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咲「お、お風呂? 一緒に!?」 照「……」コクッ
父「給湯器が壊れたみたいで、お湯の温度が保てないんだ。だから温かいうちに…」
咲「あっ、だからお父さんとお母さんも一緒に……」
父「そういう事だ。今日はかなり汗かいたから、入らないのは無理だろ? だからパパっと二人一緒に入っちゃってくれ。」
咲「い、一緒に…」
照「……」グイッ
咲「!」
咲「お、お姉ちゃん!? (引っ張られて…)」ズルズル
照「……」クルッ
咲「ほ、本当に一緒に入るの……?」アセアセ
照「……」コクッ
咲「なっ……」
照「……」ズルズル
咲「……」ズルズル
咲(全国大会が終わって、夏休み中は長野にずっといるって言って、一緒に住むようになって……)
咲(最初はやっぱり色々照れ臭くて、それでも徐々に慣れて来たんだけど……)
咲(さすがにお風呂一緒は恥ずかしいよぉ……)アセアセ
咲(脱衣所まで来ちゃったけど……)
照「……」スーッ
咲「! (お、お姉ちゃん、普通に脱ぎ始めちゃったよぉ!)アセアセ
咲「お、お姉ちゃん!」
照「……」クルッ
咲「ほ、本当に一緒に入るの?」
照「……」
咲「……」ドキドキ
照「……一緒にお風呂に入った事なんか、数え切れない程あるでしょ」
咲「! ま、まぁ、そうだけどさ……それは小さい頃だから……」ドキドキ
照「……何年経っても、姉妹は姉妹。恥ずかしがるような相手じゃない」
咲「そ、そうだけどさぁ……」
照「……」スーッ
咲(あぁ……どんどん脱いでくよぉ……)アセアセ
咲(お姉ちゃんの方が見られないよぉ……)アセアセ
ガラガラガラ
照「先に入ってるから」
咲「? 咲に牌っ照?」
照「……」
照「……私が先にお風呂に入るから」
咲「あ、そ、そういう事か……(私ってば、まだ全国大会の事で頭の中が……)……う、うん!」
ガラガラガラ ピシャッ
咲「……」
咲(ど、どうしよう……私も脱いで、入るべきなのかな……)
咲「……」
咲(スリガラス越しに、髪洗ってるのが見える)
咲(とりあえず、お姉ちゃんが体まで洗い終わって湯船に入るのを待った方が良いよね)
ワシャワシャ
咲「……」
シャーッ
咲(リンスを流したみたいだね)
咲(これで体を洗ったら、とりあえず湯船に入るだろうから……)
照「咲」
咲「!」
照「咲」
咲「ど、どうしたの?」アセアセ
照「早く」
照「それじゃあ遅い」
咲「お、遅い?」
照「背中を流して欲しい」
咲「!」
照「早く」
咲「え、そ、そんな……」アセアセアセアセ
照「給湯器がいつまで持つかもわからない」
咲「そ、そうだけど……」
照「体を洗い合って、一緒に流してしまった方が効率的」
咲「!」
照「早く」
咲「う、うん……(ど、どうしよう……)」アセアセ
咲(とりあえず……脱いだけど……)
照「早く」
咲「!」
咲「う、うん」
咲(お姉ちゃんが先にタオル持って入ったみたいだから……)
咲(温泉とかみたいに隠す事も出来ないよぉ……)アセアセ
照「咲」
咲「!」
咲「う、うん。今行くよ」
咲「……」ゴクッ
咲(……し、姉妹だもんね。は、恥ずかしがるのがおかしいんだよね)
ガラガラガラ
照「……」
咲「……」カァッ
咲(さ、さすがに思いっ切り見ちゃうと照れるよ……)アセアセ
咲(お姉ちゃん、脱ぐとこんなにスラッとしてるんだ……)
咲(胸は……やっぱり血は争えないね……)
照「……」
照「これで」スッ
咲「う、うん」カシッ
照「背中、お願い」
咲「う、うん」
咲「う、うん」
照「……」
咲(お、お姉ちゃんの……背中……)
咲「じゃあ、いくよ」スッ
照「……」
咲「……」ゴシゴシ
照「……」
咲「……」ゴシゴシ
照「……」
咲(なんか……)ゴシゴシ
照「……」
照「……」
咲(あれだけ遠くて……)ゴシゴシ
照「……」
咲「大きな存在だった……お姉ちゃんの……)ゴシゴシ
照「……」
咲(背中が……)ゴシゴシ
照「……」
咲(いざ目の前にしてみると……)ゴシゴシ
照「……」
咲(こんなに小さいなんて……)ゴシゴシ
照「……」
咲(なんか、可愛いな)ゴシゴシ
照「……」
咲「お姉ちゃんさ」ゴシゴシ
照「!」
照「な、なんだ」
咲「……」ゴシゴシ
照「……?」
咲「……なんでもないよ。えへへ」ゴシゴシ
照「……無駄な口を利かせないで」
咲「姉妹なんだから良いじゃん」ニコニコ
照「……」
照「……」コクッ
咲「じゃあ、次はお姉ちゃんが私の背中を洗ってくれる番だね」スッ
照「あ、あぁ」
咲「よ……っと」ストッ
咲「じゃあ、お願いね」
照「……」スッ
咲「……」
照「……」ゴシゴシ
咲「今日は私もいっぱい汗かいちゃったよぉー」
照「……」ゴシゴシ
咲「……」
照「……」ゴシゴシ
咲「……お姉ちゃんってさ」
照「!」ゴシゴシ
照「……な、なに」ゴシゴシ
咲「意外と、小さいんだね。えへへ」
照「!」ゴシゴシ
咲「……とか言って、気を悪くしないでね」
咲「背比べしてたのなんか、もうずっと昔の事だからさ」
照「……!」ゴシゴシ
咲「お姉ちゃんは私よりずっと大きいっていうイメージのままで……」
照「……」ゴシゴシ
咲「色々あって……そのままそのイメージがどんどん大きくなってたんだけど……」
照「……」ゴシゴシ
咲「今、背中流してみてら、意外と小さくてさ」
照「……」ゴシゴシ
咲「なんか可愛いなって。えへへ」
照「!」
咲「とか言って、ごめんね」
照「……」ゴシゴシ
咲「妹が姉に小さくて可愛いなんて言っちゃダメだよね」ポリポリ
照「……」ゴシゴシ
咲「……」
照「……さ、咲は」ゴシゴシ
咲「! うん?」
照「その……」ゴシゴシ
咲「うん?」
照「いつの間にか……こんなに大きくなってたんだ」ゴシゴシ
咲「うん! 私ももう高校生だからね」ニコッ
咲「……」
照「……終わった」ピタッ
咲「お、ありがとう」
ノドカッ ノドカッ ノドカッ
咲・照「「!」」
咲「給湯機が変な音出してるねぇ」
照「……多分もう、あのラインまで溜まってる湯しか出ない」
咲「そっかぁ。結構少ないね……」
照「だから、他の箇所も洗って、全部一緒に流した方が良い」
咲「そうだね」
照「じゃあ私から…」
咲「じゃあ他の所も、洗い合いっこしよっか」ニコッ
照「!」
咲「?」
照「なにを……」アセアセ
咲「いや、その、変な意味じゃないよ? (あれ……ちょっと甘えたかっただけなんだけど……変な誤解されちゃったかな……)」アセアセ
照「じゃあどういう……」
咲「いや、その、だから……」
照「……」
咲「ほ、他の所もお互いに洗い合いっこするっていう……」
照「……」
咲「あ、あれ……そのまんまだね……(私、うっかり変な提案しちゃってたんだ……)」
照「……」
咲「ご、ごめん。なんでもないよぉ」アセアセ
照「……」
照「……とりあえず、もう一回座って」
咲「す、座ったよ?」
照「……もう少し、前に」
咲「前に? 浅くって事?」
照「このバスチェアー大きいから、背中合わせで二人で座れる」
咲「! あ、そういう事かぁ」
咲「……」ススッ
咲「これで良いかな?」
照「……」コクッ
照「……」ストン
咲・照「「……」」背中ピトッ
咲・照「「……」」カァッ
咲「そ、そうだね」ドキドキ
照「……」クシュクシュ アワアワ
咲「……」クシュクシュ アワアワ
照「……」ゴシゴシ
咲「……」ゴシゴシ
照「……」
咲(お互いに……見てる方は真逆だけど……)
照「……」
咲(生身の背中全体が触れ合ってるってなんか、緊張するなぁ)ドキドキ
照「……」
咲「!」
照「……」
咲(背中越しに、お姉ちゃんの鼓動も伝わってくる……)
照「……」ゴシゴシ
咲「なんか嬉しいよ」
照「!」
照「嬉しい?」
咲「うん」コクッ
照「なにが……」
咲「こうやって、小さい頃みたいに出来てさ」
照「!」
咲「あのさ」
照「う、うん?」
咲「なんで全国大会で、お姉ちゃんの高校の大将さんに勝てたかって言うとね」
照「……」
照「……」
咲「そのー……」
照「……」
咲「清澄のみんなの応援があったからなんだよ」
照「そう」
咲「うん」
照「良いチームメイトに恵まれたな」
咲「うん!」
照「……」ゴシゴシ
咲「……」ゴシゴシ
咲(……っていうのは大前提で)
咲(本当はなにより……あの試合に勝てば……)
咲(なんか……小さい頃みたいに戻れる気がしたからなんだよね)
照「……」
咲(来てからもすごくぎこちなかったけど……)
照「……」
咲「ふぅー」
照「……」
咲「ねぇ、お姉ちゃん (やっと……)」
照「……?」
咲「なんでもないよ。えへへ (やっと、大きな大きな枷が取れた気がするよぉ)」
照「……」ツネッ
咲「痛っ」
照「……こっちも」
咲「じゃあ流そっか」
照「……」
照「いや、髪も洗ってしまった方が良い」
咲「髪も?」
照「咲はまだ洗ってないだろ」
咲「まぁそうだけどぉ……」
照「多分思ってる以上に残りの湯は少ない。これで体を流すのに使って、髪を洗う分が無くなったら困るだろ」
咲「それもそうだね。……じゃあお姉ちゃんだけでも流して、先に湯船に…」
照「それじゃ意味無いだろ」
咲「そ、そうだけど……なんか待ってて貰うのが……」
照「私が洗う」
咲「え?」
照「……」コクッ
咲「な、なんか悪いよぉ」アセアセ
照「ショートだから、パパッと終わらせる」
咲「そ、そっかぁ」
照「……」シャンプー プシュッ
照「……」クチュクチュ
照「……」ペタッ
咲「……」
照「……」ワシャワシャ
咲「……」
照「……」ワシャワシャ
咲(な、なんか……これはこれで……すごく照れるなぁ……)カァッ
咲「……」テレテレ
照「……」ワシャワシャ
咲「……」テレテレ
照「……」右腕シューーー
咲「!?」
照「……」右腕シューー
咲「お、お姉ちゃん!?」
照「……」コークスクリュー洗髪 ワシャワシャワシャワシャ
咲「お、お姉ちゃん!!」
咲「お姉ちゃん痛いよぉ!」オロオロ
照「この方が効率が良い」ワシャワシャワシャワシャ
咲「い、痛いってばぁ!」オロオロ
照「……そうか」ピタッ
咲「もう!」クルッ
照「……」
咲「……」ジトーッ
照「……」
咲「……」プクーッ
照「……ぷっ」
咲「!」
照「ぷはっ……あっはははは」
咲「!!」
照「あっはは」
咲「もう~」
照「……ふぅ」
咲「でも、良かった」
照「よ、良かった?」
咲「お姉ちゃん、人変わっちゃったのかと思ってたよ」
照「!」
照「……!」カァッ
照「そ、それは……た、ただの……よ、よくある思春期の変化であってゴニョゴニョ」アセアセ
咲「ふぅん」ジトーッ
照「……」アセアセ
咲「でも、なんか、やっとしっかり言える気がするよ」
照「しっかり言える……?」
照「……?」
咲「……」スッ
照「……?」
ギュッ
咲「お姉ちゃん、おかえり」ギューッ
照「!」
咲「……ずっと待ってたんだよ」グスッ
照「……!」
咲「……」ギューッ
照「……」
照「ただいま」ポンポン
咲「……!」
すばらしい
パッ
咲・照「「……」」カァッ
咲(よ、よく考えてみたら、なにしてるんだろう私達……)ドキドキ
照「……」ドキドキ
咲(は、裸で抱き合うなんて……)ドキドキ
照「……」ドキドキ
咲(お姉ちゃんも顔真っ赤になってるし)
照「……」ドキドキ
咲(とりあえず……)
咲「……」クルッ
咲「お、お姉ちゃん、洗髪の続きだよぉ!」
照「! あ、あぁ」
咲「さっきの奥義的なのはダメだよ」
照「わ、わかってる」
咲「……」
照「……」ワシャワシャ
咲「あ、あのさ」
照「な、なに」ワシャワシャ
咲「一つ思ったんだけどさ」
照「あぁ」ワシャワシャ
咲「お湯、給湯器の中のが無くなっても、洗面器あるんだから湯船の使えば良いんだよね」
照「」
咲「それともう一つ」
照「……な、なに」
咲「さっき、あの距離まで体を近づけ合ったのに、お互いに胸が当たらないってすごく深刻だよね……」
照「……」
終
おつおつ
Entry ⇒ 2012.09.09 | Category ⇒ 咲-Saki-SS | Comments (0) | Trackbacks (0)
明彦「おいラビリス、何を持ってる?…なに?けいおん?」
明彦「なんだそれは」
ラビリス「色んな女の子が軽音部ゆう所で演奏しはったり、お茶したりするアニメなんよ」
ラビリス「アイギスからおもろいから見てやって勧められてな」
ラビリス「実際に見てみたら意外にハマってもーて、続きは無いか聞きに行くとこなんや」
明彦「そうか、引き留めて悪かったな」
ラビリス「もう行ってええ?」
明彦「ああ」じ~…
ラビリス「…」
ラビリス「…真田はん、興味あるん?」
明彦「…いや」
明彦「物珍しかっただけだ」
ラビリス「そないなこと言わへんで見てみたらどや?」
ラビリス「このアニメはたくさん女の子いるんやけど」
ラビリス「あずにゃん言うんが一番可愛いんよ!」
明彦「興味ない」
ラビリス「(さっきは物珍しいとか言うとった癖に…)」
ラビリス「ほんなら仕方あらへんな、無理には勧めへんよ」
ラビリス「なんとなく真田はんはこの手のは苦手そうやし」
明彦「!」
ラビリス「あずにゃん可愛い」
明彦「違う、その次だ!」
ラビリス「真田はんはこの手のは苦手そうやなって」
明彦「冗談じゃない!」
明彦「この俺が苦手なものがアイツ以外にいてたまるか!」
ラビリス「アイツ?」
明彦「…そのアニメDVDを貸してくれ、見事勝利してみせる」
明彦「見終わったらアイギスには俺から返しておく」
ラビリス「そういうことならええよ、ほい」
明彦「礼を言う」
カッ!
明彦「!?」
明彦「なんだ!?急に目の前が眩しく…!!」
明彦「(DVDが光っているのか!?)」
ラビリス「~」
明彦「なんだ?何を言っているラビリス!」
明彦「グッ…光が強く…!」
明彦「…」
明彦「う…!」
明彦「ここは…?一体何が起こった…?」
明彦「…」
明彦「…人の気配がしないな」
明彦「罠か何かで何処かに飛ばされたのか?」
明彦「考えられるのはラビリスの持っていたDVDだが…」
明彦「ラビリスに罠を仕掛けられる程、俺が恨まれてるとは思えん」
明彦「…ふむ」
?「もしもーし」
明彦「ッ!?誰だ!!」
明彦「(俺が気配を感じられなかっただと?)」
?「後ろから大変失礼しました」
?「私、名乗るほどの者では無いと申します」
明彦「…?」
?「貴方をこの世界へはお呼びしましたのは、何を隠そう私でございます」
明彦「何者だ」
?「ですから名乗るほどの者では無いと」
明彦「(…俺をおちょくっているのか?)」
明彦「…なぜ俺をここに連れてきた」
?「…貴方はかつて、『命の答え』を導き出したあのお方と共に戦って来られた」
?「そのような強者が不意に右も左も分からない別世界へと旅だったとしたら…」
?「私、興味フラフラでございます」
明彦「…フラフラ?」
?「はて、ムラムラ?…メラメラ?」
明彦「…」
?「とにかくそういう訳でございます」
?「悩むなよ、行けば分かるさでございます」すっ
明彦「!」
明彦「(落とし穴だと!?)」
?「さよな~らでございま~す」
明彦「一体何だと言うんだあああああ……!?」ひゅ~
明彦「…」
「…い」
「…んせい」
明彦「…」
「…だせんせい」
明彦「(うん…声?)」
さわ子「真田先生!」
明彦「!」がばっ
明彦「…ここは?」キョロキョロ
さわ子「寝ぼけてらっしゃるんですか?もうすぐ最初のHRでしょう?」
明彦「(なぜかスーツを着せられている…)」
明彦「(それに…こいつは今、真田『先生』と言ったか?)」
明彦「(教育実習…真田先生…)」
明彦「!」
?『右も左も分からない別世界へと旅だったとしたら~』
明彦「…まさか」
さわ子「何がまさかなんですか?そろそろ行きますよ」
明彦「行く?」
さわ子「教室へでしょう!?ほら、行きますよ!」ぐいぐい
明彦「ま、待て!引っ張るな!」
明彦「まだ状況が色々…!」
明彦「(…まだ不明瞭な部分が多すぎるが)」
明彦「(どうやら俺は教育実習の先生としてここに実習しに来たことになっているらしい)」
さわ子「では紹介するわね」
さわ子「今日から三ヶ月間、教育実習としてこのクラスの副担任を勤める真田明彦先生です」
さわ子「イケメンだからって、手を出したりしないよーに」
律「それはむしろさわちゃん自身に言うべきだと思いまーす!」
さわ子「(あ?)」ギロッ
律「じ、冗談です」
唯「かっこいいね~」
澪「(なんかチラチラ傷跡が見えて怖い…)」
紬「わいるど系?って言うのかしら」
明彦「(あ、ああ)」
明彦「あー…なぜか教育実習をすることになった真田明彦だ」
明彦「正直、何がなんだか分からないんだが…」
律「?」
明彦「やるからには全力でやらせてもらう」
明彦「これから宜しく」
唯「宜しくお願いしまーす!」ぱちぱち
澪「(なんだか変な挨拶だったな)」ぱちぱち
紬「わ~」ぱちぱち
明彦「(…普通いきなり任せるか?)」
さわ子「(まだ書いてない書類が残ってるのよ)」
さわ子「(頑張って副担任!)」
がらっ
明彦「おい!」
律「…」にやにや
唯「?」
澪「…」じ~
紬「…」キラキラ
明彦「…えっとだな」
明彦「(しかし授業と言ってもな…)」
明彦「(一応教えられるだけの学力はあるから問題無いと言えば無いが)」
律「さなちゃーん?」
明彦「…さなちゃん?」
律「真田先生だからさなちゃん!」
澪「さわちゃんと似て紛らわしいからやめろ」
紬「良いと思うけどなぁ」
明彦「(早速なめられているな…)」
明彦「(…よし!)」
明彦「言っておくが生半可な気持ちではついて来れないからな」
唯「(ど、どれだけ難しい勉強なのかな…)」
律「(意外に頭固いタイプだったかー?面倒臭いな)」
澪「(気合い入れて頑張るぞ)」
紬「(どんとこいです!)」
明彦「まずは制服を脱げ」
澪「は?」
澪「ななななな…」
紬「(今時、ストレートな人もいたものね~)」
律「セッ、セクハラ教師!?」
明彦「?何を言っている」
明彦「脱いだらジャージに着替えろ」
明彦「グラウンド50周だ」
律「なーんだ、てっきりあんなことやこんなことをさせるのかと…」
律「って、グラウンド50周!?」
明彦「まずは体づくりからだ」
澪「唯が現実逃避を…」
紬「キツそうね…」
明彦「これが俺なりの授業だ」
明彦「考えるな、感じろ」
律「どこのカンフースターだよ…」
明彦「…」
律「…」
澪「…」
唯「…あのぅ」
紬「着替えたいのですけど…」
明彦「あっ、そうか」
唯「だ、駄目だもう…はっ…はしれなっ…」よろよろ
澪「頑張れ唯、まだ2周しかしてないぞ」たったっ
律「これをあと48回繰り返すのか…やばっ、泣きそう」たったっ
紬「あとでお茶をいれるから頑張りましょう?」たったっ
明彦「平沢…だったか?」たったっ
唯「さ、さなちゃん?」よろよろ
明彦「体力が無さすぎる、普段から運動する習慣を身につけろ」たったっ
明彦「特に足腰が弱いからそこを重点的にな」たったっ
唯「む、無理…」よろよろ
明彦「やる前から諦めてどうする、いいか…」たったっ
澪「どうした?」たったっ
律「これ何の授業だ?」たったっ
澪「…体育?」たったっ
律「体育ってより訓練だよ」たったっ
律「しかもいつの間にかさなちゃん上半身裸だし」たったっ
澪「(引っかき傷だらけだ…!)」ぷるぷる
明彦「あとたったの40周だ、きびきび走れ」たったっ
唯「」よろよろ
律「足痛い!腰痛い!もう体全部痛い!」
澪「走らされて終わりかと思ったら、今度はうさぎ飛びで30周だもんな…」
紬「だれか助けて!唯ちゃんが息をしていないの!」
唯「」
律「お前は頑張った…頑張ったぞ唯…!」
澪「もう良いから。それよりお弁当を食べよう?」
唯「お弁当!」がばっ
紬「生き返った!」
律「もー、食い意地張ってんだから」
律「訳が分からん」
明彦「~♪」
紬「あ、真田先生…」
澪「一人でご飯食べるのかな」
唯「一緒に食べようって誘おうか?」
律「だな、そして授業内容の改善を求めよう」
明彦「ん?田井中か。どうした?」
紬「一緒にご飯を食べませんか?」
唯「真田先生のお話も聞きたいです!ね、澪ちゃん!」
澪「へっ?う、うん…」
明彦「構わないが…何も面白い話は出来ないぞ?」
唯「大丈夫だよ~それにね」
律「さなちゃんにちょ~っと言いたいことがございますことよ?」
明彦「?」
律「あの地獄のような運動には一体なんの…って」
律「…何飲んでるの?」
明彦「プロテインだ」ごくごく
明彦「トレーニングの後にはこれが無いと始まらん」
律「今トレーニングって言ったよ、言質取ったよコレ、授業じゃなかったよアレ」
澪「(プロテインとご飯並べて食べる人初めて見た…)」
紬「(いったいどんな味なのかしら…)」うずうず
明彦「…ん?」
紬「良いんですか!?」
明彦「ああ、たくさん常備してるからな。別に構わん」
明彦「ほら」さっ
紬「い、いただきます!」ごくっ
紬「!」
紬「なんだか不思議な味…それに力が湧くような感じがします!」むぎゅん!
明彦「ははっ、プロテインに速効性は無いぞ」
明彦「運動の後にプロテイン、これを続けていくことが大切だ」
紬(タルカジャ)「なるほど!」
澪「…なんでそんなに体を鍛えてるんですか?」
明彦「…」
明彦「…昔、己の弱さを嫌というほど痛感したことがあってな」
明彦「それからだ、己を律して鍛え始めたのは」
明彦「これ以上はここで言うようなことじゃない」
澪「そうなんですか…」
澪「(今、ちょっとだけ悲しそうな顔した…)」
唯律「「軽音!!」」
明彦「…けいおん?」
明彦「(どこかで聞いたな…)」
明彦「(!確かラビリスから借りようとしたDVDのタイトルがそれだったか)」
紬(タルカジャ)「私達全員、軽音部に入ってるんです」
明彦「(というか…ここにいる4人は皆、DVDのパッケージに描かれている奴らじゃないか?)」
唯「あ、ここにはいないけどもう一人部員がいてね…」
?『右も左も分からない別世界へ~』
明彦「(その別世界というのはもしや、あのアニメの世界ということか?)」
明彦「フッ…」がたっ
紬(タルカジャ)「どうかしましたか?」
明彦「思いがけず、楽しめそうじゃないか」
明彦「(こんな体験、そう出来るものじゃない)」
律「急に何を言って…」
明彦「そろそろ午後の授業だ、食べ終えたら体育館に集合しろ」すたすた
律「あ、ちょっと!」
澪「…授業の改善、頼みそびれたな」
律「しまった…!しかも体育館に集合ということは…!」
唯「お腹痛いから保険室行ってくるね!」だっ
紬(タルカジャ)「頑張ろうね、唯ちゃん!」がしっ
澪「もう動けないよ…」くたっ
紬「私、バーベルって始めて上げた~」キラキラ
律「うちの学校にバーベルがあったことにまず驚きだよ…」
唯「う、腕が…がくっ」
明彦「全く、この程度で根をあげるとはな」
律「さなちゃんの基準がおかしいよ!なんでバーベルなんだよ!」
明彦「倉庫にあったからだ」
律「微妙に答えになってないよ!」
紬「汗もかいたし、部室でお茶にしましょう?」
澪「今回ばかりは賛成だ…」
紬「真田先生も一緒にどうですか?」
唯「さ、さなちゃんにあずにゃん紹介してあげるね…」
律「唯…もう良い!もう良いだろぉ!」
澪「さっさと行くぞ…」
紬「行きましょうか」
明彦「ああ」
がらっ
唯「あずにゃ~ん!」
梓「あ、皆さんお疲れさまで……す」
梓「…後ろの人、誰ですか?」
明彦「真田明彦だ、教育実習の先生ということになっている」
梓「(…なっている?)」
梓「な、中野梓です。2年生です」
明彦「そうか、宜しくな」
明彦「…」
梓「あの…なにか?」
明彦「気にするな」
梓「はぁ…」
唯「あずにゃん、今日はさなちゃんと一緒にお茶会をするんだよ!」
梓「おちゃか…練習は…?」
澪「私もしたいのはやまやまなんだけどな…」
律「多分、今日はね…」
唯「ギー太が」
澪「エリザベスが」
律「スティックが」
唯澪律「「「持てない」」」
梓「?」
梓「なるほど、そういうことですか」
唯「さなちゃんひどいよね!」
唯「おかげで足が棒だよ~」
明彦「あれぐらいこなせないでどうする、敵は待ってくれないぞ」
律「敵って誰だよ」
紬「敵…それは自分よりっちゃん!」
明彦「フッ…琴吹、良く分かってるじゃないか」
紬「真田先生…!」
梓「なんですかコレ」
澪「さぁ…」
梓「…ところで一回だけでも合わせてみませんか?」
梓「さすがにお茶飲んで終わりはまずいですよ色々…」
律「そうかー?」
梓「そうですよ。学園祭も控えてるんですから」
澪「…そうだな、ここは頑張って練習するか」
紬「そうしましょう!」
唯「どれ演奏する?」
梓「ふでペンとかどうですか?」
澪「それにしようか」
明彦「(ほう、演奏か)」
律「まぁ良いや、行くぞ?ワン、ツー…」カッカッ
♪
唯「~♪」
澪「~♪」
梓「」♪
紬「」♪
律「」♪
♪
明彦「これは…」
澪「~かなり本気よ☆」
律「…うえー…腕いてー」
唯「どうだったさなちゃん?」
明彦「ふむ、率直に言わせてもらえば…」
明彦「あまり上手くないな」
明彦「腕がついていけて無いのが素人目にも分かったぞ」
律「誰のせいだ誰の」
明彦「だが…」
紬「?」
明彦「お前達の心が良く伝わった良い演奏だった」
明彦「グッジョブだ」
明彦「素直に言ったまでだ」
明彦「きっとお前達はまだまだ伸びる」
明彦「日々の鍛錬を怠らなければ…だがな」
梓「日々の鍛錬…」ちらっ
律「な、なんであたしを見んだよ」
律「いつもお茶ばっかりなのはあたしだけのせいじゃないだろー!」
律「みんなだ、これはみんなが悪い」
唯「そう、誰かが悪い訳じゃないよ。時代が悪いんだよ」
澪「お前ら…」
律「~」
梓「~!」
明彦「さて、俺はもう帰るぞ」
紬「もっとゆっくりしていっても…」
明彦「いや、この時間はロードワークが日課なんでな」
澪「じゃあ、また明日ですね」
明彦「またな」
がらっ
明彦「走りがてら、町の地形を確認するか」
明彦「どうせしばらくは戻れそうに無いからな」
明彦「…」
明彦「そういえば…俺の帰る家はどこだ?」
明彦「まぁ根無し草は今に始まったことじゃないが…」
カッ!
明彦「!?」
明彦「またあの時の光か…!!」
明彦「またお前か」
?「またお前でございます」
?「今回お呼び立てしましたのは貴方の身の回りについてでございます」
?「約三ヶ月の間、けいおん!世界で円滑にお過ごしになっていただく為に」
?「貴方の住居を町のはずれにご用意させていただきました」
明彦「ずいぶん気前の良いことだな」
?「これも私の探求の為です」
?「もちろんでございます」
?「本題はここから…貴方がけいおん!世界にいることによる影響についてです」
明彦「影響?」
?「本来貴方はけいおん!とは何も関係の無い人」
?「ですが、貴方が私の手によりけいおん!世界へ来たことで…」
?「けいおん!世界に少し変化が見られたようでございます」
?「ナイショでございます」
明彦「…」
明彦「やはり貴様は信用ならんな、何が目的だ」
?「ですから、私の興味の為にと」
明彦「戯言は聞き飽きた…カエサル!」カッ!
バチィッ!!!
?「お手出しは厳禁でございます」
明彦「(無傷だと…)」
明彦「…」
?「先ほども申し上げた通り、これは単純な興味」
?「…人の可能性を私はこの目で見たいのです」
明彦「…」
明彦「…フゥ」
明彦「毒気を抜かれた…どうにも食えん奴だお前は」
?「お褒めの言葉と受け取っておきましょう」
?「お戻りいただきましょう」
明彦「勝手な奴だ」
?「…我が主にも良く言われたものです」すっ
カッ!
明彦「…」
明彦「人の可能性を見る…か」
明彦「ずいぶん上からの物言いだったな」
?『貴方はかつて、『命の答え』を導き出したあの方と共に戦って来られた』
明彦「…命の答え」
明彦「(奴は俺に一体何をさせたいのか…)」
明彦「…」
明彦「有里、お前ならどうしただろうな…」
さわ子「…という訳で、もうすぐ京都へ修学旅行です」
さわ子「現地では節度ある行動を心がけるようにね」
明彦「まぁ高校生にもなれば無いとは思うが」
明彦「迷子にでもなったら、目も当てられんからな」
唯「さすがにそれは無いよさなちゃん」ふんす
律「そーそー」
澪「(不安だ…)」
紬「うふふ」
さわ子「はい、おしゃべりしない」
さわ子「周る順番とか良く考えておくようにね」
紬「京都ってどんな所なのかしら?」
明彦「俺は一度行ったことがあるが…」
明彦「古い建物ばかりのイメージがあるが実際はそんなことは無い」
明彦「どちらかといえば都会よりの楽しむには良い街だ」
唯「ふーん、さなちゃんは京都行ったことあるのかぁ…」
明彦「ちょうど、お前達と同じ年の頃にな」
明彦「あの時は散々な目に…」
律「散々?」
澪「(遠い目だ…)」
明彦「とにかく、さっきも山中先生が言ったが回る順番はしっかり考えておけ」
明彦「そう時間は多くないからな、効率良く回らんと間に合わないぞ」
律「かといってギチギチにスケジュール詰め込むのもなぁ」
澪「じゃあ、どこから見ていく?」
紬「はい!やっぱり金閣寺は外せないと思うの!」
唯「だよね!」
律「あたしはさー…」
さわ子「真田先生、ちょっと…」
明彦「ん?」
さわ子「このプリント、あの子達に渡してくれない?」
さわ子「さっきみんなに渡すの忘れちゃってね」
明彦「そうですか」
さわ子「じゃ、他の子達にも探してプリント渡して来ますから」すたすた
明彦「全く…」チラッ
明彦「今度の修学旅行についてのプリントか」
明彦「!」
明彦「月光館学園との合同修学旅行だと?」
明彦「まさか…」
律「唯ー!写真取ろうぜ写真!」
澪「こら、車内で騒ぐな」
唯「ムギちゃんお菓子食べる?」
紬「食べる~」あーん
澪「あまりお菓子ばかり食べ過ぎるなよ、唯」
唯「大丈夫だよ~」
律「あれ?」
紬「どうかした?りっちゃん」
澪「やっぱり紛らわしいなそのあだ名…」
澪「でも本当だ、真田先生がいない」
澪「別の車両にいるのかな?」
律「でも隣は月高の車両だしな…」
紬「あれ、りっちゃん知らないの?真田先生は月高に在学してたのよ?」
律「そうなの?」
紬「この前、真田先生から聞いたの」
律「なんだ、じゃあ知り合いにでも会いに行ったのかな」
紬「多分ね」
律「何が?」
唯「急に縁もゆかりも無い知らない高校と合同旅行なんてさ」
澪「良く考えたらそうだな…色々唐突な気がする」
律「考えすぎじゃないの?」
紬「そうよ唯ちゃん」
唯「そうかな~」どさっ
唯「あ、お菓子落としちゃった」
澪「大丈夫か?ほら拾って」
唯「てへへ」
律「うそ!どれどれ…」
律「本当だ!綺麗だなー!」
唯「私も見たい!」どさっ
澪「わ!また落としたぞ唯!」
紬「写真取りましょうか!」
律「よっし、ほらみんな集まって!」ぐいぐい
澪「ちょ、律!」
唯「わわっ」
紬「はい、チーズ!」パシャ
律「だって、富士山をバックに撮れなくなっちゃったら勿体無いじゃん」
澪「(帰りに撮れば良いだろ…)」
律「そう怒った顔するなよ澪ー、外の景色でも見て落ち着こうぜ?」
律「高い空、雄大な自然、綺麗な富士山、走るさなちゃん…」
律「ってさなちゃん!?」がばっ
澪「え!?」
紬「う、嘘!?」
昼 新幹線の外 線路沿い
明彦「ふっ…ふっ…ふっ…」たたたっ
明彦「良し、全員いるな」
律「あ、あの、さなちゃん?」
明彦「なんだ?」
律「ど、どうやってこちらへ…?」
明彦「走ってだが」
律「やっぱりアレはさなちゃんか!」
澪「嘘だろ…」
明彦「なかなか良いトレーニングにはなったな」
唯「アレがトレーニング…」
明彦「帰りも走る予定だが、なんなら付き合うか?」
律「結構です!」
紬「綺麗ね~」
澪「凄いな…ピカピカだ」
唯「アレって本当に金で出来てるのかな?…じゃなくて、出来てるん?」
律「出来てる!…やで?」
明彦「なぜ急に訛るんだ」
唯「あ、こっちで抹茶が飲めるみたいだよ!あの苦いやつだよね?」
律「お菓子付きだってさ、飲んでく?」
澪「なんだかいつもと変わらないな…」
紬「でも楽しいじゃない?」
澪「…まぁ」
明彦「プロテインは…さすがに無いか」
律「このプロテインジャンキー!」
明彦「ここが北野天満宮だ」
律「ここって…有名なの?」
唯「さぁ…」
明彦「あそこに牛の像があるだろ?アレを撫でると頭が良くなるそうだ」
澪「へぇ~」
紬「真田先生、詳しいんですね~」
明彦「ま、一度来たしな」
澪「一枚写真撮ろうっと」
明彦「…」
明彦「…平沢、田井中、撫でに行かなくて良いのか?」
唯律「「どういう意味やねん!」」
唯「わー…高いねー!」
澪「良い景色だな…」
明彦「絶景かなって奴だ」
律「あー!あたしが言おうと思ってたのに!」
紬「ねぇ、あっちでお猿さんにエサをあげられるみたいなんだけど…」うずうず
律「行ってみるかー」たたたっ
澪「あ、待ってよ律!」たたたっ
唯「やっほー!」
山彦「っほー…」
明彦「…」
明彦「この落ち着きの無さは伊織以上だな…」
明彦「(こんなにのんびりしたのはどれくらいぶりだろうな)」
明彦「…」
明彦「…駄目だ、体が鈍って仕方が無い」
明彦「お前達、そろそろホテルに行くぞ。ダッシュで…」
明彦「…」
明彦「…いない?」
律「迷った」
澪「どーするんだよぉ…」
紬「さすがに真田先生に黙って帰ったのはまずかったかな…」
唯「でもあのままいたら『ホテルまでダッシュで帰るぞー』とか言いそうだったし…」
律「うんうん」
澪「もしかしてここで私は死ぬのか?そうなのか?」
紬「落ち着いて澪ちゃん」
律「なんとかなるって」
律「ほら、きっとこっちだ」すたすた
律「迷った」
紬「…思いっきり道を間違えちゃったみたい」
唯「人がいっぱいだ…」
澪「(なんか怖そうな人がたくさんいる…!)」ぷるぷる
律「あたしらどっから来たっけな…」
唯「本格的に暗くなって来たね…」
DQN A「ねーねー君達どこから来たの?」
DQN B「ここらへんじゃ見ない制服だね」
律「(うわ、面倒臭いのが…)」
澪「り、りつぅ…」ぎゅっ
DQN B「楽しい所いっぱい知ってるよ?」へらへら
律「…なれなれしいんだよ、行くぞみんな」
DQN A「何その言い方、傷ついちゃったなー…」
DQN B「良いから来いってんだよ、こんな所に女の子がいるってことはそういうことだろ?」
紬「い、嫌です!」
澪「(そ、そういうことって…)」
DQN B「ほら来いよ!」ぐいっ
澪「きゃっ!」
唯「澪ちゃん!」
湊「やめなよ」すっ
湊「君達みたいな奴は心底どうでもいい」
DQN B「なんなん…ちにゃ!」
湊「ホントどうでもいい」
律「つ、強い…」
紬「あっという間…」
唯「いちげきだ…!」
澪「はわわ…」
湊「…怪我は無い?」
澪「う、うん。ありがとう」
澪「あの…君は?」
湊「有里湊、月高の2年生」
湊「その制服…桜高でしょ?今回の合同旅行の」
律「お、おう」
湊「…ホテルまでの帰り道…知らない?」
紬「実は私達も迷子なの…」
唯「困ったね…」
湊「そっか…」しゅん
明彦「ったく、アイツら…ホテルにも戻っていないとは…」たったっ
明彦「どこをほっつき歩いているんだ!」たったっ
ケンカ強い
料理上手い
コネ多い
話すだけでモテる
文武両道
ワイルド使える
ついでに顔もいいんだよな
話すだけでモテるは選ぶ選択肢にもよるし微妙だが
律「!な、なぁ!アレさなちゃんじゃないか!?」
澪「本当!?」
唯「ほんとだ!おーい!さなちゃーん!」
明彦「…いた!お前達!」たったっ
湊「知り合い?」
紬「私達の先生をやってるの。教育実習だけどね」
明彦「ぜぇ…ぜぇ…ようやく見つけたぞ…この馬鹿共」
律「ご、ごめんなさい…」
明彦「…心配を掛けさせるな」
唯「ごめんなさい…」
明彦「無事に見つかったから良かったものの…」
明彦「こんな所をウロウロするものじゃない」
澪「実はその…道に迷っちゃって…」
紬「変な人に絡まれちゃって怖かった…」
明彦「変な…?おい、何かされたのか!?」
唯「ううん、すんでのトコで有里君が助けてくれたんだ」
明彦「…有里?」
湊「どうも」ぺこっ
明彦「!」
湊「え?」
明彦「お前の為にどれだけみんなが…!」
湊「…あの、初めましてですよね?」
明彦「…何?」
明彦「(この気だるそうな雰囲気、力強い眼、どうみても有里だが…)」
律「さなちゃん、こいつ知ってるの?」
湊「??」
明彦「…いや、俺の勘違いだったようだ」
明彦「(…どういうことだ)」
順平「お、いーたいた有里クン。こんなトコで何をやってるのかね?」
ゆかり「勝手にふらつかないでよね、探しちゃったじゃない」
湊「あっ、ゆかり」
唯「有里君のお友達?」
湊「うん」
明彦「(伊織に…岳羽…!?)」
明彦「(だが姿は昔のままだ…)」
ゆかり「…誰?その人達」
湊「桜高の人だよ、さっき知り合った」
順平「お前はホント、良いトコだけ持ってくのな!」
順平「消えたと思ったらこんな可愛い娘達とお知り合いになってるとかさ!」
順平「そのスカした余裕…あれだなムカつき侍だな」
ゆかり「馬鹿じゃないの」
澪「あ、あの…」
澪「そろそろホテルに戻らないか…?」
紬「わっ、もうこんな時間…」
唯「だね、さなちゃんもいるから帰れるし!」
明彦「…」
律「さなちゃん?」
明彦「…ああ、山中先生が心配しているしな」
湊「一緒に帰りましょうか」
明彦「(有里、伊織、岳羽…皆、当時の特別課外活動部の時の姿をしていた…)」
明彦「(…それに俺と面識があるようには見えなかった)」
明彦「(まぁ、この『ナリ』では分からないのも無理は無いかもしれんが)」
明彦「(どういうことだ?奴の話が正しければここはけいおん!とやらの世界のはず)」
明彦「(なぜアイツらがここへいる…)」
?『ですが貴方が私の手によりけいおん!世界へ来たことで…』
?『けいおん!世界に少し変化が見られたようでございます』
明彦「(これがその『変化』とやらか…?)」
明彦「…これが『変化』なのであれば、この世界は別の世界の俺達が進んだ可能性…ということか?」
明彦「…」
明彦「…駄目だ。パラレルだのなんだのと考えてると頭がこんがらがってくる」
明彦「風呂にでも入って気分転換するか」
綾時「ねぇ順平君」
順平「なんだい綾時クン」
綾時「もし僕達が露天風呂に入ってる時に入浴時間が男子から女子に変わっても」
綾時「それは不幸な事故だよね?」
順平「もちろん事故に決まってるじゃないか綾時クン」
湊「…」
明彦(過去)「おい…お前達、何を企んでる」
順平「企むなんて滅相も無い!」
綾時「ただお風呂に入ってるだけですよ」
綾時「いえいえ!偶然ですよ偶然!ねぇ湊君」
湊「どうでもいい」
順平「大体、時間が変わった瞬間に入ろうなんて女子がいるわ…」
がらっ
順平「えっ嘘っ?ホントに来た?」
湊「!」
明彦「ん?お前達は…」
明彦「その名で呼ぶな」
綾時「知ってる人?」
湊「桜高の先生」
順平「あ、さっきは挨拶しないでスンマセンでした」
順平「俺、伊織順平っス!」
綾時「望月綾時です。女子校の先生なんて羨ましいなぁ…」
明彦(過去)「真田明彦です」
明彦「(なんだか変な気分だな…)」
明彦(過去)「先生のお名前は?」
明彦「…面倒だからさなちゃんで良い」
明彦「(…この場で堂々と名乗れるか、ややこしいことこの上無い)」
綾時「こんな時間に露天風呂ということは、先生も事故狙いですか?」
明彦「…事故?」
明彦(過去)「やはりお前達はそんなことを…!」
順平「わー馬鹿馬鹿、綾時!正直に言っちゃ駄目でしょ!」
綾時「ここまで来たらみんな共犯だよ」
明彦「(この展開…覚えがあるぞ)」
湊「どうでもいい」
明彦(過去)「下らん、俺は上がるぞ」
がらっ
風花「走ると危ないよりっちゃん」
美鶴「そうか、それで軽音部に?」
澪「そうなんです」
美鶴「いつか君達の演奏を聞きたいものだな」
ゆかり「すごーい…お嬢様なんだ」
紬「そうかしら?」
唯「アイギスちゃんってお風呂大丈夫なの?」
アイギス「耐水性の気持ちに切り替えたので問題無いであります」
順平「(ホントに来たよ。アレ?やばくない?)」
綾時「可愛いからオッケーさ!おー…」
順平「ばっ、馬鹿!しー!」
綾時「むがもご」
明彦(過去)「おい、どうするんだ」
湊「どうで」
順平「もよくないから!マズイから!」
風花「今、声がしたような…」
明彦「とりあえず岩場の裏に隠れるぞ!」
順平「どうすんだよコレ、マジやべーよ」
綾時「なんでさ?目的は達成でしょ」
順平「桐条センパイがいるとは思わなかったんだよ!」
綾時「…そんなにマズイの?」
明彦 明彦(過去)「「処刑だな」」
湊「どんな?」
明彦 明彦(過去)「「とても口には出せん」」
綾時「シンクロしてる…」
順平「良いか、うまいことやり過ごす方法考えんぞ」
湊「!」
綾時「じゃん!どっちが本物の湊君でしょーか!って攪乱するの」
明彦「まとめて処刑されて終わりだな」
順平「…時間を勘違いしたフリして素直に出てくか?」
明彦(過去)「揃いも揃って勘違いしたなんて言い訳が通ると思うか?」
順平「そっスよね…」
湊「僕の溢れる魅力で僕だけ許してもらう」
順平「自分だけ助かる気か!あとホントに出来そうだからやめて」
綾時「…どうしたものかなー」
美鶴「…何をしている」
律「誰かいるのかー?…って」
唯「さなちゃん?」
風花澪「「ひゃあっ!?///」」ばしゃっ
ゆかり「ちょ、ちょっとアンタら…!」
紬「まぁまぁまぁまぁまぁ」
美鶴「しょ…」
美鶴「処刑するーッ!!!///」カッ
アイギス「短いお付き合いでした」
明彦「(人は同じ過ちを繰り返す生き物というが…)」
明彦「(これではあまりに情けない…)」
明彦「(しかし、とっさに回避出来て良かった)」
明彦「(さすがに2回目だからな)」
明彦「だが…」
湊綾時順平明彦(過去)「「「「…」」」」カッチーン
明彦「どう溶かしたものやら…」
律「さっきはびっくりしたな…」
紬「先生達がお風呂場にいたのにも驚いたけど…」
澪「…一番驚いたのは美鶴さんだな」
唯「ぺんてしれあ?って叫んだ瞬間に有里君達が凍っちゃうなんてね!」
律「なんかの魔法だったりして」
紬「不思議ね~」
澪「(はっ!美鶴さんはもしかして…魔女!?)」
美鶴(魔女)『お~ほっほっほっ!』
澪「(ぷっ…)」
美鶴「」イライラ
風花「桐条センパイ?」
唯「全然そうは見えないよね」
紬「うん、なんというか…ちゃんとあの子の『心』を感じた」
澪「私も思った。アイギスちゃんは普通の人間と何も変わらない気がする」
律「うんうん」
唯「ねぇ、明日、アイギスちゃん達も誘ってお土産買いに行こうよ!」
律「お、ソレ良いな!」
紬「楽しそうね!」キラキラ
澪「なら今日は早く寝て、明日に備えようか」
律「あーい」もぞもぞ
カチッ
律「…」
唯「…」
澪「…」
紬「…」
律「…プロテイン」ぼそっ
澪「…」
唯「…ぷっ」
紬「…くすっ」
唯「…」
澪「…」
紬「…」
律「プロッ…ティーン」ぼそっ
澪「…」
唯「…ぷくくっ!」
紬「…~!」ばんばん!
澪「(…馬鹿軍団か)」
…
律「なんか一泊二日って短すぎるよな」
ゆかり「意外に楽しかったし、もうちょっといたかったね」
風花「お土産どうしようかな…」
唯「この八橋美味しそうだね!」
順平「どうもこんにちは、伊織順平です…」
綾時「女の子が目を合わせてくれません…」
明彦(過去)「とばっちりだ俺は…」
湊「♪」シャカシャカ
明彦「…問題にならないだけマシと思うしかない」
紬「何か形として残るものが良いんじゃないかしら」
澪「んー…形か…」
アイギス「コロマルさんにはこのドッグフードぶぶ漬け味を買っていくであります」
風花「それは暗に出てけってことになるからやめた方が…」
アイギス「ぶぶ漬けにはそんな意味が…なるほどなー」
美鶴「…」キョロキョロ
律「どうしたの?」
美鶴「いや、こういう所にはあまり来たことが無くて…」
綾時「僕も混じろうとしたら澪ちゃんに汚いものを見るような目で見られたよ…嬉しかったけど」
順平「お前アブノーマルだな…」
明彦(過去)「…美鶴のあんな顔を見たのは人生で2度目だ」
明彦「…」
明彦「(土産か…俺も何か買っていくか)」
順平「ありゃ?そういや湊は?」
湊「生八橋の方が良いと思う」
風花「湊君もそう思う?」
ゆかり「天田君にだし、ここはベタで良いんじゃない?」
湊「それはどうでもいい」
唯「しどい!」
美鶴「な、なぁ有里。これはなんだ?」
湊「それはですね…」
順平「なんでアイツは混じれてんの?」
綾時「良いなー…ホント良いなー」
明彦「(そういえば、有里はそういう奴だったな)」
明彦「(不思議な魅力に溢れて…リーダーシップも兼ね備えた見所のある…な)」
明彦「…」
さわ子「そろそろ時間よー、桜高生も月高生も所定の位置に集合しなさーい」
律「みーお、時間だってさ」
澪「もう?」
ゆかり「そうみたいね」
美鶴「名残惜しいがお別れだな」
紬「ほんの少しだけど、一緒に過ごせてとても楽しかったです」
美鶴「フッ…それはこちらもだ」
風花「みなさんと友達になれて嬉しかったです!」
唯「私も嬉しかったよ!」
アイギス「一生忘れないであります」
律「いや、今生の別れみたいに言われても…」
順平「なんか…サンザンだったな」
明彦(過去)「全く…誰のせいだと」
明彦(過去)「…だがまぁ…面白い人と出会えて良かったとは思う」チラッ
順平「だな。ってか、さなちゃんがいなかったら俺達一生冷凍保存されたままだったしな」
綾時「あはは!それは言えてるね!」
明彦(過去)「笑い事じゃない!」
明彦「有里」
湊「はい?」
明彦「…」
明彦「『もう一度』お前と出会えて良かった」
湊「…」きょとん
湊「…」
湊「…それは良かったですね」
明彦「フッ…」
明彦「またいつか…な」
湊「ええ…またいつか」
>真田明彦は『永劫』のアルカナを手に入れた
だだだだだっ
澪「えっ?ちょ、ちょっと待って!」
唯「お、お土産が重い…」ふらふら
律「買いすぎだ!」
紬「私が持ってあげるから急ぎましょう!」
だだだだだっ
湊「(昨日から思ってたけど、なんだか初めて会った気がしないな)」
湊「けどまぁ…」
湊「どうでもいいか」
明彦「…ではこれで授業を終える、各自気を付けて帰るように」
「ありがとうございましたー」
明彦「ああ」
明彦「(…今日で二ヶ月か。俺もずいぶん教師が板についたものだ)」
明彦「(意外に向いているのかもな)」
唯「りっちゃん、澪ちゃん、ムギちゃん、部室行こう?」
紬「今日はね、澪ちゃんの好きなガトーショコラを持ってきたの!」
澪「…ごめんムギ、今日は帰る」
律「あたしも、じゃーな」
がらっ
がらっ
唯「…二人ともどうしたのかな」
紬「喧嘩かしら…?」
がらっ
梓「澪センパイいますか?」
唯「あっ、あずにゃんだ!」
紬「澪ちゃんなら帰っちゃったみたい」
唯「あとりっちゃんもね」
梓「お二人同時に部活休みなんて珍しいですね…喧嘩ですか?」
唯「うーん…多分」
…
真次郎『この筋肉馬鹿が!何度言えば分かりやがる!』
真次郎『人のラーメンにプロテイン入れんじゃねぇ!』
明彦『お前の体が弱いから、心配して入れたんだ!』
明彦『強い肉体を持てばそれだけでどんな病気にもかから…』
真次郎『余計な世話だ!』
明彦『なんだと!?』
真次郎『大体テメェは…ゴホッゴホッ!』
明彦『それみたことか』
真次郎『るせぇ!』
…
明彦「今となっては良い思い出だな」
紬「そうね…」
唯「ガトーショコラ食べてからね!」
梓「もう…唯センパイったら」
唯「じゃあ、あずにゃんはいらない?」
梓「…食べます///」
紬「ふふふっ」
明彦「(アイツらは大丈夫そうだな)」
明彦「(問題は秋山と田井中か)」
すたすた
明彦「…これでしばらくはプロテインに困らないな」がさがさ
明彦「ここには安いスーパーがあって助かった」
明彦「向こうはどこも物価が高くてかなわん」
明彦「~♪」
明彦「…ん?」
明彦「あそこにいるのは…秋山か?」
澪「…はぁ」
明彦「ため息とはらしくないな」
澪「!真田先生…」
明彦「夕暮れの川辺で体育座りなんてドラマでしか見たこと無いぞ」
澪「…///」ふしゅ~
明彦「何か悩みか?」
澪「…別に悩みなんて」
明彦「それとも田井中と喧嘩でもしたか」
澪「!」
澪「私が悪いんだ…」
澪「私が律にひどいこと言ったから…」
明彦「…良ければ聞いてやる」
澪「…」
澪「…うん」
…
律『ん?新曲?』
澪『学園祭も近いからな、色々書いてるんだ』
律『…なーんか澪らしくない歌詞だな』
律『ちょっと無いかなー』
澪『なんだよソレ…』
律『…』
律『…っていうかさ』
律『最後だからってそんな気張らなくても良いんじゃない?』
律『いつも通りで良いじゃん』
澪『あのな、私達に次の学園祭は無いんだぞ?』
澪『しっかり考えなきゃ駄目だろ』
律『…』
澪『最後の学園祭を良い思い出にしたいとは思わないのか?』
律『…思わない訳じゃない』
律『…でも』
澪『でも…なんだよ』
律『今はそーゆーの考えたくない』
澪『…本当にやる気が無いとは思わなかった』イライラ
澪『…なんでお前みたいなのが部長をやってるんだ』
律『…』
律『帰る』ぽろっ…
がちゃ ばたん!
澪『おい、律!』
澪『…泣いてた?』
…
明彦「田井中に酷いことを言って後悔している…か」
澪「なんであんなこと言っちゃったんだろ…」
澪「あの時の私は歌詞が上手く書けなくて、それでイライラして…」
澪「律にあたっちゃって…」
明彦「ずっと友達だったからこそ、遠慮無く言い過ぎたんだな」
澪「…私は律のやる気の無い姿が許せなかったんだ」
澪「どうして最後くらい真面目にやってくれないんだろうって…」
澪「でも今は…それ以上に自分が許せない…」
明彦「…」
明彦「お前は少し急ぎ過ぎただけだ」
澪「…」
澪「でも私は…り、律に…」ぽろっ
澪「あ、あんなひど、い、こと言って…」ぽろぽろ
明彦「…」
明彦「だから自分を責めるな」
明彦「それでは何も解決せん」
明彦「…まずは自分を許してやれ」
明彦「お前は充分、反省したはずだ」
明彦「今、自分を許さなければ」
明彦「これから誰も許せなくなるぞ」
澪「!」
明彦「己の弱さと向き合え」
明彦「お前なら大丈夫だ」
澪「…」
明彦「…俺が言えるのは…まぁ、これくらいだ」
澪「…もう一度律と笑いあえるかな」
明彦「当然だ」
明彦「お前達は『友達』なんだからな」
明彦「…で良い」
澪「え?」
明彦「…さ、さなちゃんで良いと言っているんだ」
明彦「もうこの方がしっくり来る」
澪「…」ポカーン
澪「…ふふっ」
明彦「な、何がおかしい!///」
澪「話を聞いてくれてありがとう、さなちゃん」
澪「凄く気が楽になった」
明彦「…そうか」
澪「今日はもう帰ります、それで…明日ちゃんと律に謝ってくる」
明彦「きっと元に戻れるさ」
澪「…うん!」
澪「じゃあ…また明日ね、さなちゃん」
明彦「気を付けて帰れよ」
たったったっ…
明彦「…」
明彦「…どんなちっぽけな悩みも、一人で抱えたら重すぎるに決まってる」
明彦「田井中を大切にしてやれよ、秋山」
がらっ
明彦「秋山はいるか?」
梓「澪センパイならさっき職員室に行きましたよ?」
梓「さわ子先生に呼ばれたみたいです」
明彦「そうか、入れ違いになったみたいだな」
梓「ここで待ってればそのうち戻ってくると思います」
明彦「なら待たせてもらうか」
梓「あ、掛けてください」さっ
明彦「む、すまないな」すっ
梓「…」
明彦「…」
梓「(ち、沈黙が気まずいですね…)」
梓「(良く考えたらそんなに話したこと無いですし…)」
梓「?」
明彦「…」すっ
梓「(ス、スーツの内ポケットからプロテイン!?)」
明彦「…」ごくごく
梓「(プロテインをあんなに美味しそうに飲む人初めてみました…)」
明彦「…」
明彦「飲むか?」
梓「い、いえ…」
明彦「そうか」ごくごく
梓「…」
明彦「ふう」
梓「(なんか一仕事終えたみたいな顔をしていますね…)」
梓「へ?」
明彦「学園祭だ」
明彦「今のメンバーでやれる最後のライブなんだろう?」
梓「ああ…」
梓「そうですね…」
明彦「寂しいか?」
梓「寂しくないと言えば嘘になります」
梓「でも、センパイ達の思い出は心に残ってますから」
明彦「そうか」
梓「そういえば真田先生は…」
明彦「さなちゃんだ」
梓「へ?」
明彦「さなちゃんだ」
明彦「そうだ」
梓「その後はどうするんですか?」
明彦「分からん。正直ノープランだ」
明彦「ただ…俺がどんな道に進むとしても、ここで教鞭を取ったことは忘れん」
明彦「…ここは良い学校だ」
明彦「皆が心から笑いあえる、良い学校だ」
梓「…」
梓「…私もそう思います」
梓「みんなと出会わせてくれた…」
梓「そして大切なセンパイ達と出会わせてくれた良い学校です!」
明彦「良い顔をしているな、中野」
明彦「俺の授業を受けさせてやれないのが残念だ」
梓「それは遠慮しておきます」
梓「先生の授業は勉強も運動もハードだって、センパイ達から聞かされてますから」くすっ
明彦「何がハードだ」
明彦「せいぜい100キロ行軍したり、飛んでくる硬球を避けたりするだけだぞ」
梓「ハードなんてものじゃなかった!」
明彦「これでもレベルは落としているぞ」
梓「大丈夫なんですか?…教育委員会的に」
明彦「立ち塞がるなら倒すだけだ」
がらっ
純「あ、いたいた梓」
純「お願い!テスト範囲教えて!」
梓「範囲って…今更?」
純「この通り!」
梓「もー…」
梓「あの…もう少しお話したかったんですけど…」
明彦「俺のことなら気にするな、行ってこい」
梓「すみません…では」
梓「ほら行くよ」
純「ありがと梓ー!」ぎゅっ
梓「ちょ、ちょっと!」
がらっ たったったっ…
がらっ
明彦「うん?忘れ物か?」
律「お、さなちゃん」
明彦「田井中だったか」
律「なにやってんの?」
明彦「プロテインを飲みつつ、秋山を待っている所だ」
律「澪か…」
律「やっぱ、今日は帰…」
明彦「待て」
律「なに?」
明彦「秋山と喧嘩したそうだな」
律「…」
明彦「ことのあらましは大体聞いている」
明彦「ちゃんと反省はしている、だから許してや…」
律「違う」
律「…そんなことは気にしてない」
明彦「…?」
律「…」
律「…寂しかったんだ」
明彦「…」
律「あの時、澪が言った言葉…」
澪『あのな、私達に次の学園祭は無いんだぞ?』
澪『最後の学園祭を良い思い出にしたいとは思わないのか?』
律「ああ…もうすぐ終わっちゃうんだなって」
律「そう思ったら…なんか澪の顔が見辛くて…」
明彦「ふむ」
明彦「意外にナイーブなんだな」
律「…あたしだって乙女なんだぞー」
明彦「想像もつかんな」
律「…さなちゃん、女の子の扱い方が分かってないなぁ」
明彦「…余計な世話だ」
明彦「…」
明彦「田井中、終わりは嫌いか?」
律「…嫌い」
明彦「俺も嫌いだ」
明彦「月高にいた頃は何度、この時間が永遠ならばと思ったことか」
律「…何度も?」
明彦「ああ、あの時は毎日が辛くも楽しくてな」
明彦「…終わりや別れがあることなど考えもしなかった」
律「…」
明彦「受け入れられなければこの先ずっと辛いままだぞ」
律「…」
律「…そんなの寂しいよ」
律「…寂しい」
明彦「…」
明彦「全く…そんな顔をするな」
明彦「良いか」
明彦「終わるということは、また始まりが来るということだ」
明彦「人は後ろを見ていては前に進めん」
明彦「また新しい軽音部がスタートするんだ」
明彦「お前は後ろを見たままで良いのか?皆は新しい一歩を踏みだそうとしているぞ」
律「…」
律「…あたしも…新しい軽音部にいたい」
明彦「なら前を向け!」
明彦「そして『今』と『未来』だけを見据えて歩くんだ」
明彦「『過去』にしがみつくにはお前は早すぎるだろう」
律「『今』と…『未来』…」
明彦「皆、お前の大切な仲間で友達だろ」
律「…うん」
明彦「ならばいつか離れることがあっても大丈夫だ」
明彦「お前達の絆だけは何があろうと終わらない」
律「あたし達の絆だけは終わらない…」
明彦「…ほら、噂をすればなんとやらだ」
がらっ
澪「さなちゃんに…律?」
律「澪…」
明彦「(ちゃんと仲直りしてこい、俺は走り込みに行く)」
律「(さなちゃん…励ましてくれてありがとな)」
明彦「(お節介な説教をしただけだ)」すたすた
がらっ
明彦「今日は気持ち良くトレーニング出来そうだ」
明彦「さて、走りに行くか!」
たたたっ
明彦「…しまった、秋山に用があって待ってたんだった」
明彦「…」
明彦「まぁ、どうでもいいか」
たたたっ…
明彦「ふわぁ…ぁ」むくっ
明彦「…今日は休日か」
明彦「今日のトレーニングは基本だけやって後は体を休めよう」
明彦「たまにはこんな日も良いだろう」
明彦「まずは腹筋1000回を3セットだ」
…
明彦「ふぅ…こんな所か」
明彦「ん?もう昼を回っているのか」
明彦「…」ぐ~
明彦「牛丼でも食べに行くか」
すたすた
明彦「今日は暖かいな」
明彦「これならもう少しトレーニングしても良かったか?」
明彦「…」
明彦「…今日の俺は独り言が多いな」
明彦「(アイツらの声を聞かないと少し寂しいのかもしれん)」
明彦「…」
明彦「…む?」
明彦「見た顔があそこにいるな」
明彦「あれは…琴吹か」
紬「あっ、さなちゃん!」
明彦「買い物か?」
紬「ええ、お散歩しながら買い食いしてたの~」
明彦「ほう、面白そうなことをやってるじゃないか」
紬「さなちゃんは?」
明彦「昼飯に牛丼を食べに行く所だ」
紬「…牛丼!?」キラキラ
明彦「あ、ああ」
紬「私、牛丼って食べたこと無いの…」
明彦「…なに?」
明彦「食べたことが無いだと?」
明彦「あんな美味いものを知らないとはもったいない…」
明彦「ついて来い琴吹、その眼をもっと輝かせてやる」
紬「はい!」キラキラ
…
店員「お待たせ致しました、牛丼の並と大盛りです」
店員「ごゆっくりどうぞ」
紬「これが牛丼…!」
明彦「好みで卵やネギ、紅しょうがを乗せると美味いぞ」もぐもぐ
紬「色んなバリエーションがあるんだ…」
紬「で、ではいただきます!」ぱく
紬「…」ぷるぷる
紬「美味しい~!」キラキラ
明彦「当然だ」
明彦「(牛丼一つでここまで嬉しそうな子は初めてだ)」
紬「お肉と玉葱の相性が素晴らしいわ~」キラキラ
明彦「ふー…美味かった」
紬「ごちそうさまでした!」
明彦「先に出ていろ、会計を済ませてくる」
紬「あ、私の分の代金を…」がさごそ
明彦「いい、要らん気を使うな。それにここは安い」ぺらっ
紬「…さなちゃん、この伝票に書かれてる代金…ゼロが一個足りないと思うんだけど」
明彦「それが普通だ」
紬「あんなに美味しいのに…採算取れるのかしら?」
明彦「…」
明彦「(この世間知らずさは美鶴を思い出させるな…)」
紬「?」
紬「牛丼、ありがとうございました~」ぺこっ
明彦「こちらも楽しい時間だった」
紬「さなちゃんやみんなといると知らないことばかりでとっても楽しいです!」
明彦「見るもの全てが新鮮というのも羨ましいものだ」
紬「ふふっ、今度はさなちゃんに私がごちそうしてあげますね」
明彦「良いのか?俺は結構食うぞ」トントン
紬「どんとこいです!」むぎゅーん!
明彦「はっはっ、楽しみにさせてもらう」
紬「それにしても本当に美味しかったわぁ~」
紬「お土産とかで持って帰れないかしら?」
明彦「夜食に食べようとテイクアウトしていたんだが、お前にやろう」
紬「これは?」
明彦「さっき食べた牛丼だ」
紬「えっ…でも…良いんですか?」うずうず
明彦「あまりに美味しそうに食べていたからな」
明彦「お前に食べられるなら、この牛丼も本望だろう」
紬「さなちゃん…」キラキラ
紬「抱きしめて良かですか!?」ばっ
明彦「なっ!やめろ!誰かに見られでもしたら、要らん誤解が…」
唯「君を見てるといつもハートどきどき~♪」とてとて
唯「あれ?ムギちゃんとさなちゃん?」
紬「あ、唯ちゃん」
唯「!」
唯「…」
唯「ははぁ~ん、そういうことですな?」
明彦「おい…」
唯「禁断の恋でしょ!」
唯「まさかムギちゃんとさなちゃんがねぇ~」にやにや
明彦「な、ち、違う!…琴吹も何か言」
紬「///」
明彦「なぜ頬を赤らめる!?」
唯「なーんだ、そうだったんだ」
明彦「全く…琴吹が要らん真似をするからだ」
紬「うふふ、つい~」
唯「ところで二人は何をしてたの?」
紬「さなちゃんと一緒に牛丼を食べてたの~」
唯「えー良いなー」
明彦「平沢には別の機会に奢ってやるさ」
唯「やっぱり良いや~太っちゃいそうだし」
明彦「おい」
紬「あ…もうこんな時間」
紬「ごめんなさい、私もう帰りますね」
明彦「どこまでだ?途中まで送ってやる」
紬「ううん、迎えが来ますから~。でもありがとうさなちゃん」
紬「それじゃあね!」たたっ
明彦「気を付けろよ」
紬「またね~」
たたたっ…
唯「…」
明彦「…」
唯「あっ、私買い物に来てたんだった!」
唯「急がないと!またね、さなちゃん!」たったっ
明彦「お前も気を付けろよ」
唯「はーい」たったっ
明彦「…」
明彦「帰って寝るか」
明彦「うん?戻ってきた?」
唯「ねぇさなちゃん」
明彦「どうした」
唯「私、何を買いに来てたんだっけ?」
明彦「なぜそれを俺に聞く」
唯「知ってるかなぁって」
明彦「なぜ余所の家の買い物事情を俺が把握していなきゃならないんだ」
唯「だよねぇ」
明彦「…」
唯「むー…」
明彦「…家の人に連絡してみたらどうだ」
唯「それだよ、さなちゃん!」
唯「えーっと…」
唯「あれ?」
唯「…ケータイ家に忘れちゃった」
明彦「お前は本当、どこか抜けているというか…」
唯「えへへ///」
明彦「褒めてないぞ」
明彦「…とにかく、そういうことなら一度家に戻るしか無いな」
唯「うーん…面倒だなぁ」
明彦「自分で撒いた種だろう」
唯「うぐっ!」
たたたっ…
?「~ん!」
唯「むむ?この声は…」
唯「あ、憂だ!」
明彦「妹か?」
唯「うん!憂って言うんだよ!」
憂「はぁ…はぁ…駄目だよお姉ちゃん」
憂「財布も携帯も買い物メモも全部忘れちゃうんだもん…」
唯「これはうっかり侍でした」
明彦「伊織かお前は…」
憂「…お姉ちゃん、この人は?」
唯「真田明彦先生!略してさなちゃん先生だよ!」
明彦「教育実習生だがな」
憂「先生のことはお姉ちゃんからお話だけは良く聞いてます!」
明彦「ほう、どんな話だ?」
憂「えーっと…」
憂「なんにでもプロテインをかけるプロテイン依存症の先生って!」
唯「わわわ!う、憂!」あわあわ
明彦「…」
明彦「(俺はそんなにプロテインのイメージがあるか?)」
唯「も、もう良いよ憂!」
憂「そう?」
明彦「(強かだな)」
憂「そうそう、はい忘れ物」
憂「ちゃんと気を付けなきゃ、めっ!だよ?」
唯「えへへ、面目無い~」
明彦「(どちらが姉なのやら)」
唯「えっと、何を買うんだっけ…」ぺらっ
唯「そーだそーだ、お鍋の材料を買うんだった!」
明彦「鍋か…久しく食べてないな」
憂「なら、先生も一緒に食べませんか?」
明彦「…良いのか?なんだか催促したみたいで悪いが」
唯「さなちゃんなら全然おっけーだよ!」
憂「先生のお話、聞いてみたいです」
明彦「なら、ご相伴に預からせてもらおうか」
唯「じゃあ買う材料増やさないとね!」ふんす
憂「私は戻って、お出汁の準備してくるね」
明彦「俺も何か持っていくとするか」
憂「楽しみにしてます!」
唯「プロテインは駄目だよ、さなちゃん」
明彦「…」
明彦「(エスパーか平沢は…)」
唯「まずは鳥肉でしょ?それに白菜にしらたきにチョコレート!」
明彦「おい」
唯「ギャグだよさなちゃん」
明彦「お前なら本当にやりかねない」
唯「さなちゃんの中の私はどんななのさ…」
…
唯『わたあめのベッドでごろごろしたいな~』
唯『おひさ~までて~♪』
唯『あははは~うふふふ~』
…
明彦「こんなの」
唯「…私、そんなに頭の中ふわふわ時間してないからね?」
明彦「新発売のプロテインだと!?」
明彦「これは箱買いだな」
唯「またプロテイン?本当に好きだよねぇ…じゃんきーみたい」
明彦「ジャンキー…お前の中の俺はどんなイメージなんだ」
…
明彦『足りない!足りないぞぉ!俺に足りない物、それは!』
明彦『情熱思想理念頭脳気品優雅さ勤勉さ!そしてなによりも!』
明彦『プロテインが足りないぃ!』
…
唯「こんなの」
明彦「…お前、今期の評定オール『2』な」
唯「職権乱用!?というか実習生が成績つけるの!?さわちゃんは何やってるのさ!?」
唯「ただいま~憂~」
明彦「お邪魔します」
ぱたぱた
憂「お姉ちゃんお帰り~!真田先生こんばんわ~!」
唯「頼まれた材料買ってきたよ!」
憂「ありがとうお姉ちゃん!」
明彦「すぐアイスコーナーに向かおうとするから大変だったぞ」
唯「さなちゃんだって精肉コーナーから離れなかったじゃん」ぶー
憂「あはは、楽しかったみたいですね」
憂「立ち話もなんですから、どうぞ上がって下さい」すっ
明彦「ありがとう」
明彦「(出来た子だな)」
唯「あーい」
憂「~♪…あれ?」
憂「お姉ちゃん、塩は?」
唯「え?入ってない?」
憂「どこにも無いよ?」がさごそ
明彦「買い忘れたみたいだな」
唯「お隣のお婆ちゃんから借りようか?」
憂「お姉ちゃん聞いてないの?お婆ちゃん、2、3日の間旅行に行くって言ってたよ?」
唯「そうだっけ?」
憂「どうしよう…コンビニだと高いしな…」
明彦「…」チラッ
>新発売 プロテイン 塩味 疲れた体に塩分を!
明彦「(これはアレか、そういうことなのか)」
唯「まさか本当にプロテイン鍋になるなんてね…」
明彦「…こればかりは俺も本当にする気は無かったんだが」
憂「あ、案外、美味しいかもですよ?あはは…」
ぐつぐつ
唯「…食べる?」
憂「…食べようか」
明彦「食べ物を無駄にしたらバチがあたるしな…」
ぐつぐつ
唯憂明彦「「「…いただきます!」」」
明彦「意外に…」むしゃむしゃ
憂「美味しい…!」もぐもぐ
唯(タルカジャ)「これは予想外だよ!」
明彦(タルカジャ)「何か力が漲る気がするな」
唯(タルカジャ)「ねー!」
唯(タルカジャ)「プロテインって凄いんだね!」
憂(ヒートライザ)「びっくりだねお姉ちゃん!」
唯「もう食べられない…けぷ」
明彦「なかなかに美味かったな」
憂「お姉ちゃんお腹いっぱい?デザートのアイスどうする?」
唯「食べる!」しゅたっ
明彦「腹一杯なんじゃ無かったのか?」
唯「アイスは別腹です!」ふんす
憂「じゃあ持ってくるね」とてとて
明彦「…本当に良い子だな憂ちゃんは」
唯「自慢の妹だからね」
明彦「…」
唯「さなちゃん?」
明彦「憂ちゃんにばかり頼らず、少しは自分で頑張れよ?」
明彦「なんでも任せっきりじゃ駄目だ」
唯「…憂は優しいからつい、甘えちゃうんだよねぇ」
明彦「人は知らん所で傷ついたりするものだ」
明彦「憂ちゃんが傷ついた時はお前がしっかり甘えさせてやらなければならん」
明彦「それが『お姉ちゃん』の役目だ」
唯「…」
唯「私に出来るかな…」
明彦「自信が無いか?」
唯「…ちょっとね」
唯「私、おっちょこちょいだし…忘れっぽいし…」
明彦「強くなればそれは自信につながる」
唯「でも私、運動も苦手だし…」
明彦「なにも鍛えるだけが強くなる方法じゃない」
明彦「まずは自分の力でなんでもやってみろ」
明彦「憂ちゃんに任せていたことを少しずつ自分でやってみるんだ」
唯「自分で…」
明彦「たとえ失敗したって良い、経験に勝るものは他に無いからな」
明彦「まぁ、要約すれば」
明彦「妹を守れるくらいに強くなれ!…ってことだ」
明彦「失ってから大切さに気付くのは馬鹿のやることだ」
明彦「…お前はそんな馬鹿になるな」
唯「さなちゃん…」
とてとて
憂「お姉ちゃん、アイス持ってき…」
唯「…」
憂「お姉ちゃん?」
憂「え?もっとゆっくりしていっても…」
明彦「気持ちは有り難いが、この時間はいつもロードワークをしているんだ」
明彦「それに今俺は邪魔だろうからな」
憂「そうですか…」
明彦「美味しい食事を有り難う」
明彦「それじゃあな、唯、憂」
すたすた
憂「また来て下さいね~!」
伊織ですら恋と命を天秤にかけるような場面を経験してるし
憂「楽しい人だったねお姉ちゃん!」
憂「本当に先生になって欲しいくらいだよ~」
唯「…」
憂「あ、アイス溶けちゃうよお姉ちゃん」
憂「早く食べないと…」
ぎゅっ
唯「憂!」
憂「へ!?お、お姉ちゃん!?///」
唯「私…憂を守れるくらい強くなるからね!」
唯「絶対に強くなるからね!」
明彦「全く…ガラでも無いことを俺はペラペラと…」
明彦「人に説教出来るほど偉い訳でも無いのにな」
明彦「でもな、これできっとアイツは変わる」
明彦「俺と同じ目に合うことは無いだろうさ」
明彦「…」
明彦「ああ、そうだな…お前の言うとおりだよシンジ」
明彦「格好悪いな俺は…」
…
律「学園祭まであと2週間ちょっとか」
澪「気合い入れて練習しないとな!」
梓「気合いと言えば、最近の唯センパイは凄く練習熱心ですよね」
紬「うん、気迫を感じるっていうか…ちょっと人が変わったって言うか…」
唯「~♪」ギュイギュイギュイーン!
律「なんとなく方向性を間違えてる気もするけどな」
澪「唯も頑張ってるんだよ」
梓「(凄いな…)」
紬「唯ちゃん格好良い~」
紬「寂しくなるわね…」
澪「授業はいつも厳しかったけど、終わるとなると名残惜しいよな」
梓「私は話した回数は少ないですけど、とても生徒思いな先生なのは知ってます」
梓「出来るならこのまま本物の先生になって欲しいです」
律「そうだなー…さなちゃんが本当に先生になったら楽しいよなー」
澪「なぁ、最後の日に何かさなちゃんにプレゼントしてあげたくないか?」
紬「プレゼント?」
澪「うん、三ヶ月間ありがとうございましたって」
紬「賛成~!」
澪「じゃあ、何をあげたら喜ぶか考えようか」
梓「…パッとすぐに思いつくのはプロテインですね」
律「梓もか、あたしもだ」
紬「でも最後の日にプロテインってどうなのかしら」
澪「考えたらシュールだな」
律「ならトレーニング器具とか?」
澪「そういうのって結構するんじゃないのか?」
紬「それにさなちゃんってその手のは大体持ってそう」
梓「ですね」
澪「困ったな」
梓「どうしましょうか」
紬「むー…」
唯「…歌にしよう!」しゅばっ
澪「歌?」
唯「私達は軽音部なんだよ?」
唯「なら歌しか無いよ!」
梓「歌ですか…」
唯「歌にしてさなちゃんに届けよう!」
澪「おお…!」
律「ゆ、唯が唯してない!」
梓「唯センパイに賛成します!」
紬「私も!」
唯「決まりだね!」
唯「実は私、もう歌詞を考えてるんだ」
唯「だからムギちゃんに音をつけて欲しいんだけど…」
律「マジで?歌詞見せて見せて!」
唯「ちょっと待ってね…」がさごそ
唯「はい」ぺらっ
澪「どれどれ…」
梓「…これ、本当に唯センパイが?」
律「ゆ、唯がまたもや唯してないだと…?」
紬「すごーい…」
唯「えへへ///」
律「うんうん、凄いぞ唯」
紬「絶対にぴったりのメロディ考えてくるね唯ちゃん!」
梓「素敵な歌詞だと思います!」
唯「ほ、褒めすぎだよぉ」
唯「ただ、さなちゃんのことを思って書いたらそうなっただけだよ」
律「…良し!桜高軽音部、放課後ティータイムは
この歌をさなちゃんにプレゼントすることをここに宣言します!」
唯梓澪紬「「「「おー!」」」」
明彦「…」カリカリ
明彦「…」ぺらっ
明彦「…」カリカリ
すたすた
さわ子「真田先生」
明彦「…む、山中先生?」
さわ子「あ、邪魔だったかしら」
明彦「いえ、一段落着いた所です」
さわ子「あらそう?」
さわ子「…もうすぐ実習期間が終了するけど、三ヶ月間どうだったかしら?」
明彦「…最初は本当に戸惑いましたが、とても楽しかったですよ」
明彦「ここで過ごした思い出はきっと一生忘れられない」
明彦「…特にあの5人はな」
さわ子「軽音部のみんなね?」
明彦「ええ」
明彦「…」
明彦「(…もうすぐ別れ…か)」
明彦「(唐突にこの世界に飛ばされ…)」
明彦「(アイツらと出会い…)」
明彦「(俺が心のどこかで望んでいたかもしれない普通の日常を過ごして…)」
明彦「(そうだ、有里ととも会ったな)」
明彦「(あの有里は俺が知っている有里では無かったが…)」
明彦「(それでも再び出会えたことに感謝したい)」
明彦「フッ…らしくないぞ俺」
さわ子「…真田先生?」
明彦「…おっと」
さわ子「思い出に浸ってた?」
明彦「まさか、そんな訳が無い」
明彦「(そうだ、まだ振り返るには早すぎる)」
明彦「(俺は最後までアイツらの先生でいなければな)」
律「うわ、凄い人の数だな!」
澪「今まで一番多いんじゃないか…?」
唯「それでこそがやりがいがあるよ!」ふんす
梓「そうですね!」
紬「(なんだか、たくましい唯ちゃんも素敵ね)」
すたすた
明彦「お前達、準備は出来てるのか?」
律「お、さなちゃん」
唯「バッチリ!」ぐっ
明彦「絶対に成功させろよ!」
澪「はい!」
律「おうよ!」
梓「はいです!」
紬「任せて!」
唯「大丈夫だよ!」
明彦「良い返事だ」
明彦「…もう出番みたいだな」
明彦「客席で見ててやるからキッチリ決めてこい」
唯「うん!」
明彦「それじゃ、またな」すたすた
律「…」
律「みんな、絶対に成功させるぞ!」
唯梓澪紬「「「「おうよー!!!」」」」
唯「それじゃあまずは一曲目、ふわふわ時間!」
♪
明彦「…」
明彦「相変わらず楽しそうに演奏するな、アイツらは」
明彦「学園祭を部活の延長線上かなにかと思っているんじゃないか?」
明彦「将来、大物になったりしてな」
「じゅーぶん急いでるわよ!」
「わ、私…もう走れません」
「私につかまるであります」
「ぼ、僕ももう駄目みたい…」
「全く、体力が無いなお前は」
「急ぐぞ!」
「どうでも…はよくないか」
明彦「?…どこかで聞いた声だな」
だだだっ
順平「よっしゃ!なんとか間にあったみたいだぜ?」
綾時「わぁー!みんなおめかしして綺麗だねぇ」
湊「こんにちは」
明彦「お前達!どうしてここに…」
風花「実はりっちゃんから連絡をもらったんです」
風花「私達最後の学園祭ライブを見に来て欲しいって」
ゆかり「それで急いで飛んできたんです」
明彦(過去)「本当はもっと早く着くはずでしたが、伊織が電車の時間を間違えてな…」
順平「あれはホントにうっかり侍」
美鶴「しかし間に合って良かった」
美鶴「こんな素晴らしい演奏を聞き逃しては悔やんでも悔やみきれない」
アイギス「私は機械の身ではありますが…」
アイギス「今ここに感動している自分がいるであります」
明彦「…ああ、良い歌だ」
湊「そうですね」
綾時「僕的にはあのツインテールの子が良いと思うんだけど」
湊「どうでもいい」
綾時「またそれぇ?便利な言葉だよね」
順平「俺はやっぱり澪ちゃんかな~」
順平「真田サンは?」
明彦(過去)「…強いていうなら唯だ」
綾時「おお…攻めますね!」
明彦「みんな可愛いに決まってるだろう」ぼそっ
綾時「え?」
明彦「…」
アイギス「ふでペンFUFU~♪が頭から離れないであります」
美鶴「彼女達の歌はキャッチーで親しみやすいな」
美鶴「まさにブリリアントだ」
明彦「ああ、それがアイツらの持ち味だからな」
明彦「大した奴らだ」
風花「あっ」
風花「次が最後の曲みたいですよ?」
唯「この歌はね、今日でお別れするある人の為に作ったんだ」
唯「その人はね、いっつも無茶なことさせたり、プロテインばっかり飲んでるけど」
唯「誰かが悩んでたら励ましてくれたり…」
唯「誰かが困ってたらそっと手を差し伸べて…」
唯「とっても面倒見が良い人なんだ」
唯「私達はその人と過ごした日々を絶対に忘れません!」
唯「別れは悲しいけれど…きっとその別れがまた新たな出会いをくれると信じて」
唯「この歌を歌います」
唯「『キミの記憶』」
唯「眩しく 輝く ひと時みんなと一緒だった♪」
澪「かけがえのない 時と知らずに 私は過ごしていた♪」
律「今はただ大切に偲ぶよう♪」
梓「I fill unblessed feeling…♪」
唯「キミはね 確かに あの時 私のそばにいた♪」
紬「いつだって いつだって いつだって すぐ横で笑っていた♪」
澪「失くしても 取り戻す キミを♪」
梓「I've never leave you…♪」
♪…
明彦「…」
湊「…」
湊「泣いてる?」
明彦「泣いてない!」
順平「おーおー肩震わせちゃって」
明彦「うるさい!」
風花「とっても素敵な曲…」
ゆかり「先生はとても想われてるんですね」
唯「そしてさなちゃん!!!」
唯梓律澪紬「「「「「三ヶ月間楽しかったです!!!」」」」」
唯梓律澪紬「「「「「ありがとう!!!」」」」」
わああああああああああ!!!
明彦「…」
明彦「全く…本当に全く…」
明彦「アイツらは…」
順平「そっスね」
明彦(過去)「彼らだけで話したいこともあるだろうしな」
綾時「ねぇ、どこ見に行こうか?」
風花「そうですかね… 」
湊「…」
湊?「真田先輩も手に入れたんですね…絆を」
湊?「…答えを」
湊?「…」
湊?「ふふっ」
湊「でもまぁ」
湊「どうでもいいか」
すたすた
明彦「…」
律「来ると思ったぜ、さなちゃん」
澪「私達のステージ、どうだったかな」
明彦「…」
明彦「あー…その、なんだ」
明彦「…グッジョブだ」
明彦「それと…」
明彦「歌、有り難うな」
唯「私達からのプレゼントだよ、さなちゃん」
紬「喜んでもらえたみたいで良かった~」
梓「練習した甲斐、ありましたね」
律「!」
律「おんや~?さなちゃん、おめめが真っ赤ですわよん?」
紬「…感動しちゃった?」
明彦「ええい、泣いてない!」
明彦「この俺がそう簡単に泣いてたまるか!」
律「背を向けながらその台詞いっても説得力ゼロだぞー」
澪「ふふ、さなちゃんも泣くんだぁ…」ぽろっ
梓「あっ…」
唯「澪ちゃん、もらい泣きしてるよ?」
澪「へ?うそ!」ごしごし
明彦「…」
梓「!」
梓「はっ、はい?」
明彦「…これからお前は一人で軽音部に残ることになるが」
明彦「きっと新たな出会いがお前を持ってる」
明彦「そしてその出会いはお前に光をくれるはずだ」
明彦「それを願ってこれをやる」すっ
梓「あ、ありがとうございます…キーホルダー?」
明彦「京都に言った時に、ちょっとな」
>真田明彦は『杯』のアルカナを手に入れた
>『ブ』
律「お、おぅ」
明彦「以前も言ったが、終わりは新たな始まりのスタートだ」
明彦「そしてお前はそのスタートラインに立ち始めた」
明彦「その道の先がお前に取って幸せに続いてることを願って…これをやる」すっ
律「…なんか照れくさいな」
律「ありがとう」
>真田明彦は『剣』のアルカナを手に入れた
>『ョ』『ブ』
澪「はい!」
明彦「どんなに辛く、苦しいことがあろうと」
明彦「それを一緒に分かちあってくれる友がいれば不安など無いに等しい」
明彦「そんな友をお前は4人も持っている」
明彦「…大切にしろ。…ほら」すっ
澪「ありがとう、さなちゃん」
澪「なぁ、このキーホルダーってもしかして…」
>真田明彦は『杖』のアルカナを手に入れた
>『ジ』『ョ』『ブ』
紬「はいっ!」
明彦「…お前はいつも笑顔だったな」
明彦「なんでもない様なことで笑ったり…感動したり…」
明彦「その笑顔は自らのみならず、誰かをも幸せに出来る笑顔だ」
明彦「その笑顔が絶えることが無いように…ほれ」すっ
紬「大切にします…とっても嬉しい…!」
>真田明彦は『金貨』のアルカナを手に入れた
>『ッ』『ジ』『ョ』『ブ』
唯「…はい!」
明彦「良い眼をするようになったな」
明彦「お前はこれからどこまでも強くなるだろう」
明彦「だが強くなると言ってもそれは物理的な強さという意味ではない」
明彦「…何があっても折れない意志が、だ」
明彦「限りある全てを大切にして生きろ」すっ
唯「えへへ…私達がプレゼントしたはずなのに、私達までプレゼントもらっちゃった」
>真田明彦は『愚者』のアルカナを手に入れた
>『グ』『ッ』『ジ』『ョ』『ブ』
明彦「5人が揃うことで初めて意味を成す」
明彦「お前達の絆だけは…終わらないことを心より願う」
唯「…ありがとう」
唯「ありがとう、さなちゃん!」
澪「せ、せんせぇ~」ぽろぽろ
律「み、澪!顔が凄いことになってるぞ!ほらティッシュ!」
梓「5人が揃って…初めて意味を…」
紬「さなちゃんって意外にロマンチストなんですね」
明彦「フッ、抜かせ」
澪「ど、どこへ…?」ぐしゅっ
律「これから部室で、さなちゃんの送別会をやる予定になってるんだぞ?」
紬「美味しいケーキを焼いてきたの!」
梓「メインが欠席してどうするんですか」
唯「そーだよ、さなちゃん」
明彦「なに、少し走ってくるだけだ」
明彦「きっと戻る」
たったったっ…
唯「さなちゃん!」
唯「…」
唯「いつか…」
唯「いつか絶対戻ってきてね!」
唯「約束だよ!」
明彦「平沢…」
明彦「…」
明彦「当然だ」b
たったったっ…
唯「…」
唯「…ぐすっ…ずず…」
明彦「…」
明彦「良い時間だった。まるで夢のようだ」
明彦「…だが夢ならばいつか覚めなければならん」
明彦「過去や夢に捕らわれたままでは一歩も前に進めない」
明彦「…だから振り返るのはこれが最初で最後だ」
くるっ
明彦「この三ヶ月、楽しかったぞ」
明彦「…放課後ティータイム」
カッ!
唯「…」
すたすた
澪「唯?」
唯「!」ぐしぐし
唯「なに?澪ちゃん」
澪「いや、さなちゃんを追っかけたきり戻ってこないからさ…」
澪「みんな心配してるぞ」
唯「そっか…ごめん」
澪「ううん…それよりさ、さなちゃんが戻ってくる前にまたなにかサプライズをやりたいんだ」
澪「唯も一緒に考えてくれないか?」
唯「…」
唯「…うん!戻ってきたらびっくりさせないとね!」
明彦「…」
?「お見事でございます」
?「三ヶ月という短い期間ながらも、貴方は6つのアルカナを覚醒致しました」
?「『永劫』『剣』『金貨』『杯』『杖』…そして『愚者』」
?「貴方からは十二分に人の可能性を見せていただきました、感謝致します」
明彦「…」
明彦「…幾つ絆を得たかは問題ではない」
明彦「大切なのは…どう絆を紡いだか、だ」
明彦「それが分からないようじゃ、お前もたいしたことない」
?「私、少々ショックでございます…」しゅん
明彦「芝居はよせ、そんなキャラでも無いだろう」
?「それもそうでした」
?「…しかし、本当に興味深い結果でございました」
?「特にこの『永劫』のアルカナ…」
?「このアルカナの持ち主があの方とは…少々、いえ、大変驚きでございます」
明彦「…」
?「なぜこのアルカナなのか…そしてなぜこのアルカナが貴方に芽生えたのか…」
?「興味が尽きません」
明彦「ただ一つ言えるのは…」
明彦「ヤツはどこかの誰かとは同じ道を辿らなかった」
?「…それは貴方がけいおん!世界に来た影響で…ということでしょうか?」
明彦「知らんな」
?「…むぅ、そうでございますか」
明彦「…さて、もう良いか?」
?「貴方を元の世界にお戻し致しましょう」
明彦「勝手に人をモルモットにするのはもう止すんだな」
?「…そこは反省でございます」
?「先ほども我が主にたっぷり絞られたばかりでございます」
明彦「…」
明彦「だが…まぁ」
明彦「悪くはなかった」フッ
?「それはなによりでござ」
明彦「良いから早く帰せ」
?「…」ぷー
?「…それでは、またいつか遠い日にお会い致しましょう」
カッ!
