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岡部「まゆりいいいいいいいいいいいいいいいいいい!!!!!」
まゆり「」
紅莉栖「あ…あ…まゆりが…死んじゃった…」ガクガク
ダル「ひいいいああああああああああああああ!!!!!」ガクガクガクガク
萌郁「FBのため…FBのため…」ブツブツ
萌郁「!?」
鈴羽「伏せて!」ヒュッ ドゴッ バキィッ
ラウンダーA「ぐあっ!?」ドサッ
ラウンダーB「ごふっ!!」ドサッ
鈴羽・萌郁「「動くな!」」ジャキン
鈴羽「…42、ブラウン管、点灯済み」
紅莉栖「…タイムリープマシン!」ダダダダダ…
岡部「…あっ!!」ダダダダダ…
岡部「急げ紅莉栖! 俺が跳ぶ!」スチャ
紅莉栖「岡部!? 駄目よ私が跳ぶ!! 失敗したら死んじゃうかも知れないのよ!?」
岡部「いいから急げッ!!」
紅莉栖「…っ! ねぇいいの岡部!? 本当にいいの!? 」カタカタカタカタ
岡部「ああ! やってくれ!」カチカチカチ
紅莉栖「…!」カタカタ ターン
バチバチバチバチバチバチバチバチ
ラウンダーA「くっ…!」パァン パァン
紅莉栖「あ゛ッ!!! ぐうッ…!」ドクドク
岡部「紅莉栖ッ!? くそっ!!」ピッ
岡部(――こんな結末、俺が変えてやる!)
岡部「……跳べよおおおおおおおおおおおおおッッッッッ!!!!!」
ドゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥン
岡部「……ッ」ズキンズキン
岡部〈1回目〉「……ここは…?」
~ラボ(未来ガジェット研究所)~
紅莉栖「? 急にどうしたのよ岡部」
ダル「居眠りしてたのかお?」
岡部(…成功したのか…! タイムリープ!!)
ダル「まゆ氏ならるか氏の所に行くっつってたじゃん?」
岡部「! 分かった!」
紅莉栖「…岡部? 何かあったの?」
岡部「紅莉栖! ダル! 今日のパーティーは中止だ! 今すぐここを出て出来るだけアキバから離れろ!」ガチャ バタン
紅莉栖「は? ちょっと岡部!? ちゃんと説明してよ!!」
~アキバの街~
岡部「――はあっ…はあっ…」ダダダダダ
岡部(柳林神社はもう出た後だった…ラボにも帰っていない…どこにいるんだまゆり!)ハアッハアッ
まゆり「あれー? オカリンだー! トゥットゥルー♪」ブンブン
岡部「…ッ!! まゆりいッ!!」ダダダダダ
まゆり「? オカリンどうしたの?」キョトン
岡部「…お前…今までどこに…」ハァハァ
岡部「…なんだ。そんな下らないことだったのか…」ハァハァ
まゆり「あ?」
岡部「とにかく今すぐここを離れるぞまゆり! パーティーは中止だ!」
まゆり「えー? どうしたのオカリン? 何かあったのー?」
まゆり「…あのね、まゆしいには何が起きてるのかわからないけど」
岡部「……」
まゆり「だけどまゆしいはオカリンのこと信じてるから。だから全部終わったら、そしたら話を聞かせて欲しいな…」
岡部「…もちろんだ! 行こう!」
~路地~
岡部「はあっ…はあっ…」ダダダダダ
まゆり「はあっ…はあっ…」ダダダダダ
岡部「…もう少しだまゆり! もう少しでアキバを脱出…」
キキイイイイイイー
岡部「車ッ!? 危な――」
岡部「…ぐうっ…ま…まゆり…大丈夫か…?」ヨロヨロ
まゆり「」ドクドクドクドク
岡部「…まゆり? そんな…嘘だろ…」ユサユサ
岡部「まゆりいいいいいいいいいいいいいいいいいい!!!!!」
ガチャッ バタン
萌郁「…岡部くん…いや、岡部倫太郎を確保。椎名まゆりは死亡しました」
岡部「…くそっ…くそっ…! うわあああああああああああああああ!!!!!」ダダダダダ
萌郁「!? 岡部倫太郎を追えッ!!」
~ラボ~
岡部(急げ――!)ハァハァ カタカタカタカタ
バチバチバチバチバチバチバチバチ
岡部(待ってろまゆり…今度こそ助けてやる!!)
ドゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥン
~路上~
岡部〈2回目〉「すみません! まだ動かないんですか!?」
タクシーの運転手「ごめんねー。なんか検問やってるみたいでさ」
コンコン
まゆり「え?」
パァン
まゆり「」ドサッ
岡部「まゆりいいいいいいいいいいいいいいいいいい!!!!!」
~駅~
岡部〈3回目〉「…もうすぐだぞまゆり」
プアアアアアアアアアア
まゆり「! 電車だー!」
綯「まゆりおねえちゃーーーん!!!」ドカッ
まゆり「え――」グラッ…
ドゴッシャアアアアア
岡部「まゆりいいいいいいいいいいいいいいいいいいいい!!!!!」
チャーラーラーラーラー♪
岡部「ん? メール?」パカッ ピッ
[From:閃光の指圧師 話があります。ラボから動かないで。 〔添付あり〕]
岡部「…添付写真?」ピッ
岡部「…昔の新聞記事…?」
岡部「…なっ!? ゼリーマン!? …まさか…これ…!!」プルプル
岡部「まゆりいいいいいいいいいいいいいいいいいいいい!!!!!」
~ラジオ会館・屋上~
岡部〈5回目〉「お、お前たちは一体何者なんだ!! なぜ俺たちのラボを襲う!?」
萌郁「…理由は3つ。1つ目に…」
………
~ラボ~
ガチャーン
岡部「まゆりいッ!!!」
紅莉栖「岡部!?」
まゆり「オカリン…!!」タタタ
岡部「馬鹿!! 動くなッ!!」
萌郁「チッ…!」パァン
まゆり「」ドサッ
岡部「まゆりいいいいいいいいいいいいいいいいいい!!!!!」
~ラボ~
岡部〈10回目〉「……ッ」ズキンズキン
岡部(……初めにまゆりが死んでから、さまざまな事を試した)
岡部(しかしまゆりの救出はすべて失敗してしまった。代わりと言うわけでは無いが、タイムリープ繰り返して分かったことは2つ)
岡部(まず、ラボを襲ってくる連中の正体。次に、ラボが襲撃される理由)
岡部(……そして、もしかすると、何をしてもまゆりは死んでしまうのかも知れないということ)
岡部(つまり、まゆりの死は世界が望んでいる事なのかも知れないのだということだ)
岡部(そんなくだらないことを考えている場合ではない! まだだ! まだ俺は諦めない!)グスッ
岡部(そうだ! 俺は狂気のマッドサイエンティスト! 不可能などない! 絶対にまゆりを救ってみせるのだッ!!)ガターン!!
紅莉栖「きゃっ!? 急に大きな音出さないでよ岡部!」
岡部「あ、ああ。すまん」ズズー
紅莉栖「ん? もしかして泣いてるの岡部? 何かあった?」
まゆり「どうしたのオカリン?」
ダル「ブラクラでも踏んだん?」
岡部「…気にするな。何でもない」ズズッ
岡部「…今から鈴羽のところへ行ってくる! 今日は帰らないかも知れない!」ガチャ バタン
紅莉栖「え? ちょっと待……行っちゃった。一体どうしたのかしら?」
ダル「阿万音氏に愛の告白でもするんじゃね?」
紅莉栖「なっ…///」
岡部「おいバイト戦士! 居るか?」ガラッ
鈴羽「ん? どうしたのさ岡部倫太郎?」ヒョコッ
岡部「…頼みがある。俺に稽古を付けて欲しい。時間が無いんだ」
鈴羽「…理由を聞いてもいい?」
岡部「…すまない」
岡部「…すまない鈴羽。手取り足取り頼む」
岡部(…俺が戻ってくることができるのは、どんなに過去でもタイムリープマシンが完成する48時間前である今までだ)
岡部(だから『今』からラウンダーが襲撃をかけてくるまでの数十時間を何度でも繰り返す)
岡部(肉体が成長しないのは仕方がない。せめて技だけでもいい。じっくり時間をかけて身に付ける。そして萌郁たちをラウンダーの連中を残らずブッ飛ばしてしてやる!)
鈴羽「…いくよ?」スッ
岡部「…ああ」スッ
鈴羽「……ふんッ! せいッ! そりゃッ! はあッ!」ビュオ! ドヒュ! ドウッ! ブオン!
岡部「おっと! ふんッ! ふははッ! 遅いィッ!!」サッ ザザッ クルクルッ シュタッ
鈴羽「バク転っ!? 余裕だね…! じゃあこんなのはどう!?」ヒュオ…!
岡部(右のハイキック…いや軌道が馬鹿正直過ぎる! それに踏み込みが深い。これは…)
鈴羽「…なんてね!」クンッ!!
岡部「…フェイントかッ! 甘いッ!」サッ ガシイッ
鈴羽「なっ…!」(軌道変化を読まれた!? くそ、足首を掴まれ…)
鈴羽(まさかこのまま投げ飛ばす気か――!? まずい! 受け身が間に合わ…)
岡部「らああああああああああああああああああああああッッッッッ!!!!!」ブウンッ!! ドシャアアアン!!
鈴羽「づあッ!! ぐうううううッッッ………!!!」ズザザザザー ゴロゴロゴロ
鈴羽(…くっ、早く体勢を)ググ…
岡部「ふはははははッッッ!!! 甘いィィィッッ!!!」タタタッ タンッ
鈴羽(フットワークが軽いッ!? ガ、ガードを…)
岡部「これで終わりだな、バイト戦士」スイッ デコピンッ
鈴羽「あいたっ!? ……くそー、岡部倫太郎に負けちゃったよ…」ガシガシ
岡部「気を落とすなバイト戦士! 貴様が弱いのではない! ただ単にこの鳳凰院凶真が強過ぎただけなのだフゥーハハハハ!!!!!」ハハハハ
鈴羽「いやー、いきなり手合わせを申し込んできたと思ったら、まさか君がそんなに強いとはね。まさに天賦の才って感じ。誰に教わったのさ?」
岡部「…さぁ、誰だろうな?」ニコッ
鈴羽「?」ハテナ
岡部〈196回目〉(…鈴羽、お前には本当に感謝している。お前に教わったこの武術で、ラウンダー共を一人残らずぶちのめして見せる!!)
~ラボ~
キャスター「――爆弾を仕掛けたとの予告電話があり…」
鈴羽「…あたし、用事を思い出したから帰るね」タタタ…
岡部「…そうか、そろそろだな」(今回は武器も用意した…これでいけるはず!)
紅莉栖「え? 何が?」モシャモシャ
岡部「何でもない。クリスティーナ! まゆり! ダル! ピザを食い終えたらすぐにシャワー室に行くのだ!」
まゆり「えー? 何かあるのー?」モシャモシャ
岡部「いいから行くんだ。そして俺がいいと言うまで何があっても絶対に出てくるな」
紅莉栖「黙れこのHENTAI! というか岡部、理由を聞かせなせいよ」モシャモシャ
岡部「…今は言えない。だが頼む、俺の言う通りにしてくれ」
紅莉栖「変なことを考えてる訳じゃなさそうね。…信じていいのね?」モシャモシャ ゲフー
岡部「…ああ」(汚ねえ)
岡部(……装備はこれで良し)スチャッ スチャッ
岡部(…武器屋本舗の安物メリケンサックだが、まぁなんとかなるだろう)ガインガイーン
岡部(…目を閉じて集中しろ…神経を研ぎ澄ませ…)
岡部「……」フゥー…
岡部(…さぁいつでも来いラウンダー!! 俺がこの手で素数にしてやるッ!!)カッ!
ラウンダーA「うg
岡部「ブロー!!」ドゴッ!
ラウンダーA「ぐっ!?」ドサッ
岡部「アッパー!!」バキ!
ラウンダーB「ぶっ!?」ドサッ
岡部「ローリンソバットォォォ!!」メキィッ!
ラウンダーC「ごっ!?」ドサッ
ラウンダーD「ぎっ!?」ドサッ
岡部「跳びヒザ!!」メゴッ!
ラウンダーE「ぶっ!?」ドサッ
岡部「バックドロップゥゥゥ!!!」ガシッ! ドゴシャアアア!!
萌郁「あぎっ!?」ドサッ
ラウンダー達「うぅ…」ピクピク
岡部「……は…はははッ…」
岡部「…フゥーハハハ!! 他愛無い!! やった!! 俺はついにやったぞッ!!」ババーン
ガチャン!
鈴羽「伏せ…え? 何これ」スゲェ
岡部「ああ鈴羽か。もうとっくに片付けたぞ!」フハハハ
オカリン「な!? 馬鹿!! 戻――」
萌郁「…ぐっ…!」プルプル パァン
まゆり「」ドサッ
岡部「まゆりいいいいいいいいいいいいいいいいいいいい!!!!!」
パパパパパパパパァン
ウ・・・イタイ・・・イタヨォ・・・
岡部〈197回目〉(…これでよし。ラウンダー達の手足は全て潰した。もうまゆりが撃たれることは無い…)
ガチャン!
鈴羽「伏せ…え? 何これ」スゲェ
岡部「遅かったな鈴羽! フゥーハハハ!!」
岡部「だから出てくるなと…」ハァ…
まゆり「わー! 何これ? 本物の銃?」ヒョイッ マジマジ
岡部「!? 馬鹿止せ――」
パァン
まゆり「」ドサッ
岡部「まゆりいいいいいいいいいいいいいいいいいいいい!!!!!」
鈴羽「あ、間違って撃っちゃった」パァン
岡部〈202回目〉「まゆりいいいいいいいいいいいいいいいいいいいい!!!!!」
………
鈴羽「ぎゃあああああ!? 触ってないのに暴発しだした!」パパパパパン
岡部〈209回目〉「まゆりいいいいいいいいいいいいいいいいいいいい!!!!!」
………
紅莉栖「岡部! まゆりが風呂場で転んだ!」
岡部〈215回目〉「まゆりいいいいいいいいいいいいいいいいいいいい!!!!!」
ドゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥン
岡部〈220回目〉「……ッ」ズキンズキン
岡部「はぁッ…はぁッ…」
岡部(…くそっ! 一体どうなってる!? 転んだだとかダルの下敷きだとか…)
岡部(…待て! そうだ、そもそもまゆりは『病気』で死ぬ可能性もあるんだ! 忘れるところだった。その可能性も潰さないと…)
岡部(…セカンドオピニオンは? 別の医者にも診せるのはどうだ)
岡部(…いや、それでもまだ確実ではない。二重の誤診だってあり得るし、最悪『未知の病気』に殺される可能性もある)
岡部(……こうなったら俺が直に『健康面において何の問題も無いまゆり』を観測するしかない)
岡部(…仕方無いな。現存のすべての医学を修めてやる。可能性を潰すにはこれしかない!)
~図書館~
岡部〈276回目〉「眼前暗黒感、か。右腕が疼くな」カリカリ
………
岡部〈996回目〉「エイリアンハンドシンドローム? 左腕が疼くな」カリカリ
………
岡部〈1401回目〉「…うーむ…やはり原書を読めるようにならねばダメか…」カリカリ
岡部〈2091回目〉「なんだこれ!! クオリア!? 楽しいなオイ!!」カリカリ
………
岡部〈2792回目〉「尖圭コンジローマか。 俺には無縁だな…」カリカリ
………
岡部〈3555回目〉「四色問題? なんだ、こんなもの簡単に証明できるじゃないか」カリカリ
ドゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥン
岡部「……ッ」ズキンズキン
岡部〈4159回目〉(…フハッ!! フゥーハハハ!! これで医学は完全にマスターしたぞ!! ついでに脳科学や哲学、更には数学に生物学などもバッチリだ!! おまけに5か国語使い!! 俺完璧!!)ババーン
岡部「というわけでまゆり! 俺についてこい!」
まゆり「えー? 急にどうしたのオカリン?」
岡部「今から病院に行くぞ! お前にはそこで検診を受けてもらう」
まゆり「えぇ~? まゆしいは病気じゃないよ?」
岡部「いいから来てくれ! …頼む」
まゆり「…なんだかよく分からないけど分かったのです!」タタタッ
~病院~
医者「…というわけで以上は見当たりませんねえ」
まゆり「ほらねー? まゆしいは元気だよ?」
岡部「…もう一度カルテを見せてもらってもいいですか? 出来れば細かい測定データも一緒に」
医者「え? はい、どうぞ」スッ
岡部「ありがとうございます」パシッ ジー
まゆり「オカリン変わってるんだね~♪ えへへー♪」
医者「しかもやたらと正確でお詳しい。もしかして医大の方ですか? それともお家が病院とか?」
岡部「いえ、俺はただの大学生ですよ。…あ、先生。このカルテ」
医者「? どうかしましたか?」
岡部「ここ、綴りを間違えてますよ」
~病院・外~
岡部(…あらゆる部位を検査したが異常無し、か。俺が直に観測したので誤診もありえないな)
岡部(万が一まゆりが未知の病に罹っているとしても、少なくとも『健康面における問題が原因で例の時間にまゆりが死亡する』可能性はゼロになった)
岡部(あとはこの観測が無駄にならないように『この瞬間』以前に戻りさえしなければ大丈夫だ)
岡部「…ふは。ふはは。フゥーハハハ! これは大きな一歩だッ! さあ帰るぞまゆり!」タタタタタ
まゆり「オカリンは忙しいんだねー♪」タタタタタ
紅莉栖「…よし完成!」フイー
岡部(マシンが完成したか。では…)
岡部「実験はしない!!」
紅莉栖「え!?」
ダル「おう?」
まゆり「?」
岡部「今日はこれで解散だ。紅莉栖、ダル。お前たちは今から、可能な限りアキバから離れてくれ。まゆりは俺に付いてくるんだ」
紅莉栖「はぁ? ちょっと岡部!! どういうこと!?」
ダル「また中二病が発動したん?」
ダル「お前は一体何と戦ってるんだ」
岡部「運命…かな」キリッ
ダル「うわぁ…」
岡部「ゴミ虫を見るような目をするな!! では行くぞまゆり!!」ガシッ タタタタ
まゆり「えー? 行くってどこにー?」タタタタ
岡部「いいから来てくれ!」タタタタ…
紅莉栖「あ、ちょっと岡部!」
~路地~
岡部「はぁ…はぁ…」タタタタ
岡部(……ラボ内でラウンダーを退けるのは危険だ。ここは街中を逃げてまゆりの死を回避する!)タタタタ
岡部「…まゆり! 絶対に俺から離れるなよ!」タタタタタ
まゆり「うん…分かった」タタタタタ
ラウンダーA「止m」チャキ
岡部「ふんッ!!」バキャ!
ラウンダーA「ぐはッ!!」
岡部「どらぁ!!」ゴギッ!
ラウンダーB「おぶっ!!」
岡部「せっ!!」プリッ
ラウンダーC「目が!!」
岡部「ふはは、銃は全部貰っておくぞ」ヒョイヒョイヒョイッ
まゆり「わぁー!! オカリンすごーい!! 今のブラジリアンキックから目潰しの流れは素晴らしいの一言だよー!」パァアー
岡部「ふっ、そうおだてるでないぞまゆり」フフン
まゆり「だってすごかったよー? 下手をするとまゆしいも軽くヒネられてしまいそうなのです」
岡部「ははは。そもそもお前は喧嘩などしないだろう。なぜならお前は優しい子だからな」ニコッ
まゆり「えへへー♪」
岡部(! 例の車か…!)
岡部「…跳ぶぞまゆり! 俺に掴まれ!」ガシッ グイッ
まゆり「お姫様抱っこだー♪」ギュッ
岡部(っと重い…! やはり筋力が無いのはネックだな。…だが! 問題無いッ!)カッ!
岡部「う、おッ、らあああああああああッッッ!!」ピョーン ダンッ ダーンッ!
萌郁(な!? ボンネットを踏み台にした!? 正気の沙汰じゃない!!)
岡部「ぐッ…! 着地…成功ッ!!」ダンッ ズザザー
まゆり「わぁー!! わあぁー!!!」キラキラ
さてどうなる
萌郁「ぐあっ!!」
ラウンダーF「ぎえっ!!」
キキィー! ドガァァン!! プスプス…
岡部「安心しろ。死にはせん」フウッ
まゆり「ほあぁ…!」キラキラ
岡部「…さあ逃げよう! 降ろすぞまゆり」
まゆり「うん!」ピョンッ
キキイイイイイ!
岡部「なっ!?」
まゆり「!? オカリン危な――!」ドンッ
ドガアアアン! ゴロゴロゴロ…
岡部「……ぐッ…!!」ズキズキ
岡部(…もう一台…だと…?)ズギズギ
タクシーの運転手「ちょっと! 大丈夫か兄ちゃんたち!?」バタンッ!
岡部(あの時の運転手!? …はは…そうか、これは『事故』なのか…。畜生…!)ズギズギ
タクシーの運転手「……ああー…やっちまった…!!」ガクン
岡部(…まゆり!! まゆりは!?)バッ
まゆり「」ドクドクドクドク
岡部「まゆりいいいいいいいいいいいいいいいいいい!!!!!」
4℃「うわあああああああああ危ないいいいいい!!!」
ドガアアン!!
岡部〈4432回目〉「まゆりいいいいいいいいいいいいいいいいいい!!!!!」
………
ラウンダーD「ひあああああ看板が落ちてきたあああ!!!!」
ヒューン!! グシャッ!!
岡部〈4912回目〉「まゆりいいいいいいいいいいいいいいいいいい!!!!!」
………
ラウンダーE「うわああああ隕石が落ちてきたああああ!!!!」
チュドォォォオン!!
岡部〈5266回目〉「まゆりいいいいいいいいいいいいいいいいいい!!!!!」
ドゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥン
岡部〈5695回目〉「……ッ」ズキンズキン
岡部「はぁッ…はぁッ…」
岡部(…くそっ! 一体どうなってる!? 事故だなんだってレベルじゃないぞ!!)
岡部(ある一つの可能性Aを観測して潰すと観測していない残りの可能性Bに殺される…)
岡部(だからといってAの観測以前まで時間を遡りBを観測して潰せば、Aの観測は無効化してしまう)
岡部(退路にあるすべての死の可能性を一度のタイムリープで潰すのは無理だ! 時間が足りない!)
岡部(わざと捕まって、それから15年ほどタイムトラベルに関わる諸々について研究を重ね、それらについて完全に理解してからタイムリープを繰り返してここまで帰ってくるとか…)
岡部(…いや駄目だ! 危険すぎる! 無事に岡部〈15年振り5696回目〉を迎えられる保証はどこにもない!)
岡部(それどころか、奴らはそれだけは絶対に阻止しようとするだろう)
岡部(…もっと他の大胆な方法を試そう。借金をしてもいい。海外へ飛んだり、僻地に避難したり…)
まゆり「わぁー♪ ナイアガラだよオカリン! すっごく流れがはy」
ズルッ ドボン ゴゴゴゴゴー
岡部〈6266回目〉「まゆりいいいいいいいいいいいいいいいいいい!!!!!」
………
まゆり「わぁー♪ モアイだよオカリン! 初めて生で見t」
グラグラ… ズズーン…
岡部〈7409回目〉「まゆりいいいいいいいいいいいいいいいいいい!!!!!」
………
まゆり「凱旋門の上って涼しいんだねー♪ あー見てオカリン! 街並みがすっごく綺r」
ズルッ ヒュウウウウン
岡部〈8008回目〉「まゆりいいいいいいいいいいいいいいいいいい!!!!!」
なにこのスペランカーまゆしぃ
まゆり「バングルバングル? 変わった名前だねー♪ えへh」
ズルッ ゴロロロロロロー
岡部〈9654回目〉「まゆりいいいいいいいいいいいいいいいいいい!!!!!」
………
まゆり「わぁー!! うわぁー!! ウユニ塩湖ってすごーい!! 鏡みたいだねオカr」
ププー キキイイイイイ! ドガアアアアン
岡部〈10482回目〉「まゆりいいいいいいいいいいいいいいいいいい!!!!!」
………
まゆり「あー!! コモドオオトカゲだー♪」
シャアアアアア! ドドドドドドド ガブリ
岡部〈11130回目〉「まゆりいいいいいいいいいいいいいいいいいい!!!!!」
まゆり「グアムでスカイダイビングなんて贅沢だねー♪ さて、そろそろパラシュートを開かなきゃなのです」ビュオオオオオ カチッ
カチッ カチカチカチッ アレー? カチカチカチカチ
岡部〈11576回目〉「まゆりいいいいいいいいいいいいいいいいいい!!!!!」ビュオオオオオ
………
まゆり「釣りをしながらカヤックで太平洋横断だなんて粋だねオカリン♪ …あ! 大物が来たかm」グイッ
グイイーーン ドボン ブクブクブク…
岡部〈12336回目〉「まゆりいいいいいいいいいいいいいいいいいい!!!!!」キーコ キーコ
………
まゆり「わぁー! ゲルバナで釘が打てるよ! あー見てオカリン! あっちにはペンギンがいるよ!」タタタッ
ツルッ バシャーン ゴボボボボ
岡部〈12707回目〉「まゆりいいいいいいいいいいいいいいいいいい!!!!!」ブルブルブルブル
ドゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥン
岡部〈13004回目〉「…はあーーッッ!!! はあーーッッ!!!」ズキンズキン ゼェゼェ
岡部(悪夢だ!! これはきっと悪夢なんだ!!! …ひは。 ひははははッッッ!!!)
岡部(……いや違う、落ち着け、落ち着け……!! 取り乱すな俺…!!)フゥー…
岡部(…電車だ! もう電車しかない!!)
~駅~
プアアアアアアアアアア
まゆり「! 電車だー!」
岡部(そろそろ綯が来る…! 確か真後ろからだったよな)クルッ
綯「まゆ…」タタタ
岡部「! 待て綯ッ!!」バッ
岡部「何ィィィ!!?」(急激に曲がった――ロデオドライブだと――!?)
綯「おねえちゃーーーん!!!」ドカッ
まゆり「え――」グラッ…
ドゴッシャアアアアア
岡部「まゆりいいいいいいいいいいいいいいいいいい!!!!!」
~駅~
岡部〈13005回目〉(…今度は大丈夫だ。さっきは不意を突かれただけに過ぎない)フゥー…
岡部(…そう! 鈴羽に比べれば綯などどうということは無いッ!!)
プアアアアアアアアアア
まゆり「! 電車だー!」
岡部(…さぁ来い綯ッ!! 派手に蹴り飛ばしてやるよッ!!)カッ!
岡部「来たなッ!!」バッ
綯「り…」クンッ クンッ
岡部「靴を舐めろ…その全身でッッッ!!!!!」ビュオン!! ドゴッシャアアアアアア!!!
綯「おげべばあああああああああああああああ!!!??」ドヒュウウウウウ ゴガアアン!! ゴロゴロゴロー
オカリン鬼畜wwwwwwwww
綯「…があッ…!」ゲボッ フラフラ…
綯「…」ドサッ…
岡部「――ふん」パラパラ…
まゆり「えええ!? ねぇねぇオカリン、いま誰をサッカーボールキックしたの!? なんだか知らないけど脚の上がり方がすごかったよー♪」キラキラ
岡部「何でもないさ。さぁまゆり、もう電車が来る…」
女「あ、ごめんなさい」ドカ
老人「おっと、すみませんねぇ」ドカ
まゆり「え――」グラッ…
岡部「…は?」
ドゴッシャアアアアア
岡部「まゆりいいいいいいいいいいいいいいいいいい!!!!!」
岡部〈13006回目〉(――今度こそ完璧だ)
岡部(今回は鈴羽に、綯を迎えに行ってくれるよう頼んだ。これによって綯が駅に来ることが無くなったので、俺は例の殺人タックルに気を配る必要が無くなった)
岡部(殺人タックルに気を配る必要が無いということはつまり、俺はまゆりにだけ全集中力を注ぐことができるということ)
岡部(更に念には念を入れ、電車を待つ位置もちゃんと線路から離れた場所を選んだ。さっきのようにまゆりが通行人によって殺されることは無いだろう)
岡部(…完璧だ)
岡部(…永かった――!)ツウッ
岡部(まったく、一体何度挫折しそうになったことか。一体何度諦めようと思ったことか…)
岡部(…だが! 今まさに! これまでの俺の努力がようやく、ようやく報われようとしている…!!)ツウウッ
岡部(……泣くな岡部倫太郎。泣いていいのはすべてが終わってから。まゆりの生存が確定してからだ――!)ゴシゴシ
まゆり「うん。…あ、ねえねえオカリン! あのねー、突然だけどねー」エヘヘー
岡部「うん? どうした? 何でも言うがいい」ニコニコ
まゆり「まゆしぃはなんだか自殺したくなってきたのです♪」
岡部「」
なんだと・・・
岡部「…いやいやいやいや待て待て待て待て待ってくれ!!! いくらなんでもそれはあんまりだろう!!?」ガシッ
まゆり「何で止めるのー? まゆしぃが死んだって誰にも迷惑はかからないのです」グググー
岡部「漏れなく大迷惑だ馬鹿野郎!! なんだその中学生みたいな理論は!!」ガシッ ブンブン
まゆり「う~あ~?」ガクンガクン
岡部「とにかくだ!! 今すぐ考え直せ!! 俺は絶対に行かせんからな!!」グググー
まゆり「えーそんなー! はーなーしーてー!!」グググー
岡部「…なぁまゆり!! もし『俺、未来から来た』って言ったら笑うか!?」グググー
まゆり「そんなことより聞いてよオカリン! うちの妹がバカでねー」グググー
岡部「聞けよ!! そもそもお前は一人っ子だろうが!!」グググー
まゆり「さっきからうるさいなぁ。そんなオカリンにはお仕置きなのです♪」グググー
岡部「お仕置き? 何を言って…」グググー
岡部「はあああああッッッ!!?」(消え――)
まゆり「後ろだよートゥットゥルー♪」ザザッ ドバギイイイイィィィィ!!!
岡部「ゴッハアアアアアアアアアアアアアアァァァァァ!!!??」メギメギメギイッ!!! ドザザザザザー ゴロゴロゴロ
岡部「…う…ゲッボ!! ごはッ…!」ゲボッ ビシャア
岡部(何だ今の――速過ぎて見えなかった――)ゴボッ ゲブッ ビチャビチャ
まゆり「えへへー♪ 内臓破裂(なかみわれ)ちゃったかなー? ごめんねオカリン♪」
ワラタ
まゆり「! あー電車だー!」
岡部「!! 待っゴボぁッ!!」(体が…言うことを聞かん…!)ビシャ ブルブル…
岡部「げほッ…待て…待つんだまゆり…! 待ってくれッ…!!」ガクガクガクガク…
まゆり「じゃあねーオカリン!! トゥットゥルー♪」
岡部「ま」
ピョーン ドゴッシャアアアアア
岡部「まゆりいいいいいいいいいいいいいいいいいいいい!!!!!」
~UPX前~
岡部〈13406回目〉(……)
岡部(…もう、駄目だ…)
岡部(…もう、俺には無理だよ…)
岡部「…もう…疲れた…」ズルズル
岡部「……」グスッ
岡部「……!」ゴシゴシ
岡部「……」
岡部「……」グスグス
岡部「……紅莉栖」
紅莉栖「…初めて私の名前をまともに呼んだ」
岡部「……紅莉栖…助けてくれ…」グスッ
紅莉栖「……」
岡部「助けてくれ…」グスグス
岡部「…どうして」
紅莉栖「電話に出たかと思ったら、急に泣きそうな顔して飛び出していったんだもの。そりゃ分かるわよ」
岡部「……なぁ、紅莉栖。所詮、俺はただの大学生だ。狂気のマッドサイエンティストだっていうのは俺が考えた厨二設定だ」ヘラヘラ
紅莉栖「……」
岡部「機関に狙われてるなんてのも、シュタインズゲート云々も全部設定だ。気付かなかっただろ?」ヘラヘラ
紅莉栖「いやそれは最初から……まぁとにかくだ! 何があったの? …いや、これから何が起きる?」
岡部「…まゆりが、死ぬ」
紅莉栖「! ……そうか、それで…」
紅莉栖「…は? 勝てない? 何に?」キョトン
岡部「師匠である鈴羽にも勝ったし、綯だって一撃で倒した。ミスターブラウンやルカパパも死闘の末撃破した。だけど何度やっても、何度試しても…」
紅莉栖「はあ? え? 死闘?」コンラン
岡部「まゆりに、勝てないんだ…」
紅莉栖(……何が何だか分からない…)ダラダラ
岡部「俺は馬鹿だ。ダルにハッキングしろなんて言わなければよかった。萌郁をラボメンにしなければよかった。電話レンジなんて作らなければよかったんだ」
岡部「……」グスッ
岡部「……」ギュウ
紅莉栖「え、ちょ!?」マジデ!?
岡部「……」グスッ
紅莉栖「………そっか。辛かったのね。そうだよね」ポンポン
岡部「うっ…ひぐ…」グスグス
紅莉栖「…ごめんね。今まで気付いてあげられなくて」ギュウ
岡部「……」ブンブン グスグス
岡部「うぐ…ぐすっ…」グスグス
紅莉栖「…泣き止めって言ったけど撤回する。今は気が済むまで泣いていい。鼻水でも何でも、溜め込んでたもの全部ブチ撒けなさい」サスサス
岡部「……」コクコク グスグス
紅莉栖「…それから、これだけは覚えてて。私はいつでも、岡部の味方だからね」ニコッ
岡部「……すまない。取り乱した」ズズッ ゴシゴシ
紅莉栖「気にしなくていい。…周りの視線はすごく気になったけどね…」チラチラ カァー///
岡部「…からかったりしないんだな」
紅莉栖「私だって空気くらい読む。…さて、それじゃあ話を聞かせてくれる?」
岡部「…ああ。何でも聞いてくれ」
岡部「13406回だ」
紅莉栖「………はい?」キョトン
岡部「13406回だ」
紅莉栖「」
~ラボ~
紅莉栖「…なるほど、そんなことが…」パネェ
岡部「そうだ。俺がどんなにまゆりを救おうとしても、結局は駄目だった」
紅莉栖「何をしてもまゆりが死ぬ結果になってしまう、ってことかしら」
岡部「馬鹿を言うな。それは運命論だろう」
紅莉栖「そっか。そうよね。うーん…」
紅莉栖(どうしよう…衝撃的過ぎて頭が働かない…)ダラダラ
岡部「紅莉栖、俺は一体どうすればいい…」
岡部「まゆり戦は回避、か…」
紅莉栖「話を聞く限りだとまゆりに勝つどころか、岡部がまゆり戦のあとに倒れず毎回タイムリープできたこと自体、奇跡みたいなものなのよ?」
岡部「…分かった。他には?」
紅莉栖「そうね…。…ねぇ岡部。あんたはリーディングシュタイナーとかいう力を持ってるのよね?」
岡部「? そうだ。Dメールで過去を改編した時、俺だけが改変前の記憶を引き継いでいた」
岡部「いや、そうではない。その場合はお前が1日前から『今』に、つまりこの瞬間へ戻ってきた時に初めて俺のリーディングシュタイナーは発動することになる」
紅莉栖「ああなるほど。そういうことになるのか」
岡部「それがどうかしたのか?」
紅莉栖「……」
岡部「…どうした?」
紅莉栖「私は今から、タイムリープをしようと思う」
岡部「…紅莉栖? いったい何を…」
紅莉栖「そしてタイムリープで戻れるギリギリの時間まで戻って、電話レンジを改良する」
岡部「改良って……まさか」
紅莉栖「ええ。…同時に二人まで飛べるようなタイムリープマシンを作る」
紅莉栖「材料さえあれば時間はそこまでかからないと思う。多く見積もってもプラス数時間あれば余裕、ってとこかしらね」フフン
岡部「…だが、お前は」
紅莉栖「?」
岡部「…お前は過去改変を嫌っていたんじゃなかったのか?」
紅莉栖「…私は岡部とまゆりを助けたいし、助けてみせる。そのためならポリシーなんていくらでも曲げてやるわよ」ニコッ
岡部「…紅莉栖、設定終わったぞ」カタカタカタ ターン
バチバチバチバチバチバチバチバチ
紅莉栖「オーケー。…これでよし、と」カチカチカチ
紅莉栖「じゃあ岡部、少しだけ待ってて。すぐに戻ってくるから。…いやこの場合は私が待つことになるのか?」
岡部「…紅莉栖、ありがとう。俺を信じてくれて」
岡部「…ああ」
紅莉栖「安心して。これからはいつも私が側にいるから。私も一緒に戦うから」ニコッ
岡部「ああ」
紅莉栖「知ってた? 仲間っていうのはそういうものなのだぜ」ピッ
ドゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥン
~ラボ~
岡部「……ッ」フラッ
岡部(…リーディングシュタイナーが発動した…!)
岡部「…紅莉栖。 …紅莉栖!! どこにいる!?」
紅莉栖「…あんたの真後ろに居るわけだが?」ヒョコッ
岡部「…待たせたな、紅莉栖!」
紅莉栖〈1回目〉「!! リーディングシュタイナーが発動したのね!?」
岡部「ああ! そっちはどうだ?」
紅莉栖「ほら、ちゃんとできたわよ。名付けてタイムリープマシン(改)!」
岡部「おお、これが…!」
岡部「…これで設定は完了だ」カタカタカタ
紅莉栖「じゃあはい。これ被って」ポス
岡部「…跳ぶのはまゆりの診察の直後でいいんだよな? 完成直後じゃなくてもいいのか?」スチャ
紅莉栖「時間が多いに越したことは無いでしょ? それにほら、二回目以降ならもっと製作時間を短縮できるかも知れないし」スチャ
岡部「分かった。…じゃあ、行こう」
紅莉栖「うん。……あ、岡部! あの…えっと、さ」モジモジ
紅莉栖「…手、繋いでもいい? …い、いや別に変な意味じゃないのよ!? ただほら、タイムリープマシン(改)を使うのは初めてだからちょっと心細いというかなんというか…」ゴニョゴニョ
岡部「こうか?」キュッ
紅莉栖「…うん。ありがとう」キュッ
岡部「じゃあ起動するぞ」カチカチカチ ターン
紅莉栖「…ちょっと、怖いな」
岡部「……」
岡部「……心配するな紅莉栖。お前には俺が付いてる。俺にはお前が付いている。俺たちはもう無敵だ」ギュッ
紅莉栖「…小学生みたいな理論だな。…でも、うん。そうだよね。私たちはきっと大丈夫」ギュッ
岡部「行こう」ピッ
紅莉栖「うん」ピッ
ドゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥン
岡部〈13407回目〉「……ッ」ズキンズキン
紅莉栖〈2回目〉「……ッ」ズキンズキン
岡部「…紅莉栖、大丈夫か?」
紅莉栖「平気。それより…成功したのね!?」ニッコリ
岡部「ああ!! 大成功だ!! やはりお前は天才助手だなクリスティーナよ!!」ニッコリ
紅莉栖「だから助手でもクリスティーナでもないって言っとろうが!!」ムキー!
岡部「これでまゆり救出計画はまた一歩成功に近付いたぞ!! フゥーハハハ!!!」
紅莉栖「…まぁ元気になったならよしとするかな…」ハァ
岡部「え? …あっ!」バッ
紅莉栖「あっ…いや違うのよこれは!?」バッ
ダル「クソックソッ!! オカリンマジ爆発しろよ!! うわあああああああああああ!!!!!」ダダダダダ
岡部「…行ってしまったな」
紅莉栖「…まぁ人払いできたって意味ではいいんじゃない? さて、とりあえず今までの要点をまとめましょう」
紅莉栖「…1回目の跳躍から13506回目の跳躍までの要点をまとめるとこんな感じかしら」カキカキ
岡部「まぁそんなところだな」
紅莉栖「…岡部、あんた何気に超絶ハイスペックね…負けた気がする…」ズーン…
岡部「褒めても何も出んぞ助手よ!」
紅莉栖「助手じゃないって言っとろう! …しかしどうしたらいいんだろう。 こうしてみると、それこそ見えない力がまゆりを殺そうとしているようにしか見えない」
岡部「その発想は安易過ぎるぞクリスティーナ。貴様は運命論大好きっ子だったのか?」
紅莉栖「…そうね。訂正する。確かに安易過ぎたかも知れない」
┌─────────────────┐..,r-宀- .┛┗
│ ・ナイアガラで溺死 ./ .,、 ,、┓┏
│ ・モアイの下敷き ...... . { イニヽ/ニ} l / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄\
│ ・凱旋門から落下 _人 バン!.. . | .ト, _-_ ,イ l, < お前助ける気無いだろ │
│ : ) .,-r---‐‐‐‐トリ .`Y´ .l ,イl \__________/
│ : ⌒Y .. ̄ ̄ ̄ ゙̄|T〈 ||- 〉l l
│ ・スカイダイビングで事故死 . . li| l .|| .l-|il
│ ・カヤック_、_.ってたら溺死 ..... .l l .^ _ l .リ
│ ・南極 z:::::::::::::ヽ して溺死 ...... .l l{ ̄, ̄}_l,
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イニニニヽ ) l::::l::::l
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| は、はい……申し訳ありません
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V ハ !
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∠、__t____ ノ___/__> l、 l⌒ l l⌒l、
ヽヶぃぅ とヵっ' `ー─' ー─'
岡部「だが断る!! フゥーハハハ!!」ババーン
紅莉栖「……」ジー
岡部「……気が向いたらな」
紅莉栖「ま、とにかく当分は岡部が今までやってきた通りにしましょう。まゆりの死の原因になり得る全ての要素を徹底的に潰す作戦を継続…」
紅莉栖「!?」
岡部「鈴羽!? いつの間にそこに!? …いや、それより『その必要は無い』とはどういうことだ?」
鈴羽「だって、あたしが過去を変えれば済む話だから」
岡部「過去!? ……お前、まさか…」
鈴羽「…そう。あたしは2036年から来たタイムトラベラー。ジョン・タイターは、あたし」
~ラジ館屋上~
ダル「阿万音氏、そこのレンチ取ってー」カチャカチャ
鈴羽「ほい」パシ カチャカチャ
岡部「いやぁー、ハッハッハッハッハ!! フゥーハハハ!! 一時はどうなる事かと思ったなぁ助手よ!!」ハハハ
紅莉栖「いやーホントホント!! あはははは!! 正直どうすればいいか全然分からなかったもん私!! 継続て!! 継続て!! うぎゃははは!!」ブハハハ
岡部「そうかそりゃそうだブハハハハ!! もしこのタイムマシンが故障していたりしたら大変だな!!」アハハ
岡部「おいおい勘弁してくれ!! あんなのを全部覚えろというのか!! それはつまり物理学をマスターしろということとほぼ同義ではないのか!?」ブフッ
紅莉栖「あとはこのタイムマシンの仕組みを完全に頭に入れたりとか!? あ、そうなると工学にも精通してなきゃ!! そんなん気が遠くなるっつーの!!」ブフッ
岡部・紅莉栖「「HAHAHAHAHAHAHAHAHAHA!!!!!!」」ゲラゲラゲラゲラ
鈴羽・ダル(うるせぇ…)カチャカチャ
………
~ラボ~
まゆり「スズさんからの手紙だー!」
ダル「なんて書いてあるんだお?」
紅莉栖「……」
岡部「……」
『岡部りん太郎様へ。久しぶり。結論から書く。……失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗したあたしは失敗した。
やけにタイムマシンに詳しい岡部りん太郎と牧瀬くりすの監修のもとで百数十回にわたってマシンの再点検を行い全身にプロテクターを付け
自身へのメッセージビデオや写真や手紙をいくつも作成し面倒な暗記術を学び胡散臭い祈祷をいくつも受けたにも関わらずあたしは失敗した……』」
まゆり「……え…」
ダル「……そんな…」
紅莉栖〈2091回目〉「……」
岡部〈15498回目〉「……す…すっ…」プルプル
岡部「鈴羽ああああああああああああああああああああああ!!!!!」
おわり
投げやり感はあるけど面白かったった
なかなか新鮮でおもしろかった
続き→紅莉栖「まゆりいいいいいいいいいいいいいいいいいいい!!!!!」 前編
Entry ⇒ 2012.06.21 | Category ⇒ シュタインズゲートSS | Comments (0) | Trackbacks (0)
高木「いい面構えだ!ティンと来た!」平沢進「うむ?」
理由もわからないまま生返事をしていたら、雑居ビルの2階、何かしらの事務所に連れ込まれた。
はてこのような場所にお世話になるようなことをしでかした覚えはないのだが。
だがそこはいわゆるヤクザと呼ばれる連中のそれとは様子が違った。
なにやら若い女が複数人、戯れているようである。
なるほど最近のヤクザはこうやって人を油断させるのだなとぼんやり考えていると、
先ほどのやたら黒い男が彼女らに言った。
「紹介しよう。彼が待望の、我が765プロのプロデューサーだ!」
うん。一体どういうことだ。
しかし私を捕まえて、いきなりプロデューサーをやれというのは一体どういう了見だろうか。
しかし、考えようによってはこれはチャンスかもしれない。
バンドを解散して以降、食いぶちに困っていたのは事実である。
一体どのようなものな事務所か知らないが、ここでプロデューサーとして置かせてもらえるのならばありがたい話である。
丁度色々と行ってみたい実験もある。
うん、悪くない。
「それでは、765プロのアイドルを紹介しよう!」
「へっ」
今、アイドルと言ったか。
何かの聞き間違いではなかろうか。
かく言う私も、彼女たちの紹介をあまり熱心には聞いていなかったのだが。
その中でも一層おかしな目で私を見ていたのが、如月という娘だった。
「……よろしくお願いします、プロデューサー」
うむ。
なんというか、こう。
これからに期待、といった娘だ。
「プロデューサー殿、オーディションへの響と真の送迎よろしくお願いします!」
「プロデューサー、この美希のグラビアの仕事なんですけども……」
「ねーおっちゃん!真美たちにも仕事取ってきてよー!」
音楽プロデュースでとしてはなく、所謂マネジメントの業務がほとんどであった。
話が違う。いや、話などほとんど聞いていなかったのだけれども。
特に事務方の仕事など、小娘たちのちょっかいの中でやるものだからまるで教員にでもなった心地すらした。
「プロデューサー殿、千早と春香のレッスンに同行願えますか?」
「はい」
「…よろしくお願いします」
如月と言う娘は、未だ私を奇異の目で見る。
私もまた、彼女を奇異の目で見ている。
これでは人目につかないようなバイトを選んで楽曲制作に勤しんでいた方が幾分かましではなかろうか。
練習スタジオの横のソファーで、くたびれた体を休めながら考えた。
この仕事にやりがいを見つけたわけでもなし、プロダクションに愛着があるわけでもない。
辞めてしまえばよいという決断に至るまでそう時間はいらなかった。
思い立ったが吉日、今日にでも面構えのはっきりしない社長に申し出よう。
何気なく、スタジオから微かに聞こえる歌声に耳を傾けてみた。
そういえば、彼女らの歌をまともに聞いたことが無かった。
唯一、音楽に関わるような場面だというのにその気にすらならなかった心中を、どうか察してほしい。
スタジオの扉を開けたのは、その歌声の持ち主の顔を確かめるためである。
その歌声の主は、私を奇異の目で見つめるあの娘であった。
歌い終えた如月は、また私を奇異の目で見た。
その娘を私もまた奇異の目で見ていたので仕方のないことではある。
「キミは、何故アイドルを目指している」
「……私には、歌しかありませんから」
「成程、その通りのようだ」
娘の奇異の目は、いぶかしげな顔に変わった。
私はそれを合点のいった目で見た。
どうやら、どこぞの陽の当らない倉庫で荷物を運ぶよりかはいい選択だったのかもしれない。
未だいぶかしげな顔で私を見つめる如月の隣で、
なんとも言えない娘がなんとも言えない顔をしていた。
思い立ったが吉日である。
その日私は定時を待たずに退社した。
「うむ、何かあったのだろうか……。ここのところ心ここにあらずというような様子だったし」
(……それはいつもの事だと思いますけども)
「音無君、もう一度連絡をしてみてくれないか?」
「はい」
バタン
「社長、遅れて申し訳ない」
「お、おぉ平沢君!無事だったか!」
「無事とは?」
一体何を話していたのだろう。
事務所の中は何故か騒然としていたようだが、私がドアを開けたとたんにそれは静まったようだ。
年下だというのに、秋月女史の威圧感は迫るものがある。
一体何の心配をしたのだろうか。
「もーおっちゃん!今日はお姫ちんたちとオーディションに行く予定だったでしょう!?忘れちゃったの」
「ああ、そうだった」
失念していた。
そういえばマネージャー業務も兼任しているのだった。
「申し訳ない。ところで如月はいるか」
どこかで全く申し訳なさそうじゃない、という声が上がったが如月を探す。
休憩室のソファーに腰かけ、イヤフォンを付けて悠長に鼻歌を口ずさんでいた如月の正面に立つ。
イヤフォンを奪い取り、如月に声をかけた。
「なっ、何するんですかプロデューサー!」
「これを聞きなさい」
ついさっき焼き終えたCDを突き出すと、娘はまたいぶかしげな顔になった。
「曲だ、キミが歌うといい」
http://www.youtube.com/watch?v=UQKNnqOs_bc
如月に聞かせるために持ってきたというのに、いつの間にやら事務所内の人間全員が群がってきていた。
この事務所には仕事もせずなぜこのようにたむろしているのか。
おそらくろ、くに仕事ももらってこれていないのだろう。
私の音源を聞いていた如月は、いぶかしげな顔から異物を見るような目に変わった。
断わっておくがこの音源はまだデモの段階であり、昨晩の内に作り上げたデモの中で
唯一ようやく視聴のレベルにまで達したものを持ってきたものであり、クオリティとしてはそこまで高くないものである。
ここから更にあれやこれやとでっち上げていくのである。
曲が終ると、事務所の中は生きた人間のいないように静まり返った。
「……すごい。この曲、一体どこからもらって来たんですか?」
如月の第一声はそれであった。
もらってきた?見くびってほしくないものだ。これは断じて何かしらのオマージュ、パロディなどでなく
正真正銘私のオリジナルの楽曲である。
「えぇぇー!プロデューサー、曲つくれるんですかぁ~!?」
「うん、そもそも元々そのつもりで入社したんだが」
高槻といったか、素っ頓狂な娘だ。
だが周囲を見てみるとその他の娘たちも同じような反応であった。
「あれ、言ってなかったか」
娘らが騒ぐ中、肝心の如月はと言うと先ほど一言放って以降だんまりを決め込んでいる始末である。
あれ、気に入らなかったのか。
異物を見るような目が一息で鋭くなり、私を見据える。
「プロデューサー。是非歌わせて下さい」
なんだ、よかった。
「では音源の録音と並行して声録を行う。スタジオなどの手配は任せておけ、つてがある
それから、今はとりあえずこの一曲だけを渡しておくが、すでにフルアルバム程度の構想が出来上がっている。
デモが出来上がり次第それも録音を始めてゆくからそのつもりで」
「「「ふっ、フルアルバム!?」」」
「ちょ、ちょっと待って下さいプロデューサー殿!千早はまだデビューすらしてないんですよ!?
曲ができたからってそんなすぐデビューって訳には…」
「えっ、そうなの」
「そうなんです!だからCDを出すにしてもタイアップとかイメージ戦略とか……色々すっ飛ばし過ぎです!」
「あー」
まさしくそこは盲点であった。
自主制作でアルバムを作るのとは勝手が違うようである。面倒そうだ。
イメージ戦略はもう如月と言う娘の声と私の楽曲がマッチした方向で行くことは決めていた。
タイアップなどはマネージャーがもぎ取ってくればよいだろう。
そこで初めて、私がマネジメント業務も兼任していたことを思い出した。
「はあ、そういうことで」
影のようにそこにいた影のような社長が声をかける。
その後、君が作編曲出来るとは意外だったが、なかなかどうして私の勘は冴えていたようだとのたまった。
この男は何を思って私を事務所に引き入れたのだろう。
名乗りもしなかった私を誘うとは、おかしな男である。
しかしこんな男が立つ企業であれば、音楽もやりやすいのではないかとも思えた。
兎に角、私は如月のデビューのために奔走しなくてはならなくなった。
タイアップなどに関しては全く私の範囲外であったので、秋月女史の指導を仰ぎながらとなった。
しかしどこの企業も、上に立つ人間と言うのはいつまでも権威にしがみつきたがる人種ばかりである。
これはバンドであってもアイドルであっても、変わらず突き当たる障害であるらしい。
「いや、面目ない」
「まぁ、なんとかタイアップ取れましたから良かったですけども……」
「別に無くても良かったと思うんだけども」
「よくありません!さぁ、次はテレビ出演ですよ!」
タイアップの次はテレビか。弱小事務所であるということは承知していたけれども、
既存の音楽産業の中で音楽を売るということは骨である。
もっと直接的にリスナーに向けて音楽を売り出す機構があればよいのだが。
「ほら、プロデューサー!事務所戻りますよ!」
もう秋月女史がマネジメント業務を専属にやれば良いのではないだろうか。
「はい、ありがとうございます!」
「楽曲に関しても既に数曲歌録りを残すだけのものがいくつかある。
デビューシングルの手ごたえを見て楽曲を選ぶことになりそうだ」
うん、なんと権威的なものいいだろうか。
私も自分で言っていて息苦しさを感じた。
まさか私がこのような業界の人間らしい振る舞いをする日が来ようとは。
如月の声から得たインスピレーションで作り上げた楽曲を、すぐさま発表できないことに苛立ちさえ感じた。
「ではこれで」
「あの、プロデューサー!」
「うん」
「……ありがとうございます。素敵な曲を」
「あ、うん」
アイドルと会話してしまった、これは恥である。
「あ、ありがとう春香……」
「かっこいい曲もらえて良かったね!」
「うん、本当に。最初は良くわからない人だったけど、本当に凄い人だわ」
「……私は今でも良くわからないけどな」
「ミキもそう思うの。いつもムッとしてて何考えてるかわからないし」
「そうかしら?プロデューサー、たまに凄く機嫌のいい顔するじゃない」
「え?ウソ!私見たことないよそんなとこ!」
「まさか、千早ちゃんこと変な目で見てるの?」
「え、あ、ううん、そんなんじゃなくてね……」
「……面白い楽器を見つけた、っていうような、子どもみたいな顔」
私の短いキャリアからすると大したものだと思ったのだが、
アニメ主題歌のタイアップを付けた楽曲としては物足りないものであったという。
「私が、きっと私がいけないんです。テレビ出演の時にきっと」
「気にすることではない。売れるような曲ではなかったしね」
「……えっ?それはどういう……」
「でもいい曲だったろう」
「……はい!それはもちろん!」
「ならそれで良」
「良くありませんよ!千早の、大切なデビュー曲ですよ!」
秋月女史はやはり業界の人間であるのだ。
私のような心持ちで音楽に携わる人間とは相容れない部分があるのは致し方ないと言えよう。
だがしかし、その時の如月の顔つきはとても誇らしい顔をしていた。
……女は汚い。
秋月女史の依頼により制作した、竜宮小町なるユニットの曲である
「Waster Cabaret」が長くチャートに残ったおかげもあり、
弱小事務所であった765プロダクションが世間的に注目されることになった。
http://youtu.be/VRUDHEGHzm4
それに伴い、如月千早にやってくる仕事もデビュー当初に比べ多くなったと言えよう。
ただ、そのことを如月はあまり快く思っていないようにも感じた。
「歌うことに集中したいんです」
そう彼女から告げられたのはそんな最中だった。
「うん、その気持ちは私も痛いほどわかる」
私だって今すぐにでもマネージメント業務を投げうって楽曲制作に集中したい。
そうしたいというと秋月女史からとてつもなく怒られるので実現はしそうにないのだが。
「もう一度聞きたいんだが、キミは何故アイドルになろうとしたのだ。歌うだけならば家の風呂場でもできる」
「……それは、一人でも多くの人に」
「聞いてもらう為に、楽しんでもらうためには歌だけではいけない」
それは数ヶ月この業界に身を置いて痛感したことだ。
私が楽曲に情熱を傾けるように、世のアイドルと呼ばれる娘たちはショウを作り上げることに情熱を傾けている。
私とてその形態に納得をしたわけではない。だが、同じ土俵で勝負をするのならば避けて通れない部分である。
「うん、私もそう思う」
「えっ」
「そもそも、もっと違った理想的な音楽の売り出し方があると思う。
ネットで曲を売るってのも最近は多くなってきたし、それで生活できている人もいるんじゃないかな」
「あの……プロデューサー?」
「元々音楽は資本主義とは相容れない部分がある。
音楽を作る人間は製品を作るように曲を作っているわけではないのに、
お金を稼ぎたい人や権威的な物を守りたい人が間に入ることでおかしいことになっている
この産業構造の上で勝負する限りはそれらの言うことを聞かなければならないというのが現状だけれども」
「ぷ、プロデューサー!」
「うん」
「私、頑張ります!料理番組でも、バラエティ番組でも!」
「そう、じゃあ頑張って」
あまり良くわからないが、如月なりになにか思う事があったのだろう。
ところで今の会話を横で聞いていた高木社長は、ただでさえ薄暗い顔にさらに薄暗い影を作っていた。
大手の芸能事務所から悪質な嫌がらせを受けているらしい。
雑誌の表紙を奪われたり、仕事にちょくちょく邪魔をしてくるのだと
音無女史や社長がなにやら息まいていた。
そんな傍らで、私は如月のファーストアルバムの制作に取り掛かっていた。
惜しからむことに、テクノポップ色の強いファーストシングルである「mother」は収録しないことになりそうだ。
そのことについて、如月、秋月女史、社長を交えて話し合った。
デビュー曲である「mother」を収録しないのは何故かと問い詰められた、主に秋月女史に。
「うん、入れたら売れるだろうね。でも、一曲だけ色が違うんだ」
「そりゃアルバムとしての完成度も大切でしょうけども!」
「まぁまぁ律子君……で、如月君はどうしたい?」
「わ、私ですか」
まさか判断を委ねられるとは思ってもいなかったのだろう。
今まで以上に身を縮こませて、いずらそうにする。
確かに、私は私として楽曲を作ってきたが、これは「如月千早」の作品でもあるのだ。
「……私は、無くてもいいんじゃないか、と思います」
「じゃあmotherを収録しない方向でアルバムを作っていこう」
「…ありがとうございます」
「……ふむ」
普段からあまり表情の読めない社長だが、この時はより一層なんとも言えない表情をしていた。
その後間を置いて、私と如月はアルバム収録に重きを置いてスケジュールを組んだ。
楽器を声をとり終った段階で、ミキシングやらマスタリングやらは
信頼のおける物にある程度任せるよう秋月女史に釘を打たれてしまったので、あまり深くは関われなかった。
アルバムが出るということを前提としたテレビ出演なんかよりも、
私としてはもっと優先させるべきことがあろうと思っていたのだが
私の与り知らぬ所で私の与り知らぬ者から与り知らぬ影響を受けたのであろう如月は
以前よりも前向きにその仕事に取り組めているようであった。
そんな時である。
週刊誌に、如月の家族についての記事が載ったのは。
医師が言うには声帯や顎関節の問題ではなく、心の持ちようであるという。
私がミキシングのチェックに呼んでも応えず、秋月女史が撮影のため連絡をしても応答は無かったという。
天海が如月の家に見舞いに行ったが、門前払いを食らったと泣きついてきた。勿論秋月女史にだが。
ミキシングのチェックは私だけで済ませてしまってもいいとも思ったのだが、これは如月の作品である。
秋月女史の言葉を借りるならば「大切な処女作」なのであるというし、彼女抜きで判断を下してしまうのは
彼女の音楽に対して無礼であるような気がしてしまったのである。
「如月、いるか」
「……帰ってください」
「そうはいかないよ。ミキシングの最終チェックには立ち会ってもらわないといけないからね」
「……帰って!」
「君は、アルバムにmotherを入れたがらなかったね。どうしてだい」
「……」
「確かにあの曲は歌いづらいかもしれんし、君のイメージには合わないかもしれないが」
「……わかってるじゃないですか」
うん、ちょっと意味がわからない。確かにメロディは一般的なポップソングとは違い歌いにくいかもしれないが、
それを如月はきちんと歌いこなしているじゃないか。資格なんて大それた話ではない。
確かにアルバムに入れるにはキャラクターが違っているが、私が心血注いだ楽曲である事には変わりない。
それを「なんて」などと呼ばわるとは。
「キミは、あの歌に込められた意味をきちんと理解しているのか」
「それはっ……」
「単に母性愛というのではない、もっと崇高なものを歌っているんだ」
「……崇高な、もの?」
「君は、母の愛と言うものをもっと深く理解していると思っていたんだけども」
「……母の愛、……家族」
また何か意味のわからないことを言い始めた如月であった。
出て来てくれないのならば仕方がない。ミキシングの最終チェックは私だけで行おう。
そろそろ事務所の皆からの見舞いの品を置いて帰りたいのだけれども。
そう思った矢先、ドアの向こうから如月の声がした。
「プロデューサー……いえ、師匠!」
「うん?」
「私は、許されるんでしょうか!?また、歌ってもいいんでしょうか!?」
「うん、いいと思う。そして聞いてくれ。私は皆の想いも持ってきた」
「……!」
「そろそろ、荷物を降ろしてもいい頃合いだと思うのだけれども。一人じゃ重い」
腕がそろそろ疲れてきたので、この荷物を置きたいのだ。
今日出てこないのであれば、また日を改めて訪れよう。
「見舞いの品を、ここに置いておきますね。それでは」
歌えないと聞いていたのに、ステージでは堂々と歌えていたので驚いた。
そんなにミキシングチェックが嫌だったのだろうか。
彼女なら興味を持つのではないかと思ったんだが。
まあいい。ライブの途中で抜けると秋月女史に酷く怒られるので残っていよう。
終わったら、ミキシングのチェックを済ませてしまおう。
「……し、師匠!」
光源やスクリーンを用いた新しい演出について考えながらぼんやりとステージを眺めていると、
ソロを歌い終えた如月が私の元に駆け寄ってきた。
「…ありがとうございます!…そして、すみませんでした!」
「うん、頑張ってたと思う」
まさがステージをろくに見ていなかったなどと言ったらまた不機嫌になってしまいそうであったので、
とりあえず褒めておいた。
「私、ここにいたいです!…また、みんなと一緒に歌いたいです!」
「そう、わかった」
そういった如月はとてもいい笑顔であったので、私もそれにならっておいた。
ここにいたい、か。
やはりチェックは私とエンジニアで行おう。
そう思ってこっそりライブハウスから抜け出そうとしたら、秋月女史にみつかってこっぴどく怒られてしまった。
如月が休んでいた間にアルバム制作はほとんど進んでいて、
あとはプレスして物流にのせるだけだったのでタイミングとしてはこれがベストだろうと秋月女史は言う。
そして復帰後初となるライブが行われた。
まぁなんとかなるんじゃない?とは思っていたが、リハーサルでのPAの仕事が気に食わなかったので
暇な時にはPAブースをちらちら覗いて監視していた。
というのは単なる大義名分であって、私は少しでも早くあの娘らがたむろする空間から抜け出したかったのである。
そういえば先ほどから、うちの社長と同じように黒い男がこちらを睨んでくるのはなぜだろう。
ははぁ、さては音響会社の頭だな。
弱小プロダクションの人間が自分たちの仕事にケチをつけるのがそんなにたまらないのか。
しかし本当によくうちの社長に似ている。ひょっとして血縁者だろうか。
曲はアルバム収録の未発表曲。
私はせっかく大きなスクリーンがあるのだから「LOVE SONG」のPVを流しながら歌えば面白いのにと思ったが、
秋月女史に必死の形相で止められたので大人しく引き下がった。
PAブースにいることだし「急に変更になった」などと言って曲を変えることもできるのだけれども。
こうも音響会社の頭思しき黒い男に睨まれていてはそんなことがまかり通るとは思えなかった。
しようが無いので大人しくここで見ていよう。
「バンディリア旅行団」
彼女ののびのびとした歌声ならば、この曲はより一層映えるだろう。
http://youtu.be/6Kokx-qHI8A
ステージ袖に戻ってみたところなにやら娘らが騒いでいたので、
私はその端の方でぼうっとしていた。
良くわからないが、その直後皆蜘蛛の子を散らすように走り去って行ったので何かしらあったようである。
ここは秋月女史に任せておこう。
如月のステージは決して悪くないものであった。それだけは言えよう。
765プロダクションのステージが終って、次のグループのステージが始まろうというのに会場からはアンコールの声が上がっていた。
なんと無作法な輩であろうか。対バン形式のライブでは、アンコールはトリのバンドの特権であるというのに。
「帰れ!」と叫んでやりたくなったが、しかし私はロッカーではないのである。
「やれやれ、トップアイドルのライブじゃないんだから」
「いえ、もう、みんなトップアイドルですよ」
いつの間にか隣に来ていた秋月女史がいやに感慨深げに呟いた。
私はと言うと、ステージの袖から一杯に見える観客をずっと眺めていた。
かつて私がやっていたバンドがたどりつけなかった場所に、彼女らは立ったのだな。
「「「えぇぇぇぇぇっ!」」」
娘らはいやに大声で騒いだ。こうやかましいのはやはり慣れない。
やはり自分のバンドで自分で好きなように音楽を作ってステージに立つというのが性に合っているようである。
先のライブで思い知ったのである。
幸いにも、如月のレコーディングの際に知り合ったエンジニアの紹介で目ぼしいプレイヤーは見つかった。
そこでもう一度、自分が歌う自分の曲を作ってみようと思った次第である。
「し、師匠……本当にやめちゃうんですか?」
「うん」
そもそも私はこの事務所に来てから音楽に携わる仕事でしか貢献できていない。
それならば何もこの事務所に居ずとも出来ることである。
秋月女史ならば一人でもこの事務所を引っ張っていけるであろう。
「師匠の作ってくださった曲、大切にしますね」
「あれはもう君の曲だ」
「……師匠がいなかったら、私、ここまで来れなかったと思います」
「そう?」
「はい」
始めてこの事務所に来た時に見た奇異の目は、もうこの事務所には居なかった。
私を除いてだが。
「私も是非、貴方様から曲をいただけたらと思っています」
「そう?」
「あんたたちー!ボサっとしてないで動く!スケジュールの確認は済んだでしょー!」
「はぁーい」
辞めると言った途端からこれだ。現金な女は嫌いだ。
それらにすべからく生返事で返して、用務員としての仕事に戻った。
ようやく一息つけると思っていたら、私のデスクに如月がやってきた。
「……師匠は、移籍されても音楽を続けるんですよね?」
「うん、今とは形は違うけどね」
「それじゃあ」
如月は私に、今まで一度も見せたことが無い顔で言う。
「よかったら、これからも私に曲を書いて下さいませんか」
やはり女は汚い。汚い。
そんな顔をされては、素直に「はい」と言う他ないではないか。
おわり
正直思いつきの即興で私自身ここまで粘れるとは思いもしなかった。
もっとわかりやすくポップなミュージシャンでやればよかったものを、となんども考えた。
アンコールなんてしないからな。
面白かった
これは恥である
うむ、よくやったぞ馬の骨
即保存した
Entry ⇒ 2012.06.21 | Category ⇒ アイマスSS | Comments (0) | Trackbacks (0)
亜美「ぴよちゃんって彼氏いなさそうだよね~」
亜美「だってさぁ~、仕事中にずーっと妄想ばっかしてんだよ?」
亜美「亜美たちだってマジメなわけじゃないけど……あれは大人のオンナとしてナイっしょー」
真美「ん~、まぁねー。ぴよちゃんってけっこーフマジメだよねー」
亜美「うん、そーそー」
真美「そういや真美もこないださぁ……妄想のダシに使われちったよ」
亜美「どんなの?」
真美「シシュンキがどーのこーの言ってたけど……ちょっち手に負えないよね、やっぱり」
亜美「よーわからんかったかー」
真美「なんにしてもさぁー」
真美「ぴよちゃんの妄想もいいかげんにせいッって感じだよ~」
小鳥「……!」
小鳥(わ、私の話……?)
小鳥(二人とも気付いてないみたいだけど……)
真美「ほんともう、ありゃダメだわ。もーそー事務員わ」
亜美「ほんとだよね~!彼氏の一人でも作ってそういうのから卒業してほし……」
亜美「……!!」
小鳥「!」
小鳥(あ、アハハー……亜美ちゃんは気付いてくれたのねー……)
小鳥「」ペコリ
亜美「…………」
真美「亜美どったの?」
亜美「え!?……い、いやぁ~……」
真美「ぴよちゃんってば兄ちゃんとかはるるんとか、妄想見境ナシじゃん!」
真美「やっぱアレはどうかと思うんだけども」
亜美「は、はは……そ、そうだねぇ~……」
亜美「亜美的には~……そ、そこまで気にする必要もないかなぁ~って」
真美「急になに言ってるのさぁ、亜美ってばぁ」
亜美「…………は、はは……」
真美「前にさぁ、ぴよちゃんの机の中の本とか見たけど……」
真美「アレってばもう……男同士が抱き合ったりしてんだよ!?」
亜美「ま、真美……それ、く、くらいにしてさぁ……」
真美「だってアレまじで気持ち悪かったじゃん!」
小鳥(ううう……)ズーン
真美「理解フカノウな世界ってあるもんだなぁ~、ってそのとき思ったね」
真美「ぴよちゃんってば……オタクなだけじゃなくて変態さんだったんだよね」
真美「いくら真美たちの職場の事務員さんと言っても……アレはキモイっすよ~、亜美さん」
亜美「…………」
亜美「……………………フゥー」
亜美「そうだよねぇ~!超キモイよねー!」
小鳥「!!!???」
真美「ひょっとしてさぁ、ああいう本があったってことは……」
真美「ああいうお店にも行ってんじゃないのぉ~!?……よく知らんけども」
亜美「なんだっけ、『げいばー』だっけ?」
真美「そうそうそう」
亜美「ぴよちゃん『げいばー』通ってそうじゃーん!」
亜美「ドラマで見たけどぉ、男の人のパンツに、お金ツッコむんだってよぉ!」
真美「うきゃぁ~!信じらんないよー!」
亜美「本だけじゃ飽き足らず、パンツに手をツッコむ小鳥さんですよぉ!」
真美「うわー!亜美マジ止めて!マジ止めて!ぴよちゃんのことまともに見れなくなっちゃうじゃーん!」
亜美「あっはっはっはっはー!」
亜美「……よっしゃ!じゃそろそろ行きますか!」
真美「オッケー」クルッ
真美「!!!!!」ギョッ
小鳥「…………」
亜美「真美~はやくこっちき
小鳥「いやいやいやいやいやいやいや」
真美「…………」サァー
亜美「…………」
亜美「真美ってばはやく
小鳥「いやいやいやいやいやいや……」
亜美「…………」
小鳥「あ、亜美ちゃん……ちょ、……こ、こっちこっち、こっち来て」
真美「……ぴ、ぴよちゃん……?」
小鳥「……」
小鳥「………………ハァー」
小鳥「斬新すぎるわ」
小鳥「いや、ある、あるわよ?こういうシーンとか……よくドラマであるわよね」
亜美「…………」
小鳥「でも本人来たら普通止めるでしょ!?」
小鳥「最後まで聞けちゃうとか……斬新すぎるわよ!」
真美「き、きいて……た……の?」サァー
小鳥「まぁ、ね」
真美「ちょ……!い、いまそこ
小鳥「いやいや、いいの!真美ちゃんはいいの!まずは一旦置いといて、ね!」
真美「……」
亜美「…………」
小鳥「亜美ちゃんの方よ……」
亜美「……」
小鳥「目ぇ合ったわよね!?」
亜美「…………まぁ、……うん」
小鳥「あそこでしょう!」
小鳥「あそこで絶対止めるべきだよね!?」
真美「…………」
亜美「……ん、まぁ…………」
亜美「亜美もさぁ、あそこで最初止めるつもりだったんだけどぉ」
小鳥「そ、そう、そうだよね?」
小鳥「亜美ちゃんも最初の方はさ、なんか、……真美ちゃんにまぁまぁ、って感じだったわよね」
小鳥「その後!」
小鳥「その後!しばらくしてガーッて行ったわよね!ガーッて!」
小鳥「ガーッて!!」
小鳥「何アレ!?何あのターボ!」
小鳥「なに!?なんだったの!?」
亜美「…………」
亜美「………………」
亜美「もういっかぁー!って思って」
小鳥「……」
小鳥「………………いや、よくないでしょ……」
小鳥「絶対よくないでしょ……何、もういっかぁー!って」
真美「亜美……な、なんで教えてくれなかったのさぁ!?」
小鳥「……いや、そうよね」
小鳥「真美ちゃんは逆にもう……ある意味被害者よね」
真美「そ……そうだよぉ!」
小鳥「うん」
真美「な、なにそれぇ……信じらんないよぉ……」
亜美「……」
小鳥「あーあ、真美ちゃんが可哀想だわ」
小鳥「真美ちゃんが可哀想!!」
亜美「…………」
亜美「いや、でもさぁ……よくよく考えたらさぁ」
小鳥「うん」
亜美「途中で止めたところでぇ、まぁ最初に聞かれてるわけだから」
小鳥「はいはい」
亜美「……一緒かな!って」
小鳥「いやいやいやいやいやいや」
小鳥「一緒じゃない!一緒じゃないから!」
小鳥「あそこで止めとけば傷は浅く済んだわよ!?」
亜美「…………」
亜美「今、傷は深いの?
小鳥「深いわよぉおおおおお!?」
小鳥「ふっかいわよぉおおおおおおおお!?」
真美「深いのかぁ~~~~~~!!」ガックシ
真美「もう真美、言い逃れできないじゃんよぉお!!」
小鳥「深いわよぉおおおお真美ちゃん!?」
小鳥「『変態さん』は流石に傷つくわよぉおおおお!?」
真美「うわぁ~~~あ~~~~もーーーーーう!!」
小鳥「ハァ……行ってるしね、実際。ゲイバーも」
真美「……行ってんのかぁ~~~!ますます言い逃れできないじゃんよぉお!!」
亜美「…………ホントにパンツにお金ツッコむの?」
小鳥「うん、ツッコむ」
真美「もーだめだよぉ……真美たち絶対クビだよぉ~~~!」
小鳥「いや、クビは言いすぎだから……」
真美「もー……!……なんで!?」
真美「ぴよちゃんなんでゲイバーなんか行くの!?」
小鳥「いやぁソコは趣味だからぁ」
真美「もぉぉぉお……」
小鳥「そこは言わないでぇー?」
亜美「…………」
真美「もー、ダメ……絶対にダメ。真美たち絶対クビになるじゃん、こんなのぉ……」
小鳥「いや、クビにはしないから……ね?真美ちゃん」
小鳥「クビにはしなから、ね?」
真美「そんなこと言って絶対クビになるじゃーん……もうオシマイだよぉ……」
小鳥「いやいや、だいじょーぶ、大丈夫だからぁ」
真美「絶対クビだよぉ、こんなの……」
真美「もうダメだってぇ……」
亜美「……」
スタスタスタスタ
小鳥「真美ちゃん大丈夫だからぁ……ね、ほら」
小鳥「だいじょう
小鳥「!!!???」
小鳥「え、なんでなんでなんでなんで!?」
小鳥「」ガシッ
亜美「……」
小鳥「え、なんで!?何してるの!?え!?」
小鳥「なんで!?……なんで帰ろうとしたの今!?」
小鳥「いま私……自分の悪口言った相手を慰めてる最中なんですけどぉ!?」
亜美「…………」
小鳥「複雑な最中なんですけどぉ!?」
亜美「……ごめん」
小鳥「え、なんで!?どうして!?」
亜美「…………」
亜美「もういっかぁ!って
小鳥「また!?またそれなの!?……なんなの『もういっかぁ!』って」
小鳥「さっきからチョコチョコ挟んで来るけど……どういうこと!?」
亜美「…………」
小鳥「ていうか何でそんなに焦ってないの!?ねぇ」
小鳥「普通もうちょっと焦るでしょ!?」
亜美「いや、そりゃあ……ぴよちゃんと目ぇ合ったときはすっごい焦ったけどぉ」
小鳥「……いやいやいや……もうちょっと焦るでしょ!?」
小鳥「悪口、本人に聞かれてるのよ?目ぇ合ったのよ?」
小鳥「焦るでしょ『あーーーーー!』って……『あーーーーーーー!』ってさぁ!」
小鳥「『真美、止めていますぐ!』……ってなるでしょ!?」
亜美「……ん~……はぁ、まぁ……」
小鳥「ピンと来てよぉ!もぉ!」
小鳥「……わかるでしょ!?目が合って『あーーー!』だから」
亜美「……」
亜美「いや、亜美にはわかんないです」
小鳥「わかるってば、目が合って『あーーー!』だもの」
亜美「…………亜美にはわかりません!」
小鳥「……」
小鳥「なんでそんなとこだけ誠実なのよ、亜美ちゃん」
小鳥「……わからない!?」
亜美「……わかりません!!」
小鳥「亜美ちゃんの悪口言ってるから、そこに入ってきて!?」
小鳥「そこで『あーーー!』のタイミング教えるから!」
亜美「はぁ……」
小鳥「ほら、早く行って!早く!」
グイグイ
小鳥「フゥ……じゃあ真美ちゃん」
真美「」グデーン
小鳥「真美ちゃん!?真美ちゃん、大丈夫!?」
真美「……なんだよぉ……ぴよすけ……」
小鳥「お、落ち着いて……どうしたの、ね?」
真美「もうほっといてよぉ……どうせクビなんでしょお!?」
小鳥「いや、ならないならない!ならないから!」
真美「そんなの信用できないよぉ!……もうオシマイだよ……」
小鳥「と……とりあえずもうちょっと元気出そっか?」
小鳥「と、とりあえず……私と真美ちゃんで亜美ちゃんの悪口言うことになったから」
真美「亜美の悪口……?」
小鳥「そうそうそう……」
真美「なにそれぇ……どうせ真美をハメようとしてるんでしょお!?」
小鳥「ハメないハメない!ハメるってなーに?そんなのないわよぉ?」
小鳥「ホラ、私も言うから……だから大丈夫だからね?」
真美「もぉ……しょうがないなぁ……」
小鳥「よーしよし、いいこいいこ……大丈夫だから……」
真美「ぴよちゃん大丈夫大丈夫うるっさいよぉさっきから!」
小鳥「あーー!ごめんごめん!……ごめんなさい」
小鳥「だ、大丈夫かしらこの先……う、うまくやっていけるかしらねぇ……ほほほ」
小鳥「じゃ、じゃあやりましょうか……亜美ちゃん行くわよー!?」
小鳥「いやぁ~しっかし……亜美ちゃんはダメねー」
真美「……そうだね」
小鳥「イタズラばっかし!みんなの迷惑になるのにねー!」
真美「真美が止めた後もやってるもんね」
小鳥「そうよねー!?マジメさが足りないわよねー!?」
真美「りっちゃんたちも大変そうだよね」
小鳥「そうそう!律子さんの苦労といったら」
小鳥「…………」
小鳥「ちょ、ちょっと待っててね!」
ダダダダダダッ
小鳥「え、なんで!?なんで帰ろうとしてるの!?」
亜美「……」
小鳥「見える位置にいたから良かったけど……階段すごい速く降りたせいでコケたんだけど」
亜美「…………」
小鳥「ズゴーッて、ズゴーッてさぁ……。……なんで!?」
亜美「…………」
亜美「もう
小鳥「『もういっかぁ!』じゃないってば!」
小鳥「なに、なんなの!?本当にクビにしてもらうわよ!?」
真美「あああああああああ……」ガクガクガクガク
小鳥「!?ち、違う違う違う!真美ちゃんは違うわよ!?真美ちゃんはクビにならないわよぉ!?」
小鳥「だ、大丈夫だから……真美ちゃん大丈夫だから……」
小鳥「な……なに、なんなのこの板ばさみ!どうすればいいの!?」
亜美「…………」
亜美「……ぴよちゃん…………」
亜美「大変そうだね」
小鳥「誰のせいだと思ってるの!」
終了
↓が実際のコントね
http://www.youtube.com/watch?v=mycyXqG7EjY
笑い声とか、実際の演技とか入ると、
俺の駄文の何倍も面白くなります。とりあえず一度見てみてください。
個人的には03のコントの中で、「コンビニ強盗」「本当は?」と並んで好きな作品です。
最近カルーアスレで、
「面白いギャグSSを作るのが難しい」
という話題になってたんで、
「実際のコントをなぞってSS書いたら、どうなるのか」
を実験してみました。
まぁ面白くないとしたら、文章にした時の違いだけじゃなく、
自分の文才のせいが大部分でしょうけど。
とりあえず最後まで見てくれてありがとう
律子「いえいえ。どうしたんです?」
あずさ「それがぁ……親友の友美が、今度結婚することになったんです」
律子「へぇ~、おめでたいじゃないですか」
あずさ「それで……結婚式のスピーチを頼まれてしまって……」
律子「はいはい」
あずさ「とりあえず作ってきたんですけど……不安なので」
律子「あぁ、私に確認してほしい、と」
あずさ「はい~」
律子「わかりました。……じゃあ流れで確認したほうがよさそうですね、スピーチなら」
律子「最初の方から実際に読み上げてもらって」
律子「おかしい点があったら、その都度確認していきましょう」
あずさ「わかりました。ありがとうございます~」
律子「……じゃあ、お願いします」
律子「……」
あずさ「え~……こんなおめでたい日に、下着姿で失礼します」
あずさ「本日は
律子「い、いやいやいや!ちょっとちょっと!」
あずさ「……どうかしましたか?」
律子「いや、そりゃするでしょう!……なんで下着姿なんですか!」
あずさ「え!?……それはもう、サプライズのつもりで」
律子「そんなサプライズありません!」
あずさ「え、無いんですか!?」
律子「あるわけないでしょう!」
あずさ「あらあら~……」
律子「あずささん……冠婚葬祭を何だと思ってるんですか」
あずさ「わかりました~。上はちゃんと着ますね」
律子「下も穿いてくださいよ」
律子「パンツ丸見えじゃないですか。余計に変ですよ」
あずさ「……じゃ、じゃあ続けますね」
律子「フゥー……はい、お願いします」
あずさ「友美さん、直人さん。ご結婚おめでとうございます」
律子「フムフム」
あずさ「慣れない呼び方だとスピーチが上手くいきそうにないので、いつもの呼び方にしてもいいですか?」
律子「あー、そういうの良いですね。その方が実際楽でしょうし」
あずさ「友美、そしてプレデター」
律子「どんな顔してるんですか、新郎は」
あずさ「え?」
律子「プレデターって……え、口が大きいとかそういうことですか!?」
律子「そっち!?ていうかエイリアンと仲悪いって、そっちから来てるんですか!?」
律子「と、とりあえず続けてください……」
あずさ「はい……え、えーと……本日は晴天に恵まれ、足元の悪い中」
律子「どっちですか」
あずさ「え、というと?」
律子「晴天なのに足元悪いんですか?……前の日に降ったんですか?」
律子「……そ、そこは……当日考えたほうがいいんじゃないですか?」
あずさ「当日……ですか?」
律子「そうですね。その方が……」
あずさ「ヘェー……わっかりましたぁ!」
律子「なんで急にテンション上がってるんですか。このタイミングで」
あずさ「……続けますね」
律子「どうぞ」
律子「あたりまえでしょうが!」
律子「親友としてスピーチしてるんだから今日が初めてなわけないでしょう!」
あずさ「……今でも、いろいろなことを思い出します」
あずさ「小学生の頃、遠足のお弁当を忘れた私に、そっとエビフライをわけてくれたこと」
律子「へぇ~、エビフライねぇ」
あずさ「体育の時間、体操着を忘れた私に、そっとエビフライをわけてくれたこと」
律子「なにに使うんですかエビフライを」
律子「体育の時間どう使う気ですか。なに?穿いたの?衣を穿いたんですか?」
あずさ「…………」
律子「急にサラッと流さないで下さいよ」
あずさ「えー……そして中学に入り、私と友美は出会いました」
律子「出会ってなかった!?」
あずさ「え、えぇ」
律子「じゃあ今までの誰のエピソードなんですか!」
あずさ「それは加奈子ですよぉ」
律子「……加奈子さんだか何だか知らないけど、そこはカットしてください」
律子「友美さん1ミリも関係ないですから……カットで」
あずさ「わ、わかりました」
あずさ「えーと……これから二人は、人生のパートタイマーとして」
律子「『パートナー』でしょうが」
あずさ「あ、あれ?パートナーでしたっけ?」
律子「パートナー!……パートタイマーって」
律子「なんで二人一緒にいて時給が発生してるんですか」
あずさ「ぱ、パートナーとして」
律子「そうそう、パートナーとして」
律子「ほぉ」
あずさ「これはニーチェの言葉です」
律子「ああ、そういう格言みたいなのいいですよ」
あずさ「また、『夫婦とは、結婚している一組の男女』」
あずさ「これは金田一京助の言葉であり
律子「それ辞書でしょ!?」
あずさ「はい?」
律子「金田一京介って辞書作ってる人でしょうが!『夫婦』って調べたら出てくる言葉でしょ!?」
律子「それはその人の言葉とは言いません!」
あずさ「そ、そうだったんですかぁ……」
律子「そうですよ、もう!」
あずさ「えー……結婚には、大事な袋が108つあると言われていて
律子「多すぎる!多すぎます!」
あずさ「えぇと……大事な袋が3つあると言われていて」
律子「そう、そうです」
あずさ「まず給料袋、次に堪忍袋」
律子「はいはい」
あずさ「そしてコブクロ」
律子「違います」
あずさ「違いますか?」
律子「ぜんぜん違います。『お袋』です」
律子「コブクロは良い歌をうたう二人組です」
あずさ「えぇと……お袋、ですね」
あずさ「そうですねぇ……なんとなく、こう……二人で力を合わせて……結婚生活を乗り切って」
律子「急にザックリしすぎでしょ。いきなりボンヤリ応援されても」
律子「2人3脚ですよ!?」
あずさ「あ、2人3脚でした」
律子「あとの28人はどこから連れてきたんですか!?ムカデじゃないんだから」
あずさ「2人3脚で……えぇ、支えあっていって下さい」
律子「そうそう、そんな感じで」
あずさ「あ……!遅くなりましたが、ただいまご紹介いただきました三浦と申し
律子「遅すぎるでしょうが!」
あずさ「遅すぎますか?」
律子「もうスピーチもいいとこ終盤ですよね!?遅すぎますよ!」
あずさ「じゃ、じゃあいつ言えば……」
律子「そういうのは最初に言ってくださいよ!」
あずさ「あ、そうだったんですか……最初に言ってくださいよぉ、律子さんってば」
律子「最初に言え、はこっちのセリフですよ」
律子「やっぱり最後の方なんじゃないですか」
あずさ「人生の先輩として」
律子「同級生でしょ!?」
律子「いつから先輩になったんですか……ていうか友美さん結婚するんでしょ?」
あずさ「……まぁ」
律子「じゃあむしろちょっと、あっちの方が人生の先輩ですよ」
あずさ「えー……こんな言葉を贈ろうと思います」
律子「最後は綺麗に締めて下さいよ」
あずさ「結婚、それは君が見た光」
律子「はいはい、いいですよ」
あずさ「僕が見た希望」
律子「…………」
あずさ「幸せの、青い雲」
律子「そうですね、青雲です」
律子「途中から、アレなんかおかしいなーとは思いましたけど……『青雲』です」
あずさ「ダメだったでしょうか……」
律子「人の結婚式でお線香の話してどうするんですか」
律子「却下ですよ却下!」
律子「もう……とりあえず最後までお願いします」
あずさ「はい……えー、友美、直人さん、プレデター」
律子「3人になっちゃっいましたけど」
律子「……最終的に3人になっちゃいましたけど」
あずさ「結婚おめでとうございます!……以上、三浦あずさ……下着姿でお送りしました」
律子「何でもいいからせめて服は着て下さい」
終了
↓が実際のコント
http://www.youtube.com/watch?v=RTXOPIhVe4s&feature=related
伊達ちゃんのツッコミは演技力も含めて天才的なので、
文章で表すのはやはり苦しかったかもしれません。
とりあえず雰囲気だけでも伝わっていれば幸いです
Entry ⇒ 2012.06.21 | Category ⇒ アイマスSS | Comments (0) | Trackbacks (0)
恒一「今日は風が騒がしいな…」文学少女(やっさん)「っ!?」
引用元: ・http://hayabusa.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1340117972/
恒一「(本格的になる前に早めに帰宅を…」
やっさん「……」
やっさん「でも…この風、少し泣いてます」
恒一「……」
恒一「え?」
恒一「……」
恒一「(…誰?)」
恒一「(パッと見た感じ…高校生の人かな…?)」
恒一「(今の言葉は僕に対して投げかけたのか…?)」
恒一「(でも、確かに台風が近づいていることを考えると…)」
恒一「(近隣同士で気をつけ合いましょう、ということか…)」
恒一「あはは…どうやら街に良く無いモノを運んできちゃったみたいですね…」
やっさん「~っ!!!///」プルプル
恒一「……」
恒一「(えっ、なんか喜んでないか?この人?)」
やっさん「……」キリッ
恒一「……」
恒一「(不思議な人だ…)」
恒一「と、とりあえず急ぎましょう…」
恒一「風が止む前に…」
やっさん「…あぅっ!!!///」
恒一「ええぇ…」
恒一「あっ、フェア林くん…」
フェア林「どうやらこの風はフェアだね」
フェア林「日本各地が大荒れだよ」
恒一「そ、そうだね…」
恒一「……」チラッ
やっさん「……」ンー…
恒一「(あっ、微妙そうな顔してる)」
恒一「(クールでミステリアスな印象だったけど…)」
恒一「(こういう表情は可愛らしいな)」
やっさん「…!?」
恒一「お、小椋さん…?」
やっさん「……」ゴゴゴ…
小椋「…?」
小椋「(なんで、あの人怒ってるの…?)」
恒一「一体どうしたの、小椋さん?」
小椋「向こうのコンビニでポテト100円…」
シュッ…!
