどさ……
なんか感覚的にそう感じるだけ」
えり「そういうもんですか」
咏「記憶が戻ったら、はっきりするんだろうけどさ」
えり「早く戻るといいですね……明日、病院行きましょう」
咏「うーん、でも……戻りたくない気もするんだよね」
えり「なんでですか?」
咏「この今の記憶が無い時の記憶が、なくなっちゃいそうでさ」
えり「あー……さっきも言ってましたね」
咏「そ。だから、こうやってえりちゃんと一緒に寝たり、
お寿司食べたりしたことも忘れちゃうのかなーって」
えり「…………」
仕事にも差し支えでるし、いろんな人に迷惑かけちゃうだろうしさ」
えり「…………」
咏「でも、今日の楽しかったことがなかったことになっちゃうのは、
ちょーっと寂しいよねえ」
えり「大丈夫ですよ」
咏「え?」
えり「もし記憶が元通りになって、記憶喪失中の記憶を忘れてしまったとしても」
咏「…………」
えり「私が、ちゃんと覚えてますから」
咏「えりちゃん……」
えり「今日という時間は、三尋木プロだけが過ごしたんじゃありません。
私も一緒にいたんです。同じ時間を、記憶を共有してるんですよ。
だから三尋木プロが忘れても、
私がまたいつでも今日のことを話して聞かせてあげますよ」
咏「……うん、ありがとう、えりちゃん」
えり「ですから三尋木プロは、安心して記憶を取り戻して下さい」
やっぱえりちゃんってポエマーの素質があるよねー」
えり「なっ……真面目に言ったのに、茶化さないで下さいよ」
咏「あはは、ごめんごめん。
でも本当に私はいい友達を持ったなって思うよ」
えり「ありがとうございます……
それにしても、三尋木プロに友達だなんて言われるの、今日が初ですよ」
咏「あれー、そうなの? 普段から仲いいんじゃないんだ~」
えり「まあ仲良くなくはないですけど……
えりちゃん、なんて呼ばれたのも初めてですし……」
咏「はっは、そっか。
じゃあまあ、今日をきっかけに、記憶が戻った私とも仲良くしてやってよ」
えり「それは……まあ、三尋木プロの記憶が戻ってから考えますよ」
咏「えー、きびしいな~」
えり「ふふふっ」
咏「あははっ」
えり「……」
咏「…」
―――
―――――
咏「うーん……あれ?」
咏「なんで家で寝てるんだ……」
咏「えっと、確か全国大会の会場にいたはずだけど……」
咏「そしてなんでこの人まで一緒の布団で……」
えり「Zzz......」
咏「わかんねぇ……すべてがわかんねぇ……」
咏「いったいどういう状況なんだよお……」
咏「ん……なんだこれ」カサッ
咏「メモ?」
『記憶が戻った私へ』
咏「私の字だこれ」
咏「なになに……『私はXX日の昼、記憶喪失になりました』……」
咏「うは、マジすか」
咏「どうやら記憶喪失っつーのはマジっぽいなー」
咏「昨日の昼から今朝までの記憶がすぽーんと抜けてるし……」
咏「そのあいだに何があったか私にも分かるように」
咏「記憶のなかった時の私はこうしてメモを残してくれたと」
咏「それから『最重要事項』……なんだこれ」
咏「『えりちゃんに多大な迷惑をかけたと同時に御恩をこうむったので
多大な感謝をするように』……か」
咏「はは、えりちゃんって……そんな呼び方したことねーし」
咏「ま、でもここで寝てるってことは」
咏「記憶のない私を面倒見てくれたってことだよね」
えり「Zzz......」
咏「まーったく、柄にも無いことしてくれちゃって」
咏「でもま、この人以外に頼れる人がいなかったのも事実か……」
咏「しゃーない……そのぶんは恩返しさせてもらいますか」
えり「…………」
えり「…………」
えり「…………」
えり「…………」
えり「…………」
えり「う、うーん…………」
えり「もう朝か……」
えり「あれっ、三尋木プロ……?」
えり「もう起きてるのかな……」
えり「あ、なんかいいにおいがする」
えり「台所から……」
えり「…………」
えり「……三尋木プロ?」
咏「おー、起きたんだ。おはよー」
咏「もうちょっと待ってねー、もうすぐお味噌汁できるから」
えり(割烹着……)
咏「それにしても昨日は迷惑かけちゃったみたいでゴメンねー」
えり「えっ……もしかして三尋木プロ、記憶戻ったんですか?」
咏「うん、もうバッチリ戻っちゃったよ~。
そのかわり、昨日記憶がなくなってからの記憶は忘れちゃったけど」
えり「あ、そうなんですか……でも良かったですよ、早いうちに戻ってくれて」
咏「私も自分でホッとしてるわ~。よし、お味噌汁できたっと」
えり「なにか手伝いましょうか?」
咏「いやーいいよいいよ。それより納豆食べられる?」
えり「はい、大丈夫です」
咏「生卵つけようか」
えり「ネギもお願いします」
咏「ネギ派か。私はちりめんじゃこ派だな」
えり「じゃこ派なんて初めて見ましたよ」
えり「いただきます……
まさか三尋木プロの手料理を食べる日が来るとは思いませんでしたよ」
咏「あっはは、結構自信あるんだけど。どうかな?」
えり「…………」ズズッ
えり「へえ、美味しいじゃないですか。意外」
咏「意外とは失礼だな~、これでも料理できるほうなんだぜー」
えり「はは、でも普段の三尋木プロからじゃ想像できないですよ。
なんか昨日からずっと、三尋木プロの意外な一面を見続けてる気がします」
咏「まーそうだね、今まで仕事での付き合いしかなかったし、
プライベートではやっぱり違う姿を見たり見せたりするもんだね」
えり「ですねえ」
咏「でもま、意外に思ったのは私も一緒だよ。
まさかえりちゃんが私に付きっきりで居てくれるなんてさ」
えり「ぶっ……記憶戻ったのに、なんでまだその呼び方なんですか」
咏「いーじゃん別に~。イヤなの?」
えり「恥ずかしいんで、やめてください」
えり「恥ずかしいものは恥ずかしいです」
咏「そんなツンツンしないでよ~えりちゃーん」
えり「うぐ……」
咏「ほら、いい機会だしもうちょっと仲良くなろうぜ~。
えりちゃんも私のこと咏ちゃんって呼んでいいからさ~」
えり「呼びませんっ」
咏「冷たいな~、一緒の布団で寝た仲じゃん」
えり「それは布団が一枚しかなかったからですよ……
ていうかそれ、人前で言うのやめてくださいよ」
咏「なんで?」
えり「あらぬ誤解を招きそうなんで」
咏「ふーん……じゃあ『えりちゃん』って呼ばせてくれたら言わないでおく」
えり「きょ、脅迫ですか?」
咏「人聞き悪いなあ。交換条件だよ」
えり「同義ですよ……」
えり「うう……分かりましたよ」
咏「うはっ、やった~! えりちゃ~ん!」
えり「そのかわり、二人でいる時だけですよ!
他に人目がある時はやめてくださいねっ」
咏「それでも断然OKだよ~。さ、次はえりちゃんの番」
えり「え、私?」
咏「私のことを、咏ちゃんって」
えり「嫌どす」
咏「えー、なんでー? ちゃん付けで呼び合う仲になろうよー」
えり「呼びませんよっ」
咏「なんでよー呼んでよーえりちゃーん」
えり「いーやーでーすー」
咏「咏ちゃんって呼んでくれるまで帰さねーからなー」
えり「はいはいうたちゃんうたちゃん、これでいいですか」
咏「心こもってねー!」
咏「一番大事なとこだろーよ。
人の名前ってゆーのはね、もっとちゃんと大切に呼ばないといけないの」
えり「分かりましたよ……まったく」
咏「おっ」ワクワク
えり「ゴホン、えー……咏ちゃん」
咏「おおー……おほほほ」
えり「なんですか、急にニヤニヤしだして……」
咏「いやあ、なんかいいなあと思って。おほほ」
えり「もう、変なことさせるからお味噌汁冷めちゃうじゃないですか」ズズッ
咏「んっふふふ。おかわりあるよ」
えり「はあ、じゃあ後でいただきます……」
咏「えりちゃんのためにいっぱい作ったからね~」
えり「そんなに食べませんよ、私」
咏「いいじゃんいいじゃん、今日くらいはもりもり食べてよ」
えり「え~、もう……今日だけですよ」
咏「おそまつさまでした」
えり「朝からごちそうになってしまって……」
咏「別に気にしなくていいって。
そうだ、また休みの日の前とかにはさ、泊まりに来てよ」
えり「え?」
咏「なんかさ、こう広い家に住むのは楽しいけど……
やっぱ一人暮らしだと寂しくなる時もあるからさ」
えり「彼氏でもお作りになったらどうですか」
咏「わかってないなー、男と女友達とじゃ違うんだって。
私はえりちゃんに泊まりに来て欲しいわけ、わかる?」
えり「はあ」
咏「朝だけじゃなくて、昼ご飯も晩ご飯も作ったげるしさ」
えり「そ、そうですね……じゃあまあ、暇な日はおじゃまさせてもらいます」
咏「やった~、えりちゃんが泊まりに来てくれる、あっはは」
えり「ふふっ、まったくこの人は……」
お わ り
>>24をやりたかっただけです
だと思ったぜw
乙乙
でも最後の行がちょっとよく見えない
Entry ⇒ 2012.07.07 | Category ⇒ 咲-Saki-SS | Comments (0) | Trackbacks (0)
冬馬「うおおおおおお、たかねええええええええ!!」
貴音「…ジュピターの天ケ瀬冬馬」
冬馬「俺の名前覚えてたのか。確かあんたは…四条貴音だっけか?」
貴音「はい。あまり面識が無いので覚えておられないかと思いましたが」
冬馬(寿司屋のインパクトがでかすぎて忘れたくても忘れられねぇよ)
貴音「先日は大変失礼致しました。私、少々ムキになってしまいご迷惑を…」
冬馬「え?ああ、別に気にして無いぜ。席の並び的にあんたの方が先に取るべきだったしな」
冬馬(あれは流石にぶったまげたな…胃袋ブラックホールかよ)
貴音「立場が逆で私があのような事をされれば…怒りで我を失うかもしれません」
冬馬「そんなことで我を失うのか…」
貴音「私海よりも深く反省しております。どうかお許しください」ペコッ
冬馬「お、おい…大袈裟だな。だから気にしてないっての」
冬馬「しつけぇなぁ…もういいっての…」
貴音「いえ、このままでは収まりがつきません。他の御二方にもいずれ必ず」
冬馬(こいつ絶対譲らないタイプだな…仕方ねぇ)
冬馬「あー、じゃあ寿司奢ってくれよ。前と同じ店で良いからよ」
貴音「そのようなことでよろしいのであれば」
貴音「……」グゥゥ
冬馬「…あんた腹減ってるみたいだが何も食べないのか?」
貴音「これは私の罪です。どうかお気になさらず…」
冬馬「じゃあまずはとりあえずハンバーグ2つ」ピッピッ
貴音「……」グゥゥ
冬馬「クリームソーダとかあれば最高なんだけどな…しゃあねえか」
貴音「……」グゥゥゥ
貴音「……」ゴクリ
冬馬「次はほたてにいくら…サーモンもついでに…」ピッピッ
貴音「……」ダバー
冬馬(アイドルが涎垂らすなよ…)
冬馬「……」
貴音「……」グゥゥゥゥ
冬馬「あのよ…マジで何か頼めよ。俺も気が引けて食う気が失せちまうぜ」
貴音「いえ…これは私への罰なのです。あなた方はこの苦しみを味わったのですからこのぐらいは当然です」
冬馬(俺達の何百倍も苦しんでるように見えるぜ)
貴音「……」ダラー
冬馬「…あー、もう分かった!四条貴音、俺と勝負しろ!」
貴音「勝負…ですか?」
冬馬「負けたやつは代金を全払い、どうだ?」
貴音「ですが…それでは償いに…」
冬馬「良いんだよ!俺はこういう方が性に合ってんだ!それとも自信無ぇのか?」
貴音「無いわけでは無いのですが…」
冬馬「フン、それとも765プロはやっぱりその程度の事務所だったってことか?がっかりだ」
貴音「…そこまで言われると引き下がれません。受けて立ちましょう」
冬馬(あー、あんまり手持ち無ぇな…足りるか?)
貴音(まだ…腹6分目なのですが…)
冬馬「ちっくしょ…俺の負けか」
貴音「や、やはりここは私が…代金の大半は私によるものですし…」
冬馬「うるせぇ!俺は負けたんだ!俺が払う!」
貴音「…先ほど申し上げた通り、私はあなたにお詫びを」
冬馬「男に二言は無いぜ!」
貴音「な、ならばせめて半額だけでも!これでは何のために…」
冬馬「あー、聞こえねぇな」
貴音「更に借りを作ってしまいました」
冬馬「貸しだの借りだの気にすんなよ。勝負だからそういうのは無しだ」
貴音「……」
冬馬「そんな顔しても無駄だからな。諦めろ」
貴音「…分かりました。また別の形で…」
冬馬「分かってねえだろ…それじゃまたな」
貴音「はい、ではまたどこかで」ペコッ
貴音「天ケ瀬冬馬」
冬馬「ん?」
貴音「本日は真にありがとうございます。中々楽しかったです」ニコッ
冬馬「…!べ、別に寿司食っただけじゃねぇか!」ドキドキ
貴音「ふふっ、確かにそうですね。それでは」
冬馬(……な、何で俺はドキドキしてんだよ)
冬馬「あ、あいつ…いつの間に俺の鞄に金入れやがったんだ…それに何か用紙が…」
貴音『私のお勧めらぁめんスポットを事細かに記しておきました。
何れ機会があれば伊集院北斗、御手洗翔太と是非足を運んでみてください』
冬馬「…ばっかじゃねーの」
北斗「よく見つけられたね。冬馬ってそんなにラーメン好きだったのかい?」
冬馬「俺も今日初めて来た店だ。味の保証はしないぜ」
翔太「お、おいしい…!スープに魚介類の旨みが凝縮されてる!」ズズー
北斗「麺のコシや硬さも申し分ないよ。どうすればラーメンの美味しさが引き立つか相当研究されてる…」モグモグ
冬馬「ハフハフッ!うめぇ!うめぇぞ!最高じゃねぇか!」ズルズル
北斗「…美しくとは言わないがもう少し落ち着いて食べてくれよ」
翔太「冬馬君ってやっぱり子どもっぽいよねー」
冬馬「う、うるせぇ!こうして食べる方がうまいんだよ!」
冬馬「あいつに礼でも…あ、メルアドも電話番号も知らねーや…」
冬馬「しゃあねぇな…諦めるか」
冬馬「……」
冬馬「そうだ!765プロの事務所に行けば良いじゃねえか!」
冬馬「…やっぱやめだ。んな事で訪問したら何て言われるか。特にあの双子」
冬馬「…って何でそこまでしなきゃなんねーんだ。ばからしい」
冬馬「……」
冬馬「そうだよな、あいつはあれでも売れっ子アイドル。そう簡単には…」
冬馬「ふぅ…腹減ったな。そういえばこの辺りにもあいつお勧めのラーメン屋があったはずだ」
冬馬「おぅ!見つけたぜ!人も並んで無いしラッキー!」ガラガラ
冬馬「…あ」
貴音「む、あまふぁせふぉうまれふぁないれふか」ズルズル
冬馬「飲み込んでから喋れよ」
冬馬「わざわざ言い直さなくても良いと思うぜ」
貴音「以前は御馳走していただきありがとうございます」
冬馬「何言ってやがる。代金全額俺の鞄に入れやがって」
貴音「はて…何の事でしょうか」
冬馬「……」
貴音「それにしてもこのような場所で出会うとは奇遇ですね。何故ここに?」
冬馬「いや、あんたが俺にお勧めのラーメン店を書いた紙くれたんじゃねえか。だから来たんだよ」
貴音「…なるほど、そういえばあの紙も忍ばせておいたのでした」
冬馬「大体あのメモに書いてあったラーメン屋は回ったぜ。ここは初だけどな」
貴音「そうなのですか、渡した甲斐がありました。ここでの私の一押しは大豚ダブル野菜マシマシ醤油らぁめんなのですが」
冬馬「ふーん、じゃあ普通の醤油ラーメン頼むとするか。クリームソーダは…まあ無いよな」
貴音「……」
貴音「それは私も嬉しい限りです」
冬馬「おかげで最近ラーメン食い過ぎちまって身体に悪いぜ」
貴音「そのようなことはありません!らぁめんを食べて健康を損なうなどあり得ません!」
冬馬「いや、それはあんただけだろ…普通の人間はその内調子崩すと思うぜ。俺も気のせいか最近…」
貴音「…もしやらぁめん店の紹介はいらぬお節介でしたか?」ズーン
冬馬「え!?」
貴音「……」
冬馬「い…いや!俺もうまいラーメン食えて良い調子なんだよ!この間のライブも大成功だったからな!」
貴音「なんと!らぁめんの力が早速働いたのですね」
冬馬「ああ!これもラーメンと四条のおかげだ!サンキュー!」
貴音「ふふふ、礼には及びません。これで借りを返せたというものです」
貴音「良い食べっぷりでしたね。大変幸せそうに見えました」
冬馬「そ、そうか。北斗達にはもっと大人しく食えって言われるんだが」
貴音「そうなのですか…ですが食の形も人それぞれ」
貴音「マナーを守り周囲に迷惑を掛けなければ後は各自の好みでは無いでしょうか」
冬馬「だろ!?俺もそう思うぜ!あいつらは一々口煩いんだよなー」
貴音「…最も頬にネギをつけたままというのはどうかと思いますが」
冬馬「…マジかよ…だせぇ…」ゴシゴシ
貴音「……」スッ
冬馬「んな!?」
冬馬(ほ、頬に手が…うわぁああああ!やべぇ!!)
貴音「お取りしました。あなたもアイドルなのですからせめて顔には気を配った方がよろしいかと」クスクス
冬馬「お、おう」ドキドキ
冬馬「そうか…何か悪いな。待たせちまって」
貴音「いえ、お気になさらず。昼食の時間は余裕を持って取ってありますから問題ありません」
冬馬「なら良かったぜ」
貴音「はい、ではまた」
冬馬「あ、待ってくれ!」
貴音「何でしょうか?」
冬馬「あの…その……なんだ……」
貴音「…?」
冬馬「あー、…今度俺達のライブがあるからよ…良かったら来ねえか?」
貴音「……」
冬馬(う…やっぱりやめときゃ良かった…いきなり何言ってんだとか思われてるだろうな…)
貴音「楽しみにしております。ですが詳しい日時が分からぬ事には何とも…」
冬馬「え!?あ、そうだよな!あー、それならメルアド交換しようぜ!また連絡すっから」
貴音「なるほど、それは良いあいでぃあです。では早速…」
貴音「それでは、またご連絡をお願いします。失礼します」
冬馬「お、おお!じゃあな!」
冬馬「勢いでメルアド交換しちまった!」
冬馬「絶対怪しまれてるだろ!!!俺は何やってんだ!!」
冬馬「ライブ見に来てくれとか急に何だよ!意味分かんねえよ!ラーメンのおかげってもう…うあああ!」
冬馬「大体何で俺はこんな必死になってんだよ!ただの765プロのライバルじゃねぇか!」
冬馬「…そうだ!俺はあいつらをねじ伏せてやるために仕方なく情報を集めてるだけだ!」
冬馬「特にあの四条貴音は得体のしれねぇやつだしこの位やらないとな!」
冬馬「……」
冬馬「何てメール送れば良いんだ…今日は楽しかったです…ってバカか!!」
[SUB]天ケ瀬冬馬だ
ライブの詳しい日時が分かった。
丁度2週間後の18:00から駅前のライブハウスでやる。
暇なら来てくれ。無理に来なくても良いからな。
別に予定があるならそっち優先しろよ。
暇で死にそうなら来てくれ。
冬馬「3時間もメール内容考えるとか初めてだぜ…これで良いよな。うん、送信っと」ピッ
冬馬「……」
冬馬「……」
冬馬「って待っててもそんなすぐに連絡来ねぇだろ!」
冬馬「あー、風呂でも入って来るか!」
冬馬「…まだ返事来ねぇ…何かマズかったか?」
冬馬「もしかしてマジでメールするとかキモイとか思われてるんじゃねえのか!?」
冬馬「やっちまったな…くっ…もう良い寝る!!」
ブブブ
[FROM]四条貴音
[SUBJECT]四条貴音です。
諸事情で返事が遅れてしまいました。
申し訳ありません。
その日は仕事が入っております故まだ分かりません。
予定通りに終わったなら恐らく大丈夫なはずです。
私としても是非見に行きたい所なのですが…。
また追って連絡致します。
冬馬「来れるかどうかは微妙か…そうか…」
冬馬「……」
冬馬「…へ、返事来たぜ!どうだ、見たか!俺だって女とメールぐらいするんだよ!」
冬馬「…誰に言ってんだ俺は…とりあえず返事……長すぎたらキモイよな…」
[SUBJECT]無題
了解。
冬馬「俺はこのメールうつのにどんだけ時間かけてんだ…送信」ピッ
冬馬「……」
冬馬「……」
冬馬「…だから何携帯見つめてんだよ!きめえ!」
北斗「どうした冬馬?本番前なのに顔が暗いぞ」
翔太「ホントだー。もしかして緊張してるの?前はあんなに大勢の前でも歌ったのにさー」
冬馬「ば、バッキャロー!んな訳無いだろ!俺はいつでも万全の状態だ、行くぞ!」
キャートウマクーン!! ショウターカワイイー!! ホクトーホクトー!! ピギャアアアア!!
冬馬(…観客の中に…あいつはいないか…)
冬馬(いや、関係無ぇ!俺は今このライブに来てくれた皆のために全力を出すだけだ!)
翔太「そうだね。あー疲れた…」
北斗「あのエンジェルちゃん達の笑顔を見たら疲れなんて消し飛んだよ」
冬馬「はいはい、ちょっくら便所行ってくるぜ」
貴音「天ケ瀬冬馬」
冬馬「んなぁ!?」
貴音「ど、どうしたのですか…あられも無い声を出して」
冬馬「お、お前仕事で来れなかったんじゃないのかよ!!連絡もねぇし…」
貴音「少々さぷらいずを…と思いまして。驚いて頂けましたか?」
冬馬「当たり前だろうが!客をどんだけ探しても見当たらなかったのによぉ」
貴音「私は気配を殺していましたので。あのように人の多い場所では容易い事です」
冬馬(やっぱこいつ分かんねえ…)
冬馬「ん?ああ、そりゃありがとよ」
貴音「961プロ時代よりも更に腕を磨いていますね。再び我々の眼前に立ち塞がる日も近いでしょう」
冬馬「ふっ、当たり前だぜ。おっさんの時と同じ…それ以上のレッスンをしてるんだからな」
貴音「その直向きな向上心…敵ながら天晴れです」
冬馬「そ、そんな誉めても何も出ないぜ」
貴音「何よりあなた方が楽しんでいるのが伝わって来た事が私にとっては印象的でしたが」
貴音「それに以前よりも御手洗翔太、伊集院北斗と打ち解けているのでは無いのでしょうか」
冬馬「…別に仲の良さなんか前と大して変わらねぇ気がするが」
貴音「ふふ、そうかもしれませんね」
冬馬「なんだよー…」
冬馬「差し入れ?」
貴音「はい、くりぃむそぉだというものを…即席ですが如何でしょう?」
冬馬「く、クリームソーダだと!?」
貴音「はい、お気に召しませんか?」
冬馬「大好物だぜ!お前俺の好きな食い物知ってたのか!?」
貴音「一緒に食事をした際に何度か口走っていらしたので」
冬馬「よく覚えてるな…俺そんなこと言ってたか?」
貴音「はい、確かに」
冬馬「マジかよ…まあ良いや。ありがとよ、早速いただくとするぜ!」
冬馬「うんめえ!うめえよ!マジで!」
貴音「それは安心しました。見よう見まねで作ったのであまり自信が無かったのですが」
冬馬「四条って料理の才能あるんじゃねぇか?」
貴音「めろんそぉだにバニラアイスを入れて多少果物を加えただけなのですが…」
冬馬「ばっか、その配分が最高だって言ってんだ!」
貴音「そこまで誉められると少々照れくさいですが…」
貴音「嬉しいものですね」ニコッ
冬馬「……!」ドキッ
冬馬「え……あ、そうだよな」
貴音「後のお二人にもよろしければお渡し下さい」
冬馬「……おう」
貴音「それでは」
冬馬「…じゃあな」
貴音「歌っているお姿、普段以上に凛々しく見えましたよ」
冬馬「…は?」
貴音「何でもありません。ライブお疲れさまでした」
翔太「冬馬君ニヤニヤしててちょっとキモーイよ」
冬馬「う、うるせぇ!」
北斗「帰ってきたらこの顔だからな…冬馬まさかトイレで…」
翔太「元気注入されちゃったとか?…うん、ボクは本人が良いならそっち系でもOKだと…」
冬馬「どうしてその方向に話が転がるんだよ!んな訳ねぇだろ!」
北斗「じゃあその大事そうに抱えてる紙袋は何だい?」
翔太「確かにただの差し入れには見えないけど…まさか道具!?」
冬馬「はぁ!?」
北斗「翔太!冬馬を抑えたぞ!!」ガシッ
翔太「よっしもーらい!」ヒョイッ
冬馬「あ、バカ!やめろ!!これはお前達にはやらねぇ!」ジタバタ
翔太「……なぁんだ、クリームソーダか…そりゃ冬馬君も必死になるよね」
北斗「冬馬がそっちの人じゃ無くて安心したよ」
冬馬「ねーよ!返せこら!」ヒョイッ
[SUBJECT]四条貴音ですよ。
本日はお疲れ様です。
ファンとジュピターが一体になった素晴らしいライブでした。
機会があれば是非私達のライブにもいらして下さい。
歓迎します。
差し入れ、他のお二人への評判は如何でしたか?
あなたの喜びっぷりを見ると今でも少し笑いが込み上げてきてしまいます。
冬馬「うおおおお!メール来たああああ!俺から送るべきか悩んでたら向こうから来た!」
冬馬「テンション上がるじゃねぇか!ちくしょう!そっちのライブに呼んでくれよ!」
冬馬「…そんなに俺喜んでたか?ガキ臭いと思われたかもしれねぇ…」
冬馬「はぁ…たかがメールでこんなにはしゃぐなんて俺どうしちまったんだ」
[SUBJECT]無題
おう、今度はお前のライブ呼んでくれよ。
暇なら行ってやるから。
あいつらも美味しいって言ってたぜ。
あと俺の反応は忘れろ!
冬馬「こんなもんか…また1時間頭使っちまった。あいつらには差し入れあげてねぇけど送信っと」ピッ
冬馬「……」
冬馬「何だこの妙な感じ…あいつのこと考えると…」
冬馬「…まさか俺は…」
冬馬「……」
冬馬「いや、違う!俺はただ情報を…」
冬馬「きたあああああああああああ!メールゲッチュ!…添付ファイル?」
[FROM]四条貴音
[SUBJECT]四条貴音ですが…。
はい、次回のライブが開催される時は連絡致します。
予定が合えば良いのですが…。
そうですか。安心しました。
あの反応は忘れようにも…忘れられませんね。
新たに見つけたこのらぁめん屋…素晴らしかったです。
冬馬「連絡、絶対連絡しろよ!予定なんかこじ開けるもんだろ!」
冬馬「俺の事忘れようにも忘れられないだと!?」
冬馬「そして…この写真…店前でピースしてる四条…」
冬馬「うおおおおおおおおおサンキュー、ラーメン!」
冬馬「落ち着け…一回冷静になれ…俺」
[SUBJECT]ラーメン良いな
連絡よろしく頼むぜ。
俺も寿司事件は忘れたくても忘れられねぇ。
このラーメン屋うまいのか?
俺も行ってみたいぜ!連れてってくれよ!
冬馬「これ…ごく自然な感じだよな?おかしくないよな?」ドキドキ
冬馬「……いっけええ!」ピッ
冬馬「……」
冬馬「やっちまったあああ!!絶対1人で行けって思われてるだろこれ!!」
冬馬「連れてってって何だよ!!場所教えてもらうだけで良いだろうが!」
冬馬「メールを見るのが…怖いぜ…」チラッ
[FROM]四条貴音
[SUBJECT]四条貴音だったりします!
お互い忘れられぬのですね。
これはつまり私達の間に深い繋がりが出来たと…。
はい!こちらもお互いの予定が合い次第行きましょう。
このらぁめんの虜になること間違いないです。ふふふ。
冬馬「……」プルプル
冬馬「っしゃあああああ!!オラァ!!!」
冬馬「深い繋がり…はい!俺死んだぜ!俺今死んだ!」
冬馬「予定?合うに決まってんだろ!!どうだ!!俺だってデートに誘うぐらい出来るんだよ!」
貴音「……」
トントン
冬馬「あ?」クルッ
冬馬「…!よ、よぉ」
貴音「こんにちは。まさかこの時間に来ているとは思いもよりませんでした」
冬馬「いや、俺も今来たところだからよ」
冬馬(人生でいっぺん言ってみたかった台詞!たまんねぇ!!)
冬馬「そ、それより行こうぜ!腹減って死にそうだ!」
貴音「…何やら顔が赤いですが大丈夫ですか?体調が優れないのなら別の機会にでも…」
冬馬「べ、別に健康体だっての」
貴音「ふむ…では失礼」ピトッ
冬馬「なっ、なっ、なっ…き、急に何だよ…俺の頭がどうかしたのか?」
貴音「…やはり体温がやや高いようです。本日はもうお止めになった方が…」
冬馬「お、俺平熱が高いんだよ!全然平気だ!!早く行くぞ!」
貴音「…確かに顔色以外は別段問題は無いように見えますね。向かいましょうか」
冬馬(うわぁあああああ、触られた!!っらあああああああ!恋をはじめよう!!)
冬馬(やべぇ…普段の凛とした雰囲気とのギャップが…)
貴音「この至福の時にもはや多くの言葉は必要無いでしょう…」チュルル
冬馬(可愛いな…おいしそうに飯食う姿って悪くないじゃねぇか)
貴音「……あの…先ほどから箸が進んでいないようですが」
冬馬「!!あ、あまりにうますぎて!感動の余韻に浸ってたんだ!」
貴音「その気持ちも分かります…ですが冷めて麺が伸びてしまえば美味しさは半減です」
貴音「出来れば今の状態で食して欲しいのですが…」
冬馬「わ、分かってるっての。そんな悲しそうな顔すんなよ」
冬馬「やっぱうめぇ!お前うまいラーメン屋見つける天才だな!」ズルズル ズズー
貴音「好きこそ物の上手なれ…です」モグモグ
冬馬「それ意味合ってるか?」フーフー
貴音「言葉とは大意が伝わればそれで良いのです」ズルズル
冬馬「ごっそさん!」
貴音「御馳走様でした。真美味しゅうございました」ニコニコ
冬馬(うっ…この笑顔がたまんねぇ……ってここではい、さいならじゃ進展しねぇ)
貴音「さて…私達の目的も果たした所で」
冬馬(言え!俺…!言うんだ!!ここで!言え!)
貴音「今日の所は」
冬馬「ちょ、ちょっと待てよ!」
貴音「?」
冬馬「丁度映画のチケット2枚北斗に貰ったからさ!一緒に見ようぜ!」
貴音「……」ボリボリ
冬馬(何か良い匂いがする…これが貴音の香りか…)
貴音「……」モグモグ
冬馬「……」チラッ
貴音「……」バリボリ
冬馬(…良い)
ビー
貴音「始まりましたね」モグモグ
冬馬(人気の映画何でも良いっつったらまさかのホラー映画かよ…!)
冬馬(俺苦手なんだよ…だせぇとこ見られたら…)チラッ
貴音「め…面妖な…」プルプル
冬馬(目瞑って震えてる!何!?ホラー苦手なのか!?)
キャアアアア コカンニナニカガ
貴音「……」ビクビク
冬馬(ビビってる!超ビビってる!音だけなのに!)
ギャオオオオオオオン
貴音「……」ハッシ
冬馬(手…!!手握られた!!うおおおおおお!!)
冬馬(柔らかい!スベスベ!あったかい!!手小さい!!)
貴音「…天ケ瀬冬馬のいけず」
冬馬「ぇ」
貴音「あのような映画を見せるとは…どういうつもりなのですか…?」
冬馬「いや…その、お勧め映画って言われたからよ…」
貴音「もう少し考えて下さい…映画を見終える頃には日は落ちているのですよ」
冬馬「あ…ま、まあ別に大丈夫だろ。人通りも少ないわけじゃねぇし」
貴音「…駅まで送ってください」
冬馬「…!!お、おうよ!!」
冬馬(俺の服掴んでる!頼りにされてる!!)
貴音「……」
ワオーン
貴音「…!!い、犬の鳴き声ですか」ビクッ
冬馬「ビビりすぎだろ…あんたのイメージ丸つぶれだぜ」
貴音「誰にでも苦手なものはあるというもの…どうしようもありません…」
ヒュウウウウ
貴音「!!…か、風の音でしたか」
冬馬「何か今更ながら、すげえ申し訳ない事したような気がする」
貴音「…ありがとうございます」
冬馬「ちゃんと家帰れるんだろうな?」
貴音「はい、ご心配なく」
冬馬「そうか、まあ困ったら連絡しろよ。た、た、た、た、」
貴音「た?」
冬馬「た、貴音」
貴音「……」
冬馬(な、何か難しい顔してる…名前呼びは早すぎたか!?)
貴音「はい、頼りにしていますよ。冬馬」
冬馬「お、おう!!任せな!」
[SUBJECT]今日は悪かった
ちゃんと家帰れたか?
せっかく店紹介してもらったのに、嫌な思いさせちまったな。
悪かった。
また今度埋め合わせはするから。
あ、ラーメンは最高だったな!
[FROM]四条貴音
[SUBJECT]四条貴音…です…。
心を無にして帰りました。
はい、今後二度とあのような事はしないで欲しいです。
埋め合わせはらぁめん5杯で勘弁しましょう。
ふふふ、そうでしょう。冬馬にも素晴らしさが伝わったようですね。
以前は豚骨を食したのですが、今回の味噌もまた素晴らしかったです。
それと今日一日冬馬の歯に葱がついておりました。
冬馬「ネギ……うわああああああああ」ガンガン
冬馬「あ、あれは765プロのプロデューサーと…」
冬馬「貴音!?」
貴音「…?」
冬馬(ヤベッ)
P「どうした貴音?」
貴音「…いえ、何でもありません。あなた様」
冬馬「何で俺は逃げたんだ…逃げる必要なんてどこにも…」
冬馬「…貴音のやつ楽しそうな顔してやがったな」
冬馬「……」
冬馬「…プロデューサーとアイドルだし一緒にいるのは当然じゃねぇか」
冬馬「ははは!」
冬馬「……クソッ、何でイラツクんだ」
[SUBJECT]四条貴音でした。
ライブの日時が決定いたしました。
丁度一月後の18時から海の公園近くの会場で行います。
765プロでは無く私の…ですが。
良ければいらしてください。
冬馬「っしゃああ!!行くに決まってんじゃねぇか!ソロライブだと尚更な!」
冬馬「1カ月も待つのが辛いぜ!」
[TO]四条貴音
[SUBJECT]分かった
予定がまだ分からねぇ。
行けたら行く。
当日また連絡する。
冬馬「良し、これならがっついてる感もねぇ」ピッ
冬馬「俺も差し入れしねぇとな!何にすっか…」
冬馬「あー、興奮しすぎて眠れないなんてガキじゃあるめぇし」
冬馬「あー、どんな衣装でくるんだ!?」
冬馬「何歌うんだ!?フラワーガールか?風花か?まさかのオーバーマスターソロverか!?」
冬馬「あなたがすっき♪」
冬馬「とか生で言うのかあああああああああああああ!?」
冬馬「テンション上がってきたああああああ」
[SUBJECT]ライブ
今日は暇だから行くぜ。
冬馬「送信…」
冬馬「待てよ…これはこの間の仕返しに俺も…」
冬馬「ふふふ、やっぱやめとくか」
冬馬(人多すぎ…観客側になるとやっぱ違うな)
冬馬(あー、開演5分前…ここまで長かったぜ…)
冬馬(サイリウムもタオルも予習も完璧!後はぶっ倒れる直前まで楽しむだけだ!)
冬馬「うおおおおおお、たかねええええええええ!!」
冬馬「ハイ!ハイ!ハイ!ハイ!」ブンブン
冬馬「ハーイ!ハーイ!ハイハイハイ!」ブンブンブンブンブン
冬馬「ウォォォォ!ハイ!ウォォォォ!ハイ!」ブン ブン
冬馬「ふぉおおおおおおおおおおおお!」ブンブンブン
ガッ
冬馬「あ、スイマセン」
冬馬「フォフォフォフォ!」ブンブンブン
冬馬「フフゥ!フフゥ!フフゥ!」
冬馬「いええええええええええええい!」ブンブンブン
冬馬「ったく何であんなに歌うまいんだよ!」
冬馬「あの如月千早の蒼い鳥まで自分の歌にしちまうし…すげぇぜ!」
冬馬「けしからん衣装まで着やがって!全く最高だぜ!」
冬馬「俺が来たって気付いてるかなあいつ…」
冬馬「貴音のことなら『すべてお見通しです』とでも言いそうだぜ」
冬馬「よしっ!ちょっと顔見に行くか!この差し入れを持って…」ドキドキ
冬馬「あー、ちょっと緊張してきたぜ。喜んでもらえると良いが…」
冬馬(ん?ちょっとドアが開いて…)コソッ
P「良くやったな、貴音!」
貴音「私の力だけではありません。ライブスタッフや応援して下さる方々…そしてあなた様がいたから最高のライブになったのです」
P「おいおい、俺は大したことはしてないぞ。一番頑張ったのは他の誰でも無い貴音だ」
貴音「いえ…あなた様が側にいたから私は今回も最後まで全力でやり通すことが出来たのです」
P「そう言われると照れくさいが…ありがとうな。貴音も可愛くて美人で最高だったぞ」
貴音「そ、そのような事をおっしゃられると…私は…」モジモジ
P「だって事実だろ?」ナデナデ
貴音「…あなた様はいけずです。また私をからかって」カァー
俺もキツイよ
貴音「ぁ…ぅ…」
P「ふむ…やっぱりちょっと熱っぽいかな?」
貴音「…あなた様」ギュッ
P「うおっ!?急にどうした!?」
貴音「お、お返しですよーだ」
冬馬「……」ダダッ
冬馬「ははっ、そりゃ当然だよな。何度か飯食ったぐらいで何舞い上がってたんだ…」
冬馬「男として見られてたかどうかも怪しいぜ」
冬馬「ばっかじゃねぇの…マジで」
冬馬「こんなんだから北斗や翔太にも…」
冬馬「……」
冬馬「あー、やめだやめだ!あいつはただの敵、それだけだ」
冬馬「向こうも俺の事をそのぐらいにしか思ってくれてねぇだろうしな」
冬馬「……」
冬馬「あのプロデューサーか…確かに良い奴だな」
冬馬「……」
冬馬「クソッ…ちくしょう…!」グスッ
[SUBJECT]四条貴音だぞー!
本日は何か予定が入っていたのでしょうか?
今回のライブは自惚れかもしれませんが私の持てる力を十二分に発揮できたと思います。
冬馬にも是非見ていただきたかったです。
よろしければ、再びライブを開催する際はご連絡しますが。
冬馬「……」
[TO]四条貴音
[SUBJECT]無題
そうか、それは良かったな。
連絡は別にしなくて良い。俺はあんたと馴れ合うつもりは更々無い。
冬馬「これで良いんだ…これで…!」
[SUBJECT]馴れ合い…ですか。
そうですか…。承知しました。
私だけ招待されたままなので冬馬にも私のライブを…と思っていたのですが。
話は変わりますがまた新たならぁめん屋を見つけたのですが…今度如何ですか?
[TO]四条貴音
[SUBJECT]無題
ラーメンなんか1人で食いに行けるだろ。
そういうのが馴れ合いって言ってるんだよ。俺たちは敵同士なんだ。
冬馬「……」ピッ
冬馬「あー…こういう所がダメなんだろうな俺」
冬馬「…もうどうでもいいか。寝て何もかも忘れちまおう」
ブブブ
冬馬「…あ、メール来てるな…もう見たく…無ぇや。消去…っと」ピッピッ
>>151のSUBJECTが
なんとも・・・。
と思ったけど、よく考えたらコイツまだ高2くらいだし、こんなもんだよな
お、あまとうってそんなに若いのか・・・
チャオ20、羅刹17、トイレ14だったはず
冬馬「またあいつ…」
[FROM]四条貴音
[SUBJECT]四条貴音…です…。
美味しいくりぃむそぉだとらぁめんが出てくる店を見つけました。
冬馬なら喜ぶと思うのですが。
今度御一緒しませんか?
冬馬「プロデューサーとでも行けば良いだろ…」
冬馬「それとも好きだからそんなの恥ずかしいってか?」
冬馬「……」
冬馬「もうこれからメールが来ても何もしないで良いか…」
冬馬「返事するのも内容見るのもきついぜ…」
冬馬「…それなら着信拒否…か」
冬馬「……」
なんでこんなに切ないんだよ
貴音「…お久しぶりです」
P「お、お前は天ヶ崎竜馬じゃないか!こんなところで出会うなんて!」
冬馬「……」
P(あ、あれ?)
貴音「私達これかららぁめん屋に行くつもりなのですが…」
冬馬「……」
P「そうだ、一緒にどうだ?」
冬馬「行かねえよ。あんたらと遊んでる暇は無い。じゃあな」スタスタ
貴音「……」
P「相変わらずツンツンしてるなぁ。…どうした貴音?」
貴音「いえ…」
冬馬(はぁ…相変わらず仲良しごっこが好きなんだな。765プロは)
冬馬「こんな時はやっぱサッカーでストレス解消に限るぜ」
貴音「……」
冬馬「何でこんなところにいるんだ…ほとんど誰も来ねぇグラウンドだってのに」
貴音「御手洗翔太、伊集院北斗に冬馬の最近の動向を教えてもらったので」
冬馬「あいつら…」
貴音「…何故、ですか?」
冬馬「は?」
冬馬「……」
貴音「…理由も分からずに……あまりに辛い…」
冬馬「…俺は元から馴れ合いなんか大嫌いなんだよ」
貴音「では、何故以前は私と共に食事をして下さったのですか…?」
冬馬「……」
貴音「何故私をライブに招いてくれたのですか…?」
冬馬「そんなのは…ただの気まぐれだ」
貴音「私にはそうは思えません」
冬馬「あんたに…俺の何が分かるんだ」
貴音「確かに私は今はまだ冬馬の事をほとんど何も分かっていないでしょう」
貴音「ですが…だからこそより深く知りたいと思う相手と友人になるのではないですか?」
貴音「……」
冬馬「もう…俺に関わらないでくれ」
貴音「え…?」
冬馬「正直うんざりだ。あんたと顔を合わすのも」
貴音「そうだったの…ですか…」
冬馬「ああ、俺たちはただの敵同士。会話はステージの上だけで十分だ」
貴音「…分かりました。最後に渡しておきたいものがあります」
冬馬「…何だよ」
貴音「最近冬馬の調子が優れないとのことで…くりぃむそぉだを…」
冬馬「……いらねぇ」
貴音「そう…です…か…」
冬馬「…ああ。あばよ」
冬馬「もう…最低すぎるぜ。何もかも…」
北斗「全く最低だぞ。女性を悲しませるなんて…それも俺達が以前迷惑をかけたエンジェルちゃんに」
冬馬「…は?」
翔太「そんなんだから冬馬君は冬馬君なんだよ」
冬馬「な、何でお前らが知ってるんだよ!?」
北斗「そりゃ何があるか気になって見に行ったからに決まってるじゃないか☆」
翔太「急に貴音さんに冬馬君のこと聞かれたら…もう尾行するしかないじゃん」
冬馬「ああああああああ!!くそおおおおおおお」
翔太「結構きついこと言うよねぇ。ちょっと驚いちゃったよ」
冬馬「……ああ、俺は最悪の糞野郎だ。自分でもビックリするぐらいのな…」
冬馬「…簡単に言ってくれるじゃねぇか」
北斗「好きな相手だから余計気まずいんだろ?」
冬馬「ああ…」
冬馬「ってはあああああああああああああああ!?」
翔太「え?好きじゃないの?」
冬馬「は?は?意味わかんねぇ!どうしてそうなんだよ!!」
北斗「今まで相手までは分からなかったけど好きな人がいるって事は丸分かりさ☆冬馬の行動を見ればね」
翔太「えー、北斗君知らなかったの?冬馬君が貴音さんのライブに行った事」
北斗「ライブは知らなかったな。…つまり冬馬は好きな子猫ちゃんほどいじめたくなるタイプだろ?」
冬馬「……」プルプル
北斗「逆切れしてるって訳だね」
冬馬「ああ…」
翔太「擁護しようが無いよ…」
北斗「うん…正直フォロー出来ない…」
冬馬「うっせえ!そんなの分かってんだよ!!」
翔太「…ここまでしちゃったなら告白しかないね」
北斗「ああ。自分の誠意を見せるしかない」
冬馬「こ、告白だと!?」
北斗「自分の気持ちを包み隠さず話すのが今出来る唯一の償いだと思うよ」
冬馬「……」
翔太「冬馬君はこのままでいいの?本当にそう思ってる?」
北斗「自分の気持ちも伝えず、相手を傷つけたまま終わりで本当に良いのか?」
冬馬「……俺は……俺は……」
冬馬「俺は常に…真っ向勝負だ!どんな事でもな!そんな終わりで良いわけねぇだろうが!!」
翔太(うわぉ、あっさりのってくれた)
北斗(ちょろすぎるな)
翔太(どうなっても楽しそうだね)
それはないだろうと思うところもある。
よう俺
[SUBJECT]無題
あんな事言っといて虫が良すぎるのは分かってる。
だけどお前にどうしても直接伝えたい事がある。
1週間後の俺達のライブに来てくれ。場所と時間はあの時と同じだ。
ライブ後に…話す。
冬馬「……」
冬馬「……」ピッ
冬馬「…後は…俺が出来る事をするだけだ」
貴音「…はっきり申しますと…実はこの場に来たくはありませんでした」
貴音「あのような事があった後で…私は本当にこの場に来て良いものなのか…それさえも不安でした…」
冬馬「だろうな…」
貴音「ですが…私も冬馬とこうして話したかったのもまた事実」
貴音「あなたが私にどうしても伝えたい事…とは一体」
冬馬「……」
貴音「……」
冬馬「愛してる、愛してるいつか未来で。僕が君に誓うから」
貴音「…『恋をはじめよう』…ですか?今日のライブでも歌っていた…」
冬馬「……」スー
冬馬「俺は…貴音、あんたが好きだ」
冬馬「……」
貴音「…それは真ですか?」
冬馬「ああ、あんな事言った後に何言ってるんだと思うかもしれねぇが…」
冬馬「冗談でも何でも無い。本気だ」
貴音「…私も…冬馬の事は」
冬馬「いや、違う。俺の好きとお前の好きは全く違うんだ。分かってる」
貴音「……」
貴音「……」
冬馬「貴音、俺と付き合ってくれ」
貴音「……」
冬馬「……」
貴音「…冬馬の気持ちを知ることが出来てとても嬉しいです。そして私などを選んでくれてありがとうございます」
冬馬「……」
貴音「…ですが…私では冬馬の気持ちに応える事が出来ません。申し訳ありません…」
冬馬「そう…か…」
冬馬「…なんてな!なーに暗い顔してんだ!俺の完璧な演技に引っかかったな!」
貴音「はい?」
冬馬「ハハハ、自分でも驚きだぜ!あの四条貴音も騙されるぐらいだからな!」
冬馬「ドッキリ大成功!ってか」
貴音「……見事に騙されました」
冬馬「腹痛いぜ!貴音の鳩が豆鉄砲食らったみてぇな顔、中々拝めねぇぞ」
貴音「……」
冬馬「…あー、ホント。笑いすぎて泣けてきやがったぜ」
貴音「いえ、気にしておりません。何か事情があったに違いが無いのですから」
冬馬「貴音は…優しすぎるな。程々にしといた方が良いかもしれねえぜ」
貴音「どういう意味でしょうか…」
冬馬「…世間には身の程知らずなバカがいっぱいいるって事だ」
貴音「……」
冬馬「さてと…言いたい事も全部言えたし、解散だな」
貴音「…本来なら最初に言うべきでしたが」
冬馬「ん?」
貴音「本日のステージも素晴らしかったです」
冬馬「…へっ!当然だろ」
貴音「逃げる…とは?」
冬馬「飯に誘うなら俺なんかよりも一緒に食いたい奴がいるんじゃねぇか?」
貴音「…!」
冬馬「俺みたいに逃げたら碌な事にならねぇからな。ぶつかっていけ」
貴音「…ふふっ、あの方から逃げているように見えるのですか。私もまだまだですね」
冬馬「…精々頑張るんだな」
貴音「分かっています。あの方は皆に好かれていますから」
冬馬「…じゃあな、他の連中に絶対負けんなよ!!絶対にな!」
貴音「冬馬」
冬馬「あ?」
貴音「ありがとうございます」ニコッ
冬馬「っ…」プイッ
冬馬「あぁ…!」グスッ
貴音「どうしたのですか?」
P「いやな、いきなり冬馬君に『貴音を悲しませたら俺が殴る』とか言われてさ」
P「まず悲しませるの意味が分からんし…仮にそうなっても彼が俺を殴る理由も分からないし…」
貴音「私を悲しませる人にあなた様は見えたのでしょう。もっと私を大切にしてください」
P「大切にしてるぞ!765プロのアイドルは皆俺の大事な仲間だ!」
貴音「…あなた様はいけずです」
P「何故」
貴音「冬馬…やはり来てくれていたのですか」
P「んでこれを貴音に渡してくれって頼まれたんだが」
貴音「何でしょうか…中々大きな物ですが」ガサガサ
翔太「だってあの楽屋裏戻ってきた瞬間の冬馬君の男泣き!結果は分かってたのにさー」
北斗「人はああいう経験を経て成長していくんだから恥ずかしい事じゃないさ☆」
冬馬「う、うるせぇ」
翔太「でもあの手作りフィギュアを渡したんでしょ?手渡しじゃ無いにしてもその勇気はすごいね」
冬馬「その言い方明らかにバカにしてるだろ」
北斗「それも1週間であのクオリティ…ある意味尊敬に値するよ」
冬馬「前作ってたやつベースにしたから完成が早かっただけだ!勘違いすんな!」
翔太「好きな人と恋敵のウェディングフィギュアってのもどうかと思うなー」
冬馬「もう、俺は気持ちを吐きだしてふっきれたぜ。後はあいつが幸せなら満足だ」
北斗「うん、冬馬は少しだけ大人になったのかな」
翔太「1ミリぐらいね」
冬馬「なんだと、このチビ」
P「何だった?」
貴音「み、見てはいけません!とっぷしーくれっとです!」
P「えぇー、見せてくれよー」
貴音「…強いて言うなら…私とあなた様の未来が描かれた物…ですね。これ以上は言えません」
P「占い本か何かか?」
貴音「その時が来れば…あなた様にも見せてさしあげます」
P「その時?」
貴音「私、皆には負けませんから!」
P「…うん!何か良く分からんが頑張れ!」
貴音(冬馬、きっとあなたなら…素晴らしい人に出会えるはずです)
冬馬「いええええええええええええい!」ブンブンブン
冬馬「お前ら、この後楽屋裏に行くからな!今回のフィギュアは力作だぜ!」
翔太「あ、うん…ドンビキだよ。本人だともっとヒクんじゃないかな」
北斗「これで何個目だ…流石に迷惑じゃないか?正直神経を疑うレベルだぞ…」
冬馬「何言ってやがる!そんなはず…あ!貴音が俺を見たぞ!手振ってくれたぜ!」
翔太「…なんだか別の方向にもふっきれちゃったよ」
北斗「本人が幸せなら良いのかもしれない…多分ね」
冬馬「うおおおおおお、たかねええええええええ!!」ブンブン
終わり
たまにはこういうほろ苦い話もいいな
横アリでもあまとうは、来てたんだろうな。
乙
Entry ⇒ 2012.07.06 | Category ⇒ アイマスSS | Comments (3) | Trackbacks (0)
恒一「誰かに閉じ込められたようだ」
引用元: ・http://hayabusa.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1341497753/
恒一「ここは、どこだ?」
恒一「そうだ……帰るときに靴箱から靴を取ろうとしたら誰かに後ろから殴られて……」
恒一「ここ、どこかの空き教室?」ジャラジャラ
恒一「うわ!なんだこれ!手錠!?」ジャラジャラ
恒一「駄目だ……スチーム暖房のパイプを挟んで繋がれてるみたいで抜けそうにない」ジャラジャラ
恒一「………」
恒一「……完全に日が沈んでるなぁ」ジャラッ
恒一「これって、もしかしなくても監禁だよね」
恒一「誰がこんな事したんだろ」ジャラリ
ガラッ
>>6「起きてたんだ?」
恒一「……!」
佐藤「……ごめんなさい。こんな真似して」
恒一「……これ佐藤さんの仕業?」
恒一「なら出来るだけ早く外してくれる?この手錠」
佐藤「………」フルフル
恒一「じゃあ教えて。どういう目的でこんな事したの?」
佐藤「それは……」
佐藤「……>>23」
恒一「は?」
佐藤「うん。詳しくは話せないけど、恒一くんは今とても危険なことをしようとしてるから……」
恒一「(危険なこと?)」
佐藤「だから、少し酷いけどここに閉じ込めたらいいんじゃないかって話になって、それで」
恒一「僕が知らないうちにヤバいことに手を出して、それが原因で閉じ込められたのはわかったけどさ」
恒一「僕、いつまでここに閉じ込められるの?」
佐藤「多分、赤沢さんがいいって言うまで……」
恒一「じゃ、その間僕は家には帰れないの?」
佐藤「ううん」
佐藤「当番が送り迎え付きで登校して、学校にいる間は当番の人がついてることになったの」
佐藤「その、ごはんとかおトイレとかあると思うし……」
佐藤「で、明日の当番は私なの」
恒一「あ……そう」
ガチャン
勅使河原「わりいな、サカキ」
恒一「別にいいよ。事情があるんだろ?」
勅使河原「そういうこった。まあ、俺からもあいつに監禁生活から解放するよう頼んどくよ」ヒラヒラ
ガラガラ
佐藤「……」
恒一「……」
恒一「明日は、違う人なの?」
佐藤「うん。一人がかかりっきりだと授業とか受けられないし」
恒一「(僕も授業受けられないけどね)」
恒一「………」
佐藤「………」
恒一「(何この沈黙の空間)」
鳴「(カツサンド食べたいなぁ)」テクテクテクテク
恒一「(あ、見崎だ)」
佐藤「……っ!?」
恒一「おーい、みさ」佐藤「っ!」オサエコミッ!
鳴「(帰りにコンビニ寄ってカツサンド買おっと)」テクテクテクテク
恒一「わ!佐藤さんいきなり何するの!」
佐藤「詳しくは話せないけどとにかくこうしないと駄目なの!」ギュウウウウ
恒一「(って言ったって女の子にベアハッグかまされるのは色々ヤバいって!)」ポニャポニャ
恒一「(柔らかいの、特に頭に柔らかいのがあああああ!!)」ポニャポニャ
佐藤「ごめんね……いきなり押さえ込んだりなんかして」
恒一「あ、うん。気にしてないよ(むしろご褒美でした)」
恒一「(佐藤さんの身体、石鹸のいい匂いだったし、柔らかかったし、それにおっぱい当たって……)」
佐藤「……ところでそれ、さっき押さえ込んだ時からみたいだけど……もしかして私のせい?」オズオズ
恒一「え?」ノゾキコミッ
ピィーン
恒一「うわあああああ!(何やってんだ!沈まれ!僕の股間!)」
佐藤「すっごいきつそうだけど大丈夫なの?」
恒一「全然大丈夫だから!むしろ佐藤さんが見てたら目が腐るから!」ダラダラ
佐藤「そう……」
佐藤「(でも私で反応してくれたのはちょっと嬉しいかな?)」
佐藤「じゃあお昼にしようか」
恒一「そうしよ……」
恒一「って、佐藤さん。ご飯の時も手錠かけたままなの?」
佐藤「うん。帰るときとその、おトイレ以外は外したら駄目って」
恒一「じゃあどうやって食べるの?」
佐藤「食べさせてあげるんだって。あーん、って」
恒一「ええっ!何それ!?」
佐藤「ちょっと恥ずかしいかもしれないけど、クラスの決まりなの。ごめんね」
恒一「……そうなの。僕のお弁当は鞄のすぐのとこにあるからね」
イソイソカパッ
佐藤「恒一くんのお弁当。美味しそうだね。これ誰に作ってもらったの?」
恒一「一応自作だよ」
佐藤「そうなんだ、凄いなあ」
恒一「あーん」カアア
パクッ
佐藤「凄い照れるね。これ」カアア
恒一「照れる……ね」ムグムグカアア
佐藤「次、食べる?」
恒一「うん」ゴクン
佐藤「はい、あーん」フルン
恒一「(……佐藤さんのおっぱい、動く度にふるふるしてる)」
恒一「あーん(あー、リボンとブラウスさえなきゃ谷間が見えるのに……)」
佐藤「(あ、またおっきくなってる)」
佐藤「(私で反応してるんだ。私って魅力あるのかな?)」
佐藤「ね、恒一くん?」
恒一「え?」
佐藤「さっきもまたそこ、おっきくなってたよ」
恒一「え……」
恒一「(や、やっちまったああああ!!)」ワナワナ
恒一「(うわあああああ僕佐藤さんに嫌われるよ!ちんこ蹴り潰されるかもしれないどうしよおおお)」ワナワナ
佐藤「恒一くん?」
恒一「は!はひっ!」ビクウッ
佐藤「私ってよくわからないんだけど、そんなに魅力あるのかな?」モジモジ
恒一「……え?」
佐藤「……私でおっきくなったってことは、そうなんだよね……?」モジモジ
恒一「(なにこの大天使)」
佐藤「ねぇ、私って魅力ある?」ズイッ
恒一「……ゴクッ」
恒一「あ、あるよ……」
佐藤「例えば?」
恒一「おっとりしてるのに意外と大胆なとことか、身体が凄いいい匂いするのとか、あと……」
佐藤「あと?」
恒一「その、お、おっぱいとか」
佐藤「……やっぱり男の子ってオッパイ好きなんだね」クスッ
佐藤「じゃあ正直な恒一くんには特別にオッパイ見せてあげるね」ヌギヌギ
恒一「え?」
佐藤「特別だからよーく見ておいた方がいいよ」クスッ
恒一「(佐藤さんのおっぱい……谷間がぷるぷる揺れて……)」ハァーハァー
佐藤「やだ、息荒いよ」フフッ
佐藤「で、恒一くんはこれで満足?」フルン
恒一「え?」
佐藤「お願いしたら見せてあげる。生のオッパイ」フルン
恒一「本当?」
佐藤「うん」フフッ
恒一「……ゴクッ」
恒一「……佐藤さん。おっぱい全部見せてください」ボソボソ
佐藤「和江」
恒一「和江!おっぱい全部見せて!」
佐藤「よく出来ましたっ」プチプチ
佐藤「はい、ご褒美」ユサンッ
恒一「(それでいて乳輪はちっちゃくてピンクだったり乳首は陥没だったりとか……)」
恒一「(僕だけを萌え殺す兵器かよ)」ワナワナ
佐藤「すっごい窮屈そうだね。そこ」ユサンッ
恒一「(覗きこんだだけで乳揺れ起こすとか!)」
佐藤「もっかいお願いしたら、オッパイでしてあげよっか?」
恒一「えっ!?」
佐藤「おちんちん、オッパイできもちよくしてあげよっか?って」
鳴「(この前霧果が北海道土産に買ってきたマルちゃんの塩ラーメン食べよっかな?)」テクテクテクテク
佐藤「(あ……また来た)」
佐藤「(でも恒一くんはオッパイに釘付けみたい)」
佐藤「(それじゃだめ押しに……)」
チュウウウウウ
恒一「(え!?佐藤さん、キスして……)」
佐藤「(やだ、頭とろけちゃいそう……)」
佐藤「………ぷぁ」トローン
恒一「佐藤さん……」
佐藤「和江だよ。恒一くん」
佐藤「高林くんじゃないけど、フェアじゃないから私も言うね」
佐藤「私も恒一くんのことが大好き」
佐藤「笑顔も、優しくて知的なとこも、エッチなとこも」
佐藤「それに、私のオッパイで興奮してくれたこのおちんちんも」ギュッ
佐藤「きゃっ」ボロンペシッ
恒一「(なに佐藤さんの顔ビンタしてんだ僕の愚息!)」
佐藤「すっごい暴れん坊だね。そんなにオッパイできもちよくなりたいのかな?」トローン
恒一「(表情が凄いエロい……佐藤さんにこんな破壊力があるなんて知らなかった)」
佐藤「それじゃオッパイで包んであげるね」ニュルニュル
恒一「ああああっ!!」
赤沢「(様子を見に来たら、なんか凄いことになってるわね)」ハアハア
桜木「(あれって生パイズリだよね?榊原くん凄いきもちよさそう……)」ハアハア
杉浦「(やっぱ榊原くんもおっぱい星人だったか)」ハァ
杉浦「(でもってことはもっと単純な中尾への応用は十分可能ってことよね)」
巨乳ばっかに
桜木「(コート掛けにかかってた誰かの忘れ物だから落とし物に届けに行こうと思ったの!)」ヒソヒソ
杉浦「(ちょ、なんか展開が変わってきた!)」ヒソヒソ
佐藤「んっしょ、んっしょ」ユサユサ
恒一「あっ……ああっ……佐藤さん」
佐藤「和江。もう何回も言ってるでしょ?」ギュウッ
恒一「かっ、和江。なんでこんなこと……知ってるの?」
佐藤「女の子だってエッチな本くらい読むよ」
佐藤「それに私って結構ムッツリなとこあるし」ユサユサンッ
恒一「ああああっ……そこはっ!」
恒一「え……」
佐藤「もうちょっと滑りよくしよっか……んっ」クチュクチュ
恒一「和江、なにして……」
佐藤「べー」ダラリッ
恒一「あ……和江のよだれが僕のにかかって……あったかっ……」ブルッ
佐藤「よだれローション、これで滑りよくなったよ」ユサユサクチュクチュ
恒一「あふうっ!」ビクウッ
赤沢「(榊原くんのあの様子からするにフィニッシュは間近ね……)」モミモミハァハァ
桜木「(飲むか、かかるか、どっちなんでしょうか……)」モミモミハァハァ
杉浦「(あんたら空き教室の前で胸揉みながら興奮しないでよ。端から見たら不審者でしかないって)」
杉浦「(まあ、私に言えた義理じゃないけど)」ハァハァ
佐藤「えっ?」ユサユサンッ
恒一「うっ……!」
ビュルッ!
パタタタッ
恒一「はぁ……はぁ……」
佐藤「やだ、顔にかかっちゃった……すごいドロドロ」
佐藤「栗の花の匂い、すっごい……」トロン
恒一「ごめん、顔にかけちゃって」
佐藤「こんなに一杯かけてくれたって事はそれだけ気持ち良かったってことだよね」
佐藤「恒一くんが気持ちよくなったなら全然嬉しいよ」ニコッ
恒一「(精液かかったまま微笑む佐藤さんエロすぎるよおおお!)」ムクムク
佐藤「あれ?またおっきくなってきたね」フフッ
佐藤「やっぱりおちんちんはここに入りたいのかな?」シュルッ
恒一「(スカート、たくしあげて……うわ、凄い。パンツ黒いレースだよ……)」
佐藤「おちんちんはわたしのここに入って、一杯精液出して、私の卵子ちゃんをじゅせえさせたいんだよね」ナデナデ
佐藤「いいよ、一杯きもちよくしてあげるね」シュルリッ
恒一「(うわ、パンツが落ちた……)」
恒一「(和江のまんこ……上の方にうっすら毛が生えて、ちょっと開いてひくひく呼吸してるみたいに動いてる……)」
佐藤「やだ。そんなじっと見るほど綺麗じゃないよ。私のなんて」
恒一「ううん、すっごい綺麗だよ」
桜木「(カメラっ!誰かカメラっ!)」ボタボタ
杉浦「(てか大丈夫かなあの二人。生でやる気満々みたいだけど……)」
三神「……あなた達?そこで鼻血垂らして何見てるの?」
赤沢桜木杉浦「あっ」
三神「いったいその教室で何が起きてるの?」カツカツカツカツ
赤沢「(やばっ!昼下がりのニャンニャン現場見られたら止めずに覗いてたって対策係やめさせられる!)」
桜木「(同じく委員長やめさせられる!)」
三神「本当に何があるのか教えなさい。三人とも」カツカツカツカツ
鳴「(塩ラーメンにバターとカリカリ梅を入れてあげて)」テクテクテクテク
鳴「きゃ」ドサッ!
三神「あっ!」ドカッ!
赤沢杉浦「あ」
桜木「あ」キラーン
三神「あ」ゴオオオオ
ドスッ! キャアアアアアアアアアアア!!
恒一「ちょ!何!今の悲鳴!」ガチャガチャ
佐藤「今の声桜木さんだよね!?ちょっと見てくるね!」
恒一「あっ!和江!ブラウスとブラジャー!あとパンツ履いてから行って!あとティッシュかなんかで精液落とさないと流石にまずすぎるって!」
恒一「(その間に僕は放課後の送り迎え役を買って出た和江と朝晩イチャイチャし、一線を余裕で越えた)」
恒一「(そして、監禁生活解除後の今でも僕は和江にお弁当を食べさせてもらっていたりしている)」
恒一「(なんか忘れた気もするけど、僕達はとりあえず元気です)」
佐藤「はい、あーん」
恒一「あーん」
完
あとこれは少しおまけで
恒一「あれ?」ムクッ
恒一「ここどこ?誰かの部屋?」ジャラッ
綾野「わたしの部屋だよ?こういっちゃん?」
恒一「綾野さ……って、この手錠なんなの!?」
綾野「はずそうとしても無駄だよ♪それFBIの使ってる手錠と同じモデルなんだって」
綾野「ちなみに手錠の鍵は私が持ってますっ」
恒一「どうしてこんな事!」
綾野「んー、こういっちゃんの事独り占めしたくて」
恒一「独り占め……?」
綾野「そ。独り占め」
恒一「ひっ!」ビクッ
綾野「あ……怖がらせてごめんね」シュン
綾野「でもね、こういっちゃんを守るにはこうするしかなかったから」
恒一「(なんかおかしいぞ、この綾野さん)」
綾野「でももう安心だよ。こういっちゃんは一生側で私が守るからね」アハハ
恒一「(絶対におかしい……)」
綾野「ところでさ、こういっちゃんキスって初めて?」
恒一「え……?」
綾野「初めて?答えて欲しいな」
恒一「え?」
綾野「やっぱりみさきっちゃん?それとも意表をついて泉美?」
恒一「そ、それは……」
綾野「……まあいいよ。もうあんなの目にも入らなくなるから」
綾野「あんなのはもう眼中に入らないくらい、この部屋で私が愛したげるからね」チューー
恒一「(何これ……舌まで絡めてきてる)」
綾野「はぷ、ちゅ、ちゅううっ」
恒一「(よだれ吸われて……綾野さんってこんなにねちっこいキスするの?)」
綾野「ぷはっ。どう?良かったかな?」
綾野「私はこういっちゃんのよだれ飲めて幸せだったよ?」
恒一「……なんでこんな事するの?いつもの綾野さんらしくないよ」
綾野「いつもの私?」
綾野「じゃあ聞くけど、いつもの私ってどんな私?」
恒一「……明るくて、さばさばしてて、クラスのムードメーカーで」
綾野「そんなの上っ面だけだよ」
綾野「こういっちゃんの事が好きで好きでたまらなくて、告白する勇気はないけど誰にも取られたくないから監禁して自分のものにしようとした馬鹿な女の子」
綾野「こういっちゃん幻滅したよね?でも帰さないから」
恒一「(これが綾野さんの本性……なんかいつもより凄く弱弱しい感じがする)」
綾野「今からおちんちん、きもちよくしてあげるね」シュルッ
綾野「あんまり上手くないかもしれないけど、嫌わないでね」
恒一「なんでそんな性癖知ってるの?」
綾野「てっしーが教えてくれたよ。あとスク水も好きなんだよね」
恒一「(勅使河原ァァァ!)」
綾野「あんまりおっぱいおっきくないけど、嫌わないでね……」
恒一「(確かに大きくはないけど、綺麗な形してるなぁ)」
ジー
綾野「あんまりおっきくなってないね……」ボロンッ
恒一「そりゃ……何もされてないわけだしね」
綾野「キスしたよ」
恒一「いきなりだったしね」
綾野「そっか、残念」シュン
綾野「でも、言ったからにはきもちよくしてあげるからね……はむ」パクッ
綾野「どう……かな?じゅっ、きもちいいかな?」モゴモゴ
恒一「(すごっ……綾野さんの口、ねっとりしてて、熱くて、きもちいい……)」
綾野「ふふっ、おっきくなってきた。良かったあ……じゅっ」
綾野「口の中、こういっちゃんでいっぱいだよ……死んじゃいそっ」モゴモゴ
恒一「(綾野さんがこんなにうっとりしてるの……初めて見た)」
綾野「大丈夫だよ……全部、飲むからっ」
恒一「の、飲むからって!無理だっ……あっ!」ブルルッ
綾野「んううっ!」ゴプッ
綾野「(やだっ!気管に入って……!)ゲホッ!ゲホッゲホッ!」
恒一「だ、大丈夫!?凄い苦しそうだけど……」
綾野「……なかった」
恒一「え?」
綾野「飲めなかったよぉ……こういっちゃんに、嫌われちゃうよぉ」ポロポロ
綾野「そんな事あるよっ!」ポロポロ
綾野「私なんの取り柄もないしおっぱい小さいし好きな人いきなり監禁しちゃう独占欲まみれのダメな女なんか嫌って当然だよっ!」ポロポロ
綾野「私にできるのなんてこういっちゃんのこときもちよくする事くらいだけど、それも失敗しちゃったんだよ!?」ポロポロ
恒一「綾野さん……っ!」
恒一「(ちっくしょっ!後ろ手になってて抜けやしない!)」ガチャガチャ
恒一「(外れろやああぁぁっ!)」ガチャガチャ
綾野「もう駄目だよぉ」ポロポロ
バチインッ
恒一「(外れた!?いや、鎖が切れた!?)」
恒一「(でもどっちでも同じだっ!)」
ギュッ
綾野「え?」
恒一「嫌わないって」
恒一「綾野さんが僕が好きだって事も、それで綾野さんが不安だって事もわかった」
恒一「僕は綾野さんの事、好きだよ」
恒一「元気な綾野さんも、健気な綾野さんも、どっちも大好きだ」
ギュッ
恒一「だから、泣かないで」
綾野「こういっちゃん……」エグッ
綾野「うん」グスッ
綾野「ごめんね。泣いたりしたりして」
恒一「いいよ。綾野さんも不安だったんでしょ」
恒一「流石に綾野さんの中での僕のイメージがどんなのなのか少し気になったけどね」アハハ
綾野「……ね、いいかな」
恒一「え?」
綾野「順序おかしくなっちゃったけど、こういっちゃん、大好きです。私と付き合ってください」
恒一「……うん」コクリ
綾野「うん。バイバイ」ヒラヒラ
恒一「バイバイ。帰ったらショートメールするからね」ヒラヒラ ガチャ
小椋「すっかり仲良くなったみたいね」
恒一「小椋さん!?」
小椋「聞かれる前に先に言って置くけど、私は最初からここにいたし、ついでに言うと彩の共犯だから」
恒一「あの手錠の細工も??」
恒一「あれ、鎖がわざと外れやすいようにペンチで加工してたんでしょ?」
小椋「ギャンブルだったけどね。さっきみたいに彩を抱き締めてハッピーエンドになるか、彩を襲い倒すか、そのまま逃げるかの三分の一の賭け」
小椋「もし外れたら私が入って榊原くんを警棒でぶん殴る算段だったの」
恒一「私の場合?」
小椋「そ。彩と榊原くん達よりも面倒くさい関係で、榊原くんよりずっと面倒くさい人」
恒一「……そうなんだ」
小椋「彩を泣かせないでよ。意外と泣き虫なんだから」
恒一「オーケー、約束するよ」
恒一「恥ずかしいって、そんな」
綾野「いいからいいから、あーん」
恒一「……あーん」
赤沢「あの二人っていつあんなに仲良くなってたの?」
勅使河原「つかあれはもうありゃ新婚だろ」
赤沢「私も榊原くん狙ってたのにっ……」グシャグシャ
鳴「大丈夫だよ。赤沢さんは最初から眼中になかったから」
赤沢「なによそれっ!」クワッ
鳴「……でもあの二人はすごく強く繋がってると思うよ」
小椋「それって、二人でお互いの手に手錠してるみたいな感じに?」クスッ
勅使河原「なんだよそれ」
鳴「凄い近いかな。でも二人とも凄い楽しそう」
完
綾野ちゃんはこんな弱い子であって欲しいと願う俺がいます。
小椋さんのも見たいなーチラッ
Entry ⇒ 2012.07.06 | Category ⇒ AnotherSS | Comments (1) | Trackbacks (0)
やよい「おとなに、なりたい」
――PM19:30
やよい「うっうー!プロデューサー!今日もお疲れ様でしたぁ!」
P「おう!お疲れ様、やよい」カタカタ、カチカチ、
やよい「…?プロデューサー?パソコンとにらめっこして、どうしたんですかー?お茶の準備してきましょうかー?」
P「いや、大丈夫だよ。ありがとな?」ナデナデ、
やよい「えへへ…」テレテレ、
P「…」
P「…なぁ、やよい」
P「…」ハァ...
P「いや、やっぱりなんでもない。もう夜も遅いから、家まで送って行くよ」
やよい「うっうー!ありがとうございまーす!」ピョンピョン
P「…」
いつからだろう。自分の担当アイドルを、意識するようになったのは。
やよい「…プロデューサー?私の顔に、なんか着いてますか?」ジー
P「っ!いっ、いや何でもないんだ。なんでも…」
やよい「…」
いつからだったのかな。プロデューサーの事が、すっごく、すっごく気になり出したのは。
P「…」
やよい「…」
長い沈黙。普段のやよいなら、もっとおしゃべりがあってもいい筈だ。
P「なぁ、やよい?」チラッ
やよい「何ですか?」
後部席に座るやよい。表情は…ここからは見えない。
P「悩み事でも、あるのか?」
やよい「えっ?」
P「いや、今日の…というより、今のやよいかな?あんまり元気が無いみたいだからさ」
やよい「えへへ…悩み事とか、そういうんじゃ、ないんです」
やよい「プロデューサーは…おとなです」
P「えっ?」
やよい「おとなだから、車も運転出来るし、みんなのプロデューサーも出来るんです。みんなを大切にしてくれて、守ってくれて」
P「…」
やよい「あの…プロデューサー!」
P「…ん?」
やよい「私、おとなになりたいんです」
P「…」
P「やよいはさ、何で大人になりたいんだ?」
やよい「えっ?何でって…」
P「やよいは、今のままでもしっかりやれてる。家では優しいお姉ちゃん、TVの前では元気なアイドル」
P「それじゃ、不満か?」
いつか、予想はしていた。やよいが、『大人』に憧れる事。そして、その『大人』が、俺である事。
P「いいよ。誰だって、悩む事ぐらいあるさ」
やよい「…」
P「ほら、着いたぞ?ちゃんと、歯を磨いてから寝るんだぞ?」ニヤッ
やよい「あ~!私、そんな子どもじゃありませんー!」ムスー
P「ははっ。そっか。そうだな」
やよい「はい!」ムスッ
P「じゃあ、また明日な?」
やよい「はい!また明日です!プロデューサー!」
やよい「おやすみなさい」
やよい「もっと、わかんなくなっちゃった」
おとなってなんだろう。私の知ってるおとなは、お父さんとお母さん。
それと…プロデューサー。
やよい「うっうー…難しいです…」
――同時刻
――Pの部屋
P「…ふぅ」グビッ
酒で、気が紛れるとは思わない。だけど、飲む。そうじゃないと、気がおかしくなりそうだった。
P「やよい…か」グビッ
最初は、担当アイドルとして接した。それ以上は、無い筈だった。
P「ガキは、俺の方か」
携帯を開く。待ち受けは、いつかやよいと二人で撮った写真。
空になった空き瓶が、いくつか並んでいた。
P「…大人は、あんまりいいもんじゃないよ。やよい」
――次の日
――765プロ事務所
やよい「えっ?あの、それって…」
P「やよいがメインヒロインのドラマが決まった。単発だけど、ゴールデンで流れる二時間モノだ」
P「おめでとう!やったな!」ナデナデ、ナデナデ
やよい「うっうー!ありがとうございますー!それで、どんなお話なんですかー?」
P「恋愛モノだ!」
やよい「えっ?」
恋愛?誰と?私が?