「~ん!」
「~田はん!」
明彦「…」
ラビリス「真田はん!」
明彦「!」
ラビリス「急に黙りはってどないしたんよ?」
ラビリス「びっくりしたわ…」
明彦「帰ったのか…」
ラビリス「…なんやの?帰った?」
明彦「…いや」
明彦「ちょっと目眩がしただけだ」
明彦「問題ない、少しその辺を走れば直る」
たったっ…
ラビリス「あ、ちょい待ちぃ!」
ラビリス「けいおん!のDVD借りて見るんやあらへんのー?!」
明彦「…」ぴたっ
明彦「(けいおん!か)」
明彦「いや、DVDはもういい」
明彦「けいおん!ならもうこの眼で『見てきた』からな」
ラビリス「…?」
明彦「じゃあな」
たったったっ…
ラビリス「…」
ラビリス「…変な真田はん」
明彦「(…決めたぞ俺は)」
明彦「(やはり俺は警察官の道を目指す)」
明彦「(教師の道も悪くは無かったが…)」
明彦「(俺は自分の力を誰かの笑顔を守る為に使いたい)」
明彦「(中野のようにひたむきで…)」
明彦「(田井中のように快活で…)」
明彦「(秋山のように綺麗で…)」
明彦「(琴吹のように朗らかで…)」
明彦「(平沢のように純真な笑顔を守る為に)」
明彦「(俺はもっと強くなる!強くならなければならん!)」
明彦「(でなければ俺はアイツらと胸を張って再会出来ない)」
明彦「…」
明彦「フッ…面白くなってきたじゃないか」
明彦「どこまでも付き合ってもらうぞ、カエサル!」
だだだだだだだ…
>真田明彦は『軽音』のアルカナを手に入れた
>そして…
>真田明彦は『放課後』のアルカナを手に入れた
これで本当におしまひ
ブリリアント!すばらしい!
Entry ⇒ 2012.09.09 | Category ⇒ ペルソナSS | Comments (0) | Trackbacks (0)
P「ハム蔵が死んで一ヶ月か……」
律子「そう、ですねぇ……。少しずつ、元の明るさを取り戻してきているようにも見えますが……」
P「……が?」
律子「やはりまだどこか無理をしているというか……なんとなく、空元気を装っているように見えますね……」
P「そう……だよな……」
ジャンガリアンとか小型種だと2、3年
ガチャッ
響「はいさーい!」
P「お、おう。おはよう、響」
律子「お……おはよう」
響「? どうしたんだ? 二人とも。なんか話してたの?」
P「べ、別になんでもないぞ。なあ律子?」
律子「え、ええ」
響「ふーん。ならいいけどさ」
響「ん? ああ、駅前のお店で目に入ったから買っちゃった。可愛いでしょ?」
――そう言って、ハムスターのぬいぐるみを見せつける響。
――大きさは、両手で抱きしめるのにちょうどいいくらいである。
P「あ、ああ……」
律子「か、可愛いわね」
響「でしょ~? まあハム蔵ほどじゃないけどね! えへへ」
P「…………!」
律子「響……」
響「あ、もうレッスン行かなきゃ! それじゃまた後でね! プロデューサー、律子!」
P「あ、ああ。頑張ってな!」
P「…………」
P「…………はぁ……」
P「うん……。これまで全然、そういうのに興味なかったのにな……」
律子「どういうつもりなのかしら……。いくらぬいぐるみやらを集めても、ハム蔵はもう帰ってこないって……分かってるはずなのに」
千早「……埋め合わせを、しているつもりなのかもしれないわ」
P「千早」
――部屋の奥から千早が出てきた。その後ろには春香と貴音もいる。
律子「埋め合わせ、って?」
千早「たとえるなら……穴の開いたバケツに、必死に水を注ぎ続けているような……そんな感じじゃないかしら」
春香「……バケツ?」
千早「ええ。でもいくら水を注いでも、バケツに水が満ちることはない。ただ注ぐ端から、こぼれ落ちていくだけ……」
貴音「…………」
律子「…………」
千早「でも他にどうしていいか分からない。ただ、何かをしていなければ自分を保てなくなる……そんな状態なんだと思うわ」
貴音「…………」
千早「……一度失った大切なものは、もう二度と元には戻らない……。そのことを、我那覇さん自身も、本当は分かっていると……思うから」
P「……千早……」
春香「……千早ちゃん……」
春香「……そう、ですね……。今の私達が、響ちゃんにしてあげられることなんて、何も……」
貴音「…………」
P「……貴音。お前はどう思う?」
貴音「? わたくし……ですか?」
P「ああ。何でもいい。何でもいいから……今の響に、俺達がしてやれること……何か、思いつかないか?」
貴音「そう……ですね……」
律子「貴音……」
千早「四条さん……」
貴音「……分かりました」
P「! 貴音」
春香「貴音さん」
貴音「わたくしにどこまでできるか分かりませんが……やれるだけのことはやってみましょう」
P「貴音……ありがとう」
貴音「いえ……。ただわたくしも……」
P「?」
貴音「……早く、響の“本当の”笑顔が見たいですから」
P「貴音……」
春香「貴音さん……」
響「ハム蔵……」
――響はテーブルの上に置いてある、今日買ったばかりのハムスターのぬいぐるみを手で弄んでいる。
響「………………」
響「……うぅっ……」
響「……なんで、死んじゃったんだよぉ……」
響「……だから、もう、先に……」
響「…………」
響「……うぇええええ」
響「……えぐっ、ぐすっ、ひっく……」
響「ハム蔵……帰ってきてよぉ……」
響「自分は、自分は、ハム蔵がいないと……」
響「……うぇええええええ」
ピンポーン
響「! だ……誰?」
響「…………」 ゴシゴシ
響「…………」 スタスタ
響「…………」 チラッ
――玄関ドアの覗き穴から外を覗く響。するとそこには、ハムスターのお面を付けた人物が立っていた。
響「うっひゃあ!?」
響「だ……誰?」
???「…………」
響「貴音……か?」
――その上背、お面からはみ出している銀髪は四条高音に他ならなかった。
貴音「…………」
響「貴音……何やってるんだ」
貴音「…………」
響「そんな、お面なんか付けて……」
貴音「……上がらせて頂いても、よろしいでしょうか」
響「……いいけど」 ガチャッ
響「……お茶、入れるね」
貴音「お構いなく」
響(貴音のやつ……何考えてるんだ……)
響「……はい」 コトッ
貴音「ありがとうございます」
響「…………」
貴音「…………」
響「…………」
貴音「…………」
響「……ねぇ、貴音」
貴音「はい?」
響「……それ、取ったら?」
貴音「…………」
響「…………」
響「なんでさ」
貴音「今日から私は……“四条はむ音”と名乗ります」
響「……はあ?」
はむ音「…………」
響「……いや、いや」
はむ音「…………」
響「自分ちょっと意味が分からないぞ」
はむ音「安心して下さい、響」
響「安心できる要素が微塵も無いぞ」
響「そ、それがどうしたの」
はむ音「……何故ですか?」
響「えっ……」
はむ音「これまで響は、そのようなぬいぐるみなどを買うことはほとんどありませんでした」
響「…………」
はむ音「それがここ一ヶ月ほどで、こんなに……」
――改めて響の部屋を見回すはむ音。テーブルの上にベッドの上、さらにはテレビ台の上などにも、そこかしこにハムスターのぬいぐるみやグッズが所狭しと置かれている。
響「……べ、別にいいでしょ。自分が自分のお金で何を買ったって。……貴音には、関係ないじゃないか」
はむ音「…………」
はむ音「…………」
響「…………」
はむ音「……ハム蔵の代わりを、求めているのでしょう」
響「!?」
はむ音「…………」
響「…………」
はむ音「……違いますか?」
響「…………」
はむ音「…………」
響「……それこそ貴音には、何の関係も――」
はむ音「あります」
響「えっ」
はむ音「…………」
響「…………」
はむ音「何故なら私は……四条はむ音ですから」
響「……いや、だから意味が分からないぞ……」
響「…………」
はむ音「響はハム蔵が亡くなってからというもの……毎日のように、はむすたぁのぬいぐるみやすとらっぷなどを買い集めていました」
響「…………」
はむ音「それはまさしく、ハム蔵の代わり、代役をそれらに求めていたからにほかなりません」
響「…………」
はむ音「……しかしもう、そんなことをする必要は無いのです」
響「……え?」
はむ音「これからは……私が、四条はむ音が、ハム蔵の代役を務めます」
響「…………は?」
はむ音「誠心誠意、務めさせて頂きますので……宜しくお願いしますね、響」
響「何言ってるんだぞ、貴音……」
はむ音「貴音ではありません。はむ音とお呼び下さい」
響「…………」
はむ音「おっと。この喋り方はハム蔵らしくありませんでしたね」
響「…………」
はむ音「可能な限り、喋り方もハム蔵を模したものに致したいと思います」
響「…………」
はむ音「たとえばこんな感じに。……ぢゅーい? ぢゅいぢゅいぢゅい?」
響「…………ッ……」
はむ音「ぢゅーい? ぢゅいぢゅいぢゅい?」
響「…………」
はむ音「ぢゅぢゅ? ぢゅ~い」
響「…………めろ」
響「……やめろ……」
はむ音「ぢゅ~い? ぢゅぢゅ……」
響「やめろって言ってるんさ!」
はむ音「…………」
響「…………」
はむ音「…………」
響「……貴音が、自分の事、心配してくれてるのは嬉しいけど……」
はむ音「…………」
響「……こんな事されても、嬉しくないよ……」
はむ音「…………」
はむ音「…………」
響「自分、確かに、ハム蔵が死んで、すごく悲しくて……」
はむ音「…………」
響「……それ以来ずっと、心のどこかで、ハム蔵の代わりになるものを、探し求めていたのかもしれないけど……」
はむ音「…………」
響「……でも、それに貴音がなるのは……すごく……嫌だ」
はむ音「…………」
響「……貴音は、貴音だ。ハム蔵の……代わりなんかじゃない!」
はむ音「当たり前でしょう!」
響「!?」
響「……貴音……」
貴音「…………」
響「…………」
貴音「……響」
響「……何?」
貴音「……お水を、一杯頂けませんか」
響「……蒸れてたんだね、中……」
貴音「ええ……申し訳ありません」
貴音「……いいですか、響」
響「……うん」
貴音「響はさっき言いましたね。わたくしはハム蔵の代わりなどではない、と」
響「……うん」
貴音「その通りです。わたくしは四条貴音。たとえわたくしが面を付けても声色を操っても、ハム蔵の代わりなどにはなれません」
響「……じゃあ、なんであんなことを……」
貴音「……それは……響に、気付いてもらいたかったからです」
響「……何を?」
貴音「……なんぴとも、ハム蔵の代わりなどにはなりえない、ということを」
響「…………」
貴音「……ですがまあ、このことは……響は既に、分かっていたかもしれませんね」
響「…………」
響「もう、一つ……?」
貴音「ええ」
響「何なの? それって……」
貴音「それは……そもそも、ハム蔵の代わりなどを探し求める必要はない、ということです」
響「…………?」
響「……う、うん……」
貴音「そんなことはありません」
響「……?」
貴音「ハム蔵は……ただらぁめん屋に出かけただけです」
響「…………え?」
響「……い、いやいや」
貴音「……響。あなたは、友人……いえ、この場合は“家族”でしょうか……。いずれにせよ、そういった者がらぁめん屋に出かけた……ただそれだけのことで、いちいち悲しがったり、落ち込んだりするのですか?」
響「……それは……」
貴音「……いいですか? 響」
響「…………」
貴音「死ぬことは……終わることではありません」
響「…………」
貴音「……確かにハム蔵の肉体は朽ち、その愛らしい姿を直接目で見ることはできなくなってしまったかもしれません」
響「…………」
響「…………」
貴音「つまり、響がハム蔵のことを忘れず覚えている限り……ハム蔵は今までと何ら変わりなく、響と共に在るのです」
響「…………」
貴音「……ただハム蔵は、ちょっとお腹が空いたので、らぁめん屋に出かけてしまった……」
響「…………」
貴音「ただ……それだけのことなのですよ」
貴音「…………」
響「……貴音」
貴音「……はい」
響「……たとえが下手過ぎ」
貴音「うぐっ」
響「……ハム蔵は、ラーメンなんか食べないし」
貴音「……そ、それでしたら、ひまわりの種ということに……」
貴音「…………」
響「……貴音」
貴音「……はい」
響「……自分、ハム蔵のこと、死ぬまで……いや、死んだって……忘れないぞ」
貴音「……はい」
響「……ずっと覚えてて、いつかまた会えたら、そのときは……」
貴音「……そのときは?」
響「……自分を置いて出かけた罰として……たらふくラーメン奢らせてやる」
貴音「……ふふっ。ならそのときは……わたくしも、ご相伴に預かることと致しましょう」
貴音「……ふふふ」
響「…………」
貴音「…………」
響「…………」
貴音「…………」
響「……ねぇ、貴音」
貴音「……はい」
響「……ちょっとだけでいいんだけどさ」
貴音「……はい」
響「……ぎゅってして」
貴音「……はい」 ギュッ
貴音「…………」
響「……ねぇ、貴音」
貴音「……はい」
響「……ちょっとだけでいいんだけどさ」
貴音「……はい」
響「……頭、なでて」
貴音「……はい」 ナデナデ
貴音「…………」
響「……ねぇ、貴音」
貴音「……はい」
響「……ちょっとだけでいいんだけどさ」
貴音「……はい」
響「……泣かせてもらっても、いい?」
貴音「…………」
響「…………」
響「………う」
貴音「…………」
響「………うぇ……」
貴音「…………」
響「うぇええええええええ」
貴音「……よしよし」
響「うぇええええええええ」
貴音「……よく頑張りましたね、響」
響「うぇええええええええ」
響「……すん、ぐすっ……うん……」
貴音「……よしよし」 ポンポン
響「…………」
貴音「…………」
響「…………」
貴音「…………」
響「……ねぇ、貴音」
貴音「……はい」
響「……ちょっとだけでいいんだけどさ」
貴音「……はい」
響「……このままでいさせて」
貴音「……ちょっとだけと言わず……いつまででも」
響「…………ありがと、貴音……ぐすっ」
貴音「……ふふっ」
P「貴音……上手くやってくれたんだろうか。特に連絡無かったけど……」
律子「もうそろそろ来ると思うんですけどね……響も」
春香「……やっぱり今、私達が響ちゃんにできることって言ったら、これまでと同じように接していってあげること……くらいだよね」
千早「そうね……こればかりは、本人が壁を乗り越えない限り、どうにも―――」
ガチャッ
響「はいさーい!」
貴音「おはようございます」
P「お、おお……おはよう響、貴音。二人とも一緒だったんだな……って何だ響、その大きな荷物は?」
響「えへへ~、これ、皆にあげるさー!」
P「こ、これって……」
律子「響が最近買い集めてた……」
春香「ひ、響ちゃん? これ……私達がもらっていいの?」
響「うん、いいのいいの!」
千早「我那覇さん……」
P「響、お前……」
響「……ふふっ。もう、いいんだ」
P「もう……いい?」
響「うん。だって、自分には……ハム蔵がいるから!」
P「! 響……」
春香「響ちゃん……」
響「……ま、今は“らぁめん屋”に行ってるから、ここにはいないけどねっ!」
P「? ……“らぁめん屋”?」
律子「? どういうこと?」
貴音「ええ」
P「??」
響「っと、いっけない! 自分、今日は朝一でボーカルレッスンだった! 早く行かないと! じゃあ皆、また後でねー!」
P「あ、おい響! ……って、もう行っちまった」
千早「……ええ、私達がよく知ってる……いつもの我那覇さんだったわ」
律子「正直、何が何だか分からないけど……ともあれこれで一件落着、ってことなのかしら?」
貴音「…………」
P「……貴音」
貴音「はい?」
P「……ありがとうな」
貴音「…………」 フルフル
貴音「わたくしは、ただ……もう一度、響の“本当の”笑顔が見たかった……ただ、それだけのことです」
P「……そうか」
貴音「……はい」
響「はいさーい! 我那覇響到着しましたー!」
レッスン指導「あら、今日はやけに元気が良いわね。何か良いことでもあったの?」
響「えへへー、それはないしょです!」
レッスン指導「あらあら。ま、いいわ。それじゃあ今日も厳しくいくから、覚悟してなさいよ」
響「はーい! 自分、一生懸命頑張りますから、よろしくお願いしまーす!」
響(……えへへ。これからも自分の事、ちゃんと見ててよね……ハム蔵!)
了
感動した!
よかった。シュールさといい話さのバランスが特に
Entry ⇒ 2012.09.09 | Category ⇒ アイマスSS | Comments (0) | Trackbacks (0)
横井「関くん駄目だよ!そんなことしたら流石にばれちゃうよ!」
横井「だ、駄目だってば!!」
関「…?」シコシコシコ
横井(なんでそこで不思議そうな顔を…!!)
関「…!」シコシコシコ
横井「…?」
関「…」ジー
横井「な、なんでこっち見てるの…」
関「…」シコシコシコシコ
横井(も、もしかしてオカズにされてる!?)
関「…」シコシコシコシコシコ
横井「うぅ…関くんやめて…」ポロポロ
関「…!!」シコシコシコシコシコシコシコシコシコシコ
横井「いやああぁ!!」
関「!?」ガタッ
横井「あっ、い、いえなんでもないです…」
先生「はぁ…最近たるんでるんじゃないか?」
横井「す、スミマセンスミマセン…」ペコペコ
関「…!!」
関「…!!」シコシコシコシコシコシコシコシコシコシコ
横井(うわぁ…)
関「…」シコシコシコ
横井(そうだ!)
横井「…」ガバッ
関「!?」
横井(教科書で顔を隠しちゃえば…!!)
横井(フフ…手が止まったようね関くん…!)
関「…ッ!」
横井(…)スッ
関「…ッ!!」
横井(…)スッ
横井(無駄よ関くん…!)
横井(顔を隠しちゃえば、その場所からじゃ私の顔は絶対に見えない!!)
関「…ッ!!」ブルブル
関「!」
横井「?」
関「…!!」ガタッガタン
横井「!?」
横井(い、椅子の上に立った!?)
関「…!!」シコシコシコシコシコシコシコシコシコシコ
横井(ひ、ひいい!!駄目だよ関くん教室から丸見えだよおぉ!!)
横井(あ、ああっ!しまった…出しちゃった!!)
関「…」ガタッ
関「フーッ…」
横井(くそう…やりきった顔して…なんだかくやしい!)
関「………」
関「…!?」ガタッ
横井「…?」
前田「…」ベットリ
横井(前田君の背中に大量のザーメンが!?)
関「…!?」
横井「うわぁ…ばれたら怒られるよ関くん…」
関「…!?…!?」オロオロ
横井(まぁ…いい薬かも…)
関「…!」
横井(…?何か閃いたのかな…?)
関「…」ゴソゴソ
関「…!」ジャキン
横井「そ、それは…!?」
関「…」シュッシュッ
横井(臭いはごまかせるかもしれないけど…)
関「…」シュッシュッシュッ
横井(あ、緑茶の香りが…)
関「…」シュシュシュシュシュシュシュシュシュ
横井「関くんかけすぎ!かけすぎだってば!」
関「…?」シュシュシュシュシュシュシュシュシュ
横井(あぁ…前田君の背中がびしゃびしゃに…)
幸い、前田君が鈍かったおかげで関くんが授業中にオナニーしていたことはばれませんでした。
~おわり~
横井「やだなぁ…走るの苦手だし…」
横井「でも流石にマラソンなら関くんも授業をサボるにサボれないよね…」
関「…」
横井「はぁ…はぁ…」
横井「あ、あと何週だろう…」
関「…ハァハァ」
横井(あ、関くんが後ろから迫ってきた…)
横井(関くんも真面目に走ってるみたい…)ホッ
横井(あぁ…駄目だ、関君に抜かれちゃう…)
関「…ハァハァ」ジー
横井「はぁ…はぁ…ん?」
関「…ハァハァ」シコシコシコ
横井「うわあぁぁ!!抜いてる!?」
関「…ハァハァ」シコシコシコ
横井(う、うぅ…またオカズにされる…)
横井(少しペースをあげて引き離さないと…!)
横井「はぁ…はぁっ…」プルンプルン
関「…!?」
関「…ハァハァハァハァ」シコシコシコシコシコシコシコシコシコ
横井「ひっ!?ペースが上がってる!?」
横井(うぅ…並走されてる…)
横井(しかも走りながらオナニーなんて…流石に器用すぎるよ関くん…)
関「…ハァハァ」シコシコシコシコシコ
横井(もっと…もっとペースをあげないと…)
横井「よし…はぁっ…はぁっ…」
関「…!」シコシコ
横井「はぁ…はぁっ…はぁっ…はぁっ…んっ…」
関「…!!」シコシコシコシコシコシコシコシコシコ
横井「なっ…なんでぇっ?…はぁ…はぁっ…」
横井「ひっ…はぁっはぁっ…んくっ…ふっ…はぁ…っ!」
関「…!!…!!」シコシコシコシコシコシコシコシコシコ
横井(だ、駄目だ…これ以上ペース上げられない…)
横井「はぁっはぁっ…もうっ…無理ぃ…」
関「…?」シコシコシコシコシコ
横井「もう…駄目ぇ…関くん、私…はぁっ…限界…っだから…」
関「!?」シコ
横井「おねがいっ…もうっ…ゆるしてっ…せきくんっ…」
関「…!?」
横井「あっ」
関「…」
横井「…」
横井「い、今だっ!!」ダッ
関「!?」オロオロ
先生「すごいな横井、去年よりかなり良いタイムだぞ」
横井「はぁはぁ…そ、そうですか…ありがとうございます…」
横井(あれ…何が目的だったんだっけ…)
先生「おらー関ー!手ぇ抜かないで走れー!」
関「…!?」
結局関くんは余計な体力を使ったおかげで学年ワースト3位になっていました。
~おわり~
Entry ⇒ 2012.09.09 | Category ⇒ 版権物SS | Comments (2) | Trackbacks (0)
紅莉栖「何度タイムリープしたって岡部を寝取られる……」
8月13日 夕方
タイムリープマシン完成祝の宴会のための買い出しから帰った私は、ラボの開発室にいた。
椅子に座り眺める──世界を揺るがすかもしれない、このタイムリープマシンを。
しかし宴会まで時間が空いたのと、連日の徹夜続きもありついウトウトしてしまい──。
紅莉栖「んん……ん……」
紅莉栖「おか……べぇ……あんた……」
紅莉栖「……急に仲間がどうとか……支離滅裂……むにゃ」
紅莉栖「……ふへへ、おかべぇ……」
紅莉栖「ふぇ……」
紅莉栖「あ、あれ、私……」
紅莉栖(寝てたのかな。やだ、私ったら……こんなところでだらしない……)
紅莉栖(もし見られてたら一生の不覚──)
アッ ンッ ンッ ンッ
紅莉栖「……?」
開発室から、そっとリビングを覗いてみる──
岡部「はぁっ……ふぅっ……」
「あっ……あんっ……んんっ……おかっ……いいっ……」
紅莉栖(ちょ!)
紅莉栖(な、なによこれ……お、岡部が……岡部が!)
岡部「うぐっ……ふっ……はっ」
女と重なり合っている。
紅莉栖(じゃ、じゃ、じゃない!) ギュウウ
紅莉栖(いったたたたたた!)
紅莉栖(ゆ、夢……じゃない……)
紅莉栖(おかべ……さっき……私のこと大切……って……いい雰囲気になって……あれ、私なんで……ふぇ……) ジワッ
紅莉栖(おかっ……、おかべぇぇ……うぅ……)
紅莉栖(なんでっ……わ、私だっておかべのことっ……)
紅莉栖(そ、そりゃいきなり求められたら断ったかもしれないけどどど、でもっ、でもぉ……)
紅莉栖(こんなの、あんまりよ……)
岡部「くっ……うぐっ……!」
紅莉栖(……落ち着け、カームダウッ、牧瀬紅莉栖)
紅莉栖(これは夢じゃない、現実。そして岡部は女とファックしている、紛れもない事実)
紅莉栖(顔はよく見えなかったけど……あれは多分>>13さん……よね)
1.まゆり
2.萌郁
3.ルカ子
4.フェイリス
5.鈴羽
選んでオナシャス
1~5以外の安価はstにする
紅莉栖(私は開発室でうたた寝していたと思ったらいつのまにか『岡部とまゆりがミッショナリースタイルで繋がっていた』)
紅莉栖(な…何を言ってるのか分からないとは思うけど、私も何なのか分からなかった)
紅莉栖(頭がどうにかなりそうだった……)
紅莉栖(夢だとか、妄想だとか、そんなチャチなもんじゃあ断じてない)
紅莉栖(もっと恐ろしいものの片鱗を味わったわ……)
パンッパンッパンッ
アッ……ンンッ……アッ
オカッ……オカリッ……
紅莉栖「……」
チラッ
木製の机の上で静かに佇むタイムリープマシン。
これを使えば──
紅莉栖(岡部は渡さない……絶対にだ)
紅莉栖「跳べよぉぉぉぉっ!」
けれど8月13日、私は世界の構造と残酷さを知ることとなる──
皮肉にも、私が完成させたタイムリープマシンの力を使うことで。
紅莉栖「何度タイムリープしたって岡部を寝取られる……」
紅莉栖「うぅっ……」
紅莉栖「……はぁっ……はぁっ……」
岡部「おい、どうした助手よ……、まさか機関からの定時連絡に問題でもあったか?」
岡部「それとも……・そんなに階段がきつかったのか? ん? この貧弱実験大好きっ娘め!」
紅莉栖(……ここは……ラボの前? 確か私はラボの開発室で岡部とまゆりの……)
紅莉栖(そしてタイムリープマシンを起動して……)
岡部「お、おい……クリスティーナ?」
紅莉栖「い、今何時!?」
岡部「え? あ……17時くらいだが……」
紅莉栖「17時……」
紅莉栖(私の記憶では19時くらいだったはず……と言うことは)
紅莉栖(携帯携帯……今は8月13日の17時……うん、合ってる)
紅莉栖(成功したんだわ、タイムリープ)
紅莉栖「おっ……おかべっ!」
岡部「んん? なんだ? 言いたいことがあるのなら聞いてやらんこともないが」
紅莉栖「……え、えっと……」
紅莉栖(ど、どうしよう、跳んだはいいけどほぼノープランだった……)
紅莉栖(あわわわ……考えて! 考えるのよ天才脳科学者!)
紅莉栖「……と、とりあえずラボに入りましょ?」 ニコッ
岡部「お、おう……?」
紅莉栖「……」
岡部「……」
紅莉栖(き、気まずい……)
岡部「おい、何か話が……あるのではないか?」
紅莉栖「ええ!? う、うん、そ、そうなんだけど……」
紅莉栖(ど、ど、どどうしたらいいの!?)
紅莉栖(まゆりとファックしないで! なんてお願いできるはずもないし……)
紅莉栖(ああああ! 恋愛経験0で過ごしてきた過去の私を殴りたい……助走付けて殴りたい……)
紅莉栖(……ウェ、ウェイウェイウェイ!)
紅莉栖(大丈夫、例え岡部とまゆりがそういう雰囲気になったとしても、ここに私がいれば何の問題もないはず)
紅莉栖(私がいる目の前でファックできるのならやってみなさい!)
紅莉栖「あ、や、やっぱり話すほどのことでも……なかったかなーって……」
岡部「……?」
紅莉栖「ふぇっ!? な、なんでよ! もうすぐ宴会じゃない!」
岡部「まゆりを迎えに行ってくる、少々帰りが遅いのが気になっていたのでな」
紅莉栖「ちょ!」
紅莉栖(今行かせたらそのままラボじゃなくてラブホでズッコンしかねない! だめよ、ここは絶対行かせちゃダメ!)
岡部「では少しの間留守を任せ──」
紅莉栖「おかべぇっ!!」 ダキッ
岡部「ぬわあぁっ!?」 ゴシャ
紅莉栖「あ……」
岡部「……お、おのれザゾォンビ……この鳳凰院凶真の足を引っ張って転倒させるとはぁぁ!」
紅莉栖「せ、説明ゼリフ……乙」
紅莉栖「だ、だからごめんって……」
岡部「もういい、行ってくる」
紅莉栖「ちょ!」
バタン
紅莉栖「あ……う……」
紅莉栖(ど、ど、どうしよう、このままじゃ私の岡部が……おかべがぁっ……」
紅莉栖「……」
紅莉栖「こうなったら」
ピッピッピ
To:まゆり
Sub:コスプレについて話がある件
本文:マシン完成の時も思ってたんだけど、ちょっとコスプレに興味が湧いてきたっていうか
別に今すぐ着たいって訳じゃないんだけどね?
よかったら話聞かせてもらえないかなーなんて
とりあえず連絡もらえないかしら?
まゆり「クリスちゃん……ど、どうしてこんなことするのかなぁ……?」
紅莉栖「ごめんなさいまゆり、少しの間大人しくしてもらえるかしら」
まゆり「コスしたいってのは、嘘だったの?」
紅莉栖「……」
まゆり「何か、しゃべってよ……ねぇ……」
紅莉栖「今は何も話せない……全て終わったら、埋め合わせはするから……」
私はコスプレの話に食いついてきたまゆりをホテルに連れ込み、ロープ縛り上げて身動きを取れないようにした。
親友(笑)
今の私はきっとものすごく醜いだろう。
途中まゆりから身が凍るほどのプレッシャーを感じたので海馬に電極をぶっ刺しておいた。
命に別条はない、多分。
ロープが千切れていたがすんでのところで間に合ったらしい。
恐ろしい子!
ガチャ
紅莉栖「はろー……」
シーン
紅莉栖「あれ、まだ戻ってないのかな……」
紅莉栖(時刻は18時……岡部ったらどこほっつき歩いてるのかしら)
ピッピッピ
To:岡部
Sub:
本文:早く帰って来なさいよ
まゆりなら気分が悪いから、今日は遠慮しとくって言ってたわよ
ピッ
紅莉栖「ごめん、ごめんねまゆり!」
紅莉栖「でも私は……! 岡部のことがっ……!」
────
───
──
紅莉栖「……ふへへ、おかべぇ……」
紅莉栖「ふぇ……、あ、あれ、私……」
紅莉栖(また寝てたのかな。やだ、私ったら……こんなところでだらしない……)
紅莉栖(よ、涎垂れてるし……。あ、岡部! 岡部に見られてないでしょうね!?)
紅莉栖(もし見られてたら一生の不覚──)
アッ ンッ ンッ ンッ
紅莉栖「……?」
開発室から、そっとリビングを覗いてみる──
岡部「はぁっ……ぐぅっ……」
萌郁「あぁっ……んんっ……おかべくっ……いいっ……」
紅莉栖「」
ここから岡部の表情をうかがい知ることはできなかったが──
眉を八の字にさせながら切なげに喘ぐ桐生さん。
ウーマン・オン・トップ、激しく揺れる二つのメロン。
今にもはち切れそうなくらい激しく上下する。
ズッチュッ ズッチュ
萌郁「どう……? おかっ……べく……」
岡部「うぐっ……はげし──あまり動くとっ……」
萌郁「おかべくん……すき……んっ……」
岡部「んむっ……」
チュル チュッ
ズチュッ チュッ
岡部と桐生さんの結合部を目視することはできなかった──
が、水気を帯びたその音から、二人の繋がりあった部分は熱く燃え上がっていることが容易に想像できた。
なんなのよ……。
なんなのよぉっ……。
紅莉栖「跳べよぉぉぉぉっ!」
岡部「うっ!」
萌郁「あっ……」
~ホテル~
まゆり「ク、クリスちゃん?」
萌郁「……IBN5100は……どこ?」
紅莉栖「ごめんなさい、あなた達二人には大人しくしてもらうわ」
ブスッ ブスッ
まゆり「」
萌郁「」
紅莉栖「今度はうたた寝しないうたた寝しないうたた寝しないうたた寝しない」
紅莉栖「うぅ、でも眠い……」
紅莉栖「おかべぇ……早く戻って……きて……」
────
───
──
ガチャ
岡部「む、紅莉栖か、一人か?」
紅莉栖「あ、お、岡部!」
岡部「突然だがお前に言うことがある、紅莉栖、俺はお前が好きだ!」
紅莉栖「ふぇっ!?」
岡部「お前はどう思っている?」
紅莉栖「私も──!」
紅莉栖「……ふへへ、おかべぇ……」
紅莉栖「ふぇ……、あ、あれ、私……」
紅莉栖(ま、また寝てた!? ど、どうして!?)
紅莉栖(うっ……ってまた涎垂れてるし……。あ、岡部! 岡部は!?)
アッ ンッ ンッ ンッ
紅莉栖「──!」
開発室から、そっとリビングを覗いてみる──
岡部「はぁっ……ふぅっ……」
るか「あっ……あんっ……んんっ……おかべさっ……いいっ……」
紅莉栖「」
いわゆる背面駅弁。
岡部はいわゆる……アナルファック──後ろの孔を使用──していた。
少し距離があるが、ここからでも結合部がはっきり確認することができる。
岡部「うぐっ……うぅっ!! きつっ……」
るか「はっ……うぅっ、おか…………んんっ」
そびえ立つ肉の塔が天を仰ぐたび、漆原さんの後門が強引にこじ開けられていく。
漆原さんは悩ましげな声をあげ、前門からは綺羅びやかな蜜が滴り落ちていた。
るか「あっ……あぁっ……」
岡部「ルカ子っ……ぉおっ……」
紅莉栖(何? 何が起きてるの?)
紅莉栖(いくら漆原さんが岡部のことを想っているとはいえ、こんなのあまりにも不自然すぎる……)
紅莉栖(……もっと考える時間が欲しい……この不可解な現象の解を得るために……)
るか「おかっ……おかべさんっ……す、すきですっ…‥! も、もっとはげしっ……んっ……」
岡部「ぐぅっ……うぅっ……おぉぁっ……」
紅莉栖「」 イラッ
紅莉栖「跳べよぉぉぉぉっ!」
岡部「うっ!」
るか「あぁっ……!」
紅莉栖「……ここは」
紅莉栖(開発室……未完成のタイムリープマシン……時刻は10時)
紅莉栖「……今回も成功のようね」
紅莉栖(さて、考える時間がほしいわ……、さっさとタイムリープマシンを完成させて──)
紅莉栖「はっ──」
紅莉栖(……だめ、私……また失敗してもタイムリープマシンさえあればやり直せる、そう思考してた)
紅莉栖(……いつしか岡部と誰かが重なり合っていても驚かなくなっている……)
紅莉栖「でも、一応完成はさせておかないとね」 カチャカチャ
岡部・ダル・まゆり「?」
────
───
──
紅莉栖(もちろん宴会は明日へと延期。今や私のラボでの権限は岡部なんかよりずっと上だものね)
紅莉栖(……これで岡部からラボメンガールズを遠ざけることができた……)
紅莉栖(橋田には後でお礼言わないとね)
紅莉栖(これで岡部は私と……)
紅莉栖「うふ、うふふっ……」
しかしこの時の私は、世界の構造、どんなにタイムリープしていても結果は収束する──
その事を理解していなかった。
────
───
──
フェイリス「んっ……んっ……んぁっ……きょうっ……おかべさんっ……だめっ……そんなにっ」
紅莉栖「」
気づけば私は、今日4度目のうたた寝。
その後開発室から岡部と猫がファックしているのを目撃する。
橋田のやつ、しくじったみたいね。
大方メイクイーンにでも行ったんだろうけど……。
それじゃあ意味が無いじゃない!
ちなみに、今回のプレイはドギースタイル。メイド服は着たまま。
四つん這いになったフェイリスさんを岡部が背後から突きまくる。メイド服は着たままで。
その度にフェイリスさんの顔と猫耳が快楽に歪む。メイド服は着たままだけど。
ふむん、これが着エロというものか……。
参考にしよう──。
フェイリス「あっ……おかっ……いま……いまは……るみっ……ほって……あんっ」
岡部「うぐぁぁぁっ!!」 パパンパンパパンパン
留美穂「あっあぁっ……はげしっ……いっ……」
あらやだ、涎なんて垂らしちゃって。
全く犬みた──あ、猫か。
って──
くだらないこと考えてる場合じゃない。
岡部「うぅぅっ!」
岡部(の童貞)は私が守る。
紅莉栖「跳べよぉぉっ!」
岡部「うっ!」
留未穂「ぁっんんっ……」
紅莉栖「……」
紅莉栖(今は……8月11日の19時……)
紅莉栖(タイムリープの限界である二日間しか考える時間はない)
紅莉栖(いや、岡部が犯される前に飛べば時間は無限……)
紅莉栖(だめ、こんな考えじゃダメよ、今までは成功してるとはいつ失敗するとも限らない)
紅莉栖(早く……早く解を導き出さなきゃ)
───
──
おかしい、どう動こうとも結果は変わらない。
ある程度の過程は変化する……。
しかし、最終的に岡部と私以外の誰かがラボでファックするという結果に落ち着く。
これじゃまるで運命論じゃない……。
岡部「あぁぁっ!!」 パンッパンッ
鈴羽「んっ……あっ……おかべっ……りんたっ……」
……ラボで岡部倫太郎と誰かがファックしたという結果、そしてそれを目撃した牧瀬紅莉栖。
この結果は変わらないということなのかしら?
だとしたら岡部は世界に犯されてることになる
抗えぬ運命……。
そんなの認めない、運命論なんて私は支持しない。
鈴羽「あっ……もっと! 奥までっ……ぇっ……」
考えろ、考えるのよ牧瀬紅莉栖。
どうしたら岡部を救うことができるの?
……喉が渇いたわね。
シャー
鈴羽「ま、牧瀬……紅莉栖っ!?」
岡部「うっうっ……!」 パンッパンッ
トコトコ ガチャ バタン キュポッ ゴキュ
紅莉栖「続けて、どうぞ」
鈴羽「……っ!?」
中途半端にめくれ上がったジャージに押さえつけられているものの、二つの膨らみが切なげに揺れる。
スパッツは履いたまま──
と言うことは局部の部分だけ破って、ということだろうか。
岡部「すずっ……鈴羽ぁっ……!」 パンッパンッ パパンッ
鈴羽「き、君はっ……んっ……一体……」
どうやら岡部には私のことが目に映らないらしい。
岡部「うぐうぅぅうぁぁっ!」 パンパンパンパン
鈴羽「あっ……ちょ、おかべりんたっ……やめっ……ぁぁっ……」
だけど、快楽に身を委ねていると言うよりは──
岡部「あぁぁぁぁっ!」 ズッチュ パン チュ パンパンパン
鈴羽「あんっ、ちょっと、激しすぎっ……る……って!」
岡部「ぐうぅうぅぅっ」 パンッパンッ
苦しんでいる──ように感じた。
前回のファックを目撃してからからだろうか。
もしかして弱みでも握られているんじゃ……?
いや、今は理由はどうでもいい、岡部を……岡部を守る方法を考えるのよ。
ただただ思考を──
パンパンパン
もしかして──
パンパンッ
あの時のあれ。
そして数日前のHENTAI行為。
極めつけにはリーディングシュタイナー。
パンパカパーン
その時……! 圧倒的閃きっ……!!
牧瀬紅莉栖に電流走る……!
岡部の童貞を。
すでに起きたことの結果を変えられないとしても、この方法ならば。
まずタイムリープ、その後……あの娘とコンタクトをとり、その後──
待ってて岡部、絶対、助けるから……。
あんたを、助けるから……。
紅莉栖「跳べよ」
岡部「うっ」
鈴羽「ぁんっ」
前編 『変態少女のメランコリィ』 END
8月13日 夕方
俺はタイムリープマシンの開発評議会のための買い出しを終え、ラボでゆっくりしていた。
紅莉栖はタイムリープマシンの最終チェックがしたいといい、開発室に篭りっぱなしだ。
俺はというとソファに腰を掛け、評議会までの空いた時間を持て余していた。
岡部「うーむ……暇だな……クリスティーナでもからかうか」
シャー
岡部「……」 チラッ
紅莉栖「むにゃむにゃ……おかべぇ……」
岡部(!? な、なんだ……? 寝てるのか……?)
岡部(……バカ者め、夏とはいえ風邪を引いても知らんぞフゥーハハハ!)
岡部(どれ、タオルケットでもかけ──)
紅莉栖「ばか……おかべ……」
岡部「……」 イラッ
岡部(ドクペでも飲むか)
ゴキュ
岡部(う……しかし、紅莉栖の寝顔……ちょ、ちょっとドキっとした)
ガチャ
岡部「おわうっ! まゆりではないか、脅かすな」
まゆり「んー? どうしたのー?」
岡部「い、いや、なんでもない……ちょっと機関による精神攻撃のせいで動悸が、な……」
まゆり「……顔赤いよー?」
岡部「え? そ、そうか?」
まゆり「風邪かなー?」 ピトッ
岡部「や、やややめんかっ」
まゆり「もー、お熱がちゃんと計れないよぉ~」
岡部「この狂気のマッドサイエンティスト鳳凰院凶真! 風邪などに倒れるわけがなかろうっ!」
岡部「うっ……、そ、それはだな」
まゆり「えっへへ」
岡部「……まゆり?」
まゆり「あの時は、オカリンが死んじゃうんじゃないかって、すっごく心配だったんだよー?」
岡部「そ、そんな……大げさな……」
まゆり「まゆしぃはとっても心配なのです」
岡部「え?」
まゆり「オカリンのリーディングシュークリーム? の時と、昔熱出した時……おんなじなんだもん……」
まゆり「急に目の前がぐにゃぐにゃしてきて、立っていられなくなって~、って……」
岡部(……リーディングシュタイナーのことか)
岡部「まゆり……」
まゆり「えっへへ、ごめんね? 急に……こんな話しちゃって。せっかくのかいはつひょーぎかい、なのにねっ」
岡部「心配するな、俺はどこにもいかん」
岡部「だからお前もずっと俺のそばに──」
岡部「……っ」
まゆり「ふえっ?」
岡部「い、いや、なんでもない……」
まゆり「ねえオカリンオカリン、覚えてる?」
岡部「何を──んっ」
チュッ
まゆり「えへへ……」
岡部「おまっ……いきなり、な、何をっ……」
岡部「え? あ、あぁ……」
まゆり「ね、ねえオカリン」
岡部「お、おう!?」
まゆり「まゆしぃたち……もう……大人……でいいんだよ……ね?」
岡部「え!? ど、ど、どどうでしょう!?」
まゆり「まゆしぃはそろそろ……大人の階段……登りたいなー……って、思ってるんだぁ」
なにいいいい!?
まゆり「ね……い、いいよね? オカリン……」
今にも消えそうな声で呟くと、まゆりは顔を近づけてくる。
まゆり「んっ……」
岡部「──!」
先ほどの小鳥が啄むようなキスとは違い、今度は恐る恐る舌を絡ませてきた。
まゆりの細い喉から漏れる吐息、今まで経験したことのない感触。
全身の毛穴が開き、体温が上昇するのを感じ取る。
同時に、下半身にも灼熱の欲望が溢れ出す。
岡部「んんっ……」
まゆり「オカリ……」
まゆり「……えへへ」
岡部「まゆ……」
まゆり「ずっと、オカリンと……こうしたいなー……って思ってたんだぁ」
まゆり「でもね? オカリンはクリスちゃんと……」
まゆり「だからまゆしぃは……もう──」
そう、開発には今、紅莉栖が──
だが、もはや抑えることはできなかった。
ギュウウッ
まゆり「え!? えー!?」
我慢できるはずがないじゃないか!
俺はただの学生で、ただの男だ。
今度は俺からまゆりの唇を求めた。
唇、舌、歯茎とあらゆる箇所を貪り、耳、首へと目標を変える。
まゆり「オカッ……んんっ……はっ……んっ」
並行してまゆりのふくよかな乳房も揉みしだくと、豊満な胸とに対して小さな躰が一瞬引きつった。
まゆり「あっ……ぅっ……」
悩ましげに声を濡らすまゆりが愛おしすぎて──
俺はまゆりの下腹部の下へ指先を這わせる。
すでにまゆりの運命石の扉は、淫らにぬたついていた。
岡部「……だめか?」
まゆり「……で、でもこれ以上は……」
岡部「もう、抑えられないんだ……」
まゆり「オ、オカリーン……」
この時の俺は残念ながら冷静ではなかった。
一時の欲望に溺れるということが、いかなる破滅を招くのか、あの時の教えてやりたい。
岡部「あ……あぁ」
床に仰向けになっているまゆり。
そのまゆりを見下ろす。
自己主張の乏しい肉芽──
もはや運命石の扉は、俺の魔剣を受け入れる準備ができていた。
例えるなら宇宙。
キラリと濡れ輝く星たち。
その中でもひときわ大きく、そして煌めく太陽にそっと触れてみる。
まゆり「やっ……だ……だめぇ……」
岡部「……」
この圧倒的征服感。
今まで大事に大事にしてきた幼馴染。
冒涜──
思わず滅茶苦茶にしたくなる。
実戦はじめてにも関わらず、脈打つ我が魔剣は桃色からどす黒く変色していた。
岡部「……いくぞ」
まゆり「う…………うん」
機は熟した。
ずっと閉ざされてきた秘部に、孤独の観測者をあてがう。
まゆり「ひぅっ……」
濡れた感触が絡みつく。
思わず身を震わせるが、もう立ち止まれない。もう迷いはない。
ずぶずぶと埋まっていく魔剣ミストルティン。
まゆり「ぁ……ぅ……」
岡部「うくっ……」
今、俺は運命石の扉へと到達したのだ。
動けなかった。
僅かな振動でも果ててしまいそうだったからではなく──
甘美な快楽を一秒でも長く味わっていたからでもなく──
ただただ思考が延々と引き伸ばされていた──
まゆり「ぅっ……おかり……ん」
岡部「……」
まゆり「……い」
まゆり「いいよ……動いても……」
まゆり「まゆしぃなら……大丈夫……だから」
岡部「……あ……ぁぁ」
───
──
まゆり「はぅっ……ぅっ……ん」
岡部「ふっ……! はっ……!」
まゆり「んんっ……」
運命石の扉に到達してから、どれほどの時間が過ぎただろうか。
随分長い時間を過ごしてきたようにも、一瞬のことだったようにも感じる。
岡部「まゆ……りっ……」 ニチュッ
まゆり「んっ……ぁっ」 チュッ
岡部「はぁっ……ふぅっ……」 ズッチュ
まゆり「あっ……あんっ……んんっ……おかっ……いいっ……」
岡部「くっ……うぐっ……このままではっ!」
まゆり「いいよ……このままっ……」
岡部「はぁっ……はっ……」
「跳べよぉぉぉぉっ!」
岡部・まゆり「!?」
岡部「うっ!」 ドピュルルル
グニャアアアア
……どういうことだ?
俺が送ったのはDメールではなく精子だ。
まさかそれで世界線が変動したとでも?
いや、それより紅莉栖だ、紅莉栖の声が聞こえた。
もしかしてあいつ、タイムリープを?
となると紅莉栖がタイムリープしたことにより世界線が変わるような行動──
その結果俺のリーディングシュタイナーが発動したといったところか。
体の火照りは依然として収まっていなかったが、思考は冴え渡っている気がした。
「おか……あんっ!」
岡部「おいまゆり、い、今はそれどこじゃ──」
萌郁「んっ……あっぁっ……」
目を疑った。
いつの間にか俺は床に仰向けになっており、萌郁が俺に跨り身を捩らせている。
な、なぜだ、俺はなぜ萌郁と!?
まさか世界線が変わったから!?
い、いや、それより……も、だ。
さっきイッたばかりなのに我が魔剣がまた血に飢えている。
いや、”また”ではない、恐らく俺は”まだ”イッてないのだ。
だが脳はイッたと認識している……。
その記憶の齟齬が俺を苦しめることになる──
岡部「う、うぐっ……」
萌郁「岡部く……?」
岡部「うぁぁぁ!」
脳はイッたと認識しているはずなのに下半身は脈動を留まることを知らない。
まずい、なんだかおかしい。
萌郁「あっぁっ……すごっ……んんっ」
萌郁が腰を激しく上下させてるところに、さらに捻りを加え、魔剣の刺激を高める。
早く、早く魔剣に溜まった邪を──
「跳べよぉぉぉぉっ!」
岡部・萌郁「!?」
岡部「うっ!」 ドピュルルル
グニャアアアア
うぐっ……。
恐る恐る目を開く──
そこには黒髪、ルカ子──
俺はルカ子の両の膝の裏に腕を通し、華奢な体躯を持ち上げ、腰を跳ね付かせていた。
なんだよこれ。
さらに、またも世界線が変わったせいで脳と体の状態の齟齬が発生している。
脳からの快楽物質の放出は次第に抑えられていくものの、依然として俺の下半身は膨張を続けており、ルカ子の蜜壷に包まれている。
──正確には後門だったのだが、今の俺は知る由もないし、今後も知ることはなかった。
るか「き、きて、おかべさっ……」
相変わらずキュンと来る。
だが男だ。
いや、今は女だ。
くっ……前代未聞前人未到の境地……!
脳はすでに果てている。だが躰は欲しがることをやめない!
頭では分かっていても、躰がそれを受け入れようとしない!
るか「ふぁぁっ! だ、だめぇぇぇ……」
「跳べよぉぉぉぉっ!」
岡部・るか「!?」
岡部「うっ!」 ドピュルルル
グニャアアアア
艶かしい躰を貪りつつ、脳は必死に抑制をかけようとした。
しかし躰は……俺の躰ではなくなったかのように律動する。
パンッパンッ
岡部「うぅうぅっっっぐぐぅっ!」
留美穂「にゃっ……うっ……あんっ……奥にぃっきて……るっ……」 パンパン
苦しい、すべて出し切りたい、注ぎ込みたい。
視界は真っ白になり脳髄は常に電流が迸っている。
もはや目の前の躰が誰のものかなど関係無かった。
留美穂「あぅううぅっ!」
紅莉栖「跳べよぉぉっ!」
岡部「うっ!」
留未穂「ぁっんんっ……」
グニャアアア
世界が俺を犯そうとしている。
いや、この場合俺が世界を犯しているのか?
……そんなことはどうでもいい。
全部俺のせいだ。
俺が迂闊に運命石の扉を開いたせいだ。
そこに首を突っ込んだせいだ。
あのときの俺に言ってやりたい。
迂闊なことをするなと。
軽率なことをするなと。
見てみぬフリをするなと。
もっと注意をはらえと。
一時の欲望に溺れてしまっては破滅を招くということを!
壊れる、壊れてしまう。
依然として俺の脳は錯覚を起こし快楽物質、脳内麻薬をぶちまけている。
このままでは廃人も同然、いやそのほうがまだましかもしれなかった。
パンッパンッ
もはや抑制することが出来ない。
もはや自分の躰ではなかった。
これではまるで猿じゃないか……。
なんだろう、灼熱の蜜に溺れている岡部倫太郎──
それを上から冷えた目で見ている俺、そんな感覚。
パンパン
鈴羽「牧瀬……紅莉栖っ!?」
紅莉栖「続けて、どうぞ」
今はこの数億もの岡部倫太郎を放出したい。
そのために腰をくねらせ続ける。
白濁のワルツを踊り続ける。
岡部「すずっ……鈴羽ぁっ……!」 パンッパンッ パパンッ
鈴羽「あんっ、ちょっと、激しすぎっ……る……って!」
岡部「ぐうぅうぅぅっ」 パンッパンッ
紅莉栖「跳べよ」
鈴羽「!?」
岡部「うっ!」 ドピュルルル
ながい。
こんどはとてもながい。
俺は琥珀色の海を泳ぎ続けていた、全裸で。
すごくぐにゃぐにゃしてる。
目を閉じて流れに身を委ねる、全裸で。
とてもきもちがいい。
次第に世界は元の形へと収束する。
あ……。
俺は……。
うぐっ……
長いリーディングシュタイナーだった
だが今の俺の躰はそんなことお構いなしだった
今すぐに出し切りたい
俺を受け入れて欲しい
しかし俺の目の前には誰もいなかった
ど、どういうことだ?
岡部「紅莉栖!?」
紅莉栖「あんた一体……」
岡部「く、紅莉栖、助けてくれ……」
紅莉栖「ふぇっ!? は、初めて名前を……って今はそんなことどうでもいい!」
紅莉栖「あ、あんた……」
紅莉栖「あんたたち一体……ナニを……!」
岡部「はっ!?」
後ろを覗いてみる。
るか「はぁっはぁっ!!」 パンパンッ
岡部「」
まさか──
観測した途端、俺の運命石の扉は”異物”を認識し出した。
るか「お、おかべっ、おかべさぁん!」 パンッパンッ
待て、ルカ子はさっき女だったはず──
と言うことはさっきのやたらと長かったリーディングシュタイナーは……
紅莉栖のタイムリープ+ルカ子のDメール打ち消し……!?
いや、そんなことはどうでもいい。
男だとか、女だとかそんなことはどうでもよかった。
今はただこの苦しみを──
紅莉栖「あ、あわわわわ!」
岡部「くっ、紅莉栖っ……!」
岡部「俺はお前のことがっ……」
岡部「すっ──」
岡部「だっ──」
そこで俺の脳は限界を迎えた。
その後、夢の中でルカ子に何度も何度も突かれながら──
紅莉栖にだいしゅきホールドを食らい──
俺自身も幾度と無く、その細身の体を貪り尽くした。
その喧騒の外で、屈強そうな男たちが、とち狂ったダルやまゆりにゲルバナにされていた。
が、そんなことはどうでもいい。
シュタインズゲートは開かれたのだから。
後編 『再生と狂気のマッドサイエンティスト』 END
乙
乙乙
クリスが過去に戻っていろいろやったから現代のオカリンからしたらちびっと世界線が変わってるんじゃない?
タイムリープで世界線~については
>>135
です、ちょっぴり補足すると
原作ルカ子ENDでルカ子タイムリープ→ほんのすこしだけ過去が変わってオカリンRS発動、ってあったので
タイムリープでもRS起こるくらいの変動は起こせるのではないかな、と
見てくれた人ありがとう
まゆしぃはごめんね
Entry ⇒ 2012.09.09 | Category ⇒ シュタインズゲートSS | Comments (0) | Trackbacks (0)
神楽耶「日本人女性は下着なんて身につけませんわ」ゼロ「ほう?」
神楽耶「ゼロ様、お一人ですか?」
ゼロ「ええ。他の者は所用で出払っています」
神楽耶「では、私と二人きりですわね」
ゼロ「そうなりますね」
神楽耶「ゼロさまー♪」ギュッ
ゼロ「神楽耶様、お戯れを……」
神楽耶「いいではありませんか。夫婦水入らずでゆっくりできる時間は貴重ですもの」
ゼロ「……神楽耶様。あまりそのような格好ではしゃぐのは遠慮してください。その……見えそうで……」
神楽耶「見える?見えるって何がですの?」
ゼロ「下着です。そのような短いスカートでは……」
神楽耶「ゼロ様、知りませんの?日本人女性は下着なんて身につけませんわ」
ゼロ「ほう?」
ゼロ「ですが、最も守らなければならないものが露出してしまうことになってしまいますが」
神楽耶「無論、見せてもいいものではありません。醜く汚らわしい部位ですから」
ゼロ「神楽耶様のソレは宝玉のように輝いていると思いますが」
神楽耶「まぁ、お上手ですのね。でも、見せるものではありませんわね」
ゼロ「確かにそうですが、ならもっと布地の多いものを着るべきではないのですか」
神楽耶「暑いですから、長時間の着用はちょっと……」
ゼロ「しかし」
神楽耶「それにスカートって割と中が見えませんのよ?―――このように回っても」クルッ
ゼロ「……」
神楽耶「ほら、汚らわしい部分は見えませんでしょ?」
ゼロ「そのようですね。スカートとは中々に罪深い衣類であることを私は知りました」
神楽耶「もしや、ゼロ様は妻の素肌を他の殿方に見せたくないという考えでしたか?」
神楽耶「古風な考えのゼロ様も素敵ですわ」
ゼロ「古風ですか?」
神楽耶「でも、そうですわね。夫の身からすれば当然のこと。私の配慮が欠けていましたわ」
ゼロ「いえ。そんなことは」
神楽耶「では、早速着替えて―――」
ゼロ「待ってください」
神楽耶「はい?」
ゼロ「私と二人っきりのときはそのままでも構いません。神楽耶様に窮屈な服を着せるつもりは毛頭ありませんから」
神楽耶「ゼロ様ぁ……」
ゼロ「それにしても日本人女性は下着を身に付けないなどという文化があることを初めて知りました。何か理由でもあるのですか?」
神楽耶「さぁ?物心ついたときから、何もつけるなって言われて育てられましたから」
ゼロ「なるほど。それが常識になっているのですね。では、胸も?」
神楽耶「胸はスポーツブラをつけていますわ」
神楽耶「ほらほら」ヌギヌギ
ゼロ「脱がなくて結構です!!」
神楽耶「あら、そうですの?」
ゼロ「しかし、何故上だけ……?」
神楽耶「こすれる痛みに耐え切れなくて……。あ、これは内密にしておいてくださいね」
ゼロ「こすれる?何がですか?」
神楽耶「え……それは……」
ゼロ「なんですか?」
神楽耶「乳頭が……」
ゼロ「あ、ああ……なるほど……。申し訳ありません……神楽耶様……」
神楽耶「い、いえ……」
ゼロ「……」
神楽耶「……」
神楽耶「そのほうがいいですか?」
ゼロ「いらぬ危険を回避できますし」
神楽耶「それはつまり、殿方に見せてしまう危険性ですか?」
ゼロ「神楽耶様も嫌でしょう」
神楽耶「勿論ですわ。夫以外に見せるなんて考えただけでも虫唾が走りますわ」
ゼロ「そうでしょう。なら、ショーツを身に付けてください」
神楽耶「ですが、持っていませんわ」
ゼロ「女性団員から一枚ずつ拝借するのは?」
神楽耶「そんな。ダメですわ。下着も立派な衣類ですもの。嫌がる人もいるはずです」
ゼロ「そうですか……」
神楽耶「そうだっ。ゼロ様のそのマントで私を包んでくださればいいのでは?」
ゼロ「包む?どういうことでしょうか?」
ゼロ「ええ」
神楽耶「で……私がゼロ様の前に立って……」
ゼロ「なるほど。マントで神楽耶様を……隠すわけですね」バッ!!!
神楽耶『これで私はゼロ様に守られていて、露出はゼロです。あ、私もゼロになりましたね!!』
ゼロ「神楽耶様が発言する場合はどうするおつもりですか?」
神楽耶『それは……』
神楽耶「―――こうやって、顔だけ出して発言しますわ」ヒョコッ
ゼロ「それで?」
神楽耶「発言が終われば―――」バッ
神楽耶『再びゼロ様の中へ』
ゼロ「……」
神楽耶『私もゼロになれましたー』
ゼロ(意外と神楽耶様って頭悪いのか……。特に問題はないが)
神楽耶『ゼロ様と心身一体となれるなら、多少の暑さは我慢できますわ』
ゼロ「そうですか」
神楽耶「これからはできるだけこうしていてもいいでしょうか?」ヒョコッ
ゼロ「二人の時はいいでしょう?」
神楽耶「そうですわね。とてもいいアイディアですわー。これでいきましょう。ゼロ様!!」
ゼロ「それは構いませんが、私は常に貴方といることはできませんよ?」
神楽耶「そうですね」
ゼロ「やはり下着を……」
神楽耶「買いに行くしかありませんわね」
ゼロ「神楽耶様が出歩くのは危険です。誰かに買いに行かせましょう」
神楽耶「ちょっと待ってください、ゼロ様。できれば、自分で選びたいのですが……」
ゼロ「自分で……?」
神楽耶「ダメですか?」
神楽耶「ゼロ様に下着を選んで欲しいです」
ゼロ「なっ……?!」
神楽耶「ゼロ様の好みに合わせたものでないと、私は下着を身に付けたくありませんわ」
ゼロ「神楽耶様、ご冗談もほどほどに」
神楽耶「冗談ではありません」
ゼロ「……!」
神楽耶「お願いします」
ゼロ「ですが、私が堂々と街中を歩くわけにはいきませんし」
神楽耶「では、私は目隠しをします。それならゼロ様も安心して……」
ゼロ「目隠ししては下着選びが出来ないでしょう」
神楽耶「あ……」
ゼロ「神楽耶様。我侭は……」
神楽耶「そうですわ。ゼロ様が私のために下着を―――」
ゼロ「そこまでしなければいけないのなら、下着は穿かなくても結構です」
ゼロ「そもそも下着を身に付ける文化がないのに、無理に穿くのも可笑しな話だ。郷に従えとはいえ、全くの異文化を取り入れるのにはそれなりに時間もいるでしょう」
神楽耶「どういうことですか?」
ゼロ「下着を購入したとしても、穿き忘れたり、脱いだことを忘れたりされては却って危険ですからね」
ゼロ「新しい下着を手にした神楽耶様は恐らく、嬉々として私に着用した姿を見せてくれるでしょう」
神楽耶「当然ですわ」
ゼロ「ですが、習慣がなかった神楽耶様がショーツを穿き忘れる場合もあるかと思います。スカートを捲った先に桃源郷の光景があれば、大問題になる」
神楽耶「大問題ですか?」
ゼロ「ええ」
神楽耶「吐き気を催すとか?」
ゼロ「理性を保っていられるか、わかりません」
神楽耶「……」
ゼロ「……」
神楽耶「ゼロ様、私のソレは決していいものでは……」
ゼロ「その判断は私がしますよ」
ゼロ「ええ」
神楽耶「うーん……」
ゼロ「じゃあ、早速……」
神楽耶「でも、ゼロ様。下着は殿方にとって注目する衣類であることは違いないのでしょう?」
ゼロ「まぁ、そうですね」
神楽耶「ならば、ゼロ様も私が着衣した姿を望んでおられると?」
ゼロ「望んでいないといえば嘘になります」
神楽耶「でしたら、尚のこと私は下着を着ませんと」
ゼロ「神楽耶様。その場合、下着があることをいいことに他者への謁見を容易に許すのですか?」
神楽耶「衣類は別に見えてしまっても問題はないのでは?」
ゼロ「……神楽耶様。何を言っているのですか?」
神楽耶「え……」
ゼロ「なるほど。だから、先ほど恥じることなくプラを見せたわけですね。乳頭を言うのは恥ずかしそうにしていたのに……」
神楽耶「下着とは見せてはいけないものだったのですか?」
神楽耶「そんな……。身に付ければつけるほど、守るものが多くなるなんて……」
ゼロ「やはり、神楽耶様にショーツは少し早いのかもしれませんね……」
神楽耶「そのようですね」
ゼロ「神楽耶様、今でも私にならばそのスカートを捲り上げることができるのですよね?」
神楽耶「ゼロ様が望むのであれば、できますわ」
ゼロ「……では……」
神楽耶「ゼロ様、ではどのような訓練をこなせば私でも下着を利用できるようになるのでしょうか?」
ゼロ「そうですね……。やはり一度は着用してみないことには……」
神楽耶「堂々巡りになってしまいますわ……」
ゼロ「今からカレンを呼びましょうか?」
神楽耶「いえ、借りるのは気が引けますわ」
ゼロ「なら、包帯を使ってみますか?」
神楽耶「包帯?」
ゼロ「包帯を巻き、簡易ショーツを作るのですよ」
ゼロ「お手伝いしましょう」
神楽耶「大丈夫ですわ」
ゼロ「いえいえ。手伝いますよ」
神楽耶「旦那様に汚穢を触らせるようなこと、妻としてさせるわけにはいきませんから」
ゼロ「神楽耶様のは清浄なるものでしょう。聖水の香りすらするほどの」
神楽耶「ゼロ様の賛美は嬉しいですが、そんなことありませんわ」
ゼロ「だから、それは私が決めると……」
神楽耶「とりあえず、包帯は……」
ゼロ「ここにあります」
神楽耶「ありがとうございます」
ゼロ「……」
神楽耶「では、お手洗いに行ってきますわね」
ゼロ「ここで巻けばいいでしょう」
神楽耶「それだとゼロ様の目を穢してしまうことになります」
神楽耶「え……」
ゼロ「そう……人には引き返せないほどに……だから……何も問題はない!!」
神楽耶「ゼロ様……そこまで私のことを……?」
ゼロ「当然です」
神楽耶「ゼロ様……私、嬉しいですわ……」
ゼロ「では、包帯を巻きましょうか……フフフ……」
神楽耶「では……」スッ
ゼロ(来たか!!目の部分をあけておく!!!)
ゼロ「……」カシャッ!!!
カレン「―――ゼロ、ただいま戻り……」
神楽耶「あら?」
ゼロ「カレン……?!」
カレン「……な、なにやってるんですか……?ゼ、ゼロ……?神楽耶様に何を……?」
ゼロ「こ、これは……日本の文化を知るために協力してもらっていただけだ……」
神楽耶「そうですわ。ゼロ様は私が下着を着用しないのを憂いてくださって」
カレン「……」
ゼロ「そうだ。この場面だけみれば、私が神楽耶様のスカートの中を見ようとしているようにしか見えないだろう。だが、その背景には様々な要因が絡み合った結果だったのだ」
ゼロ「カレン、分かるな?」
カレン「分かりません」
ゼロ「ええい!!分かれ!!」
カレン「というか、神楽耶様って下着穿いてないんですか?!」
神楽耶「ええ。日本人ですもの」
カレン「え……?」
ゼロ「日本人女性はショーツをつけないのだろう?」
カレン「いや、何を言っているんですか?」
ゼロ「なんだと?」
カレン「江戸時代じゃないんですから、下着は普通に身に付けます」
ゼロ「なにぃ!?」
カレン「神楽耶様が特殊な環境で育った所為じゃないんですか?」
ゼロ「ならば、証拠を提示してもらおう」
カレン「証拠?」
ゼロ「そうだ。どのような下着をみにつけている?」
カレン「言えません……」
ゼロ「つまり、穿いていないということか」
カレン「ち、違います!!」
ゼロ「では、頼むぞ?」
カレン「あ、赤い……ショーツです……」
ゼロ「違うな。間違っているぞ。カレン。私は提示しろといった。証拠を出してもらわないと困る」
カレン「え!?」
神楽耶「この場で脱いでみせろってことですわね」
ゼロ「ええ。その通りです」
カレン「そ、そんなことできません!!!」
カレン「この場で脱ぐっていうのができないだけです!!」
ゼロ「なら、脱いで持ってくることはできるのか」
カレン「え」
ゼロ「頼むぞ」
神楽耶「お願いしますね」
カレン「……は、はい……少し、待っていてください……」
ゼロ「さて、神楽耶様。先ほどの続きとまいりましょうか」
神楽耶「ええ」スッ
ゼロ「……」カシャッ!!!!
神楽耶「よいしょ……よいしょ……」
ゼロ(ちぃ……!!肝心なところが見えない……!!おのれスカートめ!!その分厚い装甲が恨めしい!!)
神楽耶「―――できましたわ!!」チラッ
ゼロ「……気分は如何ですか?」ホッコリ
神楽耶「そうですわね……。少し落ち着きませんわ」
神楽耶「これが下着の感覚。下腹部が締め付けられているようであまり気分のいいものではありませんわね」
ゼロ「なるほど。まあ、慣れない内は仕方ないでしょう」
神楽耶「そうですね」
ゼロ「しかし……ただの包帯でも、こうもショーツになるとは」ピラッ
神楽耶「私に似合うでしょうか?」
ゼロ「そうですね……」ジーッ
神楽耶「それとも自重したほうが……」
ゼロ「……」ジーッ
神楽耶「ゼロ様……」モジモジ
ゼロ「恥ずかしいですか?」
神楽耶「割と……」
ゼロ「それは下着を装着した自分を恥じているのですか?それとも見られているから?」
神楽耶「わかりませんが……。きっとゼロ様に凝視されているからだと思いますわ」
ゼロ「そうですか。それは喜ばしい限り」ジーッ
ゼロ「そうですね」
神楽耶「うーん……それはそれで嫌ですわ」
ゼロ「何故?」
神楽耶「だって、ゼロ様と密着できるのですからぁ……」
ゼロ「ならば、私が傍にいられないときはショーツを着用し、私がいるときは神楽耶様もゼロになればいい」
神楽耶「はい!そうしますわ!」
ゼロ「では、今はその武装も必要はないということですね。取りますか?」
神楽耶「はい。そうします」
ゼロ「……」カシャッ!!!
神楽耶「あ、あら……?えーと……?」モゾモゾ
ゼロ「どうしましたか?」
神楽耶「申し訳ありません、ゼロ様。固く結びすぎてしまったようで、できれば解いてもらいますか?結び目は後ろにありますから」
ゼロ「わかりました。その任、引き受けます」
神楽耶「お願いしますわ」ピラッ
神楽耶「ダメですか?」
ゼロ「少し待ってください……」
神楽耶「はい。では、その間に……」バッ!!!
ゼロ「神楽耶様。私の懐に隠れるのはいいですが、息苦しくありませんか?」
神楽耶『平気ですわ。ゼロ様の匂いが……癖になりそうなほどですし……』
ゼロ「そうですか」
神楽耶『私の名はゼロー』
神楽耶「なんて、似合いませんか?」ヒョコッ
ゼロ「それはともかく、神楽耶様。懐に入られていては包帯を解くことができないのですが」
神楽耶「気合でなんとかしてください」
ゼロ「気合ですが。ふふ、わかりました」ググッ
神楽耶「あん……。もう、ゼロ様?どこをおさわりに―――」
カレン「ゼロ……」
ゼロ「カレンか。持ってきたのか?」
ゼロ「は?」
神楽耶「なんのことでしょう?」
カレン「……」
ゼロ「何故、神楽耶様がマントに包まり顔だけをだしているのか、か?」
カレン「ええ。そうですけど」
ゼロ「……それは」
神楽耶「露出をゼロにするためですわ」
カレン「別に二人羽織みたくする必要はありませんよね?!」
神楽耶「二人羽織とは違いますわ。私が顔を出しているだけですから」
カレン「はい?」
ゼロ「それより、下着を―――」
カレン「そのマントの中で神楽耶様に何をしているのですか!?ゼロ!!!」
ゼロ「何って……あ」
神楽耶「あ……ゼロ様、ありがとうございました……」
ゼロ「ふぅ……少し手こずりましたが」
カレン「て、てこずり……?」
神楽耶「いえ。流石はゼロ様ですわ。手際がよろしいこと」
カレン「て、てぎわ……?」
ゼロ「どうした、カレン?」
神楽耶「カレンさん?」
カレン「ああ、いや……そうですよね……お二人は夫婦ですから……それぐらいは……」
ゼロ「では、カレン。証拠の下着を」
カレン「これです!!」ポイッ!!
ゼロ「む」ペチョ
カレン「記念にあげます!!それでは!!」
神楽耶「カレンさん……?」
ゼロ「確かに赤いショーツだな」
神楽耶「ゼロ様、カレンさんの様子がおかしくありませんでしたか?」
カレン「だからって、あんなところで盛らないでほしいけど……」
ゼロ「誰が盛っているだと?」
カレン「ゼロ?!」
ゼロ「どうした、カレン?」
カレン「神楽耶様はいいんですか?」
神楽耶『「―――呼びましたか?」ヒョコッ
カレン「うわぁ?!」
神楽耶「何か?」
カレン「何をしているんですか……」
神楽耶「露出は厳禁だとゼロ様に言われたので。こうしてゼロ様に包まれています」
カレン「ああ、そうですか……」
神楽耶「カレンさん?」
カレン「神楽耶様、その……文句じゃないんですけど……そういうことはあまりしないほうが……」
神楽耶「でも、こうしていないと露出が多くなってしまうので……」
神楽耶「私とゼロ様は将来を誓った関係ですし、別に時も場所も場合も考慮するべきときはありませんわ」
カレン「なっ……」
ゼロ「ところでカレン。先ほどのショーツだが」
カレン「なんですか?」
ゼロ「本当に穿いていたのだな」
カレン「当たり前です」
神楽耶「日本人なのに?」
カレン「関係ないですから。なんなら千葉さんや井上さんにも訊いてみてくださいよ!!」
ゼロ「ふむ……。神楽耶様、どうしますか?」
神楽耶「そうですわね……。カレンさんのショーツを穿いてみましたが、やはり下半身がムズムズしてしまって……」
ゼロ「長時間は穿けないと?」
神楽耶「ええ」
カレン「恥ずかしくないんですか!?」
神楽耶「見せることはありませんわ。私は痴女ではありませんし」
神楽耶「あら、確かに」
カレン「いや、あんな場所で情事を行っている二人のほうが……」
ゼロ「何を言っている」
カレン「今だって、そのマントの中で何をしているか……」
神楽耶「別に何もしていませんが」バッ!!
カレン「きゃぁ!?!」
神楽耶「ほら」
カレン「うぅ……」チラッ
神楽耶「信じてもらえたでしょうか?」
カレン「え、ええ……」
ゼロ「一体、どうしてそのような勘違いができるのか」
カレン「だって、神楽耶様は穿いてないし、ゼロもなんだか挙動不審でしたし」
神楽耶「ゼロ様が挙動不審なのはいつものことですわ」
カレン「あ、そういえば」
カレン「とにかく、神楽耶様は下着をつけてください」
神楽耶「でも、涼しいですのよ?」
神楽耶「ほら」ピラッ
カレン「わぁ!?」
ゼロ「……!」カシャッ!!!
神楽耶「どうすですか?」
カレン「いや、神楽耶様。女性の前なら問題ないと思ってませんか?」
神楽耶『でも、こうしてゼロ様の中に居れば問題なんてありませんわ!!!』
カレン「何の解決にもなってないですって」
ゼロ(見えなかった……!!)
カレン「神楽耶様、穿きましょう?ね?」
神楽耶『ムズムズするのでやめておきますわ』
カレン「ゼロから出てきてください!!」
神楽耶「はい」ヒョコッ
ゼロ「別に問題点は見当たらないが」
カレン「今のうちに下着を癖付けておかないと、神楽耶様が何かの拍子に露出させてしまったらどうするんですか?!」
ゼロ「万全の対策を練る」
カレン「公の場で事故があってからではおそいんですよ?」
ゼロ「そもそも公の場でスカートが捲りあがる事故など起こるはずがないだろう」
神楽耶『ゼロ様の言うとおりですわね。それにゼロ様に包まれて私もゼロになっていれば……」
カレン「その姿で演説とかするつもりですか?!」
神楽耶「いけませんか?」
カレン「ゼロが可笑しな人に見えちゃいますよ!!」
神楽耶「可笑しな人とは?」
カレン「えっと……幼い人に興味があるみたいな……」
神楽耶「これでも私は14歳ですわ。もう立派な大人の女ですわ。ね?ゼロ様?」
ゼロ「それはみてみないことには、なんとも言えませんね」
カレン「みるってなにを?!」
ゼロ「神楽耶様?」
神楽耶『みてください……ゼロ様……』
ゼロ「なに……?」
カレン「なにやってるんですかぁ!!!」バッ!!!
神楽耶「勝手に開けないでください!」
カレン「もう!!神楽耶様はダメ!!ゼロ禁止!!」
神楽耶「どうして?!」
ゼロ「おい、カレン」
カレン「神楽耶様は下着を克服するまでゼロ化するのはやめてください。困るのは神楽耶様なんですよ?!」バッ
神楽耶「そうはいっても……」
カレン『それまで私が神楽耶様の居場所を守ります!!』
ゼロ「おい、カレン。苦しくないのか?」
カレン「いえ。全く」ヒョコッ
神楽耶「でも、どうすれば克服できるのですか?穿けばムズムズして脱ぎたくなりますし……。我慢など難しいですわ」
ゼロ「無理をさせて神楽耶様の玉の肌が荒れてしまったとき、責任をとれるのか?」
カレン「え……」
ゼロ「真っ赤になった神楽耶様のお尻を想像してみろ。藤堂あたりがみたら発狂するぞ」
カレン「別の意味で発狂しそうですね」
神楽耶「どうしたらいいでしょう」
ゼロ「カレン。神楽耶様は特別な人だ。別に穿かなくても……」
カレン「ダメです」
神楽耶「でも……」
カレン「神楽耶様は間違っていますから」
ゼロ「カレンは露出することを危惧しているのだろう?」
カレン「そうです」
ゼロ「それは私も同じだ。如何なるときも晒されてしまう可能性は一般人より高い」
カレン「ええ」
ゼロ「穿かなくても隠す方法はないのか?」
ゼロ「貼る?」
神楽耶「シールか何かをですか?」
カレン「え、ええ。でも、オススメは……」
ゼロ「よし、ではこのガムテープを使ってください」サッ
神楽耶「分かりましたわ!!」
カレン「本気でやるんですか?!」
神楽耶「はい」ペタッ
カレン「私は止めましたから」
神楽耶「―――これでよし」
カレン「あーあ……」
ゼロ「違和感はありますか?」
神楽耶「いえ、それほど……」
ゼロ「解決ですか」
神楽耶「ですね」
神楽耶「剥がせばいいだけですわ」
カレン「じゃあ、剥がしてみてください」
神楽耶「ええ」ベリッ
神楽耶「……?!!?」
ゼロ「神楽耶様?!」
神楽耶「ぃぁぃ……」プルプル
カレン「言ったのに」
神楽耶「こういう危険性は先に言ってくれないと困りますわ!!」
カレン「だから止めたんです!!」
ゼロ「ガムテープでもダメか……」
神楽耶「では、もう演説を行う際は私のこの辺にモザイクをかけてください」
ゼロ「ディートハルトに頼んでおきましょう」
カレン「余計卑猥になりますよ!?」
神楽耶「これもダメ、あれもダメ。では、一体どうしろというのですか?!」
神楽耶「ですから、それができないからこうして悩んでいるのですわ。どうして布を穿かなければならないのか、疑問ですわね」
カレン「あの……」
ゼロ「そうか。確かにそうですね。神楽耶様」
神楽耶「え?」
ゼロ「布に拘る必要などどこにもありませんよ」
神楽耶「どういうことですか?」
ゼロ「少しお時間をいただけますか?」
神楽耶「はい。勿論ですわ」
ゼロ「行くぞ」
カレン『はいっ!』
ゼロ「……歩きにくいな」
カレン「私じゃ、ダメですか?」ヒョコッ
ゼロ「別に構わないが」
カレン『私はゼロと共に進みます』
ゼロ「神楽耶様、できました」
神楽耶「なにがですか?」
カレン「―――ゼロの仮面パンツです」ヒョコッ
神楽耶「まぁ!!素敵っ!!」
ゼロ「穿き方はオムツ形式を採用しています。このスイッチを押すと」ピッ
神楽耶「面の一部が開きましたわ」
ゼロ「用を足すときに利用してください」
神楽耶「ゼロ様……私のためにこんなものを……嬉しいですわ」
ゼロ「素材は私の仮面と全く同じです。私が貴方の股間にいると思ってくれて構いません」
神楽耶「これほど心強いものはありませんわ」カチャカチャ
カレン「でも、これ。不意に見えたときとか驚きますね」
ゼロ「見えることなどない。大丈夫だ」
神楽耶「穿けましたわ」
カレン「スカートの上からでもわかるほど、仮面パンツが主張している……」
ゼロ「気に入ってくれたようで嬉しいですよ」
神楽耶「いえ」
藤堂「今、帰った」
扇「ゼロ。例の件は予定通りに行えるぞ」
ゼロ「そうか。ご苦労だったな」
玉城「いやー、出張も楽じゃねえなぁ」
井上「ずっと寝ていたくせに」
千葉「玉城は本当に使えないな」
玉城「なんだとぉ?!」
神楽耶「みなさん、おかえりなさい」
藤堂「神楽耶様……?」
神楽耶「はい?」
扇「あの……。失礼ですけど、その、スカートの下はどうなって……?」
神楽耶「これですか?―――こうなっていますわ」バッ!!
扇「な……」
千葉「……」
井上「……」
玉城「ゼロだ!!ゼロが神楽耶様に寄生してやがる!!」
神楽耶「どうですか?この素晴らしい仮面パンツは」
カレン「どーですかね?」
ゼロ「ふっ。この神楽耶様専用の下着は―――」
藤堂「ゼロよ」
ゼロ「なんだ?」
藤堂「あのな」
神楽耶「あ、ご心配なく。ここを押すと……面が開くんですのよ……」ピッ
千葉「井上!!神楽耶様を保護しろ!!!」
井上「了解!!」
神楽耶「え?何をするんですの!?離して下さい!!!」
井上「分かっています!!」
神楽耶「やめてください!!ゼロさまぁー!!!」
ゼロ「何をしている!!やめろ!!」
藤堂「ゼロ。聞け」
ゼロ「なんだ……」
カレン「やっぱり、ダメでしたか?あれは……」
藤堂「……」
カレン「ゼロ、お邪魔します!!」バッ
ゼロ「カレン!!おい!!」
カレン『応援してます!!』
ゼロ「ちぃ……」
藤堂「ゼロよ」
ゼロ「なんだ。神楽耶様には仮面が必要だと思った。だから、あれを与えた。それだけのことだ。文句でもあるのか?」
藤堂「お前は根本的に間違っている。何も分かっていない」
藤堂「そうだ」
ゼロ「聞かせてもらおうか、藤堂。私は何を違えたのか」
藤堂「―――日本人は下着などはかん!!!」
ゼロ「?!」
カレン「えぇぇ!?」ヒョコッ
藤堂「厳密には締める」
ゼロ「しめる……?」
千葉「神楽耶様にはまだ早いんだ」
井上「男性は小さなときから、女性は成人してから締めるんです」
扇「ゼロ。すまない。日本人じゃないから、説明しておくべきだったな」
ゼロ「締めるとはなんだ……?穿くのではないのか?」
藤堂「ああ」
ゼロ「では、何を締めると言うんだ?」
藤堂「日本人なら褌に決まっている」
玉城「しらねーのか?ああ、無理もねーか」
ゼロ「どういうのだ?」
藤堂「こういうのだ!!」バッ!!!
カレン「きゃぁ!!」ササッ!!
ゼロ「藤堂!!」
藤堂「これが、日本人の生き様だ」
カレン『藤堂さん!!急に脱がないでください!!』
ゼロ「その白い布を成人したら神楽耶様もつけると?」
藤堂「そうだ」
ゼロ「そうだったのか。やはり、日本人に下着を穿くという文化はなかったのか……。私はいらぬことをしてしまったな」
扇「いや。説明できなかった俺たちも悪い」
ゼロ「だが、どうして下着をつけないのだ?」
藤堂「知らない」
ゼロ「そうか」
千葉「これは不要です。神楽耶様」
神楽耶「ですが、私の召し物ではゼロ様が不安になると」
千葉「正装では足を全て隠すほど裾の長いものが選ばれています」
神楽耶「しかし、いつも正装でいるわけにもいきませんし」
千葉「だからといって、キョウト六家の盟主自らが伝統を排斥するような行為は……」
神楽耶「……」
井上「とりあえず。この仮面パンツは顔に付けておくべきです。間違っても下半身につけてはいけません」
神楽耶「はい」カチャカチャ
千葉「紅月。どうして教えてやらなかった」
カレン「えっと……それは……」ヒョコッ
扇「そういえばナオトは褌じゃなくてボクサーパンツだったな」
カレン「え、ええ……」
ゼロ「そうか……カレンはハーフだからか?母親がその伝統を伝えなかったのではないか?シュタットフェルト家に行くなら、そちらの流儀に合わせなくてはならないからな」
カレン「お母さん……」
千葉「スイッチを押さなくては」
神楽耶「ああ、そうですわね」カチッ
神楽耶「あ、ちょっと見えました」カシャ
井上「にしても、この下着。高性能ですね」
千葉「脱がなくてもいいのは素晴らしいとおもうが、褌もずらすだけでいいからな」
井上「たしかに。甲乙付けがたいですね」
神楽耶「今、私はゼロ様に包まれているのですわ……」
ゼロ「結局のところ、神楽耶様が何も身に付けていないことはお前たちは承知していたのか」
藤堂「そうなるな」
ゼロ「私が空回りしただけだったか……」
藤堂「ゼロ。だからといって、安易な考えで神楽耶様の秘境へは足を踏み入れるな。二度と朝日が拝めなくなるぞ」
ゼロ「十分に留意しておく」
カレン「じゃあ、私も今日から脱ぎます」
扇「カレン。無理をすることはないぞ」
玉城「そうか……」
カレン「やらしい目でみないでよね」
玉城「んだとぉ?!」
神楽耶「ゼロ様ー」
ゼロ「神楽耶様。申し訳ありませんでした」
神楽耶「いえ。このような素敵な仮面を私のために作ってくださったことがなによりも嬉しいですわ」
ゼロ「そうですか」
神楽耶「でも、これ。息苦しいですわね」
ゼロ「仮面ではなくて下着ですからね」
神楽耶「蒸れますわ」
ゼロ「取った方がいいですよ」
神楽耶「でも、ゼロ様に包まれていたいのですが……」
ゼロ「どうぞ、こちらへ。カレンとの約束ももう意味はありませんし」
神楽耶「ゼロさま……。今、行きますわ!」
神楽耶『ありますわー』
ゼロ「これからが大事だ。共に進もう」
扇「ああ」
玉城「まかせてくれ!!」
藤堂「褌を締めなおして望む次第だ」
千葉「任せてくれ」
井上「がんばります」
カレン「紅月カレン!!今日から真・日本人としてがんばります!!」
ゼロ「よし!!」
神楽耶「みなさんー、はりきっていきましょー」ヒョコッ
玉城「扇ー、メシいこうぜー」
扇「そうだな」
カレン「ちょっとスースーするけど、やれる!ゼロと紅蓮弐式が居れば!!」
ゼロ「……頼むぞ」
ゼロ「なんですか」
神楽耶「あのとき見れていませんよね?」
ゼロ「何をでしょうか?」
神楽耶「私がどれだけ大人なのかを」
ゼロ「確かに」
神楽耶「見ますか?」
ゼロ「……」
神楽耶「ゼロ様になら……」
ゼロ「いえ。遠慮しておきます」
神楽耶「ゼロ様……」
ゼロ「自分の意志で垣間見るからこそ、価値があると思うのです」
神楽耶「分かりましたわ。では、ゼロ様が見たくなったらいつでも声を……」
ゼロ「では、早速」ペラッ
神楽耶「あ……」
神楽耶「……」
ゼロ「なるほど」
神楽耶「ゼロ様……あの……」
ゼロ「神楽耶様。はっきりと言いましょう」
神楽耶「はい」
ゼロ「まだまだですね。安心しました」
神楽耶「えぇ?!そんなはずは……!!」ペラッ
神楽耶「……どうして……」
ゼロ「さあ、神楽耶様。こちらへ」
神楽耶「ゼロ様。うっすらとはあったのです」
ゼロ「……」ナデナデ
神楽耶「信じてください!!本当に少しだけあったのです!!何故か綺麗になくなって……」
ゼロ「……」ナデナデ
神楽耶「はぁ……どうして……これでは。恥をかいただけ……」
神楽耶「そうですか?」
ゼロ「ええ。少なくとも私にはとても魅力的に見える」
神楽耶「ですが。肉体的に劣っている限り、私としては絶対的な自信が持てませんわ」
ゼロ「私が言っているのに?」
神楽耶「……え」
ゼロ「少しショックですね。まさか神楽耶様に私の言の葉が届かないとは」
神楽耶「あ、いえ……そういうわけでは……!!」
ゼロ「褌を締めるまで大人ではないからと諦観する貴方でもないはず。外見的、儀式的なことでそのような線引きをなさるおつもりですか」
神楽耶「……いいえ。違いますわ。私はゼロ様に認められたときこそ、大人になったと実感するのです」
ゼロ「そのほうが貴方らしい」
神楽耶「ゼロ様。まだ私には至らないところはごまんとあります」
ゼロ「……」ペラッ
神楽耶「ですが、できることをして行きますわ。自分で決めた愛する貴方のために」
ゼロ「ええ。頑張ってください」
ゼロ「これは失礼しました」
神楽耶「もう……」
ゼロ「表面的な成長はまだまだのようですが、その強く大きな心をもっているのは神楽耶様ぐらいですよ」ペラッ
神楽耶「では、ゼロ様公認の妻でよろしいのですね?!」
ゼロ「……そうですね。それはまた別です」
神楽耶「ゼロ様ー!!ひどいですわー!!」
ゼロ「フフフ……」
神楽耶「じゃあ、もっと見ていいですから」
ゼロ「迫ってくる者になど興味はない!!」ペラッ
神楽耶「そんな……!!」
C.C.「……」
C.C.「とりあえず剃ってくるかな」トコトコ
END
良い意味で酷かったYO!
Entry ⇒ 2012.09.08 | Category ⇒ コードギアスSS | Comments (0) | Trackbacks (0)
C.C.「ルルーシュに200の質問?」
ルルーシュ・ランペルージをもっと知りたい!
クイズ、『ルルーシュの200の事!』
眉目秀麗で才色兼備、生徒会副会長、しかしてちょっとキツめのシスコンでもある。
その程度しか分からないルルーシュの事。
今日は彼について様々な事柄を学んでみる素敵な機会でございます。
C.C. 「いや、それだけ分かっていれば充分だろう」
カレン「今さらって感じは確かに否めないわね」
C.C. 「そもそもMCはアイツを褒めすぎだ。
童貞モヤシのグラスハート中二患者にどれだけ気を使っているんだか」
カレン「アンタはもっと相手に気を使うことくらい覚えなさいよ」
スザク「まぁまぁ、二人共。
まだ始まったばかりなのにいがみ合わなくてもいいんじゃないかな?」
正解数を競ってもらおうという趣旨で御座います。
正解数が一番多い人は、このクイズ終了後にルルーシュと握手できる特典が!
C.C.「いらん」
…とにかく!
彼に200の質問を問いかけますので、皆さんはその回答を予想して当ててください。
回答者にこちら側の声や姿は一切見えておりませんので、吹っ掛けは無意味です。
※本来のプロフィールとは異なる点も出てくるとは思いますが悪しからず
僕がルルーシュについて一番詳しい時期って幼少期くらいだし」
カレン「私なんてまだ知り合って一年も経ってないからね」
C.C. 「知り合った期間はカレンと変わらないが、一緒に住んでいる点で私は少し有利か」
カレン「まぁアイツの事は私生活以外なら答えれそうな気がするけれど」
スザク「え!? カレンってそんなにルルーシュのこと調べてるの!?」
カレン「いや、そういう意味じゃないんだけど」
スザク「いつもは従順なフリをして、そんな強かさを隠していたとは…。
案外この企画のダークホースは君かも知れないね…」
カレン「誤解よ、誤解!」
C.C. 「…何を言ってるんだ、お前らは」
準備は宜しいですか?
C.C. 「さっさとしろ。私は早く帰って撮り溜めしていたアニメを見たいんだ」
カレン「アンタいい歳こいてまだアニメとか見ているの?」
C.C. 「む、お前はアニメを馬鹿にするのか?」
カレン「いや、馬鹿にしているワケじゃないけれどさぁ…もっと何か無いの?
体動かしなさいよ、体。アニメなんかよりずっと健康にいいわよ」
C.C. 「ふん、胸が脂肪ではなく筋肉で出来ている輩はこれだから…。
貴様も今私が撮り溜めている『あずきちゃん』を見れば考えも変わるだろう。
見に来るときはピザの差し入れを忘れるなよ」
カレン「ふ~ん、まぁ気が向いたら伺わせてもらうわ」
スザク「…いつ始めても大丈夫です」
ルルーシュの好きな食べ物は?