小椋「…!」
やっさん「ふんっ!!」ゴォッ…!
ヒュン…
やっさん「…っ!?」
小椋「遅いわよ」
バキッ!!
やっさん「…わっつ!?」ヨロ…
やっさん「……」バタリ…
やっさん「…うお」
やっさん「うおぉぉぉぉぉぉぉっ…!!!」エグエグ…
小椋「はんっ」
小椋「相手が悪かったわね」
恒一「……」
フェア林「女の子同士のガチンコバトル」
フェア林「これはフェアだね」
恒一「……」
恒一「そうだね」
恒一「…帰ろう」
恒一「風が荒れる前に…」
小椋「…!」
小椋「そうだ!榊原くん、やばいのよ!」
小椋「向こうのコンビニでポテトが…!」
小椋「…って、あれ?」
小椋「……」
小椋「あぁ、そうか」
小椋「もうすぐ台風直撃するし早めに帰ったのかな」
小椋「あたしも帰ろう…」
やっさん「うぉぉぉぉぉぉぉぉぉっ…!!!」エグエグ…
ヒデノリ「……」
ヒデノリ「わけがわからないよ」
おわり
Entry ⇒ 2012.06.21 | Category ⇒ AnotherSS | Comments (8) | Trackbacks (0)
チャド「ぬわああああああああああああああああああああ」
チャド「ぬわああああああああああああああああああ」
恋次「どうした一護」
一護「チャドの精液が・・・止まらない・・・?」
恋次「なん・・・だと・・・?」
チャド「ぬわああああああああああああああああああああ」
一護「クソ・・・チャド・・・」
恋次「茶渡・・・」
一護「どうする」
恋次「斬るしかない・・・斬るしか」
チャド「ぬわああああああああああああああああああああああああ」
一護「そうだな。わりぃなチャド」
恋次「すまねえ茶渡」
チャド「あびゃびゃびゃびゃ」
一護「一角!ダメだ近づいたら」
チャド「うひょおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお」
一角「あああああああああああああああああああああああああ」
弓親「一角ううううううううううううううううううううううう」
一護「一角のやつ・・・チャドに肛門から直に精液を注ぎ込まれて」
恋次「口から精液が・・・」
一角「おげぼえええええええええええええええええええええええええ」
弓親「一角うううううううううううううううううううううううううう」
一角「おげぼえ・・・・・」
一護「・・・一角の霊圧が・・・」
恋次「・・・消えた・・・?」
一護「弓親・・・すまねえ!」
弓親「あいやああああああああああああああああああああああああ」
恋次「弓親さんの口から精液が注ぎ込まれ」
一護「肛門から噴水のように」
弓親「ぴょおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお」
一護「斬るぞ恋次」
恋次「やるか一護」
グリムジョー「待て」
一護「どっから来た」
グリムジョー「気にするな」
一護「気をつけろよ」
グリムジョー「虚閃」
チャド「ぬうううううううううううううううううううううううううう」
グリムジョー「勃起チンポで・・・弾き返しただと・・・?」
一護「れ、恋次いいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいい」
恋次「びゃああああああああああああああああああああああああ」
グリムジョー「赤パイナップル男・・・クソ・・・」
一護「恋次!」
恋次「どうした一護?」
一護「恋次・・・?」
グリムジョー「お前どうして」
恋次「いつからあれが俺だと錯覚していた?」
一護「なん・・・だと・・・?」
雛森「阿散井・・・くん・・・どうして・・・」
チャド「ぬおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお」
雛森「危なかった」
恋次「雛森・・・?」
一護「どうして・・・お前・・・?」
雛森「いつからあれが私だと錯覚してたの?」
一護「なん・・・だと・・・?」
恋次「吉良・・・吉良あああああああああああああああああああああ」
吉良「ぎゃああああああああああああああああああああああああああ」
グリムジョー「誰」
一護「鬼太郎の親戚じゃね」
グリムジョー「似てるわ似てる」
吉良「ぎゃああああああああああああああああああああああああああ」
恋次「どうすんだよ一護」
一護「剣八呼んで来い」
恋次「更木・・・隊長を・・・?」
一護「早く!」
恋次「わかった!」
グリムジョー「それがいい」
チャド「ぬわああああああああああああああああああああああああああ」
雛森「吉良くん!今助けるからね」
吉良「ぎゃあああああああああああああああああああああああああああ」
一護「元気だな」
グリムジョー「ああ」
一護「あっ!パンツ見えたぞ」
グリムジョー「マジで!?」
一護「うっそー」
グリムジョー「何だよチクショー」
チャド「ぬわああああああああああああああああああああああああ」
剣八「一護おおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお」
一護「おっと」
剣八「ひゃっはあああああああああああああああああああああああああ」
チャド「ぬわああああああああああああああああああああああああああ」
剣八「ひゃはああああああああああああああああああああああああああ」
チャド「ぬわああああああああああああああああああああああああああ」
剣八「ひゃはああああああああああああああああああああああああああ」
チャド「ぬわああああああああああああああああああああああああああ」
恋次「更木隊長が・・・」
グリムジョー「チャドの包茎チンポの皮に・・・」
雛森「食べられた・・・」
チャド「ぬわあああああああああああああああああああああああ」
一護「もうお終いだ・・・」
恋次「あの更木隊長が・・・」
恋次「狛村隊長!」
雛森「かませ犬の狛村隊長がどうして」
狛村「やるしかない!」
射場「下がっとれや!」
狛村「黒縄天遣明王で全ての精液を搾り取る!!!!」
一護「なん・・・だと・・・?」
恋次「そんなことが・・・可能なのか・・・?」
グリムジョー「やっちまえわん公!!!」
狛村「わおおおおおおおおおおおおおおおおおんんんんんんんんん」
チャド「ぬわあああああああああああああああああああああああ」
恋次「精液がこっちに!!!」
雛森「すみません射場さん」
射場「何でじゃ!何でわしが盾に」
雛森「私・・・女ですから」
グリムジョー「ヤクザのおっさん。耐えろ」
恋次「射場さん。ほら頑張れよ」
一護「チャンスだぞおっさん」
射場「口に精液が鼻にも目にも耳にも」
恋次「ダメな副隊長だぜ」
雛森「そうだね阿散井くん」
一護「どっから沸いてきたんだ」
恋次「どうせ出番が欲しいんだろ」
雛森「ちょっと休憩しようか」
一護「ああ。帰りてえ・・・」
恋次「早く死ねよ茶渡」
グリムジョー「藍染の野郎・・・うるせえだろな。帰り遅くなってし」
雛森「藍染隊長!?居るんですか!どうなんですか!!!!」
グリムジョー「く、苦しい」
雛森「答えてください!答えて!!」
グリムジョー「助けろ黒崎、阿散井・・・」
恋次「落ち着け雛森」
一護「グリムジョーが死ぬ」
雛森「ごめんなさい」
一護「京楽さん・・・?」
恋次「あぶねえ京楽隊長!!!」
京楽「えっ・・・ええっ!?」
チャド「ぬわああああああああああああああああああああああああ」
雛森「京楽隊長おおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお」
グリムジョー「イカしたおっさんが!!!」
一護「精液の波に・・・」
恋次「京楽隊長が・・・」
グリムジョー「おっさん・・・」
心
か
恋次「今度こそな」
グリムジョー「黒崎・・・お前とは決着を付けたかったぜ」
雛森「誰か助けて」
チャド「ぬわああああああああああああああああああああああああああ」
一護「すまねえ・・・みんな」
恋次「ルキア、朽木隊長・・・」
グリムジョー「くそったれええええええええええええええええええええ」
一護「・・・!?」
恋次「茶渡の動きが・・・止まった・・・?」
日番谷「待たせ」
藍染「待たせたねみんな」
雛森「藍染隊長!」
一護「藍染!」
恋次「藍染!」
グリムジョー「藍染!」
雛森「藍染隊長!!」
日番谷「・・・」
藍染「グリムジョー困るよ。十刃会議があるって言ったのに」
グリムジョー「うるせえ!やっちまえ藍染」
藍染「阿散井くん」
恋次「なんっすか」
藍染「雛森くん。いい女になったなぁ・・・連れてけばよかったぜ」
雛森「本当ですか!?」
恋次「良かったな雛森」
グリムジョー「もう十刃に入れようぜ。ウルキオラとノイトラ落として」
藍染「検討しよう」
一護「やれ藍染!ぶちかませ!!」
一護「チャドの精液はもう効かない」
雛森「天下無敵の鏡花水月ですね!」
藍染「いつから私に精液をぶっかけたと錯覚していた?」
チャド「ぬっ・・・!?」
グリムジョー「とどめだ藍染」
恋次「一角さんや更木隊長の仇を討ってくれ」
藍染「任せてくれ」
グリムジョー「何すんの?」
雛森「黒棺です」
藍染「破道の九十『黒棺!!!!』」
チャド「ぬぎゃああああああああああああああああああああああああああ」
一護「チャドの霊圧が・・・消えた・・・?」
恋次「勝ったのか俺たちは・・・?」
藍染「あっ黒崎一護」
一護「何だ」
藍染「勘違いするなよ私は君を助けに来たわけではない。私は・・・」
一護「そういうのいいから。帰れよ」
藍染「行くぞグリムジョー、雛森くん」
日番谷「・・・」
雛森「あっ居たんだシロちゃん。お婆ちゃんによろしくね」
日番谷「お、おい」
雛森「いつまでも私が構ってくれると思ったら大間違いだよ?」
日番谷「・・・」
雛森「さようなら」
恋次「またなー雛森」
恋次「いいぜ」
日番谷「・・・」
一護「どうしたんだ冬獅郎のやつ」
恋次「腹でも壊したんじゃね」
一護「それ以前に居たんだあいつ」
恋次「小さいから」
日番谷「うわ・・・」
一護「行こうぜ」
恋次「早く帰んないとダメっすからね」
日番谷「うわああああああああああああああああああああああああああ」
雛森「よろしくお願いします」
バラガン「死神・・・それも小娘」
藍染「はいバラガン十刃落ちね」
グリムジョー「落ちろ爺!」
バラガン「何故だ!わしがどうして」
藍染「個人的な理由。うざいから君」
バラガン「ええーっ!?」
藍染「会議始めるから。みんな座って。ほら」
グリムジョー「うるせえな。わかってるよ」
藍染「反抗期か君はグリムジョー」
グリムジョー「黙れ。そのチョロ毛引っこ抜くぞ」
藍染「怖い怖い・・・」
チャド「いつから俺が消えたと錯覚していた?」
終
で落ちだったけどおもろかったよ
Entry ⇒ 2012.06.21 | Category ⇒ BLEACH SS | Comments (0) | Trackbacks (0)
玄「う……うわあああああっ!!」ガチャガチャガチャ
煌「いくら負けてるからって……
していいことと悪いことがありますよ」
照「……」
玄「はあっ、はあっ、はあ……」
『あまりに負け過ぎてて正気を保てなくなったんでしょうか……しかしこれは試合妨害ですよ』
憧「玄……なにやってんのよ」
灼「これじゃ私達が反則負けになっちゃうんじゃ」
宥「玄ちゃん……」
ジャージ「ど、どうなっちゃうの?」
赤土「大会運営側の裁量に委ねるしかないわね」
『おっと、この局の最初からやり直すようです』
『松実選手には厳重注意がなされましたが、次に同じことをやるとさすがに失格でしょうね』
『では試合再開です』
怜(最強の高校生を相手にしてるわけやし、
まあ気持ちは分からんでもないけど……)
煌(このメンタルの弱さは致命的ですね)
玄「…………」
煌「ちょっと、次あなたの番ですよ」
玄「は、はいっ! えっと、えっと……」
玄「はあ、はあ、はあ……」
玄「ううう……」スッ
照「ロン」
玄「は、はいぃっ!」
怜(容赦無いなあチャンピオン……でも安い手で上がった)
煌(試合がやり直しになったから連続和了もリセットですか。
これはちょっと嬉しい誤算ですね)
玄「はあ、はあ……」
阿知賀が作ってくれた、白糸台との差を縮めるチャンス)
怜(一巡先を呼んで、一気に攻める)
キュイイイイイイイイイイイン
照『カン』
煌『リーチ!』
玄『う、うう……』
照『ロン』
玄『う……うわあああああっ!!』ガチャガチャガチャ
怜「またかよ!!」
煌「ど、どうしました? いきなり大声を上げて」
怜「あ、いや……なんでもあらへん」
怜(次に阿知賀の番が回ってきた時、またさっきと同じことをする……
そうなったら今度こそ阿知賀は退場や)
怜(そうなったらこの3人だけで打つことになるんやろうけど……
私は3人でやるんはめっぽう苦手やからな)
怜(なんとか阿知賀をおさえんと……)
そのせいで精神状態はズタボロや)
怜(心の安定を取り戻すには和了らせてあげんとあかん)
怜(でも私の手牌には阿知賀に振り込めそうな牌があらへん)
怜(ここはさっき協力して白糸台の連続和了を途絶えさせた時みたいに、
新道寺の協力を得たほうがええな)
怜「……」チラッチラッ
煌「?」
怜「……」チラッ……チラッチラッ
煌「どうしたんですか、あなたの番ですけど」
怜(ちっ、全然通じひん……)
怜(このままやと次の阿知賀の番が来た時この試合は……)
照「カン」
煌「リーチ!」
怜(まずいな……)
照「ロン」
玄「う……うわあああああっ!!」
煌「!?」
怜「こうなったら力ずくで止めるで!」
照「それには及ばん」ガッ
玄「うぐっ!?」
照「お前がやってるのは麻雀への冒涜だ……これ以上狼藉を働くなら……」ギリギリ
玄「うぐぐぐ……ぐうう……」
煌「ま、まあそのへんで……阿知賀の人だって悪気があるわけじゃ」
照「…………」パッ
玄「はあ、はあ、はあ……お姉ちゃあん……」
煌「まったく……はらはらさせてくれますね」
怜(そうや……別に和了らへんかっても、
誰か親しい人がそばに付いてたら心の支えになるな)
間一髪宮永照におさえられたぞー!』
『彼女は阿知賀の時限爆弾ですね』
『さあ、試合続行……おっと、タイムがかかったようです』
憧「ああもう、見ててドキドキするよ」
灼「このままじゃまたいつ暴走するか……」
赤土「ったく、あんなにメンタルが弱かったとはな……
ちょっと負けたくらいで心神喪失してしまうなんて」
宥「玄ちゃん……」
ジャージ「ど、どうなっちゃうの?」
コンコン
憧「あれ、誰かきた」
ガチャ
「運営本部の者ですが、松実宥さんいらっしゃいますか」
宥「はい、ここに……なんでしょう?」
「松実玄さんの精神状態がちょっとアレなので、会いに行ってあげて欲しいと……」
宥「あ、はい……」
ジャージ「そうだ、どうせならみんなで行こうよ!」
赤土「そうだな、そのほうが玄の励ましになるだろ」
灼「いや……宥さん一人だけのほうがいいんじゃ」
ジャージ「なにいってんの、一人より二人、二人より4人!」
赤土「そして、4人よりたくさんの方がいいに決まってる」
ジャージ「いくよ、灼さん、宥さん」
灼「ちょ、ちょっと!」
赤土「さあ、みんなで玄を励ましに行こう!」
宥「ま、待ってえ~……」
憧「大会終わったら退部しよう」
玄「あ、お、お姉ちゃん……」
怜(松実玄のお姉さん……ちゃんと来てくれたみたいやな)
煌(心が折れそうな時に大切なのは人に支えてもらうこと……
これで阿知賀の人も落ち着くでしょう。すばらですっ)
照(咲に会いたいなあ)
玄「お姉ちゃ……あれ、みんなも……」
宥「玄ちゃん、つらいかもしれないけど……くじけないでね。
いっぱい点取られちゃっても、みんなで頑張って取り返すから」
玄「ありがとうお姉ちゃん……」
しずの「そうですよ、決勝にいけるかどうかの瀬戸際なんで、
みんな頑張りますから!」
赤土「うむ、私たちは奈良県140万の県民の代表だからな。
それだけの期待を背負ってここに来てるんだ、負ける訳にはいかないな」
玄「…………」ガクガク
灼「あー……まあ、リラックスして打ってね……」
怜(なんか余計プレッシャーかかってへんか……)
玄「…………」ガクガク
煌(さっきより酷くなってる気が……)
怜(不安やな……もう1回、1巡先まで見とくか)
キュイイイイイイイイイイイン
照「ロン」
玄「うううううおああああああああ!!!」ドンガラガッチャーン
煌「ぎゃああ!」バタッ
怜「あかんわこれ……」
煌「どうしました?」
怜「いや、なんでもあらへん……」
怜(どうしたらええんや……このままやとまた……
今度も和了らせてあげることもできへんし……)
怜(松実玄の破壊衝動を抑えるにはもう手はない……)
怜(いや……おさえこまんでもええ……。
発散させたら、それでええんやないか!)
玄「はっ……はいっ!」ビクゥ
怜「あんたの気持ちはよう分かるで……
ほんまに強い人と打ったら、心が折れてしまいそうになる。
今のアンタみたいにな」
玄「は、はひ……」
怜「もう打つのが嫌になって、現実を認めたくなくて、
雀卓をめちゃくちゃにしたくなるのも、仕方ないかもしれへん……
でも今は全国大会の準決勝、誰にとっても大事な試合や……
そんな子供みたいな真似は許されへんのや」
玄「……」
怜「せやから、今度、雀卓をめちゃくちゃにしたくなったときは」
玄「……」
怜「代わりに私をめちゃくちゃにしなさい」
玄「は?」
煌「すばらです」
照「…………」
これはいかんなぁ
玄「つまり、あなたに八つ当たりしろってことですか」
怜「せやな」
玄「お気持ちは嬉しいですけど……
ほんとにいいんですか? そんなこと……」
怜「かまへんって。なっ、新道寺の」
煌「はい?」
怜「あんたも協力してくれるやろ?」
煌「えっ……」
玄「…………」
煌「す……すばらです」
怜「よし、これで決まりやな」
玄「すみません……私が弱いせいで」
怜「ええよ、また今度雀卓ぐちゃぐちゃにしたら、アンタ退場やしな……
一緒に戦ってる者として、そんなふうに勝負が終わるんは不本意やから」
玄「千里山さん……」グスッ
怜(次に阿知賀の順番が回ってきた時、阿知賀は白糸台に振り込む)
怜(そうなったら阿知賀はまた発狂や)
照「…………」スッ
煌「えいっ」スッ
玄「…………」スッ
照「ロン」
玄「うっ……はい……」
怜(あれ? 大丈夫や……)
怜(そうか、さっき私達が阿知賀の人に助け舟を出したお陰で、
阿知賀の人の気持ちを落ち着かせられたんやな)
煌(追い詰められていると平静を失って暴挙に出る……
でも後ろで支えてくれる人がいれば安心できる。すばらです)
照(チッ、つまらんな……)
バンッ
竜華「ときいいいいいいいいいいいいい!」
竜華「阿知賀の松実玄!控え室で聞いてたで、
怜をめちゃくちゃにするとか、やっていいと思てるんか!」
玄「ひい!?」
竜華「自分のハートが弱いのを棚に上げて
他人に甘えてばっかりいたらアカンでえ!」
玄「ひ、ひいい!」
竜華「おんどれウチの怜に手出しよったら承知せんぞ!
耳ん中に指突っ込んで奥歯ガタガタ言わせたるさかいのう!
覚悟しときや!」
玄「う、ううう……」
怜「りゅ、りゅーか……」
竜華「はっ…………もう大丈夫やで、怜ぃ~。
怜はウチがしっかり守ったげるからな~。ほな、ウチ戻るから」
怜「う、うん……」
玄「あ、ああああ……」ガクガクガク
煌(またなんか変なことに……)
また対策を練り直さんと……どうしたらええんや)
玄「…………」ガクガク
煌「ねえ、もういいんじゃありません?」
怜「えっ?」
煌「あなた、考えてるんでしょう?
阿知賀の人が雀卓をかき回して試合が無効になるのを防ぐ方法」
怜「そやけど……」
煌「そうまでして阿知賀の人を守る必要があります?
こんな精神状態で試合を続けてもアレですし……
いっそもう一度雀卓をぐちゃぐちゃにして、さっさと退場してもらったほうが。
ねえ宮永さん」
照「すばらだな」
怜(うっ……こいつらグルに……)
煌(千里山はこのまま阿知賀に退場されてもデメリットは皆無……
なら何故かたくなに阿知賀を救おうとするのか?
理由はひとつ……3人での試合を恐れているんですね)
玄「…………」
そんで思惑通り阿知賀がキレたらそれでおしまいや)
怜(なんとかして止めなアカン!
私にはそれが出来る、一巡先を読むことで……!)
キュイイイイイイイイイイイン
照『ロン!こくしむそ……』
玄『うわあああああ!!うわあああああ!!』ガシャーンバキーンドンガチャーン
照『ぐっ……ううっ』バタッ
怜(!! 阿知賀は次に白糸台に振り込む……
そしてぶち切れて大暴れして……宮永照が倒れる!?)
怜(そうなったら阿知賀と白糸台はこの試合からサヨナラ……
残りの相手は新道寺だけ! 有利……圧倒的有利!)
怜(でも……ほんまにそれでええんか?
人一人を犠牲にして勝ち進んで……それは許されるんか?)
怜(宮永照の和了り牌は私の手元にもある!
ここでこれを振り込めば阿知賀がキレるのも防げる、宮永照も助かる)
怜(でも国士無双なんか食らったら……私らの負けは確定的や)
怜(どうしたらええんや……!)
みんなの期待を背負ってるんや)
怜(だから甘いことは言ってられへん……
白糸台に振り込む必要なんかこれっぽっちもあらへんのや)
怜(でも……誰かが傷つくって分かってて、それを見て見ぬふりするのは……
ほんまにええんか? それでええんか?
……私は、千里山は、こんな勝ち方で……)
怜(雀士としてだけやなく……人としてアカンのやないんか……?)
怜(これは全国大会の準決勝や……
みんなこの時のために頑張ってきたんや……
ここまできて負けるなんてことになったら、それこそ……)
怜(でも、こんな勝ち方は卑怯やないんか……)
怜(私は……)
怜「…………」スッ
照「ロン。国士無双」
怜「はい」
怜(そうや、これで良かったんや……)
玄「…………」
――――
――――――
『準決勝先鋒戦終了ー! やはり白糸台の一人勝ちー!』
『千里山は後半で白糸台に何度も振り込んでいましたね。
そしてメンタルの脆さが危惧されていた阿知賀の松実玄は最後までおとなしくしてました』
怜「終わってしもたな」
煌「すばらでした」
玄「すみません、千里山の人」
怜「何が?」
玄「私のために、わざと白糸台に何度も振り込んで……」
怜「アンタのためだけやあらへん……
それにどっちにせよまだ千里山は2位やしな」
玄「はい……」
怜「もう、ええで」
玄「え?」
怜「雀卓ぐちゃぐちゃにしても」
怜「そっか。ほな控え室戻るわ」
玄「はい、お疲れ様でした」
怜「うん、また機会があったら打とうな」
煌「その時はぜひ私も呼んでくださいな。
普通の状態の松実さんと、ガチで打ってみたいですし」
玄「はい、そのときはよろしくお願いします」
怜「それじゃ、また」
煌「さてと、私もみんなに怒られに戻りますかね」
宥「玄ちゃ~ん」
玄「あっ、お姉ちゃん!」
宥「みんな待ってるよ、控え室戻ろう」
玄「うん!」
照「…………」
照「…………」
照「…………」
照「…………」
照「…………」
照「う……うわあああああっ!!」ガチャガチャガチャ
照「フフッ」
照「もう一回……」
白糸台控え室
菫「何やってんだアイツ……
まだカメラ回ってるのに……」
淡「…………」
おわり
面白かった乙
またSSかいてね!
乙
おつおつ
乙
Entry ⇒ 2012.06.21 | Category ⇒ 咲-Saki-SS | Comments (0) | Trackbacks (0)
える「私、田んぼの様子が気になりますっ!」 折木「やめろ」
える「どうして止めるんですか折木さん!」
折木「今出て行ったら死ぬぞ」
える「でも田んぼが……」
折木「落ち着け。無理に下校するなと学校側も言ってただろ」
える「ですが、稲が!稲が倒れてしまったら……!!」
折木「千反田」
える「!」
える「へ……?」
折木「早く」
える「は、はい!」
える「すぅー………はぁー………」
折木「落ち着いたか」
える「はい」
折木「よし」
える「それじゃあ私は帰って畑を……」
折木「分かってない」
…………
…………………
…………………………
える「はい………」
折木「ここはどこだ?」
える「……神山高校特別棟4階・地学準備室です」
折木「そこまで詳しくなくていいんだけどな。
ところで俺たちはいまどうしてここに居るんだったかな」
える「それは……」
折木「もう下校時刻も過ぎたというのにな」
える「その……台風が来ているから、です」
折木「しかし台風が来ているなら寧ろさっさと帰るべきじゃないのか?」
える「………」
折木「それをどうして学校がわざわざ生徒を足止めしてるんだ?」
える「………今すぐ下校するのが危険だと、判断したから?」
える「…………」
折木「…………で、何の話だったかな。今から帰るって?」
える「うぅ……」
…………
…………………
…………………………
折木「しかしいざ『帰るな』と言われてもな」
える「…………」ソワソワ
折木「することもないし、いかんせんヒマだな……」
える「……………」ハラハラ
える「ううぅ………」アタフタ
折木「…………千反田」
える「は、はいっ!」
折木「お前まだ余計なこと考えてるな」
える「な、なんのことですか折木さん?」
折木「とぼけるな。目が泳いでるぞ」
えるたそのかわりに俺が見てくる
死ぬなよ……
折木「………大方、どうやって俺の目を盗んで学校を抜け出すか考えてたんだろう」
える「ど、どうして分かったんですか!?」
折木「……………」
える「…………あ」
折木「はぁ…………とりあえず、何か飲んで落ち着け。買ってくるから」
える「えっ?」
える「え、あ、ごっ、ごめんなさい!
でも、折木さんがそんなことをおっしゃるとは、思わなかったもので……」
折木「…………らしくないのは分かってるさ。
だが今日は運よく、可処分エネルギーが残ってるんでな」
える「そうですか……」
折木「言っておくがおごりじゃないぞ」
える「分かってますよ」
折木「……それともう一つ」
える「?」
折木「もし俺が買ってくる間に勝手に帰ったら一生口きかないからな」
える「…………その手がありました」
折木「おい」
…………
…………………
…………………………
ガラガラ
折木「買ってきたぞ」
える「………ありがとうございます」
折木「お茶でよかったか」ハイ
える「はい……」
折木「ん………帰らなかったんだな」
える「だ、だって!帰ったら折木さん口きかないっておっしゃったじゃないですか!」
折木「………あー、悪い。本気で受け取るとは思わなくて」
える「ひどいです!」プンプン
える「あっ………」
折木「とりあえず、今は学校の指示を待とう」
える「………そうですね」
…………
…………………
…………………………
える「そういえば」
折木「ん?」
える「福部さんと摩耶花さんはどうされたのでしょう」
折木「委員会の仕事なんじゃないのか?こういう時の総務委員だろ?」
える「大変ですね………」
折木「案外そんなことないんじゃないか?
里志はこういう台風の時テンションが高くなるタイプだからな」
える「そうなんですか?」
折木「そう。俺には理解できないが」
える「ふふっ、折木さんらしいですね」
折木「……………そうだな。
こんな暴風雨のなか外に出て行こうと考える人間の考えてることはもっと理解できない」
える「………今日の折木さん、少し意地悪です」
折木「そうか?だが実際畑や田んぼに行ってどうするんだ?」
える「!」
折木「見に行ったところでどうする事もできんだろうに」
える「何を言っているんですかっ!」
折木「」ビクッ
える「農家にとって田畑は我が子も同然なんですよ!?」
折木「……………」
える「我が子に危機が迫っているというのに、放っておけるわけがないじゃないですか!」
折木「」
折木「何というか………すまん、軽率な発言だった」
える「すっ、すみません!私ったら興奮してしまって……」
折木「いや、俺の言い方が無神経だった……と、思う」
える「そんなことは…………でも」
折木「どうした?」
える「いえ。その………今年は少し早いですけれど、もうすぐ台風シーズンですよね?」
折木「そうだな」
える「私としては、そんなもの来てほしくはないんですが……」
折木「それはそうだろう」
える「来てしまうものは仕方がありません。ですが……」
折木「ん?」
える「どうして、毎年亡くなる方がいるのでしょうか?」
折木「………あー………」
折木「確かに、その手のニュースを聞かなかった年がないな……」
える「そうですよね?」
折木「まぁ、交通事故が無くならないのといっしょだろう」
える「交通事故?」
折木「………言い方は悪いが、『運が悪かった』ってことだ」
える「確かに事故はそうかも知れませんが」
折木「だろう?」
える「でも台風は、基本的に家の中に居れば安全ですよね?」
折木「」
える「さっき出て行こうとした私が言うのも何ですが」
折木「………さっき自分で言っただろ『田畑は我が子も同然だ』って」
える「それはそうなんですが……」
折木「ならそういうことなんだろ」
える「でも、それなら何で亡くなるのはお年寄りの方ばかりなんでしょう?」
折木「それは………」
える「同じ農家として、他人事とは思えません!」
える「私、気になるんです!」
折木「」
…………
…………………
…………………………
折木(状況を整理しよう)
折木(学校で足止めを食らっていたら、千反田に『台風のときに年寄りが出て行くのはなぜか?』
と訊かれた)
折木(何を言っているのか分からないと思うが、俺にも分からない)
折木(というか、ハッキリ言って知ったことではない)
折木(ないが………)
折木「………………まぁ、理屈がつけられんこともない」
える「本当ですか?折木さん」
折木「あ、あぁ……」
える「それで、どうしてだと思いますか?」
折木「その前に千反田」
える「はい?」
折木「お前は何故出て行こうと思ったんだ?」
える「え?」
折木「毎年死人が出てるのは知ってたんだろう?
それでもなお出て行こうと思った理由は何だ?」
える「それは………」
える「………じ、自分は大丈夫だろう、と」
折木「ほう?」
える「その………私はまだ若いですし、うっかり足を滑らせるようなことは、ないかと……」
折木「それだ」
える「それ?」
折木「『自分だけは大丈夫だろう』」
える「!!」
こんな暴風雨の中出て行く連中はみんなそう考えてるに決まってる」
える「あ…………」
折木「それに『自分はまだ若い』、とも言ったな。それも年寄りの常套句だ」
える「あぅ…………」
折木「話は変わるが、田舎の年寄りっていうのは元気だよな」
える「えっ?」
折木「何というかこう、『生涯現役』を地で行ってるというか、
俺などよりもよほどエネルギッシュだとすら思う」
える「そうかも、知れませんね」
折木「そうだ。気を若く保つのは健康にもいいらしいぞ。
…………体がついていけばの話だがな」
える「あっ」
必ず来るものなんだよ」
える「…………」
折木「………………悪い。気を悪くしたなら謝る」
える「いえ………その通りだと思います」
折木「…………そうか」
える「…………今年も」
折木「?」
える「今年も、いい稲が育っていたんです」
折木「……………」
折木「……………」
える「何度か様子を見に行きましたが、それは見事なものでした」
折木「………一度見てみたいものだ」
える「いつか、ご案内します……今年は無理かも知れませんが」
折木「……………」
える「分かってはいるんですよ。
『天災はどうしようもない』って。ですけど……」
える「こうしている間にも稲が倒れてしまうんじゃないか。
何か出来ることがあるんじゃないか」
える「…………そう考えると、いても立ってもいられないんです」
折木「………………」
える「…………すみません。愚痴みたいなことをお聞かせしてしまって」
折木「……………これは俺の勝手な想像だが」
える「はい?」
折木「さっきお前は、『農家にとって田畑は我が子も同然』と言ったな」
える「…………はい」
折木「ならお前の両親も、田畑と同じくらいお前を大事に思っていると思うぞ」
える「!」
折木「…………いや、違うな。
娘より畑が大事な親なんていないんじゃないか」
える「………そう、でしょうか」
える「…………」
折木「それにな」
える「?」
折木「お前の身を心配してるのは家族だけじゃない。
お前に危険が及べば、きっと伊原や里志だって死ぬほど心配するに決まってる
そうでなくても、お前は普段から少々危なっかしいからな」
える「…………」
折木「………………俺だって心配だ」
える「!!!」
折木「と、とにかくだ。お前は気負い過ぎなんだよ。
もう少し肩の力を抜いたほうがいい」
える「…………そうですね」
折木「………話し相手がお前でよかったよ」
える「えっ?」
折木「里志や伊原なら間違いなく言うからな。
『お前が言うな』とな」
…………
…………………
…………………………
ピーンポーンパーンポーン
放送『校内の生徒の皆さんにお知らせします』
折木「お」
放送『ただ今、大雨・暴風警報が解除されました。お家の方と連絡を取るなどして、
安全な方法で速やかに下校してください。繰り返します……』
折木「………帰れるみたいだな」
える「ですね」
折木「意外と早かったな」
える「台風は上陸すると勢力が弱まりますから」
折木「なるほど」
える「でも、家に連絡ですか……」
折木「生徒が携帯を持っているのが前提の放送だったな」
える「どうしましょう……」
折木「職員室かどこかで借りればいいだろ」
える「いいんでしょうか?」
折木「渋ったら言ってやればいい。
『携帯電話なんて学校に持ってくるわけがないじゃないですか』ってな」
える「…………ふふっ、そうですね」
折木「だろ?」
…………
…………………
…………………………
ガラガラッ
える「お電話、借りられました!」
折木「そうか。で、家の人は何と?」
える「はい。あと15分ほどで迎えに来てくれるそうです」
折木「そうか………じゃあ俺も帰るか」
える「え?折木さんもお家の方に連絡されたんですか?」
折木「いや、俺は別に」
える「えっ」
折木「ほら、俺はお前と違って歩いて帰れる距離だしな」
える「そんな、ダメです!危ないです!」
折木「だが、ホラ見てみろ。雨脚もだいぶ弱く…」
ザァーーーザァーーーーッ
ビュオーーーーーーーーーーーーウ
ゴロゴロピッシャーーーーーン
える「横なぶりですね」
折木「」
える「折木さん」
折木「な、何だ」
える「まさか、お家に連絡されるのが面倒、などと言うことは……」
折木「」ギクッ
える「折木さん!」
折木「…………………な、何だ」
える「さっき私に仰いましたよね。私が危ない目に遭えばみんなが心配すると」
折木(こいつが伊原みたいな嫌味を言い出したら世も末だな……)
える「私も同じです!」
折木「何?」
える「折木さんが危険にさらされたら、私も心配です!」
折木「」
える「そうです、いいこと思いつきました!」
折木「…………言ってみろ」
える「私が折木さんをお家までお送りします!」
折木「何だと?」
える「うちは車で来てくれるそうなので、それで折木さんの家までお乗せします」
折木「いや、それは………」
える「だめでしょうか?
もしかして、何か都合の悪いことでも?」
折木「いや、そうじゃない。そうじゃないが……悪いしな」
える「そんなことはありません!折木さんにはお世話になりっぱなしですから、これくらいは!」
折木「あー………」
える「………だめですか?」
折木「」
…………
…………………
…………………………
折木(結論から言おう)
折木(俺は千反田の好意に甘えて家まで乗せてもらうことにした)
折木(車を回してくれたのはどうやら親父さんだったようだ)
折木(千反田父………初めてお目にかかった)
折木(それと分かったことがもう一つ。
千反田は家でも同じような感じらしい)
折木(一日学校であったことを嬉しそうに報告する千反田の姿は……
当り前だが、少し子どもっぽかった)
折木(だが千反田よ)
える「……それで、折木さんが『自分も心配だ』って言ってくださって……」
折木「これは何の拷問だ」カァァ
おしまい
遅くてすまんかったな。
オレもP4Gやりながら寝るわ。じゃあの。
おもろかった
Entry ⇒ 2012.06.20 | Category ⇒ 氷菓SS | Comments (0) | Trackbacks (0)
春香「ディドゥーーン! 天海春香です」
佐藤「フフフ 小鳥さん……家に帰ったらお前を抱くっ!」
杉田「お前らハマりすぎだろー?」
杉田「本業にのめりこんで生活に支障きたしてんじゃねーよ」
ヨガッ
佐藤「でもほらっ 江川さんもお姫ちんにドハマリじゃないですかー?」
田中「そもそも俺らのSPって名前は スーパープロデューサーの略だったんですよ。ハマるのも当たり前っす」
杉田「ってゆ~か 招待が~ まじうまいんですよ~」(fan君声)
田中「あ メインヒロイン(笑)さんだ」
春香「あ゙? おいそこのハゲ」
田中「え? なにこの殺意の波動!?」
春香「いいから おいお前 そこに跪けっ!」
佐藤「は、はいぃ」
春香「お前には言ってねーよ! このドMがっ!」
佐藤「あっ あぅぅう//」
春香「あとそこのM字野郎!」
杉田「髪の毛のことは言うんじゃねーよ!」
杉田「あと最近はスカルプケアでフサフサだっつーの!」
春香「お前ぇ……今はなきコンプガチャの話題の時に私にあんまり興味ねーとか言ってたよなぁ? そんな態度とってんと、お前のウィジャ盤コンプしてやろーか あぁん?」
杉田「なんという二面性… ラジオでこの振る舞い… 春香 恐ろしい子っ!」
……・
…
・
春香「いやいや 私は別にそんな 恐ろしい子なんかじゃないですよ~♪ペロッ」
杉田 田中 佐藤 AGRS 男AGRS
「あざとい! さすが春香っ! あざといっ!」
田中「はい SP田中です」
佐藤「はい SP佐藤でーす」
セスセスセスセス
田中「www これ杉田さんが作ったやつじゃないですかww!」
杉田「えへへww いやあのさ、アニメータさんはやっぱり忙しいんだよ」
佐藤「あーデスマっていうんですかね…… なんかとても辛さ 分かる気がしますね」
杉田「あぁwwwお前が上司に地獄突きした前の会社か?」
佐藤「ちょw! いやまじ洒落になってないんで! 監査とか入るんでw!」
杉田「まー転職できて良かったね ってことで会社といえば765プロですよ! 765プロ!」
田中「また無理やりな…… あー……ブラック繋がりですか?」
杉田「イヤイヤwww まぁ社長はブラックだけれどもさww」
佐藤「バンナムさん敵に回すと大切り出ちゃうからね 梶田くん」
杉田「会社的にはビームサーベル出ちゃうかもね ラスパドゥーア ラスパドゥーアってwww」
田中「メインヒロイン?」
佐藤「メインヒロイン?」
杉田「そこに疑問感じてんじゃねーよww! この後すぐにゲスト様が登場でーす」
春香「プロデューサーさん! ディドゥーーンですよ! ディドゥーーン!! 天海春香です!」
杉田「本物だー!」
春香「そうですよー。本物ですよ」
田中「か……かわいい……」
佐藤「梶田くん 会う前に散々『メインヒロイン(笑)』って言ってたのにガチテンションじゃないですかwww!」
杉田「まぁねwそんな発情期を殺せなかった少年の梶田は放っておいて、まずフツオタ読みます。ディドゥーンネーム ガラスの剣」
春香(あ、本名かっこいい人だ)
~~ガラスの剣さんからのお便りを読んでいます~~
【さすがに実在のリスナーのお便り捏造は無理でした。すいません。】
杉田『杉田さん SP田中さん SP佐藤さん 男AGRSさん ゲストの春香 ディドゥーーン!!』
皆「「「ディドゥーーン!!」」
春香(呼び捨て!?)
杉田『私は女なのですが、はっきりいってスタイルが貧相です』
春香(これって・・・・・・)
杉田『なんでもいいですんけど気になります お願いします 教えてください』
皆 「…………」シーン
田中「はっ話は変わりますが、ゲストにミンゴスさん呼んで欲しいっていうの杉田さん 坂本さんにいってくれましたか?」
杉田「話代わってねーよwっw!!! はい次のお便りっ!」
春香(千早ちゃん……だよね……?)
杉田『杉田さん SP田中さん SP佐藤さん 男AGRSさん ゲストの春香ちゃん !! リリカル トカレフ キルゼムオール!』
皆「「「キルゼムオール!!」」
杉田『私は女なのですが、正直女性の人に対して恋愛感情を抱いてしまいます』
杉田『ですが、いわゆる女性らしいゲストの春香ちゃんのような娘よりも……』
杉田『765プロの真ちゃんのようなボーイッシュな女の子に強く惹かれます』
杉田『ギャルゲーマーの皆さん そんな私にオススメのギャルゲーを教えて下さい お願いします』
田中「着地点そこっ!?」
杉田「ギャルゲーか~」
田中「ギャルゲーといえば」
皆 ジロッ
佐藤「ぼっ僕ですか!?」
田中「ほら タケシお前さ ゆかなさんに性春スーツ脱がされる前は……マックブック片手にCGコンプしている凄腕ギャルゲーマーだったじゃないですか~」
春香(懐かしいな~ 今はなきアメリカ村TV……)
佐藤「タケシ言うなしっ!」
佐藤「そうですね~」
佐藤「祝祭のカンパネラとかオススメですね! 攻略キャラじゃないけど」
杉田「はい オススメが決まったところで次のお便り」
杉田『杉田さん SP田中さん SP佐藤さん 男AGRSさん ゲストの天海 春香ちゃん』
杉田『 ジ ー ク タ ケ シ ! ! 』
皆 「 「 「 ジ ー ク タ ケ シ ! ! ! 」 」 」
杉田『私はSP佐藤さんの不便なとこにシンパシーを感じています』
田中「おっw!?」
杉田『同僚というか……仕事仲間には常にムチャぶりをさせられ、いきなり踊らされたこともありました……』
杉田『スタジオのみなさん 私はどうすれば不便キャラを脱却できるんでしょうか?』
田中「バイク燃やして暖をとればいいんじゃないですかね?」
春香「小石並べて告白すればいいんですよ」
佐藤「天海さんもなんで知ってるんですかww? っていうかいい加減富山ディスやめてくださいよww!!」
田中「いやいやいやww でも真面目な話、不憫キャラもひとつのキャラでしょ」
杉田「お いまや売れっ子シナリオライター マフィア梶田さん語りますね~」
田中「ちょwww やめてくださいよ杉田さんwww くすぐったいですww」
佐藤「梶田君がまじめに相談に答えてる……」
杉田「で 本音は?」
田中「ヤラレっぱなしの女の子 おいしいですwwww!」
男AGRS「汚いっ! さすが田中汚いっ!」
杉田「はい じゃここでテンションのあがる一曲 聞いて頂きましょ」
↓テンションのあがる一曲
http://www.youtube.com/watch?v=Q7gQXgy-p7M
杉田「ゲストの天海さんはゲームとかはやりますか?」
春香「そうですね~移動中とかはDSとかはやりますけど あんまり家とかではやりませんね」
田中「あれ? 天海さんはきっとシムシティとかで住民に対して圧政を敷いているイメージだったんですけどね」
佐藤「ギレンの野望とかやってるイメージでしたよ 自分」
杉田「はい今日やるゲームはこちら アイドルマスター BD購入特典 グラビア フォー ユー!」
田中「きたーwww!」
佐藤「え!? 本人の前で撮影会するんですかww?」
春香「ちょっと! それにこれVOL.1じゃないですか!」
杉田「表紙の笑顔が眩しいですねーww 中身はもうPS3に入ってるんで早速はじめましょ!」
田中「はい ヤリますよ~ ヅンヅン ヤリますよ~」
(アイドル選択画面)
田中「誰を 撮影しますかね~杉田さん的にはやよいですかね?」
杉田「いや、あれはCMの台本だからさ…… かな子はいないの?」
佐藤「小鳥さんはいないの?」
春香「ちょっと ちょっと! なんで消去法で私なんですか! もっと積極的に選びましょうよ!」
田中「さてとゲームが始まりましたけど……」
春香「無視するし……」
田中「? これ操作方法FPSと似てないですか?」
男AGRS「AGRS 目標を駆逐する」
田中「見敵必殺(サーチ&デストロイ) 天海さんのキャッチコピー通りですね」
杉田「さっきからお前らの印象ひどくないかww!?」
佐藤「ほら梶田くん 撮って 撮って!」
田中「オレコマンダー持ってくればよかったかな」ポチポチポチ
春香「なんかちょっと… 照れくさいですね//」
杉田「ですよね 僕も完成したグラビアとか見るとこっ恥ずかしいですからね」
佐藤「僕もカレンダー見たときはこっ恥ずかしったですねw」
杉田「俺も含めてだけど、天下のアイドルにシンパシー感じてんじゃねーよwww!」
杉田「全然ちげーよ!」
春香「でも田中さんどこかで見たことあるなーって思ったら、雪歩の運転手さんにそっくりなんですよね?」
田中「 四 の 字 固 め ! 」
春香「 『横 四 方 固 め !』 」
佐藤「ちょっとwww! 天海さんまでっww!」
杉田「カタギじゃない♪ ホントの 『麺固め』さー♪ 」
佐藤「杉田さんもwww! 冗談なってないですよ!?」
杉田「それでは一曲お聞きいただきましょう 天海春香で START !!」
http://www.youtube.com/watch?v=sYESpEAvtJw
佐藤「もうこのコーナー嫌ですって~」
杉田「はい 一つ目のお題は」
杉田『アイドルマスター3が発売! 追加された新要素は?』
田中「二番目!? また中途半端ですね」
春香「ゆかなさんと同じ戦法で早く言いたいんですけど、一番だとハードル高いんで」
春香「リスナーさんが温まってきた二回目がいいかなーって」
杉田「うっせーよwww アイドルになんてこと言ってんだww はい 男AGRS」
男AGRS「えっ? ちょっとww」
杉田「はい 『アイドルマスター3が発売! 追加された新要素は?』」
男AGRS「ディ…… ディスクはタダで、ダウンロードコンテンツでアイドルをプロデュース可能になるっ!」
田中「ありそうだから困る」
天海「はいっ!」
杉田「威勢いいなw 『アイドルマスター3が発売! 追加された新要素は?』」
天海「『募金』っていうお金が引き落とされるだけのDLCがあって……」
天海「その額がオンラインでランキング表示!」
一同「……」
杉田「以上、HOME MADE裸族でした」
佐藤「え!? ちょっと僕しっかり考え(ry」
http://www.youtube.com/watch?v=4bKsKWhCry0
杉田「はい、杉田智和のアニゲラディドゥーーン 本日はここまででーす」
構成坂本「おつかれまでしたー!!」
皆「お疲れ様でしたー!」
杉田「そうですね 天海さん どうでしたか? ディドゥーーンに出た感想は?」
春香「とっても楽しかったです!」
佐藤「100点満点の回答ですよね 正統派アイドルとしては」
杉田「おい! お前ら 生アイドルはどうだったよ?」
佐藤「ちょっとちょっとちょっとwww そんな属性ないからwww」
春香「【脅迫済み他称カワイイ】天海春香って感じですか?」
杉田「ちょっとwww!!! 芸人としての100点満点の答えしてどうするんですかww」
春香「大丈夫です! ほら あそこに社長も居て OKサインしてますし!」
皆「「「「え? あれ! コナンの犯人じゃないの!?」」」」
↓BGM
http://www.youtube.com/watch?v=MDxTMG7qa7E
(フェードアウト)
〈終〉
レディオフォーゲイ ゲストに涼ちんなんて書けません><
以上 終わりです ありがとうございました。
他のアイドルでもやってくれwwww
杉田やSP達の脳内再生余裕でした!
千早のお便りはちと蛇足だったかもしれない
アニゲラでは僕は安元さんゲスト回とクリスマス回シリーズが特に好きです。
>>85
それ本当に思いました
反省してそれを生かして次回のSS(アニゲラネタとは限りませんが)に活かしたいと思います!
次回はサガン鳥栖にアイマスを上手く絡めたSSを書くんだ~い! ひゃっはー!
それでは皆さんジークタケシ!
おれはゆかな回かな
今回たけしが居なかったのが非常に残念
Entry ⇒ 2012.06.20 | Category ⇒ アイマスSS | Comments (0) | Trackbacks (0)
男「…幼馴染分が足りない…」幼馴染「は?」
男「…はは、幼はバカだなぁ」
幼「なんですって?」
男「幼馴染分は、幼馴染に含まれている成分の事だろう?」
幼「男が…男がもうダメだ!」
幼「ていうか、幼馴染成分ってなによ!」
幼「何よ、そのため息、腹立つわね」
男「俺が幼馴染分について、講義してやろう」
幼「別にいらないけど…」
男「例えばさ」
幼「始まっちゃったわ、講義」
幼「そうね」
男「俺が小学2年の時に引っ越してきてからだから…」
男「もう10年近い付き合いだよな?」
幼「そうね、そうなるわね」
男「…これはもう、俺たち、幼馴染の間柄なんじゃないか?」
幼「まぁ、世間一般ではそう言うんじゃない?」
幼「だから、幼馴染分って何なのよ!」
男「そうだな…色々あるが…」
男「幼馴染が醸し出す、ほわーっとした雰囲気の事だよ」
幼「ほわーって何よ、例えばどんな感じなのよ」
男「天然女さんがそれに該当する雰囲気を持っているな」
男「ぽやーっとした感じがするだろ?」
男「『おとこくん、だいすきです。わはー』なんて言われてみろ」
男「それだけで、幼馴染分は満タンまで補給されるな!」
幼「天然女さん…ねぇ?」
幼「あの子、キャラ作ってるのよ」
男「えっ?」
幼「おバカな男子は騙されてるみたいだけれど」
男「…」
幼「ちょっと抜けた感じで男子に接してれば」
幼「色々やってもらったりして、便利なのよ」
男「…うーそーだー!俺は信じねーぞー!」
男「天然女さんは、天然でぽやーっとしてる!」
男「あのぽやーっとした幼馴染分は本物だ!」
幼「まぁ、別に信じてればいいんじゃない?」
幼「私には関係ないし」
男「くそぅ…」
男「お、おう、あるぞ!」
男「女の子は、男の幼馴染を一途に想う!」
男「逆に男の方は鈍感で、その想いに気付かない!」
男「そういったシチュエーション自体が幼馴染分の一つだ!」
幼「へぇー」
男「幼馴染が優しく、もしくは厳しく起こしに来るとか」
幼「厳しく起こすってどんな起こし方よ」
男「…お昼休みには」
男「料理が下手、もしくは超絶上手な幼馴染が」
男「手作りのお弁当を、真っ赤な顔しながら差し出す、とか」
幼「あー、そう言うの、男子は好きそうだわね」
男「泣きそうになったり、嫉妬してみたり、とか」
幼「…女性に夢見すぎじゃない?」
男「帰り道、男の影に自分の影をそっと重ねて…」
男「真っ赤になったりとか」
幼「…」
男「幼馴染分は、私達の生活に浸透している物なのです」
幼「今の話しの中で一つだけ、思い当たる事があるわ」
男「お?どの部分だ?」
幼「男の方の幼馴染が鈍感って所」
男「…」
幼「…でしょ?」
男「俺は鈍感じゃない!鋭い方だ!」
幼「はいはい、鋭い鋭い」
幼「…何よ」
男「朝、俺を起こしに来てくれ!」
男「たまにで良いんで、手作りのお弁当をくれ!」
男「俺がクラスの女子と話してるのを、睨んだりしてくれ!」
男「あと、登下校、一緒にしよう!」
男「それらが全て叶えば」
男「お前の幼馴染成分は100%になり、完全体になるのだよ!」
男「む。これだけ言っても伝わらないのか…」
幼「…だいたいね」
幼「体力作りの為に、朝の5時からランニングしてるあなたを」
幼「私は一体、何時に起こしに行けばいいの?」
男「」
幼「中学に上がった時、冷やかされるのが嫌だって」
幼「あなたが断ってきたんでしょう?」
男「」
幼「私は作るのにやぶさかでないけども」
幼「一流レストランで働いてる、あなたのお父さんが作るお弁当と」
幼「比べられたら、何も作れないわよ!」
男「」
幼「あなた、普段クラスの女子と話さないでしょう」
幼「友君との会話姿でも睨みつければ良いのかしら?」
男「」
幼「補修で居残りさせられる事の多いあなたを」
幼「私はずっと待っていればいいの?」
幼「あなたのご両親の帰りが遅いから」
幼「夕食の支度をする為に早く帰りたい私を」
幼「バカなあなたの補修にまで付き合えって言うつもり?」
男「何か、あの、すいません、幼さん」
幼「はっきり言うけどね」
幼「さっきあなたが言った『幼馴染成分』のほとんどは」
幼「男女がお付き合いする事によって、ほぼ叶う事でしょう?」
幼「つまりそれは『幼馴染成分』じゃなくて」
幼「『彼氏・彼女成分』でしょう?」
幼「違う?」
男「は、はい教授。違わないと思います…」
幼「おかげで勉強はかどらないじゃないの」
男「…その事実だけは言われたくなかった!」
男「勉強し過ぎで、脳みその中の幼馴染分が不足してたから」
男「なんとかして、幼馴染分を補給したかったんだよー」
男「なのに、本物の幼馴染である幼は、幼馴染成分ゼロだし~」
幼「受験勉強、頑張れるって言うの?」
男「おう!頑張れる!」
幼「滑り止めの大学4つ落ちてる人の言う台詞かしらね」
男「本命は!本命だけは落とさない!」
幼「当たり前でしょ、落ちたら許さないわよ」
幼「まぁ、正直余裕ね」
幼「だからこうしてあなたに、勉強を教えているんじゃない」
幼「せっかくの晴れた週末、遊びにもいかずに、ね」
男「ありがとうございます」
幼「そう思っているなら、早く頭を働かせなさい」
チュッ
男「」
男「お前、今の、ちょっと…」
幼「何?文句でもあるのかしら?聞くだけ聞いてあげる」
男「今、ちゅーした?」
幼「したわね」
男「今、俺の口とお前の口が合わさった?」
幼「合わさったわね」
幼「一概にそうとは言い切れないと思うけども」
幼「まあ、一般的にはそうかもね」
男「お、俺とお前は恋人同士か?違うだろう?」
幼「あら、私とした事が」
幼「順番が逆だったわ」
男「順番?」
幼「私とお付き合いして下さい」
男「なっ!なんだって?」
幼「あら、嫌なの?こんな可愛い幼馴染が」
幼「今、あなたに愛の告白をしたのよ?」
幼「もちろん、返事は決まっているわよね?」
男「幼、お前…俺の事が好きだったのか?」
幼「男の方の幼馴染が鈍感って所は当たっているって」
幼「私はあなたの事が大好きよ」
幼「世界で一番愛していると言っても過言じゃないわ」
幼「それに私は」
幼「好きでもない相手に告白したりしない。分かっているでしょう?」
男「お、おう。長い付き合いだもんな」
男「…」
男「俺も幼の事大好きだよ…」
男「こんなダメ男で良ければ、お付き合いして下さい」
幼「はい、これからもずっとずっとよろしくね、男」
男「お、おうこちらこそ、よろしくな、幼」
幼「これからのあなたはダメ男なんかじゃないわ」
男「え?」
幼「正確には、ダメじゃなくなるわ」
幼「だって私があなたを変えるもの」
男「何する気だよ…怖い事言うなよ」
男「え?こんな時間から?まさか全部じゃないよな?」
幼「もちろん」
男「…」
幼「全部よ」
男「え~~~~」
幼「朝まで付き合うわよ。彼女だものね」
幼「…まったくもう」
幼「男は私が居ないとダメなんだから」
ギュッ
男「!」
幼「何よ?可愛い彼女に抱きつかれて幸せじゃないの?」
男「今の!今の台詞!」
男「『まったくもう。男は私が居ないとダメなんだから』」
男「コレはキタ!」
幼「何が来たの?」
男「ツンデレにもヤンデレにもドロデレにもほんわかにも」
男「全ての幼馴染ルートに共通する、良い台詞だ!」
幼「はあ?」
幼「抱きつかれた事より、台詞の方で感謝されてもね…」
幼「じゃあ、彼女成分と、幼馴染成分、両方満タンになった?」
男「はい!なりました!」
幼「じゃあ、勉強再開!」
幼「絶対、私と同じ大学に入ってもらうんだからねっ」
男「おほっ!ツンデレな幼も良いなぁ」
幼「いい加減にしろ、バカ!」
バシッ
おわり
誰か読んでくれていたら嬉しいです
それでは。
クーデレ馴染もええね
俺にもっと幼馴染成分を!
引用元: ・http://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/internet/14562/1339483553/
Entry ⇒ 2012.06.20 | Category ⇒ 幼馴染「」SS | Comments (0) | Trackbacks (0)
岡部「ラボメンガールズに六股がばれた……」
まゆり「……」
フェイリス「……」
ルカ子「……」
萌郁「……」
鈴羽「……」
岡部「……」
紅莉栖「こんな時に厨二秒で逃げるなんてどんな神経してるの?一度開頭して見てみたいものね」
岡部「………」
まゆり「オカリン、まゆしぃはね。別にオカリンが紅莉栖ちゃんたちと仲良くしてたって怒らないよ?」
岡部「まゆり……」
まゆり「だって、まゆしぃはオカリンの人質からお嫁さんにクラスチェンジしたから、そんな事で怒らないのです」
紅莉栖「はっ!?な、何言ってるのまゆり!岡部は私とアメリカで一緒に暮らすって約束したのよ!?」
まゆり「でも紅莉栖ちゃん、オカリンの事、怒ってるんでしょ?仲良くできない人と一緒に暮らすのは無理じゃないかなあ」
紅莉栖「許すもん!怒ってるけど、岡部とは将来を誓ったんだから!私が一番好きだって、キスさてくれたら許すわよ!」
岡部「あ、いや、その……」
フェイリス「止めるニャ、クーニャン。凶真が嫌がってるニャン」
紅莉栖「邪魔しないでフェイリスさん!それに岡部が私とのキスを嫌がる?デタラメ言わないで!」
フェイリス「嘘じゃないニャン。凶真が求めているのはクーニャンのキスじゃない」
ちゅっ
岡部「んむっ!?」
まゆり「……っ!」
紅莉栖「なっ」
ルカ子「ぼ、僕の岡部さんが……」
萌郁「……」ギリッ
鈴羽「抜け駆けなんて……!」
留未穂「岡部さんが求めて私のく、ち、び、る……そうでしょ?岡部さん」
フェイリス「メイクイーンはちゃんと公私を分けてるお店だニャン。それに、凶真と付き合ってるのはフェイリスじゃなくて……」スッ
留未穂「秋葉留未穂、私だよ?クーニャン」
紅莉栖「ぐぬぬっ、そんなのただの言い訳よっ!」
留未穂「クーニャンやマユシィには悪いと思ってる。でも、岡部さんはもう私と共に秋葉を継いで幸せになるの。だからごめんね、みんな。岡部さんの事は諦めて」
まゆり「フェリスちゃん。さっきも言ったけどまゆしぃはオカリンのお嫁さんなんだよ?オカリンの隣にフェリスちゃんはいないのです」
紅莉栖「岡部が住むのは秋葉原じゃない!私と一緒にアメリカに住むの!」
ルカ子「み、みなさん、いい加減にして下さい!お、岡部さんが困ってます」
岡部「ルカ子……」
岡部「うっ……」
まゆり「違うよ紅莉栖ちゃん。オカリンの本命はまゆしぃだから六股じゃないのです」
岡部「そ、それは」
フェイリス「マユシィも違うニャン。凶真はフェイリスの婿だニャン」
岡部「だ、だからそれは、その……」
岡部(そ、そもそもなんでこんな事になった……?)
岡部(俺はただ、ラボメン達と仲を深めただけの筈なのに……)
岡部「なあ、ダル。バイト戦士と助手の仲を見てお前はどう思う?」
ダル「えっ?そりゃ理系女子と体育系女子の濡れ濡れな百合を」
岡部「自重しろHENTAI!そうではない!あいつら、妙に仲が悪いと思わないか?」
ダル「う~ん、まあ、確かに。なんか阿万音氏の方が牧瀬氏を一方的に敵視してる感じだお」
岡部「これは由々しき事態だ!ラボメン同士で不仲の者が居るとガジェット開発に悪影響を与える可能性がある」
ダル「最近入ったばかりだから仕方ないんじゃね?桐生氏もまだラボに馴染めていないみいだし」
岡部「うむ、ここは一つ、ラボメンのリーダーたる俺が一肌脱ぐしかないようだな。この鳳凰院凶真がラボメン同士の不仲を解消してやろうではないか!フゥーハハハ!」
岡部(だから俺は直接ラボメン一人一人に話しかけてラボ内の不満などを聴き回った。確か最初は紅莉栖だったな)
――――
――
紅莉栖「っで、話って?二人きりで話したいなんて言い出すんだから大事な話なんでしょうけど……」
紅莉栖(お、岡部が私と二人きりで話!?ま、まさかこ、告白とかじゃ……)
岡部「うむ、お前に少し尋ねたい事があってな。ラボの事についてなのだが」
紅莉栖「はあ……」
岡部「何故ため息を吐いた」
紅莉栖「ううん、何でもない。少しでも期待した自分に呆れただけ。続けて」
岡部「……? まあいい、続けるぞ。お前がここにラボメンになってまだ日は浅いが……最近、ラボ内で不満などはないか?紅莉栖」
紅莉栖「……ふぇ?」
岡部「どうかしたか?」
紅莉栖「い、いま、あんた私のこと、な、名前で呼ばなかった?」
岡部「それがどうした。不満か?」
紅莉栖「ち、違うけど!その、調子狂うって言うか、なんというか」
岡部「ならこれからも助手と呼ぶ。さて、本題に入るが……」
紅莉栖「ま、待て!」
岡部「なんだ?」
紅莉栖「……でいい」
岡部「なに?」
紅莉栖「紅莉栖でいい……紅莉栖って呼んで。お願い」
岡部「あ、ああ。了解した……」
岡部(……ふ、不覚!この鳳凰院凶真が一瞬とはいえ助手風情にときめいただと!?)
紅莉栖「紅莉栖って呼ばれた……」ポー
岡部「おい、聞いているか?」
紅莉栖「ふぇ!?う、うん、大丈夫、聞いてるわよ」
岡部「ならいいが……」
紅莉栖「不満か……強いて言うならどっかの誰かさんが私にしょっちゅう、ちょっかい掛けてくる事かな」
岡部「バイト戦士か?」
紅莉栖「あんたよ馬鹿!」
岡部「お、俺!?」
岡部「……」
紅莉栖「それに前だって私のプリン勝手に食べたし……」
岡部「……」
紅莉栖「それに」
岡部「わかった」
紅莉栖「えっ?」
岡部「これからはなるべくお前との会話を控える。お前の買ったプリンも食べなし、お前の物には干渉しない。これで実験に専念できるか?」
岡部(まさか原因が俺だったとは……これでラボ内の不仲を解消できればいいのだが)
紅莉栖「……ばか」
岡部「は?」
紅莉栖「ばかばかばかばかばか岡部!あんたってホントばか!」
紅莉栖「なんでそうなるのよ!なんで私に干渉しなくなるのよ!」
岡部「いや、お前が不満だと言ったから」
紅莉栖「私が不満なのは私の扱いについてよ!まゆりほど大切にしろとは言わないけど、もっと、その……大切にして欲しいというか」
岡部「馬鹿はお前だ、助手」
紅莉栖「な、なにっ!?それにいま呼び方が戻ってた!」
岡部「大切に扱ってほしい?馬鹿を言うな、お前は既に俺の大切なラボメンだ」
紅莉栖「!?」
岡部「俺はラボメンの為なら何でもするつもりだ。これでも不満か……?」
紅莉栖「えっ?あ、と、ううん……不満じゃ、ない……」
岡部「なんだ?まだ不満があるのか?」
紅莉栖「不満とかじゃないんだけど、えっと、その……わ、私って来月にはアメリカに帰るじゃない」
岡部「……ああ」
紅莉栖「私がアメリカに帰った後も、岡部は私の事、覚えていてくれる……?」
岡部「……どうやらお前は勘違いしているようだから言っておく」
紅莉栖「か、勘違い?」
岡部「お前がアメリカに帰ろうとも、お前がラボメンであるのに変わりはない。ラボメンナンバー004はずっと牧瀬紅莉栖のものだ。」
紅莉栖「……っ」
岡部「だからいつでも帰ってくるがいい。ラボはお前の居場所なのだからな」
紅莉栖「岡部……」
紅莉栖「べ、別にそこまでしなくても」
岡部「言った筈だ。ラボメンの為ならなんでもすると。何ならかまってちゃんのお前のために俺が向こうに住んでお前を未来ガジェット研究所アメリカ支部の助手として雇ってやってもいいのだぞ?クリスティーナよ」
紅莉栖「あ、アメリカで一緒に住む!?」
岡部「なっ、誰も一緒にとは言っとらんだろーが!それに今のは例えだ、あまり本気にするな」
紅莉栖「岡部が、私と一緒に……」
岡部「っで、他に不満は何かあるか?」
紅莉栖「不満?ある訳ないじゃない。いま、最高に幸せよっ……ふふ」
岡部「うむ、ではこれからもガジェットの開発に励むがいい」
岡部(紅莉栖は俺に不満があったみたいだが……どうやら解消されたみたいだな)
――
岡部「……あれ?」
岡部(おかしい……いま思い返してみると俺、別に紅莉栖とアメリカに一緒に住む約束などしていないのでは……)
岡部(あれはあくまで例えであり、冗談のようなものだった筈だが)
岡部「ふむ……」
岡部(嫌な予感がする……まさか他の連中も)
岡部(とりあえず、次はまゆりの時の会話を思い返してみるか)
――
まゆり「トゥットゥルー♪オカリン、お話ってなあに?」
岡部「いや、あまり大した事じゃないんだがな」
岡部(まゆりがラボに不満を抱いているとは思えないが、一応聞いておくか)
岡部「最近ラボメンが一気に増えただろ?」
まゆり「うんっ、紅莉栖ちゃんに萌郁さん、ルカくんとフイリスちゃん、スズさんも!」
岡部「ああ、その影響で我がラボ内の環境が大きく変わった。その事でなにか不満なんな事はないか?」
まゆり「不満なこと~?う~ん、まゆしぃはラボが賑やかになって嬉しいかなあ」
岡部「そうか、ならいい」
岡部(やはり、まゆりならこう答えるな。昔から変わらないな、こいつは)
まゆり「あっ、でも一つだけ……」
岡部「な、なに!?」
岡部(あのまゆりが不満に思う事があるのが!?)
岡部「な、なんだ!あるのか!?誰が原因だ?ダルか?ダルのセクハラ発言か?それともイカ臭いゴミ箱か!?」
まゆり「ダルくんじゃないよ~」
岡部「じゃ、じゃあ何が不満なんだ?」
まゆり「う~ん、でもこれ、まゆしぃのワガママなんだけどね」
岡部「なんだ?」
まゆり「最近、オカリンと二人きりの時間が減ったなあって」
岡部「えっ?」
岡部「あの時はまだダルもいなかったな」
まゆり「……二人でずっと喋らないままラボに居た日もあったね」
岡部「……俺は別に嫌ではなかった」
まゆり「うん、まゆしぃも。オカリンと一緒に居る時間がゆっくり流れてるみたいで、心地よかったなあ」
岡部「……ああ、心地よかった」
まゆり「そういう時間、最近はなかったなあって思って」
岡部「まゆり……」
まゆり「昔みたいにオカリンと二人きりで居れる時間が減っていくのは寂しいのです」
岡部「……まったく、馬鹿だな。まゆりは」
ぎゃっ
まゆり「ふぇ?」
岡部「……確かにラボメンが増えた事により、二人きりになる機会は減った」
まゆり「………」
岡部「だがな、まゆり。二人きりの時間が減っのなら、どこかで埋め合わせればいい。俺たちはこれからもずっと一緒なのだから、それくらい、いくらでもできる」
まゆり「ずっと、一緒……?」
岡部「無論だ。お前はあの日からずっと俺の人質なんだ。大切な、掛け替えのない人質だ。勝手にどこかへ行ったら許さんからな」
まゆり「オカリンっ……」
ぎゅっー
岡部「なっ、お、おい……」
まゆり「オカリン、ずっと、ずっと一緒だよ?」
岡部「何度も言わせるな。分かっている」ナデナデ
まゆり「えへへっ、オカリン、あったかいのです」
岡部「こうやって抱き締めるのは、久しぶりだな……」
まゆり「うんっ」
岡部「……たまには、悪くないかもな」
岡部「あれ?」
まゆり「……お、お嫁さんだよ」
岡部「なっ!」
まゆり「まゆしぃはオカリンとちゅーした事もあるし、本当にお嫁さんみたいだねっ」
岡部「ば、ばか!あれはただのイタズラと言うか、何というか……」
まゆり「えっ…イタズラでまゆしぃとちゅーしたの?」
岡部「あ、いや、ち、違う!……あれは、その、んむっ!?」
ちゅっ
まゆり「んっ、えへへ。イタズラのお返しなのです」
岡部「なっ……」
まゆり「ええー?でも、まゆしぃにちゅーしたのもイタズラだったんだよね」
岡部「が、ガキの時のキスと今の俺たちでやるキスを一緒にするでない!」
まゆり「えへへ」
岡部「ったく、今の俺たちでやると本当に夫婦のようではないか」
まゆり「ふぇ?」
岡部「あ、いや、今のは単なる例えだ」
まゆり「ふうふ……オカリンと?まゆしぃはオカリンのお嫁さんになるって事だよね……えへへ」
岡部「ま、まゆり?と、とりあえず、もう不満はないのだな?」
まゆり「うんっ、まゆしぃは大満足なのです」
岡部「よ、よし、では話は以上だ!さらば!」バッ
岡部(い、いかん!まゆりとのキスで心臓がうるさい!こ、これ以上まゆりの顔を見てたら俺は、まゆりを……!)
――
岡部「あっるぇー?」
岡部(た、確かにまゆりとは抱きしめてキスをしたが嫁にするとは……)
岡部(いやいやいや!何を言っている!?)
岡部(年頃の少女にハグしたうえにキスだぞ!?そこまでしたのなら責任をとって嫁にすべきなのか!?)
岡部(お、お、落ち着け、れれ冷静になれ……)
岡部(ま、まゆりの件はいったん置いておこう。とりあえず、次だ。次は確かバイト戦士だったな)
――
鈴羽「うぃーっす、お邪魔するよー」
岡部「うむ、来たかバイト戦士よ」
鈴羽「二人きりで話がしたいって言ったけど、話ってなに?」ゴクリ
岡部「そう緊張するな。ラボに関する簡単な質問だ」
鈴羽「へっ?なーんだ、そんな事か。あたしはてっきり真面目な話だと思ったよ」
岡部「一応、真面目な話なのだが……まあいい、単刀直入に聞くが、バイト戦士」
鈴羽「なーに?」
岡部「お前、ラボに関して不満などはあるか?」
鈴羽「不満かー、う~ん。ないよっ」
岡部「はあっ?」
鈴羽「何でそんな期待外れでした、みたいな顔すんのさ。不満があった方が良かったの?」
岡部「いや、そういう訳ではないのだが……」
岡部(ふむ、ここはストレートに聞いてみるか……)
岡部「お前は紅莉栖に対して不満を抱いてそうだと思ったのだが……」
岡部「随分と仲が悪いようだから、その事に関して不満ではないのか?」
鈴羽「確かにあたしは牧瀬紅莉栖は嫌いだけど、それはあたし個人の感情だからね。ラボに関しては全く不満はないよ?」
岡部「むっ、そうか……しかし、お前が何故紅莉栖を嫌いかは知らないが、仲良くはできないのか?」
鈴羽「それはちょっと難しいかも……ごめん、もしかしてあたしのせいでラボの空気悪くしてた?」
岡部「いや、気にするな。誰にだって苦手な人物はいる。別に無理して仲良くしてくれとは言わん」
鈴羽「あはは……でもその件でこの前も椎名まゆりに心配掛けちゃったしね。やっぱり、あたしをラボメンに入れなかった方が」
岡部「そんな事はない」
岡部「お前はこの俺が選んだラボメンなのだ。不要な訳がない」
鈴羽「でも、あたし……君たちと会ってまだ日が浅いんだよ?このじだ、……この街の事も詳しくないし」
岡部「それなら紅莉栖や指圧師も同じだ」
鈴羽「でも……」
岡部「ええい!らしくないぞバイト戦士よ!」
鈴羽「……」
岡部「過ごした時間の多さなど関係ない。見知らぬ土地から来たとしても関係ない……お前はラボメンなのだ。俺の大切な仲間だ」
鈴羽「岡部倫太郎……」
岡部「ふんっ、馬鹿を言うな。俺は狂気のマッドサイエンティスト、鳳凰院凶真だ!決していい奴などではない!覚えておけ」
鈴羽「はいはいっ、分かってるって」
岡部「ぐぬぬ、馬鹿にしおって」
鈴羽「ねえ、岡部倫太郎」
岡部「なんだ?」
鈴羽「君はさっき、過ごした時間なんて関係ないって言ったよね」
岡部「……ああ」
岡部「父親を探しているのだろ?」
鈴羽「うん……殆どあった事のないけどね」
鈴羽「あたしさ、不安だったんだ。父親とはいえ殆ど会った事のない人に会うために、大事な用事をほっぽりだして寄り道してていいのかなって」
岡部「大事な用事?」
鈴羽「……あっ、いけね」
岡部「話してはまずい事だったか?別に追求するつもりはないが」
鈴羽「……ありがと」
岡部「ああ」
鈴羽「一緒に過ごした時間が少ない父親だからさ。父親探し、諦めるつもりだったんだけど……」
岡部「前に言った筈だ。協力すると」
鈴羽「うん。君のその言葉であたしはもう一度父さんを探す気になれた」
鈴羽「それにさっきの気付いた。過ごした時間は少なくても、父さんは父さんだって」
岡部「当然だ、俺はラボメンのリーダーだからな!フゥーハハハ!」
岡部「だからこれからも頼るがいい。ラボメンナンバー008、阿万音鈴羽よ。お前はラボメンなのだ遠慮はいらん」
鈴羽「……本当に、君に会えて良かった」
岡部(……鈴羽は特に不満はなかったようだが、うむ、取りあえずはこれでよし、か)
鈴羽「ね、ねえ。岡部倫太郎」
岡部「なんだ?」
鈴羽「全部、もし全部終わったら、今度この街を案内して貰っていい?」
岡部「全部、が何を指すか知らんがいいだろう!秋葉原と言わず、お前が満足するまでずっと付き合ってやろう」
鈴羽「ず、ずっと!?」
岡部「あ、ああ」
岡部(食いつく所、そこか?)
