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男「最近友の様子がおかしい」 幼「事件だね」
幼「いいや事件だよ。どう考えてもここ二日ばかり彼の様子はおかしい」
男「確かにそうだけどさ。なんかあったんじゃねえのか?彼女が出来たとか」
幼「彼の性格上、もしそうなら言いふらすような気がするけど」
男「・・・確かに」
幼「はっきりいってしまえば、僕には二日前の彼がまるで別人に思えるんだよ」
男「さすがにそこまでじゃねえけど・・・」
幼「二日前に何か心当たりは?」
男「ええと・・・」
友「男ー、帰ろうぜ」
男「お前部活は?」
友「あー、あんなもんもういいんだよ、女の子みんな彼氏もちだったからな」
男「そういう目当てだったか」
友「当たり前だろ。高校生なんだからよ」
男「高校生の価値観がすさまじいな」
友「いいから行くぞ。CD屋に付き合えよ」
男「はぁ・・・。仕方ない、行くか」
友「幼は?」
幼「僕は部活に行くよ。また明日ね」
男「ああ。じゃあな」
友「でな、軽音部の女連中、みんな彼氏いるでやんの。エレキ担当の子なんて彼氏DQNだぜ?」
男「その話ばっかりだな。他に話題ないのかよ」
友「ないね!」
男「男らしくていいんだかなんなんだか」
友「他の話題ね。最近の政治についてでも話すか?」
男「お前が話せないのは知ってるぞ」
友「ばれたか」
男「なんだそりゃ。失踪ってことか?」
友「やっぱ知らないか。失踪の場合もあるんだけど、なんかさ、突然働き出した連中が多いらしいぜ」
男「・・・?どういうことだ?」
友「そのまんまさ。市の政策だかがうまくいったってことじゃねえの?」
男「どこからそんな話を」
友「ベースの子の親がそういう役員らしくてさ。その子がドラムだかに話してるのを聴いた」
男「ふーん。まあいいことなんじゃねえの、それ」
男「いい時期になったからそろそろ働くか、てことじゃねえの。そろそろ夏だし」
友「夏場なんて汗だくになるじゃんか」
男「知らないよ、俺ホームレスじゃねえし」
友「そりゃそうだ。でも確か、幼も似たようなこといって多様な気がするんだけど」
男「幼が?一気に信憑性が増したな」
友「てめえ」
男「お前も少しは改心して、真面目に学業に励んだらどうだよ」
友「彼女が出来たらな」
男「一生無いな」
友「てめえは俺を怒らせた」
友「今日は何も掘り出しモンなかったな」
男「CD聴かないからわかんねえ」
友「いいぞCDは。特に洋楽。だまされたと思って聴いてみろよ、マイケルとかスティービーとか」
男「遠慮するよ。英語はさっぱりわかんない」
友「俺だってわかんねえよ。ああいうのは魂で感じるものなんだぜ」
男「尚の事分からない」
友「寂しい人生だな。まあいいや、じゃあ俺こっちだから」
男「ああ。また明日な」
・・・
幼「それがあの日の放課後」
男「ああ。で次の日からあんな具合さ」
男「おはよう」
幼「ああ。昨日はCD屋に行ったのかい」
男「あぁ。友の探してるものはなかったみたいだけど」
幼「洋楽を取り扱っている店が少ないからね。関東に出れば違うのかもしれないけど」
男「どうなんだろうな。お、噂をすれば」
友「・・・」
男「よお、ちゃんと宿題やってきたか?」
幼「今のうちにいっておくけど、見せないからね」
男「そ、それは俺が困る」
友「・・・俺のでよければ、見るか?」
男「・・・は?」
男「あ、ありがたいけど。お前やってきたのか?」
友「?そうだが」
幼「へえ・・・。珍しいね、キミが宿題をやってくるなんて」
友「そうだったか?」
男「何はともあれ、見せてくれ」
友「ああ。ほら」スッ
男「助かるぜ。ええと、第一問・・・」
幼(・・・全問当たってる・・・?)
男「しかしどういう風の吹き回しだ?昨日CD見つからなかったから自棄になったか?」
友「え?ああ、そうだな。やっぱり最近はAKB48とか嵐とか、人気だからな」
男「お、お前にそういう趣味があったとは。流行に乗ったのか?」
幼「洋楽は飽きたのかい?」
友「え?ああ、いや。流行に乗るのも必要かと思ってな」
男「さて、帰ろうかなと。友、お前今日は駅前行くのか?」
友「ああ、すまんな。これから部活に行かないとならん」
男「部活って、軽音部か?」
友「そうだ」
男「昨日もういい、みたいなこと、いってなかったかよ。それとも略奪に目覚めたか」
友「え?ああ、そうだったかな。とりあえず時間だから行くわ」
男「ああ」
幼「・・・」
男「で、今日も相変わらずあんな感じで、一人で席に座ってる」
幼「ボーっとして、考え事しているようにも見えるけど」
男「やっぱり様子が変だよな」
幼「うん。恋わずらいにしては重症だね」
男「となると、他に原因が?」
幼「さあ、どうだろうか。僕にも見当がつかないよ」
男「話だけでも聴いてみるか・・・。おい友、」
友「・・・なに」
男「どうかしたのか。ここ数日、変だぞお前」
友「変?」
男「ああ」
友「・・・」
男「え?」
友「どこら辺がおかしいと思う?」
男「どこって、お前らしくないって言うか」
友「だから、それってどういうことだ」
男「何かあったのかと思ったんだけど・・・」
友「どこだ、どこがおかしい?」
男「そ、そんな剣幕でいわれても。何怒ってんだよ」
友「あ、ああいや、・・・怒っているんじゃない」
幼(やっぱ変だ)
友「幼が・・・?」
男「ああ。お前の様子がおかしいからってさ」
友「・・・」ジーッ
幼(な、なんだ。僕の顔に何か付いてるか・・・?)
友「・・・そうか。気のせいだよ」
男「気のせいって」
友「すぐに慣れる。気にすんな」
男「・・・どう思う」
幼「どうっていわれても。中二病にしては時期が遅すぎる」
男「てことは、やっぱり何かあった、のか・・・」
友「じゃ、俺部活行くわ」
男「ああ。じゃあな」
幼「悩み事を抱えているなら、男に言わないのは妙な話だよ」
男「そうかな」
幼「そうさ。僕にいうことは無くとも、男に相談しないのは妙だ」
男「二人だけでゆっくり話してみたほうがいいと思うか?」
幼「名案だね。明日の昼食は二人で食べたらいい」
男「男同士の話ってやつか」
幼「じゃ、僕も部活に行くよ」
男「ああ、またな」
女「じゃあやっぱり?」
眼鏡「あなたのいうのは極端ですけど、それがあったのは事実です。部の活動記録にも、市の発表にもありましたし」
女「・・・わかった。ありがとう」
男(あれって、四組の女さん、だったかな。相変わらず美人だな)
女「・・・」テクテクテク・・・
男(・・・今日の晩飯なんだろ)
男「おはよう」
幼「ん?ああ、キミか」
男「友は、まだか」
幼「・・・」
男「昨日言ってたとおり、昼飯は二人で食うことにするわ。何か抱えてるのかもしれないし」
幼「ああ、その話か。わた・・・僕も少し考えてみたんだが、気のせいなんじゃないかな」
男「・・・え?」
幼「元々彼は無理にああいうキャラだったと考えれば不思議は無い。それに、人に悩みの一つや二つあってしかるべきさ」
男「そ、そりゃそうだけど」
幼「なに、すぐに慣れるよ。気にしないほうがいい」
男(・・・?)
男「あ、友・・・。おはよう」
友「・・・ああ」
幼「・・・」
男「な、なあ。ひょっとして友と喧嘩でもしたのか」
幼「は?」
男「昨日の放課後に何かあった、とか?」
幼「ないよ。何も無い。思うにキミは細かいことを気にしすぎなんだ。彼はいつもどおりだよ」
男「お前、何か不機嫌・・・?」
幼「不機嫌?」
男「なんか、お前らしくないというか」
幼「・・・」
男「え?」
幼「キミはわた・・・僕のどこが変だと思う?」
男「いや、そういわれても。昨日まであんなに友のこと気にかけてたのに」
幼「他人のことを気にしすぎなんだよ。人は変わるものじゃないか」
男「そ、そうかもしれないけど」
幼「さ、僕は宿題を片付けるから。邪魔をしないでくれ」
男(あ、あれ。こいつが朝に宿題持ち込むのはじめて見たけど・・・)
男(喧嘩でもしたのか?友の様子がおかしかったから、幼が声をかけて・・・)
男(いや、幼はそんなことで不機嫌になる奴じゃないし・・・)
担任「じゃあこの問題を・・・友、できるか?」
友「・・・x=3、-2」
担任「え?・・・ああ、答えは合ってるが、黒板に途中式を書いてくれるか?」
友「・・・」カキカキ
担任「おお、正解だ。どうしたんだ友、これができるなんて、悪いものでも食べたのか?」
友「・・・」
男「失礼します」
担任「ああ、悪いな男。昼に呼び出したりして」
男「あの。俺なんかしましたか」
担任「いやそうじゃないんだが。お前、友と喧嘩したか?」
男「え?」
担任「いや、ここ数日あいつの様子がおかしいような気がしてな。もっとこう、おちゃらけだったじゃんかあいつ」
男「ええまあ」
担任「それがここ数日、話を振っても反応悪いし、不機嫌そうじゃないか」
男(先生も気が付いたか・・・)
担任「うむ・・・。あいつらしくないな、とは思うんだけど、お前に心当たりが無いなら、あとは部活か家庭内の問題か」
男「そう、なんですかね」
担任「わかった、あとは俺の方で何とかするわ。悪かったな、昼飯の時間減らしちゃって」
男「いえいえ。では」
担任「ああ」
教頭「・・・」ジーッ・・・
幼「・・・何か用?」
男「いや用は無いけど・・・。やっぱり担任も友の様子がおかしいって言ってたぞ。らしくない、って」
幼「ああ、そのことか。それはもう対処済みだよ」
男「え?友の様子に?」
幼「いや。・・・それより、ご飯は食べなくていいのかい」
男「ああ、そうだったな。食べてくるわ、友は?」
幼「・・・さあ。ここにはいないよ」
担任「男、少しいいか」
男「なんですか」
担任「友の件だが、家に電話しても誰も出ないんだ。あいつの家って共働きだったか?」
男「・・・確か違ったような気がしましたけど」
担任「妙だな。友本人に話を聞いても、特に何も無いの一点張りだし」
男「そう、ですか」
担任「すまんな、今日はこれから職員会議があるからアレだが、明日もう一度話を聴いてみるわ。お前も気になるだろ、あいつの様子」
男「分かりました。お願いします」
男(としかいえないよなあ・・・)
男(友も幼もなんかあったよなあ、あれは。やっぱり喧嘩だろうか)
男(・・・まあ、担任に任せるしかないか・・・。ん?)
女「・・・」
男(あれ女さん、だよな。橋の下なんかで何やってるんだろ)
女「・・・」
男(・・・まあいいか。さっさと帰ろ・・・」
女(・・・ここからもいなくなってる。どういうこと・・・?)
担任「ええと、どういうことですか?」
教頭「キミは彼のどこがおかしいと思うのかね」
担任「どこ、といいますか・・・」
?「どこがおかしいんですか、先生」
担任「お前は・・・」
友「俺のどこがおかしんですか」
担任「友・・・?」
友「どこがおかしいんですか・・・」
担任「!!?こ、これは・・・!?うわあああああああ!!!?」
男「ギリギリセーフだ。よ、おはよう」
友「・・・」
幼「・・・」
男(・・・えーっと)
友「・・・ああ」
幼「・・・うん」
男「・・・」
担任「・・・席に着け。出席をとるぞ」
男(友の親に連絡付いたのかな・・・)
担任「・・・」
男「先生」
担任「・・・なんだ」
男「昨日の件、どうなりました?」
担任「昨日の件?」
男「ですから、友の様子が・・・」
担任「ああ、それな。気のせいだった」
男「は?」
担任「友にも色々あるんだろう。お前は人のことを気にしている暇があるのか?」
男「え?ええ?」
担任「教室に戻れ。授業始まるぞ」
男「・・・」
男(どうなってんだ・・・?)
女「・・・」
男「どうなってんだ一体・・・。友も幼も担任も・・・」
女「・・・ねえ」
男「え?うわ、女さん・・・!?」
女「なに、人を化け物みたいに」
男「ご、ごめん。驚いたから」
女「ねえ、あなたのクラスの担任のことなんだけど」
男「あ、ああ、どうしたの」
女「人が変わったみたいに見えない?」
男「!・・・うん、正直、昨日までとは様子が違うって言うか」
女「そうなってしまったのは担任だけ?」
男「ええと、あとは友と幼が少し変・・・かな」
男「二人とも不機嫌というか、とにかく様子がおかしいというか・・・」
女「そう・・・」
男「あの、これって」
女「あんまり踏み込まないほうがいいと思う」
男「え?」
女「彼らが言うとおり、気のせいだって思っていたほうが幸せかもしれない。それが彼らの言い分だし」
男「いや、そういわれても無理でしょ。ここ数日で人が変わっちまったなんて、おかしいだろ」
女「・・・。好奇心は猫を殺す。それでも気になる?」
女「そう。・・・じゃあ手伝って」
男「え?」
女「正直人手不足なの。これに気が付いた人はどんどんおかしくなるし」
男「おかしくなる・・・?」
女「人が変わる、というのか、なんというか」
男「友や幼みたいに?」
女「気が付いていないかもしれないけど、四組の生徒はほぼ大半がそうだった」
男「!?」
女「大体二ヶ月くらい前からね」
男「そんな、どういうことだ!?」
男「だって四組って。この前用があって教室に行ったけど、いつもどおりだったぞ」
女「そう。大体二週間くらい前から、みんなの性格が元に戻ってきた」
男「戻ってきた・・・?」
女「それまでは、あなたの担任と同じように不機嫌というか、無表情だった」
男「・・・」
女「今はだいぶ戻ってきてるけど、それでも違和感はある・・・」
男「ご、ごめん。意味が分からない。どういうこと?」
女「わかんない。わかんないけど、無表情から時間が経つごとに元の性格に近づいてきてる」
男「???」
女「すごい不気味・・・。SFみたいに」
男「あ、ちょっと・・・。・・・なんだったんだ、今の・・・」
男「・・・とりあえず教室戻らないと・・・」
教室
男「・・・」
友「・・・よう」
男「え?」
友「どこ行ってたんだよ、昼飯も食わずに」
男「あ、ああ。屋上で、その、昼寝を」
友「ああ・・・。それよりさ、次の授業の宿題、見せてくれよ」
男「見せてって、お前前の授業で問題一瞬で解いたじゃん・・・」
友「たまたまだよ・・・。なあ、いいだろ?」
友「・・・そうか。じゃあ幼だな・・・」
幼「・・・これ?」
友「・・・ああ。借りるぜ。じゃあ写そうよ、男・・・」
男「あ、ああ。でもいいのか幼。前は見せてくれなかったのに」
幼「・・・ああ、わt・・・僕そうだったかな。まあ今日はいいよ」
男(・・・なんだ、これ)
男(・・・友も幼も、機嫌直しつつあるのか?ならそれにこしたことはないか・・・)
男(やっぱり気のせいだったのかね・・・)
女『みんなの性格が、元に戻ってきた・・・』
男(・・・いや、まさかね。やっぱりただの不機嫌だったんだろ・・・)
委員長「あれ、先生、宿題の回収を忘れてますよ」
担任「・・・。ああ、そうだったな・・・。では委員長、回収してくれ」
委員長「あい。でも珍しいですね、宿題の鬼の先生が忘れるなんて」
担任「・・・そうだろうか」
委員長「ええ。らしくないですよ」
一同「ははは・・・」
友「・・・」ジーッ
幼「・・・」ジーッ
男「・・・」
委員長「んあ、男君じゃん」
男「あれ、委員長?」
委員長「なんとまあ珍しい。図書室で男君を見るとは」
男「ええと、まあ」
委員長「まあテストも近いからね、勉強にはもってこいだよここは」
男(勉強じゃないんだけどな・・・)
委員長「あ、そうだ。あい、これ。この前足りなかったプリント。渡すの忘れてた」
男「あ、ああ。ありがとう」
委員長「んじゃね、男君。ちゃんと勉強したまえよ~」
男「・・・」
女「知り合い?」
男「うお!?びっくりした!!」
男「わ、悪い。気が付かなかったから」
女「まあいいけど。今の一組の委員長だよね」
男「ああ。あんまり話したことは無いんだけど、な」
女「ふうん。まあいいや。それで昼の話なんだけど」
男「ああ。でもそれ、やっぱり気のせいじゃないのか?友も幼もただ不機嫌なだけで・・・」
女「・・・はじめはウチもそう思ったけど・・・。四組全体がそうだなんておかしいよ」
男「いやそうかもしれんけど、こっちのクラスは、」
?「キャアアアアアアアアア!!!!?」
男「い、今の悲鳴って・・・?」
女「まさか・・・」ダッ!!
男「あ、ちょっと!!」
女「こっちから・・・!?」
男「追いついた、ちょっと待ってって!!」
委員長「・・・」
女「あなた・・・」
男「委員長・・・?」
委員長「・・・なに」
男「今こっちから悲鳴が聞こえなかったか!?」
委員長「・・・いいえ。特に何も」
女「・・・!」
男「え、いやそんなはずは・・・」
委員長「・・・気のせいじゃない?それより、はいこれ」
男「え?」
委員長「・・・前に渡し忘れたプリント。・・・じゃ・・・」
男「このプリント・・・。さっきもらった奴と同じプリントだ」
女「え?」
男「ちょ、ちょっと一回図書室戻ろう」
女「え?う、うん」
図書室
男「・・・ほら。まったく同じプリントだよ」
女「インクのにじみ具合までまったく同じもの・・・?」
男「変だな、さっき同じものをもらったのに・・・」
男「え?・・・言われていれば、口癖の『あい』が無かったような・・・」
女「『はい』とは言ってたけど・・・」
男「確かにテンションが低かったというか、無表情だったというか・・・」
女「・・・やっぱり。でも、じゃあさっきの悲鳴は・・・」
男「・・・」
男(委員長の声のように、聞こえたけど・・・)
女「何がどうなってるのか、ウチにもさっぱり・・・」
男「・・・それでなんで、俺を図書館によんだりしたんだ?」
男「友達?」
女「軽音部でベースをやってる子なんだけど、その子が『ホームレスが消えてる』って話をしてて・・・」
男「その話・・・。友が言ってたな、それ」
女「・・・そしたらその子、数日後には人が変わったみたいになった」
男「友と同じか・・・。そこから四組全体が・・・?」
女「二週間とかからずにね・・・。様子がおかしいって気が付いた人から次々に」
男「女さんは・・・?」
女「わからない。なんでウチだけ平気なのか・・・。それとも次にああなるのはウチなのか・・・」
男「・・・」
女「そしたら今朝、廊下であなたと先生が話してたから、もしかしてと思って」
女「それに、委員長さんも・・・」
男「くそ、何がどうなってんだよ・・・」
女「・・・ベースの子が、『ホームレス消滅事件』は半年くらい前から始まった、って言ってた。だから、半年前に何か原因があるんじゃないかって」
男「え待って、その『ホームレス消滅事件』とこの話に何か関係があるのか?」
女「・・・わかんない。でもあの子がそれについて話した直後にああなったから・・・」
男「なるほど・・・」
女「昨日、ホームレスがいっぱいいたって言う橋の下にも行ったけど、もぬけの殻だった。ダンボール一つ無い」
男(昨日のはそういうことか・・・)
女「・・・来て。ここなら地元新聞の縮小版が置いてあるから」
男「・・・随分前から調べてるみたいだな」
女「教室にいても不気味だから」
男「それもそうだ」
女「・・・これ。大体この辺が半年前の記事」
男「半年前・・・。『彗星が大接近』に『小規模な地震相次ぐ』、『一家四人蒸発』、ああ、あったなこんな事件・・・」
女「それで、ついこの前見つけたんだけど・・・」
男「一週間前の新聞か。ええと、『ホームレス大量更正、全国のモデルケースに』ね。やっぱり新聞社も気が付いてたのか」
女「・・・で、これが今日の新聞」
女「・・・ホームレスの記事書いてた人」
男「・・・参ったな。どういうことだよこれ」
女「関わった人間が行方不明になってるし、友達は人が変わってしまった・・・」
男「・・・なるほど、確かに好奇心は猫を殺すねこれは」
女「・・・」
男「それで、何か分かったことは?」
女「何も・・・。彗星が地球の近くで爆発したこととか、地震の震源地がこの町に固まってることは分かったけど」
男「調べたのか?」
女「天文部や地学部に協力してもらった」
男(あの眼鏡はそういう関係者か・・・)
男「どっちかというと、こりゃSF研究会向けの話だよな・・・」
男「ど、どうだろ。確かに嬉々として話にのりそうだけど・・・」
女「じゃあ行こう。今ちょうど活動時間だし」
男「いや、まあいいけど・・・」
男(どっちかっていうと警察とか探偵とかがお似合いだぞこれ)
部室棟 二階 SF研究会 部室前
男「・・・知ってた?」
女「ううん。・・・知らなかった」
男「廃部になってたなんて。去年まで活動してたはずなのに」
女「そうなの」
男「会誌を発行してたから。ムー並みにぶっ飛んでたけど」
女「・・・」
男「え?」
秋葉「あの、生徒会の方ですか・・・?」
男(ずいぶんと秋葉系の奴だな・・・」
女「違う、けど。もしかしてSF研の人?」
秋葉「正確には元SF研ですが・・・。ええ、今年から副部長になる予定でした」
男「廃部になってたなんて・・・」
秋葉「・・・突然決まったんですよ。部長がいきなり申請したらしくて。でもなぜか顧問もあっさり許可したものですから。・・・立ち話もなんですから、中へどうぞ」
女「いいの?」
秋葉「ええ。鍵は僕が持ってますから」
男「うわ、こりゃすごい・・・」
秋葉「わが部自慢のコレクションです。これがUMA関連、これがUFO関連の資料です」
男「アダムスキー型のUFO写真なんて久しぶりに見たよ・・・」
女「詳しいね」
男「宇宙は男のロマンだからな」
秋葉「それで、どのようなご用だったのですか」
男「実は、『ホームレス消滅事件』について調べてて」
秋葉「ホームレス消滅事件?」
女「あ、それ命名ウチだから通じないかも・・・」
男「え?ああ、そうか、」
秋葉「ひょっとして、ホームレスが突如として職に付き始めていなくなった、という話では・・・?」
男「!知ってるのか!」
秋葉「ええ・・・。その話はSF研の中でもホットなニュースでしたから。部長以下、全員で調査したものです」
男「そうだったのか・・・。なら、資料とか残ってないか?」
男「処分・・・?」
秋葉「ちょうど廃部の話が突然持ち上がった頃でした。わざわざシュレッダーにかけてしまったので、今は何も・・・」
男「そうか・・・。じゃあ仕方ない」
女「突然資料を処分したの?」
秋葉「ええ。我々もぽかんとしてしまいましたよ。あれだけ苦心して集めた資料だったのに」
女「それで同じように突然、廃部にする流れになった・・・?」
秋葉「はい。部長が人が変わったように、『SFなんてはやらない』と。この部屋の資料は、元々部長が集めたものが大半なんです」
男「人が、変わったように・・・か」
男「・・・大いにありえる」
秋葉「?」
男「部長の人が変わったのって、その事件に関わってからすぐじゃなかったか?」
秋葉「ええと・・・少しお待ちを。活動記録を見れば一目瞭然です」ガサガサ
秋葉「ありました。ああ、ちょうど部長が順番だった時ですね。活動記録は順番で書くんです」
男「どれどれ・・・」
男「『記入者:部長 SF研の総力を結集して調べてきた例の事件について、私は興味深いことに気が付いた。あるホームレスのはなしによれば、ホームレスの中である日一人が突如豹変し、職に付いたのだという。
ちょうどその日の前日にある事が始まり、そのさらに前日には件の出来事が起きている。私は明日の集会でこの関連性について仲間に発表するつもりだ』・・・」
女「・・・どういうこと?」
秋葉「わからないんです。その翌日の集会で突如、廃部が宣言されたものですから」
女「何か?」
男「でもそう捉えるのが自然じゃないか?文章的にも」
女「前日に始まったある事、それに件の出来事・・・。そこが分かれば・・・」
秋葉「その文章自体が確かに考察に値しますが、我々にも意味が・・・」
男「本人に聴けば話は早い。部長は三年何組だ?」
秋葉「一応三組ですが、その、突然いなくなってしてしまったんです」
女「え?」
秋葉「一応転校扱いになっていますが、その、家族四人が一夜で消えてしまったんです。どうも夜逃げということで片付けられたようですが・・・」
男「・・・一家四人失踪事件・・・?半年前の?」
女「・・・好奇心は猫を殺すって言ったけど・・・。ここまでとは思わなかった」
男「今のところ手がかりはこの活動記録だけか・・・」
秋葉「そういえば、部長はこの頃やたらと天文部の部長さんと何かを話し合っていましたけど・・・」
女「天文部の部長と?」
男「知り合いか」
女「うん。二組の通称博士くん」
男「博士?」
女「天文の知識なら多分理科の先生よりもあると思う。前に表彰されてたくらいだし」
男「へえ・・・。それはすげえ」
秋葉「博士さんなら今の時間、多分東棟の屋上で天体望遠鏡を構えているはずです」
男「分かった。とりあえず行ってみようか」
女「うん」
博士「SF研の部長?ああ、友達だったよ」
男「やっぱりそうか」
博士「いや、友達というと語弊があるかもしれない。僕は彼の行動力には敬意を表するが、いたずらにUFOだの宇宙人だのを主張するのは好きじゃない」
女「主張?」
博士「彼はUFOや宇宙人は存在するといって聞かなかった。確かにその可能性はあるが、根拠があまりにも稚拙だった」
男(何の話だか・・・)
博士「・・・これを見てくれ」
女「写真・・・?」
博士「片方は当時の彼が持ってきた、隕石型のUFO写真だ。いかにも作り物だろう?」
男(アダムスキー型よりはマシだと思うが)
博士「・・・もう一枚は、つい最近僕が撮った物だ。場所はここだ」
男「この点みたいなの、星じゃないのか?」
博士「違う。何枚か撮ったから分かると思うが、信じがたいことに左右に飛び回っていた・・・」
博士「・・・その可能性はある。だから僕はここで夕方から待っているんだ」
女「UFOを?」
博士「UFOなのかどうかを確かめるためにだ」
男「・・・」
博士「見てしまったものは仕方ない。だから僕は立証しようとしているんだ。その存在を」
男「・・・そうか」
女「じゃあSF研の部長が頻繁に会いに来てたって言うのは・・・」
博士「彼はET彗星について詳しく調べていたよ」
男「ET彗星・・・半年前に大接近した、あの?」
男「そういえば日本にも隕石が落ちるかもって大騒ぎになったな」
博士「実際はほとんどが大気圏で燃え尽きた。彼はそれにやたら興味を持っていてね。その詳細なデータを我が部に求めていた」
女「じゃあ、やっぱり彼はその彗星が何らかの形であの事件に関わってると、気が付いて・・・?」
男「何らかって、彗星とホームレスの消滅に何の関係があるんだよ」
女「・・・それはわからないけど・・・」
博士「だが彼は随分と興奮した様子だったよ。ついに突き止めた、とね」
男「その直後に資料を処分して、廃部か・・・。やっぱり妙だな」
男「え?あ・・・」
教頭「下校時間は過ぎている・・・のだが、キミもいるということは、天体観測かな」
博士「ええまあ。そんなところです」
女「・・・」
教頭「本来はダメだが、まあいいだろう。キミには期待しているからね」
博士「ありがとうございます」
教頭「ん?キミは確か、昨日担任に呼び出されていなかったか?」
男「え?ええまあ・・・」
教頭「何を聞かれたか知らないが、あまり気にしないほうがいい。勘違いということもあるからね」
男「は、はあ」
教頭「それではね。遅くならないうちに帰るんだぞ」
男「・・・だな」
女「・・・」
博士「それで、キミたちは何を探っているんだい?彼の失踪かい?」
男「そうといえばそうだけど・・・。最近妙なことが起きてるから」
博士「妙なこと?」
男「ああ、まあ話すと長いんだけど・・・」
秋葉「あ、いたいた皆さんおそろいで」
女「秋葉くん?」
男「『資料:UFO』?これがどうしたんだ」
秋葉「この中になぜか、ET彗星の資料が挟まってまして・・・」
博士「どれ、少し拝借・・・。ふむ、大学の研究室がまとめたデータのようだね。ET彗星がどのように爆発したのか、詳しく書いてある」
男「これが挟まってたと・・・?」
秋葉「ええ。それともう一枚、部長の走り書きのメモが」
男「これは・・・?」
秋葉「一言、『移民者』とだけ・・・」
女「・・・」
秋葉「そこまでは・・・。ただ何か意味はあるはずだと思いまして」
男「謎は深まるばかりだな・・・」
博士「謎?」
男「・・・話してもいいよな?」
女「うん、ただし内密な話だって事を忘れないで」
男「・・・実はな」
・・・
秋葉「・・・ま、マジですか」
博士「信じがたい話だが・・・しかし、言われてみれば・・・。二組でもそんなことがあったかもしれん」
秋葉「ええ!?」
博士「基本的に僕は他人に無頓着だから気にしていなかったが、そうか、そうかもしれないな」
秋葉「で、でも今その話されちゃったら、俺も博士先輩も人変わっちゃうかも知れないじゃないですか!!」
男「だから内密にしてろって話だ。おそらくSF研の部長も、それのせいで・・・」
男「確かに・・・。もっとも、ウチのクラスはまだ三人だけだけど」
女「四組はほぼ壊滅・・・。一週回って性格が元に、いいえ、元の性格に近づいている・・・」
博士「ふむ・・・。キミは女さん、だったな」
女「え?ええ」
博士「・・・。ともかく、そのホームレスが消えたという事件も、クラスメイトの人が変わるという話も興味深い。僕の写真といい、今この町で何かが起きているのは間違いない」
男「でも手がかりが少なすぎるぜ。あまつさえ、関わったら人が変わっちまうか、最悪失踪だし・・・」
博士「分が悪いのは間違いないな・・・。しかし幸い、今この学校にいる生徒は僕らだけだ。教頭も許可をくれたし、対策会議と行こう」
秋葉「ああ、ちゃんと顧問から許可出てたんすか」
男「顧問?」
秋葉「ええ。教頭は、元SF研の顧問です」
博士「うむ、まず考えないといけないのは、なぜ人が変わってしまうのか、という点だな。今までのキミたちの体験から、おそらくこれに気が付いた人間が対象になっている」
男「同感だ。友の異変に気が付いた幼も担任も、無表情になっちまった」
秋葉「うちの部長もです」
博士「となると、しばらくはそれに気が付いていない振りをしている必要があるな・・・」
男「でもよ、ウチのクラスの委員長は気が付いてなかったと思うけど、多分人が変わっちまってるぜ・・・?」
博士「触らぬ神に祟りなし、だ。キミらはその疑惑がある人間とは極力関わらないでいた方がいい。難しいかもしれないが」
男「・・・原因が不明なら、そうするしかないか・・・」
秋葉「お、俺は今日何も聞いてないですから」
博士「賢明だな」
博士「地震か・・・?」
秋葉「最近多いですよね。ま、まさかまた大きいのが来るんじゃ・・・」
男「ええと、気象庁?だかがそれはないってさ。震源地がこの町周辺って事以外ばらばらで、断層も無いらしいから」
秋葉「よ、よかったっす・・・。この期に及んでルルイエ浮上なんて勘弁してほしいですし」
博士「それは創作だろう・・・。とにかく、この学校、いや、この町で何かが起きている。そしてそれに気が付いているのは多分僕らだけだ」
男「・・・ごくり」
博士「そして、僕は明日キミのクラスに出向こう。豹変したという二人を見ておきたい」
女「な、」
博士「危険は承知だが、好奇心には勝てないよ」
女「・・・好奇心は猫を殺すよ」
博士「そうだな。だが生憎僕は猫ほど可愛い生き物じゃないんだ」
男「・・・はよ」
友「よお・・・」
幼「・・・」
男(・・・)
博士「やあ。予告どおり参上したよ」
男「ああ、お前かおはよう」
友「・・・?」
博士「僕は隣のクラスのものだが、キミが友くんか。噂はかねがね」
友「・・・ああ」
博士「で、キミが幼さんか。元気が無いように見えるね」
幼「・・・気のせいだよ」
幼「・・・不機嫌じゃないよ、わ・・・僕は」
委員長「・・・他クラスの生徒は立ち入らないでくれる」
博士「おや、委員長さんか。なるほど、なるほど・・・」
女「・・・ねえ、大丈夫なの?」
男「俺が分かるわけないだろ」
博士「興味深いねえ。僕の知っている委員長さんじゃないようだ」
担任「・・・お前ら、何してる」
博士「ただの挨拶ですよ、先生。おはようございます」
担任「出て行け。お前のクラスはここではない」
博士「その前に・・・。前回のテストの問三についてですが」
担任「・・・」
博士「あれ、覚えてらっしゃらないですか。五月のテストのことですよ」
担任「それがどうした」
博士「あそこの解法ですが、やはり僕が間違っていましたよ。あれでは証明できませんから」
男「さっぱり・・・」
担任「・・・わかったのならいい。教室に戻れ」
博士「ええ、よく分かりました。それでは失礼・・・」
女「・・・」
男「・・・。ハッ、お、お前も戻った方がいいぞ」
女「え?あ、ああ、そう、そうする」
男(あいつ何考えてるんだ・・・)
博士「・・・来たか」
男「おいおい、朝のアレどういうことだ?一体何がしたかったんだお前は」
博士「ちょっとした確認さ。失踪したSF研部長になったつもりで、一番ありえない仮説を立てることにしたんだ」
女「ありえない仮説?」
秋葉「どういうことですか?」
博士「まさかと思ったけどね。八割がた間違いない。まったく信じがたいけどね」
女(・・・まさか)
男「どういうことだよ」
博士「信じがたいけど、いいかい、あの担任はおそらく本物の担任じゃないよ。カマをかけてみたが、彼は偽者だね」
秋葉「僕だって混乱しているんだ。そんな目で見ないでほしい」
男「なんだって?」
秋葉「五月のテスト、覚えているかい?あの時、数学の問題問三は問題文が間違っていたんだ」
女「・・・確か、全員に点数が加算された問題があったはず・・・」
男「そ、そうだったか?」
博士「そうだよ、あの時間違いを指摘したのは僕だからね。にもかかわらず、あの先生は『わかったならいい』だ。どう分かればいいのか、説明してほしいものだ」
秋葉「で、でもそれだけでそんな結論だなんて・・・」
博士「僕はアレ以来、事あるごとにそのネタであのせんせいをからかってきた。でも今日は苦い顔どころか、苦笑する浮かべずに無表情。どう考えてもおかしい」
男「そ、そりゃそうかもしれないけど」
博士「まあ一応、何らかの力で人格を歪められた、ということも考えられるけど、ね」
女「・・・」
男「直前に会った事を忘れて、同じプリントを渡すなんて妙だとは思ったけど・・・」
博士「極めつけは、SF研の部長が残した『移民者』だ。それがUFO資料の中に、彗星の記述とともに残っていた。彼が考えていそうなことは一つだ」
男「・・・まさか、おいおいそれはさすがに・・・」
博士「他にどんな可能性がある?人間を入れ替えられる存在が他にあるかい?」
秋葉「じゃ、じゃあ『移民者』が・・・?」
男「んなアホな・・・」
女(・・・)
博士「しかし問題はここからだ。もし仮に相手がそんな『移民者』だとして、僕らはどうやってそれに立ち向かうんだ?そんなでたらめな存在から」
博士「同感だ」
秋葉「で、でも・・・。僕らにはどうすることも・・・」
博士「・・・」
男「ああもう!!そんなでたらめな相手に勝つ方法なんてあるわけねえじゃねえか!!」
博士「・・・問題はそこだよ」
女(・・・)
博士「分からないな。だが連中の得体が知れない以上、急がないとまずいかもしれないね」
女「その、『移民者』の目的は何?」
秋葉「移民者だけに、住む土地を探してるんじゃないですか?」
男「でこの星にたどり着いたって?」
秋葉「可能性はありますよ」
博士「確かに。少なくとも彼はそう思ったのだろうね・・・」
男「そうか、女の言う『性格が元に戻ってきた』てのは、その人間の真似がうまくなった、とかそういう意味なのか」
秋葉「そう考えれば無理はないっすね・・・」
博士「しかし困ったな。僕らは地球防衛軍でもなんたら警備隊でもない。静かに侵略されていることに、誰も気が付いていない・・・」
女「・・・」
男「そんなわけの分からん連中に食いつぶされてたまるかよ・・・。何か、何か方法ねえのか?」
博「少なくとも大人は信じてくれないだろうし、生徒も相当数偽者、ああ、某漫画で言うところの人間モドキになっている・・・。分が悪いのは間違いない」
女「でも、まだ希望はある・・・んじゃないの」
秋葉「どう、なんでしょう。こっちにドラえもんでもいれば話は違うんですけど」
博士「うむ・・・。僕に一つ、気になることが、」
教頭「見つけたよ、ここにいたのか」
女「!」
秋葉「先生・・・?」
博士「・・・僕に何か用ですか?」
教頭「うむ、キミに話しがあるんだ。何、すぐに済むよ」
博士「・・・」
男「え?・・・揺れてる?」
秋葉「ええと、わかんないです」
教頭「・・・?」
博士「妙ですよね、どうも最近地震が多い。詳しく調べたいものです」
女(こいつ・・・)
博士「行きましょう、教頭先生」
教頭「うむ。では・・・」
男「あいつが行っちまったら、対策会議どころじゃないな・・・」
秋葉「とりあえず、続きは放課後にしましょうか」
女「・・・」
教頭「さて、と。お茶でも飲むかね」
博士「いえ」
教頭「そうか。しかし残念というか、面倒というか。キミのようにスペックの高い人間は始末におえない」
博士「それは始末できないからですか?それとも、コピーに手間取るから?」
教頭「ほお、気が付いていたのか」
博士「そりゃ勿論。教頭先生は鼻の横にうっすらと傷跡があるんですよ。古い傷跡がね」
教頭「!?」
博士「古人曰く、間抜けは見つかったようだぜ、だ」
教頭「・・・厄介だよ、キミのような地球人は。他の連中も入れ替えなければダメかな」
博士「・・・」
教頭「その様子では、覚悟は出来ているようだな」
友「我々に姿を渡す覚悟が」
博士「・・・僕は殺されるのかな」
委員長「わからない。命とは何か」
博士「なるほど、基本的な概念が異なるわけだ・・・」
担任「キミという固体を傷つけるのかという質問か」
博士「その認識で間違いない」
教頭「価値観による」
友「我々はこの星に住むことに決めた」
幼「それにはキミたち地球人が邪魔だ」
博士「侵略者、ということになるね」
委員長「我々はしかしキミたちよりもこの星をよりよいものにすることが出来る」
友「我々は同胞を殺しあうことなどない」
幼「我々は均一意思を持つからだ」
博士「・・・」
担任「我々はすでに、多くの同胞をこの星に招いている」
委員長「それに気が付かない程度の知的生命体など、存在する意味も無い」
博士(話が通じる相手ではない、か・・・!)
委員長「お前の存在がこの星のあり方を変えるだろう」
幼「その才能が開花する前に、お前は消えなければならない」
博士「・・・人の将来を決めるのは勝手だけど、随分な物言いだ」
博士(時間を延ばすのもそろそろ限界か・・・?)
友「さあ、眠るがいい。そしてお前の姿かたちは、我々が有効に使うだろう・・・」
博士「・・・!!」
男「博士おそいなー」
秋葉「まだ教頭のところなんじゃないですか?」
女(・・・彼はもう、おそらく・・・)
博士「・・・」
男「お、来た来た」
秋葉「遅いですよー」
女(・・・!)
博士「・・・ああ、待たせた・・・」
男「!」
秋葉「どうしたんですか?具合が悪そうですよ」
博士「・・・気のせいだ」
男「よし、じゃあ解散にしよう」
秋葉「え?」
博士「・・・」
男「仕方ないだろ、博士がこんな様子じゃ」
女「そうね、無理しても仕方ないし」
秋葉「そんな悠長な、そんなことしてる間にも、」
男「ああ、確かに時間は無い。けどテストまではまだしばらくあるんだ、勉強会は延期だ」
博士「・・・勉強会?」
男「いくぞ、秋葉!」ぐい
秋葉「ちょ、引っ張らないでくださいよ!!」
女「・・・」
博士「・・・」
女「・・・」ダッ
女「ということは、教頭先生もやつらということに・・・」
秋葉「まったく気がつかなかったっす・・・。面目ない」
男「これでこっちは三人だ。一番の戦力がやられちまった」
秋葉「万事休すっす・・・」
女「そういえば、昼休みに博士、地震がどうとかいってた」
男「地震か・・・。でも、それがなんだっていうんだろ」
秋葉「わかんないですね・・・」
女「調べる価値はあると思う」
男「でもよ、三人でどうするんだよ・・・。たった三人だぞ」
女「それは・・・」
秋葉「地震、でも実際最近多いですよね」
秋葉「それは・・・わからないっす」
女「でも博士が言ってた事だし」
男「はぁ・・・。ま、調べるだけ調べてみるか。確かどっかのHPでそういうの一覧で見れたよな」
女「どうだったかな」
秋葉「ああ、それ自分わかるっす。情報室行きましょう」
秋葉「ええと、これですね」
女「全部データベース化されてるんだ・・・」
男「確かにこの町を中心にして回りの山とかに多いんだな」
秋葉「震源はほぼすべてがごく浅いところで起きているようですね。震度は大きくても2程度です」
男「ごく浅い、か・・・」
女(・・・)
秋葉「まるで町をぐるりと囲うかのようですね」
男「確かに・・・。中心地から見ると、円状になってるようにも見えるな」
秋葉「だとすると、ここ・・・。南東のこの一角だけ、妙に震源がありませんね」
男「ホントだ。ここら辺て何かあったかな」
男「しかしここだけホントに震源が無いな。少し妙だぜ」
秋葉「そうですね、博士先輩なら何か気が付くかもしれませんが・・・」
男「・・・考えても分からないなら、行ってみるしかないか・・・」
男「ああ。博士いないんだし、悠長にしていられる時間もねえだろ」
女「それは、そうだけど・・・。危険じゃない?」
秋葉「女先輩はここに何があるか知ってるんですか?」
女「そ、そうじゃないけど・・・」
秋葉「何言ってるんですか。ここで帰ったらSF研の名が廃ります。一緒に行きますよ」
女「う、ウチも・・・。そんな危険なところに二人だけで行かせられないから・・・」
男「お前らもバカだな・・・。よし、んじゃ行こうか」
男「一時間に一本しかバスが無いとか何事だよ・・・」
秋葉「ずいぶん廃れたところですね・・・」
女(・・・)
男「ええと、こっちの方か。秋葉、道案内頼む」
秋葉「こっちです、そんな遠くは無いですから」
秋葉「みたいですね。立ち入り禁止になってますが、どうします?」
男「どうするもこうするも、博士だったら間違いなく我が物顔で入るよな」
秋葉「了解です。行きましょう」
女「あ、いや・・・。危ないんじゃないかなーって、聞いてないなあの二人・・・」
男「なかなか雰囲気あるな・・・」
秋葉「そういうのはオカ研の仕事ですよ」
男「そうだけど・・・」
女(まずい・・・。誰にも出くわさないといいけど・・・)
男「ん・・・?今奥から何か音しなかったか?」
秋葉「ま、マジすか?」
男「な、何でだよ」
女「例の移民者がいるかもしれないんだから、警戒して当然でしょ」
秋葉「う、うっかりしてたっす・・・」
男「よし、抜き足差し足で行こう・・・。ここも危険かも知れねえしな」
秋葉「あ、ホントだ。何か聞こえますね・・・」
?「これからどうなるんだ、俺たちは・・・」
?「さあ、ね。悲観しても仕方ないから、少しは泣き止んだらどうなんだ」
?「俺はこのまま彼女も出来ずに、宇宙人に殺されるんだ・・・」
?「あい。泣き止め友、男だろー」
?「お、男も何もあるか!!相手は宇宙人だぞ!!」
?「ふむ、このまま僕らはキャトられるのかな」
男「この声・・・」
秋葉「マジすか!?無事だったんですね!!」
幼「ん?やあ男、随分妙な場所で会うじゃないか」
友「うおおおお、心の友よ!!助けてくれぇ・・・」
委員長「両極端だよキミらは・・・」
男「これ、ガラス張りの牢獄か・・・?」
幼「どうなんだろうね、随分と動物園の動物の気分を味わったよ」
男「昨日からずっとここに?」
幼「まあね。衣食住はしっかりしてたからわりと快適だったよ」
委員長「やかましいの一人を除いてね」
秋葉「このガラス、どうやって開けるんですか?」
幼「さあ。連中は意のままに開け閉めできるみたいだったけど。スイッチらしきものは見当たらないし」
ガシュン!!
委員長「うお、開いた」
幼「はて、何で開いたんだろう」
女「それよりも今は脱出が最優先!!」
秋葉「同感です。さあ、こっちへ!!」
・・・
教頭「いけないな、ここまで入り込まれるとはね。地球人をバカにしすぎたか」
女「くっ・・・」
友「おいこのくそ偽教頭!!本物の教頭はどこだ!!」
男「担任や博士は!?」
教頭「まったく野蛮だな・・・。地球人というのはやはり危険だ。近い将来、宇宙にとって脅威となる・・・」
教頭「ほう?」
女「自らの侵略をそうやって正当化するなんて・・・!!」
教頭「見方の問題だろう。全宇宙から見れば、私たちは正義だ」
男「正義・・・?お前たちが・・・!?」
教頭「キミたちが誤った道に逸れる前に、道を正すことも出来る。我々ならばね」
友「M240惑星・・・?」
女「移民者の地球の呼び方よ」
偽教頭「我々はこの星を、いや、キミたちを正しく導くことが出来る。我々ならばだ」
委員長「勝手な言い分を・・・」
偽担任「勝手?ではキミらはどうなのだ?」
偽友「責任の押し付け合いで同種族の命すら軽くするのは、勝手じゃねえのか?」
偽委員長「あんたたちに言われたくない言葉よねー」
幼「僕らにも擬態していたのか・・・!!」
偽幼「このままではキミたちのためにも、全宇宙のためにもよくないんじゃないかな」
男「だ、だからって!なんで俺たちの未来をてめえなんかに渡さないとなんねえんだ!!」
女(・・・!!)
男「俺たちがお前らなんかに服従するわけあるか!!」
委員長「もう一人の自分て不気味・・・」
?「そういうことだ、移民者!!」
偽教頭「む!?」
博士「いいや、お前たちは侵略者だ。言葉でまで惑わそうなんて、そうはいかない!」
博士「僕を誰だと思ってるんだ?」
担任「ずいぶんやってくれたじゃないか・・・」
教頭「だが、それもここまでだ」
SF研部長「ほら見ろ、やっぱり宇宙人はいたじゃないか!!」
偽教頭「ぐ・・・」
偽友「かくなる上は・・・」
ビカビカッ!!
博士「ついに正体を現したな、移民者!!」
女「いいえ・・・、『バルタン星人』・・・!!」
バルタン星人「!!!!」
バルタン星人「!!!!」
友「こ、こいつら何人いやがるんだ!?」
女「!危ない!!」
男「うお!?」
バルタン星人「!!!!」
女「く、やはり分が悪い・・・!!」
男「そうも言っていられるか!!地球の未来は、俺たちの手で掴み取るんだ!!」
女「!」
委員長「アツいのは結構だけど、どうするんだよこの数!!」
男「んなこと出来るわけないだろ!?」
女「出来ます・・・!!そう言い切れる地球人が少しでもいてくれたんです、彼らを止める義務が私にはあります!!」
男「何を!?」
博士「キミも宇宙人なんだろ、女さんに化けているだけで」
男「!?」
博士「キミは『彗星が何らかの形で事件に関わってると、気が付いて・・・』といった。つまりキミは最初からそれを知っていた」
女「敵いませんね・・・。さすが、将来アレを生み出すだけのことはあります!!」
偽教頭「貴様は同胞のくせに・・・!!」
女「この星を侵略するのは誤りです・・・!!この星の未来はまだ決まってはいない!!」
女「いけない、崩壊が始まった・・・!!」
男「今度は何だよ!?」
女「やつらここの地下にある母船を動かす気です!!この辺に震源、いえ、隕石が落ちなかったのはそのためです!!」
友「隕石!?」
男「そうか、ごく浅い震源地の地震って、こいつらが隕石になって降りてきたときの衝撃だったのか!!」
博士「男、逃げるんだ!!」
男「んなこといったって!!」
女「この星の、いえ、宇宙の未来はあなたがたにかかっています!!それを忘れないで!!」
男「女!!」
男「で、でもよ!!」
幼「急いで!!」
友「崩れるぞ!!」
博士「あれは・・・」
部長「僕の持ってきた隕石型宇宙船と、お前が撮った写真は同じものだったのか・・・!」
教頭「う、宇宙船が空へ昇っていく・・・!!」
男「どっちだ、どっちが勝ったんだ・・・?」
男「なら、侵略を諦めたのか・・・?」
幼「分からないけど・・・。彼女は侵略に否定的だった・・・」
友「じゃ、じゃあよ。その意思が勝ったのかよ!?」
男「・・・そうはいかねえよな。俺たちは、きっと今よりいい未来を作れる。作って見せるさ」
委員長「その意気だよね」
友「すげえ経験したな俺たち・・・」
博士「そうかもしれない・・・。なら僕らは、もしかしたらそれに対抗しなければならないのかもしれない」
部長「対抗?」
博士「ああ。侵略者への、防衛手段が。侵略を跳ね返せる兵器が、ね・・・」
部長「兵器、か・・・」
幼「出来るよ、きっと」
男「・・・宇宙人との、友好か・・・」
友「壮大な夢だな」
委員長「でも、悪くないと思うよ」
男「すげえ経験だよな、今思うと」
幼「確かに。宇宙は広いな。僕も驚いたよ」
友「お前は終始落ち着いてたろうが」
幼「まあね。相手は宇宙人だ、騒いでどうこうなる相手じゃない」
幼「多分ね。・・・あ」
男「あ・・・」
女「・・・?あの、あたしの顔に何か付いてる?」
男「ああいや、そうじゃないんだけど・・・」
女「うん、検査入院のはずが、随分と大げさな期間の入院になっちゃったけど」
幼「そうか、何よりだよ」
男「・・・」
男「彼女らが何者だったのか、バルタン星人とは何なのか。それは結局分からない。あの時叫んだことが、正解なのかどうかも」
男「きっと次に彼ら、彼女らと会うときは、友好の証としてだと、そう信じている。未来は自分たちの手で掴み取ると、決めたから」
新聞記事
「日本人科学者、惑星防衛システムを発明!!侵略者への抑止力完成!!」
「日本人宇宙飛行士、明日外宇宙へ向けて発進!!循環型宇宙船、発進へ」
「惑星防衛システム拡張へ。侵略者への先制攻撃可能に」
「循環型宇宙船、宇宙人と接触か」
終わり
正直水遁なければあと1.5倍はボリュームあったんだけど・・・
七月十七日でウルトラマンは放送開始46年を迎えるんだぜ、っていう記念のSSでした
ザラブ星人ってのも迷ったけど、「THE LOVE」があるからなーと
あと「ET」は円谷英二監督のイニシャルでした
んでは、大学いってくるわ
乙
Entry ⇒ 2012.07.22 | Category ⇒ 幼馴染「」SS | Comments (0) | Trackbacks (0)
和田どん「魔法少女を救うドン!」
???『助けて…』
まどか「え…?」
???『助けてまどか…僕を助けて!』
???『僕を呼ぶドン!』
まどか「…誰なの?」キョロキョロ
???『助けて…』
???『モードを選ぶドン!』
まどか「どこにいるの?」(同時に二人に呼ばれて…分かりづらい…!)
タッタッタッ…
まどか「あなたなの…?」
コツ…コツ…
ほむら「……」
まどか「ほむらちゃん…!?」
ほむら「そいつから離れて」
まどか「だ…だってこの子、ケガしてる」
ほむら「…」ツカツカ…
まどか「ダ…ダメだよ、酷いことしないで!」
ほむら「貴方には関係ない」
和田どん「遊びたい曲を選んでね!」
ほむら「…!?」
和田どん「曲を選ぶドン!」
ほむら(……何…こいつ…太鼓……!?)
和田どん「曲を選ぶドン!」
プシューッ!!
ほむら「…!」(ペロッ……これは…消火器!)
さやか「まどか、こっち!」グイッ
まどか「さやかちゃん!」タッタッタッタッ…
和田どん「曲を選ぶドン!」
ほむら「待っ…!」
グニャア………
ほむら「魔女の結界…!こんな時に…」
和田どん「さぁ、始まるドン!」
ズドドドドドドドド…
使い魔「ギャーーース!!」
マミ「危なかったわね」
さやか「す…すごい…」
まどか「た、助けてくれて……ありがとうございます…」
マミ「…」チラッ
ほむら「……」ツカツカ
和田どん「モードを選ぶドン!」
さやか「あれは…」
マミ「――そう。太鼓の達人で対決というわけね。受けて立つわ」
ほむら「…は?訳が分か……」
マミ「何を今更言っているの。そこにタタコンが居るっていうことは、そういうことでしょう?」
まどか「あの…待ってください」
マミ「…?」
マミ「…ごめんね。名前を間違えちゃったわ、和田どん」
和田どん「モードを選ぶドン!」
ほむら「こいつは…勝手について来ただけで……」
マミ「今更撤回が許されると思って?」
和田どん「むずかしさを選ぶドン!」
ほむら(もう何がなんだか……太鼓の達人なんて…聞いたことあるだけで、やったことないのに…)
マミ「デュエル!!」
巴マミがそう叫ぶと、二人の前にタタコンが出てきた。
巴マミは、「かんたん」を選択する―――
マミ「曲は…さんぽよ!」
QB「いきなりマミの持ち曲だね。あれでは暁美ほむらに勝ち目はないよ」
―――デュエルの始まりだ
ほむら「―――負けたわ…」
マミ「圧勝ね。出直してきなさい」
ほむら(自分で突っ掛かってきたくせに…)
ほむら「……くっ、もう一度よ!!」オオッ!
マミ「またボロ負けしたいようねッ!!」ゴオッ!
ほむら(こんなもの…!一回叩く度に時間を止めれば余裕よ!!)
ドンドンドンドンドンドンドンドン……
タタコン → ゲームするときの専用コントローラー
マミ「……莫伽な…!」
ほむら「余裕ね」(意外に簡単なゲームだったわね)
マミ「私が負けるなんて…」
和田どん「もう一曲遊べるドン!」
ほむら「…って言ってるけど、どうする?巴マミ」カカン!
マミ「まだまだ…!」
ドンドンカッカッカッドンドンドンドン…
さやか「――それで、何の話だったっけ」
QB「二人にお願いがある」
まどか「…お願い…?」
QB「僕と契約して、太鼓の達人になって欲しいんだ!」
ほむら「へぇ…貴方の家にも太鼓の達人があるのね。今度はこれで戦うってわけかしら」
マミ「プレステよ。私の本領が発揮されるのは、コントローラーからよ」
ハッ
まどか(マミさん…!それは邪道…!!)
和田どん「むずかしさを選ぶドン!」
―――【かんたん】―――
ほむら「まだ負け足りないようね」
マミ「見てなさい。格の違いを教えてあげる」
ほむマミ「「デュエル!!」」
QB「――それで、魔法少女って言うのは…」
マミ「どうして…?どうして勝てないの…私もフルコンボなのに、暁美さんはほとんど良…!」
ほむら「…ふっ」カン!
和田どん「もう一曲遊べるドン!」
QB「―――だから、願いは慎重に決めないとね」
さやか「分かった……」
まどか「考えてみる…」
QB「僕としては早く君達が魔法少女になってくれた方が嬉しいんだけどね」
和田どん「モードを選ぶドン!」
マミ「一人で特訓するわ…!暁美さん…覚えてなさい!」
ほむら「いつでも挑戦を受けてあげるわ」
マミ「それじゃ魔法少女体験コース第一弾、張り切って行ってみましょうか」
さやか「おー!」
和田どん「始まるドン!」
マミ「昨日話した通り、魔女との戦いは命懸け。実際にそれがどういうものかを、自分の目で確かめてみて欲しいのよ」
さやか(『昨日話した』って…マミさん太鼓の達人やってただけなような…)
マミ「分かってるわよね、暁美さん。これが終わったら…」
ほむら「受けて立つわ」(目の下にくまが…どれほどの過酷な修行を……)
和田どん「モードを選ぶドン!」
さやか「準備になるかどうかどうか分からないけど、太鼓の達人のバチ持ってきました!」
マミ「え…!まさか貴方も太鼓の達人を…!?」
さやか「中々言い出せなかったけど…あたしも持ってるッス。ゲーセンにもよく行ってて…」
マミ「心意気はばっちしってわけね…!魔女を倒したら、私の家でデュエルよ!」
ほむら「楽しみね」
まどか(……何か…絵書いてきたこと言い出せる空気じゃない………)
和田どん「さぁ、始まるドン!」
―――
―
―――マミホーム
さやか「いやー、転校生とマミさん凄かったなー!」
まどか「人助けのために頑張る姿って、凄く素敵だよね…」
和田どん「もう一曲遊べるドン!」
マミ「…か…勝てない………そんな…」ガクガク
ほむら「――フルコンボ、全良よ」
さやか「さて…それじゃさやかちゃんも参戦しちゃいますかね」カッ!
和田どん「むずかしさを選ぶドン!」
ほむら「あら、美樹さやか…貴方もやられに来たの?」
さやか「マミさん見てて。転校生の鼻っ柱折っちゃいますから」
―――【ふつう】―――
ほむら(…ふつう…!?そこはまだ私の踏み込んだことのない未開の地……美樹さやか…彼女は一体……!)
ほむら「………負けた…!?相手は全良……!私はフルコンボでも可ばっかりだった…」
さやか「…ま、ざっとこんなもんかな。あたしの庭は『むずかしい』からなんだけどね~」
ほむら(甘く見ていた…!符が流れてくる瞬間毎に時間を止めても、リズム感がないと良にはならず可止まり…!)
ほむら(これが、難易度『ふつう』以上の世界…!リズム感と手先の巧みさが試され、時間を止める手法は通じない…!)
ほむら(これが、私の限界なの……………?)
まどか(うーん…)
さやか「いやぁ…おかしの魔女は強敵でしたね…」
ほむら「巴マミの顔が食べられそうになった時はヒヤッとしたわ」
まどか「でも、凄かった……和田どんにあんな力があったなんて」
さやか「和田どんが出した音撃で魔女が吹っ飛んでビックリしたよ」
マミ「ありがとね、和田どん」
和田どん「曲を選ぶドン!」
ほむら「美樹さやか…分かってるでしょうね」
さやか「帰りにゲーセンでしょ?分かってるって」
QB「僕がアウェーな気が…」
ほむら「くっ…また負けた……」(時間を止めながら…それなりにリズムを掴めてきてると思ってたのに…フルコンボで精一杯だわ…!何回も時間止めるの疲れるし…)
さやか「森のくまさんは意外にムズイのよねー、でも『ふつう』で苦戦してるようじゃ、『むずかしい』は無理だよ?」
ほむら「くっ…!もう一回よ、美樹さやか!」
さやか「……あのさ、同じ太鼓のタツジニストなんだからさ、そういうよそよそしいのなしにしない?」ドコドコ
ほむら「え…」
さやか「あたしのことはさやかって呼ぶ!あたしもあんたのこと転校生じゃなくってほむらって呼ぶし」ドドン
ほむら「…了解よ、さやか」
さやほむ「「デュエル!!!」」
恭介「もう聴きたくなんかないんだよ!自分で叩けもしない曲、ただ聴いてるだけなんて!僕は…僕は………あぁっ…!」ガン!ガン!
さやか「あぁっ…!あ…………」
恭介「動かないんだ…もう痛みさえ感じない…こんな手なんて…!」
さやか「大丈夫だよ、きっと何とかなるよ諦めなければきっと…」
恭介「先生から直々に諦めろって言われたんだ…もう太鼓の達人は諦めろって!!今の医学じゃ無理だって…!」ジタバタ
恭介「僕の手はもう二度と動かない…奇跡か、魔法でもない限り……」
さやか「あるよ…」
恭介「え…?」
さやか「奇跡も魔法も、あるんだよ!」
工場長「よっしゃ逝くぞーwwwwwwwwwwwワン・ツー・さん・しーwwwwwww」ドポドポ…
会社員「イェイ!」
まどか「ダメだよ!そんなことしたらダメぇっ…!」
仁美「何故ですの?私達はこれから神の世界へと旅立つことができるんですよ!!」
まどか「だ、だめぇっ…!」
和田どん「さぁ、始まるドン!」
キーミーガーイタナーツーハートオイーユーメーノナカー♪
工場長「ぐわぁぁぁぁ!!」ガクン!
会社員「…!」ドサッ
仁美「グギ…!」バタン
まどか「す…凄い……和田どん…音撃でみんな気絶させた……」
和田どん「曲を選ぶドン!」
まどか「…嘘…!魔女の結界……!?どうしよう…」
和田どん「モードを選ぶドン!」
使い魔「ハハハハハハハハハハ」グイーン
まどか「い…やっ……!あぁっ……!」(ち…契れ……る…)ビヨーン
ザシュッ!!!
使い魔「ギャア!」「ウワァ!」
さやか「危機一髪ってとこだったねぇ」
まどか「えっ…さやかちゃん?」
さやか「待ってて…魔女も片しちゃうからっ」ヒュン!
和田どん「もう一曲遊べるドン!」
まどか「さやかちゃん…魔法少女になったの…」
さやか「まぁね。初めてにしちゃ上出来だったでしょ?」
ほむら「…さやか!」
さやか「…あ、ほむら遅いじゃん。魔女はさやかちゃんが倒しちゃったのだ!……って何でそんな怖い顔してんの」
ほむら「……いえ…」(しまった…!太鼓の達人にハマってこっちを疎かにしていた…)
さやか「ほむら、帰りにゲーセン行かない?するっしょ?今日も」
ほむら「…えぇ」(さやかを魔法少女にしてしまうという失態をした…でも…それでも私は、太鼓の達人をやらなくてはならないのよ…!)
和田どん「むずかしさを選ぶドン!」
マミ「へぇ、美樹さん、魔法少女になったんだ。…これからよろしくね」
さやか「はい…こちらこそ、よろしくお願いします!まだぺーぺーの新人ですけど、マミさんやほむらにはご指導お願いします!」
ほむら「く…くれぐれも自分の身は大切に……。あ、あと…やらないで後悔することだったらきちんとやること…」
まどか「ほむらちゃん、くま凄いよ……大丈夫?」
ほむら「大丈夫よ…」
さやか(『やらないで後悔することだったらきちんとやる』…?どういう意味だろう…)
和田どん「モードを選ぶドン!」
QB(和田どんの太鼓を叩く催促は僕の魔法少女への催促並の頻度だ……何故彼はそんなに太鼓を叩かせたいんだろう…)
まどか「風見野方面には、今日は魔女出なさそうだね」
さやか「まどか、ほむらとかマミさんから連絡ない…?二人がそれぞれ行った方にも、何も異常無しなのかなぁ…」
和田どん「遊びたい曲を選んでね!」
まどか「今日は、平和に終わりそうかな…」
使い魔「ウハハ!ブーン!ブーン!」
さやか「居たっ!使い魔っ!!」シュッ!シュッ!
ガキィン!
さやか「え!?」
まどか「投げた剣が…弾かれた…!」
使い魔「ギャハハハハ!ブーン!ブーン!」
杏子「ちょっとアンタ、何してんのさ。そいつは使い魔だよ」
さやか「…誰よ、あんた…!使い魔を逃がしちゃったじゃない!」
QB「彼女は佐倉杏子。君と同じ魔法少女だ。しかし杏子の縄張りは風見野のハズ…何故君が此処に居るんだい?」
杏子「ちょっと気になる太鼓の音と声が聞こえて来たからな…覗いて見たら使い魔倒そうとしているトーシロが居たんで手を出させてもらった」
杏子「アンタ分かってんのか?使い魔はグリーフシードを落とさねぇんだ、倒しても意味ねぇだろうが」
さやか「使い魔に殺される人を…見殺しにしろっての!?」
杏子「は?…まさかアンタ、やれ正義だの人助けだの、その手のおちゃらけた冗談かますために、キュウべぇと契約したんじゃねぇだろうな」
さやか「だったら…何だって言うのよ!」
杏子「分からず屋は、力で捩伏せて分からせるしかねぇ……お前にデュエルを申し込む!」
さやか「望むところよっ!」
杏さや「「デュエル!!!」」
和田どん「むずかしさを選ぶドン!」
―――【むずかしい】―――
杏子「実力の差を見せつけてやるってんだよ」
まどか「……」ゴク
QB「止めなくても良いのかい、まどか。君が魔法少女になれば、戦いを止めることが…」
まどか「太鼓のタツジニストどうしの闘いは……絶対に止めちゃダメだよ…」
和田どん「曲を選ぶドン!」
杏子「アンパンマンのマーチだ!良いな?」
さやか「ふぅん…中々のセンスしてるじゃん」
ソーダ♪ウレシーンダーイーキルーヨーローコービ♪
ドンドンカッ!ドンドドンドンカッ!カッ!
杏子「そーぉっだーぁー!恐れないーーーで!生ーきるっよっろっこーびっ!たっとーえっ!勇気だけーがーとーもだっちーさー!」
さやか「!?」不可、不可…!
まどか「あれは…!」
さやか(こいつ…対戦相手のタツジニストのリズム感を狂わすためにわざと大声で下手に歌って…!)
まどか(自分のリズム感まで狂ってしまうかもしれない両刃の剣…!卑怯と言われる手法であると同時に、その手法をうまく使いこなすと一目置かれる高等テクニック…!)
さやか(おまけに歌詞もわざと間違えて混乱させてきてる…!ただでさえ一番と二番の歌詞が混同する曲なのに…!佐倉杏子……そこまで計算してアンパンマンのマーチを…!?)
和田どん「フルコンボだドン!」
杏子「ふん、言わんこっちゃねぇ…」
さやか「くそぉ……くそぉ…」(ノルマ達成すら…ままならなかった…!)
杏子「出直して来な」
さやか「うわぁぁぁぁぁぁん!!」ダッダッダッダッ…
まどか「さやかちゃん…!」タッタッタッタッ…
杏子「フン、尻尾巻いて逃げやがったか」
マミ「――へぇ、そんなことがあったの」
まどか「さやかちゃん…凄く落ち込んじゃってて…」
QB「さやかは、自分の腕にだいぶ自信を持っていたようだからね」
ほむら「佐倉杏子……彼女も太鼓のタツジニストだったなんて…」
和田どん「むずかしさを選ぶドン!」
マミ「美樹さんを元気づけてあげましょう、皆で」
ほむら「えぇ…」
まどか「マミさん…ほむらちゃん……」
マミ「負けた時の悔しさなら、私達だって分かってるから」
ナース「上条さんなら昨日退院したわよ…リハビリも順調で、予定が前倒しになっちゃって」
トボトボ…
さやか「はぁ……昨日は負けちゃうし、恭介の退院には立ち会えないし……何やってんだか…」(皆が励ましてくれたのは嬉しかったけど…。マミさんたくさんケーキ食べてたな…)
杏子「ホントに何やってんだろーな、アンタは」
さやか「お前は…!」
杏子「知ってるよ。アンタがキュウべぇと契約した理由…上条恭介って坊やなんだって」
杏子「まったく…たった一度の奇跡のチャンスを無駄にしやがって」
さやか「お前なんかに何が分かる!…大体、何でお前此処に居るんだよ!昨日の追撃かよ…あたしのことが気になるストーカーじゃあるまいし…!」
杏子「アンタに教えに来てやったんだよ…アンタと同じように『人のために』って理由で契約して破滅したバカを知ってるからね」
杏子「魔法ってのはね、徹頭徹尾自分だけの望みを叶えるためのもんなんだ…他人のために使ったところで、ロクなことにならないのさ」
杏子「そうすれば今度こそ坊やはアンタのもんだ、身も心もな」
さやか「お前だけは許さない…絶対に……!」
杏子「場所を変えようか…」
―――ゲーセン
―――【むずかしい】―――
杏子「曲は昨日と同じアンパンマンのマーチだ」
さやか「今度こそ…負けないっ…!」スチャ
杏子「…?」(アイツ…何をしてやがる……)
「さぁ、始まるドン!」
杏さや「「デュエルッ!!!」」
ドンドンカッ!ドンドドンカッ!ドン!!
杏子「そーぉっだーぁー!嬉しいんーだっ!みぃぃんなっのったっめーにっ!たっとーえっ!腕のきずーがっあーいてっでーもー!」ドコドコドンドン
さやか「おーおーきっなっのっぽぉのっふーるっどっけーイッ!おじいーさんのーとっけーい!!!」ドンドンカッドンカッ
杏子「!?」(アタシと同じ戦法…しかも別の歌だと……下手すると死ぬぞ!何で…昨日の今日でそんな高等テクを…)不可
さやか「ひゃっくねーんいっつもー!」ドンドンドンドン
杏子(アイツ…イヤホンつけてやがる…!大音量で正解のアンパンマンのマーチを聞いてやがるってのか!)
杏子「そんな小細工に…負けるかーーーッ!!」
さやか(負けるわけにはいかない…!だって……私のつけてるイヤホンは…毎日恭介と一緒に音楽を聞いたイヤホンなんだからーーーーっ!!!!!!)ドコドコドコドコドコドコ!!!!
杏子「があああああああああああっ!!!」ズガァァァァァン!!
杏子「完敗だぜ……アタシの負けだ」
さやか「いい勝負だったよ……あんたと全力でぶつかり合って、分かったことがある…あんた……」
杏子「あぁ……アタシも、『家族のために』って人のこと願って契約したクチだよ…そんで、最悪の結果に終わって……腐ってたんだと思う」
杏子「真っ直ぐなアンタが眩しくて、妬ましかったんだ…だから、アンタは絶対間違えるなよ……アンタが『魔法少女になって良かった』って思えるようにさ…」
さやか「良かったら…あんたの話も、聞かせてくれない?」
杏子「アタシは―――」
杏子「佐倉杏子だ、よろしく」
まどか「良かった……さやかちゃんとは…仲直りできたんだ」
杏子「一度本気でぶつかり合ってな…そん時通じ合えたんだ」
マミ「太鼓のタツジニストに、悪い人は居ないもの」
ほむら(やはり…太鼓の達人は、絆を作るゲーム…!)
和田どん「曲を選ぶドン!」
まどほむ杏マミ「「「「オウッ!!!!」」」」
仁美「私…上条恭介君のこと、お慕いしていましたの」
さやか「へ、へぇー…まさか仁美がねぇ…。恭介の奴も隅におけないな~…」
仁美「あなたはどうですか?さやかさん…本当の気持ちと向き合えますか?」
さやか「…!」
仁美「上条君のことを見つめていた時間は、私よりさやかさんの方が上ですわ…だから、さやかさんには私の先を越す権利があるべきです」
さやか「仁美…」
仁美「私、明日の放課後に上条君に告白します…丸一日だけお待ちしますわ。さやかさんは後悔をなさらないように決めてください。上条君に気持ちを伝えるかどうか」
さやか「私は……」
さやか「………」トコトコ…
――本当の気持ちと向き合えますか?
――さやかさんは後悔をなさらないように決めてください。上条君に気持ちを伝えるかどうか
さやか「……」トコトコ…
――やらないで後悔することだったらきちんとやること
――アンタは絶対間違えるなよ……アンタが『魔法少女になって良かった』って思えるようにさ
さやか「……よしっ!」
キンコーン
ガチャ
恭介「さやか…どうしたの?」
さやか「ちょっと…大事な話があって…」
ドキ
恭介「……うん、上がって」
―――恭介の部屋
恭介「退院してから、まだ一回も話してなかったよね…僕はさやかにたくさん例を言わなくちゃいけないのに…入院中、いつも側で励ましてくれてさ」
恭介「君が僕に言いたいことは、きっと僕が君に言いたいことと同じだと思う」
さやか「…それって…!」
恭介「一緒に太鼓の達人をやろう、さやか!!」ターン!
さやか「負けないよっ!!」タタン!
さやか(恭介の……バカ…!)
さやか「負けた……」
恭介「僕がこの曲で負けるわけにはいかないからね」
さやか「えっ?」
恭介「さやかは鈍いよ……今僕が選んだ曲は、創聖のアクエリオン」
さやか「そ…それって……」
恭介「一万年と二千年前から、愛してるよ…さやか」
さやか「え………あ…」
恭介「返事を…聞かせてくれるかい」
さやか「私も…恭介が好き……大好きっ!!」
仁美「さやかさん、上条君と付き合うことになったんですね…おめでとうございます」
さやか「あはは、いやぁ…恥ずかしいな…。…その…ありがとう、仁美」
仁美「いえ、お二人が幸せだと…私も嬉しいですから」
その後、仁美は太鼓の達人にのめり込んでいった。
杏子「ワルプルギスの夜が来る…!?」
マミ「それって…超大型の魔女の…!」
QB「戦ったら、ただでは済まないだろうね。しかしほむら…何故それを君は知っているんだい?」
ほむら「統計よ」
さやか「統計ってアンタ…」
まどか「ワルプルギスの…夜……」
和田どん「モードを選ぶドン!」
QB「………」
ほむら(今回なら…行けるかもしれない…皆がソウルジェムの真実に気付かず、そして太鼓の達人を中心に心が一つになっている…)
QB「さて、そろそろ君の正体を教えてもらおうか、和田どん」
和田どん「………」
QB「やれやれ、僕の前ではあのセリフも発さないのかい…太鼓の達人が出来ない、僕の前では無意味だということかな」
和田どん「………」
QB「思えば君は、いつもまどかの近くに居る…君もまどかの魔法少女としての素質に気づいてるんだろう?」
和田どん「………」
QB「和田どん…君の狙いを聞かせてもらおうと思ったが、どうやらそれは叶わないようだね…残念だよ」
⑤
杏子「さて、皆でワルプルギスぶっ倒して、太鼓の達人やろうぜ!」
④
マミ「来るのね…ワルプルギスの夜が」
さやか「恭介…あたし、負けないから…!」
②
ほむら(今度こそ辿り着いてみせる…ハッピーエンドに!!)
①
ゴゴゴゴ…
さやほむ杏マミ((((………来る…!))))
ピシャァァァァァン!
ワルプルギス「アーッハッハッハッハッハ!!!!」
まどか「……」コソコソ
和田どん「モードを選ぶドン!」
まどか「…しっ!」
詢子「…どこ行こうってんだ、オイ」
まどか「私…友達を助けないと……」
和田どん「むずかしさを選ぶドン!」
詢子「消防署に任せろ。素人が動くな」
まどか「私でなきゃダメなの!」
パン!
詢子「勝手なこと言ってんじゃねぇ!テメェ一人の命じゃねぇんだ!」
まどか「分かってる。私…どんなに大切に思われてるか、知ってる…自分を粗末にしちゃいけないの、分かるよ」
まどか「だから私は…みんなを守りたい。私を大切に思ってくれるみんなを。…思いを、バチに乗せて」
詢子「理屈じゃねぇんだな…。いいか、絶対無事で帰って来いよ」
まどか「…ありがとう、ママ」
和田どん「行ってくるドン!!」
まどか(和田どん…テンプレ以外の台詞を…!)
ワルプルギス「アーッハッハッハッハッハ!!」
マミ「う…」
さやか「強……い…」
杏子「ここまで…かよ……!」
ほむら「これ以上の進撃を許すと、避難所が襲われる…!止めなくては………でも…」
ワルプルギス「アーッハッハッハッハッハッハッハ!!!!」
ほむら「もう………」
ダッダッダッダッダッ
まどか「―――みんなっ!!」
和田どん「モードを選ぶドン!」
ほむら「まさか…まどか……!」
QB「まどか…契約をするんだね?」
まどか「私……分かったの…!本当の太鼓の達人とは…!心にタタコンを持っている太鼓のタツジニストのことだって!!」
QB「…何だ?わけがわからないよ」
まどか「…そう、答えはいつも近くに居たの…!和田どんは、私達の心のタタコンを表現してくれる!!!!だからっ!!」
まどか「和田どんっ!行くよっ!!!!」
和田どん「むずかしさを選ぶドン!」
―――【おに】―――
マミ「鹿目さん、死ぬ気!?」
~~~回想~~~
ほむら「まどかは太鼓の達人に参加しないけど、やったことがないのかしら」
さやか「いやいや、強すぎるんだよまどかは。いつも空気読んでくれてデュエル控えてるの」
さやか「マミさんが和田どんをタタコンって呼んだ時は思わず訂正しちゃってたけどね」
~~~~~~~~
QB「まさか…和田どんがまどかが近くに居た理由は……太鼓の達人としての素質があったから…!?」
和田どん「曲を選ぶドン!」
まどか「コネクト!!!!」
カッカッカッ ドドドドドドド ドドン!
ドン! カッドドドカッ ドドドン ドン カッ ドドカッ ドン カッ ドドドン カッドドドカッ ドドドン ドン カッ ドドドン カッ ドドドドン
ドン カッドドドカッ ドドドン ドン カッ ドドカッ ドン カッ ドン! ドン!ドン!ドン!ドン!ドン!ドン! カッ! ドン!
ドドドン カッ カカッ ドン ドカッ ドカッ ドン ドカッ ドカッ ドン ドカッ ドドドン カッ
ドドドン カッ カカッ ドン カカッ カカッ ドドン カッ ドドン カッ
ドドドン カッ ドカッ ドン ドカッ ドカッ ドン ドカッ ドカッ ドン ドカッ ドドドン カッ
ドドドン カッ カカッ ドン カカカッ ドン! ドン! ドドドドドドドド
ドン ドン ドン ドドド ドド カッ ドドカッ ドン ドン ドン ドドド ドドン カッ ドドカッ
ドドン カッ ドドド ドドド ドドン カッ ドドド ドドド ドドドドドドドドドドドド
ドン ドン ドン ドドカッ ドドン カッ ドドカッ ドン ドン ドン ドドカッ ドドン カッ ドドカッ
ドン! カッ ドドド ドドド ドン! カッ ドドド ドドド ドドドドドドドドドドドド ドドドド
ドドド カッ ドドド ドカッ ドドン! ドン! ドン! ドドドン ドカッ ドドドン ドカッ カン! カカン! ドドドン
ドドド カッ ドドド ドカッ ドドン! ドン! ドン! ドドドドドドドドドド ドドドド
ドドド カッ ドドド ドカッ ドドン! カン! カン! ドドドン ドカッ ドドドン ドカッ カン! カカン! ドドドン
ドドド カッ ドドド ドカッ ドドド ドカッ ドドカッ ドカッ ドドド カッ ドドドドド カッ ドン! ドドドドドドドドドド ドン!
ワルプルギス「ギャアアアアアアアアアアアア」パリィィィィン!