スザク「ベタな所から始まったね」
カレン「小手調べってヤツ?」
C.C.「スタートラインとしては無難だな。こんなの即答してやろう」
C.C. :ピザ
カレン:パスタ
スザク:白米
スザク「ああ、言えてるね。極端に偏食、もしくは好き嫌い皆無かって感じ」
C.C. 「フン、この問題は簡単だな。一択だ。」
カレン「えらく自信満々な態度だけれど、それ単純にアンタの好物なだけじゃないの」
C.C. 「失礼な奴だな。私の好きなモノはルルーシュも好きに決まっているだろう」
カレン「そんな言い分初めて聞いたわ…」
スザク「この問題は当たっている自信があるよ」
C.C. 「ほぅ?」
スザク「ルルーシュが小さい頃によく食べてたからね!」
C.C. 「それは居候先の食生活が日本食だっただけだろう…」
【回答】
ルル「……カレーうどん」
C.C. :×
カレン:×
スザク:×
スザク「さすがにコレは予想できないね」
カレン「ゼロの仮面を被ってるとき、急に食べたくなったらどうするのかしら?」
スザク「そりゃあ…我慢するんじゃない?」
カレン「なるほどね」
スザク「もしくは…ホラ、あの仮面って目の部分がスライドする仕組みじゃん?
実はアレを秘かに口の部分にも搭載しててさ……」
C.C. 「なるほど、皆の目を盗みつつあの格好でカレーうどんを啜っているのか」
三人「…………」
カレン「今の間は何よwwwwwwwwwwwww」
スザク「だってwwwwwカレンも想像したんでしょwwwwww」
カレン「ルルーシュがwwwwあの格好でうどんとかwwwwもうやめてよwwwwwww」
C.C. 「全く……お前らは本当に、馬鹿だな……w」
ルルーシュの好きな映画は?
C.C. 「アイツの趣味嗜好よりも、ピザ○ットの新作ピザを教えろ」
カレン「んなこと教えられても誰が得するのよ」
C.C. 「お前、その発言は全国4300万人のピ○ハッターを敵に回したも同然だぞ」
スザク「それだけの人数がいたら100万のキセキどころの騒ぎじゃないね」
C.C. :ぼくらのウォーゲーム
カレン:ショーシャンクの空に
スザク:VERSUS
C.C.「おいスザク、なんだその映画は」
スザク「え、知らないの?」
カレン「私も初めて聞いたわよ」
スザク「B級映画の最高傑作だよ。
前にルルーシュと二人でDVD見た時、彼にバカ受けでさ」
C.C. 「ふむ、ルルーシュを唸らせる映画か。少しだけ興味深いな」
カレン「レンタルショップでタイトル見かけたら借りてみるわ」
ルル 「……サマーウォーズ」
C.C. :×
カレン:×
スザク:×
スザク「まさかのサブカル路線だった」
カレン「アイツの性格なら『アマデウスに決まっているだろう』とか
妙にカッコつけて言いそうと思ったんだけれど」
C.C. 「ほぅ、私の発想自体は良かったのか、少し掴めて来たな」
スザク「掴んだところで得るものは握手くらいだけどね」
ルルーシュは何フェチ?
C.C. 「これは予想がつく。この問題はボーナスだな」
カレン「私にはサッパリ……」
スザク「う~ん、ルルーシュならこう答えそうな気が」
C.C. :尻
カレン:髪
スザク:足
スザク「また見事にバラバラだね」
カレン「こんなの統一する方が難しいわよ」
C.C. 「ふん、お前らまだまだだな。私の一人勝ちじゃないか」
スザク「とりあえず答えを見てみようか。
もしかしたら思いもよらないフェチだったりするかも知れないね」
ルル「今まで考えた事も無かったな。
ナナリー、はフェチには入らないか…強いて言うなら、髪だ」
C.C. :×
カレン:○
スザク:×
カレン「あれ、当たっちゃった」
スザク「C.C.。君の回答が自信満々だった理由を訊ねてもいいかい?」
C.C. 「な、何となくアイツが私の尻をちょくちょく眺めてくるから…」
スザク「へぇ、ルルーシュもしっかり男の子だったんだね」
カレン「ルルーシュはむっつりすけべ、か。…覚えておこう」
回答者の部屋
ルル「……なんか謂れのないことを話されているような気がするぞ」
C.C. 「ここまで正解はカレンの1つだけ。そろそろ正解しておきたいところだが」
カレン「まだイマイチ彼の中身が把握できないのよねぇ」
スザク「う~ん、次の問題で傾向を探る必要ありそうだなぁ」
C.C. 「内面にメスを入れる質問ならいいが、
今の様子だとありふれた質問の確率の方が高そうだぞ」
カレン「とりあえず今は無難に答えていくのが得策ね」
最近もっともストレスを感じた瞬間は?
C.C. :冷蔵庫に置いていたプリンを食べられた
カレン:同居人が言うことを聞かない
スザク:ナナリー用に取っておいたプリンをC.C.から食べられた
C.C. 「おい、なんでお前がその事を知っている?」
スザク「学食で僕とリヴァルに愚痴ってたよ。
『ナナリーに食べさせるはずだったプリンを食われた。
《プリンとヨーグルトとお前のハートは頂いた》と
ご丁寧にキャッツカードらしきものを冷蔵庫に貼ってな』って。」
カレン「C.C.、アンタ…」
C.C. 「仕方ないだろう。あいつが私に構ってくれないのが原因だ」
ルル「……些細なことで申し訳ないが、ナナリーの為に取っていたプリンを
どこぞのNEET魔女に勝手に食されたときだ。
ナナリーの喜ぶ顔を思い浮かべて丹念に作っていたはずなのに、
そこで待っていたのはこの仕打ち。
…ピザの香りを纏う女のどや顔が思い浮かんで仕方ない瞬間だった」
C.C. :○
カレン:×
スザク:○
カレン「うわぁ、苦虫を噛み潰す表情ってあんな感じなのかもね」
C.C. 「……」
スザク「C.C.、これは多分あとで謝ったほうがいい」
C.C. 「…善処する」
ルルーシュの初恋は何歳?
C.C. :8歳
カレン:7歳
スザク:10歳
C.C.「これは正直、勘で答えるしかないな」
カレン「なんとなくこの答えにしちゃったけれど、マセガキっぽいからもっと早かったりして」
スザク「ぶっちゃけルルーシュの初恋って結構興味あるんだよね。どんな回答だろう?」
ルル「……7歳だ。」
Q:ちなみに、相手は?
ルル「黙秘権を行使する。絶対に喋らんぞ」
C.C. :×
カレン:○
スザク:×
スザク「思っていた以上に早かったなぁ」
C.C.「ほぅ、そのくらいの年齢で初恋とは早いな」
カレン「え、けっこう妥当な年頃じゃない?」
C.C.「そんなものか」
スザク「…そうなると、C.C.の初恋ってルルーシュより遅かったみたいだね。
ぶっちゃけ初恋って何歳なの?」
カレン「ていうか何世紀前?」
C.C.「カレン、それは宣戦布告と捉えてもいいんだな?」
最近「ああ、やっちゃった」と後悔したことは?
C.C. 「『ああ、やっちゃった』が服を着て歩いているような男が
小さな後悔をするのだろうか?」
カレン「本人が『ああ、やっちゃった』と思っていない辺りが無自覚の悪意よね」
スザク「これはまた難しい問題だなぁ…」
C.C. :冷蔵庫にプリンを置いてしまった
カレン:寝坊
スザク:仮面のはずし方を忘れてテンパった
スザク「C.C.…君のその正当化は良くないと思う」
C.C. 「煩い、食べられたくなかったら名前でも書いておくべきだ」
カレン「あんたどんだけジャイアン気質なのよ…」
ルル「……冷蔵庫に自信作のプリンを入れていた事だ。
次からは強固な金庫にでもしまっておくべきだと猛省した」
C.C. :○
カレン:×
スザク:×
C.C. 「まさかの正解と来た」
スザク「金庫にプリン入れたら冷やせないよね」
カレン「論点ちょっとズレてるわよ。
ていうか、プリン食われたのをアイツどんだけ根に持ってるのよ」
ルルーシュの嫌いな味は?
C.C. :アボガド
カレン:苦いもの
スザク:ねっとりした味、納豆とか
C.C.「味覚の好みは分からん」
カレン「まぁ世間一般で不味いと思われるもの書くのが定石でしょ」
スザク「ちなみに答えはどんな感じなんだろう?」
ルル「土の味だな。アレを忘れる事は到底無いだろう」
C.C. :×
カレン:×
スザク:×
スザク「へぇ、変な味を嫌うんだね」
C.C. 「………即答だったな」
カレン「………ええ、即答だったわね」
スザク「土を舐めるほど飢えていたのか、それとも転んだ拍子に口に入っちゃったのかな?」
C.C. 「………」
カレン「………」
スザク「あ、もしかして! 小さい頃にナナリーが作った泥ダンゴ食べちゃったとか!?
ルルーシュも肝心なところが少し足りてないなぁwwww」
カレン「………」
C.C. 「……お前に少し足りないのは空気を読むスキルというのは分かったよ」
もっともリラックスできる瞬間は?
C.C. :私と一緒にいるとき
カレン:森林浴
スザク:紅茶を飲みつつ音楽鑑賞
カレン「C.C.、アンタ自分の回答反芻できる?」
C.C. 「余裕だが?」
スザク「いや、ホント大したものだと思うよ」
ルル「ナナr……紅茶でも飲みながら、好きな音楽を聴いているときだな。
そうすることで心休まる平穏な時間を満喫できる」
C.C. :×
カレン:×
スザク:○
カレン「凄いわね。紅茶だけじゃなく音楽鑑賞まで当てるなんて」
スザク「まぁ、友達だからね。ナナリーとの時間かって二択ではあったけれど」
C.C. 「どうせ飲んでいる紅茶はリプトンで、聞いてる曲は『およげタイ焼きくん』だろ」
カレン「あんた何でちょっと不貞腐れているのよ」
C.C. 「……」
もしも次に生まれ変わるなら何になりたい?
C.C. 「久々にサービス問題か」
カレン「まぁ、この答えなら外さないんじゃない」
C.C. :自分
カレン:もう一回自分
スザク:また自分に生まれ変わる
スザク「これは簡単だったね」
カレン「この答え以外に思い浮かばないわ」
C.C. 「アイツが自分大好きっ子というのは皆分かっていたのか」
ルル「再び俺に生まれ変わりたいな」
C.C. :○
カレン:○
スザク:○
C.C. 「なんで『してやったり』な顔で答えてるんだあの馬鹿は」
スザク「うわぁ…なんか当たっても達成感が全く感じられないなぁ」
カレン「今まで一度だって達成感のある回答なんてあった?」
スザク「………。」
スザク「そういえば立て続けに200問とか疲れるよね。休憩とか無いのかな?」
C.C. 「…おいそこ、上手く誤魔化せたとでも思ってるのか」
『ミャンマー』を噛まずに早口で何回言える?
C.C.「……なんだこの質問は」
カレン「不毛なのは今に始まった事じゃないでしょ?」
スザク「あ、これ結構難しい。ちょっと二人とも目標10回くらいで実際にやってみて」
C.C.「フン、くだらん…。
ミャンマー、ミャンマー、ミャンマー、ミャンマー、ミャンマー、
ミャンマー、ミャンマー、ミャンミャー、ニャンミャー……!?」
カレン「後半ネコみたいになってたわよ」
C.C.「そういうなら、試しにお前もやってみろ」
カレン「こんなの楽勝よ。
ミャンマー、ミャンマー、ミャンマー、ミャンマー、ミャンマー、
ミャンミャー、ミャンミャー……!?」
スザク「ね、ちょっと難しいでしょ!」
C.C.「そこで何故お前が勝ち誇るんだ」
C.C. :7回
カレン:6回
スザク:11回
カレン「これは5回からが鬼門だと思うわ」
C.C.「同感だ。粘って7回くらいが妥当だろう」
スザク「僕はルルーシュって意外と早口得意そうだから賭けてみたよ」
ルル「ミャンマー、ミャンマー、ミャンマー、ミャンマー、ミャンマー、
ミャンマー、ミャンマー、ミャンマー、ミャンマー、ミャンマー、
ミャンマー、ミャンマー、ミャンマー、ミャンマー、ミャンみゃー………」
C.C. :×
カレン:×
スザク:×
C.C.「ルルーシュの癖に意外と粘ったな」
カレン「まさかあそこまで口が廻るのは想定外だったわ」
スザク「う~ん、結構頑張ってたねぇ」
カレン「指揮官ってやっぱりあれくらいスラスラ喋れるものなのかな?」
C.C. 「さぁな。そんなの私の与り知るところではない」
スザク「うわぁ、会話までなんか不毛になってきてる…」
カレン「深夜のファミレスで喋っている若者の話くらい身の無い話ね……」
中間結果の発表です。
C.C. :14問正解
カレン:9問正解
スザク:12問正解
このようになっております。
カレン「意外ね、アンタ結構いいペースで当ててるじゃない」
C.C. 「ふん、当然だ」
スザク「ようやく折り返しかぁ…
まだまだ逆転の芽は皆にあるみたいだし、この点差でも油断できないな」
カレン「でもスザク…もし仮に優勝しても賞品って握手だけなのよ?」
スザク「それ思い出して、今自分でも驚くほどモチベーション下がったよ」
C.C. 「とりあえず休憩させろ、休憩。
心身共にこんなに疲労するとは思わなかったから、せめて主催者は茶くらい出せ」
カレン「私も休憩に一票。 インターバルくらい挟んでみましょうよ」
カレン「……なんか腹立つなぁ」
C.C. 「ふん、まぁいい。
ようやく半分だ、さっさと終わらせて私にアニメを見させろ」
腕立て伏せ、何回できる?
C.C. :0回
カレン:0回
スザク:0回
C.C.「お前らという奴は…いくらなんでも0回は無いだろう」
カレン「そんな事言ってるアンタも同じ答えじゃない」
C.C.「私のは博打だ」
カレン「私も正直コレは無いと思うけれど、まぁギャンブルもたまにはね」
スザク「え、僕ホントにこの答えだと思って書いたけど?」
実際にやってもらった。
ルル「ふっ、くっ………ふんっ………! ふぅ、ふううううううう!」
スザク「うわぁ…」
カレン「これは、なんというか……」
C.C. 「骨粗鬆症でも患っているのか、こいつは」
ルル「きょ、今日はどうにも体調不良でな。今日のところだけは0回だ!」
C.C. :○
カレン:○
スザク:○
C.C.「なぁ」
スザク「どうしたの?」
C.C.「なんでアイツ、最後にどや顔で〆たんだ?」
ナナリーに彼氏ができたと報告されました。
そのとき、どんな返答をする?
C.C. 「あのシスコンには酷な質問だな」
カレン「でもいつかナナリーにも彼氏とか出来るんだろうし…どんな返答するんだろう」
スザク「過激じゃなければいいんだけどね」
C.C. :名前を聞いて身辺調査
カレン:「おめでとう」とかで素直に祝福
スザク:心筋梗塞で死ぬ
カレン「これ意外とスザクの答えが一番近いような気がして怖いわね…」
ルル「名前と住所、そして外見の特徴を聞く。
あとは二度と日の光が当たらない場所まで俺が導いてやるだけだ」
C.C. :×
カレン:×
スザク:×
C.C. 「おい、私のは正解じゃないのか?」
MC :完全一致で正解ですので、残念ながら不正解でございます
カレン「いやでも、結構イイ線いってたじゃない」
スザク「さすがにショック死は無いか…それを聞いて安心したよ」
C.C. 「まぁ正直、実際一番ありえそうなのがスザクの回答だと思うわけだが」
カレンの好きなところは?
カレン「……ふぇっっ!?」
C.C. 「これはまた斬新な切り口の質問だな」
カレン「え、ちょっと、何これ」
スザク「普段ルルーシュが君をどう見ているのか分かる質問でもあるね」
カレン「こ、これちょっと答えづらいんだけど…」
C.C. :従順、犬っぽい
カレン:気配り上手
スザク:胸
カレン「おいそこの天然パーマ表に出ろ」
ルル「むn……ゼ、ゼロに従順なところだな。犬っぽいのも良い」
C.C. :○
カレン:×
スザク:×
C.C. 「ほら、正解だ。流石は私といった所か」
カレン「べ、別にアンタじゃなくて従順なのはゼロにだけなんだから!」
スザク「うわ、とってつけたようなツンデレの台詞」
カレン「うっさい!」
スザク「次は僕か」
カレン「簡単そうに見せかけて、なかなか悩むわね」
C.C. 「どうせ筋肉とか上腕二等筋とか乳酸的なとこだろう」
カレン「あとは背筋とか腹筋とかのたくましさじゃない?」
スザク「なんで筋肉のみを抜粋してくるかな」
C.C. 「スザク、人は自分に無いものを欲しがる業深き生き物だ。
あいつに無くてお前にあるもの、それは何か分かるか?」
スザク「き……筋肉……!」
C.C. 「そういうことだ」
カレン「どういうことよ」
では、回答の方をオープン!
C.C. :友達でいてくれる
カレン:友達なところ
スザク:筋肉
C.C. 「まさか真っ正直に受け止めるとは思わなかったぞ」
カレン「本当に筋肉って書いちゃうなんて…」
スザク「は、嵌められたのか、僕は……」
ルル「友達だ、それだけで充分だ」
C.C. :○
カレン:○
スザク:×
C.C. 「スザク、何か言うことはあるか?」
スザク「乳デカお化けに尻垂れババァ」
C.C.&カレン(小学生の悪口か……)
C.C.の嫌いなところは?
C.C.「おい、この問題だけ他と毛並みが違うんだが?」
カレン「これはまた答えるのが難しいなぁ」
スザク「僕らの答案=普段C.C.に対して思ってる事 みたいになりそうだからね」
カレン「勘ぐられない程度に上手に答える必要があるわね」
C.C.「…お前らの回答を見るのが少々怖くなってきたんだが」
C.C. :ちょっと寝すぎるところ
カレン:自分のカードで勝手にピザを買うところ
スザク:尻丸出しの格好でベッドに転がってるところ
ルル「………アイツには小言をよく言うが、嫌いな点など無いな。」
C.C. :×
カレン:×
スザク:×
C.C.「………」
カレン「ねぇ、C.C.」
C.C.「…なんだ」
カレン「そのはにかんだ顔、なんか可愛くてムカつくんだけど」
C.C.「別にはにかんでなんかいないぞ」
スザク「素直じゃないなぁ。予想外の回答で嬉しかったんでしょ?」
C.C.「……五月蝿いぞ」
ルルーシュが最近ハマっている事は?
C.C. :半身浴
カレン:書庫の整理
スザク:筋トレ
カレン「うわぁ、もう心底どうでもいいわねこの質問」
スザク「まぁまぁ。ようやく終わりも少しだけ見えてきたから頑張ろうよ」
C.C.「ほらMC、さっさと回答を発表しろ」
ルル「……半身浴。 エッセンシャルオイルを何滴が浴槽に入れるのがいい」
C.C. :○
カレン:×
スザク:×
C.C.「寝たら忘れる知識が一つ蓄えられたな」
カレン「それって蓄えたって言えるの?」
スザク「知っても損得の無い知識か、まぁいいんじゃない。
僕も今日寝たら多分忘れていると思うけれど」
ルルーシュの一番得意な真似は?
C.C.「これは正解の自信があるぞ」
カレン「アイツの物真似とか想像できないんだけど…」
スザク「う~ん、多分これかなぁ?」
C.C. :ナナリーの声っぽく「お兄様」
カレン:寝起きのC.C.
スザク:ナナリーの声真似
カレン「なんか二人とも答えが似通ってるように見えるんだけど」
スザク「いや、なんか学校の空き教室でこっそり真似してるの見た事あるし」
C.C.「私は部屋の自室でポージングしながら真似してるのを見たぞ」
カレン「それはまた壮絶なものを見てしまったのね」
ルル「ナナリーの声を真似るのは結構得意だ」
Q:では、実際にやってもらいましょう。
ルル「……ウォ、ウォニイサマー!!」
C.C. :○
カレン:×
スザク:○
カレン「ちょっとwwwwww何アレwwwwwwwwいかつい声wwwwww」
スザク「クオリティが前に見たときよりも下がっていたね」
C.C. 「おそらく若干の照れが入ってしまったんだろう。声にキレが無い」
スザク「それは言えてるね。前はもっとこう、語尾の声の伸びが良かった気がする」
C.C. 「それに顔も似せようとしていなかった。
次に見るときはもっと万全の状態で見せてほしいものだ」
スザク「うん、次に期待だね」
カレン「やめてよwwwww 真面目に論議しないでwwwwwwwwwwww」
ついつい見てしまうテレビ番組は?
スザク「ルルーシュがテレビ見ている印象ってあんまりないなぁ」
C.C.「これは何となく予想はつくな」
カレン「まぁ無難にこの辺りでしょ」
C.C. :ニュース
カレン:ニュース
スザク:水曜どうでしょう?
ルル「つい、か。それならsakusakuだな。
ニュース見ながらよくザッピングしている」
C.C. :×
カレン:×
スザク:×
C.C.「言われてみれば、アイツはよくニュース中にザッピングしていたな。
そうか、sakusakuか。一緒にテレビ見ているのにすっかり失念していた」
カレン「また絶妙にローカルなところをついてくるわね」
スザク「…初めて聞いた番組なんだけど」
カレン「そう? 私は残り50問すら多いと思うんだけれど」
スザク「ここまで来れば後は気力だね」
C.C. 「ほら、MC。さっさと問題を出せ」
50メートル走を計測するとゴールまで何秒かかる?
C.C.「流石に足まで遅くはないだろう」
スザク「いやぁ、さっきの様子だと分からないよ?」
カレン「運動音痴は足も遅い、これって結構鉄則よね」
C.C. :6秒
カレン:8秒
スザク:7秒
カレン「結構バラバラの答えになってるわね」
C.C.「これだと三人のうち誰かは当たっているだろう」
スザク「そうだね~。みんな無難なラインを攻めてる感じだし」
実際にやってもらった
C.C. 「しかし、ルルーシュも不平不満を漏らさずよく頑張るものだ。
ナナリーの命でも開催者に握られてるのか?」
カレン「確かにここまで素直なアイツって気味悪さすら感じるわね」
MC:位置について、よーい、ドン!
ルル「!?」 ズベシャッ
カレン「ちょwwwwww顔面からこけてるわよアイツwwwwwwwwww」
C.C.「また思いっきり体を張ったネタを仕込んできたな…」
スザク「いや見てよ、涙ぐんでる。あれきっと本気だよ」
カレン「あははははははははwwwwwwwww ・・・・・えっ?」
C.C.「…………」
計測時間:12秒48
C.C. :×
カレン:×
スザク:×
C.C.「………」
スザク「………この記録ってドラえもんより遅いんじゃないのかな」
カレン「………つ、次! 次に行きましょう!!」
C.C.・カレン・スザクの中で
一晩みっちり抱いてもいいと思うのは?
C.C.「おい、なんだこの質問は」
カレン「何よこれ! セ、セクハラじゃない!!」
スザク「驚くほど分かりやすい本命・対抗馬・大穴の図になってるね」
C.C. :C.C.様
カレン:C.C.
スザク:カレン
カレン「アンタ…その自信はホントに一体どこから湧いてくるのよ?
頭沸いてんの? フットーしちゃいそうなの?」
C.C.「失敬なヤツだ。これは私以外に考えられないだろう?」
ルル「…………………………カレン」
C.C. :×
カレン:×
スザク:○
カレン「ちょっとおおおおおおおおおおおお!!」
スザク「うわぁ…これきっと苦渋の決断だったろうね」
C.C.「……」
スザク「笑えばいいと思うよ」
カレン「苦笑いが精一杯よ」
C.C.「……」
カレン「まぁ、横で頭を突っ伏している人がいるんだけれどさ。
触らぬ神に祟り無しの扱いでいいの?」
スザク「アレは相当恥ずかしいだろうね。
抱かれたい人で自分を指した上に回答を外すなんて常人じゃ出来ないよ。
僕なら片眉を剃ってしばらく山に篭るね」
C.C.「……」
カレン「……! ちょっと、C.C.! その手に持ってる剃刀はどっから持ってきたの!!」
C.C.「………もう私に残された選択肢はコレしかないんだ」
スザク「早まっちゃ駄目だよ! 片眉を剃るなんて恐ろしい発想は止めるんだ!」
カレン「アンタどの口がそんな事ほざいてんのよ!
いいから早くC.C.を止めるの手伝ってってば!!」
ルル「その…なんというか、初々しさがあるような気がしてだな」
カレン「いやああああああああああああ!!」
スザク「おっと、さすがの僕も真顔でこんなの言われたらフォローできないよ」
カレン「ちょっと、どうすんの! ホントにあいつの顔見れなくなってきたじゃない!」
C.C. 「…おい、MC.『C.C.を選ばなかった理由』を聞け」
MC :残念ながら回答者の方々の個人的質問にはお答えできません
C.C. 「くっ…!」
C.C.・カレン・スザクの中で
抱かれてもいいと思うのは?
カレン「え、なにこれきもちわるい」
スザク「嫌な予感しかしないんだけどなぁ…」
C.C.「流石にこれはサービス問題だろう」
C.C. :スザク
カレン:スザク
スザク:僕だったら嫌だなぁ
ルル「……………………………C.C.」
C.C. :×
カレン:×
スザク:×
C.C. 「……ん?」
スザク「いや、流石にこれは僕も予想外だったよ」
カレン「wwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwww」
C.C.「おいカレン、笑いすぎだ」
カレン「だって・・・だって、アンタ!女の子でコレに選ばれるとかwwwwww」
C.C.「…おい、MC! 選んだ理由を貧弱シスコン坊やに聞いてみろ!」
Q:ちなみに、なぜ彼女を選んだのですか?
ルル「……優しくしてくれそうだから、だな」
カレン「きwwwwwもwwちwwっわるいwwwwwwwwwwwwwww」
スザク「ねぇ、C.C.」
C.C.「慰めの言葉以外で頼む」
スザク「それを封じられたら、僕にはかける言葉が見つからないや」
C.C.「…そっとしておいてくれ」
ルルーシュが女性を見て最初にチェックする部分は?
C.C. :髪
カレン:髪
スザク:目
C.C.「まぁ、初めの方で答えたフェチ回答から推測するにコレだろう」
スザク「なるほどなぁ。前の答えを参考にするアイデアは失念していたよ」
ルル「……体全体だな。スタイルの良し悪しは否が応にも目に入るだろう」
C.C. :×
カレン:×
スザク:×
C.C.「そう来たか」
カレン「普通の回答すぎるわね」
スザク「確かに妙な肩透かし感を覚えたのは否定できないね」
C.C.・カレン・スザクの中で
一番エッチだと思うのは?
C.C.「おいやめろ、この手の質問は傷しか負わないぞ」
スザク「正確には答えに選ばれた人しか傷負わないけれどね」
C.C. :カレン
カレン:C.C.
スザク:C.C.
C.C.「…まぁ、いいだろう。問題はあの馬鹿の回答の方だ」
ルル「何となくだが、カレンだな。耳年増っぽい印象がある」
C.C. :○
カレン:×
スザク:×
カレン「むっつりスケベに言われたくは無いわね」
C.C.「おお、なんか久々に正解したような気がするぞ」
スザク「何気にひどい事言われてるけど、どうなの?」
カレン「まぁいいかって許容してるわ」
C.C.・カレン・スザクの中で
一緒にいて一番疲れるのは?
C.C. :カレン
カレン:スザク
スザク:C.C.
スザク「これはまた綺麗に分かれたね」
C.C. 「スザク、私とあいつは一緒に住んでいるんだぞ?
そんなワケあるはずないだろう」
スザク「いやぁ、分からないよ?
どこの家庭でも何かしらの我慢とかしてると思うし、
そう考えるとルルーシュも例外じゃないんじゃない?」
C.C. 「な、なんだその妙な説得力は!」
ルル「…スザク、かな。活発さと空気を壊すあの勢いに稀についていけなくなる」
C.C. :×
カレン:○
スザク:×
スザク「やっぱりね」
C.C. 「あれだけ語っておいて何が『やっぱりね』だ」
カレン「何気に正解しちゃったけれど、まぁ妥当な答えじゃないの」
C.C. 「空気の読めない男は確かに一緒にいて面倒なところもあるからな」
スザク「え、僕いつも空気凄く読んでいるつもりだよ?」
カレン「その発言がすでにエアーリーディング出来ていないんだけれど…」
C.C.・カレン・スザクの中で
一番世話になっているなぁと思うのは?
カレン「ようやくあと20問ね…」
スザク「ねぇ、これ終わったら皆で適当にご飯食べようよ」
C.C. 「悪くない案だな。当然、発案者である男のお前が奢ってくれるんだろう?」
スザク「え、折半に決まってるじゃん」
カレン「アンタ……」
C.C. 「この企画が終わったら直帰する事が今決まったな」
答えの方を出してくれると非常にありがたいんですが…
C.C. 「今すぐ出すつもりだから、そう焦るな」
C.C. :カレン
カレン:スザク
スザク:カレン
スザク「ここは鉄板だろうね」
C.C. 「本来なら私と答えるつもりだが、まぁ順当に当てにいった結果がこれだな」
カレン「な、なんかそう言われると照れちゃうわね…」
ルル「C.C.だ。世話も確かにしているが、それ以上に支えてもらっているからな」
C.C. :×
カレン:×
スザク:×
C.C. 「そ、即答か」
カレン「うわ。 C.C.、アンタ顔真っ赤」
スザク「見ているこっちが恥ずかしくなるね」
ルル「それと、お前にも随分世話になっているな」
MC:あらあら、何の話でございましょうか?
ルル「いつも感謝しているよ、咲世子」
MC:今日の私は謎のMCでございます、いったい何の事やら?
ですが、有り難きお言葉です。今宵の夕飯は期待しておいてください。
C.C. 「ああ、このMCの声はどこかで聞いたことあると思っていたら」
カレン「ルルーシュの家の使用人だったのね」
スザク「なんというか、こう、聞いててクセになりそうな声質してるね。このMCの人」
カレンに一度だけ何でも言うことを聞かせられるなら、何と願う?
C.C. 「これは十中八九、エッチな事だな」
スザク「C.C.もそう思う?」
C.C. 「当たり前だ。
抱きたい女に選んだ奴にこのシチュ、男ならエロいことしないワケないだろう」
スザク「さすがはC.C.。男心を分かっているね、伊達に歳くってないわけだ!」
C.C. 「やはりお前は一言多すぎる」
カレン「あのねぇ、そんなの言われたら当事者はどうすりゃいいのよ!」
C.C. 「黙ってエロいことしてやれ」
スザク「笑いながら乳を見せればいいと思うよ」
カレン「アンタらって奴は…」
C.C. :セ【自主規制】
カレン:マッサージ
スザク:バ【自主規制】
カレン「あんたら何とんでもないこと書いてんのよ!」
スザク「ああ、C.C.そっちかぁ。」
C.C. 「お前もいい線いってると思うぞ。
私も正直コレかお前の答えの二択だったからな」
カレン「お願い…ルルーシュだけはまともであって頂戴……」
ルル「もっと、こう、淑やかになってほしいと願うだろう」
C.C. :×
カレン:×
スザク:×
スザク「なんだ」
C.C. 「つまらん奴め」
カレン「アンタら、もうすぐ終わるからってはっちゃけて来たわね…」
スザクに一度だけ何でも言うことを聞かせられるなら、何と願う?
C.C. :空気読め
カレン:空気読め
スザク:重い荷物を運べ
スザク「えっ」
C.C. 「一択だな」
カレン「ええ、一択しかなかったわ」
ルル「もっと落ち着いた行動をとるように、だな」
Q:理由は?
ルル「空気を読むようにとも思ったが、そもそも最初から無いスキルに期待は出来ない。
だとすれば空気の読まなさを緩和する事が可能な行動をさせるのが一番だ」
C.C. :×
カレン:×
スザク:×
C.C. 「ほぅ、至極真っ当な回答だな」
カレン「なんか今日初めてルルーシュらしいところを見たような気がする」
スザク「何気にひどい扱いだなぁ…」
C.C.に一度だけ何でも言うことを聞かせられるなら、何と願う?
C.C. :膝枕してくれ
カレン:働け
スザク:膝枕しろ
C.C. 「なんか無駄なシンクロを垣間見た気がしたんだが」
カレン「凄いわね、こんな答えが被ることもあるの」
スザク「カレン、君の意見もなかなか辛辣だね」
カレン「私の意見は一般論よ」
C.C. 「まぁ、あいつは何気に甘えたがりだからな。
体裁を取り繕わない場であれば、こんな事を頼みそうなものだが」
ルル「h…いや、働け。コレだな。
食っちゃ寝の生活でピザばかり食べて太らないのが不思議で仕方ない」
C.C. :×
カレン:○
スザク:×
C.C. 「ふふん、私は魔女っ子だからな。
食べた分の脂肪は愛に変わって皆に降り注ぐに決まっているだろう」
スザク「またパンチ効いたきっつい台詞を誇らしげに言うねぇ」
ルルーシュは童貞?
スザク「簡単だね」
カレン「こんなの楽勝じゃない」
C.C.「ふん、この質問はどうせなら序盤に持ってこい」
C.C. :ノーコメント
カレン:童貞
スザク:童貞
ルル「それは、その……ノーコメントだ」
C.C. :○
カレン:×
スザク:×
スザク「ほら、童貞だ」
カレン「コメント無いのになんで決め付けてるのよ、まぁ童貞だろうけれど」
C.C.「体裁を気にする実にアイツらしい回答だった」
最後に、ルルーシュから回答者の一人にメッセージがあるようです。
いったい誰が選抜されたのかを答えてください。
C.C. 「ようやくラスト、か」
カレン「早く帰ってお風呂に入りたいなぁ」
スザク「僕はゆっくり寝転がりたいな。同じ姿勢だったから腰が痛くてさ」
では、ファイナル回答! オープン!
C.C. :「私」
カレン:「私」
スザク:「僕」
カレン「やっぱり自分を選ぶわよね」
スザク「最後くらい何か労いの一言あるかも知れないからね」
C.C. 「さて、最後は一体誰に声がかかるのかな?」
ルル「C.C.。お前を選ぶことにしよう」
C.C. :○
カレン:×
スザク:×
C.C. 「わ、私か…」
カレン「いざって時になんで照れてんのよ」
スザク「さぁ、ルルーシュはどんなメッセージを送るのかな」
C.C. 「ラ、ラブコールとかだったら、ちょっと…困るぞ……」
カレン「万が一にもないだろうから安心しなさい」
ルル 「C.C.…」
C.C. 「な、なんだ! よ、用事があるならさっさと話せ」
ルル 「しっかり聞いてくれ」
C.C. 「改めて話すようなこと、なのか?」
ルル 「伝えたいことがあるんだ…」
C.C. 「は、はぃ……」
ルル 「プリンの恨み、俺はしばらく忘れないからな…」
C.C. 「は、はい! ・・・・・・ん?」
以上を持ちまして、200の質問を終わります!
C.C. 「え、おい、ちょっと待て。さっきの歯切れ悪すぎるだろう」
カレン「もういいわよ、別に歯切れの良し悪しはさぁ。
帰ってのんびりできるならそれでいいわ」
スザク「いやぁ、ホント長丁場だったねぇ。
予想以上に拘束時間が長くて驚いたよ」
では、全200問のうちに御三方は一体どれだけ正解できたのか!
結果発表です!!
【1位】C.C. :31問正解
【2位】スザク:26問正解
【3位】カレン:23問正解
カレン「まぁ、納得の正解率だったからね」
スザク「う~ん、悔しいなぁ」
C.C. 「ちなみにお前ら。 これで1位になったら何が貰えるのか覚えているか?」
カレン「何だっけ? もう後半あたりから記憶も曖昧よ」
スザク「僕も覚えてないなぁ。
あんまり頑張ろうとは思えない賞品だったのは間違いないと思うんだけれど」
『ルルーシュ様との握手権』を差し上げちゃいますー!
おめでとー! おめでとーございまーす!!
スザク「……お疲れ様」
カレン「……あ、お疲れ。私も先に上がるわね」
C.C. 「おいお前ら。ここまで一緒に戦った仲間だろう?
せっかくなら最後まで付き合え」
スザク「また別の企画があったら呼んでね、お先に失礼」
カレン「今度ピザ持ってアンタの部屋行くわ。
その時にでも詳細聞かせてね。私がそれを覚えてたらの話だけれど」
C.C. 「本当に帰ってしまった…薄情者ばかりだな……」
MC :では、C.C.様が同じ立場だったらどうされてました?
C.C. 「直帰に決まっているだろう。愚問だな」
C.C. 「そうか……うん、愚問だったな。」
C.C.「入るぞ」
ルル「開いている、勝手に入れ」
ガチャッ
ルル「ほぅ、お前だったか」
C.C.「意外か?」
ルル「いや、別に。お前かスザクのどちらかとは思っていたが、お前の方だったか」
C.C.「ふん、簡単な質問ばかりで飽き飽きしていたぞ」
ルル「そこまで言うなら正解率も相当なものだろう?
どの程度まで答えることができたんだ?」
C.C.「145問正解だ。余裕の楽勝だ」
ルル「…いや、流石にもっとバレない嘘をつくことくらい頑張ってほしいぞ」
C.C.「ああ」
ルル「あえて聞こう。 …本当に欲しいか?」
C.C.「いらん」
ルル「即答か」
C.C.「まぁ、お前も長時間ご苦労だったな」
ルル「大した事は無い。普段の騎士団に関する業務に比べればバカンスみたいなものだ」
…なんだ? 労ってくれているのか?」
C.C.「そんなワケあるか。ただの気まぐれで聞いただけだ」
今日の私はたまたまギアスにかかり易い体質になっていてだな」
ルル「一回しか効かないギアスにかかり易いも難いも無いと思うが」
C.C.「そういう体裁、というやつだ。
もしかしたら、今日頑張ったお前に何か一つだけ言うことを聞いてやるやも知れんぞ?」
ルル「……ふん」
C.C.「またとない機会だ、『働け』以外なら請け負ってやってもいいぞ?」
ルル「……それだったら、そうだな。俺は」
ルル「五月蝿いぞC.C.!ギアスが効いているのなら黙って現状を維持しろ!」
C.C.「…はいはい」
C.C.「なぁ、ルルーシュ」
ルル「なんだ?」
C.C.「プリン食べたこと、すまなかったな。今度弁償するよ」
ルル「…俺も言いすぎた。つまらない事で怒ってすまない」
C.C.「そうか、これでおあいこだな。私は謝り、お前は許した。万々歳だ」
ルル「お前…なんて奴だ」
C.C.「当然だろう? 私はC.C.だからな」
ルル「…なんだ?」
C.C.「201番目の質問だ」
ルル「…答えてやろう」
C.C.「私の膝枕、どんな感想だ?」
ルル「…ふん」
ルル「お前の膝枕の感想はな、―――――」
C.C.「……恥ずかしい奴め」
―終―
以前二月の半ばにスレを立て、そこで番外編として書いたものなので
季節外れのネタは広い心で受け取っていただけると幸いです。
ルル「おい、C.C.」
C.C.「なんだルルーシュ。深刻な顔をして」
ルル「俺にチョコレートをくれないか」
C.C.「……は?」
ルル「ついに耳まで遠くなったか。
繰り返す。 俺にチョコレートをくれないか」
C.C.「私の鼓膜は変わらず好調だ。
ただ幻聴が聞こえたかと思って呆気に取られていただけだ」
ルル「ほぅ、一体どのような幻聴が聞こえたというのだ?」
C.C.「お前がチョコがどうこう言っていたんだが、
流石に私も日頃の激務で疲れているのかな」
ルル「まさにそういう事をお前に頼んだんだが。
それとお前の生活を激務というのなら、
ナマケモノだってまともに木にぶら下がるだろうに」
C.C.「その問いに答える前に、こちらから一つ聞いてもいいか?」
ルル「質問を質問で返すのは愚か者の所業だぞ、C.C.」
C.C.「じゃあやらん」
ルル「……いいだろう、何が聞きたい?」
C.C.「なぜお前は突然チョコを欲しがったのだ?」
ルル「ふん、簡単なことだ」
ルル「バレンタインにチョコを貰えなかったからに決まっているだろう!」
ルル「ああ、知っているとも。 Feb.19 だ」
C.C.「…バレンタイン・デイ・アフター・トゥモローとか言って
冗談交じりにチョコを催促できる期日すら過ぎているんだが」
ルル「そんなのは些事だ。
俺がチョコを貰っていない2月14日など、ただの製菓会社の祭りの日なだけだ」
C.C.「世間一般ではそれをバレンタインと呼んでいるワケなんだが」
ルル「五月蝿いぞ、C.C.!
返答を聞こう…くれるのか、くれないのか!? どっちなんだ!」
C.C.「…お前、今年のバレンタインは何をして過ごしていたんだっけか?」
ルル「生憎今年は休日だったんでな。学校へと行く機会も無かったので、女学生からのチョコは無かった。
しかもゼロとしての仕事がその日に限って激務で、ほぼ丸一日仮面を被って過ごしていた」
C.C.「…カレンからのチョコは?」
ルル「中華連邦で紅蓮のパイロット訓練がどうこうとの事で、イレブンには居なかったぞ」
ルル「…普段の俺なら、バレンタインなどに気を取られている場合ではないと律するさ。
…だが、毎年のこの時期を思い出してみると、いつもナナリーからのチョコが貰えたんだ。
…今年はナナリーからチョコが貰えない。」
ルル「そう思うと無償にチョコが欲しくなったんだ」
C.C.「お前がそう感じたのはいつの日だ?」
ルル「2月15日だ」
C.C.「後の祭りじゃないか」
ルル「そうして悶々と過ごしていると、もうバレンタインから一週間が経過しそうになっているじゃないか」
C.C.「まぁ今日の段階で既に5日も過ぎているからな」
ルル「だが、こんな話を今更他のヤツに話すことは出来ない!
ましてや性別が♀に分類される者に話すことが出来ようか!?」
C.C.「……私も一応、生物学上では女に分類されるわけなんだが」
ルル「そこは俺とお前の仲だろう、C.C.?」
C.C.「私とお前の仲、だと?」
C.C.(馬鹿者、こんな言葉でドキドキさせるんじゃない…!)
ルル「俺とお前は共犯者だろう?」
C.C.「…ん?」
C.C.「ま、まぁそういう事になるのか」
ルル「その片割れがこんなにもチョコの事で心が張り裂けそうになっている」
C.C.「見ていて非常に見苦しくもあるが」
ルル「そんな時、お前は俺に何が出来る!?
最善の策はチョコを渡すというたった一つの冴えた方法に凝縮されているだろう!?」
C.C.「もうバレンタインから5日も過ぎているが、貰っても嬉しいものなのか?」
ルル「ああ、俺にとってはチョコを貰うまでがバレンタインだからな」
C.C.「家に帰るまでが遠足、みたいに言うな」
ルル「なんだ?」
C.C.「今は黒の騎士団本部にいるから仕方ないとして。
お前、ちゃんと家に帰って机の中とかチェックしたのか?」
ルル「何を馬鹿な事を。
そもそも机の中なんて、小物を確認するときくらいしか見る事はないからな」
C.C.「…確かにお前の机の中は整理されていて綺麗なものだったな」
ルル「…どうしてお前が俺の机の中の有様を知っている」
C.C.「わ、私はC.C.だからな。 共犯者であるお前の事など知っていて当然だろう?」
ルル「お前…覗いたな?」
C.C.「いいや、覗いていないぞ」
ルル「おい、露骨に目を逸らすな!」
ルルーシュ、家に帰ったら机の中身くらい確認してみろ。何かいいことあるかも知れないぞ」
ルル「……何の話か分かりらないぞ。
そんな事よりもC.C.。再度問おう!
くれるのか、くれないのか。 さぁ、どっちを選ぶんだ?」
C.C.「わ、私はだな」
ルル「ルルーシュ・ヴィ・ブリタニアが命ずる! チョコをくれ!!」 キィン! ひ
C.C.「私にギアスは効かんと言っているだろう。
…ん?」
C.C.「…なぁ、ルルーシュ」
ルル「どうした?」
C.C.「お前、ギアスで誰かにチョコを貰えば良かったんじゃないか?」
一人に一度しか効かないギアスだぞ?
そんな要求ごときで使うのは愚の骨頂ではないか」
C.C.「…私には躊躇いなくギアスを使った奴がよく言うものだ」
ルル「C.C.。もうこれ以上は繰り返さない。
チョコをくれるのか、くれないのか!!
はっきりしてもらおうか!」
C.C.「今日のお前が醸し出す元気の動力源を知りたいよ…」
ルル「どうしてもチョコが欲しい。 それだけが俺のアンビリカルケーブルだ」
C.C.「ハァ…あのなぁ、ルルーシュ。 私はもうお前にチョコを渡していr…」
C.C.(ん、待てよ…?)
C.C.(中身は虚弱貧弱シスコンもやしっ子だが、生憎外見はそこら辺の男に比べて良い方だ)
C.C.(チョコを貰っていないわけがない…)
C.C.(なのに、何故こうも執拗にチョコレートをねだるのか?)
C.C.(しかも、時期を完全に外したこのタイミングで)
C.C.(もしかすると…)
C.C.「る、ルルーシュ」
ルル「なんだ?」
C.C.「お、お前はそんなに私からチョコを手渡ししてほしかったのか…?」
ルル「別にそういうわけでは…」
C.C.「ふふん、私のような才色兼備の女性が近くにいてチョコを貰えなかったのがショックだったか?
全く、これだから色づいたお坊ちゃんは対処に困る」
ルル「いきなりモジモジし始めたお前の方が、どう見ても対処に困ると思うんだが」
C.C.「誰からも貰えなかったからと言って一番手頃な相手に頼るとは嘆かわしいなぁ。
まぁ、寛容な私だからこそ聞いてやった頼みだと思え」
ルル「いや、だから別にそこまでお前に求めているワケでは…」
C.C.「じ、時期は外してしまったのは仕方ない。 お前も何かと忙しい身なのは重々承知している。
今回…だけ、だぞ」
ルル「はぁ・・・もういい…って、何!?」
C.C.「こ、今回だけチョコをあげてもいいと言ったんだ」
ルル「本当か、C.C.!」
C.C.「ああ」
ルル「『冗談だ』とかは無しだぞ?」
C.C.「ああ」
ルル「チロルチョコとかではなく、ちゃんとラッピングされているものだぞ?」
C.C.「ああ」
ルル「『実はすでに私の胃袋に入っているから、息だけでも嗅いでおけ』とかもだぞ?」
C.C.「そこまでサディストではない」
ルル「本当の本当なんだな!?」
C.C.「ええい、そんなに反芻されたら恥ずかしくなるだろうが!」
C.C.「え?」
ルル「まさか今持ち合わせていないとでもいうのか?」
C.C.「そ、それはそうだ。
そもそもバレンタインを過ぎてからチョコを催促されるなんて思ってもなかったからな」
ルル「では、今すぐには渡すことは出来ない、と」
C.C.「まぁそういう事になる」
ルル「……チッ」
C.C.「おい、舌打ちはやめろ。 …地味に傷つくから」
この胸に宿るモヤモヤとした何かを晴らす為には、現状で早急に甘味を食す必要がある」
ルル「それなのにチョコを持ち合わせていないなんて…お前は本当に共犯者として失格だ!
もう姿や形は問わん! お前の年齢から考えて羊羹とかでも構わないから!」
C.C.「あぁもう、駄々っ子か貴様!
しかもなんで私の年齢から羊羹を想像した! レディに対して失礼すぎるだろ!」
ルル「喧しいぞ年齢不詳!」
C.C.「兎に角…家まで待っていろ、私が送る最高級のチョコが用意してあるから」
ルル「待てん!」
C.C.「くそぅ、なんでこういう時に限って押しが強いんだ、お前!」
C.C.「…そんなに元気の有り余るお前を見るのは久しぶりだな
こんな形で見る羽目になるとは予想だにしなかったが」
カレン「ちょっと、五月蝿いわよアンタたち!
外までしっかり音漏れるくらい何をしてんのよ!!」
ルル&C.C「!?」
ルル「なんだ、カレンか」
カレン「なんだとは随分な言い方ね。私じゃ何か問題でもあったの?」
ルル「まぁいい。とりあえず何も言わずチョコをくれ」
カレン「………は?」
C.C.「実はだな、カレン。この馬鹿は今頃バレンタインを…」
ルル「ああ、大好きだ。
俺の大好きな甘味類をお前から貰うと、今日はより美味しく感じるだろう」
カレン「え、ちょ、何!? ど、どうしちゃったの!?」
ルル「俺たち黒の騎士団に穏やかに流るる日々など、今は有り得ない。
だからこそ、味覚から心を幸せにする甘味が俺は恋しいんだ。
その形で一番求めているのがチョコレートなだけだ」
カレン「へ、へぇ…」
ルル「そこに、信頼と信愛を兼ねる者からの贈り物でチョコレートを貰ってみろ。
その幸せはミカン畑3ha分は容易いだろう」
カレン「その幸せの計算法はイマイチ理解しかねるけど……って、信愛!?」
ルル「カレン…お前(からチョコ)が欲しい…」
カレン「ふ、ふえぇぇぇぇえ!?」
C.C.「ルルーシュ、一番大事な部分をなぜ省略した?」
今更「バレンタインだからチョコくれ」なんて頼みごとが出来るわけないだろう!!)
C.C.(お前…あれほど私に食いついて頼んだ癖に、今頃体裁を取り繕うとかどういう事だ)
ルル(頼めたのはお前だからに決まっているだろう、常識的に考えて)
C.C.(私はお前の常識が汲み取れないよ…)
ルル(いいか、ここで正直に言ってみろ!
「え~、ルルーシュってバレンタインにチョコ一つも貰ってないんだ」とか
「結局顔ばかりじゃ男のステータスには足り得ないのね」とか言われて、
俺の鉄の心はボロボロになってしまうだろうが!)
C.C.(それはまた随分と錆び付いた鉄の心だな。
…お前のカレンに対する信頼性とやらは、あまり高くは無いことだけは分かったよ)
カレン(…何をヒソヒソと話してるんだろう?)
…ルルーシュから?)
カレン「ルルーシュから告白ぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅ!?」
ルル「突然どうした? そんな大声を上げて」
…ルルーシュから?)
カレン「ルルーシュから告白ぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅ!?」
ルル「突然どうした? そんな大声を上げて」
ルル「彼女…何の話だ?」
カレン「ふぇっ?」
ルル「それよりも、顔の赤さと動悸の荒さがとんでもない事になっているぞ」
カレン「こ、これはアンタが!!」
ルル「俺が?」
カレン「…もういい! 知らない、馬鹿!」
ルル(よく分からないが罵倒されてしまった…)
C.C.(自業自得というものだよ、坊や)
カレン…お前は私にチョコを渡せるほどの逸材か?」
C.C.「また随分と大層な言い方だな」
カレン「チョコ? あ、ああ…そういう話をしてたわね。
丁度良いタイミングだったし、そこで待ってなさい、ルルーシュ」
C.C.(何っ!? アイツ、いつの間にチョコを用意していたんだ!?)
ルル「おお! 本当かカレン!
流石は俺の右腕だ、信じていたぞ!!」 ガバッ
カレン「キャッ! きゅ、急に抱きつくな変態!!」 ガスッ!!
カレン「す、すぐ戻ってくるから待ってて」
ルル「………」
C.C.「…戻ってくるまでに息を吹き返すかどうかが問題だな」
カレン「はい、アンタの求めてる物ってコレでいいの?」
ルル「お、おお…これはゴ○ィバの高級チョコじゃないか!」
カレン「紅蓮の修繕が終わって、さっきまで開発陣の慣らし運転に付き合っていてね。
ラクシャータさんから『今日の報酬よ』って貰ってたの。
封を開けずに部屋の冷蔵庫で保存してて良かったわ」
ルル「おお……おおぅ……おおおぅ……」
カレン(…まさかチョコ一つで泣かれるとは思わなかったわ)
カレン「それじゃあ、私はこの辺で失礼するわね。 まだ用事が残っているし。
アンタ達もくだらない事でいちいち大声出さないように」
ルル「ああ、善処する」
ルル「ありがとう、カレン」
カレン「…どういたしまして」
ルル(部屋を出る際、あいつの顔が林檎みたいに真っ赤だったな。
流石に日頃の訓練とかで疲れているのか? …今度休みでも取ってやるか)
C.C.「……」
ルル「流石はカレン。 俺の要望には完璧な形で答えてくれる」
C.C.「……」
ルル「それに比べて…」
C.C.「わ、私はちゃんとお前の机にだな…」
ルル「ハァ…やはりピザしか脳の無い人間は、スイーツにもタバスコをかけたりするんだろうな…」
C.C.「そんなワケあるか。 ピザはピザでしっかり楽しんで食べてる…って、そうではなくてだな、ルルーシュ」
ルル「なんだ?」
C.C.「おいやめろ、その哀れみすら含んだ目で私を見つめるのは」
ルル「ん? 一体何がだ?」 モクモグ
C.C.「もう食べてるとか手が早いな」
ルル「いやぁ…愛の篭ったチョコは美味しいな。
『チョコやるやる詐欺』でエアチョコを食べる必要性もないからな」
C.C.「エアチョコならまさにフンワリ軽い味がするだろうな」
ルル「やかましい。座布団取るぞ」
C.C.「だからだな、ルルーシュ。
ほら、屋敷に行ったら美味しいチョコがお前の部屋で待っているぞ」
ルル「もう俺はこのゴディ○で充分満足なんだが?」
C.C.「…私からのチョコはもう必要ないのか?」
ルル「ああ、もう俺は胃も心もしっかり満たされたからな」
身の翻しは見事なものだ」
ルル「馬耳東風だ。俺にとっては目の前のチョコこそ全て」
C.C.「そ、それなら…!」
C.C.「わ、私とカレンのどちらから貰った方が嬉しかったんだ?」
ルル「お前…一体何を聞いているんだ?」
C.C.「…なんでもない。
もう眠る。 お前の任務が終わったら起こせ」
ルル「おい、C.C.」
C.C.「ふん」
ルル(…不貞寝か)
C.C.「……zzz」
ルル「まぁ、チョコはこうして手に入ったわけだ」
C.C.「……zzz」
ルル「でも、強いて言えば」
C.C.「……zzz」
ルル「…お前から貰えたら嬉しかったのかも知れない」
C.C.「……」
ルル「…ふん、冗談だ。 さて、任務に戻るとするか」
C.C.「……zzz」
C.C.「…む、いかん。本当に眠っていた」
ルル「今しがた全てのデスクワークも片付いた。 屋敷に帰るぞ」
C.C.「…ああ、分かった」
ルル「あんまり寝起きに目を掻くな。 近視になるぞ」
C.C.「…お母さんか、お前は」
ルル「むしろ介護士の心境なんだがな」
C.C.「………」ゲシッ
ルル「……なぜ内モモを狙って蹴ってくる?」
C.C.「ふん、ダメージ蓄積で疲労骨折しろ」
ルル「全く…さぁ、久しぶりに屋敷へ帰るとするか」
ルル「何故だ?」
C.C.「気分だ」
ルル「そうか…あまり散らかすなよ」
C.C.「分かっている」
ルル「それじゃあ、また明日迎えにくる」
C.C.「ああ、分かった」
ルル「…おやすみ、C.C.」
C.C.「…おやすみ、ルルーシュ」
ルル「なんだ?」
C.C.「屋敷に帰ったら、お前の机の中を調べておけ。損は無い」
ルル「…? まぁ分かった。眠る前に調べておこう」
C.C.「さて、今度こそ用無しだ。 さっさとドア閉めて帰れ」
ルル「本当に傍若無人だな、お前」
C.C.「当然だろう? 私はC.C.だからな」
ルル「さて、自室に帰ってきたのはいいが」
ルル「俺の机には一体何があるんだろうか」
ルル「…流石にびっくり箱みたいなイタズラは仕込まれていないだろう」
ルル「一応、気だけは張っておこう」
ガタンッ
ルル「ん…? 仄かに甘い香りがする」
ルル「それに、箱?」
ルル「メッセージカードまで付いているじゃないか」
ルル「どれどれ、何と書いてあるんだ?」
どうせ誰からもチョコ貰えていないんだろう?
美人からのチョコだ。有り難く思え。
C.C.
ルル「あいつ…」
C.C.「全く…こういうところには非常に鈍感だな、あの童貞坊や」
―終―
支援や感想など非常に励みになりました。感謝感謝。
またの機会に会いましょう
強いていうならなんかあっさり終わりすぎな気もしたがw
~エピローグ~
ラクシャータ「ねぇ、カレ~ン」
カレン「あ、はい」
ラク 「以前あげたチョコ、食べた?」
カレン「いえ、まだ食べていません」
カレン(本当はあげちゃったんだけど…)
ラク 「あら、良かった~。 どうやら間に合ったようね」
カレン「へ? 何の話ですか?」
ラク 「アレね~、消費期限を大幅に過ぎちゃってるから絶対食べちゃダメよ」
カレン「…どのくらい期限を過ぎてるんですか?」
ラク 「そうね~、少なくとも一年近く前の物らしいから…」
カレン「そんな危なっかしいものを人に渡さないでください!」
C.C.「生チョコってどの程度までなら賞味期限が持つんだ?」
C.C.「まぁチョコだし、少なくとも一週間くらい大丈夫だろ」
C.C.「フフ…ルルーシュのやつ、きっと今頃飛び跳ねて喜んでいるんだろうな…」
C.C.「明日の朝には『C.C.…お前はやはり俺にとって必要な女だ…!』なんて言ったりしてな」
C.C.「…おっといかん、顔がニヤけてしまうな」
C.C.「…さぁ、早く迎えに来い。ルルーシュ」
ルル 「ほわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」
咲世子「ルルーシュ様、おトイレからそろそろ出て貰えると有り難いんですが。
もうかれこれ一時間は篭りっぱなしですよ~。 お掃除させてくださ~い」
ルル(チョコなんて……金輪際、絶対に口にしないからな!!)
―劇終―
やっぱC.C.だな
>>1乙
Entry ⇒ 2012.09.08 | Category ⇒ コードギアスSS | Comments (0) | Trackbacks (0)
美希「思い出のかけらを集めよう」
それが、起き上がったプロデューサーさんに言われた最初のことば。
何を言っているのかわからなかった。
ミキが車に轢かれそうになったから、怒っていじわるをしているのかと思った。
でも、プロデューサーさんは不思議そうな顔でミキの顔を見つめるだけ……
近くにいた先生は、ミキを病室の外で待っているように言ったの。
可笑しいよね、ケガは大したことないって言ったのに。
どうやら彼は記憶喪失みたいだ……
事故の時のショックが原因かもしれない、そう付け加えて。
きおくそうしつ?
それって、昔のことが思い出せなくなるあれ?
じゃあ、プロデューサーさんはミキのことわからなくなっちゃたの?
プロデューサーさんの中からミキがいなくなっちゃったの?
記憶喪失って、どういうこと?
どうすれば、治るの?
ここが病院だなんてことを気にしないで先生に詰め寄った。
どうしたんですか、先生?
騒ぎが気になったのか、病室からプロデューサーさんが出てきた。
その時の、プロデューサーさんのミキを見る目は
ミキの知っている、いつもミキを見ているプロデューサーさんの目じゃなかった……
というか、多分夢……ううん、絶対にそうに決まっているの!
プロデューサーさんが、ミキのことを忘れるはずがないし。
それなら、ミキが気にすることなんて何もないの。
だって、事務所の扉を開ければ……
ほら、プロデューサーさんがいるの!
もし、昨日のことが夢じゃなかったらまだ病院のはずだもん。
それで、いつもみたいにミキが挨拶したら、『おはよう、美希』って言うの。
美希「プロデューサーさん、おはようなの!」
P「えっ……あっ、君は昨日の女の子」
おかしいな。金髪で目立つから、間違えるはずがないんだが……
・
・
・
この芸能プロダクション、765プロの場所は財布に入ってた名刺に書いてあった住所を見てやってきた。
プロダクションの社長、高木さんは俺を見るなり、『昨日のことは聞いているよ、大変だったね』と言った。
病院の方で、連絡がいっていたようだ。
社長「とりあえず、自分のことがわからないのは不便だろう。少し待っていてくれ、君の履歴書を持ってくる」
履歴書ということは、俺はここで働いているということなのだろう。
自分がここで、どんな仕事をしていたのか気になって改めて名刺を見てみた。
765プロダクション所属プロデューサー:P
担当アイドル:星井美希
プロデューサーって、何をする仕事なんだ?
マネージャーとは違うのか?
それに……
俺の担当アイドルの星井美希って誰だ?
美希「プロデューサーさん、おはようなの!」
P「えっ……」
考え事をしていると、声をかけられた。
声をかけてきた子は、可愛い女の子だ。
この顔、何処かで見たような……
「あっ」
そうだ、思い出した。
P「君は昨日の女の子」
P「俺のこと、『プロデューサーさん』って呼んだけど、もしかして、君は星井美希さん?」
ねぇ、どうして、そんな他人みたいな言い方するの?
美希「うん……そうだよ」
P「そ、そっか。良かった、間違えたらどうしようかと思ったよ」
ミキもプロデューサーさんのことをそこの人って言ってた時もあったけど、今は違うよ?
P「俺、記憶喪失みたいなんだけど……君のことをプロデュースしてたみたいだね」
ねぇ、お願い……プロデューサーさん。
P「記憶をなくして、色々と迷惑をかけちゃうかもしれないけど改めてよろしくね」
P「星井さん」
ミキのこと、いつもみたいに美希ってちゃんと名前で呼んで。
初めの頃は、うまくいかずに謝罪することが多かった。
だけど3日経った辺りから、それなりにこなせるようになっていた。
まるで、それが当たり前だったようにだ。
そう言えば、病院の先生が記憶には2つあると言っていた。
1つは、思い出などの一般的に呼ばれる記憶。
もう1つは、作業に関する記憶。
これがあるから記憶を失っても、俺はケータイも車も扱えるそうだ。
ということは、プロデューサーの仕事もこの記憶の一部になっているのだろう。
記憶を失う前の俺は、相当働いていたのかもしれない。
今日の撮影だって、バッチリだ。
でも、当の星井さんはどうも顔が暗い。
何かあったのかい?と聞いても『ううん、なんでもないの』っと返されてしまう。
俺は、星井さんが車に轢かれそうになった所を飛び出して助けたらしい。
星井さんは、責任を感じているのかもしれない。
だから、俺に心配をかけないようにそう言っているか?
……。
もっと、頼ってほしいよ。
いつもだったら、カメラマンさんに、『美希を、動きながらドンドン撮ってもらえませんか』って言ってくれるのに。
やっぱり、プロデューサーさんはミキのことを忘れちゃっているんだね。
ううん、わかってるの……それはわがままだって。
だって、プロデューサーさんがミキのことを忘れちゃったのはミキ自身のせいだもん。
だから、これ以上はプロデューサーさんに迷惑はかけれない。
今のミキは、プロデューサーさんと一緒にいるだけで十分なの。
……。
ミキ……ウソツキなの。
前は気にならなかったのに……今はとっても気が重い。
ハンバーガーのセット……ポテトも味がよくわからなくて美味しくないの。
美希「うーん……」
P「どうしたの、星井さん?」
美希「食欲なくて……プロデューサーさん、フライドポテト捨ててきてもいい?」
P「あぁ、別にいいよ。でも、鴨のいるお堀には、投げ捨てないでくれよ」
美希「はーい」
そんなこと、わかってるよ。前に同じこと注意されたし。
大体、あれは捨てているんじゃなくて、先生にエサをあげて
えっ……プロデューサーさん?
P「うおっ! ほ、星井さん?」
さっきまでダルそうな顔をしていた星井さんが、突然顔を近づけてくる。
記憶を失った夜に、先生に詰め寄っている星井さんの姿と重なった。
いったいどうしたっていうんだ?
美希「今、何て言った?」
何を言っていた? さっきの自分の言葉を思い返してみる。
P「フライドポテトを捨ててきていいよって」
美希「そうじゃなくて、その後!」
P「その後って……鴨のいるお堀には、投げ捨てないでくれよとしか」
……あれ?
なんで、俺こんなこと言っているんだ?
何で俺、そんな場所を知っているんだ?
P「!?」
美希「プロデューサーさん!」
頭が痛い……
美希「プロデューサーさん、大丈夫!?」
P「星井さん……俺は」
美希「うん、大丈夫。ゆっくりでいいよ……」
星井さんは、急かすことなく待ってくれている。
ゆっくりと頭に浮かび上がってくるものを星井さんに伝える。
P「俺……知ってるよ。星井さんが、鴨に向かってフライドポテトを投げているの……」
サイズだって覚えている、Lだ。
美希「うん、そうだよ。ミキとプロデューサーさんは、そのお堀に来たことがあるの」
美希「今から行ってみる?」
P「あぁ……」
ねぇ、何を考えているの?
P「可笑しいよね。『俺』がここに来たのは、初めてのはずなのにさ」
P「ここは……すごく懐かしいよ」
美希「そうなんだ。あっ、先生!」
P「先生って鴨のことかい?」
美希「うん、ミキは先生みたいにプカプカういて何にもしないで、楽にトップにいきたいの」
P「そんなこと言っちゃだめだよ。きっとあの鴨だって、最初からうまく浮けたわけじゃないさ」
美希「あっ……」
あの時と同じ言葉……
美希「よかった……」
まだ、ミキはプロデューサーさんから消えていないんだね。
それに……
やっぱりプロデューサーさんは、プロデューサーさんなんだね。
じゃあ、もっとプロデューサーさんとの思い出の場所にいけば、
プロデューサーさんはミキのことを思い出してくれる?
前みたいに、ミキのことを名前で呼んでくれる?
前みたいに、二人で笑いあえる?
もし、そうだとしたならミキは……
美希「ねぇ、プロデューサーさん」
P「うん……なんだい?」
美希「ミキと一緒に思い出のかけらを集めよう」
プロデューサーさんとの、思い出のかけら……
ミキ一人しか持っていないなんて、そんなのいやだもん。
そう言って、星井さんはソッと手を差し伸べた。
星井さんは、俺の失った記憶を探してくれるみたいだ。
でも俺自身は、失った記憶を取り戻したいかと聞かれたらあまりハッキリとしたことを言えない。
取り戻せるならそれもいい、でも別に無くても困らない。
どうでもいい、それが自分の中にある答えだった。
いや……違う。
俺は、星井さんが求めている「記憶を失う前の俺」に嫉妬してる。
星井さんに頼られていたであろう、彼女を笑顔にできたであろう……その「男」に嫉妬している。
だって、これは星井さんから言ってきたことだから。
星井さんをプロデュースしている間、星井さんは俺のやり方に対して文句一つ言わなかった。
俺のやり方に「うん、わかった」と頷くだけだった。
その星井さんが、俺を求めてくれている。俺と俺の失った記憶を探してと頼んでいる。
だから俺は……
P「俺の思い出のかけら……一緒に探してくれるかい?」
星井さんの求めに応えよう。
差し伸べられた白い手に、自分の手を重ねる。
美希「うん! よろしくね、プロデューサーさん!」
星井さんの笑顔を見たのは初めてだった……
だから、プロデューサーさんのケータイに電話をかけてみたの。
でも、プロデューサーさんはいくら鳴らしても出なくて……もしかしたらと思って事務所に行ったの。
そしたら、やっぱり机に向かってお仕事していたの!
P「ごめん、仕事が残っていてね」
残っているなんて、ウソ……そんなのバレバレなの。
ミキ、ホントは知ってるよ。
プロデューサーさんが、次のライブやイベントの企画をお休みの日にまでやっているの。
ミキのために、一生懸命なの知ってるよ。
P「えっ、でも……」
次のファンイベントの企画がまだ途中のままだ。
正直言って、このまま一気に終わらせたいのだけど。
美希「むぅ……お仕事とアイドルのお願い、どっちが大事?」
少し怒った顔をして、そっぽを向く星井さん。
こういう表情も珍しい。
美希「思い出のかけら、集めよ。約束したよね」
自分で手伝ってくれと言ってしまったから、それを出されると流石に弱い。
まぁ、企画はまだ先の話だし、家でやればいいか。
P「わかったよ。それじゃあ、行こうか」
美希「うん……行こ、プロデューサーさん」
こうして、俺と星井さんの俺の思い出のかけら集めが始まった。
とは行っても、俺は俺のことをよく知らないから星井さんについていくだけだけど。
P「どこって、ただの自然公園じゃないかな」
プロデューサーさんは、首を傾げる……やっぱり覚えてないよね。
美希「そうだけど、少し違うの」
P「少し違う? 言っていることがいまいちわからないんだけど」
美希「ここはね、ミキのPVをとった公園なの」
面倒くさくて、けっこうテキトーにやったのは内緒の話。
P「あぁ……どうりで」
美希「えっ、覚えてるの!」
プロデューサーさん、もしかして……
P「資料室でみた星井さんのPV、そこに映っていたね」
なんだ……残念なの
美希「ううん、気にしないでいいよ。すぐに全部思い出せるはずがないし」
星井さんの落胆の表情が胸に刺さる。
都合よく思い出せない自分がなんだか情けなく思える。
P「ねぇ、星井さん」
それでも、微かに思い出したことがあった。
P「星井さんって、のんびり屋……というかめんどくさがり屋?」
星井さんが『えっ?』といった顔になる。
あっ、目がよった
P「いや、星井さんあの時は凄くかったるそうな顔をしてたから」
口元に手をやって、「あふぅ」なんて欠伸をしていたし……
他にも俺の言うことを面倒くさそうに聞いている星井さんの顔が浮かぶ。
俺がプロデュースしている時には、絶対に見られなかった星井さんだ。
……。
星井さんって、本来はもの凄く手の掛かる女の子だったんじゃないか?
P「だった?」
美希「うん……初めはね」
美希「でも、少しずつ人気が出て、ファンも増えてきて、もうちょっと頑張ってみようって思ったの」
でも、頑張ろうって一番思ったのは……
側で見てくれる人が喜んでくれるから
ミキ……プロデューサーのためなら、頑張れるよ
美希「どうしたの、プロデューサーさん?」
P「もっと、そういう星井さんらしさを俺に見せていいんだよ?」
美希「えっ?」
事故が原因で、俺に対して何処か余所よそしかった星井さん。
そのせいで、星井さんは自分を押し殺している部分はあった。
悔しかった、目の前にいる星井さんを引き出せていない自分が。
P「俺は……星井さんのことを忘れてしまっている。星井さんがどういう人物だったのかわからない」
P「でも、いま俺の目の前にいる星井さんは本当の星井さんじゃないと思う」
P「俺は、本当の星井さんを知りたいんだ」
美希「うん……そっか……」
プロデューサーさん、分かってたんだ。
他の人には、気づかれないようにうまくやっていたのに。
ミキのことを、しっかり見ていてくれてるんだね。
P「俺は、本当の星井さんを知りたいんだ」
美希「うん……そっか……」
本当のミキ?
それって、前みたいにわがままを言ったりしてもいいってこと?
疲れた時は、プロデューサーさんが優しく起こしてくれるまで寝ていいの?
ミキ、プロデューサーさんに迷惑をかけていいの?
P「構わないよ……」
俺は星井美希をプロデューサーだ。
だから、ありのままの星井さんをプロデュースしたい。
美希「ミキ、たぶんプロデューサーさんにいっぱい迷惑をかけちゃうよ?」
P「望むところさ」
記憶を失う前の俺が出来たんだ、出来ないはずがない。
美希「じゃあ……あの、プロデューサーさん」
P「おっ、早速かい?」
美希「うん……ミキ、お腹すいちゃったの。だから、おにぎり買ってきてくれないかな?」
……まぁ、これも星井さんの一面なんだろう。
そう自分を納得させて、コンビニに向かって走った。
息を切らせて、公園に戻った時、
待っていた星井さんは、俺の顔を見て楽しそうに笑った。
手の掛かる女の子なんだな……
上手くは説明できないけど、前より気安い関係にはなれたと思う。
美希「あふぅ……」
P「星井さん、起きて! ロケバス、もう現地についたから! 関係者の人に挨拶しにいかないと!」
美希「う~ん、キャラメル……マキアート……」
P「後で、買ってあげるから、だから起きてくれーっ!」
その分、色々と問題は起きるようになったけど……
美希「う~ん、まあまあかな」
P「随分とおとなしいね。前は嫌がって、スタジオ飛び出したのに」
美希「それは言わないでほしいの」
星井さんと一緒に仕事をしていくうちに、俺の思い出のかけらが……記憶が少しずつ戻ってきた。
まぁ、ほとんど職場で同じ時間をすごしているわけだから、当然と言えば当然なのかもしれない。
スタジオを飛び出して、ペットショップにいる星井さんを連れ戻したことが
ラジオでうっかりな発言をしてしまった星井さんをフォローしたり
そういった思い出のかけらが集まって、俺が昔の俺に戻ってきている実感がなんとなく湧いていた。
記憶を失う前の自分に、嫉妬していた自分が少し恥ずかしく思えた。
俺は、もう星井さんに頼られる立派なプロデューサー、そう自信を持って言える。
でも、どうしてだろう……
俺は、何か大事なことを思い出していないままな気がする。
プロデューサーさんは一瞬困った顔をするんだけど、
『しょうがないな』って笑ってミキのわがままに付き合ってくれる。
ミキがいけないことをする。
プロデューサーさんは、ミキに怒るんだけど
その後に、いっぱい優しくしてくれる。
オーディションに合格する。
プロデューサーさんは、ミキより嬉しそうにはしゃいで、なんだか可愛いの。
お仕事で疲れちゃったから、事務所のソファーで寝る。
そうすると、プロデューサーさんはミキを置いて先に帰ったりなんかしないで、
近くの机でお仕事して、ミキが起きるまでずっと待ってくれている。
そして、おはようって言ってくれる。
とっても嬉しいの、前みたいに戻れて。
プロデューサーさんと、ミキが笑顔でいて、そうやって毎日が優しくすぎていくの。
でも、プロデューサーさん……
どうして、ミキはまだ『星井さん』なの?
どうして、ミキは『美希』じゃないの?
今日のお仕事も2本もあって疲れたの。
でも、平気……だって、プロデューサーさんがいるから。
P「お疲れ様」
いつもみたいに優しい声でミキのこと
P「星井さん」
……名前で呼んでくれないの。
P「んっ……星井さん?」
星井さんが急に立ち止まって、話しかけてくる。
どうしたんだろう?
もしかして、疲れて眠いからおぶってとでも言うのだろうか?
星井さんならいいかねない。
美希「プロデューサーさん、どうしてプロデューサーさんはミキのことを星井さんって呼ぶの?」
なんで、そんな当たり前のことを聞くんだ?
それが星井さんの言葉を聞いた直後に思ったことだ。
だって、そうだろ。
星井さんは、星井さんなんだから星井さんって呼ぶのは当たり前じゃないか。
違うの……
P「だから、星井さんって呼ぶのが当たり前じゃないか」
そうじゃないの、プロデューサーさん……
ミキが聞きたいのは、そういうことじゃないの。
P「ほら早く事務所に帰ろうよ、星」
美希「違う!」
P「……!?」
美希「違う、違うよ! そうじゃないの!」
美希「どうして、プロデューサーさんはミキのこと、『美希』ってちゃんと名前で呼んでくれないの!?」
美希「星井さんなんて……何か変だよ」
それが星井美希をさす呼び方なんだから、何も問題はないと思うんだけど……
P「呼び方なんて、こだわる必要ないんじゃないかな」
お互いが、お互いのことをわかることができれば
美希「……」
美希「プロデューサーさんのバカッ!」
P「えっ、あっ……待ってくれ、星井さん!」
あっという間に星井さんは駆けていく。
慌てて俺も追う。
だって、そっちは……
ひどいよ……プロデューサーさん。
ミキは、プロデューサーさんに美希って呼んでほしいの。
呼び方一つでもミキにとっては大事なんだよ。
美希って呼んでくれるだけで、それはミキの特別になるんだよ。
それなのに、どうしてわかってくれないの?
プロデューサーさんのバカッ!
胸が苦しくて、居てもたってもいられなくてそこから逃げ出した。
後ろからプロデューサーさんが追いかけてきているけど、走り続けた。
そしたら急に、パッとスポットライトみたいにミキの体に光があたったの。
気になって、その光の来る方向を見てみたら、
大きな音を立てて、車が走ってきたの……
星井さんって、足が速いんだね。
追いかけるだけで精いっぱいだ。
俺、実は足の速さは少しだけ自信あったんだよ。
伊達に毎日、営業で駆けずり回ったわけじゃないからさ。
俺は、君を失いたくない。
俺はどうなっても構わないから、
あの時と一緒で、また君を守ってみせるよ。
だから、頼む……間に合ってくれ!
P「美希――っ!」
だって、いまミキは車に轢かれそうになって……
あれ、車止まってる。ブレーキが間に合ったのかな?
でも、もしそうなら、どうしてミキは歩道にいるの?
「おいっ! しっかりしてくれよ!」
何処かから声が聞こえるの。
あれ、この声知ってる。
いつもミキのことを呼んでくれる、優しい声。
スーツに、ネクタイ、それに、
「美希! 美希! しっかりしてくれよ、美希!?」
その顔と……『美希』っていう呼び方。
P「いつまでも寝ぼけてないで、起きてくれ美希!」
プロデューサーさん……
美希「うん、平気だよ。プロデューサーさんは?」
P「俺も、平気だよ……ギリギリ間に合ったみたいだ」
美希「そうなんだ。ミキ、またプロデューサーさんに助けてもらったんだね」
P「美希……」
プロデューサーさんが、マジメな顔してる。
あっ、きっとミキ怒られるの。
2回目だから、叩かれるくらいされちゃうかも。
でも、それくらいなら我慢するの。だって、プロデューサーに怪我がなかったんだもん。
ミキ的には、それで十分すぎるの。
ギュッと目を閉じて、頬に来る痛みを待ち構える。
でも、いつまでたってもプロデューサーさんははたいてこなかった。
プロデューサーさんは、何も言わずにミキを抱きしめてきたの。
P「よかった。美希が無事でよかった……」
P「美希……俺の大切なアイドル」
プロデューサー、ブルブルって震えている。
泣いているの?
P「美希が、俺の前から消えてしまうって感じた時、すごく怖くなった」
うん……それ、わかるよ。
ミキもプロデューサーさんの中から、消えちゃうって考えた時とっても怖かったから。
P「同じ時間も、喜びも悲しみも分かち合ったもう一人の俺」
ミキが、もう一人のプロデューサーさん?
そっか、そういう考え方もあるよね。
P「どうした、美希」
腕の中にいる美希が顔をあげる。
美希「ミキは、もう一人のプロデューサーさんなんだよね」
P「あぁ……そうだよ」
美希「じゃあ、プロデューサーさんはもう一人のミキなんだね」
P「そうだな……そういう考えもあるな。」
男の俺が、もう一人の美希と言われても気持ち悪い気もするが案外悪くない。
美希にそう思われるほどに、俺は美希との記憶を、思い出のかけらを共有できたということだろう。
プロデューサーとして、こんなに誇らしいことはない。
美希「じゃあ、ミキとプロデューサーさんは一緒ってこと?」
P「そうなるな。お互いに……なくてはならない存在だ」
俺自身、もう美希のいない生活を想像できないくらいだ。
美希「ミキとプロデューサーさん、二人で一人なんだね」
P「いや、消えてないよ。だから、ついさっきまでの記憶まで全部あるよ」
P「『俺』が色々と迷惑かけたな」
美希「ううん……楽しかったよ」
P「それは本当かい、星井さん?」
美希「う~ん、やっぱり美希ってよんでくれた方が好きかな」
P「そっか……そう言ってもらえると嬉しいよ」
美希「嬉しいだけ? 他にはなにもしてくれないの?」
P「えっ?」
美希「ミキとプロデューサーさんは、二人で一人なの。もう絶対に離れられないの!」
P「うわっ、美希!? そんな抱きしめるなよ」
美希「えへへ~、プロデューサーさんが最初にやってきたの!」
P「どうしてだよ。もう俺の記憶は戻っただろ、今更するなんて」
美希「ううん、今までしたのは昔の思い出のかけら集め。それで、これからは将来の思い出のかけら集めなの」
P「言っている意味がわからないんだが……」
美希「わからないの? 要するに、これからいっぱい思い出をつくろうねってことなの!」
P「なるほどな……」
美希「ダメかな?」
P「いや、最高にいい考えだ。ぜひ、付き合わせてくれないか」
美希「うん、わかったの。それじゃあ、プロデューサーさん、行動開始なの!」
P「おいおい、まずは社長の所に行って今日の報告をだな」
美希「そんなのより、二人の時間の方がずっと大切なの! ほら、プロデューサーさん早くはやく!」
P「おっと、手を引っ張るなよ……」
美希「さぁ、プロデューサーさん! 二人の思い出のかけらを集めに行こうなの!」
fin
お疲れ様
Entry ⇒ 2012.09.08 | Category ⇒ アイマスSS | Comments (0) | Trackbacks (0)
雪歩「響ちゃん、ケータイ鳴ってるよ?」響「お。美希から電話だぞ」
雪歩「美希ちゃん? どうしたの?」
響「うん、なんか美希こっち来るって」
雪歩「え!?」
響「もう少ししたら着くっていってたから、あのお店で待ってようよ!」
雪歩「う、うん。たしかにこの遊園地でのロケは終わったけど……」
響「美希はこの近くで撮影してたんだって。なんかここに来たかったらしい」
雪歩「美希ちゃん元気だなぁ……」
雪歩「ううん。大丈夫だよ。響ちゃんは、……だいじょうぶそうだね」
響「平気だぞ! 自分、完璧だからなー」
雪歩「ふふっ、響ちゃんはすごいなぁ」
響「あ! 自分これにするぞ! 雪歩は?」
雪歩「う、うん。これにしようかなって」
響「あぁーそれも良いなぁ」
雪歩「それじゃ、半分っこしよっか!」
響「うん! ありがとうだぞ、雪歩!」
響「外にしようよ! 美希が来たときもすぐわかるだろうし」
雪歩「そうだね。それじゃ、っと……」ガタ
響「おぉーっ、遊園地に来てるって感じだぞ!」
雪歩「響ちゃん、私たちここに来たの朝だよ、いまさらだよ……」
響「仕事が終わったのはさっきじゃないか。自分、ちゃんと仕事のときは仕事のこと考えてるって!」
雪歩「そ、そうだね!」
響「それにしてもこのクレープ美味しいぞ!」
響「ほら、雪歩。食べてみてよ!」
雪歩「ありがとう、響ちゃん」パクッ
雪歩「わぁっクリームたっぷりで美味しいね!」
響「ふふん、そうだろそうだろ~?」
雪歩「ど、どうして響ちゃんが得意げなのかな……?」
響「………」ジーッ
雪歩「あっ、響ちゃんも一口どうぞ!」
響「わぁいっ!」パァッ
雪歩「ひゃあっ!」
響「あ、ごめん雪歩、脅かしちゃって」スッ
雪歩「だ、だいじょうぶだよ、響ちゃん」
雪歩「あ、それじゃ、交換しよっか」
響「うん!」
雪歩「はぁー幸せですぅ」ポワー
響「ほんのりとした苦味がたまんないぞぉー」ポワー
雪歩「響ちゃんといっしょに遊べて楽しかったよ!」
響「お化け屋敷の雪歩はかぁわいかったぞぉー!」
雪歩「や、やめてよぅ! そ、それに、響ちゃんも怖がってたじゃないっ」
響「こここここ怖がってなんかないぞ? 自分完璧だから、怖いものなんてないさー!」
雪歩「じゃあ、もいっかい行く?」
響「勘弁してほしいぞ……」
雪歩「ふふっ♪」
雪歩「わ、私は怖かったよぅ」
響「えへへ、雪歩、ジェットコースターもっかい乗りに行かないか?」
雪歩「い、いじわるだよぅ響ちゃん……」
ハヤイヨーーー!!! ギャオオオオオオン!
響「ほーら、すっごく楽しそうな声が聞こえてくるぞ!」
雪歩「あれは悲鳴だよぅ……!」
雪歩「うん! 私もまたプリン食べたくなってきたよ」
響「はい!」
雪歩「ありがとう。はい、どうぞ」
響「あーん!」
美希「ぱくっ! なの!」
響「え」
雪歩「あ、美希ちゃん!」
響「あ、あぁっ、美希ッ! 自分のクレープだぞそれ!」ガタッ
美希「響、ごちそうさまなの」ペコリ
響「うぎゃーっ! 美希にクレープ食べられちゃったぞー!」
雪歩「ひ、響ちゃん落ち着いて。ほら、抹茶プリンあげるからっ」
美希「うん、響はいいチョイスをしたの!」ペロッ
美希「ごほーびに苺ババロアを一口あげるの」スッ
響「うがああっ!」バクッ
雪歩「み、美希ちゃんも落ち着いて! プリン食べる?」
美希「ひどすぎるの! いくらなんでもやりすぎだって思うな!」
響「ふぁはーふぃおふぁおっ!」モグモグ
美希「なにいってるかわからないの!」
響「ごくんっ! ざまーみろだぞ!」
雪歩「そ、そんなこといっちゃダメだよぅ響ちゃんっ」
美希「響ぃーっ! 苺ババロアの恨みは怖いよ!」
響「美希だってクレープ食べたじゃないか!」
美希「ぜぇったい許さないって決めたの!」
響「こっちだって許さないぞ!」
美希「ぜんぶ食べるなんてやりすぎなの!」
響「こっちだって最後の一口だったんだ!」
美希「うぅぅーっ!」
響「ぐるるるるるっ!」
雪歩「こ、こらあああっ!」
――
―
響「ご、ごめんだぞ、雪歩……」
美希「ミキが悪かったの……機嫌なおしてほしいな」
雪歩「ケンカしちゃう二人なんて知らないもん!」プイッ
響「あう……」チラッ
美希「うぅ……」コクッ
雪歩「………」
美希「そ、そうでしょ? クレープも美味しかったの!」
響「じ、自分、苺ババロアにはまりそうだ!」
美希「そ、それはいいの! おすすめなの!」
美希「二人で仲良く食べるってステキなことだって思うな!」
響「そ、そうだよなー自分たち仲いいもんなー!」
雪歩「………」
美希「あは、あはは」
響「あはははは」
響美希「ほっ」
雪歩「あ、ふたりとも、抹茶プリン、どうかな?」
美希「欲しいの! すっごく美味しそうだね!」
響「じ、自分ももう一口だけ」
美希「それじゃあ響に先にあげるね。はい、あーん」
響「あーん」パクッ
美希「いただきますなの!」パクッ
響「うはぁーやっぱり美味しいぞぉー」
美希「本当なの、これはミキ的にかなりヤバいの!」
響「え? なにか食べなくていいのか?」
雪歩「美希ちゃん、お腹すいてないの?」
美希「来る途中でおにぎり食べたからへっちゃらなの!」ピョンピョン
響「よおーっし! それじゃまずはあのジェットコースターだ!」
グルグルダヨーーー!!! エリチャンシッカリシテー!