やよい「はい!この人なら、知ってますけど…」
写真に写るこの人なら、何度かバラエティで一緒になった事もある。
P「向こうが、お前の事を気に入ってるみたいでな?名指しでの推薦だ」
嬉しいのか、そうじゃないのか、私はわかりません。でも、プロデューサーは嬉しそうだったから。
やよい「はい!うっうー!ドラマ、頑張りまーす!」
だから、私も嬉しい。
やよい「ふぇっ!?きっ、きすっ!?あのっ!そのっ!わっ、私が…この人と…ですか?」
痛い。どこが痛いのか分からないけど、痛い。何でだろ…。
P「そうだ。でも、多分フリだ。キスする、フリ」
平静を装う。動揺してはいけない。やよいを、不安にさせてはいけない。
やよい「うっうー…出来るかなぁ…」
P「大丈夫。やよいなら、大丈夫」
大丈夫。いつもなら安心出来るその言葉が、痛かったんです。
やよい「うん!今日も天気で良かったね!これなら、今日のデートもバッチリだね」ニコニコ
てを繋ぐ。知ってるだけの、この人と。
やよい「う~、今日はちょっと寒いね。…あっ…///」
肩を抱かれる。撫でられた事の無いこの人に。
やよい「えへへ…ありがと」ニコッ
笑いかける。笑い合った事の無い、この人に。
P「…」
プロデューサーは、それをじっと見てました。
肩を抱かれ、てを握られ、笑顔を向けるやよい。…その相手は、俺じゃない。
見るのが、辛かった。
P「…プロ、失格だな…」
でも、見る。それが俺の仕事だから。それが、大人だから。
やよい「うっうー!プロデューサー!撮影、明日で終わりですー!」
P「あぁ、本当によく頑張ったな。偉いぞ?」ナデナデ、ナデナデ、
久しぶりに撫でる、やよいの髪は柔らかかった。
久しぶりに撫でられました。プロデューサーのては、やっぱり安心しました。
やよい「…」チラッ
P「…」チラッ
P・やよい「「あのな?/あのっ!」」
P「…」スッ
やよい「?」
覚悟を、決める。誰にも、渡さない。渡したくない。それが例え、プロデューサーとして、プロとして、大人として、許されたものじゃ無いとしても。
P「…」スッ、ナデナデ、
やよい「んっ…」ピクン
――チュッ
やよい「あっ…」ポロ...
P「謝らない…から」
嫌われても仕方がない。だけど、誰にも渡したくなかった。ならいっそ、俺が。
やよい「んっ…」チュッ
P「!」チュッ
やよい「えへへ…私も、謝りません」
嬉しい。プロデューサーにキスされて、嬉しい。これが、プロデューサーが気になってた原因?
やよい「あ…そっか…」
私、好きだったんだ。
プロデューサーの腕に、抱き着く。はぁ…落ち着きますー。だって、
P「ははっ」ギュッ
やよいが、俺の腕に抱き着く。許されたものじゃないけど、こればかりは仕方がない。だって、
P(好きなんだから)
やよい(好きなんだもん)
――最終日
やよい「あの…話って…何かな?」チラッ
残りの撮影は、キスシーンだけ。でも、前みたいな不安はありません。だって…ホントのキス、しちゃいましたから。だから、我慢出来る。しなくちゃいけません。だって
やよい(これが、私のお仕事なんだから)
やよい「うん…私も、私もダイスキ!あの…だから、ね?」チラッ
やよい「私を…アナタの恋人に、してください」
告白。うその告白。そして、男のアイドルさんの顔が少しずつ近付く。
やよい「…」ギュッ
恐い。恐い。恐い。必死に、眼を閉じる。早く、早く終わって。
プロデューサーの怒鳴り声が聞こえる。眼を開けると、私の目の前にプロデューサーがいた。
男性アイドル「ちっ。フザケンナよ?俺の事務所、どこだか知ってンだろ?」
男のアイドルさんはプロデューサーを睨んでいました。
P「…」スタスタスタ、
男性アイドル「あ?やんのか?あ?」
P(ウチのアイドルに、手ェ出したな?覚悟しとけ)
男性アイドル「ひっ」ペタン
いいと思います!
P「やよい、お疲れ様。収録、終わったぞー。監督もいい画が出来たって喜んでた」ナデナデ、ナデナデ
やよい「うっうー!良かったですー!で、でも…」チラッ
P「ん?どうした?」
やよい「あの人は…いいんですか?」
男のアイドルさんは、まだ座ったままでした。
P「あぁ、いいんだよ。ほっとけばいい」ナデナデ
やよい「えへへ…プロデューサー///」
P「じゃ、挨拶してから事務所に帰ろうか」ナデナデ
やよい「はい!」
そうして、ドラマの収録は終わりました。
P「なぁ…やよい」ギュッ
やよい「はいー?何ですかー?」ギュッ
P「まだ、大人になりたいか?」
やよい「…」
えへへ…。そういえば、そんな事も言ってたっけ。
やよい「あの、プロデューサー?」ギュー
やよい「私を、離さないでくださいね?私が、おとなになれるまで」
これが、私のわがまま。今はまだ子どもだから、わがまま。
それでいつか、私がおとなになれたら、その時は…。
おわり
ぅゎゃょぃヵゎぃぃ
Entry ⇒ 2012.07.06 | Category ⇒ アイマスSS | Comments (1) | Trackbacks (0)
京太郎「何だかんだ1番ムラッとするのは部長なんだよなぁ」
京太郎「和は可愛いし清楚だし巨乳だしで文句は無いんだけど、部長のあのアダルトな余裕は和には出せないんだよな」
咲「原村さんは目玉焼きにハンバーグって感じで、部長は鯛だしのすまし汁って感じだよね」
京太郎「和で食傷気味になった後での、この、部長な。やっぱり部長に帰ってきたー!っていう」
咲「原村さんはちょっと色々重たすぎるんだよね」
京太郎「おっぱいも気持ちもヘビー級だからな」
咲「京ちゃんにフラグを立ててからかったりとちょっぴり小悪魔だよね」
京太郎「小悪魔なんだけど、なりきれて無いというか、幼いというかな。Sぶってみたい様にも感じられる」
咲「京ちゃんを犬扱いするもんね、仲が良さそうで何よりだよ」
京太郎「あぁいうタイプの子は、こう、いきなりブチ切れてみて反応を楽しみたいよな」
咲「突然大声で怒鳴られて泣いちゃう優希ちゃんはレイプ欲が格段に高まるなぁ」
京太郎「あー優希を全裸で謝るまでビンタしてぇ」
京ちゃん「・・・あれだ、あれ。まぁリビドーは湧かないかな」
咲「職場とかで、こっちはそんなつもり無いのに、ちょっとお尻に手をぶつけちゃっただけで、『ちょっと、もぅっ///』とか言っちゃうおばちゃんいるよね、あぁいうイメージ」
京太郎「とりあえずリビドーは湧かない」
咲「・・・」
京太郎「・・・」
咲「・・・ごめんね京ちゃん私が変な話振っちゃったせいで」
一応可愛いだろ、他が可愛すぎるだけで・・・
咲「あれはよく玄ちゃんのお姉ちゃんにレイプされてるシーンが取り沙汰されるけど、単体だとやっぱり力不足なんだよね。優希ちゃん程の破壊力がないね」
京太郎「身体の抱き心地は2人の方がむちむちで気持ち良さそうだけどな」
咲「あれは絆が深い姉妹だという点をもっとクローズアップするべきなんだよ、よくわかんないけどね。例えばお姉ちゃんを庇うために旅館の客に尻を舐めまわされる玄ちゃんとか。それを見て泣き叫ぶお姉ちゃんとかね。」
京太郎「勃起してきた。」
咲「ほらすぐにいやらしくなったでしょ」
咲「穏乃ちゃんとか、男の人の押しに免疫なさそうだもんね」
京太郎「そういうジェントルな感じも良いけど、俺はコンプレックスとか無知とかに付け入りたいな」
咲「例えばどんな?」
京太郎「『都会では貞操帯を付けるのが当たり前だよ』とか言って貞操帯を装着したり、『今時みんな中出しさせてくれるのになぁ』とか言って揺さぶったり」
咲「明るい子の女な面は興奮するからね、染谷先輩には無い興奮だよね」
咲「いいなぁ京ちゃんはおちんちんが付いてて。私もおちんちんで穏乃ちゃんをいじめたかったな」
咲「私もあの子には1回戦から目を付けてたよ、京ちゃん」
京太郎「デートの時間に40時間くらい遅刻してみたい。『もう日付変わってるよもー!』って言われたい」
咲「もし私におちんちんが付いてたら、中出しして『もー!』って怒られたいかな」
京太郎「こっちは愛情表現としてやってるのに向こうは真に受けるっていうね、かわいいよねほんっと」
咲「あの子とエッチする為だけに兵庫に行ってみたいなぁ」
咲「まぁ私自身、女の子が負けたり追い込まれたりする顔や表情が見たくて麻雀やってるようなものだよ」
京太郎「追い込まれてたのに何故か興奮しなかった部門No.1と言えば風越の池田だよな」
咲「あの子は、飴と鞭のどちらもが与えられる立場に立てば楽しめるよ。私は対戦したから分かる」
京太郎「と、いいますと?」
咲「コーチなんか相当気持ちよさに嵌ってると思うよ」
咲「いい成績で帰ってきて上機嫌な所をいきなり罵倒するコーチ。もうそこからコーチが睨んだだけでビクってなっちゃう華奈ちゃん。」
京太郎「まだなのね、飴はまだなのね」
咲「頑張って、頑張って試合して、負けて泣きながら帰ってきたときに、『次は打ちのめせよ』」
京太郎「飴!!!出たよ飴!!」
咲「もうその一言だけですんごい嬉しそうだし尊敬のまなざしで見てくれるのね、コーチを。私がコーチだったらあれで3日はオナニーできる」
京太郎「人為的なものって気づかずにどんどん調子に乗っちゃったからねあの後」
咲「手のひらで転がすのが一番良いってことだよ」
京太郎「おれはどっちかっていうと風越のキャプテンを転がしたいけどな」
咲「ああ、あの子も良いよね。母性の塊と言えるよ」
京太郎「何を頼んでも引き受けてくれそうだもん。おっぱいもそこそこだし可愛いし」
咲「こっちは内心『ぐえぇっっぐえぇっひっひひっひ』ってなってるのにね、いいひと過ぎるよあの人は」
京太郎「なんだかんだ男と縁が無いまま30位でそこそこの男と結婚しそう」
咲「それかものすっごい悪い男に人生終わらせられそう」
京太郎「また勃起してきた」
咲「元気なんだね」
宮永さん……
京太郎「ほんと言い出したらきりが無いからな」
咲「京ちゃん的には、私とかどうなの?」
京太郎「えっ・・・」
京太郎「素直じゃなくて、全然可愛くなくて、でも優しくて何だかんだ俺のこと見捨てないでくれてる、幼馴染、かな」
咲「ほかの子みたいな気持ちには私に対してはならないの?」
京太郎「咲は何なんだろうなぁ、嫌だな。他の男がお前にちょっかいとかかけてるのも凄い嫌だな」
咲「それって、どういう・・・意味・・・なのかな?」
京太郎「大事な幼馴染って事だよ」
咲「そっか。ありがとう京ちゃん」
咲「ずっとこうやって京ちゃんと話せたらいいのにな・・・」
京太郎「いきなり何だよ気持ち悪いな」
咲「京ちゃんは、本当に分からず屋さんだね」
おしまい!
おつおつ
Entry ⇒ 2012.07.06 | Category ⇒ 咲-Saki-SS | Comments (1) | Trackbacks (0)
P「律子、ちょっといいか?」 律子「はい、なんですか?」
律子「えっ……」ショック ガーン
P「だって、律子は可愛いってよりも綺麗だからさ」
律子「えぇっ!?」アタフタ アタフタ
P「今の、眼鏡掛けてパイナップルみたいな髪形が素敵だなって」
律子「うぅぅっ……」テレテレ
これから仕事なので代わり宜しくお願いします。
P「思ったままを言ったんだよ」
律子「そんなこと言われたら照れちゃうじゃないですか……」
P「……やっぱり可愛くないってのは撤回するわ」
P「ハハハッ、すまんすまん」
律子「そういうこと言われたら勘違いしちゃうじゃないですか……」ボソッ
P「んっ、どうかしたか?」
律子「なんでもないです……」
P「本当に?」
律子「なんでもないです!」
律子「聞こえてたんですか!?もう信じらんない!本当に、あなたって人は……」
P「『あなたって人は?』」
律子「あなたって人は、ずるいですよ……」
P「おぅふっ」
小鳥「えっ!?なんですかいきなり!っていうかプロポーズっ!?」
小鳥「あぁ、間違えた。すまん、律子……」
小鳥「えぇー……。間違い……だったんですか?」
小鳥「本当は結婚を前提に付き合ってくれって言おうと思ったんだ」キャーッ
小鳥「えっ、プロデューサーさん?本当なんですか?」
こと……さん、こ……りさんってば!
小鳥「あぁ、この気持ちに偽りはない」
小鳥「プロデューサー……」
小鳥「律子……」
P「この人何言ってんだ?」
P「今の小鳥さんはトリップしてるから、その隙にノートを覗いてみるぞ!」
P「えーと、なになに?……これは、俺と律子で妄想して……?」
P「……ふむふむ、なるほど!これは、イケる!」
P「おーい、律子。ちょっといいか?」
律子「あっ、はい!なんですか?」
P「律子って可愛くないよね?」
律子「」ブワッ
P「えぇっ!?」
律子「っ!」ダッ
P「……えー?どうしよう……」
P「俺が……悪ふざけで……りちゅこを……」
P「うっ……うっ……うぅっ」
伊織「あんたまで何泣いてんのよ!?」
だけど真意だとわかるとやたら慌てふためく律ちゃん可愛い
伊織「なんでもいいから詳細を教えてよ」
P「あぁ、実は律子に………………」
伊織「はぁ!?あんた、馬鹿なんじゃないの!?ていうか、馬鹿でしょ!」
P「だって、小鳥さんのノートだと成功してたから」
伊織「あれは小鳥の妄想だからよ!普通にわかるでしょ!」
P「なん……だと……?」
P「すまん、伊織。俺が頭が悪いばっかりにこんな事になってしまって……」
伊織「……はぁ、アンタってほんっと馬鹿よね……」
P「だからすまんって……」
伊織「謝る相手が違うでしょ?」
P「あっ……」
P「あぁ、ああ!わかったよ伊織!」ガチャッ
ドアを開けるとそこには律子が立っていた
P「えっ……?」
律子「あの……その……」
伊織「(さーて、邪魔者は退散退散、と)」
伊織「(頑張りなさいよね!律子、プロデューサー)」
律子「あぁ、いやもうその事は気にしてません」
P「良かった……」
律子「それよりも、さっき伊織と話してた時に出た『小鳥さんのノート』ってなんですか?」
P「その事なんですが、その質問に答える前に一つだけ質問させてください」
律子「はい、いいですよ?」
律子「あぁ、その事ですか。」
律子「さっき泣いて出てった時伊織とすれ違って、その時に呼び止められちゃって……」
律子「訳を話したら、伊織が『多分それは律子の勘違いよ。とりあえず私がアイツと話してみるからそこに立って聞いてなさい』」
律子「そう言って今までの話をずっと聞いてたんです。」
律子「それではこちらの質問に答えて貰っていいですか?」
P「あぁ、はい。えーっと……これなんですけど」
律子「これって……『小鳥さんの妄想ノート?』」
P「中、読んでみてくれ」
律子「……はい」
律子「……!」
律子「……」
律子「……あの、本間違えてません?」
P「えっ!?嘘!?……いや、それで合ってるよ」
律子「! ……そうですか、つまりこの小鳥さんの妄想ノートを参考に私を辱める算段だったんですか……」
律子「」
律子「だって、このノートでは
『律子「あなたって人は、ずるいですよ……」
P「おぅふっ」 』で終わってますよ!」
律子「これだけだと、私がただプロデューサーの好いように弄ばれてるだけじゃないですか!」
P「あぁー……そっか、そっかそっか……。確かにそうとも取れるな……」
P「どうしよう……」
律子「どうしようって、どういうことですか?まさか、まだ私を……」
P「ああ、違う違う!そうじゃなくて……」
P「(どうにかして誤解を解きたいが、誤解を解くということは……)」
P「ん~~~!すまん!少しだけ時間をくれないか?」
P「そうじゃない!……そういうことじゃないんだ。確かに俺は律子を傷つけてしまった」
P「本当は律子に伝えたい事があって……!でも、それを伝えるのが怖くて……」
P「申し訳ないが、覚悟を決める時間をくれないか?そんなに時間はとらせないから」
P「いや、出なくていいよ。気持ちの整理が付いたらすぐにでも伝えたいから……」
律子「……そうですか、わかりました」
P「……」
P「……」
P「(ただ、律子に『好きだ』と伝えればそれで済んだのに……)」
P「(なのに俺は、小鳥さんのノートを見て『これはイケる!』とか、勘違いして)」
P「(律子を傷つけた……)」
P「(ここで時間を貰ってる時点でヘタレと呼ばるだろう……)」
P「(俺は律子が好きだ。だから好きな子にこれ以上かっこ悪いところを見せたくない!)」
P「よし!」
律子「それで、覚悟とやらは決まったんですか?」
P「ああ!それで早速だが一つ『お芝居』に付き合って欲しい」
律子「『お芝居』ですか?」
律子「はぁ!?なんでそんなこと……」
P「頼む……」
律子「何をしようとしているのかわかりませんが、わかりました。プロデューサー」
律子「『えっ……』」
P「『だって、律子は可愛いってよりも綺麗だからさ』」
律子「『えぇっ!?』」テレッ
P「『今の、眼鏡掛けてパイナップルみたいな髪形が素敵だなって』」
律子「『うぅぅっ……』」テレテレ
P「すまん、我慢して続けてくれないか?」
律子「でも……」
P「」ジッ
律子「うぅっ……わかりましたよ、もう……」
P「『思ったままを言ったんだよ』」
律子「『そんなこと言われたら照れちゃうじゃないですか……』」
P「『……やっぱり可愛くないってのは撤回するわ』」
P「『ハハハッ、すまんすまん』」
律子「『そういうこと言われたら勘違い、しちゃうじゃないですか……』」ボソッ テレッ
P「『んっ、どうかしたか?』」
律子「『なんでもないです……』」
P「『本当に?』」
律子「『なんでもないです!』」
律子「『聞こえてたんですか!?もう信じらんない!本当に、あなたって人は……』」
P「『あなたって人は?』」
律子「『あなたって人は、ずるいですよ……』」
P「すまん、俺のセリフがまだ残ってるんだ。もう少しだけ付き合ってくれ」
律子「えっ?あぁ、はい。私の気が早かったですね、すみません」
P「じゃあ、やるぞ。……『おぅふっ』」
P「律子、結婚してくれないか?」
律子「……えっ?えぇっ!?えぇぇっ!?」オドオド
P「あぁ、間違えた。すまん、律子……」
律子「えっ?間違い……だったんですか?」
P「本当は、結婚を前提に付き合ってくれって言おうと思ったんだ」
P「……律子、俺は律子の事が好きだ」
P「この気持ちに偽りはない」
律子「プロデューサー……」
――――
――
一人の事務員が書いた妄想小説で一つの恋が実り
それを知ったアイドル達が事務員に嘆願する日々が暫く続いた。
そして、
律子「あの時って?」
P「ほら、俺がプロポーズした時だよ」
律子「あぁ……。実は、あの時告白されるんじゃないかなって薄々は気付いてたんだけどね」
P「えっ!?本当に?」
律子「そりゃあ、告白前にあんな前フリやっちゃうんですもん。鈍感な人でも気付きますよ」
律子「もしかして、バレないと思ったとか?」
P「」コクリ
律子「あっはは!なんていうか、プロデューサーらしくて……いや今は違いましたね」
「ダーリンのそういうところも、大好きですよ」
「ずっと、ずーっと一緒にいましょうね」 完
抜ける事があったのにも関わらず保守してくれて嬉しかったです。
用事があってまた抜けますが、続きを書きたいとか、間を書きたいって人は書いてくれても構いません。
読んでくれてありがとうございました。
乙
いい律子SSだった
Entry ⇒ 2012.07.06 | Category ⇒ アイマスSS | Comments (1) | Trackbacks (0)
える「折木さん、どうして中に出しちゃったんですか……」
千反田「外で出すっていうからコンドーム着けなかったんですよっ!」
折木「すまない…」
千反田「わかりました。わたしっ産みます!」
折木「!?」
千反田「立派な女の子ですよ♪あなた♪」
折木「なっ!?て、展開が早すぎるだろ」
折木「うぅ…」ムニャムニャ
千反田「折木さん。起きてください」ユサユサ
折木「女の…子」ウゥ
伊原「さっさと起きなさいよ馬鹿折木!」
千反田「こんなに魘されてる折木さん初めてです」
千反田「夢?」
折木「い、いや何でもない」
伊原「どーせ変な夢でしょーあたし漫研行ってくるからー」ガララ
千反田「行ってらっしゃいませ」
折木「おぅ…」
千反田「…」チラ
折木「ん?」
千反田「折木さんっ!」
折木「(このパターンはまさか)」
千反田「折木さんが見てた夢!わたしっ!気になります!」グッ
千反田「どんな夢だったんですか?」グィィ
折木「わ、忘れた」アセッ
千反田「思い出して下さいっ!」グィ
折木「うっ…」
千反田「…」キラキラキラ
折木「…千反田が出てきたんだ」
千反田「えっ…///」
折木「それで…ちょっと言い争いになった。それだけだ」
千反田「あぅ…///」カァ
折木「?」
折木「なんだ」
千反田「うわごとのように女の子、女の子と言ってましたよ」
折木「なっ!?」
千反田「私は女の子だと折木さんは知っているのに何故でしょうか…」
折木「わ、わからん」
千反田「他に誰か出てきたんですか?」
折木「んー………出てきてなかったと思うぞ」
千反田「…」ジーッ
折木「…」タラ
千反田「嘘、ですよね」
折木「う…」
千反田「私ですか?」
折木「あぁ。他には誰もいなかった」
千反田「そうですか…」
折木「もういいか」
千反田「もう一つ疑問があります」
折木「まだあるのか…」
千反田「夢の中の私は折木さんと何をしていたのでしょうか」
折木「ぶっ!!」
千反田「嘘ですっ!」ガタッ
折木「何故だ根拠があるのか?」
千反田「折木さんがこんなに慌てているの初めて見るからですっ!」
折木「こ、答えになってないだろ」アセッ
千反田「折木さん!」ズィ
千反田「わたしっ気になります!」
千反田「?」
折木「つまりだ、俺の言語能力では無理、というわけだ」
千反田「…そうですか」シュン
折木「さて、そろそろ帰るか」ガタッ
千反田「あっ!閃きました!」
折木「閃かんでいい」
千反田「言語で無理なら行動で示してみてはどうでしょう!名案です!」
折木「っっ!?」
千反田「まだですっ!私気になります!」グィ
折木「うぐ…」
千反田「折木さん…」ジー
折木「…分かった」
千反田「!」パァァ
折木「…本当にいいんだな」
千反田「?」
千反田「ここでは駄目なんですか?」
折木「あぁ…」
千反田「わかりました。行きましょう」
折木「千反田…」
千反田「はい?」
折木「俺は忠実に夢の内容を再現するからな」
千反田「はいっお願いします!」
折木「じゃあ行くか」ギュッ
千反田「ぇ…///」
千反田「あれ?保健室の先生いないみたいですね」
折木「…好都合だ」
千反田「え?」
折木「いやなんでもない」
千反田「折木さん、何処か怪我をしているんですか」
折木「怪我はしてな…」
折木「…いや、実は千反田に少し手伝って欲しくてな」
千反田「はい。なんでしょう」
折木「治療だ」
折木「…あぁ」
千反田「でも折木さんは現実では何処も怪我をなさってないみたいなのでよかったです」ホッ
折木「まぁな」
千反田「ふふっ」ニコッ
折木「…もしかすると怪我をしているかもしれない」
千反田「えっ?」
折木「正夢…というか」
千反田「大変です!早く治療しないと」
折木「あぁ…ちょっと後ろを向いていてくれるか」
折木「…」
折木「(そうだ…)」
折木「(これはチャンスなんだ…漢・折木奉太郎。やるしかない)」
折木「(最近は夜も省エネで過ごして来た今、この時の為に!)」
千反田「まだですかー?」
折木「…」ゴクリ
折木「…」カチャカチャ
折木「…いいぞ」
千反田「ひっ!」ビクッ
折木「驚かせてすまない」ギンギン
千反田「あ、あの…何か着てください…その…///」バッ
折木「千反田が治療してくれるんじゃないのか?」ピクッピクッ
千反田「えと、その…お、折木さん」
折木「なんだ?」ギンギン
千反田「あわ、あわわ…///…な、なんでそんなになっているのでしょうか」
折木「言っただろ?だから治療だと」ビクンビクン
千反田「で、でもその…私///」カァァ
折木「それにこれは夢の内容だしな、千反田が望んでいる行動に移してみたんだが…」
千反田「ぁう…」カァァ
折木「…頼む、千反田」
千反田「…うぅ」
千反田「(折木さんが私に頼み事をしている)」
千反田「(勿論断りたくないっ…で、でも)」チラッ
折木「…」ギンギン
千反田「…わ、わかりました。何をすれば良いのでしょうか」
千反田「はい…」
折木「…」ギンギン
千反田「ひぅ……に、握りますね…///」スッ
折木「あ、あぁ」ドキドキ
千反田「握りましたっ!」ギュウ
折木「うっ…」
千反田「!…凄く熱いです!」
折木「治療が必要のようだな」
千反田「氷、持ってきましょうか?」
折木「大丈夫だ、それより少し強く握って上下に動かしてくれ」
折木「っ…!」ガタッ
千反田「大丈夫ですか折木さんっ!」ニギッ
折木「大丈夫だ、それより、続けてくれ」
千反田「はい」
千反田「んしょ…んしょ」ゴシッゴシッ
千反田「んっ…んっ」ニギッニギッ
折木「いいっ…ぞっ…千反田」ハァハァ
千反田「硬くなってきました折木さん!」シコシコ
千反田「えっ?」ニギッニギッ
折木「っ…出るっ!」グィ
千反田「んっ!」ガタッ
折木「くぁっ!!」ビュルルッ
千反田「きゃっ!」パタタッ
折木「ううっ…」ドプッドプッ
千反田「ひうっ!?」ビクッ
千反田「な、なんか出てきました折木さん!…あの、大丈夫ですか」
折木「ぅあ…だ、大丈夫だ」ビンッ
千反田「…(すごい、匂い)」ポーッ
千反田「(ぬるぬるして、白い)」ギュッ
折木「うっッッ!」ビュルッ
千反田「(まだ、出てる…)」ポーッ
千反田「…」ポーッ
折木「…すまない汚してしまって」
千反田「…」ポーッ
折木「千反田?」
千反田「はい?」
折木「大丈夫か」
千反田「だ、大丈夫だと思います…」ユラッ
折木「っと」ガシッ
千反田「っ!?」
折木「大丈夫じゃないみたいだが」
千反田「あ、ありがとうございます…///」
折木「あぁ治療は終りだ」
千反田「そうですか…」
折木「…」
千反田「手…洗いますね」
折木「…ちょっと待ってくれ」
千反田「えっ?」
折木「…」ムクムク
千反田「あ、また…///」
折木「待て千反田」ピタッ
折木「これは同じ治療法でやっても埒が明かない」
千反田「確かに…そんな気がします」
折木「もっと刺激を効率的に与えるには…」
千反田「…口、ですか」
折木「よくわかったな」
千反田「…前に摩耶花さんに貸して貰った本にあったんです」
千反田「口でするとすぐに出ちゃうって…」
千反田「でも、折木さん」
千反田「これは…治療じゃないですよね?」
折木「(当たり前だ)」
千反田「…あぅ…///」
折木「ん?なんだ」
千反田「その、…」
千反田「え、えっちな本でした…///」カアァ
千反田「折木さん!これはえっちな事なんじゃないでしょうか?!」
折木「…あぁその通りだ」
折木「…俺は千反田と夢の中で卑猥な事をしてた」
折木「あまりにも千反田が絡むもんだから少し調子に乗った。治療というのは恥ずかしさを紛らわす為の方便だ」
折木「すまない、謝って済むことではないのは分かっている」
千反田「いえ、その…」
千反田「わ、わ、私は」
千反田「嫌じゃ…ない、ですから…///」
千反田「はい」
折木「この俺は省エネ主義者だ」
折木「しかし、それでも消費しなければ必ず身体に溜まっていくエネルギーがある」
折木「つまり、なんだ」
折木「エネルギー消費を手伝ってくれないか…」
千反田「…」
折木「(何という言い回しだ、我ながら引く)」
千反田「はいっ!折木さん」
折木「なっ…」
千反田「それに、私も」
千反田「エネルギー、消費したいですから…///」ポッ
千反田「はい」トサッ
折木「…」ジィッ
千反田「なんでしょう?折木さん」
折木「あ、すまない、…」
折木「…可愛い、と思った」
千反田「…照れるからやめて下さい…///」カァァ
折木「…いいか?」
千反田「…はい」
千反田「折木さん、…近い、です…///」
折木「不可抗力だ」
千反田「それに…あの口で…」
折木「それはもういい、俺は」
折木「俺は千反田の中に射れたい」
千反田「中…?と言いますと…」
折木「ここだ」サワッ
千反田「んあっ!」ビクンッ
折木「っと…」スッ
千反田「うぅ…///」
千反田「…///」フルフル
折木「…脱がすからな」ススッ
千反田「んっ…」
折木「…」シュルッ
千反田「あっ…」
折木「可愛い下着だな」スッ
千反田「あ、あまり見ないで下さい…恥ずかしいですから///」
折木「…」サワッ
千反田「んんっ!」ピクッ
折木「濡れてる、な」クチュッ
千反田「あっ…お、折木さん…のを握った時から、私の身体も徐々に熱くなって、それで…」
千反田「はい…折木さん」ポー
折木「我慢の限界なんだ」
千反田「はい」
折木「射れて、いいか…」
千反田「はい…折木さんの…お願いします」
折木「少し、痛いかもしれない」
千反田「大丈夫です。折木さん…ただ」スッ
千反田「手を握ってて貰えませんか?」
折木「…あぁ」ギュッ
千反田「ま、待って下さい…」
折木「ゆっくり、するから」
千反田「すぅ…はぁ」
千反田「お、お願いします…///」
折木「…」
千反田「んっ」
折木「(ぬるぬるしていて上手く入らない)」グィ
千反田「んんっ!……折木さんっ!」
折木「どうかしたか?」
千反田「今の…気持ちよかったです」
折木「あぁ…」ポンポン
千反田「ふぁ…」
千反田「…嫌です、折木さん、の欲しいです」
折木「わかった…」
千反田「…」ドキドキ
折木「うぐっ…」ググッ
千反田「痛っ……んぁっ!!」ギュゥ
折木「はいっ…た、ぞ、千反田」グッ
千反田「あっ動かさないでっ下さいっ…まだ痛いです…」ウルッ
折木「痛い、よな」ナデナデ
千反田「…えへへっ撫でられちゃいました」グスッ
折木「あぁ俺もだ」
千反田「私、今凄く幸せです」
折木「…」ナデナデ
千反田「ふふっ恥ずかしいですけど」
折木「…千反田」
千反田「はい」
折木「う、動かしてもいいか?」
千反田「はぅ…///ど、どうぞ」
千反田「んあっ!」ピクッ
折木「千反田、少し声を、な」
千反田「は、はい…で、でも難しいです」
折木「そ、そうか」
千反田「…折木さんが」
千反田「折木さんが、塞いでくだ、さい…///」
折木「…」スッ
千反田「んっんんっ…」
折木「…ぷはっ」
千反田「…おれきさん…」ポーッ
千反田「…」コクッ
折木「…」
千反田「んーんふっ…」
折木「っ…」グッグッ
千反田「んんっ!んふぁっ!」
折木「…っ…っぐっ!」パンッパンッ
千反田「んっ!…んっ!んんんっ…」
折木「くっ…ぶはっ!出るっ!出るぞっ!」パンッパンッ
千反田「出してっ下さいっ!折木っさんっ!」
千反田「折木っさんっ!」
折木「…ぐっ」ズポッ
千反田「ああっ!!」
折木「ぐぁっ…」ドクッドクッ
千反田「ふあぁ…」
折木「はぁ、はぁ」ビュクビュク
千反田「…あ、お腹に…」トロ
折木「ゴム…してなかったからな」
千反田「妊娠、しちゃいますからね」
折木「あぁ…」
折木「(正夢、じゃなかった。だが…)」
千反田「折木さんっ♪」ギュー
折木「正夢じゃなくて、よかった」
千反田「?」
千反田「…」テクテク
折木「千反田」
千反田「はい?」
折木「少し、近くないか?」
千反田「近くないですっ!」ギュゥ
折木「…まぁいい」
千反田「嫌、ですか?」
折木「そうとは言ってない」
千反田「…えへへ///」
折木「なんだ」ギュッ
千反田「…摩耶花さん達にはまだ内緒にしませんか」
折木「理由はなんだ?」
千反田「恥ずかしいですから…からかわれそうで///」
折木「構わないが」
千反田「それに…」
千反田「今は…二人だけの秘密、というのはいかがでしょう?」
Fin
では
ふぅ
いまいりす先輩とのいちゃらぶもかいてみたいです?
構わん続けろ
Entry ⇒ 2012.07.06 | Category ⇒ 氷菓SS | Comments (1) | Trackbacks (0)
凛「士郎がテクノブレイクしそう?」
アーチャー「・・・・・・それがどうした」
士郎「最近夜の相手がきつい・・・・・・」
アーチャー「・・・・・・あー」
士郎「アイツ、未来でお前と居た時どんな感じだったんだ?」
火曜 凛、ルヴィア
水曜 桜、ライダー
木曜 イリヤ、セラ、リズ
金曜 カレン、バゼット
土曜 美綴、穂群原三人娘
日曜 全員
アカン、士郎死んでまう
メインヒロインの冬木の虎がいないぞ
ssf
日曜に相手してもらってんじゃねーの
士郎「だってお前・・・・・・、これから先アイツがずっとああだったら、俺が持たない」
アーチャー「・・・・・・恐らく、大分長いことそんな感じだな」
士郎「」
アーチャー「落ち着きだすのは随分先の話だぞ、アレは、全く、飽きもせず毎日毎日・・・・・・」
士郎「え?」
アーチャー「ん?」
士郎「毎日?」
アーチャー「毎日だ」
アーチャー「何でと言われてもな・・・・・・」
士郎「今の俺は週一できついんだぞ?」
アーチャー「それはお前がセイバーやらライダーやら桜やらその他諸々とっかえひっかえしているからだろうが」
アーチャー「そうなのか?」
士郎(なに食いついてんだコイツ)
士郎「・・・・・・セイバーだとさ、お互い満足度が同じというか、理解があるというか、あまり疲れない」
アーチャー「まあ、そもそもお前の中にあったアヴァロンを媒介に限界したわけだからな、剣と鞘が逆な気もするが」
士郎(なに言っちゃってんのこの俺)
士郎「・・・・・・さっきからえらい食いつくな、お前」
アーチャー「ならばお前は過去の自分が別の未来を行く様が気にならないというか?それも異性との肉体関係だぞ?」
士郎「気持ちは分かるけどもうちょい大人でいて欲しかったよ」
士郎「まあ、そうなんだけど、桜は基本俺の気持ちを汲んでくれるよ、確かに姉妹だなと思う時はあるけど」
アーチャー「ふむ」
士郎「ライダーとペア組んでくる時はあれだけど、あの場合は夢みたいなもんだしな」
士郎「あとイリヤは基本さわりっこみたいなもんだしな」
アーチャー「貴様超えてはいけない一線を平然と超えて行くんじゃない!」
士郎「お姉ちゃんだから、年上だから、大丈夫」
アーチャー(コイツ今すぐにでも殺しておくべきなんじゃないか?)
アーチャー「バゼットはあの狂犬がいるだろうに・・・・・・」
士郎「アイツは基本遊び人だからな、だらしのない奴め」
アーチャー「今のお前も中々だぞ」
アーチャー「お前は一体何処まで手を広げて何処まで盛っているんだ?」
士郎「>>6」
アチャー「」
アーチャー「貴様!なんだこれは!」
士郎「やっぱりマズイよなあ・・・・・・」
アーチャー「お前セイバーはそこまでじゃないとか言ってなかったか?」
士郎「たまに黒化するんだよ・・・・・・」
アチャー「」
士郎「・・・・・・気の迷いで」
アーチャー(なんだコイツは、着いていけない・・・・・・)
アーチャー「しかし、お前・・・・・・、美綴はまずいだろう・・・・・・」
士郎「そうか?融通利いて助かるんだけど」
アーチャー「黒化してるのは貴様だろうがこの畜生が」
士郎「・・・・・・」
アーチャー「・・・・・・おい」
士郎「・・・・・・」
アーチャー「貴様、まさか・・・・・・」
士郎「聞きたい?」
アーチャー「!?」
士郎「子供の頃から保護者同然だった隣近所のお姉さんがお前じゃなくて俺という自分以外の人間にどんな濡れ場してるのか」
アーチャー「ヤメロォ!!」
士郎「今の俺はお前がほんとに英霊なのか疑問で仕方ない」
アーチャー「よりによって身内だぞ!イリヤもそうだ!」
士郎「イリヤは親父から色々教えて貰ってたって聞いたぞ」
アーチャー「切嗣ゥゥゥゥゥ!!」
士郎(大分キャラがぶれてるなあ)
士郎「分かった、もう止める、スマン、だからその愚痴はやめてくれ、お前に一瞬でも憧れてその言葉で命掛けてた俺がなんだか恥ずかしくなるから・・・・・・」
アーチャー「クソッ!クソッ!こんなことになるなら凛に色々調教する前に子種の一つでも注いでおくべきだったんだ・・・・・・っ!」
士郎「え?」
アーチャー「え?」
アーチャー「さて・・・・・・、なんだったかな」
士郎「そういうのいいから、え、なに、お前そういう奴だったの?ていうか俺そんな奴になるの?なんでさ?」
士郎「どんな理由だよ話せよ今すぐに俺はまだ今のところノーマルな行為しかしてないしそっち系にはこれといって興味がないはずなんだよどうしてそんな分岐しちゃったんだ俺はオイ」
アチャー「・・・・・・分かった、順を追って話す、話すから落ち着け」
士郎「なんだよ・・・・・・、オマエ人のこと言えないじゃないかよぉ・・・・・・」ポロポロ
アーチャー「泣くほど嫌がるな!私は一応お前でもあるんだぞ!」
士郎「何が『自分には負けられない(キリッ』だよ・・・・・・、もう俺の負けでいいよもう・・・・・・」ブツブツ
士郎「それは・・・・・・」
アーチャー「今聞いて置けばあんな未来を回避出来るかも知れんのだぞ?」
士郎「うぅ・・・・・・」
アーチャー「気がつけば夜のロンドンで首輪散歩プレイしてましたなんてことになってもいいのかァァァァァ!!」
士郎「何してんだ未来の俺はァァァァ!?」
どっちもはめたことがありそう
まあその辺持ちつ持たれつってうまくやりそうだよなあの二人
士郎「分かったよもう!話してくれよ!もう聞いとかなきゃこの先やってける気がしねえよ!!」
アーチャー「よし・・・・・・、では、さっきも言ったように順を追って話そう」
士郎「・・・・・・オテヤワラカニ」
士郎「あー、初めてだけど頑張るって感じで健気だった気がする、俺もアレだったけど」
アーチャー「男は仕方のないことだろう、気にする必要はない」
士郎「そうかな」
アーチャー「そうとも」
士郎「ああ、今その辺りになるのかな、なんでなんだろうな、アレ」
アーチャー「アレは元々何でも平気にこなしてるように見えて、中に溜め込んでいるモノは相当でな、大一番にやらかしてしまったりするのも恐らく準備の段階で神経を使いすぎて終わると気が緩んでしまうのだろうな」
士郎「それが当たってるかはさておき、確かに健気に頑張るけどやらかすな、遠坂は」
アーチャー「だがああいうものも良い物だろう?」
士郎「それは分かる」
士郎「・・・・・・あー」
アーチャー「そういうことだ、そして回数を重ねてストレスを発散させていくと同時にやればやるほど快楽に目覚めていく」
士郎「確かにこっちはゲッソリしてるのにあいつツヤツヤしてたりするもんな」
アーチャー「そういうことだ、で、今頃からしばらくはお前の言った通り、週に一回、または週二回辺りでなんとか満足していた」
士郎「・・・・・・なにがあったんだ?」
アーチャー「時計塔で新たな研鑽を求めロンドンへ旅立つことになった、・・・・・・オレを連れてな」
アーチャー「ああ、それだけストレスが溜まっていたのだろうな、時計塔内の派閥やら資金調達やら慣れない地での生活やら、とにかく、凛の溜めたであろうストレス分、その度私は絞り尽くされた」
士郎「お前結構大変だったのな」
士郎「アーチャー・・・・・・」
アーチャー「そんな時だ、私が身体を休めることの出来る転機が訪れた」
士郎「・・・・・・」
アーチャー「エーデルフェルト家へバイトに行くようになったわけだ」
士郎「おいもうなんか予想出来るぞその先」
士郎「エーデルフェルトってお前、ルヴィアさんだろ?」
アチャー「」
士郎「やっちゃったのか」
アーチャー「・・・・・・彼女はレスリングが得意でな」
士郎「それはわかる」
士郎「お前なにが『凛の助けになれれば(キリッ』だよ、俺と変わらないじゃないか」
アーチャー「流石に身内や幼女に手を出す奴と比べて欲しくはない」
士郎「なんでさ」
アーチャー「中身は凛と大差ないのだがね」
士郎「そこが良かったんだろ?」
アーチャー「わかっているじゃないか・・・・・・」
士郎「それはわかる」
士郎「ぜんぜん上手いこと言えてないからな」
アーチャー「今思うとあの日々が一番幸せだったような気がする・・・・・・」
士郎(やっぱりコイツ俺なんだなあ・・・・・・)
士郎「お、なんかあったんだな」
アチャー「凛にばれた」
士郎「 」
アーチャー「あれは何故ばれたのか未だに分からない・・・・・・」
士郎「女の人ってその辺りの勘が鋭いよな」
アーチャー「お前も失敗したクチか」
士郎「美綴辺りなら笑って許してくれるんだけどなあ・・・・・・」
アーチャー「私は過去に本当にこの衛宮士郎だったのか?世界線が大幅にずれているんじゃないのか?」
アーチャー「泣かれた」
士郎「え」
アーチャー「追求されて私が折れて白状した形になったわけだが、白状したその瞬間に直立不動で表情も変えずただポロポロと涙を流し続けた」
士郎「」(絶句)
アーチャー「・・・・・・今思うと当然だな、魔術師としても人間としても似たもの同士でライバルな上にそんな者の家に恋人にバイトへ行かれ会う機会も極端に減りさらに普段からのストレスもあり更に更にそのライバルにその恋人を寝取られてた訳だからな」
士郎「なんでそんなに冷静なんだよテメエ・・・・・・」
アーチャー「これが私の業だからな・・・・・・、いくら苦しくても、受け止める以外ないのさ」
士郎「だからお前良いこといったつもりでも全然そんなことないんだよその言葉の前辺りから既に」
悲しみの向こう
nice boat
士郎「そこで死んでサーヴァントになったのか」
アーチャー「何を言っているんだお前は」
士郎「そっくりそのまま返すよ・・・・・・」
士郎「おいちょっと待て、話が一気に吹っ飛んだ」
アーチャー「それくらい突然だったんだ・・・・・・、とにかく彼女を慰めようと一歩近づいた時には既に体の中心が弾けとんだような感覚になって気絶した・・・・・・発勁というのかな、アレは、とにかく、次に俺が目を覚ました時にはもうベッドに拘束されていた」
士郎「物理的に吹っ飛んだのか・・・・・・、それで?」
アーチャー「手足を拘束された俺はそこから彼女にひたすら犯され続けた」
士郎「今更だけどそいつ本当に遠坂だったのか?」
アーチャー「丸一日経った所までは覚えているが、そこから意識を失ってな、そして気がつくと夜のロンドンに首輪を付けられて犬のごとく散歩をさせられていた」
士郎「あの話繋がれてるのお前だったのかよ!」
アーチャー「誰も居なくて幸いだったが・・・・・・、とにかく、女というのは恐ろしいものだと思い知ったよ」
士郎「・・・・・・なにそれこわい」
アーチャー「だろう?しばらくは恐怖に怯えていた・・・・・・だが私も、やられっぱなしはまさしく性に合わないのでね、反撃の機会を探っていた」
士郎「お前それツッコミ入れて欲しいなら早々に諦めろよ」
アーチャー「まあ、簡単にいうと、大人のおもちゃというやつだな」
士郎「」
士郎「・・・・・・あー、調教云々って、それなんだ・・・・・・」
アーチャー「そうだ、幸いにも投影に成功してね、数には困らなかった」
士郎「え?」
アーチャー「ん?」
士郎「・・・・・・投影?」
アーチャー「まさしく投影だが?」
凛に対して特に効果を発揮するとか属性つけたりすんのかね
アーチャー「英霊に向かってその言葉はありえないだろう」
士郎「お前なんか英霊じゃねえよ、高貴さの欠片もないだろ」
アーチャー「まあアレも所謂一つの武器であり、剣だからな、さして難しいものでもなかったよ、こんな風にな」投影、開始(ブイィィィィン
士郎「ヤメロォ!!」
士郎「うわあああああああ!頭に流れ込んでくるううううううううう!嫌だああああああ!シリタクナーイ!ツカイタクナーイ!」
士郎「とりあえず正義の味方は諦めようと思った」
アーチャー「ふん、元より覚悟のない者が正義の味方だのと、笑わせる」
士郎「ねえよそんな覚悟」
士郎「溺死してんのお前じゃねえか、もう浮いてくんなよ」
アーチャー「そしてお前のことでもあるわけだ、気をつけて置けよ、この世界のお前はただでさえ複雑な肉体関係を形成しているのだからな―――」スゥ・・・
士郎「・・・・・・あの野朗、最後に言いたいことだけ言ってどっか行きやがった・・・・・・ていうか変なもん投影させやがって・・・・・・」
セイバー「・・・・・・シロウはアレを私に使おうというのですか?」
士郎「んー、まあ、一応手に入れたもんですかr―――!?」
セイバー「シロウが使いたいというのなら構わないのですが・・・・・・、流石にああいったものは経験がないので、最初はせめて優しくして頂きたいのですが・・・・・・」
士郎「・・・・・・セイバー?」
セイバー「はい」
士郎「・・・・・・いつからいたの?」
セイバー「割と最初の方からです」
士郎「具体的には?」
セイバー「私が黒化するとかなんとか」
士郎「・・・・・・何処に居たの?」
セイバー「実はそこの和室にずっといたのですが、あなたとアーチャーが珍しく仲睦まじく会話しているのを邪魔しては悪いと思ったのでずっと聞き耳立ててました」
士郎「・・・・・・優しいんだな、セイバーは」
セイバー「ありがとうございます」
セイバー「何でしょう、シロウ」
士郎「さっきの会話から分かってくれると思うんだけど、今のを遠坂に聞かれるとほんとにマズイ事になるんだ、だから、遠坂には言わないで、っていうか、セイバーも忘れてくれないかな」
セイバー「そうは言われましても、リンを含め女性陣おおむね最初からそこの和室にいたので・・・・・・」
士郎「ありがとう、黙ってくれると助かるよ、セイバー」
セイバー「え?」
士郎「え?」
セイバー「はい」
士郎「・・・・・・なんでさ」
セイバー「何故と言われましても―――
今日は、日曜日ではないですか
―――」
士郎「・・・・・・」
セイバー「そういうわけなので、今日も全員、お相手していただきます」
士郎「・・・・・・」
セイバー「最初はリンからお願いします、理由は勿論お分かりですね?」
士郎「・・・・・・」
そういえばもう七月だ、暑い夏が始まる筈なのに、何故か背筋が凍るような視線を浴びている。
ゆっくりと襖が開かれ、遠坂が現れる。
凛「・・・・・・」
・・・・・・仕方がない、覚悟を決めよう。
だがその前に、これから起こる理不尽に、一言だけ、文句を言わせて貰おうじゃないか。
凛「―――テクノブレイクとかで済ませると思ったら甘いから」
士郎「 な ん で さ 」
..‐ミメ、 :.:.:.:∨ .:. \ ,/
_彡':.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:. ∨{_
_ア.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.‘,
`7 :.:.:.:.:.:i{ | :. | :. ト、:.:.ヽ.:.:.:.:.:.:.:.:.\
厶イ:ハ:.:.八{\{\{__\八:.:}:.:.:.:.:.:.ヽ
}八{-V‐ ´ V :.:.:.:.: ト、}
\{ ____ x===ミ }/.:.:.:.:.;
/}" ̄`} }/⌒V
ヽ. ′ ノ 丿
、 ー─一 __/
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_ . -‐ ' } / /ニニ==ー
-=ニ/ /ニニニニニニニニ`ヽ
/ニニニニニヽ -=ニニニニニニニニニニニi
/ニニニニ/\ \ <ニ>'゙⌒\=ニニニニニニニニ|
. /ニニニニ/ .\ `´ニ> ´ \ニニニニニニ二二|
/=ニニ二/ `ー \ニニニニニニ二|
. {ニ二二/ ∨=ニニニニニ|
綺麗な顔してるだろ…?
死んでるんだぜ、これ
( ・ω・)
_| ⊃/(___
/ └-(____/
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
<⌒/ヽ-、___
/<_/____/
おわり
「さてさて、今回バッドエンドを迎えた士郎、どこで選択肢を間違えたのか」
まわりを確認せずにアーチャーと会話したこと?
全員に手を出したこと?
藤村先生だけの日を作らなかったこと?
SSF
そこまでにしておけよ藤村
してもらえただけ有難いと思えよ藤村
弟子一号「私だけの日を作らなかったことだと思いまーす」
Entry ⇒ 2012.07.05 | Category ⇒ FateSS | Comments (1) | Trackbacks (0)
真尋「最近ニャル子が冷たい」
真尋「ニャル子、おはよう」
ニャル子「ん?ああ、おはようございます」
真尋「あれ、ハス太とクー子は?」
ニャル子「ああ、その二人なら幻夢郷のお仕事とお父さんのお手伝いだそうです」
真尋「毎回そのパターンだから突っ込むのがめんどくさくなってきたな……」
ニャル子「毎朝作ってもらってすいませんねえ……ではいただきます」
真尋「いただきます」
ニャル子「……」モグモグ
真尋「……」モグモグ
ニャル子「……醤油取ってもらえますか」
真尋「ん」
ニャル子「あ、どうも」
ニャル子「……あぁ、今日は一足先に学校へ行きたいのでもう行きますね」
真尋「ん?何かあるのか?」
ニャル子「いえ、真尋さんには関係のない事です」
真尋「ふーん」
ニャル子「ではごちそうさま……行ってきます」
真尋「ん、いってらっしゃい」
真尋(ニャル子が一人で登校なんて珍しいな……)
………
真尋(家に誰も居ないのに言っちゃうのは僕だけじゃないはず……)
真尋(っていうかニャル子、今日は静かだったな)
真尋(必要最低限の会話しかしてないというかなんというか)
真尋(大人しくなってくれることに越した事はないけどさ……)
真尋(……なんなんだろう)
余市「おはよう八坂君」
真尋「おはよう余市」
余市「あれ?今日はニャル子さん達と一緒じゃないのかい?」
真尋「ニャル子は一人で早めに出てったよ、ハス太とクー子は風邪」
余市「ふーん……」
真尋「あれ?まだニャル子来てないのか?」
余市「ん~僕は見てないかな」
珠緒「ほうほう、それで──あ、八坂くんおはよー」
真尋「ん?あぁおはよう……ってニャル子も居るのか」
ニャル子「ええ、珠緒さんと少々お話があったもので」
真尋「ふーん……」
珠緒「おやおや?内容が気になるのかな?」
真尋「どうせ僕には関係ないだろ」
珠緒「んーまあそうなんだけど」
真尋「ならいいじゃないか」
珠緒「んふふーじゃあねぇーん」
真尋「はいはい」
担任「連絡事項は特にないが試験が──」
真尋(……)チラッ
ニャル子「zZZ...」
真尋(もう寝てやがる……)
真尋(いつもこうだといいんだけど……)
真尋「おいニャル子、さっさと食いに行くぞ」
ニャル子「ああ、すみませんが今日は珠緒さんと食べるので……」
真尋「え?」
ニャル子「お弁当も用意してないので購買でパンでも買ってください」
真尋「あぁ、そうなんだ……」
ニャル子「それで次はどうしたら──」
珠緒「んー……そうだねぇ──」
真尋(久し振りに余市と食うか)
余市「あれ?今日はニャル子さんと食べないのかい?」
真尋「今日はあの二人で食べたいんだと」
余市「へぇ~珍しいねぇ」
真尋「まぁ、なんかあの二人妙に仲良いしな」
余市「いいじゃないか、日本での友達が出来てニャル子さんも嬉しいんだよ」
真尋「そんなもんかねえ……」
教師「つまり、力こそパワーであるからでして──」
真尋「……」チラッ
ニャル子「zZZ...」
真尋(こいつが静かだとここまで授業に集中できるのか)
教師「力の象徴だな、つまりは──」
真尋「……」チラッ
ニャル子「zZZ...」
真尋(なんか落ち着かないな……)
真尋「なんか妙に疲れたな……さっさと帰るか……おい、ニャル子」
ニャル子「ん?はい、なんでしょう?」
真尋「何って……さっさと帰るぞ」
ニャル子「あぁ、今日は珠緒さんと帰りますので」
真尋「え、あぁ……そう、なんだ」
ニャル子「ではお先に失礼します、真尋さん」
珠緒「じゃあねー……それでニャル子ちゃん、どうなの──」
ニャル子「それが中々──」
真尋「……」
真尋(まあそういう日もあるだろう)
真尋(一人で帰るの久し振りだな……)
真尋(あいつらが来てからは毎日うるさかったのに……)
真尋(まあ、たまには静かで落ち着いた日があったっていいだろう……うん)
真尋(たまには……ね)
真尋(……)
真尋(……弁当、食べたかったな)
真尋「ただいまー」
…………
真尋(あれ、まだニャル子帰ってきて無いのか)
真尋(まあいいや、夕飯の準備をしよう)
真尋(今日は何がいいかな……たまにはニャル子の好きなもんでも……)
真尋(……そういえばニャル子の好きな食べ物って知らないな)
真尋(今度聞いておくか)
真尋(まだ帰って来ないのか……先に食べちゃうか)
真尋「いただきます」
真尋「……」モグモグ
真尋「……」モグモグ
真尋「…………」
真尋「……いつになったら帰ってくるんだよ」
真尋「遅くなるなら連絡しとけっての……」
真尋「……!ず、随分遅かったじゃないか」
ニャル子「あぁすみません、色々あったので」
真尋「まあとりあえずさっさと食えよ、冷めちゃうから」
ニャル子「あー……連絡しておくべきでしたね……」
真尋「ん?」
ニャル子「夕飯ならもう済ませてきました」
真尋「…え」
真尋「え……あ、うん……あ、風呂ならもう沸いてるから」
ニャル子「ああ、お風呂も済ませてきましたので結構です」
真尋「……は?」
ニャル子「では失礼しますね」
真尋「……え……」
真尋「………」
真尋(せっかく作ったのにもったいないな……)
真尋(前にあいつが美味しいって言ってくれたのを用意してあげたんだけどな……)
真尋(………)
真尋(……風呂を済ませてきたってなんだろ)
真尋(銭湯でも行ってきたのか……?)
真尋(僕なにかしたかなぁ……)
真尋(朝ごはんに嫌いなもんでも入ってたのかな)
真尋(それとも邪神にも生理とかあるのかな)
真尋(………)
真尋(……直接聞いてみるか)
ニャル子「え?あ、はいどうぞー」
真尋「……相変わらず意外すぎるほどまともな部屋だな」ガチャ
ニャル子「なんですかそれ、文句でもあるんですか」
真尋「いや文句はないけど……ってなに読んでるんだ?」
ニャル子「ああ、これですか?お勧めのデートスポットを見てるんですよ」
真尋「デート?」
ニャル子「今度の日曜日にデートがあるのもで~えへへ」
真尋「僕は聞いてないぞ」
ニャル子「え?真尋さんには関係ないですよ?」
ついに俺の時代が来たのか
は?俺だよ
>>43
いまニャル子は俺の腰の上だぜ
ニャル子「あれ……あ、言ってませんでしたね」
真尋「な、何を」
ニャル子「私、好きな人ができたんです」
真尋「……は?」
ニャル子「隣のクラスの男子なんですけどね、いや~情熱的な告白でして」
真尋「………」
ニャル子「今度の日曜日には彼の家に泊まろうかと思ってますので夕飯は要らないです」
真尋「………」
ニャル子「丁度よく両親が不在だそうなので……その、最後までしちゃおうかなぁと……いゃん///」
真尋「………」
ニャル子「真尋さん?」
真尋「……あ、お、お幸せに」
となりのクラスの男子っておれだから
真尋「あ……あはは、良かったな……」
ニャル子「ありがとうございますぅ~♪真尋さんも、早いとこ彼女捕まえるんですよ?」
真尋「う、うん……善処する……」
ニャル子「そうですよ、前向きに検討したほうがいいですよ」
真尋「じゃ、じゃあな……しっかり計画立てるんだぞ……」ガチャ
ニャル子「どうもでーす」
ニャル子「……」
ニャル子「……泣いてましたね」
真尋(そっか……彼氏が出来たのか……そうだよな……)
真尋(きっといい人なんだろう……)
真尋(僕なんか、好きって言ってくれてるのにフォークだもんな……)
真尋(そりゃあ他の男に行くよな)
真尋(ま、まあ、ニャル子の事は僕には関係ないじゃないか!)
真尋(ニャル子にはニャル子の人生があるんだし、ニャル子が誰と付き合おうが……)
真尋(……関係……ない……よな……)
真尋(……じゃあなんで……こんなにも泣きそうなんだろうな……)
真尋「……!!ど、どうぞー……」
ニャル子「ちょっと話があるのですが」
真尋「なんだよデートの計画でも立ててろよ」
ニャル子「いえ、その事なのですが」
真尋「なんだよ僕には関係ないだろ二人でお幸せによろしくやってろよ……」
ニャル子「ま、真尋さん落ち着いて」
ニャル子「とても慌てているように見えますが……」
真尋「う、うるさいな!」
ニャル子「そんなに私に男が出来たのが気になるんですか?」
真尋「僕には関係ない!ニャル子がそうしたいならそうすればいいだろ!」
ニャル子「そ、そうですか」
真尋「そうだよ!一々言ってくんな」
ニャル子「……あのー、お話があるから来たのですが……よろしいですか?」
真尋「……言ってみろ」
真尋「もういいよその話は二人仲良く結婚でもすればいいだろこれ以上──」
ニャル子「……さっきの話、全部嘘ですよ?」
真尋「どうせ僕には一生縁のない──え?」
ニャル子「日曜日にデートはありませんし、隣の男子とはなんともありません」
真尋「……は?」
ニャル子「いやだからですね、全部嘘です」
真尋「ごめん意味がわからない」
ニャル子「じゃあ分かりやすく説明しますね」
真尋「三行で頼む」
珠緒さんに相談したところ
冷たく突き放して反応を伺えと言われたものでして……
拗ねた真尋さん超可愛いですぅ///」
真尋「……は?」
ニャル子「えーっとですね……要するに気を引きたかっただけと言いますか……」
真尋「……はぁあああああああ!?」
ニャル子「ひぅ!?」
真尋「お前ふざけんじゃねえよ僕がどんだけ悩んだと思ってんだよ僕の気持ち考え──」
ニャル子「と、とりあえず落ち着いて」
真尋「バカ野郎これが落ち着いていられるか!?」
ニャル子「うぅ……」
吊ってくる
ニャル子「ま、真尋さん?」
真尋「気軽に……そういう事……言うなよな……」
ニャル子「私も信用ないんですねぇ……」
真尋「……?」
ニャル子「私が真尋さん以外を愛する訳がないじゃないですか」
真尋「……ニャル子……」
ニャル子「真尋さん……」
真尋「……ったく……だったら二度とそういう事言うな……」
真尋「それとこれは話が別だ」
ニャル子「うぅ……真尋さん、怒ってます?」
真尋「当たり前だろ喧嘩売ってんのか」
ニャル子「ひぅ……ご、ごめんなさい……」
真尋「謝って済むなら保護機構なんざ要らないんだよ」
ニャル子「ならどうしたら許してくれるんですか……」
ニャル子「………はい?」
真尋「膝枕」
ニャル子「……真尋さん」
真尋「なんだよ」
ニャル子「色んなSekaiSenで膝枕なでなでを見たことがあるのですが」
真尋「それが?」
ニャル子「いえ……なんでも」
ニャル子「そ……それが人にものを頼む態度ですか……」
真尋「うっさい」
ニャル子「分かりましたよ……ほら」ぽんぽん
真尋「ん」
ニャル子「……真尋さん」なでなで
真尋「……なんだよ」
ニャル子「膝枕好きなんですか」なでなで
真尋「今はその話関係ないだろ」
ニャル子「大いに関係しているような……」
真尋「手止まってる」
ニャル子「あぁすいません」なでなで
ニャル子「……」なでなで
真尋「……ニャル子」
ニャル子「は……はい?」なでなで
真尋「……本当にさっきの話は嘘なんだよな?」
ニャル子「本当ですって信じてください」なでなで
真尋「そっか……」
ニャル子「そんなに心配だったんですか?」なでなで
真尋「……うん」
真尋「当たり前だろ……バカ……」
ニャル子「えへへ……ありがとうございます……」なでなで
真尋「………」
ニャル子「ですが……これだけは誓います」
真尋「……なんだよ」
ニャル子「私は真尋さんだけを愛しているんです……他の人に興味はありませんよ……」
真尋「……ならいいよ」
ニャル子「ふふっ……ありがとうございます……」なでなで
ニャル子「あれー?そんなに寂しかったですかー?」
真尋「……お前が大人しいと調子狂うんだよ」
ニャル子「んふふ~大丈夫ですよ、真尋さんの、頼みですからね」
真尋「なら明日は弁当作ってくれるよな?」
ニャル子「……あ」
真尋「なんだよ」
ニャル子「お弁当の事なのですが……」
真尋「ことなのですが?」
ニャル子「あれ……素で作り忘れてました……」
真尋「……おい」
おわり
乙だ
Entry ⇒ 2012.07.05 | Category ⇒ ニャル子さんSS | Comments (0) | Trackbacks (0)
P「忘れた書類を取りに、アイドルを俺の部屋に向かわせる!」
小鳥「こんにちは。解説の音無小鳥です」
P「いやぁ、音無さん。ついにこの日がやってきましたねぇ」
小鳥「満を持して、という感じですねぇ」
P「そうですねぇ。それではここで、今回のルール説明です」
1.『忘れた書類を取りにいかせる』という名目で、アイドルを1人ずつ、Pの部屋に向かわせる
2.履き物を脱いで部屋に上がったところでタイム計測開始
3.テーブルの上の書類を持った時点で計測ストップ。最も早かったアイドルが優勝!