さやか「ぜ…全良……!」
ほむら「ワルプルギスが…倒れた……」
マミ「凄い音撃……」
杏子「これが太鼓の達人の力かよ…大したもんじゃねぇか……」
まどか「ふぅ…」
QB(エネルギー変換効率がインキュベーターである僕より遥かに良い……こんな馬鹿なことが…)
スゥ…
QB(なるほど…あれほどのエントロピーを放出できるものの存在……僕はお役御免というわけか)スウ…
QB(まさ……か…和田ど…んの…正体は………)スウウウ
ほむら(そうか…和田どんは…インキュベーターキャンセラー…!彼が居れば、魔法少女というものに意味がなくなる…)
杏子「オイ、変身が解けたぞ」
マミ「ソウルジェムも、消えてしまったわ」
さやか「もしかして…キュウべぇが消滅したから…」
ピカァ……
まどか「あの空に上っていく光は…」
ほむら(今までの魔法少女の魂ね…キュウべぇの消滅で……救われたんだ…)
QB「もう一曲遊べるドン!」
QB「モードを選ぶドン!」
杏子「これは……」
さやか「生まれ変わったんだ……なんか形が太鼓っぽくなってるし」
和田どん「モードを選ぶドン!」
QB「むずかしさを選ぶドン!」
マミ「新しいキュウべぇの誕生ね…!」
ほむら(存在としてリセットされて…第二の和田どんになったのね)
まどか「これからもよろしくね、キュウべぇ……それとも、和田かつって呼ぶべきかな」
マミ「私達、やったのね…」
QB「むずかしさを選ぶドン!」
まどか「私、これからも太鼓で皆を助けたい…」
さやか「あたし、まどかに負けないくらいの太鼓のタツジニストになるよ…どんな魔女も音撃で倒せるような…」
和田どん「曲を選ぶドン!」
ほむら「これからは…太鼓のタツジニストとして、魔女との闘いをすることになるのね……」
和田どん・和田かつ「さぁ、始まるドン!!」
まどさやほむ杏マミ「「「「「デュエル!!!!!」」」」」
おわり
わけがわからないよwww
和田かつ出番あってよかったな
俺も太鼓の達人おに無理だわ
鬼とか無理ゲー
Entry ⇒ 2012.07.21 | Category ⇒ まどかマギカSS | Comments (0) | Trackbacks (0)
和「いつかまた」咲「この木の下で」
健夜「惜しくも敗退した二校も健闘でしたね」
恒子「これで決勝のカードは決定しました!」
恒子「阿知賀女子、白糸台高校、清澄高校、宮守女子、全国の頂点に立つ高校はどこなのか」
恒子「これは目が離せません!」
ーーーーー
ーーー
ー
豊音「おつかれさまー」
咲「ありがとうございました」
霞「ありがとう……ございました……」
末原「お疲れさまでした……」
ガチャン
和「咲さん!」
咲「あ、和ちゃん!」
和「お疲れさまでした」ギュッ
咲「うん、みんなすごく強かったよ…」ギュッ
和「咲さん…」
咲「和ちゃん…」
久「とりあえず、出ましょうか?」
和「あっ、すみません!」アセアセ
久「さて…明日の決勝にそなえて…」
和「はい…練習を…」
久「パーっとご飯でも食べましょうか」
優希「さんせーだじぇ!もうお腹ペコペコだじょ」
まこ「さすがに疲れたしのう」
和「あ、あの…練習…」
久「英気を養うのも練習よ和」
咲「わ、私もお腹空いたよ」
和「ま、まぁ…咲さんがそう言うなら…」
まこ「なんじゃ和、えらい咲には甘いのう…」ニヤリ
優希「のどちゃんひどいじぇ!私というものがありながら…」ヨヨヨ
和「そんなんじゃありません!」
久「和、顔真っ赤よ?」
咲「あはは…」
まこ「おっかないのう…冗談じゃ」
和「全くもう…」
久「そうこうしてる間に料理が来たわよ」
優希「さすが部長だじぇ」
和「結局頼んでたんですね…」ぐぅー
和「…」
久「和…」
和「ま、まぁご飯を食べてからでも練習はできますからね」アセアセ
優希「二人とも早く座るじょ!」チンチン
咲「優希ちゃんお行儀悪いよ…」
久「あらごめんなさい、じゃ、いただきましょうか」
みんな「いただきまーす」
まこ「もぐ…こりゃ大したもんじゃ…」
和「もぐ……あ、美味しい…」
咲「おいしいよこれ」
久「気に入ってもらえて良かったわ」
咲「そういえば京ちゃんは?」
まこ「さっき龍門淵の執事とでかけていきおったぞ」
久「…」
久「みんな、ちょっといいかしら」
優希「どうしたんだじぇ」
まこ「なんじゃ、あらたまって」
久「今まで本当にお疲れ様。ここまで来れたのもみんなのおかげよ。」
久「本当にありがとう。明日の試合で最後だけど、絶対に悔いの残らないように頑張りましょう」
まこ「なーに言っとんじゃあんたは、らしくもない」
優希「言われるまでもないじぇ!」
和「当然です」
咲「絶対に勝ちます」
久「みんな…そうね、ごめんなさい…すこしナーバスになってたみたい…」
久「いつも通り、頑張りましょう」
みんな「はい!」
ーーーーー
ーーー
ー
久「食い意地はるからよ?」ナデナデ
まこ「まったく困ったやつじゃ…って咲と和はどこいったんじゃ?」
久「さぁ?二人で散歩でもしてるんじゃないかしら?」
外
咲「黙って出てきても大丈夫かなぁ?」
和「遅くならなければ大丈夫だと思いますよ」
咲「うん…」
和「…」
咲「和ちゃん…」スッ
和「ええ…」ギュッ
咲「星…」
和「?」
咲「見えないね」
和「そうですね…」
咲「長野の空は星がたくさんなのに…」
和「明日の試合が終わればまた帰れます」
咲「うん…」
和「どうかしたんですか?」
咲「お姉ちゃん…」
和「…」
和「…です…」
咲「え?」
和「大丈夫です」
咲「…」
和「大丈夫」ギュウ
咲「和ちゃん…」ヒシッ
咲「私…ちゃんとがんばれるかな…」
和「大丈夫。私がついています」ナデナデ
咲「うん…うん…」
和「勝ちましょう」
咲「うんっ…」
和「そして…」
和(ずっと…一緒に…)
咲「和ちゃん…?」
和「あ、ごめんなさい。そろそろ戻りましょうか」
ーーーーー
ーーー
ー
久「気にしなくてもいいわよ」
まこ「もっとゆっくりしてくりゃよかったのに」
久「あれ?あなたたち何かあった?」
和「いえ、何もありませんでしたよ?」
久「そう?前より親密になったような…手までつないじゃって」クス
咲「あっ」カァ
和「こ、これは!」バッ
久「ふふ…仲が良いのはいいことよ?」
咲「からかわないでくださいよ」アセアセ
久「あそこで倒れてるわ」
優希「もうだめ…食べられないじぇ…」
和「全く…ゆーきはだらしないですね…」
咲「ふふっ…」
和「私たちもそろそろ寝ましょう」
久「あれ?練習しなくていいの?」
和「明日にそなえて休んでおくことも大切ですから」
久「へぇ…そう。ならおやすみ」
咲「あ、和ちゃん、私も寝るよ」
ーーーーー
ーーー
ー
和「…」
咲「…」
和「咲さん?」
咲「うん?」
和「起きてますか?」
咲「うん、なんだか眠れなくて…」
和「くす…私もです…」
咲「緊張してるの?」
和「いえ…そういうわけではないのですが…なんだか、落ち着かなくて…」
和(負けたら…もう、咲さんとは…)
咲「そっか…私と同じだね…」
和「…」
咲「そっち行ってもいいかな?」
和「ええ…」
咲「んしょ…んしょ…」モゾモゾ
咲「ふう…」
和「咲さん…」ギュ
咲「和ちゃん…」ギュッ
和「すごく落ち着きます…」
咲「うん…」
和「…」
和(離れたくない…)
和「…ぐす…」ポロ
咲「和ちゃん?」
和「うぅ…ヒック…」ポロポロ
咲「あの…えっと…」オロオロ
和「ごめっ…なさいっ…」ポロポロ
咲「何かあったの?」
和「なんでもっ…ありません…」
和(今は…このままで…)
咲「うん…」ナデナデ
和「…ぐすっ…」
咲「…」ナデナデ
和「…」
咲「…」ナデナデ
和「…」スースー
咲「…」ウトウト
和「すーすー」ギュウ
咲「くぅ…くぅ…」
ーーーーー
ーーー
ー
健夜「長かった戦いも今日のこの一戦で全てが決まりますね」
恒子「果たして優勝を勝ち取るのはどの高校なのか!!」
恒子「試合開始はこの後すぐです!絶対に負けられない戦いが、そこにはある」
控え室
久「さて…いよいよね…」
まこ「流石にちょっと緊張するのう」
優希「心配ないじぇ!」
優希「この試合に次鋒戦は来ないからなっ!!」
久「すごい気合ね」
和「飛ばしすぎてバテないでくださいね」
咲「優希ちゃん頑張って!」
優希「おう!!任されたじぇ!」
アナウンス「先鋒戦開始10分前です。選手の方は対局室へお願いします」
優希「じゃ!行ってくるじぇ!!」
キィ…
シロ「あ」
シロ「よろしく…」
照「ええ」
玄「よ、よろしくおねがいします」
優希「よろしくだじぇ」
ーーーーー
ーーー
ー
健夜「やはり強いですね」
控え室
久「やっぱり強いわね…」
まこ「いっちょカタキとったるか!」
和「これは…」アゼン
咲「…」
ガチャ
優希「うぅ…」
優希「ごめん…だじょ…」
久「気にすることないわ。全体から見れば削られてないぐらいよ」
優希「うん…」
優希「白糸台の先鋒…すごい気迫だったじぇ…」
和「咲さん?」
咲「すぐに戻ってきますから」
久「大将戦には帰ってきてね」
咲「はい」ガチャ
廊下
咲「お姉ちゃん…」トコトコ
咲「…」
照「…」スタスタ
咲「あっ…」
咲「お、お姉ちゃん!!」
照「…」ピタ
咲「ぅ…」
照「…」スタ
咲「わ、私っ!!」
咲「絶対に負けない!!みんなで優勝したいから…だから…お姉ちゃんにも…」
咲「お姉ちゃんにだって負けないから!!」
照「…」フッ
照「…」スタスタ
咲「はぁ…はぁ…」
咲「今…笑ってた…?」
咲「少しだけ…笑ったよ、お姉ちゃん…」
咲「…」グッ
咲「うん!がんばろう!!」
ーーーーー
ーーー
ー
ガチャ
咲「遅くなってすみません」
久「あら、帰ってきたのね」
まこ「もうすぐ副将戦おわるぞ」
優希「咲ちゃんどこ行ってたんだ?」
咲「少しね…試合はちゃんと見てたよ」
恒子『副将戦終了です!白糸台が圧倒的リードを保ったまま大将戦です!』
久「いよいよね…」
まこ「正直かなり厳しいのう…」
久「私たちが取り返せればよかったんだけど…」
咲「大丈夫です…」
咲「絶対に…絶対に勝ちますから」
久「へえ…」
まこ「すごい気合いじゃのう…」
優希「あとは任せたじぇ…」
咲「行ってきます!」
ーーーーー
ーーー
ー
恒子「激戦を勝ち抜き、見事優勝を手にしたのは西東京代表、白糸台高校です!!」
健夜「3連覇の達成…これは高校麻雀史に名を残す記録になりますね…」
恒子「しかし清澄の宮永選手の追い上げは凄まじいものがありましたね…」
健夜「あと500点取っていれば優勝は清澄でしたからね」
恒子「選手の皆様、応援された方々、お疲れさまでした」
淡「はぁっ…はぁっ…」ポタポタ
淡(危なかった…本当に危なかった…)
淡(個人的な力量なら私の数段強い…)
淡(生きた心地がしない…)
咲「ありがとうございました!」スタスタ
淡「あっ…はい、お疲れさまでした」ビクッ
しず「ありがとうございました!負けちゃったけど…本当に楽しかった!」
豊音「また遊んでねー」
バタン
淡「はぁー…きつ…」
ーーーーー
ーーー
ー
咲(負けちゃったな…)
咲(でも不思議…あれだけ勝ちたかったのに、不思議と落ち着いた気持ちだよ)
咲「みんな、ごめんね」
照「頑張ったな、咲」
咲「…」
咲「えっ?」バッ
照「お疲れ様」ニコ
咲「お、お姉ちゃん…?」
照「うん?」
咲「私に話しかけてるんだよね…?」
照「それ以外の誰だっていうんだ?」
咲「あ…あの…」
咲「わ、私…お姉ちゃんにいっぱい話したいこと…」ポロポロ
照「おいで」
咲「うぅ…うわああああああん!!」ダキッ
照「んっ」ギュッ
咲「お姉ちゃん…私…私…」ポロポロ
照「つらい思いさせてごめんね…」
咲「ううん…いいの…もういいの…」
照「あなたにただ純粋に麻雀を楽しんでほしかった。それだけのことなの…」
照「私…すごく不器用だから…」
咲「うん…知ってるよ…」グス
照「そっか…」ナデナデ
照「うん…咲…」
和(咲さんを探していたら…)
和(咲さん…お姉さんと仲直りしたんですね…)
和「もう…心配することはありませんね」クルッ
和「…」スタスタ
和「…」ポロ
ーーーーー
ーーー
ー
まこ「そろそろ帰るかのう…」
和「…」
咲「そうですね…もう外も暗くなってきましたし」
優希「もうお腹ぺこぺこだじぇ…」
久「そればっかりじゃない」クス
まこ「あんたももう引退したのになんでおるんじゃ」
久「だーって暇なんだもん…別にいいわよね?和?」
和「…」
久「和…?」
和「…え?あ、なんでしょう?」
久「…なんかあった?」
和「いえ、少し考え事を…」
和「……」
久「?」
和「…あの」
まこ「なんじゃ?」
和「私、みなさんに伝えないといけないことが…」
久「急にどうしたの?」
咲「…」
優希「のどちゃん様子が変だじぇ」
和「私…実は…」
和「転校…するんです…」
まこ「なんじゃと…」
優希「そんな!そんなの嘘だじぇ!!」
咲「……え?」
和「いきなりですみません。実は前々から決まっていたんですけど…」
久「それで、いつなの?」
和「今週末には…」
優希「急だじぇ…」
まこ「まぁ都合もあるだろうしのう…」
咲「なにそれ…」
和「…」
久「咲?」
和「ごめんなさい…」
まこ「落ち着かんか!」ガシッ
咲「なんで……なにも教えてくれなかったの…?」クタッ
和「ごめんなさい…」
咲「もういい……もういいよ……」
優希「咲ちゃん…」
和「わ、私…」
咲「今までありがとう、さようなら」バタン
一同「……」
和「…」
まこ「そうじゃ、落ち着いたらまた元通りじゃ」
優希「のどちゃん…」
和「すみません、今日は帰ります」
和「明日からは部活も来ません。引っ越しの用意があるので」
久「…」
久「りょーかい…」
ーーーーー
ーーー
ー
優希「あれから二人とも一度も部活にこないじぇ…」
久「二人とも全く話もしていないの?」
優希「咲ちゃんが明らかに避けてるじぇ」
まこ「なんとまぁ…」
久「これはほっておけないわね…」ピポパ
久「もしもし?和?今から少し良いかしら?」
久「ええ、わかったわ。それじゃ」ピッ
久「さてと…」
まこ「どこか行くんか?」
久「部長最後の仕事よ」
優希「元部長…任せたじぇ」
久「じゃあちょっと言ってくるわ」
ーーーーー
ーーー
ー
和「みなさん、今までありがとうございました。短い間でしたが、この学校で過ごしたことは忘れません」
和「…」チラ
咲「!」プイ
和「新しい学校でも、この学校での思い出を糧に、頑張ります」ペコリ
パチパチパチパチ
先生「原村、向こうでもしっかりな」
モブ「原村さん今まで楽しかったよー!」
モブ2「またね!絶対忘れないからね!」
咲「……」
先生「それじゃ今日はこれまでな、気をつけて帰れよー」
ワーワー
モブ4「いいじゃん、やろーよ」
和「あの…今日は早く帰って来いと言われているので」
モブ3「そっか…じゃあ仕方ないね」
和「すみません…」
和「…」スタスタ
咲「…」
和「…」ピタ
咲「…」
和「咲さん」
咲「…」
和「咲さんと過ごしたことは一生忘れません」ジワ
咲「…」
和「ありがとうございました」ポロポロ
和「大好き」ダッ
咲「…」
咲「私も…だよ…」ポロポロ
ガラガラ
久「遅かったか!!」ズササッ
咲「ぶ、部長…ひっく…」グスッ
久「泣くくらいなら無視なんてしなけりゃいいのに…」
咲「だって…私も混乱して…どうしたらいいかわからなくて……」
久「じゃあちょっと新情報を」ヒソッ
咲「え?」
咲「…」コクコク
久「…」ヒソヒソ
久「ってことらしいわよ」
咲「そ、それって…」
咲「私…」
久「ん、行きなさい」
久「今ならまだ間に合うから」
咲「すみません!ちょっと行ってきます!」ダッ
久「がんばんなさい」ニコ
ーーーーー
ーーー
ー
和「はぁ…」
咲「和ちゃーーーん!!」ダッダッダ
和「さ、咲さんっ!!」バッ
咲「はぁ…はぁ…」
和「あの…」
咲「ごめんなさいっ!私ずっと誤解してた…」
和「もしかして…部長が?」
咲「うん」
久『和のお父さんは厳しいらしくてね、和は全国優勝ができなければ転校するという約束をしてたらしいわ』
久『今まで言わなかったのも父親にかなり食い下がってたみたいよ』
久『私たちに無駄な心配をかけないように、ね』
咲「和ちゃん…このままだったら私、一生後悔してたよ…」
咲「ほんとにごめんなさい」ペコ
和「こうして分かり合えましたから」
咲「和ちゃん…」
和「ここ…」
咲「ん?」
和「私たちが初めて出会った場所ですね」
咲「あ、ほんとだ」
和「咲さんはあそこの木の下で本を読んでいて」
咲「そこに和ちゃんが通りかかって」
咲「すごく綺麗だと思った」
和「ふふ…」
咲「えへへ…」
咲「え?」
和「いつかまた、この木の下で会いましょう」
咲「うん…その時までは、さよならだね」
和「はい、その時まで」
咲「私、これからも麻雀続けていくよ」
和「私もです」
咲「うん…」
和「…」
和「そろそろ…行きますね」
咲「うん、またね」
和「はい、さようなら」スタスタ
和ちゃんの姿が見えなくなると、私は堪えていた涙を止められなくて、声をあげて泣いた。
ーーーーー
ーーー
ー
久「お疲れさま、咲」
咲「お疲れさまです。先輩」
私は大学を卒業した後、久先輩の推薦で大手の薬品会社に入り、そこで麻雀を続けていた。
プロになる機会もあったけど、今一つ麻雀に対して本気になれなかった私は、麻雀だけは続けようと今の道を選んだのだ。
久「あなた入社してから働きすぎよ?明日から連休でしょう?」
咲「はい。そうですね」
久「たまには実家に帰ったら?お姉さんや両親も喜ぶわよ?」
お姉ちゃんやお母さんは私が高校生の時に、長野に帰ってきて一緒に暮らしていた。
お姉ちゃんは今、長野でプロの雀士としてテレビや雑誌に引っ張りだこになるほど活躍している。
咲「そうですね…うん、そうします」
久「ご家族によろしくね。じゃ、お疲れー」
咲「はい、さようなら」
咲「長野に帰るのなんていつぶりだろう…」
ーーーーー
ーーー
ー
咲「ただいま」
母「お帰りなさい。駅まで迎えに行ってあげたのに…」
咲「大丈夫だよ。それよりお姉ちゃんは?」
母「居間で待ってる。まだかまだかーってずっと言ってたわ」クス
照「ちょっと、変なこと言わないでよ」
母「あら、いたの?」
咲「あ、お姉ちゃん!ただいま」
照「お帰りなさい。咲」
母「疲れたでしょう?布団敷いておいたから、ゆっくり休みなさい」
咲「うん、ありがとうお母さん」
咲「お風呂行ったら寝るよ」
ーーーーー
照「咲、ちょっといい?」
咲「うん?どうしたのお姉ちゃん」
照「その…せっかく帰ってきたのにこんな話もなんだけどな…」
照「咲はプロになるつもりはないのか?咲の実力なら…」
咲「うん…」
咲「麻雀は好きだし、とても楽しいけど…なぜかな…」
咲「そこまで本気になれないんだ」
照「うん…」
照「それってさ」
咲「うん?」
照「ずっと前に言ってた女の子が関係してたり?」
咲「んん…そうなのかな?」
咲「うん…」
咲(あの日彼女と別れてから私の心は熱を失っていたのかもしれない。)
照「ま、ゆっくり考えればいい。まだ若いんだから」
咲「そうだね。そうするよ」
照「うん。ごめんね引き留めて、おやすみ」
咲「大丈夫、おやすみなさい」
ーーーーー
ーーー
ー
咲「ん…」
夢を見た
咲「ふぁ…」
夢の中の私は高校生で、初夏の訪れを感じさせる陽気を浴びて街路樹は白い花を咲かせていた。
その木の根元で私は本を読んでいて、白い花びらが本の上に落ちて。
その時私の後ろに人の気配を感じて、ふと振り返ったところで目が覚めた。
咲「夢…?」
それはとても懐かしい夢だった。
咲「そっか…夢か…」
咲「学校…行ってみようかな…」
私は家に置いてあった小説を一冊カバンに入れて、学校へと向かった。
道端のポストだったり、駄菓子屋さんだったり、昔から何もかもが変わっていなくて、安心感を覚えた。
学校に着くと、私は迷わずあの夢の場所へ向かった。
私が初めて彼女に出会った場所。
あの日と同じように街路樹は白い花を咲かせていた。
咲「うわぁ…懐かしいなぁ…」
その木の根元に腰をおろして、私はカバンから、持ってきた小説を取り出した。
何度も繰り返し読んだ本で、内容もよく覚えているけれど、そんなことは気にならなかった。
咲「…」パラ
咲「…」パラ
その時、白い花びらが本の上にふわりと落ちて来た。
人の気配を、感じた
振り向いて一人の美しい女性と目があうと、その女性は驚いたように目を見開いた。
女性「あ、あの…あなたは…」
咲「も、もしかして…和ちゃん…?」
和「さ、咲さん…」
みるみるうちに和ちゃんの目には涙が溜まっていく。私も泣いていた、と思う。
咲「和ちゃん!」
和「咲さん!」
私たちは強く抱き締めあった。私たちの間にある長い空白を埋めるように互いを求めた。
和「なぜ…ここに?」
咲「お仕事が休みで…なんとなく…」
和「私、この高校で先生をしてるんです。麻雀部の顧問なんですよ」
咲「そう、なんだ…」
和「約束、果たせましたね」
咲「約束…」
和『いつかまた、この木の下で会いましょう』
咲「うんっ!」
和「またここから始めましょう」
咲「うん…」
彼女と抱き合っていると私の中のもやもやした気持ちがどんどん晴れて行って、彼女への愛しさだけが残った。
白い花びらが、二人の再開を祝福するように、いつまでも降り続けていた。
fin
あるかもしれないこんなエンディング
読んでくれた人と支援保守くれたひとありがと
和咲増えろ
またかいてね!
Entry ⇒ 2012.07.21 | Category ⇒ 咲-Saki-SS | Comments (0) | Trackbacks (0)
神崎蘭子「選ばれし者へと覚醒せし年頃の者の集い」
輿水幸子(14) ボクが一番カワイイですよね(ドヤッ
南条光(14) アタシがヒーローだ!
幸子「……はい?」
南条「……どうしたんだ、蘭子?」
蘭子「あっ……わ、我らの同胞たちの集いにより、真実の力を覚醒せんと……」
幸子「いやいや、普通に話してくださいよ。できるでしょう?」
南条「……なるほどな、わかったぜ蘭子!」
幸子「えっ?」
南条「みんなで特訓しようってことだな! 燃えるなー!」
幸子「そうなんですか? まぁボクには関係ないんで他でやってほしいんですけれど」
蘭子「あっ、違う……」
蘭子「フフフ……甘いわ。英雄よ!」
南条「誰にだって間違いはある、そうだろう?」
幸子「……あなたたちって微妙に会話が噛みあってませんよね」
南条「そうかな? アタシは結構通じあえてるつもりなんだけどなぁ……」
蘭子「わ、私もお互いに繋がりし者を感じる……友と呼べるほどに」
幸子「そうですか、じゃあ二人でやっててくださいよ……」
南条「つれないなぁ、幸子! アタシは幸子も友達だと思ってるんだぞ?」
幸子「ボクは思ってません」
蘭子「わ、私も幸子と……」
幸子「じゃあ普通にしゃべってくださいってば……はぁ。まったくもう」
蘭子「……我らと同じ年頃の者たちを集い、奮起し、真なる力を目覚めさせるミサをしないかしら?」
南条「つまり特訓だな! よっし燃えてきたー!」
蘭子「だ、だから違う……」
幸子「……やれやれ。脳みそまでヒーローにやられてるんじゃないですか?」
南条「なにぃ?」
幸子「ようするに同じ年頃のアイドルを集めて話し合いでもしないか、って言いたいんでしょう?」
蘭子「ふ、フフフ。流石は我が友よ……我が心の内をそこまで酌もうとは……」
幸子「付き合いも長いですから。ちょっと慣れてきちゃったんですよ」
蘭子「……あ……ありが……とう」
幸子「……別に。感謝してるならもう少しまともに話をしてくださいね」
幸子「あぁもう暑苦しい! ベタベタしないでください!」
南条「どうした、照れてるのか? 大丈夫だぞ」
幸子「照れてるんじゃありません! 暑いっていってるんです!」
南条「暑いからどうした? 汗臭いのが気になるのか?」
幸子「いや、そこじゃなくて……」
南条「いいか、友情っていう字は友の心が青臭いと書いてだな……」
幸子「あなたは本当に人の話を聞く気がないんですね、もう!」
南条「いやいや、聞いてるぞ?」
幸子「じゃあ会話のキャッチボールをしてください!」
南条「してるじゃないか」
幸子「どこがですが、ど・こ・が! 優しいボクじゃなかったらとっくに会話を放棄してますよ?」
南条「つまり幸子は会話を続けてくれるってことだろう? やっぱりアタシ達は友達だよ」
幸子「あぁ言えばこういう……本当にもう……」
幸子「よくないですってば……はぁ、まったく」
蘭子「我らと同じ年頃の者たちへのミサへの誘いは既に送られている……」
南条「へぇ、もう誘ったのか?」
蘭子「そう……真実の瞳に目覚めし年頃の者たちの集いよ……」
幸子「……ボクがその中に混ぜられているのがどうも納得いかないんですけれど?」
南条「まぁまぁ、乗りかかった船だろ?」
幸子「乗ろうとしたつもりすらないんですけれどね……まったく」
蘭子「……幸子は……共に、歩んではくれない、の?」
幸子「……日付にもよりますけど。ヒマだったら考えてあげなくもありませんよ」
蘭子「ほんと……ま、真であろうな? 我が『瞳』の前での偽りは地獄の業火に……」
幸子「あー怖い怖い。で、いつなんですか?」
蘭子「……今宵よ」
幸子「はい?」
蘭子「……きょ、今日。なの」
(蘭子がなに言ってるかわかりづらい気がするけど副音声入れる?)
今のところ問題ないよ
蘭子「う、うん」
幸子「なに考えてるんですかあなた……まったく……」
南条「まぁまぁ、幸子。運命は常に自分の手にだな……」
幸子「光はちょっと黙っててください。話が進まなくなりますから」
南条「いや、でも……」
幸子「いいから」
南条「……うん」
蘭子「あ、あの……幸子……」
幸子「まったく、本当にあなたたちは計画性ってものが無さ過ぎます。そんな唐突に誘っても誰も来るはずが……」
??「ここがアタシを呼びだした奴の事務所かぁ?」
幸子「はっ?」
南条「何者だ!」
麗奈「何者だ? とはズイブンじゃないか……このレイナ様を知らないとは言わせないよ!」
幸子「うわぁ、なんかめんどくさそうなのがきちゃった……」
麗奈「めんどくさそうって……ナマイキなこといってくれるじゃんか」
幸子「いやいや、だいたいあなた誰ですか?」
麗奈「だから名乗ったでしょ? レイナ様だよ」
幸子「……いやいやいや。蘭子?」
蘭子「……『瞳』に目覚めていそうな者を選りすぐって誘いをかけた。我が誘いの元集いし者たちで……」
南条「つまり個性的なメンバーばかりってことだなー! よっしゃあ、アタシはその全員と友達になってやる!」
南条「ってわけでまずはお前からだ!」ビシッ
麗奈「なんだお前……ちっちぇぇぇ」
南条「なっ……小さくない! 140はある!」
幸子「ちょっと、乗りこんできていきなりその言い方は……」
麗奈「お前もちっちっちゃいなぁ!」
幸子「……ひょっとしてケンカ売ってるんですか? やれやれ、ボクがカワイイからって嫉妬ですか?」
麗奈「あぁ? ナルシストかよ……ナンバー1はアタシだよ! ザコはザコらしくしてなさいっての」
ジャギ 179cm
仁星のシュウ 180cm
将星のサウザー 181cm
殉星のシン 183cm
妖星のユダ 183cm
義星のレイ 185cm
諸星のきらり 185cm
ケンシロウ 185cm
トキ 188cm
ラオウ 210cm
にょわーしょーっ☆(威圧)
麗奈「いいや、アタシのほうがトップにふさわしいね! なんてったって……」
南条「ちょ、ちょっと待て二人とも。ケンカは……ん? でも友情は『友の心が青臭い』からぶつけあって……」
蘭子「あ、あの……」
幸子「蘭子は少し黙っててください。ボクはこの身の程知らずに世界を教えてあげないといけないみたいなので」
麗奈「はん、こっちのセリフよ! なんだったらこれから……」
蘭子「……すぅ……はぁ……」
蘭子「愚かな争いはやめなさい、愚民よ!」ギロッ
麗奈「ひっ!?」
幸子「えっ?」
蘭子「……我らが真なる力を開放し、争えば世の理が乱れるでしょう……無益な争いはやめなさい」
麗奈「……な、なによ……ちょっとからかっただけでしょ……」
幸子「ら、蘭子……?」
幸子「わ、わかりましたけど……どうしたんですか? 急に……」
蘭子「……ふ、ふふ。我が内に秘めし闇の一端が覗いてしまったようね。貴女も無益なことはおやめなさい」
麗奈「……わ、わかった……おとなしくしたら……いいんでしょ……」
蘭子「そう。それでいいの……真に能力を持ちし者ならば、ひけらかす必要などないのだから」
麗奈「うん……」
幸子「……いや、蘭子もやるじゃないですか。まさか一喝で納めるだなんて……ねぇ光。……光?」
南条「……かっけぇっ!」
幸子「はい?」
南条「なぁなぁ幸子! 今のもう一回いってくれ! もう一回! すっごいかっこよかった! ねぇねぇ!」
蘭子「えっ、あの……そ、そうやすやすと我が深淵をのぞき見れると思うでないぞ!」
南条「あー、ダメ? でも本当にかっこよかったよ今の! やるじゃん蘭子!」
幸子「……あぁ、もう……このバカ……」
麗奈「あ、うん……」
幸子「……とりあえず、無駄にトラブル起こすのはやめときましょうか? バカはもう足りてるんですよ」
南条「幸子、バカとはなんだバカとは!」
麗奈「……あぁ、うん。そうみたいだね」
南条「初対面の子にまでバカって言われた!?」
幸子「ここは蘭子の顔をたてる意味でも、ね」
麗奈「う、うん……蘭子……さん……かっこよかった……」
幸子「はっ?」
麗奈「な、なんでもないし!」
幸子「……あぁ、そうですよね。聞き間違いですよね?」
麗奈「同じ年頃のアイドル達が集まって話し合いをするっていうから、一発このレイナ様を知らしめてやろうと思ったの」
幸子「なるほど……まったく、無理にキャラ作りなんてするもんじゃないですよ?」
麗奈「キャ、キャラじゃないもん! アタシは超ワルだし、愚民共をひれ伏させる日が楽しみだし!」
幸子「……そうですか。ならいいですけど……ところで蘭子? あなた何人に招待状を……」
蘭子「……来たようね」ピクッ
幸子「はい?」
ガララッ
??「すいませーん! ここでパーティばやっちるって聞いてきたんけどー!」
南条「なっ、怪人!?」
??「あり? 場所間違えちった?」
蘭子「ふふ、貴女を呼びだしたのは我が呪言によるものよ! さぁ、名乗るがいい……真名を!」
鈴帆「し、しんめ? うち、上田鈴帆よ!」
幸子「また変なの来た……」
麗奈「うわぁ……」
鈴帆「うーん、みんなでパーティばするっち聞いてん、張り切ってきたけんど……」
蘭子「……フフフ」
幸子「……きぐるみって」
麗奈「いやいや、あれは流石にもう……なんかアタシが主張する必要ないっていうか……」
南条「……!」キラキラ
鈴帆「場所ば間違えちったかね?」
蘭子「誤りなど無いわ……貴女を呼びだしたのはこの神崎蘭子なのだから」
鈴帆「そうかね? 蘭子しゃん、でもパーティじゃなかったと?」
蘭子「ミサに違いはない……ただ、各々の持ちし力が違うだけ……」
鈴帆「ふむふむ、つまり仮装パーティと思ったうちの早とちりか! こりゃケッサクやね!」
幸子「……会話が成立してる、のかなぁあれ」
鈴帆「ん、なんね?」
南条「そのきぐるみってひょっとして……自分で作ったのか!?」
鈴帆「そうやね。どした?」
南条「すごい……すごいよ! ねぇ、よかったらアタシのも作ってほしいんだけど!」
鈴帆「おぉ、うちのきぐるみを!? ほんにね!?」
南条「あぁ、すごい技術だよ! ぜひ欲しい……あっ、アタシの名前は南条光! よろしくな!」
鈴帆「光しゃんやね! うちは上田鈴帆、よろしく!」
南条「はい、手貸して!」
鈴帆「手?」
南条「ぎゅっ、ぐっ、カン、カーン。ってね!」
鈴帆「お、おぉ? これなんね?」
南条「友達の証だ!」
鈴帆「なるほど、よかね! うちも今度から使わせてもらってよか?」
南条「よかよか! 問題ないよ!」
麗奈「……あぁ、うん。そうだね」
幸子「どうしたんですか? ナンバー1は自分だって言ってこなくてもいいですか?」
麗奈「いや、あれに対して宣戦布告するとお笑いの方向に走らされる気がするからパス……」
幸子「賢明な判断じゃないですか? さすがにあれはボクもちょっと……」
蘭子「……知らせの文が届いたわ」
幸子「文って……あぁ、メールですか」
蘭子「我が誘いに応えし者たちはこれですべて……ということになるわ」
幸子「つまりお断りの連絡が来た、と。まぁ当日に誘えばこうなるのもわかってたはずでしょう?」
蘭子「ふ、ふふふ……いたしかたあるまい。我とて己が現し身の衝動を把握することなどできないのだから」
幸子「つまり突発的に思いついてやった、と。それでまぁよくもこんな濃いのが釣れましたね……」
鈴帆「蘭子しゃんとは前番組でいっしょになったかんね! そんときから仲もよかよ?」
蘭子「……未来のことを見通すことだけはこの『瞳』をもってしてもできはしない……難儀なものね……」
幸子「ようするに無計画ってことでしょう? やれやれ……」
麗奈「ま、まぁ顔見せ程度の役割はあったからいいでしょ? アタシのことは忘れらんないだろうし!」
幸子「……微妙ですね。強烈すぎるのを見ちゃいましたから」
麗奈「あれはほら、その……別枠でしょ? ナンバー1はアタシだし」
幸子「というかこの場所によくもまぁこんなに集まりましたね」
南条「確かに人がいっぱいだなぁ。普段の倍の6人かぁ……」
幸子「えっ?」
南条「ん?」
麗奈「……ちょ、ちょっと待ってよ。アタシが来た時は3人だったよね? で、アタシで4人目」
鈴帆「うちは5人目やね?」
幸子「だ、誰ですか6人目って!?」
南条「いやいや、いるだろ? そこに……ほら」
南条「違う違う、ほら……キミも隠れてないでさ、出てきなよ」
??「う……ま、眩しい……」
幸子「ひっ……え? 女の子?」
麗奈「な、なんだよアンタ……名前は?」
小梅「こ、小梅……白坂、小梅、です……」
蘭子「……ふふ。我が誘いに応えた者はすべてそろったといったはず」
幸子「いやいや、いつから……」
小梅「そ、そこの2人が……あ、あくしゅ、してたから……静かに、入ってきました……」
麗奈「あぁ、騒がしかったから気付かなかったんだ……っていうか、もっと自己主張すればいいのに」
小梅「こ、怖くて……」
麗奈「怖くて? アンタ、よくそんなのでアイドルやろうなんて思ったね」
小梅「ご、ごめんな……さい……」
麗奈「いや、別にせめてるわけじゃないけどさ……」
小梅「……いいのに」
麗奈「え?」
小梅「な、なんでもないです……」
南条「……小梅、だっけ?」
小梅「は、はい……」
南条「スパイダーメモリの使用はどうかと思うぞ、アタシ」
小梅「はい……?」
南条「人間は爆発しないもんなんだよ、うん」
小梅「き、聞こえて……たんですか……ご、ごめんなさい……」
南条「いや、まぁでも爆発っていいよな! アタシ昔の特撮の火薬量間違えてるようなの大好きで……」
小梅「ご、ごめんな……さい……つい……」
麗奈「ついで爆発させられたらたまったもんじゃないよ、もう……ふざけないでよね」
幸子「……なんだか今ならボク、あなたと友達になれる気がしてきましたよ?」
麗奈「奇遇だね、アタシもだんだんそんな気がしてきた」
小梅「……人が、苦手で、つい……」
南条「大丈夫、ちょっとずつ慣れていけばいいんだ! アタシとダチになろうぜ、小梅!」
小梅「だ、ち……って、友達……?」
南条「そうだ。アタシの名前は南条光! 南の空から条す光を掴む、南条光だ!」
幸子「……それ、前『条す』って言葉が無いから却下。って言いませんでしたっけ?」
南条「細かいことは気にするな!」
幸子「はぁ、もう……」
小梅「……ふ、ふふ。面白い、人達なんですね……」
蘭子「そう。我が大切な友たちよ……」
小梅「……!?」ビクッ
蘭子「小梅……この場に集いし者たちは貴女に危害を加えるほど愚かではない」
小梅「……」
蘭子「誰も責めない。己が内を晒すがいいわ」
小梅「そ、それでも……ちょっと、怖い、です」
南条「怖い、か……小梅。怖いものがあるのっていいことだと思うんだ」
小梅「えっ……?」
南条「だってほら、人間だれしも恐怖心があって……怖いものがあって、それを乗り越えるためにがんばるんだからさ」
南条「怖いものなしな人より、怖いものに向かっていける人のことが、アタシは好きだよ?」
小梅「……光、さん……」
南条「光、でいいよ」
小梅「う、うん……ひ、ひ……光?」
南条「どうした?」
小梅「……と、友達に、なって、くれるの?」
南条「あぁ、もちろん! むしろこっちからお願いしてるんだよ?」
南条「へぇ……ホラーかぁ。結構ドキドキしてくるよね! オススメとかあったら今度見せてよ?」
小梅「け、結構グロテスクだったりとか、して……夢にでる……かも……」
南条「平気平気! アタシ、真・仮面ライダー序章とか牙狼とか、なんならエースやレオもいけるからね」
小梅「え、えっと……?」
南条「こっちの話。ドキドキするのが好きなら一緒に特撮見るのもいいかもって思うんだけど、どうかな?」
小梅「特撮……は……見たこと無い、かも……」
南条「よっし決まり! 一緒に見よう!」
小梅「え、えっと……お願い、します?」
南条「任せとけ!」
鈴帆「よか話やねー……」
小梅「ひっ……」
鈴帆「ん、どしたと?」
小梅「ご、ごめんなさい……びっくり、して……」
鈴帆「あぁ、このきぐるみのせいかね?」
鈴帆「そうやね! うち、笑ってもらうのが一番うれしか!」
小梅「わ、笑われるのって、怖い……」
鈴帆「ううん、笑ってる人ってきっとハッピーなんよ。うちはもっともーっとみんなを楽しませてあげていきたか!」
小梅「……すごい、ね」
鈴帆「そんなことなかよ。うちはうちが一番楽しいけんね!」
小梅「たの、しい……」
鈴帆「そう。笑ってもらって、楽しんでもらって、それが一番うれしくて楽しかよ!」
小梅「……そ、そう……そう、なれるかな……」
鈴帆「無理はせんほうがよかね。でも……きぐるみが欲しかったらいつでもいってくれればつくるけんね」
小梅「あ、ありが……とう。うん、いらない……」
鈴帆「なぬっ! ショ、ショックね……」
幸子「……蘭子?」
蘭子「ひゃっ!? さち……わ、我が友よ。我が業火に焼かれたくなくば急に後ろに立つのは命取りと……」
幸子「ひょっとして、あの子の友達を作ってあげようと思ったんですか?」
蘭子「……勘違いするな。我が友が孤独ではないようにと……」
幸子「それ、肯定してますよね?」
蘭子「あっ、違……えっと、一緒に……共に、歩く者がいない辛さは……その……」
幸子「はいはい。優しいなぁ蘭子は……」
蘭子「違う……だから、我が、友は孤高たるべきだが、えーっと……」
幸子「んー、なにがいいたいのかさっぱりわからないですね? きっちり話してくださいよ」
蘭子「……」
麗奈「……ね、ねぇ? あの……」
蘭子「わ、私も……友達が……いなかったから……」
麗奈「えっ?」
幸子「ふふん。まぁボクみたいなカワイイ子と友達なんて自慢にもなりますよね」
蘭子「うん。最高の友達だよ」
幸子「と、当然ですね。別にいまさら言われなくたって……」
麗奈「……おいおい、照れてるじゃん?」
幸子「照れてません! 事実を再認識しただけです!」
麗奈「どうだか……ねぇ蘭子……さん? ちゃん?」
蘭子「蘭子、でいいよ?」
麗奈「じゃあ蘭子。アタシも……友達ってことでいいの?」
蘭子「……共に時を過ごしたのなら、友と呼んでも良いのでしょうね」
麗奈「かっこつけないで、聞きたいなぁ?」
蘭子「……と、友達だと思う……友達に、なりたい」
麗奈「ふふん。すごいね? このレイナ様のお友達だなんて名誉だよ?」
幸子「さっき本気でビビって惚れかけてたくせに?」
麗奈「あれは演技だっ!」
幸子「ボクがこの人と!?」
麗奈「アタシがこいつと!?」
幸子「……いやいや」
麗奈「それはないでしょ。ねぇ?」
南条「いや、二人とも結構似てると思うよ? ねぇ鈴帆」
鈴帆「そうやね! とっても仲良しになれるっち思うよ?」
幸子「えぇ……まぁ確かにちょっとは友達になれそうだとは思いましたよ?」
麗奈「うん、そうだね……だけどさ」
幸子「ボクの方が」
麗奈「アタシのほうが」
幸子「カワイイですよね?」
麗奈「イケてるよね?」
南条「ほら、そっくりだろ?」
小梅「ふ、ふふ……本当に、似てる……」
麗奈「こっちのセリフだよ……今度勝負しようじゃん!」
小梅「あ、あの、喧嘩は……」
南条「……いや。これは大丈夫だよ」
小梅「えっ? でも……」
幸子「ボーリングでどうですか?」
麗奈「いいや、アイドルらしくカラオケよ!」
小梅「へっ……?」
南条「な? 雨降って地、固まる! ってやつだよ」
鈴帆「ねぇねぇ2人とも! うちらもいっていいん?」
幸子「当然でしょう? 2人でやったらごまかされるかもしれませんしね」
麗奈「はん、そっちこそほえ面かけよな! アタシの本気見せてあげるから!」
蘭子「えっ、な……我に何の用だ、友よ」
幸子「そのキャラは崩さないんですか……まぁとにかく。全員で今度でかけますけど……」
麗奈「どこにいくか決めてくれよ! なんだかこのまま話しあいだと決着つかなそうだし!」
蘭子「……ふふ。我が心眼にかかれば容易いことよ、計画ならば任せるかいい」
幸子「よし。じゃあ今度のオフ教えてくださいよ」
麗奈「アンタこそ、アタシのオフに合わせなさいよ?」
小梅「え、えっと……次のオフの日は……」
鈴帆「うちもうちもー!」
南条「よっしゃあ、どうせだから全員でやりたいこと決めて全部やっちゃおう! ボーリングもカラオケも全部!」
蘭子「えっ、そんな無茶なのはちょっと……」
幸子「おっと、たやすいことなんでしょう? まかせましたよ?」
麗奈「じゃあついでに晩飯は焼き肉とかにしよう! パーっとさ!」
蘭子「ちょ、ちょっと……うぅ……」
小梅「が、がんばっ」
鈴帆「蘭子しゃん、かっこよかー!」
幸子「ま、あんまりにも無理っぽいのなら多少は手伝ってあげますよ?」
南条「そうだ、どうせなら今回来れなかった奴らも誘ってさ、友達パーティに……」
麗奈「アンタがしゃべると話が余計こじれそうだからちょっと黙ってよう? な?」
南条「むぐむぐっ、むがーっ!」
蘭子「これなかったものたちもか……ふふ、良いだろう! 任せよ!」
小梅「……ほ、本気、ですか?」
蘭子「事も無し! 小梅よ……」
小梅「えっ?」
蘭子「友達、いっぱいできてよかったね?」
小梅「……は、はい!」
おわり
みうさぎピョンピョンとか廃人ゲーマーとか出したかったけどパッション多すぎワロタもあるしやめ
闇に飲まれよ!
南条ちゃんの性格がまんま弦太朗で微笑ましかった
Entry ⇒ 2012.07.21 | Category ⇒ アイマスSS | Comments (0) | Trackbacks (0)
久「遊びのつもりだったけど孕んじゃったなら話は別よ?」
久「要するにデキちゃったわけなんだけど、どうする?」
咲「……えっ、と……堕ろすか産むかですか?」
久「じゃなくて」
久「籍を入れるのはいつにするか、よ」
咲「」
久「?」
咲「いやいやいやいやいやいやいやいや」
咲「ちょっと待ってください」
久「咲?」
咲「…………えっ?」
咲「部長、デキちゃったんですか?」
久「…………」
咲「や、止めてくださいそんな目で見るの……」
咲「だって、いきなり結婚なんて……私たちまだ高校生なのに」
久「籍を入れるのはいつでもいいわよ? とりあえずは婚約の形で」
久「だから今日は話しに来たんじゃない」
咲「……えっと、うぅ……」
咲(やばっ、こいつマジだ……)
久「……そう、ね」
久「ごめんなさい。私も浮かれて話を急ぎすぎたかも」
咲(……よ、良かった)ホッ
久「明日、答えを聞かせて?」
咲「はやっ!」
咲「ぶ、部長。悪いですけど、私あなたとは結こ──んっ!?」ブチュー
久「──ん」チュー
咲「──」
咲「────っ」プハッ
久「……っん。咲」
咲「」ボー
久「明日、またゆっくり話しましょ?」ニコッ
咲「……は、はひ」トロン
久「」ゴロゴロ
久「」ゴロゴロ
久「……ふふっ」
久「咲、可愛い子……」クスクス
久「誰の子を孕んだかも分からないのに、私の言うことを信じて……ふふっ」ニヤニヤ
久「──……」ナデナデ
咲「うぅ、昨日はキスで誤魔化されちゃった……」トボトボ
咲「あの後ムラムラして考え事どころじゃなかったし、答えなんか出ないし……」
咲「いや、もう出てるんだけど……困ったなぁもう」イライラ
咲(──何で私がこんなことで……)ザワッ
咲「…………っ!」イライラ
咲「よし、今日は学校行かないっ!」ダッ
桃子「──ぅあっ、ふああああぁぁっ!!」ビクンビクンッ
咲「……んっ、ふぅ」ビクンッ
咲「良かったよ、モモちゃん」ニコッ
桃子「……はぁ、はぁ──うぅ」グスッ
咲「相変わらずえっちな身体だよね。それにまた感度良くなってない?」サワサワ
桃子「ふあぁっ!」ビクッ
桃子「はぁ、はぁ……や、約束……」
咲「?」
桃子「約束は、ちゃんと守ってるんすか……?」ハァハァ
咲「────ああ」
咲「うちの部長が加治木さんを狙ってるから、止めさせろってやつ?」
桃子「……っ!」ギリッ
咲「約束はちゃんと守るよ」ニコッ
桃子「っ!」ビクッ
桃子「……う、うぅ──」グスッ
咲「えへへ、まだ満足してないみたいだし、もう一回イッてみよっか」ガシッ
桃子「ひぅっ!」ビクッ
咲「やっぱり女遊びは楽しいなー」グイッ
────
咲「──あふぅ」ツヤツヤ
咲「ちょっとヤリ過ぎちゃったか。二人目とか流石にどうしようもなくなるし」
咲「しばらく他の子で遊ぶのは……ん?」
咲(……他の子と、遊ぶ……?)
咲「──ああぁっ!」ポンッ
ドンドン
久「来たわね」
咲「部長ぉっ!!」バターン
咲「騙しましたね!? よく考えたらその子が私の子って証拠なんかないじゃないですかっ!」
久「あら、気付いちゃったの? まぁでも、一番確率が高いのは貴女よ、咲」ニコッ
咲「!」カァ
咲「そ、そんなこと言っても誤魔化されませんっ!」
咲「その子がゆみさんとか愛宕さんとか滝見さんとか三尋木さんとかの子供の可能性がある以上、婚約なんか絶対しませんからねっ!」ビシッ
咲「──う、産むかどうかの判断は任せますけど、後のことは私知りません、よ……」フイ
咲「そもそも、部長が無節操に寝るから──」
久「それをあなたに言われたくないわねぇ?」ニヤニヤ
咲「……うえ?」
咲「」
久「私のもそりゃ褒められたもんじゃないけど、でも脅迫紛いのレイプで誰かと寝たことはないわよ?」
咲「──い、いや」ダラダラ
咲「それは、その……スタートがたまたまそうだったというだけで、二人とも相性良く今は満足してますし、デキてもないし──」
咲「も、問題ないでしょう?」ニコッ
咲「それより話をすり替えないで」
久「龍門渕さんも可哀想ね」
久「自分がセフレ兼財布だとも知らないで」
咲「」
咲「!」ビクッ
久「……どうなるかしらね?」ニヤニヤ
咲「────」
咲(……こ、殺される──)ガクガク
久(まだまだね、咲)
久(ここは「たとえバレてもどうにもならないくらい調教した」ってブラフかますところよ?)クスッ
咲(どうしようもないよ……結婚なんか嫌だけど、殺されるくらいならそっちの方が)
咲(それに部長なら浮気とか気にしないだろうし、場合によってはそっちの方が条件いいかも?)
咲「…………」
咲(私の子ならお姉ちゃんが世話してくれる)
咲(……あれ? むしろこれって──)
咲「アリ、なのかな……?」ボソッ
久「」ニヤッ
久(なら遠慮なく……?)
咲「う゛ーん」ナヤミチュウ
咲(──いやでも結婚……いや、部長の愛人も付録でついてくるならギリギリ……いやでも結婚──)グルグル
久(……踏みとどまったみたいね)
久(もう一押しだけど、もう私にはカードがないわ)
久(残念、ここまでだわ)ハァ
久「はいはい。咲、もういいわよ」
咲「ああ゛ぁー──あ?」
久「そこで止まったなら多分結論は一生出ないわ。私の負けよ」
咲「えっ、と……」
咲「じゃあ子供は」
久「っていうかそもそも私妊娠してないし」ケロッ
咲「はぁっ!?」
久「いい加減貴女を私のモノにしたくなってね。面白いシチュエーションだったでしょ?」
咲「なっ、ほっ──」ピクピク
咲「────はぁ」ヘナヘナ
咲(怒るべきところなのに、ホッとしてそれどころじゃないや)
咲(これも計算のうちなのかなぁ?)
久(計算通りだわ。これでセフレ関係は続けられる)ニコッ
久「しないしない。この手の遊びはやり過ぎると狼少年になっちゃうから」
久「だから次同じことがあったら、それは冗談じゃなくてマジだから」ニコッ
咲「……はぁ。もう、今日は疲れました」
久「送っていくわ。最近ご無沙汰だったし、たまにはゆっくりしましょう?」
咲「はいはい。いいですよ何でも。今日はお父さんもいないし」
久「やりぃ。それじゃ──」クルッ
久「今日の部活はここまで。戸締まりよろしくね!」キャピキャピ
まこ「」
優希「」
和「」ブクブク
京太郎「」ボッキン
完
乙
?
Entry ⇒ 2012.07.21 | Category ⇒ 咲-Saki-SS | Comments (0) | Trackbacks (0)
響「貴音ーナデナデしてー」
貴音「お疲れ様です、響」
響「疲れたぞー!」
貴音「ふふ、頑張りましたね」ナデナデ
響「貴音に撫でられると気持ちがいいさー」
貴音「それは嬉しいですね」ナデナデ
響「自分も嬉しいぞー」
貴音「ご苦労様です、大変疲れているようですね」
響「けど苦労した分いい物が撮れたぞ!」
貴音「それは大変楽しみですね」ナデナデ
響「うあ、貴音突然すぎるさー」
貴音「ふふ♪」ナデナデ
貴音「遅かったですね、響」
響「帰りの電車逃しちゃってタクシーで帰ってきたからさー」
貴音「それはさぞかし長い道のりだったでしょう」ナデナデ
響「貴音が撫でてくれると全部忘れられるぞ」
貴音「ふふ、私も響と共にいると時を忘れて過ごしてしまいます」
響「早く寝ないと朝起きれないぞ…」
貴音「いぬ美達もとても嬉しそうですね」
響「貴音も家族のことわかるようになったのか?」
貴音「響と共にいて嬉しくないわけありませんからね」ナデナデ
響「自分も貴音と一緒にいれて嬉しいぞ!」
貴音「ふふ、ありがとうございます」
響「貴音ーご飯できたぞー」
貴音「ふふ、おまちしておりましたよ響」
響「おかわりはいっぱいあるからな!」
貴音「響の料理は誠に美味ですね」ナデナデ
響「貴音の舌に合ってよかったぞ」
貴音「これからもよろしくお願いしますね」
響「もちろんさー」
貴音「それでは共に入りましょうか」
響「うえ!?た、貴音?何で突然そんなこと言うんだ!?」
貴音「ふふ、響を少しからかってみただけです」ナデナデ
響「うがー!まんまと騙されたぞー!」
貴音「…いつかは本当に二人で…」
貴音「暗闇のなかでも響はとても明るく輝いていますね」
響「自分にはよくわからないぞ…」
貴音「ふふ、わからずとも良いのです、響はとても可愛いらしいですね」ナデナデ
響「今撫でられると眠っちゃうぞ…」
貴音「おやすみなさい響、よい夢を」
貴音「かっぷらあめんは買ってきていただけたでしょうか」
響「あのさ、貴音実は…」
貴音「まさかなかったのですか!?」
響「期間限定増量中だって」
貴音「ほっ、響は焦らすのが得意ですね」ナデナデ
響「それ褒め言葉なのか…」
貴音「ほう、一体誰の歌でしょうか」
響「春香が新曲だしたって言ってたからな」
貴音「貰えばよかったのではないのですか?」
響「春香の売り上げに貢献しようとおもったんさー」
貴音「仲間想いの響も優しいですね」ナデナデ
響「だから春香にも自分のCD買ってもらうぞ!」
貴音「私も買わねばなりませんね」
貴音「涼しい風に虫の鳴き声、風情があって良いですね」
響「聴いてるだけで気持ちが安らぐぞー」
貴音「このような物を聴かせてくれてありがとうございます、響」ナデナデ
響「うわっ!蚊が入ってきたぞ!殺虫剤どこだ!?」
貴音「毎度ありがとうございます、次は私にやらせてくださいね」
響「ゴミ袋の中がカップ麺の容器ばっかだったぞ」
貴音「減らしたいのなら、響がらあめんを作ってください、響のらあめんならいつでも食べられます」
響「麺の袋のゴミが増えるぞ…」
貴音「涼しいですね、響」
響「あ″あ″あ″あ″あ″あ″あ″あ″」
貴音「面妖な」ナデナデ
響「た″か″ね″~」
貴音「ふふ♪」
貴音「いいですよ、私の膝に頭を」
響「気持ちいいさー」
貴音「それはよかったです」
響「zzz…」
貴音「寝てしまいましたね、可愛いらしい寝顔ですね」ナデナデ
貴音「また寝てしまうのでは?」
響「あれは貴音の膝と耳掻きがよすぎたからさー、今度は自分がやる番だぞ」
貴音「なるほど、ではよろしくお願いします」
響「貴音いい匂いがするさー」ナデナデ
貴音(撫でられるというのもたまには良いですね)
貴音「今宵の馳走はなんでしょうか」
響「ラーメンだぞー」
貴音「!」
響「前貴音食べたいって言ってたからなー、まあインスタントにちょっと手を加えただけだぞ」
貴音「それでも良いのです!あぁ響愛しております、さぁ食べましょう!」ナデナデ
響(愛してるって言ってくれたぞ、嬉しいさー)
貴音「どのような物を借りてきたのですか?」
響「自分はこのペンギンとシロクマのDVDだぞ」
貴音「自分にはということは私にもあるのですか?」
響「もちろんさー、貴音が好きそうなDVDがあったからな」
【迫る、ラーメンの神秘“愛と涙の豚骨スープ”】
貴音「これはまた、興味深い作品ですね」
貴音「待ってください響!今良い所なのです」
響「良い所ってもう5回めだぞ…」
貴音「あぁ、このような熱い愛がらあめんには入っていらしたのですね」
響「だからさっきもみたじゃんそれ」
貴音「もう一回観ましょう響!」
響「うぇ!?まだみるのか?そろそろ寝なきゃ明日起きられないぞ…」
貴音「良いのです!今の一瞬を大切にしましょう」
響「まずい…正直眠いぞ…こうなったら」
響「貴音ー!」ナデナデ
貴音「はぅぅん」
響「このまま寝るぞー!」
貴音「響は朝起きるのがとてもはやいですね」
響「家族と散歩に行くからなー」
貴音「ふふ、響は偉いですね」ナデナデ
響「家族のことを考えるのは当たり前のことだぞ」
貴音「待ってください響、私も行ってよろしいでしょうか」
響「貴音もくるのか!なんくるないさー」
貴音「ありがとうございます、では行きましょう」
響「返却するぞ」
貴音「響、私はその辺りをみていますね」
響「わかったぞ!」
………
貴音「見つけました、【迫るラーメンの神秘】しりいず」
響「いたいた、貴音ーそろそろ行くぞー」
貴音「響!これを借りましょう!」
響(こ、これは!?借りてしまうとまた何回も見せ続けられるのか?ダメだ借りてはならないぞ、我那覇響!)
響「さすがに何回も見せられるのはもう御免さー、悪いけど」
貴音「響!」ナデナデナデナデ
響「ひゃぁぁぁん」
貴音「借りると言うまで撫でるのをやめません!」
響「か、借りる、借りるからやめてくれー!」
貴音「響、ありがとうございます」
響「まあ、貴音が喜んでくれたならいいさー」
貴音「来週は休みが多いので三本借りましょう」
響「それも自分が借りるんだろー!うがー!」
貴音「響、落ち着いて」ナデナデ
響「ま、まあ貴音のためなら仕方ないぞ」
神々しくて、不思議で、そして手が届かない場所にある
まるで貴音みたいだぞ、自分もあんな風に綺麗になりたいぞ
貴音はこう言ってくれた
月は太陽が無いと輝けない
私が月なら響は太陽ですって
貴音は自分がいなくなったら輝けないのかな
響の優しさを逆手にとりそれに漬け込むような真似を
恥ずべき行為どうか御許しください
空の月を眺め響は私が月と言いました
私などよりも貴方の方がよっぽど強く輝いているのに
貴方は太陽です
貴方がいないと私はまともに動けません
そこまで私は貴方に依存している
すみません響、もう少し近くにいさせてください
貴音「はい、恥ずかしながら」
響「あはは、自分と同じだぞ」
貴音「え?」
響「自分も貴音がいないとダメみたいだぞ」
貴音「それならこれからもずっと共に歩んで行きましょう」
響「もちろんさー!よろしく頼むぞ!貴音」
貴音「こちらこそよろしくお願いします響」
響「それと貴音今日は月が明るくて眠れないさー」
だから
ナデナデして!
乙。たまにはいいよね
最初はBADだったけど途中からやめた
いい判断だ
Entry ⇒ 2012.07.21 | Category ⇒ アイマスSS | Comments (1) | Trackbacks (0)
士郎「最近、遠坂がなんか咥えてるんだよな」
士郎「セイバー!!悪いんだけど、洗濯物取り込んでくれないかー!!」
セイバー「はい!!」ダダダッ
士郎「……うん。味付けは完璧だな」
凛「ふぃほー」
士郎「遠坂。また、それ咥えてんのか?」
凛「……」
士郎「その四角形のやつはなんだ?」
凛「……」タタタッ
士郎「最近の遠坂は変だな……」
士郎「ありがとう」
セイバー「いえ!」
士郎「なあ、セイバー?」
セイバー「なんでしょうか?」
士郎「最近、遠坂がいつもなにか咥えてるだろ?」
セイバー「リンがですか?いいえ、見ていませんが」
士郎「え?でも、さっきも……」
セイバー「何も咥えていません」
士郎「おかしいな……」
セイバー「そもそもリンがそのようなはしたない真似はしないでしょう」
士郎「でも、確かにいつも咥えてるんだけどな……」
士郎「あー、さっぱりした。あとは寝るだけ」
凛「……」
士郎「遠坂、何してんだ?」
凛「ふぃほー」
士郎「またそんなもん咥えて」
凛「……」
士郎「なんだ、それ?食べ物か?サイズ的にラムネか?」
凛「……」フルフル
士郎「じゃあ、その四角形のはなんだ?」
凛「……ふぉんふぉーむ」
士郎「え?」
凛「……」タタタッ
士郎「遠坂!!」
桜「いただきます」
セイバー「いただきます」
士郎「……」
凛「さくらー、お醤油とって」
桜「はい、姉さん」
凛「ありがと」
士郎「遠坂」
凛「なに?」
士郎「いつも咥えてるの、結局なんだ?」
凛「なんのこと?」
士郎「いや、昨日も咥えてただろ」
凛「知らないけど?夢でも見てたの?」
士郎「……」
桜「先輩?」
士郎「え?」
桜「(姉さん、何を咥えていたんですか?)」
士郎「(えっと……これぐらいの四角い奴)」
桜「(四角い?包装されている感じですか?)」
士郎「(そうそう)」
桜「(なんでしょうか?)」
士郎「(できれば桜からこっそり聞いてみてくれないか?)」
桜「(わかりましたっ)」
凛「セイバー、お茶おかわり」
セイバー「はい!!」
桜「姉さん」
凛「なに?」
桜「何を咥えていたんですか?」
凛「なんの話よ」
桜「……」
凛「士郎が寝ぼけてたんでしょ」
桜「……」
凛「本当よ!!私は何もしらないんだから!!」
桜「わかりました」
凛「な、なによ……?」
桜「それでは……」
凛「……」
セイバー「はいっ!!なんですか?!」ダダダッ
桜「姉さんの様子が少しおかしいので、監視をお願いしたいのですが」
セイバー「はいっ!」
桜「くれぐれも気取られないようにしてくださいね」
セイバー「わかりました!!」ダダダッ
桜「……」
士郎「桜ー」
桜「はぁーい」テテテッ
士郎「買出しに行くんだけど、一緒に行くか?」
桜「はいっ!よろこんで!」
士郎「じゃあ、10分後に集合な」
桜「わかりました♪」
セイバー「……」
凛「なに?」
セイバー「なんですか?」
凛「いや、やることないなら自室に戻れば?」
セイバー「私がどこにいようとも、リンには関係ありません」
凛「そう……」
セイバー「はい」
凛「ねえ、セイバー?」
セイバー「なんですか?」
凛「冷蔵庫の上段右奥にチーズケーキがあるわ。それで手を打ちましょう」
セイバー「わかりました」
凛「よし」
士郎「じゃあ、桜ー。悪いけど下拵え頼むな」
桜「はぁーい」
士郎「えっと……まずは洗濯物を入れて……風呂の掃除だな」
セイバー「シロウ」
士郎「セイバー、どうした?」
セイバー「サクラは?」
士郎「キッチンにいるけど?」
セイバー「……」
士郎「どうした?」
セイバー「いえ……サクラを裏切ってしまったので、合わせる顔がないのです」
士郎「そうなのか。大変だな。ほとぼりが冷めるまでは自室にいたほうがいいんじゃないか?」
セイバー「そうします」
士郎(最近のセイバーも何かと一生懸命なんだよな……なんでも手伝おうとするし……どうしたんだろう?)
士郎「……」ゴシゴシ
凛「ふぃほー」
士郎「ん?遠坂か?」
凛「……」
士郎「どうした?今は、風呂掃除で忙しいからあとでな」
凛「ふぃほー、ふぉっひみふぇ」
士郎「なんだよ……。って、またか」
凛「……」
士郎「行儀悪いからやめとけよ」
凛「……」
士郎「あと、たまには風呂掃除も手伝って―――」
凛「しふぉーふぉ、ふぁふぉー!!」ダダダッ
士郎「遠坂!!……なんでさ」
ライダー「リン」
凛「ふぁいふぁー!?」
ライダー「何を咥えているのですか?」
凛「……っ」バッ
ライダー「……?」
凛「じゃあ……これで……」
ライダー「待ちなさい」
凛「……」
ライダー「今、ポケットに入れたものを見せてください」
凛「ライダーには関係ないでしょ!?」
ライダー「いいから」
凛「……はい」
ライダー「なんですか?これは?」
凛「しらないわよ!!それあげるわ!!」ダダダッ
士郎「あ、ライダー」
ライダー「シロウ」
士郎「なにして……ライダー、何持ってるんだ?」
ライダー「リンに頂きました」
士郎「そうなのか。結構大事そうにしているような気もしたけど……」
ライダー「とりあえず開けてみます」ピリッ
桜「せんぱぁーい、すいませーん!!」
士郎「すぐいく!!」
ライダー「行って来て下さい、シロウ」
士郎「中身、あとで教えてくれ」
ライダー「わかりました」
ライダー「これは……?」
ライダー「……」クンクン
ライダー「なるほど……これはアレですね……」ビヨーン
ライダー「こういう形状なのですか……」
セイバー「はぁ……やはり張り切るだけではシロウたちの役には……」
ライダー「セイバー」
セイバー「ライダー、どうしたのですか?」
ライダー「これを」
セイバー「これは?」
ライダー「避妊具です」
セイバー「……」
ライダー「……」
セイバー「……は?」
セイバー「現代の知識はある。私が問いたいのは、どうして貴方がこれをもっていて、しかも中身を取り出し、私に差し出したのかということです」
ライダー「ああ、申し訳ありません」
セイバー「で、これはどうしたのですか?」ビヨーン
ライダー「リンから頂きました」
セイバー「避妊具を?」
ライダー「ええ」
セイバー「何故?」
ライダー「分かりません」
セイバー「もしかして、シロウが言っていたリンがいつも咥えているものとは」
ライダー「これだったのでしょう」
セイバー「はむっ」パクッ
ライダー「セイバー……」
セイバー「あふぁりおいふぃくありふぁふぇんふぇ」
ライダー「美味しくはないでしょうね」
ライダー「しかし、リンはどうしてこれを咥えていたのでしょうか……」
セイバー「わふぁりふぁふぇん」
ライダー「何か伝えたいことがあったのでしょうか」
セイバー「ふっふぉふぁんふぇふぃふぁら、おいふぃくなふとふぁ?」
ライダー「スルメじゃないんですから、そんなことはありえません」
セイバー「む」
ライダー「避妊具を口に咥える……これを使って……?」
セイバー「……」ハムハム
ライダー「まさか、リンは……」
士郎「セイバー、ライダー、ごはんの―――って、セイバー?!」
セイバー「ふぃほー」
士郎「何を咥えてるんだよ!?」
セイバー「ふぉんふぉーむでふ」
士郎「え?」
セイバー「む」
士郎「ライダー……それ……」
ライダー「なんですか?」
士郎「えっと……もしかして……」
ライダー「風船です」
士郎「え……?」
ライダー「風船ですよ。士郎」
士郎「風船なのか?」
ライダー「はい。セイバーは上手く膨らませられませんでしたが」
士郎「変わった風船もあるんだな」
ライダー「ええ」
セイバー「ライダー、それは」
ライダー「しっ」
セイバー「……」
士郎「遠坂も?」
ライダー「上手く膨らませることができないから、シロウを頼ろうとしたのでは?」
士郎「なんだー。そういうことだったのか」
ライダー「リンはあれでプライドが高いですからね」
士郎「そうか」
セイバー「シロウ、夕食は?」
士郎「ああ、もうすぐ出来上がるから居間に行こう」
セイバー「はい」
ライダー「今度リンがそれを咥えて現れたときは……」
士郎「分かってるよ。膨らませてやればいいんだろ?」
ライダー「誰にも内緒ですよ。リンはきっと怒ります」
士郎「ああ、任せといてくれ。肺活量には自信あるから」
ライダー「ふふっ……」
士郎「さー、寝るか」
凛「し、士郎……」
士郎「遠坂、どうした?」
凛「こ、これ……して……」スッ
士郎「……」
凛「こ、ここまで言ったらわかるでしょ!!いくらあんたでも!!」
士郎「ごめんな、遠坂」
凛「え……」
士郎「こんなことにも気づいて上げられないなんて、男としてダメだと思う」
凛「そ、そうよ……こ、ここまで露骨にアピールしてるのに……」
士郎「俺の部屋に来るか?」
凛「う、うん……お、おねがい……」モジモジ
士郎「よし、行こう」
凛「……」ドキドキ
凛「……うん」
士郎「……」ピリッ
凛「……」スルッ
士郎「遠坂?なんで脱ぐんだ?」
凛「え?」
士郎「暑いか?」
凛「着たままするの?」
士郎「俺はそのつもりだけど」
凛「……」
士郎「……」
凛「……じゃあ、着たままでもいいけど……よ、汚さないでよ?」
士郎「汚すわけないだろ」
凛「ふん……」
士郎「え?なんでさ?」
凛「は、恥ずかしいからよ!!」
士郎「膨らむところを見るのが?」
凛「ば、バカッ!!何言ってるのよ!!!そうだけど!!」
士郎「わかった。じゃあ、消してもいいぞ?」
凛「もう……」
パチンッ
士郎「じゃあ、始めるな」
凛「う、ん……」
士郎「すー……」
凛「士郎……?」
士郎「なんだ?」
凛「あの……や、優しく……してよ……?」
士郎「優しく?わ、わかった……できるだけ優しくする」
凛(よ、よし……脱いだわ……これで……)ドキドキ
士郎「ふぅー!!ふぅー!!!!」
凛「……!?」
凛(し、士郎がすごく興奮してる……?!)
士郎「ふぅー!!!ふぅぅぅー!!!」
凛(士郎のバカ……これじゃあ、絶対に滅茶苦茶にされるじゃない……)
士郎「ふぅぅぅぅー!!!!!ふぅぅぅー!!!!!」
凛(どうしよう……血とか……でるかしら……)
凛(そうだ……魔術で痛み止めを……)
士郎「ふぅぅぅー!!!!!」
凛(できた……これで多少の痛みなら……大丈夫……)ドキドキ
士郎「ふぅぅぅぅー!!!!!!」
凛(あー……もう、私……どうなるの……)ドキドキ
馬鹿だ
凛「え……?」
士郎「遠坂、見てくれ」
パチンッ
凛「きゃ?!」バッ
士郎「ほら、こんなに大きく風船が―――遠坂?どうして……脱いで……」
凛「……っ」ブルブル
士郎「あの……とりあえず、風船……」
凛「士郎なんて……」ウルウル
士郎「え?」
凛「だいっきらい!!!」ダダダッ
士郎「遠坂!!おい!!」
士郎「あいつ……」
士郎「下着、脱いだままだぞ……どうするんだ……」
士郎「おはよう」
セイバー「おはようございます」
桜「おはようございます、先ぱ―――先輩?!それなんですか?!」
士郎「え?風船。いるか?」
桜「そ、そんなものいりません!!新品でおねがいします!!」
士郎「そうか」
ライダー「おはようございます」
士郎「あ、ライダー」
ライダー「なんですか?」
士郎「遠坂、怒ったぞ?話が違うじゃないか」
ライダー「不出来な風船に立腹してしまったのではないですか?」
士郎「そんな……普通に膨らませただけなのに」
ライダー「捻って犬にしてみては?」
士郎「なるほどな」
桜「ライダー、どういうことなの?」
ライダー「サクラは何も心配することはありません」
桜「そうなの?」
ライダー「私はサクラの味方です」
桜「ライダー……」
セイバー「……」
士郎「ライダー、これでどうだ?」
ライダー「いいと思います」
士郎「そうか。これで遠坂も喜んでくれるな」
凛「おはよ……」
セイバー「リン、おはようございます」
士郎「遠坂!!みてくれ!!犬にしてみた!!」
凛「……」
凛「あんた……朝からなんてものを持ちこんでるのよ!!!」
士郎「え……?」
凛「最低!!死ね!!」
士郎「なんでさ!!俺は遠坂のために―――」
凛「……っ」ウルウル
士郎「遠坂……泣いてるのか……?」
凛「もう……いいっ!!でていくっ!!!こんなところいてやるもんですかっ!!!」ダダダッ
士郎「遠坂!!」
桜「姉さん!!」
ライダー「……」
セイバー「……」
士郎「ライダー!?どうしてこんなことになったんだよ?!」
ライダー「皆目検討がつきません」
セイバー「リン……」
凛「もう……絶対にわざとじゃないの……!!」
凛「士郎のバカ……アホ……」
凛「もう……だいっきらい……」ウルウル
トントン
士郎「遠坂……入っても……」
凛「あんただけはもう顔も見たくない!!!」
士郎「今度はウサギにしてみ―――」
凛「それ以上、口を開いたら……殺す」
士郎「わ、わかった……」
凛「昼には出て行くわ。もう私に構わないで」
士郎「遠坂……」
凛「おねがい……もういいから……どっかいって……」
士郎「わかった」
セイバー「シロウ、洗濯物を干しておきました!!」
士郎「ありがとう」
セイバー「……シロウ?」
士郎「ん?」
セイバー「リンは?」
士郎「もう荷造りしてる」
セイバー「このままでいいのですか?」
士郎「……」
セイバー「シロウ……」
士郎「だって、なんかいつもと怒りかたが違うから、どうしていいか……」
ピンポーン
士郎「ん?」
イリヤ「シロー!!!あそびにきたわよー!!!」
士郎「イリヤ!?」
イリヤ「いーのいーの」
士郎「リズも来てたのか。グーテンモルゲン」
リズ「グーテンモルゲン」
イリヤ「今日は何してあそぶー?」
士郎「ごめん、イリヤ。今はそれどころじゃ―――」
イリヤ「なにこれー?」
セイバー「それは!!」
イリヤ「風船でウサギをつくったの?」
士郎「ああ、そうだ」
イリヤ「へー……ん?」
士郎「どうした?」
イリヤ「シロウ、これ風船?」
士郎「そうだけど……?」
イリヤ「……」
イリヤ「……」ジーッ
リズ「イリヤ、固まった」
士郎「イリヤー?」
セラ「こ、こら!!リーゼリット!!!」
リズ「あ、セラきた」
セラ「どうしてそう先に行って―――お嬢様?」
イリヤ「……」ジーッ
セラ「あの……それは……」
イリヤ「これ……どうみても……コンド―――」
セラ「お嬢様!!!すぐにお捨てになってください!!!」バッ
イリヤ「いや、でも……それコンド―――」
セラ「このようなものは……こうして、こうして……ゴミ箱へ!!」ポイッ
リズ「シロウの傑作が」ゴソゴソ
セラ「拾わなくてよろしい!!!」
士郎「え?ああ、遠坂からもらったんだ」
イリヤ「リンから?!いつ?!」
士郎「昨日の晩」
イリヤ「で、どうしてあんなバルーンアートになってるの?」
士郎「いや……そうしたほうがいいって」
イリヤ「使ってないってことね……?」
士郎「何を?」
イリヤ「はぁ……まぁ、私としてもそれでいいけど、わざわざもらったその場で膨らませたの?」
士郎「いや、俺の部屋でだけど」
セラ「不潔」
リズ「むしろ健全」
セラ「どこが?!」
イリヤ「シロウ……そのときのリンの様子、変じゃなかったかしら?」
士郎「そうだな……電気を消してとか言われたし、下着も脱いでたな……」
リズ「シロウ」
士郎「なんだ?」
リズ「バカ」
士郎「?!」
イリヤ「リズに言われたらおしまいね」
士郎「じゃあ、どうしたらよかったって言うんだ?!」
イリヤ「セイバー」パンッパンッ
セイバー「はい?!」
イリヤ「愚鈍な貴方でも事態の把握はでているはずよ?」
セイバー「勿論です!!」
イリヤ「じゃあ、とりあえずリンのところに言って説得してきて」
セイバー「わかりました!!!」ダダダッ
士郎「セイバー、やけに素直だな」
イリヤ「まぁね」
セイバー「リン!!」
凛「なによ?」
セイバー「もう一度、シロウと話してみませんか?」
凛「もういいわ」
セイバー「シロウはきっと大きな思い違いをしていただけだと思います!!」
凛「……」
セイバー「ですから……!!」
凛「いいのよ、セイバー?」
セイバー「え?」
凛「どんなにアプローチしても暖簾に腕押し。脈がなかったってことよね」
セイバー「リン……」
凛「もう諦めるわ。それじゃあ」
セイバー「リン!!シロウの鈍さは知っているはずです!!」
凛「……」
凛「……」
セイバー「私も必死にお手伝いをしていますが、お礼以上のものをもらえたことはありません!!」
凛「セイバー……最近、やけに従順だと思ったら……」
セイバー「いい子にしていれば……シロウがその……愛でてくれるかと……思いまして……」
凛「そう」
セイバー「でも、結果は惨敗でした!!イリヤスフィールに言われた通りのことをしていたのに!!」
凛「あいつは本当にダメよね」
セイバー「はい!!我がマスターのことを悪く言うのは忍びないですが、シロウはダメです!!」
凛「……」
セイバー「一度や二度、気づいてもらえなかったぐらいでなんです。それならもっともっと繰り返せばいいだけです」
凛「セイバー……」
セイバー「さあ、リン。もう一度、シロウと話しましょう」
凛「そうね……そうしてみようかな……」
士郎「わかった」
セラ「まったく……」
凛「士郎?」
士郎「遠坂……」
凛「……」
士郎「ごめん……」
凛「なにが?」
士郎「俺……遠坂を傷つけてたんだよな……」
凛「イリヤ?」
イリヤ「私も同じ誘い方しようと思って」
セラ「……!!」ガタッ!!
リズ「セラ、めっ」
凛「あっそ……」
士郎「あの……なんて言ったらいいか……えっと……これから、するか?」
士郎「……!?」
凛「よくそんな台詞を臆面もなく吐けるわね?!」
士郎「遠坂……」
凛「本当に信じられないぐらいのデリカシーのなさね……」
士郎「悪い……」
凛「……」
士郎「ごめん……遠坂……」
凛「もういいわ」
士郎「え?」
凛「今回は許してあげる」
士郎「本当か?」
凛「でも、士郎?」
士郎「な、なんだ?」
凛「どうしてあれを風船だなんて勘違いできたのかは、すごく興味あるのよね。教えてくれる?勘違いできた理由を……」
桜「せんぱーい、ただいまー」
凛「おかえり。ライダー、桜」
ライダー「はい」
桜「姉さん、先輩は?」
凛「居間にいるわよ」
桜「そうですか」
ライダー「……」スタスタ
凛「ライダー?」
ライダー「はい?」
凛「士郎がライダーに話しがあるんですって」
ライダー「私にですか?」
凛「今晩、士郎の部屋にいってあげて」
ライダー「わかりました」
凛「……」
ライダー(そういえばシロウが呼んでいるとか……行きましょうか)
セイバー「ライダー!」タタタッ
ライダー「なんでしょう?」
セイバー「シロウがこれをライダーにと」
ライダー「こ、これは?!」
セイバー「女性用の避妊具だそうです」
ライダー「……」
セイバー「それでは」
ライダー「え……シロウが……?」
ライダー「いや……でも、私は妊娠なんて……」オロオロ
ライダー「シロウ……サーヴァントの私の体をも気遣ってくれるというのですか……」
ライダー「……」タタタッ
桜「……」
凛「……」
桜「ライダー?」
ライダー「ひっ?!」
凛「こんな夜遅くにどうしたの?」
ライダー「え……いや……シロウが私を呼んでいると……」
桜「そのこと私には一切、話してくれなかったわね、ライダー?」
ライダー「は?いや……そんな些細なことまで報告するなんて―――」
桜「先輩のことなのに?」
ライダー「……!?」
凛「言ったでしょ、桜?ライダーわね、こういう女なのよ」
桜「そうですね……姉さん。ライダーは先輩の血も吸ってるぐらいですからね」
ライダー「サクラ……違います……!!」
凛「シロウからと言われて、避妊具を受け取ったとき、本当に幸せそうだったわねえ……ライダー?」
桜「ライダー……残念です……本当に……」
ライダー「あの……これは……誤解……」ガタガタ
桜「ふふ……そうですね。遠慮なんていいのよ、ライダー?」
ライダー「や、やめて……」
凛「よくも私に大恥かかせてくれたわね?サーヴァントだろうと女神だろうと、容赦はしないわよ?」
ライダー「あ、いや……これはサクラのためで……」
桜「先輩を傷つけてまでそんなことしなくても……いいのよ?」
ライダー「ひぃぃ……!!」
凛「さぁ……開けるわよ」ガラッ
ライダー「……!!」
桜「素敵でしょ、ライダー?ライダーのために先輩の部屋を少し、模様替えしたの」
ライダー「な、なにも……み、みえませんが……?」
凛「そうねー、桜の影をできるだけ詰め込んだからね。黒一色になったの。もうこの部屋に上下左右の感覚はないわ。宇宙と一緒」
桜「実はね。ライダーには前から私が子どものころの思い出を味わって欲しかったの……ふふふ……」
ライダー「やめてください!!!申し訳ありません!!!私は!!わたしはぁぁぁ!!!サク、ラのためにぃぃ!!!!」
凛「ライダー……覚悟してね?」
士郎「イリヤ?!何を咥えてるんだ?!」
イリヤ「ふぉんふぉーむ」
士郎「だめだ!!」バッ
イリヤ「そうよね。別にいらないわよね」
士郎「そういうことじゃない!!」
セイバー「ふぃろー」テテテッ
士郎「セイバー?!」
セイバー「ふぇっふくふぃふぁふぉう」
士郎「なにを言っているんだ?!」
イリヤ「ふぃろー」ギュッ
セイバー「ふぃろー、ふぇっふくふぇす」
士郎「だから―――」
あぁぁあああああああ!!!!!!!