美希「うん! ミキもさっきから気になってたの!」
雪歩「ふえっ!? またあれに乗るの!?」ビクゥッ
美希「二人はもう乗ったの?」
雪歩「う、うん、収録中に」
響「たぁのしいっぞー! で、ぱっと横を見ると雪歩が目を見開いてかたまってるんさー! もう可笑しくって」
美希「あはっ☆ 雪歩は精進モノなの!」
雪歩「それをいうなら小心者だよ……」
響「修行僧みたいになってるぞ」
美希「こまかいことにこだわっちゃイヤン♪」
響「ごめん、地下鉄の路線図しかないぞ……」
雪歩「あ、あるよ美希ちゃん。っていうか、響ちゃんはどうしてそんなの持ってるの……?」
響「自分、電車の中でも地下鉄は苦手なんだ……」
美希「ありがとうなの雪歩! ミキも地下鉄は景色が見れないからあんまり楽しくないなっ」
雪歩「地上の線路から地下にもぐっていくときがたまらないですぅ」
響「ご、ごめん、よくわからないぞ……」
響「あと自分、地下鉄の駅のつながりもよくわからないさー」
美希「それはあるよねー。改札がすっごい離れてたりするの」
美希「ミキ的には空が見えたほうがいいって思うな!」
響「あと風が強いよね。髪がぐっしゃぐしゃになっちゃうぞ」
雪歩「あれは困るよね。私、帽子が飛んじゃったことあるよ」
美希「ミキはスカートがばさーってなっちゃったことがあるの。あは」
響「いや、笑ってる場合じゃないぞ美希!?」
雪歩「わ、私も気をつけないと……!」
美希「雪歩のスカート、とっても似合ってるって思うな!」
響「自分はあんまりスカートはかないから安心だぞ……」
雪歩「ふひぃ! た、高いですぅ!」
美希「あはっ☆ 雪歩ってば、これからもっと高いところまで上がるんだよ?」
響「やよいなら泣き出しちゃうかもなー」
響「美希、バッグこっちに置いとくよ」
美希「ありがとうなの!」
響「よし、乗ろう!」
美希「ほら雪歩。まんなかなら怖くないでしょ?」ストッ
雪歩「う、うん……」ストッ
雪歩「ふひぃ」
どうしてこうも差が出るのか
慢心、環境の違い
美希「後ろのほうが怖いって聞いたよ?」
響「あーらしいなー」ストッ
雪歩「え!? そっそうなの!?」
ガチャン
雪歩「ひゃわぁっ、だ、出してぇっ!」ジタバタ
響「わぁっ雪歩落ち着いて!」
美希「れっつごーなの♪」
――
―
美希「はーっ楽しかったの!」
響「雪歩ーだいじょぶかー?」
雪歩「」
美希「雪歩、途中から気絶してたの」
響「自分はがっちり腕を掴まれてたぞ……」
雪歩「」
響「ちょっとベンチで一休みするさー」
美希「りょうかいなの!」
響「にふぇーでーびる、美希」
美希「どういたしまして、なの。雪歩は?」
雪歩「う……はう……?」
響「おっ気がついたぞ」
美希「雪歩ーっ?」
雪歩「? あ、あれ……? ジェットコースターは?」キョロキョロ
響「えへへっ、もう終わったぞ」
美希「はい雪歩。これでも飲んで元気出すの」
雪歩「!? げほっ! けほっけほっ」
響「雪歩!?」
雪歩「美希ちゃんこれ炭酸強すぎだよぉ~っ」ウルウル
美希「あ……ごめんなさいなの」
響「ほら、雪歩。自分のと交換しよっ」
美希「ミキのもあげるよ!」
雪歩「美希ちゃんのもっと強そうだよ!?」
美希「そ、そうかも……」
雪歩「うんっ。次の乗り物にいこう?」
響「よーし! じゃあ次はあれに乗るさー!」ビシッ
美希「い、いや響、あれは」
雪歩「さ、さっきよりも高いですぅ!」
響「ロケじゃ乗れなかったけど、あの高いところから景色を見るアトラクションなんだろ?」ワクワク
雪歩「違うよぅ! あれは、あれはもっと恐ろしいものなんだよ……!」
響「え? ほらほら、登っていくぞ! うわーすごいなー!」キラキラ
美希「すりーつーわーん」
ゴッ
美希「あれは高いところから落ちるのを楽しむアトラクションなの」
雪歩「や、やっぱり怖いですぅ!」ガタガタ
美希「乗る? 響」
響「い、いやだぞ……」
響「なんだあれ、おかしいでしょ、落ちるって、落ちるって……」ボソボソ
美希「なんだか響がおかしくなっちゃったの」
雪歩「あれはやめようよ美希ちゃん」
雪歩「真剣な顔して何言ってるの!?」
響「そうだぞ! って、"たち"……?」
美希「雪歩! ここは美希と響に任せろなの!」ガシッ
響「ええぇぇぇぇっ!?」
雪歩「響ちゃん……」
響「雪歩っ! そんな哀しい顔しないでよ!?」
美希「ミキ、この戦争が終わったらハニーと結婚するの……」テクテク
響「いーやーだぁーっ!」ズルズル
響「うわあぁぁぁん! あんまー! にぃにー! 助けてー!」
美希「響ちょっとうるさいの」
響「素に戻ってる!?」
雪歩「響ちゃん……がんばってね!」キュッ
響「がんばりようがないぞ雪歩!」
ガコンッ
美希「あ、動いたの」
響「ひぃぃっ」
響「ま、まだなのか!? まだ上がるのか!?」
美希「響、目を閉じてちゃ景色が見れないよ? ほらすっごい遠くまで見えるの!」ブンブン
響「わぁぁっ美希、揺らさないでッ!」
響「って目を開けちゃったぞ! ――は」
響「すごい……街がぜんぶ見えるさー……」
美希「♪」
ガクン
響「!?」
カコンカコンカコン…
響「こ、壊れたかと思ったさ……」ドキドキ
美希「響、雪歩が手を振ってるよ」フリフリ
響「そうなのか? ってわひゃああぁぁ高いぃぃぃ怖いぃぃぃぃ!」
美希「あはっ☆」
響「み、美希! だましたな!」
美希「雪歩が手を振ってたのはウソじゃないの」シレッ
響「むあああああああっ!」
響「ま、また止まったぞ」
美希「ここが一番上なの」
美希「ねぇねぇ響! 事務所ってあっちのほうかなぁ?」
響「え? いやいや、こっちでしょ」
美希「そっか! あはっ☆ 見て見て響っ! 今ならなーんにでも手が届きそうなの!」バッ
響「おおっホントだぞ! すごいすごい!」パッ
ゴッ
響「うぎゃあああああああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ――――」
雪歩「ひ、響ちゃん、だいじょうぶ……?」
響「」
美希「響も100%楽しんだって思うな!」
響「」
雪歩「言い返す気力もなさそうだよ……」
美希「それじゃ響、もっかい乗ろっ? 次は空を見上げて落ちるの! そしたらねぇ、」
響「――もう乗らないぞっ!」
美希「生き返ったの」
雪歩「死んでないよ!?」
――
―
美希「次はこれなの!」
雪歩「これは……ゴーカート?」
響「ようし、勝負だ! 美希、雪歩!」
…
響「ボロ負けしたぞ……」
美希「ハンドルを握った雪歩、怖かったの……」
雪歩「ご、ごめんね! なんだかよくわからないうちに……」
フネユラユラ
美希「ミキ、これはちょっと遠慮したいの」
雪歩「美希ちゃんも怖がるほどなの……?」
響「えへへ! 情けないぞ、美希! こんなのたいしたことないって!」
…
美希「ミキ、さかさまはあんまり好きじゃないな」
雪歩「う、わぁ……」
―――「うぎゃあーっこんなの聞いてないぞおぉっ!」
響「あー空中ブランコなー」
美希「これミキのスカートだとパンツみえちゃうかもなの」
美希「でも乗るの」
響「乗るの!?」
雪歩「美希ちゃん、もうちょっと恥ずかしがろうよぅ」
…
美希「雪歩の言うとおり、キモチよかったの!」
響「完璧なガードだったぞ……」
雪歩「!」
美希「……?」
響「どうしたんだ? ふたりとも」
美希「真クンの匂いがするの……」クンクン
雪歩「真ちゃんの痕跡がありますぅ」ナデナデ
響「え……?」
雪歩「びっくりミラーハウス……?」
美希「あはっ☆ なんだか楽しそうなの! 入ってみるの!」
…
響「みきぃ~っ! ゆきほぉ~っ! どーこーだー!?」
雪歩「響ちゃあんっ! こっちだよ、あいたっ」
美希「うん、今日もどの角度からもイケてるって思うな」クルリ
響「うぎゃーっ外に出られなくなっちゃったぞー!」
響「こ、ここは……」
美希「? どうしたの? 早く行こうよ!」
雪歩「こ、ここはだめだよ美希ちゃん! 冗談にならないよ!」
響「ミイラに4000年の呪いとかかけられちゃうんだぞ!」
美希「……ただのお化け屋敷だよ?」
響「いやいやいやいや、危険すぎる。ほんとほんと」
雪歩「次! 次いこっ? ね?」
美希「ぶぅーっ……」
響「え?」
雪歩「美希ちゃん?」
美希「響ってば、ぜーんぜん完璧じゃないね! だってお化け屋敷が怖いんでしょ!?」
響「………」
美希「お化け屋敷を怖がって完璧とか、ジョーダンきついの! あはっ☆」
雪歩「み、美希ちゃん」
響「……わかったぞ。お化け屋敷に入ってやる! 自分、完璧だからな!」バッ
美希(響、マーティみたいなの)
雪歩「ひ、響ちゃん……っ」
響「これ、預かっててくれ」スッ
雪歩「う、うん」
響「自分、必ず生きて帰ってくるからな。そしたら一緒に観覧車に行こう」
雪歩「う、うん?」
響「さぁ行くぞ美希!」
美希「いってらっしゃいなの!」
響「えっ」
美希「えぇーっ、ミキべつにお化け屋敷好きじゃないの」
雪歩「あんなに入りたそうだったのに!?」
美希「あれは響と雪歩が面白そうだったからなの」
雪歩「えぇぇっ!」
美希「おっと、口が滑っちまった、なの♪」
響「なんだよそれぇ!」
美希「……完璧」ボソッ
響「行くぞ! 美希、雪歩!」
美希「めーんどくさいのー」ズルズル
響「さぁ、自分の完璧っぷりを見せてやるさー!」
…
―――「うっぎゃあああああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁ!」
…
美希「こ、これは、予想以上だったの……」
雪歩「二回目なのに心臓が止まるかと思いましたぁ」
響「」
雪歩「わぁーきれい……」
響「右も左も全部見えるぞ!」
美希「さっきもよく見えたよ?」
響「思い出させないで欲しいぞ……」
雪歩「えっと、あ、ほ、ほら、響ちゃん! あそこ、この前ライブした場所じゃないかな?」
響「おぉっ! あんなに広かったのに、ちっちゃく見えるなー! あははっ」
美希「またあんな風にきらきらしたいの」
雪歩「できるよ!」
美希「うんっ! そうだよね! きっとまた、ハニーがきらきらさせてくれるって思うな!」
響「そうだね! がんばろっ!」
雪歩「ふふっ、おーっ!」
…
美希「はーっ満喫したのーっ」ノビー
響「お腹すかないか? なにか食べていこうよ!」
雪歩「う、うん! ちょっとおうちに連絡してくるね」
美希「ミキんちはだいじょーぶだよ♪ 響こそ、ハム蔵とか平気なの?」
響「みんな賢いからな! ごはん置いてきたし」
美希「そうなの」
雪歩「お待たせぇ」
美希「よーし、それじゃいっくのー!」ダッ
響「お腹すいたぞー!」タタッ
雪歩「あぁっ待ってー!」
――
―
響「それじゃ、撮影を早く終わらせて、ここに来たのか? あ、これ美味しい」
美希「そうなの! ミキ、ここに来てみたかったんだぁ。響、ちょっとちょうだい」
雪歩「どうして来てみたかったの?」
美希「ハニーとのデートの下見なの! 雪歩にもこれあげるの」
雪歩「ありがとう美希ちゃん」
響「美希は相変わらずプロデューサーばっかだなぁ! 雪歩、それ一口欲しいぞ」
雪歩「はい、どうぞ。響ちゃん」
響「あはは、意味わかんないぞ」
美希「響は当然として、雪歩はハニーのこと好きなの?」
雪歩「ごほっ!? げほっ! あうぅ」
響「美希!? 直球すぎるさ! ていうか自分は当然ってどういうこと!?」
美希「言葉のとおりの意味だけど……。これまた美味しいのーっ♪」
雪歩「けほっけほっ。んぐっ、ごくごく……っ」
響「大丈夫か? 雪歩」
雪歩「う、うん」
雪歩「み、美希ちゃん」
美希「はいなの」
雪歩「わ、私はね? プロデューサーのこと、嫌いじゃないよ?」
雪歩「こんなダメダメな私を助けてくれる、だいじょうぶって言ってくれる、すごく……安心するひと」
響「よくわかるぞ」
雪歩「男の人はまだちょっと苦手だけど、プロデューサーはだいじょうぶ」
雪歩「好きとは少し違うかもしれないけど……、一緒にいたいひと。私はそう思ってるよ」
美希「ふむふむなの。響、やっぱりこれはライバル登場なの」
美希「好きとは少し違うとか言ってるけど、これはあきらかに恋なの」コソッ
響「そ、そうなのか。たしかに、一緒にいたいっていうのは自分と同じだもんな」コソッ
美希「やっぱり響もそうなんだね。あはっ☆」コソッ
響「うぎゃああああ!」
雪歩「聞こえてるよ……」
雪歩「でも、ひんそーでひんにゅーでちんちくりんな私なんかじゃ、プロデューサーにつりあわないよ。美希ちゃんならお似合いかもしれないけど」
響「雪歩でちんちくりんなら自分はなんなのか教えて欲しいぞ……」
響「なんくるないさー……。自分、おとなしくパスタ食べてるぞ……」
響「どうせ自分はこのなかで一番背が小さいさー……」
雪歩「だ、だいじょうぶだよ! 胸の大きさなら……はうっ! やっぱり私はダメダメですぅ~っ!」
美希「ミキがハニーとお似合いなのは、たしかにそうだけど」
美希「雪歩だって、つりあわないなんてことないって思うな」
雪歩「え?」
美希「だってミキ、雪歩のすごいところちゃんと知ってるよ?」
美希「優しいし、気配りできるし、あとミュージカルのときの雪歩、すっごくカッコいいの!」
雪歩「響ちゃん」
美希「そうかもなの。だからもっと、自信を持っていいって思うな」
雪歩「美希ちゃん……、ありがとう」
響「えへへっ。美希がお姉さんみたいだな!」
美希「ミキはこのなかで一番若いの!」
雪歩「あ、わ、私がお姉さんだよね! うん! 雪歩おねえちゃんって呼んで!?」
響「雪歩ねぇね?」
美希「どうしたの? 雪歩おねえちゃん」
美希「ミキ、ほんとにお姉ちゃんがいるからヘンなカンジなの」
響「自分はにぃにだなぁー。にぃに、元気にしてるかなぁ……」
美希「じゃ、今度みんなで響の家にいこうなの! 響の大好きなおにーさんも見てみたいし!」
雪歩「それ、すごくいいかも……」
響「なんでそーなるんだ!? っていうか大好きじゃないしにぃにとか!」
美希「そーだよね。響が大好きなのはハニーだもんねー」
響「そっそれも違うからぁ~っ!」
――
―
響「ふわぁーっ遊んだ遊んだーっ!」
雪歩「楽しかったね。今度はみんなと来れたらいいな」
美希「ミキはちょっと眠たくなってきちゃったの。あふぅ」
響「それじゃあ今日はもう解散しよっかー」
雪歩「そうだね。暗くなってきたし、うちのひとたちも心配しちゃうよ」
美希「それがいいの。ベッドがミキを呼んでるのぉ~」
響「それじゃまた明日ね!」
雪歩「うん! 今日はありがとう!」
美希「おやすみなさいなのぉ~」
美希「ハニー!」ガバッ
P「おお、美希か。おはよう」
美希「おはようなの! ねぇねぇハニー、昨日ミキね、雪歩と響と遊園地に行ってきたんだよ?」
P「ほおーそれはいいじゃないか」
美希「それでね、すっごく楽しかったから、ハニーとも行きたいなぁって」
P「あーまぁ時間ができたらなー」
雪歩「ふふっ。美希ちゃん、嬉しそうだね」
響「いつもどおりさー」
響「美希ィっ!?」ガタッ
美希「あれ? あはっ☆ まちがったの。響が大好きなのはおにーちゃんじゃなくてハむごむご」
響「はぁっ、はぁっ、美希、ちょ、ちょっと、静かにしようよ」
P「? 響、どうしたんだ?」
響「い、いやっ!? な、なんでもないぞ!」
美希「むごむぐむーむむー」
響「美希、お願いだからそれはやめてよぉっ!」
雪歩「ふふっ。私は、この、このままで、幸せだよ?」
春香「ん? 雪歩、なにか言った?」
雪歩「ううん! なんでもないっ」ニコッ
おしまい
遅くまでありがとござした
響可愛い
乙
乙
Entry ⇒ 2012.09.08 | Category ⇒ アイマスSS | Comments (0) | Trackbacks (0)
向日葵「櫻子」
向日葵「櫻子、櫻子」ユサユサ
櫻子「むにゃ……? んー、あと5せいきー……」
向日葵「櫻子っ!」ベシッ
櫻子「あだっ!? な、なにごとっ!?」ガバッ
向日葵「櫻子!」
櫻子「なんだよ! ていうか今叩いたの向日葵!?」
向日葵「櫻子?」
櫻子「いや私じゃねーし!? どう考えても向日葵だろ!」
向日葵「櫻子櫻子櫻子ー!」
櫻子「はあ? さっきから私の名前ばっかり……それしか言えないのか!」
向日葵「櫻子っ」コクリ
櫻子「えっ」
向日葵「櫻子、櫻子っ」コクコク
櫻子「……マジで?」
櫻子「えっと……え、いやいやいや、冗談でしょ? ドッキリ?」
向日葵「櫻子っ!」ブンブン
櫻子「……」
向日葵「……」
櫻子「私の名前は?」
向日葵「櫻子」
櫻子「ねーちゃんの名前は?」
向日葵「櫻子」
櫻子「花子の名前は!?」
向日葵「櫻子!」
櫻子「花子の名前は花子だろ、いい加減にしろ!」
向日葵「櫻子ォ!」バキッ
櫻子「おぎゃん!」グハッ
櫻子「おのれ暴れん坊おっぱいめぇ……そうだ!」ピコーン
向日葵「櫻子?」
櫻子「向日葵! お前のライバルの名前を言って見ろ!」
向日葵「櫻子」
櫻子「じゃあ生徒会福会長になるのは私? 向日葵?」
向日葵「櫻子! ……サクラコ!?」ハッ
櫻子「よっしゃー! 勝つのは私で負けるの青学ぅー!」キョホー
向日葵「さ、さくらこ!」
櫻子「ンン~? 櫻子だけじゃ分かりませんなァ~?」
向日葵「さくらこ……!」イラァ
向日葵「櫻子……」イラッ
櫻子「この世で一番頭がいいのは?」
向日葵「……櫻子」イララッ
櫻子「向日葵がお菓子を作るのは誰のため?」
向日葵「っ……さ、櫻子///」
櫻子「よーしよく言った! おなかペコいから早速なんか作ってこい!」
向日葵「櫻子ーッ!」バキィッ
櫻子「ざくれろっ!」グハァッ
櫻子「は、はい……調子のってすんませんでした……」ゲザァ
向日葵「櫻子櫻子櫻子櫻子櫻子櫻子櫻子櫻子櫻子櫻子櫻子櫻子櫻子」クドクドクドクド
櫻子「うぎゃー! なんか説教してるんだろうけど全部私の名前で気持ち悪い!!」
向日葵「櫻子!」シャー
櫻子「なんだよ! 文句があるなら分かる言葉で喋れよな!」ウガー
向日葵「さッ……く、らこ」
櫻子「あん!?」
向日葵「……さくらこ……」
向日葵「さくらこ」コクリ
櫻子「原因は分からないの?」
向日葵「……さくらこ」コクリ
櫻子「ふーん……」
向日葵「さくらこ……」ジッ
櫻子「ぅぐ……あーもう、そんな目で見んなよ!」ガタッ
向日葵「さくらこ?」
櫻子「こんなの、名探てい櫻子様が33分で解決してやるから! 向日葵はバカみたいに櫻子櫻子言ってればいいの!!」
向日葵「さくらこっ……」パァァ
櫻子「って誰がバカだ!!!」
向日葵「櫻子」
櫻子「んあーいま行くー! ほら向日葵も!」ダッ
向日葵「さ、櫻子!」ダッ
~ダイニング~
向日葵「櫻子」
櫻子「ん、いっただきまーす」パクパク
向日葵「櫻子?」
櫻子「はいはい、ちゃんと噛んで食べるってば……っと」
向日葵「櫻子!」
櫻子「箸で皿を引き寄せるなって? 遠かったんだから仕方ないだろ!」
向日葵「櫻子……!」
櫻子「あーもう分かったったら。ほら、牛乳注いでよ」
向日葵「櫻子、櫻子」
櫻子「んぐんぐ……ん? むぉっもうこんな時間! ねーちゃん花子いってきまーす!」ダダッ
向日葵「櫻子っ」ペコッ「櫻子ー!」ダッ
花子「……」
撫子「……花子」
花子「……なに、撫子お姉ちゃん」
撫子「ひま子がなんて言ってたか……分かった?」
花子「分かるわけないし……花子は櫻子語なんて習ってないし……」
撫子「だよねぇ……なんだったんだ今の」
櫻子「あれ? 向日葵なにそのマスク」
向日葵「ざぐらごっ」ゴホゴホ
櫻子「なになに……カゼひいたことにして? なるべく喋らないようにする?」
向日葵「櫻子」コクリ
櫻子「ふむふむ……でもさ、喋らなさすぎるのも逆に変じゃない?」
向日葵「櫻子?」
櫻子「私の名前と、せめてもう一言ぐらい喋れないの?」
向日葵「さく……らこ……?」
向日葵「さくらこ……さ、さく……」プルプル
櫻子「……」ジー
向日葵「さ……」
櫻子「……」ジーー
向日葵「く……」
櫻子「……」ジーーー
向日葵「ら……」
櫻子「……」ジーーーー
向日葵「こ……」
櫻子「……」ジーーーーー
向日葵「!」クワッ
櫻子「!」ガタッ
向日葵「こらっ櫻子!!」
櫻子「結局私かよ!?」
櫻子「え、でも名前以外も言えたじゃん。なんで?」
向日葵「……さくらこ?」ハテー
櫻子「わかんないのかよ!」
向日葵「こらっ!」
櫻子「偉そうに怒ってんじゃねー!」
向日葵「こざら」
櫻子「小皿!? いきなりボ、ボキャ、ボケラブリー増えすぎだろ!」
向日葵「櫻子ら」
櫻子「私一人だっての! あーもうわけわかんなーい!」
ギャーギャーギャー...
櫻子「おっはよー!」
向日葵「」ペコリ
あかり「あ、櫻子ちゃん向日葵ちゃん。おはよ~」
ちなつ「あれ? 向日葵ちゃん、そのマスク……?」
向日葵「」ギクリ
あかり「本当だぁ、どうしたの? カゼ?」
櫻子「そ、そうなんだー! 向日葵のやつ、昨夜おっぱいまるだしで寝てたみたいでさー!」
向日葵「櫻子ッ!!」スパァン!
櫻子「いぬまるっ!」ブベラッ
あかり「櫻子ちゃん!?」
ちなつ「……カゼひいてる割には元気そうだけど」ジトー
向日葵「」ゴホッゴホッ
ちなつ「<○><○>」ジトー
櫻子「」チーン
櫻子「」ヌボー
先生「では、オビで顔が隠れてしまった時の主人公の気持ちを……えー、赤座さん。答えてください」
あかり「はいっ。えっと、この時のあか主人公さんは……」
櫻子「……」チラッ
向日葵「」モクモク
櫻子「(こんな時まで真面目に勉強してる……)」
櫻子「(そりゃ授業中は誰とも話さなくていいからラクだろーけどさ)」
櫻子「(自分が大変なことになってるのに)」
櫻子「(そんなんじゃ、心配してる私がバカみたいじゃん)」
櫻子「(って誰がバカだ!?)」ガタタッ
向日葵「」ビクッ
櫻子「っはい!?」ビクッ
先生「一人で騒がしいですよ? さあ、今の問題に答えてみてください」
櫻子「えっ……ひ、向日葵。ぜんぜん聞いてなかった、何ページ?」コソッ
向日葵「さくらこ」コソッ
櫻子「わかるか!!」
先生「大室さん! なんですかその言葉遣いは!」
櫻子「ごめんなさい!?」
先生「まったく……『マッドサイエンティストな理科教師の怪しげな薬を飲んだ時に女の子が考えていたことは?』代わりに……古谷さん、答えてください」
向日葵「さ、櫻子!!」ガタッ
先生「!?」
櫻子「!!?」
向日葵「!?!?!?」
ざわ...
あかり「ひ、向日葵ちゃん……?」
ちなつ「なんで櫻子ちゃんの名前を……」
向日葵「ココココココココココココココココココココココココココココ」アワワワワ
櫻子「(いかん、向日葵のやつすっげーテンパってる! ここは私が!!)」
櫻子「せんせー!」シュバッ
先生「は、はいッ? なんですか大室さん……」
櫻子「ひま、ふ、古谷さんは寝ぼけてるんです! 私のことを夢で見ただけなんです!!」
向日葵「櫻子!!?///」
ざわ...
生徒A「ねーちょっと今の聞いたー?」
生徒B「聞いた聞いた」
生徒C「夢の中でも一所なんだね~」
生徒D「どんだけ仲いいのってカンジ」
生徒E「いっそ結婚しちゃえばいいのに」
生徒N「もう、してた。」
向日葵「さ……さ……///」
櫻子「向日葵」ポムッ
向日葵「!」
櫻子「礼はクッキーでいいから!」グッ
向日葵「櫻子ーーーーーッ!!!」ゲシィッ
櫻子「何故ダファボッ!?」メコッッッ
「「櫻子ってしか言えなくなった!?」」
向日葵「さ、櫻子……」
櫻子「そーなんだよー。朝からそれで大変でさー」ヤレヤレ
あかり「だ、大丈夫なのっ? なにかの病気だったり?」
ちなつ「いやいやあかりちゃん、そんな病気ないって……」
あかり「でもぉ……」
ちなつ「んー、にしてもいまいちウソっぽいなー」
向日葵「櫻子!?」ガーン
櫻子「ちなつちゃんひでえ!」ガーン
ちなつ「だって現実味なさすぎだし……あ、じゃあ向日葵ちゃん」
向日葵「櫻子?」
ちなつ「私からいくつか質問してみていい?」ニヤリ
向日葵「……さ、さくらこ」コクリ
櫻子「(嫌な予感がしますわーって顔だ……)」
向日葵「櫻子! ……ッ!?///」
櫻子「な!?///」
ちなつ「ふふふ、第二問!」
櫻子「ち、ちなつちゃんちょっち待っ」
ちなつ「向日葵ちゃんの好みのタイプは?」
向日葵「櫻子!!///」
櫻子「うぎゃーーーーーーーーーー」グネグネ
あかり「さ、櫻子ちゃん!? そんなぐねぐねしてどうしたの!?」
櫻子「わかんない! わかんないけど、なんか……なんか……」
ちなつ「第三問、向日葵ちゃんがお嫁さんにしたいのは!」
向日葵「櫻子!!!///」
櫻子「にょわーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー」グネングネン
あかり「櫻子ちゃーん!!」
向日葵「」チーン
櫻子「」ゴーン
ちなつ「いやー楽しいわー」ホクホク
あかり「あわわ……向日葵ちゃんと櫻子ちゃんが生ける屍に……」
ちなつ「そうだ、あかりちゃんも何か質問してみたら?」
あかり「んん!? あかりにトドメを刺せと!?」
ちなつ「そんなこと言ってないってば。ほんとになんでも同じ答えで面白いよ?」
あかり「で、でも……ちなつちゃんが50問近く質問したからもう何も訊くことがないよぉ」
ちなつ「なんかあるでしょー? なんでもいいから」
あかり「え~……うん、じゃあ……」
トテトテ
あかり「ひ、向日葵ちゃんっ」
向日葵「さくらこ……」
向日葵「櫻子」
向日葵「櫻子!!?!?!?!!!??!?!???!!?!!?!」
あかり「」ビクッ
ちなつ「あ、あかりちゃんっ! なんてこと聞いてるの!///」
あかり「え、えっ!? あかり、普通に昨日の晩ご飯について質問しただけだよねぇ!? ねえ櫻子ちゃん!?」
櫻子「うん……向日葵、なに赤くなってんの? 昨夜そんなに恥ずかしいもの食べたの?」キョトン
向日葵「~~~ッ……こらっ櫻子!/// こらっ!///」ポカポカ
櫻子「あたっ、いたた!? なんだよ向日葵なんで叩くの! 痛いってば!」
向日葵「っ……さ、さくらこぉ~~~」ダキッ
櫻子「うわぁっ!?///」ドキッ
向日葵「櫻子……櫻子……」メソメソ
櫻子「な、ちょ、ぁ……も、もー! なに泣いてんだよ泣き虫! 早く泣き止みなって!」ポムポム
向日葵「さくらこ……」グスン
櫻子「(な、なんだろ……泣きながら名前呼ばれると、なんか……)」ゾクゾク
ちなつ「謝りなさい! あかりちゃん、向日葵ちゃんに謝りなさい!」
あかり「ごめんなさい! よくわかんないけどごめんなさい!」ヒーン
櫻子「おわったー!」ノビー
向日葵「さくらこー……」グデン
櫻子「おおっ、流石の向日葵もヘトヘトだ」
向日葵「櫻子……」
櫻子「うんうん、いろいろ大変だったもんねー」
向日葵「さくさく櫻子」ミブリテブリ
櫻子「そっか生徒会か……どうする、向日葵だけでも帰る?」
向日葵「櫻子っ」ブンブン
櫻子「えー、別についてこなくていいのに……まあいいや、じゃあ行こ」
向日葵「櫻子」コクリ
テクテクテク...
「ちょっと待てーい!!」
「「!!」」
櫻子「普通に歩いてきた!!」ガーン
結衣「大室さん、古谷さん、こんにちは」
櫻子「船見先輩、歳納京子ーッ!先輩、こんちは!」
向日葵「」ペコリ
結衣「あ、古谷さんのことはあかりから聞いてるよ」
櫻子「そうなんですか?」
結衣「うん。なんか大変みたいだね」
櫻子「そうなんですよ!」
京子「どうしても櫻子としか喋れない、かぁ……」ジロリ
向日葵「」ビクッ
櫻子「(あっまた嫌な予感がシテマスワー)」
向日葵「」ゴクリ
京子「徳川幕府による渡航や貿易などを禁止する政策は?」
向日葵「さこく」
京子「お腹に乗せた貝を石で割って食べる生き物は?」
向日葵「ラッコ」
京子「結衣の口癖、オイ?」
向日葵「コラ」
結衣「オイコラ」
向日葵「ゴザ」
京子「生贄。英語で何リファイス?」
向日葵「サク」
京子「○○かわめぐみ」
向日葵「ザコ」
京子「……」
結衣「……」
櫻子「……」
向日葵「……」
京子「喋れるじゃん!」
櫻子「あれっ本当だ!?」
向日葵「……!?」ビックシ
結衣「……ちょっと待った」
結衣「いや、今の答え……っていうか、京子の問題の方か。絶妙に妙な偏りがあったような……」ウーン
向日葵「?」キョトン
櫻子「肩凝り……?」
結衣「……あっ! 分かった!」
京子「では結衣にゃん、張り切って正解をどうぞ!」
結衣「お前『さ』と『く』と『ら』と『こ』しか使わせてないじゃねーか!」チョップ
京子「ぎゃぼー!」ヘブッ
櫻子「え? あっほんとだ!」
向日葵「さくらこー……」ビックシ
結衣「まったく、無駄に手の込んだボケを……ごめんね二人とも、引き止めちゃったかな」
向日葵「櫻子っ」フルフル
櫻子「お気になさらずーって言ってるっぽいです!」
結衣「あはは。じゃあ私達は部活に行くから、また」スタスタ
京子「あ、待ってよ結衣~。おっぱいちゃんちっぱいちゃん、またねー」トテトテ
向日葵「さー」
櫻子「くっ、アドリブが上達してる!」
向日葵「櫻子、ごー」ビシィ
櫻子「しかも偉そうだ!」ガーン
向日葵「ごー!」
櫻子「……」
向日葵「ごー?」
櫻子「(……向日葵、いつもより子供っぽくてなんか可愛)」
櫻子「いいいいくない!!!」ブンブンブンブンッ
向日葵「!?」ビクッ
櫻子「い、行くぞ向日葵! 生徒会室にごー!」ズンズン
向日葵「さ、櫻子っ!」タタッ
櫻子「ちわーっす遅くなりましたー!」
向日葵「」ペコリ
綾乃「お疲れ様」
千歳「二人ともおつかれ~」
綾乃「あら? 古谷さん、マスクなんかしてカゼ?」
櫻子「ああ、向日葵のやつ朝から何故か私の名前以外喋れなくなってるんですよー」
綾乃「え?」
櫻子「向日葵のやつ朝から何故か私の名前以外喋れなくなってるんですよ」
綾乃「ごめんなさい、ちょっと意味がよくわからないわ」
櫻子「ひまわりのやつあさからなぜかわたしのなまえいがいしゃべれなくなってるんですよ
綾乃「ヒマワリノヤツアサカラナゼカワタシノナマエイガイシャベレナクナッテルンデスヨー? え?」
櫻子「でーすーかーらー」
千歳「はいはい、ちょお待ってなー」
千歳「綾乃ちゃーん?」フリフリ
綾乃「千歳……」ハッ
千歳「あのな、また歳納さんがプリントの提出忘れてん」
綾乃「歳納京子ーッ!が!?」
千歳「うん。せやから一緒に回収にいこ?」
綾乃「しょ、しょーがないわねっ! 早速出発ポーツマスよ!」ビシッ
千歳「大室さん古谷さん、留守は任せたで~」スタスタ
ガラッ ピシャッ
「「……」」
~で~
櫻子「向日葵ーそっちの書類取ってー」
向日葵「櫻子」ヒョイ
櫻子「さんきゅー」カキカキ
櫻子「(私が仕事で困ったら、YESかNOで助けてくれるけど)」
櫻子「(こうも会話がないと、色んなことを考えちゃう)」
櫻子「(向日葵はいつまでこのままなんだろう、とか)」
櫻子「(もしも、ずっと、このまま私の名前しか呼べなかったら)」
櫻子「(そしたら、仕方ないよね。私が責任を持って下僕の面倒を見)」
ガラッ
綾乃「もぉ、なんで先生まで着いてくるんですか? 会長だけでいいのに……」
千歳「まあまあ綾乃ちゃん~」
西垣「ふふ、愚問だな杉浦。松本の行く所にこの西垣あり。火薬の匂いのする所にこの西垣あり、だ」
綾乃「物騒なこと言わないで下さい!」
りせ「……」
向日葵「櫻子ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーッッッ!!!!!」ガタッッッッッ
櫻子「はいごめんなさいぃ!!?」ビックゥゥゥ
西垣「おお驚いた……なんだ古谷、また大室がなにかやらかしたのか」
千歳「ああ、ちゃうんよ先生。古谷さんは今な――」
向日葵「さ、さ、櫻子! 櫻子、櫻子櫻子!!」ワタワタ
櫻子「え、え? 西垣先生がなんだって!?」
向日葵「櫻子! 櫻子!! 櫻子ーッ!!!」アワアワ
櫻子「落ち着け、全然わからん!」
西垣「――ああ、そういうことか」ポム
綾乃「ちょっ……先生、やけに物分りがよくありません?」
西垣「ん? いやあ、だってなぁ」
綾乃「だって?」
西垣「あの薬がこういう風に作用したのかと、まあそう思ってな」フム
綾乃「………………先生、説明」
西垣「はい」
西垣「やあ古谷、ちょうど出来立てホヤホヤの新薬があるんだが……どうだ、グイッと?」
向日葵「いえ飲みませんけど!?」
西垣「なんだつれないな」
向日葵「あの……そういうのは普段、松本会長が試されてるのでは?」
西垣「そうなんだが……こればっかりは松本じゃ意味がないんだよ」
向日葵「?」
西垣「ところで古谷、大室は真面目に生徒会活動してるか?」
向日葵「とんでもない! 聞いてください西垣先生櫻子ったらいつもいつもいつもいつもサボってこの前だって私と張り合って先輩方に迷惑をかけてまったくあの子ったらまったく」ヤイノヤイノ
西垣「」ニヤリ
~二十三時間前~
向日葵「――ですから……櫻子にはもっと、生徒会役員としての……じか、自覚……を……」ゲホゲホ
西垣「ああ古谷、喋りっぱなしで喉がガラガラじゃないか。ほら、水」
向日葵「あ、ありがとうございますわ……ごく、んくっ……なんか、変な味のお水ですわね?」
西垣「気にするな、気のせいだ」ニヤリ
西垣「というわけだ。あ、です。はい」セイザッ
綾乃「だから生徒を実験に巻き込むのをやめてくださいってば!」キィッ
千歳「先生も懲りんな~」
西垣「反省したら負けだと思っている」キリッ
りせ「……」
綾乃「次同じ事したら校長先生に言いつけますからね!?」
西垣「それだけは勘弁してくれ」ゲザァ
綾乃「まあ……それほど大事にならなくて良かったですけど」チラッ
千歳「せやなぁ」チラッ
りせ「……」チラッ
西垣「うむ。そもそもがお試し版だったからな、効き目は一日が限度だったんだ」チラッ
櫻子「なーにあからさまに怪しい薬飲んでんだよこのバカっぱい! 人騒がせっぱい!! ご迷惑おかけしまっぱい!!!」ギャーギャー
向日葵「飲んだんじゃなくて飲まされましたのよこのバカ櫻子! 私だって被害者ですわ!! だいたい元はと言えばあなたが!!!」ギャーギャー
向日葵「悪口じゃなくて事実でしょう!? 櫻子はもっと真面目に仕事に取り組むべきですわ!」
櫻子「やってるっつーの! 今日だってちゃんとしてたじゃんか!」
向日葵「今日だけですけどねっ!」
櫻子「あっムカッ! ムカムカッ! もうゆるしてあげないゆるしてあげないゆるしてあげないもーん!!」
向日葵「上等ですの望む所ですのうーですの!!」
ギャイギャイギャイギャイギャイギャイギャイギャイ
綾乃「ぁぁぁ、元に戻ったら戻ったで騒がしい……」ハァ
千歳「今日一日のふらすとれーしょんっちゅーやつやろなー」
りせ「……」クイクイ
西垣「ん? ああ、これじゃあ生徒会の業務に差し支えるか。よし任せろ」
綾乃「任せろって……先生、何するつもりですか?」
西垣「安心しろ、今度は即効性だ」ハッハッハッ
綾乃「何が!?」
向日葵「ひまひまひまひまひまひま!!」キシャー
西垣「まあまあご両人、その辺にしておいたらどうだ」
向日葵「西垣先生……」
櫻子「いーえ! 今日という今日こそこのおっぱいに忍道を渡してやるんだってばよ!」
西垣「それは引導だな。そうか、引き下がるつもりはないか……」
櫻子「当然です!」
西垣「よし! じゃあ私は大室の味方をしよう」
向日葵「先生!?」
櫻子「本当ですか!?」
西垣「本当だとも。ほら、怒鳴り合って喉が乾いたろう? これでも飲むといい」スッ
櫻子「わーいありがとうございます!」ゴクゴク
綾乃「(嘘ぉ)」
りせ「……」
綾乃「大室さんェ……」
櫻子「ふっふっふ! 喉もうるおってパワー満タン! 覚悟しろミイラっぱい!」
向日葵「くっ……! 負けませんわよ!」
千歳「ところで先生、あの薬って結局なんなん?」
西垣「惚れ薬だ」
綾乃「惚れ薬ぃ!?」
西垣「ああ。だが今一歩の所で失敗してしまったらしくてなぁ……」
櫻子「やいこらおっぱいお前なんてコテンパンのギッタンギッタンに向日葵向日葵向日葵向日葵向日葵ーーーっ!!」
向日葵「な゛っ!?///」
櫻子「ま゛っ!?///」
今日は大室櫻子さんの13歳の誕生日です。皆でお祝いしましょう
ご支援ありがとうございました
いい発想だった
乙乙
Entry ⇒ 2012.09.08 | Category ⇒ ゆるゆりSS | Comments (0) | Trackbacks (0)
悠「完二、今後ろに隠した物はなんだ?…うん?けいおん?」
悠「見たところアニメのDVDのようだが」
悠「しかも女の子がいっぱい…完二?」
完二「…センパイらがホモネタでからかってくっからだろ」
完二「俺なりに考えたんスよ、どうやったら女とまともに話せるようになるかって」
完二「でもいきなり話かけんのはハードル高ぇし…そんでまずは練習に…」
悠「女の子がたくさん出るアニメを見ようと」
完二「…ッス」
悠「なるほどなー(ハイカラな絵だな)」
悠「どういうアニメなんだ?」
完二「センパイも興味あるッスか!?」がたっ
完二「そんなに気になるなら仕方ねーな!センパイ、このアニメは女子高生がバンドを組んでですね」
悠「落ち着…」
完二「リアルに描かれた普通の日常を過ごすアニメなんスよ!」
悠「(鼻息が荒い…)」
完二「…どんなアニメか聞いたってことは、観たいって解釈で良いんスよね?」
悠「いや、ただ聞いただけで他意は」
完二「しょ、しょーがねーなー!あれ?ここに偶然、一期と二期のDVDが!」
悠「(持ち歩いてるのか)」
悠「いや、別に…」
完二「あ、気にしなくて良いッスよ!そのDVDは布教用なんで」
完二「本命はBDで全部揃えてますから!」
悠「(すごいハマりようだな)」
完二「すっげぇ面白いッスから!残りのゴールデンウィーク全部使ってでも観る価値はあるッスよ!」
悠「そ、そうか」
悠「(あの完二がここまで勧めるんだ、本当に面白いのかも)」
悠「じゃあ借りてくよ」
完二「観たら感想聞かせて下さい!」
悠「…さて」
悠「せっかく借りたは良いものの…」
悠「残りの休みをアニメ観賞に費やしていいものか」
悠「…」
悠「まずは観てから判断するのが大人の選択だな」
悠「DVDをセット」
悠「番長、ON!」ピッ
けいおん!
悠「始まった」
悠「…」
悠「…」
唯『うんたん♪うんたん♪』
悠「…」
悠「ん」キョロキョロ
悠「…」
悠「…うんたん♪」ぼそっ
悠「…」
悠「…ごほっごほっ!///」
悠「…」
悠「ムギちゃん…か」
悠「…可愛い」
悠「いや、律もなかなか…」
悠「しかし、健気な梓にも惹かれるものがある」
悠「だが唯もキュートさなら負けていないし」
悠「澪に至っては存在そのものが反則レベルだ」
悠「…」
悠「!?澪が転ん…!!」
悠「けっ、怪我は!?大丈夫なのか!?」がたっ
悠「…」
悠「…」
悠「…」
悠「…」
悠「おかしくねーし!」くわっ
コンコン
菜々子「おにいちゃん、朝だよ?」
菜々子「おにいちゃん?」
菜々子「…出てこない」
遼太郎「おはよう菜々子…どうした?」
菜々子「おにいちゃん、部屋から出てこない」
遼太郎「ふむ…風邪でも引いたのか…?」
遼太郎「まぁ、ほっとけば勝手に起きるだろ」
遼太郎「それより菜々子、昼にジュネスに行かないか?」
菜々子「ジュネス!?いく!やったー!」
悠「…」
悠「二期はやたらモブが多いな」
悠「だからといって作画に手を抜いてる様子も見られない」
悠「むしろ一部のモブに至ってはそのままメインを張れそうなキャラも…」
悠「…」
悠「…」
悠「いちご、か」
悠「卒業か…」
梓『もう部室片づけなくても…』
梓『お茶ばっかり飲んでても叱らないから…』
梓『卒業しないでよぉ…』
悠「…」
悠「…」
悠「俺は…無力だ…!」ぐすっ
悠「思いのほか、面白かった」
悠「しかし、完二ほどハマりはしないかな…」
悠「ん?もうこんな時間…一日半以上もけいおん!を見ていたのか」
悠「…外が真っ暗だ」
悠「…」ぐぅ~
悠「…下に降りよう」
悠「菜々子~菜々子?」
悠「居ないのか?」
悠「…ん?メモが置いてある」
菜々子『おにいちゃんがいつまでも部屋からでてこないのでお父さんとジュネスに行ってきます』
悠「なに!?」
悠「俺としたことが…!」
悠「…」
悠「ネットでピザでも頼むか…はぁ」
悠「…」
悠「やってしまった」
悠「つい、けいおん!一期と二期のDVDとBDをまとめてポチってしまった」
悠「これがネット社会の弊害か…!」
悠「…」
悠「…映画もあるのか」
悠「いや、これ以上は財布が…」
悠「…BDだけなら良いよな?」
悠「さて、腹ごしらえも済んだことだし」
悠「もう一度最初から見直したいところだが…」
悠「さすがに体力が持たない…」
悠「ふわぁ…ぁ」
悠「少しだ…け…寝…よう…」ぱたっ
悠「…」
悠「うんたん…」
悠「…?」
悠「ここは…また呼ばれたのか?」
イゴール「…ようこそ、ベルベットルームへ」
悠「…イゴール」
イゴール「…貴方は今一度、数奇な運命に誘われたようだ」
イゴール「育み、培った絆もその運命の前には意味を成さない」
悠「どういう意味だ?」
イゴール「…貴方はこれから選択を迫られる」
イゴール「愛を選ぶのか、それとも友情を選ぶのか…」
マーガレット「そこで貴方は…何を見せてくれるのかしら?」
悠「別世界…?」
イゴール「しかし…立ち塞がる運命は何も悪いものだけとも限らない」
イゴール「貴方の選択次第では真の絆を得られましょう」
悠「…選択」
イゴール「フフ…楽しみになってまいりましたな」
悠「…」
悠「…」
悠「…別世界と言ったな」
悠「もしかして、また何か事件が…」
悠「まいったな…P-1の件も解決してないのに」
悠「…」
悠「とりあえず陽介に電話するか…」ピッ プルルル…
悠「…」
悠「出ない」
悠「他のメンバーに連絡してみるか」ピッ プルルル…
悠「…」
悠「ことごとく、誰も出ないな…」
悠「一人も出ないというのはやはりおかしい」
悠「事件の匂いがする…」
悠「…」
悠「朝食を食べよう」
悠「…誰も居ない」
悠「俺が寝てる時に帰ってきて、そしてまた俺が寝てる時に出てって行ったとか…?」
悠「いや、叔父さんならまだしも菜々子まで居ないのは不自然だ」
悠「しかし…」
悠「まるで俺以外、『最初から』誰も居ないみたいだ…」
悠「…」
悠「何が起きている…?」
ピンポーン
悠「あ、はーい」すたすた
悠「どちら様…」
さわ子「居た!何やってるのよ、もう時間過ぎてるわよ!?」
悠「えっ、何?…っていうかさわ子先生?」
さわ子「転校初日から重役出勤とは良いご身分ね!早く制服に着替えて!」
悠「あの」
さわ子「ほら早く!」
悠「はい」
がちゃ
悠「何が起きている…?」
悠「あの、聞きた」
さわ子「着替えたわね?ほら車に乗って!特別よ?」
悠「はぁ」
がちゃ ぶろろろ…
さわ子「ふぅ…なんとか一時限目の途中には間に合いそうね」
さわ子「大方、女子校に転校するからって興奮して寝れなかったんでしょ?」
悠「いえ」
悠「(どう見てもけいおん!のさわ子先生だ…)」
悠「あの、転校って…?」
悠「はい」
さわ子「じゃあ知ってるでしょ?貴方は八十神高校から桜が丘高校へ転校するの」
悠「(桜が丘高校…けいおん!の舞台になっている高校の名前だったか)」
悠「(…俺は担がれているのか?…だが、冗談を言っているようには見えない)」
悠「!」
悠「(もしやマーガレットの言っていた別世界とは…)」
ぶろろ…
さわ子「着いたわ」
さわ子「ここが今日から貴方の通う学校、私立桜が丘女子高等学校よ」
悠「(アニメと同じ…そして俺の予想が正しければここには…)」
悠「行きましょう」
さわ子「当然よ」
教室
がらっ
さわ子「はい、みんなー自習終わり。転校生連れてきたわ」
律「お、やっと?」
紬「どんな人かしら」
唯「のどかちゃん…あと三十分…」
和「馬鹿なこと言わないの」
澪「転校生か…やさしい人だと良いな」
律「いやー、もんの凄い不良だったりして!頭はボサボサで全身黒づくめ!腰にはナイフが…」
澪「ひぃ!?」
紬「まぁ!私、不良って見たこと無いから楽しみ~」
悠「(色々勝手なことを言われている気がする)」
悠「(だが、確信した)」
悠「(ここはけいおん!の世界だ)」
悠「(間違いない)」
悠「(何故なら…)」
悠「(扉越しにしか聞こえなくても、俺がHTTのメンバーの声を聞き間違えるはずが無い)」
悠「…」
悠「フッ…」
悠「(来たか…)」
入って良いわよー
悠「いつも通りに行こう」
がらっ
悠「八十神高校から来ました、鳴上悠です」
悠「よろしく」
しーん…
悠「あれ?」
悠「(何か変だったか?)」
紬「お…」
律「おとこー!?」がたっ
唯「うわっ!びっくりした!」
さわ子「言ってなかったっけ?」
和「初耳です」
和「というか…女子校に男が居て良いんですか?」
さわ子「こまかいことは良いのよ」
悠「良いんじゃないか?」
和「!?」
唯「はーい!」
律「あーい」
唯「よろしくね、悠君!」
悠「ああ、宜しくな唯」
紬「こちらの席へどうぞ~」
悠「ありがとう」すたすた
唯「(あれ?私名乗ったっけ?)」
さわ子「それじゃ鳴上君、この問題分かるかしら?」
悠「無論です」
悠「~が~なので~です」
さわ子「…凄いわね、一応引っかけ問題なんだけど」
悠「そうだったのか?」
律「(ふーん、頭良いのか)」
澪「(凄いな…)」
紬「(なるほどね)」
唯「…むにゃむにゃ」
悠「しまった、弁当が無い」
悠「(朝いきなり連れてこられたしな…)」
紬「あら鳴上君、お昼は?」
悠「実は忘れてしまって」
紬「まぁ大変!じゃあ購買に行きましょう?」
悠「購買があるのか?」
紬「うん、ちょっと小さいけどね」
紬「今ならアレが手に入るかも知れないわ!ふふっ」
悠「アレ?」
悠「凄い人だかりだ…」
紬「ちょっと待っててね鳴上君!ふんす!」
たたたっ
悠「もしかして『アレ』って…まさか二期で見た『アレ』か?」
たたたっ
純「梓早くー!無くなっちゃうって!」
梓「私は別に要らないのに…」
たたたっ
紬「はい、鳴上君!」
紬「最後の一つゲット!幻のゴールデンチョコパンよ~」
悠「やはりか!」
純「あー!ゴールデンチョコパンもう無くなってるー!」
純「まただよー!」
梓「はいはい、次頑張れ。…あっムギセンパイ…と誰?」
紬「あっ、梓ちゃん!」
梓「いえ、純の付き添いで…そちらの方は?」
紬「鳴上悠君、今日転校してきたの~」
悠「宜しく」
梓「でも男の人…」
紬「私、こまけぇこたぁどうでも良いって言うのが夢だったの!」
梓「そ、そうですか…」
梓「あ、えっと…センパイですよね?中野梓です、ムギセンパイと同じ軽音部に所属してます」
紬「あっ、私も自己紹介して無かった!…ごほん、琴吹紬です!軽音部に入ってます!」
悠「宜しく(本当は知ってるけど)」
>鳴上悠は『杯』のアルカナを手に入れた
>琴吹紬とほのかな絆の芽生えを感じる…
>鳴上悠は『金貨』のアルカナを手に入れた
悠「(この感覚…久しぶりだな)」
イゴール『…貴方はこれから選択を迫られる』
イゴール『愛を選ぶのか、それとも友情を選ぶのか…』
悠「(確かそんなことを言っていたが…)」
悠「(この絆の芽生えと何か関係があるんだろうか?)」
紬「はい、またね♪」
梓「では…ほら純、泣いてないで行くよ」
純「うー…」
悠「(ハイカラな髪型だよな)」
すたすた…
紬「私たちも戻って食べましょうか?」
悠「ああ。パン、ありがとう」
紬「いえいえ、困ったらお互い様」
悠「(女神だ)」
律「あ、ムギー!どこ行ってたんだよー」
唯「遅いから先に食べ始めちゃったよ!」
紬「鳴上君と一緒に購買に行ってたの~」
律「鳴上って…転校生か。学校案内してたのか?あたしも誘えよなー」
悠「ぜひお願いしたい」
唯「まっかせといて!」ふんす
律「まだ名前言ってないよな、あたしは田井中律」
唯「平沢唯です!」
悠「ああ、これから宜しく」
>田井中律とほのかな絆の芽生えを感じる…
>鳴上悠は『剣』のアルカナを手に入れた
>平沢唯とほのかな絆の芽生えを感じる…
>鳴上悠は『愚者』のアルカナを手に入れた
悠「(あれ?『愚者』は既に持っていたはずだが…)」
悠「(…この世界では元の世界で手に入れた絆は無かったことになっている…という意味だろうか)」
紬「そういえば澪ちゃんは?」キョロキョロ
唯「澪ちゃんは和ちゃんと食べるんだって」
律「たぶん、鳴上のせいだな」
悠「えっ」
律「澪は恥ずかしがり屋さんで緊張しいだからなー」
律「男の子と一緒じゃご飯が喉を通らないんだろ」
悠「なるほど」
紬「残念…」しゅん
唯「まぁまぁ、私達だけでも一緒に食べようよ」
唯「あ!幻のゴールデンチョコパン!良いなぁ~」
唯「鳴上君…」キラキラ
悠「…」
律「鳴上君…」キラキラ
悠「…少し食べるか?」
唯律「「え!良いの?悪いね~」」
紬「鳴上君…」キラキラ
悠「…君はくれた側だろう」
紬「むぅ…」しゅん
悠「(さて、これで一日を終えたが…)」
イゴール『貴方の選択次第では真の絆を得られましょう』
悠「(真の絆…交流を深めろということだろうか)」
悠「(誰と深めようか…)」
1平沢唯
2田井中律
3琴吹紬
4中野梓
>>104
悠「(教室に行ってみようか…)」
放課後 二年生の教室前
悠「居た」
梓「鳴上センパイ…?どうしたんですか?」
悠「なんとなくさ、何をやっているんだ?」
梓「トンちゃんの餌を探しているんです」
梓「あ、トンちゃんというのは軽音部の部室で飼ってる亀のことなんですけど」
梓「そのトンちゃんに新しく買ってきた餌をどこかに落としちゃったみたいで…」
悠「ふむ」
梓「学校に来るまではあったので校内にあるとは思いますが…」
悠「分かった、俺はこっちを探してみる」
梓「いえ!わざわざ手伝ってくれなくても…」
悠「気にするな、困った時はお互い様だ」
悠「じゃ、探すぞ」
梓「は、はい…ありがとうございます」
悠「いえいえ」
梓「…見つからないですね」
悠「他に探して無い場所は…」
梓「あ、もしかして…購買?」
悠「行ってみようか」
購買
梓「あった!」
梓「ここに落としてたんだ…良かった見つかって」
悠「トンちゃんのこと、大事にしてるんだな」
梓「はい!軽音部のセンパイがたが私の為に飼ってくれたんです」
梓「だから大事なのは当たり前です」
>『杯』のコミュランクアップ! 1→3
梓「鳴上センパイ、ありがとうございました!」
梓「トンちゃんに早速あげてきます!」たたたっ
悠「嬉しそうな顔、していたな」
悠「さて、まだ時間に余裕があるが…どうするか」
1平沢唯
2田井中律
3琴吹紬
>>119
ぴんぽんぱんぽ~ん↑
放送「これより、全部活による部長会議を行います。全ての部活道の部長は生徒会室にお集まり下さい」
ぴんぽんぱんぽ~ん↓
悠「確か律は部長だったな」
悠「俺も行ってみるか」
悠「(ここから中が覗けそうだ)」
悠「…」
悠「(つまらなそうな顔をしている)」
…
がらっ
律「あ~…やっと終わった」くらくら
悠「お疲れ田井中」
律「…おっす鳴上」
律「いや~みんな何言ってるか分からない分からない」
悠「それは重傷だ」
律「ってか、良くあたしがここに居るって分かったな?あたしが軽音部の部長やってるって言ったっけ?」
悠「いや、聞いてないけど知ってる」
律「?」
悠「それより、もっと真面目に部長業に取り組んでみたらどうだ?」
悠「いつもあんな感じだとみんな不安がると思うぞ」
律「ん~…ほとんど成り行きで部長になったみたいなもんだからなぁ」
律「いまいちどーもね」
悠「しっかりしたトコ見せて、センパイらしくなっても良いんじゃないか?」
律「あたしって…そんなにセンパイぽくない?」
悠「かなり」
律「きゃはっ☆」
悠「(可愛い)」
律「…分かった、ちょっと頑張ってみるよ。ありがとな鳴上」
>『剣』のコミュランクアップ!1→3
悠「さよなら」
たったったっ…
悠「…」
悠「…」
悠「帰るか」
悠「…」
悠「帰ったのに誰も応えてくれないというのは…辛いものがあるな」
悠「菜々子…」
悠「…」ピッ プルルル…
悠「叔父さんの携帯もやはりつながらないか…」
悠「俺は元の世界に戻れるのか…?」
悠「…」
悠「お腹空いたな」
悠「冷蔵庫は…空っぽか」
悠「…」
悠「買い物に行くしか無いか」
悠「近場に安いスーパーがあって良かった。これで当分は困らなそうだ」
悠「ジュネスだとこうはいかないな、高いし」
悠「…」
悠「あ、結局陽介にナース…買ってなかったな」
悠「稲羽だと見あたらなかったが、この世界ならあるかもしれない」
悠「元の世界に戻れた時用に買ってってやるか」
陽介「っくしょん!」
陽介「うう…悪寒が…なんでだ?」
悠「ん?」
悠「何か聞こえる…」
悠「これは…」
悠「歌?」
悠「とても綺麗な声だ…」
悠「…」
悠「行ってみようか…」
澪「~♪」
悠「秋山さん?」
澪「わああっ!?」びくっ!
澪「」
悠「あっ、しまった」
…
澪「う…うん…」
悠「気がついた?」
澪「…な、鳴上君?」
澪「あ、い、いや大丈夫…」
澪「転校生…の鳴上君だよな…私は秋山澪」
悠「初めまして」
悠「ここで何をしていたんだ?」
澪「え、えっと…」
澪「ベースと…う、歌の…練習…///」
悠「歌?」
澪「…私、軽音部に入ってるんだ」
悠「そうなのか(知ってるけど)」
澪「といっても小さなライブハウスでだけど…」
澪「だから…それに向けて練習」
悠「そうだったのか」
澪「私…全然上手じゃないから、人一倍練習しないといけないんだ」
悠「…そうか?良い声だったと思う」
澪「お、お世辞なら良いよ」
悠「ううん、本当」
澪「…そう?あ、ありがとう///」
>鳴上悠は『杖』のアルカナを手に入れた
悠「…そろそろ帰らないと。練習、頑張れよ」
澪「あ、鳴上君!」
悠「?」
澪「良かったら、今度のライブ…見に来ない?」
悠「…分かった、見に行くよ」
澪「ありがと…また明日」
悠「ああ、また明日」
悠「なんだかもの凄い一日だったな」
悠「まさか朝目が覚めたらけいおん!世界に居るとはな」
悠「…」
悠「…意外とこの世界も悪くないな」
悠「…」
悠「いや、それは駄目だ。菜々子の居ない世界なんて考えられない」
悠「なんとかして元の世界に戻らなければ」
悠「…」
悠「ぐぅ…」zZ
悠「(…なにも思いつかないな)」
悠「(どうすれば戻れるのやら)」
悠「(やはり真の絆…が関係あるのだろうか)」
悠「…どうするか」
1平沢唯
2田井中律
3琴吹紬
4中野梓
5秋山澪
>>150
悠「(…部室に居るかな?)」
放課後 部室
がらっ
悠「失礼」
紬「鳴上君?」
悠「禁煙席で」
紬「かしこまりました、こちらへどうぞ~」
悠「まさか乗ってくれるとは」
紬「ふふふ、だってその方が面白いじゃない」
悠「何もやることが無くて暇で」
紬「ふふ、どうかしら」
悠「本当は琴吹さんに会いに来たって言ったら?」
紬「とっても嬉しい!」ぽわぽわ
悠「…」
紬「?」ニコニコ
悠「(ある意味難攻不落だ…)」
悠「部活か…以前はやっていたけど」
紬「どんな部活に入ってたの?」
悠「サッカー部とバスケ部と吹奏楽部と演劇部」
紬「すごーい…多才なのね」
悠「そうか?」
紬「うんうん!」キラキラ
悠「(目が輝いている…)」
悠「大体は」
紬「…キーボードって出来る?」
悠「まぁ」
紬「ギターは?」
悠「出来る」
紬「ドラム!」
悠「それなりに」
紬「ベースは!?」
悠「どんとこい」
紬「まぁまぁまぁまぁまぁ」キラキラ
悠「(さっきより輝いている!)」
悠「いや…でも」
紬「きっと鳴上君なら即戦力だから大丈夫よ~」
紬「今すぐじゃなくても良いから考えて欲しいわ」
鳴上「分かった」
鳴上「さて…長居もなんだしそろそろ出てくよ」
紬「もう行くの?」
悠「ああ」
紬「そっか…」しょぼん
紬「あっ、鳴上君!」
悠「どうした?」
紬「これからは琴吹さんじゃなくてムギって呼んで欲しいの」
悠「え?」
紬「…駄目?」
悠「…分かった」
悠「…また明日、ムギ」
紬「また明日、鳴上君。ふふっ」
>『金貨』のコミュランクアップ!1→3
1平沢唯
2田井中律
4中野梓
5秋山澪
>>171
別の子を選ぶクマ
>>176
悠「(また、あの川に居るんだろうか)」
放課後 川辺
♪
悠「(歌が聞こえる)」
悠「あれは…」
悠「澪だ」
澪「…」
澪「はぁ…」
悠「こんにちは、秋山さん」ぬっ
澪「ひゃあっ!?お、驚いた…!!」ドキドキ
澪「いきなり後ろから声を掛けないでくれ…」
悠「反応が面白くて、つい」
澪「律か鳴上君は…」
悠「…」
悠「ため息なんてついてどうした?」
澪「上手く歌えなくて…な」
澪「ちょっとスランプ気味なんだ」
悠「なぜ?」
澪「ん…緊張してるのかも」
澪「昨日、今度ライブハウスで演奏するって言ったでしょ?」
澪「そのライブに…いわゆるギョーカイの偉い人が見に来るらしくて」
澪「もしかしたら、私達の演奏が目に止まるかもしれない」
悠「そうなったら…凄いことだな」
澪「うん、もしかしたら軽音部のままで終わらないかもしれない」
澪「武道館も…夢物語じゃなくなる」
澪「緊張して、震えて上手く声が出せないんだ」
澪「…ベースもミスばかりするし」
悠「なるほど」
悠「…」
悠「緊張をほぐす方法か…」
悠「…」
悠「そうだ」がさごそ
悠「確かカバンの奥に…」ごそがさ
澪「?」
悠「これをあげよう」
澪「なにこれ…熊のぬいぐるみ?」
悠「クマのぬいぐるみです」
悠「もちろんクマ毛100%使用だ。本物にはこだわってるそうなので」
澪「…クマ毛?」
悠「ギョーカイ人とやらをこのクマと思えば良いんじゃないか」
悠「これだけ愛くるしい姿なら緊張のしようがない」
澪「可愛い…」つんつん
クマ人形『おさわりはお断りクマ』
澪「喋った!?」
悠「喋るのか…」
悠「もちろん」
澪「ありがとう…私、こういうの好きなんだ///」
悠「(知ってるさ)」
悠「喜んでくれて良かった」
>『杖』のコミュランクアップ!1→3
澪「…私、頑張れそう」
悠「そうか」
悠「じゃあ、練習の邪魔にならないように帰るよ」
澪「…また明日」
悠「また明日」
がらっ
悠「おはよう」
律「おっはよー」
唯「おはよー」
澪「おはよう」
紬「おはよう~」
悠「勢ぞろいで何をしてるんだ?」
澪「明日のライブの打ち合わせだよ」
律「ギョーカイの人来んだぞギョーカイ!」
唯「そうそうギョーカイ!」
唯「…」
唯「りっちゃん、ギョーカイって何?」
律「お前なぁ…」
唯「ほうほう、凄い偉い人なんだね!」
紬「流れるように分かりやすい説明だったわ~」
律「鳴上はきっと言霊使いだな」
澪「(コ、コトダマ…?)」ぷるぷる
律「…み~おしゃん?」カクッ
澪「ひぃっ!!」
悠「一撃だ…!」
澪「…で、明日だけど演奏する曲はどうしようか」
紬「何曲までだっけ?」
澪「3曲までだ。ギョーカイの人もそんな長い時間は居なそうだし、選曲は慎重にしないと」
唯「ふわふわ時間は入れたいなぁ」
澪「ふわふわか…候補に入れよう」
澪「他には?」
紬「カレー!」びしっ
澪「ふむふむ…カレー、と」
律「」
唯「うーん」
紬「むむ…」
悠「…」
悠「『翼をください』なんてどうだ?」
悠「きっと、今のみんなにピッタリだと思う」
紬「『翼をください』かぁ…良いかも!」
唯「うんうん!」
澪「確かに…」
悠「だろう?」
唯「ありません!」びしっ
悠「ありません」びしっ
紬「撃てません!」びしっ
がらっ
さわ子「ホームルーム始めるわよ~席について~」
律「…」
律「助けをください…」
悠「…」
悠「そっとしておこう…」
悠「(みんな練習している…)」
悠「(誰に話しかけようか)」
1平沢唯&中野梓
2田井中律&秋山澪
3琴吹紬
>>205
悠「(話しかけてみようか)」
悠「ムギ、調子はどうだ?」
紬「ばっちり!」ぐっ
紬「これ以上無いってくらいね!」
悠「凄い気迫だ」
紬「だって私達が認められるかもしれないチャンスですもの」
紬「いつもみたいにだらだらしてられないでしょ?」
悠「いつもはだらだらしてるのか?」
紬「えっ、あ…///」
紬「ちょ…ちょこっと///」テレテレ
悠「(むぎゅーん)」
悠「凄いな、みんな」
唯澪「「~♪」」
梓「」♪
律「」♪
悠「普段の姿からは想像も出来ないくらい真剣で…」
悠「全力で…」
悠「一生懸命だ」
紬「…これが私達、放課後ティータイムよ」
紬「私の大好きな、軽音部」
紬「良いでしょ?ふふっ」にこっ
悠「…」
悠「ああ、良いな」にっ
>『金貨』のコミュランクアップ!3→5
律「あー疲れたー!ムギーお茶ちょーだい!」
澪「あっ律!もう少し…」
唯「あずにゃん…も、限界…」
梓「ええ!?早くないですか!?」
紬「うふふ♪」
紬「今、準備するわ~」
悠「明日は軽音部のライブだ」
悠「みんな張り切っていたな」
悠「張り切り過ぎてちゃんと眠れてないなんてことは無いよな…」
悠「…どうか成功することを祈ろう」
悠「…」
悠「…」
悠「…」
悠「心配で俺が眠れない…」
悠「…おはよう」
律「おは…って、すごいクマだな」
澪「真っ黒だぞ…寝てないのか?」
梓「本当凄いクマですね…」
悠「ああ…ちょっとな」
クマ「っくしょいクマ!」
クマ「クマの噂クマか?人気熊は辛いクマね…」
陽介「サボってんなよクマきち!給料下げっぞ!」
クマ「ク、クマー!?クマのホームランバーがー!?」
唯「はっ、はい!」
スタッフ「もうすぐ本番ですのでリハーサルお願いします」
唯「了解です!」
悠「…じゃあ客席にいるから」
律「お、おー…少し休んどけ」
悠「」ふらふら…
澪「…大丈夫か?」
梓「夢遊病患者みたいですね」
律「じゃあ行くぞー?ワン、ツー」カッカッ…
♪
唯「」♪
梓「」♪
紬「」♪
澪「~♪」
♪
悠「…」
悠「心地良いな…」
悠「みんなの息もピッタリだし…」
悠「これは…大成功間違い無し…かな」
悠「ふわぁ…あ…」
悠「ううん…」
ガシャーン!!!
悠「!?」
悠「な、なんだ!?」
律「澪!」
梓「澪センパイ!」
だだだっ!
悠「どうした!?」
紬「マイクスタンドが急に倒れて…!」
唯「澪ちゃん!」
澪「いっ…たぁ…」じわ
悠「動かすな、見せてみろ」
悠「氷と布を貰ってきてくれ」
梓「は、はい!」たたたっ
澪「はっ!エッ、エリザベスは!?」
紬「大丈夫、エリザベスに傷はついてないわ。けど…」
律「その手…」
悠「ベースが…弾けない」
澪「そんな…痛っ!」
たたたっ
梓「近くのコンビニから貰って来たです!」
悠「ありがとう、梓」
澪「なんとか痛みは…」
律「良かった…」
悠「だが無理は出来ない…演奏は無理だ」
澪「そんな…でも!」
紬「…鳴上君の言う通りよ」
唯「ムギちゃん…」
紬「今しかチャンスが無い訳じゃないわ、きっとまたいつか…」
澪「そんなの!なんの保証も無いじゃないか!」
律「でも…ベースが弾けないんじゃ…」
悠「…」
悠「分かった」
澪「…え?」
律「鳴上!?」
唯「鳴上君!」
悠「…エリザベスを借りるぞ澪」
悠「俺が…」
悠「俺がベーシストだ!」メガネすちゃっ
悠「ペルソナアアアアア!!!」
悠「…」
澪「…なぁ鳴上」
悠「どうした?」
澪「大丈夫なのか?その…代わりをやってくれるのは嬉しかったけど」
澪「私のエリザベス…レフティだし」
悠「さっき少し練習したから大丈夫だ」
澪「だって…利き腕違うだろ?」
悠「俺は両利きだ」
澪「本当かよ…凄いなお前は」
悠「そうか?」
澪「そうだろ…」
唯「カーテン、上がるよ!」
紬「頑張りましょ!」
梓「はいです!」
澪「…」チラッ
悠「…」コクッ
悠「行くぞ!!!」カッ!
夕方 ライブハウス 控え室
律「あっち~…汗でベトベトだ」
唯「だっだ三曲なのに声枯れぢゃっだ…」
梓「なんで曲調無視して歌うんですか…」
唯「鳴上君見でだらテンション上がっぢゃっで~」
紬「はい唯ちゃん、お茶持ってきたから飲んで」
唯「ありがどー」
澪「…なぁ」
悠「…どうした?」ぜぇぜぇ
澪「ギョーカイの人、全然見てくれなかったな」
澪「チラッと見たと思ったらすぐに向こうに行っちゃった」
悠「そうだな…」
澪「私達の演奏、そんなに駄目だったかな…」
悠「…」
悠「…ああ、ダメダメだったな」
悠「律は走るし、唯は曲調無視するし、澪はベストコンディションじゃないし…」
悠「俺に至っては即席のベーシストだ」
澪「…」
悠「楽しかっただろ?」
澪「…」
澪「…楽しかった」
悠「なら、それで良いんじゃないか?」
悠「音を楽しむと書いて音楽だ」
悠「こんなの楽しんだもん勝ちだ」にっ
澪「…」
澪「…そうだよな」
澪「…そうだよな!」にっ
唯「おいじいよ~げほっけほっ!」
梓「にゃっ!?横でむせないで下さい!」
律「お菓子もあるぞー!」
澪「みんなも笑ってる…」
悠「今日は楽しかった!」ばっ
澪「鳴上君?」
悠「ほら澪も」
澪「…うん!」
悠澪「「今日は楽しかった!!!」」
>『愚者』『剣』『金貨』『杖』『杯』のコミュランクアップ!
1→3 3→5 5→7 3→5 3→5
紬「うん、今度みんなで行かない?」
唯律「「やったー!合宿ー!」」
澪「なんでまた」
紬「鳴上君の軽音部入部祝いも兼ねてよ♪」
悠「入部祝いに…合宿か(スケールが違うな)」
悠「(俺はあのライブの日から桜高軽音部に入部した)」
悠「(演奏したのはたった数曲だったが、俺はあの高揚感・満足感が忘れられず)」
悠「(ムギの誘いがあったこともあり、結局軽音部へと入部した)」
悠「(ライブの日から数週間、俺は充実した日々を送っていた…)」
梓「鳴上センパイ?」
悠「…はっ!」
悠「どうした梓?」
梓「いえ…遠い目をしてらっしゃったので」
悠「気にするな」
梓「はぁ」
紬「どうかな、澪ちゃん?」
澪「そういう理由もあるなら、賛成しない訳には行かないだろ」
唯「ねぇムギちゃん!どこへ合宿に行くの?」
唯「はーい!海が良いなムギちゃん!」
律「えー?ここは山だろ唯!」
梓「私はどちらでも…」
澪「私は歌詞を書いてるから勝手に決めてくれ」
紬「鳴上君はどっちが良いかしら?」
悠「そうだな…俺は…」
1海で水着だ!
2山で修行だ!
>>312
律「話分かるなー鳴上!…修行は余計だけど」
唯「えー…海だよ普通ー…」
律「二対一だぜ唯!」
唯「あずにゃん!あずにゃんは海だよね!?」
梓「鳴上センパイの入部祝いなんですから、鳴上センパイの意向に従うべきかと…」
唯「澪ちゃん!澪ちゃんは水着着たいよね!?」
澪「もふもふばりばり ユニーククマちゃん もふもふふにふにユニー…」カリカリ
唯「聞いてない!」
紬「山で決まりね!」
悠律「「いえーい!」」
唯「海…がくっ」
悠「(出発はあさってだ)」
悠「(それまでどう過ごそうか…)」
1平沢唯
2田井中律
3琴吹紬
4中野梓
5秋山澪
>>318
放課後 部室
紬「…うん、ということで準備お願いね」ピッ
がらっ
悠「あれ?ムギだけか?」
紬「あ、鳴上君。みんなは合宿の準備をしに買い物に行ったわ」
悠「そうか…ムギは行かないのか?」
紬「私は合宿先の別荘の確保とか移動手段の用意とかあるから」
悠「任せっきりですまない」
紬「ううん、良いの♪こうやって準備するのも楽しみの一つよ?」
悠「そうなのか?」
紬「そうなのです!」むふー
紬「えっ?」
紬「い、良い子…?///」
悠「あっ、すまない。子供扱いしたつもりは…」
紬「ううん!どんとこいです!!」
悠「え?」
紬「あ…///」
悠「(顔が赤い…)」
紬「あ、あの!」
悠「うん?」
紬「合宿の時…その…良かったら…」ぼそぼそ
悠「?」
紬「い、一緒に修行して下さい!///」
悠「もちろんみんなで修行するが…?」
紬「そ、そうじゃないの!…そのぉ…ええと」
紬「ふっ…二人きりで…///」
悠「(…?ベースとキーボードで?)」
悠「(…秘密特訓がしたいということか!)」
悠「分かった、良いよ」
紬「抱きしめて良かですか!?」ばっ
悠「なっ!」
悠「(そんなに秘密特訓が嬉しかったのか?)」
>『金貨』コミュアップ!7→9
紬「でね!その時に…」
まってよりっちゃーん…
部室まで競争だー!…
廊下を…走るなー!…
悠「戻ってきたみたいだな」
紬「あっ…」
紬「…マーガレット?」
悠「俺のベースの名前だ」
悠「いつまでも倉庫のお古のベースじゃ調子が出ないからな」
悠「この前新しく買ったんだ」
紬「そうなんだ…」
悠「みんなも戻ってきたし、一回合わせてみたいんだが良いか?」
紬「は、はい!」
悠「じゃあ取ってくる」たったった…
紬「…」
紬「…うふふ///」
悠「(マーガレットの調子は良いみたいだ)」
悠「(さて、まだ時間はあるがどうしようか?)」
1平沢唯
2田井中律
4中野梓
5秋山澪
>>348
悠「(澪の所へ行ってみようか)」
放課後 部室
澪「クマ…うさぎ…猫…違うな…」カリカリ
がらっ
悠「み…」
澪「…」ぶつぶつ
悠「…」
悠「(集中してこちらに気づいていない…)」
悠「(…)」
悠「!」ぴーん
悠「(抜き足)」
悠「(差し足)」
悠「(忍び足)」
澪「カメ…ライオン…やっぱりクマか?」カリカリ
悠「ねぇ…」
澪「!!!」ビクッ!
悠「死んでくれる?」ぬっ
澪「にゃあああああああああああ!!!」
…
モロキン「なんだ貴様!なぜココにいる!」
悠「な!モ、モロキン!?死んだはずじゃ…」
モロキン「ここは死んだ者の来る世界だ!とうとう貴様も本物の落ち武者になったようだな!」
悠「死…?え…?」
悠「え…?え…?」
モロキン「大方、女子に手を出して帰り討ちにあったのだろう!不純な!」
悠「何故か否定できない!」
モロキン「喜べ鳴上、たっぷり説教してくれる!はっはっはっ…」
…
悠「…はっ!」
澪「き、気がついたか?」あせあせ
悠「寝ていたのか…?」
澪「あ、ああ!部室に来るなりぐっすりと寝てたぞ!?」
悠「(何故か顔が痛い…)」
悠「そうか…」
悠「…何か落としたぞ?」さっ
澪「あっ!」
悠「これは…」
悠「(澪の自作の歌詞だ!)」
悠「(しかし…)」
悠「これはひどい」
澪「あうぅ…///」
澪「そう…みたい///」
悠「…この『角砂糖とザラメの富士山みたいな~』というのは?」
澪「こ、今度山へ合宿に行くだろ?…そこから連想して」
悠「…」
悠「(黄色い救急車って何番だっけ…)」
澪「(なんかイラっとした)」
悠「案外、歌詞のヒントは近くにあるかもな」
澪「近く?」
悠「学園祭だから何か作りたいじゃなくて、大切な誰かの為に作りたい…そう考えても良いんじゃないか?」
澪「誰か…」
悠「意外と考え方一つで色々変わるものだ」
澪「…もうすぐ学園祭だろ?」
澪「それに向けて新しい曲を書きたいんだけど…」
悠「なかなか上手くいかないと」
澪「…うん」
悠「…」
悠「案外さ」
澪「…?」
悠「…少しヒントが抽象的過ぎたか、なんならもう少し」
澪「いい」
澪「何か…分かったかも」
澪「ありがとう鳴上君、今なら…書けそう」
>『杖』のコミュランクアップ!5→7
悠「…なら俺は邪魔だな、帰るよ」
悠「楽しみにしてる」
悠「…」
悠「それとさ…」
澪「?」
悠「…痛かった」
澪「(バ、バレてるー!?)」
唯「りっちゃん!」
律「唯!」
唯律「「明日から合宿だー!」」
梓「唯センパイ…あんなに海に行きたがってたのに」
澪「そのはずなんだがな…実はさっき…」
…
唯「はぁ…海…」
悠「そこのお嬢さん」
唯「足は痛くなるし、虫には刺されるし、良いことなんて無いよ!」
悠「それは違うぞ唯、山の魅力っていうのは…」
一時間後
唯「もう山しか考えられません!」
…
澪「ってことが…」
梓「何を吹き込まれたんですかね…」
梓「わっ!いつの間に後ろへ!?」
悠「さっき」
澪「」
紬「澪ちゃん気絶してる~」
悠「そっとしておこう」
唯「明日は何で行くのムギちゃん?」
紬「麓まではバスを用意したからそれで行くわ」
律「ちゃんと登山用の靴を用意しないとな」
紬「ヘリコプターも用意しようと思えば出来たんだけど」
悠「言語道断だ」
紬「って」
唯「えぇ~…」
悠「それだと修行にならないだろ?」
梓「なんですか律センパイ」
律「…修行って何?」
梓「たぶん、音楽的なことだとは思うんですけど…」
悠「♪」
悠「明日から一泊二日の合宿だ」
悠「こんな素敵な入部祝いをくれたムギには感謝しないとな」
悠「…」
イゴール『…貴方はこれから選択を迫られる』
イゴール『愛を選ぶのか、それとも友情を選ぶのか…』
悠「…」
悠「寝よう」
唯「うえぇ…酔ったぁ…」
梓「そういえば唯センパイ…乗り物駄目でしたね」
澪「ほら唯、酔い止め」
唯「うう~…」
律「いきなりコレで大丈夫か?」
紬「やっぱりヘリにすれば…」
悠「…どっちにしろ同じな気がするが」
紬「ここからは徒歩でーす」
澪「意外と整ってるな…山道なのに」
律「ゴミ一つないぞ…」
紬「ここに合宿するって決めてから、急いで整備させたの~」
悠「凄いな」
梓「その一言を冷静に言える鳴上センパイが凄いです」
唯「りっちゃん…私はもう歩けない…ここに置いていけ」
律「馬鹿なこと言うな唯!お前が死んだら…!」
唯「し、死ぬ前に一度だけ…ホームランバーをお腹いっぱ…」がくっ
律「唯ー!」
悠「その元気があれば大丈夫だな、行くぞ」
唯律「「ああん」」
紬「到着です!」
唯「もう駄目…歩けない…」
梓「結構キツかったですね…」
澪「そうだな…だけど 」
律「なんで鳴上はあんなにタフなんだ…?」
悠「意外と早く着いたな」キラキラ
律「建物は木製なんだな、雰囲気出て良いじゃん!」
紬「良かった、喜んでもらえて」
紬「」チラッ
悠「確かに…良い思い出が出来そうだ」
紬「(ふふっ///)」
澪「ムギ、部屋を案内してくれるか?」
紬「え?あ、うん!こっちよ~」
澪「?」
唯「お腹空いたよあずにゃん…」
悠「時計は昼を回っているな」
澪「なら、昼ご飯を作るか」
律「飯ごう炊飯って奴だな」
紬「メニューはどうする?」
澪「…無難にカレーにしないか?失敗しないだろうし」
悠「(飯ごう炊飯…カレー…)」
悠「…」
唯「…もしもし?」
悠「はっ…唯?」
唯「もうみんな外に行ったよ」
悠「そうか…」
唯「早く行って手伝おう?」
悠「そうだな(カレー…か)」
悠「(律は手際が良いな)」トントン
悠「(澪も慣れている感じだ)」サクッサクッ
悠「(梓やムギも時々口を挟めば大丈夫そうだ)」チャッチャッ
悠「(ただ…)」パラッ
唯「これどっちが砂糖だっけ?」
悠「…唯、カレーに砂糖や塩は使わない」
唯「そうだっけ?」
悠「…」
悠「(唯からあの二人の匂いがする…)」
千枝雪子「「っくしゅ!」」
澪「ちょっと難儀したけどな」
梓「美味しそうです」
唯「うんうん!」
紬「みんなで協力して一つのことを成し遂げるって素敵ね!」
悠「(なんとか事無きを得た…)」
悠「(まさか唯と入れる入れない合戦を繰り広げることになるとは…)」
唯「辛みをプラスする為、わさびを…」
悠「入りません」
唯「りんごを足してコクを…」
悠「あってるけどアイスじゃ駄目です」
唯「大福で甘みを出して…」
悠「もう勘弁してください」
…
梓「(鳴上センパイがまた遠い目を…)」
澪「みんな行き渡ったな?」
律「それでは!」
唯紬「「いただきます!」」
悠「…いただきます」ぱくっ
悠「!」
悠「…」
悠「美味い」
律「さすがりっちゃん料理上手!」
澪「自画自賛か!…美味しいけど」
梓「確かに美味しいです」
唯「さすが私!」ふんす
紬「唯ちゃん、冗談が上手ね~」
悠「(さすがに一度経験してるからな。二の轍は踏まな…)」ガリッ
悠「(ガリッ…?)」
悠「!」
悠「(小さめの卵が一個、殻ごとまるまる入っている!)」
悠「…」チラッ
唯「あ、ゆで卵作ろうと思って鍋に入れてたの忘れてた」
唯「鳴上君のカレーに混じってたのかぁ」えへへ
悠「…」
悠「(顎が痛い…)」
悠「泣けてきた」
澪「良しみんな食べ終わったなじゃあ練習しよう」ぺらぺら
唯「凄い早口!」
梓「よほどみんなに練習させたいんですね…」
悠「(アニメだと遊んでばっかりだったからな)」
紬「こっちに簡易ステージがあるから移動しましょうか」
唯「遊ばないの~?」
澪「唯?」ニコ
唯「…はい」
♪…
悠「…よし、ここまでにしようか」
梓「さすがにこれだけ良い機材が揃ってると練習にも熱が入りましたね!」
律「へへ、夢中になっちったよ」
澪「いつもこれぐらい練習してくれれば…」
唯「あぢゅい…」
紬「唯ちゃん顔真っ赤っか~…」
澪「確かに汗かいたな…お風呂に行こうか」
紬「お風呂に入るの?なら別荘の隣に露天風呂があるわ」
梓「露天風呂ですか…?」
紬「とても見晴らしが良くて綺麗なの!」
唯「良いね~!行こう行こう!」
澪「…」
澪「あの…鳴上君は…どうする?」
紬「鳴上君?」
澪「その…鳴上君に限っては無いとは思うけど…」
律「あーあり得るな、このメンツであたしが男なら絶対覗くもん」じろじろ
澪「どこ見てるんだ!///」ごん!
律「あでっ!」
梓「…でも鳴上センパイがそんなことしますかね?」
唯「しなさそうだよね」
唯「それ100%狼だよりっちゃん」
紬「…じ、じゃあみんなは先に入ってて?私が鳴上君と残るから」
律「ムギが?」
紬「うん!見張り役!」
澪「…良いのか?」
梓「すみませんムギセンパイ」ぺこり
紬「いえいえ」
悠「…」
悠「(…このチャンス、俺はこのまま逃して良いのか?)」
悠「(露天風呂…魅惑の響きが俺をとらえて離さない…!)」
陽介『信じてるぜ、相棒なら出来るって』
完二『センパイ…男見せて下さい!』
クマ『大丈夫、センセイならやれるクマ!』
悠「(ああ…ここは退けない!)」
悠「みんな待ってくれ!」
唯「どしたの鳴上君?」
律「ん?なんだ?」
悠「それは…」
1一緒に入ろう!
2俺を信じて、ムギも一緒にお風呂に入れてあげてくれ
3い…いってらっしゃい
>>508
唯「…」
律「…」
澪「…」
紬「…」
梓「…」
悠「(空気が凍り付いている!)」
律「あー…あのさ」
悠「良いか!俺達は同じ軽音部、つまりは仲間だ!」
悠「それなのに、仲間外れを作って良いのか!?」
悠「大体、お風呂というものはな…」
三十分後
悠「(一応抵抗してみせたが…圧倒的に伝達力が足りない…)」
悠「(伝達力が『噂が現実になる』くらいは無いと駄目そうだ…)」
梓「…ムギセンパイ、鳴上のこと宜しくお願いします」
紬「…任せて」
唯「…行こうか」
紬「…」
悠「…」そろー…り
紬「…」ガシッ!
悠「!」
紬「ふふっ」ニコッ
悠「落ち着け」
紬「私は冷静よ鳴上君?」
悠「(なんとかして落ち着かせないと…)」
悠「ムギ、俺は」
紬「はい?」ニコッ
悠「…」
悠「(今のムギに話しかけるには勇気が足りない…)」
悠「(勇気が『完二と一緒に風呂に入れる』くらいは無いと駄目そうだ…)」
やだーーー!
紬「…もう!」パッ
悠「え?」
紬「駄目じゃない鳴上君、女の子にあんなこと言っちゃ!」ぷんぷん
紬「良いですか?女の子には大切なものがいっぱいあるんです」
紬「言って良いことと悪いことの分別はちゃん…」
悠「(説教された…)」
悠「はい」
紬「なら良いわ」
紬「…」
紬「…」キョロキョロ
悠「…?」
紬「な、鳴上君…あのね?」
紬「さっき、い、一緒に入ろうって言ったってことは…」
紬「み、見たかったの?///」
紬「その…わ、私達の…裸?///」
悠「まぁ」
紬「そ、そうなんだ…そうよね、だからあんなこと言ったんだものね///」
悠「(話が見えない…)」
紬「…」チラッ
紬「すぅー…はぁー…」
紬「…鳴上君!」
紬「夜中…みんなが寝たあとに…」
紬「…私と一緒にお風呂に入らない?」
悠「!」
悠「(これは後戻り出来ない重要な選択だ…)」
1入る
2入らない
>>547
紬「ほ、本当に…?」
悠「ああ」
紬「…良かったぁ///」
紬「断られたらどうしようかと考えちゃった///」
良い湯だったなー
また入りたいねー
紬「…みんな上がったみたい」
紬「また…あとでね?///」
悠「…」
悠「なんだかとんでもない約束をしてしまった…」
悠「…」
悠「夕飯の準備…するか」
悠「…」
悠「…///」ポリポリ
澪「この中華料理美味いな…」
梓「こちらの和風オムライスもなかなかです」
唯「鳴上君って本当に料理上手だね…憂よりすごいかも」
律「これ全部、『一緒に入ろう』なんて言った変態さんが作ったとは思えないな…」
澪「律、それはもう許してやろうってみんなで決めたろ?」
澪「調子に乗るな」
悠「(どうやら退部はしないで済みそうだ)」
紬「♪」ぴかー
梓「(ムギセンパイにいつも以上に後光が射してますね…)」
梓「(何か嬉しいことでもあったのかな?)」
真夜中 別荘内 自室
悠「…」
悠「そろそろ12時だ…」
悠「みんなもう寝た頃だろうか…」
悠「…」
悠「風呂か…」
悠「…」
悠「陽介、行ってくる」すくっ
悠「(湯気で何も見えない…)」
悠「(ムギが来ている気配は無さそうだ…)」
悠「先に入るか」
ざっぱん!
