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カイジ「あれ………もしかしてこれって………数学Ⅰ………?」
カイジ………!
ここで致命的なミスに気づく………!
溢れだす涙………!
だが………!
今は一刻の猶予もない………!
現状把握が先………!
泣いてる暇などない………!
駆け巡る脳内物質………!
光よりも早く………!
カイジは………!
この状況を打破すべく………!
あるはずもない答えを探し続ける………!
そして………!
閃く………!
カイジ「あ………もしかして………」
カイジ………!
閃く………!
閃いてしまう………!
通常ならありえないこと………!
いや………!
本来やってはならない悪魔の所業に………!
あまりの非常識さに震えるカイジ………!
そう………!
これは諸刃の剣………!
ひとつ間違えば己自信すら殺しかねない悪魔の剣………!
カイジ………!
戦慄………!
あろうことかこの状況だけでなく………!
センター試験すら攻略しかねない己の閃きに………!
そう………!
この戦略………!
実を結べばその効果は大きい………!
だが………!
最初にして最後………!
たったひとつの難関を乗り越えなければならない………!
そう………!
その難関とは監視者………!
三人の監視カメラの存在………!
彼らの死角をつかなければならない………!
それは至難………!
まさに至難………!
カイジ………!
ついに悪魔の所業へ………!
自らを化身に変えて………!
自らの未来のため………!
カイジ………!
ついに動き出す………!
シュッ!
試験監a「痛!」
試験監b「うお!」
試験監c「うごっ!」
カイジ(よし!)
あろうことか………!
卓上にある全ての物を試験監にぶつける………!
鉛筆………!
消しゴム………!
受験票………!
三人への同時攻撃………!
試験監b「何かが当たった?」
試験監c「一体何が?」
カイジ………!
試験監たちが動揺したスキに………!
彼らの監視の目をかいくぐり………!
教壇へ駆ける………!
とんだ反則技………!
教壇へ駆ける………!
それは忍のような身のこなし………!
訓練された暗殺者かのよう………!
一気に引き返す………!
カイジ………!
教壇にたどり着いたと思ったら………!
すぐさま自分の席へ………!
猛ダッシュ………!
全力疾走………!
カイジが動き出してから椅子につくまでの時間………!
なんと1秒弱………!
教壇までは5mはあるであろう距離を往復で………!
人間の常識を遥かに越える速さで駆け抜けた………!
カイジが教壇で手にしたもの………!
それは腕時計………!
試験監の腕時計………!
まがい物のロレックス………!
悪趣味………!
不潔………!
最低の………!
パチモンのロレックス………!
そう………!
カイジに秘策とは………!
腕時計への細工………!
試験時間を管理する時計に………!
ペーパー用紙に細工などという甘い考えではない………!
それは天に背く行為………!
発想のコペルニクス的大転換………!
カイジ………!
時を操るという荒業にでた………!
迫る試験終了の合図………!
カイジは………!
ロレックスへの細工に急ぐ………!
カイジ………!
ついに完了………!
時の操作………!
セット完了………!
試験終了まで残り2日………!
ついに………!
悪魔の所業を成し遂げる………!
カイジ………!
ここで気づく………!
作戦の隙間………!
全てを台無しにしかねない欠陥に………!
ツメがあまいとはまさにこのこと………!
そう………!
最後の砦………!
あの驚異の動き………!
教壇までの筋肉番付を再びやらなければならない………!
そう………!
いまのカイジの机………!
あるのは解答用紙だけ………!
これはいくらなんでも投げられない………!
犯罪を犯したのは自分だと試験監に教えるようなもの………!
カイジ………!
動けない………!
カイジ………!
苦汁の選択………!
己を捨てたその行為に………!
自ら人の道を踏み外す………!
試験監a「おわぁ!」
試験監b「なんだ!」
試験監c「ふ、服!?」
そう………!
カイジ………!
あろうことか………!
着ていた衣類を投げつける………!
再び三人への同時攻撃………!
三人が動揺している僅かな時間………!
己の衣類すら犠牲にしたこの数秒………!
カイジ………!
再び教壇へ一直線………!
美しさすらある走り………!
カイジ………!
ついに時計を教壇に戻し………!
自分の席に帰ってきた………!
奇跡の生還………!
この間わずか1秒弱………!
カイジ………!
至福の笑み………!
それはあたかも大学合格を決めた受験生のよう………!
このセンター試験の真っ只中………!
他の受験生が必死に解答にもがく中………!
パンツ1枚………!
至福の男………!
カイジ………!
これまでに2度も………!
人の限界を越えた動き………!
あろうことか………!
それを1日の内にやってしまう………!
まさに偉業………!
もちろんリスクがある………!
等価交換………!
カイジ………!
あろうことか力尽きてしまう………!
カイジ………!
ここにきてなんと………!
いざ夢の世界へ………!
試験中にも関わらず寝てしまう………!
緊張………!
疲労………!
安堵………!
この3つが一気に押し寄せ………!
カイジを眠りの世界へと誘った………!
パンツ1枚………!
微笑みながら寝る男………!
それがカイジ………!
カイジ………!
勝ち得た2日という時間で………!
心身の疲れを癒す………!
まさに功績………!
悪魔の取引………!
だが………!
しかあああああああし………!
清掃員「おい」
カイジ「ん………」
清掃員「おい、起きろ」
カイジ「………んあ?」
清掃員「いつまで寝てるつもりだ」
カイジ「…………?」
清掃員「早く帰ってくれ、掃除の邪魔だ」
カイジ「え………あれ………試験は………?」
清掃員「試験?ああ、昨日終わったよ」
カイジ………!
寝過ごす………!
あろうことか3日寝てしまう………!
パンツ1枚………!
この寒い季節に………!
まさに快挙………!
圧倒的快挙………!
これが始まり………!
カイジの堕落人生の第1歩………!
典型的な浪人生の思考………!
スレ主すら例外ではない………!
明日のセンター試験………!
こんなことしてる場合じゃない………!
ーおわりー
乙
そして寝ろ
一緒にまた一年頑張ろうぜ
Entry ⇒ 2012.01.14 | Category ⇒ 版権物SS | Comments (0) | Trackbacks (0)
上条「…半額弁当?」
http://hayabusa2.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1325859626/l50
上条「…半額弁当?」
上条「んな物のために殴り合いとか…正気の沙汰かよ?」
黒子「ですが、最近この界隈でも流行っているらしいんですの」
初春「そういうわけで、風紀委員に通達が出て各区域のスーパーの見回りを強化してるんです」
上条「風紀委員も大変だな…」
黒子「もともとはスキルアウトはじめ無能力者が主に参加していたようなのですが…」
初春「最近では能力者の参加も増加しているようで…」
初春「単なるケンカどころでは済まない大惨事につながる事例が後を絶たないんです」
上条「…だろうな」ゴクリ
黒子(…何しろ昨日なんて、お姉さまと第四位らしき人物が某スーパーで乱闘していたという目撃情報が…)
黒子(まったく、もみ消しに苦労しましたわ…)ヤレヤレ
初春「勿論、乱闘参加者を以後出入り禁止にする店もありますが、少数派ですね」
上条「え? 何でなんだ」
黒子「この街は基本的に学生第一主義ですからね」
黒子「学生の行動に対して店の方は積極的に干渉しづらいのでしょう」
黒子「それに、なんだかんだで売上は上がるからって歓迎してる店もあるとか…」
上条「…命知らずな店だな」
黒子「というわけなので、半額弁当戦争に参加するのは大変危険ですのよ」
上条「いや、危険も何も、わざわざ命懸けて弁当買うより…」
上条「―どう考えても自炊した方がいいだろ…家計的に」キョトン
初春「狼の人たちは、弁当そのものよりも…」
初春「それを手に入れる過程、つまり争奪戦そのものを楽しんでるんじゃないでしょうか?」
上条「あ~なるほど」
上条「…殴り合ってストレス発散ってか?」
黒子「初春のくせに珍しくいい意見ですわね」
初春「どういう意味ですか~白井さん!?」
初春「あ、はい。はじめまして、いつも白井さんがお世話になってます」ペコリ
黒子「不愉快な表現はよしてくださいですの」キッ
上条「あー、えっと初春さん…」
初春「はい?」
上条「さっきからずっと気になってたんですけど…その頭の上のモノは一体…」
初春「私の頭の上に? 何かついてます?」ポカーン
黒子「…」
初春「?」
上条「か、可愛い頭ですね…!」
初春「かかかかかわいい…っ!?///」キュン
黒子(…さすがは一級フラグ建築士。お見事ですわ)ジトー
黒子「う・い・は・る~! とっとと次の店に行きますわよ」シュタッ
初春「あ、ちょ、待ってください白井さん!?」
初春「そ、それでは失礼します…! ショッピング、楽しんでくださいね」タタタ
上条「あ、ああ」
上条「って売り切れてるっ!? さっきまであったのに!?」ガーン
上条「あいつらと立ち話してる間に売り切れたのか!? 不幸だああああああああああ」
上条(弁当…ねえ)ウ~ン
上条(そうだな、たまには弁当でもいいか。今月は結構節約頑張ったしな)
上条「俺とインデックスのとで二つ分…」
上条「…そう考えると何となく半額で買いたくなるな…」
上条(一度、参戦してみるか…!)
上条(その半額弁当戦争というのに、な…!)グッ
上条(でもこの店は止めよう…)スタスタ
上条(家の近所の店だと…もし出禁食らったら死活問題だしな…)
―――路上
変態「ここが学園都市か~初めて来たなあ」テクテク
変態「グンマと違って都会って感じだな」
二階堂「言っておくが…逃げるのなら今のうちだ」
二階堂「学園都市に住む学生のうち、…実にその4割が二つ名持ちの狼と言われている…」ゴクリ
変態「な!? そ、そんなに実力者が多いのか!?」
二階堂「ああ、しかもその二つ名持ちの中でも、明確な序列があるらしい…」
変態「序列!?」
二階堂「レベル1からレベル5までのランク付けがなされているんだ」
二階堂「ちなみに学園都市の全狼の頂点に立つレベル5に属する7人が現れた店は―」
二階堂「―翌日には例外なく跡形もなくなっていると聞く…」
変態「ど、どんだけ強いんだ…レベル5…」ガクガク
二階堂「奴らの真の目的は…」ゴクリ
変態「…やはり、半額弁当なんだな」ゴクリ
二階堂「―そのようだ」
二階堂「俺が調べ上げて得た情報によれば…」
二階堂「『一方通行』と呼ばれる最強の狼を擁する“グループ”―」
二階堂「鮭弁当のみを狙って日夜活動を続ける“アイテム”―」
二階堂「―などなど、半額弁当を巡る暗部組織間の激しい抗争が日々繰り広げられているという…」
変態「す、すごい世界だな…」
二階堂「この都市(マチ)で半額弁当を手に入れたいというなら―」
変態「―命を懸けて闘うよりほかはない…ということか」
二階堂「さあ、どうする…?」
変態「半額弁当のためなら…!」グゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥ
変態「たとえ、命を失うことになっても…ッ!!」
変態「悔いはないよ…!!」キリッ
―――スーパーDにて
美琴「うりゃああああああああああああああああああああああ」ビババババ
麦野「はァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァ」ズガガガガガ
猟犬部隊他「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!」
二階堂「何と無粋な…ッ!!」ジー
黒妻「君ら、この辺じゃ見ないツラだな」ザッ
食蜂「早く逃げないとぉ、…死んじゃうよぉ☆」タッ
美琴「黙りなさいヘンタイッ!!」ビリビリビリビリビリビリビリビリビリ
変態「ぐああああああああああああああああッ!!?」
変態(で、電気攻め…!!? すごく、… イ イ ッ ! ! )ハアハア
麦野「邪魔ッ!」ガッ
二階堂「ぐほっ!?」バタッ
駒場「――そこまでだ、能力者」シュッ プシュゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥ
変態「あ、あんたは!?」
駒場「―ただの名も無き狼だ」
二階堂「」チーン
美琴「の、能力が…」
麦野「使えない…?」
美琴「ひッ!?」ビクッ
麦野「能力を封じたところで―」
麦野「―私は体術にも自信があるけどね」ニヤリ
駒場「―どうかな?」
美琴麦野・変態駒場「「「「 行くぞおおおおおおおおおおおおおおおおッ!!! 」」」」
カラン
「何だァ? 今日はレベル5の半額セールですかァ!?」ザッ
ステイル「ここはボクの狩場だ。邪魔する者は全て排除させてもらうよッ!」ザッ
(※すでに囲まれていた)
フレンダ「…などと供述しており(ry」
絹旗「超ザコ臭が超ハンパないですね!!」
滝壺「……われわれに勝とうとは、いい度胸だな」
浜面「滝壺…なんかキャラが違うぞ…」
ステイル「ボ、ボクを甘く見ると痛い目に…! イノ(ry」バッ
浜面「あのカードなら店の人が撤去しちゃったみたいだぞ…」ボソリ
ステイル「え」
ステイル「ぐあっ!?」
浜面「余裕だぜ、ヘタレ魔術師ッ!!!」ドゴッ
ステイル「がッ!?」ドサッ
フレンダ「弱っ」
滝壺「……そろそろ、とどめを刺そうか」ニコッ
絹旗「超鮭弁当は超いただきです!!」グオン
ステイル「」
上条「ステイル…ッ!!」ダッ
垣根「待たせたな飢えた狼共ッ!!」ザッ
アイテム「」
パリーン
アックア「待つのである」ブォン
上条「」
アックア「―手土産にその右手も頂戴する次第である」ドゴッ
上条「 か は っ ! ? 」ガスッ
垣根「まずはそのふざけた常識(オヒトヨシ)をぶち殺すッ!!!」ドシューンッ
上条「ぎゃあああああああああああああああああああああああああああああああああッ!!?」
ドガッ ガガガガガガガガガガガガガガ バキ グシャ ミシミシ ズガシャーン
削板「根性――――――――――――ッ!!」ダッ
アックア「――(いづれにせよ邪魔なので)トドメである」バシュッ
佐天「とりゃああああああああああああッ!!」ブウォン
上条「み、皆…!! 行くぞおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおッ!!!」バッ
垣根「」オレカヨ
垣根「半額弁当を前にした俺には―」
垣根「―常識も何も通用しねえぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!」
ザシューンッ
上条・神裂・削板・アックア・佐天「「「「「ぐわあああああああああああああッ!!?」」」」」
ドガシャーン パリーンパリーン グシャ バキドコッ ガガガドッドーン
絹旗「第二位が、…超超本気ですッ!!」グォン
フレンダ「こっちも加勢するわよ!」ヒュン
滝壺(半額弁当なんて…所詮はのこりモノの、のこりカスだよね)
絹旗・フレンダ「「くぅっ!」」ドガシャッ
浜面「よくも2人を…!!」ダッ
垣根「ほざけ無能力者ッ!」ドシュッ
浜面「うぐあああああああああああああああああ!?」ドサッ ゴロゴロ ガシャーン
滝壺「はまづら…!!」タタタッ
店員「み、皆さん!? 大丈夫ですか!?」
店員「ど、どうぞ…っ!」つおしぼり
神裂「…かたじけない」
フレンダ「ありがと」
垣根(どうして俺にだけはくれないんだ…!?)
半額神(―今宵の闘いは普段にも増して刺激的で退屈しないのよな…!!)ウムウム
上条(クソッ…!)
上条(間合いさえ詰められれば…!)
上条(あの翼を幻想殺しで粉砕できるはずなのに…ッ!!)
上条(その間合いが…詰められねえ)グッ
削板(…第二位だな)ギリッ
佐天(『未元物質』の二つ名を持つ―)ゴクリ
フレンダ(―強力な狼ってわけよ…っ!)キッ
アックア(…手加減は無用であるな)サッ
浜面(帰りてえ…!!)ハアハア
垣根(あれ…?)
垣根(気のせいか俺一人が悪者みたいになってねぇか…?)
海原「僕達も協力しますよ」ニコッ
結標「―まったくしょうがないわね」シュタッ
結標(まあ、とっくの昔に目標物は入手したけど)ニヤッ
店員「わ、私達も回復魔術で皆さんを援護させてもらいます…!」キッ
滝壺「みんなで力を合わせて、悪い狼をやっつけよう…!」
一同「 お ー ッ ! ! ! 」
垣根「」
垣根「ん…?」
ステイル「がっ!?」ツルッ
ドテッ
ステイル(床冷てえ…)
垣根「~♪」ザッ
ステイル(く…そ…)
ステイル(ボクは…ここまでなのか…?)ギリッ
垣根「―」スッ
垣根「 死 ね 」
「もうやめてくださいっ!!!」
一方「こっから先は(出口へ)一方通行だ!」パリーン ドガグシャバキガガガガガガガガガガガ
猟犬部隊「ぎゃあああああああああああああああああああああああああああああああ」
黒妻「ちっ…!」タッ
第六位「くっ…!」サッ
一方「ったく手ごたえの…ぐぼァ!?」ガスッ
木原「余所見すんじゃねえぜ、一方通行!!」オリャア コンニャロコンニャロ
食蜂派閥「店内全域―」「―制圧完了!」ザザザザッ
食蜂「それじゃぁ~、月桂冠はぁ、いただきっ☆」タタタ
美琴・変態「「 さ せ る か あ あ あ あ あ あ あ ッ ! ! ! 」」バッ
食蜂「な」
ドガシャーン
変態「右手に…やわらかくて小さなものの感触がッ…?」モミ
変態「左手には…やわらかくて大きなものの感触がッ…?」モミ
美琴「アンタァ、どこ触ってんのよ」ギロッ
食蜂「きゃあ~、この人に犯されましたぁ☆」ジタバタ
変態(―幸せだぁああああッ!!!)
食蜂派閥「キャアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアッ!!?」ワーワーキャーキャー
一方「あはぎゃはぐへあァッ!?」ボカッ
木原「だから余所見すんなよなぁ!!」バキッ ボコッ ドコッ ドコッドコッドコッドコッ
一方(俺としたことがァ…ナニかに目覚めそうだぜェ…)ヒーハー フーヘー
麦野「オラァッー!!」ガスッ
黒妻「―強いな、アンタ…」ユラリ ドサッ
麦野「(月桂冠・北海道産紅鮭弁当を)獲ったああああああああああああああああああああ」キャッホウ
駒場「――“原子崩し”、…たいした女だ」ガクッ
第六位「―“暗黒駕籠(ブラックホール)”」シュルン
姉「…月桂冠を確保することはままなりませんでしたが、とりあえず半額弁当は確保しましたわね」シュタッ
第六位「そろそろ警備員(アンチスキル)が来る頃です。早急に退散しましょう、…姉さん」
【暗黒駕籠】
・駕籠の中に発生させた異空間に、あらゆる物理攻撃及び特殊攻撃を吸収させて自己の攻撃力に転化する能力
・形成する異空間を応用して、四次元ポケットに近い性質の駕籠を作り出すこともできる
・なお姉は頭が弱いので(ry
初春「まったくあなたは…!」キッ
一同「 !? 」
上条「う、初春さん…!?」
佐天「ういはる!?」
垣根「か、かざりんッ!?」
一同「 かざりんッ!? 」
佐天「あはは…つい出来心で~」ゴメンゴメン
垣根「なんでココにいんだよテメェ…」ポリポリ
初春「風紀委員の仕事で近辺のスーパーを巡回してるんですよッ!!」
初春「それより!! もう弁当戦争には参加しないって約束したじゃないですか…!」
垣根「記憶にねえな」
上条(…死ねよリア充ども)
浜面(…死ねよバカップルども)
佐天(初春…彼氏いたんだ…)
黒子「風紀委員ですのッ!!」ザッ
黄泉川「この店で能力を使用して乱闘してたのはお前たちじゃん!?」ザッ
フレンダ「やばっ…!」
浜面「逃げるぞ滝壺ッ!!」ダダダダダダダダ
滝壺「はまづら、待って…!」タタタ
絹旗「超撤収ですっ!」タッ
神裂「解散!!」スタッ
アックア「…」シュタッ
番外個体「帰ろ」ザッ
海原「…昨日ここに御坂さんが現れたと聞いて張っていましたが…」ハアア
結標「とりあえず月桂冠は私が確保させてもらったわ。じゃあね白井さん」シュタッ
黒子「ま、待ちやがれですのッ!!」イラッ
黄泉川「ったく、なんて逃げ足の速い連中じゃん…」ボーゼン
黒子「…建造物侵入並びに騒乱及び破防法違反容疑であなたの身柄を拘束しますの」マッタク
上条「」
上条「不幸だああああああああああああああああああああああああああああああああ」
―――スーパーDの外
「ご来店ありがとうございましたー」「…二度と来ないでくださいね」
美琴「今夜のアンタの執念には…負けたわ」チラッ
食蜂「マジでぇ、怖かったぁ~☆」チラッ
麦野「う、うっさいっ!!///」
木原「悪いな~一方通行」ククク
木原「お前が来店したのを見て、…こりゃあ俺も動かねえとって思ってな」フッ
一方(…まァ、たまには敗北を味わうのも…悪くはねェかも、な…)ゴクゴク
変態「月桂冠は手に入らなかったけど…」ハアハア ヒイヒイ ゼエゼエ ガクガク
変態「何とか…半額弁当はゲットできた…!!」グッ
二階堂「変態よ…。お前の半額弁当に懸ける魂、恐れ入ったぞ…」ナニガアッタンダ…
食蜂「メアド交換するぅ?」
駒場「―お前とまた、共闘したいものだな」
黒妻「―今の一途な気持ちを、これからも忘れるなよ」
変態(学園都市、来て良かった…ッ!!)ニッ
シャガ「おーい佐藤~!」
変態「あ、シャガ! それに先輩も…!」
先輩「私は“空力使い”を倒して無事月桂冠を確保した。ちなみに(ry」
シャガ「あ、あ、あたしはそのほら今日は体調がすぐれな(ry」
先輩「…まあ、そういうことだ」
変態「先輩―」
変態「次にこの都市に来るときは、僕も月桂冠を必ず手に入れて見せます」
変態「これからも、頑張りますッ!!」
先輩「ああ、頑張れよ、―佐藤」
―グンマ県内
白粉「はぁ~浮かばないよぅ」スランプ
ローマ教皇「前方、左方に続き後方のアックアまでもが学園都市の半額弁当の回収に失敗するとは…」
ローマ教皇「くそ!!」
フィアンマ「連中もそこそこ成長してきたって訳か」ザッ
ローマ教皇「右方…。ま、さか、『奥(ダンジキノマ)』から出てきたのか……」
フィアンマ「なまじの半額弁当など眼中にはないんだよ」
フィアンマ「『聖なる月桂冠』と呼ばれる幻の半額弁当―」
フィアンマ「欲しいとは思わないか?」グゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥ
ローマ教皇「…」ゴクリ
ステイル「はッ!? こ、ここは…!?」パチッ
五和「ようやく気がつきましたか…」ホッ
ステイル(そうか、ボクは弁当戦争に敗れて…クソッ)ギリッ
建宮「ほらよ」つ半額弁当
ステイル「こ、これは…!?」
五和「結局、いろいろと混乱があって、…一つだけ売れ残ってしまったんです」
建宮「残ったやつは…処分することになっているのよ。だが」フッ
五和「もし良かったら、―どうぞ」ニコッ
舞夏「半額弁当をめぐる戦争が流行りらしいが―」コトコト
元春「らしいにゃ~」
舞夏「参加しないのか~?」グツグツ
元春「…どこに参加する必要がある?」
舞夏「よーし、夕飯ができたぞ~」アツアツ
元春「待ってました~!!」パチパチパチ
ステイル「――君の夕御飯だ」つ半額弁当
インデックス「わあ! とってもおいしそう…!!」
インデックス「とうまが帰ってこないから、もうおなかぺこぺこで息絶え絶えだったんだよ…」グゥ~
インデックス「ありがとうなんだよっ!!」ニコッ
ステイル(…生きてて、良かった)ウルッ
垣根「どうしてこうなった」
上条(やっぱり参加するんじゃなかった…)
佐天「金属バットはいつ返してもらえるの、初春?」
あせび「まいごになっちゃった」エヘヘ
黒子「カツ丼ですの」コトッ コトッ コトッ コトッ
初春「今夜も長くなりそうですね…」ハアッ
黒子「死んでくださいまし」
上条(…カツ丼うめえ)モグモグ
佐天(…ホントだ)パクパク
あせび「あ」ツルッ パリーン
初春「ご精読、ありがとうございました!」
お し ま い
…このまま続けたらガチな戦争になりそうな気がするんでこの辺で切り上げときますノシ
Entry ⇒ 2012.01.14 | Category ⇒ 禁書目録SS | Comments (0) | Trackbacks (0)
打ち止め「あなたはヒーローさんが好きなんでしょって(ry」一方「はァ?」
・一方通行さんは百合子(原作派生IF女子設定)
・一応 上条さん×百合子(予定)(たぶん)
・ほぼ通行止め
・ミサカネットワークネタ
・23巻後くらいのつもりだけど色々と細けぇことはいいんだよ
打ち止め「あなたはヒーローさんが好きなんでしょって(ry」一方「はァ?」
一方通行「……オマエ何言ってンの?」ゲンナリ
打ち止め「あなたはあのヒーローさんが好きなのよねってミサカはミサカは再度図星をズバリ!」
一方通行「もうのぼせたのか」チョップ
打ち止め「あいたぁ!?図星だからってあいた、あいたっ!もうー!ってミサカはミサカは反撃し
てみたり!」バッシャー
一方通行「うおっ!?なッにしやがンだコラァアアア!!」バシャバシャー
打ち止め「ぶふぉっ!あなたって本当に大人げないんだからってミサかはミサカは本気モード!」
バシャバシャ
コノクソガキィイイ マケナインダカラー バシャバシャバシャバシャ
(五分後)
一方通行「ッくしゅんっ」ブルッ
打ち止め「ハッ…!いつの間にかお湯が半分に!ってミサカはミサカは案外かわいいあなたのくし
ゃみで我に返ってみたり…」
一方通行「あーお湯足すぞ。寒ィなァ…」ジャードボドボ
打ち止め「もう冬なのね、ってミサカはミサカは寒さに弱いあなたが心配」
一方通行「うっせ。オマエはちゃんと肩までつかってろォ」グイグイ
打ち止め「うぶぁっ…頭急に押さないで、温まるならあなたの腕の中で!ってミサカはミサカは
飛び込んでみる!」
打ち止め「あなたはちゃんと受け止めてくれるって、ミサカは知ってるから」
一方通行「……バァカ」フイ
打ち止め「ところでヒーローさんのことだけど、あなたは顔に力入れなければ美人さんなんだから
大丈夫だよ!イケるイケる!って最近ちょっとだけ膨らんできた胸に頬擦り!」スリスリフニフニ
一方通行「はァ!?だから一体どっから来ンだよその発想…っ、く、ははっ、くすぐってェって、
やめろクソガキ!」
打ち止め「ぐぬぬ…ってミサカはミサカは頭を引き剥がそうとするあなたに全力で抗ってみたり
ぃいいい…」グググ
一方通行「だいだい、その発想、どっから、受信しやがった」ググググ
打ち止め「あなた、見てれば、わかる、ってミサカはミサカは、確信してるの!」ググググ
一方通行「なーにを見たンだっつーの」グター
打ち止め「ヒーロさんのこと話してる時、あなた見たことない顔してるもん、ってミサカはミサカ
は勝利の余韻に浸りながら頬擦りするの!」フニフニチョットヤワラカ
一方通行「どンな顔だよ」
打ち止め「かわいい顔!!!」フンス
一方通行「」イラッ
打ち止め「ミサカを猟犬部隊から助けてくれたのもあの人だよって教えたら、あなた『じゃああの
時の電話もあの三下かァ…?確かに聞き覚えがあるとは思ったけどよォ』とかぶつぶつ
言ってて、引き続きなんか眉毛下がっててかわいい顔でしたーってミサカはミサカはあ
いたぁ!?」
一方通行「………」チョップチョップチョップ
カはミサカはレトロゲームにも造詣の深い知的な女をアピールあいた!」
一方通行「オマエの知的レベル低すぎンだろォ…」
打ち止め「失礼な!?ミサカだけがあなたの密かな想いに気付いたというのに!」
一方通行「はァ?想いって何だアホ、あンな無能力者がお前を助けてくれたなンてちょっと意外だ
っただけですゥー」
一方通行(ロシアの時、何でこのガキ助けてくれねェンだ、とかアイツに口走っちまった気ィする
しよォ…)
打ち止め「そんで、こないだあの人が無事だってわかった後も、ちょっとポーッとした顔としてた
よ?ってミサカはミサカはあなたはヒーローさんのことを考えていたに違いないと思う
のだ!」
一方通行「別にそンな変な顔してませンークソガキの勘違いですゥー」
打ち止め「変じゃなくってかわいいって言ってるのに…。あなたって本当にトゥーシャイシャイな
んだから、でもそんなところもかわいいけど?ってミサカはミサカはアメリカンに肩を
竦めてみるゥー」HAHA~N
一方通行「打ち止め」
打ち止め「え?」
一方通行「オマエの方がずっとかわいいだろ」キリッ
打ち止め「えっ……!てキュンとしてみたり、あなた女の子なのにミサカはミサカはミサカは…」
一方通行(よし、話逸れたな…)ウン
一方通行「しつけェエエエエエエ!!!!」バッシャー
打ち止め「ぶふぁー!?人が真剣なアドバイスしてるのに何するの!ってミサカはミサカは
猛反撃ィイ!!」バシャバシャ
オラオラオラオラ- ムダムダムダムダーッテミサカハー
コラーイイカゲンニシナイト、アシタオフロヌキジャンヨーー!
一方通行「……風呂に入れないのは困る」ピタッ
打ち止め「ミサカはあなたとお風呂に入れないと一日が終わった気がしない!ってミサカはミサカ
は水を掛ける手をピタリと止めてみたり」
打ち止め「そして引き続き、ヒーローさんへの告白作戦を…」
一方通行「しつけェなもォ…どうせ番外固体にでも妙なこと吹き込まれたンだろ?」グター
打ち止め「えー?番外固体はミサカ達の中で唯一、ヒーローさんが嫌いだと思うな」
一方通行「なンで?」キョトン
打ち止め「あなたにとってヒーローさんが特別だから!ってミサカはミサカは本当のことを言って
みたり」
一方通行「イミわかンねェ。…あー、でもお前らアレか、俺があンな無能力者に気があるって思っ
てンなら、番外固体にとっては嫌いなヤツがスキなヤツ、イコール嫌いってことかァ?
徹底してねェアイツも」ククッ
打ち止め「そういうんじゃないのよ…。ってミサカはミサカはわかってないあなたに肩を竦めて
みる」ハァー
一方通行「……?そういや昨日から帰ってねェなあの不良娘…。ったくどこほっつき歩いてンだか」
一方通行「面倒くせェ…まーたおとなしく帰る代わりに買い物にでも付き合えとか言われる気ィする」
打ち止め「ミサカも!ミサカもお買い物行きたーい!って番外固体の企みを大人げなく邪魔するのだ!」
一方通行「誰が大人なンだっつーの」
打ち止め「ミサカは大人だから、番外固体と違ってあなたの恋を応援するの!っとミサカはミサカは」
一方通行「しっつけェなホントに!だから何でそうなるンだよ!」ウガー
打ち止め「あなたを見てればわかるんだから!それは恋なのよってミサカはミサカは再びあなたの胸にスリスリ」
一方通行「それってどれだっつーのォ…」ハァ
打ち止め「それにしてもAAサイズよねって、ミサカはミサカは貧乳なあなたを心配しながら意地悪く微笑んでみたり」
一方通行「そォだなァ。けどこれでも何もつけてないと痛えンだよったく面倒くせェ」ハァー
打ち止め「あなたは巨乳になりたい!とかないの?ってミサカはミサカはスイカップに憧れる自分と下位固体達を思い浮かべながら不思議になるんだけど…ていうかさっきのお姉様に言ったら超電磁砲飛んできたよ?」
一方通行「やめてやれよ…。デカくたって邪魔なだけだろォ、こンなもン。何の役にも立たねェし」
驚愕してみたり」
一方通行「はァ、ずーっと全部反射してたのがここ最近外部刺激が増えて、本来発揮されるべき
ホルモンが活性化してンのかね。あーうぜェ…」
打ち止め「あ、それ前にヨシカワが同じこと言ってたよ、ってミサカはミサカは思い出して報告!」
一方通行「マジか」
打ち止め「マジマジ、ってミサカはミサカはヨシカワも『まぁあの子せっかくかわいいんだから
いいことよね、顔に力入れなければ』って笑ってたよって重ねて報告してみたり」
一方通行「うっせェ、地顔なンだよ」ギン!
打ち止め「だからその顔に力入れるのやめてってミサカはミサカは!あっミサカは顔の力強い
あなたのことも大好きだけど、ヒーローさん的にとっつき辛いじゃん?あの人には
全然ツンデレが通用しないから要注意じゃん、ってミサカはミサカはお姉様を思い
出しながら効果的なアドバイス」
一方通行「だァから何で俺があンな三下を……」グッタリ
打ち止め「だから見てればわかるって言ってるでしょ、ってミサカはミサカは」
一方通行「だいたいこンな男か女かわかンねェようなのに好かれても、アイツも困るだろ…」
打ち止め「そんなことない!!!」プンスカ!
打ち止め「あなたは肌も髪も目もとってもきれいだし、すっごく優しいし、かっこいいし、強い
し、かわいいし、頼もしいし、優しいし、あなたのことを良く知れば誰だって大好き
になるよ!ってミサカはミサカは自信満々!」フンスッ
打ち止め「だから絶対大丈夫って…ふぇ?」
一方通行「…………」ナデナデ
打ち止め「ど、どうしたのって、いっつもねだってもなかなか撫でてくれないあなたが急に撫でて
くれてミサカはミサカは…」ホワンホワン
一方通行(……そンなこと思ってンの、世界中でオマエだけだっつーの)ナデナデナデ
一方通行「俺は…それだけでいいけどな」ボソリ
打ち止め「……?」
一方通行「何でもねェよ」ナデナデ
打ち止め「ね、ねぇ…今日は一緒に寝てもいいでしょ?ってミサカはミサカはおねだりしてみる」モジモジ
一方通行「…しょーがねェな、クソガキ」
ものだろう、と打ち止めは思っている。
勉強が得意な女の子が、学校でスポーツの一番出来る男の子に憧れるような、そういった類のひ
どくあどけないもの。
自分の持っていない、自分が持っていたかったものを持っているヒーローへの憧憬。
自分を変えるきっかけをくれた人。最強と謳われた自分が敵わなかった存在への苛立ちと尊敬。
あまりに孤独な半生をたったひとり歩んできたあの人にとって、きっと上条当麻はひどく鮮烈だ
ったに違いない。
けれど、その感情は人が一般的に恋情と呼ぶ不安定な熱量を孕んではいない。少なくとも、今は。
それどころじゃなかった。
一方通行はずっとずっと、恋なんてしてる場合じゃなかったのだから。
(……でも)
打ち止めは、無意識のうちに一方通行の胸元に頬を摺り寄せた。すでに寒々しい十一月。けれど
一つの毛布に包まって眠ればとても温かい。
ふわりと、涼しい花のような香りがする。実際の匂いと違うと知っていても、打ち止めはいつも
百合の花を思い出す。
額に微かに触れる寝息は安らかだ。
だが不意に、ばさりと小さな小さな羽音が響いた。
「……」
一方通行はただじっと息を潜めて様子を伺っていた。やがてパタパタと小さな羽音が再び響く。
その音源がただの鳩で、たまたまベランダの手摺に止まっただけだと悟ったらしく、一方通行は
音も立てず、ゆっくり息を吐き出す。
それから打ち止めの顔をそっと覗き込んだ。
(……っ)
打ち止めは決して息を詰めないように、ただひたすら目を閉じて、自然で安らかな寝息を繰り返
した。
深呼吸を五つ数えた時、ようやく注意深いような視線が外れる。緩んだ自分の頬を、一度だけ滑
らかな指の背が撫でた。
そして一方通行は、やっと再び眠りにつく。
その間打ち止めに出来ることは、ただ細心の注意を払って、寝たフリをすることだけ。
(一方通行…)
打ち止めを守ってくれる人は、あの日から…木原数多が現われた日から、一度たりとも熟睡して
いない。
要領がいいのか能力を使っているのか、疲労はきちんと回復しているようだ。
ただ、たった今のように、ほんの僅かな物音、気配で敏感に目を覚ます。寝起きの悪い一方通行
だが、例えば見知らぬ人間が玄関に近づいていれば、眠気のカケラもない顔で起きていたりする。
(悔しいよ…)
自分には、この大切な人を安心して眠らせることすら出来ない。
外見上はそう年も変わらぬ、自分と同じ性別の少女。折れそうなほど華奢な身体で、全身全霊を
掛けて守ってくれた。
ボロボロになって、血反吐に塗れながら。顔だろうが腹だろうが胸だろうが、傷だらけになりな
がら。
決して揺らがない細い背中はあまりに頼もしく頼りなく、いつも胸が潰れそうになる。
そもそも。一方通行は自らのことを泥と闇の中がふさわしく、逆に打ち止めのことを光だとか思
っているようなフシがある。
最近は多少変わったし、口に出しては言わないけれど、時々そういう、打ち止めとの間に深い溝
を引きたがる。
一方通行は想像したことがないのだろうか。
自分だって、打ち止めの光だということを。
最初から。一方通行は、比喩でもロマンでもなく、打ち止めの存在理由だ。
一方通行の存在と打ち止めの存在は、ごくシンプルな因果関係にある。
自分が何のためにいるのか残酷なまでに明確であること、それは他人から見れば不幸であり不条理
であるのかもしれない。
けれどだからこそ、打ち止めは培養器から逃げ出したあの時、一方通行のところに行こうと決める
ことが出来た。
そして今、ただ科学と論理だけが介していた打ち止めと一方通行の間には、経験と時間が少しず
つ積み重なっている。
笑い、怒り、泣き、拗ねて、笑って、ご飯を食べて、眠る。そういう人間ならば当たり前のこと
を一方通行と積み重ねてきて、それは打ち止めの身体の芯をひどく温かく照らした。
自分が一方通行のために作られたという事実。
例えそれが学園都市側の思惑の結果であったとしても、今やそれは誇りですらあるのにと、直接
言ったことはない。
言えばきっと、困ったような悲しげなしかめっ面をされてしまうから。
この感情を、どう表現すればいいのか。
例えば、打ち止めは一方通行のためなら死んだって構わない。
けれどそうしたら、それこそ一方通行は絶望して、自分の身をどことも知れぬ闇に投げ出してし
まうだろう。
そんなことになったら、まさに死んでも死に切れない。なので、打ち止めは絶対に死なないと、
そういう覚悟を決めている。
それなのにあの人に負担ばかりかけていて、泣きたくなる。でも、あの人の前では絶対に笑顔で
いたい。
この感情をどうすれば伝えられるのか。
大好きだと毎日伝えれば、少しはわかってもらえるだろうか。毎日言わないと、すぐに好かれて
いることを忘れてしまいそうなあの人に。
けれど聞いても、決して教えてはくれない。危険だから。打ち止めを危険な目に、合わせたくは
ないから。
(ミサカだって、あなたを守りたい)
せめてあのお姉様くらい強くなれば、あの華奢な背を守らせてくれるだろうか。
自分はまだレベル3で、学園都市最強の第一位は、夜空の月より手の届かない強さだ。
でも打ち止めにはミサカネットワークという武器がある。今は一方通行の演算補助に使っている
だけだが、自分が能力を使うための補助も可能だろう。きっと追いついてみせる。
だが、それは何年後のことなのか。遅い。
打ち止めは今すぐ、一分一秒でも早く、一方通行に安心して眠って欲しい。しっかりしたものに
背中を預けて、安堵してほしい。いつまでも安らかに微笑んでいてほしい。
(あのヒーローさんなら……)
上条当麻になら、それが出来るだろう。あのわけのわからない強さ、あの人の偽悪的な言動に引
き摺られない真摯な心、何よりもあの人自身が好意を抱いている。
正直、一方通行と上条当麻が上手く行けば「ミサカの一方通行に手を出すなんてブチコロシカク
テイネってミサカはミサカはミサカはァアアア!」と逆上したくなるし、万が一にも一方通行が
フラれようものなら、「ミサカの一方通行のどこが気に入らないって言うのォオ!?ってミサカ
はァアア!!」とブチ切れるだろう。
そんな自分が目の裏に浮かぶかのようだ。
だが、何よりもあの人の幸せが大事。
別に恋愛が人の幸せに必須な物とは思わない。というか、よくわからない。このミサカより一方
通行を好きになる人なんているわけないよね、とも思う。
ただ、あの人が少しでも好意を向けているのだから、それを大切にしたい。あの人自身にも、大
事にしてほしい。
人から気持ちを受け取るのも、人に気持ちを渡すのも、ひどく不得意な、臆病でいとおしいあの
人の心を。
打ち止め(…とはいえ、どうしたものですかなぁ、とミサカはミサカは考え込んでみたり……)テクテク
一方通行「ふァあ……」コツコツ
打ち止め(天気も良いし、結構散歩が好きなこの人を連れ出したはいいけど、どうすればヒーロー
さんといいかんじにしてあげられるのかな?とミサカはミサカは早速万策尽きた!?)ガビーン
一方通行「おいクソガキ、何か飲むか」
打ち止め「飲む~!ってミサカはミサカは自販機の側のあなたにご機嫌で駆け寄ってみたり!
アップルジュースがいいな!」
一方通行「ン」ピッピッ ガチャコンガチャコン
打ち止め「このベンチ座ろってミサカはミサカはあなたの手を引っ張ってみたり!」
一方通行「引っ張ンな」ヨイショ
打ち止め「いい天気ねってミサカはミサカはあなたと並んで青空を見上げてみる」
一方通行「まァ、そうだな」ズズー
打ち止め「……」ゴクゴクゴクゴク「ぷはー」
打ち止め(うーん下位固体達に相談してみようかな~ってミサカはミサカはネットワークにアク
セスしてみたり)
打ち止め「……」ゴクゴクゴクゴク「ぷはー」
一方通行「…………」
ピピピ… ポカポカ ソヨソヨ
打ち止め「ねぇねぇ、今日はちょっとあったかくって気持ちいいねって…あっ、寝てる」
一方通行「…………」スー…スー…
打ち止め「あなたって意外と急速潜行タイプよねって、ミサカはミサカは微笑んで寄り添ってみたり…」
打ち止め「えへへ、あったかいな…ミサカはミサカはそーっとあなたの腕にしがみ付いてご満悦なの」
打ち止め(本当に寝顔は天使みたいねって、ミサカはミサカはあなたの寝顔を飽きずに永久保存
アンドMNWにバックアップ!)
打ち止め(平日の昼間で誰も居ないし、この人も少しは安心できてるのかなぁ…。この距離に近
づいて目を覚まさないの、ミサカと妹達とヨミカワヨシカワくらいだもんね、って
ミサカはミサカは誰にともなく自慢してみたり)
打ち止め(はー…それにしてもこれからどうすればいいのかな、ってミサカはミサカは途方に暮
れる…。ヒーローさんのケータイの番号、10032号が知ってるかなぁ?いくらこの
人がみりょくに溢れていても、会えなかったら何の効果もないよって)
上条「あれ?打ち止めと……一方通行!?」
打ち止め「一級フラグ建築士パネェエエエエ!!!!!ってミサカはミサカは改めて驚愕してみ
たりぃいいいいい!!」
上条「えっ」ビクッ
打ち止め「あっ、えーと、こんにちはヒーローさん!」
上条「(ヒーロー?)ああ、こんにちは」
打ち止め「今日は平日だからお昼の公園で会ってちょっと意外だったんだよ、ってミサカはミサ
カはごく自然に誤魔化してみたり」
>>31
ありがとうすごく嬉しい
「あー、まだ学校は自主休校だよ。明日から行くんだ。…ていうかさ、聞いていいか?」
打ち止め「なあに?ってミサカはミサカは首を傾げてみたり」
上条「お前の言ってた『あの人』ってやっぱり…」オズオズ
打ち止め「うん!一方通行のことだよー!ってミサカはミサカは胸を張って自慢げ!」
上条「だよな……………」ポカーン
(…てことは、あの電話もコイツだったのか…。打ち止めのことすごく心配してて、スゲー
良いヤツだって思ってて)
打ち止め「マジだよ!」
上条(勝手に親近感とかちょっと感じちゃったりしてて……そしたらロシアで)
一方通行「………」スー…スー…
上条(って、コイツってこんな顔だったんだなぁ)シミジミ
打ち止め「意外?ってミサカはミサカはすべてを見透かした顔でほくそ笑んでみたり」
上条「……わざと黙ってたのか?」
打ち止め「うーん…半分正解かな、ってミサカはミサカは自らの思慮深さを披露してみる。この
人はミサカを助けて守ってくれて、ミサカはこの人が大好きだけど、ミサカ達10031
人を殺したのもこの人であるのは事実だから」
上条「…………」
『どういうつもりか確かめる!』とか言い出しそうだなってミサカはミサカは推測したの」
上条「俺とコイツを会わせたくなかったのか」
打ち止め「言ったでしょ?この人は弱いの。自分の罪を憎んで、自分を憎んで、すごく傷ついて
る。だからもう誰にも、この人の罪を責めてほしくなかった」
上条「俺は…多分責めたりしなかったと思うけどな」
打ち止め「うん、そうかもしれないね。でも、この人はそう感じてしまうの、ってミサカはミサカ
は寝顔を眺めてみたり。ミサカは一方通行を傷つけたくないから…。ごめんね、ミサ
カはあなたを信頼してないわけじゃないよ」
上条「謝らなくてもいいさ。よっぽど一方通行のことが大事なんだな…。お前のその顔だけで、コ
イツがどんな風に接して来たのかわかるよ」
打ち止め「さすがはヒーローさん!度量が広いねってミサカはミサカはお世辞を言ってみたり!」
上条「お世辞って口に出しちゃ意味ありませんよ…。けど、いいのか?俺とコイツを会わせたく
なかったんじゃ…。あ、寝てるからノーカンか?いやぁしかし、よく寝てるよなぁ」
打ち止め「まぁ、事情が変わったからね、ってミサカはミサカはこの人の変化を告げてみたり」
上条「変化?」
打ち止め「だいたい、この距離でこの人が起きないってだけで、ミサカとしてはちょっと悔しい
んだからね、ってミサカはミサカは頬を膨らませてみる!」プンプン
上条「……?」
一方通行「っせェなぁ…何騒いでンだクソガキ……、あ」
一方通行「…………………」ギロリ
上条(すごい睨まれてる……)
一方通行「………………」(なァんでこンなとこにこの無能力者がいやがる?)
打ち止め「こら、あなたったら!ヒーローさんに会ったら言いたいことがあるんでしょ!って
せっかくのチャンスなのに顔に力入れるあなたを叱り付けてみたり!」
一方通行「あァ?なんでオマエが………、……………」
上条「言いたいこと?」
一方通行「………………」
上条「………………」
打ち止め(頑張れあなたちょう頑張れ!ってミサカはミサカは心の中で声援を送ってみたり!)
一方通行「チッ………」スッ スタスタ
打ち止め「ちょ、どこに…、あれ?ってミサカはミサカはまたしても自販機の前で立ち止まった
あなたを不思議そうに見上げてみたり。さっき飲んだばっかりでミサカもあなたも喉
は渇いてないんじゃないかな?」
一方通行「黙ってろクソガキ。………何飲むんだよ、無能力者」ギロリ
上条「へ?」
一方通行「チッ、奢ってやるっつってンだよ。何がいい?」
一方通行「……ふン」ピッ ガチャコン
打ち止め(あっ、何かちょっと嬉しそう?同じ物がスキで嬉しい的な?そういう?ってミサカは
ミサカは珍しい表情をすかさずバックアップ!)
一方通行「ほらよ」ポイ
上条「っと…、あー、サンキュー?」
打ち止め「ナイスキャッチ!ってミサカはミサカは褒めつつさりげなくヒーローさんをベンチに
座らせるのだ!」
上条「いやいや、さりげなくねーですよ」ヨイショット
一方通行「……………」
打ち止め「ほーらー、あーなーたーもー!って一人でそっぽ向いてるあなたをヒーローさんの横
に座らせてみたり!」
一方通行「おい、やめろクソガキ」ストン
上条「と言いつつされるがままなんだなー、お前」ハハハ
一方通行「うるせェよ無能力者」ギロリ
上条「う、そんな睨まなくても……」
打ち止め「もーー!!!素直にならないとミサカが全部ゆっちゃうよ!?いいの!?ってミサカ
はミサカは怖い顔で睨んでみたり!」
打ち止め「一方通行…あまりミサカを怒らせない方がいい」ゴゴゴゴ
一方通行「はァ?頬っぺた風船みてェにしてどうしたクソガキ」ツンツン
打ち止め「ぷひゅっ、つつかないで!ってミサカはミサカは、下位固体に命令して近所のコンビニ
のコーヒー全部買い占めちゃうよ!?」
一方通行「それは…ヤメロ。つーかお前ら、コーヒー好きじゃねェだろ…。買ったモンどうすンだよ」
打ち止め「うーん…番外固体にでもあげよっかなー?よくあなたのコーヒー横から取り上げてるし」
一方通行「バーカ、アイツは俺に嫌がらせしたいだけで、コーヒー嫌いだろ。無理して飲み干し
た後、必ず菓子食ってるし」
打ち止め「あれ気付いてたの、ってミサカはミサカは構ってちゃんの妹に張り合ってあなたのお
腹にダイブ!」
一方通行「ぐふぅ!おま、さっきのコーヒー出て来ンだろクソガキィ!」ギュゥウウ
キャハハ イターイッテミサカハミサカハ クラエーー
上条「ぷ、はは、あはははっ」
一方通行「!!!」ハッ
上条「ホントに仲良いんだな、お前ら」
一方通行「……………チッ。見てンじゃねーよ」ギュムギュム
打ち止め「うむぅ、そんなに抱き締めちゃ苦しいよってミサカはミサカは解放を訴えてみたり!」
一方通行「…………………………」
上条「お、これけっこーうまいな」ズズー
一方通行「………………………………」(何でこンなにフツーなンだコイツ…)
上条「……………まぁ、アレだな。ロシアで会ったっきりだったから、お前らがどうなったか気
になってたんだ」ズズー
一方通行「……!」
上条「ちゃんと…守れたんだな。よかった」ニコ
一方通行「……………っ」ギュウウ
打ち止め(珍しい勢いでハグされながらも、一方通行の心拍がわずかに上昇したことを確認!
ってミサカはミサカはちょっといい雰囲気にワクワク!!)
一方通行「…オマエ………」
上条「上条だよ」
一方通行「は?」
上条「上条当麻だ。ちゃんと自己紹介したこと、なかったよな」
一方通行「……チッ。…………………………一方通行だ」ボソッ
打ち止め(おお!!自己紹介されたら自分もする、という常識的社交性が発揮されるなんて!
ってミサカはミサカはこの人の成長に目頭を熱くさせてみたり!)
一方通行「忘れた」
上条「……そうか」
一方通行「…………………………」
上条「……………」ズズー
打ち止め(早く早く!あなた早くしないとヒーローさんがコーヒー飲み終わっちゃうよ!って
催促するために服を掴んでユサユサ!)
一方通行「…チッ、うっせェよクソガキ、わかってンよ」
上条「ん?何か言ったか?」
一方通行「あー…、………………」
上条「?」
一方通行「……………………………………………世話ンなったな…上条」
PM2:18 ミサカネットワーク内
1.【協力求む】あの人とヒーローさんをいいかんじにさせたいんだが(1)NEW
2.【精神的ブラクラ】セロリの顔芸と寝顔の写真を交互に貼るスレ12【爆笑】(342)
3.今日の上条189(834)
4.ダイエット成功した固体が淡々と方法を書き込むスレ8(123)
・
・
・
・
【協力求む】あの人とヒーローさんをいいかんじにさせたいんだが(567)
1 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りしますID:Misaka20001
一方通行は実は女の子だったんだよ!
そんであのヒーローさんが好きみたいだから協力してあげたい、って
ミサカはミサカは下位固体達に相談してみたり
どうすればいいと思う?>>2
えっ?
3:以下、名無しにかわりましてミサカがお送りしますID:Misaka10033
えっ?
4:以下、名無しにかわりましてミサカがお送りしますID:Misaka10034
おい
おい
5:以下、名無しにかわりましてミサカがお送りしますID:Misaka10035
>>1
>>1
>>1
・
・
・
・
【協力求む】あの人とヒーローさんをいいかんじにさせたいんだが5(124)
1 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りしますID:Misaka20001
もーみんな驚き過ぎ!サーバーが落ちそうになっちゃったよ!
ってミサカはミサカは まぁ落ち着け
2 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りしますID:Misaka19090
いやだって運営
えっ?
4 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りしますID:Misaka14889
おい春厨が息してないぞ
5 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りしますID:Misaka20000
バカだなお前ら何騒いでんの?
セロリたんが男でも女でも関係ないだろ
俺はただ…ペロペロしたいだけだ
6 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りしますID:Misaka12556
やだ…変態カッコイイ
7 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りしますID:Misaka16456
>>6 落ち着けよwwwwwwwwww深呼吸しろwwww
8 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りしますID:Misaka15223
てかセロリが女とかwwwwwwwwwwwwwwww
あ あー?言われてみればどっちかわかんねーような見た目かなー
9 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りしますID:Misaka20001
あの人はホントはかわいい顔してるのよ!
ってミサカはミサカはさっき撮ったばっかりの寝顔を証拠写真として提出
つhttp://www.misaloda/accela67824.jpg
10 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りしますID:Misaka16889
>>9
相wwwwwwww変わらwwwwwwずwwwwwwww寝顔だけはかわいいwwwwなwwwwwwww
ん…?あー うーん???そういや女にも見えるかも
12 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りしますID:Misaka14510
>>9
ほ…保存をしnげうぐjg
13 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りしますID:Misaka14889
>>12
いいからお前は息しろよ
14 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りしますID:Misaka13557
つかセロリは何で惚れたんだ?二回も殴られといてwwwwww
マゾなの?wwwwwwwwww
15 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りしますID:Misaka10032
おい運営 冗談もたいがいにしとけよ
16 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りしますID:Misaka20001
冗談じゃないよ!ってミサカはミサカは真顔で書き込んでみる(キリッ
あの人は自分をとても蔑んでいたから
自分を変えるきっかけをくれた、誰もが避けて通る自分に正面から向き合って
くれた人を好きになっても、何もおかしくなんかない
17 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りしますID:Misaka13557
あー……
18 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りしますID:Misaka19090
そう言われるとミサカ達が上条を好きな理由とあんまり変わらんな
まだ気にしてんのかアイツ
20 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りしますID:Misaka20001
>>19
あの人が実験のことを気にしなくなるなんてことは永遠にないよ
21 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りしますID:Misaka18998
そうだな それはミサカ達も同じだ
22 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りしますID:Misaka20000
まぁそれはこのミサカも同意見だが
そんなことよりあんなに必死で戦ってきた一方通行が
実は女だったなんて萌えね?
すげ健気じゃね?超かわいくね?ますますペロペロしたくね?
セロリたんのちっぱいペロペロしたい
23 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りしますID:Misaka12211
何という歪みない変態
24 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りしますID:Misaka13577
>>22 お前がナンバーワンだ
25 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りしますID:Misaka17832
>>22 すげェ ビックリするほどきめェ
>>25 おいセロリの口調うつってんぞwwwwww
27 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りしますID:Misaka16725
つかアイツ、女なんだったらもっとこの変態に注意すべきじゃね
28 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りしますID:Misaka19090
だな
番外固体への反応見る限り、一方通行はミサカ達に抵抗できなさげだし
初めてがこの変態とかワロエナイ
29 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りしますID:Misaka20001
>>22 あの人が嫌がることしたら許さない 絶対にだ
ってミサカはミサカは上位固体の威厳を振りかざしてみたり!
30 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りしますID:Misaka10032
お前ら何受け入れた雰囲気になってんの?
俺達の上条がセロリの毒牙にかかってもいいのか?
31 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りしますID:Misaka18998
>>30 受け入れたっつーか 実際女だっつーならしょうがねーじゃん
上条のことはまた別問題だろ
32 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りしますID:Misaka14510
このミサカだって…!このミサカだtgrぐjhrr
33 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りしますID:Misaka14889
もういい…っ!もういい、休め…っ!休め>>32…っ!!
・
・
・
134 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りしますID:Misaka20001
あ、なんか今ヒーローさんが来た
135 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りしますID:Misaka10032
>>134 ちょ、おい
136 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りしますID:Misaka14287
>>134 ワロタwwwwさすが一級フラグ建築士wwwwwwwwwwww
137 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りしますID:Misaka10801
>>134 kwsk
138 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りしますID:Misaka11345
>>134 kwsk
>>137-138
「……………………………………………世話ンなったな…上条」
一方通行は思い切りそっぽを向いたまま、それでも噛み締めるように静かに呟いた。
色の抜けた白い髪は陽に透けて、真っ白の肌は淡く輝くようだ。微かな光を含んだ目は赤い貴石
に似ている。
この人は自分を闇に沈んだとか何とか思っていそうだけれど、こういうところを見る度に、本当
は光が似合う人だと打ち止めは感じる。
自分を胸元に抱き締めたままの細い腕に縋るように力が込められ、大丈夫だよ、と精一杯腕を伸
ばして薄い背をポンポンと叩いた。
この人はとても強いけれど、弱い。人に好意を向けるのを、怖がっている。
ただ感謝を伝えるだけのささいな言葉でも、今までの一方通行の人生では、言う機会も、言う理
由も、ほとんどなかったものなのだろう。
たった一言口にするだけで、どれほどの勇気をかき集めたのか。
想像すると、いとおしさで胸が潰れそうになる。
「……………」
打ち止めのヒーローが憧れる人は、少しだけ驚いたように目を見開いた。この人と対照的な、ひ
どく健全な真っ黒い目だった。
そして、パッと弾けるような笑顔になる。
「お前…本当に変わったんだな、一方通行」
>>139 詳しすぎワロタ
141 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りしますID:Misaka17832
>>139 すげェ すげェ詳しいな
142 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りしますID:Misaka18998
なんつーか、運営はホント一方通行のこと好きなんだな
知ってたけど
143 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りしますID:Misaka13577
自分の脳内ポエムを躊躇なく披露するとは…
この幼女、やりおる
144 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りしますID:Misaka15223
>>139 その後のセロリの反応kwsk
145 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りしますID:Misaka17934
>>139 一方通行は今どういう顔してんの?
146 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りしますID:Misaka20001
>>145
びっくりした猫みたいな顔になってるよ!ってミサカはミサカは写真をうp
つhttp://www.misaloda/accela-rare149.jpg
147 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りしますID:Misaka13945
>>146 誰wwwwwwww
148 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りしますID:Misaka18392
>>146 えっ
>>146 oh ……… ホントにコイツって表情で印象変わるよな
150 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りしますID:Misaka20000
>>146 かわいいいいいい!!!!苺みたいな目おいしそうペロペロ
151 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りしますID:Misaka18998
>>150 おいそこの変態 自重しろ
152 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りしますID:Misaka14510
>>146 保存sjぐ かっこいgjるg
153 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りしますID:Misaka14889
>>152 お前実は元気なんじゃね?
154 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りしますID:Misaka20001
いやーーさすがヒーローさん
あの人が一番言ってほしいことをさらりと言ってのける…
そこに痺れる憧れるゥ!ってミサカはミサカは感心してみたり!
155 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りしますID:Misaka15223
運営様!その後の一方通行さんの反応詳しくってば!!
>>155
目を見開いたまま固まってしまった一方通行を余所に、上条はポリポリと照れくさそうに頬を
掻いた。
「俺もさ…お前に礼を言わなきゃって思ってたんだ」
「は……?何でオマエが?」
ポカーンとしていたせいか、一方通行があどけないほど素直な顔で首を傾げる。
それを見てまた上条は少し驚いて、けれど今度は間を置かず笑った。
「お前に言った台詞は、全部俺自身にも当て嵌まることだったからさ。お前に言い切ったこと
で、俺自身も吹っ切れた」
「………………」
「ありがとな」
一方通行とは違い、躊躇なく力強い声で言って、日に焼けた手を差し出す。
「…………?」
しかし握手などほとんどしたことのないこの人は、不思議そうに上条と差し出された手を見比
べるだけで、打ち止めは慌てて小さな声で「握手!握手だよ!ってミサカはミサカは助け舟を
出してみたり!」と囁いた。
(もーーー!ロシアでは番外固体と握手したはずなのに!ってミサカはミサカは何か学習でき
てないこの人をもどかしく思うのだ!!だがそれがいい!)
「……………」
一方通行は、それでも惑うように上条の顔を見つめる。
「握手だよ。仲直り?っつーのもおかしいかな」
ハハハ、と上条は朗らかに笑って、辛抱強く手を差し出し続ける。
「…………変なヤツゥ」
ようやっと口から押し出したような憎まれ口を叩き、一方通行は白く細い手を伸ばした。
本人は否定するだろうけれど、その仕草はどう見ても「恐る恐る」と表現されるようなもどか
しさだ。
白い指先を五センチ伸ばしたところで、健康的な手がぐいと伸びて、ぎゅうっと握り締められる。
「うお、お前の手、冷てーな」
「………っ」
「あーでも、手が冷たい人は心が温かいって言うよな」
打ち止めが押し付けられたままの胸の奥で、確かに鼓動の跳ねた音が聞こえた。
>>156 甘ずwwwwっぺぇwwwwwwwwwwww
158 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りしますID:Misaka14349
>>156 さすが上条wwwwwwこの恥ずかしげのなさwwwwww
159 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りしますID:Misaka19090
>>156 つか番外固体の話って俺ら聞いてねーぞ
聞きたい!聞きたい!!
160 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りしますID:Misaka15223
>>156 セロリ、握手なんてしたことなさそうだもんな…
161 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りしますID:Misaka16728
握手は「武器を持ってない」って相手に示す、敵意のなさを表す仕草
だった気がする
162 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りしますID:Misaka12543
>>161 あー… 確かに、今までの一方通行には無縁だな
なんか泣けてきた
・
・
345 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りしますID:Misaka10032
お前ら何、何なの?何盛り上がっちゃってんの?
346 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りしますID:Misaka18998
>>345 どうしたお前
347 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りしますID:Misaka14889
>>345 さっきから刺々しいな
348 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りしますID:Misaka10032
お前らこそ何だよ!
上条がセロリみたいなあんな凶暴で捻くれたヤツ好きになるわけねーじゃん
バッカみてぇ
349 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りしますID:Misaka20001
>>348 そんなことない!ってミサカはミサカは本気で怒ってみたり!
みんなだって最初はちょっと怖がってたけど、ミサカがあの人のこと
一杯教えたから、今は怖くなくなったでしょ!?
350 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りしますID:Misaka16349
確かになー 見た目と中身にギャップあるタイプだよなアイツ
運営への態度見る限り、無駄に面倒見いいしな
こないだアイス奢ってくれた
352 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りしますID:Misaka14889
>>351 おいwwww餌付けされてんなよwwwwwwww
いいな
353 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りしますID:Misaka19090
俺もこないだ服買ってもらった
あと指輪見てたら指輪も買ってくれた
すごいしかめっ面で「………何か困ったことあったら言え」って言われた
354 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りしますID:Misaka14510
>>353 ズルイ!俺も一方通行さんから指輪貰いたい!!!
355 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りしますID:Misaka14889
>>354 おい 立ち直りはえーな
356 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りしますID:Misaka19090
あんまり仏頂面だったからさー
俺ちょっとからかってやろうと思って
「セロリに頼むことなんてねーよpgr」とか言ったら超睨まれた
色々買ってもらっといてその態度wwwwwwww
358 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りしますID:Misaka19090
>>357 だからちょっとした冗談のつもりだったんだってば
そんで「お?やるか?やるか?」てカバンから銃持ち出したら
「………………………俺は、もうオマエらに怪我させたりしねェよ」
って すごい悲しそうなしかめっ面で言われた
なんかごめんってなった
359 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りしますID:Misaka14510
>>358 一方通行さんになんてことを!なんてことを!!
360 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りしますID:Misaka14889
>>358 あーあー それ後で泣いちゃったんじゃね?
361 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りしますID:Misaka19090
えっ やっぱり?そう思う??
しかめっ面なのになんかすげーーー悲しそうでさーー…
うぐぐ 思い出すと心臓が…
362 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りしますID:Misaka16245
>>361 やーい 泣かした泣かした いけないんだー
>>361 絶対に許さない 絶対にだ
364 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りしますID:Misaka19889
>>363 今日のお前が言うなスレはここですか
365 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りしますID:Misaka20000
俺はセロリたんを泣かしたりしないもん
性的な意味以外ではな(キリッ
356 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りしますID:Misaka13577
>>365 やだ…かっこい…くはないな(゚Д゚)
366 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りしますID:Misaka14889
今度会ったら謝っとけよ >>361
367 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りしますID:Misaka19090
うん >>366
368 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りしますID:Misaka10032
だから何なんだよこの気持ち悪い流れ
いい加減にしろよ
369 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りしますID:Misaka14889
>>368 いい加減にするのはお前だろ?
どうした 何かあったのか
>>368 話くらい聞くぞ
371 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りしますID:Misaka10032
別に
372 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りしますID:Misaka12784
>>371 あ、お前アレだよな 上条に直接助けられた固体だよな
373 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りしますID:Misaka20001
>>371 どうしたの?言いたいことがあるんなら言えばいいよって
ミサカはミサカは上位固体らしく優しく促してみたり
374 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りしますID:Misaka10032
だって
俺も上条のこと好きだもん
375 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りしますID:Misaka19090
俺達も好きだぞ 当然だろ
お前らにとってはアレじゃん!
なんかテレビのアイドルみたいなもんだろ!?
俺は違うもん!もっと仲良くなりたいし、か 彼女とかになりたいんだもん!!
377 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りしますID:Misaka16293
あー…
なんかゴメン
378 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りしますID:Misaka10394
まぁなー
記憶を共有できるっつっても超リアルなテレビ見てるみたいなもんだしな
379 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りしますID:Misaka14204
お前らとワイワイすんのが楽しいってのは認める
380 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りしますID:Misaka18234
俺はやっぱし会ってみたいなー
381 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りしますID:Misaka10032
なんでセロリと上条を応援する流れなんだよ
俺だって上条と握手したい!!!!バーカ!!!
382 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りしますID:Misaka14889
>>381 落ち着け
383 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りしますID:Misaka10032
でもでも、上位固体は絶対セロリの味方じゃん!
俺と上条がもし仲良くなったら邪魔するに決まってる!!!
384 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りしますID:Misaka20001
ミサカはそんなことしないよ ってミサカはミサカは断言してみたり
あの人のことは大切だけど、10032号だってミサカのお姉ちゃんだもん
385 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りしますID:Misaka10032
>>384
…………………ホント?
386 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りしますID:Misaka20001
>>385
ホントだよ ってミサカはミサカはしっかり頷くのだ
何なら10032号もあの人に「負けないぞー!」って宣戦布告しに来たら?
387 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りしますID:Misaka10032
えっ
388 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りしますID:Misaka19090
上条は渡さない!ってかwwwwww
389 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りしますID:Misaka11204
盛 り 上 が っ て 参 り ま し た
390 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りしますID:Misaka13110
オラなんかワクワクしてきたぞ!
あんま面白がるなよお前ら
無理すんな>>387
392 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りしますID:Misaka10032
べっつに 無理じゃねーし
行ってやろーじゃん!首洗って待ってろよなこのセロリ バーカバーカ!
って伝えとけよ運営
393 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りしますID:Misaka20001
うん!あの人も喜ぶよ!!
394 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りしますID:Misaka10032
はぁ?何で喜ぶんだよ
395 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りしますID:Misaka20001
あの人が10032号のこと、「アイツとは…顔合わせねェな」って気にしてたから
避けてられるって思ってるみたい
396 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りしますID:Misaka10032
チッ 自意識過剰乙
・
・
・
>>742 これ買ってもらった指輪
つhttp://www.misaloda/accela-ring24.jpg
746 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りしますID:Misaka13577
>>745 おーかわいいな
このミサカも頼んだら買ってくれるかな
747 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りしますID:Misaka14889
そういや運営
上条ってまだそこにいんの?何してる?
748 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りしますID:Misaka20001
>>747
上条「しょうがねーな、やるか。腕相撲」
一方通行「かかってこいやゴルァ!」
749 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りしますID:Misaka12440
>>747 どうしてwwwwwwそうなったwwwwwwwwww
750 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りしますID:Misaka17211
>>747
>>747
>>747
751 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りしますID:Misaka18992
>>747 イミwwwwwwwwフwwwwwwwwwwwwwwwwww
752 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りしますID:Misaka15332
どういうことなの…
(握手した後)
上条「お前ってやっぱり細っせーな。力入れたら骨折れそう」
↓
一方通行「あァ!?ナメンじゃねーぞコラァ!」
↓
上条「いやいや、舐めてるとかじゃなくてさ。ちゃんと食べてるのか?」
↓
一方通行「(ムカッチーン)…いいぜェ。俺の腕力見せてやンよ」
↓
上条「どうやって?」
↓
一方通行「腕相撲で勝負しやがれこの三下がァアア!!」 ←今ココ
754 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りしますID:Misaka18889
セロリwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwww
755 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りしますID:Misaka12045
頭の出来も第一位じゃなかったのかよwwwwwwww
756 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りしますID:Misaka11299
アホwwwwwwwwwwww
757 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りしますID:Misaka10032
いや待て よく考えるんだ
これでごく自然に手を繋ぎ続けられる…
そこに気付くとは やはり第一位か……
いいなー
758 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りしますID:Misaka14889
>>757 その発想はなかった
759 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りしますID:Misaka10356
>>757 天才あらわる
上条「………なぁ、ホントにするのか?腕相撲…」
打ち止め「しっかりテーブル付のベンチに移動してこの人と向かい合って座ってからその台詞!?
ってミサカはミサカは今更のツッコミに驚きを隠せない!」
上条「いやだってすげぇ睨んで来るんだもんコイツ…」ボソッ
打ち止め「座ったからにはホラやれすぐやれ!とミサカはミサカは準備万端のこの人のために容赦
なし!」
一方通行「おら、さっさとやるぞ」クイクイ
上条「つってもなぁ……」
一方通行「はーーやーーくゥーー!」クイクイクイ
上条「しょうがねぇなー」スッ
一方通行(クッ、かかったな三下がァ…こっちが左手出したら馬鹿正直に左手出しやがって、右手
さえなければこっちのモンなンだよォ!!)カチリ
打ち止め(能力使うの!?って大人気ないこの人にビックリ!しながらも口出しはせずに見守っ
てみたり)
上条「そうだ一方通行、ちょっとそっちの手貸して」
一方通行「ン?」ヒョイ
一方通行「」ハッ
上条「ズルはダメですよーって上条さんは上条さんは右手でお前の右手を封じてみたり」
打ち止め「あー真似しちゃダメー!」
一方通行「ちょ、待っ」
打ち止め「って怒りながらもレディー、ゴー!」
一方通行「チィッ……!」(仕方ねェ、こうなったら自力で…!)
ピピピ… ソヨソヨ
上条(あー…もう冬も近いのに今日ってあったかいなー)
一方通行「……ッ、う、…ッ!!」グググ
上条(今何時だっけ?あ、もうすぐ三時だ。インデックスにおやつあげなきゃ)
一方通行「く…!ッ、……!!」ググググ
上条(そういやコーヒー、まだ全部飲んでなかった。両手塞がってて飲めない)
一方通行「ふ、ぅく……ッ!」ブルブル
上条「……あのさぁ」
一方通行「あ゛あァ!?」ブルブルブル
上条(それ、力入れてんの?って聞くのはさすがに失礼だよなぁ…どう見ても必死だし)
打ち止め(どうみでもあの人が不利…あの人を勝たせる手段頼む、とスレに書き込むも、帰って
来るのは芝生ばかりなり!って)
打ち止め「ミサカはミサカはとりあえず全力フレーフレー!」
一方通行「っせェ、余裕、だ、クソガキィ!」ブブルブル
上条(しっかし、コイツってホントに白いなぁ……光ってるみてー)ボー
上条(睫毛なっげー…あ、睫毛も白いんだな。当たり前かぁ)ボー
上条(目、赤いな。昨日食べたトマトがこんな色だったな)ボー
上条(あ、なんかちょっと頬赤くなってきた。色白いからすぐわかるな)ボー
一方通行「ぅぐぐぐ…!!!」ブブブブルブル
上条「無駄に肌キレーだなー」ボー
一方通行「!?!?!?」
打ち止め「急に口説き出した!?ってミサカはミサカはさすがに驚愕してみたり!」
上条「あ、ゴメン声に出てた?」
一方通行「おま…な、な……っ!?」
上条「いや、暇だからずっと顔見ててさ」
上条「いやー、まぁ」ウン
一方通行「ッざっけンなこの三下がァアアアアアア!!!」
ガッツーン!
打ち止め「まさかの頭突き!?ってミサカはミサカはいくら至近距離だからってその選択肢は…!」
上条「あいたっ」
一方通行「ッ!?~~~~……ッ!!」ジンジンジンジン
打ち止め「大丈夫!?ってミサカはミサカはうな垂れたあなたのおでこを必死に撫でてみたり」
上条「だ、大丈夫か?」
一方通行「……ッせェよ石頭…!」ジンジンジン
上条「あー赤くなってるぞ」ナデ
一方通行「!?触ンじゃねェよクッソ野郎!!」ブワッ
が浮かんでいた。
「うお…っ?」
背中には羽のような竜巻を生やし、真っ白い髪が激しい風に掻き乱され、その隙間からこちらを
睥睨する赤い眼は物語のように禍々しい…と言っていいのだろうが。
「きゃっほー!飛んでるぅー!ってミサカはミサカは久々にお空飛んでてエキサイティングヒャ
ッハー!」
「暴れンなクソガキ!落っことしちまうだろォが!」
「あなたは絶対にミサカを落とさないって、ミサカはミサカは信じてみたり!」
頬と額を赤くし、小さな子に四苦八苦する姿はどう見ても微笑ましい、と上条は頭を掻く。
「一方通行!」
打ち止めを深く抱えなおして飛び去ろうとする細い背に、思わず声を掛けた。
「ンだよ……」
宙で静止する姿は全身で不本意だと告げていたが、それでも止まってくれたという事実に上条は
笑みを浮かべる。
「またな」
例えばクラスメートの土御門や青髪でピアスの友人にするように、軽く手を振った。
「……………っ」
再び真っ赤な眼が丸く見開かれる。近寄り難いような雰囲気が一辺し、まるで小動物のようだと
思う。
色合いがピッタリだ、と言ったらまた頭突きをされそうだ。全然痛くないけど。
「またな、一方通行」
確かめるように、もう一度口にする。
一方通行は何かを言いかけるように薄い唇を開き、だがすぐにキッと引き結んでそっぽを向いた。
その半瞬後に突風が吹き荒れ、反射的に閉じた目を開けた頃には、華奢な背中は既に遥か遠くま
で飛び去っている。
「……………」
上条は、さきほどまで真っ白い掌を握っていた両手を見下ろした。
(冷たい手だったなー)
男ではちょっと珍しいくらい、ひんやりと滑らかだった。
けれど打ち止めをしっかり抱えていた華奢な手は、あの少女にとってはこの上なく温かなものな
のだろう、と思う。
(よかった)
初めて出会った時は、楽しそうに人を傷つけるヤツだと激怒した。
次には打ち止めを通して話を聞いて、何だか共感した。
その次には電話で話をして、とてもあの子を心配しているんだな、と力になりたかった。
ロシアで出会った時には、ひどく、ひどく辛そうで、ああ自分もこんな顔をしているのかと思った。
そして今日は…今日は?
子供のようなあどけない寝顔。触れたら切れそうな目で睨む顔。少女をからかう楽しそうな顔。
そっぽを向いた、気まずそうな顔。驚いて固まった、小動物のような顔。悔しそうに眉を顰める顔。
まさか頭突きをかまされるとは思わなかった、と子供のような癇癪を思い出して、小さく吹き出す。
色んなヤツの幻想をぶち殺して来たけれど、こんな風に、接する度に違う印象を受ける人間は初め
てだった。
(世話になった、か……)
殴り飛ばしただけのことに、礼を言われたのも初めてだ。
上条は、奇跡的に倒れなかったコーヒーを、最後まで飲み干した。普段は一気に飲み干してしまう
性質なのだが、今日に限っては少し残していたのだった。
少し考えて、自分で「コーヒーを飲み終わるまでは、ここにいる」と宣言したせいだと思い当たる。
砂糖など入っていないはずのブラックコーヒーの後味は、どこか甘い気がした。
「おおー、いい眺めー!ってミサカはミサカはハシャいでみたり!」
「暴れンなって言ってンだろォ……」
何度言っても改めない天真爛漫な少女に呆れたように呟いて、それでも嬉しそうな笑い声は耳に
心地いい。
確かに、ここからは科学の粋を極めた学園都市の街並みが一望でき、なかなか壮観だ。初冬の青
空に、近代的な白の巨塔群が映える。
一方通行にとっては不愉快にも見慣れたものだが、打ち止めにはまだ珍しいのだろう。
「ねぇ、一方通行」
「ン?」
「ヒーローさんとお手て繋いで、どうだった?ときめいた?ってミサカはミサカはいったぁーい!?」
「………」
寝言を言い終わる前にデコピンをかますと、打ち止めは大きな栗色の目を潤ませて見上げて来る。
「感想くらい言ってくれたっていいでしょ!?ってミサカはミサカは」
「うるせェなァ………」
何を言ってもこの腕が外されることはないと知っている打ち止めは、それからも何やかんやとわ
けのわからないことを楽しそうに話し続ける。
(感想ねェ…)
一方通行の胸元をぎゅっと握る小さな手。その温もりは、自分の手すら見えない闇の中で、初め
て見つけた小さな光だ。
あまりに温かくて、痛みすら感じる光。例えば、極寒の吹雪に耐えた後に温かな部屋に入って、
ジンと痺れるような。
ただ、あの男は、その光に触れるためのきっかけだった。
上条当麻に殴られないまま、実験が続けられたまま、打ち止めに出会っていたらどうなっていだ
ろう。
小さな少女を、自分を頼ってきた小さな光を、殺してしまっただろうか。
そんなことはないと、否定出来ない自分を唾棄する。そして、そんなことにならなくてよかった
と祈るように感謝する。
善人とか悪人とか、自分で勝手に決めたカテゴリーに固執し、すべてを投げ出しそうになった時
にも、あの男が止めてくれた。
真っ直ぐな、力強い、……熱いほど温かいあの手が。
「…………」
一方通行は、掌にいつまでも残っているような感触に、小さく舌打ちをした。
温かいを通り越して、熱かった。打ち止めや番外固体とは違う、固い皮の掌は乾いていて、あの
男らしい無遠慮な熱さだった。
掌を通して、身体の中に染み入るような。
思い出せば、徐々に眉間に皺が寄るその感覚を、敢えて一言で表すならば。
「……気持ち悪ィ」
支援してくれた人ありがとう
またそのうち続きを書きに来ます
えーと一週間以内くらい・・・
よかったら読んでやってくれよな!
一方通行「お客様ァ、おかゆいところはございませンかァ?」シャカシャカ
打ち止め「うむ、くるしゅうないー、ってミサカはミサカはあなたに頭洗ってもらうの大好きだよ
って愛情表現してみたりアイタタ!」シャンプーシミルー
一方通行「おま、擦ンなってバカ!おらこっち向け」
打ち止め「うぅー痛いよー!ってミサカはミサカは素直にあなたを見上げてみたり…」
一方通行「あーもォ…だからシャンプーハット使えって言ってンだろォ?」ジャー
打ち止め「だってそれ子供みたいなんだもん…ってミサカはミサカは」
一方通行「オマエはどっからどう見ても子供だろうが」
打ち止め「違うもん!ミサカはもう酸いも甘いも噛み分けた立派なレディだもん!ってミサカは
ミサカはヨシカワの言い回しを真似してみる!」キィイイ
一方通行「ふゥん…じゃあ明日っから風呂は一人で入れよなァ」
打ち止め「えっ」
一方通行「大人の女は家族と風呂になンか入ンねェし」
打ち止め「えっ」
一方通行「俺は明日から番外個体と入るわ」
番外個体「ぎゃははは何言ってんの第一位!このミサカとお風呂なんて変態ヤローなのかな!?」
一方通行「……………」
打ち止め「……………」
番外個体「な、何黙っちゃってるのかにゃーん?」(やべぇ、ついツッコんじゃった!)
一方通行「……オマエ、ずっと脱衣所にいたのか?」
打ち止め「番外個体…一緒に入りたいなら言えばいいのにってミサカはミサカは呆れてハァー…」
番外個体「だ、誰が!このミサカの魅惑ボディに一方通行の股間が一方通行になっちゃったらどう
するの!?」
一方通行「何言ってンのオマエ。ゆすぐぞクソガキ、目ェつぶれ」
打ち止め「あー…番外個体はまだ知らないのよね、ってミサカはミサカはあなたの胸を後頭部で
フニフニしながら目をギューってしてみたり」フニフニ
一方通行「やめろクソガキ。ていうか番外個体、オマエは丸二日もどこほっつき歩いてたンです
かァ?」ジャーバシャバシャ
番外個体「べっつにあなたには関係ないでしょ?何か用事でもあったの?ないよね、あったんな
ら迎えに来ただろうしさ」ブツブツ
一方通行「あー、昨日迎えに行こうと思ってたンだった。忘れてた」
一方通行「っせェなァ、ドア叩くンじゃねェよ割れちまうだろ…っと、終わり」ジャー キュッ
打ち止め「もう目を開けてもいいの?ってミサカはミサカは用心のために目を閉じたまま念のため
に確認してみたり!さっきマジ痛かったのだ!」ギュー
一方通行「大丈夫」ワシワシ「さっさと上がるぞォ」ガタッ
打ち止め「はーい!ってミサカはミサカは元気良く立ち上がってあなたと一緒に脱衣所へゴー!」
番外個体「へ?上がっ…て、ミサカまだここにいるんですけど!?」
一方通行「そこいると邪魔だからどけ」
バタン
番外個体「ぎゃああああ!?何考えてんの何考えてんのバカバカバカバカ!」
打ち止め「番外個体ったら手で顔を覆いながらもしっかり隙間から見てるのねって、ミサカはミサ
カは年頃の妹に肩を竦めて見たり…いや0歳だけど…」ハァー
番外個体「……………………………えっ」
一方通行(全裸)「おら、邪魔だっつーの」オシノケ「クソガキ、タオル」
拭いてー」
番外個体「……………………………」
一方通行「大人の女じゃなかったのかよ……」フキフキ
キャッキャッ オラジットシテロー
番外個体「…………………小さいだろうとは思っていたけど、まさか見えないほどの短小包茎
だったなんて…」シロメ
一方通行「何言ってンだオマエは」
番外個体「胸がちょっと腫れてますよ?ああそういう病気あるっていうよね、病院病院、えーと
イチイチゼロー」
打ち止め「それじゃ警備員来ちゃうから!ってミサカはミサカはまぁ落ち着けよ、と大混乱中の
妹を諌めてみたり」
番外個体「ミサカは超冷静だよ、ってミサカはミサカはまるで女みたいな第一位をガン見しなが
ら、必死に何かに縋ってみたりみたり」
一方通行「口調移ってンぞ。あと俺ァ女だ」イッテナカッタナーソウイヤ
番外個体「」
打ち止め「女の子には色々あるのよ…ってミサカはミサカはありし日の自分を見る気持ちで番外
個体の背中を叩いてみたり」ポンポン
番外個体「」
打ち止め「気持ちはわかるが、まぁ元気だせよ」ポン
番外個体「」
一方通行「俺も一応女なンだが…」??
疼くような頭痛を抑えたくて、ベッドの中で丸くなって頭を抱えた。
性格の悪い研究者によって生み出された自分の脳ミソは、ミサカネットワークからそれは器用に
負の感情のみを拾う。
別に憎悪とかそういう強くてご大層なものだけじゃなく、「おなかすいたなー」とか「寒いなー」
とか「おでんの厚揚げが売り切れてるなんて」とか「明日の注射怖い」とか「ヤバイ太った」とか
「うー何て言って謝ろうかなー」とか「どうにかしてセロリたんのパンツを手に入れたい」とか。
負の感情に優劣などなく、どんなにくだらなくても事細かに流れ込んでくるのだった。
(一方通行が女………一方通行が女………)
どうやらネットワーク内でもこの恐るべき事実が発覚しているようだ。いつから続いているのか、
スレが乱立して祭り状態である。
(一方通行が女とか………)
昨日からついさっきまでネットワークには一度も接続していなかった。
元々第三次計画で特別に作られた身なので、他の妹達のように息を吸って吐くように接続すること
は出来ない。
少々面倒な過程を踏まねばならず、だからなんとなく繋いでいなかったのだが、おかげで驚愕の
事実をこの目で見る羽目になった。
ネットワーク全体の驚愕が余波となって押し寄せ、自分自身の衝撃も相まってもう何だか頭が痛い。
そもそも、自分は何故ショックらしきものを受けているのだろうか。
いや、別にショックなんて受けてないけど、と自問自答して、堂々巡りする思考に頭を抱える。
(うー…ズキズキする……)
「……っ!?」
不意に、涼やかな体温が額に触れた。
「あ、一方通行…!?」
冷たいのに心地よいそれに驚きのあまり飛び上がって目を開ければ、薄闇に浮かび上がるような
細く白い人影。
「しィー、静かにしろ。ガキが起きちまうだろ」
「何でここに…。っていうか最終信号抱えたまんまだし…」
「仕方ねェだろ、無理矢理離すと起きちまうンだからよォ」
片手で番外個体の額に触れ、片手で胸元にしがみ付いた打ち止めを抱いている一方通行は、ほとん
ど吐息だけで呟いた。
顔中を安堵に緩め、力一杯寝巻きを握り締めた小さな手。この場所は自分のだ、と全身で主張して
いるような寝顔を見ていると、何だか不快なものが湧き上がってくる。
「な、何の用なのかな?夜這いならこのミサカはこぶ付きとかお断り…」
「黙ってろクソガキ」
言下に切捨てられて思わず口を噤む。
「………、あ」
けれど滑らかで冷たい手が額に触れた途端、ふぅっと頭痛が遠のいて、思わず間の抜けた声が出た。
「あ、あれ……?」
思考の乱気流から抜け出た頭は、驚くほど心地よくて、そのせいか目の前の赤い瞳がひどく美し
く見える。
「何で頭痛が……」
「頭痛の原因は情報の過負荷だろうからな。オマエの生体電気を操作して、ミサカネットワーク
との間にノイズを作った。まァ意図的にジャミングしてるようなモンだ」
「何それ第一位チートすぎ、ていうか何で頭痛のこと…」
「毎日毎日隣の部屋でモゾモゾ寝返り打たれたらわかるっつゥの。おい、もっと奥行け」
一方通行が、打ち止めごと番外個体のベッドに入ってこようとしている。
「えェーー!?なな何してんの!?」
そう理解して思わず素っ頓狂な悲鳴が出たが、すぐに大きくて華奢な手で口を塞がれた。
(あ、何か良い匂い)
「静かにしろって言ってンだろこのクソガキィ!」
小声で怒鳴るという器用なことをして、これまた器用に手と足で番外個体の身体をベッドの奥に押
しやる。
「三十分しか持たねェから、その間に眠れよ」
「…………」
それは、バッテリーの続く限り、番外個体のために頭痛を和らげてくれるという宣言。
冷たい手が、火照った額を宥めるように撫でる。軽く汗を拭い、湿った髪を梳いて、まるで大事
なものを扱うような仕草で。
急に、息が詰まった気がした。今までの頭痛とは違う、熱くて潤んだものが喉の奥につかえている。
「言ったろ。隣の部屋でモゾモゾされると鬱陶しィンだよ」
理由になってない、と思う。別に大暴れしているわけでもあるまいし、睡眠に支障を来すわけが
ない。現に、黄泉川からも芳川からも文句を言われたことなどない。
けれどそう聞けば、最終的には「どうしてこのミサカをロシアから連れ帰ったのか?」というとこ
ろまで言及してしまいそうで、口に出せなかった。
「俺が起きてる限りもう頭痛はしねェ。だから眠れ」
眼前十センチに、白い、闇の中の光ように浮き上がる白い顔。
歪んだ哄笑も皮肉な笑みも貼り付けていない素顔は、あまりに整っていて、確かに性別不明に思
える。
(いや、不明じゃないんだけど。女なんだけど。…そうだ、女なんだった)
自分で心の中でツッコんで、ふと全身から力が抜けた。
なんだ。女なんだったら別に構える必要はない。じゃあ男だったら何故どうして構えるのか、と
いう辺りの思考は放棄した。
「………なンだ?」
「あなた良い匂いするね、第一位」
胸元には高い子供の体温。打ち止めを挟むように川の字になって、番外個体は自分の頭を一方通行
の首筋に摺り寄せた。
あの人白い花みたいな匂いがするのよ、と我がことのように自慢していた少女の言葉を思い出す。
「んーん…違うよ」
頭を撫でる冷たい手は、ひどく快い。あんなに手の届かなかった眠気が、温かな毛布のように番
外個体の身体を包んだ。
「ねぇ…何か歌ってよ」
ふと思い浮かんだのは、ロシアの雪原。白い白い中、一際白い人が、小さな少女を救おうと命を
掛けた歌声。
音程もクソもない、知らない者にはただの悲痛な怒鳴り声に聞こえたかもしれない。
けれど、朦朧とした意識の中、番外個体にはその歌声が愛情深い母親の祈りのように聞こえたこと
を、どうしてか今、思い出した。
「歌だァ?子守唄って柄かよ、ガキですかオマエは」
「今更何言ってるの?このミサカは最終信号より年下の0歳児だよ?」
「都合のいいときばっかりそれだなァ、オマエら…」
深々と呆れたような溜息をつかれて、怒らせたかな、と少し肩に力を入れる。
「……We pray for our fathers, pray for our mothers…Wishing our families well…」
すると、その力んだ肩を撫でるような、小さな歌声が響いた。
「……We sing songs for the wishing, of those who are kissing
But not for the missing……」
知らない曲。初めて聞いた一方通行の歌声は、普段の皮肉まみれの声からは想像もつかない穏やか
なものだ。
(この人、こんな声だったのか)
ゆったりした、切ないほど優しい声。
「…So this one's for all the lost children,This one's for all the lost children……」
どんな顔をしているのだろうと、そーっと薄めを開けてみる。
「……When you lay me down sleeping and my heart is weeping…」
一方通行は、しっかりへばりついて眠る打ち止めの顔を見下ろしていた。
「Because I'm keeping a place…」
伏せた睫毛は長くて、白い。血のように輝く赤い目を、桃色に煙らせている。
白い指の背が少女の顔にかかる柔らかな髪をそっと払い、その健やかな頬を撫でた。安心して寝
ているかと、恐る恐る確かめるような仕草だった。
「……For all the lost children,This is for all the lost children……」
父とか母とか子供とか、ミサカ達にも学園都市にも全然似合わない歌だと思う。
けれど、ただ健やかに眠ることも許されず、何度も命の危機に晒された少女のために、この祈りの
ような歌を選んだのだろうということは理解できた。
ふと、打ち止めの小さな手にきゅうっと力が込められるのを見た。
元々起きていたのか歌で起きたのか、下手な寝たフリだ。思わず一方通行の顔を見ると、白く長い
人差し指を口元に添えてこちらを見ていた。
黙っていろと言いたいのだろう。
普段だったら逆に大騒ぎをしてやるところだが、今日は頭痛を治して貰っているという借りがある
ので、番外個体はおとなしくしてやることにした。
(わかってるよー、第一位)
真似をして、同じように人差し指を口元に当てる。
子供の気遣いを尊重してやる大人になった気分で、少しくすぐったい。
「…This one's for all the lost children, wishing them well,And wishing them home……」
ふわふわと温かい。良い匂いがして涼しく心地よく、番外個体はとろりと目を閉じた。
(翌日)AM11:00 黄泉川家リビング
打ち止めの携帯電話<So this one's for all the lost children~♪
一方通行「!?!??!?」
芳川「あら、この声一方通行?上手いじゃない、良い歌ね」
打ち止め「でしょ~?ってミサカはミサカは自慢げに待ち受けも披露してみたり!」ジャジャーン
黄泉川「ぶはっ、何じゃんこの一方通行の『内緒だよ☆』ポーズ!かわいいじゃん!!」ギャハハハ
一方通行「」
一方通行「おま、このクソガキィ……」ブルブル
打ち止め「あなたが番外個体にだけ歌なんて歌ってあげちゃうからだよ!ってミサカはミサカは
すごい拗ねてるんだから!」ニッコニコ
番外個体「いやぁ、良かったよあの歌wwwwwwwwww洋楽wwww英語wwwwwwwwww」
一方通行「」
打ち止め「はああ、ちょうかわいい…ってミサカはミサカはヒーローさんにこの写真送っちゃお
うっと!」メルメル
番外個体「えェ~?ヒーローさんって上条当麻?いつメアドゲットしたのかなーこの幼女…別に
送らなくてもいいじゃん」イラッ
打ち止め「昨日『このミサカはフェアプレイ精神の持ち主です』とか言って10032号が教えてく
れたんだよ!ってミサカはミサカはこれでいつでもヒーローさんに連絡できてワクテカ!」
番外個体「別にそんな連絡する必要ないんじゃないかなー」イラッイラッ
一方通行「オラァアアアそこになおれクソガキどもォオオオ!!!」
黄泉川家は今日も平和です。
次は早ければ数日以内、遅かったら五月初めで。
よかったらまた読んでくれよな!
PM5:10 ミサカネットワーク内
1.今からセロリに宣戦布告してくる(1)NEW
2.【協力求む】あの人とヒーローさんをいいかんじにさせたいんだが12(375)
3.【ナ、ナンダッテー(゚Д゚)】一方通行が女だった件7(642)
4.今日の上条193(221)
・
・
・
・
今からセロリに宣戦布告してくる(129)
1 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りしますID:Misaka10032
おっすオラミサカ10032号
別に上位個体の言うこと聞くわけじゃないが
調子に乗ってるセロリにちょっとビシッと言ってやるぜ
野次馬共には感覚共有してやるぞ
2 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りしますID:Misaka16889
マジで行くのかよwwwwww
感覚共有希望ノシ
3 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りしますID:Misaka12498
俺も俺も!!ノシ
・
・
・
ひょっとして一人じゃ心細いのか>>1
35 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りしますID:Misaka10032
何言ってんのお前>>34
なんでセロリごときに心細くしなきゃなんねーんだよ
36 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りしますID:Misaka17600
なら早くその看板の影から出て声掛ければwwwwww>>1
37 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りしますID:Misaka10032
スネェェーーーーク!貴様ッ!見ているな!!!
38 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りしますID:Misaka17600
こちらスネーク
コンビニに向かってる一方通行とコソコソ後をつける>>1を捕捉した
お前ら俺と感覚共有した方が面白いんじゃねwwwwwwwwwwww
39 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りしますID:Misaka14392
>>38 君に決めた☆ミ
40 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りしますID:Misaka12034
>>38 俺もwwwwww
41 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りしますID:Misaka19090
>>1
俺はお前と感覚共有しとく
でさー、一方通行に何て謝ればいいかなぁー
42 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りしますID:Misaka14889
空気嫁>>41
一方通行「……で、オマエは何なの?何で昨日と連続して出くわすの?バカなの?死ぬの?」
上条「偶然会っただけでこの言われよう…さすがの上条さんも傷ついてしまいますよ?」
一方通行「うっせェなァ…オマエと会うとクソガキが鬱陶しィンだよ」ガリガリ
上条「打ち止めが?」
一方通行「フラグがどーとかこーとか」
上条「へぇ、打ち止めもゲームとかやるんだな。俺も友達がよく言ってるなー。アレだろ、
ギャルゲーとかの」
一方通行「言っとくけど何回俺に会ってもフラグ立たねェから。俺のシナリオオマエルート
ねェから」
上条「じゃあ誰のルートならあるんだ?打ち止めルートか?」
一方通行「…………………………まァ」ソレナライイカナー
上条「プッ、お前らってホントに仲良いよなぁ。やっぱりロリコ…」
一方通行「」ジャキ
上条「ごめんなさい、冗談です!冗談だから街中で銃出すのヤメテ!!」
一方通行「チッ……」シマイシマイ
上条「あービビった、お前って冗談通じねータイプなんだな。真面目さんか?」
一方通行「……くっだらねェ」スタスタスタ
に受け取っちゃうよ!ってミサカはミサカは注意しながらもあの人に構ってあ
げてねって頼み込んでみたり』ってメールが…」
一方通行「あンのクソガキィ…!」
上条「ホントに俺以外友達いねーの?」
一方通行「お…っ、オマエも友達じゃねェよ!」
上条「えー?冷たいこと言うなよ。腕相撲した仲じゃん。お前のボロ負けだったけど」
一方通行「オーケェ。死にたいンだな三下ァ」カチリ
上条「おわっ、すぐ能力使うのやめろよ!」ギュッ
一方通行「!は、離せ!」
上条「フフハハ、いつもいつもビリビリに追い掛け回されてる上条さんを舐めるんじゃ
ありませんよ。こうして手を握っていれば能力発動出来ないだろ?」
一方通行「フザけンなこのッ…!」
上条「あ!こうしているうちに特売の時間が…!そうだ一方通行、買い物手伝ってくれ
よ!今日は卵がお一人様一パック百円なんだ!」
一方通行「はァ!?なンで俺がそンなこと、ちょっ、引っ張ンな…!」ズールズール
上条「いいからいいから、お礼するから!」
ハナセコノサンシタガァー イイカライイカラー
今からセロリに宣戦布告してくる(429)
329 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りしますID:Misaka10032
ぐぬぬ……
セロリのヤツ、またしても上条と手を…!!!!
330 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りしますID:Misaka14210
さすが上条wwwwwwww
331 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りしますID:Misaka19219
上位個体以外にこんなに振り回されてんの珍しいな
332 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りしますID:Misaka20001
あの人は不器用だから、ストレートに好意を示されたらどうしていいか
わからないんだよ!ってミサカはミサカはそれがあの人のかわいいところ
ってアピールしてたり
333 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りしますID:Misaka20000
愛情は反射できないんだな
334 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りしますID:Misaka20001
その通りだね!>>333
でも劣情はあの人の代わりにミサカが反射っつか消滅させてやるから
調子に乗るんじゃねーぞってミサカはミサカは警告発令
http://www.misaloda/hentai-warning124.jpg
おい変態wwwwwwパンツ盗んでんじゃねぇwwwwwwwwwwwwww
何だそのほっかむりwwwwwwww
336 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りしますID:Misaka19421
たまに良いこと言ってると思ったらこれだよwwwwww
337 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りしますID:Misaka15921
安心の変態クオリティ
338 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りしますID:Misaka20000
スネェーーーク!貴様ッ 見ていたな!!!
ちょっもう、見逃してって言ったじゃん!プリン奢ったじゃばbbbbb
339 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りしますID:Misaka17600
ついプッとなってやった
今は爆笑している
アリガトウゴザイマシター
上条「いやー…勝った買った!卵どころか豚バラも緊急特売だったとは…ッ!幸福だー!」ニコニコ
一方通行「…………………」グター
上条「ちゃんと卵も二パック買えたし、おまえのおかげだ。ありがとな一方通行!」ニコッ
一方通行「卵ごときでそンな顔できるなンてたいしたやつだ…」グター
上条「何をォ!?卵さんは煮て良し焼いて良し栄養価も高くとってもおいしい万能食材
なんだぞ!卵さんをバカにするな!!」
一方通行(何こいつめんどくせェ……)
上条「何その『こいつめんどくせェ』って顔!?しょうがないだろ、上条さんは貧乏学
生なんですよ!」ガビーン
一方通行「表情読むな!……ったく、くっだらねェ」ハァ…
上条「そのくだらないものの積み重ねが、幸せな日常ってやつだぞ」
耳に引っかかる言い回しに、一方通行は顔を上げた。引っかかった場所が、どこかくす
ぐったく温かい。
「ん?どうした、不思議そうな顔して」
すぐに、上条が首を傾げる。
人の表情に敏感なヤツだと思った。それだけ、沢山の声なき声を拾い上げて、沢山の人
を助けてきたのだろう。
「……昔、似たようなことを言われた」
色気のない緑色のジャージを着た、無能力者の警備員。
学園都市の暗部を人の形にしたような自分の面倒を見るなどと、身の程知らずなことを
言い出した女の言葉に似ていた。
「へぇ。………大事な人か?」
「何でそう思う」
「そういう顔してるからさ」
そして上条はひどく嬉しそうな顔で笑った。
どこかで同じ顔を見たことがあると思い、またあの警備員の女を思い出した。
俺を抱え込むということは学園都市の暗部に関わることだと、考えなしに思えた女に
警告した時の表情を、手元に返す。
お人好しがよくする顔だ。自分とは違う種類の人間が、よく浮かべる表情だと思った。
気が付けば、勝手に口が開いていた。
「うん」
「お前も…ロシアにいたンだろ」
「ああ、いたよ」
「お前のことだ、どうせくだらない理由で命掛けて戦ったンじゃねェの」
「俺にとってはくだらなくねーよ。ま、死に掛けたってのはその通りだけどな」
こともなげに言って笑う顔は、誇らしそうに見えた。
きっとこの男の「くだらなくない」ものは、無事に腕の中に戻ったのだろう。
よかったと思った気がして、一方通行はらしくなさに眉を顰めた。
「……違和感ねェの?」
「違和感?」
「つい最近まで生きるか死ぬか、殺されるか殺されるかが当たり前だったのに、こんな
スーパーの特売に必死になってる自分に」
「あーー……」
「非日常と日常の乖離に、居心地が悪くならねェのか」
こいつは自分と違う種類の人間だと、思ったばかりなのに。
「……いい、なんでもない。忘れろ」
きっと参考にはならないし、他人に話を参考にするようなことでもないと、一方通行は
目を伏せた。
「…お前は、居心地悪いって思っちゃうんだな」
「…チッ……忘れろって言っただろ」
再度舌打ちしてから顔を上げ、少し瞠目する。
理解できない、という顔をされていると思ったのに、上条は穏やかに苦笑していた。
そこには明らかな共感があって、一方通行は戸惑いに目を眇める。
「ま、アレって思うことはあったよ。昨日死にかけたばっかなのに、何で今日のん気に
スーパーで買い物してんのかなって」
「…………」
「でもまぁ何つーか…慣れた」
「慣れた、だァ?」
思わず、呆れた声になる。上条は照れたように頭を掻いた。
「はは…カッコ悪ぃな。でも、戦って死に掛けてても、学校の補修でウゲーってなって
ても、特売のために全力で走ってても、俺は俺だからさ」
「…………」
「考えたって仕方ないだろ?人間って結構すぐ慣れるもんだぜ」
それを、一方通行がいた闇の中では、平和ボケと呼ぶ。
穏やかな日常に慣れれば、殺し合いに戻った時に勘が戻らずに命を落とす。当然の帰結だ。
「慣れるってのは、切り替えにもだ。年柄年中緊張してたら、疲れちまうよ。必要な時
に集中できればいいだけだ」
「切り替え、ねェ……」
暗部の人間には、そんな仕事とプライベートを分けるサラリーマンのよう、な常識的な
考えには及ばない。
「殺し合いとか魔術とか世界とかさ、らしくないって思う時はあるけどさ…。そんなご
大層な立場じゃないって」
「……ふゥん」
俺とは逆だな、と思った。一方通行にとっての日常が、上条当麻にとっての非日常なのだろう。
そして、上条当麻にとっての日常が、一方通行にとっての非日常だ。
「…俺と馬が合わねェはずだ」
呟いた声音は、意図せず自虐的な響きだった。
「そんなことないだろ」
だが上条が、握り締めっぱなしだった手に、ぎゅっと力を込める。
「お前にとっては『こっち』が非日常かもしれないけど、さっきも、昨日打ち止めとい
た時も、楽しそうな顔してたじゃないか」
「さっき…?」
ケンカ売るたァ良ィ度胸だ』とか言って、俺が効率的に買い物出来るように指示出し
してくれたじゃん」
「ぅぐ……っ」
一方通行は、苦虫を噛み潰したような顔になる。
「いやー、お前の言う通りに動いたらビックリするくらいスムーズでさ、おかげで三
日分の食料買えたし。助かったわ、ホント助かった!」
癖なのか、目の前で複雑な『流れ』が起きると、つい演算してしまうのだ。
例えば、入り口通路二メートル、広さ2400平方メートルの空間に平均時速8kmで
人が流れ込み、目的地(特売コーナー)を必ず経由する時、どんな風に人ゴミが形成さ
れて、どこにいつ混雑が出来るのか、とか。
計算の副産物として、どう動けば人に邪魔されずに移動出来るかということも判明する。
「べっつに、オマエのためじゃねェ。勘違いするな」
「いやでもすっげー助かったんだって。ホントありがとな」
握られた手は、とても熱い。真摯な表情をそのまま熱にして、伝えようとするかのように。
触れた掌から何か見えないものが流れ込んでくるみたいで、気持ちが悪いと一方通行は
眉を顰める。
「それに俺は…俺とお前、似てるとこあるなって思うけど」
「はァ……?」
あまりに訝しそうな顔をしてしまったのか、上条が照れた風に頬を掻いた。
「お前も打ち止めを守るためにずっと戦ってたんだろ?俺も…まぁ、そんな感じだったから」
「……………」
だが、自分で決めて進めよ、と叩き込まれた拳を手元に返す。悪党でも極悪人でも、
打ち止めを守ろうと歩いて来た道は、誰に強制されたものでもない。
「そんな顔すんなって」
どんな顔だと聞いたら、宥めるように手に力を入れられた。
「……うっせェな。おせっかい野郎」
「否定しないのか?」
「オマエみてェな三下と一緒にしないでくださァい」
「はは、ひどいな。なぁ、また買い物付き合ってくれよ」
「…………暇で暇で死にそうだったらなァ」
今からセロリに宣戦布告してくる(681)
612 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りしますID:Misaka10032
ぐぬぬぬ…
いつまで手ェ握り合ってンだこいつらァアアアア
613 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りしますID:Misaka12819
落ち着けよwwwwwwセロリの口調移ってんぞwwwwwwww
614 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りしますID:Misaka17600
傍から見たら完全にホモのラブシーンな件
http://www.misaloda/kj-accela12.jpg
615 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りしますID:Misaka10801
|┃ミ(´∀`)ガラッ!<ホモと聞いて
616 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りしますID:Misaka12934
ホモじゃねぇwwwwwwwwww帰れwwwwww>>615
617 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りしますID:Misaka10801
あー一方通行と上条かー
ホモじゃないけど気になるから帰らないぞ!(キリッ
でも良い雰囲気じゃない?ってミサカはミサカはワクテカしてみる!
619 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りしますID:Misaka10221
さりげに次の約束してるしな
620 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りしますID:Misaka19090
公衆の面前であんな恥ずかしい台詞を堂々と言えるなんて…
さすがだぜ上条
その度胸を俺にも分けてくれ!
621 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りしますID:Misaka20001
まだ気にしてるの?>>620
あの人は全然気にしてないよ
622 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りしますID:Misaka19090
全然、だと…?>>621
それはそれで納得行かない件
623 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りしますID:Misaka20001
あの人はミサカ達にはどんなに罵られてもそれが当然だと思ってるからね
ってミサカはミサカはちょっと寂しくなってみる
624 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りしますID:Misaka10032
チッ セロリのそういうとこマジうぜーよな
625 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りしますID:Misaka17600
あっ
626 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りしますID:Misaka14889
どうした>>625
627 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りしますID:Misaka17600
お姉様キタ━━━━(゚∀゚)━━━━ !!!!!
・
・
・
PM6;55 第十学区 大通り
御坂「あ、あ、あ、アンタ達何してんのよぉおおお!!!」ビリビリ
上条「うわっ、ビリビリ!?」ソゲブ!
一方通行「………!」
御坂(なんでコイツと一方通行が…っ、ていうか何で手、手、手ェええ!!)ビリヒバババ
上条「ちょっ、落ち着けって!危ないだろ!」ソゲブ!ソゲブ!
一方通行「………………」スッ
御坂「何でアンタがコイツの後ろに隠れんのよぉおおおおお!!」ビリビリピシャーン
上条「うおおおお危ねぇええええ!?」ソゲブ!
一方通行「…………手ェ離せよ、上条」
上条「ん、あ?あーそうだな、ごめんごめん」パッ
一方通行「………」カチッ ブワッ
御坂「と、飛んだ!?」
上条「また飛んで帰るのか!?またなー!連絡するから!」フリフリ
一方通行「うっせェよ」ヒューン
御坂「……………………?」
御坂「………………………………逃げた?」
御坂(何でアイツが私から逃げるの…?逃げる必要なんか、全然)
御坂「っていうか何でアンタがアイツといるの!?何で手なんか繋いでるの?ま、ま、
まさかホ…ホモなんじゃないでしょうね!?」ビリビリビリ
上条「ホモじゃねぇよ。あいつ女だしな」
御坂「えっ」
上条「ん?」
今からセロリに宣戦布告してくる(883)
788 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りしますID:Misaka17600
こちらスネーク
一方通行を捕捉した
絶対座標送るぞ>>1
789 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りしますID:Misaka10032
大丈夫
どうせ上位個体んとこ帰るだろうから先回りしてた
790 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りしますID:Misaka17600
おk
しかし何でわざわざマンションの玄関から入るんだろ
ベランダにでも降りればいいのに
791 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りしますID:Misaka20001
こないだそれやってヨミカワに怒られたからだよって
ミサカはミサカは暴露してみたり!
792 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りしますID:Misaka12835
ヘタレな第一位だなオイwwwwww
まぁいいじゃんチャンスだろ
ちょうど自販機でコーヒー買ってるし今
794 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りしますID:Misaka16729
何しに外出たんだセロリwwww
795 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りしますID:Misaka12938
上条に引っ張られてって結局コンビニ行けなかったもんなwwwwww
よし行け>>1
796 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りしますID:Misaka10032
わかってんよ
見てろお前ら
ミサカ達9971人の長女であるこの俺の生き様をな
何て声かければいいと思う?>>800
797 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りしますID:Misaka11999
安価かよwwwwwwwwwwwwwwww
上条(いやー弁当忘れて来るなんて久々にやらかしちゃったよなー。早いとこどっかで
食べて戻らねーと昼休み終わっちまう)スタスタ
「…まー…!とうまー!!とうま、見つけたんだよ!」タタタタタ
上条「インデックス…!?どうしたんだよ、こんなところで。何かあったのか?」
禁書「おなかすいたんだよー!お昼ごはん食べたいかも!」ニコー
上条「えええ…?昨日の残りの親子丼、今日のお昼にしろっつったろ?さては…」
禁書「そんなのもう食べちゃったんだよ」
上条「胸を張るな胸を!…ったくしょうがねぇな…。持ち合わせねーから大したもん
食えないぞ?」
禁書「私は何でも美味しくいただける博愛の精神の持ち主だから大丈夫!」
上条「その博愛精神を上条さんの懐具合にも向けてくれませんかねぇ…」
禁書「じゃあ今日のところは腹八分目で勘弁してあげるんだよ!」フンス
上条「そりゃありがたいことで……………」ハァー
上条「何やってんだよインデックス。置いてくぞー?」
禁書「待ってよとうまー!人が多くて歩き辛いんだよー」
上条「ったくもう…。ほら、手」スッ
禁書「………うん!」ギュッ
上条「お、今日は手ぇ冷たいな?もう冬だしなー…手袋した方がいいんじゃないのか。
こないだ買ってやったやつとかさ」
禁書「うん、ちゃんとしまってあるけど…。今日はとうまの手があったかいだけかも!」ニコニコ
上条「フーン?」
禁書「普通は女の子の方が体温低いからね」
上条「へぇ。そうなんだ」
上条(………そういえば、一方通行の手もすげー冷たかったなぁ)
上条(細いけどちょっと柔らかくて、…ん?なんかインデックスの手の感触に似てるかも)
上条(うーん…ちょうどこう、こういう手触りで…いやもちょっと細いかな)ギュムギュム
禁書「?どうしたの、とうま」
上条「いやー、こないだ腕相撲したヤツの手がさ、お前みたいな手触りで……」
上条「俺も説明しがたい…ていうか、相手男だって!」
禁書「お、男…!?この私の手が男の子みたいだって言うのかなとうまは!?」ギロリロリ
上条「い、いやいや!早まるなインデックス!むしろそいつの手が女みたいだったっていうか…」
上条(……あ、そうだ。そうだよな、一方通行の手が女みたいなんだ…)
上条(あんなに痩せてんのになー。……アレ?っていうかアイツってホントに男なのか?)
上条(格好とか口調とかは男みたいだけど、どっちにも見えるような…………)
上条携帯<ユーガッタメイル!
上条「お、メールだ。…ん?打ち止めから?メアドって教えたっけ…」
--------------------------------
件名:こんにちは!
差出人:last Order
日時:20**/12/** 12:13
---------------------------
本文:
10032号からメアド教えて
貰ったよ!って
ミサカはミサカはメアドの
入手経路を明かしてみたり!
これからミサカは毎日あなたに
「今日のあの人」を配信するね!
お楽しみに☆
今日は昨夜のあの人の写真を添付
するよ。とってもかわいいでしょ?
ってミサカはミサカは薄い胸を
張って自慢してみたり!
添付:
accela-rare167.jpg
----------------------------------
禁書「あの人って誰のこと?とうま、さっきから変な顔してるよ?」
上条「ああ、知り合いの子が写真送って来たみたいで……」
添付写真<一方通行の内緒だよ☆ポーズ
上条「プッ、ホントにかわい………、か、かわいい………?」
上条(アレ?かわいくね?もしかしてホントにひょっとするの?マジで?)
禁書「かわいい…?とうまったらまたどっかで女の子と出会ってきたのかな!?」ガルルル
上条「待て待て!女の子じゃな…いわけじゃないのか?アレ?やべ、混乱してきた…。
なぁインデックス、こいつって男と女、どっちに見える?」ヒョイ
禁書「……?あ!この人、前の親切な白い人!!」
上条「は?……ああ、前に言ってたハンバーガー奢ってくれて、ティッシュくれたっていう…」
上条(って、あれもアイツだったのかよ!やべ、またお礼言っとかないとなー)
禁書「……やっぱり女の子なんだよ!!とうま~~~!」ギラリ
上条「えええ!?いや落ち着けインデック………
………は?や、やっぱお前もコイツ女に見える?」
禁書「??何言ってるのとうま、どっからどう見ても女の子なんだよ!」
禁書「とうまは私が完全記憶能力者だってことすぐに忘れちゃうかも。骨格、肌質、体付き、
私はカンペキに覚えてるんだよ。間違いなく女の子なんだよ!」
上条「…………………………………マジで?」ゴクリ
禁書「それに、車に乗る時に抱っこされたし…。…ふ、あれはこの私といい勝負なんだよ…」ククク
上条「勝負?車?ハンバーガー以外にも何か世話になってたのか?何のことだよ、聞いてないぞ」
禁書「言ってなかったかな?ううん、あの時は氷華のことで頭が一杯だったから言い忘れてた
のかも」
カクカクシカジカオナカヘッタンダヨー モウソコノマックデイイカー?
禁書「………………というワケなんだよ!すごい大怪我してたから人を呼びに行ったのに、
戻ってきたらいなかったから心配してたんだよ…。元気そうでよかった」パクパクモグモグ
上条「…………………」
禁書「とうま?」パクパクモグモグモグ
上条「………いや、ホントッ世話になったりしたりなったりだったんだなーってさ…」
上条「っていうかお前、腹八分目はどうしたんだよ」
禁書「あと三個で勘弁してやるんだよ!」パクパパクモグズズーー
あの医者のところに連れて行ってくれたからいいようなものの、下手したら蜂の巣だった
んだぞ!?」
禁書「だって……あの人、困ってたから」
上条「困ってた?」
禁書「小さな女の子とまたはぐれて、困ってたんだよ。とうまだったら絶対ほっとかないでしょ?」ニコ
上条「……………」ハァ
禁書「何かなその溜息は!」
上条「……まったく、お前には敵わないよ…」ワシワシ
禁書「ふふ、もっと撫でてくれても苦しゅうないかも!」パクパクモグモグ
上条「いい加減食い終われよ!」
同日 PM 7:00 第十学区 大通り
御坂「あ…あいつが女ってどういうことよ!」
上条(やべ、つい言っちまったけど…本人が多分隠してること?勝手に言ったらダメだよな)
上条「悪い、なんでもないわ」
御坂「そんなんで誤魔化されるか!…ていうか、なんでアンタが、一方通行と……
だって一方通行は、一方通行は………」
上条「御坂」
御坂「………何よ」
上条「人は変わるものだろ。一方通行も…あの実験をしてた頃のアイツじゃない」
御坂「な…何なのよそれ。どういうこと、説明しなさいよ!」
上条「俺が言うことじゃないさ」
御坂「………っ、な、ど、どうして…っ」
上条「アイツに直接聞けばいい」
御坂「!!!!」ビクッ
上条「直接聞きに行けばいいよ。今、何を思って、どうしてるのか」
御坂「………だ、だって……」
上条「大丈夫だ」
御坂「…………………」
上条「言ったろ。一方通行は、変わったよ」
翌日 PM 4:50 ミサカネットワーク内
1.今からセロリに宣戦布告してくる2(134)
2.【協力求む】あの人とヒーローさんをいいかんじにさせたいんだが15(675)
3.一方通行って何で男みたいに振舞ってんの?(242)
4.今日の上条199(278)
・
・
・
今からセロリに宣戦布告してくる2(331)
241 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りしますID:Misaka17600
で、結局昨日は声を掛けられなかったヘタレな>>1へ
今日も一方通行はコンビニに出かけたぞ
また上条に遭遇しないうちにやるんなら早く声掛けろよ
242 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りしますID:Misaka10032
ヘヘヘヘタレちゃうわ!!
変態が安価取りまくるのが悪いんじゃん!
何なのあいつ[<font color="red">ピーーー</font>]マジで[<font color="red">ピーーー</font>]
お前が安価するから悪いんだろwwwwww
せっかく俺が気さくな台詞考えてやったのにさー
244 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りしますID:Misaka10032
「セロリたんペロペロさせて!」のどこが気さくだテメェエエ!!
それじゃこのミサカがまるっきり変態みたいだろ!
覚えてろよ!お前覚えてろよ!!
245 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りしますID:Misaka14889
落ち着けよ>>1
無理しなくてもいいんじゃないか?
幸い俺らには時間があるし もっと気持ちが固まってからの方がいいよ
246 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りしますID:Misaka20001
そうだねってミサカはミサカは同意してみる
調整も上手く行ってるし、今日言いに行かないとダメってことないし
247 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りしますID:MisakaXXXXX
ぎゃははは そうだねー無理しない方がいいんじゃない?
昨日は長女の生き様見てろ(笑)とか言ってたけど
長女(笑)
>>247
おいコラ末っ子のクセに調子こいてんじゃねーぞ
つかなんだみんなして別に無理してねーし!見てろよな!!!!!!
声掛けた
249 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りしますID:Misaka16889
うお!?何だコレ心臓がバクバクする!
……あ、>>1か
感覚共有しっぱなしだった忘れてた
250 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りしますID:Misaka12498
おい緊張しすぎだろ>>1
俺風呂入ってんのに冷や汗出てきてんですけどwwwwwwww
251 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りしますID:Misaka19090
手汗パネェ
なんでこんな動揺してんの>>1は
一方通行はもう俺らを傷つけたりしないだろ
252 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りしますID:Misaka18682
ほら、怖くない…てかwwwwww
253 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りしますID:Misaka14889
茶化すなよ>>252
どうしたんだ>>1 大丈夫か
254 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りしますID:Misaka20001
大丈夫?
いい機会だから、みんなに気持ちを伝えた方がいいんじゃないかな>>1
ってミサカはミサカはkwsk説明することを提案してみたり
>>254
上位個体命令を受信した
「オマエらか…何だ、こないだの…19090号か?また何か買ってほしいもンでも
あるのか」
一方通行は振り返って、ポケットに入れていた白い手で白い細い髪をかき上げた。
その顔は上位個体の配信で見慣れたしかめっ面だ。
だが、直接見たのは初めてだった。
ミサカ10032号が自分の目で見たのは、引き裂いたような歪んだ笑みだけだ。
随分違うものだ、と思う。確かに同じ人間なのに、人というものは浮かべる表情
が違うだけで、こんなにも印象が違うのか。
だとすればミサカ達はやはりまだ、人未満なのだろう。
「…どうした?何か用があるンじゃねェのか。オマエの検体番号、19090じゃなか
ったか」
ただジッと見つめられて居心地が悪くなったのか、一方通行はしかめっ面を更に
しかめて目を眇める。
を緩和する効果があると知った。
「………このミサカの検体番号は、10032号です」
「!」
「久しぶりですね一方通行」
赤い目が、大きく見開かれた。息を呑んだのが、一メートルも離れたこちらまで
伝わって来る。
すう、と白い顔から血の気が引いていく。青白いを通り越して塩のように白い。
華奢な手が、ぎゅっと耐え忍ぶように握られた。良く見れば、細かく震えている。
「……………」
一方通行は何も言わない。
(怯えている)
ミサカ10032号は、予想通りの反応を確認した。
予想通りであるのに、予想よりも胸の奥がギリギリと締め付けられた気がした。
上条当麻と目が合った時とはまた異なる、生まれて初めての痛みだ。
(まぁこんなかんじだと思いました、とミサカは内心頷きます)
番外個体に一方通行と出会った時の反応を聞いた時から、このミサカと相対すれ
ばこうなるのではないかと思っていたのだった。
撃されようと、上位個体が危機に陥るまで一切反撃しなかったという。
ミサカ10032号にとって、それは意外なことだった。
上位個体であるミサカ20001号が一方通行に助けられたこと、結果として妹達全員
が助けられたこと、それは当然認識している。
ただ一方通行にとっては上位個体だけが特別で、妹達はついでのようなものなの
だろうと思っていた。ただこれは妹達の共通認識ではなく、ミサカ10032号の私見
であったが。
その考えが多少変わったのは、「残骸」事件の時のことだ。
ミサカ10032号は一方通行が上位個体の側にいることを知ってはいたが、重傷を
負っているようだったし、上位個体の危機に直接は関係しないので、一方通行が
動くことはないだろうと踏んでいた。
仮に実験が再開しても、樹形図の試算による「絶対能力進化」への条件ははミサ
カ達二万人を殺害すること。二万一人目の上位個体は除外されているのだから。
だから、上条当麻を頼ったのだ。
しかし結局は一方通行が、上位個体から情報を引き出し詳細を調べ上げ、「残骸」
を完全に破壊してしまった。
それで、アレ、と思った。もしかして、妹達にも上位個体へ抱いているようなもの
と似た気持ちを持っているのだろうか、と。
決定的になったのは、あのロシアでの出来事。
一方通行はもう、ミサカ達を傷つけることは出来ない。それを言葉ではなく行動で
示された。
そう知って、ミサカ10032号は、一方通行が自分をどう思っているか想像した。
自分が他人をどう思っているかではなく、他人が自分をどう思っているか。その考え
に至ったのは初めてのことだった。
ミサカ10032号は、実験中の一方通行に直接相対し、生き残った唯一の個体だ。
(一方通行は、このミサカが自分を恨んでいると思っているのではないか、とミサカ
は推測します)
推測が当たっているのは、目の前の一方通行を見れば明らかだ。
一方通行は、未だ沈黙を守りこちらを伺っている。顔は青ざめ、薄い唇は震え、『学
園都市最強』が見る影もない。このミサカが完全にいじめっ子ポジションのようだった。
率直に言えば、その推測は間違っている。
一方通行がどこまで理解しているのか把握できないが、ミサカ達は積極的に実験を遂
行しようとしていた。
やりたいとかやりたくないとか、死にたいとか死にたくないとか、そういう発想がな
かった。
だからこそ、一方通行が「本当は実験をやりたくない」ことになど、気付くことが出
来なかった。
上位個体が指摘した一方通行の本心を聞いて、まさに「その発想はなかった」と思った
ものだ。
元々、一方通行は殺人を好んでなどいなかった。ミサカ1号と実験を開始した時には、
弾丸を「反射」せず逸らした。
勝負がついた後も実験の続行を命じられたミサカ1号が背後から一方通行を撃ち、その
反射によってあのミサカは絶命したのだ。
それが、実験を続けるにつれて、どんどんどんどん殺し方が残虐なものになっていった。
だが妹達の認識は、一言で表すなら「?」という程度だった。ただ殺すだけでいいのに
手間を掛ける意味がわからない、と。ただ殺し続けるのにも飽いたのか、まぁそれで一
方通行が実験を続行してくれるのならばかまわないと。
嫌がってほしかったから。残酷な死に方を目の当たりにさせることで、死にたくないと、
抗ってほしかったから。
不器用にもほどがあるけれども、上位個体に指摘された時の反応からして、本人にも無
意識のものだったのだろう。
10031回繰り返してようやく意識されてしまった「本当はやりたくなかった」という気持
ちは、どれほど一方通行を打ちのめしただろうか。
ミサカ10032号には想像することもできない。自分達が傷だらけにしたも同然の、一方通
行の心の闇を。
上位個体が一方通行の罪と救いの象徴であるならば、このミサカは「罪」そのものだろう。
自分が犯してしまった後悔、それがそのまま目の前に現れるのだから、たまったものでは
ない。
「………………用は、ないのか」
一方通行は、ようやく押し出したような掠れた声で呟いた。
ミサカ10032号が今までの人生で聞いたこともないような、弱々しい声音だった。
何も答えないでいれば、一方通行がゆっくりと踵を返す。
その細い背は、ミサカ10032号を拒絶していると思った。そう思った途端、頭の中が燃える
ように熱くなる。
「逃げるのですか、とミサカは一方通行を引き止めます」
「………!」
ビクッ、と打たれたように背が震えて、白い顔がこちらを向く。
「そンなンじゃねェが…。オマエは俺の顔なンて見たくないだろ」
赤い目は、ミサカ10032号の隣にある植え込みを眺めていた。こちらを見ないつもりだと認
識し、また頭の芯が燃え盛る。
それでようやく、これが「怒り」というものだと気付いた。
「このミサカの顔を見たくないのはあなたの方でしょう、とミサカは容赦なく指摘します」
「何……?」
「このミサカは実験に参加したミサカ達の中で、唯一の生き残りですからね、とミサカは
自らの特殊性を強調します」
「………っ」
一方通行が息を呑む。ミサカ10032号は、少し溜飲を下げた。
自分がこのミサカの顔を見たくないだけのクセして、このミサカのせいにして立ち去ろうと
されたことに、怒りを感じたのだと今頃になった理解する。
「自分の過ちが目の前に現れたようで、いたたまれないでしょうね、とミサカは番外個体
が現れた時のあなたの反応を思い出してせせら笑います」
「…っ、あンの、おしゃべり女がァ…!」
PM 5:10 黄泉川家 リビング
番外個体「やっべ!ついおもしろおかしく言いふらしてんのバレた!!」
打ち止め「自業自得だよ~ってミサカはミサカは固唾を呑んで成り行きを見守りながら
呆れてみる」
番外個体「あの顔はすごい怒ってる、すごい怒ってるよ?チョップじゃ済まない予感が
ひしひし込み上げてきた…」アワワワ
打ち止め「デコピン来るかも?あの人のデコピン痛いのよね…ってミサカはミサカは
思い出して身震いしてみたり」
番外個体「今日は逃げよう」ウン
番外個体「…けどあの子ってこんな風に思ってんだね。このミサカにはあんまり理解で
きないなぁ~」ヒャハハハ
打ち止め「ミサカ達はMNWで繋がってるし感覚共有も出来るけど、別の個体だもの、
ってミサカはミサカは改めて確認してみたり。言わなきゃわからないよ」
番外個体「でも無理矢理言わせるのは職権乱用ってヤツじゃないの?横暴ー」
打ち止め「ミサカは上位個体命令なんて出してないよ?」
番外個体「へ?」
打ち止め「でもそういうことにしておいてあげるの、ってミサカはミサカは10032号を応援
しながら微笑んでみたり」
10032号にも頑張って欲しいと思ってしまうのが、複雑な気持ちだ。
「今日のあの人」には笑った
これから上条さんの携帯には、日に日に一方画像が増えてくわけな
「…あなたは、上位個体と番外個体にだけは態度が別なのですね」
「別……?」
ミサカ10032号は、苛立ちのまま続けた。自分でも聞いたことのないような声だ。
ミサカ達の声はすべて同じはずなのに、こんな声を出している個体は見たことがなかった。
「からかわれれば怒るし、悪戯されれば仕返しするし、…側に居ても、身構えない。と
ミサカは暗に今の一方通行との違いを指摘します」
「……………」
例えば、今のように、青白いような顔色で、赤い目を辛そうに眇めたりしない。
細い肩に力を入れたりしない。こちらの一挙手一投足を息を呑んで見守ったりしない。
「べ、別に今までずっと一緒だった上位個体と同じ扱いをしろとは言いませんが……」
言い淀んでしまって、自分で驚いた。
一方通行を見れば、ただ悲痛だった表情が、少し不思議そうに緩む。
このミサカが何を言いたいのかわからないのだろう。さもありなん、このミサカも自分
が何を言おうとしているのかわからなかった。
「……俺にどうしてほしい」
一方通行が、一歩だけこちらに歩み寄った。
あまりに急で驚いてしまい、ビクリと竦んでしまう。すると目の前の華奢な肩もビクリ
と揺れた。
寄せられた眉が露骨に「やっぱり」と語っていて、それを見て突如、ミサカ10032号の
中で何かが千切れた。
「ど、どうせお前はこのミサカのことが嫌なんだろ、とミサカは直球で表現します!」
「はぁ…?」
その勢いにか内容にか、一方通行の目が大きく見開かれる。
それが図星を突かれた反応のように思えて、ミサカ10032号の鼻の奥がツンと痛んだ。
「このミサカが目の前にいれば、お前は自分の過去を常に突きつけられるわけだからな、
そりゃ顔も見たくないよな、とミサカは自らの意見にな、なっとくっ…」
喉の奥も痛くなって、ズキリと目の奥が熱く痛んだと思ったら、その熱いものが目の端
から溢れる。
熱いものは液体で、ポロポロと頬を伝って落ちていく。
「お、おい………」
歪んだ視界の向こうでは、学園都市最強の能力者が成すすべもなく固まっており、次第
にオロオロとうろたえ出している。
「な、泣くな…」
白い白い手を出しかけては引っ込め、拳を握り締めるのを見て、ミサカ10032号はその
手を取って、白い掌で目元を拭った。
「ビビってんじゃねーよこのチキン野郎が、とミサカはこのミサカに触れもしない一方
通行に苛立ちます」
そのまま、ぎゅうっと白く細い手を握り締める。指は長いが、それほどこのミサカと変
わらない作りの手だった。
冷たい手だ。緊張からか、元々なのか。ミサカ10032号は自分の中で燃え盛るものを分け
与えるかのように握り続けた。
そして、右手の拳を固く握り締める。
(力を貸してください、とミサカは心の中のあの人に訴えかけます)
「いいぜ一方通行……お前が、このミサカに恨まれてるって思ってんなら」
「……っ!?」
一方通行は、ただ立ち尽くして、目の前のミサカ10032号を見つめている。
まっすぐに、瞬きもせずに。
「その幻想をぶち殺す!とミサカは右手を勢い良く振り上げます!!」
ペッチーン
PM 5:21 ミサカネットワーク内
582 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りしますID:Misaka10032
あー 手が痛ぇー
583 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りしますID:Misaka14889
よく頑張ったな
584 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りしますID:Misaka13577
10032号…(´;ω;`)
585 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りしますID:Misaka17401
乙 頑張ったな
586 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りしますID:Misaka16889
これが泣くって感覚か
不思議だな
587 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りしますID:Misaka12498
目と喉と鼻が熱くて痛いwwワロタwwwワロタ…
しょっぱいなー
これが涙か
あっ鼻水出てきた
10032号大丈夫か 乙女として
589 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りしますID:Misaka12049
上位個体除いたら、ミサカ達の中で泣いたのって10032号が初めてだな
さすが長女
590 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りしますID:Misaka11023
悩んでたんだなお前
何でもっと早く言わないんだよ(´;ω;`)ウッ…
591 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りしますID:Misaka20001
あの人と10032号はお互いに同じ気持ちだったんだね、って
ミサカはミサカは切なくなってみたり
592 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りしますID:MisakaXXXXX
お互い相手に怯えられるって思って怖がってたってコト?
このミサカだったら一方通行が怯えてくれるとか大歓迎だけど ぎゃはっ
593 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りしますID:Misaka14201
上位個体は10032号の気持ちに気付いてたのか?
594 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りしますID:Misaka20001
確信があったわけじゃないけど、10032号があの人を恨んでるわけじゃ
ないことはわかってたから
なんとなく予想しただけだよってミサカはミサカは首を傾げてみたり
595 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りしますID:Misaka19090
一方通行の本心に気付いたのも上位個体だったしな
まぁ腐っても…いや幼女でも上位個体ってことか
596 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りしますID:Misaka20001
ミサカがあの人の気持ちに予想がついたのは、培養機の中でずーっと
あの人のこと考えてたからだよってミサカはミサカは教えてみたり
597 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りしますID:Misaka12048
単なる思い込みじゃね?とか思わなかったのかwww>>596
598 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りしますID:Misaka20001
まぁあの人は否定しなかったけど、肯定もしてないからそうかもね
でもミサカを助けてくれたことも、ミサカ達をずっと守ってくれてる
ことも事実だから
予想が当たってても当たってなくてもどうでもいいよ
ミサカはあの人大好きなだけってミサカはミサカは誇らしげに宣言
してみたり!
恥ずかしいねこの幼女は…
あんなヤツが好きなんてこのミサカには理解できないなー
顔怖いし捻くれてるし凶暴だしデコピン痛いし
はっ(゚Д゚) 早く逃げなきゃ
600 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りしますID:Misaka19090
いや俺も別に一方通行のこと嫌いじゃないよ
なんだかんだ面倒見いいし
俺のことミサカ19090号だって割とわかってくれるし
顔怖いけど
601 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りしますID:Misaka13577
あー わかるわ>>600
アイツなんかちょっと喋ると見分けつけて来るよな
さすがの第一位の記憶力ってか?
602 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りしますID:Misaka14201
考えてみりゃ俺らのことわかってくれる人なんて実はスゲー少ないよな
お姉様と上条とあのカエル顔の医者と、あと一方通行くらいだ
あ、でも今の研究所の人は良くしてくれてるけど
603 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りしますID:Misaka15911
>>600-601
そういうのわかるなー 見分けつけてくれると嬉しい
なんだろなこれ
そういうの自我っていうんじゃね?>>603
605 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りしますID:Misaka14201
SOREDA>>604
606 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りしますID:Misaka11034
わかるかも
こないだ俺の担当の研究員に「あなたはちょっと短気よね」って言われた
そしたら何かそうかもって思った
607 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りしますID:Misaka14889
他人に発見されてこその個性なのかもな
俺達に縁がある人間は少ない
その一人に嫌われてるってのは…辛いよな 10032号
608 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りしますID:Misaka10032
お前らさっきから好き勝手言いやがって
別に辛くねーし
609 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りしますID:Misaka20001
あ、10032号、あの人の幻想はぶち殺せた?
>>609 上位個体命令を受信した
「は…………?」
一方通行は、平手打ちされた頬もそのままに、口を半開きにしてこちらを見ている。
「間の抜けた顔ですね、とミサカは一方通行に指摘します」
握っていた拳は、結局開いてしまった。けれど込めた思いは、この最強の反射など
関係なく届いたはずだ。
あの変態の言葉を借りるのは癪だが、『想い』は反射できない。
「……だが、オマエは」
一方通行は、確かにそれを頬で受け止め、だが理解できないかのように言い淀んだ。
「まぁ確かにこのミサカはあなたが散々痛めつけてくれたお陰で未だリハビリ中ですが、
とミサカは外出もままならない不便さを愚痴ります」
「…………」
「けれどこのミサカにはあなたに借りがありますからね」
「借り、だと…?」
瞬きもしない赤い目は、頼りなく揺れている。
「このミサカは実験に参加した最後の個体です。直接あなたに接触し、戦った。けれど
このミサカはあなたの気持ちに気付くことができませんでした、とミサカは忸怩たる思
いを噛み締めます」
「そンなのは、オマエには」
「関係ないなんて言わないでください、とミサカは一方通行を制止します。ミサカ達と
あなたほど関係あるような人間関係なんてそうそうありません」
ミサカ10032号はキッパリと言い切って、一方通行を正面から見つめた。
先ほど生まれて初めて涙とやらを流して以来、頭に篭もっていた熱も一緒に流れ出たか
のようにスッキリしている。
嫌がられてると思って、怖かったと。ミサカ10032号は素直に認めて受け入れた。そう
して覚悟すれば、不思議なほど身体の強張りが解けた。
目の前の白いのなんてただの白もやしだ。緊張なんてしなくてもいい。
「だから…あなたもハッキリ言ってください。とミサカは容赦なく要求します」
「………何を」
「このミサカのことをどう思っているか、ということです。言っておきますが、あなたが
このミサカをどう思っているかであって、それ以外のことは興味ありません」
闇とか暗部とか資格とか罪とかどーとかこーとか、そういうのはいいから一言で答えろ、
とミサカ10032号はバッサリ切って捨てる。
すると一方通行はたっぷり十秒ほど固まって、ようやく口を開いてから、また閉じてし
まう。同じことを三度繰り返し、それでもミサカ10032号が黙って待っているのを見て、
拳を握り締めた。
白い手はこのミサカが握ったままで、それを忘れていたのか、ビクリと驚いたように指先
が揺れ、ミサカ10032号はもう一度力を入れて握り締めた。
「………守りたいと、思ってる」
掠れた声は、消え入りそうだ。
「このミサカは、あの上位個体でも末っ子でもありませんよ、とミサカは一方通行の言い
間違いを指摘します」
「間違ってなンかねェよ。…オマエにも、世話ンなったからな」
ずっと下がっていた眉に、ようやく少しだけ力が戻った。赤い目を眇めたしかめっ面。
「オマエが頑張ったから、あの実験は…………」
止められたと、言いかけたのだろう。
だがすぐに、自分で「どの口が言うのか」と思ったらしく、口を閉ざして唇を噛む。
考えていることが丸わかりだ。学園都市最強は、こんなに表情豊かだっただろうかと、ミ
サカ10032号は少し首を傾げた。
「あと……わ…」
一方通行は「ア」の音に口を開いて、また閉ざしてしまう。
ギリ、と歯を食い縛る音が聞こえた。ゆっくり逸らされてしまった横顔は、悲しそうで、
辛そうで、そして困ったような表情だった。
恐らく一方通行は、自分が「悪かった」と謝ってしまえば、このミサカがその謝罪を受け
入れることを理解したのだろう。
だから言わなかった。言えなかった。
ミサカ10032号は、いつかの上位個体の言葉を手元に返す。
あの人を一番許せないのは、あの人自身だと。
「……まぁ、今日のところはこれくらいで勘弁してやるよ、とミサカはチンピラのような
捨て台詞を吐きます」
「………え」
長々と溜息を吐き出して、目についた屋台の方に足を踏み出す。
「おい」
当然手を握ったままの一方通行も引っ張られて、だがミサカ10032号は振り返ってこれみよ
がしに舌打ちをした。
「あのクレープで勘弁してやるっつってんだよ、察しろこの白モヤシが」
611 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りしますID:Misaka18642
結局タカるのかよwwwwww
612 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りしますID:Misaka10032
スペシャルイチゴチョコクレープうめぇ
これ一個1500円すんだぞ信じられるか
613 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りしますID:Misaka19182
ホントに奢らせるとは…たいした奴だ……
614 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りしますID:Misaka13028
一方通行は?
615 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りしますID:Misaka10032
今クレープ屋台があった公園のベンチなんだが
隣に座ってすっげーマズそうにコーヒー飲んでる
616 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りしますID:Misaka19090
そこで先に帰らないのがセロリクオリティ
あコレ語呂良くねセロリクオリティ(ドヤ
617 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りしますID:Misaka13577
うまくねぇから全然うまくねぇから>>616
618 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りしますID:Misaka10032
別に頼んでねーし>>616
まったく恩着せがましい白モヤシ いてっ!
619 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りしますID:Misaka20001
どうしたの?
620 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りしますID:Misaka10032
アクセラチョップされた
ウッゼェ ムカつく
621 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りしますID:Misaka19090
何でだよwwwつか何命名してんだよwww
622 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りしますID:Misaka10032
さっきの>>618うっかり口に出てたwww
アクセラチョップ顔激写してやった
http://www.misaloda/moyashi-1.jpg
623 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りしますID:Misaka17111
>>622
しかめっ面ここに極まれりwww
624 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りしますID:Misaka12847
>>622 ワロタww
あ、でも他でも見たなーこの顔
625 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りしますID:Misaka20001
>>622
ミサカと番外個体にチョップする時と、同じ顔してるよ
ってミサカはミサカは教えてみたり
PM 6:14 公園 クレープ屋台前ベンチ
一方通行(どうしてこうなった…………)
10032号「うーんもう一個食べたい、とミサカはセロリを横目で見ます」チラッチラッ
一方通行「オマエもう三個目だろ!腹壊したって知りませンよォ!?」
10032号「甘い物は別腹なのです、とミサカは自分も女のクセにわかってない一方通行に
嘆息します」ヤレヤレ
一方通行「俺は甘いもン嫌いなンだよ……」スッ スタスタ
サッキノモウイッコ… マイドアリー
10032号「人生損してますねあなた、ざまぁwwwとミサカは結局買いに行ってくれる
一方通行を見送りながら、何か忘れてる気がします……」??
一方通行(スタスタ)「ほらよ」
10032号「ん、とミサカは礼も言わずに受け取りながら早速パクつきます。うめー」モグモグ
一方通行「わかってンなら礼くらい言えや」ハァ…
10032号(……やっぱり何か忘れてる気がします)モグモグモグ
10032号「」ハッ
一方通行「お、おお?」
10032号「上条は渡さない!キリッ!とミサカは思い出したように宣戦布告します!」
一方通行「…何の話だ」ポカーン
10032号「い、いやだから上条は渡さないって言ってんだろ二回も言わせんな恥ずかしい!
とミサカは今更ながら何か照れてきました」パクパクモグモグ
一方通行「口にクリームつけて何言ってンのオマエ」スッ ペロ
10032号「」
一方通行(あ、しまった ついクソガキにするの同じクセで)
PM6:30 上条宅
上条携帯<オイメールダ …ハァ、コレデマンゾクカクソガキ
上条「お、おお!?……あ、メールか。打ち止めが送ってくれた一方通行の着ボイス的なの、
すげぇビビるわー」
禁書「とうまったら自分でやっといて自分でビックリしてるんだよ!」アハハハッ
上条「いやせっかく送ってくれたからさー?あ、『今日のあの人』来た」プッ「ホント来た」
禁書「それなぁに?」
上条「あー、何か打ち止めが一方通行の写真、毎日送ってくれるんだって」
禁書「アハハハ!何それ面白いんだよ!」
上条「一枚目は、っと…アレこれ御坂妹か…な、泣いてる!?」
上条(な、なんだこれ、何があったんだ!?一方通行が御坂妹に何かするとは思えないし…)
禁書「なになに?」
上条(インデックスに見られちゃマズイよな!?早く二枚目に…っ)
禁書「なんであくせられーたが短髪…?何このゴーグル…にビンタされてるの?」??
上条「」
上条(どういうことだってばよ………)
上条「さ、三枚目は…」
禁書「あ!このクレープ、1500円もするスペシャルイチゴチョコクレープなんだよ!!」
上条「何故この流れで二人でクレープ!?!?」ガビーン
禁書「なんか仲の良い兄弟みたいだね」ニコ
上条「……ああ、確かに」
上条(インデックスにそう見えるんなら…そうなのかもな。一方通行と御坂妹が、か……)
上条「……………よかったな」ニコ
打ち止めは、ふと何かの予感がして目を覚ました。
(……………いない)
隣に寝ていたはずの、あの人がいない。
いつも通り一方通行のベッドにもぐり込んで、あの人も何だかんだ文句を言いながら、
一緒に毛布に包まってくれたのに。
シーツを探れば、冷たかった。いつからいないのかわからない。
けれど、打ち止めは驚かなかった。
そうっ…と、精一杯静かに起き上がる。微かな衣擦れの音すら立てないように慎重に
床に足をつけた。
清潔なフローリングはひんやりとしている。また黄泉川が始末書を書くことでもあった
のだろう。現実逃避で掃除をする癖は相変わらずだ。
少しずつ足を忍ばせてドアに近づけば、幸いなことに閉まりきっておらず、打ち止めが
ようやく通り抜けられるほどの隙間があった。
多分あの人が、ドアの開閉する音で自分を起こさないよう、隙間を残しておいたのだ。
真っ暗な廊下に滑り出し、必死で足音を殺しながら居間に近づく。呼吸の音すらしない
よう細心の注意を払い、わずかでも軋む音がすれば飛び上がりそうになる。
いつもなら数秒で駆けて行ける距離に十分も掛けて、打ち止めはようやくそこまで辿り
着いた。
昼は温かかったのに、夜になって急に冷え込んだ。シンと静まり返ったリビングは、火
が消えたように寒々しい。
「………ッ、う、く……っ」
押し殺した、ひどく苦しげな呻き声。
(………やっぱり)
カーテンは開けっ放しだった。今夜は月夜だ。窓からの月明かりが、白い人を青白く
浮かび上がらせている。
一方通行はソファで丸くなって眠っていた。幼い子供が無意識に身体を守るかのように。
整っているはずの顔は苦悶に歪み、とてもとても辛い夢を見ているのだろうと、見てい
る者の胸まで締め付けるような。
(今日は、うなされると思った、とミサカはミサカは予想通りで……)
華奢な体躯は、驚くほど小さな影だ。普段威圧感や凄みを感じさせるからこそ、この印象
の違いが打ち止めの胸を突いた。
「ふ…、ぐ、ゥ…」
そうっとそうっと、世界で一番壊れやすいものに触るかのように、月のように白い頬に触
れる。
途端に、ビクンッと細い身体が跳ね上がった。
「う、ッ、あ…?ラスト、オー、ダー………?」
見開かれた血の色の目が、呆然と打ち止めを見つめる。
「うん、ミサカだよ。ってミサカはミサカは頷いてみる」
「……………」
次第に目の焦点が合って、目元がほんの少し安堵に緩む。色を失っていた薄い唇が微かに
動いた。
よかったと、吐息だけでそういう形を作る。
殺してなくて、よかった。そういう意味だと打ち止めは知っている。
「ミサカと一緒に寝てたのに、急にいなくならないで…ってミサカはミサカはお願いして
みる……」
ソファによじ登り、一方通行の胸元にしがみ付いた。二度とこんな寒い場所で一人で眠っ
てほしくなくて、だが、それは叶えられないと知っている。
一方通行はこうして時折、ひどくうなされる。
夢の内容は聞かなくてもわかる。あの実験の頃の夢。自分が殺した妹達の死を、何をどん
な風に殺して来たのかを、なぞるように見ているのだろう。
そしてうなされるのは、決まって一方通行が…何か温かさを感じた時。
忘れるな。お前にはそんなものを得られる資格などない。お前は悪であり、罰を受けるべ
き存在であり、救われるはずなどない。救われてはならないと。
(あなたは10032号と話せて、嬉しかったんだね)
一方通行が感じた幸いが大きいほど、ひどくうなされる。自分で自分を痛めつける。
ロシアから帰って、打ち止めを拒まなくなった。自分を取り巻く優しさを、切り捨てるこ
とはなくなった。
自分には似合わないと背を向けず、受け止める強さをこの人は手に入れたのだと思う。
けれどその分、うなされる回数は増える。
いつも、いつまで経っても。
「……………」
一方通行は、うなされた名残で浅く荒い息を吐き出し、胸元に全身でしがみつく打ち止め
を見下ろしている。
白い手を伸ばして肩に触れようとした。だがすぐに、躊躇うように指を握り込み、また触
れようと指を伸ばす。
打ち止めはその細い指先を握り締めたいのを必死で堪えた。
青白い指先は震えている。薄い胸に顔を押し付け、打ち止めは横目で白い白い指先を見つ
めた。
そうっ…と肩に触れてくれた時には、ツンと目の奥が痛くなる。
「………は……」
一方通行の唇から、細く長く、安堵の吐息が漏れた。
自分が触れても、打ち止めの肉が爆ぜたり血が噴き出したりしないことに、安堵したの
だと知っている。
「あなたの手は…っ」
冷たくて誰よりも温かい手に、思わず顔を上げた。我慢した想いを吐き出した拍子に、
どっと熱い涙が溢れる。
「あなたの手は、一度だってミサカを傷つけたことなんてないよ…!」
「…………」
「ずっと優しかった、ずっと守ってくれた、あなたはミサカのヒーローだもん…っ、
ってミサカはミサカはぁ……っ、ひくっ」
大粒の涙が溢れて、月のように白い頬にぼたぼたと落ちていく。
一方通行は黙って打ち止めを見上げていた。困ったような、悲しそうな顔だった。
打ち止めは渾身の力を込めて、一方通行のシャツを握り締める。
「ミサカとだけは一緒にいてくれなきゃヤだ!ヤだもん…っ!ってミサカはミサカ
は頼み込んでみる…っ」
ひくっ、としゃくり上げてしまい、堰を切ったように泣き声を上げてしまった。
この人の前では絶対笑顔でいたいと、誓っていたのに。
バカみたいなワガママを言って、きっと困らせている。仮に自分だけを連れてどこ
かに逃げてしまっても、一方通行は打ち止めを守って傷だらけになってしまう。
わかりきっている。だからこそ、一方通行には他にも大事な人を作ってほしかった。
でもこんな風にたった一人で苦しんでいるのを見たら、もう何でもいいから自分だ
けを連れて誰も自分達を知らないところに行ってもいいと思う。いや、ダメだ。
自分だけでは、この人に幸いを渡すことは出来ない。
「う…っ、く…ぅえ…っ、バカ…!どうしてわかってくれないのって、ミサカは
ミサカは駄々を捏ねてみる…!」
「………」
うぅえええん、とまさに子供そのものの泣き声を上げて、打ち止めは一方通行の胸
に顔を擦りつけた。変わらない涼しげな花のような匂い。
一方通行は恐る恐るというような仕草で、背を撫でてくれる。
(……まったく、うるさくて寝られないよ)
番外個体は、リビングの入り口で佇んだまま、一方通行と打ち止めを横目で眺めて
いた。
始末の悪い頭痛は、ズキズキと目の奥を痛ませる。痛みは目の奥をずっと沈んで、
どうしてか胸の辺りにまで落ちてきた。
「…………」
一方通行は、胸の上に打ち止めを乗せたまま、ゆっくりとその背を撫でている。
打ち止めは何度もしゃくり上げ、ただ泣き声は少しずつ小さくなっていく。
番外個体の佇む場所からだと、月明かりの差し込む窓を背にしてソファがある。
その眺めは、白と青で描かれた寂しい絵画のように見えた。
時々、この二人はこんな風に見える。たった二人で完結した、小さな絵のような。
チッ、と番外個体は舌打ちして足を踏み出した。
らしくないというものだ。この悪意の塊である最悪の個体が、まさか空気を読もう
とでもいうのか。
「こんなとこで何してんの、第一位」
嫌がらせのつもりで、声を掛けた。
「………クソガキが重い」
見下ろした一方通行は、薄い無表情でこちらを見上げる。月を写した赤い眼は、透
き通っているのに底が見えない。
「あーあ、泣き疲れて寝ちゃったの?子供だねー最終信号は」
「……ガキだろ、コイツは」
ゆっくり起き上がりながら、ずり落ちないようにか小さな丸い後頭部を支える。
打ち止めを見下ろす一方通行の白い横顔を見て、番外個体の胸の奥がズキリと震えた。
「あーあ…すっごい頭痛いんだけど」
「あァ?」
「頭痛いっつってんの。…早く治してよ、あなたにしか出来ないんだから」
何やら辛そうにしているところに、自分勝手な都合で声を掛ける。そういう個体だ、
このミサカは。
だが一方通行は、軽く溜息をついておとなしく立ち上がった。
文句の一つも言われると思ったのに、吐き出された吐息は、気のせいでなければ安堵
の色をしていた。
「…何してンだ。行くぞ」
眠っていても力一杯シャツを握り締めたままの打ち止めを抱えて、白い顔が振り返る。
「言われなくても」
踏み出した番外個体の足取りは、先ほどとは打って変わって軽かった。
三人の中では、背が高い一方通行のベッドが一番広い。と言っても、さすがに三人は
窮屈で、ベッタリくっついて寝る羽目になる。
打ち止めが一方通行の胸から離れないので、番外個体は細い肩口に頭を預けていた。
「…はぁ………」
触れた途端、すうっと呼吸が楽になる。息をついたら、花のような香りが鼻先をくす
ぐった。
もっとも、このミサカは生花の匂いなど嗅いだことはないので、単なるイメージだ。
「………いやー本当に意味わかんないくらい役に立つね、この能力」
「……役に、ね……」
頭の上から、ポツリと呟きが落ちた。低く掠れた声。
すぐ目の前にある打ち止めの頭に、華奢で大きな手が置かれる。小さな手は、相変
わらずシャツをしっかり握り締めている。皺になるのは決定だ、いい気味である。
「さっき子供だって言ってたじゃない。そりゃ泣くんじゃないの」
「確かにコイツはガキだが…泣くとこなンて、ほとンど見たことねェよ」
「へぇ…?そうなんだ」
それほど長くない付き合いだが、まぁ確かに納得できるところもある。
言動自体は子供らしいけれど、打ち止めはかなり思慮深い面を見せることも多い。
「俺は……どうすればいいンだろうな」
この小さな少女のために、何が出来るのだろうか、と。
微かな呟きは、ひとり言だったのだろう。
低い掠れた声音は、消え入りそうだった。シンと冷えた空気と同じ色をしていた。
このミサカに質問されたわけではないと悟って、番外個体はキツく眉を顰める。
「そんなの…このミサカにわかるわけないでしょ」
思わず見上げれば、予想外なことに赤い目がこちらを見ていて、心臓が跳ね上がる。
「こ…このミサカは、妹達の悪意を吸い上げる悪意の塊だよ?人のために何が出来
るかなんて、わかるわけないじゃない」
「そうだよっ…!このミサカが、人のために何か、なんて出来るわけ………」
他の誰も同じ色をしていない、赤い色。最初は濁った血みたいだと思ったのに、今は
稀な宝石に似ていると感じてしまい、イラついた。
「出来てるだろ…」
「え?」
小さな呟きに、ひどく驚いて目を見開く。すると途端に眼前の白い顔がしかめっ面に
なって、そっぽを向いた。
「妹達の負の感情に影響を受けるオマエが、ここにいるだけで俺は…」
救われているんだ、と。
途中で消えてしまった言葉の代わりにか、掌で目を覆われた。
消えたはずの言葉が、触れた肌から染み入ってきた気がした。
冷たい手は、何故か火照っていた目元にひどく心地よくて、じわりと何かが溢れる。
「バカじゃないの、あなた」
目尻に溢れた何かは温かくてすぐに冷たくなって、同じように滑らかで冷たい指に
拭われた。
あくまで頭痛の借りだが、華奢な身体に気を使って頭だけ乗せていたのを、胸元ま
で一方通行の上に乗り上げた。
打ち止めはほぼ身体全体を乗り上げて眠っているので、一方通行もたまったもので
はないだろう。
「……………」
さすがに文句を言われるかと思ったのに、一方通行は黙ったままだった。
何か言われたら言い返してやろうと色々考えているうちに、だんだん眠くなって
くる。
体温の低い細い身体は、不思議なことに柔らかな毛布より温かいのだった。
「…………重たいンだよ、クソガキどもが…」
ほとんど眠る寸前に聞こえた呟きは、少し潤んでいたような気がする。
AM 12:30 黄泉川家リビング
打ち止め「ねぇねぇヨミカワー、コレ見てみて!!」ピョンピョン
黄泉川「ん~?ケータイの写真じゃん?…ブッ、一方通行泣きべそかいてどうしたじゃん!」ギャハハ
芳川「あらあら、どうしたの一方通行ったら」
一方通行「」
番外個体「あはひゃははは!第一位って意外と学習しないよね~」
芳川「そうねぇ、学習しないわねぇ、ホホホホ」
一方通行「」ブルブル
打ち止め「あなたが悪いんだよ?プンプン!ってあなたはミサカが何で怒ってるのかもっと
考えるべき!ってミサカはミサカは反省を促してみたり!」
一方通行「」グイッ
打ち止め「あっ ミサカのケータイ!返してー返してー」ピョンピョン
一方通行「」バキーン
打ち止め「ああああ!!!!ミサカのケータイがぁあああ!!?って」
番外個体「ミサカはミサカはこのミサカのケータイにも入ってるよってヒラヒラさせてみたり?
あひゃひゃひゃひゃ!」ヒラヒラ ダッ
一方通行「ぅおらァあああああ待ちやがれこのクソガキがァアアアア……!!!」ダッ
打ち止め「あーー…行っちゃったー。なーんて、MNWに写真もメールもぜーんぶバックアップ
してあるのだ!ってミサカはミサカは勝利宣言!」フハハハ
芳川「やるわね最終信号」グッ
打ち止め「…あれ?ヨミカワ、どうしてそんなにニコニコしてるの?ってミサカはミサカは首を
傾げてみたり」??
黄泉川「ん…?あの子も泣けるようになったのか、ってね」ニコ
芳川「そうね………。とても…嬉しいことね」
打ち止め「……わかんない。ってミサカはミサカは不満に思ってみる。ミサカはあの人にだけは
泣いてほしくないよ」
黄泉川「そうだなぁ。今度あの子が泣いたら、打ち止めが拭いてあげればいいじゃん」
打ち止め「うん、そうする。ってミサカはミサカは誓ってみたり」ウンウン
黄泉川家は今日も平和です。
PM 3:45 ミサカネットワーク内
1.【何か末っ子が頭痛するらしいんで】日々をポジティブに過ごすスレ【鬱やめようぜ】(1)NEW
3.【学園都市】おいしかったクレープ屋晒して行け【甘味探索】(432)
3.【協力求む】あの人とヒーローさんをいいかんじにさせたいんだが16(72)
4.今日の上条201(451)
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1 :以下、名無しに代わりましてミサカがお送りします ID:Misaka14889
運営から聞いたんだが、末っ子は俺たちの負の感情に影響受けるせいで
頭痛がするらしい
なのでなるべく負の感情に振り回されないようにしてこうぜ
何か嬉しいことがあったら書いてけ 共有しよう そういうスレ
2 :以下、名無しに代わりましてミサカがお送りします ID:MisakaXXXXX
ちょっとミサカはそんなこと頼んでないよ
余計なお世話
だいたい末っ子って何?見た目ならこのミサカが長女じゃん
3 :以下、名無しに代わりましてミサカがお送りします ID:Misaka10032
まぁそう言うなよヤンデレ(笑)
子守唄(笑)ねだるようなのは末っ子だろ(苦笑)
4 :以下、名無しに代わりましてミサカがお送りします ID:MisakaXXXXX
ぎゃはっ じゃああなたはツンデレ(笑)だよね
泣きながらビンタwwwwwww
5 :以下、名無しに代わりましてミサカがお送りします ID:Misaka10032
上等だコラ 表出ろや
姉の威厳ってモンを教えてやる
6 :以下、名無しに代わりましてミサカがお送りします ID:MisakaXXXXX
あひゃひゃひゃ!いい度胸じゃないレベル2風情が
クレープ奢ってもらったくらいで調子こかないでよね
7 :以下、名無しに代わりましてミサカがお送りします ID:Misaka20001
こらー!二人とも!せっかく14889号がスレ立ててくれたのに
荒らしみたいなことしてたらアク禁しちゃうぞ!
ってミサカはミサカは秩序を保つために声を上げてみたり!
8 :以下、名無しに代わりましてミサカがお送りします ID:MisakaXXXXX
したいならすればぁ?
最終信号の命令でもこのミサカにはあんま効かないし
9 :以下、名無しに代わりましてミサカがお送りします ID:Misaka17409
なんでこここんなギスギスしてんのwww
スレタイ詐欺wwww
10 :以下、名無しに代わりましてミサカがお送りします ID:Misaka10982
むしろこのスレが率先して負の感情振り撒いてるwww
11 :以下、名無しに代わりましてミサカがお送りします ID:Misaka14889
まぁ末っ子はワガママなもんだ
12 :以下、名無しに代わりましてミサカがお送りします ID:MisakaXXXXX
だから末っ子扱いやめてって言ってるでしょ!
このミサカは悪意の塊なんだから当然だよ
でも第一位は「だがそれがいい」って言ってたけどね
13 :以下、名無しに代わりましてミサカがお送りします ID:Misaka20001
あの人はそういう意味で言ったんじゃないと思うけどなぁ
ってミサカはミサカはあの人のシュミが誤解されるのを阻止して
みるんだけど……
勘違い乙>>12
15 :以下、名無しに代わりましてミサカがお送りします ID:MisakaXXXXX
勘違いしてるのはそっちの方じゃないの?
所詮あなたたちなんかこのミサカの劣化版でしょ
16 :以下、名無しに代わりましてミサカがお送りします ID:Misaka10032
おい いい加減にしろよ
言いすぎってヤツだ
17 :以下、名無しに代わりましてミサカがお送りします ID:MisakaXXXXX
はっ 何だ何だよ何ですかァ?
実力行使に出るんならやればいいよ
どうせこのミサカは他の皆と違うし
18 :以下、名無しに代わりましてミサカがお送りします ID:Misaka12048
まぁまぁ 落ち着けよお前ら
19 :以下、名無しに代わりましてミサカがお送りします ID:Misaka20001
そうだよってミサカはミサカは一生懸命同意してみたり!
____ / ̄ ̄ ̄\
/___ \ / ___ ヽ
/ |´・ω・`| \ / |´・ω・`| \ みんな~
/  ̄ ̄ ̄ \ / _,  ̄⊂二二)
| i ヽ、_ヽl | |
└二二⊃ l ∪ | |
| ,、___, ノ | ,、 |
ヽ_二コ/ / ヽ / \ /
_____/__/´ __ヽノ____`´
おおお こんなスレが!!
なーなー聞いて聞いて
デラックスキャラメルチョコミルクバニラクレープ ま じ う ま !
21 :以下、名無しに代わりましてミサカがお送りします ID:Misaka19218
>>20
>>20
>>20
22 :以下、名無しに代わりましてミサカがお送りします ID:Misaka10819
なんたるKYwww>>20
23 :以下、名無しに代わりましてミサカがお送りします ID:Misaka11192
今日のMVPは決定したな>>20
あ、あれ・・・???
ここ何か嬉しいことを報告するスレじゃないの?
25 :以下、名無しに代わりましてミサカがお送りします ID:Misaka16829
確かに>>1にはそう書いてあるんだがなwwww
つかクレープスレ他にあったろww
26 :以下、名無しに代わりましてミサカがお送りします ID:Misaka14889
いや大丈夫、それで合ってる>>24
それお前が前から食べたいって言ってたやつだよな
確か高くて買えないって言ってなかったか?
27 :以下、名無しに代わりましてミサカがお送りします ID:Misaka19090
一方通行が買ってくれた!3000円もするのに!!
えへへ おいしい
28 :以下、名無しに代わりましてミサカがお送りします ID:MisakaXXXXX
えっ
29 :以下、名無しに代わりましてミサカがお送りします ID:Misaka10032
えっ
30 :以下、名無しに代わりましてミサカがお送りします ID:Misaka20001
つまり・・・どういうことだってばよ?
ってミサカはミサカはkwsk話してほしいなってお願いしてみたり>>27
31 :以下、名無しに代わりましてミサカがお送りします ID:Misaka19090
えーっと 今日頑張って一方通行に謝ろうかなって思ってて
謝ったらクレープ奢ってくれた
あと頭触らせてくれた ふわふわさらさらしてた
32 :以下、名無しに代わりましてミサカがお送りします ID:MisakaXXXXX
えっ
33 :以下、名無しに代わりましてミサカがお送りします ID:Misaka10032
えっ
34 :以下、名無しに代わりましてミサカがお送りします ID:Misaka20001
おお~謝ったんだね19090号!
よかったね、ずっと気にしてたもんね、ってミサカはミサカは
頑張った下位個体を労ってみたり!
35 :以下、名無しに代わりましてミサカがお送りします ID:MisakaXXXXX
な、なんでそれでクレープかな?
36 :以下、名無しに代わりましてミサカがお送りします ID:Misaka10032
まぁ 言えたのはよかったよな>>31
けどなんでそれで頭触る流れになるんだワロタ
37 :以下、名無しに代わりましてミサカがお送りします ID:Misaka17600
説明しよう!
それは>>31が
「こないだは悪かった
ちょっとした冗談のつもりで、一方通行が俺達を守ってくれてることは
ちゃんとわかってる
あと服と指輪ありがとう」
って言うだけの間に65回も噛んだからだ!!
最初は怪訝そうだった一方通行
http://www.misaloda/accela-6315.jpg
>>31が15回目に噛んだあたりの一方通行
http://www.misaloda/accela-6350.jpg
>>31が何回も言いなおして五分掛けてようやく言い終わった後の一方通行
http://www.misaloda/accela-6393.jpg
怪訝そうな顔がだんだん呆れ顔にwwwww
39 :以下、名無しに代わりましてミサカがお送りします ID:Misaka15345
最後www完全に親御さんの顔wwwwwwwwwwww
もっとkwsk報告するんだスネーク!
40 :以下、名無しに代わりましてミサカがお送りします ID:Misaka17600
こちらスネーク
最終調査結果を報告する
--------------(19090号がやっと言い終えました)--------------------------
一方通行「………よくがンばりました」
19090号「う、ぅう……舌が痛い、とミサカは噛み過ぎて舌がヒリヒリすると
涙目で訴えます…」
一方通行「わざわざ謝らなくても、別に俺は気にしてなかったけどな」ハァ
19090号「あなたは気にしていなくてもミサカはすごく気になっていたのです…」
一方通行「………」
19090号「とミサカはちょっと寂しくなります…」ショボン…
一方通行「…………なァ、オマエらって皆甘いもン好きなのか?」
19090号「え?他の個体はわかりませんが、このミサカは大好きです。とミサカ
は質問の意味がわからず首を傾げます」
一方通行「ふゥん…。じゃあ、あれでも食うか?奢ってやるから」
19090号「!!!あれは!このミサカがずっと食べたかったクレープを売ってい
る屋台です!とミサカは期待に目を輝かせます!!」
一方通行「急に元気になりやがった……」
この後一方通行は19090号にスペシャル(ry)クレープを買い与え、
頭触ってもいい?って頼まれて渋々モフモフさせたのであった
------------------(おわり)--------------------------------------
41 :以下、名無しに代わりましてミサカがお送りします ID:Misaka12456
頑張ったお子さんにご褒美ですねわかりますwwww
42 :以下、名無しに代わりましてミサカがお送りします ID:Misaka19090
お子様じゃないし!>>41
てか、なんだよスネーク見てたのか?
それなら一緒に来てくれてもいいのに…
43 :以下、名無しに代わりましてミサカがお送りします ID:Misaka17600
それじゃ尾行にならないからヤダ
スネークだもん俺
44 :以下、名無しに代わりましてミサカがお送りします ID:MisakaXXXXX
そんなことどうでもいいっての
どうして19090号があの人の頭撫でる羽目になるの?
このミサカもやったことないのに
45 :以下、名無しに代わりましてミサカがお送りします ID:Misaka19090
え 何か柔らかそうで前から触ってみたかったんだもん
実際柔らかいっつーか 何だろう あ、猫っ毛ってやつ?