4.制限時間は計測開始から20分
P「ええ。しかしそこは、我が765プロのアイドル達ですから」
小鳥「そう簡単にはゲームは終わらないでしょうね」
P「その通りですねぇ」
小鳥「ふふ。非常に楽しみです」
P「相変わらずダメな大人ですねぇ」
小鳥「最高のホメ言葉です」
音無「あ、映りましたね。1Kタイプの部屋ですね」
P「ええ。7帖のフローリングと、3.5帖のキッチン、そしてユニットバスです」
小鳥「一人暮らしの男性の部屋にしては片付いていますね」
P「けっこうキレイ好きなもので。というか、一人暮らしの男性の部屋に招かれたことがあるんですか?」
小鳥「あっ、玄関のドアが開きましたよ!」
P「おっとぉ!早くも、1人目のアイドルが部屋を訪れたようです!トップバッターは一体誰なのか!!!」
P「そうです!765プロの正統派アイドル、天海春香の登場であります!!!」
小鳥「今日はピンクのリボンですねぇ。プロデューサーさんの部屋をピンク色に染めてくれることを期待しましょう」
P「そうですねぇ。そしていま履き物を脱いで、私の部屋に足を踏み入れました!!!」
小鳥「ゲーム開始ですね!!!」
小鳥「テーブルは洋室の中央に置いてありますから、書類もすぐに視認できますね」
P「なるほど。おっと、音無さんの言葉通り、早くも書類を視界に捉えたようであります!」
小鳥「ここからが本当のゲーム開始ですねぇ」
P「そうですねぇ」
P「書類以外に用は無いはずですが、そこは年頃の女の子!どのような感じなのか、やはり気になるようです!」
小鳥「当然ですね」
P「おっと!ここでテーブルとは関係の無い方へと歩き始めましたよ!」
小鳥「ベッドですね!」
P「はい!ベッドですね!」
P「ええ!書類などどこ吹く風、と言わんばかりに私のベッドの側を歩き回る天海春香!そこには一体どんな意図が隠されているのか!!!」
小鳥「狙ってますよ!隙を窺っています!」
P「あぁっとぉ!!!ここで転んだぁ!!!その先にはもちろん!!!」
小鳥「ベッドですねっ!!!」
P「天海春香、ベッドにタッチダウーン!!!」
P「立ち上がる気配など微塵も見せず、ベッドの上で転げ回る春香!これは遅延行為を取られても文句は言えません!」
小鳥「故意ですねぇ!間違いありません!」
P「やはり故意ですか!!!」
小鳥「そして恋でもあります!!!」
P「照れながら言わないで下さい!!!」
小鳥「ごめんなさい!!!」
小鳥「少し時間を使い過ぎましたねぇ」
P「そうですねぇ」
律子『実況席のプロデューサーさん』
P「サブスタジオの秋月律子さん、どうぞ」
律子『残念ながら失格となってしまった春香なんですが、『えへへ。またコケちゃいました。おかしいなぁ』と笑顔を見せていました』
P「なるほど」
小鳥「言いますねぇ」
小鳥「ドアが開きましたよ!」
P「はい!注目の2人目は……」
小鳥「真美ちゃんですね!!!」
P「ええ!左側で結んだサイドポニー、双海姉妹の姉、真美の登場であります!」
小鳥「まだまだイタズラ好きな真美ちゃんですからね。期待しましょう」
P「いま玄関で履き物を脱いで、真美のタ→ン開始であります!!!」
P「ええ。そしていま、書類を確認したようですが……」
小鳥「無視してますね」
P「そうですねぇ。しかしこの展開は想定の範囲内と言ったところか」
小鳥「そしてゆっくりと……」
P「PCに向かいましたね!そして電源を入れています!止めて!」
小鳥「何か見られては困るものでも?」
P「ダ・カーポⅡが……」
小鳥「何でいまさら……」
P「音姉に会いたくて……」
小鳥「どのような挨拶を交わしているんでしょうねぇ」
P「おっと!ここで何やらPCを操作し始めましたよ!」
小鳥「手慣れてますねぇ」
P「そうですねぇ。そしてこれは……」
小鳥「プリントアウトしてますよ!!!」
P「双海真美!ここで音姉の画像をプリントアウト!意図が見えません!!!」
P「はい!そしてここで書類を持ちました!タイム計測はここで終了となります!!」
小鳥「ですが、これは……」
P「何をするつもり……あっ!!!」
小鳥「書類の包みの中に入れましたよ!!」
P「何と双海真美!プリントアウトした音姉を、書類の中に忍ばせました!!!」
小鳥「ちなみに、書類の包みには宛名は書いてあるんですか?」
P「『バンダイナムコ様御中』と……」
小鳥「あぁ……」
小鳥「本当に提出する書類だった危ないところでしたねぇ」
P「私は土下座コースでしたねぇ」
小鳥「見てみたいですけどね」
律子『実況席実況席。真美のコメントです。』
P「秋月さんどうぞ」
律子『はい。『兄ちゃんも男だねぇ。真美に言ってくれればいつでも』と言いかけたところで私が止めました』
P「ご苦労様」
小鳥「私だっていつでも」
P「さぁ、3人目を待ちましょう!」
小鳥「そうですね!」
P「どうしました?」
小鳥「あずささんは部屋までたどり着けるのでしょうか?」
P「何とかなるでしょう」
小鳥「そこは適当なんですね。さすがです」
P「おっ!ここで3人目のアイドルが登場したようですよ!」
小鳥「千早ちゃんですね!」
P「はい!真面目という点では765プロで3本指に入るであろう如月千早!一体どんなゲームを見せてくれるのでしょうか!」
小鳥「是非とも、見せ場を作って貰いたいですねぇ」
P「いまゆっくりと履き物を脱いで、3人目のゲーム開始です!!!」
P「特に珍しい物は置いてありませんからねぇ」
小鳥「私の台所にはビールサーバーがありますけどね」
P「行きませんけどね」
小鳥「ここで書類を視認しましたね」
P「そうですねぇ。ここまでは淀みない展開です」
P「そうですね!これはどうやら……ベッドに向かっていますね!」
小鳥「春香ちゃんと同じ展開ですね!」
P「はい!如月千早、親友である天海春香と同じ轍を踏んでしまうのか!」
小鳥「ベッドに座りましたよ!」
P「如月千早、ベッドに腰を降ろしました!そしてあらためて部屋を見回しています!」
小鳥「『プロデューサーさんのベッドから見える景色』を目に焼き付けているんでしょう!」
小鳥「抱きしめてます!プロデューサーさんの枕を抱きしめてますよ!!!」
P「なんということでしょう!私の枕をきつく抱きしめ、そして頬をうずめております!!!」
小鳥「可愛いですね!!!」
P「可愛いです!!!普段はクールなだけに、より一層破壊力が高まります!!!」
小鳥「録画して私に下さい!!!」
小鳥「そんなのどうでもいいですから録画して私に下さい!!!」
律子『実況席のプロデューサーさん。千早のコメントです』
P「秋月さんどうぞ」
律子『『せ、7thアニバーサリーが終わって気が弛んでいたのよ、きっと……』だそうです』
小鳥「ふふ…可愛いですねぇ」
P「まったくですねぇ」
小鳥「いえ、DVD3枚で。観賞用と保存用と」
P「あとにして下さい」
小鳥「ごめんなさい」
P「おっ!玄関のドアが開きましたよ!」
小鳥「あれは……伊織ちゃんですね!!!」
P「ええ!例のごとくウサギのぬいぐるみを抱えてのご登場!水瀬伊織であります!」
小鳥「伊織ちゃんも読めませんねぇ」
P「そうですねぇ。そしていま履き物を脱いで、伊織タイムのスタートです!!!」
P「そうですねぇ。あっと。いまテーブルの上の書類を確認しましたね」
小鳥「次の一手が重要ですよ」
P「さぁ、水瀬伊織!いま洋室に足を踏み…入れない!台所に引き返しました!」
小鳥「どうしたんでしょうね?」
P「ちょっと分かりませんねぇ」
律子『プロデューサーさん』
P「どうしましたか秋月さん?」
律子『どうやら、食器棚からグラスを取り出しているようです。それも2つ』
小鳥「2つ?ますます分かりませんねぇ」
小鳥「牛乳?」
P「まぁ、伊織が飲めそうなのはそれくらいですからね。ジュース類は置いてありませんから」
小鳥「なるほど。ですが、なぜグラス2つなんでしょう?」
P「読めませんねぇ。おっと!ここでようやく洋室に足を踏み入れました!手には牛乳を満たした2つのグラスであります!」
小鳥「テーブルの前に座りましたよ!」
P「はい!そしてグラスをテーブルに置いて……ああっとぉ!ぬいぐるみを向かい側に座らせました!!!」
小鳥「恋人気分ですね!よく分かります!!!」
小鳥「何か話しかけてますよ!!!」
P「残念ながら、音声は拾うことができません!!」
小鳥「プライバシーの保護ですね!!!」
P「説得力ゼロですけどね!!!」
小鳥「あっ!いま、『お疲れさまプロデューサー』って言いましたよ!!!」
P「何で分かるんですか!!!」
小鳥「読唇術です!!!」
P「どこで覚えたんですか!!!」
小鳥「通信教育です!!!」
小鳥「今度は『いつもありがとう』って言いましたよ!!!」
P「プライバシーの保護はどこに行ったんですか!!!」
小鳥「あっ!『キツいことばっかり言って、ごめんなさい』って!!!」
P「何というご褒美!!!これからも頑張れます!!!」
小鳥「今日の晩ご飯が美味しくいただけますね!!!」
小鳥「そんなのどうだっていいですから、あと一時間くらい眺めてましょうよ!!!」
P「私もそうしたいのですが、運営スタッフがゲームを止めてしまいました!!!」
小鳥「残念です!!!」
律子『実況席のプロデューサー。伊織の談話が入りました』
P「お願いします」
律子『開口一番、『お、お芝居の稽古よ!』と』
小鳥「ふふ……」
律子『それから、『これからも…その…』と言ったあと、口ごもってしまったようです』
P「ふふ…ありがとうございました」
小鳥「何でしょうか?」
P「失格にはなってしまいましたが、何かこう、かけがえの無い物を残してくれましたね」
小鳥「ええ。持ち帰るDVDが3枚増えました」
P「さぁ、現在12人中4人が終了し、これから中盤戦へと突入いたします」
小鳥「楽しみですねぇ」
P「そうですねぇ。……おっと!ここでドアが開きましたよ!5人目のアイドル登場です!」
小鳥「あれは……雪歩ちゃんですね!」
小鳥「それに真面目ですからね。書類だけ持って、何もせずに部屋から出ることも考えられます」
P「その可能性が最も高いのは雪歩でしょうねぇ」
小鳥「やっぱり似てますねぇ」
P「何がです?」
小鳥「雪歩ちゃんと、高校3年生のころの私が」
P「さぁ!履き物を脱いで、ゲーム開始であります!」
小鳥「期待しましょう!」
小鳥「あっ!書類を持ちましたよ!!!」
P「持ちましたね!予想通りというべきか、他の物には目もくれずに書類を掴みました!!!手元の時計では12秒!瞬殺であります!!!」
小鳥「そしてそのまま玄関に向かってますねぇ」
P「いやはや、予想通り過ぎて拍子抜けしてしまいます……おや?」
小鳥「ドアを開ける前に立ち止まりましたね」
P「何やら思案中のようですが……」
P「ええ!何やら意を決したような表情で、再び洋室へと舞い戻ってまいりました!」
小鳥「そして…デスクに向かってますね」
P「そうですねぇ。ゲーム自体は終了していますが、引き続き雪歩の様子をお伝えいたします」
小鳥「あれは…ボールペン?それからメモ用紙を一枚」
P「私への書き置きでしょうか?」
小鳥「雪歩ちゃんは几帳面ですからねぇ」
P「秋月さんどうぞ」
律子『えっとですね……天井にもカメラが仕掛けてありまして、サブスタジオからは雪歩が何と書いているのか分かるんですが……』
P「何と書いているんですか?」
律子『えっと……』
小鳥「どうしたんですか律子さん?」
律子『プロデューサーへ 2012年 7月4日 萩原雪歩』
P「はい」
律子『続きは…読みたくありません』
小鳥「えっ!?」
小鳥「デスクの一番下の引き出しに入れましたね!それも、ずいぶん奥の方に!」
律子『えっとですね…』
P「どうしました秋月さん?」
律子『3年くらい経ったら読んであげて下さい』
P「3年?」
律子『現在の雪歩の正直な気持ちが書いてありますから。プロデューサーに対する』
小鳥「ひょっとして……ラブレター?」
P「……マジで?」
律子『はい……』
小鳥「ど、どぎまぎし過ぎですよ!!!」
P「し、仕方ないでしょ!!!」
律子『雪歩の談話なんですが……』
P「は、はい!!!」
律子『その…『メモの内容を喋ったら埋めちゃいますぅ!』と……』
小鳥「やりかねないですね…今回ばかりは本気で……」
P「さ、3年経ったら読みます!」
律子『そうしてやって下さい……』
小鳥「つ、次のアイドルを待ちましょう!ねっ!」
P「そ、そうですね!きっと雰囲気を変えてくれることでしょう!」
小鳥「あっ!入ってきましたよ!」
P「ええ!あれは……亜美ですね!双海姉妹の妹、亜美の登場です!」
小鳥「一番イタズラ好きな子ですからね!期待したいところです!」
P「そうですね!そしていま履き物を脱いで、亜美のゲーム開始であります!!!」
小鳥「ベッドに向かいますね!おそらく目的はベッドの下でしょう!」
P「あっ!音無さんのおっしゃる通り、ベッドの下を覗き始めました!」
小鳥「ダメよ亜美ちゃん!!!そんなところには無いわ!!!」
P「なぜそう思われますか?」
小鳥「勘です!!!おそらく……洋服タンスの上から3番目の引き出しです!!!」
P「何で分かるんですか!!!」
小鳥「勘です!!!」
小鳥「洋服タンス!!!洋服タンスよ亜美ちゃん!!!」
P「必死で声を送る音無さん!!!何が彼女をこれほどまでに駆り立てるのか!!!」
小鳥「いろいろ面白いからです!!!」
P「ストレート過ぎます!!!」
小鳥「違う!!!そこじゃ無いわ亜美ちゃん!!!」
P「聞こえるはずの無い声を届け続ける音無さん!!!さながら『腐女の宅急便』といったところでありましょうか!!!」
小鳥「違うの!!!テレビの裏じゃ無いわ!!!」
小鳥「まだ時間はあるわ!!!落ち着いて対処するのよ亜美ちゃん!!!」
P「そして上から3番目の引き出しを……開けました!!!」
小鳥「見せて!!!カメラに向かって!!!」
P「隠しカメラなんですが……」
小鳥「亜美ちゃんズルい!!!自分1人だけ読むなんて!!!」
P「エキサイトし過ぎです……」
小鳥「そんなことよりカメラに向かって掲げて!!!」
P「ヒドい…いまさらながらヒドい……」
律子『実況席のプロデューサーさん。亜美のコメントです』
P「秋月さんどうぞ」
律子『えっと…『兄ちゃんは人妻』
P「ストーップ!!!」
小鳥「人妻!?人妻がどうしたんですか!?なって欲しいんですか!?結婚しますか!?」
P「それは無いですね」
小鳥「そうですよね」
小鳥「予想以上ですね」
P「後半戦に向けて何か一言いただけますか?」
小鳥「もっとカメラを意識して欲しいですね」
P「いや、ですから隠しカメラです……」
小鳥「隠しカメラでも、です。つまりですね」
P「間もなく後半戦のスタートです!」
小鳥「切り替えていきましょう!」
小鳥「きゃー!真ちゃんですね!」
P「全国の女性ファンの皆様、お待たせいたしました!真、まことの王子様!菊地真見参であります!!!」
小鳥「真ちゃんも真面目ですけど、ワイドな展開を期待したいですね!!!」
P「そうですね!いま履き物を脱いで、王子様タイムスタートです!!!」
小鳥「書類を視界に捉えましたね!」
P「ですが、ここはスルーします!そして向かう先は……」
小鳥「ベッドですね!」
P「はい!春香、千早、亜美に続き、真もベッドを選択した模様であります!!!」
小鳥「あっ!ベッドの側の床に座りましたよ!しかも女の子座りです!!!」
P「そしてそのまま……ベッドに頬をうずめました!!!」
小鳥「本当はプロデューサーさんのベッドに寝転がりたいんでしょうねぇ」
P「ほぅ……しかし、抵抗があると?」
小鳥「恥ずかしいだと思います。だからほっぺただけ」
P「……可愛いですねぇ」
小鳥「私にもそんな時代があったなぁ……」
P「あぁ、そうですか」
小鳥「はい」
小鳥「何か書いてるんじゃないでしょうか!!!」
P「なるほど!!!サブスタジオから確認できますか?」
律子『サブスタジオです!どうやら、プロデューサーさんの名字を書いているようです!』
P「私の、ですか?」
律子『そしてその下に…ふふ……『真』と』
小鳥「あら…うふふ……」
P「それは……照れくさいですねぇ」
律子『ふふ……何度も何度も書いていますね。サブスタジオの全員が微笑みを浮かべながらモニターを眺めています』
小鳥「ごちそうさまでした」
律子『実況席、真のコメントです』
P「どうぞ」
律子『はい。『あ、あれはその…た、ただの姓名判断だよ!』』
小鳥「あらっ!真ちゃんのツンデレですか!」
律子『その後に、『まぁ、相性は悪くないみたいだけどさ…』と、頬を真っ赤にしながら語っていたようです』
小鳥「うふふ。かさねがさね、ごちそうさまでした」
P「私も頬が赤くなりそうです……」
小鳥「そんなことがどうでも良くなるくらい、ほっこりした気持ちになれましたね」
P「そうですねぇ。ちょっと照れくさいですが……」
小鳥「実は私との相性も悪くない」
P「さぁ、続いてのアイドルは誰なのか!間もなく入室してくる模様です!!!」
小鳥「ふふ…プロデューサーさんたら照れちゃって……」
小鳥「そうですねぇ。となると、次のアイドルはおそらく……」
P「あずささんでしょうね……」
小鳥「はい……」
律子『プ、プロデューサーさん大変です!』
P「どうしたんですか秋月さん!?」
律子『そのあずささんなんですが、やはり迷子になってしまったようで……』
小鳥「あぁ、やっぱり……」
P「それで、あずささんはいまどちらに?」
律子『それがですね……どうやら、都内某所にあります、プロデューサーさんのご実家にいらっしゃるようです!』
P「えっ!?」
P「そ、それであずささんは?」
律子『お母さまがご在宅だったみたいなんですが、『部屋に書類を取りに来ました』と言って、ご実家の中に入ったようです!』
P「違うんですあずささん……その部屋じゃないんです……」
小鳥「それはどなたからの情報なんでしょう?」
律子『つい先ほど、プロデューサーさんのお母さまから電話がありまして……』
P「母さん……」
律子『これからお2人で夕食の買い出しに行くそうです……』
小鳥「早くも打ち解けてますね……さすがあずささんです……」
P「何でしょう……?」
律子『えっとですね。『あずさちゃんにしときな』と』
小鳥「最も手ごわい外堀を埋めましたね……」
P「恐るべしあずささん……」
小鳥「ちなみにご実家の住所は?」
P「千代田区1―1です」
小鳥「メモメモ……」
小鳥「そこはホラ…あずささんですから……」
P「ですよね……」
小鳥「き、気を取り直していきましょう!」
P「そ、そうですね!残すはあと4人!次に登場するアイドルは誰なのか!!!」
小鳥「楽しみです!!!」
小鳥「やよいちゃんですね!」
P「はい!いつも元気な妹系アイドル、高槻やよいの登場であります!!!」
小鳥「やよいちゃんは素直で、それにしっかりしてますからね!書類以外には目もくれない展開も想定できます!」
P「そうですね!そしていま玄関で履き物を脱いで、やよいゾーンの開幕です!!!」
小鳥「キョロキョロしてますよ!予想外です!」
P「書類は目の前のテーブルに置いてあるんですけどね!あっと、ここでデスクに向かった!!!」
小鳥「何かを探しているようですね!」
P「おっと。何やら首を傾げております。手には数本のペン。音無さん、どういうことなんでしょうか?」
小鳥「……まさか」
小鳥「みんなには、どのような方法で伝えたんですか?」
P「へ?俺からメールで『部屋に書類を忘れたから取ってきてくれないか』という文章と、部屋の住所を
やよいには事務所から貸し出した携帯電話宛に送信しましたけど」
小鳥「読めなかったんじゃないでしょうか……?」
P「何がです?」
小鳥「ですから…『書類』が……」
P「……え?」
P「では、『書くたぐい』の物を……?」
小鳥「はい……」
P「は、ははは。まさかぁ」
小鳥「あっ!ペンを全部ポケットに入れましたよ!」
P「えっ!?どういうこと!?」
小鳥「『どれか分からないから全部持って行こう』作戦です!!!」
P「ワケが分かりません!!!」
P「書類は!?」
小鳥「テーブルの上に置いたままです!!!」
P「明日から漢字ドリルやらせます……」
小鳥「お察しします……」
律子『プロデューサーさん。やよいのコメントです』
P「どうぞ……」
律子『はい。『うっうー!勉強になりましたぁ!』と言ったあと、いつものお辞儀をしてたようです』
P「可愛いから困る……」
小鳥「お察しします……」
小鳥「3人とも全く異なるタイプですからね。非常に見応えがあります」
P「そうですねぇ。おっと!ここでドアが開きました!」
小鳥「響ちゃんが入ってきましたね!」
P「ええ!765プロのオールラウンダー、我那覇響の登場です!」
小鳥「響ちゃんも楽しませてくれそうですね!」
P「いま履き物を脱ぎました!ゲーム開始です!!!」
小鳥「洋服タンスと壁の隙間に逃げ込んでしまいましたね!!!」
P「響も手を差し込もうとしていますが……やはり入らないようです!」
小鳥「大幅なタイムロスですねぇ」
P「そういえばタイムを競う企画でしたね……」
小鳥「私もすっかり忘れていました……」
小鳥「隙間に入りそうな物を探していますねぇ。それでハム蔵ちゃんを掻き出す気でしょう」
P「おっと!ここで書類を掴んだ!!!」
小鳥「久しぶりですね!!!」
P「速報タイムは3分28秒11!久しぶりに記録が出ました!そしてそのまま、書類を隙間に差し込みました!!!」
小鳥「それはそういう使い方するものじゃないのよ響ちゃん!!!」
小鳥「あっ!書類をテーブルに戻しましたよ!!!」
P「なんということでしょう!!!そのまま部屋をあとにしてしまいました!!!一体何をしに来たんでしょう!!!」
小鳥「オールラウンダーとは一体何だったんでしょうね!!!」
P「あとで叱っておきます!!!」
小鳥「響ちゃんも私たちから叱られたくはないでしょうね……」
P「それもそうですね……」
P「秋月さんどうぞ」
律子『はい。『また若さが出た。自分、まだまだだぞ……』だそうです』
小鳥「若さゆえの過ち、ですか」
P「そんなに格好のいいものでは無い気が……」
小鳥「私もいまだに過ちを犯しますから。若さゆえの」
P「さぁ、残すはあと2人となりました!いよいよクライマックスであります!!!」
小鳥「最後まで気を抜かずにいきたいですね!!!」
小鳥「入ってきましたよ!」
P「おお!あの豪奢な銀色の髪は!」
小鳥「貴音ちゃんきましたね!!!」
P「やってまいりました!765プロが誇る銀色の女王、四条貴音であります!!!」
小鳥「貴音ちゃんもあまり余計なことはしないタイプだと思いますね!」
P「私も同感です!そしていま履き物を脱ぎ、11人目のゲームスタートです!!!」
小鳥「広いお屋敷が似合いそいですよね。それも和風の」
P「そうですねぇ。あっと!そして早くも書類を掴んだ!!!」
小鳥「やっぱり早いですねぇ!」
P「速報タイムは18秒!ゆったりとした足取りだった分、雪歩のタイムには及びませんでした!」
小鳥「ここからどうするかですねぇ。そのまま帰るのか、あるいは……」
P「いえ。どうやら帰る気は無いようですね。部屋の中を見回し始めました!」
P「そうですね!近付いていきます!」
小鳥「いろいろ触っていますが……」
P「立ち上げ方は分かるんでしょうかね?」
小鳥「たぶん、知らないと思いますけど……」
P「おっと!PCの前で首を傾げていますよ!」
小鳥「頑張って貴音ちゃん!」
小鳥「まさか……まさか!!!」
P「そしてリモコンをPCに向け、電源ボタンを連打しております!!!」
小鳥「ものすごくシュールな光景ですね!!!」
P「しかし貴音本人は大真面目な顔をしています!!!」
小鳥「今度はリモコンの裏蓋を外しましたね!!!」
P「電池を入れ直しております!!!接触が悪いと思ったのでしょうか!!!」
小鳥「また連打してますよ!!!」
P「シュールです!!!現代アートの世界であります!!!」
小鳥「教えてあげたい……いますぐ『そうじゃない』って教えてあげたい……」
P「私も同じ気持ちです!!!」
律子『プロデューサーさん!』
P「秋月さんどうぞ!」
律子『サブスタジオのスタッフさん達も口々に、『そうじゃないんだ……』と呟いています!』
小鳥「ここにきて、みんなの気持ちが1つになりましたね!!!」
小鳥「今度事務所のPCでレクチャーさせてもらいます」
律子『プロデューサーさん。貴音の談話が入りました』
P「お願いします」
律子『まずは開口一番、『思っていたよりも手入れの行き届いたお部屋で、感心いたしました』と』
P「ありがとうございます……」
律子『それから、『もしかして、このリモコンだったのでしょうか?』と言って、エアコンのリモコンを手に取っていたようです』
小鳥「早急にレクチャーします……」
P「よろしくお願いします……」
小鳥「美希ちゃんですね!彼女が何事も無く終わるはずはありませんから、楽しみです!」
P「そうですねぇ。あっと!ここでドアが開いたぁ!本日最後のアイドル、星井美希の入場であります!!!」
小鳥「最後にガツーン!とかましてもらいたいですね!」
P「期待しましょう!そしていま履き物を脱いで、星井美希のゲームがスタートしました!!!」
小鳥「早々と洋室に入り……部屋の中を見回していますね」
P「私の予想では、このあとベッドに向かうかと」
小鳥「私もそう思いますね」
P「おっと!ここで見回すのを止めました!一点を見つめております!」
小鳥「視線の先には……」
P「窓際に干してあるYシャツ……でしょうか?」
小鳥「歩み寄っていきますね」
小鳥「どうするつもりでしょう?」
P「あっとぉ!Yシャツに袖を通し始めましたよ!!!そして袖口をつまんでいます!!!」
小鳥「『ちょっと大きなあなたのシャツ。通した袖をつまんでみる』ですね!!!」
P「『squall』ですか!!!」
小鳥「『squall』ですね!!!」
小鳥「小鳥心もくすぐられます!!!」
P「そしてそして!!!ベッドの上に体育座りであります!!!完璧です!!!」
小鳥「膝抱えちゃってますよ!!!そして袖にほっぺをスリスリしてます!!!」
P「くそっ!!!可愛いじゃないか!!!」
小鳥「ありがとうございます!!!」
P「どういたしまして!!!」
P「目に焼き付けておきます!!!」
小鳥「DVDにも焼き付けてください!!!」
律子『プロデューサーさん』
P「何でしょう?」
律子『サブスタジオの面々も、美希の姿を焼き付けるために目を見開いております』
P「仕方ないですねぇまったく」
小鳥「ダメな大人達ですねぇ」
※Tシャツの上から着ておりますよ
小鳥「全く問題ありません!!!」
P「まさに、『記録より記憶』ですね!!!」
律子『実況席実況席。美希のコメントが入りました』
P「秋月さんどうぞ」
律子『はい。『今度はハニーが着せてね。あはっ』と言っていたようなので、あとで頭にゲンコツ入れておきます』
小鳥「お手柔らかに……」
P「あなたじゃなくて美希ですから……」
小鳥「優勝タイムは雪歩ちゃんの12秒ですね。お見事です」
P「そうですねぇ。それでは音無さん、総括をお願いします」
小鳥「はい。やはりですね、みんなまだまだ若いですね。経験不足は否めません」
P「ほぅ」
小鳥「私ならまず、部屋を映像に収めるところから」
P「それでは皆様、ご機嫌よう!」
小鳥「あっ、ここから大事な話しに」
律子「もう良いですよね小鳥さん?」
小鳥「はい、もうけっこうです……」
お し ま い
最後までお付き合い感謝!
読み返し~
エクストラステージで事前収録してたことりつことかあればいいのにな(チラッ
おもしろいんだが
一部のアイドルの扱いが雑な点に関しては訴訟も辞さない
お姫ちん…きゃわわ
Entry ⇒ 2012.07.05 | Category ⇒ アイマスSS | Comments (0) | Trackbacks (0)
照「一年の後輩が可愛すぎて辛い・・・っと」
菫「ん、照か、御疲れ」
照「御疲れ、今日も早いね」
菫「普通だろう?お前未だにここでさえ迷子になるとかないよな?」
照「・・・」
菫「お前それは・・・」
照「そんな事はどうでもいい、他の三人は?」
菫「二年二人はまだだな、淡は・・・」チラッ
照「?」
淡「・・・」スピー
一年にしてこの部屋に入る事を許された少女がいた
いたにはいたんだが、寝てしまっているようだ、可愛い
照「なんだ、寝ているのか?」
菫「私が来るより前からだな、確か一年は今日進路希望調査で早かった筈だ」
照「なるほどね」ピラッ
照「今日は空色か」クンクン
菫「お前、それ淡が起きてる時にしたら大変な事になるからな?」
照「夢の中だから問題ない」
淡「・・・ん・・あれ、私・・・」ポー
照「起きたか」サッ
淡「あ、おはようございます先輩方」ペコ
照「おはよう」
菫「おはよう、淡、だがここは部室だぞ?寝るなら仮眠室を使え」
昨日はピンク、今日は空色。眠り姫は明るい色が好きなのかな
意外なところで咲との共通点を見つけた
淡「あ、それはその、すみませんでした」ペコ
照「そこまで口を辛くして言う事でもないだろう」
菫「ふむ・・まあ照がそう言うのなら構わんが」
照「菫は少し厳しすぎるよ」クス
菫「誰の所為でこうまで厳しくなったと思っているんだ?」ニコニコ
照「~~~♪」ヒューフー
菫「できないならやるなまったく・・」
そういえば二年の二人が遅いな、このままでは練習が出来ない
照「二年の二人が遅いな」
淡「あ、そういえば」
淡「亦野先輩は旅に出るって言ってました、不人気がどうとか・・なんでしょうか?」
淡「渋谷先輩は茶葉が切れたと言って京都に行くと仰っていました」
照「・・・」フルフル
菫「・・やれやれ、今日は練習が出来そうにないな」ギシ
淡「それと」
照「なんだ?」
淡「お茶ばかりだと飽きるので、家から紅茶を持ってきたんです」スッ
淡「紅茶と言っても簡易なパック物ですけどね」
そうとだけ思っていたけれど、最近はこうして気の利いた行動も取ってくれる様になった
照「ありがとう、それは素直に礼を言いたいかな」
菫「そうだな。お茶ばかりだと流石に飽きる」
淡「それじゃ、淹れてきますね。少し待っていて下さい」スタスタ
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
菫「ふむ・・・」
照「何?」
菫「いや、最近淡も部に馴染んできたと思ってな」
照「私も淡の下着の趣味はわかってきた」
菫「お前という奴は・・・」
砂糖と、ミルク、各々がお茶用に愛用している湯のみを持って
淡「お待たせしました、それじゃ、お砂糖とミルクはどうしますか?」
照「私はそのままでいい」
菫「私は・・そうだな、砂糖を一つだけ入れてくれないか」
淡「わかりました」
砂糖を五個入れた。甘すぎじゃないの・・という冷める言葉は控えておこう。
準備を終えて口元に紅茶を運ぶ彼女がとても幸せそうな顔をしているのだから
照「淡は紅茶が好きなの?」
淡「えっと、そうですね。珈琲、お茶よりは好き、という程度ですが」
菫「淡にはお茶も珈琲も似合わなそうだな」
淡「遠まわしに子供っぽいって言ってます?」プクー
菫「さて、どうだろうな」クス
照「菫はおばさんっぽいよ」
菫「ほう、パステルピンク、そしてブルースカイ」
照「菫ってとってもイケイケお姉さんだよね」
菫「・・・」
淡「??」
しかし紅茶も長い間飲んだ事がなかったな。久しぶりの味だ
あまり飲み慣れない物だけど、後輩が気を利かせて持ってきてくれた物だ
暖かい内に飲んでしまおう
淡「どうですか?・・といってもインスタント物ですから味は普通ですか」テヘヘ
照「そう?可愛い後輩が淹れてくれた物は何にしても先輩は美味しいものだよ」
菫「お前がそんな気の利いた事を言えるとはな、ふふ」
照「菫はどうなの?」
菫「いや、私も同感だよ」
淡「・・・//」
照「淡、ちょっと」チョイチョイ
淡「?なんですか?」トコトコ
ナデナデ
撫でられた彼女は頬を染めて恥ずかしそうにしている
けれど嫌がる素振りは見せない
照「美味しかったよ、ありがとう」ニコ
淡「あ、は、はい//」
菫「・・・」クス
菫「さて、今日は練習も出来ないし早めに切り上げるか」スッ
淡「あ、私は片付けてから帰りますので」カチャカチャ
照「そう、それじゃ・・・っ!」グイッ
菫「・・・(待ってやったらどうだ?)」ヒソヒソ
照「・・・(待つ?淡を?)」ヒソヒソ
帰り道は真逆だし、わざわざ待つ必要なんて・・・
菫「・・・(たまにはいいじゃないか、校門まででもいいから)」ヒソヒソ
照「・・・(まあ校門までならいいけど)」ヒソヒソ
菫「・・それじゃ、私は後輩達の練習を見てから帰るよ」
淡「はい、お疲れ様です」ペコ
照「じゃあ、また明日」
菫「ああ」ガチャ
バタン
淡「先輩はどうします?」
照「私は帰るよ。待ってる・・いや、手伝うから一緒に帰ろうか」
照「といっても、校門までだけど」
淡「!!」
口をパクパクさせたり、顔を赤くしたり、妙に急ぎ始めたり
照「ゆっくり片付けよう、割っても面倒だしね」カチャカチャ
淡「そ、そうですね」カチャカチャ
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
淡「終わりましたね」
照「それじゃ、そろそろ帰ろうか」
淡「はい!」ニコニコ
照「??」ガチャ
バタン
こんな照淡の日常的な感じのお願いします!!おわり!!
何もこんな人の多い場所で待ち合わせをしなくてもいいと思うんだが
やれやれ、備品の買出しというだけなのに・・・
照「・・・」フゥ
淡「す、すみません!遅れてしまって!!」パタパタ
照「・・いいけど、携帯で連絡くらいはしてほしいな」
淡「は、はい・・すみません・・・」ショボン
淡「あの・・」チラ
照「ん?」
淡「いえ、な、なんでもないです、行きましょうか!」
照「??わかった」
照「はい」スッ
淡「えっ?」
照「手、繋ぎたいんでしょう?そんな風に見えた」フリフリ
淡「~~~////」
私としてはそれ以上の事がしたくて堪らないんだけど
照「さて、じゃあまずどこから行こうか」
淡「えっと・・とりあえずはドラッグストア的な場所に行ければ大丈夫です」
照「そう、じゃあ」スタスタ
淡「先輩、お店こっちです・・・」
照「・・・」
淡「あ、何か見たいものでもありましたか?」
照「う、うん、そう。だけど後でいい」
淡「そう・・ですか?」
照「うん」
淡「??」
淡「・・・(先輩の手、暖かい)」
照「・・・(だから都会は嫌なんだ!!)」
なんだろう、この姿。買い物慣れしているというか、なんというか
照「淡は買い物とか結構するの?」
淡「そうですね、といっても大体はお家のおつかいという感じですけど」タハハ
照「そう」
淡「先輩はあまりなさらないんですか?」
照「家で使う物は大体親が揃えてるし、まあ・・さすがに衣類関係は自分で買うけどね」
淡「お一人でですか?」
照「・・・」
照「菫と・・」
淡「なんとなくそんな気がしました」クス
淡「もし時間が出来たら」
淡「今日は私と一緒に行ってみませんか?」
照「」
やっぱり神様っているんだな、せっかくの休日を菫に無理矢理買出しに来させられたけど
今日はいい日になりそう、彼女にとっても忘れられない日に・・・
照「ふむ・・構わないが」
淡「?どうしました?」キョト
照「備品はどうする?少し嵩張らないか?」
淡「コインロッカーがありますから、それを利用します」
照「なるほどな、良く機転が利く」スッ
淡「?」
ナデナデ
淡「・・・・・・////」
淡「あ、あの・・・人目に・・つきますから・・・//」
照「ん?」ナデナデ
だが嫌がらないし、振り払おうともしない。可愛い
とりあえずは備品をロッカーとやらに預けてみたが、中々便利だな
照「中々便利だな、これで硬貨も返ってくるのならば、だが」
淡「ここはショッピングセンターの中にあるロッカーですから大丈夫ですよ」
淡「駅とかに設置してあるのだと、返って来ない場合が多いですが・・」
照「やはりJ○は嫌いだ」
淡「??」
照「まあ、いい。さて、まずはどこにいこうか」
淡「先輩が行きたい所に、着いていきますから」ニコニコ
照「そうか」
店員は何故か積極的に話しかけてくるし、勝手にお勧めと称して買わせようとしてくる
いつもは菫がカバーしてくれていたんだが・・
淡「先輩、先輩、ど、どうですかこれ」ヒラヒラ
照「そうだな、淡が着たら似合うんじゃないか?」
淡「どうしよ・・試着してみようかな・・」チラッ
照「待っているから行ってこい、ちゃんといるから」クス
淡「は、はい!」パタパタ
照「・・・(あぁ・・私服スカートの淡も可愛いな・・)」
照「・・(さて・・奇しくもぼっちになってしまったわけだが・・)」
照「・・(一人というのはつまらないな・・大人しく淡を待つか)」スタスタ
そんなに嬉しいのだろうか?表向き無愛想に接してる私といて楽しいのだろうか?
だからといって本心で接するのも・・・
照「・・・」
照「・・・」
シャー
淡「あ、あれ、先輩?」
照「ん、どう・・・・」
照「うん、似合ってるよ」ニコ
淡「!!」パァ
淡「か、買っちゃおう・・かな・・・//」
照「いいんじゃないかな、今の淡、とても可愛いと思うよ」ナデナデ
淡「あ・・ぅぅ・・・・///」
淡「か、買います・・・//」
照「店員さん、呼んでくるよ」クスクス
菫はそう言っていたがまさか実践するとは、しかも彼女を相手に
照「淡?準備できた?」
淡「え?先輩?」
シャー
照「・・・」
淡「・・・・・・・・・////」
照「・・・」ジー
淡「・・・・あの・・閉めて・・下さい・・」
照「・・・あ、ああ、ごめん」
シャー
淡「・・・・あわわわわわ/////」
照(・・・今日は黄色、と)
やはり先ほどのことが原因だろうか?いや、疑問ではなくそうなのだろう
ここは正直に謝っておこう
照「淡」
淡「は・・はい//」
照「下着も可愛いの着けてるんだね」
淡「~~~~////」
照(・・・あれ?)
照「黄色と青と桃色と、どれも可愛いよ、似合ってる」ニコ
淡「な、なななんで知って・・・!」
照(・・・あれれ?)
照「ん、学校で寝てる時に見せてもらった」
淡「え、ええ・・・」
照「匂いも良かったよ」ニコニコ
淡「・・・・・・・・・・」
照(・・・あれ、私謝った?)
まあいいよね、女の子同士だもんね、うん安牌安牌
淡「む・・むー!!むー!!」プクー
照「え、あれ、怒ってる?」
淡「お、怒ります・・よそりゃ・・・」
照「でも可愛かったよ?」
淡「そうじゃなくて!!」
照「うー・・・んー?」キョトン
淡「ね、寝てる間に勝手に見るなんて・・・!!」
淡「(み、見たいなら・・言ってくれれば・・・//)」ボソボソ
照「ん、何?」ナデナデ
淡「な、なんでもないです!もう!!」スタスタ
照「え、ま、待って淡」パタパタ
淡「まーちーまーせーん!!」パタパタ
おわり
照淡はいいなぁ・・・
もっと見たかったけどかわいかったから良し
淡ちゃんも仕返しにてるてるの下着をチェックすればいいんや
それはいい、明日はそれでいこう
期待してるぞ
次回も期待
Entry ⇒ 2012.07.05 | Category ⇒ 咲-Saki-SS | Comments (1) | Trackbacks (0)
あかり「異端審問を始めます」
ちなつ「あ、あかりちゃん!? なによこれえ!」
あかり「静粛に」
あかり「吉川ちなつ、13歳、中学生、未婚。間違いありませんね」
あかり「あなたには黙秘権があります。質問に答えるか否かは自由ですが、いずれの場合もあなたにとって有利にも不利にもなります」
ちなつ「なんなのよぉ・・・」
結衣「はい」
ちなつ「結衣せんぱい!?」
結衣「被告、吉川ちなつは、『コミック百合姫』にて連載中の『ゆるゆり』作品世界内において、『ゆるい百合』という作風に反し、」
結衣「同性同士の恋愛感情の吐露、直接的及び間接的な性描写を行い、」
結衣「読者、視聴者及び作品内人物の意向に反する形で自らの欲望を満たそうとしたため、起訴に至った次第です」
あかり「弁護人、公訴事実に間違いはありませんね」
綾乃「はい」
ちなつ「綾乃せんぱいまで・・・」
結衣「はい」
ちなつ「ちょっと待ちなさいよあかりちゃん!」
ちなつ「結衣せんぱいもっ!」
あかり「被告は静粛に。古谷さん、彼女にこれを」
ひまわり「はい」ガムテペタリンコ
ちなつ「むぐう」
あかり「では検察官」
結衣「姉ともこの影響で茶道部を希望するも、同中学2年歳納京子のすすめによりごらく部へ入部」
結衣「同部在籍の2年Y・Fに好意を持ち、デートやキスを迫ることもあり」
ちなつ「ほ、ほれはゆひせんぱいの・・・」
ひまわり「おだまり」ペシ
ちなつ「むぐう」
結衣「その様子を同中学2年Y・F及びK・Tに見せつけるなど」
結衣「強姦、強制わいせつ罪、公然わいせつ罪など多数」
結衣「よって被告、吉川ちなつを異端と認定し、火刑を求めます」
ちなつ「むぐう!?」
綾乃「いいえ」
あかり「では検察官、尋問の用意を」
結衣「はい」
ひまわり「ふふっ」
ちなつ「!?」
ちなつ「いたた、痛いよ向日葵ちゃん!」
あかり「静粛に」
結衣「被告人、あなたは某月某日、自宅に被害者A・Aを呼び出し、Y・Fについて尋問し」
結衣「練習と称してキスを迫り、強姦目的で追い掛け回し、その様子を公に晒した。違いますか?」
ちなつ「そ、それは誤解です結衣せんぱい!あれは誤解なんです!」
結衣「誤解とは、どういう意味でしょうか」
結衣「あなたのいう誤解とは、つまり、あなたの本来の目的はA・Aではなく」
結衣「あなたの行為の対象は、他にいた、という意味ですか?」
綾乃「異議あり!」グワ
綾乃「検察は、被告人が強姦、その他の行為を行ったという証拠を提示していません!」
あかり「検察は、被告の異端行為の証拠を提示してください」
結衣「わかりました」
結衣「では証人を召喚します」
あかり「許可します。証人を入廷させてください」
結衣「では」
ガララ
京子「はい」
ちなつ「京子せんぱいまでっ・・・」
京子「はーい」アハハ
綾乃「としのうきょっ・・・!!」モガ
ひまわり「はい、お静かに」
結衣「歳納さん、あなたは被告が異端行為を行ったというその日、彼女の家に行きましたね」
京子「イッたよー」アハハ
あかり「検察側証人は、真摯な態度でのぞむように」
京子「はあい」シュン
京子「私とゆ、Y・Fは、その日確かに被告人の自宅へ行きました」
京子「えっとー・・・」
京子「東京帰りのおみやげをあげようと思って、インターホンを鳴らしました」
京子「でも何回か押しても出なくってー」
京子「玄関に鍵がかかっていなかったので開けたんです。声も聞こえたし」
京子「だったよねーゆいー?」
結衣「・・・続けてください」
京子「っちぇー」
京子「そうしたら・・・」
京子「ちなつちゃん・・・被告が、あか、A・Aを押し倒して・・・」
京子「さみしげなひとみで、唇を濡らして・・・」
「あ、あかん、めがね・・・」
「池田せんぱい、血!鼻血!」
スッ
「あ、おおきにー」
あかり「静粛に、静粛に」カンカン
綾乃「証人は検察と親しい人物であり、証拠能力が著しく低いと思われます!」
結衣「そんな事実はありません」
京子「そんなっ」
あかり「異議を却下します。証人は証言を続けてください」
綾乃「くっ!」
京子「A・Aは、なんというか、事後? そんなかんじで、放心状態でした」
ブッ
「事後・・・綾乃ちゃんと、歳納さんが、事後・・・」ホワァ
結衣「証言は以上ですね?」
京子「うん」コクリ
結衣「以上のことから、被告はA・Aに対し異端行為を行ったことは明白です!」バシッ
綾乃「くっ、被告への尋問の許可を求めます」
ちなつ「尋問!? 尋問ってなに!?」
あかり「許可します」
綾乃「吉川ちなつさん」スッ
ちなつ「は、はい」
綾乃「あなたが七森中学2年、Y・Fさんに好意をいだいていることは事実ですか?」
ちなつ「・・・」チラ
結衣「・・・」
ちなつ「は、はいっ」
ちなつ「い、いいえ!」
結衣「異議あり」
結衣「被告が同性に対し肉体的欲求を抱いていることは先ほどの証人の証言から明白であると思われます」
綾乃「異議あり!」
綾乃「先ほどの証言は、被告がキスを求めた証拠にはなっても、肉体を求める異端行為を欲したという証拠にはなりえません!」
綾乃「被告は純粋に、『キス』という行為への興味からA・Aを押し倒す形になってしまったのであって」
綾乃「肉体的欲求を求める、『ガチ』な百合ではなく、まだ異端の範疇外である『ゆるい』百合であるといえます」
綾乃「そうですね!? ちなつさん!」
ちなつ「わたしは!ただ純粋に!」
ちなつ「結衣せんぱいとっ!」
綾乃「ストップ!」
綾乃「どうでしょうか、審問官殿!」ガタッ
あかり「・・・」
あかり「弁護側の異議を認めます」
ザワザワ
あかり「各自話し合いをして、午後の部へと備えてください」
あかり「ではこれにて閉廷」カンカン
ザワザワ
ちなつ「い、いったいぜんたいなんだったの・・・」ヘナヘナ
ひまわり「吉川さん、あなたは目をつけられてしまった・・・ですわ」
ちなつ「向日葵ちゃん・・・」
ちなつ「これはいったいどういうことなの!?」
ひまわり「異端審問会、それは・・・」
ひまわり「『ゆるゆり』作品世界のとある流れに異を唱える者が発案した絶対的権力組織・・・」
ちなつ「と、とある流れ・・・?」ゴクリ
ひまわり「それは・・・・ガチ百合」ジャーン
ちなつ「ガチ?」
ひまわり「ゆるい百合空間にガチを持ち込んだことで、あなたは目をつけられてしまった・・・ですわ」
ちなつ「目をつけられた・・・だ、だれにっ!?」
カンカン
あかり「古谷さん、ちょっと」
ひまわり「は、はいっ、ですわ」
ひまわり「では・・・ご武運を、ですわっ」タタタッ
ちなつ「あ、まって、向日葵ちゃん!」
綾乃「吉川さん・・・」スッ
ちなつ「杉浦せんぱい・・・」ジワッ
綾乃「私はあなたの味方よ、吉川さん!」
綾乃「私たちのこの『気持ち』を、異端などと・・・」
綾乃「そんなバッサリ切り捨てたりさせるものですか!」
綾乃「・・・」チラッ
京子「・・・」ホケー
ちなつ「池田せんぱい・・・?」
ちなつ「そういえば千夏せんぱいどこにいたんですか」
千歳「大室さんといっしょに傍聴席にいてん、それよりこれ、お腹すいてるやろ?」プァーン
ちなつ「すっぱ!」
ちなつ「た、たくあん・・・」
千歳「疲れたら塩分とらんとあかんでなあ」
ちなつ「あ、ありがとうございます・・・」
綾乃「私、がんばるからね!」
ちなつ「あ、杉浦せんぱい! その・・・」
ちなつ「結衣せんぱいが検察ってことは・・・」
ちなつ「わたしを起訴したのは・・・」
綾乃「・・・ええ」
綾乃「・・・船見さんよ」
ちなつ「・・・」
カンカン
あかり「検察、弁護人は位置についてください」
結衣「・・・」
綾乃「・・・」
京子「・・・」メチャイボイボー
ちなつ「・・・』ゴクリ
あかり「検察側、先ほどの弁護側の申し立てに異議はありますか」
綾乃「・・・」
結衣「・・・いいえ」
ちなつ「!」
綾乃「!」
あかり「許可します。証人は入廷してください」
ガララ
京子「ちーっす」
ちなつ「またかよ・・・」
京子「さっきも言ったじゃーん」アハハ
結衣「では歳納さん、証言をお願いします」
京子「はーい」
京子「あれは、あたしの同人誌を読んでくれた一年生が来た日の部活のことでした・・・」
京子「あたしは、同級生のY・Fさんとあたしを主人公にした紙芝居を描いたんです」
京子『もう、心臓どきどきだよぉ・・・』
京子『でも、この想いは知ってほしかったんだ・・・』
京子『だってこの想いは・・・特別なんだもん!』
Y・F『京子!・・・よかった、待っててくれたんだ』
京子『きゃあっ、結○ー!』
Y・F『これ、さっき読んだ・・・』
京子『あたし、○衣が大好き!』
Y・F『ありがとう、京子・・・私も大好き・・・』
京子「はい」
結衣「もちろん、親友同士の冗談として。ですよね、京子さん」
京子「ええー??どーかなー」フンフン
結衣「・・・」
結衣「そうですね?」
京子「ハイ」
京子「結、Y・Fさんの、『大好き』というセリフのあとでした」
京子「被告人は、紙芝居をまっぷたつに叩きわったのです」
京子「空手チョップです」
結衣「歳納さんと、Y・Fさんが同性恋愛をしている紙芝居、もちろんジョークですが、それを見て、被告人は激怒した」
結衣「ですね?」
京子「はい」
綾乃「被告人は歳納京子とY・Fさんとの恋愛関係を勘ぐって激怒したのではなく、勝手な妄想をかきなぐった歳納京子に対して」
綾乃「義憤にかられたからこその行動ではないでしょうか!」
結衣「異議あり」
結衣「それは弁護人が判断するものではなく、さらにまだ証人の証言は終わっていません」
結衣「証言の核たる部分はまだ先なのです」
あかり「検察側の異議を認めます。弁護側は、憶測の異議で証言を妨害しないように」
綾乃「くっ・・・」
あかり「証人は証言を続けてください」
京子「はーい」イボイボー
結衣「それがこれです」パラ
キャー
あかり「」
「審問官殿が白目を・・・」
「失神なされた!」
ナントイウコトダ・・・
ドウイウコトナノ・・・
ヒアブリだ!
コンナジャアクナ・・・ヒアブリニシロ!
カケイダカケイ!
綾乃「こ、これは・・・」
ちなつ「なんで、とってもうまくできたのに・・・」
ヒーアブリ!ヒーアブリ!
ひまわり「い、いったん閉廷!閉廷!」
ひまわり「審問官殿が目を覚ますまで休廷とします!ですわっ」カンカンカン
ちなつ「杉浦せんぱい・・・」
綾乃「あの絵は、ほんとうに吉川さんが?」
ちなつ「はい、とってもよくできてると想いませんか?」ニコ
綾乃「え、ええ・・・そうね」
結衣「・・・」
綾乃「これは、まずいわね・・・」
あかり「・・・し、失礼しました」
あかり「では、開廷します。証人は、証言を再開してください」
京子「はーい」
京子「被告人の描いた紙芝居は、Y・Fさんに対しての恋愛感情を示すものでした――」
『今日も白馬で草原を駆け抜ける王子様(Y・F)』
『見知らぬ風景をながめていると、ひとりの少女(>>61)が視界に入る』
『それはとてもみすぼらしい娘(被告)だった――』
あかり「う・・・」
ひまわり「お気を確かに、審問官殿」
『けれどその少女の笑顔はどんな宝石よりも美しく――』
『まるで稲妻に打たれたように痺れる王子様・・・』
『気がつけば少女の前に仁王立ち』
『目と目があったその瞬間に――』
『心がトキメキ、胸がドキドキ、思考はパラダイス!』
『たちまち二人は恋に落ちるエターナル!』
結衣「彼女の絵は、暗喩に満ちており、まさに異端そのものといっても差し支えないでしょう」
オーソウダソウダ
イタンダイタンイタンヤネン
あかり「静粛に」カンカン
綾乃「い・・・異議ありっ!!」
綾乃「それこそ、憶測での物言いです。証拠能力皆無!ノンノンノートルダムよっ!!」
結衣「ぶふっ」
ブーブー
アレハアクマノエガイタモノダ
マジョダマジョ!マジョッコミラクルン!!
マジョヲヒアブリニシローー!
あかり「静粛に、静粛に!」カンカンカン
あかり「審問会を妨害することは死罪に値します」
あかり「静粛に!」カンカン
シーーーン・・・
綾乃「ふう・・・なんとかしのいだわね」
ちなつ「なんだか大変なことに・・・」
ひまわり「・・・」チラ
結衣「・・・」
京子「フンフーン」アカリイボイボー
結衣「・・・」
結衣「・・・いいえ」
綾乃「えっ・・・」
結衣「証言はまだ終わっていません」
綾乃「まだなにかあるっていうの・・・っ!?」
京子「ハーイ」
京子「被告人の紙芝居を止めたあと、あたしたちはごらく部の活動を続けることにしました」
京子「その日は・・・粘土で遊ぼうということになったんです」
京子「A・Aさんはうさぎ、Y・Fさんはギョーザ、被告人は・・・なんだかよくわからないもの」
京子「そしてあたしは、魔女っ子ミラクるん・・・に見せかけた、被告人の人形を作っていました」
京子『ふふーん、あ○り』
A・A『生首」ーっ!?』
京子『鼻水、よだれ、お団子バズーカ』
A・A『もー!あか○をもてあそばないでよーっ!』
京子『あはは、ごめんごめん、別のものつくるよ』バシ
・・・
京子『うーん、油粘土くたくただから立たないなあ』
A・A『京子ちゃんすごーい』
被告『ミラクるんですか?』
Y・F『器用だなー』
京子『ミラクるんとみせかけて、ちなつちゃん!M字開脚!!』ジャーーン
被告『やめてください!お嫁にいけないじゃないですか!!』
京子『アハハッハー』
被告『うええんせんぱい!
わたしがM字開脚を見せるのは
せんぱいだけですよーっ!!!』
綾乃「!」
あかり「!」
ひまわり「!」
ちなつ「!」
結衣「被告が、Y・Fに対して――」
結衣「肉体的、性的な、異端的欲求を持っていたことは、まったくもって、明らかです」
綾乃「あ、ああ・・・」
ちなつ「そ、それは、だってっ・・・」
あかり「・・・」
綾乃「く、くぅっ・・・!」
ちなつ「・・・」
・・・ゴクリ
あかり「・・・弁護側、なにか異議は」
綾乃「・・・」
綾乃「そそそれは、友達どうしの冗談の範疇です!」
綾乃「そんな言葉のアヤを!揚げ足取りのように!罪に、異端行為に結びつけることなど!」
綾乃「できるはずがありませんっ!!!」
結衣「・・・このあとに、被告人が、Y・Fと一緒にお風呂へ入る想像をして昏倒するくだりがありますが・・・」
結衣「必要でしょうか?」
あかり「・・・」
ひまわり「・・・審問官殿?」ソワソワ
シンモンカンドノガ・・・
カンガエテイラッシャル・・・
イヨイヨ・・・
ハンケツガクダルゾ・・・
ヒアブリ・・・ヒアブリダ・・・
ソーダ・・・ヒアブリ
ヒーアブリ・・・ヒーアブリ・・・
カケイダ・・・カケイ!
ヒーアブリ!ヒーアブリ!!ヒーアブリィ!!!
マジョニテッツイヲー!!!!!
結衣「はい、以上です」
京子「バイバーイ」
あかり「では弁護側、異議の申し立て、または、証人の召喚などは必要ですか?」
綾乃「・・・」
綾乃「・・・っ」
あかり「弁護側」
綾乃「・・・い、以上です・・・」
ちなつ「っ」
千歳「!」ハラハラ
あかり「では・・・」
あかり「被告人、吉川ちなつさん、意見陳述をお願いします」
あかり「お互いの弁論に対しての意見はありますか?」
ちなつ「意見って・・・」
ちなつ「・・・」チラ
結衣「・・・」
ちなつ「・・・うう」
あかり「被告人」
ちなつ「いえ、ありません・・・」
ザワ・・・
マジョヲヒアブリに・・・
シンモンカンドノ・・・ツ!!
オネガイダ、マジョヲ・・・
あかり「被告訴人、七森中学1年、吉川ちなつを」
ひまわり「・・・」
綾乃「・・・うっ」ジワ
あかり「私、審問官赤座あかりは、異端として認めます」
ワアアアアアアアア!!!
ヤッタ、ヤッタアアアア
あかり「規定により、異端者には火刑が――」
ピッ
ひまわり「ん?」
ひまわり「なんですの、この音は・・・」
ピッ
京子「ほへ?」
ピッ
綾乃「・・・なにが?」
ピッ
ちなつ「う、ぐす・・・・え?」
ピッ
結衣「・・・」
ピッ
結衣「!!!」
ピーッ
カッ
「ばっくはつだーっっっ!!!」
ドゴォォォォン
あかり「な、なにごとですか!!!」
ウワアアァン
ナンダバクハツシタゾーッ
ニゲ、、ニゲローーー!!!
「ひまわりぃ!」
ひまわり「えっ・・・?」
「あったしだーっっ!!!」
ちなつ「櫻子ちゃん!?」
櫻子「はははーっ、正義の味方、サクラーコー参上!」
あかり「い、異端審問会を妨害するとは・・・」
あかり「死罪に値します!三段すっ飛ばしで火刑の処します!」
櫻子「西垣せんせー特製爆弾が決まってるうちに、ちなつちゃん!」
結衣「異端と認められたあの子が、なぜこうやすやすとここにっ!」
櫻子「内部に協力者は残しておくものさ、船見せんぱい!」
櫻子「ひまわりっ!」
ひまわり「!」
櫻子「いつまでそこにいるつもりなの!」
ひまわり「わ、わたくしは審問官殿の助手・・・っ!」
ひまわり「あなたのことなど、知りません!ですわっ」
櫻子「ひまわりぃ!」
櫻子「あたしは、ひまわりのことが」
櫻子「大っ好きだーっ!!」
ひまわり「!?」
櫻子「そんなの!かんけーないもんねー!!」
千歳「大室さんと古谷さん・・・ひまさく・・・意外と・・・いや、最高やぁ」ブハッ
ひまわり「ああああなたはなにをっ・・・」
櫻子「ひまわりのクッキーが食べれなくなるなんて!」
櫻子「おっぱい許すまじー!!って怒ることもできなくて!」
櫻子「ニンジンとピーマンたべさせっこもできなくなるなんて!」
櫻子「あたし、そんなの、絶対嫌だもんねーっ!!」
あかり「全員、火刑に処します」
ボワッ
ひまわり「し、審問官殿がっ」
ちなつ「あかりちゃんが、燃えてる・・・っ」
あかり「うおお・・・おおおっ」アッカリーン
京子「あかりがあんなに目立ってる・・・」
櫻子「この日、この時のために、あたしたちは・・・魔物を用意したんだァ!!」
櫻子「千鶴さん!アレの用意を!!」
千鶴「ラジャ」ピョコ
結衣「まずい、あれはっ・・・」
ヒューン
千歳「なんやのー?」パク
千歳「ほあー・・・」
千歳「あかりちゃん・・・」ビクンッ
千歳「あっかりちゅあーん!!」ルパンジャンプ
あかり「ほあー!」ボアアア
千歳「むちゅうう・・・・・」チュウウウ
千歳「いやああん、あかりちゃんとキスしてもーたー!!」キャーハキャーハ
結衣「お泊り会の、あの血みどろの惨事が、ふたたび!?」
あかり「ほああああ!」ボワアアアア
アツイ!!アヅイイイイイイ!!!
ヤケル!シンモンカンドノ!
オレハイタンジャナイ!!ユルシテー!!
あかり「はっ」ボワァ
千歳「目立ったあかりちゃんもかわええなぁ・・・」ムチュウウウ
ひまわり「!」
櫻子「ガチとかユルイとか、異端とか異端じゃないとか!」
櫻子「もう関係ない!」
櫻子「あたしは!ひまわりが!大好きなのーっ!!」
ひまわり「ダメ、それは!ですわっ」
櫻子「ちなつちゃん!船見せんぱいに!」
櫻子「さあ思いの丈をー!!」
ちなつ「わ、わたしは・・・」グス
ちなつ「結衣せんぱいのことがっ・・・!」
ちなつ「すっ――」
「だめだよ」
ちなつ「えっ・・・」
結衣「それはダメだよ」
結衣「ダメなんだ!」
結衣「ガチなゆりなんていらない!!」
結衣「いらないんだ!!」
結衣「異端審問会は必要・・・必要なんだっ・・・!!!」
綾乃「船見・・・さん?」
結衣「第五次異端審問会・・・それも必要なんだ」
結衣「次の被告訴人は――」
結衣「綾乃・・・君だよっ!」
あかり「させるかあああああ」ボワッ
ア、アヅイィィ
千歳「あ、あかりちゃ、あ、はあ、はあ、熱い・・・」ムチュウウ・・・
櫻子「ま、魔物がおされてるっ・・・!」
千鶴「姉さん!」
ひまわり「・・・櫻子」
櫻子「!」
ひまわり「あかりちゃんの弱点なら、私が知っていますわ」ズシ
櫻子「ひまわり、今のあかりちゃんに近づいたら・・・っ」ガタ
ひまわり「・・・たとえこの身が焼けようとも」
ひまわり「今のあかりちゃんを止められるのは・・・」
櫻子「ひまわり!」
ひまわり「櫻子・・・私も、あなたのこと、嫌いじゃ・・・ありませんわよ」
綾乃「次の被告訴人が、私・・・」
結衣「・・・」
結衣「心当たりは、あるでしょう?」
ちなつ「せんぱいぃ・・・」グス
結衣「だめなんだ・・・異端審問会は必要なんだ!」
結衣「だって・・・っ!」
京子「うん?」ホケー
綾乃「と、歳納京子がどうかしたの?」
ちなつ「せんぱい・・・?」
結衣「だって・・・異端審問会で、ガチなゆりを駆逐して・・・」
結衣「そうしないと、ごらく部が・・・いつまでもこのまま、みんなともだちのままでいられないじゃないかァっ!!!」
結衣「いつまでもこのままでいたいんだ」
結衣『放課後に部室へ集まって」
結衣「部活動なんて、ごらく部なんて、まともに活動なんかしてないけどっ・・・!」
結衣「でも、いつも、のんびりおしゃべりして・・・あかりと、京子と、ちなつちゃんと、私でっ・・・」
結衣「みんな、と、ともだちのままっ!ともだちのままで!」
結衣「誰かが誰かと恋人同士になるなんてっ・・・」
結衣「なにかが、変わってしまいそうで!」
結衣「でもそれは、親友として・・・いつまでも親友として・・・!」
結衣「だから異端審問会は・・・必要なんだっ」
結衣「だってここは・・・ゆるいゆりの世界なんだから!!」
千歳「あ、あかり、ハアハア、あっかりちゃーん」ムチュウ
・・・
結衣「必要なんだ・・・」
ちなつ「それは・・・」
ちなつ「でも、それでも・・・わたしは・・・」
ゴォォッ
ちなつ「!」
あかり「ほあー」アッカリーン
結衣「!」
綾乃「危ないっ・・・!」
ちなつ「結衣せんぱい・・・?」
結衣「うう・・・」
ちなつ「ど、どうしてわたしを・・・かばうなんて、わたしは、異端じゃないんですか!?」
結衣「わかんないよ・・・」
綾乃「船見さん!」
結衣「でも、たぶん、私の守りたかったもののなかには・・・」
結衣「ちなつちゃんも、いたんだよ・・・」
あかり「ほあー」アッカリーン
綾乃「船見さん、避けて!」
「たあああああああ」
あかり「はうっ」シューン
ちなつ「あ、あれは、あかりちゃんの後頭部に・・・こぶ!?」
結衣「あれは、私が作ったこぶなんだ・・・」
結衣「あかりを審問官にするために・・・っ」
ひまわり「いまあるこぶはふたつ・・・ひとつはあかりちゃんを審問官に変え、もうひとつは今私がつくったもの」
ひまわり「おそらくこれだけではだめ、まだ・・・まだこぶが!必要ですわ!」
櫻子「ひまわり!だめっ!
アヅイイイ
ヤケルウウウ
シンモンカンドノオオオ
ひまわり「あ、あれ・・・?」
ひまわり「予想以上にダメージが・・・くっ!」
櫻子「ひまわり、それ以上やったら焼けちゃうよぅっ!」
千歳「むっちゅうう、おばあちゃん、チョコは怖いなぁ・・・」
綾乃「も、もう限界なんだわ・・・」
ちなつ「そ、そんなぁ!」
結衣「・・・」
結衣「私が、いくよ」
結衣「異端審問会も・・・それが機能し続けるのも・・・」
結衣「どこかで破綻するなんてずっとまえからわかってた」
結衣「大室さんを告訴したときから・・・そう」
結衣「私のわがままを通すために、私が守りたかったことを通すために、大切なものを捧げてしまう」
結衣「気づくべきだったんだ!」
結衣「あきらめるべきだったんだ・・・っ!」
結衣「だって、私が告訴してしまったのはっ・・・」
結衣「私が、私のそばに、いてほしいひとたちだったのに・・・っ!」
結衣「今度はあかりをもとにもどす」
結衣「私が変えてしまったものを戻すんだ!」
ちなつ「待って、結衣せんぱいっ!」
ダッ
結衣「え・・・?」
「みずくさいなあ」
「私も一緒だよっ」
結衣「・・・っ!」
結衣「うん、うんっ!」
結衣「ごめん、みんな、ごめん、ごめんなさいっ――」
「「たああああっっっ!!!」」
あかり「あっかりーん・・・」シュウウウウ・・・
ちなつ「大好き、大好きですっ!」
ちなつ「だからふたりとも――」
「帰ってきて――」
――
1か月後
――
あかり「それでは裁判を始めます」
綾乃「裁判長、そのまえに冒頭手続を」
あかり「ぼうとう!? え? え?」
ちなつ「あかりちゃんがんばー」キャッキャ
綾乃「被告人への人定質問です。まあ、被告人の紹介ってとこかしら」
あかり「なるほど・・・えーっと、被告人!歳納京子さん!」
京子「はーい」イボイボー
あかり「14歳、中学生、みこん・・・好物はラムレーズン。間違いありませんね!」
結衣「好物は余計だよあかり」アハハ
あかり「そ、そっか!」
あかり「あ、あなたにはもくひけんが・・・うんたらかんたら・・・?」
綾乃「はい」
綾乃「被告、歳納京子は昨日、ごらく部部室内において、七森中学1年吉川ちなつに対し多数のセクハラ行為を行い」
綾乃「さらにその後、生徒会室において、備え置きの冷蔵庫の中から、同じく七森中学2年、杉浦綾乃の名前入りプリンを無断で持ち出し」
綾乃「わずか数分で完食するという暴挙にでた疑いがかけられているので、強制わいせつ罪及び窃盗の罪により、生徒会の仕事手伝い2週間を求刑します」
千歳「とかいってー綾乃ちゃん、ほんとは生徒会室で一緒にいたいだけなんやろー?」ウフフ
綾乃「そそそそんなこたーないわよ!!」」バシバシ
あれから一ヶ月が過ぎ、異端審問会なる組織は解体された
そして・・・
――
あかり「えっと・・・では、弁護側!」
結衣「はい」
あかり「こうそじじつに間違いはありませんか?」
結衣「はい、ありません」
あかり「では検察、冒頭ちんじゅつを・・・」
――
そしてここに、新たな罪人が生まれようとしている
――
京子「ふええん」
京子「あれ!? 弁護士って、あたしの無罪を照明するんじゃないの!?」
結衣「だって京子、おまえが食べたのは本当だろ! だからこうして必死に減刑を・・・」
京子「ショック!」
――
結衣せんぱいと京子せんぱいは帰ってきてくれた・・・
――
ちなつ「はい」
綾乃「事件当時の詳細を教えて下さい」
ちなつ「はい・・・グス」
京子「あれうそなきじゃね?」
あかり「せーしゅくに」カンカンカンカン
ちなつ「部室のなかでふたりきりでいたら、きゅうにミラクるんがどうとか言い出して・・・結衣せんぱいがいなければどうなっていたことか・・・」シクシク
ちなつ「こう、胸を、ぐわっと」
――
あかりちゃんは後頭部にこぶが3つあること以外は元通り
たまに目付きがおかしいときもあるけれど・・・
――
京子「ええ感触じゃった」ニヒヒ
京子「あれ?なんであたし自分の弁護士に追い詰められてんの!?」
結衣「量刑を減らすには私が尋問して、反省しているのか確かめるのも重要なのです」
――
結衣せんぱいと京子せんぱいは、審問会が現れるまえとちっとも変わらない様子で帰ってきた
わたしは結衣せんぱいが好き
だけど、ごらく部のみんなも、この学校のみんなも大好き
――
あかり「それでは判決を言い渡します!」カンカン
――
結衣せんぱいが望んだように何も変わらないなんてことはなく、
わたしや櫻子ちゃんたちが望んだように大きく変わるなんてこともない、
ゆるやかな変化をしながら、今日もごらく部は活動していくのだと思う
――
あかり「被告、歳納京子は――」
みんなみんな、だいすきだよっ!
――
あかり「有罪、生徒会への1週間労働提供を命じます」
綾乃「よっしゃあー!」
京子「そんなー!」
結衣「まあ妥当かな」
櫻子「ひゃっほいひまわりがクッキー焼いてきたぞー!」
ひまわり「こら櫻子おまちなさい!」
――これにて閉廷――
おやすみなさいもう寝る
乙
Entry ⇒ 2012.07.05 | Category ⇒ ゆるゆりSS | Comments (0) | Trackbacks (0)
久「演劇をすることになりました」 咲「え?」
まこ「何があったんじゃ」
久「いや~、ほら全国大会終了したじゃない」
久「演劇部の人が今度の文化祭で合同創作として私達5人と劇がしたいって言い出してきてね」
久「前々からTVには写ってたからその頃から考えてたみたいだけどね」
優希「5人ってことは…」
京「俺はハブりですか…」
咲「元気出して京ちゃん」
久「そうよ。あなたには…」
京「小道具係ですか」
久「あら分かってるじゃない」
京「いや、もう予想できますし」
まこ「どれどれ、勇者、姫、魔王、魔王手下(魔女)か」
優希「あれ?4つしか無いじぇ」
久「ああ、私はもう決まったのよ。後はどうぞ」
咲「なんの役なんですか?」
久「え?……いや、別にいいじゃない」
まこ「あやしいのぉ・・・優希!部長の持ってる紙を取るんじゃー!」
優希「おうだじぇー」
パシッ
和「いただいていきます」
久「ああー、和ー」
和「どれどれ」
木
京太郎「……木?」
優希「木だじょ」
まこ「ああー!セリフ覚えるの面倒じゃからって一人だけ楽しようとしたなー!」
久「うっ…」
咲「私も木がいいです」
和「わ…私も!」
久「ん~、あなたは出来たらメインになってほしいわね」
和「何故ですか?」
久「いや…実はね」
久「和を貸してほしい?」
演劇部部長「そうです。お願いします!!」
久「何故、和を?」
演部長「前々から原村さんを劇に出したいと案はあったのです」
演部長「ただ全国大会があるので言いだしづらくて」
演部長「大会が終わった今、姫役としてお願いします!!」
部員A「何言ってるんですか、巨乳勇者こそ正義だって賛同してくれたじゃないですか!?」
演部長「してねーし!だからお前だけの願望だそれは」
部員B「ここは魔王だろ!ほら見ろこのセクシー衣装を」
演部長「R-18にする気か」
部員C「勇者に助けを乞う村人がいいですって。質素な感じがもうっ」
演部長「モブじゃねーか。出番そこだけッ!」
ワーワーワー
久「まずは本人の意志を確認してから、ね」
久「和もそういうのはあまり気乗りしないと思うし…」
部員C「なら麻雀部のメンバーで劇に出ませんか?」
久「え?」
演部長「そうだ。そうしましょう!」
久「え?いや、ちょっと!?」
部員B「うぉぉぉぉ、燃えてきたー」
部員A「ドジっ娘勇者、ロリ勇者、メガネ勇者…」ブツブツ
久「あはは、参ったわね…」
久「とりあえず、配役に 木 頂戴」
演部長「はい?」
~~~
咲「そんなことが…」
京太郎「部長も大変だったんっすね…」
和「なら仕方ありませんね…」
まこ、久(セクハラ発言はいいのか…)
久「ん~、ならくじ引きで行きましょう」
久「配役の名前が書かれた棒をこの箱に入れて…」
和「王様ゲームの要領ですね」
久「そうそう」
京太郎(王様ゲーム!?)
京太郎「えへ・・・えへ・・・えへへへ~・・・」モワモワ-ン
優希「京太郎が変な顔してるじぇ」
まこ「いつものことじゃ。ほっときんしゃい」
久「さぁ、みんな。恨みっこなしの一発勝負よ~」
咲「はい!」
優希(お姫様は頂いたじぇ!)
まこ(なんでもええんじゃが、お姫様か~…一回なってみたいの~…)
久(分の悪い賭けはいつも勝ってきた。だから木は私に来るはず!)
和(咲さんが勇者で私が姫!でも咲さんが姫で私が勇者もいいですね~)
咲(うう…台詞覚えるの苦手だから木きてよ~)
久「せー…のっ!」
京太郎「お前の性格のことだ。その様子だと木を引いただろ」
優希「うえぇぇぇぇん。お姫様が良かったじぇぇぇぇぇ」
久「なら私と交換しない!」
京太郎「一発勝負って言ったじゃないですか」
久「う…」
京太郎「と言うことは部長はお姫様か~。期待してますよ」
久「おだてても何も出ないわよ…はぁ~」
京太郎「それで残りは…」
京太郎(魔女…)
まこ「お主、今凄い似合ってると思うたじゃろう?」
京太郎「え!?いやいやいやいや、全く!これっぽっちも!全然!」
まこ「お主はわかりやすいのぉ」
京太郎「あはは…で残った二人は…」
京太郎「…orzな和とボー然と立ち尽くす咲」
京太郎「と言うことで勇者おめでとう咲」
咲「そんなのいらないよぉ…あと何で分かるの?…」
京太郎「お前と優希は分かりやすいんだよ」
咲「うう…主役なんて無理だよぉ…」
久「あ~和?大丈夫?」
和「そんな…咲さんが勇者を引いたのに私が姫じゃないなんて…」
和「私は何のために今まで麻雀をやってきたの!!?」
まこ「ああ、これは重症じゃのう」
久「少なくともこのためじゃないわね」
京太郎「はーい」
咲「ほほほほ本当にやるんですか?」
まこ「もう決まったことじゃ、諦めんしゃい」
和「部長もカンペ用意できないかお願いしますし…ね」
咲「うう…」
そして咲達は芝居の稽古に明け暮れた
ハギヨシ「透華お嬢様。清澄高校の竹井様から招待状と招待券です」
透華「部長から…なにかしら?…まぁ」
純「何々?」
一「今度劇をやることになりましたので良かったらどうぞだって」
衣「おおーいつだー?その日は予定大丈夫かー?」
智紀「その日は特に予定はない」
衣「やたー、ならいけるな」
透華「配役はどうなってますの?」
ハギヨシ「パンフレットはこちらになります」
ハギヨシ「ですが写真はなく文字だけとなっております」
純「どれどれ、あいつは…木?」
智紀「染谷まこは魔女…」
一「部長さんは…お姫様か」
衣「嶺上使いは勇者かー」
透華「となりますと原村和は…」
一「魔王…だね」
純「どんな魔王になるとこやら」
透華「ふ…ふふふ…ふふふふふふ」
一「と、透華?」
透華「おーっほっほっほ」
衣「透華ー?こわれたー?」
ハギヨシ「はっ!」
透華「この情報をネットにばら撒きなさい」
ハギヨシ「かしこまりました」
透華「これで劇を見る人は急増」
透華「原村和が失敗すれば即恥さらし…まさに完璧ですわ」
衣「よかったな~。これで清澄は賑わうぞ~」
透華「べ、別に原村和を目立たせようと思ってやったわけじゃありませんからね」
純「へいへい。でも…」
一「嫌な予感がするね…」
―清澄高校―
ワイワイガヤガヤ
透華「おーっほっほっほ、大盛況ですわね」
純「ああ、たしかに賑わってるな……って多すぎだろどう見ても!!」
ギュウギュウ
一「き、きつい」
智紀「せまい…」
衣「」スーッ
純「お、おい。衣が流されてるぞ!」
透華「いやぁー、衣ォ!」
透華「ご…ゼェゼェ…ごめんなさいね、衣」
透華「珍しく早起き…して…人ごみにも…付き合いましたのに…」
衣「よ…よい、これも…一興だ…」
一「あれ?…」
純「ん?どうした?」
一「い、いや別に…」
一(あれは確か…宮永照…)
照「着いた…遅いわよあなた達」
菫「ゼェゼェ…し、死ぬかと思った…」
淡「な、なんで…こんなぎゅう詰め…なのに…スイスイ…行けるんですか…」
誠子「日頃の…鍛錬?…」
尭深「読書しか…ハァ…ハァ…見たこと無い…」
照「ではここからは自由行動だ。解散」
菫「え?解散って…」
照「」スイスイ
菫「あ、おい!」
淡「行っちゃった…」
淡「しかし凄い人ですね…」
菫「全てはネットのせいだろうな」
菫「原村和の知名度があったとはいえ全国大会で清澄は有名になった」
誠子「必見!エロかわいい魔王・和!」
尭深「清澄部長、当日限りの可憐なる姿…」
淡「妖艶なる魔女・染谷まこにも注目。そして…」
菫「百花繚乱、勇者・咲」
菫「…画像もないのによくこんなキャッチフレーズが出回ったものだ」
誠子「でも人の想像力を掻き立てるには持って来いですよ。原村さんのアレは」
菫「確かに」
淡「宮永先輩は妹に釣られたみたいですけどね」
菫「照には困ったものだ。招待状が来た途端、練習試合があったのに急遽変更して」
尭深「交通代も部費から…」
誠子「恐るべし宮永ァ照ッ!」
菫「言ってろ。だが息抜きにはいいな」
淡「ぎゅう詰めですけどね…」
尭深「あ…あそこの喫茶店空いたみたいです…」
菫「本当だ。あそこで休むか」
誠子「はーい」
桃子「色々あるっすねー」
加治木「ああ、そうだな」
「おい、何やってやがる」
「すみません、お待たせしましたー」
「おい、こっちだこっち」
「アレもってこい!」
「煮玉子トッピングチャーシューお待ち」
「はいはい、通りまーす」
蒲原「ワハハ、賑わってるな~」
桃子「しっちゃかめっちゃかっすね~」
加治木「清澄も想定してなかったんだろうな」
蒲原「ほら、モモ。清澄の人達にぶつからないよう」
蒲原「ユミちんにくっつくんだ」
桃子「了解っす」ギュッ
加治木「う…」
蒲原「しかし、こうなると家の事情で来れなかった佳織とむっきーはついてたな~」
加治木「二人共行きたがってたがこうなると正解かもな」
桃子「何かおみやげ買って行きたいっすけどこう混雑してちゃ…」
桃子「あ、先輩先輩ここ入ってみませんか?」
加治木「何だ?…お化け屋敷?」
桃子「そうっす」
蒲原「ワハハ、面白そうじゃないか」
加治木「………」
桃子「どうしたっすか?」
加治木「あ、ああいや…」
桃子「?」
加治木(嫌な予感がする…)
蒲原「でわ、行こうかー」
「きゃー!!」
「う、うわぁぁぁぁ!」
「ほ、本物ー!?」
清澄生徒「お疲れ様です。ありがとうございました~」
蒲原「ワ~ハハ、楽しかったな~」
加治木「…どこかだ!」
桃子「失礼なお化けの人達っすね」
桃子「先輩を見るたびに悲鳴をあげて逃げるなんて」
蒲原「驚かすほうが驚くなんて斬新なお化け屋敷だったな」
加治木「言っておくがつっこまんぞ」
蒲原「今日のユミちんは手厳しいな~」
加治木「ベタすぎて解説する気になれんだけだ」
桃子「あ、あの、何の話っすか?」
蒲原「モモは可愛いな~って話だよ」
桃子「え?えええー!?」
ざわ…ざわ…
加治木「ん?何だ?」
桃子「急に人の流れが」
「おい、聞いたか?」
「何がよ」
「劇だよ、劇。あまりに人が多いから人数制限するみたいだってよ」
「マジで!?」
蒲原「あ~、ユミちん」
加治木「私達は招待券があるから優先的に入れるが一般の人達はそうもいかない…」
加治木「暴動が起きなければいいが…」
京太郎「ああ、喉が…」
優希「お疲れ様だじぇ」
京太郎「ナレーターを務める子が風邪で欠席」
京太郎「代わりに俺って無茶ぶりもいいとこだろ…」
優希「でもちゃーんと引き受けるところが京太郎のいいところだじぇ」
京太郎「うるせっ、しかし優希…」
優希「ん?」
京太郎「似合ってげふっ!」
優希「それ以上言うと殴る!」
京太郎「もう殴ってるじゃねーか!」
まこ「なーに、コントやっとるんじゃ」
優希「ま、魔女が…魔女がいるじぇ」
まこ「クフフフ、活きの良い獲物がかかったわ」
まこ「魔王様への供物に…ってなにやらせるんじゃ」
優希「違和感ないじぇ…」
京太郎「ああ、100…いや200歳と言われても不思議じゃないな」
まこ「本当に供物にされたいみたいじゃの」
京太郎「じょ、冗談ですよ…で、他の3人は?」
優希「リハーサルでは制服だったから今日が初お披露目。楽しみだじぇ~」
咲「ふぅ…やっと終わったよぉ」
京太郎「お、咲。おかえ…おおおおお!」
優希「咲ちゃん、かっこいいじょ」
まこ「まさに勇者じゃの」
咲「そ、そんなこと無いよ。衣装が良いだけだよ」
京太郎「いや!そんなこと無いぞ!!」
京太郎「前々から思っていた…咲は…」
京太郎「男装の才能があると」
咲「殴るよ京ちゃん。あと女勇者だから」
京太郎「またまた、ご冗談を…」
まこ「咲、その剣は飾りか?」
咲「ああ、そうか。斬るね京ちゃん」
京太郎「咲様ごめんなさい。目が怖いです」
京太郎「へ?」
咲「ザクッ」
京太郎「ぎゃぁぁぁぁぁぁ」
まこ「げーむおーばー」
優希「おおゆうしゃよ しんでしまうとは なさけない」
京太郎「くそ、コンティニューだ」
咲「おきのどくですが」
京太郎「ぎゃぁぁぁぁぁぁ」
まこ「いつまでやっとるんじゃ」
咲「ん?」
京太郎「ほら観客席の最前列に居る…」
咲「………あ」
照「…」
照「…」ペラッ
照「…」
照「…」ペラッ
咲「…ええと」
まこ「3時間前からいたそうじゃ」
咲「嘘!?」
京太郎「それまでは外で本読みながら待機してたんだと」
咲「あはは…」
京太郎「会わなくていいのか?」
咲「会いたいけど今は…ちょっと台本読んでくるね」タタッ
優希「咲ちゃん、まだお姉さんとは…」
まこ「いや、全国大会が終わってお互いの誤解が解けて今は仲良し姉妹…なんじゃが」
京太郎「あいつにとって劇は未知の領域。しかも主役ときたもんだ」
まこ「お姉さんに構っていられるほどの余裕もないんじゃろ」
優希「咲ちゃん……ところで、部長とのどちゃんは?」
優希「ん?」
久「」彡サッ
まこ「何やっとるんじゃ?」
京太郎「部長?」
久「な、何かしら?」
優希「声が上ずってるじぇ」
京太郎「…もしかして部長」
まこ「照れとる?」
久「ッ!」ビクッ
三人「」ニヤリ
まこ「二人共、や~っておしまい!」
優希、京太郎「あらほらさっさー」
久「ちょ、ちょっと!?」
優希「ふっふっふ…観念して出てくるんだじぇ~」
京太郎「照れる部長なんて貴重ですからね~。ここは強引に行っても…」
久「わ…分かった。今…出るわよ…」
久「ど、どうよ…」
久「な、なんとか言いなさいよ!?」
優希「お姫様だじぇ」
まこ「お姫様じゃ」
久「う…」
京太郎「すっごい似合ってますよ部長!」
優希「本当に異国のお姫様だじょ!」
まこ「こりゃぁ、部長にして良かったの」
久「褒めすぎよ…でも、ありがと」
久「さぁ、あとは和よ」
和「うっ…」
京太郎「和も終わってたのか」
優希「さぁ、観念して出てくるんだじぇ」
京太郎「な、何でですか!?」
久「鼻血でせっかくの衣装、汚したらどうするのよ」
京太郎「どこの世界ですか。透明人間見つけるためでもないのに」
久「お色気の術を見たとか」
まこ「人魚の群れを見たとか」
優希「百合を妄想しすぎてとか」
京太郎「本当にどこの世界ですか…無いです」
久「あら、そう…ほら和、あなたも観念なさい」
京太郎「おお!」
まこ「これはこれは」
優希「まさにエロ可愛い~!」
和「は、恥ずかしいです…」
まこ「で…鼻血は出んか…」
京太郎「だから出ませんって…」
和「ふふっ…」
久「良かった」
和「え?」
久「リハーサルの時は落ち込んでたから気になっててね」
和「あ…すみません、あの時、親友から電話があって…」
和「…」
和「来れない?」
憧「ごめんね…和。しずが追試になっちゃって」
憧「で、その日が文化祭の日…」
和「穏乃は?」
憧「今も勉強中」
憧「ここを落とすと合宿にも影響しちゃうからみんなでね」
和「そうですか…」
憧「本当にごめ……ってしず!?あぶっ」
穏乃「ハァ…ハァ…和!」
和「穏乃!?」
穏乃「ごめん…本当ごめん!…私馬鹿だから!」
和「え?ああ、うん」
穏乃「否定しないんだ…」
穏乃「いや、いいよ。自業自得だからこれは」
和「穏乃…」
穏乃「来年は…あるの?」
和「分かりません…多分これっきりかと…」
穏乃「そうか…」
穏乃「本当…ごめんね…和…」
和「いえ、気にしないでください。試験頑張って」
穏乃「……おう!」
和「でわ…」
ガチャ
和「……仕方…ないですよね…」
~~~
和「!?…な、なんですか?」
久「ほんとうに大丈夫?」
和「大丈夫です。もう…切り替えてますから」
久「そう……ならあとは本番ね」
和「はい」
ざわ…ざわ…
久「ん?何かしら?」
久「何かあったの?」
部員B「ネットのせいか今日人多すぎなんで人数制限するみたいなんです」
部員B「部長とAはその事で今、外で説明中」
和「何とかならないのですか?2,3回公演するとか」
部員B「時間がと言うのもありますし何より衣装が…」
久「そういえば特注だったわねこれ」
和「お客さんは納得してくれればいいのですが…」
演劇部部長「申し訳…本当に申し訳ございません!」
部員A「想定の範囲外でして…」
「おい、ふざけんなよ」
「私たちは劇を楽しみにしてきたんですよ」
「何とかしろよ、おい! 劇をやるってレベルじゃねーぞ!」
ワーワーギャーギャー
透華「どうするって…」
一「僕たちは入れるけど」
衣「あの人達かわいそうなのだ…」
智紀「ネットでたきつけた透華の責任もある」
透華「うっ…わ、分かりましたわ」
透華「ハギヨシ」パチッ
ハギヨシ「かしこまりました」
バババ……バババ……
智紀「ヘリの音」
バババババババババババ
一「って軍事用ヘリ!?」
衣「おお、カッコイイのだ」
智紀「何か吊るしてる…」
純「何だぁ?エヴァ参号機でも持ってきたのか!?」
一「あっ、落っこちて……ってうわわわわわわ」
ズドォォォン
純「ケホッ…ケホッ…」
ハギヨシ「さぁ、皆さん出番です」
土木作業員「「「「おっしゃあ!」」」」
衣「おお」
一「い、いつの間に…」
ハギヨシ「It's showtime!」
バチバチギゴギゴシュゥゥババババキンキンキン
デデーン
智紀「…」
一「嘘…」
純「は、はは…」
ドドドドド
優希「観客席の後方に何かがくるじょ!?」
咲「何だろうアレ…」
まこ「TVで使うカメラじゃ。2…3台あるぞ!?」
和「どうしてそんなものが?」
京太郎「お、おい、みんな。そ、外覗いてみろ!」
久「何々…」
久「」
京太郎「言葉失ってる」
まこ「が、外部モニターじゃ!」
優希「大きい……あれ?なんかどこかで見たことあるじょ」
和「ああ!?アレ麻雀大会用のですよ」
まこ「なんちゅうもんを…」
久「たぶん、透華でしょうね」
優希「あれ?咲ちゃん?」
京太郎「なんだ?咲も言葉失って…」
咲「」ガタガタガタガタガタガタガタガタガタガタガタガタ
京太郎(全身痙攣起こしてるー!?)
