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欠損少女「やぁ」
欠損少女「相変わらず元気そうだね」
男「まぁな。……調子はどうだ?」
欠損少女「すこぶる良いね。両足の感覚がまったく無いこと以外は」
男「じゃあ大丈夫だな」
欠損少女「もうちょっと遠慮は欲しいんだけどね。まぁ、変に気を使われるよりはマシか」
欠損少女「お願いするよ」
男「あいよ。……よいしょっ、と」ヒョイ
欠損少女「んぅ……」
男「ちょっと重くなった?」
欠損少女「シツレイな。もとの体よりは両脚分軽くなってるつもりだよ」
男「俺だって片腕無いんだから」
欠損少女「利き腕じゃなくて良かったね」
男「あぁ、もう。ほら、車椅子に移すぞ」
男「悪かないだろ」
欠損少女「外に出るのはあの日以来かな?」
男「その日俺らはこうなっちゃった訳だけど」
欠損少女「……その。悪かったよ。いくら謝っても償いきれない事をしてしまった」
男「もうそれはいいだろ。こうなってしまったのは仕方が無いし、何よりお前が謝ることじゃない」
欠損少女「……うん」
男「さ、もう行くぞ。リハビリの時間だ」
欠損少女「分かった」
欠損少女「そりゃ、自分の脚じゃないからね」ガシャ
男「立てるか?」
欠損少女「ん、何とか」
男「よし。じゃあ始めるか」
男「頑張れ。もう少しで5メートルだ」
欠損少女「分かって、る……うわっ」ヨロリ
男「あっ」
欠損少女「あぐっ」ドサッ
男「おい、大丈夫か?」
欠損少女「手は出さないで!」
男「……あぁ」
欠損少女「自分で、立つから……あっ」ドサッ
男「……」
男「ほら、手ェ貸すから」
欠損少女「ん、悪いね」
男「よっ、と」グイ
欠損少女「おっと」ヨロリ
男「危ね」ポフン
欠損少女「……あったかい」ギュ
男「……」
欠損少女「うっ……ふぇ、グスッ……」
欠損少女「うぇ……ぇええ……あぁ、あ」ポロポロ
男「今日はここまでにしよう。ほれ、外してやるから椅子に座りな」
欠損少女「……うっ、う……んっ」
男「頑張ったな。前よりは進むようになったんじゃないか?」
欠損少女「すんっ……ごめんっ、グズッ……ごめんね」
男「もういいだろ。お前が謝る必要はないんだって」
欠損少女「……グスッ」
欠損少女「あぁ、見苦しい所を見せてしまったね。すまない」
男「気にすんな。お前の気持ちも、分からんでもない」
欠損少女「……戻ろうか」
男「おし、行くか」
少女「ほぉら、早く。もうすぐ動物園が開いてしまうよ」
男「急がんでも動物は逃げないだろ」
少女「人がいっぱいになるかもしれないだろう。それに、キミが早く来ないと、ボクが逃げちゃうぞ」
男「さいで」
少女「あ、そんな顔しなくてもいいじゃないか」
少女「これが動物園の臭いだよ。ボクは好きだけどな」
男「物好きな奴」
少女「そんな物好きな奴と付き合ってるキミの方がよっぽど、物好きだと思うけどね」
男「それを言われちゃあな……」
少女「ほらほら、置いてっちゃうぞ」
男「あっ、こら。走るな!」
男「動物園に来てまずそれか。ペットショップでも見れるだろうに」
少女「ここはふれあえるからいいのさ。ほいほい、おいで」
男「あ、俺にも抱かせてくれよ」
少女「やぁだよ」
少女「やる! ボクやるよ!」
男「あぁ、足には自身があるんだよな。陸上部だっけ?」
少女「うん。短距離の方。インターハイで優勝したのは覚えてるだろう?」
男「あの時は凄かったな」
少女「その時と同じように、華麗に勝ってみせるよ」
――――――
少女「ぜぇ……はぁ……。ま、負けた……」
男「だろうな」
少女「正直アフリカ舐めてたよ」
少女「だらけきってるね。百獣の王の称号が大爆笑だ」
男「たてがみは無性にモフりたくなるな」
少女「……でぇい!」ノシッ
男「うわっ! 急に負ぶさるなよ」
少女「キミがモフッっていいのはボクだけだろう」
男「雄ライオンに妬いてどうすんだよ」
男「何が?」
少女「キリンの首の骨って、長いようで実は7つしかないのだよ」
男「哺乳類はみんなそうだよ」
少女「……それは知らなんだ」
男「出直してきなさい」
男「そうだな」
少女「えーと、案内板によると……」
男「『1日の大半を食事に費やし、おとなのゾウは200~300キロもの草や木を食べ、水も1日に100リットル以上飲みます』―――」
少女「『象の糞は、1個で約2キログラムあります。大きなオスでは約3キログラムにもなります。
これを1回に5~6個、1日に約10回排便します。したがって、おとなのゾウの1日の排便量は、
およそ100キログラム(2キログラム×5個×10回)にもなります。』」
男「……」
少女「……別に糞の説明はいらなかったんじゃないかな?」
男「……勉強にはなったが……」
少女「悪いね。君に作ってもらって」
男「お前に作らせると何が出来るか分からん。それに、良い練習にもなる」
少女「シェフになるのが夢だったね、君は」
男「もうすぐで叶うんだ。働いてるレストランの料理長にも認められてる」
少女「すごいじゃないか。いつか、君のレストランを開いたときは呼んでくれ」
男「そのつもりだ。お前を一号客にしてやるよ」
少女「ふふっ、楽しみだ」くつくつ
男「楽しんでもらえたようで何よりだ」
少女「次のデートは何処にしようか」
男「遊園地はどうだ?」
少女「なんかありがちでやだなぁ。お寺とかどうかい?」
男「たまにお前というのがよく分からんようになる」
男「体力には自身がないんだけどなぁ」
少女「キミと走れるなら、どこまでも行ける気がするよ」
男「どこまでも行かれたら、俺が追いつけなくなるよ」
少女「じゃあペースを落とす」
男「頼んだぞ」
男「おい、あの先って……」
少女「あっ……! 踏み切り! あのままじゃ轢かれる!」ダッ
男「おい、何するつもりだ!?」
カンカンカンカン
少女「捕まえたっ!」ガシッ
男「危ねぇ!」ドンッ
キィイイ――――――ィイイイ……
少女「―――あっ」
男「―――ちょっ」
ドッ
欠損少女「はぁっ、はぁっ」
欠損少女「ジョギング、出来なくなったな……」
ガチャ ハイ、コチラ―
男「あ、もしもし―――」
男「お早う」
欠損少女「お、今日は早かったね」
男「今日はやることが無かったからな」
欠損少女「それでわたしの所へ?」
男「まぁな」
欠損少女「ふふっ」
男「あんだよ」
男「え、いいのか?」
欠損少女「外出許可はもうもらってあるし、気分転換に病院の外でゆっくりと」
男「そうじゃなくて、その……」
欠損少女「あぁ、わたしの事は心配しなくてもいいよ。周りの人にどう思われようが、気にはしないさ。君だってそうだろう?」
男「まぁ、な」
欠損少女「それじゃ問題無い」
男「それじゃ車椅子用意するな」
欠損少女「頼んだ」
欠損少女「わたしだってもう子供じゃないんだ。いつまでもウジウジはしていられないよ」
男「まだガキなくせに」
欠損少女「む、そんなことを言う口はこれか」ムニー
男「いふぁいいふぁい」
男「何処でそんな言葉覚えたんだよ」
欠損少女「談話室のテレビ」
男「あー……」
欠損少女「意外と楽しいものだったんだね、お昼のドラマって」
男「科捜研の女も結構面白いぞ」
欠損少女「あぁ、良いよね」
欠損少女「久々に人を沢山見たよ」
男「大丈夫か?」
欠損少女「ん、何とかね」
男「そっか。何処行く?」
欠損少女「公園が良いな」
男「おっし、じゃあ行くか」カラカラ
男「無邪気なもんだな」
欠損少女「あっ、今度はあの子が鬼か。頑張れ」
男「……あ」
欠損少女「うん、親御さんたちに見られてるね。大方、同情の目って奴か」
男「いい気はしないな」
欠損少女「だね」
欠損少女「そうしよう。少し疲れたよ」
男「どうだった? 久々に外に出て」
欠損少女「そうだなぁ。……また、キミと同じ目線で歩きたくなってきたよ」
男「またって、足があるときでも俺より背ェ小さかったくせに」
欠損少女「あ、言ったな」
欠損少女「ありがと」
男「また、明日な」
欠損少女「ん、じゃあね」
男「おう」
欠損少女「……もう、歩けないってさ」
男「そりゃ、まぁ……見たら分かるっていうか……」
欠損少女「キミは、左手が」
男「あぁ、義手でも仕込んでコブラみたいにしようかな、なんて」
欠損少女「あ、その……」
男「何も言うな。ただの事故だ」
男「阿呆か。俺チョップを喰らえ」
欠損少女「うゅ」ポスン
男「二度とそんなこと言うんじゃあない」
欠損少女「……悪かった」
男「おい」
欠損少女「お願いだ」
男「……わかった」
欠損少女「……」
男「落ち着いたら、連絡くれよな」
欠損少女「あぁ」
男「痛ってぇなぁ、チクショウ……」
欠損少女「痛い、熱いよぅ……ひっく、ぐすっ」ポロポロ
男「これからさ、どうするんだ?」
欠損少女「どうっていうと?」
男「社会復帰ってこと」
欠損少女「あぁ、どうしようか」
欠損少女「どうしたんだい?」
男「また、さ……その、走ってみないか?」
欠損少女「……どういうことだい、それは」
男「この前、テレビでみたんだよ。両足を失っても義足で走ってる人をさ。だからお前も―――」
欠損少女「それで走れって言うのかい?」
欠損少女「……」
男「また、お前が走っている所を見たいんだ」
欠損少女「勝手だね」
男「……あぁ。お前はどうなんだ」
欠損少女「……もちろんわたしだって、思い切り体を動かしたいさ。風を切って走りたい」
男「なら―――」
欠損少女「だけどっ!」
男「……」
欠損少女「なにより自分の脚ではもう走れないって実感するのがとてつもなく怖いんだ……」
男「そうやって、逃げるのか」
欠損少女「逃げてなんか……」
男「いーや、逃げてるね」
欠損少女「っ!」
欠損少女「……」
男「だけど、お陰で今まで通り料理をすることが出来なくなった。レストランも辞めた。夢が潰えたんだ」
欠損少女「ぁ……」
男「だけどな」スッ
欠損少女「これ、は?」
欠損少女「……あ、お弁当」
男「味は保障する。腕が一本無くたって出来た、俺の料理だ。少なくとも、不味い病院食には負けちゃいない」
欠損少女「君は―――」
男「なんだって、やれば出来るさ。そりゃあ、お前と俺とじゃ失ったものが違い過ぎる」
欠損少女「……」
男「だけどな、まだ残ってるだろ? 少なくとも、動ける体は持ってるじゃないか」
欠損少女「……全く、押し付けがましいね」
男「生憎、気を遣える性分じゃなくてね」
欠損少女「考える時間を、くれないかな?」
男「いくらでも」
欠損少女「……はぁ」
男「どうだ? 走れそうか?」
欠損少女「まだバランスが取り辛いね、っと」グラッ
男「おっと。大丈夫、俺がついてる」
欠損少女「心強いね」
男「さぁ、もういっちょだ」
欠損少女「よし、もう一踏ん張りだね」
男「その調子だ」
男「お疲れさん。ほい、ポカリ」
欠損少女「サンクスね」
男「―――よく、やる気になってくれたもんだ」
欠損少女「君が焚き付けてくれたからね」
男「あの時は我ながらよく恥ずかしい台詞を吐けたもんだ」
欠損少女「ふふ、そうだったね。黒歴史は免れなさそうだ」
男「その黒歴史に救われたんだぞ、お前は」
男「実際見越してたしな。ちょっと前に電話して準備してもらってたんだ」
欠損少女「だからすぐに採寸して出来たのか」
男「お前にはもう一度、目いっぱい走ってもらいたかったからな」
欠損少女「そうなるにはまだまだ時間が掛かりそうだけどね」
男「それはお前次第だな」
欠損少女「ん、頑張るよ」
男「あん?」
欠損少女「ずっと、こうして一緒に……」
男「む」
欠損少女「私、いや、ボクたち……支え合って、いける、かな?」クラ
男「当たり前だ。お前は俺が居ないと危なっかしいからな。ずっと傍に居てやる。ざまぁみろ」
欠損少女「そうか……良かっ、た……」ポスン
欠損少女「……」
男「いい顔してやがる。……これで、良かったのかね?」
欠損少女「……」
男「どちらにせよ、後にならなくちゃ分からんか」
欠損少女「ん、む……」ギュ
男「おーおー、引っ付いてくれちゃってまぁ」
男「むをっ、起きてたのか」
欠損少女「もーらいっ」チュッ
男「んむっ」
欠損少女「……ぷはっ」
男「不意打ちとは卑怯なり」
欠損少女「ふふっ、大好きだよ。愛してると言っても良い」
男「その言葉、そっくりそのまま返してやんよ」
欠損少女「ん……」ギュウッ
~fin~
おもしろかった
Entry ⇒ 2011.12.31 | Category ⇒ 男女「」SS | Comments (0) | Trackbacks (0)
メリー「私メリーさん。今こたつの中にいるの」
男「居座られた……」
メリー「みかんって美味しいね」
男「筋の白い部分とるのやめろよ栄養あるんだから」
メリー「おいしくないもん」
男「大きくなれないぞ」
メリー「300年くらい前から成長止まってる」
男「……oh」
メリー「これ剥いてください」
男「どうして俺が……」
メリー「もぐもぐもぐもぐ」
男「……」ソワソワ
メリー「……なんでキョロキョロしてるの?」
男「えっ!? ……そりゃぁ……あんまり人を家にあげたことないからどうしたらいいのか……」
メリー「友達いないんだね」
男「はうっ!」グサッ
メリー「人の家初めてあがったの」
男「へぇ……長いこと生きてるのにか」
メリー「あなたほどみんな好意的じゃない……」
男「そうか……へへへっ///」
メリー「気持ち悪い」
男「むしろ電話がなったことに喜びました」
メリー「んー?」
男「ほら……察してくれよ……」
メリー「わからないけどわかった」
男「ああ、それでいい」
メリー「……」
男「……」
メリー「……もぐもぐ」
男(沈黙が痛い)
メリー「うん」
男「なんで電話で人を脅かしてるの?電話が作られたのはそんなに昔じゃなかったと思うんだけど……」
メリー「……んー、話せば長くなる」
男「ぜひ聞かせて下さい!(間が辛いんです)」
メリー「電話を使い始めたのは最近拾ったから」
男「ほうほう」
メリー「それまでは普通に人を脅かしてた」
男「なんで電話に変えたの?」
メリー「インパクトが欲しかった」
男「……(インパクト?)」
メリー「私あまり脅かすのが得意じゃないから名前が売れなかった……」
メリー「妖怪としてこれほど恥ずかしいことはない……」
男「……なるほど(売れない芸人さんポジションなわけだ)」
男「確かに有名だよね、メリーさん」
メリー「携帯でメリーさんを検索してニヤニヤするのが最近の趣味」
男「……そうか」
メリー「あなたも私の名前を広めるための礎になる予定だった」
男「ふむふむ」
メリー「まさか家に招待されるとは思ってもみなかった」
男「……いやまさか本当に来るとは思わなかったんですはい」
メリー「お呼ばれされたから来てあげた、感謝しなさい」
男「へへーっ!!」
メリー「……みかんなくなった、新しいの剥いて」
男「任せて下さい!」
男「勉強になったよ、ありがとう」
メリー「いい、こたつ気持いいから対価は貰ってる」
男「さいですか……」
メリー「外は寒いから……この時期はほんと嫌いなの」
男「妖怪って温度感じるんだ」
メリー「私の場合はそう……もちろん感じない妖怪もいる」
男「ためになります」
メリー「ふぁぁ……眠ぃ、今日は泊まらせてね」
男「えっ!?」
メリー「……だめなの?」シュン
男「やだなー! おっけーに決まってるじゃないですかー! 冗談ですよー!」
メリー「……ありがとう」
男(どうしてこうなった……)
男「ん、……んんっ……(朝か……)」
メリー「私メリー今あなたの隣にいるの」ヌゥッ
男「うわあああああああああああああぁぁぁっっっ!!」
男「……」
メリー「……」
男「…………ょ、ょぅι゛ょが俺の部屋で腕を組んでいる、……な、なにを言っているのか(ry」
メリー「メリーです」
男「…………ああ」ポン
メリー「忘れるなんて酷い」
男「ご、ごめんなさい!!」
メリー「罰として朝食を要求する」
男「スクランブルエッグでよろしいでしょうか!?」
メリー「ご飯とみそ汁に決まってます」
男「……は、はぃぃ(お米炊ないとあかんやん……)」
男「ハムッ ハフハフ、ハフッ!!」
メリー「お行儀が悪い食べ方です」
男「っつぶぇ!? ……いや、でも飯はかき込んだ方が美味しい」
メリー「そうなのですか……?」
男「ああ、『俺いま飯くってる!』ってより如実に感じさせてくれるんだ」
メリー「……なるほど、では私も……」
男「あ、でも無理しないほうが……」
メリー「ハムッ ハフハフ、……ブハッ!!」ビチャッ
男「…………ぐ、……お、おおお……」ボタボタ
メリー「む、難しいですね///」フキフキ
男「……許した」
メリー「お仕事ですか……」
男「そうなんだ……ねぇ、もしかしてもう少しこの部屋に居る?」
メリー「…………」
男「き、汚くて狭い部屋だけどさ、……ほら、俺あんま友達いないから寂しいし……」
メリー「私はもうお暇します……私も仕事があるから」
男「あ、……そ、そうだよねー……ははは、……ここでお別れかな……?」
メリー「はい」
男「うん……わかったよ、……また縁があったら合おう」
メリー「はい……お邪魔しました」
男「……じゃあ……ね」スタスタスタ
メリー「なぁ?」
男「……ん?なんだいメリー?」
メリー「また電話するね」ニカッ
男「―――おう!」
メリー「みかんが無くなってしまったわ。取りに行くにこたつからは出たくないし」
メリー「ねぇ、あなた代わりに取ってきてくれないかしら」
猫「にゃ」
メリー「なによ、今は猫の手も借りたいのよ。ちょっとくらいいいじゃない」
猫「にゃー」
メリー「仕方ないわね。分かったわよ、自分で取りに行くわよ。……うぅ、寒っ」
メリー「こたつに入って食べる冷たいアイスは別格だわ」
猫「にゃー」
メリー「親父臭いだなんて、失礼しちゃうわ」
メリー「せめて性別は合わせなさいよ」
猫「にゃ」
メリー「婆臭いってのもなんか嫌だわ」
メリー「……ふにゃ」
猫「ふにゃ?」
メリー「な、なんでもないわよ。私だってちょっと位気の抜けるときだってあるわよ」
猫「にゃー」
メリー「いつも気が抜けてるってどういうことよ」
メリー「こたつといえばちゃんちゃんこで二人羽織りよね」
メリー「……二人羽織りする相手が居ない」
猫「にゃー」
メリー「慰めなんていらないわよ」
メリー「……ぐすん」
メリー「来年こそは成果をあげてみせるわ」
猫「にゃー」
メリー「もちろん、今年以上に頑張るわ」
メリ「だから今は、ちょっとだけ休憩」
猫「にゃー」
メリー「ぬくぬく」
メリー「来年は、よろしくね?」
Entry ⇒ 2011.12.31 | Category ⇒ その他 | Comments (1) | Trackbacks (0)
一方通行「コンビニ、コンビニ」
http://engawa.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1325248819/l50
上条「……」
一方通行「アイツ、コンビニで何してンだ?」
一方通行「雑誌コーナーンとこをジッと見て」
一方通行「立ち読みする本を決めあぐねてンのか?」
一方通行「あ、離れていった」
一方通行「まァどォでもいいか、コーヒー」
一方通行「ン?」
一方通行「また戻ってきやがった」
一方通行「……」
一方通行「なにがしたいンだよ」
一方通行「頭抱えてやがる」
一方通行「周りを伺っていやがる」
一方通行「……まさか」
一方通行「その待ち合わせ場所が、あのコンビニの雑誌コーナー!」
一方通行「チィ、面倒臭ェ展開になりそうだな…」
一方通行「仕方ねェ、あの無能力者ごと取り押さえる」
一方通行「まさか、あそこで相手と話し合おうってワケはねェ」
一方通行「どこが場所を移動するはずだ」
一方通行「尾行して根城ごと破壊してやンよ…」
一方通行「……それにしても、あのクソ野郎…」
一方通行「人のこと言えねェが、闇に手を染めるなンて馬鹿なマネを」
一方通行「雑誌に手を伸ばしては、引っ込めるの繰り返し」
一方通行「そしてまた雑誌から距離をとる…かえって目立ってンぞ」
一方通行「……それより」
一方通行「無能力者は、闇に手を染めて何がしたいンだ?」
一方通行「まァ」
一方通行「なンにせよ、止めるがな」
一方通行「本を手にとった…!」
一方通行「……エロ本か」
一方通行「妙だな」
一方通行「アイツはまだ高校生」
一方通行「未成年お断りの雑誌なンざ手にとったら、店員に目ェつけられるぞ…」
一方通行「……素人が」
なんかワロタ
一方通行「だらしねェ顔だなァ、オイ」
一方通行「アイツ…潜む気あンのか?」
一方通行「あンなに目立ったら、交渉相手も近づきがたいだろォが」
一方通行「暗部だぞ…相手は」
一方通行「マズいな」
一方通行「このまま無能力者が近づきがたい態度を取り続けて」
一方通行「暗部のクソが交渉不可能と判断したら…」
一方通行「無能力者は、けされる…かもしれねェ」
一方通行「無能力者ァ!!」
上条「!?ってうわわ一方通行!?」
一方通行「来い!」
上条「うわわわ!すいませんでした!!」
一方通行「くだらねェこと抜かしてる暇があったら、急いでここから離れるぞ!」
上条「そ、そうですね!高一なのにエロ本立ち読みしてるのを警備員に見られたら…」
一方通行「ンなレベルじゃねェだろォが!」
一方通行「闇になンざ手を染めやがって…」
上条「エロ本読むのが闇って…大げさすぎません?」
一方通行「もォそれはいい!質問に答えやがれ!」
上条「はぃい!?」
一方通行「なンで暗部なンかと繋がった!」
上条「…………だから、」
上条「暗部ってなに?」
上条「ただエロ本、読んでただけです」
一方通行「……妙に挙動不審だったのは」
上条「恥ずかしいし、未成年お断りな本を読んだら怒られそうだから」
一方通行「……」
上条「ただそれだけなんだ」
一方通行「……ただそれだけだったンだ…」
上条「まあまあ…勘違いは誰にだってあるよ」
一方通行「……」
上条「なんなら、お前も読む?エロ本」
一方通行「誰がァ!」
一方通行「かえる」
上条「連れ立ち読みしようぜ?」
一方通行「ンな気分じゃねェ」
上条「ほら、これお前が好きそうじゃね?」
『小学生のグラビア』
一方通行「」
『小学生のグラビア』
一方通行「」
一方通行「ふざけてンのか?」
上条「えー?」
『小学生のグラビア』
一方通行「」
一方通行「話はそれだけか?帰ンぞ」
『小学生のグラビア』
一方通行「」
『小学生のグラビア』ヒョイ
一方通行(あっ……)
『小学生のグラビア』
一方通行「」
上条「じゃあまたな」
一方通行「おォ」
『小学生のグラビア』
一方通行「」
上条「そうだったのか」
『小学生のグラビア』
一方通行「」
上条「どのコーヒーが好きなんだ?」
一方通行「別に、その時の気分で決める」
上条「そっか、俺はこのコーヒーが好き」
一方通行「あー」
上条「って!どんだけ買うの!?」
一方通行「ン?気分でアバウトに」ガバガバ
上条「さすがは第一位か、金持ちすぎる」
一方通行「お前の分も買ってやろォか?」
上条「お、そうか?悪いな」
一方通行「あの暴食シスターの分も買えってンじゃねェだろォな?」
上条「だめ?」
一方通行「……まァ、いいけどよォ」
一方通行「じゃあコンビニよりそこら辺にあるハンバーガーを買うか」
上条「え、そんなにいいの?」
一方通行「ついでだ」
上条「よっと、その間俺は雑誌立ち読みでもしてるか」
一方通行「おォ」
上条「ふふふー」
一方通行「……」
上条「このおっぱいは、なんてキレイなんだ」
一方通行「……」チラ
上条「ぐふふふ」
一方通行「……」
『小学生のグラビア』
一方通行「」
『小学生のグラビア』
一方通行「」
アノ、オカイケイ
『小学生のグラビア』
一方通行「」
一方通行「金だ」パサ
イチマンエン オアズカリシマス
一方通行「よっと」
『小学生のグラビア』
一方通行「」
一方通行「いくぞ、無能力者」
上条「キレイキレイおっぱい…あ、おぉ!」
『小学生のグラビア』
一方通行「」
一方通行「早くしろ」
一方通行「フン」
『小学生のグラビア』
一方通行「」
上条「おまたせ、いこうぜ」
『小学生のグラビア』
一方通行「」
一方通行「おォ」
『小学生のグラビア』
一方通行「」
マタオコシクダサイマセー
上条「ふぁー、外は寒いなー!」
一方通行「雪降らねェだけマシだろ」
上条「雪かー、それはそれで楽しそうでもあるなー」
一方通行「ついでた」
上条「マジてすまん、今度返す」
一方通行「それじゃおごりじゃねェだろ」
一方通行「いいよ、面倒臭ェ」
上条「そうか…?でも」
一方通行「何度も言わせンな」
一方通行「ここのあンまウマくねェよ」
上条「そうなの?」
一方通行「あァ、三下店だ」
上条「へーでもインデックスはそんなの気にせず食うからいいかと」
一方通行「駄目だ、俺のこだわりなンだよ」
上条「うおお」
学園都市ックワロタwww
一瞬でバーガーショップだと理解できるな
上条「あまり変わんなくない?同じ店だろ?」
一方通行「いいから早くこいよ」
上条「あ、はいはい」
上条「うん」
一方通行「すいませン、全メニューください」
上条「うん、ってえぇ!?」
上条「買いすぎ!」
一方通行「あァ?大量に買えばいいって…」
上条「全メニューって、度がすぎてるだろ!」
一方通行「前にあのシスターは、全メニュー食いたいと俺にせがンできた」
上条「大変ご迷惑をおかけしました」
一方通行「まァ、頑張れや」
上条「え!?持ってくれないんですか!?」
一方通行「あたり前だ、お前の荷物だろ」
上条「こんなに、一人では持ちきれないよー」
一方通行「がンばれや」
一方通行「俺は金をはらった」
上条「返すから、持ってくださいぃ!」
一方通行「悪ィけど、これからこのデパートで買いたいモンがあンだよ」
上条「なにを買うんだよ」
一方通行「本」
一方通行「言う義理はねェ」
上条「教えてくれよ」
タァン
上条「消えた!?」
上条「さすがは第一位…ベクトル変換の神秘を見たぜ……」
上条「さて」
上条「この大量の荷物はどうしよう」
一方通行「……」
一方通行「……」
一方通行「……」
一方通行「……」
一方通行「……」
一方通行「ねェな…」
一方通行(チッ、無駄足か)
一方通行(……ン?)
一方通行(奥にまだ調べてねェアダルトコーナーが…)
一方通行(いくか)
一方通行「……」
一方通行「……」
『小学生のグラビア』
一方通行「」
浜面「いいなぁ、このお姉さん、たまんねぇ」
一方通行「…………」
一方通行「そろそろ打ち止めがうるせェ時間帯になるな」
一方通行「帰るか」
打ち止め「お帰りなさい!ってミサカはミサカはアナタを迎えてみたり!」
一方通行「はァ、久々に歩いたわ」
打ち止め「コンビニ行くだけでずいぶん遅かったね、ってミサカはミサカは疑問を浮かべてみる」
一方通行「どォでもいいだろ」
打ち止め「言えないの?」
一方通行「面倒臭ェから言わないの」
打ち止め「むむー、まさかの女のニオイがしますよー、ってミサカはミサカはレーダーを働かせてみたり」
一方通行「ニオイをレーダーで察知って意味わかンねェよ」
一方通行「……」
一方通行「……」
打ち止め「おふろー!」
一方通行「…」
打ち止め「?一緒に入りたいの?ってミサカはミサカは誘ってみる」
一方通行「さっさといけ」
一方通行「おォ」
一方通行「……」
―――
――
―
一方通行「サンタさン」
一方通行「僕にもプレゼントくれる?」
サンタ「むうう」
サンタ「ダメだ」
一方通行「!!」
サンタ「君は今年、悪いことをしすぎた」
一方通行「ッ!!」
サンタ「だから来年頑張りなさい。良い事をするんだ」
一方通行「あァあ、ああああァァァァァ!」
サンタ「そうすれば、あげるよ」
『小学生のグラビア』
一方通行「ああああああああああああああああああッッッッ!!!!」
――
―
一方通行「はっ!」
打ち止め「すぅ、すぅ…」
一方通行「……」
一方通行「なンつー夢だ」
一方通行「疲れてンだな」
一方通行「コーヒーでも、飲むか」
打ち止め「あの人は?」
打ち止め「あ、書き置きがあるってミサカはミサカは発見してみたり」
『コーヒーが無くなったからコンビニ行ってくる。すぐ帰る』
一方通行「もの足りねェから追加を買いに、コンビニへ」
一方通行「げふ」
一方通行「……朝早いと人も少ねェな」
一方通行「肌寒ィ…げふ」
一方通行「杖ついて歩くってのも、楽じゃねェな」
イラッシャイマセー
一方通行「……」
『小学生のグラビア』
一方通行「」
一方通行「……」
美琴「なによ、今回のこの展開!」
一方通行「!?」
美琴「……あ」
『小学生のグラビア』
一方通行「」
美琴「アンタ…」
一方通行「……第、三位……!」
美琴「……続きが待ちきれない漫画があったから、朝早くに抜け出してきた」
美琴「そしてやーっと一週間待った続きが見れて…」
『小学生のグラビア』
一方通行「」
美琴「話の良い悪いは別として、気になっていたものが晴れて、スッキリしていたって時に…」
美琴「いやな顔と遭遇したわね」
一方通行「」
一方通行「ンだよ、そっちが気をつけていれば良い話だろォが」
美琴「なんですって!?」
一方通行「興醒めはこっちもなンだよ」
『小学生のグラビア』
一方通行「」
一方通行「……」
美琴「でも!アンタが気にくわないのは変わんないのよ!!」
『小学生のグラビア』
一方通行「」
一方通行「……そうか」
一方通行「」
一方通行「だったら、アバよ」
美琴「!」
一方通行「俺がお前の視界から消えれば満足なンだろ?」
一方通行「だからご要望におこたえして消えてやるってンだよ」
美琴「なめて、んの…?」
美琴「待て!」
『小学生のグラビア』
一方通行「」
ガラン ガラン
美琴「……」
美琴「なんなのよ…!」
一方通行「」
↑これなんとかしろwww
一方通行「ったく…」
一方通行「……」
一方通行「ここらへんのコンビニは使えねェな…」
一方通行「確か、俺のブームと品揃えがなかなか会わなくて、敬遠してたとこだ」
一方通行「もォ選り好みしてられねェ状況だ」
一方通行「いくか」
ガラン ガラン
イラッシャイマセー
一方通行「……」
一方通行「……」
一方通行「……」
一方通行「……」
一方通行「オイ店員」
店員「はい」
一方通行「ねェンだけど」
一方通行「ねェンだよ…!」
一方通行「いっっつもだ!」
一方通行「ここは無駄なモンだけボロボロベロベロ置いてあって…」
一方通行「俺の欲しいモンがいっつもねェ!ふざけてンのかァ!?」
店員「……えと」
一方通行「……」
一方通行「もォいい!」
ガランガラン
店員「ありがとうございました」
一方通行「……帰るか」
一方通行「もォ、疲れた」
一方通行「これが悪意ってヤツかよ」
一方通行「この展開も、上層部の野郎共の思惑どおりか」
一方通行「……疲れた」
一方通行「……」
一方通行「ン?」
一方通行「なンか落ちてンな…」
一方通行「なンだ?」
『小学生のグラビア』
一方通行「」
一方通行「くっだらねェ」
『小学生のグラビア』
一方通行「」
一方通行「学園都市の学生ってのは気楽で日和ってていいねェ」
『小学生のグラビア』
一方通行「」
『小学生のグラビア』
『小学生のグラビア』
『小学生のグラビア』
『小学生のグラビア』
『小学生のグラビア』
『小学生のグラビア』
『小学生のグラビア』
一方通行「……」キョロキョロ
一方通行「そォだよ」
一方通行「ずっと、見たいと思ってた」
インデックス「朝にランニングすると頭がよくなるってテレビで言ってたんだよ!」
浜面「朝デートもいいなあ」
滝壺「だね」
一方通行「ああああああああああああああああああああああああああァァァァァァァァァァァッッ!!」
一方通行(どォこの状況を切り抜ける…!)