ふわふわさらさらつるつる みたいな
いや猫触ったことないけど
46 :以下、名無しに代わりましてミサカがお送りします ID:Misaka13577
いいなーそれ>>45
ミサカ達は能力のせいで猫とかは逃げちゃうからなー
俺も今度会ったら頼んでみようかな
47 :以下、名無しに代わりましてミサカがお送りします ID:Misaka20001
確かにミサカ達の髪の毛とは手触りが違うよね、ってミサカはミサカは
あの人の髪の触り心地をウットリ思い出してみたり
あ、でも前とちょっと髪質が変わった気がするのよね
48 :以下、名無しに代わりましてミサカがお送りします ID:Misaka19090
そうなの?>>47
あーそういや一回髪の毛剃られた後にベクトル操作でムリヤリ
髪伸ばしたら、髪質変わったとか言ってたな
49 :以下、名無しに代わりましてミサカがお送りします ID:Misaka11938
相変わらずチートすぎるなwww
50 :以下、名無しに代わりましてミサカがお送りします ID:Misaka11204
何で剃られたんだよwwwつか剃ったヤツ何者だよwwwwww
51 :以下、名無しに代わりましてミサカがお送りします ID:Misaka10221
馬鹿 頭撃たれた後だろ>>50
手術で剃ったんだよ
52 :以下、名無しに代わりましてミサカがお送りします ID:Misaka11204
正直スマンかった>>51
53 :以下、名無しに代わりましてミサカがお送りします ID:Misaka12918
なんだか俺も触ってみたくなってきた
54 :以下、名無しに代わりましてミサカがお送りします ID:Misaka17491
俺も俺も
あんなのの髪触りたいなんてこのミサカには理解できないね
ぐぬぬ…
56 :以下、名無しに代わりましてミサカがお送りします ID:Misaka10032
おいお前 一文目と二文目矛盾してるぞwwww>>55
とpgrしてたら一方通行を発見した件
・
・
・
PM 5:20 第七学区 大通り
10032号「おや一方通行、これは奇遇ですね。頭撫でていい?とミサカはつい他の
個体につられて要請してみます」
一方通行「………はァ?」ポカーン
10032号「あとこのミサカにもデラックスキャラメルチョコミルクバニラクレープ奢って
ください。とミサカはすぐ側のクレープ屋台をこれ見よがしに眺めます」チラッチラッ
一方通行「顔見て五秒でタカってくるたァ良い度胸だな」
10032号「褒めても何も出ねーぞ、とミサカは頬を赤らめながら早く奢れよと催促
します」
一方通行「赤くなってねェから、全然なってねェから」
10032号「イタタタタ何かすごい腕痛い、あ~~誰かさんがやってくれちゃった腕
がすごい痛む。とミサカは腕を抑えて邪気眼的なポーズです」
一方通行「オマエ10032号だなァ!?」
10032号「イタタタタホント腕痛い、すごい痛い、クレープ食べないと治らない。
とミサカはこのミサカを見分けたモヤシからの愛を実感したいと主張し
ます」
一方通行「あァあああもォわかった、わかりましたよォ!」ダカラソレヤメロ!!
デラックス(ryイッコ… ニーチャンイツモアリガトナー イィエー…
10032号「やったー。とミサカは一方通行からクレープを受け取り勝利宣言をします」
一方通行「はァ…………なンなのオマエ…」グッタリ
10032号「ほら白モヤシもここに座りなさい。とミサカはベンチの隣をポンポンします。
奢ってもらったお礼に一口分けてあげます」
一方通行「いらねェ。コーヒーあるし」ストン ズズー
10032号「まぁそう言わずに。どうせ食わず嫌いでしょう?とミサカは一方通行の偏食
ぶりを指摘します」
一方通行(何で偏食バレてンだろう…)「いらねェっつーの」
10032号「一口食べてみてください。おいしいですよ。おいしいのです。とミサカはこの
感動を共有したい衝動を伝えます」グイグイ
一方通行「うぶっ…押し付けンなっ、あ」ベチョ
10032号「あっちょっとクリームがはみ出してしまいましたね。もったいないから舐め
とるべきです。とミサカは計画通りであることを押し隠しつつ指摘します」
一方通行「オマエなァ…………」ペロ「うッげ…甘ェ~……」ゴクゴクゴク
10032号「なんですかその嫌そうな顔は。とミサカは一方通行の盛大なしかめっ面を
非難します。おいしいのに…」パクパク
一方通行「ハイハイもォいいからオマエが全部食えって…」
10032号「わかりました。とミサカはデラックスキャラメルチョコミルクバニラクレープ
をおいしく食べ進めます…」モグモグ
一方通行「…………」ズズー
10032号「…………」モグモグ
一方通行「…………」ズズー
10032号「……あの。とミサカはキャラメルとバニラのハーモニーを最後の一口ま
で堪能しながら少々躊躇いがちに切り出します」モグ…
一方通行「なンだよ」
10032号「先ほど腕が痛いと言いましたが…現在治療も調整も問題なく進んでいま
すので、本当は痛くありません。とミサカは嘘をついたことを一方通行に
打ち明けます…」
一方通行「………バァカ。わかってンだよ」ベシッ
10032号「いてっ。とミサカは突然のチョップに驚きつつ何となく顔が緩みます」ニヘラ
一方通行「かっわいくねェ笑顔だなァ」
10032号「あなたにだけは言われたくありません。あなたにだけは言われたくあり
ません。とミサカは大事なことだから二回言いました」ムッ
一方通行「俺には笑顔なンて似合わねェからいいンだよ」
10032号「まぁ確かにこのミサカは見たことありませんが…。とミサカは確かに
さっきの笑顔がぎこちなかったかもしれないと思いつつ憮然とします」
10032号「あ、でも上位個体が見たことあるって言ってましたよ、ロシアで。とミサ
カは上位個体が騒がしく自慢していたことを思い出します」
一方通行「あのクソガキはもォ……」ガリガリ
10032号「じゃあちょっと今お前笑ってみろよ。とミサカは小馬鹿にされたのが悔
しいわけではありませんが、全然悔しくありませんが」
10032号「ちょっと愛想笑いでも覚えた方が人生円滑に進みますよ?とミサカは
的確なアドバイスをしてあげます」
一方通行「オマエにだけは言われたくねェ。オマエにだけは言われたくねェ」
10032号「おやこのミサカの真似ですか白モヤシ。あ、思い出したけど頭撫でさ
せろよ、とミサカは真似させてあげた御礼を要求して手を伸ばします」
一方通行「……は?」
10032号「おお…ほほぅ……なるほどなるほど…」モフモフモフモフ
一方通行「……………」
10032号「確かにさらさらふわふわつるつるですね。とミサカはされるがままの
一方通行の頭を撫で回しながら19090号の感想が的を射ていると
実感します」モフモフモフモフ
一方通行「…楽しいかァ……?」
10032号「それなりに。とミサカは仏頂面のモヤシの頭を撫で続けます。何で
こんなに髪きれいなの?ズルくね?」モフモフモフモ
一方通行「まァ…紫外線とか反射してっからな」
上条「おーい一方通行!お、御坂妹も一緒か?」タタタタ
10032号「!!」モフッ
一方通行「なンだオマエかよ…。何か用か三下ァ」
上条「ああ、そうそう。また付き合ってくれないか?買いも…」
10032号「付き合う…だと?どういうことですか?とミサカは露骨に話を遮って
問いただします。と同時に急いで身なりを整えます」ササッ
上条「ああ、こないだ一方通行に付き合って貰ったんだよ。助かったぜー俺一
人じゃ無理だったし」
10032号「付き合って… 一人じゃ無理なこと…だと…?とミサカは硬直します」
一方通行「何勘違いしてンだこの耳年増は」ビシッ
10032号「あてっ。とミサカは側頭部にチョップをかまされて我に返ります」
上条「ん…?何してたんだお前ら」
一方通行「子守り」
10032号「一方通行の髪の手触りを確認していました。とミサカはこの白髪が
なかなかの触り心地であったことを伝えます。猫ってこんなかんじ?」
一方通行「だァから気安く触ンなっつゥの」カチリ
上条「左手で触る…と見せかけて右手でそりゃー」キュイーン ナデナデ
一方通行「」
上条「だーからすぐ能力に頼るのやめろっつーの」ナデナデ
10032号「何だこの図…とミサカは一方通行の頭をなでなでするあなたの写真を
ネットワークに放流します。あ、早速祭りが開始されました」
上条「祭りとかあったっけ?大覇星祭はとっくに終わったぞ。……うーん、スゲー
気持ちいいな。俺の髪と全然違う」ナデナデ ハハハ
一方通行「やーめーろォ」ブンブン
10032号「あ、その頭ぶんぶん振って嫌がる仕草、ミサカが猫に触ろうとした時の
嫌がり方と同じです。とミサカはセロリなんかよりあなたの髪の手触りが
気になることを伝えたいです。そんなに違いますか?」ソワソワ
上条「ん?触ってみるか?」
10032号「いいのですか?とミサカは目を輝かせて確認します」
上条「別に構わないぜ。こんなサラサラしてないけどなー」
10032号「お気遣いなく。とミサカはあなたの気が変わらないうちに慌てて手を
伸ばします」ササッ
10032号「………」サクサク
手触りに驚愕します」サクサク
上条「あはは、だろ?もーいっつもウニとか針金とか散々な言われようでさー」
10032号「このミサカはウニに触れたことはありません。とミサカはウニの手触り
を学習します。ウニ=あなたですねわかります」サクサク ニヘラ
上条「さすがに本物よりも柔らかいと信じたい上条さんです…」ナデナデ
一方通行「いつまで触ってンだコラ。ぶっ殺されたいンですかァ?」ビキビキ
上条「じゃあ一方通行も俺の頭触っていいぞ?」ナデナデ
一方通行「はァ?寝言は寝て言え」
10032号「触ってみるといいではないですか一方通行。とミサカはこのレアな手
触りを堪能することを勧めます。だってサクサクするのですよ髪の毛
なのに。髪の毛なのにサクサクするのですよ?」サクサク
一方通行「…………」(サクサク…?)
10032号「サクサクする。すごいサクサクする」サクサク
上条「そんなうまい棒みたいな」
一方通行「……………」ウズッ
10032号「あーなんか掌が痛痒いかんじになってきました。とミサカはサクサク
が止まらないことをこれみよがしに伝えつつ、ベンチに座ったままの
一方通行の顔の前にあなたの頭を押し下げます」グイグイサクサク
上条「お?おお」ヒョイ
一方通行「……………」ソーッ
一方通行「……」サクッ
一方通行「……ふ、ホントに針金みてェ」クス
上条(!!!!笑った!!)
10032号(!!!笑いました!!!とミサカは)
10032号「チクショウ!撮り逃した!!!」
一方通行「」ビクッ
上条「え?な、何を?」ビクッ
10032号「いえ何でもありません。とミサカは一方通行の超レア顔をバックアップ
し損ねてこれは痛恨のミス…と思っていることを押し隠します」
一方通行「ハイ全然隠せてねェ。いちいち人の顔撮って後でからかうのやめろ
オマエら…」ピキピキ
上条「あー、でも写真に撮りたいのもわかるかもな。いつもさっきみたいな顔で笑
ってればかわいいのに」
一方通行「」
一方通行「……気ッ持ち悪ィこと言ってンじゃねェよォ…」ブルッ
10032号「かわいいですと?いや、確かに あれ?かわいかったかもしれません。
とミサカは…いや、このミサカの笑顔も負けていませんよ!」ニヘッ
上条「プッ、ああそうだな。お前の笑顔もいいかんじだぜ?」ニコッ
10032号(あなたの笑顔には全然かないません。とミサカは今度こそしっかり笑顔
をバックアップします。他のミサカ達にも良い土産が出来ました)ウフフ
上条「あ、レア顔と言えばさー…打ち止めからこんなメール来たんだけど」パカッ
--------------------------------
件名:今日のあの人 vol.12
差出人:last Order
日時:20**/12/** 14:20
---------------------------
本文:
こんにちは!
早速だけど『今日のあの人』は
スーパーレアレア写真だよ!
でもあれはミサカ達のための
泣き顔だから、あなたも見たい
んだったら自力で見てね!
でもあの人を悲しませたら
許さないんだからって
この写真と同じように悲し涙以外
を要求してみたり
明日はお昼寝中的一方通行を
お送りします
とミサカはミサカは最近『世界の
車窓から』ていうレトロ番組に
ハマってることを伝えてみる
添付:
accela-ultra-rare02.jpg
--------------------------------
上条「写真、モザイク掛かってるんだよなぁ…………」
一方通行「」
10032号「ほほう、『今日のあの人』ですか。ミサカ達の間でも似たようなものが
流行っていますよ。とモザイクてww上位個体意味わかんねぇwww
とあなたの携帯画面を覗き込みます」
上条「悲し涙以外ってことは、何か嬉しいことでもあったんだよな」
10032号「どうせなにか一人で考え込んで幼女に慰められたに違いありません。
とミサカは自虐癖のある一方通行の性格を指摘します」
一方通行「お、おま………」ブルブル
上条「ていうか泣いたのか?一方通行」ジッ
10032号「泣いたのですか?一方通行」ジッ
一方通行「…………っ」カァッ
上条(お?照れてるのか?)ジッ
10032号(照れとるwwwとミサカは耳まで赤い一方通行のレア顔をガン見します)ジッ
一方通行「っせェなァ…関係ねーだろ」スクッ カツカツ
上条「あ、待てよ。買い物付き合ってくれってば。もう特売始まるし」ガシッ
一方通行「離せこの三下がァ!」ブンブン
そうにありません。と客観的に判断しながら、ミサカは何かを訴えか
けるようにあなたを見つめます」
上条「ん?」
一方通行(………ああ、なンだ。そういうことか)ピーン
一方通行「おい、俺の代わりにコイツが買い物付き合ってくれるってよ」ダカラハナセ
上条「え、本当か?御坂妹」
10032号「!一方通行……お前もしかしていいやつ?とミサカは感謝の眼差しを
向けます」
一方通行「悪いヤツに決まってるだろォ。じゃーな…ってだから離せっつゥの!」
上条「え?お前も来るし、御坂妹も来てくれるって話だろ?」
10032号「ええその通りです。とミサカも一方通行の手を握って引っ張ります。ライ
バルの施しは受けない。キリッ」キリッ
上条「ライバルって何の?」ズルズル
10032号「こちらの話です。とミサカは頬を赤らめながらあなたと一緒に一方通行
を引っ張ります。ふっ、軽いなーさすがモヤシ。杖いらねーだろ支えて
やるから」ズルズル
ハーナーセー!! イイカライイカラー アキラメノワルイモヤシデスネートミサカハ
PM 5:40 第十学区 大型スーパー 店内青果売り場
上条「いやー今日の特売も大勝利だったな!玉ネギって日持ちするし何でも使える
から助かるんだよなー」カートガラガラ
10032号「ほうほうあれが特売というものなのですね。軍用に調整されたこのミサカ
にもなかなか厳しい戦場であったとミサカは感想を伝えます」テクテク
一方通行「いい加減離してくれませンかねェ…すっげー見られてるンだけど」ハァ
アラアラ ウフフ
カワイイワネー サンニンデ オテテツナイテジャッテ
キョウダイカシラ?
クスクス ナカヨシネー
10032号「離したら逃げるでしょう?とミサカはお一人様一本80円の牛乳を三本ゲット
するために手を離さないことを宣言します。あなたのために」キリッ
上条「ありがとなー御坂妹…!」キラキラ
10032号「うおっ眩しっ…とミサカはあなたの眩しい笑顔を直視できません」
上条「正面から見といて何言ってるんだよ」ハハハ
10032号「細かいこたぁいいんだよ。とミサカはあの仕草をしながらこれは何ですか?
とあなたに質問します」
上条「ああ、これは鍋のスープだ。これに野菜とか肉とか入れて寄せ鍋とかにするん
だぜ。そろそろ鍋のおいしい季節だよなー」
10032号「鍋…ですか?このミサカはその寄せ鍋とやらに興味を持ちました。聞いて
ますか一方通行?鍋だそうですよ?とミサカは左手を引っ張ります」クイクイ
一方通行「ハイハイ聞いてますゥー………」グッタリ
一方通行(…嬉しそうな顔してやがるなァ、こいつ……)
上条「…嬉しそうな顔してるな、一方通行」
一方通行「…っ!?」
上条「お前と…御坂妹がそんな顔して一緒にいるなんて、上条さんも嬉しいですよ」ニコ
一方通行「…………」フイ
一方通行(…何でコイツは…他人のことなンかでこンな顔出来るんだ………)
10032号「それがこの人がこの人である所以なのです。とミサカは一方通行の手を
強く握り締めます」ギュッ
一方通行「勝手に人の思考読むンじゃねェよ………くそったれ」チッ
PM 5:56 ミサカネットワーク内
1.【超速報】上条が一方通行の胸を鷲掴みにした件(1)NEW
2.【末っ子支援】日々をポジティブに過ごすスレ2【頭痛阻止】(183)
3.【協力求む】あの人とヒーローさんをいいかんじにさせたいんだが16(875)
4.今日の上条202(851)
・
・
・
・
1 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします ID:Misaka10032
,. -‐'''''""¨¨¨ヽ
(.___,,,... -ァァフ| あ…ありのまま 今 起こった事を話すぜ!
|i i| }! }} //|
|l、{ j} /,,ィ//| 『積み上がってた缶詰が一方通行の頭に崩れ
i|:!ヾ、_ノ/ u {:}//ヘ 落ちてきて、上条が「危ねぇ!」とか言って
|リ u' } ,ノ _,!V,ハ | 一方通行を庇って引っ張った
/´fト、_{ル{,ィ'eラ , タ人 と思ったら、上条が一方通行に覆いかぶさって
/' ヾ|宀| {´,)⌒`/ |<ヽトiゝ 胸にダイブしていた』
,゙ / )ヽ iLレ u' | | ヾlトハ〉
|/_/ ハ !ニ⊇ '/:} V:::::ヽ な… 何を言ってるのか わからねーと思うが
// 二二二7'T'' /u' __ /:::::::/`ヽ おれも何がどうなったのかわからなかった
/'´r -―一ァ‐゙T´ '"´ /::::/-‐ \
/ // 广¨´ /' /:::::/´ ̄`ヽ ⌒ヽ 頭がどうにかなりそうだった…
ノ ' / ノ:::::`ー-、___/:::::// ヽ }
_/`丶 /:::::::::::::::::::::::::: ̄`ー-{:::... イ 超スピードだとか催眠術だとか
そんなチャチなもんじゃあ 断じてねえ
もっと恐ろしいものの片鱗を味わったぜ…
2 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします ID:Misaka10228
上wwww条wwwwwwwwwwwwwwwwww
3 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします ID:Misaka18193
さすがのラッキースケベwwwwwwwww
クソワロタ
5 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします ID:Misaka14827
おいセロリ俺と代われよwwwうらやまww
・
・
・
183 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします ID:Misaka20001
もーみんなこのスレに殺到しすぎ!
鯖落ちしちゃうよ!!
って諌めつつもミサカはミサカは証拠写真の提出を求めてみたり!
+ +
∧_∧ +
(0゜・∀・) ワクワクテカテカ
(0゜∪ ∪ +
と__)__) +
184 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします ID:Misaka10032
ほらよ つhttp://www.misaloda/moyashi-5.jpg
185 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします ID:Misaka10812
思いっきり押し倒とるwwwww>>184
キィイイイイイ!!!俺の一方通行さんに何すんだ!!!
187 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします ID:Misaka20000
俺こういうの夢で見たことある
こんなかんじの 顔を顔に埋めつつ片手で掴むかんじの
ハァハァ上条うらやましす
188 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします ID:Misaka10385
これはモロwww>>184
つか、上条が一方通行を引っ張ったんだろ?
一方通行が上条の上に被さるんならともかく、
何で逆になってんだよwww
189 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします ID:Misaka10032
わけがわからないよ/人◕ ‿‿ ◕人\ >>188
190 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします ID:Misaka12847
これはブチギレだろwwww
一方通行の黒翼クル━━━━(゚∀゚)━━━━ !?
191 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします ID:Misaka10032
いやーそれがなぁ
>>184 の写真の三十秒後なんだが
http://www.misaloda/moyashi-6.jpg
何も変わってねぇwww>>191と>>184
間違い探しかよww
193 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします ID:Misaka20001
ペロッ…>>191 これは…ッ!
『何で手前に引っ張られたのにこの体勢になるンだ?
どんな演算式でシミュレートしても絶対にこうはならないンだが…
さすがヒーロー』
とか考えてむしろ感心している顔…っ!
194 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします ID:Misaka18149
おいwwww
おいwwwwwww
195 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします ID:Misaka11948
ワロタwww>>193
この場面でマジボケかましてくる第一位さすが第一位
196 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします ID:Misaka13577
俺達が言うのもなんだが
そんな反応で大丈夫か 乙女として
大丈夫じゃない 大問題だ>>196
おい>>1 見てないで何とかしろよ
スーパーの人にも迷惑だろ
198 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします ID:Misaka11948
あ、それもそうだな>>197
ホントに世話が焼けるなーこの白モヤシは
上条はフラグ建築士だから仕方ない
・
・
・
PM 5:58 第十学区 大型スーパー 保存食品売り場
ザワザワ
ナーニ?ドウシタノ?
スゴイオトシタワネー
オキャクサマー オケガハアリマセンカ!
ダイジョウブデス トミサカハ チラバッタカンヅメヲ イッショニカタヅケマス
一方通行「…………………」
上条「…………………」
一方通行(あー、驚いて硬直してンのか?多分こいつ俺のこと男だと思ってたよなァ)
10032号「大丈夫ですか?とミサカは形式的な台詞を吐きつつ、いい加減あなたはモヤシの
胸から手と顔を離すべきではないでしょうか。と提案します」
上条「あっ…あ、ああ!ごめんな一方通行。怪我ないか?」ササッ
一方通行「………まァ、別にねェけど」
一方通行(…ん?普通だな。気付かなかったのか?)
上条「ほら、手」スッ
一方通行「いらねェよ…、っと」フラッ
上条「だから言ったろ、よっ」グイ
一方通行「ぅお…っ!?」
上条「あっ」ドサッ
10032号「…あなたはひょっとしてワザとやっているのですか?とミサカは強く腕を引かれ
過ぎて今度はあなたの胸に倒れ込んでしまった一方通行に軽く同情します」
上条「いやいやワザとじゃありませんよ!?ご、ごめんなー」
一方通行「別にィ」フイ
上条「あー…そうだ。あと、インデックス用の小麦粉大量に買わなきゃなんだった」
10032号「小麦粉…だと?まさかあのシスターはそれをそのまま…?」
上条「ブッ、そんなわけないだろ!水入れて練ってすいとん汁にしたり、ナンみたいなの
焼いたりするんだよ。安くて腹に溜まるからなー」
10032号「あなたは節約上手の主婦みたいですね。とミサカは褒めていいやら呆れていい
やらわかりません」
上条「俺ちょっと小麦粉取って来るから、このカート見ててくれるか?」
10032号「了解しました。とミサカは意気揚々と引き受けます」
上条「じゃ、後でなー」タッ
タッタッタッ
上条「…………」タッタッ
上条「…あ、あった。小麦粉」ピタッ
上条「とりあえず3kg入りでいいか…」
上条(小麦粉の袋って握るとムギュッてなって気持ちいいよな)
上条(いやでも気持ちいいと言えばさっきっ……)
上条「……………………………………」カァアアアアアアア
上条(や、や、柔らかった…!細っ、いい匂、軽っ…!!!)
上条(やべっ さっきは冷静さを保つのに精一杯だったけど、すっげーリアルに思い出し
てきた…!!し、心臓が…!)ドッドッドッ
上条「………あいつ、本当に女の子だったんだな…」ボソッ
上条(なんかホント、華奢っつーか、抱き締めたら折れそうな…アレ?俺何考えてんの?
やばいやばいコレなんかやばい俺の中の幻想がブチ殺されそう一方通行の感触
マジヤバイ どれぐらいヤバイかっつーとマジヤバイ)ドッドッドッ
上条(けど一方通行のヤツ、全っ然動揺してなかったなー)ドッドッドッ
上条(いや激怒されても俺の命がヤバイわけだが、普通もっとこう…怒ったりしてもいい
っつーかするべきだよな)ドッドッ…
上条(俺が言うのも何だけど)
上条「一方通行って危なっかしいっていうか…ほっとけないよなぁ…」
10032号「それにはこのミサカも同意しますが、どうにも聞き捨てなりませんね上条当麻」
上条「っ!?」ビックーン
10032号「ちょっと顔を貸してもらいましょうか?とミサカはどっちにイラついていいのか
わからずとりあえず顎をしゃくります」
PM 6:15 ミサカネットワーク内
1.【速報】おい上条は一方通行が女だって知ってたらしいぞ(1)NEW
2.【一級フラグ建築士】上条が一方通行の胸を鷲掴みにした件2(819)
3.【末っ子支援】日々をポジティブに過ごすスレ2【頭痛阻止】(205)
4.【協力求む】あの人とヒーローさんをいいかんじにさせたいんだが16(921)
・
・
・
・
【速報】おい上条は一方通行が女だって知ってたらしいぞ(184)
1 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします ID:Misaka10032
俺は確かに聞いたぜ!
上条「………あいつ、本当に女の子だったんだな…」ボソッ
これってさっき触る前から女だって知ってたってことだよな?
2 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします ID:Misaka12746
マジかよwww
3 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします ID:Misaka19090
ど う や っ て 知 っ た の
4 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします ID:Misaka15492
それ謎すぎだよな>>3
だって一方通行って見た目っつーか
言動とか格好とか仕草とか明らかに男じゃん?
一見男にしか見えないだろ
女だって言われたら、ああーそういやそうも見える くらいじゃん?
5 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします ID:Misaka17183
だよな…
上位個体が教えたのか?
6 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします ID:Misaka20001
ううん、ミサカは教えてないよって表明してみたり>>5
まだそんなに慌てる時間じゃない って思ってたんだよね
ってミサカもミサカもビックリなんだけど!
7 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします ID:Misaka20000
まさか………
見 た の ?
このミサカを差し置いて 見 た の ?
触 っ た の ?
ガ━━ΣΣ(゚Д゚;)━━ン!!!
ウワァァ━━━━━。゚(゚´Д`゚)゚。━━━━━ン!!!!
9 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします ID:Misaka10039
なん…だと……?>>7
い、いつの間に上条がセロリの毒牙に…っ
10 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします ID:MisakaXXXXX
えっ?
えっ?
11 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします ID:Misaka18000
俺達の上条がぁあああああああああ!!!!
12 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします ID:Misaka20001
みんな落ちけつ!鯖落ち…落ちそうで落ちない 大丈夫(゚ー゚)(。_。)ウンウン
直接見たり触ったりはしてないと思うなー
そんなことになってたらあの人があんなフツーでいられるわけないし
多分何もないところで転んだり、宙を見続けたり、急に窓から飛び出したり
するんじゃないかな?
ってミサカはミサカは乙女なあの人を想像してみたり
上位個体の乙女イメージってどんなんだよwwwww
ただの奇行だろそれwwww
14 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします ID:Misaka12889
>>13
ヒント:お姉様
15 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします ID:Misaka12211
>>14
oh……
16 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします ID:Misaka10032
つかさー
いつどこで知ったのか知らねーけど、知ってたんだったら上条の
あの反応ありえなくね
女子の胸長々触りまくって一言「ごめん」だよ?
それで済ますか普通?
あの白モヤシのことだから、男に触られたのなんか絶対初めてだぞ?
17 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします ID:Misaka10039
…………えっ?
お前、もしかしてセロリにじゃなくて上条に怒ってるのか?>>1
18 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします ID:Misaka10032
えっ?
19 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします ID:Misaka19090
俺も>>1は上条と超接近した一方通行に怒ってて
そんで上条は一方通行が女だってこと知ってたことがわかって
焦りと怒りでスレ立てたのかと思ってた
20 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします ID:Misaka10032
あっ
うん そうそう そんなかんじ>>19
それが言いたかった
21 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします ID:Misaka19090
なんだそうかー
でも俺は一方通行のこと結構心配だな
急に触られたらビックリするじゃん
22 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします ID:Misaka10032
だよな!?>>21
それにあいつホントッモヤシだから肉薄いし
痛かったんじゃね!?
ねーよホントッねーよ上条
23 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします ID:Misaka19090
えっ?
24 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします ID:Misaka10032
いやホントねーよあのモヤシは
早く上条から離れるべきだったよ
25 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします ID:Misaka10039
おいwwwwwww
26 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします ID:Misaka12958
ホントはどっちに怒ってんだよwww
27 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします ID:Misaka10032
モヤシに決まってますけど?
28 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします ID:Misaka19571
説得力ねぇwwww
そもそも>>1は買い物も一方通行連れて来ちゃうしなー
上条と二人っきりのが良かったんじゃね?
29 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします ID:Misaka10032
ライバルの施しは受けない(キリッ
30 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします ID:Misaka11320
単に一方通行と上条と一緒に三人で買い物
行ってみたかっただけじゃねーの?
31 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします ID:Misaka10032
そんなんじゃないもん
32 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします ID:Misaka11938
上条とスーパーいいよなー
一方通行もなんだかんだ面倒見いいし
楽しそう
33 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします ID:Misaka10032
別に楽しくなかったし
上条と二人っきりのがよかったし
34 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします ID:Misaka17600
どう見ても楽しそうな件
http://www.misaloda/snake-10938.jpg
35 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします ID:Misaka18199
>>34
手www繋いどるwww
36 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします ID:Misaka13104
>>34
仲いいなおいwww
37 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします ID:Misaka10111
>>34
どう見ても「お兄ちゃんこれ買ってー」の図
38 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします ID:Misaka10032
ちげーし
鍋のスープとやらのことを生活能力皆無っぽいモヤシに
教えてやってただけだし
39 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします ID:MisakaXXXXX
プッwwww
あなたこないだまであの人のこと避けてたくせに
ちょっとクレープ奢ってもらったりしたくらいで
随分簡単な女なんだね ぎゃはっ
40 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします ID:Misaka10032
何だとコラ
誰がお手軽女だ
41 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします ID:MisakaXXXXX
だってそうでしょ?
ミサカ達に比べたらあの人と一緒にいた時間なんて
ほんのちょっとじゃない
42 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします ID:Misaka20001
そんなの関係ないよってミサカはミサカは上から目線な番外個体を
諌めてみたり
あの人と10032号はお互いをずっと気にしてたんだから
一緒にいられて嬉しいのは当たり前だよ
43 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします ID:Misaka10032
別に嬉しくないし!
……けど、一方通行もホントに俺のこと気にしてた?>>42
44 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします ID:Misaka20001
ずっとしてたよってミサカはミサカは力強く頷いてみたり
だからこないだ10032号と話せて嬉しそうだったよ
45 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします ID:Misaka10032
ふーーーん
あっそー
46 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします ID:MisakaXXXXX
ずいぶん嬉しそうだねwwwwお手軽女さんwww
47 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします ID:Misaka10032
上等だこの末っ子がァアアアアアアア!!!
48 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします ID:MisakaXXXXX
年上ぶってンじゃねェよこの貧乳がァアアアアアア!!!!
49 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします ID:Misaka14889
まぁ落ち着けよ>>47-48
>>1はどうしたいんだ?
上条に一方通行が女だって知ってたのにどういうつもりか
聞きたいとかじゃないのか
50 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします ID:Misaka10032
あっそうだった
聞いてみるわ>>49
51 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします ID:Misaka10032
52 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします ID:Misaka14100
おいどうしたwww>>51
53 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします ID:Misaka10032
http://www.misatube.com/watch?v=KaMijo
こういう時どういう顔をすればいいかわからないんだ…
54 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします ID:Misaka12332
なんという流れるような土下座wwww>>53
55 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします ID:Misaka17003
滑らかすぎだろwwwww
56 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします ID:Misaka11002
上条wwwwww土下座慣れしとるwww
57 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします ID:Misaka19090
どういうことなの………
58 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします ID:Misaka10032
!!!!!!
上条に惚れなおした
59 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします ID:Misaka18120
何でだよwwww
60 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします ID:Misaka10032
上条「俺も、もっとちゃんと謝ろうと思ったんだ。
けどさ、事情はわかんないけど、一方通行って女だってこと
隠してるんだろ?
だったら、俺が知ってるってわかったらショックじゃないか。
だから、知らないフリした方がいいって思って…。
あいつが女だってこと隠さなくなったら、その時に全力で
謝るよ」キリッ
61 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします ID:Misaka18173
さすが上条!!!
62 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします ID:Misaka13103
さすが上条!!!!!!!
63 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします ID:Misaka11990
それでこそ上条!!!!!!!
63 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします ID:Misaka19090
やっぱ上条っていいやつだなー
・
・
・
・
PM 6:25 大型スーパー レジ前
一方通行「……………戻って来ねェ……」ポツーン
一方通行(10032号も行っちまうし…もォ先に帰るか……?)
「あー!あなた見つけたー!ってミサカはミサカはあなたにドーン!!」
一方通行「ぐっふァ…!だからタックルはやめろっつってンだろクソガキィ!」
打ち止め「あなたに会えた喜びを全身で表現するにはこれしかないの!ってミサカはミサカ
はあなたの腰にしがみついてみたり!」
一方通行「ったく……。オマエ一人で来たのかァ?あンまうろうろすンなって言ってンだろ」
打ち止め「大丈夫!ここにあなたがいるってわかってたんだから!ってミサカはミサカはネッ
トワークであなた達がここに居ることって知ってたことを教えてみたり」
一方通行「ここに来るまでは一人だろォが」
打ち止め「もー…あなたはちょっと過保護なんじゃないかな?ってミサカはミサカは肩を竦め
てみる」フゥー
一方通行「……すぐ攫われるからなァオマエは」
打ち止め「じゃああなたがずっと手を握ってくれてたらいいよ!ってミサカはミサカはあなたの
手を握ってみたり!」ギュッ
一方通行「……………」ギュッ
打ち止め「…あなたは最近、ミサカの手を握り返してくれるのね」
一方通行「…………何か文句でもあンのかよ」
打ち止め「とっても嬉しいよ。ってミサカはミサカは笑顔であなたを見上げてみたり」ニコッ
PM 6:32 大型スーパー お菓子売り場
打ち止め「ねーねーこれも買ってー!ってミサカはミサカはチョコボールを持ってあなたの
手を引っ張ってみたり」クイクイ
一方通行「お菓子は三個までって言ってンだろォ?」
打ち止め「えー、でもあと一枚で銀のエンゼルが五枚になるのよ」
一方通行「銀のエンゼルねェ………」
打ち止め「どうしてそんなに嫌そうな顔するの?ってミサカはミサカは首を傾げてみる」
一方通行「嫌なヤツ思いだした」
打ち止め「???」
ワカリマシタノデ イイカゲンタッテクダサイ トミサカハ アナタニウナガシマス
ア ウン …オット
ダイジョウブデスカ トミサカハ ヨロケタアナタニ テヲサシダシマス
一方通行「ン…?何だアイツら、こンなとこにいたのか」
打ち止め「10032号とヒーローさんの声だね!ってミサカはミサカはあなたと一緒に隣の
製粉売り場に移動してみたり!」テクテク
上条「あ」
10032号「おや上位個体。あなたも来ていたのですか。とミサカは目を瞬かせます」
打ち止め「ど、どうしてヒーローさんは10032号の胸を触ってるの!?ってミサカはミサカ
は衝撃の展開に驚愕してみる!!!」
一方通行「」
上条「ごごごごごめん!!!」バッ
10032号「ああ、これはこの人が立ち上がろうとして、足が痺れたららしくよろけ……」
一方通行「オマエ何やってンですかァ…?」カチッ
上条「ちょっ、一方通行さん!?どうしてフォークを五本も構えてるんでせう!?」ダラダラ
打ち止め「あっそれはヨミカワからおつかい頼まれててさっきカゴに入れてたの。って
ミサカはミサカは教えてみたり」
上条「いや違うんですよ!?誤解です!決してわざと触ったわけじゃ……!」ダラダラダラ
一方通行「黙れこの痴漢野郎がァ!!」シュカカカカカ
ウワーーフコウダーー
10032号「どうしてこんなに怒っているのでしょうかこのモヤシは…。とミサカはフォークで
床に貼り付けにされたあなたを見下ろします」●REC
上条「見てないで助けて!」
打ち止め「自分の時は怒らなかったのにね!ってミサカはミサカはフォークを抜いてあげ
ながら笑ってみたり」
上条「ありがとな打ち止め…!!」ウルウル
一方通行「もっと反省させとけよクソガキ」チッ
打ち止め「まぁまぁ。わざとじゃないことくらいあなただってわかってるでしょ?ってミサカは
ミサカはヒーローさんをフォローしてみる」
一方通行「わざとじゃなきゃ何でも許されるってのかよ」チッ チッ
10032号「あなたはどうしてそんなに怒っているのですか?とミサカは舌打ちしすぎな一方
通行を見上げます」
一方通行「はァ?そンなモン当たり前だろォが」
10032号「自分の時は怒らなかったじゃないですか」
一方通行「俺はいいンだよ。でもオマエは良くねェだろ」
10032号「どうしてですか?とミサカはこのミサカも特に気にしてないことを伝えます」
一方通行「気にしろよォ!女だろ!?」
10032号(その言葉そっくりそのままあなたにお返しします。とミサカは溜息をつきます)
打ち止め「この人が怒った理由なんて簡単でしょ?ってミサカはミサカは10032号を見上
げてみたり」
一方通行「うっせェなァ…どうでもいいだろそンなこと」
10032号(……一方通行が怒った理由?とミサカはやたら嬉しそうな上位個体を見下ろし
ながら、少し俯いて考えてみます)
10032号「このミサカを心配したからでしょうか。とミサカは一方通行を見つめます」
一方通行「…………………」チッ
10032号(図星…?とミサカはそっぽを向いたモヤシを見つめ続けます)
10032号(何でしょうこの気持ちは。とミサカは形容しがたい…何か…温かいような気が
するものを疑問に思います)
一方通行「何にやけてンだ」ベシッ
10032号「あたっ。とミサカはゴーグルの上からチョップされた頭を押さえます」ニヘ
10032号「」ハッ
番外個体『ずいぶん嬉しそうだねwwwwお手軽女さんwww』
10032号「………っ」イラァ
10032号「余計なお世話はやめてください。とミサカは苛立ちを込めて一方通行を睨み
つけます」
一方通行「!」
10032号「このミサカが誰と何をしようがお前なんかには口出し無用だっつーの!とミサ
カは兄貴面する白モヤシに言い放ちます!」
一方通行「………」
10032号「…………」ハァハァ
一方通行「……………わかった」
10032号「あっ…」
10032号(19090号が見たのはこの顔だったのでしょうか…。とミサカはゆっくり頷いた
一方通行に、胸が…痛…)ズキン
上条・打ち止め『こらーー!』
10032号「」ビクッ
上条「そんな言い方ないだろ御坂妹!一方通行のことだから本気にしたぞ!?」
打ち止め「その通りだよ!ってミサカはミサカは良く理解してるヒーローさんに力強く
同意する!!」
上条「普通ならただの照れ隠しだってわかるけどな、一方通行は友達少ないんだぞ!
そんなコミュニケーション能力絶対ないに決まってる!」
一方通行「おい」
打ち止め「まったくその通り!ってミサカはミサカは昔の苦労話を思い出してみたり!」
一方通行「おい」
打ち止め「ちょっと前にこの人が全然会ってくれなくなった時があってね、ってミサカは
ミサカは説明を始めたり」
打ち止め「何回『今度の日曜は会ってくれるでしょ?』って約束してもぜーーんぜん会って
くれないから、ミサカすごい悲しくなって腹が立って」
打ち止め「『もう嫌いになっちゃうんだから!』って拗ねて言ったみたら……」ハァ
打ち止め「この人ったら電話に出てくれなくなっちゃって、すごく焦ったのよ。ってミサカは
ミサカは本当に冗談の通じないこの人に溜息をついてみたり」
上条「大変だったんだな、打ち止め…」ポン
一方通行「おい」
打ち止め「それでも電源切ったり着信拒否したりしなかったこの人はとってもかわいい!
ってミサカはミサカは思い出し笑い」クスクス
上条「プッ、それで結局その時はどうしたんだ?」
打ち止め「30分くらいコールし続けたらやっと出てくれたの!ってミサカはミサカは回想
してみる。『何か用かよ…』って出てくれた声、びっくりするほど萎れてて、いくら
怒ってたとはいえミサカ大人げなかったー、って反省してみたりしたのだ」
一方通行「おいィ!いい加減にしろクソガキがァ!!」ペシッ
打ち止め「あいたっ!ってミサカはミサカは本当のことを言っただけなのにー」
10032号「」ブルブル
打ち止め「その後は百回くらい大好きって会話に混ぜながら話しました。とミサカはミサカ
はフォローが大変だったことも明かしてみたり」フゥー
10032号「ぶふぉっ!とミサカは堪えきれずに吹き出します…っ」
一方通行「お、オマエ…っ」
10032号「打たれ弱すぎだろ第一位…!とミサカは笑いが止まりません」ウヒャヒャヒャ
上条「打ち止めも大変だなぁ……」
打ち止め「それほどでもない」キリッ
10032号「心根までモヤシの一方通行のために、ここは大人なミサカが折れてあげます。
悪かったなさっきのは冗談だ。わかるか?イッツミサカジョーク。とミサカは軽
やかに肩を竦めます」HAHAHA
一方通行「調子ン乗ってんじゃねェぞこのクソガキィ!」
モウクレープオゴッテヤンネー!
ソンナセッショウナー トミサカハ
ワーワー
打ち止めは、高層ビルの屋上で、一方通行の膝の上に抱かれていた。
日はすっかり沈み、青白い光をぶちまけたような夜景が眼下に輝いている。
風が強く吹いて、髪を掻き乱す。
他に誰もいないこの高い高い空間は、一方通行の心のようだといつも打ち止めは思う。
一人だけの、誰の手も届かない、文字通りの『無敵』である場所。
自分だけは連れて来てくれることがどれほど嬉しいか、この人はきっと理解していない
だろう。
「寒くねェか」
「大丈夫!きれいだからもうちょっと見てたいなーってミサカはミサカはもう少し二人で
いたいってことを隠してねだってみたり」
「隠す気ねェだろオマエ……」
呆れたように呟くけれど、後ろから腹を抱くように回された腕が外れることはない。
一方通行は、白いファー付きのジャケットの前を開けて、胸の中に包み込んでくれる。
「ありがとう、すごくあったかい!ってミサカはミサカははしゃいでみたり」!
「暴れンなって…」
細くて筋肉の薄いこの人は、いつも打ち止めより体温が低い。でもどうしてか、こうして
触れ合っていればひどく温かいのだった。
それが自分の気持ちから来ている印象だとわかっていても、人という生き物の不可解
な作りを思う。自分が、クローンという人から少し外れた存在だからこそ。
「………オマエ、何か妙なこと考えてるだろ」
不意に低い声が落ちて、打ち止めは振り向いた。
一方通行はいつもの仏頂面でこちらを見下ろしている。白い肌と髪が、学園都市の青
い光を映してとてもきれいだと思った。
「…何かって?ってミサカはミサカはとぼけてみたり」
「上条に俺のことをメールで送ったり、10032号を俺に会うように唆したり…。バレバレ
なンだよクソガキ」
別に隠すつもりもなかったので、打ち止めは小さく笑った。
「あなたの周りで、もっとたくさんの人が笑ってればいいなって」
「余計なことすンな。……俺には、そンなもン似合わねェよ」
「確かに、これまでのあなたらしくはないかもね。ってミサカはミサカは頷いてみる」
打ち止めは夜景に視線を戻して、背中を一方通行の胸元に押し付けた。頭の後ろで、
優しい鼓動の音がする。
「でも、人がいつまでもその人らしくあるってことは…孤独とも言うんじゃないかな」
「………いいンだよ、それで」
「良くないよ。でも、あなたが変わっても変わらなくても、ミサカだけはずっと一緒だよ
って宣言してみたり!」
「…………」
打ち止めを包む腕に、少しだけ力が入った。恐る恐る、いつも抵抗されることを恐れる
ような遠慮がちな仕草で、もどかしく思う。
「俺は……オマエだけでいい」
掠れた小さな小さな呟きは、すぐに風に攫われて消えた。
でも打ち止めの耳にはしっかり届いていて、一方通行の白い手に自分の手を重ねる。
「ミサカもだよ」
「………」
「あなたが望むなら、二人だけでどっかに逃げちゃおうか?ってミサカはミサカは笑って
みたり」
打ち止めは弾むような声で言って、少しだけ息を詰めた人をしてやったりと見上げた。
「嘘だよ」
「俺は………」
「あなたは一度握った手を離せるほど冷たくないし 弱くもないもの。ってミサカはミサ
カはみんなの顔を思い浮かべてみたり」
黄泉川や芳川や番外個体。10032号や他の妹達や、上条当麻。
一人だけで生きてきた一方通行がようやく手にしようとしている繋がりを、打ち止めは
一方通行自身にも大事にしてほしい。
だから、わずかでも打ち止めの言葉に抵抗を示した気配を、とてもとても嬉しく思う。
「……これのどこが強さだ」
「前とは違うことが出来るっていうのは強さだよ。ってミサカはミサカは微笑んでみる」
自分の声音とは裏腹に、一方通行は苦々しげだ。きっと苦虫を噛み潰したような顔を
していることだろう。
「強くなれば、あなたは前より自分のことを好きになれるでしょ?」
「………」
一方通行は答えない。
否定しようとして、だが打ち止めの気持ちを考えて沈黙してくれたのだとわかっている。
ずっと強さを求めて一人で生きてきた人。確かに自分の言う『強さ』は、この人が求めて
来たものとは違うかもしれない。
けれど、強くなった、以前とは違う自分の姿を、この人は好きになってくれると思う。
そしてもっともっと好きになれば、いつか、いつか、自分のことを許せるようになるでしょう?
それはずっと遠い日。遠い遠い日のことだろう。
この人はそんな日など来ないと思っているかもしれない。
けれど打ち止めは信じている。
あなたが信じていなくても、ミサカだけは決して疑わない。
PM 23:24 黄泉川家 リビング
打ち止め「………今日は…これにしよーっと!ってミサカはミサカはメルメルしてみたり」メルメル
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件名:今日のあの人 vol.16
差出人:last Order
日時:20**/12/** 23:20
---------------------------
本文:
こんばんは!
最近めっきり寒くなってきたけど
いかがお過ごしですか?
ってミサカはミサカは10032号から
聞いた鍋っていうの食べたいなー
と暗にアピールしてみたり!
『今日のあの人』は珍しく青空
バックにした爽やか一方通行だよ!
髪の毛が銀色に光ってすっごく
きれいなのだーってミサカはミサカは
見所をアピールしてみる!
そういえば、何か見たい写真ってある?
ってミサカはミサカはリクエスト受付中~
添付:
accela-14902.jpg
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打ち止め「よし。やはり相手のニーズを汲み取ってサービスするのも大事よねって
ミサカはミサカはわかったようなことを言ってみたりして送信~」ピッ
芳川「あら最終信号、まだ起きていたの?一方通行はもう寝ちゃったわよ」
打ち止め「もうちょっとー」
黄泉川「ったくあの子、昼寝と夕寝の境目が曖昧じゃん……」
芳川「夕飯食ってるから境目ハッキリしてンだろ」キリッ
黄泉川「ブッ そっくりじゃん!!」ギャハハハ
打ち止め「うーん、今日はメールのお返事読んでから寝るのってミサカはミサカはアクビを
我慢してみたり」ファー
芳川「そう?あまり夜更かししないようにね。そのままソファで寝たりしちゃダメよ?明日あ
の子に怒られちゃうから、私が」クスクス
黄泉川「あんなに気にするなら毎日一緒に寝てあげればいいんじゃん…。じゃあおやすみ、
打ち止め」
芳川「おやすみなさい、最終信号」
打ち止め「おやすみなさーい!ってミサカはミサカは元気良く挨拶してみたり!」
打ち止め携帯<ラストオーダー?メールキテンゾ-
打ち止め「あっ返事来た。相変わらず返信早いなって、ミサカはミサカは感心するのだ」
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件名:Re:今日のあの人 vol.16
差出人:ヒーローさん
日時:20**/12/** 23:28
---------------------------
本文:
おー、確かにきれいな髪だなー。
こないだ触ったらサラサラだったし
どうしても髪がツンツンする上条さん
からしたら羨ましい限りですよ…
あ、今度鍋やってみるか?
打ち止めと一方通行の都合のいい日
教えてくれよ
御坂妹もやりたがってたかな?
リクエストなー
普通にピースとかしてるやつ、見て
みたいかも?
打ち止めの写真って全部隠し撮りっぽい
からな(笑)
--------------------------------
打ち止め「ピース…だと?無茶振りキタコレ…ってミサカはミサカはポカーンとしてみたり…」
打ち止め「あの人のピースなんて、誰かに目潰しでもしようとした瞬間を捕えるしかない気が
するけど」ウーンウーン
番外個体「何唸ってんの?最終信号」ヒョイ
打ち止め「あっ番外個体!ミサカのケータイ返してー返してー」ピョンピョン
番外個体(………………髪、触った?あの人の?)イラァ
番外個体「…………ねぇ、最終信号はさぁ」
打ち止め「ん?ってミサカはミサカは首を傾げてみたり」ケータイカエシテー
番外個体「何であの上条当麻ってヤツと一方通行をくっつけようとしてるの?」イヤ
打ち止め「それはー、あの人がヒーローさんのこと好きだからって…」ナンダト
番外個体「嘘だね」チッ
打ち止め「…………嘘じゃないよ?ってミサカはミサカは番外個体を見上げてみる」
番外個体「まぁ、確かに嫌っちゃいないだろうけど?好きなんてほど遠いでしょ。あなたが最初
に嘘つくから、皆一方通行が上条当麻のこと好きだって勘違いしちゃってるよ」
打ち止め「あの人がちょっとでも好意を持つなんて、滅多にないことだよ」
番外個体「だからってさぁ………」ブツブツ
打ち止め「番外個体は一方通行がヒーローさんと上手く行ったら嫌なの?ってミサカはミサカは
ストレートに聞いてみたり」
番外個体「べっつに!第一位が誰とくっつこうが離れようがこのミサカの知ったこっちゃないけど」
打ち止め「ないけど?」
番外個体「……………じゃん」ボソッ
打ち止め「ん?ってミサカはミサカは優しく番外個体を促してみたり。ねぇ、ここ座って?」ポン
番外個体「………………」ストン
打ち止め「どうして嫌?ってミサカはミサカはあなたの手を握ってみる」ギュッ
番外個体「…………だって」
打ち止め「…………」
番外個体「一方通行は………ミサカ達の一方通行じゃん」ボソリ
打ち止め「どうして?」
番外個体「だ、だって…ミサカ達も、このミサカも、あなたも、一方通行のために作られたんだよ?
そのミサカ達を差し置いて他のヤツとなんて、意味わかんないよ」
打ち止め「………気持ちはわかるけど、それは間違ってる。ってミサカはミサカは冷静に指摘して
みたり」
番外個体「……っ」
打ち止め「あの人はミサカ達のものでもなければ、誰のものでもない。ってミサカはミサカは番外
個体の手を強く握り締めてみる」ギュッ
番外個体「……………」キュ
打ち止め「ミサカはあの人が大好きだけど、あの人を縛りたいわけじゃない。あの人はあの人の
ものだし、…それに、ミサカ達だってミサカ達のものって」
打ち止め「…ミサカはミサカは自分に……言い聞かせるように…っ、うぐっ」
番外個体「え、え?最終信号?」
打ち止め「う、うぇっ…!」ポロッ
番外個体「」
打ち止め「ひっく…、やだよぉ………」ポロポロ
番外個体「自分で言っといて自分で泣いてるー!?」ガビーン
打ち止め「一方通行はミサカのだもん…!うぇええ……」ボロボロボロ
番外個体「さっきと言ってること違うよ!?」ガビーン
打ち止め「ふぇえええん……!あくせられーたぁーー…!」トテテテテ
番外個体「ちょっ!ズルイんだけど…!」タタタ
ドアノブがカチャリと音を立ててようやく、一方通行は目を覚ました。
小さな足音が近づいて来る。誰のものかなど、考えるまでもない。
不思議なものだと思う。この少女や、黄泉川、芳川、番外個体。彼女達だけは、ごく近くまで近づ
かれても目を覚まさない。
まぁ、睡眠中の無意識下でも、能力であらゆるものを反射出来た自分のことだ。生体電流を感知
して個体を判別し、害のない存在だと認識出来ているのだろう。
「………何泣いてンだ、クソガキ」
本当はもっと感傷的な理由だとわかっていて、小さく溜息をつく。
「ふぇ…っ、う、っく…っ」
そうでなければ、丸い頬を流れる雫に、こんな風に胸の奥が引き絞られるわけがない。
「あ、あなたはミサカのものでしょ…?ってミサカはミサカは泣きついてみる…!」
ふぇええん、と胸元にしがみついて来た温もりを、一方通行は注意深く抱き寄せた。
「何の話だよ……」
「ミサカはあなたとヒーローさんを応援してるけど、みさかのこと忘れちゃやだって…っ!ミサカ
はみしゃかはぁ……!」
「はァ…?」
意味がわからない。
怖い夢を見た子供か何かのような打ち止めに首を傾げながら、その背をゆっくりと撫でる。
密かに電極のスイッチを入れて周囲を探ってみるが、とりあえず不穏な気配はない。一方通行
はひっそり安堵の溜息をついた。
「そうじゃないの!ってミサカはミサカは見当外れなあなたにキィイイイ!!!」
「うぉ…!?」
即座に見破られたことと、今まで泣いていたのが急に怒り出したことと、それらにギョッとして
顔を上げた打ち止めを見る。
「…じゃあ、何だ?」
何泣いてやがる、と。
一方通行は赤くなってしまった痛々しい頬を拭った。温かい水だ。冷たい手には、痛いほどの。
「み、ミサカは…あなたに大事な人が増えるのは嬉しいの。ってミサカはミサカは、今まで言った
ことが嘘じゃないって主張してみる」
「…ああ、知ってる」
実のところ、打ち止めがどうして嬉しいのか、よくわからないのだが。
それでも、自分のことを必死で、こんな風に泣いてしまうほど必死で考えてくれていることは理解
している。
いつも辛い目にばかり合わされてきた少女。もっと自分のことだけ考えていればいいと、一方通
行は思う。
「で、でも…っ、他に好きな人が出来ても、み、ミサカのこと…忘れないでって…っ」
ぐす、と打ち止めに鼻をすすり上げられて、自然と眉間に皺が寄った。
(………何でそォいうことになるンだ?)
内心で真剣に悩む。そもそも、あんな無能力者を自分が好きなどと、この子供が言い張っている
だけのことであって。
『ねぇねぇ、こないだヨミカワがね、「あの子もようやく泣けるようになった」ってすごく喜んでたの!
どういうことかな?ってミサカはミサカは首を傾げてみたり』
ふと、先日の打ち止めの言葉が胸の奥に返った。
あんな感傷的過ぎる液体が自分の目から分泌されたなど消し去りたい記憶だが、今考えれば、
黄泉川の言いたいこともわからないではない。
打ち止めは我慢強い少女だ。天真爛漫で、いつも元気で、何度命の危機に晒されても、怯えた顔
も、ましてや泣き顔など見せたこともなかった。
もちろん、見せないからと言ってそのような感情がないわけがないことくらいわかっている。
けれど、ずっと上手く隠されていれば、クズのような自分では、見逃してしまうから。
誰かの前で泣くということは、気持ちを伝えること。それが出来るのは、気を許しているからという
こと。
辛い気持ちを、悲しい気持ちを、わかってほしいと。
「………忘れるって…何バカなこと言ってンだ、オマエは」
一方通行は、打ち止めの大きな目から溢れる涙を、何度も拭った。
自分がこの小さな光をどう思っているかなど、言わなくてもとっくに伝わっていると考えていた。
(甘えだな)
言わなくてもわかるだろう、などと。いや、ある程度は伝わっていたからこそ、今の今まで溜め
込んでしまったのか。
生まれて数ヶ月の小さな女の子に頼りきりで、情けないことだ。学園都市第一位が聞いて呆れ
ると、一方通行は嘆息した。
「…打ち止め」
ピシッ、と額を指先で軽く弾けば、潤んだ栗色の目が瞬く。長い睫毛がパチパチと音を立てる
ようで、ひどく無邪気な仕草だと思った。
「この先何があったとしても…俺の一番は、ずっとオマエだ」
「………!!!!」
その瞬間、萎れた子犬のようだった表情が、見たこともないほど嬉しげに輝いた。
ぱぁああ、っと、真夜中に太陽でも登ったのかと思ったくらいに、打ち止めは満面の笑顔で、
「ミサカの一番も、ずっとずっとあなただよ!ってミサカはミサカは誇らしげに宣言するのだー!」
一方通行の首元に抱きついた。
「……で、オマエはいつまでそこに突っ立ってンだ」
打ち止めが首にしがみ付いたまま眠ってしまってから、一方通行は声を掛けた。
「番外個体」
「…………」
開けっ放しのドアに、番外個体が寄りかかったままこちらを睨んでいる。
先ほど目にした笑顔とは正反対の、こちらも見たことのないようなしかめっ面だ。
「また頭痛か?」
それ以外に理由が思い当たらず、しかし空気を読んで黙っているなどこいつらしくもないと内心
首を傾げる。
「……最近は、他の妹達が余計な気を使って、ポジティブ運動とかなんとか、バカみたいなこと
やってて。そう酷くもないよ」
「へェ。面倒見のいいことで」
じゃあ何だ、と思ったのが顔に出たのだろう。番外個体の眉間に、ぎゅうっと皺が寄る。
「頭痛しなきゃ…来るなっての?」
「別にそンなこと言ってねェだろ」
「ど…どうせあなたは最終信号さえいればいいんでしょ。このミサカは邪魔?」
「はァ?」
打ち止めといい番外個体といい、今日は一体何だ。
不可解さをそのまま声にすれば、普段からやぶ睨み気味の目がギリギリと釣りあがった。
「最終信号が一番だって、さっき言ってたじゃない…っ!」
火を吐くような叫び声。
「静かにしろよ。夜中だぜ?」
何をそんなに怒っているのか。呆れて嘆息して、しかしどうやら自分に原因があるらしいと
悟り、打ち止めを右脇に退ける。
「いいから、部屋に戻らねェならこっち来い」
ちょいちょいと手招きすれば、瞬きもせずに睨み付けたまま、しかし大人しく歩み寄って来る。
「……………………」
「何怒ってンだ」
「あなたはさぁ…どうしてこのミサカをロシアから連れ帰ったの?」
搾り出すような声に、一方通行は目を瞬いた。
学園都市に戻ってから大分経っていて、今更聞かれるとは思わなかったのだ。
しかし番外個体はその反応を違う意味で受け取ったらしく、唇を噛み締める。
「た…たいした理由なんか無い?なりゆき?何となく?べ、べつにミサカは……」
身体中を緊張させて、ひどく憎々しげな表情で。けれど一方通行には、どうしてか今の番外
個体の顔が、大泣きした打ち止めの顔と重なって見えた。
「『俺のせいだ』」
「…え……」
「オマエが言ったんだろ。そンなに性格が歪ンじまったのは、俺のせいだってな」
「そ…そうだけど……」
それがどうした、と言いたげな反応に、一方通行は深々と溜息をつく。
本当に、言わなければ伝わらないものだ。
「『俺のせい』なんだろ。だから俺が責任取って一生面倒見る」
「えっ…………」
「そういうことだ。わかったか、クソガキ」
「えっ…………………」
ぎしりと硬直した番外個体は、先ほどまでの殺気はどこへやら、もじもじと寝巻きの裾を
弄っている。
数分待ってみたがいつまでも突っ立って寝巻きの裾を弄り続けるので、部屋に戻るか
こっちに来るかと促せば、「そこまで言うなら仕方ないね!ってミサカはミサカは高らか
に宣言してみたり!」とかなんとか言いながら、結局ベッドに入ってきた。
AM 10:00 黄泉川家 リビング
打ち止め携帯<オレノイチバンハ、ズットオマエダ
一方通行「ハイやると思ったァ!」ズビシ
打ち止め「ひらり!とミサカはミサカは軽やかにあなたのチョップを避けてみたり!」
一方通行「なン…だと……」
打ち止め「きゃはー!今日のミサカは一味違うのー!ってミサカはミサカは愛によって
目覚めたスーパーミサカであることを明かすのだ…!」ゴゴゴゴ
一方通行「何こいつテンション高っけェ……」
打ち止め「ミサカの戦闘能力は53万ですゥー!ってミサカはミサカは遊んであなたー!」
一方通行「ぐッ…!タックルやめ、あァもォ、うっぜェなァ!」
芳川「ホホホ最終信号ったらはしゃいじゃって、よっぽど嬉しかったのねぇ。その台詞」
黄泉川「っていうか今まで言ったことなかったことに驚きじゃん…熟年離婚されるタイプ
じゃん一方通行は」ヤレヤレ
番外個体「…………」ニヤニヤ
芳川「あら番外個体。携帯電話からイヤホン繋いで、音楽でも聴いているの?」スポッ
番外携帯<ダカラセキニントッテ オレガイッショウメンドウミル
一方通行「オマエもかミサカワーストォオオオ!!!」バキーン
番外個体「あっ」
一方通行「だから嫌がらせもいい加減に……」
番外個体「み、ミサカの…ミサカ、バックアップ取ってなかったのにィイイイ!!」
芳川「どうして?珍しいこともあるものね」
番外個体「だってネットワークにバックアップしたら、他のヤツに聞かれるし…っ」
一方通行「何で他のヤツに聞かれたらダメなンだよ」
番外個体「……っ!うるさいうるさい!!ケータイどうしてくれんの!?バカァアア!」
黄泉川家は今日も平和です。
AM 9:35 大型スーパー 生鮮売り場
上条「…でさー、開会式も学園都市中ですっげーたくさん同時開催するくらいでさ。学園都市内
でも一、二を争う大イベントなんだぜ!大覇星祭!」
10032号「ほうほう。とミサカは熱弁を振るうあなたに相槌を打ちます。あなたの高校も参加した
のですか?」
上条「当たり前だろ!…まぁ、入賞とかは圏外だったけどな……」
上条(だいたいあの時はそれどころじゃなかったし…)
10032号「それは残念でしたね。とミサカは親身になって残念がりつつ優しい女をアピールです」
上条「ま、ウチの学校じゃなー」ハハハ
10032号「なるほど、学校全体の戦力が大切なわけなのですね。とミサカは理解しました。昨年
はどうだったのですか?」
上条「え?」ギクッ
10032号「あなたは確か現在高校一年生。昨年は中学生だったのでしょう?とミサカは学校が
違ったのであればまた結果も異なったのではないかと予想します」
上条「あ、あー…えーと、どうだったっけなぁー…」
上条(ややややっべー…中学の頃なんてわかんねぇよ!?どうやって誤魔化す!?大した話
じゃない、ここは強引にでも…っ)
10032号「どうだったのですか?」ジッ
10032号(ここはMNWの上条データベースに新情報が追加されるチャンス!とミサカは答えを
聞き漏らさないよう張り切ります)
上条「えー…うーん…、と、だなぁ…」ダラダラ
10032号「はい」ジッ
上条(えっ…何この突然のピンチ…!!)ダラダラ
一方通行「おいお前ら。いつまでどうでもいいことくっちゃべってやがる。買い物すンだろォが」
上条「あくせられーたん!!!!」キラキラ
(助かったぁああああ!!!)
10032号「」
一方通行「突然何言ってンだオマエはァああああ!?」ゾワワワワ
10032号「あくせられーたん…だと…?とミサカは早速MNWにスレを立てます」ザワ…ザワ…
上条「ああゴメン、ちょっと口が回らなかったんだよ一方通行」キリッ
上条(安堵のあまり口が滑ったぜ!)キリッ
一方通行「言い間違いならもっと控えめな音量にしろ。そして舌噛み切って窒息して死ね」
上条「すごい滑らかに罵倒された!?」ガビーン
一方通行「あーうっせェなァ。さっさと買い物済ませンぞ、ホラ」
10032号「おや、見ないと思ったら先に持って来てくれたのですか?とミサカは一方通行の押す
カートを覗き込みます。ふむふむ、あの人が書いてくれたメモに書いてあった材料が
ほぼ全て揃っていますね」
上条「マジで?悪いな一方通行」ドレドレ
一方通行「別にィ。早く迎えに行かないとクソガキがうっせーンだよ」
10032号「上位個体は今日は調整日でしたか?とミサカは調整スケジュールを思い出します」
一方通行「ああ。家出る時、着いて来たがって大変だったぜ……」ハァ
10032号「今日は土曜日!朝から一日色々鍋ですからね!買い物からワクワクですからね!
とミサカは歓喜のポーズを決めます」ハイッ
一方通行「なンだその万歳は」ククッ
10032号(あっちょっと笑った!とミサカはすかさず激写します。レアショットゲーット!とミサカは
一方通行のレア顔は盛り上がるからなぁと内心頷きます。別にこのミサカはこんな白
もやしのビミョーな笑顔などどうでもいいけどな)
一方通行「じゃあレジ行くぞォ」
上条「………………ダメだ」
一方通行「は?」
上条「ダメだダメだ、全ッ然ダメだな!ああ全然だ!!」クワッ
10032号「な、何がですか?とミサカは突如テンションが噴火したあなたをポカンと眺めます」
上条「まずはこの牛乳だ!確かに俺はインデックス用に牛乳をメモに書いた…。だがな一方
通行………何故、どうして一本2000円の高級ジャージー乳を取るんだよ!」
一方通行「牛乳なンてどれも一緒だろ」
上条「黙らッしゃい!!!」カッ
一方通行「」ビクッ
上条「いいか…インデックスはなぁ…味なんかどうでもいいんだよ!一本80円だろうが一本
2000円だろうが『おいしかったんだよーケプ』で済ますんだ!」
一方通行「いやインデックスって誰だよ」
上条「ウチの居候だ!(カッ)特徴は、とにかく食べる、ホント食べる、泣きたくなるほど食べる!」ウッ…
一方通行「泣くなよ」
上条「白菜だってな、一番安い一つ200円のやつで十分うまいんだよ!何だこの…………ッ、
1300円ってぇえええええ!舐めてんのかァ!?」
一方通行「いや………」エート
上条「いいか一方通行、よく聞けよ!鍋ってのはなぁ、安い食材を美味しく食べるための知恵
なんだよ!元から高いモン買ってどうすんだよ!!」
一方通行「別にこの程度、高くもねェだろ」
上条「こんの…ブルジョワさんがぁああ!!お金は大切にしなさい!!!」
一方通行「えェーー…?」
上条「それにこの肉…ッ今日は寄せ鍋だって言ってるだろ!?何でグラム1700円の高級地鶏
なんだよ!骨付きのやつは出汁にしちゃうから肉は味しなくなるんだぞ!?もったいない
だろうが!!」
一方通行「いいだろ、肉好きなンだよ」
上条「良くありませんッッ!!」カッ
一方通行「」ビクッ
上条「おいしいものをおいしく食べないなど、食べ物への冒涜だ!!食べ物を粗末にしちゃいけ
ませんって小さい頃習わなかったのかお前は!!」
一方通行「………………習ってねェな」ボソリ
上条「え………」
一方通行「そンなまともな大人が俺の周りにいたンなら、俺がこンな風になるワケねェだろ」
上条「………………」
一方通行「ま、いい年こいて自分の人格の責任を他人に押し付けるつもりはねェがな」フン
上条「…………………」
一方通行(……チッ、何でこンな話しちまったンだか)
上条「……わかった」
一方通行「あ?」
上条「俺に任せろ!お前に必ず…っ!」
10032号「なんでしょうか?とミサカは間に入れなかったことを悔しがりつつ尋ねます」
上条「偏食っぽいお前に、おいしいものをおいしいままで食べさせてやる…ッ!!!」ドーン
一方通行「……何の話だ?」(何故また偏食がバレてる)
10032号「そっちかよ、とミサカはホントに主婦みたいなあなたにツッコミます。お前はモヤシ
のお母さんか」
上条「あ、この地鶏だけな?他は安いのに代えて来るぞー」ダッ
10032号「財布の紐堅ェなーマジで。とミサカは若干呆れます。あなたと結婚したら苦労しますね。
とミサカはしかしその苦労を厭わないと猛アピールします」
一方通行「別に俺が出すっつってンのに…」ハァ
上条「だからぁー!今日はお前への礼も兼ねてるって言ってるだろーー!」タタタタ
一方通行「礼って何だァ……?」
上条「後でぇーー!話すーーーー!!」タタタタ
10032号「おい聞けやコラ」
待つのが面倒になった一方通行は、上条当麻を待つという10032号を残して、隣接する公園に
足を運んでいた。
「……やっぱコレだな」
自販機のボタンを押して取り出し口から缶コーヒーを手にし、早速プルタブを空ける。
カシュッ、という聞きなれた心地よい音と共に、ふわりと独特の香りが鼻先を掠めた。
年末も近づいた、とある冬の晴れた朝だ。
このところ急に冷え込んだせいで、昼にも間があるこの時間はまだまだ寒々しく、公園内に人
はまばらだった。
色あせた芝生の中、放し飼いにされた犬が駆けて行く。飼い主らしき若い女が、ゆったりと
その後を追っていた。
平和な眺めだ。やはり居心地は悪く、しかしだからと言って立ち去ろうとは思わなかった。
(慣れる…ねェ……)
少し前に、ツンツン頭の無能力者が笑って口にしていた、日常と非日常の渡り方。
あの時はとても同意しかねると感じたものだが、例えば今この瞬間、一月前の自分だったら、
さっさと立ち去っていただろう。
一月前の自分と今の自分で、何が違うのか。考えていると、次第に眉間に皺が寄ってくる。
ふと気が付けば、手の中のコーヒーが冷めかけていた。
軽く舌打ちして口をつけようとした、その時。
「あーー!あくせられーた、なんだよ!!」
能天気という言葉を音に変換したような声が響き渡り、一方通行は早くも溜息をついて顔を
上げた。
「……オマエか………」
真っ白の修道服をなびかせ、銀髪をふわりと揺らした小柄な少女。
「オマエじゃないよ?私の名前はIndex-Librorum-Prohibitorumって言うんだよ、あくせられーた」
「………………」
白い二人はしばし見詰め合った。
一人は、日常的な不機嫌面で。一人は、日常的な無邪気な笑顔で。
「…インデックス…?」
「うん!」
「偽名でございます、って名前だな」
「あくせられーたにだけは言われたくないかも」
むぅ、と眉毛が八の字になる。くるくると変わる表情に、打ち止めを思い出した。
「っつゥか何でオマエ俺の名前知ってンだ」
以前の、すれ違いのような邂逅の際には、教えた記憶などない。もっとも、予想はついていたが。
「とうまに聞いたんだよ!」
「とうま?」
「かみじょうとうま。最近仲良くしてるんでしょ?とうまに聞いて、私も会いたいなーって思ってたん
だよ!」
「別に仲良くねェ」
やっぱりか、と。胸中で呟いて、プルタブを空けたまま一口も飲んでいないコーヒーに視線を落と
す。ついさっき、上条当麻から聞いたばかりだ。
居候の名前が、『インデックス』で、非常に大喰らいだと。
初対面の時の遠慮会釈もない食べっぷりを思い出し、軽く涙ぐんでいたツンツン頭にさすがに
同情した。
やはり今日の鍋代は少し持ってやるべきだろう。自分だけじゃなく、打ち止めや10032号も世話に
なるのだし。
「……元気そうでよかった。心配してたんだよ。あの女の子は元気?大丈夫だった?」
インデックスが首を傾げると、さらりと銀髪が揺れる。大きな碧眼が心配そうに細められ、一方通
行はあの時の少女の表情を手元に返した。
『だってあなた困ってるんでしょ?とうまならこんな時絶対放っておかないんだよ!』
(とうまなら、か……)
言われた時には「誰だソイツは」とすら思わなかったが、今ならば嫌になるほど納得できる言葉だ。
一方通行はインデックスの顔を見る。直接話したこともない打ち止めのことを、本気で心配してい
る表情だった。
「…ああ。問題ない。元気だ」
「そっか…!よかった!!」
ぱっと、花が咲くように笑う。
そう答えることが出来るのは、本当に僥倖で。その理由の一端が、目の前の白い少女にあると
いうことを、改めて意識した。
『禁書目録』『Index-Librorum-Prohibitorum』
エイワスと、上条当麻が残した紙片に記された単語。
何を、誰を指していたのか、考えるまでもなく。
「あなたは、今は大丈夫なの?」
「大丈夫じゃないように見えるか」
「今は見えないけど、でも……」
「なンだよ」
「あなたはとうまみたいにすぐに一人で突っ込んで行っちゃいそうなタイプに見えるんだよ。どうせ
残された人たちにすっごく心配掛けてるに違いないかも!」
「…………………」
苦虫を噛み潰したような顔になった自覚はある。
それを図星と受け取ったのか、インデックスは言うことを聞かない子供を見るような、妙に慈愛に
満ちた微笑みを浮かべた。
「きっとすっごく、すっごく心配掛けてるから、反省するべきなんだよ」
「……余計なお世話だ、クソッタレ」
そして自分がついた悪態は、まさに不貞腐れた子供のようだ。
「あー…………」
違う、そうではないだろう。こんな、打ち止めとそう変わらなさそうな年齢の少女相手に悪態をつ
いている場合ではない。大人気ないにもほどがある。
「インデックス」
「ん?」
名を呼べば、白い少女はきょとんと首を傾げる。いちいち仕草が大振りで、やはり天真爛漫な
小さな光を思い出した。
その光が攫われて自分の命も消えかけた時、光が消えてしまいそうになった時、このいかにも
か弱そうな女の子が、助けてくれた。
そしてそれは、ロシアで最後の希望を守る縁となった。
言わなければなるまい。それが人としての「常識」というものだ。
「……あー……、その…オマエにも、世話ンなった」
一方通行は視線を右にやり左にやり、また右にやってようやく言葉を絞り出したのだが、
「??何のことかな?」
全く伝わらず、学園都市第一位は愕然とした。
「あ、そういえば、私をあのカエルのお医者さんのところに連れて行ってくれたのって、私のため
なんだよね?ってとうまが言ってたんだよ。ありがとね、あくせられーた!」
「ぅぐ……っ」
あまつさえ、楽々と先を越されてしまった。
にっこりと曇りの無い笑顔は無邪気で眩しく、一方通行が定義する「光の世界の住人」そのもの。
自分とは正反対の、苦手なタイプだ。
ただ、ここに打ち止めがいれば「あなたは直球に弱いのよね!ってミサカはミサカは好意に戸惑
うあなたに微笑んでみたり」と言われるだろうとか、番外個体なら「あひゃあはっ!苦手なんじゃ
なくって、こういうタイプに弱いんでしょ?」などと爆笑するだろうとか、そう思いだった。
「………別に、オマエのおかげで、あの時は…」
「??私は何もしてないんだよ?」
インデックスはいかにも不思議そうに首を傾げた。
「………………」
伝わらない。どうしよう。
学園都市最高の頭脳は、頭を抱えた。
考えてみれば、打ち止めも、芳川も、黄泉川も、10032号も、上条当麻も、むやみやたらと、異常
なほど察しがいい。
打ち止めに至っては自分でも明確に意識していなかった部分まで言い当てて来るし、芳川は内心
の葛藤を察して手段を提示するし、黄泉川は心の奥の迷いと覚悟を見透かして手を伸ばすし、
10032号は言葉に出さずとも意図を読み取るし、上条当麻は表情を動かすだけで心の内を言い当
てる。
(……本当に、俺は)
人と接するのがヘタクソだと、認めなければなるまい。また、周囲に甘やかされていることも。
つい先日の夜、一番初めに自分を見つけてくれた光が教えてくれるまで、そんなことにすら気づけ
なかった。
(言わなきゃ、わかンねェ……か)
インデックスの察しが悪いわけではない。人の真意を読むとか、裏を察するとか、そういう発想が
ないのだろう。
ただ素直に、言葉を受け止めているだけ。
「…インデックス」
一方通行は、小動物のようにジッとこちらを見つめる丸い碧眼を、見つめ返した。
ひとつ深呼吸をすれば、心臓がいつもよりも少し早く脈打っていることに気付いてしまう。
「…あの時、オマエが来てくれたから、死なずにここに居られる。……それに何より、オマエはあの
ガキを…助けてくれただろう」
情けないことに、声は少し震えていた。
「そんなのは当たり前のことだよ」
インデックスはごく自然に微笑むが、それで引き下がったら負けだ。何に負けるかというと、自分の
脆弱な精神にだ。
「………だから、つまり、俺が言いたいのは」
「…うん?」
「……………ァりがとう、って…ことだ」
「どういたしまして、なんだよ!」
にっこりと。
恐る恐る、情けない有様で差し出したそれは、小さな温かい手が拾って、返してくれた。
打ち止め「おおー!頑張ったねあなたー!ってミサカはミサカは茂みの影からゾロゾロ出て行き
ながら、あなたの精一杯の頑張りをものすごく評価してみたり!!」パチパチパチ
上条「本当だよなー。一方通行、よく頑張った」パチパチパチ
10032号「ツンギレ白モヤシの割りには頑張りましたね。とミサカは今のやり取りが全MNWで実況
中継されていたことを伝えます」パチパチプークスクス
一方通行「」
禁書目録「「とうまー、買い物終わったの?待ちきれなくて迎えに来ちゃったんだよー」
上条「はいはい。終わりましたよー。…ったく、おやつあっただろ?」
禁書目録「そんなのもう食べちゃったんだよ」フンス
上条「そんなことだろうと思いました……」ハァ
10032号「それなら早くあなたの家に行って鍋をやりましょう。とミサカは催促します。ハリーハリー」
打ち止め「わーい!楽しみー!ってミサカはミサカは固まったまんまのあなたの手を引っ張って
みたり!」
一方通行「」
一方通行「」バッ
一方通行「」ダッ
打ち止め「10032号!!ってミサカはミサカは可及的速やかに」
10032号「上位個体命令を受信wwww」ダッ ガシッ
一方通行「ぅぐ……っ」
打ち止め「一方通行を捕獲せよ!って言う前に捕獲しちゃったね!」GJ
一方通行「はーなーせェえええーーー!!」ジタバタ
10032号「おや一方通行耳が赤いですね、どうかしましたか?とミサカはわかっていながらもわざ
とらしく問いかけます」ククク
一方通行「…こンのクソガキ……っ」ジタバタ
10032号「それで力を入れてるつもりか?ん?とミサカは本当にお前はモヤシだなと呆れます」ハッ
上条「まぁそんな照れるなよ。行こうぜー」ガシッ スタスタ
ハナセェーーー!
アクセラレータッテ シャイダヨナー
ミサカハラストオーダーダヨ!ッテミサカハミサカハ ジコショーカイ!
ワタシハインデックスナンダヨ!ヨロシクナンダヨ!
AM 10:45 第七学区 学生寮 上条当麻の部屋
ガチャ
上条「まぁどうぞどうぞ。狭いとこだが、くつろいでくれよな」
禁書目録「ただいまなんだよー」
打ち止め「お邪魔しまーす!ってミサカはミサカは礼儀正しく挨拶してみたり!」
10032号「ほほう、これがあなたの部屋…。とミサカは興味津々です」
一方通行「ホントに狭苦しィな……」
上条「そういうとこばっか素直だなお前」
一方通行「うっせェよ。あー…ねみィ」フアー
打ち止め「あなたにしては早起きだったものね、ってミサカはミサカはあなたが今日は頑張って
早起きしたことを暴露してみたり!」
一方通行「オマエが腹の上にダイブして来るからだろォが!ったく……」ポスン
一方通行「俺ァ寝てるから、出来たら起こせ」スー…
上条「もう寝た!?のび太くんかお前は」ガビーン
10032号「ぐぬぬ…とミサカは、あなたのベッドで丸くなるモヤシを見て悔しがります…」
上条「なんだ、御坂妹も眠いのか?ま、俺のベッドっつっても普段はインデックスしか使ってない
けどなー」ハハハ
10032号「なん…だと…?あなたとこの白シスターは一緒に暮らしているということですか!?と
ミサカは目を丸くします。そういえば先ほどただいま、と…」ブルブル
上条「ああ、まぁな。ちょっと色々あって」
禁書目録「そんなことより早く作ってよとうまー。お腹空いて死んじゃうかも」
上条「わかったわかった、死ぬなインデックス」ハァ
10032号(話が逸れてしまいました…とミサカは結局どういうわけやねん!?と超気になります。
この二人、どう見ても恋人関係ではなさそうですが…)
一方通行「……」スー…スー…
打ち止め(ホントに寝ちゃったのかな?ってミサカはミサカはこの人の寝顔をジッと観察してみ
たり……)
上条「おー、なんつーか…素直な寝顔だな」マジマジ
打ち止め「この人は普段顔に力入れすぎなのよってミサカはミサカは溜息をついてみる」フゥ
上条「確かに、きれいな顔してるよな。黙ってれば」ハハッ
一方通行「何見てンだ三下。殺すぞ」ギロリ
上条「うぉっ!?ビックリした、起きてたのかよ!」
一方通行「うるさくて寝てらンねェよ。壁も薄いしな……」フア…
キョウハオオソウジスルンダゾー ドタンバタン
キュウニドウシタンダニャー!?
上条「あー普段はここまででもないんだけど…。っとヤベ、買ったモン冷蔵庫入れなきゃな」ゴソゴソ
打ち止め(…やっぱり熟睡はしていなかったのね、ってミサカはミサカは残念に思ってみたり。
この人はいつになったら安心して眠れるのかな…?)
禁書目録「ねぇねぇ、らすとおーだーが持ってきてくれたゲーム、やってみたいかも!」
打ち止め「!うん!ってミサカはミサカは大きく頷いてみたり!シスターさんにならミサカ勝てる
かもってミサカはミサカはワクワク!」ピョン
10032号「ゲームですか?とミサカは興味を示します。戦術シミュレーション用ソフトウェアとは
異なるものでしょうか」
打ち止め「似てるかも?でもミサカは今マリカーがお気に入りなの、ってミサカはミサカはコント
ローラーを握りつつ、寝転んだままのこの人を背もたれにしてみる」ポスン
禁書目録「あ、私もー。(ポスン)ちょっと骨が当たるんだよ」
一方通行「重てェぞクソガキども…」
10032号「……………」ソワソワ
打ち止め「あなた、腕はミサカのお腹に回してね!ってミサカはミサカは安定感を求めてお願
いしてみたり」
禁書目録「私はもう少し角度がほしいかも」ユサユサ
一方通行「随分注文の多いガキどもですねェ?」
打ち止め「と文句を言いながらもその通りにしてくれるツンデレなあなたなのであった、とミサカ
はミサカはナレーションを付け加えてみたり」
10032号「…………」ソワソワ
打ち止め「ん?10032号も来る?ってミサカはミサカはちょっと場所を開けてみる」
10032号「べ、別にそんな堅そうな背もたれなんか羨ましくねーよ。とミサカはそっぽを向きます」
禁書目録「けっこう気持ちいいよ?とミサカは…あっ つられちゃったかも」エヘヘ
打ち止め「この人は華奢だけど、しなやか?っていうのかな、そんなかんじだからね!ってミサカ
はミサカは照れ笑いするシスターさんに自慢げに笑いかけてみたり」エヘヘ
禁書目録「うん、確かにそんなかんじなんだよー」ユサユサ
一方通行「動くな鬱陶しい…」ハァ
10032号「そんなに言うなら使ってやらないでもないですが?とミサカは渋々ベッドに近寄ります」
打ち止め「スイッチオーン!ミサカはテレサにするよ!って、ミサカはミサカは白いのに固執して
みたり」
禁書目録「じゃあ私はこのキノコみたいなの。おいしそうなんだよ…」ジュルリ
10032号「どう見ても毒キノコだぞ。とツッコミつつミサカはスタンダードにマリオです。ヒーローリス
ペクト的な意味で」
打ち止め「はい、10032号はここね」ポンポン
10032号「……………」
上条「おーい!誰か鍋の準備手伝ってくれよー!」
一方通行「あー、俺やるわ」ムクリ
禁書目録「あぅ」コテン
打ち止め「あれ!?ってミサカはミサカはベッドに引っくり返ってみる!もー急に起き上がらない
でよあなたったら!」
一方通行「重てェっつってンだろクソガキども。三人は無理」スタスタ
10032号「」
アレ アクセラレータガ テツダッテクレンノ !?
ガキドモノアイテヨリマシダ
10032号「…ぅおらこの白モヤシ、言うにことかいて重いだと!?ミサカの重さも知らないクセに!
とミサカは乙女心を逆撫でするモヤシと空気読まない上条当麻に激怒です!」
上条「何で俺まで!?」ガビーン
10032号「あ、でもそれはそれとして、お手伝いならこのミサカが…」モジモジ
上条「あーウチの台所狭いからなー、二人が限界だし大丈夫だ。インデックス達の面倒見てて
くれると助かる」
10032号「ぐ…っ、しかしまぁいいでしょう。とミサカは正直マリカーとやらに興味津々です」
打ち止め「下位個体には負けないぞー!!ってミサカはミサカはやる気まんまん!」
禁書目録「私だって負けないんだからー!」フンス
AM 11:00 上条の部屋 キッチン
上条「一方通行って料理出来るのか?」
一方通行「出来るように見えるか」フフン
上条「何で出来ないクセに偉そうなんだよ…」
一方通行「そンなモン出来なくても何の問題もねェし」
上条「そんなことないだろ?打ち止めだって成長期なんだし、栄養のバランス考えて料理作って
やるに越したことないと思うけど」
一方通行「」ピク
上条(お?反応アリ?)
上条「御坂妹に聞いたんだけど、クローンって結構繊細だし調整とかもしなきゃなんないって。
食事にも気を使ってやった方がいいんじゃねぇの?」
一方通行「……同居人が自炊出来るし」(調理法は変だが)
上条「その同居人さんは毎食作ってくれんの?」
一方通行「…いや……仕事があるし、たまにだな」
上条「じゃあやっぱりお前が出来た方がいいじゃん。ご飯は大事だぞー?」
一方通行「……………」
上条「別にそんな難しいことじゃないし。お前頭いいんだろ、だったらすぐ出来るようになるぜ。
打ち止めだって、お前がご飯作ってくれたら喜ぶと思うけどな」
一方通行「………」
上条「それにさ、自分が作ったご飯をおいしそうに食べてくれるのって嬉しいもんですよ?」
一方通行「……」チッ
上条「な、一方通行」
一方通行「……………ろよ」ボソッ
上条「え?」
一方通行「さっさと教えろっつってンだよこの三下がァ!」ギロリ
上条「!上条さんに任せなさい!」
上条(なんかだんだんどう接すればいいかわかってきたなー)
トントントン
上条「…で、にんじんはこう皮を剥いて、銀杏切りかな」スーッ トントントン
一方通行「……ふゥん」スーッ トントントン
上条「鶏モモは一口大に」スッスッスッ
一方通行「ン」スッスッスッ
上条「大根も皮剥いてー、同じように銀杏切りな」スルスル トントン
一方通行「わァったよ」スルスル トントン
上条「…………上手いなぁ、お前。ホントに料理したことなかったのか?」
一方通行「ねェよ。誰でも出来るだろ、こンくらい」
上条「お前……一回インデックスに料理教えようとして挫折した上条さんの苦労を何だと…。
いつ指切るか腹刺すかって、ホントッ!もうホントッ!!見てる方が心臓止まりそうな有様
だったんだぜ!?」
一方通行「……まァ、俺はやれば大概何でも出来るからな」
上条「なんという俺様発言!?悔しい、でも納得しちゃう!」ビクンビクン
一方通行「きめェ」
上条「容赦ねぇなー」ハハハ
上条「あ、そうだ米炊かなきゃ。一方通行、米洗って炊飯器にセットしてくれるか?」
一方通行「ン。米は?」
上条「そこの米びつから計量カップ五杯分で」
一方通行「わかった。洗剤は?」ザー
上条「洗剤…?流しにある緑色の……、って」
一方通行「これか」トポトポ
上条「ええええええええ!?ここでそのベタなボケぇえええ!?」ガビーン
一方通行「うっせェな。洗うっつったら洗剤だろォが」
上条「米は水洗いだけでいいの!洗剤で洗ったら食えないだろ!?あー…五合分の米がぁー…」シクシク
一方通行「泣くな鬱陶しい。なら食えるようにすりゃいンだろ」カチッ
一方通行「…成分を解析して、ン……よし」キュィーン
上条「えっ…?」
一方通行「ほらよ」オイシクタケマシター
上条「ええええ…?一瞬にしてホカホカご飯の完成…だと…?」ホカホカ
上条「……」ヒョイパクッ
上条「…しかも上手い……ウチの炊飯器のより…」ガーン
一方通行「当然だ」フフン
上条「…き、気を取り直して…。卵の賞味期限ヤバいし、味付き卵でもついでに作っておくか。
一方通行、ゆで卵作ってくれ」
一方通行「卵、冷蔵庫にあンのか?」スタスタ カパッ
上条「そうそう、扉の裏にあと三個くらい残ってただろ?」トントン
一方通行「これか」パタン カパッパタン ピッ ウィーン
上条(ウィーン……?)「っておい、まさかお前電子レンジにッ……!!!」
パーン
一方通行「うォ、なンか爆発した」
上条「マジかよォおおお!!!!え、何ですか、あくせられーたんドジっ子萌え的な!?」
一方通行「バカにしてンのはよくわかった」カチッ
上条「しょうがねぇだろ!!しょおがねぇええだろぉおおお!!!!」ガシッ
一方通行「っ!手ェ離せ!」
上条「嫌ですゥー死にたくありませんん!!あーー……すごい、電子レンジの中が月面みたい
になってる…」ズーン
一方通行「ふーン…そうか。電子レンジだと白身だろうが黄身だろうが均等に加熱されるから
な。黄身は白身と殻に包まれているために外気よりも高圧となり、沸点が上昇する。
黄身は熱膨張による体積の増加に伴い、白身と殻を押し破って外気に触れ、この
瞬間に急激な減圧が起こるわけだ。そして、沸点が下がることで黄身に含まれる
水分が一気に蒸発気化し、平衡破綻型の水蒸気爆発が発生するってこったな」
上条「何言ってんのかわかんねーけどわかってたんなら何でやっちゃうの!?」
一方通行「……つい?」
上条「何でそんなとこだけうっかりしてんだよ!ああ…掃除が、掃除がぁ………」ズーン
一方通行「うぜェな、わァったよ、使えるようにすりゃいいンだろ」カチッ シャシャシャ
上条「なっ…!?レンジ内にこびりついた卵(だったもの)があっという間にゴミ箱に…!!」
一方通行「はいよ」キレイニナリマシター
上条「便利すぎるだろ第一位…………」ハァー
グツグツ グツグツ
上条「あー、そろそろ沸いたかな。出汁パック入れてくれるか?そこの戸棚に入ってるから」
一方通行「ン」ヒョイ ポイ
グツグツ
一方通行「……何か茶色くなって来たぜェ?」ナベッテ コンナンダッケ
上条「!?こ、この匂い、まさか…、あああやっぱり!お前麦茶パック入れただろぉお!!」
一方通行「あー……」
上条「……まァ、いいか。いいよ、昆布まだあるし、出汁取り直せば」ハァ
一方通行(ムカチーン)
一方通行「いいぜ、やってやるよヒーロー。見てやがれェ!」カチッ キュイーン
上条「何ィ…!お湯がどんどん澄んで行く…だと…!?」
一方通行「麦茶の成分濃縮して捨てれば、ほら元通りですゥ」フン
上条「…………」
一方通行「……なンだよその顔」
上条「一方通行」
一方通行「………」
上条「そこに座んなさい」
一方通行「あ?何で俺が…」
上条「座れっつってんだよこの三下がぁああ!!」
一方通行「」ビクッ
上条「正座だ、正座しなさい!」
一方通行「……っ」ソーッ
上条「はぁー…。一方通行。お前の能力は確かにすごい。便利だ。誰もが納得する第一位だ。
けどな…何でもかんでも能力に頼ってちゃダメだろ」
一方通行「別に…何でもってワケじゃ…」ボソボソ
上条「嘘つけ。お前、俺に会ったら必ず一回は能力使おうとしてたぞ?」
一方通行「う………」
上条「いいか、俺は…心配なんだ。お前の能力はお前自身の特技なんだから、そりゃ使ってい
いに決まってるけど、さっきはお前が俺に料理教えてくれって頼んで来たんだぜ?それな
のに能力使うなんて、そんなことばっかりしてたら、信用されなくなっちまう」
一方通行「別に俺は……」
上条「信用されなくてもいいなんて言うなよ。俺も悲しいし、打ち止めだって悲しむ」
一方通行「………っ」
上条「それに…打ち止めに聞いたけどさ、お前今は能力の使用に制限があるんだろ。くだらな
いことに使って、いざって時にピンチになったらどうすんだ」
一方通行「!あのガキ、そンなことまで…」
上条「打ち止めを責めないでくれよ。俺を信頼してくれたんだろうし、俺は絶対にそれを裏切ら
ない。約束する」
一方通行「…………」
上条「口約束なんて信用できないか?でも俺は」
一方通行「いや…いい」
上条「え」
一方通行「………わかった」
上条「…ありがとな」ニコ
一方通行「……………別にィ」フイ
上条「はは。素直じゃないなー」
一方通行「ほっとけ、バカ。…おせっかい野郎が」
上条「しょうがねぇだろ。お前ってなんか…ほっとけねーもん」
一方通行「この俺を捕まえてそンなこと言いやがるのなんか、オマエくらいのモンだぜ」フン
上条「そぉかぁ?御坂妹も似たようなこと言ってたぜ」
一方通行「!あンのクソガキ……」
上条「あ、そろそろ鍋も出来たかな。準備の続きするか。ほら、手」スッ
一方通行「いいっつってンだろ、懲りねェヤツだなオマエは…」グッ
ドテッ
一方通行「…………あ?」キョトン
一方通行(足が、なンか…)
上条「ど、どうしたんだ!?もしかして正座の時、足変に捻ったりしてたのか!?」
一方通行「いや、………?」
一方通行(何だこの感覚、いや感覚がないっていうか、いや戻って、あ?何かビリビリ……)
上条「いいから、見せてみろ!」グッ
一方通行「ひャうッ!!」ビクンッ
上条「」
一方通行「」
上条(え 何今のかわいい声?一方通行の?マジで?)
一方通行(え 何だ今の気持ち悪ィ声?俺の?マジで?死にてェ)
AM 11:40 ミサカネットワーク内
1.上条が一方通行を襲ってgwくぇおtgふ(1)NEW
2.上条「あくせられーたん!」(839)
3.【協力求む】あの人とヒーローさんをいいかんじにさせたいんだが18(722)
4.今日の上条207(521)
・
・
・
・
上条が一方通行を襲ってgwくぇおtgふ(813)
1 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします ID:Misaka10032
一方通行「あッ、やめ、触ンな…ッ!」
上条「触らなきゃどうしようもねぇだろ」
一方通行「ひ、ッ…!ィ、バカ、こンの…!」
上条「だーから能力使うなっつってんじゃねぇか」
一方通行「ぅあああ!!」
上条「大丈夫大丈夫。上条さんを信じなさい」
一方通行「や、やめ、ッ、て…!ゥ、い…っ、あ…」
2 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします ID:Misaka14510
3 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします ID:Misaka20000
4 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします ID:Misaka14889
5 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします ID:MisakaXXXXX
6 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします ID:Misaka19090
7 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします ID:Misaka10039
・
・
・
・
181 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします ID:Misaka14889
まままっま待て皆、おおおお落ち着け
182 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします ID:Misaka14510
これが落ち着いていられるかァアアアア!!!!!!
一方通行さんが俺の一方通行さんがぁあああああああああ
183 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします ID:Misaka17182
うわああああああ上条がぁああああ!!!!
184 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします ID:Misaka13710
俺達の上条がぁああああああ!!!!!!!!
185 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします ID:Misaka10777
うっ…やはり遠距離というハンデを拭い去ること出来ずか
せめて一回くらい会って話してみたかったぁあああ
186 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします ID:Misaka17619
えっ ちょ 上条手ェ早くね!?!?!?
187 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします ID:Misaka13577
やめろぉおおおおおおお
・
・
・
・
283 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします ID:MisakaXXXXX
イマドコ?>>1
284 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします ID:Misaka14889
ああああわかったわかった、俺わかった
これはアレだ、マッサージだろ
そういうオチだろ
285 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします ID:MisakaXXXXX
イマドコ?>>1
286 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします ID:Misaka20000
そそそそれだ!!!!さすが!!!!>>284
287 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします ID:Misaka19090
あ、なんだそうか ビックリしたー
てっきり上条と一方通行がセッ
288 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします ID:Misaka14510
言わせねぇよ!?!?!?>>287
マッサージだよなマッサージ うん
一方通行さんすぐ肩とか懲りそうだもんな 血行悪そうだもんな
289 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします ID:Misaka10032
警告する
これはマッサージではない
繰り返す これはマッサージではない
290 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします ID:Misaka14510
291 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします ID:Misaka17264
292 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします ID:Misaka14889
293 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします ID:MisakaXXXXX
今どこだっつってンだよォオオ!!!!!
答えろこの三下がァアアアアアア!!!!!!
294 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします ID:Misaka20001
もう番外個体ったら、ここに来て何するつもり?
10032号も悪ノリしすぎだよってミサカはミサカは諌めてみる
一方通行「ゥあ、やめバカ、まだ痺れっ…!」
上条「大げさだなぁ一方通行は…。ちょっと足痺れただけだろ?
こうやってほぐした方がすぐ治るんだって」
一方通行「ゥ、ひぅ…!ちょ、もっとそっとやれよォ…」
上条「はいはい我慢我慢」
一方通行「ゥううううう………」
禁書目録「わかるんだよ…私も日本で暮らして初めて足が痺れた時
は死ぬかと思ったんだよ………」
打ち止め「頑張ってあなた!ってミサカはミサカはされるがままのあな
たを温かく見守ってみる」
ということですよ、ってミサカはミサカは肩を竦めてみたり
295 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします ID:Misaka14510
_,,:-ー''" ̄ ̄ ̄ `ヽ、
,r'" `ヽ.
__,,::r'7" ::. ヽ_
゙l | :: ゙) 7
| ヽ`l :: /ノ )
.| ヾミ,l _;;-==ェ;、 ,,,,,,,,,,,,,,,_ ヒ-彡|
〉"l,_l "-ー:ェェヮ;::) f';;_-ェェ-ニ ゙レr-{ / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
| ヽ"::::''  ̄´.::;i, i `'' ̄ r';' } |
. ゙N l ::. ....:;イ;:' l 、 ,l,フ ノ | 屋上へ行こうぜ…
. |_i"ヽ;:...:::/ ゙'''=-='''´`ヽ. /i l" < 久しぶりに…
.| ::゙l ::´~===' '===''` ,il" .|'". | キレちまったよ…>>1
.{ ::| 、 :: `::=====::" , il | \________
/ト、 :|. ゙l;: ,i' ,l' ノト、
/ .| \ゝ、゙l;: ,,/;;,ノ;r'" :| \
'" | `''-、`'ー--─'";;-'''" ,| \_
296 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします ID:Misaka12192
ワロタ
仲良いなwwww>>294
297 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします ID:Misaka20000
屋上>>1
298 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします ID:Misaka14889
おい冗談が過ぎるぞ…>>1
299 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします ID:Misaka16882
壁殴>>1
300 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします ID:Misaka10032
いいだろォオオオちょっとぐらいよォオオオオ
マリカーに必死になってたらふと台所から>>1が聞こえてきた時の
俺の衝撃に比べたらよォオオオオオ
これぐらいよォオオオオ
301 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします ID:Misaka15128
確かにそれは驚くな……>>300
302 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします ID:Misaka14510
まぁ衝撃は身を持って味わったわ
303 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします ID:Misaka20000
いかにしてそこに混じるかまで真剣にシミュレートしたわ
304 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします ID:Misaka10032
だろ!?だろ!?!?>>301-302
しかもこの一方通行の顔
http://www.misaloda/moyashi-9.jpg
305 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします ID:Misaka10039
一方通行の怯えた顔…だと………(ゴクリ >>304
306 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします ID:Misaka20000
涙目のセロリたんペロペロペロペロ>>304
307 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします ID:Misaka13829
ああーこんな顔してると
か弱い女の子って言われても納得するな…
308 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします ID:Misaka19090
なんかズキンってなった>>304
いじめるのイクナイ
309 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします ID:Misaka20001
確かにあんな顔初めてみたかもってミサカはミサカは思い出し笑い
してみたり
あと20000号は自重してね
310 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします ID:Misaka20000
は、はい運営様!!!!
311 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします ID:Misaka14111
ホントにこのモヤシさん、表情で印象違うよな…
312 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします ID:Misaka10032
いっつもカッコつけてる白モヤシだと思うとめっちゃ笑えるよなwwww
313 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします ID:Misaka20001
ビックリしてヒーローさんを蹴り飛ばそうとした10032号の台詞とも
思えませんなぁ
ってミサカはミサカはニヤニヤしてみたり
ミサカが止めなかったら流血惨事だったよ?(・∀・)
314 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします ID:Misaka10032
いや、あれはちげーし
モヤシの魔の手から上条守ろうとしただけだし
315 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします ID:Misaka19090
わかるわ>>314
俺もビックリして上条突き飛ばしたと思う
いくら上条でも
316 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします ID:Misaka10032
だから違うっつってんだろこの天然ちゃんはァあああ!!>>315
317 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします ID:Misaka19090
___ ━┓
/ ―\ ┏┛
/ノ (●)\ ・
. | (●) ⌒)\
. | (__ノ ̄ |
\ /
\ _ノ
/´ `\
| |
| |
え ごめん 何怒ってんの?>>316
___ ━┓
/ ― \ ┏┛
/ (●) \ヽ ・
/ (⌒ (●) /
/  ̄ヽ__) /
. /´ ___/
| \
| |
でもフクザツだなー だってやっぱり上条のこと好きだし
318 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします ID:Misaka10032
いや怒ってねーけど別に
あと言っとくけど俺の方が上条のこと好きですから>>317
319 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします ID:Misaka14889
まぁいいけど、ほどほどにしてくれよ>>1
あんま驚くとMNWに支障あるからな
320 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします ID:Misaka10032
う…まぁ、悪かったわ
なんかもうな、衝撃的過ぎてね……
321 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします ID:Misaka14889
うん 気持ちはわかるよ
けど>>316じゃないが、上条と二人じゃなくてよかったのか?
お前意外と溜め込むタイプだからな 無理するなよ
322 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします ID:Misaka17199
確かに
一方通行とも最近話すようになったばっかりだもんな>>1
323 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします ID:Misaka10032
別にあんなモヤシ恐るるに足らずだっつーの
……大丈夫だよ
なんかやたら兄貴風 いや姉貴風?吹かせてくんのうぜーけどなwwww
324 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします ID:Misaka19090
あー 一方通行、ホント面倒見いいよな
こないだうっかり転んだところに一方通行通りかかって
小言いいながら傷口塞いでくれたよー
でも怒られてちょっと怖かった
325 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします ID:Misaka12117
おいwwww何転んでんだwww>>324
一応軍用クローンだぞ俺らwwwwwww
326 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします ID:Misaka11987
>>324
>>324
>>324
327 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします ID:Misaka19090
誰にでもうっかりはあるだろ!!!!
328 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします ID:Misaka16328
気をつけろよwwww>>327
あ、あ、あのさー>>1
確認だけど、今って上条の家にいんの?
329 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします ID:Misaka10032
うん>>328
今お昼の寄せ鍋食べてる うまー(゚Д゚)
上条って料理上手いんだな 上条ステキさすが上条ステキ
あとコタツってのに入ってる なんか変わってる
330 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします ID:Misaka16328
じゃ、じゃあ上条に聞きたいことあるんだけどさ
代わりに聞いてくれね?>>1
331 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします ID:Misaka10837
あ、ズルイ!!!>>330
お 俺も聞きたいことある!!!
332 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします ID:Misaka10032
いいけど 順番な
333 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします ID:Misaka17160
イェーイ!!
そんなん俺だってあるに決まってんだろ!!!
・
・
・
・
PM 12:49 第七学区 学生寮 上条当麻の部屋
グツグツ グツグツ
10032号「なるほどなるほど…。一端覧祭、ですか。とミサカは胸を躍らせます。あなたは去年は
どういった催し物に参加されたのでしょうか?」モグモグ
上条「え、えーと…なんだったかなー……」モグモグ
上条(うおおや、やっべー…何で今日はこんなに質問攻めなんだ!?さっきから7月より前に関
する話全然答えられてねーよ…)
禁書目録「」パクパクモグモグズズー
打ち止め「あなた、ミサカはお肉が食べたい!ってミサカはミサカは暗に器によそってほしいと
お願いしてみたり!」
一方通行「はいはい。ほらよ」ヒョイ
打ち止め「むー…ネギはあまり好きじゃない。ってミサカはミサカはお肉と一緒にネギと白菜も
一杯なことに不満を漏らしてみる…」
一方通行「野菜もちゃンと食べねェと大きくなれねェぞ」モグモグ
打ち止め「お肉ばっかり食べてるあなたに言われても説得力ないよ!?ってミサカはミサカは
あなたのために白菜を差し出してみたり!」アーン
一方通行「………」アーン パク
打ち止め「あなた、生野菜の青臭いかんじが嫌いなんでしょ?なら煮込んで甘くなったやつな
ら大丈夫なんじゃないかな、ってミサカはミサカは鋭い意見を述べてみる」
一方通行「…まァ、悪くねェ。オマエもちゃんと食えよ、ほら」アーン
打ち止め「はーい!ってミサカはミサカは元気よくお口開けてみひゃりー」アーン パクモグモグ
打ち止め「おいひい!」ニコ-
一方通行「そりゃ良かったですねェ」モグモグ
上条「……微笑ましいというか、何というか」ハハハ
10032号「完全に親御さんの図だな。とミサカは呆れながらもあなたの答えをジッと待ちます。
昨年貰ったチョコレートの数はいくつですか?」
上条「え…えーとぉ…、ふ、二つかな…」(多分お袋と、あと一個くらいは誰かくれた といいな!)
10032号「……誰に貰いましたか?とミサカは質問を重ねます」
上条「!え、っと誰だったかなー…」(やべ、適当なこと言ったらその子に迷惑かかるよな!?)
10032号「…………」ジッ モグモグ
上条「えーと……」ダラダラ
一方通行「……おい上条」
上条「え!?何なに!?」
一方通行「肉は?」
上条「肉…?」
一方通行「さっき買った地鶏。この中入ってねェだろ。おいしく食わせてやるとか偉そォなこと
言ってたじゃねェか」
上条「あ、ああ…!そうだったそうだった、悪いな、すぐ作ってくるわ」スクッ スタスタスタ
上条(…助かった……)ホッ
10032号「ああ、まだ質問が途中なのに…とミサカは残された質問のストックが3501個もある
ことに先が思いやられます」モグモグ
一方通行「オマエよォ…」
10032号「何ですか。とミサカは呆れた顔の一方通行に視線を向けます。ロリコンは黙って幼
女の世話でもしてろや」モグモグ
一方通行「誰がロリコンだ。…あンま質問攻めにすンなよ。自分の言いたいことばっか言う
女は嫌われるぜェ?」
10032号「お、お前に男心がわかるわけあるか!と流しつつも、そういえばちょっと迷惑だった
かな…?とミサカは反省します」シュン
一方通行「どうせMNW介して質問攻めにでも合ってるんだろォが…」ハァ
10032号「ギク バレバレですか」
一方通行「バレねェわけあるか。ほどほどにしといた方が身のためだと思うぜ」
10032号「ぅぐ……。とミサカは少し俯きます。お前にしては的確なアドバイス…と認めざるを
えません」グヌヌ
上条「おー、お待たせー」スタスタ ストン
打ち止め「わー、ずいぶん早いんだね?ってミサカはミサカは驚いてみたり!」
上条「下味は付けてあったからな。でも基本的に味は塩コショウで焼いただけだぜ。高い肉は
シンプルに食うのが一番うまいし」
禁書目録「おいしそうなんだよぉーー!!!!!」キラキラキラ
上条「こぉらダメだぞインデックス(ビシッ)。これは一方通行用だからな」
一方通行「ふゥーン……」ヒョイ モグモグ 「!」
一方通行「………」ガツガツガツ
打ち止め「おいしそうだけど鍋には合わないかな…ってミサカはミサカは一心不乱に骨付き肉
にかぶりつくあなたを見守ってみたり!あなたって食い合わせとか気にしないよね…」
一方通行「何と食ったって味は変わンねェだろ」ガツガツ
10032号「おいおい手掴みて…油でベタベタになってるぞオイ。とミサカはその肉のカロリーに戦
慄を覚えます。ていうかお前は何故その調子で太らない?」
一方通行「体質だ」ガツガツ
10032号「ハッ そういえばこの鍋とやらのカロリーが正確に確認できません…。とミサカは重大な
過失に気付きます。これは早急に計算せねば!とミサカはネットワークに接続します」
上条「どうだ?うまい?」
一方通行「………マズくはねェ」ガツガツ
上条「!そうか!フフハハ上条さんは学んだぜ、お前の『悪くない』イコール『とっても気に入りま
した』だということをな!」
打ち止め「さすがヒーローさん!ってミサカはミサカはその通りだよと相槌を打ってみる!」
一方通行「うっせェなァ……」ガツガツ
禁書目録「ぅううう…………」ジィーーーー
一方通行「……」ガツガツ
禁書目録「………………」ジィーーーー タラリ
一方通行「……」ヒョイ
禁書目録「!?」バッ
一方通行「……」ヒョイ
禁書目録「!?」バッ
打ち止め「な、何してるの…?ってミサカはお肉で猫じゃらし状態のあなたとシスターさんを見守
ってみたり…」
上条「こ、こらインデックス!行儀悪いぞ!」
一方通行「……」ヒョイ
禁書目録「!?」バッ
一方通行「ほらよ」アーン
禁書目録「!!!!」バクッ!! モグモグボリボリモグ 「お、おいしいんだよ……」ジーーーン
一方通行「……」ヒョイ
禁書目録「!!!!」バクッ!! モグボリボリモグモグ 「お、おいしいんだよ……」ジーーーン
一方通行「………ピラニアみてェ」ボソッ
上条「うう、お、お恥ずかしい…って上条さんは赤面して俯いてみたり」
打ち止め「大丈夫だよ、この人はシスターさんを気に入りました!」キリッ
上条「え?そなの?」
一方通行「……」ヒョイ
禁書目録「!!!!」バクッ!! モグモグモグボリボリ 「お、おいしいんだよ……」ジーーーン
一方通行「…………」プッ (おもしれェこいつ)
上条「あ、ホントだ。なんか楽しそう?」
禁書目録「本当においしいんだよ…。私にはすべてを完全に記憶する完全記憶能力があるせい
で、食べたいものが食べられない切なさハンパないんだよ…」モグモグ
一方通行「あァ?どういうこった?」
禁書目録「味、匂い、見た目、食感、すべてをカンペキにイメージで再現できるってこと。つまり今
まで食べたおいしいお肉の味が完全な形で想像されてるのに食べれなくてもう…死に
たくなるかも」
一方通行「あー…そォいうことか。俺もあるな」
禁書目録「え?あるの?あなたも?」キョトン
一方通行「俺もだいたい一度見たもの触れたものは忘れないからな。昨日なんかたまたま気に
入ってるメーカーのコーヒーなくて、探しながら味の成分一個一個再現していっちま
って最高ォーにイラついたわ…」
禁書目録「!!わかるんだよ!他にも、三日前の占いカウントダウンを一位から十二位までつ
い頭の中で再生しちゃったりするんだよ!何の意味もなくて悲しくなるんだよ…」
一方通行「せめて答え合わせ出来るから意味あンだろ…。俺なんかこないだ風呂入ってる時、
同居人が見てたくっだらねェバラエティ一時間分再生しちまってよォ」
禁書目録「あはは、あるあるなんだよ!好きなテレビならともかく、すごい困っちゃうんだよ」
一方通行「一年くらい前に読んだ本、どんなんだっけかって思ったらつい最初から最後まで頭の
中で暗唱しちまったりな…」
禁書目録「それもよくあるかも…。全部隅々まで覚えてるから、好きな本を読み返す楽しみって
ものがないんだよ……」
一方通行「あァ、本を読み返す?その発想はなかったわ」
禁書目録「私もあいさに聞いて、そういう本の楽しみ方もあるんだって初めて知ったかも」
一方通行「ふゥン…。別に気に入ってようが気に入ってまいが全部覚えちまうからな俺は」
禁書目録「同じくなんだよ…。『あれ、この理論矛盾があるかな?』って思った本の内容までつ
い全部反芻しちゃったりするんだよ……疲れるんだよ…」
一方通行「あるな…。不快なのについ辿ろォとしちまうンだよな、何だろうなありゃ…」
禁書目録「なんだろうね?片付けしてたら、マンガが全巻揃ってるかつい確認したくなるような
ものかも!」アハハハ
キャッキャッ ウフフ
ホカニモヨー
ワカルンダヨー!!アトアトー
アーソレ アルワー
10032号「カロリー計算が完了したかと思ったら、白い二人が全く共感できない話題で盛り上が
っています。とミサカは現状を訝しみます」
打ち止め「完全記憶能力かー…。あの人もそういう能力があるって明確に言われてるわけじゃ
ないけど、近いものはあるんだろうね、ってミサカはミサカは分析してみたり」
10032号「まぁ、考えてみれば通常の人間一万人分の脳を使って、ようやく一方通行一人分の
演算能力になってるわけですからね。とミサカは頷きつつも、何故か嬉しそうなあな
たを不思議に思います」
上条「ん……?」ニコニコ
打ち止め「どうしてあの二人をそんなに嬉しそうに見てるの?ってミサカはミサカはごく率直に
質問してみたり」
上条「インデックスが笑ってると安心するし……。それに、あの能力のせいでアイツは色々と
大変な目に合ってるからさ。ああやって笑って話せてて、よかったなって」ニコ
10032号「……………」キュン
打ち止め「あなたはとっても優しいんだね。…確かに、あの人が自分の特徴と共感を示すな
んてとっても珍しいかも!ってミサカはミサカは同じく嬉しく思ってみたり」
上条「そっか。よかった」ニコ
打ち止め「うん!ってミサカはミサカはヒーローさんに満面の笑顔を向けてみる!」ニコッ
PM 5:30 上条当麻の部屋
ピロリロリー
ウィイイイン ピローン!
打ち止め「うぅううう!もう一回!もう一回!ってミサカはミサカは再戦を要求してみたり!」
10032号「またですか、とミサカは肩を竦めます。ていうか弱すぎですよ上位個体」
禁書目録「くくく…今のところ私が一番なんだよ!」
打ち止め「くっ…!あなたこういうの苦手そうなのに!ってミサカはミサカは当初の予想が外
れて悔しがってみる…!」
禁書目録「確かに操作は苦手だけど、全部のコースを覚えられる私に死角はなかった」フンス
打ち止め「ズルーイ!ってミサカはミサカはー!」
モウイッカイ-! ッテミサカハー!
ハイハイ トミサカハ シブシブウナヅキマス
フフン ナンドデモ アイテニナッテヤルカモ!
一方通行「…………」ゴロゴロ
上条「一方通行、コタツ気に入ったのか?」
一方通行「別にィ」ゴロゴロ ファー…
上条「そのまま寝るなよ。風邪ひいちまう」
一方通行「眠くねェ…」ファ…
上条「ブッ、何でそんな見え透いた嘘つくんだよ」ハハッ
一方通行「うるせェ」ゲシッ
上条「いてっ、ちょっ、蹴るなって」
一方通行「黙れ」ゲシゲシ
上条「いてて、もう、足癖悪ィなお前!」ガシッ
一方通行「!?離せ三下ァ!」バタバタ
上条「一方通行は上条さんのスペシャルマッサージをご希望のようですねー?」足裏グリグリ
一方通行「いだ!?イダダダダダ!!なッ、なンだそれ、あッ、おまっ…!」バタバタ
上条「足裏マッサージされて痛い人は不摂生してるんだぞー」グリグリ
一方通行「ひッう!イッ、た、や、や、やめ!」ビクッ
上条「…………」ジッ グリグリ
一方通行「アッ、い、イッ…、~~~!!」ジタバタ
上条(…さっきも思ったけど、こんな風にしてると普通の高校生にしか見えないなー)
一方通行「こ、この三下がァ…っ」ジタジタ
上条「涙目で言っても迫力ありませんよー。っていうかむしろかわいいぞー」ジッ グリグリ
一方通行「はァあああ!?寝言は寝て、いッ、いッ、ぅあ…!」
上条(…………何かだんだん変な気分になってきた)アレ?
打ち止め「はーいそこまでーってミサカはミサカはヒーローさんにタックルドーン!」ドーン!!
上条「うお…!?」ビクッ
10032号「オイオイお前らせっかくMNWが落ち着いたのに再燃量投下してんじゃねぇよ、と
ミサカはイラつきながらもモヤシをコタツから引き摺り出します」ズルズル
一方通行「…………はー、はー…」グッタリ
打ち止め「ちょっとヒーローさん!この人が無体された乙女みたいになってるでしょ!って
ミサカはミサカはYESラブラブNO無理矢理を掲げてみたり!」
上条「えっ、む、無体って!そそそそそんなつもりは決して!!」ブワッ
一方通行「はー…はー…殺す……」グター
上条「…た、確かに目が潤んでるし…頬っぺたピンク色になってるし…」ジッ
上条「っていうか一方通行…お前本当に色白いなぁ」マジマジ
一方通行「見ンな…殺す……」グター
禁書目録「……とうまぁあああああああ!!!」ギラリ
上条「ちょ、インデックスさん!?違うんです、誤解です!!」ダラダラ
フコウダーーーー!!!
思う存分ツンツン頭に噛み付いた白いシスターは、数分後にケロリと「おなかすいたんだ
よ」と呟いた。
じゃあ夕飯の分買出しに行くか、と噛み付きに慣れ切った無能力者もケロリと頷く。
何だコイツら、と思いつつ、騒いで暑くなっていたことやコーヒーが飲みたくなってきたこと
もあって、一方通行は一緒に買い物に出ることにした。
打ち止めや10032号も付いて来るなどと言っていたが、鬱陶しいので置いて来ている。
上条も特に反論しなかったところを見ると、まぁ同意見なのだろう。
年末も近づいた、午後六時。日は既に落ち、吐く息を街灯が白く照らした。紺の夜空に
星が瞬きつつあったが、学園都市の青白い光の方が明るい。
元々人通りの多い第七学区でも、学生の数は少なくなってきている。近所のスーパーへ
の短い道を、二人は並んで歩いている。
「いッ、てて…まだデコが痛いんですけど…」
上条が少々背を丸め、雑な仕草で額を撫でた。
「あァそォ。ぜってェ俺のが痛かった。間違いねェ」
二回も好きなように叫ばされた礼に、靴を履こうと屈んだ上条の背中を蹴飛ばしてやった
のだ。
身構える暇もなかった少年はそのまま正面のドアに激突して無様な悲鳴をあげ、一方通
行は少しだけ溜飲を下げた。
「いやぁ、ちょっと足が痺れたくらい、そんなに痛いモンでもないだろ?」
「痛いっつか気持ち悪ィンだよ!遠慮なくベタベタ触りやがってぶッ殺すぞクソ野郎がァ!」
「ぶぷ、思い出し怒りする一方通行とか」
何のツボにハマったのか、上条はケラケラ笑い出した。
「そ、そんなに足痺れたの辛かったのか?正座したことなかったのかよ、日本人だろ」
「イマドキそンな正座する機会なンかあるかよ。オマエこそそンな正座慣れなンかしてねェ
だろォが」
「…………、まぁ、そうだけどな」
上条が息を詰めたのは、二秒にすら満たなかっただろう。
しかし一方通行は気付いてしまった。左隣を見れば、上条もこちらを見ていた。
「…………」
気付いたことを気付かれたのだろう、と察する。頭の出来が良いとは思えない男だが、時
にひどく聡い。
冷たい風が吹いて、一方通行は目を細めた。
普段の自分ならば、このまま知らないフリをしていたかもしれない。知ったことか、俺には
関係ないと。
だが、目の前の真っ黒い、真っ直ぐな目をした少年は、本当に自分とは無関係なのだろ
うか。そして誰かにそう問われて、一方通行はYESと言いたいのか、NOと言いたいのか。
わからなかった。
「……上条」
けれど、唇を開いてしまった。
「オマエ、記憶喪失にでもなってンのか」
溢れた言葉は、二度と戻らない。
百合子たん凌辱しといて何が不幸だよ
確かにその通りだよな、この二人にとっては。
「一方通行………」
フッ、と表情が消えた。
一方通行が目にしたことのある、焼け付くような闘志を秘めた顔とも、明るい日中が似合
う笑顔とも、軽く文句を言ってやった時の困ったような顔とも、同居人の挙動に呆れた顔と
も、どれとも違っていた
「…やっぱり気付いてたか。今日、何度もフォローしてくれただろ?ありがとな」
上条は、見たことのない形に頬を緩めた。
「今年の七月の…後半あたりか。それ以前のオマエについての質問に、何も答えられてい
なかったな」
「はは…。今まであんなに質問責めにされたことって、意外になくてさ…」
あまり人の表情というものをきちんと見て来なかった一方通行には、それがどんな気持ち
を表したものなのかわからなかった。
ただ、例えば、予告した時間に帰らなかった時の、ぼんやりソファに座っている打ち止め
の表情に、少し似ていると思った。
こういう顔を、寂しそうと言えばいいのだろうか。
「…あのシスターは知ってンのか」
「ああ。…知ってる」
一方通行は浅い溜息をついた。それが安堵の色をしていると気づいたのは自分よりも上
条の方が先で、その口元が微笑む。
舌打ちをして、今のはなかったことにした。
「なら、隠すことねェだろ。俺も打ち止めも10032号も、オマエと知り合ったのは八月以降な
ンだから」
「でもさ。俺が記憶喪失って知ったら、皆スゲー気まずいだろ?隠し事に荷担させるのって、
申し訳ねぇよ」
「…そンだけかよ」
「そんだけ」
「バカだな」
「かもな」
上条は、今度こそはっきりと苦笑した。ゆっくり歩きながら正面に向き直った顔には、一
切の迷いがないよう見えた。
「……オマエは…」
「…うん」
胸の奥から、冷たいような熱いような衝動が沸き上がってきた。
上条は一方通行の言葉を待っている。いつもの騒がしくマイペースな雰囲気は消え失せ
た、静かな横顔だった。
先日再会した時、この男は何と言った?
『お前に言った台詞は、全部俺自身にも当てはまることだったからさ』
では、ロシアでは何と言っていた?
『目の前で泣いて欲しくない人が泣いてるんだ!それだけで十分だろ!!立ち上がったっ
たっていいだろ!特別なポジションも理由もいらねぇ!!それだけあれば、もう盾になるよ
うに立ち塞がったって構わねえだろうがよ!!』
特別なポジション。理由。この男が助けたかったのは、あのシスターだろう。確認したわ
けではないが、確信があった。
上条当麻にとってのインデックスは、きっと自分にとっての打ち止めに似たものだろうと。
「オマエは…。あのシスターを助ける『理由』と『ポジション』の記憶を失ったのか」
「………っ」
鋭く息を呑んだ気配に、一方通行も息を呑んだ。じわりと、不快な汗が髪の毛穴から滲
んだ気がする。
(何言ってンだ俺は……)
人の、しかも言ってしまうなら恩人の、明らかな傷口に塩を塗るような真似をしている。
「……………」
上条は沈黙を保ったまま、こちらを見つめている。眼差しは変わることなく真っ直ぐだ。
「……あ、……っ」
一方通行の喉の奥に、重苦しいような塊が支えた。手足の先が冷たく痺れ、心臓がガン
ガン鳴り響いてうるさい。頭の奥が焼けるようなのに、額を流れる汗は気持ちの悪い冷た
さだった。
自分がどういう状況にあるかわからず、一方通行は硬直する。
ただ、打ち止めが危機に陥った時の感覚に少しだけ似ていると思った。他には、黄泉
川が怪我をさせられた時。そこに吐き気と苛立ちを足せば、木原数多に能力が通用し
なかった時、垣根提督に能力の隙間を突かれた時、エイワスに打ちのめされた時。
要するに、緊張している。焦っているわけだ、と学園都市第一位の頭脳は結論を出した。
だが一体、何にそんなに焦燥を感じているというのか。今現在打ち止めは当然無事だ
し、特に命の危機に晒されているわけでもない。緊張する理由も焦る理由も、自分には
ないはずだと思った。
今まで緊張や焦燥を覚えたことなど片手を越える程度、しかも現状にはこれまでのケ
ースと何の共通点もない。
「………………」
「………………」
ただ、目の前の、それほど親しくもない、ただずっと心の奥に居座っていた少年が、少
し頼りない顔をしているだけだ。
「………、…」
それが嫌なのだと、一方通行は唐突に悟った。
例えば打ち止めが泣いた時、番外個体が喚いた時、それに似ているような、全然違う
ような。
しかし打ち止めや番外個体になら何を言うべきであるかわかっていた。言いたいこと
は自然と自らの内にあった。
けれど今、何を言うべきなのか。何を言いたいのかなんて、全く思いつかない。
ただ焦燥だけが馬鹿みたいに募って、一方通行はそれに急かされるように口を開いた。
「…その『理由』が、知っていて幸せなもンだとは限らねェだろ」
「知っていて…?」
「………忘れていた方がいいことだって、ある」
吐き出して、ギリリと奥歯を噛み締める。
(さっきから、何を言ってやがンだ俺は…!)
違うだろう。記憶とは、そういうものじゃない。
「忘れた方がいいこと、か。…お前にもあるのか、そんな風に思う記憶」
上条は特に不快そうな様子も見せず、少し好奇心にかられたような顔で首を傾げた。
「……ああ、あるな」
「…本当に?」
一瞬息が詰まった。
「……………ああ」
ようやく絞り出したような、格好悪い相槌だ。
「本当に?本当に忘れてしまいたいのか、お前は」
反射的に伏せていた目を上げれば、上条が相変わらずまっすぐにこちらを見ていた。
疑っているという風ではなく、むしろ不思議そうな声だった。うっかりミスを指摘
するような、気負いのないもの。
一方通行は力が抜けて、深々と溜息をついた。
「…いや。忘れちゃならねェし、忘れたくもない」
あの実験。一万三十一人を殺害した、一方通行を今の一方通行たらしめた記憶。
どれほど深く激しく後悔していたとしても、捨てていいものではなく、また捨てるつもりも
なかった。
一生抱えていくべきものだ。なくなってしまえば、真っ直ぐ立てなくなってしまうものだ。
「そうだろ?」
上条は頷く。期待通りの反応だったのか、満足げに笑った。
「……っ」
あまりに自然体の反応に、今までの自分の緊張は何だったのかと、急にものすごくアホ
らしくなった。
「………変なこと言って、悪かったな!!!」
焦燥はそのままムカつきに変わって、最高に的外れなことを口にした居たたまれなさも
手伝い、勢いよくそっぽを向く。
「さっさと忘れろ、この脳天気野郎がァ!!!」
「…………」
しかし上条は一方通行がそっぽを向いた方にわざわざ回り込んで来て、目を合わせた。
「……なンだよ」
観察するような眼差しが居心地悪く、反対側を向けば、またそちらに回り込む。
「…なあ、一方通行」
イラッとして声を荒げようとした絶妙のタイミングで、上条が口を開く。
「ひょっとして今の…慰めようとしてくれたのか?」
「!!!」
ぐ、と息が止まった。
そうなのか?自分はそんな、らしくないことを試みようとしたのか?
自問して答えを出す前に、目の前の顔がひどく嬉しそうに笑み崩れる。
「はは、不器用なヤツだな、お前。…でも、ありがとな」
「………………」
違うと言い張るのも余計に気まずくて、思い切り顔をしかめた。
「そんな顔しなくてもいいだろ」
「うっせェ、地顔だ」
悪態をつけば、上条が軽やかに笑う。
頼りなげだった気配はもうどこにもなくて、このツンツン頭にとってそれはもう乗り越えた
傷なのだろうと悟る。
(理由なンかなくても……か)
上条当麻とは、自分が縋るよすがを丸ごと失っていて、それなのにあれほど真っ直ぐに
走って行くことが出来るのか。
一方通行は、極寒の雪原で自分の幻想を壊した力強さを手元に返す。
「…………俺は…」
気がつけば、微かな声が漏れていた。
聞こえていなくても構わないと思ったのに、上条は「うん」と確かな相槌を打つ。
「…何かが少しでも違っていれば…。例えばお前が実験を止めていなかったなら、打ち止
めを殺していたかもしれないと、考えることがある」
「……!そんなこと、」
「今でも、例えばこの力が暴走したら。…ワケがわかンなくなっちまえば、あのガキを殺し
ちまうかもしれねェ」
自分で思った以上に昏い声音が溢れる。
「一方通行」
叱咤するような声と共に、肩を掴まれた。真冬用のジャケットを通しても、暑苦しい体温
を感じて、気持ちが悪い。
「触ンな」
一方通行は軽く鼻を鳴らして、その日に焼けた手を払った。
そうしたら、その払った手を握り締められる。
「お前はそんなことしない。絶対だ」
「……どうしてそンなこと言える」
「だってお前は戦って来たじゃないか。詳しいことは知らないけど、でもロシアで見たお前
は、あの子を助けたくて苦しんでた。戦ってた。あんなでっかく広げた羽でも、あの子には
掠りもしなかっただろ!」
「…わかったような口を」
「わかる!!!あの時のお前を見て……今のお前と打ち止めを見たら、誰にでもわかる
ことだ!!」
間近に迫った真っ黒の目は、本当に真っ直ぐだ。
握られた手が熱かった。合わさった手から、得体の知れないものが流れ込んで来るよ
うな気がして、目を眇める。
「…………」
一方通行は、忸怩たる思いを噛み締めた。
「……そォだな」
一体、この男に何歩先を行かれているのだろう。
「お前があンな風に…何も確かな理由なンかなくても、あンなに真っ直ぐ立ち向かえるの
なら」
「え……」
上条が、驚いたように目を見開く。
「人がそンな風に生きて行けるのなら、俺も…何もかも忘れちまったとしても、『俺』でいら
れるのかもしれないと思う」
目の前の真っ黒い瞳に、自分の顔が映っていた。自分でも、あまり見たことのない顔を
していた。
「お前と同じように。何を失っても、打ち止めと妹達を守って行くことが、出来るのかもしれ
ねェな」
「一方通行………」
上条は、呆然とした顔で一方通行を見つめた。
いつの間に立ち止まっていたのだったか。夜空にはとっくに星が瞬き、どこにでもあるよ
うな狭い道端で。
「……ああ、そうだな」
不意に、目の前の日に焼けた顔が微笑んだ。
「お前なら、そうだろうな」
いつもの明るい笑顔とは違う、何かを静かに噛み締めるような、深く微かなものだった。
「だから…お前と俺は似てるって、思うんだよ」
例え何も持っていなくても、大切のために盾になる。そういう魂を持っていると。
PM 9:16 黄泉川家 リビング
打ち止め「『今日のあの人』は、コーヒー飲んでる日常的一方通行で決まり!ってミサカ
はミサカはシャッターチャンスを逃さない!」カシャッ ピロリーン
一方通行「…………」ズズー
打ち止め「……あれ?怒らない?ってミサカはミサカはツッコミ待ちだったことを明かし
てみたり…」??
一方通行「…どォせそれ消したってどっかから持ってくンだろォが」ズズー
打ち止め「………」ジー
一方通行「…なンだよ」ズズー
打ち止め「何か今日、ヒーローさんの家から帰ってきた後、ちょっとボンヤリしてない?
ってミサカはミサカは指摘してみる」
一方通行「……気のせいだろ」ズズー
番外個体「いーや違うね!ボンヤリしてるね!」ヒョイ
一方通行「急に出て来ンな」ズズー
番外個体「してるったらしてる!間違いないっつーの。な、な、な、な、な、何か、あ、あ、
あ、あったのかな!?!!?」
一方通行「はァ?何て?」
打ち止め「………」ジーッ
番外個体「だからァ、今日上条当麻の家で鍋なんかやったんでしょ!?その時に…っ」
番外個体(あっ)ピキーン
番外個体(やべェ、MNWから何かスゲー受信してる!!!)ウズッ
番外個体(上位個体と一方通行ばっかりあの人の家で鍋とかズルイズルイズルすごい
楽しそうで結局質問も全部答えて貰ってないしズルイズルイいやミサカはそ
んなこと思ってないんだけどああああああすごい数、数の暴力であああああ
ああああああ)ウズウズウズ
番外個体「うあああああ!!!」モウダメー
番外個体「一方通行ばっかり上条当麻と話してズルイんじゃないのぉおお!?!?」
一方通行「」
打ち止め「えっ?」キョトン
打ち止め(あ、そっかー。下位個体達の嫉妬の気持ちが番外個体に行っちゃったんだ
ね、って突然の叫び声に理由を見つけて納得してみたり)ウン
番外個体「ズルイズルイズルイ!ミサカだって上条当麻に会いたいのにっていやいや
だからこのミサカはあんなウニ興味ねーって!!」ブンブン
一方通行「………」イラァ
一方通行「おい番外個体」
番外個体「へ、へっ?何かな!?勘違いしないでよね、ミサカは上条当麻なんてホント
興味ねーから!」ブンブン
一方通行「……まァ、オマエも妹達の一員だしなァ、アイツに興味持つのも自然かもし
ンねェが」
番外個体「だ、だからぁ!今のはMNWから…」
一方通行「……色気付くのはちょっと早いンじゃないですかァ?」ブゼン
番外個体「えっ………」
芳川「」ブフッ
黄泉川「」ブファッ
打ち止め「わ、笑っちゃダメだよヨシカワ、ヨミカワ!ってミサカはミサカはまるで思春期
の娘を持ったお父さんみたいなあなたをフォローしてみたり」
一方通行「誰がお父さンだァ!!」ギロリ
番外個体「…………ふゥ~ん…?」ニヤァ
一方通行「なンだそのニヤケ面は。下品だからやめろ」
番外個体「なぁに?第一位ってば焼きもち?上条当麻に焼きもち焼いてんのぉ?」ニヤニヤ
一方通行「はァ?寝言は寝て言え。オマエなンかに付き合わされるアイツが気の毒にな
っただけだっつゥの」チッ
番外個体「へぇ~~~?」ニヤニヤニヤ
打ち止め「oh……思ったよりも不機嫌そう…ってミサカはミサカは将来彼氏が出来た時
のことが心配になってきたり…」
一方通行「か、彼氏ィ!?!?」ガタガタガタッ
芳川「」ブフッ
黄泉川「」ブファッ
番外個体「必死wwwwすぎるだろwwwwwwwww」ゲラゲラゲラ
一方通行「」ハッ ストン
番外個体「今更www取り繕えませんよwwww」ゲヒャヒャヒャ
打ち止め「しょ、将来の話だよ!ってミサカはミサカは、彼氏が出来てもでもずっとあな
たが一番だよって胸を張って宣言してみたり!」アセアセ
一方通行「そンなもン必要ねェだろ………」チッ
打ち止め「えっ!?必要性の問題!?!?」
一方通行「………………最低でも俺より強くないと許さねェ」ボソッ
打ち止め「無茶振りキターーーー!!ってミサカはミサカは!!!!!!」
芳川「あらあら大変ねぇ」クスクスクス
黄泉川「打ち止め、頑張るじゃん!!」アハハハハ
打ち止め「い、いいもん!ミサカはあなたに彼女になってもらうもん!ってミサカはミサカ
は名案を思いついてみたり!」ピコーン
一方通行「何を言ってンだオマエは」ハァ…
番外個体「はぁああ!?何言ってんのこのチビガキは!!」ビキビキ
アクセラレータハ ミサカノダモンー!!
ウルセェチビガキーーー!!
ウルセェノハ オマエダーー!!
黄泉川家は今日も平和です。
次は金曜か土曜かな
また読んでもらえたら嬉しいです
20巻読み返してたらエリザリーナ独立帝国の兵士に最初タメ口で話しかけられてたのに
スパイ速攻全滅させてせいかすぐ敬語で話しかけられるようになる一方通行マジカッケー
と思いました(作文)
PM 3:40 ミサカネットワーク内
1.【実況】なんか白い二人が暗号言い合ってんだけど【上条の家から】(1)NEW
2.お前ら最近ハマってることって何?(239)
3.【協力求む】あの人とヒーローさんをいいかんじにさせたいんだが24(732)
4.今日の上条214(651)
・
・
・
・
【実況】なんか白い二人が暗号言い合ってんだけど【上条の家から】(68)
1 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします ID:Misaka10032
今上条んちに上位個体と来てるんだけどさー
白モヤシと白シスターが謎の言語で会話してんだけど何?(゚Д゚)
2 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします ID:Misaka14510
知らねぇーーよ!!
お前ばっかり一方通行さんと一緒に居てズルイ!!
3 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします ID:Misaka14819
スレ終わらすなwww>>2
上条んち?でも上条学校あるんじゃねーの?>>1
4 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします ID:Misaka10032
うん 今は上条いない>>3
留守番してる白シスターと遊んでるだけ
5 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします ID:Misaka17182
あー そういやよく遊びに行ってるって言ってたな
上条がいないんならツマんなくね?
6 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします ID:Misaka10032
そうでもない
シスター結構いいやつだよ アホみたいに大食いだけど
上位個体とかスゲー仲良くなってるし
7 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします ID:Misaka10718
へぇー
えーとさ…水差すみたいで悪いんだが、俺らのことって…
8 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします ID:Misaka10032
あークローンだってこと?
すげぇ無邪気に「らすとおーだーとくーるびゅーてぃーは短髪の兄弟
なの?ものすごくソックリなんだよ!」って言われたから話した
9 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします ID:Misaka11839
ま マジか
何だって?
10 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします ID:Misaka10032
「たいさいぼーくろーん?????????
えっと…つまりすっごく似てるけど別の人間ってことだよね?
わかったんだよ!」
だってさ
11 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします ID:Misaka13662
おいwwwwwわかってんのかそれwwwwwww
12 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします ID:Misaka18020
間違っちゃいないけどwwwww
13 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします ID:Misaka12810
ワロタwwwww
14 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします ID:Misaka16183
割と心配した気持ちを返せwwww
15 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします ID:Misaka19090
うん シスターいいやつだな!
心配といえば、その場に一方通行いたの?
一方通行のが心配しそうじゃね?
16 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします ID:Misaka10032
よくわかってんなお前>>15
上位個体と俺が白シスターに俺らのこと話してる時の一方通行
http://www.misaloda/moyashi-23.jpg
17 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします ID:Misaka12180
すwwげぇwwww見てるwwwwwww
18 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします ID:Misaka19981
おいwwwww
ぜってーテレビ見てねーだろセロリwww
潔く顔こっちに向けろよwwww
19 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします ID:Misaka10032
いやでもこれ、すっげーチラ見だったんだよww
これやっとのことでこっち見てるとこ撮ったんだぜwwwwww
20 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします ID:Misaka12211
ワロタwwww
過保護かwwwww
21 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします ID:Misaka11820
まぁ過保護なのは知ってたけどさぁwwww
22 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします ID:Misaka10032
このいかにも「俺には関係ねェ話だから気にしてませんけど何か?」
って顔がまた笑えるよなwww
http://www.misaloda/moyashi-19.jpg
23 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします ID:Misaka17100
必要以上に真顔だなオイwwwwイケメンwww女だけどwwww
24 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします ID:Misaka14510
きゃーー!!!一方通行さんカッコイーーー!!!!(n'∀')η
25 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします ID:Misaka13577
カッコイイカナー?(゚Д゚) まぁ顔は整ってるよな普通にしてれば
※普通にしてれば※
そういやお前、ちょっと前に一方通行が女だってわかってキョドってた
けど、もう気にしてないのか?ww>>24
26 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします ID:Misaka14510
あー 一方通行さんが女の人だったなんて!!俺と恋人になれる
確率0%になっちゃった!!!!
ってショックを受けたんだけど
よく考えてみたら元々恋人になれる可能性とか0%の俺に死角は
なかった(キリッ
27 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします ID:Misaka12199
(´;ω;`) ブワッ
28 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします ID:Misaka10039
14510号ェ……
29 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします ID:Misaka14510
あと俺は一方通行さんの生き方に惚れているので
あんなに必死になって上位個体や俺らを守ってくれた一方通行さんが
俺と同じ女だったんなんてますます尊敬する
一方通行さんマジかっこいい
30 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします ID:Misaka18192
まぁな…………
31 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします ID:Misaka16001
正面切って否定する気はねーけど
なんつーかwwww
32 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします ID:Misaka10032
上条の方がかっこいいもん!!!!!
俺のこと助けてくれたし優しいし!!!!
33 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします ID:Misaka17119
だよなー
上条のがなんつーか 正統派?
34 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします ID:Misaka19382
けどさ 上条って何考えてるかわかんなくね?
俺は今だったら困ったことあれば一方通行に言うわ
アイツはしかめっ面だけど結構わかりやすいし
35 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします ID:Misaka13003
上条ディスってんのかコラ!!!!俺らの大恩人だぞ!?!?
36 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします ID:Misaka19382
いやいやいやそんなつもりじゃないゴメン>>35
もちろん俺も上条には感謝してるよ
ただ今となっちゃ結構距離感あるくね?って言いたかった
一方通行のが安心感あるっていうか
37 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします ID:Misaka10098
言いたいことはわからんでもない>>36
38 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします ID:Misaka10032
距離なんか関係なく助けてくれるのが上条
39 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします ID:Misaka12011
全面的に同意>>38
40 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします ID:Misaka10519
確かにそうかもな
41 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします ID:Misaka19090
上条優しいよな
でも一方通行も優しいと思う ちょっと怖いけど
兄弟いたらあんなかんじかなー
42 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします ID:Misaka11220
俺は上条がお兄ちゃんがいいな!!!
・
・
・
・
245 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします ID:Misaka14889
そういやなんか聞きたいことあるんじゃなかったのか?>>1
246 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします ID:Misaka10032
あ そうだった 完全に忘れてたわwwww
白モヤシと白シスターが暗号で会話してんだけど何コレ???
こないだからたまに言ってんだけど
247 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします ID:Misaka10382
本人に聞けよwwwww
248 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします ID:Misaka10032
わざわざ聞くなんてまるで俺がモヤシのこと気にしてるみたいじゃん
249 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします ID:Misaka18211
みたいてwwwww
250 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします ID:Misaka12010
前から思ってたがもう素直になれよお前(・∀・)
251 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします ID:Misaka10032
アーアー(∩゚д゚)キコエナーイ
こんなのなんだけどさー
モヤシ「e4」
シスター「c5」
モヤシ「Nc3」
シスター「Nc6」
モヤシ「g3」
シスター「g6」
252 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします ID:Misaka12401
確かに暗号だなwww
253 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします ID:Misaka17812
ああ わかった
二人がやってんのはチェスだよ
とチェスの本場イギリス在住のミサカが答えます
254 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします ID:Misaka10032
何だその自己主張wwww>>253
教えてくれてありがとな!!
でもチェスってあれだろ?白黒の駒使ってやるやつ
二人とも何も持ってないんだけど
255 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします ID:Misaka17812
チェスに限らず、互いの対局者が行った手を順番に記入した記録を
棋譜って言うんだが
その棋譜の記録方法を利用して自分の駒の動きを表現することで
実際にチェス盤が無くても対戦することはできるよ
もちろん自分と相手の駒の配置と駒の動きを全部覚えられなきゃ
ダメだけどなwww無理ぽwwww
256 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします ID:Misaka10032
無理ゲーwwwww
しかし確かにモヤシとシスターにはそれぐらい朝飯前だろうな
257 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします ID:Misaka17812
棋譜の記入方法はこんなかんじ
・駒の動きは「駒」+「移動させる場所」で表現されてる
・場所の表現方法は、白を手前にして、チェスボードの左下のマス(a1)
を基点として
横方向(→)に a、b、c、d、e、f、g、h
縦方向(↑)に 1、2、3、4、5、6、7、8
・駒は K=キング Q=クイーン R=ルーク B=ビショップ N=ナイト
P=ポーン(通例、Pは省略される)
つまり二人の対戦はこんな様子
「e4=白(一方通行)はポーンをe4(盤の左から5番目、下から4番目)
へ移動させた」
「c5=黒(インデックス)はポーンをc5へ移動させた」
「Nc3=白(一方通行)はナイトをc3へ移動させた」
258 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします ID:Misaka10032
(mー_ー)m.。o○ zZZZ
259 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします ID:Misaka12900
(。-ω-)zzz. . . (。゚ω゚) ハッ!ネテタ
260 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします ID:Misaka17812
オイコラwwww人に解説させといてwwww
261 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします ID:Misaka10032
冗談冗談 イッツミサカジョークHAHAHA
ふーん チェスやってたのかー二人とも
どおりでなんか楽しそうな顔してると思った
http://www.misaloda/index-5.jpg
262 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします ID:Misaka17812
おお シスターの食事風景以外初めて見た
そういやシスターって英国人だったよな
チェス好きなのかな?ちょっと親近感!
263 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします ID:Misaka14510
一方通行さんは!?!?!
一方通行さんの楽しそうな顔見たい!!!!!!
264 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします ID:Misaka10032
えーとモヤシはなー…
いてぇえええ!!!!!チョップされた!!!
265 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします ID:Misaka13199
何でwwwwwwww
266 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします ID:Misaka10032
後ろにモヤシがいたから振り返ったらゴーグルがモヤシの側頭部を
直撃して怒られた
ああああ!!!!ゴーグル取り上げられた!!!分解された!!!
267 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします ID:Misaka18391
分解てwwwつか何で振り返っただけで当たるんだよww
268 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします ID:Misaka14889
あー俺わかった
お前一方通行の背中を背もたれにして座ってたんだろ?>>266
こないだ上位個体がやってんの見て羨ましそうにしてたもんな
269 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします ID:Misaka10032
お前はスネークか 見てんのか>>268
別に羨ましそうになんてしてねーし!
270 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします ID:Misaka16300
そういや運営は何してんの?
セロリの話題で出てこないなんて珍しいな
271 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします ID:Misaka10032
上位個体は今モヤシの膝枕で昼寝なう
http://www.misaloda/yojo-6.jpg
272 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします ID:Misaka14510
うらやましいいいいいい
俺も一方通行さんの白くて細い手でなでなでされたい!!!!
273 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします ID:Misaka12300
普段運営に撫でてってねだられても無視するクセに
こういう時だけ素直だなwwwww>>271
274 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします ID:Misaka18100
運営の寝顔幸せそうすぎるだろ
275 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします ID:MisakaXXXXX
ちょっとおおおお最終信号!!!!!
寝てんじゃねぇ!!起きろぉおおおおおお!!!!!!
276 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします ID:Misaka14889
おや末っ子 どうしたんだ?
277 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします ID:MisakaXXXXX
末っ子言うな!!!!
変態が、変態があの人のパンツを盗もうと!!!!!!
ぐぬぬ レベル2のクセにミサカの鉄釘が当たらないってどういうこと!?
278 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします ID:Misaka13410
声出してワロタ
279 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします ID:Misaka11992
珍しく見かけねぇと思ったらwwwwwww
280 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします ID:Misaka12819
変態さすが変態
281 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします ID:Misaka13910
ミサカ達はネットワークで繋がってるからな~
末っ子の攻撃先読みしようと思えば出来るよなwww
頑張れ末っ子www
282 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします ID:MisakaXXXXX
くっ 当たらな… パンツが!!あの人のパンツがぁあ!!!
おらぁああ!!!起きろチビガキィイイイイイ!!!!!
・
・
・
・
PM 5:40 第七学区 学生寮 上条当麻の部屋
一方通行「Kh1」
禁書目録「Rb8」
一方通行「……チッ」
禁書目録「降参かな?」
一方通行「…あァ。42手目にチェックされるな」
禁書目録「その手もあるけどそれは1985年Pavel Blatny VS Simen Agdesteinの棋譜かも。
私は34手目にチェックメイトするんだよ」
一方通行「チ、また既存の棋譜通りか。しかも読み違えるしよォ」ガリガリ
禁書目録「私は少なくとも400年分くらいのチェスプレイヤーの棋譜は読んだからね。いくら
あくせられーたでもチェスの歴史が相手じゃ分が悪いかも」フフン
一方通行「フン、言ってろ。…12手目のクイーンはデコイかァ?まだ引っかかっちまうな」
禁書目録「そうだよ!でももう五回に一回は負けちゃうかも。始めてまだ一ヶ月くらいなのに、
あくせられーたはすごいんだよ」ワクワク
一方通行「まァだ勝手掴んでねェよ。ボードゲームってのは今までやって来てねェジャンル
だからな」
禁書目録「初心者にしちゃあえりない強さなんだよ…。私ももっともっと色んな棋譜読んで
勉強するんだよ!」フンス
一方通行「ンだコラ負けねーぞ。今に俺の方が強くなるぜ」フン
禁書目録「私だってまだまだ負けないかも!……でも、あくせられーたが色んな人の棋譜
を読んで勉強したら、さすがに敵わないんだよ。どうしてそうしないの?」
一方通行「別に今すぐ勝たなきゃ死ぬってワケでもねェからな。自分で考えてェンだよ」
禁書目録「……………」
一方通行(負けてもいい勝負、か……。生まれて初めてだな、こンなの)
禁書目録「…あくせられーたは優しいんだね」ニコ
一方通行「………バカ言ってンじゃねェよ。そンなワケねェだろ」フイ
禁書目録「どうして?あくせられーたは優しいよ。私とチェスを楽しんでくれるもの」
一方通行「……俺は…………」
10032号「………」
打ち止め「…………」スゥスゥ
一方通行「……………」
10032号(ハラハラ…とミサカは成り行きを見守ります)
一方通行「……何でもねェよ」チッ
一方通行(何考えてる…。何を話そうとしたンだ、俺は……)
禁書目録「あくせられーた」
一方通行「…ンだよ」
禁書目録「私が知っているのは確かにあくせられーたの一部かもしれないけど、でもその
一部だって確かにあくせられーたなんだよ」
一方通行「……………」
禁書目録「私が知ってる優しいあくせられーたを、否定しないでほしいかも」
一方通行「……優しい、ね」フン
禁書目録「あなたは、あなたであればいい。ただあなたがあなたを抱えきれなくなったなら、
私があなたを支えましょう」
禁書目録「なんだよ!」ニコッ
一方通行「……はッ、そォいやオマエ、シスターなンだったな」
禁書目録「あくせられーたが話したくなったら、私はいつだって耳を傾けるんだよ」
一方通行「……余計な世話だ」
10032号「………」ホッ
10032号(とミサカは緊張が緩んだ雰囲気に胸を撫で下ろします。急にシリアスになるんじゃ
ねぇよこの白モヤシ……)
打ち止め「………」ホッ
一方通行「オマエもいつまで狸寝入りしてンだ」ビシッ
打ち止め「あぅ!バレてたの!?ってミサカはミサカはそれでもあなたの膝を譲らない!」ギュッ
一方通行「いい加減足が痺れて来たンですけどォ」
10032号「マジで?とミサカは指をワキワキします」ワキワキ
一方通行「ヤメロ外道が。ゴーグル直してやンねェぞ」
10032号「ちょっ!お前が分解したんだろ!とミサカは慌てます。ミサカのアイデンティティが!」
一方通行「じゃあせっかくだから改造してやるわ。俺のすべてをかけて」
10032号「やめてェえ!!何か羽とか十字架とかドクロとかのモチーフ入れるのやめてェええ!
とミサカはモヤシの中二センスを恐れます!!」
一方通行「ケンカ売ってンのかコラァ」
ガチャガチャ
禁書目録「あっ!とうまだー!」タタタタ
10032号「上条帰ってキタコレ!!とミサカは玄関まで出迎えます!!」タタタタ
打ち止め「おかえりなさーい!ってミサカはミサカはお出迎え!」トテテテ
上条「おー、ただいま。なんだ、上条さん家族総出で迎えられた気分だなー」ハハハ
10032号「ならばこのミサカは妻ですねキリッ。お邪魔してます。とミサカは礼儀正しく挨拶します」
打ち止め「あの人と一緒におじゃましてます!ってミサカはミサカはあの人の分まで挨拶してみ
たり!」
上条「おおいらっしゃい」
禁書目録「今日もみんなが遊びに来てくれたから、すごく楽しかったんだよ!」
上条「そっか、よかったな。前はスフィンクスしか遊び相手いなかったもんな」ナデナデ
スフィンクス「にゃーー」
打ち止め「『最近はお嬢さん達が遊びに来てくれるから俺は楽なもんだぜ』って言ってる気がする
ってミサカはミサカは的確に推測してみたり」
上条「一方通行、いつも悪いな」
一方通行「別にィ」
禁書目録「とうまとうまー、お腹すいたんだよ」
上条「はいはい。こないだジャガイモと牛肉安かったからな、今日は肉じゃがに…ってアレ!?
下ごしらえしてある!!!」
打ち止め「あっ、それはあの人がやってたよ!ってミサカはミサカはすかさず報告してみる!」
上条「お、マジか?ありがとな!助かったわー」キラキラ
一方通行「…まァ、材料からその辺だろって予想出来たからな」
禁書目録「とうま、早く早く!もう我慢できないかも!」グーキュルルッル
上条「はいはい!少しは我慢を覚えなさい!」
打ち止め「シスターさん、ミサカとマリカーして待ってよ?ってミサカはミサカは宥めてみたり」
禁書目録「!いいよ?らすとおーだーには負けないんだよ!」タタタ
打ち止め「ミサカだって負けないもんねー!ってミサカはミサカはテレサを極める!」キリッ
上条「なぁ一方通行、手伝ってくれよ」
一方通行「チッ、仕方ねェなァ」スタスタ
10032号(賑やかだなー。とミサカは狭い部屋で雑誌を読みます)ペラペラ
Be3。Nd4。Kh2。b5。Qd2。b5。
インデックスと一方通行が、交互に短い単語を繰り返す。
(…相変わらず何がどうなってんのか全然わかんねぇけど)
上条は、担任の先生からドッサリ出された課題を片付けながら、チラリを顔を上げた。
(楽しそうだな)
インデックスも一方通行も、座り込んで軽く目を閉じている。インデックスは膝を抱えて、一方
通行は胡坐をかいて頬杖をついて。細い膝の上には、夕飯を食べて眠くなってしまったらしい
打ち止めが寝息を漏らしていた。
時折、白く細い指が、手癖のように柔らかな茶色の髪を梳く。
ミサカ10032号は、持参したらしいファッション雑誌を捲りながら、時折スフィンクスにちょっか
いを出しては嫌がられていた。
(しっかし、インデックスがこんなにチェス好きだとは)
穏やかな横顔は知的にすら見えて、少しおかしい。いや、別に彼女の頭が悪いと思ったこと
はないのだけれど、いつも賑やかなので意外だ。
(一方通行も、ゲームなんてするんだなー…)
ちらりと目を向けても、いつもなら睨み返されるのに、一方通行は目蓋を下ろしたままだった。
長く白い睫毛は白い頬に柔らかな影を落とし、華奢過ぎる身体つきの印象もあって、ひどく
儚げに見える。
(いやいやいやいや)
何回か殺されかけましたけどね、うん。
Nd1。Bd7。Bf2。Nec6。Nh4。f5。
鈴を振るような可憐な声と、少し掠れた滑らかな声が、重なって連なっていく。きれいな和音
みたいだな、と上条は思った。いつまでも聞いていたい。
凄んでないで、普段からこんな風に話せばいいのになぁ、と考えて、ふと目を瞬く。
『お前と同じように。何を失っても、打ち止めと妹達を守って行くことが、出来るのかもしれ
ねェな』
一月ほど前の年の瀬の、ある夜の記憶。
あの時の声に、少し似ているかもしれない。どうしてか理由はわからないけれど、上条は
あの時の一方通行の顔を何度も手元に返してしまうのだった。
「……………」
ぼんやりと白く細い輪郭を眺めていると、不意に赤い目がこちらを見た。何の気なしに見た
のだろう眼差しはひどく素直で、ドキリと心臓が跳ねる。
「……ンだよ」
先日までは常にやぶ睨み状態だった目付きが、このところ少しだけ和らいだ気がするけれ
ども、どうだろう。
「あ、ああ。うん、そうそう、そうだ。あのさ」
インデックスも目を開けて不思議そうにこちらを見ていて、邪魔をしてしまったような、申し訳
ない気持ちになってきた。
(あー…どうだろ、やっぱり余計だったかも)
上条はカバンの中を漁って目的の物を取り出しながらも、やっぱり引っ込めたくなって来る。
「おや、それはチェスの…駒とボード?ですか?とミサカはあなたの手元を覗き込みます」
「!!」
ひょいとミサカ10032号が無邪気な仕草で手元を覗き込んでいて、引っ込めるに引っ込めな
くなってしまった。
「え、チェスセット!?!?」
インデックスが耳と尻尾を立てた子犬のように反応し、一方通行も瞬きをせずにこちらを見
詰める。
「あー……そんな期待されるようなもんじゃないんだけど」
ゲームを買うというクラスメートと一緒に寄った、玩具屋の隅で見つけたチェスセット。
本格的な物とは遠いプラスティック製の、オモチャに近い安物だった。口頭だけで対戦する
インデックスと一方通行が思い浮かんで、つい購入したけれど。
考えてみればインデックスはチェスに随分詳しいようだし、一方通行も学園都市第一位の
財力を持て余しているような状況。
こんなチャチな安物なんか、使わない方がマシなのではないか、と今更ながらに思い至って
恥ずかしくなってきた。
「えーと…これなんだけどさ。二人にどうかなって。でも元々二人とも必要ないみたいだし、
無理して使わなくったっていいんだぞ?すごい安いし、つい買っちゃっただけで」
包装すらしていないで剥きだしの箱のまま、言い訳がましくオズオズと差し出すと、気が付
けばすでにインデックスの小さな手に箱が掲げられていた。
「ふおおおお!!!ホントにチェスセットなんだよぉおおお!!!!」
天に差し出すように高々と掲げたあと胸に抱いてクルクルと三回転し、まるで好物に襲い掛
かるような勢いで包みを開けていく。
「ふぉおお、駒だ!ボードだ!白い!黒い!ねぇ、見て見てあくせられーた!!」
あっという間にテーブルの上へ白と黒の駒が散らばり、インデックスは大きな碧眼をキラキ
ラと輝かせて両手に駒を握り締める。
「………ふゥン…」
一方通行は、細い指で白のキングを手に取った。
掌に馴染ませるようにくるり、くるり、と回転させて弄び、マジマジと駒を眺める。安っぽく作り
の甘い駒は、やはり不似合いだったけれど、白のキングは居場所を見つけたかのように一方
通行の手の中に納まった。
「とうま、ありがとう!すっごく、すっごく嬉しいんだよ!!」
インデックスは喜色満面の、全開の笑顔で上条に飛びついて来る。
「ぅお、っと…。はは、お前が食べ物以外でそんなに喜んでるの、初めて見たよ」
「むっ、失礼かも!!」
暴れる少女をいなしながら、上条はおずおずと一方通行の顔を見る。
飽きずに安っぽい白い駒を眺めていた学園都市第一位は、視線に気付いて、数度目を瞬か
せた。
「……まァ、使ってやるよ。ありがたく思え、三下ァ」
薄く整った唇の端が、少しだけ緩んでいる。
上条は、ゆっくり笑み崩れた。
PM 11:00 黄泉川家 一方通行の部屋
一方通行の携帯<オーイアクセラレータ、デンワダゾー ッテラストオーダー、コレデイイノ?
一方通行「!?」ビクッ
一方通行(ったくあのクソガキ、何してやがる……)ピッ
一方通行「……何の用だ」
『久しぶりだな一方通行。元気にしてたか?』
一方通行「オマエの知ったことじゃねェよ。…土御門」
土御門『何だ、久しぶりなのに冷たいヤツだ。ちゃんと食べてるのか。偏食は感心しないぞ』
一方通行「だァから何で誰もかれも俺が偏食だって知ってンだよ」
土御門『そりゃお前、見ればわかるだろ』
一方通行「うるせェ、関係ねェだろ。……何の用だって聞いてンだよ」
土御門『だいたい検討はついてるだろう?だから俺の番号を着信拒否にしてなかったんだ
ろうし』
一方通行「…………」
土御門『安心しろ、俺は借りたモノは返す。褒美だろうが何だろうが…本当に舞夏に付いて
た監視の目は外れたからな』
一方通行「オマエみたいな小物に恩を売った覚えはねェな」
土御門『そう言うな。情報については、お前よりも色々な物を握ってるぜ』
一方通行「……何か動きがあったか」
土御門『多少な。第三次世界大戦以来、魔術サイドの三大宗派はある程度のバランスを
保って小康状態だったし、学園都市の上層部も様子見の段だったが…』
一方通行「動きがあるのはどっちだ」
土御門『…まだ確証は持てない。もう少し探ってみてからだ。今日は忠告だ。しばらくは気
を付けろ』
一方通行「忠告ねェ。ありがたいこって」ハッ
土御門『……ところで一方通行。お前最近、上条当麻と会っているだろう』
一方通行「それがどォした」
土御門『上条とお前じゃ、住む世界が違うと思うが』
一方通行「………あァ」
土御門『…一方通行?』
一方通行「…そォだな。俺もそォ思う」
土御門『………おい』
一方通行「あァ?」
土御門『…別に責めてるわけじゃない。何もそんなに落ち込まなくてもいいだろう』
一方通行「誰が落ち込ンでンだ、アホか」
土御門『えっ』
土御門(あんな声出しといて、自覚ない…だと?)
一方通行「?」
土御門『………いや…何でもない。また動きがあったら連絡する』ピッ
土御門(あるェ~~?今の一方通行の声…あるぇ~~~?どういうアレだにゃ~…??)
土御門(まさか上やん病は男にも効くのかにゃー!俺も油断出来んぜよ、舞夏ー!!)
この微妙な距離感いいねぇ
少しずつ進展していくのが楽しみだわ
PM 4:45 第七学区 学生寮 上条当麻の部屋
禁書目録「………」コトン
一方通行「………」コトン
打ち止め「ん~…」ムニャムニャ スゥスゥ
禁書目録「………」コトン
一方通行「………」コトン ナデナデ
打ち止め「…………」スゥスゥ ニヘー
禁書目録「チェックメイト」コトン
一方通行「あァ」
禁書目録「私の勝ちなんだよ」フンス
一方通行「だな」チッ
禁書目録「……途中でリザインしなかったんだね。30手目くらいで、結果は予想してたでしょ?」
一方通行「ン…ヒューマンエラーに期待したンだがよォ」
禁書目録「ふーん?」クスッ
一方通行「…なンだ」
禁書目録「あくせられーたは、私が棋譜の記憶違いするなんて無いってわかってるんだよ。実際に、
二週間前までは負けるってわかった時点でリザインしてたかも」
一方通行「だからァ?」ガリガリ
禁書目録「とうまがこのチェスセットくれてから、あくせられーたはあんまり早めにリザインしなくなった
んだよ」ニコ
一方通行「………たまたまだろ」
禁書目録「そんなことないんだよ。私もあくせられーたの気持ちわかるかも。…こうやってチェス盤に
駒を置いて、移動させて、局面が変わっていくを見るのはとても楽しいんだよ」
一方通行「勝手にわかった気にならないでくださァい」
禁書目録「もう。あくせられーたって素直じゃないかも!」
一方通行「よく言われますゥ」スクッ スタスタ
禁書目録「…ど、どうしたの?もう一回しないのかな?」アタフタ
一方通行「コーヒー」スタスタ
禁書目録「あ…そ、そっかー。私も紅茶飲もうかな?」ホッ
一方通行「勝手に飲め」ゴソゴソ
禁書目録「勝手にするんだよー」ゴソゴソ
一方通行「………あ、インスタントコーヒーがもうねェし。買い置きは?」
禁書目録「え?ここに…あ、ない。とうまがたまたま買い置きし忘れちゃってたみたいなんだよ」
一方通行「チッ。使えねェ三下さンですねェ」
禁書目録「確かに、気が利かないかも」ウン
PM 5:03 第七学区 小型スーパー
上条(………何か理不尽なことを言われている気がしますよ…)ハァ
上条(どうせインデックスと一方通行だろうなー。あいつら最近妙に仲良いからな)
上条(チェスやってると間に入れないし…いや、楽しそうですごく微笑ましいんだけど)ウン
上条(それにチェスしてる時の一方通行は…すごく、なんていうか…ちょっと無防備っていうか…)
上条(眺めてんのは嫌いじゃないかな、うん…)
上条(……………)ボー
上条(あ、豚バラ安い。今日は回鍋肉にしようかな)
PM 5:10 第七学区 学生寮 上条当麻の部屋 台所
禁書目録「…あ!そういえば、コーヒー豆ならあった気がするかも!」ポム ゴソゴソ
一方通行「豆ェ?ここンちコーヒーメーカーないだろ」
禁書目録「うん、だからせっかく福引で当たったのに飲めなくて『不幸だー!』ってとうまが言ってた
んだよ。……あ、あったあった」トン
一方通行「ホントに豆だなァ。一応、焙煎はしてあるのか」ギュムギュム
禁書目録「そうみたいだね。でもコーヒーミルもないし、フィルターもないし、封も開けてないよ。…
ごめんね、出したはいいけど結局飲めなかったら意味ないかも」シュン
一方通行「ふゥン………」ジッ
禁書目録「あくせられーた?」
一方通行「よォするに、豆を粉砕すりゃいいンだろ」カチッ
パーーン
打ち止め「ひゃうっ!?」ビクーン
打ち止め「な、なにごとなのかな!?ってミサカはミサカは跳ね起きて台所に突進してみたり!」
一方通行「……加減間違えた」パラパラ
禁書目録「台所がコーヒー塗れなんだよ……」パラパラ
打ち止め「な、何してるのぉおお!?ってミサカはミサカはコーヒーの粉塗れのあなた達にビックリ
仰天!!!」
一方通行「なンだ起きたのかクソガキ」トンッ サラサラサラ
打ち止め「おおおおこんなに散らばった粉があっという間に袋の中に戻ってる!!ってミサカはミ
サカは目を丸くしてみたり…!」
禁書目録「oh……so fantastic!」キラキラ
打ち止め「でも埃とか入ってないの?ってミサカはミサカはそのままコーヒーの粉をカップに注ぐあ
なたが心配になってみたり。あなたお腹弱いでしょ?」
一方通行「そンなモン除けたに決まってンだろ。…よし、後は湯を入れればいいワケだ」コポポポ
打ち止め「な、なんだってー!!蛇口からあなたの指を伝った水が、お湯になってカップの中に!
ってミサカはミサカは反則なあなたに今更ながら驚きを隠せない……」ポカーン
打ち止め「(ハッ)ちょっとあなた!何でも能力ばっかり使うのダメってこないだヒーローさんに言わ
れたばっかでしょ!?ってミサカはミサカは告げ口を匂わせてみる!」
一方通行「なンで知ってンだよ……」ゲンナリ
打ち止め「そんなの直接聞いたからに決まっています。『なぁ、打ち止めも一方通行が心配だよ
な?』ってあんな顔で言われたら協力するのもやぶさかではない」キリッ
一方通行(…あンな顔ってどンな顔だ……?)
一方通行「うっせェなァ…オマエ、前に家庭的な俺が見たいって言ってたじゃねェか」
打ち止め「ミサカが言ったのは、こんな一家に一台便利家電的なあなたのことじゃないよ!?
ってミサカはミサカは大いなる誤解を訂正してみたり!」ガビーン
一方通行「はいはい」スッ
禁書目録「ちょっ、ちょっとあくせられーた!コップの中にコーヒーの粉を直接入れたら、こなこな
して飲めないんだよ!インスタントコーヒーじゃないから溶けないよ!?」アワワワ
一方通行「大丈夫ですゥ」ズズー
禁書目録「ああああ!!粉っぽいんだよ!?!?」
一方通行「……ン、味が濃くてイイ」ズズー
禁書目録「………あれ????」コナッポクナイノ?