士郎「なんだ?」
士郎「おはよう」
凛「おはよう、士郎」
桜「おはようございます」
セイバー「ふぃろー」
士郎「ぶふっ?!いつまで咥えてるんだ!!セイバー!!」
イリヤ「シロウ……昨日は楽しかったわ」
桜「え?」
凛「え?」
士郎「イリヤ!!」
イリヤ「もう、シロウってば、中々出してくれないから……疲れちゃった」
桜「先輩……?」
凛「へえ……」
士郎「違う!!七並べの話だ!!」
セイバー「ふぃろー、ふぇっふく」
セラ「それでは」
リズ「またね、シロウ」
士郎「はぁ……」
桜「先輩?本当にイリヤさんとは何もないんですね?」
士郎「ないない!!」
凛「ああいうのが好みとかも?」
士郎「どういうのだよ!!」
セイバー「ふぃろー」
士郎「セイバーはもうそれを咥えるな!!」
桜「もう……ふぇんふぁい?」
士郎「桜まで?!」
凛「ふぃろー?ふぉんふぁんは……ふぁっふぇくふぇるんでほ?」
セイバー「ふぃろー、ふぁふぁふぃもふぇっふくふぃふぁふ」
士郎「ああ、もう!!!なんでさー!!!!」
士郎「?!」
ライダー「……」
士郎「ライダー?大丈夫か?」
ライダー「ふぃほー……ふぁふぁふぃふぁ……」ガクガク
士郎「ライダー!!しっかりしろ!!呂律が回ってないぞ!!」
ライダー「あぁぁ……あぁぁ……」ブルブル
士郎「ライダー……辛い目にあったんだな……。俺でよければなんでも言ってくれ。ライダーの恐怖を取り除くぐらいのことはできるかもしれない」
ライダー「え……士郎……?」
士郎「ライダー……なんでもするから」
ライダー「で、では……あの……わ、私を抱いて―――」
桜「―――反省してないのね」
ライダー「ひぃぃ!?」
桜「じゃあ……今度は10年分の思い出……味わってね……ライダー?」
ライダー「いやぁぁぁぁぁ!!!!!!」
END
次はメインヒロインの藤村でお願いします
藤村は後でお仕置きだな
Entry ⇒ 2012.07.21 | Category ⇒ FateSS | Comments (0) | Trackbacks (0)
シズ「最近・・憧のセクハラがひどいんです」玄「え?」
玄「いきなりハードル高いよ!?」
穏乃「そのぐらいならまあ、よかったんですが」
灼「いいんだ……」
穏乃「その内、口にキスするようになってきて」
宥「2人は……、そういう関係なのかな?」
穏乃「ち、違いますよー!」
穏乃「で、口にキスぐらいなら、私もそう嫌じゃなかったんですけど……」
玄「ここから更にエスカレートするの!?」
穏乃「その……、だんだん、舌を入れてくるように……」
灼「ぶうううううっ!」
玄「わっ!? お茶かかった!」
灼「ごほっ、ごほ、ごほ! ご、ごめん玄、驚きすぎてむせた」
玄「うん……」
穏乃「ひと目がないからって、ことあるごとにキスしてきて」
灼「もう憧のことを前と同じには見れない」
穏乃「なんだかだんだん私も、口に舌を入れられるのが癖になってきちゃって……」
穏乃「どうしよー!?」
宥「と、当人同士が幸せなら、私はそれでもいいんじゃないかなって」
穏乃「それでも、口だけで済めばよかったんです」
玄「もう既に安全ラインを超えちゃってるのに、まだこれ以上があるの!?」
灼「具体的に時間を言われると、なんとなく生々しい……」
穏乃「そろそろ寝ようと私が言うと、憧は当然のように同じ布団に入ってきました」
宥「あ。それなら私と玄ちゃんもだよー。あったかぁいよね!」
玄「お、お姉ちゃん! 恥ずかしいから秘密って言ったのにー……」
宥「えへへ」
灼「それで、何があったの?」
穏乃「えっと……」
穏乃「……」
穏乃「や、やっぱりこの話は無しで!」
灼「ここまで言いかけてそれはあんまりじゃ」
玄「私も気になる気になるよ!」
穏乃「うー……。私が話したこと、憧には内緒にしてくれる?」
宥「もちろんだよ」
穏乃「それなら……」
穏乃「まず憧は、私のゆかたの帯に手をかけてきました」
灼「脱がせに……。まあ、そうなるか……」
宥「穏乃ちゃんは抵抗しなかったの?」
穏乃「もちろん嫌だったので、止めてと強く言いました!」
穏乃「そしたら……」
穏乃「憧、帯から手を離して、私の背中に手を回してきて」
穏乃「私をギュッと抱きしめながら、ごめんねシズ、ごめんねって、何度も謝ってきたんです」
穏乃「さすがに強く拒絶しすぎたかなーって、申し訳無くなってきました」
灼「よかった。さすがに見境なしってわけじゃないんだ」
玄「ふんふん」
穏乃「こっちもキツく言い過ぎたよって、憧に謝ったんです」
玄「おおー。仲直りだね!」
穏乃「すると憧は、私の耳元に口を当ててきて、そのままそっと囁くような声で……」
穏乃「好きだよ、シズ。好き。大好き……、って!」
穏乃「ああもーっ!」
穏乃「あんなこと言われたら、ドキドキして抵抗できなくなっちゃうってば!」
灼「ねえもうこれ、ただの惚気じゃない?」
宥「私がのんびり眠ってる間に、すぐ傍でこんなことが起きてたんだぁ……」
穏乃「えっと……、それで……」
穏乃「あー……」
穏乃「……」
穏乃「突然だけど、憧って……、かっ、可愛くないですか!?」
玄「うん。モテモテ女の子ーって感じだよね!」
灼「まあ……。雑誌とかに載ってそうなタイプ」
宥「お化粧をしなくても目がぱっちりしてるよね」
穏乃「ですよねですよね!」
穏乃「憧に好きって言われたことで、そういう憧可愛いよーって気持ちが爆発しちゃって!」
穏乃「つ、ついその……、私から憧の口に、キスしちゃって」
玄「ほほー!」
宥「わぁー……」
灼「いいなあ……」
宥「おかしく? どんな風になったのかな?」
穏乃「えーと。突然、黙りこくったかと思ったら……」
穏乃「しばらくしてから涙声で、シズからしてくれて嬉しい……、って」
玄「憧ちゃん可愛いですなー」
灼「だからもうセクハラでもなんでもない……」
穏乃「それからしばらくは、憧と色々な思い出話をしました」
穏乃「ちっちゃい頃、山をかけずりまわったこととか」
穏乃「秘密基地づくりで上級生と縄張り争いをしたこと」
穏乃「夏の川遊び」
穏乃「自由工作での合作が金賞をとったこと」
穏乃「理科の宿題だった星座観察を一緒にしたこと」
玄「2人とも仲良しだったもんねー」
灼「一方私は、孤独に受け付けの手伝いをしていた」
穏乃「憧が声のトーンを変えて、こう呟きました」
穏乃「もっとずっとシズと一緒にいたい」
玄「ここっ、告白だよそれ! 告白告白! 一大事!」
玄「むしろプロポーズ!」
玄「新婚旅行のご予約は松実館で!」
宥「玄ちゃん。落ち着いて……」
玄「はわわわわわ!!」
灼「それで……、続きは?」
穏乃「はっ、はい! えっと、どこまで話しましたっけ」
灼「憧が穏乃に、もっと一緒にいたいって言ったところ」
穏乃「そうだったそうだった!」
穏乃「ずっと一緒だよ、って返しました」
玄「ひゅーひゅー!」
穏乃「だけど憧は悲しそうに、無理だよ……、と」
玄「なんと!」
穏乃「憧は話をこう続けました」
穏乃「シズのこと、小学生の頃には既に好きだった」
穏乃「だけど、違う中学に入っても、シズと1番の仲良しを続けられる自信があったから……」
穏乃「だからこそ、中学選びでは麻雀を優先して、別の中学を選んだ」
玄「ふむふむ」
穏乃「だけど実際には、思いは忙しい日常の中に埋没していって、いつしかシズと疎遠になっていた」
穏乃「一度疎遠になると、ますます連絡取るのに勇気が必要になって」
穏乃「シズのこと好きなままでいたいのに、思い出す機会が減っていって」
穏乃「3年経つ頃には、シズは思い出になっていた、と」
灼「なんか……。少し、分からなくもない」
穏乃「今はまた元の仲良しになれたけれど、いつまた2人が離れてしまうかは分からない」
穏乃「あたし達は同性だから、同じ家庭に入ることもできない」
穏乃「いつか必ず距離が離れる時はくる」
穏乃「そうなる前に、シズの傍でシズのことを好きでいられる内に、少しでも大好きを表現したい」
穏乃「2度目の恋こそは精一杯の気持ちを伝えたいから……、と」
宥「憧ちゃん、本当に穏乃ちゃんのことが好きなんだねー」
灼「数年以上先の関係まで考えてるみたいだからね……」
穏乃「バーカバーカ!」
玄「え?」
穏乃「あ。違うんです! 玄さんに言ったんじゃなくて!」
穏乃「これ、憧にした返事です!」
玄「あっ、ああー! びっくりした!」
灼「とはいえあながち間違っても……」
玄「へ?」
灼「……なんでも」
宥「それはそうなるかも……」
穏乃「このままだとただ馬鹿にしただけになるので、私は憧にこう続けました」
穏乃「いつか必ず離れなくちゃならないんて、そんなの、お前の勝手な思い込みだ」
穏乃「2人が一緒にいたいと強く思えば、絶対一緒にいつづけられる……、って」
玄「そしたら憧ちゃんはどう言ったの?」
穏乃「えーと、確か……」
穏乃「きっと将来、色々大変だよ」
穏乃「周りの目だって厳しいはずだよ」
穏乃「シズ、後悔するかもよ」
穏乃「それでもいいの……?、だったかな」
玄「ふぅーむ。悩みどころですな」
穏乃「だから私、こう即答しました」
玄「おっとこれは失礼をば!」
穏乃「それがですねー」
穏乃「今考えれば、色々もっと上手い言い方もあったと思うんだけど……」
穏乃「私は難しい理屈をこねるのは苦手なんで……」
穏乃「ほらその……、あー、なんか恥ずいなー」
灼「今更照れることないって」
穏乃「そ、そうですよね!」
穏乃「んじゃ……、こほん!」
穏乃「愛してるよ、憧……、って言いました」
宥「わぁー……」
玄「なんだか私までドキドキしちゃったよー!」
穏乃「馬鹿、馬鹿、馬鹿! ……って、さっきの仕返しかよってぐらいに言ってから」
穏乃「あたしもシズのこと愛してる、と」
玄「どひゃー!」
穏乃「で、あんまり憧が可愛いので、ついつい頭を撫でたんです」
穏乃「そうしたら、大人しく撫でられるがままになってるので、ますます可愛くなってきて!」
穏乃「つ、つつ、つい……、憧のパジャマのボタンに、手が伸びてしまって……」
灼「セクハラ被害の話を聞いていると思っていたのにいつの間にか逆転していた」
穏乃「せっ、セクハラななんじゃないですよ!」
穏乃「だって憧は憧で……」
穏乃「いいよ。シズになら何されても、とか、言ってくるんですよ!」
灼「……ひょっとして真にセクハラを受けているのは、現在進行形で私達なのかも」
玄「おもちならウチのお姉ちゃんにおまかせだよー」
宥「くっ、玄ちゃん!」
灼「……ちっ」
穏乃「それで……」
憧「たっだいまー!じゃんけん敗者が買い出しから帰還したよー!」
憧「あーもう、外は暑かった。ここは涼しくていいねー」
玄「あ。憧ちゃん! 今ね、ちょうど憧ちゃんの話を」
憧「へ? あたしの話?」
穏乃「わああああああ! なんでもない!!」
灼「憧が何を買ってくるんだろうって、みんなで話してただけ」
憧「あ。そういうこと」
玄「え、違うよ? 憧ちゃんと穏乃ちゃんの」
宥「玄ちゃん。めっ」
玄「あれー?」
憧「だと思った」
憧「はいこれ、カップ麺だけど我慢してよ」
穏乃「おおー! さっすが憧!」
憧「あと、一応アンパンと、シズのすきなお菓子と、ジュースも」
穏乃「サンキュ憧! さっそくカップ麺食ーべよっと!」
穏乃「って、あら? お湯が出ない」
灼「そういえば昨日、ハルちゃんがお茶をたくさん飲んでたから、それで切れたのかも」
憧「んじゃ、あたし達の部屋のポットを使ってきなさいな」
穏乃「はーい。いってきまーす」
憧「……って、あれ? どうしたの皆、あたしの顔に何かついてる?」
玄「目と鼻と口がついてるよー」
宥「なっ、何もついてないよ」
憧「そう? その割には、3人ともあたしの顔を妙に見てるような」
憧「あ。まさか日焼け止め塗り忘れたから、顔の肌が赤くなってるとか!?」
灼「……本当に気のせいだよ」
憧「んー。そうかなあ」
玄「ところで憧ちゃん! 穏乃ちゃんにパジャマを脱がされてからはどうなったの?」
憧「え?」
憧「……え?」
灼「あちゃー……」
宥「玄ちゃぁん……」
玄「ぜひお聞きたいしたいです!」
憧「そういえばさっき玄が、あたしの話をしていたとかなんとか口走って……」
憧「……」
憧「……」
憧「うううぅ……」
灼(ちょっと!? 赤くなって俯いちゃうとか、憧ってそんなキャラだっけ!?)
憧「シズの馬鹿ぁ……」
宥「あ、あのね憧ちゃん。穏乃ちゃんも悪気があってのことでは……」
憧「そんなこと、宥姉に言われなくても分かってる……」
憧「でも……、でも……」
玄「穏乃ちゃんね! 憧ちゃんのこと何度も可愛いって褒めてたよ!」
憧「え……?」
憧「ほ、本当?」
玄「うん!」
憧「……シズったら、もう」
灼(よかった。なんとか持ち直した)
穏乃「たっだいまー!」
玄「おおー! 早いね!」
穏乃「お湯を入れてきただけで食べるのはこの部屋だからねー」
灼(げ。私とハルちゃんの部屋にラーメン臭がつく)
穏乃「ん? あれ?」
穏乃「憧、なんか様子が変だ」
憧「誰のせいだと思って……、馬鹿シズ」
穏乃「いきなり馬鹿って言われてもなんのことだか」
憧「……なんで昨夜のこと話しちゃうの?」
穏乃「げっ! バレてる!? やっぱ玄さん!?」
玄「え? あれ、言っちゃ駄目なことだったの……?」
宥「玄ちゃん……」
玄「ご、ごめんね穏乃ちゃん!」
憧「怒ってるに決まってる」
穏乃「や、やっぱりー……」
憧「だから罰として、その……、ごにょごにょごにょ」
穏乃「あ、うん! これからも一緒に寝るぐらいお安いご用だよ!」
憧「ちょっ!? せっかく小声で言ったのに! シズの馬鹿ー!」
灼「なんだかんだで……」
宥「ラブラブだね……」
玄「雨降って地固まるですな!」
その晩、憧と穏乃の部屋の室温は、他室より3度高かったという
おわり
おつかれさま
とてもすばらなものでしたよ
おつ
微笑ましい
乙乙
Entry ⇒ 2012.07.20 | Category ⇒ 咲-Saki-SS | Comments (0) | Trackbacks (0)
恒一「見崎、起きなよ」鳴「もうちょっと…」
鳴「…Zzz」スピー
恒一「雨…は、流石に止んでるか。今日は帰れそうだな」
鳴「むー…」ギュー
恒一「見崎ー。朝だよ、起きて」ユサユサ
鳴「あと五分…」
鳴「いい…」モゾモゾ
恒一「とりあえず起きなって。布団潜ってないでさ」
鳴「眠い」
恒一「夜中までゲームしてるから…」
鳴「むっ。ポケモンは遊びじゃないの」
恒一「はいはい」
恒一「僕が寝ようとする度に見崎が邪魔したんじゃないか」
鳴「眠くないの?」
恒一「眠いよ。でも今寝てたら夜寝れないだろ」
鳴「そう…じゃ、おやすみ」モゾモゾ
恒一「あぁもう…」
恒一「ホントに寝ちゃったよ…」ナデナデ
鳴「ん…」スリスリ
恒一(睫毛長いなー。肌もスベスベで相変わらず良い触り心地だ)サワサワ
鳴「んにゅ…」
恒一(あー昨日あのまま寝たのか…。シャツ一枚なんて風邪ひくぞ――あ、パンツ見えた)
鳴「こ、これ全部食べていいの?」ワクワク
恒一「うん。僕があーんしてあげるね」
鳴「デザートは?」
恒一「もちろんあるよ」
鳴「ごくり…」
鳴「ふへへ…」ニヤニヤ
恒一(夢でも見てるのかな?)
鳴「んむー」
恒一「ほら口閉じて」
鳴「んー…あむ」グイッ
恒一「ちょっと、袖噛まないでよ」ポンポン
鳴「もぐもぐ」
恒一「どんな夢見てるんだホント…」ハァ
恒一「あぁもうビチョビチョじゃないか…着替え着替え」ヌギヌギ
霧果「起きてるー?」ガチャ
恒一(裸)「あ」
鳴「Zzz…」
霧果「」
霧果「お、お邪魔だった?」
恒一(裸)「?」
霧果「いや…その…するんでしょ? 鳴と…///」
恒一(裸)「へ? い、いや、これは見崎の涎で服が汚れちゃったからで――」
霧果「鳴の体液で服が…」ゴクリ
恒一(裸)「霧果さんが想像してるようなことはしてないですから」
恒一(裸)「あ、起きた」
鳴「…」ボー
恒一(裸)「おはよう。良く寝れた?」
鳴「…夜這い?」
恒一(裸)「だから違うって」
霧果「朝這い、よね」
恒一(こいつ面倒くせぇ…)
恒一「そりゃあね」
鳴「…私は、あのままでも良かったのに」ボソッ
恒一「恥ずかしいよ」
鳴「残念…」プチッ
恒一「起きて早々ゲームですか…」
鳴「いいじゃない」ピコピコ
恒一「雨も明けたし、お弁当持って公園にでも…」
鳴「外は暑いし、蝉がうるさいから嫌」ピコピコ
恒一(…本でも読むか)ボケー
鳴「…」ピコピコ
恒一(これ読んだ…これも…)
鳴「…」ピコピコ
恒一(やることねーなー…)ボー
鳴「榊原君、暇なの?」ピコピコ
恒一「ん? まぁ…」
恒一「なに?」
鳴「ここ座って。あぐら組んで」ポンポン
恒一「はい」
鳴「…♪」ゴロン
恒一「…膝枕?」
鳴「このままね」ピコピコ
恒一(暇潰し…にはなるのかな、これ)ナデナデ
鳴「?」
恒一(むぅ…)モゾモゾ
鳴「榊原君」
恒一「ん? なに」
鳴「胸、見すぎ」ジトー
恒一「あ、あはは…ゴメンナサイ」
恒一「そうでもないよ」
鳴「楽しいの?」
恒一「…まぁ、その、うん」
鳴「ふぅん…榊原君は、私の胸を見て、楽しんでるんだ」
恒一「下着ぐらい着なよ」
鳴「下は付けてるけど…榊原君はそっちのが好み?」
恒一「…見崎も楽しんでるでしょ」
鳴「さぁね」クスッ
恒一「もうゲーム終わり?」
鳴「うん。榊原君とお喋りした…してあげようかなって」
恒一「ふーん。見崎は、僕と、お喋りしたいんだ」ニヤニヤ
鳴「そ、それは…榊原君が暇そうだから、仕方なく…」
恒一「いいよ? 僕は見崎を眺めて暇を潰すから」
鳴「…意地悪」ムー
恒一「あはは」ナデナデ
恒一「だね。何か作る? リクエストとかあれば聞くけど」
鳴「…きょ、今日は私が作るから、食べて?」
恒一「…大丈夫なの?」
鳴「む。昼ご飯ぐらいは作れます…多分」
恒一「ホントかよ…」
恒一「怪我とかしないようにね? 火傷とかも…あと砂糖と塩を見間違えないように…」ペラペラ
鳴「大丈夫だって。信じて?」
恒一「う…はい」
鳴「じゃ、いこっか」
恒一「うん」
鳴「♪」
恒一「いえ、今日は――」
鳴「今日のお昼は私が作ります」
霧果「え?」
鳴「エプロンエプロン…あった」ゴソゴソ
霧果「え? え? 大丈夫なの?」オロオロ
恒一「た、多分は…」
恒一「(裸Yシャツエプロン…)最高」グッ
鳴「そ、そう…///」テレテレ
恒一「何作るの?」
鳴「お蕎麦。いいよね?」
恒一「うん。楽しみにしてるよ」
鳴「あんまり期待しないでいいよ?」
恒一「あはは、期待してるよ」
鳴「もう…」
恒一(思えば見崎に食事を作ってもらうの初めてだな)ジー
鳴「ネギとか…は後でいいか。お蕎麦お蕎麦」ゴソゴソ
恒一(…なんかいいなぁ、こういうの)ニヨニヨ
霧果「もの凄くだらしない顔になってるわよ?」
恒一「へ? そ、そうですか?」ニヤニヤ
恒一「あー…」
霧果「…やっぱりお楽しみだったの?」キョウミシンシン
恒一「違いますって」
霧果「鳴の部屋からギシギシって音が聞こえてたんだけど?」
恒一「あれは――」
恒一「…」ウトウト
雷「どっかーんwwwwwwwwww」
鳴「っ」ビクッ
恒一「んー…」
鳴「…」ビクビク
雷「どっかんかーんwwwwwwwwwwwww」
鳴「ひぅっ」ビクッ
恒一「…」ウトウト
鳴「…おじゃまします」モゾモゾ
恒一「…ん? どうしたの…」
鳴「気にしないでいいよ」ギュー
恒一「眠いんだけど…」
鳴「寝てていいよ」
鳴「何でもn――」
雷「どーんwwwwwwwww」
鳴「っ…!」ギュッ
恒一「…雷怖いの?」
鳴「ち、違う」
恒一「雨は好きとか言ってた癖に…」
鳴「違うって言ってるでしょ」ベシベシ
鳴「…」ギュー
恒一「…」ウトウト
鳴「ん…」スリスリ
恒一「…戻らないの?」
鳴「…よし。おじゃましました」ゴソゴソ
恒一「おやすみー」
鳴(もう大丈夫…厳選再開しなきゃ)ヨジヨジ
雷「くぁwせdrftgyふじこlp」
鳴「ひぇっ…」ビクーン
恒一「…また来たの?」
鳴「怒ってる?」ダキッ
恒一「別に怒ってないよ」
鳴「寝てていいけど…」クンクン
恒一「…安心したら戻ってよ?」
鳴「うん」ギュー
霧果「なるほど…全くあの子は」
恒一「苦手なものは仕方ないですし、気にしてませんから」
霧果(出来た子ねー)
霧果「…あれ? でも今朝は榊原君も鳴の布団に…」
恒一「あ、あれは…見崎が、その…震えてたから、仕方ないんですよ。はい」
霧果「ふぅん」ニヤニヤ
霧果「…鳴が、鳴が私にご飯を作ってくれた」ジーン
鳴「榊原君、食べてみて?」ソワソワ
恒一「う、うん。いただきます」
鳴「…」ドキドキ
恒一「もぐもぐ」
鳴「ど、どう?」
恒一「…うん。おいしいよ、見崎の茹でてくれた蕎麦」ニコッ
鳴「…ん///」
鳴「そうですか。榊原君榊原君、ネギも私が切ったの」
恒一「そうなんだ。上手に切れてるね」
霧果「凄いわよ鳴!」ズバー
鳴「ふふ…ほら、ワサビとかいる?」
恒一「うん。ありがとう」
鳴「入れてあげるね」
イチャイチャ
霧果「…ぐすん」チュルチュル
恒一「お手伝いとかは…」
霧果「いいから、もう部屋戻ってイチャイチャし続けてなさい…」
鳴「そうします。行こ」クイクイ
恒一「あ、うん。じゃあ失礼します」
霧果(だから何故いちいち手を繋ぐ手を)グムム
恒一「冷房16度にして扇風機まで付けてりゃ涼しいだろうね。僕はちょっと寒いけど…」
鳴「じゃ…へ――くしっ」クチュン
恒一「あぁほら、そんな格好でいるから」ゴシゴシ
鳴「んぅ…だって暑いんだもの」
恒一「だからってYシャツと下着だけってのは…」
恒一「僕以外には見せないでほしいかな」
鳴「見せません」
恒一「うん…」
鳴「はい…」
恒一「…///」
鳴「…///」
鳴「そ、そうね。じゃあ…はい」
恒一「?」
鳴「着せて?」
恒一「はい?」
鳴「動きたくないの。だから榊原君がして?」
鳴「いやなの?」
恒一「…じ、自分でやった方が、楽だと思うよ?」
鳴「榊原君がしてくれなきゃ、着ない」
恒一「…分かったよ、もう」ハァー
恒一(見崎ってこんな我侭だったけなぁ…? 短い付き合いだけど)
鳴「あ、私の服昨日の雨で全部濡れてたんだった…」
恒一「どうするの?」
鳴「えっと…榊原君がウチに泊まって行く時用の着替え、あるでしょ?」
恒一「うん」
鳴「それ貸して?」
恒一「いいけど…サイズ合わないと思うよ?」
鳴「でも――へっくしゅ」
恒一「あーもう…ほら、こっち来て」
鳴「うん。ごめんね」グシグシ
恒一「そう思うなら自分でやってよもう…」
鳴「ん…」ピクッ
恒一「ほら、手通して」
鳴「…何で目瞑ってるの?」スルスル
恒一「見ちゃマズイでしょ」
鳴「朝にまじまじと見てたじゃない」モゾモゾ
恒一「じゃあ見飽きたんだよ。ほら、次は下ね」
鳴「むー…」
鳴「ぶかぶか…」
恒一「見崎はちっちゃいからね。ほら、裾めくらないと転ぶよ」
鳴「うん」メクリメクリ
恒一(結局服の隙間から見えてるし…)ジー
鳴「榊原君の匂いがする…」クンクン
鳴「あ…大丈夫?」
恒一「うん。やっぱりちょっと寒いかも…」ブルッ
鳴「…榊原君。こっち、布団入って」ポンポン
恒一「ん」モゾモゾ
鳴「…」モゾモゾ
恒一「何で見崎も…」
恒一「見崎?」
鳴「こうすれば暖いでしょ?」
恒一「…うん。あったかい」ギュッ
鳴「…私の事、嫌いになった?」
恒一「どうして?」
鳴「さっき、怒ってたから」
恒一「別に怒ってないよ」
鳴「榊原君、優しいから。つい要らない事言っちゃうの。ダメだよね」
恒一「…たまの我侭なら、特別にみとめます」ムギュー
鳴「く、くすぐったいよ…」
恒一(――惚れた弱味だよなぁ…)
恒一「なに?」ナデナデ
鳴「ジュース取って来て」
恒一「た・ま・に・ね?」グリグリ
鳴「は、はい…」
鳴「んー」
恒一「…」ウトウト
鳴「…寝ていいよ」
恒一「うん…そうする。すぐ、起きるから…Zzz」
鳴「おやすみ、榊原君」ナデナデ
鳴「おはよう」
恒一「おはよ…今何時?」
鳴「えっと、7時」
恒一「…寝すぎた」モゾモゾ
鳴「良く寝てたね」
恒一「起こしてくれよ…」
鳴「寝言で私の名前呼んでたけど、夢でも見たの?」クスッ
恒一「さ、さぁ?」
恒一「うん」ゴソゴソ
鳴「ふぅん…」
恒一「どうかした?」
鳴「ううん。なんでもないよ、ただ――」
恒一「?」ガチャ
大雨「よーうwwwwwwwwwwww」
鳴「どうやって帰るのかなって」
鳴「どうするの?」
恒一「…今日も泊めてもらっていい?」
鳴「じゃ、部屋戻ろうか。今日は一晩中付き合ってもらうから」ギュッ
恒一「勘弁してくれよ…」
鳴(そんな言葉とは裏腹に、つい表情が緩んでしまう榊原君であった)
happy☆end
よかった
Entry ⇒ 2012.07.20 | Category ⇒ AnotherSS | Comments (3) | Trackbacks (0)
ウルフルン「キュアサニーのお好み焼きが食いてえな……」
ウルフルン「ん……? ここに置いておいたはずなんだがな……」
アカオーニ「どうしたオニ。探し物でもしてるオニか?」
ウルフルン「おう、ここに置いてあったお好み焼き知らねえか?」
アカオーニ「ソースのかかった食い物オニか? 俺が食べたオニ」
ウルフルン「てめえ人のもん勝手に食ってんじゃねえぞ!」
アカオーニ「そんなの知らんオニ! 放置しておくお前が悪いオニ!」
ウルフルン「てめえこの野郎! ここでぶちのめしてやる!」
アカオーニ「上等だオニ! 食後の運動もかねてひねりつぶしてやるオニ!」
ウルフルン「てめえは口出しするんじゃねえぜマジョリーナ。俺ァ腹減りすぎてイライラしてんだよ……!」
マジョリーナ「そんなに腹ペコなら余ってる納豆餃子飴の処理をたのむだわさ。ほれ」
ウルフルン「おえっ。てめえが買ってきたもんはてめえで処理しやがれクソババア!」
マジョリーナ「クソババアとはなんだわさ! 納豆餃子飴を食らえだわさ!」
ウルフルン「うわっ、こっちに投げるんじゃねえ!」
アカオーニ「お、美味そうな飴だオニ。いただきますオニ……って臭いオニィィィィ!!!」
ウルフルン「ひとまず地上に逃げるとするか……」
ウルフルン「おい屋台のおっさん。またお好み焼き買いに来たぜ」
おっさん「あんたさっき買ったお好み焼きの金払わず行っちまっただろ! 早く金払ってちょうだいよ」
ウルフルン「それはあれだ。財布忘れたから取りに行ってただけだ。金ならあるからもう一枚焼いてくれ」
おっさん「ならよかったよ。ほれもう一丁あがり。さっきのと合わせて800円だ」
ウルフルン「騙されたなおっさん! 財布なんて持ってきてるわけねえだろ! じゃあお好み焼きはいただいていくぜ!」
おっさん「あっこの野郎! 待てー! 泥棒ー!」
ウルフルン「ウルッフッフ。悪いことすると気分がいいぜ」
ウルフルン「はふっはふっ。モグモグ……やっぱお好み焼きはうめえな!」
ウルフルン「バッドエンド王国じゃ味わえないうまさだぜ。モグモグ……」
ウルフルン「……………」
ウルフルン「うめえけど、なんだろうな」
ウルフルン「……物足りねえ」
ウルフルン「量もそうだがそれ以上に別の何かが物足りねえ」
ウルフルン「って、あれはプリキュアが作ったやつじゃねえか」
ウルフルン「プリキュアが作ったものとなると手放しに褒めたくなくなるぜ」
ウルフルン「今食ったお好み焼きの何倍も美味かったのは確かだけどよ」
ウルフルン「キュアサニーのお好み焼きが食いてえな……」
ウルフルン「はっ! 無意識に変なこと言っちまった!」
ウルフルン「調子狂うぜ……ったく」
あかね「ほな、みんなで帰ろか」
やよい「今日はみんな部活お休みなの?」
なお「そうだよー」
れいか「私は生徒会の仕事もお休みです」
みゆき「じゃあみんなで寄り道して帰ろうよ!」
みんな「いいね~」キャッキャ
ウルフルン「…………」
ウルフルン「何やってんだ俺は。こんなところでプリキュアたちをのぞき見してよ」
キャンディ「お腹すいたクル! 駄菓子屋さんに行きたいクル!」
あかね「じゃあ駄菓子屋へゴーや!」
みゆき「キャンディ食べ過ぎちゃだめだよー。私おこずかいちょっとしかないんだから」
キャンディ「だいじょーぶクル」
ウルフルン(おいおい何言ってやがんだ!)
ウルフルン(腹減ってるんならお好み焼きだろうがクソチビ……ッ!)
なお「私もお腹減ったなあ。お菓子じゃ足りないかも」
ウルフルン(よしいいぞ直球バカ! お菓子じゃなくてお好み焼きに話をずらせ!)
れいか「みなさん下校時に買い物をするのはだめですよ。そもそも学校にお金を持ってきてはいけないと校則で決まっています」
ウルフルン(こんの優等生がァ! 邪魔すんじゃねえよ!)
れいか「ですから、一度帰宅してからまた集合して、それからみんなでお菓子を買いに行きましょう」
やよい「れいかちゃんがそういうならしかたないね」
あかね「よっしゃ! 家までダッシュや!」
みゆき「それじゃあみんなふしぎ図書館に集合ね。ばいばーい」
ウルフルン(ふぅ……何か食う方向のままで助かったぜ)
ウルフルン(悔しいが俺はどうしてもキュアサニーのお好み焼きが食いてえ)
ウルフルン(頼むぜプリキュアたち。このままキュアサニーにお好み焼きを作ってもらう流れにもっていけよ)
ウルフルン(そしてあいつらが食べようとしたところで俺様が全てかっさらってやるのさ)
ウルフルン(ウルッフッフ。俺ってば冴えてるぜ)
ウルフルン(……で、ふしぎ図書館ってどこだ?)
ウルフルン「ってもういねえじゃねえか! 見失っちまった!」
ウルフルン「ったく、どうすりゃいいんだよ。とりあえずそこらへん飛び回って探すか」
ウルフルン「こんなコソコソと俺様らしくねえことをしてんだ。なんとしてもサニーのお好み焼きを食ってやるぜ!」
数十分後
ウルフルン「見つかんねえ……あいつらどこにいやがるんだ」
ウルフルン「この町の図書館を片っ端から探してみても不審者扱いされて追い出されるしよ……」
ウルフルン「これは着ぐるみなんかじゃねえっつーんだよ」
ウルフルン「プリキュア……どこにいやがる……」
ウルフルン「ん? 向こうの空の色がおかしいな。まさか……」ピューン
アカオーニ「プリキュア! 今日のイライラを全部お前たちにぶつけてやるオニ!」
あかね「やつあたりでバッドエナジー集めるのやめーや!」
ウルフルン(ナイスだぜアカオーニ。おかげでプリキュアをみつけられた!)
ウルフルン「口の中がまだ不味いオニ……イライラするオニ……。アカンベェ!」
アカンベェ「アカンベェ!!!」
みゆき「みんないくよっ」
みんな「プリキュア! スマイルチャージ!」
アカンベェ「アカンベェェェ!!!」
ドゴーン バゴーン
ウルフルン(いちおうバッドエナジーも集まったし適当なところで負けてくれよアカンベェ)
ズゴゴゴゴ
みんな「きゃああああああ」
ウルフルン(おいおい今日のアカンベェなんだか強いじゃねえか)
ウルフルン(あっ馬鹿、そこで追い打ちかけるのはやりすぎだ! おいおいもうチョイ手を緩めろって!)
サニー「くぅっ」
ウルフルン(おいおいサニーに攻撃してんじゃねえよ! 大けがしたらどうするんだ! お好み焼き作れなくなるだろうが!)
アカオーニ「うるさいオニ! アカンベェやっちまえオニ!」
サニー「ぐあぁぁぁっ」
ウルフルン(サニー馬鹿かお前! 何やられてるのに強気なんだよ! また狙われるに決まってんだろ! 他のやつらもしっかりしやがれ!)
ハッピー「つ、強すぎるよ……」
ピース「もう……ダメ……」
マーチ「諦めるもんか……くっ……」
ビューティ「何か……何か手があるはず……」
アカオーニ「お前らの負けオニ! 最高にスッキリするオニ!」
ウルフルン(アカオーニてめえ調子にのりすぎだぞ!)
サニー「アカン……避けられへん……ッ」
ウルフルン(ああああああ情けねえなプリキュア! ええいくそッ)
ウルフルン「オラァッ!!!」
アカンベェ「アカンベェェェェェェ」
アカオーニ「アカンベェがいきなりふっとんだオニ!?」
ウルフルン(お好み焼きの件は許してやるから勘弁してくれよアカオーニ)
ビューティ「何者かがアカンベェにとび蹴りを……?」
サニー「今がチャンスや! プリキュア! サニーファイヤー!」
アカンベェ「アカンベェェェェェエエエエェェェェェエエエエエェェェ」
アカオーニ「プリキュア覚えてろオニ!」シュンッ
ウルフルン(ったく、世話がやけるぜ……)
ウルフルン(……って、何プリキュアを助けてんだ俺はァ!?)
ウルフルン「今日の俺はどうかしてるぜ……食欲でここまで狂っちまうとはな」
みゆき「やったー!」
やよい「危なかったぁ」
れいか「最後に現れたのは誰だったのでしょうか……」
なお「誰かは分からないけど、まあ勝ててよかったよ」
あかね「…………」
なお「はぁ……すごい戦いだったからお腹減っちゃった……。お菓子じゃ物足りないよ」
みゆき「私もー」
あかね「よっしゃ。それじゃあうちでお好み焼き食べよか!」
ウルフルン(よしきたァ!!!!!!)
やよい「でもさっきの戦いで汗びっしょり」
れいか「私もです」
あかね「みんないったん家帰ってシャワー浴びてきいや。今日は店休みだし貸切でお好み焼きパーティや!」
キャンディ「楽しみクルー!」
ウルフルン(ウルフッフ。お好み焼きは全部俺様がいただきだぜ)
ウルフルン(さて、サニーの後をつけてあいつの家まで行くとするか)
あかね「ただいまー」ガラガラ
ウルフルン(へえ。ちゃんとしたお好み焼き屋なんだな)
あかね「…………」
あかね「……おるんやろ、ウルフルン」
ウルフルン(!?)
ウルフルン(どうする……素直で出ていくか……?)
あかね「はよ出てこんかい!」
ウルフルン「うわっ」
あかね「とりあえず店ん中入りぃ」
ウルフルン「いてててっ。ひっぱんなこの野郎ッ」
あかね「さっきうちを助けてくれたの、あんたやろ?」
ウルフルン「気づいてやがったのか」
あかね「なんでうちを助けたん? 何か企んどるの?」ジロッ
ウルフルン「そ、それは……」
ウルフルン(素直にお好み焼き食わせろだなんて恥かしくて口が裂けても言えねえぜ……)
あかね「なんとか言ったらどうなん? だんまり決め込まれても困るんやけど」
ウルフルン(でも、ここの店の鉄板見てるだけで頭にお好み焼きが浮かんできやがる……ああ……食いてえ……食いてえよ……)
ウルフルン「お好み焼き食いてえ……」
あかね「お好み焼きぃ!?」
ウルフルン「しまった! うっかり口がすべっちまった!」
あかね「……あんた、お好み焼き食べにきたん?」
ウルフルン「お、おう……」
あかね「じゃあさっき助けたのもうちのお好み焼きが食べたいからってこと?」
ウルフルン「…………ぉぅ」
あかね「どういうこっちゃねん。パニックになりそうやわ」
ウルフルン「そ、そうだぜ。今日の俺はお客様だ。この前作ってたお好み焼きと同じのを食わせろ!」
あかね「偉そうなお客さんやな」
ウルフルン「うるせえ! それだけ美味かったってことだよ! けッ」
あかね「……そっか。それじゃ、そこに座って大人しく待っとってや。うちシャワー浴びてくるから」
ウルフルン「こっちは腹減ってんだ。一分で浴びてこいよ!」
あかね「短いわ! ほんま偉そうやな!」
ウルフルン「命の恩人だろ?」
あかね「う……」
ウルフルン「あん?」
あかね「うちのお好み焼きが食べたいなら、今日はベッドエンド王国のウルフルンじゃなくお客のウルフルンさんとしてうちらと接すること。戦いはなし」
ウルフルン「わーってるよ」
あかね「みんなが来ても仲良くせな食わせんからな」
ウルフルン「今日だけな。……しかし、こんな素直に食わせてもらえるとは思わなかったぜ」
あかね「ウルフルンって誰かに料理作ってあげたりしたことないん?」
ウルフルン「ないに決まってんだろ」
あかね「そっか」
あかね「あのな、ウルフルン。気持ちこめて作った料理を美味しい言ってもらえるのって、すっごく嬉しいんやで」
あかね「ほな、ちょっと待っとってな」タッタッタッ
ウルフルン「なんだそりゃあ」
ウルフルン「ったく。調子狂うぜ」
パンツがアカンベェになった
キャンディ「お好み焼きパーティクル~……ってウルフルンがいるクル~~~~~~!!!」
やよい「な、なななななななんでぇ!?」
なお「こんなところにまで攻めてくるなんてッ」
れいか「やるしかないですね……!」
あかね「はいはいみんなストップストップ」
みゆき「あ、あかねちゃんどういうことなの!?」
あかね「今日のウルフルンはお客さんや。うちの店はバトル禁止やからな。みんな仲良く食べてってや」
ウルフルン「そういうこった。ほら、お前らも座れよ。もうすぐ焼けるぜ」
ウルフルン「ウルッフッフ。よだれが止まらねえぜ」
ウルフルン「お前ら! これは一番最初から待ってた俺のだからな! 順番守れよ!」
なお「悪者から順番守れなんて言われる日がくるなんて……」
れいか「調子が狂いますね……」
キャンディ「ウルフルン恐いクル……」
ウルフルン「安心しろよチビ。今日はなんもしねえからよ。ほら、一切れやるよ」
キャンディ「やったぁクル! ウルフルン意外と優しいクル~」
みゆき「あーキャンディずるーい。おおかみさん私にも分けてー!」
あかね「ほら、みゆき。こっちのがもう焼けるで! チーズ入りや!」
ウルフルン「おいハッピー、俺のとチーズ入りのやつ交換しようぜ」
みゆき「いいよー」
やよい「みゆきちゃん順応力ありすぎ……」
れいか「そうですね。私おなかペコペコです」
ウルフルン「おい直球バカ! このイカ入ってるやつうめえぞ!」
なお「誰が直球バカだ!」
キャンディ「おいしいクル~」
みゆき「やっぱあかねちゃんのお好み焼きは最高だよ。ウルトラハッピー!」
あかね「じゃんじゃん食べてやー。うちもじゃんじゃん焼いたる」
ウルフルン「おいキュアサニー! ビールねえのか!?」
あかね「あんた酒も飲むんかい! 誰か冷蔵庫から取ってきてくれへん?」
やよい「私持ってくるね」
ウルフルン「早くしろよな。5秒でもってこいよ!」
あかね「だから短すぎるわ! あほか!」
ウルフルン「腹ァいっぱいだ。大満足だぜ」
なお「もうこんな時間。そろそろ帰らなきゃ」
れいか「そうですね。家族も心配するでしょうし」
やよい「今日はこれで解散だね」
ウルフルン「俺様も帰るかねぇ。ヒック」
あかね「ちょっとちょっと」
ウルフルン「ああん?」
あかね「お勘定」
ウルフルン「…………」
あかね「今日はお客さんなんやろ?」
ウルフルン「ねえ」
あかね「え?」
ウルフルン「金はねえ」
あかね「はああああ!!??」
ウルフルン「うるせえねえもんはねえんだよ!」
あかね「財布持ってるやろ。ほらポケットとか見せえや」ゴソゴソ
ウルフルン「おいへんなとこまさぐるんじゃねえ!」
あかね「ない……ほんまに財布持ってへんやん……」
ウルフルン「だから言ったろ。他のやつらだってタダ食いだから俺だっていいだろ」
あかね「みゆきたちは友達だから特別やけどあんた今日お客やろ!」
ウルフルン「うるせえ! だったら俺も今日から友達だ! これで文句ねえだろ!」
あかね「言いわけないやろ。元々敵のくせに何言っとんのや!」
ウルフルン「友達ったら友達だ。ほら手ぇ貸せ。はい握手っと。これで俺たち友達な」
あかね「あんた酔っとるやろ」
ウルフルン「うるせえ酔ってねえよ。……ヒック」
みゆき「おおかみさん顔まっかっかだね」
ウルフルン「おう! 悪いなサニー! ウルッフッフ」
あかね「ちょっと肩回してこないでや!」
やよい「あっさり打ち解けちゃったね」
れいか「ふふふ。いつも戦っているウルフルンとは別人みたいですね」
なお「ずっとこんな感じならいいんだけどねえ」
ウルフルン「キュアサニー、お好み焼き最高に美味かったぜ! それじゃあなプリキュアども!」
あかね「おおきに、ウルフルン」
みゆき「おおかみさんバイバーイ」
キャンディ「バイバイクルー」
マジョリーナ「うっ……酒臭いだわさ」
アカオーニ「プリキュアに負けてからイライラが収まらないオニー!」
ウルフルン「おう、アカオーニ! そうカッカしてんなよ! ほら土産だ!」
アカオーニ「なんだオニ。これはお好み焼きオニ?」
ウルフルン「おう。ちょっと地上で作ってきたんだぜ」
あかね「なあ、ウルフルン。あんたも作ってみる?」
ウルフルン「ああん? 俺がか?」
あかね「結構楽しいで。あんたが作って仲間に土産として持って行ってあげればええやん」
ウルフルン「そうだな。やってみるか」
ウルフルン「今日は悪かったなアカオーニ。ほら食えよ。マジョリーナもいいぜ」
マジョリーナ「気前のいいウルフルンだなんてなんだか不気味だわさ」
ウルフルン「気にすんなって。ほら、俺様の特製豚玉だぜ!」
マジョリーナ「焦げてるしあんまりおいしそうじゃないだわさ」
ウルフルン「うるせえ! いいから食えって!」
アカオーニ「モグモグ……ウルフルンのくせに結構美味しいオニ」
マジョリーナ「ホントだわさ。ウルフルンのくせに美味しいだわさ」
ウルフルン「ウルフルンのくせには余計だこの野郎!」
ウルフルン(でも、まあ……)
――――あのな、ウルフルン。気持ちこめて作った料理を美味しい言ってもらえるのって、すっごく嬉しいんやで。
ウルフルン(確かに悪くはねえかもな)
アカオーニ「ごちそうさまオニ」 マジョリーナ「ごちそうさまだわさ」
ウルフルン「あッ! てめえら俺の分まで全部食いやがったな!」
アカオーニ「そんなの聞いてないオニ」 マジョリーナ「聞いてないだわさ」
ウルフルン「てめえらこの野郎! 表出やがれ! ぶっとばしてやる!」
アカオーニ「上等オニ!」 マジョリーナ「返り討ちにしてやるだわさ!」
おわり
乙
お好み焼き食いたくなったわ
腹減ったわ
Entry ⇒ 2012.07.20 | Category ⇒ プリキュアSS | Comments (0) | Trackbacks (0)
咲(やだ……痴漢……?)
咲(なっ何いったい……?)
サワサワ……
咲(やだ……痴漢……?)
サワサワ……
咲(そこは……ダメ………)
咲(ん……ハッ……)
なかなか。
評価する
咲(だっダメだよそんなところ……)
咲(おしっこ出るところだよ……)
咲(あ……パンツずらされちゃうよ……)
サワサワ……
咲(ん……た……助けて……)
咲「おっお姉ちゃん……」ジワ……
咲(あ……手が離れた……?)
照「何かあったのか?」
咲「う……ううん……何でも……」
咲(何もなくなったなら大事にしないほうがいいよね……)
和「咲さん……どうかしたんですか?」
咲「ん……和ちゃんも、何でもないよ。ごめんね」
和「そうですか……」
サワサワ……
咲(ま・・・・・・また?)
咲「うん、ごめんねお姉ちゃん……」
咲(うぅ……どうしよう)
咲(やだ……またパンツずらされちゃう)
クチュ…クチュ……
咲(どうしよう……音が漏れちゃうよ……)
和「おねえさん、そんな言い方ないと思います!」
咲「わ……和ちゃんいいんだよ。私が悪いんだから……ん……」
サワサワ……
咲(ん……もうダメだよ……声が漏れちゃうよ……)
和「部外者じゃありません! 私と咲さんは……その……親友です!」
クチュ……
咲(そこ……おしっこの出る穴だよ……そんなところいじられると……おしっこ漏らしちゃう……)
照「例え咲とおまえが親友でも、家族の事に口出しをするのはやめてもらおうか」
クチュクチュ……
咲(そ……そんなところまで指を入れちゃうの……!?)
咲「ん……あ、何でもない、何でもないよ……ん……」
和「咲さん? 具合でもわるいのでしょうか?」
咲「本当に大丈夫だから……」
咲(あ、そんなにこすらないで……どうしよう……)
サスサス……
咲(え……ふともも!? この人、両手で触ってきてるの!?)
咲(私……両手で大切なところさわられちゃうの・・・・・・!?)
コツ……
照「!?」
和「!?」
咲「ん……はっ……あ……あれ? お姉ちゃん、和ちゃん…急に怖い顔してどうしたの?」
咲(手が引っ込んだ?)
照「なんでもない、咲。どうやら調子が悪いようだな。混んで来たし、こっちに来い」
咲「あっ……」
咲(お姉ちゃんが守るように手を回してくれる……これならもう安全かも……)
咲「わっ」
咲(和ちゃんが後ろから抱きかかえるように……)
咲(和ちゃん……相変わらずおっぱい大きいなぁ……)
咲(前にお姉ちゃん後ろに和ちゃんがいてくれるなら、もう痴漢にあわないかな……)
和「親友が困っているんです。当たり前です」
照「妹が困っているんだ。姉なら当然だろう」
咲「うん。でもありがとう」
咲(やっぱりお姉ちゃんと和ちゃんは頼りになるなぁ……)
サワサワ……
咲(!!!)
咲(だってお姉ちゃんと和ちゃんが密着して守ってくれてるし……)
咲(手が入る隙間なんて……ん……)
照「どうした? 咲?」
咲「ん……なんでもない……」
クチュクチュ……
咲(そんな……さっきよりずっと激しい……よっ……はぁはぁ……)
咲「大丈夫だよ……本当に……大丈夫……だから……んはぁ……」
和「そうですか……」
サワサワ……
咲(あ、また両手……?)
咲(もう……もう我慢できないよ……)
照「咲……顔が赤いぞ、熱でもあるんじゃないか?」
咲「だ……大丈夫……だから……」ハァハァ……
照「ちょっと熱を測ってやる。上を向け」
和「おねえさん、いったいなにを!?」
咲(あ、お姉ちゃんがおでこをくっつけて……)
キュッ……
咲(いくっ…………!!)
咲「あっ…………!!」
照「……火照ってはいるが、熱は無いようだな」
咲「…………あ……う……うん」
照「もう着いたのか、意外と早かったな。咲、降りるぞ」
咲「はぁい……」ボー
和「足元気をつけてくださいね。手につかまってください」
照「ふらふらすると危ないぞ。手につかまれ」
咲「うん……ありがとう……あれ?」
咲「お姉ちゃん、和ちゃん……なんで手が濡れてるの?」
Fin...
もっと書いてもいいのよ
次、覚えている人がいるかどうかもわからん完結してない咲SSの続きでも書いてみるか
Entry ⇒ 2012.07.20 | Category ⇒ 咲-Saki-SS | Comments (4) | Trackbacks (0)
輿水幸子「世界一カワイイボクの普通の日常」
幸子「ふぅ……仕事も増えてきてボクのかわいさをようやく世間が理解してきたけれど」
幸子「毎日が忙しくなってきたなぁ……」
幸子「……そうだ! 日記を書いてみようかな」
幸子「どんな仕事をしたのか、ボクがどれだけかわいかったのか」
幸子「それがわかりやすくふりかえれるように。うん、我ながら名案かも」
幸子「流石はボクだよね!」
幸子「……」
幸子「一人でやってないで、どんなこと書くか決めていこう」
幸子「んーっと、7月11日……」
―――
☆ 7月 11日 晴れ
ボクの記念すべき初日記の日。
今日は割と普段通りの一日だったと思う。
朝起きて、顔を洗って―――
幸子「んん……う、うるさ……」
時計『にょわー! おっき』バチッ
幸子「……ふわぁ。この目覚まし本気で売る気なのかな」
時計『……』
幸子「……どうせならボクの時計とか……うーん、でもボクの声だと落ちついて眠くなっちゃうかな?」
幸子「なんてね……顔洗ってこよう……」フラフラ
幸子「んー、ちょっとだけねむ……」
幸子「おっといけない。キチンとしてないと」
幸子「家の中でもちゃんとカワイイ振る舞いをしなきゃね」
幸子「ふぅ……」フキフキ
幸子「よし。今日もボクはカワイイぞ」
幸子「……再確認するほどのことでもないけれど」
顔を洗ったあと、ちゃんとカワイイっていってあげることにしてる。
自己催眠とか、そういうのも意識はしている。
たとえば綺麗になぁれって言い続けた花は本当に綺麗に咲く……らしい。
まぁ、これは聞いた話なんだけれど。
おっと、話がそれた。ボクが読むだけだけどキチンと整えて書かなきゃね。
カワイイっていってあげるのは意識を持つためだ。
カワイイ人はちゃんとカワイイ振る舞いをする責任があると思う。
ノブレス・オブリージュ? 高貴なる者の振る舞いっていう言葉があるけどそれみたいなもの。
……うん、ボクのかわいさはちゃんと自覚しないといけないよね。
幸子「それから……うーんと、事務所にいって……」
幸子「ふんふんふーん♪」
カリカリカリ……
―――
そのあと事務所について、その日のお仕事についてのお話をした。
ボクのお仕事はアイドル。
カワイイボクにぴったりだと思う。
なんていったって人に見られることを意識しないといけないんだから。
まぁ、誰もみていなくてもカワイイのがボクなんだけど?
……なんてね
ちひろ「おはよう、幸子ちゃん。……どうしたの?」
幸子「いえ、今日はちひろさん一人なんですか?」
ちひろ「うーん、もう少し後からの子が多いから。幸子ちゃんが一番早いかな?」
幸子「そうですか……」
ちひろ「……プロデューサーさんなら奥の仮眠室で寝てると思うよ?」
幸子「べ、べつに聞いてませんから。なんでそこでプロデューサーさんが出てくるんですか?」
ちひろ「うーん、女のカン……かしら」
幸子「だったら見当はずれもいいところです。ボクは別にプロデューサーさんのことなんてどうだっていいんですから」
ちひろ「そっかぁ、ごめんね幸子ちゃん」
幸子「……なんでニヤけてるんですか?」
ちひろ「なんでもなーいよ?」
※千川ちひろ(年齢不詳)
画像無し。運営の犬
さぁ、この選挙権付き10連ガチャを回して愛を深めましょう
ちひろ「今日のお仕事は……幸子ちゃんはショートライブとサイン会があるわね」
幸子「わかりました……どこでですか?」
ちひろ「割と近くなんだけど……はい」
幸子「なるほど……って、え? なんですかこれ」
ちひろ「自転車のキーよ?」
幸子「ちょっと待ってください。送ってくれないんですか?」
ちひろ「今日は私もプロデューサーさんも手がはなせなくて……ごめんね?」
幸子「だからってボクが自転車で移動だなんて……」
ちひろ「幸子ちゃんなら多少の無理ぐらい聞いてくれるかなーって思ったんだけど……だってできた子だしね!」
幸子「……はぁ。ボクがいくらカワイイからって無茶ぶりするのはどうかと思いますよ」
ちひろ「きゃーさっちゃんかっわいー!」
幸子「からかわないでください。……仕方ないなぁ、地図もらえますか?」
幸子「はいはい……それじゃ、いってきます」
ちひろ「いってらっしゃーい」
幸子「……本当に忙しいんですか? ちひろさん」
ちひろ「えーっ、すごくいそがしくて大変なのよ?」
幸子「やれやれ……もう。深くは聞きませんけどね」
ちひろ「うん。そうそうスタミナドリンクいる?」
幸子「また怪しげなものを作って……結構です。いってきますね」
ちひろ「はーい。それじゃあがんばってね!」
ちひろさんは時々よくわからないドリンクを作る。
基本的にはいい人なんだと思うんだけど……うーん、あの趣味はどうなんだろう?
はっきりいってすごくまずい。ちょっとだけ涙が出そうになった時もあったぐらいだ。
あと、ボク達の事務所はたぶん職員の数が足りてない。
プロデューサーさんに街で才能がありそうな女の子に片っ端から声をかける癖があるせいだ。
……まぁ、ボクのことを見つけてくれたわけだし、そこまで悪い気はしないけど。
それでも、もう少し計画性を持ってほしい。ボクはカワイイだけじゃなくて優しいから許してあげるけど
幸子「……っと。この部分消しておこうかな」
幸子「まるでボクがプロデューサーさんのことを気にしているみたいになっちゃうしね」
幸子「……ま、まぁ嫌いじゃないけど。さて続き続き……」
カリカリカリカリ……
―――
そのあと、仕事場に向かった。
サイン会の場所では既に行列ができていて、ボクの人気を再認識した……と思ったんだけど。
ちょっとばかり忌々しい。いや、別にボクがちょっとだけ手加減してあげただけなんだけれど……
うん、そう。近くでサイン会をしてた双葉杏。彼女にちょっとだけ同情してあげただけなんだ。
だからボクは負けてないし悪くない。
双葉杏(17) ニート
幸子「プロデューサーさんもちひろさんも、ボクが優しいから許してあげてるけどこんなことはやめてもらいたいなぁ」
ウィーン
幸子「あー、涼しい……あれ?」
ガヤガヤガヤ……
幸子「もうこんなに人が……やれやれ、ボクのサインが楽しみでしょうがない人たちかな?」
幸子「カワイイっていうのも楽じゃないなぁ、まったく」
幸子「はいはい、どいてください。通れないと準備もできないじゃないですか……」グイグイ
男「あぁん? なんだあんた」
幸子「なんだ、ってボクですよ?」
男「しらねーよ! 横入りしようとすんじゃねぇ!」
幸子「ひっ……な、なんなんですか! ボクは……」
男「このガキが横入りしようとしてよぉ」
幸子「何いってるんですか! 主役はボクですよ?」
男「主役ぅ? なにいってんだ、今日ここでやるイベントっていったら3階の双葉杏ちゃんサイン会だろうが」
幸子「……えっ?」
男「ファンだったらマナーは守らねぇといけねえだろ。な?」
幸子「この階でやる……ボクのサイン会は……」
男「ん? この階……あぁ、そういえば別のアイドルのサイン会もやるんだっけか」
幸子「……」
男「ひょっとしてあんた……」
幸子「もういいです。ふーんだ! あなたにはボクのサイン、土下座したってあげませんからね!」
男「ちょ、ちょっとまて。すまんかった知らなくてだな……」
幸子「いいからどいてください! ボクはボクのファンの人のために準備しないといけませんから!」
幸子「ボクのことを知らないなんてあの人もかわいそうに。顔も覚えたし謝ったって許してあげないんだから」
幸子「さーて準備準備っと」
結論からいえば、ボクのサイン会にはほとんど人が来なかった。
たぶん、暑さのせいで熱中症になってしまったりしたファンの人が大勢いたはずだ。
ボクのファンの人達は健康管理もきちんとできるから、予防のために外出を控えたのかもしれない。
……とにかく、ボクのサイン会にはあまり人が来なかったけれどそれはボクのせいじゃない。
きっと、双葉杏のサイン会に並んでいる人達が多すぎてボクのサインがもらえる場所がどこかわからなかったんだ。
まったく、ボクが本気を出していたらその双葉杏ファンまで奪ってしまうから本気を出さなかったけれど……
同じ日に近くでサイン会だなんて嫌がらせなのかもしれない。ボクがかわいすぎて目が出ないように?
カワイイっていうのも疲れる。業界全体が敵なのかもしれない……
幸子「……ファンの人、まだかなぁ。今なら特別に握手ぐらいしてあげても……」
……カツカツカツ
幸子「誰か来た! ふふん、遅れてくるだなんてまったくもうしょうがない人……」
男「あの……さっきはすまなかったな。謝ろうと思って……」
幸子「なんであなたなんですかぁ!」
幸子「……それにこの時は暑い中を自転車で移動したから汗かいてたし」
幸子「そもそもボクをちゃんと送ってくれなかったプロデューサーさんも悪い。あそこでもめたせいで変にめだったし」
幸子「うん、ボクが悪いわけじゃないよね」
幸子「それから、えーっと……」
カリカリカリ……
―――
そのあとのショートライブでは、何故か双葉杏と一緒にやることになった。
同じアイドルなのだから……っていう短絡的な考えからなのかな。まったくもっていい迷惑だ。
双葉杏……働きたくないなんていっている色モノアイドル。
ボクが本気を出したらファンを全員奪ってしまいかねないから花を持たせてあげたけど……
働きたくない、なんていってるくせにパフォーマンスはしっかりしてた。
やっぱりキャラなんじゃないのかな。確かに動きは小さかったけど……
……そもそも身体も小さかったなぁ。ボクより小さい人ってあんまりいないのに。
\働きたくなーい!/
杏「よーし、私もだ! だから帰ってもいいよねー?」
\えーっ!?/
杏「……ですよねー。わかってたよ、うん……じゃあ歌ってあげよう!」
\ワーッ!/
杏「聞いてください。そしてついでにCD買って印税生活の助けになってね!」
杏「あんずのうた!」
\メーデーメーデメーデー! メメメメーデー!/
幸子「……あれが双葉杏かぁ」
幸子「……観客のほうが歌ってないかな? あれ。あれでいいの?」
杏「……あー、疲れた……次のステージやるのってあんただよね?」
幸子「えっ? あれ、歌……」
杏「よーし、いいからこっち!」
幸子「ま、待って! ボクは……」
杏「いっつぁ、カエダーマ作戦! どうぞ!」
幸子「えっ、あっ……こほん」
幸子「愛も 夢も 全部♪」
\キラキラ!/
幸子「届け!キミの元へ♪」
\Fu-Fu-!/
幸子「靴紐結んだら……全力ダーッシュ!」
\GO!/
幸子(すごい……ファンの息がここまでぴったりだなんて……少しぐらい認めてあげてもいいかも……)
幸子「えっ? ちょっと……」
杏「愛も夢も全部ー♪」
幸子「ふとんにつま……えっ!?」
杏「ほらほら、もっとキリキリ歌ってもらわなきゃ私が口パクで乗り切る作戦がうまくいかないでしょ?」
幸子「えっ、ええぇぇっ!?」
杏「まくらぎぬゅっーとしたら♪」
幸子(こうなったらもう……ヤケだ! 歌えばいいんでしょう、歌えば!)
幸子「全力ダーイブ!」
\おやすみー!/
――
―
杏「いい歌いっぷりだったね……そうだ!」
杏「ここから先のパフォーマンスはキミにもつきあってもらおう!」
幸子「ちょっと待ってください、ボクだってまだ……」
杏「ほら、私も手伝うから、たぶん」
杏「ステージの端っこで寝てることにする」
幸子「手伝う気ありませんよね?」
杏「ううん。ほら……座敷童子みたいな。私がいるだけで十分だと思わない?」
幸子「思いません! だいたいボクのライブはボクだけでも十分です」
杏「そう? それなら私さっさと帰って寝ちゃうけど……」
幸子「それで結構です!」
杏「そっか……うん、カエダーマ作戦への協力ありがとう。報酬だよ、とっといて」
幸子「……飴?」
杏「特別だよ。……がんばってね」
幸子「がんばるって……」
杏「さぁ、次の曲で私の出番は終わり。帰るからねー!」
\えーっ!/
すごい盛り上がりっぷりだった。ボクが知らないような……会場が沸き立つような。
そして、双葉杏ショートライブが終わってボクの単独ステージになった時。
ある程度はお客さんが残っていたのに……さっきまでとの違いを嫌ってほど肌で感じた。
ボクのランクが低かったから? 彼女のランクが高いから?
それだけじゃない、もっと強烈な差を感じてしまった。くやしかった。
ボクのほうがカワイイのに。ボクが本気を出せばあんなの簡単に……
―――
幸子「……本気を、だせば……」
幸子「ボクは……」
幸子「あぁもう、日記なんてやめた!」
幸子「ふんだ。今日はちょっと体調が悪かっただけで……」
幸子「それに、暑くて……気分も乗らなくて……」
幸子「……うぅ」
幸子「……悔しい……」
幸子「悔しい、悔しいよぉ……ボクだって、みんながわかんないところでがんばってるのに……!」
幸子「なんで、あんな……働きたくない、なんてふざけたこと言ってるのに……」
幸子「……なんで、ボクのところにはサインを欲しがる人も来なかったのかな……」
幸子「ボクだって、ボクだって……!」
幸子「うぅぅぅ……」
幸子「……もう、寝よう。今日はきっと日が悪かったんだ」
幸子「ボクは……」
幸子「……ん」バシッ
時計『にょわっ』
幸子「……今日は早起きしなくてもよかったんだっけ」
幸子「……眠いなぁ……顔、洗ってこよう……」
幸子「……このままじゃ、カワイイ顔も台無しだし、ね……なんて」
幸子「……あはは……」
幸子「……」フラフラ
幸子「……ん」
幸子「……」パシャパシャ
幸子「あと、ケアと……えっと……」
幸子「家にいてもヒマだろうしちょっと街でもぶらつこうかな……」
幸子「……」
幸子「まるで不良……だよね。ボク、割とマジメなほうだったと思ってたんだけどなぁ」
幸子「あはは……はぁ」
幸子「じゃあ着替えて……っと……」
幸子「……いってきます」
幸子「……って、学校にいくわけじゃないしまだ二人とも起きてないだろうけど」
幸子「帰ってきたら、怒られるかな?」
幸子「……」
TV『今こそ知りたい! 注目新人アイドルたちのパフォーマンスはこのあと!』
雑誌『アイドルデビューを目指すあなたへの10のステップ』
幸子「……改めて見てみると、本当にアイドルって多いんだよなぁ」
幸子「ボクが一番、カワイイ……けど……」
幸子「……」
幸子「なんちゃって、ね。はぁ……どうしようかな……」
幸子「ボクが一番カワイイって証明してくれるって、プロデューサーさん……いってくれたのに……」
ドンッ
幸子「あっ、すいませ……ん……?」
P「……っつぅ……こちらこそ……って、あ?」
P「幸子こそどうした? 今日は学校じゃなかったのか?」
幸子「別に……どうだっていいでしょう?」
P「いや、だが……」
幸子「……あぁ、プロデューサーさんはひょっとしてまた新人アイドル候補でも探してたんですか?」
P「なに?」
幸子「だってそうでしょう? 他に誰かを連れてるわけでもないようですし、一人で街をうろつくなんてヒマだとしか思えません」
P「幸子……お前……」
幸子「いいんじゃないですか? 才能ある人を探してプロデュースしてあげれば!」
P「お、おい?」
幸子「ボクみたいなハンパものよりずっと素敵な人、見つけれるといいですね!」
P「待て、幸子! 話を聞け!」
幸子「うるさい! ボクに触らないでください!」
幸子「……聞いたんですか。笑えますよね? ファンの人は来ない、ライブは前の惰性で見ている人ばかり」
P「……すまなかった。まさか双葉杏のイベントが被っていると思わなかったんだ」
幸子「いいんです、別に。あんなふざけた相手に勝てないんじゃボクに才能は無かったってことでしょうから」
P「……なに?」
幸子「だってそうでしょう? 働きたくないなんていってる相手に全面的に負けたんですよ!?」
P「幸子、それは違う」
幸子「なにが違うっていうんですか!」
P「お前のファンが来なかったのは俺の責任だ」
幸子「……なんですって?」
P「……俺が、広告を打つ量を間違えた」
幸子「……」
P「もっと幸子のファンが気付けるようにしてやるべきだったんだ。アウェーじゃ実力は発揮できない」
幸子「そんなの……アウェーとかホームとか。それ以前にやる気が無い相手に負けたんですよ?」
P「違う。双葉杏は特殊なんだ」
幸子「特殊? なにがですか?」
P「元々のパフォーマンスは高いのにやる気がないことに対してあまりにも投げやりなだけなんだ」
幸子「……働きたくない、っていってましたよ?」
P「ライブの最中は、口でなんて言っていようと100%の力を出しているよ。働かないけど投げ出さないのが信念らしくてな」
幸子「……でも、負けは負けです」
P「……」
幸子「もうダメなんだと思っちゃったんですよ……ボクじゃ、勝てないって」
幸子「ボクが世界一カワイイって、証明してくれるって言いましたけれど……もう、疲れちゃいました」
P「……そうか」
幸子「ふふっ、カワイイボクを最後までプロデュースできなくて残念でしたね……プロデューサーさん」
P「なぁ、幸子」
幸子「なんですか?」
P「……最後に、ショッピングでもしないか?」
幸子「ショッピング……?」
P「あぁ、もちろん奢るぞ?」
幸子「……ふふっ、いいですね。これまで散々ほったらかしにされたんだからその分の迷惑料ってことで納得してあげます」
P「よし、じゃあいこう」
P「じゃあ両方買うか?」
幸子「えっ?」
P「だって両方似合うしな。奢るっていったろ?」
幸子「……まぁ、ボクがカワイイから仕方ないですね」
P「だな。幸子はかわいいよ」
幸子「……」
P「ん?」
幸子「なんでもありません。次いきましょう」
P「両方似合ってるな。買おう」
幸子「……まじめに考えてますか?」
P「あぁ、真剣だぞ?」
幸子「ふざけているようにしかとれませんよ? まったく……」
P「幸子がかわいいからだって」
幸子「……また」
P「ん?」
幸子「イヤミのつもりですか?」
P「なんのことだ?」
P「……」
幸子「無駄ですよ。だいたい残ったところでボクには無理だって思っちゃいましたし……」
P「それは違う」
幸子「違う? なにがですか?」
P「俺が幸子のことをかわいいって思ったのは本音だ。トップアイドルになれるって思ってスカウトだってしたんだ」
幸子「……無理だったじゃないですか」
P「いや、幸子ならまだできるはずだって思ってる」
幸子「……ふざけないでください。いまさらすぎます」
P「幸子なら……一人でも成長していってくれると思ってたんだ」
幸子「都合がいいんですね……ここからはレッスンするからレッスン料払え、とでもいう気ですか?」
幸子「……」
P「ただ……」
幸子「そこで言葉が続かなくなっちゃうんですね?」
P「幸子を、トップアイドルにしたかった」
幸子「その割にはボクにはついてくれなかったじゃないですか」
P「それは……いまさらなんだろうけど。これのためだったんだ」ピラッ
幸子「これって……オーディション?」
P「幸子にぴったりの役柄のはずだ。ファンの獲得のためにも勝たなきゃいけなかった」
幸子「これを探してたからボクをほったらかしにしてた? ふざけないでください」
P「あぁ、本末転倒だと俺も思うよ」
P「そこをねじ込んだ。幸子なら絶対にいけるって思ったんだ」
幸子「無理です。今のボクにはそんなこと……」
P「幸子。お前が俺に初めて会った時……お前は自分のことをカワイイっていってはばからなかった」
幸子「まぁ、そうですね……」
P「……最近、自信が無くなっているようだった」
幸子「そんなことありませんよ。ボクはボクです」
P「俺はな、幸子……自信過剰で、その理想像へ向けて裏でストイックにがんばってるお前のことが大好きだ」
幸子「……がんばってる? そんなことしてませんよ。ボクのかわいさは生まれつきですから」
P「だけど、そのせいでお前の本来の魅力が損なわれるのが惜しいんだ!」
幸子「……本来の魅力?」
P「あぁ、大人びたように思わせておいてふと見せるあどけなさ……天然のかわいい成分だよ」
幸子「そんなの、演技です」
幸子「まだ……やれると、本気で思ってるんですか?」
P「やれる。幸子、お前はかわいいんだ……自信を持ってくれ。それで、また……」
幸子「また?」
P「……証明させてくれ、お前のかわいさを」
幸子「……そこまで頼まれたらちょっとは考えてあげてもいいですけど」
P「本当か!?」
幸子「考えてあげるだけですよ? このオーディションだって……今のままじゃ勝てる気がしません」
P「そこについては考えがあるんだ」
幸子「考え……?」
P「あぁ、俺と定期的にショッピングに来てくれ!」
幸子「はい?」
幸子「はぁ……確かにそういってましたね」
P「だから、そこを意識することで自分の魅力を認識し直してもらいたい」
幸子「ボクの魅力を……認識しなおす……?」
P「あぁ。他の誰に言われようと、なにが起ころうと揺るがない……『自称・カワイイ』を極めてほしいんだ」
幸子「……それ、言葉の響きとしては最悪ですけれど」
P「それでも揺るがない、絶対的な自信。それさえあれば幸子はまだまだ上を目指せる!」
幸子「……まじめな話ですよね?」
P「あぁ」
幸子「『自称・カワイイ』ですか……そんなもの、自称しなくたって……」
P「ん?」
幸子「……ボクがカワイイなんて、世界の常識でしょう?」
P「うん、それだ……それでいい!」
幸子「……これ、キャラだとでも思ってるんですか?」
P「違うのか?」
幸子「違いますよ……ほんの少しだけしおらしいふりをして、奢らせるっていう考えのもとに自信が無いフリしてただけですから」
P「そ、そうなのか!?」
幸子「えぇ、だから……」
P「ん?」
幸子「別に、感謝もしてませんよ。オーディションに勝てるかは別問題ですしね」
P「あぁ、そうだな……まずは勝てるかどうかだもんな」
幸子「……まぁボクにかかれば余裕ですね」
P「心強いなぁ」
P「また、ってどこいくんだ?」
幸子「今さらでしょうけれど、学校まで! ボクに会えなかった同級生たちもがっかりしてるでしょうからね」
P「なるほどな……送るか?」
幸子「結構です。歩きたい気分ですから」
P「わかった、気をつけろよ?」
幸子「もちろん。かわいすぎて犯罪に巻き込まれないよう細心の用心をしますよ」
P「じゃあ幸子、また明日」
幸子「……えぇ、また明日」
幸子「……結局間に合わないし、怒られるし」
幸子「まったく、これならいかなくてもよかったかも……」
幸子「……なんて。まったく、プロデューサーさんは」
幸子「あっ、日記……」
幸子「……」
幸子「……うん」
カリカリカリカリ…
幸子「これでよし。寝ようかな」
―――
☆ 7月12日 晴れ
ボクのかわいさを全世界に認めさせる!
世界中の人が、ボクに出会えたことを感謝するぐらいにカワイイトップアイドルになってみせる!
ボクはきっとトップアイドルになって……プロデューサーさんは、イヌみたいに走り回ることになる!(はず)
だから……プロデューサーさんといっしょに、もう一度だけがんばろう
おわり
眠い頭でやるもんじゃなかったわ。ちゃんみお救済したらもう少しギャグ調でやりたいなぁ
オヤスミー
さっちゃん腹パンしてから苦しんでるところを愛でて、展開に頭が追いついてないところをもう一度腹パンしたい
なんだかんだで愛されてるよねさっちゃん
Entry ⇒ 2012.07.20 | Category ⇒ アイマスSS | Comments (0) | Trackbacks (0)
淡「チーム内の雰囲気がピリピリしているのをなんとかしよう!」
淡「他の人達とコミュニケーションをとろうって感じじゃないし」
淡「渋谷先輩はお茶飲んでるだけだし亦野先輩もソファーでくつろいでるし」
淡「こんなことじゃチームとして成り立たない!」
淡「さて、この1軍専用部屋でどうせ4人無言でいるんでしょうけど私は負けませんよ」
ギィ
菫「……」
尭深「……」ズズー
誠子「……」
淡(予想通りの無言……というか戻ってきたチームメイトの後輩に一瞥すらしない……)
淡「よ、よーし今日も楽しく麻雀の練習がんばろー!」
照「……」ペラ
菫「……」
尭深「……」ズズー
誠子「……」
淡(おかしいな、麻雀部の1軍部屋だよねここ……)
照「……」ペラ
菫「……」
尭深「……」ズズー
誠子「……」
淡「あ、じゃあドンジャラとかしちゃいます?子供の頃やりませんでしたドンジャラ?」
淡「ってドンジャラなんておいてないですよねー」
照「……」ペラ
菫「……」
尭深「……」ズズー
誠子「……」
淡(早くもめげそう……)
淡「あ、あーえっと……麻雀は気分じゃないみたいですしここはガールズトークでもしませんか?」
淡「この前駅前の~」
照「……」ペラ
菫「……」
尭深「……」ズズー
誠子「……」
淡「で、すごく美味しくて~」
淡(先輩たち……目すら合わせようとしてない……めげたい投げたいつらいつらい)
照「……」ペラ
菫「……」
尭深「……」ズズー
誠子「……」
淡「トランプっていえばいろんなルールがありますけどやっぱり大富豪が一番人気なんですかね?」
照「……」ペラ
菫「……」
尭深「……」ズズー
誠子「……」
淡(転校したくなってきた……)
淡(となると宮永先輩にとりいってその気にさせれば……)
淡「宮永先輩、麻雀しましょうよ麻雀」
照「本読んでるから」ペラ
淡(麻雀部としてあるまじき発言……)
淡「まぁまぁそう言わずに後輩の私を鍛えるためってことでここはひとつ」
照「それなら菫と渋谷、亦野とやればいい……」ペラ
淡(インハイチャンプと思えない発言を……)
淡(こういう時は相手の趣味の話を聞いて、仲良くなってから……)
淡(なんで同じチームなのに仲良くなってからなんて考えないといけないんだろう……)
淡「宮永先輩、そんなに続きが気になるっていうその本はなんですか?」
照「小説……」ペラ
淡(くぅ……せめて恋愛とかホラーとかSFとかジャンルもつけて言って欲しい……)
淡「それとも実はロマンチックな恋愛に憧れての恋愛小説ですか?」
淡(なんとしても話を広げてみせる……)
照「麻雀小説」
淡「あー麻雀小説ですか」
淡(え?麻雀小説って何!?)
淡(そんな小説があったんだ……)
淡「え、えっとやっぱり宮永先輩って麻雀大好きなんですね」
照「麻雀が嫌いなのに麻雀部にいる奴なんているわけがないだろう」ペラ
淡「あ、はい……」
淡(じゃあなんで誰も麻雀しようとしてないの!?)
淡「私も麻雀好きですし読んでみたいので」
照「あぁ……」ペラ
淡「あ、オススメとか教えてもらえれば買って読もうかなって思うんですけど」
淡「オススメとかってあります?」
照「全部オススメ……」ペラ
淡(全部読んでるんだ……)
菫「……」
尭深「……」ズズー
誠子「……」
淡(みなさん無言……)
照「……」ペラ
淡(私が話しかけないと宮永先輩も無言に……)
淡(本当にめげそう……)
淡(宮永先輩と渋谷先輩はあんまりしゃべるイメージがないし……)
淡(弘世先輩は冷静だけどなにか言えばちゃんとしゃべってくれそう……)
淡(あと亦野先輩もおしゃべりしたら普通に話せそうな気がする……)
淡(おかしいな、気がするってもう数ヶ月一緒のチームなのに何もわからない……)
照「……」ペラ
菫「……」
尭深「……」コポコポ
誠子「……」
これって『ごきげんよう』みたいな席替えシステムを採用してるの?
照がアガる度にデカいサイコロ振ってるんだよ
なにこれこわい
淡「よーし麻雀する人手をあげて!」
照「……」ペラ
菫「……」
尭深「……」ズズー
誠子「……」
淡(どうしたらいいんだろう……)
淡「弘世先輩、お話しましょうよ」
菫「淡、もっと白糸台の生徒として落ち着きを持った方がいいぞ」
淡「え、あ、はい……ってそうじゃなくてお話しましょうよ」
淡(まさかいきなり駄目だしされるなんて思わなかった……)
淡(でもやっぱり話しかければ話はしてくれるみたい、こっちの目を見てるしなんかほっとしたかも)
菫「淡、お前は大将だ、今まで大将だった照の代わりとならないといけない」
菫「今後も白糸台が勝ち続けるためにもお前の力が~」
淡(語り出したら弘世先輩の話って長!?)
淡(弘世先輩って実はおしゃべりなんじゃ……)
菫「聞いているのか淡」
淡「あ、はい!」
菫「そうか、やはり永水や臨海だけじゃなく、ほかの学校にも~」
淡(そしてやっぱり長!?)
淡(長かった……)
淡「いやーやっぱり弘世先輩は頼りになるなぁ」
菫「そうか、まぁそれでお前が勝ってくれるならそれでいい」
淡(って会話終わっちゃった!?)
淡「亦野先輩」
誠子「……」
淡「あれ?先輩?」
誠子「……」
淡「……寝てる」
誠子「すぅ……すぅ……」
淡(座ったまま寝てるってどういうこと!?別にソファーまるごと空いてるし横になれば……)
淡(って寝てるんじゃしょうがない、次は渋谷先輩に話しかけてみよう)
尭深「……」ズズー
淡「あ、そういえばいつも渋谷先輩ってお茶飲んでますよね?」
淡「なんか和の心って感じでいいですよねー」
尭深「……///」
淡(あ、喋らないけど照れてるってわかりやすい……)
淡「それにちょっと猫舌なんであんまり熱いお茶は飲めませんし」
尭深「……///」
淡(照れたりするのはわかりやすいけど会話してくれないから広がらない……)
淡(うん、だって皆いつも無言だし)
淡(とにかく全員(寝ている人を除く)と話をすること自体はできたってことは一応仲良くなることは可能なはず)
淡(何かいい方法があれば……)
照「……」ペラ
菫「……」
尭深「……」ズズー
誠子「すぅ……すぅ……」
淡(相変わらずの無言……)
淡(こういう時はネットに相談してみよう!)
淡(>>105さんはきっといい案をくれるはず)
淡(ふんふむ……こういう時にネット友達が役に立つなんて思わなかった)
淡(たしかにいきなり抱きつかれたら反応せざるをえないよね)
淡「宮永先輩」ギュゥ
照「淡、苦しい……」
淡「あっとすみません」
照「突然何?」
淡「いや、先輩とスキンシップをと思いまして」
淡「さっき麻雀小説とかいってたのに」
照「ち、違う、これは小説中で麻雀をしている」
淡「先輩も可愛いところあるんですねー」
照「っ///」
淡「あ、でも私も恋愛小説好きですよ?やっぱり憧れちゃいますよね」
照「う、うるさい」プイ
淡(そっぽを向かれてしまったけどやりすぎちゃったかな……)
淡「先輩のオススメと交換してみませんか?」
淡「先輩のオススメとか興味ありますし、どうでしょうか?」
照「……考えとく」
淡(でも宮永先輩に少しだけ親近感がわいて話しやすくなった気がする)
淡(それにしても誰かと話している間、他の人が会話に参加したりもしないこの沈黙した空気自体をなんとかしないと)
淡(>>125さんならきっといい案を)
淡(い、いやいやさすがにそんな服を脱ぐなんて……)
淡(でも現状の私が話しかけた相手以外誰も反応しないこの沈黙した空気を吹き飛ばすには)
淡(全員が同時に驚くような事をするのは確かに手っ取り早そう……)
のどっち『確かに意中の方をドキドキさせる吊り橋効果はねらえそうですね』
淡(あ、賛成意見もでてる……うーん)
淡(靴下も服……だよね、靴下を脱いでみよう)
淡「……」ヌギヌギ
淡(もう片方の靴下も……)ヌギヌギ
淡(脱いでみたけど靴下じゃ空気が変わると思えない……うぅ……)
菫「おい、淡」
淡(今日初めて話しかけられた!?)
菫「脱いだ靴下はちゃんとたたんでおけ、まったく、こんなことじゃ大将戦が不安になりそうだ」
淡(なんだかお母さんみたいに小言言いながら私の靴下を弘世先輩がたたみ始めた!?)
淡(そしてやっぱりしゃべり始めたら長い!?)
淡「え、えーと空調の温度を下げてもらうと寝てる亦野先輩が風邪をひくかもしれませんし」
菫「なんだ、亦野はまた座ったまま寝ているのか」
菫「まったく、この大切な時期に変な寝かたをして体がおかしくなったらどうするんだ」ゴソゴソ
淡(毛布常備してあったの!?)
淡(というか体調管理以前に練習はしてなくていいんですか!?)
淡(案外楽しそうな性格の人が集まってるのかも……)
淡(この調子でどんどん1軍メンバーの空気を明るい感じにもっていければ)
―――――――――
淡「宮永先輩大量リードですね!お疲れ様です」
照「飛ばすつもりだったんだがな」
菫「気にするな照、後は私達がなんとかするさ」
尭深「負けない……」
誠子「実力ってものを相手に見せてあげますか」
照「あぁ、頼りにしている」
―――――――
淡(みたいな信頼しあっているような仲良しチームに!)
淡(よーし、どんどん聞いてみよう)
淡(もっと部内の空気を明るくできるように>>157さん案をください)
かじゅ『私の後輩の話になるがその後輩は影が薄くて誰にも気がついてもらえないと困っていたんだが』
かじゅ『それでも突然ダンスをすれば影が薄くても気がついてもらえたと言っていた』
淡(い、いやいやダンスを突然って結構恥ずかしいんですけど)
淡(だいたい踊るっていっても一人は読書に夢中、一人はお茶、一人は睡眠ですって)
淡(で、でもやってみたら案外なにかいい効果があったりして……)
淡(でもむしろ変なやつって思われるのはいやだし……)
淡(そもそもダンスなんて知らないし……)
淡(うーん……)
淡(す、すこしだけ踊ってすぐやめてみよう)
淡「……」フリフリ
照「……」ジィー
菫「……」ジィー
尭深「……」ジィー
淡(な、なんだかすごく見られてる!?)フリフリ
淡(せ、せめてなんで踊ってるのとか突っ込んでくださいよ先輩方!)フリフリ
照「……」ジィー
菫「……」ジィー
尭深「……」ジィー
淡「……」
照「……」ペラ
菫「……」
尭深「……」ズズー
淡(ダンスをやめた途端に興味を失うかのように……そんなに変なダンスだったのかな……)
淡(恥ずかしい……)
淡(ここにいる5人は皆麻雀が好きなはずなんだ、同じ物が好きなんだから絶対仲良くなれるはず)
淡(インハイ3連覇って重荷に潰されそうになってるだけでもっと仲良く楽しく出来るはず)
淡(そしてそれはインハイの重圧を知らない私だからこそできることのはず!)
淡(>>185さんお願いします)
これは…
淡(な、ななな///)
淡(そ、そんなのできるわけ!)
淡(で、でも先輩方ってもしかして普通の麻雀に飽きてきているんじゃ……)
淡(だとすれば脱衣麻雀なんかでも普段と違う刺激がって麻雀してくれるかも……)
照「……」ペラ
菫「……」
尭深「……」ズズー
誠子「すぅ……すぅ……」
淡「こういう日は脱衣麻雀にかぎりますね!というわけで脱衣麻雀しましょう!」
照「……///」ペラ
尭深「……///」
淡(さすがに誰ものってこない……)
淡「え?あ、はい」
菫「いいか?年頃の女の子が~」
淡(お母さんみたいなお説教が始まってしまうなんて……)
淡(いやまぁノリノリでしようって言われたほうが困るんですけど)
淡(でももう練習よりもとにかく普通に全員が仲良く慣れるようにすることを考えよう!)
淡(脱衣麻雀しようって行った時に宮永先輩と渋谷先輩は照れていた、そしてお母さんは叱ってきた)
淡(つまり亦野先輩(睡眠)以外は話を聞いているということ……)
淡(最初の状態よりかなりマシ……がんばろう!)
淡(>>220さんお願いします)
菫ちゃんの胸を揉む
みはるん『包容力のある胸なんてうらy……じゃなくて揉んでやればいいんです』
みはるん『そうすれば無視なんて出来ませんし反応しますよ胸が大きい人なんて』
淡(なんだか胸が大きい人にコンプレックスがありそうな人だなぁ……)
淡(胸を揉むって言っても……ある人なんて弘世先輩と渋谷先輩だけ……)
淡(渋谷先輩は熱いお茶を持ってるから危ないし……ってことは弘世先輩?)