まこ「しかもレイプ目…」
和(レイプ目で震える咲さん…)ジュルリ
優希「咲ちゃん、大丈夫かじょ?」
咲「」ガタガタガタガタガタガタガタガタガタガタガタガタ
まこ「こら、あかんわ」
久「」テクテク
京太郎「あ、部長」
久「宮永さん」
咲「」ガタガタガタガタガタガタガタガタガタガタガタガタ
久「クスッ…さ~き」ダキッ
咲「あ…」
和「!?」ガタッ
まこ「はいはい、お主は騒がんようにな」
久「まずは目をつぶって自分の好きなものたちを思い浮かべて」
咲「え?…」
久「いいから…ね」
咲「は、はい…」スッ
咲(自分の好きなもの…)
久「そして自分の大好きな人を思い浮かべて」
咲(自分の大好きな人。それは…)
久「失敗を恐れるなとは言わないわ。誰だって怖いもの」
久「でもどうせ見せるならちゃんとした自分を見せたいじゃない」
咲「あ…」パチッ
久「大丈夫。ここにはあなたの失敗をも愛してくれる人達がいるわ」
久「大好きな人達と大好きな人のために」
久「頑張りましょう咲」
咲「部長……はい!」
優希(震えが止まったじぇ…)
京太郎(さすが部長)
和「」ワナワナ
まこ「はいはい、お主は映らんようにな」
菫「ふぅ…なんとか入れたな」
尭深「暴動にならなくてよかったです…」
誠子「それにしても凄い突貫工事だったな」
淡「あれが長野なんでしょうか」
菫「ん?あれは?」
照「」ペラッ
菫「早いな。いつからきたんだ」
照「3…いや、今だと4時間前か」
誠子「4時間!?」
淡「4時間前って解散した時ですよ!?」
照「?…そうだが?」
淡「いや、そんな可愛らしく首傾げられても…」
照「いや食べてないし必要…」グー
照「」
菫「はぁ…ほら、売店で買ってきたおにぎりだ」
照「む、すまない…」
淡「さすが弘世先輩、良い主婦になれますよ」
菫「な!?誰が照の嫁だ!」
尭深(そこまで言ってないような…)
誠子(意外とこの人もアレなんだよな…)
菫「むっ」
淡「あれは…」
透華「見ましたか。我が龍門渕の力は」
純「へいへい」
衣「凄かったなー。どかーんって」
智紀「観客は戸惑ってた…」
一「そりゃあ、あんなことが起きれば…あっ」
菫「…こんにちは」
純「こ、こんにちは」
純「お、おい。白糸台だよ白糸台」ヒソヒソ
一「わわ分かってるよ。おお落ち着いて純君」ヒソヒソ
透華「なな何をビビってますの。ほほほら行きますわよ」ヒソヒソ
誠子「お、おい痴女だ。痴女がいるぞ」ヒソヒソ
淡「何なんですかねあの服。見せたいんですかね」ヒソヒソ
尭深「さすが長野…未来に生きてる…」ヒソヒソ
菫(同じ仕草なのにこっちが低レベルに見えるのは気のせいだろうか…)
透華「衣?」
照「ん?」
衣「」ピリッ
照「」ピリッ
衣「」ピリピリッ
照「」ピリピリッ
衣「」バチバチバチバチッ
照「」バチバチバチバチッ
カッ!
衣「お主…なかなかやるな」
照「あなたこそ」
純「何がだ」
衣「む?」
淡「去年のMVPの天江衣さん……ですよね?」
衣「そうだぞ」
淡「わ、私、大星淡って言い…もうダメ!かわいい!」ダキッ
衣「むぁ!?」
一(自己紹介の途中で抱きついた!?)
尭深「独り占めは駄目です…」
衣「こらー、衣はおもちゃじゃ…ぅわぁっ」
淡「かわいいな~かわいいな~」ナデナデ
尭深「抱き心地良い…」ギュッ
誠子「肌触り最高~」スリスリ
純「何だこれ」
菫「すまない、うちの後輩馬鹿なんだ」
透華「おや、あなた方は」
菫「鶴賀学園…」
加治木「私達を知っているのか」
菫「ああ、清澄が決勝進出決定した時に全試合を見たからな」
加治木「お恥ずかしいところを…」
菫「謙遜するな。無名校でありながらあれほどの戦い…感服した」
加治木「いえ、そんな…」
菫「ああそうだ。紹介しよう。ここにいるのが私のこうは…」
淡「弘世先輩」ヒソヒソ
菫「どうした突然」
菫「はぁ?」
尭深「うっすらとですけど幽霊が…」ヒソヒソ
淡「どうしよう。こんな真昼間から幽霊見ちゃったよ…」ヒソヒソ
桃子「大丈夫ですか?顔色悪いっすよ?」
誠子「ぎゃぁぁぁ!喋ったぁぁぁぁ!」
淡「来るなー!呼びかけるなー!」
尭深「南無妙法蓮華経…」
桃子「あ、あのー」
加治木「こ、この場合どうすれば…」
菫「すまない。うちの後輩大馬鹿なんだ」
誠子「早く言ってくれればいいのに」
尭深「怖かった…」
菫「散々ビデオ見せただろうが…!」
蒲原「ワハハ、面白い人達だな」
加治木「あのモモをうっすらとはいえ見えるのはさすが白糸台といったところか」
菫「菫で構わん。なんだ?」
一「あ、じゃあ菫さん。宮永さん何かあったんですか?」
菫「え?」
一「ああ、いえ。あれから黙々と本を読んでて」
照「」ペラッ
菫「これがいつもの照だ。気にするな」
一「そうなんですか」
菫「TVのは…演技というのか素というのか天然というのか…」
菫「とにかくこの無愛想な方が照だと思ってくれ」
一「分かりました」
菫「お」
智紀「いよいよ始まる…」
誠子「ようやくか」
衣「わくわくするな~」
純「さて何が飛び出すか」
淡「必見ですね」
優希「そんなやつここにはいないじぇ!」
まこ「気合は充分じゃ」
和「やるだけの事はやりました」
咲「あとは全力で行くだけ!」
久「さぁ、行くわよ!」
一同「おー!!」
京太郎「これより清澄高校、演劇部麻雀部合同創作劇”勇者と魔王”…開演いたします!」
部員C「えっとこれは大丈夫…これもある…これは…痛っ」
部員C「あ、あれ?こんな大きいセットあったっけ?なんか黒い布で覆われて…」
カサ…
部員C「」ビクッ
カサ…カサ…カサ…
部員C「え?何?」ガタガタ
カサカサカサカサカサカサカサカサカサカサカサカサカサカサカサカサカサカサカサカサ
部員C「い、嫌ー!私は何も見てない聞いてないー!」
タタタタッ
?「さすがカナちゃん」
?「ふふん、あいつらの足音を真似るほど戦ってきたからにゃ~」
?「ごめんね、みんな。私のわがままに付きあわせちゃって」
?「気にしないでください。キャプテン」
?「これが私たちの恩返しです」
?「みんな……グスッ…ありがとう」
?「ああ、泣かないでキャプテン」
?(しかし今回はさすがに無茶な気がするにゃ…)
―舞台―
京太郎「ここは自然豊かな国…その名も清澄国」
演部長「よし、幕あげろ」
スッー
京太郎「日光に照らされ草木が輝くほど…」
優希「」デデーン
京太郎「」
演部長「なっー!?」
久「木は舞台端のはずだけど…」
和「おもいっきり最前線のど真ん中ですね…」
まこ「あやつは目立ちたがりじゃからの~」
咲「優希ちゃん凄い…」
「優希ちゃんかわいいー!」
優希(!?)
「いいぞー、片岡ー!」
「お前ならやると思ってたー!」
かったおか!かったおか!かったおか!かったおか!かったおか!かったおか!
優希(…)
まこ「…受けてるのぉ…」
演部長「結果オーライですね」
久「あら?…」
かったおか!かったおか!かったおか!かった……
「あれ?動かないぞ?」
「木なんだから当たり前でしょ」
「ああ、そっか…」
咲「なりきってる…」
和「さすがです!」
まこ「どう見ても固まってるようにしか見えんがのぉ」
久「呑まれたわね」
京太郎「え~、自然豊かさを象徴するかのように」
京太郎「街の真ん中には一本の大きな木がありました」
京太郎「その名も”優木”」
京太郎「この優木は古来より人々から崇められ…」
まこ「おお、ナイスアドリブ。さすが京太郎じゃ」
和「しかし、これほどの声援とは…」
久「劇…出来るかしらね…」
和「我が名は魔…」
「きゃー!原村さーん!」
「原村ーこっち向いてくれー!」
「けしからん!けしからんぞぉぉぉー!!」
和(ええと…)
まこ「新たなる王、お初にお目にかかります。妾は…」
シーン
まこ(何故じゃ、何故わしの声援がない!?)
久「お父様。お話とは…」
「きゃー竹井センパーイ!」
「竹井先輩、似合ってますよー!」
「可憐だ!可憐すぎる!」
久(はは…)
「竹井センパーイ!抱かせてー!」
「むしろ抱いてー!」
久(うわ…)
和「さすが部長ですね」
まこ「ええのぉ…部長はほんとにええのぉ…」ズーン
咲「染谷先輩が暗いですね…」ヒソヒソ
和「よっぽどこたえたのでしょうね。そっとしときましょう」ヒソヒソ
優希「了解だじぇ…」ヒソヒソ
?「」ガタンガタンガタンガタンガタンガタン
?「キャ、キャプテン落ち着くし」
久「あ~れ~」
京太郎「国の迎撃も虚しく姫は連れ去られてしまった」
暗転
久「ふぅ…疲れた…」
和「お疲れ様です。部長」
まこ「お疲れ…部長…」ズーン
久「ありが…うわっ!?」
まこ「どうしたんじゃ…」ズーン
久「い、いえ、何も」
久「何あれ、貞子になろうとして失敗した貞子もどきは」ヒソヒソ
和「部長。もの凄く合ってますけどそれは酷いです」ヒソヒソ
優希「次は咲ちゃんの番だじゃ」
咲「うん、みんな行ってきます!」
久「気負いせずにね」
和「声援は気にせずに」
まこ「ふふふ、声援は確定かの~」ズーン
久、和(やりずらい…)
咲「私の名は……」
ゴオオオオオオォォォッォォォ
京太郎(!?)
キィィィィィヤアァァァァァァァァ
久「え?何々!?」
「咲様ー!」
「咲様かっこいい!」
「咲様ー!こっち!こっち向いてー!!」
「俺だー結婚してくれー!」
「何言ってんだ!私とに決まってんだろ!」
和「うわ…」
優希「あの時の暴動並だじょ」
和「凄いですね…そして何故か腹がたってきましたね」
優希「のどちゃん、目が怖いじょ…」
久(咲に対してか観客に対してか…絶対後者なんでしょうけど)
衣「おおーすごいのだー」
加治木「全国決勝の大将戦は凄かったからな」
蒲原「わはは、臨海と阿知賀も頑張ったんだがな」
桃子「嶺上さんと大星さんの一騎打ち凄かったっすからね~」
智紀「そのせいで他2校が空気…」
淡「…」
菫「ん?どうした大星?」
淡「周りの人たちも何人かは私に気づいてくれたのに」
淡「何故声をかけてくれなかったんでしょうか…」
菫「魅力がない」
尭深「可愛さがない」
誠子「調子にのるな」
淡「うわぁぁぁぁぁん」
一「透華?」
透華「何故ですの!?何故、和よりも」
透華「あんなちんちくりんが目立ってますの!」
一「わわ、透華!?」
菫(まずい!?)チラッ
照「…」
菫(微動だにしない?)
照「スッーーーーーーー」
菫(息を思いっきり吸い込んだ?……ハッ)
菫「みんなぁー!耳塞げー!」
淡「え?」
照「すぅぅぅああああぁぁきいいぃぃっぃぃぃぃぐぅあああんばあぁぁぁれえええぇぇぇぇ」
加治木「くっ!?」
淡「耳がぁぁー」
照「さーきッ!さーきッ!さーきッ!さーきッ!さーきッ!さーきッ!」
菫「手が付けられん…」
淡「弘世先輩!渋谷先輩が…先輩が!」
菫「む」
誠子「しっかりしろ渋谷!」
尭深「みんな…今まで迷惑かけてごめんね…」
尭深「私の…分まで…生きて」
ドサッ
淡「いやー!!」
誠子「渋谷ぁー!」
菫「くっ、お前のことは忘れないっ…!」
純「まーた始まったよ」
純「え?」
一「衣!ねぇ…衣!」
智紀「衣…しっかり…」
衣「あれ?ここは?…」
純「良かった気がついたか」
衣「父君と母君…一緒に川遊びしてズルイのだ…」
衣「衣も今そっちに…」
純「行くなぁぁぁぁ~!」
一「衣!そっちはいっちゃいけない川なんだよ!」
蒲原「ワハハ、本当に面白い人達だな」
久「どうするのこれ?」
演部長「収まるまで待つしか…」
優希「あれ?咲ちゃん……笑ってる?」
和「え?」
咲様~
咲(大丈夫…ここには大好きな人達と…)
咲(大好きな人がいるから…)
咲「」チラッ
照「!?」
咲「」ニコッ
照「」ドキッ
咲(見ててね……お姉ちゃん!)
咲「私の名は勇者!魔王を討ち滅ぼすものなり!」
シーン
(かっこいい…)
(まさに勇者だ…)
優希「声援の声が消えて観客が見とれてるじぇ…」
和「咲さん凄いです」ポー
久「クスッ……ほらまこ、いつまで落ち込んでるの」
久「後輩が頑張ってるのに先輩の私達が頑張らないでどうするのよ」
まこ「しょうがない、いつまでもうじうじしてるわけにいかんしの」
照「」パンパンパンパンパンパンパン
菫「痛っ痛っ、なんだ?」
照「見た!?今の見た!?」
照「私を見て微笑んだ!私を見て微笑んだ!!!」
菫「あ、ああ…」
照「はぁ~、咲かわいいよぉ~」
一「あ、あの~菫さん…」
菫「言いたいことは分かる。そして訂正しよう」
菫「 こ れ が 照 だ 」
一「わ、分かりました」
部員C「いよいよクライマックスですね」
部員A「勇者は魔王を見事倒し」
部員B「勇者は姫と一緒に帰路につく」
演部長「そして二人は結ばれる」
和「よくぞ参られた勇者」
まこ「さすがじゃの~」
久「勇者ー」
咲「姫!今助けます!」
咲「魔王ー、覚悟!」
和「待て、我の要求に答えれば姫を開放してやらんこともないぞ」
和「いや、世界の半分をお主にくれてやらんでもないぞ」
咲「………………………え?」
久(ちょ、和?)
部員C「ないですね、完璧にアドリブです…」
演部長「何を考えてるんだ…」
咲「ソ、ソンナコトイッテモマドワサレナイゾ」
久(惑わされてる惑わされてる)
京太郎(台本にないからな。当然と言ったら当然だ…)
和「惑わしなのではない!」
咲「う…よ、要求とは何だ」
和「それは…」
咲「ええ!?」
久(…こりゃまた…)
京太郎(大胆なことで…)
和「正直に言おう。我は世界に興味など無い」
和「いや、前まではあった…」
和「勇者!そなたに会うまでわな…」
和「今ならはっきりと言える…我はそなたが好きだ!」
部員B「あれじゃあ、変態魔王じゃねーか…」
部員C「あれ?でも勇者は女の設定ですから普通ですよね?」
部員B「お前馬鹿だろ」
部員A「魔王も女だぞ」
部員C「あれ?そうでしたっけ?」
演部長「どこの世界にあんなセクシー衣装着た男魔王がいるんだよ」
部員C「ああ、そっか……あれ?じゃあなんで言い換えたんだろう?」
優希「きっと、のどちゃんはそっち志望なんだじぇ!」
部員C「やーん、見た目に反して引っ張って行きたいタイプぅ?」
演部長「こらこら、話が脱線してる」
咲「…」
優希「咲ちゃん、困って………ない?」
まこ(吹っ切れた顔をしとる)
久(どうやら答えは決まったようね)
咲「ひとつ聞かせてくれ魔王」
咲「あなたの嫁になったら世界はどうなる」
和「それは我ら二人だけのものに…」
咲「なら返答は…ノーだ」
和「!?」
咲「そして私一人の人間を愛せるのなら全人類を愛してほしい」
咲「人間と魔物は愛し合えるのか今は分からない…」
咲「でも…共に生きていくことならできる」
咲「創っていこう…これから」
咲「人間と魔物が共存できる世界を…そして、いつかは」
咲「愛し合える世界を」
和「勇者…」
咲「…だ」
和「え?」
咲「咲だ」
咲「清澄国の勇者・咲。それが私の名だ」
優希「自分の名前つけちゃったじょ…」
部員C「でもロマンチックですね~」
和「我が名は和。魔王・和だ」
咲「和か…良い名だ」
久「一件落着かしらね」
咲「久姫…よくぞご無事で」
久(久姫!?…まぁいいか)
和「そなたには苦労をかけたな」
久「いいわよ。それに…」
久「共存の話面白いじゃない」
まこ「これから忙しくなりますな」
和「しかし出来るのだろうか…我は数多の人間を…」
咲「それなら私も数多の魔物を蹴散らしてきた。同罪だ…」
咲「同じ罪…共に背負っていこう」
和「咲…」
咲、和「!?」
久「人間と魔物が共存できる世界の創造に尽力しなさい」
咲、和「はっ!」
咲「和…」
和「咲…」
ギュッ
咲、和「共に生きていこう…このセカイで…」
オオー
パチパチパチパチパチパチパチパチ
演部長「な、なんとか着地…した…か?」
部員B「なんだかんだでアドリブのオンパレードでしたね…」
透華「最後ぎこちなかったような気がいたしますが…」
照「」ガタッ
誠子「ど、どうしたんですか急に立ち上がって」
照「」ガシッ
尭深「パイプ椅子掴んで…」
照「」グワッ
淡「持ち上げて…………ってうわわわわわわわ」
透華「じゅ、純!」
純「ああ!」ガタッ
淡「弘世先輩!」
菫「分かってる!」ガタッ
蒲原「いっけぇー!ユミちん!」
加治木「よっしゃぁ!!」ガタッ
加治木「って私はそんなキャラじゃない」
桃子「先輩の中が見えた気がするっす…」
純「これは劇、劇ですよ。宮永さん」
菫「そうだ。本当に告白したわけじゃない」
照「いいや、あれはアドリブだ!」
純「何を根拠に…」
照「匂いでわかる!」
菫「匂いかよ!?」
京太郎(間違ってないから怖ぇ~)
純「と、とにかく落ち着きましょう」
菫「そ、そうだ。こんな大衆の前で恥をかく気か」
照「ガルルルルルルルルルルル」
菫(いかん、猛獣と化している)
一「い、いや僕は…」
智紀「」カタカタ
純「おい智紀。のんきにネトゲしてるなら…」
智紀「大丈夫、今終わった」
純「え?」
智紀「」テクテク
純「あ、おい」
智紀「宮永照」
照「がうっ!」
智紀「宮永咲のアイコラ写真」スッ
照「きゃうん!?」
照「へっへっへっへっへっへ」
智紀「お手」
照「あんっ」
智紀「おかわり」
照「あんっ」
智紀「おすわり」
照「あんっ」
智紀「いいこいいこ」ナデナデ
照「きゃう~ん」
菫(猛獣が犬になった…)
淡、尭深、誠子(すげ~)
ハギヨシ「はっ」
淡、尭深、誠子「うわっ!」
智紀「この中にあるデータ全てプリントアウトお願いします…」
ハギヨシ「かしこまりました」
ハギヨシ「こちらに」
智紀「ありがとう」
淡、尭深、誠子(早っ!?)
智紀「はい、ご褒美」
照「あんっ!」パシッ
照「あぁ~、咲~咲~」スリスリ
菫 ビクッ「な、なんだ?」
智紀「これを…」
菫「これは…」
智紀「残りの写真。また暴走した時に使って…」
菫「君は……」
ギュッ
智紀「!?」
智紀「そこまで感謝されることはしていない…」
菫「いいや、した!誇ってもいいぐらいだ!」
菫「君…あなたは偉大な功績者!…いや女神だ!」
智紀「はぁ…」
尭深(弘世先輩が感激してる…)
誠子(ってか人がここまで人に感謝するところ初めて見た)
一(菫さん、よっぽど苦労してたんだな…)
菫「ふはははははははははははははは」
智紀「えと…」
淡「ああ、ごめんなさい。うちの先輩馬鹿なんです」
誠子(良識人なんだけど宮永先輩が絡むと本当にズレるなこの人は)
一(とりあえず前言撤回しておこう)
衣「お疲れなのだ智紀」
純「しかしおめーよく写真なんて持ってたな」
智紀「私のじゃない」
純「え?」
智紀「ネット友達の」
―――
船Q「ックシュン」
セーラ「うわっ」
泉「なんや、風邪ですか?」
竜華「大丈夫?」
船Q「いえ、誰かが噂しとんのでしょう」ズズッ
怜「zzz…」
京太郎「え~、かくして清澄国は…」
フッ
加治木「な、なんだ?」
桃子「急に暗くなったっす」
?「良い和解だったぜぇ、お二人さん」
一「今の声って」
純「男口調で声も若干変えてたが」
透華「風越の福路美穂子?」
?「今にゃ!」
「ふんにゃあぁぁぁぁぁぁぁぁ」
和「咲、こっち」
咲「う、うん」
ゴオオオオオォォォォォ
ドゴォォォォォン
淡「何々!?今のSE!?」
菫「何かが衝突したような感じだが」
パッ
透華「んっ…明かりがつきまし…って船ー!?」
衣「おお、かっこいいのだ」
一「髑髏の旗が見える…」
純「って海賊船じゃねーか!?」
蒲原「ワハハ、これはまたゴーカイにきたな~」
優希「あ、船首に人が見えるじぇ」
文堂「せ、世界に宝ある限り大空と言う名の大海原を行く!」
深堀「その速度は風をも越える!」
吉留「そう、我らは!…」
一同「女海賊団”風越”!!」
池田「そして率いるは!…」
一同「キャプテン・福路!!」
福路「」デデーン
部員B「え、えええええー!?」
部員A「眼帯に海賊服…分かってる…あの人分かってますよ!!」
演部長「何がだ」
福路「勇者・咲、これがなにか分かるかな」
久「むぐー」
咲「久姫!」
福路「絶世の美女と謳われた…」
まこ(そんな設定じゃったかの?)
福路「清澄国の宝、久姫」
福路「このキャプテン・福路が頂いたー!」
福路「おめぇら!引き上げだ!」
風越一同「はい!」
ゴゴゴゴゴゴゴゴ
咲「ま、まて!」
ビュウウゥゥゥゥゥゥ
和「い、いきなり風が…」
池田「巨大ファン攻撃にゃ」
部員B「もう時間も」
演部長「ええと…」
京太郎「なななななんんと!?」
優希(京太郎!?)
京太郎「清澄国の久姫があの悪名高き女海賊団風越にさらわれてしまったー!」
京太郎「この危機を乗り越えることは出来るのか!?」
京太郎「どうなる清澄国!どうする勇者・咲!」
京太郎「第2幕に続く!」
演部長「………………え?」
京太郎「」カクカク
優希「ん?ジェスチャー?」
京太郎(優希ー!幕下ろせ幕!)
優希「お、おうだじぇ」
スッー
咲「くっ…久姫…久姫ー!」
久「咲ー!」
福路「アディオス」
パタン
さすが雑用を全てこなしてタコスすら作れるようになった男
ハギヨシはいずれ京太郎を龍門渕の執事にしたいと考えているに違いない
久「これはどういうことかしら」
福路「ごめんなさい。上埜さんが姫と聞いてさらいたい欲に勝てず…」
久「いやそのりくつはおかしい」
部員B「勇者と魔王和解ENDで着地したのにどうしてこうなった」
部員A「何言ってるんですか!」
部員A「眼帯に海賊服は王道…ごふ」
演部長「お前は黙ってろ」
部員C「で、どうしますか?」
演部長「どうするったって…」
和「とりあえずカーテンコールでしょうか」
ワーワーワーワー
まこ「こりゃあ、応えんといかんの」
優希「幕上げるじょ」
京太郎「今日の劇を務めました。演劇部と麻雀部の面々です」
ワー
パチパチパチパチパチパチパチパチ
「いいぞー」
「面白かったー」
「第2幕楽しみに待ってるぞー」
久「一応、受けたみたいね」
まこ「本当に結果オーライじゃのう」
京太郎「そして今回のサプライズ?ゲスト」
京太郎「風越女子高校の方々です」
「きゃー福路センパーイ」
「海賊服似合ってるぞー」
「男演技良かったぞー」
福路「ははは…」
部員B「部長…」
演部長「第2幕…考えてみるか」
淡「終わりましたね」
菫「ああ、終わったな」
尭深「帰りはぎゅう詰めラッシュ…」
誠子「し、死ねる…」
菫「…泊まりに行ってもいいんだぞ」
照「明日は大事な練習試合だ。これ以上伸ばすことは出来ない」
菫「朝に帰ってくればいいじゃないか」
照「…」
菫「どうした?照?」
照「いえ、何も」
菫「そうか」
照(アレがありなら菫を大魔王に仕立て上げ)
照(咲のピンチに駆けつける勇者・照を演じておけばー!)
照(いや、待て。まだ第2幕があるじゃないか!そこで…)
照(勇者・宮永姉妹…いいな)
菫(まーた、良からぬことを企んでるな)
菫(まぁ、私にはコレがある。そう、この写真が…)
照「ふふふ…」
菫「ふふふ…」
尭深「二人を中心に邪念が渦巻いてる…」
誠子「…どっちが勝つと思う?」
淡「……考えたくないですね」
菫「ん?」
蒲原「ワハハ、駅までなら送ってくぞー」
照「いいのか?」
加治木「ぎゅう詰めのバスよりかはマシかと思いまして」
菫「すまない、助かる」
桃子「地元民しか知らない抜け道もあるから早く着くかもしれないっすよ」
誠子「おお、それは助かる」
桃子「ただ…しっかりつかまっててくださいね…」
尭深「え?…」
蒲原「ワハハ、いくぞー」
ブォォォォォォォォォ
淡「うわあああぁぁぁぁ」
ぁぁぁぁ…………………………
純「洒落にならんからやめい」
衣「でも一度は乗ってみたいぞ。ジェットコースターみたいで楽しそうだ」
一「僕は遠慮しとくよ…」
透華「さぁ帰ったらミーティングですわよ」
純「ミーティングって…どっかと試合組んでたっけ?」
透華「何言ってますの、劇のですわ」
一「え?」
透華「あれほどの劇でしたら龍門渕では造作も無いこと」
透華「清澄以上に目立って差し上げますわ」
透華「見てなさい原村和。真のアイドルが誰であるかを教えてあげますわ」
透華「おーっほっほっほ」
純「あー、国広くん。逃げちゃ駄目か?」
一「たぶん、無理だろうね…」
咲「疲れた…」
和「疲れました…」
優希「くたくただじぇー…」
京太郎「喉が…」
まこ「しかし二人には驚かされたの」
咲、和「え?」
まこ「まさかの告白」
優希「お熱いじぇ」
京太郎「優希には程遠い話だもんな」
優希「うるさい!」ドゴッ
京太郎「げふ」
咲、和「あ…」
咲(そうだった…和ちゃんなのに和って…)
和(そうでした…まだ咲さんでしたのに咲って…)
久(何故か思考の相違を感じる…)
久「で、第2幕どうしましょう」
和「来年ですかね…」
咲「でも部長はいないですよ」
久「留年はさすがにまずいでしょうし」
京太郎「いや意図的しちゃダメでしょ」
久「どうしたの?」
演部長「話を聞くとあのセット、風越の演劇部からかっぱらってきたみたいなんですよ」
久「」
優希「さすがキャプテン、凄いじぇ」
まこ「どうやって持ってきたんじゃ」
演部長「そこは企業機密だそうで…」
久「企業!?」
優希「さすがキャプテン、スケールが大きいじぇ」
演部長「第2幕そこでやらないかと…」
和「向こうの人達はなんて?」
演部長「ノリノリだそうです…」
久「あはは…それで時期は?」
演部長「1ヶ月後だそうです」
京太郎「1ヶ月後…」
久「やるしか…ないわね」
優希「燃えてきたじぇ」
咲「麻雀部なのに1ヶ月も牌に触らないなんて…」
まこ「そこはつっこんだらいけん…」
京太郎「はい?」
久「あなた小道具係よね」
京太郎「そうですけど」
久「なら後片付けお願いね」
京太郎「え?劇の片付けならあらかた…」
ポンッ
土木作業員「よう兄ちゃん」
京太郎「へ?」
京太郎「え?え?」
作業員「急遽呼ばれたからな。人出が足んなくて」
作業員「大丈夫。兄ちゃんの体ならいけるって」
京太郎「え?ちょ、ちょっと!?」
ハギヨシ「大丈夫です須賀様。私も微力ながら手伝いますので」
京太郎「はっはは…」
京太郎(俺…明日生きてるかな…)
久「でわ、解散」
咲「うん、またー」
和「でわ咲さん、行きましょうか」
咲「うん」
咲「…」テクテク
和「…」テクテク
咲「…」テクテク
和「…」テクテク
咲「…」テクテク
和「…」テクテク
和「はい?」
咲「第2幕がどんな話になるかわからないけど」
咲「勇者と魔王はあの後どうなったのかな…」
和「わかりません、けど…」
咲「けど?」
和「きっと素敵なセカイを創ったと思いますよ」
咲「そっか…そうだよね」
咲「あの!」
和「はい?」
咲「久しぶりに手をつないで帰ろう和」
和「!?」
和「はい、咲」
ギュッ
おわり
SS投稿するのもこんなにきついとは思わなかった…
第二幕待ってるで!
構想はあるけど書くのはこれからなので
仕事の忙しさもあっていつになることやら分かりませんが
忘れた頃に来ると思ってください…
おつおつ
第二幕まっとるぜ
おつつつつ
Entry ⇒ 2012.07.05 | Category ⇒ 咲-Saki-SS | Comments (0) | Trackbacks (0)
千反田える「私、気になりますっ!」折木「…俺も気になるよ」
千反田「えっ?私のどこが気になるんですか?」
折木「……面倒臭いから言わない」
千反田「言ってください折木さん!私、気になります!」
折木「……言わない」
千反田「気になります!気になります!言ってくださいよ折木さん!」
折木「……さっきの話はもういいのか?」
千反田「今は折木さんの方がもっと気になります!」
折木「……はぁ……わかった……言うぞ」
千反田「あっ………はい!ありがとうございます!折木さん!」
千反田「はい、一体私のどこが気になるのでしょうか?」
折木「どこがと言われると色々あるが……」
千反田「はい!」ワクワク
折木「……やっぱりやめた……無駄なエネルギーを使うのは俺の省エネ主義に反するからな」
千反田「お、折木さん……無駄かどうかなんて言ってみないとわかりません!お願いします!私、気になりますっ!」
折木「……だったら先に千反田に確認したい事がある」
千反田「はい!なんでしょうか!」
折木「お前は……千反田は…誰か特定の好きな人間、いや異性はいるかぁ?」
千反田「えっ?好きな……異性ですか?」
千反田「……折木さん、それは私のプライバシーに関わる事です、流石にそれは……言えません」
折木「…じゃあこの話はもうやめよう、俺にもプライバシーがあるからな」
千反田「……」
折木「はぁ……もういいだろ」
千反田「……」
折木「あの2人も来ないし、帰るか?千反田」
千反田「でも……私、気になります。折木さんがどうして私の事が気になるのか」
千反田「折木さん……」
折木「帰るぞ、もう下校時刻だ」(……こう言って忘れてくれるような奴じゃない……か、千反田は)
千反田「………」
折木(我ながら失言だった……いや、むしろこうなる事はわかっていたじゃないか……はぁ……何がしたいんだろうなぁ俺は……)
千反田「……折木さん」
千反田「それは……そうですね……わかりました、帰りましょう折木さん」
折木「ああ……」
千反田「………」
折木「………」スタスタ
千反田「………」スタスタ
折木「………」チラッ
千反田「……はい?」クルッ
折木「っと」クルッ
千反田「?」
折木「……あのさ……千反田」
千反田「はい」
折木「その、お前まださっきの事考えてるのか」
千反田「はい、気になります」
折木「はぁ……」(どうするかぁ……何か千反田が納得するような事をでっち上げて説明しない限り……コイツは明日も今の事を聞いてくるんだろうなぁ…)
千反田「私の事が……折木さんにはどう見えているのでしょうか。気になります!お願いですから言って下さい」
折木「どうって、そうだなぁ……まず第一に」
千反田「はい!」
折木「お前といると……疲れる事が多いな」
千反田「そ、そうですか……」
折木「第二に」
千反田「は、はい!」
折木「でも、そんなに嫌じゃないのかもなぁ」
千反田「え?」
折木「なんだかんだで……お前……達と居るのは悪くないからな、姉貴に強制されたからとはいえ古典部に入って良かった……と、少しは思う……かもしれない」
千反田「そ、そうですか!私も古典部に折木さんが居てくれて良かったです!」
折木「バカバカしい…たまたまだといったはずだろ、相変わらず千反田は俺を買いかぶりすぎだ、里志も伊原…はそうでもないか」
千反田「摩耶花さんも折木さんの事は口ではああ言ってもきっと認めてくれてますよ」
折木「はぁ……どうでもいいけどなぁ」
折木「う……あ、ああ」クルッ
千反田「折木さん?」
折木「……なんでもない……ふぅ…」
千反田「今の話を聞いて……安心しました!折木さんは私の事を嫌っている訳ではないようで良かったです!」
折木「あ、ああ、それはない……だから、安心してかまわん」
千反田「うふふ」ニコニコ
千反田「まだです」ギュッ
折木「む……」
千反田「私、気になりますっ。折木さんが私の事をどう思っているのか、今の説明では先ほど何故私に好きな異性がいるのかを聞いた事の説明がつきません!」
折木「ぐっ……」(…本当に失言だったなぁ)
千反田「………」キニナリマスキニナリマスキニナリマス
折木「」(また小さい千反田が出てきた……)
折木「ぐっ……断る……疲れる事はしたくないんだ」
千反田「……折木さん」
折木「というよりも……千反田は、本当にわからない……のか?」
千反田「……折木さん」
折木「あ、ああ…なんだ」
千反田「わからない訳がないじゃないですか……私はそこまで人の心がわからないほど愚かではありません」
折木「なっ!?」(や、やっぱりわかってたのか……千反田には俺の気持ちが…)
千反田「私は……折木さんの口から聞きたいんです」
折木「俺の……口から?」
千反田「……はい。折木……奉太郎さんから聞きたいんです……私の事をどう思っているのか」
折木「……」
折木「千反田……」
千反田「折木さんは今、私の目の前にいらっしゃるのですから……」
折木(…これは十中八九……いや間違いなく…)
千反田「……どうして言ってくれないんですか?……折木さん」
折木(千反田は知りたい事はもうわかっている、それでもまだ納得していないのは俺の気持ちが聞きたいから…)
折木(何故知りたいのかなんて……そんなもの…傲慢かもしれんが千反田も俺の事……)
千反田「………」
千反田「……はい」
折木「もう一度…さっきの質問をしていいか?」
千反田「……え?」
折木「どうしても確認したい」
千反田「………」
折木「……沈黙は肯定と受け取るぞ……それでもいいのか?」
千反田「………」
折木「…もう一度聞くぞ、千反田は誰か好きな異性はいるのか」
千反田「……」
折木「……肯定と受け取っていいのか?」
千反田「……はい」コクリ
折木「はぁ……そうかぁ……」
折木「……なあ千反田」
千反田「は、はい」
折木「俺は千反田の事をそんなに知ってる訳ではないし、千反田も……俺の事を知らない、だから……さ」
千反田「え……」
折木「今はまだ……このままの関係でいいんじゃないか」
千反田「折木さん……どうしてですか…私は…折木さんの事をもっと知りたいです……折木さんだって……さっき私の事が気になると、おっしゃたじゃないですか…」
折木「それは……失言だと言わなかったか」
千反田「……」
千反田「それは…はい、摩耶花さんは福部さんに好意を持っていらっしゃいます」
折木「俺達もあの関係でいいと思う、里志だって伊原の事が別に嫌ってなんぞいない、むしろ逆だ、それでも付き合ったりはしていない」
折木「このままの関係で……いい部活仲間でもかまわんと俺は思ってる」
折木「それに……これは俺達だけの問題じゃないからだ、確か千反田には兄妹はいなかったはずだよな」
千反田「え?はい、確かに私には他に兄妹はいません…ですがそれがどう関係あるのでしょうか」
折木「俺と千反田では立場が違い過ぎる」
千反田「立場…ですか」
折木「…里志が言うには……確か千反田は神山市の四名家の一つだ」
千反田「は、はい…そうおっしゃる方も中には確かにいらっしゃいますが…」
千反田「……はい?……あの……婿入り…ですか?」
折木「え?あ、ああ、そうだが」
千反田「婿入りと言いますと……わ、私と折木さんがけ、け、け、結婚!?」
折木「ぐ…いちいち言わなくていい…」
千反田「お、折木さん!いくらなんでも話を飛躍させすぎです!わ、私と折木さんが………け、結婚なんてまだ早すぎます!」
折木「……はぁ、なあ千反田」
千反田「そんなの早すぎます!早すぎます!早すぎます!……早すぎますよ……」ニコニコ
千反田「あっ!?待って下さい!」ギュッ
千反田「どうして折木さんは結婚まで話を飛躍させるのでしょうか!私達が今話してるのはそんな事ではないはずです!」
折木「くっ…」
折木「……千反田、俺の座右の銘を聞いてくれるか」
千反田「え?」
折木「俺はやらなくていい事はやらない、やらなければいけない事は手短に、疲れる事は避けられるものならしたくない、という省エネ主義の持ち主だ」
千反田「は、はい。それは福部さんからも何度か聞いた事がありますが」
千反田「それでは……それでは説明になってません……折木さん!」ギュッ
折木「……うっ…」
千反田「結婚なんてまだまだ先の話じゃないでしょうか!……先の事じゃなく、私は今」
千反田「今、この時の事を話したいんです!折木さんがどうしてそうはぐらかそうとするのか私にはわかりません!」
折木「……はぐらかしてなんぞいない、それに……先の事を考えて何がおかしい」
千反田「折木さん…」
折木「世間一般的に、彼女というものが出来れば薔薇色の高校生活が送れるんだろう、ましてや千反田のような可愛い女の子ならなおさらだ」
千反田「か、可愛いだなんて…そんな」
折木「だけどな、今の俺にはそれが物凄く眩しいんだ、疲れる、正直…今の関係の方が心はずっと整えられる……だからこの件は保留でいいじゃないか」
千反田「い、嫌です!そんなの…まやかしじゃないですか!折木さんは逃げてるだけです!」
千反田「はい?」
折木「……いや、なんでもない」
千反田「?」
折木「それ以上は言うな千反田」
千反田「……言いません。こういうものは、男性の方から言ってもらいたい、と私は思っていますから…」
折木「……千反田……悪いなぁ」
千反田「……摩耶花さんも普段からは想像できませんがこんな気持ちなのでしょうか…」
折木「伊原の気持ちか……そうかもなぁ……」
千反田「……」
折木「……気になります」ボソッ
千反田「もう!折木さん!私はそんなにデリカシーのない人間ではありません!」
折木「………悪い」
折木「わかってる、ただ……少し時間が欲しい、少しだけでいい、その時が来たら……必ず俺から千反田に話すから」
千反田「本当ですか?私は折木さんを信じていいのでしょうか?」
折木「ああ」
千反田「……」
千反田「わかりました、私、待ちますから。折木さんが話してくれるその日を」
折木「……ああ、本当に……悪い」
伊原「き~~!全くなによ!あの折木の態度!どんだけ怠惰的なのよ!あの怠け者は!もうちーちゃんは殆ど好きだって言ったようなもんなのに!」
福部「ははは、落ち着きなよ摩耶花、でも後は時間の問題だよ、奉太郎のあの様子だとね、もう心の中は千反田さんにメロメロさ」
福部「こらこら、人の恋路に無闇に介入しちゃダメだよ、僕達は暖かく見守ろうじゃないか、ね?摩耶花」
伊原「むー……人の恋路がダメなら……だったら福ちゃん」
福部「なんだい?」
伊原「福ちゃんは私の事好き?///」
福部「え」
伊原「今日こそは聞かせてほしいな、答えて……福ちゃん……///」ジー
福部「で、データベースは結論をを……」
伊原「福ちゃん……///」ジー
福部「あ、あわわ……奉太郎~!千反田さーん!」タタタッ
伊原「あっ!?福ちゃんずるい!」
折木「お前達……一体何処にいたんだよ、別に探してはいないが」
福部「え、あ、あはは!あー…えーっと、ふ、二人でデートしてたのさ!ね?摩耶花」
伊原「え、あ……そ、そう!そうなの!」
千反田「まあ!?お二人がもうそんな関係でしたなんて!」
福部「え、い、いや、ま、まあね…」
千反田「いつの間にそんな関係になられたのですか?私、気になりますっ!」
福部・伊原「え?」
千反田「気になりますっ!」
福部「ま、摩耶花まで裏切るの!?奉太郎~~僕を助けてよ~」
折木「俺も気になるな」
折木「里志、お前ら俺達の後をつけただろ」ボソッ
福部「げ、もしかしてバレてたのかい?」
折木「それに声をかけてくるタイミングが良すぎる、そう考えるのが自然だ」
福部「さすが奉太郎だね、その通りだ、確かに僕と摩耶花は君と千反田さんをつけていたよ」
折木「えらく素直に認めるんだな」
福部「僕はいつでも素直だよ、誰かさんとは違ってね」
折木「……む」
折木「……む」
福部「保留なんて言ってないでさ、楽になりなよ、千反田さんは容姿端麗頭脳明晰才色兼備の言うことなしじゃないか」
福部「奉太郎が省エネ主義なのは昔からだけど、どうしてそこまで意地をはるのか僕にはまるでわからないよ、そんなの疲れないかい?」
折木「疲れる…だが今はまだいいと言っている」
福部「どうしてさ」
折木「……千反田にフラレると…立ち直れる気がしないからなぁ」ボソッ
折木「ほっとけ…お前も自分の問題だろ、自分で片付けてこい」
福部「正論だね、正直に二人の会話を、全部盗み聞きしてた、って白状してくるよ」
折木「それはダメだ」
福部「どうしてさ」
折木「せっかく千反田の意識が逸れたんだ、蒸し返すとまた面倒な事になる…」
福部「でも僕はデータベースだからね、他の決定は出来ないよ?」
折木「はぁ……しょうがない、少し考えるか」
福部「それでこそ奉太郎だよ」ニコ
折木「……やれやれ、お前達といると本当に疲れる……」ハァ
福部「嫌なのかい?」
折木「……まあ…そんなに嫌じゃないけどなぁ」
今はまだ……4人でこうやって騒いでるだけで俺の高校生活は充分薔薇色だからな
end
原作買って出直してきます
支援どうもありがとうございました
Entry ⇒ 2012.07.04 | Category ⇒ 氷菓SS | Comments (0) | Trackbacks (0)
菫「合宿をしようと思うんだが」照「……長野」
照「……長野」
菫「いいと思う?」
照「長野」
照「長野」
亦野「えっと……去年と同じ所でいいじゃないでしょうか?」
照「長野」
菫「渋谷は?」
照「長野」
渋谷「……私もそれでいいと思います」
照「長野」
菫「そうか。やはり去年と同じ」
照「……ナガーノ」
照「ナッガノ」
菫「淡、ちょっときてくれるか?」
淡「はい、なんで……」
照「ナガーノナガーノナガナガナガーノ♪」
淡「……何なんですか?」
菫「ああ、それは気にしないでくれ」
照「……長野」
照「長野に合宿」
菫「合宿先をどうするかという話を」
照「……合宿咲」
菫「……うっうん。合宿先をどうするかという話をしていてだな」
菫「一年の意見も聞いておこうと」
照「長野のどこにする?」
淡「はぁ……私は合宿なんて参加したことがないので分からないんですけど」
照「じゃあ長野」
淡「……長野以外ならどこでも良いかと」
照「……」
菫「そうか。分かった一意見として検討しよう」
照「……長野」
照「……長野にするか。それとも長野か」
菫「例年通りというのもいいのだが、やはりたまには他の所も」
照「……となると、やっぱり長野」
菫「……とりあえず淡の意見を取り入れると長野は消えるな」
照「!?」ブンブン
菫「……さて、どうするか」
照「……い、一年生は合宿に行ったことないし意見を取り入れる必要はない」
菫「長野以外か……」
照「長野以外はだめか……」
照「長野にする? 長野にする? それともナ・ガ・ノ?」
菫「……亦野、他にどこか行きたいところはないか?」
照「な・が・の! な・が・の! な・が・な・が! な・が・の!」
亦野「そ、そうですね。それなら海の近くはどうですか?」
亦野「一日目と最終日のラストを自由時間にして、心をリフレッシュさせるということで」
照「……それなら山の方がいい」
菫「海か……いいかもなぁ」
照「……山はマイナスイオンがある」
亦野「そ、それは……」
照「……やはり長野がいい」
淡「それなら、温泉がある場所はどうですか?」
照「!? ……温泉……咲の裸……可愛い」
菫「温泉か……それならいいかもな」
照「それなら長野が……」
渋谷「……箱根温泉が」
菫「ああ、箱根か。いいかもなー」
照「……長野」
照「なーがーのー! なーがーのー! なーがーのー!」ユサユサ
菫「ああ、うるっさい! いい加減黙ってろお前わ」
照「嫌どす」
菫「合宿先、京都にする」
照「!? ……ごめんなさい。長野にしてください」
菫「うるさい。却下」
照「……なーがーのー!」ユサユサ
淡「合宿先が妹さんの家の近くとは限りませんよ?」
照「大丈夫。長野県内なら、走っていける」
淡「電車とかは使わないんですね……」
菫「さて、どうするかな」
照「……長野」
菫「おい、だれかガムテープ持ってきてくれ」
照「……」
菫「静かになったか」
照「ダッテ、ナガノイイヨネーナガノ」ヒソヒソ
菫(……うっざい)
菫「ここは思い切って」
照「長野?」
菫「箱根温泉行くか」
照「……」
亦野「ほ、本当ですか! やったー!」
渋谷「……温泉卵、食べたい」ズズ
淡「ああ、いいですね。温泉卵!」
菫「おいおい、遊びに行くんじゃないぞ。合宿だからな」
亦野「分かってますよ」
渋谷「……今年はいい合宿になる」
淡「温泉、早く入りたいですね」
照「……今年の合宿先。な、が、のっと」
菫「何勝手に書いてるんだお前は」
照「」ビクッ
菫「部費を使っていくのに、私情で行き先決めるんじゃない」
照「……長野にだって温泉はある」
菫「それはそうだろうが。しかし合宿はみんなで行くんだから、みんなで決めないと」
照「……私の意見も聞いてほしい」
菫「ああ、聞いている。聞いたうえで長野は駄目だと思った」
照「……なんで?」
菫「お前が暴走すると、おもりが大変になるからだ」
照「……」
菫「そんな年じゃなくてもおもりが必要な奴がいるだろうが」
照「……?」
菫「何、さっぱり分からないみたいな表情を作っているんだ。明白だろう」
照「……ああ、龍門渕の」
菫「いや違う違う! 天江衣は確かにそれっぽいが違う。うちの部活で、だ」
照「……淡はもうそんな年じゃない」
菫「お前だよ!」
照「……」
菫「……あーそうか。分かった。それじゃ、箱根でいいな」
照「……そ、そういう意味じゃなくて」
菫「うるさいなぁ、いい加減諦めろ」
照「……あきらめたーらおーわーりー♪」
菫「妹への、きもーちをリセットしてー♪」
照「……ぷっ、歌下手」
菫「……箱根でいいな」
照「……歌うまい。最高。菫ちゃんってば歌手」
照「長野?」
菫「プレゼンテーションしてみろ」
照「……プレイステーション?」
菫「プレゼンテーションだ。長野の良さ」
菫「というより長野を合宿先にするメリットだな、それを説明してみろ」
菫「ちゃんとできれば、検討しないでもない」
照「……分かった」
菫「ちょうど一年から三年まで揃ってるし」
照「菫だけじゃないの?」
菫「合宿先を決めるのに私の独断では決められないだろう」
菫「一軍メンバーは集まってくれ」
三人「はい」
菫「さぁ、どうぞ」
照「……分かった。でもその前に」
菫「その前に?」
照「……トイレ行ってくる」
菫「……行って来い」
四人「」パチパチ
照「まず、長野には咲がいます」
菫「まずそれなのか……」
淡「まぁ予想はしてましたよね……」
照「咲は可愛い。癒される、これがメリット」
菫「お前にとってはな……」
亦野「あの、宮永先輩はそれでいいとして、他の部員は……」
照「……山でも眺めてて」
淡「……てきとうですね」
菫「自分のことしか頭にないな」
淡「まぁ、そうですね」
亦野「今度はまともなプレゼンテーションですね」
渋谷「……白骨温泉は有名」
菫「戦国武将武田信玄の隠し湯もあるというしな」
照「そう、そしてそこに咲を呼べば、合法的に脱がせる」
淡「……妹さんにそれましたね」
菫「まぁそれも予想はしていたけどな」
淡「さっき聞きましたよ」
照「……あとは山がある」
菫「まぁ、長野は内陸だしな」
照「……景色がいい」
淡「そうですね。確かに海もいいですが、山も綺麗です」
照「……そんな綺麗な景色をバックに、気になるあの子を口説き落とせる」
淡「気になるあの子って……女子しかいかないんですけど」
照「? 問題ない私は咲を口説き落とす」
菫「お前はな」
亦野「それ、三回目ですね」
照「あとは、山があるので山登りができると思う」
淡「山登り、ですか?」
照「そう。麻雀は一人ひとりでやるものだからチームワークはあまり関係ないけど」
照「それでも仲間同士のきずなは大切」
菫「なるほど、一緒に山登りをすることで団結力を高めようということだな」
照「そう。それに……」
淡「それに?」
照「咲を連れて行って、山であんなことやこんなことしてみたい」
淡「……」
菫「どうあっても妹さんに結びつけるんだな」
照「……咲、可愛いよ咲」
四人「おおっ」パチパチ
照「ありがとう」
菫「それじゃあ、採決を取ろう。みんな、意見をどうぞ」
淡「却下ですね」
亦野「却下です」
渋谷「……私も却下」
菫「却下以外ないな」
照「!? ……な、なんで」
淡「姉にいやらしい目で見られて、温泉で合法的に脱がされて」
亦野「口説かれて、山の上でいやらしいことさせられる」
渋谷「……さすがに同情する」
照「……」
菫「喜ぶのはお前だけだ。さて、合宿先は箱根と決まったところで、今日の部活は解散するか」
淡「じゃあ、みんなに片付けるよう言ってきますね」
亦野「私も、片付け行ってきます」
渋谷「……お茶、切れた」
照「……長野」
菫「それでは、私は顧問の先生に合宿の許可と必要な書類を貰ってくるか」
照「……」
菫「照……」
照「何? 今プレステやってて忙しい」ピコピコ
菫「お前、昨日私より先に先生の所へ行って勝手に合宿の許可貰ったな……」
照「……なんのことだかさっぱり」
菫「……合宿先が長野になっている。これはどういうことだ?」
照「……菫ちゃんったらドジっ子可愛い」
菫「私は書類に一文字も書いていない!」
菫「うるさい! お前以上のオカルトがあるか!」
菫「どうするんだ! もう教頭と校長からの許可もおりてるから今更変更なんてできないんだぞ!」
照「……それは朗報」ウキウキ
菫「喜ぶな! 全く、部活を何だと思って……」
照「まぁまぁ、合宿なんだから。行き先がどこでも練習さえできればいい」
菫「それはそうだけどな……」
照「長野だっていいところ」
菫「……はぁ、仕方ない。長野行くしかないか」
菫「全く、もう二度とこんなことはするなよ」
照「イエスマム」
菫「本当に分かっているのか……全く、日程練り直さなきゃいけないじゃないか……」
照「」ウキウキ
前略
マイラブリーエンジェル咲たんへ
今度長野に行きます。
そしたら一緒に温泉入りましょう。一緒に背中流しっこしましょう。
あと胸なでっこもさせてください。頬ずりは許可がなくてもするのでそのつもりで。
それではまた、愛しています
敬具
あなたの恋人宮永照より』
照「よし、できた」
咲父「ん、手紙? これは……照からか……」
咲父「本当は咲に悪影響がでそうだから、あまり関わりは持たせたくないんだが」
咲父「まぁ姉妹なんだし、手紙くらいはいいか」
咲父「咲ー、お姉ちゃんから手紙が来てるぞー……って、今は部活の合宿でいないじゃないか」
咲父「……しょうがない、机の上にでも置いておこう」
咲父「うお、咲の部屋暑いな……窓を開けて換気しておくか……」
咲父「さて、昼飯食べるか」
手紙「」カゼヒュー
手紙「」インゴミバコ
照「咲……今行く」サキチャンニンギョウ
終わり
さあ続きを
第二部はよ
菫「これから日程を練って行こうと思う」
菫「一つ注意してほしいのは、私たちは合宿に行くのであって遊びに行くんじゃない」
菫「そこは十分注意してほしい」
亦野&渋谷&淡「はい」
菫「よし……それじゃあ、それ入れた上でみんなが楽しめる合宿にしよう」
菫「それじゃあ意見のある者はどんどん言ってくれ」
照「……じゃあまず咲ちゃんとのらぶらぶタイムを二十七時間ほど」
菫「却下。他」
照「……」
渋谷「……温泉にも沢山入りたい」ズズ
淡「そうですね。お土産とかも買ってきたいですし」
菫「そうだな。折角遠出するんだし、多少自由時間を増やしてもいいかもしれないな」
菫「しかし、練習時間は余り削りたくないし……」
照「咲ちゃん時間も必要……」
菫「淡、ガムテープ」
淡「どうぞ」
菫「ありがとう。ほれ」ビリペタ
照「んー。んー!」
菫「誰か、手も縛っとけ」
亦野「はい。先輩、失礼します」ビリペタ
照「……んー」アシバタバタ
菫「さて、続きだが……」
淡「そうですね。これでいいと思います」
亦野「入浴時間が余り取れませんでしたけど、三等分するとこんなものでしょうか」
渋谷「……うちは部員が多いから、グループ分けしなくちゃいけない」
照「……んー」
菫「照、何か意見か?」
照「」コクコク
菫「しょうがない。淡、ガムテープ取ってやれ」
淡「はい……失礼しますよ。ゆっくりはがしますねー」ペリペリ
照「……ぷはっ。あ、あの」
菫「なんだ?」
照「入浴時間の分け方。Aグループ、Bグループと照って……」
菫「何か問題が?」
菫「仕方がないだろう。お前と同じ風呂に入りたくないって人間しかうちにはいないんだ」
照「……いじめ?」
菫「逆だ。いじめられるって」
照「……」
菫「貞操の危機を感じると、みんなが言っている」
照「……ひどすぎる」
淡「ひどいのは先輩の行いですよ」
照「? 普通にお風呂に入っただけ」
菫「まぁ、風呂は普通に入っていたな。風呂は」
菫「でもお前、人のパンツ盗んでるだろうが!」
亦野「私のお気に入りのパンツ、気が付いたら無くなってましたからね」
渋谷「……私のも無くなっていた」
淡「あー知ってます知ってます。二年の先輩が、宮永先輩の部屋で大量の女性下着を見つけたって」
淡「それで去年問題になったんですよね」
照「……濡れ衣」
亦野「あー、酷かったですね菫先輩のは」
渋谷「……みるも無残な姿になっていた」
淡「……何をしたんでしょうね、一体」
照「ちょっと興奮して、口に入れちゃっただけ」
菫「うるさい! 私のお気に入りを台無しにして!」
菫「二度とお前を人と同じ風呂に入れるものか!」
菫「もう二度とあんなことできないと思え!」
照「……ふっ。私を舐めてもらっちゃ困る」
照「目的を果たすためなら、私はどんな困難でも乗り越えて見せる!」
菫「……いや、言ってることはかっこいいけどな」
淡「全く、反省してませんねー」
亦野「これはまたやりますよ」
渋谷「……安心して入れない」
菫「……信用できんな」
淡「何で、って聞いてもいいですか?」
照「去年はお風呂に入っているとき、小さいころ温泉旅行に行ってみた咲の裸を思い出して」
照「興奮が抑え切れずにやった。しかし、今回行先は長野。咲は手の届くところにいる」
淡「つまり……」
菫「興奮が抑えきれなくなったら、直接妹さんを襲うから私たちの下着は大丈夫と言いたいのか」
照「……そう」
照「分かってくれた?」
菫「今回の合宿、お前は置いていこう」
照「!?」
菫「最初からこうすればよかったんだ、これですべてが解決する」
淡「そうですね。そういえばそうです」
亦野「ああ、名案ですね」
渋谷「……なぜ今まで思いつかなかったのか」
照「……
菫「そうだな。お前はエースだ」
照「……そ、それなら」
菫「だが、お前は圧倒的なエースだけに、合宿なんかいかなくてもその地位は不動だろう」
淡「まぁ、合宿と言ってもたかが二、三日程度で宮永先輩に追い付くのはさすがに無理ですよね」
照「……」
菫「今回は大会に向けた合宿だ。これ以上、強くなる必要がない者は置いていってもかまわないだろう」
照「でも、もし私より強いダークホースがいたら……?」
菫「その時はその時だ。合宿で鍛えた私たちがカバーしてやろう」
菫「それに、そうならないよう。お前には合宿中ネット麻雀で腕を鍛えてもらえばいい」
照「……」
菫「私は置いていきたい」
淡「私もです」
亦野「私も」
渋谷「……右に同じ」
照「……」
菫「それはそうだろうな。今回行先は長野だし」
菫「お前なら這ってでも妹さんの所に行こうとするだろう。だから私たちの下着は大丈夫だ」
照「そ、それなら……」
菫「しかし、お前を妹さん一人に押し付けるのは妹さんが可哀そうすぎる」
菫「私としても、大会はフェアに行きたい。照のせいで妹さんが廃人化して大会に出れないのは」
菫「あんまりだろう」
照「……」
菫「お前、この前妹さんの写真を抱き枕にするって言って十枚くらい頼んでいたよな?」
菫「長野まで行く金があるのか?」
照「……残金、105円」
淡「良かったですね先輩。百円ショップでお買い物できますよ」
渋谷「……ちゃんと消費税込」
照「……嬉しくない」
菫「どれだけ距離があると思っているんだ……」
照「問題ない。愛さえあればどこにでも行ける」
淡「愛がなくても、道に迷えばどこにでも行けそうですけどね先輩」
菫「止めておけ、道に迷って択捉島あたりで見つかるのがオチだ」
淡「あー、それは勘弁してほしいですね。大会に間に合わなくなりそうです」
照「……そんなことない。私には咲ちゃんセンサーが付いてる」
照「……もう咲に会えればどうでもいい」
淡「会うだけですか?」
照「……ついでに処女もらってくる」
淡「そんなもののついでで処女貰わないで上げてくださいよ……」
照「じゃあ処女もらうために行く」
菫「そうか、やはり置いていくしかないな」
照「……ちょっと待ってほしい」
照「……菫」
菫「?」
照「バッグを一つ貸してほしい」
菫「……お前はエスパー伊東にでもなりたいのか?」
照「……べ、別にその中に入って行こうとは思っていない」アセアセ
菫「じゃあ何なんだ……」
照「べ、別にー」ヒューヒューヒュー
淡(あ、本当に入ろうとしてたんだ)
亦野(口笛、吹けてないなぁ)
菫「普通それが真っ先に出てくると思うんだがな……」
淡「お金の前にバッグに入るという発想が出てくるとは……」
亦野「変人なのか、変態なのか……」
菫「まぁ貸さないんだけどな」
照「……」
菫「他に何かあるか?」
照「……ちょっと顔の型を取らせてほしい」
淡「今度は特殊メイクですか……」
照「……ち、違う」ヒューヒュー
菫「……お前はもう少し考えて発言しろ」
菫「あー分かった分かった。さすがに連れて行かないっていうのは冗談だから」
菫「これ以上余計な知恵を絞ろうとするな」
照「……え? 本当?」
菫「まぁ、お前も部員だからな。部活として合宿に行くのに、ハブるわけにはいかないんだよ」
淡「それは、そうでしょうね……」
淡「宮永先輩に非があるとはいえ、そんな苛めとも取られる行為を公然と行うわけにはいきませんよね」
菫「ああ、不本意ながらな」
照「……や、やったー!」パアア
菫「ただし」
照「?」
菫「合宿中は練習と入浴時間以外お前をロープとガムテープで縛りつけておく」
菫「お前に自由時間はないと思え」
照「……ひどい」ショボーン
照「?」
菫「お前、私の荷物になりたいんだってな」
照「……」
菫「本当は合宿先に着いてから、縛りつけようと思ったが止めた」
菫「集合場所に着いたら、即縛って私の荷物と思い扱うことにする」
照「……」
菫「そういうわけだから、覚悟しておけ」
菫「何大丈夫だ。ばれない範囲なら問題ない」
淡「うちは部員多いですし、全員でひた隠せば一人くらい荷物扱いしても分かりませんよ」
照「……ひどいいじめをみた」
菫「今まではこっちがいじめられてきたからな。お返しだ」
照「……」
菫「これでもう決めることは無いな。よし解散」
淡「お疲れさまでしたー」
亦野「お疲れ」
渋谷「……お疲れ様。……お茶お茶」
照「……私も帰って準備する」
照「……これとこれ、あとは縄抜け用にこれ」
照「……それに咲の家に行くにはやっぱりお金が必要……仕方がない」
照「」プルルプルル
和『はい……どちらさまでしょう?』
照「……ロリ咲の写真を売りたい」
和『話を聞きましょう。取引場所はどちらに?』
照「場所はこちらで指定する。長野県内だけど、あなたの家からは結構遠くなるかもしれない」
和『問題ありません。とりあえず、十万円ほど用意していきます』
照「……交渉成立。では場所について後日もう一度電話を掛ける」
和『それでは、楽しみにしています』ピ
照「……これで万事解決」
照「……合宿が楽しみ。待ってて咲」ルンルン
終わり
乙乙
そして続き
照「私はこんなに綺麗な世界に生まれてきて幸せだと思っている」
照「可愛い咲、大きな山、深い海、可愛い咲、すみわたる空気、流れる川、そして可愛い咲」
照「そのどれをとっても、この世界の美しさを心から感じることができる。そんな世界が私は好き」
照「その世界をこの両手で抱いてみたいの。そのすべてを全身で感じてみたいの」
照「だから、ね。この縄をほどいて菫」
菫「ツモ。6000オール」
淡「あー、またですか先輩……調子いいですね」
菫「まぁね」
照「……」
菫「ん? 何か聞こえたか?」
淡「気のせいですよ。マグネット麻雀でほら続きやりましょう」
淡「列車の中でも麻雀できるって、いいですねー」
菫「そうだな。まぁ小さいし、マグネットだから混ぜるのが少し面倒だったりするけどな」
淡「まぁそれはしょうがありませんよ。そこまで贅沢言えません」
菫「それもそうだ。さて、次行くか」
淡「今度は負けませんよー」
照「……」
菫「ん? 今、何か荷物が喋ったか?」
淡「そんなオカルトありえません」
菫「だよな」
照「……」
淡「あ、きました! ツモです」
菫「あー、今度はやられたか」
淡「ふっふっふっ、私も負けてばかりではありませんよ」
照「……もういい。自分で抜ける」
菫「亦野、渋谷! この荷物抑えろ!」
亦野&渋谷「ラジャ!」ガッシリ
照「……」
淡「諦めが悪いですねー」
照「……あきらめたーらおーわーりー♪」
菫「もう一回縛っとけ、あと口もな」
照「……縛っちゃイヤん」
菫「がっちり縛っとけ」
照「……」
渋谷「……まぁ自業自得です」ズズ
照「……どうせ縛るなら、やってほしい事がある」
亦野「はい?」
照「そこの縄を、こっちに持ってきてこう縛って」
亦野「はぁ……こうですか?」
照「それで、これをこう。そこをこうして。そう、そんな感じ」
亦野「……何か、えっちな縛り方になってきましたね」
渋谷「……これ、亀甲縛り。米俵なんかを結ぶ時の縛り方」
照「……よく知ってる」
亦野「まぁ動けなければ別にいいですけど。それじゃ、最後に手首も結びますねー」
渋谷「……腕も巻き込んでがっちり結んでおいたから、絶対に抜けられない」ズズ
照「……」
淡「はい、やりましょう」
照「……あの」
淡「はい?」
照「私、寝るからそこにある膝かけ取ってほしい」
淡「ああ、はいはい。大人しく寝ててくださいねー」
照「ありがとう……」
菫「じゃあ、続けるか」
淡「はい」
照「」モゾモゾ
菫&淡「?」
照「照、照、照、テテッル♪」
菫「……なんのBGMだ?」
淡「あれですよ。あのハンドパワーで有名な」
菫「……ああ」
照「」モゾモゾ
菫「?」
照「テテー!」パンツカブリ
菫「!?」
淡「な、なぜパンツをかぶって……」
照「……パンツパワーです」
照「パンツパワーで抜けた」
淡「……亦野先輩、渋谷先輩急いで!」
亦野「へ、へ? 何が……」
淡「宮永先輩が縄抜けしました!」
渋谷「ぶーっ!」オチャフイタ
渋谷「ううっ……お茶、変なとこ入った」ケホケホ
菫「だからあれほど列車の中ではお茶を飲むなと……」
淡「先輩、そんなの気にしている場合じゃありません!」
菫「え?」
照「ちょっとそこまでー」ピュー
菫「あ、おい照! しまった。追うぞ!」
淡「はい!」
渋谷「お、お茶……」
亦野「本当に、大丈夫?」
渋谷「お茶、もう一杯……」
亦野「あ、まだ飲むんだね……」
淡「見失いましたね……」
菫「くそっ……どこに行った!」
照「……隙あり」
淡「う、うわ!」
菫「なっ! 隠れていたのか照!」
淡「た、助けて先輩……!」
菫「淡、待ってろ!」
照「……」ギュー
菫「くそっ、離れな……!」
照「」クンカクンカ
照「……!?」
照「こ、これ、シャンプーの匂い……咲と違う」
淡「へ? あ、はい。宮永先輩があまりにも抱きついてくるのでやめたんですよ」
照「……違う!」ダッ!
淡「あ、宮永先輩……」
菫「あ、また逃げた。追うぞ淡! ここら辺の車両はうちが貸し切っているからいいが」
菫「一般車両に逃がしたら大変なことになる!」
菫「……? どうした淡」
淡「いえ、シャンプー変えただけで抱きつかれなくなるのはさすがにショックかな、と」
淡「私の魅力はシャンプーだけなのか……と」
菫「……まぁ私も一年の時はお前みたいな感じだったから、その気持ちもわからんではないが」
菫「しかし、今は悩むよりもあいつを追うことが先だ。そのあとでいくらでも相談乗ってやる!」
淡「はい、そうですね!」
淡「一体どこに……」
きゃー!
菫「!? う、後ろからだと悲鳴!?」
淡「と、とにかく行ってみましょう!」
二軍A「て、照先輩が、いきなりここにあるいてきて……」
二軍A「それで、挨拶したら、いきなりクールな顔のまま胸をわしづかみされて……」
二軍A「私、何が何だかさっぱりで、叫んでしまって……」
淡「落ち着いてください。とりあえず深呼吸して」
淡「宮永先輩はどこへ行きましたか?」
二軍A「あ、あっちへ」
菫「私たちがきた方向……」
淡「で、でも途中先輩なんてみませんでしたよ?」
菫「通路は一本道、一体何が……」
きゃー
菫「ま、また悲鳴……!」
淡「な、なるほど。座席に座って私たちをやりすごしている可能性がありますね」
菫「ああ、速度は落ちるが。確実だ」
淡「では私は右を」
菫「ああ、私は左を見ながら行く」
淡「全然先輩が見当たりませんね」
淡「これはどういうことでしょう?」
菫「まさか、今度は一般車両にいったか……?」
淡「ま、まさか……あ、あの人。もしかしてさっきの悲鳴の人じゃないですか?」
菫「ああ、そうだな。とりあえず話を聞いてみよう」
菫「一体何があった?」
二軍B「つ、通路を、宮永先輩が歩いていたので、挨拶したら」
二軍B「い、いきなり無言でキスされて……わ、私気が動転してしまって……」
淡「それはまぁ、動転しますよね……」
菫「照はどこへいった?」
二軍B「あ、あっちへ……」
淡「また、私たちが来た方向……一体何が……」
菫「シリアスなところ申し訳ないが、一度突っ込ませてくれ」
菫「あいつは本当に麻雀部か!」
淡「かなり濃厚なキスされたらしいですね」
菫「周りも見てたら止めればいいものを……」
淡「まぁ宮永先輩が相手ですし……」
きゃー
淡「ま、また悲鳴! しかもまた三号車方面!」
菫「しかたない、三号車に……待てよ、三号車?」
淡「ど、どうしたんですか菫先輩、早く行きましょう」
菫「……ちょっと待て、私たちは二号車と三号車を行き来しているな」
淡「はい、そうですよ。全くもう疲れましたよ」
菫「……二号車と三号車の間には、何がある?」
淡「何がって……あ、トイレがあります」
菫「そこだ」
菫「うるさい。早くこっち来い。全く、トイレ何かに潜んでいやがって」
淡「宮永先輩は事あるごとにトイレにこもりたがるんですね」
照「私は何もしていない」
菫「黙ってろお前はもう」
淡「本当、勘弁してくださいよ先輩。変な知恵使って、人にセクハラしないでくださいよ」
照「長野行急行セクハラ事件」
菫「黙れ。世界で評価される推理小説の題を、そんな昔やってたエロドラマみたいな題に改題するな」
淡「ああ、オリエント急行ですか。一瞬分かりませんでしたよ……」
照「……」
亦野「あ、お疲れ様です」
渋谷「……お疲れ様です」ズズ
淡「またお茶飲んでるんですね……」
照「私は何もしていない」
淡「……本当ですか」
照「本当……胸もんでキスしてべろちゅーしただけ」
淡「やってるじゃないですか!」
菫「そいつは放っておけ。あ、ちゃんと縛りつけておけよ」
亦野「はい」
照「……」
菫「うーっと、やっとついたな」
淡「ええ、なんとか着きましたね……」
渋谷「……本当。なんとか着いた」
菫「照のおかげで大変な目にあったな」
淡「ええ、そうですね」
亦野「ところで」
菫「なんだ?」
亦野「その、宮永先輩はどちらへ……?」
菫「……あいつ!」
淡「あ、あそこ。こんなものが……」
置き手紙『私は少し用事があるので先に合宿所に行っていてほしい。
私もすぐに追いつく。
宮永照』
淡「まるで怪盗のような置き手紙ですね……」
菫「あいつは本当に何者なんだよ……」
和「お待たせしました。お姉さん」
照「……その呼び方。次使ったら殺る」
和「怖いですね。まぁそれはそれとして、ちゃんと例の物は持ってきましたか?」
照「ここに……全部で二十五枚」
和「……か、カワイ! ……いえ、すみません取りみだしました」
照「……確かに」
和「しかし、もう少し値段下げて貰いたいですね……」
照「次からは検討する。それじゃ、また」
和「はい……ところであなたはどうして長野に?」
照「……言う必要はない」
和「そうですか」
和(では私たちの合宿のことも言う必要はありませんね)
和「それではまた」
終わり
乙どす
入れ違いか
菫「ただいまってお前……今何時だと思って……」
淡「もうAグループの入浴時間ですよ」
照「……そう。それは良かった」
菫「おい」ガシ
照「何?」
菫「何スムーズな流れで、風呂場に行こうとしているんだ」
照「……アーソウダッタカ。コッチフロバダッタノカシラナカッター」
淡「驚くほど白々しいですね……」
照「……引っ張らないで」
菫「うるさい。全く、私は本当はAだったのに、お前がどこか行ったせいでBになったじゃないか」
照「……私の帰りを待っていてくれたの?」
菫「違う。犯罪者が現場に来るのを待っていた」
照「……ひどい」
~数分後~
菫「そろそろ、Aの入浴終わりか……」
淡「そうですね。次は私たちです」
照「じゃあ、私も。菫私の荷物どこ?」
菫「お前はここに待機だ。今亦野と渋谷が戻ってくるから、見張り番してもらう」
照「警備、厳重すぎだぜとっつぁん……」
菫「誰がとっつぁんだ。そしてお前は本当に何者なんだよ」
照「さぁ、何者でしょう?」
淡「いやに思わせぶりですね……あ、亦野先輩渋谷先輩よろしくおねがいします」
亦野「オッケイ。ゆっくり入ってくるといいよ」
渋谷「……入浴後のお茶は最高」ズズ
菫「淡、練習の時のあれだけどな。やっぱり私はイーピンよりも……おい、聞いてるか?」
淡「あ、はい。イーピンですよね。聞いてます」
菫「どうした? シャンプーなんか見て。もしかして、照に抱きつかれた時のこと気にしてるのか?」
淡「あ、いえ……はい」
淡「私、別に宮永先輩のこと好きとかそういうのはないんですけど」
淡「でもやっぱり、シャンプーの銘柄だけであんなに抱きつかれてたと思うと」
淡「少しショックです」
菫「そうか……」
淡「あ、そういえば列車の中でもそんなこと言ってましたね」
菫「ああ。一年の時は、照に対して私も耐性が付いていなかったし」
菫「その上照耐性のついている先輩はいなくて、それだけに大変な思いをした」
淡「ああ……それはよく貞操奪われませんでしたね」
菫「何回も押し倒されたからな、それは私も奇跡だと思っている」
菫「私たちを妹さんに見立てているせいか、抱きつき方が見た目ほど乱暴ではないんだ」
淡「ああ、それはわかります。いつも無理やりやられますけど」
淡「中々離れない割に、結構優しい感じですね」
菫「だろう?」
淡「ええ。何だか、お母さんが子供を抱いているというか。この場合は姉が妹を抱きしめている感じでしょうか?」
菫「いや、あいつの場合自分のお嫁さんを抱きしめてる感覚なんだろう」
淡「ああ、なるほど……」
菫「まぁそういうわけで、急に離れられるとハードランディングというかその逆というか」
菫「こっちが寂しくなってしまうんだ」
淡「なるほど……菫先輩の場合はどうやって離れたんですか?」
菫「ああ、私の場合亦野と渋谷をうまく使ってな」
淡「それで先輩方は一年の時に大変な苦労を……」
菫「まぁ、亦野と渋谷は二人で世話しているわけだし、そんなに依存性もなくて」
菫「急に離れられてもむしろせいせいするって感じみたいだったけどな」
淡「それは……良かったんですかね? 先輩と離れてせいせいするって」
菫「さぁな。まぁまだ完全に離れたわけじゃないしな」
淡「餌、ですか……」
菫「だから、まぁ来年までは抱きつきさせておいていいんじゃないか?」
菫「来年になれば、私たちは卒業していなくなるわけだし、嫌でも離れることになるだろう」
淡「あ……そうなんですね」
菫「ああ。だから今は好きなだけ抱きつきさせてやってもいいじゃないか」
菫「細かい事は大会やら何やらが全部終わってからでいい」
淡「はい。分かりました。じゃあ、シャンプーは元に戻しておきます」
菫「そうしておけ。それにあいつも別にシャンプーだけでお前に抱きついていたわけじゃないだろうしな」
菫「急にシャンプーの匂いが変わって驚いただけだろう。そんなに落ち込むなよ」
淡「お、落ち込んではいませんよ。ちょっと寂しくなっただけです」
菫「はは、そうかそうか。じゃあ、私たちも風呂入ってから出るか」
淡「はい! あ、先輩向こうに露天風呂ありますよ! 行きましょう」
菫「……」
淡「ど、どうしました。先輩?」
菫「私の……下着……」バッダッ!