打ち止め「…能力使って、粉が口の中に入って来ないようにしてるんだよ、ってミサカはミサカは
さすがにちょっと呆れてみたり…」ハァ
禁書目録「おお、便利なんだよ」
打ち止め「でも女子としてこういうコーヒーの飲み方はどうよ!!!大雑把過ぎるってレベルじゃ
ねーぞ!!って妹達一同からツッコミ入ってるなう」アホゲピーン
一方通行「大きなお世話だ」ズズー
ガチャガチャ
上条「だたいまー!うーさむさむ!」
禁書目録「とうまー、おかえり!」タタタタ
打ち止め「おかえりなさーいお邪魔してまーす!ってミサカはミサカはもはや恒例の挨拶をして
みたり!」
上条「おー、いらっしゃい。あれ、今日は御坂妹は来てないのか?」
打ち止め「10032号は今日は調整日なの、ってミサカはミサカは10032号もすごく来たがってた
ことをお伝えしてみる」
上条「またいつでも来いって言っておいてくれよ」ニコ
打ち止め「うん!!」ニコッ
上条「…ん?コーヒーの匂い?……あ!そういやコーヒー切らしてなかった!?もしかして
新しいの買ってきたのか、一方通行!?」
一方通行「いや。ここンちにあった豆使った」
禁書目録「ほらとうま、一ヶ月くらい前に商店街の福引でコーヒー豆当たったでしょ?」
上条「ああ、あれ…。ってちょっと待てよ。ウチにはコーヒーメーカーなんてないんですけど、
お前どうやって……」
一方通行「…………」フイ ズズー
上条「……おい、一方通行」
一方通行「…オマエも飲むか?」ズイ
上条「えっ」
一方通行「寒かったンだろ、外」
禁書目録「そっか、さっき入れたばっかだからまだ熱いよね、そのコーヒー。…あ、そろ
そろお湯が沸くんだよ」タタタ
上条「えっ…」
打ち止め(そんなことより、自分の飲みかけを差し出すあなたにドキドキが止まらない!
ってミサカはミサカはちょっと戸惑ってるヒーローさんをガン見してみたり!)ジッ
上条「じゃ、じゃあ…貰おうかな」スッ
一方通行「あー、でもダメだわ。これコーヒーの粉に直接熱湯入れたからなァ…」
上条「はぁ!?何だその前衛的なコーヒーは!飲めないだろンなもん!!ってか、それ
飲むためにお前さては能力」
一方通行「あー大丈夫だわ。俺が操作したやつオマエが飲めばイイ」スッ ギュッ
上条「えっ…?と、突然なんですか一方通行さん!?」ビクッ
打ち止め(おおお!あの人がヒーローさんの後ろから抱きついた!ってミサカはミサカ
はMNWに報告してみたら阿鼻叫喚なう)ユンユン
一方通行「あ、オマエはカップに触ンなよ」
上条(近い近い近い耳に息かかる!!!!せっ…背中にぃいい背中がぁああああ)
一方通行「俺がこうやって…後ろからカップ持って…と、ンー…これでイイかァ?」グイ
上条(バシャ)「あっつァああああああ!?!?」ブフー!!
一方通行「うォ、きったねェ」サッ
上条「お前なぁ!こんな熱いの一気飲みとか出来ないからね!?そういう量だったから
ね今の!!!無理だからね!!つかお前さっきから能力使ったこと誤魔化そう
としてるだろ!?ちょっと背中が…ゴニョゴニョ……だったからって誤魔化されない
からな俺は!!!!」
一方通行「はァ?背中が何だってェ?」??
上条「なんでもねェよぉおお!!そこだけ拾うな!!!」
打ち止め「おーい雑巾持ってきたよー、ってミサカはミサカはヒーローさんが零したコー
ヒーをお掃除してみたり」フキフキ
上条「あ、こりゃどうもすみませんね……」
一方通行「はッ、仕方のない家主ですねェ。あーコーヒーもったいねェ」
上条「お前なぁ……、」ハァ
禁書目録「とうまー、あくせられーたー、らすとおーだー」タタタ
上条「んー?」
禁書目録「紅茶が入ったんだよ。ご飯の前に、皆でお茶にしよう?」ニコー
上条「あ、ああ…うん、そうだな」
一方通行(ナイスだインデックス。コイツの説教なっげェからな)グッ
禁書目録「???」グッ
PM 5:30 学生寮 上条当麻の部屋
禁書目録「おいしいんだよー…」コクリ
上条「だな。ホント、お前紅茶だけは入れるのうまいよなぁ」ズズ
禁書目録「だけ、は余計なんだよ!」コク
打ち止め「うぅ…あつい……紅茶は、音を立てたらダメなのよね?ってミサカはミサカは
イギリスのミサカに教えて貰ったルールを遵守してみる…」フーフー
上条「うっ…そ、そうなの?」ギクリ
禁書目録「うん、確かにそれがマナーではあるかも。でもマナーって、他の人を嫌な気
持ちにさせないためのものなんだよ」
打ち止め「いやな気持ち?」
禁書目録「うん。でも今はお家で、私達しかいないんだから、熱くて飲めないんなら啜って
もいいと思うんだよ。らすとおーだーが音を出しても、誰も不愉快になったりし
ないんだから」ニコ
打ち止め「……うん!!ってミサカはミサカは大きく頷いてみる!」ニコー
一方通行「……………」
上条「ああしてるとさ、姉妹みたいだよな。インデックスと打ち止め」コソ
一方通行「……あァ。そォだな」フ
上条「!」ドキ
打ち止め「あああーー!!今!今あなたが笑ったような気がしたりしなかったり!!」
一方通行「何だ急に…」
打ち止め「今!今の顔ワンスモア!ハリーハリー!ってミサカはミサカはあなた写真コレ
クション充実の瞬間を逃したことを全力後悔中なう!!!」キィー
一方通行「何言ってンのオマエ」ズズー
一方通行「」
一方通行「くっせェ…渋い…まずっ」カチャ
禁書目録「」ガーン
上条「え、えええ?そ、そうか?おいしいぞ?全然渋くないぞ!?」アセアセ
打ち止め「そうだよ!ミサカも全然渋くない、すっごくいい香りだよ!ってミサカはミサカは
渾身のフォローを試みたり!!」アセアセ
一方通行「午後ティーのがマシ。じゃあオマエ飲んでいいぞ、クソガキ」スッ
禁書目録「ペットボトルに負けた………」ガゴーン
打ち止め「ち、違うの!この人はいっつも缶とかペットボトルとかばっかりだから、直に入
れた香り豊かな飲み物に慣れてないだけなの!ってミサカはミサカはこの人の
チープな味覚を説明してみたり!!!」アセアセ
一方通行「誰がチープだコラ」
上条「ああ、そういう…確かにずっと豚と鳥ばっかり食べてると、たまに牛肉食べると何か
硬くて臭いみたいなのあるな」ウン
禁書目録「何か寂しい例えなんだよ……」ズーン
上条「でもな一方通行…、せっかくインデックスが俺達にって入れてくれたんだ。そんな言
い方ないだろ?」メッ
一方通行「はァ…?俺の口には合わねェ、それの何がダメなンだ」??
上条「おいおい…」(何この素直に不思議そうな顔…)
打ち止め「この人はちょっと情緒が未発達なとこあるの、ってミサカはミサカはヒーロー
さんにお伝えしてみたり。教えてあげてほしいな」ヒソヒソ
上条「な、なるほどな…(ヒソヒソ)。(コホン)じゃあ俺がさっきのコーヒー飲んだとして、マズイ
って言ったらお前はどう思う?」
一方通行「??別にィ。好みだしな。オマエがいらねェンだったら俺が飲むだけだ」
上条「oh…カッコイイなお前」
一方通行「??」(か、カッコイイって…)ドキ
打ち止め(そうか、ってミサカはミサカは納得してみたり)
打ち止め(あなたは今まで、何かが好きだっていう気持ちを、誰とも共有したことなんて
なかった。だから、自分が好きなものを否定された悲しさも、肯定された嬉
しさも、あなたの中には存在しないのね)
打ち止め(ってミサカはミサカは…でも、これからはきっと違うからって、信じてる)ジワッ
一方通行「!?!?ど、どォしたクソガキ!」ガタガタッ
打ち止め「な、なんでもないの。ちょっと紅茶が熱かっただけって、ミサカはミサカはあ
なたにしがみついてみる」ギュッ
一方通行「………????」
上条「……一方通行」
一方通行「何だよ…」
上条「インデックスはさ、紅茶が大好きなんだ。だからお前にも、自分の好きなものを
好きになってほしかったんだよ」
禁書目録「…………」
一方通行「…そンなことに何の意味がある?俺が好きだろうが好きじゃなかろうが、
味に変わりはねェだろ」
上条「変わるさ。お前だって、一人で食べるご飯より、打ち止めと食べるご飯の方が
おいしいだろ?」
一方通行「…………」チラッ
打ち止め「ミサカは、あなたと初めて会ったときに一緒に食べてくれたハンバーグが
大好き。だから、ミサカは今でもハンバーグが一番好きなの。ってミサカ
はミサカはヒーローさんの言葉に深く同意してみたり」ギュッ
一方通行「………そォか」
一方通行「俺には…正直わかんねェな、そォいうのは」
上条「そうか?」
一方通行「人間は感情で受ける印象が変化する生き物だ。それは知っている。自身
で脳細胞を走る電気刺激を制御するわけだな。……俺には無い経験だ」
上条「それは嘘だろ」
打ち止め「それは嘘!ってミサカはミサカは断言してみたり」
禁書目録「それは嘘なんだよ」
一方通行「………ンだよオマエら」チッ
上条「だってお前、ちょっとは味噌汁嫌いだっつってたけど、今は飲むじゃん?こな
いだとか作り忘れたら文句言ってたし」
打ち止め「あなた、こないだ10032号と一緒にクレープ食べてたでしょ?ってミサカは
ミサカは痛いところを突いてみる!」
禁書目録「あくせられーたって無駄なこと嫌いでしょ?さっきも言ったけど、とうまが
チェスボード買ってくれてから、リザインする回数が減ったんだよ」
一方通行「………………………………」
一方通行(……わかんねェ)
一方通行(確かにコイツらが言ったことは間違っちゃいない。だが俺は……)
上条「一方通行。そんな顔するなよ」スッ
一方通行「……触ンな」カチッ
上条「はいはい」キュイン ナデナデ
一方通行「触ンなっつってンだよ……」フイ
打ち止め「…………」ギュー
禁書目録「ねぇ、あくせられーた」
一方通行「……」
禁書目録「今度、香りがあんまりキツくない紅茶を入れるんだよ」
一方通行「………」
禁書目録「もっと渋みが薄いのとか、香ばしいフレーバーティーもいいかも。あくせら
れーたはどんな味が好きなの?」
一方通行「…何でそこまで」
禁書目録「知らないの?あくせられーた」
禁書目録「英国人にとって、好敵手とチェスをしながら一緒に飲む紅茶ほど、おいし
いものはないんだよ」ニッコリ
PM 2:40 第七学区 ファミリーレストラン
土御門「よし、揃ったな」
結標「久しぶりね。別に見たい顔でもなかったけど」
海原「そうですねぇ」
一方通行「…わざわざ呼び出して、何の用だ。土御門」
土御門「今後の方針確認だ」
結標「方針?でも『グループ』は……」
土御門「そうだな。確かに今は誰かさんのおかげで開店休業状態だ。だが、いつまで
も上層部の『温情』が続くと思ってるワケじゃないだろう?」
一方通行「……ハッ。まァ、俺が脅したくらいで大人しくなるような、生易しい腐り具合
じゃねェことは確かだな」
結標「そうね…今はあの子達を見張る目は消えているけれど、油断はしてないわ」
海原「今後とも。僕達の目的は変わりないでしょう」
土御門「それはそうだが……もう少し根本的なところだ。極端な話、お前達は学園都
市を潰したいと思っているか?」
結標「!!!」
海原「ちょっ…!土御門さん、こんなところで!」
土御門「どこで話そうがどうせ『滞空回線』からは逃れられない。同じことだ」
結標「だからって、心臓に悪いでしょうが!」
海原「そうですよ……」ハァ
一方通行「……俺は学園都市そのものを潰すつもりはねェ」
土御門「ほう」
一方通行「ここには世界最先端の技術が集まっている。必要な時に、必要な措置を
受けさせることが出来る環境。それが俺には不可欠なンだよ」
結標「…私も同じようなものね。結局、ここは能力者にとって一番生き易い場所だも
の。あの子達が外に出てきた時のことを考えても、学園都市自体を潰すのは
得策じゃないわ」
海原「僕も同じです。…つまり、要するに」
土御門「全員が現状維持を望んでいる、ということでいいな」
一方通行「今更だな。で、それがどォした」
土御門「現状、学園都市内上層部と学園都市を取り巻く環境はそれぞれ小康を保っ
ている。ただそれはいつ崩れるかわからないほど危ういものだ」
結標「そうでしょうね」
土御門「俺達には失えないものがある。そのためにはやはり、情報を先んじて持つ
ことが肝要だろう」
海原「それはまぁ…」
一方通行「チッ、まどろっこしい野郎だ。何が言いたい」
土御門「特別なことじゃない。お前達も情報収集に協力しろって話だ」
結標「……協力?」
土御門「偶然にも、俺達は全員が違うコミュニティに属している。俺は多重スパイと
して…まぁ、色々だし。一方通行は学園都市最先端の研究者達と。結標は
外部組織に。海原は……」チラッ
海原「…まぁ、仰りたいことはわかりますよ」
結標「外部組織ねぇ…まぁ、コネが無いこともないけど、あの時アンチスキルに大概
潰されちゃってるわよ」
一方通行「あのクソッタレの研究者どもとまた付き合えってのか」
海原(…探りを入れても、仲間達が協力してくれる望みは薄いですがねぇ)
土御門「手段を選んでいる余裕はない。一方通行には言ったが、多少の動きはある
んだよ。完全に動き出されてからじゃ遅いんだ。今は『上』からの指示なんて
全く無い状況だからな。イコール、情報もゼロ」
結標「………」
土御門「別に強要はしないが。…まぁ、元々俺がメインで集めるつもりだった。ただ、
何か他の情報源があれば、進捗が良いだろうと思ってな」
一方通行「…………」チッ
海原「断れそうにありませんね…。何より、自分のために」
・
・
・
・
土御門「…分担は以上だ。今後は週一程度で報告会でも開くか」
一方通行「面倒くせェ」
土御門「レポートにまとめて提出してくれるんなら、それでも構わないが?」
結標「そっちの方が面倒よ。…いいわ、それで」ハァ
海原「僕はどちらでも構いませんけどね」
一方通行「情報収集ねェ……」ハァ
土御門「苦手なんて言わせないぞ一方通行。お前はやらせればなんでも出来るタイプ
だからな」
結標「(ブフッ)何その、『この子はやれば出来る子』みたいな」アハハハ
海原「」プッ
土御門「くっ……」ブルブル
一方通行「ぶッ殺すぞ」ギロリ
一方通行携帯<オーイ アクセラレータ、デンワダゾー
一方通行「」
結標「!?!!?」
海原「!?!?!」
土御門(上やんの声だにゃああああああああ!!!!!!!!)ブワッ
一方通行(ガッ ガタガタッ)「(ピッ)なンか用かこの三下がァああああ!!」
一方通行(設定変えンの忘れてた…っ、く、聞かれたか、聞かれたのか!?)チラッ
結標「」バッ
海原「」ササッ
土御門「」ダラダラ
一方通行(ちくしょォおおおお!!!!)「…はァ!?夕飯って…ああ行くって!クソガキ
そっちに置いてってンだろ、いちいち確かめ…あァ?…いいってそれでェ…
……はいはィ…」スタスタスタスタスタ
土御門「…今更席外したって遅いってもンだぜい……」シロメ
結標「……………え、何今の…夕飯…?何その所帯染みた…」シロメ
海原「…ていうかさっきの声…あれ?電話の相手の声も……あれ???」シロメ
・
・
・
・
一方通行「………………」スタスタスタ ストン
土御門「…………」ジッ
結標「…………」ジッ
海原「…………」ジッ
一方通行「(コホン)……待たせたなァ」キリッ
土御門「キリッ じゃないぜよぉおお!!誤魔化せるわけあるかぁ!!!!」クワッ
結標「今の誰?奥さん?あなた結婚してたの??」ワクワク
海原「いやぁ、電話の相手男の人ですよね?」
一方通行「うるせェな。オマエらには関係ねェだろ」
土御門「いや、あるぜよ!?俺上やんのクラスメートだしね!?!?」
土御門(あっ しまった口が滑っ…)
一方通行「えっ………」
土御門(うお、こんな素直に驚いた顔初めて見たにゃー)
結標「あら、知り合いなの?ていうかあなた、そんな怪しいナリして高校生だったの?」
土御門「はぁ!?お前にだけは格好のこと言われたくないぜよぉおおお!!!」
結標「なんですってぇ!これはね、私のポリシーというかアイデンティティというか多分
そういう深淵な意味とかあるのよ!」
海原「いや正直、どっちもどっちですよねー」ハハハ
土御門「ンだこらァ!文字通り他人の皮かぶってるヤツには言われたくないぜい!!」
結標「そーよそーよ!その皮丸ごと座標移動させてやろうかしらぁ?」ヒュンヒュン
海原「ええええ!?!?助けてショチトルぅう……!!」
一方通行「チッ、くっだらねェ。話はもォ終わっただろ。俺は帰らせて貰うぜ」ガタッ
結標「あっ、ちょっと待ちなさいよ……!!」グイッ
一方通行「!?」グラッ
結標「(軽っ!!!)あ、ごめんなさ…」ガシッ
フニ
結標「!??qwrpふにgphw-1?!☆1!?!?!?!」
土御門「?」
海原「?」
一方通行「……離せ」グイ
結標「」
一方通行「次こンなバカ騒ぎすンなら二度と来ねェぞ」スタスタスタスタ
土御門「…誰のせいだと思ってるんだ」ハァ
海原「……結標さん?どうして一方通行さんを支えた姿勢のまま固まってるんです?」
結標「」
土御門「アイツの細さに女としてショック受けたんじゃないかにゃー」
結標「」
結標(………マジで……?)
結標(今、胸触ったら確かに、ふにっ って…いや、すごい小さかったけどあれは確実
に女の子の胸、つまりおっぱい)
結標(一方通行におっぱい)
結標(おっぱいが一方通行におっぱい)
結標(おっぱい( ゚∀゚)o彡゜おっぱい( ゚∀゚)o彡゜)
結標(ハッ)
結標「…はァああああ~~~~……」ガックリ
海原「固まってたと思ったら、今度はものすごいガッカリした顔で溜息ですか」
土御門「何だその黄昏た顔は」
結標「ふ…大切なものは、失ってから初めて気付くのね……いや別に特に大切という
こともなかったのだけれど」フフ…
土御門「羞恥心のことかにゃー?服装的な意味で」
結標「そのグラサン、向こうのキッチンのシチュー鍋にブチ込んでほしいのかしら」
土御門「ヤメテ!」ブルブル
結標「はぁ………」
結標(私って…一方通行のこと………)
結標(結構、守備範囲内に入れてたのね…。ギリギリで)
結標(ああ~~気付いてみれば、ホントギリギリいけたわー。あの絶妙な細さといい、
華奢な首筋といい、クッ…どうして今頃気付いたの…っ!!)ギリギリ
結標(まぁでも、あの凶悪な顔で台無しなのよね。寝顔とかかわいいんじゃないかしら)
結標(あいつ、人が近づくと起きちゃうからなぁ…)
結標(はぁ……ま、今となっちゃどうでもいいか)
結標(あっ…でも)
結標(一方通行とJKトークしてみたい!!!!今度トイレ誘おっかな!!!)ピカーン
第七学区、大通りに面したカフェ。
落ち着いた内装と高めに設定したメニューは学生達には少し敷居が高く、主には学園都市
内で働く大人がメインターゲットの店だ。
そこでアルバイトをし始めてもうすぐ一年になる彼女は、軽やかなドアベルと共に訪れた二人
連れの客に一瞬目を奪われた。
(うわ…すごい、真っ白…きれい)
だがすぐに我に返って「お二人様ですか?」と声を掛ける。
真っ白の髪と雪のような肌、ひどく印象的な赤い目の…おそらくは少年?が、ぞんざいに頷
いた。
大雑把な仕草なのに、迷いのない所作はどこか貴族的に思える。
「テラス席と店内のお席がありますが、どちらにいたしましょうか」
「天気いいし、外の席のがいいかも。ね、あくせられーた」
もう片方の、まるでテレビで見た修道女のような格好をした外国人の少女が隣を見上げると、
白い人は「あァ」と自分に対するより少し丁寧に頷いた。
あまりに目立つ二人組みで、周りの店員達や常連客も、少し驚いたような顔をしてから自分
の仕事や作業に戻る。見られるのには慣れているのか、二人とも無反応だ。
「では、こちらにどうぞ」
身体に染み付いたマニュアルのまま、メニューを手に通りに面したテラス席へ案内する。
時刻は午後三時。今日は良く晴れているけれど、日が傾き始めている今少し寒いのではな
いかと思い、テラス席用の暖房器具の近くの席を勧めた。
白いシスターはその気遣いに気付いてくれたらしく、にっこり微笑まれる。珍しい碧眼がとて
もきれいだなと思った。
「エスプレッソ」
「私はダージリンがいいかも」
「かしこまりました」
メニューすら見ないまま、二人とも迷いがない。きっと白い人はいつもコーヒーで、白いシス
ターはいつも紅茶なのだろう。
頷いて席を離れ、カップを二つトレイに載せて戻れば、二人はテーブルの上にチェス盤を広
げていた。
浮世離れした二人には不似合いな、玩具屋にでも置いてありそうな、安っぽいボードと駒。
けれど、白い二人にとってはとてもとても大切なものなのだろうと、彼女は気付かされる。
「ふんふふ、ふんふふ、ふっふっふ~ん」
白いシスターは、ご機嫌な様子で小さく鼻歌を歌いながら、小さな両手に大事そうに黒い駒
を握っている。
相対する白い人は細い足を高慢に組んで、繊細な形の顎を華奢な手で支えていた。
もう片方の白い手が、白い駒をくるり、くるり、と弄ぶ。駒を手に馴染ませるような仕草で、盤
を見下ろす赤い目が少し細められている。
寒々しい時期の昼下がり、テラス席に他の客はいない。
下校ラッシュも少々先の現在、人通りはまばらだった。控えめな雑踏が柔らかなBGMのよう
で、真冬の薄い陽光が白い二人を浮かび上がらせる。
(きれいだな……)
細く柔らかそうな白い髪と、淡く輝く銀色の髪が、それぞれの顔に儚い影を落とした。
可憐な顔立ちのシスターと、端正な雪細工のような白い人が、黒い駒と白い駒を交互に置い
ていく。ふと彼女は既視感を覚えた。
しばらく考え込んで、ああ、と思い出す。
(あれだ…こないだテレビに出てた、ヨーロッパの教会とかにある…宗教画?みたい)
そしてすぐに、宗教のことなんて何もわからないのにと内心苦笑する。
ただ何となく、目を伏せた静かな表情は、祈りを捧げているようにも思えた。
誰も入ることが出来ないような、二人だけの静謐と思考の世界。
自然と、二人の邪魔をしてはいけない、と思う。
彼女は、そっとテーブルの端にトレイを置いて、足音を忍ばせて立ち去った。
外から店の中に戻り皿を洗っていた彼女は、突如、ビクリと打たれたように動きを止める。
(帰らなきゃ)
その考えで急に頭が一杯になり、他のことを全て思考の外へ追いやってしまう。
(帰らなきゃ、今スグ、迅速に、ナルベク不自然じゃナイ行動ヲ)
彼女は皿を置き、制服を着替え、バッグを抱えて足早に店を後にする。
ほんの数分前まで店員や常連客で賑わっていたはずの店内は、無人の静寂て満たされ
ていたが、不自然に思うことはなかった。
「……紅茶来ましたけどォ?」
「んー?うん、そうだね」
当然ウェイトレスに気付いていた一方通行は、盤を眺めたままの白いシスターに声を掛
けた。
デミタスカップに指を伸ばし、少しだけ口に含んで香りを味わう。
「オマエが美味しい紅茶飲みたいとか駄々捏ねるから来たンだぜ。冷めたら台無しだろ」
ネットで適当に調べた、美味い紅茶を出す店だ。
チラリと時計を見れば、もうすぐ午後三時半。あのツンツン頭の下校時刻まであと少し。
あまり勝手に外には出るなと言われていると、インデックスが文句を漏らしていた。
それは自分が打ち止めに「勝手にウロつくな」と言い聞かせているのと、同じような心情と
理由のような気がする。
少女が「とうまには内緒ね!」と頼むものだから、上条には何の連絡もしていない。
しかしやはり、言っておくべきだったのではないか。今更遅いが、せめてあの男が帰って
来るまでには、寮に戻るべきだろう。
「んー…飲む、飲むんだよー」
現状、インデックスの黒が少々劣勢だ。頭の中でこの状況を引っくり返すための棋譜を
検索しているのか、瞬きもしないまま盤を凝視している。
しかしわざわざ来た目的を思い出したらしく、盤を見つめたまま小さな手をティーカップ
に伸ばした。
「…っ!あ、あつっ」
そのまま紅茶の中に指を突っ込んで、インデックスが飛び上がる。
「このバカ!」
一方通行は慌てて電極のスイッチを入れ、火傷の応急手当をするためにその小さな手を
取ろうとした。
「あっ!だ、ダメなんだよ!!」
が、伸ばした手を払われて、驚いて硬直する。
パシン、という乾いた音はどうしてか身体の芯まで響いて、一方通行は自分が何故ここま
で驚いたのか、理解出来ずに戸惑った。
「ち、違うんだよ…!」
「……?何が?」
「く、詳しくは言えないけど、私はイギリス清教『必要悪の教会』でとても重要な役割を任され
ているんだよ。だから、得体の知れない力が私に接触したら、魔術的な防御機能が起動し
てしまうかもしれなくて、だから…っ」
魔術。ここ最近ようやく知った、自分が生まれてから今まで世界の理だと信じていた『科学』
とは、異なる法則を持つ世界。
上条当麻がそこに深く関わっているらしいことは以前知ったが、この少女もそうだったのか。
ロシアで知り得た情報やインデックスの言葉から、『禁書目録』がひどく希少な役目を負って
いることは想像に難くなかったが、やはりと納得した。
「だから、そんな顔をしないでほしいんだよ、あくせられーた…」
だが納得する一方通行を余所に、白くて小さな手が伸びて、先ほど払ったばかりの、同じよ
うな色の手を、ぎゅうっと握り締める。
インデックスは悲しげな顔をしていて、お前の方こそそんな顔をするな、と一方通行は思う。
「あくせられーたはチョーノーリョクで私の火傷を治してくれようとしたんだよね?」
「……あァ」
「ありがとう、やっぱりあなたは優しいんだよ。でも、ダメなの。あくせられーたの力が私に干
渉したら、私はわたしでなくなってしまうかもしれないんだよ…。それが、すごく怖いの。……
ごめんね、あくせられーた」
「…別に、気にしてねェよ」
そもそも、ここまで必死で謝られるようなことをされた覚えもない。
そうさせたのは自分だとわかっていたけれど。
一方通行はこの戸惑いと、申し訳なさのようなものをどう返せばいいのかわからず、置かれ
ていたお絞りにお冷の氷を包み、インデックスの指先を包んだ。
異なる世界の理を話す彼女の言葉は理解し難い部分もあったが、つまり能力を使わず普通
に冷やす分には問題ないのだろう。
「痛むか」
「えへへ…。大丈夫なんだよ」
その予想は当たっていたらしく、インデックスは少し照れくさそうに笑う。
緩んだ丸い頬を見て、一方通行は浅く溜息をついた。
「………っ!!!」
だが、半瞬後に鋭く息を呑む。
ざらりと気持ちの悪い、胸を苛む圧迫感。ロシアで何度も味わった、危機を示すそれ。
一方通行は電極のスイッチを切ろうとしていた指先を止め、周囲を見回し警戒した。
「人払いの魔術…!」
インデックスが緊迫した表情で顔を上げる。
「魔術だと…?」
「そう、間違いなく狙われてるのは私!だからあくせられーた、逃げ…っ」
必死の形相が訴えたのと、ほぼ同時。
突如虚空に出現した白光が、一方通行の眉間に突き刺さる。当然反射膜を展開していた超
能力者は、とりあえず虚空に逸らそうとした。
「……っ!?」
だが、ぬるりとした嫌な感触と共に、向かって右側に逸れる。右側。インデックスの座ってい
た方へと。
「インデックス!!」
「きゃあっ…!!!」
白光は、二人の間にあったテーブルを粉々に破壊した。
その上に乗っていた、安っぽい作りの、チェスボードごと。
ボードの破片が少女の柔らかな頬を大きく裂いて、愛らしい顔がくしゃりと歪む。
「あ、と、とうまの、とうまがくれた……っ」
今にも泣き出しそうな碧眼に、一方通行の胸が突かれたように痛んだ。
気まずそうにチェスセットを渡してくれたツンツン頭の顔が、何時間も対戦し続ける自分達
を眺める嬉しげな顔が、目の裏に瞬く。
「……っ、俺が、また買ってやる!行くぞインデックス!」
そんなものじゃダメだ。例え数十万の高級品であっても、『これ』と代えることは出来ないと
わかっている。
初めて触れた娯楽としての勝負、その軽い感触も手に馴染んだ粗雑な作りの駒も、もう二
度と戻らない。
「クソが……ッ」
そんな感傷に浸っている場合ではないのに。
だが一方通行は生まれて初めてのそれを振り切ることが出来ないまま、インデックスを抱
えて地を蹴った。
「な、んだって、魔術師が…っ!?」
授業を終えて帰宅しようとしていた上条は、緊迫した表情のクラスメートに呼び止められ
て、焦燥の滲む声を上げる。
多重スパイの持つ情報網が、学園都市内への魔術師の潜入を確認したというのだ。
「クソッ、ステイルも神裂もいないってのに!」
「禁書目録の居場所は?学生寮にはいないようだが」
「はぁ!?どこ行ったんだよあいつは…!」
「連絡は取れるか?」
普段の軽い口調を改めた土御門が、インデックスと連絡を取るよう催促する。
言われる前に携帯電話を取り出して発信するが、何度コールしても繋がらない。
「そうだ、GPS機能…!」
なかなか携帯電話に慣れないインデックス用にと、以前GPS機能がついたものを渡して
おいたのだ。
家に置き忘れていることを恐れたが、上条の携帯電話にインデックスの現在位置と思わ
れる光点が表示される。車にでも乗っているのか、高速で移動していた。
「だ、第七学区内だ!ここから近い!」
「よし、行くぜ上やん!」
促されるより先に、全力で駆け出した。下手にバスやタクシーを使うより、走って行った方
が恐らくは早い。
(インデックス……!!!)
吐き気を催すような焦燥が、上条の喉奥からせり上がって来る。
あの小柄な少女が笑っていないと、上手く息が出来ない。落ち着いて空を見上げることも
出来ない。
インデックスは自分にとって、『平和な日常』そのもの。記憶を失う前の自分がどんな日常
を送っていたのか知らないが、そんなことはどうでもよかった。
気が付けば、当たり前のように側で笑っていてくれた。それだけのことが、どれだけ力強く
自分を支えてくれていたか。
不意に、打ち止めを眺める一方通行の横顔が浮かぶ。
(そうだ、一方通行に……!)
この気持ちは、一方通行があの少女に向ける気持ちに、よく似たものだと知っている。
打ち止めが昼寝しているのを見下ろす顔や、インデックスと遊ぶ打ち止めを横目で眺める
顔が、自分に似ていると感じる。
それに一方通行はインデックスと仲が良い。学園都市最強が協力してくれれば心強いこと
この上ない。
「……………」
今日は来訪の連絡は受けていないが、電話をすればきっと駆けつけてくれる。
だが上条は、走りながら一端開いた携帯電話の画面を数秒眺めて、元の通りに閉じてポケ
ットに捻じ込んだ。
「上やん、何やってんだ!」
走るスピードが落ちた上条を、先んじていた土御門が叱咤する。
「ああ、今行く…!!」
腹の底から答えて、力強く地を蹴った。
(アイツは巻き込めない。…巻き込んじゃダメだ)
ロシアで自分と相対した時の顔を、手元に返す。
辛そうな顔をしていた。泣きそうな顔をしていた。
一方通行はきっともう、戦うことなんて好きじゃない。
けれど今までずっと、自分と同じように、大切な人の盾になりたくて戦ってきた。
だからこそ、上条は、一方通行に二度とあんな顔をしてほしくなかった。ずっと、例えばイン
デックスとチェスをしている時のような、穏やかな表情でいてほしかった。
(大丈夫だ、俺一人で!!)
ずっと、今までだってそうだった。どんなに協力者がいてくれても、インデックスを助けること
が出来るのは、いつだって自分だけだった。
(無事で居てくれよ、インデックス…!!!)
一方通行は内心で歯噛みしながら、ビル群の上を移動していた。
「クソッ…!!」
何度弾いても尽きることのない白い光弾が、二秒の間も置かず、虚空を裂いて現れる。
白光は何度も一方通行の頭部を狙い、その度にあらぬ方向に逸れ、
「あぅ…!」
腕の中の白い少女を傷つけていく。肉の焼ける匂い。既に真っ白い修道服は血の色に
染められていた。
超能力と違い、魔術という『異なる法則』に則った力を、一方通行は正確に反射すること
が出来ない。
ロシアで『入力』し、自身で異なる法則の力を行使することによってある程度の理解はし
ていたつもりだったが、何故かこの光を反射することは敵わないのだ。
「だ、大丈夫なんだよあくせられーた!こんなの全然平気…!」
インデックスが一方通行の服を掴んで、場違いに明るく声を掛ける。
幾度も光が掠めた頬で笑えば痛むのか、その表情は少しいびつで、一方通行は奥歯が
砕けそうな力で噛み締めた。
「黙ってろ、舌噛むぞ!」
その気になれば一方通行は、音速を超える速度で移動出来る。
この攻撃が本当に光速であれば追いつかれるが、射程範囲外に脱出は可能。だが、何
の干渉も出来ない生身のインデックスの身体が、その衝撃に耐えることなど無理な話だ。
結果として、ごく常識的な、自動車程度の速度でしか移動できない。
(どうする…!どうやって敵の居場所を掴めばいい)
例えばライフルならばどんな遠距離からの狙撃でも反射出来るが、この光は何の前触
れもなく虚空から現れる。
学園都市第一位の能力でも知覚できないそれは、かろうじて視認できるだけだ。
白光は一方通行しか狙わないので、襲撃者はインデックスを傷つけるつもりはないのだ
ろう。
いっそのこと自分は離れた方がいいのかとも思ったが、この少女にまともな戦闘能力な
ど無いことは確認済みだった。
こんな方法で狙う輩に攫われて、五体満足のまま助け出せると思えるほど、一方通行は
楽観的ではない。
「………っ!!」
自分の左側頭部を狙った白光が逸れ、インデックスの肩口を裂く。どれだけ腕の中に深
く抱き込もうとも、何発かに一発は、白い少女を傷つけた。
だがインデックスは声を上げまいと、必死で唇を噛んでいる。
(…俺のためか、チクショウ…!)
何度自分を置いて逃げろと訴えても聞き入れられないから、せめて苦しむ様を見せまい
としているのだ。
「………っ」
噛み締めた唇から、血の味がした。
本当に、本当に、自分の力は、何かを守ることには向いていない。
守れるのは自分だけ。自分の身だけを守り、代わりに側にいる人を傷つける。たった今、
まさにそうだ。
資質がない。才能がない。
この身は『反射』の一方通行。
能力の特徴など関係ない、自分という人間の本質が、どこまでも他人を傷つける。
今まで幾度も幾度も突き付けられた事実は、一生変わらぬままだろう。
(だがそれがどうした、クソッタレ…!!!)
一方通行は、インデックスを抱き締める腕に力を込めた。
あの少年だって、上条当麻だって、自分を支える確かなものも、資格も持たないまま、
ただ湧き上がる気持ちを信じて行動しているのだ。
向いてないから何だ。才能がないから、一体なんだというのか。
もうそんな所に逃げないと決めた。とっくの昔に。
『だから…お前と俺は似てるって、思うんだよ』
何も持たないまま、あれほどまでに力強く拳を握ることが出来る男が、笑って手渡して
くれた言葉を、手元に返して握り締める。
この、希望に似た言葉を信じよう。
自分にもあんな風に、大切を侵す危機に、立ち向かえる強さがあると。
(法則、逆算、解析……)
一方通行は意識を極限まで研ぎ澄まし、未知の法則を掴もうとしていた。
ロシアで『入力』した法則と、共通点はあるはずだ。勘でしかなかったが、このぬめる
ような感触はあれと酷似している。
恐らくは、水道の蛇口とシャワーのような関係。元となるものは同じ水、起こる結果も
似通っていて、その出口が少し違うだけ。
幸いにも異なる攻撃が来ることはなく、馬鹿の一つ覚えのように虚空から白光が襲う。
サンプルはある。似通った『法則』も得ている。出来ないはずがない。ロシアの時に比
べれば児戯に等しい。
(光の内容は208メガワットの赤外線。直径5.6mm、波長は2.8μm。虚空から出て来
ンのは減衰防止か?いや、自分の常識に置き換えンな)
そもそも赤外線は可視光線ではない。攻撃手段としては不可視の方が良いに決まっ
ているので、この白い光には重要な役割があるはず。
(白色光はすべての波長の可視光線を対等的、均質的に含んだ光。コレの中身は赤
外線だ、見え方と中身が矛盾している)
先ほどテーブルに着弾した時も、通常の赤外線レーザーであれば穴が空くだけのは
ずが、小規模ながら爆発した。
常識ではありえないが、この白色光自体が強力な赤外線と破裂を生み出す光共振
器の役割を果たしているのかもしれない。
(あの白色光の役割が、光共振器とレーザー媒質のようなものだとすれば)
反転分布。誘導放出。結果としてそれに似た現象を起こすには、と一方通行は新た
に得た『法則』内を検索する。
0.5秒も掛からなかった。
同時に、一方通行の前方三メートルの虚空に、白光が瞬く。
眉間を正確に貫こうとしたそれは、キン、と今までに無かった澄んだ音を立てて、真
っ直ぐ正面に『反射』された。
「…はッ、数打ってりゃいつか当たるってか?そンなワケねェだろォが」
演算通りの現象に、一方通行は会心の笑みを漏らす。
解析するための時間とサンプルを与えておいてどうにかなると思われていたのなら、
随分と舐められたものだ。
「あくせられーた…!」
「…悪ィな、時間かかった」
一回のやり取りの間にも数回白光が襲うが、すべて綺麗に反射される。
もう、腕の中の少女を傷つけることはない。
「大丈夫!」
インデックスが、固く閉じていた碧眼を開いて明るく笑う。
「少し待ってて。魔術は私の世界だから」
一方通行とは異なる世界の中心に座する少女は、それまでとは異なる穏やかな表
情で目を閉じた。
時間にして15秒。白光が焦ったように降り注ぐが、二人を傷つけることは出来ない。
「遠隔狙撃用術式『ラッキヌフォ』」
インデックスが目を開く。澄んだ碧眼が、真っ直ぐに一方通行を見上げた。
「L'arc qui ne faut?」
「Oui」
音から予想して仏語で発音すれば、軽く頷かれる。
「日本語に直訳すれば『無駄なしの弓』。ケルト神話の英雄トリスタンがイゾルデと
森で暮らしている時に作ったと言われる、『人間でも獣でも狙った場所に必ず当たる
弓』の概念を利用した魔術だよ」
「ケルト神話…ねェ」
一方通行には寝言のように聞こえるが、インデックスは真剣そのものだ。郷に入り
ては郷に従えと、大人しく耳を傾ける。
「あ、馬鹿にしたでしょ!元になる神話や概念がわかれば、その対処法も明確にな
るのが魔術なんだよ!」
「そりゃ悪かった。で、対処法ってのは?」
「まず、射程距離はトリスタンが暮らしたという伝承の残る森の半径12342メートル」
頭の中にある本を読み上げるかのように、解説はスラスラと淀みない。
「使用するのは0.8メートルの弓型と竪琴型の霊装。対象の捕捉は術式内に組み込
まれているけど、対象との間に障害物があってはならないんだよ。『弓』だからね」
「ふゥン…」
一方通行は、相変わらず降り注ぎ続ける白光を無視して、周囲をぐるりと見渡した。
半径十キロ強では肉眼での目視は出来ないが。
「つまりねあくせられーた、こうやって飛んで逃げるんじゃなくて、建物の中に入れ
ばひとまずは…」
「必要ねェよ」
一方通行は、適当なビルの屋上に着地した。
持ち上げた指を、軽く打ち鳴らす。
パチン、という軽い音の振動数を一気に引き上げ、高振動数の超音波として周囲
に拡散させた。
動物が自分が発した音が何かにぶつかって返ってきたものを受信し、それによっ
て周囲にある物の形や距離を知る、反響定位。
用いる動物の中で有名なのはコウモリだが、一方通行はまさしく同じような能力を
有する。
間に障害物があれば使えないけれど、それが無いと判明し、敵の姿形がわかった
今、使わない手はない。
「弓、竪琴ねェ……」
呆れたような溜息を吐き出す学園都市最強は、普段の調子を取り戻していた。
軽く目を閉じて反響してくる超音波を解析し、数秒で静かに目を開く。
「………見ィつけた」
ニィ、と。
引き裂くような形に薄い唇を吊り上げ、軽く地を蹴って飛び上がる。
屋上の隅に設置されていたパラボラアンテナを蹴り飛ばせば、直径二メートルほど
の皿状の物体が、対空ミサイルのように空を切り裂いた。
「え、えっ……!?」
突然の行動と、遠くから響いた爆音に、インデックスが忙しなく瞬きをする。
ほぼ同時に、降り注いでいた白光がピタリと止んだ。
「あれ、魔術の気配が消えた…!?あくせられーた、何したの!?」
「アソコ」
一方通行はキツく抱き締めていた小柄な身体を解放して、向かって右前方を指差
した。
ここから北北東、4821メートル地点。
白い指の差す方には、遠く林立する白いビル群。その一つから煙が上がっている
のが何とか視認出来る。
日が傾きかけた真冬の薄い青空に、不吉な色の灰煙が溶けていき、インデックス
は瞠目した。
「まさか………」
「ン。オマエの言う『0.8メートルの弓型と竪琴型の何か』を持った奴がいやがった。
こンな街で、ビルの屋上にそンなのがいれば、100%『犯人』だろォよ」
位置さえわかるなら、例え未知の技で攻撃したとしても、一方通行の敵ではない。
「メチャクチャなんだよ……」
建物内に入った後、どうやって敵の位置を割り出すか、というとこまで考えてたん
だけどなぁ。
インデックスは呆れたように大きな目を瞬いた。
少し様子を見て追撃が来ないことを確認し、土御門に後始末をするよう連絡して、
第七学区のカフェに戻る。
一方通行が逸らした魔術の余波で、テラス席はひどい有様だった。
しかし幸いにも怪我人はいないようだ。というか、まったくの無人である。
怪訝そうな顔になる一方通行に、インデックスが魔術には有効範囲内の人間を遠
ざけるものもあると説明した。
「でも術者が意識を失ったんなら、そろそろ人が戻り始めるかも」
「ふン…。便利なもンですねェ」
軽口を叩きながら店内に入り、お絞りに冷水を掛けたものを持ってインデックスの
側に戻る。
傷だらけの、血だらけの、少女の側に。
「……………」
魔術師の攻撃は、肌の表面を削っただけで、命に別状はなさそうだが。
柔らかそうな白い頬や純白の修道服に引っ掻いたような傷が走り、血を滲ませて
いる様子は、あまりに痛々しかった。
冷やして血を拭うために布を持ってきたはいいが、触れていいのか、一方通行に
はわからない。きっととても痛いだろう。
早く病院に連れて行かなければ。
(守りきったとは…とても言えねェな)
最近は見慣れてしまったツンツン頭の無能力者が、この少女に向ける笑顔を思い
出す。
傷だらけのインデックスを見たら、怒るだろうか。悲しむだろうか。両方か。
当の本人は、先ほど座っていた場所に歩み寄って、粉々に砕けたチェスセットを見
下ろしている。
安っぽいプラスチックのボードは溶けて破損し、一目見て二度と使い物にならない
とわかる。
割れた駒の破片を見ると、一方通行の指先がキリキリと痛んだ。このところほとん
ど毎日、あの駒を触っていた指先が。
「え、えへへ……とうまに怒られちゃうね、あくせられーた!『せっかく買ってきたの
に、不幸だー!』、って…笑って…」
インデックスは、ハッと気付いたように、明らかな空元気でこちらを見上げた。
「とうまはきっと笑ってくれるから、…あ、あくせられーた…そんな顔しないでぇ…っ」
そして、大きな碧色の目から、堰を切ったように、大粒の涙を溢れさせる。
チェスが壊れようが、魔術でその身が危うくなろうが、決して見せなかった涙をポロ
ポロと零しながら、白い少女は小さくて白い手をこちらに伸ばした。
反射的に、一歩後ずさる。
どうしてなのか、理由はわからなかった。ただ、このきれいな柔らかそうな手で、自
分に触れるべきではないと思った。
「あくせられーた…?」
春の新緑に似た色の目が見開かれ、数瞬後に、ぶわっと更に涙を溢れさせる。
「あ、いや……、………っ」
焦燥と、戸惑いと、慙愧と、そんなものが喉に詰まって、上手く声が出ない。
「ごめんね、あくせられーた…!!」
だがインデックスは、一方通行の動揺などおかまいなしに勢い良く足を踏み出した。
「……っ」
どん、と温かな塊が胸の中に飛び込んで来て、少しよろけながら慌てて受け止める。
受け止められることを信じて疑わない、迷いの無い仕草。
「あくせられーただって女の子なのに、私のせいでこんな目に合わせちゃってごめ
んなさい!私はいつもそうなんだよ、とうまだって私のせいでいっつも…!!」
普段は明るく弾むような声が、悲痛な想いに引き攣れている。
背中に縋りつく細い腕。胸元がじんわりと温かく濡れていく。いつも天真爛漫な少女
だが、こんな風に気にしていたのか。
「オマエのせいじゃ、ねェだろ………」
例えこの白い少女が狙われているのが事実だとしても、『インデックスのせい』など
と思うわけがない。
「…アイツだって、そォ思ってる」
「う…うん…っ!うん…っ、っく」
鼻先にある丸くて白い頭を凝視して、一方通行は恐る恐る手を伸ばす。
例えば打ち止めやミサカ10032号のように、触れるのを躊躇すれば、傷つけること
もあるのだと、もう知っているのだから。
そうっと触れて撫でれば、インデックスが小さくしゃくり上げた。
「病院…行くか」
「こ、これくらい平気なんだよ」
「ダメだ。…………それに、アイツにも連絡…」
「インデックス!!!……あ、一方通行!?一緒だったのかお前ら!!!」
背中に叩きつけられた声に、ビクンッ、と全身が竦み上がる。
何だこの過剰反応は、と自分のことながら笑いたくなった。
目の前の白い頭に置かれた手が、細かく震えている。
振り返るのが、怖かった。
チェス盤吹っ飛んで悲しがってる二人が失礼ながらかわいいと思ってしまった…
でも一方さんやっぱ万能すぎるよ…
さすが第一位
やるじゃん
あと>>668のパンツ、一方さんのためのデザイン過ぎて吹いた
何これ学園都市第一位のためのオーダーメイドなの?
そして女子用ボクサーかわいいなオイ
そんじゃ投下します
空気読めてないシリアス展開でごめんなwwwwww
見慣れた修道服の少女に白い細い後姿が寄り添っているのを見た時、上条は安堵
のあまり膝から崩れ落ちそうになった。
(あれ、俺……)
一方通行がインデックスの側にいてくれた。よかった、大丈夫だと。
ほぼ反射で思ってしまい、そんな自分に少し驚く。
「あっ、とうまー!!!」
細い影から、活き活きした笑顔がひょいとのぞいて、ぶんぶん勢い良く手を振った。
少し涙ぐんでいるし怪我もしているのはかなり心配だったが、元気そうだ。
「ごめんな遅くなって、大丈夫だったか?」
小洒落たカフェの石畳は破壊され、テーブルは引っくり返って壊れているが、辺りに
敵の姿も攻撃の気配もない。もう終わったのだろう。
上条が割れた石の破片を踏みしだきながら二人に歩み寄れば、インデックスは大き
く頷いた。
「うん!あくせられーたが守ってくれたもん!!」
「そっか………」
長く息を吐き出す。やっぱりそうだったか。
心臓が、ようやく落ち着きを取り戻し始めている。
「一方通行?」
どうしてか反応しない細い背に再度声を掛けると、いつも大雑把な仕草の一方通行が、
見たこともないほど、ぎこちなく振り返る。
「……っ、あ、あァ…オマエか…」
叱られる寸前の、子供のような顔をしていた。
どうしてそんな顔をしているのか不思議に思うより前に、胸が締め付けられるようにな
って、一瞬言葉を失う。
「…………」
「…………」
それをどう取ったのか、白い顔が更にすうっと色を失って、赤い目が揺らいだ気がした。
「あ……」
自分でも何を言おうとしたのかわからないまま口を開くと、一方通行が唇を噛み締める。
「ったく、丸投げしてくれるな、一方通行。お前は学園都市側の切り札なんだ、あまり気
軽に外の連中に接触するんじゃない」
そこに、先ほどから方々に電話を掛けていて遅れていた土御門が、追いついて声を掛
けて来る。
すると、あまりに無防備だった白い顔が、カチリとスイッチを入れたように切り替わった。
「あァ?そンなら簡単に侵入されてンじゃねェよ。ここの警備はザルか何かか」
普段通りの不機嫌そうなしかめっ面に、上条は取り返しのつかない機会を逸したよう
な、ひどい焦燥に駆られる。
ただ何と言っていいのかわからず、目についたわかりやすい疑問だけを、ようやく口
にした。
「えっ…?知り合いなのか、二人とも!?」
「まぁ、少しな。…だいたい、禁書目録には防御機能が付いているだろう。わざわざお
前が戦う必要もなかったと思うが。アレに勝てる魔術師などほぼ存在しない」
『自動書記』のことを言っているのだと、上条はすぐに悟る。だが表情を強張らせたイ
ンデックスを見て、普段とは違う顔のクラスメートを睨んだ。
「土御門…!」
『自動書記』は、インデックスという個人とはまったく異なる、魔道図書館を守るためだ
けの魔術的な仮想人格。
ただ「敵性」と判断した者を容赦なく破壊する。「入れ物」の少女がその「敵性」にどん
な想いを抱いていたとしても、まったく無頓着に。
気が付けば、大事に想っていた人が傷ついている。しかもそうしたのは自分自身。
繰り返されるそれに、インデックスが一体どれだけ打ちのめされたのか。上条には想
像することしか出来ない。
そして、だからこそ、『自動書記』を使え、と簡単に口にする土御門を見過ごすことは
出来なかった。
「防御機能?なンのことだ、土御門」
だが一方通行が上条の言葉を遮り、先を促す。
「何だ、知らなかったのか。そこの禁書目録は、イギリス清教の最高機密。他の魔術
結社に奪われることを防ぐため、敵対者への防御機能が備わっている。ま、例えて
言うなら、お前と戦ってもそうそう引けを取らないレベルだ」
「……へェ。そりゃ無駄骨折っちまったなァ」
学園都市側の最高機密は、低く吐き捨てた。
「ちがう、あくせられーた!!」
インデックスが悲鳴のような声を上げるが、一方通行は優しく白い少女を押し退ける。
「帰るわ」
一言だけポツリと呟き、トンと地を蹴った。
「一方通行!!待てよ、一方通行…っ!!」
上条は思わず駆け出してその細い腕を掴もうとするが、掌は空を切る。
「一方通行!!!」
どうしてもこのまま行かせたくなくて声を張り上げるが、白い顔は二度と振り向かなか
った。
薄闇に染まりかけた空に、華奢な背が溶け入る。
「……………」
追いかけようとしたけれど、ビルの屋上に跳躍したらしい影は、目で追うことすら出来
なかった。
「ぅぅううううぅううう~~~!!こ、このっ、けーわいグラサン!!!!」
「えええ!?そんなん生まれて初めて言われたにゃーー!」
インデックスが土御門をポカポカ殴るのを横目に、上条は一方通行の消えた夕空を
見上げた。
一方通行は、どうしてあんな顔をしていたのか。自分は、何を言おうとしたのか。
右手を硬く握り締め。
PM 8:20 黄泉川家 リビング
芳川「………」カタカタカタカタ
一方通行「…………」
芳川「……んー、PC画面で読むの面倒ね。紙に出力しちゃおうかしら」ピッ ウィーン ウィーン
一方通行「…………」
芳川「一方通行、あなたもコーヒー飲む?」スクッ スタスタ
一方通行「………あァ…」コク
芳川「愛穂、最終信号と番外個体を病院に迎えに行くって言ってたじゃない?」
一方通行「ン……」
芳川「仕事で少し遅くなっちゃったから、帰りに夕飯三人で食べて来るって。私達はどう
しようかしら?」コポポポ
一方通行「……いらねェ」
芳川「そう。私もいいかな。お昼遅かったし。…はい、コーヒー」スタスタ ストン
一方通行「ン」
芳川「…………」ズズー ペラ
一方通行「…………」
芳川「…………」ズズー ペラ
一方通行「…………」
芳川「……あ、そうだ、これあなたも読む?この人の前の前の論文には目を通してたと
思うけれど」ペラ
一方通行「……あァ。コイツか。『外』の研究者の論文にしちゃ、見れたな」ペラ
芳川「そうね。一般的にクローン種が短命とされる理由、テロメアの短さを克服するため
の実証研究。テロメラーゼ無しにヘイフリック限界を超えることが可能か…」ペラ
一方通行「なかなか几帳面なヤツだ」ペラ
芳川「ええ、好感が持てるわね。ひとつひとつ、とても真面目に研究を続けてる。学園都
市で発見、実行されている方法とは、違う形のものを見つけるかも」ペラ
一方通行「違う形か………」ペラ
芳川「この人ね、元は考古学者だったらしいのよ」ペラ
一方通行「随分と畑違いなこって」ペラ
芳川「子供の頃から、古代遺跡世紀の発見…ってところを夢見ていたけれど、遺跡発掘
のため借金ばかりを抱えて破産寸前」ペラ
一方通行「アホだな」ペラ
芳川「ええ。それでたまたま友人の紹介で、今まで発掘した植物の化石の研究を手伝う
ことになったそうなのよ」
一方通行「ふゥン……」ペラ
芳川「元々真面目な性格だったんでしょうね。琥珀に閉じ込められた古代植物の遺伝子
についての研究で成果を出すまでに十年。けれどそこで実は考古学者としての経
験が役に立ったと聞くわ。そして、今では一角の遺伝子研究者というわけよ」ペラ
一方通行「………」ペラ
芳川「子供の頃からの夢を追うのが理想の人生、という風潮があるけれど、私はそれば
かりが真実だとは思わない。一度志した道を失敗したからこそ、今を真剣に考える
ことが出来る」
一方通行「…………」
芳川「そして道を違えていてこそ、大事なものを見つけ出せることもある。そういうものだ
と私は思うわ」
一方通行「……何が言いたい」
芳川「ただの世間話よ。個人的に好感を持ってる研究者についての一見識」クス
一方通行「………」チッ フイ
芳川「……コーヒー、冷めちゃうわよ」ペラ
一方通行「…………芳川…」
芳川「なぁに?」ペラ
一方通行「…例えばの話だが」
芳川「ええ」ペラ
一方通行「……やっぱりいい」フイ
芳川「そこまで来たら言わんかい」ペシッ
一方通行「!?!?」
芳川「それで?」ペラ
一方通行「………だから…」
芳川「ええ」ペラ
一方通行「例えば…俺と黄泉川が出かけたとして…」
芳川「ええ」ペラ
一方通行「黄泉川が怪我をして、俺が無傷で帰って来たら、お前…どう思う?」
芳川「愛穂が心配ね。でも、あなたが無事でよかった」ペラ
一方通行「……そンだけかよ」
芳川「ええ」ペラ
一方通行「…………」
芳川「不満かしら。じゃあ、そうね…。きっとあなた達は誰かに襲われて怪我をしたのでしょ
う?多分私のせいね。私がいたからそんなことになってしまったのね。私さえいなけ
ればあなた達は怪我をしたりしなかった。私には、こんなところでのうのうと幸せを
貪ってる資格なんかない。自分に甘いだけの私は、強くて優しいあなた達の前から
消えるべきなのでしょうね」
一方通行「芳川」
芳川「あら、怖い顔」クス
一方通行「…消えたりしたら、許さねェ」
芳川「その言葉、そっくりそのままお返しするわよ」ホホホ
一方通行「…………」チッ
芳川「一方通行」
一方通行「何だよ」
芳川「今度は何を怖がっているの?」
一方通行「誰に物言ってやがる」
芳川「強くて優しいけれど、とても臆病な女の子に」クスクス
一方通行「ぶっ殺すぞ」
芳川「ふふ、相変わらず強がりねぇ。…でも、私はあなたが本当に何かを…誰かを怖がって
いるのなら、嬉しいわよ」
一方通行「……何で」ムス
芳川「怖いのは、大切だから。失うことを恐怖しているから。あなたにまたそういう気持ちが
生まれたのなら、当然家族としては喜ぶべきことでしょう?」
一方通行「……アイツは、そォいうンじゃねェ」
芳川「アイツってどこのどちら様?」キラーン
一方通行「…最近出来たチェス仲間」
芳川「嘘ね。その子の話は聞いたことあるもの。素直に言ったってことは、あなたのことだか
ら、それはデコイでしょ。騙されないわよ」ウフフフ
一方通行「うっぜェババァだな」チッ
芳川「言ったわね小娘」
一方通行「小娘って………」ハァ
芳川「あなたなんて小娘よ。家族以外が怖くてプルプル震えてる子ウサギちゃん」クスクス
一方通行「言ってろ」
一方携帯< prrrr
一方通行「!!」ビクッ
一方携帯< prrrr prrrr prrrr prrrr prrrr prrrr prrrr …
一方通行「…………」
芳川「…………」
一方携帯< prrrr prrrr prrrr …プツッ
一方通行「…………」ホ
芳川「ウサギちゃんは物音に敏感ねぇ。さっきから鳴りっ放しでああうるさいうるさい」ホホホ
一方通行「うぜェ」
芳川「誰からの電話?」
一方通行「関係ねェだろ」
芳川「あるわよ。あなたは私の…私達の大事な家族だもの」
一方通行「…………」
芳川「嬉しいとは言ったけれど、あなたが本当に怖いのなら、ずっと家の中に居なさい。私
と愛穂が守ってあげるわ。一生ね」
一方通行「過保護なババァどもですねェ」
芳川「あなたほどじゃないわねぇ」ペラ
ピンポーン
芳川「あら、愛穂達が帰って来たみたい」スクッ スタスタ
ピンポーンピンポーンピンポーン
芳川「はいはい。せっかちねぇ」ガチャ
黄泉川「ただいまじゃーん」
芳川「おかえりなさい。………あら?」
「夜分遅くにすみません。一方通行居ますか?」
芳川「あなたは……?」
上条「あ、俺上条当麻っていいます。一方通行の友達で…」
芳川「友達。あの子の」パチクリ
上条「はい。電話しても出ないから、心配で…っていうか、俺どうしても会いたくて」
芳川「あら。熱烈ね」クス
上条「はい!?い、いやいやいやそういうんじゃなくて、俺はただ話が!!」アセアセ
芳川(あらあらこの反応……知ってるのね、あの子の性別のこと)マジマジ
打ち止め「あの人が電話無視するってこの人から相談があったから、じゃあ直接家に来
て会えばいいよって、ミサカがミサカが提案したのだ!」エヘン
芳川「電話?あなたが?へぇぇ~~……」マジマジ
上条「………?」
芳川「ふふ。あなたは随分、人の目を真っ直ぐに見るのね。居心地が悪いくらい」
上条「え!?す、すみません…」
芳川「いいのよ。目を見られて居心地が悪いのは、その人に後ろ暗いところがあるから
だもの」
上条「え、えーと……」
打ち止め「そんなことはいいからヒーローさん、早く早く!ってミサカはミサカは手を引い
て駆け出してみたり!」タタッ
上条「あ、ああ。お邪魔します!!」タタタ
黄泉川「はいよ。絡み辛い同居人で悪いじゃん……」ハァ
芳川「失礼ね愛穂ったら」クスクス
番外個体「………………」ブスー
黄泉川「ほら番外個体、いつまで拗ねてるじゃん。早く入っといで」
番外個体「……別に拗ねたりなんかしてないし」ムスー
芳川「どうしたの、番外個体」
番外個体「最終信号が、上条当麻を勝手に家に呼んでさぁ」
芳川「無断で入って来たわけじゃないでしょう」
黄泉川「当然じゃん。マンションの前で待ち合わせして、なんだか見たことないくらい格
式ばって挨拶されたよ」ハハハ
番外個体「でも!でも、この家はミサカ達の家じゃん…!!他人が土足で入って来るな
んてイヤだよ」
黄泉川「上条はちゃんと靴脱いで上がっていったじゃん?先にリビング行くよ?」スタスタ
番外個体「そういうことじゃなくてぇ!!」キィー
芳川「…あなたって仮にあの子が結婚したら、すごい小姑になりそうよねぇ」
番外個体「けけけけけケケケ!!?!?!?」ブワッ
芳川「変な笑い方みたいになってるわよ。あっ、普段通りだったわね」プッ
番外個体「ヨシカワぁああああ!!!!もうっ、聞いてよヨミカワ、ヨシカワがぁあ!!」タッ
黄泉川「はいはいはいはい。こら桔梗」ヨシヨシ
芳川「はいはい。冗談よ、冗談」
芳川(さて、上条くんだったかしら。あの子と全然違うタイプだけど、ちゃんと話せている
かしらね?番外個体と違って最終信号はすごく空気を読む子だけど…)スタスタ
上条「………」ポツーン
打ち止め「………」ポツーン
芳川「…あら?一方通行はどうしたの?」??
上条「いえ、あの、入って来た時には誰も……」
打ち止め「え!?やっぱりさっきまで居たのよね!?ってミサカはミサカは玄関にいた
時は間違いなくあの人の気配を感じていたことを明かしてみたり!」
芳川「え……?…あら、窓が………」
ヒュゥウウ……
芳川「さっきまで閉めていたのだけれど」カラカラ
打ち止め「…ハッ!まさか!ってミサカはミサカはベランダに走り出てみる!」タタタ
打ち止め「ああああ!やっぱり!ベランダに置いてあったあの人の靴がない!ってミ
サカはミサカは発見してみたり!!」
芳川「………逃げた?…あの子が?」ポカーン
番外個体「ぷ、はは、ひゃははは…逃げられてやんの、嫌われたもんだねぇ?」
打ち止め「妹よ、顔色が悪いぞ、ってミサカはミサカはツッコんでみる」ハァ
黄泉川「…上条。あの子に何したじゃん?」ギロリ
上条「な、何もしてませんよ!?い、いやしたかもしれないけど、わ、わかんなくて…
だから、話をしに、俺は……!」キッ
上条「………一方通行」
第十六学区。
学園都市内で最も発展した商業区画であり、屈指の高層ビルが立ち並ぶ。
この街特有の青白い光が、白いビル群を淡く浮かび上がらせていた。
「…………」
一方通行は、その中でも最も高いビルの、屋上の端に座り込んでいる。
真冬の夜だ。地上二百メートルのその場所には、強い寒風が吹き荒れていた。
白い髪を容赦なく掻き乱し、剥き出しの首筋や掌はどんどんかじかんでいく。
「……寒ィ」
ポツリと呟いた。
能力を失ってから初めて過ごした冬だった。それまで一定以上の熱気も冷気も反射し
て来た一方通行にとっては、生まれて初めての冬と言ってもいい。
寒いというのは、こういうことか。顔も首も耳も手もジンと痺れ、吹きっ晒しの身体全部
がどんどん冷えていく。
ここに一人で来たのは、久しぶりだった。
以前は、例えば実験の後なんかに、よく一人で夜景を見下ろしていた。打ち止めが見
れば歓声を上げるが、一方通行はこの眺めを美しいと思ったことなど一度もない。
一般的に言えば壮観なのだろうと想像出来ても、実際に心が動いたことはなかった。
景色だけではない。どんなものにも、どんな色にも形にも、感銘など受けない。それは
きっと、自分の心が『人間』ではないからだと思っていた。
腹の足しにもならないものを見て感動するのは、恐らく人間特有のものだろうから。
例えば、動物の視界はモノクロに近いという。
一方通行の視界には、打ち止めやあの家の温もりの側にいたなら、少し色が付く。し
かしきっと、それが自分の限界。
(……ツマんねェ眺めだ)
青白い、青緑、そんな光の無数の集まり。この悪意が凝り固まったような街を動かす
源の色だ。
いつもここに来ていた理由は特にないと。
そう思っていたけれど、今考えれば、この場所と自分がどこか似ていると思っていた
からだと気付かされる。
他に誰もいない、誰の手も届かない、高い高い空間。文字通りの『無敵』である場所。
誰からも、悪意からも善意からも、遠い場所。
誰もいない。誰もいらない。誰も、俺の側に近づくなと。
以前とは少しだけ違うところに立っているからこそ、そう気付かされた。
足音が聞こえる。
一方通行は、深く息をついた。
ふわりと白いもやが広がり、眺める間もなく闇に溶けて行く。
手の中にある黒い携帯電話が、着信を知らせて何度も明滅していた。
「何をやってるンだかなァ……」
玄関からあの少年の声が聞こえて、考えるよりも先に身体が動いた。電極のスイッチ
を入れ、ベランダから外に飛んだ。
逃げた。
それでいて、携帯電話は持って来ているという、みっともなさ。
一方通行は冷えすぎてほぼ感覚のない手で、明滅する光を握り締める。ただの金属
と樹脂の塊が、じわりと指先を溶かした気がした。
足音が聞こえる。忙しない。
少し目線を上げれば、月が出ていた。真っ暗の中浮かび上がる白いその色に、あの
シスターを思い出す。
怪我は、どうだったのだろう。今頃痛んでいないだろうか。
本人は大丈夫だと言っていたが、バイタルサインも確かめられなかったから、本当の
ところはわからない。
『インデックス!!!』
背中にぶつけられた声を、胸元に返す。ぐ、と上から押さえつけられたように息がし
にくい。
とても心配そうな声だった。理解できる。打ち止めを呼ぶ時の、自分の声音に似てい
たから。
だったら、だったら、あの少年は自分のことをどう思っただろうか。
足音が聞こえる。随分近くなった。
大切な少女の側にいたのに、学園都市最強などと呼ばれているクセに、守ることの
出来なかった自分を、どう思ったのだろう。
お前は俺に似ていると、渡してくれた言葉。それを撤回したくはならなかったか。
例えば一緒にいたのが一方通行じゃなく自分だったらと、あの少年は考えたのでは
ないか。
一度越えたはずのところを先ほども越えたはずで、今また同じところで蹲っている。
足音が聞こえる。もうすぐ、そこ。
一方通行は思わず立ち上がった。同時に舌打ちして、拳を強く握り締める。
普通の人間のような機微を持てない自分の心が、あの足音の主をどう思っているか
くらい、芳川に言われるまでもなくわかっていた。
あの少年が頭に触れた、手に触れた、温かさが勝手に蘇って、胸と腹の境目辺りに
モヤモヤと重苦しい塊が渦巻く。
(気持ち悪い)
強い風が吹く。風の音しか聞こえないはずの、静かな場所だった。
誰もいない、誰の手も届かない、そんな自分に似た場所のはずだった。
「一方通行!!!」
バンッ、と目の前の鉄扉を勢い良く押し開ければ、真っ先に白く細い後姿が目に飛び
込んで来る。
高層ビルの屋上は広く殺風景で、白い満月に浮かび上がる影が余計に印象的だった。
上条は驚かせないように気遣う余裕もないまま、掛け続けていた携帯電話のフリップを
閉じ、息を切らせて駆け寄る。
「は、はッ、はァ、ハァ、……ッ、やっと、見つけた…!」
「……よくここがわかったなァ」
平淡な声が返る。
「打ち止めに聞いて…、ハァ、はっ…、ネットワーク?に接続すれば、だいたい場所が
わかる、って……」
一方通行は振り向かない。
強い風が吹いていて、柔らかなことを知っている白い髪が、掻き乱されている。
「はァ…あのクソガキ」
小さな舌打ちは普段通り。けれど、普段通りなわけがない。
あの一方通行が、『普段通り』を装っているなんて。
「一方通行」
ようやく息が整い、上条は改めてその名を呼んだ。ピク、と細い肩が揺れる。
「一方通行、こっちを向いてくれよ」
「……………」
ゆっくりとぎこちなく振り向けば、白い顔はやはり、ひどく頼りなく、怯えたような。
「どうして、そんな顔すんだよ……?」
上条の胸が締め付けられて、思わず、言おうとしていたこととは違うことを口にしてし
まう。
「………アイツは…」
「え?」
「インデックスは……?」
いつものふてぶてしい口調とはまるで異なる、無理に搾り出したような掠れた声。
胸の奥が更に押し潰される。
「あ、ああ…今は土御門に一緒に居てもらってる。あの後医者に連れてってさ。あい
つは大丈夫だって言い張ってたけど、やっぱ心配だろ?」
「ン……」
「ちょっと血が出てたけど、掠っただけだって。一、二週間で治るし傷も残らない」
「そォか………」
一方通行が長い溜息をついた。深い安堵の色をしたそれに、上条の目の奥が熱く
なる。
「あ…ありがとな、一方通行…。あいつのことそんな風に大事に思ってくれて、あ、
ありがとう…っ!!」
身体の芯から溢れた声音は、少し掠れていた。
赤い目が、驚いたように見開かれる。
「この街で、俺以外にインデックスを守ってくれるヤツがいるなんて、思わなかった」
科学と超能力の最高峰、学園都市。
この街には一国の軍隊とも戦えるような能力者がたくさんいるけれど、どれだけ凄
まじい能力を有していようが、誰一人、あの小柄な女の子を守ってくれる人間など
いない。
「インデックスは、何も悪いことなんてしてない。ただたまたま少し記憶力が良かった
だけなのに、いつもいつも誰かに狙われて…っ」
無邪気で優しい、ただの少女なのに、魔道書図書館としての機能だけを守る『自動
書記』などという魔術で軍事機密のように使われ、色々な幸いを奪われてきた。
「だから、ありがとう一方通行。インデックスを守ってくれて、ありがとな…」
ようやくこちらを真っ直ぐ見てくれた視線を離すまいと、上条は瞬きもせずに透き通
った赤色を見つめる。
「………アイツは……」
しばらくして、一方通行がポツリと呟いた。
「俺が…どこの誰だか知らない」
「どこの…?」
「学園都市の第一位。『一方通行』だと知らないで、俺とチェスをする」
ふ、と一方通行が目を伏せた。月明かりを映す白い睫毛が、微かに震える。
「そンなヤツ、初めてなンだ……」
上条は、すぐには言葉が出て来なかった。
魔術の世界であまりに重要な立場のインデックス。科学の世界であまりに強大な能
力を有する一方通行。
二人の孤独はよく似ていたのかもしれないと、今更ながら気付かされる。
「一方通行……」
一方通行は確かに華奢な身体つきをしているけれど、普段は脆弱な雰囲気など欠
片もない。いつも指先にまで緊張感を漲らせ、常人ならば圧倒されるような凄味を
滲ませている。
なのに。
「…だから、オマエに礼を言われる筋合いなンかねェよ」
「そっか。…でも、インデックスは俺にとっても大事なヤツなんだ。あいつが無事じゃ
ないと、居ても立ってもいられないっつーかさ…。はは、情けねぇな」
「……俺も…」
「え?」
「俺も…俺は…打ち止めがいるから、化け物じゃなくて、人間でいられる」
俯いた一方通行は、ただ白く細く寂しい顔の…少女に見えた。
息が詰まる。ずっと胸を締め付けていた圧迫を食い破るように、激しい何かが込み
上げる。
熱すぎるそれを持て余し、上条は自分の胸元を掴んだ。
「だが俺は、オマエの大切を守れなかった」
「は、はぁ!?何言ってんだよお前!!」
急な言葉を理解しきれず、思わず素っ頓狂な声を上げる。
「…………」
しかし一方通行は少し沈黙し、自分の掌を見つめた。上条には華奢で真っ白い手
にしか見えないけれど、あの赤い目には違う色が見えたのかもしれない。
「あンなに傷だらけにしちまった。インデックスは言ってねェだろォが、魔術師とや
らの攻撃は全部俺を狙ってたンだぜ。俺が上手く反射出来なかったから、アイツ
は……」
「そんなの関係ねぇだろ!」
「関係あるに決まってンだろ!!結果としてたまたま掠り傷だったかもしンねェが、
あれが十センチずれていたらどうなってた!?」
「関係ねぇ、絶対だ!お前はインデックスを守ってくれた、それだけだろ!!」
「………っ」
赤い目が揺らいだ。雪のような色の手を握り締め、薄い唇を震わせる。
「俺は…オマエとは違う」
「一方通行!」
「オマエみたいな、不可能を可能にする『ヒーロー』なンかじゃねェンだよ…!!」
血を吐くような叫びと共に、氷のような烈風が吹いた。
華奢な身体がふわりと浮き上がる。
自分が誰かの救いになっていることなんて、全く信じない。上条の言葉を端から
受け入れない。
そんなあまりに頑なに凍り付いた顔を目にした瞬間、上条の腹の奥がカッと燃え
上がる。
「ふざけんじゃねぇ!!!!」
考えるより先に、思い切り手を伸ばし、細い腕を掴んで、地に引き摺り下ろした。
竜巻の形の翼が、澄んだ音を立てて砕け散る。
「ふざけんじゃねぇよ、勝手に人をヒーローにすんなって、言っただろ!!」
細く白い影は、夜の闇に溶けてしまうかと思った。そのまま、二度と会えないかと
思った。
ポカン、と子供のように無防備に口を開けたまま半端に浮いていた身体が、腕の
中に落ちてきて、受け止める。
「俺はヒーローなんかじゃねぇ!俺だって守りたいから守ってきただけだ、お前と
同じなんだよ!…そんな風に、俺との間に距離置くなよ…!!」
力の限り抱き締めたら、驚くほど冷たくて、か細かった。鼻先に触れた柔らかな白
い髪から、淡い香り。胸の奥で腹の奥で、重く密度のある熱が燃えている。
「俺から逃げるな、一方通行!」
腕に力を込める。力の抜けた一方通行の身体は柔らかい。
こんなにも頼りない少女の身で、今までたった一人戦ってきたのかと思うと、たま
らないものが込み上げる。
「……………」
なんだろうこの事態は、と一方通行は思った。
予想外過ぎて、指先一つ動かせない。
上条当麻は万力のような強さで自分を抱き締めたまま、動く気配すらなかった。
頬や耳に硬い髪が触れている。
痛いというか、苦しいというか、熱い。指先がビリビリする。
気持ち悪い。
穿つように真っ直ぐに見つめる真っ黒の目だった。こちらの『反射』などお構いなし
の言葉だった。
打ち止めのように無邪気にこちらの警戒をくぐるのでも、黄泉川や芳川のようにこ
ちらを気遣いながら包むのでもない。
ただ真っ向勝負でこんな風に正面からぶつかられたことなんてなくて、思考がフリ
ーズしている。
しかし考えてみれば、上条当麻とは最初からそんな男だった。すべてが真正面で、
真っ向勝負。
初めてのことだから、動くことが出来ないのだろうか、と自問する。
距離?離れるな?一体何を言っているのか。
自分の言ったことと、この少年が言ったことに、繋がりがないように思う、しかし。
(ヒーローなんかじゃない、か…)
本当はとっくに知っていたのかもしれない。
上条当麻は、勝つことを運命付けられたヒーローなんかじゃない。一方通行が言
い訳をするための曖昧な偶像でもない。
守りたいから立ち向かっているだけの、ただの、心優しい人間で。
ひとりの少年だと。
「なぁ、一方通行」
「………」
不意に、上条が口を開いた。先ほどの勢いはどこへやら、囁くような声音だった。
「お前の名前、教えてくれよ」
「……忘れたっつっただろ」
「嘘だろ?」
「………」
一方通行は返事をしなかったが、上条は追及しなかった。
代わりに、子供を宥めるような仕草で、髪を撫でられる。強風で絡んだ髪を解いて
いく指先が触れる度、何か違うものも解かれているような気がした。
上条の肩越しに、月が見えた。
きれいだと思った。
731:1:2011/07/09(土) 20:55:44.81 ID:kjsZhp9A0
PM 11:25 第七学区 学生寮付近 通学路
上条「…………」スタスタ
一方通行「…………」カツカツ
上条「…………」スタスタ
一方通行「……いい加減、手ェ離してくれませんかねェ」カツカツ
上条「イヤだ」ギュッ
一方通行「うぜェ」イラッ
上条「いつまた飛んで逃げるかわかんねぇし、お前」
一方通行「…逃げねェよ」チッ
上条「だから見え透いた嘘やめろって…。お前結構逃げグセあるじゃん」
一方通行「はァ?この俺に逃げグセだと?」
上条「インデックスと俺から逃げただろ。さっきも逃げようとしたし」
一方通行「アレは……」フイ
上条「…まぁ、いいけど。お前って嫌いなヤツからは逃げないだろうし」
一方通行「はァ…?」
上条「お前の中で何か勝手に思いつめて、居たたまれなくなって逃げるんだろ」
一方通行「わかった風なクチ聞いてくれるじゃねェか」
上条「違うの?」
732:1:2011/07/09(土) 20:56:25.23 ID:kjsZhp9A0
一方通行「掠りもしてねェな」
上条「ふぅん…ま、そういうことにしといてもいいけどな」
一方通行「調子乗ってンじゃねェぞこの三下がァ」
上条「お前って結構メンドクサイよなー」
一方通行「殺す」ジャキッ
上条「うぉ!!街中で銃出すなっつぅの!!!」
一方通行「オマエが掴ンでっから能力使えねェだろォが」
上条「あれ!?コレ離しても離さなくても死ぬコース!?」
一方通行「そォだなァ」フン
上条「じゃあ離しません!!!!」ギュー
一方通行「イッ…!離せこのクソボケカス!!」ブンブン
上条「一方通行が銃しまったら離してあげませう」ウン
一方通行「チッ…、覚えてろよ三下…」シマイシマイ
上条「はいはい」パッ
一方通行「………………」ホッ
一方通行(…なァンか、気持ち悪ィんだよなァ。コイツに触られンの)
上条「なぁ一方通行」
一方通行「なンだよ」
上条「その『三下』っての、そろそろやめねぇ?俺には上条当麻って名前があるんですよ?」
一方通行「知ってるけど?」キョトン
上条「」ドキ
上条「じゃなくて!いやいや!何でお前の方が『何言ってんの?』みたいな顔になるんだよ!
名前で呼んでくれって話ですよ!」
一方通行「寝言は寝て言えよォ?」
上条「よりヒドイ!?たまに名前呼んでくれるじゃん!それをデフォにしてくれって!」
一方通行「名前…?勘違いじゃね?」
上条「不思議そうな顔すんな!お前って意外にシラッと嘘つくよねぇええ!?!」
一方通行「チッ、うっせェなァ。どォでもイイだろ呼び方なンか」ガリガリ
上条「どうでもよくありません!」キリッ
一方通行「…………面倒くせェ」ハァ
上条「はいはいメンドくさくていいから。名前で呼んで!ハリーハリー!」
733:1:2011/07/09(土) 20:57:04.93 ID:kjsZhp9A0
一方通行「………当麻さン」ボソッ
上条「」
一方通行「はッ、なンてな。冗談だよ。そンな固まンなくたってイイだろ」フン
上条「」
一方通行「オイ…?そンなに不気味だったかァ?」ノゾキコミ
上条「………………ビビったァああああ……」ハァアアアア…
上条「今俺の中の何かのアレが外れそうになったわ。何か危なかったわぁー」
一方通行「はァ?何がなンだって?」??
上条「………………………」ジッ
上条(ちょっと目ぇ伏せてしおらしくするだけで、こいつ、こいつ……こいつちょっと反則な
んじゃね…?普段こんな目付き悪いクセに、目付き悪いクセに…)
上条(いや…まぁこれはこれで…普段通りで安心するっていうか…)
一方通行「………?」
上条「名前かぁ…名前ねぇ……」グルグル
一方通行「何の話だ」
上条「お前の冗談、全然笑えねぇって話」ハァ
一方通行「オーケェ。死にたいンだな三下ァ」カチッ
上条「ものすごくデジャブー!?」ギュッ
一方通行「! 離せェ!!」ブンブン
上条「無限ループって怖いよなぁ!!」ギュー
ギャーギャー
734:1:2011/07/09(土) 20:57:40.11 ID:kjsZhp9A0
PM11:45 第七学区 学生寮 上条当麻の部屋 玄関前
上条「ハイとうちゃーっく」スタスタ ピタ
一方通行「………」カツカツ ピタ
上条「そんな嫌そうな顔すんなよ。俺と手ぇ繋ぐの、そんなに嫌か?」
一方通行「嫌ですけどォ?」
上条「」ガーン
一方通行「今更ショック受けるンなら最初からすンな。気持ち悪ィだろ、常識的に考えて」
上条「…まぁ確かに、土御門とか青ピとは繋ぎたくないなぁ…」
一方通行「だろ」
上条「でもお前は別だろ?」
一方通行「何でだよ」
上条「別なもんは別なんだよ」
一方通行「俺だって嫌なもンは嫌なンだっつゥの」イラッ
一方通行(俺の手なンか……俺の手は)ジッ
一方通行(コイツが触っていいよォなもンじゃ………)
上条「一方通行。お前の手がお前にどう見えてるか知らねぇけど、俺にはただの白くて
きれいな手にしか見えないぜ」
735:1:2011/07/09(土) 20:58:07.71 ID:kjsZhp9A0
一方通行「眼球腐ってんじゃねェのかオマエ」
上条「そう見える?」ジッ
一方通行「……っ、うるせェなァもォ!」ブンブン
上条「はいはい。続きは部屋入ってから聞くわー」ガチャガチャ
上条「ただいまー」ガチャ
「あーっ!あなたぁああああ!!!!」トテテテ
「あっ!あくせられーたぁああ!!!」タタタタ
ドシーン
一方通行「ぐはッ…」フラリ
上条「おっと」ギュッ
禁書目録「あくせられーた!あくせられーた!!」グイグイ
打ち止め「もう!あなたったら、急にいなくなったら心配するでしょ!?ってミサカはミサカは
渾身の力であなたに抱きついてみたり!!」グイグイ
禁書目録「ほ、ほんとにそうなんだよ!私の話も聞かないであんな顔していなくなっちゃうな
んて、ひ、ひどいんだよ!!」グスッ
打ち止め「どうせあなたのことだから勝手に思いつめて勝手に居たたまれなくなっちゃったん
だろうけど、そ、そういうのもうやめてってミサカはミサカは…」グスッ
一方通行「…オマエら……」
禁書目録「………」ギュー
打ち止め「………」ギュー
一方通行「重てェ。苦しィ」ナデナデ
736:1:2011/07/09(土) 20:59:06.75 ID:kjsZhp9A0
上条「ぷっ、お前ってホントに素直じゃねぇよなぁ」ハハ
禁書目録「大丈夫だよ。私はあくせられーたがどんなに私を一生懸命守ろうとしてくれたか、
ちゃんとわかってる」フフ
打ち止め「ヒーローさんもシスターさんもわかってるぅ!ってミサカはミサカはあなたの理解者
が増えたことがとっても嬉しかったり!」
一方通行「チッ、好き勝手言いやがって…。……オマエ、怪我は?」ボソッ
禁書目録「全然平気だよ!ほら、バンソーコ貼ってもらって、それくらいで大丈夫だって」ニコ
一方通行「……痛くねェのか」ナデナデ
禁書目録「うん。…ありがとう、あくせられーた。あなたがどう思っていても、私はあなたにとて
もとても感謝してるんだよ」ギュ
一方通行「………ふゥン…とンだお人好しだな…」
打ち止め「なーんて憎まれ口を叩きながらちょっと口元の緩むあなたであった!ってミサカは
ミサカは激写!マジ激写!!」
一方通行「くォらこのクソガキィ!なーにこンな夜遅くに出歩いちゃってンですかァ!?」ビシッ
打ち止め「あいたぁ!ヨミカワに送ってもらったんだから大丈夫だよ、ってミサカはミサカは全
力で釈明してみたり!」グイグイ
一方通行「ぐッ…腹に頭押し付けンのやめろ!ただでさえオマエらとコイツに挟まれて苦しい
のによォ…」
打ち止め「きゃはは!あなたのお腹薄っぺらいもんね!ってミサカはミサカは更にぐいぐいし
てみたり!」グイグイ
上条「おーいお前らーそろそろ家の中入ろうぜ?よいしょっ」グイッ
一方通行「うォ!?」
禁書目録「わっ!」
打ち止め「きゃー!ってミサカはミサカはこの人ごとミサカ達を持ち上げるヒーローさんに驚
愕してみる!!」キラキラ
737:1:2011/07/09(土) 20:59:32.77 ID:kjsZhp9A0
禁書目録「とうまは結構力持ちだからね!」フンス
上条「なんでお前が威張るんだよ…。おらインデックス、一方通行の靴脱がせてー」ヒョイ
一方通行「何のつもりだゴルァアアア!!」ジタバタ
禁書目録「はーい」スタッ ポイポイ 「脱がせたんだよー」
上条「うむ、ごくろう」スタ
一方通行「調子乗ンなアホボケカス!」ガツン
上条「いてっ」
一方通行「~~~~~ッ…!!」ジンジン
打ち止め「あなた大丈夫ー?ってミサカはミサカは後頭部で頭突きしたら自分の方が痛かっ
たっぽいあなたを心配してみたり…」
一方通行「…ッせェな、全然何でもねェよ!」
上条「大丈夫かー?一方通行」ナデナデ
一方通行「触ンな、っつってンだよォ!」ウガー
禁書目録「あくせられーた!」タタタ
禁書目録「はい!寒かったでしょ?コーヒー入れてきたんだよ!」ニコ
一方通行「……ン…」スッ
一方通行「………」ズズー
一方通行(………何かいつもと味が違う気ィする)ズズー
禁書目録「私とらすとおーだーは紅茶で、とうまはコーヒーでいいよね?」
上条「ん、ありがとなインデックス」
打ち止め「ありがとうシスターさん!」
一方通行「……ァりが、と…な」ポソリ
禁書目録「え?なぁに?あくせられーた」キョトン
一方通行「……ッンでもねェよ!」フイ
打ち止め「大丈夫、ミサカはちゃーんと聞いてたよ!ってミサカはミサカは微笑んでニコニコ
頷いてみたり!」アノネーシスターサン
上条「大丈夫、俺も聞いてたぞ。と上条さんも頷いてみたり」ズズー
一方通行「オマエらさっきからうっぜェ…」ハァ
738:1:2011/07/09(土) 21:00:12.70 ID:kjsZhp9A0
禁書目録「あ、そうだ!あくせらーた、見てほしいものがあるんだよ!」タタタ
一方通行(…走り方にも違和感ねェな。ホントに怪我は軽いもので済ンでたか)ホッ
禁書目録「ね!これこれ!」ジャジャーン
一方通行「……白のキングとビショップ…?だが、アレは…」
禁書目録「うん…私達のチェスボードと駒は壊れちゃったけど…でも、でもね!この白の
キングとビショップだけ、無傷だったんだよ」
一方通行「…………」
禁書目録「とうまがね…見つけてくれたんだよ」
禁書目録「私とあくせられーたの……」ウルッ
禁書目録「えへへ…ぐすっ、白のキングとビショップって、あくせられーたと私に似てるかも!
あくせられーたがキングで、私がビショップなんだよ」ニコ
一方通行「……………」
打ち止め「じゃあミサカはクイーン!ってミサカはミサカは名乗りを上げてみたり!」ドシーン
一方通行「ぐッ…随分大きく出ましたねェクソガキ」
上条「じゃあ上条さんはナイトー。って上条さんも名乗りを上げてみたり」
一方通行「……オマエなンかポーンがお似合いだろ」チッ
上条「俺にだけ冷たいのヤメテ!」
禁書目録「クス、違うよとうま。確かにポーンは単体では最も弱い駒、価値の低い駒かも。
だけど、チェスの駒の半数はポーンが占めていて、欠かすことのできない駒でも
あるんだよ」
上条「…まぁ、確かにそうかも」
禁書目録「それに、敵陣の最終列に達したポーンは、クイーン、ビショップ、ナイト、ルークの
どれか好きな駒に昇格させる事ができる『プロモーション』っていうルールがあるの」
上条「へぇ。将棋の『成り』みたいなもんか」
739:1:2011/07/09(土) 21:01:03.00 ID:kjsZhp9A0
禁書目録「そうだね。でも、チェスの駒の中でプロモーションが出来るのはポーンだけ」
上条「そうなんだ?」
禁書目録「うん。ポーンはチェスを指すならば一番と言ってもいくらい重要な駒。チェスの名手と
しても、チェスの名著を残したことでも有名なフランソワ=アンドレ・ダニカン・フィリ
ドールも『ポーンこそがチェスの魂である』という格言を残してるんだよ」
上条「……つまり」チラッ
一方通行「………」
禁書目録「それくらいとうまがあくせられーたにとって重要ってことかも!」フンス
一方通行「オイオイ黙って聞いてれば好き勝手言いやがってよォ…」
禁書目録「The analysis of the Philidor」
一方通行「……」ピク
禁書目録「こないだ言ってたよね~?古典だけど読み物としても面白かったって。さっきの格言
だってこの本に載ってるんだよ。忘れたとは言わせないんだよ?」ニヒヒ
上条「一方通行……」ジーン
一方通行「勘違いすンじゃねェよ三下がァ。オマエもペラペラペラペラ、随分元気そォですねェ?」ビシッ
禁書目録「あいたっ!?」
打ち止め「大丈夫?シスターさん。この人のチョップ痛いのよね…ってミサカはミサカは身震い
してみたり」ブルブルギュー
一方通行「オマエもいい加減動き辛ェンだよ」ビシッ
打ち止め「いたぁい!ってミサカはミサカは涙目で見上げてみる…」ウルッ
上条「大丈夫か、打ち止め。まったく進歩のない照れ隠しだな」ナデナデ
一方通行「ウチの打ち止めに触ンじゃねェよォおおお!」ドゴッ
上条「ぐっほォ!?」
740:1:2011/07/09(土) 21:01:41.19 ID:kjsZhp9A0
打ち止め「ウチの打ち止め……。ジーン…ってミサカはミサカは特別な響きに浸ってみたり…」
一方通行「……うっせェなァホント…」ハァ
禁書目録「ねぇねぇあくせられーた。ボードは無いけど、一局指してかない?」ニッコリ
一方通行「…いいぜェ」ニヤ
禁書目録「えと…で、でね?いつもは私が白を譲ってるけど、あくせられーたもずいぶん強くなった
んだし、今日は私に先攻を譲って欲しいかも…」モジモジ ギュッ
一方通行「嫌だ」ヒョイ
禁書目録「即答!?おとなげないかも!ってキングとビショップ返してー返してー」ピョンピョン
一方通行「オマエこそ初心者相手に白とか恥ずかしくないンですかァ?」タカイタカイ
禁書目録「むー!この私相手に三回に一回勝てる人が初心者とか、片腹痛いんだよ!」ピョンピョン
一方通行「だいたいボードも駒もないンだから、コレだって必要ねェだろ。白とか黒とか関係ねェ」
禁書目録「じゃ、じゃあ私が黒でそれ持ってても構わないでしょ!?」ピョンピョン
一方通行「それはそれェ。これはこれェ」
禁書目録「どれなんだよ!?もうっ、あくせられーたって意外と意地悪かも!!」ピョンピョン
一方通行「今頃気付いたのかオマエ?」ククク
セメテビショップダケ-!!
イヤデスゥー
モー!!アクセラレータ!!
上条「平和だなぁ……」ゴロゴロ
打ち止め「えへへ…あんなにハシャいでるあの人はなかなか見られないんだよ、ってミサカはミサ
カは嬉しくなりながらコタツで寛いでみたり…」コロコロ
上条「やっぱあれハシャいでんのかー」ゴロゴロ
打ち止め「そうだよー?あ、そういえばあの人に殴られちゃったお腹は大丈夫?ってミサカはミサ
カはヒーローさんを心配してみる」コロリ
上条「ん?ああ全然。手加減してくれたんだろ」ニコ
打ち止め「そっかぁ……えへへへ」ニコ
741:1:2011/07/09(土) 21:03:15.82 ID:kjsZhp9A0
時計の針は深夜を過ぎ、辺りはシンと静まり返っていた。
吐く息は白く、二人分のもやが薄っすらと漂って消えていく。
「…寒くねェか」
カツ、カツ、と澄んだ杖の音。
「大丈夫!あなたの手があったかいもの、ってミサカはミサカは繋いだ手を握り締めてみる」
打ち止めは、手袋越しに一方通行の手を握り締めた。本当は手袋なんて外して、直接この人
の冷たい温かい手を握りたいのだけれど。
上条が散々送って行くと主張したが、一方通行は必要ないと言い張り、最終的には何かあれ
ば能力で飛んで帰ると約束して、ようやく二人で玄関を出ることを許された。
「それにしてもヒーローさん、すごい不満そうだったね?ってミサカはミサカは思い出し笑い」
「ったくアイツは俺のこと何だと思ってやがンだよ…」
はぁ、と一方通行は溜息をつく。呆れたような声音と裏腹に、眉間の皺は普段より浅い。
「あなたが強いのは知ってても、ただ心配なんだよ。ってミサカはミサカは教えてあげてみる」
「心配、ねェ……」
白い横顔が夜空を見上げる。
742:1:2011/07/09(土) 21:03:42.97 ID:kjsZhp9A0
繊細な輪郭を、白い月が照らしていた。白い髪が微かに光るようで、打ち止めは少しぼんやり
してしまう。
「どォした、ボーッとして」
気が付けば、赤い目が不思議そうに見下ろしている。打ち止めは我に返って、満面の笑みを
浮かべた。
「あなたに見惚れてたの!ってミサカはミサカは恥ずかしげもなく明かしてみる」
「はァ?」
「前から言ってるでしょ?ミサカのヒーローは誰より美人さんだもん!」
「アホなこと言ってンじゃねェよ」
「アホじゃない!ってミサカはミサカは心外な評価に憤慨してみたり!きれいなものをきれい
って思うのは、人間なら当たり前でしょ?」
「…………」
言ってから、打ち止めは、あ、と気が付いた。
(しまった!失言しちゃったぁああ!ってミサカはミサカは今更口を塞ぐわけにも行かなくて
冷や汗を流してみたり!!)
自分は、一方通行が、普通の人なら見て感動するものを見ても心を動かすことをしない…
いや、出来ない性質だと知っている。
そして、この人がそれをどこかで自嘲していることも。
単に、機会がなかっただけ。例えば、生まれたばかりの赤ん坊に夜景など見せても反応しな
いのと同じ。
幼い頃から実験ばかりで、芽吹くはずの情緒がまだ育っていないだけだと打ち止めは思って
いるけれど、この人はどうせ、『自分が人間じゃないから』とかなんとかお得意の自虐癖を発
揮しているだろう。
(うううここで変なフォロー入れたら、ミサカが気付いてることに気付かれちゃうだろうし…!
ってミサカはミサカは結構鋭いこの人が油断ならないことを懸念する…)
「なァに冷や汗かいてンだクソガキが」
チラリと様子を伺うのと同時、脳天に軽い痛みが炸裂する。
「あいたぁ!?ってミサカはミサカは……」
743:1:2011/07/09(土) 21:04:10.52 ID:kjsZhp9A0
「オマエなァ。言っとくけどオマエも隠し事下手な部類だからなァ?」
「ななな何のこと!?ってミサカはミサカは動揺を押し隠しながら尋ねてみたり!」
「だァから隠せてねェから……」
一方通行は再び長い溜息を吐き出して、打ち止めの頭をぐしゃぐしゃと撫でた。
「ガキが余計な気ィ使ってンじゃねェよ」
「………」
華奢で大きな手。大好きな手が、乱暴に撫で続ける。
打ち止めが大人しく撫でられたままでいれば、一方通行がまた空を見上げた。
「月が出てる」
「…うん、そうだね。ってミサカもミサカも見上げてみたり」
学園都市の夜は明るい。青白い光が照らす夜空は、真の闇とは言い難い。けれど、濃紺の
空に浮かぶ月は、やはり澄んで美しい。
(きれいだなー、ってミサカはミサカは見惚れてみたり)
「……きれいだな」
ぼそりと、小さな囁きが落ちた。
「!!!!!」
打ち止めは弾かれたように顔を上げ、一方通行の横顔を凝視した。赤い目は、白い月を真
っ直ぐに見上げている。
きれいだと思っているのだろうか。自分と同じように、自分が一方通行を見上げた時と同じ
ように、胸の奥から溢れる、澄んだキラキラで満たされているのだろうか。
何かをきれいだと思える幸いを、この人も手に入れたのだろうか。
「一方通行……」
「何て顔してンだ、オマエ」
744:1:2011/07/09(土) 21:04:46.75 ID:kjsZhp9A0
赤い目が細められ、眉が顰められる。
「…抱っこ……」
「はいィ?」
「抱っこぉ!ってミサカはミサカは両手を上げて待ちわびてみるぅう!!!」
「…ったくしょォがねェなァ……このガキは」
一方通行は杖を器用に使って屈み、望みどおりに打ち止めを抱き上げてくれる。
細い首にしがみ付いて、柔らかな髪に顔を埋める。花のような淡い香りを、胸いっぱいに
吸い込んだ。
温かい。いい匂い。この温もりも感触も何もかも、打ち止めにとっての幸せと同じ意味だ。
「飛んで帰ろ?ってミサカはミサカはおねだりしてみる!」
「とンだワガママさンですねェ?」
呆れた声が耳元で揶揄をするが、軽い機械音と共に杖が縮む。
「打ち止め、電極」
「はーい!ってミサカはミサカは両手が塞がったあなたの代わりに電極のスイッチオン!」
目の前にあるスイッチを能力使用モードに切り替えれば、ふわりと風が吹いて、ゆるやか
に浮き上がる。
745:1:2011/07/09(土) 21:06:20.98 ID:kjsZhp9A0
あっと言う間に家々がミニチュアのような大きさになり、光の粒にしか見えなくなった。
二人だけの月夜の散歩。今は自分だけの一方通行。
(この人に、月をきれいだって思わせてくれたのは、やっぱりヒーローさんかなぁ)
真っ直ぐな目をした、力強い笑顔を手元に返す。
怪我をしていたインデックス。急に連絡が取れなくなった一方通行。そして、この白い手を
握って連れてきてくれた上条当麻。あの会話。何があったかは、想像に難くない。
自分には与えることの出来なかったものをこの人に渡してくれて、ありがとう。そんな感謝
と、少しの悔しさに、打ち止めはしがみ付く腕にますます力を込めた。
「なンだ、今日はどォした?」
肩口に額をぐりぐり擦り付けると、擽ったそうな声音が耳元に返る。いつもなら鬱陶しいと
怒られるのに、こんな風に許してくれるのは、自分のちょっと狭量な気持ちがバレている
からだろうか。
「仕方ないじゃん、ミサカ子供だもん…ってミサカはミサカはもっとギュッってしてってワガ
ママ全開なの!!」
「ホントーにオマエらは都合のイイ時ばっかそれだな」
文句を言いながら、細い腕が強く抱き締めてくれる。華奢すぎるほどの身体付きの一方
通行だが、こんな風にくっつけばしなやかで柔らかだ。
この感触をあの人にも知られる時が来るのだろうか。
746:1:2011/07/09(土) 21:08:48.06 ID:kjsZhp9A0
「基本的にめっちゃ応援してるけど、でもちょっとだけ邪魔しちゃおうかな~って、ミサカ
はミサカは小悪魔な気持ちが湧き上がってきたり!」
「はァ…?」
「なんでもないの!ってミサカはミサカは慌てて誤魔化してみたり!」
「あァそォかい」
耳元に強い風の音。頭上には星空と白い月。眼下には青白い光の海。
「きれいだねー。ってミサカはミサカは同意を求めてみる」
「ああ……そうだな」
小さな囁きが返る。今まで決して得られなかったものが。
(ありがとう、ヒーローさん)
打ち止めの視界に広がる光の粒が、少しだけ滲んだ。
763:1:2011/07/16(土) 11:54:52.82 ID:dNok6O3w0
AM 1:45 黄泉川家 リビング前廊下
コレデドォダ クソガキ
ンー ダイジョーブ ッテミサカハミサカハ
番外個体(……ん?よーーやく帰って来たんだ、第一位と最終信号…)
番外個体(今から帰るって連絡あったと思ったら黄泉川と芳川はさっさと寝ちゃうし、まったく
甘いって言うかさー)
番外個体(もっと色々言うべきでしょ?勝手に出てくなとか、家族以外を家に入れるなとか、
最近ちょっと外出多いんじゃね?とか)イラァ
番外個体「……ちょっとくらい、イジメとかないと気が済まないにゃーん?」ビキビキ
バターン
番外個体「やっほう第一位!!おっそいお帰りですねぇ、え、ええええええ?」
打ち止め「あ、番外個体!待っててくれたのー?ってミサカはミサカはこの人に抱っこされた
まま元気にたっだいまー!」ヤッホー
一方通行「なンだオマエ、まだ起きてたのか。さっさと寝ろよ」
番外個体「な、なんであなたはそこのおチビを抱っこしてコーヒー飲ませてるわけ?」
打ち止め「ミサカは練習台なんだよ。このコーヒー、粉に直接お湯入れてあってねー、粉が
口の中に入って来ないようにこの人が能力で調整してくれてるの、ってミサカはミ
サカは懇切丁寧に説明してみたり!」
番外個体「いや、意味わかんないし!!」???
打ち止め「うう、やっぱにがぁい!!ってミサカはミサカはお砂糖とミルクを要求してみる」
一方通行「しょーがねェなァ。ちっと待ってろ」スッ スタスタスタ パタン
番外個体「無視して台所行くなゴルァアアアア!!!」
764:1:2011/07/16(土) 11:56:04.79 ID:dNok6O3w0
打ち止め「まぁまぁ。きっとあなたの分もお砂糖とミルクたっぷりのカフェオレ入れてきてくれ
るから、ミサカと待ってよう?ってミサカはミサカはお姉さん風を吹かせてみたり」
番外個体「チッ…!覚えてろよな第一位!」ストン
打ち止め「ごめんね、心配してた?ってミサカはミサカは末っ子を覗き込んでみる」
番外個体「はぁ?誰が?」
打ち止め「番外個体が!ってミサカはミサカは顔に出てるよーって教えてあげてみるー!」
番外個体「何言ってんのかなこの幼女はぁ…。言っとくけどミサカは」
打ち止め「あの人のカフェオレ楽しみだな~♪」フンフン
番外個体「人の話聞きなよ!」キー!!
打ち止め「ねぇねぇ、今日は月がきれいだね?ってミサカはミサカは窓の外を指差してみたり」
番外個体「は、はぁ?月ぃ?…別に普通じゃないの?」
打ち止め「あの人が月を『きれい』って言ったから、今日はミサカ記念日!ってミサカはミサカ
はそう決めた!」
番外個体「さっきから話見えないんだけどぉ!!っていうかミサカ全体の話にしないでくれない
かな!?記念日って意味わかんない!」
打ち止め「あの人が、今日初めて月を見てきれいって言ったの。ってミサカはミサカは衝撃の
大ニュースを教えてあげてみる!」
番外個体「はい…?そんだけ?」
打ち止め「そうだよ?すごいでしょ!!」フンス
番外個体「……何がぁ??」ポカン
打ち止め「あなたは月を見て、きれいって思う?ってミサカはミサカは確認してみる」
番外個体「えぇー……?どうでもいいじゃんそんなの」
打ち止め「いいから教えてよぉ、ってミサカはミサカは駄々を捏ねてみたり!!」ネェネェ
番外個体「うざいなぁこのおチビはぁ」チッ
765:1:2011/07/16(土) 11:56:30.69 ID:dNok6O3w0
打ち止め「…………」ウルウル
番外個体「はぁ……まぁ、きれいなんじゃないの?」
打ち止め「…そっか!そうだよね!ミサカもそう思う!ってミサカはミサカは満面の笑顔で頷
いてみる!」
番外個体「あなた何でさっきからそんなにテンション高いの?ウザいんだけど」
打ち止め「うーん…そうだなぁ。一言で言うなら、あの人の側で笑ってくれる人が増えて嬉しい
な!ってとこかな?ってミサカはミサカは頑張ってまとめてみたり」
番外個体「………………」イラッ
打ち止め「どうしたの?しかめっ面ー」プニ
番外個体「だー!突っつくな!…最終信号はさぁ、何であの人の側に人が増えて嬉しいって
思うの?」
打ち止め「……?大事な人に大事な人が出来たら、嬉しいのは当たり前じゃないかな?って
ミサカはミサカは首を傾げてみる」
番外個体「あ、当たり前ぇ…?こないだも言ったけどさ、あの人はミサカ達のでしょ?あなた
だってあの時泣き出しちゃったじゃん!」
打ち止め「えへへ…ってミサカはミサカは思い出し照れしてみたり。確かにちょっと寂しいし、
ミサカに出来ないことをあの人にしてあげるヒーローさんがちょっと妬ましいけど」
番外個体「げっ、上条当麻があの人に何したってェえええ!??」ガタガタッ
打ち止め「落ち着け妹よ。具体的にはまだ特に何もしてないよ、ってミサカはミサカは捕捉説
明してみたり」
打ち止め(うーん…多分、してない、かな?ってミサカはミサカはちょっと疑問符!)
番外個体「まだって何さ!まだって!!」
打ち止め「気になるんだったら、今度一緒に来る?ってミサカはミサカはお誘いしてみる」
766:1:2011/07/16(土) 11:57:03.04 ID:dNok6O3w0
番外個体「………イヤだね」プイ
打ち止め「素直じゃないなー。まぁ気が向いたら一緒に行こ?ってミサカはミサカは言っておく」
番外個体「…………」
打ち止め「ミサカは…あの人に、世界はあの人が思ってるよりも優しいって、知ってほしいの」
番外個体「はッ、何言ってるの?世界なんて悪意に満ちてる。このミサカがその証拠だよ」
打ち止め「始まりが悪意であっても、今あなたはここでミサカとあの人のカフェオレを待ってる。
ってミサカはミサカは始まりなんて関係なことを断言してみる」
番外個体「………そんなの、だって」
打ち止め「そうだね。あの人がすっごく頑張ってくれたから。ってミサカはミサカは頷いてみたり」
番外個体「……」
打ち止め「あの人はとても臆病。人に自分の心の奥を見せるのがとても怖がっている。でも、気
持ちを渡したら、人は返してくれるものだって、もっと知ってほしいの」
番外個体「そうとは限らないんじゃないの?最終信号の言ってるの、キレイゴトでしょ」フン
打ち止め「ミサカがそのキレイゴトを信じられるのは、あの人のおかげだから。ってミサカはミサ
カはあの人との出会いを思い出してみる」
番外個体「ああ、あの路上で全裸にされたヤツ?」ケラケラ
打ち止め「もう、それは言わないで!ってミサカはミサカは赤くなってみたり!」プンスカ
767:1:2011/07/16(土) 11:57:53.12 ID:dNok6O3w0
打ち止め「…あの人は、その日会ったばかりのミサカを家に泊めてくれた。いただきますをさせ
てくれた。ただのクローンでしかないミサカの命を、自分の命を掛けて助けてくれた」
番外個体「…………」
打ち止め「あの人に見えている世界は、多分あなたに近いのかもしれない、ってミサカはミサカ
は予想してみる」
打ち止め「悪意の中で生き続けていたあの人が、ミサカを助けてくれた。自分が貰ったこともない
ものを、ミサカに渡してくれた」
打ち止め「どれだけ苦悩しただろう?どれだけ勇気を振り絞っただろう?ミサカはミサカは、それ
を考えると、涙が出そうになる」
打ち止め「人は優しい。人は温かい。世界は優しい。何か辛いことがあっても、きっと皆が笑顔
になれる。そんな風にミサカが人を信じられるのは、あの人がいたから」
打ち止め「あの人がミサカに渡してくれたものを、ミサカも渡してあげたいの。優しい世界の姿を」
打ち止め「……ってミサカはミサカは決意表明!」ニコッ
番外個体「…………。世間知らずの子供の寝言だね」
打ち止め「そう言われると反論できないなぁ、ってミサカはミサカはシュンとしてみるんだけど…」
番外個体「何ヘコんでんの」ビシッ
打ち止め「あいたぁ!?ってミサカはミサカはまさかの妹チョップに驚いてみたり!」
番外個体「あんな凶暴で捻くれた人殺しの極悪人にそんな夢見がちなこと言えるの、あなたくらい
のものでしょ」
打ち止め「む!!あの人は凶暴でも捻くれても極悪人でもないもん!!ってミサカはサカは前言
撤回を要求してみる!」
番外個体「人殺しってとこは否定しないんだね」
打ち止め「それは事実だからね、ってミサカはミサカは神妙に頷いてみたり。あの人がミサカ達を
10031回殺したことは事実。ミサカ達は決して忘れない」
768:1:2011/07/16(土) 11:59:01.58 ID:dNok6O3w0
打ち止め「……あの人のためにも。ってミサカはミサカはミサカ達の死に様を噛み締めてみる」
番外個体「あの人のため…?」
打ち止め「ミサカ達があの人の罪を忘れてしまったら、あの人はきっと命を投げ出してしまう気が
するの。ミサカの安全だけ確保して、いなくなってしまう気がするの…」
打ち止め「だから…。ってミサカはミサカは…ミサカは嫌な子かな?自分勝手な子かなぁ…」グス
番外個体「…そんなに難しいこと聞かないでよ、お姉チャン」
打ち止め「!!!!ねぇねぇ、今のもう一回言って!?ってミサカはミサカは今泣いた鴉が笑って
みたり!」
番外個体「えっ、何この子変わり身早い」ヒキギミ
一方通行「お話終わりましたかねェ」ゴスゴス
打ち止め「いたぁ!?」
番外個体「いだ!なんでミサカまでぇ!!」
769:1:2011/07/16(土) 11:59:31.63 ID:dNok6O3w0
打ち止め「あ、あれ!?もしかして聞いてたの!?ってミサカはミサカはちょっと照れてみたり」
一方通行「何にも聞いてませェン」ズズー「甘……」ウゲ
番外個体「あひゃひゃ!第一位ったら気まずくって誤魔化そうとしてるのかにゃ~?このタマなし
野郎…ってタマ無かったねそういや」ヒャヒャヒャ
一方通行「下品」ビシッ
番外個体「いだぁ!!」
一方通行「おらよ、オマエの分」スッ
番外個体「えっ…ほ、ホントに持ってきてくれたんだ…。ふ、ふーん。まぁ飲んであげるけど」コク
番外個体(…甘い)ニヘ
打ち止め「ねぇねぇ、早くミサカもー!ってミサカはミサカは催促してみたり!」
一方通行「はいはい」ストン
打ち止め「わーい!ってミサカはミサカはあなたの膝によじ登ってみる。後ろ向きのがいい?」
一方通行「ン」
打ち止め「じゃー後ろから抱っこして飲ませてくれる?ってミサカはミサカは要求してみる」
一方通行「わァったよ」
番外個体「」
打ち止め「んー…」コク
一方通行「カップの傾け方、こンくらいかァ?」
打ち止め「うん!あまい!おいひい!ってミサカはミサカはご満悦!」
番外個体「ななな何してんのかなぁ!?赤ちゃんじゃないんだからさぁ!!」
770:1:2011/07/16(土) 12:00:08.05 ID:dNok6O3w0
打ち止め「え?さっき言ったでしょ、このコーヒー、粉が入ってるからこうしないと飲めないん
だよ、ってミサカはミサカは繰り返し説明してみたり」
番外個体「いや!そういうことじゃなくて、フィルターかコーヒーメーカー使えばいいのに、何で
わざわざ抱っ…そこまでしてその方法で飲む必要があんの!?」
一方通行「バカオマエ、これうまいンだぜ?」
打ち止め「それでね、だからミサカ達にも勧めてくれたんだよ、ってミサカはミサカはこの人の
気持ちが嬉しくてたまらない!」キャッホー
番外個体「ミサカ…達?このミサカ、そんなん言われてませんけど!」
一方通行「あー、あとインデックスと…三下」
番外個体「三下?誰?」
一方通行「三下は三下だろ」
番外個体「あなた『俺以外全員三下』みたいなかんじじゃない。わかるわけないっての」
一方通行「……上条」
番外個体「」ガタガタッ
番外個体「なん、なななな」
一方通行「?どォした」
番外個体「(ハッ)………っっていうか、それならこのミサカの方が練習に適してるんじゃないの
かな!?体格的な意味で!このミサカはもちろん嫌だけど!!」
一方通行「別に無理強いするつもりはありませンけどォ?」
打ち止め「あらあらウフフ。ねぇあなた、番外個体もこれ飲ませてあげたらいいと思う!ってミ
サカはミサカは妹に助け舟を出してみたり!」
一方通行「あァ?」
チョッ!!ベツニミサカハ
マァ カマワネェガ
エ!!マジデ!!!
771:1:2011/07/16(土) 12:01:58.66 ID:dNok6O3w0
深夜二時半を回った。シンと冷えた冬の夜は、朝にはまだ遠い。
「…オマエら、そろそろ寝れば?」
一方通行は、ソファの両隣に座ってウツラウツラしている二人を交互に見やる。
「えー!?ってミサカはみしゃかは…不満を露にしてみるぅ…」
「ミサカ別に…眠くないもん……」
欠伸を必死に噛み殺す打ち止めと、目がほとんど閉じかけている番外個体。
「…………」
ミエミエのやせ我慢に、浅く溜息を付く。
(ったく情けねェなァ、この俺としたことが。ガキどもに気ィ使わせるとは)
呆れたように、それでも自分の服の袖を握った小さな手を華奢な手を引き剥がせず、ただ窓
の外を眺めた。
月は中天を過ぎている。
(今日は……寝ても多分、起きる)
確信があった。
(あの夢を見る)
自分でも、アレをどういうタイミングで見るのか、当然わかっている。
(アレを見ることが、怖いわけじゃない。アレは、俺という人間の確認作業)
人形だと、壊すのが楽しいと、思っていた。引き千切り、血液を逆流させ、壊し、抉り、殺した
自分という人間の軌跡。
打ち止めの言っていた『サイン』とやらを自分が本当に発していたのか、自分にはわからない。
ただ、殺した事実は違いなく、そして、…後悔していることも、紛れも無い真実だった。
だからあの夢は、浮かれそうになる自分を戒めるために必要なもの。
(……だと、思ってたンだがな)
『俺から逃げるな、一方通行!!』
何度も手元に返してしまう、真っ直ぐな目。夜の色をしているのに、どうしてか太陽を思い起こ
させる眼差し。
(……何でだろォな…。今日は、アレを見たら、アイツに……なんだ…?)
説明の付けられない、漠然とした浮き上がるような沈むような不可解なモヤがある。
(…悪い、というか…違うな、…………)
ただ、アレを見るのは今はダメだ、という結論だけが頭に渦巻く。キンと硬い想いが。
忘れることなど出来るわけはなく、忘れたいとも思わないが、今だけは。
772:1:2011/07/16(土) 12:02:30.15 ID:dNok6O3w0
(あ~~~~…気持ち悪ィ…)
一方通行はガリガリと頭を掻き毟った。不可解なものが自分の中にある、何かが。
(それに…)
チラリと目をやれば、段々とこちらに寄りかかってくる、温かな体温。
「だいじょおぶぅ…。今日はいっしょにずっと起きてるってぇ、ミサカはぁ…」
「うひひ…寝かせないぞーっていう嫌がらせ…」
「半分どころかほとンど寝てンじゃねェか……」
再度溜息を吐きながら。アレを見たくないなら、眠らなければいい、という己の結論が見抜か
れていることに気まずくなる。
「クソガキども………」
一方通行はポツリと毒づいて、両側の茶色い頭を軽く叩いた。
AM 8:40 黄泉川家 リビング
黄泉川「ふぁ…おっはよーじゃん…ってアレぇ?一方通行達、もう起きて…」ヒョイ
打ち止め「…んー…あくせられー…」スカースカー
番外個体「……むにゃ…」スゥスゥ
一方通行「………」スースー
黄泉川「」カワイスギルジャン
黄泉川「桔梗ォおおお!!カメラ!!早くカメラもって来るじゃぁああん!!」ダダダダ
黄泉川家は今日も平和です。
773:1:2011/07/16(土) 12:04:08.45 ID:dNok6O3w0
PM 3:12 第七学区 ファミリーレストラン
土御門「揃ったな。では俺から報告するが、いいな?」
海原「異議なしです」
一方通行「さっさとしろ」
結標「よろしく」
774:1:2011/07/16(土) 12:04:56.15 ID:dNok6O3w0
土御門「先日一方通行が接触した外部からの侵入者だが、同日他に五名が侵入に失敗
していることが判明した。全員が魔術師だ。目的は一様に禁書目録」
結標「魔術師ねぇ…前から海原には聞いてたけど、イマイチピンと来ないわ」
土御門「深く考えるな。発火能力者の炎も魔術師の炎も大差はない」
海原「まぁ、同じ言葉を英語で言うか日本語で言うかの違い程度ですよ。意味は同じです」
一方通行「ンなこたァどォでもいい。続きを報告しろ」
土御門「一方通行が倒した魔術師も入れた六人の素性は不明。ケルト系、ローマ系、ロシ
ア系等、魔術の系統がバラバラでな。通常、魔術結社は同系統の魔術師が集ま
るものだから、全員が同じ結社の所属ということは考え難いが…」
一方通行「偶然同じ日に同じ目的で侵入しよォとした、とでも言うつもりか?」
土御門「そう怖い顔をするな、わかっているさ。引き続き調査中だ。俺の報告は以上」
一方通行「何も掴ンでねェも同然だな」
海原「そう言われると自分も報告し辛いのですが…。やはり、組織は現状ほぼ瓦解してい
る状態ですので、あまり目立った情報は掴めませんでした」
土御門「中南米は広いし、十字教の影響も欧米に比べれば薄いからな。牛耳る者がいな
ければ情報も掴みにくいか」
海原「ええ。ただ、元々組織に属していた魔術師や能力者で、行方知れずの者が多いと
の話があります。どこかにヘッドハンティングされたのかもしれません」
結標「あー、似た話なら私も聞いたわ。私が関わってた組織の中でも、急に羽振りが良く
なって連絡が取れなくなった人がいるって」
土御門「新たな組織…?そういう話は聞いていないが…留意しておこう」
一方通行「じゃあ残りは俺だな。俺は昔関わっていた研究所の連中に当たってみた」
土御門「あ、あれ!?ホントにやったの!?予想外だにゃー。いい子だな一方通行」
一方通行「殺すぞクソメガネ。…ヤツらが言うには、学園都市の兵器開発が新たな局面
に入っているそうだ」
775:1:2011/07/16(土) 12:05:27.39 ID:dNok6O3w0
土御門「『ファイブオーバー』か…」
一方通行「それもその一つ。超能力を基にした工学技術の実用化だとよ。試行実験も終
えて、量産体勢にもだいたいの目処が立っているようだな」
結標「へぇ…あれだけ人を研究材料にして、兵器?馬鹿にしたものね」フン
土御門「元々、能力研究は工業利用への転用目的も兼ねているからな」
海原「しかし、よく素直に教えてくれましたねぇ」
一方通行「ま、アイツらはこの世で最も俺の力を理解している人種だからな。ちょっと『相
談』すれば洗いざらい教えてくれたぜ」
土御門「『相談』ね…。あまりえげつないことはやってくれるなよ。後始末は俺に回ってくる
んだ」
一方通行「黙れ役立たず。オマエはあンだけ偉そォに言っといて一番収穫ないじゃねェか
よ。タマついてンのかクソボケ」チッ
土御門「お前は本当に口が悪いな…」ハァ
結標「本当ね」
結標(女の子なのに。女子高生なのに)
結標「ブフッ」
土御門「と、突然どうしたのかにゃー?」
海原「何かおかしかったですか?」
一方通行「きめェ」
結標「い、いえちょっとこっちのことで…。報告もひと段落したし、休憩にしない?」
土御門「まぁ構わないが…」
海原「自分もです」
結標「うん。ねぇ、一方通行」
一方通行「ンだよ」
776:1:2011/07/16(土) 12:05:58.63 ID:dNok6O3w0
結標「一緒にトイレ行きましょ?」キリッ
土御門「」
海原「」
一方通行「はァ?何言ってンだオマエ」
結標「いいからいいから。ちょっと付き合いなさいよ」ガッ ズルズル
一方通行「オイ、引っ張ンな。…わァかったっつゥの、おい結標!」ズルズル
土御門「む、結標…………?」ブルブル
海原(ショチトル、大変です。結標さんがショタコンなだけじゃなく痴女でした…!)ブルブル
777:1:2011/07/16(土) 12:06:38.05 ID:dNok6O3w0
PM 3:35 ファミリーレストラン トイレ前
一方通行「一体何のつもりだ、結標」
結標「いいからいいから。あなたが女だってわかった以上、トイレくらい一緒に行かなくちゃ」
一方通行「あ?……どォしてわかった」
結標「こないだ私、あなたの胸触っちゃったじゃないの。そりゃ気付くわよ。悪かったわね、
その節は」
一方通行「……よくわかったなァ?俺の胸なンかあるよォなないよォなもンなのによ」
結標「わかるに決まってるでしょ!確かに小さかったけど、感触が男とは全然違うもの」
一方通行「…………」
結標「何その不満そうな顔」??
一方通行「俺の胸触って、気付かなかったヤツがいるンだが……」
結標「(プッ)え、ホント?それはよっぽど鈍感か、よっぽどあなたに興味ないかどちらかね」
一方通行「……ふゥン…」
結標(えっ…?これ、アレ?もしかしてヘコんでる?どこぞの誰かが自分に興味ないって思
ってこんな顔してるの?あの一方通行が?)
結標「………」マジマジ
一方通行「なンだ」ギロリ
結標「…それ、アレかしら?触られたの、あなたの好きな人ってヤツかしら?」キラキラ
一方通行「はァ?」
778:1:2011/07/16(土) 12:07:25.69 ID:dNok6O3w0
結標「ねぇちょっと!相談乗るわよ!!私、相談に乗るわよ!!!」キラキラ
一方通行「はいィ?」
結標「応援するから!相談に乗るから!早く話しなさいよ!!」キラキラキラ
結標(一方通行の恋バナ聞きてェえええええ!!!!!!!!!)ワクテカ!!
一方通行「何の話だよ…。てかオマエ何だそのテンション…」ドンビキ
結標「え?女子だったら恋バナに興味津々なのは当然でしょ?女の子は恋バナと甘いモノ
には目がないものよ!」フンス
一方通行「こいばな?」キョトン
結標「え、知らないの…?」
一方通行「どの分野の専門用語だ?俺は基本化学と物理と生物学くらいしか把握してねェ」
結標「えぇー……」ポカン
結標(…そっか。でも、考えてみたら当たり前か)
結標(学園都市第一位の話は昔から有名だった。昔から…つまり、一方通行はもっとずっと
小さい頃から実験漬けの生活しかしてなかったんだ)
結標(年頃の女の子みたいに、友達と恋バナなんて……)
結標(あるわけ、なかったのね)
結標「…恋バナっていうのはね、恋の話のこと。女の子同士で、好きな人について相談したり
時には愚痴ったり、ノロケたり悲しんだりするの」
一方通行「何が楽しいンだそれは」
結標「楽しいわよ?自分の好きな人のこと、誰かに聞いてもらうの」
一方通行「意味わかンね。つゥかオマエさっきっから何だその薄ッ気味悪いツラは」
結標「ひどくない!?慈愛の微笑みでしょ!?!?」ガビーン
一方通行「慈愛ィ?ハッ、その露出狂グセ改めてから出直しやがれこのイカレ女」
779:1:2011/07/16(土) 12:08:05.83 ID:dNok6O3w0
結標「あなたに服装のことは言われたくないわよ!!…っていうかそういえばあなた、その格
好で女子トイレ入って大丈夫なの?」
一方通行「あァ…誰か居合わせても、ちょっと二度見されるだけでスルーされるわ」
結標「あ、あ~~~~…確かにね、うん、一見男にしか見えない女の人、いるものね…。変に
騒ぎにして実際男じゃなかったら、すっごい罪悪感だし……」
一方通行「そォいうワケだ。ったくどいつもこいつも善人だよ」ハッ
結標「そんな決め顔で言われても困るわ」ハァ…
一方通行「まァ女子便が混ンでたら男子便行くこともあるけどな」
結標「うォおおおおい!?!?!?」ガタガタッ
一方通行「そンな驚くことかァ?つゥかオマエやったことないの?」
結標「あるわけあるかァああああ!!!!!ちょっとあなたどうかと思うわよ!どうかと思う
わよ私は!!!!色んなモン見ちゃうじゃないのよ!!!」
一方通行「別に他人の粗チン見ても何とも思わねェけど?」
結標「思えよ!!そこは思えよ女子高生として!!!!あと粗…ムグムグ、そういう言葉遣い
も感心しないわよ!!」
一方通行「黄泉川かオマエは。鬱陶しィ」スタスタ
結標「ヨミカワって誰…、ってちょっと、待ちなさいよ!」タタタ
パタン
780:1:2011/07/16(土) 12:10:36.25 ID:dNok6O3w0
PM 3:50 ファミリーレストラン トイレ横 パウダールーム
一方通行「まだかよ………」イライラ
結標「もうちょっとー。先行っちゃダメよ?まぁ行こうとしたら能力でここに戻すけど」パタパタ
一方通行「何でダメなンだ」イライラ
結標「普通待ってるものなのよ、こういう時は。ここ、パウダールームがトイレと別になって
るの、いいわねー。気に入ったわ」ヌリヌリ
一方通行「普通ねェ…わっかンねェなやっぱり」ハァ
結標「そんなご大層なことじゃないわ。友達がいれば、自然とわかるようになるわよ」
一方通行「トモダチィ…?」
結標「そ、友達。私と友達になりましょ?一方通行」ニコ
一方通行「はァ……?」ポカン
結標「そんなに驚くこと?」
一方通行「いや意味わかんねェよ。オマエ俺のこと同僚としか思ってないだろ」
結標「結構嫌いじゃないわよ?有能な同僚だもの。……あなたこそ私のこと、嫌いかしら?
最初が最初だったしね」
一方通行「別にィ。オマエみてェな三下が何企んでよォが、潰すだけだからな」
781:1:2011/07/16(土) 12:11:10.07 ID:dNok6O3w0
結標「ふふ、あなたのそういうとこが嫌いじゃないって言ってるのよ。あなたが女なら尚更」
一方通行「理解不能だ。俺が女だから何だってンだよ。俺は俺だ」ギロ
結標「潔癖症ね一方通行。男だと思ってた人が女だとわかって印象が変わるのは普通の
ことでしょ。それがイヤなんて、結構かわいいとこあるじゃないの」クス
一方通行「調子に乗ってンじゃねェぞ結標…」
結標「凄んでも無駄よ?伊達にあなたの側で一緒に仕事してたわけじゃないもの。あなた
は理由も無く自分より弱い者を傷つけることが出来ないって、もう知っているわ」
一方通行「ムカつく三下は例外ですけどォ?」
結標「顔面はもう勘弁してほしいわね。…ねぇ、今度一緒にショッピング行かない?」
一方通行「俺胸にサラシとかゴメンなンでェ、ちょっと……」ドンビキ
結標「普通の服に決まってるでしょ!!これは戦闘服なの!気合入れるためなのよ!!」キー
一方通行「意味わかンねェ。どォ見ても痴女」
結標「うるさいわねぇ、あなたこそ何でそんな格好してるのよ!!!」
一方通行「趣味」
結標「え、マジで?男装趣味?」ヒキギミ
一方通行「ンなワケねェだろ、アホか」
結標「え、えっ…?何、どういうこと??好きで男の格好してるワケじゃないってこと?」
一方通行「好きでしてンだよ、悪ィか」
結標「どっちよ!!!!」
一方通行「さァな」フン
782:1:2011/07/16(土) 12:12:02.92 ID:dNok6O3w0
結標「もう……。女だっての隠してるってことでいいの?」
一方通行「別に隠しちゃいねェけど」
結標「じゃあ土御門とか海原にも言っていい?」ワクワク
一方通行「それはヤメロ」
結標「何でよ」
一方通行「オマエみてェに鬱陶しィことになっからだよ…」ハァ
結標「否定できないわね」ウフフ
一方通行「」イラッ
結標「ねぇ、じゃあその口調は?」
一方通行「あァー…。昔俺の能力開発担当してたクソったれの研究者の影響だな。と思
うと死にたくなるなァ…」トオイメ
結標「なぁに、育ての親ってかんじなの?あなたにそんな人がいたなんて意外ね」
一方通行「育ての親ねェ…。俺には似合いのクソ野郎だってことは間違いねェが」
結標「またまたー。まだ反抗期なの?クソ野郎って言い方はどうなのよ」
一方通行「年端も行かねェクソガキを暗部に攫わせて、ウィルスぶち込む程度にはクソ
野郎だぜ?ま、俺がこの手でブチ殺してやったけどなァ」
結標「…………」
一方通行「…………」
783:1:2011/07/16(土) 12:12:53.19 ID:dNok6O3w0
結標「気まずいこと山の如し」
一方通行「鬱陶しィこと火の如し」イラッ
結標「で、ショッピングいつ行く?」
一方通行「オマエ意外とめげねェのな……」ハァ
結標「私、あなたはショートパンツとか似合うと思うの」キリッ
一方通行「何で俺の周りは人の話聞かねェ野郎ばっかなんですかねェ?」ビキビキ
結標「それはあなたが人の話を聞かないからよ!!」ババーン
一方通行「ぶち殺すぞ」
結標「ふ、やってみなさいよ。私にはあなたの服と自分の服を一瞬で交換することだって
出来るのよ?」ドヤァ
一方通行「反射したらどォなンのかなァ~?」カチッ
結標「あなたのズボンが私のミニスカになるに違いない。似合うと思う」キリッ
一方通行「うぜェええええ!!!見たことないくらいうぜェえええ!!!!!」ウガー
ツチミカドォオオ コイツクビニシロォオオ!!!
エッ!? ムムムスジメノヤツ ナニヤラカシタンダニャー!?(ビクッ
ナニモシテナイワヨー ウフフ
ショチトルゥウウウウ…
786:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/07/16(土) 12:21:07.52 ID:OD6Ol/Xj0
乙!
今回も良かったよー
あわきんホントぶれねぇなwwww
789:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/07/16(土) 14:48:11.67 ID:yR959CNDO
あわきんかわいいなああああ
海原と土御門にバレたときの反応も楽しみ
このスレの登場人物はみんな優しくてとてもいい
827:『その絆の名は』:2011/08/31(水) 20:43:21.58 ID:yCfBCBYz0
9月某日 PM 3:40 第七学区 病院
TV<『はーい!では今日はとある小学校に取材に来ましたー!イマドキッズの関心事は~?』
打ち止め「ふんふふんふんふふんふっふっふ~ん♪あっ見てみて一方通行!ミサカと同じくらいの
子達だよ!ってミサカはミサカは画面を指し示してみたり!」
一方通行「だから何だよ」
打ち止め「ミサカは十歳児くらいの設定なんだって!でもホントは0歳児だけどね?ってミサカはミサ
カは、ミサカが大人びて見えることを自慢してみる」フンス
一方通行「誰が大人びてンだチート」ビシッ
打ち止め「あいたァ!?ってミサカはミサカはビックリしてみたり!なに?今のなになに?」キョトン
一方通行「……………チョップだ」
打ち止め「へぇ~?痛いけど、あんまり痛くないのね、ってミサカはミサカはチョップが生まれて初め
てだったことを明かしてみたり」ニコ
一方通行「……そォかよ」
一方通行(…まァ、俺も初めてだけど)
一方通行(殺さないつもりで、触れるのなんて)ジッ
打ち止め「ジッと手を見て、どうしたの?ってミサカはミサカはあなたの手をぎゅってしてみたり」キュ
一方通行「!!!」ビクッ
打ち止め「えっ?ど、どうしたの?ってミサカはミサカは」
一方通行「離せクソガキ!!」バッ
打ち止め「ご…、ごめんね…。ってミサカはミサカは申し訳なく思ったり…」シュン
828:『その絆の名は』:2011/08/31(水) 20:44:19.03 ID:yCfBCBYz0
一方通行「……っ」ズキ
打ち止め「……お、怒ったの?ってミサカはミサカは悲しくなってみる」シューン
一方通行(なンだ…何だ?胸ンとこが……)ズキズキ
一方通行(痛ェ)ズキズキ
一方通行(このガキに触られた手も)ズキズキ
一方通行(温かくて)ズキズキ
打ち止め「…………」
一方通行「…………」
打ち止め「…………」
一方通行「…………」
打ち止め「…ま、まだ怒ってる?ってミサカはミサカは恐る恐る見上げてみたり」ウル…
一方通行「!!!……別に、怒っちゃいねェ」ズキズキ
打ち止め「ほんと?よかった!ってミサカはミサカは安心した!!」パァッ
一方通行(あ)
一方通行(痛くなくなった)ホッ
一方通行「………急に触ンな。俺は触られンの嫌いなンだよ」
打ち止め「そっか。急に触られてビックリしただけなんだ?ってミサカはミサカは納得してみる」ウン!
一方通行「人を小動物みたいに言うンじゃねェ」チッ
打ち止め「えへへ。でも、あなたってウサギさんみたいだよねぇ?ってミサカはミサカは発見してみ
たり!」
一方通行「誰がウサギだコラァ」ビシッ
打ち止め「あた!ええーでもでも真っ白で、目も真っ赤だし、髪の毛ふわふわしてる?ってミサカは
ミサカはナデナデしてみる!」フワフワ
829:『その絆の名は』:2011/08/31(水) 20:45:15.94 ID:yCfBCBYz0
一方通行「!!!」ビクッ「触ンなって言ってンだろォが!」バッ
打ち止め「あっ!ご、ごめんね、つい…ってミサカはミサカは反省してみる……」シューン
一方通行「……っ」ズキ
一方通行(まただ。痛い、何か、なンだこれ…このガキの泣きそォな顔見る、と)ズキズキ
一方通行(さっきガキが触れたとこ、が、温かくて)ズキズキ
一方通行「俺、は……」
打ち止め「?」
一方通行(何だ。何言おうとしてる?)ズキズキ
一方通行「ずっと、反射してた……から、……」
一方通行(だから何だ。何だよ、何だってンだ?)ズキズキ
打ち止め「そっか!慣れてないから、余計にビックリするんだね!ってミサカはミサカは再度納得
してみる!」ウンウン
打ち止め「じゃあ、急にじゃなかったら、ぎゅってしてもいい?ってミサカはミサカはしっかり確認!」
一方通行「ヤだ」フイ
打ち止め「ええ~!?ってミサカはミサカは抗議の悲鳴をあげてみたり!」
一方通行「………」ゴロリ ペラペラ
打ち止め「ねぇねぇ無視しないでよ!ってミサカはミサカは寝転がって本を読み出すあなたの横に
転がってみる」コロリ
一方通行「…ンだようっせェなァ……」ゴロリ
打ち止め「もっとお話したいな!ってミサカはミサカはあなたの背中に引っ付いてみる!」コロリ ピト
一方通行「!!!」ビクッ
打ち止め「あったかいなー……」
830:『その絆の名は』:2011/08/31(水) 20:46:01.08 ID:yCfBCBYz0
打ち止め「自分で自分の背中を触ってもあったかくないのに、なんであなたのはこんなにあったかい
のかな?さっきの検温だと、あなたはミサカよりも平熱低いのにってミサカはミサカは不思
議に思ってみる」スリスリ
一方通行(………温かい?俺が?………俺が…そんなのまるで)ズキ
一方通行(俺が普通の人間みたいだ)ズキズキ
一方通行(そンなわけねェのに)ズキズキ
一方通行(そンな、わけ…っ)ズキズキ
一方通行「っせェなァ!!オマエ頭おかしィンじゃねェの!?」ガバッ
打ち止め「あう?」コロリ
一方通行「俺がオマエ達に何やったか忘れたのか!?俺が…俺がオマエ達に何をしたか、オマエは
全部知ってンだろォが!俺に触るな!俺の手は、……ッ」
打ち止め「……………」
一方通行「…………」ハァハァ
一方通行(何キレてンだ俺は…。コイツに怒鳴ったって仕方ねェだろ)
一方通行「……っ、だから、触ンなっつってンだよクソガキ…」フイ
打ち止め「一方通行」ギュッ
一方通行「っ!!」ビクッ
打ち止め「あなたの手はあったかいよ。冷たいのに、ミサカにはあったかく感じるの。あったかいのって
気持ちいいんだね、ってミサカはミサカは今知ったよ」
打ち止め「人はひっつくとあったかいんだ、ってミサカはミサカは発見してみる」ニコ
一方通行「…………」
打ち止め「ねぇ一方通行。人間の体温が約36度前後だっていうのは、ミサカも知ってたよ。でも、
なんだかあなたにくっつくと、ミサカは胸の奥の方までほわってなるの」
一方通行「…あァそォかい」
打ち止め「うん、そぉなの!ってミサカはミサカは大きく頷いてみる!」ニコー
831:『その絆の名は』:2011/08/31(水) 20:46:47.01 ID:yCfBCBYz0
一方通行(………胸の奥の方、が……)
打ち止め「ん?胸に手を当ててどうかした?ってミサカはミサカは首を傾げてみたり」
一方通行「…別にィ。何でもイイから邪魔すンな。テレビでも見てろクソガキ」ゴロリ
打ち止め「はーい。ってミサカはミサカは大人しくテレビに視線を戻してみる」フンフン♪
TV<『引き続き、イマドキッズにインタビューを続けてまーす!ねぇみんな、将来の夢を教えてくれ
るかな~?「けーきやさん!」「公務員!」「野球選手!」』
打ち止め「将来の夢、かぁ…ってミサカはミサカは考えてみる」ウムム
一方通行(将来の……。クローンは短命だって言うが、このガキはいくつまで生きられンのかねェ…)
一方通行(………)ズキ
一方通行(……後であの医者に聞いてみるか)
打ち止め「よし!決めた!!ってミサカはミサカはベッドの上に立ち上がってみたり!」スック
一方通行「何だ鬱陶しい」ペラ
打ち止め「ミサカの将来の夢は、あなたのお嫁さん!!きゃっ!ってミサカはミサカは照れながら宣
言してみたりぃ!!」
一方通行「あァ?そりゃ無理だな」ペラ
打ち止め「ガーン!速攻即答大否定!?どうしてどうして!?!?」
832:『その絆の名は』:2011/08/31(水) 20:47:27.16 ID:yCfBCBYz0
一方通行「俺が女だから」ペラ
打ち止め「」
(十五分後)
一方通行「………」ペラ
打ち止め「」
一方通行「………」ペラ
打ち止め「はッ…!ってミサカは我に返ってみたり!!」
一方通行「あァ…?ンだ?」
打ち止め「あ、あなた女の人だったのね…ってミサカはミサカはショックを隠しきれなったり……」
一方通行「まァな」ペラ
打ち止め「……どうして男の人みたいな格好と話し方してるの?ってミサカはミサカは純粋に疑問
に思ってみたり。……うん、女の子だって思ってみたら、あなた美人さんなのにね?」??
一方通行「ガキのクセに世辞はヤメロ。口が曲がるぞ」ペラ
打ち止め「ホントだよ!ミサカ嘘ついてないよ!ってミサカはミサカは慌てて言い募ってみる!あな
たの真っ白い髪も真っ赤な目も、とってもきれいだよ?」
一方通行「こンな不自然な髪と目のどこが」ペラ
打ち止め「自然とか不自然とかどうでもいいの!きれいだもん!!ミサカのお嫁さんにしたいくらい
だもん!ってミサカはミサカは!!」
一方通行「何で俺がオマエの嫁なンだよ………」ハァ
打ち止め「だって…だって、だって」ウル
一方通行「」ギク
打ち止め「だって、結婚したらずっと一緒なんでしょ?ってミサカはミサカは一般常識を確認してみ
たり……」グス
833:『その絆の名は』:2011/08/31(水) 20:48:53.67 ID:yCfBCBYz0
一方通行「……………」ズキ
打ち止め「結婚したら、ここから退院しても、ミサカはどこかの研究所じゃなくて、あなたの側にいて
もいいんでしょ?ってミサカはミサカは…」グスッ
一方通行「……別に…」ズキズキ
打ち止め「………?」
一方通行「夫婦じゃなくても、そォいうのは…あるだろ……」
打ち止め「…夫婦じゃなくても………」キョトン
一方通行「………」
一方通行(……家族、とか……)ズキ
一方通行(チッ、何考えてやがンだ俺は、気持ち悪ィ)ブルブル
打ち止め「夫婦じゃなくても一緒……」ウーン
一方通行「もォいいから、アホなこと言ってねェで黙ってろ」ペラペラペラ
打ち止め「あ、わかった!ってミサカはミサカはすごい受信!!」ピコーン
打ち止め「家族!!家族だったら、ずっと一緒だよね!ってミサカはミサカは満面の笑顔を浮かべて
みたり!」ニコー
846:1:2011/09/03(土) 16:08:34.49 ID:3naz+GC30
一方通行が軽く腕を振れば、薄汚れた壁へ血色の三日月が描かれた。
「……ま、悪くねェか」
刃渡り二十センチほどの小ぶりのナイフ。ここ最近使っているが、銃に比べて予備動作が少なく
て済むこと、残弾を気にしなくていいことがメリットだ。
「ぐ、……ッ、化け物が……」
足元から掠れた声が響き、一方通行は無言で鳩尾を蹴り上げた。
潰れた小動物のような悲鳴を上げて気絶した輩に、赤い目を眇める。
先日は尋問しようとしたら自殺されてしまい、まったくの情報ゼロで終わってしまったので、さっさと
気絶させておくに限る。
「土御門か。今日は三人だ。場所はわかってンだろ。さっさと回収しろ」
携帯電話で短く指示を出し、一方通行は細く息を吐き出した。白いもやがふわりと舞う。
冬の夜、第八学区の路地。
表通りの明るい街灯が届かない場所は、闇に沈んでいる。そしてその闇の中がふさわしい者達も、
そこで蠢く。
847:1:2011/09/03(土) 16:11:27.47 ID:3naz+GC30
先日、インデックスを狙った魔術師と戦ってから三週間が過ぎていた。
その間、一方通行が襲撃されたのが三回。すべて魔術師と呼ばれる者達が刺客だった。
最初はインデックスの近くにいてたまたま出くわしたのかと思い、土御門経由で警備を強化させた。
だがすぐに気付いた。奴らの今の狙いはインデックスではない。一方通行だ。
(先に邪魔な俺を消そうって腹か…?)
しかしそれにしては生温い。だが、偶然にしては出来すぎている。嫌な感じがした。
杖を付き、路地をゆっくりと歩きながら、口元を拭う。袖に血が付いた。
「チッ……とンだ平和ボケだ」
一方通行は忌々しげに吐き捨て、切れた唇と鼻血を拭う。
魔術の『法則』は理解している。だが奴らが持つ魔術の『法則』にはかなりの種類が存在し、例えば
ケルト系かギリシャ系かで大きく異なる術式体系を持つ。
結果として系統が違えば毎度毎度解析を行う必要があり、今日は完了までの時間をショートカット
しようとして加減を間違った。
とはいえ、顔に殴打を数発食らった程度のダメージだ。どうということもない。
それなりには痛むが気になるほどでもなかった。元々痛みには鈍い方だ。染み入るような冷気が、
神経を凍らせているようにも思う。
二月末。春はすぐ側に来ているが、今夜は零下に達するという予報が出ていた。そのせいか、まだ
午後八時を過ぎたくらいなのに、街に人通りはほとんどない。
細く息を吐く。白いもやが流れる。
手も首も剥き出しだが、あまり寒いとは思わなかった。
(ああ……久しぶりだなァ)
少し前までは、慣れた感覚だった。闇と、血の匂い。自分の他には誰もいない。自分の他はすべて
闇で、だから自分も闇の一部だと知る感覚。
人を殺すことも傷つけることも、もう楽しくはない。ただ泥のような灰が、爪先から身体の中を埋めて
いく。
痛みも寒さも空腹も薄い膜でも通したように遠く、視界の赤と黒だけがやけにクリアで、呼吸が楽だ
った。
そう、楽だ。自分だけしかいない、自分の他はすべて死体の闇の中は、一方通行を傷つけない。
だが、顔を上げれば、表通りの明かりが見える。
その白い光に、一方通行は奥歯を噛み締めた。
(しっかりしろ。俺が死ンだらあのガキどもはどうなる)
一方通行の小さな光。見上げる無邪気な笑顔を手元に返す。
この頃はその光の数も増えた。
848:1:2011/09/03(土) 16:12:20.75 ID:3naz+GC30
闇の奥から見れば小さな光の集まりはあまりに眩しくて温かく、真っ直ぐに見ることは出来ない。
光に近付けば、自分の闇は深くなる。自らとの違いに絶望し、同時にひどく安堵する。
一歩一歩近づけば、明かりに触れる指先がジンと痛むのだ。寒さに麻痺した感覚が、急に戻るか
のように。
光に全身が晒されれば、激痛のようなものを感じる気していた。いつも、打ち止めの側に戻る時
には、いつも。
生身への痛みと違って、心の奥が感じる痛みには慣れることが出来ない。けれど痛いからといって
不幸なわけじゃない。痛くないからといって幸せなわけじゃないのと同じに。
ただ、少しインターバルを置きたかった。以前なら、こうしたコトの後には数日を置いて、連日念入り
に風呂に入り、血の匂いを完全に消してからから戻るのが常だ。
だから必然的に、このところ打ち止めや…あの男の顔を見る回数が減っている。
『俺から逃げるな、一方通行!』
(……誰が、逃げてるってンだ)
不意に耳の奥に熱い声が響いた気がして、一方通行は眉を顰めた。
再度携帯電話で時刻を確かめる。着信を知らせるランプが光っている。何度も何度も。
午後八時二十五分。
真っ黒いくせに太陽のような目を思い出せば、何故か息が詰まる。
それを無理矢理吐き出すと、闇に白いもやが溶けた。
真っ白い自分が吐き出すものも白く、このまま息を吐いていれば自分自身も白いもやになって、
闇に溶けて消えるのだろうかと思った。
849:1:2011/09/03(土) 16:12:56.07 ID:3naz+GC30
上条当麻は、チラリと自室の壁時計を見上げた。
「…………」
上条の傍らでは、賑やかな三人の少女が顔を付き合わせてレースゲームに夢中だ。
「とりゃああ!ってミサカはミサカは赤甲羅を発射してみたり!」
「ふ、甘い。とミサカはすかさずスターを発動します」
「ちょ、ちょっと!何も私に体当たりしなくてもいいんじゃないかな!?」
「戦いに情けは無用です。とミサカは華麗に単独トップを独走します」
「ず、ずるいよ10032号!!……ってあれ?ヒーローさん、さっきから時計ばっかり見てどうし
たの?ってミサカはミサカは首を傾げてみたり」
いつもなら微笑ましい三人に口元を綻ばせるはずの上条が、黙って時計を何度も見上げてい
ることに気付き、打ち止めが不思議そうな顔になる。
相変わらず、無邪気な見た目に反して人の気持ちに聡い子だな、と上条は思った。
だからこそ、あの一方通行の心を守ることが出来るのだろう。もう知っている、一方通行が打ち
止め守っているのと同じ、打ち止めがあの強くて脆い心を守っていると。
自分と同じだ。インデックスの笑顔が自分の心を守ってくれているのと同じ。
「ん…?あー、一方通行遅いなってさ」
「そういえばそうなんだよ。八時には迎えに来るって言ってたのに…っ、て、あああ!甲羅が!」
「そして今一位でゴオォオオオル!!ヒャッフー!とミサカはガッツポーズをとりつつ、そういえば
遅いですねあの白モヤシ、とあなたの振った話題に乗ります」
「……最近さぁ、あんま来ないよな。一方通行」
ポツリと呟けば、丸くて茶色い目がゆっくり瞬きをする。
850:1:2011/09/03(土) 16:13:59.48 ID:3naz+GC30
「………」
「そうなのですか?とミサカは上位個体に確認を取ります。一週間前は一緒に来ましたが」
「そういえば三週間くらい前まで、三日に一回くらいは来てくれたのに…。最近ご無沙汰かも。来て
もらすとおーだーとくーるびゅーてぃー連れてすぐ帰っちゃうし」
「な、なぬ?とミサカは思わぬ頻度に目を見開きます」
「そうなんだよな、そうだよ、週に二回は来て一緒に飯食ったりしてたのに、最近そういうの少ない
よな?」
何となく漠然とモヤモヤしていたものを口に出すと、改めてはっきりと思い知らされる。インデックス
が「少ないんだよ!」と頷いてくれて、自然と眉が寄った。
「人が調整に入っている間に一体何が…とミサカはウラシマ効果を体感しています」
何故だか細っこい身体をブルブルさせる10032号を不思議に思いつつ横目に見て、上条は打ち止
めに視線を止めた。
「打ち止め、何か知らないか?」
「……何も聞いてないよ?ってミサカはミサカは知らないことをアピールしてみる」
小さな手が、コントローラーをギュッと握り締める。
「あの人は、聞いても教えてくれないから」
真っ暗な窓の外を見上げる横顔は、寂しそうだった。
「打ち止め……」
「あの人はミサカにとても優しいけど、ミサカを危険に晒すって思ったら躊躇わずに嘘をつくの。
ミサカが嘘に気付いていてもお構いなし、ってミサカはミサカは思い出しムカッてしてみたり」
大きな茶色い目が上条を見て、言葉とは裏腹にいたずらっぽく笑う。
「……あなたが聞いてみたら、あの人は何て答えるかな?」
冗談めかしているけれど、打ち止めの目は真剣だった。
「あ……」
上条が口を開こうとした時、不意にドアベルが鳴り響く。
「一方通行!?」
反射的に立ち上がり、駆け寄った玄関のドアを開けて、息を呑んだ。
「……ガキどもは?」
冷たい風が吹き込む。普段なら首を竦めてさっさと部屋に招き入れるのに、目の前の白い顔
から目が離せない。白い髪、白い顔、赤い目。
「一方通行……そ、の顔……っ」
赤黒く色を変えた頬、切れて血の滲む唇、鼻血を拭いた跡。
心臓が掴まれたみたいに喉が詰まって、上条は思わず手を伸ばした。
「何だよ、どうしたんだよ!どうしたんだ、誰にやられた!?」
「触ンな。あー…転んだ」
パン、と手を払われ、痛々しく腫れた唇が、投げやりな口調で吐き捨てる。
851:1:2011/09/03(土) 16:14:34.02 ID:3naz+GC30
「バカ言うな!お前何でそう時々バレバレの嘘つくんだよ!」
「っせェな。関係ねェだろ、オマエには。…オイ、帰ンぞクソガキども」
一方通行が不機嫌な表情のまま顎をしゃくれば、いつもなんだかんだと残りたがる打ち止めと
10032号が大人しく歩み寄って来る。
自分と目の前の白い少女の間の不穏な空気を察しているのだろうと思い、だが引き下がること
は出来なかった。
「一方通行。お前がこないだからウチに来ないのは、その傷をつけた奴らのせいか?」
稀有な赤い目を真っ直ぐに見れば、細い眉が胡乱げに顰められる。不愉快そうな反応に、図星
だと確信した。
「なんで…ッ、何で助けを呼ばねぇんだよ!!今日だって、何度も電話しただろ!?」
「はァ……?助け…?」
白い小作りな顔が、理解不能だとでも言いたげに歪む。
一方通行が上条当麻に助けを求めるなど、夢にも思わない。そういう表情。
(なんで)
ぐつり、と腹の奥が煮えた。
ぐつぐつ煮えるマグマが、喉奥にせり上がる。
「意味わかんねェ。助けだと?寝言は寝て言えよ」
鬱陶しげな言い方は、普段とそれほど変わるものじゃない。もう慣れた、と思っていたのに、何故
だか今日は、上条の胸の奥にイラァッと赤いもやが湧き上がる。
「意味?わかるだろ、それくらい。そんな怪我して心配掛けて、ほっとけるわけねぇだろうが!呼ん
でくれりゃ助けに行ったのに!魔術師だろ!?俺の力が役に立つって!!」
「……そりゃ、この俺が一人じゃ魔術師には勝てねェって言ってンの?」
赤い目が眇められる。スゥと据わった双眸には、苛立ちと怒りが冷たく凝っていた。
「何でそうなるんだよ!お前が強いのは知ってるよ、でも二人で戦った方がいいに決まってんじゃ
ねぇか!!」
一方通行が学園都市最強だということくらい知っている。だがそうじゃない。そんなことは関係ない。
ただ、例えば自分が呑気に夕飯を作っている間に、一方通行が一人で戦っているなんて許せない。
こんな風に、白い顔に、こんな傷が。赤黒い痣を見ていると、腸が煮えくり返って吐きそうだ。
「俺だってずっと魔術師と戦ってきたんだ!お前一人で戦わなくっても、俺はお前を…っ!」
852:1:2011/09/03(土) 16:15:09.48 ID:3naz+GC30
「…調子乗ってンじゃねェぞ無能力者…………」
不意に部屋の空気が重く冷える。
ハッと瞠目すれば、一方通行は見たこともないほど冷たい目で上条を睥睨していた。ゆらりと揺れ
る白い髪が高温の炎のようだ。
「ハ、俺よりオマエのが強いって?だから守って差し上げますってかァ?あンまり俺を舐めンじゃねェ」
「そうじゃねぇよ!!そうじゃねぇ、どっちのが強いとかそんなんじゃなくて…!」
「黙れよ…!!!」
急に、一方通行が叩きつけるように怒鳴った。
半瞬後、我に返ったように目を眇め、フイと視線を外す。
「……結局、オマエは俺を…」
認めてねェってことだろ。
言葉の後半はごく小さな声で、ほとんど拾うことは出来なかった。けれど、その揺らいだような頼りな
い声に、上条は焦燥にかられる。
「一方通行!違うって、俺の話を聞けよ!!」
一歩踏み出し、その華奢な肩を掴もうとする。だが一方通行はその分後ずさり、顔を上げた。
先ほどの揺らいだ声音が幻だったかのような、苛立ちと怒りに眇められた硬質な眼差し。
「俺はこのクソガキどもを守る。オマエはインデックスを守る。それが領分ってヤツだ」
「……っ、そんなの関係ねぇよ!領分とか、だってお前だってインデックスを守ってくれたじゃねぇか!
俺だってお前を…!!」
「ふざけるなよ上条当麻。あンまりバカげたこと抜かしてるとブチ殺すぞ」
ズ、と殺気のような威圧感が増す。だが上条は一歩も引かなかった。
ロシアの時とは違う。あの時は、一方通行のことはよく知らなかったが、ただあの悲痛な言葉が放って
おけず、自分の苦悩とシンクロしていたから。
今は、一方通行のことを知っている。少なくとも、その強さと脆さを。柔らかな髪も身体も。
「一人で戦うなって言ってるだけだ!お前が一人で戦って傷ついて、そんなの俺は嫌なんだよ!!」
「……オマエには関係ねェことだ」
「関係ないって……悲しいこと言うなよ、一方通行…」
胸の奥が鈍く痛んだ。くしゃりと顔が歪んでしまい、けれど一方通行も一瞬戸惑ったような表情をする。
だがすぐにその白い顔は苛立ちと怒りに塗り潰され、カツ、と最終宣告のような杖の音が響いた。
「……話は仕舞だ、無能力者。くだらねェこと言ってねェで、しっかり足元を見るンだな」
上条に背が向けられる。まっすぐに伸びた力強い、けれどとても細い背中。
打ち止めは黙って一方通行の袖をきゅっと握り、その後に続く。10032号は無表情ながらも途方に暮
れたように何度も上条と一方通行の後姿を見比べ、だが打ち止めが一度振り返ったのを見て、白い
背に続いた。
853:1:2011/09/03(土) 16:16:10.44 ID:3naz+GC30
「一方通行……!!」
思わず後を追おうとしたら、くいと小さな、だが確かな力で袖を引かれる。
「とうま」
「インデックス!?何だよ、飯ならもう食っただろ!!」
「違うんだよ。……今追いかけても、きっとあくせられーたは逃げちゃうだけかも。あんな風にのんびり
迎えに来たんだから、きっと今危険はない。だから焦らないで」
それまでただジッと黙っていた白い少女が、大きな碧眼で見上げている。
「……けど、けどさぁ…」
上条はうな垂れた。
こんなに自分の気持ちが伝わらないとは思わなかった。
「…んで、わかってくれねぇんだよ……」
すると、そっと背中に温かな手が触れる。顔を上げれば、インデックスがにこっと笑う。
それだけで少しだけ肩から力が抜けて、上条はガリガリ頭を掻いた。急にさっきの自分のテンション
の高さが恥ずかしくなってくる。
「インデックス。俺…何か言い方マズかったかなぁ?」
「ううん、そんなことないんだよ。私もらすとおーだーもくーるびゅーてぃーも、とうまがただ心配だった
こと、わかったから」
「そ…うか?じゃあ、何でアイツは……」
「私には、あくせられーたの気持ち、少しだけわかるかも」
「え」
854:1:2011/09/03(土) 16:16:36.27 ID:3naz+GC30
驚いて小さな顔を見る。上条の視線を受け止めて、インデックスはまた笑った。優しい笑顔だ。普段
はただ無邪気なのに、この白い修道女は周りの人が弱っていると、とても頼もしくなる。
「私はずっと追われてたでしょ?事情はわからなかったけど、追って来るのが特殊な人達だってこと
は理解してたんだよ。毎日必死で逃げて……」
イギリス清教の魔道書図書館は、ゆっくりと瞬きをする。もう遠くなってしまった辛さや苦しさを、あえ
て手元に手繰り寄せるように。
「誰かに助けを求めるなんて、思いつかなかった」
「インデックス…」
「だって、それまで誰も、私を助けてくれなかったから」
静かに呟いて、そして上条を見上げて笑った。
「とうま以外、誰もね」
「………」
何も言えずに見下ろすと、インデックスはぽんぽんと宥めるように背を叩いて、悲しげに目を伏せる。
「きっとあくせられーたも……今まで誰も、助けてくれる人なんていなかったんじゃないかな」
ああ、そうなのだろうなと上条は思った。
「誰も…誰も助けてくれなかったから、ずっと自分一人でなんとかして来たのかも。だから、誰かに
頼る発想がないんだよ。……頼ることも、信じることも、あくせられーたの選択肢には入らない」
頑なな背が、まっすぐに伸びた細い背が目の裏に焼きついている。
上条は、ぐっと拳を握り締めた。手にも腕にも頬にも、三週間前の夜に触れた感触が残っている。
いつまでも消えない。
「けど…けどさ…、そうだとしても、俺のことだけは頼ってくれてもいいじゃねぇか」
「とうま」
インデックスが、何故だか驚いたように目を見開く。
「何でアイツは、俺のこと信じてくれねぇんだ……」
今までのことなんて関係ない、他の誰を信じなくてもいい、自分のことだけは信じて、頼ってほしい。
そうしたら、俺は。
(……俺は)
855:1:2011/09/03(土) 16:17:14.80 ID:3naz+GC30
土御門元春は、視線の先に見慣れたツンツン頭を見つけ、軽く手を上げた。
「おーい上や~ん。待たせて悪かったにゃ~」
第七学区、午後五時。下校から間もない大通りは、賑やかな学生達で溢れている。
待ち合わせ場所のファーストフード屋の前で、上条は「おう」と片手を挙げて応えた。
とりあえず店内に入って注文を済ませ、明るい窓際の席につく。
「で、話って何かにゃ?」
頬杖をついてポテトをつまみ、まぁあの禁書目録のことだろうなとわかっていた。
一ヶ月ほど前、魔術師に禁書目録が襲撃されている。その時は居合わせた一方通行が撃退したが、
直後に上条に「どういうことだ」と詰め寄られた際には「調査中だ」とだけしか答えなかった。
いい加減に痺れを切らしたということだろう。もっとも、渡せる情報はほとんど無いのだが。
ターゲットを変えたのか、ここ数度は一方通行を襲撃している。なるべく生かして捕えてはくれるけれ
ども、なかなか上手く情報が上がらなかった。
「ああ、悪かったな。急に呼び出して。でも、もうお前に聞くしかなくてさ」
上条はいつも明るい笑顔を、らしくなく強張らせている。焦れたような色はあまり見たことはなくて、
あれ?と少しだけ違和感を覚えるが、それだけ禁書目録のことを心配しているのだろうか。
とりあえず、禁書目録の側には配下をつけてあるから安心しろ、と言いかけて。
856:1:2011/09/03(土) 16:17:44.03 ID:3naz+GC30
「一方通行の居場所、知らないか」
一瞬何を聞かれたのか理解できず、「……は?」と間の抜けた声が出る。
「だから一方通行が今どこにいるか、知らないか?ここ一週間くらい、全然連絡つかねぇんだよ」
「一方通行の、居場所…?」
マジマジと目の前の、これ以上ないくらい真顔の友人を見詰める。
(何でコイツが一方通行の居場所を知りたがる?)
しかもこんな顔で。
「お前、一方通行の知り合いなんだろ?打ち止めと御坂妹以外で、共通の知り合いなんか他にい
ねぇし。……てかさ、土御門」
「へ?」
「お前、一方通行とどういう関係なんだ?」
睨まれている。
いつもは真っ直ぐで素直な黒い目が眇められ、鋭い視線が突き刺さる。
(ん、んんん…?)
「関係?っつっても、にゃー…。別に」
「……お前、学園都市側の奥深くにも関わってるって言ってたよな。何か、他に言えないようなこと
に関わってて…アイツも、そうなのか」
不意を打たれて、思わず息を呑んだ。これでは肯定したも同然だ。自分らしくもない失態に、土御
門は小さく舌打ちをする。
「一週間前、一方通行が怪我してた。魔術師と戦ったらしい。お前、何か知ってるんだろう?」
確信を得たらしき上条は、熱を押し込めたような低い声音で問い詰めるが、それよりも言葉の内容
に引っかかった。
「怪我?一方通行が?」
「そうだ、怪我してた。殴られたみたいに頬が腫れて、すっげぇ痛そうだった…!」
上条が、自分の方が痛そうに顔を顰める。
「らしくないミスだな。イレギュラーでもあったのか…?」
もはや取り繕う意味もないので、土御門は顎を撫でて首を傾げた。
そういう報告は受けていないが。一週間前も三日前も、首尾よく気絶させただけの魔術師を回収し
ただけだ。
「土御門!やっぱり何か知ってるんだな!?教えてくれよ!」
857:1:2011/09/03(土) 16:18:25.64 ID:3naz+GC30
上条が食いつくように身を乗り出すのに、サングラス越しに目を眇めた。
「ダメだ。一般人には教えられない事情ってのがある」
「一般人って…!そりゃ、確かに俺はただの高校生だけど、そんなの関係ねぇだろ!?インデックス
だって襲われてんだぞ!!」
「禁書目録には護衛をつけてある。勘違いするなよ上やん、今のところお前さんは狙われてないよう
だが、お前さんだって機密事項の一つなんだぜ。首を突っ込まれちゃ迷惑だ。俺も、一方通行もな」
「………っ、じゃ、じゃあ居場所だけでいい!知ってんだろ!?」
「ダメだ。部外者には教えられない」
一方通行は今『グループ』の隠れ家の一つを点々としているようだ。10032号は冥土返しに、打ち止め
は番外個体に任せ、自らの守る者とは距離を取っている。
それは土御門にも理解できることだ。目の前の正義感に悪気が無いのはわかっているが、巻き込む
わけには行かないだろう。
「部外者……?」
しかし、上条は常にはないような苛立たしげな表情で拳を握り締めた。
(あれぇ…?)