悠「ぷはっ!」
悠「…」
悠「…確かに良い景色だ、町並みを見下ろせるとは」
悠「…」
悠「…」
悠「のぼせてきた…」
悠「ゆでダコになりそうだ…」
悠「熱い…」
悠「(駄目だ、これ以上は根気が足りな)」
がらがら…
悠「!」
ちゃぷん…
悠「(しかし、やはり湯気で良く見えない…)」
悠「(声をかけてみようか…)」
悠「ムギ?」
紬「…鳴上君」
悠「(ムギの声だ…)」
悠「!」
悠「(視界を手で塞がれている!)」
悠「(なんとなくこのシチュエーションは恥ずかしい…)」
紬「鳴上君」
紬「私ね、ずっと変なんだ」
紬「心が苦しいの」
紬「…なんでかな?ううん、なんでだと思う?」
悠「…」
紬「…分からない?」
悠「…ムギ」
紬「どこからともなく現れて…」
紬「いつの間にかみんなの中心的存在になって…」
紬「私にいつも優しい言葉をくれる貴方が…」
紬「鳴上君が…」
紬「好きになっちゃったの」
紬「驚いた?」
悠「…かなり」
紬「うふふ、やった」
紬「…」
紬「…ねぇ」
紬「鳴上君はいつも私に会いに来てくれるよね」
紬「…どうして?」
イゴール『愛を選ぶのか、それとも友情を選ぶのか…』
イゴール『貴方の選択次第では真の絆を得られましょう』
紬「…どうして?」
1ムギが好きだから
2ムギは大切な親友だから
>>582
紬「しんゆう…」
紬「…」
紬「…」すっ
悠「(視界が開けた…)」
紬「あっ、後ろはそのまま見ちゃ駄目」
悠「あ、ああ」
紬「…」
ぎゅっ…
悠「!」
紬「…ごめんね鳴上君」
紬「でも…少しだけ、ほんの少しだけ」
紬「こうしていさせて…」ぽろっ…
悠「…」
悠「…ムギ、俺は」
紬「良いの」
紬「鳴上君の優しさは…私には大きすぎるから…」
紬「だから良いの」
紬「…」
紬「…う」
紬「ひぐっ…う…」ぽろっ
紬「…うう…」ぽろっ
紬「うえぇぇ…!」ぽろぽろ…
悠「…」
悠「…」
悠「(空がやけに高く見える…)」
悠「…」
悠「(俺の選択は…正しかったのだろうか…)」
悠「…」
紬「…ごめんなさい、もう大丈夫」
悠「…そうか」
紬「のぼせちゃうし、上がりましょう?」
悠「そうだな」
悠「(体が熱い…)」
悠「(意識が…)」
ぱしゃっ…
紬「な、鳴上君!?」
紬「鳴上くーん!」
紬「…どうしよう」
悠「…ん」
悠「ここは…」
悠「俺の部屋?」
悠「…」
悠「確か風呂で倒れたのは覚えているが…」
悠「…服が着せられている」
悠「誰が…」
すー…すー…
悠「?」
悠「(ムギが椅子に座って寝ている…)」
悠「…」
悠「まさかムギが運んでくれたのか?」
悠「!」
悠「まさか俺に服を着せたのって…」
悠「…」
悠「(もうお婿に行けない…///)」
悠「起こすか…」
すたすた
悠「ムギ、朝だ。おはよう」
紬「うぅん…鳴上君…?もう大丈夫なの…?」
悠「ああ、ムギのおかげだ。ありがとう」
紬「良かった…あの後大変だったのよ?」
紬「必死で運んで、体拭い」
紬「!!!」
悠「(やはりか…)」
紬「こ、こほん///」
紬「…」
悠「…」
紬「…」
悠「…」
悠紬「「…リビングに行こうか」」
悠「(二日目は夕方まで自由行動だ)」
悠「(どのグループに混ざろうか…)」
1律、唯と虫取り
2澪と写真を撮りに行く
3梓と別荘内待機
4ムギと修行の約束をしていたので行く
>>610
悠「(律と唯の所に行ってみようか)」
昼 山林
唯「早速見つけました、りっちゃん隊員!」
律「こ、これは…新種の虫ですか鳴上博士!」
悠「ただのメスのカブトムシだな」
律「そこは乗れよ鳴上ー」
律「そんなんじゃやっていけないぞ?…色々」
悠「(最後アバウトだ…)」
唯「うーん…見つからない」
律「何の虫探してんだ唯?」
唯「カマキリ」
律「カマキリ?そんなん草むらに大体…」
唯「普通のカマキリじゃないんだよ、りっちゃん」
悠「(気持ち悪っ)」
律「…ないない、さすがに無いから唯」
唯「本当だって!ちっちゃい頃に本当に見たんだって!」
律「どーせ見間違いだよ」
唯「本当だよ!でっかいカマに引っかかれた記憶あるもん!」
律「ふーん…」
悠「嘘は言ってないみたいだが…」
唯「…」うるうる
悠「…」
悠「(信じざるを得ない…!)」
悠「…もちろんだ」
唯「やったーありがとー!一緒に探そう!」
律「…しかしただ探すだけじゃつまんないな」
律「よし、誰が一番多く虫を捕まえられるか勝負だ!」
悠「虫取り大会か…」
律「そして勝者は敗者にジュースをおごって貰える!ってのはどーよ」
唯「単純で分かりやすい!」
律「じゃあこのルールで今からゲームスタートだ!」
悠「…律」
悠「一つ確認しておくが…」
律「!」
律「そ、そんな訳無いだろー蟻さんはノーカンだよノーカン」
悠「(こいつ…)」
唯「(セコい…)」
律「あ、あはは!ほら散った散った!」
悠「(ごまかした…)」
唯「(りっちゃん…)」
悠「(さて、何を狙うか…)」
悠「どうせ勝負するなら勝ちたいしな」
悠「ある程度取り辛くても、数を確保出来るのが望ましいか」
悠「…」
悠「カブトムシ…は無いな、まず見かけない」
悠「蝶とかが狙い目だろうか?」
悠「…」
悠「もう、アレで良いか」
律「…」
律「…」
律「なんにも無いんだけど」
律「虫なんてどこ吹く風」
律「…」
律「はずれ引いたかなぁ…」
律「…」
律「…コレで良いやもう」
唯「あれ?この道さっきも通ったような…」
唯「うーん?」
唯「…」
唯「…」
唯「また同じとこ…」
唯「…迷った?」
唯「…困ったなぁ」
唯「…」
唯「あれ?あそこにいるのは…」
律「では結果発表!まずは私!」ばっ
唯「…蟻じゃん」
律「他に何も無くて…」
律「唯はどうなんだよ」
唯「私は一匹だけだけどホラっ!」
悠「!巨大カマキリ…本当に居たのか」
唯「キリ太って名付けたんだ~」
律「…持って帰らないからな唯?」
唯「ええ!?」
悠「数を考慮した結果、蜂を20匹ほど捕まえてきた」
悠「それぞれビー太A、ビー太Bと名付け…」
律「いやいや飼わないから、てか分からねぇよ」
唯「どうやって捕まえたの?」
悠「普通に網で」
悠「?」
律「…とりあえず鳴上の優勝か?鳴上、ジュース何飲む?」
悠「胡椒博士NEOを」
律「うげ、あんなん良く飲めるな…それで良いの?」
悠「もちろん」
悠「(良く買い貯めしてたっけ)」
唯「日が落ちて来たね」
悠「そうだな…山の夜は早いし、そろそろ帰ろうか」
律「そうするかー…って唯、キリ太は置いてけよ?澪が見たら発狂する」
唯「うぐっ!」
>『愚者』『剣』のコミュランクアップ!3→4 5→6
悠「(色々あったが楽しい合宿だった)」
悠「(あれから一ヶ月か…)」
悠「…」
悠「(学園祭も近いし…どうしようか)」
1平沢唯
2田井中律
4中野梓
5秋山澪
>>718
放課後 部室
悠「(扉越しに声が聞こえる…)」
梓『そうですか…そんなことが…』
紬『…うん』
梓『その…ムギセンパイはそれで良いんですか?』
梓『ずっと気まずいままだとやりにくいですし…』
悠「(中に入り辛い話をしている…)」
紬『でも…これ以上鳴上君に迷惑掛けたら嫌われちゃう…』
梓『鳴上センパイがムギセンパイを嫌ったりなんて有り得ませんよ』
紬『そうかな…』
梓『というか周りのみんなはお二人は相思相愛だと思ってたんですけどね…』
梓『なんで告白を断ったんでしょうか…』
悠「…」
悠「(だが時間はまだある…)」
悠「(どうしようか)」
1平沢唯
2田井中律
5秋山澪
>>729
放課後 教室
唯「♪」
悠「(唯は音楽を聞いている…)」
悠「唯」ポンポン
唯「ほえ?あ、鳴上君」
唯「まだ帰って無かったの?」
悠「まぁな」
悠「それより何を聴いていたんだ?」
唯「といっても歌詞はまだ澪ちゃんが考えてるからメロディだけだけどね」
悠「そうか」
悠「…」
悠「俺にも聴かせて貰えるか?」
唯「良いよ~ほい」
悠「ありがとう」
♪
悠「(これをムギが考えたのか…)」
悠「…」
悠「(俺はムギの気持ちをどう受け止めるべきだったんだろうか…)」
悠「(応えてやるべきだったのか…)」
悠「(だが応えることが必ずしも正解とは言い切れない自分がいる)」
悠「…」
唯「…もう再生終わってるよ?」
唯「良い曲でしょ!」
悠「ああ」
唯「ムギちゃんね、鳴上君を見てこのメロディを思いついたんだって!」
悠「俺を?」
唯「うん、合宿前にムギちゃんから聞いたんだ」
唯「んーとね…鳴上君には人を惹きつける魅力があってみんなが集まって来る」
唯「そんな鳴上君を見て閃いたって!」
唯「愛されてるねぇ~」にやにや
悠「からかうな」
唯「…」
唯「ねぇ鳴上君」
唯「好きになれなかったからって離れることは無いんだよ?」
悠「!」
悠「…」
唯「私は良く分からないけどさ」
唯「このまま溝を作ったままにだけはしちゃ駄目」
唯「そんなのどっちもかわいそうだよ」
唯「私はまた二人で笑いあって欲しいな」
唯「鳴上君もそう思わない?」
悠「…まさか唯に諭されるとはな」
唯「意外?」
悠「意外」
唯「ひどっ」
悠「ははっ」
悠「…ありがとう、唯」
>『愚者』のコミュランクアップ!4→6
悠「(ムギの所に行ってみようか…)」
唯「いってらっしゃい鳴上君」
悠「心を読むな」
唯「だって鳴上君なら行くと思ったし」
悠「…そうか?」
唯「うん」
悠「(かなわないな…)」
悠「…行ってくる!」
唯「頑張れ!」
紬「…」
がらっ
悠「やっぱりここかムギ」
紬「鳴上君…!」
悠「ムギと話に来た」
紬「わ、私と…?」
悠「ああ」
紬「…」
紬「私も…鳴上君に話したいこと…ある」
紬「ううん、鳴上君からどうぞ!」
悠「いや、ムギからで」
紬「鳴上君から!」
悠「…」
紬「…」
紬「じゃあ…私から」
悠「(勝った)」
紬「…」
紬「なんで…」
紬「私の気持ちを蹴ったの…?」
紬「私…理由を聞きたい」
紬「どうして私じゃ…駄目なの?」
悠「…」
悠「ムギ」
悠「俺はいつかみんなと離れる」
悠「恐らく…そう遠くない日」
紬「!」
悠「(そう、俺は戻らなくちゃいけない…元の世界に)」
紬「それは…絶対なの…?」
悠「ああ」
悠「だから…」
悠「ムギの気持ちには応えられない」
悠「たとえ応えたとしても…今はそれで良いかもしれない」
悠「だが、別れはいずれやってくる」
悠「いつか必ず終わる愛を…ムギに向けることなんて俺には…」
紬「…」
紬「…終わらない」
悠「…ムギ?」
紬「…」
紬「終わらないもん…」ぽろ…
紬「私は鳴上君が好き!」ばっ
紬「鳴上君が大好き!」
紬「この気持ちは本物って胸を張って言える!」
悠「…」
悠「俺だって…ムギが…」
紬「…本当に?」
悠「…ああ」
紬「なら…私は平気よ?」
紬「離れたって…」
悠「絆…」
紬「もう一度言わせて…」
紬「私…」
紬「鳴上君が好き…」
悠「俺は…」
1好き
2やはり駄目だ
>>780まで多数決
紬「…」
紬「なる…がみく…ん」ぐすっ
ぎゅっ
悠「俺が悪かった…俺が紬との絆を信じられなかったせいで傷つけて…」
悠「でも…今なら信じられる」
紬「うん…!うん…!」
>『金貨』のコミュランクアップ!9→MAX!
紬「鳴上君…」すっ…
がらっ!どさどさ!
悠紬「「!?」」
唯律「「いてて…」」
梓「みんなでドアによっかかり過ぎましたね…」
澪「じゃ、邪魔するつもりは無かったぞ!」
紬「見てた…?」
唯「あ、あのね?りっちゃんがいけないんだよ?」
唯「りっちゃんがこっそり覗こうって…」
律「あたし一人のせいかよ!澪だって食い入るように見てたじゃん!」
澪「な!そ、そんなことない!」
梓「見に行こうって言ったのは唯センパイじゃないですか…」
紬「///」ボンッ!
紬「~///」ギュー…!
悠「(恥ずかしさのあまり、俺の背中に埋もれている…)」
律「あはは、ご、ごめんね~」
唯「ごめんなさい…」
梓「すみません…」
澪「(良い歌詞思いついたかも)」
紬「…なに?///」ぎゅ
悠「ちゃんとみんなに言おうか」
紬「…うん///」
悠「よし」
悠「みんな聞いてくれ」
紬「わ、私達!///」
…
悠「(ムギと恋人となってもう数ヶ月か)」
悠「(ムギは俺だけに色んな一面を見せ、傍にいてくれる)」
悠「(まさに幸せの日々だ)」
悠「(たとえいつか離れてもこの日々だけは絶対に忘れないようにしよう)」
悠「…」
悠「明後日は学園祭だ」
悠「今日はもう休もう」
悠「…」
悠「…ここは」
イゴール「…随分と久しいですな」
イゴール「…どうですかな?こちらの世界で何かを見つけられましたかな?」
悠「ああ」
イゴール「それは結構」
イゴール「しかし…マーガレット」
マーガレット「でもその前に大きな分かれ道にあたるでしょう」
悠「分かれ道…」
マーガレット「貴方は二つの世界で大切な絆を手に入れた」
マーガレット「…でも、もしどちらかを捨てなければならなくなったら」
マーガレット「貴方はどちらを選ぶのかしら?」
イゴール「…答えは自ずと見つかるでしょう」
イゴール「貴方の可能性はどこまで広がるのか…」
イゴール「また、お会いいたしましょう」
…
マーガレット「あ、ちょっと待って」
マーガレット「貴方、私の名前を勝手に自分のベースに名付けてるそうじゃない」
マーガレット「使用料を頂きたいのだけど」
悠「…」
イゴール「…」
マーガレット「…冗談よ」
…
悠「…」
悠「…」がばっ
悠「選択…分かれ道…」
悠「(なんとなく…意味は分かる)」
悠「(決断をする時…か)」
悠「…」
悠「…学校へ行こう」
悠「…」
悠「マーガレット…はぁ」
悠「(恐らくこれが最後の交流を深めるチャンスだ)」
悠「(後悔の無い選択をしよう)」
1平沢唯
2田井中律
3琴吹紬
4中野梓
5秋山澪
>>823
絶許
悠「(行ってみようか)」
放課後 部室
がらっ
悠「澪、いるか?」
澪「ん、鳴上君か」
悠「学園祭前日に歌詞が完成したと聞いて」
澪「長かったよ…ほらこれだ」ひらっ
悠「…」
悠「(これは…)」
澪「ま、また駄目だったか?」
悠「いや…」
悠「凄く良い!」
澪「本当!?」
悠「ああ、まさに俺達軽音部を表しているようだ」
澪「そ、そうか///」
澪「…」
澪「…鳴上君のおかげだよ」
澪「鳴上君のおかげで書けたんだ」
澪「鳴上君がいつも助けてくれたから…///」
悠「…そんなことはないさ」
悠「これを書けたのは澪の力だ」
悠「澪が努力したおかげだ」
澪「ううん、私の力だけじゃ書けなかったよ」
澪「みんながいてくれたから」
悠「…」
悠「…なんだか照れるな」
>『杖』のコミュランクアップ!7→9
澪「ありがとな」
悠「どういたしまして」
澪「ふふ///」
放課後 学校のどこか
紬「むむ!?」キラキラバシューン
悠「(これ以上はマズイ気がする…)」
澪「あ、あのさ///」
がらっ
紬「澪ちゃん新曲の歌詞出来たって!?見せて見せて、そして練習しましょう!!」
澪「お、おお?」
悠「(凄い勢いだ!)」
紬「それと…」チラッ
悠「!」
紬「鳴上君はお茶無しね」
悠「…」
悠「いよいよ明日は学園祭だ」
悠「明日に備えて早く寝よう…」
悠「…」
マーガレット『…お客様の三度目の旅路はもうすぐ終わりを迎えます』
悠「…」
悠「…明日か」
律「緊張するな…」
唯「いつも通りやれば大丈夫だよ」
澪「三年生組最後のライブか…」
梓「上手くやれますかね…」
紬「私達なら大丈夫!」
悠「ああ」メガネすちゃっ
悠「やるぞ!」カッ!
悠「(この先に何があるかは分からない)」
悠「(だが今は…この瞬間だけは…)」
悠「(俺達の掴みとった未来だ!)」
わあああああああああ!
唯「一曲目『ぴゅあぴゅあハート』!」
唯「~♪」
悠「(唯、お前のその純粋さは軽音部の宝だ)」
悠「(どうかずっとそのままでいて欲しい)」
悠「(そして梓は、そんな唯を時々支えてやってくれ)」
悠「(とても大変だろうけどな、はは)」
唯「~♪」
♪…
悠「二曲目『Pursuning My True Self』」
悠「イザナギィィィィィ!!!」
唯梓律澪紬「「「「「!?」」」」」
澪「~♪」
悠「(律の明るさは軽音部にとって無くてはならないものだ)」
悠「(ずっとみんなを照らす太陽であってくれ)」
悠「(澪は素敵で芯の強い女の子だ)」
悠「(その強さはこれからもずっと自分の武器になっていくさ)」
澪「~♪」
♪…
唯「三曲目『ふわふわ時間』!」
梓紬「「ふわっふわっ~!」」
わああああああああああ!
律「行くぜ!」
唯澪「「~♪」」
悠「(ムギ、たぶんこれで俺とはお別れだ)」
悠「(でもどうか寂しがらないで欲しい)」
悠「(あの時『紡いだ』絆はきっと永遠だから)」
悠「(大好きだ、紬)」
唯澪「「~♪」」
♪…
澪「…最後は新曲です」
律「この歌がみんなに届いて」
梓「心に届いて」
紬「『絆』を結びますように…」
唯「四曲目『the way of memories…」
悠「…キズナノチカラ』」
唯「君と歩いた通学路 ひなびた景色見つめて♪」
律「春の放課後 河川敷♪」
澪「夏祭り みんなで笑って肩寄せ♪」
紬「過ごしてた日々♪」
唯澪「「この何気ない日常眺めて♪」」
悠紬「「今日からあすあしたから未来へ♪」」
唯「みんなと築いた絆♪」
唯「秘めて歩き出す…♪」
♪…
唯「みんなー!」
澪「ありがとー!」
律「さんきゅー!」
梓「ですー!」
わああああああああああ!
悠「やったな」ぐっ
紬「うん!」にこっ
唯「凄かったねー!」
梓「はい!大喝采でした!」
澪「まさかアンコール貰えるとは思わなかったよ」
律「最後に良い思い出出来てバッチリじゃん?」
悠「…ムギ、ちょっと外に出ようか」
紬「え?うん…」
紬「…どうしたの?」
悠「…」
悠「…」
悠「…」
悠「(俺は…この世界と元の世界…どちらも大切だ)」
マーガレット『貴方はどちらを選ぶのかしら?』
悠「俺は…」
1元の世界へ戻る
2この世界へ残る
>>890まで
ラスト安価 ED分技 多数決
紬「…え?」
悠「…」
紬「どこかへ行くの…?」
悠「…」
紬「ねぇ…」
紬「どういうこと…?」
悠「ほら、見てくれこの手」
紬「…!」
紬「透けて…」
紬「いえ…消えてる…?」
悠「…なんの偶然か運命かは知らないが俺は別の世界からたまたまここの世界へ来た」
悠「…そして今が…帰る時らしい」
紬「何それ…そんなの急に言われたって…」
紬「信じられる訳無い…じゃない…」
悠「…ごめんなムギ」
紬「離れるって…二度と会えないって…そういことなの…?」
悠「…」
悠「…紬」
悠「離れても絆があれば…」
ぎゅっ
紬「!」ふるふる
紬「嫌…!やっぱり嫌!」
紬「嫌よ…!」ぽろぽろ…
悠「紬…」
悠「なら約束をしよう」
悠「俺はいつかもう一度君に会いに行く」
悠「必ずだ」
紬「…信じられない」
紬「…そんなの信じられない」
悠「紬」
悠「…これが俺の誓いの証」
ちゅっ
紬「!」
紬「今…」
悠「俺はいつも君のとなりにいる」
悠「とな…に…るから…」
紬「待って!待ってよ!」
悠「…」にこっ
紬「待って!」
紬「…」
紬「…」
紬「…ひぐっ」ぽろっ…
唯「あ、ムギちゃんいたー!みんなで打ち上げしようよ!」
唯「みんな待ってるよ!」
唯「ってあれ?鳴上君は一緒じゃないの?」
紬「…」
唯「…ムギちゃん…泣いてる?」
唯「…何かあった?」
紬「…」
紬「…ううん!」
紬「…行こっか唯ちゃん!」
唯「うん!」
悠「…」
悠「…」
悠「無事に戻れたみたいだな…」
悠「…」
こんこん
菜々子「おにいちゃん、起きてる?朝だよ」
菜々子「今日、向こうに帰るんでしょ?」
悠「…」
悠「(けいおん!か)」
悠「あ、叔父さんいる?」
菜々子「お父さん?下にいるけど…どうかしたの?」
悠「ちょっと叔父さんに頼みがあってね」
菜々子「ふーん…あ、お兄ちゃんに荷物届いてたよいっぱい」
悠「そっか、今取りに行く」
悠「…」
完二「けいおん!どうでしたセンパイ!」
悠「素晴らしいの一言に尽きる」
完二「センパイならそう言ってくれると思ったぜ!」
完二「あ、話変わるけど良いんスか?向こうに帰らなくて」
完二「今日でゴールデンウィーク終わりっスよ?」
悠「叔父さんに無理言って、延ばして貰ったから大丈夫だ」
完二「センパイ…!俺、男泣きっスよ!」がばっ
悠「抱きつくのはやめろ!けいおん!のDVDが!」
すたすた
陽介「うーす相棒!なーに見てんだ!」
悠「陽介か、これはな…」
>鳴上悠は『放課後』のアルカナを手に入れた
おしまひ
これで陽介編に繋がるわけか
鳴上Youということでみんなを悠にしようという安易な考えクマ
ちょとトラブったけどこんなSSにつき合ってくれてありがとクマ!
完二は思いつかないからやらないかもクマ
Entry ⇒ 2012.09.08 | Category ⇒ ペルソナSS | Comments (0) | Trackbacks (0)
真「みんなはプロデューサーとスキンシップを取りすぎてる!」
P「ただいま戻りましたー」
美希「ただいまー、なの」
小鳥「あらお帰りなさい……って、腕なんか組んじゃってどうしたんです?」
P「いやぁ、途中で美希に会いまして。それから離れてくれないんです」ブンブン
美希「ヤ! 振り回しても離れないの!」ギュ
P「ああもう。どうしたんだよお前……」
美希「ミキはハニーが大好きなの!」
P「わかったから離せって」
美希「なんにも分かってないの! 気持ちは表現しないと伝わらないの! これはミキの愛の形なの!」
美希「ハニー! 愛してる!」ギュ
ウウウウ
小鳥「あら〜」ニヤニヤ
あずさ(気持ちは……!)
雪歩(表現しないと……!)
伊織(伝わらない……!?)
ジリッ……
アイドル「……ムッ!?」
春香(美希の言葉を受けて全員が動こうとしてる……)
真美(でも全員が同時に動き出そうとしたせいで逆に全員が動けない……)
響(自分、完璧だから……)
やよい(うっうー! みんなでにらめっこでしょうか?)
千早(アクセルフォームは……高槻さんの近くでは使いたくないわね)
亜美(うあうあー! こうしてる間にもミキミキが兄ちゃんと……)
ジリジリッ……
貴音「…………」
アイドル「!?」
貴音「あなた様?」
P「た、貴音か! 頼む美希を剥がしてくれ!」
P「なんと!」
貴音「……」ギュ……
P「ふわぁ……」
貴音「親愛の念を表す手段と聞き及んでおります。……如何でしょうか?」
P「面妖だな」
美希「た、貴音! 今のハニーは美希専用なの!」
貴音「美希ももう少し寄りなさい」ギュ
美希「ふわぁ……」
貴音「少々暑いですね。ふふっ……」
美希「面妖なの」
小鳥「貴音ちゃんのハグは想像以上の威力のようね……」
貴音「すきんしっぷ、とはまこと良きことですね」ニコニコ
雪歩「プロデューサー、お茶をどうぞ」
P「おう、ありがとうな」
雪歩「……」
雪歩(気持ちは表現しないと伝わらない、か……)
雪歩「……プロデューサー? 何をやってるんですか?」
P「ああ。クロスワードパズルだよ。最近はまっててさ」
P「雪歩も一緒にやるか?」
雪歩「いいんですか? じゃあ隣、失礼します」スッ
雪歩(勇気出して隣に座ったのになんにも反応してくれない……)
P「『地下に出てくる風船のようなモンスター』」
雪歩「あ、それ『プーカ』ですね」
P「おお。知ってるのか?」
雪歩「よく見ますから」
P「よく見る?」
雪歩「あ、いえ……」
P「?」
雪歩「あはは……」
雪歩(もしかして、今がチャンス?)
雪歩(でも、インパクトで負けちゃダメだよね?)
雪歩(そう、美希ちゃんのように……)
雪歩(抱きつく?)
雪歩(抱きつくの? 抱きつけばいいのかな?)
雪歩(だ、抱きついていいんだよね?)
雪歩(ええい、ままよ!)
雪歩「ぷ、プロデューサー!」
P「どうしt」
雪歩「えいっ!」ガバッ
P「ゆ、雪歩っ!? これは一体」
雪歩「し、親愛の念を表す手段と聞き及んでおりますっ!」
P「急にどうしてしまったんだ!」
雪歩「美希ちゃんが、」
P「?」
雪歩「気持ちは表現しないと伝わらないって美希ちゃんが……///」ギュ
P「おおう……」
響「親愛の念!」ガ-
P「うわっ、響か」ギュ
響「迎えに来てくれたの?」
P「道すがら寄っただけだ」
響「そこは嘘でも迎えに来たって言って欲しかったぞ……」
P「わるいわるい」
響「ん。でも受け止めてくれたから許してあげる」ギュウウ
P「ははは……。響もハグがお気に入りか」
響「『も』?」
P「ああ。なんだか最近みんなやたらと抱きついてくるんだよ……」
響(ううー……。みんな積極的過ぎるぞ!)
P「響ー?」
響「な、なんでもない!」
亜美「兄ちゃーん! 親愛のねーん!」
真美「心から抱きしめてやるぜー!」
P「お前らもいつも通りのはずなんだけどなあ。変に意識してしまう」ヨシヨシ
亜美「んー? どったの?」
真美「もしかして真美達のハグでドッキドキな感じ?」
P「あーうん。そんな感じ」
亜美「えー、兄ちゃんなんかキモイ……」
P「や、やかましいわ!」
真美「これは慣れるためにも練習が必要ですなあ! 亜美隊員!」
亜美「了解! ジークブリーカー!」ギチギチギチ
P「ぐああ! ご褒美です!」
あずさ「なんだかみんなの間でハグが流行ってるみたいですね〜」
P「そうみたいですねぇ。簡単に男に抱きつかないで欲しいんですけどね……」
あずさ「でもハグって親愛の表現なんですよね? 素敵です」ギュ
P「……自然に抱きつかないでください」
あずさ「あらあら〜」グイッ
P「あの、体重をかけないで……」
あずさ「あらあら〜」グイグイッ
P「あ、あずささん!」
あずさ「あらあらあら〜」グイグイグイッ
P「ちょ、マジで」
あずさ「あらあらあらあらあらあら」
P「あ、ああ、あああああ……」
\あらあら〜っ/
春香「プロデューサーさん!親愛の念ですよ!親愛の念!」ギュ
P「はいはい面妖面妖」
P(慣れてきた自分が怖い)
真「……」ジ-ッ
P「あ、真」
真「……」プイッ
P「どうした? 元気がないみたいだけど」
真「な、なんでもないです!」
P「そうは言うけd」
真「ボク、ちょっと用事があるので失礼します!」スタスタ…
P「お、おう……。お疲れ」
真(ううううう、皆が羨ましい… …)
真(プロデューサーさんにあんなにベタベタして!)
真(……)
真(今日も怒鳴ったりしてプロデューサーに嫌われてないかなぁ……)
真(でも……)チラッ
雑誌「なんや」
真「でも、これで、良いんですよね……?」
雑誌「ええんやで」
『男にウザがれる! うっとおしいスキンシップ系女子の典型5パターン!』
『基本を抑えたうざさ』
『まず暑い』
『チャオ☆』
『その2、困ると抱きついてくる』
『発展的なうざさ』
『そして暑い』
『チャオ☆』
『その3、挨拶代わりに抱きついてくる』
『恒常的なうざさ』
『やはり暑い』
『チャオ☆』
『その4、しっとりと抱きついてくる』
『艶やかなうざさ』
『もれなく暑い』
『チャオ☆』
『その5、ことごとく抱きついてくる』
『どうあがいても、うざい』
『いい加減安い芸人の一発ギャグじゃないんですから連呼させないでください』
真「……」ゾゾゾゾゾ……
真「ボクは……」
真「ボクは、プロデューサーにウザがられたくなんか無い!」
P「この前から真がよそよそしいなぁ……」
P「……」
P「よし! ここはプロデューサーとして元気付けてあげないと!」
P「えーとこういう時はどうすればいいのかこの前読んだ雑誌に載っていたような……」ガサゴソ
P「お疲れ様だな。よかったらこれから飯でm」
真「……」スタスタ
P「」
・・・
P「真!」
P「偶然だな。よかったらこれから飯でm」
真「……」スタスタ
P「」
・・・
P「ま、真!」
P「おはようだな。よかったらこれから飯でm」
真「……」スタスタ
P「」
P「」
P「あ、うん」
千早「プロデューサー? なにか元気が無いようですが……」
P「あ、うん」
千早「……」
千早「私なんかが抱きついても、気持ちよくありませんでしたか……?」
P「あ、うん」
千早「……」ブワッ
P「あ、うん」
P「あ、うん」
伊織「この伊織ちゃんが抱きついてあげてるんだから、もっと喜びなさいよ!」
P「あ、うん」
伊織「……」
P「あ、うん」
P(嫌な事……)
伊織「ねえ! 応えてってば!」
P「……」ボソッ
伊織「え?」
P「……真……」ボソボソ
伊織「ま、真? 真がどうかしたのね!?」
伊織「私に任せないさい!」
P「……真」ボソ
伊織「だから元気出して? ねっ?」
P(真に……嫌われた……)
伊織「ねぇってばぁ……」
P(……真)
P「あ、うん」
夜
伊織「第一回! 765プロ円卓会議を始めるわっ!」
千早「……」
春香「千早ちゃん? 大丈夫?」
千早「なんだか頭の奥がチリチリするわ……」
亜美「にしてもいおりん荒れてるね→」
真美「……あの日?」
あずさ「あらあら〜、伊織ちゃん? 辛い日は無理をしないd」
伊織「あの日と違う!」
あずさ「どうしてもっていう時は仕事m」
伊織「違うってば」
伊織「今日の議題は真! アンタについてよ!」
真「えぇ、ボク?」
真「ぷ、プロデューサーの元気がない!?」
雪歩「そういえば最近、生返事が多くなったような……」
響「でも真にどんな関係があるんだ?」
あずさ「イラついて周りに当たってしまうこともあるけれd」
伊織「わからないわよ。だからこそこうやって直接聞く機会を作ったんじゃない」
あずさ「痛くても薬に頼りすぎないようにね? 適度な運動g」
美希「でも言われてみれば最近の真クン、ハニーに冷たい気がするの」
あずさ「でもやっぱり薬に頼りたいときもあると思うの。そういう時は漢p」
貴音「……確かに、何度かあの方からの呼びかけを無視している場面がありましたね」
貴音「何かあったのですか?」
やよい「? 真さん? 今なにか隠しましたー?」
真「え!? いやだなぁそんなことないよははは」
真美「……」
ニア『ぬすむ』ピッ
真美「せいっ!」
真「あまい!」バッ
ニア『再動』『必中』ピッ
ニア『ぬすむ』ピッ
真美「撃滅のセカンドブリッドォ!」ババッ
真「精神コマンド!? やられたっ!」
春香「普通のティーン雑誌だね」ペラペラ
真「やめてー!」
千早「特集記事? どれどれ……?」
真「やーめーろーよー!」
『男にウザがれる! うっとおしいスキンシップ系女子の典型5パターン!』
全員「」
真(みんなに黙って卑怯なことをしてしまったんだ……嫌われても当然……)
伊織「あの、真」
真「はい……」
伊織「……」
真「ご、ごめんなさい!」
真「どうしてもプロデューサーに嫌われたくなくて……!」
真「皆に黙ってズルしちゃいました!」
真「本当にごめんなさい!」
全員「……いやぁ」
真「?」
響「これを信じちゃう真の将来が心配だぞ……」
亜美「亜美的にもこれは無いかな……。解説も適当だし」
真「えっ」
雑誌「えっ」
貴音「すきんしっぷとは、はぐとは、愛情表現の一つなのです」
貴音「親愛の念を持ってして触れ合おうとする者を、あの方が拒むはずがございません……」
真「!」
美希「だから、大丈夫! 真クンのしたいように、気持を伝えればいいの!」
真「た、貴音……! 美希……!」
真「ううん! みんな! ありがとう!」
真「ボク、自分に素直になるよ!」
P「ん? 幻聴か?」
真「違いますよ! 幻聴じゃありません!」
P「え、うそっ!?」
真「いいですかプロデューサー! 一度しか言いません!」
P「え? あ、うん」
真「プロデューサー!」ギュ
真「 大好きですっ!」
P「ふわぁ……」
おわり
やよい「うっうー! プロデューサーと真さんが仲良しです!」
春香「確かに急に仲良くなったよねぇ……」
春香「美希と貴音が背中を押したからかな?」
美希「美希はハニーの落ち込んだ所を見たくなかっただけなの!」
美希「まさかあんなにベタベタするようになるなんて……」ワナワナ
千早「なにが利いたのかしら? 『さっぱりわからないわ』」
春香「……」
亜美「……亜美にはなんとなく分かるよ」
真美「兄ちゃんはまこちんの冷たい態度にノックダウン寸前だった……」
亜美「そしてそこに急なハグ!それも熱烈な!」
真美「言うなれば砂漠の中のオアシス! 兄ちゃん思わず陥落!」
やよい「? どういうこと?」
亜美「つまり兄ちゃんはツンデレに弱いってこと!」
全員「!!!!」
おまけもおわり
Entry ⇒ 2012.09.07 | Category ⇒ アイマスSS | Comments (0) | Trackbacks (0)
智美 「ワハハ、今日も笑顔でみんなを元気にするぞ」
怜 「コホッ……」
竜華 「怜、大丈夫か? 膝枕する?」
怜 「すまんな、竜華。そうさせてもらうわ」 ポフッ
竜華 「ええって、無理したらアカンよ?」 ナデナデ
怜 「……」
竜華 「怜は体が少し弱いんやから」
怜 「ウチがもっと元気なら、みんなに迷惑かけへんのに……」
智美 「ワハハ」
怜 「お? なんか急に元気湧いてきたわ」 スクッ
竜華 「え?」
――三ヵ月後
怜 「う~っす」 ムキムキ
竜華 「と、怜……遅かったなぁ」
怜 「さっきまで筋トレしとったからなぁ」 ムキムキ
セーラ 「またかいな、やりすぎとちゃうんか?」
怜 「病弱だった反動で、鍛えることに目覚めたわ。ガハハ!」 ムキムキ
泉 「もう筋トレ部に入ったらどうですか?」
怜 「なんやとー、泉は生意気言うようになったなー」 ムキムキ
怜 「うりゃ! ヘッドロックやで!」 グリグリ
竜華 「怜、やめ! 泉が死んでまう!」
泉 「」
怜 「またまた、竜華は大袈裟やで」 ムキムキ
浩子 「また大きくなりましたね、園城寺先輩」
浩子 「胸囲、握力、背筋など……データとらせてもらいますよ」
怜 「かまへん、かまへん! 代わりにいつものプロテイン頼むで!」 ムキムキ
怜 「セーラは速筋ばっかやな。自分、もう少しインナー鍛えなアカンで」 ムキムキ
セーラ 「ああ、うん……」
怜 「さて、筋トレで疲れたわー。竜華、膝貸してもらうで?」 ズイッ
竜華 「う……うん……」
怜 「うーん……。竜華も、もっと太もも鍛え方がええんやないか?」 ムキムキ
怜 「もっとこう、パンパンにせな! ほな、一緒に筋トレ行くで!」 ガバッ
竜華 「もう堪忍して……」
第一話 完
まこ 「実際、どうすりゃええんかいのう」
久 「なにが?」
まこ 「ワシの人気を、上げるためには」
久 「いきなり無理難題を突きつけないでちょうだい」
まこ 「無理難題!?」
久 「ええ、小鍛治プロと三尋木プロと宮永照を同時に飛ばすより難しいわ」
まこ 「そんなに!? ……どうすりゃええんじゃ」
智美 「ワハハ」
久 「まこ、作戦を考え付いたわ」
まこ 「え?」
――三ヵ月後
恒子 『さ~、今日は女子高生の間で流行っているという』
恒子 『ワカメのみそ汁専門店の取材にやってきました!』
恒子 『店長! ワカメブームの人気の秘密は?』
店長 『やっぱり健康に良いからかねえ』
恒子 『なるほど! では、今日はこの辺で! また来週~!』
店長 『失敬!ドヒューン』
久 「どう? 健康ブームに乗っかって、人気急上昇よ!」
まこ 「……髪型変えるわ」
第二話 完
和父 「和、来週には東京へ行くぞ」
和 「……え?」
和父 「仕事の異動が決まった。もう、手続きも済んでいる」
和父 「もう、こんな不便な田舎に住まなくていいんだ。良かったじゃないか」
和 「……お父さん、私長野に残りたいです」
和父 「なに言ってるんだ。約束しただろう、全国優勝できなければ東京に行くと」
和 「私だけ残らせてください! お願いします!」
和父 「一人娘を残していけるわけないだろう! 馬鹿なことを言うんじゃない!!」
智美 「ワハハ」
和父 「よし、長野に永住しよう」
和 「え?」
和父 「前々から思っていたんだ! この大自然、素晴らしいじゃないか!!」
和 「私は嬉しいですけど……仕事は大丈夫なんでしょうか?」
和父 「仕事なんて関係ない! 人間の本質は自然に回帰することだ!」
和 「は?」
和父 「さあ、山が私を呼んでいる!!」 スポポポーン
和 「な、なぜ全裸に……って、外に行く気ですか!?」
和父 「ウララァァァラァァァラアアアアアアアアーーーー!!」
――三ヵ月後
咲 「今日も畑が獣に荒らされてたんだって」
優希 「怖いじぇ~」
和 (お父さんは、今どこでなにをしているんでしょうか……)
第三話 完
灼 「お待たせ」
玄 「灼ちゃん! 今日は晴れて良かったねぇ~」
灼 「うん、お出かけ日和」
宥 「あったかい……」
憧 「ねぇ、シズ。灼の服……ちょっとダサくない?」
穏乃 「いや……えーっと」
灼 「そんなわけない……!! ハルちゃんが似合ってるって……」
憧 「でも……っ」
智美 「ワハハ」
憧 「……でも、よく見たらめちゃくちゃ可愛いくない!?」
穏乃 「え?」
灼 「そ、そう? なんなら、憧もこの服買えば///」
憧 「うん! 買う! 絶対買う! ていうか、みんなも買おう!?」
穏乃 「え、それはちょっと……」
宥 「平成狸合戦」
玄 「ぽんぽこ~」
憧 「よし! じゃあ今日は予定を変更して、たぬT買いにいくよ~!」
灼 「アライグマなんだけど……」
穏乃 「どっちでもいいですよ……」
――三ヵ月後
えり 『続いて、奈良代表は阿知賀女子学院です!』
えり 『何故か全員、お揃いのTシャツを着て出場ですが……』
えり 『三尋木プロ、これはどういうことでしょう?』
咏 『いや、知らんし』
えり 『おばあちゃんって、あんな感じの謎のメーカーの服を買ってきたりしますよね』
咏 『まあ確かにダサいけど、若いからいいんじゃねーの?』
晴絵 「……なんで私まで」
灼 「ハルちゃんとお揃い……///」
穏乃 (赤土さんはきっついなー)
第四話 完
美穂子 「……どうしましょう」
未春 「キャプテン、どうしたんですか?」
美穂子 「少し席を外していたら、パソコンの画面が真っ暗になってしまったの」
未春 「ちょっと見せてください……。ああ、スリープモードですね」
美穂子 「すりーぷ? 最近のパソコンは睡眠が必要なの?」
未春 「いえ、そうじゃなくてですね。…………ということなんですよ」
美穂子 「そうなの……。ごめんなさいね、私がもっと機械に強ければ」
智美 「ワハハ」
美穂子 「あれ、ブラインドタッチって思ったより簡単ね」 カタカタ
未春 「え?」
――三ヵ月後
美穂子 「……」 カタカタ
華菜 「……あのー」
美穂子 「上埜さんと風越のキャプテンは付き合ってるらしい、と」 カタカタ
華菜 「……キャプテン」
美穂子 「ちっ、また加治木派が噛み付いてきたわ」 カタカタ
美穂子 「串を通して、ID変えて自演しましょう」 カタカタ
華菜 「キャプテン、食べるもの持ってきました」
華菜 「あと、空のペットボトルも……」
美穂子 「ありがとう華菜、そこに置いておいて。さあ、スレの流れは……」 カタカタ
美穂子 「あああああぁぁああ! もおおぉおぉ! 今度は国広派が湧いてる!」 ドンッ!
美穂子 「華菜もそっちのパソコンで援護して!」 バンバンッ!
華菜 「は、はい!」
未春 「……部活やめよっかな」
星夏 「そうですね」
第五話 完
衣 「衣には友達ができないんだ……」
純 「おいおい、またそんなこと言ってるのかよ」
一 「そうだよ、僕たちがいるじゃないか」
衣 「わかっている。でも、龍門渕にトーカたち以外の友達が一人もいない」
智紀 「言われてみれば……」
透華 「自分から声をかけてみるのも大事かもしれませんわ」
衣 「衣がそんなことしても、みんな迷惑に決まっている……」
智美 「ワハハ」
衣 「決めた! 今から街に出て、友達をつくってくるぞ!」
純 「え?」
――三ヵ月後
ガヤガヤ
衣 「透華~! 今日も、友達をいっぱい連れてきたぞ!」
副会長 「衣ちゃん……」 ハァハァ
デブ 「ころたん、今日も可愛いよ~」 ブヒブヒ
オタク 「デュフフwwww さあ、今日も遊ぶでござる」
衣 「よし、今日はみんなでプリキュアごっこをするぞ!」
透華 「」
智紀 「大きなお友達……」
第六話 完
姫子 「インハイのレギュラー、なんで花田が先鋒とですかね?」
哩 「先鋒は捨てるんやってさ」
姫子 「えっ」
哩 「あいつだけプロ相手でも箱にならんやった……あいつはトバん」
姫子 「捨て駒で先鋒ですか、花田が聞いたらマジへこむやろうなぁ……」
煌 「聞いてしまった」
煌 「うわぁショック~」
煌 「なんってことはないd 智美 「ワハハ」
煌 「捨て駒なんて任されるわけないじゃないですかああああああああ!」
哩 「えっ」
姫子 「今の叫び……花田!?」
――三ヵ月後
煌 「御無礼、ツモです……48000」
照 「な……」 ガタガタ
咏 「わ、わかんねー……」 カタカタ
健夜 「そ、そんな……」 ブルブル
煌 「これで御三方、飛び終了ですね」
煌 「すばらです……くくっ」
哩 「九州に魔物が生まれてしまったけん」
姫子 「花田は大将に置きましょう」
第七話 完
久保 「池田ァ!」
華菜 「は、はいっ!」
久保 「今日の打ち方はなんだァ! お前、まだ腑抜けてるのかァ!?」
華菜 「さ、最近、キャプテンの世話で忙しくて……」
久保 「言い訳すんなァ! よし、歯ァ食いしばれ……」
華菜 「えっ!? そ、そんな……勘弁してください」
久保 「うるせぇ! おらああああああああ!!」
智美 「ワハハ」
久保 「池田ぁ……」
華菜 「え?」
――三ヵ月後
久保 「池田ぁ……」
華菜 「は、はい」
久保 「今日も可愛いなぁ、池田ぁ///」
華菜 「え……」
久保 「ほら、こっちこい。頭撫でてやる///」
華菜 「い、いえ。遠慮しておきます」
久保 「……なんでだぁ」 シクシク
華菜 「コ、コーチ、泣かないでください!」
久保 「池田は優しいな……」
久保 「私、こんなに優しくされたの初めてだぁ……///」
華菜 「うおええええええええっ」
久保 「やっぱり、池田は私が嫌いなんだぁ!」 シクシク
華菜 「うっぷ……だから泣かないでくださいってば!」
美穂子 「風越のコーチと大将が痴話喧嘩wwww ……っと」 カタカタ
華菜 「キャプテンはデマ流さないでください!」
未春 「私、吹奏楽部に入部届け出してきた」
星夏 「あ、私も吹奏楽部です」
純代 「私だけ相撲部……」
第八話 完
佳織 「みなさん、お茶が入りました」 カチャ
ゆみ 「ありがとう」
睦月 「うむ」
佳織 「ええと……桃子さんも、どうぞ?」 カチャ
桃子 「そこはおっぱいっす」
佳織 「あ! ごめんなさい……」
桃子 「見えないにも限界があるっす……」
智美 「ワハハ」
佳織 「あれ、桃子さんが急にはっきり見えるようになりました」
桃子 「え?」
――三ヵ月後
ゆみ 「すまない、遅れた」
佳織 「あ、加治木先輩、隣に軍人の方がいますよ」
ゆみ 「うわっ!」
佳織 「そんな怖がらなくても大丈夫です、優しそうな人ですから」
桃子 「顔はどんな感じなんすか?」
佳織 「あ、顔はないです。戦地で飛ばされたみたいで……」
ゆみ 「うぷっ……」
佳織 「視えるっていいですね~、なんかすごく楽しいです!」
睦月 「うむ」
第九話 完
照 「ツモ。6000オール」 ギュルルル
誠子 「これで宮永先輩のトップで終了ですね」
尭深 「……」 ズズー
菫 「今日は一段と強かったな」
淡 「……」 ウズウズ
淡 「てる~」
照 「淡、なに?」
淡 「私も、てるみたいに回転できるようになりたいな~!」 ワクワク
智美 「ワハハ」
淡 「わ……私は……不滅の命を持つ……大星淡だーっ!!」
照 「えっ」
――三ヵ月後
ギュルルルルルルルルルルルルル!!
菫 「淡がきたか……」
誠子 「今日もサンシャインのように体を回転させてますね」
ガチャン! ガシャン! バシャッ!
尭深 「……」 ビシャビシャ
菫 「お茶が頭に……。渋谷、大丈夫か?」
誠子 「卓と牌も滅茶苦茶ですね……。宮永先輩、お願いします」
照 「わかった。右腕の逆回転で、相殺する……」 ギュルルル
ギュアアアアアアアアアアアアアア……ピタッ
淡 「おっとっと……。あ、てる~! おはよ~!」
照 「へのツッパリはいらんですよ」
第十話 完
豊音 「神代さんにサイン貰ったんだ!」
塞 「本当だ、って筆で書いてある!?」
胡桃 「すごいね~、永水の人たちって謎だよね」
白望 「あの橋が一番謎……」
ワイワイガヤガヤ
エイスリン (カイワニ、ハイレナイ……)
胡桃 「エイちゃん、どうしたの?」
エイスリン 「モット、ニホンゴ、ウマケレバ……」
智美 「ワハハ」
エイスリン 「……なんでやねん」
塞 「え?」
――三ヵ月後
エイスリン 「おおきに~! みなはん、もうかってまっか~?」
塞 「お、おはよエイスリン……」
エイスリン 「塞はんは朝から陰気でんな~。そんなんじゃ、金も嫁も逃げまっせ!」
塞 「ご、ごめんね」
エイスリン 「シロは今日も腹すかしとんのかいな?」
エイスリン 「飴ちゃん食う?www 飴ちゃん食う?www」
白望 「いらない……」
エイスリン 「豊音は今日もでっかいな~! そろそろ、通天閣越したんとちゃいます?」
豊音 「え、あ、え?」
エイスリン 「……ん? んん?w」 チラッ チラッ
胡桃 「な、なんでこっち見るの?」
エイスリン 「胡桃ちゃん、自分のツッコミポジション忘れたらあかんや~ん!」
胡桃 「え?」
エイスリン 「そうそう、豊音はそろそろスカイツリーぐらいに……って、そんな高い人間おるかい!」
エイスリン 「ぐらいのノリッツコミが欲しかったわ~」
エイスリン 「ボケにはツッコミ、ツッコミにはボケ、大阪人ならわかるやろ?」
胡桃 「ご、ごめんね」
エイスリン 「ちゃうやろ! ツッコミ! 自分、岩手の人間やないか!!」
胡桃 「エイちゃんはニュージーr エイスリン 「そこは、言わせへんよ~?」
白望 「ダルい……」
第十一話 完
巴 「さあ、ご飯の準備ができましたよ」 ボイン
春 「いただきます……」 ボボイン
小蒔 「今日はお魚ですね! 私、大好きです!」 ボボボイン
霞 「小蒔ちゃんは好き嫌いが無いから、すくすくと育ったわね」 ドォーン!
初美 「……」 ペタン
初美 「私だって好き嫌いしてないのに、どうしてですかー!!」
智美 「ワハハ」
初美 「永水の格差社会を埋めてやりますよー!」
小蒔 「えっ」
――三ヵ月後
巴 「さあ、ご飯の準備ができましたよ……」 ペタン
春 「……」 ペペタン
小蒔 「今日もお魚ですね…… 私、大好きです……」 ペペペタン
初美 「いただくのですー♪」 ペタン
ガラッ
霞 「遅れてごめんなさいね~」 ブルルウォウゥゥォォン!!
初美 「なんでさらに大きくなってるんですかー!?」
霞 「なんか、みんなのが集まっちゃったみたい」
霞 「はっちゃん成分はゼロだけど」
初美 「えっ」
第十二話 完
洋榎 「ロン、インパチや」
漫 「えぇー! そこですか!?」
由子 「これでまた、漫ちゃんがトビなのよー」
絹恵 「三連続ですね……」
郁乃 「すえはらちゃ~ん、爆発ま~だ~?」
恭子 「漫ちゃん、もっと爆発みせてーな……」
智美 「ワハハ」
漫 「……チッ」
恭子 「え?」
漫 「うるっせえええええんだよおおおおおおおお!!」
漫 「どいつもこいつもよおおおおおおおおおおおお!!」
洋榎 「うわっ、漫が切れた!」
由子 「違うわ、これが爆発なのよー」
漫 「おい! 愛宕!」
洋榎・絹恵 「はいっ!?」
漫 「姉のほう!おめえはちげえよ!」
洋榎 「すんませんでした!!」
恭子 (今のは逆切れやろ……)
漫 「もう愛宕はええわ!」
絹恵 「すんませんでした!」
漫 「おい、末原!!」
恭子 「な、なんや漫ちゃん」
漫 「爆発、爆発って、そんな理由でレギュラーに推すなやああああ!」
恭子 「ご、ごめんな」
漫 「私はボンバーマンかっつううううううのおおおおおおおおお!!」
郁乃 「どっちかって言うと、ミソボンのほうやね」
漫 「もうやられてんじゃねえかよおおおおお!!」
洋榎 「火に油注ぐとは、このことやね」
由子 「今度から、引火物につき火気厳禁ってつけておくのよー」
――三ヵ月後
優希 「ダブルリーチだじぇっ!」
漫 「……」 ブチッ
漫 「おめえええええよおおおおおおおお!!」
優希 「!?」
漫 「さっきから、なんなんだよおおおおおおおおお!!」
漫 「東場に強いからって、そんなに速く手ができるわけねえだろおおよおお!!」
漫 「イカサマか? イカサマなのか!? イカサマなんだろおおおおおおお!?」
優希 「は、はい……」 ブルブル
漫 「はい! 罰符うううううううううううううううううううううううう!!」
洋榎 「あれはあれで役に立つなぁ」
恭子 「どこで間違ったんや……」
第十三話 完
智美 「ワハハ、この間は良い仕事をしたな~」
智美 「いっぱい人助けができたぞ~」
智美 「ただいま~」
母 「おかえりなさい。部屋に友達がきてるわよ」
智美 「友達?」
智美 「ワハハ、ゆみちんかな~?」
ガチャ
和父 「アーーーアーーーーアァーーーーー!!」
智美 「えっ」
霞 「あら、お邪魔してます」 ボリュウウウミイイイイイ!
エイスリン 「ほれ! ワカメのみそ汁できたで!」
漫 「なんで豆腐が入ってないんだよおおおおおおおおおお!!」
憧 「そんなことより、みんなタヌT着ようよ!」
ギュルルルルルルルルルルルルルルルル!
和父 「……ひゃあうっ!!」 シュバッ!
美穂子 「上埜さんの画像フォルダが無いじゃないの!」 カタカタ
美穂子 「……regedit format C:」 カタカタ
煌 「すばらです……くくっ」
久保 「池田ぁフォルダぁはないのかぁ?」
佳織 「そこに池田さんの生霊ならいますよ」
怜 「一度幽霊と肉弾戦やってみたかんや!」ムキムキ
衣 「わーい! 友達がいっぱいだー」
バタン
智美 「なんだー、夢かー」
智美 「私も疲れてるんだなー」
智美 「最近、頑張りすぎてたからなー」
智美 「……」
智美 「ワハハ」
ガチャ
漫 「こら、なに閉めとんじゃボケ」
バタン
智美 「おかーさーん」
母 「あら、お友達は?」
智美 「お友達なんていない、いなかったんだよ」
母 「もしかして、あんまり仲良くなかった?」
智美 「逆になんで仲が良いと思ったのか」
母 「あら、だってあんた友達多いじゃない」
智美 「裸のおっさんとかいたけどなー」
母 「あの人は窓からターザンロープで入ってきたから、止めようが無かったのよ」
母 「でも、友達が多いっていいことよー。笑顔も増えるし」
母 「うちの家訓を忘れたの?」
母 「笑うかどには、福きたるって」
母 「ほら、笑顔笑顔!」
母 「ワハハ」
智美 「ワハハ」
智美 「今日から笑うのやめるわ」
母 「えっ」
智美 「ワハハ、今日も笑顔でみんなを元気にするぞ」 完
昨日の総合で、ワハハ介入でみんな幸せになるという流れが面白かったので書いた
やっぱりワハハは不幸系じゃなくて、幸せが似合うと思う
ワハハ、簡単に書けたし、楽しく投下できたので良かったぞー
乙
Entry ⇒ 2012.09.07 | Category ⇒ 咲-Saki-SS | Comments (0) | Trackbacks (0)
P「あはは、雪歩は泣き虫だなぁ」 雪歩「ヒッグ……」
雪歩「プロデューサー……」グスッ
P「でもな、雪歩聞いてくれ」
雪歩「……はい?」
P「俺が仕事で場を離れるぐらいで泣くのはやめないか」
雪歩「ご、ごめんなさい……」
P「ああ、じゃあ行ってくる」
雪歩「え……ふ……うっ……うぅっ……」
P「ウソです。冗談です。ずっとここにいます」
雪歩「じゃあ行きましょう」
P「うん、だから入り口で待っててくれ」
雪歩「え……?」
P「ここは男専用だからな」
雪歩「っ……うぅぅう……」
P「よし、一緒に行こう」
雪歩「は、はい……」グスッ
雪歩「はい!」
P「じゃあな、また明日」
雪歩「ふぇっ!?」
P「ゆっくり休めよ」
雪歩「うぅぅ……あっ……ヒッグ……ううっ」
P「やっぱり雪歩の家まで送るよ」
雪歩「ヒッグ……あ、ありがとうございますぅ……」
雪歩「えっ……と、泊まって行かないんですかぁ……?」
P「うん」
雪歩「そんな……私……わた……ふぇ……」
P「よし、冷静に考えよう」
雪歩「……」グスッ
P「オッケー、我慢我慢。それで俺は男でプロデューサー、雪歩は女でアイドル」
雪歩「……そうです」
P「だから泊まれない」
雪歩「えっ……な……何でですかぁ……グスッ」ブワッ
P「よし、分かった。とりあえず家にお邪魔します」
P「うん。寿命が縮むぐらいご挨拶も出来たしそろそろ帰るかな」
雪歩「え……」
P「ほら、ここには俺以外にもたくさん人がいるし」
雪歩「か、帰るんですか……?」
P「うん、もう雪歩も寂しくないだろ」
雪歩「そ、そんあぁ……ぁぅぅ……」グスグス
P「よーしパパ、雪歩が寝るまで一緒にいちゃうぞー」
P(そろそろ行こう、殺されかねん)
雪歩「……」ギュウウウ
P(寝てるのになんて強さだ)
雪歩「……」ギュウウ
P「フン」バシッ
雪歩「……」
P「よし、起きてない。帰ろう」ソロソロ
雪歩「あ、あれ……?プロデューサー……ぷろ……ぷ……ふぁぁぁぁん!!」グスッ
「何だ何だ!?お譲!?」バタバタ
P「やっぱり考えて行動しないと」
P「とりあえず言える事はただ一つ」
雪歩「何ですか?」
P「決まってるだろ。出来るだけもう雪歩には会わない」
雪歩「わ、私に……会わない……」
P「あれー、おかしいなー。さっきまで誰もいなかったのに」
雪歩「い、今の……ほ、ほんとぉ……」グスッ
P「やっぱり雪歩はかわいいな」ナデナデ
雪歩「ぁ……そ、そんなこと……ないです……」
P「へぇー、そんなことが」
P「うわー、何やってんだよ」
雪歩「私以外のアイドルとお喋りしないでください……」グスッ
P「俺は雪歩以外も色々担当してるから、お前を特別扱い出来ないよ」
雪歩「そ、ぇ……わ……ぅっ……ぃゃぁ」ポロポロ
P「雪歩、お前がナンバー1だ」
雪歩「私以外の人と連絡取り合わないで下さい……」グスッ
P「これは仕事だから」カチカチ
雪歩「こんなものこうなんですぅ」バキャッ
P「あ、俺の携帯が」
雪歩「えへへ」
P「じゃーん、ここに予備があったのだ」カチカチ
雪歩「え……うぇ……ふぁぁ……そん……だめ……ぁぁぁぅうう」ポロポロ
P「そうだな、歩きながら携帯はだめだよな」
雪歩「これで安心ですね」
P「これじゃあ雪歩と連絡も取れないな。残念」
雪歩「えっ、ずっと一緒ならそんなの必要無いですよぅ」
P「あはは、何言ってんだお前」
雪歩「だって私たちずっと……でs」
P「あ、ちょっと家の鍵かけ忘れたから帰るわ。またな」
雪歩「えっ……ふぁっ……あぁあっぁあ……グスッ」
P「やっぱ勘違いだった」
雪歩「何ですか?」
P「ここ女子トイレの個室」
雪歩「そうですよ」
P「俺捕まっちゃうよ」
雪歩「そんなことないですよぉ」
P「というわけで脱出するから」
雪歩「ぇっ……ひとり……わた……うぅぅ……」ポロポロ
P「ごめん、俺が悪かった。早くトイレすませて」
雪歩「えへへ、今日は帰らないで下さいね」
P「あっ、あれは何だ!」
雪歩「え?」クルッ
P「アデュー」ブオオオオオン
P「雪歩は走るの速いなぁ。車より先に俺の家に着いてるなんて」
雪歩「ど、どぅ゛じで、にげ……ふぁぁぁ……」ポロポロ
P「雪歩なら俺を見つけてくれると思ったんだ」ナデナデ
雪歩「あ……えへへ……」
雪歩「何がですか?」
P「まずいなあ」
雪歩「そうですか?」
P「どうしたらいいと思う?」
雪歩「えっと……とりあえずチューとかどうでしょう?」
P「まずいなあ」
雪歩「はい」
P「だからチューとかキスとか接吻とか一生無理なんだな」
雪歩「……ぇえぁぅぅうう」グスッ
P「って事も無いけどな、プロデューサーとアイドルの付き合い方にも色々あるし」
雪歩「そ、そうですよね……!」
P「でも俺はしないよ」
雪歩「……ふぁぁぁあ」グスッ
雪歩「はい」
P「俺は雪歩が嫌いじゃん?」
雪歩「え……そ、う……ぅぅぅぅああ……ふぇぇええええ」ポロポロ
P「ってこともないじゃん?」
雪歩「……じゃ、じゃあ大丈夫ですぅ」
P「でも雪歩は真が好きじゃん?」
雪歩「私の前で雌豚の話しないでくださいぃ……」グスッ
P「あれ、仲良かったよね」
雪歩「そうですか」
P「いや、何当然のように来てるんですか」
雪歩「?」ゴソゴソ
P「意味が分からないみたいな顔して服脱がないで」
雪歩「ご、5秒も……うぅ……がんばりますぅ……」ジワァ
P「うん」ダダッ
P「あはは、いつの間に玄関に落とし穴を作ったんだ」
雪歩「ぅぅぅ……ずっと帰ってこないから……私心配で」ポロポロ
P「全裸の女の子に引きずり出される俺」
雪歩「えっ……も、もしかして……私とはいりたく……うっ……」グスッ
P「正解」
雪歩「あぅぅぅっぅ……私がひんそーで……ちんちくりんだからぁ……ですかぁ……」ポロポロ
P「いや、一緒に入って理性を抑えられるかどうか」
雪歩「うぅぅぅぅぅう……わたしぁ……きらぃ……ですかぁぁ……?」グスッ
P「わーい、雪歩と一緒に入れるなんて幸せだ」
P「イヤだ。ノー。ムリ」
雪歩「ふぇぇぇぇやっぱり私がぁぁぁ……」
P「だってアイドルの身体触っちゃうことになるだろ」
雪歩「裸を見て一緒にお風呂に入ってるのに今更何言ってるんですかぁ……」グスッ
P「ここにきて割とまともな事を」
P「普通に洗ってるのに喘ぎ声出さないで」
雪歩「も、もしかして……気持ち悪い……ですか?」
P「まあ、うん」
雪歩「ごめん……なさぃぃ……きもち……わるくてぇぇ……ふああっぇえぇ」グスッ
P「いくらでも喘いでください」
雪歩「……」サワサワ
P「あの、何か手つきがやらしいんですが。俺の息子を執拗に狙わないで」
雪歩「わ、わたし……へんたいじゃぁないですぅ……」ニュルニュル
P「普通は自分の身体を使って人を洗わないと思うな」
雪歩「うぅぅ……へんたいでごめんなさぃぃ……グスッ」ニュルニュル
P「と言いつつ手も身体も止まってないぞ」
P「流石にそんなに見られると恥ずかしい」
雪歩「や、やっぱり……わたしがひんそー……うぅっぅ」
P「正直俺の全精神力を使って制御してる」
雪歩「ふぇぇぇ……うぅっ……ああっ……ヒック」サワサワ
P「泣きながら触らないで。俺の息子が抑え利かなくなるから」
雪歩「ヒッグ……」グスッ
P「なのに何だこの罪悪感」
雪歩「というわけで、晩御飯持ってきましたぁ」
P「うわぁ、流石雪歩。用意周到だな」
雪歩「こっちはプロデューサーです!」
P「何か色も香りもそっちと全然違うね」
雪歩「わ……わたしがつくったぁ……からぁ……」
P「たまには俺の話聞いてほしいかなーって」
雪歩「そ、……そうですよねぇ……わた……つくっ……あうぅぅ……」ポロポロ
P「もちろん全部食べます」
雪歩「あ……うーん……じゃあ交換しましょう」
P「え、良いの」
P「あれぇ……おかしいなぁ、身体が熱いよぉ」ハァハァ
雪歩「だってそっちは身体がすごく敏感になる薬が入ってますからぁ」
P「えっ……じゃあ雪歩の方は……?」ハァハァ
雪歩「こっちはひたすら性欲が強くなる薬ですね」ジュン
P「雪歩はかしこいなあ。どっちでも良いようにしておいたんだ」ハァハァ
雪歩「えぇ、そんな事言われても……困ります」サワサワ
P「ぁぅぅ……ぁっ」
雪歩「ふふっ……プロデューサー可愛いですね……」
P「ゆ、雪歩の方が……ふぁぁああ」ビクビク
雪歩「こんなプロデューサー見てたら……私……」
P「可愛い顔してるけど怖いよぉ、お姉ちゃん」ハァハァ
P「READY!!は良い歌だなぁ」
雪歩「きっと、ぜったいー♪」
P「でも今の状況だと別の意味にしか聞こえないですぅ」
雪歩「どんな意味ですか?」ペロッ
P「あぁぁん……んぃぃ」ビクンビクン
雪歩「はい?」スルスル パサッ
P「はやいなぁ、もう準備万端って感じ」
雪歩「えへへ」
P「それで、そろそろ遊びは終わりにしよう。もう十分ですよ」
雪歩「遊びなんかじゃないです。私は本気です」サワサワ
P「んあああああああかん」ギンギン
雪歩「こんなに感じちゃうなんて……」レロレロ
P「ゆきほのびやくはせかいいちぃぃいいぁぁぁぁん」
雪歩「は……んむ……んぐ……んっ」チュプッ
P「ぃっ……あっ……」
雪歩「えへへ、私でもおっきくできた……」
雪歩「……近藤さんって誰ですか?……もしかして……すきなひ……れすかぁぁ?」グスッ
P「そこにある、それが近藤さんだ」
雪歩「……私との赤ちゃんが嫌なんですかぁ……?ヒッグ……ふぁぁ」ポロポロ
P「いや、俺はお前の事を想ってだな」
雪歩「うぅ……分かりましたぁ……」プスプスッ
P「分かったとか言いながらゴムに穴開けないで。洒落になって」
雪歩「ヒッグ……ぅぅ……」プスプスッ
「ふぁぁぁぁぇ……ぇぇぇぇ……ヒック」
P「ゆ、雪歩!?」ビクッ
雪歩「何がですか?」
P「……いや、嫌な夢見てたんだ。ははは」
雪歩「もー、昼間から何言ってるんですか。先に行っちゃいますよ?」
P(良かった……全部夢だったんだ……)
P(そりゃそうか、ありえないもんなぁ)
「うぅぅ……グスッ……」
P(あ、さっき泣いてたのはこの娘か)
雪歩「ほら、もう泣かないの」
「ふぇっ……ぅぅぅ……ぅん……」
P(雪歩、このちっちゃい娘と知り合いなのか)
雪歩「全く、ちょっと離れただけで泣いちゃうなんて誰に似たんでしょうね。あなた」
P「」
雪歩はかわいいなぁ!
Entry ⇒ 2012.09.07 | Category ⇒ アイマスSS | Comments (0) | Trackbacks (0)
恭介「ボウリングをしよう」 真人「は?」
真人「わけがわからねぇよ!」
恭介「そのままの意味さ。十柱戯…すなわちボウリングで勝負する」
恭介「チーム名は…リトルバスターズだ!」
理樹「わざわざ十柱戯って言い換えた意味がわからないんだけど…」
鈴「アホだな」
恭介「旅先でボウリングの無料券をもらってな」
真人「何でまた」
恭介「フッ…話せば長くなる…聞きたいか」
理樹「いや別に」
恭介「そう、それは俺がプロボウラーのマイケルと出会ったところから始まる…」
理樹(なんか語り始めた…)
『なに、遠慮するな。一緒にピンチを切り抜けた仲じゃないか…おっと、だからといってピンまですり抜けて女の前で恥をかかないようにな』…とな」
理樹「別にうまくないからね」
真人「くっ…泣けるぜ…」
謙吾「まさかマイケルにあんな過去があったとは…」
恭介「まぁここに無料券がある、ときたら行かないわけにはいかないだろ?
というわけで明日みんなで行く。昔は5人でよく行ったじゃないか」
真人「まぁ確かに…」
謙吾「真人は10フレーム全部9本だったこともあったな」
理樹「ある意味すごいよ」
鈴「あれは大爆笑だったな」
真人「うるせぇ!テメェは毎回ガターなしでピンボールみてぇになってたじゃねぇか!!」
鈴「う、うっさい!手元が狂っただけじゃ!」
恭介「投げるたびにそう言ってたからな、おまえ」
謙吾「フッ…プロボウラーの座は、俺のものだ!」
理樹「盛り上がってるところ悪いけど、月曜日に数学のテストがあること忘れてないよね?」
真人「…は?」
理樹「いやいやいや…そもそもテスト対策のためにここに集まってたんじゃん…宿題もたくさん出てるし」
恭介「ありゃ、そうなの?」
理樹「今日中に宿題終わらせて、明日みんなで来ヶ谷さんに教えてもらう予定だったんだけど」
理樹「好きなだけできるでしょ…」
来ヶ谷「こんなこともあろうかと、おねーさんが数学教師の過去の出題傾向から今度のテストの予想問題を作っておいた
これさえやれば90点以上は保証するよ」スッ
理樹「おお、これはすごい…きれいにまとまって…ってうわぁ!?」
来ヶ谷「人の顔を見るなり『うわぁ』とは失礼だな少年」
理樹「い、いつの間に!?」
来ヶ谷「恭介氏が帰ってきたと聞いてな。久しぶりに戻ってきて何もない、なんてことはないだろうと思ったわけだ。みんなも一緒だ」
小毬「お邪魔しま~す。恭介さんお帰り~」
鈴「こまりちゃん!」
西園「失礼します」
葉留佳「やはー」
佳奈多「……」
真人「結局全員集合かよ…」
理樹「二木さんまで…」
佳奈多「何よ、文句あるの?」
理樹「いやないけど…また葉留佳さんに付いて来たんでしょ」
佳奈多「なっ…そんなことないわよっ!私は風紀委員として…」
葉留佳「いいじゃんいいじゃん!お姉ちゃんも一緒でさ!」
佳奈多「は、葉留佳…!」
西園「…ご馳走様です」
鈴「笹の葉さらさら!!」バッ
佐々美「さ・さ・せ・が・わ・さ・さ・み ですわっ!!何ですのその軒端に揺れてそうな名前は!?」
鈴「お前の名前だろ」
佐々美「きぃ~~~っ!!今日という今日は許しませんわっ!!」
鈴「なんだ、やるか!?」ババッ
恭介「…というわけで、ボウリングでバトルだ!!」
一同「…は?」
恭介「来ヶ谷のお陰でテストの心配はなくなったわけだ。宿題もこの後やれば問題ない」
葉留佳「いいっすネ!やろうやろう!」
クド「ぼう…りんぐ…?棒なのですか?それとも輪っかなのですか?」
恭介「いや、どちらでもないが…」
小毬「クーちゃん、ボーリングっていうのはねぇ…地面に穴を開けて温泉を掘ったり、地質を調査したりすることなのです」
小毬「…って恭介さん、そんなことやるですかー!?」
クド「やるですかー!?」
恭介「いや、やらんが…」
葉留佳「ボウリングとボーリングを間違えるなんて使い古されたネタでつまんないですネ」
小毬「が、ガーン…つまらないのかぁ…」
理樹「いやまぁ…小毬さんのは素だと思うけど…」
クド「ボウリング…とても外国っぽいのです!是非プレイしてみたいのです!」
佐々美「棗鈴!今こそ決着をつけましょう!」
鈴「ふん…いいだろう」
真人「そんなこと言ってていいのか?お前ノーコn」ドゴォ
鈴「黙ってろ」
真人「」
葉留佳「ダイジョブダイジョブ!ただの玉転がしだって!」
小毬「私10フレームとも1本しか倒せなかったことあるんだぁ…」
理樹(ここにもある意味すごい人がいた!)
佳奈多「でも学生だけでそんなところに行くなんて…」
来ヶ谷「なに、私や恭介氏がいれば問題ないだろう」
佳奈多「それもそう…ってあなたたちも学生でしょう」
理樹「まぁ2人とも学生の枠に収まりきらないポテンシャルの持ち主だけど…」
恭介「よし、決まりだな。久々に腕が鳴るぜ!」
理樹「あんまりはしゃぎ過ぎないようにね」
………
……
…
葉留佳「よーし、ボウリングだボウリングだー!!」ダッ
クド「わふー!レッツ・ボウリング!なのですー!」ダッ
理樹(って早速はしゃぎ回ってるし!)
葉留佳「あ、ゲームコーナーがあるよ!誰かエアホッケーしようよ!」
理樹「いやいや、ボウリングやろうよ…」
葉留佳「あぁ、そっか。すっかり忘れてましたヨ」
理樹「3秒前までボウリングボウリングって大騒ぎしてたじゃん…」
謙吾「なんだと…?もう金を入れてしまったというのに…」チャリーン
理樹(うわ!こっちもか!)
真人「仕方ねぇ謙吾、ボウリングの前哨戦といくか!!」
謙吾「いよっしゃあ!!」
鈴「アホばっかだな」
来ヶ谷「うむ」
西園「履き替えるんですか」
謙吾「剣道着にこのシューズか…」
理樹「あれ、お帰り。早かったね」
真人「パックをぶっ壊して怒られた」
理樹(うわぁ)
恭介「よし、みんな準備はいいか?早速チームを決めるぞ」
理樹「…は?チーム?」
恭介「言ってなかったか?今回は2人一組で勝負する」
理樹「初耳なんだけど…」
そこは各チームの作戦次第だな。さて、そのチーム分けだが…」
真人「理樹、俺と組もうぜ」
謙吾「俺と組んでくれるか、理樹」
理樹「……」
恭介「…とまぁこうなることは予想していたがな…ダメだ。パワーバランスを考えて、野郎同士で組むのは禁止だ」
真人「何だと!?」
理樹「いやそこまでショックを受けなくても…」
来ヶ谷「なら理樹くんが女装して女の子として参加する、というのはどうか」
真人・謙吾「…それだ!!」
理樹「しないから」
西園「…残念です」ガサッ
理樹「…ちょっと、その紙袋は何さ」
西園「これですか」
西園「……」
西園「……ぽ」
理樹(これ以上は詮索しないでおこう…)
真人「恭介っ!そこをなんとかぁっ!」
鈴「おまえらキショい!…理樹、あたしと組もう」
理樹「う、うん、よろしく」
真人「うおおおおおっ!ジェラシィィーーーーッ!!」
クド「い、井ノ原さん、私でよろしければご一緒しますっ!元気を出してください!」
佐々美「み、宮沢様、わたくしと組んでくださいませんかっ?」
謙吾「已むを得まい…」
小毬「恭介さん、一緒にしませんか~」
恭介「おまえに俺のパートナーが勤まるかな!?」
来ヶ谷「西園女史、組まないか」
西園「はい、よろしくお願いします」
葉留佳「もちろん私はお姉ちゃんとですヨっ!」ダキッ
佳奈多「ちょっと、そんなにくっついたら…!」
恭介「適当に…チーム恭介、チーム理樹、チーム真人、チーム来ヶ谷、チームはるかな、チーム謙吾、の順でいいか」
葉留佳「ねぇねぇ、罰ゲームとかないの?」
謙吾「また余計なことを…」
恭介「もちろんあるとも。最下位のチームにはこいつを飲んでもらおう」ドン
佐々美「な、何ですのそれ!?」
真人「あっ!そいつは俺が作った『マッスルエクササイザー~春風と共に~』じゃねぇか!!」
理樹「何その副題…」
佳奈多「こんなおぞましいもの飲めるはずがないでしょう!」
恭介「だから罰ゲームなんじゃないか」
鈴「だが真人なら平気で飲めるんじゃないか?」
恭介「なら真人は一週間筋トレ禁止」
真人「死ぬだろっ!!」
理樹「死なないと思うよ」
小毬「おぉ~~おいしそう~!」
理樹「水瀬家って?」
恭介「以前行き倒れているところを助けてもらってな。その土地ではもう雪が積もっていて凍死寸前だったんだ」
恭介「で、その家を去るときに水瀬夫人に自信作だから是非持って帰って仲間と食べてくれと言われてな。ありがたく頂戴したんだ
まったく、至れり尽くせりだったぜ」
来ヶ谷「なるほど。主婦の味、か。後学のために是非食してみたいものだ」
恭介「ただ気になることがあってな…」
理樹「?」
恭介「その場で味見しようとしたらそこの長女が『私止めたからね。それでも貰うんだったら帰るまで決して開けないで』と言ってきたんだ」
理樹「何その浦島太郎的な展開…」
クド「きっと食べ始めたら止まらなくなるほどおいしいに違いありませんっ!」
謙吾「ヒィィイヤッホォォォウ!!」
小毬「私からかぁ…みんなに見られてると緊張するよ~」
鈴「こまりちゃん、がんばれ!」
佐々美「棗鈴、敵の応援をするとは…確かにライバルが強ければ強いほど燃え上がりますわ…神北さん、しっかり!ですわ!」
鈴「?」
真人「鈴には深い意味は無さそうだぞ」
葉留佳「まぁまぁ、楽しくやろーよ!」
来ヶ谷「そうだな…負ける気はないが」ギラッ
理樹(この人本気だ!)
恭介「さぁ…バトルスタートだ!!」
小毬「よ~し…」
理樹「小毬さんか…野球は上達早かったけど、ボウリングはどうなんだろ」
恭介「なんとなく読める気もするがな…」
謙吾「ああ…」
小毬「…えいっ」シュッ
コロコロ…
真人「…遅っ!!」
ポコ
小毬「ふぇえええ~~~ん!1本しか倒れなかったぁ~~~!」
葉留佳「デスヨネー」
小毬「ありがとりんちゃん~…恭介さん…ごめんなさい…」
恭介「フッ…まぁ心配するな」
来ヶ谷「お手並み拝見といこうか、恭介氏」
恭介「お手柔らかにな」
西園「恭介さんはやはりお上手なのですか?」
理樹「うん、昔は僕たちの中で一番うまかったよ」
佳奈多「何だってできるのね…」
謙吾「ヤツの力が衰えてなければな」
真人「まぁ恭介のことだ…」
恭介「…はっ」シュッ
カコーン!
葉留佳「おおーーっ!スペアだぁ!!」
クド「わふーーっ!流石恭介さんなのです!!」
理樹(それに…)
小毬「恭介さんすご~~い!」
恭介「ああ…おまえの期待通り、俺はこれからもスペアを取り続けるだろう。だがな小毬、いや、だからこそ小毬、この勝負はおまえにかかっている」
小毬「ほぇえ!?わ、私!?」
恭介「ああ。来ヶ谷をはじめ、他のチームの二投目を担当する者たちも喰らいついてくるだろう。となれば、スペアを取った次の投球で何本倒すかが重要になってくる」
恭介「いくら俺がスペアを出そうとも、おまえが1本しか倒せないままだと得点は伸びない。この勝負はおまえがいかに多く倒すかにかかっている…おまえの力が必要なんだ」
小毬「そっかぁ~…ようしっ!私がんばるっ!」
恭介「その意気だ小毬!」
理樹(パートナーのやる気を引き出すことも忘れない…!)
理樹(でも僕だって鈴と『あの過酷』を乗り越えたんだ…僕も鈴をリードして…!)
ガコン
鈴「んなぁーーっ!?」
真人「やっぱりガターじゃねーか!」
佐々美「おーっほっほっほ!そんなノーコンじゃ勝負になりませんわね!」
鈴「う、うっさい!手元が狂っただけじゃ!」
謙吾「またそれか…」
鈴「なんだ、文句ある…」
理樹「……」
鈴「の…か…」
理樹「鈴…」
鈴「…なんだ、文句あるのか!!」
理樹(うわ、結局切れられた!!)
真人「理樹、お前がなんとかするしかねぇみてぇだぜ」
謙吾「一投入魂だ、理樹!」
クド「リキー!ファイトです!」
葉留佳「がんばれ理樹くーん!」
恭介「理樹…勝負だ」
理樹「!」
理樹(これは恭介が考えた『遊び』だけど…だからこそ恭介は本気だ!)
理樹(僕だって…負けたくない!)グッ
理樹「…えい!」シュッ
カコーン!
一同「おおーーーっ!!」
真人「スペア…だが実質ストライクじゃねーか!!」
小毬「理樹くん上手~!」
謙吾「イヤッホォォォウ!!理樹最高!!」
佳奈多「やるわね」
来ヶ谷「ふむ…理樹くんにも要注意か」
恭介「…おもしろくなりそうだぜ」ニッ
理樹「ありがとう、みんな」
鈴「……」
理樹「あ、鈴…」
鈴「…なかなかやるな。でも1回うまくいったからって油断するんじゃないぞ」
理樹「なんで鈴が上から目線なの」
クド「では私からですっ!初めてのボウリング、とても楽しみです~!」
真人「クー公…俺の命が懸かってるんだからな…絶対ミスするんじゃねぇぞ…」
クド「わ、わふーっ!?楽しんでる場合じゃないのですっ!?」
理樹「だから筋トレしないだけで死んだりしないから…仲間にプレッシャーかけてどうするのさ…」
鈴「馬鹿のことは気にせず楽しめ、クド」
クド「で、では…!えいっ!」シュッ
コロコロ…
恭介「お、スピードはないが真っ直ぐいってるんじゃないか?」
カコン…カコン…
謙吾「ドミノ式に倒れていくな…」
クド「わふーっ!9本倒しました!」
小毬「クーちゃんすごいすご~い!」
クド「井ノ原さん、よーく狙ってくださいっ!」
真人「うおりゃぁぁーーーーっ!!」ブンッ
ゴッ…ドーン
真人「あ」
理樹「クドとまったく同じコースにいったね…」
鈴「クドがよく狙えって言ってただろーーーっ!!」ドゴォ
真人「うっ!申し訳ありませんでしたぁ!…ってテメェに言われたくねぇーーーっ!!」
真人「くそぅ…」
恭介「力任せにやればいいってもんじゃないぜ」
理樹「というか真人は二投目に向いてないんじゃ?」
真人「なにぃ!?」
クド「どういうことですか?」
来ヶ谷「初めに大雑把な真人少年が持ち前のパワーで根こそぎ倒し、残った数本を器用なクドリャフカ君が処理する、とした方が良いのではないか、という意味さ」
真人・クド「それだっ!(ですっ!)」
理樹「初めからそうしてればよかったのに…」
鈴「理樹やきょーすけが二投目だったからそうしたんだろ」
西園「……」
一同「……」
西園「……」
一同「……」
西園「……」
一同「……」
西園「……」
真人「…早く投げろよっ!!」
西園「い、いえ…それが…」
西園「ボールが重くて…片手で振れないんです…」
真人「マジかよ!?」
来ヶ谷「これ以上軽いものはないぞ…」
小毬「みおちゃ~ん!見て見て~」
クド「向こうにこんなものがありましたよ!」
デーン
西園「これは…!ボウリング用滑り台ですか…!」
理樹「いやいや、それ幼児用だから!!」
理樹「絵的にひどいことになるからやめた方が…」
真人「ったく、非力だなぁ。だから筋肉を付けろってんだよ」
西園「……」
来ヶ谷「ふむ…ならばこうしてみてはどうか…」ヒソヒソ
西園「……」
西園「…やってみましょう」スッ
葉留佳「あれ?これ使わないの?」
カコーン!
一同「おおっ!!」
佐々美「8本も倒しましたわ!」
恭介「いけるじゃないか、西園!」
西園「ありがとうございます」
理樹「さっきなんてアドバイスしたの?」
来ヶ谷「ボールを真人少年の生首だと思って思いっきり放ってみろ」
真人「西園こぇぇーーーーっ!!」
謙吾「だが残ったピンを見てみろ…」
理樹「! スプリットだ!」
鈴「なんだ?それは」
理樹「ピンが隣り合わない状態で残ることだよ。ほら、ピン2本が離れたところにあるでしょ」
恭介「しかも残ったのは一番奥の7番ピンと10番ピンときた。来ヶ谷、どう料理する?」
来ヶ谷「では、もし2本とも倒したらどうする?」
真人「へっ!そんときはそこの自販機まで逆立ちしてジュースを買ってきてやるぜ!」
来ヶ谷「ほぅ…言ったな…?」ギラッ
真人「へ?マジでスペア狙うのか?」
来ヶ谷「……」ゴゴゴゴゴ
葉留佳「な、なんか変なオーラが出てますヨ!?」
真人「へ、へへ…い、いやまさか…」
恭介「ま、まぁ流石にな…狙ってできるもんじゃねぇよ…」
謙吾「あ、ああ…」
理樹「……」
グオッ
謙吾「右側のピンを…!?」
ガッ!
恭介「はじいた!!」
カコン!
一同「に、2本とも倒したーーーーーーっ!?」
真人「」
来ヶ谷「はっはっは」
理樹(化け物だ…)
小毬「ゆいちゃんすご~い!」
来ヶ谷「いや、ゆいちゃんと呼ぶのはやめろと…」
来ヶ谷「ではジンジャーエールを所望する。他の客の迷惑にならないようにな」
「ーケーオ」人真
鈴「こんな筋肉ダルマが逆立ちして歩いてたらかなり迷惑だろ」
理樹「行っちゃった…」
???「うわっ!?何コイツ!?変態!?あなた変態なのね!?」
「!ぇせるう」人真
理樹「さっそく迷惑かけてるし…」
恭介「次いくか…」
葉留佳「よーし私の番だね!」
理樹「葉留佳さんはこういうの得意そうだよね」
葉留佳「風紀委員から逃げるときのビー玉転がしで日々修行を重ねてますからネ!」チャッ
佳奈多「反省の色が見えないわね…」
葉留佳「あ…や、やはは…今は固いこと言うのは無しですヨ…」ゴソゴソ
理樹「こんなところで出さないでよ…落としたら危ないよ」
葉留佳「ではでは気を取り直しまして…」
葉留佳「はるちん!超ウルトラスーパーダイナミックミラクルハイパーアルティメットグローバルエクセレントデリシャス…」
佳奈多「早く投げなさいっ!!」
葉留佳「ちぇ~」シュッ
恭介「6本だな」
葉留佳「みおちんに負けた!?」
西園「……フ」
葉留佳「くそーーっ!なんだその勝ち誇った顔はーーっ!6本も8本も変わんないじゃん!」
西園「…6本は一番微妙な本数です」
葉留佳「え」
葉留佳「う…」
西園「5本のようにちょうど半分でもなく、ネタにもなりません」
葉留佳「うう…」
西園「かと言って7~9本のようにけっこう倒した、とも言えません。ストライクは言わずもがなです」
葉留佳「…うわーん!!お姉ちゃ~~~ん!!」
理樹「流石西園さん、キレのいいツッコミだね…」
西園「…冗談だったのですが」
葉留佳「そんな真顔で言わないで~!」
「……」人真
来ヶ谷「おや、お帰り。ちゃんと買えたか?」
真人「…ってそもそもどうやって金を入れればいいんだよっ!!」
理樹(行ってから気づいたのか!)
葉留佳「お姉ちゃん、頼みましたぜ!」
理樹「あれ?二木さんはボウリング初めてなんじゃないの?」
葉留佳「ああ、昨日あの後ネットでボウリングについて調べまくってましたからネ。鏡を見ながら投球フォームの研きゅ…むぐっ!?」
佳奈多「黙ってなさいっ」
理樹「……」
恭介「なんだ、可愛いところもあるじゃないか」
来ヶ谷「5萌えポイントをやろう」
佐々美「何ですの、それ…」
佳奈多「~~~っ!投げるわよっ!見てなさいっ!」シュッ
カコーン!
葉留佳「やったー!スペアだー!」
クド「佳奈多さん、練習した甲斐がありましたねっ!」
佳奈多「もう忘れてぇっ!」
佐々美「棗鈴!わたくしの実力、とくとご覧あれ!!」
理樹「笹瀬川さんも謙吾も運動神経いいからな…」
葉留佳「このチームが一番強そうですネ」
鈴「おまえボウリング得意なのかっ!?」
佐々美「愚問ですわね。このわたくし、球技ならなんでも御座れですわっ!!…いきますわよっ!!」
来ヶ谷「ふむ…タマの扱いがうまい、と…」
理樹(この人が言うとエロく聞こえる…)
カコーン!
佐々美「おーっほっほっほ!」
鈴「くぅっ…」
謙吾「残り1本か?よし、後は俺に任せておけ」ザッ
佐々美「み、宮沢様っ…!」
真人「くるか…謙吾!」
理樹(すごい…集中しているのがこっちまで伝わってくる…!)
真人「おーい謙吾、『筋肉さんがこむらがえった』しようぜー」
葉留佳「謙吾くーん、こんなところに魚編の漢字が書かれまくった湯飲みが落ちてるよー?」
理樹(真人と葉留佳さんがそんなこと御構い無しに茶々を入れる!)
謙吾「……」
クド「まったく動じてませんっ!?」
恭介「無駄だ。いくらバカになっていようと、剣道で培った集中力は変わらない」
真人「ちっ…だが、一度助走に入ったらどうかな?」
葉留佳「隙が生まれるはずですヨ!」
鈴「お前らそこまでして邪魔したいのか」
真人「…何!?あの体勢のまま移動してやがる!?」
恭介「まさか…日本剣道の歩行術…『すり足』か!?」
理樹「いったい何の意味が!?」
鈴「馬鹿だ!!」
謙吾「…見えた!!」シュッ
ゴッ
謙吾(フッ…このコースは…決まったな)クルッ
カコーン!
一同「……」
謙吾「ん?なんだおまえら、俺には拍手もくれないのか?」
理樹「いや…もう1本残ってるんだけど…」
謙吾「な、なにぃぃ!?」クルッ
理樹「手前のピンの真後ろにもう1本隠れてたみたいだね…」
佐々美「ド、ドンマイですわっ」
クド「わ、私も残り1本かと思ってましたし!」
小毬「そういうこともあるよ~」
葉留佳「『…見えた!』だってさ!ぷふふーーーっ!」
鈴「投球まで引っ張っただけにかなり恥ずかしいな」
恭介「かっこワリぃ」
西園「最悪です」
佳奈多「最低ね」
来ヶ谷「クズ」
謙吾「何でそこまで言われなくちゃならないんだーーーっ!!!」
謙吾「うう…真人ぉーーっ!!」ダキッ
鈴「キショいわおまえら!!」
西園「美しくないです」
恭介「さて、これで一巡したな。もう1フレームだけ様子を見るか」
理樹「今のところ僕、恭介、来ヶ谷さん、葉留佳さんのチームはスペア、真人と謙吾のチームは9本、と」
真人「ここから逆転だぁーーっ!!」
クド「わふーっ!がんばるのですっ!」
カコン
小毬「うーん…4本しか倒れなかったよ…」
恭介「いや、これは大きな進歩だ。さっきより3本も多く倒したんだからな。この調子で次は7本。そして…!」
小毬「その次はストライクかぁ~!私がんばるっ!」
恭介「その意気だ!二投目は任せておけ!」
小毬「うんっ!」
真人「…なんかすげぇいい雰囲気じゃね?」
謙吾「もう完全に恭介の流れだな…」
恭介「どうだ!」
小毬「やった~!」
佳奈多「ホントにうまいわね…」
理樹(やっぱり恭介はすごいや…)
理樹『あれ…?僕男の子なのに…この気持ちはなんだろう…恭介を見てると…胸が苦しくなるよ…』
理樹「…ってそんなこと思ってないから!耳元で変なこと囁かないで!」
西園「ダメですか」
理樹「駄目に決まってるよ…」
恭介「さぁ、次はおまえの番だぜ、鈴」
鈴「ふん…見てろ…」
理樹「ちょ、ちょっと待った」
鈴「なんだ?あたしなら心配ないぞ」
理樹「よくそんな自信満々に言えるね…」
鈴「謙吾の投球を見ていて気づいたことがあるんだ」
真人「まさかすり足か?」
鈴「そんなアホなことするかっ!」
真人「じゃあ何だよ?」
鈴「もしあたしがお前らに劣っている点があるとすれば…それは集中力」
理樹「他にも色々あると思うけど…」
鈴(集中だ…集中するんだ…そして心を無に…!)
理樹(鈴がめずらしく集中してる…って)
鈴(…おお?これはなかなかいいんじゃないか?これが『無』なのか?)
理樹(…ん?…あっ!)
鈴(あたしは今まさに『無』だ…!いける…いけるぞ…!)グッ
理樹「鈴、ストップ!」
鈴「ふかーーーーっ!!!」
理樹「う、うわ、ごめん!お、落ちついて!」
理樹「いやいや、そんなことより手を見せて!」
鈴「なんだ!?お前手フェチなのか!?」
理樹「違うし仮にそうでもこの場面で自分の欲望をさらけ出したりしないから…そうしたらボールを持ってみせて」
鈴「わけわからん!これで満足か!」グッ
理樹「な、何で人差し指が穴に入ってるのさ…」
真人「うお、マジだ!」
恭介「お前今まで親指、人差し指、中指で握ってたのか!?」
鈴「なんだ?違うのか?」
謙吾「普通穴に入れるのは親指、中指、薬指だ…そりゃガターまっしぐらなわけだ…」
鈴「なにぃ…」
理樹「人に教わるのを嫌がるからこんなことになるんだよ…」
佐々美「勝負以前の問題でしたわね…」
鈴「なんだか違和感があるな…」
小毬「りんちゃんファイト~」
葉留佳「鈴ちゃんがんばれー!」
鈴「…ていっ!」シュッ
真人「お?」
謙吾「おお?」
恭介「おおお!?」
カコーン!
クド「わふーーっ!ストライクですーーーっ!!」
理樹(ええぇーーーーっ!!)
鈴「み、見たか!?お、おまえら!?」
理樹「自分が一番驚いてるし…」
鈴「ま、まぁな!本気を出せばこれくらいよゆーだ!」
真人「よく言うぜ…」
鈴「あれだ、脳ある爪は鷹を隠すってやつだ」
理樹「すごい爪だね」
佐々美「い、一度ストライクを取っただけで調子に乗るんじゃありませんわ!」
鈴「……ふ」
佐々美「きぃ~~~!!」
鈴「理樹、もうお前の出番はないかもな」
理樹「いやいやいや…」
真人「鈴なんかに負けてられねぇ…俺もストライクを狙うぜ!」
クド「がんばってください!」
真人「うおらぁぁーーっ!!」ブンッ
ゴッ…パッカーン!!
来ヶ谷「すごいパワーだな…ピンが弾け飛んだぞ」
西園「…そんな中でも1本残っていますが」
真人「うおぉぉぉーーーっ!?なんで全部倒れねーんだよっ!?」
理樹(哀れだ…)
真人「クド公…絶対倒せよ…!でないと俺の命が…!」
クド「わ、わふーーっ!?やっぱり責任重大なのですっ!?」
理樹「だから仲間にプレッシャーかけてどうするのさ…」
鈴「馬鹿のことは気にせずがんばれ、クド」
クド「で、では…えいっ!」シュッ
コロコロ…
恭介「スピードはないが…精確な投球だ!」
カコン
クド「やりましたーーっ!スペアですっ!」
理樹「やったねクド」
葉留佳「なんだかんだ言ってみんな上手じゃないッスか!?はるちん平均以下!?」
来ヶ谷「それにしても真人少年はクドリャフカ君におんぶに抱っこだな」
佳奈多「情けないわね」
恭介「これなら野郎同士で組ませてもよかったかもな」
真人「」
謙吾「真人…今度は俺が筋肉を貸す番だ」
真人「うう…謙吾ぉーーっ!!」ダキッ
鈴「だからキショいんじゃおまえらーーっ!!」
西園「美しくないです」
西園「……」
真人「い、今まさに西園は俺の生首を投げる気でいるのか…」
西園「……」スッ
葉留佳「あ、みおちん!」
西園「…はい?」
葉留佳「あ、ゴメンゴメン気のせいでしたヨ」
西園「……」スッ
葉留佳「ああっ!みおちんっ!」
西園「…はい?」
葉留佳「やはは、これまた気のせいでしたヨ」
西園「……」
葉留佳「あああーーっ!みおち…あ、あれ…」
西園「……」シュッ
パカーン!
恭介「おおっ!また8本!」
謙吾「やるな…」
真人「西園こぇぇーーーーっ!!」
葉留佳「いやぁ参りましたヨ、真人くんの生首効果は絶大ですネ」
西園「いえ、今のは三枝さんの生首です」
葉留佳「みおちん怖いーーーっ!!」
カコン!
謙吾「来ヶ谷は難なくスペアか…」
小毬「ゆいちゃんかぁっくい~!」
来ヶ谷「だからゆいちゃんと呼ぶのはやめろと…」
西園「……」
鈴「ん?どうしたみお?」
西園「もう…腕が痛くて…」
理樹「はやっ!」
来ヶ谷「ならこれ以降は滑り台を使うといい」
西園「…そうします」
真人「ホントに使うのかよ…」
恭介「来ヶ谷が先に投げる、という手もあるんだぜ?」
来ヶ谷「それではつまらないだろう。なに、いいハンデさ」
葉留佳「てぇいっ!!」シュッ
カコーン!
