スポンサーサイト
上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
勇者「久しぶりだな、魔女」
1 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/01/30(月) 00:00:37.72 ID:Lfmven+h0
魔女「あらあら。まだ生きていたの?」
勇者「俺が死ねないのは知ってるだろ」
魔女「あら?そうだったかしら」
勇者「はぁ……お前と話すのは、疲れる」
魔女「だったら、早く私を殺してくだされば良いのに」
勇者「俺が死ねないのは知ってるだろ」
魔女「あら?そうだったかしら」
勇者「はぁ……お前と話すのは、疲れる」
魔女「だったら、早く私を殺してくだされば良いのに」
元スレ
http://hayabusa.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1327849237/
勇者「久しぶりだな、魔女」
http://hayabusa.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1327849237/
勇者「久しぶりだな、魔女」
3 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/01/30(月) 00:02:05.17 ID:Lfmven+h0
勇者「何度も言ってるだろ。お前を殺すつもりはない」
魔女「どうしてかしら。私を殺せば、貴方にかけられた呪いは解ける。永遠の生から逃れられるのよ」
勇者「はぁ……死ぬなら勝手に死んでくれ」
魔女「嫌よ。貴方が殺してちょうだい」
魔女「どうしてかしら。私を殺せば、貴方にかけられた呪いは解ける。永遠の生から逃れられるのよ」
勇者「はぁ……死ぬなら勝手に死んでくれ」
魔女「嫌よ。貴方が殺してちょうだい」
4 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/01/30(月) 00:05:18.21 ID:Lfmven+h0
勇者「話はそれだけか?だったら俺は行くぞ」
魔女「相変わらず釣れないわね。それでも世界を救った勇者様」
勇者「一体何百年前の話だよ」
魔女「428年前よ。忘れてしまった?」
勇者「……いいや、覚えてるよ」
魔女「……そう」
勇者「……じゃあな」
魔女「相変わらず釣れないわね。それでも世界を救った勇者様」
勇者「一体何百年前の話だよ」
魔女「428年前よ。忘れてしまった?」
勇者「……いいや、覚えてるよ」
魔女「……そう」
勇者「……じゃあな」
5 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/01/30(月) 00:10:58.24 ID:Lfmven+h0
少女「はっ……はっ……」
少女「……ここまで来れば」
少女「お父さん……」
ザッ
少女「っ……誰?」
勇者「……あん?」
少女「……ここまで来れば」
少女「お父さん……」
ザッ
少女「っ……誰?」
勇者「……あん?」
6 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/01/30(月) 00:13:26.71 ID:Lfmven+h0
少女「……あなたは、誰?」
勇者「えっと……」
勇者「……旅人?」
少女「……」
勇者「あー……そう警戒されても困るんだが」
少女「……怪しい人」
勇者「えっと……」
勇者「……旅人?」
少女「……」
勇者「あー……そう警戒されても困るんだが」
少女「……怪しい人」
8 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/01/30(月) 00:16:15.35 ID:Lfmven+h0
勇者「怪しくないよ、別に」
少女「……」
勇者「そう睨むなよ。君こそこんな所でどうしたんだ?」
少女「……」
勇者「あー……」
少女「……お父さんが」
勇者「ん?」
少女「……」
勇者「そう睨むなよ。君こそこんな所でどうしたんだ?」
少女「……」
勇者「あー……」
少女「……お父さんが」
勇者「ん?」
9 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/01/30(月) 00:20:56.99 ID:Lfmven+h0
少女「わた……私と……お父さんの二人で……それで、魔物が襲ってきて……それで、お父さんが……私だけ逃がして……」
勇者「……」