鈴羽「本当に?」
岡部「無論だ。例えその全部が終わるのが何年先でも、その時はとことん付き合う」
鈴羽「やった!」
――
岡部(うむ、鈴羽は普通だったな)
岡部(普通だった筈だ……なのになんで)
鈴羽「ふふっ、全部解決して岡部倫太郎に会えるのは26年後か~まっ、その時代の頃には、これくらいの年の差結婚も普通だよね」
岡部(まるで意味がわからんぞ。あいつは何を言っているのだ……)
岡部(と、とりあえず次に行くか。次はフェイリスだったな)
岡部(確かあいつは……)
――
フェイリス「ニャニャ、凶真がフェイリスを呼び出すなんて珍しいニャン」
岡部「悪いな、忙しい中わざわざ来て貰って。少し聞きたい事があるのだが」
フェイリス「いないニャン!」
岡部「……はぁ?」
フェイリス「だから、フェイリスには今付き合ってる男性はいないニャン!凶真、チャンスだニャン!」
岡部「………そんなどうでもいい事は尋ねていない」
フェイリス「ニャ~どうでもいいって酷いニャン」
岡部「フェイリス、お前はラボで不満を感じる事はあるか?」
フェイリス「ニャあ?不満かニャ?」
フェイリス「ニャるほど、そういう事かニャ」
岡部「お前に限って不満などないと思うが、一応聞いておく」
フェイリス「不満ならあるニャン」
岡部「なに?言ってみろ。出来るだけ改善はするつもりだ」
フェイリス「凶真のフェイリスに対するツン度がやや高めだニャン」
岡部「……は?」
フェイリス「もっとフェイリスにデレてほしいニャン!」
岡部「……ダメだこいつ。早くなんとかしないと」
岡部「前にも言ったが俺はウソで塗り固めた女に興味はない。残念だったな」
フェイリス「うニャ~マユシィとの格差が酷いニャ~」
岡部「……助手も同じ事を言っていたが、そんなにも違うか?お前やクリスティーナへの接し方とまゆりへの接し方」
フェイリス「凶真はマユシィにデレデレだニャン!ツン:デレ比率が9:1だニャン、ツンデレ失格ニャン!」
岡部「誰がツンデレだ!ったく……」
岡部(しかし、フェイリスたちの言っている事にも一理あるな……)
岡部(ここは一度、接し方も考え直さねばな)
岡部「……了解した」
フェイリス「ふにゃ?」
岡部「お前が言うなら接し方を変えてみようと思う。どうだ?留未穂」
フェイリス「ええっ!?」
岡部「接し方を変えろと言ったのはお前だ。それに今はメイクイーンのメイドじゃないだろ」
フェイリス「フェイリスはオフの日でもフェイリスだニャン」
岡部「俺はまゆりを名前以外ではな呼ばん。まゆりと同じような扱いという事は、呼び名も名前で呼ぶという事だ
フェイリス「ニャニャ……」
岡部「フッ、まあそれがどうしても嫌なら今まで通り接してやってもいいがな!フゥーハハハ!」
岡部「条件?なんだ」
フェイリス「真名で呼ぶのは凶真と二人きりの時にしてほしいニャ」
岡部「さすがにメイクイーンでお前を本名で呼ぶつもりはないが」
フェイリス「それともう一つ」スッ
岡部「……? なぜネコミミを外す」
留未穂「留未穂って呼ぶのはネコミミを付けてない時に、ね?」
岡部「あ、ああ」
岡部(フェイリスなりの公私の区別の付け方なのだかろうか)
留未穂「ふふっ、女の子はみんな裏と表があるんだよ?」
岡部「まゆりに裏表があるとは思えんがな」
留未穂「そうだね。マユシィには裏表がないかも。だから私の大切な友達なんだけどね」
岡部「まゆりとは仲良くしているか?」
留未穂「もちろんだよ。マユシィはとってもいい子だし、それに私の本名を知ってる数少ない友達だし」
岡部「数少ない、か。留未穂、七人も仲間がいてまだ不満か?」
留未穂「えっ?」
留未穂「凶真……」
岡部「確かに萌郁や紅莉栖、鈴羽はまだお前とちゃんと顔を合わした回数も少ないだろうが、あいつらみんな良い奴らだ。まゆりに劣らず、お前の友になってくれるさ。俺が保証する」
留未穂「……」
岡部「……お前は、もう少し俺たちを頼っていい。フェイリスという仮面で俺たちと距離を置こうとするな」
留未穂「……でも、私はみんなの前ではフェイリスでいたい」
岡部「なら、俺の前だけでもフェイリスの仮面を脱げばいい。ずっと演じ続ける事が難しいのは、俺も知っている」
留未穂「……いいの?」
岡部「無論だ」
岡部「別に意識して接し方を変えているつもりはないのだがな」
留未穂「そっか。いいなあ、マユシィ。ちょっと嫉妬しちゃうかも」
岡部「何を言ってる。留未穂に対してはこれからもこういう風に接するつもりだが」
留未穂「えっ?」
岡部「お前が仮面を脱ぐのなら、俺もまた仮面を脱ごう。秋葉留未穂には鳳凰院凶真ではなく、岡部倫太郎として接するつもりだ。不満か?」
留未穂「えっ?、ううん、不満じゃないよ、で、でも……」
岡部「なんだ……?」
岡部「……お前に名字呼びされると何だか違和感があるな、っで、なにがだ?」
留未穂「あ、秋葉留未穂と岡部倫太郎として付き合うって、こと」
岡部(付き合う? 接する、という意味か)
留未穂「秋葉と付き合うって事は、凶真にも色々と覚悟が必要だよ。それでもいいの?」
岡部「そんなものは関係ない。俺はお前と、岡部倫太郎として向き合うつもりだ」
岡部(というか、何故留未穂と接するのに覚悟が必要になるのだ)
留未穂「そ、そっか。うん、分かったよ。凶真がそう言うなら……わ、私も凶真の気持ちは嬉しいから」
岡部「名前で呼ばれるのはさらに違和感がある……」
留未穂「これからも、ずっと二人でこの街に……ふふっ」
岡部(まあ、当分はこの土地を離れるつもりはないが……ずっと、二人で?)
留未穂「えいっ」
ぎゅっ
岡部「なっ、お、おいっ!留未穂!いきなりなにを」
スチャ
フェイリス「残念でしたニャン!いまはフェイリスだニャン!」ムギュー
岡部「こ、こら!離れろ!」ブンブン
フェイリス「断るニャーン」ギュー
岡部「ぐぬぬ、ネコ娘め!」
フェイリス「あははっ、フェイリスも凶真とずっと一緒だニャン♪」
岡部(……まあ、これでこいつも他のラボメンと距離を置くことなく接する事ができるだろう。抱き付くのは、今日くらいいいか)
――
岡部「ふむん……」
留未穂「ふふっ、大好きっ倫太郎さん」ムギュー
岡部(……あれれー?もしかしてあの時の付き合うってそういう意味だったんじゃ)
フェイリス「凶真っ、凶真っ」ペロペロ
岡部「み、耳はやめろっ」
フェイリス「にゃふふっ」
岡部(ま、まずい、では俺は秋葉を継ぐのか?フェイリスいや、留未穂と一緒に!?)
岡部(お、おおお落ち着け、とりあえずルカ子と萌郁の状況も思い出そう。こ、これは決して現実逃避ではないからな!)
岡部(た、たしかルカ子は……)
――
ルカ子「あっ、岡部、じゃなかった、凶真さんこんにちは」
岡部「ああ、ルカ子よ。よく来てくれた」
ルカ子「あの、大事なお話って何ですか?」
岡部「ラボの事についてだ」
ルカ子「ラボの事?」
岡部「うむ、ルカ子よ。最近ラボで不満などはあるか?」
ルカ子「不満、ですか?」
岡部「遠慮はいらん。言ってくれ」
岡部「ふむ、そうか……」
岡部(ここまで聞く限りでは、みんなあまりラボに不満を持っている訳ではないのか)
岡部「ではお前個人に悩み事はあるか?」
ルカ子「えっ?ぼ、僕ですか?」
岡部「そうだ。ラボメン抱える悩みは俺の悩みだ。あるなら言ってみろ。すぐさま解決してみせる」
ルカ子「えっと、その、僕、は……」モジモジ
岡部(悩みはあるみたいだが、中々話せないのか……? 恥ずかしい話題なのか、顔も赤い……んっ?これはもしや……)
岡部「フゥーハハハ!るぅか子よ。悩みを言えないのならお前の師である俺が当ててやろう!ズバリ!恋煩いだな!」
ルカ子「ふぇ!?な、なんで」
ルカ子「ええっ、そんなあ」ペタペアフキフキ
岡部「……冗句だ。お前の様子を見れはそれくらい分かる。俺はお前の師だからな」
ルカ子「そ、そうですか」
岡部「それで?」
ルカ子「ふぇ?」
岡部「相手はどんな奴だ?」
ルカ子「ええっ!?」
岡部「ほう、言えない、という事はその意中の相手は俺の知っている奴か?」
ルカ子「はひっ!?な、なんで……」
岡部(うむ、実に分かりやすい奴だ。しかしルカ子が恋煩いとはな。相手は誰だ?順当に考えると同じ学校に通うまゆりか……)
岡部(……ん?)
岡部「る、ルカ子よ、一つ聞くが……」
ルカ子「な、なんですか?」
岡部「お前は、男、だよな……」
ルカ子「えっ?」
岡部(な、泣いた!?し、しまった……この世界線のルカ子は女か!?)
岡部「えっ?あ、いや、違うぞ?その、お前の意中の相手は『おとこ』かと聞いたのだ」
ルカ子「は、はい……男の方です」
岡部「違う!性別を聞いたのではない!その意中の相手は『漢』なのかと聞いたのだ!」
ルカ子「へっ?」
岡部(くっ、誤魔化すにしても、少し無理やりすぎたか?)
岡部「男だとか女だとか、そんな事はどうでもいい!初めてお前に会って言った俺の言葉、覚えているか?」
ルカ子「は、はいっ」
ルカ子「中身、ですか?」
岡部「そうだ。ルカ子よ、その意中の相手の中身をちゃんと見た上で惚れたのか?」
ルカ子「えっ?」
岡部「見た目で人を選ぶなとは言わん。だがな、ルカ子よ。そいつの事をちゃんと知り、理解した上で好きだと言えなければダメだと俺は思う」
ルカ子「そっ、その人は……み、見た目もかっこよくて、中身も素敵な方です」チラチラ
岡部「な、なるほど、……完璧だな」
岡部(見た目がよくて、中身もいいか……まあ、ルカ子が上辺だけで人を好きにるとは思えないしな)
ルカ子「えっ?」
岡部「思いを伝えたのかと聞いたのだ。好きなのだろう?そいつの事」
ルカ子「こ、告白なんて無理ですっ、そ、そんな僕なんかが」
ペシ
ルカ子「あぅっ」
岡部「お前の悪いくせだ。すぐ自分なんか、と言って卑屈になる。もっと自信を持て」
ルカ子「岡部さんでも……」
岡部「それに何故そこまで弱気になる?お前に告白されて断る男なんて殆どいないぞ?」
ルカ子「ふぇ?」
どっちがいい?
岡部(あっ、て、手を……)
岡部「む、無論だ。美人で性格もよく、料理もできる。今時珍しい大和撫子だ。普通、告白を断る男などおらん」
岡部(ルカ子を虜にするとは……羨ましい奴だな)
ルカ子「で、でも……その方の周りには魅力的な女性がたくさんいて、僕なんかを選んでくれるかどうか」
岡部「なっ、に……!」
岡部(けしからん!実にけしからん!ルカ子に惚れられた上でさらに周りに女がいるだと!?エロゲの主人公か、そいつは!)
ルカ子「ま、まだ誰とも付き合ってないと思います……たぶん」チラチラ
岡部「ふむ、ではまだチャンスはある筈だ。その男の周りにいる女はどんな奴がいる?」
ルカ子「へっ?えっと……まゆ、あ、えっと幼馴染みのかわいい女の子と、まき、じゃない、科学者をしてる綺麗な人と……あと」
岡部(幼馴染みに科学者……? どこかで見た組み合わせだな)
ルカ子「かわいいメイドさんと、元気な女の方と、寡黙な大人の女性がいます……」
岡部「………」
岡部(えっ、あれ?なにこれデジャヴュ?)
ルカ子「は、はいっ」
岡部「お、お前のその意中の相手は……俺の身近にいたりするのか?」
ルカ子「……っ!」
ルカ子「……はい」
岡部「そ、そうか」
ルカ子「……」
岡部「すまない、ルカ子」
ルカ子「えっ」ジワッ
岡部「今まで気付いてやれなくて……」
ギュッ
ルカ子「ふぇ?」
ルカ子「へっ?」
岡部「確かに見た目より中身が重要だと言った!だが!ダルは中身がHENTAIだ!確かに良い奴ではある!だが、HENTAIだ!」
ルカ子「……違います」
岡部「えっ?違うのか?」
ルカ子「ぼ、僕が好きなのは岡部さんですっ!」
岡部「はっ?」
ルカ子「あっ……」
ルカ子「はぅ」
ルカ子「は、はいっ!」
岡部「そ、そうか……本気か」
ルカ子「お、岡部さんは、僕のこと、どう思ってますか?」
岡部「お、俺か!?俺は、その……」
岡部(ま、まさかルカ子から告白されるとは……! これも機関の仕業か!)アセアセ
ルカ子「岡部さんっ……」ウルウル
岡部「お、俺は……」
岡部(ど、どうする!?だいたいルカ子は男じゃ……あれ?男じゃない?問題ない、のか?)
ギュッ
ルカ子「ふぇ、あっ……」
岡部「急の告白だから、その……今すぐには返事はできない」
ルカ子「……そう、ですよね。迷惑、でしたよね」
岡部「違う!迷惑などではない!俺は、お前の想いに対して真剣に向き合うつもりだ!だから、その為に考える時間をくれ」
ルカ子「は、はいっ!」
ルカ子(真剣に向き合うってことは、お付き合いしてもいい、って事なのかな……?)
岡部(と、とりあえず考える時間が必要だ。こ、こんな事今すぐ答えられる訳がないだろ!)
岡部「その、だな……俺がどんな返事を出そうとも、お前は俺の側にいてくれるか?」
岡部(弟子として、そしてラボメンとして)
ルカ子「も、もちろんですっ」
ルカ子(本妻がダメなら……妾でも)
――
岡部「……Oh」
岡部(そ、そういえばあれきり、まだ返事を返していなかった……だ、だが!まだ一週間だ!大事な事だ。あと三日くらい考えてから返事を)
ルカ子「岡部さんの側にいられるなら、僕……それだけで幸せです」
岡部(い、いかん!何を言っているのだ俺はああああ!逃げるな!今日だ、今日必ずルカ子に返事を返す!)キリッ
岡部「……」
岡部(そ、その前に指圧師の事も思い返しておくか、フゥーハハハ……)
――
萌郁「……」カチカチカチ
岡部「来たか、指圧師よ。先に言っておくが、ケータイは見ないぞ?口で話せ」
萌郁「……」ションボリ
岡部「全く……それで、今日お前に来て貰った理由なんだが、少し聞きたい事があってな」
萌郁「……?」
岡部「最近、と言ってもお前はラボに加入したばかりだが……ラボで不満などはないか?」
萌郁「……不満?」
岡部「ああ、何か不満に感じる事はあるか?」
岡部「俺が?」
岡部(また俺に関する事か……ラボメン全員、ラボよりも俺に不満を抱いてないか?)
萌郁「メール、見てくれない……」
岡部「今言っただろうが!口で話せ!口で!」
萌郁「ごめん、なさい……喋るの、苦手だから……」
岡部「……お前はいつまでもメールに頼ったままでいるつもりだ? このままではダメな事くらい、分かるだろ」
萌郁「………」
萌郁「家族、は……いない……」
岡部「……すまない。余計な事を聞いたな」
萌郁「別に、いい……」
岡部「……」
萌郁「……」
岡部「しあつ、……萌郁」
萌郁「……!」
岡部「喋るのが苦手と言ったな」
萌郁「……」コクリ
岡部「苦手なものは努力で克服できる。だが、逃げていてはいつまでも苦手なままだ」
岡部「ラボメンは、他人ではないだろ?」
萌郁「……っ」
岡部「まゆりやダル。助手やフェイリス、ルカ子でも、誰だっていい。一度メールを使わずに会話をしてみたらどうだ?」
萌郁「……みんなと、会話……でも、話掛けるなんて、」
岡部「なら俺が付き合ってやろう」
萌郁「……えっ?」
岡部「ラボメンが抱える問題は全て俺が何とかする」
萌郁「でも」
岡部「最初は俺のほうから話しかけて、その返事を返すだけでいい。まだその方が楽だろ?」
岡部「なんだ?」
萌郁「……どう、して……そんなに、して、くれるの?」
岡部「言った筈だ。お前がラボメンだからだ」
萌郁「まだ、会ったばかり……なのに」
岡部「関係ない!ラボメンはラボメンだ。俺の、大切な仲間だ」
萌郁「なか、ま……」
岡部「そうだ。だからお前も遠慮する事なくいつでもラボに来るがいい。ラボは既にお前の居場所なのだから」
萌郁「居、場所……わ、わたし、の?」
岡部「も、萌郁!な、何故泣く!さっき言った中に不快な言葉があったか!?」
萌郁「ちが、う……違う、の……岡部、くん」グスッ
岡部「萌郁……?」
萌郁「私の、居場所……あったんだって、嬉しくて、それで……」グスッ
岡部「………」
ギュッ
萌郁「あっ……」
岡部「か、勘違いするなよ。今誰かが入ってきたら俺がお前を泣かしたように思われるからな!こうしておけば、泣き顔は誰にも見られないだろう」
萌郁「岡部、くん……」ムギュ
岡部「だから、今は思い切り泣くがいい、萌郁……」
萌郁「うん、ごめん、なさい……白衣、汚しちゃって」
岡部「気にするな」
萌郁「でも……」
岡部「気にするなと言った。泣きたい時に泣くのは一番だ」
萌郁「……ありがとう、岡部くん」
岡部「礼などいらん、ラボメンのリーダーとして当然の事をしたまでだ。だからこれからも頼ってくれていい」ナデナデ
萌郁「んっ……」
岡部「っ、す、すまない!……過ぎた真似をしすぎたな」バッ
岡部(昔はこうやってまゆりを抱き締めて頭を撫でる事があったが、その癖が残っていたか……)
萌郁「……っと」
岡部「……えっ?」
萌郁「岡部、くん、もっと……」
岡部「なっ!で、できるか!そんな恥ずかしい事、またやれなど」
萌郁「……だめ?」
萌郁「んっ……」
岡部「……なあ、そろそろ」ナデナデ
萌郁「もっと……」
岡部「しかしだなあ……」ナデナデ
萌郁「……だめ?」
岡部「くっ、し、仕方ない。これもラボメンの頼みだからな。これで最後だぞ?」ナデナデ
萌郁「うん……」
岡部(これではどっちが年上か分からないな……)
萌郁「岡部、くん……」
岡部「どうした?」
萌郁「私の、居場所……ずっとここに居て、いいの?」ムギュゥ
岡部(ここ、とはラボの事か)
岡部「もちろんだ。ここは、これからもずっとお前の居場所だ。俺が保証する」
萌郁「……岡部、くんが、私の、居場所……これからも、ずっと……」
――
岡部「……うむ」
萌郁「岡部くんは私の居場所、岡部くんはずっと一緒に居てくれる、岡部くんのためならなんだってする、岡部くん、岡部くん、岡部くん、岡部くん、岡部くん、岡部くん、岡部くん、岡部くん、岡部くん……」
岡部(ま、まさか……萌郁の言っていた『ここ』というのはラボではなく、俺を差す言葉だったのか?)
萌郁「岡部くんにまたナデナデしてほしい、抱き締めてほしい、私を抱いて、岡部くん岡部くん岡部くん岡部くん岡部くん岡部くん岡部くん」
岡部「……」
岡部(お、俺はそれに対して何と答えた? たしか、ずっとここがお前の居場所とか言ったような……)
岡部「……」
病んでらっしゃる
まゆり「オカリン……」
鈴羽「岡部倫太郎……」
フェイリス「凶真……」
ルカ子「岡部さん……」
萌郁「岡部くん岡部くん岡部くん岡部くん岡部くん岡部くん岡部くん岡部くん岡部くん岡部くん……」
岡部「お、俺はどうすれば……」
ダル「全員と付き合ったらよくね?」
岡部「!?」
紅莉栖「橋田いたの?」
ダル「いたお」
まゆり「ダルくんいたんだ」
ダル「最初からいたお!」
フェイリス「ダルニャンいたんだ」
ダル「フェイリスたんまで……」
ルカ子「いたんですか、橋田さん」
ダル「だ、だから最初から開発室に」
萌郁「気付かな、かった……」
ダル「……」
鈴羽「へーいたんだ、橋田至」
ダル「なんか、阿万音氏に言われるのが一番ショック……なんでだろ」
火 ルカ子
水 鈴羽
木 もえいく
金 フェイリス
土 まゆり
日 全員
お前…
天才じゃね?
岡部「だ、誰にも手を出しとらんわ!」
岡部(……あれ?ちょっと待て)
岡部(俺は確かに紅莉栖にアメリカに住んでもいいと言った。また、冗談みたいなものであるが……だが付き合ってはいない)
岡部(鈴羽やフェイリス、萌郁にだって……彼女になった訳ではない)
岡部(まゆりとはハグしてキスしただけだし、ルカ子には告白されただけだ)
岡部「……いや、最後の二人はまずいな」
岡部(だが、考えてみると……)
岡部「誰とも付き合ってないのだから、六股ではなくないか?」
まゆり「……」
鈴羽「……」
フェイリス「……」
ルカ子「……」
萌郁「……」
岡部「な、何故みんなそこで黙るのだ?じ、事実だろ?」
ダル「オカリン……」
岡部「な、なんだ……」
ダル「この場でその発言はバッドだお」
岡部「えっ?」
岡部「なっ!」
紅莉栖「わ、私と、あめりかに行ってくれるって、いっしょに住むって!うそだったのっ?」
岡部「あ、あれは例えの話だと言っただろ!」
紅莉栖「うそだったんだ……」ジワッ
岡部「いや、だから、それは……」
ギュッ
岡部「わっ!だ、誰だ!急に後ろから抱き付いてくるな!危な……まゆり?」
まゆり「オカリン……」グスッ
岡部「な、なんでお前まで泣いているのだ!?」アセアセ
まゆり「オカリンは、まゆしぃをお嫁さんにしてくれるんじゃなかったの……?」
岡部「お、お嫁さんだと!?」
まゆり「まゆしぃ、この一週間苦手なお料理の練習をしてお嫁さん修行してたのに……オカリンのお嫁さんになれないなんて」グスッ
まゆり「おばあちゃん……まゆしぃ、もうダメみたい。オカリンのそばに居られないならまゆしぃはおばあちゃんのそばに居た方が……」フラフラ
岡部「ば、馬鹿!早まるな!!まゆり!」
ガシッ
岡部「ええい誰だ!離せ!まゆりが…!」
フェイリス「凶真……ひどいニャン」スッ
留未穂「私と、秋葉を継いでこの街で生きていくって誓ったのは、うそだったの……?」グスッ
岡部「はああ!?そんな事、誓った覚えはないぞ!?」
岡部「そ、そんな目で見るな」
留未穂「凶真は、倫太郎さんはずっと一緒に居てくれるって、言ったのに……」
岡部「だ、だからそれはお前の勘違いであって……」
ガシッ
岡部「おぅ、だ、だれだ……わ、脇腹に思い切りタックルを食らわした奴は……」
鈴羽「失望したよ、岡部倫太郎……」
岡部「す、鈴羽……」
鈴羽「誰とも付き合ってないなんてウソだ。君はあたしと付き合うって、言ったじゃないか!」グスッ
岡部「そ、それは街の案内に付き合うという意味で……」
鈴羽「言い訳なんて聞きたくない!」
岡部「は?」
鈴羽「それでも私たちなら、きっと乗り越えていける筈だよ!だから岡部倫太郎、今からでも遅くない。さっきの言葉を訂正するんだ」
岡部「な、何を言ってるんだ、お前は……」
ギュッ
岡部「こ、今度はルカ子か」
ルカ子「お、岡部さん……」
岡部「な、なんだ?言っておくがお前とも嫁にする約束はしていない筈だが」
ルカ子「こ、この前の告白の返事、聞かせて下さいっ!」
岡部「えっ」
岡部(なっ、何故このタイミングで言うのだ!?)
紅莉栖「こ、告白……?」
まゆり「ルカちゃんが、オカリンに……?」
留未穂「聞いてないよ、倫太郎さん……」
鈴羽「あたしと付き合うって、言ったのに!言ったのに!」
萌郁「……」ギリ
ダル「うわあ……オカリン、骨くらいは残ってたら拾ってやるお」
岡部「お、俺は……んむっ!」
萌郁「返事は、させない…」
岡部(も、萌郁か!?くっ、口の中に手をを無理やり突っ込まれた)
岡部「もが、あが、……」
ルカ子「そ、そんなっ!桐生さん、岡部さんが嫌がってますっ、離して下さい」
萌郁「ダメ……岡部、くんは、私の居場所……私は、岡部くんの全て、私は岡部くんの、岡部くん岡部くん岡部くん」
岡部「もがっ、あっ、は、離せ!」バッ
萌郁「あっ……」
岡部「ふっ、」
岡部「ふふっ」
岡部「フゥーハハハ!」
ダル「オカリン……とうとう壊れたか」
岡部「壊れてなどおらん!お前たち!聞くが、そんなにも俺との関係を望むか?」
紅莉栖「だって、約束したも」グスッ
まゆり「まゆしぃはオカリンのお嫁さんになるって決めたのです」グスッ
鈴羽「当たり前だよ」
留未穂「倫太郎さんは、私と二人で秋葉を継ぐって誓ったよ?」
ルカ子「ぼ、ぼくは妾でも……」
萌郁「岡部くんは、私の、居場所……」
岡部「いいだろう……貴様たちのその願い、この鳳凰院凶真が全て引き受けた!」
紅莉栖「ふぇ?」
岡部「お前の望みはアメリカで俺と一緒に暮らす事だったな」
紅莉栖「の、望みっていうか、あ、あんたが言った言葉だから、その……どうしても、って言うなら、向こうに住んだ時は一緒の部屋で寝ても……」
岡部「単刀直入に言う。無理だ」
紅莉栖「えっ」ジワッ
岡部「最後まで聞け。俺の今の財力では共に住むのは無理だと言ったのだ」
紅莉栖「じゃ、じゃあ私の家に住めば」
岡部「俺はお前にそこまで頼るつもりはない。将来、俺が自分で向こうに住めるようになった時は……」
岡部「二人で一緒に暮らそう、紅莉栖」
紅莉栖「う、うんっ!」
岡部(これで紅莉栖の望みはクリア。次はまゆりだ)
まゆり「……」
岡部「そこでだ!お前は今日より人質から解放する!」ビシィ
まゆり「えっ?」
まゆり「もう、まゆしぃはオカリンの傍にいちゃダメなの……?」ウルウル
岡部「お前は鳳凰院凶真の人質ではない」
まゆり「そんなっ……」ジワッ
ギュッ
まゆり「ふえ?」
岡部「今日から椎名まゆりは、俺の、岡部倫太郎の嫁だ」
まゆり「ほえ?」
岡部「そ、その……これからもよろしく頼むぞ?我が嫁よ」
まゆり「う、うんっ!お料理いっぱい練習して、オカリンにおいしいご馳走を毎日食べさせてあげるねっ、えへへ」
岡部(まゆりの望みも叶えた!次ぃ!)
鈴羽「君は、あたしが満足するまでとことん付き合ってくれるって言った」
岡部「ああ。言った。だが、それは全部が終わってからだろう?」
鈴羽「うん、あたしの目的を全部終わったら、君はあたしと付き合ってくれるんだよね?」
岡部「無論だ。だが、その為にもお前の使命を果たさねばならん」
鈴羽「うん……」
岡部「鈴羽……」
ギュッ
鈴羽「えっ?」
岡部「その使命が終わったら、いくらでも付き合ってやる。その為には何年でも待ってやる」
鈴羽「し、使命を果たしたら次に会うのは随分先になるんだよ?それでも君は待ってくれる?」
岡部「無論だ。だからお前は自分の使命を果たしてこい。俺はずっと待っている」
鈴羽「うんっ、あたし、頑張るよ!こうしちゃ居られない!早く過去に戻らないと!」ビュー
バタン
岡部(行ったか。よく分からんが、これで鈴羽もクリアだ。これで三つ目!)
留未穂「倫太郎さんと一緒に秋葉を継ぐ。そう、言ったよね?」
岡部「……覚悟はあるかと問われて、そんなものは関係ないと答えたからな」
留未穂「倫太郎さん、今ならまだ引き返せるよ?」
岡部「馬鹿を言うな。お前の望みを叶えると言っただろう。二言はない」
留未穂「でも……」
岡部「留未穂……」ナデナデ
留未穂「あっ、きゅ、急になにするのっ?」
岡部「秋葉倫太郎か、悪くない響きではないか」
留未穂「ふえ?」
岡部「留未穂、共に継ごう、秋葉を」
留未穂「は、はいっ!」
岡部(四つ目もクリア。抜かりはない)
アメリカに第2の秋葉をだな
お前頭いいな
ルカ子「ぼ、僕は!岡部さんの気持ちが知りたいですっ」
岡部「つまりは告白の返事という事か……いいだろう聞かせてやる」
ルカ子「……」ゴクリ
岡部「ルカ子、お前の事は好きだ」
ルカ子「ほ、本当ですかっ!?」
岡部「だが、付き合う事は……」
ルカ子「構いません……僕は、僕は岡部さんの傍に居られるなら、岡部さんが僕を想ってくれてるって知れたから、それだけで十分です」
岡部「ルカ子……」
ルカ子「でも、一つだけお願いしてもいいですか?」
岡部「なんだ?」
ルカ子「これからも僕を……岡部さんの傍に置いてください」
岡部「当たり前だ。お前が望むなら、いつまでも俺の傍にいてくれて構わない……」ギュッ
ルカ子「ありがとう、ございます……岡部さん」
岡部(これでルカ子の願いも叶った。次で最後だ!)
萌郁「………ぃや」
岡部「なに?」
萌郁「いやいやいやいやいやいやいやいやいやいやいやいやいやいやいやいやいやいやいやいやいやいやいやいやいやいやいやいやいやいやいやいやいやいやいやああああああ!!」
岡部「……っ!」
萌郁「岡部くんは私の、岡部くんは私だけの、だからみんなのものになっちゃ、いや!岡部くんは私の」
ギュッ
萌郁「あっ……」
岡部「なんだ、指圧師よ。ちゃんと喋れるではないか」
萌郁「岡部、くん……」
岡部「萌郁、俺がお前の居場所になっても構わないない。だがな、一つ条件がある」
萌郁「な、に?」
岡部「俺はラボのリーダーだからな。お前にだけ構うというのは不可能だ。俺の傍には紅莉栖やまゆりたちがいる。それでも構わないか……?」
萌郁「岡部、くんが…そう、言うなら…」
岡部「そうか、ではこれからもよろしく頼むぞ萌郁」ナデナデ
萌郁「んっ……」
岡部(……ミッション、コンプリート)
まゆり「オカリンとの新婚生活たのしみだな~あっ、お家に帰ったらお料理の練習しなきゃ」
留未穂「パパ……私、倫太郎さんとなら頑張っていける。だからパパも天国で私たちの事、見守っていてね」
ルカ子「これからもずっと岡部さんと一緒……ずっと、ずっと……えへへ」
萌郁「私の、居場所……やっと、見つけた、私の岡部くん……」
岡部「ダル見てみろ。ラボメンたちに笑顔が戻った。これも俺だからこそ成せる所業だな!フゥーハハハ!」
ダル「……オカリン、今はこれで誤魔化せるけど、これからどうすんの?」
岡部「……」
岡部「さあな、その時はシュタインズ・ゲートが選択した答えに委ねるさ」
おわり
保守してくれた人、読んでくれた人、ありがとニャンニャン
>>1
乙
当人達が幸せならそれでいいんよ
なんも解決してねぇw
オカリンに未来はないな
Entry ⇒ 2012.06.20 | Category ⇒ シュタインズゲートSS | Comments (0) | Trackbacks (0)
櫻子「向日葵に飼われるのもいいかな」
向日葵「寄り道ですの? まあいいですけど」
櫻子「ほんと? やったー」
向日葵「まったく、櫻子は子供ですわね」
櫻子「なんだとー!」
櫻子「ちょっとねー」
向日葵「な、なんですのよ」
櫻子「ひ・み・つ」
向日葵「全然可愛くないですわ」
櫻子「なんだとー!」
向日葵「こっちですの?」
櫻子「えっへへー」
向日葵「何がありますの?」
櫻子「行ってからのお楽しみだよ」
向日葵「……なんですのよ」
櫻子「えへへ」
向日葵「新しくオープンしたのかしら」
櫻子「みたいだね、ちょっと見ていく?」
向日葵「そうですわね」
櫻子「わっ、獣臭い」
向日葵「動物の臭いって言いなさいよ」
櫻子「見て見て向日葵、猫だよ」
向日葵「か、可愛い……」パァ
櫻子「……」
向日葵「え? いえ、そんなことは……」
櫻子「えー、でも顔にそう書いてあるよ?」
向日葵「私は別に……」
櫻子「本当にそうかな?」
向日葵「うう……そう、ですわね」
向日葵「楓、そう楓がそんな事言ってたような」
櫻子「楓がそんな我侭言うわけ無いじゃん」
向日葵「」
櫻子「あっそ、まあいいや」
向日葵「まったく櫻子は」
櫻子「猫もいいけど、犬も可愛いね」
向日葵「そうかしら」
櫻子「え?」
向日葵「……何か言いたそうですわね」
櫻子「いや、向日葵ネコ好きなのかなって」
向日葵「」
櫻子「えー、もうちょっと触りたい」
向日葵「行きたいところがあったんでしょう、行きますわよ」
櫻子「はーい」
向日葵「そろそろ何があるか教えなさいよ」
櫻子「しょうがないなー向日葵は」
向日葵「しょうがないのはどっちよ……」
櫻子「ほら、見えてきたよ」
向日葵「あらっ」
向日葵「……」
櫻子「どうだ、向日葵!」
向日葵「よくこんなところ見つけましたわね」
櫻子「えへへ」
向日葵「綺麗ですわ」
櫻子「そう? 頑張って見つけたかいあった」
向日葵「桜と……向日葵が……一緒に」
櫻子「すごいよね、珍しいこともあるもんだ!」
向日葵「ええ、本当一緒に咲いているなんて……不思議で、素敵ですわ」
櫻子「なにはしゃいでるんだよ向日葵」
向日葵「ここまでいらっしゃい櫻子」
櫻子「向日葵が壊れた!?」
櫻子「待ってよ、向日葵ー」ズルッ
櫻子「アブッ!」
向日葵「だ、大丈夫ですの!?」
櫻子「転んじゃった……」
向日葵「あぁ、汚れちゃって」パンパン
櫻子「うぅー、ありがとひまわ……クシュ」
向日葵「大丈夫?」
櫻子「うー、花粉吸っちゃったかも」
向日葵「花粉症ですの?」
櫻子「違うけど、くしゅ……くしゃみ止まんない」
向日葵「うーん、今日はもう帰ります?」
櫻子「そうしたほうが、くちゅっいいかも……へくちっ」
撫子「お帰り」
花子「お帰りだし」
櫻子「へーちょ」
撫子「風邪でもひいた?」
花子「櫻子が風邪!? 天変地異の前触れだし!」
櫻子「いや、ひいてないから」
撫子「そう、でも温かくして寝るぐらいはしなよ」
櫻子「はいはい、はくちょい!」
櫻子「向日葵の笑顔……えへへ」
櫻子「向日葵がちょっと壊れてたけどああいう向日葵もいいな……」
櫻子「なに言ってんだろ私、えへへ」
櫻子「くしゅ」
櫻子「くしゃみ止まんないや……さっさと寝よ」
櫻子「おやすみ」
櫻子「ふあ、よくねた」
櫻子「うーん、まぶしい」
櫻子「カーテンしめわすれたかな」
櫻子「ん?」
櫻子「てんじょうどこいった?」
櫻子「ていうかそと!?」
櫻子「なに!? なにこれ?」
櫻子「こんなところで、ひとりでいるなんてちょっとこわ……くなんかない!」
櫻子「あ……はなばたけがみえる」
櫻子「ここにいてもしかたないしとりあえずいどうしてみるか」
櫻子「よっと……ちょっとたかいな」
櫻子「ふんっ!」スタッ
櫻子「わたしがいたばしょ、なんなんだろ」
櫻子「え?」
櫻子「『拾ってください』な、なんじゃこりゃあー!」
櫻子「というよりわたしがちいさい!」
櫻子「どうなってんのこれ……わたしふつうにねてただけなのに」
櫻子「ええー……?」
櫻子「それになんなんだよ、このひろってくださいって」
櫻子「むしろひろえよ!」
櫻子「こんなもんかきかえてやる!」
櫻子「『拾え』うん、これでよし! まんぞくまんぞく」
櫻子「ってなんのかいけつにもなってないよ」
櫻子「あれ、もしかしてあめふってきた?」
櫻子「うわっ、どうしよ……」
櫻子「あまやどりできそうなところないし……」
櫻子「ダンボールのなかにもうふあったからそれで……」
櫻子「はぁ……さむい」
櫻子「さむいよ……ひまわり……」
向日葵「傘を持ってきていてよかった」
向日葵「花畑を見に来たはいいけど、雨だと台無しですわね」
櫻子「あっ、ひまわりー!」
向日葵「あら……声?」
櫻子「ひまわりーここだよー」
向日葵「この声もしかして……」
櫻子「わたしだよー、ひまわりーたすけてー」
向日葵「猫ですわ!」
櫻子「え?」
向日葵「まあ可愛い」
櫻子「もしかして、ことばつうじないの?」
向日葵「にゃあにゃあ鳴いて……まあまあまあ」
櫻子「ひまわりー、わたしだよーきづいてよー」
向日葵「拾えって自分で捨てておきながら酷い飼い主さんですわね……」
向日葵「かわいそうに……大丈夫ですの?」
櫻子「ひまわりー……くしゅん!」
向日葵「この雨じゃやっぱり寒いですわよね……」
櫻子「さむいよー……こうなったらひまわりにひろわれるなんてのも……」
櫻子「ひまわりー、ひろえよ」
向日葵「うーん、ウチで飼うわけにもいかないですし……」
櫻子「え」
櫻子「わたしのせわするやくめをわすれたか!」
向日葵「な、なんですの? 急に怒りだして……」
向日葵「なんだかちょっと生意気ですわね……」
櫻子「なんだとー!」
向日葵「ふふ……なんだか櫻子みたい」
櫻子「え、きづいた? きづいたのひまわりー、わたしだよー」
向日葵「なんてね」
櫻子「にゃー……」
向日葵「……そう思うとなんだか放って置けないですわね」
櫻子「ひまわりー」
向日葵「風邪ひいたら大変ですものね、ええそうですわ……よいしょ」
櫻子「わー、たかいたかい」
向日葵「ふふ、ビックリしてる……可愛いですわね」
櫻子「ひまわりー、おうちつれてってー」
向日葵「あんっ、なに慌てているんですの?」
櫻子「ひまー」
向日葵「落っこちちゃいますわよ? ほら、落ち着いて」
櫻子「はーい」
櫻子「くすぐったいよ、ひまわり」
向日葵「可愛いですわー」
櫻子「にゃにするのー」
向日葵「ふふ……えいえいっ」
櫻子「なんかへんだぞひまわりー」ベシッ
向日葵「痛いっ、猫パンチですわ」
櫻子「なんなんだよもー」
向日葵「遊び道具とかも用意したほうがいいですわよね」
櫻子「なになにひまわりー」
向日葵「……あった♪」
櫻子「どしたのひまわり」
向日葵「ほーら、ねこじゃらしですわ」フリフリ
櫻子「ねこだからってなめん……」ウズ
向日葵「ねこちゃーん」フリフリ
櫻子「なめ……な……」ウズウズ
向日葵「好きじゃないのかしら?」フリ
櫻子「うにゃー!」
向日葵「可愛い……」
櫻子「これがねこのほんのう……けっしてさからえないしろものなのか……」
櫻子「ひまわりー、さくらこ、さくらこだよ」
向日葵「うーん……櫻子……」
櫻子「そうだよーさくらこだよー」
向日葵「に、似てるから……さくにゃこ……」
櫻子「さくらこだっていってんだろ!」
向日葵「ひゃあ! さくにゃこが急に暴れて!?」
櫻子「ふーっ!」
向日葵「わっわっ落ち!」
櫻子「わぁ!?」
向日葵「っ……と、ふう……危ないところでしたわ」
櫻子「あ、ありがとひまわりー」
楓「お姉ちゃんおかえりなさい」
向日葵「ただいま楓」
楓「お姉ちゃんそれどうしたの?」
向日葵「これは……」
櫻子「これってなんだよ! しつれいきわまりないなひまわりは」
楓「猫さん?」
向日葵「ええ、捨て猫ですわ……どうにも放っておけなくて」
楓「そっかー、わぁー可愛いの」
櫻子「かえでー、わたしだよー」
楓「触っていい?」
楓「わぁい」
向日葵「小さいけど元気いっぱいですのよ」
楓「そうなんだ、櫻子お姉ちゃんみたいだねなの」
櫻子「どういういみだよ!」
楓「わぁ、肉球ぷにぷになの」
櫻子「くすぐったい!」
向日葵「ころころしてて可愛いですわね」
楓「えへへぇ」
櫻子「くすぐったい!」ブルブル
向日葵「あぁ!」
楓「床がビショビショになっちゃったの……」
楓「楓はお掃除してるね」
向日葵「よろしくお願いしますわ」
楓「楓に任せてお姉ちゃん」
櫻子「おふろ!?」
櫻子「ひまわりとおふろ!?」
向日葵「さくにゃこ、お風呂大丈夫かしら?」
櫻子「それってつまり……はだかになるってこと!?」
向日葵「暴れたりしないといいですけど」
櫻子「にゃ、にゃああああああ!」
向日葵「あぁっ、暴れましたわ!?」
櫻子「そんなこといわれてもいっしょにおふろなんて!?」
向日葵「大丈夫ですわよ、怖くないですからね」
櫻子「はだか……はだか? あれ、よくかんがえたらわたし……」
向日葵「あら、気持ちが通じたのかしら、おとなしく……」
櫻子「ふくきてない! はだかじゃん!?」
向日葵「また暴れて……お転婆ですわね」
向日葵「本当、櫻子ソックリですわ」
櫻子「にゃー!」
櫻子「あばれたらさむくなってきた……」
向日葵「まあ大変ですわ、早くシャワーを」
櫻子「うー」ブルブル
櫻子「さむいよーひまわりー」
向日葵「温度は、このくらい……かしら?」
櫻子「あついっ!」
向日葵「あっ、ちょ……ちょっと熱かったかしら?」
向日葵「ご、ごめんなさいさくにゃこ」
櫻子「ひどいよーひまわりー」
櫻子「あっ、あったかーい」
向日葵「シャワーしても暴れないんですのね」
向日葵「聞き分けいいですわね、櫻子もこれくらい素直ならいいんですけど」
櫻子「だれがききわけわるいだって!」プニッ
向日葵「ひゃんっ」
櫻子「お、おっぱいきんしー!」プニプニッ
向日葵「も、もうさくにゃこはエッチな猫ちゃんですわね」
櫻子「だ、だれがエッチだって!?」
向日葵「なんだか急にうなだれましたわね……」
櫻子「もしかしてひまわり、いっつもそういうふうにおもってたのかな」
向日葵「お風呂が気持ちいいのかしら?」
櫻子「え……えっちなこだって///」
向日葵「ふふ、可愛い」ナデナデ
櫻子「にゃー」
櫻子「もういいよー」
向日葵「出ましょうね、さくにゃこ」
櫻子「はーい」
向日葵「湯冷めしないように拭いてあげないと」
櫻子「ふいてー」
向日葵「ふきふき……と、はいさくにゃこブルブルー」
櫻子「ぶるぶる!」
向日葵「水気も取れましたわね」
櫻子「いいゆだった!」
向日葵「どうしましたの? 擦り寄ったりして」
櫻子「ペコいペコいにゃー」
向日葵「お腹でも空きました?」
櫻子「そうだよー、ペコいよー」
向日葵「猫って何をあげたらいいのかしら、にぼし……とか?」
櫻子「キャットフードはかんべんしてほしい」
向日葵「にぼしなら確かあったような……」
櫻子「ふつうのならなんでもいいよー」
向日葵「持って来ましたわ」
櫻子「やったー」
櫻子「ペコいよーひまわりー」
向日葵「あーん」パクッ
櫻子「なんでひまわりがたべてるんだよ!」
向日葵「んー……ちょっと塩気が多い気がしますわ……」
櫻子「しおけ?」
向日葵「湯にさらしたほうがいいですわよね」
櫻子「ペコいよ? ひまわりー」
向日葵「ちょっと待っててくださいね?」ナデナデ
櫻子「にゃー」
櫻子「ペ……ペコい……」
向日葵「ごめんなさいね、あーん」
櫻子「あーん」
向日葵「美味しい?」
櫻子「うまい!」
向日葵「ふふ、喜んでるみたいですわね、よかった」
櫻子「ただのにぼしなのにこんなにうまい!」
向日葵「慌てなくてもまだまだありますわよ」
櫻子「ひまわりー、もっとー」
向日葵「はいはい」
向日葵「あら、アクビ……可愛いですわ」
櫻子「ねむいよーひまわりー」
向日葵「猫はよく寝ますものね」
櫻子「おやすみひまわり」
向日葵「毛布とかかけた方がいいのかしら?」
向日葵「近くに置いておけば必要ならたぐり寄せますわよね」
櫻子「ひまわり?」
向日葵「はい、毛布」
櫻子「にゃー」
向日葵「おやすみなさい、さくにゃこ」
櫻子「あさー?」
向日葵「ん……おはようさくにゃこ」
櫻子「ひまわりーおはよー」
向日葵「朝起きて、猫がいる……新鮮ですわね」
櫻子「ひまわりー」
向日葵「ふふ、可愛い」
櫻子「にゃー」
向日葵「お腹空きました?」
櫻子「ちょっとペコい」
向日葵「はい、お食べ」
櫻子「もぐし! うまい!」
櫻子「ひまわりがっこいくのー?」
向日葵「大人しくしていますのよ、さくにゃこ」
櫻子「にゃ」
向日葵「ふふ、わかったのかしら?」
櫻子「おとなしくするとおもった? ざんねん! あばれんぼうのさくらこちゃんでした!」
向日葵「行ってきます」ワシャワシャ
櫻子「にゃん♪」
櫻子「どこになにがあるかな?」
櫻子「ここは……?」
櫻子「したぎだ!」
櫻子「ひまわりのやつ……またさいずがおおきく……?」
櫻子「いや、わたしがちいさくなっただけか」
櫻子「やっぱりおおきくなってる!」
櫻子「おっぱいきんし!」
櫻子「……あきた」
櫻子「ひまわりはがっこういっちゃうし」
櫻子「……ねるか」
櫻子「ねこはにじゅうじかんねるとかいうし」
櫻子「うー……にゃー」
楓「……」
櫻子「ん?」
楓「……」
櫻子「どうしたかえで?」
楓「……あそぼっ!」
楓「いい? さくにゃこちゃん」
櫻子「ひまだしいいぞ、かえであそぼう」
楓「あそんでくれるの?」
櫻子「にゃー」
楓「えへへぇ」
櫻子「なにしてあそぶー?」
楓「撫で撫でしていい?」
櫻子「むしろわたしがなでてやろう!」トトト
楓「わっわっ、木登りなの」
櫻子「よしよし」ポフポフ
櫻子「ん、そうかわるい」タッ
楓「えへへ、猫パンチだったの」
櫻子「ねこぱんち!?」
楓「かわいいの」
櫻子「あれか、もっとねこっぽくしたほうがいいのか?」
楓「どうしたの、さくにゃこちゃん?」
櫻子「にゃんにゃかにゃかにゃかにゃんにゃかにゃかにゃかにゃんにゃかにゃかにゃかにゃん!」ワキワキ
楓「あはは、おもしろいの」
櫻子「そうかおもしろいか」
楓「どこ行くの、さくにゃこちゃん?」
櫻子「たんけんだ!」
楓「ついて来いって言ってるの?」
櫻子「そうだよー」
楓「わぁ、なんだか櫻子お姉ちゃんみたいなの」
櫻子「ほんにんだからな」
楓「えへへぇ、さくにゃこお姉ちゃんなの!」
櫻子「なるほど」
櫻子「なんかくいものないのー?」
楓「あ、そういえば昨日の晩ご飯はさくにゃこお姉ちゃんのおかげで」
楓「にぼしのお出汁がよく効いててとっても美味しかったの!」
櫻子「そうか、よかったな」
楓「えへへぇ」
櫻子「かえでー、なにかない?」
楓「お鼻クンクンしてるの、お腹空いたの?」
櫻子「にゃー」
楓「冷蔵庫ににぼしあったの、はい」
櫻子「もぐしっ! うまい!」
楓「さくにゃこお姉ちゃん可愛いの」
櫻子「にゃん」
楓「おトイレなの」
櫻子「せまいなー」
楓「どうしたの、さくにゃこお姉ちゃん?」
櫻子「せまいとこはなんかおちつく」
楓「さくにゃこお姉ちゃん、お花摘みたいの?」
櫻子「いまはいいや」
楓「あっ、どこ行くの?」
楓「えへへぇ、さくにゃこお姉ちゃんの大冒険なの」
櫻子「せいとんされててあまりたんけんしがいがないな」
楓「えへへぇ」
櫻子「あっ! かみぶくろ!」
櫻子「にゃー!」ズシャー
櫻子「まったく、そうじがいきとどいてないな、ひまわりは」ヒョコ
楓「出たり入ったりして……可愛いの」
楓「お姉ちゃんおかえりなさい」
櫻子「おかえりーひまわりー」
向日葵「さくにゃこもただいま」
櫻子「がっこうどうだったひまわりー」
向日葵「お部屋に戻りますわよさくにゃこ」
向日葵「……タンスが荒らされている!? もう、おイタしちゃ駄目ですわよさくにゃこ」
櫻子「ねーがっこー……あれ? よくかんがえたらわたしむだんけっせきじゃん!」
櫻子「どうしよう! ねーひまわりどうしよー!」
向日葵「ふー、今日も櫻子の相手は大変でしたわ」
櫻子「え?」
櫻子「わたしはここにいるよーねーひまわりーわたしはここだよー」
向日葵「櫻子ったら今日は一段とテンション高かったですわ」
櫻子「ひまわりー?」
向日葵「はしゃいじゃって、いつにも増して落ち着きがなくて」
向日葵「ふふ……」
向日葵「あっ、でもさくにゃこの事はまだ話してませんのよ」
櫻子「……」
向日葵「だって、さくにゃこって名付けたと知ったら」
向日葵「きっと櫻子、怒りますものね」
櫻子「わたし……わたしは……」
櫻子「うー! よくわかんない! せなかムズムズする!」
向日葵「あらさくにゃこ、背中でも痒いんですの?」
櫻子「とどかないー!」
向日葵「……なかなか不器用ですわね、ほら掻いてあげますわ」
櫻子「ありがとーひまわりー」
向日葵「ふふ、どういたしまして」
櫻子「もうふ?」
向日葵「必要ありませんの?」
櫻子「うーん、せっかくだからわたしはこのあかのもうふをえらぶぜ!」
向日葵「あら、いるんですの?」
櫻子「いるよー」
櫻子「わーい!」
向日葵「急にテンションあがりましたわね」
櫻子「もうふもうふー」
向日葵「もみもみするのが好きなんですの?」
櫻子「もみもみ! もうふもみもみ!」
向日葵「楽しい?」
櫻子「たのしー」
櫻子「んー?」
向日葵「ふふ、夢中になっちゃって……可愛いですわ」
櫻子「にゃっ」
向日葵「電気消しますわよ」
櫻子「ねるのひまわりー?」
向日葵「おやすみなさい」
櫻子「おやすみー」
櫻子「……なーんて」
櫻子「ねこはやこうせいなんだ、ひまわりにいたずらしちゃうもんね」
櫻子「なにしてやろうかなー」
向日葵「むにゃ……ふふ、さくらこー……」
櫻子「……やっぱやめた、なんだよわたしのゆめなんかみて、もう///」
櫻子「ひまわりのねがお……かわいいなー、えへへ」
あかり「おはよぉ向日葵ちゃん」
ちなつ「おはよう、櫻子ちゃんは?」
向日葵「私が櫻子の家に迎えに行った時にはもう出た後でしたの」
ちなつ「珍しいこともあるもんだね」
あかり「でも、櫻子ちゃんまだ来てないよぉ」
向日葵「そうなんですの?」
櫻子「あああああああああ!」
向日葵「!?」
櫻子「もう! なんなの! なんなんだよ!」
櫻子「うるさいうるさい!」
向日葵「なんですの!? とりあえず落ち着きなさいよ!」
櫻子「私をペット扱いするな!」
向日葵「な、なんだか櫻子の様子がおかしいですわ……」
向日葵「とりあえずどうにかして気を逸らして……」
櫻子「あああああー!」
向日葵「櫻子、私猫を飼い始めましたのよ」
櫻子「!?」
向日葵「だから、その、今日見に来ません?」
櫻子「……行く!」
向日葵「ふう……櫻子が単純で助かりましたわ」
向日葵「名前?」
櫻子「猫」
向日葵「あ、聞いても怒りません?」
櫻子「どんな名前つけたんだよ」
向日葵「……さくにゃこ」
櫻子「ふーん、ちゃんと名前つけたんだ」
向日葵「怒りませんの?」
櫻子「そっかそっか」
向日葵「?」
櫻子「ひまわりだーおかえ……」
櫻子「わたしだ! ちがう! わたしはわたしだ!」
櫻子「じゃあ、このわたしは……だれだ!」
櫻子?「……」
向日葵「着替えてくるからちょっと待っててくださいな」
櫻子「なにこれ……なにこれ!」
櫻子?「さくにゃこ……だって、ふふ」
櫻子「だれだよおまえ! そのからだはわたしのだ!」
櫻子?「私の? 違う、今は私のものだよ、この身体は私の身体!」
櫻子?「わかるも何もないよ、私はあなただったんだから」
櫻子「ど、どういうこと?」
櫻子?「櫻子の体の持ち主は猫の身体に、だったら猫の身体の持ち主は?」
櫻子「ねこの? もしかして!?」
櫻子?「そう、元々猫だったんだもん、猫の言葉はわかるよ」
櫻子「にゃ、にゃんだってー!?」
猫「ふふーん、この身体は私のもの、悔しい? 悔しい?」
櫻子「ぐぬぬ……」
向日葵「なに猫と喧嘩してますのよ……」
櫻子「ひまわりー、こいつにせものだよー」
猫「うるさい!」ビシッ
向日葵「ちょっと櫻子! 暴力を振るうんじゃありませんわ!」
猫「別にいいじゃんこんなヤツ!」
櫻子「なんてこというんだ!」
向日葵「いいわけないでしょう、そうやって首根っこつかむのはやめなさい」
猫「うー!」
櫻子「ひまわりのいうとおりだ!」
向日葵「なんてこと言いますの! こんなに可愛いのに」
櫻子「か、可愛い……//」
猫「か、可愛い……//」
向日葵「ほら、離しなさい」
猫「やだ! 向日葵には私がいるもん! こんな猫いらない!」
向日葵「な、何言ってますの///」
櫻子「だまされないでーひまわりー」
猫「そんなことないもん!」
櫻子「にせものだー!」
向日葵「さくにゃこをこっちに渡しなさい」
猫「こんな猫より私を優先してよ!」
向日葵「な、何言ってますの……?」
向日葵「あなた、やっぱり変ですわよ」
猫「変じゃないもん!」
櫻子「にゃー!」
向日葵「いいから、さあ!」
猫「きらい! きらいきらいきらい! 人間なんか嫌い!」
向日葵「な、なんのことですの?」
猫「私のこと捨てた人間なんかダイッキライ!」
向日葵「何言ってますの、櫻子!」
猫「私はやっぱり誰にも必要とされてないんだ!」
向日葵「え?」
櫻子「そんなことない!」
向日葵「さくにゃこ?」
猫「うそだ!」
櫻子「うそじゃない! あめがふって、すてられてたところをひろってくれた!」
櫻子「あったかいおふろにもいれてくれた! おいしいにぼしもたべさせてくれた!」
櫻子「いっぱいいっぱいなでてくれた! もうふだってもみもみさせてくれた!」
猫「毛布もみもみ!?」
櫻子「なんども、なんどもかわいいっていってくれた!」
櫻子「おまえのことをすきでいてくれるひとがいる! ひまわりがいる!」
櫻子「だから、ひまわりを、じぶんをひていなんかするな!」
猫「さくにゃこ……」
向日葵「櫻子が猫と会話してますわ……」
猫「向日葵……ありがと」
向日葵「なんですの、突然」
猫「私のこと可愛がってくれて」
向日葵「かわっ/// な、何言ってますのよ!?」
猫「名前もつけてくれて」
向日葵「……?」
猫「私、猫なの」
向日葵「はぁ?」
櫻子「まあとうぜんのはんのうだね、だれだってそーなる、わたしもそーなる」
向日葵「み、見てましたの!?」
猫「違うよ、捨てられていたのは私だから、だから知ってた」
向日葵「にわかには信じがたいですわ……」
櫻子「いれかわっちゃったんだよー」
向日葵「さくにゃこ?」
猫「身体が入れ替わっちゃった、だってさ」
向日葵「そ、そんなオカルトありえませんわっ」
猫「え?」
向日葵「な、なんですの?」
猫「向日葵のブラ、サイズあがったの?」
向日葵「変えたばかりなのに、なんで知ってますの!?」
猫「さくにゃこが言った」
向日葵「ま、まさかそんな……でも確かにさくにゃこがタンスを荒らしてましたわね……」
櫻子「まさかじゃないよー」
向日葵「本当に?」
櫻子「さすがひまわりー」
猫「流石向日葵」
向日葵「でも、それを知ってどうなりますの?」
向日葵「櫻子が猫になったのを知ったところで、元に戻せますの?」
櫻子「うーん……」
猫「うーん……」
櫻子「まあ、なんとかなるよ、ぜったいだいじょうぶだよ」
猫「なんとかなるよ、絶対大丈夫だよ」
向日葵「どうして、そうも楽観的ですの……?」
櫻子「ねこだからね」
猫「猫だからね」
猫「……」
向日葵「? 今なんて言いましたの?」
猫「ばかみたいなこと」
櫻子「なんだとー!」
向日葵「ふふ、櫻子らしいですわね」
櫻子「ひまわりーひどいー」
猫(朝目が覚めて、すべてが元通りになっていたとしても、私は後悔しない)
猫(だって私のことを愛してくれる人がいるってもう知っているから)
櫻子「カーテン閉め忘れたかな」
櫻子「あれ?」
櫻子「なんか変な感じ」
櫻子「なんだろ……あっ、戻ってる!」
櫻子「向日葵に報告しなきゃ!」
櫻子「おーい、向日葵ー!」
向日葵「なんですの? 朝っぱらから騒々しい」
櫻子「戻った! 私人間に戻ったよ!」
向日葵「戻ったって……あなたいつ人間やめてましたのよ」
櫻子「え?」
向日葵「いつまでも寝ぼけてるんじゃないですわよ」
櫻子「え、ええ……?」
向日葵「櫻子?」
櫻子「向日葵! 一緒に来て!」
向日葵「と、突然なんですの!?」
櫻子「こっち!」
向日葵「こっちって……?」
櫻子「花畑!」
向日葵「どうして突然あそこに行きますのよ?」
櫻子「そっか、それは覚えてるんだ、夢じゃないんだ!」
向日葵「あら?」
櫻子「え?」
櫻子「無くなってる!」
向日葵「花畑がどこにもありませんわ……」
櫻子「どういう……こと?」
向日葵「確かに、ありましたわよね?」
櫻子「そ、そんな……」
櫻子「全部、夢? 本当に、夢だった……の?」
向日葵「どういうことかわかりませんけど、休憩して落ち着きましょう?」
櫻子「う、うん……」
櫻子「向日葵……」
向日葵「櫻子……」
櫻子「うん……」
向日葵「……っ、雨降って来ましたわね」
櫻子「雨……?」
向日葵「傘を持ってきていてよかった」
櫻子「傘……持ってきてたんだ」
向日葵「ええ、でもどうしてかしら? 雨が降るなんて思ってもなかったのに」
向日葵「な、なんですの!?」
櫻子「こっち!」
向日葵「なんですのよ」
櫻子「大変、急がないと……!」
向日葵「なにごとですのよ……あら、ダンボール……?」
櫻子「見つけたの!?」
猫「にゃー」
向日葵「捨て猫……ですの?」
櫻子「いた、いてくれた!」
向日葵「かわいそうに……」
向日葵「自分勝手に捨てておいてなんて飼い主ですの、図々しい!」
向日葵「あっ、まさか櫻子、あなたが捨てたんじゃないでしょうね」
櫻子「そんなわけないじゃん! 一人はとっても寂しいのに……」
向日葵「じょ、冗談ですわよ……あなたが優しい子だって事は私が一番良く知ってますもの」
櫻子「えへへ」
猫「にゃ!」
向日葵「この子、元気いっぱいですわね」
櫻子「ね、向日葵……この子、私達で飼わない?」
向日葵「……そうですわね、それもいいかも……しれないですわね」
櫻子「それじゃあ、この子の名前は――」
おしまい
乙乙
乙ぱい
二人とも可愛い
乙
猫解体
Entry ⇒ 2012.06.20 | Category ⇒ ゆるゆりSS | Comments (0) | Trackbacks (0)
小鳥「しっぽりと」
P「なかなか良い感じの店を見つけたんです」
小鳥「いいですね、行きましょう!」
P「よし、そうと決まれば残った仕事を片付けましょうか」
小鳥「はい、頑張りましょー」
P「おー」
P「…俺も、終わりました」
小鳥「お疲れ様です」
P「小鳥さんも、お疲れ様です」
P「さ、行きましょうか」
小鳥「はい」
P「忘れ物も無し、と」
小鳥「戸締まりもオッケーです」
P「電車で二駅分離れた所ですね」
P「営業先の方に連れて行って貰ったんですよ」
小鳥「…今からだと、終電大丈夫ですかね?」
P「明日はオフなんですから、ゆったりしましょう」
小鳥「ふふっ、期待してもいいんですかね?」
P「任せて下さい」
P「……と、ここですよ」
小鳥「かなりお洒落ですね」
P「この落ち着いた雰囲気が気に入ったんですよ」
小鳥「ええ、本当に素敵…」
P「ただ、いささか遠いので滅多には来れませんけど」
小鳥「事務所の近くにあればいいんですけどね」
小鳥「とりあえず、梅酒サワーを」
P「俺は生ビールかな…」
P「では」
P「…何に乾杯するんだろうか?」
小鳥「私たちの幸せに、っていうのはどうです?」
小鳥「では、私たちの」
P「幸せに」
P•小鳥「「乾杯!」」
P「…うーん、美味い」
小鳥「何かおつまみでも頼みますか?」
P「ここの串焼きは美味しいですよ、オススメです」
小鳥「じゃあ、盛り合わせでも」
P「そうしましょう」
P「ここ最近は忙しかったですよね」
P「寂しい思いをさせてしまって、すいません」
小鳥「…寂しくなかった、と言えば嘘になりますけど」
小鳥「でも、信じていましたから」
P「……」
小鳥「あの時、私に言ってくれた事を」
P「でしたっけ?」
小鳥「もう、自分の言った事くらい覚えてて下さいよ」
P「面目ない」
小鳥「でも…ふふっ、また聞く事が出来て良かったです」
P「何度でも言いますよ?」
小鳥「…言い過ぎも良くないですからね」
P「はい…」
小鳥「なんだか目移りしちゃいますね」
P「つくねがオススメですよ」
小鳥「ほうほう、では一ついただきます」
小鳥「……本当だ、美味しい」
P「じゃあ俺は砂肝でも…」
小鳥「あっ、狙ってたのに!」
P「ふふふ、早い者勝ちです」
小鳥「…あーん」
P「はい、あーん」
小鳥「ん……美味しい!」
P「それは良かった」
小鳥「何か他に食べたい物ありますか?」
P「それじゃあ…焼きなすでも」
小鳥「シブいですね」
P「嫌いじゃないでしょう?」
小鳥「大好きですねー」
P「ええ、いいですよ」
P「次は何を飲みますか?」
小鳥「ジントニックを…」
P「了解です」
P「俺はまたビールでもいいかな」
P「いただきます」
小鳥「…はい、どうぞ」
P「取り分けるの、上手いですね」
P「いいお嫁さんになりそう」
小鳥「ふふっ、遠回しなプロポーズですか?」
P「想像にお任せしますよ」
小鳥「むぅ、いじわる…」
小鳥「むぅ」
小鳥「……本当だ」
P「ただ、手が汚れちゃいますね」
小鳥「だがそれがいい、ですよ」
P「ですね」
小鳥「なんだか日本酒が飲みたくなります」
小鳥「記憶が飛びかねないので、我慢します」
P「それは良くない」
小鳥「でしょう?」
小鳥「せっかくの、二人きりの夜なんですから」
P「ええ」
小鳥「しっかりと、心に残しておきたいんです」
小鳥「…飲み物も無くなりましたね」
P「何か注文しますか?」
小鳥「いえ、そろそろ出ましょう」
P「そうしますか」
小鳥「はい」
P「……なんで普通に財布を取り出してるんですか?」
小鳥「…?」
P「俺が誘ったんですから、ご馳走しますよ」
小鳥「…ご馳走でした」
P「小鳥さんと飲めるのなら、このくらい安いもんです」
小鳥「そう言われると、照れますね」
P「照れた顔も可愛いから問題ないですよ」
小鳥「大アリですよ、もう…」
小鳥「…ベタなセリフを言ってもいいですか?」
P「どうぞ」
小鳥「終電、無くなっちゃいましたね」
P「…そうですね、困ったなぁ」
小鳥「どこか泊まる所ありますか?」
P「あそこはどうでしょうか」
小鳥「…いいですね、行きましょうか」
P「ええ」
P「とりあえず、ソファに座りましょうか」
小鳥「はい…隣、失礼しますね」
小鳥「よっと」
P(肩に頭を乗せてる)
P(いい匂いだなぁ)
小鳥「ふぅ、何だか火照ってきちゃったな」
小鳥「…んっ……」
小鳥「その、今日は大丈夫な日ですから」
P「……」
小鳥「直に、あなたを感じさせて下さい」
P「わかりました」
P「もしもの事があっても、必ず責任取りますから…」
小鳥「はい……」
小鳥「私、今とってもしあわせです」
P「俺も、です」
小鳥「ごつごつしてて、暖かいです」
P「柔らかくて、暖かいですね」
小鳥「もう少しだけ、こうしててもいいですか?」
P「いいですよ」
小鳥「はい」
P「大丈夫って、嘘でしょう?」
小鳥「…いつ気付きました?」
P「すぐ気付きましたよ」
小鳥「ならどうして…」
P「きっと、同じ気持ちだったからです」
P「結婚して下さい」
P「必ず、必ず幸せにします」
小鳥「…っ……」
小鳥「はいっ……」
P「泣き虫さんですね」
小鳥「あなたの、せいですっ」
P「愛しています、小鳥さん」
小鳥「私も、愛してます…」
P「…さん……小鳥さん!」
小鳥「んう?」
P「起きて下さい」
小鳥「どうしました?プロデューサーさん?」
P「…!?」
小鳥「あぁ…夢、か」
小鳥「とっても、幸せな夢です」
P「"あの日"の夢でしょう?」
小鳥「…!」
小鳥「よく分かりましたね?」
P「だって、俺の事『プロデューサーさん』って」
小鳥「なるほど」
小鳥「ふふっ、ありがとうございます」
小鳥「お腹が大きくなる前に、着れて良かったです」
P「さ、そろそろ行きますよ」
P「みんなを待たせてますから」
小鳥「はい、アナタ…」
END
ラストの夢オチから考えたので、その他はグダグダでしたね
精進します!
乙乙
Entry ⇒ 2012.06.20 | Category ⇒ アイマスSS | Comments (0) | Trackbacks (0)
竜華「あかん、パンツ履き忘れてもーた……」
|| |
|| ┼ヽ -|r‐、. レ | |
|| d⌒) ./| _ノ __ノ |
|l -――- . |
'"´: : : : : : : : :`丶 |
':.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:ヽ. _____|
/.::.::./.::.::.::.:j.::.::.:|.:ム;ヘ.::.:ハ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
,'.::.::.::i.::.::.::.:/|.::.:: l/ `|.::./7
:.::.::.::j:|.:!.:_:/´|_.::_」 くV <|
|:ハ_::_ル'´ /⌒丶 j//V|
|:::::::::i x==ミ _ 〈/.:|.::|
|:::::::::i:'" ´ ゙̄Y}!.::.l.::|
八:::::::圦 、' _ "/_ノ.::,'.::j
/⌒ヽ::::ト{\ _,.ィ__/.::/l:./
/ 丶∧::| 丶 `ニ´ 彡// :厶|∧
{/ 丶ヘ| ノ / |:/ (こ ハ
/ }ヽ、 ∧ / 'x┴〈 }_ゝ、
/ \∨ ∨ / ニⅣ } )
〈 _ノ∧ 厶=7 ,.-、) 人ノ
}⌒ヽ `<__,>イ |__ノ| |/∨
/ ヘ / │ 丶ノ.| | \
/ ヽ \__/ | | ノ
/ >'"⌒\ 〃⌒\| ト、__/
| / V ヽ| │
じょ、じょーだんやって!
帰らんといてーな!
みんなちょっと待ってーな
竜華「……なんか、スースーするなあ」ソワソワ
竜華「……あ、あれ?」
竜華「……どないしよ」
竜華「パンツ、履き忘れてもーた……?」
竜華(お、落ち着くんやで竜華、これは夢。錯覚か何かや……。まさか高校生にもなってパンツを履き忘れるなんて……)ドキドキ
竜華(…………)スースー
竜華(……あかん、ガチやん)
竜華「ひゃっ!? な、なんや怜かあ」
怜「えらい顔赤いけど、どないしたん? まさか……」
竜華「ま、まさか……?」
怜「竜華もわたしみたいに病弱になったんか?」クスクス
竜華「ち、違うわ~。何だか暑くってなあ~」
竜華(あかん。流石に怜にも言えるはずない……。こんなこと)カアア
キーンコーン、カーンコーン
怜「あ、予鈴なった」
怜「それじゃ、竜華、また後でなー」
竜華「……」ノシ
竜華(とりあえず、SHRが終わるまで我慢やな……)
――――
――
竜華「なんでよりによって……」ガクリ
怜「はあ、竜華。今日は大変やなあ」トコトコ
竜華「そ、そやなあ怜……」
怜「まさか、1限から5限まで小テストあるなんてなー。ほんまつらいわ」
竜華「ま、まったくやなあ……」
竜華(これじゃ早退しようにも出来ひん。でもこのまま過ごすのも……)
怜「……? 竜華、どしたんそんな難しい顔して」キョトン
竜華「ひぇ!? な、なんでもない。うん」
怜「そか。ほな、わたしはテスト範囲復習しておくなー」
竜華(何とか、一日乗り切るしかない)
竜華「パンツが無くたって、恥ずかしくない、恥ずかしくないんや……」ブツブツ
竜華「今日一日、なるべく席を立たなければええ……それだけのことや」キッ
――――
――
2限目/数学
教師「はーい、それじゃ、後ろの人は解答用紙集めてきてねー」
ざわざわ、がやがや
竜華「ふう……あまり集中できんかったなあ」
竜華(当然やなあ。こんな恥ずかしい状況で……)
女子A「竜華ー。早く回収してよー」
女子B「どしたん? 具合でも悪いん?」
竜華「んー?」
竜華(あ、ウチ一番後ろの席やから、用紙集めんといけないんや)
竜華(ま、まあ少しくらい立っても問題ないやろ)
竜華「ご、ごめんなー。今集める」ガタッ
風「ビュオオオオオオオオオオ」
竜華「ひやああああああ!?」バッ
女子B「うわっ。今日風強いなあ~」
女子A「そやなあ。窓、閉めた方がよさそうやっ、……って」
女子A「竜華、どないしたん?」キョトン
女子B「はやくはやくー」
竜華「な、なんでもないわ……それじゃ、集めるでー」カアア
竜華(あ、危ないところやった……。今日に限って、厄介な風やなあ)
怜「…………?」ジーッ
――――
――
いなかったとしても登下校時に駅の階段とかで男に覗かれるかもしれないじゃん
つまりめっちゃ興奮してきた
4限目/英語/12:00
教師「おっけー、解答用紙は全部集まったわねー」パンパン
教師「次の授業までに採点はしておくってことで……」チラリ
セーラ「せんせええ~! 今日は早めに終わろー」
教師「えー? まだ時間残ってるじゃない」
セーラ「細かいこと気にしてると、またシワが増えるでー」
教師「むかっ。あ、そういえば先週宿題だしてたんだったー」
怜「あーあ、セーラが余計なこと言わんでいれば気づかんかったのに」
セーラ「はああ、腹減ったなああ」
竜華(やば……お手洗い行きたくなってきた……)モゾモゾ
竜華(でも、あと数分の辛抱や……。じっとしればええねん)
教師「それじゃ、Unit12の和訳部分、黒板に書いていってねー」
教師「じゃあ、セーラが私をいじめた罰として、麻雀部には連帯責任を負ってもらいまーす」
竜華(え!? まさか……)
教師「1番がセーラ、2番が園城寺さん、3番が清水谷さん。はい、さっさと書く」
セーラ「そんなああ~……」ガックリ
怜「なんや、私とばっちりやん」
セーラ「なあトキい、答え教えてーな」
怜「まったく、セーラは仕方ないんやから……って、教えるかいっ!」ズビシ
女子C「あははは。セーラは相変わらずやなー」
女子D「怜のツッコミも厳しいわー」クスクス
竜華(どないしよ……。流石に黒板の前に立つのはヤバイかも……)
セーラ「竜華! なにしてんねん、はよ答え書かんと、昼休み短なるでー」
竜華「!? い、今行くで」スタッ
竜華(うう……おトイレも我慢しとるのに……)
竜華(さっさと終わらそ……)
怜「…………」カッカッ
セーラ「むむむむ……」チラチラ
怜「なんで私のノートみるん?」
セーラ「み、見てないわっ」
竜華「…………」カッカッ
竜華(あかん……。これ、私のだけ文が量が多い)
竜華(はやく、終わらせんと……)
怜「まったく、仕方ないなあ」スッ
セーラ「流石トキ! おおきにー」カツカツカツカツ
怜「うわ、字ぃ汚な」
セーラ「別に読めればええやん。っし、終わったでー」
怜「うちも。ほな戻ろ」
セーラ「せやなー」
竜華(やばっ、一人になったら余計に目立つやん……)
怜「……?」テクテク
怜(竜華……やっぱり様子がおかしいな)
竜華「…………」カッカッカッ
竜華(ウチ、見られてる)ウルウル
竜華(クラスの皆の視線が……ウチの背中に)
竜華(も、もし皆にウチが『のーぱん』だってバレたら……)
竜華(あ、あかん。手が震えて……)ガクガク
教師「……清水谷さん? 具合悪いのかしら? なんだかすっごく顔が赤いような……」
怜「…………」ジーッ
竜華「へっ!? そ、そんなこと、ないです」モゾモゾ
竜華(も、もうあかん……)ガクガク
怜「せんせー」
教師「なに? 園城寺さん」
怜「竜華、ちょっと朝から具合悪かったんです。私、保健室に連れていっても良いですか」
竜華「……怜ぃ」
教師「そうなの? 清水谷さん」
竜華「あ、はい……実は少しだけ……」
教師「わかったわ。気を付けてね」
竜華「すみません」ペコリ
教師「あと、園城寺さんもね」
怜「はい。竜華、行こ」スッ
竜華「……あ、ありがと。な、怜ぃ」コショコショ
怜「んー?」
竜華「保健室の前に、おトイレ寄ってええ?」コソコソ
――――
――
昼休み/保健室・簡易ベッド
怜「保健室のセンセ、今お昼ご飯食べてるみたいやな」
竜華「勝手に入って、よかったんかなあ」
怜「わたし顔利くから大丈夫。それより、竜華」クルリ
竜華「……」
怜「ほんま、どないしたん? いつも私を助けてくれる竜華が、今日はえらい様子が変や」
竜華「そ、そんなことあらへんよ……」シュン
怜「嘘ついてもわかるんや。竜華、私に何か隠してるんやないか?」
竜華「ほ、ほんまに何も……」
怜「……そか。体調が悪いわけでもないんやな?」
竜華「だ、大丈夫」
怜「ふう。良かったわあ。ただでさえ私が病弱なのに、竜華まで弱くなったら、インターハイに響くからなあ」
竜華「怜ぃ……」
怜「……いつも、竜華には助けてもらてるからなあ。少しはお礼しとかんと」
怜「わたし、購買で何か買ってくるなー」
竜華「……ごめん」
怜「あはは。お互い様やん」ガラリ
竜華「……ごめんな」
竜華「こんなの、恥ずかしくって言えるはずないやん……」
竜華「嘘ついて、ごめんな。怜」
――――
――
5限目/体育・グラウンド
怜「竜華、ほんとに体育でるん? 体調はもおええの?」
竜華「だって、今日は陸上競技のテストがあるやん」テクテク
怜「そんなん、次回にしてもらえばええやん」
竜華「だ、大丈夫やって。怜は心配症やなあ」
怜「……?」
竜華(体育やったらスカートやなくってブルマやし、問題ないわ……)
竜華(も、問題なくはないか……。でも、制服で居るより遥かにマシやわ)
竜華(この時間を乗り切れば、すぐ放課後になる……)
竜華(今日は部活休ませてもらって、はよ帰ろ)
体育教師(女)「はーい。みんな集まってえ。今日は、テストをしちゃいまーすっ」
セーラ「アラフォーなのに、そのキャラはちょっとキツイわあ~」
体育教師(女)「ちょ、ちょっとセーラさん! わたし、まだアラサーだよっ!」
女子E「あははは。まだお肌ぴっちぴちだし、大丈夫よセンセ」
体育教師(女)「そ、そうかな? えへ、実は最近エステに通い始めてね?」
女子E(よし、点数稼いだ)
女子F(あ、ずるい。なら私も……)
女子F「ほんと、28歳には見えないですね~。その若さの秘訣はどんなところにあるんですかあ?」
体育教師(女)「ええっとねえ、エステはもちろんだけど、まずは食生活から……」ペラペラ
女子E「あー」
女子F「スイッチ、入っちゃったなー」
――――
――
竜華「ええっと幅跳びの次は……縄跳びかあ」
怜「竜華。1分間で何回飛べるか計測なー」ペラリ
竜華「はあ、ウチ縄跳び苦手やー」
怜「そやったん? 知らんかったわ」
セーラ「ははは。怜でも竜華について知らんことあったんかー」
怜「何言ってんのセーラ……///」
竜華「怜、準備できたでー」
怜「そか。ほないくでー」ポチッ
竜華「……!」ピョンピョン
セーラ「……? 怜、あそこに居る人たち……」ビシッ
怜「……なんやろ。近くの高校生?」キッ
セーラ「……もしかして、ノゾキ?」
――――
――
近隣男子校生A「おっほwwwあの縄跳び娘のおっぱいやべーwww」
男子校生B「うっわマジでヤバイな。めっちゃ揺れてるやん」
男子校生C「いやお前らアマイわ。隣にいる華奢な娘のブルマとお尻がだな……」
男子校生D「いやー眼福だなあ。ってか、なんで千里山女子に男がいるんだろうか?」
男子校生B「あの短髪? わかんねーけど、出来ることなら俺も混ざりてー」
男子校生A「ばっかそれは無理だって。しかし……」
男子校生A「やっぱり、おっぱいは正義やな」
男子校生B「うむ」
男子校生C「やべえマジで惚れたかも……」
男子校生D「…………うっ。ふう」
――――
――
竜華(あの人たち……何でウチらの方見てるんやろか……)ピョンピョン
竜華(もしかして、ウチ見られてるんかな……?)プルンプルン
竜華(な、なんで? 今はブルマやし『のーぱん』ってことバレるはずないのに……)ピョンピョン
竜華(あ、あかん。考えんのやめよ……恥ずかしくなってきたわ)ポヨンポヨン
怜「はい。終わりやでー」
竜華「はあ……はあ……」
セーラ「次はオレの番なー」
怜「……竜華、大丈夫?」
竜華「へっ? だ、大丈夫。心配せんでええよ。怜」
竜華「…………」チラリ
竜華(あの人たち、まだコッチ見てる……)
セーラ「そんじゃ、怜。ちゃんと数えててなー」
怜「はーい」
怜「…………」
――――
――
5限終わり/更衣室
怜「はあ……疲れたなあ竜華」ヌギヌギ
竜華「そ、そやなあ……」
竜華(またスカートかあ……。なんでウチ、こんなスカート短くしてしもーたんかなあ)ハア
竜華(短い方が可愛いかなあと思ったんやけど……)
竜華(今日ばかりは昔のウチを恨むで……)
怜「……竜華、着替えへんの?」シュルシュル
竜華「う、うん……」
竜華(どないしよ、また短いスカート履いて、もし意地悪な風が吹きでもしたら……)
怜「……竜華?」キョトン
竜華「……そ、その手があった」ポン
怜「……?」
竜華「怜! スカート交換して!」
怜「……えええ?」
竜華「せやから、ウチのスカートと、怜のスカート、交換して欲しいんや」
怜「な、なんで?」
竜華「お願い! 理由は聞かへんで、今日だけ、お願いします」
怜「ま、まあ……構わんけど……」スッ
竜華(怜のスカートやったら、ウチのより長いんやし……うん。いける)
竜華「ほんまにゴメンなー」スッ
竜華(おお、すばらしいわ……この長さ)キュッ
怜「な、なあ竜華……このスカート、短すぎるわあ」モジモジ
竜華「な、なんでー? めっちゃカワイイやん! 怜もミニスカにしたらええでー」
怜「な、なんかスースーして落ち着かへん……」
セーラ「うっわー! 怜のスカートが短くなっとるー!」
怜「ちょ、セーラ騒がんといて」ビシッ
女子G「あ、ほんとだー。めっちゃ似合うよ園城寺ちゃん」
女子H「竜華のと取替っこしたんだねー」
女子G「ホント、ときりゅーかは仲がイイわー」
怜「み、みんな……からかわんといてーな……///」
竜華(……何とか、無事に家に帰れそうやな)ホッ
――――
――
15:40/放課後・教室
セーラ「竜華ー! 怜ー! 部活行こっ」トテテ
竜華「ご、ごめん。今日はウチ、休ませてもらうわ」
怜「…………」
セーラ「やっぱ体調アカンかったん?」
竜華「そ、そやなくって……。ま、また明日!」ダッ
セーラ「あっ! 竜華……」
怜「竜華、やっぱりどっかおかしいな」
セーラ「……なんか、あったんかなあ?」
怜「…………」
セーラ「トキ?」
怜「ごめん。今日私も部活休むわ。フナQに言っといて」トテテ
セーラ「あ、ちょっ! トキ……」
セーラ「…………よーわからんけど」ポリポり
セーラ「とりあえず、部室行こかな」
――――
――
16:00/竜華・帰路
竜華「今日は飛んだ一日やったなあ……」トボトボ
竜華「まさかパンツを履き忘れるなんて……」
竜華「もうすぐ全国大会も始まるっちゅーのに、こんなドジ踏んで大丈夫かな」ハアア
竜華「麻雀部のみんなにも、明日謝らんとなあ」
竜華「ウチ、部長やし、後輩たちにも示しがつかんもん」
竜華「…………とにかく、今は無事に帰ることだけ考えよっ」
怜「…………」スタタ
怜「……思わず追いかけて来てしまった」ジーッ
怜「……だって仕方ないやん」
怜「竜華のこと、心配なんやから……」ポッ
――――
――
男子校生A「……! お、おいお前ら! あれ!」ビシッ
男子校生B「ああん? って、おっぱい娘!」
男子校生C「おい華奢な娘は一緒じゃないのか……」
男子校生D「制服姿もめちゃくちゃ可愛いじゃん」
男子校生A「なあ、ちょっと声掛けてみねーか?」
男子校生B「ま、マジで? 何て?」
男子校生A「いや、ちょっとお茶しませんかーなんつって」
男子校生C「Dはどう思う」
男子校生D「まあ、少しだけなら……」
男子校生A「よ、よし……。行くぞお前ら……」
男子校生B&C&D「「「……ごくり」」」
――――
――
男子校生A「ねえちょっと……」
竜華「……? な、なんです?」
男子校生B「あのさ、キミ千里山女子の娘だよね?