恭介「また6本だな」
葉留佳「そんなぁーーーっ!?これじゃまるで真人くんだよ~!」
真人「どういう意味だよっ!?」
西園「……」
葉留佳「う…」
西園「……」
葉留佳「…うわーん!!お姉ちゃ~~~ん!!」
西園「まだ何も言ってません」
佳奈多「私もまたうまくいくとは限らないわよ…?」
理樹「まぁまぁ、昨晩がんばってれんしゅ…」
佳奈多「……」ギロッ
理樹「…何でもないです」
クド「大丈夫ですよ佳奈多さん!練習は裏切りませんっ!」
佳奈多「クドリャフカぁ…!」ギロッ
クド「わ、わふーーーっ!?何か気に障るようなことを言ってしまいましたか!?」
カコーン!
小毬「あー…惜しい~」
葉留佳「1本残っちゃったか…」
佳奈多「まぁそんなにうまくいかないわね…ごめんなさい、葉留佳…」
葉留佳「やはは…でもお姉ちゃんとボウリングできてすっごくうれしいですヨ」
佳奈多「は、葉留佳…!」
佐々美「次いきますわよ」
佐々美(棗さんに負けていられませんわ…宮沢様のためにも、ここはわたくしもストライクを…)
謙吾「フレー!フレー!…」
佐々美(! み、宮沢様がわたくしの応援を!?)
謙吾「させっ…し…がわー!!」
佐々美「……」シュッ
カコーン!
理樹「ストライクだ!」
小毬「さーちゃんおめでと~」
鈴「くぅ…お前もストライクだと…」
恭介「…にしてはあまりうれしくなさそうだな」
真人「『どうです棗鈴!』とか言いそうなのにな」
佐々美「無の一球でしたわ…」
謙吾「美しい投球だったぞ」
佐々美「! お、お褒めに預かりまして光栄ですわ!見まして!?棗鈴!」
理樹「あ、戻った」
恭介「よし、それじゃあここからはどんどん進めるぞ!それぞれのレーンでがんばってくれ!」
一同「おおーーーーっ!!」
葉留佳「や、やったぁーー!ついに7本倒したーーー!!」
西園「喜びすぎです」
4フレーム目
小毬「わぁ~~!ストライクだよ~~っ!」
恭介「やるじゃないか!」
5フレーム目
真人「…っしゃぁーーっ!!俺もストライクだーーーって誰も見てねぇーーーーっ!!!?」
理樹「みんな飲み物買いに行っちゃって…」
クド「…ていっ!!」チラッ
来ヶ谷「(ほう…クドリャフカ君があんな下着を…)ってしまった!!」シュッ
佳奈多「く、来ヶ谷さんがガター!?」
7フレーム目
謙吾「ボウリングのボールかと思ったら…三枝のビーだマーーーーーン!!」
鈴「笑わすなボケェーーーーっ!!」
佐々美「おーっほっほっほ!!」
………
……
…
謙吾「…はっ!」シュッ
カコーン!
佐々美「ナイススペアですわ!!」
真人「いよいよ終盤だな…!」
理樹「みんなだんご状態の混戦だね…」
恭介「つまり、最低でも二投目でスペアが取れなかった場合、負けが決定するということだぜ?」
理樹「…!」
クド「わ、わふ…」
来ヶ谷「フフ…」
佳奈多「……」
謙吾「望むところだ」
小毬「それ~!」シュッ
カコーン!
恭介「む…」
謙吾「スプリットだ!」
小毬「うわ~ん!恭介さんごめんなさい~!」
理樹「…恭介自分で言ってたよね。これを取らないと恭介たちが優勝するのは難しくなるよ」
恭介「ほう…この俺にプレッシャーをかけようとするか、理樹」
理樹「……」
恭介「…いいだろう」ニッ
理樹(残ったのは6番ピンと7番ピン…最初の来ヶ谷さんのように並行に残ったわけじゃないけど…それでも十分難しいはず…!)
理樹「……」
理樹(でも恭介のことだ…)
恭介「…はっ!」シュッ
カッ…カコン!
真人「おおっ!?2本とも倒しやがった!?」
理樹(そうくるよね…!)
恭介「さぁ、次はおまえらの番だ」チラッ
鈴「うみゅう…」
恭介「あんな状態の鈴とで俺たちについてこれるかな?」
理樹「……」
鈴「……」
恭介「鈴、ここでおまえがストライクを取ればかなり優位に立てるぜ?」
鈴「わわわかっとるわ!プレッシャーかけようとしてもむむ無駄だぞ!!」
真人「思いっきりびびってるじゃねぇか…」
理樹「大丈夫だよ、鈴」
鈴「理樹…」
理樹「例え失敗しても僕がなんとかする。鈴はいつも通り…というか今日の2フレーム以降の通り投げればいい。それにほら、楽しまないと!ね」
鈴「…わかった」
恭介(……)フッ
カコーン!
クド「9本ですっ!!」
鈴「くぅ…理樹、頼む…!」
理樹「よし…!」
恭介「…理樹、わかってるよな」
理樹「…この僕にプレッシャーをかけようとする気かい…恭介!」
恭介「フッ…女の前で…恥をかくんじゃないぞ」
葉留佳「何なんですかねこの少年マンガの最終回近い展開は」
恭介(これはいったな…)フッ
カコーン!
クド「スペアなのですーーーっ!!」
小毬「やったぁ理樹くーん!!」
理樹「あはは…」
恭介「……」スッ
理樹「!」
恭介「…ナイススペア」
理樹「恭介…!」スッ
パンッ
~完~
真人「…ってちょっと待てぇ!!」
葉留佳「へ?何か?」
真人「何が『完…』だ!!まだ終わってねぇっつーの!!」
葉留佳「いやぁマンガとかならこの辺で終わりかなーと思いまして」
真人「まだ10フレーム目が残ってるだろ!!それに次はこの俺の番だ!!」
鈴「じゃあ早く投げろ」
真人「関心なさすぎじゃね!?」
来ヶ谷「まぁいつものことだろう」
真人「おまえら…気づいてねぇのかもしれねぇが…ここで俺がストライクを出せば、俺のチームの優勝は決まったも同然になるんだぜ!!」
一同「!?」
理樹「しかもここまで真人は平均9本は倒してきてる…」
恭介「ここで真人がストライクを出し、最終フレームでもまたストライクやスペアを取られたら…」
一同(真人とクドに負ける!?)
真人「そこまでショックかよ…」
クド「複雑な気分なのです…」
真人「まぁいい…ここで俺がこの戦いに終止符を打ってやるぜ!どきな!」ドン
葉留佳「わぁ!もー乱暴だなぁ!」ポロッ
コロ…
理樹「あ、あの真人が集中してる!?」
鈴「気色悪いな…」
理樹(…鈴のときも思ったことは黙っておこう)
真人(集中だ…この俺の筋肉をもってすれば…いける!)
謙吾「もしかして…もしかするのか!?」
恭介「こいつは大番狂わせだぜ…!」
真人(いける…!いける…!!)
佳奈多「!! ちょ、ちょっと!あれ!」
理樹「え?…!?」
コロコロ…
葉留佳「わ、私のビー玉!?」
恭介「お、おい…真人の前に転がっていくぞ…」
葉留佳「ちょ、真人くん!ストップ!!」タッ
小毬「あ、危ないよ~!?」
真人(へっ…邪魔しようとしても無駄だぜ…!)
真人「…見えた!!」ダダダッ
ズルッ
真人「…は?」
一同「」
真人「ア――――――――――――――ッ」ツツー
客A「お、おい隣見ろ!人がレーンを滑っていくぞ!?」
客B「!?」
ドガシャーーーーーーーーン!!!
理樹(ま、真人ぉぉーーーーーーっ!!!)
佐々美「きゅ、救急車ですわーーーっ!!」
クド「た、大変ですーーーーっ!!」
恭介「無事か真人ーーーーっ!!」ダッ
真人「き、筋肉のおかげで…助かった…ぜ…」ピュー
理樹「助かってないから!!頭から血が噴き出てるから!!」
謙吾「死ぬな、真人ーーーーっ!!」
真人「へへっ…こんな馬鹿と過ごしてくれて…ありがとな…」
鈴「ああ、真人…見事なストライクだったぞ」
理樹「言ってる場合かーーーーっ!!」
謙吾「行ったか…」
小毬「真人くん大丈夫かな…」
来ヶ谷「頑丈さが取り柄の真人少年だ、安静にしていればすぐに治るだろう」
佳奈多「あなたがビー玉なんて持ってくるから!」
葉留佳「ゴメンナサイ…」
クド「そうですね…」
鈴「結局決着は付かなかったな」
佐々美「また次の機会にいたしましょう…」
恭介「だが、もうこのボウリング場には来れないな」
理樹「というか真人はボウリング自体がトラウマになったんじゃ…」
理樹「はぁ!?真人の入院が延びた!?なんで!?」
恭介「例のジャムを舐めた途端に泡を噴いて倒れたらしい…」
鈴「こわっ!!」
謙吾「何なんだそのジャムは…」
病院
名雪「母のジャムがたいへんご迷惑をおかけしました…」
真人「…誰だお前」
終わり
アニメ楽しみですね!
Entry ⇒ 2012.09.07 | Category ⇒ 版権物SS | Comments (0) | Trackbacks (0)
雪歩「ぴょんぴょん」
P「ほれ、ポッキーだ」
雪歩「ありがとうございますぅ」
ぽりぽり
小鳥「うさ耳で少しずつ齧ってる雪歩ちゃん可愛い」
P「うん、可愛い」
雪歩「はひっ!?」
P「諦めろ、可愛い」
小鳥「素直に認めるべきよ」
雪歩「ひうぅ……」
雪歩「穴掘って埋まっていたいですぅ…」
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小鳥(穴うさぎ…)
小鳥「うーん、それは気になるわね」
P「尻尾も生えてますね」
小鳥「もふもふしてて触り心地いいですよ」モフモフ
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ピヨピヨー
イヤャァァァ!!
P(ビデオに撮っておこう…)
P(今夜は捗りそうだ)
小鳥「いやぁ最高!」
雪歩「もう! 小鳥さん酷いですぅ!」
とすん
P(あ、怒ってる)
小鳥(怒ってる…)
小鳥「あらら」
P「よし」
P「雪歩~、ナデナデしてあげるからおいで」
ひょこ
雪歩「ほ、本当ですか……」
P(耳いいな)
小鳥(うさ耳パワー)
ぽすっ
P「よしよし」ナデナデ
雪歩「~♪」
小鳥(普段の雪歩ちゃんからは想像できないくらい積極的ね)
すりすり
P「ん?」
P(顎を擦り付けてきてる…)
P「へえ…」
小鳥「要約すると……」
雪歩『プロデューサーは私のものですぅ!』
小鳥「ですね」
P「なにそれ可愛い」
雪歩「~♪」スリスリ
ぎゅう
雪歩「ひぁ……」
P「可愛いなぁ、もう!」
雪歩「プロデューサー…」
雪歩(嬉しい……)
雪歩「あ………ぁぁ…!」
P(ん、なにか生温かい…)
ふぅ…
P「はい」
小鳥「嬉しいとやってしまう習性でして」
P「へぇ…」
小鳥「抱きしめられたのがよっぽど嬉しかったんでしょうね」
雪歩「ぐす……ひっく…」
雪歩「も、もう死んじゃいたいですぅ…」
P「そんなに嬉しかったのか」
雪歩「はいぃ……ぇぐっ」
雪歩「迷惑かける…ぐすっ…つもりじゃなかったんですぅ……」
P「……」チラッ
小鳥「……」グッ
P「……」コクッ
P「ばかだなぁ、雪歩は」ナデナデ
雪歩「ふあっ……!」
P「嬉しくてやっちゃった事なんだろ?」
雪歩「は、はい……」
P「ならいいじゃないか」
P「男性恐怖症の雪歩が、俺に抱きしめられて嬉しく思ってくれてるなんて」
P「こっちも嬉しくなるよ」
雪歩「プロデューサー…」
P「いつまでも濡れた服だと風邪をひく」
雪歩「そ、そうですね」
雪歩「あ!」
P「どうした?」
雪歩「着替え……持ってません…」
P「」
雪歩「ぴょんぴょん」
完!
Entry ⇒ 2012.09.07 | Category ⇒ アイマスSS | Comments (1) | Trackbacks (0)
アイアンマン「おいブルース!コロッケパン買って来い」
ホークアイ「あ、ついでに焼きそばパン頼むわww」
ハルク「い、いいよ…」
フューリー「では私はTVブロスとジャムパンを頼む」
ウィドウ「あたし午後ティーねww」
ハルク「はい…」
ソー「おれホットドッグな!」
ハルク「わ、分かったよ…」
キャップ「ブルース…大丈夫か?」
ハルク「キャプテンさん…」
キャップ「荷物が重くなるが頑張れよ」
アイアンマン「5分で帰って来いよ!金はいつか返すから立て替えといてwww」
ハルク「う、うん、分かった…行ってきます」
ハルク「ハァ…なんで僕だけ…」
ハルク「みんな、僕が温厚だからって調子に乗ってさ」
ハルク「…ハッ、5分で戻らなきゃいけないんだった。急がなきゃ!」
修行の成果とご都合主義で多少制御がきく
ハルク「あれ?扉が開かない」
ハルク「明かりはついてるのに…中がよく見えないな」
ハルク「5分過ぎちゃった…どうしよう…この辺りにはここにしかコンビニがないのに」
ハルク「…仕方ないか、開いてなかったんだから…」
ハルク「ちゃんと話せば許してもらえるよね」
ハルク「急がないと!」
70年前にハワードがキャプテンの友人として出てきたから結構歳いってるくね?
40代前半
ハワードの高齢時の子ども
やっぱ結構歳食ってるんだな社長
ホークアイ「遅れて帰ってきた上に焼きそばパンなしとかふざけんなよ」
ソー「ガラス割ってでも買って来いよ」
ハルク「で…でも店員さんの姿も見えなかったし」
フューリー「どういうことだ、コンビニが閉まっているなんて普通に考えてありえないだろう」
ウィドウ「そーよ!あのコンビニは年中無休24時間営業よ」
ハルク「でも…本当に」
キャップ「分かった。では私が行って確かめてこよう」
アイアンマン「お前は甘すぎだよキャップ」
フューリー「しかしバナー博士の言っていることがもし本当なら少し心配だ」
ウィドウ「そうですね」
ソー「??なんでだよ」
フューリー「もしあのコンビニが閉店するとしたら?困るなんてものじゃないぞ」
ホークアイ「確かに。仕方ねえ、この際だからみんなで行こうぜ」
アイアンマン「嘘だったらどうなるか分かっているんだろうな」
ハルク「だから本当だって…」
アイアンマン「なんだよやってんじゃねーか」
ハルク「違うよ!僕が来たときも明かりはついてたけど…誰もいなかったんだ」
ウィドウ「ん、自動ドアが開かないわね」
ホークアイ「店員はいるか?」
ウィドウ「ここからじゃよく見えないけど…見当たらないわ」
フューリー「まさか本当に閉店…」
ソー「おい嘘だろ困るよ!飯買うだけで15分も車を走らせるなんて嫌だぞ!」
アイアンマン「面倒だ、私が店ごと買い取ってやる」
ホークアイ「いーじゃねーかそれ!俺たちは当然タダなんだろ?」
アイアンマン「ふざけたことを言うなよ」
ホークアイ「チッ」
キャップ「本当に買い取るにしても…誰も人がいないんじゃ話もできないぞ」
ウィドウ「ねえ!誰かいないのー!?」ガンガン
ハルク「やめなよ…ガラスが割れちゃうよ」
アイアンマン「仕方ない…」プルルル
アイアンマン「出ないな」
ソー「なんなんだよ!!いい加減腹が減って死にそうだぞ!」
フューリー「仕方ない…今日の昼は外食しよう。ここにはまた改めて確かめに来るとして」
ソー「早く行こうぜ!もう身体が持たねえ」
ウィドウ「何食べに行く?」
ホークアイ「俺麺類がいい」
ホークアイ「麺類」
アイアンマン「十字路のマズいピザ屋に行こうぜ」
ホークアイ「麺類」
アイアンマン「早く車乗れー」
ホークアイ「麺類…」
ハルク「い、行こうよバートンくん…」
ホークアイ「…うん」
フューリー「…しかし気になるな」
ウィドウ「コンビニですか?」
フューリー「ああ…」
アイアンマン「しかし買い取るにしても人がいないんだよな…」
ホークアイ「ここのピザは本当にマズいな」
キャップ「あのコンビニがないと本当に困るぞ!それは私たちだけでなく市民の皆さんも同じだろう」
ハルク「明日またみんなで行ってみない?」
ハルク「…」
アイアンマン「そういえばお前なんでこっちにいるんだよ」
ソー「実家にいたらジジイが働けってうるせーんだよ」
ホークアイ「働けよ」
ソー「飯うまいし地球マジ最高」
ホークアイ「ここのピザはまずいけどな」
キャップ「おい店長に聞こえるぞ」
――
?「ふっふっふ…」
ロキ「このコンビニは…私が乗っ取った!わはははは!!」
ロキ「店員は洗脳済み!ここを私専用のプライベートコンビニにしてやるー!!」
ロキ「どうだ!困るだろう!このコンビニを使いたくば私にひざまずけ!わははははははははは!!」
ロキ「………なんか言えよ」
店員「えっ」
ロキ「ひざまずけよ!」
店員「はっはい!」サッ
店員「はい」
―翌日
ロキ「……遅い…」
ロキ「私の計画ではそろそろあのアホどもが泣いて土下座しにくる頃のはずなのに」
ロキ「『おお我が王よ、この卑しい平民にもコンビニを』とか言って」
ロキ「…早く来ないかな」
ロキ「眠くなってきた…昨夜はわくわくして眠れなかったしな」
ソー「めんどくせえ…」
ホークアイ「どうせなら飯時に行こうぜ。今日は開いてるだろ」
ウィドウ「そうねえ…」
アイアンマン「zzz」
キャップ「そうだな…みんなこんな感じだし、もし開いていなくてもまた外食になるだけだ」
フューリー「バナー博士も少し休んだらどうだ」
ハルク「まだ朝ごはん食べたばかりじゃないですか…」
ハルク「…ねえ、そろそろ行かない?」
アイアンマン「ふぁ~…そうだな…腹減ってきたし」
ハルク「(ずっと寝てたじゃないか…)」
ソー「今日の昼飯は何にしようかなあ」
ホークアイ「今日こそ焼きそばパン食べたい…」
フューリー「…では行くか」
ウィドウ「は~い」
キャップ「了解」
ロキ「…zzz…zzz…ハッ」
ロキ「寝ちゃった…ヤバイもう昼すぎてる!」
ロキ「おい!なんで起こしてくれないんだよ!」
店員「いや…疲れてるみたいだったので」
ロキ「あいつら来た!?もう帰った!?」
店員「まだ誰も来てませんよ」
ロキ「来てないのかよ!!」ズコー
ロキ「愚民どもめ…!」
ウィドウ「ねえー!今日もいないのー!?」ガンガンガン
ロキ「来たっ!!!!!」
ハルク「だからガラスが割れちゃうって…」
ロキ「ふふふ…どんなカッコイイ登場をしようか」
フューリー「これは…本当に閉店なのかもしれないな」
ソー「そんなの困る!おいスタークなんとかしろよ!」
ロキ「困れ困れクソ兄」
アイアンマン「だから店長がいれば買い取るって言ってんだろ」
ロキ「効いてる効いてるwwwww」
キャップ「そうだな。今日の運転係は誰だい」
アイアンマン「お前だよ」
キャップ「だから何度も言ってるだろう。私はオートマ車は運転できないんだ」
ウィドウ「またそうやって逃げるのね」
ホークアイ「まあいいや、今日は俺が運転するから行こうぜ」
全員「おう」ゾロゾロ
ロキ「しまった…!登場の仕方を考えてる間にあいつら行ってしまう」
ロキ「かくなる上は」
ロキ「わははははは!このコンビニを使いたくば私にひざまずけー!!」
ロキ「…あれ」
アイアンマン「…またおまえか」
ホークアイ「もうちょっと登場の仕方とか考えたらどうだ?ダッセエなあ」
ウィドウ「屋根に仁王立ちはないわ」
キャップ「くそ…私たちのコンビニを返せ!」
ソー「あー…いいよ。ほっとこうぜ」
ロキ「えっ」
ソー「ラーメンラーメン!早く行こうぜー」
ロキ「えっえっ、ちょっ待っ」
ソー「いーんだよ。あいつは無視するのが一番効くんだ」
ウィドウ「とんだかまってちゃんね」
アイアンマン「いい迷惑だ」
ホークアイ「お前の弟クズだな」
ソー「反抗期なんだよ」
キャップ「歪んだ弟を持って大変だな。さあラーメンだ!」
ソー「しばらくほっとけばあのコンビニは放り出すと思うぞ」
フューリー「それまでは外食か…」
ロキ「クソが…」
ロキ「なんで!なんで!なんで!みんなが私を無視する!」
店員「あの~」
ロキ「お前はもういいよ…こんな小さいコンビニに私の支配はもったいない」
店員「あ、そうですかじゃあ開店しまーす」
店員「いらっしゃいませー」
ロキ「ふん!私はもう出てくぞ!」
店員「あっ、あの」
店員「今持ってるそのパン、レジ通してないですよね?」
ロキ「……私は神だから金など持ち歩かないのだ」
店員「いいです僕おごりますよそれくらい」
ロキ「…ありがと」
店員「気をつけて」
ロキ「うん」
ウィーン
店員「不憫な人だ」
ロキ「あいつらはまだ分かっていない。私が本気になったらどうなるか…」
――
prrrrr...
アイアンマン「はいはい」ピッ
アイアンマン「は?なんだそれ…ん?うん、うん、行ってみるわ」
ウィドウ「何、どっか行くの?」
アイアンマン「ペッパーからちょっと報告があってな、お前らも来い」
アイアンマン「いいから来い」
フューリー「私もか」
アイアンマン「もちろん。全員だ」
アイアンマン「今日の運転係はブルースお前だよな?」
ハルク「ええ…君の用事なのになんで…」
アイアンマン「あ?」
ハルク「…分かったよ…」
キャップ「なんだ、買い物かい?」
アイアンマン「いや…」
ブロロロ…ギッ
バタン
フューリー「…ッ!」
ホークアイ「これは…!」
ソー「…ロキの軍隊だ」
ロキ「ははははははは!!」
アイアンマン「チッ…やはりか」
ロキ「ははははは!!どうだ、これ以上に困ることはないだろう!」
ハルク「すごい数の兵だ…敷地を取り囲むように並んでる」
アイアンマン「さっきのペッパーからの電話はこのことについてだ。ジャスコも閉まってるわよ、だと」
ホークアイ「おいどうすんだよ!コンビニ閉店どころの騒ぎじゃないぞ!」
キャップ「そうだ!市民の皆さん全員が困るんだぞ!何より映画が見られなくなる!」
ソー「ジャスコがなくなったらジェーンの誕生日プレゼントはどこで買えばいいんだよ!」
ロキ「わははははは!もっと困れ!ひざまずけ!」
ソー「どうするって、今回はシカトで済みそうにもないし」
アイアンマン「なら戦うしか…ないだろう」
ハルク「ちょっと待って!この場で無闇に戦うのは危険だよ、ジャスコが崩壊してしまう!」
ホークアイ「それに軍隊はあの大人数だ…なめてかかると危ない」
キャップ「しかし一刻を争う事態でもあるぞ…!」
キャップ「なにしろ明日からバットマン&ロビンMr.フリーズの逆襲が公開されるんだ。封切り一番上映で見ると決めてるのに!」
ウィドウ「あなたずっと楽しみにしてたものね」
キャップ「ああ!だから今日中にこれを片付けてしまわないと…」
ソー「任せろ!俺が雷一発ドカンと落として」
ハルク「それはだめだ!そんなことしたらジャスコまで丸焦げだ」
ソー「じゃあどうすんだよ!一人ずつ潰すなんてそれこそ何日かかるか」
アイアンマン「しかもブルースは戦えない」
ハルク「ごめん…でも“もう一人”が現れたらこのあたりは瓦礫の山になってしまう」
ホークアイ「明らかに戦力が足りねえぞ…」
?「アベンジャーズ!俺も協力しよう」
キャップ「…!!あなたは…」
キャップ「本物のバットマン…!?握手してください!」
バットマン「光栄だ、キャップ!」ギュッ
スパイダーマン「僕も一緒に戦う!メイおばさんがいつもここで買い物してるんだ」
デッドプール「俺ちゃんもいるよ~ん」
アイアンマン「なんだあの変態仮面は」
スパイダーマン「…ごめん…勝手についてきたんだ」
デッドプール「読者のみんな見てるう~?俺ちゃんの新作ゲームよろしくね♪」
デッドプール「http://www.youtube.com/watch?v=XqORbzbEfoM
」
キャップ「…彼は何を言ってるんだ?」
デッドプール「キャップ!アベンジャーズ見たぜ!面白かったよ~」
キャップ「???」
バットマン「あいつは無視しよう。とにかくジャスコ奪還だ」
フューリー「そうだな…本部に連絡して彼らのスーツも持って来させよう」
アイアンマン「君、どうして我々に協力してくれるのだ」
バットマン「ゴッサムにはジャスコがないからな…困るのだ」
アイアンマン「…そうか」
バットマン「それに俺がバットモービルで乗り付けたときも…ジャスコの店員は快く優先スペースに駐車させてくれた」
ホークアイ「スーツと武器が届いたらすぐ踏み込もうぜ」
ハルク「みんな集まって。これが各フロアの見取り図だ」バサッ
ハルク「東西南北から一気に挟み撃ちにしよう。二人一組で行動するんだ」
ハルク「僕と長官はここで全体の指揮」
フューリー「うむ」
ハルク「北はロマノフとソー」
ソー「おう!」
ウィドウ「分かったわ」
キャップ「憧れのバットマンと…!」
バットマン「尊敬するキャップと…!」
デッドプール「おい!何で俺ちゃんがキャップとじゃないんだよ!」
ハルク「変態仮面はスタークと西を頼むよ」
アイアンマン「嘘だろ…」
ハルク「で、東はバートンくんとスパイダーマン」
ホークアイ「了解」
スパイダーマン「わかった!」
フューリー「スーツと武器が届いたぞ!」
キャップ「早く装備しろ!」
ハルク「全員配置に就いてくれ!」
――
ハルク「みんな、聞こえてるかい?」
全員「ああ」
ハルク「僕がここから無線で指示を出す。みんなは状況報告を頼む」
ハルク「バットマンの透視スコープによるとロキは4階の映画館だ。そこを目指してくれ」
ハルク「じゃあ幸運を祈るよ……スマッシュ!!」
ウィドウ「いいから4階を目指すのよ!」バキィッ
ソー「バナー!これじゃキリがない!雷を…」
ハルク「だめだ!建物を傷つけないようにしてくれ」
キャップ「くそ…キリがない」ザシュッ
バットマン「しかしあいつらには飛び道具がない!距離をとりつつ潰して行くんだ」
キャップ「聞こえたかブルース!?」
ハルク「ああ!今君たちが入り口付近にいるのも見えるよ!」
デッドプール「やっだよーん!このまま足掴んでるから4階まで飛んでくれよ!」
デッドプール「君も空飛ぶ俺ちゃんの活躍見たいだろ?どう?カッコイイ?銃も撃ちまくり!バーン!」バンバン
アイアンマン「お前は誰に喋ってるんだ!!」
ホークアイ「おい…なんかここ他より兵の数が多くないか」
スパイダーマン「うん…なんか壁が厚い気が」
ホークアイ「バナー!東側にヘリを回して様子を見てくれ」
ハルク「了解!………!?…これは…」
ソー「おいそりゃ何体倒しても意味ないってことか!」
キャップ「どうりで入り口から全く進めないわけだ!あいつらが次々追ってくる!」
アイアンマン「操ってるのは間違いなくロキだ…大本を叩くしかない」
ホークアイ「そんなこと言ったって近づくこともできないんだぞ!」
ウィドウ「この人数では食い止めるにも限界が…!」
ハルク「ちょっと待って。そっちに向かって何かが飛んでる!」
全員「――!?」
バットマン「来ないのかと思ったぞ!」
アントマン「我々もいるぞ!」
フラッシュ「共に戦う!」
リドラー「ナゾナゾ対決だ!」
キックアス「なんでお前がいるんだよ。皆さん、サインください!」
ウルヴァリン「お前もだクソガキ。家に帰れ、引き裂くぞ」
シルバーサーファー「私も空から援護しよう」
ハルク「すごい…あんなに仲間が」
バットマン「俺たちもここに残って敵を食い止める」
デッドプール「え?俺ちゃんも?ヤダヤダもっと出番欲しい~!!」
スパイダーマン「建物には一人も兵を入れないよ!安心して行ってくるんだ」
アイアンマン「ああ…!終わったらバーベキューでもしようじゃないか」
ソー「ここは任せたぞ!」
ウィドウ「…行きましょう」
ホークアイ「4階だ!」
キャップ「この扉を開ければ映画館だ!」バンッ
ソー「ロキ…!ぶん殴ってやる!」
アイアンマン「待てっ迂闊に近づくな!」
ドガッ
ソー「うあっ!」
タスクマスター「フッ、人間相手になんと弱い。それでも神か?」
ウィドウ「だから油断するなって言ったじゃない…」
ブルズアイ「おっ、と。その場から動くなよ?」
サンドマン「映画見たいんだろ?なら言う通りにしろ」サラサラ
ホークアイ「くっ…仲間がいたのか」
ロキ「仲間?笑わせるな。ただの部下だ」
タスクマスター「雇われたのだ」
ロキ「…まあ、あの緑の怪物がいないと知っていればこいつらなど必要なかったがな」
ハルク「…聞こえてるよ?」
アイアンマン「無線が繋がっている」
ロキ「ふん、だからどうした」
ハルク「…」
デスストローク「それどころか理性すら無いと聞く」
ハルク「……」ピクッ
ブルズアイ「それじゃただの動物だな」
ハルク「………」ビキッ
フューリー「あ…バナーくん?落ち着いて」
ハルク「や、やだなあ長官!こんなことで鍛錬を重ねた僕がキレるわけ」
ドッギャハハハハハハキモーイ
ハルク「 」
――ぷちん
ハルク「ウ…ア、ア…」ビキビキ
ハルク「ウオアアアアアアアアアアアア!!!!!!」
フューリー「このヘリはもうすぐ墜落する。みんな、飛び降りろ!」
パイロット「はいっ!」
ハルク「ウォオオオオオオオオオオオオオオ!!!」
ハルク「ハルク、あいつ コロす!!」
ダッダッダッダッ
バットマン「おい、なんだあれは…」
ハルク「ウガアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!」
ガシッポイッ
ウルヴァリン「おいフラッシュが投げられたぞ」
シルバーサーファー「えっ」ドォン
バキッ――ドンッ
ウルヴァリン「おいフラッシュがシルバーサーファーを墜落させたぞ」
スパイダーマン「…逃げようか」
バットマン「ああ…全員退避!」
スーパーマン「分からないが…向こうの方で大きな物音がしたな」
アントマン「何かあったのかもしれない。一旦退避だ」
デッドプール「うん…でも俺ちゃんまだ暴れ足りないな~」
ドドドドドド
デッドプール「えっ?なん
ドォン
アントマン「あれ?デッドプールは?」
スーパーマン「向こうで壁にめり込んで泣いてるよ」
ドンッバキィッ
メリメリメリメリ
アイアンマン「おい、足場が壊れるぞ!飛べる奴につかまれ!」
ソー「窓から脱出するぞ!しっかりつかまってろよ!」
ッバリーン
ハルク「ハルク、あいつら コロす!」
キャップ「映画館が…」
ホークアイ「ジャスコが…」
ソー「瓦礫の山だ…」
ブルズアイ「ぶっ」
バキッ
デスストローク「ぎあっ」
メキョ
タスクマスター「んぎっ」
ジャリッ
サンドマン「うごっ」サラサラ
ハルク「あいつ いない!ハルク、あいつ コロす!」
ハルク「ハルク、みつけた!」ガシッ
ロキ「!?」
ハルク「ハルク、こいつ ちぎる!」
メリッ
ロキ「ぐああっ…!」
キャップ「まずいぞ…本気でやるつもりだ!」
アイアンマン「止めろ!」
ソー「ロキ…!今助けるぞ!」
ゴロゴロ…
ピカッ…ドーン
プシュゥゥゥゥ…
キャップ「ソー…これはやりすぎじゃないか…」
ソー「大丈夫だよ死なないから」
フューリー「そういえば軍が引いたな」
アイアンマン「ロキに余裕がなくなってからだ」
ウィドウ「ねえ、あんたの弟もあっちで焦げてるけど?」
ソー「あ…ロキー!」
ホークアイ「あいつはホンット弟に甘いよな」
アイアンマン「まあ…ただ一人の弟だからだろう。迷惑な話だ」
ロキ「あ…兄上…」
ゴツン
ロキ「!?」
ソー「てめえ自分が何さらしたか分かってんのか!!!」ボゴッ
ソー「いつもいつも迷惑ばっかかけやがって」ゴスッ
ソー「そんなに俺が困ってるの見て楽しいか!?アァ!?」ドゴッ
ソー「お兄ちゃんに恥かかすんじゃねえよクソガキがよォ!!!」ドガッ
ソー「お前はバルスームに追放だこのクズ野郎が!!!」バキィッ
ロキ「 」
ソー「す、すまん、ついやりすぎて」
ロキ「 」
フューリー「気絶してるな…連行しろ」
ウィドウ「そういえばブルースは?生きてる?」
アイアンマン「もう元に戻ってるよ。向こうで正座してバットマンたちに説教されている」
フューリー「…とりあえず彼には服を用意しよう」
ホークアイ「あ…帰ってきた」
ハルク「しかも気がついたらジャスコが全壊してるし…もうなんて謝ったらいいか…」
アイアンマン「分かった、もう謝らなくていい」
ハルク「でも!街のみんなに申し訳なくて…」
アイアンマン「もういいと言ってるだろ。この店舗は私が買い取ることにした」
ハルク「えっ…」
アイアンマン「一刻も早く再オープンできるよう明日から工事に取りかかろう」
アイアンマン「しばらくは不便だが、リニューアルとでも思えばいい」
ハルク「スターク…」
ハルク「……」
ホークアイ「…腹へったな」
キャップ「結局昼ごはん食べてないからね…」
アイアンマン「私のビルでバーベキューでもしよう。招待する」
スーパーマン「ほう、興味深い」
デッドプール「じゃあ読者が一緒に肉を焼きたいヒーローNo1の俺ちゃんがBBQ奉行やってあげるよ~!」
キックアス「やった!スタークタワーでバーベキューだ!」
アイアンマン「誰だお前」
バットマン「だめ」
フラッシュ「だめ」
アイアンマン「誰だお前」
リドラー「 」
ソー「あれ?ロキは?」
フューリー「ん…?あれ、いない」
ソー「えっ」
ホークアイ「おい…まさか…逃げたのか?」
ロキ「ふん、所詮人間などこの程度か」
ロキ「この私が子供向けショッピングモールなどで満足すると思ったか!」
ロキ「次は女性文化の中心…阪急百貨店を牛耳ってやる!」
ロキ「わはははははははは!!」
ロキ「はははは…は…………」
ウィドウ「阪急がなんですって?」ジャキ
ハーレークイン「ホントにぃ~?殺したいくらいふざけてるっ♪」
ヒットガール「アァ?本当に言ったのか?」
インビジブルウーマン「あら?焦ってるわね?」
ロキ「あ…あはは…」
ロキ「……すいませんでした」
ソー「あ、いたぞー!また逃げ出して!ダメじゃないか!」
ソー「ダメだ。みんなにちゃんとごめんなさいしろ」
ロキ「じゃあそれ終わったら帰りましょう」
ソー「分かった分かった。ほら行くぞ」
アイアンマン「あいつ…またやるな」
ホークアイ「あれだけ甘やかされればな…」
キャップ「めんどくさい兄弟だな…」
アイアンマン「ついに本音が出たか」
アイアンマン「そうだな…ああなんかバーベキュー面倒になってきた…」
キャップ「言い出しっぺは君だろう…みんな楽しみにしてるぞ」
アイアンマン「あんな変人コスプレ集団を会社に連れてくのか…」
キャップ「それを私の前で言うのかい…」
ホークアイ「帰ろうぜ…」
アイアンマン「ああ…」
―翌日
キャップ「ただいま…」
キャップ「聞かないでくれ…」
ウィドウ「ああ…つまらなかったのね」
キャップ「せっかく早起きして隣町まで見に行ったのに…」
ウィドウ「まあ…残念ね。ずっと楽しみにしてたのに」
キャップ「あ、でも!来週もまた楽しみにしてた映画が公開されるんだ!」
ウィドウ「そう、面白いといいわね。なんて映画?」
キャップ「 デ ビ ル マ ン って映画なんだけどさ!」
おわり
読んでくださってありがとうございました
乙でした!
ハルクいじめSSとかじゃなくてよかったぜ…
乙
Entry ⇒ 2012.09.07 | Category ⇒ 版権物SS | Comments (0) | Trackbacks (0)
貴音「にゃん」
貴音「おはようございます」
P「ああ、おはよう…?」
小鳥「おはよう、貴音ちゃん…?」
P「貴音や」
貴音「はい?」
P「どうした、その格好」
小鳥「あの、服装じゃなくてね…」
P「ネコミミをつけてる理由が気になるんだ」
貴音「ねこみみ? はて…」
小鳥「??」
P「え、気付いてないの?」
小鳥「はい、鏡」
貴音「ふむ……!!」
貴音「なななな……面妖なぁ!!」
P「動いたぞ…」
小鳥「まるで生えてるみたい…」
貴音「あなた様! 私に猫の耳が!」
P「ネコミミ!」
小鳥「たかねこ! たかにゃん!」
小鳥「ええ!」
貴音「可愛い…でしょうか?」
P「貴音…」
貴音「はい」
P「語尾に『にゃん』をつけてくれ」
小鳥「……!!」ティン
貴音「はい?」
貴音「あなた様がそう言うのなら…」
貴音「わかりましたにゃん」
P「」
小鳥「」
貴音「やはり、変でしょうかにゃん?」
小鳥「ええ、可愛いすぎてもう…!」
貴音「なにやら照れますにゃん…」
P「うりうり」
ごろごろ
貴音「ふゅ…あなた様?」
P「いや、あごをごろごろしたくなった」
貴音「悪い気はしませんね…にゃん」
小鳥「無理に語尾につけなくてもいいわよ?」
貴音「はい」
ごろごろ
貴音「~♪」
貴音「……??」
P「どうした?」
貴音「いえ、お尻がむずむずして…」
小鳥「お尻!」
P「むずむず!」
貴音「おお、尻尾まで」
P「尻尾だよ!」
小鳥「うひゃあ!!」
貴音「まるで、こすぷれをしている気分ですにゃん」
P「ぐふっ」パタタッ
小鳥「こふっ」パタタッ
貴音「ああ、鼻血が!」
すぼっ
P「すまん」
貴音「……」ジー
P「どうした?」
てしてし
P「いたっ」
小鳥(ねこぱんち!)
貴音「はっ……すいません」
ぴこぴこ
貴音「らぁめん…!」
貴音「食しましょう」
小鳥「ねこにマタタビ、たかにゃんにラーメン……」
P「まあ、そういう事でしょう」
貴音「小鳥嬢、お早く!」
貴音「にゃん」
完!
Entry ⇒ 2012.09.06 | Category ⇒ アイマスSS | Comments (2) | Trackbacks (0)
P「貴音の髪の色って正直異常だよな」
P「だって美希って髪の毛をショートにしたら茶髪になったじゃん」
美希「ミキは染めてたからね!」
P「だろ?なら納得がいく」
美希「……」
P「……」
美希「異常なの!」
P「だろ?」
千早「」
P「どうした?」
美希「今どきの美容院じゃ髪の色をシルバーに出来るのは当然だよ?」
P「でも貴音っていつまで経っても根元の色、同じだよな?」
美希「常に美容院に通っているとか?」
P「でもシルバーにこだわる必要あるのか?」
美希「……」
P「……」
美希「異常なの!」
P「だろ?」
美希「どういうこと?」
P「美しい銀髪とは周りからは絶賛されているが」
P「あれって本当に銀髪か?」
美希「……」
P「……」
美希「灰…色かな…」
P「俺もそう思う」
P「その可能性は否めないな…」
美希「貴音…見た目より疲れてるのかな…」
P「ラーメン大食いもキャラ作りの為に幼少期から無理して…」
美希「……」
P「……」
美希「でも、無理してたとしてもあの量は異常かな」
P「その線は無しか」
P「今でこそ人気アイドルだしな」
P「そりゃ大忙しさ」
美希「プロデューサー名利につきるね、ハニー!」
P「ありがとう」
美希「……」
P「……」
美希「出会った頃から、あの色だったよ?」
P「仕事疲れって線も無しか」
P「じゃあ一旦他の子で考えてみようか?」
美希「例えば?」
P「真が黒髪なのはよくわかる」
P「でも、あずささんと千早はどうなんだ?」
美希「……」
P「……」
美希「あれはブルーブラックっていうんだよ」
P「別に普通なのか」
P「やよいってどうなんだ?」
美希「やよい?」
P「美希は脱色や染色をしていたわけだ」
美希「うん」
P「でも、やよいってどうなんだ?」
美希「……」
P「……」
美希「天然色にしては、ちょっとアレかも」
P「だよな」
美希「個人のプロフィールはハニーが目を通しているんじゃないの?」
P「日本人だったな」
美希「そっか」
美希「じゃあ、天然色だよ!」
P「そうだな」
美希「……」
P「……」
美希「…にしては濃いよね」
P「もはやオレンジだぞ、あれ」
P「栗色っていうのか?」
P「天然色でもなにもおかしくない」
美希「でもオレンジに近い茶髪は…」
P「やっぱり…」
美希「……」
P「……」
美希「ハニーに「給食費」という名目でお金を借りて…」
P「その先は言うな」
P「これ以上は何も言うまい」
美希「なの」
P「あれはきっと天然なんだ、そうなんだ」
美希「……」
P「……」
美希「でも…」
P「はい、やよいの話はやめやめ」
P「確かに…」
P「いや、待つんだ美希」
美希「なぁに?」
P「小鳥さんってどうなんだ?」
美希「……」
P「……」
美希「…カビが生えたのかな」
P「カビ!?」
美希「でも、あんな髪色そうそういないよ?」
美希「美容院なら出来るけど…」
美希「…正直、センス無いって思うな」
P「歳をとるとカビが生えるのか…」
美希「……」
P「……」
美希「ネタだよ?」
P「わかってるさ」
P「どうした?」
美希「響の瞳の色って異常だと思わない?」
P「綺麗なライトブルーじゃないか」
美希「……」
P「……」
美希「沖縄出身の日本人だよ?」
P「異常だな」
美希「まぁ、それならそれで納得がいくんだけどさ」
美希「髪の毛は黒いままなのは良いとして」
P「ライトブルーのカラーコンタクト…」
美希「……」
P「……」
美希「オシャレだね」
P「似合ってるしな」
父親が故人
美希「ねぇねぇ、ハニー?」
P「どうした?」
美希「貴音って実は人間じゃないって噂があるよね?」
P「確かに…」
美希「……」
P「……」
美希「まっさかー」
P「だよなぁー」
美希「うんうん」
P「月の住人の髪の毛の色がみんな貴音だったら、どう思う?」
美希「……」
P「……」
美希「かぐや姫が残念なことになっちゃうね」
P「そうだな」
P「それが一番有力だな」
美希「苦労してたんだね…」
P「もう少し労わってやらないとな…」
美希「……」
P「……」
美希「実は年齢詐称とか?」
P「あー」
P「特にヒップとか…」
美希「むっ!?」
美希「そしたらミキだって負けてないもんっ!」プルン…
P「ぬ…」
美希「……」
P「……」
美希「食べごろだよ?」
P「いやでも、美希は中学生だからなー」
P「えっ?」
美希「……」
P「……」
美希「……」ジーッ…
P「…それまでお前が俺のことを好きでいたならな」
美希「やったぁ!」
美希「ハニー、だーい好きなのっ!!」ギュッ…!
P「はは、こりゃ参ったな」
小鳥「…とりあえず、一発殴ってきても良いよね?」
貴音「…お供します」
おわり
Entry ⇒ 2012.09.06 | Category ⇒ アイマスSS | Comments (1) | Trackbacks (0)
える「折木さん!私、気になr…」折木「(チュッ)」える「!?///」
折木「…しまった…千反田の唇を塞ぐためについキスしてしまった…」
える「///」
みたいなの下さい
きになりまチュッきになチュッきになりまチュッきチュッ
えるたそもうキスしたいだけだろうな
折木(始まった。千反田は知識欲が暴走してしまうこの瞬間が)
える「やっぱり気になるんです……ダメですか?」
折木(今度は引き気味に聞いてくる。このまま放っておくと、うるさくてせっかくの読書も台無しになる)
折木「……」
……チュッ//
折木(振り向きざまに答えてやろうと思った矢先であった)
折木(あまりにも千反田の顔が近く、顔の一部に俺の口元が触れてしまった)
折木(いや……違う、顔の一部なんかじゃない)
千反田はその瞬間の出来事に動揺し、後ろへ仰け反って倒れてしまった
折木(明らかに……キスだな、それもマウストゥ……)
折木「……」
える「……」
える「すみません、折木さんどうぞ」
折木「その……さっきのは……」
折木「……事故だ」
える「そ、そうですよね、すみませんでした」
える「……」
える「そ、それじゃまた明日……」
折木(あれは事故だ)
そう自分に言い聞かせる。千反田もそうであることを望んだじゃないか。なら別にどうと言うことではない。
折木(しかし「また明日」とは……気まずい)
える(折木さんは「事故」だって言ったし……元々私が悪いので、何か言える立場じゃないのですが……)
える「……折木さん//」
?「あ!千反田さん帰るの? 今日は古典部じゃ?」
える「きょ、今日は、さっき私は行ってて……あ、その用事があって……」
里志「用事?」
える「はい。あ、じゃあこれで……」ノシ
里志「それじゃね」ノシ
里志(これは何かあったね奉太郎)
里志「やぁ奉太郎、千反田さんがどうしたんだい?」
折木「さ、里志!! いつからいたんだ?」
里志「今来たばかりだけど、千反田さんがどうかしたの?」
折木「……どうもしないさ」
里志「絶対に何かあったね、私気になります」
折木「千反田のマネをするな、気持ち悪い」
里志「なんだい?」
折木「千反田はどこまで……処女だと思う?」
里志「処女?」
折木「ああ、処女だ」
里志(絶対に何かあったね奉太郎)
里志「データベースには結論が出せないけど……」
折木「とりあえず一般論を出して欲しい」
里志「彼女は多分キスもした事の無いような、とてもウブな箱入り娘だと思うね」
里志「奉太郎、やっぱり何かあったんじゃない?」
折木「仕方ない、ただし口外はするなよ」
カクカクシカジカ……
里志「なんだwwwwwキスねwwww」
折木「大声で笑うな、誰かに聞こえるだろ」
里志「謝るの?」
折木「誠意を見せないと……一応」
里志「すまないが、謝ったとしても、千反田さんの動揺は取り除け無いと思う」
折木「ならどうしろと?」
里志「キス以上の事を千反田さんとすればいいじゃないか」
折木「何を言ってるんだ?バカか」
折木「……」
里志「あー、明日は楽しみだな、摩耶花にも言っておこう」
折木「こ、口外するなと!」
里志「摩耶花も何かあったら協力してくれるはずさ」
折木「……知らないからな」
里志「じゃあ明日、折木ファイトだよ」
地学準備室にはだれも来ていなかった
しんと静まり返った部室に注ぎ込む風に揺られるカーテンが
千反田に見える俺は、相当あいつを意識してしまってた
もちろんあれは事故だ。
だが俺は嫌な気持ちにはならなかった。
ため息がよく響く
ガラガラ
える「こんにちは、あ、折木さん居たんですね」
折木「ああ、ちょっとな」
える「折木さん!」
千反田は昨日のあの時同様、キラキラとした無垢な瞳を向けてきた
あのキスがまるで嘘のように
える「折木さんは、キスしたことありますか?」
折木「……は?」
える「キス……したことありますか?」
目の前に立つ千反田は、何一つ表情を変えずに訊いてきた
折木「正直にいえばいいのか?」
こくりと頷く千反田
折木「俺は……ない、した事がなかった。昨日のが最初だから……」
える「私も昨日が最初でした」
折木「何を言って……」
える「折木さん!!」
折木「はいっ!!」
思わず裏声が出てしまった
千反田の柄にも無い威勢のある呼びかけに
える「ファーストキス……折木さんで良かったです」
える「折木さん……私折木さんの事が!!」
折木「待て!」
える「はい?」
折木(これでは……終わってしまうじゃないか)
折木(確かに俺は千反田の事を気になってた。もちろん『昨日の事故』は嬉しくもあった)
折木(しかし……これでは里志に笑われてしまうじゃないか)
折木(いや、俺でさえ笑ってしまう。このまま終わるのでは)
折木「千反田……」
える「はい」
える「はい……」
折木「だがな……それは千反田、お前のセリフじゃない」
折木「千反田、俺は千反田えるが好きだ、ずっと好きだった」
える「お、折木さん……」
千反田は目に涙を浮かべながら俺にしがみついてきた。
折木(これでよかったんだ……)
こもった声が俺のすぐ下から聞こえた
折木「もう一度……キスしても、いいか?」
える「……今はムリです」
折木「やっぱり……嫌だったか……」
える「そうじゃないんです。今泣いている汚い顔を……見られたくないんです」
千反田はそう言い力強く抱きしめてくる
折木「なら俺が眼を瞑っておく。そしたら見えない……早くしろ」
千反田は言うとおりに唇を合わせてきた
すすり泣く声と荒い呼吸が真近から聴こえる
える「昨日摩耶花さんに相談したんです」
千反田はキスをした後耳元でそう囁いた
える「摩耶花さんは気付いてました。私が折木さんの事好きだって事。そしたら摩耶花さんは構わずに攻めろと」
折木「だからあれ程千反田らしくない、いつもとは違う強引さが出てたのか」
える「はい……やはり折木さんは折木さんでした」
折木「何が?」
える「ああ言う事女の子に言わせないとするところです」
折木「さあな」
える「私もです……」
千反田のすすり泣きはまだ止まない
折木「キス……もう一回してもいいか?」
END
Entry ⇒ 2012.09.06 | Category ⇒ 氷菓SS | Comments (2) | Trackbacks (0)
咲「お姉ちゃん!」久「はいはい」照「!?」
咲「お姉ちゃん!」ギュー
久「はいはい、甘えていいのよ」ナデナデ
照「これは何かの間違いだ、そうに違いない。つけて確かめないと」コソコソ
照「あっ、迷子になった。」
照「そうだ、今出て行って助けてあげればさっきの子にしてたみたいに抱きついてくれるかもしれん」ゴクッ
照「よしっ、今だ!」ダッ
スッ
久「大丈夫?咲。あなた迷う癖があるのだから他の人と行動しないと」
久(現実逃避と一緒に幼児後退のような面もあるし、気をつけないとだめね)
咲「うん、わかった。お姉ちゃん。」ギュー
久「じゃあ、一緒に歩こうか」ナデナテ+テヲツナグ
照(間に合わなかった)グヌヌ
久「偶然ね、一緒にまわる?」
美穂子「えぇ、私なんかでよければ」
咲「えへへ、お姉ちゃんたちと一緒」ニコニコ+フタリトウデクミ
照「やっぱり、あの取材がいけなかったのかな。わたしの妹だと言うといろいろ周りが姉妹戦だの大きく取り上げて迷惑になると思ったのに」
美穂子「わたしはどこでもかまいません。咲ちゃんは何か食べたい?」
咲「私もどこでも大丈夫! あっ、やっぱりもんじゃ食べたい!」
久「そうね、美穂子もそれで構わない?」
美穂子「えぇ、いいですねもんじゃ」
照(こういう時どうすれば、あぁ、でもいきなり出てきても気まずくなるだけだし)コソコソ
美穂子(何か後ろに怪しい人がいるけどほっといていいのかしら)
店員「あのー、おひとりさまですか」
照「はい」キッ コワイカオ
店員「えぇと、奥へどうぞ」ビクビク
咲「お姉ちゃん、あ~ん」
久「」アーン
久「おいしいわ、咲」
咲「うん」エヘヘ
咲「お姉ちゃんもあ~ん」
美穂子「」アーン
美穂子「うん、おいしい。ありがとう」ナデナデ
美穂子(久さんと結婚したらこうなるのかな)カァァ
照「・・・・」ヒザガクガク
照「咲には、グスッ、私なんかより、グスッ、いいお姉ちゃんが、グスッ、いるんだ。私なんか、グスッ、必要ないんだ・・・」レイプ目
店員「なに、あの子怖い」
久「迷子になんないようにね」
咲「さすがにお店の中で迷子にはなんないよ」
久「いやぁ~、咲ならありえそうだからね」ケラケラ
久(だいぶ安定してきたな)
咲「もー」プンスカ
トコトコ
咲「あの、トイレどこですか?」
店員「あちらの奥にあります」
咲「はい、ありがとうございます」トコトコ
ジャー
咲「ふー、すっきりした」
サキィー サキィー
咲「」?
咲「あれ、あそこから、私の名前呼んでるような気がするけど」
照「さきぃ、さきぃ・・・・・」コクウヲミツメ
咲「・・・・・・・・」
照「咲ィィィィィィィ」ガバッ
咲「きゃぁ」バタン
照「咲ィィ、咲ィィ、」ホオズリ
照「私だけが咲のお姉ちゃんなんだからぁぁぁぁ」ギュー
咲「お姉ちゃん、なんだかよくわからないけど苦しい。それに私の本当のお姉ちゃんはお姉ちゃんだけだよ」
照「ごめんねぇ咲、ごめんねぇ。絶対放さない」
咲「うん、苦しいけどお姉ちゃんと話せてうれしいよ」ニコニコ
照「うえぇぇぇぇん、咲ぃぃぃ」
咲「えへへ、いいこいいこ」ナデナデ
久「迷ってはなかったようね」コソコソ
美穂子「彼女が咲さんのお姉さんですか?」コソコソ
久「えぇ、けんかか何かしてたんだろうけど仲直りできたみたいでよかったわ」クスクス
美穂子「はい、ほんとうに」クスクス
完
池田「キャプテンとはぐれた」
Entry ⇒ 2012.09.06 | Category ⇒ 咲-Saki-SS | Comments (0) | Trackbacks (0)
あずさ「飲み屋あずさ」
律子「こんばんわあずささん…今日も相変わらず男の人がいっぱいですね」
あずさ「はい、おかげさまで、あ、カウンター席でいいかしら?」
律子「はい…よいしょ……ははは、もうよいしょなんて言っちゃう歳になってしまいましたね」ストン…
あずさ「あらあら、まだ全然お若いですよお客様」
律子「それは嫌味ですか?あずささんはいつまで経ってもキレイですもんね」
あずさ「そんなことないわよ、最近はお化粧することが増えたもの、困っちゃうわよね」
律子「……最近まですっぴんでお店を回していた人は流石ですね」
あずさ「ふふふ、ご注文を聞きましょうか?」
律子「それじゃあ鳥の軟骨と烏龍ハイで」
あずさ「はーい、少々お待ちくださいねー」
律子「おいしそう…それにしてもあずささん、一人でこれだけのお客を相手にして大丈夫なんですか?」
あずさ「これだけって言っても4、5人じゃない、まだ現役の頃の方がつらかったわ」
律子「私にはそうは見えませんでしたけどね…ホント、いつまでお若くて羨ましいです」
あずさ「もうそのお話はいいじゃないですか……最近はどうなんです?」
律子「あぁ…テレビ見れば分かる通り、大人気ですよ…一時期は他のアイドルに抜かれましたけどなんとか盛り返せましたね」
あずさ「あちらは不祥事が絶えなかったからね、自業自得というものね」
律子「ははは…ウチだって前までいつ不祥事が起きてもおかしくはなかったじゃないですか」
あずさ「でもあの人はちゃんとしてましたからそういう心配はありませんでしたね」
律子「んっ…んっ……あずささん、本当は残念じゃなかったんですか?」
あずさ「……あ、い、いらっしゃいませー」
律子「あ…逃げた」
律子「そうですかぁ?こういう席ではもう少し正直にならないと」
あずさ「……律子さんってそういう話あんまり好まなかったような…」
律子「今じゃあ結構あせってますからね、興味津々ですよ……ホント気づくのが遅かったですよ」
あずさ「律子さん……それじゃあ私達ってやっぱり行き遅れ組なのかしら」
律子「失礼な…でもあずささんならホイホイ捕まえそうですけど」
あずさ「もう!それこそ失礼ですよ!……運命の人はそこら辺にホイホイ居るわけじゃないんですから」
律子「へー…まだ追いかけてたんですか」
あずさ「……やっぱり今更何を夢見てるのかしらね、私」
律子「うーん…いいんじゃないですか?逆にあの頃、運命の人って言ってたのがおかしかったんですよ……このくらいの歳の方がセリフ的にピッタリですよ、あずささん」
あずさ「今遠まわしで馬鹿にされてるのかしら…私…」
あずさ「ふふ、なら私はお客様が皆恋人かしら」
律子「それ皆さんに言ってあげて下さい、このお店もっとおっきくできるかもですよ」
あずさ「言いませんよもう…仕事が恋人……私もあの時はアイドル一筋で頑張ればよかったかもしれないわ」
律子「………」
あずさ「あ、いらっしゃいませー」
律子「……アイドルの方にもっと意識を傾けさせられなかったのは私の責任ですね」
あずさ「そんな…律子さんのおかげで私はあそこまで頑張れたんです……ただ私が世間を少し軽く見てただけってことですよ……じゃあちょっと離れるわね」タッタッタ…
律子「………」
あずさ「いらっしゃいませ、ご注文はお決まりでしょうか?」
律子「あのあずささんが一人でお店……未だにあんまり信じられないなあ」
律子「何がです?」
あずさ「お客様、もうこの時間帯になるとほとんど出入りがなくなっちゃうの」
律子「意外ですね…こういう時間帯からこのお店本気出すのかと思ってました」
あずさ「?……どういう意味ですか?」
律子「いや、じゃあいいです」
あずさ「?」
律子「そういえば、最近皆と会ってます?」
あずさ「あ、あー…律子さんは?」
律子「私以外でですよ、私の方は春香や千早、響辺りとはよく会うわね」
あずさ「あの娘達はまだ全然テレビに出てるわよね」
律子「はい…千早はまだまだ現役ですよ、来週にも音楽番組に出る予定ですから」
あずさ「そうなの…元気でやってるのね、安心したわ」
あずさ「数年前までアイドルだったって知ってる子供は少ないでしょうね」
律子「そこまで時間経ってませんってば……でももうその三人もあの頃と比べればめっきり事務所に来ることも無くなって…」
あずさ「そうなんですか…ちょっぴり寂しいですね」
律子「そうでもありませんよ、他のアイドルの娘達が皆いい娘達ばかりだからこんな私にも優しくて……なんだか小鳥さんの気持ちがちょっとだけ分かっちゃいましたよ」
あずさ「そういえば音無さんは元気にしてます?」
律子「さぁ…何だかんだで嫁いでしまいましたから…今頃イケメン富豪のところで元気にしてるはずですよ」
あずさ「……私、あの人が事務員じゃないということがあんまり信じられないわ」
律子「同感です、今若い子がしてるんですけどあまり慣れなくて……やっぱりすごい影響力あったんですね、あの人」
あずさ「ええ、また会いたいわ…一回飲みにきてくれないかしら」
あずさ「うーん…正直に言っちゃうとあんまりもう……ね?」
律子「でしょうね…ここいいお店なのに皆あんまり知りませんもんね」
あずさ「そうね…やっぱり教えたほうがよかったのかしら?」
律子「それはそれで…元アイドルが何度も出入りする飲み屋っていうのも…」
あずさ「まあ元アイドルが経営してしまっている時点で……ねぇ?」
律子「ふふ、それもそうですね…あずささんも座って一緒に飲みましょうよ」
あずさ「んー…そうね…来るかもしれないお客様には申し訳ないけど今日は早めにお店閉めちゃおうかな」
律子「ありがとうございます…でもいつの間にかお酒を誘うのが逆になっちゃって変な感じですね」
あずさ「私はとっても嬉しいですよ、昔はいっつもしかめっ面で律子さんったら断るんだもの」
律子「未成年なら普通に断ります……それじゃあ改めて、思い出話を肴に乾杯」
あずさ「はい、乾杯」
カンッ…
――
―
あずさ「んっ…んー……今日も暑いわねぇ」
あずさ「9月なんだから早く秋にならないのかしら…」
あずさ「地球さんも困った人…ふふ…」
真「何言ってるんですかあずささん?」
あずら「あら?真ちゃんじゃない!お久しぶりね!」
真「はい…いやぁ~ごめんなさい、最近は全然お店に顔出せなくて」
あずさ「いいのよいいのよ、来てくれただけでうれしいわ…さ、入って入って」
真「それじゃあお邪魔しますね…」
あずさ「そういえば朝からこんな所でどうしたの?」
真「夫がまだ実家から帰って来ないので久々にジョギングを……ついでに朝ごはんを作るのも面倒だったので寄らせてもらいました」
あずさ「そう、じゃあちゃっちゃと作っちゃうわね」
真「はい、お願いします」
真「はあ…相変わらずおいしそう…私もこれぐらいおいしいものを作りたいなあ」
あずさ「あら?真ちゃん、変えちゃったのね?」
真「?何がです?」
あずさ「ボクから私、何だか違和感感じてしまうわ」
真「あぁー…流石にママになってボクっていうのは恥ずかしくて……今だけでも戻しましょうか?」
あずさ「真ちゃんの好きな方で、私はボクの方がいいけれど」
真「それじゃあボクしかありませんね…でもボクって治す時は結構苦労しちゃいましたよ」
あずさ「あら?そうなの?」
真「はい…夫と何度も矯正訓練を頑張りました……でも全然ダメで」
あずさ「ふふ、いい人じゃない」
真「はい、ボクなんかにはもったいないくらいですよ…それで子供を授かったときに思ったんです…ボクって今からお母さんになるんだなって」
真「それからです、自然にボクが私になっちゃって……あの時の感覚は今でも忘れられないなぁ」
真「何だか今までのボクという殻から抜け出したような…とても不思議な感覚でした」
真「ははは…何だか恥ずかしいですね、この歳になってこんな痛い発言…」
あずさ「そんなことないわよ、私なんて未だに運命の人を探しているのだから」
真「そうなんですか……ははは…あずささんは変わってないなあ」
あずさ「そうなの…はぁ…私を覆ってる殻がどんどん厚くなっていく気がするわ…」
真「大丈夫ですよ、あずささんはきっと見つけますから…その時はママの先輩としてみっちり教えてあげますからね」
あずさ「お手柔らかにお願いしますね…それじゃあ今度来るときはその人とお子さんを一緒にね」
真「はい…あっ…でもあの人、絶対あずささんに惚れちゃいそう…」
あずさ「ふーん、それじゃあ取っちゃおうかしら」
真「っ!な、何言ってるんですかもう!そ、そういう冗談やめてくださいよっ!」ガタッ
あずさ「ふふ、真ちゃんも案外変わってないわね、一途で可愛い所」
真「うっ……この歳で可愛いって言われるとは思いませんでした」
あずさ「さぁ…まだ現役なのかしら」
真「どうなんでしょうかね…でも会いたいですよ…ボクが好きだった男の人」
あずさ「あら、結構ザックリ言っちゃうのね」
真「もう今更なんで……あー…でも流石に何言ってるんだろうボク…久々に走ったせいで色んな所が熱持っちゃったかな」
あずさ「こういう話、前にも律子さんとしたばっかりなの……こんな歳で色気づくなんてみっともないかしら?」
真「全然、女の人はいつだって恋に燃えていますから……ボクも毎日燃えてるんで…へへへ」
あずさ「ふふ、やっぱり真ちゃんは本質的な所は変わってないわね……本当はお母さんになったからちょっと遠くに感じてしまっていたけれど、安心したわ」
真「そうだったんですか…けど遠く感じちゃうのも仕方ありませんよね…あの頃、皆が仲良かっただけに」
あずさ「……そうね…本当に遠くなったものね」
――
―
真「それじゃあご馳走様でした、また今度顔出しに来ますね」
あずさ「はい、ご家族一緒で大歓迎よ」
真「へへへ…ではまた」
あずさ「はーい、またいらしてくださいねー」
あずさ「………」
あずさ「よぉーっし!お昼に向けて準備しなきゃ!」
あずさ「………」
あずさ「子供か…いいなぁ…」
あずさ「ふぅ~…やっと着いたぁ…」
店員「おや?あずささんじゃないですか、今日はどのくらいで着きました?」
あずさ「聞いて驚かないでくださいね、42分ですよ」
店員「おぉー、そりゃまたすごいですねぇ、前は確か56分くらいだっけ」
あずさ「はい!私は日々進化しているってことですよ~」
店員「それじゃあそのまま頑張ってくださいねー、あっ!今日は卵安いですからお買い求めくださいね」
あずさ「あら、情報ありがとうございます…卵卵~♪」
???「あっ!あずささんじゃないですか!」
あずさ「ん?……まさかやよいちゃん!?」
やよい「はい!お久しぶりですね」
あずさ「とってもキレイになって……一瞬分からなかったわ」
あずさ「ふふ、相変わらず優しいのね…今日はやっぱりお買い物?」
やよい「はい、弟が部活の大会に出るのでお弁当を…」
あずさ「そうなの?それじゃあ気合を入れて作らないとね」
やよい「そうなんですよ~……でも…」
あずさ「?…でも?」
やよい「お弁当作るためにはウチじゃ少し狭いし色々足りなくて…」
あずさ「足りない?どういうことかしら?」
やよい「いえ…部活仲間の子達の分も作らなくちゃいけなくて…でもそれじゃあウチのコンロだけじゃ火力が足りなくて間に合わないんです…」
あずさ「仲間の子達の分まで…」
やよい「はい…私が作る料理を気に入ってくれて……でもやっぱりオーケーしちゃったのは間違いだったかもしれません…うー…」
やよい「え?あずささんのお家の厨房ってそんなに大きいんですか?」
あずさ「ええ、私今、お店やってるから」
やよい「!そ、そうなんですか!あずささんすごいですね!」
あずさ「ふふ、知らせられなくてごめんなさいね」
やよい「そんな…でも行きたいなぁ…あずささんのお店」
あずさ「それなら決定ね、今日は私がやよいちゃんを借りちゃうってお家の人達に連絡しておいて」
やよい「はい!あの…本当にありがとうございます!とっても助かります!」
あずさ「いいのいいの、その代わりやよいちゃんには頑張ってもらうつもりだから」
やよい「?」
あずさ「ふふ、楽しみねぇ~」
おっさん「おぉ!やよいちゃんじゃないか!アイドル辞めても元気してたぁ?」
やよい「はい!おじさん達が応援してくれたおかげで私は今も元気ですよ!うっうー!」
おっさん「おうおういい事言ってくれるじゃないの…よーっし!今日はやよいちゃんに免じて俺が奢ったるよ!」
後輩「「おぉぉぉぉぉぉ!!!」」
やよい「あずささん、からあげ持っていきました!」
あずさ「うん、ありがとう…ウチの常連さんなのあの人」
やよい「それに私のことを覚えててくれました……今でも覚えててくれて本当に嬉しいです」
あずさ「そうよね、本当手放したくないお客様だわ…あっ、今度は左端の座敷のお客様達に生ビールお願い」
やよい「はーい!……お待たせしましたー!」
あずさ「……これからもバイトで頼もうかしら」
あずさ「はい、お疲れ様やよいちゃん…いい働きっぷりだったわ」
やよい「あ、ありがとうございます…えへへ…今日も運んだだけなのにすごく疲れちゃいました…」
あずさ「そういえばやよいちゃんはお仕事どうしてるの?」
やよい「小さな会社でお茶を配ったりする雑務を……やってることは同じなのにすごく疲れましたぁ…」
あずさ「ふふ、それはきっとウチの常連客様達がやよいちゃんのこと大好きだからじゃないかしら?」
やよい「……どういうことですか?」
あずさ「だって一緒に飲んでいたじゃない…普通飲食店で従業員がお客様と一緒に飲んじゃうなんて以ての外なんだから」
やよい「うぅ…ごめんなさい…」
あずさ「いいのいいの、それだけ皆がやよいちゃんのことを気に入ってくれたってことなんだから」
やよい「……えへへ…そうだったら嬉しいな…」
あずさ「でもまだ寝るのには早いわよやよいちゃん、明日の準備準備」
やよい「は、はい…今起きます…」
あずさ「でも結局寝ちゃうのね…こんな所で寝ちゃうと風邪引いちゃうわよ~」
やよい「んん……んふぅ…」zzz…
あずさ「ふふふ、仕方ないわねもう…おやすみなさい」ファサッ…
あずさ「よし、それじゃあ仕込みしちゃおうかしら、お店とお弁当の」
あずさ「今日は夜更かし決定ね、お肌がボロボロになっちゃったらどうしましょ」
やよい「………」zzz…
あずさ「さて、私の味も気に入ってくれるかしら……これも将来の花嫁修業みたいなものよね」
あずさ「独身、三浦あずさ、頑張るわよー!」
――
―
やよい「……んっ…あれ?どこですかここ…」
あずさ「ごめんなさいやよいちゃん、カウンター席なんかで眠らせちゃって」ジャッジャ…
やよい「……あっ…あぁ!ご、ごめんなさい!私寝ちゃってました!」
あずさ「いいのよ、でも私なんかがでしゃばって良かったかしら?」
やよい「そんなっ…とっても助かります!ほ、本当にありがとうございますあずささん!」ペコペコ…
あずさ「そんなに謝らないで、それにほら、もうそろそろお日様も昇ってくるから早くやよいちゃんも取り掛かって」
やよい「はい!」
あずさ「ふふふ…腕がなるわね」
――
―
あずさ「ふぅ…終わったわね」
やよい「おいしそう…すっごく…」
あずさ「本当ね、私とやよいちゃんが揃えば最強ね~」
やよい「っ……あ、あずささんっ!」
あずさ「ん~?何?」
やよい「本当に…本当にありがとうございました!あずささんが居なかったら私…私…」ペコペコ…
あずさ「もう…そんなに堅くならないで…やよいちゃんが困ってたら助けるに決まってるじゃない…それとも私が困ってた時はやよいちゃん助けてくれないの?」
やよい「そんな!助けるに決まってますよ!」
あずさ「そうでしょう?だから何度も頭を下げないで……ね?」
やよい「……はい!分かりました!」
あずさ「よろしい、それじゃあ朝ごはん食べましょうか?」
やよい「はい!」
あずさ「うんうん、それじゃあ弟さんに頑張ってって伝えておいて」
やよい「はい!それじゃあまた…」
あずさ「あ、待ってやよいちゃん」
やよい「は、はい?何ですか?」
あずさ「昨日頑張ってくれたから、はい、お給料」ス…
やよい「えぇっ!?そ、そんな…受け止められませんよ!」
あずさ「いいからいいから、受け取ってくれないと私警察に捕まっちゃうわよ」
やよい「……あ、ありがとうございます…あの中見てもいいですか?」
あずさ「はい、どうぞ」
やよい「じゃあ………っ!ま、待ってくださいあずささん!やっぱり受け取れませんよ!」
やよい「こんな大金…昨日の働きに全然見合ってませんよ!ダメです…やっぱり…」
あずさ「ふふ、それじゃあそのお金は後で返しにきてくれるかしら?」
やよい「……後で?」
あずさ「そう、大会終わりにまた皆で……ご馳走をそろえて待ってるわよ」
やよい「っ!あ、ありがとうございました!私…あずささんにまた会えて本当に…本当に良かったです!」
あずさ「私も…やよいちゃんの笑顔が見れてとっても良かったわ……きっとまた来てね」
やよい「はい!絶対来ますね!それじゃあ!」タッタッタ…
あずさ「はい、またね~……よぉーし!今日も頑張るわよー!」
あずさ「それで、伊織ちゃん何にするの?」
伊織「そうね…とりあえずお腹が空いたわ、食べ応えのあるものを頂戴」
あずさ「はーい、ただいまー」
伊織「ふーん…やよいが言うから来てみたけどあずさのくせに結構いい店じゃない」
あずさ「そう?伊織ちゃんに認めてくれてよかったわ」
伊織「ふん…まあちゃんと働いてて良かったわ、あずさがアイドルを辞めて世間に出るなんて最初は考えられなかったんだけど」
あずさ「もう…私は立派な社会人よ」
伊織「はいはい、そういうことにしておくわ」
あずさ「……ふふ…やっぱり伊織ちゃんはいつまでも優しいのね」
伊織「なっ!ば、馬鹿言わないで早く作りなさいよ!」
あずさ「はいはーい」
伊織「オムソバ……まあいいけど」
あずさ「おいしいのよオムソバ、私は好きなんだけどなあ」
伊織「別に嫌いだなんて言ってないじゃない……いただきます」
あずさ「はい、どうぞ」
伊織「………おいしい…」パクパク…
あずさ「あらそう?伊織ちゃんのお口に合って良かったわ」
伊織「まあそうね、この伊織ちゃんがおいしいなんて言うのは珍しいんだから誇っていいわよ」
あずさ「ふふ…ありがとう伊織ちゃん」
伊織「………」パクパク…
???「店主、こちらにも同じ物をいただけますか?」
あずさ「あ、はーいただいま……って貴音ちゃん!?」
貴音「はい、お久しぶりですね、あずさ、伊織」
貴音「真から久々に連絡を貰いましたので、あずさの顔を見ようと…」
あずさ「そうだったの…嬉しいわ、ありがとう貴音ちゃん」
貴音「いえ、私こそ今まで音信不通で申し訳ありませんでした」
あずさ「そんなこと今となってはいいのよ…オムソバね、ちょっと待っててね」
貴音「はい、楽しみに待っております」
伊織「で、アンタは今何をしているのよ」
貴音「今でございますか?おむそばとやらを待っておりますが」
伊織「そうじゃなくて…アイドルを辞めて何をしているのかって聞いてるのよ」
貴音「……それはとっぷしーくれっとでございますよ」
伊織「激しく気になるわね…」
貴音「そうでしょうか?」
伊織「そうよ…はぁ…貴音って昔っから不思議だったけどここまで来ると人間なのか疑わしくなるわね」
貴音「伊織、人の秘密に土足で踏み入るものではありませんよ」
伊織「それって秘密があるのね…」
あずさ「はい、オムソバお待ちどうさま~」
貴音「来ましたか…卵が麺を包み込むとはなんと奇抜で面妖な……いただきます」
伊織「ふぅ…それにしてもあずさ、アンタっていつになったら運命の人を見つけるのよ」
あずさ「うっ……もうその話は律子さんとしたわよ!」
伊織「はぁ?知らないわよそんなの……で、いい男は見つからないの?」
あずさ「……まだ」
貴音「急ぐ事はありませんよ、運命に選ばれた者はその刻が来た時には現れますよ」
伊織「何言ってんの、そんな悠長なことしてたから今こうやって一人で飲み屋なんて切り盛りしてるんじゃない」
あずさ「………」ズーン…
あずさ「……私ってそんなに心配されてたの?」
伊織「当たり前じゃない、右に歩けば海に着いて、左に歩けば登山するくらいなんだから」
貴音「なんと、それは真でございましょうか?」
あずさ「まことじゃありません!……でも心配してくれててありがとう…伊織ちゃん」
伊織「別に、一緒にユニット組んだ仲間なんだから当然でしょ……おいしかったわあずさ、ありがと……また気が向いたら来るわね」
あずさ「うん、また来てちょうだいね」
伊織「そうね、その時は……アンタの本当の運命の人と来るかもしれないわね」ニヤッ
あずさ「っ!そ、それって!」
ピシャン…
貴音「ふふ、意地の悪い言い方をしますね、伊織は」
あずさ「えっ…」
貴音「あの方は今も独りでございますよ…伊織はあの方の連絡先を存じているのでああいうことを言ったのでしょう…伊織ならば存じていてもおかしくはありません」
あずさ「そ、そうだったの…ふぅ…」
貴音「ですがあずさ、あの方があずさの運命の人とは限りませんよ」
あずさ「………まさか」
貴音「……あの方がもし訪れたその時はあずさ、どちらがあの方の伴侶となるべき者か、必ずや決着をつけましょう」
あずさ「…分かったわ……お互い良い戦いになるように頑張りましょ」
貴音「ええ、負けませんよあずさ」
あずさ「ふふ、私だって」
貴音「はい、何でございましょうか?」
あずさ「どうしてあの人が独身だって知ってたの?」
貴音「……それもとっぷしーくれっとでございますよ」
あずさ「む?まだまだね貴音ちゃん、ここは私の戦場よ、あなたはアウェーって分かってる?」
貴音「?…一体どういう意味でございましょうか…」
あずさ「話してくれるまで……私の武器で攻撃するってことよ」ゴトンッ…
貴音「………これは…」
あずさ「芋焼酎……付き合ってもらうわよ、貴音ちゃん♪」
貴音「………」サー…
貴音「もう……飲めないでございまぁぁすよぉー…」
あずさ「ふふふ…貴音ちゃんったら可愛いんだから」
――
―
あずさ「んっ…んー…また今日の朝も天気いいわぁ~」
あずさ「………」
貴音『わ、私…今まで旅をしていたのでございます…』
貴音『そしてある所に立ち寄った時、そこでろけ番組を行なっていた者達がおりまして、その中にあの方が…』
貴音『私は嬉しく思いまして…ひっく…あの方に話しかけました』
貴音『それから他愛の無い話をして……その時にあの方にはまだその相手がおらぬと…』
あずさ「………まだあの人芸能界で頑張ってるのね…」
あずさ「それにしても一人旅かぁ…羨ましい~…」ノビー…
あずさ「私も運命の人を探すために旅に出ようかしら…なんて」
あずさ「よしっ!もしそういう事態になった時のためにも今日も頑張るわよ!」
あずさ「そ、そうね」
美希「頭きちゃったの…ミキ、まだ水着でも全然いける歳なのに」
あずさ「うーん…その雑誌の人達は美希ちゃんの魅力が分かってないのね」
美希「そう!そうなの!ミキまだお肌も胸もお尻だって他のモデルの娘に全然負けてないのに!」
あずさ「でも美希ちゃんはモデル業界ではトップだから……雑誌も迂闊なことが出来ないって判断したのかもしれないわ」
美希「?…どうして?」
あずさ「だって美希ちゃんが水着になっちゃったら皆がそっちに目が行って、他のモデルの娘が目立たないってことじゃない」
美希「……そっかぁ!うん、ミキもその通りだと思うの!」
美希「あ、デコ…社長から聞いたの」
あずさ「え?社長?」
美希「うん、水瀬伊織…デコちゃん」
あずさ「……え…えぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!?しゃ、社長になっちゃったの伊織ちゃん!?」
美希「そうなの、ミキが乗ってる雑誌の社長…でも雑誌だけじゃなくてお化粧品とかお洋服とか、そういう女の子の求める物を全部揃えてる会社の」
あずさ「し、知らなかったわ…何も言わずに言っちゃうんだもの…」
美希「だからミキ、社長に雇われて嬉しいんだけど…その社長の下の人達がダメダメなの…あー…やってらんなーい」
あずさ「……とりあえず飲んじゃう?」
美希「うん…お願いするの」
あずさ「それじゃあ最近流行ってるらしいマッコリにしようかしら」
美希「……やっぱりミキ…モデルよりもアイドルの方がいいなあ」
あずさ「そうね…美希ちゃんは確実にモデルよりもアイドルの方がいいわ」
美希「………」
あずさ「……そう…」
美希「何でハニー…事務所やめちゃったのかな」
あずさ「……はい、マッコリ一丁」
美希「ん…ありがとうなの」
あずさ「私も飲んでみたけどクセが強い気がしたわ、でも結構まろやかで好きな人は好きそうなお酒ね」
美希「……うん…ミキは嫌いじゃないな」コク…
あずさ「そ、よかった」
美希「あー…お仕事って何でこんなに辛いんだろう…あの頃はとっても楽しかったのになあ」
あずさ「そうよねえ…でも私は今の仕事が楽しいけど」
美希「ふーん…じゃあミキもあずさのお仕事手伝っちゃおうかなあ」
あずさ「ふふ、私は大歓迎だけど美希ちゃんやってみる?結構疲れるわよ?」
美希「……やっぱりやめておくのー」コクコク…
あずさ「もう美希ちゃんったら、少しだけ期待してたのに」
あずさ「ふふ、私は大歓迎だけどミキちゃんやってみる?結構疲れるわよ?」
あずさ「もうミキちゃんったら、少しだけ期待してたのに」
↓
あずさ「ふふ、私は大歓迎だけど美希ちゃんやってみる?結構疲れるわよ?」
あずさ「もう美希ちゃんったら、少しだけ期待してたのに」
気づかなかった…
あずさ「うーん…私がモデルかぁ」
美希「あずさのおっぱいならきっと上手くやれると思うの…」
あずさ「いや、そんなこともう出来る歳じゃないわよ…でもこのお店を畳むことになっちゃったら考えておこうかな」
美希「本当に?」
あずさ「本当本当、だからそれまでに美希ちゃんもモデル頑張ってね」
美希「うん……はぁ~…あずさが来てくれるまでミキは何を糧に頑張ればいいんだろう…」
あずさ「ふふ、私でよかったらいつでも来ていいからね」
美希「……うん!」
あずさ「それじゃあ私も飲んじゃおうかな」
美希「それはダメ!あずさが飲んじゃったら太っちゃうの!太ったらモデルできないの!」
あずさ「……よぉーし、今日は飲んじゃうわよー」
美希「あ、あれ?あずさ?どうしてそんなに顔が怖く…」
あずさ「美希ちゃんも付き合ってもらうわよ~」ニヤニヤ…
美希「っ!こ、来ないでほしいのぉぉぉ!!!」
――
―
あずさ「はぁ…最近は飲んでばっかりだなあ」
あずさ「売り物のお酒まで飲んじゃって…請求なんて出来ないし…はぁ…」
あずさ「………」
あずさ「うーん…何だか体も重いようなダルイような…」
あずさ「お昼前まではお客も来ないし…お医者さんのところに行こうかしら」
あずさ「はぁ…仕事を優先するなら自分の身をまず確認しないといけないし」
あずさ「よし、行かないと…」
あずさ「ふぅ…」
あずさ「………」
あずさ(どうしましょう…迷って歩いている間にいつの間にかダルさが無くなっちゃった…)
あずさ「今更行っても仕方ないわよね…帰りましょ…というかやっぱりただの二日酔いねきっと…」
???「あれ?もしかしてあずささんですか?」
あずさ「?……どちら様でしょうか…?」
真美「ふふ…真美だよ真美、あずさお姉ちゃん」
あずさ「えっ…ま、まさか真美ちゃん!?」
真美「そだよー、ていうか気づいてくれなくて超ショックだったんだけど」
あずさ「いや…何だか面影があるようでないような…でもとってもキレイになったわぁ~」
真美「へへへ、褒められて悪い気はしないな~」
真美「真美だって流石に常識に則って生活してるんだよ~?」
あずさ「まあそうよね…けど本当に分からなかったわ…変わっちゃったのね」
真美「いやあ、子供のままでいたかったよ…でも現実を見据えなきゃいけない時が来てしまってね…」
あずさ「ふふ…確かにその外見で昔の喋り方だと逆に不自然ね…真美ちゃんも現実を受け止めたのね」
真美「受け止めたって…あずさお姉ちゃんから見た真美って一体……それに普段はもっと知的な話し方なんだよ~」
あずさ「へぇ~…それは見てみたいわね」
真美「きっと度肝を抜かれるぜ~、お医者さん見習いだからもっと難しい専門的な話だってできるんだぜ~」
あずさ「お医者さん……うん、白衣姿似合ってるわ」
真美「そうっしょ?昔は派手なのを着てたから今じゃあこういうのが新鮮なもんで…」
あずさ「……そういえば亜美ちゃんは?」
真美「ああ、亜美なら今お昼ごはん買ってきてるよ~」
あずさ「!亜美ちゃん!まあまあ、キレイになっちゃって」
亜美「へへへ…突然ベタ褒めしないでほしいなぁ」
あずさ「あ~…もうあの時一緒にユニットを組んでいたあの女の子はこんなに成長しちゃったのね…」
亜美「ふっ…病院前で泣かないでくれよ姉ちゃん、変な噂立てられるからな」
真美「それじゃあ流石に戻ろうか、時間もヤバめだし」
あずさ「あら…ごめんなさい、迷惑掛けていたかしら…」
真美「そんなことないよ、丁度休憩時間だったし」
亜美「そうそう、それにあずさお姉ちゃんに会えただけでもうお昼ご飯さえいらない感じ~」
あずさ「?…どういう意味?」
亜美・真美「にっひっひっひっひ…こういう意味ぃ!」ムギュッ
あずさ「きゅあっ!も、もう!コラー!」
亜美「へへへー、あずさお姉ちゃんのメロンご馳走様でした~、またねあずさお姉ちゃん!」タッタッタ…
真美「後りっちゃん達から聞いてるよー、お店暇できたら行くからねー!その時はメロン以外のおいしい物頼んまーっす!」タッタッタ…
あずさ「……はぁ…成長したのかしてないのか…あの子達ったら」
あずさ「……早くお店の支度しないと…」
あずさ「………」
あずさ「皆変わっちゃってるのね…中身はあの頃と同じところがいっぱいだけど環境が劇的に変わっていってて…」
あずさ「もう昔の仲間たちがお互いの環境に入り込めないような…」
あずさ「………」
あずさ「何を言ってるのかしらね私…最近は考え事も多くなったし…」
あずさ「……お店開けないと」カラカラ…
???「こんばんわ!あずささん!お久しぶりですね!」
???「……こんばんわ、ご無沙汰しています」
あずさ「……あ、あなた達は…」
春香「っはぁ~…これのために頑張ってるもんですよー」
千早「春香、オヤジ臭いわよ」
春香「なっ…酷い…楽しみを終えた一言を認められないなんて…」
千早「春香、演技臭いわよ」
春香「……わ、私そんなに臭くないよ!」
あずさ「……ここに来る前にどこかで飲んできたの?」
千早「いえ…全然」
春香「大体何なんですか!打ち上げの時とか全然私の傍に誰も寄ってこないんですよ!酷いと思いませんか!?」
あずさ「ええ…そう思うわ」
春香「そうですよね!宴会はお酒を飲んで楽しくお喋りするためのものなのに皆さん!皆さんですよ!私を腫れ物を扱うように…」
千早「いつもお酒を飲むとこうなってしまうんです…無視してくれて大丈夫ですよ」
あずさ「お客様の愚痴だって聞くのが飲み屋のお仕事だから…任せて」
千早「ええ…昔はお酒が出るお店で歌ってたことはあるけども自分が飲むために来ることはないわね」
春香「ふーん…それじゃあ今日はじゃんじゃん飲んじゃおっか!」
千早「明日も仕事入ってるんでしょ?二日酔いで仕事に行ったら大問題よ」
春香「もう!千早ちゃんは親友の私を信じてないの!」
千早「ええ、お酒を飲んでる人を信じるほど馬鹿じゃないわ」
春香「………あぁぁぁぁぁぁぁ…どうして世間の風当たりはこんなに強いのぉぉぉぉ…」
あずさ「昔の春香ちゃんとは思えないわね、おつまみ要る?」
千早「はい、何も食べてないので…」
あずさ「了解でーす、後春香ちゃん」
春香「……はい?」
あずさ「他にもお客様がいるから、そんな醜態を晒しているとイメージダウンに繋がるわよ?」
春香「………」
千早「全くその通りよ、今の時代視聴者がテレビにタレコミすることがあるんだから」
春香「…わ、私もうお酒いいかもしれません…」
千早「いいんですか?一緒に飲んで…」
あずさ「いいのいいの、私がそういう緩いのを分かってて皆来てるし」
春香「私が言うのもなんだけど…それって大丈夫なんですか…?」
あずさ「ええ、だって常連さんたちは私のファンの人達なんですもの」
春香「っ……じゃ、じゃあ…」
あずさ「ええ、きっと春香ちゃんのことも知ってるはずよ」
春香「」バッ
おっさん「」サッ
千早「酒は身を滅ぼすのね…いい勉強になったわ」
春香「はぁ…これじゃあ本当にアイドルじゃなくてタレントになっちゃいますよ…」
千早「アイドルだなんて…もう書類上だけですよ、今となっては」
春香「そうなんですよ…今じゃあ女優活動とタレント活動……これだけですよ」
千早「私も歌だけです…最初はこの環境を望んでいたのですが」
あずさ「環境…」
春香「変わっちゃいましたよ、環境も、人間関係も」
千早「………」
春香「765プロは新人アイドルばかりで、知り合いはもう千早ちゃん、響ちゃんと社長さんだけ…」
千早「仕事だって望んでいた歌の仕事ばかりです…けど本当にそれだけ…」
春香「何だかんだありましたけど…やっぱりプロデューサーさんと一緒に頑張ってた時が一番でした」
千早「ええ…好まない仕事ばかりだったけれど……今となっては物足りないような…」
あずさ「………」
響「おーい!来たぞー!あずささーん!」
雪歩「こ、こんばんわぁ…」
あずさ「あら、響ちゃん雪歩ちゃん、いらっしゃいませ」
響「おいおい店を開いたのに自分たちを呼ばないなんて幾らなんでも酷いぞ!」
雪歩「あの…隣座ってもいいですか?」
春香「はーい、どうぞー」
千早「我那覇さんは私の隣に」
響「うん、失礼するぞー」ス…
雪歩「あの…私ウーロン茶でお願いします」
響「自分も同じので頼むよ」
あずさ「はい、ただいまー…それと鳥のからあげと枝豆、四人でお好きにつまんで頂戴」
響「お!丁度お腹空いてたんだー、いただきまーす」
春香「あっ!私も空いてるのに!いただきます!」
雪歩「私は実家のお手伝いを…とてもじゃないけどあずささんみたいなお仕事は出来なくて…」
あずさ「あらそう?慣れるとおもしろいのよこれが~」
響「雪歩もここでバイトしたらどうなんだー?」
雪歩「そ、そんな!私になんて無理だよぉ…」
千早「そんなことないわよ、萩原さんならきっと出来るわ」
雪歩「……そうかなぁ…」
春香「うんうん、だって雪歩っていつも最初は無理とか出来ないとか消極的に入るけど、結局やり遂げちゃいますからね」
あずさ「それが雪歩ちゃんの強みでいい所よね…私だったらいつでも待ってるわよ」
雪歩「っ!あ、ありがとうございます…本当はこういうお店で働くのって少し興味があったんですぅ…」
あずさ「ふふふ、暇な時でいいから顔出してね、雪歩ちゃん」
雪歩「は、はい!」
千早「そうね…私も本当に久しぶりよ、こんなに楽しいおしゃべりをしたのも」
響「自分も最近は外国へのロケとかのせいで体がボロボロだからこういうのとっても楽しいぞ」
雪歩「……皆…頑張ってるんだね」
春香「頑張ってるよ…でも何だか…」
雪歩「?…何だか…?」
春香「何だか昔の頃からズルズルとやってるような気がしてならないのよ…」
響「……確かに自分もそう思うな…」
千早「私も心のどこかでいつかまたあの頃に戻れると思って仕事をしているわ…そんなのただの幻のようなものなのにね」
あずさ「………」
春香「はぁ…本当に…本当に楽しかったなあ」
あずさ「……昔は思い出したって今の環境は変わらないわよ、春香ちゃん」
春香「もう、せめてお酒の席でぐらい夢を見させてくださいよ~」
あずさ「夢を見ていたっていつかは現実に潰されるものよ…お酒はその夢を見るものじゃなくて現実を忘れさせるためだけのもの、ちゃんと分かって飲んでね、春香ちゃん」
春香「あぁぁ…やっぱり当たりが強い…」
あずさ「個人差はあるわね、でもいい物よ、お酒って」
春香「そうですよー、お酒はいい物ですよー、もっと飲んじゃいましょう!」
あずさ「あら、春香ちゃんったらお酒もういいんじゃないの?」
春香「どうせ明日のお仕事に潰されてしまうんですよ、それなら気分よく潰されたほうがマシです!そうでしょう!」
響「おぉ!よく言ったぞ春香!自分も明日ブラジルに飛ぶけど飲みまくるぞ!あずさ、自分、生ビール一つ!」
雪歩「二人共明日大丈夫なのかなぁ…」
あずさ「お酒は自己責任よ、萩原さんの心配することじゃないわ」
千早「あの…本当に申し訳ありませんあずささん…こんなに騒ぐつもりはなかったんですけど…」
あずさ「いいのよ、本当はこういうお客様は迷惑極まりないけど」
おっさん「」ポリポリ…ゴクゴク…ニヤニヤ…
あずさ「他のお客様も承諾してるみたいなので、今回は特別ね」
千早「ありがとうございます…ほら、春香もちゃんと謝って」
春香「こんな所で謝るなんて場違いなことしないよ!ほら、あずささんも飲んじゃいましょう!」
あずさ「……それもそうね、飲んじゃいましょうか!」
――
―
雪歩「………」zzz…
響「うっ…き、気分悪い…」
春香「はぁ…はぁ……ち、千早…ちゃん」
千早「ごめんなさいあずささん、トイレはどちらに…」
あずさ「あ~、トイレならそっちの方を奥に行けばあるんじゃないかしら~」
千早「ありがとうございます…って行き止まりなんですが…」
あずさ「あっ…ごめんなさい間違えちゃったわ」
千早「………」
春香「ちっ…ちはっ…ちゃん……もう座らせて…」
千早「いいから頑張って歩きなさい春香、あずささんのお店を汚したくないでしょ?」
春香「うっ……ん…」
千早「はい、おかげさまで…でもこんな事になってしまって…」
あずさ「いいじゃない、いいじゃない…ほら千早ちゃんも飲んで飲んで」
千早「いえもう…」
あずさ「ぶー…ツレないなあ……でも楽しかったわ、ありがとう、千早ちゃん」
千早「……はい、私もですよ」
あずさ「あーあ…皆とこうやって楽しくできないかしらね…また…」
千早「………」
あずさ「お互いもう関わりが少なくなっちゃった皆とまた…こうやって他愛の無い話をして…楽しく食べたり飲んだりしたいわね…」
千早「……そうですね」
あずさ「……んっ…はぁ…」コクッ…
あずさ「……お酒が夢を見せてくれたらいいのにね、いつまで経っても現実しか見えないわ…悲しいことにね」
――
―
雪歩『それじゃあ私はこれで…』
響『の、飲みすぎたぁ…明日大丈夫かな…またな、皆……うっ…』
春香『もう一人で帰れるってばぁ…馬鹿にしな…いったぁ!…も、もう世界なんて嫌いよぉ…』
あずさ「春香ちゃんはお酒飲んでもそそっかしいんだから…」
千早「……皆、帰ってしまいましたね」
あずさ「そうね~…でもまた来てくれるわよね、絶対」
千早「ええ、皆このお店を気に入ったはずですから」
あずさ「ふふ、そういうのお店の人にしてみれば結構嬉しいセリフよね……ありがとう、千早ちゃん」
千早「いえ……あの…あずささん」
あずさ「?…どうかした?」
千早「………一つ相談いいですか?」
あずさ「ん~?何かしら?」
千早「………ごめんなさい……春香達がたくさん飲みましたけど…お酒…またお願い出来ますか?」
あずさ「……はい、ただいま」
あずさ「でも夜も深いしあんまり飲んじゃダメよ、明日キツくなっちゃうから」
千早「大目に見てください…明日はオフなので帰ったらそのまま寝てしまう予定なので」
あずさ「そう、じゃあ、お酌させてもらおうかしら」
千早「ありがとうございます…」コポコポ…
あずさ「………控えめにね」
千早「善処します…」
あずさ「それで、どんな相談かしら?」
千早「っ…驚かないでくださいね…」
あずさ「うん……それで」
千早「……私…結婚を申し込まれているんです」
あずさ「っ!……そう」
千早「はい…前に大晦日の歌番組で競演した人に毎回食事の誘いを受けてて…それから先日…結婚指輪を…」
あずさ「…嬉しかった?」
千早「とても……その指輪は私がいただくには少々もったいないくらい綺麗で……本当に申し訳なくて…けど同時やっぱり嬉しかったです」
あずさ「………」
千早「だから私、受けようと思ったんです……彼となら一緒になってもいいって思って…けど…」
千早「彼を思うたびに…ずっとちらつくんです…あの人が」
千早「とっくの昔に諦められたあの人がずっと頭の中に浮かんでくるんです…」
あずさ「………」
千早「そのたびに昔、あの人を想っていた自分とあの人を裏切ったような気がして……だから…彼の想いに答えられなくて…」
あずさ「……でも彼はあなたを待っているんでしょう?」
千早「はい…でももし、急いであの人への想いを隠しながら彼と結ばれたら……きっとお互い後悔するはずです」
あずさ「………」
千早「だから私はこんな未練がましい自分に彼を巻き込みたくありません……そう思っていつも渋っていても彼はめげずに何度もその指輪を渡しに来てくれて…」
あずさ「………」
千早「もう耐えられないんです…分からないんです……過去を引きずって彼と一緒になるのか…過去を引きずって彼と別れるのか…」
千早「でもどちらを選んでもお互い納得できない結果になってしまうはずです……私のせいで」
あずさ「……そっか」
あずさ「そうね…もやもやを吐きだした分、刺激のある物を欲しちゃおうものなんじゃないかしら、人間って」
千早「……そうかもしれませんね…それであずささんはどう思いますか…?」
あずさ「うーん…まあ仕方ないわよ、人と一緒になるなんてそう簡単に決められる事じゃないわ」
千早「……それは彼も同じです…彼もきっと悩んで決めてくれたと思います」
あずさ「そうね…残りの人生を一緒に添い遂げる人を決めるんだからきっと悩んだと思うわ」
千早「………」
あずさ「でもね千早ちゃん、彼が悩んだということが分かっているなら彼の想いがどれだけかっていうのも分かってるんでしょう?」
千早「……はい」
あずさ「それなら簡単に別れるなんて選択はしちゃダメよ、同じ過ちを犯してしまうことになっちゃうんだから」
千早「同じ…過ち?」
あずさ「ええ、もしその彼と別れた後に千早ちゃんはまた新しいいい人を見つける…でもまた過去のことを引きずっちゃう…堂々巡りね」
千早「うっ……そうかもしれません…」
あずさ「でしょ?でも確かにあの人への想いがあるのにその彼と一緒になるのは……考え物よね」
あずさ「……私は相談に乗ってあげるだけで解決させることは出来ないわ…ごめんなさい千早ちゃん」
千早「………そうですか」
あずさ「けど、一つだけ言えるの……時間が経てば環境が変わる…いつまでも昔のままじゃいられないの」
千早「………」
あずさ「千早ちゃんは少しだけ昔の環境を求めすぎている感じがするわね…どれ程あの頃が大好きだったのかが分かっちゃうぐらい」
千早「……はい」
あずさ「でもね、その頃の皆は今をちゃんと生きてる…私も、千早ちゃんも」
千早「………」
千早「…そうですよね」ゴクッ…
あずさ「ごめんなさい、あんまり力にはなれなかったわよね…私そういう経験ないから、こんな歳で」
千早「いえ、あずささんに相談してよかったです……でもやっぱりめんどくさい女ですよね、私」
あずさ「そんなことないわ、真ちゃんだって言ってたもの、女の人は毎日恋に燃えているって……千早ちゃんもきっと燃えてるのよ」
千早「恋に燃える……ふふ、何だか古いですね、そのフレーズ」
あずさ「あら、私も結構気に入ってるのに…もしかして私の感性って古いのかしら」
千早「どうですかね、今を生きている私には分かりませんよ」
あずさ「まっ…生意気……でも幸せになってね千早ちゃん、何があってもまたおいしいお酒用意して待ってるから」
千早「……はい…またきっと来ますね……彼と一緒に」ニコッ
――
―
あずさ「恋バナをこんな歳でするとは思わなかったわ~…何だか新鮮な感じ」
あずさ「………」
あずさ「でも千早ちゃんも苦悩してるのね…色々と」
あずさ「結婚や相手の人のこと、そしてプロデューサーさん……千早ちゃんだけじゃ抱えきれない大きな問題がいっぱい」
あずさ「それに比べて私は問題なくのほほんと生きているって実感しちゃったわね…」
あずさ「………」
あずさ「それも…一つの幸せかもしれないけれど」
あずさ「少し…寂しいかもしれないなぁ…」
???「……すいません」
あずさ「っ!?は、はい!」
???「今…このお店やってますか…?」
あずさ「あっ!はい、やってますよ……って!あなた!」
あずさ「どうしたんですか音無さん…気分でも優れないのかしら?」
小鳥「いいえ…でもごめんなさいねあずささん……久しぶりに会えたのにこんな見苦しい姿を…」
あずさ「そんな…会えただけでとっても嬉しいですよ…それで誰から…?」
小鳥「誰か?……たまには町をブラブラしようかなって思って…そしたらあずささん似の人が飲み屋の前に立っていたから…」
あずさ「そしたら私だった……なるほど」
小鳥「すごい偶然よね…私のアイドルセンサーが数年ぶりにビビっと反応しちゃったのかしら」
あずさ「ふふ、それよりもお腹空いていませんか?本当は今の時間帯は朝食メニューしか出せないんだけど、音無さんなら特別に食べたいものを作ってあげますよ!」
小鳥「っ…それじゃあその朝食メニューを……あずささんが…私のためだけに作ってくれた朝食が食べたいです…」
あずさ「はい、ただいま」
小鳥「……いただきます」ス…
あずさ「………」
小鳥「っ…っ……んっ…っ…」ハフハフッ
あずさ「ふふ…音無さん、そんなに急がなくても焼いちゃった鮭は逃げませんよ」
小鳥「……ご…ごめんなさいあずささん…止まらないの…もう…温かくてすごく…すごく止まらないの…」ハフハフ…
あずさ「………」
小鳥「んっ…こんなにおいしい朝食久しぶりです……タダで…本当にありがとうございます…」
あずさ「こらこら、誰も無料で作ってあげませんよ」
小鳥「ふふっ…もうっ…そこは大目に見てくれてもいいじゃない…」
あずさ「ダメです……ゆっくり食べてくださいね」
小鳥「……はい」ニコッ
あずさ「それで、どうしちゃったんですか音無さん」
小鳥「……あ、あのお味噌汁のおかわり…」
あずさ「ちゃんと訳を喋ってくれたらタダにしてあげても構いません」
小鳥「………強気なあずささんには勝てないわね」
あずさ「……観念したのなら話してくれませんか…私…こんな状態の音無さん…今まで見たことなくて…」
小鳥「そっか……うん、そうよね…前までの私とは似ても似つかないような女になっちゃったから…」
あずさ「………」
小鳥「私が嫁いだことは知ってる?」
あずさ「ええ、確か玉の輿って…」
小鳥「そうなの…けど最近……ううん…もう数年前からその相手の彼と別居してるような関係が続いてるの…」
小鳥「それでたまに家に居ても私とは無機的な会話ばっかりで…ごはんも稀にしか一緒に食べてくれないし……それも夜遅くとか」
あずさ「………」
小鳥「けど…彼は結婚した時言ってくれたのよ…ちゃんと夜の8時までには帰ってきて一緒にご飯を食べてくれるって…その約束は絶対守ってくれるって」
あずさ「……でも守れていない…」
あずさ「………」
小鳥「いつか彼がまた私と楽しく一緒にご飯を食べてくれる……そう、思っちゃうと自然に手が動いちゃって」
小鳥「だから私がいつも食べるご飯は冷め切っていて…温め直しても全然おいしくなくて…」
小鳥「彼も夜遅くに帰ってきて私が作った冷め切ったご飯を食べて……イヤそうな顔をしてすぐ自分の部屋に行っちゃって…」
小鳥「それから私も食べきれないから捨てるしかなくて……そういうのが毎日……ずっとその繰り返しなのよ…」
あずさ「………」
小鳥「私、毎日考えちゃってるの…昔に戻って浮かれていた自分を殴ってやりたいって…何が結婚だ…顔や金で踊らされやがってって」
あずさ「………」
小鳥「こんな悲しみを味わうんだから一生独身でいろ…って」
小鳥「言ってやりたい……結婚なんて…地獄の連続だって」
あずさ「………」
あずさ「………」
小鳥「お味噌汁、もう一杯もらえる?あずささん」
あずさ「はい…私なんかが作ったのでよければ」
小鳥「謙遜しちゃダメよ……ここ数年、私が飲んだお味噌汁の中ではトップなんだから」
あずさ「そうですか…それはよかったです」ス…
小鳥「ありがとう……ねぇ、あずささん」
あずさ「……何ですか?」
小鳥「この鮭の塩焼き定食……本当においしかったわ…何故か分かる?」
あずさ「………分かりません…」
小鳥「それはね、多分、私への愛情だと思うの」
あずさ「……愛情?」
小鳥「こんな状態の私を心配してくれたあずささんの愛情がこの定食の中につまってるのよ、たくさん……ってちょっと自意識しすぎかもね」
あずさ「……愛情…そうですよ、愛情です……よく気づきましたね、音無さん」
あずさ「……はい、満足してもらえて良かった…」
小鳥「ふふ……あー…でも考えちゃうなぁ…」
あずさ「…何をですか?」
小鳥「いや…私だって彼のために毎日愛情を込めて作ってるはずなのに…どうしてあんな顔するのかなって……あずささんは分かる?」
あずさ「っ………ごめんなさい…私には分かりません」
小鳥「そっか……うん、私も分からないわ……分かりたくもない」
あずさ「………」
小鳥「今日はとってもいい朝をすごせたわ…本当に感謝してもしきれないくらい」
あずさ「……今度は飲みに来てくださいね、おいしいお酒たくさん用意して待ってますから……来なかったら私の方から探して連れて来ますからちゃんと来るように!」
小鳥「っ…も、もう!オバサン泣かせるようなこと言わないでよ……またフラって立ち寄るからその時まで…さよなら、あずささん」
あずさ「はい…また絶対に会いましょうね、音無さん」
小鳥「っ……ええ」ニコッ…
――
―
あずさ「ありがとうございましたー、またいらしてくださいねー」
あずさ「………」
真『何だか今までのボクという殻から抜け出したような…とても不思議な感覚でした』
千早『どの道お互い納得できない結果になってしまうはずです……私のせいで』
小鳥『言ってやりたい……結婚なんて…地獄の連続だって』
あずさ「三者三様……皆…結婚によって大きく変わっていってる」
あずさ「……でも私ってそれくらい大きな問題をあんな若い時に平然と…はぁ…」
あずさ「恥ずかしいなぁ…本当に…」
あずさ「………」
あずさ「……考えても無駄よね…そんなこと」
あずさ「………」
あずさ「もう…お店閉めちゃおうかしら…」
カラカラ…
あずさ「っ!い、いらっしゃ……あっ…」
社長「こんばんわ三浦君……入っても良かったのかな?」
社長「いやあ…三浦君にお酌してもらえるなんて夢みたいだよ」
あずさ「そんな…私もとっても嬉しいです」
社長「それは良かった……うん、今日のお酒は格別だね」ゴキュ…
あずさ「………」
社長「けど、三浦君の表情はあまりいいとは言えないね、何かあったのかい?」
あずさ「……いえ…ただ少し色んなことがありまして…」
社長「ふむ…良かったら話してくれるかな、私も君が居た元アイドル事務所の社長として力になりたいんだ」
あずさ「………」
社長「もしかして私じゃあ頼りなかったかな?」
あずさ「いえ…でも飲み屋の店主としてお客様よりも自分を優先するのは…」
社長「そんなつまらない御託を僕は酒の肴にする気はないよ……だから三浦君、ここまで来ると信用されてないと思えてきて泣いてしまいそうだから話してくれるかな?」
あずさ「ふふっ…分かりました、それじゃあ私の悩みについての相談を聞いてくれますか?」
社長「ああ…どんと来なさい」
あずさ「昔の私はそれをすごく軽視していて……今、皆の状況を聞いて今更恐怖心が出てきてしまって…」
社長「……私も音無君の事情は知っていたよ…でもまさかそこまで悪化していたとは」
あずさ「……馬鹿ですよね…運命の人を探すためにアイドルをしていたのに結果、結婚自体に怖気づいちゃうなんて…」
社長「そんなことはないよ…でも一生を掛ける問題だ、あの頃の君は確かに結婚という行為を軽く見ていただろうね」
あずさ「………」
社長「けれど、結婚というのはそんなに重たいものでもないよ」
あずさ「……どういう意味ですか?」
社長「私が彼……プロデューサー君をプロデューサーに抜擢した理由を君は知っているかね?」
あずさ「………」
社長「簡単なことだよ、彼を人目見て、ティン!ときたからだよ」
あずさ「ティン…」
社長「そう、彼ならこの765プロを何とかできる人間だと、直感的に判断してしまったんだよ」
あずさ「直感…」
社長「そして彼は本当にやり遂げた……私の直感と判断は間違っていなかったんだ」
社長「分からないかい?結局私が言いたいことと言うのはね、三浦君、君はティンっと来るような瞬間があったかい?」
あずさ「………」
社長「その場面に出会った時、心から何かがあふれ出なかったかい?」
あずさ「あふれ出る…」
社長「そうだ、君の場合は心からこの人が好きだ、この人と一緒になりたい…という時が」
あずさ「………」
社長「もしあったのならそれが君の運命の人かもしれないし、違うかもしれない……けれど」
社長「その人と一緒になることはきっと幸せなことのはずだよ……結婚はそれだけの意味は確実にあるんだ」
あずさ「………」
社長「そして、それからの道はその人と一緒になって考えればいい、それが幸せか不幸せになるのか…それも結婚するからこそ分かる利点だよ」
あずさ「…何だか結婚っていう物がいい物のように聞こえますね」
社長「私は少なくともそう思ってるからね、君にもそう思ってほしいよ」
あずさ「どうですかね…」
社長「もし心からあふれ出るような瞬間が無くても今から見つければいい…君はまだまだ全然若いのだから」
社長「うん、悪いね……なあ三浦君、これからもここを贔屓にさせてもいいかな?」
あずさ「……はい、社長さんなら大歓迎ですよ」
社長「うん…とてもいいオアシスを見つけたもんだ……いいお酒といい女将さん…」
あずさ「ふふ、そんなに褒めたって何も出ませんよ」コポコポ…
社長「けれどまだ少し足りないかな…あるものが欠けているよ」
あずさ「……何がですか?」
社長「君が一番分かっているのだろう?」
あずさ「………やっぱり社長さんはすごいですね」
社長「そりゃあ私だって今まであの事務所を支えてきた人間だからね…それくらいは分からないと務まらないものだよ」
あずさ「………」
社長「今ならまだ全然間に合うと私は思うよ、三浦君」
――
―
あずさ「………」
社長『君が一番分かっているのだろう?』
あずさ「………」
社長『今ならまだ全然間に合うよ、三浦君』
あずさ「言わなくたって私だって…」
あずさ「………」
あずさ「何も出来ない…はぁ…」
伊織『そうね、その時は……アンタの本当の運命の人と来るかもしれないわね』ニヤッ
あずさ「……あれって…」
あずさ「………」
あずさ「皆ごめんなさい…約束よりも少し早めにまた会うことになるかもしれないわ…」
Prrr...
