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はかせ「さかもとをイヌにしてみました」

なの「なに言ってるんですか？はかせ」

はかせ「とりあえず見てください」

阪本「お、おう、どうだ小娘」

なの「いぬーーーーー！」

なの「どうしちゃったんですか、それー！」

はかせ「ネコ用イヌ型スーツ、さかもと１号です」

なの「す、スーツなんですか」

はかせ「これでお外でイヌに出会っても、怖くないのです」

阪本「俺としてはイヌなんて問題ないんだが」

阪本「たまにはガキの遊びにも付き合ってやらないとな」

はかせ「この前、イヌの前で固まったくせに」

阪本「うるせー！」

なの「すごい、よく出来てますねぇ」

はかせ「あぶない！」

なの「は、はい！？」

はかせ「20センチに近づくと、自動で噛みます」

阪本「おい！俺も聞いてねーぞ！」

はかせ「たとえば、この棒を近づけます」

がががががががっ

なの「ぎゃーーーーー！」

はかせ「鉄の棒でも噛みきれます」

阪本「普通のイヌは、そんなの噛まねーだろ！」

なの「そうですよ！やり過ぎです！」

はかせ「え、えへへ」

なの「褒めてなーい！」

阪本「とんでもねーもの着てる気がしてきた」

阪本「おいガキ、まだ散歩行かないだろ、脱ぐぞ」

はかせ「えー？かっこいいのに」

阪本「鉄食いちぎる自分とか、見たくねーんだよ！」

はかせ「脱いだらかっこわるくなるのに」

阪本「まずお前に噛みついてやろうか」

なの「まあまあ、落ち着いてください」

なの「どうすれば脱げるんですか？」

はかせ「このボタン押すと脱げる」

なの「これですね」

ぽちっ

なの「あれ？」

阪本「おい、脱げないぞ」

はかせ「あれ？あれれ？」

阪本「おいおい、まさか」

はかせ「なんか壊れちゃった」

阪本「なにーーーーー！」

阪本「どーすんだガキ！一生このままなのか！？」

はかせ「かっこいいから、いいじゃん」

阪本「そういう問題じゃねえ！」

なの「他に脱がせる方法ないんですか？」

はかせ「すごく丈夫に作ったから、ないです」

なの「どのくらい丈夫なんです？」

はかせ「んと、トラックに当たっても平気なくらい？」

阪本「中の俺が当たった衝撃で死ぬわ！」

はかせ「動いてたら直るかもしれません」

なの「アバウトすぎです！」

はかせ「散歩にいけばいいかも」

阪本「その提案は、悪い予感しかしねーぞ」

阪本「結局、押し切られて外に出ちまった」

はかせ「お散歩楽しいねー、阪本♪」

阪本「楽しいのはお前だけだろ、不安しか感じねー」

はかせ「このリードは噛みきれないようになってます」

阪本「そんなこと心配してねーよ！」

はかせ「あわ、あわわ」

阪本「どーした？ガキ」

はかせ「あそこ、イヌが来た」

阪本「でけえ！」

阪本「し、しかし落ち着け」

阪本「そのためのイヌ型スーツだろ」

はかせ「はっ！そうだった」

はかせ「さかもと、頑張って！」

阪本「頑張れはいいけど、なにをどう頑張るんだよ」

はかせ「わわんって言ってみて」

阪本「えっと、わわん？」

バウバウバウバウバウッ

阪本「うわっ！びっくりした！」

はかせ「通常の３倍で鳴きます」

阪本「な、なんかあのイヌ、すげー怒ってるぞ？」

はかせ「鳴き声の意味が、バーカバーカだったからです」

阪本「挑発してどーすんだ！」

はかせ「だって阪本が、イヌになめられるなってゆーから」

阪本「んな場合じゃねー、寄って来たぞ！」

はかせ「噛みつけばいいかも」

阪本「噛みつく？この鉄棒噛みきるクチで？」

はかせ「いけー、さかもと！」

阪本「いやいやいや、すげースプラッターになるだろ！」

はかせ「だってもう目の前だよ、さかもとぉ」

阪本「他になんかねーのか！？」

はかせ「はっ！最後の手段を忘れてた」