竜華「は、はい……」ドギマぎ
男子校生C「君と一緒に居た華奢な娘はどk……」ゴスッ
男子校生D「お前はちょっと黙ってれ」
竜華「……?」アセアセ
男子校生A「俺たち〇△×男子校なんだけどさ、よかったら今からどっか行かない?」
竜華「え、えええ?」
竜華(こ、これって……『ナンパ』ってやつやろか? こんなん、どう対処すればええんやろ)
男子校生B「一緒にカラオケとかさ、行こうよ。ね?」
竜華(ウチ今『ノーパン』やし……。ってそれ関係ないか。男の人に見られたらと思うと恥ずかしいっていうより怖いわ……)ブルブル
男子校生D「ね、いいっしょ? ほらほら」ガシッ
竜華「やっ、やめっ」
竜華(今手掴まれたら、あかん……!)
竜華(もし、変な風が吹いたら……)
風「待たせたな」ビュオオオオオオオオ
男子校生A「うわあっ!」
男子校生B「ほああ!?」
男子校生C「むむむっ?」
男子校生D「あべしっ!?」
竜華「ひやああああああああああん」ペタリ
男子校生A&B&C&D「「「「えっ」」」」」
竜華(……や、やばっ。もしかして、見られた?)
竜華(う、嘘……。もしかして男のひとに……ウチ……)ガクガク
男子校生A(おいB、見えたか?)
男子校生B(何がだ)
男子校生A(もちろん『パンツ』だ)
男子校生B(いんや……。Cはどうだった)
男子校生C(残念ながら……。Dは?)
男子校生D(……右に同じ……)
男子校生A「ち、ちくしょー!!」
男子校生B「お、落ち着けA! っていうか……」
竜華「ううっ……ぐすん……」
男子校生C「な、泣いて……?」
男子校生D「お、おいどうする?」
男子校生A「あ、あの……キミ、大丈b」スッ
パシイッ!!
怜「……竜華に、触らんといてくれる?」ギリッ
男子校生A「えっ……?」
男子校生B「た、確かこの娘は……」
男子校生D「体育のときに居た……」
男子校生C「ブルマが素敵な女の子!!!」
怜「……え、えと……何なん?」
竜華「と、怜……? どうして、ここに……?」
怜「竜華のこと心配やったから、つけとったんよ。そしたらこの人らに……」
竜華「そ……そか……」グスン
怜「んで……竜華に何か用ですか」クルリ
男子校生A「え、えーっと……」
男子校生B「いえ何も……」
男子校生C「むしろ僕は君に用が……」
男子校生D「バッカっ! もう行こうぜ」タタタ
男子校生A「す、すんませんでしたー」
怜「……何やったん? あの人ら?」
怜「ってか、何で泣いてんの? 竜華」スッ
竜華「う、ううう……」
怜「……とにかく、どっかで休もうか」
――――
――
16:20/公園・ベンチ
怜「竜華、少しは落ち着いた?」
竜華「うん……ごめんな、怜ぃ」グスン
怜「別にええよ。ちょっとはビックリしたけどなー」
竜華「…………」
怜「一体、どしたん? 今日の竜華、ほんまにおかしいわ」
竜華「……ウチ、今からとっても恥ずかしいこと、言うで」
怜「ん……?」
竜華「お願いやから、笑わんといてな」
怜「……うん。ちゃんと聞くで」
竜華「実は……ウチ。今日の朝……」
怜「…………」
竜華「パンツ履き忘れてもーたんや……」
怜「……?」
竜華「な、なんやその目」
怜「え、えと……私最近耳の調子も悪うなったんかなあ? もう一回言ってくれるか?」
竜華「せ、せやから! ウチ、今日の朝に!」
怜「今日の朝に?」
竜華「パンツ履くの忘れてもーたんやー!///」ガタッ
怜「な、なんやてー!!!」ズコー
竜華「おお、怜にしては珍しい大きなリアクション」
怜「ちょ、ちょっと待って……。もしかして、今日一日竜華が変やったのって、『のーぱん』やったから?」
竜華「だって、普通で居られるわけないやん……。めっちゃ恥ずかし思いして……」
竜華「なのに今日に限って小テストは重なるわ、当てられるわ、絡まれるわで……」
竜華「さっきだって、もし男の子に見られてたらと思ったら……」
怜「…………」ポカーン
竜華「……怜?」
怜「ぷっ」
怜「あははははは」
竜華「わ、笑わないって約束したやん!!」
怜「ご、ごめっ……だって、そんなことで悩んでたんかー思たら……」コホコホ
竜華「そ、そんなことー?」
怜「だってそうやろ? ええやん別に」
竜華「……怜、何言ってんの?」キョトン
怜「だって……」
竜華「……??」
怜「私も、履いてへんもん」カアア
竜華「…………!!!」
竜華「えええええーーーーーーーーー!?!?!?」
怜「まったく、竜華は時代遅れやなあ」
竜華「ちょ、ちょまっ! どゆこと?」アセアセ
怜「そもそも私らの世界で、パンツなんてもの、あってはならないんや」
竜華「セカイ? 何言ってるん怜」ポカン
怜「ま、とにかく。そんなこと気にせんでええよ」
竜華「…………??」
怜「それより、せっかく助けに行ったてゆーのに、お礼の一つもないん?」スリスリ
竜華「え? あ、ありがとな。怜。ほんま助かったで」
怜「…………」ジーッ
竜華「な、なに?」
怜「そんなんじゃ足らへん」
竜華「え……?」
怜「今日私に嘘ついたから、おしおき」スッ
竜華「……っ!」
怜「ん……」
竜華「~~~! ちょ、と、怜ぃ……」トローン
怜「竜華……もう、私に嘘、つかんでなあ」スリスリ
竜華「怜……。うん。ごめんな」
怜「ほな、今日はこのままどこか行こか」
竜華「どこかって? どこ?」
怜「竜華の部屋……行きたいな」クルリ
竜華「……ええよ。怜」
怜「…………」
竜華「…………」
怜「……なあ、手握ってもええ?///」
竜華「しょうがないなあ、怜は」ギュッ
――――
――
怜「なあ竜華」
竜華「んー?」
怜「よくよく考えたらな。今日一日スカートの下にブルマ履いて過ごせば良かったやん」
竜華「…………」
怜「…………」
竜華「う、うわあああん」タタタ
怜「……はあ」
怜「なんやねんこのオチは」ハア
ふぁん
おつおつ
また書いてくださいね
Entry ⇒ 2012.06.20 | Category ⇒ 咲-Saki-SS | Comments (0) | Trackbacks (0)
ニャル子「ふふふ…ついに手に入れましたよ…宇宙媚薬っ…!」
ニャル子(ここは地球なのでだいじょぶですねっ!)ワーイ
ニャル子(これを真尋さんの晩御飯に混ぜて…)ドバッ
ニャル子「ぐふふ…」
ニャル子「さぁ、真尋さん!ご飯でっすよーぅ!」
ニャル子「…」ニヤニヤ
ニャル子「さぁさぁ、真尋さんっ!冷めないうちにどうぞっ!」
真尋「あぁ、うん」
ニャル子「…」ワクワク
真尋「…お前さ、また変なもん入れたりしてないだろうな?」
ニャル子「へっ!?」ギクゥッ
ニャル子「そそそ、そんなわけないじゃないですかぁ!だいじょぶですよぅ!むしろ逆に元気になるくらいですって!」アセアセ
真尋「ホントに大丈夫なんだな?」
ニャル子「はいっ、そりゃもう私が腕によりをかけて作りましたからねっ!」
真尋「ふーん…」
真尋「そんなに言うんだったらまずお前が食べてみろよ」
ニャル子「はぇっ!?」ビクゥッ
ニャル子「ぁ…ぅ…そ、その…まず一番最初に真尋さんに食べてもらいたいなー…なんて…」ゴニョゴニョ
真尋「ニャル子」
ニャル子「は、はいっ…」
真尋「あーん」ニコッ
ニャル子「!?」
ニャル子(真尋さんが食べさせてっ…!?な、なんてレアなっ…でもあれを食べたら…でもでも真尋さんのあーんが…)
ニャル子「いただきますっ!」パクッ
ニャル子「…」モグモグ
ニャル子「しまった!」ハッ
真尋「おい、しまったってなんだよ!?」
ニャル子「ち、ちがっ…ぁっ…」フラッ
ニャル子(さ、さすが宇宙製…即効性も…すご…)フラッ
真尋「お、おい…ニャル子…?」
ニャル子「えへへ…だ、だいじょ…ぶ…です…よ…?」ハァハァ
ニャル子(っていうか入れすぎ…ました…かね…?頭がクラクラ…し…)ドサッ
真尋「に、ニャル子っ!?」
真尋(コイツは僕を殺す気だったのかっ!?)
ニャル子「ここ…は…?真尋さんの…お部屋…?そっか…私、倒れて…」
ニャル子「ぅ…はぁっ…はぁっ…身体がっ…熱っ…」ハァハァ
ニャル子「はぁ…はぁ…」ゴロン
ニャル子「ぁ…」
ニャル子「真尋さんの匂い…です…真尋さんの…お布団…」クンクン
ニャル子「真尋…さ…ん…」クンカクンカ
ニャル子「はぁっ…はぁっ…」キュン
ニャル子「はぁ…ふぁ…」
ニャル子(真尋さんのお部屋でこんなこと…ダメだけど…身体がっ…疼いてっ…)
ニャル子「んっ…」クチュッ
ニャル子「ぁっ…んぁっ…!」ビクッ
ニャル子「まひろさっ…まひろさんっ…」スリスリ
ニャル子「気持ちぃっ…ですっ…真尋さんっ…」
ニャル子「っ!」
真尋「ば、馬鹿っ!何やってんだっ!」バッ
ニャル子「えへへ…本物の真尋さんだぁ…」ポーッ
真尋「な、なに言って…」ドキドキ
ニャル子「真尋さん…」ギュッ
真尋「わーっ!わーっ!」アセッ
ニャル子「…」ギューッ
真尋「は、離せよっ…」
ニャル子「や、ですぅ…」ギュゥゥ
真尋「だったらフォークで無理やり正気に…!」ゴソ
ニャル子「真尋さぁん…」ウルウル
真尋「う…」
ニャル子「熱くてジンジンして苦しいんです…切ないんです…」ハァハァ
ニャル子「お願いです、この体の疼きを真尋さんの手で沈めてください…」ハァハァ
真尋「ハッ…い、嫌だ! お前がそうなったのはお前自身のせいだろ!」
真尋「何で僕がその尻拭いをしなくちゃならないんだ」
ニャル子「そ、それは…でも真尋さんがあーんなんてするから…」
真尋「とにかく、自分がまいた種なんだから自分で解決するんだな」
ニャル子「そんな…うぅ」
ニャル子「……ふぇ」ジワ
真尋「ふぇ?」
ニャル子「ひ、う、ぐすっ、うぅぅ…」ポロポロポロ
真尋「!」
ニャル子「そ、その言い方、は、ひどいです…」ヒック グス
ニャル子「くすり、を…盛ろうとしたのは、悪いですけどぉ…な、なにも、そんな邪険に…」グスグス
ニャル子「ひ、ひっ、えぐっ、うぅぅ…」ポロポロ
真尋「にゃ、ニャル子、なぁ……くっ、ええい!」ガバッ ギュー
ニャル子「! まひろ、さん?」
真尋「落ちつけ…いい子だから」ポンポン
ニャル子「えへへ……まひろさぁん」スリスリ
真尋(お、女の子の匂い――って、ダメだダメだ意識するな! 平常心だ、目を瞑って無心になれば……)
ニャル子「んー」
真尋「って、うわぁっ! 何キスを迫ろうとしてるんだお前は!」
ニャル子「だってぇ……」
真尋「だって、じゃない! 少しは落ち着き――って、おい馬鹿、服を脱ごうとするな!」
真尋(くっ……このままじゃまずい、誰か応援を呼ばないと)
真尋(クー子……いやダメだ。このニャル子を見たら何をしでかすか分かったもんじゃない)
真尋(それなら……)
真尋「ハス太! ハス太ー!」
ニャル子「うわぁん、ベッドの上で他の女の名前を呼ぶなんてひどいです真尋さん!」
真尋「いやいやハス太は女じゃないだろ!」
ハス太「わぁ、おいしそうなごちそう!」
ハス太「これ、食べちゃだめなのかな?」
ハス太「……ちょっとだけ」パクッ
ハス太「……あれ?」フラッ
ハス太「なんだか……へんなきもち……」
>ハス太!
ハス太「まひろ、くん……?」
>ハス太-! ハス太-!
ハス太「ぼくをよんでるの……?」
ガチャ
ハス太「まひろくん……?」
真尋「ハス太! いい所にきてくれた!」
ハス太「まひろくん、だぁ……」
真尋「ハス太……?」
ハス太「えへ、まひろくん……」ギュッ
真尋「は、ハス太!?」
ハス太「ん……」スリスリ
真尋「おい、こんな時にふざけるな――って、まさかハス太、お前も……」
ニャル子「真尋さぁん……」ギュウゥゥ
真尋「ッ!?」
真尋(し、下着姿!? じょ、冗談じゃないぞ!)
クルリ
ニャル子「あっ」
真尋(う~忘れろ忘れろ忘れろ)
ニャル子「真尋さん、こっち向いてくださいよぅ……」
真尋「無茶言うな、そんなあられもない姿を直視なんてできるわけ――」
ニャル子「ぐすっ……」
真尋「!?」
ニャル子「うっ、ひくっ、ふぇえ……」
真尋「ちょっ、おい、このくらいの事で泣く奴があるか」
ニャル子「だって……だってぇ……」グスングスン
クルリ
ガバッ
ニャル子「ふぇ……?」
真尋「……泣くなよ、バカ」ギュッ
ニャル子「だって、だって寂しかったんですもん……」クスン
真尋「元はと言えば自分のせいじゃないか、全く……」
ニャル子「それでもこんな風にぎゅってしてくれる真尋さんが大好きです……えへへ」
真尋「……」
真尋(う~やばいやばいやばい何か柔らかいしすべすべしてるし良い匂いするしうわあああああ)
真尋(あーあー何も見えない何も聞こえない何も感じない)
ニャル子「真尋さん……」
真尋(あーもう、話しかけるなよ僕の理性が――)
ニャル子「……」
ニャル子「んっ……」チュッ
真尋(!?)
ニャル子「ん、ふっ……んぅ」
真尋「~~!」
ニャル子「……ふぁ」
真尋「お……おま……」
ニャル子「真尋さんに……キス、しちゃったぁ……えへ、えへへ」ポロポロ
真尋「!」
真尋(ああもうふざけんなよ何いきなりキスしてくるんだ馬鹿ニャル子
こっちの気も知らないで勝手なことしやがって
しかも何だよその反応お前は薬か何かで欲求不満になってただけなんだろだったらさっきみたいに
一人で僕の布団にくるまって勝手に盛ってればいいだろどうしてキス一つでそんなに嬉しそうなんだ
涙流して喜んでるんだふざけんなよいい加減にしろあああ)
クイクイ
真尋「?」
ハス太「まひろくん……」
真尋「ハス太……」
ハス太「おねがい、ぼくのことも……ぎゅって、して……?」
真尋「……」
ハス太「……だめ?」ウルウル
真尋(おかしい……男であるハス太を抱きしめていれば少しは平静さを取り戻せると思ったのに、
なんだかむしろ逆効果になってるような……)
ハス太「ん……」
真尋「!」
真尋(おいおい、何で眼を閉じるんだ? まさかキスしろってことじゃないよな?)
ハス太「んー」
真尋(待て待て、できるわけないだろ常識的に考えて……)
ハス太「んっ……」ジワッ
真尋(う、泣きそうになってる……し、仕方ない。ひ、額になら)チュッ
ハス太「んっ」ビクッ
真尋「こ、これで満足か」
ハス太「……まひろくんに……キス、されちゃった……」てれてれ
真尋(……ま、まあ、額にキスしただけでこんなに喜んでくれるなら、悪い気は――)
真尋(はっ、いかんいかん何考えてるんだ僕は!)
真尋(おかしい、何だかさっきから自分の思考回路が変になっているような……気分もフワフワしてきたし……)
真尋(もしかして、二人の吐息に混じって薬の成分が……?)
真尋(もしそうだとすれば、このままだと僕も薬にあてられて、こいつらみたいに……)
真尋(まずいぞ、とりあえず部屋の換気を……!)
ニャル子「真尋さぁん」ガシッ
ハス太「まひろくぅん」ガシッ
真尋「!? お、おい、二人ともちょっと放してくれ!」
ハス太「やぁだ」ギュウ
ニャル子「やですよぅ」ギュウゥ
真尋「おいばかやめろ、このままじゃ本当にシャレにならなく――」
ふにっ
真尋「!?」
真尋(何だ、僕の手をほっぺたに宛がってるだけか)ホッ
真尋(しかし、ハス太のほっぺたって随分柔らかくてすべすべしてるんだな)フニフニ
真尋(この感触って、まるで――)
真尋(――って、何考えてるんだ!)
むにっ
真尋「ニャル子、お前もか――」
ニャル子「ぁんっ……」
真尋「!?」
真尋(に、ニャル子の、胸、に……)
ニャル子「んっ、真尋さん……真尋さぁん……」
真尋「お、お前……なにやっ……て……」
ニャル子「ほら、真尋さん……私の心臓、こんなにドキドキしてるんです……」
真尋「……い、いかがわしいゲームの演出じゃあるまいし、こんなので鼓動なんて分かるわけ――」
ニャル子「それじゃあ」
スルリ
むにゅ
ニャル子「んっ……こうやって、直接触れれば……わかりますよ、ね」
真尋「」
ニャル子「お願いです、まひろさん――」
真尋「よ、よせ……それ以上は……」
真尋(本当に……取り返しがつかなくなってしまう……!)
ニャル子「――触れてください、さわってください。もう私、切なくて苦しくてたまらないんです」
ハス太「ほら、ぼくのむねも、どきどきしてるでしょ」ピタ
真尋「ハス太、お前までっ……」
真尋(だめだ落ち着けよく考えろいくら可愛くたってこの二人は邪神なんだ人間じゃないんだ
おまけにハス太は男だ だからいかがわしい気持ちなんて抱いちゃダメなんだ……!)
ハス太「まひろくん……」ペタペタ
ニャル子「まひろさん……」ムニムニ
真尋「~~っ!」
プツン――
真尋「……」
真尋「お前らの、せいだからな……」
ニャル子「ふぇ!?」
ハス太「ひゃぅ!?」
真尋「いいよ……望みどおり……触ってやる」
ギュウウゥ
ニャル子「あぁっ!」
真尋(ブラが……邪魔だ……)ズリズリ
ムニュムニュ
ニャル子「んぁ! あっ、あうぅ……まひろさんっ、だめ、それ、強っ……」
キュッ
ニャル子「ふああぁぁっ!」ビクン
ハス太「やぁっ……まひろくん、そこ、つままないでぇ……んっ」
真尋(ハス太……耳まで真っ赤だな)
はむっ
ハス太「はぅ……みみたぶは……」
チロチロ…
ハス太「ひっ! な、なめちゃ、やだっ……」ゾクゾク
ハス太「う、ぅん……」
スルスル
ハス太「うぅ……はずかしい……」
真尋(尻も太ももも、女の子みたいだ)
ツツー
ハス太「あ、それやだ……おしりのとこ……ぞわってなる……あ、だめ……やだぁっ!」ガクガク
真尋「(まだ少し、胸を触り足りない気分なんだけどな……)分かったよ」
真尋「それじゃ、下着脱がせるぞ」
スルスル
真尋(うわぁ……糸引いてる)
ニャル子「あ、あんまり見ないでくださいっ!」
真尋「無茶いうな、見ないと分からないだろ」
ニャル子「だ、だって……」
真尋「……っと、ここか。じゃあ、挿れるぞ」
グチュリ…
ニャル子「ふぁ……」
ズブブ…
ニャル子「まひろさんの……指が、中に! 中にぃ……んっ! ふぁあ! あぁん!!」
ニャル子「あっ……」ガクッ
真尋「ハァ、ハァ……」
真尋「二人とも……気を失った、か……」
真尋「ハァ、ハァ……なんとか最後の……一線、だけは……守っ、た……な」ガクリ
ニャル子「おはよーございまーすっ、真尋さん!」ツヤツヤ
ハス太「おはようまひろくん!」テカテカ
真尋「ああ、おはよう……」ドンヨリ
ガチャリ
クー子「……」
真尋「ああ、クー子か。おはよう」
クー子「……おはよう。ニャル子とハス太君、ゆうべは見かけなかったと思ったら、少年の部屋にいたの……?」
真尋「ん、ああ、まあな」
クー子「……なにを、していたの?」
ニャル子「そりゃあもちろん、真尋さんと愛を確かめ合っていたに決まってるじゃにですか!」
ハス太「ほくも、きのうはまひろくんにいっぱい愛してもらったよ!」
真尋「おまっ……!」
クー子「」
ニャル子「そんなぁ! ひどいですよ真尋さん! 昨日はあんなに激しく熱い夜を過ごしたのに――」
ハス太「そうだよまひろくん! きのうはあんなにやさしくしてくれたじゃない!」
真尋「」
クー子「……少年」
真尋「……はい」
クー子「……正直に答えて。貴方は本当に、昨日二人に手を出したの……?」
真尋「……いや、一線は越えてないから出してないというか……でも何もしていないと言えば嘘になるというか……」
クー子「……わかった」スッ
真尋「ク、クー子?」
真尋「おい待て、早まるなクー子」
クー子「……私も少年と愛し合う」
真尋「は?」
クー子「そうすれば……ニャル子と間接愛が成立するはず」にじりにじり
真尋「よしちょっと落ち着いて話し合おうかクー子。いや、ちょ……待て寄るな、やめ……」
真尋「アッ――!!」
以上でおしまいです。長らくお付き合いありがとうございました
皆様の保守のおかげで、何とか書き終えることができました。感謝です
それからID:r82jHLXq0様とsF6yDVax0様、勝手に作品の続きを書かせてもらってすみません
後日談かいてもいいのよ…?
Entry ⇒ 2012.06.19 | Category ⇒ ニャル子さんSS | Comments (0) | Trackbacks (0)
ほむら「色気を手にいれたいわ」
さやか「…なんでそれをあたしに聞くの?」
ほむら「あなたって馬鹿だし無駄にスタイルいいからグラビアアイドルみたいじゃない」
さやか「グラビアアイドルがみんな馬鹿だって決まったわけじゃないだろ」
ほむら「馬鹿よ。あんなのみんな馬鹿だわ。胸ばかりに栄養がいってるから」
さやか「偏見でものを言うんじゃないよ…」
ほむら「大体下品じゃない。胸にあんな大きいのつけて。邪魔じゃない」
さやか「いや…そこまで言うほど邪魔だとは…」
ほむら「黙りなさい美樹さやか。巨乳には口を開く権利などないわ」
さやか「…………」
ほむら「大体おっぱいなんて見てなんになるっていうの!?馬鹿じゃないの!?これだから男は!」
さやか「…………」
ほむら「黙ってないでなにか言いなさいよ美樹さやか!」
さやか「えぇっ…?」
ほむら「大事なのはおっぱいじゃなくておっぱいの先にある心(ハート)でしょ!?」
さやか「なんかいいこと言ってるけどただの僻みじゃない?」
ほむら「…………」ハシッ
さやか「こら。耳を塞がない」
ほむら「意味わかんない。スレンダーなグラビアアイドルがいたっていいじゃない」
さやか「やっぱり男はおっぱいに色気を感じるんでしょうよ…」
ほむら「魅力がわからないわ」
さやか「そう?やわらかいしふかふかで気持ちいいじゃん」
ほむら「美樹さやか…あなた親父臭いわよ?」
さやか「なんでよ。転校生にだってついてるでしょぉ?」ペタッ
ほむら「…………」
さやか「……あれ?今日はおっぱいついてないの?」サワサワ
ほむら「いつもよ!!」
ほむら「うるさい。セクハラ親父に人権などない」
さやか「しょうがないじゃんか…わかりやすい女の色気といえばおっぱいになっちゃうんだよきっと」
ほむら「胸がなくても色気を手にいれたいのよ」
さやか「うーん…男はやっぱ胸ばっか見てるんじゃないのかな」
ほむら「別に男に受ける色気は必要ないわよ?」
さやか「えっ?」
ほむら「女の子に受ける色気を手にいれたいの」
さやか「それは更に難しいんじゃないかな…」
さやか「えっと…考えたことないんだけど」
ほむら「じゃあ逆に考えてみて頂戴。あなたは普段、どうやって色気を出しているの?」
さやか「……え?」
ほむら「意識して色気を出してるところがあるでしょう?」
さやか「ごめん…意識したことない…」
ほむら「うそっ!?こんなにエロいのに!?」
さやか「エロくねーよ!」
さやか「人を尻軽女みたいに言うんじゃないよ!」
ほむら「私の調べでは、あなたのような馬鹿女はよくゲスな男に食い物にされているわ」
さやか「どんだけ偏った見方してんのよ…」
ほむら「はぁ…じゃああなたに色気を聞いても無駄かしらね」
さやか「…転校生はあたしのどこに色気を感じたわけ?」
ほむら「は?」
さやか「だって…あたしのこと…その…エロいって言うから…」
さやか「……ど、どうなのよ…?」
ほむら「…あなた、よくそんな恥ずかしいこと堂々と言えるわね」
さやか「え…」
ほむら「自分のどこに色気を感じるかって?……はぁ。どこまで自意識過剰なのよ美樹さやか。だからあなたは馬鹿女だっていうのよ」
さやか「あ、あんたがあたしのことエロいって言ったんだろ!?」グイ
ほむら「は?なにそれ?そんなの全然覚えてないわ。聞き間違いでしょ?」プイ
さやか「シラをきるなよ!答えろ!こっちも恥ずかしいんだぞ!?」グイグイ
ほむら「わ、私は別に恥ずかしくないし。なに言ってるんだかさっぱりわかんない」プイプイ
ほむら「それをあなたに言われたくないわね。この馬鹿」
さやか「一言多いのよ。そもそもあんたは誰に色気を出したいわけ?ま、どうせ…」
ほむら「まどかよ」
さやか「だよね」
ほむら「普段まどかに一番近いあなたならまどかの好みもわかるんじゃないかと思って。馬鹿だけど」
さやか「あたしに対して馬鹿って言わなきゃいけないルールでもあんの?あんたの中では」
ほむら「あとあなたが一番エロスに精通してるんじゃないかと思ってね。エロいし」
さやか「またエロいって言った!」グイ
ほむら「言ってないし」プイ
ほむら「あなた達みたいな中学生ならよく恋愛の話もするでしょう?」
さやか「あんたも中学生じゃん…」
ほむら「で、どうなの?そもそもまどかは男に興味があるの?それとも女の子?」
さやか「普通に考えて男だと思うけど…」
ほむら「ちょっととり付けてくるわ」
さやか「何を!?やめてよ友達がオカマとかやだよあたし!」
さやか「そ、そう…よかった。てか男に対して辛辣だね…」
ほむら「汚物は消毒すればいい話だもの…くすっ」
さやか「聞かなかったことにしよう。話を戻すけど、まどかは強引なのに弱いよ」
ほむら「強引?まどかに強引にしていいというの!?イケナイことしていいの!?」ハァハァ
さやか「お、汚物はお前だ!ちょっと落ち着いてよ!」
さやか「ほら、あたしの嫁になるのだーとか冗談言って抱き締めたりするんだけど嫌がったりしないじゃん?」
ほむら「あなたがどれだけ愚かで馬鹿なことをやってもまどかは優しいから許してくれるでしょうね。死ね」
さやか「……実はまどか、喜んでるかもしれない」
ほむら「ん?」
さやか「あたしが強引に抱き締めたりとかするとすごく笑顔になるの。だからまどかはそういう引っ張ってくれる人が好きなんだと思うよ」
ほむら「……のろけ?」カチャ
さやか「ひぃ!?ち、違う違う!銃を下ろしてください!」
ほむら「…男の色気ってことかしら?」
さやか「うーん、ちょっと違う気もするけどそういうことになるかな」
ほむら「…男に、色気…?これに関してはいくら私の頭がよくても理解不能だわ」
ほむら「頭の悪い馬鹿の美樹さやか。男の色気ってなに?」
さやか「…よく耳にするのは首筋とか手の甲。あとは身体の大きさ、とかかな」
ほむら「…………?」コクン
さやか「ほら、身体とか大きくてたくましい人に抱き締められたりすると落ち着くんじゃない?」
ほむら「…あんな毛むくじゃらな腕にだ、抱き締められ…う、気持ち悪い…」ゾワゾワ
ほむら「何故わざわざかたい胸にドキッとなるの?やわらかい胸のほうが寝心地いいじゃないの」
さやか「枕にすること前提に話すんじゃないよ」
ほむら「何故?枕はやわらかい。おっぱいはやわらかい。ならばおっぱいは枕になるじゃない」
さやか「じゃあ転校生のおっぱいは枕になれないね」
ほむら「あなたのおっぱいを切り落として枕にするわよ?」カチャ
さやか「は、話せばわかる!だから銃を下ろすんだ!」ビクッ
さやかは富士山
ほむらは
羽田空港C滑走路?
ほむら「ペロモン?」
さやか「男の人の匂いを嗅ぐと落ち着く…とか」
ほむら「やめてっ!そんなの考えただけで意識を失いそうだわっ!」
さやか「どんだけ嫌いなのさ…」
ほむら「男の体臭とか…お、おろっ…」
さやか「は、吐くなよ?絶対吐くなよ?」
ほむら「も、もう駄目…女の子の香りを嗅ぎたい…癒されたい…」クラクラ
さやか「…ちょっと離れてるね」サッ
ほむら「なんで離れるのよ。大丈夫大丈夫。獲って食いやしないわよ。おいで」
さやか「それは獲って食う奴の台詞だよ!」
さやか「…………」シクシク
ほむら「男の色気なんて男によるステマよ。汚ならしい男たちによる印象操作に女子が惑わされているだけ」
さやか「…………」シクシク
ほむら「ちょっとぉ。いつまで泣いてるのよ。あなたごときに罪悪感が沸いちゃったらどうするのよ」
さやか「そこは沸かせろよ…」シクシク
ほむら「第一、まどかが男らしさに惹かれてるとしても私は女の子なんだから意味がないじゃないのよ」
さやか「え?かたい胸板は一緒でしょ?」
ほむら「」バキュン!
さやか「ぎゃあ!?ほ、ほんとに撃った!?」ビクッビクッ
さやか「転校生には…女の子の女の子たる武器が足りないような…」
ほむら「あ?」
さやか「あ、いやなんでもないです!ごめんなさいでした!」ビクッ
ほむら「胸がないからなんだっつーのよ。胸がないまどかはあれだけ可愛いのよ?」
さやか「まどかは可愛い。けど色気があるかどうかは…」
ほむら「胸と女の色気は関係ないわ。胸の大きいのがもう一匹いるけど」
さやか「マミさん?マミさんは…色っぽい身体付きはしてるけどあんまり色気は感じないかなぁ…?」
ほむら「ただ、胸が控えめな杏子は妙に色気がある気がするのよ」
さやか「あ、それわかるよ。うんわかる」
さやか「ヒントはそこにあるんだね?」
ほむら「じゃあさっそく呼んでみましょうか。美樹さやかお願い」
さやか「よし!へいっ!杏子カモンッ!」
杏子「誰が杏子だ!?あたしの名前は杏子だ!」
ほむら「あなたの名前は杏子でしょう?」
杏子「杏子だっ!」
さやか「まぁまぁ。ロッキーあげるから機嫌直してよ」
杏子「お、悪いな…えへへ…」
ほむら「今あなたの話をしていたのよ」
杏子「む…わ、悪口とかじゃねーだろうな…?」
さやか「いや杏子は色っぽいなーってさ」
杏子「ぶっ…な、なんだよそれ!?」
ほむら「あなたはなんか雰囲気が色っぽいのよね。雰囲気エロスね」
杏子「ひ、人を痴女みたいにいうなっ!」
ほむら「援助されちゃってるの?」
杏子「誤解を生むようなこというな!」
さやか「ほんとだよ。どうしてこうなったんだよ」
ほむら「あなたも同意したじゃないの」
杏子「さやかも…?や、やめろよそんな目で見るの…恥ずかしいだろ…」モジモジ
さやか「この杏子はどう?転校生」
ほむら「大いにそそるわ」ハァハァ
杏子「視線が怖いんだが…」
ほむら「そうね。このホットパンツとかポイント高いわ」
杏子「え、や、なんでだよ…スカートとかのほうが色っぽいんじゃないの…?」
さやか「ボーイッシュなはずのホットパンツだから色っぽいんだよ」
ほむら「自覚なしってのもいいわ。エロい」
杏子「え、えろくなんか、ない…///」モジモジ
さやか「うわぁ…抱き締めたいな」
ほむら「普段強気な娘がいじらしくなるのってどうしてこうも胸にくるのかしら」ハァハァ
杏子「今日のお前らは絡みづらいよ…」クスン
ほむら「わかるわ。あれはあれでいいものよね。エロくて良い」
さやか「あんたさっきからエロい目でしか見てないな」
ほむら「そういえば赤色は興奮色よね。そこも関係しているのかもね」
杏子(な、なんだと…あの格好、えっちな見られてたのかよ…)
ほむら「エロい娘が着る衣装はたとえ着ぐるみでもエロく見えるものなのよ」
さやか「それはあんたがエロいだけだ」
杏子「くっそー…あんなにかっこいいのに…なんであの衣装のかっこよさがわからないんだ…」
さやか「落ち込まないの。はいロッキー」ヒョイ
杏子「…あーん」パク
杏子「おいしいっ!」
さやか「どうしたの?」
ほむら「…エロい女の子の法則を見つけたわ」
さやか「おぉ!」
ほむら「あなたや杏子が妙にエロく見えるのは普段が生意気で可愛げのない性格だからよ!」
さやか「おっと…またいきなり罵るね転校生は」
杏子「あたしはえろくねーよ!ばーか!」
ほむら「あぁ…あなたたちみたいなのを無茶苦茶にしてやりたいわ…」ゾクゾク
さやか「」ビクッ
杏子「」ビクッ
ほむら「まどかや巴さんに抱くのは性欲よりも保護欲とかのほうなのよね」
さやか「それはあんたみたいなサディストだけの発想でしょ…」
さやか「あとはその色気にどれだけ近付けるかだよね」
ほむら「どこを直せばいいかしら?」
さやか「まぁ服については着替えれば問題ないし…」
さやか「生意気で可愛げがないところも転校生はクリアだね。おまけに愛想もないし」
ほむら「あなたはまた後日調教してあげるとして…」
さやか「!!」
杏子「強く生きろ」
ほむら「服は杏子から剥ぎ取るわ」
杏子「!!」
さやか「ん…?そういえば杏子の色気ってのは転校生から見た前提の色気でしょ?」
ほむら「それがなにか」
さやか「まどかはマゾだよ」
ほむら「!!」
さやか「つまりサドから見た色気はマゾから見た色気とは真逆ってことだよ!」
ほむら「!!」
杏子「いや、その理屈はおかしい」
ほむら「なんてこと…!じゃあ私が今まで考察したことは全部無駄だったってことなの…!?」
さやか「いや、そうともいえない」
ほむら「え…?」
さやか「つまり、杏子やあたしとは真逆になればいいのだ!」
ほむら「!!」
さやか「更に萌え要素として眼鏡をかけてあげよう」
さやか「更に更に清楚なイメージとしてみつあみにしてあげよう」
さやか「どや!?」
メガほむ「…………ど、どう…かな…?」
さやか「完璧だ!可愛くなった!」
杏子(色気からは離れたような気がするぞ)
さやか「それならまどかもきっとメロメロさ!」
メガほむ「そ、そうですか!?」
さやか「もちろんさ!」
メガほむ「嬉しい…!私、変われたんだ…!鹿目さんの望む私に!」
さやか「あぁ!その通りさ!ただしまどかはあたしの嫁だけどね!」
ほむら「死になさい」バキュン!
さやか「が…はっ…!」ドサッ
杏子「さ、さやかぁー!」
メガほむ「あ、あの…鹿目さん…」
まどか「え…?ほむらちゃんなの?」
メガほむ「うん…どう、かな…?」
まどか「きゃー!可愛い!」ギュッ
メガほむ「ひゃっ…///」
まどか「ほむらちゃんって眼鏡かけるんだね!」
メガほむ「うん…似合わない…かな…?」
まどか「ううん!すっごく可愛いよ!てぃひひ!」
メガほむ(鹿目さんが…私にメロメロになってる…!)ドキドキ
メガほむ(色気、ついたみたい…!)
終わり
さやか「そういえば聞いてないことがあるんだけど」
ほむら「なによ」
さやか「結局転校生があたしのことエロいって言ってたのはどこなのよ?」
ほむら「お尻にっ!決まってるじゃないっ!」
さやか「!?」
ほむら「あなたの魅力はなんといってもお尻よっ!それはなにがあっても揺るがない絶対!
脇?へそ?胸ぇ???そんなのは美樹さやかの魅力の端末に過ぎないわ!
美樹さやかの主軸とも言える、美樹さやかの存在を構築してるのはなんたってお尻よっ!
お尻があるから輝ける!お尻が光り輝く!そして轟け!世界に届け!美樹さやかのお尻!」
さやか「…………」
終わり
お疲れ様でした
さやかちゃんのおしりナデナデ
Entry ⇒ 2012.06.19 | Category ⇒ まどかマギカSS | Comments (1) | Trackbacks (0)
伊原「折木ってカラオケに行って童謡とか歌うタイプよね」 折木「」
伊原「人らしい感受性が死んでるアンタが最近の音楽なんて知ってるわけないし」
折木「」
伊原「かと言って頑なに歌わないのも面倒くさいから、
童謡とか唱歌みたいな面白くもなんともない歌でさっさと流してお茶を濁すタイプよね」
折木(こいつ、言わせておけば……)
福部「それは違うんじゃないかなぁ摩耶花」
折木(……里志?)
伊原「ふくちゃん?」
福部「ホータローはそんなことしないよ」
伊原「えっ?」
折木(いいぞ里志、言ってやれ)
福部「そもそもホータローはカラオケに行こうって話題が出た瞬間にこっそり帰ろうとするタイプさ」
折木(お前に期待した俺がバカだったよ)
福部「そうそう。空気が読めないっていうかね」
伊原「そうなのよ。まぁこんなヤツとカラオケに行ったところで面白くもなんともないけどね」
折木「さいで……」
ガラガラッ
える「遅くなって申し訳ありません」
福部「やぁ、千反田さん」
折木「よう」
える「何やらにぎやかでしたけど、どんなお話をされていたんですか?」
伊原(う゛っ……しまった、あんまり折木をいじめるとちーちゃん怒るのよね……
何とか話題をそらして……そうだわ!)
伊原「あっ、そうだちーちゃん、今日カラオケに行かない?」
福部「!……あーそうそう。さっき摩耶花と話してたんだよ。千反田さんを誘って行かないかって」
伊原(ナイスふくちゃん!)グッ
折木(………アホらし)
える「あの……実は私、カラオケというものに行ったことがなくて」
伊原「えっ、そうなの?」
福部「そんなカタく考えなくていいんだよ」
伊原「そうそう。あっ、じゃあ今日はちーちゃんのカラオケデビューってことで!」
える「摩耶花さん……」
伊原「ねっ、行こ?」
える「……はい、そういうことでしたら、喜んで」ニコッ
伊原「やりっ!」
折木(……………すっかり蚊帳の外だな)
ガタッ
折木「しまっ…」
える「あっ、折木さんも行きますよね?」
折木「いや、俺は……」
伊原「無駄よちーちゃん。こいつが歌なんて歌えると思う?」
折木(むっ)
伊原「そうそう。どうせコイツが来たって童謡くらいしか歌える曲なんてないわよ」クスクス
折木(………ここで感情的になっては省エネ主義者の名折れだ。
しかし………)
折木「お前らなぁ、人をおちょくるのも大概にしろよ」
折木(ここまで言われて大人しく引き下がる義理もない)
折木「俺にだって歌くらい歌える」
える「よかった、折木さんも来るんですね?」パァァ
折木「あっ」
伊原(よし)
福部(かかった)
折木「あー千反田。今のはコイツらに……」
える「失礼かもしれませんが、折木さんが歌うところが想像できなかったんです」
折木「だからな…」
える「折木さんはどんな歌を歌われるのですか?」
折木「あのな……」
える「私、気になりますっ!」キラキラ
折木「…………はぁ」
伊原「久しぶりねー」
福部「お、LIVE D●Mだ。ラッキー」
える「意外に暗いんですね」
伊原「あっ、今電気点けるね」
パチッ
折木(………やってしまった)
折木「………分かってるならどうしてあの時止めなかった」
福部「僕と摩耶花は止めたじゃないか」
折木「挑発したの間違いだろ」
福部「見解の相違だね」
折木「さよけ」
折木「………ふん」
福部「………それ以前に、あんな嬉しそうな顔されたら断れないだろ?ホータローにはさ」
折木(言ってろ)
える「ええと……このタッチパネルの機械はどうやって使うのですか?」オロオロ
える「そうですね、お願いしてもいいですか?」
伊原「オッケー。じゃあ私が最初に入れるから」ピッピッ
える「……あぁ、なるほど……」
伊原「それで最後にここで……送信!」ピピピッ
える「すごいです!」
折木「…………」
福部「何か言いたそうだね」
折木「知らん」
福部「」ニヤニヤ
http://www.youtube.com/watch?v=f3-q6HO0-zY
~~♪
伊原「あっ始まった!マイクマイク…」
える「わー」パチパチ
《あなたの名前呼んだらそこで 突然目が覚めそう》
《こんなに上手く行きっこない また偶然会えるなんて》
折木「…………」チラッ
福部「~♪」クリクリ
折木「……里志」
福部「何だい?」
折木「俺はこういう場の作法に疎いが、人が歌ってる間に携帯を弄るのは感じが悪いということは分かるぞ」
折木「『コレだよ』と言われても……何だこれは?」
福部「アプリだよ。あらかじめお気に入りの曲を登録しておいて、携帯から直接本体に送信できるんだ」
折木「ほう」
福部「勿論曲の検索もできるから普通にリモコン感覚でも使えるしね。
対応してる機種でよかったよ」
折木「………便利そうだな」
福部「ホータローもいい加減携帯くらい持ったらどうだい?」
折木「考えておく」
《ときめきの導火線が 体中を走ってく》
《バラバラにならないように しっかりしなくちゃ私》
える「摩耶花さん、かっこいいです!」
JOYならある
DAMは知らん
《でもちょっと 今日はちょっと 気持ちが迷子の仔猫》
《優しさで攻められたら ついてくしかないかもね……///》
える「?」
折木(コイツ今更恥ずかしくなったのか)
………
……………
…………………
~~~♪
える「摩耶花さん、すごいです!」パチパチ
伊原「ありがと、ちーちゃん。お世辞でも嬉しいわ」
える「いいえ、とってもかっこよかったですよ」
伊原「そう?……ありがと。………」チラッ
福部「さってと、次は僕かな」
折木(こいつの神経の太さだけはあやかりたいものだ)
http://www.youtube.com/watch?v=jRNIG2e2GrQ&feature=relmfu
《虫も殺さぬ顔して キツイことを平気で言う》
《自分じゃ出来もしないで 人に押し付けてばかり》
伊原「」
折木(今だけは同情してやるぞ、伊原)
《周りの顔を気にして 隣にならい物を言う》
《ロクに話も訊かずに 相槌打って作り笑い》
える「あれ……?あれれ……?」ピコピコ
折木「どうした」
える「あっ、いえ何でもありません……折木さん、お先にどうぞ」
折木「いや、俺も後でいい。それより何か飲み物を頼もう」
える「えっ?」
える「そうだったのですか。知りませんでした」
折木「まぁ来たことがなければ知らんだろう。それより何にするんだ?」
える「えっ?あ、はい。……あ、これがメニューなのですね
じゃあ……アイスミルクティーにします」
折木「ん……おい伊ば、ら………」
伊原「いつもいつもふくちゃんってばもー……だったら今度はこの曲で……」ブツブツ
折木「………俺が頼む」
………
……………
…………………
伊原(ふくちゃんってばいつもそう……こんな風にはぐらかして…)
《何だかんだ言っても そう君が好きだから》
伊原「!」
《上手く言えないんですけど 『マイペース』それもいいんじゃない》
《それじゃバイバイバイ それじゃバイバイバイ》
伊原「………///」
《それじゃまた明日ね バイバイバイ》
える「福部さん、素敵な歌でしたね」
福部「あ、そう?いやー千反田さんにそう言われると照れるなー」
伊原「」ムカッ
福部「結構前の曲なんだけど、カッコイイでしょ?」
える「そうですね!」
伊原(ちーちゃんは悪くないちーちゃんは悪くない……)イライラ
折木(伊原の怒気で里志がやばい)
伊原「………次はあたしだから」
福部「摩耶花はさっき歌っただろ?順番順番」
える「えと、私はもう少し後でも」
折木「右に同じだ」
福部「そう?ならいいけど」
伊原(見てなさいよふくちゃん……!)
http://www.youtube.com/watch?v=O9V37wJ_9qw
《なんでも自分でできるって 強がるだけ強がってもね》
《君がいなきゃ 何もできないし》
える「あっ、さっきの福部さんの曲と同じ方が歌われてるんですね」
福部「そっちでかぶせてきたかー。さすがだね摩耶花」
折木(コイツの辞書に反省の文字はないのか)
《冷蔵庫開けりゃ 何もありゃしないや》
《さぁ吸いこんでくれ 僕の寂しさ孤独を全部君が》
《さぁ噛み砕いてくれ くだらんこと悩みすぎる 僕の悪い癖を》
折木「鬼気迫るものがあるな」
福部「まーいいや何とっかなーるってもんでっしょ…♪」クルクル
折木(当の本人はこれだけどな)
福部「あっ、千反田さん、曲決まった?」
える「あの……すみません、もう少し……」
福部「了解。じゃー僕が繋ぎを……」
える「えっ?」
折木「ひょっとして、曲が見つからないんじゃないか?」
える「!」
折木「図星か」
える「どうして分かったんですか?」
折木「………何となくだ」
折木(リモコン相手にあれだけ首を傾げてたら普通は気付くだろ……)
折木「まぁ、世の中の全ての曲が入ってるわけじゃないからな。そういうこともあるだろう。
諦めて別の曲にしたらどうだ?」
える「見つからないというか、その……」
折木「?」
える「だ、題名を失念してしまって……」
折木「は?」
える「さっきから、どうしても曲のタイトルが思い出せないんです」
折木「」
える「正確に言うと、タイトルが分からないんです」
折木「分からない?」
える「はい」
折木「……どういうことだ?」
える「この間、お部屋でラジオを聴いていたんですが」
折木「ふむ」
える「それがとても素敵な曲で、一番が終わってから録音を始めたんです」
折木「なるほど」
える「そのあと何度も繰り返し聴いて大好きになったんですけど………」
折木「………曲紹介の部分が録音されていなかったと」
える「そういうことなんです」
折木「なるほどな……」
《止めなよ この世に男はアレだけじゃないよ》
《勘違い 思い違い してるだけでそりゃ愛じゃない》
える「歌っている方も結局分からなくて……」
折木「なるほど。そりゃ探しようがない」
える「二番の歌詞とメロディは覚えているんですが…」
折木「それじゃ難しいだろうな」
える「でも、今日ここにくることになった時、これだけは歌いたいと思っていたんです!」
折木「そう言われてもな……」
える「私の探していた曲が何なのか、分かりませんか?折木さん」
える「私、気になるんです」
折木「……………ハァ」
折木(曲名も歌手名も分からないんじゃな……ジャンル検索とやらも無理そうだ)
折木(唯一使える手掛かりは二番の歌詞だけ……厳しいな)
《冗談じゃないんだよ 本気で言ってんだよ》
《君は茶化して笑うでしょう》
《後悔をしないように 思いにうそはつけないよ》
福部「ウソハツケナイヨー」
折木「!」
折木「里志」
福部「ん?どうしたんだいホータロー。随分待たせたじゃないか」
折木「そうか?」
福部「もう僕と摩耶花でS●RFACE縛りが始まってしまうくらいにはね。それより何か用かい?」
折木「なに、すぐに済む」
折木「里志、携帯……というか、スマートフォンとイヤホンを貸してくれ」
……………
…………………
福部「なるほど、歌詞で曲を検索する機能があったね」
折木「ああ。見つからなくても、最悪検索エンジンで探せばいいしな」
福部「ね?やっぱりスマホって便利だろ?」
折木「お前の手柄じゃないだろ」
福部「まぁまぁ。でももってた方がいいって思っただろ?
結果的に千反田さんの助けになったんだし」
折木「何故そこでアイツの名前が出る」
折木「…………前向きに検討しておく」
伊原「ちーちゃんどんな曲歌うだろ」ワクワク
える「ここを押して……できました!」ピピピッ
http://www.youtube.com/watch?v=K0slqS4Qiac
伊原「!!」
《やさしい陽だまりに チャイムがディレイする》
《ほほをなでる風 息吹は深くなっていく》
伊原「すごい!ちーちゃんどうしてこの曲知ってるの?」
福部「知ってるのかい?」
伊原「大好き!アニ……あー、ドラマの主題歌なんだけどね?」
折木(アニメだ)
福部(アニメだね)
伊原「主人公の女の子がすっごいかわいいのよ!」
《あどけないこんな気持ちを はじけ飛ぶほど笑いあえた日を》
《大切に育てていけるように》
《途切れ途切れの時を越えて たくさんの初めてをくれた》
《つながってゆけ とどけ》
折木「………………」
伊原「見とれてんじゃないわよ折木」
折木「なっ」
福部「いやぁ、聴き惚れていたの間違いじゃないかい?」
折木「何をバカな………」
あたしとふくちゃんはしばらく休むから」
折木「何でだ。別に好きに歌えばいいだろう」
伊原「アンタがちんたらやってる内に歌いまくって疲れたの!ほら、早く!」
折木「」
《放課後の夕闇 笑う君の背中》
伊原「ああ、ちーちゃんかわいい………ん?」
福部「どうしたの摩耶花?」
《僕の中の君と 君の中の僕で 絡まる未来色のライン》
《雨上がりの街の匂いと 夢みたいな秘密胸に抱いて》
《何度も泣きそうになって また笑う》
伊原「いえ、多分気のせいね……仮にそうだとしても認めないし、あんな奴」ボソッ
福部「?」
折木「どれにするかな……」ピッピッ
折木(部室でああ言ったはいいが……いざとなるとダメだな。
ちゃんと覚えている曲がほとんどない)
折木(普段音楽など聴かんからな……)
折木(………この際本当に唱歌で誤魔化すか)
折木(いや、それはダメだ。無条件降伏以外の何物でもない)
折木(………あっ、あれはどうだ。この間姉貴がリビングで見ていた映画の主題歌)
折木(つまらんだの大根だのと散々文句を言いながら何度も見ていたからな、
曲は覚えているぞ)
折木(歌詞を見ながらなら歌えんこともないだろう)
伊原「決まったの?」
折木「ああ」
伊原「なら早くしなさいよ、ほんっとグズなんだから」
折木(……俺は前世でこいつの親でも殺したのだろうか)ピピピッ
福部「うん?」
伊原「えっ?」
折木「あっ」
………
……………
…………………
《ほんの少し大人になってく 君になりたい僕を越えて》
《つながってゆけ 今すぐ君に》
《とどけ》
伊原「最高だったわよ、ちーちゃん!」
える「ご、ご清聴ありがとうございました」ペコリ
福部「いや、本当によかったよ。上手いっていうか、雰囲気が出てたね」
える「ありがとうございます」ニコニコ
える「?どうかしましたか、摩耶花さん?」
伊原「いや、あたしの見込み違いならいいんだけど……」
http://www.youtube.com/watch?v=wYAVkKDdL6U&feature=related
折木「始まったか」
《つぶらな瞳も 鼻にかかる》
《じゃれた声も その小さな手も》
伊原「で、ちーちゃん、話の続きなんだけど……」
える「あ、はい、何ですか?」
伊原「さっきちーちゃんが歌った曲」
える「はい?」
《行き交う人たちの幸せ 自分のことのように》
《どうして ねぇ 願うの?》
伊原「ひょっとして、アイツのこと?」
える「へ……あ……あぁ………っ」カァァァ
伊原(かわいい)
伊原「違うの?」
える「ええと、違うと言いますか……」
伊原「違うというか?」
える「…………今、気がつきました。
……あの曲が好きな理由」
伊原(無自覚とか何それかわいい)
伊原(………それにしてもよ)
《僕にしか言えない 言葉を今》
《君に 届けたい》
伊原「………わざとじゃないならアイツも大概ね」ハァ
える「摩耶花さん?」
伊原(もうなんなのこの二人!ほんと何なの!?)
伊原(特に折木!)
《飛び交う嘘や嫉妬に 迷い惑わされない心よ》
《まっすぐな 祈りよ》
《僕は目を閉じて 君との未来を思い描く》
《その笑顔も描いてる》
伊原(アンタほんとにわざとじゃないわよね!
傍から見てる身にもなりなさいよ!!)
伊原(こっちはこっちでこんなんだし……)
福部「やるねーホータロー」
伊原(ふくちゃんも相変わらずすっとぼけだし………)
伊原「……………グレてやろうかしら」
える「そういえば、私が先程歌った曲と名前が似ていますね」
伊原「!」
える「偶然でしょうか?」
伊原「偶然かどうかは知らないけど……」
える「えっ?」
伊原「実はね………」
………
……………
…………………
《来年も再来年も 今以上に君が好きで》
《それぐらい 僕のすべてで》
《僕にしか言えない 言葉を見つけたから》
《心まで 交わした想い 君に届けたい》
福部「すごいじゃないかホータロー!君にも人並みの感受性ってものがあったんだね!」
折木「お前な……」
福部「今日はそれが分かっただけでも収穫ってもんだね!」
それよりも分かったか伊原、俺だって……ん?」
伊原「」ニヤニヤ
える「…………///」
折木「………千反田?」
える「は、はいっ!?」///
折木「…………どうした?」
える「え!?なっ、何でもあり、ありませんよ?」///
折木「」
福部「…………摩耶花」ボソッ
伊原「何?」ヒソヒソ
福部「何をしたんだい?」ヒソヒソ
伊原「別に?」シレッ
福部「すっとぼけて……」ヒソヒソ
伊原「ふくちゃんには言われたくないわよ」フンッ
………
……………
…………………
福部「あーーーー歌った歌った」
伊原「たまにはこういうのも悪くないわね」
福部「明日声出るかな」
伊原「あっ、のど飴食べる?」ハイ
福部「おっ、気が利くね。いただくよ」
える「…………」
折木「…………」
折木(……店を出てから一言も話さないな)
折木(何かやらかしたか?心当たりはまるでないが……)
える「………」チラッ
折木「?」
える「!」フイッ
折木「」
える「…………////」
折木(………何なんだ一体)
折木「は?」
伊原「折木、ちゃんとちーちゃん送って行きなさいよ」
える「ま、摩耶花さん?」
伊原福部「「じゃ!」」ダッシュ!
折木「おい、待てお前ら!」
える「………行ってしまいました」
える「え?あ、いえ、私はここで結構です!」
折木「そうも行かんだろう。日も落ちてきたしな」
える「ですけど、折木さんが遠回りになってしまいます」
折木「じゃあ途中までだ。お前の家が見える所まで送る
それでいいだろ」
える「………ありがとう、ございます」
折木「ん」
……………
…………………
折木「…………」
える「……………」
折木(……まただんまりか)
折木「…………なぁ」
える「えっ!?あっ、はい、何ですか?」
折木「……………何でそんなに驚く」
える「べ、別に驚いてなんていません、よ?」
折木「………伊原に何か吹き込まれたな」
える「!!」ギクッ
折木「図星か………まぁ、話したくないならいい」
折木「それよりも、今日は楽しかったか?」
える「あ、はい!それはもう!」
折木「そうか……」
える「折木さんはいかがでしたか?」
折木「そうだな………とにかく疲れた」
える「………そうですか」ショボン
折木(しまった)
折木「ま、まあたまにならああいうのも悪くないんじゃないか?」
える「本当ですか?」
折木「あ、あぁ……」
える「じゃあ、えと、その……」
折木「?」
える「また、ご一緒してもいいですか?」
折木「……………………………気が向いたらな」
える「えっ!?」
折木「なぜそんなに驚くことがある」
える「あっ、ごめんなさい!
まさか、そういう返事が返ってくるとは思わなかったので」
折木「……………頼むからお前まで伊原のようなことを言うな」
える「すみません………」ショボーン
折木(しまった)
える「……………」
折木「あー………その、何だ」
える「……………」
折木「……………よかったぞ、お前の歌」
える「!」
える「………ありがとう、ございます」
折木(………俯いたままだが)
える「………………////」
折木(機嫌は直ったみたいだな)
………
……………
…………………
える「ここまでで大丈夫です」
折木「そうか」
える「わざわざありがとうございました」
折木「別にいい」
える「……………あの」
折木「ん?」
える「…………いえ、何でもありません」
折木「………そうか」
える「それでは、また明日」
折木「ああ、明日な」
………
……………
…………………
―――――翌日、地学準備室
ガラッ
折木「よう」
福部「やあ」
折木「………ん、里志だけか」
福部「そうだよ。今日は金曜だし、摩耶花も来ないんじゃない?」
折木「なるほど」
える「こんにちは」
福部「やぁ千反田さん」
折木「よう」
える「あっ、折木さん」
折木「どうした?」
える「あの、少し伺いたいことがあるんですけど……」
折木「断る」
折木「どうせ面倒なことになるに決まってる」
福部「ちょっとそれはひどいんじゃない?」
える「お手は煩わせません!知らないなら知らないと行ってくださって結構ですから!」
折木「……………はぁ。
……………………………言うだけ言ってみろ」
える「ありがとうございます!ええとですね、
『ヤレヤレ系』って、どういう意味ですか?」
折木「」
える「帰り道のお話をしたら急に摩耶花さんがイライラしだして」
福部「クッ……!」バンバン
える「耳になじみのない言葉だったので、訊き返したんですが教えてくれなくて」
福部「それはね、千反田さん。…プッ…ここにいる…」
折木「里志」
福部「ククッ……ごめんごめん」
える「はい?」
折木「伊原は、正確には何と言ったんだ。覚えてるだろ?」
える「はい。ええと確か………」
える「『ヤレヤレ系主人公なんて滅亡しろ』……だったかと」
折木「」
おしまい
伊原『はぁぁぁぁぁぁあ!?それだけ!?』
える「は、はい。それだけ御挨拶して別れました」
伊原『どんっ……だけグズなのよアイツは!!』
える「あの、摩耶花さん?」
伊原『これだからヤレヤレ系主人公はキライなのよ!滅亡しろ!』
える「ええと………」
伊原『えっ!?あっ…ゴメン、つい興奮しちゃって……』
える「いえ……ところで」
伊原『うん?』
える「『ヤレヤレ系』って、どういう意味ですか?」
伊原『!!!』
伊原(しまったぁぁぁぁぁぁ!!)
える「折木さんのことなんですか?」
伊原「えっ?あ、いや、何でもない。何でもないのよ?」
える「意地悪なこと言わないで教えてください!」
伊原『…………!』
える「私、気になりますっ!」
伊原『………ごめんちーちゃん、また明日!』
える「えっ?摩耶花さん?」
ガチャッ
ツー……ツー……ツー……
える「……切れてしまいました」
える「……明日折木さんにも訊いてみましょう」
える「明日…………」
える「…………ふふっ」ニコニコ
える「あどけないこんな気持ちを………♪」
ほんとにおしまい
おつ
Entry ⇒ 2012.06.19 | Category ⇒ 氷菓SS | Comments (0) | Trackbacks (0)
淡「あー、あついー」パタパタ
照「!!」
照(ふ、ふとももが……)
照「スカートの裾をパタパタするな」
淡「これが涼しいんですよー」パタパタ
照「暑いなら、着替えてきたら、いいだろう……」
淡「え、なんでですか」
照「い、いや……その、な」
淡「……?」
照(いえないっ…汗で制服がぴったりくっついてて、その可愛らしい水色のブラジャーが透けてるなんて……いえないー!)
照「……」
淡「丈短くしていいですか?」
照「だめだ」
淡「えー、なんでですか」
照「風紀が乱れるからな」
淡「ぶー、ちょっとくらいいいじゃないですかー」
照「だめなものはだめ」
ガサゴソ
照「……ん?」
淡「膝上20cm!」
照「」ブシャア
淡「ご、ごめんなさい…」
照「いや、いまのは私が悪い」
淡「……」
照「……」
淡「……あつい」
照「…あぁ」
淡「買い置きのアイス、ひとつしかないし…」
淡「あれ食べたら怒りますか、先輩?」
照「あぁ、あれは楽しみにしてるのでな」
淡「……そうですよね」
淡「………」
淡「あーづーいー」バタバタ
照「ど、どうすればいいの……」
淡「プールですかー……」
淡「こんな貧相な身体を晒すなんてごめんですね……」
照「う、うん?」
淡「私、Aなんですよ…はぁー」
照「そ、そう……」
淡「なので、プールは厳しいんです」
淡「……」
淡「あづー」
照「……」
照「見事に暖房しかでないからなぁ」
淡「あづーい」パタパタ
照「だから、やめなさい」
淡「ううー、あついんだからいいじゃないですかー」
照「そういう問題じゃないの」
淡「ぶーぶー」
照「まったく……」
照「夏だからな」
淡「なつなんてーどっかにいっちゃえばいいのにー」カミフワァ
照「まった、それあぶない!!それあぶないからしまって!!」
淡「うー、脱いでいいですか」
照「却下」
淡「はい……あづー」
照「……どこかに避難すればいい」
淡「外歩きたくないですー」
照「……」
照「そ、そう…」
照「お前は女の子だろう…はしたないな……」
淡「欲望には敵わないですよー」
照「やっぱり透けブラ…」
淡「にょ?何か言いました?」
照「い、いや…風でも吹いたんじゃないか?」
淡「ほんとですか!」
淡「……無風です」
照「あぁ……」
照「……ん?」
淡「裸ワイシャツって涼しそう」
照「……やるなよ?」
淡「実はカバンの中にワイシャツが」
淡「あぁ、没収しないでくださいー!」
照「こんな破壊力のあるもの…やらせるわけにはいかん」
淡「ちぇー」
淡「オレンジジュースがのみたいな」
淡「飲み物、ありませんか?」
照「たしか、切れてるはずだが…」
淡「わ、ほんとだ……なにもない…」
淡「ううー、ひからびるー」
照「たしか正面玄関に自動販売機があっただろう」
淡「わたしうごきたくないです」
照「……私もいかないぞ?」
淡「……ダメ?」
照「だめ」
照「そうだな」
淡「すこしでも風が吹けばいいんですけど…」
照「そうだな」
淡「あついあついー」パタパタ
照「……そうだな」
淡「なんですかその間は」
照「……」
淡「わすれちった」
照「……」イラッ
淡「……」パタパタ
照「……そのスカート剥ぎ取るぞ」ガシッ
淡「きゃー先輩に剥かれるー!」
照「……」
照「……」スッ
淡「なんで戻したし」
照「ただまったりしてるだけじゃないか」
淡「でもこのままぐだーっとしてたいです」
照「なんでだ?」
淡「動くのヤダ」
照「……」
照「揉んでくればいいじゃないか」
淡「あんなの媚売ってるだけじゃないですか」
照「おいまて、それ以上は」
淡「はい」
照「はいじゃないが」
淡「……」
照「……」
照「……はい」
淡「なにやるんですか?」
照「ここには雀卓と雀牌があるだろう?」
淡「あぁ、そういえばそうでした」
照「席についたか」
淡「うい……」グデー
照「よし、じゃあやるぞ」キュキュキュ
淡「……先輩」
照「ん、なんだ?」キュキュキュ
淡「熱風が顔に当たるんでやめましょう」
照「……グスン」
淡「風、吹きませんねー」
照「あればだいぶ変わるんだがな…」
淡「あかん、うちしんでしまいそうだわ、病弱やし」
照「他人のネタパクらない」
淡「はーい」
照「で、できるかと聞かれたら、できると答えるが…」
淡「やってみてください」
照「腕が壊れるかもしれないんだ」
淡「ごめんなさいやらないでください」
照「え、と…結構無意識に出来ちゃうからなんとも言えないけど、こう、腕を小刻みに震えさせる」
照「だんだん周りの空気を取り込んで……」
淡「はたからみたら精神異常者かなにかキメてる人ですね」
照「言わないでくれ……」
照「やればできるじゃないか」
淡「でもめんどくさいです」
照「……」
淡「もういいや」
照「……」
照「グスン…」
照「……あぁ」
淡「暇です」
照「寝ればいいんじゃないか?」
淡「先輩が暇になっちゃいます」
照「……本がある」
淡「……」ムスッ
照「あぁ、おやすみ」
淡「いいんですか?寝ちゃいますよ?」
照「あぁ」
淡「おやすみなさいっ」
照「おやすみ」
淡「……」
淡(寝たふり寝たふり……)
照「……」ペラッ
淡「……」
照「……」ペラッ
淡「ううー……」
淡「あつくるしくてねれないー……」
照「おはよう」
淡「うう……」
照「そ、そうか…」
淡「よっと」ゴロン
照「……」チラッ
淡(ふふふっ、さりげなく腹チラ……!)
照「!!」
照「……コホンッ」
照「いくら夏でも腹出してたら風引くぞ」スッ
淡「!!!」
淡「は、はひ…」ドキドキ
照「お互い様だ」
淡「へっ!?な、なんのことかなぁ…」
照「ふふっ」
照「あつくなってしまったし、アイスでも食べるかなぁ」
淡「う……」
照「もちろん、一緒にな?」チラッ
淡「っ……」
淡「はいっ」
おわり
ゆるせっ……!
Entry ⇒ 2012.06.19 | Category ⇒ 咲-Saki-SS | Comments (0) | Trackbacks (0)
やよい「う、ウルフルンっ!?」ウルフ「……あぁ?」
やよい「んー、良い天気ー」
やよい(たまには外で絵を描いてみようと公園に来たけど)
やよい(風が気持ちが良いし、ここでお昼寝したら幸せだろうなぁ…)
やよい(……まあ、さすがに人目もあるし、やらないけどね)
やよい「さて、どこに座ろう」
やよい「ベンチには先客がいるし、噴水の側は紙が濡れちゃうし……やっぱ芝の上に座るしかないか」
やよい「あーあ、どこかに良い場所ないかなー」
やよい「……ん? あの木の下なんて涼しげでいいかも」
やよい「着きましたよっ、と」
サァァァァ…
やよい「風が気持ちいいなぁ」
やよい「あれ? よく見たら木の反対側に誰か……って」
ウルフ「……あぁ?」
ウルフ「誰かと思えば、プリキュアのきのこじゃねえか」
やよい「そ、そんなことないもん! お母さんだって『可愛い髪型だね』って褒めてくれるもん!」
ウルフ「……いや、どう見てもきのこだろ」
やよい「うぅ~~・・・」
ウルフ「んで、何の用だよ。 一人で俺様と戦おうってのか、あ?」
やよい「……私は、ちょっと、外で絵を描こうかなって、思っただけだもん」
ウルフ「あーそうかよ。 ならとっとと失せろ」
ウルフ「見逃して…カックン…やるから……よ」ウツラウツラ
やよい「・・・?」
やよい「もしかして、眠たいの?」
やよい「よく来るの?」
ウルフ「たまーに、な。 アジトじゃ…アカオーニの、野郎が、やかましくてよぉ…」カックンカックン
やよい「ふーん」
ソヨソヨ…
サワサワ…
やよい「確かに、ここって静かで落ち着くね」
ウルフ「・・・・・・」
やよい「……? あ、寝ちゃってる」
ウルフ「クー、スピー」
やよい(寝顔は可愛いワンちゃんなのになぁ…)
ウルフ「クカー…フゴッ! ……ウルッフッフッフッフ」
やよい「ぷっ、くすくす」
やよい「……そうだ!」
ウルフ「くぁ~~~っ、よく寝たぜー!」
やよい「うわぁ!?」
ウルフ「………あん?」
ウルフ「なんだお前、まだ居たのかよ」
やよい「べ、別に良いじゃない。 私の勝手でしょ」
ウルフ「あぁ?」ギロリ
やよい「―――ひぃ!」アタマガード
ウルフ「……ん?」
やよい「えっ!? これは…私のスケッチブック、だけど…」
ウルフ「ふぅーん」テノバシ
やよい「…………!」ササッ
ウルフ「・・・おい、なんで隠す」
やよい「ひ、人の物を勝手に見るのはよくないと思うな」
ウルフ「・・・・・・・」ギロリ
やよい「………」プルプル
ウルフ「そうか、なら仕方ないな」
やよい「……ホッ」
ウルフ「なーんてなっ!!」バッ
やよい「!?」
ウルフ「よくない事をするのが俺たちバッドエンド王国なんだよぉ!!」ガシッ !
やよい「うわぁああああああああん!!」
やよい「み、見ちゃダメえええええええ!!」
ウルフ「嫌だねー! ウルッフッフッフッフ!!」
やよい「返してよー!!」
ウルフ「この落書き、全部てめぇが書いたのかぁ? へったくそだなぁ!」
やよい「これからっ、上手くっ、なるんだっ、もんっ!」ピョン、ピョン
ウルフ「ウルッフッフッフ……フ?」ピタッ
やよい「えっ…うわぁ!」
ドンッ!
やよい「いたた…」
やよい「きゅ、急に止まらないでよぉ」
ウルフ「おい、きのこ頭」
やよい「むーっ! だから、きのこって言わないで! 私はや・よ・い!」
ウルフ「……これ、もしかして俺か?」
やよい「あっ」
やよい「ね、寝てる姿が結構絵になってたから描きたくなって…」
ウルフ「ふざけんな!」
やよい「ひぃ!?」ビクッ
ウルフ「俺様を描くなら、もっと格好良く描きやがれ!!」
やよい「……え?」
ウルフ「ビシッと決めてくれよなぁ!」
やよい「あっ、動かないで」カキカキ
ウルフ「ぬ……」
~五分後~
ウルフ「………」
やよい「………」シュッシュッ
ウルフ「なあ」
やよい「口動かさないで」ケシケシ
ウルフ「………」
ウルフ「………」
やよい「………」
ウルフ「………」ブンブン
やよい「しっぽ」
ウルフ「………」ピタッ
~十分後~
ウルフ「………」
やよい「………」カキカキ
ウルフ「……………」
やよい「……………」シュッシュッ
ウルフ「……う、」
やよい「?」
ウルフ「うがああああああ!!」
やよい「ひゃあ!? お、おどかさないでよぉ」
やよい「十分くらいじゃあんまり描けないよ…」
やよい「あと、ちゃんと座って、さっきと同じポーズとってね。 じゃないと描き直しだから」
ウルフ「俺様に指図すんじゃねえよ」ギロリ
やよい「うぅ……だ、だって、あなたが描いて、って頼んだんじゃない」
ウルフ「それはそれ、これはこれだ! 俺様に合わせて描きやがれ!!」
やよい「そんなの出来ないよお…」
ウルフ「出来ないじゃねぇ、やるんだよ!!」
やよい(うーん…)
やよい「あ、そうだ」
ゴソゴソ
ウルフ「あん? なにやってんだ」
やよい「ねえ、これ食べない?」
ウルフ「なんだそりゃ?」
やよい「私がお家で焼いたスコーン。 形は不格好だけど甘くて美味しいよ」
ウルフ「ほー、人間の菓子か。 いいぜ、よこしな」
やよい「はい」
ウルフ「………」モグモグ
やよい「・・・どう?」
ウルフ「おお、結構うめえな」
やよい「ほんと? 実はまだいくつかあるんだけど」
やよい「だーめ」
ウルフ「………」ギロリ
やよい「こ、怖い顔してもダメなんだから」
やよい「残りは、私が絵を描き終わったらあげる」
ウルフ「めんどくせーなぁ…」
ウルフ「じゃあ、ほら。 とっとと描いちまえよ」
やよい「さっきと同じポーズしてくれなきゃ描けない」プイッ
ウルフ「あぁ?」
やよい「す、スコーン、あげないよ?」
ウルフ「……チッ」
やよい「出来たー!」
ウルフ「終わったぜー、はぁ」
やよい「どうかな、リクエスト通り格好良くしてみたんだけど」
ウルフ「もう絵なんかいいから菓子くれよ…」
やよい「むー。 元々は絵が目的だったんでしょ? はい、どうぞ」ビリッ
ウルフ「……ふー」チラッ
ウルフ「・・・・・・」
やよい「……」
ウルフ「まあ、いいんじゃねえの?」
やよい「本当?」
ウルフ「ただもう少しワイルドさが欲しいよなぁ、『たてがみ』をもっと尖らせたりよ」
やよい「なるほど…」
やよい「あ、ごめんね。 はい、モデルお疲れ様」
ウルフ「これよこれ、待ってました!」
ウルフ「ばくばくもぐもぐ!」
やよい「ふふ、そんなに気に入った?」
ウルフ「腹減ってる分美味く感じるな」ガッガッ
やよい「……それ、お腹空いてなかったら微妙ってこと?」
ウルフ「どーだかなー? ウルッフッフッフッフ」モシャモシャ
やよい「むー・・・」
やよい「お粗末さまでした」
ウルフ「んじゃ、俺帰るわ。 次会う時はてめぇらをボコボコにしてやるからな、覚悟しとけ!」
やよい「あのっ! ちょっと待って」
ウルフ「あぁん? んだよ」
やよい「ここ、たまに来るって言ってたよね」
ウルフ「おう」
やよい「……えと、じゃあさ」
やよい「……」
やよい「よかったら、また絵のモデルになってくれない、かな?」
ウルフ「はぁああ?」
ウルフ「けっ! なんで俺がそんな面倒なことしなきゃいけねぇんだよ」
ウルフ「お・こ・と・わ・り・だ!」
やよい「また美味しいお菓子持ってくるからさ」
ウルフ「」ピクッ
ウルフ「……それは、今日のスコーンとかいうのよりも美味いのか?」
やよい「えっ? うーん…比べるようなものじゃないと思うけど」
やよい「少なくとも、味見して美味しくないと思う物は持ってこないよ」
ウルフ「はーん、へぇー、ほぅ…」
ウルフ「……まぁ? お前が? どうしてもと言うんなら? 引き受けてやっても良いんだぜ」パタパタ
やよい(しっぽ振ってる…、面白いなぁ)
みゆき「ねぇねぇ、やよいちゃん! 日曜日何か予定ある?」
やよい「うん? 日曜日? 特になかったと思うけど…」
あかね「皆で買い物でも行こかー、って話になったんやけど、やよいも来るか?」
やよい「ショッピングかぁ、楽しそう!」
あかね「そんじゃやよいも参加な」
やよい「うんっ! ………あ、」
みゆき「? どうかした?」
みゆき「どうして?」
あかね「あっ、もしかして小遣い足りないー、とかか? 別に何も買わんでもええんやで?」
やよい「そういうのじゃなくて、その、他の人と約束してたの思い出して」
みゆき「そっかー、それじゃ仕方ないね」
やよい「うん、ごめんね?」
あかね「別に謝らなくてもええって、また今度誘うなー」ノシ
やよい「ばいばーい」ノシ
やよい「……」
やよい(まぁ、あっちが約束を守ってくれるかは分からないんだけどね…)
ウルフ「おう、来たか」
やよい「……あ、うん。 お待たせ」
ウルフ「何ボーっとしてんだよ」
やよい「……いや、ほんとにいるんだなぁ、と思って」
ウルフ「んん? そりゃどういう意味だ?」
やよい「うんん、いいの。 大したことじゃないから」
ウルフ「で、菓子はちゃんと用意したんだろうな」
やよい「バナナが余ってたから、バナナケーキを作ってみたんだけど…」
ウルフ「ほっほう、んじゃさっそく」
やよい「まだダーメ、絵が描き終わったらね?」
ウルフ「別に後でも先でも変わんねえだろ」
やよい「食べたら、どっか行っちゃわない?」
ウルフ「い、行かねぇよ…」プイッ
やよい「あー、目が泳いでるー」ジトォ
ウルフ「………」ウズウズ
やよい「……」
やよい「少し休憩する?」
ウルフ「っしゃあ!」
やよい「ふふっ、そんなに疲れた?」
ウルフ「動いちゃいけねぇってのがキツいな、もっと早く描けねえのか?」
やよい「やろうと思えば十分くらいで描けるけど…」
ウルフ「はぁ? ならどうしてこんなに時間かかってんだよ」
やよい「早くすると雑になっちゃうんだもん」
ウルフ「少しくらい楽してもいいんじゃねえの?」
やよい「ダメだよ。 それだとあなたに申し訳ないし、私も手は抜きたくないから」
ウルフ「いや、別に俺は菓子さえ食えれば…」
やよい「とにかく! 良い出来になるまで粘るよ!」
ウルフ「……お前変なトコでこだわんだな」
ウルフ「んだぁ、この茶色いのは?」
やよい「ココアだよ。 もしかして初めて?」
ウルフ「おう」
やよい「あったかくて、甘くて、ぽかぽかするよ」
ウルフ「……どれどれ」グイッ
やよい「あっ」
ウルフ「」
ウルフ「うあ熱っちぃぃいいいいいいいいいいい!!」
ウルフ「へ、へめぇ! はひひやはふ!? (て、てめぇ! なにしやがる!?)」
やよい「魔法瓶で入れてきたから、アツアツなんだ」
やよい「少し冷まして飲んでね?」
ウルフ「ほへーほ! (おせーよ!)」
やよい「でーきたっ!」
ウルフ「おら、さっさと菓子よこせ」
やよい「もー…、花より団子って、多分こういうことなんだろうね…」
ウルフ「あぁ? 花と団子だったら団子の方が良いに決まってんだろ」
やよい「……まあ、食べながらでも絵は見れるからいっか」
やよい「はい、どうぞ」
ウルフ「ウルッフー!」バクバクバク
やよい「それで、今日のはどう?」
ウルフ「まあまあだが、次はしょっぱいのが食いてぇな!」ガッガッ
やよい「いや、絵のことを聞いたんだけど…」
ウルフ「あん? ……いんじゃね?」
やよい「……先週も同じ感想じゃなかった?」
ウルフ「俺に絵のこと聞かれてもよぉ、良し悪しなんか分かんねぇって」モシャモシャ
やよい「えー・・・」
やよい「そう? やり過ぎかなー、と思ったんだけど、気に入ってもらえてよかった」
ウルフ「後は…もっとこう、爪でズバーッ!!ってしてるところとかどうよ」
やよい「・・・えーっと、つまり動きのある絵にしろ、ってこと?」
ウルフ「俺様の溢れ出る強さに、見た奴が恐れ慄くようなのがいいな!」
やよい「それって捏造じゃ…」ボソッ
ウルフ「? 何か言ったか?」
やよい「ううん、別に?」
やよい「……そういえばさ、」
ウルフ「なんだよ」
やよい「ウルフルンって、必殺技とか持ってるの?」
ウルフ「あぁ?」
やよい「悪者も奥の手で持ってるのが定番なんだけど…、何かない?」
ウルフ「えっ、定番…なのか?」
やよい「それがあるかないかで、人気が左右されることもあるね」
ウルフ「へ、へえー・・・そういうもんか」
やよい(ん? ………!)
やよい(……ははぁん)
ウルフ「そ、その必殺技? がどうしたってんだよ」
やよい「格好良くて、躍動感のある絵といえば、必殺技を使ってる場面だと思うんだよねー」
やよい「もし見せてもらえると、私もインスピレーションが湧くんだけどなぁ…」チラリ
ウルフ「…ぐ…ぬ……」
ウルフ「っ!? んなことねえよっ! 百個はあるぜ!!」
やよい「ほんとっ? じゃあ、どれか見せてよ」
ウルフ「ぬぐっ…! きょ、今日は調子が悪くてよ…」
やよい「その割にはよく食べてたけど」
ウルフ「て、てめぇが動くなっつったから身体がガチガチなんだよ!」
ウルフ「ぅぐ…」
やよい「なら、しょうがないか」
ウルフ(ほっ)
やよい「でも、いつか見せてね?」ニコッ
ウルフ「!? …お、おう! てめぇらが喰らったら木端微塵だぜ!」
やよい「へぇー」ニコニコ
ウルフ「マジだかんな!? そん時になって後悔すんじゃねえぞ!!」
やよい「うん、楽しみにしてるっ」
ウルフ「けっ!」
ウルフ「帰ったぜー」シュンッ
オーニ「おっ、やーっと帰って来たオニ!」
マジョ「どこ行ってたんだわさ?」
ウルフ「別にどこだって良いだろ」
オーニ「お前が来るまでおやつを食べずに待ってたんだオニ!!」
ウルフ「はぁ? おやつぅ?」
マジョ「今日は納豆餃子アメと、チャバネゴキブリの羊羹だわさ」ジュルリ
オーニ「ほら、お前も早く席に着くオニ!」
ウルフ「あー・・・」
ウルフ「俺はいいわ。 アカオーニ、俺の分やるよ」
オーニ「オニ!?」
マジョ「なっ!?」
ウルフ「おーおーマジだ、好きに食ってくれ」
オーニ「ウオッシャアアアアア!!」
マジョ「ウルフルン、お前どこか体調でも悪いんだわさ?」
ウルフ「どこも悪かねぇよ、至って健康だ……ゲフッ」
マジョ「んん? ………あー! お前また人間界で何か食べて来たね!」
ウルフ「俺が何食おうが、俺の勝手だろうが」ウップ
マジョ「晩ご飯が食べられなくなっても知らないだわさー!!」
ウルフ「へーへー気を付けますよー」
ウルフ(今日のアップルパイ、美味かったなぁ…)
やよい「じゃんじゃじゃーん!」パカッ
ウルフ「おおっ!? こいつぁ…」
やよい「やよい特製☆お好み焼きでーす!」
やよい「前にあかねちゃんのを美味しそうに食べてたでしょ? なので私も挑戦してみましたー!」パチパチ
ウルフ「へぇー、見た目は美味そうだな」
やよい「みんなと一緒に何回か作ったからね。 綺麗にまーるくなってるでしょ?」
ウルフ「ま、形と味は関係ねぇけどな」
やよい「ちゃんと味見もしたから大丈夫だって」
やよい「ささっ、焼いて家から持ってくるのに時間かかったから、これ以上冷めないうちにどうぞっ」
ウルフ「おう! いっただっきまーす!」ガブリッ
ウルフ「………」モグモグ
やよい「どう? おいしいでしょー!」
やよい「……?」
ウルフ「なあ」
やよい「うん?」
ウルフ「これは、お好み焼きなんだよな?」
やよい「えっ? やだなぁ、どう見たってそうでしょ」
ウルフ「だよなぁ…」パクッ
ウルフ「………」モグモグ
やよい「もー、なーにさっきから」
ウルフ「ちょっと食ってみろ」ヒョイ
やよい「ふぇっ!?」
ウルフ「おら、不味くなかったってんなら口開けろって」グイグイ
やよい「で、でも…」
ウルフ「ほらっ!」
やよい「あぅ…」
やよい「・・・・・・あ、あーん///」
ヒョイ、パク
ウルフ「……どうだ?」
やよい「///」モグモグ
ゴックン
やよい「……うん、甘くておいしいけど」
ウルフ「おかしいだろっ!?」
やよい「えっ? なにが?」
ウルフ「前食ったお好み焼きってこんな甘くなかったぞ!? 昨日のケーキより甘えじゃねえか!!」
やよい「? だって、甘い方がおいしいでしょ?」
ウルフ「お前…普段何食ってんだよ」
やよい「何と言われても…、昨日の晩ご飯はお味噌汁と鮭とサラダだったけど」
やよい「それがどうかした?」
ウルフ「普段の食事がイカれてると思ったんだがなぁ…、違ったか」
ウルフ「いや、不味くはねえよ。 不味くはねえが…」
やよい「……」
ウルフ「? おい、どうした」
やよい「やっぱり、美味しくなかったんだ…」グスッ
ウルフ「………っ!」
やよい「ご、ごめ…」
ウルフ「まっ、俺様としちゃ泣き顔見ながらの方が飯が美味いんだけどな!」ガッガッ
やよい「あっ…、別にそんな、無理して食べなくても」
ウルフ「うっせえ! 俺が貰ったもんをどうしようと俺の勝手だろうが!!」モッシャモッシャ
やよい「………」
やよい「ありがとね」
ウルフ「モグモグ…あぁ? 敵に『ありがとう』なんて言うんじゃねえよ、ばーか」
やよい「それでも、ありがと」
ウルフ「…けっ」
やよい「~~~♪」ジュー
ちはる「あら、やよい。 また何か作ってるの?」
やよい「あ、お母さん。 ちょっとお好み焼きのリベンジを、ね」
ちはる「へー、どれどれ…」パクッ
ちはる「…?」
ちはる「やよい、これ甘みが足りなくない?」
やよい「えっ、そうかな」
ちはる「砂糖足す?」ガチャ
やよい「でも、甘くない方が好きみたいだから…」
ちはる「変わってるわねぇ、その子。 お母さん、女の子は皆甘い物好きだと思ってたわ」
やよい「まあ、女の子じゃないからね…」
ちはる「えっ?」
やよい「あっ」
やよい「えっ、いや、ちが…!」
ちはる「そっかー。 最近休みになると、よくお菓子作って出かけるからどうしたのかなー、と思ってたけど」
ちはる「やよいがねー」ニヤニヤ
やよい「もー! だーかーらー、ちーがーうーのー!!」
ちはる「照れなくても良いじゃない。 誰もが一度は通る道よ」
やよい「むぅー! もう、行ってきまーす!!」ガシッ、ダダダ、バターン !
