スポンサーサイト
上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
橙子「式って普段ノーブラだったんだな」幹也「…は?」
引用元: ・http://hayabusa.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1346156690/
橙子「……」
幹也「……」
橙子「黒桐……君が式を好きなのは分かるがな……ここは職場で、今は勤務時間中だ」
幹也「はぁ……」
橙子「君はそこらの区切りはしっかり出来てる方だと思っていたんだが」
幹也「仕事中にいきなり独り言始めたのは橙子さんの方ですけどね……で、どうしたんですか?」
橙子「何が?」
黒桐「何がって……つまり、式の下着……」
橙子「……そんなに気になるのか?」
幹也「え?」
橙子「私は今勤務時間中だと念押ししたが……それでも式の事について聞きたいんだろう、君は」
幹也「……」
幹也(これは……はいと言っても、いいえと言っても……多分、黙っていても僕の分が悪くならないか?)
橙子「……」ククク
幹也「以前、小川マンションの件の時に鮮花に似たような質問をされましたが……ああいうの、橙子さんが鮮花に教えてるんですか?」
橙子「さて」(すっとぼけ)
幹也「……」ハァー…
幹也「気になるか気にならないかで言えば……気になります」
橙子「ふむ。つまり君にとっては、仕事より式が下着を着けているかどうかの方が重要だと」
幹也「聞こえの悪いように言わないで下さい。大体なんで急にそんな事言い出したんですか」
橙子「ん、いやね。思い返してみれば――私は、あの子が着物以外の服を着ている姿を殆ど見た事がないんだ」
幹也「え?」
橙子「いや、厳密には違うんだが……とにかく、式が着物以外を着ている姿を私は殆ど知らない。お前はどうだ」
幹也「そう、ですね。高校の時、休みの日に式と何度か遊びに行った事がありますけど……そういう時も基本はずっと着物でした、式は」
橙子「学校生活なんかは?着物で来てたのか?」
幹也「うちは私服登校だったんです。あ、でも体育の授業がありましたから、その時に何度か体操着姿を見た事があります」
橙子「式の体操着は可愛かったか?」
幹也「ええ、もちろんっ」
橙子「……」
幹也「……」
橙子「黒桐は式の体操着萌え……、と。今度式に会った時教えてあげよう」
幹也「ちょっ……所長!? 何言ってんですか!! 止めてくださいよ本当っ……」
橙子「落ち着け黒桐、暴れるな」
幹也「別に暴れてませんけど……」
橙子「今のは冗談だ、式には内緒にしておく」
幹也「本当ですか……?」
橙子「勿論だ。……私を信じられないか、黒桐?」
幹也「……」ジーッ…… ←不信の眼差し
橙子「まあ、それは置いておくとして」
幹也(不安だなぁ……)
橙子「もしかして式は……着物以外の服を持っていない、のか?」
幹也「そういう訳じゃないと思いますけど……家の人に用意してもらった洋服も、式は一度も袖を通した事がないそうです」
橙子「単に着物が好きなのか、極端な洋服嫌いなのか……どちらにしろ筋金入りだね」
幹也「……はは」
橙子「にしても……学生時代、男とデートする時も一貫して着物だったのか、あいつ……」
橙子(ん?学生時代……デート……学生……学校……)
橙子「あっ、そうだ」
幹也「?」
橙子「黒桐、前に礼園で起きた事件の事、覚えてるか?」
幹也「あの、妖精の?」
橙子「ああ。……私もあそこのOGだが……何でこの事忘れてたかなぁ……」
幹也「どういう事ですか?」
橙子「分からんか?あそこは全寮制で、生徒には制服の着用が義務付けられている。鮮花をみれば分かるだろう」
幹也(礼園……妖精事件……制服の着用義務……)
幹也「あっ」
橙子「もう分かっただろう。私は以前、鮮花の“目の代わり”にあそこへ式を送り込んだ事がある。その時にだ……」
橙子「……一度、目にしたんだよ。式があの制服を着ている姿を」
幹也「……良いなぁ」ボソッ…
橙子「いや、あれは実に―――素晴しかった」
幹也(ちょっと楽しみにしてたのに……結局、僕だけ一度も見られずじまいだったんだよな……式の制服姿)
橙子「あの制服、式は今どうしてるかな。もう一度着ている姿を見たいものだが……」
幹也「……」
橙子「黒桐、おまえ知らないか?」
幹也「え?何で僕が」
橙子「いやな――私には結局一度しかその姿を拝ませてくれなかったが――」