少女「わ、私……怖くって……お、お父さんを置いて、一人で……どうしよう……お父さんが」
勇者「あー……分かったよ。もういい」
少女「お父さんが死んじゃったらどうしよう……」
勇者「はぁ……」
勇者「……」
少女「わ、私……怖くって……お、お父さんを置いて、一人で……どうしよう……お父さんが」
勇者「あー……分かったよ。もういい」
少女「お父さんが死んじゃったらどうしよう……」
勇者「はぁ……」
11 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/01/30(月) 00:25:06.72 ID:Lfmven+h0
勇者「……なあ、知ってるか」
少女「ふぇ……?」
勇者「どいつもこいつもビビって近づこうとしないから知らないが、大抵の魔物は食えるんだ」
少女「えっと……」
勇者「それともうひとつ。俺は今、腹が減って死にそうなんだ」
勇者「どこかに食べ物があると助かるんだが」
少女「……!」
少女「ふぇ……?」
勇者「どいつもこいつもビビって近づこうとしないから知らないが、大抵の魔物は食えるんだ」
少女「えっと……」
勇者「それともうひとつ。俺は今、腹が減って死にそうなんだ」
勇者「どこかに食べ物があると助かるんだが」
少女「……!」
12 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/01/30(月) 00:28:53.65 ID:Lfmven+h0
男「ぐっ……畜生」
魔物「グルルルル……」
男「ここまでか……すまん……」
少女「あそこ!あそこに!」
男「っ!どうしてここに!?」
勇者「あれか……なかなかデカイな」
魔物「グルルルル……」
男「ここまでか……すまん……」
少女「あそこ!あそこに!」
男「っ!どうしてここに!?」
勇者「あれか……なかなかデカイな」
13 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/01/30(月) 00:33:40.66 ID:Lfmven+h0
勇者「よいしょっと」
魔物「グルァ!?」
勇者「悪いな。恨みはないが」
魔物「グァ……ルァ……」
勇者「ふぅ……」
男「なんだ……何が……」
勇者「絞め殺した」
男「えっ」
魔物「グルァ!?」
勇者「悪いな。恨みはないが」
魔物「グァ……ルァ……」
勇者「ふぅ……」
男「なんだ……何が……」
勇者「絞め殺した」
男「えっ」
15 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/01/30(月) 00:37:37.43 ID:Lfmven+h0
勇者「ふぃー……」
男「お、おいあんた!待ってくれ!」
勇者「ん?」
男「何がなんだかわからんが、助けてくれたんだろう?お礼をさせてくれ」
勇者「あー……いや、別に」
少女「行っちゃうんですか……?」
勇者「あっと……忘れてた」
男「お、おいあんた!待ってくれ!」
勇者「ん?」
男「何がなんだかわからんが、助けてくれたんだろう?お礼をさせてくれ」
勇者「あー……いや、別に」
少女「行っちゃうんですか……?」
勇者「あっと……忘れてた」
16 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/01/30(月) 00:40:45.19 ID:Lfmven+h0
勇者「ありがとな」
少女「え?」
勇者「食料調達。手伝ってもらっただろ」
少女「だ、だってそれは!」
勇者「あー……まあ、そんな感じで。それじゃ」
男「お、おい!」
男「行っちまった……」
少女「……」
少女「え?」
勇者「食料調達。手伝ってもらっただろ」
少女「だ、だってそれは!」
勇者「あー……まあ、そんな感じで。それじゃ」
男「お、おい!」
男「行っちまった……」
少女「……」
18 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/01/30(月) 00:43:21.48 ID:Lfmven+h0
魔女「こんにちは、勇者様」
勇者「魔女か。久しぶり、じゃないよな」
魔女「見てたわよ」
勇者「……何を」
魔女「とぼけちゃって」
魔女「腹が減って死にそうなんだ」
魔女「だったかしら?」
勇者「魔女か。久しぶり、じゃないよな」
魔女「見てたわよ」
勇者「……何を」
魔女「とぼけちゃって」
魔女「腹が減って死にそうなんだ」
魔女「だったかしら?」
19 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/01/30(月) 00:44:54.25 ID:Lfmven+h0