淡(うーん、でも確かに反応は得られるだろうし会話になるかもしれないけど……)
淡(でも弘世先輩だとお説教されそうだし……)
淡(最初は少しウロウロして……落ち着かない感じをだして……)ウロウロ
淡(きを見て弘世先輩の胸を揉む……)
淡(お説教されそうでやっぱやだなぁ……)
菫「な!なな!?」
淡「あ、あははは弘世先輩すみません」
菫「もうお嫁にいけない……」
淡「ぅえ!?」
あわあわあーあ
もっとやれ
菫「うぅ……」
淡「えーと」チラッ
照「……」プイ
淡「……」チラッ
尭深「……」プイ
淡(助けはなしですか……)
菫「え?」
淡「それに私も故意に揉んでしまったわけではありませんし」
淡「いやもうそりゃあ弘世先輩が許せないっていうならどうしようもないんですけど」
淡「先輩がお嫁にいけないなんてこと絶対ありませんよ!」
菫「ほ、本当に?」
淡「はい、この中で一番お母さんに近いですし!」
菫「そ、そうか、すまない取り乱してしまったな」
淡「ほっ……」
最後フォローになってねぇw
菫「あぁそうだ、淡」
淡「?」
菫「いいか、転んでしまった時にとっさに何かを掴んでしまうのは~」
淡(やっぱり怒ってたー)
淡(もう部活が終わる時間……って宮永先輩は恋愛小説読んでるだけだし)
淡(弘世先輩ものんびりしてるし渋谷先輩はお茶、亦野先輩はずっと寝てた!)
淡(インハイ2連覇の麻雀部と思えないよこれ……)
淡(ここでなんとか皆さんのヤル気を引き出す方法を>>255)
淡(なんだかこののどっちって人勘違いしてる気がするけどさっきはいい方向に転がったんだよね)
淡「ってファーストキスをそんな簡単にできるわけないじゃん!」
照「な、なんだ突然叫んで……」
菫「そうだぞ淡……」
尭深「驚いた……」
誠子「ふぁ、え?何事?」
淡「あ、いやえっとですね」
淡(あれ?今全員と同時にしゃべってる!?)
淡「ちょっと考えていたりしてですね」
淡(あーもうなるようになっちゃえ)
照「なんだそんな事を考えていたのか」
淡「え?」
照「なるほど、それで今日は妙な行動がおおかったわけだ」クスッ
淡(み、宮永先輩が笑った!?)
淡「あ、いえ、えっと……やっぱりチームとしてはこう励まし合ったりとか」
照「生意気な後輩なのかと思っていたが可愛いところもあるじゃないか」
淡(生意気って思われてたんだ私)
照「なるほどな、それでずっと」クスクス
淡「わ、笑わないでくださいよ宮永せんp……あっ」コケッ
照「え?」
その先にいた弘世先輩の唇を奪い、そしてそれに驚いた弘世先輩が私をさらに突き飛ばし
その先にいた亦野先輩の唇を……
そして最後には渋谷先輩の……
それはもうまさに奇跡と言わざるをえないそんな偶然の繰り返し
ファーストキスどころか4回キスすることになった
というか4人ともファーストキスだったそうでその後仲良くどころか気まずい雰囲気になってしまった
どうしてこんなことになってしまったんでしょう……最初から素直にもっと仲良くしましょうっていえばよかったのでしょうか?
いえ、おしゃべりしましょうよとか、遊びましょうって仲良くしましょうって意味みたいなものだとおもうんだけどなぁ
そんな昨日の事を考えながら私は白糸台の1軍部室の扉を開ける
淡「えっと、おはようございます」
照「あ、あぁ淡か///」プイ
菫「お、おお、遅かったじゃないか///」プイ
尭深「///」プイ
誠子「ま、まぁ座ってくつろぎなよ///」プイ
淡(全員目をあわせてくれない……)
淡「どうしてこうなるのおおおおおおおおおお」
終われ
それにしても白糸台キャラの性格が楽しみだ
>>279
乙
白糸台たのしみや
Entry ⇒ 2012.07.20 | Category ⇒ 咲-Saki-SS | Comments (0) | Trackbacks (0)
トニオ「『アイドル』…デスカ」 貴音「はい」
P「頑張ったな、貴音。単独での仕事で、こんな遠くに来るのは初めてだから、疲れただろう」
貴音「…いえ」
P「悪いなぁ、明日は日曜だから、春香達につかなきゃならない」
P「独りにして悪いが、貴音は折角のオフなんだから、ゆっくり観光でもしてから帰ると良いさ」
貴音「わかりました」
貴音(はじめから分かっていた事とはいえ、やはり…)
P「ん、もうこんな時間か。そろそろホームに行かなきゃマズイな。じゃあな、また来週」
貴音「はい」
貴音(…さて、どうしましょうか)
仗助「おぅ。…けどよォ、俺よく知らねーんだよなァ、今日のねーちゃん」
康一「えぇ!?仗助くん知らないの!?『生っすか!?サンデー』見てない!?」
仗助「生…?何だって?」
康一「『生っすか!?サンデー』だよ!今日見たのはその番組内のコーナーのひとつ」
康一「「四条貴音のラーメン探訪」だよ。」
仗助「ふぅ~ん…。『四条貴音』…ねぇ。よく知ってんなァ~」
康一「今人気の765プロのアイドルじゃないか!仗助くんが知らないって事の方がオドロキだよッ!」
億泰「ンッ!?お~い!仗助ェ!康一ィ~!」
康一「あっ!億泰くん!おぉ~い!」
仗助「おめー知ってんのかよ」
億泰「ったりめーだろうがッ!銀髪の女王!ラーメンの妖精!四条貴音様は俺にとっての至上最高のアイドルだぜッ!」
億泰「”四条”だけに」
仗助・康一「……」
仗助「しかし残念だったなァ~。なんで今日に限って放課後いきなり居なくなってたんだよ」
億泰「おっ!そうそう、今日はトニオさんところで飯を食いたい気分になってよォ」
億泰「財布を満たしに銀行に行ってたんだよ」
億泰「しかしチクショォ~ッ!貴音様が来てるって知ってたらそっちに行ってたのによォ~」
康一「トニオさん…?ああ、前に言ってたイタリア料理の!」
仗助「そうか、康一は知らないんだったなァ」
億泰「ちょうどいい!一緒に行こうぜ、康一もよ。モチロン仗助も行くよな?」
康一「でもあんまり外食は…」
億泰「ちーっとぐらいなら奢るぜ」
康一「んー…じゃ、じゃあ行こうかな」
康一「い、いいじゃないか!興味はあるけど、独りじゃちょっと怖かったし…」
仗助「誘えばいいじゃねェかよォ~『山岸由花子』をよォ」
康一「そ、その…今日行ってみて…良さそうだったら…」
億泰「チッ!偵察かよ!」
康一「へへ…」
貴音「本日のろけでは、様々ならぁめんを食しましたが…」
貴音「紹介されなかった名店もあるはず…町を散策がてら探してみましょう」
貴音「…この先100めぇとる…。いたりあ料理ですか…」
貴音「この町では海産物だけでなく、野菜も新鮮で、全てのらぁめんがまこと美味でした」
貴音「…これは期待出来るかもしれません。行ってみましょう」
貴音「古くはありますが手入れの行き届いた実に良い物ばかり」
貴音「そしてその配置も嫌味がなく、その調和に一片の曇りも無く、実に趣がありますね」
トニオ「お褒めいただき光栄デス」
貴音「…貴方がこのれすとらんの?」
トニオ「ハイ…。ワタシがこの店のオーナー」
トニオ「トニオ・トラサルディー。本日はお越し頂きありがとうございマス」
貴音「…てぇぶるが2つなのは…もしや」
トニオ「ご覧の通り、ワタシはシェフも兼任していマス」
トニオ「なので、この席数が限界なのデス」
トニオ「しかし、その分クオリティーに関しては『絶対の自信』有りマス…」
トニオ「オォ!お席も勧めずに申し訳ありまセン!どうぞお掛けになってクダサイ!」
貴音「では…失礼いたします…」
康一「へぇ…ここがトニオさんのお店かぁ…」
康一「あ、初めまして。広瀬康一です。」
トニオ「貴方がコーイチさん!お噂はかねがね!」
貴音(めにゅうは…どこでしょう?)
億泰「あ、あァーッ!あの銀髪はァ!」
康一「えっ…!?ま、まさかッ!」
トニオ「お知り合い…なのデスカ?まさかスタンド…」
康一「ち、ちがいますトニオさん!貴音さん…アイドルの四条貴音さんですよ!」
トニオ「アイドル…デスカ?」
貴音(すたんど…?はて)「はい。私、765プロダクションであいどるをしております」
貴音「四条貴音と申します。以後、お見知りおきを」
トニオ「オォ~…これは失礼しまシタ。ゲーノー界というものには、疎いものデ…」
貴音「いえ…。高みを目指す途上故、私の知名度はまだまだ低いと思っておりました」
貴音「むしろ、知っていて頂いた事が光栄です。ありがとうございます」
貴音「ところでとにお殿…『めにゅう』が見当たらないのですが」
仗助「!」
トニオ「めにゅう…?メニュー…。あぁ、リスタのことデスか?」
トニオ「ウチには置いていまセン。提供するお料理はお客様次第デスので」
貴音「なるほど…。わかりました。ではらぁめんを所望いたします」
トニオ「らぁめん…?」
貴音「はい。らぁめんを」
トニオ「…そんなもの、ウチにはないよ」
仗助「普通よォ、こんな店に来てラーメン頼むかァ?」
億泰「さすがは貴音様だぜェ~ッ!」
貴音「はて…私次第で料理を出していただけるのでは?」
トニオ「チガウチガウ!私がお客様を見て!お出しする料理を決めるのデス!」
貴音「なんと…」
トニオ「ふぅむ…」
康一「いきなり女性の手を取るなんて、やっぱりイタリア人だなァ…」
仗助「そーゆーセリフ、ヤメロよなァ~。なぁ~んか嫌な気分だぜ…」
仗助「ところで康一、ありゃあ何も手にキスしようってんじゃないぜ」
康一「え?」
トニオ「…アナタ、昨日はあまり眠れていまセンね」
貴音「…何故そう思うのでしょう?」
トニオ「少しだけデスが…爪に縦線が見えマス」
トニオ「睡眠不足の証拠デスが…そこまで深刻なモノではないようデス」
トニオ「更に…かなり偏った食事をしていマス…」
トニオ「かなりの健啖家デスね…おどろきマシタ…」
トニオ「…今日もかなりの量を食べてますネ」
トニオ「胃の粘膜が少しだけ荒れているようデス」
>>27
トニオ「フフ…魔法じゃありまセン」
トニオ「医学デス。東洋、西洋、その他あらゆる医学薬学等を研究し、ワタシが独自に生み出した『診察』方法デス」
トニオ「しかし、これだけの健康を維持しているのはびっくりデス」
トニオ「多少調子は落ちているでしょうが、基本的に問題無い粋デス」
トニオ「ワタシの料理で劇的…とまではいかないでしょうが」
トニオ「体調を良くする事は保証シマス」
貴音「ふふふ…。まこと、不思議な方ですね」
貴音「よろしくお願いします」
康一「ま、まさか…手を見ただけで…」
億泰「おうよ!俺も初めて来たときはビビったぜ~!」
仗助「俺は何も問題無かったけどよォ~、億泰は凄かったぜェ~」
仗助「水虫まで指摘されてたからなァ~」
トニオ「さ、料理を始めましょうか」
貴音(……)
貴音(…?)
貴音「これは…水…いえ、みねらるうぉーたー、ですか」
億泰「た、貴音様ッ!よろしかったら、このハンカチを使ってくださいッ」
貴音(はんかち…?はて…? …!)
貴音(泪ッ!?こ、これは一体ッ!?)
康一「お、美味しい!美味しいよこの水!」
仗助「うめェだろ?これはちょっとした感動だぜ」
貴音(感動の涙!?いえ、これは”そんな物”では断じて…ッ!)
貴音「こ、零れ…ッ!」
貴音(は、はんかちを…ッ!…ハッ!この殿方は、最初から知っていた?)
貴音「助かりました。ありがとうございます。…えぇと」
億泰「お、億泰!『虹村億泰』っス!」
億泰「億泰と呼んで下さいっス。その水は俺も前に飲んだ事があるんスよ」
貴音「水…。やはり。これは一体…」
億泰「えぇーっと…何て言ってたっけなァ?…キリ…キリ…」
トニオ「キリマンジャロの雪解け水デス」
トニオ「飲めば十分に睡眠をとった後のような爽快感が得られマス」
貴音「そうですか…。面妖な…いえ、何とも形容しがたい」
貴音「しかし、確かに美味でした。しかしながら…」
貴音(あの涙は…一体…)
トニオ「どうかされマシタか?」
貴音「いえ…」
貴音(今、特に異常が残っている訳でもありません)
貴音(悪い方にも見えませんし、確かに眠気は無くなりました。もう少し…)
貴音「ところで、それは?」
トニオ「本日の前菜(アンティパスト)…『タコのカルパッチョ』デス」
トニオ「ハイ。日本では西洋人はタコを食べないイメージが強いようデスが」
トニオ「我々イタリア人は沿岸地域に住んでいるため、昔からタコはよく食べてマシタ」
トニオ「この『カルパッチョ』も、伝統的なタコ料理の一つです」
貴音「なるほど…勉強になります。では、さっそく…」
康一「お、美味しそ~!トニオさん!僕もあれ食べたいです!」
仗助「おっ、そういや俺たち注文してなかったな」
仗助「トニオさん、お願いしていいっスか?」
トニオ「シ オ カピート(かしこまりました)。少々お待ちクダサイ…しかし」
トニオ「胃の調子を整える効果が期待できるのは、四条サマだけカト…」
貴音「なんと…これはまことに…」
貴音「イタリア料理という事で、かなり味の濃い物を想像していたのですが」
貴音「これはたこという素材を使っている為か、サッパリとした後味に仕上げてあります」
貴音「しかし単調で淡白という訳ではありません!決して単純な味ではない!」
貴音「なるほどこのそぉす…いえ、どれっしんぐですか…」
貴音「塩、酢、おりぃぶおいる…それぞれが持つ旨みが自身を主張しながらッ!」
貴音「主役であるたこの旨みを邪魔せず…いえ、むしろ引き立てているッ!」
貴音「これは素材そのものの良さもさることながら…」
貴音「絶妙なばらんすをとっている、とにお殿の手腕に寄る所が大きい!」
貴音「とにお殿…前菜だけでここまでとは…!」
仗助「おー!確かにうめぇーぜ!こりゃあ!」
康一「すっごいですねぇ!ぼく、タコがこんなに美味しいって知りませんでした!」
億泰「けどよォ…大丈夫か?」
康一「え?何が?」
億泰「いやな、『胃』の調子を整えるって事は…」
貴音「!?」
仗助「始まったか…」
康一「えッ!?た、貴音さん!?」
貴音「ふ…うっ…」
康一「お腹を…!お腹が痛いんですか!?」
貴音「いえ…。…はい、少しばかり…」
康一「た、大変だ!仗助くん!…いや、これは外傷じゃないから救急車を…ッ!」
仗助「落ち着けって康一。焦るこたぁーねー」
康一「な、何言ってるんだよ仗助くん!た、貴音さんがあんなに…!」
貴音「…ふぅ」
億泰「!?」
仗助「何ィ!?」
トニオ「……」
貴音「なんとも…面妖な…」
トニオ「胃の薄っすらとした不快感が消えタ…」
トニオ「胃モタレ…胃炎が解消されたのデス」
トニオ「胃と言う器官は、成人で約3日で全ての細胞が入れ替わると言われていマス」
トニオ「タコに含まれる成分、グルタミン酸やアスパラギン酸…その他の様々なタンパク質ト…」
トニオ「ワタシの作ったドレッシングによって、胃の粘膜の新陳代謝を活性化」
トニオ「その入れ替わりを「早めた」のデス」
貴音「なるほど…先ほどの熱はそういう事ですか」
仗助「は、腹はッ!?何ともねぇのか!?」
康一「何で今更焦ってるのさ、仗助くん?」
仗助「だ、だってよ…トニオさんの料理を食ったら…」
億泰「あぁ…『出る』…のが普通のはずだぜ…」
康一「『出る』?」
貴音「……」
トニオ「マッ!こういう事も有りマス!ワタシが思っていたよりも、ずっと胃の調子が良かったのデショウ」
貴音「確かに、胃がすっきりとしたお陰で、食欲が増してきました」
貴音「とにお殿、次の料理は…?」
トニオ「プリモ・ピアット…いわゆるパスタ料理です」
貴音「…『らぁめん』的な」
トニオ「全く違いマス」
貴音「……」(シュン)
トニオ「確かにパスタは、一般的にスパゲッティーを含み…中にはスープに浸した形のものも日本にはあるようデスが」
トニオ「今日お出しするのは『ラビオリ』。イタリア風ワンタン…とでも言いまショウか」
トニオ「薄く延ばしたパスタで、小さく具を包んだものデス」
トニオ「今日はホワイトソースで和えてみマシタ」
仗助「俺はこれはいいや」
康一「うーん…僕も…」
億泰「お前らよォ…オーダーぐらいちったぁ自分で考えて頼めよ…。俺は『らびおり』を頼むぜトニオさんッ!」
トニオ「エェ。中身は食べてみての…」
貴音「お楽しみ、という訳ですね。ふふ…」
トニオ「ハイ。では、ワタシは次の料理に取り掛かってキマス」
貴音「これは…見たところ2種類の具があるようですね」
仗助「お、おいッ!ちょっと食わせてみろよ!」
億泰「何言ってんだオメーは!自分でいらないつったんじゃねーかッ!」
億泰「俺はこの空間で貴音様と同じ物を食べる唯一の人間になるんだァー!」
貴音「一つは赤…、もう一つは緑…。なるほど、いたりあの国旗をいめぇじしたのかもしれません。ふふっ…」
貴音「面妖なっ!」
仗助(ビクッ)
康一(えっ、何!?)
貴音「赤い方は…なるほど、とまと…を、基調に…これは海老でしょうか」
貴音「酸味と旨みが…程よく…なんと…」
康一(口癖…みたいなものなんだよ。僕も急すぎてびっくりしちゃった)
億泰「ンン…?こいつぁ…」
貴音「緑色は…これは…何でしょう?葉物、という事は分かるのですが…」
貴音「どこかで味わったことのある…ぱせり…いたりあん…?いえ、違いますね」
貴音「もっと…和食に多く…たまにらぁめんでも……。…!!」
貴音「わかりました!これはほうれん草ッ!ペースト状にしたほうれん草です!」
貴音「なるほど…これは意外でした。彩のためか少し味の輪郭がぼやけても感じられますが…」
貴音「しつこくない味と考えれば、これも趣が…」
億泰「待ちなッ!!」
貴音「?」
仗助「何イキナリ大声出してんだよ億泰オメェ」
億泰「ふっふっふ…俺は気付いてしまったぜェ~」
億泰「この料理の『本当の食べ方』をなァッ!」
億泰「黙ってろ!『削る』ぞッ!」
康一「物騒だなぁ…」
貴音「あの…億泰殿…。『本当の食べ方』とは…?」
億泰「おっ、そうそう。貴音様、これは「モッツァツァ」と同じなんスよ」
仗助「「モッツァレラ」な」
億泰「ソレだ!」
貴音「はあ…。『もっつぁれら』…ですか」
億泰「そう!つまり一緒に口の中に入れるンスよ!赤と緑を!」
貴音「…!なんと!」
貴音「それで何か変わるのでしょうか」
億泰「騙されたと思って!ささ!どうぞ!」
貴音「はい…では…」
貴音「……。……!」
貴音「こ、これは!この味は!」
※もう一つはdat落ち
貴音「とまとがほうれん草を!ほうれん草がほわいとそぉすを!」
貴音「ほわいとそぉすがとまとを!引き立てていますっ!」
貴音「『まりあーじゅ』と言うのでしょうか!『味の競演』と言うのでしょうか!」
貴音「例えるなら三浦あずさと水瀬伊織、双海亜美のとりお!」
貴音「雪に対する月と花!」
貴音「えっと…」
貴音「といった感じですっ!」
仗助(どっかで聞いたなこのリアクション…)
億泰「やっぱりッ!」
トニオ「億泰サン…説明していただき、ありがとうございマス」
億泰「おっ、トニオさん!これは何に効くンスか?」
トニオ「…『腰』デス」
億泰・仗助「こ、『腰』ィ!?」
.. ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・
トニオ「『四条貴音』サン…上着を…脱ぐことをオススメシマス」
億泰・仗助「!!!」
康一「え!?」
貴音「なんと…いえ、ですが確かに『腰』が…」
貴音「仕方ありません…」
バッ ギュッ
仗助「ぶ…」
億泰「ブラウスの裾を結んだのか…」
康一「で、でもおへそが!これは刺激が強すぎるよッ」
由花子「……ッ」
「あれー?由花子どうかした?」
由花子「…今、一瞬だけ『イラッ』ときたの。何故かしら」
仗助「何だありゃあ!?」
康一「皮膚の下で…何かが動いてるよ!」
トニオ「落ち着いてクダサイ。アレは『背骨』デス」
康一「せ、背骨…?」
康一「い、いやっ!おかしいですよ!背骨があんな動く訳!」
貴音「ふっ…くっ…!」
ボギィッ!!
康一「あぁッ!」
貴音「これは…ッ!」
貴音「軽いッ!」
貴音「腰が軽いです!今まで特に気にしていませんでしたが、こうやって軽くなるとッ!」
貴音「今まで腰にじんわりとした痛みがあった事がハッキリしました!」
貴音「しかし…何故?」
トニオ「アイドルという職業柄、ダンスをよく踊るのデハ?」
貴音「なるほど…」
トニオ「知らず知らずのうちに、無理な姿勢を強いられたのデショウ」
トニオ「少しだけではありますが、骨格が曲がっていマシタ」
トニオ「それを調節し、元の位置に戻す事によって、腰の位置を安定させ」
トニオ「体全体の調子を取り戻しマシタ」
貴音「それにしても…」
貴音「まこと、面妖な料理の数々ですね」
トニオ「フフ…」
康一「アハハ…」
貴音「この不思議な小人さんたちのお陰でしょうか」
仗助「!?」
億泰「なっ…!?」
康一「えっ!?」
貴音「…何の事でしょう」
トニオ「『雪解け水』でも感じマシタが…」
トニオ「あまりに反応が小さすぎマス」ズオッ
トニオ「ワタシのスタンド…『パール・ジャム』による効果は…」
トニオ「患部を分かりやすく示すため、まずは『露出』したり、『劇的な変化』を起こしマス」
トニオ「しかし、アナタは『カルパッチョ』を食べたにも関わらず、胃の露出が起きなかっタ」
仗助「女にはショックが強すぎるだろうと思ってよォ~」
仗助「俺も念の為に待機していたんだが、結局使う事も無かった」ズオッ
貴音(…!)
貴音「貴方方は…最初に感じたとおり…」
億泰「あぁ…。『スタンド使い』だぜ」ズオッ
康一「まさか…貴音さんも…」ズオッ
貴音「『すたんど』…と、いうのですか」
貴音「そうですね…貴方方が打ち明けてくださったのに、私が秘密にするというのは…礼を欠きますね」
貴音「いえ。正確には『感じて』いるのです」
貴音「はっきりとした姿かたちを認識しているわけではありませんが」
貴音「その大きさや数といったものは、大体正確だと思います」
貴音「しかし…その、『すたんど』…ですか?」
貴音「皆様のような力を持ち合わせているわけではありません」
貴音「ですので、まさか…」
康一「…『スタンド使い同士は惹かれあう』か」
仗助「しかしよォ、これもスタンド使いなのか?」
億泰「お、俺に聞くなよッ!俺は頭ワリィんだからよォ~!」
トニオ「『才能がある』…といった感じなのでショウか」
トニオ「私も修行の末にこの能力身につけマシタ」
トニオ「『アイドル』として高みを目指すという、四条サンの行為はあるいは、」
トニオ「『スタンド使い』に近づく事になるのかもしれまセン」
億泰「『近い』ってことだよなァ、俺たちと貴音様はァ~」
貴音「そうですね…。えぇ、おそらくは」
貴音「『仲間』…」
康一(ぼ、僕たちとッ!)
億泰(貴音様が…『仲間』ッ!)
貴音「ところで、とにお殿」
トニオ「オォ!失礼しまシタ!メインディッシュにも入っていませんでしたネ!」
貴音「ふふ…ありがとうございます」
承太郎「ここか…。ん?」
仗助「アッ!承太郎さんッ!」
康一「え?承太郎さん?…あれ?そこに居るのは…」
響「おー!すごいぞ!ホントにいたさー!」
康一「が、我那覇響ちゃんッ!?」
響「美希もいるぞ!」
美希「やっほー!」
響「自分たちも今日の午後からしばらくオフなんだけど」
美希「他の皆は都合が合わなくて、せっかくだから貴音も誘って観光に来ようって事になったの」
康一「す、すごいよッ!フェアリーだッ!」
億泰「俺…今死んでもイイ…」
美希「あはっ☆ファンの人たちなの?よろしくなの!」
響「で、杜王駅まで来たのは良いんだけど…」
美希「貴音は携帯をもうちょっと確認したほうが良いって思うな!」
貴音「はて…。!これは失礼しました。美希、響」
響「なんくるないさー!このでっかいオジサンに案内してもらったからな!」
承太郎(…お約束だな)
ジョジョのパロはアイマスの公式が既にやってたんだよな
承太郎「…別にその女がいると知ってて案内した訳じゃあない」
承太郎「『美味い飯屋を知らないか』と聞かれてな」
承太郎「この町で評判の良い店はここぐらいしか知らなかっただけだ」
響「でもさすがだなジョジョ!やっぱり自分たちは運命的な何かがあるさー!」
承太郎「やれやれだぜ」
貴音「じょじょ…?」
響「あぁ!…えーっと」
承太郎「『空条』だ」
響「そうそう!このオッサンの名前は空”条” ”承”太郎!だからジョジョさー!」
康一「それにしても…我那覇さん…」
響「ん?響って呼んでくれよ!」
康一「じゃ、じゃあ響さん…。よく承太郎さんを知ってたね」
響「駅で見かけてでっかいなーと思って声かけただけさー」
美希「ミキもちょっと気になったから声かけるのは賛成だったよ?」
美希「あ、気になるって言ってもハニーへの気持ちとは全然違うの!」
響「まぁ社長の言う『ティンときた』って奴だな!」
トニオ「ナルホド…」
美希「おいしそうな匂いがするの!」
貴音「えぇ、ちょうど『めいんでぃっしゅ』がくる所です」
貴音「よろしかったら御一緒しましょう」
美希「ミキおなかぺっこぺこなの!おにぎりも頼むの!」
トニオ「…そんなもの、ウチにはないよ」
仗助「承太郎さんも一緒にどっスか?」
承太郎「…あぁ…そうだな」
響「フルコース頼んだのか!さすが貴音だな!」
億泰「ふぇふぇふぇフェアリーの皆さんッ!ごごご御一緒しませんかッ!?」
美希「なのー!」
貴音「あなた様。お土産です」
P「おっ、牛タンか~!ありがとう、貴音!買い忘れてたんだ!」
貴音「ふふ…」
美希「小鳥にもお土産なの!」
小鳥「あ、ありがとう!美希ちゃん!」
小鳥(…赤べこ)
P「しかし、今日は妙に調子良さそうだな」
P「なんか良い事でもあったのか?」
貴音「ふふ…」
貴音「とっぷしぃくれっと、です」
トニオ「『アイドル』…デスカ」 貴音「はい」
|To Be Continued...? >
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄|/
初めて一つの話を書き上げた気がする
時間かかるなぁ
ちょっと読み返してきます
Entry ⇒ 2012.07.19 | Category ⇒ アイマスSS | Comments (1) | Trackbacks (0)
ルルーシュ「ユフィ。多分、初恋だった」ユフィ「うわぁ、キモッ」
ゼロ「やめろ……」
ユフィ「え……?」
ルルーシュ「もうやめるんだ……」
ユフィ「まぁ、ルルーシュだったのですね!ほら、ルルーシュも一緒に日本人を抹殺しましょう!!」
ルルーシュ「それはできない……」チャカ
ユフィ「ルルーシュ……?その銃をどうして私に向けるのですか?」
ルルーシュ「さようなら、ユフィ……多分、初恋だった……」
ユフィ「え、キモッ」
ルルーシュ「!?」
ルルーシュ「まて!!ユフィ!!聞き捨てならないぞ!!」
ユフィ「え?」
ルルーシュ「お、俺の……初恋を……想いを……キモ……い……だと……?」
ユフィ「あの。勿論、私もルルーシュのことは好きでしたよ?」
ルルーシュ「ほう」
ユフィ「でも、一応兄妹ですし……思ってても口にだすのは……ちょっと……」
ルルーシュ「……」
ユフィ「引きます」
ルルーシュ「なっ……」
ユフィ「日本人は皆殺しですっ!!!」
ルルーシュ「まて!!!こっちにこい!!!きさまぁぁ!!!」グイッ
ユフィ「何をするのですか!?離しなさい!!」
ルルーシュ「冷静になろう、ユーフェミア」
ユフィ「私は冷静です」
ルルーシュ「お前も俺のことが好きだった。それは間違いないな?」
ユフィ「はい。ルルーシュは優しくて、かっこいいですから」
ルルーシュ「ほう……」
ユフィ「ちなみにお姉様もルルーシュのことは好きでしたよ?」
ルルーシュ「そうか……」
ユフィ「嬉しいですか?」
ルルーシュ「まあ……悪い気分ではない」
ユフィ「あの……」
ルルーシュ「なんだ?」
ユフィ「ルルーシュって……シスコン?」
ルルーシュ「ちがう!!何を言っているんだ!?」
ルルーシュ「……」
ユフィ「でも、もう昔のことですし、いいじゃないですか」
ルルーシュ「待ってくれ……」
ユフィ「それでは日本人を皆殺しにしてきます」
ルルーシュ「行かせない」
ユフィ「……」
ルルーシュ「ここで……君を殺す……」
ユフィ「ルルーシュ……」
ゼロ「ユフィ……さようなら」チャカ
ユフィ「そんな……」
ゼロ「多分、初恋だった」
ユフィ「え……鳥肌が……」
ゼロ「?!」
ユフィ「せめて、撃ったあとに言ってくれませんか?」
ユフィ「やっぱり、普通の恋が一番素敵だと思います」
ゼロ「……っ」ガクッ
ユフィ「ルルーシュ?」
ゼロ「なぜだ……」
ユフィ「え?」
ゼロ「別に妹に恋をしてもいいだろうがぁ!!!」
ユフィ「ちょっと……」
ゼロ「言ってみろ!!ユーフェミア!!!どこに問題がある?!」
ユフィ「それは……」
ゼロ「お前もコーネリアもナナリーも全員、可愛いし美人だろうが!!!」
ユフィ「……」
ゼロ「思春期の男がお前らを気にしないほうがおかしいだろう!!!」
ゼロ「……」
ユフィ「私もルルーシュのことが大好きですよ」
ゼロ「ユフィ……」
ユフィ「でも、ほらやっぱり兄妹ですし、所詮は許されない恋です」
ゼロ「違うな。間違っているぞ」
ユフィ「え?」
ゼロ「姉や妹は母親の次に近しい異性だ」
ユフィ「そうですね」
ゼロ「それは逆もいえる。お前にとって初めての男は、俺だったはず」
ユフィ「言い方は気になりますけど、そうですね」
ゼロ「理想のタイプの形成の多くは、一番近しい異性で決まる。つまりは親や兄弟だ」
ユフィ「……」
ゼロ「お前の好みのタイプは俺である可能性が高い」
ユフィ「えー……?」
ユフィ「うーん……」
ゼロ「今まで、気になる男はどこか俺に似ていなかったか?」
ユフィ「……」
ゼロ「どうだ?」
ユフィ「あの……」
ゼロ「なんだ?」
ユフィ「……」
ゼロ「なんでも言え。遺言として聞いてやる」
ユフィ「……私が恋をしたのスザクとルルーシュしかいないんですけど」
ゼロ「……」
ユフィ「ルルーシュとスザクって似てますか?」
ゼロ「……」
ユフィ「まあ、言われてみれば似てなくもないような気もしますけど……」
ゼロ「つまり、お前はスザクと出会うまでずっと俺のことが好きだった。そういうことだな?」
ユフィ「え?いや、そういう……意味では……」
ゼロ「スザクが現れるまでは他に恋愛をしてこなかったんだろ?何も違わない」
ユフィ「そう……なるんですか?」
ゼロ「なるっ!!!」
ユフィ「じゃあ、はい。スザクと出会うまではルルーシュに恋をしていました」
ゼロ「ふははははははは!!!!!!」
ユフィ「でも、それは恋愛感情とは別のものだと思いますけど」
ゼロ「好きなことにはかわりはない!!!」
ユフィ「……」
ゼロ「お前の気持ちがそこまで固まっているなら、俺たちでも恋人になれる。そう思わないか?」
ユフィ「思いません」
ゼロ「なぜだ!!!」
ゼロ「……」
ユフィ「結婚はおろか、お付き合いなんて……」
ゼロ「ユフィ……そうか……そういうことか」
ユフィ「なんですか?」
ゼロ「つまり、お前は血縁だから結ばれることはない。そう思っているんだな?」
ユフィ「ええ」
ゼロ「違うな。間違っているぞ」
ユフィ「その台詞、そのままお返しします」
ゼロ「いいか?血縁関係であることは間違いない。しかし、所詮は半分しか血は繋がっていない」
ユフィ「十分じゃないですか?」
ゼロ「半分だぞ!!半分だ!!!俺たちの間に子どもが生まれて初めて、ようやく純血のブリタニア皇族が誕生する!!!」
ユフィ「えぇ……」
ゼロ「そうだろう?」
ユフィ「そ、その自信はどこから来るの……?」
ユフィ「……」
ゼロ「さあ……ユフィ」チャカ
ユフィ「え?」
ゼロ「さようなら……ユフィ……」
ユフィ「待って、ルルーシュ!!」
ゼロ「命乞いは聞かない」
ユフィ「私を殺すのなら好きにしなさい。だけど、貴方の勘違いは正したい!!」
ゼロ「なに?」
ユフィ「そこに座ってください」
ゼロ「……」
ユフィ「いいですか?純血のブリタニア皇族というのはお父様の血が混じっていれば、十分です」
ユフィ「兄妹で子どもを作ってしまえば、お父様の血が濃くなりすぎて、危険な子が生まれるでしょう」
ゼロ「どういうことだ?」
ユフィ「もし、お父様そっくりの思想を持つ子が生まれたらどうするのですか?大変です。世界はまた血の海です」
ユフィ「だから、兄妹で関係を結ぶなんてことはあってはならない。私はそう思います」
ゼロ「ならば、形だけならどうだ?」
ユフィ「え?」
ゼロ「結婚はする。だが、子どもは違う相手との間に作る」
ユフィ「私が嫌です」
ゼロ「……」
ユフィ「ルルーシュはそれでもいいかもしれませんが、私は自分が好きな人と―――」
ゼロ「ユフィ。考え方を変えろ」
ユフィ「え?」
ゼロ「俺ともスザクとも結婚できる。とな」
ユフィ「……!!」
ゼロ「それならどうだ?誰も不幸にはならない。全員、幸せだ」
ユフィ「ほ、本当ですね……まさか、そのような未来があったなんて……」
ゼロ「幸運にも俺とスザクは親友同士。嫁を共有することぐらいわけはない」
ゼロ「不誠実だと?合意の上でなら不誠実もなにもない」
ユフィ「でも……それは女として恥ずべきことでは……」
ゼロ「構わない。俺は俺で側室を用意する。ユフィにも側室がいる。それだけだ」
ユフィ「……」
ゼロ「皇族に側室はつきものだ。誰もその存在を疑う者はいない」
ユフィ「ルルーシュの側室は……誰になるのですか?」
ゼロ「そうだな……ナ―――」
ユフィ「ナナリーはダメです」
ゼロ「コ―――」
ユフィ「お姉様もダメです」
ゼロ「……」
ユフィ「……」
ゼロ「シャ……シャーリー……いや……カレン……?」
ユフィ「誰ですか?」
ゼロ「あ、ああ……そうだな……」
ユフィ「紹介してくれませんか?」
ゼロ「一度、会っているがな」
ユフィ「え?」
ゼロ「こちらゼロだ。カレン、今から言うポイントに徒歩できてくれ。え?紅蓮は草むらに隠しておけばいいだろう」
ゼロ「無理じゃない!いいからこい!!すぐにだ!!」
ユフィ「私と面識がある?どこで……?」
ゼロ「会えばわかる」
ユフィ「はぁ……」
カレン「―――はぁ……はぁ……ゼロ!!遅くなりました!!」
ゼロ「きたか」
ユフィ「え?日本人?!」
カレン「そうだけど!!?それがなに?!」
ユフィ「日本人は皆殺しです!!」
ユフィ「そうだったのですか。失礼なことをしました」
カレン「うん……。で、ゼロ。これは一体……?」
ユフィ「そういえば貴方とは一度、神根島でお会いしましたね」
カレン「そうね」
ゼロ「どうだ?」
ユフィ「んー……」
カレン「なによ!!ジロジロみないで!!」
ユフィ「よろしくお願いします」
カレン「はぁ?!」
ユフィ「がんばって、元気な子を産んでください」
カレン「な、なんのことよ?!というか誰の子ども!?」
ゼロ「私の子どもだ」
カレン「え……そ、それは……べ、べつに、こんなところで……あの……えっと……」
ユフィ「この人は大丈夫そうですね」
ユフィ「一緒に住んでもきっと仲良くできる気がします」
ゼロ「それはよかった」
ユフィ「では、もう一人の候補は?」
ゼロ「シャーリーか?」
ユフィ「その方は今、ここにいるのですか?」
ゼロ「いや、いないな。まだ学生だからな。学園にいるだろう」
ユフィ「連れてきてください」
ゼロ「それはできない」
ユフィ「どうして?」
ゼロ「彼女はもう……」
ユフィ「大事なことです!ルルーシュは私と一緒に生活したくないのですか?!」
ゼロ「そうだな……カレン」
カレン「おかえりのキスも……え?なんですか?」
ゼロ「お前の友人にシャーリーと言う名の学生がいたな。すぐに連れて来い」
シャーリー「カレン?!ここなに?!私、部活中で水着だし!!」
ゼロ「ご苦労」
ユフィ「ああ!!貴方は!!」
シャーリー「ユーフェミア様?!」
ユフィ「水着で外出なさるんですか?」
シャーリー「ち、違います!!部活中にいきなり拉致されて!!」
ユフィ「水泳を?」
シャーリー「は、はい。飛び込みをしてます」
ユフィ「なるほど。健康そうな体ですね」
シャーリー「あ、ありがとうございます」
ユフィ「では、ルルーシュの子をいっぱい産んでくださいね?」
シャーリー「ルルーシュ?それ……生徒会にいる?」
ユフィ「はい」
ゼロ「……」
ユフィ「それは……」
カレン「ゼロ?どういうことですか?」
ゼロ「黙ってみていろ」
シャーリー「私の相手は自分で決めます。いくらユーフェミア様に言われたからと……」
ユフィ「でも、ルルーシュが名指しで貴方に子どもを産んで欲しいっていってましたよ?」
シャーリー「えぇぇ?!どうして?!」
ユフィ「知りません。きっと好きなんじゃないですか?」
シャーリー「好き……?あのルルーシュが……私のことを……?」
シャーリー「そ、そういえば、いつもチラチラと私のほうを見てたかもしれない」
ゼロ「……っ」
シャーリー「あ、あれって……私のことが……そうだったんだぁ……えー……どうしよう……」
ユフィ「貴方はルルーシュのこと、嫌いですか?」
シャーリー「嫌いというか……好きでもなんでもないっていうか……でも、思えばいつも彼のことを目で追っていた気がします」
ユフィ「まぁ」
ユフィ「わかります。変な人ですよね」
シャーリー「はい」
カレン「酷い言われよう……ふふっ」
ゼロ「カレン」
カレン「はい」
ゼロ「貴様が泣いて叫ぶまで出産をさせてやる」
カレン「望むところです!」
ゼロ(ちぃ……お仕置きにならないか……)
ユフィ「で、どうですか?ルルーシュの子ども、産めますか?」
シャーリー「それはまだ、考えられません……でも……」
ユフィ「でも?」
シャーリー「ルルーシュが私のことを好きなら、私もルルーシュのことを好きになってみます」
ゼロ「……!!」
シャーリー「それで大好きになれば……まぁ……5人ぐらい……産んでもいいかなぁ……って」モジモジ
シャーリー「あの……もう帰ってもいいですか?」
ゼロ「カレン。送ってやれ」
カレン「はい!」
シャーリー「カレン!黒の騎士団だったの?!」
カレン「うん」
シャーリー「学校はどうするの?!」
カレン「行けるところまで行くつもりだけど」
シャーリー「そう……」
ユフィ「……彼女も大丈夫そうですね」
ゼロ「……」
ユフィ「ルルーシュ?どうしたのですか?」
ゼロ「い、いや……なんでも……ない……」
ユフィ「声が震えていますけど」
ゼロ「ふふ……何をバカな……ふふふ……震えてなど……ふはははは……いない……」
ゼロ「そうなるな」
ユフィ「彼女たちもスザクと学友なのですよね?なら、みんな一緒に生活してもきっと仲良くできます!!」
ゼロ「ああ……そうだな……だが、ユーフェミア」チャカ
ユフィ「ルルーシュ!?」
ゼロ「お前はここで死ぬべきだ……」
ユフィ「……」
ゼロ「さようなら」
ユフィ「ルルーシュ」
ゼロ「なんだ?」
ユフィ「私が死ぬ前にまだ確認しておかないといけないことがあります」
ゼロ「……言ってみろ」
ユフィ「果たしてスザクは私たちの考えに同意してくれるのでしょうか?」
ゼロ「するに決まっているだろう」
ユフィ「では……スザクを呼び、直接聞いてみましょう」
ユフィ「スザーク」
ランスロット『ん……?』
ルルーシュ「……」
ランスロット『ルルーシュ……?ルルーシュなのか?!』
ルルーシュ「ああ」
ランスロット『どうしてこんなところに?!』
ルルーシュ「散歩がてら、ユフィを助けにきた」
ランスロット『なに……』
ルルーシュ(流石に無理があるか……)
ランスロット『ルルーシュ……君は……』
ルルーシュ「……」
ランスロット『最高にかっこいいよ!!!まるでアニメのヒーローじゃないか!!!』
ルルーシュ「だろ?」
ユフィ「スザクー、ちょっと聞きたいことがあるんです!!そのままでいいので聞いてください!!」
ユフィ「私とルルーシュが結婚することになりました」
ランスロット『おめでとうございます』
ユフィ「でも、私はスザクのことも大好きです!!」
ランスロット『え……でも、それは不倫です。皇族がそんなことをしてはスキャンダルに……』
ユフィ「いえ。そもそも私とルルーシュは兄妹です。本当の意味で結ばれることは許されません」
ランスロット『ああ……確かに……』
ユフィ「子作りなんてもってのほかです」
ランスロット『しかし、子孫を残さないとユーフェミア様の血が絶えることに』
ユフィ「ですから、スザク!貴方が私を孕ませるです!!側室として!!」
ランスロット『な、なんだって……?』
ルルーシュ「スザク、俺からも頼む。お前にならユフィを任せられる」
ランスロット『でも……それは……』
ユフィ「ダメ……ですか?」
ランスロット『ルルーシュ……本当にいいのかい?僕だけが美味しい思いをすることになるけど……』
ランスロット『でも……』
ユフィ「スザク……」
ランスロット『ユフィ……真剣な話みたいだから、真剣に言うけど……』
ユフィ「はい」
ランスロット『僕には……他に好きな人がいるんだ』
ユフィ「え……」
ルルーシュ「な……に……?」
ランスロット『本当にゴメン……』
ユフィ「だ、だれですか……それは……」オロオロ
ランスロット『……ナ、ナナリー……』
ユフィ「ナナリー……」
ルルーシュ「お前……」
ランスロット『だから……ユフィを孕ませる協力はできても、一緒には住めない……ごめん」
ユフィ「……」
ランスロット『ユフィ?!』
ルルーシュ「やめろ!!ユフィ!!」
ユフィ「皆殺しですっ!!!!」ダラララララッ!!!
ランスロット『ユフィ……やめてくれ……そんな銃じゃあランスロットに傷一つ付けられないよ』
ユフィ「皆殺し!!皆殺しですっ!!!!」ダラララララッ!!!!
ルルーシュ「まて、スザク!!!ユフィのことは好きじゃないのか?!」
ランスロット『好きに決まっているだろう!!!』
ルルーシュ「……!!」
ランスロット『じゃなきゃ……そんなお願いは聞けないよ』
ルルーシュ「なら、ナナリーとユフィ、二人と結婚すればいいだけの話だ。それならば一緒に住める」
ランスロット『え?』
ユフィ「ルルーシュ……?」
ルルーシュ「ナナリーとスザク、俺とユフィは夫婦。俺の側室はシャーリー、カレン、ナナリー。ユフィの側室はスザク。ただそれだけじゃないか」
ユフィ「そうですね……。つまり側室のスザクに正妻がいるってだけですよね。あぁ……なんだ……よかったぁ……」
ルルーシュ「問題はない。全員が幸せだろう?」
ランスロット『まあ、確かに』
ユフィ「はい。さすがはルルーシュ」
ルルーシュ「まぁな」
ランスロット『でも、そうなるとナナリーの意思も確認しないとね』
ルルーシュ「確かにな」
ユフィ「スザク、連れてきてください」
ランスロット『イエス、ユア・ハイネス』
ルルーシュ「まさか、ここまで大事になるとはな」
ユフィ「はい、びっくりです」
ルルーシュ「あとはナナリー次第か……」
ユフィ「そうですね……でも、ナナリーならきっと快諾してくれるはずです」
ルルーシュ(そうだな……ナナリーはスザクのことが……)
ナナリー「ユフィ姉さま?」
ユフィ「ナナリー!!」
ナナリー「血の匂いがします……」
ユフィ「あ、ごめんなさい。お風呂に入る時間がなくて」
ナナリー「いえ。それで、どういったご用件なのですか?」
ルルーシュ「ナナリー、聞いてくれ」
ナナリー「お兄様」
ユフィ「実は……」
ナナリー「はい」
ユフィ「私とルルーシュが結婚することになったの」
ナナリー「……え?」
ユフィ「二人とも初恋だったし……私も初めはそういうのはきもちわる……じゃなくて、いけないとこだと思ったんですけど」
ナナリー「……」
ユフィ「でも、色々話しているうちにそれもいいかなって思って」
ユフィ「だからね、私はスザクと子どもを作るの」
ナナリー「……え?」
ルルーシュ「いい考えだろ?ユフィは俺を夫にし、スザクを側室にする」
ナナリー「ちょっと……」
ユフィ「スザクはナナリーのことが好きみたいなので、ナナリーはスザクのお嫁さんになる」
ナナリー「あの……」
ユフィ「これでみんな幸せ!!だれも不幸には―――」
ナナリー「ユフィ姉さま?」
ユフィ「な、なにかしら?」
ナナリー「それ……本気で言っているんですか?」
ユフィ「……」
ナナリー「……」
ルルーシュ「ナナリー……?」
ランスロット『敵影を確認!!直ちに排除する!!!』ウィィィン!!!
ユフィ「え……ダメ?」
ナナリー「質問に答えてください」
ユフィ「ひっ……」
ナナリー「それ、本気なんですか?」
ユフィ「えっと……うん……」
ナナリー「お兄様と……結婚……?」
ルルーシュ「ナナリー……あの……」
ナナリー「シャーリーさんや……ミレイさん……カレンさんなら諦めました……」
ユフィ「え……?」
ナナリー「でも……同じ妹として……」
ユフィ「ナナ……リー……?」
ナナリー「ユフィ姉さまだけにはお兄様はわたしません!!!!スザクさんも渡しません!!!!」
ユフィ「ひぐっ!?」
ルルーシュ「ルルーシュ・ヴィ・ブリタニアが命じる!!ナナリー!!落ち着け!!!」キュィィィン!!!
ユフィ「でも、ナナリーとルルーシュは完璧な兄妹じゃない!!結婚なんて誰も許してくれない!!」
ナナリー「そんなもの、愛があればなんとでもなります!!」
ユフィ「……!!」
ルルーシュ「ナナリー……お前……」
ナナリー「私は……ずっとお兄様が好きでした……結婚してもいい……この身を捧げてもいいほどに……」
ユフィ「……」
ナナリー「でも、ユフィ姉さまは違う。スザクさんのことが好きだったはずです。お兄様のことは過去のことだって、言っていたではないですか?!」
ユフィ「それは……」
ナナリー「そんな中途半端な想いで……お兄様と結婚なんて口にしないでください!!!」
ルルーシュ「ナナリー!!落ち着け!!」キュィィィン!!!!
ナナリー「お兄様……」
ルルーシュ「ナナリー……」
ユフィ「……そうですね……私が……やっぱり……間違っていたのですね……」
ルルーシュ「ユフィ?!」
ルルーシュ「ユフィ……」
ユフィ「ごめんなさい……ルルーシュ。やはり、この話はなかったことに……して―――」
ルルーシュ「まて!!それでいいのか?!お前は、全ての者が幸せになる方法を探すんじゃなかったのか?!」
ユフィ「でも……これ以上、方法がない……」
ルルーシュ「ある!!あるんだよ!!!ユフィ!!!全員が幸せになる方法がな!!!」
ユフィ「え?!」
ナナリー「お兄様……それは、一体……」
ルルーシュ「深く考える必要などない。ユフィは俺とスザクと共にいたい。ナナリーも同じだな」
ナナリー「はい」
ユフィ「そうですけど」
ルルーシュ「ただそれだけなのに事態を混乱させている要因は、結婚だ」
ナナリー「そうです」
ユフィ「それがどうしても関係を悪化させることに……」
ルルーシュ「ならば、ナナリーはとりあえず俺と結婚し、ユフィはスザクと結婚する。これでどうだ?」
ナナリー「でも……それは……」
ルルーシュ「無論、世間や親族は許してくれないだろう」
ルルーシュ「だから、周囲には見せかけの婚姻で誤魔化す」
ユフィ「みせかけ……ということは、偽りの結婚式をするということですか?」
ルルーシュ「そう。相手は……シャーリーかカレンだな。ナナリーもその二人ならいいんだろう?」
ナナリー「は、はい……」
ルルーシュ「なら決まりだな。偽りの花嫁をシャーリーかカレンにし、本妻はナナリーとする」
ユフィ「でも、そうなると私とルルーシュの関係は……」
ルルーシュ「ユフィはスザクと普通に結婚すればいい。俺を側室にするんだ」
ユフィ「い、いいのですか?!ルルーシュを側室だなんて……」
ルルーシュ「一緒にいるためだ。致し方ない」
ユフィ「ルルーシュ……」
ルルーシュ「まとめると、俺の正妻にナナリー。側室はシャーリー、カレン。ユフィの夫君にスザク。側室は俺だ」
ルルーシュ「これで全員が幸せになれるだろ?」
ルルーシュ「どうした?」
ランスロット『僕はナナリーが好きだといったはずだ』
ルルーシュ「ならば、お前の側室にナナリーを置けばいい」
ランスロット『なんだって!?』
ルルーシュ「そしてナナリーもスザクを側室にすればいい。構わないな?」
ナナリー「はい……それでしたら……」
ユフィ「私はスザクと結婚し、ルルーシュを側室にする……」
ランスロット『僕はユフィと結婚し、ナナリーを側室にする……」
ナナリー「私はお兄様とこっそり結婚し、スザクさんを側室にする……」
ルルーシュ「ああ。完璧だろ?」
ランスロット『すごいよ!!ルルーシュ!!よく考えられている!!!』
ナナリー「これでみんなが幸せですね!!」
ユフィ「やった!!日本人は皆殺しです!!」
ルルーシュ「ふはははははは!!!!!」
ルルーシュ(しかし、今は無理だな……くそっ!!!)
ランスロット『では、ユーフェミア様……戻りましょう。事態の収拾を―――』
グロースター『ユフィィィィィ!!!!!』ウィィィィン!!!!!
ルルーシュ「……?!」
ナナリー「え?」
ランスロット『これはコーネリア総督!!』
グロースター『枢木!!ユーフェミア副総督は?!』
ランスロット『あちらに』
ユフィ「お姉様ー!!」
グロースター『おぉ……ユフィ!!心配したんだぞ!!』
ルルーシュ(し、しまった……!!時間をかけすぎたか……!!!ええい、流石のカレンもスザクとコーネリアを同時に相手にはできない……!!)
ルルーシュ(どうする……どうしたら……!!)
ユフィ「お姉様!!実は重大なお知らせがあります!!」
グロースター『こんなときにか?なんだ?』
グロースター『なんだとぉぉぉぉぉ!!!!!枢木ぃぃぃぃぃ!!!!!!』ガギィィン!!!!
ランスロット『ぐわぁ?!』
グロースター『この非常時になにをしている!!!死刑だ!!!!』
ランスロット『ま、まってください!!話し合って決めたことなんです!!!』
グロースター『だまれぇぇぇぇ!!!!!』
ユフィ「お姉様!!落ち着いてください!!」
ルルーシュ(よし、仲間割れを始めたか。好機だ!!)
ゼロ「―――ふははははは!!!!」
ナナリー「誰ですか?!」
ゼロ「私の名はゼロ!!」
グロースター『ゼロだと!?』
ランスロット『どこから湧いて出てきた!?』
ゼロ「まずはユーフェミアを……ここで断罪する!!!」チャカ
ユフィ「……!!」
ユフィ「……」
ゼロ「さようなら……ユフィ……」
ユフィ「……」
パァン!!!
ユフィ「うっ……!?」
ランスロット『うわぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!』
グロースター『ユフィフィフィフィィィィィ!!!!!!』
ナナリー「ユフィ姉さま?!」
ゼロ「カレン!!!」
紅蓮『お待たせしました!!』
ゼロ「撤退する!!」
紅蓮『はい!!』
ランスロット『まてぇぇぇぇ!!!!』
グローランス『ユフィ!!!ユフィィィィ!!!!』
ナナリー「ユフィ姉さま……?大丈夫なのですか?」
ユフィ「うぅ……」
コーネリア「枢木!!!」
ランスロット『は、はい!!』
コーネリア「ゼロの追跡はお前に任せる!!」
ランスロット『イエス!!ユア……ハイネス!!!』ウィィィィン!!!!
ナナリー「ユフィ姉さま……ユフィ姉さま……」
コーネリア「さっきから、誰だ。慣れなれ―――お前は……ナナリー……なのか?」
ナナリー「はい。お兄様と結婚する予定のナナリーです」
コーネリア「ルルーシュは生きているのか?!」
ナナリー「はいっ」
コーネリア「わかった……その話は後で詳しく聞こう……今は、ユフィを」
ナナリー「そ、そうですね」
ユフィ「いたい……いたいです……お姉様……」ウルウル
ユフィ「……」
セシル「はーい、しみますよー」
ユフィ「んっ?!」
セシル「これでよし」
ユフィ「どうもご迷惑をおかけしました」
セシル「いえいえ」
コーネリア「ユフィの容態は?!」
セシル「足に銃弾が掠っただけですので、お風呂も入れますよ。傷も残らないでしょう」
コーネリア「よかったぁ……よかったぁぁ……」
ユフィ「お姉様……」
コーネリア「立てるか?」
ユフィ「はい」
コーネリア「別室にナナリーがいる。そこで話がある」
ユフィ「わかりました」
ナナリー「いえ……」
ユフィ「お姉様……お話とは?」
コーネリア「ユフィ……どうしてイレヴンを……撃った?」
ユフィ「え?」
コーネリア「……なにかわけがあったのだろう?」
ユフィ「私……そんなこと……あ……そうです……日本人の皆さんを殺さないと……いや……違う……そんなこと……したくない……!!!」
ナナリー「ユフィ姉さま!!!」
コーネリア「落ち着け……お前がそんなことをできるわけがない……そうだろう?」
ユフィ「でも……でも……うぅぅ……」
コーネリア「この件はシュナイゼル殿下が収拾に乗り出してくれている……安心していい……」
ナナリー「シュナイゼル兄様が……?」
コーネリア「兄上なら大丈夫だ……。だから、今は―――」
ユフィ「はい?」
コーネリア「枢木との婚姻について、ゆっくり話そう、ユフィ」
ランスロット『ゼロを渡すんだ!!!カレン!!!』
紅蓮『できるわけないでしょう!!!』
ガウェイン『ふははは……』
C.C.『嬉しそうだな……何かあったのか?』
ルルーシュ『別に』
C.C.『ほんとうか?』
ルルーシュ『何がいいたい?』
C.C.『まるで片思いが成就したようなはしゃぎっぷりだからな』
ルルーシュ『黙れ、魔女。ハドロン砲を使う』
C.C.『わかったよ』
グロースター『……』ウィィィン
ルルーシュ『あれは……コーネリアの機体か』
グロースター『おりてこい!!ルルーシュ!!!!』
ルルーシュ『……!?』
グロースター『ルルーシュだろ。ユフィから全部聞いたぞ!!!』
ガウェイン『なに?!』
ランスロット『ルルーシュ!?』
紅蓮『はぁ?!ゼロ?!どういうことですか!?』
ガウェイン『……』
グロースター『なんでもナナリーと結婚するそうだな』
ガウェイン『貴様……どこで……それを……』
グロースター『ナナリーが嬉しそうに自分から喋ってくれた』
ガウェイン『ちぃ……!!』
グロースター『あとギアスとかいう催眠術のこともな!!!』
ガウェイン『なにぃ……!?』
C.C.『おやおや』
ルルーシュ(欲をかいてユフィを生かしたことが裏目に出たか……!!)
ルルーシュ(ユフィを側室にする計画が……これで……終わった……。ならば、ここからは当初の予定を遂行するまで!!)
ランスロット『ギアス……?』
グロースター『それで命令すれば、相手はなんでも言うことを聞くらしいな、ルルーシュ!!!』
ガウェイン『……』
グロースター『ユフィにイレヴンを抹殺しろと……命令したのか、お前はぁぁぁぁ!!!!!』
ランスロット『本当なのか?!』
紅蓮『ゼロ……ギアスって……?』
ルルーシュ「……」
C.C.「どうする?」
ルルーシュ「考えている」
C.C.「いや、完全にチェックメイトだろ」
ルルーシュ「いや……そうでもない」
C.C.「なんだと?」
ルルーシュ「まだ盤上には抜け道がある」
C.C.「抜け道……?」
グロースター『やはりか……おのれぇぇぇ!!!』
ガウェイン『ですが!!俺も脅されていたのですよ!!姉上!!!』
グロースター『なんだと?!』
ガウェイン『俺はずっとユフィのことが好きでした……』
グロースター『ああ……ユフィからそれは聞いた。それで結婚をするしないの話になったんだろう?』
ガウェイン『そうです。ですが、ユフィは断った……兄妹だから無理だと』
グロースター『それは当然だ。無論、ナナリーとも―――』
ガウェイン『俺は……騙されたのです……姉上……』
グロースター『え?』
ガウェイン『俺がギアスという力を手に入れたのはあくまでも偶然……に見かけたシュナイゼル殿下の罠だった』
グロースター『兄上の?!』
ランスロット『どういうことだ?!』
ガウェイン『スザク!!お前も見たはずだ!!クロヴィスが秘密裏に運搬していた、謎の少女を!!』
ランスロット『あの子か?!』
あれ?
いい加減にしろよ、シュナイゼル
……かわいそう、シュナイゼル
ガウェイン『あれこそがギアスの素となる存在。クロヴィス兄様はそれを初めから俺によこす気だった』
ランスロット『でも、確証がない』
ガウェイン『思い出してみろ、スザク』
ランスロット『え?』
ガウェイン『あの場でお前が撃たれたあと、どうして俺が都合よく生き残れたと思う?』
ランスロット『それは……』
ガウェイン『何十人にも囲まれ、それでも俺がこうしてここにいる。それはブリタニア国の計略だったんだよ』
グロースター『まて、それならクロヴィスの謀になるではないか?』
ガウェイン『いいえ。クロヴィス兄様は俺とナナリーが本当に死んでいると思っていました』
グロースター『じゃあ……』
ガウェイン『軍に強い影響力を持ち。クロヴィス兄様亡き後、頻繁にエリア11に足を運んでいるシュナイゼル殿下……点と点が線で繋がると思いませんか?』
グロースター『すべてはお前を駒にして……エリア11を混乱させるためだったというのか?』
ガウェイン『姉上。俺は兄上にこう言われた。―――ユフィとの仲を取り持つ、だから私に協力するんだ。と』
グロースター『なに……!?』
ガウェイン『クロヴィスにはルルーシュのためにその少女が必要だと言ったのだろう。兄さんなら嬉々として協力するはずだ』
グロースター『クロヴィスはお前のことを気に入っていたからな』
ランスロット『でも、クロヴィス殿下を殺害したのは……君なんだろう?!』
ガウェイン『いいや……シュナイゼルだ』
グロースター『ばかな……』
ガウェイン『俺の手を汚すまでもないと兄上はクロヴィス兄さんを撃った』
ランスロット『じゃあ……ルルーシュは……』
ガウェイン『俺は……悪魔と契約した……ユフィと結ばれたいがためにな……』
ガウェイン『だが!!結果は違った!!!奴はユフィとの仲を取り持つどころか、俺に惨めな思いをさせ!!さらに世界的な大犯罪者に仕立て上げた!!!』
グリースター『ルルーシュ……』
ランスロット『そ、そんなことが……』
紅蓮『……酷い……』
ガウェイン『俺は……騙されたんですよ……姉上……!!』
グロースター『ルルーシュ……わかった。つらかったな……よくがんばったよ……お前は……』
グロースター『ユフィをよく殺さなかったな』
ガウェイン『あれが……精一杯だったんです……』
グロースター『だが、お前の話をそのまま受けとるつもりはない。一応、事実確認は必要だからな』
ガウェイン『分かっています』
ランスロット『本当のゼロはシュナイゼル殿下だったのか……』
紅蓮『悪のゼロか……!!』
ガウェイン『申し訳ありません……姉上……どんな罪も償います』
グロースター『一つだけ聞こう。ナリタ山のとき、お前はあの場にいたのか?』
ガウェイン『ナリタ?わけが分かりません』
グロースター『いや、いい。―――ギルフォード!!応答しろ!!緊急事態だ!!合流するぞ!!』ウィィィン
ランスロット『ルルーシュ……君の無念……僕が……!!』
ガウェイン『たのむ……』
紅蓮『ルルーシュ……』
ガウェイン『……ふふっ』
テレビ『今、シュナイゼル・エル・ブリタニア殿下が護送されます!!』
テレビ『殿下はしきりに「私はなにもしらない。国民のみなさんは騙されている」と繰り返している模様です』
ルルーシュ「……」
ナナリー「まさか……シュナイゼル兄様が……酷い……」
ルルーシュ「全くだな……結婚の邪魔までしようとしていたんだぞ?」
ナナリー「許せません……」
ルルーシュ「……」
コーネリア「ルルーシュ、こい」
ルルーシュ「はい」
ナナリー「お兄様……」
コーネリア「心配するな、簡単な質疑応答だけだ」
ルルーシュ「待っててくれ」
ナナリー「はい」
ルルーシュ「ゼロの件は?」
コーネリア「あれはもう兄上で確定だ。お父様もかなり怪しい研究をしていたようだし、神根島に何かがあるようだしな」
ルルーシュ「そうですか」
コーネリア「話を戻そう。ルルーシュ、ユフィから大体のことは聞いた。今はナナリーと結婚することを決めたようだな?」
ルルーシュ「はい。ですが、第二のシャルルを作らないためにも、ナナリーとの間に子どもは作れません。なので、側室を二名ほど、条件付きで一名用意しています」
コーネリア「ユフィと枢木スザクが結婚。ユフィはお前を側室にする。枢木スザクはナナリーを側室にする」
ルルーシュ「はい。俺とナナリーが結婚し、俺はシャーリー、カレン、ユフィ、コーネリアを側室にし、ナナリーはスザクを側室にする」
コーネリア「なるほどな」
ルルーシュ「はい」
コーネリア「……それはもう決定事項なのか……?」
ルルーシュ「え?」
コーネリア「……」モジモジ
ルルーシュ「姉上……ダメです……」
コーネリア「だ、だが……私の初恋は……どうしてくれる……?」
コーネリア「ユフィばかり、ずるいぞ!!」
ルルーシュ「しかし……!!」
コーネリア「ルルーシュ!!」
ルルーシュ「側室で我慢してください」キュィィン
コーネリア「な……!!」
ルルーシュ「しまった?!ギアスが……?!」
コーネリア「い、いやだ……!!」
ルルーシュ「姉上?!」
コーネリア「わ、たしは……!!ルル、シュと……結婚……する……!!」
ルルーシュ「姉上……」
コーネリア「兄上もお父様もいなくなれば……反対なんて……誰もしない……から……!!」
ルルーシュ「……」
コーネリア「ルルーシュ……わたし、と……結婚を……!!!」
ルルーシュ「姉上……側室で我慢してください」キュィィィン
ルルーシュ「私が新たに総督となったルルーシュ・ヴ・ブリタニアです」
ルルーシュ「国民のみなさん。私がよりよい国を築くことを誓います」
ディートハルト「はい。オッケーです」
ルルーシュ「ありがとう、ディートハルト」
扇「まさか、黒の騎士団が愚連隊扱いするなんて……」
ルルーシュ「我々は日本解放を目指す。ブリタニアとは別の国と思ってくれて構わない。信用できないなら、同盟は結ばなくても結構だ」
玉城「そんなことするかよ!!さっすがは元ゼロ!!」
ルルーシュ「ただし、この件に関してよく思わない者もいるだろう。なるべく他の兵とは接触するな」
扇「ああ」
ルルーシュ(くくく……蟻のように働いてもらうぞ……)
スザク「ルルーシュ……」
ルルーシュ「中から壊す。俺もスザクと同じ道を選んだ……これからお前の力を頼りにさせてもらう」
スザク「任せてくれ。ユフィと一緒に、僕も戦う」
ルルーシュ「ああ……期待している」
シャーリー「あ、ルル!!」
ルルーシュ「シャーリー、この部屋は気に入ったか?」
シャーリー「うん!!とっても広いね!!でも、よかったの……?私と結婚……なんて……」
ルルーシュ「シャーリーしか考えられない……」
シャーリー「嬉しい……」
カレンの部屋
カレン「ん?」
ルルーシュ「この部屋は気に入ったか?」
カレン「まぁまぁ」
ルルーシュ「ふっ……結婚式も間近に控えている。しっかりしてくれ」
カレン「ま、まだ……なんか実感がないんだけど……」
ルルーシュ「すぐにわかる……すぐにな……」
カレン「……うん」
ルルーシュ「ふはははは……」
ルルーシュ「ユフィ」
ユフィ「ルルーシュ!!おかえりなさい!!」
ルルーシュ「これからはずっと一緒だな」
ユフィ「でも、どうして私はスザクと会えないのですか……?」
ルルーシュ「会ったら……きっと後悔するからだ」
ユフィ「……」
ルルーシュ「お前には俺という側室がいる……。スザクと会えない寂しさは俺が紛らわせてやる……ユフィ……」
ユフィ「……ルルーシュ……」
コーネリアの部屋
ルルーシュ「姉上……」
コーネリア「ルルーシュ!!!あの―――」
ルルーシュ「顔を見に来ただけだ。不用意に外にでるな。兵の士気が下がる」
コーネリア「ああ!!わかった!!でない!!」
ルルーシュ「ふんっ」
ルルーシュ「ナナリー?」
ナナリー「お兄様?!」
ルルーシュ「今日、正式に結婚することになった。式は挙げられないがな」
ナナリー「いいえ……そんなものいりません」
ルルーシュ「ここにサインを……ここだよ?」ギュッ
ナナリー「ここ……ですね。はい」カキカキ
ルルーシュ「これで俺たちは夫婦だ」
ナナリー「お兄様……やっと……私の夢が……叶いました……」ギュッ
ルルーシュ「ああ……ナナリー、これからはずっと一緒だ……」ギュッ
ルルーシュ(ようやくここまできた……)
ルルーシュ(ユフィにキモイと言われ、心が折れそうになったが、それでもここまできた。初恋も成就させたぁ!!!)
ルルーシュ(ここから俺はさらに登り詰めてみせる……!!)
ルルーシュ(俺は世界を壊し!!!創造する男だ!!!!)
ルルーシュ(ふははははははは!!!!!!)
テレビ『新総督の挙式が今、始まりました!!!』
C.C.「……」モグモグ
ルルーシュ『必ず、幸せにしてみせます』
カレン『みんなー!!ありがとう!!』
シャーリー『幸せになるねー!!』
C.C.「……」
テレビ『本当に幸せそうですね!!まるでエリア11の未来を体現しているかのようです!!』
C.C.「……」
咲世子「C.C.様。お飲み物は?」
C.C.「いらん」
咲世子「わかりました」
C.C.「……」モグモグ
C.C.「誰からも愛されるギアス……もう一度、発動しないかなぁ……」
おしまい
珍しくルルーシュ完全勝利で終わったな
C.C.は俺が貰ってやるよ
これからC.C.争奪戦ですね
お姉ちゃんにも優しくしてあげて下さい
Entry ⇒ 2012.07.19 | Category ⇒ コードギアスSS | Comments (1) | Trackbacks (0)
怜「見えへん…一巡先も…」
準決勝先鋒戦オーラス2本場
怜「ここから先は皆がくれた一巡先や…」
怜「皆ごめん、もうい一回だけ無茶するわ…」
照「……」
怜「トリプルっ…!三巡先や……!」
怜「━━━━っ!」
二巡後宮永が四筒切りリーチ━━━━
その巡で私が白を切って新道寺が鳴いて一発消し━━━━
・
・
・
怜(見えたっ……!))
怜(クッ……もう顔も上げられへん…)
怜(視覚はもう未来視だけが頼りや…)
照「……」
照「リーチ」
怜(キタっ…!)
怜(もう一度 三巡先へっ……!)
・
・
・
怜「ここで来るんか…阿知賀、松見玄……!」
2巡後聴牌━━━━(それをサポートするために危険牌を切らなあかん)
二索切り━━━━(それをもう一度新道寺が鳴いて宮永のツモ番を飛ばす)
聴牌━━━━(道を作る…!そのために真ん中の5萬を…!)
阿知賀はドラ切りのリーチ━━━━(このままやと阿知賀の当たり牌をウチがつかむ…)
が、宮永がツモ切るその牌は八萬━━━━(ウチが鳴ける牌…)
即ち宮永はツモ切るしかない 阿知賀の倍満の当たり牌をっ……!
怜(20万点も持ってる宮永にとっては焼け石に水やろうけど…)
怜(それでもっ…!)打:五索
玄(五索…危そうな所…)
玄(聴牌できた…でもそれだとドラを切らないと…うっ…)打:二索
煌「ポンッ…!」
玄「ひっ…!」(ロンじゃなかった…)
怜「……」打:五萬
玄「また危そうなところ…ひょっとして助けてくれてるのかな」
・
・
・
怜「なんや、色々考えてるようやけど阿知賀がドラ切りリーチをするのは予見済み」
怜「事情は知らんが阿知賀にはドラを切れない事情…トラウマ諸々があったんやろう」
怜「それをこのたった1巡で乗り越えてくるんやろうな……」
怜「頑張ったな そろそろその泣き顔やめてもええ頃やで」
怜「後はウチが宮永の八萬を鳴いて改変完了や…」
怜「気早いけどホッとしたせいか体がなんか楽に…」
━━━━ッ!
照「……」
怜「何で」
怜「何で 宮永 八筒切りリーチしとるん?」
怜「すり替え? いや、このカメラ有りの衆人環視の中それはありえへん」
怜「……確かにウチは宮永のリーチ牌を直接見たわけやあらへん リーチ宣言を聞いただけ」
怜「けど未来視は絶対… あれのビジョンが崩れるなんてない」
怜「何や… 何が起きとるんやっ……!」
千里山女子高校 控え室
竜華「…♪」
セーラ「何や竜華嬉しそうやな このまま負けるかもしれへんのに」
竜華「…え、スマン いやだってな」
竜華「怜の顔色が今までより よっぽどええ色しとるやさかい」
セーラ「…?」
竜華「まるで 事故に合う前の怜みたいに」
準決勝試合室
怜「体に重さを感じへん、改変したせいでまだ未来視は戻って来ーへんが」
怜「今なら何巡先でも…って今はそんなことより宮永をっ……!」
怜「あれ……鏡…? とうとう幻覚まで視えるようになったん…」
怜「そんで、何やあのけったいな灯篭は…?」
照「……」
怜「7、8つ程あって 2つ明かりが灯っとる」
怜「ハハ…もうわけわからんわ」
白糸台高校選手控え室
菫「終わったな」
淡「そーですね、あの技デメリットも引き受けるんで結構危険ですけど」
菫「照の嗅覚がそうさせたんだ アレをやらなきゃ少々マズいことになると」
淡「多分あの千里山の子が頑張って振り込ませられるあたりですかねぇ」
菫「……照魔鏡の役割それは相手の本質…能力を【映す】ことだが」
菫「それは本来の力の一端に過ぎない」
菫「照魔鏡の真の力とは……」
淡「……」ニヤッ
菫「相手の能力を【移す】ことだ」
準決勝試合会場
怜「…ッアカン! 真相はともかく宮永が八筒切りリーチをしたということは…!」
怜「逆に、阿知賀の あのリーチ牌は……!」
玄(そうだった…どうしても別れなきゃいけない人)
玄(前に向かうために別れを選ぶ人…見送る人…)
玄(私はいつも待つほうだったけど……)
怜(やめっ…!だめやっ…!)
玄(穏乃ちゃんや赤土先生、憧ちゃんや灼ちゃんは戻ってきてくれた…)
玄(お姉ちゃんとは前よりもっと遊ぶようになった…!)
玄(和ちゃんは戻ってきてくれる変わらないけど)
玄(今一緒のお祭りに参加してるっ……!)
玄(別れることはよくあることで私は慣れてるはずだったんだ……!)
玄(今まで自分から別れを決めたことはなかったけど前に向かうために!)
怜(お願いやっ…!それだけは…!阿知賀しかドラをツモれないなら
ドラさえ切らなければ宮永の待ちは実質枯れ…!それで流局…
打点制限の性質上この連荘を止められる筈なんや…!)
玄(一端お別れっ……!)
実況解説席
こーこ「またしても和了ってしまったぁああ!7連続和了!」
こーこ「しかも今回の和了は和了り牌の六筒と北が切れて
残る牌がドラの三筒のみという悪形待ちをなんなく和了!」
健夜「まるで千里山の園城寺選手のような和了りでしたね」
こーこ「しかしこれは松見選手を責められない!リーチをかければ倍満の手!
例えドラとはいえ勝負しないわけにはいかなかったぁぁあ!」
健夜「……松見玄選手は今大会初めてのドラ切りですね」
こーこ「えっそーなんですか」
健夜「はい、恐らく自身の能力の誓約にも似た理由で」
こーこ「能力?誓約?」
健夜「あっ…いえゴホン それはともかくとして今回はもっとすごい和了りですよ」
こーこ「へっ?」
健夜「阿知賀がドラを切ったということは…… 裏ドラが」
準決勝試合室
照「リーチ混一中三暗刻ドラ1に 裏が3つ 36000の2本場は36600」
玄「…ひっ……あ…あ……」
怜「倍満…宮永に喰らわせるはずの倍満が……
逆に和了られてしもた どころか3倍満…!?」
怜「何の悪夢やこれは…」
白糸台:212800→246400
千里山:80900
新道寺:48200
阿知賀:58100→24500
実況解説席
こーこ「裏ドラがモロ乗りぃぃい!流石だチャンピオン!!」
健夜「松実玄選手の能力…あれはかなり高位の常時支配系の能力です」
こーこ「えっ…あっ…はいぃ?」
健夜「いかに鳴こうと未来を読もうとどのような手段を用いても阿知賀以外に
ドラがいくことはありません」
健夜「さらに注目すべきは裏ドラの支配」
健夜「この試合リーチが何度かありましたがその全てに裏ドラはつきませんでした」
健夜「恐らく、ドラ、カンドラ、裏ドラ、赤ドラ、その全てを松実選手は文字通り支配しています」
健夜「しかしあのドラ切りリーチ それが支配を雲散霧消に帰した…」
こーこ「えーっと、ちょっと待ってくださいね 色々とチンプンカンプンなんですがね」
こーこ「松実選手が裏ドラを占領するのは分かりました」
こーこ「でも、松実選手がドラを切るまで裏ドラは松実選手のものだったんでしょう」
こーこ「けどそれがドラを切った瞬間になくなるなんて物理的にありえないでしょう」
健夜「ありえます 観測されていない以上 どのような配置もありえるんです」
こーこ「そんなアホな」
健夜「そうですね…逆説的にこの局、松実選手がドラを切ることは
“あらかじめ”決まっていたんです」
健夜「だから裏ドラがほかの選手にも乗るような配置に”あらかじめ”なっていた
そう考えたほうが分かりやすいかもしれませんね」
こーこ「……」
白糸台高校選手控え室
淡「今更ですけどこの解説の人すごいですね」
菫「小鍛治プロは本物だよ もっとも偽物がプロになれるわけないがな」
淡「それにしても いつ宮永先輩は千里山の未来視を【移した】んでしょうかねぇ」
菫「恐らく、照がリーチをかけるその直前でだろう」
菫「鳴きでツモ番をズラしても照に和了られたのに仰天していたからな
奴は常時未来視ができない。未来視に逆らうと何巡か未来視ができなくなるんだろう」
菫「その隙を狙った」
菫「未来視発動不可状態で奪い、利用しすぐさま返せばそうそう気づかれない」
菫「そして、もし気づかれたとしても後の祭り」
菫「その後未来視が発動可になった千里山だが、恐らくその未来は間違った未来だ」
淡「どーしてです?」
菫「私は照魔鏡を持ってないので詳しいことは分からないが
あの未来視は、どれだけ1巡に時間がかかろうと
そのままの1巡先が視えるという代物なんだろう」
菫「それはつまり未来視を持たぬ者以外はどんなに思考をこらしても
未来を変えることはできないということだ」
菫「ここで小鍛治プロのさっきの言葉を借りよう“あらかじめ決まっている”」
菫「千里山のにとって一局はゲームの様なものだ」
菫「ゲームというのは多大な選択肢によって様々なパターンを見せるが
所詮そのパターンというのは完全に不確定なのではなく“あらかじめ決まっている”
麻雀もあらかじめ積まれている為同じだ」
菫「リーチ、鳴きによって選択肢を変更し和了というEDを目指す」
菫「そしてこの選択肢を選べるのは千里山だけであるが」
中二発言を全国ネットで流してしまったな。これは結婚できない
菫「照が未来視を使えるようになったため、存在しない選択肢が発生
つまりは“ゲームそのもの”が変わってしまった」
菫「千里山の未来視には“あらかじめ決まっているゲーム”の選択肢しか見えない
が、実際は照の変更したものになっている」
菫「未来視の能力者が2人以上の場合後から変更した未来の方が現実は優先される
照魔鏡によって能力を【映した】ときに照はそこまで見切っていたんだ」
淡「白糸台に来て色々と慣れてきましたが、流石にオカルトだと吐き捨てたくなりますね」
菫「まぁ何にせよこれでうちの勝ちは決まった」
淡「いやぁ~まだわかりませんよ~ あれですよ奇跡ってのがおこるかもしれませんよ~(笑)」
菫「そうか、淡は1年だからまだ見たことないのか」
淡「へ?」
菫「勘違いしているやつが多いが、厳密には照の連続和了に打点制限など存在しない」
淡「へ?」
菫「あれの本質は前局に和了ったのよりも高めの役が和了れるように牌を支配することだ」
菫「つまり通常通りことが進めば誰も連続和了を止められない」
菫「それを今までの対戦者は未来視や他の支配によって強引に食い止めてきた」
淡「それって結局打点制限とどう違うんですか?」
菫「淡……」
菫「3倍満より上の役は何だ?」
淡「……」
菫「…ん? どうやら照は千里山からもう一度未来視を自分に【移した】らしいな」
淡「優しいですね、宮永先輩」
菫「よく見ておけ あれが宮永照だ」
準決勝試合室
怜「クッ…何や…おかしい…」
怜「未来視が戻るのが遅すぎる…この配牌は早い」
怜「未来視さえできれば恐らく3巡もあれば和了れる手やのにっ…!」
照「……」カチャッカチャ
煌「……?」
玄「?」
怜「理牌?いつも一打後にやってたのに…何で」
照「ツモ 16300オール」
白糸台:246400→295300
千里山:80900→64600
新道寺:48200→31900
阿知賀:24500→8200
実況解説席
こーこ「てっ……天和ぉおおだああああ!!!」
こーこ「何ということでしょうか!これこそ正真正銘誰も止めることはできません!」
こーこ「これがチャンピオンの器がなせる天命なのかぁ!?」
健夜「……宮永選手に3倍満を和了らせた以上仕方ありませんね」
こーこ「ではでは?まさか次はダブルが来るのか!?」
健夜「いえ、この大会にダブルはありませんから次に来るのはまた一五〇〇点からだと」
こーこ「おぉ、それは他の選手にも一筋の光明か!?」
健夜「残念ながらこの一五〇〇点と最初に和了った一五〇〇点は比べものになりません」
健夜「次の1500点はダブル役満クラスの支配 最早誰も止めることはできません」
こーこ「……?」
準決勝試合室
オーラス四本場
照「ロン 一五〇〇は二七〇〇」
オーラス五本場
照「ロン 七七〇〇は九二〇〇」
オーラス六本場
照「ロン 一一六〇〇は一三四〇〇」
白糸台:294300→319600
千里山:64600
新道寺:31900→6600
阿知賀:8200
実況解説席
こーこ「宮永選手これで十一連続和了!」
こーこ「天和以降は新道寺から直撃を与え続けています」
健夜「宮永照の下家はモロに支配を受けますから回避することは難しいでしょう」
こーこ「えーっと どういうこと?」
健夜「宮永選手の連続和了には前局よりも高く和了ることができるよう支配をかけています」
健夜「それはイコール他家よりも早く和了れる支配でもあります
他家の和了はそのまま打点が0になる意味でもありますから」
健夜「遅くても三巡 早ければ一巡目 そんな和了りが続いています」
健夜「即ち 最も早く和了れるような支配である以上 宮永選手の下家は
自身から最も早い巡目の打牌であるために支配の影響を受けやすいんです」
こーこ「分かったような、分からないような…」
南四局7本場
照「リーチ」
煌(ダブルリーチ……!)
実況解説席
こーこ「アァーっとこれは新道寺絶体絶命かぁ!?」
健夜「いえこれはむしろ千里山の方が……」
準決勝試合会場
煌「おりゃっ!」打:二萬
照「……」
煌(通りましたか…… 当たり前と言えばそうですがね)
怜「…ハァ…ック…ハァ……」
煌(……千里山?)