一方通行(考えろォ!)
一方通行(なンのための…学園都市第一位の頭脳だ……ッ!!)
一方通行(あ……)
一方通行(もォこの選択しかねェらしい)
『小学生のグラビア』
一方通行(お前を、殺さなきゃいけねェ、らしい……)
『小学生のグラビア』ヒューン
一方通行(遥か彼方へ……!!)
一方通行「……終わった」
一方通行「……」
一方通行「開き直るか」
美琴「もう一回コンビニでもいって、飲み物でも買ってこよ」
美琴「ほっほっ」
美琴「ついた」
一方通行「ついた」
美琴「ッ……!アンタ!!」
一方通行「やあ第三位、コンビニに用事があるのかい?」
美琴「……!?」
一方通行「実は僕もなンだ」
美琴「は!?」
一方通行「いや、そンなことはないさ」
美琴(なにこいつ!?どうなってんの!?どういうこと!?)
一方通行「まァ、とりあえず中へ入ろう。入り口で止まっていては邪魔になる」
美琴(あっ、実はコイツは第一位の一方通行ではなく双子の弟とか!そうよ、そうなんだわ!!)
一方通行「あァ、実は恥ずかしながらアダルト雑誌の購入を…」
美琴「はいぃ!?」
一方通行「確か、『小学生のグラビア』だったかな?」
一方通行「小学生のギリギリの写真がおさめられているらしくて、我慢がきかなくてね」
一方通行「ロリータ・コンプレックスというやつなのかな?あははは」
美琴(ああ、これは夢なんだわ。そうよ。こんな朝早くから寮から出られるわけがないもの。そうよ夢夢…)
一方通行「あった」
一方通行「これをください」
ネンレイカクニンヲ
一方通行「それがですね」
一方通行「僕は名前がありませン…」
ハイ
一方通行「だから、年齢もありませン」
……………。
一方通行「制限ねェ…」
一方通行「小学生を愛でるのに、年齢なンかいらないと思うンだ」
一方通行「好き」
一方通行「資格なンてそれだけでいいと、僕は思います」
美琴「そう」
一方通行「さっそく見ます!」
一方通行「あァ!まずい×××&@☆$%#!!」
一方通行「いひゃひゃ」
美琴「これは夢…うそよ、こんなのに妹達は……………………」
―――
――
―
美琴「はっ!」
黒子「大丈夫ですの?お姉様」
美琴「……?」
黒子「ずいぶんとうなされてましたが…」
美琴「………………夢?」
黒子「は、はい?」
美琴「わたし、今日どこにも出かけてない!?」
黒子「ええ…おそらく」
美琴「本当に?」
黒子「まだ朝の七時ですし…私が目を覚ました時にはお姉様はまだ眠られていましたが…」
美琴「…………」
黒子「お姉様大丈夫ですの?」
美琴「あ、うん。大丈夫。ちょっと嫌な夢をみただけ」
黒子「よろしければ私の胸にとびこべし!!」
美琴「ちょーっとコンビニ行ってくる。目覚め悪いからさ。手伝って」
黒子「……寮内でなんとかなりませんの?」
美琴「コンビニだからいいのよ」
美琴「ダッシュダッシュー」
美琴「よしっ、ついた」
美琴「はー、つかれたー」
一方通行「」
美琴「」
おしまい
最初から美琴の夢だったのです
Entry ⇒ 2011.12.31 | Category ⇒ 禁書目録SS | Comments (0) | Trackbacks (0)
二階堂「ポプラの弁当498円」
http://hibari.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1321014632/
ピッ
『二階堂さん、今日はどちらのスーパーに向かわれるのですか?私たちはまっちゃんのお店に向かう予定ですわ!』
どうしたものか…
《オルトロス》からの夕餉の誘いのメールに目を通し、プリントアウトされたA4用紙を片手に二階堂連は苦笑する。
いつもなら『では待っていよう』と短いメールを送り、後はいつものスーパーで彼女らを待つのだが、今日は用事があるのだ。
と、いっても大した用事ではない。誰か人を待たせている訳でもない。
いつものように《オルトロス》の魅惑的な挑発に乗るのも悪くなかったのだが・・・
「やはり、初日に行かないとな…」
元・《ガブリエル・ラチェット》の頭目と言う過去の立場がその誘惑を許さなかった。
情報収集するのならば速度が命だ。初日に行かなくて何が上場収集か。
『悪いが今日はコンビニ弁当だ』
短いメールを送信する。姉はともかく、勘の良い妹ならばこれだけで何の事か理解できるだろう。
「・・・そろそろ寒くなってきたな」
今日は新しいコンビニが東区に出来る。
それだけなら二階堂がわざわざ初日に行くような事はないが、出来たコンビニが問題だった。
《魔導士(ウィザード)》金城が狼減少に警告鳴らし続けていた。《氷結の魔女》槍水が出店に怯ていた。そして《変態》佐藤が遠征に行き、そしてその魅力を語ったコンビニ…
そのコンビニの名は『ポプラ』
中国地方からやってきた『狼の牙を抜くもの』である。
「嘘…でしょ…?二階堂さん…が?」
メールの返信を見た《オルトロス》の片頭、沢桔梗が携帯を落とす。
ゆるいカールがかかったその髪の下にある表情は、絶望の一色に染まっていた。
「どうしましたか姉さん。断られましたか?」
またか…そんな事を思いながら《オルトロス》のもう一つの頭、沢桔鏡が姉に声をかける。
そこまで言いかけて鏡は言葉を止めた、何時もの姉と錯乱とは表情が違うのだ。泣いて居るのだ…
「…違うんですの…ちが…ひっく…鏡…私達…二階堂さんに…」
「ね、姉さん、落ち着いてください!ど、どうしたのですか!?」
「私達…二階堂さんに…捨てられ…ひっく…」
姉の嗚咽に鏡はふと嫌な記憶がフラッシュバックした。3年前、沢桔姉妹に向けられた《ヘラクレスの棍棒》その一撃を食らった時のあの時の姉、そのものだったから。
鏡は信じたくなかった。姉ほど感情を前に出す事はないが、鏡もまた、二階堂の事を信じきっていた。
私達がどんなけ勝利の味を付加した半額弁当を食べたいとわがままを言っても、彼ならいつでも最高のスパイスをかけてくれる。
そんな男性だと信じていた。
だから、姉の涙が信じられなかった。
「姉さん!だからメールに何と書いてあったのです!私にも分かるように!!」
梗はメールの内容を口に出そうとする、が、激しい嗚咽により口に出そうとしても出せない状況にいる。
その代わりといわんばかりに先ほど落とした携帯電話を指差す。
その系帯電を鏡は震えながら手に取り、内容を確認する。
そのディスプレイには
短く
『悪いが今日はコンビニ弁当だ』
と書かれていた。
ああ…と、鏡は理解する。私達との戦いに二階堂さんは疲れたのだと。
私達との戦いに疲れ果て、スーパーに行く気力を無くし、コンビニに行くほうがマシだと感じてしまったのだと。
早い話が、私達は捨てられたのだと、それも一番大切な男性に。
理解した瞬間、姉とは違い、静かに、ただ静かに、力なくその場で泣き崩れた。
沢桔姉妹にメールを送ってから訳1時間後
二階堂連は新規オープンしたポプラの近くのスターバックスで時間をつぶしていた。
現在午後5時32分、今からポプラで弁当を購入しても問題はなかった。
コンビニには半値印証時刻(ハーフプライスラベリングタイム)もなく、腹の虫の加護も必要としていないのだから。
ただ、自分の体が半値印証時刻を超えないと夕餉を受け付けなくなっていた。
「…性分だな」
そんな自分に自笑し、糖分も何も入っていないコーヒーに口をつける。
さて、せめて後2時間は時間をつぶさなくてはな、そんな事を思いつつレポートを広げようとすると
右ポケットに入れていた二階堂の携帯電話にメールが受信される。
《オルトロス》との宴は先ほど断って、メールも切れたはずだ。
そんな彼女達からまたメールとは…怪訝な顔をしながら二階堂はメールを見る。
そこには
『ご迷惑をおかけしてすみませんでした二階堂さん。もう、私達は貴方の前に姿を現しません。ありがとうございました』
1時間前のあの明るいメールとは全然違うその内容に二階堂は戦慄した。
何が起きているのかは分からない。ただ、あの《オルトロス》、いや沢桔姉妹に何かがあった。それだけは理解できた。
「…くそっ!まさかまた《ヘラクレスの棍棒》が!?」
カバンを手に取り急いでスタバから外にでて、沢桔姉妹に電話をかける。
「…くそっ!電話に出れないか!?」
10回目のコール音と共に携帯電話を切り変わりに『今日6時、丸富大学西駐車場にて待つ。そこで話を聞かせてくれ。
いつまでも待つ』とメールを送り、そのままバイクに乗り込んだ。
もう新オープンしたコンビニなど関係ない、二階堂は来るかも分からない沢桔姉妹との待ち合わせ場所へと向かった。
▲
サークル活動が終了した学生がまばらにやってくる駐車場の一角で、二階堂は来るかも分からぬ沢桔姉妹を待っていた
時刻は午後7時半、日は完全に落ち、秋の寒さが痛みに変わりながら彼の体を刺してくる。
しかしそんな事は関係ない。一人の狼として、そして一人の先輩として彼女を待ち続けなくてはいけないのだから。
「あ…に、二階堂…さん…?」
待ち合わせ時刻から1時間半、顔色を青くした沢桔姉妹が二階堂の前に現れる。
「…来たか…」
「二階堂さん…今まで、今まで本当にありがとうございました…やっぱり、お別れの挨拶は、直接いいませんと…ね?」
涙の後が残る沢桔梗が笑顔で二階堂に伝える。本心だった。本当はメールで伝え、そのまま消えて無くなろうと思っていたが。
ただ、今までの感謝の気持ちは伝えないと、そう、思っていたから。
「私達姉妹、もう、二度と貴方と会う事はございません、ご安心ください、それでは…」
「まて!」
立ち去ろうとする沢桔梗の腕をつかむ。
「そんな上辺だけの別れの挨拶なぞ聞きたくない!本音を伝えろ!何故そう思う事があったのか!全部俺に伝えて…それからだ!」
「そ、そんな…」
そこまで思ってふと《ヘラクレスの棍棒》の事を思い出した。
あの人は私達の思いを聞くことなくその棍棒を振り下ろした。二階堂さんは違う。私達と最後までぶつかって、最後の最後まで本気でぶつかって…
そして、最後まで抗わせて貰った後に、悔いを残さないようにしてから私達を殺すんだ…あの人とは違う、優しい人なんだ…
ならば、本音を言おう。みっともなくてもいい。泣いてもいい。本音を、言おう。
梗は後ろの妹を見る。涙の後を見せるその瞳は、自分の意思を受け取ったように力強く、そして、物悲しかった。
全部言おう。自分の後ろで腕を掴んでいる二階堂にすべてぶつけてやろう。沢桔梗はそう、決意する。
「…捨てないで…くださいまし…」
「…え?」
二階堂はその言葉を聞き返そうとするが、沢桔梗の強力な抱擁により言葉がさえぎられる。
もう、私達は…私達は貴方無しでは生きられないようになっていた…そ、それを…」
「お、おい!?」
「私達が至らぬところがあるのなら何でもなおします!貴方が言う事なら何でも聞きます!
貴方がいたから…私達は幸せだったのです…我侭だとは分かっております!もう疲れたというのは分かります!
ですが……ですが!それでも…ううっ!うわぁぁぁぁぁぁぁん」
こ、これはどういう事だ?沢桔姉の何時もの勘違いなのか?それならばそろそろ妹の方から鋭いツッコミが来てこの号泣している姉を治めてくれるはず。
そう思い二階堂は目線を妹に向ける……が
「二階堂…さん……二階堂…さん…!ひっく……」
妹のほうも泣いてるぅ───!?
何だ?俺が何をしたと言うのだ?二階堂は今日一日何があったか思い出す。
確か、久しぶりに大学に顔を出し…そして大学の購買でコンビニ、ポプラが今日東区に出店されるという話を聞いて…その情報の真偽を確かめ…PCで住所を調べて…
そしてポプラに行こうとしたら沢桔姉妹からメールが来て…そしてコンビニ行くからやめると…
そこで二階堂は気づく、この姉妹は勘違いしていると。沢桔姉妹と戦うのに疲れ、コンビニ弁当の方がマシなのだと言う風に彼女らは受け取ってしまったのだと。
「ま、まて!《オルトロス》!まずは俺の話を…!?」
涙で顔を濡らしながら沢桔梗は無理に笑顔を作る。その姿に二階堂は不覚にも言葉に詰まってしまう。
「でも…貴方の口から聞く勇気が…それが出来るまで…泣かせて…下さい…」
再び、自分の胸で勘違いした思いの丈をぶつけながら涙する沢桔梗
「き…今日は…私も…泣かせて…下さい…!!ひっく…!二階堂さん…!二階堂さん…!!」
そこに妹の沢桔鏡も加わる。
──すげえ…女の子二人を泣かせてるぞ…──双方に捨てないでとか…──おい…あれ付属高の生徒会の沢桔姉妹じゃねえか
──マジかよ…美少女生徒会姉妹丼とかどこのエロゲーだよ…!?──おっちゃんに!早くおっちゃんに連絡しないと!単一電池を!?
──元《ガブリエル・ラチェット》の頭目も外道に落ちたか…松葉菊に報告したほうがよいのか・・・?
…と、割と洒落にならない言葉が二階堂の元に浴びせられる。と、言うか最後のは確実に《ガブリエル・ラチェット》の元メンバーだ。松葉菊に報告するのはやめて欲しい
二人が泣き止み、落ち着かせ勘違いを理解させるまでそれから約1時間を要することとなる。
「ありあっしたー!!」
コンビニポプラから出てくる3人の影が見えた。
沢桔姉妹と二階堂だ。
あの後、三人でコンビにポプラへと向かうことにしたのだ。
本来、バイクで行く距離であるコンビニまで徒歩で三人で向かったため、時刻は午後10時を過ぎていた。
お弁当をどこかで食べようという話も出ていたが、お互い疲れたため、今日は解散と言う事になり、沢桔兄弟のアパート前まで歩くことになる。
「…そ、その、二階堂さん…?」
アパート前まで一言も喋らなかった沢桔鏡が口を開く
「何だ?」
二階堂は少し不機嫌そうに答える。今日は疲れたのだ、早くメシを食べて布団に入って寝たい。
「そ、その…今日はすみません…そ、その…姉どころか…私まで勘違いして…」
申し訳なさそうに謝る沢桔鏡。その様子をみて二階堂は苦笑する。
「……気にするな……あ、そうだ、後な」
笑顔のまま二階堂は続ける。
「俺がお前達を追っているのも、俺が楽しいから追っているだけだ。
後、俺がお前達より弱いと思った事は一度もない、それだけは覚えておけ」
その言葉に沢桔姉妹は自然と笑顔になる。
じゃあな、と手を振って別れようとする二階堂に梗が声をかける。
「あ、あの!二階堂さん!」
その声に姉妹達に顔を向ける二階堂
梗は勇気を持って思いを伝える。それに対して二階堂はニヒルに笑い、後ろを向いて再び手を振る。
明日は少し早めに大学に行かないとな…そんな事を思って居ると、少しだけ岐路が軽くなった気がした。
次の日、二階堂の尻の中に単一電池が入るか否かの激戦が丸富大学付属校前で行われたのは、また別のお話。
書き貯めしたのはいいけど、PC水遁された…
Entry ⇒ 2011.12.31 | Category ⇒ ベン・トーSS | Comments (0) | Trackbacks (0)
まどか「ほ、ほむらちゃんっって同性愛ってどう思う・・・?」
http://engawa.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1325210376/l50
まどか「///」
ほむら(な、なにいきなり・・・?)
ほむら(も、もしかしてこれって遠まわしな告白!?まどかも私の事を!?)
ほむら(う、嬉しい///)
まどか「や、やっぱりへんかな・・・」
ほむら「変じゃないわ!とってもいいと思う!」
まどか「ほ、ホントに!よかった、ほむらちゃんなら分かってくれると思ってたよ!」
ほむら「もちろんよ、まどか」
まどか「いいよね!BL!」
ほむら「・・・え?」
ほむら「ちょ、ちょっと待ってまどか!」
まどか「なに?ほむらちゃん」
ほむら「BL?BLって言ったの?」
まどか「言ったよ。ほむらちゃんも好きなんだよね」
ほむら「・・・あり得ないわ」
ほむら「BLなんて気持ち悪い。百合の方がいいに決まってるじゃない」
ほむら「あなたこそ何言ってるのよ。冗談よね?まどかがBLが好きなんて」
まどか「ほむらちゃんこそ百合が好きなんて変なこと言わないでよ!いくら私でも怒るよ!?」
ほむら「そんな・・・まどかがそんな人だったなんて・・・」
まどか「何それ!いつそんな話になったの!?」
ほむら「だってSSではよく私とイチャイチャしてるじゃない!」
まどか「やめてよ!あんな百合豚の妄想だよ!」
ほむら「そんな・・・だったら私は・・・何のために・・・」
ほむら「やめて!そんなまどか聞きたくない!おかしいよ」
まどか「おかしいのはほむらちゃんだよ。自分が女の子のくせに百合が好きなんて。頭腐ってるんじゃないの?」
ほむら「腐ってるのはあなたの方でしょう!」
ほむら「いるわよここに!ホモなんて汚らしい!百合は綺麗なのよ!」
まどか「出たよ百合豚のキモイセリフナンバー1。女に夢見すぎなの!女なんて男がいないときは生理の話しかしないんだから!」
ほむら「そんなことないわよ!」
まどか「私たちは夢なんて見てません!おとこは粗暴で野蛮な生き物なの!そんな男同士が愛し合うのが萌えるんじゃん!」
ほむら「なにそれわけわかんない!まどかには女の子が女の子を好きになっちゃった時の繊細な乙女心のよさがわからないの!?」
まどか「そんなこと考えてないくせによく言うよ!百合豚なんて女の子が絡んでればそれでいいと思ってるくせに」
まどか「違いますー!私は世界一初恋の律君からくそみそテクニックの阿部さんまで全部いけますぅ!」
ほむら「理解できないわ・・・。あなたがそんな人だとは思わなかった!」
まどか「私だってほむらちゃんがそんな人だとは思わなかったよ!絶交だよ!」
ほむら「いいわよ!まどかとなんて口もききたくないわ」
まどか「全く・・・。ほむらちゃんがあんな人だとは思わなかったよ!」
まどか「まあいいやあんな人。気にしないで私は今日も自作小説に取りかかろう!」
まどか「ウェヒヒww。待っててねサイトー!」
ほむら「全く・・・。まどかがあんな人だとは思わなかったわ」
ほむら「はじめから分かってればまどかなんて助けなかったのに」
ほむら「ま、あんな人はほっておいて今日も百合漫画を読んで過ごしましょう」
ほむら「ああ・・・やっぱりいいわね、百合って///」
ほむら「・・・」
まどか「・・・」
さやか「・・・で、なんでこんな事になってるわけ?」
まどか「さあ?そっちの豚にでも聞いたら?」
ほむら「なんかここ臭いわね。誰かの頭でも腐ってるんじゃないかしら」
まどか「あ!?」
ほむら「なによ!」
まどか「聞いてよさやかちゃん!さやかちゃんはこっち側だよね?」
ほむら「美樹さやか、そいつの言葉に耳を傾けてわだめよ」
さやか「だからなんなのさ・・・」
まどか「というわけなんだけど、さやかちゃんは私の味方だよね?親友だもんね」
さやか「・・・ごめんまどか」
まどか「!?」
さやか「私は転校生の側につくわ」
まどか「そんな・・・こんなの絶対おかしいよ!」
まどか「おかしいよ・・・さやかちゃんは恭介君が好きなんでしょ?男が好きなんでしょ?」
さやか「だからBL好きって理論はどうなのよ」
まどか「そうだとしても!だったらヘテロ側じゃん!そっちにつくのはわけわかんないよ!」
まどか「は?」
さやか「仁美と恭介を取り合ってるうちに・・・気付いたら///」
ほむら「分かるわよ美樹さやか。よくあるわよねそういうこと」
まどか「ねーよ!」
マミ「話は聞かせてもらったわ」
ほむら「巴マミ!」
マミ「安心して鹿目さん。私はあなたの味方よ」
まどか「マミさん・・・。私の味方はマミさんだけです!」
マミ「黙りなさい豚ども。私と鹿目さんは今から乙女ロードにいくんだから」
まどか「マミさん・・・!はい!行きましょう!こんなやつらほっといて同人誌買いあさりましょう」
マミ「そうね。ところで最近だとやっぱりタイバニよね」
まどか「分かります!」
マミ「いいわよね、虎×兎」
まどか「・・・は?」
マミ「え?だから虎徹×バーナビーはいいわよねって」
まどか「・・・だろうが」
マミ「え?」
まどか「バーナビー×虎徹に決まってるだろうが!」
まどか「マミさんはなにも分かってない!おじさんラブなバーナビーが戸惑うおじさんを攻めるほうがいいに決まってる!」
マミ「なんですって!?」
まどか「なによ!」
ほむら「みなさい美樹さやか。あれが腐女子同士の醜い争いよ」
さやか「うん、あーはなりたくないよね」
さやか「そうそう、私たち百合好きは仲良く平和に行こうぜ」
杏子「お前ら何の話してるんだ?」
ほむら「あら、佐倉杏子」
マミ「そんなわけないわよね!?佐倉さん」
ほむら「杏子がBL好きという前提で話を進めるのをやめなさい。これだから腐女子は自己中だって言われるのよ」
杏子「お前らが何言ってるのかわからねーんだけど・・・」
まどか「杏子ちゃんなら分かってくれるよね」
ほむら「いいえ、残念ながら杏子が百合好きなのは確定的に明らかよ。SSでも杏さやは人気だもの」
杏子「いや、ねーだろ」
4人「・・・え?」
杏子「ホモとかレズとか気持ちわりーんだけど」
4人「・・・」
終わり
Entry ⇒ 2011.12.30 | Category ⇒ まどかマギカSS | Comments (0) | Trackbacks (0)
女「座敷童子がそこにいた」
女(エアコンは……壊れてるんだった)
女(もう二月だし、いいかげんにコタツ出さないとな――めんどくさい)
女「と、言ってもいられないか……寒い。さむ死するわ、さむ死」スクッ
女「えっと……確かコタツ布団は押し入れだったわね……」ガラッ
少女「あっ」
女「え?」
少女「こ、こんにち――」
女「わあああああああああああああああああああああ!!!?」
少女「ごごごごごごごめんなさいごめんなさいごめんなさい!」
謎の少女がそこにいた。
少女「お、落ち着きましたか……?」
女「いや、まあこっちのセリフでもあるんだけど、うん、それなりに」
少女「えっと……あの……」
女「あー……あなた誰? まさか不法侵入者――」
少女「ご、ごめんなさいっ」
女「え、マジで?」
女「座敷童子って――あの、住む家に幸福を与えるとかいう」
少女「そ、そうです……たぶん」
女「たぶんなの?」
少女「あ、いえ、あって……ます。はい……たぶん」
女「はあ」
女「しっかし、うちに座敷童子が来るなんて……これって一攫千金!?」
少女「そ、それは無理だと思います」
女「え、なんで?」
少女「ご、ごめんなさい。わたし、あの、そういう担当じゃないので……ごめんなさい」
女「そういう担当ってなに?」
少女「あー、えーっと、ちょっと長くなるかもしれませんが」
そうしてその自称座敷童子は話し始めた。
とても小さな声だった。
少しの雑音で消えてしまいそうなか細く儚い声が、とても綺麗だと思った。
女「しっかし、うちに座敷童子が来るなんて……これって一攫千金!?」
少女「そ、それは無理だと思います」
女「え、なんで?」
少女「ご、ごめんなさい。わたし、あの、そういう担当じゃないので……ごめんなさい」
女「そういう担当ってなに?」
少女「あー、えーっと、ちょっと長くなるかもしれませんが」
そうしてその自称座敷童子は話し始めた。
とても小さな声だった。
少しの雑音で消えてしまいそうなか細く儚い声が、とても綺麗だと思った。
女「つまり、不幸せな人間を幸せにするために派遣される妖怪ってわけね」
少女「は、はい。家を裕福にするのが一番有名な座敷童子です……わたしは違いますが」
女「それで、きみは――そうだ。名前」
少女「え、な、名前ですか?」
女「そう、私は女。きみは? 座敷童子にも名前くらいあるでしょ?」
少女「しょ、少女です、はい……」
女「ふーん、少女ね」
少女「え、さ、さあ……?」
女「……さあって、知らないの?」
少女「ご、ごめんなさい。女さんを幸せにするために派遣された、くらいしか……」
少女「と、友達にFXでお金を稼ぐような子もいますが……私はそういうのさっぱり……」
女「なんか偉く現代的な座敷童子ね……」
少女「そ、それにわたし座敷童子としてのお仕事は、は、初めてなのでよくわからなくて……」
女(……として?)
少女「で、でも精一杯がんばりますので、その、よろしくお願いします」
女「はあ、よろしく」
それから、私と座敷童子――少女との奇妙な共同生活が始まった。
少女はどうやら霊みたいなもので、物には触れないし、お腹も減らないみたいだし。
えさ代のかからないペットの様なものというか……。
話相手がひとり増えたようなものだった。
ただ……私は外に出ないのでこれじゃあプライベートの時間がない。
少女も外に出られないようだし……。
狭いと感じていた六畳間が更に狭く感じる。
少女の方もそんな息苦しさを感じていたのだろう。
ある日ついに聞いて欲しくないことを聞いてきた。
女「う……」
少女「……あの、失礼ですが学校やお仕事は」
女「…………」
少女「……えと、ちなみに、年齢は」
女「……この間二十歳になったところよ」
少女「…………ニーt」
女「言わないで」
仕事を探すという名目で都会に出ている。
六畳一間の部屋で生活していて、生活費は……。
就活に専念したいからと親の仕送りで生活している。
だが、じっさいにはゴミ捨てやコンビニ以外では、ほとんど外に出ていない。
必要なものは全部ネットで買える。
外に出なくても何の問題なかった。
だから特に何の目的もなく、ただ生命活動を行っていた。
少女「い、いえ……ごめんなさい」
女「あやまらないでよ、何か傷つく……」
少女「いえ……わたしも強くは言えませんので……」
申し訳なさそうに謝る少女。
確かに座敷童子は外に出られないし、強く言えないのだろう。
とにもかくにも、特に変わり映えすることのない生活が始まった。
少女「お、女さん……たまにはお外出ましょうよ……」
女「……出る必要ないし」
少女「へ、部屋にいるだけじゃ何も面白いことないですよ……」
女「ネットとかテレビとかあるし……」
少女「ま、漫画とかでも場面転換のある方が面白って言いますよ……」
女「現実と漫画をごっちゃにしないでよ……それにきみ、12人の怒れる男って映画見たことないでしょ」
少女「な、何ですかそれ……?」
女「部屋から全く動かないけど超面白い話、そういうのもあるから私は大丈夫なのよ、超面白い私」
少女「現実と映画をごっちゃにしないでください……」
女「まあいいじゃない、見たことないなら見ましょう今すぐ見ましょう」カシャン
少女「ぶ、VHS……」
女「そういえばさー」
少女「あ、はい」
女「幸せにしてくれるって具体的には何してくれるの?」
少女「か、肩をお揉みしましょうか……?」
……なんだそのしょぼい幸せ。
女「ていうかあなた私に触れないでしょ?」
少女「あ、そ、そうでした……」
そういえば物に触ることもできないのにどう幸せを運ぶのだろう。
なんか能力的なものがあるのだろうか。
少女「は、話相手くらいにはなれまする……」
女「何その喋り方」
少女「お、女さんいつもコンビニ弁当ですけど自炊はしないんですか……?」
女「……」
少女「……ま、まさか」
女「で、できなくはないのよ!? ほんと! ただ、めんどくさくて……」
少女「……」
女「な、何よ……」
少女「い、いえ、なんでも……」
……できるよ? ほんとよ?