阪本「あるなら早くしろー！」

はかせ「わうわうわんって言ってみて」

阪本「わうわうわん！」

しゅごぉぉぉぉぉ

阪本「なんか飛んでったぞ！」

はかせ「骨型ミサイルです」

阪本「おい、ミサイル速過ぎてイヌが追いかけねーぞ」

はかせ「ど、どどど、どうしよう」

阪本「ふざけんな！どーすんだよ！」

はかせ「うわーん！イヌに食べられちゃうー！」

阪本「こうなったら、ガキだけでも逃げろ！」

はかせ「さかもとぉ！」

阪本「ちきしょう、短いネコ人生だったぜ」

阪本「必殺！ネコあたーっく！」

阪本「当ーたーれー！」

※ＢＧＭ「ヘッドライト･テールライト」中島みゆき

がっきーん

イヌ「キャインキャイン」

はかせ「あ、逃げた」

阪本「へ？」

はかせ「さかもと、すごい、すごーい！」

阪本「･･･このスーツ、武器いらねーじゃん」

はかせ「はっ！」

阪本「今度はどーした？」

はかせ「なんか、他のイヌが集まってきた」

阪本「なんでこんなに！？」

はかせ「さっき、さかもとが鳴いたからかも」

阪本「俺のせいかよ！」

はかせ「イヌがいっぱい、いっぱいぃ」

阪本「しかし待て、今の俺は無敵だ」

はかせ「そ、そっか、さかもとすごいんだった」

阪本「ふっ」

阪本「これだけのイヌを前に、負ける気がしねぇ」

ぴーぴーぴー

阪本「ん？なんだこの音」

はかせ「あ、脱げる時の音だ」

阪本「へ？」

ぷしゅうぅぅぅ　かしゃん

はかせ「わーい、動いてたら直った」

阪本「い、いいい、いま直ってどーすんだよ！」

はかせ「･･･あ」　　　DEAD END？

はかせ「どうすればいいですか？」

阪本「待て待て、現実逃避しても何も始まらん」

阪本「むしろ終わっちゃう！なんとかして！」

はかせ「目を閉じればいいかも」

阪本「だからそれが現実逃避だって！！！」

はかせ「はかせ、食べられちゃうの？」

阪本「物騒のなことゆーな！」

はかせ「だって、さかもと頼りになんないし」

阪本「お前の作ったスーツがグッドタイミングで脱げるからだ！」

ゆっこ「あれれー？はかせ、なにやってんの？」

はかせ「あ、ゆっこ！イヌ！なんとかして！」

ゆっこ「あれれー？どっかで見た光景だよね」

みお「な、なんか非常にデジャヴュなんだけど」

阪本「俺も助かった気が全然しないのは、なんでだ」

ゆっこ「ま、まぁ２回もイヌに噛まれるなんてないよね」

みお「そ、そうだよ、やだなあ、ゆっこは」

ゆっこ「そう思うんなら先いってくれる？」

みお「な、ななな、なに言ってんの？」

ゆっこ「こういう時はレディーファーストじゃん」

みお「はぁ？ゆっこだって女じゃん、バカじゃないの！？」

かっちーん

ゆっこ「もしかしていま、バカって言いました？バカって」

阪本「･･･なあ、あいつら助ける気あんのかな」

はかせ「ゆっこ！なんとかしてー！！！」

ゆっこ「待ってはかせ、これはすっごく重要な問題なんだよ！」

みお「重要じゃねーよ！ゆっこがいきゃそれでいーんだよ！」

阪本「いやいや重要とか言ってる場合じゃないって！」

阪本「こっちは待ってたら死んじゃうだろ！」

麻衣「･･･どうしたの？」

はかせ「あー、麻衣助けて！はかせ、イヌに食べられちゃう！」

麻衣「･･･こっち」

阪本「お、おい、あいつらはいいのか？」

ゆっこ「またバカバカ蒸し返すんですかー！？」

みお「あんたがバカだからいけないんでしょーがっ！」

ゆっこ「ほら、バカバカ言ってるうちに、はかせ達が･･･」

みお「あれ？」

ゆっこ「えっと、なんでわたし達が囲まれてるの？」

ゆっこ『うぎゃああああああああああ』

みお『ぐぎいいいいいいいいいい』

はかせ「あ、ゆっこ達の悲鳴だ」

麻衣「･･･あの２人ならきっと大丈夫」

はかせ「うん！そうだね♪」

阪本「･･･あの悲鳴が大丈夫に聞こえるなら」

阪本「耳鼻科いった方がいいぞ」　　ＥＮＤ