勇者「……」
魔女「死なないくせに」
勇者「……腹が減るのは本当だ」
魔女「そう?」
勇者「はぁ……」
魔女「ねえ、勇者様」
魔女「死なないくせに」
勇者「……腹が減るのは本当だ」
魔女「そう?」
勇者「はぁ……」
魔女「ねえ、勇者様」
21 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/01/30(月) 00:48:19.98 ID:Lfmven+h0
魔女「私を、殺して?」
勇者「嫌だね。何度同じやり取りを繰り返すんだ」
魔女「どうしてそこまで強情なのかしら」
勇者「それはこっちの台詞だ。お前は、俺と違って」
勇者「死ねないわけじゃ、ないだろう」
勇者「死ぬなら、自分で死ね」
勇者「嫌だね。何度同じやり取りを繰り返すんだ」
魔女「どうしてそこまで強情なのかしら」
勇者「それはこっちの台詞だ。お前は、俺と違って」
勇者「死ねないわけじゃ、ないだろう」
勇者「死ぬなら、自分で死ね」
22 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/01/30(月) 00:50:29.44 ID:Lfmven+h0
魔女「……それは出来ないの。絶対に」
勇者「……どうして」
魔女「これも、呪いかしら」
魔女「貴方のとは、違う呪い」
勇者「……そうか」
勇者「……どうして」
魔女「これも、呪いかしら」
魔女「貴方のとは、違う呪い」
勇者「……そうか」
25 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/01/30(月) 00:55:30.97 ID:Lfmven+h0
『なあ、勇者よ』
勇者『……』
『貴様は、なぜ殺す』
勇者『それが俺の役目だからだ』
『私は人間との争いを望まぬ』
勇者『貴様が何を望もうと、奴等は人を喰らう』
『分かり合うことは出来んか』
勇者『……』
『貴様は、なぜ殺す』
勇者『それが俺の役目だからだ』
『私は人間との争いを望まぬ』
勇者『貴様が何を望もうと、奴等は人を喰らう』
『分かり合うことは出来んか』
26 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/01/30(月) 01:01:49.40 ID:Lfmven+h0
勇者『今の俺は、一本の剣に過ぎない。少しばかり人を殺しすぎたな、魔物』
『今ならまだ間に合う。過ちを悔いて、やり直すことは出来るはずだ』
勇者『それは奪われた者の言う言葉だ!貴様が口にしていいものではない!』
『奪われたのは我らも同じだ』
勇者『そうとも。だから俺は、そんな言葉は口にしない』
『勇者よ。私は』
『私はお前となら―――』
『今ならまだ間に合う。過ちを悔いて、やり直すことは出来るはずだ』
勇者『それは奪われた者の言う言葉だ!貴様が口にしていいものではない!』
『奪われたのは我らも同じだ』
勇者『そうとも。だから俺は、そんな言葉は口にしない』
『勇者よ。私は』
『私はお前となら―――』
27 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/01/30(月) 01:03:56.82 ID:Lfmven+h0
勇者「……」
勇者「……嫌な夢だ」
勇者「俺は……」
勇者「俺も、あんたとなら……」
勇者「……馬鹿か俺は」
勇者「……嫌な夢だ」
勇者「俺は……」
勇者「俺も、あんたとなら……」
勇者「……馬鹿か俺は」
28 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/01/30(月) 01:06:43.96 ID:Lfmven+h0
村人A「おい……見ろよあれ」
村人B「汚い身なりだなぁ。浮浪者かぁ?」
勇者「はぁ……」
勇者「腹減った……」
勇者「ん……」
村人B「汚い身なりだなぁ。浮浪者かぁ?」
勇者「はぁ……」
勇者「腹減った……」
勇者「ん……」
30 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/01/30(月) 01:10:00.92 ID:Lfmven+h0
店主「いらっしゃい」
勇者「水と、食い物を。一番安いので良い」
店主「はい」
勇者「はぁ……」
勇者「そろそろ金も底をつくな……」
勇者「水と、食い物を。一番安いので良い」
店主「はい」
勇者「はぁ……」
勇者「そろそろ金も底をつくな……」
32 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/01/30(月) 01:13:18.82 ID:Lfmven+h0