ほんとだからね? 私、嘘、つかない。
女「んー、髪伸びてきたなぁ」
少女「き、切りに行くんですか?」
女「期待に満ちた瞳を向けてくれてるところ悪いけど行かないからね」
このくらいなら自分で切れるし。
少女「そうですか……」
女「私が外に出ないと不満?」
少女「い、いえ……でも、外に出た方が健康的ですし……」
女「筋トレしてるし」
少女「き、気分的にもリフレッシュ……」
女「……」
リフレッシュ、ね……。
少女「春ですねー、わたしは気温を感じませんが」
女「春だねぇ……」
少女「コタツしまわないんですか?」
女「んー……めんどくさい」
少女「ええー……」
女「そのうちしまうわよ。そのうちね」
少女「はあ……」
なんとなく、少女とスムーズに話せるようになってきた。
そのうち気になってることも聞けそうだ。
女「少女って何歳なの?」
少女「え……っと、何歳って言うのは享年ですか?」
女「ん、それもあるけど座敷童子になって何年くらい?」
少女「座敷童子になって?」
女「ん?」
少女「あ、え、い、いえ。はい、死後何年か、ですね……」
女「もしかして聞いちゃいけなかった?」
少女「い、いえ、えっと、死んだのは15のときで、死後は……まだ、1年です」
女「1年かー。もっと長いかと思った。死後を換算しても私の方が年上なのね」
まあ確かに座敷童子にしては服が現代的すぎると思ったのだ。
新米さんなわけだ。
少女「…………」
女「んー、あたたかくなってきたなぁ」
少女「半袖にしないんですか?」
女「あっ……んー、ほら、私寒がりだからさ」
少女「あ、そうですね。あたたかくなってきたとは言ってもまだ肌寒いだろうし」
女「うん。少女はわからないかもしれないけど、確かにまだ肌寒いよ」
少女「そうですか」
女「うん。まだまだ……肌寒いよ」
少女「?」
少女「あー、雨降ってますよ」
女「ほんとだ。つゆだねー」
少女「こんな天気だと外に出たくないですねぇ」
女「まっ、私たちには関係ないけどね!」
少女「笑えないです……」
女「明るくいこう!」
少女「はあ……」
しかし洗濯物が乾かないのにはこまるなぁ。
長袖のストックたくさんあってよかった。
少女「きゃあああああああああああ!!」
女「うわあああ!! びっくりした!! どうしたの!?」
少女「ごごごごごゴキ」
女「ぎゃああああああああああああああ!!」
少女「女さんが掃除しないからあああああああああ!!」
女「してるよおおおおおおおおおおおおおおお!!」
「「うわああああああああああああああああああ!!!」」
二人して泣いてしまった。恥ずかしい。
女「はぁ……」
少女「ど、どうしたんですか?」
女「いや……べつに……たまにあるのよこういう日が……」
少女「だ、大丈夫ですか……?」
女「ん。…………ちょっとお風呂入ってくる」フラッ
少女「あ……はい」
女「…………のぞいちゃやーよっ」
少女「の、のぞきませんっ!」
女「あはは……じゃ」フラフラッ
少女「…………女さん」
…………久々だなぁ、これ。
女「おいーっす! 少女げんき!?」
少女「今日はまたハイテンションですね」
女「そう? ふつーふつー!」
少女「はあ……。そういえば、もうすぐ七夕ですね」
女「少女ちゃんは何か願いごととかある?」
少女「わたしは――そうですね、特にないですね」
女「ないの?」
少女「ええ。……いや、ないというか叶ってるというか」
女「叶ってる?」
少女「……ごめんなさい、なんでもないです」
ふむぅ。……そろそろ聞いてもいいかも。
女「あつー……」
少女「薄着にしないんですか?」
女「一枚しか着てないけど?」
少女「長袖じゃないですか……せめて袖をまくるとか。エアコン壊れてますし」
女「少女も長袖じゃない」
少女「いやわたしは気温を感じませんし……」
女「あー……あ、そうだ! 少女に聞きたいことがあったのよ!」
少女「何だかはぐらかされた様な気がしますが……えと、なんでしょう?」
女「あなた、座敷童子じゃないでしょ?」
女「ああ、図星」
少女「あ、ち、違くて、あの、わた、わたし」
女「ああ、別に嘘ついたからってどうこうするわけじゃないから」
少女「……い、いつから?」
女「んー、割と早くからかな? 座敷童子にしては色々おかしいし」
服とか、言動とか。座敷童子っぽくないし。
私と話してるだけの数カ月だったし。
一向に幸せを運んでこないし。
いや、少女との日々は幸せだったけどね……なんつってね! テレッ!
女「それで、少女は何者なの? 妖怪……ってわけでもなさそうだし」
少女「…………ゆ、幽霊です」
女「まあ……うん、想像はついてた」
透けてるし。
女「なんで嘘ついたの?」
少女「ゆ、幽霊だってばれたら、成仏させられるって思って……」
女「なるほど、だから座敷童子だと」
少女「こ、幸福を呼ぶ座敷童子ならおいてもらえると思って」
女「まあ、あの時点なら成仏させるなり……引っ越すなりしてたかも」
少女「わ、わたし寂しかったから、誰かとお話ししたかったから……」
どおりで。
FXで稼ぐ座敷童子なんているわけないしね。
即興の嘘だったわけだ。
女「それじゃあ死んでからずっとこの部屋にいたの?」
少女「あ、それは違います」
女「だよね。私もうここに住み始めて二年になるし」
少女「神様にお願いして、女さんと出会った日に」
少女「あの押し入れの中に幽霊として送ってもらったんです」
いるのか、神様。
女「……叶えたいこと?」
少女「友達が……欲しかったんです」
友達? それって、もしかして私のこと?
女「えっと、それで何で押し入れ――ていうか、私の部屋に?」
もう少し相応しい場所があったのではないのか、神様。
女「え、うん」
少女「わ、わたしと同じで友達がいない人のところにって、あとはランダムで……」
女「……」
怒りはしなかった。
ただ傷ついた。割と深く傷ついた、ちょっと泣いた。
女「な、なるほどね」
ふーん。いやあ、心の汗が止まらないねっ。
女「で、願いが叶ったと」
少女「え?」
女「ん?」
少女「い、いいんですか?」
女「え、何が?」
少女「と、友達になってくれるんですか?」
女「え、友達じゃないの?」
もし違うならさっき以上に傷つくわけだが……。
女「……」
それは、照れるな。
ちょっと顔が赤くなる自分を自覚する。くっ、嬉しいのはこっちだ。
私にもついに友達が……霊だが。
しかし。
女「それで、願いが叶ったってことは成仏しちゃうの?」
少女「え? ……あっ」
女「まさか、気付いてなかったの?」
女「あ、それともやっぱり、そのぐらいじゃ成仏しないのかな」
それならいいのだが。
え、ちょっと待って。
思いっきり拳を握りしめて、瞳に涙をためて。
ま、まさか。
少女「成仏しちゃうよおおお!! うわあああああああん!!」
女「えええええええええ!?」
まじで?
少女消えちゃうの?
女「…………」
え、うそうそ、ちょっと待ってちょっと待って。
何その急展開。
少し落ちつくと少女は、しゃくりあげながら説明を始めた。
あまりにも聞き取りづらかったので私が要約するが。
どうも少女自身が「願いが叶った」と自覚してだいたい一週間で成仏するそうだ。
すぐに成仏するわけではなく、一週間のロスタイム。
たぶん、友達との最後の思い出づくりをするための。
神様の粋な計らいということだろう、と勝手に解釈したが……。
そうか、あと一週間で少女が消えるのか……。
女「じゃあ、私も死のうかな」
少女「え?」
呆然唖然、といった感じで少女は声を漏らした。
女「生きていても仕方ないって言うか……」
少女「何を」
信じられないといった顔で愕然とする少女。
もう一度言った方がいいかな。
女「だからね」
少女「何を――言っているんですかあなたはっ!」
女「……っ」
数カ月一緒にいて、少女が怒るのを私は初めて見た。
少女「死ぬなんて……そんなこと言わないでください!!」
女「……」
少女「あ……」
私が驚いているのを見てか、少女はまた委縮してしまったようだ。
少女「ご、ごめんなさい……」
少女「わ、わたしこそ……でも、冗談でも死ぬなんて……」
女「それは冗談じゃないよ」
少女「……! 女さん」
女「ん?」
少女「袖、まくってもらってもいいですか?」
女「……」
まあ。
今さら隠したって仕方ないか。
死にたいと言ったのだから。
女「はい、どーぞ」
私は左の袖をまくった。
どうやら少女は以前より気が付いていたらしい。
女「知ってたんだ」
少女「わたしも……そうでしたから」
そう言って少女も袖をまくった。
少女は左利きなのか、右袖だった。
女「……いっしょだね」
少女の右腕には私と同じでたくさんの切り傷があった。
女「でも……」
ひとつだけ、大きな、私にはまだない大きな傷があった。
少女「わたし、自殺したんです」
女「そう……」
その時の傷なのだろう。
少女「意地が悪くて醜くて、自分も他人も大嫌いで」
少女「生きてることが辛くて……女さんと同じでヒキコモリだったんです」
いっしょだ。私と、とてもよく似ている……。
少女「ある日、ふと死のうって思って、死にました」
特にきっかけはなかったんです、と少女は言った。
そんなものなのかもしれない。
私も少女がいなくなるからという理由で、死のうとしているわけで。
なんとなく。
なんとなくだ。
少女「そして、神様に出会ったんです」
少女「わかりません……もしかしたら閻魔様かもしれませんし」
全然関係ない存在なのかもしれません。
少女は苦笑する。
少女「ごめんなさい。ただ、すごく偉い人っぽかったです」
女「ふーん」
もしかしたら、死後お世話になるかもしれない。
覚えておいた方がいいかも。
わかるでしょう?
そう続けようとしたが、少女がそれを遮った。
少女「その神様が、未練があるみたいだねって、言ったんです」
女「未練……」
やり残し、生きてる間にやりたかったこと。
少女「そんなことないって思ってたんですけど、死ぬことに後悔はないと思ってたんですけど」
少女「違いました」
少女「わたし、死にたくなかったんだな――」
って。
友達がいなくて、さみしくて、友達が欲しかったんだなって。
そう、そう言って少女はまた泣いた。
少女「だから、女さんには後悔して欲しくないんです……!」
友達には、後悔して欲しくない。
経験者は語る。
少女「なら」
女「だけど、私は後悔なんかしないよ」
友達もできたし。
生きていたって――仕方はないし。
少女「そんな……」
女「それに、少女ならわかるでしょ?」
女「死にたい気持ち」
生きるのが辛くて死にたい気持ち。
女「私も――いや、私の方が最低だもの」
私はその上に、多くの人に迷惑をかけている。
少女よりも5年、長く生きてきた分、よりひどい。
女「パ」
パパ、と言おうとしてやめた。
けど、今更何をためらっているのか。
恥ずかしがらずとも、今の私は十分に恥知らずだ。
恥じる心などありはしない。
生きるだけで罪でしょう?
なんで早く死ななかったの?
生きているだけで――迷惑なのに。
女「そんな私に、生きる資格なんてないよ……」
今まで何のために生きてきたの?
早く死んじゃえよ。
本当に、気持ち悪いなあ。
なぜなら、少女は自殺しているから。
同じ私に、一体何が言えるのだろう。
いや、より最低な私に何を言えるというのか。
少女「そ、それでも……生きてくださいよ」
女「無理だよ。その資格は私にないし。それに、私はすっごく弱いもの」
きっとすぐに心が折れて死んじゃうよ。
友達も、いないのに。
無理だよ。
弱すぎて、臆病だから。
そうだ。今このタイミングを逃したら死ねない。
少女と一緒に消えないと、私は絶対死ねないだろう。
女「私は、今死なないとこれから先、一生死ねないと思う」
だから、死なせて。
こんなひどい世界においてかないで。
女「私は……とても弱いから。生きるのが、つらいから」
もしこんな世界においていくというのなら、死ぬなって言うのなら。
せめて。
女「生きていくなら、私は強くなりたいよ……」
女「駄目だよ。強くないと駄目なんだよ」
じゃないと、この世界は生きづらい。
弱い人間にとって、この世界は優しくない。
どうしようもなく、くそったれに出来ている。
だから強くないと駄目なのだ。
少女「そ、そんなこと、ないです……」
女「……なんで」
少女「だって、みんな生きてるじゃないですか……」
わたしは、死んじゃったけど。それでも。
少女「みんな、生きてるじゃないですか……」
少女「お、女さんは生きてる人が、みんな強いと思ってるんですか……」
女「……」
少女「辛いことも、悲しいことも、苦しいことも気にしない、強い人だけだと思ってるんですか……?」
――そんなわけ、ない。
むしろ、強い人の方が少ないだろう。
そんなこと本当はわかってる。私だってわかってるんだ。
でも。それでも。
女「私は強くなりたいのよ……!」
辛いのも、悲しいのも、苦しいのも、嫌なのだ。
誰だって、そうだろう?
女「よくない!!」
いいわけない。しんどい、生きるのがしんどい。死にたい。死にたくなる。
でも、臆病だから死ねない。
だったら、楽に生きていけるように強くなるしかないじゃないか。
女「私はっ!! 私は……悩むことなく生きたい! しんどいのはいやだ!」
必死だった。みじめだなぁ。
でも、口はふさがらない。
悲鳴以外で大きな声を、久しぶりに出した。
いや、ある意味悲鳴みたいなものだった。
女「生きてることはしんどい! でも死ねないの! 怖いもの!」
怖いのも、しんどい。何もかもしんどい。
しんどいのは、嫌だ。
女「だったら、生きててもしんどくないように、強くなるしかないじゃない……」
しかし、そんな私の必死の願いを少女は認めない。
一言で否定する。
少女「でも……無理ですよ、そんなの」
女「……っ」
少女「そんな風に生きられるなんて……無理に決まってるじゃないですか……」
少女「そんな人間は……いないんです……」
女「……そんな人間は、いない」
少女「みんな悩んでるから……強くなれないから……」
少女「みんな妥協して、生きていくんです……」
少女「しんどくても、生きてはいけるんですよ……」
女「でも……でも、私には生きる資格がないよ」
女「周りに迷惑ばっかかけて、生きてるだけで迷惑な、こんな最低な私なんて」
女「……こんな最低な私には、生きる資格なんかないよ」
少女「それが何だって言うんですか……」
少女「そんな些細なことが、何だって言うんですか……」
些細なこと。
些細なことだって?
女「人がこんなに真剣に悩んでることが……些細なこと?」
少女「些細なことですよ……」
カッときて、思わず平手打ちをしてしまった。
手は少女をすり抜けて、私は情けなくすっ転んだ。
少女「……」
女「つ……謝らないのね、いつもは謝るのに」
少女「ここで謝っちゃったら……わたしの言葉が嘘になっちゃいますから……」
少女「でも女さん、生きる資格って何ですか……」
女「え?」
少女「誰がその資格を与えてくれるんですか……」
女「それは」
少女「そんな資格はないんですよ女さん……」
少女「誰もそんな資格は持ってないんです……」
女「で、でも、私は生きてるだけで迷惑をかけるもの」
少女「迷惑をかけずに生きていける人なんかいるわけないじゃないですか……」
泣きそうな顔で少女は言った。というか泣いてた。
顔をくしゃくしゃに歪ませて、泣きながら、私に。
少女「誰も彼も弱いままで、生きる資格もなく生きているんです……」
少女「そんな当たり前のことで、女さんは無理やり自分を殺しているんです……」
一生懸命言葉を紡いで、少女は私に伝える。
少女「もう、生きたっていいじゃないですか……」
女「は? い、いやいや、私は死んでないよ、生きてるし……」
あなたと違って、生きてるし。
少女「死んでますよ……死んでるようなものじゃないですか……」
少女「誰とも接さない生き方なんて……そんなの幽霊と何が違うんですか……」
わたしと何が違うんですか。
馬鹿な衝動で死んでしまったわたしと、一体何が違うんですか。
少女は涙を流しながら言い続ける。
少女「きっとお外にはここにないものがあります」
少女「つらいことも、悲しいことも……でも」
それ以上に。
少女「嬉しいことも、楽しいことも、きっと外にはあります」
少女「ここにいても、何もないんです……」
少女「しんどくても、生きていられる何かが、きっと外にはあるんです……」
少女「わたしにはもう見つけられないけど……」
少女「女さんは生きているんだから……」
少女「生きていれば……何でもできるじゃないですか……」
……本当に?
すぐに弱音を吐いちゃう私でも。
すっごく弱い私でも。
見つけられる?
生きられるんだろうか。
しんどくても。
生きていけるだろうか……。
こんな私でも。
生きて……いいんだろうか。
女「生きて……いいのかな」
女「私、色んな人に迷惑かける馬鹿なやつだけど」
女「それでもいいのかな……」
少女「はい……!」
そう言って少女は私の手を握ってきた。
もちろん、触れない。すり抜ける。
傷だらけの腕が、交差する。
でも。
少女「それでも、生きてていいんですよっ!」
あったかい。
少女「大丈夫ですっ」
女「嫌になることたくさんあるけど……それでも大丈夫かな」
少女「大丈夫ですっ」
女「怖いしすぐに泣いちゃうけど……それでも大丈夫かな」
少女「大丈夫ですっ」
涙をぬぐうことなく、少女は言う。
少女「絶対絶対ぜーったい! 大丈夫です!」
少女「女さんは、大丈夫っ!」
……まったく、そんなに必死になっちゃって。
涙で顔がぼろぼろじゃない、あなた。
それにその自信はどっから出てくるのよ、根拠もないくせに。
私よりも若くに死んでるくせにさ。
きみは死んじゃったのに。
それなのにどうしてそんなことがわかるのさ。
なんて馬鹿にしたって。
不思議と――笑みが浮かんでしまった。
大丈夫な様な気が、してしまったんだ。
少女「ほ――ほんとですかっ!!」
そんな嬉しそうに。
他人のことなのに。
いや……友達なんだよね、私たち。
女「うん。でも、あなたがいなくなってからね」
少女「え……」
悲しそうな顔。
違うよ、あなたが邪魔とか、そういうんじゃないの。
女「あなた外に出れないし。あと一週間、少しでも一緒にいたいから」
女「いいの。あなたと思い出づくりがしたいの」
そこで黙っておくつもりがつい恥ずかしいセリフが口から出てしまった。
女「これから先も、ちゃんと生きてきたいから……」
ぽかん、と。少女が目と口を滑稽に開く。
あほ面だなぁ……でもよく見たら可愛いな、まつ毛長いし。
……照れくささからか、顔が熱くなるのを感じる。
何か言いなさいよ。
少女「」ジワッ
あ、やばい、この子泣く。
私もつられて泣いた。ええい、ああ、もらい泣きだよ。
そのあと、少女が消えるまで外に出ないことに関して。
少女はとても、それはとても怒っていたが。
必死の説得の上、ようやく困ったような顔をして言った。
少女「じゃあ、せめて髪を切った女さんを見せてください!」
……だから外に出たくないんだってば、今は。
まあいいか、一度の外出くらいは。
これが妥協して生きていくってことだろう。
こういう生き方を、していかなきゃいけないというわけだ。
玄関を出る前にやっぱりやめようと思ったが、少女に追い出されてしまった。
美容師「本日はどのようにカットいたしましょうかー?」ニコニコ
女「えっ、あっ……み、みじかきゅっ、おっ、おねがっ」
美容師「かしこまりましたぁー」ニコニコ
やばい。超怖い。泣きそう。
噛んだし、死にたい……。
予約の電話でもちょっと泣いたのに直接話すとか怖すぎる。
何故髪が綺麗なことが自分でカットした話につながるのか……。
それ以降の質問には、適当に答えた。
必死で、何を言ったか覚えていない。
たぶん気持ち悪い笑みを浮かべながら答えたんだと思う。恥ずかしい。
その後、めでたく私の髪はモサモサロングからスッキリショートボブになった。
いくら自分で切っていたとはいえ、すいてはいなかったのですごくさっぱりした。
しかし、30分以上生身の人と話したのは何カ月ぶりだったか。
あと何で美容師さんあんなに話しかけてくるの。
やめて……こわい……やめて……。
そんなに変な髪型だったかと私も泣きかけたけど、そういうわけじゃないらしい。
たかだか外に出て髪を切ってくるだけのことでいたく感動したようだ。
……まあ、その「たかだか」が今まで出来なかったんだけど。
少女は「お祝いです!」とか言って、私に自炊を求めた。
赤飯を炊かせようとするので、まず埃まみれの炊飯器を洗った。
買い物にも行った。行かされた。途中で引き返したらまた追い出された。
ちょっと不安だったが、なんとか炊けた。
とてもべちょべちょの赤飯だったが、少女は「すごいすごい!」とはしゃいだ。
自分が食べられない代わりにか、執拗に、
「美味しいですか? 美味しいですか?」と聞いてきた。
率直に言って不味かったが、私は美味しいと答えた。
それを聞いて少女はニコニコ笑っていた。
テレビを見たり、お話したり、まあ、いつも通りの日々だ。
髪を切った日以降、私は外に出なかったが。
外に出ないことを少女は気に病んでいたが、いいのだ。
少しでも多く、少女と一緒にいたかった。
そんなに心配しなくても、大丈夫。
私は大丈夫。
そして。
少女「……」
女「……そろそろ?」
少女「……はい」
女「そっか」
少女の消える時が来た。
女「うん、それは大丈夫」
少女「……」
女「……」
少女「……」
女「……ごめん、本当は怖い」
ぶるってるよ。あの日、外に出られたのが奇跡みたい。
超怖い。怖すぎて泣きそう。
あと吐きそう。
でも、と私は言う。
女「でも、それでいいんだよね」
女「怖くても、いいんだよね」
少女「はい……。はい……!」
少女「そうですね……わたしも。たの、たのしっ……」
女「あーもう、何泣いてるのよ……」
少女「だっ、だって、わた、わたしっ、ほんとにたのしかったっ……!」
女「……うん」
少女「まっ、またっ、誰かとおしゃべりできてっ、うれっ、うれしかったっ……!」
女「うん」
少女「女さんっ、ありっ、ありがとうございっ……っ、うぇえええええ!」
女「それは私のセリフだよ。ありがとね」
そう言って私は少女の頭をなでた。
触れないけど。すりぬけないように優しく、優しくなでた。
女「きみのおかげで、ちゃんと生きていけそう」
女「弱いままでもいいんだなって、思えた」
女「でも、弱いままだと癪だから、少しずつ強くなっていこうと思う」
女「全部、きみのおかげ。ありがとう」
本当に。
ありがとう。
女「ほんっ……と、に……う、うぇえええええん!!」
ああ、もう。駄目だ。
涙が止まらないじゃないか。
六畳間で泣き虫がふたり、子供みたいに泣いていた。
少女「わたっ、わたしっ、もう消えちゃいますけど……消えても、ここにいますからっ……」
女「ふふ、なにそれ」
少女「消えても、ずっと、女さんの、そばにっ……」
女「はいはい、見守っててね」
少女「ぜったい、ぜったいっ……」
女「もう、泣き虫なんだから」
人のことを言えた私ではないけど。
女「でも、そのうち転生? とかできるならしてね」
私はきみにも生きて欲しいんだから。
少女「はいっ……はいっ……」
そのあと、二人とも無言の時間がしばらく続いた。
先に口を開いたのは少女だった。
女「なーに?」
私も少女もぼろぼろ涙を流して、顔面はくしゃくしゃのぐしゃぐしゃだった。
ぶっさいくだなぁ……笑えてきてしまった。
だから、笑おう。最後くらいは、笑顔で。
少女との別れはとても、とても悲しいけど。
笑顔で、見送るのだ。
その気持ちが伝わったのかは知らないけど、少女も笑った。
お世辞にも笑顔とは言えないほど目は赤く、唇は震えていて、涙も止まっていなかったけど。
確かに笑っていた。
少女「今、幸せですか?」
私が今、幸せかだって?
そんなの聞くまでもないし、言うまでもないことだろう。
めっちゃ泣いてるの見りゃわかるでしょ。
これまでの日々を思い出す。
泣いたり、笑ったり、怒ったり、また泣いたり、そして笑った日々を。
楽しかった。
楽しかったんだ。
そんな日々とのさよならだ。
私の一番の友達がいなくなるんだぞ?
全然幸せなんかじゃないに決まってる。
それをわかってないなんて、ほんと、世話の焼ける……。
どうやら、ちゃんとはっきり言ってやらないといけないようだ。
女「ちょー幸せだよ、ばーかっ」
女「おう。だから――ありがとね」
あなたに会えて、幸せだった。
最初は即興の嘘だったかもしれないけど。
あなたは私に幸せを運んできてくれた。
そんな嘘偽りない、座敷童子がそこにいた。
あなたのおかげで私は幸せだ。だから。
女「さようなら」
少女「さようなら」
そう微笑んで――少女は消えた。
とてもナイスなタイミングで。
これ以上ないってくらい、最高のタイミングで。
消えてしまった。
もう、二度と会うことはないだろう。
部屋を見渡す。
女「なんだ、結構広いじゃん」
あれだけ狭いと思ってたんだけどなぁ。
さて。
それじゃあ、そろそろ生きようか。
バイトもはじめて……そうだ。
お金がたまったら、専門学校に行くのもいいかもしれない。
手に職が欲しい。ちゃんとした職が。
今まで迷惑かけてごめんなさい。
それと、育ててくれてありがとう。
女「やることいっぱいだな……」
まずは……そう。
いいかげんに、コタツをしまわないとね。
ようやく私は重い腰を上げた。
少女が消えても、私は相変わらず弱っちいままだった。
すぐ泣くし、くだらないことで卑屈になるし。
弱音を吐くのも相変わらずだ。
そんな自分は嫌いだったし、周りの人もあんまり好きじゃない。
特にバイト先の店長なんてもう最悪。
でも、少しだけ頑張ろうって。
そんな風に思えるようになった。
生きづらいし、しょっちゅう死にたくなるし。
やっぱ世界はくそったれだと思う。
でも、捨てたもんじゃない。
それは確かだ。
女「あっついなー」
もう真夏だ。
半袖にする勇気はまだない、まだまだ弱い私だけど。
まあ別に、弱いからって生きてちゃいけないわけじゃないだろう。
とりあえず、適当に生きていくことにする。私はそこそこ幸せだ。
弱くて泣き虫で、意地が悪くて醜くて、自分も他人も大嫌いな少女がいた。
それでも私と違って世界が大好きな、とても優しくて、ホントは誰より綺麗だった。
そんな少女との日々を、私は決して忘れない。
女「さて、バイト行かないと」
玄関まで来て――ふと、振り返る。もちろん、そこには誰もいない。
でも、見えないだけでいるのだろう。
だから、
女「いってきます」
ドアを開ける。
目を焼くような光が私を包んだ。
Fin.
むしゃくしゃして書いた。
外に出るのってしんどいしマジ意味わかんねーけど
まあちょっとは良いことあるかもよって話。
支援ありがとうございました。
Entry ⇒ 2011.12.30 | Category ⇒ 男女「」SS | Comments (0) | Trackbacks (0)
マミ「大切な後輩」
http://engawa.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1325162134/
まどか「ううん、あんまり待ってないから大丈夫」
マミ「そう、ありがとう」
まどか「てへへ、じゃあ行きましょうよ、魔法少女体験コース」
マミ「…ええ、それじゃあ行きましょうか」
まどか「はい」
まどか「何ですか?」
マミ「本当にいいの?」
まどか「えっ?何が…ですか?」
マミ「こうやって私についてきて、危険な目にあって」
まどか「え?それは…」
マミ「私から誘っておいて言うのは悪いかもしれないけれど、やっぱり危険なことだから」
マミ「私は…鹿目さんがこうやって私と一緒にいてくれるだけで嬉しいの」
マミ「だから…」
まどか「マミさん、そんなこと言わないで?」
マミ「えっ?でも」
まどか「私はまだこうやってマミさんの後をついて行くだけですけど」
マミ「鹿目さん…」
まどか「それに、マミさんは私の憧れの先輩ですから!」
まどか「私、マミさんのような魔法少女になるのが夢なんです」
まどか「だから今はマミさんの後ろをついていくだけだけど…」
まどか「いつかマミさんと一緒に戦えたらとっても嬉しいなって」
まどか「てへへ」
マミ「ありがとう…」
まどか「はい、じゃあ行きましょうよ!」
マミ「ええ、そうね」
マミ(憧れの先輩かぁ…憧れるほどのものじゃないわよ、私…)
マミ(無理してカッコつけてるだけで、怖くても辛くても、誰にも相談できないし、一人ぼっちで泣いてばかり)
マミ(鹿目さんが一緒にいてくれるのがすごく嬉しいの)
マミ(…だから、鹿目さんにカッコ悪いところみせてられないわよね)
マミ(がんばらなきゃ、そしてならなきゃね)
マミ(鹿目さんの憧れの先輩にね)
マミ(鹿目さんの前ではしっかりしてなきゃ!)
まどか「すごい…!」
マミ「…」
まどか「マミさん?」
マミ「…ふふっ、今日はこんなところね!」
まどか「やっぱりマミさんはカッコいいですよ」
マミ「そうかしら?」
まどか「はい、憧れちゃいます!」
マミ(…本当にこれで良いのかしら?)