橙子「君になら、式も悦んで制服姿を見せ付けているかもしれないじゃないか」
幹也「い、いやー……」
橙子「え、どうなんだ実際? あの制服で君に迫ったりしないのか、式は?『黒桐くん、良くってよ……』なんて――」カチャッ…
幹也「と、橙子さんっ!」
橙子「……」クスクス
幹也(一瞬だけ眼鏡をかけて……器用な事するな、この人はー……)
幹也「――あいにく、僕も礼園服の式を見た事はありません」
橙子「なんだ、つまらん」
幹也「……」
橙子「式はあの制服どうしたかな」
幹也「捨ててなければ、秋隆さんが大切に保管しておいてくれているかもしれませんね」
橙子「うむ……」カチッ…シュボッ
橙子「……」フゥー…
幹也「……」
橙子「……あっ」
幹也「?」
橙子「制服と言えば――式って、中学時代はどうしてたんだろうな」
幹也「―――」
橙子「高校は私服登校だったかもしれんが、中学もそうとは限らん。案外あいつ、中学の時は普通にセーラー服を着てたんじゃないか」
幹也「……おぉ……」
橙子「黒桐、ちょっとイメージしてみろ」
幹也「?」
橙子「初めて君が出会った……それより少し幼い式の、セーラー服姿を」
幹也「―――」
橙子「……」
幹也「……何とも、可愛らしいですね」
橙子「だろう?」
幹也「今の式も十分可愛いですけど」
橙子「……」
橙子「式はまだ中学の時の制服を持ってるかな……」
幹也「秋隆さんなら、きっと……」
橙子「そうか……」
幹也「……」
橙子「……」フー…
橙子「話が逸れたな……」
幹也「逸らしたのは橙子さんご自身ですけどね」
橙子「だから。式は着物以外の服を滅多に着ないが、着物を着る時は普通下着を着けないものなんだろう? だから――」
幹也「式も、普段は下着を着けていないと……?」
橙子「その可能性は、十分ありえるって事さ」
幹也「……」
橙子「それがどうも気になって……昨日、私は一日中式の胸を観察していたんだがな」
幹也「は?」
橙子「これが良く分からん。普通、胸が服に擦れれば痛そうな素振りをしても良いはずなのに、式にはそれがなかった」
幹也「それってつまり、式は下着をしているって事なんじゃないですか?」
橙子「……ないんだ」
幹也「は……?」
橙子「だから。ブラをすれば出来るはず膨らみがなかったんだ、式の着物には」
幹也「――」
橙子「という事は……式は下着を着けていないという事になる訳だが……黒桐」
幹也「はい?」
橙子「君さ、式が普段下着を付けてるかどうか、知らない?」
幹也「――知りませんよ。何で僕がそんな事を知ってるんですか」
橙子「本当か?」ズイ
幹也「……」
橙子「おまえは、本当に、式のあの着物の下がどうなってるのか、知らないのか?」
幹也「……」
橙子「……」
幹也「……」
幹也「……ノーコメントで」
橙子「……何とも無難でつまらん返し方だなぁ」
ガチャ……ギイイイ……
橙子「おや、噂の張本人がやって来たようだ」
幹也「え……?」
式「……」
幹也「あ……」
橙子「……」クスクス
式「……」
幹也「や……やあ。おはよう、式。今日もいい天気だね」
式「これから曇るそうだけど。……おはよう」
橙子(こりゃ相当慌ててるな……天気予報くらい家で観てきただろうに)ククク
幹也「今日はどうしてここに?学校は?」
式「今日は休みの日だよ。……なんだ、オレはここに来ちゃいけないって言うのか?」
幹也「い、いや……そんな事ないけど」
式「……ふん」スタスタ
橙子(……これは面白いモノが観れそうだ)
幹也「式、コーヒー飲まない?」
式「……淹れてくれるなら飲むけど。何だ、おまえ今仕事中じゃないのか」
幹也「堅い事言わないで。別に良いですよね、橙子さん?」
橙子「構わんよ」
幹也「よかった。じゃ、淹れてくる」スタスタ
式「……? 何だあいつ……」
橙子(男と言うのは、浮気の最中余所余所しい程家族に優しくなるそうだが……ふむ)
幹也「お待たせ。ブラックしかなかったけど、いいかな?」
式「……甘いのよりは、こっちがいい」
橙子(後ろめたい気持ちがあるんだろうな……さて、どうなるか)
…………………………
橙子「……」パラ…パラ…
式「……」グテー…
幹也「……」ソワソワ
幹也(式は今……ジャンパーを脱いで、ソファーでゴロゴロしている……)
式「……」ゴロゴロ…ゴロゴロ…
幹也「……」チラ…チラ…
式「?」
橙子「……」ククク
幹也「……」
幹也(――本当に。式は今、着物の下に下着を付けてないんだろうか)
式(あいつ……何でさっきからこっちをチラチラ見てくるんだろう?)