怜「見えへん…一巡先も…」打:九萬
照「ロン 36000は38100」
白糸台:319600→357700
千里山:64600→26500
新道寺:6600
阿知賀:8200
実況解説席
こーこ「チャンピオンの12連続和了!ダブリー一発混一三暗刻ドラ3が炸裂ぅ!」
健夜「ドラの縛りがなくなり広い手で早く和了れるようになりましたね」
こーこ「そしてそしてぇ!ハネ満だった手が一発と裏ドラがついたことにより!」
こーこ「和了らせてしまった三倍満!!」
こーこ「最早次の山は触れたくすらありません!」
健夜「いえ、次の局 天和はきません」
こーこ「あれ?そうなんですか」
健夜「名門新道寺の先鋒…だというのにあの打ち筋から察するに花田煌は…」
こーこ「ん?」
健夜「いえ、それより千里山はもう…」
こーこ「えっ? 千里山はまだ3万近くありますよ
他の高校は宮永選手が役満をツモるだけで飛ぶので
むしろ千里山の2位出場は決まったようなものじゃ…」
健夜「ええ、飛んじゃうんですよ 宮永選手が役満をツモると」
健夜「新道寺の 花田煌が」
準決勝試合会場
オーラス八本場
怜「…なぁ 返して」
照「……」
玄「?」
煌「?」
怜「うちの“未来”返してぇな……」
照「……試合が終われば返すつもりだった もうすぐ終わる」
怜「ええから!」
照「…そう」
ゴシャァァァアアア
怜(また鏡が出てきよった…! そんで灯篭の光が…消えた)
怜(━━━━ッ!)
怜(アッ…!アァアアアア)
ポタ… ポタタ…
玄(えっ……!?)
煌(千里山の…エース…?)
玄(泣いて…る…?)
照「……」
実況解説席
こーこ「千里山の園城寺選手いきなり立ち上がったと思ったら
放心しております」
健夜「……」
こーこ「園城寺選手は病弱という報告を聞いていますが、やはり
この試合の心労で体力に限界が!?」
健夜「……オーラス8本場ですね」
こーこ「えっ……いやそうですけど……ってあぁ!?なんと園城寺選手
倒れて山に突っ込んだぁ!?やはり体に無理が?」
健夜「……」
準決勝試合会場
玄「園城寺さん!? 大丈夫ですか?」
怜「すまんな…うち病弱やし」
怜「チョンボしてしもたな満貫払いやな」
照「……」
白糸台:357700→363800
千里山:26500→18500
新道寺:6600→8600
阿知賀:8200→10200
実況解説席
こーこ「倒れた時にはどうなるものかと思いましたが、試合は続行されるようです」
こーこ「しかし今後体調の不振による行為がなされた場合すぐさま代わりの選手を
千里山は用意しないといけません」
健夜「……園城寺選手が宮永照の対面、松実選手が上家
この席順がもたらした不運ですね」
こーこ「…っとぉ、風水か何かですか?」
健夜「……」
準決勝試合会場
怜(これでさっきのと変わらんかったらもう…ウチは…千里山は終わりや)
煌(千里山のエース…先ほどのは失礼ながらワザとに見えましたがまさか……)
照「……」打:三索
煌(今回は天和はなしですか、まぁそれだと私が飛びますしね)
煌(今、宮永照が役満を貼っているのなら私は今絶対安全圏にいる)
煌(なら、今私がすべきことは危険牌を切ることで他の選手に安全を促し)
煌(この連荘地獄から抜け出すこと 無論私自身も和了りを全力で狙っていきますがね)
煌(とはいえ、千里山のほうに関しては心配は無用でしょう)
煌(いかに役満手とはいえ、事実上出和了りしかできない)
煌(未来を読める千里山なら振込はありえないハズ)打:八索
怜(……確かに変わったけどな、そうか宮永…アンタは…)
怜「……九種九牌」パラッ
東南西北北白撥中一九19⑨⑨
煌「なっ…!」
照「……」
実況解説席
こーこ「何と…千里山…役満手を放棄しました…」
健夜「……」
こーこ「……ハハ」
準決勝試合会場
オーラス9本場
玄(園城寺さん…さっきのって…)
照「……」打:北
煌(先ほどの九種九牌……そういうことですか)打:三萬
怜(……チョンボする前のと同じ手やな)
怜(宮永……アンタは……)打:五筒
照「ロン 48000は50700」
白糸台:363800→414500
千里山:18500→-32200
新道寺:8600
阿知賀:10200
実況解説席
こーこ「…………決まったぁ!これにて準決勝は何と先鋒戦で終了!!」
こーこ「け、決勝進出は白糸台高校と阿知賀女子学園にぃ、決まりましたぁ……」
健夜「……無理してテンション上げなくてもいいと思うよ 引いてるよね、明らかに」
こーこ「い、いえ すいません…ではっ!」
こーこ「何と宮永選手!この試合だけで稼いだ点棒は三十万以上!!」
こーこ「強い!強すぎる!!?最早麻雀で扱う数量ではありません!」
こーこ「果たしてこのチャンピオンを討ち果たす選手は今後現れるのかぁ!?」
健夜「宮永選手の手は純正九蓮宝燈9面待ち…」
健夜「対して園城寺選手の配牌は全て筒子 即ち回避不可」
健夜「園城寺選手が未来を読める能力の持ち主であると言われていましたが」
健夜「それが確かなら彼女は配牌が配られる前から、河に捨てるまで」
健夜「自分が役満に振り込む姿が見えていたんでしょう」
健夜「彼女の不運は宮永照の対面だったこと上家であれば回避はできたでしょう
その場合は他の誰かが犠牲になるでしょうけど」
すいませんスルーしてくれるとありがたいです
準決勝試合会場
照「……」スタッ
煌「……」
怜「……」
玄「……」
玄「ごめんなさいごめんなさいごめんなさい」
怜「何で、アンタが謝ってんの」
玄「だって私がドラを切ったから…」
怜「関係あらへん 元々そうするようにこっちでも仕組んどったんや」
玄「でも、この試合一番頑張ってたのは園城寺さんなのに 私が…」
怜「これ以上喋らんといて」
玄「……」
怜「勝ってくれ…」
玄「え……」
怜「ウチはもう戦えられへん 色んな意味でな だからせめて勝ってくれ」
玄「…………………はい」
全日本高校生麻雀大会会場 外
咲「終わったかな…」
咲「多分飛ばしたのかな お姉ちゃん」
咲「……ちょっとだけ覗いてみよう」
廊下
照「……」スタスタ
淡「せんぱ~い」見てましたよ~かっこよかったぁ!
照「そうか お前は打てなくて退屈だったろう」
淡「まぁ 確かにそうですけど でもでも先輩の勇姿を見れたからいいです」
淡「あぁでも 何で最後 千里山に未来視を【移し】ちゃったんですか?」
照「一度使ってみたが あれは相当体力を消耗する」
照「試しに3巡先とやらに潜ってみたが、その後数秒は意識を失っていた」
淡「ゲ まじ」
照「使ったのは一度だけでそれ以降はストックに保管しておいたが」
照「どうやらあの能力は持ってるだけで所有者の体力をかなり蝕む」
照「私に病弱設定はいらない」
淡「ハハそうですね 要するにあれは呪われた装備的なものだと」
照「…?」
淡「あぁいや さっき菫先輩と話してるときにゲームの例えが
でてきたもんですから…ってあの娘」
咲「…!」タタ
淡「あれ?逃げちゃった 先輩のサインとか欲しかったんじゃないですか?」
照「……照魔鏡のストックは全部で8つある」
淡「…?」
照「能力の器がでかいほどストックを消費する 未来視は2つだ」
淡「ハァ それで?」
照「……そのストック全てを使っても喰いきれなかった能力の使い手がいた」
淡「えっ!?」
照「先ほどの、清澄の大将……」
淡「じゃあ、まさか……」
照「ああ お前の倒すべき相手だよ」
反対側廊下
玄「うぅ… どうしよう お姉ちゃん達に合わせる顔が無いよ…」
玄「皆はやさしいけど…けど…」
ドンッ!
玄「アイタタ す、すいません!」
咲「いえ、こちらも前を見ずに走ってて…」
玄「ひっ!」
咲「……?」
玄(この人この前廊下ですれ違った怖い人だよ…どうしよう)
咲「あの大丈夫ですか 手貸しましょうか?」
玄「えっ…あ、いえ大丈夫です」
玄(あれ?なんかイメージと違う ていうかさっきまで会っていたような…)
咲「?」
玄「……」
玄「あ! あの! もしかして宮永照の親族の方ですか?」
咲「! え 何で」
玄「えっとあの さっきまで戦っててすごく似ててあの…えと」
咲「お姉ちゃんと戦ったんですか!?」
玄「あ、はい そのぉ そうですけど 全然歯が立たなかったっていうか」
咲「飛び終了ですよね?どこの高校が勝ち残ったか知ってます」
玄「えと……一応私のところの…」
咲「…!すいません準決勝の試合の話聞かせてもらえませんか」
・
・
・
玄「それで、最後は園城寺さんが役満を振り込んで終了しました……」
咲「……」
玄「でも最後のだけじゃなく途中から園城寺さんは振り込むようになって…」
咲「照魔鏡…」
玄「え?」
咲「途中でその園城寺さんて人の未来視を【移し】たんだと思う」
玄「…そんなことできるんですか」
咲「できるよ私もそうさせてもらったから」
玄「え?」
咲「私は元々本当になんの取り柄もない娘だったの
お姉ちゃんは連続和了と照魔鏡でもう最初っから無双だったけどね」
玄「……」
咲「そんなある日私がお姉ちゃんにねだったの 一つだけでいいから私にも能力頂戴って」
咲「照魔鏡の【移す】対象は自分だけじゃない 他の人にもできるから」
咲「私はこうして能力を貰った」
咲「それが嶺上開花の力」
玄「……」
咲「お姉ちゃんが言うには そもそもカン材が中々できないから
ストックの邪魔にしかならなかったんだって」
玄「へー…」
咲「けど私には それが最高の相性だった」
玄「え」
咲「勝つことも負けることもしないようプラスマイナスゼロになる力が欲しかった」
玄「な、なんでですか?」
咲「理由は下らないよ 勝つと怒られて負けたら損するから」
玄「……」
咲「でもそんな風に打つためには どうしても符の調整が必要だった」
咲「それで毎日、毎日プラスマイナスゼロを目指し、こなし続けた」
玄「……!」
咲「すると次第にカン材が集まってきて 自由に点数の調整ができてきたの」
玄(私もドラを大切にするようにしてたらドラが集まるようになったけど
宮永さんのは…何というか別次元だなぁ)
咲「でもそんな打ち方をしていたら段々周りから変な目で見られるようになっちゃて」
咲「結構ヤなことも言われたりして」
玄「……」
咲「だからお姉ちゃんに頼んだの もうこの能力はいらない【移し】て欲しいって」
咲「けど、お姉ちゃんは私の願いを聞いてくれなかった 何だかすごい冷めた目をして
どこか遠くに行っちゃった」
玄「何でお姉さんは【移し】てくれなかったんでしょう」
咲「わかんない 多分勝手なこという私に呆れたんじゃないかなって
でも会って話してみたらきっと分かる!」
玄「が、頑張ってください!」
咲「頑張るのは松実ちゃんのほうだよ~」
玄「え?」
咲「だって決勝戦で戦うんでしょ お姉ちゃんと」
玄「あ!そうだったぁ…」
咲「アハハ」
咲「だって最初ぶつかったとき本当に深刻そうな顔してたのに
そのことをスッカリ忘れてるんだもん」
玄「うぅ…でも次やったら今度こそ飛ばされちゃうかも」
咲「……飛ばされる」
咲「……そっか松実ちゃんが飛ばされちゃったら私のとこも負け」
玄「咲ちゃん?」
咲「そしたら お姉ちゃんは話してくれないかもしれないな…」
玄「…?」
咲「松実ちゃん!特訓しよう!」
玄「はい!?」
咲「もしあなたが もしくは他の誰かが飛ばされちゃったら私は
お姉ちゃんと話すことができなくなるかもしれない」
咲「だからそのドラ収集体質を特訓させてうまく飛ばないようにするの!」
玄「そ、そんなの」
咲「できる!私の意見だけど松実ちゃんのドラ支配のカギはカンドラにあるの」
玄「……?」
咲「そう…だから鍛えればあなたは勝てる」
玄「えっ…えぇ~ あのすごく嬉しいんですけど自分のとこの高校はいいんですか?」
咲「そりゃあ優希ちゃんは大事だよ!でも一番大切なことは誰も飛ばないこと」
咲「あなたぐらいの支配力があれば それがかなうの!」
玄「し、支配力ぅ?」
咲「それじゃ行こう!」
玄「ちょ、ちょっと待ってぇ~」
・
・
・
照(私はかつて咲に重い荷を背負わせてしまった)
照(自分で与えときながら回収することができなかった
あの力は既に10倍もの器になっていた)
照(私は姉失格だ 咲、お前は私の妹なんかじゃない)
照(妹を救えぬ姉なんかいるはずがないだろう)
照(が、今なら…照魔鏡の強化もできた)
照(ストックも常に空にしておくよう心掛けている)
照(待っていろ この大会が終わったらもう一度家族で麻雀をしよう)
照(だから私は強くなり続ける…!)
終わり
途中ミスがあったけど許してくれ
もう出かけるます お疲れさまでした
麻雀SSはミスがどうしてもでるから気にしないで!
Entry ⇒ 2012.07.19 | Category ⇒ 咲-Saki-SS | Comments (2) | Trackbacks (0)
京子「私達なりの別れ」
・・・・・・・・・・
「私達……別れようか」
背筋が凍りついた。
だって、突然のことだったから。
今日、私達は映画見に行ったり、買い物をしたり、
はたから見れば仲のいい女の子同士が遊んでいる、ように見えるけど
確かに、私と結衣はデートをしていた。
なのに――
「別れよう?やっぱりさ、ダメなんだよ……女の子同士で付き合うなんて」
結衣は真剣な表情で、優しく、それでいて切なさを含めた声色でそう言った。
「え?結衣から告白してきたじゃん、勝手すぎるよ」とは言えずに、
「そ、そうだね……分かった」
としか言えなかった。
結衣のことは大好きだ。
でも、この表情をした結衣は多分何を言っても折れないから。
そこで私が「嫌だ」と駄々をこねても、何の解決にもならない。
むしろ、幼馴染という関係には戻れなくなる。
「じゃあ、明日から……幼馴染の関係に戻ろっか」
「うん……」
沈黙が訪れる。
いつもなら、こんな沈黙も心地いいものだったけど、
今の沈黙はただ切なさが募るだけ。
でも、お互い何も言わない。
そろそろ、帰ろうかなと思っていたところ――
「勝手だと思うけど、ごめんな……元に戻るのは明日からだから」ギュ
結衣に抱きしめられた。
「京子、これは私の最後の我が儘だから……許してくれ」
そう言って、結衣は私にキスをし、そのまま振り返らず去っていった。
私のファーストキスは、涙の味だった。
結衣と私が付き合い始めたのは、高校2年生の林間学校の時。
高校生にもなって、林間学校があるとは思わなかった。
けど、案外この林間学校は生徒から人気があった。
「林間マジック」
というものが、この学校では代々伝わっていたからだ。
林間マジック、と言っても本当にマジック……手品を発表することではない。
ましてや、マジックペンのことでもない。
林間マジックというものは、簡潔に言うと、
林間学校中に告白すると成功する、という言い伝えだ。
なぜ、マジックかは分からないけど、その林間マジックで私と結衣は付き合うことになった。
付き合い始めは、お互い顔を見合わせると照れてしまって逸してしまうし、
周りからは喧嘩したのではないか、と心配されたりもした。
でも、恋人という関係になれてからは
幼馴染の時よりもスキンシップをとったし、手つないだりもして、なかなか充実していた。
高校3年生になってからは、受験ということもあり、
あまりデートしなくなったが、その分一緒に勉強をした。
そんな風にすごして、付き合ってから半年がたった。
半年のうちに、結衣とはいろんなことをした。
でも、キスだけはしなかった。
私が拒んだからだ。
以前に、結衣の顔が近づいてきた時に
私は咄嗟に結衣を突き飛ばしてしまった。
結衣を拒んだわけではない。
本当に、驚いただけだった。
正直に、突き飛ばしてしまった理由を言った時、
結衣は、
「驚かせてごめんね、次やった時優しくするから驚かないでね?」
と、悲しげに笑ってそう言った。
次はやってこなかった。
私からやってあげれば良かったんだけど、
私と同じような反応されたら、と思うと怖くてできなかった。
多分、結衣もそう思ってやってこなかったんだと思う。
そして、結衣との最初で最後のキスをした。
胸があつくなって、苦しくて、その場にしゃがみこんで静かに泣いた。
・・・・・・・・・・
翌日
「おはよう、京子」
「お、おはよう……」
朝、京子の家に迎えに行った。
幼馴染として。
多分、ちゃんと挨拶出来てたと思う。
だけど、京子は昨日のこと引きずっていたのかな……。
目の下にクマができていた。
ごめんな……。
「あ、結衣ちゃん、京子ちゃんおはよう」
「おはようございます!」
あかりとちなつちゃんとも合流した。
あかりもちなつちゃんも、私と京子がいる高校へ入学した。
他にも、生徒会メンバーや千鶴さんも同じ高校だ。
「あれ?京子ちゃん、元気なさそうだけど……どうかしたの?」
あかりは周りの様子をしっかり見てるから、こういうことにもよく気がつく。
「あ、うん……ちょっとね、寝不足ってとこかな」
「そっかぁ、ちゃんと睡眠をとらなきゃだよ?」
やっぱり、京子は私のせいで寝れなかったのか……。
私が、京子に別れを告げた理由、それは――
~~~~~
デート前日
「結衣、そこに座りなさい」
突然、父がそんなことを言った。
「嘘であって欲しいが、お前、歳納さんとこの娘さんと付き合っているのか?」
頭の中が真っ白になった。
「どうなの?……結衣?」
隣で母も心配そうに訊いてきた。
「…………」
「否定はしないんだな?」
「…………」
私は何も答えられなかった。
どう答えたら良いかわからなかったからだ。
「単刀直入に言う、別れなさい、同性と付き合うなんて世の恥さらしだ」
父は言った。そして、こう続けた。
「船見の名を汚すんじゃない、お前はこの家のたった1人の娘なんだぞ、
自覚をもちなさい」
父の言う言葉はもっともだった。
確かに、同性間で付き合うことは普通ではない。
でも、それを知っていてもなお、私は京子に告白したのだ。
京子が好きだから。
なのに、大げさかもしれないが、その勇気や頑張りを
全否定されるのは許せなかった。
「嫌です、別れません」
「…今なら、まだ間に合うのよ?」
間に合っていたのなら、私は京子と付き合っていない。
間に合わなかったから、京子に告白した。
絶対口に出して言えないけど、私にとって歳納京子は大きい存在なのだ。
だから――
「とにかく、私は京子と別れるつもりはないので」
パチンッ
「っ!」
初めて父に殴られた。
「頭を冷やしないさい」スタスタ
と言って、私を押入れに閉じ込めて去っていった。
大人は自分勝手だ。都合の悪いことがあるとすぐに手をだす。
そんな人になりたくないと思った。
そして、数時間後
「結衣?ご飯持ってきたわよ」
母がご飯を持ってきてくれたようだ。
だけど、今はそんな気分ではない。
「あのね、結衣……」
また説教か、と思ってため息をついた。
「京子ちゃんとのことなんだけどね、結衣は京子ちゃんのこと本当に好き?」
当たり前だ。私は頷いた。
「だったら、京子ちゃんのこともちゃんと考えて欲しいの」
ちゃんと、考えた結果だって。
京子も私のことが好きだ。
だから、別れない。
「結衣、今日お父さんに言われたこと……すごい悲しかったでしょ?
辛かったでしょ?いつかは、京子ちゃんにもこういうことが起きると思うわ
京子ちゃんも1人っ子よね……だったら尚更」
何が言いたいの?
「酷な話だと思うけど、親から反対される――全てを否定される――悲しみより、
恋人から別れを告げられる悲しみの方がまだ軽いと思うの」
「…………」
「私が言うのもなんだけど……結衣はもう、親から反対される悲しみを知ったでしょ?
それを京子ちゃんにも――」
「もういいっ!」
聞きたくない。聞きたくなかった。
母の話はもっともだ。
結局、私が選んだ道は同時に京子にも悲しみを背負わせる道で、
かと言って、別れるという道も京子に悲しみを与えてしまう。
でも……。
……私は、自分の無力さを思い知った。
そして、私は――
「……分かった、京子と別れます」
~~~~~
自分では、京子の悲しみを共に背負って
京子と幸せに過ごせる自信がなかったから。
いや、悲しみを知った時点で、本当の幸せにはなれないと思う。
そんなこと言ってしまうと、
私が京子に告白した時……京子のことが好きになった時から
私は間違った道を歩んでしまったことになるのかな?
でも、もう終わった恋だ。
京子のことは多分、ずっと好きでいると思うけど、
これからは、幼馴染として過ごさなきゃならない。
もう、戻れないから。
「先輩方、また放課後です!」
「またあとでね~」
そんなこと思っているうちに、もう学校についていたのか。
そういえば、去年から、私達は娯楽部として放課後を過ごしている。
それも、生徒会……綾乃や千歳のおかげだ。
まぁ、正式な部活ではないんだけど。
・・・・・・・・・・
放課後
「歳納さん~、ちょっと時間ええ?」
結衣と、部活に行こうと思って教室を出たところ、
千歳に話しかけられた。まぁ、話の内容はなんとなく……。
「お、おう」
「じゃあ、さきに部活行ってるぞ?」
結衣はそう言って部室に向かった。
「で、話は?」
「ずばり言うで?船見さんと何かあったん?」
おぉ……。さすが千歳。もう、気づいたのか。
「別れたよ」
「やっぱり……、にしてもさっぱりしてるな~……歳納さんからなん?」
さっぱりしてるのか?そんなことない。
そう見えるのなら、私は自分を褒めるよ。
「いや、結衣から」
「えっ……ちょっと驚いたわ~、まさか船見さんが……」
「うん、私も驚いたよ
でも、しょうがないことだし」
そう、しょうがないことなのだ。
私は、結衣の別れを受け入れたのだから。
「しょうがないことって言ったけど、歳納さんはそれでええの?」
「……うん」
「本当に?」
「…………い、いいわけないよ」
いいわけないじゃん!
まだ、結衣から別れの理由すら聞いてないんだよ?
「だったら、ちゃんと話し合わなきゃいけへんな?」
千歳はそう言って微笑んだ。
今、千歳と話してて気づいたけど、
理由きいてないじゃん!!
別れがあまりにも急すぎて、忘れてた……。
帰り道
私は、部活へ行かず結衣たちが帰るのを待った。
1人で頭の整理をしたかったから。
また、別れることには変わりないと思うけど、
せめて理由が聞きたかったから。
そして、今私と結衣の2人きり。
「結衣、ちょっと公園よらない?」
「いいけど……」
話すなら、公園でゆっくり話し合いたい。
「ちょっと、話し合おうよ」
「何について?」
「私たちについて、かな」
「もう、話すことはないと思うんだけど……」
私は、息を吐いた。
そして、大きく息を吸った。
「理由!」
「は?」
「理由が知りたいの!結衣が別れを告げた理由」
「…………」
結衣は、黙ってしまった。
言いにくいこと、なのかな……。
でも、絶対聞き出してやる!
「…………」
「結衣~?早く教えてくれないと……、
結衣の恥ずかしいこと皆に暴露するよ?」
結衣がずっと黙っていたもんだから、脅してみた。
「……っ//」
あ、恥ずかしがった。
「お願い、教えて?納得ができないんだ」
「……それは――――」
結衣の告白が続いた。
主な理由は、親に反対されたから。
親としては、そうなるだろうな~と1人納得する。
でも――
「結衣、ぶっちゃけて言っちゃうね?
私の親、結衣と付き合ってること知ってたよ?」
「えぇぇぇええええ?!」
あ、驚いた。まぁ、そうだよね。うん。
結衣と付き合い始めてから、数週間のうちに
親にバレた。と言うのも、私が、口を滑らしたからだけど。
~~~~~
「~~~~♪」
「あら、京子機嫌がいいじゃないの、何かいいことでもあったの?」
「うん!結衣がね~、デートに誘ってくれたからっ!…………あ」
「デート?!」
「あ、いや……」
うっかり言ってしまった。
「え?!結衣ちゃんと付き合ってるの?女の子同士で?!」
ヤバい。……まずは、否定しなきゃ。
「……ち、ちが」
「否定しなくてもいいのよ?お母さんは、応援するからね?!」
呆気にとられた。
まさか、応援されるとは……。
「じゃあ、今日はお赤飯ね!お父さんにも言っとくけど、多分大丈夫よ
恋に性別なんて関係ないものっ、確かに日本では認められてないけど、
同性愛が認められている国もあるのよ?」
「あ……はい」
「だからね、今のうちにそういう恋を経験しときなさい、
さっき言ったことと矛盾しちゃうけど、
結婚とかの話になっちゃうと、さすがに許せないかな
でも、ほら、どうせ高校で付き合った子が結婚まで続くことは稀だし、ないとは思うんだけど」
お母さん、言ってることむちゃくちゃですが。
「とにかく、今は今!未来は未来!
女の子との恋愛は珍しいのよ?!いつか、別れると思うけど
その時まで、精一杯恋しなさい!」
……びっくりしたぁ。
お母さん、さっぱりしすぎ!
というか、絶対好奇心とかでしょ!
はぁ、素直に喜べばいいのかわかんないよ。
でも、結衣には言わないほうがいいかな……。
~~~~~
「って、ことがあったから」
「ま、マジですか」
結衣は、案の定呆然としている。
まぁ、この話を聞いたからね……。
一般世間ではあり得ない会話だと思う。
「でも、良かった、ちゃんと理由がきけて……うん、
これで、心おきなく幼馴染に戻れるよ」
「そっか……、私達これでよかったのかな」
「分かんないけど、私はよかったと思うよ」
うん。こんな清々しい別れは、これから先経験することないだろうから。
別れを告げられた時は、悲しみで一杯だったけど、
なんか、吹っ切れた。一日で吹っ切れるのはどうかと思うが、
女の子同士だからこそ、別れても……今度は、友達からやり直せる。
結衣と付き合えて本当によかった。
「結衣、ありがとうね」
・・・・・・・・・・
京子の話を聞いた。驚いた。まさか、親公認だったとは……。
このこと、私の親には言わないほうがいいよな。
母が言ってたこと実際ハズれてたし……。
また、ややこしくなりそうだし。
……京子の話を聞いたとき、私は少し期待してしまった。
京子が、恋人であることを望むのを。
でも、京子は別れを選んだ。
案外、未練が残ってるのは私の方だったりして。
けど、確かにこれは恋だった。
私は自分の無力さを呪って、別れを選んだんだけど
むしろ、この選択で良かったと思う。
まぁ、親に感謝する気はないけど……癪だし。
何か、親に説教され殴られ1人悲しんで……
すごい遠回りしたけど――
「京子、ありがとう」
・・・・・・・・・・
後日
あれから、私達は幼馴染として過ごしている。
もう、ギクシャクするようなこともないし、
むしろ……恋人だった頃よりは、心も体も楽かな~なんて思い始めた。
でも、それもちゃんとした思い出で、
いつか大人になった時に、結衣と一緒に懐かしみたいな。
これからも、そんな日々を送っていたい。
「おい、京子何ぼーっとしてんだ?ほら、早く勉強しろよ」
むー、せっかく人がいい感じにまとめてるのにさー。
「はいはい、今からやりますよーだ」
そんな感じで今は、受験勉強頑張ってます。
結衣と同じ大学にいくために!
おわり
以上です。
ぶっちゃけ、「ファーストキスは涙の味だった」
っていう言葉が使いたかっただけです(笑)
たまには、こういう結衣と京子もいいと思ったんですが……難しいですね。
読んでくださった方ありがとうございます!
Entry ⇒ 2012.07.19 | Category ⇒ ゆるゆりSS | Comments (0) | Trackbacks (0)
伊織「アンタたちは夢と魔法の国をナメすぎよ!」
伊織「あら、どうしたの3人揃って」
真「ああ、伊織か」
響「いやぁ~、それが、貴音が『ディズニーランド』に行ってみたいって言い出してさぁ」
伊織「……は?ディズニー?」
真「そうそう」
貴音「……」
伊織「なんでまた、ディズニーランドなの?」
貴音「はい……先日、春香と千早が遊びに行ってきた、と聞きました」
真「そうだね。お土産ももらったし」
貴音「あの二人、普通の遊園地には何度も行くということは無いのに……でぃずにーらんどは何度も行っているそうです」
響「……まあディズニーは普通とはちょっと違うしな」
貴音「そこです、そこなのです」
貴音「一体なにが、あの二人をそこまでさせると言うのか……非常に興味があるのです」
伊織「ふーん……」
真「ああ、そんなとこだね」
響「ほかのみんなは予定が合わなくてさぁ……実は全員、ディズニーは初めてなんだ」
伊織「あら、そうだったの」
真「まあね」
響「自分もけっこー楽しみだぞ」
真「うん、ボクもなんかワクワクしてきたよ」
貴音「ふふ……仲間たちと遊園地で遊ぶ、というのも良い思い出になりますね」
伊織「…………」
伊織「で……アンタたち、当日の予定は?」
真「え?」
響「予定って?」
伊織「何時に集合するか、とか。どんなアトラクションに乗るか、とか」
伊織「あとパレードを見るのか見ないのか、キャラクターと写真撮る気はあるのか、とかね」
貴音「……集合時間は決めておりましたが……普通、そこまで決めるものなのですか?」
響「うんうん。自分だって他の色んな遊園地には行った事あるし、なんくるないさー」
響「……って、…………伊織?」
伊織「……」
貴音「ど、どうかしたのですか伊織?」
真「なんか怖い顔してるけど」
伊織「…………」
伊織「あ、んたたち、ねぇ……」
伊織「アンタたちは夢と魔法の国をナメすぎよ!」
真「うわっ!」
響「び、びっくりした!」
貴音「……ナメすぎ、とは……どこがでしょうか?」
伊織「いい!?まずディズニーを普通の遊園地と一緒にするなんて言語道断よ!」
伊織「ディズニーランド自体に熱狂的なファンがたくさんいることもそうだけど……」
伊織「何よりも、混み方が段違いよ。休日にでも行ったら、アンタたちの想像を超えるくらい混むわよ」
響「ど、どのくらいだ?」
伊織「人気のアトラクションに乗りたいなら……1、2時間は並ぶのが当たり前ね」
貴音「……成程」
伊織「新しいアトラクションが出来たりなんかしたら……4、5時間並ぶこともザラよ」
響「うえぇ!?ひとつのアトラクション乗るだけでご、5時間!?」
伊織「ええ、だから無計画にあっちこっちフラフラしてたら、ロクに回れないわよ」
真「そ、そうなの……?」
伊織「そうよ。それにパレードやショーも、本気で見たいなら2、3時間前から場所取りするのが普通だし」
貴音「見る準備をするためだけに2時間以上も費やすのですか……」
真「うわぁ……ど、どうしよう響、貴音。……別の遊園地にするかい?」
響「うーん……」
伊織「…………」
真「え?」
貴音「……ちょうど3人が休みだったので、来週の水曜日にしようかと」
伊織「……それは何よりね」
伊織「……」
伊織「私も、一緒に行かせてもらっていいかしら?」
響「え、伊織も来るのか?」
伊織「ええ。……いや、別にイヤなら、アドバイスだけでもいいわよ?」
響「いやいやいや!そういう意味じゃないさぁ!……ていうか、むしろ本当に来てくれるのか?」
伊織「まぁね。アンタたちだけじゃ心配だもの」
真「……なんかシャクに触るけど……じゃあ、伊織が居れば並ばないで遊べるのかい?」
伊織「……並ばないで遊ぶ手段もあるにはあるけど、日帰りならそこまでは無理ね」
伊織「でも安心していいわ。比較的スムーズに、かつ楽しませる自信くらいはあるもの」
真「わかった……じゃあとりあえず、伊織のプランを教えてくれよ」
響「シー?」
貴音「でぃずにーらんど、とは違うのですか?」
伊織「まったくの別物よ。ディズニーリゾートって呼ばれる一帯に、ランドとシーの二つのテーマパークがあるの」
伊織「ランドはキャラクター性を前面に押し出して、シーは『海』っていうテーマを重視してるわ」
伊織「……そもそも、3人はランドじゃなくてシーでもいいのかしら」
真「え?えーと……ボクはどの道初めてだし、楽しめるならどっちでも」
響「じ、自分……それ聞いたら、シーの方が興味出てきたかな……」
貴音「……では、響がそう言うのであれば、わたくしも『しぃ』で構いません」
伊織「じゃあ、ディズニーシーにしましょう」
真「なんでシーならスムーズに回れるんだい?」
伊織「ランドの方には、修学旅行生が来やすいのよ。それに新アトラクションもあるし」
伊織「まぁシーにも今度トイストーリーの新アトラクションが出来るから、それが出来たら結構混むわね」
伊織「あと水曜日は良い曜日よ。平日ならそれだけ人も少ないもの」
伊織「ただ『県民の日』がある場合は、千葉県民が入場料割り引きになるから混むわね」
伊織「月曜日なんかも、日曜日にやる小学校の運動会、の振り替え休日だったりするわ」
貴音「……中々、奥が深そうですね」
伊織「……にひひっ、世界中のディズニーランドを回った私に任せなさい!」
響「おおぉ、伊織が凄く頼もしく見えるぞ」
伊織「で、アトラクションとパレード、どっちがいいかしら」
真「うーん……初めて行くし、やっぱりアトラクションかなぁ」
響「そうだよな。ディズニーは行った事ないけど、遊園地って言ったらそうだもんな」
伊織「……じゃあ、アトラクション中心に回りましょう」
伊織「いい?まずは―――」
8:50、ディズニーシーエントランス前
響「うわー!開園前なのにこんなに!」
真「……確かに、平日でコレはちょっと予想外だったな」
伊織「ま、そこはしょうがないわ。やっぱりディズニーだもの」
貴音「前の入り口の方で、何やら歓声が上がっておりますが……」
伊織「ああ、アレは開園前にディズニーのキャラクターが、エントランスでパフォーマンスやってるのよ」
真「そうなんだ?」
伊織「ええ。それに、開園してからしばらくは入り口にキャラクターが集まってくれるから……写真を撮ったりもできるってわけ」
伊織「ミッキーとかドナルドとか、いわゆる人気キャラクターたちがね」
響「へぇ~、それじゃあみんな夢中になるわけだぁ」
貴音「……わたくし、みっきー殿の実際に動いている姿を見るのは、おそらく今日が初めてになるでしょう」
伊織「……あ、そう。……写真も撮ってもらおうかしら?」
貴音「……いえ、興味はありますが、……最初はあくまで打ち合わせ通りに参りましょう」
伊織「わかったわ。……ミッキーに会いたくなったら言いなさい。連れてってあげるから」
伊織「パレードとかショーで見ることも出来るけど、ミッキーは専用の会えるスペースがあるのよ」
伊織「時間はかかるけど、確実に写真を撮ったり握手したりできるわ」
貴音「ふふ……では、みっきー殿に会いたくなったらそこに伺うようにしましょう」
伊織「……よし、そろそろ開園時間よ」
伊織「いいわね?真。地図も持ったかしら?」
真「よーっし、任せてよ。昨日調べてきたし、場所もバッチリだよ」
伊織「……キャラと写真撮る人もいるから、そこまで必死にならなくてもいいけど」
伊織「なるべく急いで行きましょう」
響「お、おう」ドキドキ
貴音「…………」
開園
伊織「よし、走らず急ぐわよ!」
響「行くぞぉー!」
ダッ
響「うわぁ……み、みんな走っててちょっと怖いぞぉ」
貴音「……とても夢と魔法の国に来ているとは思えない形相ですね」
伊織「開園直後はどうしてもそうなるわね。あとはパレードの場所取りとか」
伊織「……ま、しばらくしたら落ち着くわよ」
響「えぇと……最初に行くのが……『センター・オブ・ジ・アース』だな」
貴音「名前しか聞いておりませんでしたが……どういった施設なのでしょう?」
伊織「簡単に言えば『ジェットコースター』系のアトラクションよ」
伊織「……ていうか貴音」
貴音「はい、どうかしましたか?」
伊織「有名人なんだから変装して来い、とは言ったけど……そのサングラス似合わないわねぇ」
貴音「な、なんと!?」ガーン
響(ジェットコースターかぁ。どんな感じなんだろうなぁ)
真「ハッ……ハッ……」
タッタッタ
真「……!よしここだ!」
いい、真?
真はまず開園したら、全員分の入園チケットを預かって
そして「タワー・オブ・テラー」の「ファストパス」を取りに行って欲しいの
真(ファストパス……これを取っておけば、パスに指定された時間に行くことで、並ぶよりもスムーズに乗れる!)
真(発券には入園チケットが必要だから、こうやって一人に預ければ、それ以外のメンバーは別のアトラクションに並ぶことが出来る!)
真(で、全員のパスを発券したら、ボクは後から伊織たちの列に合流すればいい……あんまり良くない事らしいけど)
真「……よし、これで4枚だな。ふーん、10時から11時の間まで有効……かぁ」
真「パスは取ったから……あとはアレだな。……で、合流すればいいのか」
タッタッタ……
真「あ、す、すいません……!」
真「ちょっと、前、失礼します」
真「……フゥー」
伊織「……お帰りなさい。ありがとう真」
響「お疲れ様~」
真「えーと、まずこれがファストパス」
貴音「……ま、真、それよりも……!」
真「ははは……はい、これがポップコーン」
貴音「おお、なんという甘美な香り!……真、感謝いたします!」
伊織「悪かったわね、ポップコーンの買出しまで頼んじゃって」
真「いやぁ、でも結構楽しかったよ?景色もいいしね」
響「……ていうか凄いなぁ。本当に入れてくれるんだ」
貴音「……」モグモグ
真「ボクも最初は半信半疑だったけど……」
―――
真「クランベリー味ひとつ……このカゴにお願いします」
―――
真「ちゃんとカゴいっぱいになるまで入れてくれたよ」
伊織「当たり前じゃないの。だってカゴ自体もポップコーン売り場で売ってるもの」
真「ああ、そういえば見たよ。柄は違ったけど」
貴音「……」モグモグ
伊織「カゴ自体はちょっと値が張るけど……一度買ったら、そのまま使いまわせるってわけ」
伊織「で、以前使ったカゴを持参してもOKだから、私のを使えば安く済むのよ」
響「……へぇ~、モグモグ……それは知らなかったなぁ」モグモグ
伊織「……もうクランベリーの方は無くなりそうよ」
真「えぇ!?た、貴音ぇー、ボクの分も残しておいてくれよ!」
貴音「……」スッ
貴音「では、響の食べているこちらを……」モグモグ
響「おお貴音、ブラックペッパーもおいしいぞぉ」
真「……モグモグ……あとどのくらいだろう?」
伊織「そうねぇ……私たちが最初に並んだときは30分待ちになってたわ」
真「じゃあ……あと15分くらいかな」
真「……モグモグ……そういえば、なんでファストパスはタワー・オブ・テラーだったんだい?」
伊織「どういうこと?」
真「だって、センター・オブ・ジ・アースをファストパスにして、最初にタワー・オブ・テラーに乗っても良かったんじゃないの?」
伊織「……そうねぇ。……ま、そこは個人差の範囲内かしらね」
真「ああ」ペラッ
http://www.tokyodisneyresort.co.jp/tds/map.html
http://www.tokyodisneyresort.co.jp/pdf/map/sea_atrc.pdf
伊織「下がエントランスで、私たちがいるのが中央の『ミステリアスアイランド』」
伊織「タワー・オブ・テラーは、『アメリカンウォーターフロント』にあるわね」
真「そうだね」
伊織「入り口に近いアトラクションだったら……わざわざ並ぶよりは、私だったらファストパスを取るわね」
伊織「その代わり、ちょっと遠いところにある人気アトラクションに乗るわ」
真「それが伊織のやり方、ってことか」
伊織「そういうことになるかしら」
伊織「ま、そういう意味じゃあセンター・オブ・ジ・アースじゃなくて『インディジョーンズ』とかでも良かったわね」
真「インディジョーンズだと……一番上だから……入り口から一番遠くかぁ」
伊織「そうなのよねぇ。気軽に行けないのが難だわ」
貴音「……」モグモグ
係員「では、こちらのエレベーターに乗って乗り場までご案内致します」
……
プシュー!
ゴトンゴトン……
ガタッ!ゴゴゴゴゴゴ……!
…プシュー!
……
真「ふーん、エレベーターの後もちょっと並ぶのか」
伊織「……初めての人は絶対に勘違いするわね。エレベーター降りてすぐ乗るのかしら、って」
響「じ、自分なんか……あのエレベーターがアトラクションなんだと思ってたぞ……///」
貴音「……」
伊織「結構物々しい演出だから、その勘違いも無理ないんじゃない?」
貴音「…………」
響「……?貴音、大丈夫かぁ?」
響「……それは貴音の方だろぉ。ポップコーンも手ぇついてないぞ?」
真「ひょっとして……怖いのかい?」
貴音「な、……そんなわけありませぬ!」
伊織「(ありませぬ……)……貴音がジェットコースター系に強いって聞いたから乗るつもりだったけど」
伊織「……本当に強いのかしら?」
貴音「え、ええ……本来ならばそのはずだったのですが……」
貴音「先ほどからの、不安を煽るような会場の物言いや演出を見ていると……」
貴音「……ハッ!?い、いえ!わたくし、決して怖くなどありません!」
伊織「……一応、乗る直前だったらリタイヤ用の出口もあるわよ」
響「貴音、隣に乗るから心配いらないさぁ」
真「……もうちょっとで乗り場に着くね」
貴音「…………」ドキドキ
貴音「もち、ろ、ん、です……!」
響「じ、自分が隣にいるからな、貴音!」
真「……フゥー」ドキドキ
『センター・オブ・ジ・アース』
謎の天才科学者、ネモ船長によって明かされる、
いまだかつて誰も見たことのない地底世界へようこそ。
地底走行車で、神秘と驚異の世界をめぐりましょう。
まばゆい光にあふれた水晶の洞窟、巨大キノコの森、地底に生息する珍しい発光生物。
と、そのとき、なんだか不気味な振動が…。
ジリリリリッ!
火山活動発生!火山活動発生!
ゴゴゴゴゴ…………
響「うぎゃあー!!うわー!」
真「うおおおおお!」
貴音「ひ……ひぃぃ……!」
―――
シュー…シュー…
アナウンス「ステーションに到着すると、セーフティバーは自動で上がります」
アナウンス「出口は、左側です」
真「はあぁー、凄かったなぁー!」
響「……はぇー…………」
伊織「フゥ……」
貴音「はうぅ……伊織……いけずです」
伊織「……にひひ!」
貴音「うぅ……こ、このような恐ろしい仕掛けだとは……」
響「なんか……龍みたいな化け物出てきたところで貴音の悲鳴が聞こえたもんなぁ……」
真「ボクはやっぱり、落ちる瞬間が一番ヒヤッとしたなぁ」
貴音「そ、そこ自体は大丈夫だったのですが……あのように恐ろしいモノたちが出てくるなどとは……」
伊織「普通のジェットコースターで終わらないで、ちゃんと演出してるあたりが」
真「これもう一回乗りたくなるよ、凄く良かった」
響「じ、自分も……怖かったけど楽しかった!」
貴音「ハァ……わ、わたくしはこの乗り物はもう結構です」
伊織「……安心しなさい。一日に同じの何回も乗ったりはしないから」
9:40、センター・オブ・ジ・アース前
真「……次は何に乗るんだい?」
伊織「そうねぇ……タワー・オブ・テラーまでちょっと時間があるわね」
伊織「ちょっとブラブラ歩きながら、見て回りましょう」
響「おっしいいぞー!」
貴音「や、休めるのならば幸いです……」
響「えっとここは……『ポートディスカバリー』かぁ」
伊織「……あら、『アクアトピア』なんて丁度いいんじゃないかしら」
響「アクアトピア?」
真「どれ?」
伊織「あの池をグルグル回ってるやつよ」
響「……お、本当だグルグル回ってる!」
貴音「確かに……あれならば、化け物が出てくることもないでしょう」
真(まだ気にしてたんだ……)
伊織「夜になるとライトアップされて綺麗だけど、その分混むのよねー」
伊織「空いてるから今のうちに乗っちゃいましょ」
貴音「ええ、そう致しましょう」
「アクアトピア」は、新しい航海システムの開発のためにつくられた研究施設。
今日はフェスティバルを記念して、一般のみなさんにも開放されています。
ウォーターヴィークルを走らせるプールには、実験用につくられた渦巻きや間欠泉、滝が…。
研究者たちが生み出した、画期的なヴィークルの乗り心地を体験してみてください。
響「あれっ?操作できると思ったのにできないのかぁ」
ウィーン、ウィー
貴音「そうですね……自動で進むようです」
響「お……こ、このまま行ったらぶつかるんじゃあ……」
貴音「……!」
ピタッ……ウィーン
貴音「と、止まりました。危なかったですね……」
響「うわぁ!こ、今度はこっちにぃ……!」
ヴィーグル2:真・伊織
伊織「真夏じゃなかったのが惜しいわね」
真「惜しいって?」
ウィーン、ウィーン、ウィー
真「うわ、危ない!」
真「フゥ、ぶつかるかと思った」
伊織「……あんな感じで、色んなところに勝手に行くのが面白いんだけど」
伊織「夏になると、『びしょぬれコース』っていうのが出来るのよ」
真「びしょぬれ……って間欠泉が!危なーい!」
ピタッ、シュワワワー……
ウィーン、ウィーン
真「ハァ……水がかかるかと思ったよ」
伊織「……で、そうね。びしょぬれコースはわざと水にかかるようなコース設定がされてるのよ」
伊織「暑い日なんかはちょうどいいわよね」
真「そ、それはいいけどさぁ伊織……」
伊織「どうしたの?」
真「ぼ、ボクだけハラハラしてバカみたいじゃないかぁ!」
伊織「……だって本当にぶつかったりしたら大変でしょう?ギリギリで止まるようになってるのよ」
真「それは、わかるけどさぁ……うわっ!」
伊織「にひひっ、どうだったかしら?」
真「どういう動き方するのかわからなくて、面白かったよ。……ちょっと疲れたけどね」
響「じ、自分はハラハラしっぱなしだったさぁ」
貴音「……仕掛けを理解してしまえば、奇怪な動きを楽しむ余裕も出てきました」
伊織「……貴音は、もう調子は回復したかしら?」
貴音「そうですね。先ほどの恐怖は、この施設で拭えたのではないかと」
伊織「……そう、……それは良かったわぁ」ニヤリ
10:05、アクアトピア前
真「お、もうファストパスの時間みたいだよ」
響「じゃあタワー・オブ・テラーに行くのか」
伊織「……あ、ちょっと待ってちょうだい」
響「ん?」
伊織「真、別のファストパスの発券、お願いできるかしら?」
響「えぇ、……どういうことだぁ?」
貴音「……響、こちらの券には、『次のふぁすとぱす発券は11:00以降』となっております」
貴音「まだ10時ですから、この時点での発券は無理なのでは、ということですね」
響「……あ、本当だ。自分のもそうなってる」
伊織「大丈夫よ、出来るのよ」
真「なんで?」
伊織「ファストパスはそこに書いてある通り、発券してから2時間は連続で発券できないようになってるわ」
伊織「でも例外があって……」
伊織「ファストパスの指定時刻が発券してから2時間以内だったら、それに乗れるようになった時点で、次のファストパスが取れるようになるの」
真「あ、なるほど!」
響「へえぇー、そうなのかぁ」
※実際は、この場合ならちゃんとファストパスに
「次のファストパスは10時以降に発券できます」
と書いてあります。今回はファストパスについて説明するためにわざと違くしました。
伊織「そうねぇ……ここから比較的近くて、ファストパスが早めに切れそうなアトラクションがいいわね」
響「切れることもあるのか」
伊織「もちろんよ。ファストパスは『指定時間にパスを持って来れば優先的に案内してくれる』システムよね」
伊織「みんながファストパス取ったら、それだけ優先案内できる時間も繰り下がっていくわ」
響「パス取ってるのに、そこで混んだらおかしいもんな」
伊織「ええ、そうね。そしてそれが閉園時間を越えたりしたら、もうファストパスはそこでオシマイね」
貴音「ふむ……では、皆が券を取りに行くものほど、早く無くなるということですね」
伊織「そういうことよ」
伊織「……じゃあ、インディジョーンズでいいかしら?」
響「インディジョーンズはパスが早く無くなるのか?」
伊織「人気だもの、そりゃあ早く無くなるわよ」
伊織「真、お願いできる?」
真「よっし……『ロストリバーデルタ』か。じゃあみんなの入園チケット貸して。行ってくるよ」
伊織「ここからなら近いから、すぐ戻ってくるわね」
響「じゃあ普通に待ってるか」
伊織「それもいいけど……そうねぇ」
スッ
ピッ…プルルルル
真『はい、どうしたんだい伊織?』
伊織「ああ、そのままインディジョーンズに向かって頂戴」
伊織「私たち、『うきわまん』を買っておくわ。真も食べるかしら?」
真『うきわまん?なにそれ?』
伊織「アクアトピアの真下にあるお店で売ってるの。うきわの形をした食べ物よ」
真『へぇ~……あ、着いた。……じゃあ買っておいてよ!』
伊織「わかったわ」ピッ
貴音「う、うきわまん……」ジュルリ
響「ここの真下にあるのかぁ。食べてみたいぞ」
―――
気象コントロールセンターのメンバーが実験成功の喜びをわかち合うフェスティバルを開いたときに、
ゲストのみなさんのためにレストランやフードワゴンをつくりました。
そのひとつがこのお店です。
ポートディスカバリーらしい斬新な形のこのスナック、
未来のマリーナを散策しながら味わってみてください。
貴音「……なるほど、確かにうきわの形をしております……ハムッ」
響「エビが入ってるんだなぁ。美味しいぞ!」
タッタッタッタ
真「フゥ~、はい、ファストパスお待たせ」
響「おう、ありがとうな真!」
貴音「いんでぃじょーんずの指定時刻は、13時ですか」
真「並んで入るほうの入り口見たら、45分待ちって出てたよ」
真「あれ見たらやっぱりファストパスの方がいいよなぁ」
伊織「……お疲れさま。はい、真の分のうきわまんね」
貴音「……ご馳走様でした」
伊織「早いわね……」
貴音「……」ジッ
響「……じ、自分の分はあげないぞ?貴音……」
貴音「…………」ジッ
真(……もっかい並んで買えばいいのに…………)
響「う、うぅー、食べずらい……」
貴音「……一口」
響「……じゃ、一口だけ」
―――
貴音「……♪」モグモグ
真「まさか本当にまた並んで買ったなんて……」
伊織「食欲が異常ね」
貴音「ふふ……何か、この場にいることで感じる、より一層の美味しさがあるのです」モグモグ
伊織「そうね、ディズニーランド……ここはシーだけど、ランドにいると日常とは違う感覚になるのよね」
真「うん……なんか、ファストパス取りに走ってただけで、ちょっとワクワクしてたよ」
貴音「……」モグモグ
10:20、タワー・オブ・テラー前
伊織「……さぁて、着いたわよ。……貴音はさっさと食べ終えなさい」
貴音「ふふ、言われずとも……ご馳走様でした」
響「早っ!」
真「……でっかいなぁ……。これがタワー・オブ・テラーかぁ」
響「うわぁ、すごく混んでるなぁ。……90分待ちだってさぁ」
伊織「まぁ、これでも空いてるほうかしらね」
伊織「……にひひっ、そしてここで、この『ファストパス』の出番よ!」
―――
貴音「本当に、最前列へ来てしまいました」
真「ほとんどの行列すっとばして、ここだもんなぁ」
伊織「アンタたちにもわかったでしょ?ファストパスがどれだけ大事か」
貴音「正に、今この場で痛感しております」
真「……にしても……どういうアトラクションなんだい?」
響「なんか、物々しい雰囲気だなぁ……」
伊織「……」
伊織「……建物についての説明は、ちゃんと係の人からされるわ」
伊織「それまでは気持ちを落ち着かせましょ」
真「ん?うん……」
貴音「……はぁ。しかし、うきわまんのなんと美味であったことか……」
響「ま、また買ってくるかぁ?……あはは」
伊織「…………」
伊織(……貴音、ここはセンター・オブ・ジ・アースとは比べ物にならないくらい凄いわよ)
伊織(事前の説明で、覚悟しておいた方がいいわよぉ……)ニヤリ
『タワー・オブ・テラー』
時は1912年のニューヨーク。舞台は、1899年に起きたオーナーの謎の失踪事件以来、
恐怖のホテルと呼ばれるようになった「タワー・オブ・テラー」。
今日は、ニューヨーク市保存協会による見学ツアーに参加していただきます。
さあ、エレベーターで最上階へ…。
『これ先に行ってはならん……!』
『私の忠告を聞け……!呪いは本物だ!』
『シリキウトゥンドゥの眼が……!』
ドシャーン!バリバリバリ
…………
真「えぇと、『ハイタワー3世』がホテルのオーナーで、落下したエレベーターから消えていた、と……」
真「で、そこで見つかったのが『シキリ……』シキリなんだって?」
伊織「『シリキウトゥンドゥ』よ。呪いの偶像って呼ばれてるわ」
伊織「……ま、アトラクションの説明を事前にしなかったのは悪かったわ」
伊織「でも貴音がそんなに怖がりだとは思わなかったわよ。……嫌味じゃなく、ね」
響「た、貴音ぇ……イヤなら抜けようか?自分も一緒に行くぞ?」
貴音「い、いえ……!」
貴音「伊織にそこまで言われて、引き下がれるわけがありません」
貴音「いいでしょう……この恐怖、見事に克服してみせようではありませんか!」
響「む、無理するなよ……?」
真「ていうかボクも普通に怖いんだけど……」
伊織「……このアトラクションがディズニー史上『最恐』ですもの」
伊織「逆に、これをクリアすれば、これ以上怖いアトラクションは無いわよ」
貴音「ふ、ふふ……望むところです」
ギュウゥ
響「痛い痛い!貴音、手ぇ握りすぎだって!」
真「3コースあるのか……」
伊織「乗るエレベーターが違うだけで、ショーの内容は一緒よ」
伊織「一説にはどのコースが一番怖いとか、あるみたいだけどね」
貴音「……」ギュウウ……
響「……(痛い……)」
―――
『さぁ手を振って、この世の自分に別れを告げたまえ……』
伊織「そろそろね……」
響「……」ドキドキドキドキ
真「フゥー……」
貴音「…………」
ガシャン
真「眩しっ!」
伊織「にひひっ、良い景色ねぇ~」
貴音「…………」ギュッ
ガシャン!
―――
真「は、はは……まだ脚がガクガクするよ……」
響「すごかった……とにかくすごかったな……」
響「た、貴音……大丈夫かぁ?」
貴音「……なんとか…………」ガクガク
伊織「ふぅ~。このスリルが病みつきになるのよね~」
響「じ、自分はしばらくは乗らなくていいぞぉ……」
真「ボクもかなぁ……はは」
貴音「……わたくしは……」
貴音「も、もう一度……乗ってみたいと思いました」
響「うえぇ!?」
貴音「……は、恥ずかしながら……最後の方は、気が抜けかけてしまって……」
貴音「ほ、ほとんど覚えてないのです……」
真「それって普通に危ないじゃん……」
貴音「いつの日か、これを平然と思えるような強靭な精神を身につけられるよう……」
貴音「そのために、もう一度乗ってみたい、と思ったのです」
響「そ、そうかぁ~……」
響(ていうか貴音から手ぇ握られすぎててまだ痛いぞ……)
伊織「ふーん……じゃあ別の機会に、また連れてきてあげるわよ」
貴音「ふふ……ありがとうございます、伊織」
伊織「まぁ、またアンタの怖がってる顔が見られるなら安いものよ」
貴音「……つ、次はそうは行きませんよ…………?」
ギュッ
響「はいはい、貴音。大丈夫だからな?」
『タワー・オブ・テラー・メモラビリア』
恐怖のホテルと呼ばれる「タワー・オブ・テラー」のツアーの開催にともない、
ニューヨーク市保存協会は当時の内装をそのまま公開することにしました。
ハイタワー三世のお気に入りのプールも、
現在ではツアーのおみやげを売るショップとして営業しています。
「タワー・オブ・テラー」ならではのユニークなグッズや、
ツアー中のゲストの決定的瞬間をとらえた写真も販売しています。
伊織「……で、出口を過ぎたらここに入ってくるってわけ」
真「そういえばショップに入るのは初めてだなぁ」
響「……写真……うわ、本当に写ってる」
伊織「プ……た、貴音……アンタすごい顔してるわよ?」
貴音「……このような醜態を公衆の面前に晒されるとは……///」
真「ボクも凄い顔してるなぁ。って笑ってるの伊織だけじゃないか」
真「ふーん……一枚買っていこうかな」
伊織「そうね、じゃあ……しばらくここで買い物していきましょう」
響「わかった。自分、ちょっとあっちの方見てくるよ」
伊織「そろそろ昼ごはんにしようかしら」
響「もうか?早いんじゃないか?」
伊織「ちょうどお昼に行ったら、どこも混んでるわよ」
真「ちょっと早いくらいがいいのか……」
貴音「わたくしは今からでも一向に構いませんよ」
伊織「まぁアンタはね……」
響「あ、ゴミ箱だ……ちょっと自分、ゴミ捨ててくるな!」
真「ああ」
伊織「…………」
伊織「…………!!」
真「で、どこで食べるんだい伊織…………伊織?」
伊織「ちょっと待って!」
真「え?」
伊織「……ラッキーね。面白いものが見れるわよ」
真「……清掃のお兄さんしかいないけど」
伊織「……ふふふ」
―――
響「あ……掃除中だったのかぁ」
清掃員「……」ペコリ
響「えーと、ゴミ捨てても大丈夫……かなぁ?」
清掃員「……」ペコリ
響「あ、じゃあ……」
『ガブリッ!』
響「え!?」
響「…………え?え?」
響「な、なんだ今の!?ゴミ箱が喋ったぞ!?」
響「……こ、このゴミも……」
キィ
『ガブリッ!』
響「や、やっぱりだ!」
真「……ど、どういうこと!?」
響「あ、真」
清掃員「……」ペコリ
真「ぼ、ボクもゴミ捨てて……いいですか?」
清掃員「……」ペコリ
真「じゃあ……」
『ニャーオ』
真「しゃ、喋った!ゴミ箱が喋った!」
貴音「わたくしの目から見ても、ゴミ箱が喋ったようにしか……」
伊織「……にひひっ!気になるんなら、貴音も何か捨ててきたらぁ?」
貴音「…………」
真「も、もう一回……」
キィ
『ニャーオ』
真「うわ、やっぱり喋った!」
清掃員「……」
響「自分のときは噛まれた音だったのに……真は猫の鳴き声……」
貴音「失礼致します」
響「あ、貴音」
貴音「この『うきわまん』の包み紙を捨てたいのですが……よろしいですか?」
清掃員「……」ペコリ
『ブブーッ!』
貴音「……!な、なんと!」
響「……ゴミ箱にダメ出しされたぞ、貴音」
真「捨てちゃダメってことかなぁ」
貴音「わたくしにだけ、許可を下さないというのでしょうか」
キィ
『ブブーッ!』
貴音「……な、何がいけないのでしょう……」
清掃員「……」
清掃員「……」スッ
貴音「……?手、ですか?……はい」スッ
清掃員「……」シュッシュッ
響「何かかけてるな……」
貴音「これでもう一度、ということですね……」
貴音「……」
キィ
『ピンポーン』
貴音「!」
響「おお良かったなぁ貴音」
真「手がいけなかったのか……」
貴音「し、しかし……これは一体どのようにして……」
清掃員「……」
清掃員「b」グッ!
『キラリーン』
真「!?お兄さんの『グッ!b』に反応した!?」
清掃員「……」カチャカチャ
清掃員「……」
貴音「……行ってしまわれるのですか」
響「……他のところも掃除しなきゃいけないもんなぁ」
清掃員「……」
真(にしてもデカイ清掃用具だなぁ。車輪ついてるし。ここのゴミ箱と同じくらいの大きさだ)
清掃員「……」
コロコロ……
『ピヨピヨピヨピヨ』
貴音「!?」
響「!?」
真「!?」
響「……」
真「す、すごい……」
貴音「…………」
伊織「……どうだったかしら?『ファンカストーディアル』は」
響「い、伊織……」
真「ふぁんかす……え、何て?」
貴音「……ということは、あれも一つの『あとらくしょん』なのですか?」
伊織「そういうことになるわね」
伊織「ファンカストーディアル……清掃員そのものはカストーディアルって呼ばれてるわ」
伊織「でも中には、普通の清掃員に見えて、とんでもないパフォーマンスをする人たちがいるの」
伊織「それがファンカストーディアルよ。どこに現れるか、何をするのか、一切知らされていない」
響「そ、その人に会ったっていうのか……!」
真「……それじゃあ確かにラッキーだよ」
伊織「まぁね。ファンカストには追っかけも多いし、有名な人は顔もよく知られてるもの」
響「はぁ~~……」
伊織「……で、どこでお昼ご飯を食べようかしら?」
―――
11:20、ケープコッド・クックオフ前
伊織「わたしのおススメでいいなら……ここね」
響「さっきタワー・オブ・テラーまで行くのに、通ったとき見たな」
真「メインはハンバーガーかぁ」
『ケープコッド・クックオフ』
今日は村人たちが集まって誰の料理が一番かを決める、伝統的な料理大会「クックオフ」の日。
会場は白い時計台が目印のタウンホール(村役場)です。
1等のブルーリボンを獲得したメニューやハンバーガー、フライドポテトをたっぷり味わってくださいね。
ダイニングエリアの一部では、
レギュラーショー「マイ・フレンド・ダッフィー」も楽しめます。
真「そうだね」
伊織「……じゃあ、ショーを見ましょうか」
響「ショーって?」
伊織「この店はね、ショーを見ながら食事ができるのよ」
真「どんなの?」
伊織「『ダッフィー』って知ってるかしら?」
貴音「……『みっきー』殿のような、物語の登場人物でしょうか」
伊織「まぁ、そんなものね」
伊織「ディズニーシーじゃないと、ダッフィーには会えないの。ランドにはいないわ」
真「へぇ」
伊織「で、そのダッフィーがどうして生まれたのかがショーでわかるわよ」
ミニー「~♪~」
響「……モグモグ……へぇ~、ミッキーのために作った人形かぁ」
貴音「……モグモグ……モグモグ」
真「やっぱりミニーもミッキーも可愛いなぁ」ホワワーン
伊織「ダッフィーはミニーがミッキーのために作った、意思が宿ったテディベアーね」
貴音「……モグモグ……モグモグ」
伊織「貴音……ちゃんと聞いてるの?」
貴音「ええ、もちろんですとも……モグモグ」
貴音「みっきー殿は世界中を冒険をするのですね。中々行動派ではありませんか」
響「モグモグ……ダッフィー可愛いなぁ」
真「ふ~ん……モグモグ」
―――
真「うっし、美味しかったぁ!」
響「ごちそーさま!」
貴音「……たまには『はんばぁがぁ』も悪くありませんね」
伊織「ふぅご馳走様。……ショーの第二部があるから見るとして、この後はどこに行きたいかしら?」
真「あれ乗ってみたいなぁ、アクアトピアに乗るときに見えた……『ストームライダー』!」
伊織「いいんじゃないかしら」
響「どんなアトラクションなんだ?」
伊織「……そう、ねぇ……」
伊織「乗ってみてからのお楽しみ、かしらね」
貴音「そ、それは一体……」
伊織「……タワー・オブ・テラーよりは怖く無いから安心しなさい」
12:10、ストームライダー前
真「30分待ちかぁ」
伊織「むしろラッキーね。ストームライダーは一度に入る人数が多いから、30分かからないで乗れる可能性もあるわ」
響「そうなのか」
伊織「ええ、だからここにはファストパスもあるけど、他の施設にファストパスを回したほうがいいわね」
貴音「……ところで伊織、そのぽっぷこぉんをわけてくれますか?」
伊織「……さっきあんだけうきわまんとハンバーガー食べて、よく入るわね」
貴音「ふふ……やはり、普段とは違う環境に居ることで、わたくしの胃袋も仕様が変わっているようですね」
伊織「もう、せっかく買ったばっかりなのに……ストロベリー味でいいわけ?」
貴音「はい、ではいただきます」
―――
真「あ、ボクたちも入れるみたい」
響「本当だ……ちょっと早く乗れるぞ」
貴音「なるほど、確かに伊織の言うとおりでしたね」
カラッ
伊織「……最後まで食べてくれちゃってまぁ……」
―――
ドガーン!バリバリバリバリ!
貴音「嵐を消す兵器……凄まじい爆音でしたね」
響「い、今聞いた音の100万倍くらいデカイ音がするって……」
真「ほ、本当かなぁ……」
『ストームライダー』
気象コントロールセンターが開発した「ストームディフューザー」。
これをストーム(嵐)の中心で爆発させれば、
なんとストームを消滅させることができるのです。
折りしも、史上最大のストームが接近中!
さあ、ストームライダーに乗って、ストームの中心部へと出発!
『ストームライダー、発進』
『待ってましたぁ!さぁみんな行くぞ!』
響「うわぁ凄い凄い!……うひゃ!」
―――
『……スコット!後は俺たちが引き受けたからな!』
『キャプテン・デイビス、ミッションは中止です』
『え?何だって聞こえないなぁ?』
貴音「……ふふ、面白いお方ですね」
―――
『爆発まで、20秒』
『みんな捕まってろよ!』
真「ひ……!うわっ……!ひゃあ!」
真「ひゃ~……すごいアトラクションだったなぁ……」
響「じ、自分……こっちの方が怖かったかも」
伊織「……貴音は平気そうね」
貴音「ええ。恐怖と言うよりは、嵐に向かっていく『でいびす』殿に、感動と興奮を覚えました」
貴音「この施設でしたら、何度も乗ってみたいものですね」
伊織「へぇ~意外ね」
真「うん、でも確かに楽しかったよ」
響「は、はは……」
貴音「……大丈夫ですよ響、わたくしがついていますから」
響「そ、そこで貴音に心配される覚えはないさぁ!」
真「どこか時間をつぶせる場所ないかなぁ」
響「伊織、どうだ?」
伊織「うーん……」
伊織「……そうねぇ、何かに乗るかどうかは置いといて」
伊織「とりあえず、まだ行ってない『アラビアンコースト』のエリアに行ってみましょ」
貴音「あらびあん……どのような所なのでしょうか」
伊織「そのまんまよ。アラビアっぽい雰囲気の所ね」
真「ディズニーだと……『アラジン』みたいな感じか」
響「よっし、行くぞー!」
貴音「いんでぃじょーんず、はこの建物なのですね」
伊織「そうよ、ファストパスの入り口はこっち」
真「ここも70分待ちか……取っておいてよかった」
響「このまままっすぐ行くとアラビアンコーストに着くのか?」
伊織「着くわね。……あ、あと丁度いいわ」
伊織「今から『レイジングスピリッツ』っていうアトラクションも通り過ぎるんだけど……」
伊織「13時過ぎて、インディジョーンズに向かう途中で、そこでファストパスを取るといいわ」
真「へぇ~、人気のアトラクションが2つ並んでるのか」
響「レイジングスピリッツって、どんなアトラクションだ?……全然イメージ湧かないなぁ」
伊織「……レイジングはジェットコースターそのものね。特に怖い演出があるわけでもないわ」
貴音「それならば……わたくしも平気かと」
伊織「あ、そうそう、これね。これがレイジングスピリッツ」
真「……うわぁ…………こっちは80分待ちだって……」
伊織「……ま、時と場合によるわね」
伊織「最近までは、事故で運転休止してたから……再開して、それで混んでるのもあるわよ」
貴音「成程……む、あれが『ふぁすとぱす』の発券機ですか」
真「あ、あれか。……アトラクションごとに発券機の形も違うんだよなぁ」
響「タワー・オブ・テラーも違うのか?」
真「うん、全然違った」
響「……なんか上に時間がかいてあるな」
貴音「仮に今から発券すれば……利用は16時から……ですか」
伊織「まだパスは切れなさそうね。慌てることはないわ」
―――
真「うわー、本当にアラビアみたいだ」
貴音「……先ほどの密林のような一帯とは、まるで雰囲気が違いますね」
響「でっかい宮殿がたくさんあるなぁ……」
真「す、すごいなぁ。……どこを見る!?」
響「真、落ち着くさぁ……」
伊織「並ばないで乗れる……『シンドバッド』が丁度いいわね」
貴音「しんどばっど、とは……どのような施設なのですか?」
伊織「あの建物よ」
伊織「船に乗ってストーリーを楽しむ……ランドの『イッツ・ア・スモール・ワールド』の系統ね」
真「……ランドも行ったことないから良くわからないよ」
伊織「……そうだったわね、悪かったわ」
『シンドバッド・ストーリーブック・ヴォヤッジ』
かけがえのない宝物を手に入れるために、
未知なる海の冒険へと旅立つ船乗りシンドバッド、そして、トラの子ども、チャンドゥ。
さあ、“心のコンパス”を信じて! あなたも一緒に船に乗って、
最高の宝物を見つけに行きましょう。
伊織「ま、いつでも行列があるような、大人気のアトラクションじゃないわね」
伊織「……でもやよいと一緒に来たときは、やよいが一番楽しんでたアトラクションだったわ」
真「ふーん……」
―――
~じんせいーは、ぼーうけーんだ♪~
真「チャンドゥ!チャンドゥ埋まってる!」
響「え、あ、ホントだ!埋まってる」
―――
~しーんじーて、コーンパースを♪~
響「なんか……良い歌だなぁ」
貴音「そう……ですね……」
貴音「心を揺さぶられるような……素晴らしい歌です」
響「はぁ~……」
真「しーんじーて、コーンパースを♪……か」
貴音「……『童心に帰る』とは、このようなことを言うのかもしれませんね」
貴音「何よりも確かに、曲が素晴らしいと感じました」
伊織「そうねぇ、やっぱりここの中心は音楽よねぇ」
伊織「あと真、あれは『コンパス・オブ・ユア・ハート』って言ってるのよ」
真「え!?」
伊織「歌のタイトルもそう。……あと作曲者もディズニーでは有名な人なの」
響「そうだったのかぁ……。はぁ、心のコンパスかぁ……」
伊織「……時間が良いわね。そろそろインディジョーンズに向かいましょう」
貴音「真、どのようにすれば?」
真「入園チケットの……そう、そこのバーコードを通して」
貴音「ふむ……確かに出てきましたね」
響「レイジングスピリッツは16:20からだってさぁ」
伊織「全員そうみたいね。さ、インディに行くわよ」
13:15、インディジョーンズ
真「やっぱりファストパスだとスイスイ進むなぁ」
貴音「しかし……この並ぶための場所も中々に凝っていますね」
響「よく出来すぎてて……ここもちょっと怖いぞ」
貴音「……わたくしは今のところ大丈夫です」
伊織「……まだ何も聞いてないわよ」
インディ・ジョーンズ博士の助手パコが、
博士に内緒で“若さの泉”を探す魔宮ツアーを企画しました。
さあ、さっそくあなたも参加しましょう。
ところが招かれざる客の侵入に、魔宮の守護神クリスタルスカルの怒りが大爆発!
無事に脱出できるのでしょうか!?
貴音「……非常に物々しい雰囲気になってきましたね」
響「ていうかあのパコって人、勝手に企画してるんじゃないかぁ!」
真「……注意書きも凝ってるんだなぁ、面白いや」
伊織「もうそろそろよ。……貴音、覚悟は出来たかしら?」
貴音「!?……も、もちろんです」
テーッテレッテー、テーレレー♪
貴音「!?なんと……あの人は危なくないのですか!?」
伊織「人形、人形だから」
―――
『きーえーさーれー!』
ドゥーーン!!
真「うひゃあ!?」
響「うぎゃあ!!」
貴音「ひ、ひぃ!」
伊織「……♪」
―――
ゴロゴロゴロゴロ……
真「危ない……危なーい!」
ガクン!
貴音「……助かりました」
テーッテレッテー、テーレレー♪
『後は自分たちで切り抜けるんだな』
真「は、はー……終わりかぁ……」
伊織「やっぱりコレは何回乗ってもいいわ~♪」
響「楽しかったけど……す、すごい疲れたぞ……」
貴音「ええ……あの教授というお方の助けが無ければ、今頃どうなっていたことか……」
伊織「だから人形だって」
真「コレ……今までで一番面白かったよ!」
真「うん……すごくよかった」
真「いやぁ~、へへ……もう一回乗りたいくらいだよ」
響「ああ、でも自分もコレは楽しかったぞ!」
伊織「にひひっ、楽しんでくれたのなら何よりだわ!」
貴音「そうですね。……しかし、あの方が『インディ・ジョーンズ』と言うのですか」
貴音「あの方の助けなくして、今ここには居られないのかと思うと……」
伊織「人形だって言ってるでしょ!」
―――
『エクスペディション・フォトアーカイブ』
ここは、発掘調査隊が撮影した現場記録写真の保管室。
現在も記録写真を取り扱っているのですが、
そこに写っているのはクリスタルスカルの魔宮に挑む探険家たちの勇猛果敢な(恐怖の?)姿です。
手に入れたい探険家の方は、キャストまでどうぞ
伊織「タワー・オブ・テラーと同じね。写真を撮られてたから、ここで買うことができるの」
伊織「……また貴音が凄い顔になってるわ」
真「……こっちは物凄いしかめっ面だな……」
貴音「し、仕方が無いでしょう!?」
貴音「あの様な物が迫ってくるなどと考えたら……この様な顔にも、な、なります///」
真「……伊織はまた笑顔だ」
伊織「そりゃあ写真のポイントくらい、ちゃんと押さえてるもの。……にひひっ」
響「そうだなぁ……自分、一枚買おうかな」
貴音「!?ひ、響……このような間抜けな顔をしたわたくしの写真を……買うというのですか?」
響「……どうしよう」
伊織「……ま、ゆっくり決めなさい」
伊織「私はこっちのショップでも見てるわ。……『ペドラーズ・アウトポスト』ってところね」
真「あ、じゃあボクも行くよ」
貴音「響……考え直してはくれませんか?」
響「た、貴音ぇ……ちょっと近すぎる……」
真「あ、この帽子いいなぁ」
伊織「……こっちの方が似合うんじゃない?」
真「本当?……へぇ~、確かにいいね」
真「あ、Tシャツも売ってるんだ。……何か買っていこうかな」
―――
貴音「……響、薄情です…………」
響「だ、だからぁ……誰にも見せないって。……それならいいだろぉ?」
貴音「ほ、本当に……本当にそうだ、と約束してくれますか?」
響「約束するよぉ……」
貴音「……ありがとうございます」
響(貴音ってこんなこと気にするようなタイプじゃないはずなのに……)
響(やっぱりディズニーの魔力……なのかな)
真「あ、お帰り」
響「おう」
貴音「……フゥ」
伊織「……こっちはもう買い物終わっちゃったわよ。何か買うかしら?」
響「そうだなぁ。ちょっと見てみるよ」
伊織「……じゃあ、私と真はこれからの打ち合わせでもしましょ」
真「ん?あ、ああ。わかった」
響「ほらほら、貴音も来いよ!」
貴音「あ、待ってください響……」
…………
13:40、ペドラーズ・アウトポスト
真「で、次はどうするんだい?ファストパスまで結構時間あるよ」
伊織「そうねぇ……アラビアンコーストと、『マーメイドラグーン』の方に行ってみるのがいいかしら」
真「まだ行ったことない所か」
真「ショーってどういうのだい?」
―――
響「うわっ!可愛い!可愛すぎるぞこのぬいぐるみ!」
貴音「……響……このカエルのぬいぐるみが可愛いのですか……?」
貴音「わたくしにはとてもそのようには……」
響「む~……自分は可愛いと思ったんだから良いんだよ!」
響「……!そっか、貴音ってカエル苦手だもんなぁ……うりゃ!」
貴音「ひえっ!……ひ、響……勘弁してくださいまし……」
響「へっへ~……うりゃうりゃ!」
貴音「あうぅ……い、いけずですぅ……」
貴音「……」
伊織「……買い物してきただけで随分やつれたわね」
貴音「そ、そのようなことは……」
伊織「……まぁいいわ。次はマーメイドラグーンに行きましょう」
響「マーメイド……『リトル・マーメイド』のところかぁ」
伊織「ええ、そこの特徴はやっぱりショーね」
伊織「『マーメイドラグーン・シアター』でやっているわ。もう少しで始まるわよ」
真「じゃ、行こうか」
響「よーっし、レッツゴーだ!」
貴音「参りましょうか」
響「広いな」
真「外から見ても大きかったけど、中はこんな感じなんだね」
貴音「ふむ……この中に色々な施設が総合されているのですね」
伊織「マーメイドラグーンのエリアの特徴ね」
伊織「外にもアトラクションはあるけど、大体は『トリトンズ・キングダム』の中にあるわ」
真「で、シアターはどこだい?」
伊織「このまままっすぐ行くとあるわよ」
響「お、5分待ちだって!すごく早く見れるんだなぁ!」
貴音「……しんどばっど、のようにそこまで人気あるわけではない施設なのですか?」
伊織「うーん、ちょっと……違うわね」
伊織「ショーが結構長いから、この待ち時間って、ほとんどショーの区切りの時間と同じね」
真「ああなるほど……次のショーが始まるまでの時間、ってことか」
伊織「そういうことね。……ただ普通に混む場合もあるわよ」
真「本当だ。たくさん人がいるのに……それでも5分待ちなんだ」
伊織「一度に入れる人数が多いもの。次のショーまでお預け、ってかなり混まなきゃ無いわよ」
響「ふぅーん」
貴音「……どのような見世物なのでしょうか?」
伊織「普通にリトル……貴音の場合は『人形姫』ね。人魚姫をモチーフにしたショーよ。話はかなり違うけど」
伊織「あと、自由に座れるから……最前列とか、通路側の席が空いてればそこに座るといいわ」
響「なんでだ?」
伊織「……座れればわかるわよ。座れなかったら教えてあげるわ」ニヤリ
真「もう……いちいち含みを持たせないでくれよ」
貴音「そ、そうですよ伊織……」
伊織「……」
伊織「……アンタが思うほど怖い目には会わないわよ」
『マーメイドラグーン・シアター』
海底王国の奥に眠る沈没船が、「マーメイドラグーンシアター」への入口です。
このシアターでは、アリエルと海の仲間たちが海の魔女アースラに立ち向かう、
勇気と友情のミュージカル「アンダー・ザ・シー」を上演中!
真「……で、見事に最前列に座れたわけだけど……」
伊織「じゃ、そのときが来るまで内緒ね♪」
真「もう……」
響「でっかいなぁ……あ、宝箱ってアレかぁ」
貴音「『ありえる』嬢の宝箱を中心に座るように、と言われましたね。成程」
―――
アリエル『~♪~』
響「綺麗だな、アリエル」
真「あれ……結構筋肉使うだろうなぁ。頑張るなぁ」
伊織「どういう目で見てんのよ」
パンッ
響「……そうか、コレのことか」
貴音「あれは、ヒトデ……でよろしいのでしょうか?」
伊織「ヒトデね」
真「くそう……アリエルの方に集中しすぎてボクだけ出来なかった……」
伊織「にひひっ、まだチャンスはあるわよ?」
―――
響「セバスチャンだー!」
貴音「……誰ですか?」
伊織「アリエルのお目付け役ね……アンタんとこの『じいや』とか、うちの新堂みたいなものかしら」
貴音「ふむ……」
セバスチャン『変わった娘だねぇ、人間の世界に興味を持つなんて……』
貴音「……苦労しておられるようですね」
フロットサム『可哀想な娘だねぇ』
ジェットサム『アースラ様に会わせてあげよう』
響「あ、アリエル、そいつら悪いやつだぞ!聞いちゃダメだ!」
真「言ってもしょうがないよ響……」
―――
セバスチャン『アンダザッシー♪』
真「へへーっ、今度はセバスチャンとタッチできたよ!」
伊織「良かったじゃない」
貴音「……ふむ」
貴音「多くを望みすぎず、身近な幸せを感じることが大切……深い話ですね」
響「……そ、そうだ、なぁ……」
響(……楽しすぎて、全然そんなこと考えてなかったぞ……)
14:30、トリトンズ・キングダム
伊織「さて、どうしようかしら?」
響「……この中にあるやつ、乗ってみてもいいかなぁ」
伊織「いいんじゃない?どれにするの?」
真「そうだなぁ……」
貴音「……わたくしは、あの回っているモノが気になります」
響「コーヒーカップみたいだな」
真「うん……ボクは、あの上がったり下がったりしてるやつが面白そうだ」
伊織「『ジャンピンジェリーフィッシュ』ね。貴音が言ってるのは『ワールプール』よ」
響「じゃあ……自分はジェリーフィッシュに乗ってみるぞ!」
真「お、じゃあ一緒に乗ろうか」
響「おう!」
伊織「……じゃ、私は貴音と一緒にワールプールに乗るわ」
貴音「ふふ、よろしくお願いします」
ミステリアスな海の底で、みんなに愛されている不思議な乗り物があります。
それは、カラフルなジェリーフィッシュ(くらげ)たちが吊り下げた貝がら。
みんなを乗せて、ふわりふわり、上ったり、下りたり。
あなたも、たくさんの仲間たちがいる海中をゆったりとただよってみませんか?
響「お、結構高くまで上がるんだな」
真「……あ、伊織たちが見えた!おーい!」
響「……聞こえてないのかな」
真「うーん……手でも振ってみようか」
フリフリフリフリ
響「……反応無いなぁ」
真「はぁやれやれ……。しっかし……景色いいなぁ」
響「……ホントだなぁ」
真「今流れてるのが……『アンダー・ザ・シー』だっけ」
響「そうだぞ、リトル・マーメイドのテーマ曲だな!」
真「思ったよりゆっくりだけど……こういうのも良いなぁ……」
色とりどりのケルプ(海藻)でできた、ちょっとユニークなカップ。
ここに乗り込んだら、ゆかいな時間の始まりです。
潮のうず巻きに身をまかせ、8の字を描きながら、くるくる、ぐるぐる。
目を回さないように気をつけて!