マミ(魔法少女になることは正直あまり良い事じゃないのは分かってる)
マミ(私の場合は選択の余地がなかっただけ…それだけなの)
マミ(でも、鹿目さんは家族も友達もいる…魔法少女になるべきじゃないわ)
マミ(…やっぱり、止めましょう)
マミ(これ以上、鹿目さんを巻き込むわけにはいかないわ)
まどか「マミさん!この後はどうします?」
マミ「えっ?」
まどか「実はその…ちょっとお腹空いちゃって」
マミ「鹿目さん…」
まどか「てへへ、だからその…何処かに寄って行きませんか?」
マミ(…その後でいいわね)
マミ「ふふ、仕方ないわね。じゃあ行きましょうか?」
まどか「はいっ」
マミ(…今はまだ、ひとりぼっちじゃないんだから)
マミ「いただきます」
まどか「うん、おいしー」
マミ「ふふっ」
まどか「ねえ、マミさん」
マミ「どうしたの?」
まどか「私、魔法少女の衣装を考えて来たんです」
マミ「えっ?」
マミ「うん…」
マミ(鹿目さん…やっぱり魔法少女になるつもり、なのよね)
マミ(私は…)
まどか「いろいろ考えたんですけど、やっぱりそれが一番可愛いかなって」
マミ(鹿目さんは魔法少女になるべきじゃない…)
マミ(ここは…心を鬼にして)
マミ「…ダメね」
まどか「…えっ?」
マミ「鹿目さん、やっぱりこれじゃダメよ」
まどか「あっ…やっぱり、えーと…は、派手…だったかな?」
まどか「じゃあその…次のページの!」
マミ「…違うの」
マミ「違うの、衣装のことは今は関係ないわ」
まどか「え?」
マミ「…鹿目さん、あなたはやっぱり魔法少女になっちゃダメ」
マミ「魔法少女になるべきじゃないのよ」
まどか「え、そ…そんな…何で…」
まどか「こんな私でも、誰かの役に立てるなら…!」
マミ「ダメよ、鹿目さん…それじゃダメなのよ」
まどか「なんで…?キュゥべえは私に魔法少女の素質はあるって言ってたし…」
まどか「私が魔法少女になれば…マミさんと一緒に戦えるから…」
マミ「…それはそうだけど」
マミ「あっ…」
まどか「嬉しいって…言ってくれたから、私は…」
マミ「…あの時は確かにそう思ったわ、でも今は…違うの」
マミ(ううん、本当は今でもそう思ってる、だけど…)
まどか「そんな…私、がんばりますから!」
まどか「えと…その…マミさんの、マミさんと一緒に戦いたいんです」
マミ(ありがとう)
まどか「だから…」
マミ(でも)
マミ「鹿目さん、あなたは魔法少女になっちゃダメ、これは譲れないわ」
まどか「マミさんっ」
マミ「…ねぇ、鹿目さん?私が何を望んでキュゥべえと契約したかは話してなかったわよね?」
まどか「えっ?それは…は、はい」
まどか「え…?」
マミ「…交通事故」
まどか「あっ…!」
マミ「お父さんとお母さん…そして私は交通事故にあったの」
マミ「そして、その時にキュゥべえがやって来たの」
マミ「何でも1つ願い事を叶えてあげるってね」
マミ「…ええ、『生きたい』これが私の願い事なの」
マミ「あの時は必死だったから、そうする以外になかったのよ」
まどか「マミさん…」
マミ「…お父さんも、お母さんも救えたかもしれない」
マミ「家族みんな助かったかもしれないけれど…でも、あの時の私は…」
マミ(助かってしまったから…)
マミ「私は魔法少女として生きて、戦ってるの」
まどか「…」
マミ「私は家族も仲の良いお友だちもいないわ…」
マミ「平穏な毎日もね」
マミ「だけど、鹿目さん…あなたは持っているの」
まどか「私は…」
マミ「だから鹿目さんは魔法少女になるべきじゃない」
マミ「なっちゃダメなの、たとえ素質があったとしても…」
マミ「だから分かって?魔法少女になってほしくないの」
まどか「…嫌です」
マミ「…え?」
まどか「…やっぱり私、魔法少女になります」
まどか「私…」
マミ「だって、鹿目さんは持ってるのよ?」
まどか「マミさん…」
マミ「家族もお友だちも!楽しい毎日も!」
マミ「私が持ってないものを持ってるのに!なんで?」
まどか「…だって、可哀想じゃないですか」
まどか「だって…マミさんは辛い思いをして、毎日一人で戦って…」
マミ「…可哀想って」
まどか「そんなマミさんの力に、仲間になれるなら、私っ…!」
マミ「同情はやめてよ…」
まどか「えっ?」
マミ「そんなこと言わないで!」
まどか「マミさん…?」
まどか「えっ…?」
マミ「魔法少女の何が分かるのよ?」
まどか「あっ、いや…それは…」
マミ「分からないでしょ?あなたには何も!」
マミ「私の気持ちなんて分かるわけないのよ…っ!」
まどか「ま、マミさん…」
マミ「そんな理由で魔法少女にならないで!」
まどか「う…」
マミ「魔法少女なんて良いものじゃないのよ?」
マミ「いつ死ぬかも分からないし、怖いのよ…」
マミ「さっきの戦いだって…本当は怖かったの」
まどか「っ…」
まどか「えっ?」
マミ「あなたの前でカッコ悪いところ見せたくなかったから…それを表に出さなかったの…!」
まどか「私がいたから…?」
マミ「本当は嫌なのよ!魔女と戦うのはっ…」
マミ「でも…戦うしかないじゃない…!」
マミ「私は…魔法少女なんだから…」
マミ「それが魔法少女なの!」
マミ「それがあなたに分かるの?」
まどか「私は…」
マミ「分からないでしょ?毎日家族やお友だちと平和に過ごしてきたあなたには!」
まどか「うぅ…」
マミ「なのに軽々しく可哀想だとか…魔法少女になるとか言わないで!」
マミ「言わないでよ…!」
マミ「…え?」
まどか「ごめ…な…さい…」
まどか「ごめんなさい…」ポロポロ
マミ「…あっ」
マミ(私…なんてことを…)
まどか「ごめんなさい…マミさん…ごめんなさい…」
マミ「鹿目さん…」
マミ(なのに…私…鹿目さんに…)
まどか「うぅっ…ぐすっ…」
マミ「…その」
まどか「私…帰ります…」
マミ「あっ」
まどか「ごめんなさい…マミさん…」
まどか「…さようなら」タタッ
マミ「…最低よ、私」
マミ(鹿目さんに八つ当たりなんかして…本当に最低だわ)
マミ(なんであんなことを…)
マミ(鹿目さんは私の為に言ってくれたのに…分かってるのに…)
マミ(なんで…私は…)
マミ(やっぱり私…ダメな子だ…)
マミ「…キュゥべえ」
キュゥべえ「まどか、泣いてたじゃないか」
マミ「見ていたの…?」
キュゥべえ「うん、そうだよ」
マミ「…」
キュゥべえ「まどかは君のことを思って気を使ったんじゃないのかい?」
キュゥべえ「だから願い事も決めてないのに、魔法少女になるって言ってるんだと思うよ」
キュゥべえ「じゃあ尚更だ、何故あんなことを言ったんだい?」
キュゥべえ「あれじゃ、まどかが可哀想だと思うよ」
マミ「私にも…よく分からないの」
キュゥべえ「と言うと?」
マミ「私…本当は仲間が欲しい」
マミ「ひとりぼっちは…寂しいの」
マミ「それは…」
キュゥべえ「まどかが魔法少女になって、マミと組めばいい」
キュゥべえ「そうすれば多かれ少なかれ怖くはなくなるだろう?」
マミ「…」
キュゥべえ「君は怖いって言ってたじゃないか」
マミ「っ…」
キュゥべえ「でもそれは至って普通のことだよ」
キュゥべえ「だから、そのことは気にしないでいいと思うな」
マミ「…違うの、そうじゃないわ」
キュゥべえ「じゃあ何なんだい?」
マミ「鹿目さんが仲間になってくれるのは嬉しいの…本当に嬉しい」
マミ「…でも嫌なのよ、仲間になってほしくない」
キュゥべえ「わけがわからないよ」
マミ「私は仲間が欲しい…鹿目さんと一緒にいたいの」
キュゥべえ「でもそれが嫌なんだよね?」
マミ「…ええ」
キュゥべえ「どうして?」
マミ「それは…」
キュゥべえ「でもマミは仲間が欲しいんだよね?」
マミ「…うん」
キュゥべえ「じゃあ、まどかに魔法少女になって貰えばいいじゃないか」
キュゥべえ「まどかもそう言っているんだよ?」
マミ「でも…それがダメなのよ」
マミ「鹿目さんは…私と違って、魔法少女にならなきゃいけない立場じゃないわ」
マミ「ただ素質があるだけ、それだけなの」
マミ「鹿目さんには家族もお友だちもいるんだから…」
マミ「それらを犠牲にしてまで、魔法少女になる必要はないのよ…!」
マミ「なのに…鹿目さんは…」
キュゥべえ「でもそれは、まどか自身が決めたことじゃないか」
マミ「…ううん、私が鹿目さんを誘ったりなんかしたからよ」
マミ「最初に鹿目さんを助けた時…あの時に私が鹿目さんを誘わなければ…」
キュゥべえ「なんで誘ったんだい?」
マミ「だって…キュゥべえ、あなたが鹿目さんには素質があるなんて言うから…」
マミ「内心喜んじゃって…だから魔法少女体験コースだなんて言って」
マミ「鹿目さんを誘って…」
キュゥべえ「特に問題はないじゃないか」
マミ「ううん、あるわよ」
マミ「だって鹿目さんは魔法少女になる必要なんてないんだから…」
キュゥべえ「必要?」
マミ「鹿目さんは魔法少女にならなきゃいけない立場じゃないの」
マミ「なのに…私は軽々しく鹿目さんを誘って…巻き込んで…」
マミ「私が寂しかったから…それだけの理由で鹿目さんを巻き込んだの」
マミ「そして…鹿目さんはそんな私なんかの為に一緒に戦うって言ってくれて…」
マミ「嬉しいのに…嫌なの…嫌なのよっ…」
マミ「鹿目さんと一緒に戦いたい…ひとりぼっちは寂しい…」
マミ「だけど…鹿目さんは巻き込みたくない…こんな思いをさせたくないの…」
マミ「私…分からない…どうすればいいの…?」
キュゥべえ「僕に聞かれても困るんだけどなぁ」
マミ「キュゥべえ…!」
キュゥべえ「僕はあくまで君たち少女に契約をお願いするだけだ」
キュゥべえ「無理に契約を迫ることはしないし、それ以外特になにかをするわけでもない」
キュゥべえ「だから、僕はどうすることも出来ないよ?」
マミ「キュゥべえ…私…どうすれば…」
キュゥべえ「だから」
キュゥべえ「…僕はそろそろ帰らせて貰うよ」
マミ「待って」
キュゥべえ「君たち人類はやっぱり分からないな」
キュゥべえ「感情なんてものがあるからそうなるのかな?」
マミ「キュゥべえ…」
キュゥべえ「とにかく、僕は失礼するよ」
マミ「…」
マミ(私…なんでこんなにダメなんだろう…)
マミ(やっとできた後輩…それも優しくてとっても良い子)
マミ(そんな大切な後輩を誘って…危険に巻き込んで…)
マミ(一緒に戦ってくれるって言ってくれたのに…)
マミ(なのに私は…八つ当たりなんかして…)
マミ(お父さん…お母さん…私はどうすればいいの?)
マミ(ひとりぼっちは…寂しいよ)
まどか「マミさん…私は…」
まどか(どうしよう…マミさんを傷付けちゃったよ…)
まどか(マミさんはとっても辛い思いをして戦ってるのに…)
まどか(何も知らない私が…同情しちゃったからダメなの…?)
まどか(私…マミさんに助けて貰って、憧れて…)
まどか(マミさんの力になりたかった…だから魔法少女になろうって思ったのに…)
まどか(マミさんに怒られて…あのマミさんを怒らせちゃって…)
まどか(私はただ、マミさんの力になりたかっただけなのに…)
まどか(…でも、マミさんの言う通りなんだよね?)
まどか(何も知らない私なんかが軽々しく魔法少女になるなんて言っちゃ…ダメだよね?)
まどか「マミさん…」
まどか「…キュゥべえ?」
キュゥべえ「入っていいかい?」
まどか「…うん」
キュゥべえ「まどか、さっきの様子を見させてもらったよ」
まどか「マミさんとの…?」
キュゥべえ「うん、マミは自分でもよく分かってないみたいだったけどね」
まどか「…マミさん」
まどか「うん…でも」
キュゥべえ「マミはずっと1人で戦ってきたからね」
キュゥべえ「学校が終わったら遊びもせずにすぐパトロール」
キュゥべえ「内心は怖がっていても魔女と戦いたい続けて」
キュゥべえ「家に帰っても1人、帰りを待つ人なんていない」
まどか「…」
キュゥべえ「あんなに僕を楽しみに待っていてくれる魔法少女なんてマミが初めてだよ」
まどか「…そうなんだ」
キュゥべえ「だから僕も時間があれば極力マミに会いに行っているんだけどね」
まどか「…優しいんだね」
キュゥべえ「それほどでもないよ」
キュゥべえ「でも、今日みたいなマミを見たのは初めてだ」
キュゥべえ「きっと今までのストレスや鬱憤が溜まっていたんだろうね」
まどか「マミさん…」
キュゥべえ「だから、マミを許してあげてくれないかな」
まどか「…許すもなにも、悪いのは私だから…」
キュゥべえ「まどか、君もマミと似ているね」
キュゥべえ「君たち人類は分かりかねることが多い」
キュゥべえ「さっきの出来事は一見すれば悪いのはマミだ」
キュゥべえ「でもそうとは思わないんだろう?」
まどか「…うん」
キュゥべえ「わけがわからないよ」
まどか「だって、私がマミさんの気持ちを考えないであんなこと言ったから…」
まどか「なに…?」
キュゥべえ「まどか、君は僕と契約して魔法少女になってもいいのかい?」
まどか「…」
キュゥべえ「さっきマミにはそう言っていたよね」
まどか「あれは…」
キュゥべえ「僕は準備できているよ」
まどか「私…」
キュゥべえ「まどか、君は何を願う?」
まどか「…ごめんね、キュゥべえ」
キュゥべえ「ん?」
まどか「私…やっぱり魔法少女にならない…」
キュゥべえ「どうして?」
まどか「…マミさんがここにいたら絶対なっちゃダメだって言うと思うの」
キュゥべえ「でも契約をするかしないかを決めるのはマミじゃない」
キュゥべえ「まどか、君自身が決めるんだよ」
まどか「わかってる…わかってるけど」
まどか「でも、やっぱりなっちゃダメかなって思うんだ」
まどか「だから私、やっぱり…魔法少女になれない…」
まどか「なりたく…ないよ」
キュゥべえ「そうかい、わかったよ」
まどか「キュゥべえ…」
キュゥべえ「僕も無理して君と契約するつもりはない」
キュゥべえ「君が魔法少女になるつもりがないのなら、ここでお別れだね」
キュゥべえ「まだマミと関わるのなら会うことはあるかもしれないけどね」
キュゥべえ「それじゃあ元気でね」
まどか「…待って」
キュゥべえ「ん?」
まどか「キュゥべえ…お願いがあるの」
まどか「う、うん」
キュゥべえ「願い事かい?それなら…」
まどか「あっ、その…そうじゃないの」
キュゥべえ「じゃあ何なんだい?」
まどか「えぇと…マミさんのこと、なんだけどね?」
まどか「魔法少女にならないで…マミさんの力になる方法ってないのかな?」
まどか「うん、こんな私でもマミさんの力に…マミさんの役に立てるんだったら」
まどか「それをしたい…少しでもマミさんに恩返しがしたいんだ」
キュゥべえ「…」
まどか「キュゥべえ、ちょっとでもいいから…何かないかな?」
まどか「私、がんばるから…!」
まどか「えっ?」
キュゥべえ「僕たちは君たちに魔法少女になる契約をするだけ」
キュゥべえ「それ以外には極力干渉しないようにしているんだ」
キュゥべえ「だから」
まどか「で、でもっ!」
まどか「キュゥべえは…マミさんに…」
まどか「キュゥべえ、お願い…!」
キュゥべえ「…やれやれ、仕方ないね」
まどか「キュゥべえ…!」
キュゥべえ「ヒントだけだからね」
まどか「えっ?」
キュゥべえ「マミは本当はすごく寂しがっているんだ」
キュゥべえ「帰りを待つ人がいない家で今も泣いてるんじゃないかな」
キュゥべえ「まどか、君は魔法少女になる以外にもマミを助けることはできるだろう?」
まどか「あっ…!」
キュゥべえ「マミは1人で寂しがっているんだ、だったら…」
まどか「だったら…!」
キュゥべえ「後はわかるね?」
まどか「…うん」
キュゥべえ「じゃあ、僕は失礼させてもらうよ」
キュゥべえ「マミを宜しく頼むよ」
まどか「ありがとう、キュゥべえ…!」
まどか「私…がんばるよ!」
マミ「はぁ…」
マミ「私…ほんとにダメな子ね…」
マミ「せっかく出来た大切な後輩なのに…」
マミ「もう…鹿目さんに会わせる顔がないわ…」
マミ「また…ひとりぼっち、か」
マミ「…キュゥべえ、寂しいよ」
マミ「側にいてよ…キュゥべえ」
マミ「えっ?」
キュゥべえ「やれやれ、家にいないと思ったらこんな所にいたんだね」
マミ「キュゥべえ…!」
キュゥべえ「ん?」
マミ「キュゥべえ!」ダキッ
キュゥべえ「…」
マミ「キュゥべえ、寂しい…寂しいの…!」
マミ「また私…ひとりぼっちになっちゃうよ…」
キュゥべえ「…悪いけど、お断りさせてもらうよ」
マミ「えっ?なんで…?」
キュゥべえ「僕たちはこう見えて忙しいんだよ」
マミ「でも、私にはキュゥべえしかいないの…」
キュゥべえ「そうかな?」
マミ「それにお友だちだって…」
キュゥべえ「マミ、はっきり言わせて貰うよ」
マミ「えっ?」
キュゥべえ「そうやって自分から孤立するのは良くないよ」
マミ「…どういうこと?」
キュゥべえ「もっとしっかり周りを見てごらんよ、答えはそこにあるから」
マミ「えっ?」
キュゥべえ「またね」
マミ「あっ、待って!」
マミ「…キュゥべえ?」
マミ「私…ひとりぼっち…」
マミ「はぁ…」
マミ(…でも、こうやって何時までもくよくよしてられないわ)
マミ(ひとりでも、強く生きるって決めたんだから…!)
マミ(ひとりでも…)
マミ「…帰りましょう」
マミ「…」ガチャッ
マミ「あ、あれっ?」
マミ(うそ…?鍵を開けっ放しにしていたのかしら?)
マミ(それとも…泥棒?)
マミ(ど、どうしよう…泥棒だったら…)
マミ(そ、そうだわ、変身すれば負けないはずよ…!)
ガチャッ
マミ「きゃっ?」
まどか「あっ、おかえりなさい!」
マミ「…え?」
まどか「てへへ、この前教えてもらった隠し場所から鍵、取っちゃいました」
マミ「か、鹿目…さん…?」
まどか「ごめんなさい、勝手にお邪魔しちゃって」
まどか「マミさん!私、お料理作ってきたんです!」
マミ「えっ?お料理…?」
まどか「はい!…と言っても急だったからパパに頼んで一緒に作ってもらったんですけど」
まどか「急いで持ってきたらマミさんお留守だったから、勝手に入っちゃいました」
まどか「ごめんなさい」
マミ「え…あ…いや…」
まどか「マミさんのお家なんだけど」
マミ「そ、そうね…」
まどか「マミさん、おかえりなさい」
マミ「た…ただいま」
まどか「てへへ」
マミ「鹿目さん…何で…?」
まどか「あっ!準備してきますね」
マミ(何で…?何で鹿目さんが私の家に?)
マミ(私は鹿目さんに酷いことを言ったのよ?嫌われるようなことを…)
マミ(泣かせてしまったのよ?)
マミ(なのに、何で鹿目さんはここにいるの…?)
マミ(何で…)
まどか「どうぞ、サンドイッチです!さっきはあんまり食べられなかったし、大丈夫だよね?」
マミ「…ええ」
まどか「ごめんなさい、私…まだちゃんとお料理できなくて」
まどか「簡単なものしか作れないから…」
マミ「ううん、ありがとう」
まどか「あっ…えへへ」
マミ「ええ、頂くわ…でもその前に」
まどか「えっ?」
マミ「…鹿目さん、どうしてここにいるの?」
まどか「それは…隠し鍵を使ったから…あっ、ご、ごめんなさい!」
まどか「勝手にお邪魔しちゃって…」
マミ「ううん、それはいいの」
まどか「えっ?なら…」
マミ「そうじゃなくて…なんで私に会いに来たの?」
マミ「鹿目さん?私はあなたに酷いことを言ったのよ?」
マミ「日頃の鬱憤を何の罪もないあなたにぶつけたの」
マミ「嫌われて当然のことをしたのよ?」
マミ「なのになんで…鹿目さんはそんな私のところに…」
マミ「なんで…?」
まどか「私、マミさんのこと嫌いになんかなってないですよ?」
まどか「それに、あれは私が悪かったから…」
まどか「だから、ごめんなさい」ペコッ
マミ「そ、そんな!頭を上げて?」
まどか「でも…」
マミ「あれは鹿目さんは悪くないわ、全部私が悪いの」
まどか「じゃあ…許してくれるんですか?」
マミ「ええ、もちろんよ」
マミ「いえ…むしろ謝るのは私の方よ」
マミ「鹿目さん、ごめんなさい」ペコッ
まどか「ま、マミさんっ?」
マミ「全部…全部私が悪いの」
マミ「勝手に鹿目さんを巻き込んで、八つ当たりして、泣かせてしまって…」
マミ「先輩として…ううん、人として最低なの、私は…」
マミ「ごめんなさい…」
まどか「や、やめて?マミさんっ!」
マミ「ううん、やめられないわ」
マミ「だって、私は…私は…」
マミ「うぅっ…」ポロポロ
まどか「あっ…マミ…さん…?」
マミ「鹿目さんの前では…カッコ悪いとこ見せたくなかったのに…」
マミ「カッコ悪いとこどころか、酷いことをしてしまって…」
マミ「私…私っ…」
まどか「マミさん…ね?やめてくださいよ」
まどか「マミさんは悪くないから…!」
まどか「マミさんは何も悪くないし、それに…誰もマミさんを責める資格なんてないよ」
まどか「マミさん、いっつもみんなの為に戦ってくれてありがとうございます」
マミ「鹿目…さん…」
まどか「なんて言われてもやっぱり、マミさんは憧れの先輩だよ?」
まどか「強くてカッコいい、そんな先輩なの」
まどか「だって、マミさんだから」
マミ「…え?」
まどか「私が憧れた先輩はマミさんだけだもん」
マミ「鹿目さん…?」
まどか「今日は…ちょっと問題があったかもしれないけど、それは変わらないから」
まどか「だから、マミさんは今までも、そしてこれからも私の憧れの先輩なんですよ」
まどか「てへへ」
マミ「…ふふっ、何でだろう…まだ涙が止まらないの」ポロポロ
マミ「嬉しいのに…!」
まどか「…マミさん、なんならいっそのこと」
まどか「思いっきりないちゃえばいいんだよ」
マミ「えっ?」
まどか「今日は…ううん、今日からは私がいるから」
まどか「もうマミさんはひとりぼっちじゃないから」
まどか「だから…ね?」
まどか「えっ?」
マミ「やっぱり、カッコ悪いとこみせられないものね!」
まどか「…ふふっ、そうですね」
マミ「ええ、それよりも…」
まどか「?」
マミ「その、『今日からは私がいるから』ってどういう意味なの?」
まどか「あぁ、それは…」
まどか「魔法少女にならないで、マミさんの力になる方法をね」
マミ「魔法少女にならないで?」
まどか「はい、キュゥべえがヒントをくれたんですよ?」
マミ「キュゥべえ…!」
まどか「…私に出来ることは限られてるかもしれないけど、出来ることはあるから」
まどか「出来ることは全部やろう、って決めたんです」
まどか「その…なんて言うか…えぇと」
まどか「マミさんの帰りを待つと言うか…一人にしないって言うのかなぁ…んと…」
まどか「とにかく、マミさんと一緒にいるって決めたんです」
マミ「私と一緒にいる…」
まどか「うん、いっつもは無理でも、放課後とか空いてる時間は全部!」
まどか「うちは門限とか厳しくないから、たぶん大丈夫」
まどか「だから、一緒にご飯食べたり遊んだりできたら」
まどか「それはとっても嬉しいなって!」
マミ「鹿目さん…」
まどか「…ダメ、ですか?」
マミ「…」
まどか「マミさん?」
マミ(それも幸せな…ね)
マミ(そっか、私…ひとりぼっちじゃなかったのね)
マミ(こんなに近くに、私のことを思ってくれる人がいるんだものね)
マミ(キュゥべえが言っていたことはこのことなのかしら?)
マミ(…ありがとう、キュゥべえ)
マミ(鹿目さん!)
まどか「あっ…」バァッ
マミ「ふふっ、まだ涙が止まらないわ…」ポロポロ
マミ「でも嬉しい…嬉しいの」
まどか「マミさん…!」
マミ「でもいいの?お家の人に迷惑じゃない?」
まどか「ううん、パパもタツヤも歓迎だって」
まどか「それに、ママも絶対歓迎してくれるよ」
マミ「ふふ、そっか」
まどか「いつでも…毎日でも歓迎しますから!」
マミ「ええ、でもさすがに毎日はね…」
まどか「大丈夫ですよ?」
マミ「ううん、寂しくなった時は遠慮せずにお邪魔させてもらうわ」
まどか「…はいっ!」
マミ「ふふっ、ありがとう」
まどか「てへへ」
まどか「何ですか?」
マミ「このサンドイッチ、2人で食べましょう?」
まどか「…うん!」
マミ「ふふ、いただきます」
まどか「いただきます」
まどか「…どう?美味しいですか?」
マミ「ええ、とっても」
マミ「今までで一番のサンドイッチよ!」
まどか「えへへ、やった!」
マミ「お待たせ、今日も授業が長引いちゃって」
まどか「ううん、それにまだ私しか来てませんから」
マミ「美樹さんと志築さんはまだなの?」
まどか「はい、ちょっとあって」
マミ「そう、今日は4人で帰られないのかしら?」
まどか「そうですね、4人じゃ帰られませんね」
まどか「だって、今日からは5人になるだから!」
マミ「えっ?5人?」
まどか「うん、今日うちのクラスに転校生が来たんですよ」
マミ「そう、その子と仲良くなったのね?」
まどか「はい!暁美ほむらって名前で可愛いんですよ」
マミ「なら、私も仲良くならなきゃね」
まどか「そうですね!」
マミ(それに、もう魔法少女体験コースは止めたの)
マミ(やっぱり鹿目さんに危険な目をあわせる訳にはいかないからね)
マミ(でも、私はひとりぼっちじゃない)
マミ(私には帰りを待っていてくれる人が、お友だちが)
マミ(鹿目さんがいるから)
マミ(だから私はもう、ひとりぼっちじゃないのよ)
マミ(離れていても、私には大切なお友だちがいるのだから、ね)
マミ(だからもう何も怖くない)
マミ(私がこの子達を、見滝原を守るんだからね)
マミ(負けるもんですか)
まどか「あっ、来た」
仁美「まどかさん、マミさん。すみません、遅れてしまって」
マミ「ううん、いいのよ?」
ほむら「ぁ…」
さやか「ほーら、ほむら自己紹介しのよ?」
ほむら「は、はい…」
マミ「ふふっ」
仁美「ほむらさん、大丈夫ですよ」
さやか「やっぱ緊張しちゃうか」
まどか「ほむらちゃん、私が変わりにしてあげよっか?」
ほむら「…ぅ、うん」
まどか「ほむらちゃん、この人が巴マミさん」
まどか「大切な先輩」
まどか「そして大切なお友だちなの」
マミ「ふふっ」ニコニコ
まどか「そして…マミさん、この子が暁美ほむらちゃん」
マミ「暁美さんね?」
ほむら「は、はい」
マミ「巴マミです、よろしくね?」
ほむら「あ、暁美ほむらです…よ、よろしくお願いします」
さやか「よーし!今日からは5人で下校決定だね!」
仁美「そうですわね」
ほむら「うん…」
まどか「今日からはますます騒がしくなるね」
マミ「ええ、でも楽しいわ」
まどか「そうですね」
マミ「ありがとう、鹿目さん…あなたのおかげよ?」
まどか「てへへ、そうですか?」
マミ「鹿目さん、美樹さん、志築さん、そしてこれからは暁美さんも」
マミ「みんな、私にとって…」
マミ「大切な後輩」
マミ「そして大切なお友だちなんだからね」
まどか「えへへ、私も同じですよ」
さやか「さやかちゃんも!」
仁美「私もですわ」
ほむら「あ…」
仁美「ええ」
さやか「そうそう、これからどんどん仲良くなっちゃいますからね!」
ほむら「みんな…」
マミ「ふふっ、ね?」
ほむら「うん…!」
マミ(だから例えどんな魔女が相手でも私は負けない)
マミ(この宝物を絶対に守ってみせるんだから)
マミ(どんなに大きな壁があっても、越えてこせるから…!)
マミ(だから…もう何があっても)
マミ(怖くない!)