幹也(もし橙子さんの言った事が真実なら……式はここまで、ずっとノーブラで歩いてきた事になる)
幹也(幸い式の家はここから近いから……痴漢に遭ったって事もなさそうだけど、しかし……)
幹也「……」ウーン…
式(……何か、服に変な物でも付いてるのかな?)
幹也(それでもやっぱり、心配だよな……歩いている最中、擦れ違い様に触ろうとする痴漢が居ないとも限らないし……)
式「?」
幹也(式に直接聞ければそれが一番なんだろうけど、聞いた途端に拳が飛んできそうな気がする……参った)
橙子「……ああ、もう昼か。式、腹減らないか?」
式「ん? ……ああ、腹減ったな」
橙子「この辺に、上手い和食料亭が最近オープンしたそうだ」
式「へぇ、それで……?」
橙子「三人で食いに行かないか?勿論私が奢ろうだ」
幹也「……え?」
式「……トウコの言う事にしては偉く太っ腹だけど。どういう風の吹き回し?」
橙子「いや……普段から世話になってる君達への礼だと思ってくれ」
式「……」
橙子「純粋な好意だよ、これに裏はないから安心しろ」
式「……分かった」
この日支払われた食事代は、こっそり黒桐くんの給料から天引きされていた
橙子「じゃ、今日は一旦仕事を引き上げて……あっ、そうだ。おい、黒桐」
幹也「え……な、何です?」ドクン…
橙子「おまえさっき式が部屋に入った時チラチラ見てただろ」
式「……」ドキ…
幹也(と、橙子さん、何を……?)
幹也「いや、見てないですよ」
橙子「嘘吐け絶対見てたぞ」
幹也「……何で見る必要なんかあるんですか」
式「……『なんか』?」ピクッ
幹也「あっ……」
式「おまえ幹也さ、さっき仕事してる時、中々手が動いてなかったよな」
橙子「そうだよ」
幹也「い、いや、そんな事……」
幹也(ちょっと橙子さん……! 何言ってるんですか!)
橙子(いや……君、さっきから式が下着を着けてるか着けてるかどうか凄く気にしてたんだろう? だから……)スッ…
橙子「見たけりゃ見せてやろう、式」ガシ
式「え?」
幹也「あっ……!」タタタ
音も無く式の背後を取った橙子さん。その手は既に式の肩口にかかっていた……
橙子「―――」
式「―――」
幹也「―――」
(ふにっ……)
幹也(あれ……?)
橙子さんは式の肩口に手をかけた。手をかけたが……それ以上何もしなかった。
一方、このままでは式の着物が引き下ろされると判断した黒桐くんは、橙子さんの手を抑えるべく走った、が
幹也「……」
式「……」
橙子「……」
幹也(引き下ろされて……ない?え……じゃあ今、僕の手の中にあるこれは……)
(ふに……ふに……)
幹也(柔らかい……けど、これは素肌じゃないな……何かで覆ってる……さらし……?)
ギイイイ……バタンッ!