貴音「おや……響から聞いていた話と違いますね」
伊織「何か違ったかしら?」
貴音「響からは……こぉひぃかっぷは、自分で回すものだ、と教えていただきました」
貴音「しかしこれには……何も回すための装置が無いようですが」
伊織「そうね、これは自動で回るわよ。……あ、始まったわ」
貴音「……ふむ」
貴音「成程……この程度の回転ですか」
伊織「……にひひっ」
貴音「どうかしましたか、伊織?……急に近づいてきて何を……」
貴音「!?」
貴音「か、回転が速くなっている!?」
貴音「な……そ、そんな仕掛けがされていたとは……!」
伊織「かなり速くなったわね」
貴音「た、確かに……」
「ぉーぃ」
貴音「……今、何か聞こえましたか?」
伊織「さぁ?」
伊織「そんなことより……もっと密着してもっと速くするわよぉ」
貴音「ふ……この程度で目を回すようなわたくしではありませんよ!」
―――
真「あぁ~楽しかった……って伊織と貴音、なんでちょっと良い顔してるんだよ」
響「良い顔すぎてちょっと気持ち悪いぞ」
貴音「ふふ、ふ……人知れぬ対決があったものですから……」
伊織「……流石にあんだけくっつくと暑いわ」
伊織「次なんだけど……アラビアンコーストでいいかしら?」
響「お、いいぞいいぞー!」
貴音「しんどばっど殿にはもう会いましたから……次は何をするのですか?」
伊織「アラビアンコーストの目玉は『マジック・ランプ・シアター』だけど……」
伊織「……ちょっと待ちなさいよね」
スッ
真「スマホか……いいなぁ」
響「何調べてるんだ?」
伊織「……ふっふっふ。ディズニーのHPで、待ち時間が調べられるのよ」
真「あ、そうなんだ!?」
伊織「ええ。しかも今から取った場合のファストパスの指定時間もわかるわ」
貴音「まこと、便利な代物なのですね」
伊織「……60分待ちで、ファストパスは18:20……」
伊織「……まだ無理に並ぶ必要ないわね。ファストパスも余裕ありそうだわ」
伊織「『フライングカーペット』でも乗りましょうか」
響「フライング……空飛ぶじゅうたん、ってことか?」
伊織「行ってみればわかるわ。こっちよ」
―――
『ジャスミンのフライングカーペット』
ディズニー映画『アラジン』に登場するジャスミンの庭園の上空を、
空飛ぶ絨毯に乗って旋回するライドタイプのアトラクションです。
空飛ぶ絨毯を自分で上下に動かしたり、傾きを変えたりと、
まるで自由に空を飛んでいるかのような気分を味わうことができます。
響「あ、これかぁ。通るときに見たな」
真「4人乗りみたいだね。ちょうどいいや」
伊織「これ、前後の席にそれぞれレバーがあるわ」
伊織「前のレバーはカーペットの上下、後ろは傾きを変えられるわよ」
貴音「お互いのレバーを動かしあうことで、奇妙な動きをする……ということですか」
響「じゃ、後ろはよろしくなー?」
真「ああ、任せてくれよ!」
『それでは、楽しい空の旅をお楽しみください』
グイーン
響「お……おぉー!ホントだ!ホントに上下に動くぞ!」
貴音「響……あまりやりすぎぬようにしてくださいね……」
真「結構傾くもんなんだね、面白いや」
伊織「……調子乗りすぎないでよね、危ないから」
響「たっかいなぁー!ジェリーフィッシュよりはやーい」
貴音「……この開放感は、えもいわれぬ感覚ですね」
真「あっはっはっはっは」グイングイン
伊織「調子乗るなっつーのに!」
響「気持ちよかったなぁ!」
真「ああ本当だよ!」
貴音「……ふふ、いい『りふれっしゅ』になりましたね」
伊織「……ハァ、喜んでもらえたなら何よりよ」
15:05、フライングカーペット前
真「まだ一時間以上あるなぁ」
伊織「…………」
スッ
伊織「…………」
伊織「そうね……ここらでアレに行きましょう」
響「アレ?」
伊織「ミッキーよ」
貴音「!?み、みっきー殿に会うのですか?」
伊織「違うわよ。ミッキーとミニー、あとグーフィー……」
伊織「それぞれ個別で写真撮影ができる場所があるの」
響「じゃあ、そこに行くんだな!?」
伊織「ええ、今から行けば……30分待ちくらいだわ」
伊織「ミッキーの『グリーティング』にしては待たない方だし、時間も消化できていいわ」
真「グリーティングって?」
伊織「……簡単に言えば……キャラクターと触れ合うこと、かしら」
伊織「専用のグリーティングスペースがあるのは、あとダッフィーとかドナルド、アリエルとかね」
伊織「各エリアをうろついてる、『フリーグリーティング』ってキャラクターたちもいるわよ」
貴音「で、では……みっきー殿に会いに、行ってみようではありませんか……!」
『ミッキー&フレンズ・グリーティングトレイル』
ロストリバーデルタのジャングルに囲まれた場所で、古代文明の遺跡や、
植物や昆虫などの調査・研究をしているディズニーの仲間たちと記念撮影をしたり、
触れ合ったりして楽しもう!
道の途中にもいろんなしかけが施されていて、探険家気分で楽しめます。
真「ミッキーとミニーが30分待ちで、グーフィーが20分待ち……」
響「…………」
響「……な、なぁ、自分……グーフィーの方に行ってあげてもいいかなぁ……?」
伊織「……別に止めないけど……グーフィーはいつも大体こんなものよ」
貴音「アイドルと同じですね……人気があるものとないもの、明暗がはっきりわかれてしまうという……」
響「う、うぅ~ん……ミッキー見たいけど……グーフィーが……」
伊織「……ハァ」
伊織「……ここのグリーティングで、『ミッキーよりは』人気ないだけで、グーフィーも人気キャラクターよ?」
伊織「むしろ……響のほうがグーフィーから心配される立場なんじゃないかしらぁ?」
響「う、うがー!そんなことないってばぁ!」
響「……いや!伊織の言うとおりだ!」
響「自分なんかが心配することがもう失礼だったんだ!」
響「ミッキーには勝てなくたって……グーフィーは立派にやってるはずさぁ!」
貴音「ふふ、そうですね。わたくしと響、それぞれ持つものが違うように……」
貴音「みっきー殿とぐーふぃー殿にも、それぞれの良さがある。……そういうものでしょう」
伊織「……余計な心配されて、グーフィーも気の毒よ」
―――
真「あはは、これ可愛い!」
響「ふぇ~、さっきまで何だったかわからなかったのに……」
貴音「真正面から見ることで、みっきー殿のように見える石群。……面白いですね」
伊織「ここのグリーティングは待ち時間用の通路も面白いもの。退屈はしないはずだわ」
真「いや、ホントだよ伊織!そこかしこにミッキーがいるんだもの!」
伊織「……『隠れミッキー』って知ってるかしら?」
真「隠れミッキー?なにそれ」
貴音「みっきー殿が、どこかに隠れているのでしょうか」
伊織「そういうものじゃないわよ。……ミッキーのシルエット、ていうか輪郭、はわかるわよね」
響「ああ、そりゃあなあ」
真「●が3つ」
伊織「ええ。……実は、シーの至る所に……そのミッキーのマークが隠れてるのよ」
響「ど、どういうことだ?」
伊織「例えば、最初に行ったセンター・オブ・ジ・アース」
伊織「あそこの通路の外壁……ただのゴツゴツした岩肌だと思ってたでしょう?」
真「え、だってそうだったじゃないか」
伊織「あそこの外壁の一部が……ミッキーマークの模様の形になってるのよ」
真「そうだったの!?」
響「し、知らなかったぁ~……」
貴音「それが、隠れみっきー殿というわけですね」
伊織「にひひっご名答!」
真「……じゃ、じゃあ最初に教えてくれればよかったのに!」
伊織「言われて探したんじゃ面白くないわよ。……自力で見つけるのが楽しいんだから」
響「う、うわぁ~……なんかそう言われたら、あれもこれもミッキーの形に見えてきちゃうぞ」
真「くっそー、悔しいなぁ……絶対に自力で見つけてやる」
伊織「頑張りなさいよね~♪」
※今調べなおしたら、センター・オブ・ジ・アースにはナイっぽかったです
でもミステリアスアイランド地帯にもいくつか隠れミッキーはあります
まわし者か?
真「いよいよみたいだね」
貴音「……」ゴクリ
真「あ、写真だ……」
真「……!わ、わ、面白いよ響、貴音!」
響「なん、なんだなんだぁ?」
貴音「どれでしょうか?」
真「ほら、このミニーの写真に写ってる蝶々なんだけど……」
響「……!は、羽がミッキーの顔になってる!」
貴音「す……素晴らしい蝶々ですね。……こちらはみにー嬢のりぼんの柄の羽です」
真「なんだよこれ……こんなとこにも仕込んであるのかぁ」
伊織「……言ったでしょ?退屈はしないはずだって」
貴音「はい……つくづく、その言葉の意味を噛み締めております」
響「すっごいなぁ……」
伊織「やっぱりミッキーはジェントルマンよねぇ~。どんな時でも優しいし、立ち振る舞いもオーラがあるわ」
貴音「みっきー殿……わたくしは、非常に貴重な体験ができました」
真「かっわいかったなぁ~……それにカッコよかったよ……」
響「ほんとだよなぁ……ハム蔵とも違う可愛さだなぁ……」
伊織「……ミッキーに夢中になる人の気持ちも、少しはわかったかしら?」
貴音「ええ、わたくし……感動で胸がいっぱいです」
真「ギューッてさ、ギューッてしてくれるんだよね」
響「そうそうそう!しかもちょっとお茶目なんだよなー!」
真「あれがたまんないよねー」
…………
15:50、グリーティングトレイル前
真「そういえばさ、伊織」
伊織「なぁに?」
真「あそこ走ってるような……船には乗らないのかい?」
伊織「そうねぇ……ここから出る船は、パークの反対側の『メディテレーニアンハーバー』行きのものよ」
伊織「アトラクションじゃなくて、移動手段としても使えるわ……後で乗ってみるのもいいんじゃないかしら」
響「へぇ~、楽しみだなぁ」
貴音「……あと30分程度、時間がありますね」
響「!?」ハッ
真「響?」
響「……」チラッ
響「……うん……よし……」
伊織「…………」
貴音「響、どうしたのですか?」
響「あ、……あはは……えっと、なぁ」
伊織「……いいわよ」
響「え?」
伊織「グーフィーと写真撮りたいんでしょう?……いいわよ。私もついていってあげるわ」
貴音「……確かに、ぐーふぃー殿の待ち時間は25分程度。指定時刻には間に合いますね」
響「あ、あぅ、う……」
伊織「どうしたのよ。別にそこらへんのレストランで、おやつ食べながら時間つぶしたっていいわよ?」
響「……」
響「い、いいかなぁ……みんな。グーフィーと、写真撮りたいんだ……」
貴音「ふふ……では、参りましょう?」
真「ああ、ボクもグーフィーに会ってみたいからね」
伊織「まったくもう……はっきりしなさいよね?……別に迷惑だなんて、思ってないんだから」
響「そ、そう……かぁ……みんな、ありがとうなぁ!」
―――
16:30、グリーティングトレイル
響「はぁう……グーフィーが可愛かったよぉ~」
貴音「やはりみっきー殿には無い、別の魅力がありましたね」
真「そうだね。レイジングスピリッツに行こうか」
伊織「……待って!」
響「……どうしたんだ伊織?」
伊織「真……ファストパスとポップコーン、お願いできるかしら」
真「……ここに来てそれかぁ」ハァ
伊織「ちゃあんと、後でご褒美くらいあげるわよ」
真「はは……期待しないで待っておくよ」
真「で、どのアトラクションのファストパスだい?」
伊織「マジック・ランプ・シアターのパスをお願い。それと、近くに『カリー』味のポップコーンがあるわ」
真「マジック・ランプ・シアターと、カリー味……よし!」
ダッ!タッタッタッタ……
貴音「……流石に、真にあれこれと頼みすぎなのでは?」
伊織「まぁ、悪いとは思ってるわよ。……後で、しっかりしたご褒美あげなきゃね」
真「ポップコーン、ちょっと混んでたよ。お待たせ」
伊織「ありがとう、真」
貴音「指定時刻が……19:40とは……」
響「だいぶ後になっちゃったなぁ」
伊織「いや……ちょうどいいわね。最後にここに行くようにすればいいだけよ」
真「マジック・ランプ・シアターを見て、帰るってことか」
伊織「そういうこと。……で、レイジングスピリッツね」
『レイジングスピリッツ』
燃え上がる炎、立ち込める蒸気…。
古代神をまつった遺跡の発掘現場で、数々の異常な現象が!
復活した神々の怒りによって、中断を余儀なくされた調査隊。
ところが、あなたに見学のチャンスがやってきました。
さあ、自らの体でこの超常現象を確かめにいきましょう
伊織「ここのコースターは1回転するのが特徴ね」
伊織「ま、ある意味だと他の遊園地でも似たようなのは乗れるかしら」
響「あ、あははー……恥ずかしながら、まだ無いんだ」
貴音「丁度良い機会ではありませんか」
響「そうだなぁ……ははは……」
伊織「今回は貴音は心配なさそうね。むしろ響かしら」
響「だ、だぁ!大丈夫だぞぉ!?」
真「声、声が上ずってるよ」
―――
伊織「本当は……並んで乗るほうが良い場合もあるのよ」
真「どうして?」
伊織「私たちはファストパスでさっさと乗ることが出来るけど……」
伊織「並んでいると、コースターの様子がまじまじと見えるの」
伊織「それで恐怖心が煽られる人もいるでしょうけど……何度も見せられるから、次第に慣れてくるわ」
響「……自分たちは……こ、心の準備ができないまま乗ることになる、ってことかぁー!?」
伊織「……にひひっ♪」
貴音「響……しっかりしてください」
響「……」ポケー
真「係の人にも心配されちゃったじゃないか。大丈夫かい?」
響「ああ……うん……なんくるないさー」
伊織「……真はどうだったかしら?」
真「え、ボクかい?……そうだなぁ。一回転に気を取られて、気がついたら終わってたよ」
貴音「そうですね。思ったよりも短い、というのが正直な感想でした」
響「ああ……うん……短かったなぁ」
伊織「いつまで放心してるのよ」
響「なんかもう……すごかった……グワーンってなってグルーンってなって」
響「気がついたら終わってたさぁ……」
伊織「……ハァ」
伊織「あ、グーフィーだわ」
響「!?ど、どこだどこだ!?」
伊織「……ウ・ソ」
響「えぇー!?それはあんまりさぁー伊織ぃー!」
伊織「あはははは、でも元気になったじゃないの!」
響「ムフー!グーフィーがいないんじゃ元気になんてなれないぞぉ!」
貴音「ふ、ふふ……響、落ち着いてください」
真「はははは!もう、二人とも」
…………
『ディズニーシー・トランジットスチーマーライン』
東京ディズニーシーの海をめぐる蒸気船。
ここ、ロストリバーデルタのドックからは、メディテレーニアンハーバー行きの船が出航しています。
見えてくるのはエキゾティックなアラビアの宮殿、
珊瑚でできた美しい城、火山の中に潜む秘密基地…。
風を感じながらの船旅を、ゆったりとお楽しみください。
伊織「じゃ、これに乗って反対側まで行くわよ」
響「走っているのはさっきから何回も見たけど……乗るとどんな感じなんだろうな」
貴音「色々な施設を巡りながらの船旅とは、風情があっていいものですね」
―――
響「お、アラビアンコーストだ。カーペットも飛んでるな!」
真「……あ!ジャファーがいる!」
伊織「あら、本当?ジャファーはアラビアンにしか出ないフリーグリーティングね」
響「見つけた、ホントにジャファーだ!」
貴音「……じゃふぁーとは……あの、何やら気難しい顔をしている男性の方でしょうか」
伊織「そうよ。『アラジン』に出てくる悪役キャラクターね」
貴音「成程……確かに、不穏なことを考えていそうな顔をされていますね」
真「へぇ~、やっぱりフリーグリーティングっているんだぁ」
伊織「アラビアンコーストなら、ジーニーにも会えるわね」
響「そっかぁ。……色んなキャラクターに会ってみたいなぁ……」
真「こっちは……マーメイドラグーンか」
響「そういえば、外のアトラクションには乗らなかったな」
伊織「そうねぇ、どっちも子供向けのアトラクションだったもの」
貴音「伊織、ここでも登場人物に会えるのですか?」
伊織「会えるわよ。アリエルは専用のグリーティングスペースがあって……」
伊織「あとはフリーならリトル・マーメイドのエリック王子とかかしら」
伊織「ドナルド、グーフィーもたまに来るわね」
響「え、グーフィーがあそこにいるのかぁ!?」
伊織「今は多分いないわよ!」
―――
貴音「みすてりあす・あいらんど……でしたね」
伊織「センター・オブ・ジ・アースのところね」
真「……そういえば、海底2万マイルには乗らないのかい?」
真「いや……他のファストパスが必要な施設は全部回ったのに、ここだけ何も言ってなかったからさぁ」
響「ん……あ、そうだな。ここだけ何もやってないな」
伊織「ああー……2万マイルはねぇ……そこまでして乗るほどのアトラクションでもないわよ」
真「そ……そうなの?」
響「どうしてだ?」
伊織「他のファストパスが必要なアトラクションに比べると、地味だし動きも少ないのよ」
伊織「それに、19時を過ぎたら5分で乗れるようになったりもザラよ」
貴音「後になるほど、待ち時間が少なくなる……ということですか」
伊織「そうよー。タワー・オブ・テラーはその時間でも30分待ちが当たり前だわ」
伊織「それを考えたら……わざわざ並ぶ必要も、ファストパスを取る必要もないわね」
伊織「夜になって空いてたら乗る、くらいの気持ちで構わないんじゃないかしら」
真「……ひどい言われようだ。2万マイル」
響「逆に興味が出てきたぞ……」
響「うわぁ~!凄くおしゃれな建物ばっかりだなぁ」
真「いいなあぁ……こういうところに住んでみたいやぁ……」
貴音「これは……何か基となる建造物があったりするのでしょうか?」
伊織「イタリアのヴェネツィアがモチーフになっているらしいわよ」
響「うわ、うわぁ~……うわぁ~……」キラキラ
真「はぇ~……ひゃ~……」キラキラ
伊織「……目的地、ここじゃないんだけど」
貴音「確か……『たぁとる・とぉく』でしたね」
伊織「そー。ここからアメリカンウォーターフロントまで歩くわよ」
真「ちょ、ちょ、ちょっと待ってよぉ……もうちょっと見てたいんだ」
響「じ、自分もぉ……」
伊織「あとで連れてきてあげるから!」
伊織「メディテレーニアンハーバーは、ホテルミラコスタも併設されてるわ。ちょうど今見えるアレね」
貴音「……!この中に宿泊施設まで備えてあるのですか!?」
伊織「ええ。私もよく泊まるわよ。ていうか、本気でディズニーに浸かる気ならミラコスタは定石よ」
響「ホテルの中ってどうなってるんだ?」
伊織「メディテレーニアンハーバーに合った、イタリアンなホテルね」
伊織「……シー側の部屋なら、窓からパレードも見放題よ」
真「うわっ、それいいなぁー!」
伊織「あとは、時間指定の無いファストパスがついてくる特典があったりするわね」
響「好きなときに乗れるってことかぁ!」
貴音「……それならば、宿泊施設を利用する人がいるのも必然でしょうね」
伊織「……ま、その分安くはないけどね」
真「い、伊織が泊まる部屋は……いくらくらいするんだい?」
響「じゅ……!」
真「……ふはぁ~…………」
貴音「……しかし、それによって得るもののために、利用する人がいるのでしょう」
伊織「そうねぇ。朝は時間より早く回ることができたりもするし」
伊織「キャラクターたちの練習風景なんかも窓から見えるわよ」
真「はは……一生に一回は泊まってみたいなぁ」
響「夢みたいな話だなぁ……」
―――
17:20、アメリカンウォーターフロント…タートルトーク前
伊織「着いたわね」
響「タートル・トーク……亀とお話できるのか」
真「25分待ち……ちょっと待つくらいだね」
伊織「40分待ちくらいも想定してたけど……上出来よ」
貴音「なんでしょう」
伊織「並んでいる間にポップコーンが食べたかったら、自分で買ってきなさい」
貴音「!?」
真「い、伊織……それくらいボクが買ってくるよ」
伊織「いえ、真はいいわ。……貴音、アンタどんだけポップコーン食べたと思ってるのよ」
貴音「!」ギクッ
貴音「うぅ……確かにわたくしが、今ある分もほとんど食べてしまいましたが……」
伊織「……流石に食べすぎよ。これ以上は自分で買ってきなさい」
伊織「近くにならクランベリーとブラックペッパーがあるわ」
伊織「2個とも買ってくるならカゴも2つ貸すけど……どうするの?」
貴音「……」
貴音「…………」
貴音「では二つ」
響「へぇ~、この亀、クラッシュっていう名前なんだ」
真「人間と喋れる……って、どうやってだい?」
伊織「……ふっふっふ、見ればわかるわ」
貴音「……モグモグ……くらっしゅ殿に質問をしても良いということでしたが……モグモグ」
伊織「流石にフルネームはまずいわよ?……下の名前だけならギリギリセーフかしら」
響「え、名前言わなきゃいけないのか?なんで?」
伊織「……それも、始まればすぐにわかるわ」
『タートル・トーク』
ここはS.S.コロンビア号の船尾にある海底展望室。
大きなガラス窓越しに、ウミガメのクラッシュとお話しすることができます。
クラッシュにどんな質問をするか考えておいてくださいね!
お姉さん「それでは、みんなでクラッシュを呼んでみましょう~」
せーの
「「「「クラッシュー!!」」」」
デンデケデン、デデン、デンデケデン、デデン~♪
クラッシュ『ぃょぉおおおお~!!ほっほ~』
クラッシュ『みんな、こんにちわ~』
「「「「こんにちわー」」」」
クラッシュ『はっはっは~、元気があっていいねぇ~』
クラッシュ『それじゃあ早速……みんなとお話をしてみようかなぁ』
クラッシュ『まずはそうだなぁ……こっちの前から3列目の……真ん中の通路から4番目に座ってる大人の男性』
クラッシュ『そうそう、君と話をしてみたいなぁ~』
真(……どういうことだろう。全然わからない……)
貴音(声……は別としても……くらっしゅ殿の動きまで合わさっていますね……)
クラッシュ『こんにちわ~』
男「こんにちわ」
クラッシュ『名前なんてーの?』
男「としあきです」
クラッシュ『としあき……はぁ~~……あぁ~……』
クラッシュ『……良い名前じゃあないかぁ~』
としあき「……///」
クラッシュ『よぉーしときあき、出会った記念だぁ』
クラッシュ『俺が、最高だぜーっ!って言ったら……としあきは両方のヒレを大きく上げて』
『うぉー!!』
クラッシュ『って言うんだぁ~』
クラッシュ『じゃあ行くぜぇ……としあき、最高だぜー!』
としあき「うぉおー!」
クラッシュ『やれば出来るじゃあないかぁ……みんなとしあきに拍手だぁー』
パチパチパチパチ
貴音(……まったく会話に澱みがありません。素晴らしい話術です)
響(…………)ハェー
真(ぼ、ボクも当てられないかなぁ……)ドキドキ
クラッシュ『よーしじゃあ次はみんなでやってみようぜぇ~』
クラッシュ『みんな~、としあきに負けるなよぉ~』
クラッシュ『みんな……最高だぜぇー!』
響「うぉー!」
真「うぉー!」
貴音「ぅぉー……」
クラッシュ『みんな……最高だぜー!』
真「うおー!」
響「うおー!」
貴音「う……うぉー」
クラッシュ『……やればできるじゃないかぁ』
クラッシュ『よぉ~しみんなぁ、自分に拍手だぁ』
パチパチパチパチ
貴音(く、くらっしゅ殿にペースを握られています……)
真(た、楽しい……!)
クラッシュ『よぉ~し、次は前の子供たちに聞いてみようかなぁ……』
―――
クラッシュ『そうかそうかぁ。……りんちゃん、お話ししてくれてありがとうなぁ』
クラッシュ『お前たち……最高だぜぇ~』
響「うおー!」
貴音「うぉー」
クラッシュ『……としあきぃ~、何でヒレ上げてないんだぁ』
真「ちょっ、あははは!」
響「うえぇ!?」
としあき「……///」
クラッシュ『ちゃんと上げなきゃダメだぞぉ~、みんなのリーダーなんだからなぁ』
貴音「いつの間にそのような事に……」
伊織「……ふふふ♪」
―――
クラッシュ『よぉ~しそれじゃあ、俺に質問のあるやつはいるかなぁ?』
クラッシュ『いたらヒレを大きく上げてくれー』
響(……!こ、ここだ!)バッ
響(あう……)ガックリ
貴音「……次もありますよ、響」ボソッ
響「貴音……うん」
クラッシュ『ひろゆき~、何が聞きたいの?』
ひろゆき(9)「どんな食べ物が好きなんですか?」
クラッシュ『食べ物ぉ~!俺な、食べ物の話が大好きなんだよぉ~』
―――
クラッシュ『よぉし、他に質問あるやついるかぁー?』
響「は、はい!」
伊織「……」
クラッシュ『そうだなぁ~……じゃあ後ろから2番目の列の……』
響「!」ドキッ
響「!!じ、自分かぁ!?」
真(凄い響!)
貴音(やりましたね!)
伊織(へぇ~、ラッキーじゃないの)
クラッシュ『こんにちわ~』
響「こ、こんにちわ」
クラッシュ『名前なんてーの?』
響「え、と、響です」
クラッシュ『響ぃ~、俺に聞きたいことは何かな?』
響「そうだなぁ……クラッシュにはどんな家族がいるんだ?」
クラッシュ『家族ぅ~。いいねぇ~』
クラッシュ『俺にはさぁ~息子のスクワートと、あと大切なパートナーがいるんだぁ』
クラッシュ『シェリーって言うんだけどさぁ……もう130年も一緒にいるんだぁ』
響「へえぇ~……」
クラッシュ『はっはっは~、響にも家族がいるのかぁ~?』
響「あ、いるぞ!すごく大切だ!」
クラッシュ『そうかそうかぁ。そりゃあ何よりだ~。響、ありがとうなぁ』
クラッシュ『お前たち……最高だぜー!』
真「うおー!」
貴音「うぉー」
響「うおぉー!」
―――
響「最高だったぜー!」
真「うおぉー!」
伊織「……いつまでやってるのよまったく」
貴音「まぁまぁ。……くらっしゅ殿と話が出来た響を見て……わたくしまで一緒に嬉しく思いますよ」
伊織「……まあねぇ」
貴音「それで……次の指定時間まで何をしていれば良いのでしょう?」
伊織「それなんだけど……響、真!」
響「んあ?」
真「なんだい?」
伊織「自分の欲しいものも、お土産も……この時間を使って買うわよ」
真「今からかい?」
伊織「ええ」
響「どこで?」
伊織「メディテレーニアンハーバーにお店が集中してるわ。ロッカーもあるからそこで買うのがいいわね」
伊織「あとは、ここにもダッフィーグッズ専用のお店があるの。寄りたいならそこも寄るわ」
真「この時間なのは意味があるのかい?」
伊織「大有りよ!マジック・ランプ・シアターを見た後に買い物するなんて危険すぎるわよ」
伊織「マジック・ランプ・シアターのファストパスは19:40からでしょう?」
響「そうだな」
伊織「シーでは、20:00から夜のショーが始まるの」
伊織「『ファンタズミック!』や『マジック・イン・ザ・スカイ』っていうやつね」
伊織「そしてシーに来る客のほとんどは、ショーが終わると同時に帰るようになるわ」
貴音「……!成程、それでは確かに危険ですね」
真「え、なんで?なんで?」
伊織「いい?私たちがマジック・ランプ・シアターを見終わるのが20時前後」
伊織「そこから買い物を始めたとして……おそらくパレードに人が集中してるから、店内は空いてるかもしれないわ」
響「そ、そのほうがいいんじゃないのか?」
伊織「違うの……もし買い物中にショーが終わったりしたら……」
真「あ……帰る人ですごく混むのか!」
伊織「……そういうこと。今日は新堂の迎えで来たからいいけど、もし電車を使うことになってたりしたら……」
響「そ、うか……そこもすっごくたくさん人が集まっちゃうのか……」
真「……そうだね。今のうちに買ったほうがいいのか」
響「なるほどなぁ~。そこまで気がつかなかったなぁ」
貴音「それでは、今のうちに買い物を済ませておきましょう」
伊織「ええ……じゃあ一番近いから、『マクダックス』から行きましょう」
―――
『マクダックス・デパートメントストア』
ニューヨークの街の一区画を占領する大きな建物は、
世界で一番リッチなアヒル、スクルージ・マクダックが経営する百貨店。
お菓子やアクセサリー、ステーショナリーなどさまざまなグッズが手に入ります。
質屋から始めたスクルージの商売は大繁盛して、
今では金貨でできた噴水までつくるほど!
まさに、アメリカンドリームを手に入れたアヒルですね。
伊織「スクルージもフリーグリーティングで現れることがあるわよ」
真「ドナルドの伯父さんで、お金大好き、かぁ……」
響「あんまりディズニーっぽくないけど、面白い人だな!」
貴音「……面白いアヒル、の間違いでは?」
伊織「ま、『シーと言ったらダッフィー』って考えてもおかしくないもの」
伊織「だからグッズもダッフィーやシェリーメイのものが多くなるわよね」
響「……へぇ、自分で着せ替えられる衣装もあるのかぁ」
貴音「こちらの裸のだっふぃー殿に着せるのでしょうか」
響「……間違ってないけど、裸って……」
貴音「何かおかしなことを言いましたか?」
真「ダッフィーも可愛いよなぁ……」モフモフ
真「……はあぁ~」モフモフ
真「ショーでしか見れなかったもんなぁ。グリーティングもしたかったよ」
伊織「……次来た時にグリーティング行けばいいじゃない」
真「え~!?……だってさぁ、次が何時か、なんてわからないじゃないか」
伊織「……そんなに気に入ったんなら、また連れてきてあげるわよ」
伊織「何回来ても楽しいのがディズニーだもの。雪歩ややよいも一緒に誘ったっていいわよ?」
伊織「……今度はランドに行こうかしら?にひひっ」
真「……」モフモフ
真「そう……だね……」モフモフ
真「うん……!また、みんなで来ようよ!」モフモフ
伊織「…………」
伊織「……どうでもいいけど、そのダッフィー買うのよね?」
―――
18:40、メディテレーニアンハーバー…中央
『エンポーリオ』
とにかくたくさんお買い物したい! そんな人におすすめなのが、
パーク内で一番大きなこのショップ。
イタリア語で“百貨店”という名前のとおり、
ぬいぐるみ、ステーショナリー、生活雑貨などさまざまなグッズがそろっています。
天井に描かれた夜空もこのお店の自慢。ぜひ見上げてみてくださいね
お店の壁には、ミッキーやミニー、ドナルドとデイジーなど、
ディズニーの恋人たちが描かれた絵画が飾られ、とってもロマンティック!
キャンディーやチョコレート、クッキーなどのお菓子がいっぱいのこのショップでは、
毎日がヴァレンタインデー。
大好きなあの人へ、甘~い愛を贈りませんか?
伊織「この二つの店を中心にして、近辺も含めればだいたいのお土産は揃うわね」
貴音「それぞれのお店を伺う、ということですね」
伊織「そうよ。バラバラだと連絡取りづらいから……2人1組で行動しましょ」
響「うぅ~ん、イヌ美たちに食べさせられるお菓子ってなんだろうなぁ……」
伊織「……普通に止めときなさい。ペット用品はエンポーリオにもあるから」
貴音「真、この帽子はどうでしょうか?」
真「プ……た、貴音にスティッチは似合わないよぉ……ククク……」
貴音「はて、そうでしょうか。とても良いと思ったのですが……」
響「うわ可愛い!そっかぁ……こういうの買うのもいいのかぁ」
伊織「チケット入れなら、また来た時にも使えるもの。いいと思うわよ」
響「ま、また、か……そうだな!」
響「自分、今日はすっごくすっごく楽しかった!また来たいから……これ買うよ!」
伊織「……柄はそれでいいの?」
響「え?……ちょ、ちょっと待ってくれよ……うーん、こっちもいいなぁ……」
伊織「……♪」
貴音「……真」
真「なんだい?」
貴音「今まで遊園地という娯楽施設、ましてやでぃずにーという作品たち」
貴音「どちらとも、わたくしには必要のないものだと思っていました」
真「…………」
貴音「ですが、今日という日を体験して……その考えを改める必要が出てきたようですね」
貴音「はい。……心踊り、気持ちが軽やかになる」
貴音「ひょっとすると、皆でこういうことをするのが初めてだから……」
貴音「『でぃずにーらんど』でなくとも、この気持ちは味わえたのかもしれません」
真「……うん」
貴音「しかしわたくしは、みっきー殿や、数々の仕掛けたち」
貴音「それら全てに、心奪われてしまいました」
貴音「このような気持ちにさせてくれたこと……」
貴音「そして、このような時間をともに過ごせたこと……たいへん嬉しく思います」
真「……へへっ」
真「それだったら、ボクなんかよりも響や伊織に言ってあげなよ」
真「怖がる貴音にずっとついてあげたのは響だし、ボクたちを導いてくれたのは伊織なんだ」
真「それに……ボクだって、貴音たちと一緒に遊べて、すごく楽しかった。こっちからもありがとう」
貴音「……ふふ、真らしいお言葉ですね」
19:20、メディテレーニアンハーバー・中央
真「も~、どうしたんだよ二人とも。遅いよ」
響「ご、ごめん。思ったよりも混んでて……」
伊織「……いいのよ響。真にはあげないってだけの話だもの」
真「なにが?」
貴音「……!」ピクッ
貴音「この香り……何を持っているのですか?響、伊織!」
伊織「……あんたイヌじゃないんだから」
伊織「これよ……私たちの晩ごはん」
真「うわ、たくさん……これってパン?」
響「へっへ~、そうだぞぉ!伊織と一緒に、晩ごはん買ってきたんだ!」
貴音「ああ……鼻をくすぐる芳しい香りが……」
伊織「……ちゃんとあげるから、袋から顔を離しなさい」
『マンマ・ビスコッティーズ・ベーカリー』
村人たちから“お母さん(マンマ)”と呼ばれて親しまれている、
ビスコッティー夫人が営むパン屋さん。
香り豊かな焼きたてのパンは、朝早くから働く村人たちの元気のもとです。
さまざまな種類の手づくりパンやペイストリーを、
いれたてのコーヒーと一緒に心地よいオープンエアの席でどうぞ。
伊織「……モグモグ……席は混んでたから、テイクアウトにしたわ」
真「…………」
貴音「……これは……モグモグ……みっきー殿の形をしたパンですか……モグモグ」
伊織「人気だから無くなる直前だったわね……モグモグ」
真「…………」
響「モグモグ……ま、真……」
真「伊織さぁ……」
伊織「どうしたの?」
真「さっきあんなこと言ってたけどさぁ……本当にくれないとは思わないじゃないか!」
伊織「にひひっ、冗談冗談よ、ほら」スッ
伊織「お土産もかさばらなかったし……ロッカーは使わなくて済みそうね」
ガサガサ
響「そもそもどこにあったんだ?ロッカーって」
伊織「エントランスの近くにあるわよ」
貴音「……入り口近くで土産を買って、それらを仕舞いつつ錠をする」
貴音「そして身を軽くして楽しみつつ、帰る際に必ず通るから、そこで土産を回収する」
貴音「……非常に無駄のない、洗練された配置なのですね」
伊織「そりゃあそういうことだけど……そこまで難しく考えてどうするのよ」
貴音「……ふふ」
貴音「次回の参考に……と」ニッコリ
伊織「……ふーん、あんたもその気アリ……なわけね」ニヤリ
貴音「ええ」キラーン
伊織「じゃあ……次来るときは……タワー・オブ・テラーに2回は乗ってもらうわよ?」ニヤリ
貴音「……!ぜ……善処致します……」
19:40、アラビアンコースト
『マジック・ランプ・シアター』
ここは、宮殿の中庭に張られたテントの中。
自称“世界で一番偉大なマジシャン”シャバーンによる、
初めてのワンマンショーが始まります。
コンビを組んでいるはずのランプの魔人、ジーニーの姿が見えないけれど…。
もしかして、意地悪なシャバーンのしわざ?
真「いよいよ最後かぁ……」
響「なんか名残惜しいなあ……」
伊織「始まる前からそんなしんみりしてどーすんのよ!」
貴音「……そう、でしたね。……最後まで楽しまなければなりませんね」
伊織「……アンタも無駄に使命感帯びすぎよ」
―――
貴音「この眼鏡はまだ使わないのですか」
伊織「途中で指示が出るわ。それまではいらないわよ」
響「シャバーン悪いヤツじゃないか!」
真「ホントだよジーニーを閉じ込めるなんて!それにアシームも助手とは言え可哀想だよ」
貴音「……伊織、じーにー殿は大丈夫なのでしょうか」
伊織「……ま、物語に任せなさい」
―――
アシーム『みんな、鍵はない?席の下を調べてみて!』
響「え?え?え?」
ガサゴソガサゴソ
響「ま、真あったか!?」
真「いや、こっちもないよ」
貴音「わたくしの席も……見当たりませんでした」
伊織「私もないわね」
響「あぁ、アシームが困ってるのに……」
シャバーン『偉大なるマジシャン、シャバーーーンのマジックショーへようこそぉ!』
シャバーン『これから行われるマジックは大変危険を伴いますぅ』
シャバーン『お座席のシートベルトをしっかり締めてくださいねぇ!』
響「……」
スカッ
響「……ん?」
真「……あ、あれ?」
貴音「…………」キョロキョロ
伊織「……♪」
シャバーン『ありませんよぉそんなもの!』
シャバーン『ぬははははは!』
真「……ふ、ふふ…………」
貴音「……まんまと一杯食わされましたね」
伊織「……♪」
―――
ジーニー『イヤァン』
ジーニー『……なぁに見てんのよぉ!』
真「やっぱりジーニーはこうでなくちゃなぁ」
貴音「……ここまで常識破りな方だったのですか」
伊織「そりゃあ精霊に常識は通用しないでしょ……」
―――
ジーニー『いい!?3つ数えたら立ち上がって~?』
『いち』
『にぃ』
…………!
一緒に行く人いない
大丈夫、一人でも楽しめる。
というか、一人で月何回も行く奴だっている。
20:05、マジック・ランプ・シアター前
響「ジーニーが飛び出してたし、最後もすごかったなぁ……これもまた見たいな」
真「そうだね、また今度見に来よう」
貴音「……見世物がもう始まっているようですね」
真「あっという間だったなぁ……。……なあ伊織!」
伊織「……?どうしたの?」
真「今日はすっごく楽しかったよ、ありがとう!……また来ようよ!」
響「ああ!自分も、今まで行ったどの遊園地よりも楽しかったし、また来たいって思ったぞ!」
貴音「……わたくしがわたくしで無くなるのではないか……と思うほどに羽目を外してしまいました」
貴音「伊織……改めて、ありがとうございました」ペコリ
伊織「……ふんっ」
伊織「アンタたちが初めてのディズニーで失敗しないように、勝手に気を回してあげただけよ」
伊織「私のわがままなんだから……感謝される覚えはないわ!」
響「ふ~ん……」ニヤニヤ
貴音「そうでしたか。……それは失礼致しました」ペコリ
伊織「……ムキ~~!」
伊織「なんなのよその顔はぁ!何か言いたいならはっきり言いなさいよ!」
伊織「もう新堂も迎えに来てるけど……乗せてあげないわよ!?」
真「え~!?それはズルいよぉ!」
響「自分、もう帰りの電車賃もないくらい使っちゃったんだぞぉ!?」
伊織「それはアンタの責任でしょうが!」
響「いいじゃないか乗せてくれたってー」
真「ケチ!ケチ!」
伊織「ムッカー!この伊織ちゃんをケチ呼ばわりとはいい度胸じゃないの」
貴音「……ふふふ」
~~~
P「おっすおはよーございまーす」
小鳥「おはようございますプロデューサーさん」
P「……あ、ディズニーランドのクッキーだ」
P「また春香と千早が行ってきたんですか?」
小鳥「……ふふ、違いますよ」
P「ん?じゃ誰です?」
小鳥「伊織ちゃんですよ」
P「ああ伊織かぁ。……てことはやよいもですよね?」
小鳥「いいえぇ?違いますよ」
P「え!?じゃあ誰です?」
小鳥「うふふふ……」
雪歩「……わぁ。四条さん、スティッチのボールペンなんて使うんですか?」
貴音「はい。……何か、不都合な点でもありましたでしょうか?」
雪歩「い!?いいいいえいえいえいえ、……四条さんって、そういうキャラクターものとか、使わないと思ってたから……」
貴音「ふむ、成程……」
雪歩「……?」
貴音「いえ……なんでもありません。……皆が集まれる日が来れば、そのときに……」ニコリ
雪歩「へ?……は、はいぃ……」
―――
真「ランドだったら……プーさんのハニーハントかなぁ」
響「うーん……モンスターズインクのアトラクションも乗ってみたいなぁ」
やよい「……!お二人とも、ディズニーランドの話ですかぁ!?」
真「あ、やよい」
響「そうだぞ!ランドでどこに行ってみたいかって、話してたんだ」
真「へぇー……じゃあ、色々教えてもらおうかな」
やよい「あ……で、でも、モンスターズインクはすっごく人がいて……」
響「別に気にしなくていいさぁ。やよいの知ってること、教えてくれよ!」
やよい「……は、はい!」
―――
律子「伊織、お疲れ様」
伊織「はいはい、律子もお疲れ様」
律子「フゥー……何とか終わったわねー」
律子「今日は伊織の調子が良くて助かったわ、本当に」
伊織「そうかしら?」
律子「ええ、この前までが普段どおりの……80%くらいだとすると……」
律子「今日は140%くらい!それくらいキレキレだったわよ」
伊織「ふーん……」
伊織「…………」
伊織「……そう、ねぇ」
伊織「じゃあ、私が元気になった所に、律子も一緒に行きましょうよ」
律子「……ん?どっか行けばいいの?」
伊織「ええ」
伊織「なんなら、竜宮小町のみんなで行くのもいいわね」
律子「へぇ~、行くと元気になれる……パワースポットみたいね」
伊織「律子と二人でも面白そうだけど……みんなで行ったほうがもっと楽しいわ」
律子「ふーん……まぁ、来週は丁度オフの日もあるけど……どこに行けばいいわけ?」
伊織「……にひひっ」
伊織「ディズニーランドに行きましょう!」
おわり
軽い気持ちで始めたのが間違いでした。
長い間、支援や保守し続けてくれてありがとうございました。
ランドもシーも、それぞれ各々の回り方があります。
今回のものもあくまで一例として捉えてください。
またキャンペーンやショーの内容も季節ごとに変わります。
ファンカストやフリーグリーティングのキャラも出てこない日があったりします。
リアルがSSの通りにならないこともままありますのでご了承ください。
本日はこのSSをご覧頂き、真にありがとうございました。
ためになった。よかったよー!
久しぶりに行きたくなった
「真にお礼しなきゃね…」的な伏線って回収されてたっけ
忘れてた、ごめんw
まぁ伊織のことだから、みんなのお土産の中に、
真のために買ったものも入ってたことでしょう
くっそ!!なんで沖縄は陸続きじゃないんだよ!!
まるまる一日かかるとか……
それだけ面白かったのさ
またいつかでいいんで期待してます
Entry ⇒ 2012.07.19 | Category ⇒ アイマスSS | Comments (0) | Trackbacks (0)
照「私に妹はいない」
照「麻雀の役の名前だよ」
照「『山の上で花が咲く』って意味なんだ」
咲「咲く?」
咲「おんなじだ!!私の名前と!!」
照「そうだね、咲」
照「森林限界を超えた高い山の上」
照「そこに花が咲くこともある」
おまえもその花のように――
強く――
照「さっきから大丈夫だっていってるじゃん」
照「そんな子供扱いしないで」
母「あんたなんてまだまだ子供よ」
母「…それに」
母「あんたがいくつになったって私の子供であることに変わりないんだから」
照「そういうこと言ってるんじゃないでしょ」
母「大人ぶっちゃって」
照「……ふん」
母「ちゃんとさよならはしたの?」
照「したってば」
照「お父さんったらほんとにめそめそして泣きそうになっちゃってるんだもん」
照「私なんかよりよっぽど子供みたい」
母「子供と別れるのが親にとってどれだけ辛いことか」
母「私だってあの子を置いていくのが……」
照「……」
母「本当にいいの?」
母「あの子、あんなに泣いてあんたと話したがってたわよ」
照「……いいの」
照「私にはもうあいつのことが理解らない」
母「……そう」
照(……)
照(……咲)
母「咲も中学生になったことだし」
母「これからはお金を賭けて打ちましょうか?」
父「おいおい」
父「たかが家族麻雀でお金を賭けることなんてないじゃないか?」
母「だめだめ!」
母「負けたときに何か代償がないと真剣になれないじゃない」
母「別に振り込んでもいいやなんて癖がついちゃうと高校生やプロになったときに困るわよ」
父「気の早い奴だなぁ…」
照「私は構わない」
照「むしろその方が燃える」
咲「そもそも私お金なんて持ってないよ…」
母「あの変なペンギンの貯金箱にお年玉とか貯めてたでしょ?」
母「そんな心配しなくても安いレートにするからさ」
母「負けられないっていう気持ちが大事なのよ気持ちが」
父「おまえは言い出したら聞かないからなぁ…」
母「分かってるじゃない」
母「ルールは今まで通り25000点持ちの30000点返しのウマはなし」
母「レートはそうねぇ…最初だし※点1でいいでしょ」 (※1000点=10円)
母「そうと決まればさっそく始めるわよ」
ジャラジャラ
母「ツモ!」
母「私のトップで終了ね」
母:+27 咲:+3 照:-8 父:-22
照「ふぅ」
父「かぁ~」
父「相変わらず強いな」
父「そもそも元プロ雀士のおまえに俺やこいつらが勝てるわけないだろ」
母「あなたはどうせ無理でしょうけど照も咲もすっごく才能あるもの」
母「いつ追い越されるか分からないわ」
父「……俺にはどうせ無理かよ」
咲「お父さんとお母さんは東京で出会ったんだよね」
母「そうよ」
母「私は東京でプロとして活動していて、お父さんは小さい出版社で麻雀雑誌の記者をしていた」
父「小さいは余計だ」
母「ある大会前のインタビューで知り合ってすぐに意気投合しちゃってね」
母「お父さんったら弱いくせに麻雀のこと大好きなんだもん」
父「いいんだよ俺は楽しく打てりゃそれで」
母「お父さんが結婚したら空気のおいしい所でゆっくり暮らしたいって言い出してね」
父「あの東京の人の多さはいつまでたっても慣れなくてね」
母「結婚後もしばらくは東京に居たんだけどね、プロとして東京で活動することに未練もあったし」
母「でも」
母「あなたが生まれた、照」
照「……」
母「生まれた照の顔を見てたら思ったの」
母「あぁ、これからはこの子の、家族のために生きようって」
照「……」フイ
母「プロとして元々ぱっとした成績も残せてなかったしここらが潮時かなってね」
咲「へぇ~」
咲「なんだかロマンチックだね」
父&母「そうかな」テレテレ
照「そんな昔話する暇あったら寝る前にもう一半荘打つよ」
父「つれないなぁ~」
父「おまえ恋愛小説とか大好きじゃないか?」
照「…ぅぐ」
照「それとこれとは関係ないでしょ」
照「それより私はもっと麻雀が強くなりたいの」
母「頼もしいこと言ってくれるじゃない」
母「ま、次も私が勝たせてもらうけどね」
母(あなたの向上心はほんとにすばらしいわ、照)
母(そして咲にも照に負けないくらいの才能がある)
母(ほんと将来が楽しみだわ、二人とも)
咲「おかえり!お姉ちゃん」
照「お母さんは?」
咲「今買い物に行ってるよ」
照「そう。咲はまた本読んでるの?」
咲「うん!『ハリーポッター』っていうの」
咲「知ってるでしょ?今世界中ですっごい売れてるんだよ!」
照「聞いたことはある。魔法使いの話だっけ?」
咲「そうだよ!終わったらお姉ちゃんに貸してあげよっか?」
照「いいや。あんまりファンタジーは好きじゃないもの」
咲「えぇ~面白いのに」
照「お子様の咲にはまだ早いかもね」
咲「何それ!お姉ちゃんだって彼氏もできたこともないくせに」ツン
照「なっ…!」
照「ク、クラスの男子なんてみんな子供だもん」
照「それに、今は麻雀が恋人だからいいの」
咲「女子中学生がそのセリフは悲し過ぎるよ…お姉ちゃん…」
照「うるさい」
咲「それにさ、ハリーポッターにだってちゃんと恋愛の要素はあるんだよ」
照「どうせお子様同士の恋愛ごっこみたいなもんでしょ?」
咲「違うよ!」
咲「ずっと暗くて陰湿な奴だと思ってた人が、実は初恋の相手を死んだ後も何年も想い続けてたっていう素敵な話なんだから」
照「何それこわい」
咲「もお!ほんとにお姉ちゃんは夢がないんだから」
照「いや、今の説明でそんなこと言われても……」
咲「そういえば、もう少ししたら京ちゃんの家に行かなきゃならないから留守番よろしくね」
照「!!」
照「き、京ちゃんってあの須賀っていう男の子だっけ?」
咲「そうだよ」
照「そ、その、二人っきりで遊ぶ約束でもしているのか?」
咲「?本を貸しに行くだけだよ。京ちゃんってば全然本とか読まないからさ」
咲「私のおすすめの本を貸してあげるの」
照「そ、そうか……」
照(こんなうぶな妹に先を越されては姉としての威厳が…)
咲「そういえば今日お父さん帰りが早いって言ってたね」
照「そうだな」
照(男はみんな飢えた魔物だ。油断してたら何があるか分かったもんじゃない)
照(私より先にボーイフレンドつくるなんて許さんからな)
照「夕食の後は麻雀するだろうし一刻も早く帰ってこいよ」
咲「う~ん」
照「どうした?」
照「いいじゃないか。お母さんの次に咲が勝ってるんだし」
照「それに、私も咲もだんだんお母さんに勝てるようになってきたじゃないか」
咲「それはそうだけど……」
照「お父さんの心配をしているのか?確かにあのラス率は驚異的だな」
照「だが、お父さんはああいう性格だしあのレートならいくら負けても子供が気にするようなことじゃないぞ」
咲「そうじゃないけど」
咲「うぅん…何でもないよ」
照「?」
照「ツモ」
父「最後は照のトップで終了か」
父「強くなったなぁ」
照「まぁこれだけ打ってればね」
照「トータルでは相変わらずお母さんのトップだけど」
母「そう簡単に追い越されるわけにはいかないわよ」
父「咲はほぼトントンか」
父「最近の咲はずっとこんな調子だな」
咲「う、うん……」
母(……)
母「いいじゃない。あんたたちから巻き上げたお金はおかずを豪華にしたりしてちゃんと還元してるのよ」
父「分かってるさ」
父「しかし、そんな下手な打ち方してるわけでもないのに何でこんな勝てないかね」
母「あなたはセオリー通りに打ってるだけだからね」
母「手牌も読みやすいし何よりもっと流れを感じなきゃ」
父「さすが元プロは言うことが違うなぁ」
父「俺には流れなんて全くもって見えないよ」
母「それはあなたに才能にないって証拠よ」
父「はは、返す言葉もないよ」
母「それじゃ私はシャワー浴びてくるから」
母「夜も遅いしあんたたちは早く寝なさいよ」
照&咲「うん」
照(流れ……か)
ジャー
母(……最近の咲)
母(明らかに萎縮してあまり勝たないような打ち方をしてる……)
母(それは恐らく私のせいね……)
母(なんて情けないのかしら)
母(必死に殺してるつもりでもどうしても胸がざわつくのを抑えられない)
母(プロとして私が積み上げてきた麻雀がまだ高校生にもならない我が子に追い抜かれようとしている)
母(……照にはもうすぐ)
母(……そして、咲にはもう)
咲「何?お母さん」
母「最近麻雀打ってるときあまり楽しそうじゃないね?」
咲「そ、そんなことないよ…麻雀大好きだよ?」
母「いいの。子供が親に隠し事したって無駄なんだから」
咲「……うぅ」
母「ごめんね。気なんて遣ったりせずあんたは伸び伸び打てばいいんだから」
咲「……」
咲「分かったよ、お母さん」
母「……」
照「……」
父「…い、いやぁ最近の咲はめちゃくちゃ強いなぁ」
父「ここ数週間ずっとトップじゃないか」
咲「そんな、たまたまだよ」
ガシャッ!!
咲「!!」ビクッ
母「先に寝かせてもらうわ」
母「悪いけど片づけよろしくね」スタスタ
父「はぁ…」
咲(……うぅ)
照「……」
母「……」ボフッ
母(何て弱いんだ私は)
母(自分で自分が嫌になる)
母(咲にあんな言葉掛けといてこんな姿を見せちゃうなんて)
母(……誓ったはずなのに)
母(照が生まれたとき)
母(麻雀への未練を捨てこれからは家族のために生きるって……)
母(プロとして戦ってきた誇りが)
母(麻雀を大好きだって気持ちが)
母(あの日の誓いの邪魔をする)
母(子供に負けて本気で悔しがるなんて母親失格だ、私)
母(私の夢を子供に託すなんてエゴが)
母(そもそも最初から間違いだったんだ……)
父「落ち着いたかい?」
母「うん。本当にごめんなさい」
父「ほんとは怒らないといけないところなんだろうけどさ」
父「おまえの麻雀に対する気持ちを否定することはできないよ」
母「……」
父「もう家族で麻雀をするのはやめよう」
母「……」
父「このまま続けても咲もおまえも苦しいだけだ」
母「そうね」
母「咲の性格なら、何を言ってもあの子はもう本気で打とうとしないでしょうね」
父「ああ」
父「どうして!?」
母「照がいる」
父「……」
母「あの子は私の意志なんて関係なしに純粋に麻雀が好きで、本気で強くなりたいと願ってる」
母「咲や私と打つことは必ずあの子にとって大きな財産になる」
母「今あの子から麻雀を遠ざけるなんて、そんな残酷なマネ私にはできないわ」
父「じゃあ咲はどうなるんだ」
母「咲が将来麻雀を続けるかどうかはもう私から何も言えない」
母「でも、いっしょに暮らしてるうちは姉妹仲良く麻雀を打っていてもらいたい」
母「いつ離れ離れになるか分からないし」
母「照を東京の高校に進学させようかと思ってるの」
母「知ってるでしょ。白糸台高校の監督が私の友達で、照をうちに預けてみないかって誘われてるの」
父「そんな話聞いてないぞ!」
母「もう少ししたら言うつもりだったわ」
母「そのときはあなたを説得して、家族みんなで東京に引っ越すつもりだった」
父「……」
母「でも、それももう難しそうね」
母「叶うなら咲も白糸台へ行って二人手を繋いで麻雀を続けてほしかったけど」
母「今の咲はきっとそんなこと望まない」
母「東京の激しい競争の中で好きでもない麻雀を続けるより」
母「長野で穏やかに暮らしたいとあの子は思うでしょうね」
母「まだよ」
母「でも照はこの話を聞いたら東京に行きたいって言うんじゃないかな」
母「咲はあなたに似て、照は私に似てるもの」
父「……そうだな」
母「とにかく」
母「さすがに私も吹っ切れたわ」
母「もう子供たちに自分の夢を重ねたりしない」
母「後はただ、あの子たちが望むように……」
照(あの日以来ずっとプラマイゼロか)
照(おまえには一体何が見えてるんだ)
照(お母さんには勝ち越せるようになってきたが、おまえの強さに届く気がしない)
照(私のほうがずっと麻雀が好きで、強くなりたいと思ってるはずなのに)
照(お母さんも同じ気持ちだったんだろう)
照(私よりずっと麻雀を打ってきたから、私よりよっぽど悔しかったんだ)
照(どうすれば、咲のように強くなれる……)
照「ああ、ちょっと考え事をな」
咲「窓開けるよ。それに扇風機ぐらいつけようよ」ポチ
照「悪いね」
ブオオオオオオン
咲「ふぃ~涼しい」
照(普段はほんと無邪気なやつだな)
咲「あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛」
照「……」
照「中学生にもなって何をやってるんだ」
咲「え~やりたくならない?」
照「ならん。だから咲は子供っぽいと言ってるんだ」
咲「ふん。お姉ちゃんはすぐ大人ぶるんだもん」
照(風……扇風機……空気の流れ……)
照(『流れ』か……いつかお母さんが言ってたな)
照(お父さんは場の流れが読めてないから弱いって)
照(麻雀が強いか弱いかの差は流れを感じ取れるかどうかにある)
照(それじゃあ強者と更にその上の領域にいる者とを隔てるものは何だ……?)
照(それは、お母さんがトッププロになれなかった理由……私と咲とを分けるもの……)
照(……)
照(流れに乗るだけじゃだめなんだ)
照(咲は樌一つで場の流れを自分のものにし、自らの点数をプラマイゼロに収束させる)
照(場の流れを自ら作り出す力……すなわち……)
咲「どうしたのお姉ちゃん、またぼぉーっとして?」
咲「お姉ちゃん……?」
照(場の支配……!)
母「ロン」
母「今日はこれでおしまいにしましょうか」
母:+23 父:+3 咲:±0 照:-26
父「久しぶりに浮いたなぁ」
母「ほんと、あなたがプラスなんていつ以来かしら」
咲「うーん、今日も勝てなかったよー」
父「……」
母「……」
照「……」
照「ちょっと試したいことがあってね」
父「ふーん?」
照「それじゃ私寝るから」
咲「あっ、待ってよお姉ちゃん」トテトテ
咲(今日は何だかいつもより手間取っちゃったな)
父「どう思う?」
母「何か変わろうとしてるのは間違いないわね」
母(やっぱり、あの子のために麻雀を続けて正解だった)
照(自分の名前というアイデンティティーとも深く結びついたあの子だけの能力)
照(牌を4枚揃えるだけでいつでも発動できるという強み)
照(大明樌もあるから他家への縛りにもなる)
照(我が妹ながら本当に恐ろしい力だなまったく)
照(私にはそんな天性のものはない)
照(だから、自分の打ち筋に誓約を課し、自らのリズムを場に刻むことで流れを作り出す)
照(相手の打ち筋や調子、場に生じる僅かな流れをまず感じ取る)
照(次局は流れを読んでとにかく和了り、次第に打点を上昇させるという制限を課す)
照(そうして牌の流れを私自身が作り上げることで場を支配するんだ)
照(イメージはそう…空気の流れを生みだす扇風機といったところか…)
照(……ふふ)
照(我ながら愚直でオリジナリティーのない発想だな)
照(だが、生まれ持った才能がない私でもやれるってことを証明してみせる)
照(お母さんに……そして、咲に……!)
照「ツモ」ギュルルル
照:+38 咲:-3 母:-10 父:-25
咲(……うぅ)
父「ひゃぁー何にもできなかったよ」
父「それにしても最近の照は面白い打ち方するな。何か理由でもあるのか?」
照「説明するのめんどくさい。言ってもどうせお父さんには分かんないし」
父「……おぉ」
照「それじゃ私寝るね」
母「ちょっと待って、照。あなたに二人きりで話があるの」
照「?」
照「麻雀部があるとこならどこでもいいよ」
照「最初は風越にしようかと思ってたけど、強いところを倒して全国に行くってのも面白そうだし」
母「実はね、あなたを東京の高校へ行かせようかと思ってるの」
照「え?」
母「白糸台っていう私の友達が監督してる高校なんだけどね、名前ぐらいは聞いたことあるでしょ」
照「そりゃあ……でも何で?」
母「最初は照により整った環境で麻雀を磨いてもらいたいって気持ちだった」
母「でも、今はちょっと違うかな」
母「こんな田舎の高校じゃあなたはきっと満足できない」
母「曲りなりにも元プロだった私の目から言わせてもらえば、あなたに勝てる高校生なんてそうそういない」
照「……」
母「かつて私が辿りつけなかった場所が、単に才能の有無によるものだけじゃなかったんだってことが少し嬉しくもあるんだ」
照「……」
母「私が麻雀で照に教えてあげられることなんてもう何もない」
母「だからこそ、せめてあなたを広い世界へ連れて行ってあげることが私ができる精一杯のことだと思う」
照「そうなれば家族で東京に引っ越すってこと?」
母「それはまだ分からないわ。お父さんはここが好きだし」
母「でも、あなたが東京に行くなら私は付いていくつもりよ」
母「もちろん今すぐ答えを出せなんて言わない。まだ時間はあるし」
照「お母さん……私……」
照「東京に行きたい」
母「当たり前じゃない、あの子は私に似てるもの」
父「どうして嘘をついたんだ?」
母「何のこと?」
父「引越しのことだよ!俺は照のためなら東京に住むことになっても構わないって言っただろ!」
母「ごめんなさい。でもああ言うしかできなかった」
父「どういう意味だ?」
母「……」
母「照にとって、咲は側にいないほうがいいんじゃないかと思うの……」
父「お、おまえ……!」
父「滅多なことを口にするもんじゃない!あの子たちはたった二人きりの姉妹だぞ!」
母「でも、あの子の存在…いいえ…あの子の麻雀は、照にとってきっと重荷になる」
父「そんな……最近は咲だってプラマイゼロにするのに苦労してるみたいじゃないか」
母「それは照が急激に強くなったからよ。しばらくして慣れれば恐らくまた……」
父「でもおまえも言ってたじゃないか。咲は麻雀を続けないだろうって」
母「多分ね。でもあんな麻雀を忘れられるわけがない」
母「それに、咲が麻雀を続けることがあれば今度こそ二人は潰し合いかねない」
母「いえ、今の力では潰されるのは照の方でしょうね……」
母「そんな未来だけはどうしても……どうしても見たくない……」
父「……」
父「少し落ち着け。それじゃあ咲がかわいそ…」
母「そんな言い方はやめて!!」
母「愛してるわよ、咲のことだって照と同じくらい」
母「でも、私はあの子の……照のひたむきな夢を全力で応援してあげたい……」
父「……悪い」
母「ちょっと意外ね」
母「今度こそ『たかが麻雀で』って怒られるかと思ってたんだけど」
父「……言えないよ、その言葉だけは」
父「麻雀を愛するおまえを好きになったのは俺だ」
母「さっきはあんな意地悪なこと言ったのに」
父「……それでもだよ」
照「何?」
咲「お父さんとお母さん、何か言い争いしてるみたいだね」
照「……」
咲「さっきお姉ちゃんが呼ばれたことと何か関係があるの?」
照「……咲」
咲「ん?」
照「私、東京の高校に行くことにしたんだ」
咲「えっ!」
咲「そんな…じゃあ皆で東京に引っ越すってこと?」
照「それはまだ分からないって。私とお母さんだけ行くことになるかも」
咲「そんなの嫌だよ!お姉ちゃんとお母さんと離れ離れになるなんて」
照「……」
照「私は眠いからもう寝るね」
照「おやすみ、咲」
咲「……うぅ、おやすみなさい」
照「ロン」
照:+35 咲:±0 母:-10 父:-25
母「……」
父「……」
照(……っく)
咲「あのさ、お姉ちゃんに聞いたんだけど」
咲「お姉ちゃんとお母さんだけ東京に行くかもしれないってほんとなの?」
母「……本当よ」
咲「私も長野を離れるのはちょっと寂しいけど、そんなの全然平気だよ」
父「すまない、咲。でもお父さんはここに残ることに決めたんだ」
咲「お父さんは寂しくないの!?」
父「もちろん寂しいさ。でも離れるったって一生会えなくなるわけじゃない」
父「それに、今の世の中そう簡単に仕事なんて見つかるものじゃない」
父「お父さんが家族を養えなくなったら皆困るだろ。分かってくれ、咲」
咲「……そんな」シュン
咲「何、お姉ちゃん?」
照「もうすぐ家族で麻雀することもできなくなる。だから」
照「これからは手を抜くのなんてやめて本気で打て」
咲「……私は手なんて抜いて」
照「そんな見え透いたごまかしはいらない。私は本気のおまえの力が見たいんだ」
咲「……うぅ」
咲(家族はギスギスするし…お姉ちゃんとお母さんは遠くに行っちゃうし…)
咲(……麻雀なんて)
ジャラジャラ
父「明日の朝には二人とも東京に出発か」
父「家族で麻雀するのもこれで最後だな」
照「咲、最後にもう一度言っておく」
照「本気で打て」
咲「……私はいつも真剣に打ってるよ」
照「……」ギロ
咲「……うぅ」
咲:+22 照:+10 母:-7 父:-25
照「……」ギリ
咲「最後でようやくトップとれたよ。やっぱお姉ちゃんは強いね」
照「そうだな。これで私のトータルトップ、咲は毎度の如くトータルプラマイゼロか」
咲「……そ、そんなの偶然だよ」
照「前に私が忠告してからずっとこうなのに何が偶然だ!」
照「どうして本気で勝とうとしない!」
咲「……」
照「おまえ!まだそんなことを!」
母「そうじゃない…そうじゃないのよ、咲」
咲「……お母さん」
母「前に私がとった態度は本当にごめんなさい。咲には悪いことしたと思ってる」
母「でもね、あれは怒ってるんじゃないの。悔しかったのよ」
母「麻雀が好きだから、本気で打って負けたら悔しい」
母「でもね、今のあなたの打ち方じゃ相手は本気で悔しがることもできない」
母「悔しさよりもっとみじめで暗い感情が残るだけ」
咲「そんなの分からないよ!怒ってるのも悔しがってるのもいっしょじゃない!」
照「そんなことも分からないから、おまえは子供だって言ってるんだ!」
咲「知らないよそんなの!私は麻雀好きじゃないもん!」
照「……おまえ!」ギリ
咲「おかしいよこんなの!家族で喧嘩して、お姉ちゃんとお母さんは東京に行っちゃって……!」
咲「たかが麻雀なんかのために…!」
パシィィン!
ドサッ
咲「……お、お姉ちゃん」ヒリヒリ
咲「……ぅぐ」ダダッ
照「……」ジワ
照「私とお母さんが大好きな麻雀を……あんな言い方…ヒグッ…許せない…」
母「……」
父「分かったから……今日はお母さんの部屋で寝なさい」
照「……」コク
父「おまえの位置なら照を止められたんじゃないのか」
母「……そうかもしれない……わね」
父「照と同じ気持ちだったのか?」
母「……」
父「咲はまだ中学1年生なんだぞ」
父「たまたま強い才能を持って生まれてきただけで、勝負事が嫌いな優しい子なんだ」
父「勝負ってのがどんなものか分かってないだけで、あの子は本当におまえや照に勝って喜んでほしいと思ってただけなんだよ」
母「……分かってたつもりだった」
母「あの子の成長を見てたら、どうしても照に感情移入してしまう」
母「本当に咲と一緒にいないほうがよかったのは、照より私の方だったのかな」
父「……そんなことは」
母「たった二人きりの姉妹なのに……これが最後の夜なのに……こんな別れ方をさせてしまうなんて」
母「やっぱり母親失格だ、私」
父「……俺もだよ」
母「咲、昨日はごめんね」
咲「……お母さん」
母「でもね、離れ離れになってもずっと咲のこと想ってるから」
母「愛してるから」
母「だから、いつでも東京に遊びにおいで」
咲「でも、お姉ちゃん……一言も口を聞いてくれない」ウルウル
咲「私の顔なんて…ウグ…見たくないに決まってる…」
咲「……謝らなきゃいけないのに」
母「……でもね、咲」
母「これだけは覚えておいて」
咲「……ヒッグ……?」
母「あなたが何かを本当に大好きだと思えたとき……」
母(それが麻雀であればいいと願っていたけれど……)
母「照の気持ちがきっと分かるはず、あなたは優しい子だから」
咲「……うん」グス
母「お父さんをよろしくね」
咲「……」コク
照「お母さんがいるから大丈夫だって。それより自分の心配しなよ」
父「こっちは平気さ。長野は良いところだし、咲は家事が上手いからな」
照「……」
照「ごめんね、お父さん」
父「何がだ?」
照「私の麻雀のために、家族が離れ離れになっちゃって……」
ワロタ
照「分かるよそれくらい。家族だもん」
父「優しい子だね、照は。ちょっとぶっきらぼうだけど」
照「……ふん」
父「やっぱり姉妹だよ、おまえと咲は」
照「……」
照「それじゃあ私もう行くから」
父「ああ、元気でな」
父「おまえの活躍、見守ってるよ」
照「……うん」
照「さっきから大丈夫だっていってるじゃん」
照「そんな子供扱いしないで」
母「あんたなんてまだまだ子供よ」
母「…それに」
母「あんたがいくつになったって私の子供であることに変わりないんだから」
照「そういうこと言ってるんじゃないでしょ」
母「大人ぶっちゃって」
照「……ふん」
母「ちゃんとさよならはしたの?」
照「したってば」
照「お父さんったらほんとにめそめそして泣きそうになっちゃってるんだもん」
照「私なんかよりよっぽど子供みたい」
母「子供と別れるのが親にとってどれだけ辛いことか」
母「私だってあの子を置いていくのが……」
照「……」
母「……本当にいいの?」
母「あの子、あんなに泣いてあんたと話したがってたわよ」
照「……いいの」
照「私にはもうあいつのことが理解らない」
母「……そう」
照(……)
照(……咲)
顔や髪の毛のハネ具合、外で遊ぶより家で本を読むのが好きなところなんかはなるほど、
周りには良く似た姉妹に見えただろう。
でも、実のところ私と咲は全然似ていない。
私は恋愛小説が好きで、咲はファンタジーが好きだ。
どちらも人付き合いに積極的な方ではないけれど、
私はぶっきらぼうな人見知りで、咲は愛想がよく誰とでもすぐに仲良くなれる。
私は異性の友達はいないけれど、咲は仲の良いクラスメイトの男子がいる。
私はご飯が好きで、咲はパンの方が好きだ。
私は昔からよく大人っぽいと言われるけれど、咲は今でも子供っぽいとからかわれる。
私は勝負事が好きだけれど、咲は競争や賭けごとが嫌いだ。
ほら、私と咲って全然似ていない。
だからといって咲が私の妹だってことを疑問に感じたことは一度もない。
でも、あの夜
初めて咲のことが本気で分からなくなった。
咲が麻雀を楽しんで打てなくなってることはもちろん気付いていた。
あの子の性格を考えれば当然のことだと思う。
それでも、麻雀が私たち家族にとって特別なものだっていう気持ちはいっしょだと思ってた。
私が強くなれば、咲もそれを嬉しがってまた本気で打ってくれるとどこかで信じていた。
でも、そんな身勝手な私の想いは咲には全然届かなかった。
私が必死に強くなっても、咲はプラマイゼロにすることをやめなかった。
私とお母さんが愛した麻雀は、咲にとっては忌み嫌うべきものにすぎなかった。
そのことがどうしようもなく悔しくて、みじめで、腹が立って、そして、咲のことが理解らなくなった。
私は麻雀が好きで、咲は麻雀が好きじゃない。
照「うん」
咲はもう麻雀をしないだろう。
でも、もし再びあの子が牌を握ることがあれば、
勝ちたいと願い、本気で麻雀を打つようになれば、
そのとき私は姉としてどう応えればいい?
いや、やめよう。
そんな可能性の低い話、考えたって無駄なだけだ。
咲のおかげで、咲がいたから私はここまで強くなれた。
でも、もうあの子の麻雀に囚われてる暇はない。
東京で私は誰よりも強くなるんだ。
忘れよう、咲のことは―――
照「私に妹は、いない」
~完~
原作やドラマCDで分かってる設定にできるだけ矛盾しないよう頑張りました
誰か一人が極端に悪者になってほしくないとあれこれ考えましたがやっぱり難しかったです
私の力不足ですね
今まで読んで下さった方はありがとうございました
おつおつ
シリアスな照咲SSは初めて見たけど面白かったよ
この照さん咲さんの2回戦みてどう思ったんだろうな
腹わた煮っころがし
咲さんの勝ちへの執着に思わずニッコリ
ああなんだろうねモヤモヤするよね
Entry ⇒ 2012.07.18 | Category ⇒ 咲-Saki-SS | Comments (0) | Trackbacks (0)
照「淡、お腹すいた」
淡「……」
照「ねえねえ、お腹すいた」グイグイ
淡「……」
照「おーなーかーすーいーたー」
淡「だああっ、鬱陶しい!お腹すいたなら自分の家に帰ればいいじゃないですか!」
照「今日は家に誰もいないから帰っても何もない」
淡「だからって私にたかりに来ないで下さいよ……」
淡「なんで私がそんな面倒なことを……」
照「淡の手料理が食べたい」グイグイ
淡「あーもう、分かりましたよ!作ればいいんでしょ作れば!」
照「わーい」
淡「こほん。では……大星淡の3分クッキングー」
照「おー」パチパチ
照「そんなテーマだったっけ?」
淡「うろ覚えなんです、放っといて下さい」
照「それで何を作るの?」
淡「まず取り出したるはこのカップラーメン。私の好みのシーフードです」
淡「蓋を開けて、お湯を入れて三分待ちます。すると、あっという間にラーメンの完成……」
照「却下。手抜き禁止」
淡「ちっ」
淡「そう言われても……そもそも私は料理とかあまりしませんし」
照「なんだ……淡って意外と使えない」
淡「」イラッ
照「お腹すいた……」グー
淡「というか、宮永先輩が自分で作ればいいじゃないですか」
照「私が?」
淡「はい。料理が苦手な私としましても、ぜひ宮永先輩にご教授して頂きたいです」ニコッ
淡「……えっ!?宮永先輩って何か作れるんですか!?絶対そういうの無理だと思ってたのに」
照「淡、さすがにそれは失礼。私だって人並み程度には料理できる」
淡「す、すみません……」
照「じゃあ……オーソドックスにカレーを作ろうか」
淡「カレーですか、いいですね」
淡「せ、先輩が初めて先輩らしいことを……!はい、よろしくお願いします!」
照「じゃあまず淡は鍋にお湯を張って」
淡「はい!……え、お湯?」
照「その間に私はカレーを……」ゴソゴソ
照「……あれ?淡、ボンカレーはどこに置いてあるの?」
淡「…………」
照「ウチのお母さんは辛いのが好きだから銀座カリーとかをよく作るけど、私はボンカレー甘口派」ゴソゴソ
淡「先輩、ボンカレーは置いてないです。カレーは諦めましょう」
照「えー」
照「美味しいのに」
淡「はあ、なんかもう疲れましたよ……」
照「お腹すいた」グー
淡「もうカップ麺でいいじゃないですかー」
照「ふう……仕方ない、シェフを呼ぼう」ピッピッ
淡「シェフ?誰です?」
照「菫」
淡「えっ」
照「うん。何か作って」
菫「お前と淡が大変な目にあっているから急いで来てくれと呼び出されたんだが?」
照「お腹がすいて大変な目にあってる」グー
菫「……」ゴゴゴ…
淡「あわわわ……」ビクビク
淡「……え?お、怒らないんですか?」
菫「まあいつものことだからな。しかし今日は淡のとこに行っていたのか……一人の時は頻繁に私の家に食事をねだりに来るんだが」
淡「そ、そうなんですか。何というか、お疲れ様です」
照「菫、ごはんごはん」クイクイ
菫「分かった分かった、引っ張るな。淡、少し台所を借りるぞ」
淡「あっ、はい。冷蔵庫に入ってるものは使っちゃっていいですよ」
菫「すまん、助かる」
麻雀強くて私生活が完璧とか俺の嫁になってまうやん
菫「よし出来た。ほら照、これでテーブルを拭いて来い」
照「分かった」
菫「淡、皿とコップと出してくれないか?パスタを取り分けるから人数分な」
淡「はーい」
菫「ん?あっ、照!その拭き方じゃ端のほうが拭けてないだろ。いいか、こうやって……」フキフキ
淡(……なんか本格的にお母さんみたいになってるなあ、弘世先輩)
菫「ケチャップと鷹の爪で味付けしたパスタだ」
照「たかのつめって何?」
淡「唐辛子のことだと思っていいですよ」
照「う……辛いの苦手」
菫「それほど辛くはないさ、基本はケチャップだし。具は玉ねぎとキャベツ少々、あとベーコンだな」
照「……なんか貧相」
照「食べる食べる!」
淡「いや、でもすごいですよ弘世先輩。……冷蔵庫の中、ほとんど何もないと思ってたのに」
菫「まあこれくらいは出来ないとな。淡も女の子なんだから、料理の一つくらい覚えたほうがいいぞ」
照「そう。淡も麻雀ばっかりやってないで料理を勉強したほうがいい」ズルズル
淡「宮永先輩にだけは言われたくないです……っていうか何勝手に一人で食べはじめてるんですか!?」
照「美味しい」モグモグ
照「むー」
淡「……」
菫「どうした淡、じっとこっちを見て」
淡「いえ、先輩たちは同い年というより姉妹……いや親子というほうがしっくり来るなあと思って」
照「菫みたいに厳しいお母さんは嫌だな」ズルズル
菫「啜るな!私も照みたいな手のかかる子供は嫌だよ、まったく」
淡「ご馳走様でした。美味しかったです」
菫「お粗末さま。さて、後片付けしないとな」ガチャガチャ
淡「あっ、いいですよ先輩!それくらい私がやりますから座ってて下さい!」
菫「ん……そうか?」
照「そうそう、菫は料理作ってくれたんだし皿洗いくらいは淡がやるよ」ゴロゴロ
菫「おい」
淡「先輩もやるんですよ。ほらこっち」グイッ
照「えー……」ズルズル
淡『いいですか先輩。皿を洗ったらどんどん私に渡して下さいね』
照『了解』
菫「そういえば数学の宿題が出てたな。英語の予習もやっておかないと」
淡『なんでステンレスたわしで擦ろうとしてるんですか!?スポンジ使って下さいスポンジ!』
照『む……』
菫「……」
淡『ちょ、ちょっと先輩、もっと落ち着いて一枚ずつ……きゃあっ!?』
パリンッ
照『わ、割れた……どうしよう』
菫「ああもう、照!怪我するから割れた皿に触るな!」ガタッ
照「面目ない」
淡「私が言うのもあれですけど、家事くらいまともにこなせないと将来苦労しますよ?」
照「家事万能のお嫁さんを貰うから大丈夫」
菫「何をわけの分からないことを言ってるんだお前は」
照「淡こそカップ麺しか作れないようじゃ良いお嫁さんにはなれない」
淡「べ、別にカップ麺しか作れないわけじゃないです!それに私のカップ麺を喜ばないような人はいりません」
照「なんて男前な発言」
照「えー、もう?」
菫「もうって明日は平日だぞ」
照「仕方ない……じゃあ菫、また明日」フリフリ
淡「いやいや、宮永先輩も帰りましょうよ。いつまで居座る気ですか」
照「今日はここに泊まることにする」
淡「勘弁して下さい」
菫「照、わがままを言うな。先輩が後輩を困らせてどうする」
照「でも、家に帰ったら誰もいないから寂しい……」ウルウル
菫「うっ……」
菫「……す、すまん淡。今日はこいつを泊めてやってくれないか?」
淡「ええっ!?な、何でですか!」
菫「いや、ほら、あれだ。照を一人にすると何をしでかすか分からないし……」アセアセ
淡「……」ジーッ
菫「な、なんだその目は」
淡「弘世先輩って意外と泣き落としとかに弱いんですね。変な人に騙されないか心配ですよ」
菫「む、むう……」
淡「はあ~……。分かりましたよ、泊まって行って下さい」
照「よし」グッ
淡「ただし弘世先輩もです。私一人で宮永先輩のお守りはごめんですからね」
菫「わ、分かった」
照「まず何やる!?トランプ!?」ワクワク
照「三人一緒に?」
淡「残念ながらうちのお風呂はそんなに広くないですから」
菫「ほらほら、面倒だからお前から入れ」
照「む……分かった」
淡「はあ……。一晩中宮永先輩のお守りとか勘弁してほしいなあ、もう……」
照「今夜は寝かさない」
菫「うるさい」
照「はい」
終わり
だ・つ・い・と・ら・ん・ぷ・き・ぼ・う
脱衣トランプでボロ負けする菫ちゃんはよ
いい家族だった
Entry ⇒ 2012.07.18 | Category ⇒ 咲-Saki-SS | Comments (0) | Trackbacks (0)
美希「恋する女の子は!」
――PM22:30
美希「…」ドキドキ
美希「なんか、ヘンなの…」
あの時、プロデューサーが助けてくれなかったらミキ…死んじゃってたのかな。
思い出すのは、轢かれそうになった事。必死な顔して、プロデューサーが助けてくれた。
美希「ミキ…いい子じゃなかったのに…」ドキドキ
それからは、もうダメ。プロデューサーの顔が、寝ても覚めても離れない。
美希「…」
美希「あはっ!まさか…ね?」
美希「もう、寝るの…」
――AM10:00
P「…」カタカタ、カチカチ、
――ガチャッ、バタン
美希「おはよーなのー!プロデューサー!」
P「ん?美希。おはよう!今日は寝坊しなかったみたいだな?よしよし、えらいぞ?」ナデナデ、
美希「むー!ミキ、そんなお寝坊さんじゃないの!」プイッ
P「ははっ。そうだな。最初の頃に比べれば、美希は凄く成長したよ」
美希「ミキ、もう決めたしね!」
P「ん?何を?」
美希「あはっ!ヒミツなのっ♪」
P「お、おぅ…」
P(何だ?今日の美希…凄く機嫌がいいぞ?)
美希「ねっ!今日のお仕事は何なのー?」
美希「えっ?」
P「最近の美希は頑張ってるからな。リクエストがあったら、好きな仕事させてやるよ」
美希「ホント!?」
P「ほんと」
美希「あはっ!じゃあミキ、歌詞レッスンがやりたい!」
P「歌詞か。…うん、スタジオも開いてる事だし、今日は歌詞レッスンで行くか」
美希「なのっ!」
――AM11:00
美希「…」ジー
美希「…」パラッ、パラッ
美希「ねぇ、プロデューサー?」チラッ、
P「ん?何だ?」
美希「プロデューサーはさ、ここ…どんな意味だと思う?」スッ、
P「ん?どこだ?」スッ、
――ピトッ
P「あ…」ピトッ
美希「あの…プロデューサー?」ドキドキ
P「わっ!悪い!ちょっと近すぎたな!」バッ
美希「…」
美希「…いくじなし」ボソッ
P「んっ?何か言ったか?」
美希「なんでもない!」プイッ
P(機嫌良かったり、悪かったり…今日の美希は何だか変だ)
P「…よし」ボソッ
美希「…」チラッ、
――PM15:00
美希「ふ~。ミキ、もうダメ…疲れたの~」グッタリ
P「ははっ。さすがの10代も、ロングレッスンはキツいか?」
美希「それ、オジサンみたいだよ?」クスクス
P「ははっ。お前らからしたら、俺はもうオジサンだよ」
美希「あはっ!まだまだプロデューサーは若いしカッコいいよ?」
P「そうか?美希にそう言われると、勘違いしちゃうぞ?」ナデナデ
美希「ひゃっ///」ピクン
美希「い、いきなりナデないでほしいの…」ドキドキ
美希「うん?なに?」
P「少し、デートしようか」
美希「えっ?」ドキッ
―――
――
―
――PM16:00
――ザァァン、ザザァァン
美希「ん~!今年初の海なの!」トテトテトテ、
P「…」スタスタスタ
――サァァァァ
美希「わゎっ!でも、ちょっぴり風が強いね」クスクス
P「なぁ、美希?」
美希「…」
美希「なぁに?」
P「朝はああ言ったけど…最近の美希、少しおかしいぞ?」
美希「…どんな風に?」クスクス
美希「あはっ!それじゃ、ミキに怠けてほしいみたいなの」クスッ
P「それとな?」ストン
美希「…うん?」
P「凄くキラキラしてる」
美希「えっ?」
美希「今ね?アイドルっていうお仕事が…凄く楽しいの」
美希「ミキが皆に元気をあげれてるってことは、ミキを観て、みんな幸せになってくれてるって事だよね?」
P「そうだな。TV番組の出演も、増えてきてるしな。それだけ、ファンに幸せを与えられてるって事だよ」ナデナデ
美希「…」ナデナデ
美希「前までのミキはね?」
P「ん?」
美希「前までのミキはね?テキトーにやって、テキトーに楽しんでただけだったの」
美希「えっ?」
P「生半可な気持ちでやってたのは、知ってた」
美希「あはは…そっか…」
P「でも、今は、違うんだろ?」
美希「どうしてだと、思う?」クスッ
P「えっ?」
美希「どうして、今は違うって思う?」
P「そりゃ、お前…さっきも言ったろ?キラキラしてるって」
美希「うん。プロデューサーは、そう言ってくれた」
P「?」
P「ははっ。久々に聞いたな、それ」
美希「うん」クスクス
美希「そこの人は、ちゃんとミキをキラキラさせてくれてるね。ありがと」
P「それが、俺の仕事だからな」
美希「ねぇ、プロデューサー?」
P「なんだ?」
美希「ミキね、気付いちゃったの!」
P「何を?」
美希「誰かさんに笑ってほしいから!ミキを観て、そこの人でもない、プロデューサーでもない、」スッ、
P「?」
美希「って事に…なの」チラッ、
P「…なぁ、美希?」ギュムー
美希「うん?なぁに?」ギュー
P「そろそろ、離してくれると助かるんだが…」
美希「や!」プイッ
P「…」ギュムッ
美希「や!」プイッ
P「ははっ…」ナデナデ
美希「あはっ!早速、ミキの可愛さに笑ってくれたね?」クスクス
P「…何を?」
美希「あはっ!」ギュー
美希「恋する女の子は!」チラッ、
美希「世界で、最強なんだよ?」チュッ、
P「…」
美希「これからも、よろしくね?ハニー」クスクス
おわり
純粋に美希が可愛くて良かった
すばらしいミキミキであった
Entry ⇒ 2012.07.18 | Category ⇒ アイマスSS | Comments (0) | Trackbacks (0)
P「パソコンの検索履歴か…」
P「あの人、時々仕事をサボってネットサーフィンしているからな」
P「まあ、それを確かめる意味でも少し見させてもらいますよ」
お肌 手入れ
結婚 適齢期
菊地真 セクシー 画像
気持ちい やり方
P「…………」
P「さっきパソコンを使っていたのは音無さんだから、これ全部…」
P「………」
P「見なかったことに…」
小鳥「ただいまもどりましたーーー!」
P「シェーーーーーーーーーーーーーーー!?」
P「い、いえ。何でもありませんよ!?」
P(まさか、検索履歴を見てたなんて言えないよな)
小鳥「? 変なプロデューサーさんですね、よいしょ」
小鳥「あれ?私パソコン…」
P「!?」
小鳥「まあ、いいや。仕事仕事!」
P(やらないだろ!アンタ!)