店主「お待たせしました」
勇者「ああ……」
勇者「……」
勇者「……美味いな」
店主「貴方は」
勇者「ん?」
店主「旅の方ですか?」
勇者「ああ……」
勇者「……」
勇者「……美味いな」
店主「貴方は」
勇者「ん?」
店主「旅の方ですか?」
33 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/01/30(月) 01:16:20.50 ID:Lfmven+h0
勇者「あー……まあ、一応」
店主「どちらから?」
勇者「……どこだったかな」
勇者「どこか、遠い所ですかね」
店主「そうですか」
勇者「……」
店主「私も」
勇者「……」
店主「私も旅の者でした」
店主「どちらから?」
勇者「……どこだったかな」
勇者「どこか、遠い所ですかね」
店主「そうですか」
勇者「……」
店主「私も」
勇者「……」
店主「私も旅の者でした」
35 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/01/30(月) 01:20:45.58 ID:Lfmven+h0
店主「私の故郷は、魔物に襲われました」
店主「故郷には、妻と子が。それから、気の良い友人達が」
店主「皆、殺されました」
店主「私は、行く当てのない旅を続けました」
店主「魔物に襲われ、何度も死にかけた」
店主「故郷には、妻と子が。それから、気の良い友人達が」
店主「皆、殺されました」
店主「私は、行く当てのない旅を続けました」
店主「魔物に襲われ、何度も死にかけた」
36 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/01/30(月) 01:24:08.73 ID:Lfmven+h0
店主「旅を続ける内に、いくつかの出会いがありました」
店主「彼らは皆、大切なものを失って」
店主「それでもひた向きに生きていました」
店主「旅路を共にすることもあった」
店主「けれど、旅の果てで、ここにたどり着いたのは私だけでした」
店主「彼らは皆、大切なものを失って」
店主「それでもひた向きに生きていました」
店主「旅路を共にすることもあった」
店主「けれど、旅の果てで、ここにたどり着いたのは私だけでした」
37 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/01/30(月) 01:28:36.68 ID:Lfmven+h0
勇者「……」
店主「……すみません。こんな話を」
勇者「……俺も」
勇者「俺も、魔物に大切なものを奪われた」
勇者「あの頃の魔物は今と違って、確固たる意思を持って人を殺していた」
勇者「奴らは、俺の大事な人をなぶり殺しにした」
勇者「奴らにとってそれは、ゲームだった」
店主「……すみません。こんな話を」
勇者「……俺も」
勇者「俺も、魔物に大切なものを奪われた」
勇者「あの頃の魔物は今と違って、確固たる意思を持って人を殺していた」
勇者「奴らは、俺の大事な人をなぶり殺しにした」
勇者「奴らにとってそれは、ゲームだった」
38 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/01/30(月) 01:30:01.34 ID:Lfmven+h0
勇者「憎かった」
勇者「憎くて」
勇者「憎くて」
勇者「憎くて」
勇者「憎くて」
勇者「俺は奴らを殺し続けた」
勇者「憎くて」
勇者「憎くて」
勇者「憎くて」
勇者「憎くて」
勇者「俺は奴らを殺し続けた」
39 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/01/30(月) 01:33:29.30 ID:Lfmven+h0
勇者「ただ生きたいだけの奴もいたんだ」
勇者「何かを喰らわねば生きられない奴らも確かにいた」
勇者「でも俺は、許せなかった」
勇者「人を傷つけずに生きてる奴もいた」
勇者「だけど俺には、そんなことは関係なかった」
勇者「何かを喰らわねば生きられない奴らも確かにいた」
勇者「でも俺は、許せなかった」
勇者「人を傷つけずに生きてる奴もいた」
勇者「だけど俺には、そんなことは関係なかった」
40 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/01/30(月) 01:38:10.53 ID:Lfmven+h0
勇者「ある時、人の姿をした魔物に出会った」
勇者「俺は戸惑った。そいつを殺せなかった」