鮮花「橙子さーん!兄さんと一緒に料亭にお昼食べに行くって本……当……」
鮮花「……」
幹也「……」
幹也「あざ……か……? どうして、ここに……」
橙子「ああ、あらかじめ電話で私が呼んでおいたんだ。食事って言うのは人数が多ければ多いほど楽しいものだろう?」
幹也「はは……」
式「……」
鮮花「……」
幹也「……」
橙子「……」カチッ…シュボッ…
橙子「どうでもいいがな、黒桐、おまえいつまで式の胸掴んでるんだ」
幹也「―――」
式「―――――ッ!!」
(バチンッ)
幹也「あいたっ」
式「―――っ……!」タタタ
ガチャッ……バタンッ!
橙子「腰の入れ方といい、スナップの掛け具合といい……見事な平手打ちだったな」
鮮花「……」ユラリ…
幹也「あ、あの……鮮花……?」
鮮花「ふ……」
鮮花「ふ……ふふ……ふ……」
幹也「……?」
鮮花「喰らいやがれぇーーーッ!!(Azolto)」
(ドッ……グォンッ……)
幹也「……」
鮮花「―――ッ……」タタタ…
橙子「驚いた。鮮花の奴、ここまで強力な発火能力が使えた、とは……」
幹也「何て火力とパワーだよ……あいつは……」ガクッ…
幹也「……」
橙子「おい、黒桐。大丈夫か?」
幹也「……」ガクッ
橙子「あ、気を失ったか……。まあ多少は役得も有ったんだ、それくらいは我慢しなきゃな」
橙子「……思春期には辛い事もある。だが、皆そうやって大人になっていくんだよ……式、鮮花、黒桐……」
と、若い三人の心と体に深い傷を植えつけた張本人は言い放つのであった
この後、走り去った式と鮮花は幹也が頭下げて連れ戻し、改めて四人で料亭へと向かった
鬱憤を晴らすかのような式と鮮花のやけ食いは凄い物で、流石の幹也も声を失ってしまった。そして……
幹也「あ、あれ……今月やけに少なくないですか橙子さん?」
橙子「さあ?気のせいじゃないか」
黒桐くんの給料は、大幅に下げられてしまったのだった。
完
1: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/28(火) 21:24:50.72 ID:KvBZF4Im0
橙子「うーむ……普通、着物を着る時は下着を着けない、とは聞いていたが……」
幹也「え……あ、あの……橙子さん?」
橙子「夏場は蒸れなくて涼しそうだが……しかしなぁ……胸が痛くならないのかな、式は……」
幹也「もしもーし、聞こえてますかー?橙子さーん……」
橙子「ん? ああ、聞こえているよ黒桐。何だ、給料なら上げんぞ」
幹也「今回はその事じゃありませんよ。橙子さん、今何か……おかしな事口走りませんでした?」
橙子「おかしな事って……どんな?」
幹也「だから、その――式の……下着がどうした、とか……」
幹也「え……あ、あの……橙子さん?」
橙子「夏場は蒸れなくて涼しそうだが……しかしなぁ……胸が痛くならないのかな、式は……」
幹也「もしもーし、聞こえてますかー?橙子さーん……」
橙子「ん? ああ、聞こえているよ黒桐。何だ、給料なら上げんぞ」
幹也「今回はその事じゃありませんよ。橙子さん、今何か……おかしな事口走りませんでした?」
橙子「おかしな事って……どんな?」
幹也「だから、その――式の……下着がどうした、とか……」
2: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/28(火) 21:26:35.58 ID:KvBZF4Im0
橙子「……」
幹也「……」
橙子「黒桐……君が式を好きなのは分かるがな……ここは職場で、今は勤務時間中だ」
幹也「はぁ……」
橙子「君はそこらの区切りはしっかり出来てる方だと思っていたんだが」
幹也「仕事中にいきなり独り言始めたのは橙子さんの方ですけどね……で、どうしたんですか?」
橙子「何が?」
黒桐「何がって……つまり、式の下着……」
6: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/28(火) 21:34:18.95 ID:KvBZF4Im0
橙子「……そんなに気になるのか?」
幹也「え?」
橙子「私は今勤務時間中だと念押ししたが……それでも式の事について聞きたいんだろう、君は」
幹也「……」
幹也(これは……はいと言っても、いいえと言っても……多分、黙っていても僕の分が悪くならないか?)