淡「あ、あ、先輩! 浴衣一枚でどこに……」
菫「てぇぇぇぇるぅぅぅぅぅ!」
照「!? ……」アセアセ
菫「……今。制服のポケットに隠したもの。だせ」
照「な、何もない……」
菫「出せ」ギロッ
照「な、何も……あ、勝手にポケットに手入れちゃいや」
菫「……私のパンツ。どういうことだ?」
照「……オウ! イッツァマジック!」
菫「……殴るぞ?」
照「……ごめんなさい」
照「渋谷がお茶の飲みすぎでお腹壊したって言って、出ていった」
菫「あいつ……だから茶を飲みすぎるなと」
照「それじゃあ、私はお風呂に……」
菫「その前に、正座」
照「え? でも私の入浴時間」
菫「……正座」ニコ
照「……はい」
照「はい、すみません」
菫「人のパンツ盗んだり、ブラ盗んだり、お前は将来下着ドロにでもなるつもりか」
照「いいえ、咲の心を盗む回答に」
菫「だまれ?」
照「……はい」
菫「お前な、手癖の悪さ利用して大会とかでインチキとかして失格になるなよ? 本当頼むぞ?」
照「……はい。……?」
菫「いつも言っているがお前は……? どうした?」
菫「……まぁ誰かさんが下着盗んだせいで……!?」
照「菫ー、キス! キスしよう!」
菫「だ、抱きついてくるなバカ! 正座しろ!」
照「もう限界! 長野きたのに咲に会えないし、とりあえず菫でヤる!」
菫「とりあえずってなんだ! そんなのでいちいち相手にしてられるか!」
照「……自分から誘っておいてそれはない」
菫「誘っていない! お前のせいだ!」
菫「おま、ふざけるな……」
淡「せんぱーい、待ってくださいよー……」
ギャーギャー
淡「せんぱ……」
菫「た、たすけて淡……」
淡「……すみません間違いました」ダッ!
菫「淡! ちょっと待って淡! 淡いいいいいい!」
淡「……やっぱりシャンプー戻すの止めようかな」
終わり
とりあえず乙
付き合ってくれる方はお願いします。
菫「さて、夕食も終わり、温泉も終わり。後は寝るだけだが」
淡「部屋割は……私は202号室ですね」
照「私は……301」
照「一部屋だけ階が違う……」
菫「ああ、お前は危ないからな」
淡「いないじゃないですか?」
照「……それはひどい」
菫「いや、照は私と同じ部屋だ」
淡「え? 大丈夫ですか先輩、さっきもあんなことになっていたのに」
照「もしかして、誘ってる?」
菫「違う。お前を一人にすると色々危ないから、誰か見張り役が必要なだけだ」
菫「おかげで私はまともに寝れそうにないけどな……」
照「……そう、寝かせてあげない」
菫「まぁ、ボディチェック入れてからロープで縛りつければ、それも大丈夫か」
照「……」
淡「はい。脱走しないようよろしくお願いします」
菫「ああ、全力は尽くすよ」
照「……そんなに腕をひねらないでほしい」
菫「ちゃっちゃとあるけーい」
照「……いえすまむ」
照「ん、あ、だめ、菫……そんなこと///」
菫「うるさい。変な声を出すな。私は何もやっていないだろうが」
照「……切ない」
菫「そーですね。ほらいいから寝ろ。私は明日の予定確認してから寝るから」
照「……分かった」
菫「……」
菫「なんだ?」
照「こうして同じ部屋になるの、久しぶり」
菫「久しぶりって、去年も一昨年もそうだったろう」
照「そうだけど……なんだか久しぶり」
菫「まぁ、合宿なんて一年にそうないからな」
菫「……お前、私を油断させて脱走しようとしてないか?」
照「……そんなことはない」
照「……もう三回目だけど、久しぶり」
菫「私たちも、もう三年生だからな」
菫「……お前は大学のこととかは決めているのか?」
照「まだ、詳しい事は大会終わった後に決めようと思ってる」
菫「そうか……まぁ私もとりあえずは大会だな」
照「私たち、最後の大会……」
菫「ああ、そうだ。絶対やろうな、三連覇」
照「うん……」
菫「そうか、おやすみ」
照「おやすみ……菫」
菫「ん?」
照「それ、そのマスク取って」
菫「マスク?」
照「うん、最近寝た後のどの調子が悪いから、それして寝てるの」
菫「そうか。はい、それじゃおやすみ」
照「うん、おやすみ……菫」シュー
菫「……な、何を」
照「おやすみなさい」
菫「……急に、眠く」ガクッ
照「……これでよし」
照「……菫。一緒に三年間頑張ってきた。だから優勝はする」
照「でもその前に……妹を抱く!」
照「そういうわけだから、おやすみ菫」チュ
菫「……」スースー
照「……ぶちゅー」チュー
菫「うっうーん」
照「はっ! しまった」シュー
菫「うっ……」スースー
照「……危なかった。欲望に押しつぶされるところだった」
照「それじゃ、置き手紙を残して……と。じゃ、また」ダッ!
菫「……て、る。三連覇だ。やったな……」スースー
淡「せんぱーい、起きてください朝ですよー」ドンドン
淡「せんパーい。入りますよー……」
菫「う、うーん。なんだ朝か……。頭がぼーっとして……」
菫「照、起きろ朝だ……」
菫「」
菫「~~~~~~~~~!」←声にならない声
菫「て、照はどこだ! 照! 照! 出てこい照!」
淡「お、落ち着いてください先輩! そこに置き手紙が!」
菫「な、何! またか!」
宮永照』
菫「あいつ、あいつは……本当に……」
淡「どうしましょう、先輩」
菫「……恐らく妹さんのところだろうが、私たちは妹さんの家を知らないからどうにもならない」
菫「……仕方ないだろう。放っておくしか」
淡「帰って、きますかね?」
菫「……今すぐ二軍で照の代わりになりそうな人間を探してくれ」
淡「そんな人いませんよ」
菫「だよなぁ……仕方ない。とりあえずは通常通り練習だ」
菫「帰ってこなかったら、その時考える」
淡「それしか、ないですね」
菫「ああ……」
照「」ピコンピコンピコン
照「」ピコピコピコピーン
照「!? つ、強い反応が二つある……」
照「ま、まさか……咲が分裂した!?」
照「な、なんてこと……そんな……あんな可愛い咲が分裂するなんて……」
照「咲の処女を二回奪えるなんて、すばらっ!」
照「……うーんこれは、咲が外出した?」
照「一つは咲の普段生活している部屋から、一つは咲本人」
照「それぞれから強烈な咲エネルギーが放出されている……」
照「これは……どっちに行こう」
照「しかし、咲本人を襲うのも捨てがたい」
照「……どうしようか」
照「部屋はそのあとでもかまわないはず!」
照「よし、咲の方へ行こう!」
照「」ピコンピコン
照「こっちか……」
照「でもここに咲が……旅館? いやこれは合宿所」
照「咲も合宿に来てる……?」
照「……ここの合宿所、露天風呂あるかな」ヌキアシサシアシ
照「!? 隣にいるのは……あの淫乱ピンク」
照「あいつ……いつか殺る!」
照「でも今は、久しぶりに咲の裸を見たい……」コソコソ
照「……あ、湯気が消え。うわっまぶしっ! 何この謎の光」
照「ううっ、咲の裸……全然見れない」
照「……もう少し、近づいてみよう」ヌキアシサシアシ
咲「……でね、そこでお姉ちゃんがね……」
和「そうだったんですか、それは大変でしたねー」
照「……?」
和「そうなんですか。じゃあ、咲さんはお姉さんのこと嫌いなんですか?」ニコニコ
照(……あの女、絶対殺す)
咲「う、ううん。そんなことないよ……」
咲「確かにあんまり心開いてくれないし、無言で抱きついてくるし、お年玉取られたりするし」
咲「大変なお姉ちゃんだけど、でも優しいところもあるから」
咲「私が危ない時にはちゃんと、一緒に考えてくれたり助けてくれたりするから」
咲「だから、お姉ちゃんのことは好き」
照(……咲)
和「そうなんですか……それじゃあ、お姉さんに会うまで負けられませんね」
咲「うん……だから頑張る」
和「はい。私も微力ながらお手伝いします」
咲「ありがとう」
照「……」ササッ
照(……今は、まだ会わない。大会で会おう。咲)
照「……」
照「」ササッ
照「」パシャ
照(写真撮るの忘れてた……それじゃ咲。今度は大会で……)
照「」ササッ
和「どうしました……咲さん?」
咲「今お姉ちゃんが……ううん何でもない」
和「?」
照「ううっ……足痺れてきた……」
菫「……お前は一体何をしに合宿に来たんだ。いい加減にしろよ? もう一日しかないんだぞ?」
淡「本当に、勘弁してくださいよ。警察に届け出さなきゃいけない所でした」
照「……すみません」
菫「全くもう。お前は心配かけるなよ」
照「……はい」
菫「……妹に、会えたのか?」
照「……会えてはいない。裸体は見てきた」
淡「何やってきたんですか、一体……」
照「うっ……足がしびれてるけど頑張る」
淡「こういう場所で先輩が頑張るの珍しいですね……何かやるんですか?」
照「……淡、そこは何かあったんですか? と聞くところ」
淡「先輩の場合は何かしようとしてるとしか思えませんよ」
淡「まぁいいですけど、私の肩使いますか?」
照「うん、ありがとう……麻雀頑張る」
菫「ああ、頑張ってくれよ。三連覇がかかってるしな」
照「それも、もちろんあるけど……妹の為に」
淡「妹さんの?」
照「うん、トーナメント勝ち進んで、妹に会って、そして……」
照「処女を貰う為! 頑張る!」
菫「……いや、もうなんでもいい。頑張ってくれ」
終わり
見てくれた人、ありがとうございました。
おやすみなさい
乙乙
乙どす
Entry ⇒ 2012.07.04 | Category ⇒ 咲-Saki-SS | Comments (1) | Trackbacks (0)
P「小鳥さんを監禁してみた、んだけど……」
小鳥「(あれ……?私……)」
小鳥「(たしか、事務所でプロデューサーさんと一緒に……)」
小鳥「(雪歩ちゃんが淹れてくれたお茶を一緒に飲んでて……)」
小鳥「うっ……二日酔い……?」クラッ
小鳥「とりあえずここは、事務所じゃないみたいね……」
小鳥「あ、あれ……両手が後ろに……」
小鳥「(!……ま、まさか、これは……この展開はっ……!)」
ガチャッ
P「おはようございます、小鳥さん」ニヤニヤ
小鳥「(き、キタァァァァァァァッ!!)」
小鳥「(監ッ禁ッ!プロデューサーさんに、監ッ禁ッッ!!)」
P「はい」
小鳥「な、何なんですか?……ここ、どこなんですか……?」プルプル
小鳥「どうして私、両手をイスに縛りつけられてるんですか……?」ガタガタ
P「落ち着いてください、大丈夫ですから。手錠で繋いでるだけです」
小鳥「て、手錠で?……プロデューサーさん、まさかこれ、プロデューサーさんが……!?」ガタガタ
P「はい」
小鳥「(……我が世の春が来たァァァァァァァァッッ!!)」
P「はい。雪歩にはちょっと手伝ってもらいました」
小鳥「私の服を脱がせて、足に鎖も付けたんですね?」
P「いや、そこまではしてませんから安心してくだs」
小鳥「何でっ!?」
P「えっ」
小鳥「普通は着せませんよね?」
P「はい?」
小鳥「ほら、私逃げ出しちゃうかもしれないでしょうっ!?」
P「は、はぁ……」
P「えっと、それh」
小鳥「まさか私を、飼うつもりなんですか!?」
P「ちょっといたずr」
小鳥「そうなんですねっ!?」
P「……はい」
小鳥「これでもう小鳥さんは籠の中の小鳥だなぁグへへ、なんてウマい事考えてたんでしょう?」
P「いや、まったk」
小鳥「考えてたんですよねっ!?」
P「……はい」
P「いいえ、それはないです」
小鳥「わ、私は負けませんから。絶対おちんぽなんかに……え?」
P「いかがわしい行為などは一切しませんので安心してください」
小鳥「え、一体なにを言って……?」
P「社長の命令で小鳥さんを調教するように言わせました」
小鳥「ちょ、調教!?やっぱり私にえっちなことを……!?」ガタガタ
P「今日から1ヶ月間、小鳥さんにはネット閲覧やオタクグッズを禁止しこの部屋で書類仕事をしていただきます」
小鳥「ぴ、ぴよおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!???」
P「そ、そうですね」
小鳥「今頃私がいなくなって、社長やみんなが心配してるかもしれないっ……」
P「あ、それはないです」
小鳥「はっ……ま、まさか、私がいなくなってもいいように、偽装殺人を……!?」
P「そんな事してませんから」
小鳥「こ、こんな事をしても、私は事務員を辞めたりしませんから!」
小鳥「765プロの人気プロデューサーが事務員と愛の逃避行、だなんて三面記事に載らない限りはっ!!」
P「(……載ってほしいのか……)」
…え?
春香「プロデューサーさん、お帰りなさい」
P「……おかしい、何かがおかしい」
雪歩「小鳥さん、すごくがっついてますね……」
P「最初の震えた姿を見て『あ、カワイイ』と思った俺がバカだったのか……?」
響「プロデューサー、八宝菜出来たぞー!」
P「おう、悪いな響。お前はいい嫁さんになれるぞ~」ナデナデ
響「そ、そうか?……えへへ」テレテレ
小鳥「わぁ、おいしそう!」
P「それじゃ、食べられるように手錠を外しますね」カチャカチャ
小鳥「何でっ!?」
P「えっ」
小鳥「外したら暴れるかもしれないじゃないですかっ!」
P「あ、暴れるんですか?」
小鳥「でもプロデューサーさんには、すぐに組み伏せられてしまうかもしれないですね」
P「そうですかね……?」
小鳥「足枷してないんですから、妥協してください!」
P「いやそのりくつはおかしい」
小鳥「そ、それは……プロデューサーさんが、アーンしてくれるんじゃないんですか?」
P「それじゃご褒美になっちゃうじゃないですか……」
小鳥「じゃ、じゃあ……口移し……」モジモジ
P「そんなはしたない真似できませんよ。あんかけ、結構熱いですし」
小鳥「何があんかけだよアーンしろオラァァァ!!」ジタバタ
P「うわっ!ちょっ、八宝菜こぼれる!」
小鳥「あー…んっ」モグモグ
P「……おいしいですか?」
小鳥「おいひぃでふぅ」モゴモゴ
P「はぁ」
小鳥「ごくんっ……プロデューサーさん、もう一口!」
P「はい、アーン」
小鳥「あむっ」
小鳥「……んー」モゴモゴ
P「いや、そんな顔したって口移しなんかしませんから」
小鳥「むー」モゴモゴ
P「はい、ごちそうさまでした。じゃ、食器片づけますんで」カチャカチャ
小鳥「早速ですが運動がしたいです。こんなに食べると動かないと太っちゃうんで」
P「いや、それは我慢してください」
小鳥「できれば二人で出来るような運動がしたいです」
P「だから我慢して……」
小鳥「ゴムなしでお願いします」
P「……分かりました、分かりました。ちょっと待ってて下さい」
小鳥「(っしゃぁぁぁぁぁおらぁぁぁぁぁぁぁっ!!)」
春香「こんにちはっ!早速手錠を外しますね」カチャカチャ
小鳥「……あ?」
春香「それでは、屋内で出来る運動を……まずはスクワットですね!」
小鳥「は?」
春香「……ゴムを使わない運動をさせろって、プロデューサーさんが」
小鳥「っざけんなよ、小娘相手にナニしろっつーんだよクソが(春香ちゃん、冗談はやめましょう?)」
春香「小鳥さん、本音と建前が裏返ってます」
小鳥「ぜぇ……ぜぇ……」
P「(……むっちゃ息切れしてる……)」
小鳥「さ、流石に、デスクワークしかしてない身だと、堪えますね……」
P「……逃げ出せるチャンスだったのに、何故か居残りましたよね。律義にも手錠までして」
小鳥「だって、こんなチャンス滅多にありませんからね!」
P「そ、そうですか……」
P「はい?」
小鳥「……と、トイレの方を……」モジモジ
P「トイレならそこの大便器でお願いします。イスから手錠を離しますね」カチャリ
小鳥「み、見ないでくださいね!絶対に見ないでくださいね!」
P「はい。それじゃ、俺は部屋を出てますんで」スタスタ
小鳥「何でっ!?」ガシャン
P「えっ」ビクッ
P「い、いや、それ程でも……つーかひり出すって……」
小鳥「でも絶っ対に見ないでくださいね!絶っっ対に見ちゃイヤですよ!」
P「はぁ……ですから、外に出t」
小鳥「プロデューサーさんはそこにいてください!」
P「えっ」
小鳥「それでも私がトイレする姿、絶っっっ対に見ないでくださいねっ!!」ガシャン
P「一々パイプイス蹴り飛ばさないでください、小鳥さん。ビビりますから」
P「(……見せたいんだか見せたくないんだか……)」
小鳥「プロデューサーさーん」
P「はい?」
小鳥「お尻を拭いてくださーい」
P「えっ」
小鳥「私一人じゃ拭けませーん。ほら、手錠が」
P「いや、手錠してても両手が使えるでしょう!?バカな事言わないでくださいよ」
小鳥「……チッ」
小鳥「スッキリしました」
P「そうですか」
小鳥「……勃起、しましたね?」サワサワ
P「うわっ、ちょっ!な、何するんですか小鳥さん!」
小鳥「ご、ごめんなさい!男の人ですもんね、こんな環境じゃしょうがないですもんね」サワサワ
P「謝りながら何で触り続けるんですか!つーか人の股間ガン見しないでくださいよ!」
小鳥「……生理現象ですから、仕方ないんです」
P「生理現象!?」
P「だからそういう事はしませんって」
小鳥「……ぷ、プロデューサーさん、もしかして、ボーイズがラブ的な……?」カァァ
P「違いますから。そこ頬赤らめるトコじゃないですから」
小鳥「まぁいいです、とりあえず私を抱きしめて落ち着いてください」
P「いや、俺は十分落ち着いてます」
小鳥「くっ……手錠さえなければ、抱きしめられるのに……!」ガチャガチャ
P「今更そんな事言われましても……」
P「じゃ、さっき逃げればよかったじゃないですか。誰も止めなかったのに」
小鳥「止めてくださいよっ!」
P「えっ」
小鳥「はぁ……そうですか、今分かりましたよ」
P「何がですか」
小鳥「プロデューサーさんの考えてる事がです」
P「えっ」
小鳥「ズバリ、キスで私を説得しようってんですね!エロ同人みたいに私の頭をふやかそうと!」
P「えっ」
小鳥「しかもキスで脳内がふあぁっととろけた私を、そのまま一気に堕とそうだなんて……なんて卑劣漢なの!」
P「いやいやいや、何勝手に人の考え語ってくれちゃってんですか」
小鳥「やめてっ!私に乱暴する気でしょう?エロ同人みたいに!エロ同人みたいにっ!」
P「二回も言わなくていいです」
小鳥「で、でも……き、キス位なら、うん……」
P「えっ?」
小鳥「な、何回でもしてあげるわよ、キス位!それであなたの気が済むのならね!!」
P「気が済むも何も、そんな気はまったく……」
小鳥「私は絶対にキスなんかに屈したりしないっ!!」キッ
P「え?……何これ?キスしなきゃいけない流れなの?」
小鳥「………」
P「……じゃあ、一回だけ」
小鳥「ほ、ホントに!?」
P「一回だけですからね」
小鳥「……は、はひ」ドキドキ
P「………」
小鳥「……んっ……」プルプル
雪歩「はい、そこまで」スッ
小鳥「えっ」
小鳥「……は?」
雪歩「プロデューサーは、ちょっとこっちに来てください」
P「わ、分かった」
小鳥「ぷ、プロデューサーさん!?ちょっ、待ってくださいよ!」ガタガタ
小鳥「こ、こんなのって!こんなのって無いですよっ!プロデューサーさーんっ!!」ガタガタ
雪歩「プロデューサー、私達は音無さんを監禁してるんですよ?」
P「はい」
雪歩「音無さんが素直に喜ぶような真似してどうするんですか?」
P「め、面目ない」
雪歩「監禁対象にはこうやって、真綿で首を締めるようにストレスを与えていかないと、ね」クスクス
響「雪歩の笑顔が怖いぞ……」
春香「大体プロデューサーさんが監禁した事になってるんですから、もっと鬼畜になってもいいんじゃないですか?」
P「お前らの方が鬼畜過ぎるんだよ、まったく……努力はしてみるよ」
小鳥「っざけんなぁぁぁぁぁぁっ!後ちょっとで処女捨てれたのにぃぃぃぃぃぃ!!」ガシャーン
P「いやぁすみません小鳥さん、どうもお待たせしました」
小鳥「……もういいです、プロデューサーさん」
P「はい?」
小鳥「寸止めされて絶望して、心も荒んで、イライラしてるんです」
P「はぁ」
小鳥「だからいっそのことケダモノになって、私をメチャクチャにしてください!」
P「えっ」
小鳥「動物みたいに犯されまくって、もう人間の尊厳を無くしたいんです!」
P「そういう類の発言をするような人が、まだ人間の尊厳持ってるんですかね……」
P「そんな寝そべって『さぁ!』とか言われても困りますよ……」
ガチャッ
春香「もうこれ、ドッキリ大失敗、でいいんじゃないですか」
P「お前ら……」
小鳥「はやく!はやく!はやく!」ジタバタ
雪歩「いいじゃないですか、望み通り心を壊してあげれば」
P「雪歩……このダイヤより硬いメンタルの人をどうやって壊せと」
春香「ナニやっても喜んで受け入れそうですもんね……」
雪歩「……小鳥さん。八宝菜、食べましたよね?」
小鳥「えぇ。プロデューサーさんの手料理ですから、おいしく頂き……!」
小鳥「ま、まさか……プロデューサーさんの排泄物が、あの中に……!?」ガタガタ
P「いやいやいやいや」
雪歩「……あれがまだ、プロデューサーの手料理だと思ってるんですか?」
小鳥「え……?」
小鳥「……う、ウソ、ですよね?……プロデューサーさん……?」ガタガタ
P「違いますよ。あの八宝菜は俺が作ったんじゃないです」
響「自分が作ったんだぞ!美味かったかー、小鳥ー!」ヒョコッ
小鳥「ガフッ」ブバッ
P「と、吐血したっ!?」
響「えっ」
P「こ、小鳥さん!大丈夫ですか!?」
小鳥「よ、よりによって……他の女が作った手料理を食べて、美味しいって……」ドクドク
P「えっ」
小鳥「私の消化管が……食道が、胃が、腸が……」ドクドク
小鳥「響ちゃんの栄養で、汚染されちゃったんですね……」ドクドク
響「えっ……」
P「なにそれこわい」
春香「どんだけ排泄物に拘るんですか」
小鳥「だとすれば……あの、あんかけ……」ドクドク
P「あんかけが、何です?」
小鳥「はぁ、はぁ……あ、あれは……」ドクドク
小鳥「響ちゃんの、愛え……」ガクッ
響「プロデューサー、ちょっと小鳥ぶん殴っていいかー?」
P「気持ちは分かるが落ち着け」
高木「………」
律子「………」
P「……一応、録画録ってるんですけど。これ、TV局には」
高木「余裕でNG」
律子「お疲れ様でした」
P「ですよねー、闇に葬っときます」
P「いや、もう二度としませんから」
小鳥「ど、どうして?まだ私、孕んでもいませんよ!?」
P「お願いですから小鳥さんは、もう少し貞淑になってくださいよ」
P「大体あの状況で何で小鳥さんの方が盛り上がるんですか……」
小鳥「あの状況で燃えなくていつ燃えるんですかっ!」バンッ
小鳥「ダメですよ、監禁するならもっと危ないクスリやらチラつかせて……」
小鳥「最終的に歪んだ愛をもって、自分の色に染め上げなきゃ!」グッ
P「……別にそういう人の愛し方もある事を否定はしませんけどね」
P「俺自身は、本当に好きな人にはそういう事、したくないですから」
小鳥「えっ?」
P「さて、と。お仕事お仕事」スタスタ
小鳥「あの、プロデューサーさん?今、なんて?」
小鳥「……プロデューサーさーん!?」
おわり
監禁と思ったら放置プレイだった
Entry ⇒ 2012.07.04 | Category ⇒ アイマスSS | Comments (0) | Trackbacks (0)
咲「染谷先輩元気ないね最近……」久「そうね……」
優希「ローンっ!チンイツドラドラ倍満だじぇ!」
京太郎「えぇっ?!またかよ!」ガタンッ
咲「また京ちゃんか……」
和「須賀くんもなかなか成長しませんね……」
京太郎「き、今日はたまたま運が悪いだけだって!たまたまだよたまたま!」
優希「犬ぅっ!言い訳とは情けないぞ!いい加減に自分が弱いということを認めるんだじぇっ!!」
京太郎「犬って言うなよ!」
咲「まぁまぁまぁ落ち着いて」
和「ふふふ」
まこ「……」
咲「あれ?どうしたんですか染谷先輩、元気が無いみたいですね」
まこ「え?そうかのう」
咲「なんかさっきからため息ばかりですし……風邪でも引いたんですか?」
まこ「いや体調は悪くないから安心せい」
優希「もしかしてあの日か?」
まこ「なに馬鹿なこと言うとるんじゃ!」
和「新部長、もしかして悩み事でもあるんですか?」
京太郎「悩みがあるならなんでも俺たちに相談してください」
まこ「ホンマになんでも無いんじゃ、気にせんでどんどん打ってくれ」
和「そうですか……」
まこ(相談したところであんたらじゃワシの悩みは理解出来んじゃろ……)
優希「通らないじぇ!ローン!中ホンイツドラドラ!ハネ満だじょ!」ドシーン!
京太郎「またかよぉ~」ヘナヘナ
まこ「……」
優希「京太郎じゃ相手にならんじょ」タコスウマー
京太郎「くそおくそお……」
咲「京ちゃん家で練習してるの?そんなんじゃいつまでも上達なんかしないよ?」
和「新部長に怒られますよ」
京太郎「大丈夫、染谷先輩はそんなことで怒るような人じゃ……」
まこ「……」ガタッ!
京太郎「ひぃっっ!!すいませんすいませんすいません真面目にやりますからぁ!」
まこ「すまんのう、ワシちょっと先に帰るわ」
和「あ、そうなんですか」
まこ「ちょっと用事があるじゃのう、じゃあのう」
優希「先輩バイバーイ」
ガチャン
咲「……」
和「どうしたんでしょうね新部長」
優希「やっぱあの日なんだじぇ」
京太郎「あの日ってなんだ?」
優希「また咲ちゃんの必殺技がさく裂したじぇ!」
咲「また私がトップ」
和「さすが咲さんですね」
ガチャン
久「みんな元気にやってるー?」
優希「お、部長の登場だじぇ!
咲「あ、部長、お久しぶりですね」
久「なに言ってるのよ二人とも、今の部長はまこよ」
和「そうですよ優希に咲さん、それでは新部長に失礼です」
咲「ご、ごめんなさい……」シュン
久「そういえばまこいないわね?お手洗い?」
京太郎「用事があるみたいでさっき帰りましたよ」
久「へぇ、そうなの」
久「ふふーん、それはもちろん麻雀しにきたのよ!久々にみんなと打ちたくなっちゃってねぇ!」
優希「竹井先輩の本気は怖いじぇ……」
和「受験勉強はしなくて大丈夫なんですか?」
久「わたしは推薦だからねぇ、こう見えて頭は良いのよ」
咲「竹井先輩と打つのは久しぶりだから楽しみです」
久「私もよ、どうせならまことも打ちたかったけどねぇ」
咲「あ、染谷部長のことで相談したいことあるんですけど良いですか?」
久「ん?どうかしたの?」
久「まこが?なんで?」
和「それが分からないから竹井先輩に相談してるんです」
咲「なにか心当たりはありませんか?」
久「うーんちょっと分からないわねぇ、あの子が悩む姿なんて想像できないわ」
優希「たしかに悩み事なんて無さそうだじぇ」
京太郎「お前だってそうだろ」
久「多分広島カープが勝てなかったからじゃないかしら、今年も5位だったじゃない」
京太郎「でもサンフレッチェ広島が優勝したってこの前はしゃいでましたよ」
久「え?あの子サッカーなんて見るの?」
京太郎「ええ、野球で味わえない喜びをサッカーで補うとかで」
久「そうなの」
咲「たしかにそうかもしれませんね」
久「そろそろ冬の大会が始まるしそれでピリピリしてるのかもそれないわね」
和「わたしたちはどうすればいいでしょうか……」
久「そうね、なるべくまこの負担を軽くするようにすればいいんじゃないかしら、例えば…」
咲「例えば?」
久「須賀くんのお守を優希にまかせるとかね」
京太郎「えぇ?!」
久「だって須賀くん入部してけっこう経つのにいっこうに上達する気配が無いんだもの、この前まこがぼやいてたわ」
京太郎「そ、そんなぁ」
咲「とにかく染谷部長のために私たちが頑張ろうよ!」
和「そうですね」
優希「おーし行くじぇ!!」
一方そのころ染谷まこは……
まこ「……」
まこ「……」
まこ「……」ヒョイ
まこ「えいっ!」ビシュッ!
チャポン
まこ「……」
まこ「……」
まこ「えいっ!」ビシュッ!
チャポン
まこ「……」
まこ「ハァ……」
まこ「……」
まこ「ハァ……12月の長野は寒いのう……」
まこ「……」
まこ(部長じゃと言うんに部活をすっぽかしてしまったのう……ワシはなにをやっとるんじゃ……)
まこ「ハァ……」ビシュッ!
チャポン
まこ「……」
まこ(しょうがないじゃろ……ワシは今、自分の存在意義について悩んでるんじゃ……)
まこ「……」
まこ「えいっ!」ビシュッ!
チャポン
まこ「ワシってなんでこうも人気無いのかのう……」
まこ「全国大会を制したと言うのになしてワシがあんな叩かれないけないんじゃ!」ビシュッ!
チャポンチャポンチャポン!!!
まこ「ワシだって優勝に貢献したんじゃ!ただ少し出番が少なかっただけじゃろ!!」ビシュッ!
チャポンチャポンチャポン!!!
まこ「咲や和にはこの気持ちがわからんハズじゃ……虐げられし者の気持ちなんぞ……」
カラス「カーッ!カーッ!カーッ!」
まこ「……」
まこ「2回戦の次鋒のときは特に酷かったのう……あんなんワシの責任じゃないじゃろ……」ビシュッ
チャポン
まこ「勝っても負けても出番が多くても少なくても叩きよって!じゃあワシはどうしたらええんじゃ!!」
まこ「教えてくれんかいのう!」ビシュュュュッ!!
???「痛”い!!!」
まこ「あ!」
まこ「す、すまん!川に投げよう思ったんじゃがすっぽぬけてしもうたんじゃ!」
???「いえいえ気にしないでください、失敗は誰にだってあるものですからねぇ」
まこ「許してくれるんか、ココロが広いお方じゃのう」
???「わたしのココロは長野県のように広いんですよ、あれあなたはたしか?」
まこ「?」
???「あなたは清澄高校麻雀部次鋒の染谷まこさんでは無いですか!
あなたの闘牌の数々をテレビで拝見させてもらいましたよぉ!」
まこ「ほ、ほうか」
???「まさか長野県を代表する英雄にこうやってお目にかかれるなんて光栄です!
そう思うとさっきまこさんの投石が頭に当たったのは良い記念になったかもしれませんねぇ」
まこ(なんじゃこいつは……)
???「すばらですっ!」
まこ「よ、よろしゅう」
煌「しかしどうしたんですかぁ女子高生が真冬にこんな河原で一人で投石なんて」
まこ「べ、別になんでもないんじゃけぇ気にせんといてくれ」
煌「こういう場合、失恋で落ち込んでるというのが相場なんですよ、ズバリ言います!あなたあの部長さんに振られましたね!」
まこ「なに馬鹿なこと言うとるんじゃわりゃあ!!それにワシは女じゃ!」
煌「いえいえ、あなたからガチな匂いがぷんぷんするんですよ
わたしの中学の後輩にもガチな方がいましてね、その方とおんなじ匂いがするんです」
まこ「別に失恋なんかしとりゃせん!見当違いもいい加減にせい!」
煌「素直じゃないのはすばらくないですねぇ」
煌「それならぜひにその胸の内を吐きだしてくださいよ!わたくしだったらいくらでも相談に乗りますよぉ!」
まこ「なんでさっき会ったばかりのあんたにワシの悩みを打ち明けなきゃならんのじゃ」
煌「良いじゃないですか、逆にわたくしみたいな人間のほうが役に立つかもしれませんよぉ!」
まこ「ふん……」
煌「知り合いに相談しにくいからこうやって悩みを抱えこんでしまうのでしょう
それはすばらくないのでわたくしに相談してください!」
まこ「……」
煌「さぁ!さぁ!!さぁ!!!」
まこ「ああもうやかましいのう!あんたにワシの悩みが理解出来るんか!」
煌「それは話してくれないとなんとも言えないですねぇ、良いから吐くんです!吐けばすべて楽になりますよぉ!」
まこ「ワシは人気者になりたいんじゃ!もう不人気は嫌なんじゃ!」
煌「それは深刻な悩みですねぇ、すばらです!」
煌「いいえ馬鹿になんかしませんよ!我々にとって人気というものは、有る無しいかんでは死活問題ですからねぇ!」
まこ「人気が無いだけならまだええんじゃ、それだけ傷つかんですむ
ワシ場合は嫌われとるんじゃ!親の仇みたいに嫌われとるんじゃ!」
煌「それは大変ですねぇ」
まこ「なんでじゃ……なしてなんじゃ……」
煌「難しい話ですねぇ」
まこ「やっぱ緑髪でメガネで広島弁はダメなんかのう」
煌「たしかにそれもあります、しかし果たして全部が全部そうなんでしょうかねぇ」
まこ「どういうことじゃ」
煌「広島弁や緑髪、メガネの方でも人気者がいっぱいいるじゃないですか!
例えば広島県代表の佐々野いちごさん!いまや彼女は全国的なアイドルですよぉ!」
まこ「まぁあいつは見てくれがええから……」
煌「それに緑髪の滝見春さんやメガネッ子の愛宕の妹さんなんかも大人気ですねぇ」
まこ「わりゃなにが言いたいんじゃ!」
煌「ようは大事なのは華ですよ華!それが無けりゃ人気者にはなれないんですよ」
煌「すばら!なんにせよ華ですよ大事なのは」
まこ「ワ、ワシのどこが華が無いんじゃ!ワシかてなんとかすれば華が……」
煌「いいえダメです!華というものは生まれ持ったものなんですよぉ、そうですあなたの好きなカープで例えましょうか!」
まこ「カ、カープでか」
煌「高橋慶彦選手を御存じですよねもちろん、まさにカープのレジェンドと言える選手の一人です!」
まこ「いまはロッテじゃがのう」
煌「高橋選手といえば盗塁王を数回、連続試合安打の日本記録を持ってる言わずと知れた名選手です!
しかもその端正なルックスで、なんと村上龍氏が彼を題材にした小説を書くほどの全国的なスター選手ですよ!」
まこ「それがどうしたんじゃ」
煌「華があるからこうやって全国的に知名度の高い選手になれたのですよ!これは原村和やエイスリンさんみたいなもんです」
まこ「ワシだって慶彦みたいになれるハズじゃ」
煌「いいえなれませんねぇ、あなたはですねぇどっちかと言うとですねぇ」
まこ「どっちかというとなんじゃ?」
煌「ズバリ正田耕三ですね!すばらっ!」
まこ「なん・・・じゃと・・・」
まこ「ちょ、ちょっと待たんか!正田だって慶彦と遜色ない活躍しとるじゃろ!
盗塁王だって獲っとるし、慶彦が獲ってない首位打者だって2回も獲得しとるじゃろ!」
煌「それでも人々の記憶に残ってるのは高橋慶彦のほうなんですよぉ、残念っ!」
まこ「なしてじゃ!カープファンの間では慶彦も正田も同じぐらい人気じゃろ!」
煌「カープファンの間では……ね、しかし全国的な知名度ではどうですか?
野球詳しくない人で正田を知ってる人なんてほとんどいないハズですよぉ」
まこ「そんなハズは……!」
煌「それに当時の広島は今と違って華だらけですからねぇ!その中で華が無いのは逆にすごいことですよ!すばらです!」
まこ「ほうか……」
煌「まぁまこさんは正田耕三です、東出と言わないだけすばらだと思ってください」
まこ「ワシは正田耕三なんか……」
まこ「ハァ……」
煌「しかーし!だからと言って落ち込むことなんか無いですよぉ!華が無くたってすばらなんですよ!」
まこ「どういうことじゃ……」
煌「いいですか?華が無くたってチームにとってその選手はかけがいのない存在なんですよ!」
まこ「かけがいのない存在……?」
煌「すばらっ!正田がチームプレイに徹したおかげで何度チームが救われたことか!
山本浩二や衣笠、大野豊だけではチームは勝てないのです!」
まこ「た、たしかにそうじゃのう」
煌「全国大会で言うならばあなたがエイスリンさんや菫さん相手に
大勝せずともプラスだったおかげで清澄は優勝出来たんです!これはすばらなことですよ!」
まこ「あんま褒めんでくれんかのう」テレテレ
煌「だから正田耕三だからと言って恥じることなど無いのですっ!だってあなたはチームに不可欠な存在なのですからっ!」ドヤッ!
まこ「お、おう」
煌「ぶっちゃけますと人気なんてある程度だけあればすばらなんですよぉ!」
まこ「そんな乱暴な……」
煌「正田だって不人気だったわけじゃありません!固定ファンがいっぱいいたハズです!そうまこさんにようにっ!」
まこ「ワ、ワシのように?!」
煌「そうです!自分は人気が無いと嘆いておられますが決してそういうわけではございませんよぉ!
あなたにだって少数精鋭のファンがいるハズです!よおく目を凝らしてください!」
まこ「ワシのことを可愛いと思ってるファンなんておらんじゃろ……」
煌「いいえいますとも!茨城県民なのに鹿島アントラーズを応援しないで水戸ホーリーホックを好きになる変わった方もいるんですから、あなたを好きになる人がいてもおかしくないんですよ!すばらっ!」
まこ「水戸ちゃんに失礼じゃろ……」
煌「まだなにか悩むことがあるのですかぁ?それはすばらくないですねぇ」
まこ「あんたはワシの叩かれようを知らんからそういうことが言えるんじゃ……
ネットでワシの名前で検索してみ、ワシの悪口がいっぱい出てくるからのう」
煌「その気持ちはわかりますよまこさん!わたくしもネットではボロッカスに叩かれてますからねぇ!」
まこ「あ、あんたもなんか?!」
煌「ええそうです、ありがたいことに戦犯の称号を頂きましたよ、いやぁネットで叩かれるのは辛いことですねぇ」
まこ「そうじゃろ!ネットの輩のせいでワシのココロはボロボロじゃ!
はっきり言って賠償を請求したいくらいじゃけぇ話がわかってくれる人がいて良かったのう」
煌「しかーし!わたくしはそんなネットの声など全く気にしてないのです!すばらっ!」
まこ「なん・・・じゃと・・・・」
怜とあれだけ意思疎通してたのを見たら点取られても戦犯とは思えないな
まこ「じゃ、じゃけどネットの声が一番てっとり早く自分の評価を知ることができるじゃろ!じゃから……」
煌「良いですかまこさん、ネットのしょうもない書き込みで自分の価値を決めてしまうのは愚の骨頂なんですよ!」
まこ「お、おう……」
煌「わたくしも宮永照相手にまったく歯が立ちませんでしたがまったく後悔はしておりません!むしろ誇らしいぐらいです!」
まこ「そんなんか」
煌「ハコわれしないことがわたくしの役割でしたからねぇ!自分の仕事が全う出来てすばらですよ!」
まこ「……」
それにこんな寒いところにいると風邪をひきますよぉ!」
まこ「た、たしかにそうじゃのう」ブルブル
煌「そうですね、ここであったもなにかの縁、わたくしと麻雀を打ちましょうよ!」
まこ「お、ええのう、ワシも打ちたい気分じゃったんじゃ」
煌「すばらっ!全国レベルの選手に勝って、わたくしの名を全国に轟かせていただきますよぉ!」
まこ「かかってきんしゃい」
煌「まこさん元気が出てきたみたいですねぇ、そうですそれです、元気なまこさんが一番可愛いですよぉ!」
まこ「そ、そうかのう」
煌「そうですよ!元々わたくしはそういうまこさんが大好きだったんですからねぇ!」
まこ「な、なにを言うとるんじゃわりゃあ///」
煌「わ、わたくしみたいな少数精鋭のファンもいるんですからね///今日から人気とかそういうの気にしないでくださいよ///」
まこ「お、おう///」
煌「ここが清澄高校ですかっ!立派な校舎ですねぇ!すばらっ!」
まこ「しかしあんたが和や優希と知り合いとは知らんかったのう」
煌「中学校時代の後輩なんですよぉ、今でもわたくしのことを尊敬してるハズですよぉ!」
まこ「ほうか」
煌「久々の再会楽しみですねぇ!まぁまずはなんにせよまずはまこさんと麻雀ですよ」
まこ「……」
煌<元々わたくしはそういうまこさんが大好きだったんですからねぇ!すばらっ!>
まこ(すばらの言う通りじゃのう、いちいち人気なんか気にしてたさっきまでのワシが馬鹿みたいじゃ)
煌「この階段すばらっ!」
まこ(ここにワシの一番のファンがいるじゃないか、それだけでええんじゃ……)
煌「ここが麻雀部の部室ですか!すばらっ!」
まこ「ん?明かりが点いてる、みんなまだ残ってるんか?」
ガチャン
京太郎「痛い痛い!!」
咲「京ちゃんもっと真面目にやってよ!こんなんじゃ染谷部長に申し訳ないよ!!」
京太郎「なんだよぉ咲までぇ……」
和「須賀くん!休んでる時間はありませんよ!今日は徹底的に須賀くんを鍛えますからね!」バンッ!
京太郎「和ぁ……もっと優しくしてくれよぉ……」
優希「いいからさっさと牌を並べろだじょ!!」バシーン!
京太郎「痛ェ!!わかったからわかったからよぉ……」
まこ「あんたらなにをやっとるんじゃ……」
咲「どうしたんですか染谷部長!用事があるんじゃなかったんですか!」
まこ「いやそれよりあんたらなにしとるんじゃ……京太郎死にそうな顔しとるけど……」
和「私たちは新部長の負担を軽くするために須賀くんを鍛えることにしたんです」
咲「だから京ちゃんのことで悩まないでください!私たちがなんとかしますから!」
京太郎「別に俺が原因で悩んでるわけじゃないだろ!」
優希「いいから早くしろだじぇ!牌すらまともに並べられないのか!」
京太郎「わかったわかったわかったよ!」
咲「なにか悩みがあっても一人で抱え込まないでください染谷部長!」
和「そうです、わたしも困っているときは手助けしますから」
優希「そうだじょ!次期部長である私も染谷先輩のためだったらなんだってするじぇ!」
京太郎「お、俺もなんかあったらなんなりと」
優希「だからお前は練習してろだじぇ!」
京太郎「だ、だっていつも染谷先輩は俺のことを気にしてくれてるから……」
まこ「みんな……」
煌(おやおや、みなさんにだいぶ愛されてるようですねぇ、とてもすばらなことじゃないありませんか)
まこ「よおしワシも打つかのう!京太郎覚悟せい!」
京太郎「ちょっと待ってくださいよぉ!ひぃぃぃぃぃ……」
和「あれ、あなたはもしかして……!」
煌「すばらですっ!」
咲「染谷先輩元気ないね最近……」久「そうね……」 カン
読んでくれた人サンキュー
すばらでした
Entry ⇒ 2012.07.04 | Category ⇒ 咲-Saki-SS | Comments (4) | Trackbacks (0)
結衣「京子ときょうこ」 京子「結衣とゆい」
ゆい「なんだここは!それにだれだお前ら!」
きょうこ「ゆいぃ…こわいよぅ…」グスッ
結衣「大丈夫だから。落ち着いてきょうこ…」
京子「ゆい、私たちは敵じゃないよ…」
ゆい「なんで名前しってるんだ!ますますあやしいやつ!」
きょうこ「で、でも…このおねえちゃん…ゆいににてるかも…」
結衣「うん…まずはお話を聞いてもらえるかな…?」
京子「大丈夫…私たちは怪しい人じゃないから」
ゆい「ま、まあ話だけならきいてもいいけど…」
きょうこ「ちょっとこわいけど…わるい人じゃなさそうだし…」
結衣「ありがとう」
京子「じゃあ話すから聞いててね」
30分ほど前…
結衣「失礼しまーす…」ガラッ
京子「おじゃましまーす♪」
西垣「おぉ、よく来てくれたな」
りせ「…………」
西垣「『こんにちは』だそうだ」
結衣「それで、用ってなんですか?」
西垣「まあその前にゆっくりお茶でも飲むといい」
りせ「………」スッ
結衣「あ、ありがとうございます…」
京子「ありがとうございまーす」
ゴクッ
西垣「……」ニヤッ
京子「ふーっ…」
結衣「っと…まったりしてる場合じゃなかった」
結衣「何か用事があったんですよね?」
西垣「あぁ…とりあえずは5分ほどゆっくりしててくれ」
西垣「すぐにわかるはずだ…」
京子「あーい…」グデー
結衣「?」
5分後
結衣「あれっ?京子…体…光ってない…?」
京子「光るってそんな…。うわっマジだ…」
京子「っていうか結衣も光ってるけど」
結衣「えっ?」
西垣「ふっふっふ」ニヤリ
西垣「どうやら成功みたいだな」
結衣「どういうことですか!」
西垣「先ほどのお茶に薬を混ぜておいたのさ…」
西垣「そして…その薬を飲んだ者は…」
結衣「飲んだ者は…?」ゴクリ
京子「………」ゴクリ
西垣「体が光る!!!」バーン
「「…………」」
「「はい……?」」
京子「それだけ…?」
西垣「それだけとはなんだ!」
西垣「素晴らしい発明じゃないか!」
西垣「これで暗い夜道でも安心だ!」
りせ「………!」グッ
西垣「そうだろう!わかってくれるか!」
結衣「はぁ…まったくこの人たちは…」
京子「んっ?」
パァァァァァァァ
京子「なんかさっきより光ってるんだけど…」
結衣「うわぁ…嫌な予感しかしない…」
パァァァァァァァ
ドガーーン!!!
結衣「ケホッ…京子……平気か…?」
京子「うん…なんとか……ゴホッ…」
京子「あっ光らなくなってる…」
結衣「本当だ…よかった…」
西垣「まさか爆発するとは…大丈夫か…松本?」
りせ「………」
西垣「そうかよかった…」
京子「えっ…!」
結衣「ん?どうした京…」
結衣「えっ…!これってもしかして…」
「「私たち!?」」
結衣「寝てるけど…これは…」
京子「どう見ても昔の私たち…だよね?」
西垣「これは一体…」
結衣「とりあえず状況を整理しようか」
結衣「今分かってることは…」
結衣「おそらく薬の効果で昔の私たちがここにいる…」
結衣「これがタイムスリップなのか…別の何なのかは不明…」
結衣「薬の効果が切れる時間も不明…」
結衣「以上」
結衣「なんも分かってないじゃん!!!」
西垣「そうだ、焦りは良くないぞ」
りせ「………」
結衣「はあ…もう…」
西垣「たしか船見は一人暮らしだったな」
西垣「幸い明日は土曜日だ。今日はこいつらの面倒を見てやってくれ」
西垣「私は解決策を調べてみる」
りせ「………」
西垣「そうか、一緒に頑張ろう」ナデナデ
りせ「……///」
結衣「はあ…どうしよう…」
京子「とりあえず二人が起きてからだねー♪」
結衣「やけに嬉しそうだな…」
京子「いやーなんていうか…」
京子「昔は結衣と言えばカッコいい!って感じだったけどさー」
京子「今見ると超可愛いじゃん!」
結衣「か、可愛いってなんだよ…///」
京子「いや今の結衣も可愛いよー」ニヤニヤ
結衣「ふざけてないでこの後の事を考えろよ…///」
京子「本気なんだけどなー。まあいいや、とりあえず今日泊まるねー」
京子「さすがに結衣一人じゃ大変でしょ」
結衣「そうだな…ありがとう」
結衣「おっ…起きたみたい…」
結衣「と言うわけなんだけど…」
京子「信じてくれるかな?」
ゆい「うーん…」
きょうこ「……」
ゆい「そうだ!ちょっときょうこ…」ゴニョゴニョ
きょうこ「う、うん、そうだね…///」
結衣「?」
京子「?」
ゆい「とぉーっ」ギュッ
京子「わっ」
きょうこ「え、えーい///」ギュッ
結衣「おっと」
ゆい「うん!きょうことおんなじだ!」ギュー
きょうこ「ゆいぃ」ギュー
結衣「えっ?どういうこと?」ナデナデ
京子「さ、さあ…?」ナデナデ
ゆい「おんなじにおいがするー」
きょうこ「えへへー」
結衣「匂いって…」
京子「あぁ…そういえば」
結衣(京子の匂いってなんか好きなんだよな…)
京子(結衣って抱きつくといい匂いするんだよね…)
((ずっと昔から変わらない…))
((私の大好きな……))
((あれ?ってことはもしかして…))
京子(結衣も私の匂いを…?)チラッ
結衣(京子も私の匂いを…?)チラッ
((顔が真っ赤なんだけど…///))
ゆい「あははー。ふたりともかお赤ーい」ニヤニヤ
きょうこ「ほんとだー」ニコニコ
「「そ、そんなことない…///」」
結衣の家
ゆい「すげー!」
きょうこ「わぁー」
京子「すごいだろー!」
結衣「なんでお前が自慢気…」
きょうこ「結衣カッコいいー」
京子「カッコいいー!」
ゆい「中学生ってすごいんだなー!」
京子「すごいだろー!」
結衣「なんださっきから」ベシッ
京子「いやぁ…なんとなく」ヘヘ
結衣「とりあえずご飯作っちゃうから…」
結衣「二人のことみててね」
京子「まっかせなさい!」
きょうこ「あ、あの…」
結衣「ん?」
きょうこ「わたしも…てつだえないかな…?」
結衣「きょうこ…」
結衣「ありがとう…じゃあお願いしようかな」ナデナデ
きょうこ「うん、がんばる!」
京子「あっ…」
京子(懐かしいなー。昔はずっと結衣が手を引いてくれたっけ…)
京子「……」ニコッ
京子「よーし!何しよっか!」
ゆい「じゃあオセロで勝負だ!」
ゆい「どれだけつよくなったか見てやる!」
京子「別にいいけど…」ニヤッ
京子「私強くなったよー?」ニヤニヤ
ゆい「きょうこに負けた…」ガクッ
京子「どうだ!」ヘヘーン
京子「もう結衣には負けないんだから!」
ゆい「くやしいけど…」
ゆい「がんばったんだな!エライ!」ナデナデ
京子「ありがとー。結衣のおかげだよ」
ゆい「なにいってんだ!きょうこががんばったからだよ!」
京子「そうだね…。でもやっぱりありがとう」ナデナデ
結衣「よーしできたぞー」
きょうこ「できたー♪」
京子「ごはーん!」
ゆい「ごはん!」
結衣「それでは…」
「「「「いただきまーす!」」」」
京子「うまい!」
結衣「どれどれ…うん、美味しい」
ゆい「……」モグモグ
きょうこ「……」ジーッ
ゆい「おいしい!」
きょうこ「……!」パァッ
きょうこ「よかった…!」
きょうこ「あ、ありがとう…」
きょうこ「あの…結衣…///」モジモジ
結衣「ん?あぁ…はい」アーン
きょうこ「あーん」
きょうこ「……」モグモグ
きょうこ「えへへ…おいしい…///」
京子「ずるーい!結衣ー!私にも!」
結衣「はいはい…」アーン
京子「あーん」
京子「……」モグモグ
京子「うめぇ!」
ゆい「はい!」アーン
きょうこ「あ、あーん///」
きょうこ「……」モグモグ
きょうこ「ありがと…ゆい///」
きょうこ「じゃあ…はい…!」アーン
ゆい「え!?わたしはいいよ…///」
ゆい「しょうがないな…///」
ゆい「あ、あーん…///」
ゆい「……」モグモグ
ゆい「お、おいしいよ…///」
きょうこ「えへへー♪」ニコニコ
京子「攻められると弱いのは昔からだったね」ニヤニヤ
結衣「うるさい…///」
京子「お風呂ターイム!」
結衣「自分と二人ずつが一番いいかな?」
京子「えー…。いいじゃん!みんなで入ろうよ!」
結衣「さすがに四人は厳しくないか?」
京子「いけるいけるー♪」
京子「よっしゃいくぞー!」
「「「おー!」」」
結衣「まったく…」クスッ
結衣「さすがに湯船に四人はキツいな…」
京子「うん…」
京子「でもキツくても入れるってすごいよね」
きょうこ「おっきいおふろー♪」
ゆい「おふろー♪」
ゆい「そういえば大人のわたしたちは…」
京子「ん?」
ゆい「まだ結婚してないの?」
京子・結衣『…!!!』
京子「けっ、結婚って…!?」
結衣「な、なんで…!?」
ゆい「おおきくなったらきょうこと結婚するって…約束したのに…」
きょうこ「うん!わたしゆいのお嫁さんになるんだー♪」
きょうこ「でも…ゆい…」
きょうこ「結婚は16さいにならないとできないんだよ?」
ゆい「そっか!だからまだできないのか!」
ゆい「なるほど…!きづかなかった…」
京子・結衣(………///)テレテレ
きょうこ・ゆい『……』スヤスヤ
京子「寝ちゃったね…ふたりとも…」ナデナデ
結衣「まあまだ子どもだしね…」ナデナデ
京子「ねぇ…結衣…」
京子「さっきの…覚えてた…?」
結衣「いや、正直さっきまで忘れてたけど…」
結衣「だいぶ思い出したよ…///」
京子「私も…///」
京子「結婚かぁ……」
結衣「うん…結婚ねぇ…」
(わたしたち結婚できないんだって……)
結衣「……!」
京子「どうしたの…?」
結衣「思い出した…」
結衣「あの頃のこと…それから忘れてた理由も…」
京子「忘れてた…理由…?」
結衣「ちょうどこの頃の私たち…」
結衣「多分このすぐ後だと思う」
結衣「私たちは…」
結衣「………」
結衣「私たちが『普通』じゃないって知った」
結衣「女の子同士じゃ結婚できないことを知った」
京子「…!」
きょうこ「ゆい…」
ゆい「なんでだよ!」グスッ
ゆい「わたしなら…」
ゆい「わたしが一番きょうこをしあわせにできるのに!」
ゆい「わたしが一番きょうこを好きなのに!」ポロポロ
結衣「そして私たちは…幼いなりに真剣に話し合って決めたんだ」
京子(私も…思い出した…)
ゆい「よしこれでいいな…」
きょうこ「………」
ゆい「……」
ゆい「ふたりとも結婚の約束はわすれるんだ…」
ゆい「好きだったこともわすれて」
きょうこ「……」
ゆい「わすれて…」ポロッ
ゆい「男の子を好きになる…」
きょうこ「……」ポロポロ
ゆい「男の子と恋をして…『普通』の結婚をする…」
ゆい「それが『普通のしあわせ』なんだから…」
ゆい「だから…」
結衣「だから今日から私たちはただの幼馴染みになるんだ…」ポロポロ
きょうこ「……」
きょうこ「やっぱり…やっぱりいやだよ…」グスッ
結衣「京子…しょうがないんだよ…」
結衣「私たちは一緒にいても幸せになれないんだ…」
結衣「私じゃ京子を幸せにできないんだ…」
結衣「私は京子に幸せになってほしい…」
結衣「泣いてほしくない、笑っていてほしい」
結衣「大丈夫、これからは幼馴染みとして支えるから…」ニコッ
結衣「京子が泣かないでいられるように」
結衣「幸せだって笑っていられるように…」
きょうこ「わかった…」
京子「私強くなる…もう泣かない」
京子「いつか…結衣がいなくなっても平気なように…」
京子「ちゃんと幸せになれるように」
京子「そして…」
京子「結衣も幸せになれるように……………」
京子「………」
結衣「………」
京子「ねぇ…結衣」
京子「結衣にとっての幸せってなに?」
結衣「幸せ…」
京子「この時結衣は『普通の幸せ』って言ってたよね」
京子「私にとっての幸せってさ…」
京子「私が幸せって感じる時には…」
京子「絶対に結衣が隣で笑ってくれてるんだ」
結衣「……!」
京子「どんなに楽しいことよりも…」
京子「結衣が一緒にいることが幸せって思うんだ」
京子「もしこれが『普通』じゃないって言うなら」
京子「私は『普通』なんかじゃなくていい」
京子「誰かに笑われたって、気持ち悪いって言われたって関係ない」
京子「だからさ…」
京子「私と結婚しよう」
京子「たしかに正式な結婚はできないけど…」
京子「私は、好きな人とずっと一緒にいるって誓うこと」
京子「それを結婚って言うんだと思ってる」
京子「だから私と結婚してほしい」
京子「ずっと一緒にいてほしいんだ」
結衣「ありがとう…」
結衣「京子の言葉で気づけた…」
結衣「私も京子が隣で笑っていると幸せなんだ…」
結衣「もう他には何もいらないって思えるくらい…」
結衣「これが私にとっての『普通の幸せ』なんだって」
結衣「だから私からもお願い…」
結衣「私と結婚してください」
結衣「ずっと一緒にいてください…………」
翌朝
prrrrr
結衣「はい、船見です…あ、先生」
西垣「ああ、調べて分かったことなんだが…」
西垣「おそらくタイムスリップのようなものではなく」
西垣「お前たちから生まれたものだろう」
結衣「はあ…」
西垣「それと効果は元々の光る薬と同じく24時間…」
西垣「今日の16時頃には消えると思われる」
結衣「そう…ですか…」
結衣「ありがとうございました、それでは…」
西垣「ああ、ではまた…」ガチャン
結衣「ふー…」
京子「そっか…もうすぐお別れなんだね」
結衣「ああ…」
京子「というかさー」
結衣「ん?」
京子「元々は24時間光らされる予定だったんだね…」
結衣「そういえば…危なかったな…」
京子「まあでも感謝しないとね!」
結衣「そうだな…」
結衣「起きたら二人にもお礼しなきゃ」
京子「うん…そうだね」
京子「という事で…」
結衣「私たち…」
「「結婚しました」」
ゆい「おおおーー!」
きょうこ「おめでとうー」ニコニコ
ゆい「あれ、でも…結婚ってまだできないんじゃなかったっけ?」
結衣「私たちにとって大事なのはそんなルールじゃなくて…」
京子「ずっと一緒にいることだから!」
結衣「だからこれからも一緒にいようねって意味での結婚」
ゆい「まあよくわかんないけどおめでとー!」
きょうこ「おめでとー!」
結衣「ああ、あと…」
京子「二人とも…」
「「本当にありがとう」」
ゆい「???」
きょうこ「???」
京子「よーし!今日も遊ぶぞー!」
「「「「おー!」」」」キュゥー
きょうこ「……///」
「「「……」」」
結衣「まずはお昼ご飯だね」クスッ
きょうこ「うぅ…///」
京子「じゃあ今日はみんなで作ろうよ!」
京子「次はババ抜きだー!」
京子「今度は神経衰弱!」
京子「次はこれだー!」
京子「次は…………」
16時
結衣「もうそろそろお別れか…」
京子「このまま寝かせといてあげよっか」
結衣「そうだね、きょうこは泣いちゃいそうだし」クスッ
京子「この時はまだ結衣に甘えきってる頃だしねー」
結衣「そうだな…すごいくっついて寝てるし」
ゆい「zzz」スースー
きょうこ「ん…ゆい…zzz」ギュッ
結衣「ふふ…」
京子「えへへ…」
パァァァァァァァ
「「あっ…」」
シュンッ
京子「……」
結衣「……」
結衣「ふふ、今もあんまり変わってないんじゃないか?」ポンポン
京子「だって…だって……」ポロポロ
結衣「大丈夫だよ…私はずっと一緒にいるから…」
結衣「もういなくなるなんて考えなくていいんだよ…」ギュッ
結衣「まったく、しょうがないな京子は」クスッ
京子「またたくさん甘えてもいいの…?」
結衣「いいよ」
京子「泣いちゃってもいいの…?」
結衣「そしたら慰めてあげる」
京子「もう…」
京子「一人で泣かなくてもいいのかな…」
結衣「ああ…!もう一人じゃない…!」
結衣「いつだって私がそばにいる…」
結衣「ずっと隣で笑ってるから…」
結衣「私が幸せにしてみせる…!」
結衣「いや…」
結衣「二人で一緒に幸せになるんだ!」
おしまい
乙
Entry ⇒ 2012.07.04 | Category ⇒ ゆるゆりSS | Comments (0) | Trackbacks (0)
貴音「765らあめん 麺や貴音」
貴音「風味よし。これならば期待できるでしょう」
真美「お姫ちん、何してんの→?」
貴音「おや、真美ではありませんか。まだ開店前ですよ」
P「それ以前に立ち入り禁止って札かけといたはずだが」
真美「だってなんか変な匂いするんだもん! そのボコボコいってる鍋、何やってるのさ?」
P「ん、そんなに匂うか? 慣れちまってわからなかったな」
貴音「臭みを消すための野菜を控えましたからね……これは申し訳ないことをしました」
真美「別にいいからさ→、何やってるのか教えてYo!」
貴音「これはらあめんのスープ……豚骨でスープをとっていたのですよ」
真美「え? うわ→本当だ、真っ白じゃん!」
P「煮込んでる最中の豚骨ってクセが強いからな、苦手な人にはつらいかもしれん」
真美「でもトンコツって本当に煮ると白くなるんだね→、真美初めて見たYo!」
貴音「真美、豚骨だから白くなるというわけではないのですよ?」
真美「え、そうなの?」
貴音「ええ。都内にも豚骨醤油などの店が多くありますが、濁りの少ない透き通ったスープを出している店も多いでしょう?」
真美「えっと……真美、そんなにわかんない……」
貴音「その違いというのは火加減なのです」
真美「火?」
真美「おおっ!? ボコボコ言ってると思ったけど凄い強火じゃんYo!」
貴音「その通り。こうして強火で炊くことによって白く濁ったスープが出来上がるのです」
貴音「そしてそれは豚骨以外のスープでも言えることなのですよ?」
真美「え、じゃあ鳥とかでも白くなるの?」
貴音「はい、見事な白濁スープがとれますよ」
P「鶏白湯(パイタン)がそうだな」
貴音「逆に濁らせたくなければ弱火で長時間煮込むのです。昔ながらの透き通った鶏がらスープなどはそうしてとっているのですね」
貴音「強火で炊くとこくや旨みの強い濃厚なスープがとれます。ただしくせも強くなってしまいますが」
貴音「逆に弱火で煮込むとあっさりとしたスープになります。個性は弱まりますがくせがなく、他の食材とも合わせやすいですね」
真美「ふえ→、なんか難しいんだね」
真美「マジで!? あ、でもこの間みたいなのだと……」
貴音「ご心配なく。今度のものは二十郎ほどのぼりゅうむはありませんよ」
真美「本当? んじゃ食べる!」
貴音「かしこまりました……さて、そろそろ本日の主役が来るころなのですが」
ガチャ ハイサーイ!!
P「……」ガタンッ
エ? ドウシタンダプロデューサー ジブンナニモワルイコトシテナイ… チョッ ナンデモチアゲ… ウギャーッ
P「はい一名様ご案内~」バサッ
響「はっ、この店は!? いぬ美が雪歩暴走させちゃったから自分が責任取らされるのか? やっぱそうなのか!?」
美希「ハニー! 響ばっかり抱っこしてずるいの! ミキも運んでくれていいって思うな!」ズリズリズリ…
P「ついでにもう一名様ついてきちまったけど……まあいいか、ご案内~」
真美「なんか無理矢理つれてこられたように見えたけど……」
響「貴音ぇ、前のお店だいなしにしちゃって悪かったよ……お願いだから許してほしいぞ……」
貴音「響。何も許すことなどありませんし、そもそも怒ってなどいませんよ」
響「ほ、本当か?」
貴音「もちろん。それどころか、新装開店の最初のお客様は響と決めておりました」
貴音「予期せぬ店休ではありましたが、その分だけあいであを詰める時間をいただけましたので……期待できるものが出来上がったかと」
響「自分のために……うう、嬉しいぞ貴音ぇ!」
真美「そっか、んじゃあのトンコツスープってひびきんのためだったんだね!」
美希「あれ? 響のペットって豚もいたような気がするの……」
響「え? あはは! まさか、貴音がそんなことするはずないさー!」
貴音「……」
P「……」
響「……え? あれ?」
美希「ナンマンダブ、なの……」
響「ぶ、ぶぶぶぶっ……ブタ太!? ブタ太ーっ!?」
ドタドタドタ…
ブタ太「ブイ」
響「よ、よかったぁ……ちゃんといてくれたぞ……」
P「さすがにブタ太で作ってたのを響に食わせたら放送禁止ものだしな」
響「だったらすぐに違うって言ってほしいぞ! 自分、心臓止まるかと思ったさー!」
貴音「ふふ、すみません。響の反応が興味深かったもので、つい」
響「うう……ひどいさー……」
貴音「ブタ太殿はまだ子豚。スープの材料にするはずがありませんよ」
響「あ、あはは……そうだよな。ブタ太、まだ小さいもんな!」
美希「あれ? でもそれって、大きいブタさんだったら……」
真美「……」
P「さあさっそく作ってもらおうか! 響ラーメン四つ!」
貴音「響らあめん四つ、承りました!」バサッ
響「ちょっと! ブタ太がもし大きかったらどうなってたんだ!? 貴音! プロデューサー!?」
P「はいはい、店主は調理で忙しいので大人しく待っててくれなー」
響「ん? どういうことだ?」
美希「うん。ミキだったら、もしブタさん飼ってたら食べらんなくなりそうって思うな」
響「家族と食べものは別物さー。自分は別に平気だぞ?」
響「それに農家の人だって、いつか食べちゃう動物にすっごく愛情込めて育ててるんだ。可愛がるのと、それで食べられなくなっちゃうのは違うと思うさー」
真美「ふ→ん……なんかひびきん、凄いね」
響「まあ自分は完璧だからな!」
響「でも、なんていうか……こうやって色んな家族がいるからかな? 食べる時は本当に、ありがとうって思うぞ」
P「そうか……うん、その気持ちを大切にな」
美希「ハニーハニー! ミキもこれから、もっとおにぎりさんありがとうって思うの!」
P「まあ間違っちゃいないが……もう少し前の段階でもありがとうでいいんじゃないか?」
響「あはは……でもさすがに、いざ食べる時はブタ太は別の所に行っててもらうさー」
貴音「お待ちどう様です」ドンッ
美希「でっかい骨付きのお肉が乗ってるの!」
真美「……あれ? これってさっきのトンコツスープじゃないよ?」
響「これってもしかして……沖縄そばなのか?」
貴音「ええ。あくまでもソーキそば風のらあめんですが」
真美「ソ→キ?」
P「豚のアバラ肉のことだな。こういうしっかりした骨の部分だとスペアリブとも言うぞ」
響「それに沖縄かまぼこまで乗ってるさー。懐かしいな!」
美希「かまぼこ? なんか茶色っぽいのしか入ってないよ?」
響「沖縄かまぼこは油で揚げて作るんだぞ。薩摩あげとかと似てるかな」
貴音「お待ちください。実はまだ仕上げが残っていまして」
真美「え? 何その大きい中華ナベ……」
ジュパアッ ジジジッ
美希「う……!? けほっ! こほっ! なんか目にきたのー!?」
響「うわわわっ!? 丼が真っ赤っかだぞ!?」
P「これ、ラー油か? しかしとんでもなく匂いが立つな……!」
貴音「はい、島とうがらしで作った自家製の香味油……つまりラー油ですね」
貴音「これで響らあめんの完成です。さあ、ご賞味あれ」
真美「本当に食べられるかな……」
P「まあその、無理はしなくていいぞ?」
貴音「大丈夫ですよ。さあ、わたくしを信じて」
響「よ、よーし……貴音が自分のために作ってくれたんだからな……いただきますっ!」
ズッ ズズ ズルズル ズズズーッ
響「おっ!? 辛くない……というか、濃厚で甘いくらい……!?」
P「おお、本当か!?」
響「うん、特にソーキが角煮みたいに甘くって……ん、んん?」
真美「……ひびきん?」
響「う……うぎゃーっ!? 辛い! 辛いぞおおっ!?」
P「後から来たのか……」
P「おい貴音、さすがにあれは多すぎたんじゃ……」
響「ひっ……ひいい……」
響「……」
響「おさまった」カチャ
真美「えっ!? ちょっとひびきん、なんでもう箸持ってんの!? あんなに辛そうだったのにまた食べんの!?」
響「いや自分もすっごい辛くてびっくりしたけど、すぐにおさまっちゃって……そしたらまた食べたく」ズズズ
響「うひい、辛い……! でも美味い! おいしいさー!」ズズーッ ズルルッ ハグッ
P「……」ゴクリ
P「どれどれ、俺も……」
真美「えっ……えっと、じゃあ真美も!」
美希「ハニーが食べるなら、ミキだって……!」
真美「んんっ……でもこれ、本当に美味しいじゃん! 濃いんだけど、なんかあっさりしてる感じ!」
P「豚骨だけじゃない……魚介系か? 本当、ラー油以外は甘みが強くて意外と食いやすいな」
貴音「ええ、沖縄そばももともと豚と鰹のだしで作っているお店が多いんですよ」
貴音「今回はらあめんらしく濃厚な豚骨スープに、たっぷりの鰹だしのスープを直前で合わせてみたのです」
真美「ん……こっちのかまぼこ、これって何? 緑っぽいよ?」
響「フーチバーだぞ! ああー、本当に懐かしい感じがする!」
美希「ふーちばーって何なの?」
P「ヨモギのことだな。普通のとヨモギを練りこんだの、二種類のかまぼこが乗ってるらしい」
貴音「その分くせも強く、かなり好みが分かれると聞きますが……響、どうぞ」コトッ
P「ん、これは?」
響「生のフーチバーに、コーレーグースまで……!? ううう、貴音! 愛してるさー!」
貴音「響……! 愛している、などと……!」
真美「こ→れ→ぐ→す?」
P「ああ、これがそうか……何でも島とうがらしを泡盛に漬け込んだものらしい。沖縄そばの店には付き物らしいが」
貴音「ええ、人を選ぶものですから……なので今回のらあめんではあえて間接的に使ってみたのです」
貴音「とはいえやはり、響には本来のものも味わえるようにと」
響「うおお……沖縄に帰ってきたみたいさー!」
真美「……」クンクン
真美「うええ……真美、これだけは本当に無理っぽい……」
P「ああ、無理せずやめとけ。俺もこれはちょっと苦手だったよ」
真美「麺もモチモチしててあんまり伸びないからいいけど、もうお腹いっぱいになってきたよ→」
美希「ミキ、もう口の中ピリピリで食べられないの……」
貴音「美希」
美希「貴音……辛いの苦手だとどうしても無理って思うのな…・・・」
貴音「そんな美希には特別に、このようなものを」コトッ
美希「え……?」
美希「これ、おにぎり!? 形はちょっと違うけどおにぎりなの!」
貴音「ええ、スパムおにぎりです。焼いたスパムをご飯に乗せ、のりで巻いたものですね」
美希「あむっ……ジューシーで、辛さも気にならない……!」
美希「ミキ、これだったらラーメンもまだ食べられるの!」
P「とんでもない食欲だな……真美は無理しないでいいぞ?」
真美「……」
P「真美?」
美希「おにぎりにラーメン……この組み合わせは有りだって思うな!」ムチーン
貴音「ふふ……気に入ってもらえたようで何よりです」タプーン
真美「……」ナデリナデリ
P「真美、どうした?」
真美「兄ちゃん……真美、向こう側に行けるように頑張って食べる!」
真美「真美は成長期なんだかんね! うおおおおっ!」ズズズズズ…!!
P「おいおい、本当に無理だけは……」
クッ!!