おわり
マミ(あれから数ヵ月が経ったわ)
マミ(あの後、ワルプルギスの夜…とてつもなく強い魔女が見滝原に現れたの)
マミ(私一人では間違いなく勝てなかったわ)
マミ(…でも)
ガチャ
杏子「ただいまー」
杏子「ほら財布、言われたもん買って来たぞ」
マミ「いつもありがとう」
杏子「なーに、こっちは居候させてもらってんだからさ」
杏子「お使いくらい頼まれてやるさ」
マミ「ふふっ」
杏子「で、今日は何を作るんだ?」
マミ「材料で分からなかった?」
マミ「今日はね」
ピンポーン
杏子「ん?」
マミ「あら、もう来たみたいね」
杏子「誰か来るのか?」
マミ「ええ、実はね?今日はパーティーなの」
杏子「えっ?マジかよ!」
マミ「ふふ、だから待ってて?」
さやか「こんにちはー!」
ほむら「こんにちは」
マミ「みんな、いらっしゃい」
マミ「さあ、入って?」
仁美「はい、お邪魔しますわ」
まどか「えへへ、お邪魔しまーす」
杏子「おっ、さやか達じゃねーか」
杏子「なんだよ、久しぶりじゃんか」
さやか「えぇ?4日ぶりくらいでしょ?」
杏子「そうか?」
さやか「あんた、普段寝てばっかだから感覚ずれてんじゃないの?」
杏子「なんだと?」
マミ「まぁまぁ、佐倉さんは最近勉強を始めたのよ?」
さやか「えっ?マジっすか?」
杏子「…まあな」
杏子「いや…」
マミ「学校はいろいろあって入学が難しいの」
マミ「だから私が佐倉さんに教えてるの」
さやか「へぇー」
まどか「これが本当の家庭教師だよね」
ほむら「うん、そうだね」
仁美「ふふっ」
杏子「あー…それは」
マミ「高校よ」
さやか「えっ?高校?」
マミ「高校ならなんとか入ることができそうなの」
マミ「だから、入試に向けて私が教えているのよ」
さやか「マジ?」
杏子「…ああ」
さやか「えっ?なら…」
ほむら「私たちと同学年になるのかな?」
まどか「うん、そうだよ」
さやか「へぇー、杏子がねぇー」
杏子「ま、マミのやつが無理矢理!」
仁美「杏子さん、一緒に頑張りましょうね」
杏子「…ああ」
杏子「えっ?あたしの?」
まどか「うん、みんなで杏子ちゃんを応援するパーティーなんだよ」
さやか「そう、だから感謝したまえ?」
仁美「私たちもこれからは一緒にお勉強致しますわ」
ほむら「わ、私も…!」
杏子「みんな…」
まどか「あっ、手伝います」
まどか「ほむらちゃん、行こっ?」
ほむら「うんっ」
仁美「私も」
さやか「あたしもやるやるー」
マミ「みんな、ありがとう」
マミ「先に始めてて?」
まどか「はーい」
マミ「そう?みんな喜んでしてくれるわよ?」
杏子「いや…こんなあたしなんかの為にさ」
マミ「ふふっ、みんなお友だちでしょ?」
杏子「…ああ、そうだな」
マミ「それにね?佐倉さん、あなたは私にとって最初の」
マミ「大切な後輩」
マミ「そしてお友だちでもあるの」
杏子「マミ…」
杏子「いや、あたしこそ…ごめんな?」
杏子「そして、ありがとね」
マミ「うんっ」
杏子「へへっ」
まどか「マミさーん、杏子ちゃーん」
マミ「呼ばれたことだし、私たちも行きましょうか」
杏子「ああ!」
マミ(未来を描くために、ね)
マミ(これからも大変なことはたくさんあるだろうけど)
マミ(明日を信じて祈るの)
マミ(ずっとみんなと仲良くいられますように、ってね)
マミ(だからもう何があっても挫けないわ)
マミ(絶対に、ね)
おわり
本当に良かった
Entry ⇒ 2011.12.30 | Category ⇒ まどかマギカSS | Comments (0) | Trackbacks (0)
シータ「パズーのカバンって何でも突っ込んでて不潔ね」パズー「」
\\ 八 千 年 過 ぎ た 頃 か ら も っ と 恋 し く な っ た //
\\ 一 億 と 二 千 年 後 も 愛 し て る //
\\ 君 を 知 っ た そ の 日 か ら 僕 の 地 獄 に 音 楽 は 絶 え な い//
_ _∩. _ _∩. _ _∩. _ _∩. _ _∩. _ _∩.
( ゚∀゚)彡 ( ゚∀゚)彡 ( ゚∀゚)彡 ( ゚∀゚)彡 ( ゚∀゚)彡 ( ゚∀゚)彡
( ⊂彡. ( ⊂彡. ( ⊂彡. ( ⊂彡. ( ⊂彡. ( ⊂彡
_ _∩. _ _∩. _ _∩. _ _∩. _ _∩. _ _∩. _ _∩.
( ゚∀゚)彡 ( ゚∀゚)彡 ( ゚∀゚)彡 ( ゚∀゚)彡 ( ゚∀゚)彡 ( ゚∀゚)彡 ( ゚∀゚)彡
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し ⌒J. し ⌒J. し ⌒J. し ⌒J. し ⌒J. し ⌒J. し ⌒J
お前らがナンバーワンだ
Entry ⇒ 2011.12.30 | Category ⇒ 版権物SS | Comments (0) | Trackbacks (0)
春香「皆でサバゲーですよ、サバゲー!」
春香、やよい、真、あずさ、美希、亜美
春香「765プロ~……ファイト~……」
やよい「うっうー! 目指すは一人撃破ですー!」
真「目標は、全員撃破だよっ」
あずさ「あらあら……ここはどこかしら~……?」
美希「絶対負けないの!」
亜美「真美と一対一してみたいなぁ……」
千早、雪歩、貴音、伊織、響、真美
千早「……さて、どうしようかしら」
雪歩「勇気を出さなきゃ……!」
貴音「積極的に、動くとしましょう」
伊織「さぁ、勝ちに行くわよ」
響「ハム蔵、頑張るぞっ」
真美「……活躍して、兄ちゃんに良いトコ見せよう……」
P「さあ、ルールの説明をするぞ」
P「今回のサバイバルゲームは、チーム対抗のポイント制だ」
P「各自支給された水鉄砲を武器に、決められたポイントに達するまで相手を倒し続ける」
P「水に濡れた選手は、10分間自陣にて待機。攻撃に参加してはいけない」
P「ちなみに、復帰直後を狙う待ち伏せ行為は禁止だ。アウトかセーフかのボーダーラインはこっちで決めるからな」
P「給水ポイントはフィールドに設置してあるから使ってくれ。ただし隙だらけになるのは覚悟すること」
P「さて、肝心の勝利条件は……9ポイントだ。一人撃破するごとに1ポイント加算されるぞ」
P「そして味方への誤射は、相手チームに1ポイント加算されることになる」
P「最後に制限時間。ゲーム開始から2時間だ」
P「時間切れとなった場合は、その時点でポイントの高いチームの勝利となる」
P「大まかなゲーム内容はこんなところだ」
P「場合によっては、敵に囲まれていたり、自陣から遠い位置にいたりするぞ」
P「次に各自に配られた携帯端末を見てくれ」
P「今回のフィールドの地図だ。点滅しているのが自分の位置だぞ」
P「そして赤チームは大きな赤丸、青チームは大きな青丸が表示されているはず」
P「それが自チームの陣地を指している。まずはそこに向かうといい」
P「何か質問がある場合は、競技中でも構わないから言ってくれ」
P「なるべく早く審議を行って返答するつもりだけど、御都合主義って物があるからそこは目を瞑ってくれよ」
P「ルールの説明は以上だ」
P「それでは、ゲームスタート!」
春香(まずはやっぱり自陣へ戻ることからだよね)
春香(誰かと合流して、そこから始めよう!)
千早(……まずは敵陣地へ向かおうかしら)
千早(地図には表示されてないけど、多分青陣地と真反対の方向にある)
千早(となると、ここからそう遠くない所にきっと敵の拠点が……)
やよい(よーっし……皆、お姉ちゃん頑張るからねっ)
やよい(とは言っても、一人じゃ厳しいから誰かと一緒に……)
雪歩「あ」
やよい「ふぇ?」
雪歩「……」
やよい「……」
雪歩「…………いやあああああああっ!!!」バシュバシュバシュ!
やよい「ひゃあぁっ!!!」バッ
やよい(雪歩さんは……えーとえーとえーと……敵だったはずです!)
真(今の……雪歩!?)
真(多分、こっちの方角だ!)ダッ
真(……見つけた! 雪歩だ!)
真「雪歩、悪いけど倒させて貰うよ!」
雪歩「ま、真ちゃん……!?」
やよい「真さぁん!」
真「やよい、無事で良かったよ。さぁ、行こう!」
やよい「は、はい!」
雪歩(1対2じゃ勝ち目ないし……真ちゃんが相手じゃ……)
雪歩「……っ」ギュッ
雪歩「えええええいっ!」バシュバシュ!
真「お……っと!」サッ
やよい「ひぃっ!」バッ
真「やよい! 無理しないで遠くから狙って!」
やよい「はいっ!」バシュン!
真「……ボクが突破するよ!」ダッ
雪歩「えいっ、えいっ!」バシュ
真「よしっ……」
雪歩「真ちゃんにだって……負けたくないっ!」ジャキッ
真「今だ……やよい!」
やよい「頂きですー!」バシュンッ!
雪歩「いつの間に、後ろに……」ガクッ
真「お疲れ様」
やよい「真さん……」
真「やよいのお陰で雪歩を倒せたよ、ありがとう」
やよい「……はい」
やよい(……真さんが居なかったら、絶対勝てなかったです……)
伊織「こっちが雪歩だったのもあるだろうけど、やってくれるじゃない、やよい」
伊織(でも決着が早い。不意打ちか、あるいは誰か味方が……?)
春香「うわぁ……すごいなやよい」
春香「よっし、私も頑張らないと!」
千早(居た……春香ね)
千早(外せばばれる。私の射撃もそこまで正確じゃないから、逃げられたら終りと思っていい)ジャカッ
千早(……恨まないで、春香)パシュンッ
P『春香、千早の攻撃により脱落。自陣へ』
P『赤チーム1ポイント。青チーム1ポイント』
あずさ「説明を聞く限り、本陣に戻った方が良さそうなんだけど……」
あずさ「どこかしら~……?」
P『あの、あずささん……ゲームが始まる前に渡した携帯端末を見てください……?』
P『自陣の情報が載ってますから』
あずさ「プロデューサーさん? あぁ……こっちの方向なんですね」
あずさ「ありがとうございます、それでは」ペコ
小鳥「……これ以上はプレイヤーへの干渉になりますよね……」
律子「……逆方向です、あずささん……」
P「は……はは……」
真美「っと……ここが本陣かな?」
真美「へぇ→……これなんだっけ? ……そうそう、バリケードってやつだ!」
真美「さて、ここで待てば誰か来るかな……まぁゆきぴょんは間違いなく来るとして」
真美「それまでは待機かな。盾もあるし、戦えるよ」チャッ
美希「あれは……亜美!」
亜美「お→ミキミキ!」
美希「一緒に行こ!」
亜美「どうする? 本陣に戻る?」
美希「皆一回集まりたいから、戻るの。敵と会ったら戦うつもりで!」ガチャ
亜美「了解っ!」ジャキッ
貴音「……ふぅ」ガシャンッ
貴音(あまり、敵と会いません)
貴音(わたくしの武器は、性質上接近戦には不向き……これで良いのですが……)
貴音(やはり、どなたかと戦わないと楽しめそうにありませんね……)
亜美「この辺りかな→?」
美希「もうちょっと先なの」
ビシャッ
亜美「な、何っ!?」
美希「敵なの!」ガチャ
亜美「……!」ジャキッ
美希「…………誰も、来ない……?」
亜美「多分すぐ退いたんだと思う。誰か分からないけどバレたみたいだし、急いだ方がいいかも……」
千早(さすがに1対2じゃ勝ち目が無い)
千早(そろそろ引き際……足音!?)ジャカッ
響「ち、千早、自分だぞっ」
千早「あら、我那覇さん。ごめんなさい、用心の為だったから」スッ
響「大丈夫。別に撃たれたわけじゃないから」
響「それにしても春香を倒したんだな、すごいぞっ」
千早「別に大したことはしてないわ。倒せたのも偶然だったから」
千早「私はスタート位置が敵陣のすぐ近くだったから、そこに隠れて迎え撃とうとしていたわ」
千早「ても、一人倒せて充分だし、そろそろ敵が集まってくるから戻るわね」
響「なら自分もついていくぞ」
千早「ええ、行きましょう」
千早「二人なら安全だし、このまま真っ直ぐに本陣へ」
響「了解っ」
真美「いおりん!」
伊織「……ふうん……土嚢がたくさんあるけど、本陣と言うにはお粗末ね」
伊織「誰かに会った?」
真美「ううん、誰も。ここにも来てないし」
伊織「雪歩、さっさと戻ってきなさいよね……」
真美「ところでさ、いおりん……それ、何?」
真美「何これ……?」
伊織「バケツとおたまよ」
真美「……殴るの?」
伊織「違うわよ! これで水を掛けろってことでしょ!?」
真美「ぷっ……!」
伊織「笑うなー!!! スタッフ、あとで覚えてなさいよー!!!!!」
放送席
小鳥「だそうですけど?」
P「ま、まぁ当然の反応ですね……」
律子「伊織次第ですよ。あの武器を活かせるかどうかは」
小鳥「それにしても……中々会わないものですね」
P「しばらくは待ちましょう。互いに本陣に立て籠もるような事があれば、その時はその時ですが」
小鳥「制限時間もありますし、何よりあの子達がこの企画を盛り上げる為に動いてくれますよ」
春香「ここで10分かぁ……長いなぁ」
春香「誰も来ないし、退屈だよ……」
春香(さっき私を撃ったの、千早ちゃんだったんだ)
春香(……何か、悔しいな。次こそ絶対勝つぞ!)
やよい「……っ」
真「やよい、大丈夫?」
やよい「は、はいっ」
真(この、いつ誰と会うか分からない緊張感……)
真(ライブの方がまだ気が楽だよ)
やよい「……真さん?」
真「ごめんごめん、ぼーっとしてた」
真「さ、行こう」
やよい(さっきの戦い、私は真さんの足を引っ張ってたから……)
やよい(今度こそ……チームの役に立ってみせます!)
やよい「行きましょう!」
真「オッケー!」
真(やよい、気合い入ってるなぁ。さっきも雪歩を倒せたし、勢いがあるよ)
キラッ
真(……!?)
真「やよい、危ないっ!!!」
やよい「えっ……きゃあぁっ!?」
真「やよい……無事……?」
やよい「は、はい……」
真「…………よかっ、た」ドサッ
やよい「真さん!?」
真「あっちの方向……貴音が狙ってる」スッ
真「上手く隠れて、逃げて……!」
やよい「ごめん、なさい……! 私を庇って……!」
やよい「私、やっぱり……皆の、足手まといです……!」
真「……足を引っ張られてるかは、ボク達が決める……やよいは、足手まといなんかじゃ、ないっ……」
やよい「っ……!」
真「……」
やよい「私が絶対っ……!」ダッ
真「……」
真「…………頑張れ……やよい……」
貴音「やよい、草木に上手く隠れましたか。ここまでですね」ガサッ
貴音「とはいえ……真を討てたのは大きい。こちらの士気にも大きく影響するでしょう」ジャコッ
P『真、貴音の攻撃により脱落。自陣へ』
P『赤チーム1ポイント。青チーム2ポイント』
千早「……すごいわね、四条さん」
響「真……やられたのか」
千早「どうして、残念そうなの?」
響「いや、ただ真とは戦いたかっただけだぞ」
響「10分で復帰するし、そこまで気にしてないさー」
千早「そう……」
伊織「よっし!」
真美「すごいねお姫ちん」
伊織「たったの10分だけど、これは大きいわよ!」
真美「私達は動かないし、意味はあんまり無いけどね→」
伊織「うっさい! いちいち言わなくていい!」
雪歩「……」
真美「お、ゆきぴょんおかえり→」
伊織「おそい! さっさと本陣に戻ってきなさ……え?」
雪歩「悔、しい……」ポロポロ
真美「え、えっと、元気出しなよゆきぴょん! まだチャンスはあるから!」
雪歩「う……ぐすっ……!」ポロポロ
伊織「……悔しいなら、我慢して溜めなさい。そして、やよいに全部ぶちまけるのよ!」
雪歩「……っ」
伊織「顔を上げろって言ってんのよ!」
伊織「悔しいでしょ? 年下に説教喰らってんのよ? 見返したいって思わないの?」
雪歩「……っ」グシッ
雪歩「やるから……もう言わないで……!」
伊織「……えぇ、やってみせなさいよ。私は見てるから」
伊織「やっと来たわね」
千早「四条さんは……戻ってないみたいね」
伊織「真も倒してるし、この際貴音の判断に任せるわ」
伊織「さ、これからの動きだけど、基本的には複数で行動するわよ」
伊織「同じスピードで動けるなら、単純に目の数が増えるから」
伊織「相方がやられた場合、無理は極力避けること」
伊織「あとは何かある?」
千早「萩原さんはどうしましょうか」
真美「任せたよっ」
響「じゃあ、自分達は三人で動くか」
伊織「ガンガン進んでガンガン倒しなさいよね」
響「了解っ!」
千早「ポイントはこっちの方がリードしてるから、無茶はなるべく避けましょう」
真美「バトりたいのが本音だけどね→」
伊織「……そうね」
春香「あとはやよいと、あずささんだね」
亜美「あずさお姉ちゃんは……まぁ仕方ないとして」
美希「やよいも迷っちゃってるのかな?」
春香「でもこの地図、向いてる方向まで表示されるから、迷うのはあずささんぐらいじゃないかな?」
亜美「はるるん、さり気無くすごい事言ってるよね→」
春香「ち、ちがっ! そんなこと思ってないよ!?」アタフタ
美希「ひょっとしたらスタート地点がすっごく遠い所だった、とか?」
真(もしかしてやよい、スイッチ入っちゃったかな……どうしよう……)
春香「何か、案はある?」
亜美「別にないけど、亜美が皆ぶっ飛ばしてくる!」
美希「この際亜美はほっといて」
亜美「うぅ……冗談だよ……」
美希「ミキは、このまま春香と真君が復帰するまで、ここで皆待つべきだと思うの」
春香「うん。私はともかく、真の力は必要だよ」
亜美「自分をそんな風に言っちゃダメだよ。はるるんだって頑張ってるじゃ→ん」
春香「亜美……うん、ありがとう」
美希「さ、皆で守るの!」
真「もしかしたらその内、あずささんとやよいも戻ってくるかも知れないしね」
―――
響「ん……?」
千早「誰か居た?」
響「あずささんだぞ」
真美「随分開けた場所にいるんだね。しかも一人で」
千早「……行きましょう。こっちは三人だから、勝てるはず」
響「よし……!」
真美「行くぞ→!」ダッ
千早「……っ!」ザザザッ
真美「あずさお姉ちゃん、その首我らが……!」ダッ
響「頂きだぞー!」バシュン
あずさ「あらあら……三人も……」
あずさ「初戦闘……頑張らなくっちゃ♪」ガシャコン
響「へ……?」
あずさ「そぉーれっ♪」ガルルルルル!!!
真美「せ、セコい! セコいよおおおっ!!!」
あずさ「う~ん……当たったかしら……?」ガシュゥンッ
あずさ「どうかしらー?」
P『響、真美、あずささんの攻撃により脱落。自陣へ』
P『赤チーム3ポイント。青チーム2ポイント』
あずさ「あら……ということは、まだ千早ちゃんが居るのね?」ガシャン
千早「くっ……」
千早(勝てそうにない……ここは退かないと!)ダッ
あずさ「ふぅ……この武器、重たくて大きいのがいけないわ……」ドスン
あずさ「……えっと」
あずさ「なるほど、赤チームの本陣はあっちね~」ズリズリズリズリ
真美「……」
響「……」
真美「青チームの本陣に向かってるよ……さすがあずさお姉ちゃん……」
響「うぅ……酷い火力差だぞ……」
亜美「良い武器を貰ったみたいだね→」
美希「いいなー……ミキも活躍したい……」
真「くっそー……復帰はまだなの?」
伊織「何やってんのよアンタ達は!」
響「わ、悪いと思ってるぞ」
真美「あれは勝ち目無いよ。回転ドラムの……ガトリングっていうの?」
伊織「…………それ、水鉄砲、よね?」
真美「うん」
P『こちら放送席。これより全員行動を一時中断。一言も言葉を発してはいけない』
P「ちなみに、このルール説明中はゲーム時間は進行しないぞ」
P「赤チーム、真。青チーム、伊織」
P「二人は今から相手チームの内一人に、ハンディを付けることが出来る」
P「指定されたプレイヤーに課せられるハンディは以下の3つ」
P「1、所持している武器をこちらで用意したピストルタイプに変更。弱体化と見ていい」
P「2、相手チーム全員の携帯端末に、常に位置情報が筒抜けとなる」
P「3、相手に撃たれた際には、相手チームに2ポイント加算される」
P「そして真、伊織両名は、誰にも相談せずに相手を指名してくれ」
P「1分後、二人の答えを聞くぞ」
伊織(今ある情報から、選択肢は1つしかないわね)
P『さぁ、誰にする?』
伊織「あずさよ」
真「貴音でお願いします!」
P「ハンディを負うプレイヤーは……赤チーム、あずささん。青チーム、貴音だ」
P「それでは、ゲーム再開!」
真美「まこちん止めるのはどうかな→って思ったけど?」
伊織「ハンディ負わせて、真に勝てる? それでも勝てるとは思わないけど」
真美「……確かに」
伊織「地図をずっと見ながら戦い続ける訳じゃないのよ」
伊織「動きが速いと、多分ちょっと目を離しただけで、位置情報が大きく変わるわ」
伊織「武器も同じ。どんなピストルかは見てみないと分からないけど、真ならきっと、どんな武器でも変わらない」
千早「つまり一番注目すべきなのは、ポイントが倍になるところ、ね」
伊織「ええ。これであずさを集中攻撃すればいいのよ」
伊織「さぁ、行くわよ!」
春香「大丈夫だと思うよ?」
亜美「まこちん、お姫ちんに撃たれたからね→」
真「貴音の武器は厄介だから……でもごめん。実はあんまり深く考えてないんだ」
春香「だ、大丈夫だよ! 私が選べって言われたらもっと酷い事になってたかもしれないし!」
美希「ミキも同じ、だよっ」
P『雪歩、春香、復帰。戦線へ』
春香「あ、来たっ!」
春香「うーん……でも場所が分からないし……」
亜美「い→こと思いついた」
亜美「あずさお姉ちゃんは、撃たれてもいいと思うよ?」
春香「撃たれてもいい、って……?」
亜美「一回撃たれたら、本陣に戻るまで無敵状態じゃん」
亜美「そしてあずさお姉ちゃんの場合、ずっと本陣に帰ってこれないという訳だよ春香君!」
真「えぇ~……」
P『亜美、その場合はスタッフが本陣まで誘導するぞ』
亜美「に、兄ちゃん! 盗み聞きなんてセクハラだぞ!」
やよい(見つけた……貴音さん!)
やよい(よ、よーし……!)ダッ
貴音(……殺気!?)
やよい「貴音さん、勝負です!」
貴音「やよい……貴女……!」
やよい「真さんの仇を討ちますー!」バシュバシュ
貴音「くっ……!」パシュン
やよい「えぇーい!」バシュ
貴音(勝ち目は、ありませんか。かといって、これほどまで闘争心に満ちた兵を野放しにするわけにも……!)
貴音「……っ!」ダッ
やよい「ふぇっ? ま、待ってくださいー!」ダッ
貴音(ひとまず本陣に向かいましょう。誰か居るはず)
貴音(さぁ、それまで勝負ですよ、やよい)パシュン
伊織「真が戻ってきた……さっさと行くわよ!」
響「その武器で先頭に立たれても……」
真美「面白いだけだよね→」
伊織「うっさい!」
千早「……居たわ、あずささん」
伊織「囲むわよ。この人数差で誰か撃たれでもしたら……」
真美「しょ→ちしない、だよね」
伊織「分かってるじゃない?」
あずさ「あら、いつの間に……」
伊織「さぁ、覚悟しなさい」スッ
あずさ「伊織ちゃん、そのおたま可愛いわね~?」
伊織「アンタまでそれを言うのね……!」スッ
あずさ「でも、私だってそう簡単には負けないわよ?」チャッ
真美「違うよ、あずさお姉ちゃん」
千早「さすがにこの状況では不可能ですよ」
伊織「1対5よ。潔くここで撃たれなさい」
伊織「良い度胸ねあずさ……」
伊織「攻撃開始! 一気に終わらせ……て……!?」
真美「いおりん?」
伊織「な……なんで……?」ドサッ
響「伊織!?」
あずさ「ふふっ、真ちゃんなら間に合うって信じてたわ」
真「あずささん! 今そっちに行きますからぁ!」
P『伊織、真の攻撃により脱落。自陣へ』
真美「さっき復帰したばっかりじゃなかったの→!?」
千早「二人共! 真が来る前に、早くあずささんを倒してここから退きましょう!」ダッ
響「分かった!」
あずさ「それっ」パシュン
真美「っとと、上手いねあずさお姉ちゃん」バシュン
響「背中ががら空き……うわぁ!?」
響「な、なんかやりにくいぞ!」
あずさ「今度のドラマの撮影でガンアクションシーンがあって……」
あずさ「やっぱり色んな役柄に挑戦した方が、人生得するのねー?」パシュンパシュン
千早(真は……!?)
真「遅いよっ」バシュン
千早「そんな……」ガクッ
響「ひ、退くぞ!」
真美「ラジャー!」
真「……ふぅっ」
あずさ「ありがとう真ちゃん。お陰で助かったわ」
真「いえ、あずささんが耐えてくれたからですよ」
P『千早、真の攻撃により脱落。自陣へ』
P『赤チーム、5ポイント。青チーム、2ポイント』
伊織「もう! 何よ何よ!」
響「あぅ~……」
真美「これじゃ負けちゃうよ……」
千早「あずささんと真が……思っていた以上だったわね」
千早「こちらの作戦は、間違ってないと思ったけど……」
真美「どーするいおりん?」
伊織「…………悔しいけど、何も作戦が出てこないわ」
千早「反則を取られる可能性がある以上、敵も簡単に本陣に攻めてくることはないと思うけど……」
真「貴音を討ちに行きます。ここから近いですよ」
あずさ「あら、じゃあ私も付いていくわ」
真「ボク、結構急ぎますから、置いていきますよ?」ダッ
貴音「……くっ」パシュン
貴音(もう弾切れですか……)
やよい「ま、待ってくださぁーいっ!」ゼーハー
貴音(思っていた以上に粘ります……さすがです、やよい)
やよい「それーっ!」バシュン
貴音(もうすぐ本陣……ですが味方が居なければ負け)
やよい(反撃してこなくなった……もしかして弾切れかも!)ダッ
貴音「……これは……絶体絶命、ということですね」
真「やよいー! 今援護に行くからー!」
貴音(わたくしが撃たれれば、敗北までたったの2得点……)
貴音(真から逃げられるとは思えません…………あれは、雪歩?)
雪歩「……っ!」ジャカッ
貴音「雪歩……援護には感謝します。ですがわたくしはもう残弾も残ってはいませんよ」
雪歩「こ、このまま本陣まで退いてください」バシュバシュ
雪歩「皆、勝てない勝てないって動いてませんから……呼んできて……!」バシュバシュ
貴音「……分かりました。すぐに」ダッ
あずさ「私達だって、雪歩ちゃんを討ちたくはないのよ」
雪歩「……ここで退いちゃったら、もう私達の負けだよ……」
雪歩「やよいちゃんに撃たれて、本当に悔しかった」
雪歩「ま、また、何も出来ないまま終わるのは嫌……!」ジャカッ
あずさ「雪歩ちゃん……」
真「……分かった。でもこれは戦争なんだ。覚悟して」チャッ
やよい「……」スッ
雪歩「……えいっ!」バシュバシュ
真「勝負だよ、雪歩!」ダッ
貴音「ええ。たった一人で、戦っています。諦めないで懸命に……」
貴音「響、双海真美、貴女達は戦えますか?」
響「……で、でもさっきも真にやられたぞ」
真美「真美達が行ってもやっと3対3だし……」
貴音「……そうですか」ジャー
伊織「アンタまさか、まだ戦うつもり……?」
貴音「えぇ、わたくしが行きましょう」チャッ
貴音「次にこのような企画がいつあるか分かりません。はんでぃがいくらあろうと、楽しまなければ損、ですよ」
千早「この状況で2ポイント失えば、いよいよ負けが確定……」
貴音「……諦めた貴女達が、わたくしを止める意味などありませんから」ダッ
伊織「何よ……言ってくれんじゃないあの馬鹿ぁー!」
伊織「10分、早く経ちなさいよぉー!!!」
響「そう、だぞ。自分、まだ真と戦ってない」
真美「うん。真美達、何もしてない」
響「……よしっ!」ダッ
真美「行ってくるからー!」ダッ
伊織「ちゃんと10分持たせないと、承知しないわよー!!!」
響「単純だなぁ……自分達」
真美「だよね。でも、気付けなかった」
響「二人を助けて、勝つぞ!」
真「二人とも、雪歩を囲んで!」
雪歩「えいっ、えいっ!」バシュバシュ
やよい「ひええっ!」
あずさ「で、でも上手く動けない……」
真(雪歩……狙いが良い。二人の動きを上手く抑えてる)
真(でも、このままじゃすぐ弾切れだよ!)ダッ
雪歩「……っ!」バシュン
真「おっと!」バッ
雪歩(誰か……早く……!)
貴音「……雪歩!」
貴音「遅くなりました」チャッ
雪歩「四条さん……!」
あずさ「あら……まさか本当に来るなんて……」
真「飛んで火に入る夏の虫! 3ポイント貰うよ!」
貴音「そうそう簡単に、首は渡しません」
響「3ポイント貰うのは、自分達の方だぞっ」
真美「そうだよ」
雪歩「皆ぁ……!」
春香「あれ……?」
伊織「あら、春香? 私達は両方待機中よ」
亜美「ってことは」
美希「貴音の所に急ぐの!」ダッ
真「春香達ももうすぐ来る……人数では負けてるけど、牽制交えて時間稼ぎすれば……」
あずさ「私達の勝ち……ということね?」
やよい「うっうー! 頑張りますー!」
貴音「3人とも、よく聞いてください」
貴音「春香や美希、双海亜美がすぐ近くにいるはずです」
貴音「……このままでは囲まれるでしょう」
貴音「わたくし達は後がありません……ですが」
真美「撃たれないように、積極的に攻めろ、ってことだねお姫ちん」
貴音「ええ、難しい注文になりましたが……」
響「任せろっ」ジャキッ
雪歩「が、頑張りますっ」ジャカッ
響「真の相手は、自分だ!」ダッ
真「1対1……受けて立つ!」
雪歩「やよいちゃん……」
やよい「……雪歩、さん」
雪歩「勝負、だよ」
やよい「……はい!」
あずさ「あらあら……」
貴音「同じはんでぃを背負う者同士……」
あずさ「えぇ、頑張りましょう、お互いに」チャッ
貴音「はい。お互いに」チャッ
真(……! 真美は!?)