橙子「……」ククク
幹也「以前、小川マンションの件の時に鮮花に似たような質問をされましたが……ああいうの、橙子さんが鮮花に教えてるんですか?」
橙子「さて」(すっとぼけ)
7: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/28(火) 21:40:21.95 ID:KvBZF4Im0
幹也「……」ハァー…
幹也「気になるか気にならないかで言えば……気になります」
橙子「ふむ。つまり君にとっては、仕事より式が下着を着けているかどうかの方が重要だと」
幹也「聞こえの悪いように言わないで下さい。大体なんで急にそんな事言い出したんですか」
橙子「ん、いやね。思い返してみれば――私は、あの子が着物以外の服を着ている姿を殆ど見た事がないんだ」
幹也「え?」
9: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/28(火) 21:47:12.63 ID:KvBZF4Im0
橙子「いや、厳密には違うんだが……とにかく、式が着物以外を着ている姿を私は殆ど知らない。お前はどうだ」
幹也「そう、ですね。高校の時、休みの日に式と何度か遊びに行った事がありますけど……そういう時も基本はずっと着物でした、式は」
橙子「学校生活なんかは?着物で来てたのか?」
幹也「うちは私服登校だったんです。あ、でも体育の授業がありましたから、その時に何度か体操着姿を見た事があります」
橙子「式の体操着は可愛かったか?」
幹也「ええ、もちろんっ」
11: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/28(火) 21:52:19.37 ID:KvBZF4Im0
橙子「……」
幹也「……」
橙子「黒桐は式の体操着萌え……、と。今度式に会った時教えてあげよう」
幹也「ちょっ……所長!? 何言ってんですか!! 止めてくださいよ本当っ……」
橙子「落ち着け黒桐、暴れるな」
幹也「別に暴れてませんけど……」
橙子「今のは冗談だ、式には内緒にしておく」
幹也「本当ですか……?」
橙子「勿論だ。……私を信じられないか、黒桐?」
幹也「……」ジーッ…… ←不信の眼差し
橙子「まあ、それは置いておくとして」
幹也(不安だなぁ……)
15: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/28(火) 21:59:44.35 ID:KvBZF4Im0
橙子「もしかして式は……着物以外の服を持っていない、のか?」
幹也「そういう訳じゃないと思いますけど……家の人に用意してもらった洋服も、式は一度も袖を通した事がないそうです」
橙子「単に着物が好きなのか、極端な洋服嫌いなのか……どちらにしろ筋金入りだね」
幹也「……はは」
橙子「にしても……学生時代、男とデートする時も一貫して着物だったのか、あいつ……」
橙子(ん?学生時代……デート……学生……学校……)
橙子「あっ、そうだ」
幹也「?」
橙子「黒桐、前に礼園で起きた事件の事、覚えてるか?」
幹也「あの、妖精の?」
17: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/28(火) 22:07:50.64 ID:KvBZF4Im0
橙子「ああ。……私もあそこのOGだが……何でこの事忘れてたかなぁ……」
幹也「どういう事ですか?」
橙子「分からんか?あそこは全寮制で、生徒には制服の着用が義務付けられている。鮮花をみれば分かるだろう」
幹也(礼園……妖精事件……制服の着用義務……)
幹也「あっ」
橙子「もう分かっただろう。私は以前、鮮花の“目の代わり”にあそこへ式を送り込んだ事がある。その時にだ……」
橙子「……一度、目にしたんだよ。式があの制服を着ている姿を」
幹也「……良いなぁ」ボソッ…
24: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/28(火) 22:17:26.43 ID:KvBZF4Im0
橙子「いや、あれは実に―――素晴しかった」
幹也(ちょっと楽しみにしてたのに……結局、僕だけ一度も見られずじまいだったんだよな……式の制服姿)
橙子「あの制服、式は今どうしてるかな。もう一度着ている姿を見たいものだが……」
幹也「……」
橙子「黒桐、おまえ知らないか?」
幹也「え?何で僕が」
橙子「いやな――私には結局一度しかその姿を拝ませてくれなかったが――」
橙子「君になら、式も悦んで制服姿を見せ付けているかもしれないじゃないか」