今日、ずっと土御門に付いて周っている違和感が強くなる。
ふと考えてみれば、一方通行はこのところ上条とよく顔を合わせていると聞いている。
だがあの一方通行と上条当麻だ。水と油のように反りが合わないだろうし、目の前の気のいい友人も、
普段のお人よしぶりを発揮しているだけだろう、と思っていた。
「俺は一方通行にとって部外者で、お前は違うっていうのか?」
「……まぁ、そうなるな」
『グループ』は仕事仲間で、現状を維持するために協力し合うという意思確認を行っている。そういう
意味で、当然部外者じゃない。一方通行が戦いやすいように、色々手配もしているし。
けれども上条は一体どういう意味に取ったのか、ギリギリと歯を食い縛っている。
(おいおい)
「……ッ、なら、お前はアイツをちゃんと手助けできてるってのかよ?」
「はぁ……?手助け?一方通行を?」
ひどく悔しげな表情に、ポカン、と。また間の抜けた声が出てしまう。あの学園都市最強、魔術師を相手
どっても引けを取るわけがない第一位と、『手助け』という単語は、そぐわないこと甚だしい。
「何言ってるんだにゃー、上やん。そんなもんあいつに必要ないぜい?」
思わず普段通りの口調で肩を竦めれば、真っ黒い目がギラリと光った。
「必要、ない……?」
賑やかなファーストフード店にそぐわない、低く押し殺した声。それで、ああ、このどこまでも人の好い
少年には気に障る言い方だったかと苦笑した。
「誤解するなよ。あいつの能力は強すぎる。俺らが側にいても邪魔になるだけだ。助けになんて行った
ら、ぶっ殺されちまうよ」
「そりゃ、確かにアイツは強いかもしれない。でも……」
858:1:2011/09/03(土) 16:19:47.93 ID:3naz+GC30
「俺が見てきた限り、あいつは油断とも驕りとも無縁だ。確実に相手を仕留めるし、躊躇いもない。覚悟
が違う。現に、指示したことが完遂されなかったことは一度もないしな」
一見柄が悪く大雑把な一方通行だが、現状を正しく認識する力、何が必要でどうすればよいか瞬時に
判断する力、そして実行力はズバ抜けている。その辺りはさすが第一位の面目躍如と言ったところだ。
以前『ドラゴン』と対峙し全員が気を失った後でさえ、一方通行は一人で無事に乗り切り、ロシアに渡り、
目的を達したと聞いている。
ひどく器用で、やらせれば何でも出来る。飲み込みも早く、必要なら行動は本当に早い。
『グループ』の主力、戦略兵器。一方通行。
あの男が助けを必要とする姿など、土御門には全く想像が付かない。
「お前の優しさはわかる。だが、よく考えろ。あの一方通行に助けなんか必要だと思うか?」
笑って肩を叩けば、何故か真っ黒い目が更にズシリと据わった。
「…………お前が」
「ん?」
「お前らがそんなだから、アイツは…っ!!」
ダン、と上条が激しくテーブルを叩く。
一瞬店内が静まり返り、しかし土御門が慌ててヘラヘラ「すいませぇーん、何でもないにゃ~」と笑顔を
振りまくと、すぐに喧騒が戻った。
「おい上やん、何……」
「一方通行は!!」
ジリジリと、こちらの肌が焼けるような焦燥と怒り。
「一方通行は怪我してたんだぞ!?能力なんて関係ない、あんなに華奢で細くて、……ッ、アイツは、
女の子なのに!!!」
「…………………は?」
学園都市とイギリス清教の二重スパイ、暗部や裏の事情に精通し、知らないことの方が少ないとよく
評価される土御門元春は、今度こそ完全に固まった。
871:1:2011/09/06(火) 23:24:38.86 ID:gKt+Mcga0
PM 4:32 第七学区 ファミリーレストラン
海原「……というかんじで、自分の魔術はイギリス清教などの十字教に根ざした魔術とは大きく異なり
ますね」
結標「へぇ~…。色々あるのねぇ」
一方通行「鬱陶しィ…」チッ
土御門「……………」ジーッ
一方通行「だが神話や伝承をベースにしているところは共通点だな」
海原「ええ、そうですね。自分が知っている限り、魔術とはそういうものです」
結標「あ、パフェ頼もうっと」ピンポーン
一方通行「俺もコーヒー」
土御門「……………」ジーッ
土御門(…こいつが女、ねぇ……)ジーッ
一方通行「後は、仕掛けや道具など事前準備をほぼ必ず必要とする。違うか?」
海原「ご明察」パチン
結標「指鳴らさないでよキモイ」
一方通行「ああ、きめェ」
海原「ひどくないですか?」
土御門(………うーん…確かに、体格は男だか女だかわからんし、顔は…まぁ…美人か…)ジー
店員「お待たせしました~。フルーツパフェと深煎りコーヒーのお客サマ~?」
結標「あ、私パフェ。こっちがコーヒー。はい、一方通行」カチャカチャ
一方通行「ン」ズズー
土御門(あー…指細いな。女にしては大きな手だが男にしちゃ小さい)ジー
土御門(言われて見れば女にも見える…気がする。ま、上やんが言うんなら本当なんだろうが)ジー
一方通行「……さっきから何見てやがるクソグラサン。愉快なオブジェにでもなりてェのか?」ギロ
土御門「しかし目付き悪すぎだにゃー。あと柄悪っ」ウン
結標「(プ)何あなた突然本当のこと」ウフフフ
一方通行「殺す」
土御門「はぁ…そう殺す殺す言うもんじゃないぞ一方通行」
872:1:2011/09/06(火) 23:25:10.10 ID:gKt+Mcga0
一方通行「何なンださっきからオマエは」ビキッ
土御門「女の子だろ?ちょっとはそれらしくした方がいいぜい?」
結標「」ブッッッ
海原「」
一方通行「あァ…?……………結標ェ」ギロリ
結標「わわわ私じゃないわよ!!私言ってないわよ!!!!」ブンブン
土御門「何だ結標も知ってたのか。道理で最近仲良いと思った」
一方通行「仲良くねェ」チッ
海原「」
土御門「ああ、結標に聞いたわけじゃない。誤解するな」
一方通行「じゃあどこで知った。胸か股でも触らねェとわかンねェだろ、普通」
結標「まッ!!!あなたなんてこと言うのよ!!!」ガタガタッ
土御門「…………是非とも恥じらいも持った方がいいにゃ~…」ハァア…
一方通行「うるせェ。質問に答えやがれ」
土御門(上やんは『お前知らなかったのか!?』ってすげぇ慌ててたし、ここは上やんから聞いたって
ことは言わない方が良さそうだぜい)ウン
土御門「こないだ別件で特力研のこと調べててな。警備員が始末し損ねた資料の中にお前のことが
あったぞ」
一方通行「……あそこか」チッ
土御門「資料はお前のも含めてもう始末したから安心しろ。それが指示だったからな」
一方通行「………ふン」
土御門(どうやら誤魔化せたにゃー)ウン
一方通行「で?」
土御門「ん?」
一方通行「俺が女だから、何だっつゥの?」ギロリ
土御門(あ、死ぬわコレ。上やんみたく『女なんだから身体大事にしろ』とか言おうもんなら殺される
わ~。間違いないわ~絶対だわ~)
土御門「いや、別に?資料の信憑性を確認しただけだ。特に何もない」キリッ
一方通行「……わかってりゃいいンだよ」ズズー
結標「ねぇ一方通行、パフェ食べる?食べる?」ホラホラ
一方通行「いらねェよ死ね」ズズー
海原「」
873:1:2011/09/06(火) 23:25:58.27 ID:gKt+Mcga0
海原「」
土御門(うーん。しかし俺らに性別バレても、特に動揺もしてないようだにゃー)マジマジ
土御門(…ま、そうだよな。男だろうが女だろうが一方通行は一方通行だ。ちょっと上やんの剣幕に
毒されちまったぜい)ヤレヤレ
土御門「ああそうだ一方通行、上条当麻が」
一方通行「っ」ガタッ ガチャン
土御門「………………」
結標「………………」
一方通行「………………」
海原「」
店員「あ、お客様大丈夫ですよ~。こちらで片付けます。今代わりをお持ちしますね~」フキフキサッサ
一方通行「……どォも」
店員「お待たせいたしました~ごゆっくり~」カチャ
一方通行「………で、何だ?」ズズー
土御門(……表情は普通だな。手が滑っただけか?)
土御門「上条当麻がお前のこと探してたから、第六学区と第八学区の隠れ家の場所教えたぞ」
一方通行「っ!?」ガタッ ガチャン
土御門「………………」
結標「………………」
一方通行「………………」
海原「」
店員「あ、お客様大丈夫ですよ~。こちらで片付けます。今代わりをお持ちしますね~」フキフキサッサ
一方通行「……どォも」
店員「お待たせいたしました~ごゆっくり~」カチャ
土御門「………………」
結標「………………」
一方通行「オマエ、何考えるんだアホか。一般人に暗部の隠れ家教えてどうするつもりだ死ね。その
グラサン目から後頭部に貫通して死ね」ズズー
874:1:2011/09/06(火) 23:26:32.61 ID:gKt+Mcga0
土御門(動揺してる?)
結標(動揺してるわね)
海原(自分も引き続き動揺してます)
結標「ねぇねぇ土御門、上条当麻って誰?男?男よね?何なに?一方通行の何?」ワクワクテカテカ
土御門「俺のクラスメートだにゃー。そんで一方通行の…何だろうにゃ~?」ニヤニヤ
一方通行「ただの知り合いだ。そのクソウゼェ面やめろクソども」イラッ
結標「あっ、わかった!!ねぇアレでしょ、あなたの胸触ったのに女だって気付かなかったのってその
人でしょ!?」ピーン!!
土御門「へぇえ~~~!!ほぉおおお…」マジマジ
土御門(いや気付いてるにゃ~って知ってるけど面白そうだから黙っとこう)ウン
一方通行「見ンな殺すぞ。つか結標オマエ何なンだテレパス?多重能力者?」
結標「ふ、女の勘よ」ウフフ
一方通行「意味わかンねェ……」ドンビキ
土御門「あ、上条当麻に隠れ家教えたってのは冗談だ。暗部の隠れ家を一般人に教えるわけないだろ」
一方通行「……。笑えねェぞクソッタレ」
結標「あら、ホッとした?ホッとしたでしょ?なぁに~何か揉めてるの?相談乗るわよ!!」ワクワク
一方通行「」イラッ
土御門「けどここの場所教えたから多分あと五分くらいで来るな」
一方通行「っ!?」ガタガタッ
土御門「というのは冗談だ」キリッ
一方通行「」
結標「あははははは!!!その顔!!!」ヒーヒー
一方通行「……………殺す」ビキビキ
ソウダンノルワヨーーウフフフ
イヤーカミヤンニセメラレマクッテ タイヘンダッタニャーハハハハ
イーカゲンダマレ クソッタレドモ
ジブン マジクウキ
877:1:2011/09/06(火) 23:29:01.43 ID:gKt+Mcga0
140 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします ID:Misaka20001
それがねぇ、ダメだったんだよ
ってミサカはミサカは以下詳細に説明してみたり
(とある昼下がり 一方通行の部屋)
20001「ねぇねぇ、あなた!今日はこの服にしてみようよ!」ピラリ
一方通行「あァ?……却下」ゴソゴソ
20001「えぇ~何で何で!?ってミサカはミサカはワンピを持ってウロウロしてみたり!!」
一方通行「気に入らねェから」アッサリ
20001「ガーン…!!!ミサカあなたに似合うと思って一生懸命選んだのに!!って大きな
ショックを受けてみたり!!」
一方通行「駄々捏ねても着ねェぞ」
20001「うっ…そんなに気に入らなかったの……」シューン
一方通行「………」
20001「………」シューン
一方通行「はァ…あのなァ、人には似合う服似合わない服ってモンがあンだよ」ピシッ
20001「あいたっ!で、でもミサカ、あなたのほっそーいプロポーションをカバー出来るように
ふわふわっとしたデザインにしたんだよ?ってミサカはミサカはちゃんと考えたことを
アピールしてみる!!」キリッ
一方通行「ン、まァそれはいい。けど色がな」
20001「青?あなた色が白いから、この海みたいな色似合うと思ったんだけど…」
一方通行「俺は確かに白いが、逆に白過ぎンだよ。白・黒以外のこういう原色に近い濃い色
のモン着ると、顔に影が出来てますます不健康で疲れて見えンだっつゥの」ハァ
20001「え!!そんなこと!!ってミサカはミサカはとりあえず当てがってみた…り…あぅ…」
一方通行「わかったかァ?あと普通にシュミじゃねェわコレ」
20001「うぅ~…似合うと思ったのになぁ…ってミサカはミサカは」
一方通行「オマエには似合うだろ、それ。髪と目の色に合ってるぜ」ポンポン
20001「……ミサカが何年かしてこれ着るの、きっと見てくれる?ってミサカはミサカは一生懸命
見上げてみたり」
一方通行「………………そォだな」
141 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします ID:Misaka20001
って目を逸らしたけど小さく頷いてくれて、ミサカと一緒の未来をちょっとでも考えてくれたことが
ミサカは本当に嬉しくてね、ミサカはミサカは
878:1:2011/09/06(火) 23:29:32.71 ID:gKt+Mcga0
142 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします ID:Misaka13577
zzzz
143 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします ID:Misaka16221
ネムー ( ´ρ`)。o ○
144 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします ID:Misaka17112
こっくり(-_-)(_ _)(-_-)(_ _).。oOOこっくり
145 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします ID:Misaka20001
もおおお!!ちゃんと聞いてよみんな!!ってミサカはミサカは憤慨してみたり!
146 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします ID:Misaka10046
おい丸め込まれてんぞ運営www
147 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします ID:Misaka12317
だな
結局着てないし
148 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします ID:Misaka20001
ハッ(゚Д゚)
149 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします ID:Misaka11900
つか俺はあのモヤシの なんだ その 独特のセンスの服からして
こだわりはあると思ってたぜ
150 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします ID:Misaka18110
まぁ 似合ってはいるよな……
151 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします ID:Misaka14889
「シュミじゃない」って言ってたからには、一方通行の趣味を聞き出せばいいんじゃないか?
152 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします ID:Misaka20001
えー ダメだよ!それじゃいつもの通りの細身のパンツとTシャツになっちゃうもん!
ってミサカはミサカはそれじゃカワイイ服でヒーローさん悩殺って目的が果たせないことを
危惧してみたり!!
153 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします ID:Misaka13577
………………あっ そういやそういう目的だったな
154 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします ID:Misaka10098
完全に忘れてたwwwww
155 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします ID:Misaka10046
カンペキに手段が目的化してたな俺ら
882:1:2011/09/06(火) 23:34:30.06 ID:gKt+Mcga0
194 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします ID:Misaka20001
ぶっちゃけミサカもその辺はよくわかんない>>恋愛感情かどうか
つかあの人はもちろんだけどヒーローさんもすごい鈍そうだし
ってミサカはミサカは、まぁあの人を大事にしてくれるんならそこはどうでもいいのだ
195 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします ID:Misaka10032
どうでもよくねぇえええ!!!!!!!!!!(゚Д゚)
196 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします ID:Misaka20000
どうでもよくねぇえええ!!!!!!!!!!(゚Д゚)(゚Д゚)
197 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします ID:Misaka14510
どうでもよくねぇえええ!!!!!!!!!!(゚Д゚)(゚Д゚)(゚Д゚)
198 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします ID:Misaka11928
おい、何か不穏な噂聞いたんだが!!上条と一方通行がががgg
199 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします ID:Misaka17110
ちょ あれデマじゃなかったのかよ!?!?
俺達の上条がぁああ
200 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします ID:Misaka17713
嘘だろおお!!!!!上条おおおおお
201 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします ID:Misaka12100
一方通行が え?うそ
・
・
・
・
613 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします ID:Misaka10046
はーやれやれ 上条派と一方派の乱入でエラい目にあったぜ
614 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします ID:Misaka13120
運営が隔離しに行ってくれて助かったな
上条派のテンションの高さパネェwwww
615 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします ID:Misaka14870
隠れ一方派のウザさもなかなかのものである
女だってわかって減るどころか逆に増えてる感なのは何なのイミフ
616 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします ID:Misaka14889
さっきから10032号が喋ってないけど生きてるか?
617 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします ID:Misaka10032
生きてる…けど…
えー 何だろう 俺どうすればいいかな?
886:1:2011/09/06(火) 23:37:28.07 ID:gKt+Mcga0
650 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします ID:Misaka14889
うん
651 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします ID:Misaka10032
あの家から一方通行がいなくなるのは、やだな……
あー わかんね
俺、結局自分の気持ちもよくわかってねーや
652 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします ID:Misaka14889
焦んなくていいだろ
整理ついてやっぱり上条のこと好きなんだったら、
改めて一方通行にまた宣戦布告してやれよ
653 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします ID:Misaka13820
あの泣きながらビンタしてクレープたかりながらやったやつなwwww
654 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします ID:Misaka11290
wwwwwww
655 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします ID:Misaka10032
ちょwwwやめろよwwww
901:1:2011/09/18(日) 15:09:08.58 ID:Q3vQ7IW70
午後六時。第十九学区。
夕闇に、古臭く寂れた街並みが沈みかけている。
一方通行は杖を付き、カムフラージュを混ぜながら『グループ』の隠れ家へ向かっていた。
「………」
最後の日の欠片が、吐き出す息を微かに白く照らす。
魔術師の襲撃で不覚にも怪我をし、上条当麻と仲違いをしてから、二週間。あれを「仲違い」と言うもの
なのかわからなかったし、違えるような仲だったつもりもないが。
そもそも、一方通行は他人とケンカなどしたことがない。殺し合いしか、したことがない。
だいたい、学園都市最強の第一位と『敵対』したものなど数えるほどで、敵じゃなければ大概は一方通行
の言いなりだった。そこに多少の画策や交渉、駆け引きはあるにせよ、真っ向から一方通行の意に沿わ
ぬことをするものなどいなかった。
真っ向から、真正面から、「お前のそういうとこがダメだ」と叩きつけてくる者など。
ああ、苛々する。唇を噛み締める。
「一方通行…!!見つけたぞ!!!」
背を打つ熱い声に、杖を掴む手がピクリと震えた。
そろそろ来るかと思っていたし、驚きもしなかったのに震えた指先に、一方通行は懲りずに苛立ちを感じる。
902:1:2011/09/18(日) 15:09:49.83 ID:Q3vQ7IW70
「……何なンだよ、オマエは」
わざわざゆっくり振り返れば、脳裏に嫌でも思い浮かんでいた、真っ黒い目がこちらを見据えていた。黒だと
いうのに、夕闇には決して沈まない、逆に浮き上がるような。
上条当麻は、真っ直ぐに駆け寄ってくる。
「こないだから一体何の用だってンだ。俺はオマエの面なンて見たくねェンですけど?」
「お前、まだ魔術師と戦ってるんだってな?打ち止めに聞いた、ずっと家に帰ってないって」
苛立たしさを音にしたような声音にも怯まず、上条は一方通行の前に佇む。
「………」
「魔術師の狙いはインデックスなんだろ。何度でも言うぞ。俺もお前と一緒に戦う」
「うるせェ」
一言のもとに切り捨て、赤い目を眇めた。
「誰に向かってモノ言ってやがる。寝言は寝て言え、三下」
「一方通行!!」
「うるせェっつってンだよ…!」
伸ばされる日に焼けた手を、思い切りはねつける。
二週間で、十回。上条当麻が一方通行の前に現れた回数だ。頭の中から消し去ってしまいたくても、無駄
に克明な記憶が忘れさせてくれない。
『怪我はどうなんだ』『何で一人で戦うんだ』『お前が心配だ』『打ち止めもインデックスも心配してる』『それ
痛いだろ?』『ちゃんと手当てしたのか』『何で俺に連絡しないんだよ』『お前と一緒に戦いたい』『お前を』
『お前を助けたいんだ、一方通行』
何度も何度も何度も何度も、真摯な目で声で顔で、飽きずに繰り返す。追って来る。何度も。
(何なンだよコイツは、一体何なンだ)
わからない。飽きずに同じやり取りを繰り返す自分のことも。
学園都市最強。暗部『グループ』の主力、戦略兵器。第一位、『一方通行』。
怪物と同じ意味を持つこの身を、まるで一人で無茶をする普通の人間のように扱う無能力者。
上条当麻を、どう扱えばいいのかわからない。
苛々する。このところ、ずっと苛々して、ムカつきが消えない。
「なぁ…俺、何か変なこと言ってるか?一人で戦うより二人で戦った方が心強いだろ?」
当の無能力者も、少しだけ途方に暮れたような顔で首を傾げる。
その『当たり前のことを言っているような』表情が、一方通行を戸惑わせ、苛立たせた。
「バカじゃねェの。オマエなンか足手まといだ。俺は一人で戦うのが一番やりやすいンだよ」
「そんなの、やってみなきゃわかんねぇだろ!」
「やンなくてもわかンだよ、そンなことは!!」
903:1:2011/09/18(日) 15:10:35.88 ID:Q3vQ7IW70
真っ黒の目と、睨み合う。常にはないほど目元にも下腹にも力を入れ、そうしないと後退ってしまいそう
な自分に気付いて、ぐらりと頭の芯が揺れた。
自分の赤い色など、この黒に簡単に呑み込まれてしまいそうで。
「お前なンか必要ねェっつってンだ!おとなしく一般人は黙って家に帰ってろ…!!」
「一般人とか暗部とか、関係ねぇよ!!俺は…っ」
(暗部の、ことを)
土御門が話したのか、と思い至り、腸が煮えくり返りそうになった。この無能力者は一般人で、魔術や科学
の中心に関わっていたとしても、『グループ』とは違う。光の世界の住人なのに。
「…クソッタレ、土御門の野郎…!」
思わず吐き捨てると、ふと上条の表情が変わった。
「……一方通行は、土御門になら頼るのか?」
それまでのただひたすらに真摯でひたむきだったものが、やや険悪に歪む。
「はァ?」
「俺はいらないのに、土御門の手は借りるのかよ?」
押し殺した低い声に、一方通行は思わず間の抜けた反応をしてしまう。
「借りてねェよ、あンなクソグラサンの手なンか」
「でも土御門はお前の居場所知ってんだろ?俺にも打ち止めにも教えてくんねぇのに…っ」
「何言ってンだオマエは。オマエらとアイツは違うだろォが」
土御門は暗部で、目の前の男と打ち止めはそうじゃない。当然だ。
訝しげに眉を顰めると、上条が歯を食い縛った音が聞こえた。
「……確かに、違うかもしれねぇけど」
だったらさっさと帰れ、と吐き捨てようとして、その目の色にギシリと喉が詰まる。
「俺は!俺の方が、お前のことわかってる!!」
叩きつけるように叫ばれ、一方通行は瞠目した。
「土御門は『お前に助けなんか必要ない』って笑ってたんだぞ!?助けになんか行ったら自分が殺される、
なんてふざけたこと!!」
怒り心頭の上条の表情に、数瞬で我に返り、苛立ちが込み上げる。
また、この男は。一体どれだけ自分を舐めきっているのか。一国の軍と戦っても負けはしない自分への
評価として、土御門と上条と、どちらが正しいかなど明らかだ。
「……ッ、そォだ、それでいいンだよ!あいつはよくわかってる、それが正しいンだ!!」
「正しくなんかねぇだろ!たった一人で戦って、こないだみたいに怪我したらどうすんだ!?」
「アレはたまたまのイレギュラーだっつったろォが!」
「そのイレギュラーで次は致命傷を負わない保証なんかどこにもないだろ!」
「そン時は一人でどォにでもするし、今までもそォして来れたンだっつゥの!」
904:1:2011/09/18(日) 15:11:12.73 ID:Q3vQ7IW70
一方通行はずっと一人で戦ってきた。状況に応じて他人と手を結ぶことはあったが、頼りにしていたのは
自分の力だけ。それでよかった。何の問題もなかった。
「これまでそう出来たからって、これからも出来るとは限らないだろ!?何でそんなに頑なに一人になろう
とするんだよ、この意地っ張り!!」
「い……っ!?」
思わず絶句してしまう。
意地っ張り、とは。素直でなく、自分の考えなどに固執して、それを通そうとすること。
脳裏に国語辞書的なフレーズが流れて行き、その、まるで普通の友人にでも使うような平凡な言葉に、
カッと頭に血が昇った。
これほどに自分にふさわしくない表現があるだろうか。それを当然のように言い放つ無能力者が理解で
きない、心底理解できない。頭の芯が痛む。何かが破裂しそうだ。
「うるッせェんだよ…!!何なンだ、何なンだよオマエはァ!!!」
ドン、と地に足を打ちつけると、半瞬でアスファルトに細かな皹が入り、上条の足元で炸裂した。
静かな夕暮れに爆音が響き、もうもうと土煙が上がる。
「………っ」
一方通行はぜぇぜぇと荒い息をつき、土煙が晴れていくのを、成すすべもなく見詰めていた。
十秒も経たないうちに、土埃は辺りの空気に溶けて消える。後には、剥がれて割れたアスファルトと、
上条当麻が少しだけ驚いた顔で佇んでいた。
無傷で。元の場所からは、一歩も動いていない。
つまり、一方通行の攻撃は上条を傷つけるものではなかったと、誰の目にも明らかで。
奥歯を強く噛み締める。ごりり、という鈍い音がして不快だ。
イメージ、出来なかった。能力を行使するためには、『自分だけの現実』を明確に構築しなければなら
ない。今更確認するまでもない不文律。
(なンで)
けれど一方通行は、『目の前の男を血塗れにする』という『現実』を思い描くことが出来なかった。出来
なかった、どうしても。
(何でだ?どォして)
この無能力者が、能力を無効化することは知っている。だが確認するまでもなく、上条は右手の指一
本動かしていない。一方通行が、自分で勝手に衝撃を逸らしただけ。
自分が理解できなかった。耐えられない、何かがブチブチと千切れていく気がして、叫び出しそうだ。
壊れてしまう、と思った。きっと壊されるのは、今までの自分。
戦うのは自分だけ、頼れるのは自分だけ。そう信じる学園都市最強の化け物。
今までの『一方通行』が壊れてしまう。
例えば打ち止めを助けた時のように。
905:1:2011/09/18(日) 15:11:48.79 ID:Q3vQ7IW70
「一方通行」
呼ばれて目が合うと、上条は不意に笑顔になる。
「打ち止めに聞いたんだ。お前、俺にあの変なコーヒー飲まそうとしてくれたんだって?」
「は、ァ…?」
「淹れる方法は変だけど、おいしいんだってな。自分がおいしいと思ったから、俺にも飲ませてくれよう
としたんだろ?そういうのわかんないって、前言ってたのに。わかるようになったってことなんだろ」
嬉しそうに、真っ黒の目を細める。
ささいな出来事だった。インデックスが勧めた紅茶を一方通行がマズイと言って、上条と打ち止めに
咎められた。自分の好きなものを周りの大事な人にも認めてほしい、そういう気持ちがわからないと
思った。
そうだ、わからなかったのに。
ごく自然に、おいしかったから、このツンツン頭にも飲ませてやろうと思った。
どうして?理由なんてない。ただ、そうしたかった。
「お前は俺に、自分がおいしいと思ったものを飲ませてくれようとした。それって、……少しは俺のこと、
認めてくれてるってことだよな?」
ガン、と頭を殴りつけられたような衝撃が襲う。
(認める?俺が?コイツを?こンな、……コイツは)
コイツは、俺を認めていないのに?あンな雑魚の魔術師なンかに、俺がやられるって思ってるのに?
じわじわと、頭が締め付けられるような気がする。嫌な感触の汗が滲んで、短い息をついた。
「…一方通行?大丈夫か、顔色悪いぞ?」
上条はごく当たり前のように、心配そうな顔で手を差し伸べる。
「触ンな…っ!!」
再度、その手を思い切り払おうとした。だが、軽い音がして、受け止められてしまう。そのまま握り締め
る日に焼けた手は乾いていて、ひどく熱かった。
「うわ、お前手ぇ冷っ!何だ、具合悪いのか!?」
悪い。今まで経験したことがないほど、頭も痛いしグラグラするし、ここ最近ずっとそうだ。ホルモンバラ
ンスの崩れた身体は外部刺激に予想もつかない反応をしているようで、だがそんな弱みを他人に悟ら
れるはずがないのに。
普段通りの、学園都市最強だったなら。
「うるせェ、その哀れンだ顔をやめろ!たった二回俺に勝ったからって、図に乗ンじゃねェ!!」
「図に、って…心配してるだけだろ!」
目の前の黒い目が、いかにも心外そうに眇められる。どこまでもまっとうな反応で、掴まれた手が焼き
切れそうに熱い。痛い。頭が。
「それが図に乗ってるっつゥンだよ、この俺を心配、とかバカじゃねェの!?」
「心配するのに能力の強さなんか関係ねぇだろ、何でわかんねぇんだよ!!じゃあお前は打ち止めが
お前より強い能力持ってたら、怪我してても、怪我するかもしんなくても、心配しないってのか!?」
「………っ」
906:1:2011/09/18(日) 15:12:18.85 ID:Q3vQ7IW70
そんなわけがない。
頭で考えるよりも先に心が応えて、一方通行は言葉に詰まった。
反論せずにただ固まっている白い顔を見て、上条が少し安堵したように笑う。
「……だろ?心配するだろ?そうだよな」
畳み掛けるような声は、温かい。温もりを移したように、耳まで熱くなってくる。気持ちが悪い。
「俺だって、お前が俺より強いことくらいわかってる。でも、心配なんだ。お前が心配なんだよ、一方通行…」
手を握り締めたまま、日に焼けた健康的な顔が近づく。苦しそうな表情だった。
一方通行は瞬きもせずに、真っ黒の目を見詰める。
「もう一人で戦うな。俺も一緒に」
一緒に?
この『反射』の一方通行と一緒に戦う、などと言っているのだろうか、この無能力者は。
一方通行は唇を噛み締めた。喉の奥が痛い。
「本当に、バカじゃねェのか……」
「何でだよ」
「オマエも俺の能力を知ってるはずだ」
「ベクトル操作、だっけ?」
「そォだ。あらゆるもののベクトルを操作可能。基本的に攻撃はすべて反射する。反射すれば、能力だろ
うが魔術だろうが周囲に拡散する。戦闘中に俺の周りにいればどォなるか、わかるだろォが…」
そう、例えばインデックスのように。守ろうとしてすら、あれほど傷つけてしまうというのに。
一方通行が搾り出した声は罅割れて、歪んでいた。自分で聞いても、聞き苦しい声音だった。顔は引き攣
っていて、呼吸は浅く、冷や汗は滲んだまま。
「なんだ」
だが上条は、パッと弾けるように笑った。夕闇の中で、沈んだはずの太陽が昇ったような気がした。
「なんだよ、一方通行。お前も俺のこと、心配してくれてたのか?」
「………っ」
「上条さんは大丈夫!絶対だ、約束する!!」
半瞬の迷いもなく、やたらと力強く宣言する。何が嬉しいのか、満面の笑顔だ。
息が詰まる。
「………………」
そんな何の根拠もない言葉を、鵜呑みに出来るわけもないのに。ふざけるなと、一蹴すればいいのに、
言葉が出て来なかった。
一体こいつは何なのだろう。何度も繰り返した問いを、答えなど出ていないから、また繰り返さなければ
ならない。
上条当麻は、『敵』でも『暗部』でも、もはや『一般人』でも、しかし『守るべきもの』でもない。
一方通行の認識するカテゴリーに、分けて整理してしまうことが出来ない存在なのだと、今更ながらに気
付かされた。
何もかもがイレギュラー。学園都市最強の怪物に力技で勝てるのも、それでいて単なる平凡な人間と接
するような態度も、真っ直ぐで強靭な心も。
「何なンだよオマエは……」
907:1:2011/09/18(日) 15:12:44.26 ID:Q3vQ7IW70
俯いて同じ言葉をもう一度呟けば、途方に暮れたような頼りない声音になった。
目の前の男のことがわからない。
だがもっとわからないのは、自分のことだ。
能力を封じられていても、こんな無能力者、どうにでも出来るはずなのに。手を振り払うこともせず、突き
放すことも出来ず。
一方通行が棘だらけの目付き、表情、声音、何よりも最強の能力を剥き出しにすれば、相手は必ず敵意
を返すか、恐れた。どちらでもないこの男を、どうすればいいかわからない。
どうしたいかも、わからない。
どうすればいい?殺せばいい?それはダメだ、ならどうすれば?
「一方通行?」
上条が心配そうに顔を覗き込もうとする。顔を背け、一方通行はかろうじて震える指先に力を入れ、自分の
手首を掴む上条の指を引き剥がそうとした。
俯いたまま、一本一本、日に焼けた指を外していく。
「…………」
「…………」
なかなか力の入らない細い指先を振りほどくことは簡単だったろうに、上条はじっと一方通行の行動を見詰
めていた。
ようやくすべての指を外し終わったときには、数分は経っていたように思う。熱い掌が外れた手首は生白く、
自分で見てもひどく不健康そうだ。
「一方通行」
「うるせェ。俺に話しかけンな。俺の前にその面見せンじゃねェ」
顔を上げないまま、一方通行は低く声を絞り出した。
ぐらぐら、ぐらぐら。今まで頭の先から足の先まで通っていた芯が、揺れる音すら聞こえてきそうだ。
壊れてしまう。壊されてしまう。この一見、何の変哲もない無能力者に。
守るべきもののために、一人で戦い続ける決意が、『一方通行』として、ひとりで真っ直ぐ前を見据える力が。
何より、壊される、などという被害者ぶった意識に吐き気がした。
気持ちが悪い。目の前の男は完全なる善意で、悪気などないことはわかっている。一方通行が一人で勝手
に脅威を感じているだけだ。何という被害妄想。異常だ。なんて情けない。
下腹に力を入れ、奥歯を噛み締め、杖を握り締めて、顔を上げる。睫毛が震えた。
「二度と、俺に近づくな。上条当麻」
星のように輝く黒い目を見据え、ゆっくりと言葉を吐き出していく。
そして、何の前触れもなく地を蹴って飛び上がった。「一方通行!!」という声が遥か足元から響いたが、決
して振り返らなかった。
まるで必死に、逃げるかのように。
908:1:2011/09/18(日) 15:13:18.62 ID:Q3vQ7IW70
PM 6:48 第十九学区 路地裏
ピッ ピピ プルルル プルルル
上条「…あ、打ち止めか?うん、俺。えーと、ごめん。またダメだった……」
打ち止め『あららー、仕方ないなぁあの人は。ってミサカはミサカは肩を竦めてみたり!』フゥ
上条「一回手ぇ捕まえたんだけどさぁ……」
上条(あんな顔されたらなぁ)ズキ
上条(あんな、泣きそうな顔されたら、無理強いなんて出来ねぇよ…)ズキズキ
打ち止め『………』
909:1:2011/09/18(日) 15:13:45.26 ID:Q3vQ7IW70
上条「でも、次こそ説得する。俺は諦めねぇから」
打ち止め『うん、それでこそヒーローさん!…あの人、まだ十九学区内にいそうだよ?ってミサカはミサカ
は相変わらずふわっとした位置情報をお伝えしてみたり』
上条「そっかー。この辺にも隠れ家ってあんのかねぇ」テクテク
打ち止め『さぁ、どーだろ?こないだシスターさんと一緒にいた時にツチミカドっていう怪しいグラサンが来
たんだけど、何聞いても教えてくんなかった!ってミサカはミサカは大プンプン!』プンプン
上条「あれ土御門に会ったのか?珍しいな、お前らが来てる時には顔出さないのに」
打ち止め『ミサカが怪しい気配をキャッチしたのだ!ってミサカはミサカは自分の電磁レーダーを自慢
してみたり!…したかったのだけど、気付いたのは番外個体だよー』ショボーン
上条「番外個体か。話だけ聞いてたけど、俺はまだ会ったことないんだよな」
打ち止め『あの子があなたに会いたがらないんだよね、ってミサカはミサカは溜息をついてみたり。まっ
たくワガママな妹です』ヤレヤレ
上条「上条さんってば会ったこともないのに、何で嫌われているのでせうか!?」ガビーン
打ち止め『あなたが悪いんじゃないから気にしないで、ってミサカはミサカは気休めを口にしておく』
上条「気休めなのかよ!」
打ち止め『うーん、あなたは悪くないけどあの子があなたを嫌いなのはあなたのせいだからってミサカは
ミサカはお茶を濁してみたり』
上条「???……まぁいいか。打ち止めとインデックスは大丈夫ってことでいいんだよな?」
打ち止め『うん!ってミサカはミサカは力強く頷いてみる!あ、でもシスターさんから伝言あったんだ!』
上条「ん?インデックスが?何だろ、俺が帰って直接言えばいいのに」??
打ち止め『「これでいつも私がとうまのこと心配してる気持ちわかったでしょ?」だって!ってミサカはミサ
カはものすごく身につまされてみたり』ウンウン
上条「うっ……、すいませんでした……」
打ち止め『うむ、素直が一番。ってミサカはミサカは重々しく頷くのだ』ウム
上条(あー、心配してんのに連絡付かないのってこんな不安なんだな……確かにインデックスが怒るのも
わかるわ)
上条「よし、今日は奮発してインデックスに肉でも食わしてやるか」
打ち止め『食べ物で懐柔!?ってミサカはミサカはガビーンってなりつつも、それが一番喜ばれそうだな
って結局は同意してみたり…』
上条「だろ?けど今日はもうちょいだけ探そうかな。一方通行の居場所、わかるか?」
打ち止め『うん!あの人の位置情報、また頑張って検索してみる!!』キリッ
上条「頼むな。お前だけが頼りだから。アイツ、全ッ然ケータイ出ねーし」
打ち止め『まかせなさい!ってミサカはミサカは元気よく笑顔で頷いてみたり!』エヘヘ
上条「……なぁ、打ち止め」
打ち止め『なぁに?ってミサカはミサカは突然優しい声になるヒーローさんを不思議に思ってみる!』
上条「無理するな。一方通行にずっと会えてなくて寂しいんだろ?アイツに言ったりしないから、無理して
明るく振舞わなくってもいいんだぞ」
打ち止め『な…、何のこと?ってミサカはミサカは…』
910:1:2011/09/18(日) 15:14:14.68 ID:Q3vQ7IW70
上条「お前、一ヶ月前だったら、電話とかしてたらすぐ、『今日あの人が』とか『前にあの人が』とか一方通
行のこと話してただろ?最近、それ全然しないからさ」
打ち止め『そ、そんなの……だって…』
上条「ああ、しょうがないよな。もう二週間だ。そんなにアイツに会わないの、久しぶりだろ」
打ち止め『…………』
上条「御坂妹にも聞いたんだ。MNW内でもあくまで普段通りだって。……元気なさそうにしてて、それが
アイツに伝わったら心配かけるって思ったんだろ、打ち止め」
打ち止め『……っ、ミサカは…』
上条「大丈夫だ。二人だけの秘密にする」
打ち止め『う……っ、』
上条「大丈夫だ」
打ち止め『……っ!……ひ、っく…』グスッ
上条「寂しいか?」
打ち止め『う、うん…!寂しい…って、ミサカはミサカは正直に答えてみたり…』ヒック グスッ
上条「ああ、わかる。俺も寂しい。また早くお前らに遊びに来てほしいよ」
打ち止め『うぇえ…あの人に会いたいよぉ……夜中に起きた時、あの人にくっつくとすっごく安心する、
のに……今は起きても一人ぼっちなの…会いたいよ…」グス
上条「うん。アイツも同じだと思うぜ」
打ち止め『そうかなぁ…?ミサカのことがあの人の負担になってないかなぁ…?ってミサカはミサカは』
上条「アイツが選んで背負ったんだ。それがアイツの支えなんだよ。俺も同じだから、わかるんだ」
打ち止め『支え……』グスッ
上条「重いなんて思ってねぇよ。逆なんだ。それがなかったら、俺なんか風に吹かれて飛んでっちまう。
インデックスは、俺をこの世界に繋ぎとめてくれる絆なんだ。きっと一方通行にとってのそれが、
お前なんだろうさ」
打ち止め『……っ、ぅうう…あくせられーたぁ……』ヒック
上条「大丈夫。俺が必ずお前の絆を連れて帰るよ」
打ち止め『絶対…?約束してくれる?ってミサカはミサカは、すっごく期待してみたり』グス
上条「ああ、絶対。約束だ。お前の絆は、俺の絆でもあるんだからな」
打ち止め『……あの人、手強いよ?ってミサカはミサカは経験談から忠告してみるんだけど』
911:1:2011/09/18(日) 15:15:09.53 ID:Q3vQ7IW70
上条「だよなぁ…。って上条さんも肩を竦めてみる。意地っ張り過ぎだろ、アイツ」
打ち止め『い、意地っ張り…。それ直接言ったら、あの人のすごい顔しそうかも』
上条「言ったけど?」
打ち止め『ええ!?言ったの!?…見たかったなぁってミサカはミサカは想像してみたり!』クスッ
上条「すっげぇ怒られた」
打ち止め『ですよね~!ってミサカはミサカは超納得。能力でぼっこぼこにされてても驚かないよ?』
上条「あー、一回攻撃された」
打ち止め『えっ!?!?』ヤッパ オドロクヨ!
上条「あ、大丈夫大丈夫、全然当たんなかったから。無傷無傷!」
打ち止め『そ、そっか…。ってミサカはミサカはホッとしてみる…。でも、あの人の攻撃が当たらなかった
っていうのは変だよ、ってミサカはミサカは鋭く指摘してみたり』キリッ
上条「……変じゃないんじゃね?だって最初っから、当てるつもりなかったんだろうしさ」
打ち止め『なんだ、わかってるんだね。ってミサカはミサカはちょっと悔しがってみる』
上条「アイツの方がビックリした顔してたけどなー、はは。何でわかんねぇんだろうな。アイツが俺にそんな
ことするわけねぇのに」
打ち止め『うん、そうだよね!ってミサカはミサカはしたり顔で頷いてみたり!』ウンウン
上条「だよなぁ」ウン
打ち止め『……きっと自信がないんだよ。ってミサカはミサカは、ミサカの予想をお披露目してみる』
上条「自信?いやいやいや、俺アイツほど自信満々なヤツ見たことねぇけど!」
打ち止め『自分の能力には世界一自信持ってると思うよ?でも、自分の人間性…ていうのかなぁ。人として
の自分にきっと自信が持てないんだよ、ってミサカはミサカは考えてみたり』
上条「人としての…」
上条(……ああ、そうか。前にも言ってたな。アイツがインデックスを助けた時、アイツ自身は助けたんじゃ
なくて傷つけたって思ってるみたいだった)
打ち止め『ミサカとしても学習装置の受け売りなんだけど、人は経験を元に判断を重ねて、その判断の結
果を基準にして次の判断を行うものなんでしょ?』
打ち止め『あの人の判断の結果は、いつも誰かを傷つけるものだったから。…って、あの人自身は思って
るんじゃないかな』
上条「何言ってんだ、そんなことないだろ!」
打ち止め『ミサカはそう思ってないよ!でも、あの人はまだ経験の積み重ねが薄いから。インパクトが
強かったものが残ってしまってても仕方ないかな…ってミサカはミサカは思ってみる』
912:1:2011/09/18(日) 15:15:37.64 ID:Q3vQ7IW70
上条「インパクト?」
打ち止め『絶対能力進化実験』
上条「……っ、でも、アイツはもうあの頃とは違うじゃねぇか!!」
打ち止め『うん、違うよ。ミサカを助けることで、あの人はそれまでの自分を否定したんだと思う。きっとすご
く苦しかった。でも、否定しても自分は自分だから……』グスッ
上条「打ち止め。…大丈夫だ。一方通行は、例え何も持ってなくても、大事なものを守ることが出来るはずだ」
上条(お前自身が…俺が記憶喪失のまま戦ってるって聞いた時、自分で言ったんだぞ、一方通行)
上条(あれで俺がどれだけ励まされたか、お前にはわからないんだろうな)
上条「経験や根拠なんてなくても、自分を信じることは出来る。必ずだ」
打ち止め『うん、ってミサカはミサカは同意してみる。だってミサカを助けてくれた時のあの人は、そうだった
から……』
上条(……一方通行。お前が自分で言ったことも忘れたって言うんだったら)
上条(俺が思い出させてやる)
上条「アイツを俺達の元に取り戻す。身体も、心もな。約束だ、打ち止め」
913:1:2011/09/18(日) 15:16:10.74 ID:Q3vQ7IW70
一方通行は混乱していた。
目の前には二人の魔術師。相変わらずズルズルと動き辛そうな黒いローブを頭から被り、顔はよく
見えない。
(なン、だ…こりゃ……っ)
眼前に炎を放たれ、適当にかわして銃弾を打ち込む。予想はしていたが、鉛玉は炎の壁に阻まれた。
炎は魔術の発現の形としてはオーソドックスなものだ。
(意味、わかンね…)
ズグン、と目の奥と下腹が同時に痛む。足先がフラつき、慌てて地を踏みしめようとして爪先に力を
入れた。
胸の奥からは、容赦のない吐き気が込み上げる。酸味のある唾液を何度も飲み下した。
頭の天辺から足先までのすべてが重怠く、組み上げようとする演算が端から崩れていく。
(能力、が……ほとンど使えねェ…)
じわじわと、衝撃と驚愕が押し寄せた。
目の前の魔術師など何でもない、脅威でもない、……普段ならば。
原因不明の体調不良、そしてその程度のことで能力の発現が阻害されている事態に、一方通行は
混乱していたのだった。
914:1:2011/09/18(日) 15:16:40.65 ID:Q3vQ7IW70
第十九学区。日はすっかり暮れた。薄暗い街灯は、光の届かぬ闇を更に深くしている。
三人の魔術師からの襲撃があったのは、上条当麻と別れて約一時間後のことだった。
能力を使ってあの無能力者を振り切り、大通りから外れた路地で、どんどん色を濃くしていく夕空をボン
ヤリと眺めていた時だ。
闇から滲み出るように、三人の魔術師が現れた。すでに胸を圧迫する気配を感じていた一方通行は、
薄い唇を歪めて笑った。
「ったく切れの悪ィ小便みてェにダラダラダラダラ…。いい加減纏めて片付けさせてくれませンかねェ?」
一人目は何なく倒した。基本的に不意打ちに弱い魔術師の長は遠距離攻撃があるはずだが、彼らは初回
のインデックス襲撃以外であまりそういう手段を取らない。
好都合ではあるが、何らかの意図を感じて不快だ。しかし今日に限っては好都合だった。上条と対峙して
以来、このところの体調の悪さに拍車が掛かっている。とにかく早く蹴りを付けたかった。
最初は魔術の系統を計るために様子見をすることが多いけれど、今日はさっさと銃とナイフで行動を不能
にし、次の魔術師に狙いを定めた時だった。
人生最大級と言ってもいい頭痛と腹痛が、一方通行を襲ったのだ。
単純な怪我の深さであれば、例えば天井に頭を撃ち抜かれた時、またはエイワスに反射を切り裂かれた時
の方が重傷だっただろう。
だが、今の頭痛・腹痛は種類が全く異なっていた。更に込み上げる吐き気。手足の先が痺れ、貧血の症状
で視界がブレる。
見た目はひ弱で不健康そうな一方通行だが、実は全くの健康体である。風邪一つひいたこともなく、自分で
身体のメンテナンスが出来る第一位の辞書には、体調不良の文字などない。はずだったのに。
「……、は、…っ」
呼吸が浅い。滲んだ冷や汗が、顎を伝って落ちる。
演算を組む端から、ボロボロと崩れていく。痛みで、吐き気で、複数の事象を起こすような、複雑な演算が
出来ない。演算など、どんなものであったとしても、普段なら息を吸って吐くよりも容易いことなのに。
気が付けばこの有様で、体内変化を確認することすらままならないなど、考えられない事態だ。
魔術師の一人が軽く腕を振れば、出現した火炎弾が襲い来る。もう一人は奇妙な杖を振って雷撃を出現
させた。
何とか系統を解析し、反射を適用させれば、炎も雷も虹色の光になって消える。最低限の反射と、そこそこ
の身体移動。
可能なのはそれくらいで、信じられないほどの弱体化だ。普段の力を100とするなら5の出力も無いだろう。
一方通行は間違いなく、今までの人生で最弱の状態にあった。
915:1:2011/09/18(日) 15:17:34.02 ID:Q3vQ7IW70
路地裏を、魔術師達とある程度の距離を保って逃げる。
廃ビル群の隙間は暗く沈み、まばらな街灯がかろうじて足元を照らしていた。
弱体化した能力でも、全力で逃げに徹すれば振り切ることは可能かもしれないが、そうするわけには行か
ない。
何故ならば、彼らの本当の目的はインデックスなのだから。
ここで一方通行が逃げてしまえば今後脅威と見なされず、直接あのか弱い少女に矛先が向けられてしまう
だろう。それだけは避けなければならない。
「…はーっ、はー…っ、…っ、く」
浅い息が荒く、喉がヒリヒリと乾く。冷や汗は既に脂汗に変わり、眉間を流れるのを手で拭った。べちゃりと
手の甲に張り付く。
先ほどから、尻ポケットに入れている携帯電話の感触を強烈に意識してしまのが、我慢ならなかった。
『もう一人で戦うな。俺も一緒に』
耳の奥で響く熱い声を、必死で無視する。
(バカが…)
携帯電話に伸びそうになる指を握り締めた。これで、一体何をするつもりなのか。何を。
必要ない。そんなものは今も、これまでも、これからも必要ないはずだ。一方通行は唇を噛み締めた。
炎と雷は断続的に襲ってくる。同時に捌く度に頭の奥が締め付けられ、吐き気が込み上げた。
胃液の味がする生唾を吐き捨てる。走りながら震える腕を堪えて、無言で追い縋る魔術師の膝下に銃口を
向けて打つ。
銃弾は炎の壁には阻まれるが、雷の術師のローブには穴を空け、同じ歩幅だった彼らの足並みが乱れた。
(雷を操るが、発電能力者のように磁力までってワケじゃないようだな)
反応といい、恐らく炎の術師の方が腕は上なのだろう。
襲撃された場所から、直線で北に二百メートルほど移動しているが、彼らに焦りは見られない。淡々と追い
掛け、淡々と攻撃を繰り返す様はロボットのようだ。
距離にして約五メートル。遠距離から風や周囲の物で攻撃することが多い自分のことを知っているらしい、
絶妙な中距離だ。
916:1:2011/09/18(日) 15:18:04.47 ID:Q3vQ7IW70
それを確認し、一方通行は懐からもう一丁の拳銃を取り出して、強く地を蹴った。
宙返りの要領で魔術師達の後ろに回り込み、両手の拳銃で同時に二人へ連射しながら走り寄る。
「な……っ!?」
雷の術師が慌てて雷撃を乱射し、そのいくつかは銃弾を飲み込み、いくつかは地に突き刺さって弾けた。
一方、炎の術師は目の前に炎壁を出現させて銃弾を防いでいる。ダメージを与えることは出来ていないが、
土煙が舞う中、戸惑ったように軽く後ずさった。
(よし)
厄介な方の足止めに成功した一方通行は、そのまま雷の術師の懐に潜り込み、思い切り腹を蹴り上げる。
「ぐ、は…っ!?」
まさか急に近接戦で来られるとは思っていなかった、とローブの下から露になった男の顔が歪んでいた。
膝を折りかける魔術師の右手を、銃のグリップで強かに殴りつける。能力で強化された一撃は強烈で、骨
の砕けた音と悲鳴が響き、握られていた杖を取り落とした。
一方通行はすかさずそれを踏み付けて圧し折り、そのまま路地の奥へ蹴り飛ばす。
術師の表情が狼狽に歪んだのを確認すると同時に、鳩尾を殴って気絶させた。
(やっぱあの杖が媒介か)
魔術師は魔術を行使するのに、ほぼ必ず何らかの道具や仕掛けを必要とするという。例外もあるが、早い
話がその媒介さえ壊してしまえば魔術は使えない。
場所そのものに仕掛けがある可能性もあるが、逃げる一方通行を妨害しないのでそれはないだろうとアタ
リをつけた。そうなればあからさまに怪しい杖をどうにかすればいい。
「……はぁ…っ、は…」
一方通行は頭痛と吐き気を飲み下す。
一人は片付けた。もう片方の炎の術師は軽く舌打ちしたが、動揺した様子はない。しかし間を置かずに続
いていた攻撃が止んでおり、こちらの状況を伺っているようだ。
敵に一見した特長はなかった。武器も道具も持っていない。あのローブを剥げば何かわかるかもしれない。
風を起こそうとする。途端に視界が揺れて、下腹に力を入れて足を踏ん張った。
(イ…ッてェ……)
力を入れると、下腹もズグリと痛む。頭痛は頭の中でデカい鐘でも打ち鳴らされているかのようだし、何とも
不快な味の唾液が喉奥からせり上がる。
目の前に黒い斑点が明滅し、視界が狭まる。貧血の際の症状だという知識を探り当てるのに、らしくもなく数
分を要した。手足の先がぼんやりと痺れ、感覚が消えてていく。
気が付くと壁に背を預けていて、安いコンクリートの感触に寒気がした。
「は……、っ、かはっ?」
917:1:2011/09/18(日) 15:18:45.68 ID:Q3vQ7IW70
息を大きく吸おうとした瞬間、不意に妙な呼気が漏れる。
ぜひゅ、ぜひゅ、と出来損ないの笛のような音が自分の喉からしていることに気付くのに、数秒掛かった。
「…っ、か、ひゅ…っ、は…っ!」
息が出来ない。空気を吸おうとする度、胸を押されるような圧迫感が増し、目眩や手足の痺れが劇的に酷く
なる。
(過呼吸…?この、俺が)
一般には、過呼吸症候群と呼ばれる。何らかの原因で呼吸を必要以上に行うと、呼気からの二酸化炭素の
排出が必要量を超え、動脈血の二酸化炭素濃度が減少して血液がアルカリ性に傾く。
この状態では息苦しさを覚えることがあり、神経系や意識が酸欠状態として誤認した結果、さらに激しい呼吸
を行ってしまい、より症状が強くなるという悪循環から引き起こされる、というもの。
主な症状は、息苦しさ、呼吸が速くなる、胸部の圧迫感や痛み、動悸、目眩、手足や唇の痺れ。
原因は、精神的な不安、ストレス。
(不安、ストレス、か)
この学園都市第一位の、化け物が。まるで繊細な少女のような症状にあることに苛立つ。
その苛立ちがまたストレスに繋がるのをわかっていても、というか普段なら血中の二酸化炭素濃度くらいどう
にでも出来るというのに、今は無理だと思い知らされたのが腹立たしい。
「……、っ、ふ、ぅぐ…」
いよいよもって目の前が暗い。目は見開いているはずなのに、うぞうぞと黒い斑点が蠢いてほとんど何も見え
なかった。
銃のグリップを握る手が痺れる。指先の感覚はとうに失せている。
(マズいな)
この意地っ張り、という声が聞こえた気がした。
(うるせェよ)
どこもかしこも冷えきった身体の中、あの心配そうな表情だけがひどく熱く胸に返る。
919:1:2011/09/18(日) 15:20:07.76 ID:Q3vQ7IW70
魔術師が動く気配を感じた。こちらが何も仕掛けないのに痺れを切らしたのか、それともこちらの状況を把握
されたのか、それすらわからない。
だが、諦めるわけには行かなかった。
自分がやられれば、インデックスが危ない。打ち止めは誰が守る。
……あの少年は、どんな顔をする。
朦朧としたままの頭で、あまり悲しい表情をされたら嫌だなと思った。
何も見えないまま、魔術師の気配を睨み据えた。
幸いにも、と言おうか、魔術独特の圧迫感は身体的な不具合によるものとは全く性質を違えているので、位置
くらいは把握出来る。
肌に熱気を感じ、また炎が生み出されたと理解した。
(何とか避けるしかねェな)
反射膜は作用しないかもしれない。今までの攻撃パターンから、あの火炎放射器のような炎だろうとアタリをつ
けた。違ったらその時だ。
(……っ、来る!)
ぞわ、と嫌な気配を感じ、真横に飛ぶ。飛ぼうとした。
「っ!?」
がくっと膝から力が抜ける。慌てて能力で補強しようとするが、チリと産毛が焼けた気配がする。間に合わない。
目を見開いたまま、歯を食い縛る。
澄んだ音が、路地裏に響いた。
上条当麻が魔術師と対峙する一方通行を見つけた時、路地裏を炎が赤く照らしていた。
(一方通行!!!)
考えるより先に全力で駆け、何とか炎と細い白い身体との間に右手を押し込めば、魔術は跡形もなく砕け散る。
「な…っ、誰だ!?」
黒いローブの魔術師が狼狽した声をあげる。
上条は返答の代わりにギロリと睨み据え、思い切り地を蹴った。
「…っ!クソッ、こんなの聞いてないぞ!」
魔術師は次々と炎を生み出すが、異能を打ち消す右手の前には何の意味もない。
一歩、二歩、三歩、四歩目で右手を大きく振りかぶり、振り下ろした。
「が…っ!!」
中肉中背の身体は勢いよく吹っ飛び、壁に激突して地に崩れ落ちる。それを見届けるより先に、上条は一方通行
の元に駆け戻った。
それまでかろうじて立っていたのが、ズルズルと地に座り込む。
920:すいません、919前半コピペミスです…:2011/09/18(日) 15:22:15.52 ID:Q3vQ7IW70
「……、誰、だ…」
焦点の合っていない赤い目に、息を呑む。ひどい顔色。死人のようだ。だがそれでも殺気は失っていなかった。
(ったく、コイツは…!)
「見えてないのか、一方通行!?俺だ!」
「……っ!?か、みじょう…か……」
ふぅ、と張り詰めた覇気が緩む。そのまま華奢な身体がふらりと傾いで、上条は慌てて受け止める。あまりに軽い。
「魔術、師は…?アレ、は…インデックスを…」
ひどく苦しげな息の下から、それでも無力な少女を案じている一方通行に、胸が痛くなった。
「心配すんな、俺が倒した!!」
「…は、そ…かよ……」
頬はひどく青白い。真っ白い睫毛が震えている。
「それよりお前どうしたんだ!?だ、大丈夫か…っ!?」
聞いてから、舌打ちしそうになった。大丈夫か、と聞いて、この一方通行が素直に答えるわけがない。むしろ
意地を張って、更に無理をするに違いない。たまったものじゃなかった。
(今度こそ逃がさねぇからな!)
能力で逃げられないよう、右手でしっかり一方通行の手を掴もうとする。
921:1:2011/09/18(日) 15:23:53.21 ID:Q3vQ7IW70
「かみじょ……、無、理…っ」
922:1:2011/09/18(日) 15:24:21.82 ID:Q3vQ7IW70
だが、不意に耳元で消え入りそうな声が囁いて、上条は固まった。
抗うように学ランの胸に置かれていた白い細い指が、縋るように黒い布地を握り締める。
白い顔が、力なく肩口に埋められた。すり、と微かに頬が摺り寄せられる。
柔らかな白い髪が上条の頬に触れた。
「……後、任せ…、た……」
掠れた小さな声は、夜気に溶けて消えそうで。しかし、確かに上条の耳に届いた。
「……一方、通行…」
呆然としたまま見下ろせば、いつも鋭い眼差しは力なく閉じられている。睫毛も白い。
手だけが勝手に動いて、頼りない背を抱き締める。細い。冷たい。熱い。そして、柔らかい。
(一方通行が。俺に、)
上条が無理に捕まえたわけじゃない。一方通行が、自分の意思で、上条を選んで、身を任せた。
あの一方通行が。目の前にいるのが上条だと知って、警戒を解いた。身を任せた。
「一方通行…!!」
凄まじい全能感が全身を包んだ。世界のすべてを手に入れたような、指先まで求めていたものに満たされて
いる感覚。
ぎゅう、と力の限り華奢な身体を抱き締める。
爪先までが太陽になった気がした。今なら何でも出来る。何だってしてやる。何でもだ。
「俺に…、俺に任せろ、一方通行!!」
お前が望むなら、何だって。
923:1:2011/09/18(日) 15:24:54.88 ID:Q3vQ7IW70
「は…?しょ、初潮……?」
「うん、間違いないね」
上条は、ポカーン、と口を開けた。
第七学区の病院。普段から望んでも無いのによく世話になっている病院にとりあえず駆け込めば、馴染んだ
カエル顔の医者が対応してくれた。
血相を変えて飛び込んだ上条に最初は驚いていた医者だったが、「では預かろう」と一方通行を連れて行って、
数分もしないうちに戻ってきたのだった。
「い、いやだってアイツ…いくつだ?知らねぇけど、俺とそんな変わんないですよね?」
「そうだね。確かに本来なら何年も前に迎えているはずだけれど、彼女は少し特殊なんだよ」
「特殊って…。もしかして、能力の影響で?」
「よく知っているね?まぁ、その通りだ。彼女はつい最近まで紫外線や何やらの外部刺激をすべて反射していた。
それによってホルモンバランスが崩れて、性別的特徴が薄い身体になっていたんだね」
医者は頷き、手元のディスプレイにいくつかのカルテを呼び出した。
924:1:2011/09/18(日) 15:25:41.30 ID:Q3vQ7IW70
「けれどその反射が失われ、今は他の人とほとんど同じように外部刺激を受けている。それによって本来機能す
べき器官が役割を思い出している、といったところだね」
「そ、そうなんですか……」
上条は、滔々とした説明を口を開けたまま聞き入る。医者は少しだけ憂鬱そうに溜息をついた。
「以前検査したときに、少し心配していたんだよ。今後、身体が急に本来の成長を取り戻せば、負担がかかるか
もしれないとね?」
「え!?あ、アイツ大丈夫なんですか…っ!?」
椅子を蹴倒す勢いで立ち上がると、宥めるように片手を上げられる。
「ああ、大丈夫だ。月経は人によっては頭痛や腹痛、吐き気などの辛い症状をもたらす。初めてということもあって、
彼女の身体もビックリしただけだと思うね。いたって健康だよ」
「そうですか…。……………………」
一方通行の容態が心配ない、とようやく確信を得て、次にじわじわと頬が熱くなってくる。
女の子にそういうものがあるのは知っていたが、改めて一方通行が「今」「そうなんだ」と思うと、なんか。
「どうしたんだね上条くん。顔が真っ赤なんだね?」
「な、なんでもないです!!!」
925:1:2011/09/18(日) 15:28:14.98 ID:Q3vQ7IW70
夜も更けた。
個室に移された一方通行は、まだ眠っている。寝顔は安らかで、上条はひどく安堵した。
眩しいかと思って、部屋の明かりは消したままだ。今夜は月が明るいから、あどけない寝顔もよく見える。
「あくせられーた、怪我してないんだよね?とうま」
一足先に駆けつけたインデックスが、そうっと白い髪を梳く。打ち止めにも連絡したところだ。すぐに駆けつける
だろう。
「ああ。ちょっと衰弱してるけど心配ないって、先生が」
「よかったんだよ…」
白いシスターが、長い溜息をついた。月明かりが銀色の髪と、白い髪を照らしている。
「ああ、よかった。ほ、んとに…っ」
急に喉の奥が熱くなって、声が詰まる。
「とうま?」
インデックスが驚いたように見上げてきて、上条は慌てて瞬きを繰り返した。滲みかけていた視界が戻る。
「コイツ、さっきホント顔色悪くてさ…、でも、それでもお前のこと心配してて」
青白いを通り越しかけた頬、荒い息。今にも崩れ落ちて二度と目を覚まさない気がして、生きた心地がしなかった。
「俺はもう、コイツを一人で戦わせたくない」
今までこの強く脆い少女は、たった一人で戦ってきた。どんなに傷ついても、自らの背に庇ったもののために。
一人で、誰かに頼ることも思いつかないような。
そんなことはもう許すことが出来ないと思った。
一方通行の寝顔を見詰める。どうしてか、目が離せない。
「俺は…一方通行は、俺と同じ方向を向いてると思う。だからコイツとなら、同じ方向を見て、一緒に歩いて行ける
気がするんだ」
「とうま」
インデックスは驚いたように目を見開いた後、少しだけ寂しそうに微笑んだ。
「……そういう言葉を残した作家がいたかも」
「作家?」
「なんでもないんだよ。そうだね、とうま。あくせられーたなら、とうまと肩を並べていられると…思うんだよ」
銀髪の少女は銀色の睫毛を、祈るように静かに伏せた。
948:1:2011/09/27(火) 18:48:46.05 ID:9FB5Idr80
一方通行が目を覚ました時、最初に視界に入ったのは白い天井だった。
窓の外は青い空。明るい室内。
一瞬混乱しかけたが、0.1秒後に自分のことを思い出し、0.2秒後に自分がどこで何をしていたのか思い出し、
0.3秒後にここがどこで何故ベッドに寝かされているのか検討を付け、そして約一秒後には毛布の中で頭を
抱えていた。
(………………………………死にてェ)
意識を失う寸前、あの熱血バカに何を言って、どんな風に縋ったのか明確に記憶している。
勘弁してほしい。ああいうのは、後になったら覚えていないものだと相場が決まっているだろう、常識的に考えて。
「あなた、起きたの!?ってミサカはミサカは毛布に飛びついてみたり!」
「あくせられーた、大丈夫?」
甲高い声がステレオで聞こえて、被っていた毛布が引っ張られる。
949:1:2011/09/27(火) 18:49:38.13 ID:9FB5Idr80
「………………」
「あ、あれ!?あーなーたー!どうしたの!?ってミサカはミサカは渾身の力で毛布を引っ張ってみたりぃいい」
「あ、あくせられーた?どうしたのかな?」
左右からグイグイと引っ張る力はそれほど強くはない。
別に抵抗しようと思えば出来たが、その後のことを考えると果てしなく気まずいものがこみ上げたので、さりげなく、
小さな少女達が反動でひっくり返らないように力を抜いた。
「…なンだようっせェなァ……」
さも今起きました、という表情で毛布から顔を出せば、潤んだ大きな栗色の目と緑色の目が覗き込んでいた。
目が合えば、いかにもホッとしたように目元が緩む。
「ん、夜よりも顔色良くなってるんだよ。気分はどう?」
「別にィ」
「別に、じゃわかんないんだよ!あのね、あくせられーたはね…」
「わかってる。大丈夫だ」
「ホント?大丈夫、ならいいんだよ」
自分の状況は理解している。普通に頭痛と腹痛と吐き気があるが、たいしたことはない。鎮痛剤でも打たれている
のだろう。
「……上条は」
「え?とうま?」
「上条は知ってンのか、…俺の状況」
一方通行は、真っ白い天井の継ぎ目を目で辿りながら尋ねた。
「う、ううん、先生が気を使ってくれてね、私が聞いただけかも。とうまは貧血か何かだと思ってるみたい。今はあく
せられーたのご飯貰いに行ってくれてるんだよ」
「ふゥン…」
あのツンツン頭の無能力者は、自分が女だということをまだ知らないようだ。
何故だか、少しホッとしたような溜息が漏れた。
950:1:2011/09/27(火) 18:50:06.69 ID:9FB5Idr80
ふと、いつもなら一番うるさいだろう少女がおとなしいことに気づき、ベッドの向かって右側に視線をやる。
「どォした、打ち止め」
名を呼べば、勢い良く顔を上げる。
「えーとね……」
おずおずと毛布の中に小さな手を入れ、一方通行の手を握り締めた。
「久しぶりね、あなた。ってミサカはミサカは、あなたの顔が見れてすごく嬉しかったり」
「…………」
打ち止めははにかむように笑った。いつも天真爛漫な笑顔しか見せないこの子供には、珍しい表情だ。
「怪我とか…してなくて、よかった。あなたはいつもミサカに『俺は大丈夫』って、嘘を付くんだから」
「嘘なンかついてねェよ」
「それが嘘!ってミサカはミサカはふくれてみたり!あなた結構平気な顔でしれって嘘つくんだもん!ミサカだって」
打ち止めが、ぎゅうっと握りしめる指先に力を込めた。
「あなたがミサカを心配してくれるのと同じくらい、ミサカもあなたが心配なの。あなたはミサカを助けてくれるけど、
じゃあ誰があなたを助けてくれるの?ってミサカはミサカは、ずっと…」
一方通行は黙って手を握り返した。
それだけで、空から幸せが降ってきたような顔になる少女を、知っていた。
「あくせられーた」
左隣から優しい声が降ってくる。
見れば、白いシスターが一方通行の左手を握っていた。
「誰かを頼ることは、弱くなるってことじゃないと思うんだよ」
「……何の話だ」
951:1:2011/09/27(火) 18:50:39.09 ID:9FB5Idr80
「私の話なんだよ。私はずっと一人で逃げてて、誰かに頼ったらダメなんだって思ってた。でも、とうまが助けてくれ
て、守ってくれるから、私は自分が死にそうになっても『死んじゃダメなんだ!』って思えるようになったんだよ」
「わ、わかる!ってミサカはミサカは力強く同意してみたり!」
「一人だったら、すぐに諦めてたかも。でもとうまと二人だから。こういうの、強くなったとも言えるんじゃないのかな?」
「……………」
自分の話、と言われれば、否定するのも違うだろう。
一方通行は黙ってインデックスの顔を見上げた。普段は幼いシスターの表情は、誇らしげに大人びて見える。
「あくせられーただって、本当はわかってるんでしょ?」
インデックスは打ち止めの顔を見る。一方通行も、自分が生まれて初めて見つけた光に視線を向けた。
小さな少女は、二人分の視線を受けても臆すことなく、にっこり笑った。先ほどのインデックスと同じように、誇らしげに。
(このガキを助けて、俺は弱くなったのか)
自問して、部分的には「イエス」と回答する。けれど、ならば後悔しているかと更に自問すれば、迷い無く「ノー」と答える。
答えることが出来る、そんな自分を少しは誇らしく思う。
何度見ても、この子供の笑顔は見飽きない。
『そうしたらいつか、あなたは自分を好きになれるでしょう?』
いつだったか、何もかもわかったような顔の子供に言われた。
自分を好きに。なんともセンチメンタルで夢見がちで、現実感のない表現だと思った。
ただ、そうあってほしい、という打ち止めの気持ちは温かく感じたのだ。
しばらく、三人とも黙っていた。
握られた両手は温かく、差し込む冬日は明るく、茶色い髪と銀色の髪をキラキラと照らしていた。
952:1:2011/09/27(火) 18:51:12.55 ID:9FB5Idr80
「……あ、そうだ。あくせられーた。昨日は看護婦さんがつけてくれたみたいだけど、一晩経つし…そろそろ代えた方がいいかも
」
ふとインデックスは時計を見て、白い正方形のものを差し出した。
「あァ……」
一方通行は一度赤い目を瞬かせ、いわゆる生理用ナプキンというやつだ、と判断出来たようだ。
自分の状況は理解している。口にした言葉のまま、ややぎこちない手つきでそれを受け取った。
インデックスはその様子を見て一瞬(大丈夫かな?)と心配になったが、一方通行のことだ、大丈夫だろうとすぐに思い直す。
「じゃ私はその間、お薬とお水もらってくるんだよ」
そのまま踵を返し、部屋を出ようとした。ひらりと白い修道服が翻る。
急に、くい、と後ろから引っ張られ、「ん?」と振り返った。
「あ……」
白く細い手が、修道服の裾を掴んでいた。赤い目が、自分で自分に驚いたように丸く見開かれている。
「あくせられーた?」
「あ、あァ…」
パッ、と気まずげに離された手を、今度はインデックスが握る。
「どうしたの?」
953:1:2011/09/27(火) 18:52:08.75 ID:9FB5Idr80
「…………いや、…」
いつも迷いの無い眼差しが、戸惑ったように伏せられ、うろうろと布団の上をさまよう。
急かさずに待っていれば、やがて途方にくれたような顔がインデックスを見上げた。
「……これ…どうやって付けりゃいいンだ……?」
普段の不遜さが嘘のような不安げな表情に、インデックスの胸がきゅん、と締めつけられる。
次の瞬間、自分でもビックリするほどの猛烈な庇護欲が沸き上がった。
「わ、私に任せなさい!!」
やけに勢い込んで進み出ようとすると、ベッドを挟んで反対側では「ミサカが手伝ってあげる!ってミサカはミサカは自分もよく
わかんないけど手を上げてみたり!!はいはーい!」と打ち止めが万歳をしている。
「ら、らすとおーだーより私の方が…」
適任かも、と言いかけたところで、バターンと勢い良くドアが開け放たれた。
「そんなガキ共よりもこのミサカが!このミサカの方が適任だよね!!」
仁王立ちになっているのは、目の前の小さな少女を大きくして目つきを悪くしたような。
「いや、ミサカは第一位に教えるなんて面倒でイヤだけど、どうしてもって言うんなら考えてあげるよ!?ていうか今頃初潮とか
爆笑だね第一位!!ぎゃは!」
「もう、番外個体は!今になって入ってくるなんてズルい!ってミサカはミサカは暗にずっとドアの外に居たの知ってるよーって
指摘してみたり!」
「え、わーすと、どうして入って来なかったの?」
「そ、そんなことはどうでもいいよ。ミサカは別に一方通行のことなんて別に心配してないし別に!」
954:1:2011/09/27(火) 18:53:24.21 ID:9FB5Idr80
「じゃあやっぱり私が教えるんだよ!」
「いやいやミサカがやるって、しょうがないから!だいたいそーんな貧相な身体して、あなたちゃんと生理来てるの?」
「し、失礼かも!?毎月順調なんだよ!!」
小さな白い物体を求めて、大中小の三人の少女達がわいわいと言い争いを始める。
「……何でもいいから、早く教えてくれませンかねェ…」
一方通行は、頭の上を飛び交う賑やかさに閉口気味に呟いたが、三人の口ゲンカにすぐにかき消されてしまった。
978:1:2011/10/07(金) 21:59:39.61 ID:tqUwH5NY0
PM 1:40 第七学区 とある病院 402号室
禁書目録「とうま遅いね?もう30分くらい経ってるんだよ」
打ち止め「この人のご飯取りに行ってくれてたんだよね、ってミサカはミサカは確認してみたり」
禁書目録「うん。私ちょっと見て来ようかな」ガタッ
一方通行「おい。行くンなら飯はいらねェって伝えとけ」
打ち止め「え、ダメだよ!どうせ昨日も食べてないんでしょ!?ってミサカはミサカは断固阻止!!」
一方通行「いらねェ。食欲ねェ」フイ
番外個体「ご飯食べないで薬飲んだら胃を悪くするって黄泉川が言ってたよ?その年で胃痛とかウケるー」ギャハハ
一方通行「俺胃腸丈夫だから問題ねェ」フン
禁書目録「ほんとに!?人は見かけに寄らないんだよ!」
一方通行「どォいう意味かなァ~?」ムニー
禁書目録「ふえ、ひゃひふふんはー!」ジタジタ
一方通行「あ、ッテテ……」パタッ
979:1:2011/10/07(金) 22:00:23.72 ID:tqUwH5NY0
打ち止め「きゃー、あなた大丈夫!?てミサカはミサカはベッドに倒れ込んで丸くなったあなたの顔を覗き込んでみた
り!」
禁書目録「わ、私が暴れたせいであくせられーたが…」アワワ
番外個体「あなたのせいじゃないでしょ。この人がひ弱なだけだよ。鎮痛剤効きづらいタイプの子っているしね」フン
一方通行「……………」ズキズキ
一方通行「……………」カチッ
打ち止め「あ、能力使う気なのね、ってミサカはミサカは意外と我慢弱いこの人の一面を知ってみたり」ウン
禁書目録「でもでも、顔色悪いし冷や汗かいてるし、何とか出来るんならした方がいいかも」
番外個体「堪え性ないんだねぇ第一位!!」ギャハハハ
一方通行「うっせェなァ…。普通の怪我と違ってなンか気持ち悪ィンだよ…」
一方通行(………神経物質の操作でいいか?ン…よし)スーー
一方通行「………」ホッ
打ち止め「あ、痛くなくなった?ってミサカはミサカは心配そうにのぞき込んでみる」
一方通行「まァな…」
番外個体「んーでもそれってさ、ミサカの頭痛の時とおんなじで、バッテリー切れたらまた痛くなるんじゃないの?」
一方通行「あ」
打ち止め「……今気付いたの?ってミサカはミサカは珍しくうっかりさんなあなたにビックリ仰天」
禁書目録「らしくないんだよ…」
980:1:2011/10/07(金) 22:02:10.83 ID:tqUwH5NY0
番外個体「ちょっと股から血が出てるくらいで弱りすぎじゃないのー?」アヒャヒャ
一方通行「下品な言い方はやめろっつってンだろォが…」
番外個体「うるさいなぁ、最終信号だけじゃなくてミサカにも親御さんぶるのやめてよね!」
一方通行「はァ………」モゾモゾ
一方通行(あーヤバい、バッテリーあと22分か…)
番外個体「ちょっと聞いてるの第一位!?っていうかさぁ、そんなに痛いんだったら子宮取っちゃえばぁ?
どうせ男だか女だかわかんない見た目なんだし!ぎゃはっ☆」
一方通行「おー」ピコーン
一方通行「オマエ天才だわ」
番外個体「へ?」
一方通行「どォせ今まであるンだかないンだかわかンねェ臓器だったしな。取っちまえばいい」ウン
番外個体「」
打ち止め「」
禁書目録「」
一方通行(ンー、まず腹の辺り麻痺させて…あ、これか子宮か。やっぱ切開するのが早いか?)
一方通行「風呂がイイな、血ィ出るし」ムクリ
981:1:2011/10/07(金) 22:04:22.91 ID:tqUwH5NY0
打ち止め「うわぁあああ何考えてるのあなたァあああ!!!!」ガバーーー!!
番外個体「バカじゃないのあなたバカじゃないのぉおお!?」ガバーーー!!
禁書目録「ダメなんだよあくせられーたぁああ!!」ガバーーー!!
一方通行「うォ、なンだオマエら」ムギュッ
打ち止め「何だじゃないよ何だじゃ!ってミサカはミサカはあなたが本気だってわかってる分、半泣きになってみたりぃい!!」ウルル
番外個体「ば、ばばば、バカじゃないの!!本気にしないでよバカじゃないの!!!」アセアセ
禁書目録「女の子にとって大事なものなんだよ!?将来赤ちゃん生めなくなっちゃうんだよ!?!?」ウルウル
一方通行「えー…いいわ別に、子宮に用事ねェし。盲腸みてェなもンだな、俺にとって」
禁書目録「もう!虫垂に生理機能がないって考えられてたのは昔の話で、今は胃腸の免疫機能に大きく関与してるって見方もあるんだよ!?
どうせ知ってるクセにあくせられーたってば!」プンスカ
一方通行「例えですゥ」フン
打ち止め「やだよ、やめてよー、痛いよ、血がいっぱい出たら怖いよ…ってミサカはミサカは涙を堪えてみる…」ウルッウルッ
一方通行「何でオマエが泣くンだよ……」ハァ
番外個体「いきなり子宮取るとか言うからでしょ、常識が通用しないのは何の自慢にもならないんじゃなかったの?
まったくもう」ブツブツ
982:1:2011/10/07(金) 22:07:02.29 ID:tqUwH5NY0
禁書目録「わーすとの言う通りなんだよ!」
一方通行「はいはい、悪ゥござンしたァ」ゴロリ
一方通行「…………っ」ズキッ
一方通行(ってェなクソがァ…内蔵グッチャグチャにされてるみてェ)ズキズキズキ
打ち止め「………」スッ ナデナデ
一方通行「…何だよ、クソガキ」
打ち止め「あのね…。前ミサカが転んだ時、あなたが撫でてくれたでしょ?そしたらちょっと痛くなくなったの、
ってミサカはミサカはあなたのお腹をなでなでしてみる」ナデナデ
禁書目録「あ、それはいい考えかも!私もとうまに撫でてもらったらたんこぶ痛くなくなったことあるんだよ!」ナデナデ
番外個体「………。これで頭痛の時の借りは返したからね」ナデナデ
一方通行「………………」
一方通行(…こンなの、効くわけねェのに……)
一方通行(何だこれ………なンか…)
打ち止め(ねぇねぇ番外個体……)
番外個体(えぇ?やだよミサカ覚えてないもん)
打ち止め(うそつき、ってミサカはミサカは指摘してみたり。録音したの時々聞いてるの知ってるんだから!)
番外個体(……チッ、しょうがないなぁお姉ちゃんはぁ)
983:1:2011/10/07(金) 22:07:43.55 ID:tqUwH5NY0
打ち止め「…We pray for our fathers, pray for our mothers…Wishing our families well~♪」ポン ポン
番外個体「………We sing songs for the wishing, of those who are kissing But not for the missing…」
一方通行「おい…ガキか俺は」
一方通行(……この歌は、前に俺が子守唄に歌った…)
禁書目録「きれいな歌だね。おなかポン、ポン、てされるのってあったかいよね」ニコ
一方通行「…………」
打ち止め「So this one's for all the lost children,This one's for all the lost children~♪」ポン ポン
番外個体「When you lay me down sleeping and my heart is weeping…」ポン ポン
打ち止め「Because I'm keeping a place~♪♪」ポン ポン
番外個体「…For all the lost children,This is for all the lost children……」ポン ポン
打ち止め「This one's for all the lost children, wishing them well,And wishing them home~♪♪」ポン ポン
一方通行「…………」
一方通行(…なんだ…?……眠くなってきた…)ウトウト
一方通行「……ヘタクソども…」スゥ
984:1:2011/10/07(金) 22:09:40.24 ID:tqUwH5NY0
気配を感じて、一方通行は目を覚ました。
部屋の中には寝息と、低いヒーターの音。遠くから病院の雑踏。
時計を見る。まだ一時間と経っていない。
背中と腹がやけに温かくて見てみれば、腹に抱きつくようにして打ち止めが、背中から抱きかかえるようにして番外個体が眠っている。
いつの間にベッドに上がってきたのやら。狭苦しい、とついたはずの溜息は柔らかだった。
インデックスは、と探せば、枕元にメモがある。
『スフィンクスにご飯あげてないから一回帰るね!また来るんだよー。お大事に』
冬の日の昼下がり。窓からは薄い陽が入る。埃がキラキラと舞っていた。
外は寒いだろう。だがこのベッドの中は、温かい。
打ち止めと番外個体が落ちないように、少し寝返りを打って抱き寄せる。
いつの間にか、腹痛はだいぶ和らいでいた。
ドアの方に目をやる。
985:1:2011/10/07(金) 22:10:55.32 ID:tqUwH5NY0
二十センチだけ開いたドアの向こうに、上条が佇んでいた。
予想はしていたので驚かない。こちらが目を覚ますのを待っていたのだろう。
どれだけ気まずいだろうかと少しだけ危惧していたけれど、それほどでもないのが意外だ。
目が合うと、上条は笑った。
見慣れたはずの笑顔。
なのに、急に時間が止まった気がした。
二つの寝息も、ヒーターの音も、遠い病院の雑踏も、聞こえない。
瞬きさえ忘れているうちに、上条はヒラヒラと日に焼けた手を振った。
ぱくぱくと口だけ動かす。打ち止めと番外個体を起こさないためだろう。
またな、という上条の声が聞こえた気がした。
一方通行は数秒それを眺めてから、ゆっくりと小さく手を振った。
そして同じように、唇を動かした。
またな、と。
986:1:2011/10/07(金) 22:12:12.11 ID:tqUwH5NY0
今日はここまででー。
いやはや、長い間お付き合いありがとうございました。(まだ終わってねーけど)
次スレでもよろしくお願いします。
次スレ立てたらここに案内URLを貼りにきますね!
Entry ⇒ 2012.01.14 | Category ⇒ 禁書目録SS | Comments (0) | Trackbacks (0)
佐々木「まったく…こんなに出してキョンは僕を孕ませたいのかい?」
国木田「あはは…ちょっと言ってみたかったんだ。もし僕が女の子だったら、こんなセリフ言ってたのかなって」
キョン「…なあ。もしかしてお前、まだあんな馬鹿なこと気にしてんのか」
国木田「…。だってやっぱり女の子の方がいいに決まって」
ぎゅっ
国木田「わわっ…!キョン?何を…」
キョン「前にも言ったけどな、俺はお前が男なんてこと気にしてない。俺はお前だから、国木田だから好きになったんだ」
国木田「キョン…///」
あれ?
佐々木「くっく、君は相変わらずだね」
キョン「ん? どういうことだ?」
佐々木「いや、なんでもないよ。それにしても大量に出したものだね」
キョン「我ながら呆れるな・・・どこに入ってたんだ」
佐々木「それは僕の台詞だよ。ああ、すっかり小さくなってしまったな」
キョン「こら、佐々木。繊細な男の尊厳を踏みにじらないでくれるか」
佐々木「別に勃起時のサイズに言及している訳ではないんだがね」
キョン「それは分かっているが・・・」
佐々木「とは言え、僕は君以外の経験がないものでね、実際君のものが大きいか小さいか判断しかねるよ」
キョン「・・・それも分かってるさ」
キョン「おう、そりゃ良かった」
佐々木「それにしても、君はいつまでこんなことを続けるつもりだい?」
キョン「・・・」
佐々木「卑怯な質問だったかな?」
キョン「いや・・・」
佐々木「・・・くっくっ」
キョン「佐々木?」
佐々木「そんな顔をしないでおくれ、キョン。僕は君にそんな顔をさせたまま別れたくないんだよ」チュ
キョン「・・・すまん・・・」チュ
佐々木「ん・・・ふふっ、相変わらずキスが好きなんだな、君は」
キョン「・・・お前だけだよ」
佐々木「・・・ありがとう、キョン」
キョン「・・・」
ブーッ ブーッ
佐々木「出たまえ」
キョン「・・・ああ」
ブーッ ピッ
キョン「・・・もしもし、ああ、おう、そうか・・・ああ、分かってる、うん、分かってるよ」
佐々木「・・・」
キョン「ああ、それじゃまた後でな、じゃ」ピッ
佐々木「愛しの涼宮さんから呼び出しかい?」
キョン「・・・そんなんじゃ、ない、さ」
佐々木「・・・君は1人で出たまえ、鉢合わせても困るだろう」
キョン「いつも、すまんな」
佐々木「良いのさ・・・」
キョン「じゃあ、またな、佐々木」
キョン「・・・また、やっちまった・・・」
キョン(これで、何度目だ・・・? 3・・・いや、4回、か・・・?)
キョン(佐々木の優しさに甘えて・・・佐々木を傷つけている・・・)
キョン(それでもどちらかを選べない・・・俺は最低野郎だ・・・)
ブーッ ブーッ
キョン「もしもし? ああ、今、移動中だよ、ちょっとくらい待てんのか、お前は」
キョン「分かってる、分かってるから落ち着け・・・ああ、それじゃあな」ピッ
キョン「・・・くそ・・・っ」ダッ
---
佐々木「・・・キョンの・・・バカ・・・バ、カ・・・」ポロッ
佐々木「ぐっ・・・ひぅ・・・ひぐっ・・・うぅぅぅ・・・」ポロポロ
佐々木「わぁぁぁぁぁぁぁ・・・!」バタッ
キョン「うっせ・・・こ、これでも・・・急いだんだぞ・・・」ゼェゼェ
ハルヒ「ふん、どんだけ頑張っても遅刻した事実には変わりないの」
キョン「ぐっ・・・」
ハルヒ「そういう訳で、ここアンタの奢りね」
キョン「・・・わーってるよ・・・」ドスッ
長門「・・・」
古泉「お疲れ様です」ボソッ
みくる「だ、だいじょうぶですかぁ?」
キョン「ええ、朝比奈さんのご尊顔を拝し、元気出ましたよ」
みくる「ふえっ・・・///」
ハルヒ「キョン! みくるちゃんを口説いてんじゃないわよ! 百年早いわ!」ガスッ
キョン「いてぇ!!」
キョン「おい待て、俺はここまで全力で走ってきたんだぞ、もうちょっと休ませろ」
ハルヒ「そんなの知らないわよ、アンタが遅刻したのはアンタのせいでしょ」
キョン「お前な、集合15分前にいきなりここに呼び出されたら自宅からでも遅刻するぞ」
ハルヒ「でもみんな時間通り来てたわよ? 有希なんて私より早いんだもん、びっくりしちゃった」
古泉「まぁまぁ、涼宮さん。ここは団長として寛容な心を示し、その威容で団員を照らすのも良いかと」
ハルヒ「・・・ふん、そうね。良いわ、特別にキョンがブレンド飲み終わるまで待ってあげる。感謝しなさい」
キョン「・・・ああ、ありがとよ、古泉副団長」
古泉「いえいえ」
ハルヒ「団長であるアタシに感謝しなさいっての!!」
キョン「はいはい、アリガトウゴザイマスダンチョウサマ」
ハルヒ「片言で感謝するな! バカキョン!」ゲシッ
キョン「だからいてぇ!!」
古泉「ある意味、仕組まれたタイミングだとも言えますが」
キョン「どういうこった」
古泉「いえ、何も。しかしこうして涼宮さんと別れて僕たち2人だけで話ができるというのは結構な事です」
キョン「・・・そうだな」
古泉「まさかこんなタイミングで涼宮さんから集合をかけられるとは正直思っていませんでした」
キョン「何が、『いつもと違う時間帯だからこそ見つかる不思議もあるはずよ!』だよ・・・」
古泉「いやしかしなかなか論理的な思考の結果とも言えます。昼間に見つからないなら夜間探せば良い、というのはね」
キョン「それでこのクソ寒い夜に野郎と2人で探索だぞ・・・? どうせなら春や夏にしてもらいたかったね」
古泉「まぁ、それについては同意せざるを得ませんね・・・」クスッ
キョン「・・・」
古泉「・・・それで、彼女のことですが、直前までお会いになっていたんですよね」
キョン「ああ、まぁな」
キョン「いや、そういう事はない、が・・・なぁ、古泉」
古泉「はい」
キョン「お前、回らない寿司とか、神戸牛の霜降りとか食ったことあるか?」
古泉「は?」
キョン「この際なんでも良い。ミシュランの星レストランでもなんでも、いわゆるご馳走ってやつさ、お前にとってのな」
古泉「ま、まぁ、それなりに」
キョン「お前は、それを食ったらすぐに歯磨き粉たっぷりつけて、歯を磨くか? 目の前に自分が平らげた皿が
残ってる、もしかしたらまだ料理が乗っている状態で、シャカシャカ歯を磨いたりするか?」
古泉「いえ、それはしませんね」
キョン「だろ? それは美味いものを食った余韻に浸っているからだ」
古泉「・・・そうですね」
キョン「つまりはそういうこった」
古泉「・・・申し訳ありません・・・」
キョン「お前のせいじゃないさ・・・」
みくる「あはは・・・そうですかねぇ・・・」
ハルヒ「みくるちゃんはキョンに少し甘いのよ! アイツにはもっと厳しくしなきゃ!」
みくる「え、ええ~」
ハルヒ「有希もそう思うでしょ?」
長門「・・・彼は、よくやっていると思う・・・」
ハルヒ「え~、そうかしら? いつも遅れてくるし、気は利かないし・・・」
長門「・・・男は度胸、女は度量・・・」
ハルヒ「へー、有希ってば面白い事言うわね。うーん度量ねえ・・・」
みくる「そ、そうですよ~、キョンくんの事も大きな度量で・・・」
ハルヒ「いや、やっぱダメだわ! アイツはもっとビシバシやってやらないと!」
みくる「え、ええ~!」
長門「・・・」
キョン「そういうお前は何か見つけたのか?」
ハルヒ「ふん! 今日は調子が悪かったのよ!」
キョン「なんだそりゃ・・・じゃあ俺も調子が悪かったってことで・・・」
ハルヒ「そんな言い訳が通ると思ってんの!? このアホンダラ!!」ガスッ
キョン「・・・っ」
みくる「ひゃ・・・」ビクッ
古泉「・・・」
長門「・・・」
ハルヒ「ったくもう・・・アンタは補講。良いわね、この後、アタシと2人で追加探索よ!」
キョン「なんだそりゃ・・・もう23時だぞ・・・警察に見つかったら補導されるだろうが」
ハルヒ「そんなの逃げれば良いわよ! ささっと隠れちゃえば良いんだしね♪」
キョン(ダメだこいつ・・・早くなんとかしないと)
古泉(これは・・・少々まずい事になったかもしれませんね)
ハルヒ「ダメよ、キョンには不思議探索の何たるかを団長自ら再教育してあげる必要があるわ!」
みくる「で、ですけど・・・」
ハルヒ「みくるちゃんはキョンに甘すぎ!」
みくる「ひうっ」ビクッ
古泉「・・・わかりました・・・ですが、ご家族に心配をかけさせないために、一度連絡を取らせて差し上げるべきでは」
ハルヒ「・・・そうね、SOS団がネガティブな偏見を持たれるのは避ける必要があるもんね、良いわ、許可します」
古泉「ありがとうございます」カチッ
ハルヒ「じゃあキョン、家族に連絡入れたらすぐ行くわよ!」
キョン「へいへい・・・」
キョン(ん? メール受信中? 誰だ、もしかして佐々木か・・・?)
<メール受信 古泉>
キョン(お前かよ・・・って、目の前にいるのにどうしたんだ?)
件名:(無題)
本文:涼宮さんは あなたと ふたりきりが 楽しみなようです
とくに 警察云々は 彼女の 心の金銭に 触れたかもしれません
実現する可能性がありますので ご注意を
キョン(・・・俺が携帯を見ることを許可されるタイミングまでメール送信を待ってたのか)
キョン(しかもポケットに携帯を入れたまま打ってたから誤変換されてやがる)
キョン(まぁ琴線、だろうな・・・つまり俺はまた余計な事を口走ったらしい)
キョン(警察官に追い回されるという非日常に浮かれていやがる、と・・・)
キョン(・・・ああ・・・マジで帰りてぇ・・・)ブーッ
<メール受信 佐々木>
キョン「のわっ!?」
ハルヒ「ちょっと、まだ!?」
キョン「うっ、あ、ああ、悪い悪い」
ハルヒ「ったく、のろいわね・・・」ブツブツ
送信者:佐々木
件名:今日はありがとう
本文:いつもお疲れ様。今日も楽しかったよ。
また時間を作って一緒にいてくれると僕はとても嬉しいよ。
家に着いたから寝るよ。良い夢を、願わくば君の夢を見たいものだ。
キョン(・・・)ピッ ピッ
キョン「ああ、もしもし、母さんか? ああ、すまん、ちょっと今日は遅くなる。
え? いや心配はいらない、大丈夫、変な事はしないって! うん、うん、
鍵はあるから閉めて寝てくれ、それじゃあ、ああ、おやすみ」ピッ
キョン「よし、行くぞハルヒ!!」メラメラ
ハルヒ「えっ、え、ええ・・・まぁ、い、行きましょうか」
キョン「さぁ行くぞ! ほら、レッツゴー! ははははは!!」ダダッ
ハルヒ「な、なんなのよ・・・もう・・・!」ダッ
みくる「ふえぇ・・・キョンくん、いきなり元気になりましたけど、どうしたんでしょう・・・」
古泉「・・・天の配剤、というやつでしょう。それはそれで悲劇かもしれませんが」
長門「問題ない・・・彼にしかできない事は、彼になら大丈夫という事だから」
古泉「ははっ、これは長門さんに一本取られましたね」
ハルヒ「ちょ、ちょっとキョン・・・いやに上機嫌じゃない・・・」
キョン「そうか?」
ハルヒ「そうよ・・・」
ハルヒ(もしかしてコイツ・・・あ、アタシと一緒だから・・・二人きりだから・・・浮かれて・・・?)
ハルヒ(それってやっぱり・・・コイツ、アタシのこと・・・そういう意味よね・・・)
ハルヒ(も、もう・・・ホント、素直じゃないんだから・・・///)
ハルヒ「ほ、ほら、手ぇ繋ぐわよ」
キョン「いや、別に良いが?」
ハルヒ「な、なんでよ!?(な、なんなの!? 女の子が勇気出して手を繋ごうって言ったのよ!?)」
キョン「いや、人に見られるからな・・・」
ハルヒ(あ、ああ・・・恥ずかしがってるのね・・・もう、面倒くさいやつね!///)
キョン(やっぱハルヒじゃなく、佐々木しかいないわ・・・ダメだ・・・こいつといると疲れしかない)
キョン「ん?」
ハルヒ「アンタさ、好きな人とか・・・いるんじゃないの?」
キョン「!?」
ハルヒ「その反応・・・やっぱりそうなんだ・・・///」
キョン「おま・・・なぜそれを・・・?」
キョン(まさか佐々木のことがバレたのか!? やばい、ヤバイぞ! 古泉との約束が・・・!)
古泉「・・・なんですって?」
キョン「・・・2度言わんと言ったはずだが」
古泉「・・・僕の気持ちも考えてくださいよ・・・」ガクッ
キョン「すまんとは思ってるさ」
古泉「本当ですか?」
キョン「・・・まぁ・・・一応」
古泉「・・・これは大変な事態ですよ・・・」
古泉「佐々木さんと・・・寝たなんて・・・」
キョン「言うなよ恥ずかしい///」
古泉「頬を赤らめて照れないでください・・・」
キョン「・・・最近、ハルヒの横暴さが激化してるだろ?」
古泉「まぁ、否定はしません」
キョン「で、昨日のアレだ」
古泉「・・・はい・・・」
キョン「もうな、俺は我慢の限界だった。でもな、それをハルヒにぶつける訳にはいかん、そうだろ?」
古泉「そうですね・・・あの場はよくぞ堪えてくださったものだと感嘆の念を禁じえませんでした」
キョン「いつぞやの二の舞は俺も避けたかったんだ、けどな、そのはけ口がどこにもなかった」
古泉「・・・僕で良ければ・・・」ボソッ
キョン「ん?」
古泉「いえ、それで、その佐々木さんに?」
キョン「ああ・・・恥ずかしい話だがな」
古泉「怒りの、感情の赴くまま、滾った全てをぶつけるように彼女に?」
キョン「お前は何を言っているんだ」
『・・・まったくアイツときたら・・・』
『・・・もうこれ以上付き合ってられん・・・』
キョン「・・・俺の愚痴に延々付き合ってくれたよ、嫌な顔ひとつせずな」
古泉「さすがにもう1人の神候補だった方、と申し上げるべきでしょうか、超越した精神性ですね」
キョン「心地よいリズムで入る相槌、なだめるような母性を感じさせる口調・・・もうな、限界だった」
キョン「泣いた。人目も憚らず泣いたのなんて初めてだったよ・・・ジーサンの葬式でも涙は出なかったのにな」
古泉(・・・そこまで・・・)
キョン「アイツはその間も背中をさすって横にいてくれた」
キョン「そして俺は、誘われるまま、佐々木と一夜を共にしたんだ」
古泉「なんと・・・」
キョン「まぁ、それがなけりゃ、不登校にでもなってたかもしれんが」
古泉「そう、ですか・・・」
古泉「はい」
キョン「スマンが、無理だ。佐々木がいなけりゃ、俺はもうハルヒとは付き合ってられん」
古泉「・・・必要とあれば、機関から女性を、その目的でお送りしますが」
キョン「アホか。俺が欲しいのは女じゃねえ。佐々木だ」
古泉「・・・ですよね・・・分かっています。失言でした」
キョン「・・・俺の立場も状況も分かっているつもりだ・・・だからお前には言っておこうと思ってな」
古泉「そのお気持ちは純粋に嬉しいですね。良いでしょう、分かりました。いくつか約束を」
キョン「約束?」
古泉「はい。以前と違い、佐々木さんを御輿に担ぐ組織は既に弱体化、ほとんどその体をなしていません」
古泉「今なら、佐々木さんごと彼らを取り込めると思います。
その上で、彼女との逢瀬は我々がスケジュール管理させてください」
キョン「なんだと?」
古泉「佐々木さんと会うのは構いません、しかし涼宮さんに万が一にもバレてはいけない事もご承知のはずです」
キョン「そりゃな」
古泉「ですから、監視などを含め、こちらで調整を行ってから、貴方には佐々木さんと会って頂きたいのです」
キョン(バレたら、文字通りただ事じゃ済まない・・・だからこそ俺はその約束に乗った)
キョン(そして佐々木もそれを受諾してくれた・・・)
キョン(お互いの都合、SOS団、そしてハルヒ・・・それらが全部上手いこと都合がついたのは今日をあわせ4回)
キョン(本当ならもっと会いたいくらいなんだが、世界の破滅と俺個人の幸せを天秤にかけられる訳もない)
キョン(しかしいずれ真実を告げなくてはいけない・・・分かっていたはずだ)
キョン(ハルヒはどうやら俺のことを好意的に思っている、それも分かっていたことだ)
キョン(だが、しかし、俺には・・・俺は―――――!)
ハルヒ「ね、ねぇ、キョン・・・アタシ、知りたいんだけど」
キョン「・・・なにを、だ?」
ハルヒ「アンタの・・・その・・・好きな人の、名前///」
キョン「・・・良いのか?」
ハルヒ「・・・うん・・・聞かせて///」
キョン「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・佐々木だ」
ハルヒ「わ、私も・・・って、・・・は?」
ハルヒ「・・・え? わ、わた、私じゃないの?」
キョン「いやー、まさかお前の方からちゃんと言ってほしいなんて言われるとは思わなかったんだがな」
ハルヒ「・・・あれ?」
キョン「いつか言おうと思っていたんだがなかなか踏ん切りがつかなくてなあ」
ハルヒ「はえ?」
キョン「これでも相当悩んだんだぞ? こういうのはタイミングもあるし・・・」
ハルヒ「・・・ふぇ?」
キョン「けど、言ったらスッキリしたぜ! ありがとな、ハルヒ!! お前のおかげだ!!」キラーン
ハルヒ「え・・・? あ、あぁ、よ、良かったわね・・・?」
キョン「よし、こうなったら早速佐々木にこの気持ちを伝えに行くとするか
・・・ってこんな時間だからさすがに迷惑だな、はっはっは」
ハルヒ「そ、そうね・・・もう良い子は寝る時間だものね」
キョン「そうだな、じゃあ俺たちも帰るとするか!」
ハルヒ「う、うん・・・はい・・・ええ? あ、あれ?」
森(ちょっ・・・古泉・・・アレどーすんの? キョン君バラしちゃったじゃない!)
古泉(・・・これはもう何が起こるか・・・お決まりのコースですね・・・)
森(・・・あー・・・今月のサビ残、また200時間か・・・)
古泉(・・・森さんは今、管理職ですから残業は適用されませんよ)
森(・・・チッ・・・)
佐々木「きょ、キョン!?」ガバッ
送信者:キョン
件名:起きてるか?
本文:佐々木、お前のことが好きだ。付き合おう。
佐々木「・・・」
-----
ハルヒ「・・・なんで・・・?」
ハルヒ「なんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんで」
ハルヒ「アイツじゃなく、あの女なのよおおおおおおおおおお!!」
-----
閉鎖空間「来ちゃった♪」
古泉「超弩級のが来ましたね・・・いつぞやの時以来ですか・・・」
森「ま、待って、これ・・・!?」
古泉「こ、この音楽は・・・!!」
http://www.youtube.com/watch?v=3JWTaaS7LdU&ob=av2n
古泉「へ、閉鎖空間が・・・!?」
森「桃色で染まっていくわ!!」
古泉「こ、こんな事はいまだかつて・・・!」
森「こんなの初めて・・・!」
スゥゥゥゥゥウ
古泉「・・・閉鎖空間が、消えた・・・」
森「ど、どうなって・・・あ、あれ、私たち・・・」
古泉「超能力が・・・消えた・・・?」
森「まさか、これは・・・」
古泉「涼宮さんが・・・神ではなくなった・・・?」
------
送信者:佐々木
件名:うん
本文:不束者だけど、末永くよろしくお願いするよ、キョン。愛してるよ
キョン「いいいいいいいやっほううううううううううううううううううううううううう!!!」
キョン(あの後聞いた事だが、日付が変わる頃、ハルヒは神ではなくなったらしい)
キョン(恐らく佐々木に移譲されたのだろうという古泉の推測だ)
キョン(推測、というのは、古泉はもう超能力者ではなくなり、それが分からなくなったからだ)
キョン(機関は即日解体。今日から普通の男子高校生として過ごせますと零した古泉の顔は、初めて見る表情だった)
キョン(無理もない。これまで世界の命運を背負わされていたんだからな)
キョン(何故かコチラを見る目が熱っぽかったのは気のせいだろうと思っている。思うことにした)
キョン(別れの挨拶に来た森さんが、別れ際、俺のケツを触ってきたのも多分偶然だと思う)
キョン(消滅してしまうのかとも危ぶんだが、大丈夫だったらしい)
キョン(それどころか、朝倉を復活させる始末なのだから情報統合思念体とやらが何を考えているのか)
キョン(全く検討もつかないね・・・気になるのは長門がNTR系の官能小説に手を出している事だが・・・)
キョン(朝比奈さんは未来へと帰る予定だったが、まだもう少しこの時代にいるらしい)
キョン(今日の団活でやけに背中にあの豊かなバストがぶつかったがアレはなんだったのだろうな)
キョン(いや、非常に素敵な想いをしたのだが・・・)
佐々木「キョン、何か不埒なことを考えてるね?」
キョン「おわっ!? そ、そんなことはないぞ!?」
佐々木「いーや、鼻の下が伸びていた。別の女、さしずめ朝比奈さんかな?」
キョン「なぜ分かる!?」
佐々木「やはりか」
キョン「・・・」
キョン「悪かったよ・・・なんとなく感傷がな・・・」
佐々木「感傷か」
キョン「ああ、そうさ」
佐々木「なら仕方ない。それは人が記憶を残しつつ、
汚い部分をそぎ落とし、綺麗な思い出を作るのに必要な工程だからね」
キョン「でも悪かったよ。今は目の前に最高の彼女がいるんだ、そっちに集中しないとな」クインクイン
佐々木「ばっ・・・な、何を言うんだ・・・君は・・・んっ/// ふぁっ・・・///」
キョン「・・・佐々木、好きだぞ」グッ
佐々木「んっ・・・僕もさ・・・あっ・・・好きだよ、キョン・・・好き・・・好きぃっ」ギシッギシッ
キョン「くっ・・・佐々木・・・出るぞ・・・!」ジュポッジュポッ
佐々木「出して・・・いっぱい・・・赤ちゃんできるくらい・・・いっぱい出してっ・・・!」ズチュッズチュッ
キョン「佐々木ぃぃぃぃっ」ドクドクドクッ
佐々木「ふあ・・・ぁ・・・あぁぁっ・・・っ! ・・・い、いっぱい、出たぁ・・・もう、僕、孕んでしまうよ・・・?///」
キョン「いいさ、その時は二人で育てよう」ギュッ
佐々木「バカ・・・///」ギュッ
ハルヒは結局泣き寝入りか
Entry ⇒ 2012.01.14 | Category ⇒ 涼宮ハルヒSS | Comments (0) | Trackbacks (0)
平乃「プレゼントとか何がいいと思います?」
平乃「プレゼントするなら何がいいと思います?」
次子「プレゼント、って…誰にだ?」
平乃「例えばの話ですから、あまり気にしないでください」
次子「おお、そうか…ふーむ」
平乃「ちなみに私はお洋服とかいいと思うんですよね」
次子「まあ服なら無難でいいんじゃないかな」
平乃「あっ、これはあくまで例えばですからね。別に私が私服にゴスロリ新作とか欲しいわけじゃありませんよ、別に?」
次子「ほら、少なくなったとはいえまだ怪盗被害はあるだろ?いざって時に自分の身は自分で守れないと……」
平乃「次子さん、常識的に考えてください」
次子「…あっ、一般人は拳銃携行できなかったな!あっはっはっ」
平乃「もう…」
次子「んーと…そしたらこの激辛カップ麺とか?腹が減ったら動けないもんな!」
平乃「私は…じゃなくて、普通の人は激辛なんて好んで食べませんよ」
次子「なんだ、プレゼントって難しいなぁ……」
平乃「ですから、可愛い…それこそゴスロリのようなお洋服が一番いいと思うんですよね、無難だし喜ばれますよ?」
次子「おお、やっぱそれがいいかな!勉強になったな!」
平乃「いえ。…じゃあ私、行きますね」
次子「……突然プレゼントについて、だなんて。平乃は一体、何がしたかったんだ?」
咲「ん??」
平乃「誰かのお誕生日プレゼントにあげるとしたら、何が一番喜ばれるか聞いて回ってるんです」
咲「へー。…誰の?」
平乃「それはわた…たっ、例えば…です。それで、何かアイデアはありますか?」
咲「んー……QAなうで聞いてみるなうー」
平乃「こんな時でもSNSですか……」
咲「極めて便利ー」
平乃「そうなんですか。私も今度試してみたいかもしれません」
咲「それは楽しみだなー…お、アンサーが来たよー」
平乃「えっと、なになに……」
咲「『金』『愛』『時間』…みんな夢がないなあ」
平乃「と、匿名の世界なのにずいぶん現実的ですねえ…」
平乃「あまり参考になりませんね…」
咲「私に関して言えば、やっぱりオシャレな洋服とか?かなー」
平乃「そっ、そうですよね!やっぱりお洋服ですよね!」
咲「…うーん、でも好きでもない人に服を買ってプレゼントするほど余裕はないっつーかー」
咲「今月ド○クエとか出るしー」
平乃「好きでもない…」
咲「ん?平乃、どうしたのー?」
平乃「さっ、咲さんは…その…わたしの、こと……」
咲「平乃のこと…?」
咲「平乃の今年の目標を、私が決めてどうするのさー」
平乃「そっ、そうですよね!ふ、ふふふ!」
咲「ま、私が好きな人にあげるなら洋服か適当なお菓子あたりかなー」
平乃「そうですか!じゃあそれでよろしk…じゃなくって、それはいいですね!勉強になりました!」
咲「あっ、平乃……行っちゃった」
咲「平乃、熱でもあるのかなうー?」
平乃「はい。よろしければ小衣さんの知恵もお借りしたいなと思って…」
小衣「ふふん、このIQ1400の天才美少女明智小衣を頼ってくるとはなかなかいいセンスじゃない!さあドバーンと相談に乗ってあげるわぁ!」
平乃「はい。じゃあ単直に…小衣さんが誰かにプレゼントするなら、何をプレゼントしますか?」
小衣「そうねえ、小衣なら…うーん、ちょっと抽象的すぎるというか…もっと誰にあげるかとか説明してくれないと」
平乃「それはわた…こほん、じゃあミルキィホームズさんたちに、ってことでどうでしょうか?」
小衣「ダメダメミルキィホームズに?小衣がぁ?…ハッ、あんな奴らこないだみたいな冷凍桃缶で十分よっ!」
小衣「この寒い時期でも食い意地のはったあいつらなら小衣に心底感謝しながら氷を溶かそうと猿みたいに必死になっちゃうんだわ!」
平乃(…相変わらず性格悪いですね……)
小衣「……で、でも…」
平乃「…はい?」
平乃「ミルキィホームズさんたちのこと、心配してあげてるんですね」
小衣「そっ、そんなんじゃないわよっ!またアンリエット生徒会長に風邪をうつしでもしたら、バカシャーロックたちがまたうるさいじゃない!それだけなんだからぁ!」
平乃「ふふっ…素直じゃないんですね?」
小衣「ちっ、違うってばぁ!バカぁ!」
平乃(ギャップ萌え…これが私と小衣さんの人気格差の要因か…)
小衣「んで!話を戻すわよもう!」
平乃「はいはい」
小衣「なにニヤニヤしてんのよぉ!」
平乃「してませんよ?さ、小衣さんのお話聞かせてください?」
小衣「むぅー……小衣が、あげるとしたら…」
平乃「あげると、したら…?」
小衣「この押し付けられた不良在庫のCDよ!」
平乃「これは…トランス系アイドルKOKOROのファーストシングル……」
平乃「見にくいです、区切ってください小衣さん」
小衣「もっかい説明すんのめんどくさいからっ!サマスペ見ときなさいよぉっ!!」
平乃「あの時は大変でしたねえ」
小衣「小衣は現在進行形でストーキング被害で大変なのよぉ!」
平乃「まだアイリーンさんに?」
小衣「そうよ!油断も隙もあった――」
アイリーン「こっころーん♪」
小衣「もんじゃ…」
平乃・アイリーン「「もんじゃ?」」
小衣「キェェェェェェアァァァァァァシャァベッタァァァァァァァ!!!」
アイリーン「今日もかわいいわぁこころーん」
小衣「そうやって小衣に乱暴する気でしょぉ!エロ同人みたいにっ!」
アイリーン「私のポリシーはイエス小衣ノーアダルティーよこーころーん」
小衣「ちょ、平乃!悪いけど話は後でっ!ばいちゃ!!」
平乃(12歳でばいちゃ…この辺が人気のひけつなんでしょうか……?)
☆数時間後
小衣「ぜぇー、ぜぇー、ぜぇー…み、水……」
平乃「こちら新鮮なミミズですよ♪」
小衣「そういうボケは…いい……」
平乃「そう言うと思って、はいこちらに…」
小衣「…っ」
小衣「……んっ、はぁ!ぁっ…!」
小衣「んくっ、んくっ……」
平乃「ゴクリ…」
平乃「いえ…ッ!力水ってどうして販売中止したんでしょうねッ…!」
小衣「さあ?」
平乃「……さて。ブレイクタイムも終わりましたし、話の続きでも…」
小衣「小衣としても話すのにやぶさかではないわ」
平乃「ではお聞きします。…ズバリ、小衣さんが愛する人にプレゼントするなら…?」
小衣「あっ、愛する人ォ!?」
平乃「そうです、恋人<愛するヒト>ですっ」
小衣「そっ、そうねぇ…小衣なら…」
平乃「どうしましたかモジモジして」
小衣「し、してないわよ!警s…じゃなくて愛する人になら…」
平乃「さあさあさあ」
小衣「こっ、小衣の美しいカラダを…って、何言わせるのよぉもう///」
平乃「オエッ」
平乃「いいえ?私はいつも通りですよ小衣さん」
小衣「そうね、平乃はいつも通りね」
平乃「そうですよ小衣さん」
平乃・小衣「「あはははっ」」
平乃「マジメに話せよ」
小衣「えっ」
平乃「あら?私何か言いましたか?」
小衣「いや、さっきの何よ」
平乃「幻聴ですよ。アイリーンさんに追われて疲れていたんじゃないですか?」
小衣「幻聴って?」
平乃「ああ!…さ、脱線してますし話を戻しますよ」
小衣「そうね…小衣のぱーふぇくとぼでぃ以外なら…この黄金仮面のレプリカ、とか……?」
平乃「お、黄金仮面…?」
小衣「あっ、ポポロ君レプリカの方が良かったかしら?」
平乃(小衣さんのカラダを貰ってもどうしようもないですし…モノをもらえるだけありがたいと思わないといけませんね)
小衣「じゃあ小衣がプレゼントするならこの仮面に決定ね!さっそく発注してくるわ!」
平乃「……行ってしまいました」
平乃「それにしてもそれとなく聞いているというのにそっけない反応……もしかして、私の誕生日だってことみんな知らないんですかね……?」
ネロ「それっておいしい?」
コーデリア「冗談言わないでよネロ…」
平乃「はい。みなさんにもお聞きしておこうと思いまして」
エリー「……あっ。平乃さん、おたんj(ネロ「あー、プレゼントのこと?」)でしたよね…?」
コーデリア「もう、ネロ!いっつもエリーが話してるときに被ってるのよ!エリーの話が聞けないでしょう?」
ネロ「あっ、ゴメンエリー。…で、さっきは何て?」
エリー「いえ…その…」
シャロ「なになになにぃ?」
エリー「は、恥ずかしいです……」
コーデリア「…いいのよ、エリーはマイペースで……」
エリー「コーデリア、さん…///」
コーデリア「エリー……」
平乃「おっ、ほん!」
ネロ「あっ、長谷川!いたんだ」
シャロ「それで、お話ってなんでしたっけ?」
ネロ「えーっと確か、んーと…なんだっけ」
平乃「あげてうれしい、貰ってうれしい誕生日プレゼントのことです」
シャロ「そういえばそんなお話でしたね!」
コーデリア「でも、どうして私たちに?」
エリー「それは…長谷川さんがおたn(シャロ「あーあたしもプレゼントほしー!」)だから…」
ネロ「エリー、言い直す?」
エリー「…もう、いいです…うぅ」
平乃(エリーさん…不憫な子…!)
コーデリア「プレゼント…といっても、私たちお金持ってないから…」
ネロ「そうだね、むしろプレゼントとか言う前にこっちにお金をよこせ!」
シャロ「そういうわけですから、ジャンジャンお布施してくださいね!」
エリー「シャロ、どこに向かって……?」
ネロ「うーん……ボクとしてはやっぱりブタの丸焼きぃー!」
シャロ「あっ、いいですねお肉ー!あたしはかまぼこ一年分とか、かまぼこ一年分とかかまぼことか……いやーん多すぎて決められないーっ」
エリー「私は…無島武郎全集を……」
平乃(無島先生だなんて…相変わらずエロスですねエリーさん…)
コーデリア「私は薔薇のお花が欲しいわぁ~!」
ネロ「食べられないモノなんてあげてどうするのさ」
コーデリア「プレゼントなんて気持ちが伝わればいいのよぉ~」
平乃「……ふむん」
平乃「分かりました。若干欲しいものリストのような気がしますが、参考になりました」
コーデリア「いえ、私たちもお役に立てたかどうか…」
平乃「いいえ、気にしないでください?…あ、ちなみに私はお洋服とかあげても貰ってもうれしいと思うんですよね。あくまでもし、の話ですけどね?」
平乃「いえ、小衣さんに怒られちゃいますから」
ネロ「それじゃ、明智のバカにも一応よろしく言っといてよ」
コーデリア「ネロ!そんな言い方…」
平乃「それじゃあ、失礼しました。あっ、これ地元のもので申し訳ないんですが、ヨコハマ名物の繁華街のシウマイです。では」
平乃「……やっぱり」
平乃(予想は確信に変わった。私――長谷川平乃の誕生日だと気づいている人は、おそらく身内に一人もいないということ……)
平乃「いえっ。まだ時間はあります、なんとかそれとなく思い出してもらって――」
(ネロ「ぼっ、ボクのシウマイー!!」)
(シャロ「独り占め禁止ですーっ!!」)
(コーデリア「ちょっと、そう言いながら多めに持ってるじゃない!シャロぉ!」)
(エリー「コーデリアさんも、その箱を…こっちに……」)
平乃「……私はシウマイ以下ですか」
咲「わーわー」
ネロ「がやがや」
次子「おっ、なーんか雰囲気出てるじゃん」
シャロ「はいはいっ!小衣ちゃん、質問でーす!」
小衣「小衣ちゃん言うな!…まあいいわ、発言をゆるす!」
シャロ「ありがとうございまーす!じゃあ質問です!…どうして平乃さんがいないんですかー?」
ネロ「あっ、それボクも思った」
コーデリア「嘘おっしゃい」
小衣「シャーロックにしてはいい質問じゃない…いいわ教えてあげる。それは…」
次子「そ、それは…?」
小衣「この円卓会議の議題が平乃に関連してるからよぉ!」
シャロ「おっ…」
エリー「おぉ…っ…!」
咲「え、そこ驚くトコ…?」
次子「そっか、気分なら今のところいい感じだ!」
小衣「何を言ってるのかさっぱり分からないけどとっとと議題に入るわよ!議題その1!平乃が最近挙動不審なことについて!」
次子「あー、なんか最近ソワソワしてるよなうん」
小衣「そうよ!小衣たちG4は怪盗を捕まえる警察の代表だってのに、締まりがなくてだらしないわ!」
咲「この間怪盗帝国と戦ってる時も『むふっ』とか言ってて正直怖かったなー」
次子「あっ、そういや最近狂ったように日付を聞かれたよ」
シャロ「あたし達のところにも遊びに来ましたよー?しうまいおいしかったです!」
ネロ「奇数個だったのはちょっといただけないけどね」
コーデリア「じゃんけんで決めてる途中にかまぼこに食べられちゃうし…」
エリー「次からは…偶数個のを、お願いしましょう…」
小衣「そこうるさい!じゃあさっそくこの原因を考えるわよ!」
次子「咲は分かってないなあ。平乃はああ見えて抱え込んじゃうタイプなんだよ」
次子「今でこそ武道合計50段のG4の火力担当だけどさ、格闘技始める子の動機って弱気な自分にグッバイしたいからだろ?
多分平乃も昔から物事をはっきり言えるタイプじゃなかったんだようん」
次子「それでさ、そのまま大きくなってG4に引っ張ってこられて…
小衣みたいなきっつい奴と面と向かって仕事してみろよ。そりゃストレスの一つや二つたまっちゃうだろ?
それをさ、発散できずにいるんだよ」
次子「私服のゴスロリだってそうだよ。古来から鎧うのは己が身を守るためと言われただろ。
多分普通一般の人にはなかなか縁の薄いああいう服装を見にまとうことで社会からまるで丸まったハリネズミのように身を守るその様はまるで近寄りたくても近寄れないハリネズミのジレンマ」
小衣「いや、長い上にそれはない」
小衣「っていうかあんたそんな風に小衣のこと考えてたわけね」
咲「次子、妄想おつー」
次子「ありゃ、バレちゃったか。てへぺろー」
ネロ「これどこのコピペ?」
シャロ「って、なんでですかぁ~」
次子「その心は」
小衣「茶化すんじゃないわよぉ!」
☆数分後
小衣「……ってわけ!要するに平乃は疲れてんのよ!」
小衣「ためにためこんだストレスで爆発寸前なの!平乃の撃鉄はすでに起こされて発射寸前なのよぉ!」
ネロ「ボクも疲れたー…ねえもう帰っていい?」
咲「もうちょっとだけ続くんじゃよー」
シャロ「…つまり、平乃さんに休暇をあげましょうってことですね!」
コーデリア「そうね、水族館にでも誘ってあげたらいいんじゃないかしら」
次子「あたしもちょっと忙しいかなあ」
咲「今ちょっとやりこみRPGで忙しいってゆーかー」
シャロ「うわあ、全員スルーですね!」
エリー「これでも、同僚…?」
ネロ「社会ってのはせちがらいね」
小衣「そうね!じゃあもう考えるのめんどくさいし平乃は放っておくってことで、かいさーん!」
シャロ「わーい!小衣ちゃん、あっそびましょー!」
小衣「小衣ちゃんゆーなっつーのぉ!」
平乃「ただいま帰りましたー」
次子「…おっ、お疲れさん」
平乃「ふう、今日も見回り大変でした」
咲「平乃、あまり無理しないで」
小衣「そうよ?あなたひとりの体じゃないんだから」
平乃「えっ、みなさんどうしたんですか?」
咲「別にどうもしてないから、ゆっくり休んでいってね」
次子「そーだぞーあたしらはいつもどーりだぞー」
平乃「いえ、なんかみんな生暖かい目で……」
平乃「はい、小衣さんまでどうしました?」
小衣「いいのよ、私が悪かったわ…だから、今日くらいゆっくりして、ね?」
平乃「は、はあ…」
次子「よーしそれじゃあ平乃のために仕事を代わりに――あっ、でももう仕事終わりの時間だ」
咲「帰るかー」
小衣「そうね!じゃ、よく休みなさいよ平乃!」
平乃「ちょっ、どうしてそんないそいそと…残業しないア○リカ人ですか……」
平乃「……よく分かりませんけど…私も帰ってゆっくりしましょう」
平乃「それとなく言ったのに、誰も気づいてくれませんでした」
平乃「……結局今年もロンリーバースデーです」
平乃「……」
平乃「はっぴばーすでーひらのー」
平乃「平乃、これプレゼントよっ!(裏声)」
平乃「小衣さん!うれしいっ!開けてもいいですか?」
平乃「もちろんよ!みんなで買ったんだから!(裏声)」
平乃「楽しみです…あら?これは……」
平乃「そうよ!あんたが欲しがってた新作ゴスロリとラクロスクロスよ!(裏声)」
平乃「小衣さん、みなさん…ありがとうございます!」
平乃「わーわー!」
平乃「……なーんて。頑張ってる自分にプレゼント…はぁ」
平乃「今日も録画してた深夜アニメ見ながら晩餐です」
平乃「おいしいおいしい!……はぁ」
平乃「ご馳走様。もうお風呂入ってそのあと夢島やって寝ましょう」
平乃「……むむっ。この柱を崩せば…」
平乃「おおっ、咲さんの言った通りになりました!マップが変化して…」
平乃「あら?ピッコロ使いがまた…わっ、吹き飛ばされちゃいました」
平乃「うーん…明日咲さんに攻略法教えてもらいましょう」
平乃「ふーんふーんふーんふーん…わたーしのかのじょは、パラサイト――ってあら?電話ですか?」
平乃「もしもし?」
小衣《あっ、平乃?ううん大した用事じゃないの。ただ今日は冷えるから暖かくして早く寝たほうがいいわよって言おうと思って……》
平乃「や、やさしいんですね随分と…」
平乃(とてもあの小衣さんとは思えません…)
小衣《そりゃもしかしたら責任は小衣に…って、何でもないわ気にしないで。…ホントにそれだけだから、今日はグッスリ休んでリフレッシュしなさい!》
平乃「小衣さんに心配されるとは思いませんでしたよ」
小衣《何よっ。小衣にはあんたらのケンコーを管理する仕事だってあるんだから!それじゃ今度こそもう切るわよっ!》
小衣《ふん。じゃ、お休み平乃》
平乃「はい、お休みなさ――」
小衣《あっ、ちょっと待って!》
平乃「…はい?」
小衣《…は、ハッピーバースデー、平乃……じゃ、じゃあね》
平乃「……はいっ」
こうして平乃さんは今年も満ちたお誕生日を送りましたとさ、めでたしめでたし
ひらのさんはみるきいとじいふおのなかで8ばんめにすきです
Entry ⇒ 2012.01.14 | Category ⇒ ミルキィホームズSS | Comments (0) | Trackbacks (0)
向日葵「櫻子とひたすらイチャイチャしてやりますわ」
http://hayabusa.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1326361699/
向日葵「なにごとですの!?」
櫻子「だからさ、私と付き合ってくれないかな、なんて」
向日葵「櫻子……実は私もずっとあなたのこと……」
櫻子「わ、私のこと?」
向日葵「好き……ですわ」
櫻子「うれしい!」ギュゥ
櫻子「えっとね、ぎゅーって抱きしめたり」
向日葵「今してますわね」
櫻子「それから、見つめ合ったり」
向日葵「今してますわね」
櫻子「き、キスとかしちゃったり」
向日葵「今からしますわね」チュ
向日葵「って、私ったらなに自然にキ、キキスしてますの!?」
櫻子「えへへー、なんだかぽぉーっとする///」ギュ
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木間市タワー [Kima City Tower]
(1990竣工 日本)
向日葵「櫻子と恋人……いい言葉ですわね」
櫻子「デートしよ、向日葵」
向日葵「でーと!?」
櫻子「ちなつちゃんが恋人同士はデートするもんだって言ってたから」
向日葵「吉川さんナイスですわ!」
向日葵「アクション映画ですの?」
櫻子「んー……今は、ラブストーリーが見たいかな」
向日葵「ラブ……」
櫻子「参考になるかもしれないし、色々と」
向日葵「んん///」
向日葵「映画館で食べると格別美味しいですわよね」
櫻子「うん、コーラも一番大きいの買っちゃおう」
向日葵「そんな大きなの買って大丈夫ですの?」
櫻子「向日葵と一緒に飲むから大丈夫!」
向日葵「ひとつのコーラを二人で///」
櫻子「飲ませっこしようね!」
向日葵「!?」
櫻子「わぁ……」
向日葵(素直になれない二人……なんだか私たちみたいですわ)
櫻子「もう……そこで好きって言っちゃえばいいのに」
向日葵「好き」
櫻子「向日葵?」
向日葵「大好き櫻子!」
櫻子「///」
向日葵「ちょっと塩辛いですわね」
櫻子「でもそこが美味い!」
向日葵「喉乾いたでしょう? ほら、コーラ……飲んで?」
櫻子「ちゅーコクコク……ぷはっ」
櫻子「美味しいよ向日葵、今度は私から……」
向日葵「櫻子の飲んだコーラ……」ゴクッ
向日葵「……コクンコクンっ」
櫻子「美味しい?」
向日葵「櫻子が飲ませてくれたから普通のコーラよりずっと美味しいですわ!」
櫻子「えへへ」
向日葵「ほんとですわ」
櫻子「私たちに似てても、キスは私たちのほうが早かったね///」
向日葵「///」
櫻子「ねえ、キス……しよっか」
向日葵「ん……」チュ
櫻子「んんー」チュ
向日葵「は、ふぅ……///」
櫻子「私たちも負けないくらいラブラブになろうね///」
花子「櫻子おかえりだし」
撫子「どうしたのニヤニヤして、気持ち悪い」
櫻子「ヒドイ! でも、いいんだ私今とっても幸せだから」
花子「?」
撫子「ふーん……さては櫻子」
櫻子「待って、自分から言う……私、向日葵に告白して付き合うことになった!」
撫子「へー」
花子「!?」
櫻子「あれ、そんな驚いてないね?」
花子「!?」
撫子「まあいつかそうなるだろうと思ってたからね」
花子「!?」
楓「お姉ちゃんおかえりなさいなの」
向日葵「♪」
楓「お姉ちゃんなんだかとっても嬉しそうなの」
向日葵「あら、気付いちゃいました?」
楓「すぐにわかるの! なにかあったの?」
向日葵「実はね、その、櫻子と、お、お付き合いすることになったんですのよ//」
楓「わぁ! お姉ちゃんおめでとうなの!」パァ
向日葵「ありがとう楓」
楓「楓ほんとはとっくの昔に付き合ってるものだと思ってたの」
いいね
向日葵「櫻子ー」
櫻子「なにしてるのー?」
向日葵「お昼ごはん作ってますのよ」
櫻子「そっかー」
向日葵「ふふ……」
櫻子「えへへ」
向日葵「きゃっ、ちょっと危ないですわよ」
櫻子「ひまわりー」ギュー
向日葵「もう、しょうがないですわね」ギュ
櫻子「向日葵はぎゅってしたくなかった?」
向日葵「そ、それは……」
櫻子「それは?」
向日葵「したかったに決まってますわ!」ギュギュー
櫻子「ふあ……///」
向日葵「私が奥さんですの?」
櫻子「二人ともお嫁さんだよ」
向日葵「可愛いお嫁さんですわね」
櫻子「向日葵の方が可愛いし///」
向日葵「櫻子の方が可愛いですわ!」
櫻子「向日葵の方が可愛い!」
向日葵「櫻子の方が……これじゃあ終わりませんわね」
櫻子「向日葵が可愛いから仕方ないじゃん///」
向日葵「も、もう///」
向日葵「どうぞ」
櫻子「んー」
向日葵「あっ、指熱くないんですの?」
櫻子「うん、大丈夫……美味しい」
向日葵「よかった」
櫻子「向日葵も味見……舐めて」
向日葵「えと///」
櫻子「私の指、舐めて向日葵」
向日葵「うーですの!」チュプ
櫻子「美味しい?」
向日葵「ええ……頭がクラクラするくらいですわ」
向日葵「私は美味しそうに食べてくれる櫻子の顔を見るのが大好きですわよ」
櫻子「えへへ、美味しい!」
向日葵「あら、ご飯粒ついてますわよ」
櫻子「え、どこどこ?」
向日葵「ここ、ですわ」チュ
櫻子「ありがと……///」
向日葵(可愛い……)
櫻子「ちゅっ……おかえし///」
向日葵「うー///」
楓(お姉ちゃん幸せそうなの)
櫻子「宿題?」
向日葵「やっぱりしてませんのね」
櫻子「めんどいな」
向日葵「ちゃんとやりなさいよ……私の恋人なんですから」
櫻子「う、うん、えへへ///」
向日葵「私も手伝ってあげますわ」
櫻子「ありがと、向日葵大好き///」
向日葵「私が見てあげるんですから、ヤル気出しなさい」
櫻子「うえー」
向日葵「だったらこういうのはどうかしら?」
櫻子「なに?」
向日葵「一問答える度にその、キス、してあげますわ///」
櫻子「そ、そいつは捗る///」
向日葵「あってますわよ」
櫻子「じゃ、じゃあ……んー」
向日葵「ご褒美の……」チュ
櫻子「えへへ///」
向日葵「櫻子もやれば出来るんですわね」
櫻子「向日葵がいてくれるから」
向日葵「そう///」
向日葵「私も好きでやってるからいいですわよ」
櫻子「そう言ってくれると嬉しいな」
向日葵「好きな人の為ですもの、当たり前ですわ」
櫻子「///」
向日葵「告白してくれてありがとう、櫻子が言ってくれなかったら」
向日葵「私きっといつまでも素直になれなかったと思いますわ」
櫻子「我慢出来なかったんだよ、向日葵が大好きでたまらなかったから!」
向日葵「///」
櫻子「おはよあかりちゃん」
向日葵「おはようございます赤座さん」
あかり「……? 二人とも何かあったの?」
櫻子「やっぱり、わかっちゃう?」
あかり「うん……二人の空気がいつもより柔らかいような感じ」
向日葵「赤座さん、私たち恋人になりましたの」
あかり「わぁーそうなんだぁ! おめでとぉ!」
櫻子「えへへ」
向日葵「階段を下りながら振り返るなんて危ないですわよ」
櫻子「段差があると、ちょうどおっぱいの位置に顔が来るんだよね」
向日葵「さ、櫻子」
櫻子「ふっかふか」パフパフ
向日葵「んんん///」
櫻子「今日からおっぱい解禁!」
向日葵「ひゃふぅんっ!?」
櫻子「うん」
ちなつ「な、なんて羨ましい……じゃなくて、おめでとう!」
向日葵「ありがとう吉川さん」
ちなつ「……で、どこまで行ったの?」
櫻子「どこまで?」
ちなつ「どこまでやったかって聞いてるの!」
向日葵「やるって!? その///」
櫻子「キスは、したよ///」
ちなつ「そっかーキスかー……私もいつか結衣先輩と……イヤーン」
櫻子「向日葵、食べさせあいっこしよ」
向日葵「み、みんな見てますわよ!?」
櫻子「みんなにアッピルするのもいいと思わない?」
向日葵「…………あーん///」
櫻子「はむっ、えへへ///」
ちなつ「……」
櫻子「向日葵あーん///」
向日葵「あ、あーん///」
あかり「……」
綾乃「え、なんのこと?」
向日葵「池田先輩にはわかってしまいますのね」
千歳「ま、まさか!?」
櫻子「恋人になりました、いわゆるワイフです」
向日葵「そ、それじゃあ結婚してることになりますわよ!」
櫻子「あれ、そうだっけ?」
千歳「ブフッ」
綾乃「千歳ぇー!」
千歳「お、おめでとうな、二人とも」
綾乃「なんだかよくわからないけど、二人ともおめでとう」
千歳「綾乃ちゃんも頑張らんとな」
綾乃「なな!?」
櫻子「待ってー」
向日葵「はいはい」
櫻子「おまたせっ」ギュ
向日葵「わわっ」
櫻子「腕組んで帰ろ」
向日葵「もちろんですわ」ギュ
櫻子「えへへ」
向日葵「なんですの?」
櫻子「呼んでみただけ」
向日葵「……///」
櫻子「えへへ」
向日葵「櫻子」
櫻子「なに?」
向日葵「呼んでみただけ、ですわ」
櫻子「もー、向日葵ったら///」
櫻子「今日のごはん何にするの?」
向日葵「あら、今日も食べていくんですの?」
櫻子「あったりまえじゃん!」
向日葵「なら櫻子の大好物にしましょう」
櫻子「やった、向日葵大好き!」
向日葵「///」
櫻子「……あのさ、今日向日葵ン家泊まっていい?」
向日葵「!?」
櫻子「ん……ありがと」
向日葵「……///」
櫻子「向日葵っ、手繋ご!」
櫻子「恋人繋ぎ!」
向日葵「わっわっ///」
櫻子「えへへ、ぎゅ~」
向日葵「うーですの///」ギュ
撫子「はいはい」
花子「!?」
櫻子「んじゃ、行ってくるね」
花子「待つし! 櫻子が泊まっていくなら、ウチに楓を泊めるし!」
櫻子「へ、なんで?」
花子「なんでもだし!」
撫子「ふーん……ま、人数合わせできるからいいんじゃない?」
櫻子「そうかなー?」
撫子「それに櫻子もひま子と二人っきりの方がいいんじゃない?」
櫻子「!?」
向日葵「いらっしゃい」
櫻子「えへへ」
楓「櫻子お姉ちゃん、今日お泊りしていくの?」
櫻子「うん、そうだよ、それで楓さウチに泊まってかない?」
楓「櫻子お姉ちゃんの家? どうして?」
櫻子「花子も待ってるよ」
楓「花子お姉ちゃんが? うん、行くの!」
向日葵「あら、楓もお泊りするんですの?」
楓「えへへぇ、お泊りなんて初めてなの、キンチョーするの」
櫻子「いってらっさい」
櫻子「えへへ、知ってた」
向日葵「!?」
櫻子「向日葵とイチャイチャしたな///」
向日葵「櫻子……」チュ
櫻子「ひま……ぅん」チュ
向日葵「櫻子の口唇、とっても柔らかくって、幸せな味がしますわ」
櫻子「あったかいよ、向日葵……ぽかぽかするぅ」ギュ
向日葵「……うー///」ギュ
櫻子「やったー」
向日葵「いただきます」
櫻子「うーん、良い匂い! いただきます」
向日葵「……」ドキドキ
櫻子「ん……向日葵、私の大好物作るって言ってたよね」
向日葵「え、ええ」
櫻子「なんでにんじん……」
向日葵「わ、私が食べてあげますわ!」
櫻子「も、もしかしてそのために作ったの!? どんだけイチャイチャしたいんだよ///」
櫻子「もう、しょうがないなー……あーんしてよね」
向日葵「もちろんですわ! あーん」
櫻子「んむんむ……向日葵もあーん」
向日葵「パクッ……はぁ、幸せですわ」
櫻子「ずーっとこうして過ごしていきたいね」
向日葵「ええ、私もそう思いますわ」
向日葵「バスタオル置いておきますわね」
櫻子「いや、そうじゃなくて」
向日葵「?」
櫻子「一緒に入ろ……ってこと、なんだけど……」
向日葵「ええ!?」
櫻子「入ろうよ///」
向日葵「……///」コクン
向日葵「そうかしら?」
櫻子「そうだよ、ほら前は腰くらいまであったけど今は」サワサワ
向日葵「ひゃんっ」
櫻子「肩くらいまでだし」
向日葵「長いほうがよかったかしら?」
櫻子「ううん、どっちでもいいよ、向日葵は向日葵だし……どっちの向日葵も大好きだよ」サワサワ
向日葵「んんぅ///」ゾクゾク
向日葵「はい」
櫻子「ありがと……あわあわ」
向日葵(櫻子が目をつぶって……)
櫻子「ふんふ~ん」
向日葵「……ちゅ」
櫻子「ん?」
向日葵「櫻子っ……ちゅ~」
櫻子「/// め、目が見えないからって、不意打ちは卑怯だぞ///」
櫻子「でも、もっと///」
向日葵「好き……櫻子」チュ
向日葵「ごしごししますわ」
櫻子「おっぱいごっしごし」
向日葵「ひぅっ……くすぐったいですわ」
櫻子「えへへ、向日葵にはもっと綺麗になって欲しいなー」
向日葵「も、もう///」
櫻子「綺麗だよ向日葵」
向日葵「櫻子には敵いませんわね///」
向日葵「湯船でのイチャイチャは流石に危険かもしれないですわね」
櫻子「でもする! 向日葵が大好きだから」ギュ
向日葵「うーですの!」
櫻子「向日葵の顔もっと見せて」
向日葵「櫻子……」
櫻子「可愛い、私の大好きな向日葵」チュ
向日葵「んん……あなたの大好きな私は、世界一の幸せ者ですわ」チュ
向日葵「あ……」
櫻子「ちょっと恥ずかしくなってきちゃった///」
向日葵「そ、そうですわね」
櫻子「向日葵はもうちょっと入ってて?」
向日葵「え、ええ」
向日葵「ふう……お風呂に入っていては気を落ち着けることも出来ませんわ」ドキドキ
向日葵「……はぁ、櫻子……好き好き好き……幸せ」
向日葵「ふう……パジャマを着て、と……」
向日葵「櫻子、どこですの?」
向日葵「さくらこー」
向日葵「?」
向日葵「寝室……ですの?」
向日葵「私の布団が膨らんで……」
向日葵「櫻子?」
向日葵「…………寝てる!?」
向日葵「あ、そうでしたの」
櫻子「向日葵は低血圧だから、布団暖かくしてあげようと思って」
向日葵「そ、それはありがとう」
櫻子「ほら」ポンポン
向日葵「もしかして……一緒に寝るんですの!?」
櫻子「はやくー」
向日葵「うーですの///」
向日葵「いいえ、初めてですわ……恋人同士になってから初めての同衾ですのよ」
櫻子「オーキードーキー?」
向日葵「同衾ですわ、同じベッドで寝ることをそういうんですの」
櫻子「そ、そっか///」
向日葵(顔がこんなにも近い、それにちょっと薄暗くて……)
櫻子「ドキドキするね」
向日葵「ん…………キス、したくなりましたわ」
櫻子「ちゅっ……したくなったらいつでもしていいよ?」
櫻子「いいんだよ、好き合ってるんだから」
向日葵「そうですわよね」
櫻子「うん……」
向日葵「好き、大好きですわ……櫻子」チュ
櫻子「ずっと一緒にいようね」チュ
花子「か、楓!」
楓「どうしたの、花子お姉ちゃん?」
花子「楓とひたすらイチャイチャしてやるし!」
楓「?」
おしまい
はなかえはよ
楓「大丈夫なの、楓は一人でも色々出来るの」
花子「あ、そ、そうなんだ」
楓「だから心配しなくても問題ないの」
撫子「でも、ウチのお風呂は初めてでしょ、一緒に入ったほうがいいんじゃない?」
花子(ナイスだし!)
楓「そうかな?」
花子「そうだし!」
楓「じゃあ花子お姉ちゃんお願いするの」
楓「えへへぇ」
花子「ど、どうしたの?」
花子(楓の笑顔かわいいし!)
楓「誰かと一緒にお風呂に入るの久しぶりで楽しみなの」
花子「そ、そうなんだ」
楓「えへへぇ」
花子(天使だし!)
花子「一人で脱げる?」
楓「大丈夫なの」
花子「そ、そっか」
楓「ぷはっ」
楓「お風呂なの!」
花子「わーいだし」
花子「そうだよ」
楓「ごしごし洗うの」
花子「楓ほんとに一人で出来てるし!」
楓「あ……折角だから楓はこの赤いシャンプーで花子お姉ちゃんに洗ってもらいたいの」
花子「いいの!?」
楓「楓もたまには甘えたいの……駄目?」ウルウル
花子(そ、そんな目で見られたら居ても立ってもいられないし!)
楓「えへへぇ」
花子「か、楓……どこかかゆいところとかある?」
楓「とっても気持いいの」
花子「そ、そっか、よかったし!」
楓「……もう大丈夫なの」
花子「じゃあ、お湯かけるし」
楓「んんーー、ぷはぁ」
花子「大丈夫?」
楓「うん、ありがとう花子お姉ちゃん、綺麗になったの」
花子「ええ!? そんな、いいし!」
楓「いいの?」
花子「あっ、ちが、よくなくないし! 花子も楓に綺麗にしてもらいたいし」
楓「よかったぁ」パァ
花子(絶対尻に敷かれるし……)
楓「わしゃわしゃなの」
花子「き、気持ちいいしー……」
楓「わかったの……んしょ」
花子「大丈夫?」
楓「だいじょ……わっわっ」
花子「楓!?」
楓「ちょっとお湯が深いの……」
花子「あ、そっか……」
花子「じゃ、じゃあ花子の上に乗るし!」
楓「わかったの、えへへぇ」
楓「楓よくお姉ちゃんにもしてもらってたの」
花子「そ、そうなんだ」
楓「なんだか懐かしくて嬉しくなったの!」
花子「楓が嬉しいなら花子も嬉しいし!」
楓「えへへぇ」
花子「えへへだし!」
楓「いーち」
花子「にー」
楓「さーん」
花子「よーん」
楓「ごー」
撫子「昔の櫻子とひま子を見てるみたいで、実に和む」
楓「きゅーじゅーきゅー」
はなかえ「ひゃーく!」
ザバァ
楓「すっごく温まったの!」
花子(密着し過ぎで頭がフットーしそうだったし!)
撫子「上がったなら、私入るね」
花子「もうこんな時間だし!」
楓「花子お姉ちゃん、楓はどこで寝ればいいの?」
花子「どこで……」
花子(順当に考えれば櫻子の部屋? でも、こんなチャンス滅多にないし!)
花子「花子ももう眠いから花子の部屋で一緒に寝るし!」
楓「花子お姉ちゃん一緒に? わぁいなの!」
花子「天使だし!」
楓「?」
花子(こ、言葉に出ちゃってたし、危ないし!)
花子「楓と一緒に……///」
楓「花子お姉ちゃん?」
花子「は、花子も入るし!」
楓「わぁ」
花子「楓と一緒のベッドなんて……ドキドキするし」
楓「ドキドキするの?」
花子「あ、えと……するし、ドキドキするし!」
楓「花子お姉ちゃん、お姉ちゃんとおんなじなの!」
花子「え?」
花子「そ、そうなんだ」
楓「それってきっと……恋だと思うの」
花子「か、楓!?」
楓「花子お姉ちゃんは恋してるの?」
花子「えとえと……その……」
楓「楓もとってもドキドキしてるの、お風呂に長く浸かってたからじゃなくて」
楓「花子お姉ちゃんと一緒にいるからドキドキしてるの」
花子「楓っ」
花子「花子は……花子はっ」
楓「花子お姉ちゃんの口から聞かせて欲しいの」
花子「花子は……楓が好きだし! 大好きだし!」
楓「ほんとなの?」
花子「本当だし! 大好きだし!」
楓「えへへぇ、楓も花子お姉ちゃんのこと大好きなの」ギュ
花子「楓ぇ///」ギュ
花子「朝っぱらから櫻子元気すぎだし」
向日葵「楓、迎えに来ましたわよ」
楓「お姉ちゃん、今から準備するから待ってて欲しいの」
向日葵「ゆっくりしてもいいですわよ」ホクホク
櫻子「ね、向日葵ー」ホクホク
花子「櫻子たちがホクホクしてるし!」
花子「楓! また……また泊まりに来るし!」
楓「えへへぇ、もちろんなの!」
向日葵「あらあら」
櫻子「ほほぅ」
撫子「この空気……今なら私の彼女を呼んでも問題ないな、計画通り!」
おしまい
こちらも素晴らしいほど甘かった
超乙だし
Entry ⇒ 2012.01.14 | Category ⇒ ゆるゆりSS | Comments (0) | Trackbacks (0)
C.C.「な、何故急に抱き寄せられたんだ……」
http://hayabusa.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1326399292/
C.C.「お、おいルルーシュ、今なんて言った。お、お前……私からして欲しいのか……?」
ルル「ふむ……そうだな、お前がやってくれるなら俺は俺でいろいろと動けるからな」
C.C.「えぇっ!?」
書き溜め序章だけだから読みたい人いるなら続き書く
C.C.「だッ――……大胆になんて、そんなの……こ、困る」
(こ、こいつは何を言ってるんだ!? というかなんで私は焦ってるんだ!? どうして私が寝てる時なんだ!!)
ルル「だがあの時はあれで十分だったな。それにあれはあれで俺も恥ずかしかったんだ」
C.C.「そ、そうか。そうだな! あれで十分だったな!」
(あれで十分なのか、別に私は……ってェ! ちがう、何を考えてるんだ私は!
別にもっとしてくれてもよかったのにとか、してほしいとか、それ以上とかそれ以上ってなんなんだ!?)
C.C.「はひぇっ!? なんでもないぞ!? 大丈夫だ!
お前こそどうしたルルーシュ、眉をひそめてるぞ、便秘か!?」
ルル「お前な……魔女とはいえ仮にも妙齢の女が大声で品のないことを言うな」
C.C.(うわああぁぁ! 何を言っているんだ私は!)
C.C.「うう……すまない、少し一人にさせてくれ。先に戻って休む……」
C.C.(はぁ……なんなんだあいつは。
童貞、いや素人童貞の癖にあの平然とした態度、あんなの私の知っているルルーシュじゃないぞ)
C.C.「だー! もういい、寝る! 今の私は変なんだ、そうだおかしいんだ……あ、ルルーシュの匂い」
C.C.「だから!! 何嗅いでるんだ私はーー! 匂いとか変態か!? それに今更、ルルーシュの匂いとか嗅ぎ慣れて――」
???「か、嗅ぎ慣れているんですか……?」
ナナリー「お兄さまとC.C.さんがそういった間柄なのはわかっていましたが、その……」
C.C.「嗅ぎ慣れてない! いや慣れているが、それはあいつのベッドを使っているからで今まで気にしたことなんて別にっていうか」
ナナリー「ひ、避妊はしっかりしたほうがいいと思います!」
ナナリー「ダメです! お兄さまはまだ学生ですし、C.C.さんが良くても周りがどう思うかは別です!」
C.C.「ってああもう! そっちじゃない! はぁ……いいか、ナナリー。私とルルーシュはそういう仲じゃない」
ナナリー「ですが、前にお兄さまと将来を誓い合った仲だと」
C.C.「あれは冗談だ。ああ言えばルルーシュが慌てふためく姿が見れると思ってな」
ナナリー「冗談、ですか?」
ナナリー「……嘘です。確かにあのときお兄さまは慌てていました。
ですがC.C.さんの言葉は本物で、だからわたしはお兄さまをよろしくお願いしますと答えたのです」
C.C.「……」
ナナリー「今でもお兄さまとC.C.さんの関係は変わっていないと思っています」
C.C.「……やれやれ、お前はルルーシュよりも手強いな。真実だ、あの時の言葉は」
C.C.「だが……私とルルーシュとの関係は、そんなチーズくんのように甘い関係とは違うよ」
ナナリー「ふふっ、もっと深いですか?」
C.C.「はあ? 馬鹿を言え。誰があんな口煩いひ弱な真面目君を」
(そうだ、なんで私なんかがあいつを意識しなきゃならないんだ)
優しくて頼り甲斐のある素敵なお兄さまですから、そんなお兄さまを狙っている女性は多いと思いますよ?」
C.C.「そうなんだよ! いつもいつも違う女から話しかけられ、事あるごとにフラグを立たせ……まったく人の気も知らないで」
ナナリー「くすくす。C.C.さん、思った通りすごく可愛い。
お兄さまが選ぶのも納得してしまいました」
C.C.「ぅ……か、からかうな」
ナナリー「それで、お兄さまとはどこまで? わたしでよろしければ未来のお姉さまの為に協力いたします。
例えばお兄さまはストレートヘアーよりも、毛先に軽くウェーブが入っているほうが好みだと伺ったことがあります。
ショートよりもロング派で、それから―― 」
ナナリー「それとさっきも言いましたが、やはりまだお二人には早いと思います。
若いうちにしか出来ないことも多いと聞きますし……なのでやはり避妊はしっかりするべきです!
お兄さまがその、なななな生……を望まれても! C.C.さんがしっかりお兄さまをコントロールすべきです!」
C.C.「おち、落ち着けナナリー! そんなことどこで、いや年頃の女の子なら知っているだろうが! それ以上は言わなくていい!」
ナナリー「いいえ、止めません。お兄さまはええと……そう、ムッツリです! クラスの子たちが言っていましたが、ムッツリというやつです!
頭の良い人には多いとのことですが、たしか……冷静を装っていても頭の中ではしっかりと異性のことを考えているタイプだとか」
C.C.「お、おいナナリー、それ以上は何故か私がルルーシュに怒られそうだから……」
ナナリー「ですがC.C.さんはわたしのお姉さまになるのですから、家族として心配するのは当然です。
それで、どうなのですか?」
C.C.(ナナリー、お前のそういうところ、悪い意味でマリアンヌにそっくりだよ……)
C.C.「あ、ありがとうナナリー。いろいろ考えさせられたよ。私の知らないルルーシュの話も面白かったぞ」
ナナリー「未来のお姉さまのためですから、わたしでよければいつでもどうぞ。
末永く、お兄さまのことをよろしくお願いします。あ、でもわたしまだ叔母にはなりたくないですからね?」
C.C.「わ、わかった。またな」
(やれやれ、もしかしたらナナリーはマリアンヌよりもいい女になるかもしれないな。
さて、ナナリーには悪いがようやく一息つけるな……そういえば私は何を考えていたんだったか)
C.C.「……て! 思い出したらダメじゃないかー!」
C.C.「うぅ、あんな話をしたせいかまた頭がおかしく……そうだ、忘れるために寝ようとしてたんだ。ナナリーが来てすっかり忘れていた」
C.C.「ふぅっ。一度寝てしまえばいろいろと忘れられるだろう、むしろ忘れたい……あ、ルルーシュの匂い」
C.C.「だからこれさっきもやった! やったじゃないか!! ああもう、どうしたんだ私は……こんな……」
C.C.「……」
C.C.「……ルルーシュ……んっ」
C.C.「それも……これ、も……ルルーシュが悪いんだ……」
C.C.「あれ以来して……くれないから、ぁ……あ、ひっ……」
C.C.「はあ……ふぅっ、ん……ルルーシュ……ルルーシュ…」
C.C.「……ん、ちが……もっと……あ、はっ……」
C.C.「んんっ! ……まっ、待てルルー……うあっ待って!おねがっ……」
C.C.「ひゃっ! ……あ、だめ、だめだルルーシュ……いや、一緒……」
『おい、C.C.』
『おい、C.C.。』
C.C.「いや、ちょ! 待て!ち、違う! 違うぞルルーシュ! これはだな、その世間一般で言われるそのそれじゃなくてな!?
か、勘違いするなよ!? 私がそんな低俗なことするわけないだろう!
だ、第一なぜその、あ、相手がルルーシュなんだ。まぁ別に、お前がその、私をオカズにというのであればやぶさかでもないし? 許してもいいぞ!?
それにその、そう、あれ以来ではあるがこの私がお前の相手をしてやっても、いやお前がどうしてもというのであればだが、その、どうしてもか!?
『おい、C.C.。 おい、C.C.。』
C.C.「って……な、なんだ携帯電話か……どうしてマナーモードが解除されているんだ! びっくりしたじゃないか!
ふぅ、んっ――ルルーシュ、勝手にマナーモードが解除された。壊れたのかもしれんからなんとかしろ」
ルル「繋がったと思ったら急になんだ……何を怒ってる。
取り出すときにボタンを押したんじゃないか、サイドにあるタイプの携帯にはよくあることだ」
ルル「いや、特に用があるわけじゃない、今日のお前の様子がおかしかったからな……まぁそれも杞憂だったか。
今帰るところだ、あと30分ほどでそちらに着く」
C.C.「なんだ、やけに優しいじゃないか。ようやく女心というものがわかってきたか?
それとも優しくすれば女は簡単に落ちるとでも――っ!?」
(万に一つでも本当にそうだったらどうする!? 落としにきたのか!? 落とされるのか!?
つ、つまりなんだ、私を欲しているのか! し、しかしこの私がルルーシュなんかに落とされるのはどうなんだ!?
……待て、こちらから攻めてルルーシュをその気にさせればいいじゃないか! そ、そうすれば今夜、本物のルルーシュと……)
まあいい、そういうことだから俺が帰るまで下手に出歩くなよ」
C.C.「三時間! い、いや二時間だ!! いいな!? 二時間後だぞ! それまで帰ってくるなよ!?」
ルル「は? どういうことだC.――おい、おい! ……あ、あの魔女、一方的に切りやがった」
えーっと髪は毛先にウェーブだったか? ……こ、こうか? こんな感じに巻けばいいのか?」
……
C.C.「むー、おとなしめの色使いで、大人っぽさと可愛さを両立させた服なんて持ってないぞ。
仕方ない、服は咲世子に頼んで急いで買ってこさせるか。おーい咲世子ぉー」
…………
C.C.「何々、大人可愛い? ちょい★キラ?? ……さっぱりだ。ええと清潔感……ナチュラルメイク……
アヒル口はもう古い……そうか、古いのか。これからは目力、ふむふ――!?」
C.C.「今年の流行はタンジェリン タンゴ……赤味がかった強いオレンジだと!? ジェレミアのやつ……!」
―そのころのルルーシュ―
ルル「……くそっ、なんで俺がこの寒空の下で二時間近く時間を潰さねばならんのだ……」
ルル「帰ったぞ。おいC.C.、今日という今日は許さん、いつになったら鍵を――」
C.C.「お……おかえりなさい……ルルーシュ」
ルル「……」
ルル「え、あ、いや……た、ただいま」
C.C.「ちょっと待っててくれ。今温めてくる」
ルル「お、おいC.C.お前、電子レンジの使い方、わかるのか?」
C.C.「馬鹿にするな、それくらいよゆーだ。といっても前に咲世子に習ったからなんだがな。オーブンはまだ無理だ」
ルル「そ、そうか」
ありえん、ドッキリか? カメラは……見当たらんな、ドアの向こうに人の気配もない。
なにか企んでいる? だめだ、行動からは推測できん。もしやまた記憶が? いや、以前の時は俺を覚えていなかった。
しかも……な、なんだあれは。お、俺にどうして欲しいんだ? とりあえずいつも通りに話しかけるか……)
C.C.「飲み物は何がいい?」
ルル「……なぁC.C.」
C.C.「紅茶か? シャンパンはないがワインならあるぞ。ジュースは――」
ルル「なんなんだその化物みたいな特殊メイクは。ハロウィンはまだ九ヶ月以上先だぞ」
C.C.「」
C.C.「ル……」
ルル「まあいい、飯にするか。お前がピザを分けてくれるというのも珍しいからな。
と、忘れるところだった、今日も玄関の鍵、かかってなかったぞ。言っても無意味だと思うが次からは」
C.C.「ルルーシュのアホ! 素人童貞!! 早漏!!! 仮面にでもこすりつけてオ**ーしてろ、このナルシストもやしっ子!!!!」
ルル「なっ! おい待てC.C.! まさか本気だったのか……? しまったな……
だが……いくらなんでも言い過ぎだぞ、あのピザ女」
C.C.「寝てる」
ルル「そうか寝てるか」
C.C.「ああ」
ルル「じゃあ寝たままでいいから聞いていろ」
ルル「すまない、さっきは少し言い過ぎた」
C.C.「うるさい、寝ているんだから静かにしろ」
ルル「今日のお前は少し変だぞ。昼間といい、なにかあったのか?」
C.C.「……」
ルル「それにあのメイクと服……あれはその、卑怯だろう。誰だって驚く」
C.C.「驚く!? はっ! それが着飾った女に対する評価か!? 普通は賛辞するものだろう!?」
C.C.「そ、そうだ。びゅーらー? やらこーむやら……とにかく店にあるだけ買ってきた。高かった……ピザが何枚も食べれた……」
ルル「そ、そうか、それは残念だったな? ところでお前、メイクした経験はあるのか」
C.C.「馬鹿にしてるのか貴様。私ほどのイイ女が化粧をしたことがないなどありえないだろう」
ルル「……お前が言っているのはギアスがあった頃の舞踏会やパーティじゃないだろうな? あの頃とは時代も、モノも違うだろう。
それにどうせお前のことだ、最初は自分でやっていても途中から身の回りの世話は全てしてもらっていたんじゃないのか」
C.C.「ぐっ……言うじゃないか坊や」
それでいてだ、おおかた特定層向けの女性用雑誌の記事を見て最近の流行でも真似しようとしたのだろうが……一体何を参考にしたらああなるんだ」
C.C.「ははっ……なるほどな。いやはやポアロもびっくりの名推理だ、ここまで見透かされると流石に称賛に値するよ」
ルル「茶化すな。正直、先ほど見たのはメイクとは呼べない代物だったぞ……お前はどこの口裂けグレイだと思ったくらいだ。
通常メイクとは元よりも綺麗に見せるためのものだろう?
中には自分に自信を持てない女性が変身するためのものだとも聞くが……劣化させてどうする」
C.C.「うるさい! やっぱりお前、私を馬鹿にしてるだろ!」
ルル「馬鹿にしたくもなる。お前のどこにメイクする必要があるんだ」
C.C,「あ、あのなぁ! 私はお前のために、お前に少しでも可愛いと思ってもらおうと……ん?」
C.C.「いやそれは頼まれてはいないが……え、その前にルルーシュお前、今なんて言った?」
ルル「お前のどこにメイクする必要があるんだ」
C.C.「お約束の言い回しをスルーするとは、お前……って、それどういう……」
ルル「そのままの意味だ」
C.C.「……そうか」
ルル「そうだ」
ルル「き、気持ち悪いぞ……それとさっきの服だが」
C.C.「お、お前はああいった服が好みだと聞いてな。その、髪も少し……ふんわりさせてみた。エアリーというらしい」
ルル「ああ、それでこんなボンバーヘアなのか」
C.C.「ボンッ!? なんなんだお前は! 持ち上げておいて落とすな!」
C.C.「う、ううう……そのとおりだ、けっこう、いやかなり凹んだ……」
ルル「愚かしいほどに馬鹿だな……向こうを向け」
C.C.「は? お、おい急になんだ」
ルル「いいから大人しくしていろ。ったく、どうやったらここまで器用に不器用なことができるんだ……」
C.C.「う、うるさい! もっと優しく扱え! 髪は女の命なんだぞ、まったく……。そうだ、その調子で丁寧に頼むぞ」
ルル「なぜ髪を梳かしてやっているのに俺が怒られるんだ……」
ルル「俺が何をした」
C.C.「何って、それはお前……うう、アレだ、アレ」
ルル「ん? アレとはなんだ、具体的に言え」
C.C.「そこだけ昼間と同じやりとりをしなくてもいい!」
ルル「昼に?」
C.C.「そうだ」
ルル「ああ、そういえばそんな話もしたな。だからこの間のイベントの時の話だろ? まったく、久しぶりに集まったとはいえ主催者がスザクと楽耶だとはな。
あの二人じゃうまくいくはずがないことくらい、誰にだってわかる。お前だって招待状を見ながら言っていただろ。
だからお前が寝てる間に計画を練り準備を済ませ、作業員や係員にギアスを使っておいた。
バレないよう手を回すだけでも大変だったのにあの馬鹿、開始早々ミスるとは……なぜこの俺がわざわざ着ぐるみを着てまで場を回さなければいけないんだ」
C.C.「ちょ、ちょっと待て、何の話をしている」
ルル「何って、だから先日のイベントの話だが。違うのか?」
ルル「撮影? ああ、そういえばなんだったかロボットアニメの主人公が持っている能力みたいな名前の雑誌から写真撮影の依頼が来たな」
C.C.「そう、そうだそれだ。あの時お前、私にこう……回しただろう! 手を!! 回してないとは言わせんぞ」
ルル「あ、ああ。そういえばそうだったか」
C.C.「そうだ、打ち合わせやリハの段階ではそんな予定なかっただろう。なぜあんなことをした?」
ルル「と言われてもな……あの時はああしたほうがより自然だと思っただけだ」
(今、こいつ、なんて言った?)
ルル「それに対してお前が俺の腕を軽く掴んできただろ? おかげでいい画が撮れたと撮影スタッフが喜んでいたぞ」
C.C.「は、はは、あははは……そうか、いい画が……」
ルル「お前もそれをわかっていて動いてくれたと思ったんだが……違ったのか?」
ルル「おい、なぜまた急に不機嫌になる」
C.C.「うっさいルルーシュのばーかばーかあほーへたれー」
ルル「貴様……」
C.C.「……」
(私が勝手に勘違いして、期待して、一喜一憂して……馬鹿みたいじゃないか)
ルル「……」
C.C.「……」
C.C.「入ってくるな」
ルル「……」
C.C.「……」
ルル「……」
C.C.「……」
ルル「……したくないわけじゃない」
アニメージュだったわすまん
ルル「……」
C.C.「……エロガキ」
ルル「ガ……子供なのはどっちだ」
C.C.「……」
ルル「……服」
C.C.「!……」
C.C.「……」
ルル「髪も、なんだ、サラサラのストレートも嫌いじゃない。き、綺麗だ……と思っている」
C.C.「……ふん」
C.C.「へたれ」
ルル「ぐっ」
C.C.「しかもマゾときた」
ルル「……」
C.C.「ぷっ……やれやれ、私の共犯者は仕方がないな」
ルル「それはお互い様だろう」
C.C.「そうか?」
ルル「そうだ」
C.C.「そうか、そうだったな」
C.C.「……」
ルル「……いつからだったか」
C.C.「なにがだ」
ルル「男は床で寝ろと言われなくなったのはいつからだったかと思い出していた」
ルル「それは困るな」
C.C.「困るのか」
ルル「ああ」
C.C.「そうか」
ルル「ああ」
C.C.「……ルルーシュ、お前、私のことをどう思っている? こ、答え次第では、その、久しぶりに……」
C.C.「おい、そういうことじゃない。この状況でそれは巫山戯てるのか」
ルル「NEETでピザばかり食って、人をからかうのが趣味で」
C.C.「……」
ルル「寂しがり屋で、おせっかいで、人一倍他人を気にしていて」
ルル「……」
ルル「大嫌いな女だ」
C.C.「ふっ、この嘘つきめ」
ルル「ああ、俺は……嘘つきだからな」
fin.
それを了承した上でも、してなくても、最後まで読んでくれてありがとう!
以下ギアススレとしてでも、ギアスSSスレとしてでも、好きなように使ってもいいし、落としてくれてもいいんだぜ
そんでもって誰かはよ、続きエロはよ!別でもいい風邪ひく
~ after ~
C.C.「ん……な、なあルルーシュ……」
ルル「ん? なんだC.C.」
C.C.「っ……お前」
ルル「おい、それはどういうことだ」
C.C.「だってお前、さっきからずっと私の胸ばかり触っているじゃないか」
ルル「それの何が悪い」
C.C.「いや、お前はいいかもしれんが私は……というか、一般的に女は胸ではあまり感じないんだよ」
ルル「なん……だと……!?」
ほれこっから続けろ
ルル「そうだったのか……まあどちらも知っていたがな」
C.C.「んぁっ!こ、こらルルーシュ、いきなり強くするな。少し痛い……んっ……」
ルル「すまん、お前の反応を今か今かと期待している奴らがいてな」
C.C.「? 何の話をしているんだ?」
C.C.「なんだ?」
ルル「俺は乳フェチではない」
C.C.「嘘だな」
C.C.「お前はマザコンだからな。いいんだぞ? 私の胸でよければ存分に甘えても」
ルル「お前……いつかコロス」
C.C.「やってみろ、お前が生きている限り、私も死ぬ気はないがな」
ルル「くっ……」
C.C.「諦めろ。何時の時代もこと性行為において男は女に勝てないんだよ」
おいちゃん疲れたよ……このテンションでここからエロ書くのはきついよ
C.C.「ないな」
ルル「いいや、例えば……>>135だったらどうだ? もし>>135がエッチをしたら……」
C.C.「ふむ、それは面白そうだな」
ルル「それは……俺は知らん。文句は集合無意識にでも言ってくれ」
C.C.「神様が決めたことだとでも言うのか……まあいい。うーん、まずあいつは処女なのか?」
ルル「そこからか。研究一筋で男がいなさそうというのはわかるが、それでは話が進まんだろう」
C.C.「しかしだな、相手が想像できなければどうにも予想しづらい」
ラクシャータ選んだ奴マジ出てこい
ごめんなさい
これなら考えることも出来るだろう」
C.C.「ありきたりな組み合わせというかなんというか……まあ仕方ないか。ラクシャータとロイドだったら……そうだな……」
―以下C.C.の妄想―
ラクシャータ「あっはぁ! ロイド! もっと頑張りな、休んでんじゃないよ!」
ロイド「くっ……ひ、酷いよラクシャータ……こんな……ううっ……」
ラクシャータ「お前から言い出したんだろぅ? んっ……次の実験、どちらがよりよい結果を出すかで競うって」
ロイド「そ、そうは……言ったけどさ~……はぁ、はぁ……こんな罰ゲーム……」
ラクシャータ「ふっ、あっ…ま…まだイクんじゃないよ……アタシが良いって言うまでは出させてあげないんだから……ねっ!」
ロイド「ら、ラクシャータ……? キミ、なにをっ!?そ、そこ……そこはらめぇぇぇええ!!」
ラクシャータ「思った通り……ロイドってば後ろの穴を責められて射すどころか更に大きくするなんて、んっ、あっあっ、あはっ、最…高っ!」
ラクシャータ「それにほら……こんな、ことも……やだっこれ、アタシもいいかも……ほらどう? 騎乗位からの……可翔式ィっ!」
―以上C.C.の妄想―
ルル「ちょっと待てェい!」
ルル「おい、なんだ可翔式って」
C.C.「さぁな。ただなんとなくあいつならやりそうかなと思っただけだ。アクロバティックなんだろ、きっと」
ルル「適当過ぎるだろう……」
ルル「あれだけ特殊空間を炸裂させておいてなんだ、今更だがロイドが悲惨だったぞ……」
C.C.「なんでお前は妄想しないんだ、私だけなんてずるいじゃないか」
ルル「止める間もなくお前が暴走してたんだがな……しかしなんだかんだ言ってラクシャータに関しては俺も概ね同意せざるをえない」
C.C.「だろう?」
ルル「あの変人がまともな行為に及ぶはずがないからな……」
C.C.「お前も十分酷いこと言っているぞ、ルルーシュ」
C.C.「ああ、そんな理由もあったな」
ルル「お前……忘れるの早すぎるだろ」
C.C.「う、うるさい! そうだな、えーと……決めたぞ、>>155だ。さあ、>>155がお前の脳内でどんなふうに犯され穢されるのか教えろ」
ルル「……屑だな、なんで俺はこんなやつ……ええい、>>155だな?」
C.C.「そうだ」
ルル「……これは他の女の想像をするんじゃなかったのか? で、それがしっくりくればお前の先の言い分が違うという証明になると、そういう」
C.C.「そうだ」
ルル「…………スザクは男だぞ」
C.C.「そうだったか?」
C.C.「私が指定してもいいと言ったのはお前だ」
ルル「ぐっ……」
(そ、それはつまりスザクの……親友のそういうシーンを想像しろと、そういうことか……っ!)
C.C.「どうした、さあ早くお前の中のスザクの姿を私に聞かせてくれ」
ルル「お前、勝たせる気がないだろ」
C.C.「ふふ」
ルル「くそっ……! 」
(スザクの相手となるとユフィ……いやダメだ!彼女は俺が……それにユフィは俺にとっても……っ)
C.C.「んー、そうだな……相手がお前かシャルルなら認める。それ以上はダメだ」
ルル「鬼か! お前は鬼だ、いや悪魔だ!!」
C.C.「何を言っている? 魔女に決まっているだろう、あはははは!」
それだけは許さん! 例え俺の想像の中だろうと許さんぞ! スザク!)
C.C.(くっ、あ、あはははは! ダメだ、腹がよじれそうだ! あいつ本気で悩んでるぞ、こんな時まで真面目君だとはな)
ルル(シュナイゼルとのチェスよりも頭を使うとは……C.C.め。……待て、そうだ楽――!