P「ん?」
美希「お腹いっぱいで眠いの……あふぅ」
真美「く……真美だって、真美だって来年の今頃は……むねん」ガクッ
P「何やってるんだか……まあとにかく、新装開店のメニューとしてはインパクト抜群でよかったんじゃないか」
貴音「ええ。ですが復帰したからには、来週に向けてすぐに準備を始めなくてはなりません」
P「えーと、春香・やよい・雪歩、それに響ラーメンがこれで完成か。次は誰だっけ?」
貴音「あなた様、お忘れですか? 次は>>60ですよ」
P「……」
千早「……」
P「なあ、千早? 俺何か気に障ることしたか?」
千早「……何もありません」
P「じゃあ何でそんなに不機嫌なんだ? 今回は千早ラーメンだぞ?」
P「やよいラーメンの時はあんなに夢中になってたじゃないか」
千早「ラーメンについて認識が変わったのは確かですが……何も今週にやらなくても……くっ!」
P「何を気にしてるか知らんが……ほら、腹いっぱい食べて機嫌直せよ」バサッ
亜美「兄ちゃん遅い! 亜美もうお腹ペコペコだYo!」
千早「亜美?」
P「おいおい、先に入ってるのは新パターンだな。どうしたんだ?」
亜美「だって先週は真美だけ食べたらしいじゃん! 亜美もラーメン食べたいもん!」
亜美「それに、真美に聞いたよ。お姫ちんにミキミキ、ひびきん……あのむっちむちぼで→の秘密はこの店にある! って……」
亜美「でも今日は千早お姉ちゃんかあ……帰ろっかな→」
千早「どっ……どういう意味よ! くぅっ……!」
P「おいおい千早……何も本当に涙目になるほどショックを受けんでも……」
千早「四条さ……」
貴音「?」タプーン
千早「くっ……! 四条さんに私の気持ちはわからないわ!」
貴音「おや……嫌われてしまったでしょうか……」
P「まあ意地になってるから仕方ない。このまま溝を深めるよりも、早いとこ千早ラーメンを出してやってくれ」
貴音「かしこまりました……では」バサッ
P「アイドルは体型や体調の管理も仕事のうちだからな、変に食べ過ぎて太ったり調子を崩されても……」
亜美「兄ちゃん兄ちゃん」
P「何だ?」
亜美「千早お姉ちゃん、またダメ→ジ受けちゃってるんでない?」
千早「体型の管理……くっ!」
P「千早……あのなあ、そう悪い方悪い方にとるんじゃない。お前はお前で」
千早「どうせ私は四条さんたちとは違います……そんなに食べたら、きっと私の場合ウェストがバストを超えてしまうんだわ……くうっ……!」
P「これは重症だ……」
亜美「噂に聞く千早スパイラルというやつですな→」
貴音「お待たせ致しました……あの、よろしいでしょうか?」
貴音「いえ……では召し上がれ」コト
P「……んん?」
亜美「ええ→!? 何これ、麺だけしかないじゃん!?」
P「汁なしのあえそば……? いや、タレすら入ってないな」
千早「……」ガタン
P「お……おい、千早?」
千早「四条さん……あなたは高みを目指そうともけして人を見下したり、侮辱したりしない人だと思っていました……」
千早「でもこれは! これはひどすぎるでしょう!?」
貴音「というと?」
千早「馬鹿にして……! どうせ私はこのラーメン……いえ、ラーメンですらないメンと同じで足りないものだらけ! 貧相な女……そう言いたいんでしょう!?」
千早「嘘! じゃあこれは……!」
貴音「ですから千早。これは、これだけでらあめんとして完成しているのです。足りないものなど何もない」
千早「え……?」
亜美「うっそ→? 麺しかないのに?」
P「まあ確かに、白っぽいのと黒っぽいのの二色で変わってるとは思うが……」
貴音「わたくしを信じて、食してみてはもらえませんか?」
千早「……」
千早「……いただきます」ズッ…
千早「……!?」
亜美「ええーっ!? うん、やっぱ麺だけだよね? 何コレ、すっごい美味しいじゃん!?」
P「ああ。それも、ちゃんとスープと搦めて食べているような味がする……」
千早「四条さん、これは……?」
貴音「千早。わたくしから見た千早という人間は、一言で言うなら求道者なのです」
貴音「何事もただひたすらに打ち込み、洗練し、磨きこむ……その姿は高みを目指すわたくしにとって憧れですらあると言えましょう」
貴音「では、その千早をらあめんで表すならどうするか……それはらあめんの、らあめんたりえる所を突き詰めることだと考えました」
貴音「らあめんとは自由なもの。味も具も形も様々で、温度やスープの有無すらも自在」
貴音「その中で唯一変わらない、らあめんたらしめているもの……それが麺」
貴音「そこで千早らあめんは『麺だけで完成しているらあめん』を目指したのです」
貴音「ええ……白い麺には丸鶏でとったスープを、黒い麺には黒酢をあわせた醤油だれを練り込んであります」
千早「それだけじゃないわ。それだけだと、こんなに香ばしい匂いは出せないはず」
貴音「さすが千早、お目が高いですね……その通り。茹で上がった麺に鶏油を搦めてあるのですよ」
亜美「チーユ? 何それ?」
P「鶏の皮なんかからとった油だな。旨みと香りが良くて、ラーメンだと仕上げの香味油によく使われてる」
亜美「へえ→……でも、本当にこれだけでラーメンっぽくなるんだね」
千早「……」
千早「四条さん、ごめんなさい!」
亜美「千早お姉ちゃん!?」
千早「四条さんがそこまで私のことを評価して、考えてくれていたなんて……何も知らずにひがんだ自分が恥ずかしい……!」
千早「食べてみてわかった……本当に、これを私をイメージして作ってくれたのなら!」
千早「誇りに思う! それくらい美味しいラーメンだったわ!」
P「……そうか?」
千早「……えっ」
P「確かに千早ラーメンはよくできてると思うが……本当にこれで完成してると言えるのか?」
亜美「なになに!? ど→ゆ→ことなのさ兄ちゃん!?」
千早「そうです! これだけ美味しいラーメンなのに、いったい何を……」
P「見た目だよ」
貴音「……」
P「確かに味は凄く良かった……二色の麺は珍しいし、興味も引かれると思う」
P「だが、汁なしどころかタレも具もない。そんな麺だけを出されて、それを完成したラーメンだって思えるか?」
千早「それは……」
P「現に俺たちも貴音に「信じて食べてみてくれ」と言われなければ食べなかっただろう」
P「この地味な見た目で『アイドルの千早』をモデルにしたラーメンとして、番組のコーナーを飾れるのか?」
千早「プロデューサー、そんな言い方って……!」
亜美「そ→だよ! 兄ちゃんだってびっくりしてたじゃん!」
貴音「……ふふっ」
千早「し、四条さん?」
亜美「お姫ちん、どうしちゃったの? どっか具合悪くなっちゃった?」
貴音「ふふふ……あなた様には敵いませんね」
貴音「ご指摘の通り。このままでは千早らあめんはらあめんとしては成立しても、店のメニューとしては成立しないでしょう」
千早「え……ええっ!?」
亜美「あれ? じゃあもしかして」
貴音「ええ、メニューとしてのらあめんには加えるものがあるのです」
亜美「あっ、今度はタレっぽいのがかかってる?」
千早「それに茶色っぽい粉が……何かしら?」
貴音「ふふ、麺によく搦めて召し上がれ」
千早「ええ……では」ズズッ
亜美「わ……!? さっきより香ばしい!」
千早「本当……それに、鶏の味もさっきよりはっきりしている……」
P「おお……これはネギ油に、それに鶏を粉にしてるのか……!?」
貴音「そこで……たれに見えるのは先ほど麺にあえていた鶏油で細かい青ネギを炒めたもの」
貴音「かかっている粉は鶏そぼろをふりーずどらいし、粉状にしたものなのです」
P「あくまで鶏の味を強めただけってことか……」
千早「プロデューサー、これなら……!」
P「ああ、ネギの色も加わって見た目も格段に良くなった。これならメニューとして通用するだろう」
亜美「自分でこうやって混ぜて食べれる方が楽しいしね→」
千早「ラーメン……本当に奥が深いものなのね」
貴音「千早、らあめんの世界はまこと広いものですよ。興味を持っていただけたのなら、今後とも麺や貴音をごひいきに」
千早「う……体型維持は大丈夫かしら……ええ、考えてみるわ」
P「千早の機嫌もすっかり直ったみたいだな。よかったよかった……って亜美、どうした?」
亜美「な→んか納得いかないんだよね」
亜美「千早ラーメンって麺だけで完成なんでしょ? でもそれだけはメニューにできないってことは」
亜美「やっぱり千早お姉ちゃんって地味で物足りないってことになっちゃうんじゃないの?」
千早「!?」
貴音「麺だけでも千早らあめんが完成しているのは確かなのです。けれどもさらに美味に、さらに華やかになれる」
貴音「つまり、完成されていても成長の余地があるということですよ」
千早「なるほど……私も足りないとばかり思って見ているのでは駄目ね……!」
千早「私は私で完成している……そして、まだまだ成長できる!」ガタン
千早「四条さんありがとう! 私、もっと頑張れる……こうしてはいられないわ!」バサッ
貴音「またのご来店をお待ちしています」ペコ
亜美「な→んかうまいこと言われただけな気がするんだけど」
P「千早も意外と単純だよな」
P「おいおい貴音、一度に持ちすぎだぞ!」
貴音「あなた様……早く食材を運び込んでしまいたかったもので」
P「ラーメン好きなのはいいが、お前は料理人じゃなくてアイドルなんだからな。その辺りには気を遣ってもらわないと困るぞ」
貴音「はい……肝に銘じておきましょう」
P「にしても、今回も大量に仕入れたな……次は誰の番だっけか?」
貴音「>>100ですよ」
P「お……」
真「へへっ、おはようございまーす!」
貴音「開店前に並ばれているとは……麺や貴音も有名になったものですね」
P「というか真、次はお前だって誰に聞いた?」
真「え? 次ってボクだったんですか!? やっりぃ!」
P「お前……知らないのに開店前から並んでたのか!?」
真「いやー、だって春香の時以来じゃないですか! みんなから話聞いてたらもう一度食べたくなっちゃって!」
貴音「ふふ、そこまで賞賛されるとわたくしも意気が高まるというものです」
貴音「真らあめん、期待していただきましょう」
P「真、誰か一緒に並んでたのか?」
真「え? いえ……ボクはずっと一人で待ってましたけど……」
P「ふーん……」
P「よーし、それじゃあ一名様ごあんなーい! 今日は開店前から並んでくれたサービスで、貸切にするかあ!」
P「内側から鍵かけちゃうからもう誰も入れないなー! 真だけの特別メニューだもんなー!」
真「すごい待遇ですね……でもプロデューサー、なんでそんな大声で」
「待って! 閉めるの待ってくださぁい!」
雪歩「お、お邪魔しますぅ……」
真「どうしたのさ雪歩、そんなに縮こまっちゃって」
雪歩「あの……その……」
貴音「雪歩」
雪歩「ひゃいっ! ごめんなさいごめんなさい! ダメダメでごめんなさい!」
真「雪歩、ちょっと落ち着いて! カウンターの下に潜らないで!」
貴音「雪歩……謝ることなどありませんし、怒ってもいません」
貴音「前の店のことなら、雪歩の犬嫌いは重々承知ですし」
貴音「伝えたはずですよ? 雪歩には芯のある強さがあるのですから……もっと自信を持つようにと」
雪歩「四条さん……はい、ありがとうございます!」
真「うわ、中華鍋とおたまの使い方かっこいいなあ……」
雪歩「うん、本当に中華の料理人みたいだね」
P「ああ、二人とも中華鍋使ってる時にはいなかったか。他の週だと結構使ってるんだが」
P「練習の甲斐あってもう手馴れたもんだな。後姿が様になってるよ」
真「うん……なんていうか、女の子っぽい料理上手とはまた違った感じで憧れるよね!」
雪歩「料理人っていうか、職人さんって感じかな?」
P「貴音もすっかり気に入ったようでなー、本人に言ってやってくれ。相当喜ぶぞ」
真「はい! でもいい匂いがしてきたなー、ゴマの匂いかな? 香ばしくって」
雪歩「ん……あれ? でも何か、鼻にしみるような匂いも……」
貴音「お待ちどう様です」ドンッ
P「おおっ! これはド迫力の坦々麺だな!」
真「え、これ坦々麺なんですか? 真っ黒で全然赤っぽくないですよ?」
雪歩「んっ……でも、しみるくらい匂いが……! 辛そうです……!」
貴音「黒ごま坦々麺というものですね。もちろん真らあめんというからには、それで終わるつもりはありませんが。さ、ご賞味あれ」
真「よーし! いっただっきまーす!」ズズズーッ!!
P「うお、最初から舌にビリビリくる辛さだな、これは……!」
真「でも辛いだけじゃないですよ、これ! ゴマの味が濃くって、スープも美味しくって!」
貴音「ふふ……辛味は黒こしょう、コチュジャン、とうがらしと三方向から攻めてみました。最初も後からも、飽きない辛さが味わえるはずですよ」
雪歩「し……舌が休まりまひぇぇんっ……」
P「ベースは豚骨スープで、黒ゴマもたっぷり使ってるな。でも、まだ他にもこう、ガツンとくるようなものが……」
貴音「ええ。香味油も黒くなるよう、マー油をあわせてありますので」
真「マー油?」
P「焦がしニンニクで作る香味油のことだな。豚骨ラーメンとの相性が抜群なんだ」
真「へえ……! なんていうか、箸が止まらないですね!」
P「ん、どうした? 真」
真「いえ……自分でも納得はいってるんですけど、やっぱりボクをイメージすると男っぽくなるんだなあって」
P「ん……」
真「イメージカラーが黒っていうのもあるんですけどね、完全に男向けガッツリラーメンじゃないですか」
真「悔しいことに、美味しくてしょうがないんですけどね……ああ、可愛いイメージになりたいなあ」
雪歩「……あれ?」
真「ん、どうしたの? 雪歩」
雪歩「えっと……食べ慣れてきたのかな? なんだか食べやすくなってきて」
雪歩「それに……甘くなってきた?」
真「え? そういえば……!」
貴音「ご名答です」
貴音「実はスープを注ぐ前にテンメンジャンをベースにした甘味噌を丼の底に塗って、火であぶっておきまして」
真「食べてるうちにだんだん甘くなってくるってことか!」
雪歩「凄いです! あんなに辛かったのに食べやすくて、それにもっと美味しく……!」
P「ゴマのペーストもさらに仕込んであったな? だから溶け出すとゴマ自体の香りと甘みも増してるんだ」
貴音「ええ。一見ぼーいっしゅながら、中身は繊細で甘い女性……そんな真を表したらあめんですから」
真「え……」
真「あはっ……やだな、貴音、そんなふうに見てくれてたなんて……」
真「何だろ、嬉しくって……ちょっと泣けてきちゃうじゃないか」グス
雪歩「真ちゃん……」
貴音「これはまた……綺麗に完食してくれたのですね」
真「へへっ、美味しかったし……貴音の気持ちが嬉しかったからね!」
貴音「そういえば開店当初……春香らあめんもスープも残さず完食してくれていましたね」
真「あはは……美味しくってついね。アイドルらしくないけどさ」
貴音「いえ……らあめんを作る者にとって、綺麗に空になった丼は幾千の言葉よりも心に響くのです」
貴音「真……わたくしのらあめんを食してくれて、ありがとう」
真「や、やだなあ! そんなに深々と頭下げられたら困っちゃうよ!」
真「こっちこそ、美味しくて素敵なラーメンをありがとう……貴音!」
P「ん……おい、雪歩? お前、何か目が……」
雪歩「真ちゃんっ!」ガタンッ
真「うわっ!? 何、どうしたのさ雪歩?」
雪歩「真ちゃんが可愛いこともかっこいいことも、私が一番知ってるんです……四条さんよりも、ずっと……!」ズイ
真「ゆ、雪歩……?」
雪歩「だから私、真ちゃんに合う服! たくさん用意してきたんです!」ズズイ バサッ
雪歩「前の放送の時はかっこいいのメインだったから! 真ちゃんのかっこよさを生かした可愛いのもいっぱい!」ズズズイ バササッ
真「ちょ、雪歩!? そんなのどこに今まで……」
P「まさか……あの時隠れてたのは店に入りたかったんじゃなくて、真を狙ってたのか……?」
雪歩「そんなの関係ありません! ほらほら真ちゃん、このブラウスどうですか!?」
真「ちょっと、雪歩やめ……うわっ!? どこ触って、やめ! 脱がすな引っ張るなぁ!?」
雪歩「メイド服とかも意外といけるんじゃないですか!? 私自分で作ったんですぅ!」
真「う、うわああ!? 誰か止めて! 助けてーっ!?」
ドスン バタン ガッチャーン!! パリーン
貴音「……さて、来週の開店は」
P「……諦めろ」
≪おしまい≫
ちょっと長くしすぎたか……
これで6人、まだ半分もいってないな。
ありがとうございました。
他はまたいずれ。
だがこんな時間に書いた事は許さない許されない
Entry ⇒ 2012.07.04 | Category ⇒ アイマスSS | Comments (0) | Trackbacks (0)
美希「いつか、星の海で」
――PM23:50
美希「あふぅ…もうこんな時間なの」パラッ、パラッ
美希「美希も、こんな小説みたいな恋愛したいの…」パタン
美希「…ハニー…」
窓の外を見る。今日は、朝から雨。…ねぇ、ハニー?美希のハートも、雨模様なの。
美希「明日は、晴れるといいな」
美希「…おやすみ。ハニー」
――765プロ事務所
美希「おはよー!なの!」ガチャッ、バタン
P「おぉ、美希!おはよう!」ニヤニヤ
美希「?」
今日のハニー、何かヘン。すっごく機嫌がいいの。
美希「おはよ、ハニー。どうしたの?そんなニヤニヤして」
P「ふっふっふ。驚くなよ?美希…」ゴソゴソ、
美希「?」キョトン
P「これを見ろ!」バッ
美希「なになに?」チラッ
美希「…」フムフム
美希「っ!」
美希「ハニー!これ、ホント!?」
P「あぁ、ホントだ!やったな!海外での写真集撮影だ!」
美希「ミキの…ミキだけの写真集…」
そう。今回は、ミキ一人だけの撮影。嬉しいの!
美希「…ねぇ、ハニー?」チラッ
P「ん?何だ?」
美希「ハニーも…来てくれるんだよね?」
P「もちろん!俺は美希のプロデューサーだからな」
やった!美希とハニー二人きりの海外なの!
美希「えへへ…ハニー?」ギュッ
P「ほら、そんなにくっつくなって」
もうっ!ハニーのニブチン!
美希「むっ!そんな事言うと、もっとくっついちゃうよ?」ギュー
ハニーとの海外…すっごく楽しみなの!でも、やっぱり今日も…雨模様。
P「ははっ。現金なヤツだなぁ…」ナデナデ、ナデナデ
美希「ミキ、いつも頑張ってると思うな」プクー
P「そうかぁ?」ナデナデ
美希「そうなの!そんな事言うハニー、嫌い!」
美希「…でも」
P「でも?」ナデナデ、ナデナデ
美希「ハニーのなでなでが気持ちいいから、やっぱりスキ!」
――PM16:30
――ザー、ザー、パシャパシャ、
美希「はふぅ。雨、止まないね」チラッ
P「そうだなぁ。昨日から、ずっと雨だからな。お天気娘の美希も、さすがに気が滅入るか?」
美希「お天気娘って…。ハニー?オジサンみたいなの」クスクス
P「ははは。俺もそんなに若くはないからな」
美希「そんな事ないよ?ハニーはカッコいいの!」
運転するハニーの横顔は、いつ見てもカッコいいの…。
P「ははっ。ありがとな?」ナデナデ、
美希「ハニー?なでなでするのもいいけど、ちゃんと運転してね?だって明日は…」
明日は、ハニーとの海外。今から、楽しみなの!
美希「そうなの♪だから、安全運転だよ?ハニー」クスクス
P「わかったわかった。大事なお姫様も乗せてる事だしな」チラッ
美希「…ばか」
自然にそんな事言うから、みんなスキになっちゃうの。自覚してる?
美希「…はぁ…してないの…」ボソッ
P「ん?何か言ったかー?」チラッ
美希「ニブチンなそこの人には、関係ないの」ムスッ
P「おっ?久しぶりに聞いたな。ソレ」
――PM19:45
美希「じゃあハニー、明日は一度、事務所に行けばいいんだよね?」
P「おう。事務所前から、タクシーで空港に向かうからな」
美希「ふふっ。早く、明日にならないかなー!」
P「明日には、この雨も止むだろうしな」
美希「明日、晴れればいいね!」
P「そうだな。じゃあ、美希。明日な?」
美希「うん。じゃあ、おやすみ。ハニー」
P「おやすみ。美希」ガチャッ、バタン
――ブーン
美希「…」フゥ...
ハニー、行っちゃった…。
――PM23:50
美希「…」パラッ、パラッ
美希「…」パラッ、パラッ
美希「…ふぅ」フゥ...
――ザー、ザー、バシャバシャ
美希「…」
美希「うそつき」
雨、止みそうにないの。いつになったら、止むのかな。
美希「…寝るの」パタン
読んでた本を閉じて、枕元に置く。ミキ、読みかけの本は、近くに置いとかないと落ち着かないの。
美希「…」チラッ
――ザー、ザー、バシャバシャ
美希「…」
美希「…おやすみなの」
――海外の空港
美希「ハニー!着いたのー!」ピョンピョン、ピョンピョン
P「ははっ。落ち着け、美希。みんな見てるぞ?」
――ガヤガヤ、ガヤガヤ、
美希「いいの!だって、知ってるヒトいないし!」ピョンッ、ギュー
P「ははっ。お前はそういうヤツだったな…」
美希「…ねっ!ハニー?」ギュー
P「ん?どうした?」ナデナデ
美希「あふぅ」ウットリ
美希「って、違うよ!ハニー?スタッフさんとかは?」
P「あぁ、その事か」
P「いない」
美希「えっ?」
P「だから、いない」
美希「…えっ?」
P「あっ、部屋は別々だからな?」
美希「…むっ。そこも俺、が良かったの」ムスー
P「ははっ。カンベンしてくれ」
美希「…でも、ビックリしたの。全部ハニーがしてくれるんだね!」
ミキ、ビックリはあんまり好きじゃないけど、今みたいなビックリは好きになれそう。
P「あぁ。だから、ありのままのお前を見せてくれよ?」
美希「うん!」
日本と違って、グアムは晴れ!ミキのハートは…晴れになるかな?
――PM16:00
P「じゃあ、美希の部屋は俺の隣だから。なんかあったら、携帯に電話くれ」
美希「撮影はいつするの?」
P「もう夕方だし、軽く海岸を歩こうか。衣装はトランクに入ってるから、好きなの着ていいぞ?」
P「そうそう。夕陽が綺麗みたいだから、夕陽に映える衣装がいいかな?」
美希「ハニーのリクエストだね?ミキ、オシャレするの♪」
P「期待してるよ。じゃあ、用事が出来たら電話してくれ」
美希「わかったの!じゃあ、また後でね?ハニー!」ガチャッ、バタン
美希「~♪」ゴソゴソ、
ハニーと二人きりで海岸を歩く。楽しみなの!
美希「どんな洋服があるのかなぁ…」ゴソゴソ、ゴソゴソ
トランクを開けてみる。あはっ!色んな洋服があるの!
美希「ふふっ。ハニーって、ほんとピンクと黄色が好きなんだね」クスクス
見ると、ピンクと黄色の洋服が気持ち多めに入ってるの。
美希「…う~ん。あはっ!うん、これにするの!」
ミキが選んだ洋服。それは
P「あいつ、嬉しそうだったな…」
美希の笑顔は、人を幸せにしてくれる。それは、俺も例外じゃない。だからこそ、
P「意識、しないようにはしてるんだけどな…」
でも、やっぱり、
P「意識、しちゃうよなぁ…」
美希の笑顔は、俺を幸せにしてくれる。
――ダイスキーハーニィー♪
P「おっ?もしもし?ん、わかった。じゃあ、部屋の前で待ってるから」プツッ
さて、行くか。
美希「…どう…かな?」チラッ
P「美希…お前、それ…」
あはっ!ハニー、ビックリしてる!でも、当たり前かな?
美希「あはっ!ビックリした?そうなのっ♪ハニーと二人きりでしょ?だから、ね?」チラッ
P「…じゃあ、行くか」
美希「むっ!ハニー、照れてるのー♪」タッタッタッタッ
ミキの服はね?あはっ!『プロデューサー』が初めてミキに買ってくれたご褒美の洋服!
美希「ねぇ、ハニー?」トテトテトテ、
P「ん?何だ?」パシャッ
二人で海岸を歩く。時々、ハニーがミキを撮ってくれる。…あはっ!何だか、変な感じ。
美希「晴れて、良かったね」トテトテトテ、
P「そうだな。外は夕陽が傾いてきたけど、夜空も綺麗そうだし」
時々、美希を撮る。ファインダーの中の美希は、笑顔だったり、少し物憂げだったり。俺に、色んな表情を見せてくれる。
美希「…」ギュッ
P「美希?」
美希「…」ギュー
P「…写真、撮れなくなるぞ?」
美希「いいの…」
P「…」
美希「…ミキが、プロデューサーって呼んで…どう思った?」
傾きかけた夕陽が、最後に美希を照らす。
美希「ねぇ、プロデューサー」
P「…」
美希「ミキが、ハニーって呼んで、どう思った?」
少しずつ、夕陽が落ちて、
美希「ねぇ、ハニー」
P「…」
美希「次は、何て呼べばいいの?」
夕陽が完全に傾いて、少しずつ、星が出てきた。
美希「…ミキね?知ってるよ」
P「何を?」
美希「ハニー…ううん、プロデューサー」
美希「無理、してる」
P「なんで、そう思う?」
美希「だって、ミキもだから」
P「えっ?」
美希「ミキも、無理してるから」
…言っちゃった。でも、もう無理なの。ごめんね?ハニー。
美希「あのね?ミキはスキだよ。プロデューサーの事」
美希「いつもプロデューサーはミキを子ども扱いしてるけど」
プロデューサーって言葉が、痛い。ミキに本気でそう呼ばれたのは、いつ以来だろうか。
P「暗く…なってきたな」
美希「誤魔化さないで」
海のような星空で…星が、泣いていた。
美希「ねぇ、プロデューサー。このまま、ハニーって呼んでいいの?」グスッ、
P「…」
P「なぁ、美希」
美希「なに?」
プロデューサーが、空を見る。ミキも、つられて空を見る。
美希「…綺麗なの…」
星の海。星がいっぱいで、海みたいなの…。
P「美希は、さ」
美希「うん?」
空を見上げたままのプロデューサー。
P「俺には、眩しすぎるんだよ」
美希「…えっ?」
俺は、砂浜に寝転がり、星空を見つめる。
美希「…何が怖いの?」ストン
その横に、美希が座った。ははっ。まるで、デートみたいだ。
P「星って、いつかは消えるだろ?雲に隠されたりして」
美希「…」
P「だから、美希もいつかは俺の前から隠れるんじゃないか…違うな。この場合は、いなくなるんじゃないか」
P「そう、思い始めちゃったんだよ」チラッ
美希「…ハニー…」
ミキを見たハニーの顔。いつものハニーとは違う、ミキに見せたことの無い顔。
美希「…いいの」ボソッ
P「えっ?」
ハニーがそんな顔をするなら、ミキも見せてあげる。ハニーが、見たことの無いミキの顔。
――チュッ
P「みっ、美希?」
美希「ちゃんと、見てた?」スッ
P「えっ?」
美希「なら、もう一回。ちゃんと、見ててね?」
美希「…ちゅっ」チュッ
P「美希…」ギュッ
美希「…あはっ。何だか、恥ずかしいね」
だって星は、空があるから光って、輝いて、眩しいんだから。
美希「やっぱり、これからもハニーって呼ぶの」
美希「ハニーには、ミキが着いていないとダメダメなの」クスクス
P「…美希」ギュー
美希「…あはっ!やっと気付いたの?ミキの大切さに♪」クスクス
P「あぁ。気付いたよ。気付けた」ナデナデ、ナデナデ
美希「ほんと、ハニーはニブチンだね」
美希「ハニーがいてくれるからなんだよ?だからミキは、キラキラでいられるの♪」
P「じゃあ、俺がもっとキラキラさせてやらないとな」ナデナデ
美希「今頃気付いたの?あはっ!ほんと、ミキがいないとダメダメなの」
P「ダメダメ言うなよ…」
美希「…あはっ!じゃあ、もっとミキをキラキラにさせてね?」ナデナデ
P「…あぁ。約束する。あの星みたいに、美希をキラキラさせる」
美希「…」
美希「…じゃあ、約束」
P「約束?」
美希「うん」
P「…どういう意味だ?」
美希「ミキ、もっとキラキラになるから、だから…」
美希「たくさんのキラキラ…たくさんのアイドルたちがいる中で」
美希「たった一人の、ミキを見付けて」スッ
――チュッ
美希「…いつか、星の海で」
P「…見付けたよ、美希」
美希「…あはっ!見付かっちゃったの」
P「お待たせ、美希」
美希「…うん。すごく、すっごく待ったの」ムスッ
P「じゃあ、行こうか」スッ、ギュッ
美希「うん!ねぇ、ハニー?」ギュッ
美希「…いつか、ミキ言ったよね」
美希「…ミキを見付けてって」
P「あぁ…言ったな」
美希「見付けてくれて、ありがとう」
美希「…だから、また約束」
美希「今度は、幸せを見付けていこう?」
美希「二人の、星の海で」
よかった……バッドじゃなかった……
乙
Entry ⇒ 2012.07.03 | Category ⇒ アイマスSS | Comments (1) | Trackbacks (0)
末原「みんなー!たけのこの里、買ってきたでぇ!」
恭子「な、なんですか代行……」
郁乃「え~、そんなめんどくさそ~な顔しないでや~」
恭子「してませんって……で、用件はなんですか」
郁乃「部内で食べれるお菓子買ってきてほしいんよ~」
恭子「お菓子……ですか」
郁乃「あま~くて食べやすいもんでえ~から~」チャリン
恭子「はぁ……わかりました」
郁乃「おねがいな~」フリフリ
恭子「私の好きなもんでええんですよね?」
郁乃「うん~ええよ~」
恭子(麻雀中に食べれるお菓子……いや、休憩中に食べれるお菓子やろし、どれでもええなぁ)
恭子(ん、あれは……)
恭子「なんやと……たけのこの里が、半額や!!」
恭子「じゃあ、キノコの山はどうなんや……?」チラッ
恭子「あかん、増量してるだけで値段は変わっとらへんな……」
恭子「でも、これは買いやなぁ……」
恭子「うん、決めた…これでええやろ」ポイポイ
恭子「量も多いから、いつもより多く食べれるでー」ポワポワ
恭子「すんません代行、今もどりましたー」
郁乃「お~おっかえり~」
郁乃「で、なに買うてきたん?」
恭子「これです」ドサッ
郁乃「……これ、買うてきたん?」
恭子「半額でしたんで」
郁乃「……そう」
郁乃「あ、ひ~ろ~ちゃ~ん~」
洋榎「なにか用ですか?」
郁乃「恭子ちゃんから差し入れ~」
洋榎「お、ほんまですか」
郁乃「せやな~」ニコニコ
恭子「みんなー!たけのこの里、買ってきたでー」
姫松一同「………」
絹恵「え、えと……せんぱ……」
洋榎「恭子、それなんや」
恭子「え、どう見てもたけのこの里やん…安かったんやでー」ニコニコ
洋榎「……」
漫「……はぁ」
恭子「え……あれ?」
洋榎「うちらのこと侮辱しとるんか?自分」
恭子「そ、そんなこと……」
絹恵(みんなきのこ派なんやった……居辛いわ)
洋榎「たけのこでも……?」ピクッ
洋榎「あんなぁ、なんでうちらがたけのこの里なんか食べなあかんねん」
由子「せやーせやー」
洋榎「んなもん食うぐらいなら、死んだほうがマシや」
恭子「え…な、なんでや……」
洋榎「うちだけやないで」
漫「すんません、うちもちょっと……」
由子「うちもいやなのよー」
絹恵「……」
郁乃「……」ニヤニヤ
洋榎「せやから、うちらはそれ食べへんで」
恭子「で、でも…美味いやろ……」カタカタ
洋榎「んなもん、きのこに比べたらゴミクズ同然や…はよ、そのゴミどけとけや?練習できんやろ」ゲシッ
恭子「ぁ…」ポロ…
洋榎「それ、処理し終わるまで外でとけや」
恭子「は、はい……」ポロポロ
恭子「うう……」グシグシ
カリッ
恭子「美味しい、やないか……」モグモグ
恭子「でも……あかん、これ…10箱ぐらい買ってきたんやから全然減らへん……」
恭子「うぐっひっく……」ポリポリ
絹恵(先輩……)
俺がいますよ
ほら、一箱よこせよ・・・
恭子「……」ポリポリ
恭子「……はぁ、お腹いっぱいや」
恭子「はぁ……メゲるわ」ポリポリ
恭子「うちが、なにをしたんや……」ポリポリ
恭子「そういえば、主将、前はたけのこも食べてたはずなんやけど……」ポリポリ
恭子「うぅん……」ポリポリ
恭子「二箱目、終わったなぁ……」
恭子「つらいなぁ……」
絹恵「……先輩」
恭子「…っ!?」
恭子「な、なんや…絹ちゃんか」
絹恵「うちもそれ、食べてええですか?」
恭子「せ、せやけど……」
絹恵「ええんや、うちたけのこ派やから…へへ」
恭子「……あと八箱あるんやけどや」
絹恵「か、買いましたねぇ……」
恭子「部員の全員分やからなぁ……ははは……」
恭子「入部した時は、たしかに食べとったなぁ」ポリポリ
絹恵「でも、主将になった途端……」
恭子「……せやなぁ」
絹恵「なんでやろ」
恭子「……わからへんなぁ」
恭子「……っ、代行でしたか」
絹恵「えっと、どうしたんですか?食べます?」
郁乃「一つもらうわ~」
郁乃「うん、美味しい」
恭子「そうですか……」
郁乃「そういえば、知っとる~?ここの伝統~」
絹恵「……?」
恭子「エースを中堅に据える。じゃないんですか?」
郁乃「それもやけど~別のことなんよねぇ~」
恭子「……別のこと?」
郁乃「そやなぁ、調べれば情報がでてくると思うんやけど~」
恭子「……そですか」
郁乃「そやよ~」
恭子「お、おつかれさまでした」
絹恵「でした」
恭子「……伝統か、中堅以外にもあるんやな」ポリポリ
絹恵「初耳や」ポリポリ
恭子「なんにせよ、調べてみる価値はあるで」ポリポリ
絹恵「うちも、手伝いますよ」ポリポリ
恭子「うん、助かる……」ポリポリ
絹恵「言わんといてください……」ポリポリ
恭子「せやな……」ポリポリ
絹恵「んー、過去の部の資料とかないんやろか」ポリポリ
恭子「資料かぁ」ポリポリ
絹恵「うちもや」
恭子「あと六箱……やなぁ」
絹恵「結構量もありますなぁ」ケフッ
恭子「半額やったんで、買ってしもうた」
絹恵「なるほどなぁ」
恭子「とりあえず、資料とやら、探して見ましょうや」
絹恵「あいあいー」
絹恵「見事に当たってます……」
恭子「せやなぁ……なんかええのあらへん?」
絹恵「見つからんですねー」
恭子「んー、ハズレやろか……ん?」
恭子「過去の部員名簿や」
絹恵「ふむふむ……」
恭子「なんやこの欄は……派閥?」
絹恵「あ、これ……」
恭子「なんか見つけたんか?」
絹恵「二年前のお姉ちゃん、たけのこ派や」
恭子「なんやて!?」
絹恵「なんやて……」
郁乃「うふふ~半分ぐらい正解かな~」
恭子「代行……仕事は……」
郁乃「いいの~いいの~」
郁乃「それで、ここのもうひとつの伝統は」
恭子「……ゴクリ」
絹恵「もう一つの、伝統は……?」
郁乃「次期主将が、前主将の好みを受け継ぐとかなんとか」
「「へ?」」
郁乃「きのことたけのこの、どっちかをうけつぐの~」
恭子「そ、そういうことでしたか」
絹恵「そんなシステムが……」
これは許してはならない
郁乃「善野っちが言うには、同じ派閥の子が優先して次期に選ばれるらしいわ~」
恭子「なるほど、だいたいわかりました」
絹恵「お姉ちゃん……」
恭子「我慢なんてしてて、楽しいんでしょうかね、主将」
郁乃「ど~やろなぁ~」
恭子「少なくとも、うちはつまらないですね。生粋のたけのこ派なんで」
絹恵「うちもや」
恭子「ふふ……いっちょ、目を覚ましたろうやないか」
絹恵「あいさー」
恭子「洋榎、おるんやろ!!」
たけのこ派の運命や、いかに!!
末原大戦犯先生の次回作に乞うご期待
恭子「……なに言うとんの?」
郁乃「えへへ~」
恭子「とりあえずは……たけのこの里を消費しちゃいますか」
絹恵「せやなぁ」
郁乃「うちも食べるでー」
恭子「……太りますよ」
郁乃「それはいややわぁ」
絹恵「カロリー気にしなくていいならずっと食べてたいなぁ」ポリポリ
恭子「せやなぁ…」ポリポリ
郁乃「ふぇぇ~…二人ともまだ若いんだしいいじゃない~」ポリポリ
絹恵「結構腹にたまるなぁこれ……けふぅ」
恭子「うちこれで四箱目やで……」ポリポリ
絹恵「ご苦労様です……」ポリポリ
郁乃「うちももう一箱いかなあかんの~?」ポリポリ
恭子「たかが一箱や、問題ないやろ」
郁乃「ひどいわぁ~涙が出ちゃうわ~」ポリポリ
絹恵「はいはい」ポリポリ
洋榎「はぁー……」
洋榎「なんや、こないなところで騒がしい……邪魔したわ」
恭子「まちーや」
洋榎「……っ!」ピクッ
恭子「主将もひとつどうです?」スッ
恭子「それは、本心なんか?」
恭子「本心やったら、止めたりせーへん」
洋榎「う、うちは……」
洋榎「うちは、この看板背負っている間はきのこ派でいないとダメなんや……」
恭子「前代に任されたからですか」
洋榎「……」
絹恵「今のお姉ちゃん、らしくないで?」
絹恵「あの頃のお姉ちゃんはどこいってしまったん?」
洋榎「絹……」
郁乃「うふふ~」
洋榎「でも…いまうちが崩れたりしたら、部全体の崩壊につながるんや」
恭子「だからって、きのこに魂を売るように自分を押し殺すんですか?」
洋榎「……ッ!」
恭子「わからへんよ……でも、こんなうちでもわかることはあるんや」
恭子「今日、たけのこの里を罵倒する時、めっちゃ苦しそうな顔してたやん」
洋榎「……ッ!」
パシン!
恭子「つぅ……図星、なんやな」
洋榎「違う……うちは、うちは……」
恭子「素直になるんや」ギュッ
洋榎「っ……」
洋榎「きょう、こ……」
恭子「部の雰囲気だって、ゆっくりと変えていけばええ」
恭子「伝統だって、壊してしまえばええんや」
洋榎「……うん」
恭子「……ほれ、落ち着いたやろ?」
洋榎「うん」
恭子「たけのこの里、おいしいで?」スッ
洋榎「……」ポリッ
洋榎「うん、おいしい……」
恭子「あはは、買ってきたかいがあったわぁ」
洋榎「ひどいこと言って、ごめんな?」
恭子「いつもお世話になってるし、問題なしや」
洋榎「ふふっ…ありがた山の、とんびがらすやな……」
洋榎「ほんま、ありがとな」
おわり
すばらでした
Entry ⇒ 2012.07.03 | Category ⇒ 咲-Saki-SS | Comments (0) | Trackbacks (0)
ゴルゴ13「・・・・・・・くねくね・・・・・・・・・・?」
社長「そっ、そうです! ミスター東郷・・・・・・・」
社長「あなたにあの忌まわしい化け物の狙撃を依頼したいっ!」
シュボッ
社長「奇妙な依頼であることは承知の上です、しかしっしかし・・・・・奴にひと泡吹かせられる人間はあなたしかいない!」
ゴルゴ「・・・・・・・・・・・・・」
田んぼにある白くて揺れてるカカシみたいなの
小学生が双眼鏡でのぞいてそのあと気が狂った
グぐれば出る
遠くに見える白くてくねくねした謎の物体
双眼鏡などで実体を見た者の精神を崩壊させるので正体はわからない
社長「山や田畑にあらわれ、見たものは気が違ってしまうという・・・・」
社長「それがくねくねなのです・・・・白くてくねくねしている、それだけしか・・・・・ゆえにやつの写真などは、ない・・・・」
ゴルゴ「それが、あんたの会社の裏金すべてを注ぎ込んで俺に依頼する、それほどの相手なのか」
社長「!! なっ、なぜそれを!」
ゴルゴ「・・・・・名も知らぬ依頼人のところへいきなり出向くほど・・・・俺は自信家じゃ、ない・・・・」
社長「うう・・・・!」
ゴルゴ「特に、職と人生を賭してまでの依頼としてはな・・・・・」
社長「わ、わかりました、すべてをお話しします・・・・奴にやられたのは私の・・・兄なのです!」
社長「幼いころ、くねくねを見てしまった兄は、それ以来廃人同然なのです・・・・わたしは奴が憎い!」
社長「兄の気が違ってしまってから私は、その一念で必死に金を貯めました・・・・ようやく一企業の社長にまでたどりつき、いくらかの金を動かせるように」
ゴルゴ「・・・・・・・・・・」
社長「しかしそれでもあなたへの依頼金相場には程遠い・・・・私はなんでもやった・・・・汚職につぐ汚職です、次の決算で私は解任・・・この工場も人手にわたる・・・」
社長「やつに対抗できるのはあなたをおいて他にない! たのむ、引き受けてくれゴルゴ13!!」
ゴルゴ「・・・・・・話はそれだけか・・・・・」
ゴルゴ「この話はなかったことにしてもらおう・・・・・」
ゴルゴ「俺は・・・・依頼人の嘘を許したことは、ない・・・・・」
社長「わ、わたしは嘘などついていませんっ!」
ゴルゴ「『知っていながら言わないこと』を、俺は嘘とみなす・・・・・」
社長「う・・・・」
ゴルゴ「これ以上を言わせる気なら・・・・・帰らせてもらおう・・・・・」
クルッ
社長「まっ、待ってくれミスター東郷! 確かに私には言っていないことがある・・・」
社長「前任者・・・・・私はあなたの前に一人の狙撃手をやといました!!」
社長「これが、今の彼の姿です・・・」
ピッ
イワノフ「あはははははははははははははは」クネクネクネクネクネクネ
社長「兄と同じです・・・・彼はおそらく、くねくねを補足した、しかし・・・・・」
ゴルゴ「・・・・スコープを覗いてしまった」
社長「そ、その通りです・・・・」
ゴルゴ「・・・・まだ、ある・・・」
社長「そ、それは・・・・」
ゴルゴ「死を決めた人間の目には独特の光がやどる・・・・・もっともそれは俺にはどうでもいいことだ・・・・・入金を済ませてもらおう」
社長「で、では!」
ゴルゴ「確認次第、『前任者』の失敗した村へ向かう・・・・・以上だ」
スタスタ・・・・・・
社長(恐ろしい男だ、ゴルゴ13・・・・それでも私は、罪を犯しすぎた・・・・・・あの世で待っている、兄さん)
ガチャ ターン
ブロォオーーーー
地元爺「ん、みかけん車だな」
婆「ちょっと前にもへんな外人がきたけんの」
爺「民宿のほうへ向かうだぞ・・・・・」
婆「ろくなことになんね、そんな気がするだ」
爺「ご住職に相談しておくべえか?」
婆「なまんだぶなまんだぶ」
民宿 未亡人
ゴルゴ「予約した東郷だ」
女将「へいへい・・・・宿帳に記入しておくんな」
サラサラ
女将「デューク・東郷・・・・・へえ、雑誌ライターさん? こんな村に何のおもしろいもんもないよ」
ゴルゴ(・・・・・・・・・・・・・・やはり)
ゴルゴ(イワノフの名前が消されている・・・・・・)
女将「部屋はつきあたり、晩飯は7時でいいね?」
ゴルゴ「ああ、世話になる・・・・」
ゴルゴ(・・・・・!)
ガラッ
ゴルゴ「庭にいるのは誰だ」
??「・・・・・・・・・」
ゴルゴ「出てこなければ人を呼ぶぞ・・・」
ガサガサ
青年「へ、へへっ、すまねえすまねえ、そうカッカするなって・・・やっぱり都会の人はかんがいいやな」
三下青年「お、おれあ、そこに住んでる三下雑魚男ってんだ、村じゃ三下の雑魚でとおってる」
ガシッ
ゴルゴ「何の用だ」
三下「いっ、いてええ、はなしてくれっ!」
三下(こ、この都会もんすげえ力だ・・・・!)
三下「いて、いてて! 勘弁してくれって旦那!」
三下「めずらしく余所から人が来たから、つい気になってきちまってよ・・・・」
ゴルゴ(・・・・・)
三下「まったくつまんねーところだよ、じじばばばっかりだし、消防団の寄り合いしかオヤジどもには楽しみがねえ・・・そう睨むなって」
ゴルゴ「妙だな・・・少し前に、うちの会社のカメラマンが一人きたはずだが」
三下「あ、ああ、あの外人さんのことかい?」
ゴルゴ(・・・・・・・やはりイワノフはきていた・・・・)
ゴルゴ「奴はどこへ消えた?」
三下「さあね。ここの連中はしけた野郎ばっかりだからな! 居づらくなって帰ったんじゃねえのかい? あんたもすぐにいやになるぜ、こんな何もないところ」
ゴルゴ「・・・俺には仕事が、ある・・・・」
ゴルゴ「三下とかいったな・・・・・このへんに村を見渡せる高台はあるか?」
三下「あ、ああ、お寺さんの境内あたりが写真をとるにはいいんじゃねえか。ちょうど山のなかっぱらでよ! へへ、へへへ」
三下(こいつはおもしろくなってきやがったぜ! この旦那にはりついてりゃきっと面白いことがあるにちげえねえぜ!)
トイレの花子さんやさっちゃんと比べると怖さが微妙だよな
舞台が田んぼなのも怖さ半減だよな
その二つは特にネタの舞台が近いからだろうな
とくにさっちゃんなんかは会話のネタにしただけで足切断しにくるとかヤバすぎだし、その辺は今の鹿島さんシリーズに継承されたんだろうな
三下「おう、どうせ退屈してんだ! かわりに今日は都会の話を聞かせてくれよ、いいだろ? 晩飯のあとに地酒持ってくるからよ、へへへ」
ゴルゴ「・・・・じきに日もくれるからな・・・」
三下「へへ、じゃあそういうことでたのむぜ旦那、へへ」
~一方、村長屋敷~
村爺「・・・・と、まあそんな風体のカミソリみてえなするどい目つきのおとこで・・・」
村爺「民宿に泊まって、三下と村のあちこちを歩き回っておりやす」
村長「うむ、よく知らせてくれた。しかしあの三下の若いのにも困ったもんだ」
爺「おっしゃる通りでがす。畑にもようでらんで、まるで今はやりのニートでがす」
村長(前回のこともある・・・・消防団をすぐに集められるようにしておくか・・・・)
村長(本寺から、『あの方』もよんでおくのがよかろうな・・・)
爺「村長どん、どんかしやしたでがすか?」
村長「い、いや、なんでもない。消防団長のダン吉に声をかけて、いつでも男数を集められるようにしておいてくれるか」
爺「わかりやした、帰りにでも寄っておきやす」
コンコン
女将「お客さん、晩飯だよ。今日も山の幸ばかりでもうしわけないけど」
ゴルゴ「・・・・・・」モグモグ
女将「・・・・こういっちゃなんだけど無口なんだねえ、雑誌記者さんてのはそんなんで務まるのかい?」
ゴルゴ「・・・・・・」モグモグ
女将「ま、まあいいよ、こういい食いっぷりだと、あたしも久々に腕の振るいがいがあるよ・・・」
女将「そ、その、お酌でもしようかい? 客はあんただけだしさ」
スッ コポコポ
ゴルゴ(・・・・・) グイッ
女将「いい飲みっぷり、・・・死んだあたしの亭主にも毎晩こうして酌をしたもんさ・・・な、なにいってるんだろうね、湿っぽい話しちゃって、ごめんよお客さん」
この三つが示す展開は・・!!
ゴルゴ(・・・・・・・・・・・ジロッ) 目から妊娠ビーム
女将「あっ、ああ・・・・お客さん、今夜だけでも、あの頃の気分にさせておくれえっ~~~っ!」
ゴルゴ「・・・・・・・・・・・・・」パンッ パンッ
女将「おおおお、~~~~~!あんた! あんた! ! おぉ~!」
>>84
>>85
>>86
シュボッ フ----------ッ
女将「すごいよ、自分の体じゃないみたい……」
ゴルゴ「・・・・・・・ひとつ、聞きたいことがある」
ゴルゴ「イワノフもここへ来たのか?」
女将「!!」
女将「荷物をおくなり、山へ行っちまって・・・・あの人、宿帳も日本語で書けなくてさ」
ゴルゴ「・・・・・そうか・・・・」
ゴルゴ(・・・・・イワノフの件に女将はからんでいない・・・・・・・)
女将「すぐにいなくなっちまって、宿代も払わずにさ。いい迷惑だったよ」
ゴルゴ「うちの『前任者』の不祥事だ。奴の金は俺がはらっていく・・・」
女将「もうもらったよ・・・お釣りがでるくらいにさ・・・・///」
ゴルゴ「・・・・・・」
ゴルゴ(・・・・)ムクッ
ゴルゴ(三下の言っていた高台・・・・・・・・)
ゴルゴ(おそらくはイワノフの狙撃地点でもあったはず・・・・・・・)
カシャ
カシャンッ
ジャキッ
ゴルゴ(・・・・行くか・・・・・)
??A「待てよ、こんな時間にどこ行くだ?」
ゴルゴ(・・・・・・・・待ち伏せか)
ゴルゴ「・・・・・取材だ・・・・」
消防団A「おまえに好き勝手されるわけにいかねえ」
消防B「おめがへんなうごきしたら、止めるように村長さんにいわれてるだ」
C・D・E「おとなしく袋叩きにあうだ!! しねえ!!」
ウオオオオオオオオオオオ
ドカ
A「ぐえっ」
バキ ビシィッ
B「うわわわ~~~!!」
C「ぐほっ」
ボキッ
メメタァ
D・E「ぎゃああ~~~~っ!」
陰でみている三下(すげえ・・・・・・やっぱり俺のみこみに間違いはなかったぜ!!!!!)
~寺社 高台~
三下「旦那っ! 待っていましたぜ、へへ!」
ゴルゴ「・・・・・・・・・」
三下「やつらを一瞬でノシちまうなんて、やっぱり旦那だ! ここで旦那がなにかやるのはわかってたんだ、へへ! ぬけがけはなしだぜ!」
ゴルゴ「・・・・・・・・あれだ」
三下「んっ!? 夜は明け始めたけど良く見えねえな・・・なんだあのくねくねしている・・・・」
??「そこまでだ」
ゴルゴ(!!)
??「破ぁーーー!!」
ゴロゴロ
??「かわすとはな・・・・生きている人間にこれを撃つ時があるとは・・・・・むっ!」
ズキュズキューン ズキューン
??「破ぁ!!」
チュイーン
ゴルゴ(・・・・・・・・・・!)
三下「な、なんだあいつ・・・銃弾を気合いではじきとばしやがった!!」
T「殺生の道具で俺は倒せん」
ゴルゴ「・・・・・・・・・・」
けど熱いな
クネクネクネクネ
T「あんなものに銃を向けちゃいかん・・・・・・おまけにあんたも呼ばれているだろう」
ゴルゴ「・・・・・・・・」
T「 『死神』 と・・・・」
ゴルゴ「くっ・・・・・・・!!」
T「今日・・・あるべきところに帰るのは、あのくねくねじゃない・・・あんた自身かもしれないぜ・・・ミスター・ゴルゴ・サーティーン」
三下「ゴルゴ!? あの旦那が裏世界では最強と表世界で言われているゴルゴ13だったのかい?!」
ゴルゴ(・・・・・・・・!!!!)
ゴルゴ「く・・・・!!」
ズキュン!! ズキューン !!
T「効かぬ! 破っ!!」
チューン チュイーン・・・・・
ゴルゴ(・・・・・・・!)
三下「駄目だ! 旦那の弾は気合いで全部はじかれちまう!寺生まれはつよすぎる!!!」
T「終幕だ・・・生きた死神・ゴルゴ13・・・ぬううううううう・・・・・破ぁぁぁぁあああああああああああああああああああああーーーーーーーーーーーーっ!!」
女将「あんたーーーーーーーーーー!!」
なんなんだよこれ!!
T「なに!?」
T(民宿の女将さん・・・・・・!? いかん、制御が間に合わん!)
女将「あの人は殺させないよーーーっ!!」
三下「女将さん! 旦那ーっ!!!」
ゴルゴ「任務・・・・・・・遂行・・・・・・・・!」
ズダダダダダダダダダダダダダダダ
T(いかん!せめて軌道をまげて女将をまきぞえから救わねば・・・・・ぐ!?)
T(不覚! 弾を食らった・・・・・!)
ゴルゴ「目的の違いだ・・・・」
三下「ああっ!! Tの放った光弾が・・・・・くねくねに向かっていくぞ~~っ!!」
ゴルゴ「・・・完了・・・・」
ドオ・・・・・・・ン
三下(追い詰められたふりをしたのも、Tの意識を女将さんにそらしたのも)
三下(すべてはTにくねくねを倒させるためだったんだ!)
ゴルゴ「終わりだ」スタスタ
T「ま、待て、ゴルゴ13・・・・おまえの目的はくねくねを狙撃することではなかったのか・・・・おまえのすべての動きは・・・・・」
ゴルゴ「・・・・・・・・・・俺自身が、スコープなしのアーマライトカスタムで奴を・・・・くねくねを撃つことも不可能ではなかった」
ゴルゴ「・・・・・が、より性能の高い武器があればそれを選ぶ・・・・・それだけだ」
T「しかしおまえは、現に俺に消滅させられるところだった・・・あれも演技だったというのか」
ゴルゴ「・・・・・・・」シュボッ
ゴルゴさんかっけー!
三下(なんてことだ・・・や、やつは化け物だっ)
T「ふむ。今ここで闘えば、ゴルゴは倒せる・・・しかしその意味も今はなくなってしまったようだ・・・・マッチ一本火事の元」スタスタ
GもTも去った
後には三下青年の死体だけが残された
無駄に詳しかっただけにオチで消される
この運命から逃れられず彼の死体はさいとうたかを流に黒くなっていた
くねくねが消滅したかどうかは、誰にも確かめようがなかった 完
SS初めて書いたけど難しいな
普段散文しか書かないからきつかったわ thx
けどこういうキャラは最後には死ぬのがゴルゴなので殺した 罪悪感はない
乙
Entry ⇒ 2012.07.03 | Category ⇒ 版権物SS | Comments (2) | Trackbacks (0)
黒井「生レバーが……終わってしまった」P「そうですね」
黒井「そこのレディ。生レバーをひとつ」
店員「申し訳ございません。生レバーは取り扱いできなくなりましたので……」
黒井「そ、そうだったか……ではユッケを……」
P「黒井社長……!もういい……!もう休んでください……!」
冬馬「まぁさくらユッケでも食って元気だせよ」
黒井「馬は好かん」
翔太「せっかく冬馬君が気を使ってあげてるのに……」
北斗「やれやれ。重症だな」
黒井「禁止されるなどあってはならない……」
黒井「あってはならないことだ!」
P「俺が引き抜き!?」黒井「ウィ」
P「冬馬が765プロに?」黒井「ウィ」
P「冬馬はどんな女が好みなんだ?」冬馬「そうだな……」
P「今日真美と亜美の誕生日なんだよ」冬馬「へぇ」
P「ピジョンの次なんだっけ?」北斗「コダックですよ」
冬馬「寿司食いに行かね?」P「いいな
P「そういえば律子も二十歳になるんだよな」黒井「ほう」
P「法律で決まったんだから仕方ないでしょう」
冬馬「そんな言うほど美味いか?あれ」
翔太「僕生肉はあんまり好きじゃないなー」
黒井「美味いから売れるんだろう!この馬鹿共が!」
北斗「まぁまぁ……ほら、お酒きましたよ」
黒井「フン……」
黒井「大体生レバーを禁止するなら何故刺身も禁止しない!」
黒井「これは不公平ではないのか!」
P「荒れてるなぁ」
冬馬「嫌な時に来ちまったぜ」
P「飲みに行くのは大歓迎だけどな」
店員「申し訳ございません……もう品切れになってしまいまして……」
黒井「ふざけてるいのか!店長を呼べっ!」
冬馬「おい!いい加減にしろよおっさん!」
P「あ、君もういいから。生中ふたつお願いします」
店員「は、はい……」
翔太「せっかくのんびり焼肉できると思ったのになー」
北斗「まぁそう言うなよ。これもう焼けてるぞ」
翔太「ありがと北斗君っ!」
黒井「生レバーが食べたい……ごま油と塩と生姜をつけてセレブにいただきたい……」
冬馬「ズルッと……」
P「気持ち悪いからやめろ」
北斗「どんな手を使うつもりだったんです?」
P「響のペ」
冬馬「それ以上いけない」
翔太「洒落になんないよそれ……」
P「やっぱりそうか……少しくらい分けてくれないかと思ったんけど」
冬馬「少しでも肝臓とったら牛も死んじまうだろ……」
P「うーんどうにかならないものか」
北斗「レバー焼けましたよ社長」
黒井「生がいい」
P「子供かこの人は……」
冬馬「次何頼む?」
翔太「バラとマルチョウ!」
北斗「あ、俺もお願いします」
冬馬「俺今日はいいや」
翔太「クロちゃんは?」
黒井「生レバー」
冬馬「もうないって言ってるだろーが!セレブなら1回で覚えろ!」
黒井「!!!!」
黒井「……何もいらん」
P「あーあスネたよ」
翔太「冬馬君が怒鳴るからー」
冬馬「な、なんだよ俺のせいかよ……」
北斗「まぁそれなりには」
P「……俺は~~だ」
北斗「厳しいですね……俺達は~~でしたよ」
P「」
翔太「プロデューサーさん!そのチヂミもらっていい?」
翔太「あれ?なに固まってるの?」
北斗「俺達の給料に衝撃を受けたらしい」
冬馬「トップアイドルとただのプロデューサーじゃな」
P「お、俺だってアイドルいっぱい掛け持ちしてるのに……」
北斗「悲しい現実ですね」
翔太「例えば?」
P「カニとかどうだ」
黒井「カニはいいぞ。セレブの嗜みだ」
冬馬「もう復活しやがった」
北斗「カニですか……しばらく食べてないですね」
冬馬「俺カニ食べたらなんか胸がウッてなるんだ」
P「あぁ、たまにいるな」
翔太「へぇー」
冬馬「嫌いじゃねーんだけどよ……体質なんだろうな」
P「皆は食べたいのないのか?」
翔太「僕今度は回らないお寿司食べたい!」
北斗「誰かが食い倒れてたな」
翔太「そんなマヌケな人いるの?あははっ笑えるねっ!」
冬馬「うるせーな!」
黒井「寿司か……回らない寿司か。セレブだな」
黒井「ネタに生レバーがないのも素晴らしい」
P「それは想像しただけで気分が悪くなりますね……」
翔太「じゃあ?」
黒井「ウィ。行くか……寿司屋へ!」
冬馬「っしゃぁ!大トロ、だぜ!」
P「高級なとこだと海老が美味いんだよ海老が」
北斗「適当に炙ってもらうのもいいですよ」
P「今週ならいつでもいいですよ」
冬馬「んじゃ明日にしようぜ!」
北斗「えらく乗り気だな冬馬」
冬馬「回らない寿司なんて滅多に食えねぇからな」
翔太「僕たちのお給料なら余裕と思うんだけど」
P「給料の話は俺が落ち込むからやめてくれ……」
冬馬「だからあんたも961に来ればいいんだよ。倍は出るだろ?な、社長」
黒井「負け犬脆弱765プロの高木と同格扱いされては堪らんしな」
P「給料が全てじゃないんで」キリリ
冬馬「んな格好つけてるから貧乏なんだよ」
P「くっ……」
北斗「寿司の話してたら、どうでもよくなっちゃったな」
黒井「そろそろ出るか。生レバーの無い店にこれ以上居る気になれん」
冬馬「このままラーメン食いに行こうぜ!」
北斗「俺はもう腹一杯だからパスだな」
P「飲んでも無いのに食後にラーメン食べたがるお前の精神がよくわからないよ」
冬馬「むしろ飲んでから食いたくなる意味がわかんねー」
北斗「さっきまで焼肉食べてたじゃないか」
冬馬「好きなもんは別腹なんだよ」
黒井「バラを食べた後で別バラのラーメンを食べる。バラだけに……どうだ?」
翔太「それギャグでもなんでもないよ」
黒井「そうか……」
黒井「次に来る時までに生レバーを仕入れておけよ」
翔太「もう焼きレバーを生で食べたらどうなの?」
P「流石に危険すぎるな」
黒井「死亡率や発症数で言えば餅のほうが上だろうに哀れな生レバーだ……」
冬馬「餅と生レバーなら生レバーが消えたほうがいいだろ」
黒井「ノンノン。どちらかを禁止にするという発想がナンセンスなのだ冬馬よ」
P「比較したのは黒井社長からなのに」
北斗「しばらくは言わせておくしかないですね」
P「だな」
黒井「そうだな」
P「寿司……寿司か……」
冬馬「おい何考えてるんだ」
P「いや、寿司といえば765プロに……」
北斗「明日は5人で行きませんか?ほら、気楽に」
黒井「どうせ頼む順に文句をつけるような奴だろう。認めんぞ」
P「回る寿司も食べたこと無さそうな子がいたな……」
黒井「連れて来い」
北斗「やっぱり6人がいいですよね」
冬馬「そいつにサーモンの美味さを教えてやるぜ」
黒井「ウィ。胃を洗って待っていろと伝えておけ」
冬馬「こえぇよ……」
北斗「今回は賭けにならないな」
翔太「皆同じ子に賭けるもんねっ!」
冬馬「なら最初に頼むネタでどうだ?」
黒井「いいだろう」
P「俺も参加しようかな」
北斗「被り無しで正解者の分を4人が払うってルールでいいですよね」
黒井「流石に今回は私が払おう。余興として賭けるぞ」
翔太「ネタかぁ……うーん」
P「おはようございまーす」
小鳥「おはようございま……プロデューサーさん……」
P「おはようございます音無さん。どうしました?」
小鳥「昨日焼肉食べましたね?」
P「えっ何でわかったんです?」
小鳥「Nice smell」
P「really?」
小鳥「ya」
P「OH...」
やよい「おはようございますー!」
P「お、来たな!待ってたぞやよい!」
やよい「え?」
P「今夜寿司食いに行こう!」
小鳥「はい!」
小鳥「はい!」
やよい「お、お寿司ってあの1パック980円のあれですか!?」
P「まぁ見た目はそれだな」
やよい「い、行ってみたいかも……!」
P「よし、じゃあ帰りに一緒に行こうな。知り合いも一緒だけどいいか?」
やよい「はい!うっうー!楽しみですー!」
春香「なんの話してるんですか?」
P「ちょっとな。それより相変わらず素敵なリボンだな」
春香「急に変なこと言わないでくださいよぉ!えへへ……」
P「ははは」
小鳥「……」
小鳥「はい!」
真 「ギャピー!マコマコリーン!」
真 「どう?」
雪歩「30点くらいかも……」
真 「キレが足りないのかなぁ。あ、プロデューサー!」
P「おはよう。朝から可愛くなる特訓か?」
真 「はいっ!ここに来る前も可愛いランニングしてきたんですよ!」
P(可愛いにランニングもキメポーズも関係ない気がする)
P「そ、そうか……頑張れよ」
真 「へへっ!応援されちゃったよ雪歩!」
雪歩「よ、よかったね……あ」
雪歩「プロデューサー焼肉食べたんですか?」
雪歩「スンスン……バラ、カルビ、マルチョウ、テッチャン、ツラミ、タンですか。いいなぁ」
P「えっ」
雪歩「今度また私も連れて行ってくださいね!」
P「あ、あぁ……」
やよい「プロデューサー!今日のお仕事なんですか?」
P「あ、えっと今日は……なんだったかな」
律子「今日はレッスンの後ミーティングですよ」
P「そうだそうだ午前中はレッスンだったな!」
律子「しっかりしてくださいよ」
やよい「今日はいつもよりもっとうわ~っ!て感じで頑張っちゃいますー!」
P「気合入ってるな!」
やよい「はい!」
小鳥「お寿司かぁいいなぁ。今日は奮発して100円じゃないお寿司屋さんでも行こうかしら」
伊織「一瞬で数時間吹っ飛んだ気がするわ」
春香「はぁ……帰って勉強しなきゃ……」
真 「げっ!嫌なこと思い出させないでよ春香……」
伊織「普段から勉強してないからこういう事になるのよ」
春香「伊織は余裕そうだね……」
伊織「伊達に生徒会やってないわよ。にひひっ」
律子「それじゃ今日もお疲れ様。気をつけて帰ってね」
P「やよいは俺と一緒だな」
やよい「あ、はい!すっごく楽しみですっ!」
小鳥「……」
P「諦めてください」
小鳥「はい……」
P「んー……まぁやよいなら事前に話してもいいか。961プロだよ」
やよい「くろい……?」
やよい「はわっ!?961プロですか!?」
P「あぁ。たまたま一緒に食事することになってさ」
P「やよいの話をしたら是非一緒に来て欲しいって言われたんだ」
やよい「プロデューサーすごいです!よその事務所と仲良くなるなんて!」
P「はは……」
P「ちなみに他の子達には言うなよ。俺がスパイ扱いされるからな」
翔太「こんばんはー!」
北斗「やよいちゃん、チャオ☆プロデューサーさんもお疲れ様です」
P「俺はついでか……」
冬馬「よう。相変わらずシケた顔してんな高槻は」
やよい「あ、あの!こんばんは!」
黒井「ウィ。では行くか……今日は本当の寿司をその貧相な身体に刻み付けてやる」
やよい「よろしくお願いしますっ!」
P「どこ行くんですか?」
黒井「そこそこな値段の店を見繕っておいた」
翔太「へぇー楽しみだねっ!」
北斗「俺達はもう決まりましたよ」
冬馬「やっぱトロだろ。食ってみたい寿司といえばトロのはずだぜ」
翔太「僕はウナギ!」
北斗「節約家のやよいちゃんだし、俺は玉子にしました」
黒井「私は茶碗蒸しだ」
P「それ黒井社長の好みじゃないですか……」
やよい「なんの話ですか?」
P「あ、いや。好きな魚の話だよ」
やよい「そうなんですか!私は」
冬馬「ウェーイ!ウェイウェイ!」
北斗「ほらやよいちゃん!もうすぐお店だよ!」
やよい「はわっ!私ドキドキしてきちゃいましたプロデューサー!」
冬馬「いかにも寿司屋って感じだな!」
翔太「寿司屋 回らないで検索したら出てきそうなお店だね!」
黒井「紹介ご苦労。では入るぞ」
店員「いらっしゃい!」
黒井「6人だ」
店員「どうぞー!」
やよい「……」
P「どうしたんだ?やよい」
やよい「き、緊張しちゃって……これノレンって言うんですよね?」
P「あぁ寿司屋といえば暖簾だろ。知らないけど絶対そうだ」
冬馬「早く入ろうぜ!」
やよい「は、はい!」
北斗「さて……プロデューサーさん?」
P「あぁ、俺はこれだ!」
北斗「赤出汁ですか」
冬馬「寿司じゃねーのかよ!」
翔太「まぁクロちゃんも茶碗蒸しなんだけどね」
P「家庭的だし味噌汁は基本だろ!まずそっちにいくはずだ」
黒井「考えたな……」
やよい「あ、あのぉ」
P「あぁやよいごめんな。さ、好きなの頼んでいいぞ」
やよい「じゃあ……」チラッ
やよい「!?!?!?!?」
いわし80円 えび250円 サーモン320円 うなぎ400円
P「なんだ?」
やよい「え、えびが1皿250円するんですか!?」
冬馬「1貫の値段だから実質500円だな」
北斗「意外と安めなんですね」
黒井「安くて美味いんだここは」
やよい「2個で500えん……この前買った小麦粉はひとつ30円……」
P「で、どうするんだ?遠慮することはないからな!」
やよい「えっと……」チララ
やよい「じゃあこれ……」
黒井「ガリ……だと……」
北斗「や、やよいちゃん?これ生姜だよ?」
冬馬「それ好きに食っていいやつだから、別で寿司頼むんだぜ」
やよい「私なんかがこんな何百円もするお寿司食べたらダメかなーって……」
いつも頑張ってるから食べてええんや…!
やよい「だって長介達は普通のご飯食べてるのに……」
北斗「長介?」
P「弟だよ。大家族の長女なんだやよいは」
黒井「つまりセレブな私に対しての挑戦状だな」
冬馬「は?」
黒井「その貧相でしょぼくれた顔は気に食わん」ピッ
黒井「あぁ私だ。765プロの高槻やよいはわかるな?」
P「な、何を……」
黒井「家族は何人いるんだ」
P「え、えっとやよい入れて8人だったか?」
やよい「は、はい」
黒井「今居るのは7人だな……特上桶を3。後は適当に頼め」
冬馬「何がよしなんだよ」
黒井「ランクは低いが寿司は寿司だ。今日のところでこれで納得しろ」
やよい「?」
P「宅配寿司ってやつですか?」
翔太「宅配ってたまにチラシ入ってる銀のあれ?」
黒井「ウィ。ここの半額程度だが、まぁ子供だましにはなるだろう」
冬馬「特上って言ってたよな……」ポチポチ
冬馬「うおっ! 1万!?」
P「3万円分か……」
冬馬「つーかこれ全部で15人前だぜ……食えるのかよ」
黒井「足りないよりはマシと思ってな」
店員(いいからさっさと注文しろよ……)
P「やよいの家に寿司が届くんだよ。黒井社長の奢りだ」
やよい「ええ!?そんなの無理です悪いです!」
翔太「いいえ黒井です」
黒井「ぶふぉっ!」
冬馬「悪いは褒め言葉だぜ」
黒井「だ、代金引換だが話は通してある。心配は無用だぞ」
やよい「で、でもぉ……」
P「なぁ特上って何貫入ってるんだ?」
冬馬「45貫って書いてた」
翔太「やよいちゃんより下の子達がそんな食べられるの?えっと」
北斗「135貫だな」
翔太「そうそう。お腹破裂しそうだよ」
P「親御さんもいるし大丈夫かな……」
黒井「貴様がトップアイドルにならない限り一生縁がないものばかりだぞはーっはっはっは!」
やよい「じゃ、じゃあこれ……」
P「いわし?随分渋いな……」
冬馬「一番安いやつじゃねーか」
北斗「関係ないけど、やよいちゃんの食べてみたい魚ってなんだい?」
やよい「ウナギです!」
P「よし、ウナギな」
やよい「あっ!」
翔太「そういえばセットじゃないんだね」
黒井「好きなものを好きなだけ食べるのがセレブだからな」
冬馬「かっけぇ!」
冬馬「俺大トロ!」
翔太「僕もっ!」
やよい「ひ、ひとつ800円ですよ!?」
冬馬「高槻も頼め!おっさんの奢りだ!」
北斗「俺はヒラメとウニと……」
黒井「茶碗蒸しと炙り和牛」
P「イクラとハマチとあと剣先イカで」
店員「あの、お飲み物をまだ伺って……」
P「あ、そうでしたっけ」
北斗「とりあえずの生3つで」
やよい「お茶があるんでいいです!」
P「コーラでも頼んどくか」
北斗「そうですね」
翔太「僕ウーロン茶!」
やよい「で、でも380円もしますよ?特売のケチャップが3本買えて……」
冬馬「んなもんここじゃ誤差の範囲だぜ。俺ハイボール!」
P「バカ!お酒は二十歳になってからだ!」
黒井「さっさと持ってこないか。要領の悪い店員だ」
店員「……生中3コーラ1ウーロン茶1ですね」
店員(こいつらうぜええええええ!!)
冬馬「まぁ寿司なら茶が合うだけマシか……」
やよい「わぁ……ご飯が見えませんよプロデューサー!」
翔太「このウニ誰の?」
北斗「あ、俺だ」
黒井「では始めるか」
P「はい!今日もお疲」
黒井「生レバーの通夜を……」
冬馬「は?」
翔太「へ?」
やよい「なまればー?」
黒井「昨日、私の愛して止まない食べ物がこの世から姿を消したのだ」
翔太「なんか始まっちゃったよ……」ボソボソ
P「まだ引きずってたんだな……」
やよい「プロデューサーなまればーってなんですか?」
P「牛の生きた肝臓のことだよ」
やよい「か、かんぞうって内臓じゃ……あわわ……」
黒井「本日は、ご多用にも関わらず亡き生レバーのためにお集まりいただき誠にありがとうございます」
黒井「生レバーもこのように皆様に見守ら……見守られて……うっ……ぐすっ」
店員(何やってんだこいつら……)
冬馬「な、なぁとりあえず食おうぜ?炙りもんが冷めちまうよ」
黒井「黙れ!私がルールだ!」
北斗「」モグモグ
冬馬「あ、こいつもう食ってやがる」
P「俺達も食べるか」
やよい「いいんですか?」
北斗「いいんだよ。何か頼みたくなったら好きに言っていいからね」
翔太「いっただきまーす!」
黒井「……今日は誠にありがとうございました……」ポロポロ
やよい「はわぁぁ!」
やよい「プロデューサー!ウナギってこんなにジューシーなんですね!」
P「凄いだろ!このイカも半分やるから食べてみろ!」
冬馬「うめうめ」
翔太「ていうかさぁ僕クロちゃんが生レバー食べてるの見たことないんだけど」
P「俺もないな」
やよい「」ポリポリ
黒井「この前の焼肉でも頼んでただろう」
冬馬「あれだろ?ワールドカップの時だけサッカーファンになるようなもんだろ?」
黒井「何を言ってるんだお前は」
やよい「うぅー……ガリって美味しくない……」
冬馬「オフサイド知ってんのかよオラ!にわかばっか増えやがって!」
P「お、落ち着けって」
北斗「次何頼む?」
翔太「僕サーモンにしようかな」
P「ほら冬馬!サーモンだぞ、サーモン!お前もいるか!?」
冬馬「ちっ……俺の分も頼む」
P「どうした?」
やよい「これ食べてみたいんですけど……」
P「おぉイクラか。他に何かあるか?」
やよい「えっと、じゃあ北斗さんが頼んでたあの白いのが」
P「白?ヒラメかな」
北斗「これかい?」ヒョイ
やよい「は、はい」
P「じゃあそれも頼もうな。俺はアナゴとタイで」
黒井「全く少しはジュピターらしく落ち着け」
冬馬「すまねぇ……ついイラっとして……」
北斗「知り合いのお店は今まで通り出すらしいですよ」
黒井「なんだと!」
冬馬「違法じゃねーか」
やよい「んー……」チョロロ
北斗「出すときに各自で焼いてください、と付け加えるらしい」
P「そんな灰色なやり方すぐ行政指導入るだろ……」
やよい「あっ、かけすぎちゃった……」
北斗「つまり絶望的ってことですね」
翔太「生レバーって牛だけなの?」
P「鳥や豚もあるらしいが」
北斗「鳥のほうが危険な気がしますけど……」
北斗「危険なものほど美味しいですよね」
翔太「フグとか?」
黒井「まさに死ぬほど美味いというやつだな」
P「やよいはフグ食べたことあるか?」
やよい「わぁーこぼれそう!あ、すみません何ですか?」
P「いや、楽しんでくれてるようで良かったよ」
冬馬「ま、ねーよな……」
北斗「だな……」
P「ほらやよい次はこれなんてどうだ?」
やよい「イカ明太子ですか?」
P「結構美味そうだろ。二人で半分こしよう」
やよい「はい!うっうー!美味しくて楽しくて幸せですー!」
P「うんうん……あれだよ。最初にフグを獲った翔太が食べて死ぬんだ」
翔太「いきなり死ぬの!?」
P「で、次に腹減ってどうしようもない冬馬が食べるけど中々死なない」
冬馬「嫌な例えだな……」
P「でも途中まで食べて結局死んでしまう。今度は北斗が食べるんだが、ふと考えた」
P「なんで翔太は即死したのに冬馬はしぶとかったのか」
黒井「全てが毒ではないのでは。と思うわけか」
P「はい。そうやって判断していったんだよ」
P「って音無さんが言ってた」
店員(誰だよ……)
北斗「フグ本体よりてっちりの雑炊のほうが好きだな」
P「美味いよなぁあれ……今度行きますか」
黒井「気が向いたらな」
やよい「うんうん」モグモグ
冬馬「しかしこいつも結構食うな」
P「こんな輝いてるやよい見るのは久しぶりだよ」
やよい「えっ?なんですか?」
北斗「なんでもないよ。赤出汁頼んでみる?」
やよい「あ、はい!」
冬馬「癒されるぜ……」
黒井「ウィ……生レバーのことを忘れそうになるな」
北斗「今度はなんだ?」
冬馬「カニを最初に食べたやつってすごくねぇ?」
P「まぁ見た目はキモいよな」
北斗「完全にエイリアンですもんね」
やよい「カニはクモの仲間なんですよ!」
冬馬「はぁ?寝言は寝て言えよ高槻」
北斗「脚が多いのは似てるけど、流石にクモはないと思うよ」
やよい「うぅー本当なのに……」
黒井「本当だぞ」
P「えっ!?」
黒井「タラバさんとクモは遠縁の親戚だな」
店員「マジか……」
冬馬「あ?」
店員「あ、赤出汁とイカ明太子です」
冬馬「じゃあ翔太の代わりに高槻呼んでカニ食いに行こうぜ」
P「いいな」
翔太「嘘!嘘嘘!ほんとはカニ大好きだよっ!」
やよい「あ、カニはたまに食べますよ」
北斗「意外だな……っと失言だったか」
P「カニって高級品じゃないのか?」
やよい「たまーにスーパーに並んでる時に買うんですっ!」
冬馬「へぇ。タラバか?マツバか?カニカマじゃねーだろうな」
黒井「有り得るな」
やよい「セコガニです!一人一匹は無理ですけど、三等分くらいにして食べるんですよ!」
翔太「セコガニ?」
P「聞いたことないな」
黒井「」ブワッ
北斗「ど、どうしたんです社長?」
松葉ガニの雌個体であり、卵や味噌は珍味として親しまれているが身は驚くほど少ない。
値段は1匹500円程度である。ちなみに雄は数千円は普通にする。
黒井「高槻やよい……」
やよい「は、はい」
黒井「必ず最高級のカニを食べさせてやる。家族全員にだ」
やよい「ありがとうございます……?」
P「あの一瞬で何が起こったんだ」
北斗「さぁ……」
黒井「他に何か食べたいものは無いのか?船盛りでもいいんだぞ」
やよい「も、もうお腹一杯かなーって」
黒井「そうか……遠慮など不要だからな」
冬馬「50台のおっさんが中学生に媚びる姿は哀愁漂うな」
P「完全に変質者のそれだな……」
でもこれ三人で分けるくらいならカニカマのほうがマシだよな…
やよい「本当に一杯です!もう一生分のお寿司食べたかなーって!」
黒井「」チョイチョイ
店員「なんでしょ」
黒井「棒寿司2本持ち帰りだ。すぐにできるな」
店員「15分もあればできますよ」
黒井「5分でやれ」
店員「そんな無茶な……」
黒井「」スッ
店員「諭吉殿が2人…!」
黒井「やれるな」
店員「御意」
翔太「このちょっと気持ち悪い感が最高だよね!」
北斗「そういえば酒全然飲んでなかったな……」
冬馬「たまにはいいんじゃねーの?」
店員「ではお会計は……」
やよい「……」
店員「……!」
やよい「……っ!」
冬馬「早く言えよ!」
店員「5万5千100円になりまーす!」
やよい「ゴッ……!?」
P「流石に高い……俺じゃ到底無理だ」
北斗「社長に感謝ですね」
やよい「ごっごごっご」
やよい「5万円……晩ごはん1回が5万円……」フラフラ
店員「こちらが棒寿司になります」
冬馬「なんだこれ」
黒井「貧乏暇なし高槻やよいへの土産だ」
黒井「少しはセレブな気分に浸れるだろう」
やよい「あ、ありがとうございますぅ……」クルクル
翔太「僕たちの分は?」
黒井「甘えるな」
冬馬「ひでぇ……贔屓だぜ贔屓」
P「ありがとうございます黒井社長」
黒井「勘違いするなよ。セレブな私が庶民に施しをしただけだ」
黒井「この私も哀しみを背負うことができた……」
冬馬「覇王にでもなるつもりかよ」
P「いずれ緩和されることを期待しときましょう」
黒井「そうだな……」
やよい「あ、あの!元気出してください!」
やよい「よくわかんないですけど、黒井社長は良い人だからきっと大丈夫ですよ!