25: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/28(火) 22:23:21.62 ID:KvBZF4Im0
幹也「い、いやー……」
橙子「え、どうなんだ実際? あの制服で君に迫ったりしないのか、式は?『黒桐くん、良くってよ……』なんて――」カチャッ…
幹也「と、橙子さんっ!」
橙子「……」クスクス
幹也(一瞬だけ眼鏡をかけて……器用な事するな、この人はー……)
幹也「――あいにく、僕も礼園服の式を見た事はありません」
橙子「なんだ、つまらん」
幹也「……」
27: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/28(火) 22:29:30.74 ID:KvBZF4Im0
橙子「式はあの制服どうしたかな」
幹也「捨ててなければ、秋隆さんが大切に保管しておいてくれているかもしれませんね」
橙子「うむ……」カチッ…シュボッ
橙子「……」フゥー…
幹也「……」
橙子「……あっ」
幹也「?」
橙子「制服と言えば――式って、中学時代はどうしてたんだろうな」
幹也「―――」
28: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/28(火) 22:36:22.33 ID:KvBZF4Im0
橙子「高校は私服登校だったかもしれんが、中学もそうとは限らん。案外あいつ、中学の時は普通にセーラー服を着てたんじゃないか」
幹也「……おぉ……」
橙子「黒桐、ちょっとイメージしてみろ」
幹也「?」
橙子「初めて君が出会った……それより少し幼い式の、セーラー服姿を」
幹也「―――」
橙子「……」
幹也「……何とも、可愛らしいですね」
橙子「だろう?」
幹也「今の式も十分可愛いですけど」
橙子「……」
29: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/28(火) 22:42:23.78 ID:KvBZF4Im0
橙子「式はまだ中学の時の制服を持ってるかな……」
幹也「秋隆さんなら、きっと……」
橙子「そうか……」
幹也「……」
橙子「……」フー…
橙子「話が逸れたな……」
幹也「逸らしたのは橙子さんご自身ですけどね」
橙子「だから。式は着物以外の服を滅多に着ないが、着物を着る時は普通下着を着けないものなんだろう? だから――」
幹也「式も、普段は下着を着けていないと……?」
橙子「その可能性は、十分ありえるって事さ」
幹也「……」
30: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/28(火) 22:49:21.06 ID:KvBZF4Im0
橙子「それがどうも気になって……昨日、私は一日中式の胸を観察していたんだがな」
幹也「は?」
橙子「これが良く分からん。普通、胸が服に擦れれば痛そうな素振りをしても良いはずなのに、式にはそれがなかった」
幹也「それってつまり、式は下着をしているって事なんじゃないですか?」
橙子「……ないんだ」
幹也「は……?」
橙子「だから。ブラをすれば出来るはず膨らみがなかったんだ、式の着物には」
幹也「――」
31: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/28(火) 22:54:23.46 ID:KvBZF4Im0
橙子「という事は……式は下着を着けていないという事になる訳だが……黒桐」
幹也「はい?」
橙子「君さ、式が普段下着を付けてるかどうか、知らない?」
幹也「――知りませんよ。何で僕がそんな事を知ってるんですか」
橙子「本当か?」ズイ
幹也「……」
橙子「おまえは、本当に、式のあの着物の下がどうなってるのか、知らないのか?」
幹也「……」
橙子「……」
幹也「……」
32: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/28(火) 22:59:15.80 ID:KvBZF4Im0
幹也「……ノーコメントで」
橙子「……何とも無難でつまらん返し方だなぁ」
ガチャ……ギイイイ……
橙子「おや、噂の張本人がやって来たようだ」
幹也「え……?」
式「……」
幹也「あ……」
橙子「……」クスクス
33: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/28(火) 23:04:36.41 ID:KvBZF4Im0
式「……」
幹也「や……やあ。おはよう、式。今日もいい天気だね」
式「これから曇るそうだけど。……おはよう」