……楽耶は……なんというか、見た目的な意味で想像しちゃダメじゃないか……? というかC.C.がなんて言ってくるか想像がつくからな、却下だ)
(すまん、二人とも)
C.C.「ほう、カレンか。てっきりセシルを選ぶかと思ったが、集合無意識に反するとは流石だな、お前のギアスは。まあいいんじゃないか?」
ルル「意外だな、てっきりあの二人は無いだろうと言われると思ったが」
ルル「何だ、その目は」
C.C.「カレンといえばあの胸だ。乳だ。おっぱいだ。お前が今までどんな目でカレンを見ていたかがこれでわかるからな」
ルル「……全力で黙秘する」
C.C.「答えているも同じだ馬鹿もの。ほら、早く話せ」
―以下ルルーシュの妄想―
スザク「カレン、本当にいいのか?」
カレン「うるさいわね!……男だったら、ここまできたら覚悟、決めなさいよ」
スザク「……わかった」
スザク「そ、そうなのか? 昔ルルーシュとお風呂に入ったときには、ルルーシュより少しだけ大きかったけど……普通じゃないかな」
『ぶはっ』
ルル「……黙って聞け」
C.C.「だ、だっておま、お前……くくくっ……そんな、妄想にまで馬鹿正直に反映しなくても……くっ、だめだまたおなかが……」
ルル「む、昔のことだ! 今は関係ない!」
C.C.「そ、そう……くひっ……だな……成長したものな?
それに……大きさよりも相性だからな……ぷはっ!あ、あはははははははは!ひーっひひひ……」
ルル「死ねっ!……続けるぞ」
スザク「ここかな……いくよカレン。力は抜いておいたほうがいいらしい」
カレン「わ、わかってるわよそれくらい! 変なところだけ優しい顔しないでよっ」
スザク「……」
カレン「あ、え……? ちょ、ちょっとスザク……?」
スザク「……くっ」
カレン「ふ……んん……や、やだ…入って……ひっ……」
スザク「ごめんカレン……今の君を見てると……止まれそうに、ない……っ」
カレン「ばっ……ぁ……は……馬鹿……最っっっ低……」
スザク「はあ……は、あ……カレン……カレン……」
カレン「や、今そこっ……胸、触らないで……うあっ……」
スザク「でも痛いのは嫌なんだろ……だからこうして……」
カレン「いッ―― か、変わんない、変わんない……から……はっ、ふっ、んっ……ふぁ」
カレン「!?」
スザク「そんな風には見えなかったけど? 中のほうも……」
カレン「本当にんっ、違うから……や、また胸……だめ、や、め……んうぅっ!」
スザク「はっ、はっ……ふぅ……カレンの、あの時に島で見てから思ってた……ユフィより、大きいなって」
カレン「こ、こんな時に、そういうこ、こと、言う?……あっあっ、んっ……ンふ……」
スザク「でも君はそれが感じるんだろ?……こんな風に、少し乱暴に……強引、にっ……されたほうが……」
スザク「この胸で、何人も誘惑してきたんだろ……? ゼロ……ルルーシュも、ブリタニア兵も、貴族どもも」
カレン「しっ、してないっ、そ……んあっ…そんなこと……もう、んっあっあっあい、言わ、なッ!?……はぁ、はぁ…いで……」
スザク「……そろそろ射すよ」
カレン「えっ、あっ……んはっ……い、一応、外に……ね? た、頼むよ、スザク……」
スザク「はっ、ふっ……くっ……ああ……残念だよ、カレン」
カレン「んっんっあっやっぁ……ふぁっ……え……?スザ、ク……なん」 ドクッ
―以上ルルーシュの妄想―
C.C.「しゅ、終了! しゅーりょー!」
ルル「……」
ルル「……」
C.C.「ま、まあ、その、なんだすごいな! いやーすごかった……うん」
ルル「……これでお前の言い分が全てではないということがわかったか」
ルル「いや普段から苛めているだろう」
C.C.「そういうことじゃない! んんっ! ……しかしお前、やっぱりムッツリだな」
ルル「……誰だそんなことを言ったのは」
C.C.「ナナリーだ」
ルル「ほぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!?」
ルル「ナナリーが……馬鹿な……ありえない……ナナリー……嫌われた……? い、」
ルル「嫌だぁぁーーーーーー!!! ナーナルィィィィイ! 俺は、俺は愛してるぞー!! ――痛ぅ!?」
C.C.「喚くな! あと巻き舌はやめろ!」
C.C.「落ち着いたか」
ルル「ああ……もう大丈夫だ……」
C.C.「そうは見えんから聞いている……まあいい、今回は流石に私が言い過ぎたな。男が女に勝るときもあると認めようじゃないか」
C.C.「……あれはどちらかというと女が意図的に望んだ特殊なパターンだとも思うがな」
ルル「見苦しいぞ」
C.C.「復活するタイミングがおかしくないか? むう……それはそうとだ、ルルーシュ」
C.C.「んふふっ」
ルル「痛ッ! おい馬鹿っ、いきなり何を――」
C.C.「……」
ルル「……な、なんでこんなことをするんだC.C.。痛っ! ……し、C.C.様」
C.C.「行為の最中に他の女の話をするなんてな。ましてやその女の乱れた姿を想像するとは……お前の妄想の中のスザクと同じだ、最低だな」
ルル「なっ!? 巫山戯るな誰が……!? お、同じだな、ああ同じだ」
C.C.「お前が常日頃どうしたいと思っているかはさっきの妄想でよーーくわかった。
まさか私ではなくカレンが希望だとは思わなかったがな」
C.C.「何か言ったか? なぁ、ルルーシュ」
ルル「いいや!? 何も! 何も言っていない! 本当だ!」
C.C.「そうか、残念だ」
ルル「ほっ。というかだな……お前だって人のこと言えるのか?」
ルル「お前だってノリノリだったじゃないか、むしろ俺よりも想像力豊かだったぞ。流石は経験豊富な魔女様だ、どんな相手とやってきたんだ?」
C.C.「……」
ルル「俺なんかでは過度なSMやア*ル攻め、可翔式なんてアブノーマルなプレイは想像出来ない、常識の範囲外だからナァ――!?
C.C.「ふシャーッ……ふんっ!」
ルル「いッ――痛……おおお、お前今のは本気だっただろ……使い物にならなくなったらどうしてくれる」
C.C.「行為の最中に……昔のことを言う奴はもっと、もっと最低だ」
C.C.「ばかルルーシュ、あほルルーシュ、お前なんか死んでしまえ」
ルル「……」
C.C.「……」
ルル「……すまん、俺が悪かった」
C.C.「ほんとうだ……ばか、死ね」
C.C.「プイッ」
ルル「どうしたら許してくれる」
C.C.「……なんでもするか?」
ルル「ああ、なんでもいいぞ。だが死ぬ以外で頼む」
C.C.「……」
C.C.「……そうだな」
C.C.「責任をとって、さっきのどちらの妄想とも違う、他の誰に対しても思い描かない、他の誰に対してもしない程に」
C.C.「これ以上ないってくらい優しく、シろ」
fin.
……
…もう無理だあああああああああいやああああああああああ
こんなgdgdでエロくもなんともないエロSSを最後まで御覧下さりありがとうございます
正直書くの遅いし面白くもなんともないのはわかってた、しかもラクシャータ×ロイドにスザク×カレンとか……
このSSはなんでもありの二次創作です。各部分の矛盾点はご容赦ください、なにせこのスレがSS初書きなんです
それではお疲れ様でした!ほら次はお前らの番だギアスSSを書く作業に入れ
とりあえず乙
だがまだ書けるだろ?
馬鹿なの?死ぬの?鬼なの?悪魔なの?お前らC.C.なの?魔女なの?それとも俺に絶対遵守のギアスでも使う気なの?
Entry ⇒ 2012.01.13 | Category ⇒ コードギアスSS | Comments (0) | Trackbacks (0)
結衣「京子の部屋で京子作のエロ漫画みつけた」
http://hayabusa.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1326210774/
結衣「週末だし、久しぶりにナモクエやりたくなってきたなぁ……」
結衣「でも京子に貸しちゃってるし」
結衣「まあ良いや、返して貰いに行くか」
結衣「そのまま京子の家で遊んでもいいし」
結衣「しかし、京子ん家に行くのも久しぶりだな……」
京母「はーい」
結衣「こんにちは」
京母「あら、結衣ちゃん、お久しぶりね」
結衣「お久しぶりです。京子居ますか?」
京母「今ちょっと出てるみたい。たぶんすぐに帰ってくるけど」
結衣「あーそうですか……」
京母「京子の部屋で待っとく?」
結衣「じゃあ、そうします」
京母「はい、じゃあジュースとお菓子はここに置いておくわね」
結衣「ありがとうございます」
京母「じゃあまた用があったら呼んで」
結衣「はーい……」
バタン
結衣「……」
結衣「京子の部屋に来たのもいつぶりだろう」
結衣「京子って意外と几帳面だから、部屋は綺麗なんだよなぁ」
結衣「机の上は汚いけど……」
結衣「暇だし、ちょっと整理しといてやるか」
結衣「ん、これ京子の同人漫画か」
結衣「そういえば締め切り近いって言ってたな……」
結衣「枚数がやけに多い……」
結衣「今回出すのは、どんな漫画なのかなっと……」ペラッ
結衣「ミラクルンじゃないのか……」
結衣「恋愛物……えっ?」
結衣「なんだこれ……」
京母「あら、おかえり。結衣ちゃん来てるわよ」
京子「えっ、結衣が? 何処に?」
京母「あんたの部屋で待ってるわよ。早く行ってあげなさい」
京子「えっ……え? 結衣が? 私の部屋で?」
京母「そうよ。どうしたの、そんな慌てた顔して」
京子「えっ? 結衣が? え? 何で勝手に部屋に入れてるの?」
京母「別に良いじゃない。何か困ったことでもあるの?」
京子「か、母さんの馬鹿!」ダッ
京母「なによ、そんな怒らなくても……」
京母「エロ本でも隠してたのかしら……」
京子「結衣!」バタン
結衣「ああ、京子。おかえり。何処にいってたの?」
京子「コンビニだけど……」
結衣「そうか。実はナモクエ返してもらおうと思って来たんだけど」
京子「ナモクエ? ああ、それは返すけど……」
結衣「まあまあとりあえず座ってお茶のみなよ。顔赤いぞ」
京子「あっ、うん、どうも」
京子「ねえ、まあお茶は美味しんだけどさ」
結衣「ん?」
京子「なんか変なもの見なかった?」
京子「う、うん。いや、何も見てないならそれで良いんだけど」
結衣「あそこで腐りかけてる蜜柑とか?」
京子「あ、あーうん、あれね。捨てる捨てる」
結衣「じゃあ、あの変なぬいぐるみとか」
京子「あ、あークラゲ人形ね。ゲーセンで取っちゃってさー……」
結衣「机の上に放置されてた京子作の漫画とか」
京子「……」
結衣「……」
結衣「何を?」
京子「漫画……」
結衣「どの漫画?」
京子「いや、だから、その……」
結衣「もしかして、歳納京子ってキャラが主人公で船見結衣ってキャラがヒロインの京子作の漫画?」
京子「……」
結衣「登場キャラの歳納京子と船見結衣が互いに想いあっているにも関わらず同性の壁や幼馴染という微妙な距離感に悩み、擦れ違いを続けながら」
京子「はい、それです……」
結衣「……」
京子「……」
京子「……」
結衣「ねえ、あの漫画なんなの?」
京子「えっ……それは、その……」
結衣「なんかすごい長かったけど。製本したら三冊分くらいにはなるんじゃない?」
京子「うん、まあ、そうかも……」
結衣「京子ってそういう趣味あったの?」
京子「ち、違う!」
結衣「じゃああれは何なわけ?」
京子「あ、あれは……」
結衣「え?」
京子「ほら、前に紙芝居かいたじゃん! 私と結衣の恋物語を冗談でさ!」
京子「あれを今度は漫画でやろうと思っただけだから!」
結衣「ふーん、ドッキリねぇ……」
京子「そ、そうそう。ちぇー……せっかく皆の反応を楽しみにしてたのに結衣に見られちゃったよー」
結衣「ふーん……」
京子「うん、まあ、うん……」
結衣「……」
京子「……」
結衣「京子はさ」
京子「ん?」
結衣「皆に見せる漫画で、私と京子の……その、エロシーンを描くんだな」
京子「」
結衣「そこまでって?」
京子「いや、だって、その……そ、そういうシーンはかなり後半にあるっていうか……」
結衣「一通り目を通したよ。ざっくりとだけど」
京子「」
結衣「濃厚なキスシーンでも驚いたのに、そのあと普通に、その……エッチしだして尚更びっくりしたんだけど」
京子「」
結衣「めちゃくちゃ絵が本気だし」
京子「」
結衣「なんか焦らしたりしてるし。Sだよ。この漫画の中の私ドSだよ」
京子「えっ……結衣ってSじゃないの?」
結衣「……いや、まあどちらかというと、Sだけど」
京子「……」
結衣「……」
京子「……」
結衣「京子はドッキリ用の漫画に自分のエッチなシーンを描くのか?」
結衣「皆に見せるものに全裸の姿とか喘ぐ姿を描かれるこっちの身にもなってほしいんだけど」
結衣「もし本当にドッキリ用に描いたものなら普通に怒るよ」
京子「いや……あの……」
結衣「ん、なに?」
京子「いや、その……」
京子「ほ、本当はドッキリ用じゃないです……」
結衣「……」
京子「……」
結衣「売る気、だったのか?」
京子「えっ?」
結衣「絵にもあんなに力入れてるし、枚数も多いし」
結衣「販売するつもりだったんじゃないだろうな?」
京子「違う!」
京子「結衣の裸も描いてあるのにそんなことしない!」
結衣「そ、そう……」
結衣「じゃあ結局何なんだ、あれは」
京子「……」
結衣「……」
京子「……」
結衣「だんまりか……」
結衣「……」
京子「……」
京子「あの、さ……」
結衣「ん?」
京子「もう許して、ほしいんだけど……」
結衣「はっ?」
京子「い、いやあのさ。私が悪いのは分かってるよ?」
京子「ごめんね、結衣。勝手に裸とか、その……エッチなシーンとか描いちゃってさ……」
京子「気持ち悪いよね……」
京子「もうこの漫画も全部捨てるから。それでもう結衣の裸とか描いたりしないから」
京子「だから、もうこのことは忘れてよ……お願い……」
結衣「……」
京子「……」
結衣「ちょっと何を言ってるのか分かんないんだけど」
京子「」
結衣「いやだから、謝るとかそういう話じゃないって」
結衣「別に気持ち悪いとも思ってないし……」
結衣「なんでそんなもの描いたのかって訊いてるの」
京子「……」
結衣「まただんまりか……」
京子「……」
結衣「……」
結衣「……今ふと思いついたんだけど」
結衣「もしかして、他にもこれと同じような漫画描いてるんじゃないか?」
京子「!」
京子「ほら、それ一つでめちゃくちゃ枚数あるじゃん!」アセアセ
京子「それだけだって!」
結衣「京子」
京子「はい……」
結衣「私が京子の嘘を見抜けないとでも思ってるの?」
京子「」
結衣「汗もだらだら出てるし」
京子「そ、そんなの恥ずかしいからに決まってるじゃん!」
京子「こんなの描いてるってバレてさ……」
京子「嘘なんかついてないし!」
結衣「京子」
京子「は、はい」
結衣「ほんとのこと言わないならさ」
結衣「この漫画のこと、みんなにバラすよ」ニッコリ
京子「」
結衣「うわっ……同人本何冊分だこれ……」
京子「わ、わかんない……」
結衣「これで全部?」
京子「うん……」
結衣「そっか……」ペラッ
京子「ちょっ!」
結衣「ん、なに?」
京子「よ、読むの?」
結衣「そりゃ読むけど」
京子「結衣、駄目だって……お願いだからさ……」
結衣「知らん」
京子「」
京子「……」
結衣「……」ペラッ
京子「……」
京子「お、終わった?」
結衣「まあザックリだけど」
京子「そ、そっか……」
結衣「……」
京子「……」
結衣「あのさ、今さらだけど」
京子「な、なに……」
結衣「これ、全部私と京子の恋愛話じゃん」
京子「……」
京子「……」
結衣「話を戻すけどさ」
結衣「何でこんなもの描いたんだ? 何で全部私と京子なんだ?」
京子「……」
結衣「で、この質問には答えてくれないと……」
京子「……」
結衣「……」
京子「……」
結衣「仕方ない、朗読でもするか」ペラッ
京子「えっ……?」
結衣「……『結衣、今頃なにしてるんだろう』」ボソッ
京子「!」
結衣「『早く会いたいな……早く明日になれば良いのに……』」
京子「ちょ、ちょっと!」
京子「……」
結衣「『でも同姓だから、何度も何度も諦めようと思って……』」
結衣「『それでもやっぱり離れられなくて……』」
結衣「『どうしたらいいんだろう……』」
結衣「『結衣……結衣……んっ……』」
京子「……」
結衣「……」
京子「うっ……うぇぇ……」
結衣「!?」
京子「う、うぅぅぅ……うぇぇぇっぇぇえん……」
そりゃ泣くわw
京子「だってっ、ゆっ、いがっ」ポロポロ
京子「ゆっい、がっ、いじめるっん、だっ、もんっ……」ヒック
結衣「ご、ごめん。謝るからさ、泣きやんでよ……」
京子「ゆっ、い、のばっかっ……うぇぇっぇぇ」
結衣「ごめん……ごめんな……」ナデナデ
京子「うっぇぇぇぇっん……」
………………
…………
……
京子「うん……もう大丈夫……」
結衣「ごめん、ちょっとからかいすぎた」
京子「いいよ……元はと言えば私があんなの描いたのがいけないんだし……」
結衣「……」ナデナデ
京子「……結衣に膝枕してもらったのも久しぶりだなー」
結衣「そうだっけ?」
京子「私が泣き虫だった頃はよくこうやって宥めてくれたじゃん」
結衣「そうだったかなぁ……」
京子「……私さ」
京子「あの頃からずっと結衣のことが好きだったんだよねー」
結衣「……」
京子「だから、告白とかするわけにも、付き合うわけにもいかないからさ」
京子「ああやって漫画にして、一人で楽しんでたんだよね」
結衣「だから、あんなに……」
京子「気持ち悪いでしょ?」
結衣「そんなこと、ない」
京子「またまたー」
結衣「そんなことないって」
京子「……優しいなぁ私の結衣にゃんは。ドSだけど」
結衣「……」
京子「……」
結衣「えっ?」
京子「いやーだってさ、結衣本人に見られちゃったし」
京子「それに、そろそろ諦めつけなきゃって思ってたところなんだよね」
京子「成就するわけないのに、いつまでも引きずってたら良くないしさ……」
京子「それに、あれのせいで同人誌の方の進みが遅くなったりもしたし!」
京子「だからもう、あの漫画を描くのは止めるよ」
結衣「……」
結衣「……なに?」
京子「ごめんね……こんなの見せちゃってさ……ガッカリしたでしょ……」
結衣「……」
京子「でもさ、私にとって結衣はやっぱり大切な人なんだよね……」
京子「両想いになれないって分かっててもさ……そんなこと抜きにしても……」
京子「だからさ、これからも変わらずに友達で」
結衣「嫌だ」
京子「えっ?」
結衣「嫌だ!」
チュッ
チュッ
京子「ちょ、ちょっと」
チュッ
京子「結衣、タンマ!」
チュッ
京子「結衣!」グイッ
チュッ
………………
…………
……
京子「な、何十回もキスされた……」
結衣「……」ハァハァ
京子「な、なんで……」カァァ
結衣「……」
結衣「勝手に片思いだ、なんて決めつけるなよ」
結衣「私もずっとずっと京子のことが好きだったのに……」
京子「う、うそ……」
結衣「嘘じゃないよ」
京子「だって、あんなに意地悪して……」
結衣「顔を真っ赤にしてる京子が可愛かったからな」
京子「……ほんとにほんと?」
結衣「ほんとにほんと」
京子「……」
結衣「……」
結衣「!」
京子「結衣ぃ……ゆいぃ……」ポロポロ
結衣「こらこら、さっき泣いたばかりだろ……」ナデナデ
京子「だ、だって……嬉しくて……うぅっ……」
結衣「忙しい奴だな、お前は」
京子「結衣ぃ……愛してるよ……」
結衣「ああ、私も愛してるよ……」
………………
…………
……
茶道部室
京子「めでたし、めでたし!」
ちなつ「」ギリギリッ
あかり「ちなつちゃんが凄い形相をしてる……」
結衣「……」カァァ
ちなつ「百回くらい拳を叩き込みたくなりましたよ!」
京子「えーなんだよ、せっかく力入れて描いてきたのにさぁ……」
ちなつ「いくら絵が綺麗でも、こんな妄想見せつけられても困りますよ!」
京子「え? これ妄想じゃないよ? ね、結衣」
結衣「ん、まあ、うん」
あかり「えっ?」
ちなつ「へっ?」
京子「というわけで」
京子「私と結衣は晴れて付き合うことになりました!」
ちなつ「えぇぇぇっぇええぇぇぇえ!? 実話!?」
あかり「ひょええっぇぇぇぇぇえ!」
おしまい
乙
大変よろしゅうございましたダバァ
Entry ⇒ 2012.01.13 | Category ⇒ ゆるゆりSS | Comments (0) | Trackbacks (0)
さやか「まどかちゃん」まどか「さやか」
http://hayabusa.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1326199493/
さやか「うん」
まどか「えへへ…さやかちゃんがあたしの真似するの下手だよお~」
さやか「あはは……つい本音が」
まどか「///」
さやか「///」
さやか「え?あ?あはは!かっこいいだなんて冗談」
まどか「本当だもん」ジー
さやか「え、あうん」
まどか「えへへ」ニター
さやか「は///恥ずかしいなやっぱこういうの///」
さやか「クールなほむら!」
さやか「かっこいい杏子!」
さやか「優しい先輩マミさん!」
まどか「さやかちゃんじゃなきゃ駄目なの」
さやか「あたしじゃなきゃ…」
まどか「だめ」
さやか「う…うれしいこといってくれ…」
まどか「だれにも渡さないよ」ギュッ
まどか「ほむらちゃんにも杏子ちゃんにもマミさんにも」
まどか「だから昔やってたみたいに……ね?」
まどか「しよ?」
さやか「…………」
さやか「うん………」
さやか「まどか……」
まどか「ん」ピタッ
さやか「ありゃ?」
さやか「ここまできてそれはないっしょ~」ポリポリ
まどか「ご……ごめんね?」シュン
さやか「あはは謝んない謝んない!」ナデナデ
まどか「ありがと…さやかちゃん!」ニコッ
さやか「うん………」
まどか「さやかちゃん?」
さやか「あたし怖いんだ」
さやか「まどかを失うのも自分が死ぬのも」
さやか「いつ来るか分かんないじゃん?」
さやか「魔法少女の仲間はいる」
さやか「そして戦い続けてる」
さやか「ほむらや杏子は……死んだ骨くらいは拾ってくれるかな?」
さやか「マミさんは泣いてくれるかな?」
さやか「それにもし…もしだよ?まどかを失ったら」
さやか「ほむらは泣いて杏子とマミさんも…」
さやか「あたしバカだからさ……」
まどか「あ」
まどか「いやだ」
まどか「やだよ」
さやか「ちょっと…冗談だって」
まどか「いやだよ!さやかちゃんがいなくなるなんて!」
まどか「あたしたちずっといっしょでしょ?嫁なんでしょ?だから」
さやか「まどか」ギュッ
まどか「あ……」
キュンキュンくる
さやか「落ち着け落ち着け!」
さやか「タフでバカなあたしはさ」
さやか「まどか姫直属の王子様ってね!」
さやか「うん?」
まどか「王子様なら…キスしてくれる?」
さやか「やっやっぱり恥ずかしいよ///」
まどか「んもう!真似しない……」
さやか「好き」チュッ
まどか「で………?」
これだけは世界が何周しても変わらない真理
まどか(変わらないさやかちゃんからのキス)
まどか(でも違う)
まどか(泣いてる)
さやか「泣くなまどか!」
まどか「ふぇ……だって」
さやか「いたいのいたいのとんでけ~」
まどか「また…それ?」
さやか「サービスでこれもつけちゃうぞ!」
チュッ
まどか「ふ…ぇ?///」
さやか「へへーん」ニッ
まどか(笑ってた)
まどか(でも今は)
さやか「なりたい……」ポロポロ
さやか「大好きなまどかを守れるように…強くなりたい……」ブルブル
何ゆえさやかは泣いておる
さやか「マミさんに叱られても!」
さやか「まどかを守れる自分になりたい……」ギュッ
さやか「なっなにを!アンタが言える事じゃ!」
まどか「スキあり!」カバッ
さやか「あうち!?」
まどか「今度はあたしから……いいよね?」
さやか「また途中で辞めないでよ~?」
さやか「ん……」ギュッ
まどか「んむ…んん」
さやか(まどかの舌が…ん…あったかいよ)
さやか「はあ…はあ…まどかどこでそんなテクを」
まどか「さやかちゃんの為に覚えてきたんだ♪」
さやか「はは……こりゃまいったわ」
さやか「まどかぁ?」
まどか「二人で一緒にすればきっと気持ちいいよ?」
さやか「あははは……」ポリポリ
まどか「じゃあ……さやかちゃんにだけ……特別だよ?」シュルリ
まどか「えへ♪」スルスル
さやか「ちょ…アンタ露出しすぎ!」
まどか「ブラはさやかちゃんに取ってほしいなぁ…」
さやか「んな!?」
まどか「お ね が い」ギュッ
さやか「………」
さやか(ま…まどかの胸って結構膨らんでんだ…あはは)
まどか「じゃあ…しよ?」
さやか「はあぁぁぁぁもう!まどかはエロいな!」
まどか「さやかちゃん限定だよ♪」チュッ
さやか(んむ……舌を入れて絡み合えば……)
まどか(さやかちゃんと繋がってる嬉しい………)ギュッ
さやか(そんな強く抱きしめたら……んむ)
さやか(やっぱまどかには敵わないや…)
まどか「美味しかったさやかちゃん♪」
さやか「実を言うとあたしも」
まどか「てぃひひ」
さやか「ぷっ…あっははは!」
さやか「寒い?」
まどか「えへへ…服……着てこないと」
ファサッ
まどか「えっ?」
さやか「まどかはあたしが温めてあげる……」
さやか「ずっと……」
まどか「さやかちゃん…」
まどか「今日はありがとね?さやかちゃんの家に押しかたのに」
さやか「いや~親がいないからタイミングがよかったよかった!」
さやか「ささっ!もう寝よう!おやすみ!」
まどか「うんおやすみ」チュッ
さやか「ん……おやすみ」
さやか「おはよう!まどか」
まどか「おはようさやかちゃん」
さやか「いや~朝っぱらから電話着てさ~魔女退治だってさ」
まどか「!?」ビクン
さやか「まどか姫は美樹城で王子の帰りを待ってなさいってか!」
さやか「さやかいっきまー……」ガシッ
まどか「いかないで」
さやか「あれ?」
さやか「まどか……」
さやか「魔女を倒す事がアンタを守ることにつながる……」
さやか「だとしたらあたしは嬉しいんだ」
さやか「帰ってくる……必ず」
さやか「だからさ!」バッ
まどか「さや………!」
さやか「ベロチューの舌でも磨いておきなさいってね!」
さやか(あたしが帰ってくるまで)
まどか「か………ちゃん……」
でもさやかちゃんは傷だらけで笑ってる姿もまた少年漫画みたいでまた似合う不思議
まどか「信じるよ……」
まどか「さやかちゃんは強い女の子だもん」
まどか「さやか」ボソボソ
まどか「ちゃん」ボソボソ
まどか「美樹さやかちゃん」ボソボソ
まどか「あたしの王子様」ボソボソ
まどか「うん」
まどか「あたしがまもる」
まどか「どこなの………さやかちゃん」
まどか「あ………」
ほむら「っ………」
まどか「ほむらちゃん!」
ほむら「まどか……」
まどか「さやかちゃんは………」
ガンッ
ほむら「やりすぎよ……」
杏子「何とか言えよ……言えよ!」
まどか「さやか…ちゃん?」
マミ「鹿目さん………」
まどか(マミさんの腕の傷…?)
杏子「何が「王子様はささっと悪を倒して姫を迎えに行く」だぁ?」
杏子「そんな気持ちで使い魔の群れの中突っ込んで!」
杏子「前衛が疎かになって後衛のマミが…マミがなぁ!」
杏子「マミが許してもあたしが許さねえぞ……」
杏子「この仕事舐めてんじゃねえ……」
杏子「これは……マミの分だ!」クワッ
ほむら「こんのバカ!」カチャッ
さやか「あ………」
グサッ
マミ「そんな………」
杏子「人……殺し……あたしが……?」
さやか「うそ……」
まどか「まもる」ボタボタ
まどか「さやかちゃんを………」
まどか「あたしの…」
バタッ
こんなときこそさやかさんの癒しの魔法でなんとかしてくださいよおおおおお
バタッ
マミ「鹿目さん!佐倉さん!」
まどか「ごめんね…」
さやか「喋るな…何も喋んないで!」
まどか「さやかちゃんが傷つくの見てあたし耐えられなかったの……」
まどか「あたし自分勝手で」
さやか「もういい!もういい!」
ほむら「まどか!まどか!」
ほむら「うわぁぁぁぁぁ!」
さやか(あたしのせいだ)
さやか(好きだなんて守るだなんて)
さやか(何の意味もないただの言葉だ)
さやか(心地よく聞こえるだけの罠だ)
さやか(言葉だけじゃない)
さやか「ほむら」
ほむら「……何よ……何なのよ!」
さやか「魔力を使いすぎればソウルジェムは濁り魔女になる……だったよね?」
ほむら「アナタまさか……」
さやか「癒しの魔法……あたしの力」
さやか「旦那候補には三人いるぞ~?この幸せ者!」
さやか「だから頼むよ……」
まどか「」
さやか「元に戻ってくれ!」
ほむら「あなたってほんとバカ」スッ
ほむら「まどかの為に生きてる私がまどかの為に魔力をケチると思って?」
ほむら「さやかもまどかも生きなさい!」シュウウウ
さやか「ほむら……」
ほむら「でも駄目…あと少し……」
マミ「佐倉さん……」
杏子「あたしは馬鹿野郎だ!こんなのこんなのって!」
マミ「しっかりしなさい!あなたは私の最高の愛弟子よ!自信を持ちなさい!」
杏子「マミ………さん」グスッ
マミ「美樹さんと暁美さんを手伝うわよ」
マミ「魔力はケチらない!以上!」
杏子「………分かった!」
マミ「私の後輩がこんなんで死ぬはずないじゃない!だから!」
ほむら「くっ……限界……でも!まどかの為なら!」
さやか(違う)
さやか(言葉は大切だったんだ)
さやか(みんながまどかを助けたいと願うのは……きっと)
さやか(だから言うよ)
さやか「お願いだよまどか…」
さやか「生きて……!生きてあたしの……!」
さやか「嫁になるのだぁぁぁぁ!」
ピカァァァァ………
――――まどか?大丈夫?
――――後悔なんてあるわけない
――――ワルプルギスの夜なんて楽勝!なんつって………えへへ
まどか「あたしどこに……」
さやか「zzzzzz」
まどか「さやかちゃん!?」
さやか「ふあ~おはようまどか」
まどか「な…何で一緒のベットに///」
さやか「何故かって?ふふふそれは~」
さやか「あたしの嫁だからだ~!」
まどか「えへへ♪さやかちゃんの嫁だうれしい!」
マミ「一件落着ね」
杏子「まどかとさやかには後でジャンピング土下座だな…」トホホ
ほむら「罪を憎んで人を憎まず…便利な言葉ね」
杏子「フォローとして受け取っとくよ」
マミ「しばらく美樹さんの魔法少女としての仕事は新婚旅行でお休みね♪」
ほむら「行くアテはあるのかしら?」
杏子「あの二人ならどこへでも行けるさ」
ほむら「最高のバカップル」
杏子「最高に幸せなあの二人だもんな!」
さやか「まどか」
まどか「さやかちゃん」
まどか・さやか「大好き!」
まどさやEND
さやかちゃんとまどかちゃんには幸せでいてもらいたいです
よかった!
甘々かと思ったら熱々でもあったぜ!
Entry ⇒ 2012.01.13 | Category ⇒ まどかマギカSS | Comments (0) | Trackbacks (0)
魔王「勇者よ、お前はこの世界に疑問をもたないのか?」
勇者「何を語るかと思えば! ふざけるなよ魔王!」
魔王「まぁ、待て。一つ話しをしようじゃないか」
勇者「聞く耳もたん!」
魔王「まずそこだ。何故我々の言葉がわかる」
勇者「?」
魔王「いや、正確には何故我々は人間と同じ言葉を使うのか。何故意思疎通が可能なのか」
魔王「疑問に思わないか?」
勇者「魔物は違うだろう!」
魔王「ふむ、確かに。魔物は違う。しかし、どうだ。不思議に思わないか」
勇者「……?}
魔王「犬、ネコ、熊、虎、龍.......数え上げればきりが無い。どうしこうも人間の世界にある者と同じなのか」
勇者「龍は存在しない!」
魔王「しかし、伝承にある」
勇者「……それは魔物が先だったのだろう!」
魔王「いや、龍とは本来神聖な物の筈だ。どうして魔物となる」
勇者「貴様が悪意を持たせのだろう!」
勇者「なに! 逃げるのか!」
魔王「何故我々はこんなにも人と似ているのだろうか。この城にしてもそうだ、何故城など建てた?」
勇者「……貴様らが真似たのだ! 人は尊く、偉大だからな!」
魔王「ふむ……なるほど。城はそうだとしても姿形を変えたと言うのは通らんな」
魔王「そもそも私は生まれた時からこの形だ。長い時を経てこうなったのか? 違う! 父も、その父も、そのまた父も、文献によれば皆人型よ」
勇者「……」
魔王「さて、次だ。少し戻るが、何故城などがあるのだろう」
魔王「ふむ。そうだな、権威を振りかざしているのかもしれない」
魔王「しかし、妙なことに。貴様、何故この場所に居るとわかった?」
勇者「ここが王の間だということなど当たり前だ!」
魔王「そこだ! 何故ここも人間そっくりなのだろうか!」
魔王「そもそも何故こんな孤島に居城を建てたのか」
勇者「人の目に触れぬようにだろう! こそこそと影から卑怯め!」
魔王「魔物は強大だ。人間では歯がたたない。魔族となれば抵抗できるのは一握りだ」
魔王「そんな圧倒的差があるのに何故こんな所に? 大陸の真中でもいいではないか。私自身最強と自負している」
魔王「それも不思議だ! 何故毎度の如く貴様らの血縁なのだ!」
勇者「我々は選ばれた一族だ!」
魔王「そうだ! 神に! そしてここでもうひとつ疑問だ!」
魔王「何故貴様らは我が一族を根絶やしにしない?」
勇者「何を寝ぼけた事を。もちろん貴様はここで朽ち果てる運命よ!」
魔王「ふむ、ふむ……その後は?」
勇者「その後? 凱旋するだけだ!」
魔王「何故子孫が居ると疑わない? また争いの種が生まれるぞ?」
魔王「しかし私自身そうやって生かされまた立ちふさがった! ここで断ち切るべきではないか?」
勇者「……ならばやってやろうではないか!」
魔王「よし、分かった。さぁ、次だ。根絶やしにした後はどうする?」
勇者「同じ事を何度言わせるつもりだ! 国王陛下に報告なさるのだ!」
魔王「何故?」
勇者「そんなの諸悪の根源が消え去り、世界が平和になったからに決まっている!」
魔王「そこも疑問に思わないのか!」ガタンッ
勇者「」ビクッ
勇者「だ、代々魔王を討てば世界に光は取り戻す伝えられている!」
魔王「今までずーっとそうだったのか」
勇者「当たり前だ! 何をふざけた事を!」
魔王「魔物はどうした」
勇者「?」
魔王「今まで暴れていた魔物だ。まさか貴様一人で全部殺すという訳にも行くまい? そいつらはどうした」
魔王「今もこうして奴らは思い思いに暴れている。それが何故私が死ぬと同時に居なくなるのだ?」
勇者「……そんな事はどうでもいい! 貴様を倒せばそれでいいのだ!」
魔王「何故この私に逆らわない? どんなことをしても守る?」
勇者「だから貴様がそうしたのだろう!」
魔王「違う! それは違うぞ、父が殺された日。魔物は消えた。皆死んだと部下に伝えられた」
魔王「部下とはこの城に残った魔物たちだ。私は彼らに育てられた。そして私が王位についた」
魔王「するとどうだろう! 魔物が暴れているというではないか! 各地に兵を送り、次々と侵略していった!」
勇者「やはり貴様ではないか!」
魔王「いや、問題はそこではない。どこから奴らは出てきた? 潜んでいたのか? どうして私が魔王になったと知った?」
魔王「そもそも何故そんなに忠実な部下が私が死んだら引き下がるのか。普通は貴様らに仇討ちの為に襲い掛かるのではないか?」
魔王「何故私は魔王なのだろうか」
勇者「……はぁ?」
魔王「父が死んだことに対する怒りの念はない。ただ周りのものから魔王になれと言われてきた。私自身そうだと思っていた」
魔王「王座についた。何故人間を侵略していったのだろうか」
魔王「私はただ、人間を滅ばせねばならない。ただそう、思っている。何故だ? 分からない」
勇者「……気でも狂ったか」
魔王「お前だってそうだ! 何故貴様は勇者なのだ?」
勇者「勇者だからだ!」
勇者「……選ばれたものは我ら一族のみだ!」
魔王「仲間なしにか」
勇者「仲間は、いない」
魔王「何故だ?」
勇者「必要ないからだ。居ても足手纏いになる」
魔王「お前より強い剣士は居なかったのか」
勇者「居た……いたが、彼では魔王を倒せない! この選ばれた者のみが振るうことのできる聖なる剣がなければ貴様は斬れん!」
魔王「そもそもそれはなんなんだ?」
勇者「は?」
魔王「なんでそんなものが存在している」
魔王「いつから存在しているのだ」
勇者「先祖代代伝えられている……初代様からだろう!」
魔王「ふむ、文献によれば、初代勇者は神より授かった、と言われているが?」
勇者「そのとおりだ!」
魔王「お前たちはなんと伝えられている」
勇者「……」
魔王「私は父から聖なる剣の話を聞かされていた。もちろん、我々にとって恐ろしい武器だからな」
魔王「その父によれば世界を征服中、聖なる剣を持った勇者が突然現れたといわれている。どこで授かったのか。教えてくれ」
勇者「天からの啓示だ」
勇者「そうだ! 初代様はある日、天より啓示を受けたといわれている!」
魔王「なんと?」
勇者「夢枕に立った神が道を教えたのだ!」
勇者「その道の通り進むと岩に突き刺さった剣があった! それを抜いたものがこれだ!」ジャキン
魔王「ふむ……なるほど。岩に突き刺さっていた、か。どうして今までその場所が割れなかったのだろう」
勇者「深い洞窟の先にあったといわれている!」
魔王「と、言っても。魔物も居ただろう?」
勇者「いない! 聖なる剣によって守られていたのだ!」
魔王「では尚更不思議だ。何故そんな安全な場所なら、もっと話題になって良いはずだ。魔物が近寄らない洞窟がある、と」
勇者「……」
魔王「何故地元の人間は見つけなかったのだろうか。いや、旅人でもいいさ。誰でも良い」
勇者「……」
魔王「それに、何故我々魔王はいつも負けるのだろうか」
魔王「そもそもにして、勇者の一族。これを根絶やしにすればよい。魔王が生まれると同時に勇者も生まれる」
魔王「それまではただの人だ。赤子が生まれる前に片っ端から殺せばよい」
魔王「というより、何故魔王と勇者は同時期に存在するのか」
魔王「決して違える事の無い輪廻。突如現れた剣。繰り返される英雄譚……」
勇者「……」
魔王「勇者よ、お前はこの世界に疑問に思わないか?」
魔王「……」
勇者「人心を惑わす」シャッキン
勇者「しかし、俺も疑問を持った」
魔王「そうか! ありがたい! 部下に話しても、そういうものだとしか言われなかったからな!」
勇者「俺もだ。そういうものだと、思っていた」
魔王「部下は世界征服、ただ、それだけしか考えていない。魔物もそうだ。暴れることしか脳にない」
魔王「何故そんな者が存在するのか。どうやって繁殖したのか。これも疑問だ」
魔王「まるで、ただこの世界を脅かす為だけに存在しているようだと思わないか?」
勇者「俺はただ世界を救う為だけに、か」
勇者「その答えなど、どこにあるかもわからないんだぞ。あるいは……無いのかもしれん」
魔王「それはありえないな」
勇者「なぜだ」
魔王「そんものこの世には存在しない。この世に生きとし生けるもの、すべては己が種の繁栄が本能だ」
勇者「しかし現に魔物は存在しているぞ。貴様もだ」
魔王「……」
勇者「それ見たことか」
魔王「いや、我々がそうではない、と言うことはありえるな。しかし、だからと言って答えが無いはずは無い」
魔王「我々はそう、誰かに計画的に作られたのだとしたら?」
魔王「うむ。妙にお膳立てされていると思わないか」
勇者「……神か」
魔王「ああ、そもそも何故この世界において、神とは一つなのだろうか」
勇者「そういえば……確かにどこの国を回って信仰の対象は一つだったな……」
魔王「ここまで一神教が普及するというのもおかしいと思わないか? どこかに邪教が存在してもいいはずだ」
勇者「確かに……」
魔王「第一に、何世代我々は同じ事を繰り返している?」
勇者「?」
魔王「初代様とやらは何百年前だ」
勇者「……え、えーと、ち、ちょっと待て。確か……うん、ちょうど1000年前?」
魔王「ふむ。おかしいな、どうして我々は同じ事を繰り返しているのだろう。私たちのことではないぞ」
勇者「?」
魔王「この世界だ! まるで技術的革新がないではないか!」
魔王「明らかにおかしい。そう思わないか?」
勇者「そ、そういうものか。俺は難しい話はわからん……」
魔王「1000年前のお前らはなにやってた? 1000年後の今のお前らは? 全然違うだろう? そういうものだ」
魔王「乗れ」
勇者「お、おう」
龍「ォオオオオオオ!」ゴォオオオオ
魔王「……」
勇者「な、なぁ。魔王よ。どこへ向かってるんだ?」
魔王「聖地だ」
勇者「聖地……? ああ、神々の祠か。確かに。あそこは一つだけだな」
魔王「世界の真中、孤島に聳え立つ。怪しいにも程がある」
勇者「俺はそこで魔王の居場所を知るからなぁ……」
勇者「あれ? そういや、そうだなぁ」
魔王「何故伝えられん」
勇者「まぁ、目的はそれだけじゃない。あそこでレベルアップも兼ねるし」
魔王「ふむ……」
勇者「しかし、あそこには魔王は入れないんじゃないのか?」
魔王「ああ、多分な」
勇者「じゃあどうすんだよ!」
魔王「一旦、死ぬ」
勇者「は……?」
勇者「な、なに!? 貴様そんなものを!」
魔王「当たり前だ。私がただ座して死を待つとでも思うか! 貴様に斬られた後は部下にこれを使わせるつもりだった」
勇者「ふ、ふーむ……抜け目ない奴だな」
魔王「とは言っても試用したことはない。失敗だったら悲惨な目に合うな」
勇者「……」
魔王「仮に蘇生に復活しても、中で復活した場合どうなるかわからん。爆発するかもしれないし」
勇者「……嫌な役目だな」
魔王「我慢しろ」
龍「ォオオオ」ゴォォオオオオォォォ.........
魔王「ふむ。では、やってくれ」
勇者「ああ、それでは、覚悟ッ!」ジャキッ
魔王「ま、待て待て待て!!」 ヒョイッ ズドンッ
勇者「なんだ魔王! 貴様往生際の悪い!」
魔王「ね、念のためその剣で切るのはやめてくれないか」
勇者「何故だ。この聖剣でなければ魔王は倒せん」
魔王「確かに攻撃力、破壊力は凄まじいものだが……ほれ」ヒュッ
勇者「うん?」パシッ
勇者「……これで斬ろと?」
魔王「ああ。その聖剣とやらも臭うのでな」
勇者「しかし、こんな事聞いたことが無いぞ。聖剣でなければお前は倒せないだろう」
魔王「私の体力は確かに天の高さほどだ。その体力を削るにはその馬鹿みたいに強力な剣で泣ければ易々とは倒せん」
勇者「……つまりアレか。貴様が言いたいのは城門を向上平気で倒さず、木槌で壊せと」
魔王「うむ。概ねそのとおりだ」
勇者「……」
魔王「安心しろ。私は一切抵抗せん。ただ少々貴様が疲れる、と言うだけの話だ」
勇者「……わかった」
魔王「うむ、ご苦労」コキコキ
勇者「し、死ぬかと思った……」
魔王「はははは、笑える冗談だ。死んだのは私ではないか」
勇者「じ、冗談じゃない! ほんとに疲れたんだ!」
魔王「問題なく薬の効用も機能しているようだし、今のところ内部に居ても問題はない。いいからさっさと行くぞ」
勇者「ち、ちょっと休ませてくれ……」
魔王「誰かさんのお陰ですっかり日が暮れてしまっているんだ。それともなにか戦闘中に疲れたと言って休む奴がいるのか。ほら、行くぞ」
勇者「お、鬼め……生き返らさなきゃ良かった……」
勇者「はぁ、はぁ、なんだよ……」
魔王「あくまでこれは今のところだ。たまたま今回は想定外だったために処置がとられていないだけに過ぎない」
魔王「いつ気付かれるか分からん。気付かれたらどうなるかも分からん。急げ」
勇者「……分かったよ」
魔王「ふむ、素直でよろしい。とりあえずここまではすべて私の推測どおりだ。聖剣でなくても私が殺せる、と言う事は証明された」
勇者「ああ、そうだな。中々死なないから無理かと思ってたが……案外やってみるもんか」
魔王「これによって一つの仮説を立てた。何故わざわざ馬鹿みたいに体力がある魔王なのか。聖剣は何故それに対抗しうる力なのか」
魔王「おそらく聖剣にはなんらかの機能が施されているのだろう。故にそれ以外では倒されないように、私の能力を高め、それに応じ剣の威力も高めた」
魔王「まぁ、その機能というのはなんなのかは分からんがね……」
勇者「どうだろうか、と言われてもな。どうとも……まぁ、その機能ってのはよっぽど大事なもんなんだな」
魔王「一体どんな仕掛けがあるのか……謎だ」
勇者「んー、例えば……ほら。疑問に思わなくなる効果とかそうなんじゃないか?」
魔王「馬鹿な。そうなら私は疑問に思ってないだろう」
勇者「それもそうか」
魔王「まぁ、その考察は後でも良い。今は一刻も早くこの祠の謎を……おっと! 早くも見つかったな!」
勇者「本当か! どこだ?」
魔王「ここさ」
勇者「ここって、ただの像じゃねーか」
勇者「いやぁ……ないと思うがな」
魔王「おい、協力してこの像をどかすぞ」
勇者「どかす?」
魔王「ああ。確かこの像は神だそうだな」
勇者「そういわれているな。この地に神が降り立ち、我々に知恵とパンを授けた、と言われている」
魔王「故にこの地は聖地として崇められ祠となっているのだ。つまり、一度だけここに神は降り立った」
勇者「うん……それで? なんなんだ?」
魔王「なんの為かはわからんが、何かの用事で来たんだ。ここに。何かあるに決まっている」
勇者「……だからパンと知恵授けに来たんじゃ……まぁ、ないか?」
魔王「ふんっ……くくくく」グググググ
勇者「ぐぅぅわぁっ! 駄目だ! うごかねえ!」
魔王「ふぅ……疲れた。駄目だ、びくともしないな……」
勇者「あー、明日は筋肉痛酷いなこれ……」
魔王「ふむ、ふむ、ふむ……」
勇者「何やってんだよ。多分それ関係ないよ」
魔王「関係ない分けないだろう。動かないんだから。ところで、この像誰が建てたか知ってるか?」
勇者「いや。知らん。誰か土地の人間じゃねーのか」
魔王「そうか……ふーむ……」
勇者「……もういいだろ。他のところ探そうぜ、こんな所に時間かけても仕方ないし」
魔王「ブツブツ」
勇者「チッ。んじや俺一人で周ってくるよ」ヨット グイッ
カコン
勇者「んぁ? なんだ今の音」
ズゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ
勇者「ん、んぉっおっおっおわぁあああ!」ゴロンゴロンゴロン ドスーン
魔王「おお、動いた。なるほど、どこかにスイッチがあるのか。それを押すと作動すると……でかしたぞ勇者よ!」
勇者「いててて……でかしたじゃねーよ! バーカ!」
魔王「どうだ?」
勇者「……」
魔王「どうした?」
機械群「ピピ゚ピピピ ピコピコピコピコ」
勇者「な、なんだ……ここ……」
魔王「……ふむ……」ジロジロ
勇者「あっ!」
魔王「これは……なんだ? 年代……か? いや、ふむ……おお、これはもしやふむふむ」ポチポチ
勇者「お、おい! 勝手に触ったら何が起きるか!」
魔王「ふむ、ふむ……ふむ、ふむふむふむふむ……」ピッピッピッピッ
魔王「……うむ、大体は分かった」
勇者「ど、どういうことだ?」
魔王「とりあえずここには現在の世界情勢が詳しく書かれている」
勇者「は、はあ」
魔王「次に、気候等も設定されているようだ。繁殖率も設定されている。また、この数値では現在の進行度が……」
勇者「????」
魔王「全てが数値化……まぁ、有り体に言えば。我々は神に管理されていた、と言うところか」
勇者「な、なんだって!」
魔王「いや、正確には……箱庭だった、と言うべきか……」
勇者「こ、これからどうするつもりだ」
魔王「どうするこうするも、な。神に会えればいいのだが」
勇者「じゃあ会おう! 方法はあるはずだ!」
魔王「ふむ、神に会うのは問題ないさ。いつかは分からんがね」
勇者「どういうことだ?」
魔王「すべての管理はここで行われている。つまり、なんらかの不祥事が起きた時、対処するにはここに来なければいけないのだ」
勇者「ほ、ほう……」
魔王「ああ、ちなみに勇者と魔王の関係性もここに記されてあったぞ。互いに争わす事で国家間の戦争を妨げる。文明は魔物によって壊される」
魔王「つかの間の平和を与えることで神への信仰心を高める。この信仰心、とやらがどうやら大切なものらしいな。良くは知らんが」
勇者「?」
魔王「疑問を無くす、という効果だ。これで斬られると世界全体にこの効果が撒布される。ただ、どうやら私はなんらかのバグでそれが通用しなかったらしい」
勇者「ふ、ふむ……ところで、疑問なんだが」
魔王「なんだ?」
勇者「ここで待っていれば神が来ると言ったな」
魔王「ああ。問題に気付けばの話だが。勿論、ここであらゆる各種設定を行うんだ。今もう既に私が手を加えたから来ない訳には行くまい」
勇者「もし、もしここ以外にもその設定とやらを弄ることが可能だったら?」
魔王「……それはどうしようもない。我々からあちらに会いに行く方法もないしな」
勇者「……賭け、か」
魔王「不本意ながらな。それも分の悪い」
勇者「本当か?」
魔王「ああ、ほら。そこにいる」
勇者「えっ!?」バッ
神「こっちだアホ」ブゥン
魔王「おっと……まさか本当に来ていた、とはな」
神「……よくも勝手な真似をしてくれた。全く……まぁ君たちはどちらにせよ排除せねばならない」
神「ここまでだ取り付いたご褒美だ。何か答えてあげよう」
勇者「じゃあお」
魔王「この世界のことについてだ」
神「我々は人を作り、その信仰心、と言う力をエネルギー替えて利用していた。重要な産業だったわけだ」
神「ただ、少々優秀すぎてね。彼らはこの世界の中から世界の外を観測しはじめた」
神「いつしか彼らの技術も進歩し、世界の中から世界の外へと飛び出し始めるようになった。最初は無人だったんだが……」
神「いつのまにか有人探査になっていた。こうなると揉み消すのも難しい」
神「とは言え所詮この手で作り上げた者だ。平気だろうと放置しておいたら、人間派世界の外までもを飛び出した」
神「我々の世界はめちゃくちゃだ。バグは新たな真理を見つけ、いつしか彼らはウィルスになっていた」
神「ウィルス駆除は我々と人間との闘争の歴史だよ……長かった。あらゆる物が機能不可能に陥った」
神「まぁ、最終的には我々が勝利したので、今ではこうして勝手に進化しないように管理しているという訳だ」
神「ご理解いただけたかな?」
神「言い換えてみれば、君たちは英雄なのさ。我々を助けてくれている」
勇者「……」
神「救世主様なんだ。うん?」
魔王「しかし先ほどは排除すると言ったが?」
神「ああ、興奮していたものでね。すまない。元々は君たちを説得する為に来たんだ」
神「分かってくれて、これから協力しつづけてくれるなら。なにもしないさ」
勇者「だからって……だからと言って貴様は認めん!」ジャキンッ
神「……」
勇者「魔王はなんだ。ずぅーと虐げられつづける運命か。そんなものは救世主と呼ばない。道具って言うんだよ!」
神「俺は創造者だぞ。この世界での能力はカンストしてる」
神「やるのか? あ?」
魔王「勇者」ポイッ
勇者「……これは」ガシッ
魔王「私の為に怒ってくれてありがとう」
勇者「はは。うるせーぞ魔王。あとでお前も斬ってやるからな」
魔王「期待してるよ」
神「おいおいおいおい。そいつは私が設定した聖剣だぞ」
神「精々攻撃力500~800。それに大して俺の能力はすべて9999だ。そんなものじゃ倒せないなぁ」
勇者「やってみなきゃわかんないだろう!」
魔王「一つ尋ねる」
神「ああ。どうぞ」
魔王「お前の能力は関すとしている、といったが。それは現実とどうなっているんだ?」
神「元々、私たちと君とは同じ大きさだよ。我々の科学力で箱庭を作り、縮小してあるにすぎない。モデルは私たちだからね」
魔王「ふむ。と、なると。ここでは自分も縮小、という形になるのか」
神「そうだね。ま、能力は桁違いだけど」
魔王「十分だ。ありがとう」
勇者「よし、覚悟しろ、神よ!」
神「君たちにはどれだけ頑張っても越えられない壁があることを教えてあげよう。一発、斬りかかってみなさい」ニコッ
神「罠じゃない。格の違い、って奴を教えてやるって言ってるんだ」
神「ハンデみたいなもんだとでも思ってくれればいい。本気できな」ニヤリ
勇者「うおおおおおおおおおおおおお!!!」ヒュゥンッ
神「……」ニヤニヤ ザシュッ
神「……ごふっ……えっ、はっ・……? えっ・……?」ボタッボタボタ
勇者「……き、斬れた」
神「が、がひゅっ……ごはぁ!! く、苦しいっ! 痛い! な、なんで! なんで!?」
神「ギャアアア!! 痛いぃいいいいいい!!!」
魔王「ははは。笑わせてくれるな。こちらもそっちの機械で弄くらせてもらったよ。剣の機能」
勇者「……」
魔王「ほら、何を呆けているんだ。斬れ」
勇者「えっ? あ、ああ」
魔王「あいつは何も身につけていない。装備による効果はなしで、身体能力のみだ」
魔王「武器の威力と奴の防御力は同じ。後はお前自身のレベルによる力のダメージさ」
神「ひぎぃいいいい!!!!!!!」
魔王「奴を倒すのは根気がいるぞ。体力は私より多いからな。ま、痛みに慣れてないんで抵抗しそうにないってのが救いか」
勇者「……」
魔王「早くしろ。私では太刀打ちできん。世界を救えるのは、君だけだ。勇者様」
勇者「お、おうっ!」
神「ま、待て待て待て!!」
勇者「……」チャキッ
神「わ、わかった! お前は優遇してやる! だから!」
勇者「……」ジッ
神「そうだ! 我々の世界に連れてってやる! こんな野蛮的な世界ではないぞ!」
神「素晴らしい桃源郷だ! 女だって沢山いるし!!! 美味しいものも!!」
勇者「女?」
神「そうだ! 女だ! 女! 絶世の美女! だからっもうっ早くっ助けてええええええ!!」
勇者「女なんてのはなぁ……魔王がいりゃそれでいいんだよおおおお!」ザシュッ
神「びきいいぃいいやああああああああ!」ザシュッザシザシュッュ
神「」
魔王「お疲れ様。汚れたな」フキフキ
勇者「あ、ああ。ありがとう」
魔王「……さて、仕事は終わった。これから私たちはこの地を奴らから守る一族として手を取り合っていかなければな」
勇者「! お、おう!」
魔王「ところで、さっきのことなんだが」
勇者「えっ? さっき?」
魔王「ああ。正確には斬る、前。女は私だけで良いとかなんとか……」
勇者「ひぁっ! あ、アレはそ、そのだな! え、えーと!」
勇者「う、うう……」コクッ カアア
魔王「ふむ。まぁ、そちらの方がお互いにここを守る、という目的の為には楽だろう」
勇者「……い、いいのか?」
魔王「別に私は構わない。ところで、どうして私を?」
勇者「えっ! い、いや……その、最初はほら。魔王だと思ってたけど。その……なんつーのかな」
勇者「寂しそう……だったし……いや、それだけじゃないよ! 知的だし! 俺は馬鹿だからさ!」
勇者「それにそれに超絶美人じゃねーか! 嫁さんにもらえるならこんなにいい人は……」
魔王「嫁?」
勇者「えっ? うん」
魔王「私は男だ」
魔王「王は男に決まっておろう」フフンッ
勇者「……えっ」ヒュゥゥゥ
魔王「なんだ、どうした。さっきの気持ちは偽りか」
勇者「えっ、いや、いやいやいやいや! だって、だって! えっ。だって男!?」
魔王「うむ」
勇者「女じゃん! 見た目! 一人称も私だし!!」
魔王「私と使う男なんていくらでもいる。さっきの神だってそうだろう。それに第一口調は男ではないか」
勇者「ち、ちょっと男勝りって言うか……魔王だからそういうもんなのかと……」
魔王「見た目云々に関してはどうも言えんがね」
魔王「心配するな。勇者よ、幸い目の前には魔法の箱があるじゃないか」
勇者「えっ!?」
魔王「これでどちらかを古賀埋めるように設定すれば良い。私は男だから女になりたいとは思わんがね」
勇者「いや、是非ともお願いします!」
魔王「まぁ、いいさ。性は男のままだぞ。ただ子を産める身体にするだけだ。いいか? 私は一向に構わんッッッ」
勇者「え、う、うーん……」
魔王「分かった、産むのは勇者に設定しておこう」
勇者「ま、待った待った! いいよ! それでいい!」
魔王「ふふ。それじゃあ、末永く頼むぞ。幸せな家庭を築こう」ニコッ
勇者「へっ、へへへ……へへへへ……」
二人は死ぬまで幸せに過ごしたそうな……
・-☆-☆-☆-・
「千年でバグが発見か」
「ええ」
「このまま続行しろ。修正はしたか」
「もちろんです」
「万が一の為に設置しておいて良かったな。あの時の教訓だ」
「ああ。やはりどうやってもバグとの戦いは続く。これは永遠の我々の課題だよ」
「まぁ、なんにせよ。緊急対処装置のお陰か。奴らはすんなり引いてくれた。これで」
「以後監視の目、それと開発者チームにバグ潰し、軌道修正を連絡しろ」
「完璧な箱庭を作り上げるその日は、まだ遠いな」
完
支援サンクス
ありがちネタだったけど楽しめてもらえたなら幸いです
ちなみに機械って言葉知ってるんだってって指摘がありましたが
ミスです。ごめんなさい
それではおやすみなさい
楽しかったです
Entry ⇒ 2012.01.13 | Category ⇒ 勇者魔王「」SS | Comments (0) | Trackbacks (0)
あかり「結衣ちゃん、相談があるんだけど…」 結衣「ん?」
http://hayabusa.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1326096306/
あかり「…ごめんね急に相談事なんて」
結衣「気にするなって」
あかり「で、でも」
結衣「…あかりは私の大切な幼なじみなんだ」
結衣「そんな悲しそうな顔してると私も辛いからさ」
結衣「良かったら聞かせてもらえるかな」
あかり「ゆ、結衣ちゃん…」グスッ
あかり「うぅぅ…」ポロポロ
結衣「ごめんなあかり…気づいてあげられなくて」
あかり「ゆ、結衣ちゃ……ぐすっ…」
結衣「私に出来る事は限られてるけどさ」
結衣「きっとあかりの力になってみせるよ」
あかり「…あ、あのね」
結衣「うん」
あかり「あかりはどうすればもっと存在感を出せるのかなぁ…」
結衣「あぁ…」
結衣「……」
あかり「その無言はなんなのぉ!?」
結衣「…え、いや別に」フイッ
あかり「あかりから目を逸らさないでよ~!」
結衣「…」
結衣「その相談はちょっと荷が重…くて」
あかり「そ、そんなぁ~」グスッ
結衣「うっ…」
あかり「もう空気キャラは嫌だよぉ…」
結衣「よしよし、いい子だからもう泣くなって」ナデナデ
あかり「…うん」
結衣「無理に前に出ても空回りが多いからなぁ…」
あかり「…そうだね」
結衣「自然に…むむむ…」
あかり「……」
結衣「ごらく部恒例のパターンなんだけどさ」
あかり「うんうん」
~~~~~~~~~~~~~~~~~~
京子『ちなつちゃ~ん、ちゅっちゅー』
ちなつ『ちょ、ちょっとやめて下さいよ!結衣せんぱ~い』
結衣『オイコラ、京子』ゴン
京子『いった~てへへ』
ちなつ『結衣せんぱ~い』ゴロニャン
~~~~~~~~~~~~~~~~~~
あかり「よくある光景だねぇ、これがどうしたの?」
結衣「あかりの『あ』の字も出てないんだよね…」
あかり「……」
結衣「…そうなることで」
結衣「あかり、いたんだ…の定番に入ってる気がする」
結衣「どうにかしてこの中に割り込む事ができれば…」
あかり「あのね…」
あかり「あかりもその中に混ざりたいなぁ~って思うけど」
あかり「三人で完結してるんだよね…」
結衣「うっ…確かに」
あかり「入る隙が無いと言うか…」
結衣「…」
結衣「うん?どうしたのあかり」
あかり「…結衣ちゃんに話したらスッキリしたよぉ」
あかり「相談に乗ってくれてありがとう!」ニコッ
結衣「…何も解決出来てないけど」
あかり「それでもだよぉ~、結衣ちゃんありがとっ!」
結衣(気丈に振舞ってるけどきっと辛いんだろうな…)
結衣(私が同じ立場だったら…考えるだけで悲しいよ)
結衣(どうにかしてあかりの悩みを…)
あかり「なぁに結衣ちゃん?」
結衣「…あかりのためなら私なんだってするよ」
あかり「えへへ、その言葉だけでも嬉しいよ~」
あかり「なんでもするかぁ…いいこと考えちゃった!」
結衣「いいこと?」
あかり「うん!あかり頑張って三人の輪に入ってみせるよっ!」
結衣「いいことってなにかな、気になるんだけど」
あかり「ふふっまだ秘密だよ~」
結衣「…気になる」
京子「歳納京子カレーに豆乳!」
ちなつ「こんにちは~ちょっと遅れちゃいました」
京子「おや珍しいコンビだね、あかりと結衣なんて」
結衣「別に珍しくはないだろ」
あかり「えへへ、結衣ちゃんにお悩み相談してt」
ちなつ「は、はっくちゅん!!」
あかり「ひゃあ!だ、大丈夫ちなつちゃん」
ちなつ「ずび~ちょっとむずむずしちゃって」
京子「そっかそっか、まぁ幼なじみだし別に珍しくはないよね」
あかり「うんうん!」
結衣(せっかくの発言がちなつちゃんのくしゃみにかき消されたか)
結衣(健気な相づちが涙を誘う…)ホロリ
ちなつ「京子先輩とはいえさすがにその意見には同意です」
京子「むぅ~その言い方ちょっと傷つくかも」
ちなつ「そうですかそうですか」
京子「つれないなぁ…ちなちゅ~!」ダキッ
ちなつ「ちょ、ちょっと…何するんですか!!」
京子「いいじゃんいいじゃん」スリスリ
ちなつ「もぉー!やめて下さいよ!」
結衣(おなじみの光景がきたけど……どうするんだあかりは)
あかり「……」モジモジ
京子「よいではないか、よいではないかぁ」スリスリ
結衣「はぁ、…おいこらきょうk」
あかり「ゆ、ゆ、結衣ちゃーんっ!!」ダキッ
結衣「うわぁ!?」
結衣「ちょ、ちょ、ちょっとあかり!?」
あかり「よいではないかぁ、えへへ」スリスリ
結衣「ほ、ほっぺすりすりするなってコラ!」
あかり「結衣ちゃ~ん♪」ギュッ
ちなつ「え?」
京子「ほう…」
結衣「はぁ…私に抱き着くのがあかりの考えたいいこと?」
あかり「うん、こうすればあかりも輪に入れるかな~と思って」
あかり「…結衣ちゃん、迷惑だった?」
結衣「迷惑じゃないって、ちょっと不意を突かれたというか」
結衣「それになんでもするって言ったからね」
結衣「…私はされるよりぎゅっとする方がいいかな」ギュッー
あかり「わわっ!…ぇへへ、あかりもこっちのほうが好きかも」
結衣「ふふ、よしよし」ナデナデ
あかり「結衣ちゃんのなでなで落ち着くよぉ…」
ちなつ「え?」
京子「ふむ…」
京子「ちなつちゃんが呆けるのも無理はない」
京子「あかりからほとばしる圧倒的な存在感…!」
ちなつ「いや、それもそうですけど!」
ちなつ「なんであの二人がいちゃついてるのかって話ですよ!!」
京子「確かに二人の世界が出来てるね…」
結衣「ふふふ」
あかり「えへへ」
ちなつ「見つめ合って笑うの禁止ッ!!」
あかり「そ、そんなべたべたしてたかな?」
京子「おーおー自覚なしかあかり、そりゃもうすごかったぞ」
京子「もう2人は付き合ってるんじゃないかってくらい」
あかり「え、えぇぇ!?」
結衣「馬鹿なこと言うなっての」コツン
京子「あいたっ…てへへ」
あかり「…」チラッ
結衣「うん?どうかした、あかり」
あかり「なな、な、なんでもないよっ!」アセアセ
あかり(女の子どうし…うん、おかしいよねそんなの)
京子「顔真っ赤だぞ~あかり」
あかり「ちょ、ちょっと暑いかなーこのお部屋」
ちなつ「…むしろ寒いくらいだよあかりちゃん」
結衣「あかり…?」
京子「そうだねぇ…無難にババ抜きなんてどう?」
結衣「ババ抜きか…」
ちなつ「ちょっとトランプはマンネリが否めませんねぇ」
京子「そう言うと思ったよ~。だから罰ゲームを用意しました!」
あかり「ば、罰ゲーム!?…大丈夫かな~」
京子「ふふふ、弱気だなあかり。その調子じゃ罰ゲームはあかりかな」
あかり「むむむっ…あかり負けないもん!」
京子「よーし、やる気なったところでいってみようか!」
京子「へへへ、私もアッガリ~ン!」
あかり「変にもじらないでよぉ…京子ちゃん」
結衣「次どっちかが揃えば終わりか」
京子「ちなつちゃん決めちゃえ~!」
ちなつ「そんなプレッシャーかけないで下さいよ…」
ちなつ「…こっちかな」
あかり「…」ニタァ
ちなつ「…やっぱこっちにしよっと」
あかり「な、なんで分かったの!?」
ちなつ「え…まぁ、うん」
京子「だね、まあ罰ゲームはあかりに決定!」
あかり「うぅぅ…」
京子「はいよ、この箱から一枚選んでちょーだい」
あかり「怖いなぁ…京子ちゃんが考えた罰ゲーム」ゴソゴソ
あかり「えいっ!」
あかり「…えぇぇぇ!?」
京子「どれどれ…ぷぷっ、こりゃいいな」
ちなつ「えーっと…結衣先輩と姉妹ごっこ!?」
結衣「え?」
ちなつ「そうですよ!こんなの…こんなの」
結衣「ちなつちゃん…」
ちなつ「こんなの罰ゲームじゃなくて、ご褒美ですよっ!!」
結衣「…私が言いたいのはそういう事じゃなくて」
結衣「なんで私も罰ゲームなんだよ京子!」
ちなつ「あ、なるほど」
京子「へへへ、まぁまぁそっちの方が盛り上がるじゃん」
結衣「…ていうかこれを私が引いたらどうするつもりだったんだ」
京子「そんときはそんときだっ!」
結衣「…はぁ」
あかり「あかりがこんな罰ゲーム引いたせいで…」
結衣「…大丈夫だよ、ほらこっちおいで」
あかり「…?」
結衣「私が一個上だしお姉ちゃんでいいかな、あかり」ナデナデ
あかり「ゆ、結衣ちゃん優しすぎるよ~…」
結衣「こらあかり、今は姉妹なんだから呼び方変えないと」
あかり「あ、…えっと…ゆ、結衣お姉ちゃん」モジモジ
結衣「……悪くない」
あかり「え?」
結衣「い、いや何でもないよあかり」
あかり「結衣お姉ちゃん…」
結衣「…」ギュッ
あかり「お、お姉ちゃん!?」
結衣「私一人っ子だったからさ、甘えられるのに弱くて…」
結衣「…こんなに何回も抱きしめて迷惑だよね」
あかり「ううん、結衣お姉ちゃんにぎゅっとされるのあかり大好きだよ」
結衣「そっか…普段からもっと私に甘えてもいいんだからな?」
あかり「ほんと!?それじゃもっともーっと甘えちゃうからねっ」
結衣「ふふ、可愛いなぁあかりは」ナデナデ
あかり「えへへ…」
あかり「結衣お姉ちゃん…」
ちなつ「いつまで続くんですかコレ」ビキビキ
京子「ちなつちゃん落ち着いて、落ち着いて!」
ちなつ「だ・か・ら罰ゲームじゃなくて、ご褒美だって言ったんです!!」
京子「…あはは」
京子「おっけー、おいこの尻軽女もう終わり!」ペシッ
結衣「あいたっ」
あかり「えへへ、なんかあっという間だったね」
京子「ったく…いちゃつきすぎだっつーの」
あかり「い、いちゃついてなんかないよぉ!」
京子「あれだけしておいて否定するのかよ…」
結衣「し、尻軽女って…」
ちなつ「えぇ~まだやるんですか?」
京子「もちもち、お餅!一回だけじゃつまらん!」
結衣「…あかり、ちょっと耳貸して」
あかり「え?どうしたの結衣ちゃん」
結衣「ごにょごにょ…」
あかり「…ふむふむ、なるほどぉ!」
京子「どったの~二人とも、トランプ配るよん」
結衣「ふふ、いつでもどうぞ」
あかり「ぇへへ」
結衣「私もあがりだ」
ちなつ「てへへ、結衣先輩とワンツーフィニッシュですね!」
結衣「ふふ、そうだね」
結衣「さて…さっきと同じ状況だけど」
ちなつ「どちらかが揃えば終わりですね…」
京子「ふふ…このパターン勝ったな!」
あかり「ま、まだ分からないよぉ!」
京子「強がっちゃって可愛いなぁあかり、さぁ引いちゃうよん!」
あかり「…」ニタァ
京子(ぐふふ…あの間抜け面、こっちはババだな!)
京子「やっぱりこっちだ!」スッ
あかり「!?」
京子「やりぃ~私の勝ち…な、なにっ!?」
あかり「残念だったね京子ちゃんっ!そっちはババだよ!」
京子「な、なんでだ!?さては結衣、あかりに話したな!」
結衣「ふふ、こっちの方が盛り上がるだろ?」
京子「よ、余計なことすんなよ~!結衣のばかぁ!」
結衣「えぇっと…ババを引かれそうになると、あかりは顔に出ちゃうから」
ちなつ「にたぁっと笑いますよね」
結衣「うんうん、だからババじゃないほうを引かれそうになったら…」
ちなつ「あの不気味な笑いをするように言ったんですね?」
結衣「一回きりの作戦だけどね、あとは見守るしか…」
あかり「…」ニタァ
京子「そ、その顔をやめろぉぉおおおおおおおッ!」
結衣「京子が動揺してる…」
ちなつ「ボディーブローのようにじわじわ効いてますね…」
あかり「罰ゲームを受けるのは、あかりじゃなくて…京子ちゃんだよっ!」ビシッ
京子「ぐぐぐ…あかりが主人公に見える」
結衣「あぁ、まるであかりが主役みたいだ」
ちなつ「明日は槍でも降りそうですね」
あかり「たまには主役っぽいことさせてよぉ…」グスッ
あかり「…こっちだ!」
京子「あっ!」
あかり「揃った、揃ったよぉ!あっがり~んっ!」
京子「はぁ…負けたぁ、くっそ~」
結衣「あかり、良かったなおめでと」
あかり「うん!結衣ちゃんのアドバイスのおかげだよぉ~」
ちなつ「あかりちゃんは顔にすぐ出ちゃうからね」
ちなつ「けっこーひどい顔してたよ…」
あかり「ひ、ひどい顔!?そこまでなの!?」
結衣「自分で考えた罰ゲームを自分で消化するって…おバカすぎるよ京子」
あかり「京子ちゃん…」ニタァ
京子「あぁぁあぁぁあぁあぁっ!悔しい、悔しい!!」
京子「ちくしょー!私の罰ゲームはこれだ…!」
京子「おろ?…へっへ~ん」
京子「ちなつちゃんにマッサージしてもらう、だってさ!」
ちなつ「はぁ…?」
結衣「してもらう?どこが罰ゲームなんだよ!?」
あかり「あわわわわわあわわわわわ…」ブルブル
これはまさしく罰ゲームだ
あと、ともこさん・・・・・・・・
ちなつ「…でも結衣先輩とあかりちゃんも罰ゲームこなしましたし」
ちなつ「私だけやらないわけにはいきませんよ」
京子「さっすが私のちなつちゃん!」
結衣「コラ京子、調子に乗らないの」ガシッ
京子「ふがふが…」
結衣「ったく…本当にちなつちゃんはいい子だね」
ちなつ「結衣先輩からその言葉を聞けただけで…!」
ちなつ「私は補給無しで1か月戦えますよ!」グッ
結衣「そ、それはよく分からないけど…」
京子「…ぷはっ、あれ~あかりはどこ行ったんだ?」
結衣「部屋の隅で子犬のように震えてる…」
ちなつ「うふふ…」
ちなつ「先輩方が修学旅行でいない間、あかりちゃんにマッサージしてあげたんです」
京子「へぇ~それは初耳だよ」
ちなつ「あかりちゃんってば泣いて喜んでくれたんですよ~」
京子「あかりのお墨付きってワケだね!?」
ちなつ「はいっ!」
京子「それは楽しみだな~。へへっ私ってば幸せ者!」
ちなつ「まったく調子いいんだから…さ、うつ伏せになって下さい」
京子「てへへ」
京子「…ちなつちゃん、こんなくだらない部に入ってくれてありがとね」
ちなつ「わ、私は結衣先輩がいるからここにいるだけで…」
京子「それでもだよ、ありがと」ニコッ
ちなつ「っ!…調子狂うんで止めて下さい」
京子「ふふふ~照れちゃって可愛いのちなっちゃん」
ちなつ「照れてなんかないです!…ほら、いきますよ」
京子「うん!」
結衣「ほらあかり、怖くないからこっちおいで。ちっちっち」
あかり「…」トコトコ
結衣「よしよし、何か怖い事でも思い出したのか?」
あかり「ゆ、結衣ちゃん…」ビクビク
結衣「この怯えようはなんなんだあかり」
あかり「京子ちゃんを今すぐ助けないと…」
結衣「へ?それってどういう…」
<あ゛ア゛ーあ゛っあ゛っ あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!!??
結衣「な、なんだよこの悲鳴!?」
あかり「ひいぃぃいいいいいぃいい…」
ちなつ「うふふ、そう言ってあかりちゃんも喜んでくれましたよ」ググッ
京子「にゃ゛あ゛ア゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛ア゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!」
ちなつ「うわ…足裏もそうとうこってますね」グッ
京子「足は、ダメなの゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛!!」
あかり「き、京子ちゃんが…!」
結衣「マズイなこれは…ちなつちゃん!」
ちなつ「ぐりぐり気持ちいいですか~京子先輩。フフフ」
京子「…」ピクピク
結衣「聞いちゃいねぇ…ちなつちゃん!!もうやめて!」
あかり「ちなつちゃんっ!!!」
ちなつ「うふふ…もっといい声で鳴いて下さい…」
・・・・・・
・・・
・
結衣「で、大丈夫なの?」
京子『あはは、大丈夫大丈夫』
京子『まさかあんなエグいマッサージするとはね…』
結衣「ちなつちゃんあんな可愛い顔して…」
結衣「まぁ京子の自業自得だろ今回は」
京子『かもね…でもちなつちゃんからの愛は感じたよ~』
結衣「ふふっなんだよそれ、…私晩御飯作るからそろそろ切るよ」
京子『お~もうそんな時間か』
結衣「腰も足もあまり無理するなよ、じゃあね」
京子『にしし、分かってるよ~ばいばいっ』
結衣「ふぅ…」ピッ
結衣「あっ…お味噌切らしてたんだ、スーパー行かなきゃ」
結衣「寒い寒い、早く帰ろ」
結衣「…またこんな雪積もったのか」テクテク
結衣「実家の雪かき大丈夫かな…」
結衣「お正月に顔見せたばかりだけど、今度帰ろうかな」
結衣「さ、寂しいとかじゃなくて…雪かきするためだから、うん」
結衣「…最近独り言増えたかも」
結衣「…は、はっくちゅん!…さむっ」
結衣「ここの公園懐かしいなぁ…」
結衣「京子とあかりでジャングルジムで遊んだり…」
結衣「このブランコから靴飛ばしたりしたな、ふふ」
あかり「あっかり~ん…」
結衣「…うわぁ!あ、あかり!?」
あかり「ゆ、結衣ちゃん…」
結衣「こ、こんな時間にブランコで何してるんだよ!?」
あかり「ぇ、ぇへへ…ちょっとブランコに乗りたい気分で」
結衣「…なにそれ、頭に雪積もってるよ」クシクシ
あかり「…んっ」
あかり「え?」
結衣「いま夜の7時なんだけど、あかり」
結衣「雪まで降ってるのに、こんなとこにいなきゃいけない理由は?」
あかり「え、えーっと…」
あかり「こ、公園で童心に帰りたいなぁ~なんて思ったり…」
結衣「…三回目はないからな、次で本当の事言わないと」ゴゴゴ
あかり「言う!言うから、その石をギッシリ詰めた雪玉しまって結衣ちゃん!」
結衣「…ったく」
あかり「お母さんは町内会の人と会合で…」
あかり「お父さんはお仕事の出張で…」
あかり「お姉ちゃんは今日、ちなつちゃんのお姉さんと遊ぶから遅くなるの…」
結衣「うん」ナデナデ
あかり「だから、お家にだ、誰もいなくて…鍵も忘れちゃって」グスッ
結衣「…だからここで時間を潰してたんだね」
あかり「ゆ、結衣ちゃ…ん」ポロポロ
結衣「体も冷え切ってるじゃないか…」ギュッ
あかり「…」グスッ
結衣「ほら、行くよあかり」
あかり「え?…行くってどこに?」
結衣「私の家に決まってるだろ」
あかり「で、でも!」
結衣「このままここにいたら凍死するって」
結衣「…ほら手貸して」
あかり「…」ギュッ
結衣「ただいまっと」
あかり「お、お邪魔します…」
結衣「あかり、お風呂温まってるから入っておいで」
あかり「で、でもあかり着替え持ってきてないよ?」
結衣「私のパンダ貸してあげる、ちゃんと洗ってあるから」
あかり「ほんとっ!?」
結衣「…下着も私の貸してあげるから」
あかり「…」カァー
結衣「ほ、頬を染めるなよ!こっちも恥ずかしくなるだろ!」
あかり「…き、気のせいだよぉ!」
結衣「…まだあかりお風呂から出てこないよな」
結衣「エヘンッ、あーあー…よし」
結衣「ごーゆるりっと、にゃ、にゃにゃにゃ…」ボソッ
結衣「べ、別に自分の家なんだし気にする必要ないか」
結衣「ごーゆるりっと にゃにゃにゃにゃー」ザクザク
結衣「ごーゆるりっと にゃにゃにゃにゃー」グツグツ
結衣「ひまつぶーし ひつまぶーs」
あかり「…」
あかり「お、お風呂いいお湯だったよ…」
結衣「…」
あかり「それにしても可愛い歌詞だったねっ!」
あかり「にゃにゃにゃにゃ~♪」
あかり「ぇへへ…」
結衣「…」ポカッ
あかり「あいたっ!な、なんで小突かれたのぉ!?」
結衣「ばか…」
あかり「結衣ちゃん可愛かったのに…」
結衣「う、うるさい!!」
あかり「ブリの照り焼き、大根サラダ、お味噌汁、温泉卵…」
結衣「ごめん、ちょっと質素だったね」
結衣「あり合わせの材料だから…本当にごめんな」
あかり「結衣ちゃん…」プルプル
結衣「うん?」
あかり「将来絶対いいお嫁さんになるよっ!!」
結衣「そ、そっか…ありがと」
あかり「美味しそう…」
結衣「あかり、よだれよだれ」
あかり「あっ、えへへ…」
結衣「ほんと美味しそうに食べるな、あかりは」
あかり「だって本当に美味しいんだもんっ!」
あかり「こってり甘辛でご飯が進むよ~」
結衣「そう言ってもらえるとありがたいよ」
結衣「…ふふ、あかりほっぺにご飯付いてる」ヒョイパク
あかり「あっ…ゆ、結衣ちゃん!もうっ…」
結衣「ん?」
あかり「そういう事誰にでもするの…?」
結衣「いやそういうわけじゃないけど…」
あかり「ふ、ふ~ん…ぇへへ」
結衣「サラダも全部食べたんだ、えらいぞあかり」
あかり「子ども扱いしすぎだよぉ」
結衣「まだまだ子供だと思うけどね」ジー
あかり「あ、あかりの胸見てそんな事言わないでよぉ!」
結衣「ふふ、ごめんごめん」
あかり「…」
結衣「あ、あかり?」
あかり「…ふーんだ」ムスッ
結衣「あ、あれ怒ってる…?」
あかり「怒ってるよぉ…あかりの胸はどうせ小さいですよーっだ」ベー
あかり「でもきっと結衣ちゃんや向日葵ちゃんみたいに大きくなるもん!」
結衣「あかりはそのままが一番いいと思うけどなぁ」
あかり「…ゆ、結衣ちゃんは小さいほうが好きなの?」
結衣「えっ!?…大きさどうこうというより」
結衣「あ、あかりのは可愛いと思う…」
あかり「それ褒めてるの…?」
結衣「と、とりあえずお風呂入ってくるから!お皿よろしくな」
あかり「むー…」
あかり「…」ゴシゴシ
あかり「…にゃにゃにゃにゃ~、ぇへへ」ジャー
あかり「…おしまいっと!」キュッキュ
あかり「…結衣ちゃんバスタオル持っていったかなぁ」
あかり「結衣ちゃん、バスタオルここに置いておくから」ガラッ
結衣「うっ、うわぁぁあぁああああ!?」
あかり「はだ、はだ、はだ、は、裸…」フラッ
結衣「だ、脱衣所なんだからノックくらいしろよっ!!」
結衣「あ、あかり…?」
結衣「鼻血出して気絶してるし…千歳かよ」
あかり「むにゅ……あ、あれ結衣ちゃん?」
結衣「やっと目覚ました、そのまま起きないかと心配したよ」
結衣「今まで気失ってたんだよ、頭とか打ってない?」
あかり「うん、平気だよぉ」
結衣「そっか…良かった」ナデナデ
あかり「でもどうしてあかりは気絶なんてしたんだろ…」
結衣「…」
あかり「あっ!…ご、ご、ご、ごめんなさい結衣ちゃん」カァー
結衣「その様子じゃ思い出したみたいだな…」
あかり「…うぅ」
結衣「ふふ、なんてからかったらまた拗ねちゃうかな」
あかり「…」モジモジ
結衣「あかり?」
あかり「ふぇっ!?」
あかり「も、もう9時半だね歯磨きして寝なきゃ!」
結衣「あぁそっか、9時にはもう寝るんだっけ」
結衣「歯ブラシ新しいのおろしてあげるよ」
あかり「う、うん」
あかり「…うん」
結衣「電気消すよ」パチッ
結衣「おやすみ、あかり」
あかり「…おやすみなさい」
結衣「っと寝る前に少しお話しない?」
あかり「う、うん…」
あかり「…えっと」
結衣「私は別に目立つ方でもないし、京子に相談すれば良かったんじゃないか?」
あかり「…そっちのお布団行ってもいい?」
結衣「ん?あぁいいよ、おいで」
あかり「…本当の事を言うとね」
結衣「うん…」ナデナデ
あかり「結衣ちゃんと2人でお話しするきっかけ欲しくて…」
あかり「存在感なんてほんとはどうでも良かったの」
結衣「…そっか」
あかり「あかり、嫌われてるんじゃないかなぁと思って…」
結衣「そんなわけないって」
結衣「今思えば京子に振り回されてたから」
結衣「あかりと2人で行動するってなかなか無かったね」
あかり「うん…」
結衣「機会が無かっただけで、嫌いとかでは絶対ないよ」
あかり「ほんと?」
結衣「ほんとにほんと」ナデナデ
あかり「良かった…」
あかり「うん…」
結衣「どうしてごらく部のみんなに連絡しなかったの?」
あかり「京子ちゃんとちなつちゃんはご両親がいるから」
あかり「晩ごはん時に行くのは気が引けるというか…」
結衣「…それなら一人暮らしの私の家に来ればいいだろ」
あかり「最初はそうしようと思ったけど…」
結衣「うん」
結衣「迷惑じゃないって」
あかり「それにね…」
結衣「ん?」
あかり「あかりなんだか結衣ちゃんの事を考えるとドキドキしちゃって…」
あかり「こ、こんな気持ち生まれて初めてで」
あかり「頭の整理がつかなくて…」
結衣「…それで公園にいたんだ」
あかり「…」コクン
あかり「…」
結衣「…あかりはきっと私に恋をしてるんだろうね」
あかり「あかりもそうだと思う…」
結衣「好きな人に迷惑かけたくないというのは理に適ってるしね」
あかり「で、でも!」
あかり「あ、あかりと結衣ちゃんは女の子と女の子なんだよ…?」グスッ
あかり「こんなの、こんなの絶対おかしいもん……ひっく…」ポロポロ
結衣「あかり…」
結衣「私は嬉しい、あかりの初恋の人になれて」ギュッ
結衣「女の子どうしでもおかしくなんてない」
結衣「お互い好きならそんなの関係ないよ」
あかり「うぅぅぅ…ゆ、結衣ちゃ……」ポロポロ
結衣「だからさ、あかりさえ良かったら私の恋人になってほしいな」
あかり「うん、うん」グスッ
結衣「ふふ、あかりパンダは泣き虫だね」ナデナデ
あかり「…うん」
結衣「…ありゃ」
あかり「…」zzz
結衣「可愛いなぁほんと、泣き疲れて寝ちゃったか」
結衣「おやすみ、あかり…」チュッ
あかり「結衣ちゃん、結衣ちゃーん朝だよぉ」
結衣「…むにゃ」
あかり「ぇへへ、結衣ちゃんすごい寝ぐせだね」
結衣「…っともう8時か、すぐ朝ご飯作るからね」
あかり「ふふん」
結衣「なんだその得意気な顔は…あれ、いい匂いする」
あかり「朝ご飯はあかりが準備しました、結衣ちゃん隊長っ!」
結衣「あ、あかり…」
結衣「うん、寝ぐせもしっかり直したよ」
あかり「それじゃ~」
あか結衣「いっただきまーっす」
あかり「トーストに、スクランブルエッグ、あとサラダ…」
あかり「ぇへへ、簡単なものだけど我慢してね」
結衣「はぁ…幸せ」ハムハム
あかり「ふふふ」
あかり「コーヒーもどうぞ、結衣ちゃん」
結衣「至れり尽くせりだね、ありがと」
あかり「ほんとっ!?」
結衣「うん、どこか行きたいところはある?」
あかり「結衣ちゃんと一緒ならどこでもいいよぉ!」
結衣「それじゃノープランでぶらぶらしようか」
あかり「そうだね、楽しみだよぉ」
結衣「…あ、あかりまだ言ってなかったね」
あかり「なぁに?」
結衣「…す、好きだよ」
あかり「…ぇへへ、あかりも結衣ちゃんだーい好きっ!!」
結衣「ずっと一緒だからな」
あかり「うんっ!」
おしまい!
支援ありがとうございました
乙!
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原作で結衣あかもっと増やしてほしいよね
Entry ⇒ 2012.01.13 | Category ⇒ ゆるゆりSS | Comments (0) | Trackbacks (0)
ケンシロウ「世紀末からもう11年か」
海は枯れ、地は裂け、あらゆる生命体が絶滅したかに見えた!
だが…!
ケンシロウ「いや、意外となんとかなるもんだね」
トキ「なんだかんだで海枯れなかったし」
ケンシロウ「人間って案外丈夫だよね」
トキ「私は被曝したけどね」
トキ「兄さん、お帰り」
ケンシロウ「襖を壊すあたり、また面接落ちたんだな」
ラオウ「この拳王の良さが分からぬとは…」
ケンシロウ「前歴に世紀末覇者なんて書くから落ちるんだよ」プフッ
ラオウ「兄を笑うとは無礼なッ 北斗剛掌波!!」ゴォッ
ケンシロウ「天破活殺!」ズヒビッ
トキ「ケンシロウも救世主とか書いてるけどね」
ホォォォアタァァァァッ
リン「あのお家いつも賑やかだねー」
バット「ニートが二人もいるからな」
ケンシロウ「シンッ!」←無職
ラオウ「何をしに来おった!」←無職
シン「KINGの俺様がお前ら愚民に仕事をくれてやろう」
ラオウ「このラオウ、傘下に下るぐらいならば死を選ぶわッ」
ケンシロウ「ラオウ! 口は悪いが、シンはウチの家計を気遣ってくれているんだぞ!」
トキ「そうだぞ! いつまでも詰まらぬ意地を張るんじゃない!」
ラオウ「黙れ病弱万年大学生! うぬが卒業しないのがいかんのだ!」
トキ「」←今年6年目
ジャギ「ただいま、また面接駄目だったのか」
ラオウ「」
トキ「」
ケンシロウ「」
ジャギ「ありゃ、みんなどうした? 残悔拳決められたような顔して」
トキ「ジャギ…すまないな」
ラオウ「うぬには苦労をかける…」
ジャギ「なに言ってんだ、水臭いぞ兄者達」←正社員
ジャギ「さあ今日は鍋だ、仕込みを手伝ってくれ」
ケンシロウ「ああ、任せてくれ!」
…
ラオウ「お前ごとき春菊だけで十分だろう」ファァッ
ケンシロウ「お前の箸が掴むのは牛肉ではなく春菊だ」ファァッ
ジャギ「無想転生で卓袱台の周りを回るのは止めてくれ」
トキ「ごちそうさま」
ジャギ「じゃあ洗い物しちまうから黒王号の餌は頼むわ」
ラオウ「うむ」
ジャギ「ジョイを一滴垂らせば…」ピチョン
ジャギ「ひィィィヒャアハハハハァ! 油汚れ共、どうだ悔しいか!」
ラオウ・トキ・ケンシロウ(あれさえなければなぁ…)
サンジカラショクリョウヒンコーナーデブタニクツメホウダイデス
ハート「超狭ぇよぉぉぉぉっ」ギュウギュウ
フドウ「うっ動けっっ」ギュウギュウ
トキ「激流には勝てぬ…っ」ズイズイ
ヒューイ「買えなかった…」
シン「執念が足りん」
ナニアレ? ホームレス?
ウワッ コッチミタ!
アッ ヒミツキチダ!
シッ ミチャイケマセン!
ジュウザ「…俺は雲のように自由に生きる」
…
ユリア「返事がない、もしかして…」
カチカチッ カチカチッ
ケンシロウ「お前らなんかショットガンで蜂の巣にしてやんy」
バウンッ ヘーッドショーット
ケンシロウ「スナイパーライフルうぜぇぇぇぇぇぇ!!」
ユリア「ケン! 何遊んでんの!」
ケンシロウ「うわぁ!」
ケンシロウ「あります…」
ユリア「履歴書は?ちょっと見せて」
ケンシロウ「はい…」
ユリア「ケン、いろいろ言いたい事あるけど」
ケンシロウ「はい」
ユリア「証明写真で皮ジャンは止めなさい。スーツを着なさいスーツを」
ケンシロウ「はあ」
ケンシロウ「無いです」
ユリア「マズいよー、ほぼ無資格じゃない」
ユリア「高卒なんだから何かインパクトのある物がないと」
ケンシロウ「あ、自己アピールには自信がある」
体力に自信有り! 必ずや期待に応えます!(拳で)
ケンシロウ「インパクトあるだろ?」
ユリア「拳では余計よ」
トキ「ただいま…」
ユリア「あ、トキさん…どうしたんですか? 随分くたびれてますけど」
ケンシロウ「ユリア、トキがくたびれてるのは昔かr」ボカッ
ユリア「失礼な事言わないの」
トキ「はは…ちょっと買い物にね」
ユリア「買い物!? 駄目ですよ!死んじゃいます!」
ケンシロウ「ユリアも大概だと思うな」
ユリア「奥様方の群が相手じゃ流石のトキさんも無理ですよ」
ケンシロウ「随分揉まれたみたいだな」
トキ「本当に面目ない…」
ケンシロウ「まあ気にするなよ、ジャギ兄さんには連絡しとく」
トキ「すまないな…。では私は部屋に戻るよ。ユリアさん、ごゆっくり」
ユリア「はーい」
その後、トキは3日寝込んだ
そうでもなきゃ世紀末は生き残れなかったか
シュウ「あはは、ほら、こうするとよく飛ぶぞ」クルクルッ
ワー! センセイスゴーイ!
タケトンボメイジンダネ!
シュウ「ほら、やってごらん?」
ソレー! ソレソレー!
シュウ「子供はかわいいなぁ」
クルクルクル… ピシッ
サウザー「つっ」
ア…
ア… ゴメンナサイ…
サウザー「この俺に楯突くとはいい度胸だ」キッ
ヒッ ビクビクッ
サウザー「飛べぃッッ!!」シュピッ
シュパァァァァァァ
…スゴイ! アンナニタカクマデトンデル!
シュウ「流石は園長先生」
サウザー「園長に逃走はないのだ」
ラオウ「塵と砕けよッ!」ドガァッ
ジャギ「またやってるのか…」スパンッ
トキ「お帰り、私がいながら止められなんだ」
ジャギ「兄者が気に病むことはない。俺が止めようものなら、一瞬で殺されるとこだ」
トキ「ジャギこそそこまで卑下しなくてもいいのだぞ」
ジャギ「事実だ。さて、今の時間のテレビは…」
トキ「あ! いかん!」
ケンシロウ「ホォワチャァッ!」ラオウ「天に召ッせ!」ボグシャッ
ジャギ「わばっ」ブシャッ
サァフライガセカンドコウホウニアガッテイル!
センターオイツケナイ! ランナーサンルイヲケッタ!
プシュッ
ジャギ「ゴクッゴクッ …ぷぁーっ 沁みるな」
ジャギ「…ムシャムシャ ん、今日の豚キムチはちょっとしょっぱいぜ…」グシッ
トキ「二人とも、謝ってきなさい。あんな寂しそうな姿見てられないぞ」
ラオウ「う、うむ」
ケンシロウ「TVぐらいで熱くなりすぎた…」
ジャギ「よっしゃ、追加点だー」
シン「あっ」
ユリア「あら、シンじゃない」
シン「やあ、偶然だな」
ユリア「偶然って、あなた店長じゃない」クスッ
シン「ああ、そうだった」ハハッ
シン「夕飯の買い物?」
ユリア「ええ、たまにはジャギさんに楽してもらわないと」
シン「…」
シン「全く、ケンシロウは仕方ないな」
ユリア「本当にだらしないのよねー」
ユリア「え?」
…
シン「これ、今日の特売品」
ユリア「え、駄目よ貰えないわ」
シン「いいって。その代わり他のスーパーで買い物したら地獄へ突き落としてやる」
ユリア「ふふ、怖い怖い」
シン「…」フリフリ
シン「クソぉぉぉぉぉおおッ! ケンシロウめぇぇぇッッ」グヌヌ
シン「ユリアの手料理ィ…羨まし過ぎるぞォォオッ!!」ギリッ
マッド「店長、さっきの商品代は給料から天引きしておきます」
ユダとレイに期待
ラオウ「どうせ下らないことだろうが一応聞こう。何がだ」
ケンシロウ「俺の扱いだよ」
トキ(また分けの分からないことを…)パクッ
ケンシロウ「トキは学費で家計を圧迫、ラオウは黒王号で家計を圧迫」
ケンシロウ「その点、俺は特に金のかかることは何もしt」バキッ
黒王号「ヒヒーンッ」バキッ
ケンシロウ「迷惑じゃないっス! 全然平気…痛い痛い」ボコッ
トキ「天誅だな」
ジャギ「言うねぇ」
ケンシロウ「いてて…」
ラオウ「しかしトキ、うぬの学費もなかなか馬鹿にならぬ。ケンシロウの言うことも一理あるだろう」
トキ「ぬ…、ならば二人ともシンのスーパーのバイトを断らなければ良かったのでは?」
ケンシロウ「この前履歴書持って行ったら気が変わったと言って断られた」
ラオウ「何かしでかしたのではないか?」
ケンシロウ「いや、あれ以来会っていないしな…」
この北斗家の馬である
ラオウ「黒王号、サザンクロスに行くぞ」
この男、ラオウは我に食料を提供し、適度に運動をさせる
言わば世話係だ
我の世話をして何のメリットがあるのかは知らない
まず白髪の病人、トキ
めったに表に姿を見せず、我との関わりも一番少ない男だ
家中で争いが起こっても割って入る元気もない、何とも頼りない男である
先日はスーパーに乗せて行った帰り、ボロボロのフラフラの手ぶらで出てき時
トキ「すまない…」
と、馬の我にガチ謝りしていた
しっかりしろ
センスの無いヘルメットを被ってはいるものの、北斗家の家計を一人で支えている、言わば大黒柱だ
笑い声は気色悪いが、ラオウ達のように暴れたりしないなかなかの人格者だ
たまに争いに巻き込まれボコボコにされ、醜い顔を晒しながら我の小屋で一夜を明かす事がある
残念な彼に幸あれ
ケンシロウ「ラオウ…」ザッ
ラオウ「何だケンシロウ」
ケンシロウ「俺のシャンプーは買ってきたか?」
ラオウ「オクトか? 買っておらんな」
ケンシロウ「アタァッ」
ビシッ
ラオウ「…メモには載ってなかったぞ」
ケンシロウ「お前が出た後に気付いた…出掛ける時は携帯を持ち歩けとあれ程」
バキッ
ラオウ「…」
ケンシロウ「…」ビリッ
北斗家で一番しょうもない奴だ
いつも下らない事でラオウと小競り合いをしている
いつも家にいる
いつも暇している
働かない
ケンシロウ「ラオウ…貴様が掴むのはマシェリではなく死兆s」ボカッ
ユリア「また道端で暴れてる!」
そしていつもこの女に怒られている
情けない
それがここ北斗の家
騒がしいがなかなか退屈しないので、今暫く見守ることにする
黒王号(ほれ、きびきび動け)カポンッ
ケンシロウ「いてっ 何だよ!」
黒王号(そんなんじゃいつまで経っても草むしり終わらんぞ)カポンッ
ケンシロウ「痛いって! なんなんだよお前…食わせてもらってる身で」
黒王号(それはお前にも言える)
アナタデス ソコノアナタ
ユリア「…え?」
ダガール「そうですあなたです」
ユリア「私に何か用ですか?」
コマク「あなたのような美しい方を探してました」
ユリア「…」ジッ
コマク「あ、申し遅れました。私達、こういう者です」スッ
ユリア「UDプロ…まさか!?」
ユダ「そのまさかですよ!」カツッ
ダガール「いかにも、そしてこちらが」
ユダ「UDプロダクション代表取締役、妖星のユダです」ピッ
ユリア(うわぁ…名刺までピカピカ…)
ユダ「どうです、我が社から芸能界デビューしてみませんか?」
コマク「あなた様程の美貌の持ち主なら、世の男を虜にするなど朝飯前」
ユダ「日本はもちろん、演技も磨けばハリウッドスターも夢ではない!」
ユリア「ハリウッドかあ…」
ユリア「…」
ユリア「ごめんなさい」
コマク「そんな!?」
ダガール「何故です!?」
ユダ「止めよ」
コマク「ユダ様…」
ユダ「分かっておったわ。君は、もう誰かの星なのだろう?」
ユリア「…」コクン
ユダ「フッ…それ故に眩く輝き美しいのか」スッ
コマク「ああっ」
ダガール「失礼します」
ユリア「…さて、ケンはまだかしら」
レイ「ここのところ忙しくて、朝起きるのがつらいな…」
レイ「でも、ここを踏ん張れば昇進も見えてくるし、結婚資金も…」
レイ「よし! 今日も頑張るか、待ってろよ!マミヤ!」ピッ
ツギノニュースデス
ミスUDコンテストガキノウカイサレマシタ
グランプリに選ばれたマミヤさん
マミヤ「レイー、見てるー?」
レイ「」
ケンシロウ「えっ」
ジャギ「今手が離せないんだ」
ケンシロウ「どこへ? 西友?」
ジャギ「なんでわざわざ遠出しようとする。サザンクロスでいいから」
ケンシロウ「…ラオウに頼めよ」
トキ「行ってこいケン。たまにはジャギ孝行しなさい」
ケンシロウ「トキもな」
トキ「」
続きぼちぼち書く
トキ「止めないでくれ。今行かないと単位が…」
ユリア「行っちゃった…」
ケンシロウ「トキ…病んでさえいなければ…」
ユリア「トキさんって死の灰を浴びてあんな状態になったんでしょ?」
ケンシロウ「いや、チョークの粉を浴びて心を病んだらしい」
ユリア「いじめられてるの!?」
ラオウ「少し遠いが隣町まで行ってみるか」
ラオウ「待たせたな黒王号」
黒王号「ヒヒンッ」ペラッ
ラオウ「ぬうっ!?」
ラオウ「駐禁を切られた…だとッ」
ジャギ「殺してやる…!!」
ケンシロウ「俺が悪かった!謝るから許してくれ!」
ラオウ「何を怒っておる。お前達らしくない」
トキ「ラオウ、止めないでくれ」
ジャギ「話を聞けば兄者もきっと怒りに震える筈だ」
ラオウ「穏やかではないな、一体何があった」
トキ「ケンシロウが千原兄弟のお兄ちゃんは存在が無いと言うんだ」
ラオウ「いや、あながち間違いないではないだろう」
トキ「100歩譲って良いところがないとしよう。だが、ジュニアなぞ他人を笑い物にして飯を食う小賢しい男だぞ」
ジャギ「言うねぇ」
ケンシロウ「トキ…! 天に還る時が来たようだ!!」
ラオウ「落ち着けケンシロウ。トキ、お前は滑らない話の影響を受けすぎだ」
ラオウ「ケンシロウも、フットボールアワーといい、ザブングルといい、不細工芸人と見れば貶すのは止めよ」
ケンシロウ「別に顔で判断している訳では…」
トキ「徹底検証という訳だな」
ケンシロウ「面白い、受けて立とう」
ジャギ「ヒヒヒ、お前に笑いという生き地獄を味わわせてやる!」
ラオウ「走れ黒王号!」
…
……
ラオウ「今戻った」スパンッ
ケンシロウ「待ちくたびれたぞ」
ラオウ「すまぬ、4号が混んでいてな」
ジャギ「さあさっさと始めよう、ピザが冷める」
ラオウ「ああ」
ラオウ(フッ 3人共なんだかんだ言って千原兄弟のコントが好きなのだな…かわいいやつらよ)ウィーン
ラーメンズ第9回公演 鯨
ラオウ「ぬ、始まりおったわ」
ケンシロウ(やっぱりラーメンズ借りてきたよ…)
トキ(これだからラーメンズ信者は…)
シン「…」
ケンシロウ「…」
シン「では適性検査を始める。俺が客をやるから店員として対応してみせろ」
ケンシロウ「お願いします」
シン「ウィン」
ケンシロウ「えっ」
シン「いや、先ずはいらっしゃいませだろ」
ケンシロウ「何?ウィンって外国語でこんにちは?」
シン「自動ドアだよ、察しろよ」
ケンシロウ「えっ、カメラあるの?」
シン「ねぇよ、いいからもう一回やるぞ」
シン「ウィン」
ケンシロウ「いらっしゃいませ」
シン「はい、お客さんが商品を置いた」
ケンシロウ「えっ、今入ってきたばっかりじゃん」
シン「細けぇよ! 適性検査なんだから要所要所だけでいいんだよ!」
ケンシロウ「はあ」
シン「お前全っ然関係ないとこばかり神経質なッ…ゲホッゲホッ」
ケンシロウ「大丈夫か」
シン「喉痛めたかも…」
ケンシロウ「そ、そんな…」ガーン
シン「まさかここまで使えないとは…」
ケンシロウ「なぁ頼むよ、俺とお前の仲だろ?」
シン「気安く触るな! 暑苦しい!」
ケンシロウ「またバイト落ちたなんて言ったらユリアに怒られる…」
シン「ご褒美じゃないか幸せ者」
ケンシロウ「えっ」
シン「何でもない」
シン「俺とお前には致命的な差がある」
ケンシロウ「何だよ」
シン「お前には社会経験が足りん」
ケンシロウ「ぐうの音も出ない」
シン「さて、俺は仕事に戻る」
ケンシロウ「シン」
シン「なんだ」
ケンシロウ「今日皆で晩飯を食うんだが、是非来てくれないか?ユリアも喜ぶ」
シン「…」
シン「断る。お前といると疲れるからな」
ケンシロウ「そうか…」
シン「待て」
ケンシロウ「ん?」
シン「差し入れだ。楽しんでこい」
ケンシロウ「シン…」
シン「…さあ行け! 俺は無職と違って忙しいんだ!」
ケンシロウ「ありがとう、次は絶対来てくれよ!」
バタン
シン「ユリア…」
大佐「差し入れ代、天引きしておきます」
ヒカヌ コビヌ カエリミヌ!
サウザー「帝王に逃走は無いのだ!!」
テイオウニトウソウハナイノダ!
サウザー「うむ、では今日も皆で楽しく遊ぼうか」
ワー エンチョウセンセー
サウザー「フハハハハハ!」
シュウ(朝の発声練習さえ普通なら良い方なんだがなぁ…)
トキ「なるほど、芸能界デビューしたマミヤさんとのすれ違いが」
レイ「メールも返ってこないしっ ングッングッ」
トキ「もうその辺にしなさい。明日も仕事だろ?」
レイ「ぐぅ…俺は…俺はぁ……」
トキ「レイ…」
トキ「そうだ!」
アミバ「ほう、それでこの天才科学者アミバ様を?」
レイ「はい…」
レイ(胡散臭い)
アミバ「なるほど、だが俺には芸能界のコネは無い」
レイ「ではどうすれば…」
アミバ「…」
アミバ「…俺に不可能はない!」
レイ「何か妙案が?」
アミバ「ああ、まぁ詳しい話は珈琲でも飲みながら話そう」コポポ
レイ「うん……」
アミバ「気分はどうだね」
レイ「俺…何時の間に」
アミバ「疲れてたんだろう。それとも、この超天才科学者アミバ様の話は凡人にはちと難しかったかな?」
レイ「すみません、真面目な話の最中に」
アミバ「構わんよ。お前が寝ている間に段取りは完璧に終わった」
レイ「本当ですか!!」
アミバ「あーあもちろん」ニヤッ
レイ「客人?」
アミバ「マミヤクンに非常に近しい人物だ」
レイ「マミヤ…!」
ガチャッ
ユダ「おお!これはまた美しい!」
ダガール「彼女がアイドル候補のレイちゃんですかな?」
レイ「えっ」
美しい長髪!
きめ細やかな張りのある肌!
スラッと伸びた引き締まった足!
見る者を魅力する神秘的な瞳!
ボンッキュッボンッ!
アミバ「俺は天才だ!!」
レイ「ええええ!?」
レイ、芸能界デビュー
ケンシロウ「なんぶぁぉお」モグモグ
トキ「ケン、汚い」
ラオウ「食事中に無粋な奴、一体何だ」
ジャギ「実は今月の生活費が早くもなくなった」
ケンシロウ「へー」
ラオウ「何かと思えば…」
トキ「ジャギ、醤油取ってくれ」
ジャギ「ほら」
トキ「ありがとう…」
ラオウ・ケンシロウ・トキ「えっ」コトッ
ジャギ「ああっ醤油がっ」
トキ「まーた新しいバイクを買ったのか?」
ラオウ「事と次第によってはうぬを天に還えす事になる」
ジャギ(何で俺責められてんだ…?)
ラオウ「なんだこれは?」
ケンシロウ「150万!? 何かの間違いだろ」
トキ「ジャギよ、そんな請求書を相手にする必要はn」
振り込み先宛名 アミバ天才整形外科クリニック
トキ「」
ラオウ「どうしたトキ」
トキ「」☆
ラオウ「心当たりがあるみたいだな」
トキ「ウウン、ゼンゼンナイヨ」☆
ケンシロウ「あ、嘘ついてる」
トキ「ウソチガウウソチガウ」☆
ケンシロウ「プチ整形するぐらいなら(心の)病治せよ」
ジャギ「あと整形するなら普通俺が先だよな」
ラオウ「さて、愚弟の包茎を治したおかげで何としてでも働かなければいけなくなった訳だが」
トキ「包茎治療などしていない!」
ケンシロウ「あと最低20万は稼がないと借金は返せないな」
ラオウ「せめて25は欲しい。やるぞケンシロウ」
ケンシロウ「ああ、兄さん」
トキ「あれ、最初から戦力外?」
ケンシロウ「なんとかバイトが見つかったな」
ラオウ「リサイクルに出す冷蔵庫の積み卸しか、なんとも重労働だ」
ケンシロウ「しかし一人日当1万!残業代もまるまる出る」
ラオウ「久しぶりに腕が鳴るわっ」
ケンシロウ「あ、トキはこっちな」
トキ「流れてくる瓶に傷が無いか監視するバイト…」
ラオウ「これしきの労働で…拳王の腰は砕けぬ…!」ズシィッ
ケンシロウ「こういう仕事は…シュウが似合うと思うなっ」ズシッ
ラオウ「無駄口を叩くなッ ジャギが大切なバイクを質に入れて凌いでくれたのだぞッ」ズシッ
ケンシロウ「わかっているっ 何としてでも今週中に20万稼がねば…バイクが捌かれるッ」ズシッ
ラオウ「それだけは漢のメンツに賭けて阻止せねば…ッ」ズシッ
ケンシロウ「北斗の長兄たる兄さんが膝をつくとはらしくない」
ラオウ「地面に突っ伏してるうぬに言われたくないわ」
ケンシロウ「フフ…」
ラオウ「ハハ…」
ジャギ△
よかったなジャギ
ケンシロウ「しかしトキはずるいな、座って瓶を眺めるだけなんて」
ラオウ「北斗剛掌波!」
ケンシロウ「へぶしっ」
ラオウ「このうつけ…何の考えも無しにトキを送り込んだと思ったか」
ケンシロウ「い、一体どんな秘密が?」
古くは漢の時代、罪を犯した者に課す拷問が元であると言い伝えられている!
一定の速度で途切れなく流れてくる瓶は受刑者の精神を蝕み!
傷つき瓶一本見逃す度に鞭を一回打ちつけられる!
流動音により脳の波長は徐々に狂い!
最後には廃人にされてしまうのだ!
ラオウ「…トキ程の精神力がなければ送り込まん」
ケンシロウ「流石ラオウ、拳王を名乗るだけはある!」
ケンシロウ・ラオウ組の日当は一万円!
更に17時から19時までの残業、時給1200円を計算すると14万プラス16800円!
計15万6800円となる!
これにトキのアルバイト、時給1200円(定額)が加わるが…
ラオウ「最低でも5万…!」
ケンシロウ「生活費も考えると9万は欲しい…!」
ラオウ「だがあの(心の)病を背負ったトキが1日11時間も耐えれるとは…」
ポン
ラオウ「ケンシロウ…」
ケンシロウ「トキを信じよう…」
ケンシロウ「ありがとうございます」
モヒカン「バイト代も少しイロをつけてっから、またよろしくな!」
ラオウ「うむ、…して茶封筒は」
モヒカン「ああ、あと一人いっからちょっと待てって」
ガチャ オツカレサマデース
ラオウ・ケンシロウ「あっ」
トキ「二人とも、お疲れ」
実はこの一週間、トキも同じバイトをしていたのだ!
(心の)病を押し込め、自身の体を刹活孔で無理やり強化していたのだ!
その働き振りを見た周りの社員は鬼気迫る者を感じ、休むようすすめたがトキは働き続けたという!
ケンシロウ「そんな…毎日刹活孔を打ち込んでいたら…トキの命は…」
トキ「いいのだ…今こそ命燃やし尽くす時、そう感じたのだ」☆
ラオウ「トキ…見事な漢よ」
借りた20万を返しても10万のお釣りが来る!
社会経験0の三人にしては上出来な結果!
三人は足取り軽く家路につくのだった
ラオウ「あの愚弟、遅いのう」ソワソワ
ケンシロウ「ああ、いっそメールしてしまおうかと一瞬考えてしまった」ソワソワ
トキ「ふふ…ジャギの喜ぶ顔が目にうガハァッ」☆
ガラガラ オレノナヲイッテミロー
ラオウ「むっ」
ケンシロウ「あの独特な帰宅の挨拶、間違いなくジャギ!」
ジャギ「あァ? バイトで30万稼いだ?」
ラオウ「うむ、たまには長兄らしさを見せつけたくてな」
ケンシロウ「ラオウは素直じゃないな。この間の借金の返済に当ててくれ」
ジャギ「借金の事は心配いらんと言っただろ」
ラオウ「この拳王の全身全霊を込めたバイト代を受け取れ!」バァンッ
ジャギ「いや、だから」
ケンシロウ「ジャギ、遠慮も過ぎると無礼に当たるぞ」
ジャギ「ちょっと俺の話を聞いてくれ!」
ケンシロウ・ラオウ「夏のボーナス!?」
ジャギ「そう、最初からボーナス一括返済のつもりだったんだよ」
ケンシロウ「なんだ…」
ラオウ「一足も二足も遅かったのか…」
ジャギ「…でも、みんなの気持ち嬉しかったぜ」クシクシ
ケンシロウ「へへ…」
ジャギ「ヒャハッ」
ラオウ「…ぬふふ」
ラオウ「ではこのバイト代で寿司でも食いに出掛けるか」
ジャギ「いいねぇ」
ドタドタ
トキ「」☆
借金も全額返済し、北斗家に平和が戻ったのだ!
もっとも、ラオウとケンシロウは一週間でバイトをすっぱり辞め、再びエリートニートに戻った
そしてトキは2ヶ月寝込み、前期の単位を全て落とした
サウザー「何だ?」
イイモノアルヨー
サウザー「いいもの?」
…
サウザー「これは…聖帝十字陵!?」
スナデツクッタノー
サウザー「ハッ」バッ
ズシャッ
サウザー「南斗鳳凰拳奥義ィ!?」ズボッ
アッ!? スナヤマガッ!?
サウザー「あっ足がぁ!?」ジタバタ
ウワーン エンチョウセンセイガコワシター
シュウ「…何をなさってるんです?」
サウザー「…つい」
レイ「マミヤが表紙のTiaragirlが隣に並んでいるととても複雑な気分だ…」
レイ「…」
レイ「これ、俺なんだよな…」ゴクリ
レイ「ゴクリって何だ!? ここの効果音はズーンとかだろ!」
レイ「あああああ! 男に戻りたーい!」
ケンシロウ「日記の更新履歴…あ、トキのが一番新しいな」
8月30日 今日のフリーゲーム紹介133本目8月30日 昼飯が何もなかった
8月30日 大正野球娘レビュー
8月30日 アークザラッド3攻略5日目
8月30日 また兄者が面接落ちたらしい(笑)
8月30日 晩飯に大嫌いななめこが入ってた
8月30日 眠くならない
ケンシロウ「…トキ」
黒王号「ブルルッ」
ラオウ「さて、新聞は…」ガサッ
ラオウ「む! これは…」
ジャギ「あ、トキ兄者の健康運今日も最下位だな」
トキ「同じ星座の人達に申し訳ないな」
ラオウ「貴様ら!これを見よ!」スパンッ
ケンシロウ「なんだ朝から騒々しい」ピラッ
ケンシロウ「差出人は………リュウケン!?」
トキ「エアメールということは海外か…」
ケンシロウ「全く、自分の金とはいえ世界中遊び回ってないで少しは家計に入れて欲しいよな」
ジャギ(ニート二人に浪人生いたら逃げたくなる気持ちもわかるわ)
4人とも元気か
俺はバリバリ絶好調だ
俺は今イタリアに来ている
イタリアはなかなかいいところだぞ、パン硬いけど
変わっていることに、こっちの人間は日本人ほどカツカツに働いたりしない
1日のスケジュールに昼寝があるぐらいだからな、根っからの怠け者だ
あ、ラオウとケンシロウもイタリア人かもな(笑)
ケンシロウ「相変わらず腹立つ物言いだな」
トキ「しかも結局どこの国の話してるかわからないし」
トキ「ケルン大聖堂、なんで通天閣まであるんだ…ひょっとしてからかわれてるのか?」
ケンシロウ「…まぁ元気そうだし、細かい事もそうでない事もいいとしようじゃないか」
ジャギ「ん? もう一枚紙があるぞ」
追伸
金なくなった。仕送りヨロ
ジャギ「」
トキ「ん? どうした?」
ユリア「へー、リュウケンさんから」ペラ
ケンシロウ「ああ、年甲斐もなく世界中遊び回ってるよ」
ユリア「あ、これパリコレの写真だ」
ケンシロウ「そうなのか? よく分かるな」
ユリア「女の子ですからー」
ユリア「あれ」
ケンシロウ「ん?」
ユリア(これ…レイさん……??)
ケンシロウ「ちょっと待て…紙袋の紐が食い込んで痛いんだが」
ユリア「我慢しなさーい」
ケンシロウ「なあ、買い物はこれぐらいにしないか? 袋がかさばって扇みたいになってるし」
ユリア「ダメ! やっとケンを連れ出したんだから、この幸せを満喫しないと!」
ケンシロウ「やれやれ…」
ユリア「あぁ!?」
ケンシロウ「ん? どうしたユリア!」
ケンシロウ「…」
ジュウザ「……」
【あの雲のように自由に生きよう 10―3】1000円
ケンシロウ(うわぁ…)
ユリア(結構高いし…)
ジュウザ「…」
ケンシロウ「ああ、そうだな…」
ジュウザ「…」
ユリア「あ、少し持つよ…」
ケンシロウ「いいって、これでも結構鍛えてるし…」
ジュウザ「…」
バット「やるぞ」
リン「うん…せーのっ」
バット・リン「ケーンッッ!」
ケンシロウ「アタァッ」バンッ
ケンシロウ「またケーンダッシュか!」
トキ「唐突だな」
ラオウ「もう一度言う、何も言わず首を縦に振れ」
トキ「何故隠す? 早とちりからリュウケンを天に還した時も取り繕わなかった貴方が」
ラオウ「是非も無し」
トキ「…かかってくるがいい」スッ
ラオウ「…」スッ
ラオウ「ぬううううんッッ」バッ
トキ「こ、これは…ぁ!?」
ケンシロウ「黙れ、今…とことんぷよぷよで忙しい」ダイヤキュート
ラオウ「天 将 奔 烈」
ドガァッ
ケンシロウ「何のつもりだ」
ラオウ「俺は今、虫の居所が悪い。大人しく従えばそれでよし」
ケンシロウ「断る。セガサターンの受けた痛み、お前の体に刻んでやる」
ラオウ「その気になったか。だが、これを見てもそのような口が聞けるかな?」バッ
ケンシロウ「何!? これは…!?」
トキ「ケンシロウ…」
ケンシロウ「トキ!? お前まで?」
トキ「すまない…」
ラオウ「ぬふふ…残すはジャギ一人だ」
ケンシロウ「このままでは…」
トキ「ジャギを信じよう、私達には信じる事しかできない」
ケンシロウ「頼む…ジャギ兄さん!」
ジャギ「兄者、どうした」
ラオウ「何も言わずうんと言え」
ジャギ「…」
ジャギ「捨ててこい」
ラオウ「ぬ!?」
ジャギ「また動物を拾ってきたのか」
ラオウ「北斗剛掌波!」
スァァァ
ラオウ「消えた!?」
ラオウ「今のは無想転生!?」
ラオウ「くっ! 食らえい!!」バッ
ニャーン
ジャギ「…」
ラオウ「…」チラッ
ジャギ「何だその目は」
ジャギ「黒王号かその猫か、どちらか選べ」
トキ「ジャギ! その選択肢はあんまりだぞ!」
ケンシロウ「この悪魔め…!」
ジャギ「今は悪魔が微笑む時代なんだ」
ラオウ「ジャギ…、……ジャギ様、どうかこれ一匹だけ猶予をくれぬか」
ジャギ「…」
ラオウ「このラオウ、猫を飼うのに人の手は借りぬ…ッ!」
ラオウ「ジャギ!」
ケンシロウ「兄さん…!」
トキ「キミ、良かったな」
ニャー
ジャギ「俺は一切面倒見んからな! お前ら三人でなんとかしろよ!」
トキ「わかってるさ」
ラオウ「我が生涯に一片の悔い無しッ!!」ドゴーン
トキ「病院行ってくる…」
ジャギ「後期の授業までには戻れよ」ジャバジャバ
ケンシロウ「ラオウ、今こそLOVで決着をつけよう…!」
ラオウ「面白い! 我が全霊を込めた天草四郎をとくと味わうがいい」
ジャギ「連コインはするなよ」バシャバシャ
ニャー
ジャギ「待ってな、今朝飯やるから」
ニャーン
ジャギ「ほれ」
ニャン
ジャギ「はは…俺もまだまだヒヨッコだ」
トマラナイトドウナルノ?
サウザー「退かぬ」
サウザー「媚びぬ!」
サウザー「省みn ッうァ!?」ドカァッッ
シュウ「園長先生みたいになっちゃうからねー」
ワー! コワーイ!
サウザー「お師さん…」
ケンシロウ「…」
トキ「…なんだこれは」
ラオウ「見て判らぬか」
トキ「わからないから聞いているのだが…」
ケンシロウ「どう見てもジャギのバイクだろ」
トキ「それは分かる。何故ジャギのバイクにピンポン玉が刺さっているんだ」
ラオウ「卓球をしていたからに決まっているだろう」
ラオウ「どうした? 半年も大学に行っていないから頭も病んだか?」
ケンシロウ「トキ…卒業さえしていれば…」
トキ「もしもし、ジャギか?」
ラオウ「…!」ググッ
トキ「じょ、冗談だ…繋がってない」ググッ
ラオウ「全く、無駄な体力を使わせるな」
ケンシロウ「引っ張ってみたものの、全く動かないんだ」
トキ「無理に取ろうとせず、逆に一体化させたらどうだ?」
ケンシロウ「え、本気で言ってる?」
ラオウ「それは無い」
トキ「冗談だ! 真に受けるな!」
ケンシロウ「修理っていくらぐらいだ?」
トキ「擦ったならまだしもめり込んでるからな…とりあえず2万ぐらいか?」
ラオウ「三人の手持ちを出し合えば足りるな」
トキ(さりげなく頭数に入れられた)
…
ラオウ「1022円」
ケンシロウ「85円」
トキ「10264円」
トキ「やる気あるのか!」
トキ「…あ」
ケンシロウ「確かに。危うくトキに金を騙し取られるところだった」
ラオウ「見損なったぞトキ」
トキ「ジャギか? 私だが」
ケンシロウ「ホァタァッ!」
携帯「あべしっ」
トキ「…!」ググッ
ケンシロウ「…!」グググッ
ケンシロウ「冗談はこれぐらいにしておこう。本当にジャギに怒られる」
トキ「私に怒られるのはいいのか」
ラオウ「一つ気掛かりなことがある」
ケンシロウ「何だ?」
ラオウ「ケンシロウ、うぬはさっき携帯の秘孔を突かなかったか?」
ケンシロウ「…なるほど!」
トキ「同じ要領でピンポン玉を破壊するのだな!」
ケンシロウ「…」
トキ「…」
ケンシロウ「どこだよ…」
トキ「さぁ…」
ラオウ「皆目見当もつかん…」
ケンシロウ「本当に秘孔あんのかよ…」
トキ「さぁ…」
ラオウ「誰だ秘孔突くとか言い出した奴は…」
ケンシロウ・トキ「…」
ラオウ「ここを突けばピンポン玉は崩壊する筈だ」
ケンシロウ「さあ、遠慮なく突いてくれ」
トキ「待て、いろいろおかしい」
ラオウ「何だ、この期に及んで怖じ気づいたか」
トキ「何故私が突く流れなんだ」
ケンシロウ「北斗神拳の極意は、身体を外部からではなく、むしろ内部から破壊することにある」
トキ「知ってるよ! 北斗神拳の極意知ってるよ!」
ラオウ「トキ、御乱心」
トキ「ゲホッゲホォッ」
ケンシロウ「カリカリすると寿命縮むぞ」
トキ「もうやだこの兄弟」
トキ「わかった、私が突くのはいい。だが何を根拠にここを突くんだ?」
ケンシロウ「天の声が聞こえたんだ」
ケンシロウ「右よ…と」
トキ「それは押すけども…」
ケンシロウ「ドキドキ」
ラオウ「ワクワク」
トキ「…」
トキ「もし上手くいったとして、その後はどうするんだ?」
ラオウ「そんなもの、上手くいってから考えよたわけ」
ケンシロウ「パテでも詰めれば気付かないだろ」
トキ(本当は私をおちょくってるんじゃないか…?)
ピキーンッ
バイク「ひでぶっ」
ラオウ「」
ケンシロウ「」
トキ「」
ラオウ・ケンシロウ「バイクが喋った…」
トキ「そこ!?」
ケンシロウ「ああもしもし、兄さん?」
ラオウ「早う帰ってこい。ちょっとしたスペクタクルだぞ」
トキ「これ見よがしに電話するな!」
ジャギ「」☆
ラオウ「すまぬ」
ジャギ「」☆
ケンシロウ「悪気はなかったんだ」
ジャギ「」☆
トキ「また三人でバイトして修理に出すから…許してくれないか」
ジャギ「ふざけるな!」
ケンシロウ「ふっ」ヒラッ
ジャギ「北斗羅漢撃!」ダダッ
トキ「はっ」シュパッ
ジャギ「南斗邪狼撃!」
ラオウ「むんっ」ガシッ
ジャギ「くそっ! くそっ! くそぉおおおお!」ボロボロ
ケンシロウ・トキ・ラオウ「…」
ジャギは北斗神拳伝承者が決まると同時に拳の道を諦め、家計を助ける為社会に出る事を選んだ!
意外な事に営業力はずば抜けて優れていたジャギは、北斗家を一人で養う程の成功を収める!
拳の才能はなかったが、こういう人生も悪くない…
そう自分に言い聞かせ、自分を押し込める毎日!
いつしかジャギの心には深い悲しみが宿っていくのだった!
ラオウ「ジャギ! 朝食はまだか!」
…
ラオウ「…おかしい、早出だとしても作り置きがある筈」
ニャーン
ラオウ「ぬ? うぬも食いっぱぐれたのか」
ニャォー
ラオウ「…そうだ、俺達はジャギに…」
ビーッ
トキ「…」
トキ「おかしい…ナースコールを押してもジャギが来ない」
トキ「…そうだ、ジャギはもう…」
ユリア「あら、どうしたの?」
ケンシロウ「ユリア、何か料理を作ってくれ」
ユリア「あら、ジャギさんは?」
ケンシロウ「家出した」
ユリア「家出ぇ!?」
ケンシロウ「トキがジャギのバイクをひでぶしたら泣きながら出てった」
ユリア「今からそっち行くわ」
ブヅッ
ケンシロウ「持つべきものはやっぱり彼女だなぁ」
ケンシロウ・ラオウ・トキ「!」ビクッ
ユリア「ジャギさんが怒らないから不問にしてたけど、今日こそははっきり言うわ」
ユリア「この…駄目人間共!!」
駄目人間共「ガーン!」
ユリア「あなた達ね、いい歳して他人に養われるなんて恥ずかしいと思わないの!?」
ラオウ「しかし、ジャギが兄弟なんだから気にするなと…」
ユリア「気にしなさ過ぎだバカチンッ」バチーンッ
ラオウ「わばっ」
ラオウ「む、ムダ筋!?」ガビーン
ユリア「長兄とか偉そうな事言って、未だにジャギさんにおんぶだっこの子供じゃない」
ラオウ「ぐ、ぬぅ」ズゥゥン
トキ「ラオウが! 言葉だけで膝を!?」
トキ「病人!?」ズキッ
ユリア「心の病(笑)? 鬱病(笑)? 笑わせんじゃないわよ!」
ユリア「赤の他人から受けた屈辱と、家族から受けた屈辱、どっちが悲しいと思う?」
トキ「…」
トキ「あれ、私もケンシロウ達にだいぶ」
ユリア「しゃらくせぇぇえ!!」バチコーンッ
トキ「たわば!!」
ケンシロウ「…ユリア」
ユリア「ふんっ」ゴッ
ケンシロウ「あろっ!」
ケンシロウ「い、いきなりグーで…?」ボタボタ
ユリア「…」
ケンシロウ「…ユリア?」
ユリア「大っ嫌い」
バタンッ
ケンシロウ「」☆
ギョウムレンラク キング ジムショマデキテクダサイ
シン「この忙しいのになんだ?」
…
シン「このキングの城で万引きとはいい度胸だ」
シン「そんなに死にたいか? ん?」
ケンシロウ「ぁぅぁぅぁー…」
シン「良かろう、殺してやる」
シン「ああ、そうか」
ケンシロウ「礼といってはなんだが…」
シン「いらん」
ケンシロウ「なに、大したものじゃない。遠慮なく受け取ってくれ」
シン「いや、本当に大した物じゃないだろうからいらんと…」
ケンシロウ「ほら、心ばかりのお礼だ」
⑩⑩⑩⑩⑩⑩⑩⑩
①①①①① チャリーン
シン「うわっ、いらねぇ」
シン「同情の余地がないな、助けるんじゃなかった」
ケンシロウ「…っ」
シン「ケンシロウ、俺はお前がどんな地獄に落ちようと構わん」
ガシッ
ケンシロウ「ぐっ!?」
シン「だがユリアを道連れにしてみろ、死ぬ事も叶わぬ生き地獄を永遠に味わわせてやる…!」
ブンッ
ケンシロウ「がはぁッ!?」ドカァッ
シン「失せろ、業務の邪魔だ」
ケンシロウ「…シン」
シン「…」
ケンシロウ「ありがとう、強敵よ」
バタン
シン「…さらばだ」
ケンシロウ「俺、自分の才能に溺れてた」タタタッ
ケンシロウ「心のどこかでジャギの事見下して、自分は特別だと思ってた」タタッ
タッタッタ…
ケンシロウ「家族…なのに」トボトボ
ケンシロウ「俺、…なんて言ったら…」
「やるべき事は一つだろうッ!」
ケンシロウ「その声は!?」
ケンシロウ「ラオウ!」
ケンシロウ「…その傷は」
ラオウ「縁側で考え事をしていたら黒王号に蹴り飛ばされたわ!」
ケンシロウ「はは、よく無事だったな」
ラオウ「伊達に長兄をしておらぬわ」
ケンシロウ「馬にまで心配されるとは、最低だな俺達」
ラオウ「最低なら最強まで上り詰めるまでよッ!」
ラオウ「行くか」
ケンシロウ「ああ」
「ジャングルジムの頂点は、天を掴むこのラオウの玉座の筈だが?」
ジャギ「!」
ラオウ「まぁ、たまには下から見上げるのも悪くないか」
ジャギ「兄者…」
ケンシロウ「ラオウが代わってくれないから、とうとうこの歳まで登れなかったじゃないか」
ラオウ「ケンシロウには一世紀早いわ」
ケンシロウ「やれやれ…」
ケンシロウ「座り心地はどうだい、兄さん」
ジャギ「ケンシロウ…」
ラオウ「ジャギよ、覚えているか」
ジャギ「何をだよ」
ラオウ「俺が野犬の群に襲われて瀕死の重傷を負った時の事だ…」
ラオウ「お前は石油ををそこら中に撒いて野犬を焼き払い、助けてくれたな」
ジャギ「兄者はあの後、漢なら拳のみで戦わぬかって俺をボコボコに…」
ラオウ「本当はな、ありがとうと、お前みたいな弟を持てて幸せだと、言いたかったんだ」
ラオウ「子供心に照れくさくて、つい殴ってしまったが」
ジャギ「兄者…」
ジャギ「確かお前が高熱を出して……思い出せん」
ケンシロウ「兄さんは俺の代わりに試験を受けてくれたんだ」
ジャギ「嘘言え、俺にはそんな記憶…」
ケンシロウ「無理もないよ…自ら秘孔を突いて頭を吹き飛ばしてたんだから」
ジャギ「!」
ケンシロウ「次の日俺が元気になった時、兄さんは命の境をさまよっていた…」
ケンシロウ「俺、生まれて初めて号泣したよ」
ラオウ「兄さんを助けて、兄さんを救ってと、くたびれ眠るまで喚いてたな」
ジャギ「…」
ケンシロウ「迷惑な弟で…ごめん。そして、ありがとう兄さん」
ケンシロウ「兄さん!」
ラオウ「ジャギ!」
ジャギ「俺はな、お前らの存在がずっと煩わしかった!」
ジャギ「兄者にボコボコにされる度、兄に弟は適わないと言い聞かせてた」
ジャギ「しかし次第にケンシロウにまでボコボコにされる始末!」
ジャギ「拳の道を断念すれば、今度は家事も生活費も、終いにはお小遣いも俺任せ!」
ジャギ「俺は…俺はァ……!」
「兄さん、もう一本稽古つけて下さい!」
ジャギ「俺はな……お前らを憎んでも憎んでも…憎みきれないんだよォ」ポロポロ
ラオウ「ジャギ…」
ケンシロウ「兄さん…!」
ラオウ「ジャギ、今回は本当にすまぬ事をした」
ケンシロウ「あのバイク、俺達に直させてくれないか?」
ジャギ「いいって、ありゃ完全に廃車だ。直らねーよ」
ラオウ「ならば一生かけて直すというのも、また一興じゃないか?」
ケンシロウ「お、流石兄さん。いい事言うね」
ラオウ「ぬふふふ」
ケンシロウ「はははは」
ジャギ「ヒャァハハハ!」
トキ「レイ、いるのはわかっている」
「…」
トキ「整形手術代150万、今すぐ返してくれ」
「…」
トキ「私達兄弟の危機なんだ! 頼む!」
「…」
トキ「…でないと妹さんにお前がオニャノコになった事、言っちゃうぞ」
「! 卑怯な!」
トキ「勝てばいい、それが全てだ!」
バンッ
レイ「南斗水鳥拳の伝承者の名に掛けて、貴様を処刑するッ」キリッ
トキ「キュン」
処刑されたくなっちゃいました
じゃねーだろwwwwwwwwwwwwww
トキ「失礼した!」ササッ
レイ「……何だったんだ」
…
トキ「うう…気分が優れない」
トキ「熱がある気がするし、動悸も収まらない…」
トキ「早く帰ってジャギに診てもら…あ」
ユリア「仲直り、できたみたいね」
ケンシロウ「ユリア…」
ラオウ「お見通しという訳か」
ユリア「当たり前よ、何年の付き合いだと思ってんの」
ジャギ「でも心配はかけちまっただろ、すまねぇな」
ユリア「いいの、ケンもちょっとは懲りたろうし」
ラオウ「グーパン食らった時のケンシロウの顔ときたら」
ケンシロウ「お前も言葉責めで泣きそうになってただろ!」
ユリア「二人ともっ」
ラオウ・ケンシロウ「…ごめんなさい」
ジャギ「ヒャハハッ」
今回の兄弟喧嘩でケンシロウとラオウは少しだけ大人になった!
ジャギに甘えず独り立ちできるようになるため、まず第一歩として家のお手伝いを始めたのだ!
ラオウは風呂掃除と洗濯!
ケンシロウは食器洗い!
を、毎週月水金にすることとなったのだ!
それは北斗な人々の心安らぐ時間!
ケンシロウとラオウは、実に1日振りの食事にありついたのだ!
ラオウ「うまい!美味すぎるぞ!」
ケンシロウ「許されて良かったー!」
ジャギの海より広い心に二人は許された!
そう、トキを除いて!
トキ「たのむッ 玄関を開けてくれッ!」ドムドムッ
シュウ「…」
シュウ(オウガイ先生、サウザー園長は立派に貴方の意志を継いでいます)
シュウ(貴方が先立たれた時、園長は深い悲しみを背負いました)
シュウ(ですが、悲しみに暮れる事なく、再び指導者として立ち上がったのです!)
シュウ(…サウザー園長の心には、まだオウガイ先生が生きています)
サウザー「今行く」
サウザー「お師、また来ます」ペコ
シュウ(最近は子供達も墓参りについてきます)
シュウ(遠足か何かと勘違いしてるのかもしれません)
シュウ(まぁそれも仕方のない事でしょうか)
シュウ「だって、オウガイ先生の墓は聖帝十字陵(ちょっとしたテーマパーク)ですから…」
シュレン「フドウんところは子供が多いからな、なかなか都合がねぇ」
フドウ「いや、すまんすまん」
ヒューイ「どうする?とりあえず一杯いくか?」
リハク「それならとっておきの店があるぞ」
シュレン「酒好きのリハクが言うなら間違いないな」
フドウ「旧友と久々の酒か、楽しみだな」
リハク「とりあえず駅に向かって、三駅ほど…」
ジュウザ「…」
リハク「ジ、ジュウザ…」
ヒューイ「げ、元気してたか…?」
シュレン(おい!)
リハク(止めとけフドウ!)
ジュウザ「いや…いい」
ジュウザ「金、無いし…」フラフラ
ヒューイ「行っちまった」
シュレン「マジ焦ったわ」
ケンシロウ「何だ」ピコピコ
ジャギ「洗ってない食器が溜まってるんだが」
ケンシロウ「ふーん」
ケンシロウ「で?」
ジャギ「…」
マミヤ「ファッション誌の表示を飾るのも私より多いし…悔しいわ」
マミヤ「…そういえば、私REIについて何も知らないわね」
マミヤ「よし! 敵情視察よ!」
…
マミヤ「じー」
レイ(マミヤから熱い視線が…こんな格好なのに)ビクビク
レイ「あら、ありがとう」
スッ
マミヤ(音をたてずに飲んだ!)
レイ「あら、茶葉を変えたの?」
コマク「ええ、いいものが手に入ったので」
レイ「通りで、とても美味しいわ」ニコ
コマク「お口に合ったようで何よりです」
マミヤ(一つ一つの動作から漂う気品、そしてあのエンジェルスマイル!)
マミヤ(REI…恐ろしい娘!)
アイリ「なんかー、仕事が忙しいとかでー」
ユリア(レイがモデルになった事、アイリちゃんは知らないみたいね…)
ユリア(それにしても女装してモデルの仕事するなんて、一体どんな事情が…)
アイリ「あ! ユリアさん知ってます?」
ユリア「何を?」
アイリ「これこれ! マミヤさんに強力なライバル出現ですよー」
アイリ「はぁーREIちゃん綺麗だなぁー」
ユリア(それ…貴方のお兄さんよ)
アイリ「ユリアさん…」
ユリア「ん? 何?」
アイリ「REIちゃんって…」
ユリア(気付いた!?)
アイリ「睫毛長いですね」ゴクリ
ユリア「え、ええ…そうね」ズルッ
トキ「ああ、体の調子がすこぶる良くてな」
ケンシロウ「珍しいな、(心の病が)治ったんじゃないか?」
トキ「そうかも知れないな」
トキ(今は恋の病にかかってるけど)フフ
ケンシロウ(どうしよう、トキが気持ち悪い)
ジャギ「おお、アイリちゃんか」
アイリ「最近よく会うね!」
ジャギ「本当だな」
アイリ「この間、厳つい方のお兄さん見たよ」
ジャギ「ラオウ兄者か?」
アイリ「多分。コロコロ買ってたー」
ジャギ「デカい図体してカーペットの汚れが許せない性分なんだよなぁ」
アイリ「ふふ、なんだかかわいい」
ジャギ「いや、かわいくはないぞ」
ジャギ「ああ、ウチは大飯食らいが二人いるからな。タイムセールは有り難い」
アイリ「でも土日しかこの時間で会わないですよねー」
ジャギ「働いてるからな、平日間に合わないのは仕方ない」
アイリ「あーあ、メットのお兄さん面白いから平日も会えたらなー」ショボン
ジャギ「まあ無理だな」
アイリ「この後、時間あります?」
ジャギ「まぁ夕飯までは」
アイリ「良かったら一緒にお茶しませんか?」
ジャギ「俺と?」
アイリ「はい!」
ジャギ「ああ、いいよ」
アイリ「やった! じゃあ張り切って買い物しましょー」
ジャギ「今晩は何にしようかな」
アイリ「あ、またレシピ教えて下さいよー」
ラオウ「ジョイヤッ」コロコロ
ラオウ「塵と砕けよっ」コロコロ
ガチャッ
ケンシロウ「うるさいぞラオウ」
ラオウ「我がカーペットに上がるなッ!」ゴォッ
ケンシロウ「うわっ 危なっ」
ラオウ「お前の足に付いていた埃が…」コロコロ
ケンシロウ(こればかりは余所の人に見せられないな)
ケンシロウ「これがレイ!? 信じられん…」
ユリア「本人に直接聞くのが一番だと思うんだけど…貴方レイの家知ってるでしょ」
ケンシロウ「そりゃあまぁ」
ユリア「もし女装が癖になっちゃったのなら貴方の拳で目を覚まさせて」
ケンシロウ「ああ、それが友としてできるたった一つの事だな」
ユリア「じゃあ頼んだわよケン」
バタン
ケンシロウ「うわっ やべーよ! みんなにメールしなきゃ!」
レイ「メールだ」
差出人:ケンシロウ
件名:モデルのREIって南斗のレイらしいぞ!
本文:どうしようwww俺親友なんだけど^^;
レイ「」
ケンシロウ「あ、全送信しちゃった」
差出人:ケンシロウ
件名:モデルのREIって南斗のレイらしいぞ!
本文:どうしようwww俺親友なんだけど^^;
マミヤ「」
ビーックビックビックビックカッメラッ
ジャギ「すまん、メールだ」
ジャギ「…」
パタン
アイリ「どうかしたの?」
ジャギ「何でもない! 弟がまた世迷い言を言ってるだけだ!」
アイリ「ふーん?」
ジャギ(仮に本当だとしたら尚更言えねー!!)
マミヤ「REぃ…」
トキ「…」
レイ「…」
マミヤ(何なのよこの状況…)
トキ「レイ…好きだ」
マミヤ「!?」
レイ「トキ…お前とは付き合えない」
レイ「俺には愛した女がいる。それは例え女の体になった今も変わらない」
トキ「…そうか、元はといえばその女体化もマミヤを愛するが故の所業だったな…」
レイ「いや、お前らが勝手にやったんだけどな」
マミヤ(あの声…レイ!)
マミヤ(レイ…ずっと私の事を…)
マミヤ(あれ、今女の体とか言った…?)
マミヤ「レイ!」
レイ「マミヤ…ちゃん」
マミヤ「女のフリしなくていいわよ、レイ」
レイ「! そうか…マミヤにもメールが…」
マミヤ「ずっと近くにいてくれたんだ」
レイ「…マミヤが芸能界デビューしてから、置いて行かれた気がして…」
マミヤ「…もう、そんな訳ないじゃない」
レイ「これでようやく男に戻れる…」
マミヤ「レイのチンコがない…」
レイ「しげしげと見るな…」
マミヤ「いいじゃない、女同士なんだから」
レイ「俺は男だ!」
マミヤ「この際女でもいいんじゃない?」
レイ「…マミヤさん、それはどういう」
マミヤ「さあ、久しぶりに恋人同士で愛し合いましょ」
レイ「やめ! お助けっ! アッー」
マミヤ「レイ、可愛かったわよ」
レイ「もうお婿に行けない…」
マミヤ「じゃあ私のとこにお嫁に来なさい」
レイ「えっ」ドキッ
レイ「いや!ドキじゃないし!」
マミヤ「レイの肌すべすべー気持ちいいー」
レイ「こらっ あんっ 舐めるなっ」
マミヤ-レイ GOODEND
レイ「…」ポリポリ
マミヤ「お兄ちゃんはお姉ちゃんになっちゃいました☆」
アイリ「」
ケンシロウ「誰だ?」
ラオウ「知らん、偉いべっぴんだったぞ」
ケンシロウ「ほ、本当に?」ドキドキ
…
レイ「…」
ケンシロウ「…」
レイ「ふんっ」ボゴォ
ケンシロウ「あべしっ」
クソwww
てめぇwwwwwww
レイ「お願いします!」
アミバ「うーむ」
レイ「…無理、ですか?」
アミバ「俺に不可能はない」
レイ「じゃあ!」
アミバ「だが断る」
レイ「なっ!? 何故ですか!?」
アミバ「マミヤクンに断るよう根回しされていてな」
レイ「えっ」
レイ「そ、そこを何とか!」
アミバ「1000万」
レイ「…!?」
アミバ「1000万だ。びた一文負けん」
レイ「…わかりました!」
アミバ「最後に、余計なお世話かもしれんが…マミヤクンに嫌われるかも知れんぞ」
レイ「大丈夫です! 俺達ならどんな姿になっても上手くいきます!」
アミバ(だったら女のままでいいだろ……待てよ)
レイ「さらば!女体!」☆
アミバ「目が覚めたか」
レイ「ここは………あっ!」
レイ「胸がなくなって! …ない?」
レイ「しかし股間に感じる朝立ちの煩わしさ…まさか!?」モコ
レイ「生えてるし…ある」ズーン
アミバ「ん~? 間違ったかな~?」ニヤニヤ
レイ、新しい世界へ
アミバ「黒人のを移植した。これで夜の性活はバッチリだな」プークスクス
レイ「アミバぁぁぁ貴様ぁぁぁぁぁ!!」バッ
アミバ「あ、金はいらんぞ」ブフッ
レイ「払うかっ! 笑いながらいうな!」
アミバ「だって…ブフッ……ふたなりて…フフッ」ワナワナ
レイ「うううーっ」ジワッ
アミバ「おーよしよし」
レイ「さわるなよっ」バッ
獄長「そこのノーヘルバイク、止まりなさい」ウウウウン
ジャギ「走れぇ!走れぇ!どこまでーも」ブロロロ
獄長「止まりなさい違反車!」ウウウウン
…
獄長「すまんすまん、てっきりそういう顔だと」
ジャギ「頭湧いてんじゃないか?」
ジャギ「えっ」
獄長「ん?外せないのか?」
ジャギ「…」
カポッ
獄長「あの…なんだ、……すまん」
ジャギ「…」カポッ
ラオウ「ふむ」モグモグ
ジャギ「そういやそうだな」パクパク
トキ「プレゼントは買ったのか?」
ケンシロウ「…!」スタッ
スタスタスタ
ケンシロウ「ジャギ兄さん」スタッ
ジャギ「…どうした」
ケンシロウ「…お金貸して下さいっ」土下座
ラオウ・トキ(去年も見たコレー!)
ケンシロウ「ケチ! グズッ! 童貞!!」
ジャギ「どどどどど童貞ちゃうわっ」
ラオウ「何!? ジャギに女が!?」ピシャーン
トキ「隊長! ジャギの携帯に女の名前が!?」
ジャギ「かっ返せ!」バッ
ラオウ「天将奔烈!」
ジャギ「わばっ」
ケンシロウ「ふむ…どれどれ」
件名:今日はありがとう!
本文:そろそろ家についたころかな?
アド交換したの嬉しくてついメールしちゃった♪
またお茶しましょうね!
差出人:アイリ
件名:相談なんですが…
本文:家族の気持ちが分からなくなった時、どうすればいいんでしょう。
行き違いとか、理解できない事があるのは分かります。。。
でも、そうなる前に話し合いとかできる筈ですよね?
ラオウ「随分信頼されてるな」
ジャギ「返せっ 返せよぉっ」ポロポロ
トキ「あーあ、泣かせた」
ジャギ「ユリアに止められてんだよ」
ケンシロウ「ユリアに?」
ジャギ「誰かから借りた金でプレゼントもらって嬉しいか?」
ケンシロウ「嬉しい!!」
ジャギ(うわぁ…)
トキ(なんていい目なんだ…)
ラオウ(普通嬉しいだろ)
ジャギ「お前進歩しないなぁ」
トキ「そのうち本当にユリアに愛想尽かされるぞ」
ケンシロウ「あれ!? 俺今いい事言ったつもりなのに」
ジャギ「ないわー」
トキ「空気嫁」
ラオウ(俺も嬉しい派だが黙っとこう)
ケンシロウ「えーと」パラパラ
⑩⑩
①①①①①①①①
ケンシロウ「28えん」ニッ
ジャギ「なんだその笑みはぁ!?」
トキ「ケンシロウ…働いてさえいれば…」
ケンシロウ「…」ムッ
ケンシロウ「トキ…卒業さえしていれば…」
トキ「…!」グググッ
ケンシロウ「…!」ググッ
ジャギ「止めろ止めろ」
ジャギから借りる事も出来ず、指をくわえて誕生日を待つしかないのか!
はたまた、逆転の一手はあるのか!
物語は北斗家以外でも進んでいた!
…
スーパーサザンクロス
シン「そろそろユリアの誕生日だったな」
シン「ユリアには、ケンシロウが金を貸してくれと言ってくるかも知れないが断れ、と言われている」
シン「全く、本当に度し難い馬鹿だな」
シン「まぁ、ユリアを悲しませる訳にもいかんし、簡単なバイトぐらいは用意しておくか」
なんでユリアはシンへ彼氏代えしないんだろう
ケンシロウ「…ここに来るのもトキが馬鹿した時以来だな」
ケンシロウ「全てはユリアの為…」
ケンシロウ「よし! いざ行かん!」
ケンシロウ「スーハー、よし、開けるぞぉ」
ケンシロウ「怖くない怖くない」
ケンシロウ「そ、それは…」
ハート「前歴…世紀末救世主(笑)」
ケンシロウ「くっ」ブルブル
ハート「全く…高卒で資格もろくに無いとは」
ケンシロウ「…」ワナワナ
ハート「世の中そう簡単に職に就けると思わないでもらいたいですねェ」ブヒッ
…
シン(そろそろケンシロウがベソかきながら入ってくる筈…)ソワソワ
ケンシロウ(我慢だ…ユリアの為…ユリアの為…)
ハート「と、私の個人的感想はこの辺にして、職業案内ですが」
ケンシロウ「…え!?」
ハート「聞こえませんでしたか? 貴方の仕事ですよ」
ケンシロウ「仕事…あるんですか?」
ハート「当然です」
ケンシロウ「はは…あはははははは」
ハート「ぶひゃひゃひゃひゃ」
ケンシロウ「初めから紹介しろ」アタァッ
ハート「ひでぶっ!」
ケンシロウ「…」
ゴウンゴウン カラカラカラカラ
ケンシロウ「刺身の上にタンポポを乗せる簡単な仕事と聞いてたが…」
カラカラカラカラカラカラ
ケンシロウ「こんな猛スピードで流れてくる刺身に乗せれるのか!?」
牙大王「新入り! サボってんじゃねぇ!」
ザッ
バラバラバラッ
ケンシロウ「!?」
牙大王「仕方ねぇだろ! こんなん乗せるの無理だ!」
ガシッ
牙大王「あ!? 何だよ? 休憩か?」ズルズル
ケンシロウ「…真面目にやろう」
ケンシロウ「段々コツが掴めてきたぞ!」
ケンシロウ「ホォアタタタタタタタタタタタタタタタタタタタタタタタ! ホァタァ!」
ケンシロウ「北斗! 百裂拳!」ビシッ
刺身「あべしっ」ボシュッ
ケンシロウ「」
時給1200円、勤務時間8時間、通常なら9600円となる!
しかし、刺身をあべしした事とその片付けをしていた時間を差し引き、本日のアガり3000円となった!
ケンシロウ「3000円じゃオシャレな物何も買えないぞ…」
ケンシロウ「…ユリア」
一同「カンパーイ!」
トキ「誕生日おめでとう」
ラオウ「我ら兄弟からの贈り物だ、受け取れ」
ジャギ(俺が全額だしたんだけどな)
ユリア「ありがとう!」
ユリア「あ! ペアティーカップ! ありがとう!」
ジャギ「気に入ってもらえて何よりだ」
ユリア「そういえば、ケンシロウは?」
ケンシロウ「あ、もう始まってたのか」
ジャギ「悪ぃ、先やってた」
トキ「して、プレゼントは上手く買えたのか?」
ユリア「あっ」
ラオウ(この愚弟…上手く行ってなかったらどうするつもりだ)
ジャギ(トキ兄者はたまにラオウ兄者より空気が読めないな)
ユリア「…そっか」
ジャギ(この阿呆ー!)
ラオウ(そこは意地でも買ってくるところであろう!)
トキ(あーあ、ユリア泣いちゃうぞ)
ケンシロウ「こんなのしか買えなかった」
ユリア「えっ」
トキ「ケンシロウ、お前という奴h」
ユリア「ケン!!」バッ
ケンシロウ「おわっ!?」
ユリア「ケン…最高のプレゼントだよ…!」ギュッ
ケンシロウ「ははは…」
ラオウ「どういう事だ?」
トキ「わからん」
ジャギ「二人にとって思い入れのある物なのか?」
それは色鮮やかな鞠だった!
幼少期、心を閉ざしていたユリアの心を開いたケンシロウ!
その出会いのきっかけは鞠だったのだ!
ケンシロウ「なんだかガイアが鞠を買えと俺に囁いて」
ラオウ(偶然だ)
トキ(偶然だ、絶対)
ジャギ(ユリアには黙っておこ)
ジャギ(それは言い過ぎ)
トキ(ユリアテンション上がりすぎ)
ラオウ(語呂が悪い)
こうして! ユリアとケンシロウの破局は免れた!
誕生日は奇跡的に大成功に終わり、再び北斗家に平穏が戻った!
ケンシロウ(来年も鞠買ってこよう)
終わり
長々と保守してもらって本当に申し訳ないです
思い付きで始めたのでスピードが遅く、不満だったでしょうがご勘弁下さい
では、本当にありがとうございました!