あずさ「ありがとう伊織ちゃん…皆を呼んでくれて」
伊織「いいわよ別に、久々に全員が集まるなんて私だって嬉しいんだから…」
あずさ「うん…私も嬉しいわ…本当に」
伊織「そ、じゃあ早く準備しなさいよね、皆が来て何も出せなかったら飲み屋の店主として失格よ」
あずさ「はい!それじゃあ伊織ちゃん、皆の分のグラスとか出してくれるかしら?」
伊織「……ホントしょうがないわね…あずさがこの伊織ちゃんを使うのは何だか癪だけど…今日ぐらいは許してあげる」
あずさ「やっぱり伊織ちゃんは優しい…きっと何十年経っても優しいままで居てくれるといいなぁ~」
伊織「っ!バ、バッカじゃないの!たかがグラスを出すだけでそんなことっ……あずさはとっとと作りなさいよ!」
あずさ「はいはい、ウチの臨時アルバイトさんはとっても厳しいわね」
ガラッ
あずさ「あら、やよいちゃんこんばんわ」
やよい「はい!あずささん、伊織ちゃんこんばんわ!……あれ?」
伊織「な、何よ…」
やよい「伊織ちゃん…あずささんのお手伝いしたいからもっと上手になるように料理を教えてほしいって言ってたのに何で食器類を…」
伊織「や、やよいっ!手伝うならほら早くこっちを先に手伝いなさいよ!……もう」
あずさ「それじゃあ後で伊織ちゃん、厨房手伝ってみる?人手がとっても足りないの…」
伊織「なっ……まああずさがそこまで言うなら伊織ちゃんは別に…」
ガラッ
響「はいさーい!来たぞみんなー!」
伊織「ちょっと響っ!もう少し空気読んで入ってきなさいよ!」
響「な、何で自分が怒られるんだ…?」
春香「ねえ早く入ってよー」
千早「あの…我那覇さん……早く入ってもらっても…」
響「だって自分何にもしてないのに怒られたんだぞ!?春香達だってそう思…」
真「はーいどいたどいたー!お店の前で溜まってるとお店の人に迷惑だよー!」
響・春香「うぎゃぁー」
あずさ「あら皆さんこんばんわ、好きな所に座ってくださ~い」
雪歩「あ、あの!私も手伝うことがあったら…」
あずさ「ふふ、じゃあ少し頼んじゃおうかしら」
雪歩「はいっ!」
ガラッ
亜美・真美「双子ドクターズ、ただいま参上ー!」
美希「あは!皆揃っちゃってるの!」
貴音「なんと懐かしい光景でしょう…心躍りますね」
やよい「皆さんこんばんわ!うっうー!」
亜美「真美さんよ、この女性は何を言っているのだろうか?うっうー?」
真美「おそらく社会という鉄檻の中で我を見失ってしまったんだろう……察してあげてくれ」
やよい「もう!イジワルしないでよ二人共!」
伊織「あーら、私の力があればやよいがどれ程になるのかしらね……美希?」
美希「うっ…社長も来てたんだ…」
伊織「ふふっ、私の前であんまり生意気なことは…」
あずさ「ちょっと伊織ちゃん!火を使ってるときに余所見しちゃダメでしょ!」
伊織「うぇっ!わ、分かってるわよ!」
美希「社長、料理ぐらい作れないとカッコ悪いのー」
伊織「料理ぐらいちゃんと作れるわよ!」
貴音「なんと良き香り…私の腹の中に眠る龍の目が醒めてしまいそうです」
響「貴音…少し見ない間に何だか色々と進化してたんだな…」
あずさ「……賑わって来たわね」
ガラッ
律子「うわっ…なんて濃い面子…」
小鳥「……こんばんわ、みんな」
美希「あぁっ!小鳥!小鳥だけ全然連絡くれないから心配してたの!ほら、早くこっち来て!」グイッ…
小鳥「っ…も、もう…私オバちゃんなんだからそんなに強くひっぱらないでよ…」
律子「………」
社長「懐かしいね、この景色」
律子「はい…純粋に懐かしいですね…けど」
社長「うん、まだ後一人足りないね」
あずさ「………」
伊織「はぁ…こんなに作ると流石にしんどいわね…」
やよい「うっわぁー!とってもおいしそうです!」
亜美「あぁっ!何ということだ!ここで亜美のゴッドフィンガーがおもむろにからあげに!」
真美「おぉっと!偶然にも真美のクレイジーフィンガーもエビチリの山に!」
律子「やめなさい、ホントいつまで経ってもそういう所は変わらないのね」バシッ
亜美・真美「ぐへっ」
貴音「………」グーキュルルーガオーッグギャァァァー
響「貴音!旅を思い出すんだ!これぐらいの苦痛はたくさんあったはずだぞ!」
春香「うん!とってもおいしそうだね!」
千早「そうね、けど明日も仕事なんだから食べすぎちゃダメよ」
春香「……ぶー」
美希「どうしよう…こんなに食べちゃったらお尻が……もうどうにでもなれなのぉ!」
社長「音無君、もし寂しかったらいつでも戻ってきてくれても構わないよ」
小鳥「………」
社長「今の765プロだってこれぐらい賑やかだからね、まあやっぱりこっちには負けてしまうかもしれないけれど」
小鳥「……いえもう大丈夫です」
社長「……本当かい?」
小鳥「はい…だってもうこの元気だけで私には十分です……これからも頑張れますよ」
社長「そうか…うん、君がそれでいいなら私はもう何も言わないよ」
小鳥「……あ~あ、私、社長と結婚すればよかったかなぁ」
社長「っ!き、君!?今そういうのはここで…」
小鳥「冗談です♪いい歳して可愛い反応するんですね、社長って」
社長「……はぁぁぁぁぁぁ…」
雪歩「……来ませんね」
あずさ「そうね…」
真「皆を待たせるなんてあの人らしくないですよね…」
あずさ「………」
あずさ「もう、始めちゃいましょうか?」
やよい「えっ…でも…」
あずさ「折角の料理が冷めちゃうわ…多分、彼だって先に始めておいてくれって言うに決まってますよ」
伊織「それもそうね、始めましょ」
貴音「……私もその考えに賛成でございます」
響「貴音は自分の本能に忠実だな…」
社長「それじゃあ、旧765プロ再会パーティを…」
ガラッ!
あずさ「………」
「いやぁ…なんとか間に合った…」
あずさ「……お久しぶりです、こんばんわ、プロデューサーさん」
P「はい…こんばんわ、あずささん」
あずさ「…ふふっ…ほら早く入ってください、皆待ってますよ」
P「はい…って本当に皆揃ってる…」
美希「遅いのハニー!ミキを待たせるなんていい度胸なの!」
亜美・真美「兄ちゃん老けたね久しぶりだねー!」
P「うるさいぞお前達……でも皆本当に変わったんだな」
春香「プロデューサーさんこそすっごく変わりましたね…確かに老けたような…」
千早「すごく新鮮な感じが……いいえ、老けているから新鮮というよりも……」
真「でも老けてるプロデューサー、ボクは渋カッコいいと思いますよ!」
P「……俺そんなに老けた?」
小鳥「今度私のこのお肌のハリを保つ秘密を教えてあげましょうか?」
律子「いやあ、こりゃもう手遅れでしょ」
P「いやそんなに老けてないって!」
やよい「皆待ってください!老けていてもプロデューサーはプロデューサーです!時間が経つことは仕方がないんです!」
貴音「やよいの仰るとおりでございますよ、刻の流れによる風化という物は抗いようがないものです…誰しも」
響「そういえば自分の家族も最近歳取ってきたんだ…どうすればいいんだろう…」
P「もういいよ…俺が老けてるってことで…」
社長「さ、君もグラスを手に取りたまえ、今からパーティの開始だよ」
P「あっ…はい…じゃあ…」ス…
社長「よし、全員揃ったね…それじゃあこれから旧765プロ再会パーティを開催します……乾杯っ!」
「「「「「「かんぱーっい!!!」」」」」」
―――
――
―
P「で…皆酔いつぶれちゃいましたね…」
あずさ「ふふふ、765プロってお酒弱い子が多かったのね~」
P「そういうあずささんもそんなに強くは無かった覚えがありますけど」
あずさ「……だってどこかの誰かさんのせいでたくさん飲んじゃった覚えがあるので~…」
P「………?」
あずさ「もう一缶開けちゃいます?」
P「それじゃあ……まだ酔えそうにないので」
あずさ「でもごめんなさい、もうビール缶しか残ってなかったの」コポコポ…
P「小鳥さんがあおるように飲んじゃってましたからね、仕方ありませんよ」
あずさ「いいじゃないですか、飲みたい時に飲む、そのための飲み屋あずさですよ」
P「……いいお店なんですね」
あずさ「そんなのあなたが一番知ってるじゃないですか…」
P「………」コク…
あずさ「この飲み屋あずさの最初のお客様…プロデューサーさん…」
P『えっ…本当に作っちゃったんですか!?流石あずささん……は?店への道が分からない…?』
P『はい、出勤中に見てきましたよ…でも本当にあの作りかけのお店があずささんのお店とは未だに何だか信じれませんね……いやっ!嘘ついてるなんて思ってませんって』
P『うん…すごくおいしいです…お店出して正解だったかもしれませんね……い、いやこれ以上俺で試作品を試さないでください!もうお腹いっぱいですって!』
P『工事の音が近所迷惑?……あー…大丈夫です、俺もついて行きますから一緒に謝りましょう?ね?』
P『とうとう完成しましたね、お店……それじゃあこれからも頑張ってください、あずさ店主』
P『店の名前?うーん……あずささんが経営しているので、「飲み屋あずさ」…みたいな感じでいいんじゃないですか?あっ!本気にしないでくださいよ!ちょっと!』
P「本当に採用するなんて思いもしませんでしたよ…いくらなんでも安直すぎですし…」
あずさ「でもこのお店のために力を貸してくれたプロデューサーさんがつけてくれた名前だから…採用しないわけないですよ」
P「俺はそんな大げさなことしてませんよ」
あずさ「私がそう思ったらそうなんです!……そうやって否定することから入る人は嫌われちゃいますよ…お酒の席なら特に」
P「それもそうですね……じゃあどういたしまして」
あずさ「………」
P「………」
あずさ「ふふっ…空気が凍っちゃいましたね」
P「はい…何だか一瞬妙に緊張しましたよ」
あずさ「……でもあんまり苦痛じゃありませんでしたよ?私は」
P「俺も全然、逆に落ち着いてて好きですよ、ああいう沈黙」
あずさ「………」
P「いや、そういう意図的にされるのは結構傷つくんだけど…」
P「……酔ってるんじゃないですか?」
あずさ「そうなんですかね…うーん…」
P「先に休んでください、後のこの人達は俺がなんとかしますから」
あずさ「………」
P「それじゃあ…」
グイッ
あずさ「………」
P「……あずささん?」
あずさ「せっかく帰ってきたのにそういうのはあんまりじゃないかしら……プロデューサーさん」
P「…すいません…それじゃあもう少し…」
あずさ「女子の融通が利く男の人は好感度高いですよ~」
P「融通利くのは人間なら誰だって好ましいと思うような気が…」
あずさ「もうそういうのはいいですから!ほら!座って座って!」
P「はいはい…」
P「………」
あずさ「座らせちゃったのはいいけど…また凍っちゃいましたね」
P「あんまり喋ることありませんからね」
あずさ「うーん…じゃあ話題探しのためにも一杯飲んじゃいますか?」
P「結構飲ませてきますね…」
あずさ「何ですか?私のお酒が飲めないって言うんですか…?」
P「いえいえ全然…第一、今日はあずささんのお酒を飲みに来たようなもんですから」
あずさ「……そうですか…じゃあはい、どうぞ」コポコポ…
P「……ありがとうございます」
あずさ「……そういえばプロデューサーさんは今まで何をしていたんですか?」
P「アイドルのプロデューサーを辞めてからはテレビの番組を作る仕事に携わっていました……結構大変でした、ああいう仕事も」
あずさ「……765プロを離れてまでするお仕事だったんですか?」
P「……どうですかね…でも新しい世界に触れられたのは新鮮でしたよ」
あずさ「でも…やっぱりプロデューサーさんはプロデューサーさんじゃないと…」
あずさ「………」
P「だから当分はあの世界から離れようと思っていた所なんです……本当にこの数年間、勝手なことばかりしてきましたよ」
あずさ「そうですね…プロデューサーさんが外れてしまったことで、皆もアイドルの仕事から離れていきましたから…」
P「はい…何だかんだで皆、俺に信頼のような物を寄せていたんですね…」
あずさ「……それだけじゃないと思いますけどね」
P「?」
あずさ「でも皆今を頑張って生きてますよ…結婚してたり、会社の社長になったり、一人旅をしていたり、芸能界で仕事を続けていたり…」
P「……それじゃあ皆…色々と変わっちゃったんですかね」
あずさ「いいえ、そんなことないんです…皆が居る世界は確かに変わったかもしれません、でも皆、あの頃から変わってません…」
あずさ「皆、あの頃と変わらない765プロの仲間です」
P「………」
P「いえ…いいこと聞いちゃったので当分忘れそうにないですよ」
あずさ「プロデューサーさんったら……あ、もう一杯飲みます?」
P「……いや、今日はもうこれぐらいにしておきましょう、あずささん」
あずさ「あら、まだまだ私は飲めますよ?」
P「でももう最高にいい気分なので…これ以上お酒を飲まなくても十分な気がするんです…」
あずさ「そうですか…それじゃあ今日はもうお開きってことですね」
P「はい、後あずささん…また今度でいいので……一緒に飲んでくれますか?」
あずさ「……っ…勿論です、では今後も飲み屋あずさをよろしくお願いしますね、お客様」ニコッ…
――
―
あずさ「………」フキフキ…
あずさ「あ~ああ…何だかあんまり脈があるような感じは無かったわね~…」フキフキ…
あずさ(でも…)
『また一緒に飲んでくれますか?』
あずさ(今はこれくらいで十分よね…)
あずさ「また…来てくれるはずだから」
ガラッ
あずさ「あっ、いらっしゃいませー」
「あの…今やってますか?」
あずさ「はい、営業中ですよ~」
「それじゃあ今日はここにしよっか?」
「「「おー」」」
「いやあまさかこんな所にお酒を飲める場所があるなんて思いませんでしたね」
「ラッキーだったな、ほら座れ座れ」
あずさ「ふふ、今日も頑張らないと…」
「あ、あの…」
あずさ「はい?何でしょうか?」
「もしかしてあなた…765プロのアイドルの…」
あずさ「……いいえ、今は違いますよ」
「えっ…でも…」
あずさ「今はもうアイドルじゃありません……私はただの飲み屋あずさの店主、三浦あずさです、お客様」ニコッ…
終わり
支援保守ありがとうございました
それではお疲れ様でした
しんみりしてて良かった!
お疲れ様
良いふいんきの話だった
すごくよかった乙
Entry ⇒ 2012.09.06 | Category ⇒ アイマスSS | Comments (0) | Trackbacks (0)
朝倉「む、ブラが合わない……」
長門「………………そう」
朝倉「どうも最近きつくなってきたと思っていたのよね」
長門「……………………そう」
朝倉「それにしてもなんでこんなもん付いてるのかしらね地球人の女って」
長門「……………」
朝倉「でも私達って身体が成長することってありえるのかしらね?長門さんはどう?」
長門「知るかボk……わからない」
朝倉「そっか~、でも邪魔だし情報操作で長門さんみたいにしちゃおうかしら?」
長門「………………」プルプルプル
朝倉「それがいいわね、そうしちゃいましょう♪」
長門「……………………シネ」ボソッ
朝倉「ん?何か言った長門さん?」
長門「別に」
朝倉「そう?まぁ、いいか。それじゃ早速」
朝倉「キョ、キョン君!?」
キョン「お前は自分の持っているものの素晴らしさに気が付いていないだけだ!早まるな!!」
朝倉「お、落ち着いてキョン君」
キョン「お前のその豊満というわけでもないがむっちりしたスペシャルなボディーにそのおっぱいは必要不可欠なんだ!!」
キョン「大体お前のそのパーフェクツなむっちりふとももで膝枕してもらって見上げた視界の先がフラットだったらそれはそれはがっかりなんだ!!」
キョン「だから朝倉!それを捨てるというなら俺にくれ!!!」
朝倉「えっ……と、ちょっといいかなキョン君?」
キョン「なんだ?」
朝倉「ここって私の家の脱衣所よね?」
キョン「ああ、そうだなお前達は2人で一緒にお風呂に入った後だろ?」
朝倉「…………何で居るの?」
朝倉「女の子のお風呂を覗くような下衆に言われても全く嬉しくないわね」
長門「最低」
キョン「他の女なんざどうでもいい!!俺は!朝倉が!朝倉のむっちりボディーがっ!!いいんだよおおおおお!!!」
朝倉「死んでくれないかな?」
キョン「何故だ!?」
長門「ねぇ?」
キョン「ん?なんだ長門?」
長門「ちなみに私はどう?」
キョン「『がんばりま賞』」
長門「そう……」
朝倉「何がよ!」
キョン「そのたゆんなふくらみ二つの所有権を俺に譲渡してくれ」
朝倉「絶対にイヤ」
キョン「馬鹿な!?俺はこんなにも愛しているというのに!!」
朝倉「身体目当ての変態なんて絶対にお断りよ!!」
キョン「変態じゃない、取り消せ!俺は朝倉以外にこんなことはしない!!」
朝倉「迷惑よっ!!」
キョン「それになんだお前こそ下着姿のままじゃないか。そんなこと言いながら実際は誘っているんだろ?」
朝倉「キョン君が着替え中に乱入してきたせいよ!いいから早く出て行って!!」
キョン「……おぉ、そう言えばそうだったな」
長門「アナタはうっかりさん」
キョン「ははは、これは失敬」
朝倉「和んでるんじゃない!さっさと出てけ!!」
朝倉「なんでこの状況で上から物言ってるのよ」
キョン「あ、そうだ朝倉」
朝倉「なによ」
キョン「風呂に入ったということはこれから寝るだけなんだろ?」
朝倉「ええ、そうだけど……それが何か?」
キョン「ブラをつけるのは感心だ、つけないと形が崩れるからな」
朝倉「黙れっ!」
キョン「けど今日は俺が添い寝するから外しておいてくれ」
朝倉「……殺すっ」ジャキッ
長門「待って、統合思念体から許可が下りない」
朝倉「何でよ!?何でこんなのが観察対象なのよ!」
キョン「ハルヒにも困ったもんだな」
朝倉「困ったのはキョン君よ!」
キョン「それじゃ俺はリビングで待ってるから早く着替えて来いよ?」
朝倉「待つな!そのまま帰れ!」
長門「待って朝倉涼子」
朝倉「何よ」
長門「統合思念体が彼の行動の予測をしかねた結果、彼の行動を観察するよう指示を出してきた」
朝倉「それってつまり……」
長門「しばらくは彼の好きなように行動をさせて彼の要求を全て呑むように、とのこと」
朝倉「い、いやあああああああああああああああ!!」
朝倉「はぁ……お待たせ」
キョン「遅かったじゃないか」
朝倉「なんで帰ってないのかしらね」
キョン「イヤだな朝倉、待ってるって言っただろ?」
朝倉「私は帰れって言ったわよね?」
長門「……朝倉涼子、指示を忘れないで」
朝倉「う……」
キョン「何かあったのか?」
朝倉「何でもないわ、キョン君には関係ないわよ」
長門「統合思念体から指示があった」
キョン「それってお前らの親玉だよな?」
長門「そう」
長門「アナタの指示に全て従 朝倉「わー!わー!なんでもない特にキョン君には関係ないから!!」……」
キョン「そ、そうか」
朝倉「そ、そうなのよ!」
キョン「まぁそれはどうでもいいか」
朝倉「そうそう!」
キョン「よし、寝るぞ朝倉」
朝倉「嫌」
長門「朝倉涼子」
朝倉「な、何かしら長門さん?」
長門「指示は絶対」
キョン「どうかしたか?」
朝倉「っ!」キッ
キョン「な、なんだ?涙目で睨まれても可愛いだけだぞ朝倉」
朝倉「か、可愛いとか言うな!大体誰のせいだと思ってるのよ!?」
キョン「お、俺が悪いのか?」
朝倉「そうよっ!」
キョン「訳がわからん……長門わかるか?」
長門「恐らく朝倉涼子は統合思念体からの指示に不満があると思われる」
長門「それは」
朝倉「言っちゃだめよ長門さん!」
長門「何故?」
朝倉「こんな変態にバレたらどんな要求してくるかわからないじゃない!長門さんだって危ないのよ?」
長門「それは望む所」
朝倉「へ?今なんて……」
長門「なんでもない。とにかく彼が不信がっているので教えてしまった方がいい」
朝倉「で、でも……」
長門「安心して朝倉涼子、貴女は私が守る」
朝倉「長門さん……」
長門「待たせて済まない」
キョン「や、別にいいけど」
長門「それで統合思念体からの指示だけれど」
キョン「おう」
長門「要約するとアナタの指示に全て従いアナタの行動を行き着く先を観察しろということ」
キョン「なん……だと……?それはつまり……」
長門「そう、つまりアナタは私を好きにしt」
キョン「朝倉にあんなことやこんなことを要求しても良いってことですか!?」
長門「……そう」
キョン「いいいいいいいいやっほおおおおおおおおおおおおおおい!!」
長門「すまない朝倉涼子、私の力不足だった」
朝倉「いやああああああああああああああああああああああああああ!!!」
長門「待って朝倉涼子、早まらないで。そんなことをすれば貴女は消されてしまう」
朝倉「辱めを受けて生きながらえるくらいならいっそ……」ジャキン
キョン「お、おい朝倉そのナイフはやめろ!完璧にトラウマになってるんだよ!!」
朝倉「死んで、キョン君!!」
長門「待って」ガシッ
朝倉「離して長門さん!アイツは、あの男は生きていちゃいけない存在なの!暗黒の世界に帰らせないといけないの」
長門「落ち着いて朝倉涼子」
朝倉「だぁって~……」グスグス
キョン「泣くなよ朝倉、お前に涙は似合わないぜ?」キリッ
朝倉「誰のせいだと思ってんのよ!!」
朝倉「え……あ……う、うんありがと……」
長門「安心して朝倉涼子、彼は最終的なところでは紳士」
朝倉「うん……」
キョン「当然だ男子たるもの女性に対して紳士でなければいかんだろ」
朝倉(む……以外だったわね聞いた瞬間がっついてくるかと思ったのに)
長門「流石」
キョン「そんなに褒めるな、照れるだろ」
朝倉「ま、まって長門さん!」
キョン「おう任せとけ!」
朝倉「ちょっと!キョン君は黙ってて!!」
キョン「なんだよ涼子、つれないな」
朝倉「な、なぁ!?な、何勝手に名前で呼んでるのよ!?」
長門「……帰る」
キョン「おう、また明日な」
朝倉「待って長門さん!置いていかないで!見捨てないで!!」
長門「朝倉涼子」
朝倉「長門さんっ!」
長門「グッドラック!」グッ
朝倉「」
朝倉「うぅ……長門さん……」グスッグスッ
キョン「いつまで泣いているんだよ朝倉」
朝倉「うっさいわね!元凶が言うな!」
キョン「元凶って……俺は別に……」
朝倉「ああ……私はこれから穢されちゃうんだわ……」
キョン「馬鹿野郎!」
朝倉「な、何よ?」
キョン「俺が朝倉を穢すようなことをするはずがないだろう!」
朝倉「ふんっ、どーだか」
キョン「俺は大切なものは綺麗に保管する主義だ」
朝倉「口ではなんとでも言えるわよ」
キョン「わかったならばこれを見ろ!」バッ
朝倉「こ、これは……」
キョン「そうだ!正確にはスク水だ!」
朝倉「そうだ!じゃないわよ!なんでキョン君が持っているのよ!?」
キョン「朝倉の水着だからだ!」
朝倉「だったら返しなさいよ!」
キョン「ふっ……それは出来ない、これは朝倉の使用済み水着なんだからな……」
朝倉「何遠い目してんのよ」
キョン「朝倉、お前はこの水着を返してもらったらどうする?」
朝倉「当然洗うわよ」
キョン「ほらー。ほら出ましたよコレー」
朝倉「なんかムカつくわね、何が言いたいのよ」
朝倉「は?だから私の水着って……」
キョン「馬鹿野郎!」
朝倉「何よさっきから馬鹿馬鹿って、キョン君のほうがよっぽどアレじゃない……」
キョン「俺はなぁ!さっきこう言ったんだぞ朝倉!『朝倉の使用済み水着』と!洗ったら台無しだろうが!!」
朝倉「……撤回するわ、やっぱ捨てる」
キョン「じゃあ尚更俺が持っていても問題ないな」
朝倉「イヤよ!捨てるんだから返して!」
キョン「すまん朝倉、お前が何を言っているのかさっぱり解らん」
朝倉「私はさっき脱衣所で会ってからキョン君が何言ってるのかさっぱりよ!」
朝倉「何でよ」
キョン「俺がそうしたいからだ。俺の要求はすべて呑むように指示されているんだろ?」
朝倉「う……」
キョン「それにそんな話をするためにコレを取り出したんじゃない、朝倉コレを良く見てみてくれ」
朝倉「もう見たくもないんだけど……アレ、なんか湿ってないコレ?」
キョン「その通りだ朝倉」
朝倉「キョ、キョン君?ま、まさかそれを使って如何わしい事とかしてないわよね……?」
キョン「ふっ……」
朝倉「い、いやあああああああああああああああああああああ!!!」
朝倉「これが落ち着いてられますか!もう……もう、いやぁ……」ポロポロ
キョン「ま、待て!泣くな朝倉!説明する、ちゃんと説明するから!」
朝倉「そんな話なんか聞きたくないわよぉ……ひっく、グス……」
キョン「だから聞け!俺はなぁ、ただこれを入手した時のままの状態で保管しているだけだ!」
朝倉「それがどうしたって言うのよ」
キョン「つまり、だ……これはこの『朝倉の使用済み』という状態を保つためにこれに触れるときは一切素手で触っていないっ!!」
朝倉「そう……なの……?」
キョン「ああ、これに擦りつけたりチュチューしたりペロペロはおろかスーハークンカクンカもしていない!!
それも……それも全ては『朝倉の使用済みスク水』として保管するためだあああああああああああ!!」
朝倉「キョン君……そこまで……」
キョン「朝倉……」
キョン「それは使用感を出す為に霧吹きで、もちろん学校のプールの水だし作業時にはゴム手着用した」
朝倉「……」
キョン「わかってくれたか朝倉?」
朝倉「何慈愛顔で語りかけてんのよ、こっちはドン引きしてるのに」
キョン「あれー?」
朝倉「ほら、早く返して。やっぱり捨てるから」
キョン「ふっ……だが断る!」
朝倉「何でよ!」
朝倉「あ……う……」
キョン「つまり、今のお前は俺に逆らっちゃいけないんじゃあなかったかな?」
朝倉「うぅ……うぅぅぅぅぅ……」ポロポロ
キョン「わー待て待て、泣くな朝倉!」
朝倉「これがっ泣かずにっ、グスッ居られますかっ!」
キョン「つまりだな、今ので俺が何を言いたかったのかというとだな……」
朝倉「もうキョン君の変態っぷりは十分解ったわよ!」
キョン「だからそうじゃない!朝倉には酷い事はしないってことが言いたかったんだ」
朝倉「グスッ……………ホントに?」
キョン「勿論だ」
朝倉「……痛いこととか変な事とかしない?」
キョン「しないしない」
キョン(ダメ、か……?)
朝倉「わかった……それなら、いい」
キョン「ほっ、良かった」
朝倉「で、でも本当にエッチなこととかはダメなんだからね!」
キョン「当然だ、同意もなしにそういうことをするのは紳士ではないからな」
朝倉「紳士は人の水着盗んだりしないわよ」
キョン「こまけぇこたぁ」
朝倉「細かくないっ!!」
朝倉「どこが綺麗なのよ……」
キョン「さて、今の朝倉の格好だが……パジャマだな」
朝倉「なによ、悪い?」
キョン「いや、クマさんのプリントが可愛らしくて非常にいい感じだ」
朝倉「そ、そう?長門さんとおそろいで買ったんだけど可愛らしすぎるかな、って思ってたんだけど」
キョン「ああ、長門はさっき見たがウサギさんだったな」
朝倉「あの格好で部屋に戻るのは止めなさいって言ってるんだけど、いつもお風呂入りに来るとあのパジャマなのよね」
キョン「なるほど、それだからお前も長門が来る時はそのパジャマなんだな」
朝倉「そうよ……………………………ん?」
キョン「ん?」
キョン「そうか、だったら早速で済まんがこれに着替えてくれ」バッ
朝倉「なにこれ……水着?」
キョン「違う、ハイレグスーツだ」
朝倉「水着と何が違うのよ」
キョン「おいおい、よく見ろ。それだけじゃないだろ?」
朝倉「ん?……あぁ、網タイツに………………何これ?」
キョン「なんだ朝倉、ウサ耳も知らんのか」
朝倉「知ってるわよ!なんでこんなのが一緒にあるのかってことよ」
キョン「ふっ、朝倉……そのハイレグスーツのお尻の辺りを良く見てみろ」
朝倉「え……あ、尻尾?」
キョン「そう!つまりソイツは……バニースーツ一式だ!!」
朝倉「……」
朝倉「……何でこんなもんがサッと出てくるのよ?」
キョン「愚問だな、いつ何時朝倉がバニースーツを着てもいい、着たいと言った時に即座に提供するためだ!」
朝倉「どんな時よそれ……」
キョン「馬鹿野郎!可能性はいつだって0じゃないんだ!!」
朝倉「まぁ、確かに現に直面している訳だけどね……いつも持ち歩いているの?」
キョン「ああ、肌身離さず懐にいつも仕込んでいる」
朝倉「……」
キョン「どうかしたか?」
朝倉「……ていっ」ポイッ
キョン「おぃぃぃぃぃぃぃぃいいいい!?捨てんなよ!?」
キョン「それについては安心しろ朝倉に着せるものに自分の汗やら臭いやらが染み付いたものなんか……」
朝倉「どうしたの?」
キョン「…………はっそうか!?」
朝倉「な、何よ……?」
キョン「いや、待て……それは紳士として…………だが、だがしかし!」
朝倉「一体どうしたって言うのよ……」
キョン「……………」
朝倉「キョン君……?」
キョン「……いや、なんでもない。一時の気の迷いだ……さぁ朝倉、バニーちゃんなお前を早く見せてくれ」
朝倉「う、うん?」
キョン「なんだ?」
朝倉「これサイズとかは……」
キョン「俺が朝倉の身長、体重、スリーサイズを知らないとでも?」
朝倉「…………そうね、愚問だったわ気持ち悪いから喋らないで」
キョン「おいおい、さっきから偉く辛辣だな」
朝倉「そりゃ辛辣にもなるわよ普通!」
キョン「そうか?」
朝倉「そうなの!!」
キョン「そうか……女の子ってのは難しいんだな」
朝倉「そこまで行ったら女の子とか関係ないわよ!」
朝倉「ほんとにもう……」
キョン「……」
朝倉「……」
キョン「どうした朝倉、着替えないのか?」
朝倉「そう思うんだったら部屋から出て行きなさいよ!!」
キョン「あ、すまんそうだったな悪い悪い」
朝倉「……ったく白々しい」ジトー
バタン
朝倉「よし、出て行ったわね……それじゃさっさと着替えちゃいましょ」
~朝倉さんお着替え中~
朝倉「思ったよりきついわねこれ……よっ、と」
朝倉「あ、あれ?」
朝倉「うそ……」
朝倉「う~……………んっ!」
朝倉「はぁっ……」
朝倉「む~…………ちょっとキョンくーん!」
ガチャッ
キョン「呼んだか、朝倉!?」
朝倉「早っ!ちょっと覗いたりしてなかったでしょうね!?」
キョン「……なんだまだじゃないか。というかその格好はちと胸のところ腕で支えてるだけとかエロすぎるぞ」
朝倉「し、仕方ないじゃない!ファスナーが上まで上がらないんだからっ!」
キョン「何……?」
キョン「当然だ、俺が朝倉のスリーサイズを間違えるはずがないだろう」
朝倉「それにしてはキツすぎよこれ……」
キョン「そんな馬鹿な……いや、待てよ?」
朝倉「?」
キョン「朝倉ちょっといいか?」
朝倉「え?」
キョン「ちょっと胸をだな」
朝倉「きゃああああああああああああああああ!」ガスッ
キョン「げふん」
キョン「ご、誤解だ!俺はただバストサイズを計ろうと……」
朝倉「だったら何でメジャーも用意せずに思いっきり鷲掴もうとしてたのよ!?」
キョン「お?おぉ、すまんすまんつい気が逸ってしまった様だ」
朝倉「油断も隙もないったら……」
キョン「まぁ今のお前の格好は隙だらけだけどな」
朝倉「う、うるさいっ!」
キョン「さて、メジャーをっと」
朝倉「じ、自分で計るから良いわよ」
キョン「そんなこと言ってもそこで腕を外したらポロリだぞ?」
朝倉「だからメジャーだけ置いて行ってよ!」
キョン「遠慮するな朝倉、俺がお前のサイズを測ってやるから」
朝倉「い、良いって言ってるじゃない!」
朝倉「私が嫌だって言っているの!」
キョン「……命令」ボソッ
朝倉「うっ……」
キョン「これでも俺的には随分我慢しているんだ、お前も我慢しろ」
朝倉「わ、わかったわよもう……」
キョン「さて、と……」
キョン(これはなんと表現したものかな……半開きのファスナー)
キョン(いや、違うな。『朝倉の背中のファスナーが半開き』……うん、これだ
この言葉の響きだけでご飯三杯いけるな。お百姓さんありがとう!)
キョン(この白く細く綺麗な背中がファスナーが開いていることにより見えている
パンツでもなくブラでもなくただの背中……なのに何故ここまで俺に感動を与えてくれるのだろうか……)
キョン(チラリズム、万歳……)
朝倉「ちょっとキョン君、早くしてよね」
キョン「あ、すまん」
朝倉「そ、そんなこと言われても……」
キョン「大丈夫だって、こっちは後ろに居るんだし見えないだろ」
朝倉「う~……で、でも……」
キョン「早くしてくれないといつまで経っても終わらんぞ」
朝倉「わかってるわよ!」
キョン「だったら早くしてくれ」
朝倉「絶対に見ちゃダメよ?」
キョン「おう(見てぇ……)」
朝倉「絶対に絶対だからね!」
キョン「わかってるって(見てぇ)」
朝倉「絶対の絶対の絶対によ!?」
キョン「見てぇ!!(わかったから早くしろよ)」
朝倉「……」
キョン「し、しまった!?」
キョン「わかった、悪かった。確かに見たい願望はあるが絶対に見ない。だから泣くな、な?」
朝倉「……信じるわよ」
キョン「ああ、裏切ったりしない」
朝倉「ん……」ハラッ
キョン(おぉう、これはなんというエロス……しかしそれと同時に俺への信頼で成り立っている後姿……
エロさと同時に神々しさすら感じる……なんというかもう感無量だ)
キョン(そして真後ろからでもチラッと見える横乳の輪郭……全体が見えるわけでもない、いや違う
全体が見えるわけじゃないから掻き立てられる妄想力)
キョン(しかもそれが朝倉だって言うんだからたまりませんよねお兄さん?やっぱ朝倉は最高や!ハルヒなんて最初から要らんかったんや!!)
朝倉「ちょっとキョン君早くしてっていってるじゃないっ!」
キョン「わかったわかった」
朝倉「んー、もうちょっと上」
キョン「こうか?」
朝倉「んっ……上過ぎよ!もうちょっと下!」
キョン「はいはい下ね……」
朝倉「んんっ……行きすぎ!」
キョン「ああ、悪い悪い」
朝倉「ぁ……んっ!わ、わざとやってんじゃないでしょうね!?」
キョン「な、何がだ?」
朝倉「わかんないならいいのっ!」
キョン「?……おう」
朝倉「そう、そこ…………計れた?」
キョン「ああ、やっぱりサイズアップしてるな」
朝倉「あー……そうなんだ」
朝倉「それはホラ、私達って普通の人間じゃないじゃない?」
キョン「ああ、それは知ってるが」
朝倉「だから普通に成長するとかありえるんだなぁって思って」
キョン「それでも長門はぺったんだがな」
朝倉「そうなのよねー羨ましいわ。私もああいう風がよかったわ」
キョン「それを捨ててしまうなんてとんでもない!」
朝倉「もうそれはわかったわよ、もう……」
キョン「わかってくれたならそれでいい」
朝倉「はぁー……それでどうするの?」
キョン「どうするって?」
朝倉「このままじゃ着れないわよこれ、サイズぴったりすぎるから食い込んじゃうわ」
キョン「食い込む……ですって!?」
朝倉「なんでオネェ言葉になってるのよ……」
朝倉「何よ」
キョン「多少の無理は仕方ない、俺は!どうしても!朝倉の!食いkバニーが!見たいんだ!!」
朝倉「食いって何?」
キョン「ちょっと噛んだだけだ、気にするな」
朝倉「はぁ……仕方ないわね、それじゃキョン君がファスナーあげてくれる?」
キョン「おうとも!」
朝倉「それじゃ息止めるからそのタイミングで一気にお願い」
キョン「わかったぜ!任せろ!!」
朝倉「何でそんな気合い入ってるのよ……」
キョン「俺のことはいい!お前は着ることに集中しろ!!」
朝倉「はいはい……はぁ、それじゃ止めるわよー」
キョン「来いっ!」
朝倉「ふっ」
キョン「ふんっ!!」
キョン「良くやったぞ、朝倉!」
朝倉「ぅう……やっぱりきついわね、サイズぴったりすぎよこれ」
キョン「ボディーラインが大事な衣装だからな、そこは我慢してくれ」
朝倉「あんまり長時間は勘弁してね……」
キョン「わかった。それはそうと何でそんな内股なんだ?」
朝倉「し、仕方ないじゃない!胸のせいで上に引っ張られてお尻とか、その……ま、股……とか食い込んじゃうんだから!」
キョン(……作戦通り!)ニヤリ
キョン「ああ、俺の要求はただ一つ……」
朝倉「ゴクリ……」
キョン「朝倉の!むっちむちなふとももで!膝枕を!されたいんだよおおおおおおおおお!!!」
朝倉「…………へ?そんなんで良いの?」
キョン「そんなん……だと……!?」
朝倉「もっと変なこと要求されるのかと思った」
キョン「……朝倉ぁ!!!」
朝倉「な、何よ……?」
キョン「そこに座れ!!!」
朝倉「う、うん」
キョン「あぁ~ん、どうしたぁ~朝倉ぁ~?」
朝倉(しゃがもうとしただけでお尻のほうにかなりのテンションがかかる……破れないでしょうねこれ?)
キョン「はよせんかぁ!!!」
朝倉「わかってるわよ!……よっ……と、ふぅ~成功」
キョン「なんだその中途半端な座り方はぁ!?座れっつったら正座だろうがぁ!!」
朝倉「あーもうわかったわよ……はい!」
キョン「よーし、それでは……とぅ!!」
朝倉「きゃっ!?」ポスン
キョン「ほわぁ……」
朝倉「あ、本当に膝枕で良いんだ」
キョン「当然だろ~……」
キョン「いやもうホント、『日本よ、これが膝枕だ!』って売り文句にしていいくらいの素晴らしさだぞ朝倉!」
朝倉「う、うん、そこまで喜んでもらえると流石に嬉しいけどその売り文句は止めた方が良いと思うわ……怒られそうだし」
キョン「しかしなんだこの膝枕は!?」
キョン「むっちりとしていてふわふわで、それでいてしっとりしていながらすべすべ!すばらしい柔らかさで包み込んでくれる一方で
そのまま沈んでいかないように支えるように反発するこの弾力との融合……」
キョン「これこそ正に、究極にして至高の膝枕!!」
朝倉「や、そんな目をキラキラさせながらそんなことを熱く語られても……」
キョン「いやいや朝倉、これほどの膝枕そうそうあるもんじゃない!誇っていいぞ」
朝倉「ふふっ、はいはい」ナデナデ
キョン「!?」
朝倉「な、なによそんな驚いた顔して……」
キョン「な、なんてことだ……THE膝枕はナデナデ機能まで付いているのか……!?」
キョン(どこの天国だこれは……後頭部には朝倉のむっちりふとももによる極上の感触……
そして頭頂部は朝倉の手によってナデナデされて目を開ければたゆんなおわんが2つ
しかピチピチなバニースーツによってピンと張り詰めた……そう射を構える弓道家の姿
を連想させる程に美しく張り詰めて……ああ、そういえばバニーも良いけど朝倉は袴も
似合いそうだな、袴に胸当て、手甲と弓そしてポニテ……次はこれで行こうそうしよう
っと話が逸れたいかんいかん。そう、たゆんだたゆん。そのたゆん二つの谷間から覗く
朝倉の慈愛顔に香ってくる朝倉のいい匂い……首から上がものっそい幸せやぁ~……)
朝倉「あ、そうだキョン君」
キョン「ん~……どうした~?」
朝倉「どうせだし耳かきしてあげよっか?膝枕には付き物なんでしょ?」
キョン「!?」
朝倉「だからなんでそんな驚いた顔するのよ……」
キョン「朝倉」
朝倉「はい?」
キョン「お前に教えることはもうない……これから先は自分で道を切り開くんだ、いいな?」
朝倉「何言ってるのか全然わかんないわ、キョン君……」
キョン「ああ、一番良いところを頼む……」
朝倉「ちょっと本気で何言ってるかわからないから取り合えずやっちゃうわね」
キョン「ああ」
朝倉「それじゃまずはこっち」コロン
キョン(ふむ……横向きになることでふとももの感触が頬に……これもまた、善し)
朝倉「む~、意外と綺麗にしているのねキョン君」コリコリ
キョン「ん~……そうか?」
朝倉「そうよ、耳垢とかほとんどないからやりがいがないかも……折角の初体験なのに」
朝倉「うん、そうだけど……痛かったりしない?」
キョン(初体験、いい響きだ……つまりあれか!?俺が朝倉の『初めて』を奪ってしまったというのか!?)
キョン「いやぁ、まいったなぁ……ハハハ」
朝倉「ちょ、ちょっとキョン君!急に動かないで危ないでしょ!?」
キョン「朝倉」
朝倉「はい?」
キョン「責任は取るからな」キリッ
朝倉「意味わかんないけど妄想は止めてね、気持ち悪いから」
キョン「はい……」
キョン「!?」
朝倉「むーやっぱり綺麗ねぇ……」
キョン「こ、これは……」
朝倉「ん……お、これは……」
キョン(この向き……視界一杯に広がる朝倉ボディー。おなかのラインの美しさを見ているだけで満足してしまいそうだ
しかぁし!この向きにおいてそんなものに気を取られてばかりは居られない……そう、ふとももの付け根……
その更に奥に!朝倉の!魅惑の!デルタゾーンがあるっ!!)
朝倉「結構大きそうな耳垢はっけーん♪」
キョン(しかも……そう、しかも今日の朝倉はハイレグなバニースーツを着用していることで倍の威力を所持している
そればかりかそのスーツがちょっとした変化に伴いかなり食い込み気味ということで更に倍!!
つまりは4倍の破壊力を誇る形で俺の目の前に存在しているってことだ!!)
朝倉「ん……ちょっとキョン君鼻息荒い、気持ち悪い」
キョン「ああ、すまんすまん」
ここは気を沈め心静にこの奇跡の光景を可能な限り楽しむんだ)
朝倉「む、手強いわねこいつ……」
キョン(そしてこの天国タイムは俺の耳垢が朝倉に屈した時終焉を迎えてしまうことが確定している
つまり、頑張れ俺の耳垢!負けるな俺の耳垢!俺の天国タイムを守るため、戦え耳垢!力の限り!)
朝倉「むむむ……」コリコリコリコリ
キョン(くっ、朝倉め流石に飲み込みが早い!大分手馴れてきた印象を受ける耳かきの動き……このままでは!)
朝倉「ん~……てりゃてりゃ」コリコリ
キョン(耳かきに集中するあまりてりゃてりゃとか言っちゃう朝倉が可愛すぎて負けてもいい気がしてきた)
朝倉「えいえい……………えいやっ!」コリコリコリ
キョン(朝倉は可愛いなあ!!!)
朝倉「…………あ」コリコリコ……ガリッ
キョン「アッー!!」
キョン「があああああああああああああ!耳が、耳がああああああああ!!」
朝倉「きゃ!?キョン君暴れないで、まだ耳に耳かきが……」
キョン「NOOOOOOOO!!!」ジタバタジタバタ
朝倉「んっ……ちょっと待ってキョン君。キョン君が動くとぁっ……服がんっ、ひっぱられっ、て……!!」
キョン「おぉぉぉおおおおおおおおお!?」
朝倉「キョン君、落ち着いて……んっ!本当にこのままじゃ服が……」
バツンッ
朝倉「あ……」
キョン「お?」
朝倉「……」
キョン「……」
キョン「oh……」
朝倉「い、い………」ウルウルウル
キョン(ヤバイ!朝倉の目が明らかに潤んできている!!このままでは爆発は免れない!!
ここは一つ何か気の利いた言葉をかけて朝倉を落ち着かせなければ!!)
キョン「朝倉」
朝倉「うっ……グスッ……」
キョン「ナイスプロポーション!綺麗な身体だな、最高だ!」bグッ
朝倉「いやああああああああああああああああああああああああああ!!」
ドグシャッ
キョン「はぶらっ!?」
朝倉「うぅぅぅぅぅ……………」
朝倉「キョ、キョン君が悪いんだからね!いくら宇宙人だからって女の子の裸見てあ、あんなこと言うなんて!」
キョン「」
朝倉「聞いてるの、キョン君!?」
キョン「」
朝倉「キョン君……?」
キョン「」チーン
朝倉「キョン君!?だ、大丈夫?」
へんじがない、ただのしかばねのようだ
朝倉「う、嘘……」
朝倉「そ、そうだ長門さん!長門さんに相談しないと!」
朝倉「長門さん!長門さーん!!」
長門「呼んだ?」
朝倉「あ、長門さん、大変なのよ!」
長門「何が?貴女の乳が?そんな丸出しにしてまで自慢したいか!!」グニッ!
朝倉「痛いっ!ちが、違うのよこれには事情があって……それよりキョン君が!!」
長門「ん、そういえば彼は?」
朝倉「その……そこに転がって……」
長門「? …………oh」
朝倉「ごめんなさいごめんなさごめんなさい!」
長門「一体何が?」
朝倉「それがその……着ていたのが胸のせいではちきれちゃって」
長門「……ふーん、そういうことなら胸の小さい私は協力できない」
朝倉「あっ、ち、違うの!胸は関係なくて!!」
長門「……で?」
朝倉「それでその……裸を見られて気が動転しちゃって、つい……」
長門「リミッターをかけずに全力でぶん殴ってしまった、と」
朝倉「はい」
長門「それで彼を生き返らせたい、と」
朝倉「うん、できる?」
朝倉「よかったぁ……」
長門「とはいえこのままでは危険なので早速再構成を開始する」
朝倉「そ、そうね!」
長門「それにしても昔の貴女からは考えられない反応と行動」
朝倉「う……ごめんなさい」
長門「やはり再構成されたときに組み込まれた感情プログラムに不備が?」
朝倉「そう……なのかな?」
長門「であるならば私一人では対応しかねる。統合思念体にプログラムの削除を」
朝倉「これって不備、なのかな?」
長門「……朝倉涼子?」
長門「同意する」
朝倉「なのに不思議と、嫌っていう感情が働いている感じはしなくて……」
長門「うん」
朝倉「嫌は嫌なんだけど……うーん、上手く説明できないわね」
長門「そう……」
朝倉「うあー、なんかもやもやする~」
長門「朝倉涼子」
朝倉「うん?」
長門「彼と……何がしたい?」
朝倉「キョン君と?うーん、そうねぇ…………あ、膝枕」
長門「膝枕?」
長門「……」
朝倉「そしたらキョン君がすっごく喜んでくれて……こっちまで嬉しくなっちゃってね
ああいう風にキョン君が喜んでくれるならまたしてあげたいなぁって」
長門「そう」
朝倉「あ、でも同じことを続けてやってもあんまり喜ばれないかしらね?」
長門「わからない」
朝倉「そっかぁ……」
長門「……」
朝倉「……」
長門「ん、再構成完了」
朝倉「よかった~……長門さん協力ありがとう」
長門「いい、問題ない」
長門「訂正、問題はある」
朝倉「え……?」
長門「損傷箇所が頭部中心だった為記憶に関する部分で欠落がある」
朝倉「そうなの……それってどの位の?」
長門「本日のことは全て欠落していると思われる。それ以外については問題ない」
朝倉「そう、なんだ……」
長門「残念?」
朝倉「残念、か……そうなのかも。今日はなんだかんだ言っても楽しかったから……その楽しかったのをキョン君と共有できなくなったていうのは」
長門「……」
朝倉「うん……寂しい、かな」
朝倉「うん?」
長門「だったらまた、してあげれば良い」
朝倉「長門さん……」
長門「それで足りなければ次もその次も。そうしている内に他にしたいことも出てくるかも知れない」
朝倉「他の?」
長門「そう。貴女は他の個体と違って新しい規格で生産された個体。
感情と経験を積むことが出来る貴女だから何かが生まれるかもしれない」
朝倉「うーん、自分では良くわかんないわね……」
長門「成長と言っても差し障りない体形の変化があったこともその作用かもしれない
これは確実に他の個体では見られない変化だから」
朝倉「おぉ、そう考えれば確かに」
涼宮ハルヒ及び彼に関わることでどの様な変化をきたすのかを調べるための個体と言って良い」
朝倉「……うん」
長門「だから、自分の思うように禁止されている行為に抵触しない程度に好きにやればいい」
朝倉「それでいい、のかな?」
長門「貴女が望み、貴女がやりたいと思うならそれには全て価値があるということ」
朝倉「それって自由すぎない?」
長門「それで良いといわれているのだから問題はない」
朝倉「それはそうかもしれないけど……」
長門「朝倉涼子、貴女は真面目すぎる」
朝倉「あはは、長門さんに言われたくないわよ」
長門「む……」
朝倉「でも……ありがと」
長門「うん」
長門「手伝う」
朝倉「良いわよ、これ以上迷惑かけても悪いし」
長門「構わない」
朝倉「私が構うのよ」
長門「そう」
朝倉「それじゃ行くわね」
長門「行ってらっしゃい」
朝倉「うん、いってきます」
朝倉「到着~」
朝倉「じゃ早速、キョン君の服をパジャマに構成して……ベッドに寝かせて……」
朝倉「……これで良し!」
キョン「Zzzzzz……」
朝倉「気持ち良さそうに寝ちゃって……ま、私たちがそうしたんだけどさ」
キョン「ん、んー……………あさ、くらぁ」
朝倉「ふふっ、私の夢、でも見てるのかな?……嬉しい、のかな?んーまだ良くわかんないわね」
キョン「Zzzzz……」
朝倉「それにしても本当に気持ち良さそう……」
朝倉「……」
朝倉「…………さっき長門さんともそんな話してたし、いいよね」
キョン「ん……んが……」
朝倉「ふふふ、お休みキョン君……」
pipipipipipi…
キョン「ん、ん~……朝、か……」
キョン「なんだかすっげー寝心地良かったような……?」
朝倉「おはよう、キョン君!」
キョン「へ!?……朝倉の声が上から?」
朝倉「えへへ……良く眠れた?」
キョン「あ?ああ……それはいいとして朝倉?」
朝倉「うん?」
キョン「お前は朝っぱらから人の家で何やってんだ?」
朝倉「膝枕っ!」
おわり
まぁいいや、寝る。お休み
良がったいがった
続きはよ
Entry ⇒ 2012.09.05 | Category ⇒ 涼宮ハルヒSS | Comments (0) | Trackbacks (0)
穏乃「憧に告白したら泣かれた」
穏乃「う、うん」
憧「シズぅぅ……」ギュッ
穏乃(冗談のつもりだったのに後に引けなくなった)
穏乃「灼さん!?なんでそんなとこから!?」
赤土「おめでとう、憧」ヌッ
穏乃「先生まで!?」
宥「おめでと~」スッ
玄「おめでとうございます、お二人とも」スッ
憧「みんな…ありがと~…」グスッ
穏乃(憧、みんなが隠れてたことに疑問を感じないのか…)
穏乃「でも…みんなはどうして物陰とかに…?」
赤土「ああ、憧が誰かに呼び出されたとかで、怖いから隠れて見守ってて欲しいとか言うもんだから教育者として見過ごせなくてね」
灼「部長として」
宥「先輩として~」
玄「同じく!」
穏乃(ああ、呼び出しの手紙に名前書いてなかったもんな…)
赤土「でもまさかこんなことになるなんてな」
宥「うん~」
赤土「世間じゃ認められる恋じゃないし、辛いこともあるだろうが負けるんじゃないぞ」
憧「はい…!」
灼「憧、穏乃を泣かせたら許さないからね」
憧「言われなくとも…!」
穏乃(あれれー、どうしてこうなった…)
赤土「おーい、しずー?」
玄「きっと告白が受け入れられたのが信じられなくてぼんやりしちゃってるんだよ」
憧「そ、そっか…///」
宥「それじゃ、二人の邪魔しちゃ悪いし私たちはもう帰るねー」
灼「それじゃ」
憧「う、うん」
赤土「あ、それと」ヒョコッ
赤土「高校生らしい付き合いをするんだぞ?ハメを外しすぎないように、なっ」グッ
憧「な、何言って…///」
憧「まったく、晴絵ったら下世話なんだから…」
憧「えへへ、実は小学校の頃からずっとしずのこと好きだったんだよね」
穏乃(こんな幸せそうな憧に、やっぱりドッキリだったなんて言えるのか…!?)
穏乃(確かに憧のことは好きだけど、それは恋人とかそういうんじゃなくて…)
穏乃(だから、憧と付き合うのは失礼だ…!)
穏乃「あ、あのね、憧…」
憧「な、何…?」ドキドキ
憧(いつもバカっぽいけど、こんな風にたまに見せる真剣な顔がカッコイイのよね…///)
穏乃「ごめん、実は…」
憧「え…何…?」サーッ…
穏乃(うわっ、すごい青ざめてる…。ダメだ、私には…)
穏乃「私を受け入れてくれてありがとっ!」
憧「ま、まったく、ドキドキさせんじゃないわよ!ふぅー、てっきりやっぱなしとか言うんじゃないかと思って損したわ」
穏乃(憧…)
憧「とりあえず今日はもう遅いし帰りましょ。あ、あと明日は学校も休みなんだし…」チラッ
穏乃「わかった。どっか遊びにいこっか」
憧「うんっ♪」
穏乃(あ…しまったー!!恋人同士で遊びに行くって、完全にデートじゃんか!?なんかどんどん引き返しにくくなってきてるぞ…)
穏乃(どうしよう…)
穏乃母「どうせまた山で土だらけにしてくるんでしょ?ジャージでいいじゃない。というかジャージしか持ってないでしょあんた」
穏乃「あー、そういえばそうだった…。まだ暗くなるまで時間あるし、デートに恥ずかしくない服買ってこよ」
穏乃母「デート!?まさかあんたがデートとはねぇ…。これ持ってきなさい」
穏乃「おお!三万円もある!いいの、お母さん!?」
穏乃母「無駄遣いするんじゃなくて、ちゃんと明日の為の服を買うのよ?」
穏乃「はーい。ありがとう!」
穏乃(でも、デートの服なんていってもどんなの買ったらいいかわかんないな…)
穏乃(誰かに一緒に来てもらって一緒に選んでもらおう。電話電話っと…)トゥルルルルル
穏乃「そんな、全然待ってないですよ玄さん」
玄「憧ちゃんと明日デートするんだって?」
穏乃「あはは、まあ…。それで、普段ジャージしか着ないからデート用の服を一緒に選んでもらおうかと」
玄「ふぅ~む、なるほどなるほどなるほど~…。そういうことならお洋服選びはお任せあれ!」
穏乃「ありがとっ、玄さん!」
玄「うふふふ~、いいのいいの~」
穏乃「おおっ、来たことないや…」
玄「しずちゃんにはどれが似合うかな~」
穏乃「お手柔らかにお願いします」
玄「うふふ、しずちゃんはちっちゃくて可愛いから、可愛い系でいこっかな~」
穏乃「わわっ、私がこんな服ですか!?」
憧「明日はしずと恋人になってからの初デート!服も新調しよっかな~♪…あれ、しず…。玄も一緒だ…。なんで…」
穏乃『わわっ、こんなの似合わないですって!』
キャッキャウフフ
憧「うそ…。しず、私と遊ぶときなんかいつもジャージなのに…」
憧「…帰ろう」テクテク
穏乃「あれ?さっき誰かに見られてたような…」
玄「むむっ、近辺に怪しい人影は…」キョロキョロ
玄「店員さんしかいないみたいだよ」
穏乃「気のせいだったか」
玄「しずちゃんはいつも山にこもってるから敏感なんだよきっと」
…
穏乃「何だよ、憧の奴遅刻かー?電話かけてみよう」
憧『もしもし…』
穏乃「もしもしじゃないよ!今何時だと思ってるんだよ!待ち合わせの時間過ぎてるだろ!」
憧『ごめん、しず…。ちょっと体調悪いから今日はパスで…。それじゃ』プツッ
穏乃「なんなんだよ、憧の奴…」
穏乃「でも、デートしなくて済んだのか…」
穏乃「………」
…
ドンドンドンドンドン
憧「うるさいなー、もう!今日は出かけるのなしにするって朝に言ったで…しょ…?」
穏乃「やっほー」
憧「し、しず!?何勝手に入ってきてんのよ!?」
穏乃「一応家の人の許可は取ったんだけどな」
憧「ちょっとあっち向いてなさいよ」スッ スッ
穏乃「あはは、そんな慌てて身だしなみ整えなくても憧は可愛いのに」
憧(昨日あんなの見ちゃったけど、やっぱりしずが好き…。しずの前で身だしなみ気にしないなんてありえないから…。しずのバカ…)
穏乃「何しにって、待ち合わせに憧が来ないから御見舞い…とか」
憧「そう…」
穏乃「でも、元気そうでよかったよ。電話での声、元気なかったし、てっきりもっと具合悪いのかと」
憧「………」イラッ
憧(どうせ今日のその服、昨日玄と買った奴なんでしょ!確かに可愛いけど…!よし、しずに意地悪してみるか…)
穏乃「あ、もしかして憧、昨日あそこに居たの?」
憧「まあね。で、その服はどうしたの?どうせ玄と一緒に買った奴なんだろうけど」
穏乃「うん。憧とデートするのに、どんな服選んだらいいかわかんなくて、昨日は玄さんに一緒に見てもらったんだ」
憧「えっ…。玄とデートしてたんじゃないの…?」
穏乃「えっ…?何で私が玄さんとデート?そんなわけないじゃん。生まれてから一度もデートなんかしたことないってのに」
憧「あ、あはは、そうだよね!あははは」
憧(あたしったらしずに対してなんてことを…。しずがそんな奴じゃないって知ってたのに…)
憧「えっ…」
穏乃「ほら、憧ってモテるでしょ?だから、どんな反応するのかなーって」
憧「………」
穏乃「でもさ、あれから色々考えたんだ…。そしたら、私、憧のこと…」
憧「えっ!?」
穏乃「最初はわかんなかったんだ。憧への自分の気持ちが…。中学が別々になってすごく寂しかった」
憧「うん…」
穏乃「離れ離れになって、憧はすっごく可愛くなったし、県下でも有数の進学校に進学するっていってすっごく距離を感じてた」
憧「そんな!それは…!」
穏乃「わかってる。だから最後まで言わせて」
憧「うん」
穏乃「高校でまた一緒になれたときは嬉しかった。憧は全然変わってなんかいなかったんだってわかったし」
憧「そんな、それはしずだって…」
憧「自分の気持ちにも気付かないだなんて、しずらしいよね」
穏乃「あはは、それはバカってことなのかな?」
憧「そ。しずは大バカよ」
穏乃「ふぅ…。改めて告白するけど、憧…。私と付き合ってくれないかな」
憧「そんなの…もちろんオーケーに決まってるじゃない!」
穏乃「えへへ、憧…大好きだよ」
憧「うん…。なんか昔に戻ったみたい」
穏乃「よし、じゃあこれからデートだ!」グイッ
憧「ちょっ、せめて着替えさせなさいよ!」
穏乃「早く早くー」
完
Entry ⇒ 2012.09.05 | Category ⇒ 咲-Saki-SS | Comments (1) | Trackbacks (0)
P「・・・見える」
P「くぅ、頭痛い・・・」
P「・・・?! なっ、なんだこれは・・・」
P「昨日は、社長と音無さんに付き合って、居酒屋で飲んだ後、そのまま帰って寝た」
P「そこまでは記憶があるが、目が覚めたら」
P「・・・・・・。ちょっとテレビでも付けて落ち着こう」
ピッ
P「っ!!」
P「やっぱり・・・やっぱり・・・夢じゃなかったんだ・・・!」
P「服が・・・」
P「服が透けて見えるぞ・・・っ!!」
P「・・・・・・」
P「俺のお天気お姉さんが、真っ黒な下着を・・・」ゴクリ
P「うおおぉぉぉぉ!!!」
立つかな?
・・
・
ブロローン
P「事務所に行くのがこんなに楽しみだなんて」
P「こんな朝もあるんだな」
P「ん?」
P「お、おお・・・!1 登校中のjk達も下着一枚で・・・」
P「・・・・・・」 ゴクッ
P「事務所に着くのが楽しみだなあ!」
・・
・
ガチャ
P「おはようございます」
小鳥「おはようございます。プロデューサーさん」
P「ああ、音無さん」チラッ
P(では、早速)
P(・・・)
P(なんだ・・・この、ものすごくやる気のない下着・・・)
小鳥「?」
P(でも、今時、ベージュて・・・)
P(小鳥さんそこそこ可愛いのに今だ独身なのは、やっぱり、こういうところに出るんだろうか・・・)
小鳥「??」
P「・・・ああ、すみません。仕事はじめます」
小鳥「はい。今日も頑張りましょう」
コトン
P「二日酔い軽減のドリンクです。さっきコンビニで買ったんですけど良かったら」
小鳥「あっ、ご、ごめんなさい。もしかして顔に出てたかしら」 アタフタ
P(顔どころか、下着にも出てますよ・・・)
P「ちょっと、スケジュール確認してきます」
小鳥「どうも、ありがとうございます。プロデューサーさん」
・・
・
ガチャ
真「おはようございます」
小鳥「おはよう。真ちゃん」
真「あのスケジュール確認したいんですけど、プロデューサーはいますか?」
小鳥「ああ、それならあっちのホワイトボードの前にいるわよ」
真「ありがとうございます!」
真「おはようございます!プロデューサー!」
P(早くアイドル達を・・・)
真「・・・あのプロデューサー?」
P(え?いつも撮影で水着姿見てるだろって?)
P(それとはぜんぜん違うんだよ・・・)
真「?」
P(完全に素っ裸ではなく、透けて見える)
P(しかも、俺に見られているということが誰も気付かない)
P(これが期待せずにはいられないだろ!)
P「なあ!男ならわかるだろ!!!」ガシッ
真「っ!」ビクッ
真「ボクの手を握って何か伝えようとしても、ボクは男じゃないので・・・」
P「ん? あぁ、すまん、真いたのか」
真「・・・い、いえ」ドンビキ
真「・・・」
P(黒のスポブラか。まあ、イメージ通りなんだけど・・・)
P(なんかなぁ、ちがうんだよなぁ)
P(ギャップゼロだしなぁ。かと言って、ピンクのフリフリとかだとイメージしても・・・)
P(うーん・・・。うわぁ・・・)
真(なんか、ものすごく嫌な視線を感じる・・・)
P「ないな、うん、ない!」
真「えっ!」
P「えっ?」
真「今日の午後から雑誌の仕事ありましたよね?!」
P「?」
P「スケジュールならそうだぞ」
真「いや、今ないって言ってたじゃ・・・。・・・はぁ。もう、いいです」
真「ちょっとトレーニングに、事務所の周り走ってきますね」
P「? おお、気を付けてな」
バタン
P(颯爽とかけ出しても何も揺れない・・・)
P(うーーん・・・。まあ、張りがあって良い尻だけど)
P(もっとこう、普段の姿からイメージできない娘が・・・)
ガチャ
P(誰かきたああぁぁぁ)
千早「おはようございます」
P( )シュン
千早「プロデューサーおはようございます」
千早「・・・?」
P(でも、見てしまうのが男の性)ジッ
P(色がライトブルーで、普通のブラだな・・・)
P(いや?)ジーッ
P(・・・ちょっと寄せて上げようとしている?!)
P(千早。やっぱり気にしてるんだな・・・)
P(でも、肉付きを考えると寄せる意味が・・・)
千早「・・・」
千早(なにか、ものすごく失礼な視線を感じる)
P(いや、でも大丈夫だ!俺に任せろ!)
P(次からのグラビア撮影には、もっとパット用意してやるからな!)グッ
千早「少し歌いたいので、レッスン場をお借りしたいのですが」
P「おお!頑張れよ・・・。俺はいつでも応援してるぞ・・・」ウルッ
千早「・・・」
千早「・・・まあ、なんでもいいですけど」
バタン
P(揉んだら大きくなるって言うし、今度俺が・・・)
P「・・・・・・」
P「・・・捕まるな」
P(ええい!次だ次!早く巨乳を!80以上を!)
ガチャ
やよい「うっうー、おはようございまーす!」
真美「おはYO!」
P( )ショボ-ン
真美「兄ちゃん、なんでそんな絶望した顔してるの?」
P「いや、少しな・・・。神の存在を疑いたくなってしまった・・・」ドサッ
真美「いや、ソファーにたそがれても、特にキマってないよ?」
やよい「元気ないんですか、プロデューサー?」
P「ああ、いや・・・」
P(俺は見てしまうのか。この二人のあられもない姿を)
P(・・・・・・)
P(ま、いつも水着姿を見てるからいいか)
P(そもそも、見えるのは不可抗力だし)ジーッ
やよい・真美「?」
P(・・・真美はイエローの、まだワイヤーが入ってないタイプか)
P(おっ、それでも、ちょっと谷間ができてる。成長したんだなぁ・・・)ウルッ
P(やよいは、白で)
P(・・・・・・)
P(その材質は・・・おそらく、セール品・・・)
P(やよいもそこそこ売れてきてるから、もっと、贅沢してもいいのに・・・)ウルウル
真美「? あっ、そうだった!」
真美「ねぇねぇ、兄ちゃん!さっき、近くの公園でクレープ屋があったんだけど~」チラッ
P「? ああ、買ってきていいぞ」
っ野口英世
真美「わーい!兄ちゃん大好き!」ダキッ
やよい「もー、真美!プロデューサーに迷惑かけちゃ」
P「やよいは食べたくないのか?」
やよい「えっ、そ、それは・・・」
P「好きなだけ買ってこい!」
っ福澤諭吉
真美・やよい「?!」
真美「なっ、なんで、真美はノグチで、やよいっちだけフクザワなの?!」
やよい「プ、プロデューサー!こんなに受けとれません」 アタフタ
P「やよいは今大事な時期だからっ!もっといっぱい食べて、もっといいの着けろよ!」
P「今頑張らないと、後で寄せて上げる事すら・・・ぐすっ・・・」
真美(ま、マジ泣き・・・)
やよい(やっぱりお仕事大変なのかな・・・。プロデューサーに迷惑かけないように、私が頑張らなくっちゃ・・・)
真美「と、とりあえず、やよいっち行こうか」
やよい「・・・そうだね、真美」
P「気を付けてな・・・ぐすっ・・・ぐすっ・・・」
P「最近涙もろくってダメだな、俺も、もうおっさんか・・・」
P「この空気を何とかしてくれる誰か・・・」
ガチャ
雪歩「おはようございますぅ」
P(!! ついに80越えきたああぁぁ!!!)
雪歩「あっ、プロデューサー」
雪歩「今日もいい天気ですね」ニコッ
P(・・・)ジーッ
雪歩「? ど、どうかしましたか・・・?」
P「真っ白だな・・・」
雪歩「? あっ、雲でしょうか。確かに真っ白ですね」ニコニコ
P(これは、素晴らしい)
P(雪歩の真っ白い肌に、真っ白の下着)
P「素晴らしいコントラストだ・・・」
雪歩「? 確かに青空と真っ白の雲は綺麗ですね」ニコニコ
P(これが、ひんそーでひんにゅーでちんちくりん?)
雪歩「あの・・・、もし良かったら・・・その、一緒にお散歩に・・・」 カアッ
P「おいおい、冗談はやめてくれよ」
雪歩「?!」
雪歩「・・・そ、そうですよね」
雪歩「ひんそーでひんにゅーでちんちくりんな私なんかとは・・・」 ウルウル
P(やっぱり、雪歩は、白が似合うなぁ)
P(もし、ヒョウ柄とか着けてたら、と、考えると・・・)
雪歩「やっぱり、こんなダメダメな私は、穴掘って埋まってま--」
P「うおおおぉぉ!!!それだけは止めてくれえぇぇええぇ!!」
雪歩「?!」 ビクッ
P「・・・!」 ハッ
P「も、もしかして声に出てた・・・?」
P「えーっと、すまん。あんまり話を・・・」
P「って、そんな泣きそうな顔するな、雪歩」
P「ちょっと、暑さにやられてな。その、なんだっけ・・・?」
雪歩「一緒にお散歩に・・・」
P「よし、じゃあ、行こう。今すぐ行こう」 グイグイ
雪歩「・・・はっ、はい!」
・・・
・・
・
P「それにしても、これだけでよかったのか? 特に何か買ったりとか・・・」
雪歩「いえ、いいんです。すっごく楽しかったです」ニコニコ
雪歩「・・・あの、プロデューサー」
雪歩「今なら、凄く良い詩が書けそうです。ありがとうございますぅ!」
P「そうか。それは良かった・・・」
雪歩「隣の部屋で、書いてきてもいいですか?」
P「あ、あぁ、行ってこい」
ガチャ
バタン
P「・・・。また、あの詩が増えるのか・・・」
P(・・・)
P(しかし・・・)
P(・・・雪歩を下着姿にして、街中を歩くという夢が叶ってしまった)
P(雪歩も良かったが・・・)
P(でも、もうちょっと上が来てもいいよなぁ・・・)
ガチャ
伊織「おはよう」
亜美「おはYO!」
P(!! この流れは・・・!)
律子「竜宮小町ただ今戻りました」
あずさ「あらあら~。プロデューサーさん、小鳥さん、おはようございます」
P「神はいたあぁあぁぁ!!」
伊織「!」ビクッ
伊織「ちょ、ちょっと、何大声出してんのよ!びっくりするじゃない!」
亜美「? 兄ちゃんの新手のいたずら?」
P「ああ、二人は別に・・・」
P「・・・・・・」
P「一応な、一応・・・」ジーッ
伊織「なっ、なによ」
P(・・・おお、これは見事なランジェリー)
P(サイズもぴったりだし、さっき真に想像したようなピンクのフリフリが)
P「素材もいいし、似合ってるけど・・・」
P(もっとこう・・・あっ!)
伊織「なによ、私の服になんか文句あるわけ?」
P「そう、ギャップだ!」
P「伊織!お子様プリントパンツを履いてくれ!」
伊織「?!」
伊織「~~~~っっ!!」
伊織「朝から何言ってんのよ、アンタは!変態っ!ド変態っ!!」 ゲシゲシ
P「いっ、いたい!や、やめろ、伊織!!」
伊織「ふんっ!あんたなんか、一生床に寝そべっておけばいいのよ!!」 ゲシゲシ
亜美「・・・今のは兄ちゃんが悪いと思う」ドンビキ
P「や、やめろ亜美、そんな視線を向けるな・・・」
P「俺の姿を見てないで、伊織を止め・・・」クイッ
P(なっ!!)