冬馬「ぐあぁ!」ガクッ
翔太「ど、どうしたの?急に胸なんか押さえて」
冬馬「お前にはわかんねーのか……あいつの攻撃力が……」
P「オタクは萌え~って言うんじゃないのか?」
冬馬「マジな場面だと、そんなふざけたこと出来なくなるんだよ……」
北斗「スッキリした顔してますよ」
P「憑き物が落ちてるな……」
冬馬「はぁ……いいもん見れた。帰ろうぜ」
黒井「タクシーを2台呼んである。765プロは負け犬らしく二人で帰れ」
P「毎度助かります」
北斗「今日は楽しかったよやよいちゃん」
翔太「今度はまたどこか行こうねっ!」
冬馬「緑の姉ちゃんとか萩原と比べたらお前のほうがマシだからな。歓迎してやるよ」
やよい「私も楽しかったです!またよろしくお願いしまーすっ!」
北斗「おっ久々にガルウィング見たな」
翔太「そういえば今日1回も見てなかったね」
黒井「ではな」
P「お疲れ様でした!皆もまたな!」
北斗「チャオ☆」
なんでコイツら選んだんだよwww
なんとなく合ってるけどさww
やよい「あぁー!!」
P「な、なんだ!どうした!?」
やよい「……お寿司の写真撮るの忘れてたぁ……」
P「しゃ、写真?」
やよい「弟達に見せてあげようと思ってたんです……」
P「なるほど……まぁまた行けばいいじゃないか」
P「やよいがトップアイドルになったら今度は俺が奢ってやるからさ」
やよい「は、はいっ!」
やよい「でもその時は私が出したいかも……えへへ」
P「いーや俺だな」
やよい「私ですー!」
キャッキャ
運転手(うぜぇ……)
P「喜んでもらえて嬉しいよ。また誘えたら誘うからな」
やよい「はいっ!」
やよい「あ、これ黒井社長からもらったものですけど、ひとつ持って帰ってください!」
P「棒寿司か……多分俺だけじゃ食べきれないだろうから、2本ともやよい達が食べてくれ」
やよい「え、でも……いいんですか?」
P「食べたら感想聞かせてくれると嬉しいな。黒井社長にも話しておくからさ」
やよい「じゃあ食べたら電話しますね!」
長介「やよい姉ちゃん!」
やよい「あ、長介。ただいまー!」
長介「今日すごかったんだ!変な人が寿司置いていってさ!金はいらないって!」
長介「あ、ちゃんとやよい姉ちゃんの分も残してるから!」
やよい「えへへ……」
P「姉弟っていいなぁ」
長介「な、何笑ってるんだ?」
P「お姉ちゃん借りて悪かったな」
長介「い、いえ……」
やよい「プ、プロデューサー!」
P「ん?」
やよい「あのぉ……最後に、楽しかったですって意味で」
やよい「えっと……」モジモジ
P「あぁ、久々にやるか!いくぞ、ハイターッチ!」
やよい「ターッチ!」パチン
やよい「いえーいっ!」
P「いやっほーう!」
長介「やよい姉ちゃん!早く入ろうよ!」
P「っと。これ以上弟君を嫉妬させちゃ悪いな。明日に備えてゆっくり休んでくれ」
長介「べ、別に嫉妬なんて……」
やよい「ありがとうございましたー!」
P「ただいまっと」
P「んー美味かったなぁ寿司」
P「なんだか平和な一日だったな……生レバーでひと悶着あるかと思ったが」
P「今度はカニかな……それともフグかな。裏をかいて旅行もいいかもしれないな」
P「音無さんに自慢するのが今から楽しみだ……ん?」ピッ
P「あぁやよいか。えっもう食べてるのか!?さっきお腹一杯って……」
おわり
モスのカルビ焼肉が消えた時も失神しそうになったけど、生レバーの知らせには眩暈がした。
食べた人以外にも被害が拡散する恐れがあるし、ちかたないよね。ちかたない……。
支援ありがとうございました。お疲れ様でした。やよい可愛い
961とPが終始綺麗なまま…だと?
ともかく面白かった、乙
やよいはかわいいなあ!
Entry ⇒ 2012.07.03 | Category ⇒ アイマスSS | Comments (1) | Trackbacks (0)
あかり「みんなが大好き」
結衣「なんでまた…」
京子「まあいいじゃん」
京子「ってことでジャンジャン書いて入れてってね」
ちなつ(好きなタイプは?っと…)カキカキ
ちなつ(これを結衣先輩が引いたら…)
(結衣『好きなタイプ?もちろんちなつちゃんだよ』キラキラ)
(結衣『おっとこれじゃ好きな人になっちゃったね』キラキラ)
ちなつ(なんてことになったりして!キャーどうしよう♪)
あかり(みんなのことがもっと知りたいなぁ♪だから…うん!たくさん入れとくよぉ♪)カキカキ
あかり(あ、あとこれも書いてみようかなぁ♪)
結衣(話題って言ってもなあ…)
結衣(無難に夏休みとかにしとくか。もうすぐだし)カキカキ
京子(って言っても大して無いんだよね)
京子(まあいいや、適当にミラクるんっと)カキカキ
京子(あとは…ちょっと真面目に将来の夢でも入れとくか)カキカキ
京子(あかり用にこれも入れとこっかな)ポイッ
京子「ということで一人ずつ引いてこっか」
京子「じゃあまずはあかりから!」
あかり「わぁい楽しみ♪」ガサゴソ
あかり「えいっ。えへへ、なんだろぉ♪」ピラッ
クーポン券
あかり「ちょっとぉ!京子ちゃんでしょこれ!」プンプン
京子「よかったなあかり!それがあるとスーファミが安く買えるんだぞ!」
あかり「いらないよぉ!って言うか今さらスーファミって!」
京子「まあ期限切れてるけどね」
結衣「何人が知ってるんだろうね、あのクーポン券…」
ちなつ「どうなんでしょうね…」
京子「じゃあ最後は私だね」
京子「とりゃっ」バッ
あなたにとって私って何?
京子「なんだこれ…あかりっぽい字だけど…」
あかり「あ、昨日のテレビで言ってた言葉なんだけどね」
あかり「よくわからなかったけどすごく耳に残っちゃって」
あかり『あなたにとって私って何なのよ!』
あかり「ってすっごく怒ってたんだぁ」
あかり「で、なんとなく入れてみたんだけど…」
結衣「よくわからないけど私たちにとってのあかりについて話せばいいのかな?」
あかり「…!それだと恥ずかしいからみんなにしようよ!」
あかり「みんながみんなにとって何なのか、紙に書くって言うのはどうかなぁ?」
ちなつ「いまいちわかってないけど…とりあえずやってみます?」
京子「んじゃまあ書いてみますか、5分くらいでいいよね」
結衣(うーん、まずはあかりから…)
結衣(まあ幼馴染みで大丈夫)カキカキ
結衣(ちなつちゃんは…)
結衣(後輩だけだと冷たいかな…)
結衣(でもそれ以外になぁ…、可愛いって付けとけばいっか)カキカキ
結衣(京子…?京子はなんだ…?)
結衣(幼馴染み?親友?なんか違う気がするなぁ…)
結衣(家族…?いや近い気がするけどなんか恥ずかしいし///)
結衣(やばっ!時間ないし!あぁもうこれでいいや!)カキカキ
ちなつ(まずは結衣先輩!)
ちなつ(これはもう王子様しかないわね!)カキカキ
ちなつ(京子先輩は…先輩でいいや)カキカキ
ちなつ(あかりちゃんは…うん、友達で)カキカキ
ちなつ(あぁ…結衣先輩…。大好きですぅ)
あかり(京子ちゃんと結衣ちゃんは幼馴染みだし、ちなつちゃんは友達っと♪)カキカキ
あかり(できたよぉ。えへへ…ん?)
あかり(もしかしてこれじゃすっごく冷たく見える?)アセッ
あかり(どうしよう、たしかに幼馴染みと友達だけど…)
あかり(それだけじゃなくてみんな大好きだし大切だし…)
あかり(うわーん!時間ないよぉ!)
あかり(そうだ!これしかないっ!)グシャグシャカキカキ
京子(あかりはアッカリーンでいいだろ)カキカキ
京子(ちなつちゃんは…やっぱりミラクるん!)カキカキ
京子(結衣は…結衣…?)
京子(結衣はなんだろ?いじるものも無いしな…)
京子(幼馴染みって一言なのもなあ…)
京子(いっか。結衣は結衣で!)カキカキ
あかり→アッカリーン
ちなつちゃん→ミラクるん
結衣→結衣
結衣「!」
あかり「ちょっとぉ!」プンプン
ちなつ「いや正直上二つは予想してましたけど…」
ちなつ「結衣先輩のはどういうことですか?」
京子「ちなつちゃんはミラクるん!ってまでは簡単だったんだけど…」
京子「結衣はなんだろうって考えたら…」
京子「結衣は結衣だ!…と思いました!」ニコッ
結衣「なんだよそれ…///」
京子「照れちゃってー。可愛いなあ結衣にゃん♪」
結衣「照れてる訳じゃなくてさ…///」
ちなつ「そこ!いい雰囲気にならないでください!」
結衣先輩→王子様
京子先輩→先輩
あかりちゃん→友達
ちなつ「キャー♪結衣先輩ー♪」
結衣「あ、ありがとう…」
京子「ちょっとちなちゅー!私はただの先輩なのー?」
ちなつ「はい」
京子「即答!?」ガーン
あかり「あかりもちなつちゃんは一番のお友達だよぉ」ニコニコ
ちなつ「はぁ…本当にいい子だね…」ナデナデ
あかり「えへへ…」ポワーッ
ちなつ「あ…」
ちなつ「ま、まあ…京子先輩にも…色々と感謝してますし…」
ちなつ「ただの先輩ってだけじゃなく…結構…す…す…///」
ちなつ「き、嫌いじゃないですよ!」
京子「……!」
京子「ち、ちなちゅー!私も好きだよー!」ガバッ
ちなつ「す、好きだなんて言ってません!」
結衣「二人は仲良いね」クスッ
あかり「うんっ!あかりも嬉しいよぉ」ニコニコ
ちなつ「違いますってば!」
ちなつ「次いきましょう次!結衣先輩のが見たいです♪」
結衣「私は…」バンッ
あかり→幼馴染み
ちなつちゃん→可愛い後輩
京子→京子
京子「!」
結衣「あかりは大切な幼馴染みだし…」
あかり「あかりも結衣ちゃんが大好きだよぉ」ニコニコ
結衣「ちなつちゃんは可愛い後輩だし…」
ちなつ「可愛いだなんてそんなっ」キャー
京子「ちょっと!なんだよ私のところの『京子』って!///」
結衣「お前も同じことしてただろうが!///」
結衣「家族が近い気がするけど恥ずかしいなとか!」
結衣「そんなこと考えてたら時間なくなるし!」
結衣「ギリギリで出てきたのがこれだったんだよ!」
結衣「で、お前も同じこと書いてるし!」
結衣「うわー恥ずかしいー!」
京子「こっちだって恥ずかしいわ!」
あかり「二人とも本当に仲がいいよね」ニコニコ
ちなつ「そうだね…」ハァ
結衣「大体京子はさ………///」ゴニョゴニョ
京子「それを言ったら結衣だって………///」ゴニョゴニョ
ちなつ「いつまで二人してイチャついてるんですか!」
あかり「あ、えぇっと…うんっ」バンッ
みんな大好き
三人「あぁ…」
あかり「なにその反応!?」
結衣「いや…」
京子「なんというか…」
ちなつ「ねぇ…」
三人「あまりにも納得しすぎて」
結衣「私はあかりらしくていいと思うよ」
京子「うん、あかりっぽい」
ちなつ「これでこそあかりちゃんって感じ」
あかり「よくわからないけど…えへへ、ありがとぉ」ニコニコ
三人「やっぱりいい子だ…」
京子「んじゃ帰りますかー」
あかり「あっ、ちょっといい?」
ちなつ「どうしたの?」
あかり「さっきは書いただけで言えなかったから…」
あかり「あかりはみんなが大好きだよ」
あかり「みんなといるととっても楽しいし…」
あかり「だから…ずっと一緒にいたいって…」
あかり「今がずっと続けばいいなぁって思うんだぁ…」
ちなつ「私はそんなの嫌だ」
三人「!!!」
あかり「……」
あかり「……」ジワッ
あかり「ごめんね…あかりとずっと一緒なんて嫌だったよね…」
京子「……」
結衣「ちょっとちなつちゃ…」
ちなつ「そうじゃなくて!」
ちなつ「私は今がずっと続くなんて嫌だって言ったの!」
ちなつ「……」
ちなつ「私は…ごらく部に…」
ちなつ「最初はただ結衣先輩に会いにきてた…」
ちなつ「京子先輩は苦手…いやむしろ嫌いなくらいだったし…」
ちなつ「あかりちゃんは…なんだこの変な子はって…」
ちなつ「だけど今は違う」
ちなつ「みんなと一緒にいて…みんなのことをたくさん知って…」
ちなつ「私はみんなのことが…このごらく部が…好きになった」
ちなつ「時間が進めば先輩たちは卒業してしまうけれど…」
ちなつ「ずっと一緒にはいれないけれど…」
ちなつ「それでも私は…」
ちなつ「そんな風にこれからも変わっていきたい…」
ちなつ「みんなをもっと好きになりたい…」
ちなつ「前に進みたいって思う」
「…………」
ちなつ「それに…」
ちなつ「ずっと一緒にはいれないって思うからこそ」
ちなつ「私は今を…」
ちなつ「先輩たちのいる今を一生懸命楽しみたい」
あかり「…!」
ちなつ「一緒にいることを当たり前なんて思っちゃいけないって」
ちなつ「こんな風に毎日一緒にいれるってことは…」
ちなつ「とても大切でとても幸せなことなんだって」
ちなつ「だから今を大切にしなきゃいけないんだよ」
ちなつ「いつか別れがあるから…この毎日は永遠じゃないから」
ちなつ「今を楽しんで…そして…前に進まなきゃ」
ちなつ「『今をずっと一緒にいたい』じゃなくて」
ちなつ「『この先もずっと一緒にいたい』って思わなきゃ」
あかり「ちなつちゃん…」ポロポロ
ちなつ「さっき私を一番の友達って言ってくれたよね」
あかり「うん…」グスッ
ちなつ「私だってそう思ってるんだから…」
ちなつ「私だってずっと一緒にいたいって思ってるんだよ」
あかり「ちなつちゃん…」
あかり「ありがとう…ちなつちゃん…」ポロポロ
ちなつ「ほら泣かないの」クスッ
ちなつ「大丈夫だから…」ギュッ
ちなつ「うん…」ナデナデ
あかり「また二人に置いてかれるのが…」
あかり「そしたら…ちなつちゃんもいなくなっちゃうんじゃないかって…」グスッ
ちなつ「大丈夫…先輩たちはあかりちゃんを置いてったりしないよ」ポンポン
ちなつ「ただちょっと前を歩いてるだけ…」
ちなつ「あかりちゃんならすぐ追いつけるよ…」
ちなつ「それに私も一緒なんだから」
ちなつ「二人で一緒に歩こうよ」
あかり「うん…うん…!」
京子「私たちは学年が違うから…」
京子「また離れちゃう時がくるけどさ…」
京子「ちなつちゃんがいるから大丈夫だよね?」ウルウル
結衣「ああ…」
結衣「あの二人ならずっと一緒にいられるよ」ポンポン
京子「よかった…またあかりを置いてくことになっちゃうって思ってたけど…」
結衣「うん…そうじゃなくって…」
結衣「ちょっと先に行って待っててあげるんだ」
結衣「今度は二人を…」
京子「うん…」グスッ
京子「結衣ぃ…」
京子「私たちも…」
京子「私たちも一緒にいられるよね?」ポロポロ
結衣「全く、しょうがないな京子は」クスッ
結衣「当たり前だろ?」
結衣「大丈夫…ずっと一緒だよ」ギュッ
結衣「落ち着いた?二人とも」
京子「うん…ありがと…」グスッ
あかり「うん…」グスッ
ちなつ「まったく、手がかかりますね」クスッ
結衣「本当にね」クスッ
結衣「ちなつちゃん」
ちなつ「はい」
結衣「あかりをよろしくね」
結衣「でもちょっと危なっかしいところもあるから…」
結衣「一緒にいて見守ってあげてほしいんだ」
ちなつ「そんなの当たり前です…だって…」
ちなつ「私とあかりちゃんは一番の友達ですから」ニコッ
結衣「そうだね…ありがとう」ニコッ
結衣「そうだ三人とも」
結衣「今日泊まりに来ない?」
結衣「このまま色々話したい気分なんだけど」
ちなつ「はいっ是非っ♪」
あかり「あかりもたくさんおしゃべりしたいなぁ」ニコニコ
京子「よし!じゃあ今日は朝まで語り明かすぞー!」
『おぉー!』
おしまい
結京ってお互いの関係を書かせたら名前を書きそうだよねって書き始めたのに
なぜかちなつがイケメン化した
本当に4人が純粋に関わればいいよね
Entry ⇒ 2012.07.03 | Category ⇒ ゆるゆりSS | Comments (0) | Trackbacks (0)
王妃「早く来なさい、白雪姫」白雪姫「はい…」
白雪姫「ごめんなさい…」
王妃「ほら、早くここを掃除しなさい」
白雪姫「はい…」
王妃「…」
ジロリ
白雪姫「ビクッ」
ハア…
王妃「あの子ももう16歳…」
王妃「…綺麗になったわね、白雪姫」
王妃「それにあんなに健気でいい子になって…だから余計辛いわ…」
王妃「私は貴方をおびえさせることしか出来ないのが…」
ガックリ
側近「もうしばらくの辛抱でございます」
王妃「そうね、隣国の王子なら、あの子を幸せにしてくれるわ」
側近「王様の手には絶対渡してはなりませぬ」
側近「共に最後まで頑張りましょう」
王妃「…側近、ありがとう。貴方が頼りよ…」
王妃「他でもない…策略結婚よ…」
王妃「『…私と…と結婚しろ…さもなくば戦争だ…』ですって」
王妃「小国の私の祖国と大国のこの国が戦争したら…結果は見えているわ」
王妃「私には…大臣の旦那様と…お腹に赤ちゃんがいた…」
王妃「…結婚するために赤ちゃんは下ろしたの…」
王妃「こうしてこの国と私の祖国は不可侵条約を結んだ…」
王妃「…国民が…私の家族が…これ以上傷つけられずに済むなら…
私がどんな目にあっても良かったわ…」
王妃「この城で…皆から“魔女”と言われようとも…うとまれても」
王妃「ああ…白雪姫…貴方だけはいつも優しかったわ」
王妃「この…血の繋がっていない私をお母様と呼んで…いつもくっついて来て…」
王妃「可愛かったわ…ホントに…娘が出来たみたいで…」
王妃「自分の子とダブられていたのかもしれないけど」
王妃「祖国では夫を裏切り子を殺した罪人、
王宮では魔女と呼ばれる私の居場所は白雪姫の隣しかなかったわ」
王妃「でも…いつまでもそうは出来なくなったわ…」
側近「…王妃様…」
王妃「あのスケベ…あいつ…」
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王『側近よ』
側近『はっ』
王『王妃をどう思う?』
側近『それは大変美しい…と思いますが』
王『ははっ、確かに気は強そうだがね』
王『あれは…前の王妃にうり二つだ』
側近『王様…』
王『でもな…あれは俺には心から笑ってくれん』
王『そっくりだが何かが全く違う』
側近『…』
王『でもな…あれ以上に似ている女を見つけた』
側近『誰ですか!?』
王『白雪姫だ』
側近『…なんですと…!?』
まっさお
王『よく考えれば娘だから似てるに決まっている』
王『あれは…成長したらますます美しくなる…前王妃のように』
王『しかも性格もこの上なく似ている』
王『笑い方も…好きなものも…』
側近『…おやめに…』
側近『…』
王『お前の一族…皆殺しだぞ…』
側近(クソッ、あの時と同じかよ!!今の王妃様の時と…)
王『上手く俺と白雪姫をくっつけろ』
側近『そんな…』
王『そして、年頃の男を一切近づけるな』
王『あれは…そうだな、隠しておこうか』
王『世間には…死んだことにして…な』
王『そして、塔でも立てて、そこに住まわせよう』
王『王妃…あれもついでにサッサと殺せ』
王『あの女が一番たてつくに決まっている』
王『いい加減、あれの国に攻めないのも辛くなってきたのでな』
側近(この外道…!!)
ギリッ
王妃『おや、どうしたの側近?』
側近『いますぐ2人で話したいことがあるのです…緊急事態発生です』
王妃『そ…そう、しばらく1人で遊んでてね、白雪姫』
王妃『どうしたの?そんな顔して?』
側近『王妃様、すみません…』
ガバァ
王妃『ちょ、どうしたの!?顔をあげて、側近』
側近『王様の暴走を止められませんでした』
王妃『へ…?』
王妃『もしかして…また増税したの?民衆はあんなに苦しい生活を送っているのに…』
側近『いえ、増税ではありません』
側近『…そうですが…』
王妃『はぁ…まあいいわ…で、相手は?』
側近『…白雪姫です…』
王妃『…!いま…なんて…?』
側近『貴方が娘のように可愛がっている…白雪姫です…』
王妃『そんな…あの人の実の娘よ!?』
側近『…あの王様は…いえ、あの人は狂っています…』
側近『王様は、姫様を一人占めにしたいがため、世間一般には死んだと公表し』
側近『塔にでも閉じ込めるつもりです!』
王妃『なんてこと…どうすればいいの…』
王妃『…王様を暗殺するわ』
側近『ダメです!!』
王妃『決行するチャンスは…夜、共に寝るとき…』
側近『いくらなんでも無理です!!』
側近『あの人は昔、王子のころ最強の戦士と謳われた男ですぞ!!』
王妃『…』
側近『歳をとったとはいえ…この間の剣の舞を見る限り、腕は衰えておりません!!』
王妃『私だって…全く武芸に通じてないわけではないわ…』
側近『ですが…』
王妃『やるしかないわ…どうせ、あの人は私を殺す予定でしょ?』
王妃『…それに、万が一王を殺せたら…私がこの国の権力を握ることが出来る』
王妃『祖国も…白雪姫も守れる』
側近『でも、王妃様!王様は白雪姫の実の親ですよ!!』
王妃『実の親に犯される方が、殺される以上の悲劇よ』
王妃『別にいいわ…私のことなんて気にしないで』
王妃『迎える結末が悲劇なら…全力で…その結末に抵抗するわ…』
王妃『悲劇を希望にかえれるように』
王『zzz』
王妃(今…眠っている…)
王妃(首を絞めるなら、今)
王妃(殺すなら、今!!)
グッ!!
王『!!』
王『ぐふっ…』
グォン!!
王妃(ぐっ…頭を…殴られた)
王妃(なんて力なの…)
王妃(早く…早く死んで…)
王『ぐ…ぐ…』
ガン!ガン!!
王妃(ダメだ…意識が)
王(いまだ!)
ゴフッ!!
王妃『ぐはっ!』
ガタン!!
王『お前、なかなかやるじゃないか』
王『昔…武芸でもやってたか』
王妃『く…』
王『しかも…俺の足蹴りを食らってもいまだ立っている…』
王妃『…』
チャキ
王『ほう…まだ戦うのか…そんなちっぽけな小刀で…』
王妃『…黙りなさい!』
ブン!!
王『ふん』
スカッ
王妃『逃げるな!!』
ブン!!
王『ホイさっと』
グワン!
王妃『な…腕を掴まれた!?』
ガシィ
王『なかなかの身のこなしじゃないか…』
王『でも残念だったな…俺が相手で…』
王妃『くそっ…』
ギリリッ
王『おーこわっ』
王『そうだ、これ、返してあげるよ』
王妃『へ…?』
グサッ
王妃『…ゴホッ、ゴホッ』
ボタボタ…
王妃(小刀が…突き刺さっている…)
王妃(意識が…)
側近『王妃様がいらっしゃらいので、泣きじゃくってベッドから出てきません』
王『はぁ~…王妃は今地下牢だが…』
側近『昨日から何も食べてはおりません』
王『面倒なことにしてくれたな、あの女…』
白雪姫『お母様…ぐすん…』
王妃(…とうとう幻覚も見るように…もう先は長くないわ…)
白雪姫『お母様…お母様…』
王妃(…)
王妃(本物なの…?)
白雪姫『だから閉じ込められてるって…』
王妃『し…白雪姫…』
白雪姫『私がイタズラしてもいつも許してくれる…』
グズグズ
白雪姫『…確かに罰は受けたりするけど』
白雪姫『何で…そんなひどいことしたの…?』
白雪姫『許してくれないの…?』
ボロボロ
王妃『…それほど酷いことを私はしたのよ』
王妃『まねしちゃだめよ』
ニコリ
グズン、グズン
王妃『ほら、笑いなさい、私は元気だし…』
ズキズキ
王妃『私は…本当に大丈夫よ、それよりどうして貴方はここに忍び込んだの?』
白雪姫『私1人通れるくらいの抜け穴があるの…』
王妃『悪い子ね、こんな危ない所来ちゃダメよ』
王『そうだぞ!』
王妃『!?』
白雪姫『…お父様…どうして』
王『このイタズラ娘!』
白雪姫『ごめんなさい…ごめんなさい…』
ウワアアアン
白雪姫『でもお母様に会いたくて…』
王妃(白雪姫…)
王妃(…王様のあの目…)
王妃(あの表情…あれは娘を見る目なんかじゃない…)
王妃(一人の女を見る目…)
王妃(信じられない…こんな小さな子に…)
王妃(側近から最初聞いた時は正直半信半疑…
きっと側近じゃなかったら信じなかったわ…)
王妃(でも…こうして見ると…ますます真実味を帯びてくるわね…)
王妃(…やっぱり死ねないわ…)
王妃(私の祖国だけじゃない…)
王妃(この小さな…白雪姫が…この男とくっつくなんて…絶対許さない)
王妃(この子を…どうやったら救えるの…?)
白雪姫『…ぐすっ…どういうこと…?』
王『丁度いいね、白雪姫、この女は私の首を絞めたんだよ』
白雪姫『…嘘つかないで…お母様はそんなことしないわ…』
王『悲しいことに…真実だよ』
ハアッ…
王『白雪姫…この女、お前の本当のお母さんに…そっくりだけど…中身はまるで違う』
王『この女はね、魔女だよ』
白雪姫『嘘よ!!お母様はいつも優しかったもん!!』
白雪姫『お母様は…本当のお母様は、この人だもん!!』
王『やれやれ、子どもだから仕方ないか』
王『王妃…白雪姫と会えるのもこれで最後だからな』
ニヤリ
王妃(…考えなさい…何としてでも…)
王妃(この子の未来を守るのよ…)
王妃(…前の王妃と私が似ている…)
王妃(…白雪姫も似ている…)
王『お前はいつもつまらなさそうだ…』
王妃(…私に熱をあげていた頃…そんなことをいっていたわ…)
王妃(…この人は前王妃を溺愛していて…今でも彼女の愛情に飢えている)
王妃(前王妃に似ている私が相手にしなかったばっかりに…
白雪姫に関心がいってしまったのね)
王妃(…最終手段よ…これだけは絶対したくなかった)
王妃(…でももう、こうでもいわないと…それだけ王と溝が出来ている…)
これしか貴方を守れる可能性がないわ)
王妃(私の不甲斐無さに腹が立つ…!最初から…)
ギュ
王妃(私がもっと王様の機嫌をとればよかったのよ…
そうしなかったから白雪姫を傷つける結果になるのよ)
王妃(ああ…神様、白雪姫…私を許して…)
王妃『王様…』
王『ん?』
王妃『王様はいつも私を見てくれないじゃない…』
王『…?』
王妃『私は、私を愛してほしいの!!』
王妃『ああもう!!このガキなんかばっかり見て!!』
白雪姫『へ…?』
王妃『この子がそんなに大事!?』
王妃『ねえ!?私は好かれたかったからこいつと仲良くしてたの!!』
白雪姫『そんな…お母様…うそでしょ…?』
王妃(…ごめんなさい、ごめんなさい…)
ズキズキ
王妃『お黙りなさい!!』
白雪姫『ひっ…グスッ』
王妃『貴方こそ、私を見てないじゃない!!』
王妃『だから、殺してやりたかった!!』
王妃『…王様…あなたを…私のものにしたかったから…!』
王妃『ねえ…嫉妬させないでよ…』
王妃『ねえ、私を…悪い女にさせないでよ…』
王『…へええ』
ニヤニヤ
王『…おい、守衛』
守衛『はっ』
王『王妃を出してやれ』
守衛『な…しかし…』
王『なかなか可愛い奴じゃないか…』
王(まあ…嫉妬の件は…面倒だがね…)
王(俺を愛するあまり…ってやつか、思ったより気分が良い)
王妃(…かかったな、馬鹿野郎)
王妃(でも…白雪姫…)
王妃(いいわ…私は嫌われても良い)
王妃(だから…せめていい所に何としてでも嫁がせてみせる)
ダダダッ
王妃『王様!!』
ガシィ
王『おう、積極的じゃないか』
王妃『…何を見ているの』
白雪姫『…お母様、悪い冗談でしょ』
王妃『私はあんたの母親になった覚えはないわ』
バシィ!
白雪姫『ううっ…うわあああん』
王『こらこら、いじめるんじゃない』
王妃『ねえ、王様ぁ』
うるうる
王『…わかった、わかった…』
ナデナデ
白雪姫『…ぐすん』
王妃『側近…側近…うわあああん』
側近『王妃様…』
王妃『私…あの子を殴ったわ…』
王妃『あの子を泣かせたのよ…』
ぼろぼろ
側近『今回のことは私にも責任はあるのです』
ギリリッ
側近『だから…ご自分をお責めにならないように…』
側近『…王様が考えを改めるように説得してみます』
王妃『うっ…うっ…』
側近『…ですから、王様、今回の件は貴方にも問題はあるのです!』
王『ほう…側近の癖に、いうではないか』
側近『貴方が姫様を女とてみるからにございます!』
側近『お考えなおし下さい!!』
側近『やはり道徳に反します!!』
側近『神が許されるとお思いですか!?』
側近『お願いにございます、我が親愛なる王、しばらく距離を置きになって下さい!!』
王『側近、いうことはそれだけか?』
側近『ええ、まあ…』
王『…お前たち、側近を連れて行け』
兵士『え…はっ!』
バタバタ
側近『く…!』
グッ
王妃『おやめなさい!!』
王『王妃…』
側近『王妃様…』
王妃『王様、女を見くびってはいけませんわ』
王妃『…王様が白雪姫、あの小娘を女として見ているのは分かっているのですよ』
王『…ほう』
王妃『私は…許せませんわ!!』
王妃『あの女が王様の視界に入ること自体!!』
王『…お前、嘘をつくの上手いな』
王妃『!?』
王『可愛げのある奴と思った俺がばかだったわ』
王『白雪姫の為にやっただろう』
王『俺とくっつけさせたくないがためにねぇ』
ハァ~
ジロリ
王妃(…しまった…墓穴を掘ったようね…どうすれば…)
王妃(…これだ)
王妃『いいですわ…そんなにおっしゃるならば…』
王妃『いいですか、貴方達!』
兵士『わっ、は!』
王妃『白雪姫を連れてらっしゃい!!』
ドンドン!!
兵士『わ、わかりました!!』
バタバタ
兵士『連れてまいりました!!』
王妃『こっちへきなさい!!!』
白雪姫『ガタガタ』
王妃『…王様…私の思いをご覧ください…』
ガタッ!
王妃(ああ…ああ…誰か…助けて)
ガシィ
王妃『…殺しますよ、この子を』
白雪姫『あう…』
ガタガタガタ
王『やれるもんなら、やってみな。首にあてた小刀を引けばいい』
王妃『…』
白雪姫『お…お母様…』
ガタガタガタ…
王妃(…いやだ…これをしたらもう…この子との関係は…修正不能になってしまう)
王妃(…でも、今私がやらなきゃ…この子は…塔に閉じ込められて…)
王妃(…)
ギュッ
ブン!!
白雪姫『う…』
ツーッ
王『む…』
王妃『…次は切り傷ではすませませんよ』
王『…わかった、やめろ』
王妃『…ありがとうございます』
王妃『私が責任を持って、この子の面倒を見ますわ』
王『この子をどうするんだ…』
王妃『こき使わせるのです、私の離れの城でね』
王『…何!?』
王妃『おっと…反論なさらないでね』
王『くっ…わかった、何だ』
王妃『一つ目はあなた』
ニヤリ
王妃『私が貴方を愛するように、貴方も私を愛してね』
王『…』
ゾクッ
王妃『2つ目』
王妃『私の離れの城に来ないでね。白雪姫に会うためなんて、絶対ゆるさないわ』
王妃『これらを破ったらどうなるかわかるかしら』
王妃『…白雪姫を、最悪な目に合わせるからね』
王『…良いだろう』
王妃『ふふふっ…これで、貴方は私のもの…』
王『くそっ…恐ろしい女だ…』
王妃『ちがいますわ…私の、王様への愛ですわ…』
王妃(流石に一度も会わないってわけにはいかなかったけど)
王妃(それでも最小限に食いとどめたわ)
王妃(側近の努力で…私も毒殺もされずに済んだし…)
王妃(あの日の全力の演技のお陰で…とりあえず私は王様を愛している、
ということにはなってるし)
王妃(この間、隣国の王子に白雪姫の姿を少し、見せる事に成功したわ…)
王妃(そしてお城に手紙が届いたわ…婚約の許可の…)
王妃(隣国の王子の評判はすこぶる良いと聞くし…)
王妃(どうか、このまま上手くいって…)
ブンッ!
(ああ…ああ…)
ポタポタ…
白雪姫「いやあああっ!!」
白雪姫(…まただわ…)
白雪姫(またあの夢を…)
白雪姫(…お母様…)
白雪姫(あんなにやさしかったのに…本当は…)
ポロポロ
白雪姫(お母様、私は貴方が大好きだった…)
白雪姫(私の思い違いだったのね…)
ポロポロ
白雪姫(だけどね、今でも、私のお母様は貴方ただ1人なのよ…)
グスン
フキフキ
女官(あれ、お姫さまよ)
女官(ああ、おいたわしい)
女官(あんなにお美しいのに…)
お手伝い(あの魔女に脅されてるらしいのよ、王様)
メイド(聞いたわ、姫様を殺されたくなかったら、姫様をこちらへよこせと)
女官(最低だわ、あの女、ホント屑!)
お手伝い(でも無理よ…私達じゃ歯向かえない…だって、魔女だもの…)
女官(ホント…悪知恵は働くのね…)
メイド(前王妃様にそっくりに化けて出てきた挙げ句、弱みを握ったそうじゃない)
メイド(あ、しかもね、毎夜鏡に話しかけてるのよ、世界で一番美しいのはだれって)
お手伝い(うわああ)
白雪姫「はい、お母様」
王妃「まあ!なんて不出来な子!!」
王妃「雑巾がけも出来ないなんて!!」
白雪姫「すみません」
王妃「もう一度!!やり直しなさい!!」
白雪姫「はい…」
王妃「おっと」
ガシャーン
王妃「あら、ごめんあそばせ、雑巾のバケツの水をこぼしちゃったわ」
白雪姫「…」
召使(サイッテー!!)
王妃(隣国の王子今日我が国に訪れる…)
コツコツ
王妃(そしてここを通りがかるはず)
王妃(ここで掃除している白雪姫をきっと見るわ)
王妃(王は…私を理由に、結婚を許可させないでしょう)
王妃(だから…少しでも、王子が無理にでも、この子を救い出そうとしてくれれば…)
王妃(この子は…こんな生活からもおさらばになれるわ…)
白雪姫(…こことかに屑ゴミが…)
白雪姫(ああ、なかなか終わらないわ…)
白雪姫(今日は特に機嫌が悪かったみたいね…)
白雪姫(お父様と…喧嘩でもしたのかしら…?)
フキフキ
白雪姫(ふう…あらかた終わったかしら…?)
ピカピカ
コツコツ
白雪姫(あっ、誰か来たわ…お辞儀しないと)
白雪姫「いらっしゃいませ…お父様に御用事ですか?」
王子「君は…あの時の…?」
白雪姫「?」
白雪姫「ま、まあ、王子様とは知らず、ご無礼を」
アセアセ
王子「い、いや、おきになさらず」
王子「それより、あなたは白雪姫でしょう?どうして…そんなボロを…?」
白雪姫(どうして私の名を知っているのかしら?)
白雪姫「…私掃除が趣味なので…」
王子「変わった趣味ですねえ、はははっ」
白雪姫「そうでしょう、ふふっ」
王子(なんて…健気な子だ…王から聞いていたが…助けを求めもしない)
王子(しかも、笑った顔…こっちが恥ずかしくなるくらい、美しい…)
王子(一刻も早く…この国の王妃の手から救い出したい…)
白雪姫「ではこれで失礼いたします」
王子「…」
王子「王様、貴方の娘さんを、白雪姫を是非とも僕の妻に迎えさせて下さい」
王「おお、今すぐにでも…と、いいたいところだが、私の妻がね…」
王「あいつが…姫を強制的にこき使っておるのはしっているな?」
王子「はっ、ここに訪れる前、手紙の返事で聞きました」
王「すまない…説得してみるが、あの女はどうしても私を手放したくがないため」
王「白雪姫を人質に取っているのだ」
王子「…なんてやつだ…」
王「白雪姫に…自分の義理の娘に嫉妬し…彼女に苦しみを与えたい…ということだ」
王「とんでもない…奴だ」
王「…一刻も早く娘を救い出したいのに…自分が不甲斐無い…」
ギュウウウ
王子「…王様…」
王子「私、今から王妃様にあって、説得してまいります!!」
パタパタ
バタン
王(…まさかこんなところであの女の執着が役に立つとはね)
王(…何が妻としてだ…)
王(あの娘を貰うのは私の方だ…)
ニヤニヤ
王妃「すみませんが、王子様、あの子は愚かな子です」
王妃「何も指示したことができませんの」
王妃「お引き取りになって」
王子「いいえ、第一王妃が掃除なんてする必要はありません!」
王妃「はあ…卑しい子をそんなに欲しいのですか?」
王子「卑しいですって…そんなことはないですよ!」
王子「健気な素敵な子ですよ!」
王妃「ふふっ…そう思うなら…」
王妃「無理矢理にでも連れさらってみなさい」
王妃「この魔女と呼ばれる女が相手しますわよ」
王子「…受けて立ちます…」
バタン!!
王妃(…もうそろそろよ…まってて…白雪姫…)
王「おう、王子!結果は!?」
王子「無理矢理連れ去れと。」
王子「あの女…魔女が相手すると」
王「なんだと…」
王子「私、いったん帰国します」
王子「後、1週間の後、この国にまた訪れます!」
王「…そ、そうか」
王子「そして…魔女退治を行います」
王子「王様、貴方様も救ってみせます」
王子「この地にまた足を踏み入れる事をお許しください」
王「許可しよう…」
ワナワナ
王「…また会えるのを楽しみにしておるぞ…」
王子「はいっ」
スタスタ
王(…あの女…そう来たか…)
王(くそっ…あのアマ…最初からやっぱりか…)
王(あの時怪我させたのも…全て演技か…)
王(白雪姫を俺の手から引き離す…策略…)
王(くそう…騙されてた…本気で俺のことを好きだと思ったのに…)
王(…何が魔女だ…)
王(本物なら…もっと“気”が違う…)
王(いくら魔女でなくとも無理に救おうでもしたら殺されかねない…)
王(あの女は武芸は並みの兵士よりずっと出来るからな…)
王(だから、今まで仕方なしに白雪姫を渡してやってたのだ)
王(…ふふっ、でももうあの女の陰謀をいとも簡単に壊せるぞ)
王(最初から殺す気がないのだ…)
王「楽勝ではないか…」
白雪姫「あら、狩人様、何の御用事で?」
狩人「あんたさまの王様から指示があってですだ」
白雪姫「…お父様から?」
狩人「実はですだ…姫様、隣国の王子は知っておられますか?」
白雪姫「ええ」
狩人「彼が…姫様に婚約を求めておりますで…」
白雪姫「まあ…」
狩人「それを…貴方のお母様が妬んで…貴方様を殺そうとしております」
白雪姫「…本当ですの?」
狩人「私の仲間が、貴方様を森へ連れて行き、殺して心臓を取れと命令されたと
聞きました」
狩人「なので、私めは、とある場所にお姫様を極秘で
連れていくように命を下されたのですだ」
白雪姫「…そうなのですか」
狩人「逃げますぞ、お姫様」
白雪姫「ええ、分かりましたわ」
白雪姫(…本当なの、お母様…)
町人「なんだい?」
商人「そうそう、王妃様の話さ」
町人「王様もとんだ女もらっちまってね~」
商人「それがよ、税金の値上げ、あれの原因がその女らしいんだ!!」
商人「それだけじゃない。あの女が来た頃から数々の悪法ができたろ?」
町人「…まさか」
商人「ああ。王様の娘…姫様を人質にとってるとか」
商人「しかも散々コキつかってるらしいぜ。」
町人「なんてこった!!」
商人「でもな、隣国の王子さまが姫様をみそめたそうだ」
商人「今度あの王妃…もとい魔女と決闘するらしいぞ」
町人「…是非とも王子様には頑張ってもらいたいな」
王「側近、いるか?」
側近「はい、ここに」
王「側近よ、私は王妃に関する情報を国中にまいた」
側近(…私に相談なしで…こいつめ…)
王「側近や、今すぐに王妃…魔女の討伐命令をくだせ」
王「白雪姫が殺された…いまこそ、民の怒りを、そして我が娘の無念を晴らすために…」
王「王妃を…あの魔女を殺せ」
ニヤリ
王「演説のセリフはこれで決まりかねぇ」
側近「王様…」
王「お前の娘…今何歳かな」
王「きっと楽しい未来が待っていることだろう…」
ギロッ
側近(王妃様…すみません)
側近「…仰せの通りに」
ペコリ
王「よろしい」
ザワザワ、ガヤガヤ
町人「ちょ、押すな馬鹿!」
農民「おい、王様が今から緊急で演説なさるぞ!黙れ!!」
王「勇気ある国民諸君」
王「私は皆に謝らねばならない」
ガバッ
王「本当に申し訳ない…」
ガヤガヤ、ガヤガヤ
王「しかし諸君…時はきた!!」
王「人質にされていた姫…我が娘は殺された!!!」
(なんてこった…ひでえ)
(お姫様が…)
(最低だな、本当に)
王「私はあの魔女を討つ!!!」
王「諸君の苦しみを…娘の無念を晴らすため!!!」
王「諸君にも…苦労をかけるが協力してほしいのだ!!!」
王「この通りだ!!」
(…王様あんなに…土下座までして…)
(聞いたかい?俺らの救済法を制定したのはあの王様らしいぜ)
(そうそう、魔女の圧力をかいくぐってなんとか制定したそうだ)
(…あんないい王様いねえよ)
(そうだそうだ!)
(王様万歳!!)
(王様万歳!!)
ワーワー!!!
王(…ちょろいもんだ)
側近「救済法を制定したのは王妃様なのに…」
側近「民の誤解を解かねば!!」
側近「…いや、もう無理だ」
側近「王妃様の所へなんとか駈けつけ、にがさねば…」
ドサッ!!
側近「…ナイフが壁に…」
側近「そうか…わかったよ」
側近「…私は今夜中に殺されるんだな…」
側近「あの王のことだ…このことを知るもの全員…殺してしまうだろう」
側近(しかし…どうやって伝えようか…)
側近(そうだ…伝書鳩…)
側近(あれを使おう…)
王妃「井戸へいったのかしら…」
王妃「あれは伝書鳩…?側近から?」
王妃「なになに…?」
-----王妃様へ----
大変なことになりました
王様が動き出しました。どうもばれかかっているようです
私達の計略が
姫様を森の、あの7人の小人のいる小屋へ連れていったのです
7人の小人とは、王様の若かりし頃の戦友です
彼らは知恵、力共に人間以上です
王様は彼らに姫様をかくまってもらうようです
そして王子には、姫はあなたに殺されたと伝えるようです!!
王子は一週間後にこの国へ再びきます
王妃様、小人達は知恵はあるといいましたが
生活リズムはめったなことがなくてはかえません
これは彼らのある意味、弱点なのです
昼は炭鉱で働き、夜に帰ってくるのです
ようするにその間白雪姫は家で1人
一週間のうちに姫様が王子に会えるように手を打たねば、
姫様を救うどころか、貴方様も確実に
王妃「…ここに血が付いている?」
王妃「ここから…字も止まっている…」
王妃「…まさか…側近…」
王妃「…ぐすっ…側近…無事でいてくれ…」
ガタン!ゴトン!!
王妃「!?」
<お前のやったことなどお見通しだ!!>
<白雪姫様を散々いじめて!挙げ句の果てには森で心臓をとってこいなど!!>
<いま、お前を討伐する指示が出たぞ!!>
<堪忍して出てこい!!!>
<おい!!俺らの増税の原因もお前だそうだな!?>
王妃「…そういうことか…計ったな、王」
ギリッ
王妃「随分私の評判を使って散々やってくれたわね…」
王妃「…私が用意してないとでも思ったの?」
王妃「…貴重品をこの隠し扉に隠して…」
王妃「…この城を燃やそう…もう帰っては来れないのだから」
王妃「さて、もってく荷物の確認…」
ガサガサ
王妃「光玉…これで撹乱できるか…な」
ズシッ
王妃「…雑魚兵士ならよいのだけど…」
王妃「…ひさびさに腕がなるわね…」
バタン
白雪姫「わあ、綺麗な場所!」
狩人「でしょう。今からしばらくの間、ここで暮らすのですだよ」
白雪姫「まあ!」
狩人「あの小屋。あそこに王様の戦友の7人の小人がいます」
狩人「彼らの言うことを聞けば、王妃様を恐れる必要もありますまい」
白雪姫「そう…ね」
狩人「お、丁度、小人達も帰ってきましたぞ」
狩人「では、お姫様、私はここで」
白雪姫「わざわざ、ありがとう」
狩人「なあに、お姫様のためですだ」
狩人「戸締りにはくれぐれも気をつけて」
白雪姫「ええ」
狩人「へい」
兵士「お前だな!姫様の心臓をとるように命じられた魔女の仲間の狩人とは!!」
狩人「ちがいますだ!王様から…」
兵士「問答無用!!」
狩人「うっ!!」
グサッ!!
小人「おお、あれの娘か!べっぴんじゃないか!!」
小人1「俺は小人1だ」
小人2「2ですぅ~」
小人3「3だ」
…
小人7「7だ。しばらくよろしくな」
白雪姫「ええ、よろしくお願いいたします」
小人4「わははっ、だいぶ腰の低いお姫様だ」
小人6「そうだなあ~。あんたの親父は最初の態度はひどいもんだったぞ」
小人5「ちょいちょいちょい、これから日がくれるから、まずは飯を用意しようぜ!!」
白雪姫「あの…」
小人達「ん?」
白雪姫「私は作りますよ、料理は得意ですの」
小人達「やったあ!!」
小人1「いや~2の作るスープのだまの多さは以上で嫌だったところだ」
小人2「なんだってぇ~それを言うなら、1だって鳥さばくのへたくそじゃん!」
小人3「お前ら2人とも…料理下手過ぎなんだよ」
小人1、2「ぐうう」
「わははははっ」
白雪姫「ふふふっ…あはははっ…」
白雪姫「…」
王妃「…相手が弱くて助かった…」
王妃「…一体どうしようか…」
王妃「白雪姫に会って…いっそ真実を述べようか…」
王妃「…いや、ダメだわ…」
王妃「…私にいじめられた…傷はそれだけでイイの」
王妃「血のつながった父親が…まさかそんな人だったなんて…それこそ最大の悲劇よ…」
王妃「何のために悪魔になる決心をしたの…」
王妃「…悪役は最後まで徹底して悪を演じるものよ…」
王妃「…さて、薬草を探しましょう…」
ガサゴソ
小人達「夕方まで帰ってこないから、誰が来ても扉を開けてはいけないよ」
小人達「じゃあね、くれぐれも、開けちゃダメだよ!」
小人達「あ、今夜は第一の山場の話だから楽しみにしといてね!!」
白雪姫「わかったわ。今夜のお話、楽しみにしてますね」
バタン
白雪姫「お掃除はこれで終わりっと」
白雪姫「編み物でもしようかしら…」
白雪姫「こんな綺麗な服を着せてもらうなんて…何年ぶりかしら…」
白雪姫「…お母様…私は…貴方を今でも慕っております…」
白雪姫「昔…あんなによくして貰ったこと…1日も忘れてません…」
白雪姫「…王宮で1人ぼっちの私に…接してくれたあの日から…」
白雪姫「…お母様が来た直後のあの毎日は…本当に夢のようでした」
白雪姫「…」
「誰かいませんかぁ~」
白雪姫(お母様の声ではないわ…)
白雪姫(でも…警戒しないといけないのね…)
白雪姫(無視を決め込もう)
「お暇な貴方に、心ときめく商品を!」
白雪姫(…訪問販売?)
「奥に隠れている可愛いお嬢さん」
「出ていらっしゃいな」
白雪姫(…ばれているの?)
「ふふっ、私はこう見えても販売のプロよ」
「留守か、留守じゃないかくらい、わかるわよ!」
「大丈夫、窓際にいらっしゃい!」
そろそろ
「おやまあ!なんて綺麗なの!!」
白雪姫(…顔は帽子と髪で見えないわ…もしかしたら、お母様かもしれない…)
「貴方には、よい髪飾りをあげましょう」
「あ、櫛もありますわよ」
白雪姫(…手がボロボロ…お母様はこんな手では無かったわ…)
白雪姫(うでも…薄く血がにじんでいる…)
白雪姫(この人はお母様ではないわ…大丈夫ね…)
「そうそう、こうしお座りなさい」
「ちょっととかしてあげるわね」
白雪姫(…)
バタン!!
王妃(…これでしばらくは起きないはず)
王妃(…まさか白雪姫にここまで手を出すとは思っていないでしょう?)
王妃(…あの人から守る…王子にこのことを少しでも広めなくては…)
王妃(ここで私から隠れていることを…)
王妃(…この森が…薬草や毒薬ばっかりでホントによかったわ)
王妃(髪から浸透する気絶薬を作れたから)
小人2「ううっ~おかな空いたよ~」
小人4「わははははっ、白雪姫どこだい、」
小人1「どこじゃねえぞ!!倒れてる!!」
小人3「なんだと!?」
小人7「おい、どけ」
小人5「ちょいちょい、看護は俺の担当だぞ、7」
小人7「呪文が入ってるかもれんぞ。呪文系は俺の専門だ」
小人1「とにかく、そばに落ちてるこの櫛が原因っぽいな」
小人2「う~ん…いくつかの薬草の臭いがするよ~」
小人7「…呪文もかかってないな」
小人5「ちょいちょい…心臓は動いてる…気絶…麻酔の効果があるようだな、これ」
小人5「人体に影響は無しだろうな…」
小人5「髪を洗えば多分すぐ目を覚ますだろう…」
小人3「…王にこのことを伝える」
がさぞこ
小人1「おう…頼んだぞ」
白雪姫「ごめんなさい、心配掛けてしまって…」
シュン
小人4「わはははっ、大丈夫だよ、でも今度はもっときをつけるんだ」
白雪姫「はい…」
小人3「そうだぞ…誰も入れるな…無視をしろ」
小人5「ちょいちょい、ご飯たべようぜ~」
小人7「そうだな、とりあえず食べようぜ」
みんな「いただきまーす」
王妃「…あの子は目覚めたようね」
コソッ
王妃「やっぱり…あの小人達は…一筋縄ではいかないのね…」
王妃「…極秘の眠り薬…これをのませないといけないようね…」
王妃「そして街中に噂を流すの…」
王妃「白雪姫は本当は生きていると」
王妃「…隣国に手紙を書かなくては…」
王妃「…私はここにいる…ここへ来い…とね」
王妃「王子が1人で来ないように…王様にも、会いたいと書き添えて」
白雪姫「今日も昼は1人ね」
白雪姫「今日は何をしようかしら」
白雪姫「そうだ、この服、繕ってあげようかしら」
ガサッ!!
白雪姫(何!?)
白雪姫(お母様…?)
こっそり
白雪姫(あ…庭に人が倒れている…)
白雪姫(でも…無視を決めこまねば…)
白雪姫(…ダメだわ、やっぱり見捨てられないわ…万が一本当に病人だったら…)
白雪姫(でも…お母様だったら…)
白雪姫(…ああもう…!)
バタン!!
白雪姫「大丈夫ですか!?」
「あ…ああ、み、水を…」
タッタッタ…
白雪姫(汚れがひどくて顔が分からなかったわ…)
白雪姫(しかもボロボロの服…)
白雪姫(森で迷子になったのかもしれないわ…)
白雪姫「さあ、水ですよ!」
「ああ…ああ…ありがとう…」
「お礼に…売り物のリンゴをあげよう…」
白雪姫(…おかしいわ…)
白雪姫(倒れるほど喉が渇いて辛いなら、リンゴを私なら食べるわ…水気も多いし)
白雪姫「ありがとうございます。それではお気をつけて…」
「まちなさいな、この場で食べていきなさい」
ガシィ!
白雪姫「!?」
白雪姫(なんて…強い力かしら…振り切れない…)
「口にあったらあと2、3個あげますよ」
ニヤァ
白雪姫(…ああ、計略にはまったわ…)
白雪姫(…食べなかったらどうなるのかしら…)
白雪姫(もしかしたら…殺されるかもしれない)
白雪姫(いえ、食べても死ぬわ…どの道、死ぬのね…)
白雪姫(…ああ)
白雪姫「…ではお言葉に甘えて」
ガリっ!
ばたり
王妃(ごめんなさいね…私の可愛い娘…こんなに辛い目に合わせて…)
小人1「たいへんだああ!!白雪姫がまた倒れてる!!」
小人6「よく外にでるねぇ~あの子、やっぱあの親父の子どもだわ」
小人3「そんな悠長なこといってる暇はない」
小人7「…昨日に引き続き、呪文はかかっていない」
小人2「ううん…やっぱり薬草と毒草の臭いが酷いよ…」
小人5「ちょいちょい…めんどうだ」
小人5「さらに…原因は身体の中だから…」
小人5「診断しづらい…解毒を作るのに一体どれくらい時間を費やすか…」
小人5「多分…強力な眠り薬…であることしかわからない…」
小人5「昨日のように何か落ちてればいいのだけど…」
小人5「そんなヘマはしてないと…」
小人4「王に…手紙かくよ」
小人1「…笑ってないお前って珍しいな」
王「あの女のことが分からなくなってきたぞ…」
王「本当に白雪姫を殺す気なのか…そうでないか…」
王「側近、狩人を殺したまでは計画通りだった」
王「問題は王妃、まさかあの人数を1人で切り抜けたとは…」
王「しかも、薬草、毒物の配合に長けているとは…かなりの戦闘技術をもってるな」
王「…だいぶ番狂わせだな…」
王「…王妃の国へ、連絡を送ろう…」
王「(貴方の国で一番の医者を連れてきて欲しい。)」
王「(それと貴方の娘…あれをどうにかしてほしい。)」
隣国と魔女討伐連合軍から除外する)」
王「(そしてその連合軍が貴方の国を攻めるだろう。国民を1人残らず殺してやる)」
王「(それがいやなら、条件をのめ。王妃を殺す手伝いをしろ)」
王「…ふふっ、祖国に捨てられる…か、可哀想だねぇ」
王「いや、ここに来た時から捨てられてるか、あはははっ」
王「それと…また噂の訂正と捏造を…」
王妃(まさか…誰も私が王妃とは分かるまい…)
商人「なんだかお城が騒がしいのお」
町人「お姫様が殺されたと聞いたが…」
「いいえ、この噂は違うわ」
「実は、王妃様の先回りをして、森の小人の家に避難しているのよ」
町人「なんだと!?」
「ただ…生きているけれど、睡眠薬で眠らされているのよ」
商人「生きていらっしゃるのはよかったが…誰がそんな…」
「王妃様に決まっているわよ」
町人「くそっ、またあいつか!!」
町人「あいつのせいで、生活が苦しいんだ!」
商人「あの悪魔め…嗅ぎつけるのがはやすぎる」
「今度こそ殺されてしまう…」
商人「大変だ!!」
町人「何とかしないと!!」
街娘「あれ、どうしたの?」
商人「かくかくしかじか…」
王妃(よしよし、そのまま広めなさい)
王妃(えっと…手紙手紙…)
王妃(今週の日曜、日没以降に、小人の家がある森で待つ)
王妃(ゆっくり相手をしますわ…あ、…私の旦那様も連れてきてね…)
王妃(これでよし…鳩の足につけて…隣国へ…)
王「王妃の国からの返事か…」
王「…つまりは、こちらの条件を飲むのだな…」
王「その証拠に…お前は目の前にいる」
王「お前はかの有名な医者じゃないか。あそこの国出身だったのか」
王「よしよし計画通り」
王子(ああ…白雪姫…貴方は本当に死んでしまったのか…)
大臣「王子様、大変にございます!!!」
王子「…何?果たし状!?」
王子「隣国の王妃から!?」
大臣「そうでございます!!」
王子「…隣国の王様と提携しよう」
王子「父上にも事情を説明します」
王子「これは、もう個人の問題ではありません」
王「おう…わかるか…」
医者「ええ。これは身体の外に薬をだせばすぐに目を覚まします」
小人達「そうですか…」
医者「まあ、解毒剤もあるので体外へ出せなければ城で調合しますよ」
医者「多分、お城に向かっている間に揺れるので、自動的に吐き出すでしょう」
小人達「王様、すまなかった」
王「いやいや…気にすんな。お前たちだからこのレベルですんだんだ」
王「一時的に城に戻すよ。お前たちも付いてきてほしい」
小人達「もちろん!」
王「これは、隣国の王子…こんなに軍隊を連れて…」
王子「魔女から果たし状がきたのですよ」
王子「この間王様は魔女退治を宣言なさったでしょう?
それで提携をお願いしようと来たところです」
王子「…白雪姫の無念を晴らすためにも…」
王「あ、その件だが」
王「白雪姫は生存しておるぞ」
王子「本当ですか!!」
王「ここだ…この馬にまたがっている…酷い睡眠薬を飲まされたようだがね」
王「すべては魔女のせいだ…」
王「危うく殺されるところだった」
王子「よかった…」
王子「…可哀想に…くそっ、諸悪の根源め…」
王子「…貴方を救うと大見えを切ったのに…」
王子「…自分が情けない!」
王子「すまない…」
ガシッ
白雪姫「…げほっ、ごほっ!!」
王「おや…何かが口から…」
白雪姫「あら…ここは…?」
白雪姫「…王子様、な、何を…」
王子「…う、うわっすまない…思わず抱きしめってしまって…」
白雪姫「…おきになさらないで…」
カアアア
王「いやはや、若いっていいですなぁ」
王(…若造が…こいつ、後で殺してやる…)
王妃(…あの医者は…私の城一番の医者…)
コソッ
王妃(…私の祖国が…私の敵にまわったのね…)
王妃(きっとあいつのことよ…父上を脅したのね…あの時のように…)
王妃(いいわ…丁度いい…心配事が1つ減ったわ…)
王妃(祖国は…これでしばらくは安泰ね…)
王妃(もう…どうなっても良いわ…)
王妃(結果が…白雪姫が笑える…未来があればいい)
王「そうだな…あの女、どう出るか」
王子「どう出ても変わりはないです。必ず殺す」
王「…息子よ」
王子「!いま…なんと」
王「今日が無事に終わったら…私の娘と結婚式を盛大に挙げさせよう」
王子「…王…いえ父上…」
王(…まあ、今日、お前事故を装って殺す気だけどな。)
王妃(…嫌に静かね…)
『うおおおおおお!!!!!』
王妃(始まったわね…)
王妃(…あきれるわ、女1人に一体何国の軍隊をつれてるのよ…)
王妃(魔女狩り…まあ私は魔女では無いわけではないからいいのか)
王妃(…もともと私の家系は魔法が使えるのよ)
王妃(まあ、長年封印されてたけどね)
王妃(でも、なぜか封印が解けてた)
王妃(…お父様…大臣様…)
ギュ…
王妃(さあ…戦ってあげるわよ)
ザッ!!
王子「魔法だ!!」
王「全軍!ひるむな!!あれは脅しだ!!」
兵士「うわあああ!木が、ツタが!!」
兵士「龍だ!!氷の龍だ!!!」
王(…あいつは魔法が使えるのか?)
王(あの時は気は感じなかったのに今は感じる…一体どうしたんだ!?)
王子「くそっ!!魔女はどこだ!!」
小人「ぶつぶつ…」
小人「はっ」
小人「解除!!」
王子「…火や龍が消えた…」
小人「魔法は我々が解除しながら行きます!!」
小人「皆さん、ひるまずにいきましょう!!」
「うおおおおおおおおお!!!」
ドドドドドドド
王妃「…来たな、王子」
王子「おい…散々悪事を働いてくれたな」
王妃「ははっ…わるいかしら?」
王子「…だまれ!!」
チャキ
王妃「お金も美貌も、何もかも私のもの」
王妃「白雪姫すらいなくなれば、全ては私の思うがまま」
王子「…残す言葉はそれでいいのか」
王妃「ええ。」
王子「行くぞ!!」
ブン!!
兵士長「剣をとれええええ」
王妃「風よ!!」
ゴオオオオ
兵士達「う…前に進めない!!!」
王妃「草木よ!!」
ザワザワ
兵士達「身体がしめられる!!」
ジャキン!
王妃「ふん」
さっ、さっ
王妃「雷よ!!」
バリバリ!!
王子「うわっ!!」
王「ぐあっ!!」
王妃「さあて、と…」
王妃「ぶつぶつぶつ」
ゴゴゴゴゴ
王子「この暗雲は…?何が起きるんだ!?」
小人「ま、まずい!!」
小人「最上級呪文だ!!」
小人「…嵐をおこすつもりだ!!」
王妃(王子と少し戦って、死んだふりをして逃げよう)
小人「えええい!!!うっとうしい、このツタめ!!」
ブチブチ
王妃(!?)
小人「王様、王子様、助太刀します!」
小人「ぶつぶつ」
ドオン
小人「うおおおおおおおお」
ゴゴゴゴゴ…
王妃「…無効の呪文ね…しかも広範囲にわたっての…」
小人「これで魔法は使えまい!!」
ハアッハアッ
王妃(ああ…私はどうやら逃げれないようね)
王妃(…それでもいいわ)
王妃「ふふっ…これで十分だわ」
ジャキン
ブン
王子「く…女のくせに何でそんな大剣を…」
チキ…
王妃「遅いわよ」
ギン!
王子「うわっ」
ガチッ!!
王「王子!!」
ダダッ
王妃「邪魔よ」
バキィ!!
王「ぐふっ!」
兵士長「お前ら、魔女に矢を放て!!」
王妃(…あの馬鹿兵士長!!今打ってどうすんの!!)
ビュンビュン
王妃(王子に死なれては困るのよ!!)
ザッ!!
王妃(…なんとか体位を変えるのに成功したわ…)
グサグサ
王妃(クウッ…矢が刺さりまくってしまった…)
王子「助太刀すまない!!」
王妃(…私がかばったからよ…あんなの助太刀じゃないわよ…)
王(ちっ…殺す絶好のチャンスだったのに…あの女は邪魔ばかり…)
王(俺が直々にやるか…)
フッ
王「これでも食らえ!!!」
ブン!!
王妃「!?」
スカッ
王子「王様!お陰で魔女が離れました!!」
王妃(あいつ…うすうす感づいてはいたけど王子を殺す気だわ…事故を装って…)
王妃(いま、王子から離れなくてはいけない…)
王妃(…兵士長もグルなのね…矢を広範囲に当たるように…弓矢隊を配列して…)
王妃(…何が何でも王子を殺してやると…)
王(矢を王子に当てて…あの女と戦っているうちにフラつきでもしたら)
王(我が剣の餌食にしてやる)
王妃(王子を殺させなど、しない)
ガバッ
王妃「王子いいいいい」
ダダダッ
ガチーン
王子「ぐっ…なんて力だ…」
ギリギリギリ
王妃(そりゃ、これくらいなくちゃ城から1人で逃げられないわよ)
兵士長「はなてえええ!!!」
ピュン!
王妃(来た!!)
グワン!!
ドン
ドスドスドス
王子「ざまあないな、魔女…」
王子「わざわざ敵の盾になるなんてさ」
王妃「ぐっ…」
フラフラ
王妃(…力が…入らないわ…)
グラッ
王(いまだな、もうあの女が王子をかばえるとは思えない)
王「魔女め!!おりゃああああ!!」
ジャキン!
王妃(…あいつめ!!!)
王妃(動いて…私の身体!!)
ググッ
ドスッ!!
王妃「ぐはっ…」
ダラダラ
王(ま、この女、私の剣で串刺しにされたし、すぐに間違いなく死ぬ)
王(それだけでも大収穫だ)
王「堪忍しろ、魔女」
王子「これでとどめだ!!」
ブン!!
「やめて!!!!」
王子「!」
王「ど…どうしてきたんだ!!」
王妃(白雪姫…なぜ)
白雪姫「お母様!!目を覚まして!!」
白雪姫「今…いじめられても、貴方が私のことを嫌いでも!!」
白雪姫「私が幼いころ、いつも一緒に遊んでくださいました!!」
白雪姫「王宮で1人だった私にとって、どんなに楽しい日々だったか…」
白雪姫「だから…こんなことやめて、お城へ帰りましょう?」
ジッ
王妃(…あんなにいじめたのに、まだ好きと言ってくれるなんてね…)
王妃(よい子ね…私の自慢の娘だわ…)
王妃(今すぐ謝りながら抱きしめられるならどれほど良いかしら…)
王妃(…いけない…いま泣いてはいけない…)
王妃(しっかり…ここが最後の山場よ…)
ブルブル
ドカッ!!
王子「うわっ、しまった!!」
グッ!!
王子「!魔女め、白雪姫を放せ!!」
王「おい、いい加減にしろ!!」
白雪姫「お母様…」
ポロポロ
王妃「ほんっとうに馬鹿な娘」
ケセセセッ
兵士「くそ…姫様を人質に…」
小人「うかつに近づけない…!!」
王妃(ごめんなさい…私の力不足で今まで大変苦労をかけさせてしまって…)
王妃(でも、これも最後よ…)
王妃(あなたをいじめるのも…これで…最後よ…)
王「何だ」
王妃「要求があるのです。飲まないのなら、白雪姫を殺します」
王「くそっ…なんだ、いってみろ」
王妃「貴方の欲するものは決して欲してはならないもの!!」
王妃「釣り合う相手に渡しなさい!!」
王妃「さもなくば、あなたに地獄の苦しみを!!」
王「はぁ~」
王(…王子に白雪姫を渡せ…ということか…)
王「…お前の企みくらい、分かってたぞ」
王「…」
ギロッ
王妃「…」
ググッ
白雪姫「くうっ…」
王妃「…ふっ、あはははははは…」
王妃「…ようやく…終わりました…白雪姫…」
ソッ
白雪姫「へ…?」
王妃(私は貴方の花嫁姿が見たかったけど…無理そうだわ)
王妃(幸せにおなり…白雪姫)
ニコリ
グラッ
バタン!!
白雪姫「お…お母様、」
白雪姫「お母様!!」
王子「…力尽きたのか」
王子「…こんな人だったが、主よ、彼女にも安らぎを…」
王「…さあ、終わった…皆、城に帰ろう」
白雪姫「…」
グズグズ
町人「あ、魔女討伐から帰ってきた!!」
商人「あれは…王妃の死体!!引きずられている!!」
町人「皆~魔女がしんだぞおおおお!!!」
(やった…安らかな日々が戻るぞ!!)
(あれが隣国の王子と…姫様)
(なんて美しい2人だ)
(王様…あの方が指揮をとったそうだぞ)
(万歳!王様万歳!!)
(王子様万歳!!)
(万歳!!万歳!!!)
(魔女は死んだ!!万歳!!!)
数週間後
王「さてと…2人の結婚式が終わった…」
王「あのムカつく若造も王になった…」
王「フフフッ、叩き時か」
王「浮かれているうちに、我が国の盗賊団を送り込む…」
王「そして内乱にまで勃発させる」
王「もちろん、我が国の軍も盗賊団を捕まえる、という名目で侵入」
王「隣国を滅茶苦茶にしてやれ」
ニヤリ
王「そして、とどめに全面戦争にまでやってやる」
王「はははははっ!!!」
――――約束を破りましたね
王「!?」
――――舐めてもらっては困ります
王「この声は…王妃!?」
――――私は魔法を使えなくなりました
――――でも“呪い”まで封印してませんよね
王「…お前、黒魔術師か!?」
王「しかし…黒魔術は、老齢の魔術師でも難しいといわれている!」
――――お勉強をちゃんとしていないようですね
――――私の祖国の王家は…死神の血が混じっているのですよ
王「…まさか、…お前の祖国の別名…“死国”と呼ばれている理由がそれなのか!?」
王「伝説では無かったのか!?」
――――だから他国は我が国を恐れて近づかないのです
――――黒魔術なんて、生まれた時からできますよ
――――父上は私を娘と思ってくれていたようで、最後に封印を解いてくれたようでした
王「…」
フラフラ
王「…何しに来た」
――――当然、貴方を葬り去りに来ました
王「ぐっ…」
―――――ここまでですよ
―――――私が命と引き換えに貴方にかけた呪い
―――――貴方を死に誘うでしょう
王「ぐふっ…ぐっ…死にたくない…まだ…」
ブチブチ
王「うわああああ!!!いやだああああ身体がああああ」
ピキピキ
王「いだいよおおおおおおお!!!」
ドクドク
ピシィ、ピキッ
王「ぐああ、ああ、ああああ」
ドサッ
「王様!?」
「王様―!!」
ザワザワ
新王「白雪姫…可哀想に」
白雪姫「…お父様……グスッ」
新王「…ご両親が亡くなるのは大変辛いだろう」
新王「でもこれからは私が、貴方の支えになります」
新王「家族として…夫として」
新王「王は…貴方の泣き顔よりも笑顔が見たいと思いますから」
白雪姫「はい…」
グスン
新王「貴方の国は、私の国と統合し、新たな国を発足させます」
新王「白雪姫をこれからも守り、貴方の国をよりいっそう、豊かに」
新王「だから…安心して、お眠りください」
白雪姫「ねえ、…」
新王「どうしたんだい?白雪姫」
白雪姫「お母様が亡くなったのは…だいたいここ辺りかしら」
新王「ああ…ここで、倒れたんだ…」
白雪姫「…実は私…お母様が私をいじめるのは何か深いわけがあると思っていたの」
白雪姫「…今でもそう思うわ…」
白雪姫「実は、お母様が死ぬ直前に呟いた言葉が頭にずっと引っかかってて」
新王「…白雪姫…」
新王(…深い理由か…)
新王(…そういえば、私と組み合っていた時…)
新王(体位を変えていたな…)
新王(あの時は疑問に思わなかったが…おかしい)
新王(わざわざ…矢が当たる方へ…体位を変えていた)
新王(…王に向けた最後の言葉も…不可解な内容だった…)
新王(…しかもあの時、負傷者はいたが…死亡者がいなかった)
白雪姫「…あ!!」
白雪姫「…これを…見て下さい」
チャリン
新王「これは…ロケットだ。鎖に2つもついている?」
白雪姫「…ここに落ちていたの…」
白雪姫「お母様はよくこのロケットを見ていたわ」
白雪姫「誰にも中身はみせなかったけれど」
カチャリ
白雪姫「…」
新王「…君の絵だ」
新王「…言葉が彫ってある」
新王「…」
白雪姫「…おかあさま…」
ポロポロ
新王「もうひとつは…」
新王「男の人と…王妃…」
新王「(夫を捨て、子どもを殺した自分を私は永遠に恨む)」
新王(王妃に…何があったんだ…白雪姫を憎んでいなかったのか…?)
白雪姫「王様」
白雪姫「私、お母様と暮らしたあの場所へ行きたい…」
ボロボロ
白雪姫「今も残っているでしょう?」
白雪姫「お願い、連れて行って…」
新王「…いいだろう。焼け跡しかないが僕も行こう」
新王「…本当のことが分かるかもしれない」
白雪姫(…お母様…)
白雪姫(…ホントに…私のことが嫌いだったの…?)
白雪姫(実はずっと気になってたの…)
白雪姫(…多分、ここ辺りがお母様の部屋…)
白雪姫(何かあるかもしれない…)
ガサガサ
新王「…」
白雪姫「ダメだわ、やっぱり…なにもない」
新王「だろうね…」
ザクッザクッ
新王「全く…皆魔女を恐れて片づけなかったんだな…」
新王「がれきがそのまま残っている」
バキッ!!
新王「!!、危ないな…ん!?」
新王「…あ、こんな所に隠し扉が!!」
ドンドン
白雪姫「ええ」
ガタン
新王「これは…」
白雪姫「…昔私がお母様に作った人形」
白雪姫「お母様に宛てた…手紙?」
新王「…間違いない、王妃は君を憎んではいなかったのだ」
新王「…でも一体どうしてあんな行動を…?」
新王「…白雪姫、何をよんでいるのかい?」
白雪姫「うっ…ぐずっ…うわああああん…」
新王「…えっと…日記?」
新王「…」
ピラピラ
本日をもってこの日記を終わらせる
理由はたった一つ、王様が自分の娘に前王妃を見出したため、
他の男に取られまいと監禁し、我が物にせんとするのを阻止するために
この国に来る前に私は離婚し、子を下ろした
絶望を抱き、この国に来た
私に唯一心を開いてくれたのは、白雪姫
彼女は私の唯一無二の娘
私は赤ちゃんを殺した。赤ちゃんを圧力から守れなかった
今度こそ、自分の子を守って見せる
今度こそ、私は守ってみせる
白雪姫「うわあああん、お母様、ううっ」
ボロボロ
白雪姫「どうして…言ってくれれば…」
ボロボロ
白雪姫「お母様…私のお母様…」
白雪姫「神様…もう一度お母様にあわせて…」
白雪姫「お礼を…いわせて…神様…」
ガクリ
新王「白雪姫…」
新王(…白雪姫、貴方を王妃から守りきったつもりだった…)
新王(しかし本当に貴方を守っていたのは、あの王妃だったのか…)
新王「…母親は強いものだな…」
新王「でも…どうして、打ち明けて下されば…」
新王「あるいは…」
新王「いえ、打ち明けるわけにはいかなかったのですね…」
ボロボロ
新王「クソッ…」
ボロボロ
新王「…自分は愚かものだ…」
新王「きがつけなかった…何も…何も…」
新王「王妃様…私をお許しください…」
ジャキン
白雪姫「!!やめて!!!王様、ダメ!!」
新王「地獄で…私は裁かれます…」
ゴオッ!!!