ちはる「あらあら」
ちはる「青春ねぇ…」
ウルフ「まだどことなく甘い気はするが…、それは置いておくぜ」
やよい「……今日のもダメ?」
ウルフ「なーんか違うんだよなぁ…、根本的な何かが…」
やよい「そっかぁ…」
やよい「今度、あかねちゃんに作り方教わってみるね」
ウルフ「あん? それならキュアサニーが作ったのをそのまま持ってくりゃいいだろ?」
やよい「むぅ! 私が、自分で、作りたいの!!」
ウルフ「無理だと思うがねぇ…」ニヤニヤ
やよい「見てなさい! すっごくおいしいの作って驚かせてやるんだから!」
ウルフ「期待しないで待ってるぜー、ウルッフッフッフッフ」
ウルフ「なんじゃこりゃ・・・」
やよい「新しい観点から描いてみました」エヘン
ウルフ「こりゃただの犬じゃねえか! 爪も牙もねえし、全体的に丸っこいしよぉ!」
やよい「かわいいでしょ?」
ウルフ「俺に似せる気全くねえなお前! これなら俺がいなくても描けるだろうがよ!!」
やよい「ウルフルンの可愛いと思う分を抽出したんだけど……ダメ?」
ウルフ「ダメに決まってんだろうが!!」
やよい「でも、お菓子食べてる時とか寝てる時とか、こんな感じだよ?」
やよい「やぁだあ! 髪はやめてよぉ!」ジタバタ
ウルフ「うっせえ、お前は最近調子に乗り過ぎなんだよっ!!」ガシガシガシ !
やよい「うわあああああああん!!」
ウルフ「ウルッフッフッフッ…フ?」
もふっ
ウルフ「…」
ウルフ「……」モフ
ウルフ(触り心地いいなぁ…これ)モフモフ
ふかっ
やよい「……っ!?」
やよい「…」
やよい「……」フカ
やよい(毛並みいいなぁ…これ)フカフカ
~我に返って~
ウルやよ「「ハッ!?」」
やよい「そ、そろそろ離してよっ!」バッ
ウルフ「て、てめぇこそ離れやがれ!!」ズサッ
みゆき「最近のやよいちゃん、どこか変わった気がしない?」
なお「えっ? うーん、私は特に気付かなかったけど」
れいか「以前よりも向上心が湧いたように感じますね。 休み時間にお料理の本を眺めたりしていますし」
みゆき「あと、授業中によく髪をいじるようになったよね」
キャンディ「やよいもキャンディみたいにくるくるにしたいクル?」
なお「あっはっは、キャンディのは耳でしょー。 ……それ、耳だよね?」
あかね「……そのことなんやけどな」
みゆき「ん? あかねちゃん、何か知ってるの?」
なお「耳なの? それとも触角なの?」ガクブル
あかね「この前、やよいがウチに頼み事しに来てな」
れいか「頼み事、ですか?」
あかね「ああ、美味しいお好み焼きの焼き方おせーてー、ってな」
みゆき「お好み焼きぃ?」
あかね「やよいが頼み事なんて珍しいなぁ、それも料理やなんて」
やよい「あはは…、たまにはね」
あかね「まっ、ウチに任せておけばモーマンタイや。 ビシビシいくでー」
やよい「ははー。 よろしくお願いします、先生」フカブカ
あかね「せ、先生て、気恥ずかしいわぁ…」
あかね「それで、材料は持って来たんか? 足らなかったらウチの貸すで?」
やよい「あ、うん。 よいしょっと」ドサッ
あかね「えーと、どれどれ…。 キャベツに、豚肉、卵に、紅ショウ……ん?」
やよい「どうかした?」
あかね「ちょっと、やよいー。 お好み焼きにホットケーキミックスは使わんてー」ケラケラ
やよい「使わないの?」
あかね「えっ」
やよい「えっ」
やよい「私、いつもこれで作ってたんだけど…」
やよい「甘い方が美味しいでしょ?」
あかね「」
~~~
あかね「ちょっ! やよい、何を入れるつもりや!?」
やよい「ドライフルーツだけど…」
あかね「お好み言うても、そら合わないやろ!」
やよい「あ、でもこれ甘さ控えめだよ?」
あかね「いや、そういう問題ちゃうねん…」
~~~
やよい「焼けたよー」
あかね「どれ」パクッ
やよい「ワクワク」
あかね「……砂糖、入れたか?」
やよい「大匙一杯だけだけど…、よく分かったね」
あかね「甘味から離れようや…」ガクッ
~~回想終了~~
れいか「それは…、なんとも不思議な特技ですね」
みゆき「やよいちゃんの料理って、見た目はすごくまともなんだけどねぇ…」
れいか「? 美味しくないのですか?」
みゆき「うんん、美味しいよ。 美味しいんだけどね」
みゆき「ぜーんぶ甘いの」
なお「そう、なんだ」
あかね「そうなんや。 やよいって味はともかく、料理自体は出来るねん」
あかね「だからその時、やよいに『なんでお好み焼き作ろうと思ったんや?』って聞いたんやけど」
みゆき「うんうん」
あかね「『絶対美味しいって言わせるんだから』、やて」
れいか「……? 質問の答えになっていない気がしますが」
なお「つまり、誰かに食べさせるために練習してる、ってことかな」
みゆき「うーん、お母さんとか?」
れいか「日頃の感謝というわけですか、とても素晴らしいと思います」
みゆき「?」
あかね「①最近のやよいは少し変わった」
あかね「②髪をいじったり、料理本を読むようになった」
あかね「③お好み焼きは、誰かに食べさせるために練習しているらしい」
あかね「④休みの日に誰かと約束していることが何回かあった」
あかね「以上の事から導き出されるのはぁ…」ダダン !
みゆき「どきどき!」
れいか「あかねさんも、どこかいつもと違うわね」
なお「そういえば昨日、少年探偵の映画やってたっけ」
みゆき「か?」
あかね「彼氏が出来たかもしれんてことやあああああああああ!!」
みゆなおれい「「「な、なんだってええええええええ!?」」」
キャンディ「クルッ?」
あかね「……って、あれ?」
みゆき「やややややよいちゃんに、か、彼氏!?」
なお「わ、私たちまだ中学生だよ? は、早いんじゃないかな…///」
みゆき「あ、でも私『命短し恋せよお米』って聞いたことある!」
なお「あれ? お米だっけ? ああ、でもそう言われると早くはないのかなぁ…」
キャンディ「れいか、『かれし』って何クルッ?」
れいか「えっ!? えと、その…、ある女性と特別に仲の良い男性…かしら?」
キャンディ「? キャンディよく分かんないけど、やよいと仲良しの人のことクルッ?」
れいか「まあ、そんな感じかな」
キャンディ「じゃあキャンディも『かれし』クルー!」
れいか「うふふ、キャンディ。 女の子は彼氏にはなれないのよ」
キャンディ「クルッ?」
あかね「お、落ち着けみゆきー!」
なお「そ、そうだね。 うん、皆で一度深呼吸しよう!」
スー…
ハー……
なお「落ち着いた?」
みゆき「ああ、うん。 なんとか…」
なお「でもまさか、やよいちゃんがねー」
あかね「いや、だから。 そうとは決まってないて…」
れいか「相手の方はどんな人なんでしょう?」
みゆき「やよいちゃんが選んだ人だもん。 きっと良い人だよ!」
なお「そうだね!」
れいか「こういう時は、お祝いするべき、なんですよね?」
みゆき「あー、でも気になるなぁ! いっそ皆でやよいちゃんに着いて行っちゃう?」
れいか「ええっ? そんな、人のプライベートを覗くのはちょっと…」
キャンディ「キャンディ、やよいの『かれし』見てみたいクルゥ!」
なお「や、やっぱり……手とか繋いじゃってるのかなぁ…/// 私には刺激が強いよぉ…」
あかね「おーい……」
みゆき「やーよいちゃん!」
やよい「ん? なぁに、みゆきちゃん」
みゆき「今週の土日で何か予定ある?」
やよい「えっ? 日曜は少し用があるけど…なんで?」
みゆき「えへへ、あのね…うわぁ!?」ガバッ
やよい「?」
あかね(アホー! 予定聞くだけでええねん、バラしたら意味ないやろ!)ボソボソ
みゆき「ほへーん (ごめーん)」モガ
やよい「…えーっと、どうしたの? あかねちゃん…」
あかね「あっ、あはははは! 何でもないでー、ごめんなー?」
あかね(ほら、みゆき。 行くで!)
みゆき(はーい)
ズルズル…
やよい「……なんだったの?」
やよい「今日のは本当に自信作なんだから!」ムン
ウルフ「おめぇ、いつもそんな事言ってるよな」
やよい「むぅ、今回はほんとにほんとなの!」
ウルフ「へーへー分かりましたよー。 どうせ食えば分かるしな」
やよい「ふふん、調子に乗っていられるのも今のうちよ」
やよい「あかねちゃん直伝のお好み焼き、とくと味わうが良いわ!!」ドンッ !
ウルフ「いちいち大仰だなお前ぇ…」
やよい「いいから、ほらっ!」
ウルフ「……」
ウルフ「はぐっ」
やよい「………」ドキドキ
ウルフ「……おおっ!?」
やよい「!」
ウルフ「これだよ、これ。 お好み焼きってこういうのだよな!」バクバク
やよい「やったあ!」
ウルフ「んー・・・? ああ、お好み焼きの味だな」
やよい「そうじゃなくて、もっとこう…」
ウルフ「こんなもん誰が作ったって一緒だろうが」ガツガツ
やよい「そんなぁ…」ショボン
ウルフ「………」
ウルフ「まぁ、」
やよい「?」
ウルフ「あの糞甘い奴よりは大分マシになったんじゃねえの?」
やよい「……」
ウルフ「……」モグモグ
やよい「ふぅ」
やよい「素直じゃないなぁ」ニコッ
ウルフ「うっせえ」
あかね「……で、あれは一体どういう状況なんやろうな」
キャンディ(やよいが危ないクルー! 助けに行くクルー!)モガモガ
なお(ああ、もうキャンディ静かにして! 気付かれちゃうでしょ!)ボソボソ
キャンディ(クルー!!)
れいか「なんともまた変わった組み合わせですね…」
みゆき「でも、なんだか二人とも楽しそうだよ?」
なお「少なくとも、脅されて、ってのではないみたいだね」
れいか「えっ? では、ウルフルンがやよいさんの彼氏だったんですか?」
あかね「さすがにアレが彼氏ってのはないやろぉ…」
あかね「えっ、ど、どないしたんや? みゆき」
みゆき「美女と野獣、ぜんっぜん変じゃない!」
あかね「あー、また絵本の話かいな…」
みゆき「悪い魔女の呪いで悪の心に支配されてしまった狼さんを、やよいちゃんが解き放とうとしてるんだよ!!」
みゆき「くっ、なんて健気なやよいちゃん!」ヨヨヨ…
あかね「んなアホな」
なお「みゆきちゃんの話はとりあえず置いておくとして、実際どういう関係なんだろうね。 あの二人」
れいか「そうねぇ…、なおはどう思う?」
なお「うーん。 そうだなぁ・・・」
~~~~~~~~~
ウルフ「ウルッフッフッフッフ♪」モシャモシャ
やよい「ウルフルンって、何か食べてる時は『わんこ』って感じだよねぇ」ケラケラ
ウルフ「あんだとっ!?」
やよい「ひゃあ!」
ウルフ「調子に乗るなよ、この、このっ!」
やよい「もー! だから髪はやだって言ってるでしょー!!」ジタバタ
~~~~~~~~~~
なお「仲の良い兄妹……いや姉弟か? うちの弟たちもあんな感じだし」
れいか「ああ、なるほど。 何か既視感を感じていたのだけど、それだったのね」
キャンディ(でも、アイツはわるいヤツクルー!)モガモガ
れいか「……そうね、確かにキャンディの言う通り」
れいか「私たちプリキュアと、ウルフルンたちバッドエンド王国は敵同士」
れいか「でも、もしも。 やよいさんとウルフルンが、この先も良好な関係を築いて行けたなら」
れいか「それを『きっかけ』として、」
れいか「私たちが争わなくても済む、そんなハッピーエンドが迎えられる」
れいか「あの二人を見ていて、そんな気がしたのです」
あかね「……」
なお「……くすっ。 れいか、なんだかみゆきちゃんみたい」
れいか「そうかしら? うふふ」
みゆき「でも、本当にそうなったらいいよね。 みーんな仲良しが一番だもん!」
あかね「少し楽観的な気もするけど…せやな! 喧嘩しなくても済むなら、それがええ」
れいか「直接だとかえって迷惑をかけてしまいそうなので、私たちは陰ながら応援していましょう」
みゆあかなお「「「うんっ」」」
ウルフ「くぁあ~~~・・・」
やよい「……」ピタッ
やよい「眠たくなってきた?」
ウルフ「今日あったけえからなぁ…」
やよい「あと2,3分で仕上げるから、もうちょっとだけ頑張ってね」
ウルフ「はいよー」
やよい「……」カキカキ
ウルフ「……」
ウルフ「なあ」
やよい「なーにー?」シュッシュッ
ウルフ「お前ぇはいつも楽しそうに絵を描いてるけどよ、」
ウルフ「なんで絵を描くんだ?」
やよい「えっ?」ピタッ
ウルフ「お前ぇの場合、誰かに褒められたいってわけでもないんだろ? 最初の時、隠してたもんな」
ウルフ「俺からすれば時間の無駄にしか見えねえんだが…、お前はどうなんだよ」
やよい「なんで絵を描く、かぁ…」
やよい「うーん、考えた事もなかったなぁ」
やよい「ヒーロー物が好きだから、私もそういうのを描いてみたい、っていうのもあるんだろうけど…」
やよい「……」
ウルフ「……」
やよい「そうだなぁ」
やよい「私がその時感じた物を残しておきたい、っていうのが理由なのかもね」
やよい「えっと、さ。 例えば、私が3番目にウルフルンにあげたお菓子覚えてる?」
ウルフ「あん? んなもん覚えてる訳ねえだろ」
やよい「ふふっ」
ペラペラ…
やよい「ほら、これ」
ウルフ「俺の絵、か?」
やよい「アップルパイを焼いてきたんだよ。 で、ウルフルンの口周りの毛がベトベトになって…」
ウルフ「あー、あのやたら食いづらい奴か。 齧ったそばから中身が出そうになるしよ」
やよい「丸ごと食べようとするからだよ、……私の分まで食べちゃったし」
やよい「こうして、思い出を切り取る事は写真でだって出来るけど」
やよい「絵なら、私の見ている世界をそのまま描き出せる」
やよい「かっこいいヒーローだって、わくわくするような漫画だって」
やよい「紙とペンさえあれば、こういう思い出だって残せちゃう」
やよい「それって、すごいことじゃない?」
ウルフ「……俺にはよくわかんねぇな」
やよい「そっか、私も上手く言葉に出来なかったから、しょうがないね」
ウルフ「ふむ…」
やよい「……」
やよい「あ、そうだ」
やよい「ねえ? せっかくだから、ウルフルンが私を描いてみてよ」
やよい「試しに描いてみれば分かるかもよ、絵の楽しさ」
ウルフ「べ、別に分からなくても困らねぇよ、めんどくせえし」
やよい「いいじゃない。 思い出、思い出♪」
ウルフ「大体、俺様は絵なんて描いたことねぇぞ!?」
やよい「まあまあ」
ウルフ「人の話を聞けぇえええ!!」
?「おやおや、これはこれは…」
?「………んっふ」
やよい「……」ジー
やよい「えへへ」
みゆき「やよいちゃん何見てるのー?」
やよい「ん? ああ、ちょっとコレをね」
ペラッ
みゆき「えーっと……これは何の絵?」
やよい「これ、私なんだって。 …くすくす、変だよねー」
あかね「お? なんやなんや……って、『き○この山』か? これ」
なお「へー、うちの弟たちが描いた絵みたい」
れいか「これは、やよいさんが描いたものではないんですか?」
やよい「うんっ。 あ……えと、新しく出来た友達、にもらったの」
れいか「友達、ですか」
みゆき(狼さんのことだろうね)ボソボソ
みゆき(仲良さそうで、ウルトラハッピー♪)
あかね(てか、アイツめっちゃ絵ぇ下手やな)ククク
やよい「? どうかした、二人とも」
あかね「んーにゃ、なんでもないでー」
なお「ねえ、やよいちゃん」
やよい「なに?」
なお「その新しい友達ってどういう人? 仲良くやれてる?」
やよい「えっ?」
なお(だって、気になるじゃない。 これくらいは大丈夫だって)ボソボソ
やよい「うーん……」
やよい「そう、だなぁ」
やよい「乱暴で、面倒臭がりで、すぐ怒って私の髪をモサモサするけど、」
やよい「お菓子食べてる時とか寝てる時を見てると、悪い人ではないんだろうな、って思うんだ」
やよい「……でも、」
なお「でも?」
やよい「私は仲良くやれてると思うんだけど、……あっちはそう思ってくれてるのかどうか」
やよい「その、元々その人とはよく喧嘩をしたりしてたから、今の状況がなんだか不思議で…」
なお「実感湧かない?」
やよい「そう、居心地は良いんだけど、ふわふわしてて」
やよい「……また、前みたいな関係に戻りそうな気がして」
なお「不安?」
やよい「……うん、少し」
やよい「えっ?」
なお「やよいちゃんとその人は、ちゃんと仲良くなってる」
やよい「どうして、そう思うの?」
なお「だって、」
なお「面倒臭がりな人が、自分で絵を描いてまで、嫌いな人にプレゼントすると思う?」
やよい「それは…、でも、私がちょっと強引に描いてもらおうとしたから…」
なお「でも、描いてくれたんでしょう?」
やよい「……うん」
なお「なら、仲良しだよ。 きっと」
やよい「……」
やよい「そっか」
やよい「そうだったら、嬉しいなぁ…」
カキカキ
シャッシャッ
ウルフ「……」
ウルフ「………あぁ! くそっ」
ぐしゃぐしゃー!!
ウルフ(あれからいくら描いてもへんてこなモンしか描けねぇし……慣れないことはするもんじゃねえな)
ウルフ「はぁ」
ウルフ(あいつ…結構上手かったんだな)
ウルフ(きのこ頭に負けてると思うと、イライラするぜ。 ソッコーで上達して見返してやらぁ!)
?「なぁにかお悩みのようですねぇ」シュンッ !
ウルフ「んだよ、ジョーカー。 俺様は今忙しいんだ、とっとと失せろ」
ジョーカー「ふむ? 忙しい?」
ジョーカー「偉大なる三かーんぶのウルフルンさんに、バッドエナジー集めより優先する事があるのでしょうか?」
ジョーカー「ま・さ・か、そこら辺に転がっている落書き…なーんてことはないですよねぇええ?」
ギロリッ
ウルフ「……てめぇ、俺様に喧嘩売りに来たのか。 八つ裂きにすんぞ」
ジョーカー「そんな、まさかまさか♪」
ウルフ「忠告だぁ?」
ジョーカー「ここ最近、アカオーニさんやマジョリーナさんに任せっきりで、バッドエナジー集めをさぼっているらしいですねぇ」
ジョーカー「このままだとピエーロ様が復活した時に、『アイツはサボりをしてたオニー!』とか言われてしまいますよぉ?」
ウルフ「ぬぅ…」
ウルフ「……わあったよ、次は俺様が出ればいいんだろ?」
ジョーカー「んっふ! 意欲が衰えていなくて結構です!!」
ウルフ「用はそれで終わりか?」
ジョーカー「はい、私の胸のつかえも取れて、実に満足です♪」
ウルフ「あん? 何の事だ」
ジョーカー「ウルフルンさんがさぼっているのは、人間に対して何かしら『情』のようなものが芽生えたからだ」
ウルフ「!?」
ジョーカー「……なーんて、妄想してしまっていたんですが、全くの杞憂でしたねぇ!」
ジョーカー「人間と関わっても、百害あって一利なし」
ジョーカー「私たちは元々、彼らに退治される側なんですもの」
ウルフ「とっとと失せろっ!」
ジョーカー「おお、怖い怖い」
ジョーカー「ではでは、お仕事頑張ってくださいねぇ?」シュンッ !
ウルフ「……」
ウルフ(俺様が、人間に『情』を…?)
ウルフ「………」
『ありがとね』
『モグモグ…あぁ? 敵に『ありがとう』なんて言うんじゃねえよ、ばーか』
『それでも、ありがと』
『…けっ』
ウルフ「………っ」
ウルフ「馬鹿馬鹿しい!」
やよい「~~~♪」カキカキ
ウルフ「……」
やよい「よしっ、でーきたっ!」
やよい「ねね、どう? 今日のは自信作だよ」
ウルフ「……」
やよい「……?」
やよい「ウルフルン…? どうかしたの?」
ウルフ「別に、どうもしてねえよ」
ウルフ「・・・・・・」
やよい「えと、気に入らなかった?」
ウルフ「なぁ、キュアピース」
やよい「うん?」
ウルフ「お前から見た今の俺は、こんなにも弱っちそうなのか?」
やよい「……えっ」
ウルフ「これが、こんなのが、本当に俺なのか?」
やよい「駄目かな? 私は良いと思うけど…」
ウルフ「・・・・・・・」
やよい「あ…。そ、そういえばっ!」
やよい「昨日、アニメを見返してたんだけどね」
ウルフ「唐突に何だよ」
やよい「その回で、長い間戦っていたヒーローと悪役が和解して、仲良くなるの」
やよい「……その、私たちもこのまま、もっと仲良くなれるといいなって、思った」
ウルフ「・・・・・・・」
やよい「あのね、」
ウルフ「てめぇ、何ふざけたこと言ってやがんだ」
やよい「えっ?」
ウルフ「冗談も大概にしやがれ!」
やよい「え、あの…」
ウルフ「んだよ」ギロリ
やよい「……私たち、一緒にお菓子食べたり遊んだりしてるじゃない」
やよい「これって、その…、もう友達じゃないの?」
ウルフ「んなわけあるか、バーカ」
やよい「ち、違わないもん! この絵のウルフルンの顔見てよ! 楽しそうに笑ってるじゃない!」
ウルフ「それはただの絵だろうが!」
ウルフ「つまり、てめぇの妄想だ! この俺がそんな馬鹿面で笑うかよ!!」
やよい「そ、……そんな言い方しなくたって」
やよい「う、うん…」
ウルフ「じゃあ、さっき描いたこの絵は何なんだよ」ペラペラ
ウルフ「ようするに、てめぇからすれば俺は弱っちい小犬扱いなんだろっ!?」
やよい「違う…、違うよ!!」
ウルフ「チッ! 見下しやがって…」
ウルフ「気に食わねぇが、アイツの言う通りだな」
ウルフ「人間なんぞと群れたって何の意味もねぇ!」
ザッ
やよい「ま、待って! 話を」
ウルフ「あばよ」シュンッ !
やよい「……」
やよい「お願い…」
やよい「話を、聞いてよぉ…」
やよい「・・・・・・」
れいか「やよいさん、学校では話してくれませんでしたが、何かあったのですか?」
やよい「…」
やよい「……別に、何も」
れいか「嘘です。 今朝からずっと元気がありませんでしたよ」
やよい「……」
キャンディ「やよいー、元気出すクルー…」ナデナデ
みゆき「私たち、やよいちゃんには笑っていて欲しい。 悩みがあるなら、遠慮なく言って欲しいよ」
あかね「せやせや。 ウチら、友達やしな」
なお「で、同じプリキュア仲間。 一人は皆のために、皆は一人の為に、ってね」
やよい「皆…」
やよい「……うっ、うぅ」グスッ
やよい「うわぁぁあああああああん!!」
れいか「……すると、ウルフルンと喧嘩してしまった、ということですか?」
やよい「…うん」
あかね「あいつー、とうとう本性を現しおったなー!」
キャンディ「やっぱり、ウルフルンは悪者クルー!」
なお「うーん」
なお「本当にそうなのかな?」
みゆき「私もなんか違う気がする…」
あかね「あん? どういうことや?」
みゆき「ねえ、やよいちゃん。 その日の狼さんの様子ってどうだったの?」
やよい「えっ、どう…って?」
みゆき「例えば、機嫌が悪そうだったーとか、虫歯が痛そーとか」
やよい「……」
やよい「あ、そういえば」
れいか「何か思い当たる節が?」
やよい「いつもより無口だった気がする」
やよい「お菓子食べてる時も、いつもはなんだかんだで感想言ってくれるんだけど、昨日は何も言ってくれなかった」
みゆき「狼さん、何か悩みごとでもあったのかな?」
れいか「……私、なんとなくですが、分かったような気がします」
れいか「ええ」
れいか「やよいさん。 ウルフルンはやよいさんが『もっと仲良くなれたらいい』と言ったら、怒り出したんですよね?」
やよい「……うん」
れいか「そして、人間となんか群れたくない、見下すな、……そうも言ったんですね?」
やよい「それが、どうしたの?」
やよい「私と同じ…?」
れいか「前に言っていたじゃないですか」
『私は仲良くやれてると思うんだけど、……あっちはそう思ってくれてるのかどうか』
『その、元々その人とはよく喧嘩をしたりしてたから、今の状況がなんだか不思議で…』
『そう、居心地は良いんだけど、ふわふわしてて』
『……また、前みたいな関係に戻りそうな気がして』
やよい「あっ・・・」
れいか「つまりは、そういうことです」ニコッ
みゆき「狼さんも、やよいちゃんと仲良くできるか不安だった、ってこと?」
れいか「恐らくは」
なお「あー、なるほど。 あの性格で『仲良くして欲しい』なんて言われたら、反発して怒っちゃうかもね」
あかね「めんどうなやっちゃなぁ…」
やよい「えと…、じゃあ」
やよい「……ウルフルン怒ってないの?」
れいか「いいえ、怒っているでしょうね」
やよい「っ! や、やっぱり…」
れいか「ですが、」
れいか「怒っているだけで、嫌いになったわけではないでしょう」
やよい「ほんとに?」
みゆき「絶対大丈夫だって! 私たちも付いてるよ!」
なお「そうだね、皆がいれば百人力だ!」
あかね「ほなら、当日の運勢は見とかないとな。 大凶とかだと困るやろー?」
みゆき「もう、あかねちゃんそれ引っ張り過ぎー! あっぷっぷー!」
なお「あははは!」
キャンディ「じゃあキャンディも応援するクルー!」
れいか「私を含めて皆、やよいさんを応援しています」
れいか「後は、あなた次第です」
やよい「……」
やよい「うん」
やよい「みんな、ありがと」
やよい「私、もう少し頑張ってみるっ!」
ウルフ「・・・・・・」
ジョーカー「おんやぁ? 浮かない顔ですねぇ」ニュッ
ギロリ
ウルフ「またてめぇか…」
ウルフ「俺様は今、最っ高に機嫌が悪い。 失せろ!」
ジョーカー「機嫌が悪い? んっふ、良い事じゃあないですか」
ウルフ「あぁ?」
ジョーカー「バッドエナジーを集めようとすれば、恐らくプリキュアが現れます」
ジョーカー「鬱憤晴らしついでにコレで暴れてきたらいかがでしょう?」スッ
ウルフ「……ただのアオッパナじゃねえか」
ジョーカー「いえいえ、これは中身が違うんですよ」
ウルフ「中身だと?」
ジョーカー「ええ、そうです。 ジョーカー印のバーバーデーコールー!」パンパカパーン
ジョーカー「アカッパナを作るのに、キュアデコルというものが使われているのはご存知ですよねぇ?」
ウルフ「おう」
ジョーカー「アカッパナで生み出すアカンベェはとっても強ぉいっ!」
ジョーカー「でぇもお? そのキュアデコルの数だけしか作れないので数は少なぁい」
ウルフ「確か…あと2,3個だったか?」
ジョーカー「ノンノン。 一個です!」
ウルフ「ほー、んじゃ最後の一個は俺が…」
ジョーカー「まあまあ、そう焦らずに」
ジョーカー「そこで、このババデコル入りアオッパナの出番ですよ!」
ジョーカー「んん…そうですか」
ジョーカー「ようするに、コレを使う事でアカッパナと同等の力を持つアカンベェを生み出せるのです!!」
ウルフ「ほう」
ジョーカー「さ・ら・に! ババデコルは使用者の力が強ければ強いほど力を増しまぁす!」
ジョーカー「つまり、とってもお強ぉい三幹部のウルフルンさんが使えばぁ…?」
ウルフ「普通にアカッパナで生み出すアカンベェより強力なのが作れる、ってか」
ジョーカー「そのとぅおり!!」
ウルフ「そいつぁ面白そうだな。 おいジョーカー、コレは貰って行くぜぇ!」
ジョーカー「んっふ、どうぞどうぞ」
ウルフ「俺様の強さと怖さ、思い知らせてやるっ!!」
シュンッ !
ジョーカー「行きましたか…」
ジョーカー「それにしても、三かーんぶの皆さんはおつむがスカスカで助かりますねぇ」
ジョーカー「ミラクルジュエルを作り出す実験で出来た失敗作だったのですが、」
ジョーカー「捨てるよりかはいいですよねぇ……んっふ!」
やよい「………」
カキカキ
シュッシュッ
やよい「あっ、少しぶれちゃった」
ケシケシ
やよい「……」
やよい(多分、私は言葉だけじゃ上手く伝えられない)
やよい(私の絵がきっかけで喧嘩になったなら、)
やよい(仲直りするには、やっぱり…)
やよい「えっ? この感じって、バッドエンド空間!?」
やよい「公園の方からだ! しかもあの空の模様は…」
やよい「……」
やよい(早く行かないといけないんだろうけど、)
やよい(でも、まだ…)
やよい(………)
『私を含めて皆、やよいさんを応援しています』
『後は、あなた次第です』
やよい(……)
やよい「ごめん、皆。 もう少しだけ待ってて!」
ゴルフナンテ…
リアジュウシカイネェ…
フエェ…ユウグガスクナイヨォ…
ウルフ「絶望しろ、人間共ぉ! 世界は全てバッドエンドに染まるのだぁ!!」
ウルフ「そしてぇ!」
ウルフ「人間共から発せられたバッドエナジーが、悪の皇帝ピエーロ様を、」
ウルフ「蘇らせていくのだぁ!!」
ズォォォオオ !
…シーン
ウルフ「……」
ウルフ(チッ! あいつらに任せてたせいで、今のだけじゃ針を動かす程の量には達しねぇか)
ウルフ「やっぱ俺様が直々にやってやんねぇとなあ! ウルッフッフッフッフ!!」
ウルフ「あぁ?」
れいか「公園は、人々が一時の安らぎを求める大切な場所…」
れいか「汚すことは許しません!」
キャンディ「みんな、変身クルー!」
「「「「プリキュア! スマイルチャージ!!」」」」
ハッピー「キラキラ輝く、未来の光! キュアハッピー!!」
サニー「太陽サンサン、熱血パワー! キュアサニー!!」
マーチ「勇気リンリン、直球勝負! キュアマーチ!!」
ビューティ「シンシンと降り積もる、清き心! キュアビューティ!!」
マーチ「え? 待ってたって……」
サニー「あ、もしかしてやよいに会いたかったんか? あの子まだ来とらんで」
ウルフ「あぁ!? な、何でそいつの名前が出て来やがる!」
サニー「だってアンタ、やよいと喧嘩中なんやろ?」
マーチ「一方的にまくし立てて逃げるなんて、筋が通ってないよ!」
ウルフ「けっ! んなもん知るか! 俺はなぁ、てめぇらを纏めてぶっ潰しに来たんだよぉ!!」
ハッピー「狼さん、やよいちゃんと話をしてあげて! やよいちゃんはずっと…」
ウルフ「うるせぇ!! 黙れ黙れ黙れぇえええ!!」
ウルフ「俺様は一匹狼、人間なんぞとは群れないんだよぉ!」
サニー「んなら、倒した後でふんじばって、無理にでも聞いてもらおかー!」
ウルフ「へっ! 調子に乗っていられるのも今のうちだぜぇ?」
ウルフ「出でよっ! アカンベェ!!」
ハッピー「みんな、気を付けて!」
サニー「任せときっ!」
マーチ「うん!」
ビューティ「はいっ!」
…シーン
桃赤緑青「「「「………?」」」」
キャンディ「クルッ?」
カッ !
バリバリバリバリバリ !!
ウルフ「んぎゃあああああああああああああ!?」ビシャーン !
桃赤緑青「「「「えええええええええ!?」」」」
ジョーカー(ご説明しましょう!)
ウルフ「しびびびびびびび (ジョーカーてめぇ、何しやがった!?)」
ジョーカー(私はなぁんにもしていませんよぉ? それはババデコルの効果です)
ウルフ「ふべべべべべ (なにぃ!?)」
ジョーカー(ババデコル入りアオッパナは、使用者のバッドエナジーを吸うことで、)
ジョーカー(アカッパナにクラスチェエエンジ! することが出来るのですっ!)
ウルフ「ほぎぎぎぎぎ (お前ぇ、そんなこと言ってなかったじゃねえかあああ!!)」
ジョーカー(だって、ウルフルンさんが簡単にでいい、って言ったんじゃないですかぁ)
ジョーカー(それに、どうせいつもアカンベェに任せっきりで戦わないんですから、構いませんよねぇええ?)
ウルフ「のおおおおおお (てめぇ、後で覚えてろよぉ!!)」
キュオオン !
アカンベェ?『ウルッフゥゥゥウウ!!』
サニー「……えーっと、とりあえずふんじばる必要はなくなったか?」
ビューティ「狼の姿のアカンベェ、ですか」
ハッピー「鳴き声がいつもと違うような…」
マーチ「鼻が赤いね、皆気を付けて!」
アカンベェ?『………』
アカンベェ?『てめぇらぁ! もっと俺様を怖がりやがれぇ!!』
マーチ「えっ、しゃべった!?」
ヒュガッ !
ハッピー「うわあ!?」
サニー「あぶないやろ、がっ!」ブンッ
アカンベェ?『とろいとろい!』ヒュッ
サニー「んなっ!?」
マーチ「くっ、速い…」
ビューティ「私が動きを止めます。 その隙にっ」
ビューティ「プリキュア! ビューティー・・・」
ビューティ「ブリザードッ!!」
ビュオオオオオオ !!
アカンベェ?『とろいっつってんだろうがよぉ!』
ビューティ「きゃあああああ!!」ドガッ
ビューティ「え、ええ…大したことはないわ」
アカンベェ?『どうだぁ! これが俺様だっ! 強いだろう、怖いだろう!? ウルッフッフッフッフ!!』
ハッピー「これはもしかして…」
サニー「ん? 何か分かったんかハッピー?」
ハッピー「あのアカンベェはきっと、狼さんの嫌~な部分が形になったものだと思う! メルヘン的に」
サニー「いや、メルヘン的ってなんやねん」
ハッピー「つまり、アカンベェさえ倒してしまえば狼さんの呪いが解けてハッピーエンドなんだよ!」
サニー「どっから、そんなけったいな発想が出てくるんや…」
ビューティ「ハッピーの言う事にも一理あります。 あのアカンベェの言動は、ウルフルンに酷似していますし」
マーチ「まあ、だからどうだって話だよね。 倒すべき相手っていうのには変わらないし!」
ウルフ(影)『見下してんじゃねえっ!!』ブワッ
グググ…
シュンッ !
サニー「えっ、消え…」
ザクッ!
ハッピー「サニー!」
ドカッ!
ビューティ「くっ・・・!」
バキッ!
マーチ「みんなっ!」
ドンッ!!
桃赤緑青「「「「きゃあああああああああああ!!」」」」
ドササッ
ウルフ(影)『ウルッフッフッフッフ…、口ほどにもねぇな』
ウルフ(影)『弱い奴がいくら群れたって何の意味もないんだよぉ!』
ハッピー「…ない」
ウルフ(影)『あぁん?』
ハッピー「そんな、こと……ないっ!」
ハッピー「強いとか弱いとか、」
ハッピー「人間とかそうじゃないとか、」
ハッピー「そんなの関係ないんだっ!」
ハッピー「私たちが一緒にいるのは、友達だから、絆があるから…」
ハッピー「皆の事が大好きだからっ!!」
ハッピー「そんな人たちを悲しませたくないから、一緒に笑い合いたいから、私たちは戦えるんだ!」
ウルフ(影)『この状況見ても同じ事言えんのか? てめぇらに勝ち目なんかないんだよっ!』
ビューティ「貴方に…だって、細くとも、確かに絆はあるはずです」ムクッ
ウルフ(影)『なんだとっ!?』
ビューティ「過ごした時間は短かったかもしれません、お互い不安を抱えてもいたでしょう」
ビューティ「それでも、貴方がやよいさんと過ごした時間が無駄だったとは思いませんし、言わせません!」
ウルフ(影)『ほざけぇ!! 俺は狼だ! 人間なんぞと居たって、バッドエンド以外ありえねえんだよ!!』
サニー「でも、本当にそう思ってたんなら何度も会いに行かんやろ!?」
マーチ「やよいちゃんと過ごした時間はつまらなかったの? 全部を否定できる!?」
マーチ「きちんと自分と向き合いなよっ!」
ウルフ(影)『あああああああああああ! うるせえんだよぉ!!』
ウルフ(影)『こいつでトドメだぁ!!』グァッ !
桃赤緑青「「「「…………!」」」」
?「待ちなさいっ!」
グーで
パーで
ハッピー「この声は…!」
サニー「ったく、遅いでー」
マーチ「待ってたよ!」
ビューティ「よく、来てくれました」
やよい「………」
ウルフ(影)『っ、・・・今頃来たか、泣き虫きのこ。 尻尾巻いて逃げたのかと思ってたぜ』
やよい「あなたは、ウルフルン?」
ウルフ(影)『さあ、どうだかなぁ…? どう見える?』ニヤァ
やよい「私が怒らせちゃったから…?」
ウルフ(影)『っ!? 勝手なこと言ってんじゃねえ!!』
ウルフ(影)『俺は今、最っ高に楽しいぜぇ! てめぇらプリキュアをぼっこぼこに出来てるんだからなぁ!』
ウルフ(影)『ウルッフッフッフッフ!!』
やよい「………」
ウルフ(影)『・・・おい。 俺様をそんな目で見るんじゃねぇ』
ウルフ(影)『もっと怖がれ! 恐怖しろ!! 爪を、牙を、この姿を!!』
やよい「……怖くないよ」
ウルフ(影)『なっ・・・』
やよい「怖くない」
やよい「私は、友達を怖がったりしない」
やよい「友達でも、皆を傷付けた事は許さない!」
やよい「プリキュア! スマイルチャージ!」
ピース「ピカピカピカリン! じゃんけんぽん! キュアピース!!」パー
ウルフ(影)『へっ! やっと、やる気になりやがったか!!』
ウルフ(影)『だが、一人で何が出来るってんだ! あぁ!?』
桃赤緑青「「「「一人なんかじゃない!!」」」」
ドゴォ!
ウルフ(影)『ぐおぉ!』
ウルフ(影)『て、てめぇら、ボロボロの癖に何で動ける!?』
ウルフ(影)『ぐぅううう!!』
サニー「ウチらはっ!」ブンッ !
ピース「皆の事が!」シュッ !
シュバッ !
ウルフ(影)『へっ、そんな大振りじゃ…』
マーチ「大好きだから!」
ウルフ(影)『な、いつの間に――ッ!?』
ドガッ!
ウルフ(影)『グガッ!!』
ビューティ「だから、戦えるの、ですっ!」ズドッ
ウルフ(影)『ちぃいいいい!! 何言ってんのか意味分かんねぇよ!』
グググ…
サニー「またあの速いのが来るでっ!」
ビューティ「皆さん! 一ヶ所に集まってください!!」
ウルフ(影)『うらあああああああああ!!』
ビュン !
ドガアアア!!
ハッピー「気合いだ気合いだ気合いだああ!!」ズザザ
サニー「ふぎぎぎぎ!」ググ
ピース「負ける、もんか…!」プルプル
マーチ「この、くらいっ!」ギリギリ
ビューティ「皆さん、行きますよ!!」ガクガク
ウルフ(影)『受け止めた…だとぉおお!?』
ウルフ(影)『何だてめぇら! は、離しやがれぇ!!』ジタバタ
サニー「ああ、いいでぇ?」
桃黄緑青「「「「いっせーの……」」」」
サニー「ただし、」
桃黄緑青「「「「―――せっ!!」」」」ブンッ !!
サニー「上になああ!!」
ウルフ(影)『うおあああああああああああ!?』ヒューン !
サニー「後は任せたで!!」
マーチ「思いっきりやっちゃって!」
ビューティ「最後は、お譲りします!」
ピース「皆の想いが、私に勇気と力をくれる」
ピース「あなたにも届いて! 私のこの想い!!」
ピース「プリキュア!」
ピース「……っ」バチィ !
ピース「ピースゥ…」
ピース「サンダアアアァァ!!」
ビシャアアアアン !!
ウルフ(影)『グウオオオオオアアアァァア!!』
ジョーカー(ふぅむ…)
ジョーカー(使い終わったババデコルを回収しようと思ったのですが、)
ジョーカー(どうやら変質したアオッパナと共に消滅してしまったようですねぇ…)
ジョーカー「くくっ」
ジョーカー(……ま、いいでしょう)
ジョーカー(茶番を見れた代金と思えば安いもんです、んっふ!)シュンッ !
あかね「こいつ全然起きひんなぁ…」ツンツン
みゆき「あ、あかねちゃん。 棒でつついたりしたらダメだって」
なお「でも、どうする? このまま放置ってわけにもいかないしさ」
れいか「そうねぇ……」
やよい「皆は先に帰ってもいいよ、私が看てるから」
みゆき「えっ、でも」
れいか「……」
れいか「みゆきさん、ここはやよいさんに任せてみませんか?」
みゆき「うーん…」
みゆき「そうだね。 やよいちゃん、頑張って!」
あかね「じゃ、またなやよいー」
なお「遅くならないようにしなよー?」
タッタッタッ…
やよい「ふぅ…」
ウルフ「………んん、」
やよい「あ、起きた?」
ウルフ「…あぁ?」
やよい「おはよ」ニコッ
ウルフ「……」
ウルフ「はぁああ!?」ガバッ
ウルフ「んだこりゃ!? どういう状況だおい!」
やよい「あなたが倒れたまま起きなかったから、私が看てたの」
ウルフ「んー? ってか、お前さっき何してやがった」
やよい「何って…膝枕?」
ウルフ「どうして俺様にそんなことする必要がある!」
やよい「だって、芝生の下って地面だし、寝辛くない?」
やよい「あのね、あなたにコレを渡したかったんだ」
ペラッ
ウルフ「? なんだこりゃ」
やよい「私さ、一緒に居たのに、ずっとウルフルンだけしかいない絵を描いてたよね」
やよい「本当に仲良しだって、心から思えなくて、不安で」
やよい「私を、絵の中に描き込めなかったの」
やよい「……だから、」
やよい「私とウルフルン」
やよい「二人一緒に遊んでいる絵を描いてみたんだ」
やよい「……あの時はごめんね。 私、少し舞い上がちゃってて」
やよい「あなたも悩んでたとか、全然考えてなくて…」
やよい「……」
やよい「でもね、もっと仲良くなりたいって気持ちは本当だよ?」
やよい「だから、……もしよかったら」
やよい「仲直りをしてほしいな、って…」
ウルフ「お前、さっきから何の話してんだ?」
ウルフ「絵だの、仲直りだの…」
ウルフ「わけわかんねぇこと言ってんじゃねえよ」
やよい「え、っと…?」
やよい「あ、あなたこそ…何言ってるの?」
やよい「ほらっ! あの木の下で、一緒にお菓子食べたり、絵を描いたりしたじゃない!」
ウルフ「はぁ…? 俺様が、お前と一緒に?」
やよい「そう!」
ウルフ「お前、寝ボケてんのか?」
ウルフ「確かに頭ん中に花でも咲いてそうだがなぁ! ウルッフッフッフッフ!」
ウルフ「絵なんて面倒なもん、誰が描くかよ」
ウルフ「大体、俺とお前は敵同士だろ? 一緒にいるわけがねぇ」
ウルフ「あれ? つーか、あそこは俺の秘密の昼寝スポットだぜ? なんでお前が知ってんだ?」
やよい「……っ」
やよい「ホント、に…忘れ、ちゃったの?」
ウルフ「はぁ? だから知らねぇっつってんだろ」
やよい「そんな…」
やよい「……」
やよい「グスッ」
ウルフ「あぁ? なんだお前、意味不明なこと言い終わったと思ったら、今度は泣くのかよ」
ウルフ「けっ、付きあってらんねぇ」
ウルフ「俺はもう行くぜぇ」
ザッ
やよい「!」
やよい「……ま、待ってぇ!」
ウルフ「はぁああ。 んだよ、泣き虫きのこ」
やよい「…ヒック……あの、」
やよい「お願い、これを…もらってくれないかな…」
ウルフ「あん?」
ウルフ「さっきの絵じゃねえか。 こんなもんいらねぇよ」
やよい「お願い…」ペコッ
ウルフ「しつっけえな…」ギロリ
やよい「……」
ウルフ「……」
やよい「あっ…」
ウルフ「あばよ!」シュンッ !
サァァ…
やよい「……」
やよい「…う、」
やよい「うわああああああああああああん!!」
あかね「ええーっ!? ほな、ウルフルンの奴、やよいとのこと忘れてもうてたんか!?」
やよい「……うん」
なお「演技とかじゃなくて? それだったら尚更許せないけど」
やよい「全然、覚えてなさそうだった…。 昔のウルフルンみたい…」
みゆき「でも…、一体どうして!? こんなのってないよ!」
れいか「………」
れいか「もしかすると…、あのウルフルンに似たアカンベェを倒した事で」
れいか「本人にも、何かしらの影響があったのかもしれません」
みゆき「そ、そんな…」
やよい「いいよ、あかねちゃん」
あかね「でもなぁ!」
やよい「いいの」
なお「やよいちゃん…」
やよい「私…、平気、だから」
ポタ…
やよい「あ、れ…」
やよい「おかしい、な…平気、なのに」
やよい「涙が、止まらな…」
みゆき「やよいちゃん」ギュッ
やよい「う、うぅ……ヒック…」
ウルフ「………うーむ」
オーニ「ん? ウルフルン、壁なんか眺めて何やってるオニ?」
ウルフ「おー、アカオーニか。 違ぇよ、こいつを見てたんだ」
オーニ「オニ? ……お前、絵なんか見てて楽しいオニか?」
ウルフ「別に面白かねえよ」
オーニ「ふーん」
オーニ「にしても、変な絵だオニ」
オーニ「狼が怒ってるのに、女の子の方は楽しそうオニ」
オーニ「こいつ、頭がおかしいオニ! ガッハッハッハ!!」
ウルフ「……そうだな、コイツおかしいんだろうな」
ウルフ「あぁ、プリキュアに無理矢理押し付けられた」
オーニ「プリキュアァ!? 何でそんなのとっとくオニ!」
ウルフ「うーむ、……何でだろうな?」
オーニ「お前がやらないなら、俺様が破り捨ててやるオニ!!」グァッ !
ウルフ「っ!」
ウルフ「勝手な事すんじゃねえ!!」
ドガッ!
オーニ「オニー!」ヒューン
ウルフ「妙なんだよなぁ…」
ウルフ「どうも、この絵を見てると頭の片隅で何か引っかかる…」
ウルフ「……」
ウルフ「……はぁ」
ウルフ「考えていても仕方ねえな」
ウルフ「昼寝でもしようと思ったが、アカオーニの野郎は相変わらずうっせえし」
ウルフ「やっぱ、あそこに行くかぁ…」
サァアア…
やよい「……」
やよい(私、なにやってるんだろ)
やよい(どうして、ここに来ちゃったんだろ)
やよい(一人しかいないのに、こんなにスコーン焼いてきちゃって)
やよい「……」
やよい「ああ、もう! やめやめ!」ブンブン
やよい「せっかくのお休みなのに、落ち込んでたらもったいないよ!」
やよい「いっぱい描くぞー! おー!」
シャッシャッ
ケシケシ
ガリガリ
やよい「……」
やよい「うーん…、ちょっと休憩するかな」
やよい「お菓子、お菓子っと」
ザリッ
?「…んん?」
?「何でてめぇがここにいんだよ、キュアピース」
やよい「えっ?」
やよい「う、ウルフルンっ!?」
ウルフ「……あぁ?」
ガシッ!
ウルフ「ウルフルン、『様』だ! 気安く呼び捨てんな!」モフモフ
やよい「うわああ!? だから、髪はやめてよぉ!!」ジタバタ
ウルフ「けっ!」バシッ
ウルフ「んで、どうしてお前がここにいるんだ?」
やよい「そ、そんなの私の勝手でしょ!」
ウルフ「あぁ?」ギロリ
やよい「なによ!」ムッ
やよい「……」
ウルフ「……? お前って、こんな奴だったっけか?」
やよい「こんなって…、どんな?」
ウルフ「……いや、元々髪型からして変な奴か」
やよい「むぅー! そうやってすぐ馬鹿にするんだから」
ウルフ「とにかく、俺様はこれからここで昼寝すんだよ。 どっかへ失せろ」
やよい「いーや! 私の方が先に居たんだもん」
ウルフ「なんだとっ!?」
やよい「なにさっ!!」
やよい「むぅうううう…」
やよい「あ、そうだ」
やよい「ねえ?」
ウルフ「あんだよ!?」
やよい「これ、一緒に食べない?」
ウルフ「? なんだそりゃ」
やよい「スコーンだよ。 ……これも、覚えてない?」
ウルフ「ふーむ…」
ウルフ「いや、知らねえな」
やよい「……そっか」
記憶がスコーンと抜けてるって事か
バクバクバク !
ムシャムシャー !!
やよい「えっ、ちょっと! 私の分まで食べないでよー!?」
ウルフ「んなもん知るか、早いもん勝ちだぜえ! ウルッフッフッフー!!」モシャモシャ
やよい「…ま、負けないもん!!」パクパク
~しばらくして~
ウルフ「あー、食った食った」ゲフ
やよい「がっつき過ぎだよ…まったく」
ウルフ「てめぇがチマチマ食ってるのが悪ぃ」
やよい「だって、ジャムとかバターとか塗った方が美味しいんだもん…」
ウルフ「はぁ!? そういうことなら先に言えよ!」
やよい「もう残ってないから遅いよー」ケラケラ
ウルフ「ぬぐぐ…」
やよい「寝るの?」
ウルフ「ってか、お前まだ居るつもりなのか…」
やよい「だって、先にここに居たのは」
ウルフ「あー、はいはい。 分かった分かりましたー」
ウルフ「居てもいいが、静かにしてろよ? 騒いだらブッ飛ばすからな」
やよい「はーい」
ウルフ「……けっ」ゴロン
サァァアア…
やよい「……」
ウルフ「……」
やよい「ねえ、もう寝ちゃった?」
ウルフ「……声かけんな」
やよい「ごめん」
やよい「……」
ウルフ「……」
やよい「あのさ、」
やよい「今日のお菓子…気に入ったなら、また何か作ってこようか?」
やよい「私、こう見えて得意なんだよ?」
やよい「……」
ウルフ「……」クカー
やよい「寝ちゃった、か」
ウルフ「……甘い、」
やよい「?」
ウルフ「甘い、お好み焼きは…やめろ、よな…」
やよい「っ!?」
ウルフ「……」ムニャムニャ
ウルフ「…クー」
やよい「……」
やよい「うん、わかった」ニコッ
『人間なんぞと群れたって何の意味もねぇ!』
やよい(無駄なんかじゃなかった)
やよい(少しずつでも、いいんだ)
やよい(愛情も、友情も、思い出も)
やよい(積み重なっていけば、)
やよい(また、きっと――)
ウルフ「……zzZZ」
やよい「ふふっ」
やよい「さて、と。 今日も描かせてもらいますか!」
おわり
また来週ー
いい話だった
プリキュア見てないけど見ようかな
Entry ⇒ 2012.06.19 | Category ⇒ プリキュアSS | Comments (0) | Trackbacks (0)
向日葵「思い出の場所?」 櫻子「探しに行こう!」
櫻子「…………」ぐだぐだ
向日葵「…………」カキカキ
向日葵「ん。櫻子、せめてそこの問題だけでも終わらせてしまいなさい?」
櫻子「んー」
向日葵「なんの本を読んでるんですの?」
櫻子「…………」ぱたむ
向日葵「ちょっと、見せてくれたっていいじゃない」
櫻子「私たちのさー」
「思い出の場所って、どこかな」
櫻子「思い出の場所だよ。あるじゃんそういうの」
向日葵「いや、あるじゃんって言われても……ありましたっけ」
櫻子「そういうのって誰しも持ってるもんじゃん。私たちにはどっかないかな」
向日葵「えーっと……」
櫻子「だってさ、私たちキスもしたんだよ? だから思い出の場所のひとつふたつ持ってなきゃさー!」
向日葵「恥ずかしいことをさらっといいますわね……というかそれ、その本見て思いついたんですの?」
櫻子「あー……まあ」
向日葵「ほんと本に影響されやすいですわね……でも考えてみたこともありませんでしたわ。思い出の場所なんて」
向日葵(あなたそういうの好きですわよね……)
向日葵「私はいいですわ」
櫻子「はぁ!? なんで!?」ガバッ
向日葵「だって、あてもなく歩き回るなんて……」
櫻子「いいじゃん! 私たちの思い出の場所なんだから一緒に探さなきゃ意味ないし!」
向日葵「私だってそんなに暇じゃありませんもの……」
向日葵「どこかいい場所見つけたら、教えて下さいね」
櫻子「なにそれー! 冷たすぎない……?」
向日葵「見つかったら、ちゃんと私も行きますから」
櫻子(ま、まったく向日葵は……)
櫻子(大切なことなのに……///)
櫻子「いいよ。今度探してくるもん!」
向日葵(本当に、子供っぽさの抜けない子ですわね……)
*
向日葵「お肉が安くて助かりましたわねー」とことこ
向日葵「あれ、そういえば今度給食じゃなくてお弁当なんでしたっけ?」
向日葵(どうしましょう。家にあるもので大丈夫かしら)
向日葵(………あら?)
???「…………」
向日葵(誰かしら。この幼稚園はもう閉まってる時間のはずなんですけど……)
向日葵(……って、あれは……!?)
向日葵「さ、櫻子!?」
櫻子「おわっ、向日葵」
櫻子「なんでー? 私たちここの卒園生なんだからいいじゃん!」
向日葵「だからって、閉まってる門を乗り越えてまで入ったら通報されちゃうかもしれませんわよ。ほら、出なさい」
櫻子「うー……ちょっと、あとちょっとだけ」
向日葵(もう……)
向日葵「よいしょっ」
櫻子「あー向日葵も入ってるー」アハハ
向日葵「何年ぶりかしら……ここは。こんな遊具ありましたっけ?」
櫻子「なにそれ、めっちゃ楽しんでんじゃん! 人にダメとかいっといてさ!」
櫻子「んー……悪くはないんだけど」
わたしたちの、はじまりの場所。
櫻子「ちょっと子供っぽすぎないかなぁ」
向日葵「まあ……そうかもしれませんわね」
櫻子「あーここ。向日葵よくここで泣いてたよね」
向日葵「や、やめなさいよ……///」
櫻子「中とか入れないかな?」
向日葵「セコム来ますわよ」
櫻子「何!? それは避けたい!」
櫻子(このブランコ……)
櫻子(向日葵は他の子に話しかけるのが怖くて、私が手伝ってあげないとブランコを借りられなかったんだっけ)
櫻子(……ひまちゃん)
向日葵「櫻子、そろそろ帰りましょう」
櫻子「もう! 人がせっかく思い出にひたってんのに!」ギャーギャー
向日葵「私ちょっと恥ずかしい思い出しかないんですけど……」
向日葵「…………」
櫻子「うそ! うそだよ! 泣くなよ……」
向日葵「櫻子は昔の方が頼もしかったですわね」
櫻子「…………」
向日葵「ちょ、ちょっと……冗談ですわよ?」
~
櫻子「んー。もうちょいいろいろ探してみるかー」
向日葵「見つかるまでやるんですの?」
櫻子「当たり前じゃん!」
向日葵(はぁ……)
向日葵「あらそう」
櫻子「作ってよ!」
向日葵「私は私の家のことで忙しいんですわ。撫子さんに作ってもらいなさい」
櫻子「ねーちゃんの作るのより向日葵のやつの方が美味しいんだもん」
向日葵(え……///)
櫻子「だから作って? ほらほらひき肉が見えてますよー」ガサガサ
向日葵「こ、これはだめですわ! うちの今日の夕飯の分しかありませんから!」
櫻子「まったくもう仕方ないなー向日葵は……じゃあここは櫻子様が引きますよ」
向日葵「何様……?」
*
向日葵「あら……?」
向日葵「こんにちは、花子ちゃん」
花子「あっ、ひま子ねーちゃん」
花子「あれ? 櫻子先にいっちゃったけど」
向日葵「櫻子?」
花子「一緒だったんじゃないの? さっき向こうに櫻子いたから」
向日葵「や、ちょっとわかりませんわ……行ってみようかしら」
~
向日葵(こ、こっち……小学校)
向日葵(もしかして……)
向日葵「櫻子!」
櫻子「えっ? なんだ向日葵ついてきたの?」
向日葵「さっきそこで花子ちゃんに教えてもらったんですわよ……今度はここ?」
櫻子「小学校は入っても大丈夫だよね」
向日葵「あの、私まだ制服なんですけど……先生に見つかったら厄介ですわ」
櫻子「いいよいいよ、入っちゃえ」
向日葵「もう……」
向日葵「櫻子あそこで盛大に転んで泣いてたことありましたわよね」
櫻子「そんなことあったっけ!?」
向日葵「ありましたわよ……何年生のときかは忘れましたけど」
櫻子(…………)
櫻子(その頃は、もう向日葵の方が頼りになってたのかな)
櫻子(ひまちゃんが、向日葵になったのはいつだっけ)
櫻子(くそ……思い出したいのに……)
櫻子(なんでそこだけポッカリと……)
櫻子「えっ……あ、何?」
向日葵「いや……何か思いつめたような顔してるから」
櫻子「う、うん……」
忘れたくないことばっかり、忘れてくんだ。
櫻子(……でも、向日葵を見てると、何か浮かんでくるものがある)
櫻子(もっと向日葵を見ていられたら、いつかピースが埋まるときがくるかもしれない)
櫻子「ここも、幼なすぎたかな」
向日葵「そうですわね。ちょっと弱いというか……他にもっといい場所があるような気がしますわ」
*
向日葵「あっ、赤座さん。櫻子見ませんでした? まだ生徒会の仕事が残ってるのにどこか行ってしまったまま帰ってこなくて……」
あかり「櫻子ちゃんなら教室で見たよ~」
向日葵「教室? 忘れ物かしら」
~
櫻子「…………」
向日葵「あ、いた。櫻子なにやってるんですの? 急にどこかへいったりして……」
櫻子「ん、ごめん」
向日葵「うわ、この時間の教室は真っ赤ですわね。夕陽がすごい……」
櫻子「綺麗だよね」
櫻子「あったりまえじゃん! 私本気なんだから!」
向日葵「はぁ……本気なのは構いませんけど、仕事ほったらかして行くのは流石に困りますわ? せめて終わってからに……」
櫻子「だってこの夕焼けがないとダメなんだもん」プン
向日葵「…………」
机の上に座る櫻子は、赤い日に染まり、いつもより大人っぽく見えた。
櫻子「でもさ、ここって明日も明後日も来るじゃん? 来なきゃいけない場所じゃん?」
櫻子「それってちょっと思い出の場所っぽくないというかさー……迷ってるんだよね」
向日葵「確かにそうですわね……学年変われば教室も変わりますし」
向日葵「……まあ、なくはないですわね」
櫻子「そんなのやだ! 離れたくない……!」
向日葵(そ、それは私だって同じですわ……)
向日葵「いやほら、まだ決まったわけじゃありませんわ? 一緒になれる可能性だってちゃんとありますもの」
櫻子「そ、そうだよね……よし! 向日葵お寺行こう! 神様にお願いしてこなきゃ!」ダッ
向日葵「いや待ちなさいよ! まだ仕事残ってますから! それに神様にお願いするならお寺じゃなくて神社ですわ」
向日葵「西垣先生にそれを決める力があるかどうかはわかりませんわね……」
櫻子「つかえないなー西垣せんせー!」
西垣「なんだ大室、私にいいたいことがあるようだな」ニヤニヤ
櫻子「ぎゃーー! せっ、先生いつからそこに!?」
西垣「古谷が大室を抱きしめていたとこからだ」ハッハッハ
向日葵「そんなことしてませんけど!?///」
*
ガチャ
櫻子「向日葵ーいくぞー」
向日葵「……は? いきなり来て何言ってるんですの? 行くってどこに?」
櫻子「思い出の場所探しに決まってんじゃん! さっさと準備してきて、ほら」シッシッ
向日葵「いや私最初に言ったと思うんですけど、探すのはあなたに任せますわ。いい場所が見つかったら、教えてくださいねって」
櫻子「はあ? だって向日葵今のところ探しにいったとこ全部一緒についてきてたじゃん。本当は一緒に来たいんでしょ?」
向日葵「い、今までのは全部偶然見かけたりしただけですわ? ほんとにたまたまですから……」
櫻子「…………」
向日葵「用事は特にありませんけど……」
櫻子「……今暇?」
向日葵「…………」
櫻子「暇なんじゃん! だったらいいじゃん! ほら行くよ!」
向日葵「くっ……仕方ありませんわね……///」
櫻子「なんだーやっぱり向日葵って意外と暇人だよねー。ひまわりだけにひま人ってか」ニヤニヤ
向日葵「ほんとに偶然ですから! た・ま・た・ま! 今日は暇だったってだけですからね! あと名前は関係ありませんわ!」
櫻子「わかったから早く準備してこーい」
向日葵(くぅっ……!///)
向日葵「で、今日はどこにいくんですの?」
櫻子「いや? まだどこって決めたわけじゃないけど」
向日葵「えっ? 決めてないんですの?」
櫻子「どこか決めてから行くわけじゃないもん。適当に歩いて探してるよいつも」
向日葵「はぁ……私あてもなく歩くの好きじゃないんですけど」
櫻子「ぐだぐだいうなー! ちゃんといい場所が無いか探しながらあるくの!」
向日葵(そんなので見つかるのかしら……)
向日葵「ちょっと、もう結構来たんじゃありません?」
櫻子「んー……こっちってあんまり来ないから思い出の場所的なのは無いかもね」
向日葵「……あの、あなたがこっちの方に進んでくからついて来てるんですのよ?」
櫻子「あ、公園だ!」
向日葵「あら? この公園……」
櫻子「ここ前にきたとこじゃん! また来ちゃったね!」
向日葵「ということはここは学校の裏ですわね。なんで同じ間違いを繰り返してるんでしょう……とりあえず寄りましょうか」
向日葵「あ、足が……」モミモミ
櫻子「……ここは思い出の場所かなあ?」
向日葵「どうかしら……思い出って迷子になった思い出しかないんですけど」
櫻子「確かにそうだね」
ワン!
櫻子「うわっ!? ……え、犬……?」
向日葵「こ、この犬紐とかついてませんわよ? 逃げてきちゃったのかしら」
櫻子「おー犬とか久しぶりだー! こっちこっち」ぽんぽん
向日葵「どうしましょう……飼い主さんが探してるかもしれませんわね」
櫻子「向日葵、えさ!」
向日葵「そんなに都合よく持ってるわけないでしょう」
櫻子「むー……よし、こっちこい! 水があるぞ!」
ワンワン!
向日葵(……櫻子に犬は似合いますわね)クスッ
あかり「あっ、向日葵ちゃん!」
向日葵「赤座さん!? どうしたんですのこんなところで」
あかり「あのね、さっき犬が逃げちゃったって困ってる人がいたから、私も一緒に探してるんだけど……見なかった?」
向日葵(す、すごい……赤座さん良い人すぎますわ)
あかり「あーそうかも! 写真と一緒!」
櫻子「おーあかりちゃん! またここで会ったねー」
あかり「この子だ……うん! 櫻子ちゃん、この犬ね、今飼い主さんが探してるの!」
櫻子「あっ、そうだったの?」
あかり「ちょっと私この子連れてくね? ごめん二人とも~」
向日葵「いえいえいいんですのよ。 早く飼い主さんの元に返してあげるのが一番ですわ」
櫻子「じゃーねー」
櫻子「いやーすごいね。ここにくるとあかりちゃんに会えるのかな」
向日葵「私たちがあてもなく歩き回ってる間にも赤座さんは人助けを重ねていると考えると……やっぱり赤座さんってすごすぎますわ」
櫻子「なんか面白い思い出が増えたね。よかったよかった」
あかり「お待たせ二人とも~」
櫻子「おかえりー」
あかり「みてみて? これ、飼い主さんがドーナツくれたの! みんなで食べよ~」
櫻子「うぉーミスド! やったー超ついてるー!」
向日葵「なんか特に何もしてないのに悪いですわね……///」
あかり「だってこんなにたくさんあるよ? みんなで分けないと丁度よくならないよぉ」
向日葵「そうですか? じゃあひとつ……」
櫻子「ポンデうめー!」
櫻子「あーうまかったー」
向日葵「これから夕飯なのにちょっと食べすぎちゃった気もしますわね……大丈夫かしら」
櫻子「はっ! 今日私料理当番だった! 向日葵つくって?」
向日葵「私もうちで作らないといけないんですの。ちゃんと自分でやりなさい」
櫻子「けちいなー……大体今日だって私が誘わなかったらドーナツ食べられなかったんだぞ? そのお礼ということでさ!」
向日葵「お礼をねだるんじゃありません……だいたいただ歩き回って偶然犬を見つけて、いろんな偶然が重なってのドーナツだったんですから櫻子のおかげでもなんでもないですわ」
櫻子「私が向日葵を家から連れ出したのは偶然じゃないでしょ?」
向日葵(あっ……)
向日葵「しっ、仕方ないですわね。今日は少しくらい手伝ってあげますわ///」
櫻子「やった!」ぐっ
向日葵「手伝うだけですからね? ちゃんとあなたが主な作業をするんですのよ? 私の家での仕事が無くなったわけじゃないんですから」
櫻子「うんうん。それでもいいよ」
向日葵「もう……」
*
楓「おねえちゃん、楓もう寝るの……」
向日葵「あらごめんなさいね。でも私もう少しだけ課題がありますので……机の明かりだけは使いますわよ?」
楓「うん、ありがとうなの!」
~
向日葵「…………」カキカキ
向日葵(櫻子はちゃんとやっているかしら……って、そんなわけありませんわね)
向日葵(はぁ、まったく……)
櫻子「よっ」
向日葵「えっ……さ、櫻子!? 何しにきたんですのこんな時間に!」
櫻子「泊まりにきた! っつーか何この部屋暗い! まだ9時だぞー」かちっ
向日葵「ちょっと! 楓がもう寝てるんですのよ!」ヒソヒソ
櫻子「あーそっかそっか……悪いね」
向日葵「……で、何? 泊まる?」
櫻子「そうそう。布団出すけどいい?」
向日葵「いや、っていうか……」
スーッ
櫻子「 ∵ 」
向日葵「今日クリーニングに出しちゃったから布団無いんですけど……」
向日葵「…………」
向日葵「もう、仕方ありませんわね……」
櫻子「きたぁ……!」ニヤニヤ
向日葵「変なことしたら叩きますからね」
櫻子「変なことって何?」
向日葵「言わせるんじゃありません」ぽこっ
向日葵「で、なんで急に泊まりに?」
櫻子「だからほら、思い出の場所さがし」
向日葵「えぇ……?」
櫻子「いぇーす」ぶいっ
向日葵「ありえないでしょう」キッパリ
櫻子「なんで!? 思い出たくさんあるよ!?」
向日葵「自分の部屋が思い出の場所っていうのも違うでしょう! じゃああなた自分の部屋は候補として考えてみましたの?」
櫻子「私の部屋?」
向日葵「…………」
櫻子「…………」
櫻子「考えてなかった……」ばたっ
向日葵(バカですわ……)
向日葵「じゃあ今日はいったい何しにきたんですの」
櫻子「いいじゃんか、普通に泊まりにきたってことでさ」
向日葵「ま、まあ……///」
櫻子「ところでそれ何やってんの?」
向日葵「……課題ですわ」
櫻子「…………」
向日葵「早く帰って持ってきなさい。見てあげますから」
櫻子「かたじけない……」
櫻子「はーやっと終わったー」
向日葵「もう11時まわってるじゃありませんの……寝ましょうか」
櫻子「!」ばっ
もぞもぞ……
向日葵(?)
櫻子「ほら……こっちおいで?」ぽんぽん
向日葵「バカじゃありませんの……?/// それ私のベッドですし」
櫻子「一回やってみたかったんだよこれ!」
向日葵「どこで覚えてくるんですの全く……」もぞもぞ
櫻子「と言いながらも入るんだね」
向日葵「だから私のベッドですから」
櫻子「ちょっとちょっと、そっち向いて寝る感じ?」
向日葵「だ、だって顔合わせで寝るなんてそんな……///」
櫻子「いや仰向けでしょ」
向日葵「あ……なるほど」
櫻子「まあ私は向かい合わせでもいいけどね」
向日葵「……あなたって最近なんか積極的というか……グイグイ来ますわよね」
櫻子「いいじゃん! 私たちキスもしたんだからさ!」
向日葵「ちょっと、恥ずかしいからあまり言わないで欲しいんですけど……///」
櫻子「えー」ぶーぶー
向日葵「だいたいあなたあの時泣き止まなくて大変だったじゃないの」
櫻子「それは言うな! 恥ずかしい!」
向日葵「むちゃくちゃですわね……」
向日葵「私たちが付き合ったからどうこうとかじゃなくて、今まで通りでいたい」
向日葵(私と櫻子の距離のままでいたい……)
向日葵「櫻子のことが嫌いになったとか、そういうのじゃありませんわよ? ただ……」
向日葵「……あら?」
櫻子「zzz………」スゥスゥ
向日葵(嘘でしょ……)
向日葵「もう! バカ櫻子……!」ぷに
向日葵(まったく……///)もぞもぞ
櫻子(……ふふ。ありがとう、向日葵)
*
ピンポーン
撫子「おお、ひま子」
向日葵「櫻子います?」
撫子「それがさ、なんか今朝からいないんだよね。どこ言ったんだろ。もうお昼過ぎたのに」
向日葵(ま、また思い出の場所さがしかしら……)
撫子「もうそろそろ帰ってくるんじゃないかとは思うけど、ごめんね」
向日葵「いえ。ちょっと時間置いてまた来ますわ」
向日葵(そんなに、大事かしら……思い出の場所って)
向日葵(って、それは……私が最初に行かないって言ったからか)
向日葵(でもこの前誘ってくれたときは、嬉しかったし、楽しかった)
向日葵(こんな思いするなら、一緒に行けばよかった……///)
向日葵「せっかくクッキーだって焼きましたのに、これじゃ冷めてしまいますわ」がさがさ
向日葵(……どうせあの子は、お昼も食べずに探してるんでしょうね)
向日葵(もうひとつ、カップケーキでも作ろうかしら)
ウ"ーン……
向日葵(…………)
向日葵(な、なんなの? さっきから胸が重い……)グッ
向日葵(どうしたのかしら私……なんか嫌な予感というか、変に緊張しているというか……)
向日葵「う、ぅ……」がくっ
向日葵(櫻子に……会いたい……)
楓「おねえちゃん、どうしたの!?」
向日葵「えっ! な、なんでもありませんわ?」
楓「うそなの……顔真っ白なの!」
向日葵「え、そんなに……??」
楓「手も冷たいの……どうかしちゃったの?」
向日葵「いえ、私は大丈夫だと思うんですけど……」
向日葵「ふふ、心配しなくても大丈夫ですのよ楓……私はなんともありませんわ」ぽん
楓「そ、そう?」
向日葵「ええ」
どくん、どくん。
向日葵「…………」
向日葵(なぜ……チャイムを鳴らすのが怖い……)
向日葵(櫻子、いるかしら)
~♪
向日葵「あ、あら。メール……」
向日葵(え、撫子さんから?)
[ 櫻子がまだ戻ってこないんだけど、どこ行ったか知らない?
とくに書き置きとかもないからさ、もう暗くなるし……
しかも部屋見たら櫻子携帯忘れてったみたいでさ、連絡手段無いんだよ。
何か知ってたら教えてくれる? ]
向日葵「っ……!」
櫻子になにかあったんだ。
直感的にそう思った。
向日葵「櫻子!」だっ
どうにも嫌な胸騒ぎがしていた。
櫻子が、どこか遠くへ行ってしまう感覚に襲われた。
迷子になって帰れなくなっているのかもしれない。
事故にあってしまったのかもしれない。
全部の可能性が、リアルに想像できてしまう。
向日葵「嫌……いやっ! 櫻子!」
頭がいっぱいで、自分がどこに向かっているのかもわからない。
ただただ、あてもなく走った。
息がつまりそうになる。
叫び出したい。足は止まらない。
たまった涙を風で飛ばし、ただ走った。
櫻子のことだけを考えながら。
櫻子「………んー」
やばい。真面目にやばい。
櫻子「どこなんだここは……」
櫻子「完全に迷子だなこれは」
櫻子「こっちが山だから、私の家は……あれ?」
櫻子「やべーわからん! というかお腹すいたー!」
櫻子「……どうしよう、このまま迷子のまんまだったら」
櫻子「あー、そんときは誰かの家に電話借りればいいのかな」
櫻子「でも他の家に迷惑かけたらねーちゃんに怒られるしなぁ……どうしよう」
櫻子「あ! 向日葵にもらった鈴があったな!」チリン
櫻子「…………」
櫻子「ま、まあこれ鳴らしたところでって話だけどさ……///」
タッタッタッ……
櫻子「?」
向日葵「櫻子!」
櫻子「うぉー! 向日葵来たー!」
櫻子「すげーすげー! 向日葵の鈴鳴らしたら向日葵が来てくれたー!」
向日葵「うっ、ううぅぅ……」
櫻子「えっ!? お、おい何で泣いちゃうんだよ……」
向日葵「櫻子……よかった……!」
櫻子「喋るな喋るな。走った後だと息できなくなるぞ」ぽんぽん
櫻子(向日葵がこんなに疲れてるの見たことない……)
櫻子「お、あそこにベンチあるじゃん。座ろっか」
櫻子「…………」
向日葵「…………」ぎゅっ
櫻子「ちょっと、痛いよ」
向日葵「…………///」
櫻子(目が赤い……泣いたんだな。そんなに心配させちゃったんだ)
櫻子「ごめんね」
向日葵「……いいですわ」
櫻子「よく私がここだってわかったね」
向日葵「神様が教えてくれたんですわ」
櫻子「神様ねぇ」
向日葵「…………///」
櫻子「今回、全然収穫なかったよ」
向日葵「……構いませんわ。でももし次に行くときは、私を誘って頂戴」
櫻子「やっぱり一緒に来たいんじゃん」
向日葵「そうですわね」
櫻子(……素直だな)
櫻子「私がいなくなるとでも思った?」
向日葵「………ええ」
櫻子「そっか……」
向日葵「…………」
櫻子「え、もしかして向日葵にもわかんない……!?」
向日葵「だ、だって私神様の声を聴くのに必死でここがどこだかなんて……」
櫻子「もう神様ネタはいいからさ! これじゃ助けに来てくれたのにあんまり状況変わんないじゃん!」
向日葵「ネタじゃありませんわ! 本当に何も考えずに走ってたらここに……走ってるときの記憶なんて全然ありませんもの」
櫻子「んー困ったなぁ……これじゃ二人とも迷子だ」
向日葵「ところで携帯ならありますわ」
櫻子「でかした!」
向日葵「撫子さんもすごく心配してましたわ」
櫻子「げ……怒られるかな」
向日葵「貸しなさい」バッ
櫻子「あ! 勝手にかけるな!」
向日葵「いいじゃない、私の携帯ですもの」
櫻子「かけるのは私のねーちゃんだぞ!」
向日葵「撫子さんは私のお姉さんでもありますわ!」プルルル
向日葵「あ、もしもし撫子さんですか? 櫻子を無事に保護しましたわ」
櫻子「一緒に迷子になってるんだから保護されたわけじゃ……」
向日葵「はい……はい」
向日葵「櫻子に代わってって」
『バカ!! どこほっつき歩いてんのさ!』
櫻子「うるっさ……」
向日葵(受話器持ってないのにここまで聞こえますわ……)
櫻子「仕方ないじゃんよ! そう! ……え? 頭は関係ないだろこらー!」
向日葵(何話してるかだいたい想像つくのが面白いですわね)
櫻子「そう! そうなの。……んーとね、なんか山の方」
櫻子「わかんないんだよ。こっち来たことないから……」
「行ったことないとこに一人でいくんじゃないよ」
櫻子「え?」
向日葵「な、撫子さん!?」
撫子「よかった。二人とも無事だね」
櫻子「え、なんで!? 電話しながら探してたの!? でもう見つけてくれたの!?」
櫻子「答えになってない!」
撫子「よし帰ろう。花子たち待ってるよ」
櫻子「あー……まあ何はともあれ助かったからよかったー」
向日葵(撫子さん……本当はどうやって見つけてくれたんですの?)ヒソヒソ
撫子(あの子昔からご近所冒険が好きだったからね……靴にGPS発信仕込むなんていつものことさ)
向日葵(え……)
櫻子「なに、なんの話?」
撫子「あんたが可愛くて仕方ないって話」
櫻子「ええっ!?///」
向日葵「し、してませんわ! してませんわ!」
向日葵「面白いとこ?」
櫻子「帰るんじゃないのかよ」
撫子「どうしても見せたいんだよね」
撫子「私の思い出の場所」
櫻子・向日葵「!!」
聞くまでもないよね。
ここで生まれて、ここで出会った全て。
生まれてからほとんどの時間を一緒に過ごしている私たち。
いろんな思い出があるでしょ?
その全てが、ここからなら見渡せるんだ。
撫子「凄いでしょ?」
櫻子「うわぁ……!」
向日葵「綺麗………」
夕日に照らされた町の全てを、撫子の高台は映していた。
今日も、迷子になってよかったね。
スタスタ……
櫻子「んー……」
向日葵「何悩んでるんですの?」
櫻子「思い出の場所さがし! ねーちゃんにあんなの見せられちゃったら……あれよりすごいの見つけなきゃいけない感じするじゃん!」
向日葵「ふふ……」クスクス
向日葵「ちなみに私はもう見つけましたわ」
櫻子「うそ!? え、どこどこ!?」
向日葵「ここですわ」ぴたっ
櫻子「……は?」
櫻子「えーっと……///」
櫻子「こんなしょぼい道端?」キョトン
向日葵「そうじゃありませんわよ、ここ!」
櫻子「いやだから、ここただの通学路じゃん」
向日葵「櫻子の隣ですわ」
櫻子「あ……」
向日葵「いろいろ回ってわかりました。私は櫻子が隣にいれば、どんな場所でも構わない」
向日葵「私の思い出の全部は、あなたの隣にあったんですわ」ぎゅっ
櫻子「じゃあ、私の思い出の場所は向日葵の隣ってことか」
櫻子「…………」
櫻子「……っふふ、あはははははは!」
向日葵「わ、笑わないでくださるっ?」
櫻子「だって向日葵今めっちゃかっこつけてたんだもん! 」
向日葵「別にいいじゃない!///」
櫻子「いやーかっこよかったよ向日葵」
向日葵「……なんかバカにされてる感じになってきましたわ」
櫻子「バカにはしてないよ!」
向日葵「ええ……私も離れませんわ」
櫻子「私がちょっとでも離れたら向日葵泣いちゃうもんね」
向日葵「はぁ!?/// そんなことありませんわ!」
櫻子「この前泣いてたじゃん!!」
向日葵「あれは、まさか自分の住んでる町で迷子になるほど頭が足りない櫻子が可哀想で仕方なくて涙が出てしまったんですわ」
櫻子「うそつけー!! 一緒に帰れなくなってたくせにー!」
向日葵「別に私本当は帰り道ぐらいわかってましたわー櫻子と違って!」
向日葵「なっ……!?///」
櫻子「あー流石に神には勝てないわー……いくら私でも神には勝てないわー」
向日葵「かっ、神様をバカにしないでくださる!?」
櫻子「神様(笑)」
向日葵「その口塞いであげましょうか」
櫻子「え? キスで?」
向日葵「窒息死させてあげますわ」ゴゴゴ
櫻子「一瞬嬉しいかと思ったけど怖いわ!」
櫻子「え?」
向日葵「ここどこですの?」
櫻子「あ、あれ!? 私たち普通に通学路歩いてて……」
向日葵「…………」
櫻子「…………」
向日葵「櫻子のせいで迷子ですわー!」
櫻子「ちょっ、私のせいにすんなー!!///」
~fin~
Entry ⇒ 2012.06.19 | Category ⇒ ゆるゆりSS | Comments (0) | Trackbacks (0)
P「結婚したいなぁ…」
P「そりゃあしたいですよ。でも、相手がいなくて…」
小鳥「どんな子がタイプなんですかー?」
P「うーん…そういうのもなくて、ただ癒されたいというか」
小鳥「そうですかー…じゃあ、アイドルの中で誰が1番しっくりくるか、想像してみましょうよ!」
(元)アイドルじゃあかんのか?