橙子(こりゃ相当慌ててるな……天気予報くらい家で観てきただろうに)ククク
幹也「今日はどうしてここに?学校は?」
式「今日は休みの日だよ。……なんだ、オレはここに来ちゃいけないって言うのか?」
幹也「い、いや……そんな事ないけど」
式「……ふん」スタスタ
橙子(……これは面白いモノが観れそうだ)
34: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/28(火) 23:09:40.84 ID:KvBZF4Im0
幹也「式、コーヒー飲まない?」
式「……淹れてくれるなら飲むけど。何だ、おまえ今仕事中じゃないのか」
幹也「堅い事言わないで。別に良いですよね、橙子さん?」
橙子「構わんよ」
幹也「よかった。じゃ、淹れてくる」スタスタ
式「……? 何だあいつ……」
橙子(男と言うのは、浮気の最中余所余所しい程家族に優しくなるそうだが……ふむ)
36: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/28(火) 23:17:07.75 ID:KvBZF4Im0
幹也「お待たせ。ブラックしかなかったけど、いいかな?」
式「……甘いのよりは、こっちがいい」
橙子(後ろめたい気持ちがあるんだろうな……さて、どうなるか)
…………………………
橙子「……」パラ…パラ…
式「……」グテー…
幹也「……」ソワソワ
幹也(式は今……ジャンパーを脱いで、ソファーでゴロゴロしている……)
式「……」ゴロゴロ…ゴロゴロ…
37: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/28(火) 23:20:34.06 ID:KvBZF4Im0
幹也「……」チラ…チラ…
式「?」
橙子「……」ククク
幹也「……」
幹也(――本当に。式は今、着物の下に下着を付けてないんだろうか)
式(あいつ……何でさっきからこっちをチラチラ見てくるんだろう?)
幹也(もし橙子さんの言った事が真実なら……式はここまで、ずっとノーブラで歩いてきた事になる)
幹也(幸い式の家はここから近いから……痴漢に遭ったって事もなさそうだけど、しかし……)
39: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/28(火) 23:27:52.00 ID:KvBZF4Im0
幹也「……」ウーン…
式(……何か、服に変な物でも付いてるのかな?)
幹也(それでもやっぱり、心配だよな……歩いている最中、擦れ違い様に触ろうとする痴漢が居ないとも限らないし……)
式「?」
幹也(式に直接聞ければそれが一番なんだろうけど、聞いた途端に拳が飛んできそうな気がする……参った)
橙子「……ああ、もう昼か。式、腹減らないか?」
式「ん? ……ああ、腹減ったな」
44: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/28(火) 23:39:12.77 ID:KvBZF4Im0
橙子「この辺に、上手い和食料亭が最近オープンしたそうだ」
式「へぇ、それで……?」
橙子「三人で食いに行かないか?勿論私が奢ろうだ」
幹也「……え?」
式「……トウコの言う事にしては偉く太っ腹だけど。どういう風の吹き回し?」
橙子「いや……普段から世話になってる君達への礼だと思ってくれ」
式「……」
橙子「純粋な好意だよ、これに裏はないから安心しろ」
式「……分かった」
47: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/28(火) 23:48:48.05 ID:KvBZF4Im0
この日支払われた食事代は、こっそり黒桐くんの給料から天引きされていた
橙子「じゃ、今日は一旦仕事を引き上げて……あっ、そうだ。おい、黒桐」
幹也「え……な、何です?」ドクン…
橙子「おまえさっき式が部屋に入った時チラチラ見てただろ」
式「……」ドキ…
幹也(と、橙子さん、何を……?)
幹也「いや、見てないですよ」
橙子「嘘吐け絶対見てたぞ」
幹也「……何で見る必要なんかあるんですか」
式「……『なんか』?」ピクッ
幹也「あっ……」
50: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/28(火) 23:57:36.44 ID:KvBZF4Im0
式「おまえ幹也さ、さっき仕事してる時、中々手が動いてなかったよな」
橙子「そうだよ」
幹也「い、いや、そんな事……」
幹也(ちょっと橙子さん……! 何言ってるんですか!)