……あれ、ケンシロウを待ってたシンは(ry
気付いてもらえて良かったwww
そしてシンが哀れwwwwwwww
__/ // rニ∠ '_ / .r' ゝ ` .' ・´ ネ
/_ // __/ /,∠ / / ───‐,,'===___===,'
/ // / _ , .7∠′ ' ァ/ ,=, ァ /Z,_'─'~__,.ゝ
_/ // / / _ ,-' / / / / //二 ゛ ゙二/
/ .// ' ‐ラ ̄ / / / ' /,-' //二.゙, ,゙二/
z三'__.//___/´ , .. -' / / // / ,...-' /
 ̄ ̄ ̄  ̄ ̄  ̄  ̄ ̄ ̄
/  ̄ ̄\ ~~~~
⊂⊃ /\ ⊂⊃
/⊂⊃ \/ \ /\ ⊂⊃ /\
~~~~ \ \ /\/ \
/ / \
○
O 人
o 人 人
||人 人 人
人 人 人 人
/| ̄ ̄ ̄ ̄ ̄|\
| □□ |
| □□ |
─卜| □□ | ──────────────────
ヒ| |
 ̄|| ̄ ̄ ̄|| ̄ L 幺夂
|| || L 小 ミ
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Entry ⇒ 2012.01.13 | Category ⇒ 版権物SS | Comments (0) | Trackbacks (0)
セイバー「シロウ、リンとサクラの様子が変です」士郎「興味ないな」
http://hayabusa.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1326112884/
セイバー「はい」
士郎「はい。大判焼きを買ってきたんだ」
セイバー「どうも」
士郎「美味しいか?」
セイバー「はい」モグモグ
凛「セイバー、たい焼き買ってきたの。いる?」
セイバー「頂きます」
桜「セイバーさん、焼き芋買って来たんです、食べます?」
セイバー「はい。喜んで」
セイバー「はい」
桜「私がいれますね」
士郎「いいよ、桜。俺がいれる」
凛「私がいれるわよ」
セイバー「……」
士郎「遠坂も桜も休んでていいから」
凛「士郎こそ」
桜「先輩も姉さんも座っていてください」
セイバー「あの……」
セイバー「え?」
ライダー「どうぞ」
セイバー「はい」
ライダー「美味しいですか?」
セイバー「美味です」
ライダー「それは良かった」
イリヤ「セイバー、焼きとうもろこし買って来たわよ。たべてー」
セイバー「は、はい」
大河「セイバーさーん。唐揚げ買って来たの、たべて」
セイバー「これはどうも」
イリヤ「美味しい?」
大河「どうどう?」
セイバー「はぁ……」
凛「そうよ」
桜「どうぞ。おかわりもありますよ?」
ライダー「なにかご希望の品があればいますぐ買ってきます」
イリヤ「なんでも言ってね」
大河「そうよ」
セイバー「みなさん……」
セイバー「ありがとうございます……」
セイバー「私は今……とても幸せです……」
セイバー「……」モグモグ
セイバー「……ん」
セイバー「夢か……」
セイバー「……」グゥ~
セイバー「……」
セイバー「シロー、朝ごはんは―――」
ライダー「セイバー、今頃起床ですか」
セイバー「はい」
ライダー「もう士郎たちは登校しましたよ」
セイバー「……」
ライダー「あなた、日中なにをしているんですか?」
セイバー「警備を……」
ライダー「……」
セイバー「なにも……していません……」
ライダー「朝食は台所です」
セイバー「……」
セイバー「いただきます」
セイバー「……」モグモグ
セイバー「……」モグモグ
ライダー「セイバー、私も仕事に行って来ます」
セイバー「はい」
ライダー「留守を頼みますよ?」
セイバー「はい」
ライダー「……」
セイバー「なにか?」
ライダー「いえ、別に」
セイバー「……」
セイバー「……」グゥ~
セイバー「そういえば最近、シロウが昼食を用意してくれませんね……」
セイバー「瞑想でもしておきましょう」
セイバー「……」
セイバー「……」グゥ~
セイバー「……」
セイバー「なにかないでしょうか……」
セイバー「……」
セイバー「何もありませんね……」
セイバー「あ。ソーセージ……」
セイバー「……」モグモグ
士郎「セイバー!!また勝手に冷蔵庫の物を食べただろ!!」
セイバー「……」
士郎「だめじゃないか!!」
セイバー「いえ……あの……」
士郎「セイバー、何か言うことは?」
セイバー「も、申し訳ありません……」
士郎「なにも意地悪を言ってるわけじゃないぞ?」
セイバー「……」
士郎「食材を勝手に食べられると余計な出費になるし、献立にも影響がでるんだ」
セイバー「はい」
士郎「もうしないでくれ」
セイバー「分かりました……」
凛「……」
桜「……」
セイバー「シロウが用意してくれないから……」
セイバー「仕方ないじゃないですか……」
セイバー「はぁ……」
セイバー「……」
桜「セイバーさん?」
セイバー「なんでしょうか?」
桜「10時のおやつはどうしますか?」
セイバー「はい。いただきます」
桜「……」
セイバー「なにか……?」
桜「いえ。居間で待ってますね」
セイバー「はい」
セイバー「……」
セイバー「最近、私を見る目が冷ややかのような気がしますね……」
セイバー「……」パクパク
凛「……よくたべるわね」
セイバー「……え」
凛「飽きないの?」
セイバー「食に飽きがあるのですか?」
凛「食べ物を包むとかいて、飽きるなのよ?」
セイバー「はぁ」
凛「……」
セイバー「……」パクパク
凛「さてと、私は寝ようかな」
セイバー「おやすみなさい」
凛「おやすみ」
セイバー「おはようございます」
士郎「おはよう、セイバー」
凛「……」
桜「……」
セイバー「あの……シロウ?」
士郎「どうした?」
セイバー「その昼食は……」
士郎「……」
セイバー「よ、ようい……されて……」
ライダー「セイバー?」
セイバー「は、はい」
ライダー「これを」
セイバー「500円硬貨……?」
ライダー「それで昼の飢えを凌ぐといいでしょう」
ライダー「そうですか」
士郎「じゃ、行ってくるよ」
桜「行って来ます」
凛「留守番よろしくねー」
セイバー「は、はい……」
ライダー「では」
セイバー「……」
セイバー「……」グゥ~
セイバー「あさごはん……」
セイバー「……あれ?」
セイバー「ない……」
セイバー「ここにも。……ここにも。……私の朝食がない」
セイバー「……」
セイバー「なぜ……?」
セイバー「くっ……」
セイバー「うぅ……!!」
セイバー「うぁ……!!」
セイバー「―――お腹がすきました」グゥ~
セイバー「……」
セイバー「なにか……」
セイバー「……」ガチャ
セイバー「魚がありますね……」
セイバー「……」
セイバー「でも……シロウに怒られたばかりですし……」
セイバー「……」グゥ~
セイバー「……」モシャモシャ
士郎「……」
セイバー「……あの」
士郎「セイバー、昨日言ったよな?」
セイバー「はぃ……」
士郎「なんで食べたんだ?」
セイバー「あの……朝も昼も……なにもなかったので……」
士郎「……」
セイバー「お、お腹が……すいて……それで……」
士郎「はぁ……分かった」
セイバー「え?」
士郎「じゃあ、晩飯はもういらないよな?」
セイバー「シロウ!!そんな!!」
凛「……」
桜「……」
セイバー「……」グゥ~
セイバー「おぇ……」
セイバー「空腹すぎて……吐き気が……」
セイバー「どうして……シロウ……」
セイバー「……」
ライダー「セイバー?」
セイバー「ライダー……?」
ライダー「士郎がどうしてあんな態度をとるか、疑問ですか?」
セイバー「はい」
ライダー「では、そのまま空腹でいなさい」
セイバー「え?」
ライダー「……それでは」
セイバー「ライダー!!どういう意味で―――」グゥ~
セイバー「おぇ……」
士郎「いってきます」
桜「いってきますね」
凛「留守番よろしくね」
セイバー「……はい」グゥ~
士郎「……」
凛「……」
桜「……」
セイバー「な、なんですか……?」
士郎「いや」
セイバー「……」グゥ~
セイバー「おぇ……」
ライダー「セイバー、500円を」
セイバー「い、いりません!!」
ライダー「……そうですか」
セイバー「はぁ……はぁ……」
セイバー「シロウが帰ってくるまで……あと……数時間……」
セイバー「それまで……耐えなければ……!!」
セイバー「はぁ……はぁ……」
セイバー「……」グゥ~
セイバー「くっ……」
セイバー「どうして……このような仕打ちを……シロゥ……」
セイバー「はぁ……ぁ……」
セイバー「おなか……すいた……」
セイバー「……」
セイバー「……」バタッ
セイバー「いつの間にか寝てしまったのですね……」
セイバー「はぁ……ん?」
セイバー「テーブルに食事が……!!」
セイバー「誰が……?」
セイバー「……」ゴクリ
セイバー「た、たべてもいいのですか……?」
セイバー「たべますよー?」
セイバー「……」
セイバー「……」モグモグ
セイバー「おいしぃ……」ウルウル
セイバー「おいしい……おいしいです……」ポロポロ
セイバー「それにしても……誰が……?」
イリヤ「あ、起きたの?」
セイバー「イリヤスフィール!?」
イリヤ「きたら倒れてるんですもの。驚いたわ」
セイバー「あの……」
イリヤ「ああ、テーブルの料理?セラに作らせたの」
セイバー「え?」
セラ「どうも」
イリヤ「リンから連絡もらってね。セイバーの昼食を作り忘れたから用意してあげてって」
セラ「急場しのぎで申し訳ありません」
イリヤ「おいしかった?」
セイバー「はい……とても……」
イリヤ「そう。よかったわ。それじゃあ、帰るわね。用事は済んだし」
セイバー「ご迷惑をおかけしました……」
凛「ただいまー」
士郎「遠坂、夕食の準備手伝ってくれ」
凛「はいはい」
セイバー「あ……おかえりなさい」
士郎「ただいま、セイバー」
凛「ただいま」
セイバー「あの……リン?」
凛「(しーっ)」
セイバー「え……?」
凛「(ひ み つ)」
セイバー「……」
士郎「どうした?」
凛「なんでもないわ。ほら、作りましょう」
セイバー「リン……」
セイバー「ふぅ……」
セイバー「リンには多大な恩を作ってしまった……」
セイバー「どうにか返せないでしょうか……」
セイバー「……」
セイバー「……」グゥ~
凛「セイバー?」
セイバー「あ、リン!!」
凛「ごはんの用意できたわよ」
セイバー「あの、リン……今日はその……」
凛「士郎には言っちゃだめよ?」
セイバー「ど、どうしてシロウは私にこのような仕打ちを……?」
凛「……」
セイバー「……リン?」
凛「それは自分で考えて。流石にそこまで面倒を見るつもりはないから」
セイバー「今日も朝食……昼食はなしですか……」
ライダー「セイバー。500円は……?」
セイバー「いりません」
ライダー「強がりも大概にしたほうがいいと思いますが」
セイバー「強がりではない」
ライダー「……わかりました」
セイバー「ライダーに施しを受けるなど……絶対にあってはならない……」
セイバー「……」グゥ~
セイバー「……お腹、すきました……」
セイバー「シロウ……どうしてですか……」
セイバー「こうしていつもこの家の安全を守っているのに……!!」
セイバー「はぁ……」
セイバー「このままでは魔力の枯渇によって……干乾びてしまいます……」
セイバー「……」
セイバー「今日もイリヤスフィールがきてくれるかもしれませんね」
セイバー「待ちましょう」
セイバー「……」
セイバー「……」グゥ~
セイバー「おぇ……」
セイバー「はやくこないでしょうか……」
セイバー「……」グゥ~
士郎「セイバー!!!」
セイバー「……っ」ビクッ
士郎「なんでさ!!」
セイバー「……」
士郎「どうして俺の言うことをきいてくれないんだ!?」
セイバー「それはその……」
士郎「……」
セイバー「魔が差しました……」
士郎「はぁ……」
セイバー「申し訳ありません……シロウ……もう冷蔵庫の物には手を出しませんから……」
士郎「絶対だぞ?」
セイバー「はぃ……」
凛「……」
桜「……」
セイバー「……はぁ」
セイバー「またシロウを怒らせてしまいました……」
セイバー「何がいけないのでしょうか……?」
セイバー「……」グゥ~
ライダー「セイバー」
セイバー「はい……?」
ライダー「夕食の支度が整いましたよ」
セイバー「す、すぐに行きます……」
ライダー「……やはりこれからは私が昼食代を」
セイバー「け、けっこうです!!」
ライダー「そうですか」
セイバー「あ、貴女に施しをうけるくらいなら……死を選ぶ……」
ライダー「強情ですね」
セイバー「……」グゥ~
セイバー「ふっ……もう空腹にも慣れてきました……」
セイバー「ここを耐えれば……どうにでも……」
セイバー「……」グゥ~
セイバー「うぅ……腹の虫め……なくな……!!」
セイバー「なくな……!!」
セイバー「……」ウルウル
セイバー「おなか……すいた……」ポロポロ
ピンポーン
セイバー「ん……?」ゴシゴシ
セイバー「誰でしょうか……?」
セイバー「……」スタスタ
セイバー「は、はい?」
キャスター「セイバー?あけてくれないかしら?」
セイバー「キャスター?何用ですか?」
セイバー「あの……」
キャスター「和食がいいの?それとも洋食?中華は苦手なのだけれど」
セイバー「えっと……?」
キャスター「なに?」
セイバー「どういうつもりですか?」
キャスター「宗一郎様から連絡があったの。セイバーに手料理振舞ってほしいってね」
セイバー「は?」
キャスター「宗一郎様の頼みなら断れないでしょ?」
セイバー「ど、どうして……?」
キャスター「そんなの知らないわ。私は宗一郎様がそうして欲しいっていうから、そうするだけ」
セイバー「……」
キャスター「で、どうするの?洋食でいいかしら?」
セイバー「キャスターに任せます……」
キャスター「分かったわ。坊やみたいにうまくはないけど、許してね」
セイバー「いただきます……」
キャスター「……」
セイバー「……」モグモグ
キャスター「どうかしら?」
セイバー「はい……美味しいです……」ウルウル
キャスター「何かあったの?」
セイバー「え?」
キャスター「覇気というか肌に艶がないというか……」
セイバー「い、いえ……そんなことは……」
キャスター「そう?てっきり坊やとなにかあったのかと思ったわ」
セイバー「……」モグモグ
キャスター「……」
セイバー「おいしいです……」
キャスター「ありがとう」
セイバー「ありがとうございました」
キャスター「宗一郎様にお礼をいいなさいな」
セイバー「後日、必ず……」
キャスター「それじゃあね」
セイバー「はい……」
セイバー「……」
セイバー「はぁ……」
セイバー「シロウ……」
セイバー「私のどこがいけないのですか……」
セイバー「私は……」
セイバー「精一杯やっているのに……」
セイバー「……」モグモグ
士郎「桜、はい」
桜「どうも」
凛「ライダー、マヨネーズとって」
ライダー「どうぞ」
凛「ありがと」
セイバー「あの……シロウ?」
士郎「ん?」
セイバー「お、おかわり……を……」
士郎「……」
桜「はい。おかわりですね。私がいれてきます」
セイバー「ど、どうも」
士郎「桜?」
桜「い、いいじゃないですか!一杯や二杯ぐらい!!」
セイバー「……」
セイバー「異常なし」
セイバー「次にいきましょう」
桜「……」
セイバー「サクラ……」
桜「あの……セイバーさん」
セイバー「はい」
桜「先輩のことなんですけど……」
セイバー「なんでしょうか……?」
桜「その……セイバーさんに意地悪をしているわけじゃないんです」
セイバー「……」
桜「実はあの……セイバーさんには内緒にしようって決めてたんですけど……」
セイバー「なんですか?」
桜「あのですね……先輩、収入がないんです。バイト先がつぶれてしまって……」
なんかごめん
桜「そのことをセイバーさんに言うと、きっと何も食べなくなるだろうって先輩が……」
セイバー「……」
桜「それで……できるだけ食費は抑えようとしてたんですけど……やっぱりセイバーさんがかわいそうで……」
セイバー「……」
桜「だから、先輩のことをその……嫌わないでください……」
セイバー「……」
桜「そ、それだけです」
セイバー「もしや……キャスターが昼食をつくりにきたのは……」
桜「わ、私が葛木先生に頼みました……」
セイバー「……サクラ」
桜「……先輩には内緒ですからね」
セイバー「はい」
桜「きっと先輩のことだから、余計な気を遣ってしまいますし……」
セイバー「分かっています……」
確かに凛と桜だけ出てけば良い話だな
セイバー「……」
セイバー「シロウ……どうして何も言ってくれないのですか……」
セイバー「……」
セイバー「しかし、シロウが言ってくれない以上、私が問いただすのもおかしな話……」
セイバー「……どうすれば」
セイバー「ご飯を食べないようにしなければいけないのですね……」
セイバー「……」グゥ~
セイバー「くっ……!!」
セイバー「耐えろ……これもシロウのため……!!」
セイバー「そうです……何も餓死するわけではない」
セイバー「シロウも一食はきちんと用意してくれています」
セイバー「うん……」
セイバー「……」グゥ~
セイバー「……」
セイバー「ふー……」
セイバー「こうして神経を集中させておけば空腹なんて……」
セイバー「……」グゥ~
セイバー「はぁ……」
ピンポーン
セイバー「……?」
セイバー「……」スタスタ
セイバー「はい?」
アーチャー「私だ」
セイバー「アーチャー?」
アーチャー「凛から話はきいている。食材を買ってきた」
セイバー「アーチャー……!!」
セイバー「いえ……」
アーチャー「まぁ、何もせずに飯を食うなと言いたかったのだろうが、セイバーには理解できないことだな」
セイバー「……」
アーチャー「できたぞ」
セイバー「ありがとうございます」
アーチャー「……」
セイバー「……」モグモグ
アーチャー「セイバー?」
セイバー「はい」
アーチャー「働く気はないか?」
セイバー「いえ。私にはこの屋敷の警護がありますから、働く暇などありません」
アーチャー「では……家事ぐらいしたらどうかな?」
セイバー「勝手にするとシロウが怒ります。以前、皿を洗っただけで激昂されました」
アーチャー「それは……洗い方が雑だったからではないかな?」
アーチャー「君は意外と大雑把なところもあるからな……」
セイバー「侮辱ですか?」
アーチャー「さぁ?」
セイバー「む……」
アーチャー「しかし、あれだな。セイバーが働かないとなると、衛宮士郎も大変だろう」
セイバー「……」
アーチャー「凛、桜、ライダーはきちんと生活費を支払っているが……君は……」
セイバー「……」
アーチャー「まぁいい。セイバーの好きなようにすれば」
セイバー「……」
アーチャー「それでは私は失礼するよ」
セイバー「……あの」
アーチャー「ん?」
セイバー「アーチャー、お願いがあります」
士郎「ただいま」
セイバー「おかえりなさい」
士郎「お腹すいてるか?」
セイバー「はい」
士郎「少しまっててくれ」
セイバー「はい」
セイバー「……」
セイバー「シロウのためにできること……」
セイバー「屋敷を守るものとして……最低限のことはしないと……」
セイバー「明日から……!!」グッ
凛「なにやってるの?」
桜「……?」
セイバー「な、なんでもありません……」
なんだ俺らか
やめろwwwwwwwwwwwwww
やめたまえ
士郎「それじゃあ、いってくる」
桜「先輩、無理だけはしないでくださいね?」
士郎「大丈夫だから」
凛「あまり気負わないでね?お金の問題だけなら私と桜が……」
士郎「いや。それこそ俺が許せない。セイバーにお腹いっぱい食べさせるのは……俺の金じゃないと」
桜「先輩……」
凛「セイバーが自分で働いてくれればね……」
士郎「今だけセイバーには我慢してもらうけど、すぐにアルバイト先をみつけて……セイバーを満足させないとな」
凛「……」
桜「……」
士郎「行って来ます」
桜「はい……」
凛「危ういわね……セイバーのためってだけであいつ、とんでもない仕事を見つけてきそうだわ」
桜「先輩……」
セイバー「……」
凛「……当の本人があれだしね」
桜「……」
ピンポーン
セイバー「あ」
凛「はぁーい?」
セイバー「リン、私がでます」
凛「そう?」
セイバー「はい」
凛「だれかしら?」
桜「……?」
セイバー「待っていました」
アーチャー「やる気はあるようだな」
凛「アーチャー!?」
凛「ど、どうしたの!?」
アーチャー「いや……セイバーが―――」
セイバー「アーチャー!」
アーチャー「ああ、そうか。凛、悪いが秘密だ」
凛「はい?」
桜「あの……?」
セイバー「こちらです」
アーチャー「よし」
凛「な、なになに?」
桜「どうしたんでしょうか……?」
凛「まさか……アーチャーと……?」
桜「え?アーチャーさんと?」
凛「できてる……?」
桜「えぇ!?」
桜「姉さん、やめましょうよ」
凛「どうせ、盗み見しようとしていることなんてばれてるわ。遠くから見るぐらいいいでしょ」
桜「でも……」
凛「もしアーチャーとセイバーがそう言う関係なら、マスターとして見過ごせないしね」
桜「……」
凛「さてさて……どうなっていますか……」
桜「姉さん……」
セイバーの自室
アーチャー「どうやらギャラリーがいるようだな」
セイバー「アーチャー、はやく教えてください」
アーチャー「ふむ。アイロンはそこまで力を入れる必要はない」
セイバー「こ、こうですか?」
アーチャー「もっと肩の力を抜け」
セイバー「こ、こうですか……?わかりません……」
桜「え?え?本当ですかっ!?」
凛「ほらほら……」
桜「きゃ……セイバーさんが……そんな……後ろから……攻められてる……?!」
凛「あれはやばいわね」
桜「姉さん……見ないほうが……」
凛「ていうか着たままとか……セイバーもアーチャーも獣ね」
桜「……」
アーチャー「そうだ。いい感じだ」
セイバー「なるほど……コツが分かってきました」
アーチャー「しかし、まだまだだ」
セイバー「む……ならもっときちんと教えてください」
アーチャー「これ以上、教えることはできない。研鑽を重ねることだ」
セイバー「わ、わかりました……!!もっとハンカチを!!」
アーチャー「こらこら。次があるだろう。アイロンがけはこれぐらいにしておけ」
アーチャー「衣類を畳む。これは簡単のようでいて実は難しい」
セイバー「そうなのですか?」
アーチャー「ああ、特にタンスの引き出しを開けたときに整然と見せるにはそれなりの技術が必要だ」
セイバー「……」
アーチャー「いいかな?まずは長袖からだ」
セイバー「はい」
凛「桜!桜!!」
桜「な、なんですか……?」
凛「今度はセイバーが後ろに回ったわよ」
桜「えぇ!?」
凛「攻守交替ね」
桜「ど、どど、どうやって……!?」
凛「それはほら……アーチャーの後ろの―――」
桜「いわないで!!!姉さん!!!」
セイバー「ありがとうございました」
アーチャー「あと……凛!!桜!!こっちにこい!!」
凛「な、なによ……」モジモジ
桜「アーチャーさん……お尻……大丈夫ですか……?」
セイバー「は?」
アーチャー「君たちの会話は聞こえていた。勘違いも甚だしいぞ」
凛「勘違い?」
桜「あの……じゃあ何を……?」
凛「だって、アーチャーとセイバーがいちゃついてるようにしか見えなかったんだもん」
アーチャー「それは……」
セイバー「えっと……」
桜「やっぱり……アーチャーさん、そのあまりし過ぎると痔に……」
凛「サーヴァントが痔とかやめてよ?」
アーチャー「おい。君は自身が遠坂の一族であることを忘れているのか?」
凛「何で隠すのよ」
セイバー「いや……恥ずかしくて……」
アーチャー「騎士王としての矜持もある。察してやれ」
凛「士郎のため?」
セイバー「……」コクッ
桜「セイバーさん……」
セイバー「す、すこしでも……シロウの負担を減らせればと思って……」
桜「……」
凛「でも、洗濯とかアイロンは私と桜がいつも―――」
桜「姉さん!!」ドガァ
凛「ぎゃぃ!?!」
セイバー「サクラ!?」
桜「セイバーさん、私も協力します。一緒に先輩を支えましょう」
セイバー「はい……よろしくおねがいします……」
士郎「ただいま……」
セイバー「お、おかえりなさい」
士郎「ただいま」
凛「どうだった?」
士郎「……」フルフル
凛「そう」
士郎「どうしても年齢的に収入が低いとこしかなくて」
桜「先輩……別にいいじゃないですか」
士郎「でも、前と同じぐらい稼げるところじゃないと……」チラッ
セイバー「……?」
士郎「……だめだから」
凛「無理しないで。なんだったら、私が―――」
士郎「いいから。桜もな」
桜「先輩……」
士郎「あれ……桜が作ってくれたのか?」
桜「えっと……セイバーさんが野菜を切ってくれました!」
士郎「え?」
セイバー「いえ。8割……いや、9割は桜が―――」
凛「火加減をセイバーがみてくれたのよ?」
士郎「……」
桜「あ、あと、お皿もセイバーさんが並べてくれました!!」
凛「そうそう。換気扇を回したのもセイバーよね」
桜「もうセイバーさんは家事の天才ですね」
凛「そうね!もうセイバーなしじゃあ、家事が回らないわー」
セイバー「……」
士郎「そうなんだ。ありがとう、セイバー」
セイバー「いえ……たいしたことでは……」
セイバー「異常なし……」
ライダー「セイバー?」
セイバー「ライダー……」
ライダー「桜から聞きました。家事を始めたそうですね」
セイバー「いつまでも皆に負担を強いるわけにはいきませんから」
ライダー「……では、これを」
セイバー「え?」
ライダー「500円です」
セイバー「受け取れません」
ライダー「いえ。私のハンカチを綺麗にアイロンまでかけてくれていたじゃないですか」
セイバー「それは……」
ライダー「その労働に対する対価です」
セイバー「ですが……私は……」
ライダー「受け取ってもらわないと、私が困ります。受け取ってください」
士郎「それじゃあ、出かけてくるよ」
セイバー「シロウ……あの……」
士郎「大丈夫。少し散歩してくるだけだから」
セイバー「……」
士郎「あ、でもつまみ食いは厳禁だからな」
セイバー「絶対にしません」
士郎「ならいいんだ。行って来ます」
セイバー「お気をつけて……」
凛「行った?」
セイバー「はい」
桜「先輩……」
凛「気にしても仕方ないわ。私たちはあいつを支えるだけよ」
桜「そうですね。―――セイバーさん、今日はゴミの分別を覚えましょう」
セイバー「はい」
士郎「だめ……ですか」
「悪いね」
士郎「いえ……」
士郎「はぁ……やっぱり……ないな……」
士郎「できれば時給1000円以上か日給が2,3万ぐらいあるところがいいんだけど……」フラフラ
ランサー「よう、セイバーのとこの坊主じゃねえか」
士郎「ランサー……」
ランサー「なんだぁ?目が死んでるぞ?」
ギル「大丈夫ですか、お兄さん?」
士郎「なんでもない……」
ランサー「そうには見えないけどな」
士郎「急いでるんだ―――」フラッ
ギル「あぶない」パシッ
ランサー「少し休め。なんかやばいぞ、お前」
カレン「あら……どうかされたのですか?」
ランサー「ちょっとこいつを寝かせてやってくれ」
カレン「おやおや……随分と不幸に塗れた顔ですね」
士郎「ほっとけ……」
ギル「お兄さん、結構精神的にやられてるみたいですね」
ランサー「なんかあったのか?」
士郎「……」
カレン「ふふ、その感じ……サーヴァントを養えなくなってきているのでは?」
士郎「うるさい」
ランサー「セイバーか。大食いらしいな」
ギル「健啖も行き過ぎると笑えませんからね」
士郎「……」
ランサー「俺も探してやろうか?」
士郎「いい……自分で探す……」
しかしこの世界どうなってんだ善人しかいねぇ
ギル「はぁ……」
士郎「……」
ランサー「見ちゃいられねえなぁおい」
士郎「じゃあ、見んな」
ギル「どうします?」
カレン「面白いから放置してもいいのでしょうけど……」
ランサー「死んじまうぞ?」
カレン「……」
士郎「……」
カレン「衛宮士郎?」
士郎「え……?」
カレン「手助けはいらないのですね?」
士郎「いらない……自分でなんとか―――」
ランサー「それでお前が体壊して困るのはセイバーじゃねえのか?」
ランサー「何を意固地になってやがるんだ?」
士郎「……」
ギル「お兄さんは正義の味方ですからね。なんでも一人でやりたいんですよね?」
ランサー「おーおー、なら共倒れしちまえ」
士郎「なんだと……!!」
ランサー「てめえ一人で守れるほど、女は軽くねえぞ?」
士郎「……」
ギル「特にセイバーさんはそうですね」
ランサー「いいから、俺に任せろ。割のいいバイトぐらい何件か知ってるからよ」
士郎「だけど……」
ランサー「そんな死人の目じゃ、セイバーがどんな想いで家にいるかもわからねえぞ?」
カレン「ふ……随分とかませ犬な発言ですね」
ランサー「今回ばかりはかませ犬でも……犬っていうな」
士郎「……悪い……じゃあ……頼む……」
桜「そうそう。そこでフライパンを引くんです」
セイバー「こうですね……」
凛「やればできるじゃない」
セイバー「いえ……」
桜「これならお料理を任せても大丈夫ですね」
セイバー「いや、しかし。シロウを満足させるだけの技量は……」
凛「馬鹿ね。誰もそこまで期待なんかしてないわ」
セイバー「え?」
桜「セイバーさんがそうやって台所に立つことが大事なんです」
セイバー「……」
凛「ほら、士郎にその姿見せるんでしょ?」
桜「胸を張ってください」
セイバー「はい……!」
ランサー「ここでいいか?」
士郎「ああ……さんきゅ」
ランサー「へっ。よせよ、虫唾が走るぜ」
士郎「……仕事も」
ランサー「人手がちょうど足りてなかったんだよ。気にすんな」
士郎「……」
ランサー「じゃあな」
士郎「ランサー!」
ランサー「あ?」
士郎「こんど、缶コーヒーの差し入れもっていく」
ランサー「箱ごともってこい」
士郎「ああ」
ランサー「じゃあな」
士郎「ただいま」
凛「どうだったの?」
士郎「ああ、もう大丈夫だ」
桜「よかったぁ……」
士郎「セイバー?」
セイバー「はい」
士郎「いままでごめんな。今日からまた何杯でもおかわりしても―――」
セイバー「いいえ」
士郎「え……」
セイバー「私はシロウと同じ量だけを頂きます」
士郎「いや、セイバーにはいっぱい食べて欲しいんだけど」
セイバー「なら、シロウがいっぱい食べてください」
士郎「セイバー……」
凛「ほら、料理もできてるから、冷めないうちに食べましょう!」
セイバー「異常なし……」
士郎「セイバー」
セイバー「シロウ、まだ起きていたのですか?」
士郎「ちゃんと謝りたくて……」
セイバー「謝罪するのは私のほうです。シロウのことを何も考えずにただ嘆いてばかりでした」
士郎「セイバー……」
セイバー「申し訳ありません」
士郎「ううん……いいんだ」
セイバー「これからはシロウの負担が減らせるように……がんばります」
士郎「セイバーなにもそこまで……」
セイバー「いいえ。します」
士郎「どうして……?」
セイバー「私は、シロウを愛していますから。だから……がんばります」
士郎「あ……そうか……」
士郎「うわぁ!?」
凛「そうね。流石にそれは卑怯よ?抜け駆けなんて、恩を仇で返す気?」
セイバー「いえ、そのようなことは……」
士郎「桜、遠坂……」
桜「私も先輩のこと大好きですからね」
凛「わ、私も……その……嫌いじゃないから……」
士郎「……みんな」
セイバー「シロウ、さ、今日はもう寝ましょう」
凛「そうね。お疲れさま」
桜「ゆっくり休んでください」
士郎「ああ……」
セイバー「シロウ?」
士郎「え?」
セイバー「私はとても幸せです。だから、ずっと傍に居させてください」
END
良かった良かった
セイバーが報われてよかった
誰も黒くなくて良かった
Entry ⇒ 2012.01.12 | Category ⇒ FateSS | Comments (0) | Trackbacks (0)
杏子「さやかがなんかおかしい」
http://hayabusa.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1326206255/
杏子「いやな、なんか最近マミの奴とつるむことが多くなったんだよ。」
ほむら「あら、仲間同士助け合うのはいいことじゃないの。」
杏子「いや、まぁそりゃそうなんだけどさ・・・。」
まどか「具体的に何がおかしいの?」
まどか「・・・え?」
杏子「な?なんかおかしいだろ?」
ほむら「確かに妙ね。美樹さんは治癒の魔法を使えたはずだけれど。」
杏子「そう、それなんだよ!万一ケガをしてたとしても、治癒魔法を使えばいい話だろ?」
まどか「・・・ほ、他には?」
まどか「ひ、独り言・・・?」
杏子「あたしもちょっと気になってさ、前に聞き耳を立てたんだよ。」
ほむら「・・・な、なんて言っていたのかしら?」
杏子「それが、あたしにもさっぱりで。いや、何を言ってるかは聞きとれたんだけど、意味がさっぱりわかんねえんだ。」
杏子「確か『ようやく私にもふさわしき時が来た』だのなんだの・・・。」
まどか「さ、さやかちゃん・・・。」
杏子「な?おかしいよな?」
すまん後は任せた
杏子「お?ほむらにはさやかがどうなったのかわかるのか?」
ほむら「ええ・・・薄々と、だけれど。」
まどか「ほむらちゃん・・・さやかちゃん、どうしちゃったのかなぁ?」
ほむら「大丈夫よ。今はちょっと若さゆえに行く先を見失っているだけ。」
ほむら「彼女の病は、時がきっと解決してくれるわ。」
杏子「・・・なぁんか遠まわしな言い方だな。」
まどか「で、でも、そのさやかちゃんと一緒にいるマミさんはいつも通りなんだよね・・・?」
ほむら(そりゃそうでしょうね・・・彼女は既に病に冒されているもの・・・)
まどか「ねぇ、なんとかしてさやかちゃんを元に戻すこと出来ないかなぁ?」
杏子「ん~・・・そうだなぁ・・・。原因がわからないからなんとも言えないよなぁ・・・。」
ほむら「そっとしておいてあげるのが一番だと思うけれどね。」
杏子「なぁ、ほむら。お前、なんか知ってるだろ?」
ほむら「え?」
杏子「さっきから思わせぶりなこと言ってよ・・・まさか、お前が原因なんじゃねえだろうな?」
ほむら「そ、そんなわけないでしょう?」(え、なにこの流れ。)
まどか「ま、まさかほむらちゃん・・・!?」
ほむら「ち、違う!わたしは何も関わっていないわ!」
ほむら「なんでわたしが疑われなくちゃいけないのよ!?」
まどか「そんな・・・ほむらちゃんがさやかちゃんを・・・!?」
ほむら「だから違うって!」(あーもう、こうなってしまったら言わざるを得ないじゃないの!)
ほむら「わかったわ、わたしが知っていることを言うわ。それで、わたしへの疑いも晴れるのでしょう?」
杏子「どういうことだ?」
ほむら「美樹さんは・・・そうね、思春期なら大抵の人が発症する病気にかかっているのよ。」
ほむら「もちろん、美樹さんと最近行動を共にしていると言う巴さんも同じ病気よ。」
まどか「・・・そ、その病気って・・・?」
ほむら「そう・・・・・・。」
ほむら「『中二病』よ。」
まどか「わ、わたしたちが中学二年生だから・・・、ってこと?」
ほむら「大雑把に言うと、そんな感じね。」
ほむら「中二病を発症すると、『自分は特別な存在なんだ』と思い込みがちになってしまうわ。」
ほむら「ありがちな症状としては
・おいしいと感じない癖にブラックコーヒーを飲み始める
・自分はやればできると思い始める
が有名ね。わたしも詳しくはわからないのだけれど、この病気には医学的な治療は意味を成さないそうよ。」
まどか「・・・・・・え、えっと・・・。」
杏子「・・・そ、それで?あたしたちには何か出来ることはないのか?」
ほむら「残念だけれど・・・こればかりは時が解決してくれるのを待つしかないと思うわ。」
最近ブラックが飲めるようになってきたと思ったら中二病再発だったのか……
まどか「うっ・・・さやか、ちゃんっ・・・!ポロポロ
ほむら「巴さんに関しては既に完治の兆しが見え始めている頃だけれど・・・美樹さんは発症したばかりだから、治癒には時間がかかるんじゃないかしらね。」
杏子「ってちょっと待て。『自分はやればできると思い始める』・・・って言ったな。」
杏子「だとしたら、ヤバいんじゃねえのか?」
まどか「・・・?」ポロポロ
杏子「もしあいつひとりじゃ勝てない魔女が現れたら、一人で突っ込んでいくんじゃねえのかってことだよ!」
まどか「あっ!」
ほむら「心配ないと思うわよ。」
ほむら「同じような事を巴さんも考えているはずよ。だから、佐倉さん、最初に言っていたでしょう?巴さんと行動を共にしていることが多くなったって。」
ほむら「恐らく、彼女は彼女なりに美樹さんの側で美樹さんを見守っているはずだわ。」
杏子「・・・・・・ちっ!」
ほむら「佐倉さんの気持ちはわかるけれど、これは同じ病気である巴さんに一任させた方がいいでしょうね。」
杏子「そうかよ・・・つまんねぇ。」
まどか「・・・え、え?結局、どういうことなの?」
ほむら「美樹さんについては巴さんに任せておけば大丈夫ってことよ。」
さやか「ブツブツ・・・」
マミ「おまたせ、美樹さん。紅茶、入ったわよ。」カチャ
さやか「うん、ありがとう・・・。」フーッ ズズッ・・・
さやか「ブツブツ・・・」
マミ「・・・・・・。」(重症ね・・・。)
マミ「ね、ねえ美樹さん?その包帯なんだけれど・・・。」
さやか「っ!!」ガタッ
マミ「!?」
さやか「やっぱりマミさんも・・・?」
マミ「ご、ごめんなさい。怖がらせちゃったかしら?」
マミ「な、何を言っているのよ。同じ魔法少女なんだし、手を取り合わなきゃ。ね?」
さやか「事はもう魔法少女云々では済まなくなってきて・・・。」
マミ「え?ごめんなさい、よく聞こえなかったわ。」
さやか「・・・いえ、なんでもないです。」スッ
さやか「ブツブツ・・・。」
マミ「・・・・・・。」(昔のわたしも、客観的に見たらこんな感じだったのかしら・・・?)
マミ「み、美樹さん?どうかしたの?」
さやか「ごめんマミさん、紅茶ごちそうさま!」ダッ
マミ「美樹さん!・・・行っちゃったわ・・・。」
マミ「ふぅ・・・。・・・・・・―――!」(魔女の手下の気配・・・!?)
マミ(まずい!この状況で美樹さんを一人にしてしまったら!)ガタッ ダッ
夜、廃ビル―――
さやか「いるのはわかってるんだぞ!出て来い!」
杏子「待ってたよ、さやか。」
さやか「っ!?き、杏子・・・!?」
杏子「丁度魔女の手下が活動してくれて助かった。おかげで、こうして二人っきりになれたしな。」
杏子「落ち着けよ、さやか。」
さやか「これが落ち着いてなんかいられるかってのよ!あんた、どうかしちゃったの・・・!?」
杏子「・・・・・・はぁ。」
杏子「さやか、落ち着いてあたしを見ろ。今のあたしは、前のあたしとどこか違うところがあるか?」
さやか「・・・・・・。」
杏子「どうかしちまったのはあたしじゃねぇ。お前だろ、さやか?」
さやか「っ・・・あたしはどうもしてないっ!」
さやか「!!」バッ
杏子「どうした?怖いのか?」
さやか「こ、怖くなんて・・・!」
杏子「なら取れるはずだろ?なんなんだ、その包帯は?ケガか?そんなわけねえよな。お前は治癒の魔法が使えるはずだ。」
さやか「・・・・・・。」
杏子「なら、なんだ?アリもしねぇ自分自身の隠された力を封印でもしてるってのか?」
杏子「重症だな、さやか。」
さやか「な、何を・・・!?」
杏子「・・・ふっ!」ヒュンッ
さやか「!?」ハラリ
杏子「ほら、どうした?炎に包まれるんじゃないのか?」
さやか「あ・・・あ・・・。」ワナワナ
杏子「目は覚めたか、さやか?」
さやか「あ・・・あたしは・・・。」
杏子「そうだよ。お前は特別な存在でもなんでもねえ。あたしやマミよりも後輩の、新米魔法少女だ。それ以上でもそれ以下でもねえ。」
杏子「それが、お前だ!美樹さやかって一人の女の子なんだよ!!」
さやか「 ! ! ! ! 」
マミ「はぁ、はぁ・・・!あ、あれ、あなたたちは・・・?」
ほむら「美樹さんなら、今はビルの中で佐倉さんと話をしているわ。」
マミ「ど、どういうこと・・・?」
ほむら「タイミング良く魔女の手下が現れてくれたから、美樹さんをおびき寄せるエサになってもらったの。その手下は、既に片付けた後よ。」
まどか「杏子ちゃんがどうしてもさやかちゃんと二人きりで話がしたい・・・って言うから、その・・・。」
マミ「・・・それで、佐倉さんはなんの話を?」
ほむら「美樹さんの目を覚まさせるって言っていたけれど。」
マミ「!! それは危険よ、今すぐやめさせないと!!」
ほむら「え?」
まどか「ど、どういうk」
さやか「うあああああああああああああああ!!!!」ダダダダダダダダダ!!!
杏子「待て、さやかぁ!!」タタタタッ・・・・
杏子「行っちまいやがった・・・。」
マミ「遅かったのね・・・。」
ほむら「どういうことなの・・・?」
マミ「・・・・・・中二病を発症している時に現実を見せ付けちゃうと、ああなってしまうの。あれはかなり危険な状態よ・・・。」
ほむら「大丈夫、まどか?」
まどか「う、うん、わたしは平気。それよりもさやかちゃんは・・・?」
マミ「・・・・・・。」フルフル
ほむら「美樹さんなら、佐倉さんが追いかけているわ・・・心配しなくても大丈夫。」
マミ(そういう意味じゃなかったのだけれど・・・。)
さやか「あああああああああああああああ!!!」ダダダダダダダ!!
杏子「待てっての、さやかっ!!」(なんつースピードだよ!)
さやか「離せ、離せよおおお!!」ジタバタッ!
杏子「落ち着けっての、さやか!!」ググッ・・・
さやか「あたしは、あたしは!!」ブンブンッ!!
杏子「っ・・・わかった、わかったからっ!!」
さやか「っ・・・え?」ピタッ
杏子(あれ、いきなり大人しくなった・・・?)「ど、どうしたさやか?」
さやか「杏子、あたしのこと、わかってくれたの!?」ガシッ
杏子「うえっ!?い、いやわかったってのはそういう意味じゃなくて・・・。」
さやか「っ・・・やっぱりあたしは一人なんだああああ!!」
杏子「ああもうめんどくせぇなんだこいつ!!」
さやか「なんだよ、離してくれよおお!!」ジタバタ
杏子「今からあたしとサシで戦え!それであたしが負けたらさやかは特別な存在だって認めてやるよ!それなら文句ないだろ!?」
さやか「っ!」ピタッ
杏子(食いついた!)「それでいいだろ?ただし、あたしが勝ったら元のさやかに戻れよな。あんまりまどか達を心配させるなよ。・・・な?」
さやか「・・・ふ、ふふふ・・・。」
杏子「!」(何やらただならぬ予感・・・。)
さやか「いいの、杏子?手加減しないよ?」
杏子「ああ、もちろん望むところだ。」
杏子「はんっ!」サッ
杏子「どうした!?特別な存在だって言う割にはたいしたことねえじゃねえか!?」ブンッ
さやか「っ、まだまだぁ!!」キィン!!
・・・ギギィン、ヒュン、ダッ・・・
マミ「・・・何がどうなってこうなっているのかしら?」
ほむら「わたしに聞かないで頂戴・・・。」
まどか「なんで二人が戦ってるの・・・?」
ほむら「どうかしたの、巴さん?」
マミ「あなたたちは、佐倉さんと戦ってる美樹さんを見てなんとも思わない?」
まどか「え?」
マミ「少なくともわたしには、今の美樹さんはとても楽しそうにしているように見えるわ。」
ほむら「言われてみれば・・・。」
まどか「わたしは様子がおかしい時のさやかちゃんは見てないからよくわかんないんだけど・・・。でも、今のさやかちゃんはいつも通りのさやかちゃんに見える・・・かな。」
マミ「・・・ふふふ。」
マミ(よかったわね、美樹さん。あなたを救ってくれる人が、身近にいて・・・。)
杏子「はぁっ・・・はぁっ・・・あ~あ、あたしの負けか・・・でも、いい表情になったじゃねえか、さやか。」
さやか「え?」
杏子「ようやく、いつものさやかに戻ったみてえだな。」ニカッ
さやか「・・・そいやあたし、今まで何やってたんだろ・・・?」
杏子「気にすんな気にすんな。あたしはいつものさやかに戻ってくれただけで十分だよ。」
さやか「杏子・・・。っ・・・ほら、手。」スッ
杏子「おーありがとな。」ガシッ
さやか「お礼を言うのはこっちの方でしょ・・・。」ボソッ
杏子「ん、なんか言ったか?」
さやか「なんでもない!」
わたしとしてはまどかに危害が加わらなかったからよかったのだけれど。
ただひとつ、妙に気になることがあると言えばある。
佐倉さんと美樹さんが楽しげに戦っている時、妙に巴さんが遠い目をしていたような気がする。
彼女の中二病も、いずれは完治してほしいところである。」
マミ「ブツブツ・・・やはりわたしこそが選ばれし者・・・」ブツブツ
終わり
このほむほむは長いループの間できっと経験あるんだろうな
巴さんは完治の兆しが見えてると言ったな
あれは嘘だ
Entry ⇒ 2012.01.12 | Category ⇒ まどかマギカSS | Comments (0) | Trackbacks (0)
結衣「可愛い妹達に囲まれて幸せに過ごしたい」
結衣「……」
京子「結衣、何やってんの?」
結衣「ギャルゲー」
京子「ふ~ん、きらナモ以外にも持ってたんだ?」
結衣「うん、最近買ったやつだけど…」
京子「なんていう、タイトルの?」
結衣「シスター・クインセブン」
京子「……」
京子「シスター…何?」
結衣「シスター・クインセブン、妹ゲーだよ」
結衣「個性豊かな妹達と、仲良くなって行くんだよ」
京子「へ、へぇ~…」
結衣「特に、私はこの子がお気に入りでさぁ」カチカチ
『お姉たま、今日は何して遊ぶの?』
京子「ぷっ、お姉たまだってぇ~」
結衣「いや、確かに呼び方はアレだけど…」
京子「お姉たま」
結衣「……」
京子「お姉たま、お姉たま、お姉たまぁ~」ニヤニヤ
ゴッ
結衣「……」カチカチ
京子「結衣、妹とか欲しいの?」
結衣「欲しいと言えば欲しいかな、小さい子好きだし」
京子「…誘拐とかすんなよ?」
結衣「毎日毎日、ちなつちゃんにちょっかい出すお前にだけは言われたくない」
京子「今日も突っ込みが冴えてるね、結衣にゃん!」
結衣「はぁ…」
京子「そう言えば、ちなつちゃんって妹じゃなかったっけ?」
結衣「…うん、そうだね」
京子「後、あかりも」
結衣「……」
京子「……」
京子「…黙るなよ」
妹いっぱいだな
結衣「少なくとも、お前に『お姉たま』呼ばわりされるよりかは嬉しいよ」
京子「…さっきの、そんな根に持ってるの?」
結衣「お気に入りの子だって言っただろ?」
京子「許してよ、お姉たまぁ~」
結衣「また殴られたいの?」
京子「ちぇ、なんだよ」
京子「私は結衣のお気に入りになりたいだけなのに…」
結衣「まさか、ゲームの子に嫉妬してる?」
京子「そ、そんなんじゃないやい!」プイ
京子「…と、言う訳で!」
あかり「んんっ!?」
京子「どうした、あかり。何かおかしなとこでもあったか?」
あかり「おかしなところも何も、京子ちゃんまだ何も話して無いよねぇ!?」
ちなつ「一体、何が『と、言う訳』なんですか?」
京子「いやぁ~、結衣の趣味を言いふらすのは良くないかなっと思ったので…」
京子「全部、私の回想で済ませておきました!」
あかり「それじゃ、あかり達には何も伝わらないんじゃ無いかなぁ!?」
ちなつ「結衣先輩の趣味って何ですか!?お、教えて下さいよっ!!」
京子「あかりもちなつちゃんも、普段結衣に迷惑かけてるだろ?」
あかり「一番迷惑かけてるのは、京子ちゃんだと思うんだけど…」
ちなつ「私、結衣先輩に迷惑なんてかけてないもん!」
京子「だから、ここらで1つ恩返ししてみない?」
あかり「結衣ちゃんに恩返しかぁ…」
ちなつ「いいですね。やりましょうよ、恩返し!!」
ちなつ「膝枕に耳掃除、マッサージまでしちゃうよ♪」
あかり「!!」ドキッ
あかり「そ、そこまでしたら結衣ちゃん遠慮しちゃうんじゃないかなぁ?」アセアセ
ちなつ「そうかな?」
京子「そうだよ、そういう事は結衣じゃなく私にすべきだ!」
ちなつ「京子先輩にはしたくありませんから」プイ
京子「ちぇ、なんだよ。釣れないなぁ~」
あかり「…命拾いしたね、京子ちゃん」
あかり「う~んと、あかりはねぇ……えへへ」
京子「まぁ、もう私が考えてあるんだけどね!」
あかり「じゃあ、なんで聞いたの!?」ガーン
ちなつ「どーせ、京子先輩の考える事なんてロクなもんじゃありませんよ!」
京子「いやいや、今日のは本当に結衣を喜ばす為だから!」
ちなつ「…信用しても、いいんですね?」
京子「おうよ!」
ちなつ「何か、かけますか?」
京子「んじゃ、私はあかりの左のお団子をかけるよ」
あかり「んんっ!?」
ちなつ「それじゃ、もし結衣先輩が喜んだら右のお団子あげますね!」
あかり「ちょっと、待ってよぉ!!」
京子「良かったな、あかりのお団子をあげるって提案が役に立ったぞ!」
あかり「あかり、そんな事一言も言ってないからぁ!!」
結衣「……」
結衣「…何故、私は1人で登校してるんだ?」
京子『結衣にはナイショであかり達に話をするから、結衣は先に行っててよ!』
結衣「はぁ…」
結衣「どーせ、あいつの考える事なんてロクなもんじゃないよな」
???「…だよう!!」
???「…ですわ!!」
結衣「んっ、校門で騒いでるのは…」
結衣「大室さんと、古谷さん?」
櫻子「あっ、船見先輩だぁ~」
向日葵「あら。おはようございます、船見先輩」ペコッ
結衣「2人共、こんな所で何を騒いでるの?」
櫻子「聞いて下さいよぉ~、向日葵が…」
向日葵「櫻子が、ですわよっ!!」
結衣「…はっ?」
向日葵「あなたがどちらが先に入ったかを聞いたから、素直に答えたまでですわ!」
櫻子「どこが素直にだよ、向日葵が先にくぐったような言い方してただろう!?」
向日葵「事実、わたくしの方が先にくぐりましたもの!」
櫻子「なんだよ、証拠でもあんのかぁーっ!?」
向日葵「胸囲の差、ですわよ!」
櫻子「なっ」カチン
櫻子「普段コンプレックスとか言ってる癖に、こういう時だけ利用しやがって!」
向日葵「自分の体をどう使おうと、櫻子に文句を言われる筋合いはありませんわ!!」
結衣「あの…」
櫻子「きぇ~~、おっぱい禁止ぃ~っ!!」ポヨン
向日葵「きゃあ!?///」ビクン
向日葵「あなた、言い返せないからって胸を叩くのは止めなさいなっ!!///」
結衣「はぁ…」
櫻子「へっ?」
向日葵「はい?」
結衣「このままじゃ、拉致があかないから再戦しない?」
櫻子「再 ですか?
向日葵 戦ですの?」
結衣「2人共、ここから3歩下がって…」
櫻子「」スタスタ
向日葵「」スタスタ
結衣「よーーい…」
2人「「!!」」ヒクッ
結衣「どんっ!!」
櫻子「うおぉぉぉぉぉおお!!」
向日葵「負けませんわあぁ!!」
京子「ごぉ~~るっ!!」ダッ
3人「「「えっ?」」」
結衣「きょ、京子!?」
京子「わったしっが、いっちばぁ~~んっ!!」
2人「「ポカーン」」
タッタッタ
ちなつ「ふふふ、私が二番だよ!」
あかり「うわ~ん、あかりは三番だよぉ!」
結衣「あかりに、ちなつちゃんまで…」
京子「結衣は馬鹿だなぁ、2人だけなら敗者と勝者しか居ないけど…」
京子「3人以上居れば、揉めてる2人を丸ごと敗者に出来るんだよん!」
結衣「はは。京子は相変わらず滅茶苦茶だなぁ」
櫻子「えっ、私歯は治せないよ?」
向日葵「それは歯医者ですわよ!」
京子「敗者の2人には、勝者である私の言う事を1つ聞いてもらいます!」
櫻子「え゛ぇ!?」
向日葵「いつ、そのような取り決めが行われましたの!?」
京子「細かい事はいいじゃーん!」
京子「そこは、その大きなおっぱいのように関大な心で流してくれよ」ムニムニ
向日葵「いやぁ!!///」ビクン
結衣「おいこら、すぐそういう事するのやめろよな!!」ゴッ
京子「いでっ」パッ
櫻子「わぁ~、私はおっぱい小さいから聞かなくてもいいんですね!?」
あかり(小さい?)
ちなつ(無いの間違いでは?)
京子「ちっぱいちゃん、自分で言ってて悲しくない?」
櫻子「!!」ドキッ
櫻子「聞きます、聞かせて下さい~」ゲザァ
京子「あっ、これからナイショの話するから結衣は先に教室行ってて」
結衣「またそれかよ!?」
京子「それもこれも、みーんな結衣の為なんだからね!」
結衣「はいはい、期待しないで待ってるよ」スタスタ
京子「もー、このツンデレさんめぇ~」
櫻子「先輩、ツンデレって何ですか?」
あかり「人前ではツンツンしてるけど、2人きりだとデレデレする人の事だよぉ」
向日葵「!!」ドキッ
櫻子「ふぇ~、あかりちゃん者知り~」
あかり「えへへ、あかりが解説しちゃったよ♪」
ちなつ「結衣先輩が京子先輩と2人きりの時にデレデレなんてあり得ませんから!!」
京子「ふっ…」
ちなつ「なんなんですか、その含み笑いは!?」
ちなつ「結衣先輩が京子先輩にデレデレだなんて、認めませんからねっ!!」
結衣「……」ソワソワ
千歳「船見さん、おはようさん」
綾乃「太陽さんさんサンフランシスコよ!」
結衣「ぶふっ」
綾乃(これ、イケるわねっ!?)
千歳(綾乃ちゃん、船見さんは基本何でも笑うで…)
結衣「2人共、私に何の用?」
千歳「いや~、歳納さんはどしたんかなって」
千歳「…綾乃ちゃんが」
綾乃「ち、千歳ーーっ!!///」カァー
結衣「はは、あいつならとっくに学校来てるよ」
綾乃「そ、そうなの?」ホッ
千歳「あはは、綾乃ちゃん今ホッとしたやろ?」
綾乃「べ、別に。歳納京子が船見さんと一緒じゃ無いから休みなのかしら、それは心配ね……とか、そんな事全然思って無いんだからねーーっ!?///」フシャー
結衣「ハッ!!」
京子『もー、このツンデレさんめぇ~』
結衣(もしかして、綾乃はツンデレなのか?)
綾乃「大体、何で私があいつの事心配しなきゃいけないのよっ!?///」ブツブツ
綾乃「理由が無いじゃないの、理由がっ!!///」
結衣(なるほど、京子の事が好きだからか…)
結衣(まさか『一緒に帰って噂されると恥ずかしいし』とか言っちゃう人なのか?)
結衣「綾乃、今日は京子と一緒に帰ってみない?」
綾乃「!!」ピクン
綾乃「……」プルプル
結衣「えっ」
綾乃「今日は…京子と…ふふ……」プルプル
結衣(今日は京子と…イケるなっ!!)
結衣(…あれ、私はさっきまで何を考えてたんだっけ?)
結衣「……」シーン
京子「ッパ!!」
結衣「…何故、そこだけ繰り返した?」
綾乃「歳納京子、ちょっと来るのが遅いわよっ!!」
京子「わりぃわりぃ……って、なんで綾乃が怒るの?」
綾乃「!!」ドキッ
綾乃「そそそそれは、その……生徒会副会長だからに決まってるでしょ!?///」カァー
千歳「んふ~ふぅ~♪」ボタボタ
結衣「うわぁ!?」ビクッ
京子「ふぅ~ん、まぁいいや」
京子「悪いついでに、生徒会の1年生2人を今日1日借りていい?」
綾乃「か、構わないけど……あの2人に何の用があるの?」
京子「ナ・イ・ショ♪」ウィンク
綾乃(可愛い…///)
京子「よし、全員娯楽部に集まったな?」
5人「「「「「……」」」」」」
京子「それじゃ、点呼を取るぞぉ~!」
あかり(これって、またあかりが忘れられるパターンなんじゃ無いかな…)
あかり(ううん、これはピンチじゃなくてチャンスだよ!)
あかり(ここであかりが1番を取って、存在感を発揮するんだから!)
あかり「いーちっ!!」
京子「いちじゃなくて、ワンと言えっ!!」
あかり「えぇ!?」ガーン
京子「ワンツーさんしー、基本だろ?」
あかり「うぅ…分かったよぉ……」
あかり「ワ、ワンっ!!」
京子「わぁ~、あかりわんわんだぁ~」
あかり「酷いっ!!」ガーン
あかり「あれ、点呼はっ!?」
京子「いや、どう見たって全員居るじゃん?」
あかり「うわぁ~ん、またあかりだけ恥ずかしい思いしちゃったよぉ~」
あかり「」チラッチラッ
4人「「「「……」」」」
あかり「……」
京子「一区切りついたところで、ここから先は結衣に主役交代だ!」
結衣「おいこら、初めから主役は私だよ!!」
京子「あっ、そうだっけ?」ケロッ
京子「まぁ、結衣が一歩引いてくれてたお陰で」
京子「私とあかりじゃ、話が全っ然進まない事が証明されたよ!」
あかり「半分、あかりのせいなんだ…」
結衣「それじゃ、京子の言うナイショで準備していた出し物(?)を見せてくれよ」
京子「よし来た、トップバッターはあかりわんわん!」
あかり「気持ちを切り替えなくちゃ…」
あかり「……」
あかり「」キリッ
結衣(あかりがいつに無く真剣な表情に!?)
結衣(これは、私が思っているより真面目な事なのか?)
あかり「……」
あかり「」ニコッ
結衣「えっ」
あかり「えへへ、結衣……お姉ちゃ~ん♪」
結衣「……」
結衣「……」
結衣「…おぉ、あかりが妹だ!」
京子「どうだ、結衣。気に入ったか?」ニヤニヤ
結衣「うん、流石リアルの妹だね」
結衣「京子と違って、とてもふざけているようには見えないよ」
京子「ぐっ…」
京子「なんだか、あかりに負けたような複雑な気分だ」
あかり「結衣お姉ちゃん、結衣お姉ちゃん♪」ピョコピョコ
結衣「…でも」
結衣「あかり、他に何か無いの?」
あかり「えっ!?」ドキッ
あかり「う~んと、う~~んとねぇ…」
結衣「……」
4人「「「「「……」」」」」
あかり「結衣お姉ちゃん、行って来ま~す♪」ガラッ
京子「あっ、あかりが逃げた…」
京子「2人目もリアル妹だよ、ちなつちゃ~ん!」
ちなつ「うふふ、結衣お姉様~」キラキラ
結衣「お、お姉様!?」ビクッ
ちなつ「結衣お姉様、チーナをあなたのスールにしてぇ」キラキラ
結衣「ちなつちゃんは妹と言うより、何かの役に入り込んじゃってるよ!」
結衣「顔まで、少女漫画風になってるし…」
ちなつ「結衣お姉様、ロザリオはどこにあるんですか?」
結衣「ロザリオって…」
結衣「京子、そんなの用意してあるの?」
京子「先生、打ち合わせと違うじゃないですかーっ!!」
結衣「アドリブかよっ!?」ガーン
ちなつ「そこ、ブラウスの中に閉まってあるのね?」サワサワ
結衣「ひぃぃーっ!!」ゾワゾワ
京子「ちなつちゃん、ストップストーップ!!」
結衣「あわわわわ…」ガクガク
京子「全員、ちなつちゃんを取り押さえるんだ!」
櫻子「任せて下さい、歳納先輩っ!!」スクッ
向日葵「わ、わたくしも!?」ドキッ
ガシッガシッ
ちなつ「ちょっと、今いいとこなんです離して下さい!!」
京子「こんなの、誰も望んで無いから!!」グイグイ
ちなつ「私が望んでるんです。結衣お姉様、結衣お姉様ぁ~」ガラッ
ピシャッ
結衣「はぁ…はぁ…」
京子「…どうだった?」
結衣「あれを見て、感想を聞くんだ?」
京子「一応…」
結衣「あの顔で間近に迫られたから、かなりの迫力があったよ」
京子「3人目もまたまたリアル妹、ちっぱいちゃ~ん!!」
櫻子「船見のねーちゃん!」
結衣「ぶっ」
結衣「…大室さん、それじゃ近所の子供だよ」
櫻子「ふぇ?」
櫻子「私、ねーちゃんの事をねーちゃんって呼んでるんですけど」
結衣「そうじゃなくて……あっ」
結衣「そもそも、2人は私の事を下の名前で呼んで無いんだっけ?」
結衣「大室さん、今日は…」
結衣「いや、これからも私の事を結衣って呼んでよ」
櫻子「へへ、了解です。結衣ねーちゃんっ!!」ビシッ
結衣「…あぁ、こういうタイプの妹もいいかも」
結衣「…かもね」
結衣「正直、あかりやちなつちゃんは元々妹みたいなものだったし」
京子「それ、あかりは兎も角ちなつちゃんが聞いたらショック受けるよ?」
結衣「そうかな、今の私は妹にしか興味ないんだけど」
京子「私は土俵にすら立ててないのかよ!?」ガーン
櫻子「つまり、妹代理である私は結衣ねーちゃんに愛されてるって事ですか!?」
結衣「大室さんさえ、迷惑じゃなければ…」
櫻子「そんなぁ、私の前世から来世まで愛しちゃって下さいよ~っ!!」
結衣「はは、今度は姉妹になれるといいね」ナデナデ
櫻子「へへへ~、結衣ねーちゃんはウチのねーちゃんと違って優しいや♪」ウキウキ
向日葵「……」
結衣「おいこら、私がおかしな事を言ったような言い方するなよ!」
結衣「1人っ子の妹への憧れなんて普通だろ?」
京子「私も1人っ子だけど、妹が欲しいなんて思ったこと無いよ?」
京子「なんせ、自分1番ですから!!」
結衣「それこそ、カミングアウトだろ!」
京子「スーパーナルシスト・京子ちゃん!!」
櫻子「うはぁー、それ超格好いいじゃないですか!?」
結衣「うわっ、食い付いて来た!?」ビクッ
京子「だろぉ~?」ドヤァ
櫻子「それで、一体どういう意味なんですか!?」ワクワク
結衣「凄い自己中な京子」
京子「その言い方、明らかに悪意あるだろ!?」ガーン
結衣「妹好きを馬鹿にした報いだよ、スーパーナルシスト・京子」
向日葵「……」
京子「ラストォ、おっぱいちゃん!」
向日葵「……」
向日葵「……」
京子「…あれ?」
京子「おっぱいちゃんの番だよ」
京子「ほら、そこのシスコンに『お姉たま』って言ってやりなよ」
結衣「後で覚えてろよ」
向日葵「……」
櫻子「なんで黙ってるんだよう、向日葵?」
結衣「…古谷さん?」
向日葵「わたくし……じゃ、ありませんの」
結衣「えっ?」
向日葵「わたくしは、妹じゃありませんのよ!!」
京子「それでは、シスコマンダー・結衣を満足させる事が出来ないじゃないか!」
櫻子「シ、シスコマンダー!?」ピクン
結衣「あぁ、また変な肩書きに大室さんが反応してる…」
結衣「古谷さん、私は別にリアルな妹にこだわってる訳じゃないよ」
向日葵「いえ、そうではなくて…」
向日葵「こちらの問題ですわ」
結衣「…古谷さんの?」
京子「して、その問題とは!?」ワクワク
向日葵「人を姉のように呼んだ事が無いものですから…その……」モジモジ
向日葵「恥ずかしいん…ですの///」カァー
3人「「「……」」」シーン
櫻子「…うわ、ブリっ子きもっ」
向日葵「うるさいわねぇ、恥ずかしいものは恥ずかしいんですわっ!!」
結衣「それじゃ、どうしたら私の事をお姉ちゃんって呼んでくれるのかな?」
向日葵「それは…」
京子「おやぁ~?」ニヤニヤ
京子「さっきまで、淡々とこなしているような素振りだったのに」
京子「結局、結衣もノリノリなんじゃないか!」
結衣「…それは、否定出来ないかも」
向日葵「わたくしには、やっぱり無理…」
櫻子「仕方ないなぁ、駄目駄目駄目な向日葵に櫻子様がお手本を見せてやろう!」
向日葵「なっ!?」カチン
櫻子「結衣ねーちゃ~~ん♪」ダキッ
結衣「うわっ!?」ビクッ
櫻子「どーだ!これなら、ブリっぱいにも分かるだろう?」
向日葵「くっ…」ギリリ
向日葵「たかが船見先輩を姉呼ばわりしただけで、調子に乗りすぎですわっ!!」
結衣「おぉ、流石ライバル同士だね」
向日葵「ただし、条件として櫻子には退出願いますわ!」
櫻子「なんだとぉ~!?」
櫻子「先輩方、向日葵の言うことなんて聞く必要ありません!」
京子「……」
櫻子「そうだ、拷問して無理矢理言わせちゃいましょうよぉ~」
京子「…ちっぱいちゃん」
櫻子「なんですか、歳納先輩?」
京子「外に行って、あかりとちなつちゃんと一緒に反省会やってて」
櫻子「そんなぁ…」
櫻子「結衣ねーちゃんは、私の事を見捨てませんよね!?」
結衣「大室さん…」
結衣「後で、いっぱい遊んであげるよ」
櫻子「うわぁぁ、グレてやるぅぅぅ!!」ダッ
京子「…それで」
京子「おっぱいちゃんは結衣の事、なんて呼ぶの?」
向日葵「えっ、あの…その……」
向日葵「ふ、船見先輩のリクエストに従いますわよ///」
結衣「私は別に何でもいいけど」
京子「お姉たまでいいじゃん!」
結衣「!!」ドキッ
向日葵「…はっ?」
京子「結衣は、お姉たまが一番好きなんだよねぇ~」
結衣「おいこら、そういうこと言いふらすなよ!!」
向日葵「船見…先輩……?」
結衣「違うんだよ、古谷さん。それはあくまでゲームの話であって…」
京子「お姉たま、お姉たま、お姉たまぁ~」ニヤニヤ
結衣「」イラッ
ーーーーー
京子「…と、言う訳で」プスプス
京子「私も追い出されてしまいましたとさ!」
あかり「へぇ、結衣ちゃんはお姉たまがお気に入りなんだ…」
ちなつ「それじゃ、今部室は結衣先輩と向日葵ちゃんの2人きりなんですか!?」
櫻子「結衣ねーちゃんを独り占めなんて、向日葵ずりぃー!!」
京子「まぁまぁ、結衣さんは妹好きらしいし…」
京子「リアル妹にはかなわないっしょ!」
ちなつ「きゃーーっ、それ本当ですかぁ!?」
櫻子「あっ、それ私も聞いたから本当だよ!」
あかり「…あれ?」
あかり「でも、京子ちゃんは1人っ子だよねぇ?」
京子「うん、泣いていい?」
ちなつ「?」キュルン
京子「ちなちゅお姉ちゅあ~ん!」ダキッ
ちなつ「ちょっと止めて下さいよぉ~、京子…」グイグイ
ちなつ「先・輩っ!!」ドンッ
京子「うわぁ~~!!」
京子「どうして私は、ちなつちゃんの先輩に生まれてしまったんだぁ!?」
京子「どなたか、3年生の方を知りませんか~」
櫻子「確か、ウチの生徒会長が3年生ですよ!」
京子「なぬぅ!?」ピクン
京子「よっしゃ~、生徒会室に妹になり行くぞぉ~!!」
京子「ばびゅーーんっ☆」ダダッ
シーン
3人「「「……」」」
あかり「…反省会、しよっか?」
向日葵「……」
結衣「…あっ」
向日葵「えっ?」
結衣「いや」
向日葵「はい?」
結衣「うん…」
向日葵「……」
結衣「……」
結衣(京子を追い出したのはいいけど…)
結衣(古谷さんと2人きりで、お姉ちゃんと呼ばせるなんて気まず過ぎるだろ!!)
向日葵「…ふふっ」
結衣「えっ!?」ビクッ
向日葵「これでは拉致が開きませんわね」ニコ
結衣「あはは、そうだね…」
向日葵「やはり、歳納先輩の仰っていた呼び方が宜しいんでしょうか?」ヒクヒク
結衣「そ、それはいいよ!!」ガタッ
結衣「あいつの言ってた事は忘れてくれていいから!」アセアセ
向日葵「それは、安心しましたわ」ホッ
結衣「…ごめんね、古谷さん」
結衣「こんな罰ゲームみたいになっちゃって」
向日葵「いえ、そんな…」
向日葵「船見先輩は一人っ子と仰られてましたし」
向日葵「わたくしのような妹持ちに分からないような…その……」
向日葵「とても寂しい想いをしていたと思うと、ほっとけませんもの!」
結衣「古谷さん…」
結衣(まさか、ギャルゲーの影響で妹好きに目覚めたなんて言えないよな)
結衣(…いや、元々小さい子を好きではあったけど)
向日葵「船見先輩の事を、どのように呼んで差し上げれば宜しいのか」
結衣「古谷さん、さっき妹が居るって言ってたけど」
結衣「その妹の呼び方を参考にしてみるのはどうかな?」
向日葵「わたくしの妹の呼び方を…」
向日葵「……」
楓『向日葵お姉ちゃん♪』
向日葵『結衣お姉ちゃん♪』
向日葵「///」ボッ
結衣「うわぁ!?」ビクッ
向日葵「むむむむむ無理無理、そんなの呼び方絶対に出来ませんわよっ!!///」カァー
結衣「えっ、あぁ、そうなの?」
向日葵「はぁ…はぁ…」
結衣(普段、一体どんな呼ばれ方されてるんだ?)
結衣(今のセリフ、『お姉たま』を聞いた瞬間連呼した京子に聞かせてやりたい)
向日葵「……」ズーン
結衣「ハッ!!」
結衣「そ、それじゃあさぁ!」
結衣「私の事を如何に恥ずかしくないよう呼ぶか、じゃなくて」
結衣「仮に古谷さんに姉が居たらどんな風に呼んでたか、を考えてみない?」
向日葵「わたくしに姉が居た場合…ですの?」
結衣「そう、一度くらいは姉が居たらって考えた事ないかな?」
向日葵「確か小さな頃に一度、大室さんのお姉さんを見て…」
向日葵「……」
向日葵「…お姉さん」
向日葵「そうですわ、わたくしが姉を呼ぶのでしたら『お姉さん』ですわよ!」
結衣「おぉ、お姉さんか…」
結衣「うん、古谷さんらしくていいね!」
結衣「それじゃ、さっそく言ってみて欲しいな」
向日葵「はい、では……お姉」
結衣「……」ジー
向日葵「ちょっ!?///」ドキッ
結衣「…えっ?」キョトン
向日葵「そんな、ジッと見つめられたら照れますわよ!///」
結衣「ご、ごめん。別に、古谷さんの邪魔をしようとした訳じゃなくて!」アセアセ
結衣「いざ、古谷さんに『お姉さん』って呼ばれると思うと緊張するんだ…」
向日葵「あの船見先輩が……緊張を?」
結衣「そんな意外そうな顔しないでよ、私だって人間だよ?」
向日葵「す、すみません。わたくし、そんなつもりでは…」
結衣「はは、いいよ。これでおあいこかな?」
向日葵「船見先輩…」
結衣「言い終わるまで、私は目を瞑ってるね」ツムリ
向日葵「気をつかわせてしまい、申し訳ありませんわ」
結衣「じゃあ、改めてお願いするよ。古谷さん」
向日葵「……」
結衣「……」
向日葵「……」ゴクッ
結衣(あっ、今唾を飲んだ)
向日葵「……」
向日葵「…おねすっ」
向日葵「///」ボッ
結衣(あぁ、噛んじゃったよ…)
向日葵「ふぅ…ふぅぅぅ……」スーッハーッ
結衣(頑張って、古谷さん!)
向日葵「……」
櫻子「反省会おっわりぃ~♪」
あかり「えへへ、ちなつちゃんを説得するのに時間かかっちゃったよぉ」
ちなつ「最後の砦『お姉様』は守り抜きましたよ、結衣お姉…」
2人「「……」」
ちなつ「……」
結衣「あっ」
向日葵「あっ」
ちなつ「えええぇぇぇぇぇええ!?」ガーン
櫻子「おい、向日葵。結衣ねーちゃんと見つめ合って、何やってたんだよう!?」
向日葵「ななな何って、わたくし達は特別何もしていませんわよ!?///」
結衣「そうだよ。私はさっきまで目を瞑ってたから、見つめあってはいないよ!」
櫻子「へっ、そうなんですか?」キョトン
櫻子「なぁ~んだ、2人が向かいあってるから勘違いしちゃったん♪」
結衣「…ふぅ」ホッ
あかり「でも、なんで結衣お姉ちゃんは目を瞑ってたの?」
結衣「いや、目を開いてると古谷さんが照れちゃうからさぁ」
ちなつ「向日葵ちゃんが、照れる?」
櫻子「う~ん、ますます訳分かんない」
櫻子「あかりちゃん、ちょっと私と向かい合って目を閉じてよ!」
あかり「こう?」ツムリ
櫻子「……」
あかり「……」
ちなつ「…ちょっと、これって!?」
2人「「ハッ!!」」ドキッ
あかり「えっ、えっ?」パッ
櫻子「ちなつちゃん。2人が何をしてたのか、分かったの?」
ちなつ「もしかして結衣お姉様、向日葵ちゃんと」
ちなつ「キス、しようとしてたんですかぁーーっ!?」
櫻子「私を追い出して結衣ねーちゃんとキスするとか、ふざけんなよぉ!!」バタバタ
結衣「みんな、少し落ち着きなよ!」
向日葵「そうですわよ、誤解ですわ!」
向日葵「わたくしと船見先輩はまだ、そういう関係じゃありませんのよ!」
ちなつ「まだ、そういう関係!?」ピクン
ちなつ「ちょっと、それどういう意味よ!?」
向日葵「いえ、ですから船見先輩とわたくしは姉妹関係では無いと…」
ちなつ「姉妹じゃないなら、なんなのよ!?」
あかり「恋人…かなぁ?」
櫻子「キスしようとしてたし…」
ちなつ「こここここ恋人ですってぇーーっ!?」ガーン
結衣「うわっ、コンボが繋がった!!」
向日葵「この子達は、何故そう悪い方向に事を運びやがりますの!?」
結衣「はぁ…」
結衣「これ以上騒ぐと、お姉ちゃん怒るよっ!!」カッ
3人「「「!!!」」」ビクッ
向日葵「!!」キュン
結衣「みんなが妹である限り、私は絶対みんなの事を裏切ったりしないから!!」
あかり「結衣お姉ちゃん…///」ドキドキ
ちなつ「結衣お姉様…///」ドキドキ
櫻子「結衣ねーちゃん…///」ドキドキ
向日葵「船見…先輩……///」ドキドキ
結衣(ふふ。シスター・クインセブンの名台詞、一度言ってみたかったんだ!)
結衣「流石に、一緒に住もうとまでは言えないけど」
結衣「それでも、ここに居るよりはずっと雰囲気が出るハズだからさ」
あかり「わぁ~い、結衣お姉ちゃんちで遊んで貰えるよぉ♪」
ちなつ「ふふふ、今日は妹としてワンランク上のイベントを狙うよ☆」
櫻子「結衣ねーちゃんの家に一番乗りして、ご褒美貰うぞぉーーっ!!」ダッ
結衣「えっ!?」
ちなつ「櫻子ちゃん、抜け駆けはズルいよっ!!」ダッ
あかり「うわはぁ~ん、あかりを置いてかないでよぉ~」タッタッタ
向日葵「お待ちなさい、櫻子っ!!」
向日葵「あなたはそもそも、船見先輩の家を知らないでしょーーっ!?」
シーン
向日葵「…みんな、行ってしまわれましたわ」
結衣「はぁ、しょうがない妹達だなぁ」
向日葵「全くですわね」
向日葵「はい、あの子達に足並みを揃えるメリットがありませんもの」
結衣「ご褒美は、欲しくないの?」
結衣「みんながノリノリな以上、ちゃんとあげるよ」
結衣「夕飯のメニューの決定権とか、そんなもんだけど」
向日葵「あら、ご褒美ならもう貰っていますわよ?」
ギュッ
結衣「!!」ドキッ
結衣「ちょ、古谷さん!?」
向日葵「出来るだけゆっくり、時間をかけて歩きましょうね」
向日葵「…お姉さん///」ポッ
お わ り !
最高だった
ハーレム編待ってるぞ
Entry ⇒ 2012.01.12 | Category ⇒ ゆるゆりSS | Comments (0) | Trackbacks (0)
黒井「765プロのプロデューサーすごいよぉ!」
黒井「なんとかして765プロのプロデューサーを小生の事務所に加えたい」
黒井「しかし、どうすれば彼をこの事務所に引き入れる事が出来るだろうか」
黒井「ふーむ」
冬馬「おい、おっさん」
黒井「……」
冬馬「聞いてんのかおっさん!」
黒井「おっさんじゃない!」
ガンバレル「」ババババッ
冬馬「ぎゃぁぁぁぁぁ!!」バタッ
黒井「今日こそは我が手中に納めて見ようじゃないか」
黒井「北斗!エピオン(自家用車)の用意をしておけ」
北斗「チャオW」
P「プロジェクトフェアリーはいつ見ても可愛いなぁ」
P「プロダクションの社長はアレだけど」
律子「ちょっと!ライバル事務所のアイドルが可愛いってどう言う事ですか!」
P「だって事実だし」
律子「そう言う問題じゃありません!」
P「いいだろ?俺だってプロデュース活動に手を抜いてる訳じゃないんだから」
律子「……まあ、プロデューサーの手掛けてるアイドルユニットも人気がありますからね」
P「だろ?じゃあいいじゃん」
律子「よくありません!」
律子「ナチュラルもコーディネイターも関係ありません!」
P「へいへい分かりましたよ!」スッ
律子「何処に行くんですか!」
P「ローソン」
律子「肉まんお願いします」
P「……分かったよ」
スタスタ バタンッ
律子「……プロデューサー」
P「律子は考えが古すぎるんだよ。アニメじゃないでも言ってるだろ。ふるいー地球人よーって」
P「ああ、寒い……」ブルッ
P「さっさとローソン行こう」スタスタ
-街中-
P「アニメじゃない、アニメじゃない、律子はメーガネー」
?「」スッ
P「ん?」
黒井「プークックックックッ」
P「またアンタか」
黒井「奇遇だな」
P「アンタはいつでも邪魔だな黒井嵩男!」
黒井「随分と嫌われたものだ」
P「アンタのしつこさに嫌気がさしてるんだよ」
黒井「だが、プロジェクトフェアリーは好きなのだろう?」
黒井「今ならプロジェクトフェアリーのプロデュース権を譲ってやってもいい。そう、君が我が961プロに来てくれるのならばな」
P「……」
黒井「今ならジュピターもおまけするぞ」
P「あっ、それはいりません」
黒井「そうか。さあ、どうする?」
P「断る。そろそろアンタはこの辺で消えてくれると嬉しいんだけどな!」
黒井「ならば今回も力付くでやらせて貰おう!」
P「なにっ!?ヒートロッド!」ギュ
黒井「はぁはぁ……小生はハニーが星井の」
P「キモい!!」
黒井「君が好きな星井美希の物真似をしたんだがな」
P「気持ち悪りぃんだよ!出すんなら本物出せ!」
黒井「……ふみゅう」シュ
P「なっ……」
黒井「また会おう」スタスタ
P「……なんだったんだよ」
P「うぅ、思い出しただけでも気持ちが悪くなって来た。さっさとローソンに行こう」
スタッフ「今日はプロジェクトフェアリーさんと合同の収録です」
P「ほぅ」
律子「何を喜んでるんですか?」
P「いいだろ」
律子「またそんな事を言って……」
美希「あっ、ハニーなの!」
P「おう、美希か」
美希「久しぶりなの~」ギュ
P「ああ。俺も会いたかったよ。一週間と22分振りかな」
美希「そうかも。ねぇ、ハニーはいつ961プロに来てくれるの?」
P「えっ?」
美希「パイナップルメガネは黙れなの。今、ミキはハニーとお話してるんだから」
律子「なんですって!もう一回言って見なさい!」
美希「何度でも言ってあげるの!メガネ、メガネ、メガネー!」
律子「ブチ殺す!」ガシッ
美希「痛いの!」グググッ
律子「今日と言う今日は許さないわ!アンタのその汚らわしい髪の毛をズタズタに引き裂いてやる!」グググッ
美希「痛いのーーー!!」ギチギチッ バリッ
P「えっ?」
黒井「プークックック、ハニー」
律子「黒井ェ……」
P「なんでテメェが美希の変装してんだよ!!」
P「だからってアンタが変装する必要ないだろうが!」
黒井「ハニーの抱き心地、最高だったの」
P「ウゲェ、このおっさん抱きしめちまったよ……」オゲェェ
黒井「おっさんじゃない!」
ガンバレル「」ババババッ
冬馬「なんでだよぉぉあ!!」ババババッ バタッ
律子「黒井社長、いい加減止めて頂けませんか?」
黒井「これはこれはアイドルに平然と手を挙げるパイナポーではないか?」
律子「ブチ殺されたいんですか?」
P「アンタに言われたくないけどな」
黒井「何を言う?私は常に紳士的だよ」
P「美希に変装する奴の何処が紳士的なんだよ!」
黒井「では私はこれで失礼するよ。でも、安心して星井。私はいつでも君を見守っているからね」
黒井「ではさらばだ」スタスタ
P「うぅ……気持ちいぃぃぃ!!あんな奴に四六時中監視されてると思ったら生きた心地がしねぇ!」
P「結局、美希はあのおっさんが変装したまま収録して本物は来てなかったな……」
律子「だからプロジェクトフェアリーを気にするのは止めて下さい」
P「だって好きなんだもん」
貴音「あなた様」
P「貴音」
貴音「お久しぶりです」
P「そうだな。今日、美希がいなかったけどどうしたんだ?」
貴音「美希なら居たではありませんか?」
P「いや、あれはあのおっさんの変装でな……」
P「来たな!究極!プロデューサーキィィック!」ゲシッ
美希「げふっ……」バコーン バタッ
P「寄るなっつてんだろ!」
美希「い、痛いよ……ハニー」
P「俺の心の方が痛いわ!」
美希「どうしちゃったのハニー?」
P「どうもこうも無いだろ!また俺をたぶらかすつもりか!」グニグニッ
美希「い、いはいのーー!!」グニグニッ
P「……あれ?」
律子「……」
貴音「何をやっているのですか!」
P「……まさか本物?」
美希「ミキは一人しかいないよ!」
P「……ヤバイ」
貴音「?」
P「す、済まん……さっき黒井のおっさんが美希の変装してたからつい……」
美希「ハニー……ミキの事、ちゃんと見てくれてないんだ」
P「ち、違う!これはだな!」
美希「ミキなら、誰がハニーに変装してても分かるの。なのにハニーは……」
P「だ、だからゴメンって!わ、分かった!お詫びするよ!おにぎり?イチゴババロア?それともデートかなぁ?」
P「え?」
美希「961プロに来てミキをプロデュースしてくれるなら、許してあげるの」
P「……」
貴音「美希!確かにこの方がした事はいけない事です。ですがそれは我が儘が過ぎるのではないですか?」
美希「貴音は黙ってて欲しいの」
貴音「美希!」
美希「どうするの?」
P「そ、それはだなぁ……」
P「……い、行こうかな?」
律子「プロデューサー本気ですか!?」
P「だ、だって美希を傷付けちまったし」
律子「アイドル一人蹴るだけでホイホイ移籍するんですかアンタはっ!!」
P「いや、だからなぁ……」
P「貴音もなんか言ってくれ」
貴音「美希のやり方は賛同出来かねますが、あなた様が本気で961プロに来て下さるのならば、わたくしは喜んでる歓迎致します」
P「……」
美希「ハニー」
美希「本当!?」
P「あ、ああ……」
嵩音「プークックック!録音しましたからねあなた様!」
P「そ、その声は!?」
嵩音「わたくしは四条嵩音ですよ、あ・な・た・様」
律子「……キモい」
P「ぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」
美希「ミキ、ハニーを961プロに引き込むなら鬼でも悪魔でもなるの」
律子「こんの金髪毛虫ぃぃ!」
美希「キレるだけのパイナポーとは違うんだよ」
嵩音「しかし、これで晴れて君は我が961プロのプロデューサーだ」
P「貴音の顔でキモい声出すんじゃねぇ!」
美希「ミキ嬉しいな。明日からハニーにプロデュースして貰えると思ったらすっごく胸がドキドキするの」
嵩音「わたくしもあなた様が961プロに来ると思ったら下半身が大洪水です!我が世の春がきたぁぁぁぁぁぁ!!」
P「だから貴音の姿で気持ち悪い事言うんじゃねー!」
律子「黒井社長!そのやり方は汚いですよ!人の事を言える立場ですか!」
嵩音「なんとでも言え!これは既に覆る事の無い事実なのだからな!」
嵩音「フンッ、何をやろうが無駄だ!」
律子「えぃ!」ゲシッ
P「ぐほっ!?なにすんじゃい!」ヨロヨロ
嵩音「ほぅ」ギュ
P「ぎゃぁぁぁぁぁ!」
嵩音「あ・な・た・様」ボソッ
P「きん持ちワりぃぃぃぃぃ!!」ゾワゾワッ
律子「はぁぁぁ!りっちゃんは可愛いですよ!フィンガー!」グッ
嵩音「なにぃ!?」
録音機「」バシッ
律子「ヒィィト!わふーー!!」バキッ
録音機「」メキッ
嵩音「おのーれーー!!」
美希「ハニー、ミキ絶対に諦めないから!」
嵩音「とう!」ボンッ
P「……助かった。ありがとう律子」
律子「プロデューサー、後でお説教です」
P「……はい」
春香「お疲れ様でーす……って、どうしたんですか?」
律子「なんでも無いわ」
P「うん、なんでもない」
春香「そ、そうですか」
P「あれから律子のスーパーお説教タイムが5時間も続いた」
P「もう、生きるのが辛い」
響「あっ、プロデューサーだぞ!はいたい!」
P「響?」
響「元気無いな?なにかあったのか?」
P「うん、ちょっとな」
響「だったら自分とペットショップに行かないか?ペットは心を癒してくれるぞ」
P「そうしようかな」
響「じゃあ、自分の行き着けのお店に行くぞ」
店員「いらっしゃいませー」
P「ペットショップに来るの久しぶりかも」
響「そうか?ペットショップは楽しいぞ。ほら、わんちゃんだぞ」
豆柴「きゃんきゃん」
P「可愛いなぁ」チョイチョイ
豆柴「きゃんきゃん」ペロペロ
響「この豆柴プロデューサーの事が気に入った見たいだな」
P「ペット飼うのもいいかもな……荒んだ心に武器は危険だもんな」
響「よく分からないけどペットはいいぞ」
P「どんなのですか?」
店員「こちらです」
黒井「くーん、くーん」
P「……」
響「なにやってんだ社長……」
店員「社長ではありません。彼はポメラニアンのタカオ君です」
黒井「くーん、くーん。飼ってほしいなぁ」
P「犬って喋るのか?」
響「普通は喋らないぞ」
黒井「優しいプロデューサーの家で温かい生活がしたいワン」
P「殺していいかな?」
響「一応ペットだからな」
P「こんなペットがいていいのか?」
黒井「きゃんきゃん」
P「キモい」
響「出るか?」
P「あ、ああ……お邪魔しました」
店員「またのご来店をお待ちしています」
P「多分、もう来ません」
黒井「くーん、くーん」
-街中-
P「なんで休みの日にまで黒井のおっさんに会わにゃならんのだ!」
響「社長はプロデューサーの事好きだからな」
P「あんなオヤジに好かれても嬉しくねぇよ!」
響「ご、ごめん」
P「いや、響が謝る事じゃないよ」ナデナデ
響「うん。じ、じゃあ今度は猫カフェに行かないか?」
P「猫カフェか。いいな、一度行ってみたかったんだよ」
響「よーし、それじゃあ気を取り直して行くぞー!」
-猫カフェ-
猫「にゃあにゃ」ゾロゾロ
P「うおっ、たくさん来た!」
響「ここの猫は人懐こさいからな、可愛がってあげて欲しいぞ」
P「お、おう」
P「癒されるなぁ」ホワホワ
響「自分もだぞ」ホワホワ
?「にゃあにゃあ」
P「……えっ」
美希「にゃあにゃあ」
響「なにやってんだ美希」
美希「ミキじゃないの。ネコなの」
黒井「おお、ミキちゃん知らない人の所に行ったらいけませんよー」
P「またアンタか……」
黒井「これはプロデューサー君ではないか!これは奇遇だねぇ」
P「さっき会ったばっかりだろうが!全裸ブリーフ姿のアンタをなっ!」
P「アンタを見間違えるほどに目はイカレてねーよ」
黒井「まあ、いい。それより私の飼い猫のミキちゃんが君の事を気に入ったようだ」
P「スルーすんな」
美希「にゃあにゃあなのー」スリスリ
P「……こ、これはこれでそそるもんが」ゴクリッ
響「二人共なにやってんだ!おかしいぞこんなのは!」
黒井「おかしい?何が?」
響「だからどうして美希が猫をやってるんだ!」
黒井「おかしな事を言うのは君だ。私は猫を連れて来ているのだよ!」
P「くぅぅ、ギュッとしてー!」
美希「ギュッとしていいにゃ」
P「マジ?」
美希「うん」
P「はぁはぁ……」
黒井「見てみたまえ。プロデューサーは既に私の飼い猫に夢中だ」
響「プロデューサーダメだぞ!」
P「ど、どうして?」
響「これは罠だぞ!」
P「え?」
黒井「響。君はプロデューサーに来て欲しくはないのか?」
響「そ、それは……今のプロデューサーは嫌味で自分勝手で嫌いだけど、それでもこんなやり方は卑怯だぞ」
P「マジか!」
美希「にゃあにゃあ」スリスリ
黒井「ただし条件がある」
P「なんだ?」
黒井「君が961プロに来てくれたら譲ろう」
P「えっ……」
黒井「悪い話では無いと思うがね」
P「……えっと」
美希「にゃあにゃあ」
響「プロデューサーいけないぞ!」
黒井「お前は黙っていろ!」
響「……ッ」
黒井「さあ、どうするかね?」
美希「ミキはハニーにプロデュースして欲しいにゃあ」
P「……」
響「プロデューサー!」
黒井「さあさあ!」
P「……961には、行けない」
美希「どうして!?」
P「俺には俺がプロデュースしているアイドルがいるんだ。やっぱり無理だよ……」
響「偉いぞプロデューサー!」
黒井「ほぅ、そう言う事か……美希、帰るぞ」
美希「え?でも……」
黒井「帰ったら私のハニーコレクションの一つをやろう」
美希「帰るの!」
P「おまっ!なにコレクションしてんだよ!」
黒井「ではさらばだ!」ボンッ
響「大丈夫かプロデューサー」
P「俺なら大丈夫だ」
響「……な、なあ」
P「ん?」
響「もし、765プロに来る前に……自分達と先に会っていたら、自分達のプロデュースをしてくれてた?」
P「……そうだな。黒井のおっさんにアレだが、フェアリーの3人は好きだしジュピターの奴らも嫌いじゃないしな」
響「そっか。それを聞けただけでも自分は満足だぞ」
P「そうか。お前達をプロデュースする事は出来ないけど、相談なら何時でも乗るからな」
響「うん、ありがとう」
黒井「……」スタスタ
北斗「チャオ∀」
黒井「チャオX」
黒井「美希」
美希「なに?」
黒井「お前達のプロデューサーは何をしている?」
美希「知らないの。どうせそこら辺で遊んでるよ」
黒井「ふむ、奴をクビに出来ればどれだけ簡単な事か」
美希「ミキ、あのプロデューサー大嫌いなの。だから早くハニーに来て欲しいの」
黒井「分かっている。どんな手を使ってでも、必ず765のプロデューサーを961プロのプロデューサーにして見せる」
黒井「必ずな!」
黒井「さて、秘蔵コレクションでハァハァするとしようじゃないか!」
美希「ごめんなさいなの……」
貴音「済みませんプロデューサー」
響「……」
P「あれはプロジェクトフェアリー?」
律子「プロデューサー!」グイッ
P「い、いだいでふ……律子はん」ヒリヒリッ
律子「プロジェクトフェアリーはいいですから」
P「あ、ああ。でも、なんか怒られてないか?」
律子「プロジェクトフェアリーのプロデューサーは厳しい事で有名らしいですね。無茶難題を押し付ける事も珍しくないらしいです」
P「そうなのか?」
律子「ええ。何でも黒井社長の恩師の息子らしくて、黒井社長も迂闊には手を出せないとか」
P「……そうか」
P「わ、分かってるよ」
律子「もし、少しでもそんなそぶりを見せたら……」ベキッ
P「……心得ておきます」
律子「さあ、765プロの番ですよ」
真「みんな、はちまれー!銀河の果てまでー!」
P「ブフッ……」
律子「そこ、笑わない!」
P「へいへい」
P「今日はおっさん来てないのか……」
おっさんじゃない!
ドラグーン「」ビシュィィン
冬馬「だからなんで俺なんだよーーー!!」バリバリッ
P「みんなお疲れさん」
律子「お疲れ様。良かったわよ」
P(フェアリーは、もう帰ったらか……)
P「じゃあ律子、後は宜しく頼む。俺は疲れたから先に帰るな」
律子「は、はい」
-タクシー乗り場-
P「ヘイッ!タクシー!」
タクシー「」キキィィ
P「ここの住所までお願いします」
運転手「オーライ、目標を狙い撃つ!!」
ブウゥゥゥン
P「……」
P「勢いで来ちまったけど」
P「どないしよ……」
警備員「なにやつ!」
P「え、えっと……」
警備員「怪しい奴だな!貴様、取り調べさせて貰う!」グイッ
P「やっぱり来るんじゃなかった!」
黒井「その男は私の客人だ」
警備員「社長、ですが!」
黒井「私の命が聞けないのか?」
警備員「は、はい!申し訳ありません」パッ
P「うへぇ……」
黒井「部下の無礼をお詫びしよう。で、ここに来たと言う事はついに決心してくれたと判断して構わないかね?」
黒井「では私をペロペロしに来たか?」
P「……帰る」
黒井「冗談だハニー」
P「やっぱり帰る」
黒井「まあ、待ちたまえ。せっかく足を運んで貰ってタダで帰らすのは私も心が痛い。プロジェクトフェアリーの下着はいかがかな?」
P「お邪魔します」
警備員「……」
黒井「そう来なくてな。では彼をVIP待遇でお連れしろ」
警備員「イエス!ユア、マジェスティ!」
P「アンタ、ギアスにいないだろ……」
社員「どうぞ、次期プロデューサー」ガチャ
P「だから次期プロデューサーじゃねぇ!」
P「……って、広っ!!」
黒井「どうだ?我がプロダクションに来る気になったかね?」
P「えーっと……」
黒井「まあ、座りたまえ」
P「ああ……ん?」
Pの写真「」×100枚
P「おい!なんで俺の写真がこんなにあるんだよ!」
黒井「よく聞いてくれた!何を隠そう私の秘蔵コレクションなのだよ」
P「んなもんコレクションすんな!」
P「アンタはなにしてんだ?」
黒井「仮面を選んでいるのだが、君はゼクス・マーキスとネオ・ロアノーク、どちらが好みかな?」
P「シュウ・シラカワ」
黒井「……おい!白衣を持ってこい!
社員「は、はい!」
黒井「取り敢えず座りたまえ」
P「ああ」
P「聞いたんだ」
黒井「なにをだね?」
P「プロジェクトフェアリーのプロデューサーの噂をな」
黒井「そうか」
P「本当なのか?」
黒井「事実だ」
P「……」
黒井「彼は私の師の息子でな。それを良い事に好き勝手やってるのだよ。プロジェクトフェアリーは彼を非常に嫌っている」
P「だから俺にプロデューサーをやれと?」
黒井「それもあるな。彼女達は君を非常に気に入っている。相応しいと判断したのだよ。それに……」
P「それに?」
P「……え?」
ガチャ
黒井「クククッ、今この部屋にいるのは私と君だけだ。これがどういう状況か、分からない君ではないだろう」スタスタ
P「ひ、ひぃぃぃぃぃ!!」
黒井「心配しなくていい。痛いのは始めだけだ。すぐに気持ち良くなるだろう」スタスタ
P「お、俺の貞操の危機だっ!!」
P「どうするや!?」
P「ひぃぃぃぃぃ……」
黒井「クククッ……さあ、お楽しみはこれからですよ」ズイッ
P「ま、待て!」
黒井「往生際が悪いですよプロデューサー」
P「タ、タダでやる訳にはいかん!」
黒井「なに?」
P「そんなに俺のケツの初めてが欲しいなら、俺と勝負しろ!」
黒井「勝負?いいだろう。では私が勝てば君の初めてを貰う。君が勝てば……私の後ろの初めてをあげよう」
P「いらねーよ!!」
P「今、世界中で流行っているアイドルマスターカードゲーム、愛☆怒☆琉☆王者 デュエルアイマスターズで勝負だ!」
黒井「いいだろう!かく言う私も決闘者でな。その勝負、受けて立とう!」
P「お尻の初めてを賭けた勝負、負ける訳にはいかない!」ウィィン ガシャコ
黒井「フッ……」ウィィン ガシャコ
P「デュエル!」
黒井「デュエル!」
P(コイツ、アルカナアイドルを使うのか?それとも……)
黒井「小生は手札から速効魔法、ののワを呼ぶんあーを使用!」バッ
黒井「このカードは山札から20枚を墓地に送る事により、手札、山札、墓地に存在するののワアイズカラミティドラゴンを所持枚数だけ特殊召喚出来る!」
P「なにっ!?」
黒井「いでよ!破壊の化身!!ののワアイズカラミティドラゴン!!」
のヮの「ヴぁい!」
のヮの「ヴぁい!」
のヮの「ヴぁい!」
P「なんでコイツがののワアイズを……」
P「……クッ」
黒井「図星か!しかーし!そう言う訳にはいかん」
P「……」
黒井「それに、このののワアイズは世界に3枚しか無い超レアカードだ。それが3枚とも小生の手中にあると言う事は、どう言う意味か分かるか?」
P「まさか……」
黒井「そのまさかよ!」
黒井「融合発動!!3体の、ののワアイズカラミティドラゴンを融合させる!」
黒井「この世界を混沌に包む混む究極の破壊龍よ!現れろ!ののワアイズアルティメットドラゴン!!」
のヮの
のヮの「ヴヴぁい!!」
のヮの
ATK 8700
DEF 8700
黒井「小生はターンエンドだ」
P「……」
黒井「サレンダーするなら今のうちだぞ」
P「サレンダーします」
黒井「早過ぎだろ!!」
P「だってそんなに強いカードないんだよ!」
黒井「ではお尻はいただく」
P「それは嫌だ!」
黒井「ならば小生とデュエルを続行だ!」
P「俺は弱い小学生しか戦わない」
黒井「なにぃぃぃぃぃ!?」
P「大体、俺は話をしに来ただけなんだよ!どうして話するだけなのに尻を賭けて勝負せにゃならんのだ!だったらフェアリーとヤらせろ!」
黒井「ほぅ、プロジェクトフェアリーのアイドルとヤりたいか?」
P「当たり前だろ!」
P「いやいや、そうじゃないから。気に掛けてたのは本心。でもアイドルとセックスしたいって思うのは男の夢だろう?」
黒井「私は君のお尻を頂くのが夢だがね」
P「それは絶対にやらねーよ!」
黒井「……」ショボーン
P「そこで落ち込むんじゃねー!それでも961プロの社長かよ!そんなアンタは見たくない」
黒井「そうだな」キリッ
P「立ち直り早えぇよ!」
黒井「確かに彼女達が戻って来た時は覇気が無かったな」
P「だろ?アンタ社長だろ。なんとかしてやってくれよ」
黒井「出来るならば既にやっている!」
P「……」
黒井「だから君に頼んでいる。新しいプロデューサーが出来れば奴を切る口実が出来るからな」
P「何度も言うがそれは出来ないと言っている」
黒井「君がプロデューサーになればフェアリーのアイドルは喜んでお股を広げるぞ」
P「……」
黒井「どうだ?君の焦がれていたアイドルとのセックス三昧だ」
P「えっと……あぁ……ヤベェ、魅力的過ぎる」
黒井「体は正直のようだな」
P「クッ、これは……」ボキーン
黒井「だが、私は諦めんよ。どんな手段を用いても必ずや君を961プロのプロデューサーにして見せる。それが彼女達の為、そして『私』の為でもあるからな!!」
黒井「プークククッ」
P「……」
黒井「では、帰りの車を用意しよう」
P「待て」
黒井「まだなにか?」
P「フェアリーの下着寄越せ」
黒井「……彼女達が良いと言ったらな」
P「約束だぞ」
スタッフA「なぁ、聞いたか?」
スタッフB「ああ聞いた。961プロダクションが765プロダクションを吸収合併するって話だろ?あれ本当かな」
P「え?」
P「ちょいちょい君ら!」
スタッフA「なんですか?」
P「その話って本当か?」
スタッフB「その話って……あっ!765プロの!」
P「聞かせてくれ」
スタッフA「えっと……」
P「頼むよ。話してくれないとミンチにしちゃうぞ♪」
スタッフB「は、はい!」
スタッフB「実はですね……」
P「まさか黒井のおっさんが……」
P「いや、あのおっさんなら有り得る話だ」スタスタ
北斗「チャオ☆」
P「チャオ★」
北斗「チャオ□」
P「チャオ■」
北斗「チャオ♂」
P「チャオ♀」
北斗「チャオ∀」
P「チャオX」
北斗「チャオ♪」スタスタ
P「……」
P「マジかよ……」
P「今日のスーパー特売かよ。やよいに報告しないとな」
黒井「……」スッ
美希「何を読んでるの?」
黒井「全知全能の書だ。この本に書き込むと、どんな内容も現実になると言う」
美希「だったらそれに書き込もうよ!」
黒井「……レプリカだ」
美希「ブー!!」
黒井「案ずるな、策は既に立ててある」
美希「本当?」
黒井「無論だ。小生は不可能を可能にする男だぞ」
貴音「黒井殿」
黒井「うむ」
響「……」
高木「なに?それは本気で言っているのか?だったら私にも考えがある。例の場所で落ち合おう」ピッ
小鳥「社長、どうしたピヨか
」
高木「いや、なんでもない。私は少し用があるので外出させて貰うよ」
小鳥「ピヨ」
P「……」
小鳥「プロデューサーさん?」
P「え?」
小鳥「どうしたピヨ?」
P「なんでもないピヨよ」
小鳥「そうピヨか」
P「そうピヨよ。だからさっさと仕事しろピヨ」
小鳥「……ピヨ」
P(あの話、やっぱり本当なのか……)
P「結局、社長帰って来なかったな」
バキッ ドカッ
P「ん?」
P「おい!」
高木「よくも私の会社を買収するなど言えたな!」バキッ
黒井「弱小プロを救済してやるんだ!有り難く思え!」ドカッ
P「高木社長と黒井のおっさんが殴り合ってる!」
高木「はぁはぁ……このままではラチが開かない。次で決める!」
黒井「いいだろう!」小生もそう思っていた所だ!
P「こりゃいかん!早く止めないと!」
黒井「シャイニングフィンガーとはこうゆうものだっ!!」
P「止めろーーーー!!」
バキィィィィィ!!
P「ぐひゅぅぅぅぅぅぅ!!」メリメリッ
高木「あっ……」
黒井「あっ……」
P「」クルクルッ グシャ
高木「……」
黒井「……」
P「……うーん?」
高木「大丈夫かね?」
P「社長……ここは?」
黒井「私の膝の上だ」
P「嫌ぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」バッ
高木「元気がいいねぇ」
黒井「いや、全くだ!私が惚れるだけはある」
P「……」
高木「しかしどうして君がここに?」
P「どうしてって、たまたまです」
黒井「そんな事を言って私を付けていたんじゃないのか?」
P「ブチ殴るぞ」
高木「それは黒井の奴が765プロを買収すると言ったからだ」
P「やっぱりか」
黒井「知っていたのか?」
P「収録スタジオで聞いたんだよ」
黒井「そうか」
P「どうしてこんな事を」
黒井「言っただろう。どんな手を使ってでも君を961プロのプロデューサーにさせると」
P「たったそれだけの事で……」
黒井「それだけじゃなぁぁぁぁぁい!!私は君が星井んだよ!ハニィィィィィ!!」
P「だからハニー言うな!」
黒井「それしか道は無い」
高木「それは許さんぞ」
P「社長は黙ってて下さい」
高木「……はい」
P「じゃあさ、例えばだけどプロジェクトフェアリーを765プロに移籍とかは駄目かな?」
黒井「……」
P「ああ、例えばだから」
黒井「私はどうなる?」
P「だったらアンタも来いよ。高木社長と仲たがいしてんだろ?良い機会だと思うけどな」
黒井「……」
高木「黒井」
P「そうだな。じゃあ、吸収合併じゃなくて共同経営とかどうかな?バンナム見たいな感じでさ」
黒井「ふむ」
高木「それは良いな」
P「765&961プロダクションとかさ。なんならいっそプロダクション名を変えるのも一つだな」
黒井「時間が星井の」
P「キモいから止めろ」
黒井「取り敢えず君の意見は分かった。社員に聞いて見よう」
P「それがいい」
高木「面目ない」
黒井「さすがは765プロのプロデューサーだな!」
P「あ、ああ。ありがとう」
黒井「絶好調でぁぁぁぁぁぁる!!」
P「やっぱりウザイかなーって」
高木「さあ、では親睦を深める為に今日は飲み明かそうじゃないか」グイッ
P「えっ……」ガシッ
黒井「それはいいな。もちろん君も来るだろう?主役だからな」グイッ
P「へっ?」ガシッ
高木「遠慮はいらんよ」
黒井「そう言う事だ」
P「嫌だぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」ズリャズリャ
P「な、なんとか貞操は守ったぞ」グテーン
小鳥「プロデューサーさんお疲れピヨ」
P「そうなんだピヨ」
小鳥「なにかあったピヨか?」
P「社長に朝まで付き合わされたピヨよ」
小鳥「大変だったピヨね」
P「そう言う事だから今日は仕事よろしくピヨ」
小鳥「……だりぃ」
P「はぁ……ちかれた」
黒井「実はミリアルドの演説を言おうと思ったが行間規制で書けなかった」
冬馬「どうでもいいよ」
黒井「うるさい!」
ファンネル「」ビシュィィン
冬馬「いやじゃぁぁぁぁぁ!」バリバリッ バタッ
響「あまとうが黒糖だぞ」
北斗「チャオ☆」
美希「チャオ@」
貴音「それで黒井殿、お話とは?」
翔太「また765プロのプロデューサーの話だったら止めてよね」
美希「ハニーの話は聞いてて飽きないの!」
北斗「チャオ*」
美希「ほら、北斗も興味深々なの」
黒井「そうだな。実は先日、765プロの社長とプロデューサーに会った」
美希「えーー!酷いの!」
北斗「チャオ∵」
貴音「北斗もプロデューサーとお話したかったと言っています」
黒井「まあ、待て。実はその事だが、その765プロダクションと業務提携を結ぼうと考えている」
美希「本当!?」
翔太「あの噂本当だったんだ」
貴音「まあ、それはおめでたい話です」
北斗「チャオ∀∀∀∀∀∀∀∀∀∀∀∀∀∀∀∀∀∀∀∀∀∀∀∀∀∀∀∀」
響「じゃあ、自分達、765プロのみんなともっと仕事が出来るって事なのか?」
冬馬「」プスプス
黒井「そうなるな」
黒井「まあ待て。まだ決まった訳ではない。社員の意見も聞かねばならんからな」
貴音「そうですね」
響「でも、これが実現したらプロデューサーが自分達をプロデュースしてくれるかも知れないぞ」
北斗「チャオ♂」
翔太「ほくほくも喜んでるね」
貴音「ええ、わたくしも年甲斐も無く胸が高鳴ります」
「待って頂きたい」バンッ
黒井「なんの用だ?フェアリーのプロデューサー」
美希「アンタには関係ないの」
FP「貴様になど聞いていない」
美希「……ッ」
FP「社員、今一度考えて下さい。あんな弱小プロダクションと組む事になんの利益があるのですか?」
黒井「あるから提携をすると言っているのだ」
FP「それが目先の勘定ならば考え直した方がこのプロダクションの為と私は進言しましょう」
響「うるさい奴だ……」
FP「黙れ獣女、臭いが移る!」
響「……グッ」ギリッ
黒井「……」
FP「会社経営はボードゲームとは違うのです。それを1番理解している貴方がこんな愚行に走るなど、黒井嵩男も地に墜ちましたね」
貴音「それは黒井殿に対する侮辱です!いくら貴方と言えど許されたものでは」
FP「フンッ、誰のおかげでここまでのし上がれたと思っている。なんの価値も無い中卒の貴様が、この私に意見するなど100年早い」
貴音「……」
FP「いいですか社長。その提携を組むと言う事は、社員を地獄に引きずり込むのと同じだと言う事をお忘れなく」
冬馬「」プスプス
翔太「……」
北斗「チャオ∵」
FP「では私はまだ仕事がありますので失礼します」スタスタ
ガチャ バタンッ
美希「……ムカつくのー!何様なのアイツ!本当に腹が立つの!」
響「本当だぞ!なんであんな奴が自分達のプロデューサーなんだ!」
翔太「さすがに嫌になるよね」
貴音「プロデュースしてくれている方にあまり悪い事は言いたくありませんが、わたくしも限界かも知れません」
-765プロ事務所-
高木「上手く行くだろうか」
P「黒井社長を信じましょう」
高木「ああ、そうだな。彼を信じないで何の提携か」
小鳥「よく分からないけど私も信じるピヨ」
P「小鳥さんはもう少し周りに興味を持とうね」ビシッ
小鳥「痛いピヨ……」
P「……外回り行って来ます」
社長「ああ」
小鳥「ピヨピヨ」
美希「……」ポイッ
冬馬「痛て!」ガンッ
美希「……」ポイッ
冬馬「だから俺に石投げんな!」ガンッ
美希「はぁ……」
P「美希か」
美希「ハニー……」
P「浮かない顔してんな。何かあったか?」
美希「……ハニー!」ギュウ
P「どうしたんだよ!」
美希「うぅっ、ひっく……」
P「美希……何かあったか話してくれるか?」
美希「うん」
冬馬「俺もいるんだけどなっ!」
P「そうか、フェアリーのプロデューサーがな」
美希「うん。もしかしたらハニーとの提携が無くなるかも知れないの」
P「ハニーじゃなくて765プロな」
美希「もうミキどうしていいのか分からないよ」
P「そうか……よし」
美希「どうするの?」
P「フェアリーのプロデューサーに会う」
美希「今から?」
P「当然、行くぞ」
美希「う、うん」
P「ヘイタクシー!」パチンッ
タクシー「」キキィィ
P「961プロまで超特急で!」
運転手「了解……トランザム」
冬馬「あ、あれ?俺は?」
-961プロダクション-
P「コイツはお釣りだ!ととっきな!」パッ
運転手「世界の希望が見えるよ……」
P「行くぞ美希!」
美希「うん」
警備員「待て!」
P「っと、俺黒井社長の友達な」
警備員「765プロのプロデューサーは通すなと言われています」
P「なんとー!」
美希「どうして!!」
警備員「フェアリープロデューサーのご命令です」
P「チッ、先手を打たれたか。どうする?」
P「なんだ?」
美希「あのね、このプロダクションにはアイドルしか教えられてない秘密の通路があるんだよ」ボソボソ
P「またなんで?」
美希「追っ掛けとかいるからその人達を巻く為にあるんだよ」
P「成る程、大手は違うな。よし、教えてくれ」
美希「任せて」
-961プロダクション ホール-
ガチャ
P「……何とか入れたか」
警備員「」スタスタ
美希「警備員さんの数が多いの」
P「まさか俺が来る事が読まれてたか?」
美希「かも。あのプロデューサー、すっごく嫌な人間だけど頭をとんでも無くいいの」
美希「うん。海外の国立大学出たとか」
P「おいおい、俺は高卒だぞ」
美希「そんなの関係ないよ。ハニーは優しいもん」
P「照れるじゃないか」
美希「もっと照れていいよ」
P「まあ、照れるのは事が終わってだな。フェアリーのプロデューサーは何処にいる?」
美希「フェアリーのプロデューサーなら今だとプロデューサー室にいると思うよ」
P「プロデューサー室は何階?」
美希「72階」
P「千早が聞いたらキレるな。取り敢えず行くぞ」
美希「うん」
警備員「」
警備員「」
P「やっぱりだけど警備員が守ってるな」
美希「ハニーハニー」
P「今度はなんだ?」
美希「社長からこんなの借りてたの」ゴソゴゾ
変装セット「」
P「これを着ろと?」
美希「うん。誰がいい?」
P「取り敢えず女の子は勘弁」
美希「じゃあジュピターしかないよ」
P「だったらあまとうで」
美希「分かったの。ミキが監視してるから今のうちに着替えてね」
P「任されてー」
P冬馬「どうだ?似合ってる?」
美希「やっぱりハニーの方が比べものにならない程カッコイイよ」
P冬馬「サンキュー、じゃあ行こうか」
-エレベーター前-
P冬馬「おうおう、エレベーターに乗せろや!」
警備員A「は、はあ。どうぞ」
P冬馬「わりぃな!」ズカズカ
美希「ミキも乗るよ」
警備員B「もちろんどうぞ!」
P冬馬「よし」ピッ
シュィィィン
警備員A「あまとうあんな喋り方だったか?」
警備員B「知らねぇ。美希ちゃんしか見てなかった」
警備員A「そうだよな。美希ちゃん可愛いよな」
チーン
P冬馬「着いたな。奴の部屋は?」
美希「こっちだよ」
警備員「おや、どうしたんですか?」
P冬馬「おうおう!プロデューサーに用があんだよ!」
警備員「プロデューサーは現在職務中で誰とも会わないと」
美希「どうしても確認したいスケジュールがあるの」
P冬馬「おれは天下のジュピター様だぞ!」
警備員「……」
美希「ねぇ、お願い」
警備員「仕方ないですね。分かりました。少し待って下さいね」スタスタ
P冬馬「美希人気だな」
美希「でもミキはハニーの1番になりたいな」
P冬馬「じゃあ、今度あなたの1番になりたいを歌ってくれよ」
警備員「お待たせしました。入っても良いとの事です」
美希「ありがとうなの?」
P冬馬「わりぃな!」
警備員「……」
-プロデューサー室前-
美希「ここだよ」
P冬馬「よし、入るぞ……」
ガチャ
-プロデューサー室内-
P冬馬「……あれ?」
美希「いない」
P冬馬「何処行ったんだアイツは?」
美希「すれ違いになったのかな?」
P冬馬「チッ、じゃあ出るぞ」ガチャ
美希「どうしたの?」
P冬馬「開かないんだよ!」ガチャガチャ
美希「えっ!?」
FP『初めまして765プロのプロデューサー』
美希「この声はフェアリープロデューサー!」
FP『やはりソイツと一緒だったかアバズレ女』
美希「!!」
P冬馬「テメェ!美希を悪く言うんじゃねえ!テメェのプロデュースしてるアイドルだろうが!」
FP『アイドルなど代わりはいくらでもいる』
P冬馬「んだと!」
FP『だが、君とは残念だがお別れを言わないとならない』
P冬馬「どう言う事だ!」
美希「そ、そんな……」
P冬馬「そんなハッタリ!」
プシューー
美希「!!」
P冬馬「チッ」
FP『君達は悲運の事故死と言う事で処理しておくよ。フッ、これで黒井の事務所も終わりだな』
P冬馬「貴様ぁ!」
FP『ではさようなら』プッ
プシューー
美希「ミ、ミキ……ここで死んじゃうの?」
P「そんな事は絶対にさせなねえよ」バリッ ポイッ
美希「ハニー」
P「美希だけはどんな事があっても助けてやる」
P「美希には未来がある。だから死なす訳にはいかない」
P「何かあるはずだ、美希だけでも助ける何かが」ガサゴソ
美希「ハニーがいない世の中なんて嫌だよ!ハニーが死ぬなら、ミキも死ぬ!」
P「お前……」
美希「だから、ハニーも助かる道を考えよ?」
P「……分かった。じゃあ、美希も何かあるか探してくれ」
美希「うん!」
P「……はぁはぁ」
美希「何も、無かったの」
P「奴はそれも想定してたんだな……」
美希「ハニー……」
P「どうした?」
美希「……ど、どうせ、死ぬなら……最後に言うね」
P「なにを?」
美希「ミキ、ハニーの事、大好きなの。ミキ、ハニーのお嫁さんになりなかったよ」
P「……そうか、ありがとう」
美希「だからね……最後に、キス……して欲しいな」
P「……いいぞ、美希」
美希「ハニー……」
P「……美希」スッ
バンッ!!
P「え?」
美希「ほぇ?」
響「大丈夫か二人共……ってなにやってんだーー!!」
貴音「面妖なっ!」
北斗「チャオ#」
翔太「ヒューヒュー」
黒井「せっかく助けて来たのに何をイチャイチャやっている!羨ましいじゃないか!」
P「うるせー」
美希「ミキ達助かったの?」
響「このプロダクションはアイツに占拠されてたんだ。自分達も軟禁されてたんだけど社長が助けてくれたんだぞ」
P「やるじゃないか社長!」
黒井「当然であーる!しかし、あの逆賊めが、よくも小生のプロダクションを乗っ取ってくれたな!」
貴音「黒井殿、今こそが反撃の時です」
響「自分に任せて欲しいさ!いぬ美」
いぬ美「バウバウ」
響「あのプロデューサーを探して欲しいぞ」スッ
いぬ美「ガルルル」クンクンッ
P「嫌がってるな」
響「いぬ美もあのプロデューサーが嫌いだからな」
P「納得理解だ」
いぬ美「バウバウ!」
響「分かった見たいだぞ」
P「よし、追い掛けるぞ」
響「あっちだぞ!」
いぬ美「バウバウ」
P「あっちじゃ分からん」
貴音「タクシーを呼びましょう」
P「そうだな。ヘイッ!」タクシー!」パチンッ
タクシー「」キキィィ
運転手「行き先は」
P「このワン子の指示に従って下さい」
いぬ美「バウバウ」
運転手「了解、未来を切り開く為、飛翔する!!」
運転手「トランザムライザァァァァ!!」
タクシーR「」キィィィン ズギュゥゥン
ズガァァァァァン
警備員「何事だ!?」
ズカズカ
P「チッ、数が多い!」
運転手「お前達は先に行け。ここは俺達が食い止める」
P「運転手さん」
運転手「そしてその手に未来を掴み取れ。大丈夫だ、お前なら変われる。俺が変われたように、今のお前なら」
P「ありがとう運転手さん。行くぞ、みんな!」
警備員「捕まえろ!」
運転手R「おっと、アンタらの相手は俺達だぜ」
運転手T「彼らの邪魔はさせはしない」
運転手S「そうだ。俺達が、俺達が!」
運転手A「……トランザム」ジュコーー
運転手A「ジュースおいちい」
P「見付けたぞ!」
FP「なにっ!?何故分かった」
P「俺達には優秀な仲間がいるからな」
いぬ美「バウバウ」
響「美希とプロデューサーを殺そうとした罪は重いぞ!」
貴音「そうです。人の命をなんだと思っているのですか!」
美希「ミキ、アンタだけは絶対に許さない」
翔太「僕もさすがに許せないな」
北斗「チャオ†」
黒井「神の国へと引導を渡してくれる!!」
FP「おのれぇ……こんな所で私の計画が潰されてなるものかぁ!」
FP「や、止めろ!来るなぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」
バキドカボコッチャオ★
FP「ガハッ、ゴホッ……」
P「今日のおれは阿修羅する凌駕する存在だ!くらぇ!」ズッ
FP「や、止めて……」
P「武力によるクソプロデューサー根絶!」ザシュ
P「それこそが765プロダクション!」グサッ
P「961プロとそれを成す!俺と共に!」バキッ
P「そうだ…!俺が!」ドシュ
P「俺達が…アイマスだ!!」スバァァァ
FP「ぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」
FP「クソォ、貴様らさえいなければ!」
P「反省しろ」
警官「じっくり聴取してやるからな。えぇ!プロデューサーさんよぉぉ!」
FP「ひぃぃぃ!」
P「……終わったか」
黒井「これも君のおかげだ。961プロを代表して礼を言おう」
P「俺は当然の事をしただけだ。それに、俺だけじゃない。ここにいる皆のおかげでだよ」
美希「さっすがハニーなの!」
響「そ、そうだな、勢いでやったはいいけど、明日から路頭に迷ってしまうぞ」
P「心配するな。765プロと企業提携すれば俺が皆まとめてプロデュースしてやんよ!」
翔太「僕達は?」
北斗「チャオ∴」
貴音「北斗も心配しています」
P「もちろんジュピターもな!」
翔太「さっすがプロデューサーちゃん分かってる!」
北斗「チャオ∀」
黒井「では凱旋と行こうじゃないか!」
P「ああ、戻ろうぜ。961プロにな!」
-河川敷-
冬馬「誰も来ない……」
高木「えー、この良き日このような式を贈れる事を嬉しく……」
黒井「長い!」
小鳥「眠くなるから止めろピヨ!」
高木「そ、そうか……残念だ」
小鳥「それでは、新社長襲名式だピヨヨ」
黒井「……新社長は、小生」
えーーーー!!
黒井「えーーーー!じゃない!話の続きを聞け!新社長は、プロデューサーだっ!」
黒井「さあ、プロデューサー」スッ
P「どうも」ペコペコ
ワー パチパチパチ
P「長い話はピヨのバカが寝るから省略するな」
小鳥「ビヨッ!?」ビクッ
黒井「プーークックック」
小鳥「笑うなピヨ!」メコッ
黒井「ぐふっ……」
高木「やれやれ……」
P「これからは765×961の面々でやって行くからアイドルの皆はより一層気合いを入れてアイドル活動をしろよ」
おー!
いよ、プロデューサーさん社長ですよ!社長!
P「で、新事務所名だが、僭越ながら俺が決めさせてもらった」
ザワザワ
P「そのプロダクション名は……」
高木「ソレスタルプロ??」
小鳥「眠いピヨ」ウトウト
P「何処までも、天まで伸びるまで高みを目指すと言う意味を込めて名付けさせて貰った。皆もこのプロダクションの名前に負けないように励む事」
「「はい!!」」
P「では解散……と、言いたいがもう一つだけみんなに報告がある」
小鳥「早く終われピヨ」ウトウト
高木「報告?知ってるか?」
黒井「私は知らんぞ」
P「えっとなだな……」
美希「う、うん」スタスタ
響「美希?」
貴音「どうしたのですか?」
P「えっと、これは私事なんだが、俺達結婚する事になった。なっ?美希」
美希「う、うん。ミキ、ハニーのお嫁さんになるの」カァァ
でぇぇぇぇぇぇぇぇ!!
黒井「う、嘘だ!小生がいながら美希と結婚だとぉぉぉ!」
小鳥「ビヨォォォォォ!!これは夢だピヨ!悪い夢だピヨーーー!!」
高木「……」
響「ほ、本当なのか!?」
美希「うん、黙っててゴメンね」
響「お、驚いたぞ。でも、おめでとうさー」
貴音「美希、おめでとうございます」
翔太「おめでとう」
北斗「チャオ♂」
美希「みんな、ありがとうなの。ミキ、凄く幸せなの」グスッ
P「美希」ギュ
美希「ハニー」
響「あっ!でもそうしたらプロジェクトフェアリーはどうするんだ?」
P「そこは心配無用だ。プロジェクトフェアリーの新メンバーは……」
冬馬「俺だ!」スタッ
P「テメーじゃねーよ!」ゲシッ
冬馬「酷い!」バタッ
小鳥「音無小鳥、今からアイドル始めます♪」
黒井「……」
高木「……」
響「……」
貴音「面妖な……」
一同「「……」」
小鳥「ちょ、ちょっと!私がアイドルやっちゃいけないの!」
P「まあまあ、これはあくまでも応急処置みたいなもんだから。この先、新しいアイドルが入ったら配置換えもあるからそれまで我慢してくれ」
響「わ、分かったぞ。それまでよろしくなピヨ子」
貴音「よろしくお願いします小鳥嬢」
黒井「ババァアイドルか。ふむ」
小鳥「お前は許さんピヨ」
P「へいへい。じゃあ、お披露目式はこれにて終わりだ。各自解散」
春香「ちょっと待った!プロデューサーもとい社長さん!」
P「どうした?」
春香「まだやり残した事がありますよ」
P「なにを?」
春香「美希とのキスですよ!キス!」
P「お前っ……あのなぁ」
美希「は、春香ぁ!」
春香「みんなも見たいよねー!プロデューサーさんと美希のキス見たい人ー!」
はーーい!!
黒井「わ、私は見んぞ」
小鳥「私もピヨ!」
黒井「……」
小鳥「ピヨ」
美希「う、うん……いいよ」カァァ
P「じゃあ、するからな。お前ら目ぇかっぽじって見とけよ!」
美希「ハニー……」
P「美希」スッ
美希「……んっ」チュ
ワァァァァァァァァ!!
P「愛してるよ美希」
美希「ミキも。一生幸せにしてね!」
P「もちろんだ!」
高木「若いっていいね」
黒井「……悔しいがそうだな!だが、私も諦めんぞ!何故ならば……」
黒井「このプロデューサーすごいよぉ!さすが私達の社長!」
黒井「であーーーーーる!!」
~fin~
やっぱり疲れるネ
思い付きは良くないアルよ
最後まで見てくれた人ありがとうネ
もう疲れてヘトヘトだから寝るヨだからお前らも早く寝ろアル
またネ!お休み
Entry ⇒ 2012.01.12 | Category ⇒ アイマスSS | Comments (0) | Trackbacks (0)
はかせ「さかもとをイヌにしてみました」なの「はい?」
なの「なに言ってるんですか?はかせ」
はかせ「とりあえず見てください」
阪本「お、おう、どうだ小娘」
なの「いぬーーーーー!」
はかせ「ネコ用イヌ型スーツ、さかもと1号です」
なの「す、スーツなんですか」
はかせ「これでお外でイヌに出会っても、怖くないのです」
阪本「たまにはガキの遊びにも付き合ってやらないとな」
はかせ「この前、イヌの前で固まったくせに」
阪本「うるせー!」
はかせ「あぶない!」
なの「は、はい!?」
はかせ「20センチに近づくと、自動で噛みます」
阪本「おい!俺も聞いてねーぞ!」
がががががががっ
なの「ぎゃーーーーー!」
はかせ「鉄の棒でも噛みきれます」
なの「そうですよ!やり過ぎです!」
はかせ「え、えへへ」
なの「褒めてなーい!」
阪本「おいガキ、まだ散歩行かないだろ、脱ぐぞ」
はかせ「えー?かっこいいのに」
阪本「鉄食いちぎる自分とか、見たくねーんだよ!」
阪本「まずお前に噛みついてやろうか」
なの「まあまあ、落ち着いてください」
なの「どうすれば脱げるんですか?」
なの「これですね」
ぽちっ
なの「あれ?」
阪本「おい、脱げないぞ」
阪本「おいおい、まさか」
はかせ「なんか壊れちゃった」
阪本「なにーーーーー!」
はかせ「かっこいいから、いいじゃん」
阪本「そういう問題じゃねえ!」
なの「他に脱がせる方法ないんですか?」
なの「どのくらい丈夫なんです?」
はかせ「んと、トラックに当たっても平気なくらい?」
阪本「中の俺が当たった衝撃で死ぬわ!」
なの「アバウトすぎです!」
はかせ「散歩にいけばいいかも」
阪本「その提案は、悪い予感しかしねーぞ」
はかせ「お散歩楽しいねー、阪本♪」
阪本「楽しいのはお前だけだろ、不安しか感じねー」
はかせ「このリードは噛みきれないようになってます」
阪本「そんなこと心配してねーよ!」
阪本「どーした?ガキ」
はかせ「あそこ、イヌが来た」
阪本「でけえ!」
阪本「そのためのイヌ型スーツだろ」
はかせ「はっ!そうだった」
はかせ「さかもと、頑張って!」
阪本「頑張れはいいけど、なにをどう頑張るんだよ」
阪本「えっと、わわん?」
バウバウバウバウバウッ
阪本「うわっ!びっくりした!」
はかせ「通常の3倍で鳴きます」
はかせ「鳴き声の意味が、バーカバーカだったからです」
阪本「挑発してどーすんだ!」
はかせ「だって阪本が、イヌになめられるなってゆーから」
はかせ「噛みつけばいいかも」
阪本「噛みつく?この鉄棒噛みきるクチで?」
はかせ「いけー、さかもと!」
阪本「いやいやいや、すげースプラッターになるだろ!」
阪本「他になんかねーのか!?」
はかせ「はっ!最後の手段を忘れてた」
阪本「あるなら早くしろー!」
阪本「わうわうわん!」
しゅごぉぉぉぉぉ
阪本「なんか飛んでったぞ!」
はかせ「骨型ミサイルです」
はかせ「ど、どどど、どうしよう」
阪本「ふざけんな!どーすんだよ!」
はかせ「うわーん!イヌに食べられちゃうー!」
はかせ「さかもとぉ!」
阪本「ちきしょう、短いネコ人生だったぜ」
阪本「必殺!ネコあたーっく!」
※BGM「ヘッドライト・テールライト」中島みゆき
がっきーん
イヌ「キャインキャイン」
阪本「へ?」
はかせ「さかもと、すごい、すごーい!」
阪本「・・・このスーツ、武器いらねーじゃん」
阪本「今度はどーした?」
はかせ「なんか、他のイヌが集まってきた」
阪本「なんでこんなに!?」
阪本「俺のせいかよ!」
はかせ「イヌがいっぱい、いっぱいぃ」
阪本「しかし待て、今の俺は無敵だ」
阪本「ふっ」
阪本「これだけのイヌを前に、負ける気がしねぇ」
ぴーぴーぴー
阪本「ん?なんだこの音」
阪本「へ?」
ぷしゅうぅぅぅ かしゃん
はかせ「わーい、動いてたら直った」
阪本「い、いいい、いま直ってどーすんだよ!」
はかせ「・・・あ」 DEAD END?
阪本「待て待て、現実逃避しても何も始まらん」
阪本「むしろ終わっちゃう!なんとかして!」
はかせ「目を閉じればいいかも」
阪本「だからそれが現実逃避だって!!!」
阪本「物騒のなことゆーな!」
はかせ「だって、さかもと頼りになんないし」
阪本「お前の作ったスーツがグッドタイミングで脱げるからだ!」
ゆっこ「あれれー?はかせ、なにやってんの?」
ゆっこ「あれれー?どっかで見た光景だよね」
みお「な、なんか非常にデジャヴュなんだけど」
阪本「俺も助かった気が全然しないのは、なんでだ」
みお「そ、そうだよ、やだなあ、ゆっこは」
ゆっこ「そう思うんなら先いってくれる?」
みお「な、ななな、なに言ってんの?」
ゆっこ「こういう時はレディーファーストじゃん」
かっちーん
ゆっこ「もしかしていま、バカって言いました?バカって」
阪本「・・・なあ、あいつら助ける気あんのかな」
はかせ「ゆっこ!なんとかしてー!!!」
みお「重要じゃねーよ!ゆっこがいきゃそれでいーんだよ!」
阪本「いやいや重要とか言ってる場合じゃないって!」
阪本「こっちは待ってたら死んじゃうだろ!」
はかせ「あー、麻衣助けて!はかせ、イヌに食べられちゃう!」
麻衣「・・・こっち」
阪本「お、おい、あいつらはいいのか?」
みお「あんたがバカだからいけないんでしょーがっ!」
ゆっこ「ほら、バカバカ言ってるうちに、はかせ達が・・・」
みお「あれ?」
ゆっこ「えっと、なんでわたし達が囲まれてるの?」
みお『ぐぎいいいいいいいいいい』
はかせ「あ、ゆっこ達の悲鳴だ」
麻衣「・・・あの2人ならきっと大丈夫」
はかせ「うん!そうだね♪」
阪本「・・・あの悲鳴が大丈夫に聞こえるなら」
阪本「耳鼻科いった方がいいぞ」 END
Entry ⇒ 2012.01.12 | Category ⇒ 版権物SS | Comments (0) | Trackbacks (0)
向日葵「バイバイ」
~とある休日、櫻子の部屋~
トントン
向日葵「櫻子、入りますわよ?」ガチャリ
櫻子「な、急になんだよー!勝手に部屋に入ってくんなー!」プンプン!
向日葵「はいはい……しっかし、久しぶりに櫻子の部屋に入りましたけど、あなた掃除くらいきちんとしなさいな」
櫻子「入ってくるなりいきなり小言とか……鬼姑か」ブツブツ
向日葵(高校に入っても、変わりませんのね……櫻子は)フフッ
櫻子「それより、なんの用?」
向日葵「え、あ、ああ、櫻子、今日暇ですわよねっ?」アセッ
櫻子「こう見えて私忙しいんですけどー……テレビ観たり、いもチップス食べたり」
向日葵「暇ですわね?じゃあ、一緒に映画でも行きません……?///」
櫻子「……」
櫻子「……行く」ウナズキ
向日葵「そう、よかった……どうしても観たい映画があったんですけど、一人じゃ映画館に行きづらくって」
櫻子「ちなみに映画館って、街の?」
向日葵「そ、そうですわよ?」
櫻子「じゃあ、今から走れば電車間に合うなっ!」ダッ
向日葵「えっ?あ、待ちなさいなっ!!」アセッ
櫻子「膳は急げだぁーっ!」ダダダッ
向日葵「それを言うなら『善は急げ』ですわーっ!」
……………
向日葵「ハァッ……ハァッ……待って……櫻子……」ハァハァ
櫻子「ほらほらっ!早くしないと次30分待ちだよ!もう、仕方ないなー……ほら」
ギュ
櫻子「駅まで……引っ張っていってやるから……///」
向日葵「え……///」
櫻子「走るよっ!」ダッ
向日葵「ああっ!ちょっと櫻子っ!待っ……」
プシュー……ガタン……ガタンガタン
櫻子「ふぃー……なんとか間に合ったなぁ……」ハァハァ
向日葵「もう……バカ……さくら……こ……っ」ゼエゼエ
向日葵「あなた……人の話も聞かないで……」ハァハァ
櫻子「だって、長い間電車待つの嫌いなんだもん!」
向日葵「じゃあ……私が観たい映画が何時に始まるか……知ってますの……?」ゼエゼエ
櫻子「え?映画って好きな時間に観られるもんじゃないの?」キョトン
向日葵「このバカ娘っ!映画は始まる時間が決まってますのよ!私の観たい映画は開始まであと3時間もありますわよっ!」
櫻子「ええー!じゃあ全然急ぐ必要ないじゃん!」
向日葵「そういう他人の言うことを全然聞かないとこ、中学の時から変わってませんのね……」ハァ
櫻子「……」
櫻子「……うるさいっ!このデカっぱい!超乳!」ムキー!
……………
向日葵「時間もありますし、早めに昼食でもとります?」
櫻子「高級フレンチ!もち向日葵のおごりなっ!」
向日葵「ファミレスでかまいませんわね……」
櫻子「スルーすんなし!」
~ファミレス~
向日葵「……」モグモグ
櫻子「……」モッキュモッキュ
向日葵「……」ソワソワ
櫻子「……」キュップイ
向日葵「……ふぅ」ドキドキ
向日葵「……ね、ねえ、櫻子?」
櫻子「ん?どした」
向日葵「あなた……今、学校ではどうなんですの?」
櫻子「どうって、元気にやってるよ?向日葵こそ友達少ないから大変なんじゃー?」ニヤニヤ
向日葵「くたばりやがれですわ……私だって友達ぐらいたくさんできましたのよ?」
櫻子「へ、へぇー、よかったじゃん……」アセッ
向日葵「それで……その……」モジモジ
向日葵「赤座さんから聞いたんですけど……」ソワソワ
櫻子「なんだよー急にモジモジして、キモいぞ?」
向日葵「その……彼氏……出来たんですって?」
櫻子「!!」
櫻子「……」
櫻子「ドリンク取ってくる!」フイッ
向日葵「あっ……」
向日葵(はぁ……なんで私がこんなに気を張らないといけないんですの……)
向日葵(あの時……心に決めたじゃありませんの……!)
向日葵(『櫻子の幸せを祈ろう』って)
向日葵(『友達のままでいよう』って)
向日葵「……」ボー
櫻子「おまたせおまたせ~って向日葵?……向日葵ってば!」ユサユサ
向日葵「!?」ビクッ
櫻子「どうした!?ボーっとしちゃって」
向日葵「ご、ごめんなさい……ちょっと考え事してましたわ」アセアセ
櫻子「……」
櫻子「それより、私の彼氏について聞きたいんだろ~?存分に聞かせてやるよ!」ニヤニヤ
向日葵「……」
向日葵(まさかこの娘に……彼氏が出来るだなんて考えてもいませんでしたわ)
向日葵(卒業式の日に……あんな笑顔で……私に気持ちをぶつけてきた櫻子に……)
~数ヶ月前、七森中卒業式~
あかり「ふぇええん……向日葵ちゃん、櫻子ちゃん、卒業しても2人ともずっと友達だからね~っ!」シクシク
向日葵「もう、当たり前ですわよ」フフッ
櫻子「あかりちゃ~ん……私、あかりちゃんがいないとダメだよ~!結婚して~っ」シクシク
あかり「え、ええっ!?///」
向日葵「こら櫻子、卒業の日まで赤座さんを困らせるんじゃないわよ」
向日葵「ところで……吉川さんはどちらへ?」
あかり「ちなつちゃんなら結衣ちゃんにお話があるからって部室にいったよ~?」
櫻子「……!!」ドキドキ
向日葵「そうなんですの……一緒に写真を撮っていただきたかったんですが」
櫻子「ひ、ひまわいっ!!」
向日葵「ど、どうしたの……?」
櫻子「痛っつー舌かみまみた……」
櫻子「……あの、ちょっと来て」クイクイ
向日葵「え、ちょ、ちょっと……ごめんなさい赤座さん、またお会いしましょうね」トテトテ
あかり「うん!向日葵ちゃん、櫻子ちゃん、またね!」バイバイ
あかり「……がんばってね、櫻子ちゃん」
~校舎裏~
櫻子「げえっ、結構人いるな……みんな考えは同じか」シミジミ
向日葵「ちょっと、こんな所まで引っ張ってきて、何なんですの!?」
櫻子「いや……ちょっとね、私、向日葵にどうしても言わなきゃいけないことがあって」
櫻子「私たちさ、高校でとうとうバラバラになっちゃうよね……」
向日葵「まぁ、学力の差もありますし、しょうがないですわ……けど、家もお隣りですし――」
櫻子「私さ!」
櫻子「今までずっと、ずーっと……」
櫻子「向日葵のこと……好き……だったんだ」ニコッ
向日葵「んなっ……ええっ!?///」
櫻子「……///」プイッ
櫻子「こ、答えはっ!……答えは急がないし……気持ち聞いてほしかっただけだし……///」
櫻子「それだけっ……!」ダッ
向日葵「待ちなさい!櫻子っ!」
櫻子「」ビクッ
向日葵「櫻子があんなに真剣に、一生懸命気持ちをぶつけてくれたんですもの……答えてあげないと、私だけ逃げたみたいで嫌ですもの」フフッ
向日葵「私はね……」
向日葵『私は……』
向日葵『あなたとはお付き合いすることはできませんわ』
~ファミレス~
向日葵(あの時……私は櫻子の気持ちを聞く、ずっと前からその答えを決めてましたのよね……)
向日葵(私も彼女と同じ気持ち……櫻子のことが好きでしたわ……)
向日葵(だけど……だからこそ、私の存在で櫻子のことを縛りつけたくなかったんですわ)
向日葵(櫻子の幸せは……私の幸せですもの)
向日葵(だから……)
櫻子「……で、彼が……んで……って、向日葵、聞いてる?」
向日葵「え……あ、ご、ごめんなさい、またボーっとしてて……」
櫻子「なんだよー!お前が聞きたいからって話してたのにー!」ブーブー
向日葵「ほんとごめんなさい……」
櫻子「……」
櫻子「向日葵さ……」
櫻子「今日なんで私を誘ってくれたの?」
向日葵「え?そ、それは……一人じゃ映画を観に行きづらいからって」
櫻子「うそつけ!何か別の理由があんだろ!」
向日葵「そんな……ありませんわよ!」
櫻子「うそだっ!お前、この映画そんなに興味ないだろ?」
向日葵「えっ、なんでそんな」アセッ
櫻子「だって向日葵はこんなコテコテなアクション映画、普段全く観ないだろが!」
向日葵「えっ、この作品アクション物でしたの……?」
櫻子「そっから!?」
櫻子「……とにかく、別に映画観たいわけじゃあないんだな?」
向日葵「……そうですわ」アセッ
櫻子「じゃあなんで私を誘ったの?」
向日葵「それは……中学校卒業してから、ずっと櫻子と顔すら合わせていませんでしたし……その、学校での話とか、櫻子のか、彼氏の話とか聞きたかったし……///」
櫻子「そんなの私の部屋ですればいーじゃん」
向日葵「それは……それはなんだか、落ち着かない気がして……」
櫻子「私が向日葵にフラれたからか」
向日葵「!」
向日葵「べ、別にそんな……」アセアセ
櫻子「私に『友達でいましょう』って言ったのはお前だろっ!」
向日葵「……っ!!」ズキッ
櫻子「だから……だから私だって今日頑張ってここまで来てやったってのに……」
櫻子「そんな気の遣われ方するとは思わなかったっ!!」ダッ
向日葵「櫻子っ……」
櫻子「もう帰るっ!!じゃあね!!バイバイ!!」
向日葵「ちょ、待ちなさいっ!」ダッ
~駅のホーム~
櫻子「……っ!」ハァハァ
向日葵「さくら……っこ……待ちなさいよっ!!」ハァハァ
櫻子「もうっ!離して!」
櫻子「……」
向日葵「はぁっ……はぁっ……」
櫻子「私はさ……」
櫻子「向日葵にとって、なんなの?」
櫻子「幼なじみ?親友?それともなんでもないの?」
向日葵「あなたはっ……!」ハァハァ
櫻子「学校変わったら急に態度変えやがってさ……そんな気ぃ遣う関係なの?」ジワッ
櫻子「これじゃあ……コクってフラれた私が馬鹿みたいじゃん……!」ポロポロ
ガタンガタン……ガタンガタン……
プシュー……
櫻子「じゃあ……私、あっちから乗るから……お前は別のところから乗れよ」
向日葵「そんな……!」
櫻子「私、もう向日葵とは会わない……」
櫻子「もう……友情関係も解消してやるよっ!!」ブワッ
櫻子「せいぜい……学校で元気でな……」
プルルルルルルル……
櫻子「……っ!!」ダッ
向日葵「……」
ガタンガタン……ガタンガタン……
向日葵「……っ!」ジワッ
向日葵「なんで……こんなことに……!」ポロポロ
向日葵「私はただ……櫻子とまた仲良く……!」ポロポロ
向日葵「うぅ……うわぁああああああああん!!」ブワッ
……………
ガタンガタン……ガタンガタン……
向日葵(私が……私がいけなかったんですわ)
向日葵(私が中途半端なことをしてしまったから……)
向日葵(もう……忘れましょうか……)
向日葵(櫻子のことも……全部……)
ズキンッ
それで……
それでいいの……?
向日葵(……!!)
向日葵(いいわけ……ないでしょう……っ!)
ズキンッ
どうしたら……
じゃあ、どうしたらいいの……?
向日葵(どうしたらって……)
向日葵(私は……)
素直に、ならなきゃね?
向日葵「……」コクン
~古谷・大室宅前~
向日葵「さっ、櫻子っ!!」ハァッハァッ…
櫻子「……なんだよ」
向日葵「間に合い……ましたわね……!」ハァハァ
櫻子「……ふんっ」スタスタ
向日葵「待って!!」
櫻子「……」
向日葵「……ごめんなさいっ!!」ペコッ
向日葵「私が……私が全部悪いんですわっ!私が素直じゃなかったから……!」
櫻子「もう……いいよ」
向日葵「よくないですわっ!」
向日葵「私……あなたに彼氏が出来たって聞いて、いてもたってもいられなくなって……」
櫻子「だから……もう向日葵に関係ねーじゃん」
向日葵「関係あるのっ!」
向日葵「私が卒業式の時、あなたからの精一杯の告白を受けて……素直に答えていれば……!」
櫻子「……」
向日葵「今更何を言っても遅いのかもしれない……だけどっ!私は――」
櫻子「もういいってば!!」
向日葵「!!」ビクッ
櫻子「聞きたくない……そんな都合のいい言葉……だから……」
「私のことはもう忘れてよ……向日葵」ニコッ
向日葵「……えっ」ポロポロ
櫻子「もう別々の道を歩き始めちゃったんだよ、二人とも」
櫻子「今更、昔みたいに戻りたいだなんて……ずるいでしょ?」ウルウル
櫻子「だから……」
櫻子「バイバイっ!!」
向日葵「ううっ……」ポロポロ
向日葵(もうダメですわ……あんな……あんな櫻子を観てしまっては……)
向日葵(私には諦める以外に……)
~古谷宅~
ガチャ
向日葵「……」シクシク
向日葵(やっぱり頑張って忘れよう……あの娘のために……)
『もうっ!向日葵、おせーぞ!!』
向日葵「……櫻子っ!?」バッ
向日葵「……いるわけ……ないですわよね……」
『今日は黒毛和牛のステーキが食いたい!』
向日葵「!!」バッ
向日葵「……もう……わたしは……っ!」ジワッ
『先、部屋上がってるねー!』トテトテ
『なんだとーっ!このでかっぱい!』プンプン
『遊び行くぞーっ!』ニパッ
『向日葵……今日泊めて……』シュン
『宿題写させろーっ!』ウガー
『これ、余ったやつだからっ!……おいしくなかったらごめん……///』テレテレ
『向日葵っ!』『向日葵ー』『ひまわりぃ~』『ひまちゃん!』『向日葵』『ひまわり』
『ずっと向日葵のこと……好き……だったんだ』ニコッ
向日葵「……っ!!」ブワッ
向日葵「もうっ……忘れられるわけ……ないじゃない……っ!!」ポロポロ
……………
~数日後・古谷宅~
ピンポ-ン
あかり「ごめんくださ~い……」
『はーい!今出ますのー!』トテテテ
ガチャリ
楓「はい……あ、ええと……あかり……おねえちゃん?」
あかり「あっ、楓ちゃん!覚えててくれたんだね~!うれしいよぉ」ニコニコ
楓「お姉ちゃんは……今ちょっと体調を崩してて……」アセアセ
あかり「うん……知ってるよ、今日は向日葵ちゃんのお見舞いに来たんだけど……」
楓「部屋からずっと出てきてくれないから……あかりお姉ちゃんでも会えないかもしれないの……」ジワッ
あかり「楓ちゃん、大丈夫だよ……向日葵ちゃんなら、きっと……」ナデナデ
楓「ふぇ……ふぇええええん……」ギュ
あかり「よしよし……よく頑張ったね」ナデナデ
あかり「じゃあ、上がるね」
楓「うん……けど、もしお姉ちゃんがあかりお姉ちゃんに酷いことを言ったりしたら……ごめんなさいなの」
楓「お姉ちゃんは、今凄く辛そうなの……傷つけて傷つけられて……けど、お姉ちゃんを責めないであげてほしいの」
あかり「大丈夫……私は向日葵ちゃんのこと、大好きだから!」ニコッ
トントン
あかり「……向日葵ちゃん、起きてるかな?あかりだよぉ」
あかり「杉浦先輩から向日葵ちゃんがずっと学校に来てないって聞いて、心配になって――」
向日葵『帰ってくださいな……』
あかり「……心配になって、私に何か出来ないかなって思って」
向日葵『もう……私なんて放っておいてください……』
あかり「何かあかりにしてほしいことはないかなぁ?たとえば、お話聞いてほしいとか――」
向日葵『もうっ!帰ってって言ってるじゃないっ!!』バンッ
あかり「……」
向日葵『このままじゃ……赤座さんを傷つけてしまうだけですから……だから私のことは忘れて――』
あかり「あかりは……帰らないよ」
あかり「向日葵ちゃんのことだって、忘れてなんかあげないっ!」
あかり「向日葵ちゃん、あかり卒業式の時に言ったよね……『卒業してもずっと友達』だって……」
あかり「学校が違っても、卒業からずっと会ってなくても、友達は友達だよ……?」
あかり「心配しないわけがないし……辛そうな友達を見捨てて逃げたりしないよ」
あかり「あかりは……向日葵ちゃんを見捨てないよ」
あかり「あかり……こう見えて、意外と頑固なんだよぉー!」ニコニコ
向日葵『……』
向日葵『あり……がとう……』ポロポロ
あかり「そ、そんな!あかり、まだ何もしてあげてないよー?」
あかり「だから、ありがとうはまだとっておいてね!」ニコッ
あかり「今のあかりに出来ることは……話を聞いてあげることくらいだけど」
あかり「話してくれるかな……向日葵ちゃん」
……………
向日葵『……ということですわ』
あかり「……」
あかり「ねぇ、向日葵ちゃん」
向日葵『……なんですの?』
あかり「卒業式の日に、なんで櫻子ちゃんの告白を断ったの……?」
向日葵『ですから……櫻子の幸せを考えて、その時の私は――』
あかり「違うよ、向日葵ちゃん……あかりが聞きたいのは、本当の理由だよ」
向日葵『え……?』
あかり「だっておかしいよ、櫻子ちゃんも向日葵ちゃんも両想いだったんでしょ?……だったら、櫻子ちゃんの幸せは向日葵ちゃんとずっと一緒にいることだったと思うんだけど……」
あかり「それを向日葵ちゃんが思い違いするとは、あかり、どうしても思えないよぉ」
向日葵『……』
あかり「向日葵ちゃんが櫻子ちゃんのことをちゃんと考えているなら、素直に告白を受けることができたと思うよ?」
あかり「けど、あの時……素直になれなかったのは……」
向日葵『……ねぇ、赤座さん』
あかり「どうしたの?」
向日葵『こんな話をドア越しにするのもなんですし、部屋に入ってきても……よろしいですわよ』
あかり「うん……わかった……!」
向日葵『ふふっ、そんな身構えなくても私には何もできませんわ……私の汚い格好をお見せするのは気が引けますけど』
あかり「あかりも、ちゃんと向日葵ちゃんの顔を見て話したいから……」
ガチャリ
あかり「おじゃましまーす……」
あかり「それで……素直になれなかった理由は……」
向日葵「それは……ただ……」
向日葵「私が自分勝手過ぎただけですわ……」
向日葵「私は……櫻子と両想いになって、お付き合いすることになったとして、その先のことがとても怖かったんですわ……」
向日葵「学校が違う……たったそれだけで、私は櫻子と今まで以上の関係を維持できるか、不安になっていたんですわ……」
向日葵「きっと……二人で話すことも、喧嘩することも、笑い合うことも、出来なくなってしまうんじゃないかと……」ジワッ
向日葵「だから、あの時の私は、そんな想いをするなら、いっそのこと……友達のまま、それまでの二人のままでいる方がいいんじゃないかと……」ポロポロ
向日葵「櫻子が傷つくことは……わかっていたのに……私は……私は……っ!」ポロポロ
あかり「本当の理由……教えてくれてありがとうね」ナデナデ
向日葵「……」シクシク
あかり「じゃあ、ここであかりも一つ、秘密にしてたことを向日葵ちゃんに教えてあげよっかなぁー」ニコッ
向日葵「な…なんですの……?」
あかり「実はね、卒業式の日に櫻子ちゃんが向日葵ちゃんに告白すること、あかり知ってたんだぁ」
向日葵「え……?それって……どういう……」
あかり「あかり、卒業式のちょっと前に、櫻子ちゃんから相談受けてたんだよー」
あかり「向日葵ちゃんと離れ離れになる前に、素直な気持ちを伝えたいって」
向日葵「そう……だったんですのね」
あかり「それで、実は櫻子ちゃんも、今の向日葵ちゃんみたいに凄く悩んでたんだよ」
あかり「今までの関係を崩すくらいなら……向日葵ちゃんへの好きって気持ち、忘れちゃった方がいいのかなって」
向日葵「え……あの櫻子が……そんな……」
あかり「向日葵ちゃんはいつも一緒にいて気付かなかったかもだけど、櫻子ちゃん卒業式前まですごくやつれてて、辛そうだったんだよぉ……」
あかり「だから、あかりは『今は自分をごまかせても、この先ずっと辛い気持ちを背負うことになるよ』って櫻子ちゃんに言ったの」
あかり「櫻子ちゃんと向日葵ちゃんの絆なら、そう簡単に崩れるはずないよ!って……」
あかり「えへへ……ちょっと無責任すぎだよね……あかり」
向日葵「いえ……全然、そんなことありませんわよ」
あかり「けどまさか、向日葵ちゃんも同じ悩み事をしてて、自分の中ですでに答えを出してたなんて、あかり予想外だったよぉ……」
向日葵「私だって……自分のことばかりで、櫻子の考えなんて少しも考えていませんでしたわ……」
向日葵「けど……櫻子は独りよがりにならずに、赤座さんに相談して、自分の気持ちに素直になれた……今回ばかりは私の完敗ですわね……」フフッ
あかり「そんな、向日葵ちゃんの判断が間違っていたなんてあかりは思わないよ!それに……」
向日葵「それに?」
あかり「それに、まだ遅くないと思うし……!」ニコッ
向日葵「遅くない?それってどういう……」
あかり「あーあ、あかり、内緒にしておきたかったんだけどなぁー……」ニヤニヤ
あかり「けど、向日葵ちゃんの素直な気持ちを聞いちゃったから、あかりも素直になっちゃうよー」ニコニコ
向日葵「……」
あかり「あのね、櫻子ちゃんに、彼氏なんて実はいなかったんだよ……?」
向日葵「えっ……?うそ、だってあなたから聞きましたのに……!」
あかり「あかり嘘つくの苦手なのに、その話を聞いた時の向日葵ちゃんは、きっと嘘を見抜けないほど動揺してたんだね」ニコニコ
向日葵「えっ?ええっ!?じゃ、じゃあ、あの娘もずっと嘘をつき続けて……」
向日葵「けど理由……理由がわかりませんわ!そんな意味のない嘘をつく理由が……」
あかり「まぁ……櫻子ちゃんなりの仕返しというか……」エヘヘ
向日葵「そんな、じゃあ、この間の喧嘩は……」
あかり「それは……、あかりが言えるのはここまでかなぁ」ニコニコ
あかり「櫻子ちゃん、今も部屋で待ってるよ」
あかり「行ってあげて」ニコッ
~櫻子の部屋~
トントン
向日葵「櫻子……入りますわね」ガチャリ
櫻子「……帰れよ」
向日葵「……」ツカツカ
櫻子「な、なんだよ……近づいてくんなっ!!」
向日葵「櫻子……」
ギュ
櫻子「!?」
櫻子「おいっ!離せよ!!はーなーれーろーよっ!!///」ジタバタ
向日葵「もう、帰りませんし……離しませんわ……!」ギュー!
櫻子「わかった!わかったから……離して……苦しいから……向日葵絞めすぎぃ……」ギブギブ
向日葵「ふぅ……」アセアセ
櫻子「ふぅ、じゃねーし!危うくその無駄乳で窒息しかけたじゃんか!」
向日葵「あら……ごめんなさい、気がつきませんでしたわ」ニコニコ
櫻子「絶対確信犯だ……」
櫻子「で、今更何しに来たんだよ……」ムスッ
向日葵「……この数ヶ月間のことを……全部、謝りにきたんですわ」
向日葵「本当に……今まで櫻子を傷つけつづけてしまって……ごめんなさいっ!!」ゲザァ
櫻子「あの向日葵が……土下座……」ゴクリ
櫻子「お、おいバカ!もういいから!もうそんな怒ってないから!……というか土下座なんてされたらこっちが悪いみたいじゃん!」アセアセ
向日葵「私には櫻子のことを忘れるだなんて……できませんの……!だから……!!」ウルウル
櫻子「わかった!わかったから!まず土下座やめろ!」アセアセ
向日葵「……」ポロポロ
櫻子「ああもう……なんでこんな流れになるかなぁ……」ポリポリ
櫻子「私が『忘れろ』って言ったことを……本心じゃなかったって言ったらそれは嘘になるけど……」
櫻子「けど、あの時は私もちょっと言い過ぎた……向日葵のことを何も考えずに、なんか八つ当たりみたいになっちゃってた……」
櫻子「ごめん……」
向日葵「さ、櫻子……っ!」ガバッ
櫻子「だーからっ!そんな抱き着いてくんな!まだお前のことを許したわけじゃないんだからなっ!!」
向日葵「え……?」
櫻子「向日葵がどんな気持ちで私を振ったのかはわかった、けど、私はまだ許してないんだからな……」
向日葵「……」
向日葵「あの時の答えを撤回する……だけじゃ甘すぎですわよね?」
櫻子「うんうん」
向日葵「じゃあ……私から」
「大好きですわ……櫻子」
「その……もしよろしければ……お付き合いしてください」ニコッ
向日葵「……///」カァー
櫻子「ひ……ひひ……ひま……」フルフル
向日葵「さくら……こ……?」
櫻子「ひまわりのぶぁかーっ!」ブワッ
櫻子「いつまで……いつまで待たせるつもりだったんだよぉー!」ビエーン
向日葵「……ふふっ」
櫻子「わらうなぁばかぁー!ひっぐ」シクシク
向日葵「遅くなってごめんなさいね……櫻子」ナデナデ
櫻子「あやまるなぁー!うわーん!頭も撫でるなぁー!!」ジタバタ
……………
櫻子「ひっぐ……ひっぐ……」シクシク
向日葵「答えは急ぎませんし、どんなものであろうと私は文句ありませんわ……」
櫻子「……」ゴシゴシ
櫻子「答え返さないと……ダメ?」
向日葵「え……ダメじゃ……ないけど……」シュン
櫻子「なーんてねっ!いいよ!私も向日葵がす……好きだから!///」
向日葵「しかし、付き合うって……一体何をすればいいんでしょうか?」
櫻子「さぁー……私もよくわかんない」キョトン
向日葵「え?櫻子には愛しの彼氏がいるんではなくて?」ニヤニヤ
櫻子「あ……ああ!忘れてた!」アセアセ
向日葵「私と付き合っちゃうと……浮気になるんじゃないの?」ニヤニヤ
櫻子「あああ……それはぁ……」アセアセ
向日葵「ふふっ、かわいいですわね櫻子」ニコッ
櫻子「な、なんだよ急に!笑うなよ!///」
向日葵「もう、全部知ってますのよ?赤座さんから全部教えていただきましたから」
櫻子「え、ええー……なんだよ、早く言えよー……」ガクリ
櫻子「まぁ……付き合うってことがどーいうことかはわかんないけどさ……」
櫻子「今からさ、この前見れなかった映画……観に行かない?」
向日葵「櫻子から……デートのお誘いだなんて……!!」ウルウル
櫻子「ででで、デートじゃねーし!///」
向日葵「いいえ、デートですわっ!」
櫻子「デートじゃねーって!///」
向日葵「エスコート、よろしくお願いしますわね!」ワクワク
櫻子「もう……じゃあ、早く支度しろよっ!///」
~古谷宅前~
あかり「向日葵ちゃん、上手くいったかなぁ……」
あかり「けど、あの2人なら心配ないかな!」
あかり「……」ジワッ
君の選んだ人は とても優しい人なんだろな
遠くに行っても そう どうか元気で
じゃあね
バイバイ
おしまう
いつもいつも、ほんと間が悪い時に投稿してすまんです
個人的にはフジファブリックの『bye-bye』という曲をききながら
歌詞もちょろっと
あかりが勝手にしゃしゃりでてきて、ハッピーにしました
あと、あかりは櫻子が好きな感じです
実はあかりもひまさくと同じ感じで、自ら身を引くと
わかりにくい
よく頑張ってくれた
あかり出番あって正解だー
ありがとうー
Entry ⇒ 2012.01.12 | Category ⇒ ゆるゆりSS | Comments (0) | Trackbacks (0)
遊星「スターダストが、100円……?」
http://hayabusa.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1326119310/
クロウ「1月7日に発売したGOLD SERIES 2012でお前のスターダスト・ドラゴンが再録されたからだよ」
遊星「何!?」
クロウ「おまけにスターダストのサポートカードであるスターライト・ロードも一緒に再録されたからな」
遊星「そんな馬鹿な!」
遊星「これはノーマルだから安いんだ、ゴールドレアならもっと高いはずなんだ…」
クロウ「遊星…」
クロウ「GS2012のノーレアは《カオス・ソルジャー -開闢使者-》と《強欲で謙虚な壺》なんだ…」
クロウ「スターダストはれっきとした、ノーマルなんだぜ…」
遊星「嘘だ!!」
クロウ「!?」
遊星「俺はそんな再録は信じない!!」
遊星「現実の遊戯王OCGでも、エクストラデッキの☆8シンクロ必須枠として必ずと言っていいほどの投入率を誇っていた!」
遊星「なのに…なのに…」ポロポロ
クロウ「遊星…」
遊星、クロウ「「ジャック!」」
ジャック「散々250円とコケにされてきた我が魂レッド・デーモンズ・ドラゴンよりも下になるとは…」
ジャック「スターダストも地に落ちたものだな!」
クロウ「ジャック!」
クロウ「だいたい100円も250円も大した差じゃねぇだろ!威張るようなことじゃねぇぞ!」
ジャック「フン、貴様のブラックフェザー・ドラゴンもワンコインで買えるくせに何を…」
ジャック「それにお前も口に気をつけたらどうだ?遊星を見ろ」
クロウ「何ィ?あっ…」
遊星「大差…無い…」ショボーン
遊星「……」ショボーン
ジャック「貴様、そんなにスターダストが俺のレッド・デーモンズと同レベルに言われたのが悲しいのか!」
遊星「コクリ」
ジャック「遊っぅぅ星ぇぇぇ!!!」ガタン!
クロウ「うおっ、落ち着けジャック!」ガシッ
ジャック「何だと!貴様のブラックフェザー・ドラゴンもお情けで1枚だけ脳開発研究所軸のサイキック族デッキのエクストラに入れられてるくせに!」
ジャック、クロウ「「んぎぎぎぎぎ…」」
アキ「ちょ、ちょっとどうしたの2人とも!」
龍可「こ、これは一体何の騒ぎ!?」
龍亞「何々喧嘩?何があったの?」
遊星「龍可、龍亞、実は……」
遊星「ああ…」
龍可「はぁ…そんなことでいちいち喧嘩して…」
ジャック「なんだと!?」
ジャック「お前のエンシェント・フェアリー・ドラゴンもワンコインなんだぞ!ここは怒るべきだ!」
龍可「なっ!?エンシェント・フェアリー・ドラゴンは【神風植物】のキーカードなんだから!」
龍可「今年の9月にEXP5で《Reborn Tengu》が来日したら環境を荒らしてやるんだから!」プンプン
ジャック「フン、DT本やフィギュアで再録されてなお1000円近くするブラック・ローズ・ドラゴンを持つお前にはわかるまい」
龍可「そういえば私たちの中で唯一規制された経験があるのはアキさんのブラック・ローズだけね」
アキ「えっ?えっ?」
アキ「いや…その…」
ジャック「その出しやすさからかなりのデッキに投入されている」
アキ「あ、あのっ…」
遊星「これじゃあまるで、ブラック・ローズの専用チューナーだな…ハハッ」
アキ「うぅ…ごめんなさい…」
龍亞(なんだかみんな怖いよ~…)
ジャック「なんだと!?貴様のパワー・ツールなど【ギガプラビート】の1kill要員くらいしか出番が無い、」
ジャック「お前の新たな切り札であるライフ・ストリームに至ってはその出しにくさから採用すらされていない!」
龍亞「…で、でもっ!」
ジャック「何!?」
龍可「スライが?」
龍亞「スライだけじゃない!」
昨日初めて遊戯王のパック買ってセイヴァー・スター・ドラゴン当てて喜んだけど50円とかで売られてて何とも言えない気持ちになった
アキ、クロウ「「子供たちが?」」
龍亞「新しく遊戯王を始めた子供達にとってエクストラデッキの必須カードが安くなることはとっても良いことだ!」
遊星「……龍亞」
龍亞「この世界のデュエリストみんなの希望になったんだ!」
遊星「俺のスターダストが…希望?」
龍亞「うん!」
アキ「遊星…?」
遊星「このノーマルのスターダストは、破滅のシンボルなんかじゃない!」
遊星「デュエリスト達の、未来を切り開く光指す道なんだ!」
遊星「ああ!」
ジャック「フン、現金な奴め…」
クロウ「まぁいいじゃねぇか、元気になったんだしよ!」
遊星「ライディングデュエル、アクセラレーション!」
おわり
遊星「だが俺はゴールドレアだぜ、ノーマルより当たりにくいぞ…」
Entry ⇒ 2012.01.12 | Category ⇒ 遊戯王SS | Comments (0) | Trackbacks (0)
マミ「安価で後輩と仲良くする」
http://hayabusa.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1326278757/l50
マミ「後輩なんて初めてだからどうやって仲良くなったらいいかわからないわ……」
マミ「とりあえず、>>5をしましょうか」
マミ「でも、誰に渡しましょうか?」
>>10
1、まどか
2、さやか
3、ほむら
4、杏子
5、QB
6、その他
マミ(後輩のことと関係あるのかしら……)
マミ「ま、いいわ」
マミ「えーっと、拝啓、キューべえ様」カキカキ
マミ「……前から好きでした……っと」
QB「何をやってるんだい?」
マミ「ふわぁ!?」
QB「驚かないでくれよ」
マミ「いつからいたのかしら?」
QB「ついさっきだよ」
マミ(どう言って渡そうかしら…… >>15 )
マミ(安価は絶対、しかたないわね)
マミ「ごめんっ」ボコッ
QB「!?」
QB「いったい何をするんだい?マミ」
マミ「これ!」
QB「手紙かい?」
マミ「そ、そうよ///」
QB「そんな、口で言えばいいじゃないか」
マミ「口で言えないことなのよ」
マミ(うぅ……なんか隣で見られるのは恥ずかしいわね……)
マミ「ば、ばんごはんの買い物いってくるから」
マミ「それでまによんどいてね?」
QB「わかったよ」
マミ「せっかくだから、これも安価でいいわね」
>>25
マミ「…………相手はもちろん……」
ぽわわーん
QB「今日という日を君といれてよかったよ、マミ」
マミ「えぇ、私もよ。 あなたに命を救われた時から」
マミ「ずっと、こうしたかった」
QB「僕もそのつもりで君と……」
マミ「これからもずっとにいる契約、しましょ?」
ぽわーん
マミ「なーんてね」
マミ「とにかく、予約いきましょ!」
マミ「相手?」
マミ「それが……まだ……」
マミ「ね、ねんれい?」
マミ「15です……」
マミ「え、でも、今年で16に……」
マミ「あ、そうですか……はい、わかりました」
マミ「……しょぼーぬ」
マミ「あきらめて次よ、次」
マミ「>>30 をしましょ」
マミ「ほんとは >>36 よ!」
マミ「でも、ここ道路の真ん中よね」
マミ「あ、あんなところにいい感じの公園があったわ」
マミ「1回!2回!3回!」
まどか「何やってるんですか?」
マミ「あ、鹿目さん」
まどか「……腹筋?」
マミ「そ、そうよ」
マミ(たしかによく考えれば変な状況ね)
マミ(言い訳を考えないと……)
マミ(もう!こんな時こそ!)
マミ(>>41ね)
安価ならハグ
まどか「ふぇ!?」
マミ「ちょっと、こっちきなさい」
まどか「え……あ…はい」オソルオソル
マミ「鹿目さんっ」ナデナデ
まどか「えぇ!?」
マミ「かわいいわね~鹿目さん」
まどか(ま、まみさんがおかしいよぉ)
マミ「あら、聞こえてるわよ」
まどか「あ!」
マミ「別にいいのよ、ほら」ナデナデ
まどか「うぅ~」
まどか「……それで、何してたんですか?」
マミ「……それはね」
まどか「QBに告白」
マミ「そうよ、あなた達と仲良くなるために」
まどか「は、はぁ!?」
マミ「神のお告げ……神の声が聞こえたのよ!」
まどか「……」
マミ(疑ってるわね……信じさせるには>>50をするべきね)
まどか「え!? あ、こ、ここ、こ、ここ、公園、でで、ですよ?」
マミ「神のお告げに従うのが私の使命」ヌギヌギ
マミ「魔法少女の運命」ダンス
まどか「……」
通行人A「通報したほうが……いいよな?」
通行人B「まずようつべにうpだろ」
通行人C「通報通報」
マミ「はぁはぁ……えらく、見られてるわね」ダンス
まどか「と、当然ですよ!」
まどか「とにかく、服着てください!」
マミ「いえ、あなたに信じてもらうまで」
まどか「わ、わ、わたしは信じましたから!」
まどか「は、はい。 だから、その……服を」
警察A「君、ちょっと交番までいいかな?」
警察B「あ、そっちの君も」
数時間後
マミ「ほんと、ごめんなさい。 もうしません」
まどか「ごめんなさい」ペコリ
マミ「」スタスタ
まどか「」ツイテク
マミ「裸になっただけですっごく怒られたわ」
まどか「当然ですよ!」
マミ「両親を呼ぶとか……呼べるわけないのに……」
まどか「今はそこに同情は出来かねますよ、マミさん」
マミ(鹿目さんと距離が離れてしまったのを感じるわ!)
マミ(ここは>>60をして名誉挽回ね!)
まどか「え?」(また問題起こす気なのかな?)
マミ「すぐ戻ってくるから!」ダッシュ!
まどか「……付き合いきれないよぉ」
ほむほーむ
マミ「暁美さん、ちょっと話せるかしら?」ハァハァ
ほむら「走ってまで、どうしたの?」
マミ「ソウルジェム、濁ってないか確認していいかしら?」
ほむら「確認するまではないわ、大丈夫よ」
マミ「ほら、QBから言われたでしょ、濁りきったら魔女になるって」
マミ「それで、あなたに魔女になられては困るから、お互いに確認したいのよ」
マミ(我ながら名案♪)
マミ「ありがと♪」ガシッ
ほむら「え?」
マミ「またね、暁美さん」ダッシュ
ほむら「待って、マミ……」バタリ
マミ(暁美さんには悪いけど、仕方ないわね)
マミ(あ、待っててくれたわ、鹿目さん)
マミ「待たせたわね」
まどか「今度は何ですか?」
マミ「これ、あなたにあげるわ」
マミ「そうよ、暁美さんのソウルジェムよ」
まどか「……こんなのいりません! ほむらちゃんにかえしてください」
マミ「で、でも」
まどか「かえして! それに……もう私たちとかかわらないでください」
まどか「マミさんのこと、憧れていた私が情けないです」
マミ「……」
マミ(言い返さないと、本当に一人ぼっちになってしまうわ。 ここは>>73を言って……)
まどか「さようなら、巴先輩」
マミ「……」
まどか「」ダッシュ
マミ「……いったわね」ヘンシン
マミ「魔法少女でもない鹿目さんが私に追いつけるわけないわ!」ダッシュ
ほむほーむ
マミ「まだついてないわね」
マミ「まだ、死んでいるわ」
マミ(……何をしましょうか。 ここは>>82をするわ)
マミ「……」銃を一個出す
マミ「……ぬ、ぬがすわね」
マミ「……あら、かわいい下着ね」
マミ「あ、鹿目さんが来る前にもっと、脱がさないと」
マミ「……んっ……はいったわ」
マミ「これを奥までつっこんで……」
バタンッ!
まどか「ほ、ほむらちゃんだいじょ……ぶ……?」
ほむら「!? ちょ、いたっ!」
マミ「……」
ほむら「きゃ、きゃぁぁぁぁぁああああああ!!!!」
まどか「きゃぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!」
マミ「(泣」
再び警察
マミ「……え、その……強姦ってわけじゃ」
マミ「え!? だから、両親は……」
マミ「親戚は遠くで、はい。 え、そっちに連絡は……」
マミ「……はい、ごめんなさい」
まどか「……変態さん、こっちに返ってきたんだって」
ほむら「え?! こ、こわいわ」
さやか「大丈夫だよ、ほむら。 私が守るから」
マミ「あ、あの……」
さやか&まどか「」ギロッ
マミ「……」
QB「取り返しのつかないことになったね」
マミ「きゅ、きゅーべえ」
QB「君の手紙、読ませてもらったよ。 返事が遅れてすまない」
QB「僕は君の命の恩人だけど、あくまで契約の対象としてしか君をみていない」
QB「君といてももう、望みはなさそうだ。ごめんね」
QB「ばいばい、マミ。 これからは一人で頑張るだよ」
マミ「神様……これを全て変える事のできる……行動を教えてください!」
マミ「私を……助けて……」
マミ(>>93をすればいいのね…)
まどさやほむQB「……ばいばい」
マミ「魔女の気配……!病院から!?」
マミ「倒すしかないわね」
マミ「たしかここには美樹さんの想い人の恭介って子もいたはずよ」
マミ「それを助ければ……私に対する美樹さんの株は上がるわ」
マミ「もう、倒すしかない!」
END
>>105
1、コンテニュー(場所指定)
2、しない
マミ「こたつに入ってたらうとうとして眠っててしまったわ」
マミ「たしか、ラブレターを書くのね……」
マミ「誰にしましょうか……>>110」
1、まどか
2、さやか
3、ほむら
4、杏子
マミ「最近再会したばっかりだけど、昔から遊んでたものね~」
マミ「……あなたのこと……ずっと……好きでした……」カキカキ
マミ「は、はずかしいわね……//」
マミ「さ、これを私に行こうかしら」
QB「そんなに浮かれてどうしたんだい?」
QB「そうかい。 そんなことより、近くに魔女の反応があるよ」
QB「杏子やほむらも向かってる」
マミ「そ、そう」
マミ(どうしようかしら……>>120)
マミ「」ヘンシンダッシュ
杏子「遅いじゃないか!マミ」
ほむら「さっさと倒しましょう」
マミ「そうね、喰らいなさい」ドカーン
マミ「あ、杏子!」
杏子「な、なんだ!?」
マミ「ちょっと、こっちにきて」
杏子「ん、ん?」
マミ「はい、これ」ワタス
杏子「ら、らぶれたー!?」
マミ「そうよ」ニコッ
マミ「ごめんなさい……」
杏子「あ、後で読むからな……///」
マミ「う、うん」パァァ
ほむら「な、なにやってるの!?はやく!」
マミ「あ、うん!」
マミ「いくわよ、ティロ・フィナーレ!」ドカーン
結界が解ける
ほむら「まったく、魔女との戦いは遊びじゃないのよ」
マミ「ごめんなさい」
マミ「ま、まって!」
杏子「ん?」
マミ「私がいないところで読んでほしいの」
マミ「だ、だから……その……」
マミ「暁美さん、>>133に行くから付き合ってちょうだい」
マミ「ほら、戦いで疲れたでしょう? それに、たまには裸の付き合いも大切よ」
ほむら「……ほむぅ」
マミ「じゃ、じゃぁ、いってくるわ。 読んだら返事お願いね?//」
杏子「あ、あぁ///」
~銭湯~
ほむら「……初めてだわ」
マミ「銭湯が!?」
ほむら「そ、それもそうだけど……友達とお風呂なんて……」
マミ「ふふっ うれしいわ。 ほら、はいりましょ?」
ほむら「ほむっ」
マミ(いじりががある、後輩よね)
マミ(もしかしたら、ここで暁美さんにいたずらしたら)
ぽわわーん
ほむら「や、やめてくださいよぉ///」
マミ「あら、意外と弱いのね?」
ほむら「ほ、ほむぅ……ま、まみさん」
マミ「なにかしら?」
ほむら「ずっと、友達ですよ?」
マミ「当然よ!」
ぽわーん
マミ(ってなるに違いないわ!)
マミ(だから、>>147をしましょ!)
マミ「いたずらになってない気もするけど……これは仲良くなるチャンスだわ!」
マミ「……」トゥルルルトゥルルル
マミ「あ、もしもし、鹿目さん?」
マミ「え、あ、ごめんなさい。 いえ、特に用事はないのよ」
マミ「ほ、ほんとうよ」
マミ「……じゃ、またね」プチッ
マミ「外食かぁ……仕方ないわ!」
マミ「気を取り直して、>>156しましょうか!」
マミ「暁美さーん」
ほむら「ほむぅ?」
マミ「一緒に洗いっこしましょ?」
ほむら「ほむっ!?」
マミ「恥ずかしがらなくていいのよ、ほら座って」
マミ「背中流してあげるわ」サスサス
ほむら「ほ、ほむぅ///」
マミ「ふふっ」
マミ(食べてしまいたいくらいかわいいわね)
マミ「今度はあなたの番よ」
ほむら「ほ、ほむぅ」
マミ「えぇ、ありがとう」
ほむら「胸、私より大きいわね」
マミ「ありがとう」
ほむら「どうしたらそこまで豊満になれるのかしら……?」
マミ「それはね?」クルッ
ほむら「え?」
マミ「もむのが一番なのよぉ!」モミモミ
ほむら「ほ、ほむぅ///」
マミ「ふふっ」
ほむら「じょ、じょうだんはやめなさい。マミ」
マミ「呼び捨てかしら?」
ほむら「ま、まみ先輩……?//」
マミ「よく言えたわね、暁美さん」
マミ「いいわよ。 ほむらちゃん」
ほむら「ほむぅ……///」
ほむら(安価……ね。 たしかにこのままでは後輩キャラになってしまうわ)
ほむら(一度だけよ。 マミさんに何かいたずらしてかわいがってあげましょう)
ほむら(>>175 をすればいいわね)
マミ「いたっ…… な、なにをするの!?」
ほむら「……え、その」ポコポコ
マミ「ちょ、やめなさいっ!」
ほむら「ほ、ほむぅ」
マミ「……ったく、羨ましいのねこの胸が」
ほむら「うぅー……///」
マミ「あなたも時期に大きくなるわ」
ほむら「そ、そうかしら……」
マミ「えぇ、そうよ」
杏子「……やべー」
杏子「読んでる間に気付いたけど……あたしもマミのこと……」
杏子「このままマミに読んだって伝えるのか……?」
杏子「そんなんできないよな……」
杏子「こういう時こそ、神のお導きだ!」
杏子「>>188をすればいいんだな!」
公園
杏子「にんにん!」ドロン
杏子「手裏剣!」シュタシュタッ
杏子「すいとんの術!」プカプカ
子供A「あそこに忍者がいるよー」
母親A「みちゃいけません!」
杏子「ふぅ……一通りはこなしたな」
杏子「……マミのことが頭から離れない……///」
杏子「次はどうしたらいいんだよ!神様!」
杏子「……わかった、>>196をすればいいんだな!」
杏子「>>200だ!」
落ち着け
あんこちゃん落ち着け
杏子「……返事を書けばいいんだな」
杏子「えーっと、紙とペンは……誰かに借りに行くか」
杏子「ほむらとマミは銭湯だしな」
杏子「ん~ 今回は>>210に借りるか」
1、まどか
2、さやか
杏子「まどか~いるか~?」
杏子「……いない」
杏子「……さやかのとこいくか……?」
まどか「きょ、杏子ちゃん!?」
絢子「お、杏子ちゃんじゃん」
杏子「あ、こんばんわ……」
まどか「ごめんね、外食してたの……待ってた?」
杏子「いや、大丈夫」
まどか「それで、何の用かな?」
杏子「手紙の返事を書きたくてさ。 ペンとか持ってなくて」
絢子「まさか、ラブレター?」
杏子「へ?……あ、あ、はい///」
杏子「ち、ちがうって!」
絢子「え?」
杏子「あいつはそんなんじゃ……ってか、男じゃないし!」
まどか「へ!? まさか、女の子にラブレターもらったの?」
絢子「……」
杏子「あ、あぁ。まぁな///」
まどか「だ、だれ?」
杏子「ひ、ひみつ///」
まどか「えぇ~」
絢子「まぁ、私そっちの方面よくわかんないから。 まぁいい、あがっていきな」
絢子「まどか、いい手紙をあげな」
まどか「うん!」
杏子「あ、ありがとう……ございます」
杏子「は……はい」
絢子「いいもんだね、そういう青春も」
杏子「あ、ありがとうございます」
絢子「ま、がんばりなよ? 同性愛ってのはいつまでたっても偏見もたれるから」
絢子「ご両親も心配するだろうし……」
杏子「両親は……」
絢子「ん?」
杏子「両親はいないんです……」
絢子「え?」
杏子「あたしも、マミも、幼いころに両親を亡くしてて……」
絢子「そっか……つらかっただろうに……」
絢子「今はどうしてんだい?」
絢子「そっか」
杏子「お互い唯一の理解者だから……」
絢子「うん、なんとなくわかったよ。 応援してるよ」
絢子「もし、うまくいったら、二人で食べにおいで。 いつでも歓迎するよ」
杏子「い、いいんですか?」
絢子「まどかも喜ぶだろうしな」
まどか「もってきたよ~」
絢子「もうそれはいらないよ」
まどか「へ?!」
杏子「え?」
絢子「こういうのは直に伝えるのが筋ってやつさ」
絢子「正直に気持ち、ぶつけな」
杏子「じゃぁいってきます!」
バタン!