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P「ふー、ただいまー」ガチャ
春香「あ!プロデューサーさん、おかえりなさい!」トトト
P「おー春香ー、走ると転ぶぞー」
春香「あうっ!?」コケッ
P「おっと」ガシッ
春香「あ…ありがとうございます///」
P「ハハハ、春香は昔から変わらないなぁ」
春香「はい、召し上がってください!
」
P「うん…今日も美味いなぁ!」
春香「えへへ…なんたって愛がこもってますから!」
P「そういえば今日なー、仕事でテレビ局に行ったんだけどな、すっごい綺麗な女優さんがいたんだよ!」
春香「…へー」
春香「……」
P「春香?」
春香「だったらその人プロデュースすればいいじゃないですか!」バン
P「お、おぉ」
春香「私はプロデューサーのことずっと考えてたのに…」グスッ
P「…春香」ギュッ
春香「ふえっ?」
春香「プ、プロデューサーさん」
P「んー?」
春香「もう…私の前で他の女の子の話しまいでくださいね…?」ギュー
------------------------------------------------
小鳥「こんな感じですね!」
P「おぉ…これは普通にアリだな…!」
------------------------------------------------
P「ただいまー」
千早「おかえりなさい、プロデューサー」
P「おぅ千早、玄関で待っててくれたのか?」
千早「はい、夫の帰りを待つのが妻の役目ですから」
P「はは…ありがとな」ナデナデ
千早「///」
千早「召し上がってください」
P「うん…美味い!ホントに上達したよなー」
千早「はい…プロデューサーの為に練習しましたから///」
P「ありがとうな、千早」
P「そうそう、今日の仕事で会った女の子がな、すっごいスタイル良かったんだ!」
千早「…くっ!」
千早「プロデューサーは…」
P「ん?」
千早「プロデューサーは、やはり、む、胸の大きい女性の方が好みですか…?」
P「んー、無いよりはある方がいいけど…千早、お前、自分のスタイル気にしているのか?」
千早「……」
千早「…いえ、夫の望みを叶えるのが、妻の役目…」
千早「ですから…」
千早「プ、プロデューサーが、お、大きくしてくださいね…///」ニコッ
------------------------------------------------
小鳥「千早ちゃん…」ハァハァ
P「音無さん、鼻血!」
P「やよい!」
------------------------------------------------
P「ただいまー」ガチャ
やよい「うっうー!おかえりなさい!」タタタタ
P「はい」スッ
やよい「たーっち!」パン
P「お、いい匂いするなー」
やよい「はい!ご飯できてますよー!」
やよい「ごちそうさまでした!」
P「風呂って入ってるか?」
やよい「はい!準備できてますよ!」
P「よし、じゃあ入るか」
やよい「これ、パジャマです!」
P「おぉ、ありがとうな」ナデナデ
やよい「えへへー///」
P「…一緒に入るか?」
P「いや、もちろん嫌ならいいんだが、こういうのもいいかなーって」アセアセ
やよい「プ、プロデューサーはわたしと入りたいですか…?」
P「ま、まぁ当然」
やよい「うー…そ、それなら、少しはずかしいけど、一緒に入ります///」
やよい「うっうー!人にあたま洗ってもらうのって気持ちいいですね!」
P「そうだな。さぁ、寝ようか」
やよい「はい!」モゾモゾ
やよい「あ…あの、プロデューサー」
P「んー?」
やよい「寝る前に、ぎゅ、ぎゅーってして欲しいなーって///」
P「ははは、いいよ」ギュー
やよい「はわー。気持ちいいです…おやすみ…なさ…」
P「寝ちゃったか」ナデナデ
P「やよいはかわいいなぁ!」
小鳥「ですね!」
小鳥「うーん、次は…響ちゃんなんてどうでしょう!」
------------------------------------------------
P「ただいまー」ガチャ
響「おかえり、プロデューサー!」ダッ
P「おー響、早速で悪いが、ご飯できてるか?」
響「当然だぞ!今日はゴーヤチャンプルーだ!」
響「いただきまーす!」
P「今日も美味いなぁ」
響「当然だぞ!自分、完璧だから!」
P「はは…そうそう、今日は響にプレゼントがあるんだ」
響「プレゼント?」
P「なんと…遊園地のペアチケットだ!」ジャジャーン
響「おー!」
P「ちょうど明日は休みだし、2人で行こうか」
響「久しぶりのデートだな!」
響「明日はデート楽しみだなー♪」ゴシゴシ
ハイルゾー
響「ん?」
P「よっ」ガラガラ
響「ぎゃー!な、なにしてるんさ!」ワタワタ
P「いいじゃないかいいじゃないか」
響「い、いくない///セクハラプロデューサー!」
P「はっはっは!お?俺が体を洗ってやろう!」
響「ぎゃー!」
P「寝るぞー」
響「寝るぞー、じゃない!」
P「はっはっは、そんなに怒るなって」
響「もう!おやすみ!」ガバッ
P「響ー。そんなに怒るなー」ナデナデ
響「んむー。こ、こんなんで許すとでも//」
P「響ー」ギュー
響「こ…今回だけだからな!」
P「はは、ありがと」ギュー
響「あ、明日のデートでもやってくれないと許さないからな!///」
小鳥「響ちゃんもいいわー」
P「やー、結婚てすばらしいですね!」
------------------------------------------------
P「ただいまー」ガチャ
あずさ「おかえりなさい、プロデューサーさん♪ ご飯にします?お風呂にします?」
P「ただいまです、あずささん。ご飯でいいですか?」
あずさ「はい♪ もちろんですよ」
あずさ「ありがとうございます♪」
P「いやー、美味しいご飯に綺麗な奥さん、幸せだなー」
あずさ「あらあら/// あ、そうだ。プロデューサーさん、耳かきしてあげますね」
P「耳かきですか?」
あずさ「はい♪ こっちきてください」ポンポン
いいなぁ!!!!
P「はいー」
あずさ「気持ちいいですかー?」カリカリ
P「はいー」
あずさ「うふふ♪」
P(あずささんの柔らかい太もも。見上げればそこにある巨大なおっぱい。なにより、この雰囲気。全国の男共の夢がここに)
P「幸せだ…」
あずさ「終わりましたよー」
P「ZZZ…」
あずさ「あらあら♪ お疲れだったのね」ナデナデ
あずさ「おやすみなさい♪」ナデナデ
P「やっぱりあずささんはいいなぁ!」
小鳥「ですねー」
P「結婚したいなー…」
小鳥「そうですねー…」
P「…ん?」
P(音無さんって独身だよな…彼氏もいないし、アイドルじゃないから問題ない…)
------------------------------------------------
P「ただいまー」ガチャ
小鳥「おかえりなさい、プロデューサーさん」
P「ご飯で」
小鳥「ぷー。わかりましたー」
P「そうそう、いいお酒買ってきたんですよ。一緒に飲もうと思って」
小鳥「ホントですか?わーい!」パァ
P「だからご飯にしましょう」
小鳥「はーい!」
小鳥「えへへー。お酒ありがとうございますねー」
P「いえいえ」
小鳥「最近、春香ちゃんたちよくテレビで見ますねー」
P「はい。765プロのみんな、もうトップアイドルですからね」
小鳥「すごいですよねー」
P「はい。春香はバラエティ向けだし、千早は今では現代の歌姫。美希も知らない人がいないレベルのアイドルになったし、真も…」
小鳥「楽しそーですねー…」
小鳥「生き生きしてるなーって」
P「そりゃ、育ててきた子たちが成長するのは…」
小鳥「そうですけど、そうじゃなくてもー!」ガバッ
P「わっ!どうしたんですか!?」
小鳥「あんま楽しそうに他の女の子のこと話さないでくださいよー」ギュー
P「え?」
小鳥「私、アイドルみたいにかわいくないし、気が利く訳でもないし、2×歳だし…不安なんですよ」ギュー
P「小鳥さん…」
小鳥「小鳥って呼んで」
P「俺が1番好きなのは小鳥だし、俺にとって小鳥はアイドル以上にかわいいから」ナデナデ
小鳥「プロデューサーさん…」
P「だから心配しないで」ナデナデ
小鳥「はい!」スリスリ
P「ははっ」ナデナデ
小鳥「プロデューサーさん…絶対、裏切らないでくださいね…?」ギュー
P「もちろんですよ」ギュー
小鳥「ふふっ」チュッ
P「…」
P「音無さん」
小鳥「はい?」
P「僕と付き合ってください!」
小鳥「ピヨッ!?」
P「ていうか結婚してください!」
小鳥「え、えっと///」
P「いや、結婚しましょう!」
小鳥「は…はい!喜んで!」
~おしまい~
誰か貴音書いてよ
でも乙!
今度は他の子も見てみたいなーって!
Entry ⇒ 2012.06.19 | Category ⇒ アイマスSS | Comments (0) | Trackbacks (0)
セイバー「私が田舎の高校生!?」
切嗣「」
セイバー「同じ戦士であるなら!正々堂々と戦うべきです!」
切嗣「アイリ、僕はもう行くよ」
アイリ「切嗣…」
セイバー「私はもうあなたの指示には従えない!」
セイバー「もう…これ以上は」
切嗣「これは殺し合いだ。」
セイバー「わかっています!命の駆け引きであるからこそ我々も騎士の名に恥じぬように」
切嗣「やはり、あの騎士王殿は何もわかっていない」
セイバー「なに!」
アイリ「でもセイバーの言い分だって少しは…」
切嗣「そこにルールなんてものは存在しない。」
セイバー「貴様!戦士の戦いを愚弄するか!」
切嗣「これだから英雄というのは…。」
セイバー「我々は戦いの中でも己の騎士道は決して忘れない!それに従事て剣を交える!」
切嗣「聴いたかい?アイリ、英雄どもはこうやって、
戦場に騎士道だの栄誉だのを持ってきて殺しを肯定し続けてきた」
アイリ「切嗣…」
セイバー「貴様は…騎士道だけでなく我が生涯までも否定するか」
切嗣「今のあいつにいくら話をしたところで理解はできないだろうな」
アイリ「でも、セイバーはもう命令には従わないわ」
切嗣「僕の指示に従えないというのなら令呪を使う。」
セイバー「やはり、貴様は下郎だ…」
切嗣「どんな手段を使ってでも僕は聖杯を手に入れる。どれだけの犠牲を払ってでもね」
切嗣「無駄話はこれまでだ。僕はもう行くよ」
セイバー「待ってください!何故…そうまで英雄を否定する…」
アイリ「そうよ!セイバーだって頑張ってるじゃない!」
切嗣「英雄を否定しているわけじゃないよ。僕は殺し合いが、人の流血が許せない。」
切嗣「戦争があるから英雄が生まれる。そして、こいつも人類の争いの歴史の犠牲者だ」
セイバー「私が犠牲者…」
言峰「止まれ」
セイバー「!?」キキーッ
セイバー「貴様は!アサシンのマスター!」
言峰「私はもうアサシンのマスターではないよ。」
セイバー「サーバントを失ったマスターが出歩いては危険だ。何故、教会から…」
セイバー「何をいきなり…。盗聴していたのか!?」
言峰「まぁ待て、私はもうこの戦いから降りた身。心配は無い」
言峰「お前は衛宮切嗣がわからないのだろう?奴のいう事が何一つ理解できなかったのであろう?」
セイバー「」
言峰「教会へ来るといい。答えを導き出す手助けをしてやろう」
言峰「来たか…。セイバー」
セイバー「罠ではないだろうな」
言峰「まさか、私も単に衛宮切嗣という男に興味があるだけだよ」
言峰「さぁ、ついてきたまえ」
言峰「ふふ、我が協会が10年の歳月を費やし、やっと完成させた
究極の装置!その名も! 」
言峰「もしもこんな世界があったらいいな!装置! 」
セイバー「貴様…。やはり私を騙して…」
言峰「この装置が作り出す世界ならきっと答えが見つかるはずだ」
セイバー「答えが…みつかる…」
セイバー「う…、何も見えないぞ」
言峰「いいか?向こうの世界の君は高校生だ。それらしい生活を送れば答えが見つかるはずだ」
セイバー「さっきから何を言っているのかさっぱり…」
言峰「まぁいい。実際に体感したほうが早いだろう」
言峰「さぁ、思う存分に楽しんでくるがいい」ニヤリ
セイバー「貴様!」
ポチッ
セイバー「うわぁぁぁぁぁぁぁ」
セイバー「暑い…。ここは一体…冬木では無さそうですが」
セイバー「それに…これは私の自転車でしょうか?」ジー
セイバー「でも、ここに現れたときからあったのですし…私ので…」
残念ながらそうです…
→ギルガメッシュ「苦しめ!セイバー!!」セイバー「う、うぅ…」
切嗣「おうはよう。」
セイバー「切嗣!何故あなたがここに!」
切嗣「おいおい、いつから僕達は下の名前で呼び合える仲になったんだ?」
セイバー「今更なにを言うのです!」
切嗣「こんなところで自転車から降りて何してるんだ?遅刻するぞ」
セイバー「遅刻?」
切嗣「それじゃぁ、HRにおくれるなよ~」
セイバー(そういえば、この世界の私は高校生でしたね…)
セイバー(とにかく学校へ急ぎましょう!)
アーチャー「今日は随分と遅かったな。アルトリアよ」
セイバー「アーチャー!何故、お前が!」
アーチャー「あーちゃー?プフフ、おいおい、この歳にもなって何かのごっこ遊びか?」ハッハッハ
セイバー(…。こちらの世界のアーチャーと混同してはならない…)
セイバー「い、いえ。今のは忘れてください…。だが…私はあなたの名前を…」
アーチャー「幼馴染の名を忘れた!?貴様…、暑さで頭でもやられてしまったのではないのか?」
ランサー「大丈夫か?アルトリア。具合が悪いのなら保健室に…」
セイバー「いえ!大丈夫です。」アセアセ
セイバー「申し訳ない…」
ランサー「そう、かっかするなギルガメッシュ。」
アーチャー「うるさい!朝から気分が悪い!」
セイバー(これはどういうことなのだ?サーバントが学校に…)
セイバー(いや、これは言峰の仕掛けた罠かも知れない…警戒せねば)
切嗣「さぁ、HRをはじめるよ」ガラガラ
セイバー(切嗣が教師なのか…。あのような下郎が人に何を教えることができるのか…)
全員 え~
切嗣「受験に向けて頑張るように。それじゃぁHRはこれで終わります。」
竜之介「俺、受験とか興味ないし~。休むわ~」
凛「そういう奴がクラスの雰囲気を悪くするのよ!」
竜之介「だって受験のない俺には関係ないじゃん」
凛「ふん、休んだら承知しないから」
竜之介「はぁ…。はやく卒業したいな~」
セイバー(…結局、サーバントは何も仕掛けてこなかった…。でも、油断は禁物です!)
セイバー(警戒を怠れば、隙を突かれてしまう)
竜之介「それじゃ!夏休み前夜祭行きますか~!」
セイバー「え?」
ランサー「やはり、今年もするのか…。全く変わらないな」
アーチャー「良いではないか。存分に遊べるのも今のうちだぞ?」
竜之介「そんなの決まってんじゃん!アイリさんとこだよ!」
凛「げっ…。また…」
アーチャー「まぁ、担任の家でもあるからなあの店は。また切嗣に奢らせることができるしな」
ランサー「アルトリアも来るよな?」
セイバー「うぅ…。どうしましょう」
アーチャー「どうしたもない!お前も来るんだよ!」
セイバー「は、はぁ…」(今度こそ…罠ではないのだろうか…)
アイリ「いらっしゃい!さぁ、準備はできてるわよ!」
竜之介「アイリさん!お久しぶりです!」
アーチャー「ふむ、いつになく美味そうな匂いがするな」
凛「すいません。また押しかけちゃって」
アイリ「いいのよ♪賑やかなの好きだし」
イリヤ「凛!凛!久しぶり~」エヘヘ
凛「イリヤちゃん久しぶり!」
アイリ「切嗣ももうすぐ帰ってくるわ♪」
ウェイバー「先輩達の打ち上げでしょ?」
ランサー「気を遣わなくていいさ、後輩がいてくれるほうが楽しいだろ?」
凛「ちょっと、うちの桜に手出すんじゃないわよ!」
ランサー「ま、まさか!誤解です!」
セイバー(なんです!?この異様な光景は…。うぅ…この空気には馴染めない…)
アイリ「切嗣、お帰りなさい♪」
切嗣「正直、嫌な予感はしてたけど…また来たのか…」
竜之介「お邪魔してま~す」
切嗣「やれやれ…」
セイバー(わからない…やはりここは皆と話すべきなのか?うぅ…)
ランサー「どうした?なんだか今日のお前は大人しいな」
セイバー「え?」
アーチャー「全くだ。料理の前では獣と化すお前が、こうも料理に手をつけないとは」
グゥゥゥ
セイバー(しまった…)
切嗣「去年の威勢はどうした?アルトリア。遠慮せずにどうぞ」
セイバー(切嗣が私を気遣うなんて…)
セイバー「で、では!いただきます!」ガツガツ
アーチャー「そうだ!それでこそお前だ!」ハッハッハッハ
ランサー「そう煽るなよギルガメッシュ…」
切嗣「美味しいかい?イリヤ」
イリヤ「すごく美味しい!」モグモグ
竜之介「くぅぅぅ!ビール飲みてぇぇ!」
アイリ「駄目よ♪未成年なんだから」
セイバー(何故だか…私だけよそ者みたいだな…いや、そもそも私はこの世界の者ではないか…)
アーチャー「また、そんなしょぼくれた顔をしおって」
セイバー「ギルガメッシュ…」
セイバー「は、はぁ…」
ランサー「まぁ、何処かの誰かさんも負けじとやせ我慢して大食いしてたけどな」
アーチャー「ディルムッド!あれはやせ我慢などではない!」
ランサー「お前たちは昔からそうやって競いあってたからな」
凛「そうそう、お互いに譲らないというか…」
竜之介「探検ごっこしたときなんか!どっちが先頭かとか、どっちが隊長に相応しいかとかね」
セイバー「わ、我ながら恥ずかしいです」
アイリ「あらら~、初めの勢いはどこへ行ったのかしら?」
桜「さすがに…おなかがいっぱいです…」グッタリ
アーチャー「我は…疲れた…」
セイバー「少し涼んで来ます」
セイバー(…。楽しかった…私にあんな思い出があったなんて…探検ごっこか…ふふ)
セイバー「きり、いや。先生」
切嗣「明日から、夏休みだけど気持ちを切り替えて頑張れよ」
セイバー「頑張る…何をですか?」
切嗣「おいおい…受験勉強に決まっているだろ?」
セイバー「は、はぁ…」
切嗣「そういえば、まだ進路の調査書出して無かったね」
切嗣「でも、君は優秀だからね。もちろん大学進学だろ?」
セイバー「…。まだ決めてなくて…」
セイバー「あの、先生…」
切嗣「どうした?」
セイバー「少し変な質問なんですが…」
セイバー「昨日、夢を見たんです。」
切嗣「夢?」
セイバー「はい、その夢の中ではクラスメイトや先生がお互いに争いあうんです。」
セイバー「どんな願い事も叶うものを求めて」
切嗣「それで?」
セイバー「でも、その夢の中のクラスメイトや先生はまるで別人でした…」
切嗣「う~ん…僕には想像がつかないね」
セイバー「先生も…その…」
切嗣「なにか強い願いがあれば人を殺すかって?」
セイバー「うぅ…」
切嗣「さぁ、どうだろうね。よほど願いだったんだろうね」
切嗣「でも、僕だったらそんな戦いなんてしなくていい世界を望むかな?」
セイバー「…」(世界平和…人類の流血の根絶)
切嗣「難しいね。それだと、どうしても犠牲が出てしまうし…」
切嗣「やっぱり、僕にはわからないな」
切嗣「いや、いいんだよ。それに」
セイバー「はい…」
切嗣「夢のことで、そこまで君が悩む必要はないだろう」
セイバー「そうですね…」
切嗣「今の僕達は争いなんてしてないしね。まぁアイリと少しは喧嘩はするけど」ハッハッハ
セイバー(…。でも、私はこの世界の人間ではない…)
放課後
ライダー「よいか!三年はプール掃除!全員居残りだ!」
竜之介「まじかよ!俺たちは受験勉強ってのに」
凛「あんた、受験しないって言ってたじゃん…」
ランサー「せっかく夏期講習ですぐ帰れると思ったんだがな…」
ライダー「毎年、三年生がプール掃除をすると決まっておるのだ!」
アーチャー「これだから田舎は…」
ライダー「よいか!後輩たちのためにも!心をこめて掃除するのだぞ!」
アーチャー「仕切るな雑種が…」ゴシゴシ
ランサー「暑い…。でも、二年間プール掃除しなかったわけだし…当然か…」
セイバー「ギルガメッシュ!さぼるな!我々がちゃんと掃除せねば後輩たちが迷惑するだろ!」
凛「あちぃ…。アルトリアはいっつもこういうの真面目よねぇ…」
セイバー「勤めはきちんと果たすべきです!」キリッ
アーチャー「はいは~い…」
ライダー「うんうん!青春!青春じゃのぉ!」
ライダー「よぉし!後は水を張るだけだ。お前さんたちご苦労であった!」
竜之介「や、やっと終わった…」
凛「すっかり日が暮れちゃったし…」
アーチャー「よおし!帰るぞ!」
ランサー「アルトリアも帰ろう。」
セイバー「ふぅ…。そうですね。私も早く帰って寛ぎたいです」
竜之介「ひゃっほう!!風がきもちいぃぃ超cool!」
アーチャー「貴様!我の前を走るな!どけ!」
凛「自転車で爆走とか…何歳なの?」
ランサー「アルトリアは参加しなくていいのか?」
セイバー「からかうのはよしてください!」プイッ
ランサー「ふふ、すまない。もうこうして一緒に帰ることもなくなるんだな」
セイバー「え?」
セイバー「そ、そうなのか…」
凛「あたしもここを離れるわ!やっぱ上京よね~」
セイバー「あそこの二人も…ですか?」
凛「さぁ、どうだろ?何だかかんだでここに居るんじゃないの~?」
ランサー「いずれにしても、みんなで集まることはもう無くなるんだろうな」
セイバー「…」(何でしょう?この気持ちは…寂しいような…孤独を感じるような…)
セイバー(両親はお互い仕事で遠くにいる設定ですか…)
セイバー(暑い…。ベランダにでましょう)
セイバー「私は何をしているのか…。祖国のために戦わなくてはならないのに…」
アーチャー「よう!アルトリア!」
セイバー「ギルガメッシュ!何をしているんだ?」
アーチャー「見てわからぬか?犬の散歩だ」
アーチャー「貴様!何がおかしい!」
セイバー「お前がプフフ、犬の散歩だなんて」ハッハッハハ
アーチャー「犬はいいぞ!我の言うことは何でも聞くからな」
セイバー「根本は変わっていなのだな…」
アーチャー「それにこいつは貴様より利口だ!」ヤーイヤーイ
セイバー「今の発言は許しがたいぞ!ギルガメッシュ!」
セイバー「…考え事です。」
アーチャー「悩みがあるのなら我に打ち明けるといいぞ」
セイバー「ギルガメシュ…、進路は決めたのですか?」
アーチャー「まぁな」
セイバー「では、ここをはなれるのですか?」
アーチャー「留まっても良かったのだが、ここは何もない田舎だし。都会へ移ることにしたのだ」
セイバー「もう皆と会うことは無いのですね…」
アーチャー「そうでもないぞ?」
セイバー「そうですね…」
アーチャー「故郷とは恐ろしいものだ。何かに憑かれた様に戻ってきてしまう」
アーチャー「我らが永遠にここから逃れることなど不可能なことだ」
セイバー「ギルガメッシュ…」
アーチャー「それにしてもらしくないな、アルトリア。我がいなくなるのがそんなにも寂しいか?」
セイバー「そ、そういうわけではない!」
アーチャー「顔にそう書いてある。我にはお見通しだ」ハッハッハ
セイバー「貴方という人は!」
アーチャー「でわな、アルトリア。こいつが退屈しているのでな。」
セイバー「あぁ、また明日」
アーチャー「心配するな。その気になれば我が皆をまたここに集めてやる」
セイバー「ギルガメッシュ…」
セイバー(ギルガメッシュ…。こちらの世界の貴方はとても優しくていい人だ…。)
セイバー(元の世界とはまるで別人…。うぅ…また混乱してしまう…)
キャスター「よいですか!みなさん!」
キャスター「貴方達は幸運にも、とても素晴らしい自然に恵まれた地に暮らしています!」
キャスター「ですが、残念なことに…卒業後、ここを去る人もいるでしょう…」
キャスター「ですので!今日の夜!皆で天体観測をします!」
キャスター「みなさんに素晴らしい景色をお見せしましょう!」
キャスター「7時に学校に集まるように!いいですね!」
ランサー「…。お前は行くのか?ギルガメッシュ」
アーチャー「星などいくらでも見れるだろう。わざわざ出向かなくても」
セイバー「行きましょう!是非!」
ランサー「どうしてまた」
セイバー「最後の思い出作りにちょうどいいじゃないですか!」
アーチャー「お前がそこまで言うのなら仕方ない」
ランサー「そうだな。こんな機会もう無いかもしれないし」
セイバー(私もこの世界に留まっていられるのも…もうあと少しそんな気がしてならない…だから…)
>>85
巣立つ生徒達に最後に故郷の美しさを再確認してほしいというキャスター先生の
超coolな方針なのです
セイバー(ランサーや凜は残って勉強…アーチャーは隣町のゲームセンター…竜之介は知らない…)
セイバー「一人で帰るのは寂しいものです」ボソッ
セイバー「ん、あれは…」
桜「あなたは今どこで何をしていますか~♪」
セイバー「桜、ここで何をしているのです?」
桜「え?せ、先輩//////////」
桜「恥ずかしい///」
セイバー「歌の練習ですか?」
セイバー「どうしてまた」
桜「カラオケは隣町にしかないし…遠いし…」
セイバー「良い歌でした。もう少し聞かせてくれませんか?」
桜「は、はい///」
桜「あなたは今どこで何をしていますか♪ この空の続く場所にいますか♪」
セイバー「凄くうまいです!」
桜「この曲、とても気に入ってるんです。先輩達はもう遠くにいっちゃいますけど」
桜「なんだか繋がってる気がして//」
セイバー「桜…」
桜「寂しいです…。昔からずっと一緒だったのに離れ離れになるなんて…」
セイバー「…。そうですね」
セイバー(羨ましい…。私も…この世界の記憶が欲しかった…)
セイバー「大丈夫です。きっとまた集まりますから」ニコッ
桜「はい!私!!楽しみにしてますから!」
竜之介「すげぇぇ!すげぇぇよ!改めてみると超coolじゃん!」
キャスター「でしょう!神はこんなにも素晴らしい世界を造ってくださったのですぞ!」
凛「オーバーすぎるわね…全く…のんきね竜之介は」
ランサー「そうでもないぞ?」
凛「え?」
ランサー「誰にも言ってないみたいだが、あいつは美大を目指しているらしい」
凛「竜之介が…?」
ランサー「放課後に美術室で篭りっ放しでずっと絵の練習をしてるんだそうだ」
セイバー「皆、夢があるのですね」
セイバー(私は…祖国を救うのが夢であり願い…だから聖杯を求め現界した…)
ランサー「どうした?アルトリア」
セイバー「もし…過去に過ちを犯したとして…それを修正できるものが手に入ったとすればどうしますか?」
ランサー「また変な質問をするな」
セイバー「過去を修正するこもできるし…何でも願いが叶うのです!貴方なら」
ランサー「少なくとも過去は変えないかな」
ランサー「俺はいつだって後悔しないように生きてきたし…それに」
セイバー「それに?」
ランサー「過去を変えたら今も変わってしまうだろ?」
セイバー「今が…変わる…」
ランサー「なんでも願いが叶うのなら、過去を変えるじゃなくて今、幸せになれる願いを考えるな」
セイバー「今が…幸せに…ですか…」
アーチャー「何を難しいことをほざいているのだ。貴様ら」
セイバー「ギルガメッシュ…」
アーチャー「これで夏のイベントはおしまいだ。明日から本格的に受験モード…だろ?ディルムッド」
ランサー「そうだな。これでも遊びすぎたくらいだし」
アーチャー「よぉし!だったら今日は思う存分に楽しむぞ!」ジャジャーン
セイバー「こ、これは…」
ランサー「手持ち花火か…。子供の頃を思い出すな」
凛「うんうん♪よくみんなでしたよね」
桜「こんばんわ!皆さん!」
ウェイバー「ギルガメッシュ先輩にに呼ばれまして」
イリヤ「花火~花火~♪」
アーチャー「さぁ!天体観測はお開きにして今宵は花火大会だ!」ハッハッハ
切嗣「夜遅くまで、お疲れ様です」
キャスター「これはこれは!衛宮先生!」
切嗣「娘が呼ばれたみたいでね。来て見たら…。よろしいんですか?花火なんて」
キャスター「ふふ、今日は多めに見てあげましょう!」
イリヤ「えへへ!や~いや~い!」
竜之介「超coolだよ!俺の手持ち花火!」
ランサー「頼むから隣で振り回さないでくれ!」
セイバー(何て…何て満ち足りた気分なんだ…。こんなにまで和んだことが嘗てあったであろうか?)
セイバー(あぁ…切嗣…。何故あなたがこれほどまでに平和を望んだのかやっと理解ができました…)
セイバー(争いの無い世界、誰も戦わなくていい世界がこれ程までに素晴らしいものとは)
アーチャー「おい!アルトリア!何をしている!貴様の分の花火もあるぞ!」
セイバー「今、行きます!」
セイバー(争いの犠牲者…。そうか…争いが無ければあの剣を抜くこともなかった…)
セイバー(そして、剣を抜かなかった私…争いとは無縁の私は…こんなにも幸せでいられるのでしょう)
ギル「よぉ、小娘」
言峰(あの世界を過ごした今のセイバーに戦いなどできまい…)
セイバー「ここは…それに…お前は…」
言峰「衛宮切嗣のことは理解できたかな?」
セイバー「えぇ…平和を望む…彼の気持ちを知りました。」
言峰(勝った…こいつにもう戦闘の意欲はないはずだ)
言峰「そうか、いかに争いが無意味かわかったであろう?」
ギル「くっく…哀れだな。かつての活気に溢れた瞳は何処へ行ってしまったのか」ハッハッハ
言峰「立てるかね?」
セイバー「エクス…」
言峰「何!?」
セイバー「カリバーァァァァァァァァァ!!!!!!!!!!!」
セイバー「もう一度!みんなに会いたい!」ポロポロ
ギル「がはっ…貴様ア…不意打ちとは…貴様の騎士道とやらは…グヘッ」
セイバー「心配するな。ギルガメッシュ…また会える」グサッ
セイバー(たとえあの世界が偽りの世界でも…)
セイバー「聖杯さえ、手に入れば…」
セイバー(切嗣の言う通り…。どんな手を使ってでも…あの世界を!争いのない世界を!)
セイバー「そのためなら、騎士道も王の誇りも捨てよう」
ギル「」バタリッ
しかし、聖杯の正体は…
切嗣「そんな…。聖杯は願望機ではないのか!」
セイバー「切嗣…これは一体」
切嗣「こいつを破壊しなくては…」
セイバー「何を言うのです!」
切嗣「この聖杯は…そんなものじゃない…」
切嗣「僕の戦いもこれまでか…令呪を持って命ずる…」
セイバー「お願いです!待ってください!私は…この日のために!」ポロポロ
セイバー「唯一つの願いのために王を捨て!騎士道を捨ててきたのです!」ポロポロ
切嗣「聖杯を破壊しろ…セイバー」
セイバー「か、身体が…うぐ…」
セイバー「いやだ…!もう戻れなくなってしまう!みんなに会えなくなってしまう!」
切嗣「…すまない」
セイバー「エクス、カリバァァァァァァ!」
魔力を消費し尽くしたセイバーの身体も消え始めた。
セイバー「私は…一人ぼっちだ…」
切嗣「」
セイバー「また…集まりたかったです…」
セイバー「また、花火を…」
…
葵「あら、今日は早起きなのね」
桜「だって、今日は姉さんと先輩達が帰ってくる日でしょ?」
葵「えぇ、何ヶ月ぶりかしら?」
桜「一年と…ちょっとかな」
葵「みんな元気にしてるかしら?」
桜「じゃぁ!行ってきます!」
葵「学校は無いんじゃないの?」
桜「花火を買ってくるの!手持ち花火!」
おわり
すいません(´;ω;`)
最後まで見てくれてありがとう
youいいよね
ハッピーエンドにすべきだったか…
保健室
セイバー「う、う~ん…」
アーチャー「おい!ディルムッド!目が覚めたぞ!」
ランサー「アルトリア!大丈夫か!」
セイバー「こ、ここは…」
アーチャー「何も覚えていないのか?」
ランサー「何のことだ?」
セイバー「え?ここって…」
凛「授業中にいきなり倒れて、本当にびっくりしたんだから!」
セイバー「…」(ま、まさか…この世界に帰ってこれたなんて…きっと夢をみているんだ)
アーチャー「貴様…ひどく魘されてた…」
セイバー「ギルガメッシュ…」
セイバー「そうでしたか…」
アーチャー「アルトリアがそこまで…我たちのことを…」ウルウル
アーチャー「やっぱり寂しかったんだな…」
セイバー「私は…」
アーチャー「我は…もっとお前の悩みを聞いてやるべきだった…」
ランサー「一人でずっと抱え込んでいたんだな…アルトリア…」
セイバー「みんな…」ウルウル
竜之介「受験頑張ろう!隣町のお祭りへ行こう!を予定したいと思います!」
凛「ネーミングセンス…皆無ね…」
セイバー「で、でも…。皆、受験勉強があるのでは?」
ランサー「大丈夫!この日までみっちり勉強はするし」
アーチャー「たまには骨休みも必要だからな」
セイバー「みんな…」ウルウル
セイバー「すいません!お待たせしました!」
凛「ごっめ~ん、遅くなっちゃった!」
ランサー(アルトリアの浴衣姿…)
アーチャー(なんたる美しさ…)
セイバー「あ、あまりジロジロみないで欲しい////」
アーチャー「あ、あぁじゃぁそろそろ行くか!」
桜「あっれ~先輩達ちょっと顔赤いですよ?」
アーチャー「うるさい!違うわ//」
ランサー「べつに赤くなんかないです//」
凛「ったく…お前ら…」
ウェイバー「先輩…綿雨、振り回さないでください…」
アーチャー「どれ、アルトリア。金魚すくいで我と勝負せぬか?」
セイバー「いいでしょう。ですが、手加減はしませんよ?」
アーチャー「ふん、自信満満だな?まぁ、それも今のうちだがな」ハッハッハハ
ランサー「また始まった…」
アーチャー「くそぉぉ!何故だ!何故一匹もすくえん!」
セイバー「私の圧勝でしたね?ギルガメッシュ殿」
アーチャー「貴様!もう一度だ!もう一度!」
凛「はいはい…。次行きましょ、次~」
セイバー(果たしてこれは夢なのでしょうか?)
セイバー(たとえ夢だとしても…幸せです…)
凛「それじゃね~」
ランサー「では、また明日!」
アーチャー「なぁアルトリア。」
セイバー「どうした?ギルガメッシュ。帰らないのか?」
アーチャー「家まで送ってやろう」
セイバー「心配は無用だ」
アーチャー「もう夜遅い、さすがに我も心配だ」
セイバー「…わかった」
アーチャー「礼などいらん。らしくないぞ」
セイバー「私が…皆と離れたくなかったのを…察してくれたのだろ?」
アーチャー「」
アーチャー「お前が倒れたとき…我は…怖かったんだ…」
セイバー「え?」
アーチャー「何故だかはわからない…。でもお前が見えない何かと戦っている気がして…」
アーチャー「我たちのために傷ずいていたような…そんな感覚が…」
セイバー「私は…ここに…いてはいけない気がするんだ…」
セイバー「私はもっと遠くの世界にいたんだ…でも…何故かここへ戻ってきた…」
セイバー「それは!許されてはならないこと!」ウルウル
セイバー「私は一度!お前やディルムッドを殺したのだ!」ポロポロ
セイバー「私がここで生きる権利なんて!」
アーチャー「もういい!」ギュッ
セイバー「え?」
アーチャー「もういい…やめよう」
セイバー「ギルガメッシュ…」
アーチャー「でも、お前はここに居ていいんだ!」
セイバー「私は…」
アーチャー「言ったであろう!ここはお前と我たちの故郷だ!」
アーチャー「ここから逃れることなんて永久に不可能なのだ!」
セイバー「ギルガメッシュ…」
アーチャー「だから、我がバラバラになることなんて決してない」ギュッ
アーチャー「お前は戻ってきた…悪夢から故郷に…」
セイバー「ありがとう。ギルガメッシュ」ギュッ
セイバー(故郷とは恐ろしいもの…何かに憑かれた様に戻ってきてしまう)
セイバー(たとえ、そこが全て遠き理想郷だとしても…)
おわり
本当に終わりました
俺もできるなら遠き理想郷で一生を過ごしたいお
エミヤもいるのかな・・・
今度こそ、乙!!
Entry ⇒ 2012.06.18 | Category ⇒ FateSS | Comments (0) | Trackbacks (0)
冬馬「寿司食いに行かね?」P「いいな」
黒井「そうしたいが生憎今は金欠でな」
翔太「だから回るお寿司だよ!」
P「そうか……使えない人だな」
黒井社長「聞こえているぞ」
P「って冬馬が言ってましたよ」
冬馬「馬鹿なこと言ってんじゃねーよ……それより大食い対決しようぜ」
黒井「食い物で遊ぶのはやめておけ」
冬馬「遊ぶんじゃなくて勝負だぜ社長」
P「どうせなら貴音とラーメンで対決してくれ」
冬馬「わざわざ負けに行く馬鹿がいるかよ」
P「これで回らなかったら最高なんだが」チラッ
黒井「金が入ったら連れて行ってやるから今日は我慢しろ」
翔太「やった!約束だよクロちゃん!」
P「夢が膨らむな!」
冬馬「プロデューサーなら寿司なんて食い放題じゃねーの?」
北斗「あれだけのアイドルを管理してるんですから、それなりに貰ってるのでは?」
P「給料日過ぎると全員に奢らされるからな……」
黒井「その程度なら安いものだろう」
P「この前は亜美にゴチみたいなご飯食べたいって言われて……」
翔太「うっわ」
冬馬「きついな……全員連れて行ったのか?」
P「なぜか音無さんもいたな」
黒井「最後に問題発言をした気がするがスルーするぞ」
P「そ、そうですね……話し変えるが皆は何のネタが好きなんだ?」
北斗「俺はカニミソが好きなんですよね」
冬馬「やっぱサーモンだろ」
翔太「僕はいくらかなぁ」
黒井「私は茶碗蒸しだ」
P「それメインで食べるものじゃないでしょう」
黒井「何を食べるかなど自由だろう」
冬馬「まぁそんなわけだからよ、現地で合流な」
北斗「一旦765プロに戻るんですよね?」
P「そうだな。それじゃまた店で」
黒井「ウィ。迅速に行動しろよ」
P「戻りましたよーっと」
あずさ「お疲れ様です~プロデューサーさん~」
小鳥「お帰りなさい。なんだかご機嫌ですね?」
P「えぇ、ちょっと」
真美「兄ちゃーん!タックルー!」ダッ
P「甘いぞ!不意打ち以外で俺を倒せると思うな!」ギュッ
真美「むぐっ」
P「俺も日々進化してるからな」ギュー
真美「ぎゃー!痛い痛いギブギブ!兄ちゃんもうギブだってば!」
P「毎日忙しいプロデューサーに攻撃してきた罰だ」パッ
真美「ぐぇ……」ドテッ
P「え?ど、どこって仕事に……」
伊織「その割には楽しそうに戻ってくるわね」
P「し、仕事は楽しいからな!勤労最高!社畜万歳!」
小鳥「じゃぁたまには残って事務処理手伝ってくださいよ……」
P「おっともうこんな時間だ!それじゃアデュー!」
律子「ちょっと!……誘う暇すらなかったわね」
伊織「あの変態サボって遊んでるんじゃない?」
あずさ「それはないと思うけど……」
真美「りっちゃんまだー?」
亜美「亜美達も早く行こうよーうあうあー!」
律子「はいはい、それじゃ切り上げて行きますか」
貴音「小鳥嬢は?」
小鳥「私は事務処理残ってるから……しくしく」
黒井《合言葉を言え》
P「王者でなければ、生きている価値がない」
黒井《ウィ。へっぽこプロデューサーだな。どうしたのだ》
P「ちょっとお願いがありまして、どうせ寿司行くなら一人追加してもいいですか?」
黒井《ダメだ》
P「えっ」
P「あ、あの……」
黒井《今日は私達だけで食事だ。これはもう決定事項なのだ。ではな》プツッ
P「あっ黒井社長!」
P「切れちゃったよ……そんなに男だけのほうがいいのか……」
北斗「先に入っときますか?」
黒井「そうだな」
冬馬「寿司って何皿くらい食える?」
翔太「最低25皿くらいかなー」
冬馬「食いすぎだろ」
黒井「翔太は無駄によく食べるからな」
翔太「燃費悪いんだよね!へへっ」
冬馬「自分で言うことじゃねーな……」
北斗「俺は15皿くらいが平均かな」
冬馬「今日の目標は20超えだぜ!」
黒井「ここで騒いでも仕方ない。入るぞ」
翔太「ウィ」
黒井「真似をするな!」
黒井「回る寿司など久しく来てないからよくわからん」
冬馬「まず機械から整理券とらないとダメだぜ社長」
黒井「うむ……む?……おい北斗、お前がやれ」
北斗「はいはい。人数は6人でテーブル席ですね」
翔太「15分待ちだってさ」
黒井「それくらいならいいだろう。その間にプロデューサーも来るだろうしな」
冬馬「いっせーのーで!ってやろうぜ」
北斗「親指の本数当てるゲームか」
翔太「僕これ強いんだよ!」
黒井「くだらんが付きあってやる……行くぞ!いっせーのーで3!」
だった
北斗「お前ほんとに弱いな……」
冬馬「うるせーな!」
翔太「クロちゃんは全部1位抜けとかすごすぎでしょ」
黒井「私はセレブだからな」
冬馬「関係ないと思うぜ……」
北斗「じゃぁ罰ゲームだな」
冬馬「おい聞いてねーぞ」
翔太「今決めたんだもんっ」
黒井「他のお客様のご迷惑になるようなものは避けろよ」
モブA「やだ……あの集団イケメンすぎ?」
モブB「あれってジュピターじゃない?」
モブC「天下のジュピターが一皿100円の寿司なんか食わないだろ……」
モブB「それもそっか」
スシローかよ
冬馬「お、やっと俺達の番だな。はーい」
黒井「結局あの男は来なかったな……何をしているのだ」
翔太「道に迷ってたりしてねー」
北斗「あずさちゃんじゃあるまいし、それはないだろ」
黒井「何かあれば連絡がくるだろう」
冬馬「おい早く来いよ!店員さん困ってるだろうが!」
北斗「っとそうだな。行きましょう社長」
黒井「ウィ。案内するがいい」
翔太「一皿だけ食べてもいい?」
黒井「皆が揃うまで待つのだ翔太よ」
翔太「ちぇっ」
北斗「しかし遅いな……少し心配になってきますね」
黒井「うむ……む、本人からの電話だな。我が社の資本金は?」
P《9億6千100万》
黒井「ウィ。遅いではないか。こちらはもう席についているぞ」
P《あぁやっぱり。今着いたんですけど》
黒井「では……」
翔太「お腹減ったー!」
黒井「遅いぞ」
P「ちょっと道に迷っちゃいまして……」
冬馬「翔太当たってるじゃねーか」
北斗「今日は女の子連れて来れなくて残念でしたね」
P「全くだよ……まぁ次の機会だな」
冬馬「ほら、茶だ」
P「サンキュ」
翔太「ねぇもう食べてもいい?」
翔太「ペコペコだよっ!」
黒井「では始めるか。おい翔太、茶碗蒸しを頼むのだ」
翔太「ほんとに最初から食べるんだ…」
北斗「カニミソは……今日はないのか……」
冬馬「レギュラー商品じゃなくなっちまたんだよなあれ」
北斗「美味しいのにな……」
P「あれって偽者っぽい味するよな」
北斗「それがいいんですよ。仕方ない……冬馬、今流れてきたイカ頼むよ」
冬馬「おう」
翔太「僕何食べよっかなーいくら流れてこないかなー」
P「あ、冬馬鉄火巻き取ってくれ鉄火巻き」
翔太「ほらよ」
P「サンキュ」
翔太「へへっ似てたでしょ?」
冬馬「アホくさ……んじゃ頂きますっと」
黒井「冬馬よ。そこのセレブなオニオンサーモンを頼む」
冬馬「……俺まだ一口も食ってねーんだけど」
P「流れてくるほうに座ったのが運の尽きだったな」
冬馬「皆なかなか座らなかったのはこれが理由かよ……」
翔太「こんなの常識だよ冬馬君っ!」
北斗「冬馬、ウニ取ってくれ」
冬馬「ちっ……ほら」
北斗「悪いな☆」
冬馬「その笑顔がムカつくぜ」
P「基本寿司がメインだしなぁ」
翔太「でもパフェ美味しいよね」
黒井「ほう……後で頼んでみるか」
冬馬「おっさんがパフェ食べるのはきついもんがあるぜ」
P「絵的にはティンとこないな……」
北斗「まぁ俺達なんて誰も見てないし、いいんじゃないですか?」
P「それもそうだな」
北斗「ウニの味になるんだろ?」
翔太「ほんとに!?帰りにコンビニ寄ろうよ!」
P「いや、あれはダメだ」
黒井「試したのか?」
P「以前やよいがウニ食べてみたいって言うんで」
冬馬「なんでよりにもよって高槻なんだよ」
P「伊織のゴージャスセレブプリンに刺身醤油かけて目隠しして食わせたんだが」
北斗「それもう闇鍋じゃないですか……」
P「しょっぱいプリンじゃねーか!って心臓にきつい一発もらったよ。一瞬時間止まったと思った」
翔太「現実はプリンみたいに甘くないんだね」
P「その後伊織にバレて1日家畜にされたよ」
黒井「ほう……」
P「若い子が多いからな。茶いれてくれ」
北斗「俺も」
冬馬「くそっこれがなけりゃ楽しめるのによ……」
黒井「翔太、茶碗蒸しだ」
翔太「また食べるの?」
黒井「ウィ。王者の味だからな」
P「どんな味ですか……」
冬馬「おっ!サーモンきやがったな!」
冬馬「頂き、だぜ!」スカッ
冬馬「あ、あれ?消えた?」
貴音「あぁ申し訳ありません。この魚も気になってしまい……」
冬馬「あ、いいんすよ。また流れてくるん……で……」
貴音「……」
冬馬「……」
冬馬「……い、いや、何でもねぇ。ちょっと疲れてるみたいだ」
翔太「すごい汗かいてるよ冬馬君」
冬馬「茶が熱かったのかもな……はは」
北斗「冬馬、サーモン流れてるぞ」
冬馬「あ、あぁ」
黒井「翔太、もうひとつ追加だ」
翔太「卵って食べ過ぎたらコレステロールがアレなことになるらしいよ」
黒井「セレブな私には関係ないな」
亜美「どったのお姫ちん?」
真美「お化け見たみたいな顔してるYO!」
貴音「むしろ怪異の類のほうが良かったのかもしれません」
あずさ「お寿司屋さんにいるお化けなんて、お魚かしら?」
伊織「半漁人かもしれないわよ」
律子「何の話?」
貴音「後ろの席を」
亜美「後ろぉ?……あ、アホ毛が生えてる」
真美「我々はこのアホ毛を知っているッ!」
亜美「真美君!」
真美「GO!」
律子「ちょっ」
亜美「そぉい!」バブチィ!!
冬馬「ぎゃぁああああああ!!!」
冬馬「」
北斗「冬馬!……ダメだ、息をしてない」
冬馬「っっっ痛ぇええええええ!!」
翔太「あ、生き返ったね」
黒井「何が起こったのだ!」
P「お、お前……アンテナがなくなってるじゃないか!」
翔太「ほんとだ!冬馬君の本体が!」
冬馬「本体は俺だアホ!くそっこんなことするのはアイツらしかいねぇ……!」
黒井「あいつらだと?」
冬馬「横からくるぜ!気をつけろ!」
律子「すみません!うちの子がとんだ失礼を!」
P「あ」
律子「え?」
P「プロデューサー?そんな知的でティンときそうな人は知らないな」
P「僕の名前はぴゅう太。人違いですよ」
律子「あ、そうでしたか……これは失礼しました。知り合いによく似ていたので」
P「いえいえ。それじゃお食事楽しんでくださいね」
P「……ふぅ、間一髪だったな」
冬馬「いや、ダメだろ……いてぇ……」
北斗「プロデューサーさん、俺の後ろ見てください」
亜美「にやにや」
P「あ……」
黒井「また騒がしくなるのか……」
あずさ「こんばんは~プロデューサーさん~」
P「い、いや俺はパワプロって言いまして……」
真美「そんなんに引っかかるお馬鹿さんなんていないっしょー」
P「くっ」
律子「……」
亜美「隣失礼してよろしいかしらーん!」
P「わっ!おい、他のお客さんに迷惑だろ」
亜美「裏切り者の兄ちゃんにそんなこと言う権利あるのかな?」
P「う、裏切り者?俺は政治家くらい真っ白だぞ。今日だってたまたま黒井社長と……」
亜美「何も知らないとでも思ってるのかね?」
P「ぐぬぬ」
亜美(まぁ何も知らないんだけどNE!)
律子「あぁ黒井社長……あなた達も来てたんですね」
北斗「どうも、律子ちゃん☆」
律子「ちゃんはやめてください」
翔太「今日は人少ないんだね」
真美「竜宮小町と真美とお姫ちんだけなんだZE!」
伊織「男だけで回転寿司って寂しいことしてるわねー」
P「お前達も似たようなもんだろ」
黒井「静かにできんのかこいつらは……」
冬馬「さすがバカ食いの四条は回転寿司が似合うな」
貴音「……」チラッ
冬馬「なんだよ」
貴音「僅か10枚程度の男が何を言うのかと思えば……ふふ、ふふふ」
冬馬「へっ胃袋が火力発電所の妖怪はガリでも食って食費節約しとけよ」
貴音「ふふふ」
冬馬「ははは」
真美「何が可笑しい!!」
冬馬「決着つけるか」
貴音「いいでしょう」
真美「あれ?もしかして真美すべった?」
伊織「意味わかんないわよ」
冬馬「店員に声かけてくるぜ」
翔太「あれどうするの?」
P「もう放っておくしかないさ」
律子「というかこの通路に群がってる状況って不味くないかしら」
あずさ「私達は戻りましょうか」
伊織「あんたこっち来なさいよ。貴音のスペース空いたんだから」
P「今日は黒井社長達と来てるし遠慮しとくよ」
伊織「な、なによ!私より男がいいってわけ?」
P「物騒なこと言うな!あくまで先約を優先するだけだ!」
律子「やましいことは無いみたいですし、今回は見逃してあげましょう」
あずさ「伊織ちゃん、行きましょ~」
伊織「仕方ないわね……今度は私誘いなさいよ」
P「気が向いたらな」
伊織「向かなくても誘うのよ!」
冬馬「その間に食った皿の枚数で勝負だな」
冬馬「俺が勝ったらプロデューサーをもらうぜ」
貴音「面妖な……小鳥嬢の言うとおり、やはり男色家でしたか」
冬馬「ちげーよ!961プロでプロデューサーとして働いてもらう」
冬馬「961初のプロデューサー誕生だぜ!」
貴音「……いいでしょう」
冬馬「すんなり受けやがったな」
貴音「私が勝てばここの代金全員分を支払っていただきます」
冬馬「負けなんてありえねーしどうでもいいぜ。……じゃぁ始めるか」
冬馬「向こうのレーンに玉子が入ったら開始だ」
貴音「では……いざ!」
冬馬「尋常に!」
貴音「勝負!」
翔太「見て見てっ冬馬君のほうが食べてない?」
北斗「ほんとだ。貴音ちゃん調子悪いのかな」
P「あれは……いつもの貴音の戦い方だ」
P「ここ一番の勝負ではわざと先行させ勝負どころでぶち抜くんだ」
黒井「詳しいな」
P「まぁ……」
北斗「じゃぁ賭けますか?どっちが勝つか」
P「貴音に今月の給料全部」
北斗「結果は見えてそうだな……」
P「俺ちょっと見てきますね」
黒井「人様に迷惑はかけるなよ」
伊織「あら」
P「伊織もここにきたのか」
伊織「えぇ。食べ始めた時からここしかないと決めてたわ」
P「ま、素人はいかにもってところでギャラリーしたがるけどな」
伊織「そうそう。2人の後ろなんかじゃ勝負は見えないわ……」
伊織「2人が勝負を仕掛けるポイントを見るにはここしかない」
P「伊織もそう読んだか……流石と言っておくよ」
伊織「あんたもね……でも食べてるの見てるだけだと飽きてくるわねぇ」
P「盛り上がるわけでもないしなぁ、やっぱ戻るか」
伊織「そうね」
黒井「早かったな」
P「飽きちゃいまして……あっちすごいことになってましたよ」
北斗「ギャラリー沸いてますね」
黒井「食べ物で遊ぶとは愚かなやつらだ……翔太、茶碗蒸しだ」
翔太「またぁ?クロちゃんお寿司食べてないんじゃないの?」
黒井「しめにマグロを食べようかとは思っているぞ」
翔太「もうお寿司屋さんに来る意味ないよねそれ……」
真美「兄ちゃん兄ちゃん」
P「ん?また来たのか。なんだ?」
真美「帰りみんなでカラオケ行かない?」
P「カラオケ?俺はいいけど」
P「あれ?行かないんですか?」
黒井「帰ってからやることもあるのでな。セレブは多忙なのだ」
真美「ほくほくは?」
北斗「今日は喉使ったし俺もパスかな。ごめんね真美ちゃん」
翔太「じゃぁ僕もやめとこっかな」
真美「んじゃ兄ちゃんだけだNE!」
P「あぁ、そっち食べ終わったら声かけてくれ」
真美「了解!では報告に行ってきますであります!」
P「頼むぞ真美曹長」
真美「真美は少佐がいいであります!兄ちゃん殿!」
P「曲がTOP20入りしたら名乗ってもいいぞ」
真美「うあうあー!撤退だー!」
北斗「活発な子ですね」
P「毎日元気有り余ってるよ」
北斗「しかし冬馬もよく食べるな……」
P「あのペースで食い続けたら死ぬよな」
黒井「死にはしないが腹は壊すだろうな」
翔太「貴音さんは顔色変えずに食べてるね」
P「最初はそんな食うような子じゃないと思ってたんだけどなぁ……」
北斗「そうなんですか?ラーメン何杯も食べてたと思いますが」
P「いつの間にかよく食べるようになってたんだよな」
翔太「へぇー」
黒井「翔太」
翔太「はいはい……注文したよ」
律子「おかえり、どうだった?」
真美「兄ちゃんだけ来るって」
あずさ「あら?伊織ちゃんもう戻ってきたの?」
伊織「途中で飽きちゃった。貴音は余裕の顔して食べてたわよ」
亜美「そういえばお姫ちんは行くのかな」
律子「あれだけ食べた後はきついと思うわ」
伊織「まぁ出るときにメール入れときましょう」
亜美「そうだNE!」
伊織「小鳥は呼ばないの?まだ事務所にいるんじゃない?」
律子「さっき電話したら、今いいところなんで!って切られちゃったわ」
あずさ「どういう意味かしら?」
伊織「どうせろくでもないことよ」
北斗「俺ももうお腹一杯ですよ」
翔太「最後にいくらとウニとろっと」
黒井「翔太。マグロを注文してくれ」
翔太「やっと食べるんだね」
P「回転寿司で茶碗蒸ししか食べない人なんて初めて見ましたよ」
黒井「セレブだろう?」
P「まぁ普通ではないですね……」
北斗「冬馬達はどうなったかな」
P「無言で食べ続けてるな……あ、貴音がこっち見てる」
貴音「……」モグモグ
黒井「今私に向かってウィンクしたぞ」
翔太「いやどうみてもプロデューサーさんにでしょ」
P「待ってたら黒井社長が奢ってくれるぞきっと」
律子「敵の施しは受けませんよ」
P「それもそうか……金ここに置いときますね。次は回らない寿司お願いしますよ」
黒井「期待せずに待っておけ」
北斗「今度は俺達ともカラオケ行きましょうね」
P「あぁ」
翔太「事務所にカラオケ置こうよクロちゃん!」
黒井「そうだな……考えてみるか」
P「いいですね!それなら俺毎日……」
伊織「……」
律子「……」
P「毎日がエブリディ、だぜ!ということで行ってきますね!お疲れ様でした!」
黒井「あまり遅くまで遊ぶなよ。アデュー!」
翔太「またねー」
黒井「まったく女共は騒がしくていかんな」
翔太「あーあ、食べた後事務所で人生ゲームしたかったのに」
北斗「いつでも呼べばやってくれるさ」
黒井「私はモノポリーのほうが得意なんだがな」
翔太「クロちゃんとやるとすぐ破産に追い込まれるから嫌だよ」
北斗「社長はボードゲームも得意ですもんね」
黒井「一人チェスは楽しいぞ」
翔太「寂しいよそれ……」
黒井「さて、私達もそろそろ帰るか」
翔太「冬馬君どうするの?」
北斗「放っておくしかないな。どうせ止めても無駄だろう」
黒井「ウィ。おあいそボタンを押してくれ」
翔太「はーい」
貴音「……」モグモグ
冬馬「俺はここまでみてぇだな……」
冬馬「すまねぇ、プロデューサー」バタッ
店員A「倒れたわ!」
店員B「誰か救急車呼んで!」
店員C「もう呼んでる!大丈夫か君!うっわ超イケメンだ!」
店員A「写メとっとこ!」パシャパシャ
店員B「イケメンが倒れたなう。十円ハゲがなければ完璧だった……と」
貴音「天ヶ瀬冬馬……あなたもまさしく強敵(とも)でした」
貴音「さて、では私も帰ると……」
貴音「……」
貴音「天ヶ瀬冬馬がいない……!」
貴音「律子嬢達は!」チラッ
おっさん「美味い寿司だ……掛け値なしに」
貴音「あなた様!」チララッ
子供「お寿司だよーーーーー!!!」
貴音「面妖な……」ウルウル
貴音「……」ガサゴソ
貴音「四千円、ですか」
貴音「お願いします……!40枚未満であってください!」チラッ
90
貴音「あなた様……」ポロポロ
真美「えぇー!お腹一杯で動けないYO!」
亜美「兄ちゃんおんぶして!」
P「俺だって苦しいんだ。我慢してくれ」
あずさ「何歌おうかしら~」
伊織「あずさと行くと自信無くしちゃうのよね……」
P「凄まじく上手いもんな」
あずさ「そんなことないですよ~私なんてまだまだ……」
律子「あずささんでまだまだじゃ他の子はどうなるんですか……」
亜美「だれだれ?」
P「貴音からだ……写真だけ添付されて本文なしか」
伊織「ダイイングメッセージみたいね」
P「こ、これは……」
律子「どんな画像だったんですか?」
真美「表示された90の数字と4枚の千円札……!」
亜美「そしてお姫ちんの申し訳なさそうなピースサイン……!」
真美「これの意味するものはひとつ……!」
P「財布の限界を突破したのか……」
伊織「アイドルが何やってんのよ……」
律子「じゃぁ私達は先に行っときますね」
伊織「さっさと行って連れて来なさいよね」
P「はいはい……それじゃな」
亜美「りっちゃんおんぶー!」
律子「私と体重ほぼ一緒でしょうが……潰れちゃうわよ」
真美「じゃぁ真美はあずさお姉ちゃんに……あり?あずさお姉ちゃんは?」
伊織「え?」
律子「この短時間で迷子になったの!?」
伊織「まだ遠くに行ってないはずよ!手分けして探して見つけたらメール!」
亜美「お腹ん中がパンパンなのに困ったちゃんだYO!」
真美「見つけたらおっぱい枕の刑だNE!」
律子「バカ言ってないで探すわよ!」
店員A「あぁそこのカウンターのお客様ですね」
P「どうも……おい貴音!」
貴音「あなた様……」
P「待たせたな。迎えに来たぞ」
貴音「あ、あの」
P「とにかく出よう。伝票くれ」
貴音「それが……」
P「なんだ?何か問題でもあるのか?」
貴音「天ヶ瀬冬馬も会計をしていませんでしたので……」
P「……何皿食ったんだ」
貴音「47枚です……」
P「回転寿司でよかった……」
貴音「申し訳ありません……」
P「明日から暫くまた響の家で食わせてもらおう……」
貴音「あの、私が責任を持って……」
P「でも貴音の家はトップシークレットなんだろ?」
貴音「でしたら、あなた様のお部屋に」
P「貴音は目立つしな……できるだけ危険は避けたいんだ」
貴音「……そうですね」
貴音「お、お金は明日にでもお返ししますので」
P「いいよ。一度払った金を後で返してもらうのも恥ずかしいし」
P「俺だって大人なんだからな!」
貴音「響に頼っているようですが……」
P「それはそれだ。あいつの飯は美味いんだ」
貴音「豚肉やハム蔵殿の食事も作っていたと聞いています」
P「最近ドライフードに切り替えてブーイング食らったらしいけどな」
貴音「なんと」
貴音「今日は少々無理をしたので遠慮しておこうと思います」
P「まぁ合計100皿以上食ってるしな」
貴音「負けられない戦いでしたので」
P「一方の冬馬は病院送りか……体調管理もプロの仕事なのに何やってんだ」
貴音「天ヶ瀬冬馬も今日は粘りを見せていましたよ」
P「みたいだな。でも倒れるまで食い続けるとか尋常じゃないぞ」
貴音「彼にも思うところがあるようです」
P「明日もまだ入院してるようなら見舞いに行ってやるか……」
貴音「それでは私はこれで。ありがとうございました」
P「あ、駅までは送るよ。今日は俺もこのまま帰るからさ」
P「これくらいはいいだろ?」
貴音「……感謝の言葉もありません」
亜美「もう勝手に歩いたらダメだよあずさお姉ちゃん」
あずさ「ごめんなさいね~」
真美「あ、兄ちゃんからメールだ」
亜美「えぇーなんで亜美じゃないのさ!」
真美「姉よりすぐれた妹などいないのだよ亜美君」
律子「なんて書いてあるの?」
真美「えーっと……お姫ちん送るから今日はこのまま帰るって」
伊織「はぁ?そんなの認められるわけないじゃない!却下ってメール送りなさい」
真美「ほーい」
律子「じゃとりあえず私達は始めときましょうか」
亜美「送り狼になってたりしてNE!」
あずさ「あ、亜美ちゃん?どこでそんな言葉覚えたの?」
亜美「ぴよちゃんがくれた本に書いてたよ」
伊織「あんのから揚げ……中学生に何教えてんのよ!」
P「黒井社長にたかろうと思ってたら俺の財布が軽くなるとは」
P「まぁいいや寝よ……あ、メールきてたのか」
sub:(●`ε´●)
本文:勺〃乂T=〃∋兄(C)!来ゑッτ言ッT=ωT=〃ヵゝらちゃω`⊂来τ∋Йё!レヽぉレ)ωм○怒ッτT=∋!
P「やっべ……届いてから2時間以上経ってるぞ……謝っとかないと」
sub:( ̄◇ ̄;)
本文:悪レヽ今乂→儿見T=∋もぅ家レニ帰ッちゃッT=U、伊織K謝ッ`⊂レヽτ<れ
P「明日が怖いな……もう電源切っとこう」
P「おやすみー」
つか解読出来ん
悪い今メール見たよ もう家に帰っちゃったし、伊織に謝っといてくれ
伊織「裏切り者が出勤してきたわね」
P「な、なんだよ。メールで謝っただろ?」
亜美「送り狼はどうだった?兄ちゃん」
P「意味がわからん」
響 「自分も昨日暇だったのに……」
律子「元々竜宮小町の打ち上げに2人がついてきただけなのよ」
P「あ、響!悪いんだが今日お願いできるか?」
響 「え、もうお金なくなっちゃったの?」
P「すまん……予想外の出費があってさ」
貴音「申し訳ありません……」
P「あ、いいんだよ。俺の家にいきなりピザ10枚頼むやつよりはマシだよ」
真美「可愛げのあるイタズラじゃーん」
響 「し、仕方ないなぁ、プロデューサーがそんなに困ってるなら助けてやるぞ!」
P「恩に着るよ……お前がいなけりゃ毎日塩とご飯になるところだ」
P「ちょっとな」
響 「ペットの話だぞ」
伊織「ふーん。興味ないわね」
P「ペットて……まぁいいや、俺今日ちょっと病院行ってきますんで」
小鳥「え、仕事はどうするんです?」
P「律子なら……律子ならきっとなんとかしてくれる」
律子「え?」
P「見舞い終わったら戻るから、それまで頼んだ!それじゃ!」
律子「私も忙しいんですけど……」
美希「あふぅ」
響 「プロデューサーは自分がいないとダメだなぁ、ははっ!」
貴音「律子嬢今日の予定は」
律子「はぁ……」
小鳥「あ、あはは……ファイトですよ!ファイト!」
冬馬「まぁ昨日よりは楽かな」
黒井「病院に運ばれるまで食べるとは何を考えているんだお前は」
翔太「何皿食べたの?」
冬馬「40枚くらいまでは食ったと思うけど途中から記憶があやふやで……」
北斗「よく胃に入ったな……」
P「天ヶ瀬、天ヶ瀬……っとここか。あれ、北斗達も来てたのか」
北斗「あぁプロデューサーさん。昨日はどうも」
冬馬「あんたまで来てくれるとは驚きだぜ。気を使わせちまって悪いな」
P「こっちこそ貴音が迷惑かけたな」
翔太「貴音さんは平気なの?」
P「全く普通だったよ。腹も出てなかったし」
黒井「それに比べてお前は……」
冬馬「面目ねぇ……」
翔太「達成前にジュピターが解散しそうだね」
黒井「これからは無理をするなよ。体調管理は徹底するのだ」
冬馬「わかってるぜ。昼に診察してもらってOK出たら退院だからよ」
P「はぁ……たまにはのんびり飯食いながら話したかったんだけどな」
北斗「中々難しいですね」
黒井「今度は落ち着いた場所に行けば問題ないだろう」
翔太「回らないお寿司だね」
P「腹が鳴るな」
冬馬「じゃぁもう帰れよ。皆仕事あるんだろ?」
黒井「そうだな。ではまたなプロデューサー」
P「あ、冬馬。寿司代自分の分は払えよな。5千円いつもの口座に振り込んでくれ」
冬馬「げぇ……最後の最後でテンション下がるぜ」
ちなみにアホ毛は3日後しっかり復活しました
おわり
まずはこの画像を見て欲しい
この画像を見たとき、皆はきっと言葉では言い表せない
「ときめき」みたいなものを感じてくれたと思う。
リアルに叫んだ後、気づいたらメモ帳にカタカタ打ち込んでいた。
後悔はしていない。26話楽しみだなぁ。保守ありがとうございました。お疲れ様でした
た!か!ね!
乙
ここからアホ毛なくなるのかぁ(棒
乙
Entry ⇒ 2012.06.18 | Category ⇒ アイマスSS | Comments (0) | Trackbacks (0)
紬和「私たちはロミオにもジュリエットにもなれない」
和「いってらっしゃい」
唯ちゃんと憂ちゃんが付き合い始めてちょうど一週間。
この光景も慣れてきたかな。
お昼ごはんの時間になると唯ちゃんは憂ちゃんのところへ行く。
二人で一緒にお弁当を食べているみたい。
いつもはりっちゃんや澪ちゃんも一緒に四人で食べてるけど、今日は二人とも風邪で休みらしい。
なんでも二人して風邪をひいてしまったそうだ。
そうすると、ほんのちょっとだけ気まずい……いや、本音を言うとかなり気まずい。
和ちゃんとふたりきりでお弁当を食べるのは。
唯ちゃんは憂ちゃんに告白するにあたって参謀役に私を選んでくれた。
そのこと自体はとっても嬉しかった。
でもほんの少し困ってしまった。
だって知っていたから。
和「ムギ? ちょっと聞いてる?」
紬「え、ええと……なにかしら和ちゃん」
和「はぁ……最近ちょっと変よ、ムギ」
紬「そうかな?」
和「そうよ。話をしてても上の空。悩みなら、私でよければ相談に乗るわよ?」
紬「じゃあ、そうね……放課後ちょっと軽音部にきてくれない? 今日は部活休みにしてもらうから」
和「いいわ」
和ちゃんが唯ちゃんのことを好きだったって。知っていたから。
紬「和ちゃんいらっしゃい。今お茶をいれるから少し待っててね」
和「いいのに…」
紬「……」
和「……」
紬「はいどうぞ」
和「ケーキまで…」
紬「持って帰っても余らして駄目にしちゃうだけだから。おかわりもあるから」
和「それで話って?」
和「ひょっとして……ムギも唯のこと好きだった?」
紬「ううん。そうじゃないの」
和「じゃあ…」
紬「私が唯ちゃんの相談に乗ってたのは知ってる?」
和「ええ、唯から聞いたわ。ちょっとショックだったけど」
紬「えっ?」
和「あー、うん。相談なら私にしてくれればいいのに、って。
ちょっと自意識過剰かな…」
紬「あ、それは……」
和「何かあるの?」
唯ちゃんは多分気づいてた。和ちゃんが自分のことを好きだ、って。
だから和ちゃんじゃなくて私を相談役に選んでくれた。
でも、それを私の口から言ってもいいのかな。
紬「うん……じゃあ話すね。たぶん唯ちゃんは和ちゃんの気持ちに気づいてたんだと思う」
和「……そっか」
紬「だから和ちゃんには相談しなかった」
和「唯気づいてたんだ……私、必死に隠してたんだけどな」
紬「唯ちゃんは実は結構鋭いから」
和「ほんとね」
和ちゃんは表情には出さないけど、たぶん泣きたい気持ちを押し殺してる。
でも、今の私には何もできない……。
紬「実は私も知ってたの。和ちゃんが唯ちゃんのこと好きだって」
和「ムギまで? 私、そんなにわかりやすいかな?」
紬「ううん。私の場合は見てしまったの。誰もいない教室で和ちゃんが唯ちゃんの席に座ってるところ」
和「……」
紬「私は、和ちゃんの気持ちを知ってたのに唯ちゃんに協力したの」
和「……別にムギは悪くないわよ」
紬「うん。自分でも悪いことをしたとは思ってない。でも、それでも」
和「……」
紬「和ちゃんに対して申し訳ないと思ってしまうの」
紬「ごめんなさい」
和「だから気にしなくていいって」
紬「ごめんなさい」
和「ムギ……」
紬「ごめんなさい」グス
和「なんでムギが泣くのよ……こっちまで泣きたくなるじゃない」グス
紬「ごめんなさい」グス
和「もう……」グス
和「泣いたら疲れちゃった」
紬「……」
和「このケーキ、もらうわね」パクッ
紬「……」
和「あら、美味しい」
紬「ケーキおかわりいる?」
和「もらうわ」
紬「はい」
和「あら、こっちも美味しいわね」パクッ
紬「そう」ニコニコ
和「もう、太ったらムギのせいなんだから」
和「なに?」
紬「唯ちゃんが心配してたよ。和ちゃんが最近遊びにきてくれないって」
和「付き合い始めたばかりだから、二人の邪魔をしたくなかっただけよ」
紬「唯ちゃんね、憂ちゃんと付き合うことが決まって、一番最初に和ちゃんにメールしたんだって」
和「……」
紬「だから、ね」
和「実は今日、唯に誘われてるの。泊まりにこないかって」
紬「それじゃ!」
和「でも、ちょっと気まずいじゃない」
紬「……そんな」
和「だからムギも一緒にきてくれる?」
その日は和ちゃんと一緒に唯ちゃんの家に泊まった。
和ちゃんは終始元気そうにしていたし、私がついていく必要はなかったみたいだ。
夜は四人、布団で寝た。唯ちゃんと憂ちゃんが和ちゃんに抱きついてた。
一人は寂しいので、私は和ちゃんの足に抱きついた。
和ちゃんの足は思ってた以上に細かった。ちょっと羨ましい。
和「でね、ムギに脚本を頼みたいの」
紬「いいわよ。演目は?」
和「ロミオとジュリエット」
紬「ふぅん。でもなんで」
和「ロミオからのリクエストよ」
紬「ロミオ?」
和「澪のこと。実は頼まれちゃったんだ」
紬「何を?」
和「恋のお手伝い」
和ちゃんが何を言ってるのかは、すぐ分かった。
文化祭で劇をやることは決まっている。しかし演目も役者も決まっていない。
和ちゃんは出来レースをやろうと言ってるのだ。
演目をロミオとジュリエットにして、ロミオ役を澪ちゃんがやる。
ということは、ジュリエット役はもちろん……。
何気に6票くらい入ってたよな
和「うん。澪からのリクエストだから、できれば応えたいのだけれども……でも」
紬「和ちゃんも読んだことあるのね?」
和「ええ、昨日読んだわ」
紬「原作?」
和「ええ」
紬「じゃあ和ちゃんも思ったんじゃない? あれを劇としてやるのは難しいって」
和「……そうね。ロミオもジュリエットも身勝手すぎるもの」
紬「ロミオは惚れっぽい性格で、以前の失恋の傷も癒えないうちにジュリエットに恋をしちゃうの。
しかも、周りの人間のことなんて全く考えないような身勝手さ」
和「しかも短気ね」
紬「簡単に相手を殺しちゃうのよね」
和「そしてジュリエットも……自分のために色々動いてくれた乳母に辛くあたるし、
仲の良かった従兄弟のティボルトがロミオに殺されても、ロミオのことばかり考えてる」
和「ええ、身勝手な二人なのに、その二人の恋愛には凄い熱が宿ってのよね。
知らないうちに応援してしちゃった」
紬「流石はシェークスピアね。詩情を最大限に盛り込んだ台詞の数々。悲劇的なラスト。
それは翻訳されていてもなお私たちの心に訴えかけるわ。でも……」
和「私達じゃ難しいか」
紬「そうね。ちょっと練習しただけの素人がやっても感動には繋がらないかな。
学芸会向けに二人の身勝手さを削った上で簡略化した脚本をベースにすれば、ある程度の質は保証されるけど……」
和「それじゃあちょっと味気ないんじゃないかしら。澪の頼みだからできれば盛り上げてあげたいのだけど」
紬「うん。そこで私が出てくるのね」
和「ええ。ムギって昔演劇部の脚本を手伝ってたそうじゃない」
紬「ええ」
和「お願いっ! 手伝ってちょうだい」
紬「…………任せておいて。他ならぬ和ちゃんの頼みだもの。全力で協力しちゃう!」
紬「これでどうかしら」
和「ちょっと読ませてもらうわ……」
―――
―――
―――
和「凄いわね」
紬「そう?」
和「うん。これは泣けるわ
なるほど、ロミオとジュリエットを幼馴染みにしたんだ」
紬「うん。澪ちゃん達の境遇とも重なるし、
そっちのほうがふたりとも役に入りやすいだろうから」
和「原作通りふたりとも身勝手なまま。
ロミオとジュリエットの悲劇はティボルトとマキューシオが担うのね」
紬「ええ、ティボルトには女の子になってもらったの。ふたりには悲劇の恋人を演じてもらう」
和「そしてロミオとジュリエットが幸せなキスをして終わるのね
身勝手な二人だけど、ティボルトやマキューシオの悲劇のおかげで『本当に良かった』って思える話になってる」
紬「そう? ありがとう」
和「お礼を言うのは私のほうね。
でもこんなに書けるんだから、ムギ、作詞もできるんじゃない?」
紬「うーん。できないことはないけど澪ちゃんみたいな詩は書けないかな」
和「そうなんだ。とにかくありがとう。
ところで、マキューシオとティボルトの役なんだけど、ちょっと台詞が多いけど、みんな覚えられるかしら?」
紬「立候補者がいなかったら私、やってもいいよ」
和「そう? それは助かるわ。ねぇ、ムギ」
紬「…?」
和「私、ムギのこと好きよ」
紬「ありがとう。私も和ちゃんのこと好きよ」
文化祭の出し物を決めるホームルームは、和ちゃんの計画通りに進んだ。
ロミオとジュリエットに反対する意見はほとんど出なかった。
澪ちゃんがロミオに立候補すると、既に教室にはジュリエット役はりっちゃんしかいない、という空気が流れてた。
かくして、りっちゃんが眠っている間に全ては決まってしまった。
少しだけ予定外だったのは、私がティボルト役、和ちゃんがマキューシオ役になったこと。
……たぶん、それだけ。
◇◇◇
今回の文化祭、本当にムギには助けられた。
ムギは本当によく気がきく子だ。よく見ていると本当にそう思う。
演技指導中にみんなが疲れてくると、少しだけ巫山戯て笑いをとる。
流石に律と澪の演技指導には苦労してたみたいだけど、最終的にはきっちり仕上げてきた。
そして当日……
和「貴女のような女のために死ぬなど巫山戯た話。とてもじゃないが御免被る」
紬「あらそれはどうもお生憎様。私とて貴殿のような唐変木のためには死ねません」
和「私は貴女のために死ぬのではない。ロミオの、我が親友のために果てるのだ」
紬「私とてそう、マキューシオ。そなたのために死ぬのではない。
我が親愛なる従姉妹殿、ジュリエットのためにこの生命を散らすのよ」
和「ああ、それにしても」
紬「いいえ、それ以上はいけません」
―――
―――
―――
和「いい演技だったわね」
紬「ええ」
和「すごい歓声。この歓声の3割ぐらいは私たちのおかげじゃない?」
紬「八割ぐらい、かな」
和「八割はちょっといいすぎじゃない?」
紬「いいの、今日だけは」
和「え?」
紬「じゃあ私もうけいおん部に行って明日のための練習しなきゃ」
そう言うとムギは逃げるように走って行ってしまった…。
走り去る寸前、ムギは泣いているように見えた。
どうしてだかは分からない。
演技をして感動したか。それとも、別の何かが作用したか。
私には、何も……。
ムギ……あなたは……。
あれからずっとムギに注目していたけど、ずっと元気そうにしていた。
あの涙は役に入りきってしまったから流れたものなんだろう。
私も少し泣いてしまったもの。
あ、それと、澪から律と付き合えたと報告された。
劇中のキスがきっかけだとか。
協力した私としても嬉しい。
後片付けの仕事が終わった後、教室に戻った。
そこにはムギがいた。
ムギは律の席に座っていた。
紬「…? 和ちゃん?」
和「ムギ、泣いてるの?」
紬「ごめんね」
和「なんでムギが謝るのよ?」
紬「……」
和「……そっか……悪いことしちゃったね」
紬「いいの。好きでやったことだから」
和「だけど」
紬「和ちゃんだって唯ちゃんに相談されたら協力したでしょ?」
和「……うん。そうかも」
他の人の恋に振り回されて、自分たちは不幸になって」
紬「ティボルトもマキューシオも自業自得よ」
和「私たちのティボルトとマキューシオのことよ」
紬「……」
和「ねぇ、ムギ」
そう言って私はムギを抱きしめた。
ムギは思ったより小さかった。
いつもはちょっと大人びていてみんなを気遣う彼女。今は私の胸の中では静かに泣き続けていた。
この子も、そして私も、好きな人に告白さえできない。
ほんの少しの身勝手さ……むしろ勇気と言うべきそれさえ持てない。
でも……。
和「ムギ、今は泣いていいから。誰も見てないから」
紬「……」
ムギは静かに泣き続けた。
和「もういいの?」
紬「うん。恥ずかしいところ見せちゃったね」
和「お互い様よ」
紬「うん」
和「お菓子食べる? 打ち上げで残ったやつがあるんだけど」
紬「でも太っちゃう」
和「ムギってちょっと変わってるね」
紬「和ちゃんみたいな細い子にダイエットの苦労はわからないわ」
和「そうね……。ねぇ、ムギ」
紬「なぁに?」
和「私、ムギのこと好きよ」
和「勘違いじゃないわ」
紬「え?」
和「私、ムギのことが好き」
紬「でも和ちゃんは唯ちゃんのことが好きなんじゃ…」
和「唯のことも好きよ。でもムギのことも好きになっちゃったんだから仕方ないじゃない」
紬「……」
和「ムギはどうなの?」
紬「私はりっちゃんが好き」
和「私のことは?」
紬「友達としては好き」
私はムギの唇を奪った。
紬「へっ?」
和「前払い。絶対私のこと好きにしてみせるから」
紬「……和ちゃん?」
ムギの顔が少しずつ赤くなっていく。
…もう真っ赤になった。ゆでダコみたい。
和「……」プッ
紬「和ちゃん酷い」
和「あ、怒った。ムギが怒るところを見るのはじめてかしら」
紬「むーっ」
あ、今度は口が尖った。
和「今日は楽しかった?」
紬「うん。すっごく楽しかった!!」
和「そう。それは良かった。ねぇムギ、まだ律のこと好き?」
紬「うん……好き」
和「そう……」
紬「でも和ちゃんのことも好き!」
和「ほんと? じゃあ律と私どっちが好き」
紬「それは秘密」
和「ムギは時々いじわるなのね」
紬「うふふ……」
そんなこんなで私達は順調に関係を深めている。
ロミオとジュリエットのような劇的な恋ではないけど。
でも、いいよね。こういう恋も。
私はムギに手を差し出す。ムギは嬉しそうに私の手を握り返した。
おしまいっ!