橙子(いや……君、さっきから式が下着を着けてるか着けてるかどうか凄く気にしてたんだろう? だから……)スッ…
橙子「見たけりゃ見せてやろう、式」ガシ
式「え?」
幹也「あっ……!」タタタ
音も無く式の背後を取った橙子さん。その手は既に式の肩口にかかっていた……
51: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/29(水) 00:03:45.75 ID:mJBvmiSw0
橙子「―――」
式「―――」
幹也「―――」
(ふにっ……)
幹也(あれ……?)
橙子さんは式の肩口に手をかけた。手をかけたが……それ以上何もしなかった。
一方、このままでは式の着物が引き下ろされると判断した黒桐くんは、橙子さんの手を抑えるべく走った、が
52: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/29(水) 00:09:05.13 ID:mJBvmiSw0
幹也「……」
式「……」
橙子「……」
幹也(引き下ろされて……ない?え……じゃあ今、僕の手の中にあるこれは……)
(ふに……ふに……)
幹也(柔らかい……けど、これは素肌じゃないな……何かで覆ってる……さらし……?)
ギイイイ……バタンッ!
鮮花「橙子さーん!兄さんと一緒に料亭にお昼食べに行くって本……当……」
53: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/29(水) 00:10:02.47 ID:I0x1XnWj0
ここで鮮花
いいぞもっとやれ
いいぞもっとやれ
54: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/29(水) 00:14:05.86 ID:mJBvmiSw0
鮮花「……」
幹也「……」
幹也「あざ……か……? どうして、ここに……」
橙子「ああ、あらかじめ電話で私が呼んでおいたんだ。食事って言うのは人数が多ければ多いほど楽しいものだろう?」
幹也「はは……」
式「……」
鮮花「……」
幹也「……」
橙子「……」カチッ…シュボッ…
橙子「どうでもいいがな、黒桐、おまえいつまで式の胸掴んでるんだ」
55: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/29(水) 00:18:20.01 ID:mJBvmiSw0
幹也「―――」
式「―――――ッ!!」
(バチンッ)
幹也「あいたっ」
式「―――っ……!」タタタ
ガチャッ……バタンッ!
橙子「腰の入れ方といい、スナップの掛け具合といい……見事な平手打ちだったな」
鮮花「……」ユラリ…
幹也「あ、あの……鮮花……?」
58: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/29(水) 00:24:07.58 ID:mJBvmiSw0
鮮花「ふ……」
鮮花「ふ……ふふ……ふ……」
幹也「……?」
鮮花「喰らいやがれぇーーーッ!!(Azolto)」
(ドッ……グォンッ……)
幹也「……」
鮮花「―――ッ……」タタタ…
橙子「驚いた。鮮花の奴、ここまで強力な発火能力が使えた、とは……」
幹也「何て火力とパワーだよ……あいつは……」ガクッ…
61: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/29(水) 00:37:09.55 ID:mJBvmiSw0
幹也「……」
橙子「おい、黒桐。大丈夫か?」
幹也「……」ガクッ
橙子「あ、気を失ったか……。まあ多少は役得も有ったんだ、それくらいは我慢しなきゃな」
橙子「……思春期には辛い事もある。だが、皆そうやって大人になっていくんだよ……式、鮮花、黒桐……」
と、若い三人の心と体に深い傷を植えつけた張本人は言い放つのであった
この後、走り去った式と鮮花は幹也が頭下げて連れ戻し、改めて四人で料亭へと向かった
鬱憤を晴らすかのような式と鮮花のやけ食いは凄い物で、流石の幹也も声を失ってしまった。そして……
幹也「あ、あれ……今月やけに少なくないですか橙子さん?」
橙子「さあ?気のせいじゃないか」
黒桐くんの給料は、大幅に下げられてしまったのだった。
完
62: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/29(水) 00:39:27.56 ID:I0x1XnWj0
おい
おい
おい
64: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/29(水) 00:48:00.75 ID:mJBvmiSw0
一回で完結出来て良かった(小並感)今回もエロ無いんだよなぁ…お疲れ様でした
元々らっきょにエロは合わないけど橙子さんの鬼門っぷりは異常
元々らっきょにエロは合わないけど橙子さんの鬼門っぷりは異常
70: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/29(水) 01:11:12.68 ID:4CmNmJ/R0
おつおつ!
この記事へのコメント
トラックバック
URL :
- 名無しさん - 2012年08月30日 01:38:19