絢子「いい友達をもったな、まどか」
まどか「うん」
杏子「……でも、いざ、直に告るってのもわからないな……」
杏子「神様、最後のお願いだ。 こんな人生だったんだ。せめて、いい夢を見させてくれよ」
杏子「どうしたら、いいんだよ?」
>>235
よくやった
杏子「……」グッ
銭湯出た後
マミ「今日は楽しかったわ、ほむら」
ほむら「そうね。 またこういうのしてみたいわ」
マミ「今度は鹿目さんや美樹さんも……それに……」
ほむら「気にすることないわ」
マミ「え?」
ほむら「杏子なら、きっといい返事をくれるわ」
マミ「……そ、そうよね!」
ほむら「明日になるかもだから、もう寝なさい?」
マミ「わ、わかったわ! またね!おやすみ」
ほむら「えぇ、おやすみなさい」
相思相愛だから問題ないけど
マミ「とは言っても……やっぱり不安ね」
マミ「安価しようかしら……」
マミ「いえ、ここで何か頼ってはだめよ!」
マミ「本当に彼女が好きなら、待つしか……」
マミ「さ、明日に備えて寝ましょ」部屋の明かりを消す
マミ「おやすみ」
杏子「マミのやつ、早く寝るから、もう寝たよな……」
杏子「おじゃましまーす」ガラガラ
杏子「ったく、いつも不用心だな、マミは」
マミ(や、やばい。 本当に来てしまったわ)
マミ(サンタを待つかのようにベランダのカギをあけて寝た振りしてたら……)
マミ(ど、どうするのかしら?)
杏子「ん、マミ、こたつで寝てるのか? 教会で寝てるあたしが言えたことじゃないけどさ」
杏子「……」一緒に入る
マミ(え、えぇ!? ま、まさかの!?)
マミ(寝たふり寝たふり寝たふり寝たふり寝たふり……)
杏子「……あたし、あんたに救われたんだ」
杏子「あたしより先にあんたが魔法少女になっててさ、あの時はいろいろあたしに教えてくれてたよな」
杏子「なのに……あたしは親父が死んだショックであんたを拒んでしまった」
杏子「本当にごめんな……」杏子の眼から涙が垂れる
マミ(あなたは悪くないのよ)
杏子「……好きだぜ、マミ」
杏子「あんたに何度も助けられたから、今度はあたしがあんたを助ける」
杏子「もう一人ぼっちで寂しくないように……あたしが守るから」
マミ「……ほんと?」泣きながら答える
杏子「ったく、起きてたのかよ……。あぁ、ほんとだ」
マミ「うん!」ギュゥ
杏子「好きだよ、マミ」
マミ「私も、大好き!杏子!」
そのあと、こたつの中は電源を抜いてるのにもかかわらず、アツアツになりましたとさ
おしまい
最初の悪夢からは予想できないような綺麗な終わり方ww
QB「おそらく、ないね」
さやか「……」
QB「僕だって告白されたのにもかかわらずあの位置だよ?」
さやか「あんたはいいでしょ!ちょっとははいったんだから!」
さやか「あたしなんて……あたしなんて……」
QB「ソウルジェムが濁るよ、そんなことしたら」
さやか「あんたが私の心配してくれるわけ?」
QB「ここで君を失うのはなんの得にもならないからね」
さやか「そう」
QB「さ、その悲しみを魔女にぶつけようよ!」
さやか「うん!」
さやか「うらぁぁぁぁあああああ!!!!」
初SSだからいろいろとち狂ってた、すまん。
誤字・脱字は勘弁願いたい。
綺麗に終わってよかった
Entry ⇒ 2012.01.12 | Category ⇒ まどかマギカSS | Comments (0) | Trackbacks (0)
番長「千枝、雪子、りせ、直斗の家にローターを送った」
陽介「…今なんとおっしゃいました?」
番長「四人の家にローターを送った」
陽介「クールな顔して何言ってんの!?」
番長「ついでに部屋にカメラを仕掛けた」
陽介「はあ!?犯罪だろそれ!!」
陽介「てかどうやってカメラなんて仕掛けたんだよ!?」
番長「影時間で象徴化してる時に侵入した」
陽介「ってその設定俺らの話じゃねーし!!」
陽介「何俺も巻き込もうとしてんだよ!!」
番長「見ないならいい」
陽介「…へ? …まだ見ないとは…」
番長「じゃまた明日学校で」
陽介「ちょっ!待てって!! ……お、俺も見るよ…」
番長「にやり」
陽介「ぜ、絶対ばれないんだろうな?」
番長「大丈夫」
陽介「お前が言うと妙に安心感があるから不思議だよ…」
番長「陽介なら一緒に見てくれると思ってた」
陽介「あ、相棒…」
我は汝、汝は我...
魔術師コミュがランクアップした
陽介「(変態だ!こいつ変態のサラブレッドだ!)」
番長「千枝はトレーニングが終わり、夕食を食べて一段落ついた午後八時ごろ」
番長「りせは豆腐の仕込みが終わる午後九時ごろ」
番長「雪子は旅館の手伝いを終える午後十時ごろ」
番長「直斗は勉強が終わり寝る前の午後十一時ごろ」
陽介「いつの間にそんな調査してたんだよ…俺よりも参謀向いてるかもな…ハハハ…」
番長「ジュネス」
陽介「嘘!?嘘つけー!!そんなもん売ってねえよ!!」
番長「時価ネットたなか」
陽介「それも嘘だろ!!あの番組うさんくさい商品ばっか扱ってるし」
番長「時価ネットたなかのテーマソング歌ってみて」
陽介「それと何の関係があるんだよ…。あなたの?テレビに?時価ネットたなか?♪ ってやつだろ?」
番長「その次」
陽介「み・ん・な・の 欲の友! …ってまさか!!!」
番長「性欲(にやり)」
陽介「おっと電話電話…」
くま『陽介ー!何やってるクマー!はらへったぞー!!』
陽介「あっワリィ 今日帰り遅くなるから先飯食べててくれ」
くま『何か用事くまか?』
陽介「あ、あぁ…まぁ…ちょっとな」
くま『ふふ?む…何か臭うクマね?』
陽介「な、何言ってんだよ…ハハハハ…」
くま『さては逆ナンクマね!!』
陽介「は!?違えーよ!!」
陽介「お前は犬か!!ったく、もう切るぞ」
くま『陽介…くまという存在がいるのに逆ナンなんて…しどいクマ…』
陽介「だぁーから違えーって言ってんだろ!!」
番長「くまもここ呼べば?」
陽介「は!?」
陽介「あ、ああ…まーな」
くま『も、、、もしかして先生から逆ナン!?』
陽介「そのくだりいい加減にしろ!」
陽介「"ほんとに呼んでいいのか?"」
番長「ああ」
くま『センセイと晩ごはんクマ!?行くクマ!!』
陽介「家わかるか?」
くま『大丈夫だクマ!』
陽介「じゃ、待ってるぞ(プツッ)」
陽介「はぁー…非常に不安なんだが…」
番長「落ち着け」
番長「いらっしゃい」
くま「陽介?さびしかったクマ?」
陽介「いちいちくっつくなっての! ってかもう七時まわってるのか」
くま「お腹すいたクマ?」
番長「うちで食べていきなよ 動画観る前に」
陽介「おう、わりいな」
くま「センセイの手料理楽しみクマ?!それよか動画ってなんぞ?」
陽介「あ、まあー…それは飯食べたら話すから」
くま「了解クマー」
一同「いただきまーす」
菜々子「みんなでご飯楽しいね!」
陽介「突然押しかけちゃってごめんな菜々子ちゃん」
菜々子「ううん、みんなで食べたほうがおいしいよ!」
くま「菜々子ちゃん、くま達ねえーご飯食べたあと動画観るクマよ」
陽介「バッカお前…!!」
菜々子「動画?」
くま「そうクマ。ねえーセンセイ?」
番長「そうだな」
陽介「お前も同意してんじゃねーよ!!」
陽介「ああー…えっと 映画…みたいなもんかな」
菜々子「菜々子も観るー!」
番長「いいよ」
陽介「いいわけねーだろ!!何簡単にOK出してんだよ!!」
菜々子「菜々子いると、邪魔?」
陽介「いや、そういうわけじゃないんだけど…菜々子ちゃんには難しい内容っていうか…」
菜々子「おべんきょうの映画?」
陽介「そ、そうそう!学校の勉強の映画!菜々子ちゃんにはちょっと難しいんじゃないかなー」
くま「エェー勉強の映画?つまんないクマー くま菜々子ちゃんと遊んでるクマー」
陽介「こいつめんどくせー!!!」
番長「(そっとしておこう)」
くま「おいしかったクマー」
陽介「ハァー…飯食べるのになんでこんな疲れなきゃいけないんだよ…」
番長「おつかれ」
陽介「お前もっと菜々子ちゃん大事にしろよ…」
番長「19時45分 そろそろ千枝の部屋のカメラにつなごう」
陽介「お、おう…どきどきしてきた…」
くま「チエチャン?」
番長「スイッチオン」
陽介「う、うわ…本当に映った…」
くま「これ、チエチャンの部屋クマか?」
番長「そうだよ」
くま「ま、まさかセンセイ……」
くま「マヨナカテレビの新しい使い方を見つけたクマ!?さっすがセンセイクマー!」
番長「まあね」
陽介「(なんか勝手に解釈してるし!!…まあ楽でいいか)」
千枝『ふうー食べた食べた♪やっぱり肉丼は血となり肉となるねえ♪』
千枝『今日もたくさんトレーニングしたし、いつでもシャドウと戦えるね!みんなを守らなきゃ!』
陽介「…なんだか罪悪感が…」
番長「だがそれがいい」
ゴロン
くま「ベッドに横になったクマ! おパンツ見えそうクマー!」
陽介「画面に近付きすぎだ!」
千枝『スゥ...スゥ...』
千枝母『千枝ーあんた宛に宅急便届いてるわよー』
千枝『…あ、うん 今行くー』
陽介「スッゲ、八時ジャスト」
番長「さすが生田目宅急便」
ガサガサ
千枝『…………』
千枝『……はあ!?』
千枝『な、な、なんでこんなものが私に…!!?』
千枝『これ宛先間違ってるんじゃあ…!』
千枝『里中…千枝…様…』
千枝『私宛…』
千枝『しかもすごい達筆だし…』
陽介「(どきどき)」
番長「(にやにや)」
くま「あれ何クマー」
千枝『気持ち悪!!!!』
ポイッ
千枝『まじありえない!!誰よこんなの送ったやつ!!!』
くま「あ、ゴミ箱に捨てたクマ」
陽介「…まあ…そりゃそうだよな…」
くま「チエチャンなんで怒ってるクマ?」
陽介「ちっげーし!!なんでそこで俺の名前が出てくるんだよ!!」
番長「ぶふっ」
陽介「笑うな! ってかどうすんのよ?計画失敗?」
番長「奥の手を使う」
番長「これ」
スッ
陽介「何そのスイッチ?」
番長「スイッチ・オン」
ピッ
ヴゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥン....
千枝『わっ!!』
陽介「遠隔操作スイッチ!?」
くま「さすがセンセイ!!」
ヴゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥン......
千枝『……』
千枝『そ、そういえば初めてみたなあこういうの…』
千枝『あ、止まっちゃった…』
ゴソゴソ
千枝『ピンク色で可愛いんだな…』
千枝『これがスイッチか…』
ピッ
ヴゥゥゥゥゥゥゥゥン
千枝『わっ!また動き出した…』
千枝『……』
千枝『…』
千枝『おかーさん!もう眠いから寝るね、部屋入ってこないでね!』
ヌギヌギ
陽介「里…中…」
番長「にやにや」
くま「チ、チエチャンのおっぱい!!!!」
ヴゥゥゥゥゥゥゥゥン...
千枝『あっ、わっ』
千枝『(声出しちゃった…!家族に聞こえてないよね…)』
ヴゥゥゥゥゥゥゥゥン...
千枝『…ん……(くすぐったくて気持ちいい…)』
千枝『…んん…』
ヴゥゥゥゥゥゥゥゥン...
くま「チエチャンおっぱいにあててるあれ何クマ!!!」
番長「黙って見てなさい」
千枝『うぅ…ん…』
千枝『(わ、私こんなので興奮して…疲れてるのかな…)』
千枝『(わっ すごい濡れてる…)』
千枝『(し、下にあてたら気持ちいいかな…)』
千枝『ひぁ!?』
千枝『…!(また声出しちゃった…!!)』
ヴゥゥゥゥゥゥゥゥン...
千枝『…んっ…あっ…(嘘…これすごい気持ちいい…)』
ヴゥゥゥゥゥゥゥゥン...
ヌギ
ヴゥゥゥゥゥゥゥゥン...
千枝『んっ…あっ…あ…』
陽介「…」
くま「…」
番長「千枝はクリ派か」
ヴゥゥゥゥゥゥゥゥン...
千枝『あっ…あっ、あっあっ…』
千枝『(手でするより全然気持ちいい…!)』
トントン
千枝『!?(ビクッ)』
千枝母『千枝ーどうしたの?騒いでるけど』
千枝『あ、ああちょっとブルース・リーの物まねの練習してた!アチョー!』
千枝母『さっき眠いって… あまり騒ぐんじゃないのよ』
千枝『わ、わかったー』
千枝『(あ、あぶなかった…)』
陽介「こういうハプニングがまた生々しいな…」
番長「興奮する」
千枝『…』
スッ
くま「枕で顔隠したクマ」
陽介「あっ ちくしょ…声漏れないためか…顔見れねーじゃん」
番長「逆に興奮する」
千枝『ンンッ…クゥッ…!!』
千枝『ふあっ あっ あっ…!』
ヴゥゥゥゥゥゥゥゥン...
千枝『あっ…あっ…!あっ!』
ギシギシ…
番長「腰が浮いてまいりました」
千枝『あっ!あっあっ!』
ギシギシギシ
番長「さらに倍プッシュ」
ピッ
ヴィィィィィィィィィィィイイイ!!!!
千枝『えっ!?あっ なっなんで!?あっあ!』
千枝『(頭の中真っ白になる…!)』
千枝『(イクッ…!)』
ジョワアアア......
千枝『…ッ! ッハァハァハァ…』
千枝『ハァ…ハァ…』
千枝『ハア・・・ハア・・・(漏らしちゃった…汚…どうしよ)』
くま「チエチャンがおしっこ漏らしたー!!」
陽介「相棒…」
番長「なんだ」
陽介「トイレ借りるっ!(ダッ)」
番長「ごゆっくり」
くま「……」
くま「センセイ…」
番長「どうした」
くま「なんかよくわからないけど…変な気分クマ…!」
番長「また一歩人間に近付いたね」
千枝『(ありえない…)』
千枝『(…でも誰かに見られてるわけじゃないし…いっか)』
千枝『…ふぅ』
フキフキ
ガチャ
くま「机の中にいちごさん閉まったクマー」
番長「(計画どおり!)」
番長「はい」
菜々子「お兄ちゃん?さっきから大きな声聞こえるけどどうしたの?」
番長「映画が面白くてね。菜々子も一緒に観るかい?」
菜々子「面白いの!?観るー♪」
陽介「だぁめぇだぁあああああああ!!!!!」
くま「トイレから乙クマー」
番長「心なしか大人びたな」
陽介「…まあな この世はくだらない」
くま「陽介が変になったクマ」
陽介「千枝はどうした?」
番長「眠ってるよ」
陽介「あーあー…シーツも変えないで…よっぽど良かったんだな」
番長「お前もな」
陽介「りせか…元準トップアイドルりせちいのあんな姿が見られんのかな…ハハッ 録画したら高く売れそうだな」
番長「実はもうしてある」
陽介「なんだって!!!??」
くま「リセチャンのおっぱいも見れるクマかー?」
番長「それではスイッチ・オン」
ブゥン
くま「映ったクマー リセチャンもう部屋にいるクマ」
陽介「毎日こんな時間まで家業の手伝いして偉いよな…」
番長「……」
陽介「あぁ、確かに片付いてるな ってか思ってたより荷物自体が少なくね?」
番長「…」
陽介「しかもカメラワークも里中ん時よりずっといいし!さすが相棒!」
番長「…」
ナマタメ タッキュウビンデース
陽介「九時ジャスト 生田目さんいい仕事してんな」
番長「改心したな」
りせ『またファンからの変なものだったら嫌だな…(ソロ~ッ)』
りせ『…わっ』
陽介「おい…!!あれどういうことだよ!!里中のと形が全然…!」
番長「りせはきっと非処女」
くま「うわーまるでチンコクマー」
番長「…」
りせ『…(ニコッ) うわーなにこれぇ』
りせ『こ、こんなの見ちゃうとドキドキするよ…』
陽介「あ、あれ…?」
番長「……」
陽介「な、なんかしらねえけどうまく行ったな!布団もいいカメラの撮影位置に敷いたし!!」
番長「……」
りせ『んっしょ…っと』
プルンッ
クマ「リセチャンのおっぱいキタクマー!」
陽介「お、大きさはそこそこだけど、きれいな形してるな…」
番長「……」
陽介「……ッ!!!!(ブシュー)」
くま「陽介の鼻から血が!!!」
りせ『…番長先輩のも…こんなに大きいのかな…(チラ)』
番長・陽介・くま『!!!!!!!』
くま「言ったクマ!聞いたクマ!」
番長「(こ、このアマやはり…!)」
番長「(カメラに気づいていやがった…!!!)」
りせ『♪(せーんぱい♪最初から知ってましたよ)』
りせ『♪(一週間前あたりから私のことつけてましたよね?)』
りせ『♪(そういう経験沢山してるから敏感なんですよねえ)』
りせ『♪(尾行が終わったと思ったら天井に小さな穴があいてるし♪)』
りせ『♪(ペルソナの能力もあってか、機械の動作とかにも敏感なんだよね♪)』
りせ『♪(そしてこのタイミングでバイブ…)』
りせ『♪(先輩、見てるんでしょ♪)』
ヌップヌップ
りせ『先輩…ああっ…(私も先輩のこと好きだからいいけど♪)』
くま「リセチャン…」
陽介「な…なんかすげえことになってんな、あいぼ…どっどうした!?」
番長「チクショウチクショウチクショウチクショウチクショウチクショウ」
番長「(部屋にも何も形跡は残していないはず…なぜだ!ちくしょう!)」
番長「(久慈川りせ…元アイドルをあなどっていた!!)」
番長「イザナギィ!!!」
くま「ク、クマァ!?」
陽介「お、落ち着け相棒!!こいつはシャドウじゃない、りせだ!!!」
くま「クマ!」
陽介「おっおい!!どうして消しちまうんだよ!!」
番長「そっとしておこう」
陽介「え!?」
りせ『あー 消しちゃった』
りせ『ふふっ…カメラは残しておくよっ』
りせ『いつでも待ってるよ 先輩♪』
久慈川りせ WIN !
陽介「…」
くま「…」
陽介「…や、やっぱさ!りせは元アイドルだけあって抜群に可愛いな!」
くま「そ、そうクマね! くまメロメロ~クマ!」
番長「久慈川りせ...」
陽介「え?」
番長「ローマ字にすると KUJIKAWA RISE」
番長「こいつはアナグラムだ 並び替えると MASYO NO ONNA」
番長「魔性の女ァ...!!」
陽介「いや全っ然文字一致してないから!!」
ペルソナ4祝アニメ化、ということでアニメで全キャラが登場したタイミングを見計らって引っ張り出してきました
2,3年ほど前に書いたのですが、覚えててくれている方がいて驚きです
当時のトリップと同じトリップをつけていますのでご確認ください
このことは最後に書くつもりでしたが、先に書くことにしました
お騒がせして申し訳ありません
くま「何があったかようわからんけど、センセイ 気をもちなおすクマー」
番長「ああ」
陽介「次は…あ、天城の部屋か…」
番長「聞いた話だけど 昔雪子に告白して断られたとか」
陽介「だぁー!過去の話はイーンダヨ!! さっさと見ようぜ!!」
くま「なになにー?その話、クマにもきかせてー」
陽介「黙って見てなさい!!!」
くま「陽介のイヂワルークマ」
番長「それでは スイッチ・オン」
ヴォン
くま「ユキチャンすでに布団に横になってるクマー」
陽介「寝てはいないみたいだな…」
くま「ユキチャンの部屋もまたきれいクマ」
陽介「あぁ 和風チックでいかにも旅館の娘って感じだな」
雪子『(毎日遅くまでお家のお手伝い…)』
雪子『(いくら頑張っても上達しないし…)』
雪子『(お料理も…)』
雪子『(……)』
雪子『(次期女将になるって決意したけど…)』
雪子『(挫けそう…)』
雪子『ハア…』
クマ「なんだかユキチャン疲れてるクマ」
番長「雪子にもいろいろあるんだよ」
雪子『(いけない…私 疲れるとすぐあれをしたくなる…)』
スッ
陽介「おっ?」
くま「ユキチャンおっぱい撫で始めたクマ」
陽介「えっ これってまさか、宅急便が届く前に自分で…」
くま「ユキチャン淫乱ー!」
陽介「おまっどこでそんな言葉覚えたんだよ!!」
番長「雪子にもいろいろあるんだよ」
雪子『ん…(なんでだろう これをするとホッとする…)』
くま「ふーく脱げ!ちっち見っせろ!!」
陽介「うっせえ!! …けどまあ 服は脱いでほしいよな」
番長「お前達 着衣のエロスがわからんのか」
雪子『ん…』
雪子『(下も…)』
雪子『(だめ やめないと こんなの不潔…)』
雪子『(けど…しちゃダメって思えば思うほど したくなる…)』
雪子『(私ってとんだ変態…)』
スッ
雪子『んっ…』
雪子『(わっ すごい濡れてる…)』
くま「うおおおユキチャンパンツに手つっこんだー!」
陽介「あ、天城のこんな姿見れて…俺、今人生で一番興奮してる…!」
番長「それが若ささ」
雪子『ん…んぁ…あ…』
クチュクチュ
雪子『んっ…んん…』
雪子『(すごいいやらしい音…)』
クチュクチュクチュ
雪子『んん…』
雪子『(ビクッ) な、なあにお母さん?』
雪子母『何か雪子に宅配便届いてるわよ 開けるわよ?』
雪子『だっ駄目! ちょっと待って!』
陽介「相棒、今何時だ」
番長「言わずもがな」
陽介「生田目さん…尊敬するぜ」
雪子『い、今、お風呂に入ろうと思って着替えてるところだから…!』
雪子母『何よ今さら恥ずかしがっちゃって』
雪子『板前さんとか仲居さんとかいるかもしれないから…!』
雪子母『もうみんな部屋で休んでるわよ まあいいわ、ここ置いておくからねえ』
雪子『う、うんありがとう…』
生田目さんスゴすぎる
雪子『(なんだろ…宛名しか書いてないし)』
ゴソゴソ
バラバラ
雪子『!?』
雪子『(な、何よこれ…)』
陽介「お、おい、なんか多くないか?ローターに、ローションに…」
くま「あの棒、ビー玉がいっぱいついてるクマー」
番長「アナルビーズ」
ダッ
雪子『あ、あの荷物誰から?』
雪子母『さあ…差出人書いてなかったから、雪子がわかるのかと思って…』
雪子『…』
雪子母『どうかしたの?何か変なものでも入ってた?』
雪子『な、なんでもないっ!』
ダッ
ピシャッ
雪子母『変な子ねえ』
雪子『…(も…もしかして旅館の誰か…?)』
雪子『…(いつも…してる時…)』
雪子『…(声とか漏れてて…)』
カァッ
雪子『(どうしよう…!恥ずかしい…!!)』
番長「さあどうする雪子」
ジワァ...
雪子『…!(いけない…!誰かに聞かれてると思うと…)』
雪子『(私…興奮して…)』
番長「ここでアタックチャンス」
ピッ
ヴゥゥゥゥゥゥゥゥゥン......
雪子『!!』
陽介「出た、遠隔操作スイッチ…」
くま「センセーステキー!」
雪子『(この音も…聞いてるの…?)』
ヴゥゥゥゥゥゥゥゥゥン......
雪子『ハァ…ハァ…(ごくり)』
雪子『(もう我慢できない!)』
スッ
くま「おっとユキチャン ローターを手に取り横になったー!」
番長「にやり」
雪子『んっ!(刺激すごい…)』
雪子『んっ…あっ!』
雪子『(すごく気持ちいい…!)』
ヴゥゥゥゥゥゥゥゥゥン......
雪子『んんー…あー…あっ…!』
雪子『(こ、声が出ちゃう…)』
雪子『(やっぱり恥ずかしい…!)』
ゴロンッ
雪子『んっうう…あっ…』
くま「ユキチャンうつぶせになってやりはじめたクマ!」
番長「これは趣がある」
くま「陽介 鼻息荒いクマー」
陽介「くっ…わりい!俺我慢できねえ!!トイレ!!」
ダッ
番長「早漏め」
くま「陽介はトイレに何をしに行ってるクマか?」
番長「便器と子づくり」
くま「便器と!?陽介そんなことできるクマか!?すごいクマ!!」
雪子『うんっ…んっ…んっ…』
雪子『あっ…あっ…』
ヴゥゥゥゥゥゥゥゥゥン......
雪子『んっ…!(こんなエッチなことで、現実逃避しようとしてる…)』
雪子『(番長君が知ったら、どう思うんだろう…?)』
番長「快楽に身を任せればいい」
くま「クマ?」
雪子『やっあっあっ…!』
くま「おしりがヒクヒクしてきたクマ」
雪子『あっあっ!』
雪子『(い…いきそう…!)』
雪子『あっ…!イクッ……!!』
くま「どこにクマ?」
雪子『ああ…あ…』
雪子『……』
くま「陽介…これ…少ないけどジュネスのバイトで貯めたクマ…」
陽介「は?突然どうした??」
くま「元気な子供産むクマよ…!」
陽介「いや意味わかんねーから!てか、もしかして終わっちゃった!?」
番長「これからが本番」
雪子『…』
雪子『(声…聞こえちゃったかな…)』
雪子『…』
雪子『(あれって…確か…)』
雪子『(おしりに…)』
雪子『(無理無理無理無理!絶対無理!)』
雪子『(ちょっとだけ使ってみようかな…)』
雪子『(どっちにしろ一個使っちゃったんだし)』
雪子『(痛かったらすぐやめればいいよね)』
くま「ユキチャン ビー玉とにらめっこしてるクマ」
陽介「考えてみれば…天城っていい尻してるもんな…」
番長「ふふ」
スッ
雪子『!痛っ…』
雪子『(や、やっぱりこんなの入らないって!)』
陽介「そのまま入るわけねーだろ!ローションつけろローション!」
番長「初々しくていい」
雪子『(あ…そういえばもう一つ液体みたいなの入ってたっけ…)』
雪子『(これをつけるのかな…)』
雪子『わっ(すごいとろとろ…)』
雪子『(これでもう一回…)』
ニュルルルルルルルルルル
雪子『ああっ!』
雪子『(嘘…簡単に入っちゃった…)』
雪子『(大きな声出しちゃったし…)』
キュポポポポポポポン
ニュルルルルルルルルルル
キュポポポポポポポン
雪子『ああっ…!!あっ!!!』
陽介「天城…すげえ気持よさそう…」
くま「おっとユキチャンがおもむろに立ち上がったー!」
陽介「壁に手をつき…」
くま「おしりを突き出し…」
陽介「これってまるで…」
番長「立ちバック」
キュポポポポポポポン
ニュルルルルルルルルルル
キュポポポポポポポン
雪子『ああ!ああっ!あっ!あっ!』
ニュルルルルルルルルルル
キュポポポポポポポン
雪子『くう…!!』
雪子『(もう立ってらんない…!)』
くま「腰がくだけたクマー!」
陽介「そ、そんなに気持ちいいのか…」
キュポポポポポポポン
雪子「ああっ!あっ!!」
陽介「うつ伏せになって尻だけ突き上げ…最っ高にエロい体制だな…」
クマ「まるで動物クマー」
雪子「ハァ…ハァ…」
雪子「ハァ…(二回も…しちゃった…)」
~上の部屋~
板前1「雪子お嬢さん今日は二回もしちゃったなあ!」
板前2「若いねぃ!てやんでい!青春でい!」
板前wwwwwwwwww
陽介「…」
くま「…」
番長「…」
陽介「最高…でした…」
くま「クマ…」
番長「それはよかった」
陽介「お…俺またトイレ!!」
くま「三人目クマか!!?」
番長「ごゆっくり」
番長「どうぞ」
菜々子「お兄ちゃん、今日はみんなお泊り?」
番長「ああ」
菜々子「わかったあ 菜々子そろそろ寝るね」
番長「ああ おやすみ」
菜々子「おやすみなさい」
ガチャ
クマ「センセイ 菜々子ちゃんにはローターあげないクマ?」
番長「それも考えた」
陽介「このド鬼畜があ!!!!!」
番長「おかえり」
番長「そりゃ三回もすればな」
くま「センセイあと5分で11時クマー」
番長「おっと」
陽介「最後は直斗か…もうここまで見ちまったら後戻りはできねーな」
くま「ユキチャン 服きないまま寝ちゃったクマー」
陽介「天城…激しかったから疲れたんかな…風呂も入ってねえし…風邪ひくぞ…」
番長「(明日雪子を起こしに来たおばさんの反応が楽しみだ)」
ヴォン
直斗『…』
カリカリカリ
くま「ナオチャン机に向かってるクマー」
陽介「うわっほんとに勉強してるし さすが探偵王子は真面目だな」
陽介「なーんか難しそうな本がいっぱいだな」
くま「意外と物も多いクマね」
直斗『…』
カリカリカリ
陽介「そういうの興味なさそうっつーか…何も言わずに捨てそうな気がするな…」
番長「直斗の郵便物には細工を施してある」
陽介「細工?」
くま「センセイは器用だなー」
秘書『直斗様 私です』
直斗『どうした?』
秘書『直斗様宛の郵便物を預かっております』
直斗『わかった』
陽介「あいb」
番長「11時ジャストだ」
くま「わーお…」
直斗『ああ ありがとう』
直斗『(差出人不明…)』
直斗『(B4サイズの封筒…)』
直斗『(中身は手紙の他に何か入ってる…)』
直斗『(うかつに開けるのは危険かな)』
くま「ナオチャン なかなか開けないクマね」
陽介「やっぱ怪しんでんのか?てかふつー怪しむよな」
ゴソゴソ
くま「ジュネスのレジにあるやつとそっくりなやつ取り出したクマ!ピッってやるやつ!!」
陽介「バーコードスキャナーな…しっかし何に使うんだあれ」
直斗『…』
直斗『(金属反応 火薬反応共になし…か)』
直斗『…』
直斗『(危険はなさそうだし、開けてみようかな)』
陽介「あ、あれで中身を調べたのか…?てかなんでそんなもん持ってんだ!」
くま「ワーオ ハイテククマね~」
番長「(機械っ子萌え)」
直斗『(一枚の封筒と…)』
直斗『(これって…)』
直斗『…』
直斗『(くだらないいたずらだ…)』
陽介「えーっと…?ローターと、手紙…?」
陽介「細工ってどこにしてあんのよ?」
番長「見てればわかる」
直斗『…』
直斗『(14752543122122ハン…?)』
ツーン
直斗『(そして何か甘い臭い…)』
直斗『…!』
直斗『ふふっ…』
直斗『(僕はもう元気ですよ)』
直斗『(やみくもに探偵に憧れるのはやめたし、大切な仲間も出来ました)』
直斗『(それに…)』
直斗『…』
お祖父さま『Zzz.........』
直斗『(何をお考えですか…?)』
直斗『…』
直斗『(これが最後ですよ お祖父さま)』
直斗『(この匂い…これはまた、炙り出しですね)』
カチャカチャ
くま「ライター取り出したクマよ」
陽介「あの引き出しは四次元ポケットかよ!て、てか、なにするつもりだ?」
番長「にやり」
ジュワワワアア.....
直斗『(あれ…?何も浮かびあがってこない…)』
ツーン
直斗『(それにしてもすごい匂い…)』
グラッ
直斗『…!!?』
直斗『(な、なんだこれ…頭がぐらぐらする…!!)』
ツーン
陽介「あれ?直斗のやつどうしたんだ?急に頭おさえて」
直斗『(ど、毒…!?窓を…!)』
ガララッ
陽介「いや、なんでお前が匂いわかるんだよ!!」
くま「くまの嗅覚なめるなよお~」
陽介「画面越しだろーが!!!」
番長「媚薬」
陽介・くま「!!!」
直斗『(迂闊…だった…)』
直斗『(まだ頭がぐらぐらしてる…)』
直斗『(お祖父さま…!なぜこんなこ…)』
タラー...
直斗『え、えっ??』
番長「にやり」
直斗『(もしや利尿作用のある薬品!?)』
直斗『(ち、違…これは…)』
直斗『(膣分泌液…!)』
クマ「ナオチャンあたふたしてるけど、どうしたクマ?」
番長「もう濡れ濡れ」
陽介「おまっ…!!」
直斗『く…くそ…!』
直斗『(とまらない…!)』
直斗『(こんな…!)』
カリカリカリカリカリ.....
クマ「ナオチャン、また勉強始めたクマ」
番長「何分持つかな」
直斗『…っ』
タラー...
直斗『(とまらない…)』
直斗『…』
スッ...
直斗『ひゃあっ!!』
直斗『(少し触っただけなのに…)』
直斗『…』
クチュ..クチュ..
直斗『んっああっ…!!』
ビクビクッ
番長「果てた」
陽介「は!?」
直斗『…』
直斗『(くそっ…こんな…!)』
直斗『(こんな…)』
直斗『(こんな時に一番、自分が女なんだってこと実感させられる…)』
直斗『…』
くま「机につっぷちゃったクマー」
陽介「ハハ…みんな声隠そうとするのな」
番長「これは非常に趣がある」
チュクチュク
直斗『…あっ…』
チュクチュクチュク
直斗『ああっ…あ…!』
ビクビクン
テクテク
直斗『…』
ゴロン
くま「ベッド・イン!クマー」
陽介「ついに脱ぐか…?」
陽介「あっ!電気消しやがった!!」
くま「何も見えないクマー!!」
陽介「おい相棒!!ナイトモードとかないのかよ!?」
番長「無いと思うど」
陽介「こんなときにつッッッまんねえギャグ言ってねえで!!!!!」
番長「しばらくは音声のみでお楽しみください」
陽介「なんだってえー…ハァ…」
くま「クマの生殺しクマ~…」
陽介「ヘビの生殺しな…」
くぅ…ぅん…!
ああっ…!!
陽介「……」
くま「……」
番長「なかなかのエロス」
ギッシギッシ…
番長「さて」
番長「行動に出ますか」
陽介「え?」
番長「じゃん」
陽介「なんだ?そのバッチ…」
くま「かっこいいクマー」
番長「このバッチの裏のボタンを押すと」
チカッチカッ
くま「ナオチャンの部屋で何か光ったクマ!!」
陽介「な、なんだよそのバッチ!!」
番長「もらった」
直斗『ぅん…ん……え…?』
直斗『(あれは番長先輩にあげたバッチ…)』
直斗『(どうして…)』
カチッ
クマ「電気ついたクマよ!!」
陽介「…!!な、直斗…!!き、着やせするタイプなんだ…な…!!」
番長「静かにね」
陽介「お、おう…」
♪デデンデンデデン デデンデンデデン
直斗『(電話…番長先輩から…!)』
直斗『も、もしもし…』
番長「もしもし 夜分遅くにごめんね」
直斗『いえ、大丈夫です…どうしたんですか?』
番長「急に直斗の声が聞きたくなって」
直斗『えっ…え?』
陽介「(騒ぐな!!!)」
番長「いまね ちょっとした用事で直斗の家の近くにいるんだ」
直斗『えっ…そ、そうなんですか…?』
直斗『(前にあげた手作りの腕時計…)』
直斗『(…!ほ、ほんとだ…10m以内になってる…)』
番長「今から会えない?」
直斗『…ご、ごめんなさい…そろそろ寝ようと思ってて…』
直斗『(こ、こんな状態で会えない…)』
直斗『(会ったこと考えるだけで…僕は…)』
トロー...
番長「そっか、わかった じゃあまた明日ね」
直斗『あ、はい…おやすみなさい…』
ピッ
陽介「…お前に聞きたいことが何個もあるが、また今度にする…」
番長「ふふふ」
直斗『(せっかくの…番長先輩のお誘い…断っちゃった…)』
チラッ
直斗『(まだ先輩…10m以内にいる…)』
番長「ちなみにカメラを設置する時腕時計も置いてきた」
くま「クマ?」
クチュクチュ
直斗『んんっ…!』
直斗『(僕は…最低だ…)』
直斗『(先輩のことを…そういう対象で…)』
直斗『(でも先輩…僕の声聞きたいって…)』
直斗『(会いたいって…!)』
トロー..
直斗『ううんっ…』
クマ「出たクマー遠隔操作スイッチ!!」
陽介「大活躍だな…それ…」
ピッ
ヴゥゥゥゥゥゥゥン......
直斗『!!』
直斗『(これあること忘れてた…)』
ヴゥゥゥゥゥゥゥン......
直斗『…』
直斗『(このローターの色…先輩の髪の色と似てるな…)』
直斗『…』
スッ
陽介「…(ドキドキ)」
ヴゥゥゥゥゥゥゥン......
ピト
直斗『あっああっ…!!』
ヴゥゥゥゥゥゥゥン......
直斗『先輩…!!』
陽介「…ん?」
直斗『番長先輩…!!!』
陽介・くま「!!!!」
番長「直斗は俺にフォーリンラブ」
陽介「いや…俺はもうなんとなく理解してきた…」
番長「魅力を最初にMAXにしたからな」
直斗『先輩…!先輩…!』
ヴゥゥゥゥゥゥゥン......
直斗『番長先輩…!先輩…!!』
直斗『あっ…イクっ…!!!』
直斗『ふあ…ぁ…ぁぁ…』
グデン
陽介「イったか」
番長「イったな」
くま「イったくま」
ヴゥゥゥゥゥゥゥン......
直斗『…これ、どうやって消すんだろう…』
ヴゥゥゥゥゥゥゥン......
陽介「なあ、もういいんじゃね?止めてやれよ」
番長「いや、一晩つけておく」
陽介「なっ!?」
くま「ドSセンセイクマー!」
番長「今夜の直斗はそっとしておこう」
くま「今日はすごい経験したクマ! 逆ナンよりすごかったクマ!」
番長「そうだね」
陽介「このことは絶ッ対三人だけの秘密だかんな!!」
くま「了解クマ!漢の約束クマ!」
陽介「なあ相棒 一つ聞きたいんだがなんでりせの時途中で消」
番長「黙れ」
くま「えー陽介ぇー センセイの家に泊まっていこうよー」
陽介「お前今俺の話聞いてたか!?」
番長「実は」
番長「もう一人に、配達してある」
陽介・くま「!?」
番長「そろそろいい時間帯かな」
番長「スイッチ・オン」
ヴォン
完二『うおおおお!!!!直斗!!直斗!!!』
完二『しゅごいいいいい!!!TENGAしゅごいいいいい!!!直斗おおおおおお!!!!!』
番長・陽介・くま「…」
番長「そっとしておこう」
~END~
DEAD ENDェ…
最後まで読んで頂きありがとうございました
>>92でも書きましたが、過去に書いた作品をP4アニメ化記念として再び書かせていただきました
生田目の宅急便や、直斗のバッヂ、腕時計などアニメが初めての人にはわからない設定があり申し訳ありません
アニメの番長は事件を解決出来るのか!毎週楽しみに観ています
アニメ放映中に、またP4のSSを書く予定なのでその時は宜しくお願いします
ちなみに、直斗への暗号文の内容は
「14752543122122ハン」
これを二文字ずつ区切ると
「14/75/25/43/12/21/22/ハン」
これのひらがな50音で考えると、1行目4文字目…え 7行目5文字目…も
という風にやっていくと
「えもこついかき」
という言葉があらわれます
これをハン、反、つまり反対にすると
「きかいつこもえ」
機械っ子萌え…
なんと、番長から直斗に対するメッセージでした!
それでは、ありがとうございました
>>1乙
アニメがさらに楽しめそうだわ
Entry ⇒ 2012.01.12 | Category ⇒ ペルソナSS | Comments (1) | Trackbacks (0)
メリー「俺の名はメリー。今貴様の後ろにいる」
メリー「何を狼狽えている」
少女「うそっ、ひ、ぃや」
メリー「早く振り向け」
少女「こ、こないでぇっ……」
メリー「……」グイッ
少女「いやああああっ!!」
少女「…あれ?」
メリー「俺を呼び出したのは貴様だろう」
少女(男の、ひと?)
少女(しかも、か、カッコいい……///)
少女「はっ!?」
メリー「……何を惚けている」
少女「いや、えっと、その……びっくりしちゃって」
メリー「貴様が俺を呼び出したのだろう?」グイッ
少女(ちっ、近い近い!)
少女「ちがっ、あの、私は都市伝説を試しただけでっ……」
メリー「都市伝説? ……詳しく聞かせろ」
少女「ええっと、友達から聞いたんですけど、ある電話番号に0時丁度に電話をかけると、メリーさんと繋がって、こちらから呼び出すことができるって……」
メリー「……」
少女「わ、わたし、本当に呼び出せるなんて思わなかったんです! た、ただの噂話だと、思って」
少女「は、はい」
メリー「貴様のくだらない好奇心と暇潰しのために」
少女「うっ……はい」
メリー「最近よく同胞が呼び出されるのはその為だったのか……」ハァ
少女「……メリーさんって、たくさんいるんですか?」
メリー「答える必要があるのか?」ギロッ
少女「ひいっ」ビク
メリー「……まあいい、どちらにせよ一度出てきてしまったら、貴様を殺すまで戻れん」
少女「はあ、そうなんですか……へ?」
メリー「一度出てきてしまったら、貴様を殺すまで戻れん、と言ったんだ」
少女「…………」ガクガク
メリー「何だ、危険を冒す覚悟もなしに都市伝説とやらを試したのか?」
メリー「貴様らの知るメリーだって、元々は人を殺すだろう」
少女「ひっ、」
メリー「そういうことだ」ジリッ
少女「いや、っうああっ!?」ガターン!
メリー(……椅子から転がり落ちおった)
少女「こ、こない、で」ボロボロ
メリー「……」
少女「………え?」グスッ
メリー「答えろ」
少女「こ、答えたら、魂抜かれちゃったり」
メリー「俺の気は短いぞ」
少女「しょっ、少女っ! 少女ですっ!!」
メリー「少女」
メリー「これで契約は完了だ」
少女「……け、契約?」
メリー「貴様らのいう都市伝説は本来、我々との契約だ」
少女「そ、その契約って」
メリー「貴様の願いを叶える。その代わり、貴様の命を頂く。それが契約だ」
少女「……私が、名乗らなかったら?」
メリー「貴様を殺して、俺は帰る」
少女「…………」ガクガク
メリー「震えるな、契約は結ばれた。願いを叶えるまで、貴様を殺すことはない」
少女「で、でもっ、願いを叶えたら……」
メリー「殺す」
少女(死神だ。この人は死神なんだあ!!)ボロボロ
少女「……今の流れでいうと思いますか?」
メリー「だが願いくらいあるだろう」
メリー「死んでも叶えたい願いや、死んでも叶えられないような願いだ」
少女「ごくごく普通の女子高生に、そんな願いありませんよっ」
メリー「俺たちを呼び出すのは、いつもそんな願いを抱えた者ばかりだからな」
少女「……その、」グスッ
メリー「?」
少女「知らなくて、呼び出しちゃったのは、ごめんなさい。だから、帰ってもらえませんか?」
メリー「それが貴様の願いか」
少女「ちがっ、いやそうだけど違いますうう!!」
少女「でも、願い叶えちゃったら、私は殺されるんでしょ?」
メリー「そうなるな」
少女「断固拒否しますっ!」ボフッ
メリー「……何をしている」
少女「お布団要塞です。今日はもう寝ます」
メリー「随分守りの薄い要塞だな」スイー
少女「うわあっ!? 擦り抜けて、っていうか近いっ!!」
メリー「擦り抜けも、透明にもなれるぞ」
少女(やっぱり幽霊なんだ……怖いよおぉ……)ブルブル
メリー「おい少女、朝だぞ」
少女「うぅ……ん」
メリー「おい」
少女「ふあぁ……、おふぁよぅございまふ……」
少女「んー……?」
メリー「」ジー
少女「びゃあああ」ガターン
メリー「面白い叫び声だな。死ぬときはその声で頼む」
少女「しっ、死にません!!」ドキドキ
少女(ああっ、びっくりした……何もあんな至近距離に……)
少女(っていうか、やっぱり夢じゃなかったんだ……)ハァ
少女「学校行かなきゃ……」
少女「いってきまーす」
母「いってらっしゃい、少女ちゃん」
少女(はぁ……メリーさん(仮)のおかげでいつもの三十分は早く出ちゃった)トコトコ
少女(……っていうか)
少女「何でついてきてるんですか?」
メリー「貴様がいつ願いを思い付くか分からないだろう」
少女「誰かに見られたら……」
メリー「ならば透明化しておこう。それならいいだろう」スッ
少女「ぐぬぬ……」
メリー「ところで、貴様はいつもそんな堅苦しい格好で学校に行くのか?」
少女「か、堅苦しいって」
メリー「家で髪を降ろしていたときのほうが、似合っていると思うが」
少女「へ? あ、ありがとうございます……/// っじゃなくて、わ、私は委員長だから、ちゃんとした姿じゃなきゃいけないんですっ」オホンッ
少女「そうですよっ」
少女「あと、透明化してるんだから、あんまり話し掛けないでください。変な人に見られちゃう」
メリー「……言っておくが、やろうと思えば俺は貴様を殺せるんだぞ?」
少女「ひ!?」ビクッ
メリー「契約の破棄の一度や二度……」ジリ…
少女「ごっ、ごめんなさいごめんなさいいいっ!!」ボロボロ
メリー「ふん」
少女(うぅ、調子に乗りすぎちゃった……)
少女(でもメリーさん(仮)、会話してると普通の人だもん。ちょっと上から目線だけど……)
少女「っ、ぁ」ピタッ
メリー「?」
同級生たち「」ガヤガヤ
少女「……っ」ビクビク
またはいじめられっ子か・・・
同級生B「マジかよ」
ガヤガヤ…
少女「……」ビク、ビク
メリー「少女」
少女「はっ、はい!?」
メリー「何故こんな端のほうを歩く」
少女「そ、それは……」
メリー「……」
野球部顧問「お、早いな少女。おはよう」
少女「あ、先生、おはようございます……」ペコリ
少女(そっか、野球部の朝練があってるんだ……)
ガラン…
少女(まだ誰もいない……)
メリー「おい、少女」
少女「はい……って、ななな何で実体化してるんですか!」
メリー「何か問題があるか?」
少女「ここは学校ですよ!? 部外者立・入・禁・止なんですっ! 見付かったらどーするんですかっ」
メリー「そんなことより」
少女「話を聞いてください!」
メリー「何をあんなに怯えていた」
少女「……っ」
メリー「奴らに虐めでも受けているのか?」
少女「ち、違います、よ」
少女「怯えてなんていません」
少女「ほ、本当ですっ!」
メリー「奴らに見つからないように、こそこそと逃げてここまで来ただろう」
少女「違いますってば!」
少女「メリーさんには関係ないでしょっ!」ボロッ
メリー「……」
少女「う、っく」ボロボロ
メリー「……うむ」
少女「……?」
メリー「今、確信した」
少女「何、がですか」グスン
メリー「俺は貴様の泣き顔が好きだ」
少女「……はあ?」
メリー「そして今確信した」
メリー「俺は貴様の泣き顔に興奮を覚えている」
少女「……」ブルブル
少女「へ、へんたい!」
メリー「だからはやく貴様も願いを決めろ。俺は貴様が死ぬときに泣き叫ぶ顔がみたい」
少女「へんたい! ドS! 今の話の流れでどーやったらその思考にいたるんですかっ!」
メリー「貴様が奴らに怯える顔にそそられたから、だな」
少女「いやあああっ!!」
メリー「ほら、泣いてみろ、泣かないと殺すぞ」クックックッ
少女「ひいいい」ボロボロ
少女「いやあああっ」ボロボロ
ガラガラッ
同級生「」
少女「あ」
メリー「ん?」
同級生「……お、お取り込み中失礼しましたー」
ピシャッ
少女「……ああああっ! ちょ、違うの、ちょっと待ってえええ!」ウワアァァン
メリー(いい泣きっぷりだ。さて、面倒なことになる前に透明化しておくか)
―――
――…
―…
…
少女「はあ……」
少女(あの後私の兄ってことにして、必死に説明してなんとか分かってもらえたな……)
少女(普段の行いがいいと、こういうときに便利)
メリー「疲れてるな」
少女「メリーさんのせいです」ムスッ
メリー「そんなことを言って、貴様も楽しんでいただろう?」
少女「人をM呼ばわりするの、やめてもらえませんか?」
メリー「素質はあると思うぞ」
少女「冗談やめてください」
メリー「ところで、今どこに向かっているんだ?」
少女「図書室です。放課後は、委員会の仕事があるので……あれ?」
少女(もしかして、……)
少女「……」ビクビク
メリー「?」
同級生A「よお」
少女「!!」ビクッ
同級生B「なあ委員会、今日朝すれ違っただろ? なんで挨拶の一つもしねーんだよ」
同級生C「それどころか目も合わせなかったよ、なあっ!」ドンッ
少女「ひっ」
メリー(今朝の奴ら……)
同級生B「俺らの機嫌とるにはどーすりゃいいかわかるよな?」
少女「……」スッ
同級生C「おっ、ピン札ゲット~」
同級生A「なんだよ今日もこんだけか? 家金持ちなんだからもっと持ってこいよ」
同級生B「おい、聞いてんのかよ委員長」
少女「は、はい……」ボロボロ
メリー「……」
同級生C「さあて、財布もあったまったことだし帰ろうぜ」
少女「……」ホッ
同級生C「――と思ったけどよぉ」
ガチャッ
少女「!?」
同級生B「ちょっと俺らに付き合ってくれよ、委員長」
同級生A「安心しろって、鍵は締めたから誰も来ねーよ」
少女「う、うそ……」ガクガク
同級生A「んな怖がんなよ、すぐ済むって」
同級生B「俺は委員長の泣き顔好きだけどな」
同級生C「わかるわかる、加虐欲そそられるよなー」
少女「ひっ、やあ」
少女(いや……うそ……こんなのやだよ……)
少女(誰かに助けてっ……助けてよお……)
少女「……メリーさん、助けてえ……」ボロボロ
メリー「……了解した」
バチッ
同級生B「あ? て、停電か?」
同級生A「チッ、こんな時にかよ」
……プルルルル
…プルルルル…
同級生C「おい、誰の携帯だよ」
同級生B「俺だ。……非通知? チッ、誰からだ?」
同級生A「お、おい。なんか寒くねーか……?」
ピッ
ザー…『俺はメリー。今、図書室の少女の隣にいるぞ』ザー…
ブツッ
同級生B「……はぁ?」
同級生B「お、おいおい、イタズラ電話かよ。A、C、さっさとやっちまおうぜ」
同級生B「……」
同級生B「……おい、A? C?」
同級生B「A! C! 冗談やめろよな! おいっ!」
同級生B「な、なんだよ……っ急に寒気が……」
同級生B「!!」
プルルルル…
同級生B「……」ガチガチ
ピッ
ザー…ッ、『俺はメリー。今、貴様の後ろにいるぞ』
同級生B「!!」バッ
メリー「よお」
同級生B「ひっ――――」
「うわああああああっっ!!!!」
……バチッ
少女「……あ、あれ?」
メリー「何だ、口程にもない」
少女「メリーさん……助けて、くれたんですか……?」
メリー「それが願いだったようだしな」
少女『助けてよ……メリーさん……!!』
少女(あっ……)
メリー「覚えているか」
少女「……それじゃあ、私……」
メリー「……」
少女「……うっ、」グスッ
少女「ひっ、く。う、あ」ボロボロ
メリー「何故泣く」
少女「あっ、安心、したの、とっ」
少女「……やっぱり、怖くてっ……」
少女「ひっ、く、う……」
メリー「それ相応の対価をもらおう」スッ
少女「……っ!!」ギュッ
少女「……?」
少女「メ、メリーさん……?」
チュッ
少女「ふ、むっ……、!?」
少女「んっ、ちゅ、う、む……っぷは、んん、くちゅ……」
少女「……ぷはっ! はあ、はあ……」
少女「…………」ボーゼン
メリー「……涎伝ってるぞ」スッ
少女「いやああああっ!!」ズザザザ
メリー「……」
少女「なっ、なっ、なっ、なっ……」
少女「何するんですか、いきなりっ!!」ブワッ
メリー「泣くほどか」
少女「っはじめてだったんですよ!」
少女「それに、助けてくれたと思ったのにっ……!」
少女「結局っ、メリーさんまで……うう、」グスッ
メリー「……」
少女「う……、そ、そういえば……」グスン
少女「な、なんで願いを叶えたのに、殺さなかったんですか?」
メリー「……願いを決める権利はこちらにもあるということだ」
少女「……??」
メリー「貴様を助けたのは、俺が勝手にしたことだ」
少女「……メリーさん……」
少女「」ハッ
少女「っで、でも、いきなりあんなこと!!」
メリー「いきなりじゃなきゃ良かったのか?」スッ
少女「ひいいいいっ!!」ズザザザ
少女「!!」ビクッ
メリー「意識が戻りつつあるようだな」
メリー「少女、行かなくていいのか」
少女「行きたいん、ですけど」
少女「こ、腰が抜けて……」
メリー「……」ハァ
少女「なっ、なんですかその溜め息! 半分くらいメリーさんのせいですよ!」
メリー「どこから出れば、あまり人に見つからない」
少女「へ? あ、あっちの非常口からなら……って!!」
メリー「行くぞ」
少女(おおおおお姫様だっこ!?///)カァァァァ
少女「だっ!」
少女「大丈夫! 一人で歩けますっ!!」
メリー「腰が抜けたんじゃなかったのか?」
少女「だ、誰かに見付かったら……」
メリー「だからこの非常口から出るんだろう」
少女「まだ靴も履き替えてないしっ!」
メリー「戻るのか? もう奴らが目覚めているかもしれないぞ」
少女「う、」ビクッ
メリー「そしたら、もう俺は助けない」
メリー「貴様は奴らの怒りを買って酷く弄ばれるだろうな」
少女「ひっ……」ジワッ
メリー「……貴様、本当に泣き虫だな」
少女「うっ、うるさいですっ!」グスッ
少女「……このまま、連れていってください」
メリー「雑だ。もっと詳細に、丁寧に頼め」
少女「い、いやで」
メリー「じゃなきゃ戻……」
少女「言います! いやじゃないです!」
少女「こ、このまま、……お姫様だっこのまま、家まで連れて帰ってください。お願いします……」
メリー「ふん、いいだろう」
少女(やっぱりドSだ、この人……)グスッ
メリー「……」ジッ
少女「な、何ですか」ミガマエ
メリー「何もない」
少女「……??」
少女「……今日は散々な一日だった……」ゴロン
少女(ファーストキスまで奪われるし……)
メリー「またその要塞か」
少女「もう入ってこないでくださいね」ムスッ
メリー「……そんなに、あれが嫌だったか?」
少女「……」
少女「いやですよ」
少女「だって、助けてもらったとはいえ、まだ会ったばかりの人(?)に無理やり……」
メリー「俺は貴様を気に入った」
少女「……はい?」
メリー「その泣き顔や怯えてる顔を、もっとよくみたいと思う」
少女「ああ……はい」
メリー「だから殺さなかった」
少女「……それと今の話と、なにか関係が?」
少女「なんで!」
メリー「言っておくが、俺は貴様をいつでも殺せるんだぞ」
メリー「俺の気分しだいでな」
少女「う……ま、またそれですか」グッ
少女「も、もう怯えませんよ! メリーさんには負けませんからっ!」ブルブル
メリー(要塞の中から言われてもな)
少女「……もう今日は寝ます」グスッ
メリー「そうか」
少女「おやすみなさい、メリーさん」
メリー「……おやすみ」
少女「」コソッ
メリー「……」ジッ
少女「!!」ビクッ
少女(お、起きてた……っていうか見てた……)ドキドキ
少女(……そういえば、メリーさんって、幽霊……なんだよね?……)
少女(……契約……)
少女(何者……なんだろう……)
メリー「……」スッ
スタ…スタ…
少女「……すぅ、すぅ……」
少女「ふあぁ……」ノビッ
メリー「おはよう」
少女「あ、メリーひゃん……おはよーございます……」ファァ
メリー「学校はいいのか」
少女「今日は土曜日ですよー……」
メリー「……貴様、朝弱いのか?」
少女「ちょっと……、顔洗ってきます」
少女「ふー……」パッ
メリー「」スッ
少女「ぬわあああ!?」
メリー「ふむ、及第点だな」
少女「いきなり鏡に表れないでください! 心臓に悪い!!」ドキドキ
少女「っていうか何ですか及第点って……!」
メリー「驚き方だ」
少女「これわざとですか!!」
メリー「そんなことよりさっさとしろ、出掛けるぞ」
少女「はっ? き、休日は勉強を……」
メリー「……つまらん人生を歩んでいるな、貴様は」
少女「し、失敬な。メリーとこうして話してるだけでも十分刺激的な人生になってますよ!」
少女「なっ」ムカチン
少女「いやですよ! 土曜日は勉強するってきめてるんです!」
メリー「そうか……ならば指の一本でももげば言うことを聞くか?」
少女「ひいっ!?」ビクッ
メリー「どんな声で泣くか楽しみだな……」ニヤ
少女「いやああああ! 着替えます! 着替えますからああっ!!」
メリー「わかればいい」
少女(絶対遊ばれてる!)
少女(で、でも怖いよおぉ……)グスン
また夕方きます
少女「……あの」
メリー「なんだ」
少女「まさか、その格好で街を出歩く気ですか?」
メリー「貴様は俺に全裸で出歩けというのか?」
少女「違います!!」
少女「そうじゃなくて、そのローブみたいなの、街に出たらもの凄っっく目立ちますよ!?」
メリー「貴様の格好は目だたなさ過ぎだと思うが」ジミ…
少女「うっ……は、話を逸らさないでくださいっ」
少女「とにかく、その格好だと街じゃ浮いちゃいますよ。ただでさえ目立つのに……」
メリー「ならば、最初に行くところは決まったな」
少女「へ?」
少女「……」ブルブル
メリー「何をそんなに怯えている」
少女「……一人で入ったことないんです」
メリー「俺がいるだろう」
少女「ノーカウントですっ。第一透明化してるじゃないですか」
少女「え、えっと、男の人の服売場は……」
女子高生達「」キャッキャッ
少女「っ」ビクゥ!
少女「あ、あっちみたいですね。早く行きましょう……」コソコソ
メリー「……」
メリー「そうか、入るぞ」
少女「う、ほ、本当に入るんですか……?」
メリー「入らないと服が買えないだろう」
少女(私のお金なのに!)
少女「だ、だって、女一人で男性服売場に入るなんて、変じゃないですか……」
メリー「だから、適当に服を選んで、試着室とやらに入ればいいんだろう?」
少女「……わ、わかりましたよう……」
少女「あ、メ、メリーさん、これなんてどうですか?」
メリー「却下。ダサい」
少女「てっ、適当でいいって言ったじゃないですか!」
メリー「貴様、今見もしないで服を取っただろう……」
少女「うぐっ」
客「」ガヤガヤ
少女(視線が気になる……)
少女(誰も見てないことなんて分かってる、けど……)
客「」ヒソヒソ
少女「っ」ビクッ
少女(さっさと選んじゃおう……あ、これなんて……)カチャカチャ
少女「メリーさん、これはどうですか?」
メリー「……さっきのよりは随分マシになったな」
少女「ちゃんと選びましたよ」
メリー「まあいい、着替えてやろう」
少女(上から目線だなあ……)
メリー「ああ」
少女「そうですか。……あの、メリーさん」
メリー「?」
少女「何で突然出掛けようなんて言い出したんですか?」
メリー「出歩けば、貴様の願いが見付かるかもしれないだろう」
メリー「貴様は意図的に他人との関わりを避けているからな」
少女「そ、そんなこと……」
メリー「ない、か?」
少女「……」
メリー「ふん。まあそれに、他人とすれ違うだけでビクビクしている貴様を見るのも楽しいしな」
少女「なっ!! そ、そっちが本分でしょう!」
メリー「どうかな」クック
少女「うう……」
少女「あ、えっと、じゃあ、て、店員さんを呼ん、で……」
少女「……」ボー
メリー「? どうした」
少女「っ!」ハッ
少女「なっ、何でもないです! 店員さん呼んできますっ!」ダッ
メリー「……?」
少女(が、外国のモデルさんみたい……着替えるだけで別人だよ……)
少女「あ! あのっ、すいません、試着したものを、そのまま着て帰りたいんですけど……」
また夜きます
メリー「……」
周囲「」ザワザワ
少女「……」ビクビク
少女(うわあああ!! 視線が痛いよ――!!)
少女(これは勘違いじゃないよね、あきらかにメリーさん目立ちまくってるよね)
少女(こんな目立つ人の隣にこーんな地味な私! 逆に目立つわっ!!)グスッ
少女「メ、メリーさん、もう出ませんか……?」
メリー「何をいう。まだ来たばかりだろう」
少女(なんかちょっとご機嫌だし!)
メリー「……」
メリー「少女」
少女「な、何ですか」ヒソ
メリー「髪にゴミが付いているぞ」スッ
少女「え? あ、すいませ……って!」
少女(ま、また無意味に近いっっ!!)
周囲「」ザワ…ザワ…
少女(ああああ視線がああああ――!!)サァァ
メリー「どうした? 顔が青いぞ」ニタニタ
少女「なっ! わ……わざとですか!?」
メリー「俺は髪についたゴミを取ってやっただけだ」
少女「ゴミ! 見せてください!」
メリー「もう捨てた」
少女「っ~~!!」ウルウル
メリー「おい、どこにいく?」
少女(確かこの辺りに……)
少女(あっ、あった)
メリー「本屋か」
少女「」ビクッ
少女「つ、ついてこないでくださいよ」
メリー「……俺にそんな言葉を吐く口はこれか?」
少女「っひい! な、なんでもありません!」
メリー「しかし、貴様は本好きだな。貴様の部屋にも本が山積みされていただろう」
少女「……本は一人の世界になれるから、好きなんです……」
少女「あ、この本文庫本になったんだ」パアッ
メリー「そんなに買うのか?」
少女「だってショッピングセンターなんてたまにしか来ないですもん」
少女「まとめ買いしておかないと……続編なんだ、へえ~」
メリー「ふうん……」
少女「うーん、あ、あとこの本も。メリーさん、ちょっと持つの手伝ってください」
メリー「断r」
少女「はいっ」キラキラ
メリー「!?」ズシッ
少女「あっちのコーナーにも行きましょう! あ、メリーさんも興味がある本があれば買ってあげますよ!」ヒョイッヒョイッ
メリー「おい、ちょっ、乗せるな、前が見えな……」
少女「~♪」
少女「いりますよ」
メリー「おい少女、この本は貴様の本棚で見たことがあるぞ」
少女「良い本は二冊揃えるのが基本ですっ」
少女(……あれ、この本)
メリー「おい少女、この似たような女ばかり描かれた表紙の大量の本は……」
少女(新・都市伝説……)
メリー「おい少女、聞いているのか」
少女「……この本もお願いします」ヒョイ
メリー「……」
メリー(帰ったら泣かす)ピキピキ
ウィーン
メリー「……まさか本当に全部買うとはな」
少女「うふふ、良い買い物をしました」ホクホク
メリー「荷物が重い。さっさと帰るぞ」ゲンナリ
少女「えっ」
少女(や……やった!!)
少女「そうですねっ! はやく帰りましょう!」
メリー「嬉しそうだな」ジト
少女「ま、まさかあ、そんなことないですよー?」
メリー「……俺に荷物まで持たせて、覚悟はできているんだろうな」
少女「わ、私だって買い物に付き合ってあげたじゃ……」ビクビク
メリー「口答えか?」
少女「すいませんごめんなさいっ!!」
少女「ふーっ」ドサッ
メリー「本はいいのか?」
少女「はい、仕分けした後読みますから」
少女「あ、そうだ……」
メリー「?」
少女「今日はありがとうございました。(メリーさんのせいで視線浴びまくっちゃったけど……)おかげで、たくさん本が買えました」
メリー「()の部分はいらないな」
少女(ど、読心術!?)ハウアッ
少女「あの、それで、これ、お礼です」キラッ
メリー「……腕輪か?」
少女「はい。こういうの、何を買えばいいか分からなくて、目に入ったもの、選んじゃいましたけど……」エヘヘ
少女「う゛」ドキッ
メリー「ふん、物で釣るとは意外と強かじゃないか」
少女「な、何のことでしょうか……」
メリー「おいおい、俺は褒めているんだぞ?」
少女「……だ、だって、覚悟はできてるんだろうな、とか言うから……」グスッ
メリー「良かったな、俺は今日機嫌がいい」
少女「え?」
メリー「付けろ、そしたら許してやる」
少女「っ、え、と……わ、わかりました……」
メリー「……」
少女「……」チャラ、チャラ…カチッ
クイッ
少女「よ……?」
少女「っ、」(近い近い!!)
メリー「少女」ジイッ
少女「な、何でしょうか……」
メリー「……」
少女「あ、あの、ち、近いんです、けど……」ドッ、ドッ
少女(っもしかして、また、図書館のときみたいに……?)
少女「メ、メリー、さん……?」ビクビク
メリー「……ふん」ニヤ
パッ
少女「え、あ、あの」
メリー「覚悟しておけ、と言ったろう」
少女「……そっ、それがこれですかあっ!?」ボロッ
メリー「貴様は本当にすぐ泣くな」クック
少女「おどかさないでくださいよ! ……幽霊にいうのもなんですけど、」
メリー「今日は貴様が調子に乗って、あろうことか俺を扱き使ったからな」
メリー「どちらの立場が上か、はっきりさせておかなければいけないだろう?」
少女「私はペットか何かですか!」
少女「ふん。私は本の仕分けしますからっ」グスッ
メリー「……」
グイッ
メリー「」ペロッ
少女「…………へ?」
メリー「面白い顔だな。及第点だ」
少女「……なっ、なっな、涙、なめ……///」
少女「いやあああああっ!!」
…あれ?
メリー「おい少女」
少女「メリーさんなんてしりません」グスッ
メリー「……」
少女「……」
メリー「図書室」
少女「そのワードは聞きたくありませんっ」
メリー「……」ハァ
少女「あ、あの時のことだって、雰囲気に流されちゃいましたけど、許したわけじゃありませんからっ!」
メリー「堅物」
少女「柔いよりいいです!」
少女「と、とにかくっ、今日はもうここから出ませんから」ムスッ
メリー「たかが頬を舐めた程度で……」
少女「声に出さないでくださいこのへんたいっ!///」グスン
少女(新・都市伝説……ええっと、メリーさん、メリーさん……)パラパラ
少女(あった、67P)ペラ
少女(『メリーさんの電話』……)
少女(基本の話は一緒かあ。契約については……載ってないか)
少女(ん、なになに)
少女(『メリーさんとは、どの話に基づくにせよ、何らかのきっかけで生まれた悪霊である』――)
少女(……悪霊……)
少女(メリーさんが?)コソッ
メリー「」ニヤリ
少女「」ビクッ
少女(ありそー……)ドキドキ
少女「」ウト、ウト
少女「――すー……すー……」
メリー「……」スッ
―――
―…
…
少女「……ふあぁ……」
少女「おはようございまひゅ……メリーさ……」
少女(あれ?)
少女「……メリーさーん?」
少女(いない)
少女「メリーさん……?」
少女(……どこ行ったんだろう……)
少女(…………って! なんで私ちょっと落ち込んでるの!?)ハッ
少女(あの人がどこにいこうと勝手だもんっ)
少女(……顔洗おう)ファァ
少女(……これで顔上げたらいたりなんかしないよね)
少女「……」ソー
ポツン
少女「……」
少女(だっ、だから何でちょっと落ち込んでるの私っ)ハッ
少女「よし、今日はメリーさんに邪魔されずに勉強するぞー!」オー!
少女「……」
少女「おーっ」
少女(なんか……調子狂うなあ)
カリカリ
カリカリ
カリカリ
少女(メリーさん、どこ行ったんだろう)
カリカリ
カリカリ
カリカ、ッ
少女(もしかして、もう戻ってこないのかな。でも、契約が……)
カリ…カリ…
カリ…
少女(それなら、私にとって好都合じゃない。なのに……なのに……)
少女(……全然集中できない……)グスッ
ガヤガヤ
少女(着ちゃった……)ブルブル
少女(ううう、でもこんな場所にいるはずないよね……)グスッ
少女「はあ……メリーさーん、どこですかー……」
少女(こうなったら、行くしかない……)
少女「……」ガクガク
少女(今度こそ、本当に一人だ……)
少女(でも、開店したばっかりで人は少ないな)ホッ
ウロウロ
少女「……いない、かな……」
少女(あ、ここ、昨日きた店だ)
少女(着替えたメリーさん、すごく目立ってたよなあ)アハハ…
少女(……ここに来たのは、願いを見付けるためだったんだよね……)
少女「私の願い……」
少女「死んでも叶えたい、死んでも叶えられないような夢かあ……」
少女(そんなの、わかんないよ……)
少女(結局メリーさんは見付からなかったけど)
少女「ちょっと休憩……、あ、ベンチがある」
ドサッ
少女「うー、メリーさんどこ行ったんだろ……」ハァ
少女(……もし、)
少女(もしも、このままメリーさんが見付からなかったら)
少女(契約は、多分うやむやになって、私は死ななくてもいい)
少女(メリーさんに振り回されることもなく、普通に毎日をおくれる)
少女「……やだな」
少女(あの怯えてばかりの、怖くてつまらない毎日を)
少女「メリーさん……」グスッ
少女「メリー、さんっ」ボロボロ
メリー「なんだ?」
メリー「どうした、俺を探してたんだろう」
少女「…………なっ、なんでさも当然のように座ってるんですかあっ!」ポロポロ
少女「い、今までどこにいたんですか!?」
メリー「数分前からは貴様の後を尾けていたな」
少女「なっ」
メリー「『久しぶりにこんなに……』の辺りからずっと隣にいたぞ?」
少女「とっ、透明化はずるいですよ!」
メリー「ふん、てっきり家で勉強でもしているかと思えば、こんな所にいるとはな」
少女「うっ、し、しようと思いましたよ! でも集中できなくて……」
メリー「何故だ。貴様が集中できないとなると、よっぽどの理由なのだろう」ニヤ
少女「うぐ……」
少女「……はあ、探したんですよ、メリーさん……」
少女「心配したんです、から……ちょっと」グスッ
メリー「……ああ、悪かった」ポン
メリー「……」
少女「黙秘ですか」
メリー「プライベートだ」
少女「人のプライベートにはずかずか踏み込んでくるクセに……」ムスッ
メリー「貴様には関係のないことだ」
少女「……別に、いいですけど」
メリー「……」
少女「……」
メリー「……」
少女「……あの」
メリー「……」
少女「願いについて、一つ聞いてもいいですか?」
メリー「……そうだ」
少女「じゃあ、」
少女「……」
メリー「……」
少女「……やっぱりなんでもありません」
メリー「はあ?」
少女「聞かなかったことにしてください」
メリー「そこまで言っておいてか? 言え」グニッ
少女「ひゃっ!? は、はにゃひてくださひっ!」
メリー「言え。いいな」
少女「ひゅいまひぇん! 言いまふ! 言いまふからはなひてえ!」グスッ
メリー「ふん」パッ
少女「ほ、頬がじんじんする……」
メリー「前置きはいい」
少女「うっ……、その、もし」
少女「もしも私が、もっとメリーさんと一緒にいたいって願ったら……どうなるんですか?」
メリー「……」
少女「……あの、」
メリー「……後悔するぞ」
少女「へ?」
メリー「その願いは、必ず貴様を後悔させる」
少女「そ、そんな……」
メリー「確かにそう願うことは可能だ」
メリー「そして、貴様が死ぬときか、俺があきるまで、共にいることができる」
少女「メ、メリーさんが飽きてもダメなんですか!?」
メリー「だが、それはつまり、貴様の命が一生捕われることになるんだぞ」
メリー「願いを変更することはできないからな」
メリー「人間の感情は移ろいやすい」
メリー「何年後か、もういっそ死んだほうがマシだと思うかもしれないだろう」
少女「……」
メリー「俺は悪霊だ。貴様が読んでいた本にあったようにな」
少女「見てたんですか」
メリー「透明化も霊の特権だ」
メリー「……今日俺がいなかったのも、その為だ」
少女「え……?」
メリー「俺は、貴様との契約を破棄する」
メリー「安心しろ、貴様を殺すわけではない」
メリー「殺して帰るならさっさとやっている」
少女「……じゃあ……」
メリー「契約破棄の一度や二度、」
少女「ま、待ってくださいよっ!」
メリー「……」
少女「そ、それじゃあ、メリーさんが今日いなかったのは、私を殺さずに帰るためなんですか……?」
メリー「そういうことだ」
少女「っなんで」
メリー「言いださせないつもりだった、貴様に」
少女「……?」グスッ
メリー「さっきのような願いを、だ」
メリー「そもそも、ここに戻ってくるつもりもなかった」
少女「もしかして……」
メリー「もう貴様と俺の間には、何もない」
少女「……」
メリー「ただの悪霊と人間だ」
少女「そんな……」ポロポロ
メリー「なぜ泣く。貴様にとっては都合がいいはずだろう」
少女「っ……勝手です、メリーさん……」
メリー「別れを告げにきたやっただけでもありがたいと思え」
少女「う、うっ、ひ、く……」グスッ
メリー「この泣き虫が……」
スッ
少女「んっ、――――!」
メリー「――……、は」
少女「メ、リー……さん」ポロポロ
メリー「……さようなら、少女」
少女「……メリーさん」
少女「……」
少女「……メリー、さん」
少女「……」
少女「……」
少女「……」
少女「…………」ポロッ
少女「うっ、ひ、っく……」ポロ、ポロ…
少女「う、あ、うあああん……うああああ……!!」
―――
―…
…
母「少女ちゃん、朝ごはんは?」
少女「いらない……」
少女「いってきます」
ガチャ
少女「……」
少女(あれから、結局メリーさん、姿現さなかった)
少女(もう一度、と思って電話してみたけど、繋がらなかったし……)
少女「……」
少女「当然だよね、」
少女「もう、あの人とは何の関わりも繋がりもないんだから」
少女「……」
少女「……」グスッ
少女(自分で言って悲しくなってどうするの……)
キーンコーン…
カーンコーン…
同級生「」ワイワイ
少女「……」
少女(学校なんて、楽しくない)
少女(勉強は好きだけど、同級生たちが何か話してるだけでビクビクする)
少女(陰口叩かれてるんじゃないかって、怖くて仕方ない)
少女(……メリーさんがいてくれたときは……)
メリー『おい少女、今からあの教師のカツラをずらすぞ』
少女『!? ちょっ、ダメですよメリーさん!!』ヒソヒソ
少女(馬鹿なこともしてたけど……)クス
少女(少しだけ、周りのことが気にならなくなった)
ジャー…
パシャパシャ
キュッ、キュッ
少女(まだ目、ちょっと腫れてるなあ)グシグシ
少女「……」ジッ
メリー『――だいたい、貴様は何に怯えている?』
少女『だ、だって、私暗くて引っ込み思案だし』
少女『友達もあんまりいないし、だから周りも……』
メリー『それは貴様のせいだろう』フゥ
少女『そ、そんな……』
少女『そう、ですけど……』グスッ
メリー『変わればいい』
メリー『まずは髪を降ろすことだな』
少女『え!? で、でも私、癖っ毛だし……』
少女「……」フサッ
メリー『降ろしたほうが似合う』
少女「……本当、ですよね。メリーさん?」ニコ
ガラッ
同級生「」ザワッ…
少女「……」ビクビク
少女(う、うわ、やっぱり視線が……)
少女(みっ、みんながこっち見てるよ……)ジワ
少女(もうすぐ授業始まるし、とにかく、席に……)ガタッ
同級生A「委員長、そんなに髪長かったんだ」
少女「……へ?」
同級生B「なんか髪降ろした少女ちゃんって斬新ー」
同級生C「そっちのほうが似合ってるよ!」
少女「そ、そうかな。ありがとう……///」
少女「」チラッ
少女(他の人も、一瞬見ただけで全然気にしてないみたい……)
少女(怖くない……)
少女(メリーさん、私、ちょっと勇気出せましたよ)
教師「先週やったとこの復習だが――……」
少女(……会いたいな……)
―――
―…
…
少女「……」ソーッ
少女(よし、図書室には誰もいないっ)
少女(あれから、あの人たち私にちょっかいださなくなったよなあ……)
少女(よっぽどメリーさんが怖かったんだね)アハハ…
少女「よしっ、委員会の仕事終わらせちゃおう」
カリカリ
カリカリ
少女「……」
カリカリ
カリ…カリ…
少女「……」ウト、ウト
少女(や、やばい、なんか、眠たい……)
少女(最近あんまり寝てなかったからか、な……)カリ…
少女「……すぅ、すぅ……」
プルルルルッ…
ガチャ
ザー…、『俺の名はメリー』ザッ、
ザザ『今、学校の前にいる』
少女(――え?)
ブツッ
ツー、ツー…
――…
少女(っ!!)ガバッ
少女「ゆ、夢……?」
プルルルルッ
少女(っ、!!)ビクッ
プルルルルッ
少女(……)
メリー『さようなら、少女』
メリー『だが、もし――』
ガチャ
ザザ『俺の名はメリー、今靴箱にいる』ザー…
ブツッ
少女「はい……」
『もし、俺から電話があったときは』
プルルルルッ
ガチャ
少女「もしもし」
ザザ…『俺はメリー、今一階にいる』ザッ
ブツッ
少女「……」
メリー『貴様が決めろ』
プルルルルッ
プルルルルッ
ザザ…『俺はメリー、今、二階にいる』ザー…
ブツッ
少女(あと一階……)
メリー『後悔したくないなら、振り向くな』
少女(メリーさんのばか)
少女(その言い方はずるいですよ……)
プルルルルッ
ガチャ
ザー…『俺はメリー、今三階にいる』ザザッ
ブツッ
プルルルルッ…
ガチャ
少女「もしもし」
ザザッ『俺はメリー、今……図書室の前にいる』ザー…
少女「はい……はい」ジワッ
ブツッ
少女「……」ドクン、ドクン
…
少女「はあっ……」
…
少女「……」
…
少女「……あ、あれ?」
少女(いやいや、最後の最後で電話かけないとか、メリーとしてやっちゃいけないでしょっ)
シーン…
少女(……)
…
少女(……)
…プルル
少女「はいっ!」
ザー…『……』ザザ
少女「……メリーさん、」
メリー「俺の名はメリー、今貴様の後ろにいるぞ」
メリー「……」
クルリ
少女「わ、私は少女っ……。少女ですよっ、メリーさん」
メリー「……貴様の願いは」
少女「メリーさんとっ」
少女「一緒に、いることです」ボロボロ
メリー「……いいだろう」
メリー「貴様のつまらない人生に付き合ってやる」
少女「……はいっ!」
メリー「俺の名はメリー。今貴様の後ろにいる」 ――おわり
見てくださってた方々、ありがとうございました
少女漫画みたいなSSでしたが、最後まで書かせてもらえて楽しかったです
少女&メリー「「ばいばーい」」
面白かった
いつかまた書いてくれ
メリーさんの電話番号教えてください
Entry ⇒ 2012.01.11 | Category ⇒ その他 | Comments (0) | Trackbacks (0)
P「皆が俺の事をハニーと呼んでくるぞ!?」
バン バンバンバン゙ン バンバン
バン(∩`・ω・) バンバンバンバン゙ン
_/_ミつ/ ̄ ̄ ̄/
\/___/ ̄
; ' ;
\,,(' ⌒`;;)
(;; (´・:;⌒)/
(;. (´⌒` ,;) ) ’
( ´・ω((´:,(’ ,; ;'),`
( ⊃ ⊃ / ̄ ̄ ̄/__
\/___/
P「お、おいおい……」
千早「……プロデューサーと美希って、私達の中でも特に仲良いわよね」
響「そうだなぁ……ちょっと羨ましいぞ……」
雪歩「うぅ、私だって……」
春香「みんな! それは違うよ!」
響「実際プロデューサーと美希、ラブラブに見えるぞ」
春香「うぅん、それは錯覚だよ!
私が思うに、本当は美希とプロデューサーの間の好感度と、
私達のそれに大した違いはないと思う」
雪歩「な、なんでそう言えるんですか?」
春香「今からそれを証明するからちょっと見てて」
美希「!?」
P「うおっ!
なんだ春香か。相談?」
春香「はい!
今、時間いいですか?」
P「あ、あぁ」
春香「じゃあ、ちょっと控え室に行きましょう、ハニー」グイッ
P「えっ、あ、引っ張るなって!」
……バタン
響「い、今の見たか?」
千早「えぇ……」
雪歩「す、すごいですぅ!」
「……って思うんですけど、ハニーはどう思いますか?」
「俺は、春香がやりたいようにやれたらそれで……」
「ありがとうございます、ハニー!」
千早「……なるほど」
プロデューサー自身は美希のことをそこまで特別視しているわけではないってことね」
響「目から鱗だぞ!」
雪歩「……でも、それってつまり、私達の誰も特別扱いされてないってことじゃ……」
「「「……」」」
響「うー……でもなんか自分、モヤモヤするぞ」
雪歩「……」スッ
ガチャッ
P「じゃあ、そう言うことで」
春香「はい! 頑張ります!」
雪歩「あ、あのっ……おつかれさまですっ!」
P「ん? あぁ、お疲れさま、雪歩」
雪歩「お茶入れたので、よかったらどうぞ……」
P「おぉ、ありがとう。ありがたく頂くよ」
雪歩「熱いので気を付けてくださいね……は、ハニー……」カァッ
P「ぶふっ」ブフッ
「「「!!」」」
雪歩「きゃっ! た、大変っ」フキフキ
P「す、すまん雪歩!」
雪歩「いえ、あの……やけどとかありませんか? は、ハニー……?」フキフキ
P「な、な、なんで急にそんな美希みたいな呼び方するんだ?」
雪歩「……私がハニーって呼んだら、いやですか……?」
P「そ、そう言うわけではないが」
P「別にかまわんが……」
雪歩「ハニー……えへへ」
P「な、なんか落ち着かないな……」
春香「雪歩……恐ろしい子!」
千早「てれたハニー呼びの破壊力はなかなかのものね」
響「なんか初々しくて、こっちまで恥ずかしくなってくるぞ!」
まさか控え目な雪歩がそれを使うことで、アドバンテージに変えるなんて」
千早「……これはちょっと、対策を考えないとダメね」
美希「……」
雪歩「ハニー、お茶をいれ直しましたからどうぞ」
P「あ、あぁ、ありがとう雪歩……」ズズッ
春香「うわぁっ!?」ビクッ
響「貴音、いつの間に!」
貴音「なるほど、確かにお慕いする殿方をはにぃとお呼びすることも、
やぶさかではありませんね。ここは一つ私も挑戦してみましょう」
春香「ま、またライバルが増えた!」
千早「今度はどう来るのかしら……」
雪歩「!?」
P「ぶっ……こ、今度は貴音か」
貴音「私もはにぃ、とお呼びしてよろしいでしょうか?」
P「なんだ? 美希の真似が流行ってるのか?」
貴音「いえ、これは真似ではありません。
皆、懇意にしている殿方への、愛情表現を模索しているのです」
雪歩「あ、あいじょう……」プシュー
美希は私達の中でも、もっともストレートにその表現を行っています。
なので、まずは私も彼女に習い、己の道を探す手掛かりにしたいのです。
……と、言うわけで。
はにぃ……」ギュッ
P「なっ……なんだ……?」
貴音「……呼んでみただけです」ギュッ
P「うおっ、どっ、ど、どうした?」
雪歩「……呼びたかっただけです……」カァッ
貴音「はにぃ……」ギュッ
雪歩「ハニー……」ムギュウ
P「もうなんだこれ」
千早「や、やるわね二人とも」
春香「ぐぬぬ……やっぱり普段とのギャップは無視できない要因だよ」
春香「亜美真美、やよいあたりも、真っ正面から使っても効果は薄いかもしれないね……」
ガチャッ、
あずさ「あらあら、なんだか楽しそうなことになってるわねぇ」
貴音「はにぃ♪」
雪歩「ハニーっ」
あずさ「んー、なるほど……大体の状況は飲み込めたわ。
私もちょっと行ってこようかしら」
響「順応早っ!」
千早「さすがね……」
一旦はなしてあげた方がいいんじゃないかしら?」
貴音「……それは失念していました。申し訳ありません、はにぃ」スッ
雪歩「ご、ごめんなさいハニー……」パッ
P「い、いや、……まぁ、とにかくちょっと行ってくるよ」
P「あ、ありがとうございます」
あずさ「気を付けていってらっしゃい……ハニー」ポソッ
P「!」ゾクゾクッ
あずさ「うふふ」ニコッ
P「い、いってきます!」
春香「耳元で……!」
千早「しかもさり気なく胸を……くっ」
響「さ、さすがに大人の魅力全開ってかんじだぞ!」
春香「いやぁ、参りましたよ」
千早「かないませんね……」ペタペタ
貴音「まだまだ研究の余地があるようです」
雪歩「でも、なんだかいつもより素直になれて良かったですぅ」
響「……あれ? 美希は?」
春香「え?」
千早「そう言えば、さっきからいないわね」
美希「ハニー!」
P「あ、今度は美希か。どうした?」
美希「忘れ物、届けに来たの!」
P「忘れ物? な、何かあったかな?」ゴソゴソ
美希「はい、この手袋なの!」
美希「これね……ミキからのプレゼントなの。
ミキが編んだんだよ? 初めてだから、ちょっと変かもだけど……」
P「おぉ……温かい。
ありがとう、美希。嬉しいよ、いやほんとに」
美希「あのね、ミキがハニーと一緒に居れないときも、
それを付けてたらミキと手を繋いでるのと同じなの!」
美希「みんながなんて言ったって、ハニーはミキのハニーなんだから!
忘れないでよね、ハニー!」
P「あぁ……わかったよ。
じゃあ行ってくる」
美希「ハニーっ、行ってらっしゃい!
早く帰ってきてなのーっ!」フリフリ
千早「そうみたいね」
響「いいなー手袋。自分もほしいぞー」ハァー
あずさ「今度、みんなで編み物大会するってどうかしら?」
貴音「それはまこと良き考えですね」
雪歩「私もハニーに……」グッ
【終わり】
面白かった乙
乙
響「……」キョロキョロ
響(……みんな帰ったかな?)
響「は……ハニー」ボソッ
ガチャッ
P「なんだ響、まだいたのか」
響「うわぁああああああっ!!?」ビクーン!
響「もー、驚かさないでほしいぞ……」ドキドキ
P「驚いたのはこっちだっての。
こんな遅くまで自主練か?」
響「ま……まぁそんなところだぞ」
P「そうか。頑張ってるな。えらいぞ」
響「え、えへへ……」
P「完璧の秘訣は弛まぬ努力の賜物、ってことだな」
響「あはは、プロデューサーなんだか貴音みたいだぞ」
P「そうか?
……あぁ、そう言えば今日はなんか貴音は変な感じだったな。
雪歩とかもだったが……なんだったんだろうな、あれ」
響「……」
P「は?」
響「うぅー……」カァッ
P「なんだそりゃ。
そろそろ鍵閉めるから、帰る準備してくれよ」
響「あっ……うん、わかったぞ……」シュン
P「よし、戸締まりOKっと。忘れ物は無いか?」
響「大丈夫だぞ。
……あ、プロデューサー、その手袋って……」
P「ん? あぁ、これか。美希がくれたんだ。温かくていいな。
今夜は冷え込むらしいから、響も気を付けろよ。
しかしこう風が強いと、やっぱり寒い……早く帰ろう」
響「……」ギュッ!
P「!?」
俺の背中になにかついてるのか?」
響「……ちょっとは、あったかくなるかなーって」ハァー
P「ははは、うん、温かいな響は。さすが沖縄出身だ」
響「それはあんまり関係ないぞ」
P「そうか?」
汗冷やさないようにしろよ。ちゃんと拭いたか?」
響「……いつもありがと、ハニー」ボソッ
P「え? なんだって?」
響「いっ、一回しか言わないからな! もう言わないぞ!」
P「なんだよ、気になるな。……あ、雪だ」
【おまけ終わり】
「ハニー!」「ハッニー♪」「はにぃ」
P「お前ら絶対面白がってやってるだろ!」
伊織(ど、どう言うことなのよこれは……!)
それが貴音にあずさに、雪歩まで……!
……それにしても、プロデューサーまでデレデレしちゃって!
なんなのよ、もう……!)
響「みんな急に素直にアタック出来るようになったみたいだな」
春香「そうだねー」
伊織(……素直に……)
プロデューサーにトゲっぽく当たってるかもしれないけど……)
千早「やっぱり気持ちを言葉に出すと、
それだけで表情も大きく変わるものなのかもね」
春香「あぁー、そうかもね」
響「言わないとわからないことも多いしなー」
伊織(……なによ、私だって……)
……コホン
伊織(……は、恥ずかしい……っ!
想像より遙かに恥ずかしい!
なんであんな素直にハニーとか言えるの!? 信じらんない……っ)カァッ
P「おーい、伊織、律子が呼んでるぞ」
伊織「はっ、はぁ!? わ、わかってるわよ!!」
P「うおっ、ご機嫌斜めだな……」
伊織(……あ)
方法はともかく、もっと素直にならなきゃ……
一応、その、あのプロデューサーにも感謝はしてるわけだし……)ブツブツ
律子「ちょっと、伊織、聞いてるの?」
伊織「あ、……うん」
伊織(素直に……か。
……私が素直になったら、プロデューサー、喜んでくれるのかしら)
P「なんだ? 伊織」
伊織「……その、私って、素直じゃないのかしら」
P「おいおい、いきなりどうしたんだ」
伊織「い、いいから答えなさいよ!」
P「んー、そうだなぁ……」
伊織「……そう。そうよね、やっぱり……」
P「でもさ、それが伊織らしさなんじゃないか?」
伊織「……え?」
P「強気でツンとしてるのも、らしくていいじゃないか。
俺は嫌いじゃないぞ、伊織のそういうところ」
伊織「な……っ」カァッ
P「いや、別に聞かれたから答えただけだろ」
伊織「うー……!」
P「まぁ、気に障ったなら悪かったよ。ごめんな」
伊織「……」
P「でも、確かにもう少しぐらい素直になっても……」
P「え?」
伊織「もうちょっとだけ、私らしい範囲で、素直になるわよ」
P「そ、そうか。まぁ、期待しておくよ。
そんなに無理することもないと思うが……」
プロデューサーのこと、……ハニーって呼ぶから」
P「……な、なんだって? 聞き間違いか?」
伊織「う、うるさいうるさい! ふ、二人っきりのときだけなんだからねっ!」
亜美「いおりん、二人っきりがどうかしたの?」ヒョコッ
伊織「あっ、あっち行ってなさいっ!」
【おまけ2おわり】
乙
もし思い付いたら書くかもだが。
ダダダダー ッギュ
P「うぉ!?なんだ亜美か」
亜美「んっふっふ~・・・ハニ→」
P「ふふふ、もう効かぬよ!いい加減慣れたわ!」
亜美「んえーつまんなーい!兄ちゃん乗り悪ーい!」
ギャーギャーベタベタ
真美「・・・」
こんな感じで誰か
真美「・・・よ、よし」
P「やめろ!こら亜美、し尻だけはやめて!」
亜美「んっふっふ~よいではないかよいではないか~」
真美「に、にいちゃん」
P「真美、亜美を止めて!尻がっ!」
真美「兄ちゃん!」
ピタッ
P「!?え?あ、お、俺?」
亜美「あー!兄ちゃん亜美の時とリアクション違うじゃーん!」
P「なんというかあの静まり返った空間で改めて言われると破壊力が・・・」
真美「は、ハニー・・・どうかな・・・可愛い?」
誰か書いてよ・・・
真美「え、えへへへ~トーゼンっしょ→」
亜美「ハニ→ハニ→亜美も可愛いっしょ?」
P「ハイハイ可愛いぞ~」ギュッギュ
真美「!」
亜美「んっふっふ~ハニ→は亜美の魅力にメロメロですなぁ」
P「お?そうか、ほーれ」ギュッギュー
真美「ふぁ・・・」
亜美「えー!兄ちゃんもう浮気しちゃうのー?」
P「亜美、戻ってるぞ」
亜美「あ、ハニ→!」
やよい「ただいま戻りましたー!」
ハニ→ニイチャンギャーギャー
やよい「どうしたんですかー?」
春香「実はカクカクシカジカで今は亜美と真美で検証中なの」
やよい「なるほどー」 テッテッテー
やよい「はい!ただいまです!・・・・はにー」
P「や、やよ、ぶふ!?」
亜美「うわっ兄ちゃん鼻血出てるよー」
真美「兄ちゃ、ハニーなんか真美の時より反応が・・・」
やよい「プロデューサーのことをはにーって呼ぶともっと仲良くなれるって春香さんから聞きましたー!」
P「そ、そうか春香から」
春香「やよい!シーッシーッ」
真美「兄ちゃん・・・さっきの反応、真美よりやよいっちのほうが可愛いんだね・・・」
P「いや、そんなことは・・・というかもう『ハニー』はいいのか・・・」
P「特にこの3人は妹みたいなものだと思ってる」
真美「妹・・・」
P「あれ、真美?・・・真美さん?」
真美「やっぱり呼び方が良くないんだね、兄ちゃん・・・ハニー」
P「も、戻すのか」
P「なんだやよい(この話題から離れたい・・・)」
やよい「『はにー』ってなんですか?」
P「知らないで言ってたのか・・・まぁ親しい男女というか、恋人同士で呼び合う時に」
亜美「んっふっふ~だからにいちゃ、ハニ→と亜美は恋人なんだよーん」
P「実際はこんな呼び方はしないと思うんだが・・・」
やよい「はにー」
P「もう一度頼む」キリッ
P「ど、どうした真美!?」
亜美「真美さんがなにやらお怒りですなーにいちゃ、ハニ→」
真美「ほ、ほら真美がこれで兄ちゃんの恋人!」
P「い、いやそれは」
亜美「んっふっふ~3人も恋人がいるなんて兄ちゃんモテモテですな~」
やよい「えぇーいいんですかプロデュ・・・はにー」
亜美「兄ちゃ、ハニ→太っ腹~!」
P「なぁ、今はこれで許してくれよ真美」
真美「真美は、真美だけの兄ちゃんが、ハニーが」
P「食後にデザートも付ける」
真美「~~今だけだかんね!今だけ3人の恋人!」
P「はいはい」
Pさんのハニーハントか
お前うまいな
P「さっきからチラホラ言い間違えてるし。慣れない呼ばれ方はこっちも疲れる」
やよい「うっうー!プロデューサーはプロデューサーですー!」
P「そうそう、その方がやっぱりしっくりくるな」
亜美「とかいっちゃって兄ちゃん、やよいっちの『はにー』は効いてたっぽいけど~?」ギュ
P「・・・コホン、その話はもう終わりだまとわりつくな」
真美「!」ギュ
P「真美まで」
真美「真美も見ててよねにいちゃ・・・」
真美「ハニー」
亜美真美やよい おちまい
真が見たいですお願いします
P「」
黒井「ハニ~☆」
P「」 バタッ
P「笑い事じゃないよ…こっちの身にもなってくれ」ハァ
律子「おモテになって、うらやましい」
P「…なんなら譲るぞ、律子」
律子「ひえ~、勘弁。あの子たちに囲まれたら体がいくつあっても持ちませんよ」
P「だろー?はぁーどっこいせ」
律子「おっさんくさ!」
P「疲れたんだよ、わかるだろ」
律子「…大変なのね、ハニーも」
P「!?」ガタッ
P「いやしかし」
律子「アイドルに散々呼ばれといて今更私にそんな反応することもないでしょ?ハ、ニ、イ?」フッ
P「ひゃああん」ゾクゾク
律子「ひゃあんて」(笑)
P「い、息を吹きかけるのはずるいぞ!」
律子「そこまで反応するとは思わなかったので…っとそろそろ時間ね。出発しなきゃ」
律子「行ってきますね、ハニー」ニコッ
P「オゥフ」
小鳥さんはよ
Entry ⇒ 2012.01.11 | Category ⇒ アイマスSS | Comments (1) | Trackbacks (0)
結衣「ペルソナ!」
ロードしますか?
YES / NO
▲
ブブブッ
京子「……!」ビクッ
京子「あ、あれ……ここは、保健室?」
京子「なんで私、保健室で寝てたんだろ」
『ずっと京子を守り続けて……独り占めしたかったの……』
『お前は、私じゃない…!』
『私が臆病だったから、否定しちゃって……ごめんね……』
『私を受け入れてくれて、ありがとう……』
京子「そ、そっか……私、あのまま疲れて寝ちゃってたんだ……」
京子(なんだか、夢見たいな話だけど……現実、なんだよね)
京子(心の中に、確かに歳納さんを感じられるし……)
京子「げ、もう放課後だ、午後の授業、完全にスルーしちゃった」
京子「ま、いいか……こんな時だし」
京子「結衣と千鶴は……」
京子「うーん、まだ起きてないか」
京子「あんな事があったんだから、仕方ないかも」
京子「特に結衣は、色んな意味でショックだっただろうし」
京子「千鶴も、ごめんね、巻き込んじゃって……」
京子「……」
京子「そだ、二人の荷物、保健室まで運んであげよっと」
京子「それに、千鶴の事を千歳に伝えておいてあげないといけないしね」
京子「うーん、流石にこの時間になると誰もいないなあ……」テクテク
京子「あかり達はまだ娯楽部に残ってるかもしれないけど……」
京子「千歳って、まだ残ってるのかな?」
ガシャッ
京子「おわ、何でこんな所にガラスが落ちてんの、あっぶないなあ……」
京子「って、あれ……」
京子「廊下の窓ガラスが、殆ど割れてる」
京子「何だろこれ、鋭利な刃物で切り裂いたみたいな跡だ……」
京子「……」
京子「え、お昼休みまでは、こんなんじゃなかったよね?」
京子「な、なにがあったんだろ」
ブブブッ
京子「……あーもー、なに?真冬なのに羽虫?」ブンブン
ツーツーツー
京子「……だめ、繋がらない」
京子「あ、あかりも、ちなつちゃんも、繋がらない……な、なんで?」
京子「他の生徒や先生も全然見かけないし……」
『多分、合わせ鏡のおまじないをしたのは、結衣だけじゃないと思う』
『シャドウは、願い事に準じて、勝手に動き出す』
『とても、危険な存在だわ』
ブブブブッ
京子「も、もしかして、これって、シャドウがやった事なのかも……」ゾクッ
京子「……ど、どうしよう……私、私どうしたら……」
京子「こ、怖いよ、ひ、一人じゃ、怖いよぉ……」ウルッ
『娯楽部の皆や、生徒会の皆が、ずっと幸せでいられますように』
京子「……!」
京子「そ、そうだ、落ち着け、私……」ゴシゴシ
京子「あの夜の私の願いは、嘘じゃないんだから……叶えるための努力をしないと……」
京子「そ、それに、私には、歳納さんが居てくれるんだから……!」
京子「い、今だけは、存分に怖がろう……」
京子「けど、4秒後には、立ち直れる……大丈夫……」
京子「……わん」
京子「……つー」
京子「……さん」
京子「……しー」
京子「……」
京子「あ、あははは、怖さがどっか行っちゃった」
京子「もう、怖くないよ、多分」カクカク
京子「けど、娯楽部にはあかりやちなつちゃんしか居ない……」
京子「なら、まずあかりとちなつちゃんの安全を確認した方が、いいよね」
京子「この時間なら、あかりやちなつちゃんは、娯楽部にいる可能性が高いと思うし……」
京子「よし、娯楽部へ行こう!」
ブブブブッ
~校舎玄関~
京子「げた箱にも、何かで斬ったような跡が……」
京子「いったい、何で斬ったらこんなにバッサリ斬れるんだろ」
京子「幸い、私の靴は無事だったけど……」ハキハキ
京子「……あかり達、大丈夫かな……」
ブブブッ
京子「……」ゾクッ
京子「な、なんだろ、また寒気が……ま、まあ、冬だからね」
京子「そ、それに、何か、変な音が……さっきから……」
ブブブブブブッ
京子「……」ゾクゾクッ
京子「い、いやいやいや、大丈夫」グッ
京子「こ、怖くない、怖く……」
京子(な、なんで、どうして、こ、こんな)
京子(さっき、結衣のシャドウと向かい合った時は、こんなに怖くなかったのに)
京子(や、やっぱり、私は、結衣が居ないと、駄目なのかな……)
京子(い、今から、保健室に戻って、結衣に助けを……)
京子「だ、だめ、結衣には頼れない」
京子「まだ起きる事も出来ない結衣に、頼って、どうするの……」
京子「わ、わたしひとりで、頑張らないと……」
京子「ちなつちゃん、あかり、待ってて!」タッタッタッ
京子「うあ、なにこれ、部室の扉が、真っ二つに斬られてる……」
京子「ち、ちなつちゃん!あかり!居る!?」
ちなつ『京子先輩、こんにちわ』
京子「ち、ちなつちゃん!無事だったんだ!よ、よかったぁ……」
ちなつ『無事って、当たり前じゃないですか、変な京子先輩』
京子「あ、あかりは!?」
ちなつ『……知りません』
京子(あかり、もう帰ったのかな?それならいいんだけど……)
京子「え、あ、うん、結衣はちょっと具合が悪くて、保健室で寝てるよ」
ちなつ『そうですか……』
京子「……ちなつちゃん、あの、校舎の窓が沢山割れてるの、知ってる?」
京子「そ、それに、部室の扉が真っ二つになってるし……いったい何が……」
ちなつ『きょおこせんぱい』
京子「え、な、なに?」
ちなつ『うふふふふふふふふふふふふふ』クスクスクス
京子「ち、ちなつちゃん?」
ちなつ『美味しいお茶葉が、入ったんですよ?』ニコ
ちなつ『さっき、杉浦先輩が来たから、このお茶勧めてあげたんですけど』
ちなつ『杉浦先輩、無視して校舎に戻っちゃって』クスクス
京子「あ、綾乃が?」
ブブブブブブッ
京子(え、ど、どうして、こんなに)
京子(どうしてこんなに、寒気が……)
京子(何時もの可愛らしいちなつちゃんが笑ってくれてるだけなのに、どうして)
京子(ど、どうしてこんなに怖いんだろ……)
ちなつ『きょおこせんぱい』ニコ
京子「は、はい!」
ちなつ『おちゃ、はいりましたよ、うふふふふふふふふ』
ちなつ『あはははははははははははははははははははは』
ちなつ『あははははははははははははははははははははははははははははははははははははははは』
京子「ち、ちなつちゃん……?」ゾクゾクゾクッ
京子(そっか、これは、ちなつちゃんのシャドウ……)
京子(ちなつちゃんも、合わせ鏡のおまじない、してたんだ……)
京子(な、なら、早く私も歳納さんを呼ばないと……)
京子「 」
京子(あ、あれ、私……身動きが取れない……声も……)
『本物の私は、私を否定した……自分の本心なのにね……』
『だから、私はもう、別の存在……』
『我は影、真なる我』
『蝿の王チーナ……』
『私は、私自身の願いを叶える……』
ブブブブブブブブブブッ
京子(だから、このシャドウは……ユイの時みたいに、人間以上の力を発揮してるんだ……)
京子(だ、だめ、わ、わたし、こ、怖くて、これ以上考え事が、できない、そ、そう……)
京子(そうだよ、お茶でも飲んで落ち着けば、怖さがなくなるよね……)
京子(ちなつちゃんが淹れてくれたお茶を……)
京子(それにしても、このお茶、中身がまっくろだ……)
京子(まるで地獄の穴みたいに……)
≪京子≫
ブブブブッ
ブブブブブブブブブブブブブブブブブブブッ
≪蠅達に近づくのも危険よ、恐慌を付与される≫
ブブブブブブブブブブブブブブブブブブブブブッ
京子(なんだろう、これ、羽音……?あ、そうか)
京子(これ、蠅の羽の音だ……)
京子(真冬に蠅なんて、おかしいなあ……)
京子(煩くて、何も聞こえないや……)
≪京子……≫
ブブブブブブッ
≪起きて≫
結衣「ん……」
結衣「あれ、私……寝てたの?」
結衣「た、確か、私、京子と話してる最中に、倒れて……」
結衣「……京子?何処?」
≪京子が危ない≫
結衣「……!」ビクッ
結衣「こ、この声は……私?」
≪部室に≫
結衣「思い出した……京子は、私を守るために、身を呈してくれた……」
結衣「京子が危ないなら、今度は、私が、私が京子を守らないと……」
≪私は貴女、貴女は私≫
≪貴女の望みは、私の望み≫
結衣「うん、そうだね……一緒に京子を助けよう……!」
結衣「うわっ、どうしたんだろ、これ、窓ガラス沢山割れてる……」
結衣「壁も、何か大きな剣で斬られたみたいになってる……」
結衣「いったい何が……」
ブブブブブッ
結衣「……?」
結衣「何、この音、虫の羽音?」
結衣「こんな真冬に虫なんて……」
綾乃『船見さん』
結衣「ひゃっ!?」ビクッ
綾乃『歳納京子は、どこかしら』
結衣「え、あ、ああ、私も、今探してる所なんだ」
結衣「多分、娯楽部の部室に居るんじゃないかなって思うんだけど……」
綾乃『……さっき、様子を見に行ったけど、吉川さんは知らないって言ってたわ』
結衣「え、じゃあ、すれ違いになったのかな……」
綾乃『……』
ブブブブッ
結衣「……」ゾクッ
結衣(な、なんだろ、突然寒気が……)
綾乃『歳納京子と、約束があるのよ』
綾乃『放課後、生徒会室に行くって言う、約束が』
結衣「そ、そうなんだ」
結衣「……じゃ、あの、一緒に娯楽部に行ってみる?」
結衣「京子、今度はいるかもよ?」
綾乃『害虫退治もしないといけないしね』
結衣「が、害虫?」
結衣(な、なんだろ、綾乃、様子が変だ……)
結衣(それに、綾乃、瞳が赤い……)
結衣(これじゃ、まるで、さっきまでのユイみたいだ……)
結衣(も、もしかして、綾乃も……)
綾乃『船見さん』
結衣「え、な、なに?」
結衣「綾乃……」
綾乃『私、待ってるから、何時までも』
綾乃『歳納京子との約束だから』
結衣「……」
綾乃『……』
結衣(私を騙そうとしてる目じゃ、無いよね……)
結衣「うん……判った、京子に会ったら、伝えておくよ」
綾乃『ありがとう』
結衣「じゃ、私は娯楽部に行くから」タッ
綾乃『……ええ』
ブブブッ
綾乃『……』
ブブブブブブッ
綾乃『デスバウンド……』ブンッ
バッキンッ!
ブブ…ブ……ブッ
綾乃『……蠅、耳触りよ』スッ
プチッ
………
……
…
アハハハハハハハハハハハハハハハハハ
結衣「こ、これ、ちなつちゃんの笑い声?」
結衣「なんだろ、これ聞いてると、凄く、凄く怖くなってくる……」ガクガク
結衣「……これは、もしかして、シャドウの能力?」
結衣「ちなつちゃんも、合わせ鏡のおまじない、してたんだ……」
結衣「……ど、どうしよう、私、私……こわくて、前に進めない……」
結衣「私、京子の王子様なのに、守らなきゃならないのに……」
結衣「私は……」
『私は王子様じゃなくて』
『結衣のことが好きだもん』
結衣「……!」
結衣「そ、そうだ、私は、船見結衣……」
結衣「王子様だからじゃない、船見結衣だから、京子を守りたいんだ!」
結衣「……なら、王子様じゃなくて、船見結衣のやり方で……!」
結衣「ちなつちゃーん」ボソッ
結衣「一緒にデートに行かない~?」ボソッ
結衣「……」
結衣「///」
結衣(うわあ、私、格好悪い、あんなに大見得切って色仕掛けとか///)
結衣(しかも、これ、無視されたら恥の上塗りなんだけど///)
結衣(け、けど、笑い声は止んだし……反応してくれてるって事だよね?)
結衣「ち、ちなつちゃー……」
チーナ『お待たせしました、結衣先輩』
結衣「ひぃ!?」ビクッ
チーナ『結衣先輩から誘ってもらえるなんて、感激です』
結衣「そ、そう、それは良かった」
チーナ『結衣先輩、えっちな事、いっぱいしましょう……』
結衣「え///」
チーナ『もう、照れてる結衣先輩も素敵です、結婚したいです、そして子供を作りたいです』
結衣「あ、ありがとう、ちなつちゃん……あの、京子は、どうしたのかなー?」
チーナ『京子先輩なら、私の笑顔でメロメロになっちゃってますよ』
結衣「……は?」
チーナ『……見ますか?私の魅力でメロメロになった京子先輩を……』
チーナ『あのだらしない顔を見れば、きっと、結衣先輩も諦めがつくと思いますよ……』
チーナ『ふふふ……見れば判りますよ』
チーナ『ほら、結衣先輩、中に入りましょう……?』
結衣「……酷い事してないよね?」
チーナ『酷い事なんて、してませんよ、寧ろ、良い事をしてあげたんです……』
チーナ『ほら……』
結衣「きょ、きょうこ……?」
京子「ちなつちゃんの笑い声が……声が……ちなつちゃんが……」ガクガク
チーナ『ほら、京子先輩、私の魅力でメロメロになっちゃってるでしょう……?』
チーナ『もう私の名前しか口にしてない……京子先輩は私の恋の奴隷……』
結衣「え、い、いや、恋の奴隷っていうか……」
結衣(さっきの私みたいに、恐慌して動けなくなってる……?)
京子「……」ガクガク
ちなつ「京子……しっかりして!」
チーナ『無駄ですよ、もう結衣先輩の声も届かない、快楽の向こうに居るんです……』
チーナ『ですから、結衣先輩、もう京子先輩の事は諦めて……』
結衣「……ちなつちゃん」
チーナ『何ですか、私の結衣先輩……』
結衣「京子を、解放してあげて」
結衣「ちなつちゃん、お願い……私、乱暴なことは、したくないよ」
チーナ『どうして、ですか、何時も』
チーナ『何時も何時も何時も何時も京子先輩ばっかり』
チーナ『ずるいですよ、幼馴染だからって』
チーナ『もっと、もっと私を見てください……』
チーナ『私だけを見てください!結衣先輩!』
ブブブブブッ
結衣「これは……校舎でも聞こえた虫の羽音?」
チーナ『……それとも、やっぱり、そうなんですか?』
結衣「ちなつちゃん?」
チーナ『結衣先輩は……本当は、本当は私のことを……!』
チーナ『私のことなんて……!』
チーナ『メロメロにして……何も考えられないようにしてあげますから……!』ブワッ
ブブブブブブブブブブブブブブブブブブフッ
結衣「こ、これは、蠅……!?部屋の四方から沢山の蠅が……」ゾクッ
結衣(何だ、また、さっきみたいに恐くなってきた……)
結衣(そ、そうか、ちなつちゃん、笑い声だけじゃなく、この蠅達を使って恐慌を付与するんだ……)
結衣(な、なら、蠅に纏わりつかれる前に……何とかしないと!)
結衣(お願い、力を貸して……!)
チーナ『……結衣先輩、好きです、愛してます……』
結衣「…ル……」
チーナ『これで、私を見てくれますよね……』
結衣「……ソ…」
チーナ『私だけを……』
結衣「………ナ」
チーナ『結衣先輩……?』
結衣「……キングフロスト!」
パリーン
マハブフーラッ
カキーン
チーナ『こ、これは、部屋が、全部凍りついた……!?』
結衣「蠅も、全部凍結させた」
結衣「ちなつちゃん……もう止めようよ、私はちなつちゃんの事を……」
チーナ『……まだですよ、結衣先輩』
チーナ『私の眷属は、校舎にも一杯いるんですから……それを呼べば』
サバトマッ
シーン
チーナ『ど、どうして?どうして私の招き寄せに眷属達が反応しないの……!?』
チーナ『……校舎で何かあったって言うの!?』
ブブブッ
綾乃『歳納京子が何処にいるかは判らないけど……』
綾乃『蠅の耳障りな羽音のせいで、歳納京子が生徒会室に辿り着けないかもしれない……』
ブブッ
綾乃『これで、最後』ザシュッ
………
綾乃『さあ、これで静かになったわ』
綾乃『歳納京子……待ってるわよ』
綾乃『約束どおり、生徒会室で……』
チーナ「ど、どうして……」
結衣(ちなつちゃんが戸惑ってる……)
結衣(今なら、ちなつちゃんを倒すことが出来そうだけど……)
結衣(私の望みは、ちなつちゃんを倒すことじゃない)
結衣(京子が私にしてくれたみたいに……私もちなつちゃんを、助けてあげたいんだ)
結衣(本物のちなつちゃんが、シャドウを受け入れてあげれば、あのシャドウも大人しくなるはず)
結衣(けど、けど、本物のちなつちゃんは、いったい何処に……)
≪結衣≫
結衣「え、この声は、もう1人の私?」
≪この部屋に、温度が下がりきっていない存在が4つある≫
≪ひとつは貴女、ひとつは京子、ひとつはシャドウ≫
結衣「そ、そうか、だったら残るひとつは……もしかしたら……!」
ちなつ『……ゆ、結衣先輩、私は、私は諦めませんよ……』
結衣「……ありがとう、ちなつちゃん」
ちなつ『……え?』
結衣「何時も、私に好意を向けてくれて、ありがとう」
結衣「私に笑いかけてくれて、ありがとう」
結衣「私なんかを気にしてくれて、ありがとう」
チーナ『結衣、先輩?』
結衣「けどね、私……知ってるんだ」
チーナ『な、なにをです?』
結衣「ちなつちゃんが、ちょっと腹黒な所」
ガタンッ
結衣「私と親しくなる為に、色々と工作してたって言う事も、実は知ってる」
ガタンガタンッ
結衣「けど、けどね、私」
結衣「そういう、ちなつちゃんも、嫌いじゃないよ?」
結衣「私に対して、一生懸命努力してくれてる子を、嫌いになんてなれるわけないじゃないか」
チーナ『ゆ、ゆいせんぱい……』
チーナ『……ど、どうしてそれを……』
結衣「私のペルソナは対象の温度を下げる能力があるから……」
結衣「例え、壁越しにでもちなつちゃんの体温を察知する事ができる……」
結衣「だから、ちなつちゃんが何処にいるか、判るよ」
結衣「姿は見えなくても、声は届いてるよね、ちなつちゃん」
結衣「だから、お願い、自分の影を、否定しないであげて」
結衣「私、もっと知りたいよ、ちなつちゃんの可愛いところ以外も」
結衣「嫌な所も、怒る所も、悲しむ所も……もっと、もっと……」
結衣「ちなつちゃん……お願い、心を開いて……」
結衣「ちなつちゃんがどんな子でも、私は大切に想うから………」
結衣「ちなつちゃん……」
結衣「ちなつちゃん?」
チーナ『ありがとう、ございました、私なんかを、大切に想ってくれて』
チーナ『私、やっと、やっと受け入れてもらえました……本物の私に……』
結衣「ちなつちゃん……」
チーナ『ゆいせんぱい……本物の私、泣いてるみたいです……』サラサラ
チーナ『今だけでいいですから、優しく、慰めてあげてください……』サラサラ
チーナ『けど、甘やかし過ぎちゃ、だめですよ、私って、すぐに調子に乗りますから……』サラサラサラ
結衣「うん、判った……」
チーナ『じゃあ、ゆいせんぱい、またね……』サラサラサラサラ
結衣「またね、ちなつちゃん……」
ガラッ
結衣「ちなつちゃん、大丈夫?」
ちなつ「……はい」グスン
結衣「ちなつちゃん……」
ちなつ「わ、わたし、ずっと、ずっと怖かったんです……」ヒック
ちなつ「本当は、本当は結衣先輩に嫌われてるんじゃないかって」グスン
ちなつ「だって、だって、わたし、わたし、いけない事考えちゃう子だから……」ヒック
ちなつ「あかりちゃんや、京子先輩にも、いっぱい、いっぱい迷惑かけてますから……」
ちなつ「だ、だから、私、あの晩、結衣先輩に嫌われませんようにって、お願いを……」ヒックヒック
結衣「……そっか」ナデナデ
結衣「ん、いいよ、私達はね、ちなつちゃんに迷惑かけるのも、かけさせられるのも、嫌じゃないから」ニコ
結衣「そうだろう?京子」
京子「こ、こわい、こわいよ、蠅こええええ……」ガクガク
結衣「……」
結衣「キングフロスト」パリーン
結衣「いい加減、目を覚ませ」ホホピタ
京子「ひやっこい!」ビクーン
ちなつ「ふ、ふふふ…結衣先輩、京子先輩、おっかしい」クスクスクス
結衣「これは……悪魔のカード?」
ちなつ「悪魔……」
ちなつ「そっか、もう一人の私、このカードの中に……」
ちなつ「ふふふ……、私、悪魔でもいいです……」
ちなつ「結衣先輩に、嫌われないって判ったから、例え世界を敵に回す存在になったって、平気です」ニコ
結衣「ちなつちゃん……」
ちなつ「結衣先輩、ありがと……う、ござ……います」
ちなつ「あと、デートの約束……わすれな…いで…」カクン
結衣「おっと……」
結衣「……流石ちなつちゃん、あの状況でも、約束が聞こえてたんだ……」
結衣「……デートはまた今度ね……今は、ゆっくり休んで……」ナデナデ
●京子のペルソナ
歳納さん(女教皇)
原型:スカアハ
スキル:アムリタ・他
特徴:氷結攻撃に強い
●結衣のペルソナ
キングフロスト(皇帝)
スキル:マハブフーラ・他
特徴:火炎攻撃に弱い
≪スキル補足≫
アムリタ:味方全体の状態異常を治療
マハブフーラ:敵全体に中威力氷結を放つ魔法攻撃
デスバウンド:敵全体に高威力斬撃を放つ物理攻撃
サバトマ:仲魔を召喚する魔法
結衣「はい、ちなつちゃん、私が使ってたベッドで申し訳ないけど」フサッ
ちなつ「ゆいせんぱい、むにゃむにゃ……」zzz
京子「良かったね、ちなつちゃんに笑顔が戻って……」
結衣「うん、色んなちなつちゃんを知りたいって言ったけど……」
結衣「やっぱり、笑っていてほしいからね、ちなつちゃんには」
京子「うー……それにしても、まだ頭ががんがんするよぉ」
結衣「もう一回、キングフロスト呼ぶ?」
京子「ひゃっこいのはもういいです!」
結衣「うん、あの蠅達には恐慌を付与する効果があって、ちなつちゃんのシャドウがそれを操ってたみたい」
結衣「あとは、ちなつちやんの笑い声にも、同じような効果があったらしいよ」
結衣「ちなつちゃん自身は、恐慌じゃなくて魅了の効果だって思ってたみたいだけど……」
京子「ちなつちゃんらしいね」クスクス
京子「蠅では、あんな跡は残らないよね?」
結衣「もう一人、シャドウが居るんだと思う」
結衣「多分、それは……」
≪京子≫
京子「ん?歳納さん?」パリーン
フワッ
京子「ど、どうしたの歳納さん?」
歳納「ごめんなさい、さっきは、助けられなくて、ごめんなさい……」ギュッ
京子「ちょ、歳納さん///」
歳納「わたし、わたし、京子が苦しんでるのに、何も出来なくて……悔しくて……」ヒック
京子「歳納さん……」ナデ
京子「仕方ないよ、歳納さんは、私が呼ばないと出て来れないんだし……」
京子「だから、泣かないで?私、歳納さんが泣いてたら、悲しいよ……」ナデナデ
歳納「ごめんなさい、そうよね……京子の涙を拭く存在である私が泣いてるのは、おかしいものね」ゴシゴシ
京子「うーん、そりゃ、私が泣いてる時に慰めてくれるのはありがたいけど……」
京子「それよりも、私は歳納さんの事が好きだから泣いてほしくないのっ」
歳納「きょ、京子///」ギューッ
京子「と、歳納さん、そんなに強く抱き知られると、あの///」
結衣「おい」
歳納「結衣、邪魔しないで」
結衣「と、歳納さんこそ、今大切な話してるんだから邪魔しないでよ!」
歳納「……もう1人の、シャドウの事でしょう?」
結衣「……う、うん」
歳納「私にも、心当たりがあるわ……生徒会室に……」
歳納「ああ、もう戻らないと京子に負担が……結衣」
歳納「あとは頼んだわよ……」スッ
京子「ああん、歳納さん、私の中に戻っちゃった……」
結衣「……京子、取り合えず生徒会室へ行こう」
京子「え、あ、うん、綾乃達も心配だからね」
結衣「……」
京子「結衣?」
結衣「……京子、朝に綾乃と会った?」
京子「う、うん、会ったけど……そういえば、あの時、綾乃に……」
京子「……」
京子「///」
結衣「……え、なんで赤面してるの京子」
京子「い、いや、なんでもないよ///」
結衣「きょうこ?あやのとなにかあったの?」
京子「ちょ、結衣、顔が近いって……」
京子「う、うう、結衣にゃんが恐い……」
結衣「実は私もさっき綾乃と会ったんだ」
京子「え?」
結衣「その時、京子に伝えてくれって言われてた事がある」
結衣「約束だから、ずっと生徒会室で待ってる……だって」
京子「約束……」
『……放課後、生徒会室に行きましょう』
『約束よ』
京子「そっか、綾乃、あの約束を……」
京子「あんな些細な約束を、大切に思ってくれてたんだ……」
京子「ん?」
結衣「多分、京子が会った綾乃も、私が会った綾乃も、シャドウなんだと思う」
京子「……うん、今から考えると、綾乃と朝会った時、瞳が赤かったからね……」
結衣「……京子は、綾乃も助けたいんだよね?」
京子「うん」
結衣「それは、あの、綾乃が好きだから?」
京子「うん、好きだよ」ニコ
京子「それが恋愛感情かどうかは判んないけどね」
結衣「……」
結衣「はぁ……」
京子「え、なんでため息?」
結衣「いや、京子はお子様だなぁって……」
京子「……」
結衣「?」
京子「合わせ鏡に、願ったんだ」
京子「娯楽部の皆や、生徒会の皆が、ずっと幸せで居られますようにって」
結衣「……うん、京子なら、本当にそう願うと思ってた」
京子「けど、これって、多分、幸せになった皆から代償を貰いたいって事でもあるんだと思う」
京子「実際、結衣にはさっき守ってもらっちゃったしね」
結衣「あれは、当然の事だろ……」
京子「どうして?」
結衣「だって、私は京子の事が、その、好きだし///」
結衣「そ、それに、京子には命懸けで助けてもらったから……あ」
京子「それが私の願い」
京子「それが本当の私」
京子「勿論、それだけじゃないんだけどね」
京子「結衣の事を助けたのだって、好きだからって理由が一番強いんだし」
結衣「京子……」
京子「けどね、私は否定したくないんだ」
京子「馬鹿みたいに子供っぽい、我侭な結論で申し訳ないけど……」
京子「私は、皆を助けたい」
京子「だから、皆には私を支えて欲しい、優しくしてほしい」
京子「そういう願いを、子供っぽい私を、否定したくない」
京子「幻滅、しちゃった?」
結衣「……ううん、そんな事無いよ」
京子「そっか……良かった」ホッ
結衣「……京子、私が、いっぱい優しくしてあげる」
結衣「守り続けてあげるから」
京子「ありがとう、結衣……」ニコ
結衣(京子との絆を感じる……もう、さっきみたいな目には、合わせない……!)
京子「あ、綾乃?居る?」ソーッ
『いらっしゃい、歳納京子』
京子「綾乃……!」
『約束、守ってくれるのね……嬉しいわ』
京子「ううん、私こそ、遅くなってごめんね……」
綾乃「……」zzz
京子「うん、奥で寝てる方の綾乃が、本物の綾乃なのかな……」
京子「綾乃、他の生徒会役員は……?」
『関係ない人は、生徒会の権限で全員帰宅させたわ』
『千歳は、渋っていたけど』
京子「そ、そう、良かった……」ホッ
『名乗らないのは騎士の礼に反するから名乗っておくわね』
『我は影、真なる我』
『妖精騎士アヤノ』
『本物の私は、私を受け入れる事が出来なかったから……』
『私は、独自の存在として、私自身の願いを、正々堂々と叶える事にする』
結衣「……!」
結衣「……キングフロスト!」パリーン
京子「結衣!?」
結衣「アヤノ、それ以上、近づかないで」
京子「結衣、そんな脅すような事は……」
結衣「壁や下駄箱、それに窓に残った切断跡がアヤノの仕業なら」
結衣「無闇に近づけるのは危険だよ、京子」
京子「け、けど、アヤノは、私たちにまだ何もして無いのに……」
結衣「アヤノはちなつちゃんと違って、物理的な破壊力を見せてる」
結衣「私、もう京子を嫌な目にあわせたくないよ……!」
京子「結衣……」
結衣「さっきだって、京子が恐慌してて、本当に、恐かったんだから……」
アヤノ『船見さん』スタ
結衣「……!」
アヤノ『まだ約束は果たせてないの……邪魔するなら、生徒会室から出て行って……』ザワッ
京子「あ、あれ、アヤノの、髪が……動いて」
アヤノ『デス』
結衣「ブフ」
アヤノ『バウンド』ブンッ
結衣「ダイン!」ピキピキ
バッキンッ
カキンッ
結衣「そう、廊下や窓の斬跡は、髪による攻撃で出来たもの、なんだ……」
結衣「けど、私の氷結の方が、威力は上みたいだね?」
アヤノ『……』カキンッ
結衣「京子!アヤノが凍りついてる今のうちに!」
京子「う、うん……!」タッ
京子「あ、綾乃!起きて!」ユサユサ
綾乃「……むにゃ、としのーきょーこ……」zzz
アヤノ『……』バッキンッ
結衣「流石に長時間凍らせるのは無理か……けど、何度でも凍らせてあげる」
結衣「ブフダインっ!」ピキピキッ
アヤノ『白の壁……』キンッ
結衣「凍り……つかない!?」
アヤノ『この壁は、氷結への耐性があるのよ』
アヤノ『氷結さえ防げれば、貴女のペルソナで私を抑える事は出来ない……』
綾乃「……だめよ、としのーきょーこ、そのプリンは私のなんだから……」zzz
京子「だ、だめだ、全然目が覚めない」
≪魔法による眠りのようね≫
京子「そ、それなら……」カッ
京子「お願い!魔法の眠りを打ち消して!」
京子「歳納さん!」パリーン
歳納「任せてちょうだい、京子」
アムリタッ
デスバウンドッ
結衣「くっ……」ガクッ
アヤノ『これ以上は、危険よ、船見さん、もう生徒会室から出て行った方がいいわ』
結衣「京子を置いて、出ていけるはずないだろ……!」
アヤノ『どうして、邪魔をするの、私は約束の続きをしようとしてるだけよ』
アヤノ『教室では、歳納京子が嫌がったから……だから、生徒会室で』
結衣「……ああ、やっぱり、朝、京子と何かあったんだ」フラッ
結衣「京子が、嫌がるような事、したんだ……」
結衣「……京子を……誰にも渡したくない……」
結衣「例え無理やりにでも、京子と愛し合いたい……」
結衣「それが私の想い……だった」
結衣「けど、今は!」ブワッ
結衣「京子が嫌がる事を、したくない、誰にも、されたくないんだ!」
結衣「京子には笑っていてほしい!」
結衣「それが新しい私の、願い!」
結衣「それが新しい私!」
≪そう、それが新しい私≫
≪私は貴女、貴女は私≫
≪貴女が変われば、私も変わる≫
≪さあ、呼んで、新しい私を≫
結衣「ペルソナ……!」カッ
結衣「オーディン!」
パリーン
アヤノ『ペルソナが変わった……?』
結衣「これが、新しい私のペルソナ……」
アヤノ『例え誰が相手でも、約束の続きを邪魔するなら、生徒会室から出て行ってもらうわ』
アヤノ『デス』
結衣「万物」
アヤノ『バウンド!」ブンッ
結衣「流転!」ヒュルッ
バッキンッ
ゴゥッ
綾乃「ん……と、としのうきょうこ……?」
京子「よ、よかった、綾乃……!」ホッ
綾乃「わ、私は……」
綾乃「そ、そうよ、私は、鏡の中から出てきたもう一人の私を追いかけて……」
京子「うん、綾乃……自分の影を、否定しちゃったんだよね……?」
綾乃「あ……」
綾乃「あ、あああっ///」
綾乃「あんなの、私じゃ///」
歳納「綾乃」ガシッ
綾乃「え、え、と、歳納京子が二人?」
歳納「それは、後で説明するから……教えて、貴女は、鏡に何と願ったの?」
綾乃「わ、私は、私は……」
アヤノ『……まるで、嵐のような魔法ね』ボロッ
結衣「アヤノ……」
アヤノ『結局、私は、船見さんには、勝てないのかしら』
アヤノ『悔しい、なぁ……』
アヤノ『けど、諦めたくない……私だって……』
アヤノ『私だって、歳納京子を……』
京子「待って!」
結衣「……京子?」
アヤノ『としのう、きょうこ……それに、もう一人の、私も……』
綾乃「……」
綾乃「……そうまでして、あの願いを、叶えたかったの?」
アヤノ『あたりまえよ……』
アヤノ『ずっと、ずっと、願ってきたじゃない……』
アヤノ『それは、貴女だって、同じでしょう』
綾乃「けど、けど、私は、傷つくのが嫌で、出来なかった……」
綾乃「と、歳納京子に、否定されるのが、嫌で……貴女を認める事が出来なかった……」
綾乃「そ、それなのに、貴女は……貴女は……」
アヤノ『傷つくのなんて怖くないわよ、だって、私は、歳納京子の事が……』
綾乃「ええ、私も、私も歳納京子の事が……」
綾乃アヤノ「「大好きだもの」」
アヤノ『そう、私を、認めてくれるのね……』サラサラ
綾乃「ええ、ごめんなさい、貴女を否定して、ごめんなさい……」ウルッ
アヤノ『私こそ、ごめんね……結局、願いを叶える事は、出来なかったし……』サラサラ
綾乃「ううん、貴女の勇気は、私が受け取るから……」ゴシゴシ
綾乃「私、頑張るから……消える前に、見て行って……」
アヤノ『うん、頑張れ、わたし……』
京子「は、はい!」
綾乃「……」ギュッ
京子「!?」
結衣「ちょ!綾乃!?」
歳納「……結衣、ちょっとだけ、二人に時間をあげて」
結衣「と、歳納さん……」
綾乃「……きょ、きょ」
京子「綾乃?」
綾乃「京子っ!」
京子「はいっ」
綾乃「京子も、私の事、呼んでっ///」
京子「う、うん……」
綾乃「京子っ」ギュッ
京子「あやのあやのっ///」
綾乃「きょ、きょ、京子っ」
京子「あやのあやのあやのあやのあやのあやのっ///」
綾乃「きょ、京子っ、京子京子京子っ!」ギューッ
歳納「あれが、綾乃の望みだったみたいね」
結衣「え?」
歳納「京子に抱きついて、ちゃんと名前で呼び合いたい……それが綾乃の望み」
歳納「それが、アヤノの望み」
結衣「そ、そんな、願いの為に……あれだけの苦労を?」
歳納「……貴女には、判らないかもしれないわね」
結衣「歳納さん……?」
歳納「私も、ずっと、そうしたかった」
歳納「京子の心の中に居たけど、京子とは触れ合う事ができなくて」
歳納「名前で呼ばれる事もなくて……ずっと、ずっとそうして過ごしてきたんだから」
歳納「だから、私も、綾乃の気持ちが少しわかるわ」
結衣「……」
綾乃「ありがとう、わたし……勇気をくれて、ありがとう……」
アヤノ『これからも……勇気を忘れないで……』サラサラサラッ
綾乃「うん……忘れないわ、だって、貴女は私なんだもの……」
アヤノ『うん……』サラサラサラサッ
綾乃「もう一人の私、消えちゃった……」
京子「///」プシュー
綾乃「あ、ご、ごめんなさい、歳納京子っ///」パッ
京子「う、うん、気にしないで///」
京子「これは、塔のカード?」
綾乃「カードの中に、アヤノが感じられるわ……」
綾乃「……ありがとう、私」
綾乃「たとえどんな困難が待ち受けていても……私は貴女と一緒に立ち向かっていくわ……」
綾乃「これからも……」
●京子のペルソナ
歳納さん(女教皇)
原型:スカアハ
スキル:アムリタ・他
特徴:氷結攻撃に強い
●結衣のペルソナ
オーディン(皇帝)
スキル:万物流転・他
特徴:火炎攻撃に弱い
●綾乃のペルソナ
???(塔)
スキル:デスバウンド・白の壁
特徴:氷結攻撃に弱い
≪スキル補足≫
アムリタ:味方全体の状態異常を治療
万物流転:単体に超威力疾風を放つ魔法攻撃
デスバウンド:敵全体に高威力斬撃を放つ物理攻撃
白の壁:氷結攻撃への耐性を得る
綾乃「え、ええ、ちょっとフラッとするけど、平気よ」
京子「綾乃、頑丈だなあ……結衣やちなつちゃんは、シャドウを受け入れた後は倒れちゃったのに」
綾乃「……さっき誓ったばかりだもの、困難に立ち向かうって」
京子「そっか……」
結衣「……まあ、色々あったけど、これで、解決かな?」
京子「うん、そうだね……」
綾乃「……それは、あの、私の攻撃の余波で壊れちゃったんだから……生徒会の予算で何とかしておくわ」
京子「流石!副生徒会長!」ダキッ
綾乃「と、歳納京子///」
京子「あれ、名前で呼んでくれるんじゃ……?」
綾乃「あ、あれは、その……慣れるまで、待って///」
京子「うん!待ってやろう!」
京子「千鶴に、何て説明しよう……」
結衣「……私が、やった事だし、私が謝るよ」
結衣「千鶴に一発殴って貰うくらいしないと、私の気が済まないし」
京子「結衣……わ、私も一緒に謝るからっ!」
結衣「ありがと、京子」ニコ
京子「歳納さん?どうしたの?」
歳納「え、ええ……あの、何か忘れてないかしら」
結衣「ん?」
綾乃「別に何も忘れてないと思うけど……」
京子「そうだよ、変な歳納さん!」
歳納「……」
綾乃「な、なによ?」
歳納「貴女は、誰から合わせ鏡の事を聴いたの?」
綾乃「え、赤座さんからだけど……」
京子「……そういえば、私達も」
結衣「あかりから、聞いたんだよね」
歳納「……あかりは、何処?」
京子「というか、私、途中から、あかりの事がスッポり頭から抜けて……」
結衣「私もだ……」
歳納「……あかりを、探しましょう」
歳納「あかりも、合わせ鏡のおまじない、やった可能性があるから」
京子「……!」
結衣「……!」
綾乃「……!」
京子「あかり、何処にもいないね……」
綾乃「ええ、下駄箱にはまだ赤座さんの靴が残ってたから……まだ校内に居るはずなんだけど」
結衣「あと、残ってるのは……屋上だな」
京子「あかり……無事だといいんだけど」
~屋上~
キィー
京子「あ、あかりー?」
『京子ちゃんっ!』ガバッ
京子「あかり!?」
結衣「良かった、無事だったんだな……」
綾乃「ま、まって!向こうにも、赤座さんが……!」
あかり「……あ、京子ちゃん、結衣ちゃん、杉浦先輩まで」
『きょ、京子ちゃん、たすけて、あの子、あの子が……』
『あかりなんて、居ないって、言うのっ』
『あかり、あかり、ちゃんとここに居るよっ』
『ここに居るのにっ』
京子「あ、あかり……」
『京子ちゃん、もっと、もっとあかりを見て……京子ちゃん、お願いっ……』
『あかり、消えたくなんて、ないよ、もっと、もっと目立ちたいよぉ……』
京子「こ、この子、あかりの、シャドウ?」
結衣「凄く、弱々しいけど……」
あかり「ごめんね、京子ちゃん」
京子「あかり?」
あかり「もう一人の私が、迷惑かけちゃってるよね……ごめん」
あかり「大丈夫、もう消しちゃうから、安心して?」
京子「あかり……!だめ!この子を否定したら……!」
『京子ちゃん、たすけて!あかり、まだ、まだ消えたく……』
あかり「ペルソナチェンジ」
あかり「オルフェウス」
パリーン
綾乃「消えた……?」
結衣「京子、あかりの傍に、別にシャドウが!」
≪京子≫
京子「と、歳納さん?」
≪シャドウじゃないわ≫
京子「え?」
≪あれは、あれは……≫
あかり「刑死者のアルカナを持つ、目立ちたがり屋なあかり」
あかり「今呼んだのは、愚者のアルカナ、オルフェウス……」
あかり「あかりが、一番最初に呼んだペルソナなんだよ?」
京子「あかり、ペルソナ使いだったの!?」
あかり「うん、そうだよ、あかり」
あかり「ずっと、ずっと、ずっと、ずっと」
あかり「仮面をかぶってきたの」
京子「あ、あかり?」
あかり「京子ちゃんの為に」
京子「え、わ、わたしの?」
あかり「うん」ニコ
京子「う、うん、覚えてるよ」
あかり「京子ちゃん、凄く泣き虫だったよね」
あかり「だからね、あかり、京子ちゃんを、支えようと思ったの」
あかり「京子ちゃんが、泣かなくて、済むように」
京子「あかり……?」
あかり「合わせ鏡が教えてくれた仮面が、京子ちゃんに笑顔を与えてくれるって、信じて……」
あかり「京子ちゃんを苛める子達がいたから、その子達を裁く為に審判の仮面をかぶった……」
あかり「京子ちゃんが怪我して泣いてたから、涙を拭いて立ち上がれるよう導く為に法王の仮面をかぶった……」
あかり「他にも、いっぱい、いっぱい、仮面をかぶったの」
あかり「数えきれないくらい……」
あかり「けど、京子ちゃんは、一度は立ちあがれても、またすぐ泣いちゃって……」
あかり「結衣ちゃんみたいに、強いだけでは京子ちゃんの涙は止められない」
あかり「なら、なら……」
あかり「なら、京子ちゃんより、弱くなったら……?」
あかり「あかり自身が、京子ちゃんより、弱くなったら……京子ちゃん、強くなってくれるんじゃないかなって」
あかり「あかりを守る為に、強くなってくれるんじゃないかなって」
あかり「だから、あかりは、京子ちゃんより弱くなる為に、月の仮面をかぶった」
あかり「蝉や蚊にすら怯える、弱い弱い私になる為に……」
京子「……そうだ」
京子「私、あかりを助ける為に……強くなろうと思ったんだ……」
あかり「ありがとう、京子ちゃん……何時も助けてくれて……」ニコ
あかり「……もう、大丈夫だって、思った」
あかり「京子ちゃんが強くなって、更に結衣ちゃんがそれを支えてあげれば」
あかり「何も心配する事は、ないもんね……」
結衣「あかり……」
結衣「え……?」
あかり「だって、てっきり、結衣ちゃんは京子ちゃんの恋人になってくれてると思ってたから」
結衣「な///」
京子「あかり///」
あかり「けど、結衣ちゃんは、京子ちゃんの王子様のくせに、臆病で」
あかり「ちなつちゃんとも、仲良くして……」
結衣「あ、あかり?」
あかり「杉浦先輩に京子ちゃんの恋人になって貰おうかなって思ったけど……杉浦先輩も、臆病だったから……」
あかり「それなら、いっそ、皆の本心を暴いちゃおうかなって……」
あかり「だから、皆に、合わせ鏡のおまじないを、教えてあげたの」
あかり「そうすれば、皆が本心と向かい合ってくれるだろうから」
結衣「あ、あかり……あかりが、黒幕だったの?」
あかり「うん、そうだよ、全部、全部京子ちゃんの為にやったの」ニコ
あかり「うん、知ってる……京子ちゃんなら、そう言うだろうなって、思ってた」
あかり「ごめんね……京子ちゃん」
あかり「結衣ちゃんと杉浦先輩も、ごめんなさい……」ペコ
結衣「え、あ……うん」
綾乃「……確かに、色々とあったけど、あの、最終的には、丸く収まったから、別にいいわよ」
結衣「……私達が、最初から自分の本心とちゃんと向かい合ってたら、こんな事にはなってなかったんだしね」
綾乃「そうね……」
あかり「うん、あかり、皆を信じてた」
あかり「ちゃんと本心を受け入れられるって、信じてたよ」ニコ
綾乃「そうね、赤座さんに、敵意とかは無かったわけだし……」
あかり「うん、私は、京子ちゃんが幸せになるなら、それでいいよ」ニコ
結衣「あかりは、本当に優しいなあ……」ナデナデ
あかり「えへへ///」
京子「……違う」
京子「私が望んでなかったのは、あかりが、あかりがそんなに沢山の仮面をかぶってる事」
あかり「京子ちゃん?」
京子「私を助ける為に、あかりが仮面を被り続けたのなら、本当のあかりは、何処に居るの?」
あかり「……」
京子「私が見てきたの、全部、あかりの仮面だったの?」
京子「確かに、仮面もあかりの一部だけど……けど」
京子「私、仮面を被ってないあかりも、知りたいよ」
京子「仮面を被ってないあかりとも、会いたいよ!」
あかり「……ごめんね、京子ちゃん」
あかり「あかりは、もう……本当の自分を想いだせないの」
あかり「今まで被ってきた仮面が多すぎて、重すぎて、あかりは、もう」
あかり「けど、大丈夫、あかりが用意した仮面は、全部京子ちゃんの為の物だから」
あかり「自由に選んでくれて、いいよ?あかり、京子ちゃんの好きなあかりに……」
京子「嘘」
あかり「京子……ちゃん」
京子「あかりだって、本当の自分を思いだしたい、はずだよ」
あかり「そんな事ないよ、だって、だってあかりは……」
京子「なら、どうして……」
京子「どうして、泣いてるのさ」
京子「それが、きっと、あかりの願いが叶ってないからだと思う……」
京子「思いだして、あかり、子供のころ、鏡に、何て願ったの?」
あかり「あかりは……あかりは……」
あかり「だめ、だめだよ、思い、だせない……」ポロ
あかり「大切な、事だったのに、どうして……」ポロポロ
あかり「京子ちゃん……私、私、やだよ、本当の自分を想いだせないなんて、やだ……」グスン
あかり「あかり、もう、仮面なんて、かぶりたくない……もう、もう……」ヒック
京子「大丈夫、あかりが持ってる仮面、全部はがしてあげるから……」
京子「だから、もう泣かないで……あかり」
結衣「まったく……しょうがないなあ、京子は」
綾乃「仕方ないわよ、歳納京子なんだもん」
京子「ありがとう、二人とも」ニコリ
あかり「ぺ、ぺるそなちぇんじ」ヒック
京子「ペルソナ……」カッ
結衣「ペルソナッ」カッ
綾乃「ペルソナ!」カッ
あかり「イジメイケナインジャー!」パリーン
京子「歳納さん!」パリーン
結衣「オーディン!」パリーン
綾乃「クーフーリン!」パリーン
あかり「京子ちゃんを苛めた子達を裁くために、あかりは審判の仮面を被った……」
結衣「万物流転!」ヒュルッ
あかり「マカラカーン!」キンッ
パキーンッ
結衣「は、反射された!?」
綾乃「魔法が反射されるならっ!」
デスバウンドッ
あかり「ペルソナチェンジ……」カッ
あかり「はっぱ仮面!」パリーン
あかり「泣いてる京子ちゃんが立ち上がれるよう、導くために、あかりは法王の仮面を被った……」
ディアラマッ
綾乃「そ、そんな、傷がふさがる!?」
あかり「ペルソナチェンジ……」カッ
あかり「京子ちゃん!」パリーン
歳納「ど、どうして京子があかりのペルソナに!?」
あかり「京子ちゃんを深く理解するために、あかりは京子ちゃんの仮面を被った……」
あかり「京子ちゃんを幸せにできない子達は、全部、全部燃えちゃえ……」
マハラギオンッ
結衣「あ、あついっ……」バタバタ
綾乃「ど、どうして私達だけっ」パンパンッ
あかり「ふふふ、結衣ちゃん杉浦先輩、あっちっちだね……」
歳納「二人とも、伏せてっ!」
マハブフーラ
結衣「歳納さん、消火するにしてももう少しやり方が……」
綾乃「つ、つめたい……」
歳納「そんな事より、子供の頃からペルソナ使いやってただけあって、あかりの方がペルソナの扱いに長けてるわ」
京子「こ、こんな時、ちなつちゃんが居てくれれば……」
結衣「そ、そうか、ちなつちゃんなら……!」
ちなつ「呼びました?」
京子「ちなつちゃん!?」
ちなつ「目が覚めたら、何か屋上から凄い音が聞こえてきたんで急いで駆け付けてきたんですけど……」
結衣「ちなつちゃん、ペルソナ、使えるよね!?」
ちなつ「へ、あ、ああ、使えると思いますよ、多分」
結衣「じゃあ……ちなつちゃんのペルソナで、あかりを魅了してあげて!」
ちなつ「はい!結衣先輩の望みであれば!」
ちなつ「……ペルソナ」カッ
ちなつ「ペルゼブブ!」
パリーン
ちなつ「デビルスマイルっ!」ニコ
あかり「……!」ビクッ
京子「よし、あかりのペルソナが止まった……みんな!一斉攻撃のチャンス!」
一同「「「うん!!」」」
ブフダインッ
マハブフーラッ
デスバウンドッ
デビルスマイルッ
結衣「こ、これでどう!?」
あかり「……」フラッ
あかり「……ぺ、ぺるそな、ちぇんじ……」カッ
京子「あ、あかり、まだ駄目なの……!?」
あかり「おんねん!」
パリーン
あかり「幽霊が怖かった京子ちゃんを守る為に、私は隠者の仮面を被った……」
ちなつ「どんなペルソナが来たって、私の笑顔の前には……!」
あかり「愚者のささやきっ……」ボソッ
オンネンガオンネンッ
ちなつ「……」ニコ
ちなつ「あれ、力が発揮されない?」
歳納「駄目、私達ペルソナのスキルを封じられてるっ」
綾乃「こ、ここまで来て……!」
あかり「京子ちゃん、もう、もう無理だよぉ、早く、早く逃げて……」グスン
京子「あかりを放ってなんて、いけないよ!」
あかり「だめ、だめなの、もう、あかりじゃ、止められない……」ヒック
あかり「噴き出してくるペメソナ達を止められない……」ヒックヒック
あかり「で、出てくる、もう……もうだめ、きょうこちゃん……」
あかり「おねがい、にげて……」
あかり「ぺるそな」
あかり「ちぇんじ」
あかり「おねえちゃん」
パリーーーーーーンッ
あかね「あかりに害する者は、全て滅ぼす」
あかね「 メ 」
あかね「 ギ 」
あかね「 ド 」
あかね「 ラ 」
あかね「 オ 」
あかね「 ン 」
詰んだ
詰んだわ……
京子(結衣や、綾乃や、ちなつちゃんまで……巻き込んで……)
京子(やっぱり、やっぱり、私は、弱いままなんだ……)
京子(子供の時と、同じままなんだ……)
「う、うう、ヒック」
「うぇぇぇ…」
「だから、だから言ったのに……」
「この世界は、辛いことや悲しいことでいっぱいだって……」
「絶望で一杯だって……」
京子(うん、そうだね、もう一人の私……)
「辛いのは、判ってるのに、怖いのは、判ってるのに」
京子(うん、私は、それでも前に進む……)
京子(だって、あかりは、私の大切な友達だもん)
「……ひっく」
京子(だから、お願い、もう一人の私)
京子(怖いだろうけど、少しだけ、力を貸して……)
「……うん」
京子「ペルソナ、チェンジ」
京子「アリス!」
パキーーーンッ
綾乃「そんな、子供に、戦えるの……?」
京子「み、みんな、耳ふさいで!」
アリス「ううぅ、ひっく…うぇ……」
あかね「どうしたのかしら?どうして泣いてるの?」
アリス「わたし、わたし、欲しい物があるの」ヒック
あかね「あら、何かしら?飴ちゃん?」
アリス「飴ちゃんも欲しいけど、友達が欲しいの……」グスン
あかね「そう、じゃあ、私が友達になってあげるわ、だから泣かないで……」
アリス「本当?じゃあ、じゃあ、あのね~」
アリス「死んでくれる?」
あかね「 」
アリス「ありがとう、友達になってくれて、死体になってくれて」
アリス「ずっと、欲しかったんだ、お友達」
アリス「もっと、もっとお友達欲しいな、私を守ってくれて、優しくしてくれるお友達……」
京子「ぺ、ペルソナチェンジ」カッ
アリス「あれ、もう終わり?もっと遊ぼうよ……」
京子「歳納さん!」パリーン
フワッ
歳納「……京子、死神のペルソナ使うなんて、無茶し過ぎよ……」
京子「う、うん、もう、使わない……あの子、ちなつちゃんより、怖かった……」
京子「あかり……」
あかり「あかり、どうしたら、いいのかな」
あかり「これから、どうしたら……」
京子「あかりは、思い出せた?あかりのお願い事」
あかり「……」
あかり「あかり、京子ちゃんと、一緒に、ちゃんと遊びたかったの」
あかり「何時もお家の中で泣いてる京子ちゃんと一緒に、遊びたかったの」
あかり「それが、あかりの願い」
京子「そっか……じゃあ」
京子「今から、遊びに行こう?」
あかり「きょうこちゃん……」
京子「だから、泣くのはもうやめて、外に出て、一緒に遊ぼう?」
京子「私も、結衣も、綾乃も、ちなつちゃんも、本当のあかりと遊びたいと思ってるから」
京子「みんな一緒に遊べば、きっと楽しいよ?」
あかり「……うん」ゴシゴシ
あかり「ありがとう、京子ちゃん」
あかり「あかりを、迎えに来てくれて」
あかり「ありがとう……」ニコ
仮面の笑いじゃなくて、本当の私の笑い。
ありがとう、京子ちゃん。
ありがとう、結衣ちゃん。
ありがとう、ちなつちゃん。
ありがとう、綾乃ちゃん。
本当の私を見つけてくれて、ありがとう……。
あかり「京子ちゃーん!早く早く―!」
京子「ちょっと待ってよ、あかり、元気すぎ……」ハァハァ
結衣「ずっと仮面を被ってきたんだから、普通に遊ぶのは久しぶりなんだろうな」
綾乃「ええ、本当に楽しそうな顔だわ」
ちなつ「あかりちゃーん!ちょっと休もうよー!」
あかり「やーだよー!」ピューッ
ちなつ「もう!私ちょっとあかりちゃん捕まえてきます」タッ
あかり「追いついてみろ―!」
京子「あはは、本当、あかりが楽しそうで良かった……」
結衣「うん、これで、一件落着……かな?」
綾乃「……歳納京子」
京子「ん?」
綾乃「あの、私、ちゃんと言ってなかったから、今、言わせてもらうけど///」
結衣「……だったら、私も、前に言ったけど、改めてもう一度言うよ」
京子「え?え?」
綾乃「私は……」
結衣「京子の事が……」
歳納「大好き!」
京子「歳納さん!?」
京子「え、と、歳納さん、私呼んだっけ///」
歳納「ううん、やっと京子の呼び出しなしで出てこられるようになったのよ、これも、私と京子の絆のおかげね///」チュッ
京子「も、もう、歳納さん、いきなりキスしないで、恥ずかしいよ///」
歳納「恥ずかしくなんてないわよ、貴女は私、私は貴女なんだから」
歳納「言ってみれば、これは自慰みたいなもの、みんな、みんなやってるのよ……」チュッ
京子「あふん///」
結衣「……」
綾乃「……」
京京だったでござる
綾乃「ええ、それ以前に、倒さなければならない相手がいたようね」
結衣「そうだね、何時までも、自分が一番好きとか言ってられると、困るし」
綾乃「これは、歳納京子の為でもあるわ」
結衣「私は、もう幼馴染の仮面は捨てる……」
綾乃「私も、照れ屋な仮面は捨てる……」
結綾「「そして」」
結綾「「歳納さんより、魅力的な女の子になってやる!」」
これは仮面を巡る、少女たちの成長の物語。
彼女たちの未来に、幸があらん事を。
完
支援ありがとうでした。
自分が一番好きと言ってたのを今思い出した
京京はさすがに流行らねえよww
京京よかった!