響「よそ見してる暇なんてないぞ!」バシュン
真「くっ!」
響「真、折角の1対1なんだ。余計な事は考えないで戦ってほしい」
真「そうしたいのは山々なんだけど……真美が見えないからそうもいかないんだよっ」ダッ
響「あっさりバレてる……」
真「隙あり!」バシュッ
響「どこに撃って……! 貴音!!!」
貴音「……くっ!」バッ
あずさ「うふふ、ごめんなさいね、貴音ちゃん♪」チャキッ
貴音「……ここまで、ですか」
あずさ「……私達の、負けね」ガクッ
貴音「……えぇ」ドサッ
真美「はぁ……はぁ……ま、間に合ったかな……?」
響「真美! 春香達が来たぞ!」
雪歩「は、早くこっちに!」
真美「りょ、りょ→かい!」ダッ
真「待て!」バシュン
真(いや……無理に追わなくても、7対4……)
やよい「と、とりあえず春香さん達と合流しましょう……」
雪歩「だ、だい、じょげほっ……」
真美「よ、よしよしゆきぴょん……」サスサス
響「……あずささんは倒せたけど……7対4か……」
真美「ひびきん、そのことなんだけど―――」
P『あずささん、真美の攻撃によって脱落。自陣へ』
P『貴音、真美の誤射によって脱落。自陣へ』
P『赤チーム、6ポイント。青チーム、4ポイント』
響「……は?」
真「……やられたっ……真美だ……!」
律子「い、いいんですかこれ……」
P「あぁ、カメラ判定の結果、真美の攻撃が先だった」
小鳥「そっちじゃなくて……その、屁理屈というか……」
P「俺の説明をよく聞いてくれた真美の勝ちですよ」
P「わざわざ『相手に撃たれた際』って言ってますし」
響「す、すごいぞ真美!」
真美「いひひ……そんなに褒められても……///」
雪歩「取られたのは1ポイントだけ……充分すごいよ」
亜美「真美……よく気付いたね」
春香「気にする事ないよ、向こうは残り3人。伊織と千早ちゃんが戻ってくるまでまだ時間あるし……」
真「全員倒せば勝てるね」
美希「人数差で押し切るの!」
響「どうする?」
雪歩「……う~ん……」
真美「しばらくは逃げだね。お姫ちん脱落しちゃったから、地図にも映らないし」
真美「私達が負けちゃったら、いおりんカンカンだよ?」
響「確かに……」
雪歩「そ、それは怖いよね……」
あずさ「私達の出番は……もうなさそうかしらー……?」
貴音「そう、ですね」
伊織「何誤射かましてんのよ真美っ!」
千早「さっき春香達が来たから、四条さん、敵に囲まれていたんじゃないかしら?」
千早「だから、敵に撃たれるくらいなら、自分が……」
千早「確か、プロデューサーも『敵に撃たれたら2ポイント』って言ってたわ」
伊織「……ま、まぁそれなら認めてやらないこともないけどね!」
千早「ところであと何分か分かる?」
伊織「……あと3分ってところかしら」
真「……見つけたっ!」
響「真……さすがに速いぞ……」
真「……すぅ」
真「皆ああああああーっ!!!!!」
真「よし、これで皆ここに来るよ」
響「……二人は逃げるんだ」
真美「ひびきん……」
響「大丈夫だぞっ、真を倒してすぐ追いつくから!」バシュッ
真「……へへっ、勝負だよ!」ダッ
真美「行こ、ゆきぴょん」
雪歩「う、うん」
真「……」バシュバシュ
響「……そこだっ!」バシュン
真「……」ヒュン
響(だ、駄目だー……全然当たる気がしないさー……)
真ーっ……!
響「げっ、一気に来た……!」
春香「ふふん、もらったよ、響ちゃん!」ジャキッ
やよい「行きますっ!」
真「待って、皆」
真「このままだと真美と雪歩に逃げられて、伊織と千早が戻ってくる」
真「響はボクが倒すから、皆は先に行って」
美希「真君……」
亜美「大丈夫だよっ、まこちんならっ」
真「そういうことっ」
響「……真」
真「……よし、1対1だね」ジャカッ
響「真、弾は?」
真「ほぼ満タンだよ」
響「そうか……ありがとなっ」ダッ
真「行くよっ!」ダッ
春香「大丈夫かな……?」
美希「あれは覚悟をした女の顔なのっ」
亜美「邪魔するのはいけませんぞはるるんっ」
春香「う、うん……」
響(遠いと全然当たらないぞ……)バシュン
響(見た感じ、同じような銃だからこっちだけがすぐ弾切れになることはないと思うけど……)
響「やっぱり……真との戦いは楽しいぞ!」
真(さすが響だよ……最小限の動きで攻撃を躱してる)
真(……弾、無制限だったら良いのに……!)
真「ボクも、響との戦いは楽しいよ!」
真「はぁっ……はぁっ……!」
響「ふぅー……」
真「ははっ……熱くなってきたっ」
響「自分もだぞ」
真「……もうちょっと、距離詰めようよ」ザッ
響「……同感!」ザッ
響「……」
真「……くらえっ!」バシュンッ
響「このっ!」バシュ
真(怖いな……引き金を引く気配を感じ取らないと……!)
響(お互い、ギリギリだぞ……!)
真「へへっ……!」
響「あははっ……!」
(楽しい……楽し過ぎるっ!)
P『伊織、千早、復帰。戦線へ』
伊織「やっとね……」
千早「急ぎましょう。春香達が向かったのはあっちの方角よ」
伊織「ええ!」ダッ
P『響、真の攻撃により脱落。自陣へ』
P『赤チーム、7ポイント。青チーム、4ポイント』
真「今回も、ボクの勝ちだね……響」
響「番組を盛り上げる為に相討ち……とかは?」
真「えへへっ、冗談でしょ?」
真美「マズい、ホントマズいよこれ……!」ダダダッ
亜美「待て待て→!」
美希「御命頂戴なのー!」
真美「わ→んどうしよどうしよ→!?」
雪歩「に、逃げ回って本陣に向かうしか……!」
真美「で、でもここフィールドの端っこ……!」
雪歩「ふえぇっ!?」
春香「よし、追い詰めたよ……」
亜美「最後は亜美が決めるからねっ!」
美希「み、ミキが決めるの!」
伊織「居た……春香達よ」
千早「……」チャキッ
伊織「いいわね、作戦通りよ」
千早「正直、不確定過ぎてあまりやりたくはないけど……!」ダッ
真美「……!? 千早お姉ちゃん!」
千早「……!」バシュバシュ
美希「春香! ミキ達は雪歩達と戦うの!」ダッ
亜美「千早お姉ちゃんをお願い!」ダッ
春香「そ、そんな急に……やよい、行くよっ!」
やよい「はいっ!」
千早(……もう少し……こっちの方!)ダッ
春香「……何か、変だね」
やよい「はい、千早さんの動きですよね?」
春香「不規則っていうか……どうしたんだろう?」
やよい「……春香さんっ!」
春香「へ、きゃあっ!?」バッ
春香「あ、危ない危ない……えっ?」コケッ
やよい「は、春香さぁん!?」
春香「ひゃあああっ!」ビシャンッ
春香「な、なんでこんなところにバケツが置いてあるの……え、水?」
P『春香、伊織の攻撃により脱落。自陣へ』
P『赤チーム、7ポイント。青チーム、5ポイント』
伊織「ちゃんとポイント入れてくれたのね。まぁバケツから発射された水には間違いないわけだし」
やよい「うぅ……千早さんと1対1なんて……」
千早「……」ダッ
やよい「ま、待ってくださいー!」
亜美「な、なにやってるのはるるん!」バシュバシュ
美希「真君が来るまで頑張るの!」バシュ
亜美「う、後ろから千早お姉ちゃん来てるんだけど!?」
美希「い、いつの間にか囲まれてるのー!」
千早「さぁ……覚悟して!」バシュ
真美「くらえ→!」バシュン
やよい「わ、わた、わたしも戦いますー!」ゼェハァ
雪歩「……」
真美「……ゆきぴょん! ミキミキ達は真美に任せて早く行って!」
真美「千早お姉ちゃん、行くよ!」
千早「ええ!」
雪歩「……ありがとう、真美ちゃん、千早ちゃん……!」ダッ
やよい「はっ……はぁっ……」
雪歩「……」チャキッ
やよい「雪歩さん……」
雪歩「私……悔しかった……」
雪歩「やよいちゃんには……負けられないっ……!」ダッ
やよい「しょ、勝負ですー!」ダッ
伊織「雪歩……頑張りなさい……」
真「伊織、武器は?」
伊織「無いわよ。給水ポイントがあればおたまでなんとかするけど」
伊織「……え?」
真「やっ」
伊織「な、なに!? やる気!?」
真「だから水持ってないって言ったじゃないか」
真「……ちょっと、雪歩のことが気になってね。決着が見たいんだ」
伊織「そう」
真「その前に真美と千早が撃たれたら最悪だけどね」
伊織「……ホントよね」
真美「ゆきぴょん……頑張れ……!」
亜美「隙あり→!」バシュン
真美「おっとっと!」
真美(真美達がやられたら終わっちゃう……なんとか耐えないと)
やよい「えいっ、えいっ!」バシュンバシュン
雪歩「……っ!」ザッ
雪歩「それっ!」バシュッ
やよい「ひえっ……!」
雪歩(私だって……私だって出来るってことを見せたい……!)
雪歩(ここで、負けちゃいけない……!)
やよい(攻めなきゃ……終わらないよ……)
雪歩(皆、頑張ってるのに、こんな戦い方じゃいけないよね……!)
やよい(よ、よーし……)
雪歩(……!)
やよい「と、突撃ですー!」ダッ
雪歩「わああああっ!」ダッ
雪歩「えうっ……ひぐっ……!」
やよい「雪歩、さん……」
雪歩「……ぐすっ……!」
やよい「あ、あの、ごめ「負けないから……!」
やよい「え?」
雪歩「次は……負けない……絶、対……!」
やよい「……はい、待ってます……」
P『雪歩、やよい、相討ちにより脱落。自陣へ』
P『赤チーム、8ポイント。青チーム、6ポイント』
伊織「……雪歩……」
真「大丈夫だよ……雪歩なら、次も頑張ってくれるから」バシュ
伊織「……は?」
真「まぁ、雪歩の決着が見れたから良し♪」
伊織「あ、アンタねぇっ!?」
真「武器を捨ててる伊織が悪いんでしょっ」
P『伊織、真の攻撃により脱落』
P『9-6で、赤チームの勝利。ゲーム終了!』
美希「でこちゃん酷いの! もうちょっと戦いたかったのに!」
伊織「な、なんでそこで私を責めるのよ! 真を責めなさいってば!」
亜美「ま→ま→ミキミキ。また次の機会に頑張ればいいよ」
雪歩「あ、あの、伊織ちゃん……」
伊織「……お疲れ様、雪歩」
雪歩「ありがとう……私、次こそ絶対に……」
伊織「次も、期待してるからね」
雪歩「……うんっ」
P「真美、よく気付いたな」
真美「ううん、結果的に、あんまり意味無かったし……」
P「そんなことはないさ。あの誤射が無かったら、士気に大きく関わってたぞ」
P「俺もそういう意味合いであのルール説明をしたわけだしな。汲み取ってくれて嬉しかったぞ」
真美「に、兄ちゃん……///」
小鳥「はい、これでよしっ」
春香「ありがとうございます」
千早「春香、大丈夫? 本当にごめんなさい」
春香「ううん。傷は深くないし、すぐ消えるよ。気にしないで」
貴音「次の機会は無いのですか?」
P「さぁなぁ……貴音は、あのルールどう思った?」
貴音「最初は、はんでぃを受けた者は楽しめないと思いましたが……」
貴音「ですが、あれは常に交戦の機会があると分かりました。楽しむには、良いものだと思いましたよ」
あずさ「私は、いい見せ場が作れてよかったです。武器が重かったのもありますし……」
P「そうですか……」
律子「お疲れ様です」
小鳥「プロデューサーさん、たくさん喋りましたよね」
P「えぇ。良い試合でしたし、思わず放送に熱が入りそうになりましたよ」
小鳥「あら、だったら次の機会があればプロデューサーも参戦しますか?」
P「またまた……」
律子「その時は私達と、社長も参戦という形にします?」
P「はは……もう子供じゃないんだから……」
社長「いや、それも面白そうじゃないか! その時は是非声を掛けてくれよ?」
P「え?」
律子「え?」
小鳥「え?」
社長「ん? 何かおかしいことを言ったかね?」
おわり
雪歩の存在が消えてたシーンがあってすまん
12人いたら、他のキャラも多分そんな感じになってる
おわり
次も期待
おつ
Entry ⇒ 2011.12.30 | Category ⇒ アイマスSS | Comments (0) | Trackbacks (0)
春香「皆でサバゲですよ、サバゲ!」
赤チーム
春香、千早、やよい、雪歩、真、貴音
春香「はい!」
千早「いつでもどうぞ」
やよい「うっうー! 頑張りますよー!」
雪歩「ま、まだ心の準備が……!」
真「よぉーっし……」
貴音「折角の催し、やはり負けたくはないものです」
美希、伊織、響、亜美、真美、あずさ
美希「バンバン倒して、活躍するの!」
伊織「やるからには全力よ!」
響「勝つぞー!」
亜美「一気に攻めるよ→!」
真美「楽しんじゃおう!」
あずさ「精一杯、頑張ります」
小鳥「それでは、スタートです!」
P「簡単にルールを説明するぞ」
P「今回のサバイバルゲームはチーム戦だ」
P「各自支給された水鉄砲を武器に、相手陣地に立てられた旗を取り合うフラッグファイト」
P「なお水に濡れた選手は自陣へ戻った後、10分間の待機。まぁ本陣での作戦会議ぐらいは容認する」
P「ちなみに給水ポイントは各地に設置してあるから使ってくれ。ただし隙だらけになるのは覚悟すること」
P「相手をある程度倒してガラ空きの敵陣を狙うか、最初から旗のみを狙うかは自由だ」
P「当然だけど、番組的には前者を選んで欲しい」
P「大まかに説明するとこんなところだ。簡単だろ?」
P「何か質問がある場合は、競技中でも構わないから言ってくれ。どうせ穴だらけのルールだしな」
P「なるべく早く審議を行って返答するつもりだけど、御都合主義って物があるからそこは目を瞑ってくれ」
春香「よし、頑張ろうね千早ちゃん」
千早「ええ」
真「それじゃ、作戦通りに行くよ。頑張るから」
春香「期待してるからね」
やよい「私達も頑張ります!」
雪歩「じ、自信は無いけど……」
貴音「では、参りましょう」
真、貴音……それぞれ単独行動
春香、千早……ペアで行動
やよい、雪歩……フラッグ近くで防衛
響「ワクワクしてきたぞ!」
真美「血が滾るね!」
亜美「私達のチームワークを見せてやる!」
伊織「ちゃんと作戦通り、全員ツーマンセルを維持するのよ。真とは間違っても一騎打ちしないこと」
伊織「相方の死角をカバーするのも忘れないでよね」
あずさ「伊織ちゃん、あまり固くならずに楽しみましょう?」
伊織「いいえ、やるからには勝つのよ!」
美希「それじゃ、行ってくるの」
伊織「こらーっ! だからツーマンセルだって言ってるでしょ!?」
響、美希……ペアで行動
亜美、真美……ペアで行動
伊織、あずさ……ペアで行動(自陣防衛)
真「大丈夫だよ。春香のみたいな変に凝ってる物だと使いにくいし、これくらい小さいと動きの邪魔にもならないから」
真「それじゃ行ってくる。先制攻撃を仕掛けてくるよ」ダッ
春香「気を付けてねー!」
千早「それじゃ、私達も行きましょう。なるべく声は抑えた方がいいわね」
春香「うん。ね、千早ちゃんはこういうの得意なの?」
千早「いいえ、経験ゼロよ。まぁ、やれるだけやってみるけど」
春香「ふふっ、千早ちゃんと二人だと心強いよ」
千早「……私も、よ」
真(いい加減誰かと会ってもおかしくない頃だけど)
真(多分亜美と真美はペアで行動してるだろうから、それだけは注意かな)
真(響は運動出来る方だし、楽しい勝負が……来た!?)サッ
真(…………響、と美希か。キツイなぁ……)
真(でもゲームは始まったばかりだし、赤陣地まで距離があるから……挑んでみよう! 楽しまなきゃ損だ!)バッ
真「勝負だよ! 二人共!」
響「ままっ、真!?」バンバン
真(狙いが甘い……行けるかな?)ダッ
美希「ミキを忘れてもらっちゃ困るの!」バシュウッ
真「おっとと!」
真(それに比べて美希は、水が出続けるタイプか。確かに当て易いけど……)パシュッ
真(っと、挟まれるな……常に二人を視界に入れて戦わないと!)ダッ
響「このー! 真動きが速過ぎるぞ!」バンバン
美希「み、水が切れたの……!」チョロッ
真「よし、早速一人貰いっ!」
美希「きゃあっ…………え?」
ポタタッ
真「そん、な……!」ドサッ
真美「後ろから狙うってちょっと卑怯っぽいけど」
亜美「まこちん相手にそんな事言ってられないよね」
P「真、脱落か……」
律子「でも流石真ですね。あのまま行けば二人とも倒したかもしれません」
P「それに動きも理想的だったな」
小鳥「でも、ちょっと戦いに夢中になり過ぎましたね。二人に集中する余り、周りに目が行かなかったんじゃないでしょうか」
P「まぁ、四方を囲まれては……さて」
カチッ
P「真、真美の攻撃により脱落。自陣へ」
やよい「ふえっ!? ま、真さんが!?」
雪歩「ど、どうしよう……このまま来られたら……!」
やよい「大丈夫ですよ雪歩さん! 真さんが復帰するまでの10分間耐えれば良いんです!」
雪歩「で、でも真ちゃんが撃たれる相手だよ……!? 私達二人だけじゃあ……」
やよい「うっうー! な……なんとかしてみせます!」
雪歩「大丈夫じゃないよぅ……」
真「た、ただいまぁっ!」
雪歩「もう戻ってきた!?」
真「ぜ、全力で走ってきた……!」ゼーハーゼーハー
真(やられた場所が遠くであればあるほど、復帰が遅れてしまうんだ……気を付けないと)
真美「いや→実は二人で倒せるかなと思ってたんだけどね」
亜美「思ったよりまこちんが強かったから、つい助太刀を」
美希「ありがとうなの。ミキ、もう弾切れだったよ……」
真美「お礼を言われるほどの物でもありませんな→」
亜美「それじゃ、私達は行くね。ミキミキ、しっかり水補給しなよ?」ダッ
真美「あ、待ってよ亜美→!」
春香「どうしよっか、千早ちゃん……」
千早(……ここは、草木も多いから気付かない内に囲まれそうね)
千早(せめてもう少し開けた場所に出ないと。真の復帰まで、あまり無茶はしたくない)
春香「千早ちゃん?」
千早「な、何?」
春香「どうしたの、ぼーっとして」
千早「ちょっと考え事と、後ろの方も注意してたから……聞いてなかったわ、ごめんなさい」
春香「え、そうなの? ……ごめん、私前ばっかりで」
千早「だから細かい事は考えないで思いっきり戦って」
春香「そ、それじゃあ折角千早ちゃんと二人なのに意味ないよ……」
春香「私あんまり頭良くないから、勝手に動いちゃったけど……」
千早「春香……」
春香「色々教えて? ね?」
千早「私も、素人だから間違ってるかもしれないけど……」
春香「いいのいいの! 作戦を立てて動くって、本格的にサバイバルゲームって感じがするから!」
千早「……ええ、分かったわ」
千早「私達も見つけられにくいけれど、相手も見つけにくい」
千早「万一敵に見つかったとしても、草木が邪魔で走り回るには不向きね」
千早「もう少しだけ開けた場所に移動しましょう。厳しい条件に合うような場所があればいいんだけど」
春香「う、うん」
千早「あと、真がやられたのは、相手が複数で行動してたからだと思うの」
千早「誰かを見つけたら、まず周囲を警戒した方がいいわね。場合によっては撤退も考える」
春香「すごいね千早ちゃん……私そこまで考えられないよ……」
千早「そ、そんな……素人の意見だって言ったでしょう?」
春香「ううん、その案に賛成だよ。それで行こうっ」タッ
千早「ちょ、春香……!?」
伊織「大丈夫よ、向こうで積極的に攻めてきそうなのは真ぐらいだし」
伊織「しかしよく真を倒せたわね。感心だわ」
あずさ「でも、待ってるだけなのも退屈ー……」
伊織「仕方ないでしょ。あずさそんなに運動得意じゃないし、的になるだけ」
あずさ「あらあら、ショックね~……事実だけど」
伊織「これでいいのよ。勝ちに行くんだから」
伊織(さて、真が居ない10分間の内にもう一人抑えておきたい所だけど)
伊織(雪歩とやよいは間違いなく本陣近くで守ってるわよね)
伊織(簡単に倒せそうなのは春香と千早か……)
美希「補給完了なの!」
響「美希」
美希「何?」
響「その武器、あまり相手を狙わない方がいいと思うぞ」
美希「でも相手に向けないと当たらないんじゃ……?」
響「ほら、水が出っ放しなら、一回ターンするだけで回り全員倒せるさー」
美希「な、納得なの……」
響「その時は合図してくれたら、自分は屈んで躱すからな」
響「ルールには入ってないけど、多分味方の攻撃でも待機になるだろうし」
美希「うん」
春香「どうする? 戦う?」
千早「行きましょう。難しい注文になるけど、美希を中心的に狙って。ただし我那覇さんの攻撃には注意しながら」
春香「う、うん……!」
千早「さっき真がやられた事も考えると……相手は亜美真美、我那覇さん美希、伊織あずささん、の3チームで動いているはずよ」
千早「だからペアの内一人を倒せたらそれで十分。10分間は我那覇さんの動きを止められるから」
春香「響ちゃんが逃げたら無理には追わない方がいい?」
千早「ええ。あくまで真がアタッカーだから、復帰までの時間を稼げばいいわ」
千早「もちろん余裕があれば我那覇さんも倒しましょう」
響「くっ……美希、準備早く!」
美希「い、今やってるから!」ガチャガチャ
千早「春香、チャンスよ! 今の内に!」
春香「了解!」バシュバシュ
響「くそー! 卑怯だぞ二人共!」バンバン
春香「補給は隙だらけって、プロデューサーさんが言ってたでしょ!」バシュッ
春香「このまま行くよ、千早ちゃん!」
千早「ええ!」
響「美希まだなのかー!!!」
美希「……行けるの! せーのっ!!!」ブシュアッ
響「よしっ!」バッ
春香「えっ……?」
千早(このタイプの水鉄砲は……! 駄目、私も春香も回避出来ない……!)
千早(なら、ならせめて……!)バシュッ
―――P『春香、千早、美希の攻撃により脱落。自陣へ』
美希「……」
響「美希?」
美希「ごめん、なの……」ガクッ
響「……美希ぃ!」
美希「あはは……ちょっと、攻撃ばっかり考えてたの」
響「ごめん……自分が、もっと美希を守ってあげられたら……!」
美希「気にしないで、響……ちょっと、休ませてもらうの……」
響「美希……!」
響「……っ」グシッ
響「泣いちゃ、いけない。ここで動きを止めちゃ駄目だ」
響「……一旦本陣まで引いて、伊織から指示を貰わないと」ダッ
P『美希、千早の攻撃により脱落。自陣へ』
あずさ「でも、これで向こうは3人脱落……」
あずさ「このまま勝てればいいわね」
伊織「もういっそ、私達も動いても……いや、油断出来ない」
伊織「貴音の動きは分からないし、このまま待機、かぁ」
あずさ「……たいく」
伊織「その発言はやめなさい」
あずさ「分かってますっ」
伊織「はぁ……」
真「これで、3対5か……」
やよい「っ……!」プルプル
雪歩「あぅ……」ビクビク
真「二人共、大丈夫?」
やよい「し、っしし心配要りません」
雪歩「だ、大丈夫……多分」
真「まぁこっちの陣地にはそうすぐには着かないはずだし、それまでにはボクも復帰できるよ」
真美「そういう訳には行かんのだよ」
真「っ!?」
亜美「さぁ、フラッグを頂きに参上しました」
真美「大人しく、お縄につけ→い!」
やよい「は、はい!」ピシュッピシュッ
亜美「おとと、怖い怖い」
雪歩「え、えいっ!」バシュン
真美「ゆきぴょん目を開けないと当たらないよ→」
亜美「これは、ここで勝負あったね」
真美「私達のコンビネーション、見せてあげよう!」ダッ
真「頑張れ! 雪歩! やよい!」
真(復帰まであとまだ時間がある……ボクは、間に合わない……!)
真(一体、どうすれば……!)
雪歩「ひゃあっ!」パシャ
やよい「雪歩さんっ!」
真美「さ→後はやよいっちだけだよ」
亜美「最後は徹底的にいたぶってあげようかな→」グヘヘ
真「そんな……こんなにあっさり……!」
真「っていうか……貴音は何やってるのさぁぁぁっ!!!」
やよい「や、やめて……来ないでっ……!」
亜美「さあ!」
真美「まずは左足から!」
真美「……え?」
亜美「真美!?」
真美「そん、な……!」ドサッ
亜美「まさか、お姫ちん? どこから……!?」
ピシャッ
亜美「……嘘、でしょ……!」ガクッ
やよい「た、貴音さん……助けて、くれたんですか……?」
真「貴音ぇ……もう、駄目かと……!」
貴音「攻撃態勢……それは最も守りが薄くなる時」
貴音「……ようやくスコープが合いました」ガサッ
貴音「配布された段階で、敢えてこの調整だったのですね」
貴音「しかし、間髪入れず双海亜美に当たったのは幸運……距離は100もありませんが」
貴音「では場所を変えましょう」
貴音「相手の陣形……優秀な指揮官がいるようです」
貴音「恐らくわたくしの武器、位置も感づかれてしまうはず……」
貴音「……皆、まだ希望を捨ててはいけませんよ」
P『亜美、真美、貴音の攻撃により脱落。自陣へ』
P「貴音の奴、冗談だろ……あの距離で当てるなんて……!」
律子「12人の内、最下位のハズレ武器だと思ってました……」
小鳥「でも、これは面白くなってきました。やっぱり戦争には偵察兵、突撃兵、狙撃兵、衛生兵が居ないと!」
律子「衛生兵はいませんけどね。自分の足で自陣まで戻りますから」
P「それじゃ、進めますよ」
小鳥「分かりました、コールしますね」カチッ
小鳥「ここで追加イベントの説明を行います」
小鳥「あ、ちなみにこの説明時間中は、脱落者の復帰時間は進行しません」
小鳥「フィールドのどこかに、無線機を6つセットで設置しました」
小鳥「小型化されたインカムタイプで、動きを阻害しません」
小鳥「仲間との連携がより正確になる非常に有用なアイテムなので、是非獲得を目指してください」
小鳥「注意点が2つ。この無線機は、1人につき同時に2個までしか持てません」
小鳥「チーム全員で使いたければ、複数人で設置場所までくるか、往復して味方の元へ運ぶことになります」
小鳥「そしてもう1つ。一度装備した無線機は、自由行動時且つ味方間でのみ移動が可能です」
小鳥「無線機を装備した選手が撃たれた場合『10分間無線は使えない』という事ですね。当然待機中は無線の電源を切ってください」
小鳥「ルールを破った人は30分間自陣待機のペナルティとなるので注意です!」
小鳥「以上、それではゲーム再開!」
響「どうするんだ?」
伊織「考えるまでもないわね。取りに行くわよ」
伊織「あずさ、防衛は任せたから」
あずさ「ええ」
響「一人で大丈夫なのか?」
伊織「さっきの放送聞いてたでしょ? 真、雪歩、春香、千早は脱落。やよいと貴音も本陣近くよ」
伊織「私と響がそれぞれ分散して探すわ。敵と会った時の判断は任せるから」
伊織「さすがに赤陣地近くに無線を設置しないだろうから……3分の2辺りまでの間を探すこと」
響「わ、分かったぞ」
伊織「あまり奥まで行き過ぎると、復帰した真に旗まで特攻掛けられるわよ。注意しなさい」
真「どう思う?」
雪歩「わ、私は欲しいかな……心細いし……」
千早「せめて、2個だけでも取っておきたいわ」
真「とはいえ……こっちには動ける人が居ないから……」
春香「美希、亜美、真美は本陣で待機、響ちゃんは何処かに居て、伊織とあずささんは分からないかぁ……」
千早「二人はペアで本陣の守りだと思う。真が居る以上は、守りを手薄にすることは無いはず」
真「でも、今のボク達の状況じゃ……」
千早「攻撃は無いと踏んで、全員で探している可能性もあるわ。真、残り何分?」
真「それが、分からないんだ……」
小鳥『真ちゃん、復帰。戦線へ』
真「よしっ、良いタイミング!」
真「10分も休み貰ったし……全力で走り回ってくるよ!」ダッ
真「やよい! 防衛お願いするからー!」
やよい「が、頑張りますー!」
―――
響「真、復帰か……タイミング最悪だぞ」
響「ど、どこまで進めばいいのか……ん?」
響「あれは、プロデューサー?」
響「それに見るからに怪しいボックスがあるぞ……もしかして」タッ
P「……」ジャキッ
響「へ?」
P「……」ダダダダダダダ!
響「な、いきなり何するんさー!!!」
P「悪いな、ここで倒れてくれ!」
響(もしかして……無線機を守ってるとか!?)
響(意地悪なルールだぞ! あんな装備と戦えなんて……!)
響「へ? 真?」
真「ちょ、ちょっと! 何するんですかぁ!」ダッ
響(なるほど……どちらの味方って訳でもないのか……)
響(どうする、考えろー……)
小鳥『赤チーム、青チームそれぞれ、無線機に接近しました』
小鳥『ルールの詳細を発表します』
小鳥『無線機が欲しいなら、ガーディアンさんと戦って、倒す必要があります』
小鳥『頭部ヘルメットに旗が取り付けられていて、それを濡らせば勝利です』
小鳥『なお、ガーディアンさんを倒すこと自体にポイントはありません』
小鳥『つまり相手チームにガーディアンさんを倒させて漁夫の利を得る……という戦術もありますよ』
伊織「……無線は響の方にあったのね」
伊織「でも、頭の旗か……私の武器じゃ難しいわね」
伊織「それに真も居ると。多分、ガーディアンとやらは無差別攻撃だろうだから……響を信じるしかないわね」
伊織「本陣に戻りましょう」ダッ
響「うわわっ……こっちに来た……!」
真「あ」
響「う」
真「あああっ響ぃぃぃ!!!」パシュッパシュッ
P「……」ダダダダダダダ!
響「うわぁぁ実際2対1だぞー!!!」ダッ
真「響! 聞こえる!?」
響「な、なんだー!?」
真「ちょっと手を組まない!? 二人でプロデューサーを倒そう!」
真「それで、勝ったらお互い2個ずつ持って帰るっていうのはどう!?」
響(……真はきっと、嘘は言わない。特に正々堂々と戦いたがるタイプだから……)
響「……分かった! 信じてるぞ!」
真「挟み撃ちで行こう! プロデューサーがどっちを撃っても恨みっこ無し!」
響「了解っ!」
真「せーのっ!」ダッ
響「行くぞー!!」ダッ
P(狙うは、射程の長い響から!)ダダダダダ!