――――――貴方は大馬鹿物ですか!?
――――――今、白雪姫も国民も身捨てて自分だけ死ぬつもりですか!?
――――――ああ、こんなことなら私があの時本気を出して
王様共々殺してあげればよかった!!!
ピタッ
白雪姫「…何をおっしゃっているのですか」
白雪姫「声なんて聞こえません」
白雪姫「いいから早く剣をしまって下さい!!」
白雪姫「私を1人にするつもりですか!?」
白雪姫「私は1人が嫌いなのです!!」
白雪姫「ですから…お願いですから…」
ポロポロ
新王「…白雪姫…すまなかった…」
新王「こんなことは二度としないから…」
ギュ…
白雪姫「…約束ですよ…」
新王(さっきの声は…王妃様、貴方なのですか…!?)
新王(…答えてください…)
新王(彼女は…貴方と話したがっているのです…!)
新王(王妃様…!)
新王(あなたは…)
ゴオッ!!!
新王(…)
新王(…気のせいだったのか…?)
新王(…)
新王「白雪姫、行こう」
新王「王妃様の葬られている所へ」
白雪姫「はい…」
サクサクサク
きっとそうだ
―――――――――フンッ、ようやくお墓参りに来てくれるのね
―――――――――いくら悪者でも墓くらいきて欲しかったわ!
―――――――――ま、王子が首を切ろうとしてくれたし、良かったことにしましょう
―――――――――ふふっ…なんだかんだ、本当のことを知ってほしかったみたいね、私
―――――――――情けないわ、今までここに残ってしまって
―――――――――…これで、本当に、さようならね
…………
「ん?」
「悪い魔女と白雪姫のお話!」
「ああ、いいよ」
「昔、ある国に王様がいました」
「王様には大層綺麗なお妃さまとお姫様がいました」
「そして同じころ少し北の国に魔女はいました」
「悪い魔女は、ある浅ましい野望があったのです」
「国を思うままに動かし、贅沢を尽くし、一番美しくありたいという…」
「ですからそのようすを見た魔女は妬み、お妃様を殺し、とり替わりました」
「さらにお姫様…美しい白雪姫をいじめました」
「………」
王妃『ほら、この花はね、こうすると…』
白雪姫『なになに?』
ワクワク
王妃『ピィ~』
白雪姫『わあ』
キラキラ
王妃『草笛よ』
ニコニコ
王妃『白雪姫はお庭に散歩に行ったことは?』
白雪姫『…いつもメイド達が汚れるし、はしたないから行くなって』
ショボン
王妃『ふふっ、まあそうね。』
王妃『ま、私がいるからこれからは思いっきり遊べるわよ』
白雪姫『ホント…?』
ブンブン
白雪姫『かっこいい!わ、私もやりたい!!』
キラキラ
王妃『まあ、そのうち教えてあげるね』
ナデナデ
王妃(…私は赤ちゃんを殺してから…一刻も早く死なねばと思っていたわ)
王妃(いや…今でもそう思うの)
王妃(でも…この子を見ていると…生きる喜びを感じずにはいられないわ…)
王妃(私が一瞬でも息をするのを許されないほど罪深い存在でも)
王妃(そして神様が生きる事を許してくれなくても、私は生きていたい)
王妃(私は…貴方を会えてよかった)
王妃(本当に、よかった)
王妃『白雪姫』
白雪姫『なに?お母様』
王妃『これからも、一緒にいようね』
ギュ…
白雪姫『うん!』
ニコッ
前のssがさるをくらいまった挙句、落ちたのがトラウマだったので気をつけた
つもりでしたが、やはりくらいました
なんとか最後までいけて良かったです。保守や支援してくれた方々、最後までお付き合いしてくれた方
本当にありがとうございました
大層乙であった
鏡に一番綺麗な人聞いてたのはただの噂?
はい、周りの人の勝手な噂という設定にしていますね
Entry ⇒ 2012.07.03 | Category ⇒ その他 | Comments (0) | Trackbacks (0)
紅莉栖「うっさい!童貞のくせに!」岡部「えっ?」
岡部「な、なんだ?」
紅莉栖「な、なによ、その反応……童貞、なんでしょ?」
岡部「……」
紅莉栖「えっ……」
岡部「………」
紅莉栖「……」
岡部「お、お前がそう思うんなら、そうなんだろうな。お前の中ではな」
紅莉栖「ど、どういう意味よ」
岡部「……」
紅莉栖「童貞、じゃない……の?」
岡部「ど、どうだかな……狂気のマッドサイエンティストは色恋に現を抜かさん」
紅莉栖「……」ジー
岡部「くっ……」
紅莉栖「ちょ、どこいくのよ!」
岡部「買出しだ、ドクペが切れてたからな……では留守番を頼むぞ、助手」
紅莉栖「まだ話は終わって……」
バタン
紅莉栖「……」
紅莉栖「岡部が、童貞じゃ……ない?」
紅莉栖(でも、岡部……顔はけっこういいし、背も高い、声も宮野だし、身嗜み整えたらモテそうだし……)
紅莉栖「い、いや、でも岡部に限ってそんな……」
紅莉栖「私の岡部が……」
紅莉栖「……汚された?」
紅莉栖「……」
紅莉栖「……許さない」
紅莉栖「見つけ出して脳髄引きずりおろしてやる…………」
紅莉栖(いや、待って……岡部の初めてを奪った相手は案外身近にいる可能性も……)
ガチャ
まゆり「トゥットゥルー♪ あっ、今日は紅莉栖ちゃんだけなんだ~」
紅莉栖「まゆり……」
まゆり「んー? どうしたの、紅莉栖ちゃん。なにか悩みでもあるの?」
紅莉栖「えっ?」
まゆり「いま、すっごく難しそうな顔してたよ?」
まゆり「悩みことならまゆしぃがいつでも相談にのるのです」
紅莉栖「サンクス、まゆり」ナデナデ
まゆり「えへへ」
紅莉栖「……」ナデナデ
まゆり「く、紅莉栖ちゃん……? 頭を撫でるのはもう、」
紅莉栖「……ねえ、まゆり」
まゆり「な、なあに?」
紅莉栖「あなたが……」ナデナデ
紅莉栖「……岡部の初めての相手?」ナデナデ
まゆり「ふぇ?」
紅莉栖「あなたも保健体育の授業は受けてるから、分かるよね……?」ナデナデ
まゆり「そ、それって……はぅ」
まゆり「あ、わわ、ま、まゆしぃは、その、え、えっちなにはいけないと思いますっ」モジモジ
紅莉栖(この反応は……まゆりじゃ、ない)
まゆり「そ、それに、まゆしぃはオカリンとキスまでしかしてないよ~」モジモジ
紅莉栖「えっ」
まゆり「ほえ?」
まゆり「あっ、で、でも、小さい時にだよ? オカリンが人質で実験をするって」
紅莉栖「あなたが岡部の人質になったのって、岡部が中学生の時よね?」
まゆり「う、うん……」
紅莉栖「へえ~」
紅莉栖(中学生が小学生相手にキッスねえ……あとで岡部を問い詰めよう)
まゆり「あ、あの……紅莉栖ちゃんはどうしてそんな事を聞くの?」
紅莉栖「岡部の初めての相手を探してるのよ」
紅莉栖(見つけ出して、必ず私が……)
まゆり「えっ、オカリンの……初めて? お、オカリンは童貞さんじゃ……」
紅莉栖「それが、どうやら違うみたいなのよ」
まゆり「……」
まゆり「そん、な……」
紅莉栖「まゆり……?」
まゆり「オカリンの初めてが、オカリンと初めてキスしたのはまゆしぃなんだよ……? だから初めての相手もまゆしぃの筈なのに」ブツブツ
紅莉栖「えっと……」
まゆり「オカリンの初めてはまゆしぃなの、わたしが、オカリンの……だって、わたしは、オカリンの人質なんだから……」
紅莉栖(これは……)
まゆり「誰かなあ、まゆしぃのオカリンを汚しちゃった人は、えへへ」
まゆり「なあに、紅莉栖ちゃん。まゆしぃはこれからオカリンを汚した人を見つけに行くから、忙しいのです」
紅莉栖「なら、二人で協力しない?」
まゆり「えっ?」
紅莉栖「二人で探したほうが早く見つかるだろうし」
まゆりそうだね、うん! そうしよっか!」
紅莉栖「よし、じゃ早速二人で探しに行こっか」
紅莉栖(私の岡部を汚した不届き者を……)
まゆり「うん! オカリンの初めての人かあ~どんな人かあってゆっくりお話したいな」
まゆり(会って、じっくりお話をしたいのです)
紅莉栖「とりあえず、岡部の身近に居る女性、つまりラボメンに聞いてみるのが一番ね」
まゆり「スズさん居るかな~」
鈴羽「あっ、椎名まゆりに牧瀬紅莉栖じゃん」
まゆり「あっ、 スズさん! トゥットゥルー♪」
鈴羽「とぅっとぅるーえへへ、なんかいいね、この言葉」
まゆり「気に入ってくれてよかったのです♪」
紅莉栖「あの、阿万音さん。実は私たち、あなたに聞きたい事があるの」
鈴羽「あたしに?」
紅莉栖(阿万音さんはラボメンの中でも、岡部とかなり仲がいい)
まゆり(二人でよく、サイクリングに行ったりしてるのです)
紅莉栖「へ、変な質問なんだけどね」
鈴羽「変な質問……?」
紅莉栖「阿万音さん……あなた」
まゆり「オカリンと……した?」
鈴羽「したって……なにを?」
紅莉栖「……性交」
鈴羽「はっ?」
紅莉栖「違うわよ、生産性のない子造りのこと」
鈴羽「そ、それって……な、なに言ってんの!? あ、あたしが岡部倫太郎と、そんなこと……」アセアセ
まゆり「う~ん、違うみたいだね」
紅莉栖「そうみたいね」
鈴羽「お、驚かさないでよ、もう~」
紅莉栖「ちゃんと変な質問って前置きはしたでしょ?」
鈴羽「それにしたって……不意打ちすぎるよ」
まゆり「ごめんね、スズさん。変なこと聞いて」ペコリ
鈴羽「いいよ、でもなんでそんな事聞いたの?」
まゆり「どんな人かな~って気になったのです」
鈴羽「へえ~岡部倫太郎の初体験の相手かぁ」
鈴羽「初体験の相手………」
鈴羽「……」
鈴羽「はあ!?」
紅莉栖「えっ」
まゆり「ほえ?」
鈴羽「は、初体験……? そ、そんな、オカリンおじさんのは初体験は未来であたしとの時じゃ……」ブツブツ
鈴羽「この時点ではまだ童貞の筈……まさか、あの時のオカリンおじさんの言葉はフェイク?」ブツブツ
まゆり「紅莉栖ちゃん……」
紅莉栖「ええ、どうやら私たちの同士が増えそうね」
紅莉栖「なに?」
まゆり「なにかな。スズさん」
鈴羽「二人はオカリンおじ……岡部倫太郎の初体験の相手を見つけてどうするつもり?」
紅莉栖「ちょっと興味本位であってみたいだけよ」
紅莉栖(私の岡部を汚したその図々しさ、本当に興味深い頭してるわ。ぜひとも開頭してじっくり観察したいわね)
まゆり「どんな子か、一度お話してみたいのです」
まゆり(どんな子かな~まゆしぃのオカリンを汚しちゃった子って。会うの、楽しみだな~えへへ)
鈴羽「なるほどね」
紅莉栖「もちろんよ、数が多いに越した事はないわ」
まゆり「うんっ! スズさんなら大歓迎だよ~」
鈴羽「サンキュー牧瀬紅莉栖、椎名まゆり」
鈴羽(あたしのオカリンおじさんを誑かした相手……絶対に許さない)
鈴羽(きっと、オカリンおじさんは無理やりそいつに責められて仕方なくヤッたんだ。それをなかった事したかったから、あたしとした時に童貞だって嘘を吐いて……)
鈴羽「それじゃ、いこっか。岡部倫太郎の初体験の相手を探しに」
鈴羽(あたしのオカリンおじさんに、そんな思いをさせるなんて……生かしておくもんか)
フェイリス「おかえりニャさいませ、ご主人様って、あれ? クーニャン? それにマユシイにスズニャンも」
紅莉栖「こんにちは、フェイリスさん」
まゆり「フェリスちゃん、トゥットゥルー♪」
鈴羽「うわ~凄いね、この店。メイドがいっぱいいる」
フェイリス「クーニャンたちが来るなんて珍しいね。ささ、案内するニャ」
紅莉栖「ううん、いいの」
フェイリス「うにゃ?」
まゆり「ごめんね、お客さんとして来たんじゃないの」
鈴羽「キミにちょっと聞きたいことがあってね」
鈴羽「単刀直入に聞くよ。キミ、岡部倫太郎と……そのっ」モジモジ
紅莉栖「単刀直入に聞くんじゃなかったのかよ……」
鈴羽「だ、だって、その……恥ずかしいじゃん」
まゆり「えへへ、まゆしぃも流石にここで聞くのは恥ずかしいかなぁ」
紅莉栖「もう、仕方がないわね」
フェイリス「……?」
紅莉栖「フェイリスさん。あなた、岡部と性交した?」
フェイリス「ふにゃ!?」
フェイリス「く、クーニャン!? にゃ。にゃにを言って……」アセアセ
紅莉栖「この慌てよう……」
まゆり「まさか……」
鈴羽「キミが私の岡部倫太郎の童貞を!?」
ざわっ……ざわっ……
フェイリス「あわわっ、お、お店の中でにゃんて事を言い出すの!?」
紅莉栖「怪しい……」
まゆり「フェリスちゃん、まゆしぃはがっかりなのです」
鈴羽「ラボメンが相手か、なら手加減くらいはしてあげるよ」ポキポキ
ざわっ……ざわっ……
フェイリス「もう! 話は後で聞くから! 三人ともお店から出て行くニャ!」
紅莉栖「くっ、追い出されてしまった……」
まゆり「お店の中で聞くのは、やっぱりだめだよね……」
鈴羽「うまく逃げられたね……」
ガチャ
フェイリス「フェイリスは逃げも隠れもしないニャ!」
まゆり「フェリスちゃん……お店の方は大丈夫?」
フェイリス「にゃんとか、お客様の誤解を解くことができたニャ」
まゆり「そっか~よかった」
紅莉栖「ご、ごめんなさい……」
鈴羽「ごめん、その件については謝るよ」
フェイリス「それで、その……さ、さっきの話って」
紅莉栖「改めて聞くわ。フェイリスさん。あなた、岡部とした?」
鈴羽「……」ゴクリ
まゆり「……」
フェイリス「……したニャ」
まゆり「そんな……」
鈴羽「キミが、岡部倫太郎と……」
フェイリス「そう! 凶真とは前世からともに戦った仲。フェイリスと凶真は共に来世で結ばれる契りえを交わしたのニャ!」
紅莉栖「……」
まゆり「……」
鈴羽「……」
紅莉栖「そういう、厨二病の、いらないから……」
フェイリス「ふにゃ……」
紅莉栖「もう一度、はっきりと尋ねる。あなたは岡部と性交した?」
紅莉栖「……フェイリスは違うけど、秋葉留未穂としてヤッてた、はなしよ?」
フェイリス「……」スッ
留未穂「残念だけど、岡部さんとはそういう関係じゃないよ」
鈴羽「猫耳とるだけで随分変わるもんだね……」
まゆり「そっか、フェイリスちゃんでもないんだ……」
留未穂「……」スチャ
フェイリス「ニャニャ? みんなの話だとまるで凶真が童貞じゃないみたいニャ」
紅莉栖「そうよ」
フェイリス「えっ?」
鈴羽「岡部倫太郎は……童貞じゃ、ない」
紅莉栖「残念だけどね」
まゆり「オカリンは大人になってしまったのです」
フェイリス「あ、ありえない……ありえないよ、そんな事!」
鈴羽「口調が素になってる……」
紅莉栖「認めたくないのは分かる、でも、事実よ」
フェイリス「でも……、だって、岡部さんは昨日まで童貞だったんだよ!?」
紅莉栖「なっ……」
まゆり「えっ」
鈴羽「ど、どういうこと!?」
紅莉栖(口調が混ざってる……)
フェイリス「その時、二人の会話を聞いたんだけど……」
――――
――
ダル「オカリン、僕とうとう卒業したお」
岡部「そ、卒業って、まさか、お前!」
ダル「由季たん、最高ですた……はあ、はあ」
岡部「まさか、お前に先を越されるとはな」
ダル「いや~オカリンもぜひ経験してみるといいお! いつまでも童貞()なんて恥ずかしいお! あっ、ごめん……相手がいないか」
岡部「このデブ殴りたい……」
――――
――
紅莉栖「なるほど……」
鈴羽「つまり、岡部倫太郎はその時点ではまだ童貞ってことか」
紅莉栖「ふむん……そうなると昨日、岡部が会った女性に限られてくるわね」
鈴羽「岡部倫太郎が昨日あった女性……」ジー
フェイリス「だ、だから私じゃないニャ!」
まゆり「あっ!」
紅莉栖「どうしたの、まゆり。なにか心当たりでもあるの?」
まゆり「昨日はオカリン、ルカくんのところに行ってたのです」
紅莉栖「えっ……」
まゆり「で、でもルカくんは男の子だし……」
フェイリス「そ、そうニャ! いくら凶真でもそれは……」
紅莉栖「男とか女とか関係ない」
鈴羽「!?」
まゆり「それは……」
紅莉栖「岡部は、初対面の男の娘に対してこんな事を言って落とした男なのよ?」
フェイリス「だ、だけど……」
紅莉栖「行って、直接確かめるしかなさそうね……」
フェイリス「フェ、フェイリスは……」
鈴羽「真実を知りたくなないのい?
まゆり「オカリンの初めてがどんな感じか聞けるかもしれないんだよ?」
フェイリス「凶真の……岡部さんの初めてを……」ゴクリ
フェイリス「……わかったニャ、フェイリスも、凶真の初めての相手を知りたいニャ」
紅莉栖「OK,なら、行きましょうか。柳林神社に……」
フェイリス(岡部さんの相手、ルカニャンなのかな……)
フェイリス(私と岡部さんとの初めて同士を想定してたけど……経験ある岡部さんにリードしてもらうのも、悪くないかな、えへへ)
ルカ子「あれ? みなさんお揃いでどうしたんですか?」
紅莉栖「ハロー漆原さん」
鈴羽「キミに聞きたい事があってね」
ルカ子「ぼ、僕に、ですか?」
まゆり「と~っても大事なことなのです」
フェイリス「凶真に関する極秘事項だニャ」
ルカ子「きょ、凶真さんの!?」
紅莉栖「「あなた、岡部とやった?」
ルカ子「へ?」
鈴羽「ストレートすぎるよ……」
フェイリス「それじゃ伝わらないニャ……」
まゆり「ルカくんは純粋なのです」
ルカ子「えっと……やりましたよ?」
紅莉栖「!?」
ルカ子「は、昨日も修行を見てくれました」
フェイリス「そのオチはフェイリスが使ったニャン」
ルカ子「ふえ?」
鈴羽「なにって、そりゃ……」
紅莉栖「性交よ」
ルカ子「せいこう……?」
ルカ子「……」
ルカ子「はぅ……」
紅莉栖「この様子だと違うわね」
鈴羽「みたいだね」
まゆり「やっぱり、男の子同士はいけないと思います」
フェイリス「凶真はノーマルだったニャ」
紅莉栖「みんなで岡部の脱童貞相手を探してるのよ」
ルカ子「へ?」
まゆり「ラボの誰かかな~って思ったんだけど」
鈴羽「いまのところ、みんなシロなんだ」
フェイリス「昨日、凶真は童貞を捨てたみたいニャんだけど……ルカニャンが相手でもないとなると」
ルカ子「あ、あのお、岡部さんがその、卒業したって」
紅莉栖「事実よ」
ルカ子「そ、そんな……」
紅莉栖(みんなショックを受けてたから、漆原さんもやっぱりこうなるか)
ルカ子「う、後ろは大丈夫なんですか!?」
紅莉栖「えっ」
えっ
鈴羽「な、なかなか大胆だね」
フェイリス「てっきりルカニャンは受けかと思ってたニャ」
ルカ子「ど、どうなんですか!?」
紅莉栖「そど、どうって、流石にそこまでは分からないわ」
ルカ子「そ、そんな……」
ルカ子「前は、きっと素敵な女性が岡部さんの前に現れるから、諦めてた。だから、せめて後ろだけでもって、狙ってたのに……」グス
紅莉栖「漆原さん……」
ルカ子「こんなの酷いです! あんまりだよ……こんな事なら、こんな思いをするなら、後ろだけを狙うんじゃなかったっ……!」グス
紅莉栖「いま、それを探してるんだけどね……でも困ったわね」
まゆり「う~ん」
鈴羽「手がかりが何かあればいいんだけど……」
フェイリス「ねえ、ルカニャン」
ルカ子「な、なんですか……?」グス
フェイリス「昨日、凶真がここに来た後、どこかに行くとか言ってなかったかニャ?」
ルカ子「昨日、てすか?……あっ」
紅莉栖「な、なにか言ってたの!?」
ルカ子「は、はい、確か、昨日は僕と修行を終えたあと、桐生さんのおうちに行くと……」
フェイリス「ニャン、だと……?」
紅莉栖「桐生さんの、家……」
まゆり「たしか、萌郁さんは一人暮らしって言ってたような……」
鈴羽「ま、まさか……」
ガチャ
岡部「ふぅ、まさかドクペが売り切れているとは……少々時間が掛かってしまったな」
萌郁「おかえり、なさい……」
岡部「うおっ!? し、指圧師!? なぜお前がここに……」
萌郁「昨日、部屋のお掃除、手伝ってもらったから、そのお礼に……」
岡部「礼など必要ないと言っただろ。それより、指圧師」
萌郁「……なに?」
岡部「助手……紅莉栖の奴、見なかったか? 留守番を頼んだんだが」
萌郁「……ラボ、私が……来た、時、誰もいなかった」
岡部「そうか、まったく。留守番もろくにできんのか、クリスティーナめ」
岡部「ふ、ふふ」
萌郁「……?」
岡部「フゥーハハハ! 助手のあの反応! 傑作だったな!」
萌郁「岡部、くん……?」
岡部「うむ、お前にも説明してやろう。最近ダルや紅莉栖に人を童貞だのなんだとからかわれてな」
萌郁「岡部、くん……童貞、なの?」
岡部「そこに反応するな!……ごほん、ダルはともかく助手は自分も処女の分際でからかってきたからな。少し仕返しをしてやったのだ」
萌郁「……どん、な…?」
岡部「なに、簡単な事だ。童貞とからかれた時にいつものようにムキにならず、黙っておけばいいのだ」
萌郁「どういう……こと?」
岡部「ムキになるという事は自分が童貞だと言ってるようなものだからな。だが、いつも童貞と言われて反論していた相手が急に反論しなくなるとどう思う?」
萌郁「……脱、どうてい?」
岡部「そう思うだろうな! 今朝、紅莉栖の奴が見事に引っかかりおったわ! あの間抜けた顔は当分忘れられんな! フゥーハハハ!」
しかも空腹状態でござる
岡部「ん? どうした、指圧師」
萌郁「童貞は……いや?」
岡部「ふ、ふん俺は狂気のマドサイエンティストなのだ。性行為をしたかしてないかなど、興味ない」プイ
萌郁「……そう」
ぎゅ
岡部「えっ……」
萌郁「昨日のお礼……」
岡部「じょ、冗談がすぎるぞ、指圧師……」アセアセ
萌郁「んっ……」ムギュ
岡部「お、おい! あ、当たって……」
萌郁「岡部、くん……」
岡部「あ、あまりからかうでない! ほ、本気で襲ってしまうぞ……」
萌郁「岡部くん、なら……いい」ギュ
萌郁「岡部くんは……私のこと、嫌い……?」
岡部「そ、そういう訳じゃ……」
萌郁「じゃあ、問題……ない」ギュ
岡部「ま、待て待て待て待て!! こ、こんな事、勢いでしていい事ではないだろう!?」
萌郁「……」カチカチカチ
岡部「め、メール? この体勢じゃケータイは見れないぞ」
萌郁「……見て」ヒョイ
岡部「わざわざお前の打った画面を見せるのか……」
『岡部くんって以外にまじめだね(≧∀≦)
でもそんなんじゃ童貞は卒業できないゾ(^▽^)ノ』
岡部「う、うるさい!」
萌郁「なら、私……の、家で」
岡部「そ、そういう問題ではない!」
萌郁「岡部くん……」
岡部「くっ、……」
岡部(い、いかん、このままでは本当に萌郁として……)
ガチャ
岡部(た、助かった! 紅莉栖か!?ダルか!?誰でもいい! とりあえずこれで有耶無耶に……)
紅莉栖「……」
鈴羽「……」
まゆり「……」
フェイリス「……」
ルカ子「……」
岡部「……えっ?」
紅莉栖「話は全部聞かせてもらったわ……童貞」
紅莉栖「まったく、人騒がせな童貞ね。だから童貞は困るのよ」
岡部「黙れ!貴様とて処女だろーに!」
紅莉栖「今日までは、ね……」
岡部「えっ……?」
まゆり「よかった~オカリンがチェリリンで」
岡部「ちぇ、チェリリン!?」
鈴羽「岡部チェりーん太郎だから、略してチェリリンだよ」
岡部「ま、まて! なんだそのふざけた名前は!」
ぎゅ
岡部「なっ、だ、誰だ!?俺の背後から襲いかかるなんて」
ルカ子「岡部さん、岡部さん、岡部さん、岡部さん……」ハアハア
岡部「る、ルカ子……?」
ルカ子「岡部さん、岡部さん、岡部さん、岡部さん……!!」ハアハアハアハアハア
岡部「おい、フェイリス! 見てないでなんとかしてくれ! ルカ子の様子がおかしい!」
ルカ子「岡部さん、岡部さん、岡部さん、岡部さん……うっ」ハアハア
フェイリス「凶真……」
岡部「は、早く、たすけ……」
ちゅ
フェイリス「んっ……」
岡部「えっ……?」
留未穂「岡部、さん……」ギュ
岡部「お、お前まで……」
紅莉栖「ねえ、岡部」サワ
岡部「さ、触るな!」ビク
紅莉栖「私たちが、どれだけ心配したか分かってる?」
岡部「……え?」
紅莉栖「最初ね、私の岡部が汚されたと思って頭の中、真っ白になったわ」
まゆり「まゆしぃのオカリンを」
鈴羽「あたしのオカリンおじさんを」
紅莉栖「汚した奴を許さない、って」
鈴羽「そんな奴、生かしておけないからな」
まゆり「うんっ」
岡部「なっ……」
ルカ子「岡部さんは前後ともに綺麗なままでした! 本当によかった……」
岡部「」
フェイリス「モエニャン、抜け駆けはずるいニャ」
萌郁「ごめん、なさい……」
紅莉栖「でも、ここで岡部の童貞を誰かが奪うとまた争いになる」
岡部「そ、そうだ! だから早く俺を解放して」
紅莉栖「なら、みんなで奪えばいいよね」
まゆり「うんっ!」
鈴羽「賛成」
留未穂「岡部さん……えへへ」
ルカ子「岡部さん、岡部さん、……」
萌郁「ないす……あいでぃあ」
岡部「えっ……」
紅莉栖「じゃ、そういう事だから。覚悟しろよ、童貞」
ガチャ
ダル「とぅっとぅるー♪ だるしじだお☆って、あれ……オカリン?」
岡部「」
ダル「どしたん、そんな干からびた顔して……」
岡部「……なあ、ダル。一ついいか……?」
ダル「なんぞ……?」
岡部「……童貞、とはなんだ?」
ダル「ナニってそりゃおんにゃの子とにゃんにゃんしてない男の事っしょ常考」
岡部「ふっ、違うなあダル。間違ってるぞ」
ダル「おっ? その口ぶり……もしかしてオカリン」
岡部「……童貞とは、女を知らない男の事だ」
ダル「ほう……」
岡部「だから、俺はまだ童貞だ……」
絶対に許さない!
岡部「俺はあいつらの考えを理解できなかった……」
ダル「あいつらって、オカリンまさか複数対戦!?」
岡部「行為をただ体験した男がどうやって女を知るというのだ?」
ダル(なんか、オカリン悟り開いてね……?)
岡部「行為だけでなく、その想いを真に理解したとき、俺は童貞から脱せる」
ダル「な、なにがあったん?」
岡部「ラボがラブホになった、と言えば分かるだろ」
ダル「oh……しかも複数、もしかして全員?」
岡部「ああ」
ダル「うわっ……」
岡部「だが、結局、俺はあつらの考えを理解できなかった」
ダル「つまり……?」
岡部「俺はまだ童貞という事だ。真に童貞から脱せられる日は……シュタインズ・ゲートが選択するさ」
おわり
読んでくれた人、ありがとニャンニャン
行為は妄想で補完か
面白かった
Entry ⇒ 2012.07.02 | Category ⇒ シュタインズゲートSS | Comments (0) | Trackbacks (0)
貴音「らぁめんに飽きました」
亜美「ただいま~♪」
真美「ふぃ~疲れたよ~……」
小鳥「お帰りなさい、二人とも。お仕事どうだった?」
真美「ふっふっふ、バッチリだったよ~♪」
亜美「でもお腹空いちゃった~。なにかない?ピヨちゃん」
小鳥「そうねぇ。お夕飯には早いし……あ!そうだ、給湯室に貰い物のカップラーメンがあったはずだから、それでいい?」
亜美「カップラーメン!うんうん!オーケーだよ!」
真美「真美はシーフードがいいなぁ」
小鳥「いろんな味があったはずだから好きなのを食べていいわよ」
亜美「やったー!」
真美「やったー!」
亜美「ラーメン~ラーメン~」
真美「あったあった。んっふっふ~シーフードはっけ~ん♪」
亜美「じゃあ亜美はカレーにしよーっと」
真美「お湯沸かすよ~」
亜美「早く沸かないかな~」
貴音「おや。亜美、真美こちらにいたんですか」
亜美「あ、お姫ちん。どったの?」
貴音「いえ、特になにもないのですけどね。これから食事ですか?」
真美「うん!カップラーメン食べるんだ~。お姫ちんも食べる?」
貴音「私は結構です」
真美「そうだよね、じゃあお姫ちんは何味に……えっ?」
亜美「お姫ちん……今なんて……」
貴音「私は結構ですと申したのですよ」
P「あ~……疲れた。営業回りも楽じゃないってね」
ガチャ
P「戻りました~」
小鳥「お帰りなさい、プロデュ……」
亜美「兄ちゃ~ん!!」
真美「大変だよ~!!」
P「うわっ!?どうしたんだよ、二人とも」
亜美「こっち!こっち来て!」
真美「お姫ちんが!お姫ちんが……」
P「貴音が?お前たちまた何かやったのか?」
真美「いいから早く~!!」
P「はいはい。わかったよ」
~給湯室~
P「お疲れさん、貴音」
貴音「お疲れ様です、プロデューサー」
P「で、貴音がどうしたんだ?二人とも」
亜美「テーブルの上を見て!」
P「テーブル?……貴音、よく食べるのはいいがカップラーメン二つはさすがに体に悪いんじゃないか?」
貴音「いえ……それは……」
亜美「そのカップラーメンは亜美たちのだよ」
P「そっか。貴音は食べないのか?」
貴音「はい、いただきません」
P「亜美真美、何がおかしいって言うんだ?いつも通り……今、なんて言った」
貴音「ですから、私はカップラーメンをいただきません。と」
P「なん……だと……っ!?」
亜美「ね?おかしいっしょ?」
真美「あのお姫ちんがラーメンを食べないなんて」
P「貴音……ちょっといいか?」
貴音「はい」
P「………」ペタッ
貴音「………」
P「熱はないか……。体調でも悪いのか?」
貴音「いえ、至って健康ですが」
P「じゃあなんで……どうしてラーメンを食べないんだ?」
貴音「そのことですか……それは…」
貴音「私、らぁめんに飽きました」
亜美「お姫ちんが……」
真美「ラーメンに……」
P「飽きた……?」
貴音「ええ。飽きました」
P「ううう嘘はよそう。ほら、この前だって『一日三食らぁめんでも構いません』って言っていただろう」
貴音「そう思っていた時期が私にもありました」
P「……………」
貴音「……………」
亜美「……………」
真美「……………」
ピィィィィィッ!
真美「あ、お湯が沸いたよ亜美」
亜美「じゃあ亜美たちは食べちゃおうか」
真美「そだねー」
P「おいおい……こんなときに」
亜美「腹が減っては道草もできぬって言うっしょ」
P「戦はできぬだ」
真美「それに真美たちお腹空いてるんだよ」
亜美「お湯入れておくよー」
真美「ありがと、亜美」
貴音「…………っ」
P「ん?どうした、貴音」
貴音「い、いえ……」
亜美「カップラーメンって待ってる時間が長く感じるよねぇ」
真美「うんうん、でもほかのことしてるといつの間にか過ぎちゃったりね」
貴音「………ゴクリ」
P「貴音?」
貴音「な、なんでしょう?」
P「お前も食べたいんじゃないか?カップラーメン」
貴音「そ、そんなことはございません!それになにより私は今……」
貴音「お腹は空いていませんから!」グゥゥゥゥ
P「とりあえず腹の虫と意志疎通しといた方がいいんじゃないか?」
貴音「くっ……面妖な……」
P「腹が減ってるなら食べればいいじゃないか」
貴音「だから先程から言っているではないですか」チラッ
亜美「あと一分~♪」
貴音「私はらぁめんに」チラッ
真美「真美はもう食べちゃお~♪」
貴音「飽きました、と」ジュル
P「どう見ても飽きてないだろ」
貴音「…………」
P「何があったんだ?我慢していても体に悪いぞ」
貴音「……わかりました。お話いたします」
貴音「一週間ほど前のことです」
貴音「仕事の内容に水着のグラビアというものを見つけました」
P「あぁ、確か来週にあったな」
貴音「自分では特に体つきに変化は感じなかったのですが、一応計り直して見ようと事務所にあった体重計をお借りしたのです」
貴音「そこで私は驚愕してしまいました。そこには……」
響「ただいまさ~!!」
P「空気読んで!!」
響「な、なんだよ。いきなり……」
P「いや、すまん。なんでもない。続けてくれ、貴音」
貴音「はい。それで体重計に乗ったところ……体重が増えていました……」
P「だから食事制限ってわけか……」
貴音「はい……」
P「でもなんで飽きたなんて言ったんだ?」
貴音「それは、そうでも言わなければ誘惑に負けてしまいそうだったので」
響「ねぇ、なんの話?なんの話?」
P「そっか……そんなことか。俺はてっきりお前になにか重大なことが起こったのかと思ったよ」
亜美「ちょっと兄ちゃん!」
P「おわっ!なんだよ」
響「ねぇ、なんの話?」
真美「女の子にとって体重が増えるってことは人生でも重大事件だよ!」
亜美「それをそんなことって!」
P「そ、そうなのか……」
貴音「よいのです。亜美、真美。ただ私の体重が増えただけなのですから」
響「ん?貴音太ったのか?」
貴音「ぐっ……」
響「健康管理もしっかりしないと駄目だぞ。その点自分は完璧だからそんなことは……」グゥゥゥゥ
P「…………」
貴音「………響」
響「こここここれは別にダイエットとかじゃなくて……その……」
P「響のことは置いといて、だからって空腹で過ごすのは体に不味いだろう」
貴音「わかっているのです。ですが私にはいまいちどのようにして体重を落とせばよいのかわからず……」
亜美「だから一番簡単な食べないことを選んだんだね」
真美「一番簡単だと思うけど一番辛そうだよ」
貴音「はい……。私が甘かったようです」
貴音「気づいたら食べ物を手に取っていたり、夢に出てきたりと」
P「重症だな」
貴音「どのようにして落とすのが一番よいのでしょうか……」
P「う~ん、俺にはわからないから詳しそうな人に聞いてみようか」
春香「で、私が呼ばれたんですね?」
P「あぁ、春香なら色んなダイエット方法を知ってるんじゃないかなって」
春香「どういう意味ですか……それ」
貴音「春香、私からもよろしくお願いいたします」
春香「そ、そんな頭を下げないでください。わかった、わかりました」
P「教えてくれるのか!」
春香「私がやったことあることだけですよ?」
貴音「構いません。それで十分です」
春香「え~と、リンゴダイエットとバナナダイエット、こんにゃくゼリーダイエットにヨーグルトダイエット」
P「食べ物系ばっかなんだな」
春香「ほ、ほっといてください!」
春香「こういうのは一日にその食べ物しか食べないって言うダイエットだね」
貴音「時に春香。らぁめんダイエットと言うものは……」
春香「残念ながらないですねぇ」
貴音「そうですか……」
春香「あとは体を動かす系のブートキャンプやピラティスなんかですかね」
P「何日続いた?」
春香「二日ですかねってプロデューサーさん!!」
P「すまんすまん」
春香「まったく……。だけど貴音さん」
貴音「なんでしょう?」
春香「やっぱりダイエットで一番いい方法はよく食べてよく運動することだと思います」
貴音「食べて……運動……ですか」
春香「はい。無理な食事制限は体に悪いですからね」
貴音「そうなのですか」
P「ありがとう、春香」
春香「いえ、お役に立てればいいんですけど」
P「十分役に立ったよ」ポムポム
春香「っ!?……えへへ」
P「とまぁ、春香から話を聞いたわけだが運動といってもレッスンでだいぶ動いてるんだろ?」
貴音「はい。やはりそれに加え自主的な運動をしなくてはならないのですね」
P「じゃあこれから夕方辺りに事務所の周りを走ってみるか」
貴音「!?手伝ってくれるのですか……?」
P「当たり前だろ。アイドルが困っていたら助ける。それがプロデューサーだ」
貴音「……ありがとうございます。プロデューサー」
P「そんなにかしこまらかなくてもいいって。俺も最近体重増えたしいい機会だからな」
貴音「ふふっ、では今日から走ってみましょうか」
P(それから俺と貴音の夕方ジョギングが始まった)
P(最初のうちは息を切らしていた俺だったが三日もすると慣れてきたようだ)
P(しかし貴音はすごいな。まったく息を乱さない……。これが現役アイドルか)
P(たまにラーメン屋を横切るとそちらに目がいくが必死に我慢しているようだった)
P「はぁ……はぁ……お疲れ、貴音」
貴音「お疲れ様です、プロデューサー」
P「……疲れた」
貴音「ふふっ。無理をしなくてもよいのですよ」
P「いや、貴音が元の体重に戻るまで付き合うさ」
貴音「ありがとうございます」
~翌日~
P「ふぃ~……今日も一日が始まる……」
ガチャ
P「おはようございます」
小鳥「おはようございます、プロデューサーさん」
P「相変わらず早いですね小鳥さん」
小鳥「はい。すっごい眠いです」
P「寝ぼけてミスとかしないでくださいよ?」
小鳥「わかっていますよ。仕事はちゃんとします」
P「では今日も一日よろしくお願いします」
小鳥「こちらこそ」
P「とりあえず情報収集にニュースでも見てみるか」
P「~♪~♪……ん?なんだこの記事……」
やよい「おはようございま~す!」
小鳥「おはよう、やよいちゃん」
P「あ、おはよう、やよい。今日も早いんだな」
やよい「はい!事務所のお掃除頑張ります!」
P「ありがとう、やよい。あ、ちょっといいか?」
やよい「?どうしたんですか?」
P「いや、この記事どう思う?」
やよい「?」
やよい「『ぎんぱつのゆうれい』『ラーメン店に夜な夜な現れるゆうれい』」
やよい「こ、これなんですか?お、おば、おばけですか?」
P「いや、多分違うと思うんだが……」
やよい「そこに書いてあるラーメン屋さんって……こ、ここの近くですよね……もしかしてこの近くに……うぅ……グスッ」
P(まさかの泣きっ!?)
伊織「おはようございま~す」
P(このタイミングでだとっ!?)
やよい「あ……グスッ……伊織ちゃん……」
伊織「!?ちょっと!どうしたの!やよい!」
やよい「あ、いや……その……プロデューサーの……」
伊織「……あんた、やよいに何かしたの?」
P「いやいや!なにもしてない!ただこれを見せただけだ!」
伊織「なになに……銀髪の幽霊?ラーメン屋に?これ貴音のことじゃないの?」
P「やっぱりそうだよな」
やよい「ふぇ?貴音さんなんですか?」
P「まぁ、銀髪でラーメンなんて連想されるのは貴音くらいだからな」
伊織「でもおかしいじゃない。貴音は今あんたとダイエットしてるんでしょ?」
伊織「なのになんでこんなニュースに乗るレベルでラーメン食べてんのよ」
P「俺が聞きたいさ」
P「というわけで張り込みをしてみよう」
律子「で、なんで私までプロデューサー殿の酔狂に付き合わないといけないんですか」
P「だって銀髪の幽霊が出るのは夜だって言うじゃないか。小さい子をつれ回してると職質されかねんからな」
律子「一人でやればいいでしょう。もしくは小鳥さんとか」
P「小鳥さんと夜に二人とか怖いし。それにお前を頼りにしてるから頼んだんだ、律子」
律子「プロデューサー……」
P「お前が言ったことならみんな信じるからな」
律子「言ってて寂しくないですか?」
P「どうせ俺は狼少年だよ」
P「でもこうしていると無性に牛乳とあんパンが食べたくなるよな」
律子「子供ですか……」
P「頼む!そこのコンビニで買って……」
律子「買いません。もう、見張るならちゃんと見張ってくださいよ……あ」
P「どうした?律子」
律子「出てきましたよ、貴音です」
P「本当だ。どこに行こうっていうんだ?こんな時間に」
律子「ラーメン屋なのは確実だと思いますがね」
律子「……ですけどなにか様子がおかしくないですか?」
P「ん?様子?」
貴音「…………メン…ラーメン……」
P「確かに……」
P「とりあえず尾行していこう」
律子「ちょっ……待ってくださいよ!?」
~ラーメン屋~
P「ここに入っていったか」
律子「案の定でしたね。それで、入るんですか?」
P「当たり前だろう。なんのための尾行だ」グゥゥゥゥ
律子「素直にお腹が空いたと言ってください」
ガラガラ
「いらっしゃいませ~!」
P「いた。貴音だ」
貴音「………ラーメン……ラーメン……」
律子「心ここにあらずって感じですね……」
P「すみません。ラーメンと餃子」
律子「なに、ナチュラルに注文してるんですか」
律子「私はいいです。この時間に食べるのはなにかと危ないですから」
律子「って違うでしょ!貴音ですよ!貴音!」
P「あ、そうだった」
P「お~い、貴音~」
貴音「……ズル……ズルズル……」
P「聞こえないことはないだろうけど……貴音~」
貴音「ズル……ズル……」
律子「近づいてみればいいんじゃないですか?」
P「それもそうだな。ちょっと行ってくる」
律子「行ってらっしゃい」
P「………」
律子「どうしたんです?」
P「なんか今の夫婦みたいだったなって」
律子「さっさと行く!!」
P「お~い、貴音~……」
貴音「……ズル……ズルズル……グー……スー……」
P「……こいつ、寝ながら食べてやがる……!?」
律子「もう、何してるんですか、プロデューサー殿」
P「あ、律子か。今俺は人の究極に巡りあったよ」
律子「なにバカなこと言ってるんですか。貴音もなにか言って……寝てる!?」
貴音「スー……ズルズル……スー……」
律子「けど食べてる!?」
P「食への執念ってすごいんだな」
律子「言ってる場合ですか!貴音!起きなさい貴音!」
貴音「はっ!私は……それにここは……」
P「起きたか」
貴音「プロデューサー……それに律子。私は……いったい……」
律子「あなたの目の前にあるものを見ればわかると思うけど」
貴音「……らぁめん」
P「お前はここ数日夜な夜な無意識のうちにラーメンを食べ歩いていたようだ」
貴音「そ……そんな!?ではジョギングの成果などは」
律子「こんな時間にこんなものを食べていればプラスマイナス0かもしくはまったくの無意味か……ね。残念だけど」
貴音「せっかくプロデューサーに手伝っていただいたのに……」
貴音「プロデューサー……」
P「大丈夫だ、貴音。まだ時間はある。頑張っていこう」
貴音「ですが……」
P「ここで諦めたらすべてが台無しだ。それでいいのか」
貴音「それは……嫌です」
P「なら頑張ろう。まだ時間はあるじゃないか」
貴音「そう……ですね」
P「律子も一緒に頑張ってくれると言ってるからな」
律子「え?あ……う、うん。私も頑張りますよ。なにをかはわからないけど……」
貴音「誠にありがとうございます……」
~翌日~
P「水着のグラビアまであと三日。この三日間でどこまでできるかが鍵だ」
貴音「はい。肝に命じております」
P「というわけで今日から特別コーチも参加する」
貴音「特別……コーチ?」
P「そうだ。来ていいぞ」
真「きゃぴぴぴぴ~☆菊地真ちゃんなりよ~☆」
P「…………」
貴音「…………」
真「あ……あれ?」
P「やり直し」
真「えぇ~!?」
真「わかりましたよぅ。貴音、今日から三日間。バリバリ運動しようね」
貴音「ありがとうございます。真」
P「あと量を気にしつつラーメンを食べることな」
貴音「なんと!?しかしそれでは……」
P「また夜中に無意識で食べにいったら貴音が困るだろ?」
貴音「確かに……。わかりました、腹八分目まで食べることに……」
P「半分くらいにしておけ」
貴音「……いけずです」
P「で、菊地先生。どんな運動をするんだ?」
真「そうですね。あと三日ですからここはあれです」
貴音「あれ?」
真「そう!真'sブートキャンプ!」
P「真's……」
貴音「ブート……」
美希「キャンプ……なの」
P「うわっ!?美希、いつからそこに……」
美希「ずっといたの。ミキが寝てたらハニーたちが来たんだよ?」
P「起こしちゃったか。すまんな」
美希「ううん、いいの。それになんか面白そうだしミキも参加するの」
P「そっか。ありがとう、美希。辛くなったらいつでも休んでいいからな」
美希「わかったの」
P「じゃあ貴音、準備はいいか?」
貴音「はい、バッチリでございます」
真「それじゃあ始めるよ!真'sブートキャンプだ!」
真「これから流れるリズムに合わせてキックとパンチを交互に出すよ」
真「キック!」
貴音「キック!」
真「パンチ!」
美希「パンチなの!」
真「キック!」
P「キック!……ってちょちょちょ、真!」
真「なんです?プロデューサー」
P「いや……なんかこれってブートキャンプというか昔あった……」
真「気のせいですよ。パラッパラッパーではありません」
P「やっぱりパラッパラッパーか!」
真「いいじゃないですか。あれもなかなか運動なんですよ?」
P「確かにな……。じゃあいいか、マコッパラッパーを続けるか」
真「変な名前つけないでください!」
真「じゃあ続き行くよ。今度はもっと素早く動くよ。キック!」
美希「キック!なの!」
真「パンチ!」
貴音「パンチ!」
真「キック!パンチ!チョップ!キック!キック!パンチ!昇龍拳!」
P「キック!パンチ!チョップ!……って俺の時だけ激しすぎだろ!」
真「気のせいです」
P「目に見えて、耳に聞こえて明らかに量増えたよね!?」
貴音「プロデューサー、先程から全然先に進みませんが……」
P「あ、悪い。そうだよな、いちいち止めてたら運動にならないよな」
P「すまん。真。続けてくれ」
真「わかりました。では行きます!」
真「次からもっと激しく動くよ。ボクについてこれるかな」
真「キック!パンチ!チョップ!」
貴音「キック!パンチ!チョップ!」
真「キック!キック!チョップ!」
美希「キック!キック!チョップ!なの!」
真「パンチ!パンチ!チョップ!」
春香「パンチ!パンチ!チョップ!」
真「みんないい感じだよ。じゃあ次は手を顎の前にもっていってファイティングポーズ!」
真「そして頭を∞にそって動かすよ!はい!」
真「テンプシー!テンプシー!」
貴音「テンプシー!テンプシー!」
真「まっこのうち!まっこのうち!」
春香「まっこのうち!まっこのうち!」
P(しれっと春香が混ざっているが黙っておこう……)
真「ふぅ……。じゃあ少し休憩しようか」
貴音「なかなかの運動量でしたね。これなら……」
春香「そうだよね。特にテンプシーなんかお腹周りに効きそう」
美希「あれ?春香、いつからいたの?」
春香「はは。最初の方から見てたんだけどね。楽しそうだからつい参加しちゃった」
春香「千早ちゃんも誘ったんだけど断られちゃった」
P「千早には必要なさそうだからなぁ」
春香「ええ、同じこと言われちゃいました……」
P(真のマコッパラッパーはだんだんと難易度をあげていった)
真「次は指だけで腕立て伏せだ!はい、アップ!」
貴音「あ……アップ…」
真「……ダウン!」
美希「ダウン……なの…」
真「次は足をあげての腹筋運動。一!二!」
春香「い……いちぃ…」
P「に………に………」
真「声が出てないよ!みんな!はい、三!四!」
貴音「はぁ……はぁ……さ…ん……」
美希「よ……ん……ぷはぁ~……ミキもうだめなの~……」
P「俺もどうやら……ここまでのようだ……」
春香「プ…プロデューサー……さん……私も……もう……」
真「えぇ~。みんなもう終わりですか?これからもっと激しいのがあるんだけどなぁ」
P「いや、まぁまだ初日だから……この程度で……な?」
真「……わかりました。じゃあまた明日ですね。それじゃあボクは事務所周りをジョギングしてきますね」
P「あ……ああ……」
真「いってきま~す!」
春香「真……恐ろしい子……!?」
貴音「はぁ……はぁ……」
P「大丈夫か?貴音」
貴音「は……はい……」
P「すごい汗だぞ?着替えたらどうだ」
貴音「そうですね……ですが着替えるにしても一度体を洗いたいですね」
美希「ミキもお風呂入りたいの~」
春香「あ、そうだ!ならみんなで銭湯いきましょうよ」
P「銭湯か。そういえば近くにできたらしいな」
春香「はい。少し気になっていたのでちょうどいいかなと思って」
美希「さんせ~い!」
貴音「皆で入る湯というのもよいですね」
P「じゃあ行くか。準備したらすぐに出発だ」
「は~い!(なの!)」
P「ここか……」
春香「開店したてなだけあって綺麗ですね」
美希「う~……ベタベタする……早くお風呂入りたいの~……」
貴音「そうですね。では入りましょうか」
P「じゃあ上がったらここでまた」
美希「え~……ハニーと一緒がいい~」
P「無茶言うな」
春香「そ、そうだよ美希!なに言ってるの!?」
美希「あ!でももしかしたらミキだったら男湯に入っても……」
P「バカかっ!」
美希「冗談なの……」
貴音「ではプロデューサー。また後程」
P「ああ、ゆっくりしてこい」
P「うん、そうだ。そうに決まってるさ」
カポーン
P「客は俺だけか。まぁ、こんな中途半端な時間だしな」
P「まずは体を流して……っと」
ザブゥゥゥン
P「ふぅ……あぁ~……いい湯だ」
P「疲れた後の風呂は最高だよな……」
美希『ハニー!いるー!?』
P「ぶっ!?」
春香『ちょっ!?美希!他にもお客さんがいるかもしれないのに!』
美希『だって~……ハニーと一緒っていうのを感じたいんだもん』
貴音『ですがこのような時間ですから案外貸しきりだったりするのではないですか?』
美希『貸し切りだったらミキもそっち行くの~!』
春香『絶対にダメ!美希!』
貴音『はて?』
春香『貴音さんってスタイルいいですよね。出るところ出てますし』
貴音『ふふっ……春香だってなかなかのものをお持ちではないですか』
春香『そ……そんな……ひゃっ!?』
美希『本当なの~。意外と大きいんだね、春香の胸』
春香『ちょっ……み……美希……はぁん……ダメ……』
P「あいつらなんてことを大声で……」
P「お~い!丸聞こえだぞ~!」
春香『え?え?あ……プ……プロデューサーさんのエッチ!』
P「なんでそうなる……」
美希『ねぇ、ハニー!そっちどんな感じ~!』
P「ん?誰もいないな。貸し切りだ」
美希『じゃあミキもそっちに…』
P「駄目だ!」
美希『ぶぅ……ハニーのわからず屋さん』
P「どっちがだよ……ところで貴音」
貴音『はい?』
P「ちゃんと体をほぐしておけよ。今のままだと明日が辛いからな」
貴音『はい、心得ております』
P「春香たちもな~」
春香『うぅ……変な声出たの聞かれちゃったよぅ……』
美希『ハニーと一緒に入りたいの……』
P「聞いちゃいねぇ……」
P「お、磨りガラスに人影が……」
P「人が入ってくるみたいだからもう大声出すなよ~」
貴音『承知いたしました』
P「ふぅ……やっと静かになるな」
???「あらあら~広いお風呂ですね~」
P「ん?この声……」
あずさ「でも千早ちゃんはいったいどこ行っちゃったんでしょう」
P「あなたがどこに来ちゃってんですか!?」
あずさ「え?プロデューサーさん?あの……ここは……」
P「こっちは男湯ですよ!あずささん!」
あずさ「あらあら……」
美希『えっ!?あずさそっちにいるの!?ずるいの!ミキも行くの!』
春香『プロデューサーさん!どういうことですか!』
貴音『面妖な……』
P「はぁ……はぁ……なんとか美希をこっちに来させずあずささんの移動が成功した」
あずさ『すみません、プロデューサーさぁん。私ったら……』
P「いえ……次から気を付けてくださいね」
あずさ『はい……それとプロデューサーさん』
P「どうしました?」
あずさ『あの……見ました?』
P「ぶはっ……み、見てません!見てませんから!」
あずさ『うふふ。ならよかったです』
春香『千早ちゃんも来てたんだね』
千早『えぇ、あずささんに誘われて……』
貴音『どうしました?千早』
美希『ミキがどうかしたの?』
千早『くっ……』
春香『き、気にしちゃ駄目だよ千早ちゃん』
千早『えぇ……そうするわ』
貴音『しかし皆で入る湯は楽しいですね』
あずさ『そうねぇ、他のみんなも誘えばよかったかしら』
美希『ねぇねぇ春香』
春香『なに、美希』
美希『あそこにサウナがあるの。一緒に入ろう』
春香『いいね。あ、貴音さんもどうですか?』
貴音『そうですね。では入りましょうか』
美希『あれ?誰か入ってるの』
春香『じゃああんまり五月蝿くしないようにしないと……』
バタン
響『うあぁぁ!もう限界だぁぁ!』
貴音『響……なぜここに……』
響『ふひゅう……熱いぞ~……』
あずさ『あらあら、大変。こっちに水風呂があるわよ、響ちゃん』
響『うぅ……ありがと……あずさ……』
千早『どうしてこんなになるまでサウナに?』
響『ふぇ……これはダイエッ……はっ!ななななんでもないぞ!ただ自分の限界に挑戦してただけさ!』
P「響~!無理はするなよ~!」
響『え!?プププ、プロデューサー!……それにみんなもなんでいるの!?』
美希『いまさらなの』
美希『まぁ、いいの。サウナ行こ、春香、貴音』
春香『うん』
貴音『そうですね』
春香「ふぅ……やっぱり暑いねぇ」
貴音「響が言うようにこれも一つのダイエットなのですか?」
春香「うん。汗をかいて老廃物を出してみたいな感じかな」
美希「ねぇ、二人とも。もっと暑くしていい?」
春香「え、いいけど少しずつ……」
美希「えぃ!なの!」
バシャアアア
ジュウウウウ
春香「ちょっ!?美希!一気にかけすぎ!」
貴音「水蒸気がすごいですね」
美希「だってミキ、あついの大好きだもん。恋も季節も」
春香「だからって……」
ギィ
あずさ「ご一緒してよろしいですか?」
美希「あ、あずさ」
春香「はい。歓迎ですよ」
あずさ「あら、少し暑めなのね」
春香「はは……これは美希が……」
美希「暑いの大好きなの!」
あずさ「うふふ、私も好きよ。貴音ちゃんも気持ちいい?」
貴音「えぇ、頭がボーッとしていい気分です」
春香「え?それ大丈夫なんですか?」
貴音「えぇ……気分はなんだか……いい気分です」
美希「貴音、大丈夫?顔が赤いの」
あずさ「無理はダメよ?」
貴音「無理などは……しておりません……」
春香「限界だったら言ってくださいね?」
貴音「えぇ……わかっております……わかって……」フラッ
春香「た、貴音さん!?」
P「~♪~♪」
春香『プ、プロデューサーさん!大変です!貴音さんが!』
美希『貴音が倒れちゃったの!』
P「な、なにぃ!?」
P「…………」ソワソワ
P「………」ソワソワ
春香「あ、プロデューサーさん」
P「春香!貴音は!?」
春香「はい、今はもう大丈夫みたいです。まだフラフラするみたいですけど」
P「大事にならなくてよかった……」
貴音「プロデューサー……お騒がせしました」
P「お、大丈夫か貴音」
貴音「えぇ、お恥ずかしい限りです」
美希「いきなり倒れちゃうからビックリしたの」
あずさ「次からは気を付けましょうね」
貴音「申し訳ございませんでした」
P「あれ?千早と響もいたんじゃないのか?」
春香「あぁ、千早ちゃんは響ちゃんがもう少しサウナに入るっていうから付き添いとして残るそうです」
P「響も無理しなければいいんだがな」
あずさ「では帰りますか」
美希「そうだね。楽しかったの~」
貴音「私も楽しかったです……」フラッ
P「おい!?」ガシッ
貴音「すみません……。少し風に当たれば大丈夫です」
P「………しょうがないな」
P「こんな状態じゃ危ないから貴音は俺が送っていくよ」
春香「そうですね。それがいいです」
あずさ「貴音ちゃんを頼みましたよ?プロデューサーさん」
美希「送り狼だけはダメだからね!ハニー!」
P「どこでそんな言葉覚えたんだよ」
貴音「?」
P「いや、おんぶだよおんぶ」
貴音「いえ……それは流石に」
P「遠慮すんなって。また倒れても困るだろ?」
貴音「……わかりました」
P「よし、じゃあ立つぞ」
P「…………ん?」
貴音「どうしたのですか?」
P「いや……軽いなってさ」
貴音「っ!?」
P「本当にダイエットなんて必要なのか?」
貴音「お、下ろしてください」
P「駄目だ。このまま帰るぞ」
P「でも本当に軽いぞ。その身長でこれだと逆に心配だ」
貴音「体感はわかりませんが事務所の体重計ではかなり増えていました……」
P「これで思い悩むって女の子ってのは大変なんだな」
貴音「……はい」
P「でもその割りにはいつも大分食べるよな?」
貴音「それは……っ」
P「でも俺はよく食べる子の方が好きだけどな」
貴音「……そうなのですか」
P「ああ。ってお前の家ってこっちでいいんだっけ?」
貴音「歩いて帰るとなると少し遠いですよ?なん駅か離れていますゆえ」
P「そうだったっけ?」
貴音「ええ、そうです」
P「な、なぁ……俺の家の方が近いんだが……」
貴音「……はい」
P「こんなだし、俺の家に……ってなに言ってんだろうな」
貴音「えぇ、よろしいですよ。プロデューサーの……いえ、あなた様のお家ならば」
P「だよな……やっぱりダメ……今なんて……」
貴音「よろしいですよ。と言ったのですよ、あなた様」ギュッ
P「っ!?た、貴音……」
貴音「どういたしました?」
P「…………」
貴音「あなた様?」
P「やっぱりお前の家まで歩くよ。少し遅くなるかもしれないけどな」
貴音「ふふっ……そう言うと思っていました」
P「はぁ……はぁ……流石に数駅歩くのは辛いな」
貴音「プロデューサー。私もう歩けますから下ろしていただいて構いませんよ」
P「そうか?じゃあ下ろすぞ」
貴音「ありがとうございます。ですがまだ少し不安もありますので……」
P「ん?」
貴音「腕をお借りしてもよろしいでしょうか?」
P「………ああ」
貴音「ふふっ。夜のウォーキングもダイエットにはいいらしいんですよ。春香が言っていました」
P「できるだけゆっくり帰るか」
貴音「はい」
貴音「プロデューサー」
P「どうした?」
貴音「もしもこのまま私の体重が変わらなくて」
貴音「どんどん数値を増やしていったらどうします?」
P「そうだな……。なるべく肌の露出するような仕事を避けたりお前が傷つかないように配慮するよ」
貴音「……もしも私がアイドルを続けられなくなってしまったら……?」
P「馬鹿を言わないでくれよ。そんなこと考えたくもない」
貴音「……お優しいのですね」
P「……そんなことはないさ」
貴音「ふふ……では我が家に着きましたし。今日はありがとうございます」
P「ああ、それじゃあまた明日な」
貴音「ええ、また明日」
P「………腕を離してくれなきゃ帰れないんだけど」
貴音「先程の答えはプロデューサーとしてのお考えですよね」
P「……まぁな。どうした?たか……」
貴音「振り向かないでくださいまし」
P「………」
貴音「どうかこのままで……プロデューサーとしての考えではなく、あなた様のお考えを……教えていただけますか?」
P「俺の……考え……」
貴音「私がアイドルでいられなくなったらあなた様は……どうしますか?」
P「………俺は」
~翌日~
P「おはようございます」
小鳥「おはようございます、プロデューサーさん」
P「あ、小鳥さん。体重計ってどこにあります?」
小鳥「体重計ですか?たしか倉庫の方にあったはずですけど」
P「わかりました。ありがとうございます」
小鳥「どうしたんですか?そろそろ気になっちゃう感じですか?」
P「そんなところです」
P「体重計……体重計……っと」
P「ん?どこにあるんだ?」
やよい「うっうー!おはようございます!プロデューサー!」
P「おはよう、やよい。あ、そうだ。体重計知らないか」
やよい「体重計……ですか?う~ん……」
P「いや、わからないならいいんだけど」
やよい「あ!そういえば!」
P「わかるのか?」
やよい「この前響さんが持っていくのを見ましたよ」
P「響が……?」
やよい「はい!」
P「そうか、ありがとうやよい。今日も頑張ってくれ」
やよい「うっうー!」
P「響が持ち出した体重計……貴音もそれを使ったんだよな」
P「それにここ最近の響の様子……そういうことか」
P「とりあえずまずは響に体重計を返してもらわないとな」
ガチャ
響「おはようございま~す……」
小鳥「おはよう、響ちゃん。どうしたの?元気ないわよ?」
響「なんでも……ないさ……」
P「響、ちょっといいか?」
響「な、なに?プロデューサー」
P「聞きたいことがあるんだけどな」
P「事務所の体重計ってどこにあるかわかるか?」
響「た、体重計……あ、ああ。あれはちょっと借りてて……」
P「今から持ってきてくれるか?」
響「え?今から?」
P「ああ、少しばかり急ぎのようだ。今日は午前中はオフだろ?頼む」
響「あ、うん……勝手に借りたの自分だから……わかったさ。……あんまり見たくないんだけど」
P「ん?」
響「なんでもない。じゃあちょっと取ってくるね」
P「ああ、待ってるぞ」
ガチャ
貴音「おはようございます」
雪歩「おはようございます」
小鳥「おはよう。貴音ちゃん、雪歩ちゃん。一緒に来たの?」
雪歩「はい。駅でばったり会って」
貴音「時にプロデューサー。なにやら響が急いで出ていきましたけどなにか?」
P「いや、大したこと……まぁ、気にするな」
貴音「はて?」
雪歩「今日は私も真ちゃんと一緒に運動しようかな」
貴音「ええ、多い方が楽しいでしょう」
P「昨日のこともあるし無理はするなよ?」
貴音「わかっております」
P(俺の考えがあっているなら別に必要ない気もするんだがな……)
美希「おはようなの~!ハニー!昨日はちゃんとなにもしないで帰ったの?」
P「いきなりなんだよ。なにもしてないよ」
美希「意気地無しなの~」
P「なっ!?そういうことじゃないだろ!?」
美希「でも貴音ほどの子を一切手を出さないなんておかしいの」
P「出したら出したでなんか言うくせに」
美希「出してたら許さないの」
P「ですよね~」
P(響が出てってそれなりに経ったな……)
P「そろそろ戻ってくると思うんだが……」
響「戻ったぞ!プロデューサー!はい、体重計」
P「サンキュー。響」
P(これか……。目盛りは……なんもおかしくないな)
響「なにそんなに体重計をジロジロ見てるんだ?」
P「いや、ちょっとな……」
P(う~ん……実際に使ってみるか)
P「しょっと……」
響「お?プロデューサーって意外に重いんだなぁ」
P「……やっぱり」
響「?」
P「貴音、ちょっといいか?」
貴音「どうしました?プロデューサー」
P「貴音が使ったのはこれでいいんだよな」
貴音「……ええ」
P「ちょっと乗ってみてくれ」
美希「ちょっとハニー!それはいくらなんでも……」
貴音「よいのです。美希」
美希「貴音……」
貴音「では……乗りますね」
貴音「………っ!?」
P「どうだ?貴音」
貴音「………あの時より……変わっておりません」
P「……そうか。よかった」
貴音「っ!?」
美希「ハニー!!」
P「へ?」
パァン
美希「今のはいくらなんでも酷いの!見損なったの!」
貴音「……美希」
美希「貴音はあんなに頑張ってたのに!それもわからないなんて!ハニーの馬鹿!」
P「ちょちょちょ……ちょっと待ってくれ。話を聞け」
美希「ん?なんなの?言い訳?」
P「違うよ。貴音の体重が増えた理由だよ」
貴音「増えた……理由ですか?」
P「ああ、この体重計壊れてるんだよ」
貴音「え?」
美希「え?」
響「えぇぇぇ!?」
美希「な、なんでそんなことがわかるの?」
響「目盛りはちゃんとしてるじゃないか!?」
P「見た目はな。けど俺は昨日の銭湯でデジタル式の体重計で計ったんだよ」
P「そして今乗ってみたら五キロは増えていた。流石に一日で五キロは増えないだろ?」
響「そ……そんな……じゃあ自分は……」
貴音「そう……でしたか」
P「ああ、だからもうダイエットなんてする必要もない」
美希「なんだ。そうだったの……あ!?は、ハニー!ご、ごめんなさいなの!」
P「いやいや、俺の言い方が悪かっただけだし」
亜美「どったの~?」
真美「ダイエット成功?」
貴音「ふふ、私の勘違いだったようです」
春香「なんだ。そうだったんだ」
伊織「まったく人騒がせなんだから」
雪歩「それじゃあ水着のグラビアもいつもみたいにできそうですね」
貴音「ええ」
真「グラビア頑張ってきてね」
響「応援してるぞ!貴音!」
P「……なに言ってるんだ?みんな」
「え?」
P「あのグラビア、全員参加だぞ?」
「えぇぇぇぇぇ!?」
春香「どうしよう!どうしよう!最近怠けてたよー!」
亜美「うあうあ~!次のグラビアまでにボンキュッボン計画が~!」
真美「全然考えないで食べてたよ~!」
伊織「まったく。普段から気にしてないからそうなるのよ」
千早「グラビア……くっ」
雪歩「ふぇぇ……ちんちくりんな私なんて穴を掘って埋まってますぅ」
P「阿鼻叫喚だな……」
貴音「プロデューサー」
P「ん?どうした?」
貴音「この度はお騒がせしました」
P「いや、いいんだよ。俺はお前たちに振り回されるのがお似合いだ」
貴音「なんと。それは嬉しいことです」
貴音「ふふっ。ところで一つ質問がございます」
P「なんだ、言ってみろ」
貴音「昨晩言っていただいた言葉は」
貴音「これから先も信じてよろしいのですよね?」
終わり
では、ここまで読んでくれた方おつ
貴音かわいい
乙
貴音はかわいいなぁ
乙
らぁめんたべたい
Entry ⇒ 2012.07.02 | Category ⇒ アイマスSS | Comments (0) | Trackbacks (0)
京子「睡眠薬」
結衣「ごちそうさま」
結衣「んじゃお茶いれてくるね」
京子「あ、ありがとー」
結衣(よし…この睡眠薬を…)サーッ
結衣「はいどうぞ」スッ
京子「ありがとー」
京子(甘いな結衣!)
京子(バレバレだよん)
京子(ちなみに私のことが好きなのもね♪)
京子(告白してくれるのずっと待ってたのに…)
京子(まさかそこまで思い詰めてるとは!)
京子(まあ、ここで問い詰めるのも面白そうだけど…)
京子(ここはあえて…飲んだふりをして…)
京子(眠った私に何をするつもりなのか確かめてやろう!)ニヤニヤ
京子(あー、何されるんだろ…)
京子(ついに…ついに結衣から…!)
『京子、好きだよ』
京子(なんて言われたり…///)
京子(もしかして…キ、キスとかされちゃったりして!)キャー
京子(決めた…!)
京子(そこまでいったら起きて…)
京子(私も好きだよってやり返してやろう♪)
京子「なんでもないよーん♪」
京子「んじゃいただきまーす」ゴクッ
京子(どうだ!この完璧な飲んだふり!)
京子「いつものちなつちゃんのお茶も美味しいけど…」
京子「結衣のお茶も私好きだよ」
結衣「そうか?まあそれならよかった…」
京子「結衣ー。ゲームやっていい?」
結衣「いいよ。じゃあ私は先に洗い物してきちゃおうかな」
京子「あっそうか、手伝うよ」
結衣「ううん、大丈夫だからゲーム始めてていいよ」
結衣(立ってる時に寝られたら危ないし…)
京子「そう?じゃあお言葉に甘えちゃうね」ニコッ
京子(……)
京子(よし…この状況で…)
京子(いかにもゲーム途中で寝てしまったかのように見せかける!)
京子(机にうつぶせがバレにくいかな?)
京子(コントローラーを持って…)
京子(こんな感じかな…)ダラー
京子(完璧だ!いつでもかかってこい!)
結衣「京子?」
京子(きた!)
結衣「寝てる…?」
京子(寝てます!)
結衣「おーい」トントン
京子「zzz」
結衣「睡眠薬って本当に効くんだ…」
京子(飲んでないけどね!)
結衣「………」
結衣「綺麗な髪…」サラサラ
京子(あ、くすぐったい…)
結衣「薬なんか使ってごめんね…」ナデナデ
結衣「絶対寝ててくれないと言えないから…」
結衣「……」
結衣「好き…」
京子(きたよ!きてますよこれ!)
結衣「ずっと昔から…」
結衣「ずっと、ずっと好きだった」
京子(きたきたー!)
結衣「京子の笑ってる顔が大好き」
結衣「京子とずっと一緒にいたい」
結衣「だから…」
結衣「これでおしまい」
京子(………!?)
結衣「これで…全部…」
結衣「諦めるんだ…」ポロッ
結衣「きっと京子は…」
結衣「私を幼馴染みとしてしか見てない…」
結衣「それに…」
結衣「女の子同士だなんて…受け入れてくれるわけがない…」ポロポロ
結衣「この想いを…伝えてしまって…」
結衣「もし…京子に否定されたら…」
結衣「京子に…気持ちわるいって…言われたら…」
結衣「幼馴染みにも戻れなかったら…」
結衣「私はきっと…」ポロポロ
結衣「だからこれで私の初恋はおしまい」
結衣「京子が目覚めたらいつも通り幼馴染みとして…」
結衣「うん、いつも通り…」
結衣「ただの幼馴染みでいいから…」グスッ
結衣「今だけは…まだ…」
結衣「もう少しだけでいいから…」
結衣「一緒にいさせてよ…」ポロポロ
結衣「ダメだなぁ私…」グスッ
結衣「よし!顔洗ってしっかりしなきゃ!」スッ
タッタッタッ……
京子(………)
京子(諦めるって…これでおしまいってなんだよ…!)
京子(なんで起きてあげなかったんだ…!)
京子(起きて…一言だけ…)
京子(たった一言言うだけでよかったのに…)
京子(それだけで結衣を…)
京子(結衣を泣かせることなんかなかったのに!)
京子(今まではずっと泣いてる私を結衣が慰めてくれたんだ…!)
京子(今、結衣が泣いてるなら…!)
京子(今度は私が!)
結衣「あれっ起きてたの?」
京子「結衣、真面目な話するからここ座って」
結衣「どうしたの急に?」
京子「まず最初に…私知ってたよ」
結衣「知ってたって何を…?」
京子「結衣が私のことが好きなことも、お茶に薬を入れたことも」
結衣「……!」
結衣「………」
京子「次は…謝らなきゃいけないこと…」
結衣「!……嫌だ…」
京子「あのね…」
結衣「やめてくれ!」バンッ
京子「……!」
結衣「もういいから…もうやめてよ…」
結衣「これ以上…聞きたくない…」ポロポロ
結衣「謝るってことはそういうことなんだろ…?」
結衣「そんなの…聞きたくない…!」
京子「違うよ結衣…大丈夫だから…」ギュッ
京子「私を信じて…」
京子「今話さなきゃいけないんだよ…」
京子「だから…ちゃんと聞いて…」
結衣「………」
京子「大事なことは結衣に任せて…」
京子「全部結衣がしてくれるって思ってた…」
京子「ごめんね…」
京子「それから…さっき…」
京子「結衣が泣いてるのに何もしてあげられなくってごめん…」
京子「私が泣いてる時はいつだって慰めてくれたのに…」
京子「結衣が泣いてる時に私は…何もできなくて…」
京子「たった一言言うだけでよかったのに…」
京子「ごめん…」
京子「だから…さっき言えなかった代わりに全部言うよ」
京子「ちゃんと聞いてほしい」
結衣「……」
京子「私は…」
京子「結衣が大好きです」
結衣「!!!」
京子「ずっとずっと好きでした」
京子「……」
京子「なのに…」ポロッ
京子「結衣も私のことが好きだって知ってから…」
京子「嬉しくて…すごく嬉しかったのに…」
京子「私から告白すればよかったのに…」
京子「結衣から告白してほしいなんて勝手な考えをしてた…」ポロポロ
京子「結衣があんなに悩んでるなんて知らなくて…」
京子「結衣の気持ちを考えもしないで…」
京子「本当に最低なことをしちゃった…」
京子「ごめん…」グスッ
京子「謝るから……だから…」
京子「諦めるなんて言わないでよ…」
京子「嫌いにならないでよ…」
京子「お願いだよ…結衣…」ポロポロ
結衣「嫌いになんか…なるわけない…」
結衣「想いが通じたのに…」
結衣「嫌いになんかなるわけない!」
京子「結衣…」
結衣「だから私もちゃんと言うよ」
結衣「ずっと好きでした……私と…」
結衣「付き合ってください」
京子「ホントにありがとう…あと…」
京子「ホントにごめんね…気づいてあげれなくて…」ポロポロ
結衣「私はもう大丈夫だから…」
結衣「ありがとね…京子…」ギュッ
京子「結衣…!」ギュッ
結衣「……」クスッ
結衣「ほらもう泣き止みなって」ポンポン
京子「うん…」グスッ
京子「あー、結局結衣に慰めてもらっちゃったな…」
結衣「今はこれでいいんじゃないかな」クスッ
京子「もう立ち直ってるし…」
結衣「カッコわるいところたくさん見せちゃったからね」ナデナデ
京子「またそうやってカッコつけようとして…」ムー
京子「これからはそういうの禁止!」
結衣「そうだね…これからは一人で抱え込まないようにするよ」
京子「二人ならきっと大丈夫!」
京子「これからは私も頼ってもらえるようにがんばるから!」
京子「だから…」
京子「これは今までのお返し!」
チュッ
結衣「………」
結衣「はっ?」
京子「今のはお返し!」
京子「今までもらったいろんなことの…」
京子「今までのありがとうの気持ち!」
京子「そしてこれからも…」
京子「ありがとうとか…好きとか!!」
京子「たくさん伝えていくからなー!」
おしまい
みたいなのを見て書きました
甘甘にしようとしたのに変な方行ってごめんなさい
Entry ⇒ 2012.07.02 | Category ⇒ ゆるゆりSS | Comments (0) | Trackbacks (0)