≪京子のペルソナ≫
アリス(死神)
スキル:死んでくれる?(敵全体に高確率呪詛)・ムドブースト(呪詛成功率上昇)
歳納さん(女教皇)
元ネタ:スカアハ
スキル:アムリタ(味方全体異常回復)・マハブフダイン(大威力の氷結攻撃)
特徴:氷結攻撃に強い
≪結衣のペルソナ≫
オーディン(皇帝)
スキル:万物流転(単体に超威力疾風を放つ魔法攻撃)
特徴:火炎攻撃に弱い
≪綾乃のペルソナ≫
クーフーリン(塔)
スキル;デスバウンド(敵全体に大威力斬撃)・白の壁(氷結攻撃への耐性)
特徴:氷結攻撃に弱い
≪ちなつのペルソナ≫
ベルゼブブ(悪魔)
スキル:デビルスマイル(敵全体に恐慌付与)
オルフェウス(愚者)
スキル:無
目立ちたがり屋(刑死者)
スキル:無
泣き虫あかり(月)
スキル:無
イジメイケナインジャー(審判)
元ネタ:アヌビス
スキル:マカラカーン(魔法攻撃反射)
はっぱ仮面(法王)
元ネタ:だいそうじょう
スキル:ディアラマ(ダメージ全回復)
京子ちゃん(正義)
元ネタ:ウリエル
スキル:マハラギオン(敵全体に大威力火炎攻撃)
おんねん(隠者)
元ネタ:オンギョウキ
スキル:愚者のささやき(敵全体のスキル封印)
おねえちゃん(節制)
元ネタ:ヴィシュヌ
スキル:メギドラオン
Entry ⇒ 2012.01.11 | Category ⇒ ゆるゆりSS | Comments (0) | Trackbacks (0)
猫「は?見てんじゃねぇよ。あ?」
人「やだかわいい」
猫「あ?殺すぞ?あ?」
人「かわいい」
猫「おい近づいてんじゃねぇよ!あ!?」
人「かわいい」
人「びびんなくて良いよー」
猫「はぁ?殺すぞ!」
人「ほーら、笹かまだよー」
猫「!?」
猫「なっ、なっ」
人「ほーらほらほーら、レアアイテムだよー」フリフリ
猫「う、うっせ!消えろよ!」
人「いらないの?じゃあ良いや」スッ
猫「えっ」
猫「あ、ちょっ、まって」
人「………」
猫「………」
人「ほれ」ポイ
猫「!!」
人「……」
猫「…え、食べて…いいの?」
人「……」
猫「え、平気?いいの?え?」
人「君ガリガリだな」
猫「うめぇうめぇ」
人「ノラなの?」
猫「うめぇうめぇ」
人「うちくる?」
猫「うめぇ?」
猫「うめぇうめぇ」
人「ほらもう一枚」
猫「うめぇうめぇうめぇ」
人「なんとちょうど良いところに段ボールが」
猫「うめぇ」
人「ほら、ここのなかは笹かま天国だよ」
猫「マジか」のそのそ
人「確保ー」
猫「うまし」
医師「うーぃ」
猫「なになになんなの」
医師「プスッとな」
猫「ちょっまって何、痛っ!な、な…」
猫「zzz…」
医師「うーぃ」
人「トイレ、餌入れ」
人「つめとぎ、いるかな」
人「買っとくか」
人「ようこそ玉なし野郎」
猫「さむくない」
人「そこがトイレで、そこが餌場な」
猫「どこここ」ショワワ~
人「そこトイレちがう」
猫「どここここここ」ショワワワ~
人「おちつけ」
人「あたたかい…」
人「床暖房だからね」
人「床暖房で部屋全体が暖まる!」
人「続きはWEBで!」
猫「zzz…」
猫「zzz」
犬「誰ですか」スンスン
猫「zzz」
犬「……」
猫「zzz」
犬「zzz」
人「あらら、一緒に寝てら」
犬「zzz」
猫「でけぇ」
犬「zzz」
猫「えっ、なに、えっ」
犬「zzz」
猫「………」
猫「zzz」
人「はーい」
管理人「ちゃーん」
人「今月分はもう払いましたぜ」
管理人「遊びにきたんだぜ」
人「まああがれや」
管理人「おう」
人「うん」
管理人「二匹以上飼っちゃダメなのに」
人「そう思うだろ?」
管理人「思う思う」
人「一時保護だから」
管理人「かーらーのー?」
人「手放す気はない」
管理人「フゥー!」ハイタッチ パァーン
人「フゥー!」ハイタッチパァーン
管理人「はぁーい猫ちゅあーん」ガチャッ
猫「またきた!」
人「今月分はもう払いましたよ」
管理人「遊びにきたんだぜ」
人「仕事しろ」
管理人「暇なんだもん」
人「仕事しろ」
人「舌こえちゃうじゃん」
管理人「肥えろ肥えろ」
人「やめれ」
管理人「さらに猫じゃらしを買ってきて」スッ
猫「」ピクッ
管理人「一本500円のゴージャスじゃらしだ」
管理人「500円が…」
人「ものの5秒で羽とれたな」
猫「飽きた」
管理人「ボッロボロやないかい…」
猫「なーおっぱい」
犬「出ませんて」
管理人「500円……」
人「俺も仕事するかな」ノビー
管理人「500円……」
人「……」
管理人「……」
人「向かいの野原で摘んでくれば?猫じゃらし」
管理人「ハッ!!!!!!」
人「その手が有ったか!みたいな顔されましても」
人「はいチョコラータ」
編集「原稿どんなぐあい?」
人「エヘヘ」
編集「エヘヘ」
人「エヘヘへへ」
編集「ころすぞ」
人「ごめんなさい」
人「あぁ、はい」
編集「いくつかコラム欄があるんだけど、そのうちの1つ担当してみない?」
人「良いですけど、僕絵画とか全然知らないですよ?」
編集「大丈夫大丈夫、現代アートには文章とか絵画とか枠が無いようなもんだし」
人「はぁ。現代アートちっくなコラム描いたほうが良いですか?」
編集「まあ、ちょっとは」
人「うーん」
編集「へぇ」
人「猫のことで良いですか?」
編集「まぁ、書いてみてよ。先月号送るから参考にして」
人「あい」
人「あ、いま仕事中なんで静かにお願いします」
犬「zzz」
猫「zzz」
管理人「」
管理人「お茶いれます」
人「そんな暇なの」
管理人「暇なの」
人「君が美人な未亡人だったらなぁ…」
管理人「デュフフ」
人「きめぇ」
人「キーボード打つ仕事してるのに!」
管理人「手あらえば良いじゃん」
人「それもそうだ」
猫「眠い…くそが…」
人「あ 起きた」
管理人「よーしお茶の時間だー!」
猫「な、なにそれ なんなんそれ」
人「犬には?」
犬「私には?」
管理人「あ」
犬「私には?」
人「あーあ犬かわいそ」
管理人「ご、ごめん」
犬「私には…?」
管理人「そんな目で見ないでくれ」
人「んじゃ散歩てがらボール遊びしてあげて」
管理人「まかせろ!リードはどこだ!」
人「くつばこの横」
管理人「いこう!」
犬「散歩?散歩ですか?」ふりふり
管理人「フゥー!」
ガチャバタン
人「静かになったな」
猫「寝よ」
人「この子をどう動かすか……」
猫「暇や 構え」ドス
人「うお重い」
猫「構え」
人「邪魔です」
猫「zzz」
人「おーい」
猫「zzz」
人「しかし」フニフニ
猫「z、zz…zzz」
人「少しは肉がついたようで」ナデナデ
人「良かった」ナデナデ
猫「うひぃ!」ビクゥッ
人「あ 起きちゃった」
管理人「ほいほい足拭こうなー。お手!」
犬「はい」
管理人「よーしゃよしゃよーしゃ」フキフキ
人「あーあ すみっこ行っちゃった」
管理人「え?どしたの?」
人「やかましいと」
管理人「ご、ごめす」
犬「ご主人ー!楽しかったよご主人ー!」フリフリ
人「よしよし」ナデナデ
犬「楽しいですよ?運動気持ち良いし、爽快にうんこできますし」
猫「ふーん」
犬「でもやっぱり、ご主人との散歩が一番ですね」
猫「へぇ、あの餌生産機が」
管理人「なになにおしゃべりしてんのー?」
猫「チッ来んなよ餌生産機2号」
人「そりゃな」
管理人「えっなんで?えっ」
人「しつこい奴は嫌だよなー」
猫「早く帰らせろよそいつ」
人「ほら見ろよあの顔」
猫「殺すぞ」
トゥルルルル
管理人「はいチョコラータ」
隣人「え?あの……水道が…」
管理人「あぁ、その件ですね!いま伺いますんで」ピッ
管理人「というわけだ!あばよ!」
人「おう」
ガチャバタン
ピンポーン
隣人「早っ!!」
カチャカチャカチャカチャ
猫「なにこれ」
犬「草ですね。向かいの野原に生えてる」
猫「ふーん」ちょいちょい
猫「へぇ」ガジガジ
犬「汚すと怒られますよ」
猫「へぇ」ガシガシガシガシ
人「なにこれ」
猫「え、なに」
人「ねぇなにこれ」
猫「な、なに、知らねぇし」
人「ねぇ」ガッ
猫「」
人「こういうことは」
猫「な、な」
人「しちゃダメだから」
猫「わ、え、え、」
人「わかった?」
猫「え、え、え」
犬「怒られるって言いましたよ」
猫「あいつ弱っちくないの?」
犬「最強ですよ」
猫「マジかよ…」
猫「……」
人「ほい」
猫「もう怒ってない?」
人「あ、そうだ水もだ」
猫「…」
人「はい」コト
猫(怒ってないみたい)ピチャピチャ
人「あとビールと、笹かま」
猫「笹かま?笹かま?」
人「ん?」
猫「笹かま?」
人「あぁ、これ?」
猫「笹かま」
人「好きね君 ほい」
猫「わーい」ムシャムシャ
人「甘やかしすぎかなあ」
人「風呂入ってからビール飲むんだったな」
人「…まぁ、校了したし、今日くらい」
カコッ プシュア
猫「笹かま?」
人「もう今日はダメー」
猫「笹かま?」
人「ほら、ビールしかないよ」
猫「笹かま…」
人「そんな好きか」
人「プハー」
犬「元気出して」
猫「アホみたいなキャットフードじゃ元気でない」
犬「あなた好きじゃないですか、キャットフード」
猫「べっつに」
人「よーう」ガバァ
猫「なんだいきなり」
犬「酔ったご主人は甘えん坊さんです」
猫「きっしょ」
人「あれ?君ら臭くない?」
犬「ご主人シャンプーつけすぎです 匂いきつい」
人「うーん」スンスン
人「そろそろ洗うかぁ」
犬「まあ良いですけど」
猫「??」
人「良い朝だ」
犬「zzz」
猫「……」ジトー
人「………」
人「おはようございます」
猫「…」ジトー
人「ごめんなさい今すぐ用意しますごめんなさい」
猫「…餌生産機のくせに……」
人「チュリーッス」
管理人「あれ、仕事おわったの?」
人「ふふふ、昨日送った」
管理人「お疲れさん!飲むか!」
人「お前飲みたいだけだろ」
管理人「よーし散歩ついでに買い出しだー!行くぞポチ!」
犬「わーい」
人「勝手に名前かえんな」
猫「触んなカス」バシッ
人「いたいでしょ」ガッ
猫「うぐぅ」
人「クロはなーラブラドールでクロだし」
猫「ぐぬぬ」
人「君灰色だしね」
猫「ぐぬぬ」
猫「はなせや」
人「うーん」
猫「おい」
人「ネズミはいや?」
猫「はなせ」
人「嫌そうだな」パッ
猫「プハァ」
猫「かゆ」カシカシ
人「グレ~」
猫「あ?」
人「お、反応した。グレ決定だな」
猫「あ?」
管理人「うし、かたすか」ザクザク
犬「まだですか」
管理人「袋に入れて、と。うぅ、うまくはいらんな」
犬「まだですか」
管理人「もっと袋の口を広げねば」いそいそ
犬「はあ」
管理人「ガチャバタン」
人「おかいりーありがと」
管理人「足拭くかな」
人「あぁ、軽くで良いよ。今から風呂入れるから」
管理人「ほいさ」
人「んー、動くかぁ」ノビー
管理人「動け動け」
猫「zzz」
管理人「グレ?」
人「グレ。」
管理人「グレにゃーん」
猫「なに見てんだよカス」
管理人「ポチわーん」
人「クロな」
クロ「はーい」
管理人「……」
猫「……」
管理人「ふたりっきり、だね…////」
猫「……」
管理人「みかんくお…」モリモリ
管理人「はぁ」
管理人「はーあぁ」ポケー
猫「おいカス」ボスッ
管理人「ボスッ?」
ゴキにゃん「死ーん」
管理人「」
猫「餌もってきてやったぞ」
人「何うるさい」
管理人「ゴッゴゴゴゴウゴ」
人「あー、出たか…マンションだし仕方ないよね」
管理人「ゴゴ」
人「処分しといて。でもゴミ箱はダメだよ。」
管理人「どどどどうすりゃ」
人「ベランダで焼いといて」
管理人「や…く……?」
ゴキにゃん「死ーん」
犬「ふぅ」
管理人「しにたい」
人「燃やしてくれた?」
炭にゃん「」
人「おぉ、やってくれたのね」
管理人「しにたい」
人「ゴミ箱に捨てたらそこで卵がかえるから。消し炭にしなきゃいけないの」
管理人「なんと」
人「んじゃグレ、おいでー」
猫「は?」
人「もー。よいしょ」ダッコ
猫「なんや」プラーン
人「猫は逃げるっていうからな」ガッ
猫「なに?な、なに?」
人「シャワーじゃビックリするかな…優しく掛け湯にしよ」
ジャバア
猫「!!?!?」
人「はいまってねー。えっと猫用シャンプーは…」
猫「うわあああああああああ」
人「ほら、綺麗になるぞー」ワッシャワッシャ
猫「おぎゃあああああああああああ」
猫「」グッタリ
管理人「おぉ、お疲れ。結構かかったね」
人「かなり暴れた」
管理人「あらら」
猫「」グッタリ
人「バンドエードどこしたっけ」
犬「大丈夫?」
猫「なんなのあれ?なにしてくれんの?」
犬「なんなんでしょうね」
猫「あんたよく大丈夫だよね」
犬「馴れたし、ご主人を信頼していますから」
猫「意味わかんね…絶対おかしいって…」
犬「そう?」
猫「もうやだこんなとこ出てく」
人「飯だよー」
犬「わーい」
人「グレー?」
猫「くそ、くそ…」
人「まだ拗ねてる」
管理人「ごちそうさまです」
人「さて、お風呂沸かすかな」
管理人「おう」
管理人「ん…?なー、グレちゃんは?」
人「その辺にいない?」
管理人「いないよ?」
人「んじゃソファかベッドの下かな」
管理人「いないよ?」
人「……カーテンレールの上は?」
管理人「いない…あ、窓」
人「……!」
管理人「ごめん、私窓閉めてなかったから…!」
人「いや、君は閉めてたよ。俺そのあとベランダで洗濯物取り込んだから」
管理人「……」
人「ちょっとお留守番お願いできる?帰ってくるかもだから」
管理人「わ、わかった」
人「クロ、探しいこう」
犬「お散歩!?夜のお散歩やー!」ハフハフ
管理人「……」
管理人「……」
管理人「見つかるかな…」
管理人「もっと気にしてれば、気付けたかもしれないのに」
管理人「………」
管理人「…グレちゃん……」
人「野原には、いないのか……?」キョロキョロ
人「……グレを拾った駅前、探してみるか」
犬「夜空の下で爽快うんこぉー!」
人「はやくはやく」
管理人(いやいやいや、そんなこと考えても仕方ない)
管理人(マンションの入口に迷い猫ポスターを張ろう。あ、あと住人さんのポストにも入れて)
管理人(商店街の人にも頼んで)
管理人(…………)
管理人(考えろ、考えるんだ…)
人「どこだー…」
人「あっ、灰色い猫!」
人「……ちがう、大きすぎるし顔も違う。毛並みも悪い」
人「あいつの兄弟かな…」
犬「ご主人、ご主人」グイ
人「ん?」
ニャー
人「あの、その猫…」
中年「はい?」
人「あ、…すいません、違います」
中年「猫を探しているんですか?」
人「はい、それとよく似た、灰色の…もうすこし小さい猫を」
中年「うーん、今日僕は見てないですね」
人「そうですか…ありがとうございます」
犬「ご主人?元気出して?」
人「いこ」
犬「ご主人…」
トボトボ
中年「…君の家族かもね?」
ニャー
人「いない…」
人「寒…」
人「グレ寒がりなのに」
犬「ご主人、大丈夫?」
人「ん?クロも心配だよな」ナデナデ
犬「ご主人が心配なだけですよ」
人「はぁ…」
トゥルルルル
人「!」
管理人「きたよグレ!帰ってきた!」
人「……えっ」
管理人「ベランダに戻ってきてな、窓カリカリするもんだから、見たらさ、見たらさ、グレが、」
人「おちついて」
管理人「グ、グレ、うん」
人「そっか、良かった…。ありがと、今帰る」
管理人「おう!」
人「はぁ~」ヘニャ
犬「ごっご主人!?」
人「クロォ…良かったー……」
犬「??」
人「おぉ…グレだ…」
管理人「おかえり。お疲れさん」
人「うん。電話ありがとね」
管理人「ほんと良かったです」
人「君泣きすぎて何言ってるか最初わかんなかったよ」
管理人「泣きたくもなるわ」
人「いつもやかましいやっちゃなー」
犬「ねー」
猫「飯よこせよ飯」
人「ほいご飯」
猫「おー!」
人「」ヒョイ
猫「!?なにすんだ早くよこせ!」
人「グレ」
猫「……」
人「もう出ちゃだめだよ」
猫「……」
人「…わかった?」
猫「……」
人「はいごはん」
猫「…」モグモグ
人「勝手に拉致監禁してるからね。それで飼う責任どうこう言うのは猫からしてみたらおかしいかも」
管理人「野良に餌やるだけで子供増やして餓死させるよかマシだよ。」
人「まあね」
管理人「うむ」
ピンポーン
人「はーい」
「宅急便ぇーす」
人「はーい」
「こちぁにサインおなしゃす」
人「はーい」
「ありじゃあー↑したぁーっ」
人「編集が言ってた雑誌か」
ピンポーン
人「? はーい」
管理人「宅急便でーす」
人「間に合ってまーす」
管理人「してるしてる」
人「結婚しなさいよ」
管理人「うっせ」
人「安マンション管理の干物女の行く末とは」
管理人「グレにゃんグレにゃーん」
管理人「ほーらほらほら、猫じゃらしだよー」
猫「フッ!フッ!」
管理人「その程度のスピードで追い付けると思ったのかね!」
猫「フシャー!」
管理人「痛い痛い引っ掻くのやめて!」
人「しかしよくわからんな」
猫「構って構ってー」
管理人「グレにゃーん遊ぼうよー」
猫「お前はくんなカス」
猫「なー構って構って」
人「どうしようか」
猫「あ?」
人「笹かまでいっか」
猫「笹かま!?笹かま!?」
人「無いけどね」
猫「笹かま!?」
トゥルルルル
人「はいチョコラータ」
編集「はぁいドッピオ。」
人「チョコラータはそういう口調と違う」
編集「知るかハゲ」
人「で、なんでしょう」
編集「コラム人気ですよー、「絵画と人」の。やっぱコンテンツとして猫は愛されますねー」
人「あー」
編集「で、前にも言いましたけど次号が創刊10周年大感謝祭りなんですね。そこで全体的にページが増えるので笹かまの特設コーナーをと」
人「特設コーナー?」
人「対談?誰とです?」
編集「最近サブカル詩で話題のぷるぷるにゃんこさんと」
人「はい?」
編集「ぷるぷるにゃんこさん」
人「プルシェンコ?」
編集「おしい」
人「ぷるぷるにゃんこさん、と」
人「…モデル兼デザイナー兼歌手?」
人「だって」
猫「zzz」
ぷる「はじめましてェー!わー!笹かまさんですねェー!」
人「(それ名前と違うけど)はじめまして」
ぷる「わー!なんかぁー!笹かまさんってぇ、アーティストっぽい雰囲気ですねー!」
人「えっ?あ、はぁ」
ぷる「やっぱあー、私もデザイナーしてるじゃないですかぁー、」
人(あれこの人面倒くさい)
人「はい、まぁ」
ぷる「やっぱあー、私も猫飼ってるんですけど、猫って人の気持ちわかるじゃないですか」
人「そう、…ですね」
ぷる「だったら、私たちも猫の気持ちを考えてあげなきゃだと思うんですよねー!」
人「う、うん」
犬「ご主人ー!」フリフリ
人「よーしよしよし」
犬「ご主人ご主人ご主人ー!」
人「よしよし」
猫「ねぇ餌」
犬「ご主人~ご主人~」
人「よしよし」
猫「なぁ飯」
人「ん?」
猫「カスが」
人「ん?なに?遊びたいの?」
猫「飯っつってんじゃん」カリカリ
人「こーら棚引っ掻くなってば。ごはんね」
猫「はやく」
猫「早く!はやく!」
人「…確かに犬よりわかりにくいかも」
猫「はやくー!」
人「はい」
猫「うましうまし」ガブガブ
猫「ゲフー」
人「かわいいかわいい」
猫「さわんないで」プイッ
人「あ、ごめん」
10分後
猫「構ってー」スリスリ
人「なんだおまえ」
人「とうとうチャイムも鳴らさず来たか」
管理人「つまり女心と一緒なの」
人「どの面下げて言ってんだよ」
管理人「かわいい?」
人「かわいい(裏声)」
猫「うざっ」
管理人「しかし暇だな」
人「仕事しろて」
管理人「構ってー」
人「うざっ」
人「言うねぇ」
管理人「ポチは君と似てるか?」
人「クロな」
管理人「似てなくね?」
人「さあ」
人「投げやりだな」
管理人「いや真面目に真面目に」キリッ
人「ねっころがりながらそんな顔されても」
管理人「よし、ゲームでもするか」キリッ
人「君ってなんかカスだよね」
猫「暇だな」
人「あ、こらコードかむな」チョップ
猫「いて!……チッ」
人「…うん、俺こいつほど目付き悪くないし」
管理人「え?」
人「へ?」
管理人「あ?」
人「嘘ぉ」
管理人「あ、スターゲット」
人「あぁ!」
管理人「君目付き悪いし目あわせないし、声小さいし」
人「そうでしたっけ」
管理人「仲良くなれて良かった」
人「本気でそう思ってんのか」
管理人「じゃあランプの魔神つかいまーす」
人「待って!待って!!」
管理人「え?」
人「はいルーレットでスターの数交換」
管理人「えっえっ」
人「また0個から頑張りたまえ」
管理人「ぐおっ」
人「おぉ、やっと懐いたか」
管理人「グレにゃん重ぇ」
人「でかくなったなーこいつも」
猫「暇や」スンスン
管理人「最初ガリガリだったかんね」
人「そのうち豚に進化するだろ」
猫「暇や」
人「やぁね成金って」
管理人「ぐぬぬ…スターまでたどり着けば」
犬「ご主人ー」ハッハッ
人「ん?あぁ、水もうないか。ちょっと入れてくるね」
管理人「おいすー」
猫「zzz」
犬「ありがとう!ありがとうございます!」グビクビ
管理人「グレ寝ちゃった」
人「あら」
管理人「信頼されている」ジーン
人「クッションとして認められたか」
管理人「それでもよし」
人「じゃあグレも懐いたし、そろそろ結婚しようか」
管理人「あー良いね。え?」
人「え?」
管理人「え?」
管理人「……」
人「もしもし」
管理人「え、あ…あ?」
人「おう?」
管理人「ほわ?」
人「ほら君の番、サイコロまわして」
人「えぇ」
管理人「私たち付き合ってましたっけ」
人「どうでしょう」
管理人「どうなんでしょう」
人「付き合ってても今と変わんないんじゃないですか」
管理人「たしかに」
猫「はらへった」
管理人「嫌じゃないです」
人「というと」
管理人「是非に」
人「干物夫婦の誕生である」
管理人「将来性感じないな」
人「皮肉にも金はある」
管理人「そっか。なら平気か」
人「うん」
どうしてこうなった…orz
人「あぁ、ほいさ」
犬「ごはん?ごはん?」
人「そうだ」
管理人「?」
人「犬や猫が嫉妬する、っていう話を知ってるか」
管理人「というと」
人「ふふふ」
管理人「??」
管理人「ギャー!」
人「これが筋肉バスター」
管理人「ギャー!」
人「これがヘッドバット」
管理人「」
人「いかがだろうか」
猫「zzz」
犬「zzz」
人「この実験は失敗だな」
管理人「」
人「そうですか」
猫「うるせぇ」
人「あ、起きた」
管理人「んじゃ明日私の両親に挨拶いくか」
人「あいよ」
人「娘さんをください」
管理人母「イイネ!」
管理人父「イイネ!」
管理人「やったぁ!」
人「結婚決定した」
人「妹?」
管理人「いま同居してるんだけど、猫嫌いで」
人「なんと」
管理人「好きにさせるしかねぇな」
人「なんと」
妹「臭いし噛むから」
人「洗ったばっかだから臭くないよ。抱いてみ」
ズシッ
妹「ぐわっ」
猫「抱き方がなってねーな」
妹「以外と可愛かった」
管理人「そうだろ?」
人「ところで妹さん」
妹「なにかね」
人「お姉さんを僕にください」
妹「イイネ!」
管理人「やったぁ!」
管理人「バイバイ!」
人「すまねぇな!」
妹「週2で猫じゃらしもってくるから覚悟しろよ!」
人「ありがてぇ!」
人「ゆうて俺が最上階に移り住んだだけだけどね」
管理人「さて、さっそく腕に寄りをかけて手作りキャットフードを」
人「あ、ドア空いてる」
管理人「ん?」
人「グレは?」
管理人「んん?」
管理人「さみしい」
管理人「はぁ……」
管理人「良いことばっか起こると思ったら…もう」
人「どこだー」
犬「夜のお散歩です!夜のお散歩ですよ!」フリフリ
人「…もう一回、駅行ってみようか?」
犬「満点の星空の下でうんこぉ!」
人「はやくー」
人「いないかなぁ…」
犬「ご主人!」グイグイ
人「ん?……あ、あの人」
中年「よーしよしよし」
ニャーン
人「あの、すいません」
中年「あれ、君どこかで」
人「はい。どうも」
中年「あ、猫みつかった?」
人「見つかったんですけど、また今日逃げちゃって」
人「そうそう、それで目付き悪いデブなんですけど」
猫「おう」
人「そう、ちょうどこんな…ん?」
猫「よう」
人「ん?」
中年「いえいえ、たまたまですよ。野良猫とは思えないくらい毅然悠々としてたからね」
人「ほんとありがとうございます」
中年「ふふふ、じゃあねグレ君」
猫「はらへった」
猫「はらへった」
人「もう心配かけさせんなよ」
猫「はらへった」
人「グレ」
猫「……」
人「ダメって言ったでしょ」
猫「…」
人「はぁ。早く帰るよ」
ニャーン
人「……あ」
猫「……」
人「…この前もいた猫」
ニャーン
人「お前の兄弟?」
猫「おなかすいた…」
管理人「あぁ、良かっ…」
猫「めし」
猫2「どこやここ」
人「ガリガリだったから、つい…」
管理人「なんと」
管理人「拉致監禁のうえに身体改造とか非道極まりないな」
人「こいつの名前も決めなきゃね。その前にビールと笹かま」
猫2「……」
人「くう?」
猫「俺の!俺の笹かま!」
人「君のはもうあるから」
猫2「……」スンスン
パクッモグモグ
管理人「うまいか」
猫「笹かま!笹かま!」
人「もう食ったでしょ君は」
人「さて、ビールでも飲むか」
猫「笹かま!笹かま!」
猫2「笹かま!!」
娘「さしゃかま!!!」
おわり
読んでくれたり保守してくれたりで嬉しかったです。
ありがとうございました。
おつ!
俺もこんな家庭が持ちたい( ;´Д`)
Entry ⇒ 2012.01.11 | Category ⇒ その他 | Comments (0) | Trackbacks (0)
京子「ペルソナ!」
京子「暇だから恐い話でもしようぜ~」
結衣「恐い話って…真冬だぞ、今」
京子「ストーブで暖かいから、ちょっとヒヤッとした気分を味わいたいんだよ~」
ちなつ「嫌ですよ恐い話なんて…外出ればヒヤっとしますから、出てくればどうです?」
京子「ちなつちゃん!ナイスアイデア!」
京子「じゃ、ちょっと外行って来るね!」ガラッ
あかり「あっ!京子ちゃん扉開けたら…」
ヒュー
京子「さむっ!」バタン
結衣「ストーブの前を占領するな」
京子「えー、じゃあ、結衣が私を暖めてよ」
京子「あの時みたいに、私をぎゅっと抱きしめて暖めてよ…」
結衣「なっ///」
ちなつ「あ、あの時ってなんですか!?」
結衣「ち、ちなつちゃん、京子の冗談だから、真に受けちゃ駄目だよ」
京子「夏場に膝枕とかしてもらうと涼しいけど」
結衣「人を冷房器具みたいに言うな」ポカ
京子「い、いたいよ、ゆいぃ」
あかり「んー、あかり、1個だけ恐い話知ってるよぉ」
あかり「ふぁっ、京子ちゃんに頭撫でられちゃった///」
ちなつ「あかりちゃん、私が恐い話嫌いだって知ってるよね…」
あかり「んー、けど、これくらいならちなつちゃんも大丈夫なんじゃないかなあ?」
あかり「あのね…」
ちなつ「やっ!結衣先輩恐いですっ!」ダキッ
結衣「ちなつちゃん、まだ話始まって無いから…」
あかり「鏡の中からもう1人の自分が飛び出てきて」
あかり「願いを叶えてくれるんだって、恐いよねえ…」
京子「ふんふん、それで?」
あかり「……おわりだよ?」
結衣「……」
ちなつ「……」
京子「あははは、こやつめ」グリグリ
あかり「え、え、京子ちゃん、痛いよ?やめてよぉ」
ちなつ「びっくりするほど、恐くなかったですね…」ハァ
あかり「まあ、あかりだからなあ…」
結衣「んー…」チラッ
京子「え、どうしたの結衣、私の顔に何かついてる?」
結衣「いや…そうだな、皆で旅行に行きたい…とかかな」
ちなつ「流石、結衣先輩♪」
京子「ちなつちゃんは?どんなお願いするの?」
ちなつ「わ、わたしは…ある先輩ともっと仲良くなりたい…かな?」
京子「ちなつちゃん…そんなに私のことを…」
ちなつ「京子先輩のことじゃありませんから」ニコ
京子「ガーン…」
あかり「あかりは…」
結衣「もっと出番が増えたい…かな」
ちなつ「もっと目立ちたい…だよね?」
あかり「ふ、2人とも、酷いよぉ!」プンプン
京子「あはは、あかりは相変わらずだなあ」
京子「そうだなぁ…色々あって迷うけど…」
京子「娯楽部の皆や、生徒会の皆が、ずっと幸せでいられますように…かな」ドヤァァァ
あかり「きょ、京子ちゃん……」
ちなつ「京子先輩……」
結衣「京子……」
結衣「それで本音は?」
京子「ラムレーズンを1日1個食べたい!」
ちなつ「ですよねぇ」
~京子宅~
京子「よし、原稿も完成したし…そろそろ寝るかなあ」
京子「えーと、今何時だ…23時55分か…」
『夜中の0時に合わせ鏡を作って願い事を唱えると…』
京子「……一応、試してみようかな?」
京子「鏡を用意して…と」
京子「えーと、願いごと願いごと…と」
京子「……お願いします、娯楽部の皆や、生徒会の皆が、ずっと幸せで居られますように…」
「う、うう、ヒック」
「うぇぇぇ…」
京子「って、か、鏡の中に、子供が映ってる!?」
「う、うぇぇぇん…」
京子「なんだろ、この子、見覚えがある……」
京子「あれ、もしかして…」
京子「小さい頃の、私…?」
京子「ど、どうして、小さい頃の私が鏡に映ってるの…?」
「ゆい、あかりちゃん、だれか、だれでもいいから、わたしを助けてよぉ…」
京子「……どうしたの?どうして、泣いてるの?」
「この世界は、辛いことや悲しいことでいっぱいなの……」
「だから、わたしは、恐くて1人では前に進めない……」
「他の誰かを利用しないと生きていけない……」
「だから、助けて欲しいの……」
「誰でもいいの、ゆいや、あかりちゃんじゃなくても、あやのや、ちなつちゃんでも……」
「わたしに優しくして欲しい、わたしを助けて欲しい、でないと私は……私は……」
「う、ううう……グスン」
京子「……そっか、この子は、私自身なんだ…」
京子「何でかは知らないけど……私の本音が鏡に映ってるんだ……」
京子「誰かを利用しないと、生きていけない……」
京子「……あ、あはは、私、泣き虫だった頃と、変わってないな……」
京子「誰かを利用して……それでやっと立っていられる、弱い人間のままなんだ……」
≪その子の言う事に耳を傾ける必要は無いわ≫
京子「……え?」
京子「今度の私は、私と同じ年齢みたいだけど……」
≪京子は、弱い自分を克服する為に、努力してきたわ≫
≪結衣やあかりに、守られなくてもいいように、強くなろうとしてきたじゃない≫
≪だからこそ、京子はあんなお願い事をしたんでしょう?≫
≪自分の幸せではなく、他者の幸せを願うなんて、弱いだけでは出来ない事だもの≫
≪…だから、こんな子供の泣き言に耳を傾ける必要は無いわ≫
京子「えっと、あの、だれ?」
≪貴女が頭を打った時に分離した、もう1人の貴女≫
≪……けど、それではややこしいから……私の事は、歳納さんと呼んで頂戴≫
京子「としのうさん……」
京子「わ、私の中に、こんな大人っぽい私が居たのか、な……?」
京子「け、けど、他人のような気もしないし……」
≪だから、消してしまいましょう≫
「う、うう……グスン、貴女も、貴女達も、わたしをいじめるの……?」
「こ、こわいよ……いや……辛いことも、悲しいことも、全部、全部いやなの……」
≪うるさいわね、京子は、もっと強くて、優しいのよ≫
≪子供の貴女が居なければ、京子はもっと強くなれる≫
≪だから、貴女なんて……≫
≪貴女なんて≫
京子「待って、待ってよ……」
「う、ううう……いやだよ……恐いよ……」
京子「大人っぽい、強い私……」
≪ええ、京子、貴女はもっと強くなれるわ……≫
京子「……」
≪京子?≫
京子「どっちも、私なんだ……」
京子「子供の頃の私の想いがあるから……私は、立っていられる」
京子「歳納さんが居るから、私は前を向いていられる」
京子「だから、だから、私は、子供の頃の私を、否定したくないよ……」
京子「ずっと、貴女の事を忘れていて、ごめんね……」
京子「もう、大丈夫だから……貴女の事も、ちゃんと抱えていてあげるから……」
「う、ううう……ほんとう?」
京子「うん、ほんとだよ、だから、一緒に行こう?」
京子「利用するだけが友達じゃないって、貴女にも教えてあげるよ」
「……うん」サラサラ
「ありがとう……私……」サラサラサラ
京子「あ……子供の頃の私、鏡の中から消えちゃった……」
京子「代わりに、何だろう、カードが降ってきた……これは」
京子「死神のタロットカード……?」
京子「……そっか…判るよ、カードの中に、子供の頃の私が感じられる」
京子「大丈夫、これからは、寂しくないから……」ギュッ
≪なに、京子≫
京子「歳納さんも、ありがとう」
京子「何時も、私のことを見守ってくれてたんだよね」
≪……ええ、これからも、京子の事を見守っていくわ≫
≪例え京子が誰かに裏切られたり、傷つけられたりしても……≫
≪京子は一人じゃないから……私がついていてあげるから……どうか、負けないで……≫
京子「ありがとう、歳納さん、凄く、勇気が出るよ」ニコ
≪///≫
京子「あ、歳納さん、照れた」
≪次に貴女と会える機会があるかどうか判らないから……言っておきたい事が、あるの≫
京子「どうしたの?」
≪わ、私ね、実は……≫
≪京子の事が……好きなの≫
≪愛してるの……≫
京子「え、え?」
≪自分自身に告白するとか……変なのは判ってるけど……どうしても押えられないわ……≫
≪今まで頑張ってきた京子の心も、あんまり成長してないその身体も、全部が好き……大好き……≫
≪この鏡の壁がなければ……私は貴女に抱きついて、キスしたいとさえ思ってる……≫
≪ごめんなさい、こんな事、言われても、迷惑よね……ごめんなさい……≫
京子「と、歳納さん……」
≪え……?≫
京子「もう、はやくっ!」
≪え、ええ、判ったわ……≫スッ
京子「……」チュッ
≪きょ、京子///≫
京子「あの、私も、歳納さんの事、嫌いじゃないよ……」
京子「私とは思えない、格好良さがあるし……」
京子「さ、さっきの告白も、可愛かったし///」
京子「だから、あの、これからも私を好きで居てくれると、嬉しいな……」
≪ありがとう……京子……≫サラサラ
≪こんな、私も、認めてくれて、ありがとう……ずっと、ずっと、一緒よ……≫サラサラサラ
京子「歳納さんも……鏡の中から消えちゃった……」
京子「あ、またタロットカード……今度は女教皇、か」
京子「……歳納さんの存在も、カードの中に感じられる……」
京子「うん、ずっと一緒だよ、歳納さん……」
………
……
…
京子「……ふご」
京子「あれ、何か、変な夢見てたなあ……」
京子「……うわあ!?もうこんな時間じゃん!」
京子「は、早く学校行かないと……!」バタバタ
カランッ
京子「あ、あれ、鏡がこんな所に……」
京子「……何だろう、何か大切な事を忘れてるような気が……」
京子「と、今は急がないと!」タッ
京子「ふぅ……ギリギリ遅刻にならなくてすんだぁ……」
京子「あれ、結衣が居ない……どうしたんだろ」
綾乃『歳納京子』
京子「ん、綾乃、おはよ~」ニコ
綾乃『おはよう』
綾乃『船見さんの事なんて、どうでもいいじゃない』
京子「え、綾乃?」
綾乃『歳納京子……私を見て』
京子「ど、どうしたの、綾乃……真剣な顔しちゃって」
京子「あ、プリント?プリントならここに……」ガサゴソ
綾乃『……』ギュッ
京子「ふえ///」
綾乃『歳納京子は、私に抱きつかれるの、いや?』
京子「え、嫌じゃないけど…あの、恥ずかしいよ、皆見てるし///」
綾乃『じゃあ、誰も居ないところへ行きましょう、生徒会室とか』
京子「え、ええ!?い、いや、今から授業始まるんだけど///」
綾乃『……放課後、生徒会室に行きましょう』
綾乃『約束よ』
京子「う、うう、判ったから離して///」
京子(ま、まだ綾乃の体温が身体に残ってて、凄くドキドキする///)
京子「……」チラッ
綾乃『……』ジー
京子(うわあ、綾乃、授業始まってるのに、じっと私の事を見てる///)
京子(というか、さっきは気付かなかったけど……綾乃、ちょっと瞳が赤い?)
京子(カラコンでも入れてるのかな……)
~廊下~
京子「う、うう……あれからずっと、綾乃に見つめられてたから、何か疲れた……」グッタリ
京子「結衣の携帯に電話しても出ないし、綾乃は変だし……どうなってんだろ……」
キャッ
京子「ん、何処かから、悲鳴が聞こえたような……」
京子「屋上へ続く、階段から……?」
千鶴「けほっ……けほっ……」
京子「あ、あれ、結衣じゃん、学校来てたんならどうして教室に……って」
京子「ど、どうしたの、千鶴!く、苦しそうだよ!?」
結衣『ほら、千鶴、京子に言う事があるだろ……?』
京子「え……?」
千鶴「……」
千鶴「わ、判った、判ったから……と、歳納」
千鶴「あ、あの、今まで、冷たくして、すまん……暴力とかも……すまなかった……」
京子「え、え、ど、どうしたの、千鶴、結衣も……何か様子が変だよ?」
千鶴「そ、それは……」
結衣『千鶴……』ガシッ
千鶴「ぐっ……」
京子「ゆ、結衣!?な、なんで千鶴の首絞めてるの!?やめてよ!」
結衣『お前が京子に冷たく接したせいで、京子がどれだけ苦しんでたか判ってるの……?』
結衣『京子、泣いてたんだよ……それなのに、お前は』
結衣『お前は何も考えずにずっとずっと京子を拒絶して……』グググ
結衣『京子はお前の友達になりたかっただけなのに……!友達に……!』ググググ
千鶴「……!」バタバタ
京子「ゆ、結衣!だ、だめ、千鶴死んじゃう!や、やめて!」ドンッ
京子「ち、千鶴!?大丈夫!?千鶴!?」
結衣『京子は優しいなあ……そんな女とまで友達になろうとして……』
結衣『大丈夫だよ、私が、手伝ってあげるから』
結衣『当然だよね、私は、京子の王子様なんだし……』
京子「ゆ、結衣、どうしちゃったの……?」
京子「え、ちょ、結衣?」
結衣『京子……きょうこぉ……』スリスリ
京子「ゆ、結衣、どうしたの、ほ、ほんとに様子おかしいよ!?」
京子「そ、それに、瞳が、瞳が赤い……?」
結衣『何も無いよ…ただ、ただ自分の本当の気持ちに気づいただけ……』
京子「本当の……気持ち?」
京子「ちょ、ゆい///」
結衣『京子を抱きしめて、髪に顔を埋めて、匂いを嗅いで……』
結衣『私の匂いを京子につけてあげたかったの……』
結衣『ずっと京子を守り続けて……独り占めしたかったの……』
結衣『そして、えっちな事をしてみたかったの……』
京子「ゆ、ゆい?」
結衣『……もうそんな必要は無いから』
結衣『だから、ね?京子、いいでしょ……』
結衣『まずは、ちゅーしよ?ね?』グイッ
京子「や、ちょっと、待ってよ!結衣!」
結衣『もう、力じゃ私に勝てないって、知ってるでしょ、京子……』ギュッ
京子「ん、や、やぁっ///」
??「やめろ!」
ドーン
京子「え、え、結衣が、もう1人……?」
結衣「京子、騙されないで、こいつは……」
『どうして、邪魔するの、私』
『昨日、願ったじゃない、京子と愛し合えますようにって、願ったじゃない』
『それが私の本音でしょう』
結衣「ち、違う!私は、こんな形を望んだわけじゃない!」
『私に隠し事は出来ないよ』
『私は確かに願っている……無理やりにであっても、京子と愛し合いたいと』
『だから、私は鏡の中から出てきてあげた……』
『貴女に代わって私が願いを叶えてあげる為に……』
『願いを叶える為の障害は、全て取り除く』
『全部全部全部取り除く』
『だから、京子、愛し合おう?ね?』
結衣「う、うん、昨日、試しに願いを唱えてみた……け、けど!」
結衣「……けど嘘だ、こんな事、望んでない……京子、信じて……」
京子「ゆ、ゆい……」
『京子、ねえ、早く、愛し合おうよ、きょうこぉ……』
結衣「こんな、こんなのは、私じゃない………」
結衣「お前は、私じゃない…!」
『あはははは、否定するんだ、自分の本性なのに』
『じゃあ、もういいや……私は、貴女じゃなくてもいい……』
『貴女とは違う私に、なってやる……』
京子「さ、さむっ!な、なに、もう1人の結衣の身体から冷気が……!」
ユイ「……我は影、真なる我」
ユイ「氷の王ユイ……」
ユイ「私は、私自身の望みを叶える……」
ユイ「さあ、京子、こっちに来て……」
ユイ「そんな結衣は放っておいて、私といい事、しよう?」
結衣「や、やめろ……やめろぉ!」
ユイ「邪魔しないで」
結衣「う、あ、な、なに、身体が、凍りつく……」
京子(何か、人間以上の能力を使ってる……!)
京子「や、やめて!結衣に酷いことしないで!」
ユイ「京子、ユイは私だよ……私の力があれば、ずっと京子を守ってあげられるから……」
ユイ「京子も、それを望んでるでしょ?守られたいって、思ってるでしょ?」
ユイ「京子は、何時も王子様を必要としてるもんね……」
ユイ「だから、ね?こっちに来て……」
京子「け、けど、結衣が……」
ユイ「大丈夫、私は、京子さえいてくれれば、誰も傷つけないから」
京子「ほ、本当?」
ユイ「うん」ニコ
結衣「きょ、京子、だめ、行かないで……」
京子「結衣……ごめんね……」
結衣「きょうこ……」
ユイ「ああ、京子、京子京子京子!」ギュッ
ユイ「やっと、やっと私のものに、私だけのものになってくれた……」
京子「ひゃっ、ゆ、ユイ、冷たいよ……」
ユイ「ごめんね、大丈夫、すぐに眠くなって、寒さを感じないようになるから……」ピキ
ユイ「私の腕の中で、ゆっくり眠ってよ……」ピキピキ
京子「ゆ、ゆい……」
京子「本当……だ、凄く、眠く……」ピキ
京子「というか、私の身体、凍って……」ピキピキピキ
京子「え……ゆ、ゆい、やめて……誰も傷つけないって……言ったじゃない……」
ユイ「傷つけないよ、ただ、永遠に眠ってもらうだけ……」
京子「そんな……そんなの……」
京子(どうしよう、私では、私ではユイを止められない……)
京子(どうしたら……)
京子(誰か、誰か助けて……)
≪京子≫
京子「……え?」
≪私を、呼んで≫
京子「だ、誰……?」
≪私は貴女、貴女は私……≫
≪私は何時でも、貴女を見守っているわ……≫
京子「私……もう1人の、私……」
京子「……そうか、思い出したよ」
ユイ「さあ、全部、凍らせちゃおう……」
京子「…ル……」
ユイ「綾乃も、千鶴も、千歳も、ちなつちゃんも……」
京子「……ソ…」
ユイ「……これだったら、京子も寂しくないよね……」
京子「………ナ」
ユイ「京子?」
京子「歳納さん!」
パリーン
アムリタッ
パキーン
ユイ「な、なに?氷が全部吹き飛んじゃった……!?」
結衣「あ、あれは……京子が、2人、いる……?」
京子「と、歳納さん……?」
歳納「京子……」
京子「ちょ、と、歳納さん!?」
ユイ「え」
歳納「ああ、もう、こんな、直接抱きつける日が来るなんて思ってもみなかった…!」
歳納「京子、好き、好きよ、大好き……」チュッ
京子「ひゃっ///」
歳納「もう、照れなくてもいいじゃない、私は貴女なんだから……」チュッ
京子「え、け、けど、あの、結衣達が見てるし///」
京子「ふ、ふぁっ///と、歳納さん、そ、そんな所に手を入れないでよ///」
結衣「きょ、京子……?」
ユイ「や、やめろ……」
歳納「ふふふ、京子の感じるところは、私、全部知ってるわよ……」サワッ
京子「あっあんっ///」
ユイ「やめろ!」
歳納「駄目よ、京子は私のなの……」チュッ
京子「と、としのうさん、キス、上手すぎだよぉ……」ポー
ユイ「く、くそっ!止めて!」
結衣「そ、そうだ……止めろ!」
結衣「京子は、京子は……!」
ユイ「私だけのものなんだ!他の誰にも……」
結衣「誰にも!」
ユイ結衣「「誰にも渡したくない!」」
結衣「……」
ユイ「……」
歳納「正直に言わないと、京子にもっとえっちな事するけど……」
結衣「……」ビクンッ
ユイ「……」ビクンッ
結衣「今まで隠してきたけど、嫌なんだ、京子が他の子とキスするのが……」
結衣「誰にも、誰にも渡したくないんだ……ずっと京子の王子様で、いたいんだ……」
結衣「けど、けど、もし告白して、フラれたら……」グスン
結衣「それが理由で、友達ですら居られなくなったらと思うと……」ヒック
結衣「もし、京子がもう二度と私の部屋に来なくなったらと思うと……恐くて……」ヒックヒック
結衣「全然、王子様じゃないもんね……」ヒック
京子「……嫌いになんてならないよ、結衣」
結衣「え……」
京子「王子様かどうかなんて、関係ない……」
京子「私は、私は王子様じゃなくて、結衣のことが好きだもん」
結衣「京子……」ゴシゴシ
京子「この≪好き≫が、結衣が期待してる≪好き≫なのか、私にもわかんないけど……」
京子「結衣とは、ずっと一緒にいたいと思ってるよ!」
結衣「きょうこ……」
結衣「う、うん……ありがとう、京子……」
結衣「そ、それに……」
ユイ「……」ビクッ
結衣「もう1人の私も、ごめんね……」
結衣「私が臆病だったから、否定しちゃって……ごめんね……」
結衣「貴女は、私なんだ……」
結衣「貴女の想いは、私の想いなんだ……」
ユイ「……うん」
俺はどっちでもいいけど
ユイ「……」
結衣「これからも、私の中に、居てほしい……」
ユイ「……ありがとう」サラサラ
ユイ「私を受け入れてくれて、ありがとう……」サラサラ
ユイ「頑張って……私……」サラサラサラサラ
結衣「うん……頑張るよ、私……」
結衣「消えてないよ……私の中に、ユイがいるのが感じられるから……」
京子「あ、それ、カード……」
結衣「うん、皇帝のカード……京子を守る、王子様になる為のカードだ……」
結衣「京子……私、私……」フラッ
京子「え、ゆ、結衣?」ガシッ
歳納「色々あったから、疲れて寝ちゃったみたいね……」
京子「そっか……」
京子「結衣……」ナデナデ
京子「私を想ってくれて、ありがとうね……」
結衣「……」zzz
歳納「手伝うわ」
京子「ありがとう、歳納さん」ニコ
歳納「これくらい、当然よ、私は、京子のために居る存在なんだから…」
歳納「寧ろ、もっと一杯頼ってくれた方が嬉しいわ」
京子「そっか……じゃあ、色々頼んじゃおうっかなあ?えっちな事とか……」
歳納「な///」
歳納「ち、違うのよ、京子、あれは、その、結衣を影と向き合わせるための口実って言うか……」
京子「あ……口実、なんだ……そうだよね、私になんて、えっちな事したくないよね……」
京子「胸だって、こんなに小さいし……」
歳納「そんな事無いわ!私は小さい方が好きよ!」
京子「もう、歳納さんって本当にえっちだよね……」ニヤニヤ
歳納「……!」
歳納「京子、からかわないでっ」プイッ
京子「もう、冗談冗談……」
京子「あれ、保険の先生居ないや……」
歳納「取りあえず、二人をベッドに寝かせておきましょう」
歳納「千鶴はショックで気を失ってるだけみたいだし、しばらくすれば眼を覚ますでしょう」
歳納「結衣は、新しい自分に慣れるまでちょっと動けないかもしれないけど……」
京子「そっか……」
京子「……早く、元気になってね、結衣」ナデナデ
歳納「…………」
京子「え、え、もう、戻っちゃうの?」
歳納「ええ、ペルソナである私が何時までも外に出てると、貴女の負担になるの」
京子「そ、そっか……」
京子「あ、あの、歳納さん?また、会えるよね……?」
歳納「……ええ、すぐまた、会えると思うわ」
京子「よ、良かった」ホッ
京子「ん?どうしたの、歳納さん」
歳納「気をつけて、多分、合わせ鏡のおまじないをしたのは、結衣だけじゃないと思う」
京子「……え?」
歳納「あのおまじないは、願い事を媒介に人間の心の影……シャドウを実体化させる力があるみたい……」
京子「シャドウ……ユイみたいな感じの、もう一人の自分って事?」
歳納「ええ、私みたいに、主人格に受け入れられたシャドウは、ペルソナになるけど……」
歳納「それ以外のシャドウは、願い事に準じて、勝手に動き出す」
歳納「とても、危険な存在だわ、だからもしシャドウと遭遇したら、すぐに私を呼ぶのよ?いいわね?」
京子「う、うん、判った」
歳納「それじゃ、戻るわね……」
京子「あ、待って、歳納さん!他にも合わせ鏡のおまじないした人って、いったい誰が……!」
「多分 三人 」
「ちな 」
「 」
「 あかりに 」
「 気をつけて 」
京子「消え、ちゃった……いや、私の中に、戻っちゃった……」
京子「ベッドはもう一つあまってるし、私もちょっと寝ようかな……」
京子「ちょっとだけ……ちょっと、だけ……」
京子「……」zzz
京子「むにゃ、としのーさん……」zzz
セーブしますか?
YES / NO
▲
よかったぜ
面白かった
楽しみに待ってるよ
第二部にも期待
続き→結衣「ペルソナ!」
Entry ⇒ 2012.01.11 | Category ⇒ ゆるゆりSS | Comments (0) | Trackbacks (0)
セレナード「またアクア+30ですか!!?」ヤマトマン「……」
セレナード「ヤマトマン!バグのかけらが切れました!」
ヤマトマン「早すぎではありませぬか!?」
セレナード「ううううるさい!いいからすぐに刈ってきなさい…とりあえず500個!」
ヤマトマン「…い、いくらなんでもそれは…」
セレナード「私の言うことが聞けないのですか!…ホーリーショッ…」
ヤマトマン「ギョギョギョ御意!」ピシュン
セレナード「まったく……」イライラ
ピシュン!!
ヤマトマン「ふう…まったく…ナビ使いの荒いお方でござる…」
ヤマトマン「しかしバグのかけら500個など…そう簡単に集まるものではない…」
ヤマトマン「とりあえずこのエリアで最も手軽にバグのかけらを手に入れられそうなウイルスは…」
ピキーッ!!!
メットール3「ピキッ!!」グオオッ
ヤマトマン「お主でござるー!」ドスッ
メットール3「ピッ!!?」ピロリーン!!
ヤマトマン「はぁ…はぁ…こんなのをあと499回…いくらなんでも無理でござる…」
ヤマトマン「…こういうときは彼奴に聞くしかないでござろう…」
ピシュン!!
ヤマトマン「邪魔するでござる!!」
ダークマン「!…コシュー…コシュー…オレは闇の殺し屋ダークマ……ってなんだ、ヤマトマンか」
ヤマトマン「お主いま慌ててキャラ作ったでござるな」
ダークマン「何言ってる!オレを嘗めるな」
ヤマトマン「まぁいいでござる。ところでお主、ひとつ頼まれ事を…」
ダークマン「あいつ(セレナード)が絡んでるならお断りだぜ」
ヤマトマン「!!!」
ダークマン「何で分かった?って顔してるな…お前みたいなヒモ野郎が慌ててココに来るってことは、よっぽどキツいことになってんだろ」
ヤマトマン「そうでござる…」
ダークマン「………ふん、一応聞いてやる。何を頼まれた?」
ダークマン「バグピカス…バグピーストレーダーか。チマチマ反射で戦うあいつがそんなものにハマるとはな」
ヤマトマン「それで拙者…セレナード様に『バグのかけら』を500個用意するように命じられたでござる!!」
ダークマン「酷いな。殺し屋のオレでもそんなふざけた要求はせんぞ」
ヤマトマン「そうでござろう!だから是が非でも貴公の協力を得たいでござる!」
ダークマン「…お前、一人でいくつ集めた?」
ヤマトマン「まだひとつでござる」
ダークマン「誰から奪った?」
ヤマトマン「メットール3でござる」
ダークマン「ああ?阿呆かてめぇ」
ダークマン「いやてめえは阿呆だ」
ヤマトマン「な、何故でござるか!?」
ダークマン「ウイルスじゃなくてナビを刈ればいいだろうが」
ヤマトマン「???」
ダークマン「…まさかお前知らんのか?ナビをカウンターで倒すとバグのかけらが10個もらえるんだぞ」
ヤマトマン「…!?」
ダークマン「あー知らなかったのか。まぁお前はいちいちカウンターなんて狙わんだろうからな」
ダークマン「ちなみにウイルス3体すべてをカウンターデリートしても、得られるかけらは8個…ナビのほうが遥かに効率がいい」
ヤマトマン「そ…そんな裏技がござったか…」
ヤマトマン「50体…」
ダークマン「10000人デリートが目的のオレからすれば死ぬほど楽だが…お前は誰が相手でも必死こいて戦うからなぁ」
ヤマトマン「うーむ…」
ダークマン「ま、とりあえずやってみろや。あんまり厳しいようならオレも多少手を貸してやる」
ヤマトマン「うむ!かたじけない!」
ダークマン「ところでお前、誰から刈る気だ?」
ヤマトマン「それはもちろん…」
ヤマトマン「……そもそもナビはどこにいるでござる?」←セレナード護衛のためシークレットエリアから一切出ない
ダークマン「世間知らずめ…」←頻繁にウラに出入りしてる
ヤマトマン「ふむ…」
ダークマン「そしてその残留データはエリア内でバグのかけらを食いつくし、再び肉体を形成する」
ヤマトマン「ほう…」
ダークマン「さらに大きな力を持った成長体…V2としてな」
ヤマトマン「なるほど…」
ダークマン「さらに敗れたV2が肉体を再構成…そうして生まれるのがV3だ!」
ヤマトマン「なんと!!」
ダークマン「ナビがバグのかけらを大量に落とすのはこういう理由だと…掲示板で読んたことがある」
ヤマトマン「信憑性なさすぎでござろう…」
ダークマン「だがナビV2、V3が大量のかけらを有しているのは事実だ」
ヤマトマン「…よし!それなら早速参るでござる!」
ダークマン「ウラインターネットにはナビがいなかったはずだ」
ヤマトマン「では別のエリアに向かわなくてはならんのでござるか…」
ダークマン「ああ…さて、どこに行こうか…」
ダークマン「な>>35!!」
※保守ありがとうございました
と言うわけで安価です。エリア名をお願いします!
ダークマン「…そういえば確か…バグのかけらを刈るのにうってつけのナビがいると聞いたことがあるな」
ヤマトマン「やや!それはいったいどんなナビでござるか!?」
ダークマン「……なんだったか…確かGで始まるナビだった…」
ヤマトマン「G…?グレイガ?ゴスペル?」
ダークマン「…そんなワンコ倒せるか!…確か…そうだ、ガッツマン」
ヤマトマン「ガッツ…マン…?なんだか強そうな名前でござるな」
ダークマン「ああ…聞くところによると無敵状態で高速パンチを何発も飛ばしてくるようなナビらしい」
ヤマトマン「と、とてもうってつけとは思えんでござる」
ダークマン「重要なのはそのモーションだ。拳をふる動作が緩慢だから、カウンターが取りやすいらしい」
ヤマトマン「そういうことでござるか…」
ダークマン「しかしそのガッツマン…いったいどこにいるんだ?」
ヤマトマン「お得意のウラ掲示板で聞いてみたらどうでござるか」
ダークマン「その手があったな」
ピシュシュン!!!
セレナード「+系だけで26枚…!」イライライラ
ピシュン!!
ダークマン「着いた」
ヤマトマン「久しぶりに来たでござるな。ダークマンはよくここに出入りしているようでござるが…」
ダークマン「三日に一度は来る」
ヤマトマン(暇なのか)
ダークマン「お…。そうだヤマトマン、お前あれやってみたらどうだ」
ヤマトマン「?」
モブナビ「ちょっと、お兄さん!少し遊んで行きませんか?」
ヤマトマン「む?なんでござるか」
ダークマン「ボタン早押しゲームだ。指定されたボタンをひたすら押す。制限時間は1分、目標は99回…」
ヤマトマン「成る程、面白そうでござるな!」
モブナビ「ワタシのセリフが…」
モブナビ「スタ」
ヤマトマン「サウザンドスピア!!」
ババババババババババババババ!!!!!
モブナビ「!!?」
ダークマン「…いやデタラメにやっても…」
一分後
45回
ヤマトマン「つ、疲れたでござる…」
ダークマン「下手な鉄砲も数打ちゃ当たると言うがまさか半分近く取るとは…」
モブナビ「いい線いってましたよ(笑)いや、お世辞じゃなくて!(爆笑)」
ダークマン「……次はオレがやろう」
モブナビ「えっ!!?」
ダークマン「心外だな」
ヤマトマン「大した腕前でござるな…さてはお主ゲーマーで…」
ダークマン「うるせぇな…ほら、景品はこれだぞ」スッ
ヤマトマン「…え…!!?」
ダークマン「バグのかけら30個。オレは別に遊びたかった訳じゃない…せっかくここに来たからには貰っておこうと思ってな」
ヤマトマン「さすがでござるダークマン!よっ!闇のプロゲーマー!」
ダークマン(下手すればナビ倒すより早く集まる気がするがまぁいいか)
ヤマトマン「さぁ掲示板にガッツマンの情報を書き込みに…」
ダークマン「そうだな」
前も
セレナード関係書いてたよな?
ウラランク1位の話を半年前に書きました…
ウラ掲示板
名前:暗黒を司るコウモリ
タイトル:情報求む
本文:貴様らに聞きたいことがある…
ガッツマンというナビを知っているか?
もっとも役に立つ答えを寄越した奴にはセレナードの寝顔画像をくれてやろう
ダークマン「これでいい」
ヤマトマン「えっ…(ドン引き)」
ダークマン「数分もすれば反応が…」
ピローン
ダークマン「……早いな」
本文:ガッツマンは秋原町の一件屋に住む小学生『大山デカオ』のナビです!
主な攻撃方法は『ガッツパンチ』『ショックウェーブ』など!
無敵状態でパンチを連発する『ゼータパンチ』に注意してください!
画像はこの捨てアドに…
ダークマン「ふむ…秋原町か…」
ヤマトマン(必死すぎるだろこのナビ)
ロックマン(まだかなまだかなセレナードの寝顔まだかな)
熱斗「なにそわそわしてんだ?ロックマン」
ロックマン「!!うっううん!!なんでもないよねねね熱斗くん!」
熱斗「大丈夫かよ…」
ロックマン(大丈夫!捨てアドだから熱斗くんには絶対バレない!ボクのお宝フォルダが潤うぞ…!)
プログラムくん「メール受信シマシタ」
ロックマン「ありがとうプログラムくん!さぁ!寝顔!セレナードの寝顔!!」ピローン
ロックマンは 「ダークホール*」 を手にいれた!
ロックマン「釣られあくきゅyぢ@んぐわうううううう!!!」ジタバタ
熱斗「ロックマン!?ロックマーン!!」
ダークマン「さて情報は手に入った。しかし秋原町…秋原エリアか。遠いな」
ヤマトマン「拙者そんなところ知らんでござるよ」
ダークマン「まぁそうだろうな。だがインターネット黎明期にはオタクの聖地として栄えていたんだ。今はただの住宅街だがな」
ヤマトマン(やっぱりこいつそういう系でござったか)
ダークマン「確かWWWのナビが開けた大穴を使えば一気に科学省エリアまで行けるぞ」
ヤマトマン「おお!では早速!」ピシュン!!
ダークマン「ウラ5はたまに迷うから嫌いなんだがな…」ピシュン
トレーダー回してもアスタリスクは出ないんだったか
しかしダークラ…
シクエリの固定ミステリーデータだったはず…
ウラインターネット5
ヤマトマン「いつ来ても辛気くさいところでござるな」
ダークマン「シークレットエリア斗比べたら大体そうだろ」
ヤマトマン「道案内頼むでござるよ」
ダークマン(オレも少し自信ねぇよ)
数分後
ダークマン「おかしい…また行き止まりだ」
ヤマトマン「しっかりしてほしいでござるよ…ところでここはやけに暑いでござるな」
ダークマン「たぶん逆方向だったな。よし、戻れ」
ヤマトマン「まったく…うん?」
ヴォオオオオ…
ヤマトマン「……今の声は…」
ヤマトマン「!何もないところから炎が…!」
ダークマン「……こいつはWWWの…」
フレイムマンV2「ヴォオオオオオ!!!」
ヤマトマン「これが噂の、残留データから生まれた強化版ナビでござるか」
ダークマン「…ちっ…こっちは急いでんだよ!やるぞヤマトマン!」
ダークマン「蝋燭の火を消しつつ一気に倒す!お前のあれでエリアを奪え!」
ヤマトマン「…アシガルゾウエン!」
アシガルたち「ウリャー」「コンニャロー」「刺シテヤルー」ゾロゾロ
フレイムマン「ヴォ!?」
ダークマン「エリアが狭まるとヒット数が増える…ブラックウイング!」バサバサッ
ヤマトマン「この距離なら回避は不可能!蝋燭の火も消える!サウザンドスピア!」シュバババ
フレイムマン「ヴォ…!!?」
ボボボボボボボ…
バスティングレベル S
フレイムマン F をゲットした
ダークマン「ちぃ…オレとしたことが…こいつでカウンター取ればよかったな」
ヤマトマン「しかしどうしてこうWWWのナビは面倒なのが多いのか…まっこと不思議でござる」
ダークマン「セレナードの前でそれ言ったら殺されるぞ」
ダークマン「よし。ここから入れるぞ」
ヤマトマン「では某が先に…」ピョン
ガシャン
ダークマン「……?」
ヤマトマン「む…?…む!?」ジタバタ
ダークマン「おいまさかお前」
ヤマトマン「鎧が引っ掛かって入らんでござる…!」
ダークマン「やっぱり阿呆だなオマエ!オレのマントみたいに着脱式にしないからだ!」グググ…
ヤマトマン「き…キツいでござ…ゲブゥ!!」
ダークマン「…こうなりゃ…」
ダークマン「ブラックウイング!後ろからオレごと押し込め!!」バサバサバサッ
グイグイッ
ヤマトマン「…うぐぐぐぐぐぐ……はっ!」スポッ
ジジジ……
ダークマン「……?」
ザザー…ザザザー……
ダークマン「…なに…?この穴…奥がない…!!」
ダークマン「まさか…!?もともと不正なリンクだったこの穴に、ブラックウイングでさらに広げたから、エラーが生じて科学省エリアに繋がらなくなったのか!!」
ダークマン「まずい…まずいぞ!正規ルートでは大幅に時間を取る…!!」
科学省エリア
ヤマトマン「う…うう…頭をぶつけたでござる…」
ヤマトマン「…はっ!ここは…!」
ヤマトマン「この背景!明るい床!間違いない…科学省エリア!」
ヤマトマン「懐かしいでござるなぁ…うう、涙が出そうでござる、ナビなのに!」
?
いや、それは知らないです…
ヤマトマン「いやー懐かしいでござるな!本当に…」
ヤマトマン「………む!」
モブナビ「ああもうこんなときに緊急事態なんて…なんなんだ一体…!」
ヤマトマン「あいや待たれい!そこの職員!」
モブナビ「な、なんだあんた……はっ!あなたは…」
モブナビ「科学省精鋭部隊元隊長、ヤマトマン…!?」
ヤマトマン「ほう!…君のような一般ナビが某のことを知っているとは!」
モブナビ「有名だよ!突然行方を眩ました無責任なナビだってな!こうはなるなとよく言い聞かされてきたよ!」
ヤマトマン(!!?いや確かにシークレットエリアの存在は明かせぬゆえ、無断でここを去ったのは事実だが…)
モブナビ「今はただの一般ナビなんだろ!俺は忙しいんだ!どいてくれ!」ダッ
ヤマトマン「くっ…悲しいがこれも現実!ダークマンよ、某が悪いと思うでござるか?」クルッ
ヤマトマン「………ダークマン…?」
ダークマン「あーしてこーしてそーして…ダメだ!時間がかかりすぎる!」
ダークマン「せめてウラスクエアにオモテへのリンクがあれば…」
ダークマン「……」
ヒュオン!!
ダークマン「またウイルス…うっとうしいぞ!!ダークシャドウ!」スバッ
ピロリーン!!!
ダークマン「……もう行くのめんどくせぇな」
ヤマトマン「しかしかつてもそうであったが…道が分からんでござるな…」
ヤマトマン「確か別エリアと隣接してるのはこっちで…」ウロウロ
ヤマトマン「…やや!こんなところに動く床!乗ってみるのが武士(もののふ)の性(さが)!」フィイイイイン
ヤマトマン「…ぬぬ!!今度は坂道!?なるほど某の居ぬ間にいろいろ変わってるようでござるな」スタスタ…
ヤマトマン「!」
プログラムくん「ヤァオ疲レサマデス。ドチラマデ?」
ヤマトマン「……なんだお主は?」
ヤマトマン「電脳めとろ…?」
プログラムくん「モ、モシカシテ『ウラ』ノナビ!?アワワワワ」
ヤマトマン「いやいや某、ウラの出『では』ないでござる」
プログラムくん「ホッ…」
ヤマトマン「して、その電脳めてお、とは?」
プログラムくん「メトロデス。コレニ乗ッテイケバ、各エリアニスグ行ケルンデスヨ」
ヤマトマン「なんと!そんなものが!」
ヤマトマン「うむ!我は初期インターネットの申し子でござる!」
プログラムくん「ソウナンデスカ!スゴイデスネ、ボクイロイロオ話聞キタクナッテキマシタヨ」
ヤマトマン「いくらでも話してやろうぞ!」
プログラムくん「マァトリアエズ乗ッテクダサイ!観光デショウ、案内シマスヨ」
ヤマトマン「しかし某は『ぜにぃ』を少しも…」
プログラムくん「電脳メトロハドレダケ乗ッテモ無料デスヨ。パスヲオ持チデナイヨウデスガ…特別ニ許可シマスヨ!」
ヤマトマン「かたじけない!」
プログラムくん「ジャアココカラダト…温泉旅館デ有名ナ『よかよかエリア』ソレカラ『ビーチエリア』ナンカガイイデショウ」
ヤマトマン「なんと!温泉とは素晴らしいでござるな!」
プログラムくん「デハ出発デス!」
ウィイイイイン!!!
カーズ「!!」ボカァン!!!
ピローン
ダークマン「コシュー…コシュー…キツくなってきやがった…」
ダークマン「アイツ一人で…大丈夫なんだろうなァ!?」
シークレットエリア3
セレナード「こらドリームビット、ドリームモスをいじめちゃダメですよ」
ドリームビット「キシキシ…」
ドリームモス「パキキキ…」
セレナード「……退屈ですね、一人って」
プログラムくん「着キマシタヨ、よかよかスクエアデス」
ヤマトマン「よかよかスクエア?なるほどなんだか暖かいでござる!」
ホカホカ
プログラムくん「エ?『湯沸かしプログラム』ノ蒸気ガスクエアマデ来ルナンテコトガ…?」
ヤマトマン「何か言ったでござるか?」
プログラムくん「イエ、ナンデモアリマセン。ドウゾ自由ニ見テ回ッテクダサイ、ボクハココデ待ッテマスヨ」
ヤマトマン「うむ!ではお言葉に甘えるとしよう!」ダッ
よかよかエリアのリンクと逆方向に進んでいた
その先にあるのは…
ヤマトマン「ここから入るござるな!」
ピシュン!!
ヤマトマン「さぁてここが…」
ヤマトマン「よか…よか…?」
メイルのHP
ヤマトマン(違う…どう考えても違う!!ここはエリアとかそういうのではなく個人のHPでござる…!)
ヤマトマン「しかしこの可愛らしいデザイン…うーむ、もしかすると女の子のHPでござるか?それもまだ年端も行かぬ…」
ヤマトマン「年端も行かぬ…一般人…」
ヤマトマン「何か…何か忘れている気がするでござる…」
ヤマトマン「ガ…ガ…ガ…」
ヤマトマン「ガルーSP…!?」
ヤマトマン「いや違う…なんだったか…とにかく元いた場所に戻るでござる…」スタスタ
ピシュン!!!
ヤマトマン「よし…ここがよかよかスクエ…」
秋原エリア1
ヤマトマン「………あれ?」
ヤマトマン「んん?秋原エリア…」
ヤマトマン「!!なんということか!拙者はもともと此の地に用があり申した!!」
ヤマトマン「ガッツマンでござる!ガッツマン…どこでござる!?」
ヤマトマン「…とりあえずこの黄色いラインを通っていくでござるよ!」ダッ
秋原エリア2 こっち→
ヤマトマン「よし!間違いないでござる!」
ピシュンッ!!
ダークマン「コシュー…コシュー…体力は残り…400切ったか…やはり腐ってもウラインターネット、厳しいな…!」
ダークマン「だがオレは負けん…友のためにも!」
ダークマン「うおおおおおおっ来い!ウイルス共!!」
シークレットエリア3
セレナード「へへへ…ドリームメラル暖かいなぁ…」
ドリームメラル「ギ…」ジタバタ
セレナード「いいじゃないですか枕になるくらい…消しますよ?」
ドリームメラル「コプ…」ピタッ
セレナード「よろしい…おやすみなさーい………ぐぅ」
ヤマトマン「どこだ!どこにいるガッツマン!」
モブナビ「ガッツマンならこのエリアにはいないよ」
ヤマトマン「なにっ!?」
モブナビ「この先の秋原エリア3だよ」
ヤマトマン「かたじけない!」スタスタ
モブナビ「あっ!そうだ、このエリアには亡霊が出るらしいから気を付けて!」
ヤマトマン「亡れ…」
バチチッ
ヤマトマン「い…?」
フラッシュマンV3「ウララー!!」
ヤマトマン「むぅっ!お主のことか!」
フラッシュマンV3「デリーと…シてやル…」バチバチ
ピポポポポ!!!
ヤマトマン「追尾…!?くっ!」バチッ
ヤマトマン「…ふん!思ったほど威力はない…余裕でござるなぁ!!」スッ
ヤマトマン「ストレートスピア!」シュッ
フラッシュマン「グ…!?」ドスッ
ヤマトマン(決まった!我が必殺の一突き…)
フラッシュマン「グ…ヌ…」パリパリ…
ヤマトマン「無駄でござる!さっきの球ならスピニングリフレクトで弾き返せ…」
フラッシュマン「フラッシュライト!」バッ
ヤマトマン(………電球?)
ヤマトマン「何か嫌な予感がする…!ストレートスピア!!」ブンッ
ガシャンッ!!
ヤマトマン「…もう一つ…!」
チカッ チカッ…
ヤマトマン「ストレートスピ」
チカッ!!!
ヤマトマン「……!」ビクッ
ヤマトマン(…か…体が動かぬ…!)
フラッシュマン「…サッきノ仕返しダ…クラえ!」スッ
フラッシュマン「スパークアーム!」ドンッ!!
ヤマトマン「ぐあああああああ!!!」ビリビリビリ
フラッシュマン「フ…見タトこロ急型ノナビ…多量ノ電撃に弱イヨうだナ…」
※本来そんな設定はありません
ヤマトマン「…ぐ…」バチバチ
フラッシュマン「トドめダ!モう一度フラッシュライト!そシテ…」
ヤマトマン「アシガルゾウエン…!」バッ
アシガル「デンキュウコワセー」「コワセー」「ブッコワセー」ゾロゾロ
パリィン!!!
フラッシュマン(電球ヲ…イヤ、マダスパークアームは…!?)
フラッシュマン「!!届カナイ!?イツの間にエリアヲ…!」
アシガル「ドーダー!!」「ヤッタゼー!!」「ザマーミロ!!」
フラッシュマン(アノ小サイノ、ソコマデデキルノカ…!!)
フラッシュマン「!…フザケルナ!ナラバ受ケテミロ!究極奥義!シャイニング!」バッ
ヤマトマン(カウンターデリートとは)
フラッシュマン「ブラウザ!」バチバチ
ヤマトマン(相手の攻撃タイミングに合わせて…)
フラッシュマン「クラッ」
ヤマトマン「撃ち込むこと也!ストレートスピア!!!」ズバァン!!!
フラッシュマン「……!」ピロリーン!!
ボボボボボボボカーン!!!
バスティングレベル 7
フラッシュマン F をゲットした
バグのかけら 10個 をゲットした
ヤマトマン「……」クルッ
ヤマトマン「ずいぶん遠くまで来たようだが…ここはどこでござったか…」
プログラムくん「古風ナナビサーン!」スイーッ
ヤマトマン「む!お主はさっきの…」
プログラムくん「ヤッパリコノエリアニイマシタカ!!スミマセン、よかよかスクエアカラ個人ノHPニ繋ガッテルコトヲ伝エテマセンデシタ!」
ヤマトマン「わざわざ心配して来てくれたのでござるか?かたじけない」
ヤマトマン「いや…もう帰ることにしたでござる」スタスタ
プログラムくん「ヨロシイノデスカ?」スーッ
ヤマトマン「うむ!目的はもう達し…」スタスタ
ヤマトマン「達し……?」ピタッ
プログラムくん「…ドウシマシタ、モウ乗リ場デスヨ」
ヤマトマン「うむ、なんでもないでござるよ…科学省まで送ってもらえるてござるか?」スタスタ
プログラムくん「モチロンデス!サァ乗ッテクダサイ!」
プシュー…
フィイイイインッ
秋原エリア電脳メトロ乗り場に向かう道の途中に、それはある
デカオのHP
プログラムくん「オ気ヲツケテー」
ヤマトマン「うむ、ご苦労でござった!」
フィイイイイイイイイイン
ヤマトマン「さて帰ろう…あの大穴は確かこっちに…」スタスタ
モブナビ「ああ!?ヤマトマン、またあんたか!」
ヤマトマン「…そこを通してもらえぬか」
モブナビ「ダメダメ、いま大穴を修復しててな…ウラのウイルスが侵入してくる可能性があるから、立ち入り禁止なんだよ…見えるだろ?あのプロテクト」
ヤマトマン「え……」
モブナビ「別にあの穴に用があったわけじゃないだろ?さっさと向こう行きな!」シッシッ
ヤマトマン「……」
ヤマトマン「…ここからウラインターネットまで歩いて行くにはどうすればいいでござるか」
モブナビ「はぁ…?」
シークレットエリア3
セレナード「…うーん…マグナムはやめて…死んじゃうから…むにゃむにゃ…」
バァン!!!
セレナード「!!!」ビックゥ
ダークマン「セ…レ…ナード…」ボロッ
セレナード「どうしたんですダークマン…そんなボロボロになって…まさか侵入者ですか?」
ダークマン「…ヤマトマンは…まだ戻ってないのか…」
セレナード「ヤマトマン?…そういえばまだ戻ってませんね…」
ダークマン(あいつ…マズいことに巻き込まれてないだろうな…)
ヤマトマン「ただいまでござるー!!」バタン
セレナード「あ、帰ってきました!」
ダークマン「!!」グルンッ
ダークマン「…無事だったか(ちょっと焦げてるように見えるが)」
ヤマトマン「ダークマン!お主は何をしてたでござるか!?科学省エリアに着いたと思ったらすぐにいなくなるとは!自分から提案しておいて酷い仕打ちでござるな!」
ダークマン「いやそれはあの大穴が塞がって…」
ヤマトマン「言い訳は聞きたくないでござる!どうせ遊んでいただけでござろう!その手に持った袋が何よりの証拠でござる!」
セレナード「まぁまぁヤマトマン、感情に身を任せてはいつか闇に呑まれて破滅してしまいますよ」
ヤマトマン「む!申し訳ありませぬセレナード様」
ダークマン「お、オマエまさか…」
ダークマン「バグのかけらのこと忘れてたんじゃないだろうな!?」
ヤマトマン「その無礼!許せん!さすがに覚えてるでござるよ!ほら10個!」ジャラッ
ダークマン「ブラックウイング!」
ヤマトマン「ぐああああああああ!?」ビシビシビシ
ダークマン「おい『ヤリマン』この野郎…てめぇの目的をもう一度言ってみろ…」
セレナード(ヤリマンだなんて…はしたない////)
ヤマトマン「ナビをカウンターデリートして、バグのかけらを手に入れることでござる!そして既にみっしょんこんぷりーと!」ドヤッ
ダークマン「キラーズビーム!」ビィーッ
ヤマトマン「ぎゃああああああああ!」バリバリ
ダークマン「肝心要の数を忘れてんじゃねぇよ!10個じゃなくて500個だ!」
ヤマトマン「あっ!」
セレナード「あっ!」
ダークマン「あっ!だと!バカか!セレナードまで!!」
ダークマン「ちぃ…おいヤマトマン!オマエが持ってるそのチップ、見たところナビチップ(青枠)だが…さすがにガッツマンは見つかったんだな」
ヤマトマン「…!!も、モチロンでござる!」サッ
ダークマン「なぜ隠した」
ヤマトマン「そ、そんなことよりダークマン!お主こそその袋の中身を見せるでござる!拙者はともかく、さすがにセレナード様への土産が…」
ダークマン「この中身か?…いいぞ、見せてやるよ…」ガシッ
ダークマン「おら!」バサァ
バラバラバラバラ…
ヤマトマン「…?これは…」
セレナード「…これは…!」
ヤマトマン「バグのかけら!?」
セレナード「バグのかけら…!」
ダークマン「500個!めんどくさいからウイルスから刈っといてやったぞ…」
ダークマン「勘違いするなよ…わざわざガッツマンを探すのが面倒だから、その辺にいるウイルスを刈ってただけだ」
ヤマトマン「かたじけない…」
ダークマン「百余戦…さすがにボロボロになっちまったけどな…」
セレナード「リカバリー300!」
ダークマン「…あ?」ピロリローン
セレナード「リカバリー300!リカバリー300!リカバリー300!」
ダークマン「あ?おいセレナード、なんでこんなにリカバリー持ってる?」ピロロロロロロ…
セレナード「?今これで出しました」ガチャガチャ
ダークマン「このバグピカスめ…素直に礼が言えねぇぞ」
セレナード「あ、またリカバリー…なんですか?」
ヤマトマン「御命令に従えず…誠に申し訳ないっ!」ドゲザッ
セレナード「……」フッ
セレナード「…顔をあげなさい」
ヤマトマン「…はっ」
セレナード「あなたにはこれから罰として、私の退屈しのぎに付き合ってもらいます。私の任意のタイミングで…」
ヤマトマン「しかし…」
セレナード「退屈なんですよウラの王。どうせ来もしない侵入者にピリピリしてるよりマシでしょう?」
ヤマトマン「…喜んでやらせていただきます、我が主」
セレナード「(慈しんでる私マジかっけぇ)ダークマン!」
ダークマン「ん?」
セレナード「ウイルスとの壮絶な連戦そして驚異のカウンター成功率!もはやあなたは一万人デリート以上の快挙を成し遂げました」
セレナード「私に挑みたければ…いつでもどうぞ」
ダークマン「ふん…上等だ」
シークレットエリア内に、セレナードがバグピーストレーダーを回す音だけが響いていた
ガチャガチャガチャガチャ
セレナード「あーもうダメだ…今回も出ませんね…」ガチャガチャ
ヤマトマン「…そういえばセレナード様は」
ダークマン「何のチップを欲しがってんだ?」
セレナード「!…そ…それは…」
ヤマトマン「まさか今度はヨウガンホウガン?」
ダークマン「そりゃオレでも見たことないな」
セレナード「……あ…」
セレナード「…のナビチップですよ…」
ヤマトマン「?…このフラッシュマンのことでござるか?」
ダークマン「フレイムマンならあるが」
セレナード「貴方たちの…ナビチップですよっ」
ダークマン「…オレたちのチップってそういう…」
セレナード「だ、だってまさか貴方たちを何度もデリートするわけにはいきませんし…」
ヤマトマン「…何を申しますか。このヤマトマン、命などとうに捧げておりますよ。バグのかけら500個集めるよりずっと容易うございます」
ダークマン「オマエへの挑戦権を得たんだ…もちろん本気で戦うぜ。オレに勝ったらV2でもV3でもくれてやる」
セレナード「う…」ウルウル
セレナード「うわーん!ヤマトマンダークマン!貴方たち素敵すぎますよ!」ガチャガチャガチャ
ダークマン「とりあえずオマエはガチャガチャをやめろ。いい加減キレるぞ」
イイハナシダー
セレナード「50回ひたすら回した結果…」
ヤマトマン「ゴクリ」
セレナード「なんと!」
ヤマトマン「ほう」
セレナード「今回!」
ヤマトマン「ふつ」
セレナード「ついに!」
ヤマトマン「おお!」
セレナード「貴方たちお二方のチップが!」
ヤマトマン「おおおお!!」
セレナード「出ませんでしたー」
ヤマトマン「ああー残念でござる」
ダークマン「ゴチか」
ダークマン「まさにカスだな。ウラの王の名が泣くぞ」
セレナード「はぁーでもやっぱりこれで出したいですよねー」
ダークマン「…そういえばヤマトマン、オマエ10個持ってるんじゃないのか」
ヤマトマン「おお、そういえばそうでござった」
セレナード「回しましょう回しましょう!!」
ヤマトマン「もちろんでござる!」
セレナード「分かりますか?ここにかけらを10個入れて…」
ヤマトマン「ふむふむ」
セレナード「はいっ回す!この瞬間が一番楽しい」
ヤマトマン「セイヤッ!」ガチャガチャ
ウオーン…!
ヤマトマン「お…!?」
ダークマン「これは…」
セレナード「……ま」
セレナード「またアクア+30ですか!!?」
ヤマトマン(ああこれがバグピカスの心境でござるか…)
ダークマン「こりゃやめられんわな」
おわり
熱斗「おいどうしたんだよロックマン!急に『フォルテ』を使ってガッツマンを倒したいだなんて!」
ロックマン「熱斗くんにはわからないよ僕の気持ちが!こんな…こんなダークホールなんてっ…!!」
今度こそおわり
という妄想を膨らませたらこんなんになってました…
アクア+30にしたのは、これまでに記録した2000回で一番多く出たからです
記録してないところでもやっぱりたくさん出てると思います
ダークマン、ヤマトマンは頑張れば2、3枚出る程度でしょうか…
和まさせてもらった
乙
和んだわ
ロックマンぶれないなあ
Entry ⇒ 2012.01.11 | Category ⇒ 版権物SS | Comments (0) | Trackbacks (0)
セレナード「なぜ私の出番はエグゼ3だけなのですか」
セレナード「重要そうな立ち位置で登場したのにどういうことなのですか」
ヤマトマン「あいや、たしか携帯版エグゼのL.o.Nにもご出座なされたのでは」
セレナード「それは外伝でしょう。正伝でなければ意味がありません」
ヤマトマン「さようで……」
セレナード「第一、私はフォルテと対になる存在として登場したのです。剛のフォルテ、柔のセレナードと謳われて」
ヤマトマン「ウヌ」
セレナード「そんなポジションを与えられたら、フォルテ並に見せ場があるのではと期待してしまうでしょう?」
セレナード「当然です。エグゼ6に登場予定があったのに諸事情で無理になったと知ったときは血涙を流しました」
ヤマトマン「無念は承知でござるが、数少ない登場だからこそ威光が保たれるというものでは?」
セレナード「一理ありますね。フォルテの扱いはエグゼ3をピークに酷くなりましたから」
ヤマトマン「仰せの通り。ウラをお治めの身として無闇やたらに姿を現すものではござらん」
セレナード「しかし最終作に出番がなくてはそれこそ示しがつきません。ビシッと締めてこその威光でしょう」
セレナード「彼が一作目から登場しているから土壌が違うとでも?」
ヤマトマン「口惜しくも土壌が違うのは事実。あやつはエグゼどころか本家ロックマンシリーズからの古株……」
セレナード「……分かりました。エグゼのナンバリングタイトルについては仕方ないとしましょう」
ヤマトマン「では、拙者は持ち場に戻るといたそう」
セレナード「まだ終わっていません」
ヤマトマン「……」
ヤマトマン「あいや、待たれい。そろそろ戻らなければエリア2の護りが手薄に……」
セレナード「ダークマンとナンバーズを破れる者など稀有です。最悪、このエリア3で食い止めればよい話です」
ヤマトマン「それでは意味がござらん。拙者はセレナード殿に下賤の輩が近づかぬよう護衛をつかまつっている次第」
セレナード「流石、私の右腕。見上げた忠義ですね」
ヤマトマン「勿体なきお言葉」
セレナード「右腕なら右腕らしく私の右にいなさい」
ヤマトマン「……喜んでいいのか悪いのか」
ヤマトマン「アニメでオリジナルキャラを出すのは常套手段でござる」
セレナード「ロックマンシリーズではメインキャラに音楽用語の名前をつける習わしがありますが、スラーも音楽用語です」
ヤマトマン「セレナード殿も音楽用語ですな」
セレナード「そう、私が重要格である証です」
ヤマトマン「ウヌ」
セレナード「しかし、なぜアニメでは出番が一度もないのですか。オリキャラを出す暇があるなら原作キャラを出すべきでしょう」
ヤマトマン「……」
ヤマトマン「…………」
セレナード「ヤマトマン、聞いてますか!?」
ヤマトマン「ヌッ、申しわけござらん。やはりエリア2の守備が気になって……」
セレナード「……仕方ありませんね。今日のところは護衛に戻ってください」
ヤマトマン「御意!」
ヤマトマン(言えぬ……! 拙者はアニメに出番があったなどと言えぬ!)
ヤマトマン「今日もでござるか……」
セレナード「私の出番はエグゼ3のみですが、せめてチップくらいは他作に登場させてくれても良かったのではないでしょうか」
ヤマトマン「本人の出番なしに所縁のチップを登場させるのは難しいのでは?」
セレナード「そうでもありません。ドリームオーラやメテオナックルの実例があります」
ヤマトマン「さようで。……いや、しかし…………」
セレナード「なんです?」
セレナード「ちょい役ではありませんか」
ヤマトマン「しかしエグゼ3以外のナンバリングタイトルではセレナード殿はそれすら……」
セレナード「……」
ヤマトマン「……」
セレナード「攻撃力100『ホーリーショック』! 敵エリア全域にランダムに光弾を放つ。着弾されたパネルは確率でヒビ状態に!」
ヤマトマン「その効果はエグゼ3に登場したセレナード殿のナビチップと同じでは……」
セレナード「他の技はチップ化しにくいんです……」
ヤマトマン「セレナード殿の強さは技そのものよりも絶対防御にありましょう。毒すら通用しませんし」
セレナード「私ほどの初見殺しはそうそういないと自負しています」
ヤマトマン「敗北イベントと取り違えた者も少なくないようで」
?????「コシュー……コシュー……」
ヤマトマン「なにやつ!?」
セレナード「貴方は……ダースベイダー!」
ダークマン「ダークマンだ」
セレナード「知っています」
ダークマン「たしかに護衛は引き受けたが、それは一万人殺るまでの成約だ」
ヤマトマン「まさか……!」
セレナード「取り決めを果たしたようですね」
ダークマン「約束通り、俺と殺し合いをしてもらおうか」
ヤマトマン「えぇい! ならばこのヤマトマンが相手に……」
セレナード「下がっていなさい、ヤマトマン」
ヤマトマン「なっ!?」
ダークマン「クク……」
セレナード「約束は約束です。一万の侵入者を排除したなら私が直々に相手になると」
ダークマン「コシュー……それでこそウラの王。腹が据わっている」
セレナード「当然です」
ダークマン「今まで長かった。が、今こそケリをつけさせてもらうぞ!」
セレナード「反射! 反射!! 反射!!! 反射!!!!」
ダークマン「ぐわああああああああああああああああああああああ」
セレナード WIN!
はえーよwwwwwwww
なんか一方通行みたいになってるwww
セレナード「私を相手にするならマグナムくらい持ってきなさい」
ダークマン「」
ヤマトマン「まだ息があるようござるが」
セレナード「エリア1に置いておいてください。また一万人狩らせます」
ヤマトマン「まだこやつを使うのですか。この男はあまり気に食わぬが……」
セレナード「その男はこき使えます」
ヤマトマン「使え……ますかねぇ? いくらセレナード殿が相手とはいえこのザマでは」
セレナード「ダークマンが弱いのではありません。私が強すぎるのです」
ヤマトマン「ええ、まあ……」
セレナード「とりあえず、今日はもう疲れたので明日また出直してきてください」
ヤマトマン「明日もでござるか……」
ヤマトマン「漫画というとコロコロコミックで連載されていた……」
セレナード「それです。あさだみほ版やロックメーンなどもありますが、今回は鷹岬版で」
ヤマトマン「漫画にはセレナード殿も登場しましたな」
セレナード「しかも主人公であるロックマンを圧倒したんです」
ヤマトマン「パネルの概念のない漫画では絶対防御に拍車もかかりましょう」
セレナード「最後はフォルテGSに吸収されましたけど……」
ヤマトマン「……」
ヤマトマン「……いやいやいや! 実際にやってみないことには分からぬこと。素のフォルテには勝利をお収めになったではござらぬか」
セレナード「そうは言っても手こずりましたし……パワーアップしたフォルテに敵うわけが…………」
ヤマトマン「ならセレナード殿もパワーアップなさればいいではござらぬか!」
セレナード「私が……パワーアップ?」
ヤマトマン「いかにも。フォルテにその機会があったのなら、セレナード殿にない道理はないでござる」
セレナード「……そうでした。私はフォルテと対になる存在。なら私にだってその機会が……」
ヤマトマン「はい? 名前?」
セレナード「例えば、フォルテGSの『GS』のような……」
ヤマトマン「う~む……他のナビたちのものを参考にしてみては?」
セレナード「他のナビですか。先も挙げたフォルテGSに、フォルテXX、ブルースFZ……」
ヤマトマン「そういえば、その語尾のアルファベットはなんの略でござるか?」
セレナード「『GS』はゴスペルスタイルです」
ヤマトマン「なるほど。ゴスペルを吸収した姿ゆえに……」
セレナード「『XX』は意味が判然としませんが、読みはダブルエックスだそうです」
ヤマトマン「チップコードのXも強力なものが多いので、そこからで取ったのではござらぬか?」
セレナード「これという理由はなく強そうだからではありませんか?」
ヤマトマン「ヌゥ……考えて解ることでもござらんな」
セレナード「『XX』については置いておきましょう」
セレナード「『FZ』はファイナルゼロカスタムです」
ヤマトマン「……は?」
セレナード「ファイナルゼロカスタムです」
ヤマトマン「あいや、聞こえております。そんな名前を付けたのはどこの輩でござるか」
セレナード「オペレーターの伊集院炎山ではありませんか?」
ヤマトマン「まあ、それが妥当でござるか……」
セレナード「それがなにか?」
ヤマトマン「いや、鼻に付くというか……そもそも解りにくいというか……」
セレナード「貴方がロックマン戦に吐いた前口上もなかなか鼻に付きますよ?」
ヤマトマン「それは今関係ござらん!!」
ヤマトマン「そんなところでしょうな」
セレナード「しかし難しいですね。ゴスペルに見劣りしないような手頃なキャラもなかなかいません」
ヤマトマン「エグゼ6にも出演予定はあったのでしょう? なら、出演していた場合を想定するのはいかがかな」
セレナード「ふむ……」
ヤマトマン「FZ以外には何かありませぬか」
セレナード「フォルテBXというのがいましたね。『BX』はビーストクロスドの略です」
ヤマトマン「フォルテは派生が多すぎですな……」
ヤマトマン「またフォルテでござるか」
セレナード「しかも公式が逆輸入して、アーケードゲームのバトチップスタジアムにまで登場を果たしていました」
ヤマトマン「ちなみに獣化フォルテというのはどのような設定で?」
セレナード「電脳獣ファルザーの力をゲットアビリティプログラムで吸収したフォルテです」
ヤマトマン「それならば、ファルザーと対になる電脳獣グレイガの力をセレナード殿が手に入れたことにすれば丁度よいのでは」
セレナード「いや……漫画ではロックマングレイガビーストと対になる形でフォルテも獣化しましたから、そこに私が入り込む余地は……」
ヤマトマン「……」
セレナード「……」
ヤマトマン「もう止めにしましょう、この話は……」
セレナード「ええ……」
セレナード「武勇伝……武勇伝……。……色々と超越しているところとか?」
ヤマトマン「具体的には?」
セレナード「私、性別ありませんし……男でもあり女でもあり、性別を超越した存在として作られました」
ヤマトマン「興味深い話ですな。武勇伝ではござらぬが」
セレナード「ナビに性別というのも可笑しな気がしますが。製作者が言えばそうなるのでは……」
ヤマトマン「今は技術が発達し、ナビにも人間とほぼ変わらぬAIが搭載されている時代。性別もあって然るべきもの」
ヤマトマン「それを超越しているなど大層なことではござらんか」
セレナード「……そうですか」
ヤマトマン「他にはなにかありませぬか。是非ともお聞かせ願いたい」
ヤマトマン「ほう、あのバンダイから発売されていたカードゲームでござるか」
セレナード「そうです。末期であるブースター7に収録されました」
ヤマトマン「して、その効果は?」
セレナード「【常時】このナビの右か左1マスが空きマスの場合、このナビに対するダメージと効果は無効になる」
ヤマトマン「……壊れ性能ではござらぬか?」
ヤマトマン「いやしかし、どれも現実的な対処法ではない気が……」
セレナード「あと、私のカードは一番最初のナビとして選ぶことはできません」
ヤマトマン「ああ、それなら一番最初に出ているナビを狙えばどうにかなりますな」
セレナード「私を出したあとに桜井メイルを使用して、一番最初のナビを回収してしまえばその穴もなくなりますけどね」
ヤマトマン「え」
セレナード「カードゲームならフォルテGSにも負けません。それよりも通常フォルテのパネル破壊が恐いですが、メタルステージでどうにか……」
ヤマトマン(カードゲームの末期というのは、どうしてこうバランスブレイカーが増えようか)
ヤマトマン「どうかなされましたかな」
セレナード「まもるから呼び出しです」
ヤマトマン「ほう、珍しい」
セレナード「退院したとはいえ、外出は控えていますから話し相手が欲しくなるときもあるでしょう」
ヤマトマン「早く行って差し上げては」
セレナード「ええ、なにかあったら直ちに連絡を」
ヤマトマン「承知!」
セレナード「では、また今度」
終 わ る
終わりも突発的になったけど反省はしてない
>>128
いや、セレナードは持ってない
でも、ロックマンだって持ってないのに獣化してるし
なんやかんやでいけるんじゃないかなーと
あとBXは「ビーストクロス」ではなく「ビーストクロスド」だったと思うけど、明確なソースが思いだせん
俺の3どこ行っちまったんだ…
ロックマンやりたくなったわ
Entry ⇒ 2012.01.11 | Category ⇒ 版権物SS | Comments (0) | Trackbacks (0)
QB「ぼくと契約して、格闘少女になってよッッッ」
http://hayabusa.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1326109503/l50
「なんか体が震えるんだよな」「オレもオレも」「え~お前もかッ」
「わたしもよ」「寒いとかじゃないんだよな」「なんでェ~?」
早乙女「~~~~~ッッッ」ブルブル
(そういえば、私もさっきから震えが止まらないのよね)
ほむら「………」
早乙女「えぇと、体が震える人は手を上げてちょうだい」ブルブル
ザワザワ…
早乙女「全員のようね……」ブルブル
仁美「……い、いえ、ご無事な方が二人いらっしゃいますわ」ブルブル
まどか「み、みんな、どうしちゃったの……?」
さやか「まさか集団でカゼ? だとしたら、あたしらだけバカってこと?」
ほむら(あの二人……なかなかできそうね)
まどか「結局なんだったんだろう、アレ」
さやか「さぁねえ。それよりあの転校生の方がヤバイって……。
体育の時間、懸垂で鉄棒壊したり、砂場を飛び越えたりしてたし」
バキッ ドッ ドキャッ
さやか「──なんの音だろ?」
まどか「行ってみよう、さやかちゃん!」
さやか「あっ、ちょっと……まどか!」
この日、二人は人生で初めて目撃することになる。
少女と小動物の果たし合い……ッッッ
QB「ぜぇ、ぜぇ。君こそ、ずいぶん腕を上げたじゃないか」
激しい肉弾戦を繰り広げる両者。
ガキッ! ドゴッ! ザキッ! ベシィッ!
まどか「ど、どうしよう。あれ、転校生のほむらちゃんだよね……?」
さやか「よくワカらないけど、動物をイジメてるんなら止めないと!」ダッ
まどか「あっ、さやかちゃん!」
ほむら&QB「?」
さやか「ちょっと、転校生! 動物を──」
ベチィッ!!!
殺し合いをする猛獣同士ですらが
戦いの途中邪魔が入るなり協力し合い排除するという──
美樹さやかがハネられたのはあまりにも必然だった。
ほむらとQBから同時にビンタをもらい、さやかは軽く10メートルは吹き飛んだ。
まどか「さやかちゃんッッッ」
まどか「さやかちゃん! 起きてよ、ねぇっ!」
QB「素人が格闘士の闘争に割って入るなんて……君たちはどうかしてるよッッッ」
ほむら「そうね。今のは美樹さやかに非があるわ」
まどか「ひどい……こんなのってないよ……ッッ」
ほむら「でも彼女は運がよかったわ。巴マミがこの戦いの立会人だったから……」
まどか「え……?」
ザッ ザッ ザッ
マミ「人間が一基壊れたようね……。私に診させてもらえるかしら?」
まどか(肥満──!? 否、デブじゃない! よく絞り込まれた、とてつもなく巨大な)
まどか(筋肉!!!)
黄色い衣装をまとった、新たな少女が出現(あらわ)れた。
マミ「私は巴マミ。暁美さんと同じく、格闘少女よ」
ほむら「巴マミ、さすがね」
マミは心停止していたさやかを、瞬く間に蘇生させた。
さやか「──ガハッ!」ゲホゲホッ
マミ「呼吸ができるまで快復させたわ。彼女の生命力なら、もう大丈夫だわ」
まどか「よ、よかった……さやかちゃん……」
QB「さてと、アクシデントも片付いたコトだし、続行(つづ)けるかい?」
ほむら「……やめておくわ」
ほむら「あ、あとあなたたち。一つ忠告しておくわ」
ほむら「命が惜しかったら、キュゥべえの誘いに耳を貸さないことね」
マミ「じゃあ、私も帰るわね。蘇生に費やした分のカロリーを、ケーキで補わないと」
まどか「………」ポカーン
さやか「………」ゲホッ
さっそく君たちの豊潤な才気を見込んで、お願いがあるンだけど……」
まどか「?」
さやか「?」
QB「ぼくと契約して、格闘少女になってよッッッ」
さやか「……なにそれ」
QB「読んで字のごとく、格闘する少女になってくれってことだよ。
君たちなら、努力次第で地上最強の少女にだってなれるッッッ」
さやか「それになると、なにかあたしらにメリットがあるの?
例えば、見返りに願いごとを一つ叶えてくれるとか……」
QB「ないよ。金品、賞の類の授与は一切認められてないから」
さやか「……バカバカしい。まどか、あたし帰るね。さっき殴られたところが痛いし」スタスタ
まどか「あ、さやかちゃん……」
QB「まどか、君はどうする?」
QB「魔法少女?」
まどか「うん。痛みや疲れを知らない体になって、悪い魔女や怪物をやっつけて、
みんなの役に立てればいいなぁ~なんて」
QB「~~~~~ッッッ」ピクッ ピクッ
QB「鍛錬や苦痛を経ずして、超人的な強さと名声を得る……? なんという怠惰!
わけがわからないよッッッ 君は格闘技を嘗めたッッッ」
まどか「ビクッ」
QB「君には失望させられた。どうやらぼくの目が曇っていたようだ。失礼するよ」スッ
まどか「待って」
QB「………?」
まどか「今のハナシ、逆にいえば鍛錬や苦痛を経れば、魔法みたいな力を得られる……
ってことだよね?」
QB「ン~……まァそうなるかな。
達人なら、素手で猛獣を屠り、木材を断ち切り、山にトンネルを掘ることも可能だよ」
まどか「だったら……。私、格闘少女になる」
あまり生半可な覚悟で契約されても──」
まどか「大丈夫。私、素手で魔法少女になってみせるッッッ」グニャ~
QBの目には、まどかの周囲の空間が闘気で歪んで映った。
QB「~~~~~ッッッ」
(覚悟を決めた途端に、なんという闘気! まるで猛獣並だよ!
かつて暁美ほむら、巴マミ、佐倉杏子と契約した時も、これほどの緊張はなかった!)
QB「君ならあるいは……なれるかもしれないね。素手の力で魔法少女に」
まどか「──で、私はどうすればいいの?」
QB「この瞬間、君は最大トーナメントの出場資格を得た」
まどか「最大トーナメント?」
QB「一ヶ月後、見滝原中学校で行われる地上最強を決めるトーナメント大会だよ」
QB「まずは君をはじめとした格闘少女。さっきの二人も出場(で)るよ」
まどか(ほむらちゃんと、マミさん、だっけ……。二人とも強そうだったな……)
QB「そしてもう一つの勢力が──魔女」
まどか「魔女?」
QB「裏社会や暗黒街といったアンダーグラウンドな領域で活躍する格闘者だ。
彼女らの闘いはルール無用! 心も体も歪みに歪んでるし、なにより強い!」
QB「つまりこの大会は──白格闘技と黒格闘技の全面戦争ということなんだよッッッ」
まどか「ムリヤリすぎるよ、それ……」
QB「イ~ヤ、自然だッッッ」
QB「……聞かれたからには答えるしかないね。
ぼくの本来の仕事は、宇宙存続のためのエネルギー回収なんだ」
まどか「E~~~ッッ ずいぶんスケールが大きいハナシになったね」
QB「第二次性徴期の少女たちが闘争の際に発する闘気(エネルギー)……。
これが特に効率がよくて、少女たちを格闘技の道に進ませていたンだけど──」
QB「彼女らの血沸き肉おどる闘いを見ているうち、仕事がバカバカしくなってきてね。
これからの時代は、エントロピーよりエンドルフィンなんだよッッッ」
まどか「~~~~~ッッッ」
QB「今となっては、もっぱら観戦がしたくて勧誘をしているようなものだよ。
ぼくも触発されて、肉体を鍛え上げ──」ザクッ
まどか(アスファルトを、まるでゼリーのようにすくい上げたッッッ)
QB「これくらいのことはできるようになったしね」
まどか「じゃあ、さっきほむらちゃんと戦ってたのは──」
QB「最初は彼女らにトーナメントの日程を知らせるだけのハズだったんだけどね。
ついついお互いに闘争本能を抑え切れなくなり、ヤりたくなっちゃったんだ」
まどか「で、ヤッちゃったと……」
QB「今回のトーナメント、これまで以上に面白くなりそうだね……」テクテク
杏子「よう、キュゥべえ」
QB「久しぶりだね、杏子。ちょうどよかった、トーナメントは一ヶ月後に開催だよ」
杏子「優勝はアタシに決定(きま)ってるよ。100パーセント、な」
QB「さすがは前回優勝者、大した自信だね。でも今回はそう甘くないよ」
杏子「暁美ほむらに巴マミ、かい? 多少腕を上げたとしても、アタシの敵じゃないよ」
QB「いや、それだけじゃない。魔女勢からワルプルギスの夜が参加を表明している」
杏子「ワルプルギスの夜……ッッッ」
QB「前回の大会──もし彼女が出場(でて)いたら、君の優勝はなかったかもしれない」
杏子「……ちっ」
QB「そしてついさっき、ぼくはとてつもない素質を秘めた少女と契約した……」
QB「まず、身長150cm以下! 髪はピンクのツインテール!
性格はうっすら子供っぽさを残し友達思い! ──となれば」
(鹿目まどかしかいない……ッッッ)
杏子(それ、単なる個人的な好みじゃねぇのか……?)
杏子「ま、どんなヤツが相手だろうと、アタシは勝つよ」
QB「期待してるよ、杏子」
杏子「……ところで、キュゥべえ。せっかくの再会だ。チョットだけ手合わせしない?」ザッ
QB「──まいったな。ぼくの喧嘩好きを知ってて誘ってるのかい?
断れるワケないじゃないかッッッ」ギンッ
ズギャアッ!
この後、両者は一時間以上戦ったという──
さやか「えぇ~~~!? あんた、格闘少女になっちゃったの!?」
(先に帰るべきじゃなかったかなぁ……残って止めるべきだった)
まどか「ウェヒヒッッッ」
仁美「どうかなさったの?」
さやか「聞いて驚かないでよ、まどかが格闘少女ってのになっちゃってさ……。
しかも一ヶ月後には大会に出るんだって。いくらなんでも──」
仁美「まぁステキ!」
さやか「へ?」
仁美「私もお稽古で、護身術の類を多少たしなんでおりますけれど、
武道は心身を鍛えるとっても崇高な行いですのよ」
さやか「………(多分そういうのじゃない気がするけど)」
仁美「まどかさん、今度私と武道について語り合いましょう!」
まどか「うん、いいよ」
ほむら「──今のハナシ、聞いたわ。あなたも出るのね、最大トーナメントに。
ということは、私が出ることも知っているわね?」
まどか「う、うん……」
ほむら「もし、あなたと当たったなら、手加減はしないわ。格闘少女として」
さやか「ちょっとあんた! まどかは初心者なんだから──」
ほむら「伝えたかったのは、それだけよ」ザッ
さやか(無視かい!)
仁美「なんだか、すごいことになってきましたわね」
さやか「なんなの、アイツ。ムカつくなぁ」
まどか「………」ブルッ
さやか「まどか……? 震えてるじゃん! やっぱり大会なんか出ない方が──」
まどか(恐怖!?)(否!)(これは……この震えは)(武者震いッッッ)ブルブル
QB「さっそく開始(はじ)めようか」
まどか「よろしく、キュゥべえ! ところで全身傷だらけだけど大丈夫?」
QB(杏子……まさか、あそこまで強くなっていたとはね)
「大丈夫だよ、このくらい。それより一ヶ月間のスケジュールをざっと説明しよう」
QB「まず最初の一週間は、ひたすら基礎トレーニングに励んでもらう。
次の一週間はエンドルフィン分泌の習得、その次は死に際の集中力の習得。
そして最後の一週間は、ぼくとの実戦スパーリングを行う」
まどか「うん、分かった」
QB「家にいる時は、このメモに書いてある通りにトレーニングに励んでくれ。
一週間後、また来るから」ピラッ
まどか「学校では?」
QB「この握力グリップを使うといい。こうして握ったり放したりを繰り返すんだ」ギチッ ギチッ
まどか「まずは腕立て伏せから……1、2、3……」グッ グッ
~
さやか「まどか、それなに?」
まどか「これを握って放してを繰り返すと、握力がつくんだよ」ギチッ ギチッ
仁美「まぁすごい!」
さやか「へ、へぇ~……」
~
詢子「まどか……。ここ数日、急に体を鍛え出したけど、なんかあったのか?」
まどか「ウェヒヒッッッ チョットね」
詢子「体鍛えるのもいいけどさ、ムチャだけはするんじゃないよ。
過ぎたるは及ばざるが如し、っていうからな」
まどか「うん。ありがとう、ママ」
QB「うん、だいぶ鍛え込んだようだね。体が引き締まってるよ」
まどか「そ、そうかな……?」
QB「次は脳内麻薬(エンドルフィン)の分泌を習得しよう」
まどか「エンドルフィンって?」
QB「人が運動をし続けると、脳は苦痛を知らせる信号を送る。
これ以上運動するのは危険だってね。でもそれを無視してさらに運動すると──」
QB「脳はエンドルフィンを分泌し、苦痛を取っ払ってしまうんだ」
まどか「へぇ~」
QB「こうなった武芸者は強い! 死ぬまで動き続けることができる!
一流と呼ばれる競技者は、みんなこの体験をしているんだよ」
QB「でも最大トーナメントを勝ち抜くなら、
エンドルフィン分泌を自在に操作できるくらいでないとハナシにならない」
QB「まどか。今日から君は今までの鍛錬の他に、好きなことをやり続けてくれ。
飽きてきても、体が痛くなっても、ひたすら続けること。いいね」
まどか(そうだ、魔法少女になった自分を描いてみよう!)
まどかは魔法少女となった自分を空想し、それをノートに描き始めた。
ガリガリガリガリガリガリ
アイディアが枯渇しても、指が悲鳴を上げても、狂ったように描き続けた。
ガリガリガリガリガリガリ
空想が詰まったノートは、一冊、二冊、と増えてゆき──
あっという間にまどかの部屋には、ノートの山ができあがった。
ガリガリガリガリガリガリ
まどか(自由の女神を魔法で破壊する……と。ティヒヒッッッ)
ブワァァァァ……ッ!
空想ノートが千冊に達した頃、脳内が快楽に満ちた。
まどか「こ……ッ これだね……ッッ 脳内麻薬ッッッ」
ついにまどかは、エンドルフィン分泌をマスターした。
幼馴染の上条恭介に拒絶されてしまったのだ。
上条「ぼくの手は、奇跡か魔法でも起きなきゃ動かないんだッッッ
もう放っておいてくれッッッ」
~
さやか(あたしの力じゃ、恭介に何もしてあげられない……!)
さやか(でもせめて──)
さやか(奇跡や魔法のような出来事が恭介の目の前で起こったなら──
少しは励ましになるかもしれない)
さやか(例えば……あたしがとんでもない敵に勝つとか──)
突拍子もない思案ではあったが、さやかはキュゥべえのことを思い返していた。
さやか「ありがとうッッッ」
QB「でもさやか、君を最大トーナメントに出場させることはできない」
さやか「えっ、なんで!?」
QB「すでに選手枠は埋まっているし、君があと二週間必死で鍛えたとしても、
他の出場選手の誰とやっても5秒と持たないよ」
QB「別に君の身を案じているワケじゃない。つまらない闘いは見たくないからね」
さやか「分かった、それでもいいよ……。強くなった姿を見せられれば、
少しは恭介を元気づけることができるかもしれないし」
QB「じゃあ、トレーニングを始めようか。まずは10kgのダンベルから」スッ
こうして美樹さやかも格闘少女になった。
QB「死に際の集中力というのは、いわば走馬灯の日常化だ。
時間が凝縮され、周囲がゆっくりに流れるあの感覚を身につけるんだ」
QB「だから、君にはここから飛び降りてもらう。
もちろん、下でぼくが受け止めるから安心してくれていい」
まどか「いらないよ」スッ
QB「え?」
まどかは散歩に出かけるような気軽さで、ビルから飛び降りた。
QB「~~~~~ッッッ(地上50m……無理だ、助からない)」
まどか(高速で落下してるハズなのに、ビルの窓の汚れまでくっきり見える。
これが走馬灯ってやつなのかな……でも!)
ザウッ! ゴロゴロ… スチャッ!
まどかは着地する瞬間、膝を曲げ、腰を折り、背中を丸め、
絶妙なタイミングで転げることで、着地の衝撃を五等分させた。
QB「あれは……五接地転回法ッッッ いつの間に会得していたんだ!?」
QB「君の進歩には驚かされたよ。まさしく魔法でも見た気分だ」
まどかの部屋に山積みになっているノートは
エンドルフィン操作以上の成果をまどかにもたらせていた。
魔法少女となった自分をリアルに想像し──
空想し、夢想し、妄想し──これら“思い込み”はまどかの心身に絶大な効力を与えていた。
魔法少女のように悪者と戦い抜く強靭さ(タフネス)!
魔法少女のように多種多様の魔法を使いこなす技量(テクニック)!
魔法少女のようにいかなる困難にもめげない精神(スピリット)!
天才の劇的な進化を目の当たりにし、さすがのQBも生唾を飲み込んだ。
QB(素手での魔法少女、まどかなら本当に実現させるかもしれないッッッ)
QB「じゃあ一週間早いけど、ぼくとのスパーリングを始めよう」
まどか「本気でやっていいの?」
QB「当たり前だよ。親の仇のつもりで来てくれなきゃ」
まどか「スゥ~……ハァ~……。じゃあ行くよ、キュゥべえッッッ」ダッ
シュバッ!
まどかは小さなQBめがけ、鋭いローキックを放つ。
──が。
QB「急不意(きゅっぷい)ッッッ」ダンッ
気合の声とともに駆け出すと、QBは耳でまどかの軸足を刈り取った。
まどか「しまっ──」ガクッ
QBはよろけたまどかの頭に乗ると、全体重をかけてまどかの後頭部を地面に叩きつけた。
ドグァッ!
まどか「ピクピク」
QB「受け身すら取れてないじゃないか。情けない」
QB「……やれやれ。君はエンドルフィン分泌や死に際の集中力を身につけたくらいで、
強くなったつもりでいたのかい?
ぼくみたいな小動物に敗けるハズがないと、タカをくくってたのかい?」
QB「ぼくだって、君たちみたいに少女だったら最大トーナメントに出たかったよ。
優勝する自信だってある」
まどか「うぅ……」ヨロ…
QB「まどか、早く立つんだ。
今日は100回くらいコンクリートに叩きつけるつもりでいるから、覚悟するんだね」
スパーリングは続いた。
ドギャッ! グシャッ! メキィッ!
QB「今日はこのくらいにしておこう。じゃあまた明日」テクテク
まどか(全然歯が立たなかった……ッッッ)グスッ
生徒A「暁美さん、イスは……?」
ほむら「ゴメンなさい、いらないわ」
生徒A(数時間もの空気イス……しかも一ミリも微動だにしちゃいないッッッ)
まどか(今日こそキュゥべえに一矢報いないと──)ギチッ ギチッ
バキャッ!
まどか「あーあ、またグリップ壊しちゃった……」
生徒B(あれ、100kg以上耐えるグリップだろ……。どうやったら壊れンだよ……)
仁美(いったいどうなさったのかしら、皆さん……。
さやかさんに至っては、この頃ずっと学校を休んでらっしゃるし……)
操縦士「ホントにやるんですか!?」
マミ「ええ」
操縦士「体がちぎれても、責任は持てませんよ……ッッ」
マミ「ステキな言葉だわ」
巴マミは体を地面に固定し、軍用ヘリコプターとの綱引きを決行。
~
熊「グオオオオッ!」
ドガッ!
熊「ピクピク」
杏子「ふぅ、72時間ぶりの水分とタンパク質だ……」ガツガツ ピチャピチャ
佐倉杏子は北海道で厳しい山ごもりをしていた。
──そして当日!!!
会場となる見滝原中学校の校庭には、大勢の観客が集まっていた。
ザワザワ…
ガヤガヤ…
ワイワイ…
QB「地上最強の少女を見たいか~~~~~ッッッ」
「オオオオオ~~~~~ッッッ」
QB「ぼくもだ、ぼくもだよ! みんな!」
『全選手入場!!』
影の魔女! エルザマリアだァ――――!!』
『素手の殴り合いなら私の妄想(リアルシャドー)がものをいう!!
素手の魔法少女 鹿目まどか!!』
『ティロ・フィナーレ(なんでもあり)ならこいつが怖い!
見滝原のロンリー・ファイター 巴マミ!!』
『優勝はオレのもの 邪魔するやつは思いきり噛み思いきり喰らうだけ!!
ピット(ケンカ)ファイター シャルロッテ!』
『デカァァァァァいッッッ 説明不要!! ワルプルギスの夜だ!!』
『今の自分に眼鏡はないッッ タイム・ファイター暁美ほむら!!』
『精神攻撃は実戦で使えてナンボのモン!! 超実戦引きこもり!
自殺大国日本からエリーの登場だ!!』
『若き王者が帰ってきた!!
どこで食っていたンだッ チャンピオンッッ
俺たちは君を待っていたッッッ 佐倉杏子の登場だ~~~~~ッッッ!!』
┌─ ワルプルギスの夜(カポエイラ)
┌─┤
│ └─ 鹿目まどか(魔法少女)
┌─┤
│ │ ┌─ 巴マミ(アンチェイン)
│ └─┤
│ └─ シャルロッテ(ピット・ファイティング)
─┤
│ ┌─ エルザマリア(ムエタイ)
│ ┌─┤
│ │ └─ 暁美ほむら(タイム・ファイティング)
└─┤
│ ┌─ エリー(空道)
└─┤
└─ 佐倉杏子(トータル・ファイティング)
詢子「まさか、あのまどかがこんな大会に出場するなんて思わなかったよ」
知久「強そうな女の子ばかりだし(というか、明らかに人間じゃないのもいるし)
ぼくはまどかが怪我をしないことを祈るよ」
タツヤ「エフッッッ エフッッッ エフッッッ」
~
仁美「あそこにいるのは上条君!? なんで実況をしてらっしゃるのかしら……」
~
上条『もうまもなく一回戦第一試合を開始いたしますッッッ
もうしばらくお待ち下さいッッッ』
上条「うわっ、なんだ君は!?」
QB「君、手が動かなくてヒマなんだろう? ぼくと契約して、アナウンサーになってよ!」
上条「………」
~
上条(あの時、自暴自棄になったぼくは、さやかにひどいことをいってしまった……。
せめてこうやって、アナウンサーとして再起している姿を見せたい。
きっと客席のどこかにいるだろうから……)
上条『お待たせいたしましたッッッ ただいまより第一試合を開始いたしますッッッ
青龍の方角! ワルプルギスの夜ッッッ』
ズンッ!
「でけェ~ッッッ」「つーか、学校より全然デカイじゃん」「敷地に入りきれてないわ」
「なんで逆立ちしてんの?」「カポエイラだからだろ」「カポエイラ逆立ちしねェよ」
上条『白虎の方角! 鹿目まどかッッッ
なんと、白とピンクの可愛い衣装に身を包んでの登場だッッッ』
「小さいしカワイイ~」「頑張れッッッ」「いや絶対勝てないだろ」
「死ぬなよッッッ」「よっ、魔法少女!」「オイオイ、逃げた方がいいって!」
いきなり当たるなんてクジ運が悪すぎるよ)
マミ「この戦い、私が紅茶を飲み干す前に決まってしまいそうね」ゴクゴク
杏子「キュゥべえ、あいつがお前のいってた理想の格闘少女ってやつだろ?
とはいえデビュー戦の相手がアレじゃなぁ……」
QB「うん、いくらまどかに才能があるといっても、荷が重すぎる相手だ。
すぐ終わってしまうだろう」
ほむら「そうね。この勝負、すぐ終わるわ」
ほむら「勝つのは──」
ほむら「まどかよ」
マミ&杏子&QB「!?」
使い魔「開始(はじ)めいッッッ」
ワルプルギス「キャハハハハハハッッッ」
まどか「お手柔らかに」ペコッ
ワルプルギス「……子供の頃からずっといわれてたんだ。全力を出すなってな。
今日生まれて初めて──全力を出すッッッ」
まどか(しゃべれるんだ……)
ズドンッッッ!!!
上条『ワルプルギス、巨体で鹿目まどかを押し潰したァ~~~~~ッッッ
もはやカポエイラでもなんでもないが、早くも決着かァッッッ!?』
詢子「まどかッッッ」
知久「いや大丈夫だよ、ママ」
タツヤ「邪ッッッ 邪ッッッ 邪ッッッ」
「えぇ……あの時、娘と対戦相手の大きい選手が向き合った瞬間──
正直申しまして私、娘より相手の心配をしてしまいましてね」
「父親失格ですかね……ハハ」
「なので娘が潰されてしまった時も大丈夫だという予感があったんです」
「いや……予感よりも確かなものでしたね」
「ですから、直後に起こったことについても、さほど驚きはありませんでした」
鹿目まどか、なんとほとんどダメージを受けていないッッッ
さすが魔法少女、いったいどんな魔法を使用(つか)ったのかッッッ』
まどか「攻撃がテレフォン(※)になってたから、急所を外しただけだよ」
※予備動作が大きく読みやすい攻撃のこと
上条『急所どころか全身を潰されていたような気もいたしますが──
とにかく無事なようですッッッ』
ワルプルギス「~~~~~ッッッ」
まどか「じゃあ今度はこっちの番だね」
ギリッ…
上条『この大きく弓を引くような構えは──』
上条『アントニオ猪木も得意とした、ナックルアローだッッッ』
ワルプルギス「キャハハァ……ぶおぇっ!」ゲロッ
ドズゥゥ……ン
使い魔「しょっ……勝負ありッッッ」
上条『な、な、な、なんとォ~~~ワルプルギスの夜、一撃で轟沈ッッッ
ナックルアローの一撃で沈んでしまいましたッッッ』
上条『我々は今、魔法を目撃しましたッッッ
これが素手の魔法だッッ これが素手の魔法少女だッッッ』
まどか「やったぁ!」
ワルプルギス「なんか……キモチいいや……」ガクッ
マミ「いい勝ち方だわ。あの子、華を持ってるわね」
杏子「スッ……スゲェッッッ」ブルッ
QB「まどか、君の力がここまでだったとは……ッッ」
ほむら(すばらしい一撃だったわ……まどか)
『白虎の方角! シャルロッテッッッ』
上条『おお~~~っと、シャルロッテ、ヤシの実を持参しているぞ?』
シャルロッテ「ガブッ メリッ ムシャッ」
上条『なんと噛みつきでヤシの実を穴だらけにしてしまいましたッッッ
これは対戦相手を穴だらけにする、というデモンストレーションか!?』
QB「あの固く複雑な繊維が密集したヤシの実を……ッッ」
まどか「……すごい咬合力だね」
マミ「抵抗しないヤシの実を穴だらけにする──いじめられっ子の発想ね」ザッ
使い魔「開始(はじ)めいッッッ」
シャルロッテ「クアアアッッッ」グワッ
マミ「!?」
ガブッ!
上条『マミったァ~~~~~~~~~~ッッッッッ
巴マミ、首を噛まれたッッッ またしても短期決着かァッッッ』
使い魔「しょ、勝負あ──」
マミ「勝手に終わらせないでくれる?」
シャルロッテ「!?」
マミ「残念だけど、この程度の牙じゃ私の頸動脈まではとてもとても……」
シャルロッテ「~~~~~ッッッ」
マミ「あなたはつまらないわ。ティロ・フィナーレ!」
ドゴッ!!
使い魔「勝負ありッッッ」
上条『これはすごい! またしてもパンチ一発で決着ゥッッッ』
マミ「………」ギロッ
上条『しっ、失礼いたしましたァ! ティロ・フィナーレ一発で決着です!』
マミ「………」ニコッ
使い魔「うわ、すげェ。陥没してるよ……。おい、タンカ持ってこい!」
しかしエルザマリア選手、試合場になかなか出てきませんッッッ』
ほむら「わざと遅れてじらす作戦かしら……姑息ね」
使い魔「あの~……ゴニョゴニョ」
QB「えぇっ! エルザマリアが控え室で背骨を砕かれて折りたたまれてた!?
わけがわからないよッッッ」
ザッ!
???「あんたの相手はこのあたしよ!」
ほむら「あなたは……!」
上条『な、なんで君がこんなところに!?』
上条『失礼いたしました……! 朱雀の方角から美樹さやかが登場だッッッ』
(君は客席にいるんじゃなかったのか!?)
さやか「キュゥべえ。この大会は地上最強を決める大会のハズだよね……。
だったらついさっき控え室で正選手を倒した私に、出場権は移るんじゃない?」
QB「………」
使い魔「しっかりしろッッッ 何があったンだッッッ」
エルザマリア「に、に……ん……ぎょ……」ガクッ
使い魔「タ、タンカだ! タンカを早くっ!」
再び試合場──
QB「君の要求、受け入れよう」
ワアアアアアアアッ!
上条『最大トーナメント最高責任者、キュゥべえ氏のOKが出ました!
第三試合は、暁美ほむらVS美樹さやか、となりましたッッッ』
(おいおいさやか、大丈夫なのか……?)
ほむら「美樹さやか……。あなたが格闘少女になっていたのは知っていた。
ずいぶん強くなったようね。
でも二週間やそこらの鍛錬で私に勝てると思っているなら、考えが甘すぎよ」
さやか「ふん、こっちにだってあんたを倒すための奥の手くらいあるよ。
一ヶ月前にぶっ飛ばされた借りを今日こそ返す!」
さやか「ええいっ!」
ドガッ!
上条『オープニングヒットッッッ 美樹さやかの右ストレートが命中ゥ!』
ほむら「前の件があるからわざともらってあげたけど、やはりこんなものね。
こんな突きじゃ、普通人なら倒せても、私は到底倒せないわよ」
さやか「相変わらずイヤミなヤツだね。だったら、これならどうッッッ」
ザシュッ!
ほむら「!」
上条『おおっと、鋭い手刀ッッ 暁美ほむらの頬が切れた!』
さやか「どう、あたしの斬撃拳の味は? 剣よりも鋭いんだから!」
ほむら「………」
さやか(これで、アイツは腰が引けるハズ! 一気に攻めるッッッ)ダッ
ドゴッ!
さやか「ぐぅ……ッ」ガクッ
ほむら「切れ味は鋭いけど、軌道が単純だわ。やはり、あなたはまだ鍛錬不足よ。
今すぐ棄権しなさい」
QB「う~ん、さやかの上達ぶりは素晴らしいけど、さすがに修業を始めるのが
遅すぎたね」
まどか「さやかちゃん……ほむらちゃん……!」
QB(しかし……さやかが魔女エルザマリアを倒したんだとしたら……
彼女の実力はこんなものではないハズ……)
さやか「あ~あ、やっぱりこのままじゃ勝てないか」
ほむら「?」
さやか「あんた、興奮時に分泌される出血を止める物質がなにか知ってる?」
ほむら「アドレナリンでしょう。格闘少女の常識だわ」
さやか「あたしはね、あれの一歩先を造り出すのに成功したんだ……ッッ」
QB「ま、まさか……ッッ アレをこの短期間で会得したのか、美樹さやかッッッ」
上条『おおおおっと、美樹さやかの体がどんどん変化していくぞッッッ
これはいったいなにが起こっているのでしょうか!?』
メキメキ…
ほむら「~~~~~ッッッ」
QB「これは──マジョレナリンッッッ」
まどか「マジョレナリン!?」
QB「ストレス時に分泌されるアドレナリンとノルアドレナリンを、
体内である割合で合成することによってできる物質だよ」
QB「優れた格闘少女がこれを成し遂げたなら──ごくわずかな時間ではあるが、
裏社会の格闘少女、魔女になることができる!!
二週間足らずでよくぞここまで……奇跡と魔法を同時に見た気分だよ」ゴクリ
まどか「キュゥべえって、なんでも知ってるね」
上条『こ、これは……ッッッ 美樹さやか、騎士と人魚が合体したような姿に
変形したァ~~~ッッッ これは強そうだ!』
オクタヴィア(さっきの魔女を倒した時にもこれになったから……あまり持たない。
2分以内にケリをつけてやる!)
ほむら「そそられたわ……ッッ 美樹さやか!」
ガスッ! バキッ! ドギャアッ! メキッ! ドゴッ!
ほむら「──くぅっ!」
上条『先程までと打って変わって、暁美ほむら、防戦一方ッッッ
変身した美樹さやか、圧倒的なパワーとリーチで攻め立てるッッッ』
オクタヴィア(さァ……時間を操る技ってのを見せてごらん!)
ほむら「どうやら戦力を隠して倒せる相手じゃないわね……」
この絶体絶命の局面で、ほむらが選択したのは──あろうことか全身の脱力!
筋肉を硬直させるのではなく、あえて弛緩させたのであるッッッ
ゆる~…… ゆる~…… 筋肉も、骨格も、内臓すらも、液体のように──
ほむら(今ッッッ)
ダンッ!
究極ともいえる脱力から、一気に最高速度へ加速ッッッ
この時のほむらの初速──なんと時速270キロ!
上条『!? え、え、え!? え、あっ!
超高速タックルで、美樹さやかの体が校舎まで吹っ飛んだァ~~~~~ッッッ』
オクタヴィア「──ぐはァッ!」ブハッ
(なんて速さ……ッッッ まるで時間でも止められてたようなッッッ)
シュウウウ…
さやか「ぐっ……!」
ほむら「はぁ、はぁ……。今の衝撃でマジョレナリンが再び分離したみたいね……。
これでもう、あなたの勝ちはないわよ」
さやか「あんたって、ほんとバキ」
さやか「でも勝ち目がなくったって……奇跡も魔法もあるって証明するため──
あたしは必ず優勝する!」
上条(ま、まさかさやかは──! ぼくのために!?)
『美樹さやか、足元をふらつかせながらも攻め続けるッッッ』
さやか「たとえ、あんたでもこの技だけは使いたくなかった……ッッ」ヨロッ
よろめいたと見せかけ、さやかは右手をほむらの左目にくっつけ──
ほむら「!?」
さやか「シィッ!」ドスッ!
くっつけた右手に思いきり左拳を突いた。
ほむら「惜しかったわね」
さやか「!」
ゴッ!
上条『ほむら、返しのハイキックがクリーンヒットォッッッ 美樹さやか、ダウンッッッ』
ほむら「とっくの昔にメガネよ」
さやかの眼底砕きは、いつの間にか眼鏡をかけていたほむらの左レンズを割っただけだった。
さやか「(万策尽きた……でも)……まだ、やれる……」ズル…
ほむら「……なぜそれほどまでに執念を燃やしているのかは知らないけど、いいわ。
それなら格闘少女として悔いのないよう、この手で殺してあげる」スッ
ドゴッ!
ほむら「!?」
上条『お~~~~っと、ここで乱入者が現れ、トドメの一撃から美樹さやかをかばった!
この勇敢なる乱入者の正体は──』
さやか&ほむら「………」
さやか「き、恭介……なんで……!」
上条「もういいんだ、さやか。奇跡も魔法もあるってこと、見せてもらったよ」ゲホッ
上条「さぁ、ぼくの手につかまって」スッ
さやか「……? 恭介、手が──!」
上条「あ」
わずかではあるが、上条の手が動くようになっていた。
パチパチパチパチ! ワアアアアアアッ!
仁美(ふふ。私の完敗ですわ、さやかさん)パチパチ
ほむら「上条恭介。飽き果てるまで喰らいつつも、“足りぬ”雄でありなさい」
上条「はっ、はいっ!」ゴフッ
ほむら「──祝福するわ、二人とも」ザッ
使い魔「勝負ありッッッ」
──でも、なんで上条君の手が動くようになったのかなぁ?」
QB「ぼくにもわけがわからないよ。ただ一つだけいえることは──」
QB「スゴイね、人体♪」
QB「……スゴイといえば、あそこにもスゴイのがいるけど」
ガツガツ モリモリ バリバリ
QB「バナナにおじやに、梅干し、炭酸抜きコーラ……。
これから試合なのにそんなに食べて、大丈夫かい?」
杏子「食うかい?」モグモグ ムシャムシャ
QB「いや……いいよ」
杏子「あっそ」メリメリ ゴブゴブ
杏子「──さて、アタシの出番だね!」
『白虎の方角! ついに登場! 前大会チャンピオン 佐倉杏子だッッッ』
さやか「いや~まどかには、かっこ悪いとこ見せちゃったね」
まどか「そんなことないよ! スゴくいい試合だったよ!」
QB「あとは君も、ぼくと一緒に解説と応援を頑張るしかないね。あ、始まった」
エリー「質問をしよう」
エリー「この地球上で最も強力な毒ガスとはなにかワカるかね」
杏子「あ? 知らねーよ、んなもん」
上条『エリーが動いた! 無造作に佐倉杏子に近づいていきますッッッ』
ふぁさ…
上条『エリーの髪の毛が、杏子の顔にかぶさっ──』
ドシャアッ!
上条『!? ──佐倉杏子、いきなりのダウンッッッ』
エリー「答えは塩素、ワカったときにはもう遅い」
上条『こ、これは……ッッ 前チャンピオン、佐倉杏子一回戦で敗退かッッッ』
杏子(同じだ……)
杏子(釣ったトラフグを自分で調理して食った時と──)
杏子(だったらイケる!)ガバッ!
エリー(なぜ毒が効かない!? クソッ、もう一度!)ファサ…
杏子「アンタの技はタネがワカったら、もうオシマイなんだよッッッ」ヒョイッ
ガシッ! メキメキッ
上条『アームロックが決まったァッッッ それ以上いけないッッッ』
使い魔「勝負ありッッッ」
上条『これで一回戦は全て終了ッッッ なんとベスト4は全員が格闘少女です!』
QB「いつも格闘少女は魔女に押され気味なのに(前回も杏子以外は初戦敗退だったし)
こんな大会は初めてだよ!」
QB(人間じゃない……ッッッ)
マミ「鹿目まどかさん、か。相手にとって不足ナシね」
QB「まさかワルプルギスの夜を一撃で倒すほどとは、ぼくも予想外だったよ」
マミ「でもね、キュゥべえ。いくら強いといっても、彼女はまだまだ初心者よ。
そこを突けば──勝つことはそう難しくはないわ」
一方、さやかに話しかけるほむら。
ほむら「美樹さやか」
さやか「わ、びっくりした! なによ!」
ほむら「さっきの試合、なかなかだったわ。まさかマジョレナリンを操作できるとはね」
さやか「お世辞はいいって。あんたがまだ手の内全部出してないことくらいワカるし。
……で、用はそれだけじゃないでしょ?」
ほむら「次の試合……。鹿目まどかと巴マミ、どちらが勝つと思う?」
さやか「あたしにゃワカらんよ。もちろん、まどかを応援するけどさ」
ほむら「──おそらく、まどかは巴マミに敗けるわ」
さやか「え!?」
上条『青龍の方角! 素手で魔法を生み出す少女、鹿目まどかッッッ
一回戦、規格外の巨体を持つワルプルギスの夜を一撃で轟沈しましたッッッ』
上条『白虎の方角! 一人暮らしのアンチェイン(地上最自由)、巴マミッッッ
こちらもシャルロッテをティロ・フィナーレ一発で倒しておりますッッッ』
使い魔「開始(はじ)めいッッッ」
上条『オオッッ 鹿目まどか、いきなりダッシュだッッッ』
マミ(若いわね……)
まどか(マミさんには悪いけど、一撃で終わらせるッッッ)ブオンッ!
ガッ!
上条『巴マミ、両手で円を描くような防御でパンチをサバいたッッッ
これは……空手道に伝わる防御技“廻し受け”だッッッ』
まどか「円……ッ!?」
マミ「究極の防御、“円環の理”よ。 ──そしてこれが、ティロ・フィナーレ!」
ドギャッ!!
上条『凄まじいパンチ、じゃなくティロ・フィナーレで鹿目まどか撃沈ッッッ』
使い魔「──勝負ありッッッ」
だからそれさえサバいてしまえば、スキだらけになることもね……)
ムクッ
まどか「私……敗けちゃったのか……」
マミ「え……ッッ(ウソ……半日は起き上がれないハズ……)」
上条『おぉ~~~っと、鹿目まどか起き上がった! しかしもう勝負はついています!』
マミ「………」
まどか「マミさん……ありがとうございました」グスッ
マミ「鹿目さん」
まどか「はい?」
マミ「もう一度よ」
ブオンッ!
上条『え、え、え!? 勝利したハズの巴マミが、なぜか鹿目まどかに襲いかかったァ!』
QB(マミ……なんてプライドだ! 試合は文句ナシに君の勝ちだった。
でも、あっさり起き上がったまどかの姿を見て、決着を許さなかったッッッ)
今度はまどかがナックルアローの構えッッッ』
マミ(無駄よ。円環の理でサバいてみせ──)
ガゴッ!
マミ「が……ッッ」ドサッ
上条『マミの円環の理が発動するよりも速くッッッ ナックルアローが炸裂ゥッッッ』
使い魔「しょ、勝負ありッッ」
上条『なんとも奇妙な結末ッッッ 鹿目まどか、一度は逃した勝利を再び手にしました!
まさに魔法少女の名に恥じない勝利といえましょうッッッ』
ワアアアアァァァァッ!
「すっげェ~」「さっすが魔法少女ッッッ」「おめでとうッ」
まどか「………」
詢子(まどか……。アンタもあたしの娘なら、これで終わらすハズがないよな?)
まどか「マミさん……。私たちはまだ決着がついていない。
一度目はマミさんが勝って、二度目は私が勝った」
まどか「本当の決着をつけましょうッッッ」ザッ
ガバッ!
まどかの闘気に呼応するように、マミが立ち上がった。
マミ「えぇ、鹿目さん……。決着をつけましょう」ザッ
まどか「はいっ!」
上条『~~~~~ッッッ なんと準決勝第一試合、鹿目まどかVS巴マミは、
三本勝負の三本目に突入だァッッッ』
詢子「それでこそあたしの娘だ!」
知久「まどかは大人しくて、とても喧嘩なんかできない子……。
そんなふうに考えていた時期が、ぼくにもありました」
タツヤ「救命阿ッッッ 救命阿ッッッ 救命阿ッッッ」
QB(ホントだよ……。乱入したくなっちゃうじゃないか……ッッ)
さやか「まどかも強いけど、マミさんもかっこいいねぇ」
ほむら「これで互角……勝負はワカらなくなったわ」
上条『死闘再開ィッッッ 鹿目まどか、猛ラッシュッッッ』
ガッ! バゴッ! ドッ!
まどか(マミさん相手に一撃必殺なんて考えは捨てなきゃ! 多撃必倒で決めるッッ)
マミ(ぐっ……! 円環の理での防御が間に合わないスピード!)
マミ「だったら──これよ」マルン
上条『なんだァ!? きゅッ……球体!?
巴マミ、まるでアルマジロのように丸まったッッッ』
マミ「これでもう、どんな攻撃も怖くない……ッッ」
まどか「えいっ!」ガキン!
まどか(硬い……ッッ 拳じゃ歯が立たないッッッ)
上条『巴マミが鉄球と化したッッッ これはさしずめ──“球環の理”か!!』
杏子「マミの奴、あんな技を開発してやがったとは……」
上条『球環の理となった巴マミに、鹿目まどか、必死にパンチとキックを放つが、
まったく通用しないッッッ』
まどか(このままじゃ、こっちの手足がダメになっちゃう……!)
さやか「……ねェ。あんたならあの防御、どうやって破る?」
ほむら「私ならああなる前に終わらせるわ」
さやか「つまり策ナシってワケね……」
マミ「そろそろこちらから行くわよ。ティロ・フィナーレ!」
ギュルルルルッ! ドゴォッ!!!
上条『強ッ 烈ッッ! 高速回転しての体当たり──ティロ・フィナーレが炸裂ッッッ
魔法少女が派手にブッ飛んだァァァッッッ』
まどか「う……ぐ……ッ」
(あれをもう一撃喰らったら敗ける! なにか、なにか手はない!?)
マミ「鹿目さん、球環の理に導いてあげるわッッッ」
ギュルルルルッ!
さやか戦のほむらのように。
さやか「──そっかあ! あの高速タックルなら、マミさんの防御を破れるかも!」
ほむら「いえ、無謀よ。巴マミの防御力は完璧に近いわ」
まどか(脱力を維持したまま──右腕を振るうッッッ)ヒュンッ
マミ(何をするつもりかは知らないけど、無駄よ!)ギュルルルル
ベッチィィィィッ!!!
上条『……ッッ こ、これは……ッッッ
鹿目まどか、鞭のようにしならせた右腕を、巴マミにぶつけたァ~~~ッッッ』
マミ(痛い……)(痛い!)(痛いッ)(とてつもなく痛いッッッ)
マミ「──はっ!」
まどか「どんなに硬くたって、痛みは平等だもんね……。思わず技を解いてしまうほどに」
マミ「~~~~~ッッッ(しまった……ッッ)」
ズドンッ!!!
上条『痛みで球環の理が解けたスキを突き、ナックルアロ~~~~~!!
これには巴マミもひとたまりもないッッッ ノックダウンだッッッ』
使い魔「勝負ありッッッ」
さやか「鞭打って?」
QB「脱力して、鞭のようにしなった手で敵を叩く技だよ。
ダメージじゃなく痛みを与える技だから、頑強な肉体も通用しない」
さやか「なるほどねぇ~」
ほむら「巴マミも、まさか痛みで攻略されるとは予想もしなかったでしょうね」
ガツガツ ボリボリ ムシャムシャ
杏子「マミがだらしなかっただけのことさ。痛みで技を解くなんてな」ガツガツ モリモリ
QB「さっきも食べたのに、また食べてるのかい?」
杏子「食うかい?」ズルズル バリバリ
QB「いや……いいよ」
杏子「あっそ」モニュモニュ ゴクゴク
さやか「やったじゃん! 次はもう決勝だよっ! ここまで来たら、優勝っきゃないよ!」
まどか「ありがとう、さやかちゃん! ……ところで、ほむらちゃんと杏子ちゃんは?」
さやか「二人ともどっか行っちゃったよ。なにせ、次の試合でぶつかるワケだし……」
まどか(あの二人のどちらかと決勝を戦うんだ……私)
試合場──
上条『これより準決勝第二試合を行いますッッッ』
上条『青龍の方角! 時間停止を錯覚させる高速少女、暁美ほむらッッッ
一回戦では高速タックルで美樹さやかを打ち破っておりますッッッ』
上条『白虎の方角! 前大会チャンピオン、佐倉杏子ッッッ
こちらもエリーの猛毒に屈せず、貫禄の勝利を見せてくれましたッッッ』
ワアアアァァァァ!!!
さやか「暁美ほむら……シャクだけど実力はホンモノだった。
敗けて欲しいような、欲しくないような複雑な心境だよ、ったく」
使い魔「開始(はじ)めいッッッ」
ダッ!
上条『佐倉杏子がしかけたァッッッ はっ……速いッッッ
速さとウマさを兼ね備えた、コンビネーションだァ~~~~~ッッッ』
スカッ スカッ スカッ
杏子(お、おかしい……)
杏子(なんで一発も当たらねェんだ!?)
上条『~~~ッッ あ、当たりませんッッッ 佐倉杏子の打撃が当たらないッッッ
反射神経でかわしているというより、前もって攻撃が分かっているような──』
ほむら「佐倉杏子。あなたとは数え切れないほど闘ったわ……」
杏子「!?」
ドガッ!
上条『キレイなカウンターが入った! 佐倉杏子、早くもダウンッッッ』
ほむら「答える義務はないわ」
杏子(そ、そりゃそうだ)
バキッ! ドガッ! ガスッ!
上条『今度は暁美ほむらが攻勢に出た! 面白いように打撃がヒットする!
これもまるで、相手がどう動くか分かっているかのような芸当ですッッッ』
QB(ついに暁美ほむらが本気になったか……ッッ)
QB(ほむらの武器は、時間停止を錯覚させるスピードだけじゃない)
QB(彼女は頭の回転も早い。彼女の本当の武器は──
その頭の回転を生かし、敵との闘いを徹底的にシミュレートすることにある!
時間遡行でもするかの如く、気が遠くなるほど、巻き戻しと再生を繰り返す!)
QB(ましてや杏子はチャンピオンだから情報が多く、奇策を弄するタイプでもない。
さぞシミュレーションしやすかったに違いない)
QB(まどかが現実にあり得ないことを妄想して強くなったとするなら──
ほむらは逆ッ! 現実にあり得ることを全て想定して強くなるタイプ!)
ドザァッ!
上条『またも佐倉杏子ダウンッッッ あまりにも一方的な試合展開だッッッ』
それも10回や20回なんてもんじゃない。
だったら──アタシが絶対やらないような攻撃をすれば……!)
杏子は土下座した。
上条『……え?』
杏子(一番やりたくないことって考えたら、コレだったんだよな……。
だまし討ちなんてガラじゃねーけど、これしかないッッッ)
ほむら「………」
ドギャッ!
上条『な、なんと、土下座している頭を思いきり蹴りつけたァ~~ッ
油断も容赦もありゃしないッッッ』
ほむら「土下座をするあなたも体験済みよ(その時はだまされて敗けたけど)」
上条『チャンピオン大の字ッッッ もはや万策尽き果てたかッッッ!?』
杏子(死ぬか、死ぬか杏子!?)
「──はい。当時、あの方の教義は大流行しておりました」
「内容が素晴らしかったから? もちろん、それもあったのでしょうね──しかし」
「真実は残酷でした」
「流行の一番の要因は、あの方の娘さんの催眠術によるものだったのです」
「彼女の術中に入った信者は、進んであの方の教義を拝聴しました」
「あの方も、まさか娘のおかげだとは知らなかったようです」
「そしてある日──真実を知ったあの方は怒り狂い、一家心中に及んだと聞いています」
「それから先のことは私も存じ上げません」
「え? もしその娘さんが今も生きていたら、どうなっているかですって?」
「ン~……おそらくは想像を絶する使い手になっていることでしょうなァ……」
暁美ほむらの攻防術は、あまりにも完璧すぎるッッッ』
杏子「こいつだけは使用(つか)いたくなかったよ……」
ダッ!
ほむら(──速いッ!)
上条『佐倉杏子、暁美ほむらに勝るとも劣らないスピードだッッッ
ここにきて一気に動きが変わりましたッッッ』
ほむら「~~~~~ッッッ(未体験の動き!)」
ドゴォッ!
上条『この試合で初めて、暁美ほむらがヒットを許したァッッッ いったい何が起きた!?』
まどか「杏子ちゃんが、さらに強くなった!」
さやか「魔女化もしてないのに、いったいどうやって!?」
QB(こ……ッ これは……ッッ そうか、自己催眠かァ~~~~~ッッッ
自己催眠で速度を強化し、動きを変え、シミュレートを凌駕した!)
杏子の猛攻に、ほむらはガードを固めるのがやっとかッッッ』
ほむら(脱力するヒマも与えない、というワケね……)
ほむら(おそらくは自己催眠……。なぜか、よほど使いたくなかった手段のようね。
いいわ、付き合って──否! 突き合ってあげる、佐倉杏子ッッッ)
上条『おっと両者、足を止め──……ッッッ!?
殴り合うッッッ 共に防御を捨て、真っ向から殴り合っているッッッ』
ガスッ! ドゴッ! ベキッ! ドカッ! バキッ!
この日初めて、観客が総立ちになった──
二人の少女の命と誇りを賭したぶつかり合いに、誰もが言葉を失い──
己の中で熱く煮えたぎる何かを感じていた。
まどか「ど、どっちもスゴイ……ッッ」
さやか「ハハ……あたしが敵わないワケだ」
QB(ぼっ……ぼくもだれかと殴り合いたくなってきた!)
上条『さすがは前大会チャンピオンッッッ 佐倉杏子、みごとな勝利ですッッッ』
まどか「さすが杏子ちゃんだね!」
さやか「大したもんだよ、あんたにゃ負けたよ」
マミ「すばらしい試合だったわ、佐倉さん」
QB「杏子こそ、ナンバーワンの格闘少女だよ!」
杏子(おかしい……)
杏子父「すごかったぞ、杏子!」
杏子母「えぇ、立派だったわ」
杏子妹「すごかったよ~」
杏子(ああ……ナルホドな)
杏子(こういうことって……大抵はそう……大抵は……)
使い魔「勝負ありィッッッ」
上条『永遠に続くとも思われた殴り合いを制したのは──暁美ほむらだッッッ』
ワアアアァァァァァァ~~~~~ッッッ
ほむら「はぁ……はぁ……」ガクッ
ほむら(もし最初から自己催眠を使われていたら、この勝負は……。いえ、仮定は無意味ね)
上条『ン!? 失神しているハズの、杏子選手の目から涙が!
敗北の悔し涙か!? あるいは闘い抜いたことへの歓喜の涙でしょうか!?』
ほむら(どちらも違うわ……)
ほむら「きっと夢の中で懐かしい誰かに会えたんでしょうね……佐倉杏子」
QB「少女が地上最強を目指して何が悪い!」
QB「本来、少女とは保護されるべきかもしれないッッッ」
QB「本来、少女が強くなる必要なんてないかもしれないッッッ」
QB「しかしッッ 君たちが目撃したように、少女とはかくも強くなれるんだッッッ」
QB「今日、少女でありながら最強を目指す子たちが集まったッッッ」
QB「そして死闘を勝ち抜いてきた──」
QB「偉大なるバカガール二名ッッッ」
QB「この地上で誰よりもッ 誰よりもッッ 最強を望んだ二名ッッッ」
QB「決勝(ファイナル)ッッッ」
ワアアアアァァァァッッッ
知久「ぼくも驚いたよ。でも、ここまで来たら応援するのみさ」
タツヤ「まどかッッッ まどかッッッ まどかッッッ」
~
さやか「キュゥべえのやつ、ノリにノッてるなァ~……」
マミ「こんにちは、美樹さん。私も一緒に観戦していいかしら」
さやか「あっ、マミさん!」
杏子「さやか、アンタも格闘少女として生きるなら──よォ~く見ときなよ。
この決勝戦をな……ッッ」
さやか「~~~~~ッッッ」
(スゴイ……この二人、もうまどかや転校生と闘うことを視野に入れているッッ)
~
仁美「お二人とも……お怪我をしないよう頑張って……!」
~
上条「いよいよ最後の試合か……。ぼくの手が動くようになったのは、
きっと彼女たちの闘気のおかげなんだろう。
感謝の気持ちを込めて──たとえノドが砕けても実況を完遂する!」
上条『一回戦ではワルプルギスの夜、二回戦では巴マミを激戦の末、下しましたッッ
魔法少女のような可憐な姿から、素手による魔法を繰り出すッッッ
彼女が魔法少女の名を冠することに、もはや異論を唱える者はありませんッッッ』
上条『白虎の方角! タイム・ファイター 暁美ほむらッッッ』
上条『一回戦では美樹さやか、二回戦では佐倉杏子を倒し決勝にコマを進めましたッッ
まるで時間を操るが如く戦術は、まさに現代の時間旅行者といえましょうッッッ
一見クールな佇まいの中に、熱い魂(ハート)を燃やす闘士だッッッ』
ワアアアアアアアアアアアアア!!!
QB「まどか、ほむら……。さぁ見せてくれ、君たちの闘争(ファイト)!!!」
ほむら「まどか、よくここまで勝ち上がってきたわね。
前に学校でもいったように、手加減はしないわよ」
まどか「うん……うん、ほむらちゃん。私もそうする」
ガシッ!
上条『これから血で血を洗うルールで雌雄を決しようという二人が、抱き合ったッッッ
まさに友情の抱擁! これからどんな惨劇があろうと、友情は永遠ということか!』
ダッ! ダッ!
上条『まるで申し合わせていたかのように、両者突っ込んだ!』
ガッ! バシッ! ベチィッ! ドゴッ! メキィッ!
上条『まどかの右ストレー……ほむらが左──右……左ミドッ フック……ッッ
はっ……速い! 実況が追いつかないッッッ』
バチッ! ベシッ! ゴカァッ! ガンッ! ドッ!
QB「こんな打撃戦……初めてお目にかかるよ……ッッ」
間合いを離し、両者構え直す。
まどか「ふぅ……ようやく体が温まったよ」
ほむら「私もよ」
さやか(今までの攻防が──!)
マミ(全部ッッ)
杏子(ウォームアップだったのかよ……ッッ)
上条『これは──!? さやかに決定的な一打を与えた、あの……ッッ』
ほむら(今ッッッ)
バシュッ!
上条『超高速タックルゥッッッ』
バチィッ!
上条『~~~ッッ!? タックルをしかけたハズのほむらが、客席までスッ飛んだァッ!』
まどか「たしかこんな感じだったよね、円環の理って」スッ
マミ(て、天才だわッッッ)
上条『鹿目まどか、巴マミの防御術“円環の理(廻し受け)”を真似て、
暁美ほむらをスッ飛ばしていたッッッ これが魔法少女の実力か!』
ほむら「やるわね、まどか」
まどか「ほむらちゃんこそ。マミさんと闘ってなかったら、今ので終わってたよ」
ザシュッ!
上条『お~~ッと、これは美樹さやかの斬撃技ッッ これでは防御しても斬られる!』
さやか「ウソでしょ……ッッ」
上条『両者、闘いを経て成長しているッッ 進化する天才というべきかッッッ』
ギリ… ドゴンッ!
上条『ここで、まどかのナックルアローッッ またも暁美ほむら、吹っ飛んだ!
やはり攻撃力では圧倒的に鹿目まどかに分があるかッッッ』
ほむら(まどかの成長スピードを鑑みると、長期戦は危険! 次で仕留めるッッッ)
フッ!
上条『オヤ? 暁美ほむらが……アレ? き、きっ……消えたァッッッ』
杏子「高速でまどかの周辺をフットワークしてやがるッッ 何をする気だ!?」
まどか「ぐぅっ! ──くっ! うぁっ!?」
上条『オオオッッ ほむら、高速で動き回り、四方八方からまどかを滅多打ちィッッッ』
QB(考えたね、ほむら……。白亜紀の人類は恐竜をああやって打ちのめしたという。
おそらくは恐竜との闘いもシミュレートしたのだろう。まさにタイムスリップ……!)
ズドドドドッ!
まどか(ぐっ……! うぅ……! は、反撃ができないッッ)
QB「あの戦法を攻略する方法はいくつか考えられる──」
美樹さやかのように魔女化し、体力と耐久力を増強する。
巴マミのように“球環の理”で、相手の拳が壊れるまで耐える。
佐倉杏子のように自己催眠で、自分の速度を同レベルまで上げる。
QB「しかし、いかにまどかが天才でも、今すぐこれらの技は真似られないだろう。
──さぁ、どうする魔法少女!」
ダッ!
上条『満身創痍の鹿目まどか、校舎に向かって走っていくッッッ』
QB(ンなるほど~~~ッッ その手があったか!)
まどか(こうすれば、攻撃を正面からに限定できる!)
上条『しかし、かまわず暁美ほむら、突っ込んでいくッッッ』
まどか(ここで──右ストレートでカウンターッッ)ブオンッ!
ほむら(全てシミュレート通りの動きよ、まどかッッッ)
パシッ!
杏子(ウマい!)
上条『ほむら、まどかの右ストレートをキャッチングし……ッッ これは……ッッッ
アームロックだァ~~~~~ッッッ それ以上いけ──』
ボグッ
「折った!」「折ったぞッッッ」「マジかよッッ」
上条『暁美ほむら、鹿目まどかの右腕を完璧にヘシ折ったァッッッ』
さやか「ま、まどかァッッッ」
仁美「まどかさん!」
上条『お~~~っと、ここで観客席からタオルが投入されたァッッッ
投げたのは──鹿目まどかのお母さんッッ 親の愛情が成せるタオルッッッ』
ほむら「………」
使い魔「勝負あ──」
QB「待つんだッッッ」
QB「まどか……。君の母親からタオルが投入されたが──
彼女は正式なセコンドじゃないから効力はない。しかし右腕は折れた……どうする?」
まどか「続行(つづ)けるよ、もちろん」
詢子「ふざけンなッッ まどか、テメェ一人の命じゃねえんだぞッッッ
周りで心配してる連中もいるってことを、少しは考えろッッッ」
まどか「ママ、ごめんなさい。でもここだけは譲れない。もしここで譲っちゃったら──
私は鹿目まどかでなくなる気がする。だから──」
詢子「……ふぅ。ワカったよ。
ただし本当に危ないと思ったら、試合に乗り込んででも止めるからな」
まどか「ありがとう、ママ」
QB「──続行ッッッ」
上条『オオオオッッ 試合再開だァッッッ』
タツヤ「成長しやがったなァ、まどか……」ニィ~
知久「!?」
ほむら「もしこの世に神というものがいるのなら──
こうしてあなたと試合を続行(つづ)させてくれたことに心から感謝するわ」
ほむら(次は左腕を──ヘシ折るッッッ)ギュオッ
上条『暁美ほむら、またしても高速でまどかに接近ッッッ』
ほむら(右拳はもう使えない、次は左拳を出すハズ──!)
ドゴォッ!
上条『!? !? !? ○×△~~~~~ッッッ えぇ~~~~~!?
鹿目まどか、折れている右腕で殴ったァッッッ 水月にクリーンヒットォ!』
ほむら「………ッッッ(折れてる腕でなお、この威力……ッッ)」
まどか「ウェヒヒッッッ 折れてるイコール使えない、じゃないよ。ほむらちゃん」
マミ「まったく……キュゥべえったら、とんでもない子を発掘したものね」
だったら私も五体満足で勝ちを得ようとは思わない)ゆる~
上条『暁美ほむら、再び脱力ゥッッッ ──が、ダメージは大きいぞ!
今までのようなフットワークができるのか!?』
ほむら(これが私の最終兵器──)
──音速拳ッッッ
パパパパパパパパパパァァァァン!!!
上条『オオオオオッッッ まるで時間を止め、一方的に殴りまくるが如く、
凄まじい連打が決まったァァァッッッ』
QB「脱力で弛緩した関節を、一気に加速させた正拳かッッ」
まどか「~~~~~ッッッ」ゴボォッ
ほむら「………ッッ」ガクッ
上条『鹿目まどか、大ダメージッッ ──が、暁美ほむらの両拳も……壊れたァッッ!』
ほむら(やはりね……。音速で拳をぶつければ、いかにまどかといえどもダウンする。
そして音速で拳をぶつければ──打った拳も破壊される……ッッ)
ほむら「はぁ……はぁ……あなたこそ、あれで倒れないとはね」
まどか「もう私は力が、残ってない……。今から……最後の技を打つよ。
これが通じなかったら、ほむらちゃんの勝ち……だね」
バッ!
上条『鹿目まどか、跳んだァ~~~~~ッッッ 高いッ 10メートル以上はあるッッ』
QB(あの瀕死のダメージの身で、いったいどんな魔法を見せる気だい?)
さやか「まどかッッッ なにを!?」
杏子(どちらも──あと一撃が限度!)
マミ(これで決まるわね……)
宙に舞うことで、自身を惑星(ほし)と化したのである!
これすなわち、宇宙拳!!!
宇宙の力を得た、神のナックルアローッッッ
ほむら(宇宙を味方につけたというワケね……。いいわ、勝負ッッッ)
まどか(この一撃に全てを込めるッッッ)
両者の拳は交差し──互いの顔面にめり込んだ。
ドグアッッッ
上条『~~~~~ッッッ ……! ~~~~~ッッッ ……──!』
上条『……決まりました』
上条『最大トーナメント優勝者はッッッ 魔法少女、鹿目まどかだァァァッッッ』
ワアアアアアアアアアアッッッ!!!
使い魔「勝負ありィィィッッッ」
まどか「ほむらちゃん……」
ほむら「ふふっ、完敗だわ。あなたが……チャンピオンよ!」
ガシッ
上条『試合が終わればノーサイドッッ 両者、握手を交わしたァッッッ
なんという美しい光景でしょうかッッッ』
ワアアアアアアアアアアッッッ!!!
上条『少女は強いッッ かくも強くなれるのですッッッ』
上条『私は彼女らの強さに、今猛烈に感動しておりますッッッ』
上条『ストロングイズビューティフルッッッ アリガトォォォ~~~~~ッッッ
アリガトォォォ~~~~~ッッッ』
仁美「本当に美しいですわ。傷だらけなのに、お二人ともなんと神々しい……」パチパチ
詢子「おめでとう、まどか。いつの間にか逞しくなりやがって……」
知久「いい試合だったね、ママ」
タツヤ「まどかッッッ 俺の予想を覆しやがったッッッ」ニィ~
家に帰るまでが最大トーナメントですのでお気をつけてッッッ』
(ぼくの仕事もこれで終わりだ……。ありがとう、さやか、みんな……)
┌─ ワルプルギスの夜(カポエイラ)
┏━┫
┃ ┗━ 鹿目まどか(魔法少女)
┏━┫
┃ │ ┏━ 巴マミ(アンチェイン)
┃ └━┫
┃ └─ シャルロッテ(ピット・ファイティング)
━┫
│ ┌─ エルザマリア(ムエタイ) ⇒ 美樹さやか(飛び入り参加)
│ ┏━┫
│ ┃ ┗━ 暁美ほむら(タイム・ファイティング)
└━┫
│ ┌─ エリー(空道)
└━┫
┗━ 佐倉杏子(トータル・ファイティング)
「おっ」「来た来た」「やっと来たか」「待ちくたびれたよ」
まどか「?」
「「「「「「「「 遅いよ、チャンプッッッ 」」」」」」」」
なんと大会に参加していた全選手が整列して待っていたのである。
ワルプルギスの夜──
巴マミ──
シャルロッテ──
エルザマリア──
美樹さやか──
佐倉杏子──
エリー──
そして、暁美ほむら──
マミ「是非、また私と闘ってね。今度は敗けないわよ」パチパチ
シャルロッテ「~~~~~ッッッ」パチパチ
エルザマリア「………ッッ」パチパチ
さやか「いやァ~すごかった。あたしも親友として鼻が高いよ!」
杏子「やるじゃん。アンタとはいずれ手合わせしたいね」
エリー「空道に入門しないかね」パチパチ
ほむら「おめでとう、まどか」パチパチ
ライバルたちの拍手を受け、感涙するまどかだった。
まどか(みんな、アリガトウ……。私、もっと強くなります)
まどかは当てもなく町を歩いていた。
まどか(あれから──ほむらちゃんは私との決勝戦を繰り返しシミュレートし、
さらに強くなっていることだろうな)
まどか(さやかちゃんはマミさんに弟子入りして、二人で切磋琢磨している)
まどか(さすがに特訓のためとはいえ、魔女化したまま学校に来た時は驚いたけど……)
まどか(杏子ちゃんも大会の日のうちにヒマラヤへ飛んで、修業に励んでいるとか……)
まどか(魔女たちも今回は成績が振るわなかったけど、きっともっと強くなる)
まどか(あ、あと上条君は手が動くようになったけど、
ヴァイオリンの道に進むか、アナウンサーの道に進むか、悩んでるみたい)
まどか(私もうかうかしてると──どんどん置いてかれちゃう……)
まどか(まだわずかに闘気と血の匂いが残ってる……)
ザッ ザッ
QB「やぁ、まどか。君も興奮がなかなか冷めず、ここに来ちゃったクチかい?」
まどか「キュゥべえ。 ……うん、そんなとこかな」
QB「優勝おめでとう。君はすばらしい格闘……いや、魔法少女だよ」
まどか「ありがとう。 ──ところでキュゥべえ」
QB「なんだい?」
まどか「私、まだキュゥべえには勝ったことなかったよね」
QB「右腕はまだ折れてるんだろう? ベストじゃない君とヤるつもりはないよ」
まどか「ううん、さっきマミさんに治してもらったから」
QB「なるほど……準備万端というワケだね」ニヤッ
まどか「さぁ開始(はじ)めようよ、キュゥべえッッッ」ザッ
──闘いはまだまだ終わらないッッッ
<完>
Entry ⇒ 2012.01.11 | Category ⇒ まどかマギカSS | Comments (0) | Trackbacks (0)
ほむら「わたし、前からまどかのことが……」まどか「えっ……!」
http://hayabusa.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1326153964/
ジャイアン「うん、わたしも……ほむらちゃんが大好き!」
ベジータ「よかった、これで二人は幸せになれるのね」
ベジータ様は偉大だな
くりす「なにアホなこと言ってるのよ岡部」
ベジータ「本当におかりんは面白いよね~」
ラン「それはちょうどいいわ、あなた、ロボットに乗れる?」
ベジータ「俺は乗れるぞ」
隊長「だめだ、北斗お前は信用ならん」
ベジータ「ああ、全くだ」
ハム太郎「僕はここなのだ!」
ベジータ「俺もここなのだ!」
ばたい「私もここにいるぞーー!」
砂糖吐くくらい甘々なやつがいいです
ある日の学校の帰り
さやかちゃんは用事があるらしいから一人で先に帰っていたら突然の雨
もう、ついてないというかなんというか
ザーーーー
まどか「うわぁ、もうびちょびちょだよぅ……寒くなってきたかも」
まどか(慌ててこの使われてないお寺のお堂に駆け込んじゃったけど、このままじゃ風邪ひいちゃう)
まどか「といっても、このお堂幽霊が出るって噂があるぐらいなにもないからなあ……暖まりようも」
ギィ……ガタッ
まどか「きゃっ!な、なに!」
ほむら「ひゃあ!」ドタッ
まどか「あれ?ほむらちゃん……?」
ほむら「ま、まどか!?」
ほむら「そ、そうね」
驚いて尻餅をついてるほむらちゃんに手を貸して立ち上がらせる
まどか(ほむらちゃんの手、柔らかいな……でも、やっぱ冷たい)
まどか「いやー、すごい雨だねそれにしても」
ほむら「早く止むといいわね……」
まどか「うん…………」
ザーーーー、ザーーーー
久し振りにほむらちゃんと過ごす長い二人きりの時間
でも、無言の時間
そういえばほむらちゃん、よく私に構ってくれる……
まどか「どうしてだろ?」
ほむら「えっ?」
まどか(つい……声に)
まどか「えと、何でもないよ、何でもない、たはは……」
ほむら「そ、そう、それならいいわ、それなら……」
まどか(あれ?なんかほむらちゃんそわそわしてるような……)
まどか「ほむらちゃん大丈夫?どこか具合でも……」
ほむら「ひゃあ!」ドテッ
まどか「ほ、ほむらちゃん!?」
私が近づこうとするとほむらちゃんがよろけて倒れてしまう
よっぽど体調が悪いんだろうか……
まどか「ほ、ほんとに大丈夫?」
ほむら「大丈夫よ、大丈夫だから、あんまり、その、近づかない……で、はぁはぁ……」
ほむらちゃんが言うならそっとしてたほうがいいのかな……?
ザーーーー、ザーーーー
まだまだ雨は降りやまない
暗いお堂には、体育座りをしてるわたし
そして少し離れてほむらちゃんの息づかいだけが響いていた
それは時間がたつごとに大きく、そしてほむらちゃんの体段々と火照っていく
このまま、見てるだけなんて……
わたしはほむらちゃんにいっぱい助けてもらった、なら……今度は
まどか「ほむらちゃん、やっぱり気になるよ」
ほむらちゃん「大丈夫 ……はぁ、放っておいて」
まどか「ほっとけないよ!だって……」
まどか「ほむらちゃんのことが大切だもん!」
まどか「ううん、急じゃないよ、ほむらちゃんのことはずっと考えてた」
まどか「今までずっと守ってもらってて、迷惑かけて……」
まどか「だから、いつか恩返しがしたいと思ってたの」
ほむら「まどか……いや、でもっ」
ほむらちゃんが濡れて透けた体を縮まらせた
可愛いなあ、わたしは四つん這いでほむらちゃんのとこまで這っていく
まどか「大丈夫……大丈夫だから、ね?」
ほむら「いや、でも……」
段々とほむらちゃんとの距離が短くなっていく、顔に息がかかりそう
まどか「だから……」
まどか「触らせて?」
耳元で囁くとほむらちゃんがビクッと体を弛緩させる
まどか「どうしたの?こっち見てよ、あんまり逃げると看病できないよ?」
ほむら「いや、その……まどかの服が」
まどか「服?」
ああなるほど、それでほむらちゃんはさっきからあんなにそわそわと
まどか「ほむらちゃんは可愛いなあ」
ぎゅうっとほむらちゃんを抱きしめる
何かショートしたような音が聞こえたが気にしない
まどか「もう、そんなに気になるならいってくれたら良かったのに」
ほむら「でも、そんなこといったら……ま、まどかに、へ、へんたいって思われそうで」
まどか「うん、ほむらちゃんは変態さんだよ」
ほむら「ええっ?」
ほむら「はにゃっ……!」
まどか「わたしのこと、前からそんなふうに見てたの?」
ほむら「…………う、うん」
もうほむらちゃんは茹で蛸みたいに真っ赤になってうつむいてる
ほむら「げ、幻滅したでしょ?」
まどか「え?」
ほむら「わ、わたしがこんな変態で、まどかのパンツ嗅ぎたいとか裸みたいとか透けてる下着で興奮する変態でっ!!」
まどか「うーん、ちょっとは驚いたかな、ほむらちゃんってもっとクールな子かと思ってたから」
ほむら「やっぱり……」
まどか「でも、今は平気だよ」
ほむら「ど、どうして?」
まどか「だって今は、わたしも変態さんだから……ね?」
ほむら「きゃっ!いや……まどか、そこは……!」
ほむら「変なこと言わないでよ……もう」
まどか「ううん、そんなことないって、ていっ!」
ほむら「はんっ……あぁ!」
ほむらちゃんの体はどこもかしこも柔らかかった
わたしは背中に回していた腕を解いて、透けていつもより自己主張している膨らみを両の手のひらで覆った
むにゅ
ほむら「ちょっ!まどか……どこ触って」
ふむ、控えめながら中々に柔らかい
微かな膨らみは思ったより弾力があってぷにぷにつついてるだけでも気持ちいい
まどか「ほむらちゃん……ここ弱いんだ?」
ほむら「だって、今まで触られたことなんて、はあぁ!」
まどか「ほむらちゃん……」
ほむら「な、なに?」
まどか「今ほむらちゃんは雨でびしょ濡れだよね?」
ほむら「うん」
まどか「濡れてると寒いよね?」
ほむら「まあ」
まどか「風邪が悪化したら大変だよね?」
ほむら「そ、そうね」
まどか「というわけで」
ほむら「わけで……?」
まどか「ほむらちゃんを脱がせます」
ほむら「え……えっ?」
!来ないでえええ!!」ドターン
「ぐへへへへへへへへへへへへへへへ!!よいではないかあああ!!」バシーン
~1分後
まどか「あれー?ほむらちゃん、ずいぶんとすっきりした格好になったんだね」
ほむら「ぐすん、ばかぁ……絶対に仕返ししてやる」
何故だか全く記憶にないけど目の前には、涙目で全裸(靴は履いてるよ)のほむらちゃんがいた
まどか「もう……ほむらちゃんったら、そんなに触ってもらいたいならちゃんと言えばいいのに」
ほむら「だ、だってまどかが無理やひゃん!」
ほむらちゃんの無防備になった双丘の突起を押すと動きがびくんと止まる
まどか「ほむらちゃんのここ、ピンクで小さくて、こりこりしてて……」
ほむら「んっ!むんんっ!」
まどか「とっても可愛いい……」ボソッ
ほむら「んんんんんあはあっ!」
まどか「うーん……」
ほむら「ど、どうしたの?」
まどか「いや、ほむらちゃんのおっぱいさ、美味しそうだなーって思って」
ほむら「ふえっ?」
まどか「にひっ、いただきます」
パク……ペロ……
なだらかな乳房を口で包み込み舌でその突起を転がす
ほむら「ま、まど……いやっ、なんか……へんな感じ、ふああああ!」
まどか「ほふはひゃんはわいいはあ」
ほむら「しゃ、しゃべんないで……もう、あんっ!」
ペロ……はぁ……ペロ……んはっ……
舐めるたびにほむらちゃんは跳ねるように体を弛緩させ、その口からは甘い息が漏れる
ねっとりとした時間が流れた
暗いお堂の静寂の中、ほむらちゃんの吐息と雨が石畳を穿つ音が不思議なアンサンブルを奏でる
わたしはその中でただ無心になめ回した
胸、腕、顔、お腹、背中、お尻、太もも
ほむらちゃんの全部をわたしで染め上げるつもりでなめ回した
そして……
ほむら「はぁ……はぁ……ま、まどか」
まどか「ほむらちゃん、後はここだけだよ……」
ほむら「…………はぁ、はぁ」
まどか「もうしゃべれないか、でもわたし我慢できないから、ごめんね」
まどか「いくよ……」
ほむら「は、ふああああああああ!!」
そこからはもうすでにぬらりとした花の蜜が垂れていた
まどか「ほむらちゃんのここ、もうびしょびしょだよ」
ほむら「いやあ、い、言わないでぇ……」
ツー、とその割れ目を上から下へなぞる
ほむら「くぅうううん」
もう疲れて声も出ないはずなのにほむらちゃんは自然と大きくなる声を必死に押さえている
わたしとしてはじっくり楽しみたいんだけど、あまり待たせるのもかわいそうかな
まどか「それじゃ、一気にいくよ」
ずぶっ、とほむらちゃんに指を挿入する
ほむら「ふむんんんああああぁぁ!!」
もはや声が漏れるのも気にしない
きつく締めてくるほむらちゃんのほむらちゃんを指で激しくかき回す
あのクールなほむらちゃんが、淫乱な声を出して恍惚とした顔でよだれをたらして喘いでる
どくんっ……
もう、止められなかった
まどか「ほむらちゃん!ほむらちゃん!ほむらちゃああんっ!!」
ほむら「まどかっ!まどか!……はあ、ううんっ!まどかああああ!!」
指と口を使いほむらちゃんの上と下を一気に……
ほむら「い、いくっ!いっちゃう!まどかあ!」
まどか「いいよ、いってほむらちゃん、わたしの指で、いって!」
ほむら「いくっ、いくっ!はあああ!!ふああああん!!うぅ、あ、あああああああ!!!」
――――――――――――
ほむら「はぁ……はぁ……」
ほむらちゃんは全裸で惚けた目をしながらお堂の床に倒れこんでいる
まどか「ふぅ……」
これで少しおさまっ……
わたしは普通に変態だから好きな子を襲って満足したはず……
ほむら「はぁ……まどかぁ……まどかぁ……」
でもこの状態のほむらちゃんを見てると何か、何か変な感情が
まどか「ねえ、ほむらちゃん」
ほむら「はぁ……な、なに?」
まどか「ほむらちゃんさあ……」
わたし、何を言おうとしてるんだろ
まどか「わたしの裸、見たいって言ってたよね?」
ほむら「…………」ビクン
な、なにいってるの!ほむらちゃん、もうこんな状態なんだし
まどか「だ、だからね、その……」
まどか「わたしを、襲って?」
もはや戦う力など残されていなかったその体に謎の変態パワーがやどったのである
暁美ほむらは変態の戦士と化したのだ
side -homura
まどか「その、だからね……」
まどかがプチプチと制服のボダンを外していく
そのまま下着をとりシャツの前をはだけた
まどか「どうしたの?これが見たかったんでしょ?来て、ぞんぶんにペロペロして」
まどかのおっぱいがプルンと微かに揺れる
食べたい……食べたい……
まどか「さあ!ペロペロすればいいじゃない!犬みたいにペロペロと!いつまでそこに倒れてるつもり?」
もう、言葉はいらなかった
ただまどかを征服することだけしか頭に無かった
足腰はもうガクガクで立ち上がれない
それでも高速で這ってまどかに襲いかかる
バターン!!
もはやまどかの目はうつろで私は一方的に攻め続けた
ほむら「さ、さっきの仕返しなんだから……覚悟しなさい」
まどか「うん、わたしほむらちゃんにだったら何されてもいいよ」
また、どこか私のネジが飛ぶ
頭の回路が焼き切れる
獰猛にまどかの全てにしゃぶりついた
ほむら「はぁ……はぁ……はっは、はっは」
夢にまで見たまどかの匂いが鼻孔いっぱいに広がる
肌と肌が擦れ合い、感度のいい部分が触れられるたびになんとも言えない快感が脳天から突き刺さる
遠慮はしない、まどかのまどかを一気に突く!
指だけでは収まらない
舌でその聖水を一気に掻き出す
もはや二人とも裸の獣だった
理性を忘れお互いになめ合う
相変わらず外は雨だったが火照る二人の体温でそんなものは気にならなかった
ただ、お互いのお互いへの溜めてきた感情が爆発していた
ほむら「まどかっ!好きっ!大好きっ!まどかが好き……大好きだよ」
まどか「わたしもっ!わたしもっ、ほむらちゃんが好き!この気持ちは……止められないよぅ!」
ほむら「まどか、一緒にいこっ」
まどか「うんっ!わたしも、いくよ……!」
まどか「あ、そうだ」
ほむら「な、なに!?」
まどか「キスして……」
まどか「そーだよ、だから唇は取っておいたのに」
ほむら「そういえばまだしてなかったわね」
まどか「そう、だから……」
まどか「キス、しよ?」
ほむら「そ、そうね……む、むちゅー」まどか「だーめ」
まどかが指で私の口を塞ぐ
ほむら「どうして?」
まどか「言って……」
ほむら「へっ?」
まどか「大好き……って、言ってして」
まどか「……だめ?」
もう、この子ってやつは
ほむら「大好きよ、まどか」
まどか「うん、わたしも大好き」チュッ
永遠と呼べるような、濃密な時間
わたしたちが我に返ったときには、雨はすでに上がっていた
チュンチュン、チュンチュン
まどか「その、ほむらちゃん……」
ほむら「ほむらでいいわよ」
まどか「うん、ほ、ほむら……」
ほむら「なんかくすぐったいわね、それ」
まどか「あはは、うん……それで、ごめんね」
ほむら「むぅ……」
まどか「なんかその、急にあんなこと……」
ほむら「なに謝ってるのよ、ばか」
まどか「えっ?だって無理矢理、怒ってるのかなと」
ほむら「はあ、あのね……わたしはその……あの、だから!」
まどか「ほむらちゃん……」
ほむら「まどかに好きった言われて嬉かった!一緒になれて嬉しかったの!」
ほむら「だから、次あやまったら怒るわよ」
まどか「ふふ、ありがとう、ほむら」
ほむら「な、なにニヤニヤしてるのよっ、ほら行くわよ」
と言ってほむらはわたしに手を出したくる、はて……?
ほむら「だから手……別にいやだったらいいけど……」
まどか「もう、そんなわけないでしょ、ぜっーたい、離さないんだからっ」ギュッ
そのこにはわたしとほむら
二人の笑顔があった
二人で約束した、絶対にこの手は離さない
きっとどんな未来でもこの交わした約束は忘れない
二人ならどんな困難にだって立ち向かえるはず
ほむら「まどか、どうしたの?」
わたしの顔を横からほむらが覗きこんでくる
まどか「ううん、なんでもなーい、おりゃ!」ギュッ
ほむら「ひゃ!ちょっとくすぐったいってばー」
まどか「大好きだよ、ほむら」
そう、二人なら
雨上がりの空は、青々とどこまでも澄みわたっていた
END
乙まどほむ
Entry ⇒ 2012.01.11 | Category ⇒ まどかマギカSS | Comments (0) | Trackbacks (0)