亜美「? どったの、兄ちゃん?」
P(こっ、このアングルは・・・?!)
P(ホットパンツ越しのフルバックショーツが丸見えにっ!!)
P(真美と同じ下着ながら、さっきはショーツをジロジロと見るなんて理性が邪魔していた。・・・が!)
亜美「? なんか、今日の兄ちゃんおかしいよ・・・?」 ジトッ
P(このアングル、否応にも目に入る!! そしてこの視線が・・・)ゴクッ
P(前面に可愛らしさを演出したリボン)
P(後面に成長期のおしりを包み込むその姿)
P(決して大人パンツとはいえない。しかし、子供からの成長を感じるそのショーツ・・・)
P(・・・さらにいえば、)
P(ホットパンツに合わせてちょっと食い込みが、ちょうど・・・亜美の・・・) ピンッ↑
伊織「・・・ん?」ゲシゲシ
伊織「・・・~~~~っっっ!!!!」
伊織「きゃあああああああああああ!!!」
伊織「なっ、なななな、なに踏まれて、おお、おぉおぉぉぉ、大きくしてるのよぉぉっっ!!!」
ゲシッ!!
P「※♯☆*◯゛!!」
・・・
・・
・
P「う、うーん・・・」
??「大丈夫ですか?プロデューサーさん?」
P「うーん、ここは・・・?・・・この枕柔らか・・・」ゴロッ
あずさ「・・・やんっ プロデューサーさん、そっち向いちゃ恥ずかしいです・・・」
P「・・・っ!!?」パチッ
P「あっ!あずささん?!なんで膝枕をっ」
P「~~っ!!!」
P(っ?! め、目の前に・・・っ!!)
あずさ「さっき、伊織ちゃんに蹴られてプロデューサーさんが気を失ってて」
あずさ「でも、伊織ちゃんは何があったか言ってくれないし・・・」
~~~~~~~~~~~~~~
伊織「きゃあああああああああああ!!!」
あずさ「何かあったの、伊織ちゃん?」
ゲシッ
P「※♯☆*◯゛!!」
あずさ「プ、プロデューサーさん!」
あずさ「ど、どうして・・・」
伊織「ふっ、ふん!別に私は悪くないわよ!!」
伊織(私に勝手にこどもパンツ穿かす妄想して、蹴られて、お、おおぉぉ、大きするなんて・・・)
伊織「このっ、変態っ!ド変態っ!EL変態っ!変態大人!!」
スタスタ
あずさ「あっ、伊織ちゃ・・・」
~~~~~~~~~~~~~~
あずさ「どうしたのかしら・・・?」
P(どうしよう・・・下着姿のあずささんに膝枕されてる・・・)
あずさ「あの・・・」
P(ちょっと上を見えば、今にも暴れそうなおっぱいが、フレンチカップにそっと包まれてて)
P(更に前を見れば、亜美と比べられないほど、前面の幅が狭いショーツ)
P(でもっ!ぎりぎり見えないもどかしさ!!)
P(さらに、セクシーさを彩るパープル色!)
P(これぞ、大人の下着!!)ピンッ↑
P「音無さん!これですよ、これ!」
あずさ「? プロデューサーさん?」
P「これが見れたら、もう死んでもいい・・・」
あずさ「プロデューサーさーん?」
P「はっ、はい?!」
あずさ「あの、お腹の方に向いて話されると、息がかかってくすぐったいんですけど・・・」
P「うわぁ!す、すみません・・・」コロッ
P(良かった。俺のマイサンがバレたのかと・・・)
あずさ「ふふっ。反対向いてくれるならいいですよ」
P(あっ!笑った拍子に、上から下から、凄く挟まれてるうっっ!!)
P(そうか、天国はパープル色だったのか・・・初めて知ったよ・・・)
P(・・・? あれ、よく考えたらもう目覚めたから、まだ膝枕される理由が)
スタスタ
律子「ちょっと、プロデューサー殿!」
律子「目が覚めたならさっさと起きてくださいよ、あずささんが困ってるでしょう」
P(?!)
あずさ「いえいえ、私は大丈夫ですよ、律子さん」
P(うおおおぉぉ!!!)
P(ソファーで膝枕されていると、律子のショーツとご対面する位置になるのかあぁっっ!)
P(・・・膝枕というか、最早、顔があずささんの胸置きになっているけど、今更どうでもいい!)
律子「いいえ!あずささんは、プロデューサーを甘やかしすぎです」
P(律子のスカートスーツ越しに、ショーツが・・・)
律子「大体、伊織に蹴られたんだって、どうせしょうもない理由で・・・」
P(しかも、黒・・・だとっ?)
P(くそっ!だから正面に座った時に、何も見えなかったのか!!)
P(いくら黒いストッキングを履いていても、明るい系の色のショーツなら、何か見えると思ってたのに・・・そういうからくりだったのか!!!)
P(普段のパンツルックじゃなく、たまに、スカートスーツで来るたびに、律子の∇ゾーンを探ってた過去の俺をぶん殴りたい)
P(そして、あの下に履いてるのは黒い下着なんだぜと囁きかけたい)
律子「・・サー?」
律子「ちょっと、プロデューサー!聞いてます?」
P「俺としたことが・・・っ」
あずさ「まぁまぁ、律子さん。プロデューサーさんだって、きっと疲れているんじゃないですかね」
あずさ「もうちょっと、いいんじゃないですか?」
律子「その割には目がいきいきしてますけど・・・」
律子「うーん、まぁ、あずささんがそういうなら・・・」
律子「プロデューサー殿は満足したらさっさと起きてくださいね。じゃあ、私は仕事に戻りますから」
スタスタ
P(あっ!)
P(尻が、尻が揺れるっ!揺れてる!あぁ!スーツの上から思いっきり鷲掴みしたい!)
P(いいよな!一回ぐらい!!)モミッ
あずさ「!!」
P(しかし、後ろから見ると、結構おしりの布の幅も狭いな・・・。ブラジリアンショーツだったのか・・・)モミモミ
あずさ「ちょ、ちょっと、プロデューサーさん。私の太ももを・・・あっ・・・!」
P(どうしよう、揉んだら怒られるかな)モミモミ
P(・・・いや、ああ見えて意外と顔を赤くしながら初な反応かも・・・?)
P(律子『プ、プロデューサー殿!やっ、やめてください・・・』)
P(P『よいではないか、よいではないか』)モミモミ
P(律子『私、そういうのは・・・っ』)
P(P『じゃあ、アイドル達に代わりにやってもいいのかい?』)
P(律子『そ、それはダメですっ!』)
P(P『じゃあ、一つしかないよな?』)モミモミ
P(律子『っ!で、でもっ・・・』)
P(P『別に誰もいいんじゃない。律子だからやってるんだぞ』)モミモミ
P(律子『プ、プロデューサー殿・・・!』)
あずさ「・・・・・・さん」
P(うーん、堪らん)モミモ
あずさ「プロデューサーさん!」
P「・・・はい?」
あずさ「あの、その、そんなに太ももを揉まれても・・・その・・・」
P「?」モミッ
P「・・・。うわあああぁっっ!すみませんでしたあああぁぁあぁぁ!!」
スタッ
ドゲザァ
あずさ「い、いえ、そこまでしてもらわなくても別にいいんですけど・・・」
P「本当に心から反省しております。なんでもするんで、どうか警察だけは」
あずさ「・・・じゃあ、プロデューサーさん。一つ言うことを聞いてもらってもいいですか?」
P「はい!一でも十でも百でも!!」
あずさ「・・・それじゃあ、次揉むときは太ももじゃなくて・・・」
ガチャ
響「はいさーい!」
貴音「おはようございます」
響「・・・プロデューサー、何やってんの?」
貴音「面妖な・・・」
・・・
・・
・
響「膝枕してくれたお礼に土下座?」
P「ま、まぁ、そんなところだ」
響「普通、そこまではしないでしょ?」
あずさ「まぁまぁ、いいじゃない」
貴音「あずさがそう言うのであればいいのですが」
P(それにしても)チラッ
響・貴音「?」
P(あずささんには及ばないけど、こいつら何食べたらこうなるんだ・・・)
あずさ「そういえば、今日はお仕事?」
P(ちょっとは千早に分けてやれよ!くそっ、千早安心しろ! 次のグラビアは、あとパッド2枚追加してやる!!)
P(・・・?)
P(あれ、響の下着って・・・)
響「あっ、そうだった。今日はお仕事がお休みだから、貴音とプールに行く約束をしてたんだ!」
P「ああ、だから下に水着を着てたのか!」
響「!!」ビクッ
響「なっ、なんでプロデューサーは、自分が下に水着着てるって知ってるんだ?!」
P「へっ?あっ、あ、ああ!なっ、なんとなく!」
P「響ならそうするかなーって(裏声」
響「な、なんか声が裏返って、やよいみたいになってるぞ・・・」
P「ま、まあ、いいじゃないか!ほら、行ってこい!」
響「っ、そ、それが・・・」
貴音「・・・」
P(ん?貴音・・・)
P(・・・?!)
P(な、何で透けてないんだ!!)
P「っ!」チラッ
あずさ「?」
P「っ!!」チラッ
響「?」
P「・・・」チラッ
貴音「・・・・・・」
P(やっぱり貴音だけ見えない・・・)
あずさ「それで、どうしたの?」
響「下に水着を着てきたから、下着を忘れちゃって・・・」
響「更衣室に予備があるからそれを取りに来たんだっ!」
P「あ、あぁ、そうだったのか」
P(響はどうでもいいけど、何で貴音は・・・)
貴音「なるほど。わかりました」
P「?!」
響「? どうしたんだ、貴音?」
貴音「いいえ、独り言です」
貴音「さあ、行きましょう響」
スタスタ
響「ああ!待ってよ貴音!まだ替えの下着持ってきてないんだから!」
ドタドタ
貴音(・・・あなた様)
P(なっ?! 背中越しに声がっ・・・)
貴音(女性のトップシークレットを覗こうとするのは、あまり感心いたしませんね)
P(す、すみません・・・)
貴音(しかし、貴方様も殿方だったということですね)クスッ
貴音(本日だけの、さーびす、ですよ)
スッ
P「なっ?!透けっ!!」
あずさ「?」
P「~~~っっ!!」
P(!! てぃ、てぃっ!!!)
貴音「ふふっ」
スッ
P(! も、もう?!)
響「貴音ー!持ってきたぞー!」
貴音「それでは参りましょう」
ガチャ
バタン
P(・・・・・・)
P(・・・てぃばっく・・・)
・・・
・・
・
P「素晴らしい尻だった・・・」
P「・・・・・・」
P「さて」
P「あとは、2人か・・・」
ガチャ
美希「おはようなの!あっ、ハニー!」グッ
P(ついに来た…っ?!っって、うわああぁっ!!」
ガバッ
美希「・・・? ハニーが避けないのは珍しいの」
P「あ、あぶなかった・・・倒れた拍子で頭を打つかと思った・・・」
P(下着を見ようと冷静になれなかった自分が哀しい・・・)
P(しかし、いまなら)
美希「でも、ミキ的には、ラッキーなの!」ギューッ
P「お、おい美希っ・・・。早く上から離れ・・・」
P(見えない!抱きつかれて肩紐以外見えない!すごく柔らかいけど!今は下着が見たいんだ!!)
美希「・・・?」
美希「ハニーからケダモノの視線を感じるの」
美希「今日だけ特別だよ」ポチポチ
P「な、なに、服のボタン外して・・・!」
美希「ほらみてっ!この夏の新作下着なんだけど、どうかな?」
P(くっ、フレッシュグリーンがめちゃくちゃ似合って・・・)
P(最早、谷間が直に見えてるけど!こいつ本当に中学生かよ!)
美希「あーでも、いくらハニーでも下着は脱ぐことはできないの」
美希「それ以上は、ナイショ、なの!」
P(ん?おい、下着を直に見たら、その下の肌色まで透けて見え・・・)
美希「・・・ハニー、目がヤラシイの」キュッ
P(くそっ!手が邪魔だ!下着を全部オープンにしてくれたら!)
P(あとちょっとで、その下のが!)
美希「?」
ガチャ
春香「おはようございまーす!」
春香「あっ、プロデューサーさん!美希も・・・って!」
P「?!」
美希「おはようなの、春香」
春香「ちょ、ちょっと、何やってるの二人とも?!」
美希「? なんか、今日はハニーがおかしいの」
P「 」パクパク
春香「むしろ、プロデューサーさんに馬乗りになって、半脱ぎの美希のほうがどうかと思うけど・・・」
美希「? 美希はフツー、いつも通りなの」
春香「まぁ、確かに・・・」
春香「そんなことより、ほらっ、プロデューサーさんが苦しそうに口をパクパクして・・・」
P「・・・は、はるか?!」
春香「? どうしました?プロデューサーさん?」
P「おまっ、おまえ!!」
P「ど、どどど、どうして!!」
P「下着を付けてないんだああぁぁっっっ!!!!!!!!」
-おしまい
特に書き溜めとかしてなかったので、保守していただいた方々感謝です
ありがとうございました
Entry ⇒ 2012.09.05 | Category ⇒ アイマスSS | Comments (1) | Trackbacks (0)
貴音「みそらぁめんを……」
店員A「あいよ、ミソラーメン一丁!」
店員B「あい、ミソラーメン入ります!」
・・・・・・
店員A「あい、ミソラーメンお待ち!」
貴音「」モグモグ
貴音「」モグモグ
貴音「」ゴクゴク
貴音「」プハッ
貴音「まことに美味でした……」
貴音「……」
貴音「……」
店員A「はい、ご注文ですか?」
貴音「しょうゆらぁめんをお願いします」
店員A「あいよ、しょうゆラーメン一丁!」
店員B「あい、しょうゆラーメン入ります!」
・・・・・・
店員A「あい、しょうゆラーメンお待ち!」
貴音「」モグモグ
貴音「」ゴクゴク
貴音「」プハッ
貴音「まことに美味でした……」
貴音「……」
貴音「……」
貴音「面妖な……」
店員A「はい?」
貴音「しおらぁめんをお願いします」
店員A「え?」
貴音「しおらぁめんをお願いします」
店員A「あ……あいよ、しおラーメン一丁!」
店員B「あい、しおラーメン入ります!」
・・・・・・
店員A「あい、しおラーメンお待ち!」
貴音「」モグモグ
貴音「」モグモグ
貴音「」ゴクゴク
貴音「」プハッ
貴音「……」
貴音「……」
貴音「……」ゴソゴソ
貴音「なんと……」
店員A(お、おい、あの客さ)
店員B(ん?)
店員C(どっかで見たような気が……)
店員A「は、はい?」
貴音「ちゃあしゅうめんをお願いします」
店員A「はい?」
貴音「ちゃうしゅうめんをお願いします」
店員A「チャーシュー麺、ですか?」
貴音「ええ。ちゃあしゅうめんです」
店員A「わかりました……チャーシュー麺一丁!」
店員B「あい、チャーシュー麺入ります……って、ええ?」
店員A「オーダー繰り返します。チャーシュー麺一丁」
店員B「……チャーシュー麺一丁」
・・・・・・
店員A「あの、チャーシュー麺です」
貴音「」モグモグ
貴音「」モグモグ
貴音「」ゴクゴク
貴音「」プハッ
店員A(なにこいつ……)
店員B(マジか……)
店員C(……あ、テレビで見たことあるような気が)
貴音「……」
店員C(携帯出してる)
貴音「もやしらぁめんをお願いします」
店員A「……はい」
客A「すげぇ……」
客B「どうした?」
客A「あの子、ラーメン四杯目だ」
客B「マジか」
貴音「」モグモグ
貴音「」ゴクゴク
貴音「」プハッ
貴音「五目らぁめんをお願いします」
店員A「五目ラーメンですね……」
貴音「あ」
店員A「はい?」
貴音「餃子も」
店員A「」
貴音「」ゴクゴク
貴音「」プハッ
店員B(……まさか!?)
店員C(どうした?)
店員A(おい、店員B? なぜ豚角煮を準備している!?)
店員B(黙って見てろ)
貴音「あの……」
店員A「はい」
貴音「豚角煮らぁめんをお願いします」
店員A(なんだと……)
客A「すげぇな、あの姉ちゃん」
客B「……あれ?」
客A「どうした」
客B「おい、メニューをよく見ろ」
客A「ん?」
貴音「餃子らぁめんをお願いします」
客A「!?」
客B「気付いたか」
店員B(くっくっくっ。餃子ラーメンは準備済みよぉ!)
店員A(こ、こいつ、メニューの並び順に注文してやがる!?)
店員C(どっかで見た顔なんだよなぁ……)
客B「……いったい何が彼女を……」
店員A(順番通りなら次は……)
貴音「煮玉子ときむちとめんまと焼き豚をお願いします」
店員B(サイドメニューまで律儀に頼むだと!?)
店員A「煮玉子、キムチ、メンマ、焼き豚入りました」
客B「下手なテレビより面白そうだな」
客A「俺は見届けるぞ、おい、ビールと焼き豚追加!」
客B「あ、こっちもビールと餃子追加」
店員D子「はーい、少々お待ちくださーい」
貴音「ちゃあはんをお願いします」
客C「……ご飯ものに入りやがった」
店員A「お待たせしました、チャーハンです」
貴音「……」
店員A(? 何故こんな不満顔を……)
貴音「ちゃあはんにはすぅぷが付く、と品書きにありますが?」
客A「スープまできっちり頼むだとっ?!」
店員A「し、失礼しました! すぐに持って参ります!」
店員A「スープ付き、ですか?」
貴音「? 品書きにはすぅぷ付きと書いてあるのでは?」
店員A「出過ぎた発言でした。平にご容赦を」
・・・・・
貴音「きむちちゃあはんをお願いします」
・・・・・
貴音「じゃこ入りちゃあはんをお願いします」
・・・・・
貴音「中華飯をお願いします」
・・・・・
客A「あ、こっちビール追加」
客B「こっちも」
・・・・・
・・・
・
客A「すげぇ、メニューの半分以上を制覇してるぜ……」
客B「ああ、なんちゅう胃袋だ」
客C「デブって訳でもないのになぁ」
店員C(思い出した。あれ、四条貴音だ)
店員A「次はエビチリの準備が出来ておりますが」
貴音「一分後に」
店員A「わかりました」
客B「ああ。だが、この店のメニューの最後尾は……」
客A「定食ものだ」
客B「まさか……」
客A「俺は奇跡を信じる。いや、奇跡じゃない、これは必然だ」
店員C(貴音さんすげぇ……)
店員D子(さっきからお客さんが増えてるんだけど、みんなビールとつまみばっかり)
貴音「餃子定食を」
店員A「かしこまりました。少々お待ちを」
客B「……」
客A「どうした?」
客B「すいません、唐揚げ定食とラーメンください」
客A「な……」
客B「これが食わずにいられるか……この状況を見て、食わずにいられるかよっ!」
客A「客B……お前って奴は……」(今日初めて会った人だけど)
客C「姉ちゃん、こっち、チャーシュー麺と餃子二つ」
客A「くっ……おい、こっちにエビチャーハン頼む」
貴音「らぁめんせっとお願いします」
店員A「仰せのままに」
店員C「お皿お下げしますね」
店員C(貴音ちゃんの皿ペロペロ)
店員A(何処の誰だか知らないが、見事だ……)
店員C(貴音ちゃんペロペロ)
店員D子「あの人以外にもオーダー来てんだから働けよコラ」
貴音「……」
客A「ウーロン茶で喉を湿して休憩中か」
客B「あと、三品……これは行けるな」
貴音「あの……」
客C「来たッ!」
店員A「はい」
貴音「プリンパフェを」
客A「おらぁっ!」ゴスッ
店員A「げふっ」
客B「だっしゃぁぁっ」ベキッ
店員A「がふっ」
客A「己は何考えとんじゃああああ!!!」
客B「この流れでメニューありませんが許されると思っとんかぁぁぁっ!」
客C「無かったら無かったで、近所の喫茶店かコンビニでも走って買ってこいやぁぁぁぁ!!!」
店員D子「行ってきまーす」
店員C「お客様、お皿お下げしまーす」(フヒヒヒヒ、貴音ちゃんの皿ペロペロ)
店員B「あれ? 皿が足りねぇ……?」
店員D子「すいません、プリンパフェあります?」
律子「あ、スイーツ類はそちらの棚にそろっております」
店員D子「あ、あったあった。これ、お願いします」
律子「×××円のお買いあげです」
店員D子「千円札で……あ、領収書下さい」
律子「はい、ありがとうございました」
店員D子「ロー○ンが近くにあって良かった」
・・・・・・・・
客B「メニュー制覇だと……」
店員A「くっ……」
店員B「膝を屈するな、店員A。俺たちが弱いんじゃない。あの人が強かったんだ」
店員C「あ、ちょっと早退させてもらいまーす、さーせん」ガチャガチャ
店員D子「店員C君、なんでお皿持って帰ってるのかな?」
貴音「」スック
貴音「まこと、美味でした」ニッコリ
店員A「……ああ、喜んでくれて幸いだ」
店員B「次は、もっと凄いメニュー用意してやるからな」
店員D子「スイーツメニューも充実させなきゃね」
貴音「ではまた、いずれ……」スッ
客C「すげぇ……すげぇものを俺たちは……」
感極まる客と店員。
食い逃げされたことに気付くまで、あと三十分
終
実家帰ろう
ではまた、いずれ……
>>70
さすがにバレましたかw
乙
お疲れ様
Entry ⇒ 2012.09.05 | Category ⇒ アイマスSS | Comments (2) | Trackbacks (0)
照「究極極上天上天下無双プリン?」菫「食べに行くか…」
照「!?」ガタッ
菫「対局中だ座ってろ」
照「……」ギギギ
淡「きゅうきょく……ごく? 天うえ? プリン? まったくもって!」
照「究極極上天上天下無双プリン?」
菫「食べに行くか……」ガタッ
お茶「座って。対局中」
菫「たまにはこういうのもいいものだな」ワクワク
尭深「たまにって先週も来た」
照「……」ゴオオ……
誠子「糖分は吸収効率が云々」
高校生A「わーい! プリンだー!」
高校生B「こらこら、はしゃがないで。周りのお客さんに恥ずかしいよ」
高校生C「おまえの格好はどうなんだよ」
高校生D「おーっほっほ! わざわざ並んで注文したかいがありましたわ!」
高校生E「……」
菫「よしみんな例のプリンでいいか」
照「」コクコク
尭深「私は緑茶」
淡「えーたかみー空気読もうよー。わたしはぱふぇ!」
菫照尭深「……」
誠子「モンブランで」
菫「いえ私達プリンを食べに来たので」
照「」コクコク
店員「あーごめんだじぇ。普通のプリンならあるけど究極のなんとかかんとかプリンはついさっきで売り切れだじぇ!」
照「……」ガタッ
尭深「……座って」
淡「じゃーいちごパf 菫「なんでよ!!!!」
照尭深淡「!?」ビクゥ
店員「ごめんだじぇ」
菫「楽しみにしてきてるのがわからなかったの!?」
誠子「やめろ菫。落ち着け。話の筋が通ってないぞ」
高校生D「あら、あちらで何か問題でも起きたんですの?」
高校生B「やめなよ透華。面倒見がいいのはいいけど他人様にまで首を突っ込んだらこっちが手を焼くんだから」
高校生C「無視無視」
高校生E「っしゃ紅玉ゥ……」
高校生D「そうは申しましても衣が……」
BC「!?」ガタッ
店員「何だじぇ?」
A「なにか問題か?」
店員「ご迷惑おかけしてますじぇ。当店の人気商品究極のなんとかかんとかプリンが売り切れでおこられちゃったじぇ」
菫「グス……ヒッグ……」
照「すみれ……」ナデナデ
淡「まったくもって!」
尭深「すみませんご迷惑おかけしてます」
誠子「戦況を冷静に判断しろ」
A「衣のせいで、おねえさんを泣かせてしまった」
A「とーか!」
D「お話は伺いましたわ! ハギヨシ!」
ハギヨシ「はっ、ココに」
透華「この店のプリンのレシp 菫「まって!」
菫「ごめんなさい、そうじゃないの」
衣「おねえさん……」
透華「かまいませんわ!」
菫「ただ、私たち、いえ私は仲の良いみんなでちょっとお茶したかっただけなんです」
尭深「お茶?」ガタッ
淡「おめえじゃねえ座ってろ」
菫「ただちょっとチラシにあったプリンが美味しそうだったから期待しちゃって」
照「……」コクコク
菫「この店に来れば食べられるものだと思って期待ばっかり大きくなっちゃったから」
菫「ちょっと大げさにしすぎました」
菫「ごめんなさい」
衣「とーかのうちに来るか?」
透華「といっても東京の別荘ですけど」
菫「そんな、お気遣いありがとうございます。でも初対面の方にそんなにしてもらうなんて」
照「おじゃましない?」チラッ
衣「……」ウルウル
尭深「子どもちゃんが泣きそう」
衣「子どもじゃない! ころもだ!」
透華「決まりでしてよ! ハギヨシ!」
ハギヨシ「はっ、すでに人数分ハイヤーを手配しております」
>ハギヨシ「はっ、すでに人数分ハイヤーを手配しております」
みんなで仲良く行かせてあげてよwww
淡尭深菫照「」
透華「ささ、遠慮なさらずに」
衣「わーい! 一番のりー」
誠子「慣れない建物だな。非常口と隠れられるスペース云々」
透華「お茶の準備はできていましてよ!」
照「トウカさん」クイクイ
透華「?」
照(ゴニョゴニョ)
透華「まあ! 素敵ですわ!」
照「しぃ~っ!」
菫「?」
淡「それ補導されないの?」
一「ああ、何度か職質はされたけど」
純「龍門渕の力で何とかなってるのかもな」
衣「わーい! ころもの勝ちだー」
尭深「なんなの」
智紀「ころもとポーカーするといつもこう」
誠子「まさか役がひとつもつかないなんて……」
淡「あれ? テルーは?」
一「そういえば一人みえないね」
照「おまたせ」
淡「あ、テルー!」
照「プリン……」
透華「皆さんのために宮永さんが作ってくれましてよ!」
衣「わーい! 衣プリン食べるー!」
尭深「お茶請けに……」
誠子「だから一さんはスパッツを履けばいいのではないかと」
一「あれぴっちりしてて嫌なんだよね」
めでたしめで……
全員「!?」ブッ
菫「照、おまえ……」
照「砂糖と塩……」
透華「間違えましたわね」
照「てへぺろ」きゃるん☆彡
めでたしめでたし
ありがてえ
Entry ⇒ 2012.09.05 | Category ⇒ 咲-Saki-SS | Comments (1) | Trackbacks (0)
P「アイドル達に何も言わずに仕事を休んで今日で一週間か……」
アイドル達に何も言わなかったから、皆怒ってるだろうなぁ」
P「……まあ、その辺りは社長と小鳥さんが説明してくれてると信じよう。うん」
社長「ふふふ……」
小鳥「ぴよぴよ」
ガチャ
P「ただいま戻りました~」
美希「あ、おはようございます。ハ、プロデューサー!」
P「ああ、おはよ……え?」
亜美「プロデューサー、おはようございます!」
真美「おはようございます」
P「」
美希「毎朝、お疲れ様な、です! カバン持ちます!」
亜美「亜m、私は上着!」
真美「マミ、じゃなくて私は私は!」
P「ちょ、ちょっと待ってなにこれ?」
小鳥「フフ、おはようございます」
P「あ、おはようございます」
小鳥「フフフ、面白いですねー」
P「面白いですねーじゃないですよ。いったいなんなんですか? アイツらの変わり様というか」
小鳥「それがですね。何も言わずにプロデューサーさんが出て行かれて、どうやら事務所を辞めたと勘違いしたらしくて」
P「辞める!? まさか!」
小鳥「ええ、まあそうなんですけど。そこで社長と私がちょーっとその話に尾ひれをつけまして」
P「あー……なんとなく分かったような」
小鳥「プロデューサーさんが戻ってくるように、良い子になるんですって」ピヨッ
小鳥「んー、まあそこは乙女心と言いますかーピヨピヨ」
P「ん? まあ美希や亜美真見がマジメになるんでしたら越したことはないですが」
小鳥「他の子達もそれぞれ、良い子になってますからね」ピヨッ
P(すごく嫌な予感しかしない)
P(やれやれ。社長も小鳥さんも妙なところで子供っぽいというか)
P(っていうかまずこの背中にひっついてるのどうにかして)
美希「肩はこってませんか? マッサージしてあげますなの!」
P「いいよいいよ、それよりも今日は美希はオフだろ? しっかり休んでろって」
美希「いいえ! 今までサボってた分、イッショウケンメイになりますの!」ビッ!
P「良いことなんだろうけどどうも方向性が……分かった。後でレッスン見てやるから」
美希「ありがとうございますなの!」
ガチャ
貴音「あなた様……」
P「おお、貴音来た、か……えっと……」
貴音「さあ、早く参りましょう……」
P(なんか全体的に白くてしぼんだ貴音らしき物体が来た)
貴音「わたくしは何も変わりありませんが……?」
P「いや、今にも倒れそうな、っていうか全体的に存在自体薄くなってるぞ?」
貴音「そうですね……日頃食べるらあめんを節制したせいでしょうか……」
P「なっ……男の俺でも引くぐらいの量を食べてたお前がそんな……!」
貴音「良いのです……それもこれもあなた様に戻って頂くため……」
パタン
P「貴音ぇぇぇぇ!」
貴音「あなた様……わたくしは良い子になれましたでしょうか……?」
P「貴音……! ああ! お前は良い子だ!」ギュッ
貴音「あなた様……」
P「だが貴音! 俺は元気にラーメンを食べるお前の方が好きだ! 周囲が距離を取るくらい食べるお前は輝いてる!」
貴音「らあめん……」
P「ああ……! 食べて良い! お前は食べて良いんだ!」
貴音「……」
スッ
P「貴音……!」
貴音「参りましょうあなた様……いざ、戦地(ロケ地)へ……!」
P「ああ!(スタッフさん、先に謝っておきます!)」
事務所
P(あの店大丈夫かなー)
ガチャ
雪歩「……」
P「お、雪歩おはよう」
P「あー、今まで連絡しなくてごめんな。別に辞めたわけじゃn
雪歩「お、おはようごじあます、だぜ!」
P「え」
P(おー、どんどん赤くなってる)
雪歩「わ、私についてこい、なんだじぇぇぇ……」
P(あー、どんどん小さくなってく)
P「まあその、うん、気持ちは伝わったよ」
雪歩「その、私がダメでグズだからプロデューサーが辞めちゃったと思って、思ってぇぇぇ……」グスン
P「うんうん、頑張った。良い子だ。うん」
P「うんうん」
雪歩「それでその、真ちゃんと相談して」
P「うんうん……ん?」
ガチャ
真「プロデューサー! キュルルン☆ 真ちゃん、ただいまプリティーに推参なりYOー!」
P「……」
雪歩「……」
真「……あっ」
真「……」
雪歩「真ちゃん、その、私は可愛いと思って」
P「雪歩、それはいけない」
事務所 夜
P(何もなかった、なかったんだ)
P(さて、今日は残すは……あ)
美希「ハニー……」
初日終了
美希「プロデューサーは気にしないでください! それじゃあお仕事行ってきます!」
P(なんかすっごい罪悪感。いや、俺が悪いんだけど)
ガチャ
やよい「……」
P「お、やよい早いな。おはよう」
スタスタ
P「ん? やよいどうしt
ペチン!
P(ファ!?)
やよい「もうっ! ろくに電話もよこさないでなにやってたの!」
P「え? え?」
やよい「ちゃんと話聞いてるの!? お姉ちゃん怒ってるんだよ!?」
小鳥(キタコレ……!)
やよい「お姉ちゃんどれだけ心配したかわかってるの!?」
P「す、すいません……」
やよい「……」ギュッ
P(えええ!?)
やよい「うん……ちゃんと謝るならお姉ちゃん許してあげる……プロデューサーは良い子だもんね」ヨシヨシ
P「……お姉ちゃん!」
小鳥「おさわりまんこっちです!」ピヨ!
P「え?」
やよい「ほら、伊織。出てきなさい」
カチャ…
伊織「あ……」モジモジ
P(誰!?)
伊織「お、お兄ちゃん……」
P(妹!)
伊織「うん……」オズオズ
P()
やよい「ほら」
伊織「あの……お、おかえりなさい。お兄ちゃん」
小鳥「っしゃぁぁぁぁぁぁ!!」
やよい「ほらプロデューサーも。伊織に言うことあるでしょ?」
P「あ、うん……ただいま」
伊織「あ……お兄ちゃん!」ギュッ
P(そっか! 僕にはお姉ちゃんと妹がいたんだ! 僕は生きて良いんだ!)
やよい「よしよし……プロデューサーも伊織も、どっちもお姉ちゃん大好きだからね」ヨシヨシ
車内
P(ふぅっ……まったく俺も良い年こいてなにやってたんだか……)
P(それにしても響のやつ、午後から仕事だってのに電話も出ないで)
P(確か、響の住んでるマンションはあそこの角を曲がって……)
響宅
ピンポーン
P「響ー? いるかー?」
P(出ないか……寝てんのか? って、あれ? 鍵開いてる……?)
P(……よし)
ガチャ
P「響ー? 入るぞー?」
ザー
P「響ー? いるのかー?」
ザー
P(さっきからこの音……シャワー?)
ザー
P「おーいっ、響ー?」
ザー
響「……ぞぉ……ないぞぉ……」
P「え?」
P「響……?」
響「うぅ……臭いが落ちない……落ちないぞぉ……」
P(……oh)
P「それで、朝からずっと体を洗ってたわけか」
響「う……仕方ないじゃないですか。自分は動物をたくさん飼ってるんですから」プイッ
P「ん?」
響「なっ……!? べ、別に私はほ、方言なんてしゃ、喋らないですぞ」
P「へ~」ニヤニヤ
P「はいはい」ナデナデ
響「うー!」
P(めっちゃ仕事遅刻だけどまあ、なんくるないさー)
P「それじゃ、頑張ってこいよ」
響「なんくるないさー!」ダッ
P(やっぱり響は今のままが一番だな)
律子「お疲れ様です。プロデューサー殿」
P「おう。そっちもおつかれ。じゃあ、響のこと頼むわ」
律子「はい。わかりました」
P「……そういえば律子はどこか良い子になるの?」
律子「はぁ?」
P「ん~? どうしたの~?」ニヤニヤ
律子「オホン! まあその、私も少しは素直な後輩を演じてみようかなとは思いましたが」
P「別にそんなことしなくて良いよ。いつもの律子が一番だ」
律子「……はぁ」
P「え!? ため息!?」
P「あの子たち?」
律子「なんでもありませんっ。ほら、あずささんをお迎え行ってください」
P「あ、ああ」
律子「あー、でも」
P「ん?」
律子「いつかは貴方を超えて見せます。それが私の良い子です」ニッコリ
P「……期待してるよ」
P(近くの喫茶店で拾う予定だから、まあ距離的にはここだろう)
ガチャ
あずさ「……」
P「(いたいた)あずささん、お待たせしm
あずさ「おっそいてのプロデューサー!」
P「え?」
P(えー……っつうか酒くさっ)
あずさ「もうアタイの時間はこれからだっていうのに? このボディ持て余しちゃう感じ?」
P「あ、はい」
P「ああ、まあ……あ、お水すいません」
あずさ「これからアタイのマジイケてるダンスナンバーで? ゴーゴー?」
P「ワケわかんないです」
バシャ!
あずさ「うぅ……すいません」
P「いやまあ、はい」
あずさ「最初はぁ、プロデューサーさんのママになって甘やかしちゃおうって思ったんですけど~」
P(そっちじゃなくて良かった、たぶん。おそらく。きっと)
あずさ「伊織ちゃんとやよいちゃんの見て、かぶっちゃったなぁ~って」
P「そういうの気にする人なんすね」
P「僕も安心しました」
あずさ「……ママ、する?」
P「続きはwebで!」
2日目終了
美希「まだ……まだ……」
美希「あの、はい。気にしてません! 頑張りますなの!」ダッ
P(アイツ、あんなキャラだったっけ?)
ガチャ
千早「……」
P「おう、久しぶり。千早」
P(さあ千早、お前はどうくる? もうあらかたネタは出尽くしたぞ!?)
千早「……ぷろでゅーさぁ……」ホロリ
P(あ)
フエーン
P「あーあー、よしよしごめんな。連絡もしないでなー。悪かったなー」
千早「うぅぅ……」
フエーン
千早「……だっこ」
P「よーしよーし」
千早「……なでて」
P「よーしよーしっ」
千早「……ぎゅぅ」
P「よーしよーし!」
千早「zzz」
P「ようやく泣き止んだと思ったら……小さい子供みたいだ」
小鳥「それだけプロデューサーさんを信頼してるってことですよ」
P「そうなんですかねえ」
小鳥「ええ」
P「で、良い話で終わらせようとしてますけど、ちゃんとこの騒動のオトシマエはつけさせて頂きますからね」ニッコリ
小鳥「やよいお姉ちゃんビデオですね」ニッコリ
P「さてと、そろそろ自分はあがります」
小鳥「お疲れ様です」
小鳥「……さっきの編集編集っと」
P「やれやれ……一週間いないだけでこれか」
P「でもまあ、アイドルたちの違う一面を見れて新鮮だったかな」
P「それに、良い子ってのにも色々あるんだな」
P「なあ、春香」
春香「そうかもしれませんね。あ、お洗濯もの、出しちゃってくださいね」
P「ああ」
おわれ
乙
一週間のアイドル ゆきまこ編
雪歩「きっと私がダメダメで(ry
真「だったら強くなれば良いんだよ! 雪歩! 僕も女の子っぽくなるからさ!」
雪歩「真ちゃん……うんっ」
真「それでこれなんてどうかな雪歩!? キュルルン☆」
雪歩「え、あ」
真「よーし、これでプロデューサーを全力ノックアウトだー!」オー
雪歩(ま、真ちゃんが幸せなら!)
一週間のアイドル やよいおり編
伊織「あのバカはこんな可愛い伊織ちゃんを放って辞めるなんて! 大罪だわ! 追放よ!」
やよい「伊織ちゃん、それってやっぱりいなくなる……」
伊織「と、とにかく! あのわからず屋を連れ戻す作戦を考えるわよ!」
やよい「うん!」
伊織「……それでやよい、ちょっと私に良い考えがあるの」
やよい「え?」
その時の伊織ちゃんの顔は、私に変なことをしようとする怖いおじさんの顔に似てました
おい
一週間のアイドル ひびたか編
貴音「らぁめん……らぁめん……」
響「自分は臭い……自分は臭い……」
小鳥(やっべ)
一週間のアイドル あずりつ編
あずさ「お忙しそうですねぇ~」
律子「そりゃもうっ、連絡もなしに突然ですからね。もうてんてこ舞いですよ」
あずさ「そうね~、ひどい人よね~。律子さんもそう思うでしょ~」
律子「……私は待ってます」
あずさ「ふふっ」
一週間のアイドル 千早編
千早「……」グスン
一週間”後”のアイドル 美希と亜美真美
美希「ミキ達は頑張ったの」
亜美「度重なる兄→チャンとの接触の末、ついに我々は手に入れたのだ」
真美「もうはるるん大勝利とは言わせない」
P宅の合鍵
三人「フフフフフフ」
乙っした
Entry ⇒ 2012.09.05 | Category ⇒ アイマスSS | Comments (1) | Trackbacks (0)
穏乃「一〇年前にタイムスリップしてしまった……」
穏乃「しかも微妙に部室が新しい。卓もたくさん置いてあるし……」
穏乃「どういう事……?」
穏乃「あ、麻雀の雑誌がある」パラパラ
穏乃「『熊倉トシ、またしてもタイトル防衛!』って、熊倉さん? この写真では随分若いけど……」
穏乃「あれ? この雑誌の日付……」
穏乃「一〇年前!?」
穏乃「和が聞いたら『そんなオカルトありえません』って言われるだろうけど……」
ガヤガヤ
穏乃「誰か来た……」
ドア「ガラ!」
晴絵「あれ? 誰かいる」
望「あ、ホントだ」
穏乃「赤土さん、望さん……」
穏乃(本当に一〇年前に来てしまったんだとしたら、二人共私と同い年、なんだよね……)
望「もしかして前に会った事ある?」
穏乃「前にといいますか、後にといいますか……」
晴絵「なに言ってるんだ?」
穏乃「気にしないでください、こちらの話しですから」
晴絵「そうなのか?」
望「それより、キミの名前は? 入部希望者?」
穏乃「私は……」
穏乃(あれ? そもそも素性を隠す必要あるの? むしろ事情を話した方がいいんじゃないか?)
穏乃(……いや、信じてもらえるワケないか。それにタイムパラドックスとかって話しも聞いた事あるし、黙っているが吉か)
望「キミ?」
穏乃「……和。私の名前は原村和です」
晴絵「よろしくな、和」
穏乃「はい」
望「それと、私らも一年だからタメ口でいいよ?」
穏乃「そう……なんだ」
穏乃(赤土さんと望さんにタメ口きくって、すごい違和感がある……)
穏乃「え? どういう事?」
望「今日は先輩達がいないの。見学に来てくれたのに、ゴメンね?」
穏乃(ああ、そういえばそういう設定だっけ……)
穏乃「それじゃあ今日のところは帰って、また今度出直す事にするよ」
晴絵「せっかく来たんだ、ちょっと打ってかないか?」
穏乃「残念だけど、このあと用事があるんだ」
望「そうなんだ。でも必ずまた来てね?」
穏乃「……それじゃあ、また」
晴絵「なあ、一つだけいいか?」
穏乃「なに?」
晴絵「裸ジャージはどうかと思うぞ?」
穏乃「放っておいて!」
穏乃「この時代で行くあてなんてないし……兎に角、元の時代に帰る方法を探さないと」
郁乃「あ、やっと見付けた~」
穏乃「え? 私ですか?」
郁乃「せやで~。困っとるやろ~思うてな~」
穏乃「なんでその事を……アナタは一体……」
郁乃「私は赤阪郁乃言うてな~、この阿知賀女子麻雀部の顧問をやっとるよ~」
穏乃「赤……阪さん?」
郁乃「よろしゅうな~、高鴨穏乃ちゃん?」
穏乃(この人、どうして私の名前を……それに見付けたって……。まさか……)
穏乃「……この状況について、説明してもらえませんか?」
郁乃「賢しい子やね~。嫌いやないよ~」
穏乃「私の質問に答えてください」
郁乃「でも、せっかちな子供は嫌いやで~?」
穏乃「話しをはぐらかす大人も嫌いです」
郁乃「恐い顔しないで~な~。立ち話もあれやし~、場所を変えよか~」
穏乃(掴みどころのない人だな……)
郁乃「一人暮らしやから遠慮せずにあがってな~」
穏乃「おじゃまします……」
穏乃(こんな大きな一軒家で一人暮らし?)
郁乃「まあ、すぐに二人暮らしになるけどな~」
穏乃「誰か引っ越してくるんですか?」
郁乃「アンタやで~、穏乃ちゃん」
穏乃「え? どういう意味ですか?」
郁乃「この時代で行くあてなんかないやろ~? せやからうちに住めばええよ~」
穏乃「……素性も知らない人の下に身を寄せろと?」
穏乃「それに私は身寄せできる場所よりも、元の時代に戻る方法が知りたいのですが」
郁乃「戻れない、って言うたらどないする~?」
郁乃「今のままでは、が付くけどな~」
穏乃「どういう意味ですか? いや、それ以前にアナタはなぜそんな事を知っているんですか?」
郁乃「私の事は取り合えず横に置いといて~」
郁乃「アンタ、どうしてこの時代に来たか覚えとる~?」
穏乃「覚えてるもなにも、私はただインハイの準決勝を戦っていただけで……」
郁乃「インハイの準決勝を戦っていたら一〇年前にタイムスリップしていた、という事は、またインハイの準決勝に行けばタイムスリップできるかも。そう思わん?」
穏乃「『インハイの準決勝』がタイムマシンになっているとでも言いたいんですか?」
郁乃「そんなワケないや~ん。そもそもアンタをこの時代に飛ばしたんは私やし~」
穏乃「……今なんと?」
穏乃「そんな! どうやって!?」
郁乃「私の能力みたいなものやよ~。まあ、いろいろと条件があるけど~」
穏乃「……つまり、『インハイの準決勝』がその条件、という事ですか?」
郁乃「察しがええなあ~。でもそれじゃあ半分やで~」
穏乃「半分?」
郁乃「『インハイの準決勝』は場所の条件。もう半分はタイムトラベルする人間の条件や~」
穏乃「……今のままでは、場所の条件を満たしても元の時代に戻れない?」
郁乃「その通りや~」
郁乃「アンタ、麻雀弱いやろ~?」
穏乃「……」
郁乃「あ、気ぃ悪くせんといてな~。あくまで、魔物クラスと比べたらの話しやで~?」
穏乃「いえ、私が弱いのは事実ですから……」
郁乃「も~、だから気ぃ悪くせんといてって言っとるや~ん。それに、強くなる為にこの時代に来たんやから~」
穏乃「強く? それがもう一つの条件ですか?」
郁乃「せやで~。私のタイムスリップが発動するのは『弱い人』が『負けられない戦いに挑む時』なんよ~」
穏乃「そして、『強くなってもう一度同じ舞台に立つ』。そうすれば、元の時代に戻れる……。そういう事ですね?」
郁乃「今度は満点正解やね~」
郁乃「そういう細かい事は心配無用やよ~」
穏乃「本当ですか?」
郁乃「この時代の私は阿知賀の教師やから、穏乃ちゃん一人ぐらいなら転校生としてねじ込めるで~」
穏乃「ねじ込むって言い方はどうかと思いますけど……そういう事でしたらお願いします」
郁乃「おまかせや~」
郁乃「名前がどうかした~?」
穏乃「この町には一〇年前の私かすでにいるんです。ですから、この時代では『原村和』と名乗っておきたいんです」
郁乃「判ったで~。それと、登校は明日からやからな~」
穏乃「そんなに早く転入の手続きなんてできるんですか?」
郁乃「善は急げやからな~」
郁乃「でも、一つだけええか~?」
穏乃「なんですか?」
郁乃「裸ジャージはどうかと思うわ~」
穏乃「放っておいてください!」
穏乃「初めまして。今日からこのクラスでお世話になる事になりました、原村和です。よろしくお願いします」ペコリン
穏乃(本当に翌日にねじ込むとは……。しかも赤阪さん、担任だし)
郁乃「それじゃあ和ちゃんは晴絵ちゃんの隣の席な~」
晴絵「まさか転入生だったとは、ビックリしたよ」
穏乃「赤土さん……」
晴絵「晴絵でいいよ、和」
穏乃「判ったよ、晴絵」
穏乃(正直違和感しかないけど……)
郁乃「というワケで~、新入部員の原村和ちゃんで~す」
穏乃「よろしくおねがいします」
晴絵「こちらこそ」
望「改めて、よろしくね」
穏乃「所信表明ですか?」
郁乃「まあ、目標でもええけど~」
穏乃「……目標は、インターハイ優勝です!」
部員全員「「「お~お」」」
晴絵「インハイ優勝とは、大きくでたな」
望「でも、奈良には三〇年間連続でインハイに出場している晩成高校がいるのよ?」
穏乃「だったらその晩成を倒せばいい、それだけだよ」
晴絵「へ~、言うじゃないか。気に入ったよ」
郁乃「ええ感じに志気が上がってきたな~。さあ、地区予選に向けて練習しよか~」
部員全員「「「はい!」」」
レジェンドがインハイ行ったのは1年の時
他のチームメイトは穏乃の発言から3年っぽい
おおそうだったか凄いなレジェンド
晴絵「和、デカイ口きくだけあってなかなか強いじゃないか」
穏乃「私なんてまだまだだよ。晴絵には勝ててないし」
望「晴絵はうちで一番強いからね、仕方ないよ」
穏乃「でも、今のままじゃインハイ優勝なんて夢のまた夢……」
望「本当に狙ってるんだ」
穏乃「私にはインハイに行かなきゃならない理由があるから……」
晴絵「理由?」
穏乃「……とある人と、インハイの決勝で会おうって約束したんだ」
晴絵「約束……か」
望「その人は和にとってどんな人なの?」
穏乃「……とても大切な友達、かな」
晴絵「そうか……。なら、絶対に行かなきゃな、インハイ」
穏乃「うん……必ず」
郁乃「の~ど~か~ちゃ~ん♪ 帰りましょ~♪」
穏乃「あ、はい」
望「なになに? どういう事?」
郁乃「和ちゃんと私は同棲しとるんよ~」
晴絵「マジで?」
穏乃「まあ、ね」
望「二人って親戚なの?」
郁乃「人類皆兄弟やで~」
晴絵「さすが先生! 心が広い!」
望「いいのかそんなんで!?」
穏乃「私は居座らせてもらってる立場だからなんとも……」
郁乃「細かい事は気にせんように~」ニッコリ
望「は、はい……」
郁乃「なあ~、穏乃ちゃ~ん?」
穏乃「なんですか?」
郁乃「お料理できる~?」
穏乃「できますよ。人並み程度になら、ですけど」
郁乃「よしよし、今日から穏乃ちゃんをお料理担当に任命しま~す♪」
穏乃「料理担当、ですか?」
郁乃「二人暮らしなんやから~、家事を分担した方がええやろ~?」
穏乃「ああ、そういう事ですか。だったら分担なんて言わずに、私に一任してもらえませんか?」
穏乃「私は居座らせてもらっている立場ですから、それぐらいはやらせてください」
郁乃「それは助かるけど~、全部押し付けるんは心苦しいなぁ~」
穏乃「なら、手の空いている時には手伝ってもらう、という事でどうでしょう?」
郁乃「了解やで~」
穏乃「それじゃあスーパーに買い物に行くので、さっそく手伝ってもらえますか?」
郁乃「おまかせあれや~」
穏乃「なにか夕飯のリクエストはありますか?」
郁乃「そ~やね~、フグ刺しがええ~な~」
穏乃「スーパーでフグなんて売ってるワケないでしょ」
郁乃「その言い方なら~、フグが売ってたらフグにしてくれるん~?」
穏乃「まあ、フグのさばき方ぐらいなら知ってますけど……」
郁乃「なんで!?」
穏乃「あ、新ジャガが売ってますね。今日は肉じゃがにしましょう」
郁乃「ねえなんで!?」
郁乃「ほえ~、穏乃ちゃんは手慣れてるんやね~」
穏乃「人並みですよ……って、摘み食いしないでください」
郁乃「味見や味見~。うん、おいしい~」
穏乃「お口に合ったのなら幸いですが、邪魔をするならテレビでも見て大人しく待っていてください」
穏乃「もう少しでできあがりますから」
郁乃「はいは~い」
穏乃「返事は一回ですよ」
郁乃「は~い」
穏乃「はい、できあがりましたよ」
郁乃「ありがと~な。う~ん、食欲をそそるいい匂いやね~」
郁乃「いただきま~す」
穏乃「どうぞ召し上がれ」
パクパク
郁乃「やっぱり穏乃ちゃんはええ腕しとるよ~。こりゃ将来はええお嫁さんになるな~」
穏乃「相手がいませんよ」
郁乃「そうな~ん? 穏乃ちゃんかわええから相手ぐらいおりそうやけど~」
穏乃「そういうのは私じゃなく、憧や玄さんでしょうね。それに、今はそれよりも重要な事がありますから」
郁乃「そういうもんなんか~?」
穏乃「そういうものです」
穏乃「お粗末様でした」
郁乃「なあ穏乃ちゃ~ん、お風呂入ろ~?」
穏乃「ダメですよ、食器の片付けがあります。先に入っちゃってください」
郁乃「え~、一緒に入りたいや~ん」
穏乃「そもそも、この家のお風呂じゃあ二人は入れないでしょう?」
郁乃「なら待ってるから松実館の温泉に行こうや~。あそこは温泉だけでもオーケーやったはずやし~」
穏乃「松実館……」
郁乃「……温泉関係なく、行ってみる?」
穏乃「そう……ですね……」
穏乃「宥さんと玄さんとはまだですけど、お二人のお母さんとは少し面識があるんです」
穏乃「……あと一年、だったかな」
郁乃「一年?」
穏乃「松実さん、亡くなられるんです」
郁乃「そう……なん……」
穏乃「でも、悲しい事ばかりでもないんです。別れがあれば出会いもある」
穏乃「玄さんと知り合ったのは、松実さんのお葬式の時でしたから」
郁乃「……松実さんが、二人を引き合わせてくれたんかね~」
穏乃「そう思っています」
穏乃「さて、洗い物も終わりましたし、行きましょうか」
郁乃「お~!」
郁乃「温泉貸してくださいな~」
松実母「いらっしゃいませ。温泉ですね? あちらの通路の奥にございますので、ご利用ください」
穏乃「……ありがとうございます」
穏乃(松実さん、まだ元気そうだ……)
松実母「あれ? 貴女……」
穏乃「……」
松実母「もしかして……穏乃ちゃん?」
穏乃「!?」
穏乃「……判るんですか?」
穏乃「高校一年です。……驚かないんですか? この時代の私は、まだ六歳なのに……」
松実母「長く生きていると、不思議な出来事にも出会うものよ。これぐらいじゃあ驚かないわ」
穏乃「はあ……」
松実母「納得できない? でも今、その不思議な出来事の中心にいるのは貴女なんじゃない?」
穏乃「それはそうなんですけど……どうしても釈然としません」
松実母「フフ、大人の余裕だと思って許してね?」
穏乃「……変わりませんね、松実さん」
松実母「そういう穏乃ちゃんは変わったわね。一〇年経っているだから当たり前だけど……」
松実母「取り合えず温泉入ってくれば? お友達も待ってるみたいだし」
穏乃「そうさせてもらいます」
松実母「それと、一つだけいいかしら?」
穏乃「なんですか?」
松実母「裸ジャージはどうかと思うわ」
穏乃「放っておいてください!」
郁乃「ああ~、ええお湯やね~」
穏乃「そうですね。ここの温泉はいつの時代でも変わらない……」
郁乃「それよりも、穏乃ちゃん」
穏乃「なんですか?」
郁乃「『原村和』を名乗るには、些か以上に貧相やないか? 胸が」
穏乃「あれとは比べないでください! それに和に比べれば赤阪さんだって貧相でしょう!」
郁乃「私は平均はあるからええんよ~」
穏乃「クッ!」
郁乃「温泉、楽しかったな~」
穏乃「……もうお嫁に行けない」
郁乃「そんな大げさな~」
穏乃「あの後松実さんまでやって来て……二人してあんな事を……」
郁乃「まあまあ~、本物の原村和に近づく為やと思うてあきらめ~や~」
穏乃「揉んで大きくなるなら今頃悩んでなんか……あ」
郁乃「へぇ~。試した事あるんや~?」
穏乃「うぅ……」
郁乃「別に引け目を感じる事はないや~ん。自分の身体にコンプレックスを抱えるのは至極当然の事や~」
郁乃「そういう涙ぐましい努力もな~」
穏乃「涙ぐましいとか言わないでください!」
郁乃「また手伝ってあげよか~?」
穏乃「結構です!」
郁乃「いきなり本題やね~」
穏乃「強くならないと……なにも始まりませんから」
郁乃「せやね~。でも、急いては事をし損じると言うで~」
穏乃「……私はインハイまでできる限りの努力をして来たつもりでした」
穏乃「でも、それじゃあ足りなかった。本当に強い人達の前ではどうしようもなかった……」
穏乃「だから、急ぎすぎるなんて事はないんです」
穏乃「ちょっと赤阪さん!」
郁乃「大丈夫~。明日はちゃんと修行に付き合ってあげるから~」
穏乃「本当ですか……」
郁乃「ホントやホント~。私はウソは吐かんよ~」
穏乃「でしょうね」
郁乃「判ってくれた~?」
穏乃「貴女はウソは吐かない。けどその代わり真実も話さない。そういう人ですもんね」
郁乃「よくご存じで~」
郁乃「それじゃあサプライズにならんや~ん」
穏乃「もうその反応がサプライズですよ」
郁乃「え~?」
穏乃「まあ、今日は色々あって疲れました。私ももう寝かせてもらいます」
郁乃「だったら~」ギュッ
穏乃「なんで急に抱きついてくるんですか?」
郁乃「判っとるクセに~」
穏乃「子供じゃないんですから一人で寝てください」
郁乃「でも穏乃ちゃんはまだ子供やろ~?」
穏乃「なら大人になる為にも、一人で寝る練習をしなくてはいけませんね」
郁乃「も~! 穏乃ちゃんのいけず~!」
郁乃「おはよ~……」ネムネム
穏乃「おはようございます、赤阪さん。もう少しで朝食できますからね」
郁乃「ありがと~……。穏乃ちゃんは早起きさんなんやね~」
穏乃「赤阪さんがお寝坊さんなだけです。結局、昨夜私の布団に忍び込んでくるからですよ」
郁乃「なら条件は穏乃ちゃんと一緒やないか~。どうして穏乃ちゃんだけ早く起きられるん~?」
穏乃「気の持ちようです。常に緊張感を持って生活していれば、寝坊なんかしませんよ」
郁乃「え~、穏乃ちゃんも寝坊してそうやのに~」
穏乃「べ、別にインハイ当日に寝坊しそうになったとかはありませんよ……」
郁乃「それはそれですごい事やな……」
郁乃「朝はアジの開きやね~、美味しそうや~。いただきま~す」
穏乃「はい、召し上がれ」
パクパク
郁乃「う~ん、やっぱ日本人の朝食はこうでないとな~」
穏乃「赤阪さんは、朝食は和食派なんですか?」
郁乃「別に和食やないとダメって事はないで~。パンがいいと思う日もあるしな~」
穏乃「それでは朝食はランダムでいいですね。前日に安かった物、という事で」
郁乃「穏乃ちゃんに任せるで~」
穏乃「はい、任されました」
郁乃「……」
穏乃「あれ? もしかして余計でしたか?」
郁乃「いや、そうやないんよ~。ただ、お弁当なんて学生の時以来やから、ちょっと感慨深くてな~……」
穏乃「喜んでい頂けたのなら幸いです」
郁乃「毎日作ってくれるん~? 大変やない~?」
穏乃「朝食を作るついでに作れますから、問題ありませんよ」
郁乃「穏乃ちゃん、ホンマに女子力高いな~。惚れてまうわ~」
穏乃「惚れる前に学校へ行く支度をしてください。ほら、髪の毛まだ跳ねてますよ」
郁乃「穏乃ちゃん髪とかして~」
穏乃「はぁ、判りましたよ」
郁乃「ありがとうなぁ~♪」
郁乃「さあ、出席確認するで~♪」
晴絵「先生、今朝はやけにご機嫌ですね。なにかいい事でもあったんですか?」
郁乃「まあ~ねえ~♪」
望「今日は髪がサラサラみたいですけど、それですか?」
郁乃「あ、判っちゃう~? 実は~、今日の髪は和ちゃんがセットしてくれたんよ~♪」
クラス全員「「「!?」」」
穏乃「あ、赤阪さん! 学校でそういう事を――」
クラス全員「「「キマシタワー!!!」」」
穏乃「!?」
穏乃「へ、変な誤解をしないように! 赤阪さんも学校でプライベートの話しをしないでください!!」
郁乃「え~、昨夜の話もしちゃいかんの~?」
穏乃「なんですか昨夜の話って!」
ざわ……ざわ……
キマシ……キマシ……
穏乃(クッ! 根の葉もないウワサでもこの人たちにはいい栄養という事か……)
穏乃「と、兎に角、HRを続けてください」
郁乃「……昨夜はあんなに愛し合ったのに」
穏乃「ちょ!?」
クラス全員「「「キマシツリー!!!」」」
穏乃「晴絵!?」
郁乃「昨夜、急に和ちゃんが私の布団に入り込んできて、嫌がる私を無理矢理……」
穏乃「それは赤阪さんでしょう! 住居費だからって……」
クラス全員「「「攻守逆!?」」」
穏乃「あ、いや……」
望「あれ? 今度は否定しないの?」
穏乃「そ、その……」
郁乃「ホントの事やもんね~」
穏乃「……はい」
クラス全員「「「すばらっ!!!」」」
郁乃「の~ど~か~ちゃ~ん♪ お昼にしましょう♪」
穏乃「悪いですけど、晴絵たちとの先約がありますから」
郁乃「え~」
望「いいじゃない、先生が一緒でも。ねえ、晴絵?」
晴絵「もちろん。先生にはいろいろと訊きたい事もあるし」
郁乃「ありがとうな~、二人とも~」
穏乃「……」
郁乃「なんや、穏乃ちゃんは私と一緒は嫌なんか?」
穏乃「べつにそういうワケじゃありませんけど……」
望「HRでの事をまだ気にしてるの?」
穏乃「……」
晴絵「なら、仲直りする為にも一緒に食べないとね」
穏乃「……」パクパク
郁乃「ねえ~、和ちゃ~ん。食べさせっこしよ~」
穏乃「お弁当の中身は同じなんですから意味ないでしょう」
郁乃「食べさせ合うからええんや~ん」
穏乃「そんな事言って、嫌いなものを私に食べさせようとしてるだけでしょう?」
郁乃「だ、だってピーマン苦いんだも~ん」
穏乃「ピーマンは栄養があるんです。ちゃんと食べてください」
郁乃「だって~」
穏乃「はぁ、しょうがないですね……。はい、あーんしてください」
郁乃「え……?」
穏乃「食べさせてあげます。ただし、赤阪さんの嫌いなものだけですけど」
郁乃「和ちゃん……」
穏乃「食べるんですか? 食べないんですか?」
郁乃「食べるに決まっとるや~ん!」パク
望「いいんじゃない? ラブラブな二人が見られたんだし」
晴絵「でも、見せつけられるだけっていうのもなぁ~」
望「ならこっちも見せつけてやる?」
晴絵「え?」
望「はい、あーん」
晴絵「あ、あーん……」パク
望「美味しい?」
晴絵「う、うん……」
望「よかった」
晴絵「……」カアァァ
穏乃「……熱いですね」
郁乃「……熱いな~」
穏乃「なんですか?」
郁乃「その~、HRではごめんな。私、舞い上がってしもうて……」
穏乃「……もういいですよ。べつに気にしてませんし」
郁乃「ホンマ~?」
穏乃「本当です」
郁乃「じゃあ今日も夜這いしてもええ?」
穏乃「ダメです!」
郁乃「やっぱりまだ怒ってるや~ん」
穏乃「当たり前です! 昨夜だって嫌だって言ってるのに結局最後まで……」
郁乃「だって和ちゃんがかわええからつい~」
穏乃「と、兎に角今日はなしですからね!」
郁乃「う~……」
望「聞かなかった事にしよう。教師と生徒の交際なんてなかった」
晴絵「い、いいのか?」
望「リークしてもいけど、麻雀部はなくなるよ?」
晴絵「よし、私はなにも見なかった、聞かなかった」
望「聞き分けがいいのは美徳だ」
晴絵「……アンタは一体なにキャラなの?」
望「気にしな~い気にしな~い」
晴絵「なんだかな~」
郁乃「さあ~て、部活を始めるで~♪」
部員全員「「「はい!」」」
穏乃「赤阪さん」
郁乃「なあ~に?」
穏乃「強くなる為のサプライズっていうのは、なんですか?」
郁乃「せっかちさんやね~」
穏乃「言ったハズです。急ぎすぎるという事はないと」
郁乃「家に帰ってからな~」
穏乃「……」
麻雀部員②「もちろんですわ。家に帰ってから……意味深ですわね」ヒソヒソ
麻雀部員③「いえいえ、むしろストレート過ぎますわ」ヒソヒソ
麻雀部員④「皆さん、少し興奮しすぎではありませんか?」ヒソヒソ
麻雀部員⑤「あら、ご自分が一番聞き耳を立てていたクセに」ヒソヒソ
麻雀部部員⑥「まあ、なんにしてもすばらですよ!」ヒソヒソ
穏乃「……部内にまで変なウワサが」
晴絵「事実だからしょうがない」
望「そうだね」
郁乃「そうやで~」
穏乃「……いいのかこれ?」
穏乃「本当に部活中はなにもないんですね……」
郁乃「特訓するんは穏乃ちゃんだけでええからな~」
穏乃「チーム全体の底上げをすればいいじゃないですか」
郁乃「それができれば一番なんやけど~、多分他の子には耐えられんと思うんよ~」
穏乃「耐えられない?」
郁乃「私が直々に相手してあげるからな~」
穏乃「……変な意味じゃないでしょうね?」
郁乃「信頼ないな~。それとも期待しとる~?」
穏乃「強くなれるならなんでもいいですけどね」
郁乃「なんでも~?」
穏乃「肉体関係はなしですよ」
郁乃「なら、今日の夕飯はハンバーグを所望します~!」
穏乃「なぜ夕飯の話になるんですか……。まあ、考える手間が省けていいですけど」
郁乃「わ~い♪」
郁乃「ごちそうさま~。穏乃ちゃんが作ってくれたハンバーグ、美味かったな~」
穏乃「お粗末様でした。よろこんでいただけたのならなによりです」
郁乃「空腹も満たしたし、練習と行こか~」
穏乃「ようやく本題ですね。なにをすればいいんですか?」
郁乃「私と二人打ちやで~」
穏乃「それだけですか?」
郁乃「打ってみれば判るで~」
穏乃「はあ……」
郁乃「ロン」
郁乃「ロン」
郁乃「ロン」
郁乃「ロン」
郁乃「ロン」
郁乃「ロン」
郁乃「ロン」
郁乃「ロン」
穏乃「勝てない……。全部振り込まされた……」レイプメ
郁乃「あ~、ちょっとやり過ぎちゃった~?」
穏乃「もう一回お願いします!」キラキラ
郁乃「そうこなくっちゃな~」
穏乃「そ、そうですね。それで、どうやったんですか? 私は最善と思う打ち方をしたハズですけど……」
郁乃「ホントにそう~?」
穏乃「え?」
郁乃「ホントに最善やったら振り込んどらんハズやろ~?」
穏乃「それは、そうですけど……」
郁乃「じゃあ最後のドラ切りはなんや~? 私はリーチかけてて、しかもしかもドラはスジやったろ~?」
穏乃「今までの赤阪さんの待ちはスジと見せかけて、こちらが逃げる手を狙われたので、突っ張ってみようと思って」
郁乃「でも結局当たり牌やったろ~?」
穏乃「う……」
郁乃「ちょっとイジワルやったかな~? つまり、穏乃ちゃんをそうやって打つように誘導したんよ」
穏乃「そ、そんな事ができるんですか!?」
郁乃「今やってみせたやろ~。まあ、そんな簡単にできる事やないけどな~」
穏乃「……一度も和了れなかった」レイプメ
郁乃「ゴメンな~。でも本気にさせる穏乃ちゃんが悪いんやで~?」
穏乃「……お風呂入って来ます」
郁乃「あ~、それなら松実館行こうや~。また一緒に入りたいし~」
穏乃「……」
郁乃「松実さんにも会えるで~?」
穏乃「……行きます」
郁乃「それはそれでなんか妬けるわ~」ボソ
穏乃「なにか言いましたか?」
郁乃「なんでもあらへんよ~」
郁乃「ふぅ~、やっぱり広い風呂はええな~」
穏乃「それで、さっきの特訓にはどんな意味があったんですか?」
郁乃「ん~? 意味~?」
穏乃「それを意識しながら打てば、効率も上がると思うんですけど」
郁乃「準決勝に行く頃には判るかもな~」
穏乃「なんですか、それは?」
郁乃「自分で考えなさいって事やで~」
穏乃「はあ……」
郁乃「それよりも~」ワキワキ
穏乃「ま、まさか……」
郁乃「昨日の続きや!」ガバッ
穏乃「いやー!」
穏乃「うぅ~……」
松実母「あら、また郁乃さんに変な事されたの?」
郁乃「私がいつも穏乃ちゃんに変な事しているみたいな言い方やめてくださいよ~」
松実母「違うの?」
郁乃「違いません!」
松実母「いい返事ね」
穏乃「そもそも変な事をしなければいいんですよ!」
郁乃&松実母「え~」
穏乃「『え~』じゃないでしょうが、もう!」
郁乃「なあ?、穏乃ちゃ?ん」
穏乃「今夜は絶対にダメですからね」
郁乃「穏乃ちゃんのドケチ?」
穏乃「赤阪さんが節操がないだけです」
郁乃「ぷーう」
穏乃「むくれて見せたってダメです。私はもう寝ますからね」
郁乃「せ、せやったらせめて同じ布団で寝んか?」
穏乃「……」
郁乃「ダメめ……?」ウルウル
穏乃「まあ、妥協点としは妥当なところですか」
郁乃「わ?い!」
穏乃(まったく、一緒に寝るかどうかでこんなに一喜一憂すてもらえるなら、安いものですよ)
郁乃「ん? なんや、人の顔ジィ?と見て。私の顔になんか付いとる??」
穏乃「いえ、なにも」
晴絵「な、なあ和、昨夜はなにかあったか?」
穏乃「開口一番なに言ってるのさ……」
望「昨日、和と先生の話聞いてからずっとこんな感じなんだよ」
穏乃(そう言えば赤土さんの浮いた話とか聞いた事なかったけど、まさか……)
晴絵「なあ、どうなんだ!?」
穏乃「昨夜はなにもなかったよ」
晴絵「本当か……?」
穏乃「本当だよ」
晴絵「なーんだ」
望「失礼でしょう」
穏乃「いいよ。晴絵がそういう人だって認識したから」
晴絵「ち、違う!?」
穏乃「いいんだよ、晴絵。晴絵だって年頃の女の子なんだから、そういう事に興味があってもおかしくないもんね」
晴絵「そ、そんな慈愛の眼差しをむけるなー!!」
郁乃「さあ~、今日も始めるで~」
部員全員「「「はい!!!」」」
晴絵「あれ? 和、打ち方ちょっと変じゃない?」
穏乃「そ、そう?」
晴絵「うん。なんか昨日と打ち方が違う。昨日はもうちょっと突っ張ってたと思うけど……」
穏乃「わ、私だって降りる時には降りるよ?」
晴絵「まあ、そうかも知れないけど……」
穏乃(昨日の赤阪さんとの修行でひよってるなんて言えない……)
穏乃「な、なんでそう思うの?」
望「だって、部活が始まったら急に表情が固くなったし」
穏乃(うぅ……。望さん、この頃から人の気持ちに敏感だなぁ)
穏乃(昔憧とケンカした時も、なにも言ってないのに望さんがいち早く察知してくれて、アドバイスしてくれたし)
望「ねえ、どうなの?」
穏乃「本当になんでもないよ」
望「そう? ならいいんだけど、悩みがあったら言ってね? 微力ながら力になるわよ?」
穏乃「なにかあったら相談する事にするよ。ありがとう」
穏乃(……なんだか、こういうのもいいなぁ)
郁乃「穏乃ちゃ~ん、今日の部活はどうやった~?」
穏乃「昨日と特に違いはありませんでしたけど……って、赤阪さんもいたじゃないですか」
郁乃「そうやのうて~、麻雀の方や~」
穏乃「麻雀、ですか?」
郁乃「昨日と打ち方変わったんやない~」
穏乃「う……。さすがに鋭いですね」
郁乃「これでもアンタの師匠やからね~。それで、どうやった~?」
穏乃「……ひよっていつも通りの打ち方ができませんでした」
郁乃「さよか~。やっぱり穏乃ちゃんは私の見込み通りの子やね~」
郁乃「そんな事ないよ~。普通の子はね、昨夜みたいな打ち方されたら牌すら触りたくなくなるんよ~」
穏乃「昨日言っていた『耐えられない』って、そういう意味だったんですか……」
郁乃「せやで~。でも、穏乃ちゃんは大丈夫みたいやし、問題あらへんな~」
穏乃「あの修行を続けるって事ですか?」
郁乃「その通りやで~。その内成果が出てくると思うしな~」
穏乃「まあ、私に選択肢はないワケですが……」
郁乃「私を信じてや~」
穏乃「その一言で信頼しきれなくなりました」
郁乃「なんで!?」
穏乃「ロン」
望「あちゃ~、また和にやられちゃったか~」
晴絵「最近調子がいいな、和」
晴絵「突っ張ってるのになかなか振り込まないし、降りる時はキレイに降りるし」
望「なんか吹っ切れたって感じよね~」
穏乃「まあね」
穏乃(ようやく修行の成果が出て来たってとこかな)
望「ねえ、なにか秘訣でもあるの?」
穏乃「なにもないよ。でも、強いて言うなら努力かな」
晴絵「は! 言うようになったじゃないか!」
穏乃「お陰様で、ね」
郁乃「穏乃ちゃん、最近調子ええらしいな~」
穏乃「ええ、まあ。修行の成果ですかね」
郁乃「なにか判ってきたんか~?」
穏乃「少し……牌の声が聞こえるようになりました」
郁乃「お~、穏乃ちゃんは私の見込み以上かも知れんね~。もう牌の声が判るようになったか~」
穏乃「まだノイズってレベルですし、赤阪さん相手だとまるで聞こえなくなっちゃいますけど」
郁乃「十分や~。続けていればもっとよく聞こえるようになるハズやで~」
穏乃「それでも赤阪さんに勝てる気がしませんよ」
郁乃「師匠に勝とうなんて一〇年早いで~」
晴絵「つ、ついにこの日が来たな……」
望「晴絵、もしかして緊張してるの?」
晴絵「わ、私だって緊張ぐらいするさ。そういう望はどうなんだよ」
望「……実はガクガクです」
穏乃「ふふ」
晴絵「な、なに笑ってるんだよ、和」
穏乃「緊張してる二人、かわいいなぁ~って思っただけだよ」
望「なによー、和は緊張してないって言うの?」
穏乃「二人よりは、ね」
晴絵「和のクセに~!」
穏乃「悔しかったら緊張を解す事だね」
晴絵「わ、判ってるよ」
晴絵「一回戦からいきなり晩成と……」
穏乃「関係ないよ。勝ち続ければいつかは当たるんだから。それが少し早まっただけ」
望「そうだけど……」
郁乃「和ちゃんの言う通りやで~」
晴絵「先生……」
郁乃「大丈夫や。今のアンタらなら晩成にだって勝てる」
望「だけど、晩成はこの三〇年間一回もインハイ出場を逃してないんですよ? そんな強豪校に……」
穏乃「だったら、私たちがその『一回』をつくればいいんだよ」
晴絵「……そう、だよね。うん、そうだ!」
望「晴絵?」
晴絵「燃えてきたッ!」
望「単純だなぁ」
郁乃「うんうん。それでこそやで~」
先鋒:赤土晴絵
次鋒:モブ①
中堅:新子望
副将:モブ②
大将:原村和(高鴨穏乃)
~地区予選 一回戦 先鋒戦~
晩成先鋒「キングの闘牌はエンターテイメントなければならない! リーチ!」
晴絵「ロン!」
晩成先鋒「待って!!」
~地区予選 一回戦 中堅戦~
望「ポン!」
晩成中堅「三副露晒して満貫まであるじゃねえか! インチキ麻雀もいい加減にしやがれ!」
望「ツモ!」
~地区大会 一回戦 大将戦~
穏乃「ロン!」
晩成大将「こちらの待ちをキレイに躱して七対子? おい、普通の麻雀しろよ」
穏乃「やったね」
郁乃「なんや~、一番意欲のあった和ちゃんが一番反応が薄いな~」
穏乃「喜んではいますよ。でもインハイ決勝までの道のりは遠い。まだまだ気を抜けませんからね」
郁乃「和ちゃんは真面目さんやね~」
穏乃「浮かれて勝てるのなら、いくらでも浮かれますよ」
晴絵&望「……ゴメンナサイ」
穏乃「あ、いや、喜ぶ事がいけないって事じゃないよ?」
郁乃「真面目さんは空気が読めなくていかんな~」
穏乃「う……。と、兎に角勝てばいいんですよ!」
郁乃「そういう言い方もどうかと思うけどな~」
穏乃「うぅ……」
晴絵&望「優勝したぞー!!」
穏乃「インハイ出場だね」
郁乃「やっぱりあんまり喜んでないな~」
穏乃「喜んでますって。ただ、緊張が解けて安堵してるだけです」
郁乃「さよか~?」
穏乃「それよりも祝賀会の話を」
郁乃「あ~、そやったね~」
晴絵「祝賀会あるんですか!?」
郁乃「当たり前や~ん。みんな、このあと時間あるよな~」
望「ありますけど、一応両親に連絡を入れとかないと……」
郁乃「それならもうしておいたで~。というかみんなに拒否権はないで~」
望「さすがというか、横暴というか……」
晴絵「それで、どこでやるんですか?」
郁乃「松実館やで~」
郁乃「お邪魔します~」
松実母「いらっしゃいませ……ううん、お帰りなさい、かしら」
穏乃「宣言通り、インハイの出場権を持って帰って来ましたよ」
松実母「テレビで見てたわ。さすがね、穏乃ちゃん」
望「穏乃?」
穏乃「み、みんなの前では『和』って呼んでくださいって言ったでしょう!」ヒソヒソ
松実母「あ、そうだったわね、和ちゃん」
望「ねえ、今聞き覚えのある名前が聞こえたんだけど」
穏乃「き、気のせいじゃない?」
望「そういえば、最初に会った時も思ったけど、和って誰かに似てる気がするんだよね……」
望「具体的に言えばそう……穏乃に」
穏乃「穏乃って?」
望「前に話した事あるでしょう? 私の妹の友達」
穏乃「そうなんだ。それで、その子と私が似てるの?」
望「似てるって言っても、雰囲気、というか、感覚がっていうか……すごく曖昧な部分で、っていう話なんだけど」
穏乃「そういう人っているよね。ぱっと見の印象が他の人と被る人」
望「うん、まあね」
穏乃(こういう時はヘタに否定しないが吉)
郁乃「もうバラしてもいいんちゃうの~、穏乃ちゃん」
穏乃「な!?」
望「やっぱり穏乃、だよね」
郁乃「そうやで~。実はこの穏乃ちゃんは一〇年後の未来から来たんや~」
晴絵「へぇ~」
穏乃「……反応それだけ?」
望「先生は変な事は言うけど、決してウソは言わないからね。少なくともウソだとは思ってないよ」
望「それに、和……ううん、穏乃の言動も少しこの時代とはずれていたしね」
穏乃「でも、証拠もないのに……」
晴絵「お前のその反応が証拠みたいなものじゃないか」
穏乃「……」
晴絵「なあ、一つ訊いていいか?」
穏乃「なに……?」
晴絵「一〇年後では裸ジャージが流行ってるのか?」
穏乃「マイノリティだよ!」
晴絵「ふ~ん、だからインハイ出場を目指してたんだ」
穏乃「ゴメン……」
望「なんで謝るの?」
穏乃「……みんなに、ウソ吐いていたから」
晴絵「でも大切な人との約束は本当なんでしょう?」
穏乃「うん……」
望「なら、頑張らないとね」
穏乃「……ありがとう」
郁乃「うんうん。謝るぐらいなら感謝した方がえええで~」
穏乃「誰のせいでこうなったと思ってるんですか……」
郁乃「悪い事ばかりやなかったろ~?」
穏乃「それはそうですけど……。赤阪さんに言われるとどうも釈然としません」
晴絵「……ついに来たね、インターハイ」
望「穏乃は二回目?」
穏乃「うん……」
郁乃「今回はどんな気持ち~?」
穏乃「……前回よりは緊張してない、ですかね」
郁乃「勝てそう~?」
穏乃「そればっかりは実際に対局してみないと……」
晴絵「なんだよ。『勝ちます』ぐらい言ってみろよ」
穏乃「……」
望「ひよってる?」
穏乃「……かもね。でも、私は勝たなくちゃいけないから……」
郁乃「『私たちは』やろ~?」
穏乃「……はい」
晴絵(これが最強との呼び声高い土浦女子の先鋒……小鍛治健夜)
晴絵(気弱そうな顔をして、その実恐ろしい麻雀を打つ……)
晴絵(そういえば穏乃が言っていたな)
晴絵「……アラサーだって」ボソ
健夜「ティーンだよ!」トン
晴絵「あ、それロン」
健夜「へ?」
晴絵「跳満、12000」
健夜「……許さない」ゴゴゴゴゴ
晴絵「!?」ビクッ
穏乃「……伝説はこうやって作られたのか」
望「伝説って?」
穏乃「ああ!」
望「え?」
郁乃「未来ジョークやね~」
晴絵「ゴメン……」
望「あんな麻雀されたんじゃ仕方ないよ」
晴絵「でも……」
穏乃「大丈夫。後ろには私たちがいるから」
望「そうだよ。なんの為のチームメイトさ」
晴絵「二人共……ありがとう」
郁乃(でも、穏乃ちゃんは大将戦が始まったらもう……)
穏乃「さて、私の出番だね」
晴絵「……行くのか?」
穏乃「うん」
望「また会える?」
穏乃「うまく行けば一〇年後に、ね」
晴絵「そうか……長いな」
穏乃「気長に待っててよ。必ず、また会えるから」
望「うん、待ってるよ」
郁乃「うん?」
穏乃「今まで、お世話になりました。この四ヶ月弱、いらいろありましたけど、楽しかったです」
郁乃「それはお互い様や~。私も穏乃ちゃんと一緒で楽しかったで~」
穏乃「……」
郁乃「……」
穏乃「……行ってきます」
郁乃「行ってらっしゃい」
穏乃「ん? ……戻ってきた?」
晴絵「どうしたシズ? こんな大切な時にボーッとして」
穏乃「……晴絵?」
晴絵「え?」
穏乃「あ、ごめんなさい。なんでもないです。次、大将戦ですよね」
晴絵「穏乃……?」
穏乃「……うん」
晴絵「……本当に一〇年なんだな」
穏乃「待った?」
晴絵「きっかり一〇年待たせてもらったよ」
穏乃「……ゴメン」
穏乃「うん。必ず勝ってくるよ」
晴絵「よし、なら行ってこい。そして試合が終わったら赤阪先生のところに挨拶に行けよ」
穏乃「赤阪さん、来てるの?」
晴絵「姫松の監督代行をやってる。姫松も明日準決勝だよ」
穏乃「なら、吉報を持って行かないとね!」
憧&灼「なに、あの二人の空気感は!?」
恭子「代行、お客さんです」
郁乃「お客さん?」
恭子「どうぞ」
穏乃「失礼します」
郁乃「……穏乃ちゃん」
穏乃「お久しぶりです……と言っても私としてはたかだか数時間ぶりの再会ですけど」
郁乃「感動の再会にそういう事を言うのはなしやで~」
穏乃「そうですよね……」
郁乃「……」
穏乃「……」
郁乃「……おかえり、穏乃ちゃん」
穏乃「はい、ただいまもどりました」
穏乃「情報が早いですね。ビックリさせようと思ったんですけど」
郁乃「うちと当たるかも知れない相手やからな~。情報はちゃんとチェックしとるよ~?」
穏乃「光栄ですね」
郁乃「ちょ~っと寂しい気もするけどな~……」
郁乃「せや、紹介しとこか~。末原ちゃん、この子は高鴨穏乃ちゃん。阿知賀の大将をしとる子やで~」
恭子「末原恭子です。私も姫松の大将をしとります」
郁乃「穏乃ちゃんはね~、末原ちゃんの兄弟子に当たる子なんやで~」
穏乃「そうなんですか……」
恭子「兄弟子?」
郁乃「その内判るで~」
恭子「はぁ……」
郁乃「なんや、もう帰るんか~? 明日は試合ないんやろ~? ゆっくりしていけばええや~ん」
穏乃「明日はそっちの試合があるでしょう? それに他校の私がいたらマズイですし」
郁乃「私はべつに構へんで~? それに、一〇年ぶりの穏乃ちゃんを感じたいし、な?」
穏乃「浮気はよくないですよ。今は末原さんがいるんでしょう?」
郁乃「私はこの一〇年、穏乃ちゃん一筋やで?」
穏乃「え……?」
郁乃「穏乃ちゃん」ギュッ
穏乃「あ……」
郁乃「今日、泊っていってくれるやろ?」
穏乃「……はい」
カン!
いや、ウソです。
でも、一〇年前とういう設定だからこそできるネタとかはあると思うんです。
このSSではあまりそういう設定は生かせてませんでしたけど。
ちなみにオレの中で代行は、妖怪のような設定になってます。
最後の方はグダグダになってしまいましたが、こんなSSに長らくお付き合いいただき、本当にすばらでした!
シズも代行もかわいいよ
みごとにすばらでした
Entry ⇒ 2012.09.04 | Category ⇒ 咲-Saki-SS | Comments (0) | Trackbacks (0)
P「こら貴音!どうしてすぐ俺をアブダクトしようとするんだ!」
P「入れたら拉致るだろお前」
貴音「そのようなことはありません。あなた様の合意のもと、共について来て頂きたいのです」
P「じゃあ合意しない。この話終わりな」
貴音「あなた様、外に船を待たせています。早く参りましょう」
P「貴音ってたまに俺の話聞いてくれないよね」
貴音「誰も居ない惑星を見つけたのです。そこで2人きりで支えあって生きていこうかと」
P「ごめん意味がよくわからない」
貴音「ふふふ、あなた様はいけずですね。女性にここまで言わせるものではありません」ガチャガチャ
P「壊れるからドアガチャガチャしないで」
貴音「今は仕方ありません。しかし、これからは2人きり…」
P「みんなに支えられ、時に助け、俺たちは生かされているんだ」
貴音「最初は寂しいかも知れません、ですがすぐに慌ただしくなることでしょう」
P「貴音、人という字はどうやって出来ているか知っているか?」
貴音「3人目が増えるでしょうから…ふふふ、照れてしまいます」
P「俺の話聞いて」
貴音「はて、何か問題が?」
P「俺は貴音に釣り合うようなやつじゃない」
貴音「そんなことはありません、さあ行きましょうあなた様あなた様」カリカリ
P「やめてドアひっかかないで怖いから」
貴音「共に新しい世界へ」
P「なんだい貴音?」
貴音「あなた様はやや子が生まれたら大層可愛がることでしょう」
P「もちろんだとも」
貴音「ふふふ、かあさまは少し妬いてしまいそうです」
P「貴音、妄想の中の息子と戯れるのやめよう」
P「貴音くらい綺麗だったらすぐ相手ができるさ」
貴音「あなた様と私のやや子に」
P「あー、一気にハードル上がった」
貴音「待ちきれなくなって参りました。早く参りましょう」
P「お断りします」
貴音「2人の幸福な家庭をでしょうか?」
P「いやそれは妄想だからちょっと置いといて」
貴音「はい」
P「もしだよ?俺が貴音と誰もいない星に行ったとするじゃん?」
貴音「ええ、とても素敵ですね」
P「そこで子供できたとするよ?」
貴音「2人の愛の結晶…ですね」
貴音「まあ、なんということでしょう」
P「その上俺たちが居なくなったらだぁれも居ない星にひとりぼっちだ」
貴音「何と…悲しいことでしょう…」
P「だろう?俺たちのわがままで生まれてきたその子が可哀想だ」
貴音「わかりましたあなた様」
P「そうだろうそうだろう」
貴音「目先の幸福に捕らわれ、私たちの子を蔑ろにするなど母親失格」
P「できてもいないのにもう母親のつもりなのか」
貴音「あなた様」
P「ああ、貴音…わかってくれたか」
貴音「あの星が私たちの子で埋まるほどやや子を作りましょう!」
P「」
P「なんにもわかってなかった」
貴音「私はかあさまとして頑張らなければいけませんね」
P「ああ、是非頑張って外のUFOを持ち帰ってくれ」
貴音「こうしては居られません、時間は有限ですあなた様」ガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャ
P「やめてやめて怖い怖い」
貴音「やや子作りの準備のことでしょうか…?」
P「いやそんな熱っぽい目で見るな、違う」
貴音「はて、ではなんでしょう?」
P「その星はどんな星か詳しくわかっているのか?危険かも知れないだろう」
貴音「私を信じてくださいあなた様。あなた様を危険な場所に連れて行くはずがありません」
P「もうどうすれば諦めてくれんの」
P「実は俺好きな人が」
貴音「……」
P「ごめんなさいウソです。だからハイライトさん戻ってきてください」
貴音「あなた様、あまり悪ふざけされると困ってしまいます」
P「なら帰ろう、そうしよう」
貴音「とても寂しいですね…」
P「だろう?だから考え直そう、ユニットのみんなも悲しむぞ」
貴音「2人には伝えてあります」
P「oh…」
貴音「2人とも悲しんでおりましたが、最後にはお土産宜しくと言ってくれました」
P「絶対信じてねえよそれ」
P「うん?」
貴音「この住処は二度と帰らぬこの星のもの」
P「なんで行く前提になってるんですかね」
貴音「であればこの扉も今日限り二度と使わないもの…」
P「雲行きが怪しくなってきたなぁ」
貴音「この扉がなくなっても困りませんね」
P「やめてどうやってんのか知りたくもないけどドアの蝶番焼き切るのやめて」
P「ああ、入って来ちゃったよ宇宙の使者が」
貴音「さあ参りましょう」
P「いやです」
貴音「わがままはいけませんよ?」
P「俺がわがまま言ってることになってるんですが」
貴音「起きましたかあなた様?」
P「もしかして船の中?」
貴音「はい、もちろんそうですが?」
P「ああさらば地球」
貴音「星に着くまでまだかかりますので少し腰を落ち着けましょう」
貴音「はいあなた様」
P「帰りたい」
貴音「今からですか?」
P「ああ、みんなと別れたくないよ。俺は貴音みたいに割り切れない」
貴音「それは無理ですあなた様」
P「無理を承知で言ってるんだ。俺を地球に帰してくれ」
P「貴音はやればできる子だなぁ」
貴音「着いたら起こしますのでそちらの布団でお休みください」
P「ああ、じゃあすまんが寝るよ」
貴音「お休みなさいあなた様」
P「お休み」
P「おや着いたのか?」
貴音「はい、地球に戻って参りました」
P「良かった良かった」
P「やれやれとんだ宇宙旅行だったな。帰って寝直そう」
P「あ、でもせっかくの宇宙旅行なんだから外の景色よく見とくんだったな」
貴音「あなた様の望み通り、地球ですよ」
P「なんで誰もいないんだ…」
貴音「もうここに人類は居ないからでしょう」
P「俺はどれだけ寝てた?」
貴音「地球の時間で行きで千年、帰りで千年ほど」
P「冗談だろ?ここエジプトとかの砂漠かなんかだろ?」
貴音「いえ、俗に言うこーるどすりーぷをして頂いていたので」
貴音「今居る位地は事務所の前になりますね」
P「」
貴音「あなた様あなた様」
P「」
貴音「はて、どうしてしまったのでしょうか」
貴音「いずれにせよこの星には私たち2人きり…」
貴音「素敵な家庭を築いて参りましょうね?あなた様」
P「あれ?ここどこだ?」
貴音「随分うなされておりましたが大丈夫ですか?」
P「ああ、なんかすごい怖い夢だったわ」
春香「おはようございまーす…わわっ」
やよい「大丈夫ですかー!?」
真「春香はドジだなぁ」
春香「あ、あはは」
P「良かった、全部いつも通りだ…」
P「みんなおはよう!今日も頑張っていこう!!」
貴音「ふふふ、あなた様…涎が垂れていますよ?」ふきふき
春香「なんだか今日は元気いいねー」
やよい「いいことあったのかなぁ」
真「きっとそうだよ、朝から熱々だったし」
雪歩「えへへやっぱりお似合いだね」
千早「ええ、本当に」
真美「うんうんホント」
「パパとママはラブラブだね」
乙
Entry ⇒ 2012.09.04 | Category ⇒ アイマスSS | Comments (5) | Trackbacks (0)