小鳥「フフフ…マートンガウッタ…」
P(暇だな…)
P(このままでは、泡になってしまう…)
P(あ、そうだ。さっきの検索履歴のことについて訊いてみるか)
P「音無さん!」
小鳥「マートン×ブラゼル…イケ!? は、はい!?何ですかプロデューサーさん!」
小鳥「ピ、ピヨ!?」
P「いや、あの、音無も独り身ですから、その迸る情熱をこう、ね。たはは」
小鳥(な、何!?こ、これはチャンスなの?期待しちゃっていいの!?)
P「あ、そもそも女性にする話ではないですよね。すみま…」
小鳥「い、いえ是非続きを!!」
P「えー」
P(軽い冗談のつもりだったのに)
小鳥「プロデューサーさん…言葉が…っは!?こ、これは巧妙な言葉攻め…これだけで今夜は」ハアハア
P「…………」
P(想像力の豊かさってこういう所でも役に立つんだな)
P「それで、あの…」
小鳥「いやん!?プロデューサーさん!?そ、そんな、あん!だめえええ!!」
P「…………」
P「美希を迎えに行ってきます…」
P「結局音無さん、あの後どうなったんだろう?」
P「あ、あんまり気にしないことにしよう…」
P「………」
P「今日もちょっとパソコン見てみるか」
P「もしアイドルが何かを調べていたら悩み解消とかになるかもしれない」カチカチ
菊地真 可愛い
ボーイッシュ 魅力
男の人 デート
プロデューサー 恋愛
P「…………」
P「いや、雪歩はヤフオクでスコップの相場とかを見ていそうだからな…」
P「ってことは真か…」
P「まあ、ジョギングはいいことだ。健康にもいいし」
P「真は可愛いぞ、気にするな」
P「それも、真の魅力の一部だぞ」
P「デートは経験を重ねるしかな…」
P「プロデューサーって誰のことだよ…」
P「………ん?」
P「い、いや待て!落ち着け!アイドルとそんな関係に陥るなんて!!」
P「…………はあ」
P「まあ、譲歩してデートって所だな。それくらいならいつでも…な」
真「ホントですか、プロデューサー!?やーりぃー!」
P「ま、真!?お前いつから!?」
真「真は可愛いぞのあたりからです!えへへ。それよりプロデューサー」ギュッ!
P「何だよ?そ、それにこの腕…」
P「あ、アレはその!」
真「へへっ!今日はいーっぱい楽しみますよ!服を買いに行って、ゲームセンターにいって、素敵なレストランでご飯食べて」
P「お前、話を勝手に…はあ、もう」
P「仕方ないな、まったく」
真「へへ。やーりぃー!」
P「はあ、給料日前だったのにな…」
P「しかし、まあ、真にはいいリフレッシュになったみたいだし、良しとするか」
P「そう考えると、このパソコンのアレも無駄ではないんだな」カチカチ
ハニー 北海道
ハニー みつばち
ハニービーンズ
お昼寝用まくら
P「……はあ」
P「お昼寝用まくらって、普通の枕と違いはあるのか?」
P「ハニービーンズ。きっとこれはハニーって調べようとして」
P「次の2個も一緒だな」
P「最後なんかぶっちゃけちゃってるしな」
P「まったく、美希の奴…。まあ、好意を寄せられるのは悪い気分ではないけど…」
P「あれ、ハニー大好きで1個ヒットしたぞ」
P「しかも、美希の公式ブログ…。嫌な予感しか…」
ミキはしょうゆラーメンを食べたの!
ハニーもいつもはしょうゆラーメンだけど
今日はしおラーメンだったの
ミキ的にはどっちにしようかまよっていたカンジだったから、ハニーのを分けてもらったの!
あとで聞いたら、ミキがまよっているのを見て、しおラーメンにしてくれたらしいの!
やっぱりハニー大好き!あはっ!
Pの腕に抱きつく美希の写真
P「和むなあ…」
P「じゃなくて、あのバカ!!」
美希ちゃんぺロぺロ
僕も美希ちゃんのハニーに!
ハニーとやらを殺しに行こうか!!
P「…取りあえず、この記事は削除と」
P「後でこってりしぼらないと…」
P「美希!!」
美希「あ、ハニーなの!」
P「お、お前あのブログ…どう言うつもりだ?」
美希「ブログ…。何のことかな?」
P「お前にファン拡大のために日記を書けと言ったことあるだろ?あれのことだ」
美希「それなら、順調なの!ミキ、ハニーと出かけた時のことを書いてるの!」
P「ちょっと待て!ってことはラーメン以外にも!」
美希「あふ…いっぱい書いてるの…」
P(お…終わった)
P「取りあえず、何事も無かったけどあのブログは閉鎖だな」
P「俺がファンだったらあんなブログ見たくないし」
P「しかし、こういうのを見つけるという意味でも有効だな、コレ」カチカチ
パンチラ 角度 転び方
東京ドーム巨人戦 チケット
東海道線 時刻表
歌 上達 音痴
P「……いろいろ可笑しい!!」
P「よし、一つずつ見ていこう」
P「まず、1つ目は春香らしいな」
P「で、2つ目は……」
P「あのどんがらは故意だったのか…」
P「これはきっとドームについて調べたんだな。それで成り行きでこれになったと」
P「ああ、確かに時刻表とかあった方が便利かもな。印刷して貼っておくか」
P「そしてこの涙ぐましい努力。大丈夫だ、ちゃんと上達してるぞ」
P「おお、おはよう春香」
春香「あ、プロデューサーさん!今日はワッフルを作ってきたんですよ!」
P「おお、そうか。悪いな、いつも」
春香「えへへ。趣味でやってることですから、あわわ」ドンガラガッシャーン!
P「だ、大丈夫か!」
春香「いたたた…」
P(あ、パンツ。今日は白か)
P「いや、怪我が無いならそれでいいんだけどさ」
春香「あ、それよりプロデューサーさん!ドームですよ!ドーム!」
P「え?ドーム!?」
春香「はい!まず、ライブのイメージを掴むために実際に行きたいと思って、巨人戦のチケットを取りました!」
P(何で野球なんだ?ライブにすればいいのに)
春香「プロデューサーさん!一緒に行きましょうよ!」
さすが、あざとい
春香「わわっ!?律子さん!!」
律子「あなた、昨日の音楽のレッスンに合格していないでしょ!ドームは合格したらよ!」
春香「り、律子さん!引っ張らないで…プロデューサーさああああああん!」
P「ご愁傷様春香さん…」
P「まさか、ファールボールを避けるとき転ぶとはなあ…」
P「まあ、楽しかったしよしとするか」カチカチ
もやし 料理
かけいぼ つけ方
ねむいです…
お兄ちゃん 甘え方
P「………」
P「まあ、スーパーの安売りを調べるのはいいことだ」
P「もやしも家計簿も努力が見えるし、良いことだ」
P「ただ、問題は残りの2つだ!」
P「寝不足?それに甘えたいって…」
やよい「うっうー!おはようございまーす!プロデューサー!」
P「や、やよい!」
やよい「今日も1日お仕事がんばりましょー!」
P「そ、そのことなんだけどな…」
P「やよい、ちょっとソファーまで来てくれないか?」
やよい「?」
やよい「あ…あの…」
P「いいんだ、正直に言って。怒りはしないからさ」
やよい「最近ちょっと、眠れないかなーって」
P「どうしてだ?」
やよい「お父さんが言っていたんです。ちょっと家計が苦しいって…」
P「それで、悩んでいるのか?」
やよい「は、はい。不安で…不安で…」
やよい「そうでしょうか?」
P「ああ、勿論だ。俺に出来ることがあれば、何でも協力するぞ」
やよい「ほ、本当ですか!?」
やよい「じゃ、じゃあ…膝枕…」
P「へ?」
やよい「膝枕をしてくれたら…嬉しいです」
P「相当眠かったんだな。18秒でねちまった」
P「しかし、やよいにそんな苦労が掛かっていたとは…」
P(我ながら情けないな…)
やよい「ん…。プロデューサー…」
P「!?ど、どうした?」
やよい「大好きです…うっうー……すぅ…すぅ」
P「寝言…だよな?」
P「ふう。結局夜まであれとは…」
P「まあ、やよいが少しでも楽になれば良いんだけどな」カチカチ
歌 発声
高槻やよい 可愛い
72 カップ
歌声 響き
P「……あれ?」
P「歌声、響き、発声。うんいい心掛けだ」
P「まあ、百歩譲ってやよいのことは無視するとして…」
P「そこまで、胸がコンプレックスなのか?」
千早「プロデューサー?」
P「youareshock!?」
千早「ど、どうしたんですか、いきなり?」
P「い、いきなり現れないでくれ…心臓が止まるかと思った…」
千早「す、すみません…」
P「ん?い、いや、別に何でもないぞ」
千早「………」ジトー
P「そ、そんな目で見るなよ。あれだよ、パソコンの履歴を見てたんだよ」
千早「履歴?」
P「ああ、こういう風に、前に調べたことを見ることが出来るんだ」カチ
千早「………」
千早「正確に言えば私ではありません」
P「え?」
千早「春香にいっしょにやってもらったんです。私こういうものは苦手ですから」
P「ああ、そうなのか」
P(それなら、納得がいくな)
千早「それよりプロデューサー」
P「はい?」
千早「あんまり、そういうのを覗くのはよくないと思います」
千早「はい、あんまり知られたくないことは人には結構ありますから」
千早(この胸とか)
千早「くっ…」
P「そ、そうだな。あんまり見るのはよくないよな…」
P「取りあえず、千早」
千早「はい?」
P「やよいの写真集だったら、いくらでもあげるからな」
千早「………」ボンッ!
おわり
らあめん
らあめん
食い放題
Entry ⇒ 2012.07.18 | Category ⇒ アイマスSS | Comments (1) | Trackbacks (0)
薬屋「こんこんこんのこぎつねさん」
童女「こっ……こんにちは。あの」
薬屋「おつかいかな?偉いね。」
童女「あっ、あのっ、おくすり。おくすりください!」
薬屋「薬、といってもいろいろあるんだ。」
薬屋「まず症状を教えてほしいな。」
童女「かかさまが」
童女「かかさまがね」
童女「おけがしたの」
童女「森でね」
童女「ばちんってなったの」
童女「このくらいの輪っかにね、あたしがひっかかりそうになってね」
童女「かかさまが、あたしを突いて、かわりに……」
薬屋「ううん、そりゃあお気の毒さま。……お医者様にはかかってないのか?」
童女「かかさまは大丈夫、って言って……」
薬屋「これで痛みがひかないようなら、ちゃんと町のお医者様に診てもらうんだよ。」
童女「うん、そーする。はい、おかね。」
薬屋「うん、……?」
童女「どうしたの?」
薬屋「とすると、この子は……」
薬屋「まあ、いいか。まいどあり。」
童女「うん!ありがとう!ばいばい!おにいさん!」
薬屋「気をつけて帰るんだよ。お大事に。」
薬屋「世の中には不思議なこともあるんだ。」
猟師「おう、店仕舞いか。」
薬屋「またきてたんですか猟師さん。鎮守様の森で猟なんて、バチが当たりますよ。」
猟師「そんなこといったってオメエ、俺はコレ以外に食い扶持を稼ぐ術がねえんだからしょうがなかろ。」
薬屋「今時猟師なんて流行りませんよ。そろそろ廃業するって先週言っていたばかりではないですか。」
薬屋「へー。お客さんですか?」
猟師「そこの森にでっけー真っ白なキツネがいてな。それの毛皮が欲しいっつんだ。」
猟師「それを渡せばもう二度と生活に困らないくらいの報酬がもらえんだ。」
薬屋「いやでも、昔からここに住む大妖は、神の使いだというではありませんか。」
薬屋「そんなものに手を出したら、ただでは済まないでしょうに。」
猟師「こないだトラバサミを仕掛けてよ、今日掛かった形跡はあったんだが」
猟師「毛と血だけ残して逃げられちまった。」
猟師「でも俺は諦めねえぜ。大金が鼻先にぶら下がってんだからよう。貧乏は真っ平だ。」
薬屋「…………。」
猟師「おっといけねえ。すっかり話し込んじまった。」
猟師「明日こそは捕まえてやるぞ。怪我をして遠くへは逃げられんはずだからな。」
猟師「じゃあな、薬屋の青瓢箪。」
薬屋「……はあ」
料理屋「全然食事が進んでないわね。今日の日替わり定食はあんまり好みじゃないの?」
薬屋「ああ、いや、旨いです。そうじゃなくて、ちょっと。」
薬屋「良心と良心の間で板挟みになってるというか。」
薬屋「片方を助けると、片方の生活が成り立たない。」
薬屋「でも、片方の仕事を見逃せば、片方が命を落とす。」
薬屋「そんな場面にこれから遭遇しそうで困ってるんです。」
料理屋「へえ。難題だね。どっちについたほうが君の得になるの?」
薬屋「僕の得云々は関係ないですよ。」
薬屋「面白がらないでくださいよ。」
薬屋「片方は顔見知り程度。」
薬屋「片方は今日初めて来店したお客さんの、おそらくおかあさん。僕は会ったことがありません。」
料理屋「どっちもさして君とは繋がりがないってこと?」
料理屋「それなら、お客さまをとったほうが君の得になるのでは?」
薬屋「そのお客さんは、こう、常の人ではないというか、支払い能力がないというか。」
薬屋「かと言って、命を落とすのがわかっていながら放っておけるほど」
料理屋「不人情なことはできない?」
料理屋「相も変わらずお人好しだねえ」
薬屋「女将さんなら、どうします。」
薬屋「他人事だと思って。」
料理屋「知らぬ存ぜぬを決め込んで、成り行きに任せてみては?」
薬屋「むう。」
料理屋「ここで君が頭を悩ませていても何かが変わるわけではないのでしょう。」
薬屋「……そうなんですが。ごちそうさまでした。」
料理屋「一晩ゆっくり眠れば、案外良い考えが浮かぶかもしれないよ。」
薬屋「はあ……」
薬屋「猟で生活してるなら、その邪魔をしちゃあいけないよなあ。」
薬屋「あの子には可哀想だけど、女将さんの言うとおり、放っておこうかな。」
薬屋「積極的に僕が猟に関わってるわけじゃないし……なあ。」
薬屋「助けて欲しいと頼まれたわけでもない、し……」
薬屋「眠……い……」
猟師「よう!薬屋の青瓢箪。」
薬屋「わっ!」
薬屋「お、おはようございます。猟師さん。」
猟師「なに驚いてやがんでえこのモヤシ。」
薬屋「猟師さんは、なんだかご機嫌ですね。」
猟師「おう!昨日、罠の話、しただろ。」
猟師「久しぶりに弟に腹一杯飯を食わせてやれたんだよ。」
猟師「毎日ひもじい、ひもじい、って泣いてた弟のよ、あんな笑顔見たことねえや。」
猟師「おっかあもおっとうもいねえ分、俺がしっかりしなきゃなんねえからな。」
薬屋「へ、へえ……」
猟師「そろそろ行ってくらあ。」
薬屋「いって、らっしゃい……」
童女「おにいさん!」
薬屋「ここは、見なかったことに……って、うわあ。」
童女「どうしたの?げんきがないの?」
薬屋「いや、うん。元気だよ。君こそどうしたの?」
童女「あのね、かかさまがね」
童女「おくすりのお礼にもっていきなさいって。」
童女「葉っぱのお金じゃだめだって、しらなかったの。ごめんなさい。」
薬屋「ああ、いや、ありがとう……」
薬屋「お母さんの具合はどう?」
童女「おくすり飲んで、痛いのは少なくなったって。」
童女「お家にお招きしてよくお礼を言いたいから」
童女「おにいさんのお休みを聞いてきなさいって。」
薬屋「え、ええー……」
薬屋「明日は定休日だけど、お礼なんていらないから」
薬屋「僕はできればいかない方向で検討願いたいなー、なんて」
童女「明日おやすみなの!?じゃあ明日いこう!」
薬屋「それはちょっ……」
薬屋「暇だけど……」
童女「じゃ、いこう!」
薬屋「いやでも」
童女「いこ?」
薬屋「う、うん……」
薬屋「あーはいはい。……あ、ちょっとまって。」
童女「んー?」
薬屋「これ。料理屋の女将さんに持たせてもらった稲荷寿司。」
童女「おいなりさん!」
薬屋「良かったら、持って行って。」
童女「いいの!?ありがとうおにいさん!」
薬屋「あ、うん……」
童女「またあしたね!おにいさん!」
薬屋「うん……。」
料理屋「今、この鮎焼くわね。」
薬屋「女将さんの言うとおり一晩寝たら、悩みが増えたんですが。」
料理屋「他人の人生っていろいろあるのねえ。」
薬屋「ちょっ……また」
料理屋「だから私にとっては他人事なんだって。はい、焼けた。美味しそうだわ。」
薬屋「……。」
薬屋「……いただきます。」
料理屋「面白いから、何か進展があったら教えてよ。」
薬屋「もう!」
薬屋「押しに弱いよなあ僕は……」
薬屋「案の定鎮守様の森だし……」
薬屋「牛車の外は変な霧とかで包まれてるし……」
童女「もうすぐつくよ!」
薬屋「うん……」
薬屋「わー……立派な御殿だなあ……」
童女「はやくはやく!かかさまが待ってる!」
薬屋「どうしよう……」
童女「はやくー!」
薬屋「わ、わかったよ……」
薬屋「終わった……猟師さんの言ってた狐とは実は何の関係もありませんでしたー」
薬屋「っていう細やかな期待すら裏切られた。」
薬屋「尻尾隠して下さいよ!」
女主人「薄々気づいているようだからの。隠す必要もなかろう。」
薬屋「それって、あの、人間の罠で怪我、しちゃったんですよね。」
女主人「いかにも。」
薬屋「ということは、あれですよね。人間を恨んだり、呪ったり、祟ったり、みたいな。」
女主人「……?、なぜじゃ。」
女主人「鎮守さまの狛狐ともあろうものが」
薬屋「よりにもよって本当に神の遣いですか人類詰んだなこれ。」
女主人「良いから聞け」
薬屋「あ、はい。」
女主人「よいか。鎮守さまの狛狐ともあろうものが、あんな単純な罠にかかったのは妾の不注意よ。」
女主人「ヒトにもいろいろ在ることも知っておるし」
女主人「この程度のことでいちいち人間を恨んでおったら身が持たぬわ。」
女主人「鎮守さまの森を荒らす不届きものもおれば」
女主人「そなたのように妖とわかっていながら、丸腰でのこのこついてくるお人好しもおる。」
女主人「そのように怯えずとも良い。取って喰ろうたりはせぬわ。」
女主人「ま、望みなら喰ろうてやってもよいがの。性的な意味で。」
薬屋「!!!??!?」
女主人「冗談じゃ。そのように赤くなりおって。可愛いの。」
薬屋「かっ、からかわないでください!」
女主人「これは、心ばかりの品じゃ。」
女主人「妾が鎮守さまに拾われる前に誑かした、人間の殿方から巻き上げた財宝じゃ。」
薬屋「もらえませんよそんなもの!」
女主人「安心せよ。もう何百年も昔のことで、今更足が付くこともない。」
女主人「庭を掘ったら出てきたとでも言えば良かろ。」
薬屋「それに、お礼なら昨日娘さんからもらいましたよ。」
薬屋「木の実とか川魚とか。」
女主人「ああ、あれはあの子の気持ちよ。妾の気持ちはまだ示しておらぬ。」
女主人「それに、いなり寿司、なかなか美味であったしのう。」
薬屋「あんたを見捨てようとしたのに」
薬屋「こんな風にされると、困る。」
女主人「こうでもせぬと、妾がすっきりせぬからこうしているだけよ。」
薬屋「」
女主人「これを受け取ってしまえば、妾たち側の味方をせねばならぬなどと」
女主人「くだらぬことを考えているのではあるまいな?」
薬屋「そっ……それは、だって」
女主人「そなたはそなたの営みを普段通りに行えば良い。」
女主人「千にひとつ、万にひとつ、妾が猟師に獲られて毛皮になったとしても」
女主人「そなたが気に病むことはない。そういう運命だったというだけよ。」
薬屋「僕がここの場所を猟師さんに喋っちゃうかもしれないとか、」
薬屋「後をつけられてましたとか、」
薬屋「僕がここに来た痕跡を発見されましたとか」
薬屋「そういう、僕が関わったことが要因となって、あなたが捕らえられることだって充分考えられるではありませんか。」
薬屋「僕はそれが嫌なんです」
女主人「だから寿命が短いのだぞ。」
女主人「命あるものは死ぬ時は死ぬし、妾はただそれを受け入れるだけよ。」
薬屋「そんな」
女主人「妾の後はあの子が継ぐであろうし……そうじゃ」
薬屋「飛躍しすぎやしませんか。」
女主人「この話は終いじゃ。本当は、食事にも呼んでやろうと思うたが興が削がれた。帰れ帰れ。」
薬屋「帰れ、って……。」
女主人「かーえーれ、と。」
薬屋「うわあ!?風が……吹き飛ばされる……!」
夫人「毛皮ひとつ捕まえるのに一体何日かかってますの?」
猟師「へえ、すんません。いつもあとちょっとのところなんですが。」
夫人「こんな何にもないところ、毛皮の為でなければ来ませんわ。早く捕まえて頂戴。」
猟師「は、そう言われやしても。」
夫人「あたくしを誰だと思ってますの。あたくしは、さる大臣の妻ですのよ。」
猟師「あんた……」
夫人「このぐず。のろま。」
猟師「弟のためだ、我慢我慢我慢……」
夫人「明日中に、毛皮を持ってきて頂戴。」
夫人「でなければ、今までお渡ししたお金も全部返してもらいますからね!」
猟師「!」
猟師「クソッ……!」
薬屋「ここは……店の前、か。」
薬屋「夢だったんだろうか。」
薬屋「……夢ではないな。この箱……。」
薬屋「金銀、瑠璃に玻璃、真珠に玉がこんなに……」
薬屋「はー……」
仔狐「きゅー!きゅー!」
猟師「なんか小せえ?」
猟師「生け捕りだし、違ったら違ったで放せばいいか。」
仔狐「きゅーっ!」
猟師「いってえ!噛み付きやがったな!」
猟師「このやろ!お前はここに入ってろ!」
薬屋「鑑定してもらったら、どれも本物で、しかも古いものなので相当な金額になるらしいです。」
料理屋「億万長者というわけね。しかしなんだってそんなに、むすっとしてるの?」
薬屋「べつに……」
料理屋「でも、これでこの前の君の悩みは大方解決したね。」
薬屋「は……?」
薬屋「全然解決してませんよ何言ってるんですか。」
料理屋「ん?片方は、経済的に困ってるんでしょう?」
薬屋「そうなんです……って!あ!」
薬屋「ごちそうさま!」
料理屋「……慌ただしいこと」
夫人「ああ、楽しみ。」
夫人「今度の茶会で自慢しましょう。」
夫人「きっと目立つに違いないわ。」
夫人「……あら?鏡に、汚れ?」
夫人「いいえ、これは汚れではないわね。」
夫人「後ろ!?」
女主人「薬屋!あの子を、あの子を見ておらぬか!?」
薬屋「は?あの子?娘さん?」
女主人「この3日、あの子が帰って来ぬのだ。」
薬屋「とりあえず座って。詳しく聞かせてください。」
薬屋「心当たりは?」
女主人「そなたのところに行ったのであろうと思うたのだ。」
女主人「それから、妾の毛皮を欲しがっていた輩のところにも行ってみた。」
女主人「妾はどうなろうと構わぬが、あの子に何かあったら……!」
薬屋「さあ、これを飲んで。落ち着きますよ。」
猟師「おい!その車!」
夫人「!はやく、こんなところは早く離れますわよ!」
猟師「どういうことだ!あんた俺がキツネ捕まえるまでここに滞在するって」
夫人「こんなバケモノの出るようなところ、いつまでもいられますか!」
猟師「ばけもの……?待て!約束の金はどうなるんだ!おい!」
夫人「知ったことではありませんわ!」
夫人「……!」
夫人「ああ、美しい白ギツネ。少し小さいけれど、でもその分柔らかい毛並み。」
仔狐「きゅーん」
夫人「いいわ。買い取りましょう。」
夫人「その代わり、今すぐ毛皮を剥いで頂戴。」
仔狐「!」
猟師「悪く思うなよ……」
猟師「モヤシ?」
夫人「なんですの。早くおやり。」
女主人「その子を離せ!お前たちの探している大狐はここに在る!」
薬屋「ちょっとあんたなに言ってんですか!」
薬屋「隠れてろと言ったではないですか!さっき!」
女主人「ヒトの言うことなど聞く耳持たぬ!さあ、人間共よ!」
大狐「早くお離し!さもなくば……」
夫人「なにをしているのです!毛皮ですわ毛皮!毛皮があちらからきたのですよ!」
猟師「お、おう……」
猟師「しかたねえんだ!こっちは生活がかかってんだから!」
大狐「グルルル……」
薬屋「ああもう!ご婦人!」
夫人「な、なによ」
薬屋「猟師さんにはいくら払う契約ですか!」
夫人「このくらい、だけどそんなこと聞いてどうするんですの」
薬屋「あれはもともとこの狐さんのものです!」
薬屋「そもそも僕のものではありません!」
大狐「阿呆め!そなたにやったものゆえもう妾のものではないわ!」
薬屋「その言葉お返ししますよ狐さん!」
大狐「妾がやったものをそのように使われると困る!」
薬屋「キツネの事情なんか知らないんですよ!」
薬屋「こうでもしないと、僕がすっきりしないんですよ!」
大狐「!」
夫人「まあ!どうして銃を下ろすんですの!獲物はすぐ目の前に!それでも猟師ですの!?」
猟師「ああ、俺は猟師失格だ。明日から廃業だな。」
夫人「!?」
猟師「おい薬屋の青瓢箪!」
薬屋「はい!」
薬屋「猟師さん……!」
猟師「売り物がないから、貰う金もない!だから、報酬の三倍だしてもらう理由もないしな!」
夫人「あなた!なぜ逃がしたりするんですの!?」
仔狐「かかさまー!」
大狐「娘!」
夫人「なんですの!なんなんですの!庶民風情がこのように!あたくしに恥をかかせて……!?」
大狐「ほう……ならば、永遠に恥をかけぬようにしてくれようぞ……」
夫人「昨日の晩の……!化け物!はやく!はやく車をだしなさい!」
薬屋「狐さんこわい……」
・
・
料理屋「それで、最近店も大きくして繁盛しているってわけなのね。」
料理屋「同じ客商売としてはあやかりたいものだわ。」
薬屋「いやあ、遠方からもお客さんがきてくれて大変有難いですよ。」
料理屋「元猟師の彼も、番頭が板に付いてきたようだし。」
薬屋「ええ、僕の仕事がなくなっちゃうのでほどほどに、とは言ってるんですが。」
童女「きゃー!」
弟「にーさんが怒ったー!」
番頭「罰として店の床掃除だお前ら!」
童女「きゃー!お掃除だいすきー!」
弟「大好きー!」
番頭「まったく……」
薬屋「いえ……」
料理屋「毛皮好きで有名だったのだけど、ある日を境にぱったりと毛皮を集めなくなったんですって。」
料理屋「毛皮に触れただけで、全身が真っ赤に腫れ上がる病にかかったそうよ。」
薬屋「……うわあ」
料理屋「なんでも、いままで毛皮にされてきた動物の祟りだとか。」
料理屋「あらいらっしゃい。」
女主人「大方、なにか毛皮に関する恐怖が引き金になって体がそんな反応をしているだけであろう。」
薬屋「……ほんっとーに、なにもしていないんでしょうね?」
女主人「せぬせぬ。枕元に立ってやっただけよ。」
薬屋「うわあ。」
女主人「女将、いなり寿司を包んでくれ。」
料理屋「はいはい。またお稲荷様へお参り?」
料理屋「昔は小さな祠だと思っていたけれど、今はすっかり立派な神社よねえ。」
女主人「それはそうであろう。なぜならあそこは」
薬屋「商売繁盛の神様がおわしますから、ね。」
<おしまい>
ご支援ありがとうございました。
途中ID変わっちまいました。
元ネタは、赤毛のイケメン、ムックさんの歌ですぞ。
蛇足ですが以前書いたもの。
勇者「せっかくだから、違う選択肢を選び続けてみよう。」
http://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/internet/14562/1332225434/
魔王「ものども!であえー!であえー!」
http://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/internet/14562/1332638104/
勇者「私は、勇者であると同時に」
http://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/internet/14562/1333425924/
学者「何の問題もないよ!だって私はケモナーだよ!?」
http://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/internet/14562/1339946594/
乙
乙
Entry ⇒ 2012.07.18 | Category ⇒ その他 | Comments (0) | Trackbacks (0)
照「センター試験大失敗した」
照「長野の咲の家に下宿して」
照「バラ色のキャンパスライフを送ろうと思ってたのに」
照「……」グスン
照「咲をれろれろちゅぱちゅぱできない」グスン
菫「もうすこし分かりやすく言ってください」
照「……センター試験失敗した」グスン
菫「……成功したなんて思ってる人なんていないと思うけど」
照「えっ……?」パァ
照「えっと……」
国語 78 数学 60/44 英語 98/20 世界史 48 日本史 44 生物 46
菫「……」
菫「……志望校は?」
照「信州大学」
菫「」
菫「……まあ大体わかるけど」
照「咲ちゃんと同棲したい」
菫「……わざわざ聞くまでもないね」
菫「そうねえ」
菫「……2年後、妹さんと一緒に大学生になるってのは?」
照「その発想はなかった」
菫「人の冗談にいちいち納得するな」
照「2年後、咲と一緒に信州大学に入学すれば」
照「4年間も一緒に大学生活が送れる」
照「いや、その前から一緒に受験勉強をしたり」
照「咲ちゃんにわからないところおしえてあげたいなあ」
照「『おねえちゃんありがとう!』なんて」
照「うふふふふ」
菫「聞いちゃねーし」
照「今まで信州大学に合格するために一生懸命頑張りました」
照「そして今日、この2年間の集大成が発揮される時がやってきました」
照「咲は……いえ、今は会わないほうがいいね、お互いのためにも」
照「では……頑張るのよ、宮永照!!」
照「番号番号……」
照「……あった!!」
照「やったーー!!これで咲と……咲と……!!!」
教授「……あなたが、宮永照さんですか?」
照「……はい?」
教授「入学試験……すべての教科で満点、もちろん首席合格です」
照「……」
照「……本当ですか?」
教授「本当です」
教授「あなたほどの人材が、どうしてこの大学に来てくださったのか……」
教授「あなたなら東大や京大、一橋なども余裕だっただろうに」
照「……いや、いいんです」
照「……この大学には、果たしたいことがあってやってきたのですから」
教授「……宮永さん……」
ピンポーン
父「……お前は……」
照「……」
父「……照か?」
照「……うん」
照「咲に、会いにきた」
父「……ごめんよ、咲は今東京にいるんだ」
照「……なぜ?」
照「……まさか」
父「東京外国語大学に、現役で通った」
照「……」
父「せっかく会いにきてくれたのに、申し訳ないね」
照「……」
父「……お姉ちゃんと一緒に東京で暮らすんだ、と言って一生懸命英語の勉強をしてたよ」
父「単語帳を片手に飯を食ったり」
父「麻雀とお姉ちゃんのことは春までお預け、とか言ってね」
父「……まったく、見上げた根性だよ」
照「……」
照「……」ダッ
父「お、おい、照!少しはゆっくりしていけよ!」
父「……行っちゃった」
照「……ハァハァ」
照「……ハァハァ」
照(惨めだ……どうしてこんなことに……)
照(咲は一生懸命頑張って……東工大、いや、東外大に現役で……)
照(私は……2浪して、信州大……)
照(クソ……クソッ……!!)グスン
咲「……お姉ちゃん?」
照「……!」
照(……あぁ……咲……)
照(まだ最後に会って2年ちょっとなのに……もう10年くらい会ってないような気がするよ……)
照(あぁ咲ぃ……かわいいよぅ……後ろから抱きしめて咲の香りに酔いしれたい……)
咲「……お姉ちゃん、だよね?」
照「……!?」
照「あ、ああ、私は宮永照だ」
咲「……どうしてここに?」
照「あ……いや、咲、合格おめでとう」
照「合格のお祝いにきたんだ」
照「いや、それにしてもすごいな東外大なんて」
咲「そ、それほどでも///」テレテレ
照(照れて赤面してる咲……ヤバい、ヤバいぞ!)
咲「それで、お姉ちゃんは、どこの大学に行ってるの?」
照「」
咲「……?」
照「あの、その」
照「……大学には、行ってない」
咲「……えっ?」
照「……じ、実は社会人の団体で麻雀をやってたんだ」
咲「それは知ってるよ……雑誌とかにも載ってたもんね」
咲「でも社会人の団体だなんて……てっきりどこかの大学に入ってるのかと」
照「……でも、咲」
咲「……?」
照「咲との、大学生活に憧れたんだ」
咲「……」
照「それで、信州大学を受験した」
照「咲は小っちゃいころから信州大学に行くと言ってたな」
咲「……うん」
照「だからてっきり咲も信州大学に行くと思ってた」
照「……」
照「……ドラマチックだと思ったんだ」
照「例えば合格発表のとき、張り紙の前で」
~~~~~~~~~~~~~~~~~~
照「あっ、私の番号だ!」
『あっ!あったー!!』
照「……、あの声は、咲?」
咲「……」
照「咲……」
咲「おねえちゃん……?」
照「さきぃぃぃぃぃぃぃ」
咲「おねぇちゃぁぁあぁぁぁん」
~~~~~~~~~~~~~~~~~~
照「……こんなことに、憧れたんだ」
照「……ごめん」
咲「……謝っても、許さない」
照「……」
咲「ばーかばーかばーか!!お姉ちゃんのばーーーーか!!!」
照「……言い返す言葉もない」
咲「ばーーーか!!ばーー……か……おねえちゃああああああん……」
咲「うわあああああああああああああん」
照「……」
咲「……なんで、私が英語を学ぼうと思ったと思う?」
照「……どうして?」
咲「麻雀の楽しさを、世界に伝えたいからだよ」
照「……」
咲「将来、海外に行きたいんだ」
照「……!」
照「そんなの、プロになって通訳をつければ、いくらだって世界中を飛び回れるだろう」
咲「たしかに、そうすることもできるけど」
咲「面と向かっての言葉でしか伝えられないようなことだってあると思うんだ」
照「……」
咲「それも、麻雀をたのしいって思えなかったり……」
咲「あと、うまく言えないけど、言葉が足りなかったからじゃないかな、って思うんだ」
咲「だからね、世界中のみんなと向き合って麻雀を伝えたい」
咲「そのためには、プロになるだけじゃダメだと思ったんだ」
照「……そんな事、考えたこともなかった」
照「楽しいと思ってたかはわからないけど……ただそれだけで満足してた」
照「人と楽しさを共有しようだなんて……」
照「いかにも咲らしい……」
照「咲は……本当に立派だな」
咲「ううん、そんなことないよ」
咲「お姉ちゃんのその、勝負に対する考え方はとても私には真似できない」
咲「お姉ちゃんも、私にはないものを持ってるよ」
咲「私もお姉ちゃんと一緒の大学に行きたかったけど……」
咲「間違っても、もう一浪して東外大を受験するなんて、そんな人生を棒に振るようなことなんか、してほしくないな」
照「……うん」
照「お前の話を聞いて、実にそう思った」
照「ただ咲と一緒の大学に行きたい、とか、そういうんじゃダメなんだって」
照「自分の道を歩まなきゃダメなんだって、気づかされたよ」
咲「……」
照「信州大は……蹴るかな」
咲「……」
咲「……うん」
照「咲は、私の自慢の妹だ」
照「私も、自慢の姉になれるように、日本一……」
照「いや、世界一のプロになる」
照「さらばだ、世界にはばたく我が妹よ」
咲「待ってお姉ちゃん!」
照「……」スタスタ
咲「……」スタスタ
照「……」ダッ
咲「ハァハァ……お姉ちゃん……ハァハァ……足が早いよぉ……」
咲「……これじゃあ、二度と会えないみたいじゃん……」
咲「……お姉ちゃん……うっ」グスッ
咲「言い忘れたことがあるのに……」グスン
照「何とか撒けたな……ハァハァ」
照「……」
照「大学なんか行くより……実業団で揉まれたほうが絶対に強くなる」
照「一日でも早く世界中で一番強くなって……咲に会いたい」
照「私は……咲が大好きだ」
照「咲のためなら死んでもいい」
照「だから、咲が世界で一番誇れる、強い姉になって……」
照「そのときに……咲を思いっきり抱きしめよう」
照「それまで咲には会わない」
照「何がなんでも、絶対だ」
照「会っただけで満足してしまいそうだから……」
照「あんなことやこんなこと……」
照「悪い部分も、弱い部分も……」
照「2年前のセンターのこと、信州大学を受けた本当の理由……」
照「本当はあまり言いたくはないけど……」
照「その時には笑って話せるようになってるのかな……」
照「…….そのときまで、咲」
照「さようなら……」
咲「……どこに行ったの?」
咲「あと一つだけ……一つだけ、でも一番肝心なことを伝えていないのに……」
咲「お姉ちゃん……会いたいよ……」
咲「……」
咲「私が世界中に麻雀のたのしさを広められたら……」
咲「会ってくれるのかな……」
咲「世界中の人々に麻雀が本当に楽しいんだって知ってもらいたい」
咲「そして、お姉ちゃんにも……」
咲「……」
咲「世界中の人々に、目と目で、言葉と言葉で笑いあって、麻雀を伝えたい」
咲「麻雀ももっと強くならないとね……」
咲「えへへ……大変だなっ」
咲「最後に、世界中で一番好きな人に、一番伝えたいことを伝えよう」
咲「大好きだよ、そして私も……」
咲「お姉ちゃんのことを世界で一番誇りに思ってます」
咲「また会う日まで……」
おわり
乙
Entry ⇒ 2012.07.18 | Category ⇒ 咲-Saki-SS | Comments (2) | Trackbacks (0)
紅莉栖「岡部から他の女の匂いがする」岡部「えっ」
岡部「えっ」
紅莉栖「ちょっと岡部」
岡部「へ、な、なんだ」
紅莉栖「…………これは」クンクン
岡部「ぅ、うわ、や、やめろぉ!においを嗅ぐな!お前は犬か!」
紅莉栖「んー?」クンクン
岡部「お願い、やめてっ!謝る!明日からファブリーズする!俺が汗くさいのはわかった!頼むから嗅がないでください!」
紅莉栖「…………白衣、ね」
岡部「え」
岡部「…………な、なんだ?」
紅莉栖「白衣脱ぎなさい」ガシッ
岡部「え、ちょ、助手貴様さっきからなにうぉお!?」
紅莉栖「…………やっぱりこれだ」クンクン
岡部「き、貴様ぁ!我がインテリジェンスの象徴を!ってだから嗅ぐなっ」
紅莉栖「わからない……一人じゃ、ない?」
岡部「ふぇ?」
岡部「ええい、誰が触るというのか!そんなことやるのは現在進行形でお前だけだ!」
紅莉栖「…………岡部に自覚症状はなし、か」
岡部「おい助手、さっきから何をわけのわからないことをっ!」
紅莉栖「今日は……全員くる予定になってるからちょうどいいわね」
岡部「おい、人を無視するな。話を聞けっ」
カツカツ
紅莉栖「階段を上がる音!?誰かが来る!岡部、隠れるわよ!」
岡部「なっだから何故俺が――――っていうか俺の白衣っ」
岡部「だからおい何故ラボの長たる俺がシャワールームに隠れなきゃならんのだ」コソコソ
紅莉栖「いいから黙って」コソコソ
まゆり「みんなでお買い物にいったのかなぁ………あ」
紅莉栖「………ほら」
まゆり「オカリンの白衣ー♪白衣ー白衣ー♪」
岡部「!?」
紅莉栖「アイロンセット……!?」
岡部「……コス作りの道具を持ち込んでるのは知っていたが…………」
まゆり「~~♪」
紅莉栖「っ、まゆりにはこれがあったか……なんという幼馴染み属性……家事スキルは同レベルだと思っていたのに……!」
まゆり「~♪~~♪」
岡部「というか白衣ってアイロンいるのか?」
紅莉栖「あんたハンカチにすらアイロンかけたことないわけ?」
岡部「…………ないな」
岡部「ぐ、ぐぬぬ……」
紅莉栖「それにしてもまゆりは流石ね」
岡部「そ、そうだ!俺がやらなくてもまゆりがやればいいだろう!何故ならあいつは鳳凰院凶真の人質だからなっ」
紅莉栖「人質にアイロンかけて貰うマッドサイエンティストって……」
岡部「で、だ。もう隠れるのはいいだろう。そもそも何故隠れるのだ。俺は人質を労ってやらねばならん」
紅莉栖「……待ちなさい、岡部」
まゆり「んっ……」
岡部「!?」
紅莉栖「アイロンかけた白衣に、顔を埋めた……!」
岡部「ちょ、まゆりお前まで……」
紅莉栖「足バタバタさせてる、凄いキュートね……」
岡部「……っていうかアイロンかけた後にやったら意味ないだろっ、やめてっ」
紅莉栖「それにあの淀みない手付き、これは常習犯ね」
岡部「やっ、ほんとやめて!手を離せ紅莉栖、俺はまゆりを止める!いやっ嗅がないでくれっ!恥ずかしいっ!」
紅莉栖「あ、ちょ、岡部っ」
岡部「うわああああ――――!!」
まゆり「えっ」
紅莉栖「あーあ」
岡部「……とりあえず白衣に顔を埋めるのはやめてくれ」
まゆり「ごめんなさい……」
岡部「いや、あ、うん。怒ってるわけじゃない。むしろこちらが感謝せねばらならない、いつもアイロンかけてくれてありがとう。さすがこの鳳凰院凶真の人質なだけはある」
まゆり「まゆしぃは悪い子です……」
紅莉栖「ううん、大丈夫よまゆり。岡部の白衣に顔埋めるくらいなら私もしょっちゅうやってるわ」
岡部「…………おい」
まゆり「えへへ、ごめんね。オカリン……」
岡部「(電話を取り出す)……ああ、俺だ。人質と助手が機関による洗脳工作を受けた疑いが強い。このままじゃ俺へのダメージが大きすぎる。……ああ、そうだ。一刻も早くファブリーズを買ってこなければならない。頼んだぞ、エル・プサイ・コングルゥ……」
まゆり「あの、ね。いつもやってるわけじゃないんだよ?寂しくなった時にね、ぎゅっとするとオカリンに抱きしめられてる気がして――――」
岡部「まゆり、もうやめてくれ。俺は羞恥心で爆発しそうだ」
紅莉栖「でも白衣の匂いは、まゆり一人じゃなかったわ……」
まゆり「え」
岡部「えっ」
まゆり「全然気付かなかったのです……」
岡部「って貴様らも普段からそういうことをやってるから気になるんだろっ、もういい!もうたくさんだ!!俺は白衣を家に持って帰るぞっ!!それでいいだろ!!」
紅莉栖「却下」
まゆり「白衣についてはね、まゆしぃがおばさんによろしくねって頼まれてて……」
岡部「ええいっなにを頼んでるかうちの親は!?」
カツカツ
紅莉栖「また誰か来た!?隠れるわよ岡部!まゆり!」
まゆり「え?あわわわ」
岡部「あ、ちょ、やっ、もうやめっ」
岡部「だからどうして隠れる必要があるっ」コソコソ
紅莉栖「だめよ、岡部の白衣は誰にも渡さないんだからっ」コソコソ
まゆり「ええー紅莉栖ちゃん、白衣についてはまゆしぃが頼まれてて……」コソコソ
フェイリス「おかしいニャ。ダルニャンから凶真やクーニャンがいるって聞いてきたのに……」
岡部「来たのはフェイリスだぞ、あいつが何かするわけないだろっ」
紅莉栖「わからないわよ。ほら」
フェイリス「これは凶真の白衣」
岡部「あっ、ちょ……」
まゆり「フェリスちゃん……」
紅莉栖「頭から被った!?」
岡部「猫かっ――っていや違うだろっ」
まゆり「わぁ……」
フェイリス「ニャ、ニャ」
紅莉栖「被るだけで着ないのがミソね」
岡部「いや、もはや匂い嗅ぐのと変わらんではないかっ」
フェイリス「ニャ♪」
まゆり「フェリスちゃん、いいなぁ……」
紅莉栖「はっ、これが本当の猫をかぶる……!?」
岡部「いやうまいこといったつもりか!」
岡部「ええい見てられんわっ離せ離さんかクリスティーナ、ってまゆりもはなせっ」
まゆり「オカリン邪魔するの可哀相だよ。ほらフェリスちゃんがくしくししてるよ」
フェイリス「~~~♪」
紅莉栖「ソファに寝ころんでまるっきり猫ね。夏なのに暑くないのかしら……」
岡部「どうりでいつもアイロンかけて貰ってるのにいつもクシャクシャなわけだってもういいだろ!いいから離せよ!!」
まゆり「駄目だよオカリン」
紅莉栖「そうよ、どうせならもっと行動がエスカレートするまで見てましょ」
岡部「趣味が悪いわっ!ええい、離せっ――おい!!フェイリスお前もいつまでやっとるか!!」
フェイリス「ニャニャ!?」
まゆり「あっ」
紅莉栖「あーあ」
岡部「お前までなにを……」
まゆり「フェリスちゃん」
紅莉栖「せっかくの実験なのにばれちゃったわね……」
フェイリス「まゆしぃ!?クーニャンまで!?」
岡部「とりあえず俺の白衣を被るのやめてくれ……」
フェイリス「こ、これはだニャ……来るべきラグナロクのために神様を呼び覚ます踊りを……」
岡部「……髪ぼっさぼさになってるぞ」
フェイリス「ニャニャ!?」
岡部「もういい、二人が三人になろうがそう変わらん……」
フェイリス「……三人?」
まゆり「えへへぇ~、お仲間だねフェリスちゃん」
紅莉栖「まぁそういうことね」
フェイリス「ニャ……///」
岡部「……もういいだろ?なんかもう疲れてきたぞ、凄く……」
紅莉栖「駄目よ」
岡部「俺の白衣が玩具にされてのはもうわかった、ここまでされてると何もいえん……」
岡部「そんなわけあるかっ、俺の私物だぞ!」
まゆり「オカリン大人気だねぇ~」
岡部「ぜんっぜん嬉しくない!全然!これっぽっちも!」
カツカツ
まゆり「あっまた誰か来るみたいだよ~?」
紅莉栖「ほらフェイリスさん、隠れるわよ」
フェイリス「ニャニャ!?」
岡部「ええいもうこんなことに付き合ってられるかっ俺は白衣を持って家に帰っあっ、まゆり引っ張るなっ――」
まゆり「オカリンもう大きい声出さない?」コソコソ
岡部「んっんっ、ぷはっ……ええいわかった頼むから口に手を当てるな鼻を押さえるなっ息が出来んっ」コソコソ
紅莉栖「次は漆原さんね……」コソコソ
フェイリス「こうやって覗いてたニャンか……恥ずかしいニャ……」コソコソ
るか「……あの……どなたかいらっしゃいませんかー……」
岡部「っていうか狭っ!さすがに4人シャワールームは狭いっ!」
まゆり「オカリンおっきな声出しちゃ駄目だよ~」
フェイリス「にゃ!?あっ、キョーマそこはっ……」
紅莉栖「ちょっと岡部どこ触ってんのよっ」
るか「岡部さーん……まゆりちゃーん……?」
まゆり「まゆしぃがオカリン抑えてたから……ごめんね、フェリスちゃん」
岡部「す、すまない、フェイリス……」
フェイリス「キョーマは大胆だニャ……///」
るか「…………あ」
紅莉栖「早速白衣に目を付けた……橋田以外の唯一の男性とはいえ立派な容疑者だわ」
岡部「ルカ子はそんなことせんわっ」
フェイリス「んー、それはどうかニャー……」
まゆり「ルカくんもオカリン大好きだからねぇ、えへへ」
岡部「いや、流石に……!?」
るか「これ岡部さんの……?」
紅莉栖「白衣を手に取った……!」
フェイリス「ニャニャ?いくニャ!?いくニャ!」
まゆり「頑張れ、ルカくんっ」
岡部「いやっなにを応援しとるかっ」
紅莉栖「――――よし、いったっ!」
るか「…………ぶかぶかだ……///」
紅莉栖「普通に着た!?」
岡部「ふっ、ルカ子、俺は信じてたぞ……」
紅莉栖「……彼に岡部のはサイズ大きすぎるわ、袖から指先しか出てないね」
フェイリス「彼氏のワイシャツを着てる彼女状態ニャ!これはポイント高いニャ、流石ルカニャン……!」
岡部「いや、だが男だ」
まゆり「ルカくんはルカくんだよー」
フェイリス「卑猥だニャ!?」
岡部「どこがだ!お前までダルみたいなことを言うなっ!」
紅莉栖「んー……普通に白衣着てるだけ、か……」
まゆり「ルカくんは恥ずかしがり屋さんだからねぇ~」
岡部「おい、もういいだろ……」
紅莉栖「確かに着てるだけで満足してるみたいだし、これ以上は進展しそうにないわね」
フェイリス「純情な愛だニャ」
まゆり「愛だねぇ」
岡部「…………師弟愛だ」
るか「え、あっ……きゃ、岡部さん!?」
まゆり「えへへ、白衣コスのルカくんも可愛いねぇ~」
紅莉栖「うん、凄くキュートね」
フェイリス「可愛いニャン。お客呼べるレベルニャン」
るか「み、皆さんまで!?あ、あの、これは……!?あっ、すっ、すいません岡部さん白衣を勝手に……!?」
岡部「いい、許そう!むしろ褒めてやってもいい!お前がそこまで白衣に憧れを持っていようとは知らなかった!フゥーハハハ!!この狂気のマッドサイエンティスト鳳凰院凶真の弟子として素晴らしいことだ!」
るか「あっ、はい……あ、ありがとうございます……?」
岡部「白衣の良さに気付くのは素晴らしいことだ!なんなら新しい白衣プレゼントしてやろう!」
るか「えっ」
まゆり「オカリン違うよ。ルカくんが着たいのはオカリンの白衣なんだよ?」
まゆり「そうだよね、ルカくん」
岡部「ええい何をいうか!我が人質ながらお前にはわからんのかこの白衣の素晴らしさが!圧倒的なこの機能美を!」
まゆり「えっとねー……まゆしぃにはわからないのです……」
紅莉栖「……逃げたわね」
フェイリス「薄々わかっていながらも恥ずかしくて逃げてるだけニャン」
紅莉栖「中二病乙、っと」
岡部「貴様らも人を勝手に分析してるんじゃない!」
紅莉栖「えっ、けど足音なんて聞こえないけど……?」
フェイリス「猫の耳は確かだニャ、いいから早く隠れるニャン!」
岡部「おいまだやるのかもういい加減に――うおわっ」
るか「ええ?まゆりちゃん?」
まゆり「ルカくんもオカリンと一緒に隠れようねぇー」
ガチャ
鈴羽「おっはー!……ってあれ?」
岡部「おいっ5人は流石に無理あるだろっ」コソコソ
まゆり「えへへぎゅーぎゅーだねぇ」コソコソ
るか「っ……岡部さん、これはちょっと苦しいです……あっ」コソコソ
フェイリス「隙間に埋もれるのは慣れてるニャ……」コソコソ
紅莉栖「岡部どこ触ってんのよっ!ちょ、やめて!やめなさいよ!やめてよ!事務所から訴えるわよ!」コソコソ
岡部「事務所ってどこだよ……というか貴様らから連れ込んだのによく言うっ……くっ体の身動きが取れん……っ」
まゆり「みんな仲良しさんだねぇ」
鈴羽「んー……?あれ、これって」
紅莉栖「よし食いついたっ」
岡部「もはやそういう状況じゃないだろっこれぇ!」
まゆり「んー?」
フェイリス「生地を確かめてる、ニャ?」
紅莉栖「色気もなにもあったもんじゃないわね……」
るか「岡部さん、すいませんっちょっと右手がっ……きゃ……」
岡部「す、すまん……だがっどうしようも身動きが……」
鈴羽「白衣はどんな時代でも変わらないか……父さん……」
紅莉栖「父さん!?」
岡部「なぜこっちを見る!?」
フェイリス「ニャニャ?もしかして凶真の隠し子ニャ!?」
岡部「そんなわけないだろっ」
紅莉栖「リンリン!?」
岡部「なっ、なぜこっちを見る!?俺じゃ……」
フェイリス「キョーマ、顔真っ赤ニャ……いつの間にそんな呼び方になってるニャ、スズニャンもあにゃどれないニャ……」
るか「岡部さんが……リンリン……」
まゆり「パンダみたいだねぇ」
岡部「おい、この際言っておくがオカリンも相当なものだぞっ」
まゆり「ええーオカリンはオカリンだよー」
ブンッ
紅莉栖「あぶなっ」
岡部「なっぐぶぇっ!?」
るか「ああっ、岡部さんっ!?」
フェイリス「ナイスヒットだニャ」
鈴羽「…………あれ?みんなしてどうしたの?」
岡部「おいっ、ビット粒子砲を投げるものがあるかっ!!」
鈴羽「えーそっちがこそこそ隠れてるのが悪いと思うなー。危険が潜在しているとなったら体が勝手に動くんだから……」
岡部「洗剤……?せんざい…………潜在……ああ……」
紅莉栖「……流石ね」
まゆり「スズさんには簡単にばれちゃったねー」
紅莉栖「岡部の白衣がどれだけの人の手に渡っているか確かめるためよ」
鈴羽「??」
岡部「ああ、それでいいのだバイト戦士よ。正直助かった、それが普通の反応だ。まさかお前こそが一番常識人だという判断を下すことになろうとはこの鳳凰院凶真、夢にも思わなかったぞ……」
紅莉栖「待って。阿万音さん?」
まゆり「あのね、みんなオカリンの白衣をぎゅーってしたり、してね?」
フェイリス「どことなく凶真の匂いがして気持ちいいニャン?」
るか「あ、あの……僕は……///」
岡部「わざわざ説明せんでいいっ!いいか、おかしいのはお前らだ!だいたい人の白衣を毛布か何かと勘違いして――――」
鈴羽「…………え?あっれー?今日はまだやってないのになんでわかったの?」
岡部「」
鈴羽「そ、そりゃあたまにだよ!あたしだってそういう気分になる時もあるよ!……おかっしーなー、痕跡を残したつもりはないけど……」
紅莉栖「自白、一ね」
鈴羽「えっ、え?」
まゆり「えへへ、やっぱりスズさんもやるよねー」
紅莉栖「事前に想定していた以上に人数が多いわね」
鈴羽「しまったなー毎回ちゃんと監視カメラの有無もチェックしてたんだけどなー」
まゆり「みんなみんなオカリンのこと大好きなのです」
るか「岡部さん……流石です……」
岡部「ぜんぜん嬉しくないぞ、ぜんっぜん。正直、貴様らがここまで変態だったとは思いも寄らなかった……」
鈴羽「勝手に白衣触ってたのは謝るけど。流石へんたいって言い方はひどいと思うなー」
まゆり「そうだよぉー」
フェイリス「やっぱり彼氏の服着てみたりするのは女の子にとっての憧れニャン」
紅莉栖「シチュエーション萌え、ね」
るか「そっ、そうですよね、別におかしくなんかないですよね!」
岡部「いや!おかしいだろぉ!」
紅莉栖「さて確かめるべきはあと一人……、いや二人の可能性が微レ存……?」
まゆり「ダルくんも?」
岡部「やめんかクリ腐ティーナ!気色悪いこと言うな!鳥肌がたつわ!」
カツカツ
鈴羽「!……誰か来るよっ」
紅莉栖「みんな隠れるわよっ」
フェイリス「合点承知ニャ」
岡部「だからいつまでこんなっ、待て!流石にシャワールームに6人は入らないだろ!絶対に無理だ!」
まゆり「ルカくん、もっとオカリンにくっついていいんだよ?」
るか「あっ……すいません岡部さんっ……」
岡部「む、無理だ……絶対にっ、無理があるぞこれ……」
萌郁「…………」
フェイリス「やっぱりモエニャンニャ……!」コソコソ
紅莉栖「流石に、苦しいけど……さてついに来たわね」コソコソ
まゆり「えへへ、オッカリーン」コソコソ
るか「すいません岡部さん、本当にすいませんっ……」コソコソ
岡部「こ、この体勢は……無理だ……潰れるっ……」コソコソ
鈴羽「静かにっ、桐生萌郁は鋭いからバレるよ」コソコソ
萌郁「…………?」
岡部「そうはいうが……これは通勤ラッシュ時の乗車率250%並みだぞっ……」
萌郁「…………」カチャ
紅莉栖「……! しまった、携帯を取り出した!」
フェイリス「凶真携帯の電源を切るニャ」
岡部「こんな体勢で無茶言うなっ」
岡部「ちょ、お前鈴羽どこを触って、ぁ、待て、ああっ」
フェイリス「……エロイニャ」
るか「きゃ、岡部さん、耳に吐息がっ……」
まゆり「えへへ、オカリンにぎゅってされて、みんな幸せだねぇ」
鈴羽「…………切ったよ!」
紅莉栖「ナイス、阿万音さん!」
萌郁「…………?」
紅莉栖「こ、これでなんとか観察を続けれるわ……!」
鈴羽「あれ?手抜けなくなっちゃった……」
岡部「や、やめっ、そこはっ、ふぇ」
フェイリス「……至近距離で喘ぐ凶真とか物凄くエロイニャ」
紅莉栖「警戒してる……?」
フェイリス「それとなく周囲を見渡してるニャ、流石に手強いニャン」
鈴羽「あれ?あっれー?全然抜けないや……まぁいいや」
るか「岡部さんっ」
岡部「い、いいわけないだろっ、その、お前らの胸がっ」
フェイリス「あててんのニャ」
まゆり「ぁ、オカリンの息がくすぐったいよぉ」
鈴羽「あ、そこは……リンリン……っ」
紅莉栖「なにやってんのよ、岡部っ」
岡部「不可抗力だっ俺は無実だっ」
フェイリス「! モエニャンが動いたニャ!」
ガチャ
紅莉栖「白衣を持って逃げた!?」
フェイリス「さすがニャ!こっちの裏をかく大胆な行動ニャ!」
岡部「俺の、白衣っ」
るか「岡部さんっ、岡部さんっ……」
鈴羽「あ、これ手触れてるの……」
岡部「ひっ、やめろ触るな握るなっ」
まゆり「えへへ、オカリンー」
フェイリス「……こっちも阿鼻叫喚で追おうにも追えないニャ」
紅莉栖「いいから出るわよっ」
ガチャ
鈴羽「捕まえてきたよー」
萌郁「…………っ」
岡部「はぁ……はぁ……」
紅莉栖「……さ、流石にシャワールームに6人は無理があったわね……」
るか「……ぁ、あっ」
まゆり「みんな汗びっしょりだねぇ」
フェイリス「楽しかったけど真夏にやることじゃニャいニャ」
鈴羽「あのさ、あの時になんかあたし物凄いものを触ったような気が……」
紅莉栖「……で、桐生さんはどうして逃げたの?」
萌郁「…………」カチャ
フェイリス「凶真、携帯の電源入れるニャ」
岡部「も、もうお婿にいけない……」
紅莉栖「ほら岡部……いいから読みなさいよ……」
岡部「っ……貴様ら本当に好き勝手っ……」
フェイリス「なになに……」
岡部「あっ人の携帯をっ」
まゆり「『シャワールームからゴソゴソ音がしたから怖くなって持ったまま逃げちゃった』だってー」
フェイリス「そりゃ、あれだけガサゴソやってたらばれるにゃん……」
るか「無理も、ないですね……」
紅莉栖「くっ、観察対象が気付いてしまった時点で失敗か……」
鈴羽「不覚だね」
フラッ
萌郁「あっ………」
ガッ
フェイリス「さすが凶真ニャン。押し倒すとはテンプレ通りのラッキースケベニャン」
鈴羽「あーあ普段から鍛えてないからこんなことで足がふらつくんだよ」
岡部「す、すまん萌郁。足がふらついて」
萌郁「…………っ、大丈夫」フルフル
るか「お、お二人とも大丈夫ですか?」
まゆり「ごめんねー萌郁さん?」
紅莉栖「岡部、あんたなにやってんのよ……」
ガチャ
ダル「ちーす、お、こりゃみんなおそろいで…………え?」
「「「「「「「え」」」」」」」
岡部「ち、違うっダル!落ち着け!萌郁を押し倒したのは事故で……!」
萌郁「…………」コクコク
紅莉栖「そうよ、非力なマッドサイエンティストさんが蹴躓いたせいでね」
岡部「なんだとっ、元はといえば貴様がだな!」
ダル「ちょ、牧瀬氏その姿……」
紅莉栖「へ?」
フェイリス「そうニャン。これは凶真の見事なラッキースケベの結果ニャン」
ダル「ちょ、フェイリスたんまで……」
フェイリス「ニャ?」
ダル「全員の乱れた着衣……上気して汗ばんだ肌……おまけに息があがってる……」
まゆり「んー?」
るか「えっ、え?」
鈴羽「……あ」
萌郁「ぇ?」
ダル「おまけにくしゃくしゃになった白衣を脱いでるオカリン……」
岡部「いや、な?ダル?」
ダル「…………いつの間にかラボがラブホになっていた件について」
岡部「ウェイト!ウェイト!!ちょっと待て!お前は何か勘違いしてる!」
ダル「もはやオカリン爆発しろってレベルじゃねーぞ……全員とか……壁殴りはよ……」
岡部「おいダル!?」
ダル「うわああああああああああリア充爆発しろおおおおおおおおおおおおお!!」ドンドンドン
岡部「やめろダルっ!?床を叩くなっ!!そんなに暴れるとミスターブラウンが!!」
ダル「マグマはよおおおおおおおおおお!!」
ブラウン「おい、おかべえええええええええええ!!」
岡部「」
終了
Entry ⇒ 2012.07.17 | Category ⇒ シュタインズゲートSS | Comments (0) | Trackbacks (0)
ハーマイオニー「ハリーが女の子になってしまったわ」ロン「」
ハリー「……」
ロン「……そりゃいいや。あー、ハニーって呼ぼうか?」
ハーマイオニー「残念ながら、ロン。冗談じゃないの」
ハリー「本当に、残念なことにね……僕宛に、誰かからお菓子が送られてきたんだ。それで……」
ロン「……あのさ、君達がどういうつもりか知らないけど。ハリーの髪の毛が伸びたのは、ハリーのあの特技で、だろう?……それで」
ハリー「……」
ロン「その、なんだい?ふくらみ呪文でもかけたのかい?」
ハリー「言っておくけど、重いんだよ、これ」
ハーマイオニー「ロン!真剣に聞いて頂戴よ!」
ロン「ハーマイオニー。いくら僕をだまそうっていったって、何も自分が惨めになるくらいハリーのをふくらませっちまうことは……」
ハーマイオニー「ロナルド・ビリウス・ウィーズリー。歯をくいしばる必要はないわ、いい歯医者を紹介してあげる」ゴシャッ
ロン「マーリンの髭っっっ!?!?!?」ドサッ
ハリー「あーぁ……」
ロン「いいもんか……でもここまでされたら、信じるほかないよな。本当なのかい?ハリーが……?」
ハーマイオニー「驚いたことにね。私がさっき、ちゃんと確認したわ」
ロン「確認って?」
ハリー「ついてなかったんだ」
ロン「? あぁ、そりゃぁ運は悪いよな」
ハリー「?」
ハーマイオニー「……ハリー、やめましょう。おそらくロンに、この手の話題は無駄よ」
ロン「おい、おいおい。僕の親友にこんなにとんでもないことが起きたんだぜ?仲間はずれはよせよ、だ」
ハーマイオニー「思うに、あなた意味が分かったらゲラゲラ笑うと思うから。やめておくわ、よ」
ハリー「……」
ロン「何だよ、ハリー」
ハリー「……ハーマイオニー」
ハーマイオニー「何かしら、ハリー」
ハリー「……女の子って、男の子のここへ向ける目線。本当に簡単に分かるんだね」
ロン「!?」
ハーマイオニー「勉強になったようで、よかったわ」
ハリー「うん。あぁ、ロン。君は今度、マダム・ロスメルタに謝ったほうがいい」
ロン「な、なんのことだかわからないね!僕がまるで君のその、なんだか丸いのをジロジロ見ていたみたいじゃないか!失礼だな!」
ハリー「うん、今はチラチラ見ているね、あぁ、本当に気をつけよう……」
ハーマイオニー「あなたはあまりそういう目で見ていないわよ、ハリー。大丈夫」
ロン「それは、ご自分が見られるほどじゃないからじゃないですkなんでもないよハーマイオニー。今日も素敵な巻き毛だね」
ハーマイオニー「癖毛よこれは」
ハーマイオニー「?視力が回復している、っていうこと?」
ハリー「うん、ポリジュース薬で変身したときも、そうだったんだけど……」
ロン「……」
ハーマイオニー「……」
ハリー「ははっ、裸眼でこんなに遠くまで見えるのはとっても、久しぶりだよ……うん?どうしたんだい、二人とも」
ロン「……ハリー、君って」
ハーマイオニー「……下まつげ、長いのね」
ハリー「?」
ハーマイオニー「そんな暇ないわ。一刻も早くあなたに知らせなきゃ、って思ったんだから」
ハリー「そんなに、変になっているのかな?顔の方はそこまで変わっていないと、思ったんだけど」
ハーマイオニー「いいえ、変、っていうか……なんだか、頬も赤いし」スッ
ハリー「ひゃっ!?ハーマイオニー!くすぐったいじゃないか!いきなりなんだい!?」
ハーマイオニー「……すべすべだわ」
ロン「本当かい、どれどれ」スッ
ハリー「っちょ、ロン、やめてくれ……ひっはらないでくれよ!ロン!ロン!」
ハーマイオニー「こうなると、髪の毛もいじりたくなるわ。自分じゃこんなストレートにするには、とっても時間かかるし……ハリー、大人しくしていてね」
ハリー「ハーマイオニー、君も何して……痛い!痛いよ、ハーm引っ張るなってば、ロン!ロン!!」
ロン「きっちり結い上げたじゃないか、ハーマイオニー」
ハーマイオニー「我ながら、力作だわ」
ハリー「どこのパーティーにお呼ばれしたのさ、僕は」
ハーマイオニー「ともあれ。どうしてハリーがこうなってしまったのか、原因を探らないと、だわね」
ハリー「ここにくるまで随分とかかったじゃないか。僕はそろそろどうして君たちに相談したのか、後悔しだしたころさ」
ハリー「あぁ、そうなんだ。なんだか包みと、レモンキャンディが」
ハーマイオニー「……レモンキャンディ?」
ハリー「うん。あぁ、そうだ。包みはここに残ってるんだけど、ハーマイオニー。君、何か送り主を探る呪文とかしらないかい?」
ロン「そりゃいいや、そういうのは君の十八番だろう?」
ハーマイオニー「万能じゃないのよ……あら?ハリー、包みに何か残っているわ……手紙?」
『君のお父さんが亡くなる前にこれを私に預けた
君に返す時が来たようだ
上手に使いなさい』
ハリー「……」
ロン「……」
ハーマイオニー「……」
ハリー「ダンブルドアは、この文句を言えば僕が無条件で納得する、とでも思っているんだろうか」
ロン「あぁ、ダンブルドアってまったく変わっているよな」
ハーマイオニー「どうして少し誇らしげなのよ、ロン」
ダンブルドア「と、いうわけじゃ。セブルス」
スネイプ「……」
ダンブルドア「君には随分と、無理をさせておるからのう。褒美、というわけではないが」
スネイプ「……」
ダンブルドア「君も、一度は考えたことがあろう?ハリーが、ジェームズとリリーの子供が女の子じゃったら、とのう」
スネイプ「……」
ダンブルドア「幸い、わしにはそれを可能にする若い頃の研究があってのう。ゲラートとの……ゴホン。ともかくじゃ」
スネイプ「……」
ダンブルドア「どうじゃ、セブルス。少しは君にも、良い思いを……」
スネイプ「……校長。我輩、校長を心から尊敬しております」
スネイプ「校長には絶対服従であり」
スネイプ「心からの敬意を払っており」
スネイプ「我輩ごときがあなたに意見しようなど、滅多なことではないのです」
ダンブルドア「確かに、君とわしは対等と呼べる関係ではないじゃろう。じゃがのう、セブルス……」
スネイプ「で、あるからして。これから我輩が口に出す礼節正しい言葉使いの裏に隠れた確かな感情を、汲み取っていただきたい」
ダンブルドア「?」
スネイプ「上顎と下顎をキッチリ噛み締めて離さないことですな、校長(歯ぁくいしばれ老いぼれ)」ググッ
ダンブルドア「!?!?」
ダンブルドア「待つんじゃ、セブルス」
スネイプ「リリーの子供が女の子だったら?だから?なんだというのですかな??」ビキビキッ
ダンブルドア「わしが迂闊じゃった、悪かった、すまん。じゃから……」
スネイプ「リリーはリリーであって、リリー以外の者に我輩の琴線に触れる者など何者もいないのです。校長もそれは、よくご存知のはず」ビキビキッ
ダンブルドア「そうじゃ、レモンキャンディはどうかの?荒ぶった時は、甘いものが一番で……」
スネイプ「さすれば、この行いは我輩に対する侮辱。リリーへの想いを汚された代償……安くありませんぞ?」ビキビキッ
ダンブルドア「セブルス……頼む」
スネイプ「『セクタムセンプラ』!!」
ロン「何を言ってるのさ、ダンブルドアは校長だぜ?」
ハリー「うん?」
ロン「たとえダンブルドアがマーリンの髭を毟ってゲラゲラ笑ってても、誰もつっこめやしないよ」
ハーマイオニー「それは別の意味で近寄れないだけじゃないかしら」
ハリー「ともかく、先生はどういうつもりなんだろう……僕を女の子にして、何になるっていうんだ?」
ロン「眼福だよな」
ハリー「ロン、開き直ってジロジロ見るのはやめてくれるかい」
ロン「あぁ、君みたいにいつ何時も深いお考えがおありなんだろうさ」
ハーマイオニー「茶化さないで。今は、『あの人』が復活した非常事態でしょう?」
ハリー「その割には、僕達あまり切羽詰っていないけどね」
ハーマイオニー「いいから聞きなさい。そんな大変な時に、校長先生がわざわざこんなことを無意味に起こすことが、あると思う?」
ハリー「うーん……あぁ、ひょっとして。あいつと僕の心が繋がるのを防ぐために、とか?」
ハーマイオニー「女の子の精神をハリーが理解して、『例のあの人』の精神から遠ざける……ありえなくはないわね」
ロン「そんなご大層な話なのかなぁ?ダンブルドアも面白半分だと思うね、僕は」
ロン「君、たまにお人よしだよな、ハリー」
ハリー「なんだっていいさ。あー、でもこの制服のキツさは何とかしたいね」
ハーマイオニー「……」
ロン「僕は何も言っていないよ、ハーマイオニー」
ハーマイオニー「私こそ、よ。ロン」
ハーマイオニー「出来るわ。でも……制服にそういう改造とかは、したらいけなかったような」
ロン「じゃあ、君のを貸してあげれば……なんでもないよ、ハーマイオニー」
ハーマイオニー「ロン、あなたいい加減にしないと小鳥に襲撃されるわよ」
ロン「何さその怖い予言は。えぇっと、じゃあ誰か先生に相談しに行こうか?制服に細工していいか、って」
ハリー「そうだね、それじゃあダンブル……マクゴナガルに」
ロン「……賢明だよ、ハリー」
ハリー「おひとよしから随分と評価が上がったね」
ハリー「……と、いうわけなんです。先生」
ロン「おったまげー、ですよね、先生」
ハーマイオニー「制服に魔法をかけることを、許可していただきたいんです、先生」
マクゴナガル「……少し、お待ちなさい」パタンッ
ロン「……扉の向こうで思いっきり笑ってる、に1クヌート」
ハリー「いくらでも笑っていいからどうにかしてほしいけどね、僕は」
ハーマイオニー「先生がそんな失礼なことするわけないじゃない」
ロン「分からないぞ、ああいう人こそ笑いのツボが特殊だから……」
マクゴナガル「おまたせしましたね、ミスター……いえ、ミス・ポッター」
マクゴナガル「替えの制服一式、予備の杖、鞄です。他の生徒には知られたくないでしょう?お使いなさい」
ハリー「」
マクゴナガル「……どうして手馴れているか?愚問です、ミス・ポッター」
マクゴナガル「あなたはまっこと、ジェームズ・ポッターの子供だ、ということですよ」
ハリー「僕の意志じゃありません、先生」
マクゴナガル「えぇ、多い時は週一で」
ハリー「聞きたくありません、先生」
マクゴナガル「リリーに『あなたみたいな男と歩くなんてごめんだわ!』と言われたことがきっかけだとか」
ハリー「聞きたくありません、先生」
ハーマイオニー「えぇっと、校長先生はある意味嘘をついてなかったってことね、ハリー?」
ハリー「あぁ、ダンブルドア様様さ」
ハリー「今はその血が心底憎いです、先生」
ロン「えっと、もしかしてシリウスとかも便乗したりしていたんですか?」
ハリー「ロン、黙ってくれないか」
マクゴナガル「いえ、ブラックは」
ハリー「ほっ」
マクゴナガル「最初の変身時にポッターに騙されて本気告白をしてしまい、以来その姿をしている時は近寄りませんでした」
ハリー「」
ハーマイオニー「……ハリー、それだけあの、あなたの姿が今可愛らしいってことよ、そうよ、だから」
ハリー「あはははははは、ミス・ホグワーツにでも参加しようかな、そんなのないけどね、あはははh」
マクゴナガル「主催して、自分で優勝してしまいましたねぇ、ジェームズが」
ハリー「聞きたくありません先生、どうして今日に限って父さんのことをポンポン話していただけるんですか先生、先生」
ロン「あぁ、これでどっからどうみても女の子さ」
ハーマイオニー「最初から割とそうだったけれどね」
マクゴナガル「授業はどうしますか、ポッター。他校からの留学生という形を取る用意は既にしてありますが」
ハリー「あ、はい。そうします、手馴れていて助かります」
ロン「休むわけにいかないもんな、優秀なハーマイオニーと違って僕とハリーは」
ハーマイオニー「何があったって授業を休むなんて絶対ダメなのよ、ロン」
マクゴナガル「ポッター、あなたの呼び方ですが、どうしますか?」
ハリー「呼び方?」
ロン「あぁ、そうか。ハリーハリーって呼んでたら、みんなに気づかれっちまうもんな……えぇっと、ハニー・なんとか?」
ハーマイオニー「ハニーは確定なのね」
ロン「もちのロンさ」
ハリー「もう好きにしてくれよ……」
マクゴナガル「そういうわけで」
ハニー「ハニー・ダーズリーでーす。ボーバトンのせっいーとでーす」
オォオオーーー
マクゴナガル「英語はまだ拙いそうですから、皆さんあまり難しいことは聞かないこと」
マクゴナガル「もっとも、私の授業で無駄なお喋りなんてしている暇は、みなさんには無いと思っていますがね?」
ロン「何気にフラーと仲良かったからな、ハリー。エセ英語はお得意かぁ」
ハーマイオニー「食いつきすぎじゃないかしら、男の子たち」
ロン「健康優良男児なグリフィン生に何を言ってるのさ」
ハニー「おぉーう、汽車ポッポーでーすね?わったーし知ってまーす」
ロン「スルースキル高いね、ハニー」
ハーマイオニー「ダーズリー家で培われたって言ってたわ」
ディーン「?いや、そうじゃなくて、何か困ったこと……」
ハーマイオニー「ハニーには私達がついてるから結構よ、ディーン」
ロン「そうそう、お世話様さ」
ディーン「そんな……は、ハーマイオニーはともかく君はなんだよ、ロン!ずるいぞ!」
シェーマス「そうだそうだ!ハリーがいないからって両手に花なんて!ハリーにいいつけてやるぞ!」
ネビル「そういえば、ハリーはどうしたの?先生は何も言ってなかったけれど」
ハニー「おぉー、アリー。アリー知ってまーす。アリーは……酷い夢にうなされてるそうでーす」
ネビル「?」
ハーマイオニー「ネズミを消失させる、まぁまぁの難易度だわね」
ロン「あぁ、まぁまぁ過ぎて追課題を出されそうなほど、さ。ハニー、どうだい?」
ハニー「僕のこの前のこれの出来を知ってるだろう……おぉー、せーんせい?わったーし、まだここまで習って……」
マクゴナガル「おや、あなたはこの魔法理論まできっちり板書していると手紙をもらっていますが?ミス・ダーズリー」
ハニー「……」
ハーマイオニー「先生を怒らせたら怖いわよ、ハニー」
バシュッ!! シューーーッ
ロン「……」
ハーマイオニー「……は、ハニー?机ごと消失させる、というか消し去ることはない、のよ?」
ハニー「……先生、この杖って」
マクゴナガル「……ジェームズが『ニワトコ越えを目指す』と言って作った杖、なのですが」
ハニー「何のことだか知りませんが、恐ろしいので杖は自分のを持ってきていいですか」
ハニー「無事終わった……」
ロン「授業の方は散々だったけどね」
ハリー「言わないでくれよ、僕はこの杖が気に入ってるんだから……」
ディーン「やぁダーズリー。次の教室まで、僕らが……」
ハーマイオニー「いいってば、ディーン」
ロン「そうさ、ディーン。それに、いつから君、そんなにナンパな奴になったんだい?妹に手を出したら承知しないからな」
ディーン「な、なんのことさ、ははっ」
ロン「フランス訛りが良く出来てたよハニー」
ハーマイオニー「それ暗にフランス語をバカにしているように聞こえるわ、ロン」
ラベンダー「ほら、今普通に喋ってたわ」ヒソヒソ
パーバディ「やっぱりわざとなのよ、構われたいから」ヒソヒソ
ハニー「……女子受けの悪さまでフラーゆずりになってしまった」
ハーマイオニー「それくらい可愛いってことよ、ハニー」
ハニー「さっきからちょいちょいそれを言ってくれるけどね、ハーマイオニー。あんまり嬉しいことでもないからね」
ロン「……『魔法薬学』だな」
ハニー「……ごめん、僕ちょっとトイレ」
ハーマイオニー「サボりはダメよ、ハニー!気持ちは分かるわ、でも……」
ハニー「どうなるか分かるだろ、スネイプがこんなのを見たら……あぁ、本当におなかが痛くなってきた」
ハニー「いや、僕一人でいいよ……分かってる、サボらないってば!ハーマイオニー!」
ハーマイオニー「信じてるわよ、ハニー。私もついていってあげたいけど、授業は前の席を取りたいもの」
ロン「スネイプの授業までそれとは、全く君は勉強病さ……それじゃ、ハニー。またあとで」
ハーマイオニー「きっとよ、ハニー」
ハリー「うん……二人とも、さっきからハニー呼びが全く抵抗無くなっていないかい?似ているけどさ……」
ハニー「女子トイレって、どこにあるんだろう」
ハニー「この城、特に男子トイレと隣あってるわけじゃないから……そこのとこだけは、マグルの学校の方がよかったかな」
ハニー「うーん……でも、もうあまり時間もない。仕方ない、か」
三階女子トイレ
ハニー「……マートル、大人しいといいなぁ」
マートル「遠慮することないわ。泣きたくなったら、いつでも来て。誰も、私がいるようなトイレに来ようと思ったりしないから」
???「来ない、って言っているだろう!……そもそもどうして僕は、こんな奴のところに」
マートル「泣いて愚痴を聞いてもらっているのか、って?うふふんっ、それは私とあなたが……」
???「泣いてなんかいないっ!!っ!とにかくもう出て行くぞ!授業がある……ただ」
ガチャッ
ドラコ「(話が出来て)スッキリした。それじゃぁ……」
ハニー「」
ドラコ「フォイッ!?!?」ビクッ
ドラコ「な、なん、なんだ、君は!なんだ、ど、どどどうしてこんなところに!?」
ハニー「……(え。それじゃ、マルフォイって……女子トイレで用を足す趣味があるってことかい!?)」
ドラコ「み、見ない顔だな!誰なんだ君は!言っておくが、僕は高貴なマルフォイ家の!!」
ハニー「……(うん、僕だって人のこと言えないけどさ。僕は今一応女の子なわけだから、いいじゃないか。許されるよ、そうだろ)」
ドラコ「き、聞いているのか!?そのタイ、君はグリフィンドールだな!?はっ、これだからグリフィンのうすのろ……っ」
ハニー「……?」
ドラコ「……」ジーッ
ハニー「……えぇっと、急に黙って、どう……」
ドラコ「……フォォイ(感嘆詞)」///
ハニー「」ゾワァァァァッ
ドラコ「な、名前を聞いておこうか!いいか!僕は高等尋問官親衛隊だから確認するのであって!君に拒否権はないぞ!」
ハニー「勘弁してくれ、君の初恋なんて誰に言っても願いさげだよ売れっこないよ勘弁してよ」
ドラコ「は、はつ、何を、だ、黙るフォ……」
マートル「嘘つきぃいいい!!」バシャァァァァ!!
ドラコ「フォイッ!?」
ハニー「うわっ!?」
マートル「あんた、私といると落ち着くって言ってくれたくせに!泣きついてきたくせに!遊びだったのねこの嘘つき!嘘つき嘘つき!!!」
ドラコ「や、やめろこのゴースト、僕はお前なn」
マートル「トイレの水で頭冷やしなさいよぉ!」バシャァァァァ!