勇者「気付いてしまった。俺が奪ってきたものが何なのか」
勇者「魔物を殺す時、いつも俺は笑っていた」
勇者「俺は、俺の大切なものを奪った奴らと変わらなかった」
勇者「俺は戸惑った。そいつを殺せなかった」
勇者「気付いてしまった。俺が奪ってきたものが何なのか」
勇者「魔物を殺す時、いつも俺は笑っていた」
勇者「俺は、俺の大切なものを奪った奴らと変わらなかった」
42 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/01/30(月) 01:41:13.31 ID:Lfmven+h0
勇者「人はいつからか、俺を勇者と呼んだ 」
勇者「本当の俺は、ただの殺戮者で」
勇者「だからせめて、本物の勇者になろうとした」
勇者「殺した。殺した。殺した。殺した」
勇者「俺は……俺は」
勇者「本当の俺は、ただの殺戮者で」
勇者「だからせめて、本物の勇者になろうとした」
勇者「殺した。殺した。殺した。殺した」
勇者「俺は……俺は」
43 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/01/30(月) 01:43:53.76 ID:Lfmven+h0
勇者「それが正しいのだと思っていた」
勇者「いや違う」
勇者「信じたかったんだ!そうすれば許される気がした!」
勇者「俺はっ……!」
店主「……お客さん」
勇者「いや違う」
勇者「信じたかったんだ!そうすれば許される気がした!」
勇者「俺はっ……!」
店主「……お客さん」
44 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/01/30(月) 01:45:36.97 ID:Lfmven+h0
勇者「……すまない」
勇者「邪魔したな」
店主「いえ……」
勇者「……」
勇者「邪魔したな」
店主「いえ……」
勇者「……」
45 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/01/30(月) 01:49:26.64 ID:Lfmven+h0
魔女「顔色が悪いわね」
勇者「……魔女か」
魔女「怖い夢でも見たのかしら?」
勇者「……」
勇者「…………お前は」
勇者「……お前は、俺を」
魔女「……」
勇者「……魔女か」
魔女「怖い夢でも見たのかしら?」
勇者「……」
勇者「…………お前は」
勇者「……お前は、俺を」
魔女「……」
46 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/01/30(月) 01:51:50.14 ID:Lfmven+h0
勇者「……嫌、良い」
魔女「……」
魔女「……もしも」
魔女「もしも貴方が、過去を悔いているのなら」
勇者「……」
魔女「ねえ……私を殺して?」
魔女「……」
魔女「……もしも」
魔女「もしも貴方が、過去を悔いているのなら」
勇者「……」
魔女「ねえ……私を殺して?」
48 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/01/30(月) 01:55:40.10 ID:Lfmven+h0
勇者「俺はっ……」
魔女「……」
勇者「俺はお前を殺さない」
魔女「どうして?」
勇者「約束、したから」
魔女「誰との約束なの?」
勇者「……」
魔女「……」
勇者「俺はお前を殺さない」
魔女「どうして?」
勇者「約束、したから」
魔女「誰との約束なの?」
勇者「……」
49 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/01/30(月) 02:00:19.70 ID:Lfmven+h0
『悲しい目をしてるな』
勇者『誰だ、あんた』
『どこかの誰か』
勇者『馬鹿にしてるのか』
『そんなつもりは無いさ』
勇者『……あんたは』
勇者『あんたは、優しい目をしてる』
勇者『誰だ、あんた』
『どこかの誰か』
勇者『馬鹿にしてるのか』
『そんなつもりは無いさ』
勇者『……あんたは』
勇者『あんたは、優しい目をしてる』
50 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/01/30(月) 02:03:32.99 ID:Lfmven+h0
『いつか、お前が為すことを為したなら』
『そこがどんな世界だとしても―――』
「グルルルル!!」
『そこがどんな世界だとしても―――』
「グルルルル!!」
51 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/01/30(月) 02:08:31.75 ID:Lfmven+h0