乙でした
Entry ⇒ 2012.06.18 | Category ⇒ けいおん!SS | Comments (1) | Trackbacks (0)
P「今日真美と亜美の誕生日なんだよ」冬馬「へぇ」
P「だからさ、プレゼント選び手伝ってくれないか?」
冬馬「はぁ?なんで俺が悪ガキのために、そんなことしなきゃなんねーんだよ」
冬馬「朝早く呼び出したと思ったらこんなくだらねーこと……」
P「冬馬」
冬馬「う、し、仕方ねぇな……765プロにはそこそこ世話になってるし」
冬馬「たまには付き合ってやるよ」
P「よし!揃ったな!」
冬馬「揃った?まさか」
黒井「さっさと出かける準備をしないか冬馬よ」
翔太「冬馬君おそーい!」
冬馬「俺いらねーじゃん……」
P「多いほうが楽しいだろ、さぁ行こう」
P「あいつは現地集合だよ。先に下調べしておくらしい」
黒井「現金を直接渡すのはだめなのか」
P「中学生にそんな夢も希望もないプレゼント嫌ですよ……」
翔太「とりあえず行こうよっ北斗君待ちくたびれてるよきっと」
P「そうだな」
冬馬「しかし双海にプレゼントなぁ……翔太は歳近いだろ、なんかねーのかよ」
翔太「僕だったら食べ物がいいな!」
P「食べ物か……無難だな」
黒井「詳しいではないか」
冬馬「まぁな」
冬馬(ギャルゲの場合だけどな)
P「形に残るものと言えばやっぱアクセサリーとかか?」
冬馬「そうだな……」
北斗「装飾品はどうなんでしょうね」
黒井「おぉ北斗、待たせたな」
北斗「いえいえ。それよりアクセサリーはハードル高いですよ」
P「そうなのか?」
黒井「なければ……どうなるのだ」
北斗「質屋行きですね」
冬馬「怖ぇよ!」
P「さすがに真美達はそんなことしないだろ……」
北斗「まぁ極論ですけどね」
翔太「じゃあ何ならいいの?」
北斗「そうだな、プロデューサーさんは彼女達の好きなものとかわかります?」
冬馬「人の困った顔だろ」
黒井「違いない」
P「やめてくださいよ……」
黒井「全く使えんプロデューサーだ!」
冬馬「もう食パンとかでいいんじゃねーの」
P「うーん……あ、趣味なら知ってるぞ」
北斗「いいですね、なんです?」
P「メールとモノマネだよ」
黒井「プレゼントとしては難しいな」
北斗「そうですね……」
翔太「なんで?いけるんじゃない?」
P「メールをプレゼントするのか?直接言うものだろ普通は」
翔太「モノマネすればいいじゃん」
P「誰がなんの?」
翔太「プロデューサーさんとクロちゃんが真美ちゃん達のマネするんだよ!」
黒井「無理だ」
冬馬「気持ちわる……下手したら捕まっちまうよ」
P「いや、無理だろこれ……俺モノマネなんてしたことないんだぞ」
黒井「くだらん!さっさと他の案を考えるのだ!」
翔太「」チラッ
北斗「」チラッ
翔太「あれれークロちゃん怖いの?」
北斗「やめとけよ翔太、社長は演技力に自信がないらしい」
翔太「あははっそんなんでよく961プロやっていけてるね!」
黒井「……」プルプル
P「お、おい何を……」
黒井「いいだろう」
P「は?」
黒井「この宇宙一のスーパーセレブ黒井祟男を舐めるな!物真似のひとつやふたつ!軽くこなしてくれる!」
P「黒井社長が亜美の真似するなんて犯罪行為ですよ!」
黒井「あの馬鹿共に舐められたままでいいのか貴様は!」
P「生き恥を晒すくらいなら舐められたままでいいです!」
翔太「あ、クロちゃんもういいよ」
北斗「頼りなさそうだしな……普通に贈り物をしよう」
黒井「ふざけるな!今回のプレゼントは私達の渾身のパフォーマンスだ!」
P「わかってるなら止めてくれよ……」
冬馬「こうなった社長はもうダメだよ。諦めようぜ」
P「気軽に言ってくれるな……」
黒井「さぁプロデューサーとジュピターよ!早速練習だ!時間は限られているのだからな!」
北斗「は?」
翔太「え?」
冬馬「あ?」
翔太「そうだよ!僕たちは監督するからさ!」
黒井「何を言っている。丁度5人なのだ、この手を逃すはずなかろう」
翔太「5人?それがどうしたの?」
P「……ま、まさか!」
黒井「ウィ。察しがいいな」
冬馬「戦隊モンでもすんの?」
黒井「961プロと765プロの合同ライブを開催するぞ!」
黒井「ジュピター他二人によるクインテットライブだ!ハーッハッハッハ!」
北斗「ク、クインテットライブ?普通にモノマネじゃないんですか?」
黒井「愚か者が!やるなら徹底的にやるのが961プロだろう!」
黒井「お題は七彩ボタンだ!」
P「め、滅茶苦茶だ!」
黒井「嫌なら961プロを去るがいい。お前達の代わりなどいくらでもいるのだ」
冬馬「ぐぬぬ」
北斗「こんなはずじゃなかったのに……」
P「お前と翔太がいらんこと言うから……」
北斗「しかしこれは予想外すぎますよ……」
黒井「プロデューサーよ!」
P「は、はい!」
黒井「衣装と音源の調達はこちらがする」
冬馬「衣装!?あのピンクのタイツ履くのかよ!?」
黒井「貴様は765プロ全社員を指定した時間に召集しろ」
黒井「今から振り付けと歌詞を覚えるのだ。少し時間を食ってしまうだろうからな」
P「本気なんですか……?」
黒井「当たり前だ!ユニット名はP.Kジュピターだ!」
冬馬「かっけぇ!」
黒井「では貴様は欠席だ。準備が整い次第765プロを強襲する」
P「真美達俺のプレゼント楽しみにしてたのに……」
黒井「貴様が961プロを頼るからこうなったのだ!いい加減覚悟を決めろ!」
P「ギギギ……」
北斗「これって真ちゃんや、あずさちゃんもいるんだよな?」
冬馬「そりゃそうだろ」
北斗「……」
翔太「珍しく北斗君が頭抱えてる……」
黒井「さぁスタジオに行くぞ。技量以外の準備は全て我が社に任せるがいい」
P「じゃあ電話してきます……」
P「あ、あのな真美、プレゼントなんだが」
真美《んもう!プレゼントなんかより兄ちゃんが来てくんないと盛り上がらないYO!》
P「ちょっと特別なプレゼントを用意するのに手間取ってな。戻るの時間ギリギリになると思う」
真美《特別?なにそれ?》
P「ここで言うのはちょっと……」
真美《ちょっと?》
P「は、恥ずかしいというか」
真美《!!!》
P「あ、やっぱり今すぐ来て欲しいなら喜んで行くけど……」
真美《も、もぉー!兄ちゃんったら困ったちゃんなんだからっ!》
真美《できるだけ早くしてよね!》
P「え、あ、そうか?悪いな……」
亜美《兄ちゃーん!寂しいYO!早く来てよーうあうあー!》
P「ご、ごめんな。ちょっとプレゼントの準備に時間かかりそうでさ」
亜美《プレゼントぉ……?ほっほう。この亜美の想像を超えるようなプレゼントかね?》
P「超えるのは間違いないと思うが……」
亜美《んっふっふーじゃあ期待しておこうかなっもし期待外れだったら大変だよ?兄ちゃん♪》
P「期待通りに行くかは微妙だけど精一杯努力するよ……」
亜美《よろしい!んじゃ待ってるかんね!ばいばーい》ピッ
P「どうせもう引き返せないんだ、本気でやるか!」
黒井「連絡は取れたか?」
P「えぇ、これで後は」
黒井「私達のレッスンだけだな」
北斗「ちょっと腹痛が酷いんで早退してもいいですか」
黒井「認めん」
真美「……」
亜美「ねぇ真美?」
真美「……」
亜美「真美?真美ってば!」
真美「わっ!な、なな何?」
亜美「さっきから変だけどどったの?風邪?」
真美「ううん、なんでもない……」
亜美「うん」
真美「亜美にどんなプレゼントするって言ってた?特別とか言ってた?」
亜美「うーんとね、亜美の想像を超えるようなプレゼントらしいよ!」
真美「恥ずかしいとかは?」
亜美「言ってないと思うけど」
真美「そ、そっか……」
亜美「?へんな真美。亜美はるるんで遊んでくるね!」
真美「兄ちゃん……えへへ」
亜美「なんか亜美達にとっておきのプレゼント用意するから待っててくれだって」
響 「とっておき?なんだろな?」
あずさ「うふふ、指輪とかだったりして~」
亜美「えぇー?亜美困っちゃーう!」
春香「笑顔で言われても説得力ないよ……」
亜美「んま、そんなわけで兄ちゃん遅れるってさ」
響 「せっかく二人の誕生日なのに、ダメダメだぞプロデューサー」
春香「まぁまぁ、先に私達だけで楽しんじゃお!もうすぐお料理の準備できるからね!」
亜美「よろしく頼むよ君達ぃ」
響 「いい気なもんだなー」
亜美「だって主役だもーん」
北斗「仕方ない……やるからには徹底的に、だな」
P「北斗も覚悟決めたか」
北斗「下手なダンスを見せて幻滅させるのは最悪ですからね」
翔太「たまにはこんな悪ノリもいいかもねっ」
冬馬「振り付けとかはプロデューサーわかんの?」
P「だいたいはな。あとはデモテープ見ながら調整だ」
黒井「時間が惜しい。急ぐぞ」
北斗「了解です」
P「真美、亜美……忘れられない誕生日にしてやるからな!」
翔太「クロちゃんのジャージ姿とか初めて見るよ……」
冬馬「誰得だよこれ」
P「真美亜美得にするんだ!やるぞ!」
北斗「じゃあまず最初の動きから」
P「俺がセンターか……伊織、参考にさせてもらうぞ」
北斗「俺はあずさちゃんのポジションで」
黒井「双海亜美役は私に任せてもらおう」
翔太「僕と冬馬君は?」
黒井「両サイドだ」
冬馬「了解だ、さっさと始めようぜ」
黒井「なないーろボタン!」
冬馬「ストップだ!」
黒井「ど、どうしたのだ冬馬よ」
翔太「クロちゃん最初は右手だよ」
黒井「そ、そうだったか」
北斗「あと、手を寄せる時に膝が入ってませんでしたよ」
黒井「難しいな……」
P「多少の粗は仕方ないですけど、イントロとサビの部分はきっちり決めますんで」
黒井「どんなー!デキゴトも!超えてゆける強さ!」
P「一時停止だ!」
黒井「こ、こんどは何だ!?」
冬馬「北斗てめぇ動きすぎだろ」
北斗「そのへんは自由だろ?俺達はあくまでジュピターなんだ」
翔太「でもバク転はないでしょー……」
P「適度にアレンジしてもいいが基本は竜宮小町ベースだ!統率を乱すなよ!」
北斗「しょうがないな……」
P「じゃあ次はサビ前から!いっつーの間にか!」
黒井「少女じゃなーい!」
冬馬「そりゃそうだろ……」
P「無駄口を叩く暇があるなら脚を上げろ!ここのステップは重要なんだぞ!」
高木「うぉっほん!知っての通り今日5月22日は双海真美君と亜美君の誕生日だ!」
高木「思えば小学生のころから 小鳥「それじゃ皆準備いいかしらー!」
真「グラス準備して!」
高木「え……」
律子「それじゃ二人とも、誕生日おめでとう!」
春香「おめでとう!かんぱーい!」
雪歩「おめでとう二人ともっ」
やよい「おめでとうございますー!」
亜美「みんなありがとうYO!」
響 「今日は自分達が料理作ったんだぞ!」
あずさ「たくさん作ったから、いっぱい食べてね~」
千早「おめでとう二人とも」
真美「んっふっふーありがたき幸せ!」
貴音「まこと良き日ですね」
亜美「いやっほーぅ!」
真美「おぉ!?」
春香「プレゼント渡しちゃいまーす!」
亜美「きたきたー!」
春香「私はこれ!お揃いのリボンだよ!」
真美「ダブルリボン?」
春香「これで一緒にトップアイドル目指そうね!」
亜美「はるるんなりきりセットだね!」
春香「さっそくつけてみて!」
真美「合点!……こんにちは!皆のアイドル天美春香です!」
亜美「プロデューサーさん!遅刻ですよ、遅刻!」
小鳥「相変わらず上手ねぇ」
真美「ブタ太!」
亜美「亜美のはヘビ香!これ、ぬいぐるみ?」
響 「自分編み物得意だからな!挑戦してみたんだ!」
亜美「お姫ちーん!みてみてー!」
貴音「ひぃ!あ、亜美……やめてくださいぃ……」
亜美「ほれほれー!」
響 「こら!イタズラするためにプレゼントしたんじゃないんだぞ!」
亜美「ごみんごみん」
亜美「ひびきんありがとー!」
響 「大事にしてよね!」
伊織「そこそこ頑張ったんだから。感謝しなさいよね」
亜美「いおりんがデレた!」
真美「可愛い!」
伊織「こんな時まで馬鹿にすんじゃないわよ!」
真美「やよいっちもありがとね!後で皆で食べよ!」
亜美「おっきく切って亜美たちと食べようYO!」
やよい「うん!」
千早「ケーキ作らなかったのは、このためだったのね」
春香「事前に教えてもらってたからね」
真 「プロデューサーはどんなプレゼント用意してるんだろ」
亜美「楽しみだなー」
あずさ「じゃあ次は私の番ね~」
真美「どんとこい!」
黒井「ど、どうだ……!?」
北斗「ふぅ……これなら」
P「……いいでしょう」
冬馬「やっとOK出たぜ!」
翔太「疲れたーーーーもう立てないよ!」
黒井「七彩ボタンEXの完成だ!」
P「それじゃ765プロに急ぐぞ!もうギリギリだ!」
北斗「行きましょう!」
翔太「ひぃー!」
響 「あとはもうケーキだけで一杯一杯さー」
春香「それにしても遅いね、プロデューサーさん」
伊織「あの馬鹿どこほっつき歩いてるのかしら」
律子「電話しても出ないのよね」
雪歩「も、もしかして事故に……」
千早「それならすぐ事務所に連絡がくるわ」
真「これだけ時間をかけるプレゼントってなんだろ……」
小鳥「気になるわねぇ」
真美「……」ソワソワ
亜美「早く来ないとお開きっちゃうのに何やってるのかなー」
真美「兄ちゃん……」
P「皆リラックスしてる。突入するなら今だ」
黒井「お前達衣装に不備はないな」
翔太「ばっちり!」
北斗「歌詞も振り付けも完璧ですよ」
P「皆、今日はP.Kジュピターのデビューライブだ!」
P「961と765の集大成、ここで見せるぞ!」
黒井「この私が協力したのだ。無様な結果は許さんからな!」
P「行くぞ!5!」
翔太「よん!」
北斗「3☆」
冬馬「2!」
黒井「壱!」
「「「「「楽勝、だぜ!」」」」」
春香「えっ?」
響 「うぎゃー!どうしたんだ!?」
律子「停電かしら」
小鳥「みんなじっとしててねー」
パッ
真 「あれ、もう戻ったの?」
雪歩「なんだったんだろ……え?」
P「真美、亜美!誕生日おめでとう!」
冬馬「今日は特別だ!俺達も祝いにきてやったぜ!」
千早「な、なにあれ……」
律子「プロデューサー!?何ですかその格好!?」
響 「竜宮小町だ……!ショッキングピンクの男集団だぞ!」
亜美「え?え?なにこれ?」
P「待たせてごめんな二人とも、おかげで最高の状態にできた」
高木「く、黒井……」
黒井「私達に言葉は不要!」
北斗「お誕生日を迎える二人にこの曲とダンスを贈ります」
翔太「聞いてください!僕達P.Kジュピターのデビュー曲!}
P「七彩ボタンEX!」
冬馬「いくぜ!」
貴音「面妖な……」ブルブル
雪歩「」
真 「」
あずさ「」
スベテヲコイデーソメタヨー
やよい「怖いですー……」
美希「タイツ姿のハニーもイケてるってカンジ」
律子「つ、通報しますか?」
高木「それは困るよ律子君……」
ドンナデキゴトモ コエテユケル ツヨサ
P「君がボクに!く・れ・たー!」
小鳥「……」
千早「見た目は犯罪者でも、あの人たちの歌には魂を感じるわ」
キミノ ヨコガオヲネ ミテイルノヨーマダイマデモー
北斗「ほらね☆」
キヅイタラー
翔太「同じ☆」
テノターカーサー
伊織「」バタッ
春香「プロデューサーさん……」
黒井「いっつーの間にーか!少女じゃなーい!」
P「お驚く!でしょー!」
北斗「全てを虹に変えたよ☆」
翔太「どんなヨロコビもっキミと分かち合えるっ!」
冬馬「初めまして!ボクに!」
P「出会ってくれて!ありがとう!」
~~♪~~♪~~
冬馬「みんなー!ありがとーう!」
P「今日と言う日を忘れないでくれ!」
パフォーマンス終了後、事務所内には静まり返った765陣営と達成感に震えるP.Kジュピターがいた。
恐らく感動の余り身動きがとれないのだろう。俺達は空気を読みその場を後にした。
北斗「あぁ、辛く苦しい戦いだったけど楽しかったよ」
黒井「ウィ。この経験は必ずやジュピターの力となるだろう」
P「本当にありがとう。感謝してもしきれないよ」
翔太「みんなびっくりしてたもんね!」
冬馬「口あけてポカンとしてたぜ!」
北斗「真美ちゃんも顔真っ赤にして目を潤ませていたしな」
P「あぁ、文句なしのパーフェクトコミュニケーションだ!」
黒井「よし、では私達は撤収する。貴様は事務所に戻るがいい」
P「え?」
冬馬「俺達は敵役だ、こんな場所には相応しくねーよ」
北斗「あとはプロデューサーさんだけで楽しんできてください」
翔太「今度皆の感想教えてね!」
P「皆……あぁ!行ってくる!」
いつもイタズラをして手を焼かせる困った子だが、そんなお前達も俺の大切なアイドルなんだ。
我ながら素敵な誕生日にすることができたと思う。これからも一緒に頑張ろうな。
P「ただいま!改めて誕生日おめでとう、真美!亜美!」
真美「ぐす……えぐ……」
亜美「……」ナデナデ
あずさ「ほら真美ちゃん!ケーキ食べましょう?」
千早「伊織と真は?」
春香「まだ気絶してるよ……」
P「な、なんだこれは」
小鳥「あ、プロデューサーさん……」
P「音無さん!何があったんですか!?」
それは765事務所のみんなのセリフだ
やよい「プロデューサー……」
P「やよい!」
雪歩「うぅ……」
P「雪歩まで……くそっどうしたんだ」
真美「ひっく……うぇぇ……」ポロポロ
亜美「真美……」
高木「君、ちょっといいかね」
P「社長……わかりました」
律子「私も行ってくるわ」
春香「はい……」
P「社長、俺がいない間に何があったんですか」
高木「その前に聞きたいんだが、さっき事務所で歌ったのは君で間違いないんだな?」
P「はい。俺達が撤収するまでは何もなかったのに、あの短時間で……」
律子「いや、それが原因ですから」
P「え?」
高木「サプライズが過ぎるよ君ぃ……」
律子「もしプロデューサーの誕生日に社長と黒井社長がキラメキラリ歌いだしたらどう思います?」
P「そんなもん、ぶん殴って中止させるよ」
高木「それと同じことをしたんだよ君は」
P「……え?」
真美「……」
亜美「確かに想像は超えてたね……」
真美「……っ」ジワ
亜美「真美?」
真美「うぅー……」ポロポロ
小鳥「ちょっ真美ちゃん!?」
真美「兄ちゃん……酷いよ……」
真美「特別なのくれるって……いっだのに゛ぃー!」ポロポロ
律子「特別なプレゼントをするから待っててくれなんて言ったんですよね」
高木「君達が帰った後、真美君は座り込んで泣き出してしまってね」
P「俺……そんなつもりじゃ……ただ二人が喜んでくれるかと思って」
律子「考えすぎなんですよ……」
P「お、俺謝ってきます!」
律子「ちょっと!……行っちゃいましたね」
高木「彼ももう少し察しが良くなってくれるといいんだが……」
亜美「兄ちゃん……」
真美「……」
貴音「私達は席を外しましょう」
響 「え、なんで?」
春香「いいから!」
真 「伊織はボクが担いでいくよ」
千早「それではプロデューサー、ごゆっくり」
亜美「男の人がお尻回しながら歌うのは強烈だったよ兄ちゃん」
P「そんなにダメだったのか……」
亜美「いおりんなんて白目むいて泡吹いてたよ」
P(亜美の言葉に元気が無い……冗談じゃなく本気で不評なのか……)
P「本当にすまない……」
P「真美も、ごめんな?」
真美「……」
P「とびきりのプレゼントと思ったんだが外しちゃったよ」
P「はは、これじゃプロデューサー失格だな……」
亜美「いや、ほんとダメダメだよ」
P「それで機嫌直してくれないか?」
亜美「聞いたかね真美君!どうせなら超高額商品を頼もうじゃないか!」
P「せ、せめて数万以内で……」
真美「……何でもいいの?」
P「あ、あぁ!真美が欲しいものなら何とかしてやる!」
真美「兄ちゃん家の鍵欲しい」
亜美「指輪にしよかなーそれともネックレスかなーんっふ……ふ?」
P「か、鍵?俺の部屋の?」
真美「うん」
亜美「ちょちょちょ」
亜美「亜美も!亜美も同じのがいい!」
真美「これならお金もかかんないっしょ?」
P「でも俺の部屋なんか入ってどうするんだ」
真美「えっと、秘密基地にしたりするんだよ!」
P「変なイタズラとかしないって約束するか?」
真美「女装して踊りだすより変なことはしないかな」
P「うぐっ……わかったよ」
亜美「やった!ハーレムルート完!」
P「じゃあ出来たら渡すから、今日はほんとごめんな」ナデナデ
真美「えへへ……もういいよ兄ちゃん」
亜美「Hey兄ちゃん!亜美にもやってYO!」
P「よしきた。今日はなんでも命令してくれていいからな」
千早「意外と早かったですね」
響 「早くケーキが食べたいぞー」
伊織「行くわよ。一言文句言わないと気がすまないわ」
P「皆……今日は悪かったな」
真 「プ、プロデューサー……なんでブリッジなんかしてるんです?」
P「人間椅子になれって命令されてるからな」
亜美「ケーキ取ってきたよーん!とぉ!」
P「おごぉ!と、飛び乗るんじゃない!」
真美「んっふっふーはるるんにもう勝ち目はなくなったかもNE!」
春香「?」
伊織「じゃあ時間も押してるしケーキ食べましょ。この椅子座り心地悪いわねー」
P「伊織は対象外だぞ!これ以上座られると俺の背骨が……」
亜美「兄ちゃん君」
P「パ、パパラパーご主人様。どうぞご自由にお座りください」
伊織「ん」
高木「何はともあれ一安心だな」
小鳥「そうですねぇ」
P「よくよく考えれば誕生日プレゼントが女装ダンスとか頭おかしいよな」
P「翔太め……覚えてろよ」
P「よし、今日も一日がんばるぞ!おはようございます!」
伊織「今日は遅いのね」
春香「おはようございますプロデューサーさんっ」
P「用事があってな……真美と亜美はもう来てるか?」
真美「ドブリジェン!」
亜美「ボルシチ!」
P「おぉ二人とも待たせたな。例のモノ持ってきたぞ」
真美「やったー!」
小鳥「はーい」
真美「んふ、んふふふ……」
春香「それ鍵?」
亜美「ただの鍵じゃないんだZEはるるん」
貴音「……もしや」
やよい「それってお家の鍵?」
真美「んっふっふっふーこれはねー」
真美「兄ちゃん家の合鍵なのです!」
雪歩「合鍵!?」
真 「あ!」
真美「青ざめたな!勘のいいまこちんは悟ったようだな……」
亜美「犯罪行為のお詫びでプレゼントされちゃったんだー!」
真美「過程や方法など、どうでもいいのだよいおりん!」
亜美「勝てばよかろうなのだァー!」
伊織「ムキーーー!!」
P「何騒いでるんだ?」
春香「プロデューサーさん!ロリコンですよ、ロリコン!」
P「は?」
伊織「何中学生に部屋の合鍵渡してんのよ変態!」
P「だって欲しいもの聞いたら鍵だったんだから仕方ないだろ」
P「誕生日プレゼントでならいいぞ」
伊織「ちょっと前に過ぎちゃったわよ!」
律子「やった!」
響 「どうしたんだ律子?」
律子「あ、いや何でもないわ」
真美「あ、兄ちゃん今日終わったら兄ちゃん家行くかんね」
P「変装はしっかりしろよ」
亜美「了解であります!」
千早「誕生日2月なんだけど……」
春香「私なんて4月だよ……」
高木「頼むから週刊誌には載らないでくれよ君ぃ」
P「そのへんは徹底しますんで……」
あずさ「プロデューサーさん、私もプレゼントは同じのでお願いしますね~」
P「気が早いですね……もっと他のプレゼントのほうがいいんじゃないですか?」
真美「1ヶ月は兄ちゃん独占できるね亜美!」
亜美「このまま既成事実作っちゃおうYO!」
P「恐ろしいことを言うな!」
美希「おはようなのー」
P「またややこしいのが来た……もう営業行ってくるからな!」
美希「なになに?なんの話?」
真美「誕生日最高ってことだよミキミキ!」
亜美「まさにハッピーバースデイだね!」
おわり
あまりにも真美が可哀想だったので投下しながら続きを考えた
最初から考えておけばよかったと後悔している。お疲れ様でした
撤収エンドとか絶対に許されない
面白かった。亜美真美めでてぇのうめでてぇのう
PKジュピター帰って来いw
黒井「ご苦労だったな」
冬馬「お、主役がついに来たな」
北斗「お誕生日会どうでしたか?」
翔太「僕達も参加したかったよねー」
P「……」
黒井「……どうしたのだ?」
P「泣かれちゃいましたよ」
冬馬「そりゃ俺達のダンスはパーフェクトだったからな」
P「あぁ、パーフェクトすぎたんだ」
P「時代が俺達に追いついていなかった……としか言いようが無い」
黒井「つまり、受け入れられなかったのか」
冬馬「はぁ?ありえねーだろ。あの時の俺達はジュピターを確実に越えてたぜ」
翔太「そうだよっ最高の団結だったのに!」
P「俺だって間違ってないと思ってるさ」
P「だけど観客の反応が、この業界では真理なんだよ」
冬馬「嘘だろ……」
○ 時代が悪い
こいつぁ驚きだぜ
P「黒井社長」
黒井「765プロ風情に我々の、真のアイドルが何たるかを理解するのは難しいのだ」
冬馬「所詮あいつらもその程度なのかよ……ライバルだと思ってたのによ!」
P「でも、彼女達だってよくやってますよ」
北斗「このあたりはもう価値観の違いですね」
P「そうか……」
冬馬「……なら、認めさせるしかねーだろ」
黒井「冬馬?」
冬馬「だからあいつらに教えてやるんだ!」
冬馬「本当のアイドルってやつをな!」
P「冬馬……お前……」
北斗「そうだな。俺も真ちゃん達に勘違いされたままじゃ嫌だし」
北斗「乗ったよ冬馬」
翔太「プロデューサーさんも諦めないでよ!だって!」
黒井「私達!」
北斗「みんな!」
P「仲間!」
冬馬「なんだぜ!」
黒井「そうだ!P.Kジュピターは最強のアイドルユニットだ!」
北斗「これからはジュピターと二束のわらじか……大変そうだな」
翔太「だけどきっとできるよ!」
P「あぁ!できる!やるんだ!」
「「「「「目指せ、トップアイドル!」」」」」
即日解散したP.Kジュピターは翌日再結成を発表し、2ndシングル発表のために日々レッスンを続けている。
律子からスパイ容疑をかけられ事務所裁判にかけられるのは、また別のお話。
本当におわり
みんな幸せでよかったよ(棒
がんばれ野郎共
Entry ⇒ 2012.06.18 | Category ⇒ アイマスSS | Comments (0) | Trackbacks (0)
奉太郎「体育倉庫に閉じ込められるおまじない……だって?」
奉太郎「そうかーよかったなー」
里志「奉太郎、十円玉を持っているかい。それを二枚出してもらえる?」
奉太郎「悪いな。今日財布もって来てないんだ」
里志「それじゃ僕が出してあげるよ。これを縦に積み上げるんだ。いくら生きるのに不器用な奉太郎でもこれくらいは出来るよね」
奉太郎「俺はやらんぞー」
里志「つれないなぁ。もしかしてほんとに不器用だからやるのが怖いのかい?」
ガラッ
摩耶花「あーいたいたふくちゃん!さっき手芸部の人が呼んでたよ。折木ー、私今日漫研の方出るからちーちゃんにも言っといて」
奉太郎「自分で言え」
里志「そういうことだからまた後でね、奉太郎」
ピシャ
奉太郎「…………」
奉太郎「……里志のやつ十円玉忘れてるぞ」
みたいなやつ読みたいです
奉太郎「…………」
ガラッ
える「こんにちは、折木さん」
ピシャ
奉太郎「ああ」
える「今日はお一人ですか?」
奉太郎「いや、さっきまで里志がいたんだが手芸部に呼ばれてそっちに行ったよ。伊原は漫研で今日は来ない」
える「ならやっぱりお一人なんですね」
奉太郎「……そうだな」
える「あら?折木さん、こんなところに十円玉があります」
奉太郎「それは里志の忘れ物だ。戻ってきたら返しやってくれ」
える「はい。わかりました」
奉太郎「…………」
だれか続きはよ
える「そうですね、普段料理や裁縫もしてますのでそういったものなら自信はあります」
奉太郎「そうか」
える「…………」
奉太郎「…………」
える「今のはどういう意味の質問なんでしょうか、折木さん」
奉太郎「いや、なんでもない。忘れてくれ」
える「そんなこと言われても私気になります……」
奉太郎「いや、ほんとに深い意味はないんだ」
える「そんな……うぅっ……」
奉太郎「泣くほどのことかよ……分かったから泣くな」
える「嘘泣きです。この間摩耶花さんが折木さんが意地悪したらこうするといいって教えてくれました!」
奉太郎「…………」
える「はい。福部さんの忘れ物ですね」
奉太郎「その十円玉を縦に二枚積むことができるかって話をしていたんだ」
える「なるほど、分かりました」
奉太郎「ただそれだけの話だよ」
える「十円玉を二枚……縦にですね」
奉太郎「俺はそういう神経使うようなことは好きじゃないからなー」
える「…………」
奉太郎「すごい集中してるな……」
える「出来ました!折木さんできましたよ!二枚積み重なりました!」
奉太郎「おー、えらいなー千反田ー」
える「それでこれが何になるんですか?」
奉太郎「ただの器用さチェックだ」
奉太郎(おまじないだなんて言ったらまたやっかいなことになりそうだ……ところで何のおまじないなんだ?)
える「そうなんですか……」
奉太郎「そうだなー」
える「折木さんは今日は何の本を読んでらっしゃるんですか?」
ぐいっ
奉太郎「ああ、大したのじゃ……」
チャリーン
える「ああっ!倒れてしまいました……せっかく頑張ったのに……」
奉太郎「そんなこと頑張ることじゃないだろ。それにお金で遊ぶのはあんまりよくないしな」
える「そうですね……」
ガラッ
里志「お待たせー、って千反田さんこんにちは」
える「はい。こんにちは福部さん、手芸部のほうはもういいんですか?」
里志「うん。そんなに大した用事でもなかったからね。すぐに終わったよ」
える「そうでしたか。あ、これ忘れ物です」
里志「ああ、どうもありがとう」
「1年A組千反田さん、教務室まで来てください。1年A組……」
奉太郎「千反田ーなんか呼ばれたぞ。悪いことでもしたのか」
える「そんなことしてませんっ!でも、あまり心当たりはないんですけど……」
奉太郎「なんてな。もうすぐ体育祭だしその準備のことじゃないのか」
える「そうかもしれませんね。それでは私行って来ます」
ガラッ ピシャ
里志「確かに体育祭も近いし奉太郎の推測は間違ってないだろうね」
奉太郎「……あー、ところで里志。さっきのって結局何のおまじないだったんだ?」
里志「おお?さては奉太郎、僕が居ないところでこっそり実践したんだね。可愛いところもあるじゃないか」
奉太郎「残念だけどやってない。やったのは俺じゃなくて千反田だ」
里志「へぇ、ここで二人っきりでかい?」
奉太郎「……ああ」
里志「あれはね……実は……体育倉庫に閉じ込められるおまじない、なんだ」
奉太郎「……なんだそれ」
奉太郎「……そうなのか」
里志「奉太郎はこの学校の体育倉庫に行ったことはあるかい?」
奉太郎「いや……」
里志「体育倉庫はグラウンドの端っこにぽつんとあるんだ。野球部もサッカー部も近くにはよらないんだ」
里志「中に入ったら大声で叫んでもきっと誰にも気がつかれないだろうね」
奉太郎「…………」
奉太郎「うちの学校の体育祭に必要なものはみんなそこにあるのか?」
里志「ほとんどのものはね。一年で一度しか使わないものだったりするから体育準備室にはないだろうね」
奉太郎「とすると千反田は体育倉庫に行く可能性は十分にあるのか……」
奉太郎「…………」
里志「…………」
奉太郎「あー、ちょっと用事を思い出した。じゃあな里志」
里志「急いだ方がいいんじゃないかな?」
奉太郎「まったく……誰のせいだと思ってんだ……」
奉太郎「ああ、ちょっと用事を思い出してな……体育倉庫に」
える「そうなんですか!私もちょうど体育祭の準備で体育倉庫に行くところだったんです!一緒に行きましょう!」
奉太郎「ああ……」
体育倉庫
える「ここが体育倉庫ですね。折木さんはどんな用事なんですか?」
奉太郎「あー……あれだ。学校名所巡りだ。行ったことのない場所を探してだな……」
える「ふふ、おもしろいことしてらっしゃるんですね。それでは私、中で探し物をしてきますね」
奉太郎「ああ。俺はここで待ってるよ」
える「はい。よろしくお願いします」
ガラガラガラ……
奉太郎「…………」
奉太郎(もしおまじないが本物でも俺が外にいれば閉じ込められても問題ないだろ)
える「折木さーん!」
奉太郎「どうしたー千反田ー?」
える「ちょっと手伝ってもらえませんかー!」
奉太郎「悪い。無理だー!」
える「そんな、ひどいですー!助けてください!」
奉太郎「やれやれ……どうしたんだ?」
える「折木さん!あのですね……この下にあるものを取り出したいんですけど」
奉太郎「あー、なるほど……こりゃ確かに千反田一人では無理だな」
える「そうですよね。なので折木さんも手伝ってもらえませんか?」
奉太郎「いや、あきらめて戻ろう」
える「ダメですよー!もう係の先生も帰ってしまいましたし今日中にこれをグラウンドに出しておかないといけないんです……」
奉太郎「…………」
奉太郎「はぁ……わかったわかった……」
える「ありがとうございます!折木さん!」
奉太郎「これをどかせばいいんだな……」
奉太郎「げっ……重い……」
える「わぁ!やっぱり男の人ってすごいですね!私じゃ全然持ち上がらなかったのに」
奉太郎「いいからもっと端っこに寄っておいてくれ……落として怪我でもさせたら大変だ……ぐぐ……」
える「はい!わかりました!頑張ってください折木さんっ!」
奉太郎「でも……扉に寄りかかったりするんじゃないぞ……」
える「えっ?今なんて言ったんですか……きゃっ!」
奉太郎「おいっ!」
ガラガラガラ……ガチャン!
奉太郎「…………」
ガチャガチャ
奉太郎「…………」
える「……開きませんね」
奉太郎「…………」
える「…………」
奉太郎「どうしてこうなった……」
える「すみません……かばんの中に置いてきてしまいました」
奉太郎「失敗したな……俺もだ」
える「大声を出して助けを呼ぶ、って言うのはどうでしょうか?」
奉太郎「いや、ダメだな。来る途中に誰か一人とでもすれ違ったか?」
える「そういえば誰とも……」
奉太郎(里志の言っていたことは正しいみたいだな……)
える「私たちこれからどうなってしまうのでしょう?」
奉太郎「まだ学校には里志がいるからそのうち迎えに来てくれるさ。だから心配しなくていい」
える「そうですか……よかった」
奉太郎「はぁ……とんだことになっちまったな」
える「すみません……私が折木さんの言うことをしっかり聞かなかったばかりに」
奉太郎「気にすんなって。そんなのいつものことだろ?」
える「ありがとうございます……折木さん」
奉太郎(いや、ちゃんと反省してほしいんだが……)
奉太郎「そうだな」
える「あとはこの箱をどかせば良さそうですね!」
奉太郎「ああ。よっ……うぐっ、これも結構重いな……」
える「あ、折木さん。私もこっちを持ちます!」
奉太郎「あ、よせ!急に力を入れると……!」
える「きゃああぁぁ!!」
奉太郎「あぁ、くそっ!」
がたがたがたがったん!!
奉太郎「…………」
える「…………」
奉太郎「……大丈夫か千反田?」
える「けほっ、けほっ……はい。折木さんのほうこそ……きゃ!折木さん!」
奉太郎「あー、多分大丈夫だ。ちょうど落ちてきた物同士で空間が出来てるみたいだ。重くはないが……悪い。動けそうにない」
える「そんな、折木さん……私をかばって……」
奉太郎「こっちこそ悪いな。なんていうか……その…馬乗り、っていうか……俺の下で」
える「あっ……」バッ
奉太郎「…………」
える「…………」
える「だいじょうぶ……です。折木さんなら……」モジモジ
奉太郎「えっ……?」
える「うぅ…………」カアァ
奉太郎「…………」
奉太郎(……何だよこの状況)
える「そ、そうですね……」
える「…………」
奉太郎「…………」
える「……お、折木さんあのっ!」
奉太郎「ど、どうした?」
える「その格好が疲れたら……く、くっついてもらってもかまいませんので……」
奉太郎「お、おう……?」
奉太郎「…………」
奉太郎(千反田ってやわらかそうな体してるよな……)
奉太郎「って何言ってんだ!ダメだろ!」
える「えっ、でもそれじゃ折木さんが……」
奉太郎「俺のことを考えてくれるんなら一刻も早くその場所から抜け出して俺の上のごちゃごちゃしたやつをどかしてくれ」
える「わ、わかりました!」
奉太郎(このままだと体力の前に精神的にヤバイ……)
奉太郎「どっちでもいいから好きな方にしてくれ……」
える「わかりました……」
える「んしょ……下のほうから抜け出してみますね」
奉太郎「ああ、わかった」
える「とりあえず足を抜きます……」
奉太郎(足で抜きます……)
える「よい……しょ……っと」
奉太郎(あー、やばい。千反田の足の間に俺の膝があるから抜け出そうとすると……)
える「んっ……」
奉太郎(右足と左足……つまりはさみうちの形になるな……)
奉太郎「……っ!」
える「あっ、すみません!痛かったですか?」
奉太郎「……いや、大丈夫だ。続けてくれ」
奉太郎(さっきから千反田の両足が俺の太ももにこすり付けられているわけだが……)
奉太郎「な、なぁ千反田……ちょっと休憩にしないか?」
える「え?あ、はい……そうですね……ちょっと体が熱くなってしまいました……」
える「…………」
える「あっ……わ、私汗臭くないですか?」
奉太郎「いや、大丈夫だ。どっちかって言うと埃くさい」
える「うふふっ……私もそう思ってました」
奉太郎(今のうちに奇数を数えるか……いや、それとも冷蔵庫の中の冷えたきゅうりを想像した方がいいんだったっけか)
える「折木さん」
奉太郎(さっき動いたせいで千反田の制服がずれて肌が見える。みえる。みえるえる……)
える「折木さんっ」
奉太郎「あ、ああ、どうした?」
える「そろそろまた動きますね」
奉太郎「お、おう……頼む」
奉太郎(ああ……ずれた制服が引っ張られて元に戻っていく……)
える「?折木さん、太ももの辺りに何か引っかかってるんですが……」
奉太郎「!ああ、携帯だすまん」
える「そうでしたか……よいしょっ……よいしょっ……」
奉太郎「…………」
奉太郎「…………」
奉太郎「白……か」
える「はぁ……はぁ……折木さんっ!出られました!」
奉太郎「ああ。よくやったぞー千反田ー」
える「あとはこれをどかせば……」
奉太郎「頑張れ千反田。お前だけが頼りだ」
える「はいっ!任せてください折木さんっ!」
奉太郎「やれやれ……何とか助かりそうだな……」
えるに反応したんだろ
奉太郎「おいおい、あんまり無理はするなよ……」
える「で、でも折木さんが私にしてくれたことに比べればこのくらい……」
奉太郎「お、動いても大丈夫そうだ」
える「きゃあぁぁ!!」
奉太郎(またか……)
える「お、折木さん!すみません助けてください……」
奉太郎「やれやれ……今度はどうしたって言うんだ」
奉太郎「よいしょっと、やと抜け出せた……って」
える「………うぅ」
える「な、縄が絡まってしまって動けないんです……助けてください……」
奉太郎(どこをどうやったら大縄で緊縛なんて起こるんだ……)
奉太郎「まったく、ちょっと待ってろよ」
える「はい……すみません」
奉太郎(ごくり……)
奉太郎「いいか?動くなよ……」
える「はい……」
奉太郎(しかしスカートがめくりあげられててさっきより丸見えだな……)
奉太郎「俺は何も見てないからな」
える「えっ?」
える「…………」
える「…………」カアァ
える「きゃあぁぁぁ!!!」
奉太郎「あっ、おいっ、バカ、動くと……!」
どさどさどさどてっ
奉太郎「…………」
奉太郎(千反田と一緒に絡まってしまった……)
える「はい」
奉太郎「絡まっているということは動く方向さえ間違えなければ解けるんだ」
奉太郎「だから俺たちはまずここから抜け出すことを一番に考える」
奉太郎「そのためにはどんな犠牲も仕方がないことだ」
える「はい」
奉太郎「だからこう……密着してもし変なところを触ってしまってもそれは必要な犠牲なんだ。わかるな?」
える「はい……」
奉太郎「よし」
奉太郎「千反田、右足を持ち上げて俺の脇に」
える「こう、ですか?」
奉太郎「ああ」
奉太郎「…………」
える「…………」
奉太郎「これじゃまるでツイスターゲームだな……」
奉太郎「ああ。二人組みで息を合わせるゲームだ」
える「なんだか楽しそうなゲームなんですね!私、気になります!」
奉太郎「……分かったから次左足な」
える「はいっ!よいしょっ……」
える「んっ……!」
奉太郎「変な声出すなよ……」
える「あ、すみません……こすれてしまって……」
奉太郎(こすれるとか言うな……)
奉太郎「あー、次はもっとくっつかないとだな……できるか?」
える「……はい」ギュ
奉太郎(…………)
奉太郎「やわらかいなオイ」
える「っ……!」
奉太郎(あ、間違えた)
える「えっ?」
奉太郎「……次に手をつける場所がない」
える「えっ、どういうことですか?」
奉太郎「いや、この体勢を維持しながら体位を入れ替えるとなると……」
える「はい」
奉太郎「お前の体のどこかに思いっきり手をつくことになる」
える「…………」
奉太郎「ふぅ……このまま里志が来るのを待つか」
える「だ、ダメですっ!」
奉太郎「…………」
える「どんな犠牲も厭わないって言ったのは折木さんじゃないですか!それなのにあきらめてしまうんですか?」
奉太郎「いや、でもな……」
える「私、折木さんにならどこを触られても気にはしませんから!」
奉太郎(……それはそれで傷つくんだが)
える「…………うぅ」
奉太郎「わかったよ……千反田にそこまで言わせたんなら俺も覚悟を決めないとな」
える「はいっ……折木さん……きてください……」
奉太郎「…………っ!」
奉太郎「いくぞ……千反田」
える「はい……」
える「…………」
える「んっ!……あっ、あぁん……」
える「はい……私のせいで折木さんに迷惑ばかりかけてしまって」
奉太郎「ああ、いいんだ。……そんなに迷惑でもなかったし」
える「折木さん……」モジモジ
える「それで、これからどうしましょう?」
奉太郎「そうだな………」
える「携帯もないので時間も分かりませんし……」
奉太郎「そうだな………」
える「あれ?携帯……?折木さんさっき携帯持ってるって言いませんでしたか?」
奉太郎「……いや、言ってないぞ」
える「そうでしたか……」
奉太郎「聞き間違えだな。それより時間なら俺は腕時計してるからわかるぞ」
える「そうですね!今何時ですか?」
奉太郎「ああ。ええと……って」
奉太郎(覗き込んでくるのか……)
える「はい。閉じ込められてからもう一時間になるんですね」
奉太郎「そうみたいだな」
奉太郎(千反田の髪の毛すごくいい匂いがするんだな……)
える「あっ、そうだ!」
奉太郎「ん?」
える「私クッキー持ってるんです!困ったときに食べようって思って」
奉太郎「いい危機管理意識だ」
える「ここに…………あっ」
奉太郎「見事にばらばらだな」
える「そう……ですね」シュン
奉太郎「まぁ、あれだけ派手に動き回ればな」
える「…………」
奉太郎「でも食い物には変わりないだろ。くれよ、はんぶんこしよう」
える「……折木さん」
える「折木さん……うぅ……ふぇ……」
奉太郎「お、おい、どうした千反田……」
える「分かりません……わからないけど……涙が出てしまいました」
奉太郎「…………」
える「うぅ……折木さん……おぃきさぁん……ぐすっ」
える「折木さんは……っ、折木さんはどうしてそんなに優しくしてくれるんですか」
える「うぅ……ぐすっ……」
える「どうしてっ……」
える「わたし……きになり、ます……!」
奉太郎「…………」
奉太郎「……どうしてなんだろうな」
奉太郎「……悪い」
奉太郎「こればっかりは……俺にもわからないよ」
える「そう、ですか……」
奉太郎「落ち着いたか?」
える「はい……また折木さんに迷惑をかけてしまいました」
奉太郎「だから気にしてないって。そんなのへのへのかっぱだ」
える「…………!」
奉太郎「?」
える「折木さんっ、思い出しました!」
奉太郎「なにを?」
える「へのへのかっぱです!」
奉太郎「……は?」
える「確か前に聞いたことがあったんです。もし体育倉庫に閉じ込められて出ることが出来なくなったらこのおまじないを唱えろって」
奉太郎「……えらくピンポイントなおまじないだな」
奉太郎「まぁ、あの十円玉もそうか」
える「折木さん?」
奉太郎「ああ、いや、なんでもない」
える「もし体育倉庫から出られなくなったら」
える「『のろいなんてへのへのかっぱ』と三回唱えろ」
える「上半身裸で」
える「です!」
奉太郎「いや、その理屈はおかしい」
える「おまじないなので理屈とかそういうものじゃないのかもしれません」
奉太郎「…………」
奉太郎「そうだな……」
奉太郎(しかしこんな時間か……)
奉太郎「千反田、その話は間違いないんだな?」
える「はい。私が聞いた話は間違いなくこの内容でした」
える「…………」
奉太郎「それじゃ俺が……」
える「お、折木さん!」
奉太郎「お、おう」
える「で、できればその……後ろを向いていてもれえませんか……?」
奉太郎「ああ……」
奉太郎「って、なんでだよ!」
える「えっ!?見られながら……あ、でも折木さんになら……私、もう……」
奉太郎「そうじゃなくてっ!」
奉太郎「なんで千反田が脱ぐんだよ!男の俺がやれば何も問題ないだろ!」
千反田「だ、ダメですっ!私ずっと折木さんに頼ってばかりでした……だから最後くらいは私にやらせてください!」
千反田「わ、私も折木さんの役に立ちたいんですっ!」
える「イヤですっ!私が脱ぎますっ!」
奉太郎「っておい!いきなり脱ぎ始めるな!」
える「早い者勝ちです!」
奉太郎(うおっ!千反田の白いブラがまぶしっ!ってそんな場合じゃない!)
奉太郎「千反田に脱がれる前に俺が脱ぐ!」
える「あっ、ダメです、ホックに手がうまく届きません……」
奉太郎「千反田!そのままじっとしていろよ……!」
える「ああ、折木さんずるいです!あっ、届いた!」
奉太郎「よし!俺のほうが早い!」
える「負けませんっ!」
ほうえる「のろいなんてへのへのかっぱ!」
ほうえる「のろいなんてへのへのかっぱ!!!」
ほうえる「のろいなんてへのへのかっぱ!!!!!!」
扉「ガラガラガラ」
摩耶花「…………やだ……なにこれ……」
里志「……あちゃー、これは完全に邪魔しちゃった感じだね?」
摩耶花「…………」
奉太郎「こ、これには訳があってだな……」
える「い、いやっ!」ギュ
奉太郎(オウフ)
摩耶花(十分問題よ……)
摩耶花「……先行こうよふくちゃん」
里志「うん。ほら、奉太郎も千反田さんも呆けてないでさ。いや、この場合は惚気てないで、かな?」
摩耶花「ふくちゃんが居ると二人は離れらんないのっ!行くよっ!」
里志「なるほど」
摩耶花「なるほどじゃなくて!」
奉太郎「…………」
える「…………」
奉太郎「……服、着ろよ」
える「……う、うん」
奉太郎「…………」
奉太郎「俺はどこで間違えたんだ……」
里志「それで、本当は千反田さんとどこまで行ったんだい?」
奉太郎「なんにもしてねーよ」
里志「確かにあのおまじないを解くには上半身裸で呪文を唱える必要があったのは知ってるけど、一時間以上も一緒にいて何もなかったって……」
里志「奉太郎、君もしかしてそっちの気があるとか言わないよね?」
奉太郎「殴るぞ」
里志「おおっと、怖い怖い」
摩耶花「ちーちゃん、ほんとに何にもされなかった?脅されてない?」
奉太郎(…………)
える「はい。折木さんはとても紳士で私のことを大切にしてくださいました」ポッ
摩耶花「……うわー」
奉太郎「ん?どうした」
える「私、やっぱり聞き間違えなんかしていません!折木さん、閉じ込められているときに携帯を持っていると嘘をつきました!」
える「どうしてそんな嘘をついたんですか?嘘をつく必要があったんですか?」
える「私、気になります!」
奉太郎「嘘なんてついてない。お前の聞き間違いだよ」
里志「へー、興味深いね。千反田さん、その話詳しく聞かせてよ」
摩耶花「え?なになに?」
える「かくかくしかじかというわけなんです」
里志「まるまるうまうま……つまり、千反田さんはその引っかかったものが何かを知りたいんだね?」
える「そういうことになりますね」
摩耶花「全然わかんないし」
奉太郎「……おい」
える「そう……なんですか」
里志「うん」
里志「でも、きっと千反田さんと奉太郎がもっと仲良くなっていつか教えられる日が来れば」
里志「その奉太郎の携帯電話を千反田さんに見せてくれるよ。ちゃんと千反田さんを受信してたみたいだしね!」
里志「奉太郎も、そのときはもう嘘はつかないんじゃないかな?」
える「もっと仲良く、ですか……」
奉太郎「千反田ー、里志の言うことなんて真に受けなくていいからなー。今のことも絶対忘れろよー」
摩耶花「え……どういうことなの?」
える「…………」
える「分かりました!」
える「私、頑張ります!」
える「折木さんの謎の携帯電話……絶対に見つけ出しますっ!」
おわり!
乙っ!
乙!
Entry ⇒ 2012.06.18 | Category ⇒ 氷菓SS | Comments (1) | Trackbacks (0)
紅莉栖「岡部に頭をなでられたい…」
紅莉栖(岡部に頭をなでられたい…)
紅莉栖(あの日の感触が忘れられない…(´д`)ハァハァ )
紅莉栖(でも、いい年した男女が…その…頭ネデナデとか…ありえない…)
紅莉栖(…いや! 私は天才処女、じゃなくて天才少女!)
紅莉栖(岡部にそれとなく、頭を撫でさせるなんて、朝飯前なんだぜ!)キラッ☆
.
紅莉栖「……」
ダル「あれ、牧瀬氏、遅刻かお?」
岡部「たるんでおるぞ、助手! ……ん?」
紅莉栖(フフフ…どうかしら、岡部? 私の頭に乗っているティッシュが気になるでしょ?)
紅莉栖(これを岡部に取って貰って、まだ紙屑付いてない? などと言って頭を撫でて貰う…)
紅莉栖(これぞ、オペレーション:戦乙女のオーロラ!! ああ、自分の天才が怖い!!)
.
ダル「牧瀬氏、頭にティッシュが付いてるお。取ってあげるお」ヒョイ
紅莉栖「だあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁッ!!??」
岡部「流石、マイ・フェバリット・ライトアーム! 実に紳士だな」
ダル「ティッシュの始末ならお任せだお!」キリッ
紅莉栖「ぐぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁッ!!??」
.
ダル「それにしても、遅刻した上にティッシュを頭の上に乗せてくるとは…」
ダル「牧瀬氏、何してたん?」
岡部「……このHENTAI処女め!」ペッ
紅莉栖( Σ(Д゚;/) !? )
紅莉栖(うう…作戦失敗した上に、岡部に変な誤解された…鬱だ死のう)
.
紅莉栖(ううむ…思わぬ橋田の妨害によって、オペレーション:戦乙女のオーロラは失敗したが…)
紅莉栖(私の完璧な作戦は、まだまだあるのだぜ!)キラッ☆
紅莉栖「フォォォォフッハッッハッハーー!!」
ダル「オカリン…牧瀬氏の様子がなんだか変だお。まるでオカリンみたいだお」
岡部「失敬な」
.
紅莉栖「きゃああああ!」
岡部「ど、どうした、助手よ?」
紅莉栖「お、岡部! 虫! 私の髪の毛の奥に虫が!」
岡部「なん…だと?」
紅莉栖「取って、今すぐ! もしかしたら、致死性の毒を持つ害虫かも!」
岡部「待っていろ、助手よ! 今、狂気のマッドサイエンティスト鳳凰院狂真が助けてやる!」
紅莉栖(これぞ、オペレーション:ニーズホッグ!! ああ、やっぱり自分の天才が怖い!!)
.
岡部「うりゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁッ!!!!」 バコーーーンッ !!!!
紅莉栖「ひでぶッ!!??」
ダル「おお、オカリンが分厚い辞書で、牧瀬氏ごと虫をブン殴った!」
ダル「流石オカリン、俺達にできない事を平然とやってのける! そこに痺れるゥ、憧れるゥ!」
岡部「大丈夫か、助手よ!?」
紅莉栖「う、うん…ありがとう…」グスッ
.
紅莉栖(ぐくッ…まさか、惚れた男に、辞書で頭部を強打されるとは思わなかったわ…)
紅莉栖(しかし、今の作戦は作戦中一番の小物…。これからが本番なのだぜ!)キラッ☆
紅莉栖「ファァァァァァァへッハッッハッハーー!!」
ダル「オカリン…ちょっと強く叩きすぎたんじゃね? 牧瀬氏、ほとんどオカリンだお」
岡部「だから失敬な!」
.
岡部「さあ、助手よ。『機関』のバイオテロも、この鳳凰院狂真が防いだ事だし、そろそろ作業を…?
紅莉栖「……」ジィィィィィィィ~…
岡部「……」ヒョイ
紅莉栖「……」ヒョイ
岡部(な、何だ? 助手が俺の手の動きに合わせて、頭を動かしてくる…だと?)
.
紅莉栖(フフフ…これこそ、最終手段にして、究極の解答…)
紅莉栖(岡部に頭を撫でて貰うのではなく、自分から頭を動かして、撫でて貰う…)
紅莉栖(何を言ってるか、自分でもわからねーがry)
紅莉栖(最終オペレーション…神々の黄昏…終末の戦争…ラグナロク!!)
紅莉栖(……あれ? もう最終だっけ?)
.
紅莉栖「……」ジリジリ…
岡部「……」ジリジリ…ドンッ!
岡部(むう…助手のおかしな動きに気圧され、いつの間にやら、本棚まで追い詰められた…)
岡部(助手め…。助手の分際で、この鳳凰院狂真に、これほどまでのプレッシャーを与えるとは…)
紅莉栖「……」ジィィィィィィィ~…
岡部(奴め…。何という殺気だ…まるで、獲物を狙う野生動物の如き、眼光よ…!)
.
紅莉栖「フフッ…岡部…そこまでの様ね…覚悟しなさい…」
岡部「甦りし者、ザ・ゾンビよ…。貴様の思惑は、すでに、この鳳凰院狂真が見抜いているぞ!!」
紅莉栖「……」
紅莉栖「ええッ!? 何で!? 私、完璧に自然体だった筈なのに!?」
紅莉栖「まさか、岡部!! タイムリープしてきたの!?」
ダル「いやさっき、覚悟しろとかはっきり言ってたおJK」
.
岡部「貴様の狙いは…」
紅莉栖「ゴクッ…」
岡部「この俺の手にあるドクトルペッパーだろう!!」
紅莉栖「違ァァァァァァァァァーーーーうッ!!!!」
.
岡部「先ほどから、俺のドクペを物欲しそうに凝視しおって! このイヤしんぼのセレセブが!」
紅莉栖「違うっつってんだろ!」
ダル「セレセブとセフレは、語感が似ている…(´д`)ハァハァ 」
紅莉栖「黙れ、HENTAI!!」
岡部「フ…まあ、同じドクペリアンとして、その狂おしいまでの熱意は、高く評価するがな…」
紅莉栖(クッ…話がどんどんおかしな方向に…)
.
岡部「しかし、このドクペは、俺が昨夜からキンキンに冷やした至高のドクペ…」
岡部「ドクペの素晴らしさを共有する同士としても、安々と譲るわけにはいかんな…」
紅莉栖「いや、だから違うって言って…」
岡部「三べん廻ってワンと言え…そうすれば、下賜してやらん事もないぞ? プライドが異様に高い貴様に、そんな真似は」
紅莉栖「クルクルクル、ワンッ!!」
ダル「速攻で言った―!?」
.
紅莉栖「ゴキュゴキュゴキュッ…プッハーー!!」
岡部「クッ…美味そうに飲みやがって…。そんなに喉が渇いていたというのか…!」
紅莉栖(お、思わぬところで、岡部と関節キスできるなんて…(´д`)ハァハァ )
紅莉栖(これは勝つる! 運命の女神は、私に微笑んでいる! ラグナロクの勝利を確信したわ!)
紅莉栖(にしても、ドクペ、ウメー)ゴキュゴキュ
.
岡部「さあ、ドクペも飲んだ事だし、今度こそ作業に…?」
紅莉栖「うりゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁッ!!!!」
岡部「うおっ!?」ヒョイ
紅莉栖「!!??」ドンガラガッシャーン !!!!
ダル「ああ、牧瀬氏が、怪鳥音と共に、本棚に突っ込んだお!」
.
紅莉栖「くぅぅぅぅ~いった~…」
紅莉栖(私の完璧な作戦が、悉く失敗するなんて…)
紅莉栖(ま、まさか、これがアトラクタフィールドの収束なの!?)
紅莉栖(だ、だとしたら、もう私は一生岡部に…)グスッグスン
岡部「じょ、助手!? 泣いているのか!? どこか強く打ったのか!?」ナデナデ
紅莉栖「……ふぇ?」
.
岡部「ま、まだ痛むのか!? 救急車を呼ぶか!?」ナデナデナデナデ
紅莉栖「ふぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!??」
岡部「いかん、ダル!! 相当の重傷の様だ!! 至急、救急車を!!
ダル「合点!!」
紅莉栖(ああ…ああぁぁ…岡部…岡部の手が、私の頭を…優しく……激しく…///)
.
紅莉栖「お、岡部ェェ…」
岡部「何だ!? しっかりしろ、紅莉栖!! 傷は浅いぞ!!」
紅莉栖「こ、これが…シュタインズゲートの選択ね……きゅう…」
岡部「紅莉栖!? 紅莉栖ーーーーー!!??」
ダル「うう…なんて、哀しいシーンだお…全俺が泣いた…」
ピーポーピーポー…
おわり
.
紅莉栖(ふふ♪ 昨日は一日、精密検査で潰れちゃったけど…)
紅莉栖(病院の先生に、脳には異常は見られないが、とか言われちゃったけど…)
紅莉栖(待合室で、クソガキにニヤニヤしてキモいなんて、ディスられたけど…)
紅莉栖「……」ナデナデナデナデ
紅莉栖「ふへ…ふへへへへへへへへへへへへへへへへ♪」ニヤニヤニヤニヤニヤ
.
紅莉栖(何ていうか、やっぱり私と岡部って…)
紅莉栖(……)
紅莉栖(う、運命で結ばれてる…?)
紅莉栖(いや、だって頭撫でるとか、まずありえないっしょ!)
紅莉栖(もう、これはシュタインズゲートの選択なんだってばよ!)
.
紅莉栖「はろー♪」
岡部「おお、助手!! もう大丈夫なのか!?」
紅莉栖「う、うん」
岡部「……」
紅莉栖「……」
ダル「リア充爆発しろ」
.
紅莉栖「あ、ごめんなさい。橋田にも心配掛けちゃったね」
ダル「別にいいお…その怒りのパワーを、新しい未来ガジェットの開発に注ぎ込んだから」
紅莉栖「新しい未来ガジェット?」
ダル「うん、その名も…」
ダル「未来ガジェット21号、『スカウター改』!!」ホンワカパッパー!
.
岡部「ダルよ…。その代物は、西遊記をモチーフとした、あの国民的マンガと何か関係があるのか?」
ダル「ぶっちゃけ、アレのパクリだお」
紅莉栖「…おい」
ダル「まあ、発想を頂いただけだお」
.
紅莉栖「でも、実現できたとしたら凄い発明よね」
岡部「ようし、ではこの世界の秩序を破壊せし者、狂気のマッドサイエンティスト、鳳凰院狂真の戦闘力を計ってみろ!!」
ダル「1だお」ピピピピピピピ…
岡部「ぬわぁぁぁぁぁぁぁぁにぃぃぃぃぃぃぃ!!??」
紅莉栖「プwww」
.
岡部「ス、スカウターの故障ではないのか?」
紅莉栖「じゃあ、私を計ってみて」
ダル「…やっぱり、1だお」ピピピピピピピ…
岡部「ほら見ろ、やっぱり壊れてる!」
紅莉栖「いや、ちょっと待ってよ…」
.
紅莉栖「確か、あの名作漫画だと、成年男子でも戦闘力5でしょ? 妥当な数値じゃないかしら」
ダル「…確かに、そうだったお。流石、栗ご飯にカメハメ波、よく読み込んでるお」
紅莉栖「栗ご飯言うなッ!!」
岡部「ま、待てい! この鳳凰院狂真が助手風情と同じなどと!!」
ダル「だって、オカリン体力ないっしょ」
岡部「ぐ…む…!!」
紅莉栖「どう見ても、貧弱貧弱貧弱です。本当にありがとうございました」
.
岡部「クッ…明日からランニングでもするか…!」
紅莉栖「もう、そんなにしょげないでよ…」
紅莉栖「お、岡部の強さって…その…体力とかじゃなくて、意志とか優しさだと思う…」
岡部「紅莉栖…」
ダル「リア充、大爆発しろ!!」
.
まゆり「とぅっとぅる~♪ 紅莉栖ちゃん、無事でなりよりなのです♪」
紅莉栖「あ、まゆり。はろー♪」
岡部「なんだ、その大量の食糧は?」
まゆり「へへ♪ 紅莉栖の全快祝いに、ちょっとしたお食事会をしようと思うのです♪」
ダル「まゆ氏、マジ天使」
.
まゆり「るか君や、フェイリスちゃんや、萌郁さんや、鈴羽ちゃんにも声を掛けて置いたよ♪」
岡部「人質のくせに勝手な真似を…まあ、そこがお前の良い所なんだがな…」ナデナデ
まゆり「へへー♪ まゆしぃ、誉められたのです♪」
紅莉栖「!?」
ダル「…うお?10?」ピピピピピピピ…
.
紅莉栖(お、岡部がまゆりを撫でた…?)
紅莉栖(い、いや、二人は幼馴染だし…)
紅莉栖(兄妹みたいなものだし…)
紅莉栖(か、家族のスキンシップみたいなものだし…)
紅莉栖(ど、動揺なんかしてないし…!)
.
るか「こ、こんにちわ…これ、鍋の材料の御野菜…差入です…」
まゆり「おおー♪ るか君、ありがとうなんだよ♪」
岡部「うむ、科学者たるもの、栄養バランスには気をつけんとな。でかしたぞ、ルカ子!」ナデナデ
るか「ひゃっ…! お、岡…狂真さん…///」
紅莉栖「!!??」
ダル「……416だと?」ピピピピピピピ…
.
紅莉栖(こ、今度は漆原さんを…?)
紅莉栖(い、いや、二人は師弟だし…)
紅莉栖(ロビンマスクとウォーズマンみたいなものだし…)
紅莉栖(だ、第一、漆原さん男だし…)
紅莉栖(し、嫉妬なんか全くしてないし…!)
.
フェイ「にゃにゃーん♪ 御呼ばれして、フェイリスきたにゃー♪」
ダル「フェイリスたん、ktkr!!!!」
フェイ「狂真!! お前に、フェイリスの頭を撫でる権利をやるにゃ♪」
岡部「…こうか?」ナデナデ
フェイ「にゃにゃーん♪ 気持ちいいにゃ~…ごろごろ…///♪」
紅莉栖「!!!???」
ダル「8千!! まだ上がっていくお!!」ピピピピピピピ…
.
紅莉栖(ちょっと、脈絡なさすぎだろッ!?)
紅莉栖(サ、サービス!? メイド喫茶のサービスの一環よね!?)
紅莉栖(つ、つまり営業とか、そんな感じの…)
紅莉栖(資本主義に堕した、萌えの退廃とオタク文化の特殊な方向性というか…)
紅莉栖(と、ともかく今のも、特別な意味なんてないんだからッ!!)
.
鈴羽「やあ、まだ始まっていないよね? バイトが中々引けなくて遅くなっちゃったよ」
ダル「娘、ktkr!」
紅莉栖「…まさか、貴女も岡部に頭を撫でて欲しいってんじゃないでしょうね?」ジロリ !
鈴羽「ハア? 何を言ってるんだい、牧瀬紅莉栖?」
紅莉栖(ホッ…)
鈴羽「……でも、せっかくだから撫でて貰おうかな♪」
紅莉栖「ブッ!?」
ダル「墓穴、乙」
.
鈴羽「ダメかな、岡部倫太郎? この時代に、君に会えた思い出が欲しい」
岡部「まあ、そういう事なら仕方ないな、バイト戦士よ」ナデナデ
鈴羽「へへ…オカリンおじさんの手、温かいな…///」
紅莉栖「グギギギギ…」
ダル「戦闘力12万…そろそろ、ヤバいお…」ピピピピピピピ…
.
岡部「何がヤバいんだ、ダルよ?」
ダル「気安く話しかけるなよ、倫太郎…。親友の娘に手を出すとか、貴様には仁義の欠片もないのか…?」
岡部「ちょッ!? おま、口調、口調!!」
.
岡部「手を出すって、頭を撫でただけだろうが!?」
ダル「……」ジトォォォォォ…
岡部「お前と、お前の未来の嫁を哀しませる様な真似は、俺は絶対しない! 俺を信用しろ、マイ・フェバリット・ライトアーム!!」
ダル「……ユダめ」ペッ
岡部「唾を吐き捨てられた!?」
.
ダル「…まあ、冗談はこれぐらいにして、いい加減にしないと、この『スカウター改』も、オカリンの命も危ないお」
岡部「は?」
ダル「リア充、自重しろって言ってるんだお!」
岡部「いや、お前が何を言ってるのか、俺にはさっぱり分からんのだが…」
紅莉栖「……」ゴゴゴゴゴ…
.
萌郁「……」
岡部「ぬお!? シャイニング・フィンガー!? 音もなく、背後に立つな!?」
萌郁「……」カチカチカチカチ…
岡部「む…またメールでか…」
萌郁『だって…あんな事があって…壁|▽//)ゝテレテレ 面と向かってなんて… 州ノ_-。州 ハズカシイ 』
紅莉栖「あんな…事?」ジトォォォォ…
ダル「……」ピーピー!!
.
萌郁「岡部君は……私の…初めての人…だから…///」
岡部「ぬおぉぉぉぉぉぉぉッ!? 何故、そんな事だけ、はっきり声に出すのだッ!?」
まゆり「……」
るか「……」
フェイ「……」
鈴羽「……」
紅莉栖「……」プチーン…
ダル「……」チュドーン !!
.
紅莉栖「お~~~か~~~べ~~~…」ゴゴゴゴゴゴゴゴ…
岡部「ク、クリスティーナ!? 何故、いきなり金髪逆立ちに!?」
ダル「普段は、ねらーの心を持ちながら、激しい怒りによって目覚めた超戦士…」
ダル「それが……それが、スーパーメリケン処女だおJKッ!!」
岡部「語呂わるッ!!」
.
ダル「ちなみに、今の牧瀬氏の戦闘力は、一億五千だお…」
岡部「何だ、そのヴァイマル共和国もビックリな、ハイパーインフレは!? 数分前は、1だったろーが!?」
ダル「ジャ○プ設定にマジレスとか、カコワルいお」
岡部「そんな機械を作るから、世界観のバランスが著しく崩れたんだ!!」
.
紅莉栖「……」ジリジリ…
岡部「……」ジリジリ…ドンッ!
ダル「オカリン…さよならだお…」
岡部(助手め…。助手の分際で、この鳳凰院狂真に、これほどまでのプレッシャーを与えるとは…)
紅莉栖「……」ジィィィィィィィ~…
岡部(な、何という殺気だ…まるで、ハゲの修行仲間の仇を討たんとする、侵略型宇宙人の如き眼光よ…!)
.
岡部「そ、そうだ!! 助手よ、これを見よ!!」
紅莉栖「ドクトル…ペッパー…?」
岡部「ほ、ほれ、取ってこーい」ポーン
紅莉栖「……」カツーン…コロコロコロ…
岡部「……」
紅莉栖「…何つもり? 何で、岡部の…口が付いてもいないドクペを…追いかけないと…いけないの?」
岡部「……」タラタラタラ~
.
紅莉栖「岡部…」ゴゴゴゴゴゴゴゴ…
紅莉栖「今のは痛かった…」
岡部「ヒッ、ヒィ…!?」
紅莉栖「今のは、私の心が痛かったぞーーーーッ!!!!」ドンッ !!!!
岡部「うおっ!?」ヒョイ
紅莉栖「!!??」ドッカァァァァァァァァァァァァン !!!!
ダル「ああ、牧瀬氏が、爆発音と共に、本棚に突っ込んだお!」
.
………
……
…
.
岡部「…それで、先生。クリスティーナ…もとい、紅莉栖の容体はどうなんですか?」
医師「ううむ…脳に異常はないのだが…」
医師「何故、彼女が目覚めないのか…現代医学では…」
医師「この病院に担ぎ込まれたから、時折、スカウターだの戦闘力だの、うわ言を呟くばかりで…」
岡部「そ、そんな!?」
ダル「一体、どんな夢を見てるんだお?」
.
岡部「先生!! 何とか彼女を目覚めさせられないのですか!? 俺は、何だってします!!」
医師「可能性があるとしたら…」
医師「意識を失う前に、彼女の心に強く残った行為を反復する…などだろうか…」
岡部「行為の反復?」
ダル「あ、それならオカリン、牧瀬氏の頭をさすってたお」
.
岡部「こ、こうか…?」ナデナテ
紅莉栖「……ふぇ?」
医師「おお!? 患者に反応が戻ったッ!?」
ダル「オカリン、もっと撫で続けるお!!」
.
岡部「紅莉栖…戻って来い!! お前は、この俺の助手なのだぞ!!」ナデナデナデナデ
紅莉栖「ふぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!??」
紅莉栖(ああ…ああぁぁ…岡部…岡部の手が、私の頭を…優しく……激しく…///)
紅莉栖「お、岡部ェェ…」
医師「き、奇跡だ…」
.
ダル「うう…なんて、感動のシーンだお…全俺が泣いた…」
紅莉栖「岡部…私…」
岡部「紅莉栖…これが…シュタインズゲートの選択だよ…」
岡部 ・ 紅莉栖 ・ ダル 「「「 エル ・ プサイ ・ コングルゥ 」」」
.
医師「…何だね、そのエル…なんとかとやらは」
岡部 ・ 紅莉栖 ・ ダル 「「「 意味は特にない 」」」
医師「……」
おわり
.