響「くっ……結構ギリギリだぞっ!」バンバン
真「相手を中心に、円を描くように走って! 縦に移動したら撃たれる!」パシュッ
響「わ、分かった!」
P(じゃ、美希のやり方を真似させてもらうとするか。悪く思うなよ、二人共!)ブシッ
響「あぶなっ……!」
真「くっ……!」
真「大丈夫ー! ……ちょっと足を怪我しちゃったけど!」
真「躱す為とはいえ、思いっきり影に飛び込んだからなぁ……」
P「……音無さん、赤チームの陣地に救急セットを送ってもらえますか? 真が少し怪我をしたみたいです」
P「真を倒して、陣地に送り返しますから」ジャキッ
小鳥『分かりました』
真「響! もう一回行くよ!」
響「足は大丈夫なのかー!?」
真「大丈夫だから! せーのっ!!!」
響「っ!!!」ダッ
P(しかし、真が居ない……足を怪我して遅れているのか?)
P(見晴らしは良いから、見落とすことは無いしな……なら響と一対一か!)ダダダダダ!
響「くっ……負けないぞ! 真と二人で勝つんだ!」
P(ホントに……惜しいくらい貪欲に勝ちを取りに行ってるな)ジャカッ
響「も、もう一つ銃を持ってたのか!?」
P「終わりだ! 響!」
真「はい、戦闘はこれで終わりですよ。プロデューサー」
P「……まさか……木の上を走ってくるなんてな」
真「響が、銃撃に怯まずに前に出て気を引き付けてくれたお陰ですよ」パシュッ
P「やっぱりお前達……いいコンビだよ」ドサッ
真「……撃たないでいて、くれたんだね」
響「当たり前だぞ。こんな良い戦いを出来たのは、真が居てくれたお陰なんだから」
真「……あははっ」
響「へへっ♪」
パァンッ!
真「お疲れ!」
響「二人で掴んだ勝利だぞ!」
律子『真、響の活躍により、ガーディアンは撃破されました』
律子「真、響の活躍により、ガーディアンは撃破されました」カチッ
律子「ふぅ……」
小鳥「良い勝負でしたね」
律子「ええ。ホント盛り上げてくれますよ、あの二人は」
P「戻りましたー……」
律子「あ、お疲れ様です」
小鳥「はい、タオルどうぞ」
P「ありがとうございます……水鉄砲で合戦なんて、子供の頃以来ですから疲れましたよ……」
小鳥「楽しんでいるように見えましたよ?」
P「はい、響と真……良いものを見せてくれました」
真「ただいまっ!」
やよい「あ、お疲れ様です真さん!」
真「ありがとう。誰か攻めてきた?」
やよい「いえ、誰も来てませんよ」
真「そっか。はい、無線機だよ」
やよい「え? で、でも私より他に必要な人が……」
真「どの道今装備出来るのはやよいしか居ないよ。使えないと思ったら誰かに渡せばいいから」
やよい「わ、分かりました!」カチャ
真「それじゃあもうひとっ走りしてくる。急ぐから話は移動しながらで!」ダッ
やよい「気を付けてくださーい!」
響「持って帰ってきたぞ! 一つは置いてくから!」カチャ
伊織「真は倒せたの?」
響「あー……えーと、事情は後で説明するから! 今は急ぐんだ!」ダッ
伊織「ちょっ……な、何なの?」
あずさ「さぁ……」
真美「でもひびきん、すっごく良い顔してたね→」
亜美「うんうん、私もそう思った」
伊織「確かに……」
やよい『なるほど、響さんと協力して……』
真「うん、だからあと2個ある。それを取りに行ってるんだ」
真「向こうも同じ考えのはずだから、急いで出発したんだよ」
やよい『でも、それならもしかして……』
真「うん、ボクも……多分あっちもそのつもりだよ」
真「それじゃ、今から忙しくなるから。無線切るね」プツッ
真「……手を組んで戦えたし、こうして撃ち合いも出来る」
真「もう、今日のサバイバルゲームはこれだけで満足かもね、響」スッ
響「……同感だぞ、真」チャキッ
美希「……行ってくるの」
真美「どしたのミキミキ?」
美希「……悔しかったの。だから次こそ、本気で戦う」
伊織「美希……」
美希「……」ダッ
伊織「ただの遊びのつもりが、皆本気ね」
あずさ「うふふ、私達も早く戦いたいわね、伊織ちゃん」
伊織「……そうね」
春香「……うん!」
やよい「二人共、頑張ってください! 雪歩さんが復帰するまで、頑張って守ります!」
千早「任せるわね。高槻さん」
やよい「はい!」
春香「あの、千早ちゃん」
千早「何?」
春香「……真の邪魔は、しないでおきたい」
千早「ええ、勿論」
千早「私達は相手の陣地へ向かいましょう」
千早「真のあんな顔を見たら、そんなことしたくなくなったから」
千早「3人で1人を倒すより、誰かと一対一で戦って活躍してみたいのよね、春香」
春香「う、うん!」
千早「そろそろこっちも敵本陣に近づかないと、相手を退屈させてしまうわね」
千早「私も、援護するわ」
春香「……ありがとう、千早ちゃん」
千早「べ、別に礼を言われるほどのことじゃないから……」
春香「ううん。私が言いたいだけだから」
春香「期待してるよ、千早ちゃんの活躍」
真「このっ……」パシュッパシュッ
真(マズい……水が無くなりそう……)
響「真。水の補充は?」
真「要らないよ。冗談でしょ?」
響「……言ってみただけだぞ!」ダッ
真(装弾数の差を考えると中距離牽制戦はそもそも向かないんだ……)
真「ふぅ~……」
真(一気に、駆けるっ!!!)ダッ!
響(速いっ!?)
真(相手の銃口、射線をよく見て……引き金を引く気配を感じるんだ!)
真(下手に威力が高い銃は、撃つと銃身が跳ね上がるから……)
響「喰らえっ!」バシュンッ
真「……っ!」バッ
真(潜って、相手を倒せるっ!!!)
―――
響「はは……負けた……」
真「はぁっ……はぁっ……」
響「ホントに楽しいな……十分経ったら、またやりたいぞ」
真「無理だよ、十分以内に旗を取るから……」
響「そんな、つれないこと言わないでほしい、な……」ドサッ
P『響、真の攻撃により脱落。自陣へ』
真「……あれ?」
真「すみませーん、ボクもう装備してるんですけど、二つ運んじゃダメですかー?」
P『……許可する』
真「……よし。これを本陣に持って帰って……ボクも敵陣へ向かおう」
真(楽しかったよ、響)
真「貴音?」
貴音「お疲れ様です、真」
真「もう隠れてないの?」
貴音「こちらが押し切っている以上、もう本陣を三人で守る事の意味はほぼ無いものと見ました」
貴音「何より……わたくしも隠れて戦うより、前に出たいと考えます」
真「……そっか、分かった」
真「それじゃあ雪歩、無線機ここに置いておくから、復帰したらこれを装備してね」
雪歩「う、うん」
真「貴音、行こう。やよい、雪歩が復帰したら二人で敵陣まで来て」
やよい「ええっ!? そ、そんなことしたら……!」
真「あはは……番組スタッフに怒られちゃうかな? でも、楽しみたいんだ、ボクは」
貴音「わたくしも、同じ意見です」
真「あ、待たなくて済んだね」
貴音「行きましょう」
やよい「はい!」
雪歩「わ、分かりました!」
真美「いよ→っし。頑張ろ!」
亜美「じゃあ行ってくるね!」
伊織「真には注意しなさいよ!」
真美「了解っ!」
千早「1人、ね」
春香「……」
千早「……美希!」
春香「ちょっ、千早ちゃん!?」
千早「私が相手するわ」ジャコッ
美希「春香……ごめん。手を出さないで欲しいの」
千早「春香、先に行って。撃たれることはないから」
春香「う、うん!」ダッ
美希「千早さん……リベンジなの!」ブシャッ
千早「相変わらず、酷い武器……」ダッ
千早(距離が近いと、まず回避は不可能……弾切れを狙うしかない)バシュバシュ
美希「今度は、そう簡単に当たらないの!」
千早(美希は動きが速い……このまま牽制のし合いになるか……)
真「あれ、千早と美希だよ!」
貴音「……確かに」ガシャッ
真「だ、駄目だよ貴音、邪魔しちゃ」
貴音「いえ、邪魔するつもりはありません」ガゥンッ!
真「ちょ、ちょっとぉ!」
貴音「双海亜美、双海真美の両名が接近しています」ガゥンッ!
貴音「このままでは、如月千早は1対3という場面を迎えることになりますよ」ジャコッ
真「……貴音。援護お願い。ボクは二人を止めてくるよ」
真「何?」
貴音「わたくしの誤射には気を付けてください」
真「……え」
貴音「さぁ、早く」
真「い、行ってくる……」ダッ
貴音「さて……わたくしも、頑張らなければなりません」ガシャッ
貴音「二人の邪魔を、させるわけには参りません」
春香「と、私も人の心配してる場合じゃないよ……もう敵陣まで来ちゃった」
春香「きょ、距離を取れば大丈夫だよね……本陣を空けることはないだろうから、追いかけても来ないはずだし」
春香「い、行くよー……!」
春香「……っ!」ダッ
伊織「来たわね……春香!!!」
春香「貰うよ!」バンバン
春香(……え? 伊織、武器を持ってない?)
春香「え……?」
バシャンバシャンバシャンッ!!!
春香「まさか……水爆弾……!?」
伊織「下準備が大変だけどね! こんな武器だなんて正直ふざけてるわよ!」ポポイ
春香「きゃあっ!」
伊織「あずさ! トドメよ!」
あずさ「ええ、任せてっ」ブシュアッ!!!
春香「ちょ、ちょっとぉぉぉっ!!!???」
春香「あずささんがダントツで卑怯だよ……なんで高圧式のシャワーホースなんて使ってるの……?」
春香「あんなの使われたら、近付けないよ……」
あずさ「あらあら、隠れちゃったみたいね」
伊織「ま、異常者でないなら撤退してるわ」
伊織「ホント、私達の武器って動き回れないのが問題よね」
伊織「スタッフも何考えてんのかしら……」
亜美「お! 千早お姉ちゃん見つけた!」
真「させないよ、二人共」
真美「むむ、出ましたか最強」
亜美「でもでも、2対1だから勝てるよねっ」
真「まぁ不利なのは分かってるよ。でも……」
真「一番最初に、背中を撃たれたことを実は根に持ってるんだ」
真「だから、そのリベンジだよ」チャキッ
真美「よし、挑戦者よ! その試合、受けた!」ジャキッ
亜美「私達のコンビネーションを見よ!」ガチャッ
真美「それそれ→!」バンバン
亜美「逃げてばっかりじゃ勝負にならないよ→!?」バシュッ
真(良い連携だ。さすがは双子、ってところかな)
ガゥン
真美「おっとと!」
亜美「いや→お姫ちんにはしてやられたね」
真美「でも、スナイパーライフルは動き回る相手には当てられないっていおりんが言ってた!」
亜美「もうお姫ちんは怖くないよ!」
真美「言ったな!」ダッ
亜美「覚悟!」ダッ
真「……」チャキッ
真美「嘘でしょ……?」ガクッ
亜美「なんで……!」ドサッ
真「確かに二人のコンビネーションは完璧だったよ。まるで鏡写しみたいだった」
真「でも、左右対称な動きだからこそ、一人の動きさえ見ていれば相方の動きが分かるんだ」
真「何より……挑発に簡単に乗ったこと。無理に攻めなければ響の復帰まで耐えられたのにね」
P『亜美、真美、真の攻撃により脱落。自陣へ』
千早「美希……」
美希「ま、まだ、まだやれるの!」ハァハァ
千早「何故、そこまでして私との戦いを望むの?」
美希「ミキはトップアイドルなの……だから千早さんに負けっ放しでは居られなかった……」
千早「あれは、相討ちだったじゃない」
美希「ううん、あれはミキの負け。自分の思い通りにならなかったから……」
千早「……なら私は、ここで相討ちを良しとするわ」
千早「チームが勝利出来ればそれでいい」
千早「元より、敵同士だから」
美希「……戦うしか、ない」ジャコッ
千早「……そう。戦うしかないのよ」ガシャッ
美希「これで、終わらせるの!」
千早「ええ、そうね!」
P「千早、美希の攻撃により脱落。自陣へ」
千早「……ふふ、私の負けよ。でもチームの勝ち」
美希「え?」
千早「気付かなかった? 私達が遭遇した地点から、相当赤陣地の方へ移動してるわ」
千早「今、青陣地はどうなってるのかしら……?」ガクッ
美希「最後の最後まで……千早さんにはしてやられっ放しなの」
美希「……っ!」ダッ
春香「どうする?」
真「やよい、今どこ?」
やよい『え、えっと……多分真ん中くらいだと……!』ザザザ
真「…………駄目だ、期待出来そうにない。響が復帰してしまう」
春香「あずささんの武器は強力だし、それに気を取られてると、上から爆弾が降ってくるから……」
真「貴音、なんとか撃ち落とせない?」
貴音「……当てにならない狙撃率になりそうです」
真「でも、時間を掛けてられないのは事実だからね。行動しないと」チャッ
春香「うん」ガチャッ
貴音「弱音を吐いている場合ではありません。可能な限り、力を尽くしましょう」ガシャンッ
伊織「ま、武器を考えると当然の選択よね」
伊織「行くわよあずさ!」
あずさ「ええ、任せて」ブシュアッ!!!
貴音「あとは頼みましたよ、春香、真」ガゥン!
春香「それ、それっ!」バシュバシュンッ
あずさ「ごめんなさいね……この水圧の前では、効かないのよ」
伊織(やっぱり、三人バラバラに動いてくるつもりね!)
伊織「ということは私の相手は……真!」ポポイ
真(集中しろ……やれる、やれるぞ)ポイッ
伊織「武器を捨てたですって!?」
真「……そこっ!」パシッパシッ
伊織「はぁっ!? そんなバカな!」
真(水風船の弱点……何かに当たらないと爆発しないこと!)
真「ボクの……勝ちだっ!」ビュンッ
伊織「きゃあっ!!!」バシャァ
P『伊織、真の攻撃により脱落。自陣へ』
あずさ「あら、あら……どうしましょう……」キョロキョロ
真「……今、三人に銃口を向けられています」スッ
春香「投降してください、無益な殺生は好みませんから……っ!」チャッ
あずさ「……ええ。私達の、負けね」
P『赤チーム、旗の奪取を確認。ゲーム終了!!!』
亜美「いや→楽しかったね!」
真美「ひっさしぶりに燃えた!」
雪歩「私……何もしてなかったなぁ……」
やよい「つ、次の機会があれば、頑張りましょう!」
真「響、お疲れ」
響「真も、お疲れだぞ」
真「次の機会があれば、戦おうね」
響「次は自分が勝つぞ」
春香「興奮冷めやらぬ……ってこういうことなのかな。また、やりたいね」
千早「……まぁ、悪くない企画だったわ」
春香「またまたー……乗り気だったくせに♪」
千早「そ、それは、そう、だけど……」
美希「はいはいはーい! もう一回やりたい人ー!」
真美「何!? また出来るの!?」
P「どうせこの後はスケジュールも入ってないしな。自由ってことで」
響「それなら、プロデューサーも参加だぞ!」
亜美「なら次は12対1で兄ちゃんをぼっこぼこだ→!!!」
P「お、俺はやらないからなー!」
春香「だって。行こう? 千早ちゃん」
千早「……ええ」
おわり
真無双だとか、やよい雪歩の要らない子っぷりとか、いろいろ修行不足ですまん
人数多くて出番の調整大変だ
支援くれた方ありがとう本当に心折れそうだったから助かった
久々にサバゲーやりたくなった
こういうまともなアイマスSSがもっと増えてくれればいいのに
Entry ⇒ 2011.12.30 | Category ⇒ アイマスSS | Comments (0) | Trackbacks (0)
さやか「ポッキーゲーム!」杏子「い、いぇーい…」
http://engawa.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1324880922/
杏子「わかったよ…んっ…」
さやか「ふ…ぅ…んぁ…」
杏子「ふあっ……」
さやか「んっ……」ドキドキ
杏子「ふあっふあっ……」
さやか「……ん?」
杏子「ふあっくしょーい!」ブショォォオア!
さかや「……」ビチョォォ…
杏子「悪ぃ、さやか。さいきん風邪ぎみで……はっくしょい!へっくしょい!」
さやか「杏子の鼻水で顔がべちょべちょだよぉ////」ドキドキ
さやか「じゃあやろうよ」パクッ
杏子「ちょ、まてよ!まだ心の準備が……」ドキドキ
さやか「んー」
杏子「わ、わかったよ仕方ねー……んっ」ぱくっ
さやか「んー」ポリポリポリ
杏子「んんーっ!?(オイ、このままだと……チューしちまうじゃねえか!)」
こうか?
さやか「じゃあやろうよ」パクッ
杏子「ちょ、まてよ!まだ心の準備が……」ドキドキ
さやか「んー」
杏子「わ、わかったよ……でもさ、ちゃんと途中で止めろよ!」
さやか「どうかなー?チューしちゃうかどうかでドキドキするのが楽しいんだから約束は出来ないなー?」ニヤニヤ
杏子「何言ってんだ!チュ、チューしちまったら……あかちゃん出来ちまうだろ!」
さやか「」
という杏子「らめえええあかちゃんできちゃうのおおお」路線でかまいませんか?
杏子「おいさやか!聞いてるのか!」
さやか「あ、うん……そっか杏子ってそういう知識ないんだね」ジッ
杏子「な、何だよ」
さやか「ううん。さ、途中で止めてあげるから」
杏子「わ、わーったよ。絶対だぞ!絶対止めろよな!」
さやか「わかってるって。ほら早く」ニヤニヤ
杏子「う……(さやかの顔がこんな近くに////)」
さかや「はやく咥えなさいよ。ほらほら」
杏子「わ、わかったよ……あ、あーん」パクッ
さやか「んー」ニコッ
杏子「(わわわ近けー!めっちゃ近けーよぉ……////)」
さやか「ふふふーん」ポリポリ
杏子「ッ!?うわっ!?」バッ
さやか「ちょっと、なに離してんのよ」
杏子「だってお前がいきなり……」
さやか「食べないとゲームの意味ないじゃん」
杏子「そうだけど……もうちょっとゆっくりしてくれよ!こっちは初めてなんだから!」
さやか「わかったよ。でもあんた、次途中で離したら罰ゲームだかんね!」
杏子「お、おう。いいぜ。もう離さないからな」
さやか「じゃ改めて……」パクッ
さやか「ん(はやく咥えなさいよ)」
杏子「お、おう……んっ」パクッ
さやか「んーんんー?(いくわよー?)」
杏子「ん、んん……(ゆっくりだぞ、ゆっくり食べろよ!)」
さやか「んー」ポリッ
杏子「んっ」ビクッ
さやか「んんー」ポリポリッ
杏子「んんーっ!」
さやか「ん」ピタッ
杏子「っ!?」
さやか「んーん」ニヤニヤ
杏子「(こいつ……あたしの反応で楽しんでやがるな!)」
さやか「ん?」
杏子「(それならあたしだって……やってやるっ!)」ポリポリポリ!
さやか「んー!」
杏子「(どうだ!まさかあたしが攻めに回るとは思ってなかったみたいだな!)」ポリポリポリ
さやか「んんー!」
チョン
杏子「ん?……んんー!?(さやかの鼻とあたしの鼻が、触れちまった!)」
杏子「(鼻と鼻で、チューしちまった!こ、これはセーフだよな?そうだよな神様!)」ドギマギ
さやか「ん////」モジモジ
杏子「(し、しかも動けねーから……ずっと鼻同士でチューしたまま……離れられないよぉ!?)」
さやか「んっ」カァ////
杏子「(お互い喋れねーから余計気まずいーっ!恥ずかしいー!あーもう誰か助けてくれーっ!)」
杏子「んーんん!(さやか!はやく離せよ!)」
さやか「んんーん!(嫌よ!あんたが離しなさいよ!)」
杏子「んんー!(離したら負けだろ!?あたしはさやかなんかに負けたくないんだよ!)」
さやか「ん!(あたしだって……ぜったい負けないんだから!)」
杏子「……」ジッ
さやか「……」ジィッ
杏子「(ダメだ、はずかしすぎるぅぅぅぅーーーーっ!)」カアアア
さやか「(もう、恥ずかしいならはやく離しなさいよーっ!)」カアア
~~10分後~~
杏子「(あれから10分間、ずっとさやかと繋がったまま……いいかげん死にそうだよぉ////)」
さやか「(うっ、トイレ行きたくなってきた)」モジモジ
杏子「(もう離しちゃおうか……いいや、こいつだけには負けられねーんだ)」
さかや「(はやく終わんないかなあ……そろそろ飽きてきたし)」
杏子「(こいつの前でみっともない格好をさらすわけにはいかない!)」キリッ
さやか「(一気に勝負に出ちゃおっと!)」ポリポリポリポリ!
杏子「っ!?(さやかのやつ……何考えてやがる!)」
さやか「(ほーら?はやく離しちゃいなさい!)」ポリポリポリポリ
杏子「んんーっ!?(あ、ああ……何やってんだよぉぉ!?)」
さやか「(意外としぶといわね……)」ポリポリポリ
杏子「(どんどん短く……っ)」
さやか「(はやく降参しなさいよ!)」ポリポリ
杏子「(上唇が触れちゃいそう……っ!)」
さやか「(あれ?だんだんキスするみたいな体勢に……)」ポリポリポリポリ
杏子「(あ、ポッキーにひっぱられて……)」クイッ
さやか「(杏子、目が潤んじゃって……カワイイ)」ポリ…
杏子「(さやかの唇のあったかさが、あたしの唇に伝わってくる……)」
さやか「(もう一センチも間が開いてない……あと一口齧れば……)」
杏子「(少し動いただけでも触れちゃいそう……)」
さやか「(ど、どうしよう……なんか、キス、したくなって……)」
杏子「(チュー、したい……さやかとチュー……で、でもあかちゃんが……)」
さやか「(キスしたいよぅ……でもしちゃったら……杏子に嫌われちゃうかな)」チラッ
杏子「////」ウルウル
さやか「(か、かわえええええ!もう我慢ならん!……い、いやいやダメだって女同士でキスなんて!)」
杏子「(さやかと、チューしたい……でもっ、あかちゃん出来ちゃったら……)」
さやか「(うおおおおおお行きたい、すごく行きたい!がぶっとひとおもいに!)」
杏子「(ちょっとだけなら……大丈夫、だよね?)」チョン
さやか「っ!?(う、上唇が……触れちゃってるーっ!?こ、これって……)」
杏子「(まだチューじゃ、ないよね?ちょっと触れちゃってるだけだよね?)」
さやか「(キス……なのかな?よくわかんないけど、触っちゃってるだけだからセーフ?)」
杏子「(さやかの唇、やわらかい……もっと、もっと触りたい……)」モジッ
さやか「(あ、杏子!?こんな状況で少しでも動いたら……っ!)」
杏子「(あ、下の唇も……)」
さやか「(ふ、触れちゃってる!?これってもう完全にキス……だよね?)」
杏子「(さやかの唇が、あたしの唇と重なってる……熱い息が、伝わってくる……)」
さやか「(杏子、ほとんどキスしちゃってるのに離さないってことは……)」
杏子「(ポッキー、ほんの少しだけ残ってる……)」
さやか「(あんた、もしかして……)」
杏子「(これがなくなっちゃえば……)」
さやか「(ちょ、まずいって……まずいってー!)」
杏子「(あ、ああこれ以上深くチューしたら……)」
さやか「(やめて杏子!これ以上はヤバいってー!)」
杏子「(きっと、あかちゃんできちゃう……)」
さやか「(で、でも離せない……いや離したくない!あたしも……)」
杏子「(でも……止められないっ!)」チロッ
さやか「んんーっ!?(杏子!?し、ししし、舌が……舌入れてきたあああっ!?)」
杏子「(さやか、開けて?)」ツンツン
さやか「(は、歯を舌でツンツンして……こ、これって『舌を入れさせろ』ってことよね?)」
杏子「(さやかはもっと深いチュー、したくないの?)」ツンツン
さやか「(あ、ああああたしの理性がががががが)」
杏子「(おねがい……もっとチュー、しよ?)」ツンッ
さやか「(女同士とか知るかああああああああああああ!)」ガバッ
杏子「(さやかが、あたしのベロを、舐めてくれてる……)」ヌチャ
さやか「杏子、杏子っ……!」
杏子「(あたしを受け入れて、ああっさやか……さやかっ!)」ギュッ
さやか「(杏子っ、可愛いよ……杏子っ!)」
杏子「(らめぇ、こんなに激しいチューしたら……あかちゃんできちゃうのおおおおおおっ!)」ギュウウウウ!
杏子「はあっ……はあっ……」
さやか「はあっ……はあっ……」
杏子「……」
さやか「……」
杏子さやか「(どうしよう……死ぬほど気まずい)」
杏子「(ななな何やってんだあたしゃー!?さ、さささやかとチューしちまったぞ!?
しかも激しいヤツを!?なに考えてんだ数秒前のあたしはーっ!?)」
さやか「い、いやー……キスしちゃったから引き分けかな?あは、あはははは……」
杏子「……できちゃう」ボソッ
さやか「……は?」
杏子「どうしよう……さやかとのあかちゃん、出来ちゃうよぉ……」グスッ
さやか「……」キュンッ
さやか「一緒に育て……じゃなくて!キスだけじゃあかちゃん出来ないから!」
杏子「え……本当?」グスッ
さやか「本当だから。そもそも女同士で子供できるわけないじゃない!ね?
だから泣きやみなって」
杏子「ホント……?」ピクッ
さやか「本当だって。さやかちゃん、ウソつかない!」
杏子「……テメェ」ゴゴゴ…
さやか「……へ?」
杏子「あかちゃんできないなら最初にそう言えよ!騙しやがったなーっ!」バッ
さやか「き、聞かれなかったから言わなかっただけよ!」
杏子「そんな言い訳が通じるかよ!ったく、一人で葛藤してたのがバカらしく思えるよ」
さやか「(よ、よかった……いつもの杏子にもどった……)」
杏子「あたしを騙した罰として……」サッ
さやか「え?」
杏子「この箱が空になるまでポッキーゲーム、付き合ってもらうからな!」
さやか「ええ!?ちょ、杏子!?」
杏子「いや、もうポッキーはいらないか。さやかー、いっぱいチューしようぜー!」ガバッ
さやか「う、うわああああああああでもちょっと嬉しいかもおおおおおおおおお!」
~~次の日~~
まどか「おはよーさやかちゃん!」
さやか「あ、おはよーまどか……」
まどか「どうしたの?元気ないね」
さやか「いや、昨日は眠れなくって……」
まどか「また遅くまでテレビゲームしてたんでしょ?」
さやか「いや、テレビじゃないゲームというか何というか……」
さやか「実はかくかくしかじかで……」
まどか「杏子ちゃんとポッキーゲームでチューしちゃったの!?」
さやか「うん。そのせいで杏子との仲が……何かヘンになっちゃって」
まどか「ヘンって?」
さやか「それがねー……」
杏子「おーいさやかー!」
まどか「あ、杏子ちゃん!」
さやか「げ!?なんであんたついてきてんの!?あたしたちこれから学校よ!」
杏子「えへへ、これ見てよ!」ヒラッ
まどか「杏子ちゃんその格好は……」
さやか「私たちの学校の制服……ってあんたまさか!」
杏子「えへへへ、そうさ。今日からあたしもさやかと同じ学校に通うことにしたんだよ」
さやか「」
先生「というわけで、今日から転入してきた佐倉杏子さんです。みなさん仲良くしてあげてね」
杏子「佐倉杏子だ。よろしくな」
ほむら「……どういうことなの」
まどか「わけわかんないよね」
先生「佐倉さんの席は……ちょうど美樹さんの隣が空いているわね」
さやか「え?私の隣は仁美の席……あれ?今日に限って仁美が休み!?」
杏子「……よろしくな、さやか!」
さやか「お、おう……」
杏子「さやかー、教科書見せてくれよー」
杏子「さやかー、ここの問題教えてくれ」
杏子「さやかさやか!いっしょにドッヂボールしようぜ!」
さやか「う、うん……」
まどか「杏子ちゃんからのアプローチが半端ないね、ほむらちゃん」
ほむら「佐倉杏子……いったいどういうつもりなのかしら?」
さやか「あー、やっと昼休みかぁ……」
まどか「ちょっとやつれたね、さやかちゃん」
さやか「やっと一息つけるわー。午前中、杏子に振り回されてばっかだったし」
ほむら「どういうことなの美樹さやか」
さやか「ほむら……これには事情があって」
ほむら「どういう事情か知らないけれど、あんな佐倉杏子はどの時間軸でも見たことないわ。
あなた、彼女にいったい何をしたの?」
さやか「いやぁ、ただのゲームのはずだったんだけど……」
ほむら「杏子と……キスを?」
さやか「はい……ポッキーゲームしてたらその場のノリで……」
まどか「さやかちゃん、そういうことは遊びでしちゃいけないんだよ」
さやか「仰るとおりです……」
ほむら「あなたはどうかしらないけれど、杏子は本気みたいね」
さやか「みたいですね……」
ほむら「あなた達、付き合っちゃいなさい」
さやか「えーっ!?ちょっとほむら!あんた何言ってんのさ!」
ほむら「あそこまで本気の杏子は見たことが無い。もし彼女を失望させるようなことをすれば
杏子は絶望から魔女になってしまう可能性があるわ」
さやか「そ、そんな……たかがキスくらいで……」
まどか「私も、キスしちゃったんなら責任とらなくちゃいけないと思うよ」
さやか「まどかまで!?」
杏子「おーいさやかー!いたいた!一緒に弁当食おうぜー!」
さやか「げ、杏子!?」
ほむら「私たちはお暇するわ……後は二人でよろしくやるといいわ」
まどか「じゃあね、さやかちゃんガンバッテ!」
さやか「ちょっと待って!置いてくなー!?」
杏子「どうしたさやか?ほら、お前の好きなハンバーグだぞ!はい、あーん!」
さやか「ちょ、自分で食べれるから!」
杏子「あーん!」
さやか「……あーん」パクッ
杏子「どうだ?おいしいか?」
さやか「……う、うんおいしいよ」
杏子「そっかー、へへ。作った弁当を褒められるってのも悪くないな!」
さやか「う、うん……」
杏子「どうした?元気ないのか?」
さやか「いや、そういうわけじゃないけど……」
杏子「じゃあ元気づけてやるよ」スッ
さやか「え?ちょ……杏子!ここ学校……んっ」チュッ
杏子「……んっ、はぁ……ハンバーグソースの味がする」
さやか「ちょっと杏子!少しは場所を弁えなさいよ!」
杏子「何怒ってんだ?あたし、さやかに嫌われるようなこと、したか?」ウルッ
さやか「う、ううん……そうじゃなくて……そ、そう人前じゃ、恥ずかしいし……」
杏子「そっか、誰かに見られるかもしれないもんな。じゃあ……他人に見られない所に行こうよ」
さやか「……へ?」
杏子「さ、来いよさやか。ここなら誰かに見られる心配もないぜ。ちょっと臭いけどな」
さやか「と、とととトイレの個室って……あんた一体なに考えてんのよ!」
杏子「何って……今日一日おあずけ喰らった分、たっぷりキスするに決まってるだろ?」
さやか「ちょちょちょちょっと待って!ここ学校よ!?」
杏子「さやかはしたくないの?あたしと、キス……」
さやか「っ!?」ドキッ
杏子「さ、はやく……昼休み、おわっちゃうよ?」
さやか「あ、うん……」フラッ
ギィィィ…バタン!