魔女「この魔物は……」
魔物「グルルルルァ」
勇者「……」
魔女「……殺してなかったのね」
勇者「……」
魔物「グルルルルァ」
勇者「……」
魔女「……殺してなかったのね」
勇者「……」
52 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/01/30(月) 02:12:25.10 ID:Lfmven+h0
魔女「あら?」
「キュゥゥ」
勇者「……!」
魔女「子供がいたのね」
子魔物「キュウ」
勇者「そうか……」
勇者「良かったな……本当に良かった……」
「キュゥゥ」
勇者「……!」
魔女「子供がいたのね」
子魔物「キュウ」
勇者「そうか……」
勇者「良かったな……本当に良かった……」
53 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/01/30(月) 02:16:41.52 ID:Lfmven+h0
勇者『あんたが魔物の長だったとはな』
『……』
勇者『俺は貴様を殺す』
『そうか』
『なあ、勇者よ』
『貴様は、なぜ殺す』
『……』
勇者『俺は貴様を殺す』
『そうか』
『なあ、勇者よ』
『貴様は、なぜ殺す』
54 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/01/30(月) 02:19:35.30 ID:Lfmven+h0
勇者「話をしよう」
魔女「話……?」
勇者「やっと分かった気がするんだ」
魔女「……何を分かったって言うの?」
勇者「俺も、お前も、生きてるってことさ」
魔女「話……?」
勇者「やっと分かった気がするんだ」
魔女「……何を分かったって言うの?」
勇者「俺も、お前も、生きてるってことさ」
55 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/01/30(月) 02:23:00.20 ID:Lfmven+h0
魔女「それが何だって言うの?」
勇者「なあ、魔女。お前はどうして生きているんだ?」
魔女「……前に言ったでしょう。私は呪われているのよ」
勇者「その呪いをかけたのは誰だ?」
魔女「……」
勇者「なあ、魔女。お前はどうして生きているんだ?」
魔女「……前に言ったでしょう。私は呪われているのよ」
勇者「その呪いをかけたのは誰だ?」
魔女「……」
56 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/01/30(月) 02:28:23.81 ID:Lfmven+h0
『私は、もう長くはない』
魔女『何を言ってるの……?』
『もうじきここにやってくる男がいる』
魔女『何の話……?ねぇ……』
『彼に殺されるか、あるいは生き残ったとしても、私の体はもう、戦いに耐えられるほどに強くない』
『どうか彼を、あの悲しい目をした男を憎まないで欲しい』
魔女『何を言ってるの……?』
『もうじきここにやってくる男がいる』
魔女『何の話……?ねぇ……』
『彼に殺されるか、あるいは生き残ったとしても、私の体はもう、戦いに耐えられるほどに強くない』
『どうか彼を、あの悲しい目をした男を憎まないで欲しい』
57 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/01/30(月) 02:34:12.11 ID:Lfmven+h0
『そして、お前は』
『お前は、生きてくれ』
『いつか自分が、生きていて良かったと想える日まではせめて』
『自分で命を断つようなことは、しないで欲しい』
魔女『何を言ってるのか全然分からない!死ぬなんて嘘よね?ねぇ……』
『これはきっと残酷な願いだろう』
『だけど、どうか頼む。命を終える日を、自分で決めないでくれ』
『お前は、生きてくれ』
『いつか自分が、生きていて良かったと想える日まではせめて』
『自分で命を断つようなことは、しないで欲しい』
魔女『何を言ってるのか全然分からない!死ぬなんて嘘よね?ねぇ……』
『これはきっと残酷な願いだろう』
『だけど、どうか頼む。命を終える日を、自分で決めないでくれ』
58 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/01/30(月) 02:38:41.46 ID:Lfmven+h0
魔女「私の大好きな人が……あの人が望んだから、私は生きている」
魔女「ただ、それだけなのよ」
魔女「だからっ……だから私を殺してよ!」
魔女「自分の死を望めない私をっ……救って……」