ドラコ「モガモガゴバ……」
ハニー「……うわぁ」
マートル「なによ!あんたも何か文句が……この泥棒猫っ!!」
ハニー「いや、何も。ご、ごゆっくりー」
パタンッ
ハニー「……思わぬところで、マルフォイの弱みを握ってしまった」
ハニー「……代償が全然見合わないけどね。よりによってマルフォイ……はぁ」
ロン「あ、ハニー。思ったより早かったじゃないか」
ハーマイオニー「そうね。勝手が分からなくて手間取ると思ったわ」
ハニー「あぁ、二人とも……勝手もなにも、どうやら僕は本当に父さんの子、ってことさ」
ロン「?どういうことさ」
ハニー「……父さんはシリウスで、僕はマルフォイ。コレが差かぁ」
ハーマイオニー「なんの話しをしているのか分からないわ、ハニー」
ロン「……」
ハニー「? あれ、君なら盛大に笑ってくれると思ったんだけど」
ロン「あぁ、うん。そうしたかったんだけど……仕方ないかなぁ、と」
ハニー「!?」
ハーマイオニー「いい、ハニー?あなたは思っているより今、女の子女の子しているのよ」
ロン「あぁ、ミリセント・ブルストロードが性別的には同じ分類だなんて信じられないほどにね」
ハニー「君、ことあるごとに彼女を例えにするけど、彼女に何かされたのかい……」
ハニー「グリフィンの生徒はノリがいいから、留学生を楽しませようとしてたのかなぁ、って」
ロン「君は鈍いなぁ、ハニー」
ハーマイオニー「あなたが言う台詞じゃないと思うわ」
ハニー「そうか、そういう目で見られてたんだ……大方、どうしてなのかの予想はつくけどね」
ロン「何だい?」
ハーマイオニー「男の子って正直でバカよね、ってことよ」
ハニー「同感」
ハニー「嬉しくないね。悔しかったら君もウォーターメロンか何かを肩からぶら下げてみなよ……」
ハーマイオニー「……悔しいわ」
ハニー「なんで君が」
ロン「聞いてやるなよ。お?」
ガチャッ
スネイプ「入りたまえ。本日の授業用に既に薬を煎じてある、ハナハッカが苦手な物は口元を覆っておくように」
ロン「スネイプだ……君のそれ見た時の反応は見ものだな、え?」
ハニー「どうでもいいよ」
ゴイル「俺達、知りません。せんせい」
クラッブ「一時限目もいませんでした、せんせい」
パンジー「最近こんなことが多いんです、先生。私、心配だわ」
スネイプ「そうか、我輩の方から聞いておこう、入りなさい……」
ロン「あー、どうも」
ハーマイオニー「あー、先生。マクゴナガル先生からお聞き及びかもしれませんが、こちら留学生の……」
ハニー「あー……ハニー・ダーズリーでーす」
スネイプ「……」
スネイプ「グリフィンドールから十五点減点」
ロン「!?!?」
ハーマイオニー「!?!?」
ハニー「!?!?」
スネイプ「教授に対してふざけた言葉使いをするのは十分に減点対象ではないのかね」
ハニー「」
ラベンダー「ほぅら、やっぱりわざとだったのよあれ」
ロン「ラベンダー、黙っててくれないかな」
スネイプ「加えて、貴様のその容姿は教授の気分を深く害した」
ハニー「そ、そんな!なんで……」
スネイプ「教授の古傷を深く抉った」
ハニー「……あー」
スネイプ「諸にあの男のあれではないかクソッ、クソッ、少しでも期待した我輩がバカだった」
スネイプ「やっぱり一瞬その言葉に惑わされて躊躇せずに呪いかけとけばよかったのだ、あの愉快犯め」
スネイプ「気づいた時には不死鳥呼び寄せてどこかに消えおったし……クソッ、クソッ」ブツブツブツ
ハニー「……僕の耳までおかしくなっていないなら、今、スネイプがダンブルドアへの謀反を企んでる台詞を聞いてしまったのだけれど」
ハーマイオニー「それよりもっと重要なことがあるでしょハニー、スネイプ叩きに走っちゃだめよ」
ロン「ほらね、言ったじゃないか。ダンブルドアはちょっとおかしいって」
ハニー「……わっかーりませーん」
スネイプ「おやおや、ボーバトンではこんな初歩さえ教えていないのか、それとも君の頭脳が初歩の初歩以下な赤子レベルなのか、理解はしがたく、はありませんなぁ?」
ハニー「……」
ハーマイオニー「右に十回よ、ハニー」
スネイプ「おやおや、お友達に助けを求めるとは。まっこと『女同士の』友情というのは素晴らしいですなぁ?」
ハニー「……」
ロン「まさか、スネイプの奴……ハニーがハリーだって、気づいてる!?」
ハーマイオニー「ロン、今そこなの?」
ディーン「先生!先ほどから先生はハニーに当てすぎだと思います!」
ガタッ!
シェーマス「そうです!教授だかたといって、そんな気の引き方はフェアじゃありません!」
グリフィン男子「「「「そうだそうだーー!」」」」
スネイプ「何を言っているのかねミスター・トーマスにミスター・フィネガン……我輩が、気をひく?」
ディーン「えぇ!先生は見るからに『好きな子にちょっとちょっかい出しちゃう』系男子ですから」
シェーマス「どうせ学生時代も、好きな子に悪口言っちゃって修羅場になっちゃったことがあるんでしょう……」
スネイプ「グリフィンドールから三十点減点、ミスター・シェーマス、罰則一ヶ月」
シェーマス「!?」
ハニー「いや、当たり前だと思うよ」
シェーマス「そ、そうです!なんせ、僕らは!」
グリフィン男子「「「「「ハニー親衛隊なんですから!!!」」」」
スネイプ「……またどこぞで見たような光景を」ビキッ
ハニー「……」
ロン「ははっ、こんな時は頼りになるよな、ハニー」
ハニー「ノリの悪さが憎いよ、僕は」
ハーマイオニー「スネイプの言葉から察するに……ハリーのお父様にも、親衛隊が……」
ハニー「ハーマイオニー、よしてくれ。知りたくない」
スネイプ「時間ですな。今日完成させられなかった無駄口を叩いていた集団は課題を提出すること、後グリフィンドールから一〇点減点。以上」
ハニー「……スネイプの授業だけで一〇〇点近くうしなっちゃったよ」
ハーマイオニー「気を落とさないで、ハニー……あなたのせいじゃないわ。悪いのは」
ディーン「ハニー!僕ら、君のために戦ったよ!」
シェーマス「礼なんていらないさ!点数なんて君には関係ないし、僕らは君のために犠牲になれて本望だからね!」
ハニー「……あぁ、ははっ。ありがとうございまーす……ロン。今度のクィディッチ、五〇〇点差くらいで勝とう」
ロン「ははは、そんなことしなくても……この分なら、君の父さんと仲良かった先生はホイホイ点数くれるんじゃないか?」
ハニー「本当にそうだろうからいやだよ」
ハーマイオニー「……」
ロン「……」
ハニー「……」
ロン「一日で、二〇〇点」
ハニー「よしてくれ、ロン。不正をしたようなものだから心が痛いんだ、やめてくれ」
ハーマイオニー「そうね。とにかく元に戻ることに全力を注ぎましょう、真剣に」
ハニー「あぁ、そうしてくれると嬉しいよ、ハーマイオニー。でも今まで君はもっともっと点数稼いでるから、大丈夫だから、負けてなんかいないよ、君は最高さ」
ハーマイオニー「どこかに行ってしまったのだものね、校長先生」
ハニー「スネイプの逆鱗に触れてね。そろそろもれなく僕のにも触れそうだけど」
ロン「どこにあるんだい?」
ハニー「少なくとも今君が見ているところではないよ」
ハーマイオニー「ロン、いい加減にしなさい」
ロン「いいじゃないか、減るもんじゃないし」
ハニー「僕の中での君への信用度はだだ下がりだよ」
ロン「リーマス?」
ハーマイオニー「あら、でもシリウスは関与してない悪戯だったんじゃなかったのかしら」
ハリー「うん、だからこそきっと、リーマスは父さん側にいたと思うよ」
ロン「……あー」
ハーマイオニー「……そうね」
ハニー「リーマスだからね、うん。えっと……『僕、女の子になってしまったんです』っと」カキカキカキ
ハニー「そうだね」
ロン「きっとリーマスならいい方法を教えてくれるさ……いや、写真を一枚送ってくれ、だなんて言ってきたりして、ね」
ハニー「よしてくれよ……コリンに頼んだらすっごくいい一枚を撮ってくれそうだけどさ」
ハーマイオニー「そうと決まれば、もう今日はゆっくりしましょうよ。一日気を張りっぱなしだったでしょう、ハニー?」
ハニー「あぁ、そうだね。嫌な汗をかきっぱなしだったさ、主にトイレとか」
ハーマイオニー「あぁ、そうよね。慣れていないところだし……あ、そうよハニー。それなら」
ハーマイオニー「シャワー入りましょう?一緒に」
ハニー「そうだnえっ」
ロン「」
ハニー「ろ、ロン落ち着いてこれ魔女かどうか関係ないよ。は、ハーマイオニー!?」
ハーマイオニー「前々からね、悔しかったのよ。ロンばっかりハリーと一緒なところが、どうしてもいくつかあるもの」
ロン「そ、それは僕が男だから男友達としての特権だろう!?いや、それは今いいんだ!」
ハニー「えぇ、でもさ、ハーマイオニー」
ハーマイオニー「なに?……あ」
ハーマイオニー「当然だけど、私はタオル巻くわ。やだ、ハリーったら」フフフ
ハニー「そんなの当たり前だろう。僕があんまり見られるのは恥ずかしい、っていうのをね……」
ロン「君はいつから男の子にそういうのを見られて、へへへ平気になっちゃったんだいハーマイオニー!そんなのだめだ!ふけつだ!緋色のおべべが…………え?」
ハーマイオニー「」
ハニー「」
ロン「……」
ハーマイオニー「ロン、見損なったわ」
ハニー「ロン……ロナルド。流石にこれは、僕も擁護できそうにない」
ロン「な、なん、なんだよ!!なんだってんだよもう!!!マーリンの髭っ!!髭っっっ!!!!!!!!!」
ハーマイオニー「……悔しいわ」
ハニー「何がさ……あのね、ハーマイオニー。やっぱり僕もタオル……」
ハーマイオニー「ダメよ。存分に拝ませてもらおうじゃないの、ここまできたら」
ハニー「あのさ、君のいい所っていうのはこんなのが無くたって有り余るくらいなだから、何も気にすることは……」
ハーマイオニー「褒めても何も出ないしふくらまないわ、ハニー。さっ、髪から洗ってしまいましょうか。長い髪なんて、洗ったことがないから勝手が分からないでしょう?」
ハーマイオニー「絡まって痛い思いをしたいのなら、ご自由に?」
ハニー「……教えてください、ハーマイオニー先生」
ハーマイオニー「よろしい。それじゃ、シャンプー選びね」
ハニー「適当でいいさ」
ハーマイオニー「ダメよ!そんな綺麗な髪なのにもったいない!私みたいなみっともないボサボサ髪になってもいいの!?」
ハニー「君はみっともなくなんかないけど……えっと、それじゃお任せで」
ハーマイオニー「任されたわ!」
ハニー「楽しそうだなぁ」
ハニー「まず、女子シャワー室にこんなにたくさんのシャンプーが完備されていたことがビックリだよ……」
ハーマイオニー「?男の子もこうじゃないの?」
ハニー「男のところには、黄色い石鹸と軽石だけだよ」
ハーマイオニー「へぇ……割と女の子贔屓なところがあるわよね、ホグワーツ」
ハニー「それを満喫できると思えば捨てたもんじゃないね、ってね……えぇっと、ジニーと同じ?」
ハーマイオニー「えぇ。ジニーって髪、すっごく綺麗でしょう?誰のためかは言わないけれど」
ハニー「? 恋人のためだろう?マイケルの」
ハーマイオニー「さぁ。さて、それじゃ」
キュッキュッ
ハーマイオニー「力を抜いてね、ハニー。大丈夫、きっと気持ちいいわ」
サーーーーッ
ハニー「うわっ、い、いきなり熱いお湯!あつ、あついよ、ハーマイオニー!?」
ハーマイオニー「あ、ごめん!ごめんなさい!すぐに水!」
キュッキュッ
ハニー「た、頼むよもう!あぁ、まだお湯だ馴れてきたけど……あれ?」
ハーマイオニー「?どうかしたの、ハニー?あ、もしかしてどこか火傷した!?み、見せて!」バッ
ハニー「いや、そういうのじゃないんだ……なんだか、身体が……あっ!!!」
ハリー「わっ!も、戻った!戻ったよ、ハーマイオニー!そうか、戻るにはお湯を………………」
ハーマイオニー「」
ハリー「……あ」
キャァアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!!
ロン「何事だい!?」ガチャッ
ハーマイオニー「キャァアアアアア!?!?!?キャーーーーーーー!」
ロン「うわぁあ!?……あー、ハーマイオニー。君って以外と着やせすr」
ハーマイオニー「見ないで見せないで見ないで見せるな見るなああああ!!」
ハリー「み、見せてなんかないだろう!?これは事故で……っ!?こ、今度は冷水に!?ハーマイオニー、水のノズルまで回しすぎで……」
ハニー「…………あ」
ロン「…………」
ハニー「う、あ、あ……」
ロン「……もちのロン、最高さ」
ハニー・ハーマイオニー「「キャァアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!!」」
完
シリウス「行かせてくれ!行かせてくれリーマス!!ハリーが野獣の!若さと言う本能に支配された野獣に何かされる前に!!私が保護して隠して愛でないといけないんだぁあああああ!!}
リーマス「シリウス、お座り!!!」
今度こそ、完
そしたら1スレ使い切ってまいそうやからな。こんなもんやろ
女体化ハリーは眼鏡外したら美女のお約束なんやで、当たり前やろ眼鏡やぞ!
ラドクリフお大事に!
じゃあの!
ハリー・ポッターシリーズ
一巻~七巻まで
世界的大ヒット発売中!!
2014年後半 USJにて
ハリポタアトラクション建設決定!!
スマプリで書きたいのが10本くらい溜まってもうたし
ポケスペも発売したから書きたいしな
まぁ何にしてもまたどっかでよろしゅう!
おつ
最高だった!!
いまハリー文庫ででてるんだよな
Entry ⇒ 2012.07.17 | Category ⇒ 版権物SS | Comments (1) | Trackbacks (0)
レイ「弐号機の人が二人もいる」アスカ「……」マリ「……」ニャ
アスカ「さーてと、弐号機のろーっと」
マリ「弐号機♪弐号機♪」
アスカ「あ?」
マリ「にゃ?」
アスカ「あたしが乗るの。あんたはすっこんでなさいよ」
マリ「私が弐号機に乗ってあげる。休んでいいよ?」
レイ(どっちも弐号機の人……どうしよう……呼ぶとき、困るわ)オロオロ
マリ「乗ったもん勝ちだと思うけど?」
アスカ「ポッと出はだまってなさいよ!!」
マリ「じゃあ、裏コード使えるの?」
アスカ「ぐっ……」
マリ「ふふん」
レイ「に、弐号機の人」
アスカ「あ?」
マリ「なにー?」
レイ「……」オロオロ
アスカ「なによ?」
マリ「なんか用事?」
アスカ「なによ?黙ってないでなんか言ったら?」
マリ「何でも言ってよ」
レイ「弐号機の人……は、どっちなの?」
アスカ「あたしよ」
マリ「わたしー」
レイ「え……え……?」オロオロ
アスカ「だーかーらー、あんたは違うでしょ?!」
マリ「んーにゃ、私が弐号機の人だね」
アスカ「なによ?!」
マリ「やる?」
レイ「や、やめて……」オロオロ
可愛いじゃないか。
アスカ「分かってるわよ!!」
ミサト『まずはアスカからエバー乗ってー。テストするからー』
アスカ「はーい」
マリ「……」
アスカ「おさきっ」
マリ「ふん」
レイ(よかった。今はあっちが弐号機の人ね)
マリ「あーあー、退屈」
レイ「あの、弐号機の人じゃない人」
マリ「なんだって?」
レイ「あ……えと……」オロオロ
マリ「私は弐号機の人だから。そこを間違えないでほしいなぁ」
レイ「ご、ごめんなさい……」
レイ「じゃあ、弐号機の人だけど、今は弐号機の人じゃない?」
マリ「今も弐号機の人だけど?」
レイ「でも、乗っていないわ」
マリ「乗ってないから弐号機の人じゃないのは暴論じゃない?」
レイ「そう?」
マリ「うん」
レイ「じゃあ、乗ってないけど弐号機の人?」
マリ「お、それいいねー。正解に近い!」
レイ「そう……よかった」
マリ「で、なに?」
レイ「……質問、忘れたわ」
マリ「そうなの?じゃあ、思い出すまで隣にいてよ。気になるし」
レイ「ええ」
レイ「……」
マリ「待ってる時間が退屈なんだよね」
レイ「……」
マリ「ね?」
レイ「え?」
マリ「話、聞いている?」
レイ「ご、ごめんなさい。独り言だと思って……」オロオロ
マリ「うそー?」
レイ「ごめんなさい」
マリ「質問は思い出せた?」
レイ「えっと……あの……」オロオロ
マリ「んー?」
レイ「め、眼鏡……どうしてかけてるの?」
マリ「目が悪いから」
マリ「うん」
レイ「……」オロオロ
マリ「じゃ、私から質問いい?」
レイ「え、ええ」
マリ「どうして、ショートヘアなの?」
レイ「え……?」
マリ「どうしてどうして?」
レイ(そんなの考えたこともなかった……どうしよう……)オロオロ
マリ「……」ジーッ
レイ(答えないと……失礼だし……)オロオロ
レイ「に、似合うって言われたから」
マリ「誰に?」
レイ(誰に?……誰だろう……考えたことないわ……)オロオロ
マリ「あの子かー。そっかー、なるほどにゃー」
レイ(よかった……納得してくれた……)
マリ「へー、あの子もそんなこといえるのね」
レイ「あ。質問、思い出したわ」
マリ「さっきのが質問じゃなかったの?」
レイ「ごめんなさい……」
マリ「ま、いいけど。なに?」
レイ「ど、どうして弐号機に乗るの?」
マリ「んー……それはどうしてエヴァに乗るって質問でいい?」
レイ「わからないわ」
マリ「じゃあ、私も分からない」
レイ「え?」
マリ「え?」
マリ「そんなオロオロされてもにゃー」
レイ「えっと……別に弐号機に乗らなくてもいいと思うわ」
マリ「なんで?エヴァ、どっかに余ってる?」キョロキョロ
レイ「余ってはないけど……零号機もあるから」
マリ「私的には零号機はちょっと」
レイ「……どうして?」
マリ「試作機でしょ?スペックが単純に低いのよね」
レイ「……」
マリ「あれじゃあ、使徒には勝てないにゃー」
レイ「……弐号機の人じゃない人。貴方は間違っていると思う」
マリ「ちょっと!!弐号機の人だってば!!」
レイ「零号機は強いわ」
マリ「……」
レイ「基本的な能力に関しては、初号機と差はないわ」
マリ「いやいや、他の技能も合わせて考えるでしょ?」
レイ「A.T.フィールドだって張れる」
マリ「だから……」
レイ「全開にもできるわ」
マリ「……」
レイ「ライフルだって、プログレッシブ・ナイフだって持てるわ」
マリ「あの……」
レイ「や、やろうと思えば……ソニック……なんとかって薙刀みたいな兵器も……持てるわ……」
マリ「……」
レイ「……」
マリ「ごめんね」
レイ「……いいの」
アスカ「はぁー、気持ちよかった」
マリ「お!!ついに私の出番かぁー」
ミサト『マリー、おまたせー。足下に気をつけてね』
マリ「はーい」
アスカ「ま、精々あたしの下で足掻きなさい」
マリ「みてろー」
アスカ「全く。なんで、あいつとあたしがバディなのよ。嫌になれるわ」
レイ「はぁ……」
アスカ「ちょっと、なんで膝抱えてるの?!気持ち悪いわね!!」
レイ「……いいの、私はどうせ……」
アスカ「……」
レイ「……弱いから……」
アスカ「あの……えっと……そ、そんなことないわよ、なにいってるの?」オロオロ
アスカ「ほら、えっと……空から落ちてきた使徒を倒せたのはあ、あんたのおかげだしー」
レイ「……」
アスカ「まあ、あたしの活躍が90%ぐらいだったけどね」
レイ「……」
アスカ「……で、シンジが残りの5%で、残りの5%があんたよ、あんた!!」
レイ「……」
アスカ「……」
レイ「はぁ……」
アスカ「うそよ!!えっと……20%はあんたのおかげよ!!これ以上は譲らないからね!!いい?!」
レイ「……」
アスカ「な、なによ……」
レイ「あなたが、本当の弐号機の人ね」
アスカ「と、当然でしょ!!何を今更、言ってんのよ。そんなの言われてもう、うれしくないわよー」
アスカ「なによ」
レイ「弐号機の人は二人もいらないと思うの」
アスカ「まあ、そうよね」
レイ「呼ぶときに困るわ」
アスカ「あんたの心配はそこだけ?」
レイ「……」コクッ
アスカ「で、あんた的にはどっちが弐号機の人に相応しいと思うの?」
レイ「勿論、貴方よ」
アスカ「なら、あたしを弐号機の人って呼んで、あっちを弐号機の人じゃない人って呼べばいいでしょ」
レイ「でも、それだとまた怒られてしまうの」
アスカ「どうでもいいじゃない。無視していれば」
レイ「私、怒られるの……好きじゃないから」
アスカ「あ、そう……」
レイ「ええ」
レイ「どうやるの?」
アスカ「そうね……弐号機のらない人」
レイ「一緒だと思う」
アスカ「弐号の機人」
レイ「意味がわからないわ」
アスカ「眼鏡の人」
レイ「もうエヴァが関係ないし、碇司令も振り向いてしまうわ」
アスカ「じゃあ、もう名前でよべばぁ?」
レイ「名前……」
アスカ「そう、名前よ」
レイ「……」
アスカ「どうしたのよ?」
レイ「名前で呼ぶタイミングを逃してしまって……もう今から呼んだら、違和感があると思うの」
アスカ「面倒くさいわね……」
アスカ「正直ね……あたしは降りないわよ。絶対にね」
レイ「でも、今は降りてるわ」
アスカ「今はテスト。ノーカンよ」
レイ「……でも、降ろされる可能性があるから、今、降りている」
アスカ「……」
レイ「絶対に搭乗させるなら、テストも一人だけで終わるはず」
アスカ「……」
レイ「あ、ごめんなさい。深い意味はないの」
アスカ「不眠症になったら、あんたの所為だからね……」
レイ「……ごめんなさい」
アスカ「ったく……もう……」
レイ「……どうしてロングヘアーなの?」
アスカ「可愛いからよ」
レイ「そう」
ミサト『もうちょっちー』
アスカ「ふん。なにが、もうちょっちーよ」
レイ「そうだ」
アスカ「なに?」
レイ「葛城一尉」
ミサト『なにー?』
レイ「弐号機の人はどちらが弐号機の人で、どちらが弐号機の人じゃない人なんですか?」
ミサト『ごめん。日本語で』
レイ「日本語です」
アスカ「ちょっと!!」
レイ「なに?」
アスカ「スタメンを監督に直接訊く奴がどこにいるのよ?!あんた、ばかぁ?!」
レイ「ごめんなさい。日本語しかわからないの」オロオロ
アスカ「日本語よ!!」
アスカ「な、なんでよ?」
レイ「呼ぶとき、困るから」
アスカ「えーと……ミサトー」
ミサト『アーハン?』
アスカ「あたしと、マリ!どっちがメインの弐号機パイロットなの?」
ミサト『んー……現時点ではアスカー』
アスカ「え……ほ、本当に?!」
ミサト『なんで、嘘を言うのよ』
アスカ「じゃあ、嘘じゃないのね!!」
ミサト『でも、油断しないでね』
アスカ「ゆ、油断なんてしな……するぐらいが丁度いいのよ!!!」
レイ「よかった。貴方が弐号機の人なのね」
アスカ「そういうことね」
レイ「本当によかった……これで迷いなく呼べるわ……」
レイ「弐号機の人」
アスカ「うんうん。もっと」
レイ「弐号機の人っ」
アスカ「うん。そうよ。もう一回」
レイ「弐号機のっ人っ」
アスカ「んー、いいわね。ダンケダンケ」
レイ「私も嬉しいわ」
マリ「おーいー」
アスカ「なによ?」
マリ「なーんか、もりあがってるねぇ。私も混ぜてくれない?」
アスカ「いいわよ。弐号機じゃない人」
マリ「んだとぉ……?」
レイ「ああ……また……やめて……」オロオロ
レイ「それは……あの……」
マリ「え……うそ?マジ?」
アスカ「あんたの負けよ。弐号機はあ、た、しが乗るの。ベンチウォーマーさんは座ってなさい」
マリ「でもなー、裏コードも使えない人に勝ち誇られてもって感じなんだけどなぁ」
アスカ「な……?!」
マリ「それに弐号機の匂い、悪くないし。私は弐号機、結構好きかなー」
レイ「好き……?」
マリ「そう。好きじゃないと、エヴァは」
アスカ「じゃあ、あんたの敗北は確定ね」
マリ「にゃ?」
アスカ「あたしは、弐号機がだーいすき、なんだから」
マリ「でも、私の結構好きはもっと大きいんだけどね」
アスカ「はぁ?結構好きが大好きに勝てるわけないっちゅぅのぉ!!」
マリ「勝てるんだなー、それが。まあ、その差が裏コードを扱えるか扱えないかってところなんだけどにゃー」
マリ「弐号機のことを知らない。そこで既に愛情に差があるとは思わない?」
アスカ「くっ……!!」
レイ「がんばって、現弐号機の人」
マリ「さ、その差をどう埋める?」
アスカ「……どう埋めればいい?」
レイ「え?」ドキッ
アスカ「どう埋めたらいいの?」
レイ「えっと……あの……」オロオロ
レイ(そんなエヴァに対する愛情の差の埋め方を訊ねられるとは夢にも思ってなかったわ……)オロオロ
アスカ「どうしたらいいの?」
レイ「えっと……に、弐号機クイズ……とか?」
マリ「おー。いいじゃん。やろやろ!!おもしろそー!!」
アスカ「……負ける気しかしないんだけど」
レイ「ご、ごめんなさい……」
アスカ「の、望むところよ」
レイ「……」ゴクッ
アスカ「あたしから!!」
マリ「どうぞ」
アスカ「弐号機の頭部には―――」
マリ「補助光学カメラと電磁波センサーが各4つあるね」
アスカ「……」セイカイ
マリ「え?きこえないけど」
アスカ「正解よ!!」
マリ「じゃあ、次は私ね。裏コードの使い方を述べてみよ」
アスカ「……!!」
マリ「ふふん」
アスカ「それは……えっと……」
レイ「がんばって……おねがい……」
マリ「……」
アスカ「……」
マリ「くっ……」
アスカ「え……そうなの?!」
マリ「不正解」
アスカ「……」
マリ「ざーんねん。気合で使えたら苦労しないって」
アスカ「……っ」ウルウル
レイ「あ……あ……」オロオロ
マリ「あれ?あの……」
アスカ「……うぅぅ……っ……」ポロポロ
レイ「あ、弐号機の人……」オロオロ
マリ「あー、もう、やだなー。ちょっと意地悪しただけで……そんな……」
アスカ「あ、あんたたちなんか、だいっきらいよ!!」ダダダッ
マリ「あちゃー、やっちゃったかぁ」
レイ「弐号機の補欠の人」
マリ「補欠なの?」
レイ「謝ってきたほうがいいと思う」
マリ「はいはい。ちょっと、出て行くけど、いいー?」
ミサト『いいわよん』
マリ「もう、メンドくさいなぁ……」
レイ「……」
レイ(結局……どっちが弐号機の人……?)
レイ「わからない……」
シンジ「綾波。どうしたの?」
レイ「碇くん」
レイ「碇くんはどう呼び分けているの?」
シンジ「普通にアスカとマリさん、だけど?」
レイ「そう……やっぱり、名前で呼んだほうがいいのね」
シンジ「でも、人の呼び方って一回そう呼んじゃうと中々変えられないよね」
レイ「碇くんもそういう経験あるの?」
シンジ「うん……。ほら、例えば綾波」
レイ「え?」
シンジ「他の二人は名前で読んでるけど、綾波は苗字だろ?」
レイ「そうね」
シンジ「今更……その……レイ、って呼ぶのは……」
レイ「碇くん」
シンジ「な、なに?」
レイ「もう一回、言って」
シンジ「な、なにを!?」
シンジ「……レ、レイ?」
レイ「シ、シンジくん……」
シンジ「……っ」
レイ「ご、ごめんなさい。やっぱり、違和感ある……わ……」
シンジ「そ、そうだね……うん……」
レイ「……」
シンジ「……レイ?」
レイ「はい」
シンジ「ごめん。やっぱり、綾波で……」
レイ「そ、そう……じゃあ、私も碇くんで……」
シンジ「ね、やっぱり、なんか……」
レイ「胸の奥がモジモジする」
シンジ「うん。だから、変に呼び方を変える必要はないと思うんだ」
レイ「そうね……。でも、そうなると弐号機の人が二人もいることになるわ」
レイ「え?」
シンジ「呼び方を大幅に変えないで、それでいて呼び分ける方法」
レイ「どういうの?」
シンジ「名前の前に単語をくっつけるんだよ」
レイ「どういうこと?」
シンジ「僕もアスカによく「バカシンジ」って言われるから」
レイ「碇くん……可哀相……バカなのね……」
シンジ「あ、綾波!!真に受けないでよ!!」
レイ「ごめんなさい……そういうのよくわからなくて……」
シンジ「とくにかく、何かその人を表す単語を一言つければいいんじゃないかな?」
レイ「ありがとう、碇くん……参考にしてみるわ」
シンジ「綾波の役に立てたなら嬉しいよ」
ミサト『シンちゅぁん。用意してぇ』
シンジ「わかりました!!―――じゃあ、綾波。またあとでね」
アスカ「……」ムスッ
マリ「ごめん!ごめん!!私は初めから、弐号機のサブパイロットで決定してたんだってば」
アスカ「……」プイッ
マリ「もー、機嫌なおしてくれない?私も、ほら、できれば楽しくやりたいし」
アスカ「ふんっ」
マリ「ここまで、言っても……こんちくちょう……!!」
レイ「あの、弐号機の人」
アスカ「なに?」
マリ「んー?」
レイ(あ、しまった……)オロオロ
アスカ「なによ?」ムスッ
マリ「また、質問かにゃー?」
レイ「あの……よ、呼び方……決めたわ……」
マリ「おー、いいね。きかせてよ」
レイ「えっと……弐号機の猫」
マリ「……」
レイ「それから……赤い弐号機の人……」
アスカ「……」
レイ「……」
マリ「で?」
レイ「で、で?」
アスカ「ででで、じゃなくて。それで終わり?」
レイ「え、ええ……あの……ダメ……だったの……?」オロオロ
マリ「いや……別に……」
アスカ「どうでもいいけど……」
レイ「い、嫌なら言ってくれないと、私は分からないから……その……センスもないって……わかって……る……わ……」
マリ「膝抱えちゃった……」
レイ「え?」
マリ「別に呼び方なんて気にしないって」
レイ「本当に?」
アスカ「あんたが呼びやすいように呼べばいいわ。それであんたの評価を下げることはないから」
レイ「……」
マリ「そーそー。それに、貴方にそう呼ばれるの嫌いじゃないかな」
レイ「弐号機の猫……」
マリ「にゃー」
アスカ「でも、人から畜生に成り下がったわね」
マリ「まあ、裏コードで人を捨てることができる私にはぴったりの称号だと思うけど」
アスカ「あんたねえ……!!」
マリ「やる?」
レイ「や、やめて……!」
アスカ「ちっ……別に本気じゃないわよ……」
アスカ「あーやっと帰れるわね」
マリ「あー、肩こった。赤い人、揉んでくれない?」
アスカ「自分で揉めばぁ?」
マリ「そういわずにぃ」
アスカ「もう!!押さないでよ!!!」
レイ「……」
ミサト『レイー?帰ってもいいわよー?』
レイ「もう少し、います」
ミサト『そう?』
レイ「はい」
ミサト『じゃあ、もうちょっちまってね』
レイ「はい」
レイ「碇くんにお礼、言いたくて」
シンジ「お礼?」
レイ「碇くんのおかげで……前に進めたから」
シンジ「そう。よかったね、綾波」
レイ「ええ」
ミサト『二人ともー、おつかれさまー』
シンジ「お先に失礼します!!」
ミサト『んー』
レイ「碇くん」
シンジ「なに?」
レイ「着替えるの、待っててくれる?」
シンジ「いいよ。というか、僕も着替えるから」
レイ「そうね」
レイ「碇くん、これ」
シンジ「え……なに、これ?」
レイ「受け取って」
シンジ「……シ、シンジくんへって……」
レイ「口にだすのは……難しいから……せめて、手紙ではって……思って」
シンジ「あ、ありがとう……読んでもいいの?」
レイ「ええ」
シンジ「……」
レイ「……」ドキドキ
シンジ「なるほど。わかったよ」
レイ「いいの?」
シンジ「いいよ」
レイ「嬉しい……」
シンジ「じゃあ、帰ろうか」
レイ「あの……赤い人」
アスカ「私?」
レイ「そうそう」
アスカ「そうそうじゃないわよ。略してんじゃないつーの」
レイ「これ」
アスカ「……赤い人へって……」
レイ「読んで」
アスカ「……ああ、食事会?」
レイ「ええ」
アスカ「いけたら行くわ」
レイ「……」
アスカ「行くわよ!!悲しそうな顔しないで!!」
レイ「嬉しい」
アスカ「ったく……」
マリ「ふんふーん♪」
レイ「猫の人」
マリ「え?私?」
レイ「そう」
マリ「なになに?」
レイ「これ……」
マリ「猫へって……なになに……お食事会を私の家で開催しますので、是非来てください」
レイ「……」
マリ「オッケー、いいよ」
レイ「ありがとう」
マリ「ま、仕事がなければ、ね」
レイ「待ってるわ」
マリ「んじゃね」
レイ「ええ」
レイ「おかわりもあるから」
シンジ「いただきまーす」
マリ「ふふ、はい、あーんして」
シンジ「うわぁぁああ?!」
マリ「あはは、照れちゃってー」
アスカ「おいこら、いい加減にしときなさいよ?」
マリ「嫉妬?女の嫉妬は醜いねー?」
アスカ「ぬぁんですってぇぇ……!!!」
シンジ「美味しいね、このお味噌汁」
レイ「ありがとう、碇くん」
シンジ「優しい味がするよ……綾波」
レイ「うん……」
アスカ「ちょっと!!そこ!!勝手に盛り上がらないでよ!!!」
マリ「流石の私も妬けちゃうにゃー」
アスカ「あんたの距離が近いのよ!!」
マリ「というか、手紙の宛名にも愛情の差があるしね」
アスカ「ちゃんと名前で呼んでみなさいよ!!!」
レイ「……ア、アス……カ……?」
アスカ「おおぉ……」
レイ「……マ、リ……?」
マリ「んー……猫でいいかな」
アスカ「私も赤いでいいわ」
レイ「そ、そう?」
シンジ「やっぱり、ちょっと違和感あるよね」
レイ「そうね……また前に進みたくなったときは、碇くんが助けてくれる?」」
シンジ「いいよ。いつでもいって」
レイ「じゃあ……早速……お、おかわりは、いる……?シ、シンジくん……?」モジモジ
シンジ「……うん、お願い」
おしまい
みんな仲良くて和んだ
Entry ⇒ 2012.07.17 | Category ⇒ エヴァンゲリオンSS | Comments (0) | Trackbacks (0)
仗助「殺人鬼倒したし安価で暇つぶしする」
仗助「とりあえず>>5でもすっか」
仗助「一人で行くのもアレだし>>13も連れていくか」
手首「…」
仗助「(み、妙だ…何故こいつ全くしゃべらない…?)」
仗助「そもそも誰の手首なんだ?」
仗助「治してみりゃ分かるか」
クレイジーダイアモンド!
仗助「なんてこった…あの手首は>>20のだったのか…」
仗助「じじい!」
仗助「なんで手首が取れてんだ?」
ジョセフ「それは義手じゃ」キリキリ
仗助「なるほど」
ジョセフ「それより何か用かの?」
仗助「登山に行かないか」
ジョセフ「おk」
仗助「いやー疲れたなぁ」
ジョセフ「年寄りにはキツイわい」ゼーゼー
仗助「途中で崖から落ちそうになってヒヤヒヤしたぜ」
ジョセフ「隠者の紫が無かったら即死だっらなw」
仗助「次は>>26をするか」
ジョセフ「>>35なんてどーじゃ?」
仗助「グレート!ナイスアイデアだぜ、じじい」
とぉるるるるる…
仗助「もしもし承太郎さんっスか?俺っス、仗助っス。」
仗助「ちょいと用が出来たんで杜王グランドホテルのフロントで待ってて貰っていいっスか?じゃっ」ピッ
仗助「これで良し…っと」ニタリ
ジョセフ「わしらがここに来たのはな…承太郎」
仗助「アンタを殺しに来たんスよ、承太郎さん」
承太郎「何だと?」
ハーミットパープルッ!
仗助「安価は絶対だ、死んで貰うぜ~」
クレイジーダイアモンド!
承太郎「やれやれ」
スタープラチナ・ザ・ワールド!
承太郎「何を考えてんだコイツらは」
承太郎「だが二人掛かりはちとキツイな>>48の所に逃げ込ませて貰うか」
承太郎「そして時は動き出す」サッ
仗助「逃げたか!」
ジョセフ「追うんじゃ!」
徐倫「あうー?」
承太郎「しまった、徐倫はまだ赤ん坊だった」
承太郎「モタモタしてる暇はないな、>>57の所に行くか」
承太郎「もちろん徐倫も一緒に」ダキッ
承太郎「刑務所か、まぁこの際何処でも良い」
ジョセフ「ちょっと待てわしが奴の居場所を念写してやろう」ワキワキ
仗助「おぉ」
ジョセフ「むむ…奴はアメリカのグリーン・ドルフィン・ストリート刑務所じゃ」
仗助「アメリカァ!?またスゲーとこに逃げたな」
ジョセフ「なーにアメリカにはSPW財団もジョースター不動産もあるからこちらのテリトリーじゃ、行くぞ仗助」
仗助「グレート…なんてじじいだ…」
徐倫「あう?」
承太郎「どうしようか、お父さん不安になってきたよ」
承太郎「>>67が生きていればな…」
>>67「やぁ」
承太郎「」
1:花京院
2:アヴドゥル
3:DIO
でオナシャス
アヴ「Yes I am!」チッチッ
アヴ「で、どうしたんだ承太郎?」
承太郎「実はな…かくかくしかじかで…」
アヴ「そうか、ジョースターさんとその息子だんが」
承太郎「アメリカまで逃げてきたんだがどうしよう」
アヴ「>>81をしよう」
アヴ「こんな刑務所ではなくSPW財団にでも行きたいところだが…」
承太郎「それはまずい、多分財団はじじい側についている」
アヴ「とにかくここを出よう」
承太郎「少し待ってくれ」
オラァ!
ベビーアナスイ「うわらば」
アヴ「どうした?」
承太郎「いや娘に悪い虫が付く前に排除しただけだぜ 。」
アヴ「?」
財団員「ターゲットが移動を開始しました」
ジョセフ「うむ、ご苦労」
仗助「なんだあのエジプトチックなブ男は?」
ジョセフ「あれはアヴドゥルじゃあないか。死んでなかったのか」
ジョセフ「状況が変わったようじゃ、偵察に>>94を送ろう」
ジョセフ「正直あの二人には勝てる気がせん」
仗助「じじい…」
承太郎「何かくるぞ」
アヴ「炎の探知機に反応は無いが…」
ズダダダダッ
承太郎「スタープラチナ!」
オラオラオラオラオラァ!
承太郎「やれやれ、いきなりマシンガンとはご挨拶だぜ」
シュトロハイム「フッ」
承太郎「こいつ只者じゃあないぜ」
シュトロハイム「私の体はドイツの英知の結晶にして誇りでもあるゥ!貴様らに倒せるかなぁ!?」
承太郎「大方じじいが寄越した部下ってところか、死なない程度にブチのめして色々と喋ってもらうか」
スタープラチナ!
ガシッ
シュトロ「この体はサンタナのパワーを基準にィィィィ作られているのだァァァ!」
承太郎「ぐっ」
アヴ「(サンタナって誰だよ)」
ピカー
承太郎「うおっまぶしっ」
シュトロ「トドメだァァァ!」
承太郎「ちっ、スターフィンガー!」
ザクゥ
シュトロ「何だとォォォ!?」
承太郎「やれやれ、目潰しされるのは二回目だからな」
オラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラ
オラァ!
シュトロ「ぐわぁぁぁぁ」バラバラ
アヴ「そんな身体でも生きてるとかドイツの科学力世界一過ぎだろ」
シュトロハイム:再起可能
承太郎「気がついたか?」ポキポキ
シュトロ「や、やめろ!知ってる事は何でも話す!」
承太郎「物分りが良いな、じゃあ単刀直入に聞く何故じじいと仗助はおかしくなった?」
シュトロ「分からん」
承太郎「そうかい」オラァ
シュトロ「ま、まて話はまだ半分だ。いいかよく聞け」
シュトロ「>>115に>>120というやつがいる!その男が全てを知っている!」
承太郎「そうか、アヴドゥル行くぞ」
シュトロ「(ホッ)」
承太郎「一応連れていくか肉壁くらいにはなるだろう」
シュトロ「えっ」
アヴ「じゃあ向かうはカイロか!あの時を思い出すなぁ。」
承太郎「ポルナレフっぽい頭してる奴もいるしちょうどいいな」
シュトロ「…」
財団員「シュトロハイムがやれました」
ジョセフ「流石に奴ではダメか…」
仗助「(偵察じゃあなかったっけ?)」
財団員「それとターゲットはカイロに向けて移動を開始した模様です」
ジョセフ「カイロか、まぁ良い。我々もカイロへ行くぞ、準備をしろ」
財団員「ハッ」
承太郎「さて町についたし聞き込みを始めるか、たしかミスタという男だと聞いたが」
シュトロ「せやな」ヒョコッ
承太郎「!?」
シュトロ「ドイツの科学力は世界一だからな」(ドヤァ
承太郎「(ナノスキンでも積んでるのか?)」
承太郎「まぁいい、あの喫茶店で聞き込みしてみるか」
承太郎「ミスタという男知ってるか?」
マスター「お客さんここは喫茶店ですぜ、何か頼んでくれないと」
承太郎「それもそうだな俺はアイスティー」
アヴ「私もアイスティーで」
シュトロ「機械油でも貰おうか!」
承太郎「じゃあ全員アイスティーで」
承太郎「ゴクゴク」
アヴ「ゴクゴク」
シュトロ「(解せぬ)」
マスター「すみません、やっぱり知りません…」
承太郎「ハズレか」
>>135「その男なら私が知っている」
承太郎「誰だ?」
ポルナレフ「久しぶりだな二人とも」
アヴ「お前死んだと思ったのになかなか来ないからどうしたと思ってたら幽霊だったのか!」
ポルナレフ「あぁ、ところでミスタに会いたいんだって?」
承太郎「あぁ」
ミスタ「なにやってんだ?ポルナレフ」
ミスタ「色物好きの旅行者に気に入られたか?」
ポルナレフ「彼がミスタだ。口が悪いしワキガだけど根はいい奴だ。ワキガだけど」
ミスタ「?」
承太郎「ジョセフと仗助がおかしくなった原因を知ってるかと聞いたんだが」
ミスタ「そのことか…」
ミスタ「原因は>>145だ。あれのせいでおかしくなっちまった奴がたくさんいる」
承太郎「何だと…」
>>139
徐倫な承太郎の背中で寝てるよ
承太郎「何だそりゃ」
ポルナレフ「俺も初めて聞くな」
シュトロ「…」ソワソワ
シュトロ「はいィィィ!?」ビクビク
アヴ「何故うろたえてるんだ?」
シュトロ「うろたえてなんて無いぞ!ドイツ軍人はうろたえないッ!」
ミスタ「あんたドイツ軍人なら何か知ってるんじゃないか?」
承太郎「あっ」
承太郎「つまりお前の身体を維持するためのメンテナンス料が払えなくなってやむなく>>155に洗脳装置を売って金を調達したと」
シュトロ「そうだ」
ポルナレフ「つまりジョースターさん達を裏で操ってるのは>>155ということか」
シュトロ「そうだ」
アヴ「(知ってんなら最初から言えよ」)
シュトロ「あぁ俺ピンクダークの少年毎回読んでる」
アヴ「(知らねぇよ)」
ポルナレフ「知り合いか?」
承太郎「まぁな。しかしまた杜王町に戻るのか」
財団員「ターゲットが杜王町に向かいました」
ジョセフ「えぇー、わしらようやくエジプト入りしたのに」
仗助「戻るしかねぇぜ、じじい」
ジョセフ「う、うむ…(そろそろしんどいなぁ)」
露伴「ふむ…」カチッカチッ
露伴「仗助の奴とジョースターさんを洗脳装置で洗脳してどんなことするのか観察してやろうと思ったけど」
露伴「このスレを見る限りヤバいことになったぞ…承太郎さんやその他諸々がここに向かってるそうじゃあないか」
露伴「仕方ない、用心棒として>>166と>>170を呼ぼう」
露伴「ジョースターさん達も独自に動いてるようだし多分大丈夫だろう」
カーズ「うむ」
ワムウ「カーズ様、このワムウにお任せを」
露伴「(依頼したのは僕なんだが)」
仗助「まだ承太郎さんは来てないようだぜ、じじい」
ジョセフ「じゃあこの辺で待ち伏せしとるかの」
アヴ「ここが杜王町か」
シュトロ「あれ?あの2人は?」
アヴ「任務があるからって帰ったぞ」
承太郎「せわしい奴らだぜ」
シュトロ「(俺らが言えないだろ)」
仗助「今度こそ逃がさないっスよ~」ガサガサ
承太郎「やれやれお出ましか、アヴドゥルはじじいを頼む。俺は仗助をやる。」
アヴ「ジョースターさんなら相手にとって不足はないな」ボッ
シュトロ「俺は…?」
承太郎「亀とでも戯れとけ」
クレイジーダイアモンド!
承太郎「来な、仗助」
スタープラチナ!
ドラララララララララーッ
オラオラオラオラオラオラオラ
仗助「やりますね」
承太郎「お前もな」
ジョセフ「うむ、まさかお前戦う日が来るとは思わなかった」
アヴ「老いたとはジョースター家の人間の実力、見せて貰いましょう!」
マジシャンズレッド!
ジョセフ「言われずともそのつもりじゃ!」コォォ
ハーミットパープル!
仗助「甘いですぜ」
ガキィ
承太郎「コンクリートでガードしたか…しかし!」
オラァ!
ズガァ
仗助「ぐぅ…!」
承太郎「なまじコンクリートなど使うからだ、破片が食い込んでボロボロだぜ、仗助」
仗助「そうだなぁ…でもあんたの洒落たコートも返り血まみれだぜ」
承太郎「ハッ…しまった!」
クレイジーダイヤモンド!
承太郎「グッ!」
ドスドス
仗助「ハッ、この距離じゃ無敵のスタープラチナでも弾ききれないか!」
仗助「トドメだ、クレイジーダイヤモンド!」
ドララララーッ
承太郎「やられる…」
承太郎「ここまでか…」
ガシィ
仗助「な、なんだコイツは!?承太郎さんのスタンドじゃあない!」
承太郎「何だ…糸…まさか…!」
徐倫「まうー」
承太郎「これは…徐倫のスタンドか」
徐倫「コクコク」
承太郎「そうか、ありがとう。徐倫。」
仗助「シャラ臭せぇぇぇぇさっさと死ねェェェ!」
ドララララーッ!
承太郎「スタープラチナ!」
オラァ!
バキィ
承太郎「終わりにするぜ、仗助」
オラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラ
オラァ!
ドクシャア
承太郎「やれやれだぜ」
承太郎「あぁ、じじいはどうした?」
アヴ「隠者の紫()で私に挑んだのが間違いだったな。消炭にして差し上げた」
ジョセフ「解せぬ」
承太郎「さて、こいつらの洗脳を解くにはどうしたらいい?」
シュトロ「>>196だ」
承太郎「よしきた」ザクッ
仗助「UREEYYYYYY」
ジョセフ「WRYYYYYYY」
承太郎「これで良し。でも邪魔だからここにおいて行こう」
アヴ「おk」
アヴ「おっ、あの家じゃあないか」
承太郎「なんだあの民族衣装を来た奴らは」
シュトロ「なっ、何故あいつらが…」
カーズ「うむ」
アヴ「誰だあいつらは?」
シュトロ「奴らは柱の男。昔俺とジョセフで戦った奴らだ、詳しくは二部参照」
承太郎「そうか…」
アヴ「そうだな」ボッ
シュトロ「いや、ここは俺に任せて先に行け」
承太郎「なんだと?」
承太郎「すまない、助かるぜ」ダッ
アヴ「恩に着る」ダッ
カーズ「ほぅ…仲間を逃がすか」
シュトロ「フフッ」
シュトロ「どうかな」
ワムウ「この者と、戦ってもよろしいでしょうか?カーズ様」
カーズ「フッ、好きにしろ」
ワムウ「ハハッ」
シュトロ「来いィィィィ!」
ズダダダダダダ
ワムウ「このワムウを銃で殺そうなど思い上がりも甚だしい!」シュバッ
ガキィ
グググググ…
シュトロ「甘いわァ!」ズガァ
ワムウ「何ィ!?」
シュトロ「60年間の技術の蓄積は伊達ではなかろう?」
シュトロ「それに今のパワー基準は現在のサンタナに合わせてあるッ!サンタナのパワーよりも貴様のパワーが弱いだけではないのかなァァァ?」
ワムウ「ぐッ、舐めるな!」
ズガァ
シュトロ「無駄無駄ァァァ」
シュトロ「そしてェ!紫外線照射装置ィィィィィィ!」
ビカー
ワムウ「う、うわぁぁぁぁぁ」ピキッ
カーズ「なんだと…?」
シュトロ「次は貴様だ」ウィンウィン
シュトロ「究極生物でも無い貴様など取るに足りん!喰らえェェェェ!」
ビカー
カーズ「なっ、バカなァァァァァァ!」サラサラ
シュトロ「たまには俺が活躍すSSもあってもいいだろ。さて、あいつらはもう平気だろうし俺はドイツに帰えるとするか」
承太郎「さてそろそろ年貢の収めどきだぜ」
アヴ「観念してもらおうか」
露伴「ぐぬぬ」
露伴「(まずいな…ここは一か八か>>220をするか…!)」
1:天国の扉で応戦
2:素直にワビ入れる
どっちかでオナシャス
露伴「天国の扉ッ!」
承太郎「しまった!」ガバッ
アヴ「なんだ?」
露伴「ニヤリ」
露伴「フフフ」
承太郎「くっ…」
露伴「とりあえず岸辺露伴には攻撃出来ないっと、あと岸辺露伴が攻撃されたら焼身自殺しますっと…」サラサラ
承太郎「くっ…」ズリズリ
露伴「まぁいいや、出てくるまでこいつに何かするか」
露伴「とりあえず>>233と書きこむか」
アヴ「なんだか無性にパチンコがしたくなってきぞ」
露伴「フッ、じゃあ次は>>241だ」
アヴ「うわっ、体が勝手に」
露伴「そしてこの矢を>>249してみようか」
アヴ「うわっ」ザクッ
シュウウウウウウ
承太郎「何てこった」
露伴「これが僕の天国の扉・鎮魂歌か」
アヴ「どんな能力なんだ…?」
露伴「>>257さ」
露伴「フフ、ハハハ!」
露伴「これで僕は全てを思い通りに出来る!」
露伴「手始めに承太郎さん、あなたの設定を>>265にしましょうか!」
承太郎「わ、私何で男物のコートなんて着てるの?それに下着も…」
アヴ「そんなバカなwwwwwww」
露伴「フフフ」
>>270
難しいことは考えてないれす^p^
承太郎「えっ」
徐倫「えっ」
露伴「ドヤァ」
承太郎「えい///」オラオラオラオラオラァ
徐倫「まうー」 オラァ
露伴「ひでぶ」
ズザァァァァァ
岸辺露伴:再起不能
アヴ「あぁ…」
徐倫「まうー(親父いつの間に戻ったのかしら)」
第774部完
荒木「帰れ」
つーことで終了です
長丁場でしたが読んでくれた方々、安価してくれた方々、本当にありがとうございました。
乙
乙!
Entry ⇒ 2012.07.17 | Category ⇒ 版権物SS | Comments (0) | Trackbacks (0)
真美「エッチな」亜美「しりとり→!」
真美「じゃあ真美から始めるよ?」
亜美「オッケ→!負けないかんね!」
真美「真美だって!えっとねぇ…最初は……」
亜美「最初は?」
真美「こ……」
亜美「こ?『こ』のあとはなぁに?」
真美「こ…こ…コンドーム……」
亜美「!?!?!?」
真美「な、なにさ?」
亜美「いきなりエッチすぎるよ!ママに怒られちゃうよ!」
真美「だだだって……」
亜美「あ、亜美、ちょっとドキドキしちゃったよ」
真美「亜美の番だよ?『む』だかんね!」
亜美「む…胸タッチ…」
真美「!?」
亜美「ど、どうしよ…亜美、すっごいエッチなこと言っちゃったよ…」
真美「つ、次は『ち』だね……」
亜美「う、うん……」
真美「ち…乳首……」
亜美「!?」
真美「し、仕方ないじゃんかぁ!次は『び』だかんね!」
亜美「び…び……」
真美「こ、降参してもいいんだよ?」
亜美「やだ!ぜったい負けないもんね!」
真美「は、恥ずかしくなってきちゃった……」
亜美「ビーチク!」
真美「!?」
亜美「な、なにさ?」
真美「どこでそんな言葉覚えたのさ!?」
亜美「ど、どこだっていいじゃんかぁ!亜美、もう子供じゃないもん!13歳だもん!」
真美「エ、エッチすぎるよぉ……」
亜美「んっふっふ~。降参するかね?」
真美「やだやだやだ!」
亜美「ちょっと強烈すぎたかなぁ?んっふっふ~」
真美「んっと……口づけ!」
亜美「!?」
真美「な、なに?」
亜美「そ、それってつまり……その……チュ、チューのことだよね?」
真美「そ、そだよー!それも、大人のチューだよ!」
亜美「エッチだよ……亜美のお姉ちゃんは超エッチだよ……」
真美「んっふっふ~。これは真美の勝ちですかな?」
亜美「け…け……」
真美「無理しなくてもいいんだよ、亜美?」
亜美「経験済み……」
真美「!?」
亜美「し、知らない!亜美知らないもん!」
真美「姉として亜美の将来が心配だよ……」
亜美「ま、真美の番だよ?『み』だかんね?」
真美「み…み……」
亜美「どうやら亜美の方が一枚上手だったかな?んっふっふ~」
真美「『見てもいいよ?』」
亜美「!?!?!?」
真美「いいじゃんかぁ!」
亜美「……なにを見せるの?」
真美「ブ……」
亜美「ブ……?」
真美「ブラの肩ひも……」
亜美「ダ、ダメだよ真美!そんなの、旦那さん以外に見せちゃダメなんだかんね!」
真美「だ、旦那さんに言ったんだもん!」
亜美「強烈だよ、真美ぃ……」
真美「つ、次は『よ』だよ?」
亜美「よ…夜這い……」
真美「!?!?!?」
亜美「お、男の人が部屋に忍び込んできて……」
真美「そ、それから?」
亜美「あ、朝までゲームして遊んだり……」
真美「そ、そうなの?」
亜美「たぶん……」
真美「ダメだよ……朝までゲームとか不良のするけとだよ!」
亜美「あ、亜美はそんなことしないもん!」
真美「い…い……」
亜美「む、無理しなくてもいいんだよ?」
真美「淫乱……」
亜美「!?!?!?!?!?」
真美「だ、だって!」
亜美「しかも『ん』付いちゃったし!」
真美「あっ!」
亜美「……ちやみに、意味分かってんの?」
真美「えっと…誰とでも……」
亜美「誰とでも……?」
真美「チューしちゃう人……」
亜美「そ、そんなのぜったいダメだよ!!!!!」
真美「真美のことじゃないもん!!!!!」
亜美「亜美のお姉ちゃんはやっぱりエッチだよ……」
亜美「お、おやすみ!」
真美「おやすみ→!」
………
……
…
亜美「亜美、もう13歳だもん。子供じゃないもん。だから……」
亜美「あ、朝までゲーム、してみよっかな……」
お し ま い
真美は悪い子
読み返します
真美は可愛いなぁ
可愛いな
Entry ⇒ 2012.07.17 | Category ⇒ アイマスSS | Comments (0) | Trackbacks (0)
唯「……紬」ボソ 紬「!?」ドッキーン
紬「ゆ、唯ちゃん今わた」
律「やっほー!部長の登場だー!」
澪「悪い、途中さわ子先生と会って少し遅れた」
唯「二人ともおっそーい!あずにゃんまだ来ないし!」
澪「梓は今日家庭の用事で来れないって行ってたぞ」
唯「えー・・・じゃああずにゃんの分のケーキ貰いっ」
律「あ、唯ずるいぞ!ここは部長の私だろ!」
唯「え~早い者勝ちだよねムギちゃん!」
紬「えっ?あぁ・・・そうね半分ずづじゃ駄目かしら?」
律「むーそうだな」
唯「ムギちゃーん今日は何~?」ニコニコ
澪「催促するなよ・・・」
律「なんだかんだで澪も楽しみにしてるくせに~」
澪「うっ・・・まぁ折角ムギが好意で持ってきてくれてるわけだし・・・それを断るのも・・・美味しいし・・・」
律「あーわかったわかった私が悪かったって~」
紬「はい唯ちゃん今日はロールケーキ!」
唯「おぉ~!待ってました~!」
律「待ってましたー!」
唯「いただきまーす!」
唯「ふーご馳走様ムギちゃん!」
紬「お粗末様~♪」
律「紅茶おかわりー!」
澪「部長なんだからたまには自分で淹れたらどうだ?」
律「私が淹れられると思ってるのか!」
唯「じゃあ私が淹れる!」ハイッ
澪「えっ」
律「えっ」
唯「二人ともその反応は予測してましたぜっ!」
紬「でも唯ちゃんならきっと大丈夫よ~」
唯「まかせなさいっ!」
律「思ったより早かったな」
澪「まぁムギが凄すぎるだけな気もするけど」
紬「初めてにしては十分早いわよ~」
唯「はいりっちゃん!とりあえず飲んでみてよ!」
律「じゃあ頂くか・・・」
澪「私も」
唯「ムギちゃんにはいつもお世話になってるしね!はいっどーぞ!」
紬「ありがと~♪」
律「おっ・・・コレは・・・」
律「うん!普通!」
唯「え~!?」
紬「あら?普通に美味しいけど・・・?」
律「うん、普通に美味しいからちょっとビックリした」
唯「えぇ!?りっちゃんはともかく澪ちゃんは信じてたのに!」
澪「ごめんごめん、でも美味しいよ」
唯「えっへん!」
紬「でも初めてでここまで淹れられるのは凄いわよ?」
唯「いつもムギちゃんが入れてくれるの見てたからね!」
紬「あら嬉しい」ニコッ
澪「ちょ、律やめろっ!」クスッ
紬「唯ちゃんありがとう、とても美味しかった!」
唯「いやいやー!むしろいつもありがとうだよ!」
紬「ふふっじゃあ片付けは私がやるね?」
唯「折角だから全部やるよー!」
紬「あら、じゃあ一緒に運ぶ!」
唯「ありがとー!」
紬「片付けちゃうね?」
律「おぉすまんっ!」
澪「ありがとうムギ」
紬「じゃあお願いしようかしら?」
唯「うん!ムギちゃんは休んでてー」
紬「ありがとう」ニコッ
紬(・・・いつもの唯ちゃんよね)
紬(いつも優しいけど今日はもっと優しく感じる・・・)
紬(・・・あんまり気にしすぎちゃ駄目よね)
律「おっムギ!唯に任せて平気かー?」ニヤニヤ
紬「きっと大丈夫よ~唯ちゃんは出来る子だもの」
澪「普段からもっとやる気があったら凄いんだろうけどな・・・」
澪「・・・結局今日も練習は殆どしなかったな」
律「唯がドラム叩き始めたからな」
唯「面白かったです!」
紬「よかったわね唯ちゃん」
澪「まぁ梓も居ないしあんまり根詰めるよりは良いのかな・・・」
律「それにしても今日の唯はアグレッシブだったな!」
唯「仕事の出来る女・・・平沢唯!」キリッ
紬「かっこいい~!」
澪「じゃあ普段のムギはエリートだな」
唯「ムギちゃんにはいつも助けてもらってるからね!」
律「おぉ!唯偉いぞっ!」
澪「部長も少しは見習うべきだな」
律「・・・唯頑張れっ!」
澪「おい」
唯「じゃあ澪ちゃんりっちゃんまた明日ねー!」
澪「また明日」
律「遅刻するなよー!」
唯「いつもムギちゃんに淹れて貰ってるからね!」
紬「ふふっ、じゃあ私駅行くね!」
唯「うん!明日のおやつも楽しみにしてるねっ!」ダキッ
紬「じゃあ唯ちゃんの好きなもの選んじゃおっか!」
唯「おぉ!ありがたやーありがたやー!」
紬「じゃあまた明日ね!」
唯「うん!また明日ね・・・紬」ボソッ
紬「!」
唯「ばいばーい!」タッタッ
紬(行っちゃった・・・でもやっぱり)
紬(急に紬って・・・急にどうしたんだろ・・・)
紬(と、とりあえず帰りながら考えよっ)
紬(・・・)
紬(紬・・・か)
紬(おかしいな、お父様にはそう呼ばれてるのに唯ちゃんに呼ばれると何か・・・違和感?)
紬(別に嫌って訳じゃないし今まで無かったあだ名で呼んでくれるのも嬉しい・・・でも何で?)
紬(む~・・・)
紬(わぁ~唯ちゃんどうしたんだろ・・・)
憂「おかえりお姉ちゃん!」
唯「ふぅ走ってきたからちょっと疲れたよ~」
憂「あれ?見たいテレビとかあったけ?」
唯「いや~お姉ちゃんって生き物はたまに走りたくなるのだよ憂さん!」
憂「そうなの?」キョトン
唯「そうなんですっ!」
憂「・・・あれ、お姉ちゃんちょっと顔赤いよ?」
唯「!あっ・・・多分走ってきたからかな~?先にお風呂行ってくるね!」
憂「後でタオル出しに行くね~」
唯「ありがとぉ!」
斉藤「お帰りなさいませ紬お嬢様」
紬「ただいま斉藤・・・ねぇ?」
斉藤「いかがなさいました?」
紬「その『お嬢様』抜きで私を呼んで見て?」
斉藤「・・・はて?紬様どうかされましたか」
紬「・・・いえ、なんでもないわ!ごめんなさい斉藤」
斉藤「いえ、御夕飯までもうしばらく掛かるとのことなので自室でお寛ぎ下さい」
紬「えぇありがとう、そうさせてもらうわ」ニコッ
紬(・・・やっぱり唯ちゃんに呼ばれた感じとは違う)ガチャ
紬「ふむぅ・・・」ポムッ
紬父「どうした紬、食が細いようだが」
紬「ちょっと疲れてるみたいで・・・」
紬父「そうか明日に残らないようにしっかり休むといい」
紬「えぇ・・・おやすみなさい」
紬(食事中もシャワーを浴びてるときも考えてしまう・・・)
紬(いつものように唯ちゃんらしく呼んでくれたんだと思いたいけど)
紬(どうしても嫌なほうに考えがいっちゃう)
紬(でも嫌ってる感じには見えなかったから・・・真意がわからない・・・)
紬(・・・明日になったらいつも通りの唯ちゃんになってるのかな・・・)
紬「・・・もう寝ましょうか」
紬「行ってきます」
斉藤「お気をつけていってらっしゃいませ紬様」
紬(・・・斉藤も律儀ね)ニコッ
紬(・・・結局あまり寝れなかったなぁ)
紬(電車の待ち時間が過ぎるのがあっという間)
紬(・・・こんなに唯ちゃんの事考えてるの初めて)
紬(でもなんでだろ)
紬(嫌なことも考えちゃうけど・・・早く唯ちゃんに会いたいと思ってる私が居る)
紬(今日のおやつ喜んでくれるかな・・・)ニコニコ
瀧「おっはー!」
姫子「おはようムギ」
澪「おはよう、少し暖かくなってきたな」
律「というかもう暑いんだよー!もー!!」キー
紬「りっちゃん朝から元気ー!」
律「ムギは暑くないのかー?髪とか蒸れたりさー」
紬「あらそれなら澪ちゃんだって同じじゃない」
澪「まあ正直少し邪魔というか・・・でも折角伸ばしたしなー」
紬「いきなり切るのもちょっとね」
唯「ムギちゃんおっはよぉぉ!!」ダキッ
紬「!」
澪「確かに夏場だったら絵的にも暑そうだ・・・」
唯「皆おはよ!」
紬「・・・唯ちゃんおはよう!」ギュッ
唯「えへ~」
律「ムギの反撃だ!・・・って二人とも暑くないのか?」
紬「唯ちゃんはいつも暖かいよ?」
唯「えっへん!」
澪「えばる事なのかそれ・・・」
紬(結局放課後まで唯ちゃんはいつも通り・・・)
紬(やっぱり気のせいなのかな?)
紬(普段どおりの唯ちゃんを見てるとそんな気もしてくる)
唯「ムギちゃん!今日は楽しみにしてるよ!!」ビッ
紬「えぇ今日は皆が好きそうなの持ってきたの!ちょっと待っててね~」
梓「そういえば唯先輩、昨日はちゃんと練習したんですか?」
唯「もっちろんだよ!」
律「ドラムのな」
梓「へ?ドラム?」
澪「唯が急にドラム叩きたいって律と遊んでた」
唯「えっと・・・えへへ・・・」
律「あら随分信頼がありませんことね!」
唯「もう少しは先輩を信用してもいいですのよ!」
梓「昨日は何やったんですか?」
唯「ごめんなさいでした」
澪「今日は梓も居るしちゃんと練習出来そうかな」
紬「おまたせ~今日はシンプルにショートケーキにしてみました~♪」
律「今日も唯が淹れるのか?」
梓「えっ昨日何かあったんですか?」
澪「あぁ唯の気まぐれで昨日は唯が紅茶を淹れてくれたんだ」
唯「えっへん!」
梓「え・・・大丈夫・・・でした?」
唯「しどい!」
紬「とっても美味しかったわよ~最初の私なんかよりも上手!」
律「いやムギも最初から十分美味しかったけどな」
梓「正直以外でした・・・」ゴクリ
律「まぁ私たちも逆に裏切られた気分だった」
唯「む~!りっちゃんひどい~!」
律「はは、冗談冗談!」
紬「昨日は唯ちゃんに入れてもらっちゃったから今日は私が淹れるね」
唯「うん!ムギちゃんの紅茶飲みたいっ!」
紬「えへ、もう淹れちゃってるんだけどね」つ
律「おぉさんきゅ!」
唯「じゃあ頂きますか!」フンスッ
澪「いつも美味しいけど今回は何か更に美味しい気がする・・・」
律「確かに!やっぱショートケーキは一味違いますなっ!」
紬「ふふ、昨日唯ちゃんと約束したからね」ニコッ
律「なぁに~!?唯ずるいぞー!」
梓「でも結局皆好きですよねショートケーキ」
唯「あずにゃんいい事言った!」
澪「女の子は嫌いって子のが少ないと思うけど」
紬「でもちゃんと唯ちゃんの事考えて選んだよ?」ニコッ
唯「えへ~ムギちゃんありがとぉ~♪」
紬「今度りっちゃんの要望も聞くね」
律「やっりー!何にしよっかなー!」
澪「律はしたないぞ」
梓「まぁ唯先輩は憂にも頼めますしね」
唯「ムギちゃんのお菓子は憂とは別だよ~」
紬「あらあら」
梓「憂のクッキー美味しかったですけど・・・」
唯「勿論憂のお菓子も美味しいけどね!ムギちゃんのも美味しい!」どやっ
澪「今日はちゃんと練習できてなによりだな」
梓「まぁそろそろ文化祭もありますしね」
律「ってことは明日はおしゃべりだな!」
澪「おいっ!」
唯「明日はカステラがいいな!」
紬「考えておくね」
律「あっ唯ずるいー!」
梓「カステラって何だかんだあんまり食べないですよね」
澪「確かに頂き物くらいかな・・・?」
律「んーそう考えると食べたくなってくるから不思議だよなー」
紬「責任重大!」
律「うむ、よきにはからえ」
梓「それ使うタイミング合ってましたっけ」
律「わかんない☆」
澪「全く・・・」
梓「じゃあ私はちょっと買い物していくのでここで」
澪「あぁまた明日な」
律「無駄遣いは駄目ですよー!」
唯「あずにゃんまたねー!」
紬「また明日ね」
梓「はいっお疲れ様です!」
律「だなーじゃあ唯、ムギまた明日ー」
唯「ばいばーい!」
紬「また明日ねー」
紬(・・・そういえば昨日はここで二人になったときに)
紬(・・・)
唯「あれ?ムギちゃんどうかした?」
紬「あ、いや明日のカステラのこと考えてたの!」
唯「なるほど!美味しいよねカステラ!」
紬「憂ちゃんなら作れるんじゃない?」
唯「んー多分作れると思う・・・」
唯「んー食べたいって言ったら作る憂が簡単に想像できるけど材料まではわかんない!」
紬「やっぱり憂ちゃん何でも出来ちゃうね」
唯「自慢の妹です!」
紬「じゃあ私もそろそろ行くね」
紬(・・・)
唯「うんっ!ムギちゃんまた明日ね~!」
紬「また明日ー」
紬(・・・普通だった・・・よね?)
紬(やっぱり私の勘違いだったのかな)
唯「」ギュッ
紬「ひゃっ!?」
唯「気をつけて帰ってね・・・紬・・・」
紬「ゆ、唯ちゃん!?」
唯「えへー後姿みたら抱きつきたくなっちゃった!」
紬「唯ちゃん・・・あ、あのっ!」
唯「!じゃ、じゃあまたねー!」タッ
紬「え・・・あっ・・・うん、また・・・明日・・・」ポカーン
紬(・・・)
紬(考え事してたら唯ちゃんに抱きしめられて)
紬(耳元でまた『紬』って・・・)
紬(なんだろう・・・いきなりすぎて頭が働かない・・・)
紬(でも嫌じゃない、むしろ嬉しいんだけど・・・)
紬(なんでいきなり・・・皆が居るときは普通だし・・・)
紬(・・・わかんないよぉ)
紬(・・・とりあえず明日は唯ちゃんのリクエストどおりカステラにしよっ)
憂「お、お姉ちゃん?どうしたのそんなに息切らして」
唯「いや、ちょっと、トレーニング、がてら、全力疾走、を・・・」
憂「もう・・・お水持ってくるから待っててね?」
唯「あ~り~が~とぉぉぉ・・・」
憂(?お姉ちゃん大丈夫かなぁ)
紬(今日も全然寝れなかったなぁ・・・)ファァ
紬(別に普通に紬って呼ばれる分ならこんなに悩まないのに・・・)
紬(でも・・・紬って呼んでくれる唯ちゃん・・・なんかカッコよかった・・・)
紬(普段は天真爛漫で可愛い唯ちゃん)
紬(たまに見せてくれるカッコイイ唯ちゃん)
紬(どっちも私の仲良しの友人で・・・数日私を悩ませる子)
紬(でもこんなに悩んでるのに全然苦しくない)
紬(・・・とりあえず今日はカステラにしよっ!)
律「やっぱり予想通りおじゃべりで終わったな!」
澪「なんで自信満々で言うんだよっ」ゴッ
梓「まぁこれもHTTらしいですけど」ニコッ
唯「今日も美味しかったよー?」
紬「期待にこたえられて何より♪」
澪「あ、律明日何してる?」
律「特に予定は無い!」
梓「私は憂達と出かけてきます」
澪「明日は休みだし買い物付き合ってくれないか?」
律「えぇー・・・澪の買い物全体的にピンクなんだもんなぁ」
澪「ピンク可愛いじゃないか!」
紬「んー特にない・・・かな?」
唯「じゃあ私達もどこか行かない!?」
紬「!」
紬「そうね、お出かけしましょうか!」
唯「おぉ!どこ行くどこ行くー!?」
紬「んー唯ちゃん行きたい所ある?」
唯「えっと・・・パッと出てこない!」
紬「じゃあ適当に色々見に行きましょうか」
唯「おー!じゃあ明日お昼過ぎに駅で!」
紬「えぇ」
紬(明日は唯ちゃんとお出掛けかぁ)
紬(楽しみだけど・・・今日は言ってくれなかったな)
紬(皆と別れて駅までいつも通り二人で話しながら歩いて)
紬(いつも通りの電車に乗ったけど)
紬(『紬』とは一度も・・・)
紬(流石に勘違いでは無さそうだし・・・)
紬(・・・でも明日は普通に楽しみだなぁ・・・)
紬(ふふっ翌日が楽しみで寝付けないなんて遠足前の子供みたい・・・)
紬(少し早かったかな?)
唯「わっ!」
紬「ひゃっ!!」ビクッ
唯「ムギちゃん私だよー!」
紬「唯ちゃんかぁ・・・ビックリしたぁ・・・」
唯「えへへごめんね?丁度来た時にムギちゃん見えたから脅かしちゃった」
紬「もう・・・唯ちゃん元気だね」ニコッ
唯「ふっふっふ!今日のためにパワーを蓄えておきましたからねっ!」フンスッ
紬「それは頼もしい~あ、何も決めてなかったけどどこ行く?」
唯「とりあえず気になったところ全部回っていこー!」
紬「お~♪」
唯「ムギちゃんこれ可愛いい!」
紬「お花のヘアピン?唯ちゃん似合いそう!」
唯「こんな感じ~」セット
紬「とっても似合うと思う!」
唯「ムギちゃんもつけてみよう!髪長いし!」
紬「じゃあお揃いにしようかなっ」
唯「おぉ!」
紬「どう・・・かな?」セット
唯「ムギちゃん可愛いぃぃ!!すっごい似合うよ!」
紬「本当?じゃあ折角だし買っちゃおっかな!」
唯「お嬢さん・・・今日の道のりははまだまだありますぜ」フンスッ
紬「でも欲しくなっちゃった!買っちゃお♪」
紬「見に来てる人は多いけどレジは空いてたの!」
唯「よーしじゃあどんどん行こー!」
紬「おー!」
・・・楽器屋・・・
唯「いやー本当に可愛いギターいっぱいだねぇ」
紬「でも唯ちゃんにはギー太が一番似合うと思う!」
唯「えへへ~・・・あ、ギー太の弦買わないと・・・あずにゃんにまた怒られちゃう・・・」
紬「梓ちゃんしっかり者だもんね」
紬「わー・・・」
唯「ムギちゃんどうしたのー?」
紬「12色ボールぺンだって!こんなに色あるんだぁ・・・」
唯「でも3色以外ってあんまり使わないんだよね」
紬「そうなの?」
唯「私はそうでした!」
・・・お茶専門店・・・
紬「コレは梓ちゃんが好きな紅茶の葉ね」
唯「すごい・・・見分けがつかない・・・」
紬「唯ちゃんが好きな赤い紅茶はコレね」
唯「あの甘い奴だね!」
紬「コレに少し砂糖大目に淹れると唯ちゃん好みかな」
唯「ほぇ~・・・あっこれは?」
紬「あっそれは~」
唯「とうっ!」カーン
紬「えいっ!」カーン
唯「とっ、あぁ・・・ムギちゃんすごーい!」ガシャン
紬「エアホッケーって初めてやったけど楽しいね!」
唯「よーし今度は私から!えいっ!」カンッ
・・・CDショップ・・・
紬「唯ちゃんは普段どんなの聞くの?」
唯「んー・・・Jpop?とかかな?」
紬「ふふ、よく分かってないって感じね」
唯「えへへ、お恥ずかしながら・・・」
紬「私は色々聞くけどあまり詳しいのは少ないなぁ」
唯「じゃあコレなんてどうでしょう!」
紬「・・・さわ子先生が好きそうね」ニコッ
唯「あー今日は楽しかったね~!」
紬「久しぶりにいっぱい歩いちゃった」
唯「ちょっと疲れちゃったね~」
紬「ね~あ、飲み物買って来るね」
唯「あ、私も行くー」タッ
紬「んー紅茶にしよっかな」ピッ
唯「じゃあ私も同じのにしよっ!」ピッ
紬「またお揃いだね」
唯「えへへー」ニコッ
唯「私もムギちゃんと遊べて楽しかったよー!」
紬「楽しい時間って過ぎるの早いから・・・もう暗くなってきちゃったね・・・」
唯「うん・・・もうそろそろ帰る時間だね・・・」
紬(色々考えちゃってたけどやっぱり普通の唯ちゃんだ)
紬(どっちの唯ちゃんでも・・・一緒にいると楽しいなぁ)
紬(色々考えてたからもっと楽しくなったのかな?)
唯「・・・」
紬「・・・」ボー
唯「・・・紬」ボソッ
紬「!」ビクッ
紬「唯・・・ちゃん・・・?」
唯「・・・」
紬「・・・どうかしたの?」
唯「いやー・・・」
紬「・・・悩み事とか?相談できることなら相談に乗るよ?」
唯「うん・・・」
紬「あ、話辛いことなら無理に話さなくて平気!でも私はいつでも唯ちゃんの味方だもん!」
唯「ムギちゃん・・・」
紬「うん」
唯「私の変化って・・・気づいた・・・?」
紬「えっと紅茶を淹れてくれたり・・・」
唯「・・・他は?」
紬「えっと、もしかして・・・私の名前・・・?」
唯「・・・うん」
紬「最初に部室で聞いたときは聞き間違えかと思ったんだけど・・・何回か聞いて・・・」
唯「・・・うん」
唯「あれはね、ムギちゃんの気を引こうと思ったんだ・・・」
紬「・・・えっ?」
唯「いつからかわからないんだけど、ね」
唯「気づいたらムギちゃんのこといっぱい考えるようになってたの」
紬「・・・」
唯「それで、ね・・・ムギちゃんにもっと私の事考えてもらいたいなって・・・ね・・・」
紬「・・・うん」
唯「呼んでみたん、だけどね・・・」
紬「・・・うん」
唯「ちょっと失敗、しちゃったから、駅でね、別れるときに・・・」
唯「もう一回だけ、ね、呼んでみたんだけど・・・」
紬「・・・えぇ」
唯「次の日になっても・・・ムギちゃんはいつものムギちゃんで・・・」
唯「だから、次はもうちょっとだけ・・・勇気、出してみたんだけど・・・ね」ポロポロ
紬「・・・」グッ
唯「いつもと同じ、だったの・・・」
紬「・・・」グスッ
唯「でも、ね、私はムギちゃんの事いっぱい、考えちゃうから」
唯「今日も、誘って・・・」
紬「唯ちゃん!!!」ギュッ
唯「ほぇ・・・」グスッ
紬「ごめんなさい・・・っ!ごめんなさい唯ちゃんっ!!」ポロポロ
紬「私が自分で・・・気づいてたのに!唯ちゃんが私に何かのサインを送ってるのには・・・気づいてたのにっ!!」ギュー
唯「ムギ・・・ちゃん・・・」
紬「唯ちゃんがこんなにも思いつめてたなんて思わなくて・・・っ!!」
唯「・・・」グスッ
紬「いままでの関係が壊れちゃうような、もしかしたら唯ちゃんに嫌われちゃったのかもって・・・っ!」
唯「そんなこと・・・あるわけ・・・」
紬「ううん、私が臆病だったから・・・大切な友人にこんなにも・・・!こんなにも辛い思いをさせちゃって・・・っ!」
紬「だから、唯ちゃん・・・ごめんなさいっ!」ポロポロ
紬「ごめ・・・・・・さい・・・」ック
唯「・・・紬」
紬「えっ」
唯「」ギュッ
紬「唯・・・ちゃん・・・?」グスッ
唯「ありがと、ムギちゃん」
紬「・・・」
唯「ムギちゃんがこんなにも私の事考えてくれてた、思ってくれて泣いてくれた」
唯「私はコレだけで本当に嬉しいよ・・・?」
紬「唯ちゃん・・・」
唯「勿論恋愛的な感情でね」
紬「・・・」グスッ
唯「まともに恋愛なんてしたこと無いけど・・・多分コレがそうなんだと思う」
唯「ムギちゃんと居ると暖かくて、ポワポワして、幸せな気持ちになれるんだ」
紬「うん・・・・・・うん・・・」
唯「でもね」
唯「この感情が正しいとは思わないんだ・・・」
唯「私達は女の子同士だもん・・・私がどんなに好きになっても・・・」
唯「それで私の思いが通じたとしても・・・絶対幸せになれる!とは・・・言える自信が無いんだもん」グスッ
紬「そんな事・・・」
唯「ううん、同性だもん・・・だから、ね?もともと諦めて・・・は、いたんだ」ポロポロ
紬「・・・」ギュッ
唯「でもムギちゃんが好きなのも本当、嬉しかったのも本当・・・」
唯「気づいてからいつも・・・いつも思ってたし気づいてた・・・っ」
唯「でも・・・幸せで・・・」
唯「どうすればいいかなんて・・・っ!私にわかんなかったもんっ!!!!!」
紬「・・・」
唯「・・・」
紬「・・・唯ちゃん」
唯「・・・なにむgんっ」チュッ
紬「・・・」ギュッ
唯「えっ・・・今、えっ・・・」
唯「・・・」ポー
紬「でも唯ちゃんの気持ちも分かった・・・だからコレは友達のキス」
唯「友達・・・の?」
紬「うん、これからもずっと一緒に遊ぼうって、誓い」
唯「これからも・・・一緒に居て、いいの?」
紬「私も唯ちゃんが好き、でも恋人にはなれない・・・」
紬「だから・・・コレじゃ、駄目・・・かな?」
唯「ううん・・・ムギ、ちゃ・・・ん、あり・・・が、t」フルフル
唯「ムギちゃぁぁぁぁん・・・っ!!!!!!」ポロポロ
紬(アレから唯ちゃん少しは落ち着いたかな・・・?)
紬(ふふっ、今思い返すとちょっと恥ずかしかったかな・・・?)
紬(あ、また唯ちゃんのこと考えちゃってる・・・)
紬(お天気もいいし・・・)
紬(・・・ま、いっか♪)
紬「いってきまーす!」
斉藤「行ってらっしゃいませ紬お嬢様」
紬(・・・ふふっ流石斉藤ね)
紬(あの日から私達二人に一つだけ秘密が出来ました)
紬「~・・・あら?」
唯「・・・紬おはよっ!」
紬「・・・ふふっ」
紬「おはよっゆ~いっ!」
紬(唯と紬、二人だけの時間限定の・・・♪)
おわり
後半以外の似たような書き回し多いのは過去作品含めほのぼの大好きなので諦めてくだしぁ!
個人的には帰宅後の唯√も含めて書きたくなったけど長くなりそうだったから割合。
おまいらも夜中まで乙
珍しい唯紬で綺麗にまとめたな
なかなかよかった
かわゆいむぎ
Entry ⇒ 2012.07.17 | Category ⇒ けいおん!SS | Comments (1) | Trackbacks (0)