Entry ⇒ 2012.06.17 | Category ⇒ シュタインズゲートSS | Comments (0) | Trackbacks (0)
ラオウ「うぬが俺のマスターか?」
ラオウ「如何にも。俺は拳の英霊、世紀末覇者拳王!」
凛「引き当てたわ……! 超強力なサーヴァントを!」
凛「え? 行くってどこへ?」
ラオウ「天を平定しに行くに決まっているだろう」
ラオウ「出よ黒王号!」クワッ
ピシャーン
バカラッバカラッバカラッバカラッ
黒王号「ヒヒーンッ!」
凛「ちょ!? 待ちなさいよ!」
凛「うわっ!? ちょっとやめなさい! レディにこんな恰好させるなんて」バタバタ
ラオウ「うるさい小娘だ……」ピキーンッ
凛「」ガクッ
ラオウ「行くぞ黒王号! 拳王恐怖の伝説は今より始まる!」
ラオウ「! どうどう」
黒王号「ブルル……」
ランサー「馬に乗って登場たぁ……騎兵の英霊とお見受けした」
ラオウ「その長物、ランサーか」
ランサー「如何にも。……あんたのマスターはおねんねかい?」
ラオウ「そう言ううぬも単身であろう。男の戦いに加勢など無用」
ランサー「……話のわかる奴だな」
ランサー「じゃあ、遠慮なく行くぜ!」ダンッ
ラオウ「……っ」グッ
ランサー「素手で受けただと!?」
ラオウ「ぬうぅぅん!」グオッ
ランサー「!」
ドガァァァッ
ラオウ「今のを避けるか。なかなかやるな」
ランサー「魔力放出……? 違うな」ザッ
ラオウ「我は拳王! 世紀末覇者拳王だ!」
ランサー「世紀末覇者……?」
ランサー「! ちっ、これからって時に……」
ランサー「拳王さんよ、この勝負預けたぜ」シュン…
ラオウ「……」
凛「……ん、朝?」
ラオウ「起きたか」クワッ
凛「きゃあああ!?」
ラオウ「なんだ、起きて早々やかましい」
凛「ご、ごめん。いきなり心臓によくない物をみたから……」
凛「じゃあ私はこれから学校だから」
ラオウ「うむ」クイッ
凛「……」
ラオウ「……うむ、いい酒だ」
凛「朝っぱらから酒煽ってないで、あんたも霊体化してついてきなさい」
ラオウ「……」クイッ
凛「……ちょっと! 聞いて」
ラオウ「小娘」ギロッ
凛「!」ビクッ
ラオウ「たとえ、神の命令でもな」
凛「」ビリビリッ
ラオウ「わかったらさっさと学校とやらに行け」トクトク…
凛「……っ」
「令呪をもって命ずる……」
ラオウ「! 馬鹿者! 何をしている!」
凛「拳王のクソバカヤロウに言う事聞かせろー!!」カッ
(この拳王に膝をつかせるとは……後で覚えておけよ)
凛「ふん!」
美綴「どうしたの遠坂、怖い顔して」
凛「え、いや何でもないわよ」
美綴「本当に? また柳洞と言い合いになったんじゃないの?」
凛「あー……そんな感じ」
しかし令呪ここで使っていいのかよww
凛「……」ピクッ
美綴「何て言うの? うまく立ち回ろうとして、全部の壁にぶつかる感じ」
凛「うっさい。私をどっかの正義の味方と一緒にしないで」
キンコンカンコン
凛「さ、行った行った」シッシッ
美綴「あんたと衛宮君、かなり似た者同士だよ」
凛「! 綾子!」
美綴「あっはっはっ」
凛「さて、もうみんな帰ったわね」
ラオウ「うむ。残りの生徒も皆外だ」スゥ…
凛「あんたは出て来ないで」
ラオウ「……」スゥ…
凛「私のテリトリーに結界なんて張ってくれて……」
凛「いいわ。その挑戦受けてやろうじゃない!」
凛「……やられた」
(何がだ)
凛「私の力じゃこの結界は消せない。せいぜい妨害するのが関の山だわ」
(勢い良く啖呵を切っておいて情けない)
凛「う、うるさいわね」
凛「……でも、学校の関係者にマスターが一人はいる。それだけは間違いないわ」
凛「嘘!? 初耳なんだけど!」
(うぬも居合わせだだろう。眠らせていだが)
凛「まさかあんた、あの馬鹿デカい馬で出歩いたんじゃ……」
(黒王号だ)
凛「今はどうでもいいわよ!」
(顔合わせ程度のつもりだったのだろう。あっさり退きおったわ)
凛「相手の獲物は?」
(赤い長槍だな。この拳王のオーラが見えないようでは、俺の敵ではないな)
凛「オーラ?」
(闘気の事だ。非情に徹する事で)
凛「あー、わかったわかった」
ラオウ「貴様俺を愚弄したな!?」スゥ…
凛「わ!? ごめんって! 家に帰ったら聞くから!」
凛「はぁ……疲れた」
ラオウ「あの程度の座学で疲れたなどと……修業が足りんな」スゥ…
凛「授業の事じゃないわよ! あんたの所為よあんたの!」
ラオウ「口を慎め!」クワッ
凛「ッ!?」ビクッ
ラオウ「令呪によって多少この俺を拘束した程度で粋がるな」
凛「……くっ」
凛「拳王」
ラオウ「様をつけろ小娘」
凛「あんたセイバーじゃないの?」
ラオウ「質問の意図がわからんな」
凛「昨日、馬を召喚してたでしょ。セイバーでもできなくはないと思うけど、どっちかって言うとライダーとかキャスターの能力かなって」
ラオウ「俺はライダーでもキャスターでもない。俺は拳の英霊、黒王号は友だ」
凛「友って……」
凛「ついて……って、またどっか行くつもり!?」
ラオウ「何処かとは愚かな。戦場に向かうに決まっているだろう」
凛「戦場?」
ラオウ「わからぬか? あれほどまでに巨大な闘気が!」
イリヤ「あら、遠坂家のマスターじゃない」
凛「! アインツベルン!?」
ラオウ「初戦にうってつけの相手だろう」
凛「なに考えてんのよ! わざわざ強敵にぶつかるなんて!」
ラオウ「凛」
凛「なによ!」
ラオウ「聖杯戦争の王道がどうかは知らんが、俺の生きていた時代では、自らの力で切り開く道こそが王道だった」
ラオウ「力こそ正義。戦いとはそういうものだろう」
バーサーカー「■■■■■■■■■■■!!」
凛「な、なにあれ……」ビリビリッ
ラオウ「さしずめ、鬼……といったところか」
バサァッ
ラオウ「鬼が相手ならば、俺も同じ地に降りる他あるまい!」ズウゥン
ラオウ「ふ、これほどの男はフドウ以来か。待ちかねたぞ」
イリヤ「む……バーサーカーを前にして笑うなんて生意気」
イリヤ「怖がらないならいいや、殺しちゃえ」
バーサーカー「■■■■■■■■■■■■■!!!!」グァァッ
ドガァァァッ
凛「拳王ー!」
バーサーカー「■■―……」
イリヤ「……え? 何?」
バーサーカー「■■■―」ググッ
ラオウ「ぬうぅ……ッ」ググッ
イリヤ「嘘!? バーサーカーとまともに組み合うなんて……」
バーサーカー「■■■■■■■■■■■■■!!」ゴゴゴ
ラオウ「ぬうぅぅああッ!!」ゴゴゴ
凛「!? これが……拳王のオーラ……?」
バーサーカー「■■■■■■■■■■■■■!!」ブンッ
ラオウ「ぬう!?」ドガァァァッ
凛「拳王!? 危ない!」
バーサーカー「■■■■■!!」グオッ
バキィッ
イリヤ「やった!」
北 斗 神 拳 奥 義
ラオウ「無想陰殺」
バーサーカー「■■――」ゴホッ
イリヤ「バーサーカー!?」
ラオウ「ぬうぅぅぁぁぁあ……!!」
ラオウ「北斗百裂拳んんんッッ!!!!」
バーサーカー「■―■■―――■―――」ドガガガガガガッ
バーサーカー「――■」ズズゥン…
ラオウ「俺は拳王! 拳での戦いでは一日の長がある」
イリヤ「うそ……イリヤのバーサーカーが宝具も使わない奴に…………」
凛「……あんな化け物に素手で勝っちゃった」
ラオウ「……ぬ」
バーサーカー「……―■■」ググッ
ラオウ「致命の拳を受けて立ち上がる……だと」
ラオウ「……」
バーサーカー「■■――」
イリヤ「……いい、今日は帰る。いこ、バーサーカー」
バーサーカー「…………」
ズズゥン
ズズゥン……
凛「……助かった」ヘタ
凛「いきなり優勝候補の一角とぶつかれば誰だって腰を抜かすわ!」
ラオウ「あれが優勝候補か。生ぬるい戦争だな」
凛「それは相性が良かったのよ。あんたみたいな肉弾戦特化タイプ、ライダーやアーチャー、キャスター相手の時はどうすんの?」
凛「それにセイバー――」
「遠坂……?」
士郎「何やってんだ、こんなところで」
ラオウ「次の相手はうぬか? 小僧」
「いえ、私が相手になります」
セイバー「徒手の使い手、アサシンのサーヴァントとお見受けしましたが」
ラオウ「暗殺者……そんな時代もあったな」
凛「衛宮君とサーヴァント!? まさか衛宮君もマスターなの?」
士郎「まさか遠坂が魔術師だなんて……」
ラオウ「うぬの主はああ言ってるぞ。俺も女に手を出すのは気が進まない」
セイバー「構えなさい。私は女である前に一人の騎士。私は、剣の英霊なのです……!」チャキッ
ラオウ「…………」
ラオウ「駄目だな。うぬは俺と戦うに値しない」
セイバー「な!?」
ラオウ「わからぬか、凛。あの小娘から先のバーサーカーのような闘気を感じるか?」
凛「オーラ……?」
セイバー「私を侮辱しているのですか!?」
ラオウ「ぬうぅぅぁ!!」ゴウッ
ドガァァァッ
セイバー「ッく!?」ビリビリビリッッ
ラオウ「牙の無い獅子に用など無いわ!」
ラオウ「今のうぬには強敵の見せる闘気がない。まだ俺と戦う運命にないのだ」バサッ
セイバー「……くっ」
凛「ちょっと! 要するに弱ってるって事なら、なんで今倒さないのよ!」
ラオウ「女子供に手を上げたとあれば、拳王の名が廃る」
凛「強敵には手を出して、格下は相手にしない……なんなのコイツ」
士郎「な、なんだよ」
ラオウ「我が拳王軍の傘下に入らぬか」
セイバー「な!?」
凛「え!?」
ラオウ「凛とは面識があるのだろう。万全でない状態で戦うよりはいいだろうが」
セイバー「シロウ騙されてはいけません!」
士郎「……」
「じゃあ、ここで死ぬ?」
士郎「! 遠坂……!」
凛「それか、教会に逃げ込むか。力の無いマスターの道は二つに一つ」
凛「それを、私達が第三の選択肢を出してあげてるのよ? 何が最良かなんて、少し考えればわかるでしょうに」
ラオウ(……ほう)
凛「へー、ここが士郎の家。立派に魔術師の家じゃない」キョロキョロ
士郎(今自然に呼び捨てにされた)
凛「で、セイバーの不調の理由ってなんなの?」
セイバー「その前に凛、私も確認したい事があります」
凛「なに?」
セイバー「あなたのサーヴァントのクラスです」
セイバー「見えない……?」
凛「本人は拳の英霊って言ってるけど」
セイバー「馬鹿な、剣の英霊は私だ」
凛「剣じゃなく拳、ね」
セイバー「こぶし? では宝具は」
凛「今のところ何も。まあ、宝具なんて弱点晒すようなものだし、仕方ないっちゃ仕方ないけど」
セイバー「……」
士郎「セイバーの不調は……その、俺の所為なんだ」
凛「士郎の?」
士郎「俺が魔術師として未熟だから、魔力を供給できなくて、セイバーの力をフルに使えないんだ」
凛「なによそれー。折角セイバー引いたのに、宝の持ち腐れじゃない」
セイバー「リン、私のマスターを悪く言うのは止めていただきたい」
凛「事実でしょ。自分だって苦労してるのに、騎士って難しいわね」
凛「慎二がマスター?」
士郎「ああ、ライダーのマスターだった」
凛「でも、どこでそんな事知ったのよ」
士郎「慎二に呼び出されたんだ。手を組もう、って。もちろん断ったけど」
凛「……」
凛「そう。隠さず話してくれてありがとう」
凛「……嫌に友好的ね。まぁ、つぶし合ってくれたら儲けって線もあるか」
凛「アインツベルンがバーサーカー、マキリがライダー、士郎がセイバー……残るはアーチャー、キャスター、ランサー、アサシンか」
ラオウ「待て、計算が合わぬぞ」
凛「あんたの所為でしょあんたの!」
凛「キャスターとも限らないわよ。単に有能なマスターが拠点を築いているのかも。ランサーやアーチャーの所在も割れてないし、迂闊に動きたくないわ」
セイバー「しかし、城が完成すれば落とすのは容易ではない。こちらには二人もサーヴァントがいるのですから――」
凛「その同盟がこっちの切り札なのよ。そう易々とバラしては意味ないの」
セイバー「…………」
士郎「……」
士郎「俺はセイバーを危険な目に合わせたくない」
セイバー「シロウ……」
凛「決まりね。しばらくは敵方の動向を見ましょう」
セイバー「……わかりました」
アサシン「こんな夜更けに来客か」
セイバー「……」ザッ
アサシン「マスターが見えぬが……単身この山城を落としに来たのか?」
セイバー「ええ……貴方がここの番人ですね」チャキッ
アサシン「如何にも。通るというのなら、主の命に従いお相手する他ない」
セイバー「望むところです……!」
ピィンッ
セイバー「……」ザッ
アサシン「可愛らしい少女と思っていたが……なかなかやる」
セイバー「賞賛と受けましょう」
セイバー「そちらも、その細身の剣であれほど打ち合うとは、素晴らしい腕前だ」
アサシン「ふ、これしか能がなくてな」
アサシン「血湧き肉踊る戦いをこのまま楽しむのも良いが……間合いも読めてきた事だ。我が妙技をお見せしよう」スッ
セイバー「……」グッ
―――――――――― 秘 剣
燕 返 し―――――――――――
セイバー「!」
バカラッバカラッバカラッバカラッ
アサシン「何!?」ピクッ
「ハイヨー! 黒王号ー!!」
そんなキャラかよwwwwwwwwwwwwwww
そりゃハイヨーぐらい言いたくなるよ
セイバー「拳王!?」
ドスンッ
バカラッバカラッ…
アサシン「……してやられたな」
セイバー「勝負に水を差すとは……どこまで私を侮辱するつもりなんだ!」ワナワナ
「約束を破った騎士さんも、十分侮辱してると思うけど?」
セイバー「!」ビクッ
ヌァーッハッハッハ…
ドガンッ
ラオウ「どうどう」
黒王号「ブル……」
「番兵を飛び越してくるなんて……なんて野蛮なのかしら」
ラオウ「ここに拳士がいるだろう。そいつを連れてこい」
キャスター「なんの事かしら?」
ラオウ「知らぬと言うなら俺自ら探すまで」
ドゴォォォオオンッ
「…………今のは攻撃か?」
キャスター「!? 馬鹿な! 直撃した筈……」
ラオウ「そんなやわな攻撃ではこの身体に傷ひとつつける事はできん」
キャスター「くっ」ポウッ
バシュウ―――――――
ドガンッ ドガガガガガガッ
ドゴォォォンッ
ドガァンッドゴォンッドォオンッ
ブワッ
ラオウ「ぬうあっはっはッ!!」グオッ
キャスター「!?」
ブウンッ
ラオウ「ぬ」
キャスター「なんなの! なんなのあの打たれ強さは!!」フワッ
キャスター「貴方みたいな化け物、初めてだわ。……特別にとっておきの魔術を練ってあげるから、光栄に思う事ね」パァァ
ラオウ「ほう、どこからでもかかってくるがいい」
キャスター「っ! 分かったら……とっとと死になさいッ!!」カッ
――――ドゴオォォォォォンッッ――――
凛「わかってる!」
士郎「わかってるならなんで令呪で呼び戻さないんだよ!」
凛「だってあと一個しかないんだもん!」
士郎「一個しかないってなんでさ!?」
凛「だってあの馬鹿」
――――ドゴオォォォォォンッッ――――
ラオウ「魔術とやら……相手にとって不足なし」
ラオウ「見ておれ小娘共。これぞ我が奥義が一つ」
約束された勝利の拳
北 斗 剛 掌 波
ラオウ「…………逃したか」
士郎「拳王! 今の光は!?」
ラオウ「様をつけろ小僧」
凛「ハァ…ハァ……今のあんたの宝具? 魔力消費半端じゃないんだけど……」
ラオウ「息が上がっているな、修行が足りぬぞ凛。今ので半分程度の威力だ」
凛「階段上ってきたからよ! てか、今ので半分?」
ラオウ「マスター? 俺がやりあっていたのはキャスターだぞ」
凛「という事は、柳洞寺にサーヴァントが二人いたという事?」
ラオウ「うむ、我らの他にも手を組んでいるマスターがいたのだな」
セイバー「……勝手な事をしてすみませんでした」シュン
士郎「さっき謝ったんだから、それはもういいって」
ラオウ「来たか」
葛木「衛宮に遠坂、誰がこんな時間に出歩いていいと教えた」
士郎「葛木先生……!」
凛「まさか柳洞寺のマスターは……先生なの?」
葛木「私は魔術師でもなんでもない。ただの朽ち果てた暗殺者だ」
凛「暗殺者……」
葛木「止められなかったお前が悪いのだぞ。仕損じれば、奴は寺の中まで追ってくる」
キャスター「ですから逃げましょうと言ってるではないですか!」
葛木「どこへ逃げる。城を失ったお前は恰好の的なのだろう。ここで押し返す他無い」
キャスター「しかし、しかし宗一郎をあの筋肉ダルマと戦わせるなど……」
士郎「あれがキャスター……?」
凛「なんか…………首が痒くなってきた」
キャスター「宗一郎様!」
葛木「葛木宗一郎」バッ
ラオウ「宗一郎よ、容赦はせぬぞ」
葛木「……」スッ
ラオウ「ぬうううぅぅん」ゴァッ
葛木「……」スッ
ザッ
ゴウッ
ラオウ「俺の剛拳いつまで受けきれるかな?」ゴゴッ
凛「キャスターが強化魔術を使っていたとしても、普通避けれないわ。暗殺者だったってのは本当の事なのね……」
ラオウ「ジョイヤッ!」ゴウッ
ススス…
葛木「……」スッ
ドゴォンッ
ラオウ「ぬうっ!?」
ザッ
葛木「……」ピタッ
セイバー「いえ、効いていません!」
ラオウ「はあぁぁ!!」ブォンッ
葛木「……」タッ
ドガァッ
バゴォッ
ラオウ「ぬああぁッ」ゴウッ
葛木「……」ザッ
ブンッ
士郎「先生はヒットアンドアウェイに徹してるし、ちょっと一方的じゃないか」
セイバー「いえ、一見一方的に見えますが、拳王もカウンターをもらわぬよう仕掛け方を気にしています」
セイバー「それに、拳王の反応も徐々に上がっています。敵の拳質を見切り始めているとしたら――」
ガシィッ
ラオウ「取ったァ!」
葛木「!」グッ
ラオウ「さらばだ現世の暗殺者よ!」グッ
葛木「ここまでか」
ラオウ「女、そんな事をしても無駄とわかっているだろう」
キャスター「宗一郎様を……宗一郎様を放しなさい!」ゴゴッ
ラオウ「何故それ程に勝利に、聖杯に固執する」
キャスター「聖杯なんてどうでもいいわ」
ラオウ「なに……?」
キャスター「私は宗一郎様を愛してるの!」
ラオウ「!」
キャスター「どうしても殺すというなら、私から殺しなさい」
ラオウ「……」
ラオウ「聞けぬな。俺はこの男の命が欲しい」グオッ
キャスター「やめてぇ!!」
「さらばだ」
キャスター「嫌ぁぁぁぁぁッ!」
士郎「っ!」サッ
凛「っ」
ラオウ「拳を封じた。これで宗一郎という名の暗殺者は死んだ」
ラオウ「ここにいるのは、教師として生きる男」
葛木「……拳王」
ラオウ「身体を愛えよ、宗一郎」
凛「キャスターはもう再起不能でしょうね」
セイバー「キャスター一人で戦い抜くのは無理でしょうしね」
士郎「セイバー、そういう話じゃないんだよ」
セイバー「そうなのですか……?」
凛「残された時間を愛した人と目一杯生きる。なんか聖杯戦争とは縁遠い話ね」
士郎「そういえば、キャスターって結局何者だったんだろう」
凛「案外、生前から一途な人だったのかもね」
セイバー「倒せる時に倒さないのはどうかと思いますが…………まぁ、あれはあれで良かったのでしょう」
士郎「素直に褒めろよセイバー」
凛「無茶苦茶やって結局今回も手柄なし。一体何がしたいんだか……」
士郎「さあ……」
士郎「案外、この特別な状況に混ざりたかっただけなんじゃないか?」
凛「協力しろ?」
慎二「ああ。衛宮みたいな三流マスターと組んでるより、余程いいと思うけど」
凛「……」
慎二「ほら、アイツはすぐ戦いたくないだの、誰も悲しませたくないだの、甘っちょろい事言うし、こういう戦いに向いてないだろ」
慎二「おまけにサーヴァントを女扱いして。サーヴァントなんてただの駒なのに」
凛「……」
慎二「な!? サーヴァントがマスターの会話に口出し」
ラオウ「……」ギロッ
慎二「……!」ビクッ
ラオウ「凛、この小僧、小物だが今殺さばうぬに必ず災いをもたらすぞ」
慎二「な、なんだ! 僕とやり合う気か!?」
凛「やめなさい拳王。……サーヴァントの不敬は謝るわ。でも知っての通り、私は衛宮君と組んでるの。先約を蔑ろにはできないわ」
慎二「ああ、そうかよ!」
慎二「ふん!」
ラオウ「……うぬは何に縛られている。何故あのような下郎を立てる」
ライダー「……」
ラオウ「今のうぬではつまらぬ。賭けるもののないうぬではな」
バタン
ライダー「……」
士郎「遠坂も勧誘されたのか」
凛「この場合引き抜きね。それより、今の話聞いてた? あんた慎二みたいな三流に三流呼ばわりされたのよ」
士郎「え、だって事実だし」
凛「あっさり認めてんじゃないの! 何の為に私が指導してると思ってんのよ!」パシンッ
セイバー「腕前は兎も角、仲間としての結束は固まってきていますね」モグモグ
士郎「朝からって、学校はどうするのさ」
凛「……あんたね」ハァ
凛「いい? 敵対関係のマスターがいる状況で、そのマスターと同じ学校に通おうなんて考えないで」
凛「ましてやセイバーは霊体化できないんだから、学校でサーヴァントに襲われたら勝ち目ないわよ」
士郎「……わかった」
プルル…プルル…
セイバー「シロウ、電話が」ガチャ
士郎「遠坂、いいか?」
遠坂「仕方ないわね……ちゃっちゃと行ってきて」
士郎「悪いな」
バタン
セイバー「……」
凛「……」
凛「何が?」
セイバー「同盟関係にあるとはいえ、サーヴァントを従えていないマスターが他人のサーヴァントと二人きりになるとは」
凛「あら、セイバーは隙あらば私を殺す気なの?」
セイバー「いえ、そのようなつもりは」
セイバー「しかし、私も聖杯にかける願いがある。いつかは、リン達と雌雄を決しなければならない」
セイバー「リン! 私は」
ガチャ
士郎「悪い、ちょっと出掛けてくる」
セイバー「……」
凛「……」
士郎「あ、悪い、邪魔した」
バタン
セイバー「……」
凛「……」
セイバー「! そうでした!」
凛「拳王、士郎を追って!」
凛「拳王!? 返事がない……既に追ってくれてればいいけど」
セイバー「私達も追いましょう。シロウの気配なら追跡可能です」
凛「全く、あんた達はどうして勝手な行動を取るかな」
セイバー「……面目ない」
士郎「これは!?」
ラオウ「結界だな。凛が破壊し損ねた結界が発動したのだろう」スゥ…
士郎「……居たのか。拳王、この結界の効果はなんだ?」
ラオウ「知らん」
士郎「知らんって」
ラオウ「俺は拳士であって魔術師ではない。サーヴァント化して魔力の感知はできるようになったものの、魔術の類には全く関わった事がないから、その質問には答えられん」
ラオウ「だが……中の人間が弱っていくのだけはわかる。どういう理屈かは知らんがな」
士郎「……く、駄目だ。意識がない」
ラオウ「覚悟を決めよ小僧。その者達を救いたくば、結界を破壊するか、仕掛けた者を倒す他あるまい」
士郎(慎二は保険代わりに結界を張ったと言っていた……)
士郎「慎二……」ギリッ
「そんなに大声出さなくても聞こえてるよ」
慎二「呼び出したのは僕の方だからね」ザッ
士郎「慎二! 今すぐ結界を解くんだ!」
慎二「いいけど、衛宮は何を提示してくれるんだ? 遠坂を裏切ってくれるんなら、今すぐ結界を解いてもいいけど」
士郎「何言ってんだ、みんなが衰弱してるんだぞ!」
慎二「知ってるよ。僕の張った結界なんだからね」
慎二「凡人の事なんか魔術師が気にするなよ。これだから三流は……」
士郎「テメェ――」ダッ
ジャララララララッ
士郎「! ぐぁ!?」ドサッ
ライダー「……」ザッ
慎二「おいライダー、何外してんだよ」
士郎「く……ライダーのサーヴァント……!」
ラオウ「ぬん!」バチッ
士郎「ばわっ!?」ズザーッ
ラオウ「拳王に指図をするとは身の程を知れ!」
士郎「」
慎二「なんだ? いきなり仲間割れか? いいねえ、もっとやれよ!」
ラオウ「頭に乗るな小僧!」クワッ
慎二「ひっ!? ら、ライダー!」ビクッ
ライダー「……」ジャラ…
士郎「拳王の弱点……?」
ラオウ「愚かな。この拳王の肉体に弱点などない」
慎二「フン、遊んでやれ、ライダー」
ライダー「……」タンッ
ザッ
バッ ダンッ ヒュンッ
――――タッ
ラオウ「!」ビッ
士郎「速い!」
慎二「いくらパワーがあっても圧倒的なスピードの前では意味がない! このまま切り刻んでやるよ!」
ズバッ
士郎「葛木先生の時より速い……!」
慎二「当たり前だ! 学校中の人間を生贄にしてるんだ。今のライダーに致命の拳を突き入れる事はできない!」
士郎「く……どうすれば」
「何かと思えば、とんだ期待はずれよ」
ラオウ「ぬんッ!」ゴウッ
ライダー「!!」ザッ
ライダー(今、無数の鋭い拳が……)ジャラ
ラオウ「ふ……見えたか。今貴様が見たのは、この俺が纏いしオーラよ」
慎二「オーラ……? わけわかんない事言いやがって! ライダー!」
ライダー「……っ」ジリッ
慎二「おい! 何逃げてんだよ!」
ラオウ「どうした? 来ないのならこちらからいくぞ!」ゴゴゴ
ライダー「……これまでですね」ザクッ
士郎「自分の首を!?」
慎二「ライダー! 何勝手な真似を!」
ライダー「現状、敵サーヴァントの撃破は困難です。宝具を用いて撤退します」ゴォォ
ラオウ「小僧、伏せていろ」
士郎「え」
ライダー「突破します」カッ
―――――ベルレフォーン―――――
騎 英 の 手 綱
――――ドオォォォオオオンッッ――――
士郎「……っ、一体何が……?」
士郎「!? 拳王!」
ラオウ「ぐぅぅ…………拳王の肉体をもってしても、あの疾走を止める事はできぬか……」シュウゥ…
士郎「……なんて無茶な」
凛「辞世の句ぐらいは聞いてあげる」
士郎「明日から藤ねえの世話、頼んだ」
パシンッ
凛「拳王も、何か言い訳ある?」
ラオウ「拳王の肉体は砕けぬ!」
バキッ
凛「はぁ……拳王まで要らないダメージもらってきて。頭痛いわ」
士郎「……慎二を倒そう。手遅れになる前に」
凛「覚悟はできてるわね」
士郎「ああ。次は迷わず倒す」
セイバー「それでこそ聖杯戦争を戦うマスターだ」
士郎「頼むセイバー、みんなを守る為に力を貸してくれ」
セイバー「はい、任せて下さい」
セイバー「シロウ」
士郎「ああ、明らかにこっちを見ているな」
セイバー「挑発と取っていいでしょう。受けますか?」
士郎「探す手間が省けたのは好都合だ。……ここで決着をつけよう」
セイバー「はい」
凛「今回は乱入しないの?」
ラオウ「女を手にかけるのは好かん」
凛「案外紳士的じゃない」
ラオウ「……」
凛「何が?」
ラオウ「小僧の事だ。戦う男の命は短い。後悔しても知らぬぞ」
凛「な、何で私が士郎の生き死にまで考えなきゃいけないのよ」
ラオウ「ふ……」
凛「笑うな!」
ラオウ「いや、この拳王も、死してようやく人間臭さが出てきたと思ってな」
凛「……そういえば、あんたの生前ってどんなだったの?」
核戦争で文明が後退した世界を、暴力と恐怖で支配しようとした男
北斗神拳という2000年を超える歴史を持つ、伝説の暗殺拳の使い手にして、究極奥義の体得まで辿り着いた数少ない拳士
その鮮烈過ぎる生き様は、多くの男達を惹き付け、今尚語り継がれている――
ラオウ「みたいだな」
凛「じゃあ、あなたは何者なの……?」
ラオウ「さあ……」
ラオウ「辿り着つかなかった未来の人間か、遥か未来の人間か……或いはその逆か」
凛「そんな……有り得ないわ」
ラオウ「事実ここに俺はいる。誰よりも数奇な体験をしている事を喜べ小娘」
エクスカリバーッ
凛「あんな切り札を隠してたなんて……」
凛「って、あんな大技使ったらセイバー消えちゃうんじゃ!?」
ラオウ「出よ黒王号!」ピシャーン
バカラッバカラッバカラッバカラッ
黒王号「ヒヒーン!」
ラオウ「さあ乗れ!」ザッ
凛「…………っええい!」
ラオウ「つぉーう!」
ドスゥゥン
凛「セイバー!」ザッ
セイバー「はぁ…はぁ……リンでしたか……一瞬、ライダーの再来かと…………」
凛「凄く消耗してる……士郎は?」
セイバー「マスターを追っていきました…………」
凛「拳王、お願い」
ラオウ「仕方ない」スゥ…
ラオウ「セイバーが現界している以上、死んではいないだろうが、気配が全くない」
凛「く……次から次へと」ギリッ
セイバー「リン、シロウは……」
凛「大丈夫。生きてるなら、何かしらの交渉が持ちかけられる筈……今は自分の心配だけしなさい」
セイバー「すぅ……すぅ……」
凛「……どうだった?」
ラオウ「キャスターが言うには、アインツベルンと教会以外を探った結果、どこにも見当たらないと」スゥ…
凛「という事は、士郎はアインツベルンに……」
ラオウ「行くか」
凛「嬉しそうね」
ラオウ「あれほどの男と、また戦えるのだ。自然とたぎってくるというものよ」
イリヤ「ねーシロウ、イリヤのものになってよー」
士郎「いや、それはできない」
イリヤ「どうしても?」
士郎「どうしても」
イリヤ「イリヤのお願いでも?」
士郎「駄目だ」
イリヤ「イリヤ、シロウがイリヤのものになってくれるなら、なんでもするよ?」
士郎「……それでも駄目だ」
イリヤ「えー」
士郎「いや、イリヤの事は嫌いじゃないぞ」
イリヤ「じゃあ好き!?」グッ
士郎「わ、割と」
イリヤ「えー、割と?」
士郎「け、結構」
イリヤ「えー……」
士郎「か、かなり……」
イリヤ「じーっ」
士郎「うう……」
イリヤ「ホント!?」
士郎「ホントホント」
イリヤ「わーい!」ギュー
士郎「うう……」
イリヤ「じゃあ、イリヤのものになってくれる?」
士郎「それは無理だ」
イリヤ「えー……」
バタンッ
士郎「ま、まて! あの女って……」
士郎(あの女って……セイバー? それとも遠坂)
ガチャ
凛「へー、衛宮君ってああいう子がいいんだ」
士郎「おわっ!?」ガタンッ
凛「あ、コケた」
凛「ホントはまんざらでもなかったんじゃない?」
士郎「しつこいな」
セイバー「リン、イリヤスフィールが戻る前に脱出を」
「誰が戻る前に……って?」
凛「まさか……」
イリヤ「ふふふ……今日は全員逃がさない」
士郎「イリヤ、殺し合いなんてやめるんだ!」
イリヤ「どうしてそんな事言うの? こうなったのはシロウの所為なんだよ?」
士郎「俺の……?」
イリヤ「シロウが私のものになってくれれば見逃してあげようと思ったけど」
イリヤ「けど、もう駄目。イリヤの言うこと聞いてくれないシロウもいらない」
バーサーカー「■■■■■■■■■■■■■■!!!!」
バーサーカー「■■―――!!」
イリヤ「今日は出し惜しみしないんだから……!」コォォ
凛「!? バーサーカーのステータスが……!」
バーサーカー「■■■■■■■■■■■■■■■■!!!!!!」ゴゴゴッ
凛「ま、まだ跳ね上がってく!!」
ラオウ「ぬんッ!」ドゴォッ
凛「!? 天井なんか壊して何を……」
ラオウ「うぬら見よ。あの北斗七星の傍らに輝く星が見えるか?」
士郎「え……」
凛「……見えないけど」
イリヤ「ふん、見えたらなんだってのよ」
ラオウ「ふ、その星は死兆星。うぬを死へと誘う道標だ!」
★
★
★
★
☆ ★
★
バーサーカー「■■■■■■■■■■■■■■!!!!!!」ゴァッッ
――――ドゴォォォオッッ
士郎「くっ!?」ビリビリッ
セイバー「なんという凄まじい衝撃!」
凛「拳王!」
ラオウ「ぬうぁぁぁッッ!!」ガキィンッ
バーサーカー「■■■■■■■■■■■■■!!!!」ガキャァン
ラオウ「ぬうっ!?」
セイバー「崩された!?」
凛「避けて!」
――――ドガァァァアッッ
ラオウ「ぬぐぅぅ……!」パラ…
バーサーカー「■■■■■■■■■■■■■■■■!!!!」グァァッ
ラオウ「ぐあぁぁっはっはあああ!!!!」ゴォォ
――――ガシィィッッ――――
士郎「組み合った!」
イリヤ「押し潰せバーサーカー!」
ラオウ「ぐぬぅぅ……!」ブシュッ
ゴゴゴゴゴゴゴゴゴ…………ッッ
セイバー「大気が震えています……!」
士郎「すごい……これが…………男の闘い!」
ラオウ「かぁーッッ!!」クワッ
――――ベコォンッッ
凛「今よ!」
ラオウ「かああぁぁッッ!!」
――――ゴオッッッ
ラオウ「北斗百裂拳んんッッ!!」ブアァァッ
――――ドガガガガガガガガガガッッッ――――
イリヤ「いいえ、まだよ!」
ガシッ
ラオウ「ぬぅ!?」グッ
バーサーカー「■■―――」ググッ
イリヤ「バーサーカーに同じ技は効かないわ!」
バーサーカー「■■■■■■■■■■■■■■■!!!!」ゴォォッ
ラオウ「がはぁ……ッ」ブシャァァ
凛「拳王!」
イリヤ「ふふ……バーサーカーをなめてもらっちゃ困るわね」
ラオウ「ふ…………ふはは……」
イリヤ「……な、何よ」
ラオウ「心地良き痛みと言うべきか……」グッ
ラオウ「うぬもそう思うだろう、バーサーカー」
バーサーカー「…………」
イリヤ「馬鹿ね、狂化したら言語能力は失われるのよ」
ラオウ「……」
ラオウ「拳こそ我らが言葉……か」
ラオウ「強敵の名に相応しき者よ、よく聞け! 我は世紀末覇者拳王! 誇り高き北斗の長兄ラオウなり!!」ゴォォッ
セイバー「拳王が真名を……!」
凛「! 拳王のステータスから靄消える!!」
ラオウ「見せようぞ、世紀末覇者ラオウの拳ッ!!」ゴォォッ
バーサーカー「■■■■■■■■■■■■■■!!!!」
約束された勝利の拳
北 斗 剛 掌 波
セイバー「! まだです!」
バーサーカー「■■■■■■■■■■■■■!!!!」グォッ
――――グシャァァァッ
ラオウ「ぐぁあ!?」ドガアッ
凛「あれを耐えるの!?」
セイバー「両腕を犠牲に無理やり突っ込んだんです!」
イリヤ「バーサーカー……」
バーサーカー「■■――」バクッ
ブシャァァ…
士郎「やった!?」
凛「いえ、まだよ!」
シュウゥ…
バーサーカー「■■■■■■■■■!!!!」ゴオオォッ
凛「! はい!」
ラオウ「魔力はまだ大丈夫か」
凛「……」
凛「そんな事、アンタは気にしなくていいから、思い切りやりなさい!」
ラオウ「……」
ラオウ「ふ、なかなか良い女になったな」
バーサーカー「■■■■■■■■■■■■■■■■■!!!!!!」
――――――ガギャアアァンッッ――――――
ラオウ「があああッッ!!」ブォンッ
バーサーカー「――――■■■!!」グラッ
士郎「がら空きだ!」
凛「ぶちかませ!!」
ラオウ「はぁぁああ……!!」ブァァ…
勝利すべき最強の拳
天 将 奔 烈
バーサーカー「■■■…………」
――――ドゴォォォオオンッッッッ――――
士郎「…………どうなった?」
セイバー「私の目でもどうなったかは……」
ラオウ「……む!」
バーサーカー「■■■―――――」シュウゥ…
凛「嘘……どんだけ硬いのよ」
凛「大丈夫……大丈夫よ」
バーサーカー「■■■■■■■■■■■■!!」ゴオオォッ
ラオウ「……」
凛「ラオウ!」
ラオウ「……」スッ
凛「え……」
バーサーカー「■■■■■■■!!」グッ
ラオウ「立ったまま逝くか」
バーサーカー「■■■■――――」
バーサーカー「――――」
バーサーカー「――――」
ラオウ「さらば、最強の英霊よ」ザッ
バーサーカー「――――」
イリヤ「馬鹿、バーサーカーのバカ!」
イリヤ「なんで、なんで負けたのに笑ってるのよ…………!」
ラオウ「……」
『魔力回復が終わるまで見張りよろしくね』
ラオウ「拳王を門番にするとはいい度胸だ」
\アンアン/
ラオウ「ぬぅ……」
ラオウ「うむ、身体中に力が漲る。ただちちくりあってた訳ではないのだな」
凛「なっ!?」
セイバー「っ!」
士郎「……」
ラオウ「何を赤くなっている。あれだけ声に出しておれば門外にも聞こえるわ」
凛「……」
セイバー「……」
凛「そう! 残りのサーヴァントは……えと、ランサー、アーチャー、キャスター、ライダー……は倒したし」
セイバー「私とラオウの5人ですね」
士郎「キャスターはいいとして、アーチャーに至ってはまだ姿すら見てないからな」
凛「ラオウがアーチャーだと思ってたけど……クラス:世紀末覇者とか笑えないわ」
セイバー「これはなんと読むのですか?」
セイバー「或いは、既に脱落しているか」
士郎「……」
凛「ランサーのマスターも黙っていない筈。激突は近いわ」
士郎「で、アインツベルンもマキリも倒した今、どこに目を付けてるんだ?」
凛「それは……」
ランサー→健在
世紀末覇者→アーチャー枠奪ってる
ライダー→消失
バーサーカー→消失
キャスター→生きてるけど事実上脱落
アサシン→キャスターと一蓮托生だから事実上脱落
残りはランサーとイレギュラーだけか
凛「うるさいわね。私一人で使い魔飛ばしまくるのは限度があるのよ」
凛「大体戦ってばっかりで、諜報活動なんかろくにやる暇なかったじゃない」
(またキャスターでも使えばいいだろう)
凛「……いや、それはちょっと」
(なんだ)
凛「ようやく掴んだ幸せぐらい、見守ってあげましょう」
(俺を門番として使っておいてよく言うわ)
凛「あんた、微妙に小さいわね」
「久しいな」
セイバー「――――なっ」
「先の聖杯戦争以来か」
黄金の騎士「セイバーよ」
士郎「アーチャー? あいつがか?」
黄金の騎士「賤しい目で我を見るな雑種、反吐が出る」
セイバー「アーチャー、何故貴方がここに!」
黄金の騎士「お前を迎えに来たのだ。セイバーよ、我のものになれ」
士郎「おいアーチャー、お前とセイバーが何の関係か」
黄金の騎士「誰が口を利いていいと言った雑種ッッ!!」
――――ドガガガガガガガガガガッッッッッ――――
セイバー「大丈夫ですか、シロウ」
士郎「ああ……」
黄金の騎士「よくぞ避けた。さすが王を名乗るだけはある」
黄金の騎士「だが、その雑種を庇いながらいつまで耐えられるかな?」スッ
セイバー「シロウ、走って!」
士郎「セイバー――」
――――ドガガガガガガガガガガッッッ――――
ラオウ「凛」スゥ…
凛「わかってる。黒王を呼んで!」
ラオウ「いいだろう。 黒王号!」ピシャーンッ
バカラッバカラッバカラッバカラッ
黒王号「ヒヒーンッ!!」ズズンッ
ラオウ「乗れい!」
凛「はっ!」
バカラッバカラッバカラッバカラッ……
セイバー「……シロウ」
ドサッ
セイバー「シロウ? シロウ、何故私を庇ったのです!」
士郎「――」
セイバー「シロウを守るのが私の使命なのに……何故」
黄金の騎士「……雑種風情が粋がりおって」チッ
「待ちなさい」
黄金の騎士「……まだ何か?」
セイバー「主君を斬られて黙っていたとあれば、騎士の名折れ」ザッ
セイバー「ギルガメッシュ、貴方を討ち取ってこの汚名を濯ぐ!」チャキッ
ギルガメッシュ「そこの身の程知らずの雑種に免じて、今宵は見逃すというのに、尚向かってくるか」
セイバー「それでも……私は」ゴオオォッ
ギルガメッシュ「……ふん。よい、ならば精々叫んでみよ!」ブォォッ
――――シロウ、私は……――――
セイバー「エクス―――――」コォォ…
―――――ッッッ ゴオオォォォォォッッッ―――――
凛「きゃああ!?」
黒王号「ヒヒーンッ!?」
ラオウ「ぬ!? 静まれ!」グッ
ラオウ「なんと猛々しい光…………まるで死兆星のようだ」
ドタッ ズザァァ…
ギルガメッシュ「呆気ない。聖剣を持ってしてそれか」
セイバー「」
ギルガメッシュ「今のお前に我を惹き付ける強さは無い。そのまま消えるがいい」
バカラッバカラッバカラッバカラッ
ギルガメッシュ「ん?」
黒王号「ヒヒーンッ!!」ズズンッ
ギルガメッシュ「王の前である、頭が高いぞ!」
ラオウ「我は世紀末覇者拳王! この世に王は一人でよい」
ギルガメッシュ「ほざけ雑種。王とは我、我こそが王。我の前に王はなく、我の後に王はいない」
ラオウ「ふ……」
ギルガメッシュ「何がおかしい」
ラオウ「なに、うぬのような人間を見たのは久しぶりでな」
ズズンッ
ラオウ「恐怖で支配してやりたくなる」バサッ
ラオウ「……」ピクッ
ギルガメッシュ「踊れ」パチンッ
――――ドガガガガガガガガガガッッッ
凛「!? ラオウ!!」
――――バチバチバチバチバチッッ――――
ギルガメッシュ「……ほう」
ラオウ「我が肉体は無類無敵……!」
ギルガメッシュ「ふふ……」
ギルガメッシュ「ふははははは!! これほどの大馬鹿者は久しぶりだ! 良い、良いぞ!」
ギルガメッシュ「加減をした詫びに、次は確実に殺してやる。ゆっくり寛ぐがいい」
ギルガメッシュ「英霊の座でなぁ!!」パチンッ
――――ザンザンザンザンザンザンザンッッッ――――
男達が最強を目指し、戦った夢
あるいは、愛する者の為に戦う夢
己の信念に殉じた夢
これは夢だ
哀しみを知り、優しくなった男達の夢――
ギルガメッシュ「消し飛んだか」
ピシッ
ギルガメッシュ「!? 我の鎧に傷が!」
――――ピキーンッ――――
ギルガメッシュ「あがっ!?」ビクッ
――されど無はまた無力――
――「無より転じて生を拾う」――
――それが
北斗神拳究極奥義――
背負いし哀しみの重み
無 想 転 生
ギルガメッシュ「み、見えなかった……この我の目にさえも」ビリビリッ
ラオウ「傲慢の鎧を脱ぎ捨てろ、英雄王。黄金で塗り固めた心では、この身体を掴む事はできん」
ギルガメッシュ「できぬ……! それだけは……傲慢こそ我が王道……!」
ギルガメッシュ「ぬああああぁぁぁぁぁッ!!!!」ゴウッッ
ラオウ「む!」
ラオウ「……」
ラオウ「ならば俺も全霊をもって応えよう! 偉大なる英雄の中の英雄よ!!」ゴオオォッ
ギルガメッシュ「星となれ――――ッッ!!」
エヌマ ・ エリシュ
天 地 乖 離 す 開 闢 の 星
―――――――――――――――――――
ドゴォォォォォォオオオンンンッッッッ
―――――――――――――――――――
凛「ッッッッ!!」ビリビリ
士郎「…………うっ」ビクッ
凛「! 士郎!」
士郎「遠坂…………」
凛「しゃべらないで! また傷口が……」
士郎「―――」
凛「……え」
士郎「……だって」
――この世の全てを手に入れた王でさえ、この一握りの想いを握る事はできない――
ラオウ「……」シュウゥ…
ギルガメッシュ「……」
ラオウ「さらばだ、強敵よ」グッ
ドゴォッ――――
凛「!」
士郎「勝った……!」
ラオウ「……」
ギルガメッシュ「ま、まだ……!」ググ…
ギルガメッシュ「――――ぁ」
ドサッ
ギルガメッシュ「――」
ギルガメッシュ
「その声は……エルキドゥか?」
ギルガメッシュ、迎えに来たよ
「おお、待ちわびたぞ。今日は何をしてやろうか」
「久しぶりに力比べでもするか」
ギルガメッシュ「なぁ、エルキドゥ――……」スゥ…
ラオウ「……」
ラオウ「凛、悪いが黒王号は用意できそうにない……」
凛「え……それって」
ドシャァッ
凛「ラオウ!?」
ラオウ「いささか疲れた……しばらく眠りにつく…………」スゥ…
凛「ちょ、ちょっと! 消えたりしたら許さないんだからね!」
ラオウ「はは……」
スゥ…
凛「……ばか」
士郎「ラオウの具合はどうなんだ?」
凛「……」
セイバー「凛?」
凛「それが、霊体化したきり返事がないのよ」
セイバー「ギルガメッシュと真正面からぶつかったのです、無理もない」
士郎「残るランサーは俺とセイバーがやるしかないな」
なんというGJ
この動き…トキ!
ワロタwwwwww
ありがとう!
凛「鳴子の音!?」
セイバー「サーヴァントの気配があります。ここは私が」
士郎「頼んだぞ」
セイバー「……」コクッ
ランサー「来たな、剣の英霊」
セイバー「強襲せず待ち構えるとは、余程腕に自信があるようだ」
ランサー「ようやくマスターからお許しが出たからな。今日は存分にやらせてもらうぜ!」
セイバー「! ラオウ!」
ラオウ「この大一番、譲って貰えぬか」スゥ…
ランサー「お前は……我が槍を素手で受け止めた男!」
ラオウ「うぬこそ俺の最後に相応しい」
セイバー「待ちなさい! 最後とはどういう事ですか! 私との戦いは」
ピキーンッ
セイバー「くぁ!?」ビクッ
ラオウ「俺は女は殺さん。俺の拳が女の血で汚れるなど恥辱」
セイバー「ラオウ! 貴様ぁぁ」
ランサー「おいおい、随分と余裕だな。俺がマスターを狙わないとも限らないのに」
ラオウ「うぬはそんなタマではないだろう。ただ一瞬、心躍る戦いこそが望み」
ランサー「……お見通し、か」
ラオウ「目がそう言っている」
ランサー「ならばこそ、アンタの首は俺が取るしかねぇな!」
士郎「セイバー、サーヴァントは……!?」
セイバー「申し訳ありません……ラオウの術で身体が……!」グッ
凛「ラオウ! あんたまだ戦える状態じゃ……!」
ランサー「おらおらおらおらッッ!! さっきまでの威勢はどうした!」ガガガガガッ
ラオウ「ぬ……くぅ」ビッ ザクッ
ランサー「身体縮めちまって……テメェはそんなタマかよ!!」ガガガガガッ
セイバー「ましてやランサーは凌ぎ合いに長けたサーヴァント! 長期戦では勝ち目がありません!」
ラオウ「黙れ小娘! だからうぬは俺と戦えぬのだ!」
セイバー「!」
ラオウ「うぬとて英雄王に牙を剥いたであろうが。俺の戦いを見て心躍ったろうが」
ラオウ「今うぬを突き動かすは何だ! 聖杯なんぞに縋りおって!」
ラオウ「聖杯で道は拓けるか! 否! 道とはこのラオウの後ろに在りッ!」
ドチャッ
グサッ
ラオウ「ぐうぁぁぁあああッッ」グオッ
ドガァァァッ………
ランサー「俺の槍を見切った技の冴えはどうした! それじゃあバーサーカーだぜ」ザッ
ラオウ「ぐうぅ……」ガラ…
凛「ラオウ……まさか目が……」
士郎「遠坂」
凛「士郎……」
――――ザクッ
ラオウ「がぁ!?」ドサァ…
凛「ラオウ!」
ラオウ「ぬ……」グッ
ランサー「……まだ立ち上がるか」
ラオウ「く……くはははは!!」
ラオウ「この目をえぐれ! この腕を砕け! されどお前には死あるのみ!」
ランサー「…………敵ながら天晴れだ」
ランサー「ならば、せめて惜しみない賞賛と共に、我が宝具で葬ろう……!」ゴッ
ランサー「ああ、これからセイバー戦を控えているのに使うんだ。誇っていいぜ」ゴゴゴ
ラオウ「さあ、こい!!」グワッ
ランサー「さらばだ、類い希なる拳の英霊よ――――」ダッ
ゲイ ・ ボルグ
刺 し 穿 つ 死 棘 の 槍
――――ドチャッッ――――
ラオウ「――――……」ブシュゥ…
ランサー「あのバーサーカーを倒した奴が……呆気ないもんだ」
グッ
ランサー「!?」
ガシッ
ランサー「な、馬鹿な!?」
ラオウ「今なら見えるぞ……うぬの姿が!」クワッ
凛「ラオウ!」
士郎「ラオウ!」
「さらばだ、戦友達よ」
ラオウ「天に滅せぇぇぇいッッ!!!!」カッ
天をも握る最強の拳
北 斗 滅 天 把
K O
――――ドゴォォォォォォオオオ…………
凛「ラオウ……」ペタン
士郎「消えちまったな」
セイバー「世紀末覇者拳王……その英雄譚、永久に語り継ぎましょう」
凛「……馬鹿、馬鹿っ、消えたら許さないって言ったのに……!」
士郎「遠坂、ラオウの最期って知ってるか?」
士郎「だから、誰にも看取ってほしくなかったんだと思う」
凛「なんで……グスッ、なんで士郎がそんな事知ってんのよ」
士郎「いや、夢で見たんだけど」
凛「夢の話でしょ!」
そう、これは夢
ある最強の男が見た、束の間の夢――――
士郎「ああ!」
凛「ええ!」
セイバー「ラオウ……私はもう一度、自らの力で――――」
世紀末覇者伝説 冬木の杯 完
次はジャギ様で頑張ります
絵師さんありがとうございました
ではお休みなさい
ラストバトル兄貴持ってきたのはナイスだった
いいもん見せてもらったぜ
ジャギwwwww
ジャギ様にも期待してる
滅茶苦茶面白かったよ
素晴らしかった
ジルドレみたいにジャギも幼少期から青年期はまともだったからな、楽しみだ
Entry ⇒ 2012.06.17 | Category ⇒ FateSS | Comments (0) | Trackbacks (0)
キャスター「焼肉というものには鮮度があります」
キャスター「真に美味しいタイミングとはお肉の表面から肉汁がでる、その瞬間のことをいいます」ヒックリカエス
キャスター「あっリュウノスケ、それ丁度いい具合ですよ」
龍之介「わかったよ旦那!」パクッ
キャスター「…いかがでしたか?瑞々しく新鮮なお肉の味は」
龍之介「最高だ!超COOLだよ旦那ッ!」
セイバー「」ジー
キャスター「おお、ジャンヌよ」
キャスター「このジル・ドレが焼いたお肉をお食べください」ペコリ
セイバー「ま、まあそこまで言うのであれば食べてあげましょう」パクパク
キャスター「おお!」
龍之介「よかったね!旦那ッ!」
セイバー「」ヒョイ
セイバー「む、これはまだですね」モドス
キャスター「っ!」
キャスター「…そうですね、今日は団欒の場ですし自重しましょう」
セイバー「あ、店員さんビビンバお願いします」
キャスター&龍之介「!!!」
ライダー「む?なんだ全然肉を焼いてないではないか」ドサドサ
キャスター「」
龍之介「ひでぇ…あんまりだっ……!」
ライダー「ぬ?どうした坊主」
ウェイバー「せっかくキャスターがきれいに焼いてたのに何をしてやがりますか!」
ウェイバー「これじゃすぐに肉が焼けてしまって美味しく食べれないだろ!」
ライダー「それに落ち着いて食べたいのであればあちらの席で食べればいいではないか」
―――
時臣「…」
切嗣「…」
綺礼「…」
雁夜「…」
アサシン「…」
時臣(…どんなときでも余裕をもって優雅たれ)
綺礼「」パクパク
切詞(誰よりも激しく食べているのに、この男はただの一度もご飯をたべていない)
切詞(こいつはきっと危険な奴だ…)
雁夜(蟲たちに食べさせたら店員に怒られるかな)
――――――
ウェイバー「じゃんじゃん焼いてがんがんたべよう!」
セイバー「む?まけませんよ!」
アーチャー「なんだこの安いお肉は?これで我をもてなそうと言うのかこの店は」
ライダー「そうかぁ?これらのお肉はなかなかの一品だぞ?」
アーチャー「それはお前が本当のお肉というものを知らぬからだ」
アーチャー「見るがいい!そして思い知れ、これが王の肉というものだ」
店員「すみません、お持込はご遠慮ねがいますか?」
アーチャー「あ、はい」
ライダー「んん?まあ次に持ち越しといったとこであろうな」
アーチャー「」パクパク
セイバー「しかしこの勝負負けませんよ?」
――――
ランサー「このままではお肉が…」
ランサー「我が主よ、ご決断を」
ケイネス「落ち着けランサー」
ケイネス「本編と同じミスは犯さないのが私だ」
バーサーカー「…ur…ar……ッ!!」
ライダー「むっ!狂化して理性がないくせに食べごろのお肉ばかりを!」
セイバー「クッ!!」クソコレハヤケテナイ
ウェイバー「なっ!セイバーのやつ煙をバーサーカーに…!」
バーサーカー「~~~~~~ッ」ゲホゲホ
セイバー「ふぅ、悪は去りましたね」
ケイネス「…ランサー、技の開帳を許可する」
ケイネス「そこのセイバーは危険だ、速やかに始末しろ」
ランサー「了解した。我が主よ」チャッ
セイバー「む、二膳の箸ですか」
セイバー(こいつ・・・なんと行儀の悪い…)
ランサー「…両手で箸使えたところで肉が焼ける速さは変わらずでして」
セイバー「」パクパク
ランサー「すみませんでした!!」
ケイネス「」
切嗣(…そろそろ頃合か)
切嗣(舞弥)
舞弥(はい)カタカタ
切嗣「む、すまない着信だ。失礼する」
切嗣「あ、店員さん、会計はあの人たちがしますので失礼します」
店員「ありがとうございました」
時臣「」
ライダー「なるほど」
おい
ウェイバー「な、なんだよ」
―――集えよ!我が同胞!
時臣「なっ!」ガタッ
時臣(綺礼は)チラッ
時臣(…流石は代行者、すでに居ないか)
―――店の外―――
綺礼「アサシン、食後は中華だ」ズリズリ
アサシン「」
バーサーカー「~~~~ッ」ビクンビクン
雁夜「~~~~ッ」ビクンビクン
時臣「なっ…これは一体…!」
セイバー「わ、わたしは知りませんっ」
セイバー「…たばすこと言うものをこの男の飲み物に入れただけで」
店員「あの?どうかしましたか?」
時臣(…あせるな時臣)
ケイネス「あせるな遠坂」
ケイネス「救急車を呼んでおいた…じきに来る」
雁夜「」ビクンビクン
救急隊員「うわぁ」
時臣「済みませんがよろしくお願いします」
救急隊員「あ、ご家族や親戚の方は?」
時臣(?!行ける!!!)
時臣「はい!私です、私が付き添いします」
救急隊員「え?はい、よろしくお願いします」
ケイネス「…行ったか」
ケイネス「…アインツベルンのサーバントよお金を持っているか」
セイバー「」ビクッ
ケイネス「だろうな」
ケイネス「令呪をもって命ずる…自腹を切れランサー」
灰燼―――
そう呼ぶにふさわしい惨状だった
その蹂躙ぶりは徹底的過ぎて、焼肉奉行の跡がうかがわせぬほどであった
龍之介「丹精込めて俺達が仕上げてきたお肉が…」
龍之介「酷すぎるっ!これが人間のやることかよ!」
キャスター「…リュウノスケ、貴方は他者と行く焼肉に潜む醜悪さについて、まだ理解がなかったのですね」
私達の創造は常に他人による破壊との相克という試練に晒されているのですよ
でも、旦那…それでも焼肉には行くんだろ?
…何故?
…奉行になって間もない貴方がなぜそのように思うのです?
だって世界には焼肉の美味しい食べ方をしらないやつが多すぎる
きっと神様が言ってんだよ、全世界50億人に焼肉を美味しく食べさせろって
…あぁリュウノスケ…まったく貴方という人は…
よろしい
ならばひときわ美味しく色鮮やかなお肉を世界に知らしめてやらねば!
また焼肉に行くんだね!?旦那!
そうと決まれば前祝です
今日の宴はとりわけ趣向をこらして味わうとしましょう
合点承知だ!食べられたやつのどれよりも美味しいお肉に仕上げるよ、俺!
終われ
ほのぼのおもしろかった
そんなにも食べたいか!そうまでしてロースが欲しいか!
この俺がたったひとつ願ったお肉さえ食べて…
貴様らは何一つ恥じることはないのか!
許さん…断じて貴様らを許さんッ!
…こんな感じの落ちだけは準備してたのにランサーさんには落ちすら与えられなかった
Entry ⇒ 2012.06.17 | Category ⇒ FateSS | Comments (0) | Trackbacks (0)
トランクス「もし完全体セルが大したことなかったら」
ベジータ「そいつが完全体とやらか。やはり、思ってたよりも大したことなさそうだ」
セル「……ふむ」
ベジータ「あんなカスみたいなやつをいたぶってうれしいか?」
セル「これは失礼。ではキミが、わたしのウォーミングアップを手伝ってくれるのかな?」
ベジータ「いいとも。ウォーミングアップでおしまいにしてやるぜ」
セル「よろしく」
セル(ふはは……素晴らしい、素晴らしいぞこのパワー!!今なら誰にも負ける気がしない!!」
ベジータ「おい、心の声が漏れているぞ」
セル「む、これは失礼」
皆様、お気づきかもしれませんが、この話のテーマは“家族愛”です。
人と人との関係が希薄な昨今、やはり最後まで味方でいてくれるのは家族だけだと思います。
皆様にこの作品を通じて、家族の大切さを再認識していただけたらと思います。
長々とお付き合いいただき、重ね重ね感謝の言葉を述べさせていただきます。
最後にこのような駄文を載せることは蛇足と思いながらも、謝辞を言わせていただきます。
自分は、物書きとしてまだまだだと思いました。
力量不足のため、わかり辛い表現が多かったことも多々あったと思います。
それでもお読みくださった皆様に御一層の発展を願います。
セル「ふんっ!」ガッ
ベジータ「! ほう……」
セル(素晴らしいっ……以前は受け止めてもガードごと吹っ飛ばされたのに、今は受け止められるっ!!)
セル「はっはっはぁ!」ブンッ!
ベジータ「ちいっ!」バッ
セル「そぅらっ!!」シュッ!
ベジータ「はぁっ!!」ガシッ!
セル「ぐぬっ……!?」
ベジータ「どうしたセル!?そんなものかぁ!!」バギッ!!
セル「まだまだだっ!!」
クリリン「す、すげぇ……完全に互角だ……」
トランクス「あれだけ修行した父さんと互角なんて…でも、これなら……」
クリリン「……ああ、わかってる。お前は、更にとんでもない力を隠してるってんだろ」
トランクス「! ……気付いてたんですか……」
クリリン「なんとなくな……。でも、その力でベジータに加勢すれば、セルをやっつけることだって出来るんじゃないのか?」
トランクス「……父さんはプライドの高い人だ……俺が父さん以上の力を手に入れてしまったなんて、言えるわけないじゃないですか……」
トランクス「あのまま父さんが勝ってくれればいいのですが……最悪、負けても気を失いさえすれば、俺が代わりに戦いに出ることもできる……」
クリリン「……あ、ああ。俺もその方がいいと思うぜ」
セル「はぁ、はぁ、……ふふふ、そいつはどうも……!」
ベジータ「だが、次でおしまいだ!かぁぁぁぁっ……!!」バチバチッ…!!
セル「!?」
ベジータ「ファイナルフラーッシュ!!」カッ
クリリン「は、離れろトランクスーっ!!」バッ
トランクス「くっ!」バッ
セル「ぐぅっ!!?」バッ
ドシュウウウウウウウウウ!!!
セル「ぐ、ぐぬぅ……!!」
ベジータ「は、はぁっはっはっは!!!ざまぁみやがれ!!これで、俺と貴様には決定的な差が出てしまったな!」
セル「ま、まだだっ……!はぁっ!!」ズルゥゥ!!
ベジータ「なっ……!?」
セル「は、ははは……!わたしがピッコロの細胞も持っていることを忘れたのか!?」
ベジータ「ちぃっ……!」(まずい、今ので気をほとんど使い果たしてしまったっ……!!)
ベジータ「があああああっっ!!?」ドガァァァン!!
パラパラ…
ベジータ「……」フッ
セル「ふ、ふはは……!やった、ベジータを倒したぞ!!これで、俺に敵う者はいない!!」
クリリン「お、おいトランクスっ!!」
トランクス「わかっていますっ!!」
トランクス「はぁぁぁぁぁぁ……っっ!!」ググググググッ……!!バチンッ!!
セル「!?」
トランクス「………」スゥゥゥゥ…スタッ
セル(な、何と言うパワーだっ……!?)
トランクス「クリリンさん!父さんを連れて武天老師様のところへ!」
クリリン「あ、ああ、わかった!勝てよ、トランクス!!」
トランクス「はい、任せてください」
セル(し、信じられん……!!こんな奴がこの世にいるとは……!?べ、ベジータ以上……!?)
セル「ひっ!?」サッ
トランクス「でぇいっ!!」ブゥン!!
セル「ぐっ!?」サッ
トランクス「くっ!!」ババッ、ブゥン!!ブゥン!!
セル「ぬは、ぬは、ぬははは!!どうしたトランクス!?ひっ、あ、当たらなければ、どうということは、くっ、ないぞっ!?」サッ サッ サッ
トランクス「ちぃっ、すばしっこい奴め!!」バババ、ブンッ!!
セル「ふ、ふはは、うおっ、悔しかったら、むっ、当ててみろよトランクスっ!」ササッ バッ
セル「ふ、はは、は………パワーを重視するあまり、スピードが犠牲になっているのだ!それではいくらやってもこのわたしに攻撃を当てることなど、で、出来んぞっ!!」
セル(当たったらひとたまりもないだろうが……言ったもの勝ちだ!!)
セル「貴様はバカなのだ、トランクスめがぁ!!」
トランクス「う、うおおおおお!!?」バシュウウ!!
セル「ひぃっ!?」ビクッ
トランクス「でやぁぁぁ!!」ブゥン!
セル「しまっ……!!」
バキャッ…
セル「うぉぉぉぉぅ……!!!」ボトッ
トランクス「は、ハハハ!!バカはどっちだ!!油断したなセル!!」
セル「ち、ちくしょうっ……!はぁっ!」ズルゥ!!
トランクス「! ちっ……そう言えば、ピッコロさんの細胞も持っていたんだったか…!」
セル「は、ははは……!貴様のパワーがどれだけ凄かろうと、一気にわたしを倒すことができなければわたしは何度でも蘇るぞ!」
トランクス「くっ……くそおおおおお!!!」バッ
セル(ふ…ははは!奴のスピードにも慣れて来たぞ!!)ササッ
トランクス「でやっ!!」シュッ
セル「ぬははは!!どうしたトランクス!!」サッ ババッ
トランクス「はぁっ……はぁっ……!」
セル「はぁ……はぁ……どうしたトランクス……だいぶ息が上がって来たではないか……!」
トランクス「くっ……でいっ!」ブンッ
セル「これ以上、いくらやっても無駄だ!」ササッ
トランクス「くっ……くそっ……!ダメだ、攻撃が当たらないんじゃいくらやっても……!」
セル「そうとも、わたしを倒すことは不可能だ。理解したかな?」
トランクス「……」
セル(とはいえ、あれだけ強いと俺の攻撃もダメージ通らなそうだよな……どうしよう……)
トランクス「……!?どういうことだ!?」
セル「武道大会を開いてやろうと言うのだ、このわたしが」
トランクス「な、何のことだ……?」
セル「間を置き、互いに更に修行を積んで再戦しようと言うのだ。悪い話ではあるまい?」
セル「今ここに姿を現さない孫悟空も、恐らく修行しているのだろう?」
トランクス「ご、悟空さんなら、必ずやお前を倒す!俺はそう確信している!」
セル(やっべぇ……)「い、いい答えだ。では、後日。場所や日にちなどは追って知らせてやろう。ではな」バッ
トランクス「ッ……」
セル「どうしたものか……と、とりあえずリングを作ろう」
荒野―――
セル「…ふむ。ここらでいいだろう」スタッ
セル「しかし……奴らは短期間であれほどの成長をしたと言うのに、わたしはのんきにリングを作っている場合なのだろうか……」
セル「考えねば………奴らに対抗する術を……」
セル「……むぅ………」
セル「と言うことは、遠いながらもピッコロ大魔王の細胞……と言い変えることも可能なのではないだろうか?」
セル「確か奴は、同族を生み出す術を持っていたな……。ピッコロ本人にその力は備わってはいないようだが……」
セル「物は試しか。わたしになら出来るかもしれん」
セル「……と言っても、どうやって生み出すのかがわからぬからな……」
セル「とりあえず適当に気を高めて……」シュインシュインシュイン
セル「口から……だったか?んんん……うぉえっ……」シュインシュイン……パシュウウウ…
セル「はぁっ…はぁっ…」
セル「ダメだ……生み出せる気がせん……むしろ、吸収した17号、18号を戻しそうだ……」
セル「………そうだ、口がダメなら他から出すのはどうだ?」
セル「幸い、わたしには尻尾がある。ここからなら……んんんんんんんん……」ググググググググッ……
ポンッ
セル「!?」
セルJr「……」ムクッ
セル「おお……」
Jr「ウン」
セル「おお……」
セル「よし、いいか?今からお前は俺の仲間だ。今度、武道大会があるのだ。集まってくる敵を相手に、戦えるな?」
Jr「ウン、タタカエルヨ」
セル「おぉう……」(なんだ、この気持ちは……)
セル「ま、まぁあれだ。今日はもう遅いからな。とりあえず、修行は明日から始めることにしよう」
Jr「ウン、ワカッタヨ」
Jr「パパ」
セル「!?」
Jr「……Zzz」
セル(岩場の側で横になって寝ている……)
セル(それにしても…わたしがパパ…だと…?)
セル「ふ、ふはは……まぁ、これでとりあえずの戦力を確保する事が出来た」
セル「セルゲームが楽しみだ!」
セル「!?」
セル「……孫悟空……か?」
悟空「とうとう完全体になったか……」
セル「……そ、そういうことだ」(なんかやたら強くなってね?)
悟空「トランクスから話は聞いた。武術大会を開くそうだな……」
セル「ああ。名を『セルゲーム』と言う」
悟空「いいか、オラ達はその大会に出てやる。だから、もう人間に危害は加えるんじゃねーぞ?」
セル「元よりそのつもりだ。場所は……まぁ、言わんでもわかるだろう。ここにリングを作るから、今日より7日後に、ここに集まるがいい」
チュインッ
セル「……っ、はぁ……はぁ……」ガクッ
セル(なんだ今の気は……!?奴め、とんでもなく強くなっている……!!)
セル「ふ……ははは……これは落ち着いている場合ではないな……」
セル「よし、わたしも修行を始めるとするか!」
Jr「オハヨウ、パパ」
セル「む、起きたか。うぅむ……修行の前に、まずはそのカタコト言葉をなんとかするか」
Jr「?」
セル「わたしと楽しい勉強会だ」
数時間後―――
Jr「あーあー。こんにちは、はじめまして。僕はセルジュニアです。セルは僕のパパです」
セル「うむ、完璧だ。しかし、名前がセルジュニアとは流石に安直だな……」
Jr「?」
セリア「せ、り、あ?」
セル「いい名だろう?」
セリア「僕の名前?」
セル「そうだ。今後はそう名乗るといい。では、もう一度自己紹介の練習だ」
セリア「えーと……。こんにちは、はじめまして。僕の名前はセリアです。セルは僕のパパです」
セル「いいだろう、先ほどよりも自己紹介がよくなったぞ」
セリア「ありがとう、パパ」
セリア「てい、やあ!」
セル「なかなか筋がいいぞ、セリア!この調子ならば、ピッコロぐらいならば余裕で勝てるだろうな!」
セリア「はぁ、はぁ……」
セル「ふふふ……この調子で行けば……。ふふふははは……」
セリア「パパ、休憩しよう」
セル「ああ、そうだな」
セリア「パパ、修行しなくてもいいの?」
セル「ああ、根を詰め過ぎても良い結果にはならん。たまには休憩も必要なのだぞ?」
セリア「うん、わかった」
セリア「…Zzz」
セル「ん……寝たのかセリア…」
セル(しかし…なんだろうな、この気持ちは。これが父親と言うものか……)
セル(考えてみれば、わたしの中にはベジータや悟空の細胞もあるのだな)
セル(それらの細胞がわたしをこんな気持ちにさせるのだろうか……)
セル「そうだ、すっかり忘れていた。セルゲームのリングを作らなくては」
セリア「リング?」
セル「ああ。一応、武道大会ということになっているからな。リングがなくては話にならん」
セル「~♪」ボゴッ ビビッ ピッ
ガララララ… ヒュヒュヒュ ピッ ビビビッ ザザザザンッ
セル「よし、完成だ。我ながら中々しゃれたデザインに仕上がったぞ」
セリア「やあっ!!」シュビッ
セル「ふっ!」ヒュンッ
セリア「くっ!たあ!」ブンッ バキャアッ!!
セル「あ」
セリア「……あ」
セル「せっかく作ったリングが……」
セリア「ご、ごめんなさいパパ」
セル「……」ず~ん…
セル「いよいよ明日か……。はぁ……」
セル「リングを作り直さねば……。はぁ……」
セリア「パパ!」
セル「む、どうかしたかセリア」
セリア「こっちに来て!」
セル「一体どうしたと言うのだ……」
セリア「あの、リングを壊しちゃったのは僕だから、作り直したんだけど……どうかな?」
セル「……セリアよ」
セリア「は、はい」
セル「お前は良い子だなぁあああああ!!!」ガッシ!!
セリア「うわっ!?」
セル「よくやったぞセリアぁぁ!!」ぐりぐり
セリア「ぱ、パパ、くすぐったいよ」
セル「いよいよ今日、セルゲームだ」
セリア「……っ」ゴクリ
セル「セリアよ、お前はとりあえずどこかに隠れていろ」
セリア「え?」
セル「セルゲームのサプライズだ。奴らは、わたし一人だけだと思っているだろうからな。奴らが揃ったところで、お前が姿を現すのだ」
セリア「……」
セル「せっかくの武道大会だ。趣向を凝らしたいだろう?」
セリア「うん、わかった!」タッタッタ…
セル「よし……。ふふふ、早く来い孫悟空達よ……」
セル「来たか。ようこそセルゲーム会場へ」
シュタッ
16号「………」
セル「ほぉ……16号。お前もまだ生きていたのか」
悟空「さて、と……まずはオラからやらしてもらおうかな」グッグッ
セル「おっと、ゲーム開始の前に、わたしからちょっとしたサプライズがある」
悟空「えっ?」
セリア「……」ひょこっ
ベジータ「な、なんだあのちっこい奴は……?」
セル「紹介しよう。わたしの自慢の息子、セリアだ」
セリア「こ、こんにちは、はじめまして!僕の名前はセリアです!セルは僕のパパです!」
トランクス「むす……こ……?」
セリア「よ、よろしくお願いします!」
悟空「ありゃぁ……」
セル「ふはは、心配することはない。見た目はちっこいが、パワーはかなりのものだ」
セリア「……っ」カチコチ
悟空「………まぁ、いっか!」
悟空「よろしくな、セリア!」スッ
セリア「! ……」チラッ
セル「握手だ、セリア」
セリア「……よ、よろしくおねがいします!」ガシッ
セル(微笑ましい光景だ……)ホンワカ
セリア「っ!」タンッ
悟空「でやっ!!」ブンッ
セリア「くっ!?」タシッ
セル(そうだ、いいぞセリアよ……受け止めるでもなく回避するでもなく、受け流すのだ)
悟空「へぇ……ふっ!!」シュビッ!
セリア「は!」パシッ
悟空「おっ?」グラリ
セル「今だ、セリアああああああ!!!」クワッ
悟空「!?」
悟空「ぐっ!?」ヒュウウウ……スタッ
悟空「あ、あぶねぇあぶねぇ……リングアウトになるところだったぞ」
セル(流石孫悟空だ……武道大会のなんたるかを心得ているな)
悟空「おいセル!今の卑怯じゃねぇか!」
セル「何の話だ?」
悟空「いきなりでけぇ声出しやがって!黙って観戦出来ねぇのか!?」
セル「そいつは失礼した。少々興奮してしまったようでな」
トランクス(一体何が起こっていると言うんだ……?)
セリア「くあっ……!!」ヒュウウウウウ……ドォォォォン
セル「せ、セリアあああああああああああああ!!!」タッ バシュウウウウウ!!!
悟空「やっべ……ちっと力入りすぎちまった」
セル「大丈夫か、セリア!?」ガバッ
セリア「うう……ごめんなさい、パパ。僕、負けちゃった……」
セル「いや、気にする事はない!お前が無事ならそれで……!」
セル「ああ、大丈夫だ!心配かけたな!」
悟空「そっか、よかった!」
ベジータ「チッ!おいセル!さっさとゲームを続けやがれ!」
セル「ああ、そうだったな。本日のセルゲームは、これにて終了だ!」
全員「!?」
ベジータ「ふ、ふざけるなセル!!俺は貴様と戦いに来たんだぞ!!」
セル「バカものがあああぁぁぁぁぁっ!!!」
ベジータ「!?」
セル「戦いなんぞよりも……戦いなんぞよりもっ!!自身の息子の方が大事だろうがあああああああ!!!」
ベジータ「なっ……!?」
セリア「……」ビクビク
セル「おっと、すまないなセリア。つい大きい声を出してしまった」
セリア「う、ううん。大丈夫だよ」
ベジータ「くっ……バカにしやがってぇぇぇ!!」バシュウウウウウウウ!!
トランクス「とっ、父さん!?」
ベジータ「貴様の都合など知ったことか!俺と勝負しやがれええええ!!!」ダァンッ!
セリア「ぱ、パパ!!」
セル「ふぅ、仕方ない……セリア、下がっていろ」
ベジータ「食らえええええぇぇ!!」ダダダダダダダ!!
ドドドドドドドォォォン!!!
悟空「お、おいおいベジータ!ちっとやりすぎじゃねえか!?」
ベジータ「やかましいカカロット!!俺は一度奴と戦っているのだ!!この程度でくたばるような奴では……」
ベジータ「!?」
セル「せいっ!!」バキャ!!
ベジータ「ぐぅ!?」ズザザッ!
セル「全く、ふざけおって……貴様にも息子がいるだろう!!」
ベジータ「な、何を…!?」
セル「俺の、息子を想う気持ち、貴様にもわかるはずだ!!」
ベジータ「……」
トランクス「と、父さん……」
ベジータ「…………チッ!!」タンッ バシュウウウ!
悟空「あ、おいベジータ!……行っちまいやがった」
トランクス「僕が父さんを追いかけます!」タンッ バシュウウウ!
セル「孫悟空」
悟空「……なんだ、セル?」
セル「正直なところ……今のわたしは、貴様などどうでもいい。ただ、セリアと穏やかに暮らせれば、それで……」
セリア「……」
セル「ああ、わかっている……わたしも、息子を持ったことで自身の罪の重さを理解したつもりだ」
悟空「………もう一度確認するが、今後はもう一般人を襲うつもりはねぇんだな?」
セル「今のわたしでは……恐らく、貴様には勝てん。だが、貴様に拘るつもりも既にわたしには無いのだ。これからは、セリアと二人、静かに修行でもしながらすごしたいのだ」
悟空「そっか!悪いことをしねぇってんなら、オラはそれでいいさ」
クリリン「い、いいのかよそれで……」
悟空「今までセルに殺された奴は、ドラゴンボールで生き返らせればいい。もう、セルは悪い奴じゃねえさ」
クリリン「で、でもよ…」
クリリン「!」
セル「案ずることはない。ドラゴンボールの力ならば、わたしが吸収したその二人も元に戻すことが出来るだろう」
クリリン「ほ、本当か?」
セル「そうだとも。わたしのこの姿が変わることもないだろうが、それでとりあえずは解決ではないのか?」
クリリン「そ、そっか……でも、俺はお前を許さないぞ、セル!!」
セル「貴様の怒り、甘んじて受け入れる。殴りたくば殴るがいい」
セリア「パパ……」
クリリン「くそ……息子の見てるところでお前を殴るなんて出来るわけないじゃないか……」
セル「すまないな、クリリン。礼を言う」
クリリン「うるせぇ!俺はお前を許したわけじゃないんだからな!」
セル「ふはは……貴様とも、いずれわかり合いたいものだな」
セル「む?」
16号「俺はどうすればいい?」
セル「貴様のことなど知るか。本来わたしがいた未来に、16号などと言う人造人間は存在しなかった。16番は欠番だったのだ。それがどういうわけか、この世界では貴様が存在している」
セル「貴様がどうしたいか……それは、貴様にしかわからんさ」
16号「………俺、オレ、おれは……」ガガッ ピーッ
セル「!」
悟空「お、おい16号!?どうしたんだ!?」
16号「せいじょうナしこう、フノウ……フノウ……」プスプス……ピタッ
16号『重大なエラーが発生しました。至急メンテナンスが必要です。繰り返します。重大なエラーが……』
セル「………」
悟空「あちゃあ……オラ、メカのことなんて全然わかんねぇぞ……どうすっかなぁ……」
16号『緊急停止します。緊急停止します』ピーッ ドゥウウウン……
セル「こいつは、恐らく17号と18号を抑止する役割を担っていたのだろうな。その役割が不要になり、どうしていいのかわからなくなったのだろう」
悟空「よくわかんねぇ…」
セル「そうすれば、今後このようなことになることもないだろう」
悟空「そっか!ブルマんとこ持っていきゃあいいんだな!」ガッシ
悟空「おーい悟飯!オラ達もけぇるぞー!」
悟飯「あ、ハイお父さん!それじゃね、セリア」
セリア「うん!悟飯、バイバイ!」
悟空「んじゃな、セル!息子と仲良くな!」
セル「「ふん、貴様に言われずとも。また、いつでも来るといい。セリアも、喜ぶだろう」
セリア「うん!僕、また悟飯とお話したい!」
セリア「うん!」
悟空「うしっ、行くか!悟飯、クリリン!」タンッ バシュウウウ!
悟飯「はい!」タンッ バシュウウウ!
クリリン「お、おう!」タンッ バシュウウウ!
セル「行ったか……ふふ、不思議な男だ、孫悟空」
セリア「……」
セル「セリア、悟飯と仲良くなったのだな」
セリア「うん、仲良くなった!」
セル「ふはは、いいことだ。さて、わたしたちも一休みとするか!」
悟飯「はい!戦いは好きじゃないですけど、組み手ならやってみたいです!」
悟空「そっか!よかったな、悟飯!」
クリリン「はぁ……ま、物騒な戦いになんなくってよかったって思えばいいのかな……」
悟空「ま、そうだな。……おっ?ベジータとトランクスがいるな」
クリリン「放っておけよ、悟空。アイツも、色々と複雑なんだろうさ」
悟空「んー……そうだな。トランクスもいるし、心配することはねぇか!」
トランクス「父さん……僕は……」
ベジータ「何も言うな、トランクス」
トランクス「……」
ベジータ「わかっている……わかっているさ、俺もな」
トランクス「父さん……」
ベジータ「…………お前は、いつ未来に帰るんだ?」
トランクス「え、えぇ、もうこの時代に残る理由もなくなりましたから……宇宙船の準備が出来ているなら、明日にでも」
トランクス「!」
ベジータ「………いや、何でもない。忘れろ」
トランクス「出来るなら、僕もゆっくりしたいんですが……僕がいた未来では、相変わらず人造人間が暴れているでしょうから、早めに帰りたいんです」
ベジータ「そう……か、そうだな。今のお前なら、二人の人造人間になど遅れは取らんだろう」
トランクス「だとは思いますが……」
ベジータ「……頑張れよ、トランクス」
トランクス「父さん…!」
ベジータ「ふんっ!」タンッ バシュウウウ!
トランクス(母さんの言っていた通り、不器用だけど優しい人だった……父さんは)タンッ バシュウウウ!
トランクス「では、僕は帰ります」
悟飯「トランクスさん、お元気で!」
トランクス「はい!悟飯さんも、お元気で!」
悟空「未来にも、平和をな!」
トランクス「ありがとうございます、悟空さん!」
ベジータ「……」ピッ
トランクス「……」ピッ
トランクスの乗り込んだタイムマシンは宙へと浮かび、やがてその姿を消した。
セリア「パパ?どうかした?」
セル「いや……トランクスが、行ったようだな」
セリア「とらんくす?」
セル「ああ。ベジータの息子だ」
セリア「……」
セル「わたしが言うことではないかもしれんが……頑張れよ、トランクス」
セリア「頑張れ、トランクス!」
セル「さて、セリア!組み手の続きだ!」
セリア「うん、パパ!」
終わり
>>2で家族愛を指摘するコピペが貼られてひやっとした
最初からこの終わりを予測してたのかこいつは
Entry ⇒ 2012.06.17 | Category ⇒ 版権物SS | Comments (2) | Trackbacks (0)
輿水「プロデューサーさん。僕とのエッチ最高だったでしょう?」
輿水「やだなぁプロデューサーさん。あんなに激しく愛してくれたのに」クスクス
P「え? あ?」
輿水「ボクを幸せにしてくれるって約束してくれましたよね?」
P(ここは……俺の部屋。衣服の乱れた幸子、昨晩酔っぱらったあたりからの記憶が……)
輿水「プロデューサーさん?」
P「幸子……」
輿水「責任……とってくれますよね?」
P「あ……あぁ……すまん! こうなったら」
輿水「……ふふ、なーんちゃって、実はドッキリで」
P「結婚しよう!」
輿水「えっ」
P「あっ?」
輿水「な、なんでもないですよ? それよりプロデューサーさん今なんて?」
P「結婚しよう、って……責任をとるってそういうことだろ?」
輿水「ちょ、ちょっと……ボクまだ14歳ですよ?」
P「あぁ、だから2年後だ……親御さんへは俺が頭を下げる。殺されたって仕方ないぐらいのことだしな」
輿水「あ、あの……?」
P「本当にすまなかった、幸子……さて、関係者や社長にはどう説明するか」
輿水(最近プロデューサーさんがボクのことをあまり構ってくれないからドッキリにかけようと思っただけなのに)
P「あっ……そうだ。今日の営業は大丈夫か? 初めてのあとってのは辛いものらしいけど」
輿水「え、えぇっと……大丈夫、です?」
P「そうか……無理はしないでくれよ。って俺がいえる義理じゃないんだけどな」ナデナデ
輿水(ど、どうしてこうなっちゃったのかな……!?)
輿水(すっごくよく寝てました。なにかしゃべるどころじゃないぐらいに……)
P「幸子のこと……大切にするからな。本当に好きなんだ」
輿水「ふぇっ……ま、まあボクはカワイイですからね! プロデューサーさんが我慢できなくなっても当然というか」
P「本当に、かわいいもんな……アイドルには手を出さないって決めてたのに」ナデナデ
輿水(あ、あぁぁ……プロデューサーさんの手あったかい……!)
P「……幸子?」
輿水「あっ、なんでもないです! えぇ。ボクがカワイイのがいけないんですから!」
P「幸子は優しいなぁ、やっぱりかわいいぞ」
輿水「うっ……普段、かまってくれないくせに……」
P「自分が抑えられなくなりそうでな……まぁ、御覧のあり様なんだけどさ」
P「幸子……俺、優しくできたのか?」
輿水「ええっと……ま、まぁまぁでしたね」
P「そうか……」
輿水(ほ、ほんの冗談のつもりだったのに……すごく真剣に考えてくれてる。さすがにネタばらししなきゃ)
輿水「あ、あの……」
P「ん?」
輿水「実は……その……」
P「……あっ、時間!」
輿水「えっ?」
P「話はあとだ。ごめん幸子……着替えとかはあるか?」
輿水「えぇっと、一応……」
P「着替えてくれ、事務所いこう!」
輿水「わ、わかりました……」
輿水「は、はい。その……プロデューサーさん」
P「うん、女の子を急かすなんてダメな男でごめんな?」
輿水「そうじゃなくて、その」
P「これから先もきっと迷惑かけちゃうだろうけど俺もがんばるからさ」
輿水「あの……」
P「おっと、俺が見てちゃ着替えづらいよな。すまんすまん」
ガチャッ バタン
輿水「話を、聞いてくださいよ……もう……」
P「もうか……早かったな。出るぞ?」
ガラララッ ガチャッ
輿水「……」
P「……幸子」
輿水「あの、ボクが朝いったことなんですけれど……」
P「あのさ。俺のことは……好き、なのか?」
輿水「えっ? ま、まぁ嫌いってほどじゃありませんね」
P「そうか……よく考えたら俺さっきから一方的に話してばかりだろ?」
輿水「まぁ、そうですけれど……その」
P「だから幸子自身が俺のことを嫌ってるならさ……贖罪のためになんだってするから」
P「だって俺みたいな奴に襲われたなんてヘタしたらトラウマものだろ? 勝手に好きだなんだって言ってさ」
輿水「……えっと」
P「だから幸子が俺のことを許せないのならなんでもする。顔を見たくないっていうなら会社だってやめる」
輿水「そ、そんな!? プロデューサーさんが辞めたらみんなが……」
P「あぁ。そこら辺は裏でなんとかしてみせる。俺一人のどうこうより幸子を失う方が痛いんだ」
輿水「……ま、まぁボクはカワイイですけれど。そういう意味じゃなくてですね」
P「あぁ、そのかわいい幸子を失うのは何よりも痛いんだよ。会社がじゃなく社会全体でな」
輿水「ず、るいですよ……プロデューサーさん……」
P「……ごめん。言い訳がましいかもしれないけど」
輿水「あ、あの……だから」
P「ごめんな、幸子……俺は最低だよ……」
輿水「……」
P「自分の欲望のままに傷つけておきながら舞い上がっていろいろいったけど忘れてくれていいからな」
輿水「……プロデューサーさん」
P「シたって聞いて喜んで同意だったと思いこんでたけどさ。ひょっとしたらかばってくれてるだけなんじゃないのか?」
輿水「プロデューサーさん」
P「だとしたら傷口をえぐるような真似をしてたわけだし本当に……」
輿水「プロデューサーさん!」
P「……どうした? もうどうしたらいいのか混乱してきてな。本当にすまん……このとおり」
輿水「あーもうっ! 頭なんてさげてないでボクの話を聞いてください!」
P「うっ……すまん」
輿水「さっきから黙ってたらどんどん自分を卑下して……楽しいんですか!?」
輿水「黙ってください。しゃべるのを許可した覚えはありませんよ?」
P「……すまん」
輿水「まったく……なんなんですか? ボクの話もろくにきかず! 勝手に舞い上がって勝手に落ち込む!」
輿水「挙句の果てがボクに嫌われてる? バカなんですか? 脳みそ入ってるんですか?」
輿水「嫌いな人にボクがプロデュースされてあげるはずがないでしょう!」
P「……幸子?」
輿水「だいたいなんなんですか。贖罪のためになんだってする?」
輿水「だったらなんで会社を辞める前提で話をすすめてるんですか? 自分が辞めて喜ぶ人がいるとでも?」
輿水「本当に救えないですね! プロデューサーさんはみんなにとって必要な人なんですよ?」
P「俺は……」
輿水「だからしゃべらないでくださいっていってるでしょう……そもそも」
輿水「なんで状況の不自然さに気がつかないんですか! 一緒に飲んでたのは柊さんでしょうが!」
輿水「楓さん達にも協力してもらってのドッキリなんですよ! ちょっと考えれば気づくでしょう!」
輿水「バカです、馬鹿です、大馬鹿野郎です! なにさらっと告白してるんですか、バカーっ!」
輿水「……ドッキリですよ、全部。エッチなんてしてません」
P「あっ……あぁ?」
輿水「どうしたんですか? 怒らないんですか? それとも残念なんですか? ボクとエッチできてなくて」
P「よ、よかった……」
輿水「そうですね。慰謝料も払わず済みますし会社も辞めなくていいんですもんね」
P「よかったぁ……」ギュッ
輿水「ひゃうっ!? ちょ、ちょっと! なに抱きついてるんですか、セクハラですよ! 慰謝料払いたいんですか!?」
P「俺、幸子のこと傷つけてなかったんだなぁ……」ギュゥゥ
輿水「……も、もう。なんでそこでボクの心配してるんですか」
輿水「……最近、プロデューサーさんがボクに構ってくれなかったでしょう?」
P「あ、あぁ……その……」
輿水「理由はさっき言っちゃいましたよね? ま、ボクがカワイイのがいけなかったとは思いませんでしたけど」
P「はは……めんぼくない」
輿水「仕方ないですね。ボクのかわいさに免じて許してあげます」
P「うん……幸子……」
輿水「なんですか?」
P「俺……プロデューサーのままでいいのか?」
輿水「はい?」
輿水「……」
P「今回はドッキリだったけど。これからも仕事を続けていく中で間違いがないとは言い切れないじゃないか」
輿水「はぁ……」
P「あぁ、もちろん別のプロデューサーを探してだな」
輿水「ボクがさっき言ったこと、もう忘れたんですか?」
P「さっき……?」
輿水「会社のみんなにとっても必要な人だって言ったでしょう?」
P「確かに、そうだが……幸子はこれからやりづらいだろうし」
輿水「会社のみんなっていうのはですね……当然、ボクも入ってるんですよ?」
輿水「本当にプロデューサーさんはどうしようもないですね。嫌いならプロデュースなんてされないって言ったでしょう?」
P「だが……」
輿水「ぐだぐだと言い訳ばかりで情けないですよ、プロデューサーさん?」
P「いいのか?」
輿水「いいんです」
P「そうか……よかった……」
輿水「ふぅ、そもそもプロデューサーさんがプロデューサーを辞めたらなんになるっていうんですか」
P「え?」
輿水「断言しますけれど、ろくなことになりませんよ。社内でいろいろトラブルを起こすに決まってます」
P「そうかな?」
輿水「えぇ。特に『人間関係』でね」
輿水「まぁいいです。今回のことは水に流してあげます」
P「あぁ……ありがとう」
輿水「ただ……プロデューサーさん」
P「ん?」
輿水「ボクのことが魅力的だって思ってるのは本当ですよね?」
P「まぁ、そうだな……本当にかわいい最高の女の子だと思ってるよ」
輿水「ふふっ……なら、いいんです」
P「なに、がっ……んんっ!?」
輿水「……ん、ぷはっ……えへへ、どうです? ボクの初めてのキスの味は」
P「幸子、お前っ……!」
輿水「今日のところはこれで勘弁してあげます。……2年後、楽しみにしてますね?」
P「ちょ、ちょっと待て!」
輿水「ほらほら何やってるんですか、会社に行くんでしょう? おいていっちゃいますよ?」
おわり
ぺろぺろしたい
一から了まで幸せに、で幸子って良い名前だよね
Entry ⇒ 2012.06.17 | Category ⇒ アイマスSS | Comments (1) | Trackbacks (0)