勇者「俺はお前を殺さない」
魔女「ただ、それだけなのよ」
魔女「だからっ……だから私を殺してよ!」
魔女「自分の死を望めない私をっ……救って……」
勇者「俺はお前を殺さない」
59 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/01/30(月) 02:43:55.86 ID:Lfmven+h0
勇者「生きていて良かったって、そう想える時まで、俺たちは生きなきゃいけないんだ」
魔女「何よそれ……そんな……そんなことっ」
魔女「偉そうに何よ!貴方が奪ったくせに!」
勇者「そうさ。俺が奪った」
勇者「あいつが死んで、そのせいで魔物たちは心を失った」
勇者「俺は過ちを犯したんだ」
魔女「何よそれ……そんな……そんなことっ」
魔女「偉そうに何よ!貴方が奪ったくせに!」
勇者「そうさ。俺が奪った」
勇者「あいつが死んで、そのせいで魔物たちは心を失った」
勇者「俺は過ちを犯したんだ」
60 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/01/30(月) 02:48:18.59 ID:Lfmven+h0
勇者『俺は……』
勇者『俺はきっと、死んだ方が良いんだ』
勇者『このまま』
魔女『ふざけないで!』
魔女『そんなこと許さない』
魔女『この呪いがある限り、貴方は生き続ける。死んで終わりなんて許さない』
魔女『絶対に……!』
勇者『俺はきっと、死んだ方が良いんだ』
勇者『このまま』
魔女『ふざけないで!』
魔女『そんなこと許さない』
魔女『この呪いがある限り、貴方は生き続ける。死んで終わりなんて許さない』
魔女『絶対に……!』
62 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/01/30(月) 02:54:12.55 ID:Lfmven+h0
勇者「この呪いがあるから、俺は生きてる!それが憎しみでも!俺はお前の思いに生かされている!」
勇者「生きてなきゃ過ちを嘆くことも出来ないんだ!」
勇者「俺は、あいつと約束したんだ」
『そこがどんな世界だとしても―――』
勇者「俺は何も奪わない」
勇者「生きてなきゃ過ちを嘆くことも出来ないんだ!」
勇者「俺は、あいつと約束したんだ」
『そこがどんな世界だとしても―――』
勇者「俺は何も奪わない」
63 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/01/30(月) 02:58:59.64 ID:Lfmven+h0
勇者「それはきっと、命を奪わないってことで……」
勇者「思いを奪わないってことだろ?」
勇者「人は思われていれば、『生きられる』んだ」
勇者「だから、話をしよう」
勇者「どんな形でも、お互いに思い合おう」
勇者「そうすればきっと」
勇者「生きていて良かったって思える」
勇者「思いを奪わないってことだろ?」
勇者「人は思われていれば、『生きられる』んだ」
勇者「だから、話をしよう」
勇者「どんな形でも、お互いに思い合おう」
勇者「そうすればきっと」
勇者「生きていて良かったって思える」
64 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/01/30(月) 03:04:21.63 ID:Lfmven+h0
魔女「そう……そうなのね」
魔女「良いわ……貴方と生きてあげる」
勇者「……」
魔女「この先何百年か、私が生きていて良かったと思えるまでは」
魔女「だからその時は」
魔女「私を殺してね、勇者様」
勇者「ああ、そうだな」
勇者「俺がお前を、殺してやる」
終わり
魔女「良いわ……貴方と生きてあげる」
勇者「……」
魔女「この先何百年か、私が生きていて良かったと思えるまでは」
魔女「だからその時は」
魔女「私を殺してね、勇者様」
勇者「ああ、そうだな」
勇者「俺がお前を、殺してやる」
終わり
66 忍法帖【Lv=39,xxxPT】 2012/01/30(月) 03:05:02.97 ID:lo/+cQCD0
乙
69 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/01/30(月) 03:07:17.47 ID:jdJ7prHq0
同じくV&B思い出した
乙
乙
73 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/01/30(月) 03:51:53.79 ID:ScEDUSQz0
乙
この記事へのコメント
トラックバック
URL :