杏子「んはっ……んむっ」モゾッ
さやか「はっ……んっ、んっ」チュバッ
杏子「さやかっ……はっ」チュッ
さやか「いや、きょうこ、はげしすぎっ……んっ」
杏子「さやか……」
さやか「……何?」
杏子「さやかの耳って、かわいいよな?」カリッ
さやか「ひゃうんっ!?」ビクッ
さやか「ちょっと杏子!?キス以外はダメ!そっから先は……」
杏子「何言ってんだ?あたしはキスしただけだ……さやかのかわいいところにな」チュッ
さやか「いやっ、首筋……っ!?」ピクッ
杏子「襟首から見えてる鎖骨もかわいいな……思わず」スッ
さやか「い、いや、やめてっ……」
杏子「キスしたくなっちまう」ペロッ
さやか「ああっ!?」ギュッ
杏子「どうしたさやか?もっとキスしてほしいのか?」
さやか「止めて、きょうこぉ……これ以上されたら……っ」
杏子「これ以上って?」
さやか「そ、それは……////」
杏子「たとえばこの、鎖骨より下の……」
さやか「ちょ、さすがに胸は……って、あれ?」
杏子「この……ヘソとかか?」ピラリッ
さやか「ちょっとーっ!?どこめくって……ひゃっ!?」
杏子「さやかのおヘソ……かわいいよ」チュッ
さやか「ば、ばかぁ……そんなとこまでキスしなくっても……ひゃうんっ!?」
杏子「かわいい……すごくかわいいよ」チュッ、チュッチュッ
さやか「止め、て……腰、抜けちゃ……はふっ……うんっ」ガクッ
杏子「おっと」ガシッ
さやか「はぁ……はぁ……」
杏子「だ、大丈夫か?そんなに気持ち良かったのか、おヘソにキスされるのが」
さやか「はぁ……はぁ……」
杏子「ダメだ、聞こえてねーみたいだ……じゃあここは唇に目覚めのキスを……んっ」チュッ
さやか「んっ……はっ」チュバッ
杏子「よう、お目覚めかい?お姫様」
さやか「きょう、こ……」
杏子「そろそろ昼休みも終わるぜ。教室にもどろ……っ!?」
さやか「……あんたが、悪いんだからね」
杏子「ど、どうしたさやか?もう教室に戻らないと……」
さやか「あんたのせいよ……あんたが火をつけたんだからね?」ジリッ
杏子「ちょっと、怖いよ……さやか……」タジッ
さかや「窒息するくらい、キスしてやるんだから」
杏子「……え?」
/ ̄ ̄ ̄`ヽ、
/ ヽ
/ \,, ,,/ |
| (●) (●)||| |
| / ̄⌒ ̄ヽ U.| ・・・・・・・・ゴクリ。
| | .l~ ̄~ヽ | |
|U ヽ  ̄~ ̄ ノ |
|  ̄ ̄ ̄ |
キーンコーンカーンコーン
さやか「はっ、んむっ……っ!」チュバッ
杏子「ちょっ、さや……か、息できなっ……うむっ?!」ガバッ
さやか「あんたのせいよ……あんたが、あんたが……んっ」
杏子「んんーっ!?」
さやか「可愛過ぎるのがいけないんだから……はむっ」
杏子「~~~~~~~~~ッ!?」ビクビクッ
さやか「はっ……はあっ……」ゼェゼェ
杏子「……はっ、はっはっ……んはっ」ビクッ
さやか「昼休み、過ぎちゃったね」
杏子「はっ、はあ……」ゼェゼェ
さやか「二人とも顔じゅうべチャべチャだ……これじゃ教室戻れないね」
杏子「さ、さやか……死ぬかと、思った……」
さやか「何言ってんの。魔法少女は不死身なんでしょ?」
杏子「そうだけど……限度ってもんが……」
さやか「五時限目は英語だったよね?でもあたし、英語嫌いなんだよね」
杏子「さや、か……?」
さやか「次の授業まで、さぼっちゃおうか?」サスッ
杏子「ちょっと、おい……待てって、まさか……」
さやか「魔法少女がキスで死んじゃうかどうか……確かめてあげる」
杏子「待てっ!さやか!ほんとに待てっ……うむんっ!?」
さやか「んっ………………っ」
杏子「んんんんんんんんんーーーーーーーーーーっ!?」ビクビクビクッ
~~保健室~~
杏子「う、うわあああああああ……あ、あれ?」
まどか「あ、気がついた?大丈夫、杏子ちゃん」
杏子「まどか?あれ、あたしは確かさやかと一緒に……」
まどか「お昼休みに杏子ちゃんが倒れちゃって……さやかちゃんが運んでくれたんだよ?
憶えてないの?」
杏子「あ?あたしが倒れた?」
まどか「五時限目の途中にさやかちゃんが戻ってきて、
杏子ちゃんを保健室に運んでたから遅くなったって言ってたよ?」
杏子「そうだ、あたしとさやかは……二人で……っ////」カアアア
まどか「どうしたの杏子ちゃん?顔が真っ赤だよ!?まだ寝てなきゃ……」
杏子「う、うるさい!何でもねーよ!」
まどか「そ、そう?じゃ、わたし今日は用があるから先に帰るね?」
杏子「え?まだ授業中じゃないのか?」
まどか「何言ってるの。もう放課後だよ?杏子ちゃん二時間も眠ったままだったんだから」
さやか「おーっす杏子!調子はどうー?」ガラッ
まどか「さやかちゃん!ちょうど良かった。杏子ちゃんのこと、後はお願いね」
さやか「ぬっふっふっふ……任せたまへー!」ワキワキ
杏子「ゲッ!?まどか、ちょっとまってくれ!」
まどか「杏子ちゃんお大事にー……ちなみにこの部屋、
あと30分は誰も来ないらしいよ?じゃあね!」バタンッ
杏子「あ……」
さやか「体の具合はどう?」ジリッ
杏子「お、おう……お陰さまでな」
さやか「じゃあもう大丈夫よね?」スッ
杏子「な、何のことだ?そ、それよりどうだ?ポッキー喰うかい?」サッ
さやか「……そうね」パクッ
杏子「ほっ……(さすがのあたしでも連戦はキツいぜ……)」
さやか「ん」
杏子「……へ?」
さやか「んー♪」
杏子「ま、まさか……」
さやか「ん、んーん♪」
杏子「あ、あはははは……」
さやか「(もうぜったい離さないからね、杏子?)」
杏子「い、嫌だ……!」
さやか「んっ!?」
杏子「もうポッキーゲームはこりごりだーっ!」ダッ
さやか「あーっ、待ちなさい杏子!逃げたら罰ゲームだからねーっ!」
おわり
r‐-=ニ升-─ァ
. 〉 ,/⌒ ̄ ̄\
/ ∨ /⌒ ⌒\
| | i 〃/ /\ \ .ハ
| | | :|/∨ jノⅥ Ν __
,ノ 八圦| ┃ ┃ レ′ / /
⌒i: |¨ヽ.''_∈マ_''ノ / /
八 | /「 承{\づ | ┌>
)ノ ≧ソ ! 廴_  ̄ ̄ ̄
{廴_人_}}
`¨Z广ヒi¨´
Entry ⇒ 2011.12.30 | Category ⇒ まどかマギカSS | Comments (0) | Trackbacks (0)
妹「3、2、1…」
男「」
妹「」
妹「…ねぇ?」
男「ん?」
妹「なんか言わないの?」
男「言ってどうなんの?」
妹「…」シュン
...‐''゙ . ` ´ ´、 ゝ ''‐...
..‐´ ゙ `‐..
/ \
.................;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;::´ ヽ.:;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;.................
.......;;;;;;;;;;゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙ .' ヽ ゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙;;;;;;;;;;......
;;;;;;゙゙゙゙゙ / ゙: ゙゙゙゙゙;;;;;;
゙゙゙゙゙;;;;;;;;............ ;゙ ゙; .............;;;;;;;;゙゙゙゙゙
゙゙゙゙゙゙゙゙゙;;;;;;;;;;;;;;;;;.......;............................. ................................;.......;;;;;;;;;;;;;;;;;゙゙゙゙゙゙゙゙゙
゙゙゙゙ i;゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙;l゙゙゙゙゙
ノi|lli; i . .;, 、 .,, ` ; 、 .; ´ ;,il||iγ
/゙||lii|li||,;,.il|i;, ; . ., ,li ' ; .` .; il,.;;.:||i .i| :;il|l||;(゙
`;;i|l|li||lll|||il;i:ii,..,.i||l´i,,.;,.. .il `, ,i|;.,l;;:`ii||iil||il||il||l||i|lii゙ゝ
゙゙´`´゙ -;il||||il|||li||i||iiii;ilii;lili;||i;;;,,|i;,:,i|liil||ill|||ilill|||ii||lli゙ /`゙
´゙`゙⌒ゞ;iill|||lli|llii:;゙i|||||l||ilil||i|llii;|;_゙ι´゚゙´
妹「少しでも家族とのコミュニケーションを大切にしてもらおうと思って」
男「それがなんで『どーん!!』なんだよ」
妹「普通びっくりするでしょ!なんでピクリとも動かないの!」
男「いやだってまあ、同じくらいいつもうるさいし」
妹「…」シュン
妹「今夜9時から、お兄ちゃんがCM見て面白そうって言ってたドラマが始まるよ」
男「ふーん」
妹「よかったら一緒に…」
男「見ないぞ」
妹「なんでー!?」
男「録画予約はしておいたから、あとで1人でゆっくり見る」
妹「…」シュン
妹(これは何か大きなイベントがあったに違いない)
妹(イベント… イベント… …!まさか!)
妹(彼女ができた…とか…?)
妹「…」
男「…」ピッピッ
妹「…ねえ」
男「んー」
妹「なんか今日、冷たいよね」
男「別にー」ピッピッ
妹(今携帯でメールしてる相手も…まさか彼女…)
妹(彼女…彼女…彼女…)フルフル
妹「うがあああああ!」ドーン
男「うお!?」ガタン
妹「なんでまともに話してくれないの!?」
男「はあ?」
妹「いつもはもっと話し込んだりツッコんだりしてくれるのに」
妹「なんで今日は冷たいのさ!!」
男「いや待て落ち付け」
妹「わかってる!わかってるよお兄ちゃん!彼女できたんでしょ!!」
男「はあ!?」
妹「今までもずっと彼女にメール打ってたんでしょ!このこのこの!」ボカボカ
男「痛っ痛いっ、それお前関係ないし勘違いだし、落ち付けってのこの」ドンッ
妹「きゃあっ」ボスン
妹「うん」
男「まず、俺に彼女はいない」
妹「本当?」
男「ああ。なんで妹にこんな嘘つかなきゃいけないんだよ」
妹(…怪しい)
妹「じゃ、じゃあさっきまで誰にメール打ってたの?」
男「大学の先輩」
妹「ああ、夕方まで家に来てた人?」
男「そう。その人」
妹「ふーん…」
妹「色々ってどんな?」
男「それは言えない」
妹「なんでさ」
男「これはさすがに一番身近な妹だとしても言うわけには」
妹「いいじゃん、教えてよー」
男「……」
妹「…お兄ちゃん?」
男「妹よ。2つ約束してくれるか」
妹「? …うん」
妹「とんでもないこと?」
男「それは文字通りのことだから、誰にも言わないでほしい」
妹「……?まあ、わかった」
男「2つ目、俺はそれをされることにより先輩との仲が大変微妙なことになった」
男「それを何とかできるように協力してほしい」
妹「…一体何をされたの?」
男「それを今から言うよ…俺自身言うのにかなり抵抗があるけど」
妹「私でよかったら相談に乗るよ、何でも言って」
男「…」
男「掘られた」
妹「」
男「…そのまさかだ。お前もどんな意味かぐらいは知ってるだろ」
妹「その…つまり先輩と…あ、あな…」
男「言っとくが合意の上じゃないぞ。力ずくでされたようなものなんだ」
妹「お兄ちゃんと…先輩が…あな、あな…」
男「その先を言うな妹よ。言われたら俺もう吐きそう」
妹「アナルセックスしたってこと…?」
男「」オエー
\ ヽ ヽ / / /
お断りだああああああああああぁぁぁ!!
\ | / /
,イ
 ̄ -- = _ / | --'''''''
,,, ,r‐、λノ ゙i、_,、ノゝ -  ̄
゙l ゙、_
.j´ . .ハ_, ,_ハ (.
─ _ ─ { (゚ω゚ ) /─ _ ─
). c/ ,つ ,l~
´y { ,、 { <
ゝ lノ ヽ,) ,)
男「だ、大丈夫だ。ありがとう」
妹(30分近くもトイレで吐き続けるなんて)
妹(よっぽどショックだったんだなあ)
妹「その…ごめんね」
男「?」
妹「そんなことされて思い詰めてる時に…変なこと言っちゃってさ」
男「いや、むしろ一瞬でも忘れられた。ありがとうと言いたい」
妹「い、いやそんな////」
妹「…」
妹「?でも待って」
妹「その先輩にメールしてるのはなんで?」
妹「先輩からメールが?」
男「なんなら本文見るか?」ピッピッピ
妹「…」ゴクリ
件名:スゴかったなぁ(笑)
本文:
いやースンゴかった(笑笑)
男ってばメチャ喘いでやんのW
おかげでこっちも興奮して腰に力入ったしWW
あんトキ撮った写メ送るわ
お前スンゴい顔してるから見てみWWW
添付:20111226184214.jpg
妹「…」フルフル
男「決定キーを押すなよ、絶対に押すなよ妹よ。俺でさえ見れないんだ」
男「あぁ…それで、さっきからこういうメールが何通も来るんだがな」
男「どう返したもんか…書いては消して、書いては消してを繰り返してたんだ」
妹「だから愛想ない感じだったんだね」
男「そういうこt…うえっぷ、思いだしたらまた…もよおしてきた」
妹「は、はやくトイレに!」
男「あぁ…!」ドタドタ
妹「…」
妹「…」パカッ ピッピッピッ
添付:20111226184214.jpg
妹「…」ドキドキドキドキ
妹「…!!」ピッ
妹「…?」
妹「」オエー
男「おーい、妹ー…」
妹「」
男「い、妹!?どうしたんだおい!!」
妹「」
男「ハッ…これは俺の携帯…」
妹「」
男「ま、ま・さ・か」パカッ
男「……!」チラッ
男「うわあああああああああうおええええええ」
妹「おはよう、お兄ちゃん」
男「お、おはよう…妹」
男「なあ…昨日のあr」
妹「何も言わないでお兄ちゃん。言いたいことはわかってるから」
妹「言いたくもないでしょ?」
男「あ、あぁ…すまない」
妹「…」
男「こ、今度は過激なのじゃない。これからどうするか話し合うだけだ」
妹「う、うん」
男「それじゃ、大学行ってくる」
妹「…行ってらっしゃい、お兄ちゃん」
妹「…」
妹「………」
妹「大学行ったら危険なんじゃないかな…?」
妹「あれから夕方になった」
妹「私はずいぶん前に学校から帰ってきてきたけど」
妹「お兄ちゃんが帰ってこない」
妹「やっぱり…何かあったのかな…」
妹「…」
妹「電話…かけてみよう」パカッ ピッピッピ
プルルルル
プルルルル
ピッ
妹「あ、もしもしお兄ちゃ」
男「あっひいいいいい!!!ケツマンコ気持ちいいよおおおおおお!!!」
妹「」
妹「い、いや…」
妹「いや…いや…」
~~~~~~~~~
妹「いやああああああああ!!!」ガバッ
男「うわああああああっ!?」ガタンッ
妹「あ!?あ…れ?お兄ちゃ…ん?」
男「起きるなら静かに起きろ、大声出すな!」
妹「…お兄ちゃんっ!!」ダキッ
男「へ!?な、なんだいきなり!ちょ、離せよ」
妹「よかった…大学でも襲われたのかと思ったよ…」
男「へ?襲わ……何の話だ?」
男「先輩?なんでお前先輩のこと知ってんだ?」
妹「へ?だって昨日その…」
男「昨日?」
妹「…?」
男「…?」
妹「…もしかして、全部夢?」
男「…わかった。疲れてるんだお前。きっとそうだ」
妹「べ、別に疲れてなんかないってば」
男「はいはい、明日も学校あんだから自分のベッドで寝ような」
妹「………」
男「なんだよ、その納得できないみたいな顔は」
男「? …まあ、さっきまでそこで寝てたんだし、夢なんだろうな」
妹「よかったぁ…本当によかったぁ」
男「…一体どんなひどい夢を見たんだよ」
妹「教えない。言ったらたぶん私もお兄ちゃんも吐く」
男「はい?」
妹「んー…なんか夢でぐったりしちゃった。本当に部屋で寝よう」
男「そうしたほうがいいぞ、風邪引くしな」
妹「じゃあ…おやすみ、お兄ちゃん」
男「ああ、おやすみ」
男「しかも先輩の名前が出てくるなんて」
男「……」ヒュン
男「なんかあいつの夢の内容がなんとなく想像できた気がする」
男「寒気がするな…俺もさっさと寝るとするか」
夢の部分とほぼ同じ内容の夢を先日見ました
おしまい
起きた後吐いた
Entry ⇒ 2011.12.30 | Category ⇒ 兄弟姉妹「」SS | Comments (0) | Trackbacks (0)
綾乃「千歳と温泉旅行」
大学が長期休暇に入る直前、同居人の池田千歳が唐突にそんなことを言い出した。
彼女とは中学からの付き合いで、当時から私の事を色々と支えてくれている大切な友達だ。
中学卒業後は同じ高校に進学。
高校卒業と同時に恋人になり、少し遠い大学に一緒に通うために同棲を始めた。
それから二回目の冬。
就職活動が本格的に始まり、忙しくなる前に…ということだろうか。
二人きりの時間が減ってしまうことが少し淋しいと思っていた矢先にこの提案だ。
本当に私の事をよく見てくれているんだな、と嬉しくなる。
「温泉旅行ねぇ…」
「どうかな?綾乃ちゃんと温泉行きたいなぁ~」
お願いがある時のお決まりのポーズだ。
そんなことをしなくても断ったりはしないけど、なんとも愛らしいこのポーズを見たいがために時々焦らしたりもする。
「ふふ、そうね。行きましょうか」
「ほんまに?やったぁ~」
ぴょんぴょんと跳ねながら全身で喜びを表現する千歳。
こんな姿を見せられては、彼女の頼みを何でも聞いてあげたくなってしまう。
「それで、どこに行きたいの?」
「伊豆とかどうかな?」
「その辺はウチに任せといて!」
自信満々に親指を立てる千歳に一抹の不安を覚える。
色々と良くしてくれるのは嬉しいが、時々的外れなことをしたりもするのだ。
最近ではそれさえも楽しみになってきてはいるが…、今回は旅行である。
「そ、そう…?じゃあ任せるわね…」
とはいえそんなことを言えるはずもなく。
期待と不安を胸に、旅行の日がやってきた。
「では、出発!」
千歳の所有する車に乗り込み、七森町を後にする。
丸みを帯びたボディに黄色い塗装がされたこの車に、千歳は一目惚れしたらしい。
「たくあんみたいで可愛いやろ~?」などと同意を求められたが、私にはよく分からなかった。
長い付き合いだと思っているけれど、今でも時々その思考が読めなくなる。もちろん良い意味で。
「~♪」
カーステレオから流れる曲に合わせて鼻歌を歌う千歳。
「楽しい旅行になりそうね…」
胸の中にあった不安もいつしか消え、思わず呟いた言葉に。
「うんっ」
千歳は満面の笑みで応えてくれた。
「ついたで!」
「ここが恋人岬…?」
何度か休憩を挟みつつ、最初の目的地に到着した。
海からの風がとても心地良く、今自分が住み慣れた町を離れているんだということを実感させてくれる。
「恋人岬はあっちの遊歩道からやで~」
確かに、ここはまだ駐車場だ。
奥のほうに木々の中を通る小道が見える。
「綾乃ちゃんっ」
右手に触れる温かい感触。
「……!」
「ふふ、さぁ行くで~」
恋人岬。
その響きが、なんだかとてもくすぐったく感じる。
「いい眺めね…」
遊歩道をしばらく進むと、展望台に出た。
目の前には青い海が広がり、そしてその向こうには。
「あれ、富士山かなぁ?」
「こんなに綺麗に見えるのね…」
「凄いなぁ~」
天気の良さと冬の澄んだ空気のお陰で、対岸や富士山がくっきり見える。
「あ、綾乃ちゃん見て見て!」
「うん?」
千歳の指差す先を見る。
そこは愛の鐘の台座部分。
「ほら、これ…」
「凄い…。小銭がハート型に並んでる…」
少し形は歪んでいるものの、硬貨が大きなハートの形を作っていた。
「なんかこういうのええなぁ」
そう言いながら、ハートの形を整えていく千歳。
「これを置いていった人達がウチらみたいに幸せだとええね」
千歳の笑顔。
見慣れているはずのその笑顔が、凄く眩しく見えて…。
「う、うん…」
熱くなった顔に、海からの風が心地良かった。
顔が真っ赤になっているのを指摘されると思ったけれど、何事もなかったかのように話し続ける千歳。
それはそれでなんとなく寂しい。
「この鐘を三回鳴らすと、永遠に愛が続くんやって」
「三回ね…」
そんなことで永遠の愛が手に入るものなのだろうか。
半信半疑な私に、しかし千歳は人差し指をピンと立てて。
「結構難しいらしいで?」
と、いたずらっぽい笑みを浮かべる。
「うん、恥ずかしがって回数が少なかったり…」
「勢い余って多めに鳴らしてしまうことが多いみたいやね」
難しい、と聞くと上手に出来るか不安になってしまう。
私の根っこはいつまで経ってもいわゆるヘタレのままだった。
「……」
「あはは、緊張することないで~」
そう言って微笑む千歳。
その笑顔に勇気付けられる。
「うん、いくで~」
「せーのっ」
ゴーンゴーンゴーンゴー…ン
「……」
やってしまった…。
鐘が思ったよりも重く、力を入れると今度は逆に勢い良く揺れてしまったのだ。
涙目になる私の頭に柔らかい感触。
「うぅ…、ごめんね千歳」
「よしよし~」
私が失敗したときは、いつも千歳がこうして励ましてくれる。
「旅行はまだ始まったばかりやで!」
「…うんっ」
「綾乃ちゃん、そのアイス一口ほしいなぁ~」
駐車場に戻ってきた私達は、隣接している売店へ足を運んだ。
どうやらアイスが名物らしく、二人で別々の味のアイスを注文してみる。
少し高かったが、味のほうはなかなかのものだった。
「ふふ、いいわよ」
「あむっ」
アイスを差し出すと、てっぺんからかぶりつく千歳。
ほっぺたをおさえて美味しさを表現した後。
「はい、お返しやで!」
今度は千歳がその手に持っているアイスを差し出してきた。
「う、うん…。はむ…」
食べさせあいっこは未だに照れてしまう私。
少し躊躇した後、アイスを一口頬張る。
可愛らしく小首を傾げる千歳。
不意打ちは卑怯だ。
「え…ええ、こっちも美味しいわね…」
顔の火照りを沈めるかのようにアイスを味わう、が。
恥ずかしくて正直よくわからなかった。
「二人でいるとお得やね~」
千歳は相変らず満面の笑顔で。
「…ふふ、そうね」
その笑顔を見るだけで、私も幸せな気分になれた。
恋人岬を後にした私達は、伊豆半島を南下。
ほどなくして次の目的地に到着した。
「らんの里、ね…」
「世界中のらんの花が見られるみたいやね」
らんの花にそんなに種類があるんだろうか…。
世の中まだまだ知らないことだらけである。
メインエントランスに辿り着いた私達が案内看板を見ていると。
「らぶぱわーすぽっと…?」
どうやら施設の奥のほうに、恋人の聖地と呼ばれる場所があるようだ。
「そ、そうね…」
またしても顔が熱くなる。
伊豆にはどれだけ恋人の聖地があるのだろうか。
「結構距離あるみたいやけど、頑張ろうな~」
看板を見てみると、ラブパワースポットを経由したコースは約45分と書いてあった。
「ファイトファイトファイファイビーチね!」
さっき失敗した分を取り返してやるんだから!
世界中の様々ならんの花を見ながら、施設の中を奥へ奥へ進む私達。
「ここから分岐みたいね…」
分岐の先は、フォレストゾーンと書いてある。
ラブパワースポットは、このフォレストゾーンの中にある。
森の中を進むわけではないのだろうけど…。
「結構大変そうやね…」
途中には吊り橋やらアスレチックもあるようだ。
仲が深まることうけあいである。
「ふふ…」
ここまで来た以上は引き下がれない。
千歳の手を引いて。
フォレストゾーンのゲートへ歩き出した。
「…思ってたより小さいなぁピラミッド」
長い長いエスカレーターを上り終えると、少し歩いた先にそのピラミッドはあった。
そのピラミッドこそが、どうやらラブパワースポット「愛の絆」らしい。
「中に入ってみましょう?」
「そやね」
中を覗き込んでみると少し薄暗い。
入り口の左右にはおみくじや絵馬があり、ピラミッドというより神社のようだ。
中に入ると内壁が私達を歓迎するかのように点灯し、星空のイルミネーションを映し出す。
そしてピラミッドの中心には、大きな水晶が鎮座していた。
「これは玻璃塊(はりかい)いうて…、これに触りながら、願いを込めて周囲を回るんよ~」
「そうすると成就するの?」
「…ということやろうね」
さっきの鐘を鳴らすよりは簡単そうである。
「じゃ、じゃあ…」
「バターにならないように気をつけような~」
また何を言っているのか分からない…。
けれど、緊張を和らげようとしてくれているのだということは分かった。
「……」
玻璃塊に手を乗せ、二人でゆっくりと周りを回る。
「これでええんかな?」
「なんだかお願いしてばっかりね…」
愛の鐘に引き続いてこれである。
困った時の…ではないが、お願いしてばかりというのもなんだか気が引けてしまう。
「それに、ウチら二人がお互いを想い合う事が一番大事やねん」
確かに。
中学時代から、千歳の愛情は身をもって感じている。
しかしその台詞は少し恥ずかしすぎる。
「さ、次は復路を頑張ろうな~」
顔を赤くする私に、千歳の非情な一言が突き刺さる。
吊り橋にアスレチックかぁ…。
もう少し動きやすい服装で来れば良かったと、今更後悔。
実際にはそこまで険しいものではなく、杞憂に終わったのだが。
「ふぅ、良いお部屋ね…」
「畳はやっぱりええなぁ~」
その日の宿。
二人で泊まるには少々広いくらいの和室に通され、とりあえずお茶を淹れてくつろぐ。
「窓からの眺めもなかなか…」
千歳の言葉に窓の外へ目を向ける。
どこまでも広がる海と、そこに浮かぶ大小様々な岩場。
「あ、あそこ…」
「うん…?ああ、そういえば釣りができるってフロントの人が言うてたね」
「釣り…」
「まだ夕飯まで時間あるし、やってみる?」
私は今まで釣りをした事がない。
チャレンジしたとしても、恐らく一匹も釣れないだろう。
けれど、開放的な気分になっている今なら何でもできそうな気がした。
「そうね、やってみましょうか!」
「むむむ…」
「綾乃ちゃん、どお?」
やっとのことで竿に糸と針をつけ、今度は餌になる冷凍エビと格闘する私に千歳が声をかけてくる。
「なかなかエビがとれなくて…」
少し溶けはじめた小さいエビは、一匹ずつとろうとするとボロボロと形を崩していく。
ちゃんととれたかと思えば、今度は針につけようとすると形を崩す。
なんだか手馴れた感じでエビをとり、針につける千歳。
「……はい、できたで!」
「あ、ありがとう」
千歳は私の世話を焼くのが本当に好きなようだ。
時々手間をかけてばかりなのが申し訳なくなってしまう。
私も千歳の為ならなんでもしてあげたいと思っているのだけれど…。
「いえいえ」
笑顔の千歳。
怒った顔や泣いた顔や悲しそうな顔は、見たことがない。
「え、ええ…」
そんな顔も見てみたい。
そう思うのは我侭なんだろうか。
「……」
水面を見つめながら、一人考える。
(そういえば…)
ふと気がつく。
(この後どうすれば釣れるのかしら…)
こんな基本的なことも、私は知らなかったようだ。
「なかなか釣れないわね…」
餌に魚が食いつく、ということは恐らくぐいぐい引っ張られるんだろうと結論付けた私。
なんとなく水面を見続けていたが、魚の陰も見当たらないことに気付いた。
千歳のほうも収穫はないらしく、何度か竿を引き上げては、また針を水の中に投げ込んでいるようだった。
「釣りは忍耐やで~」
楽しそうにこちらを向く千歳。
その視線が私の持つ竿の先、水面へと向き…。
「…って、綾乃ちゃんそれ食いついてるんちゃう…?」
反射的に竿を引き上げようとする。
すると、ぐいぐい引っ張られる感覚。
「ち、千歳…これ…!」
「綾乃ちゃんファイトッ」
「うぅ…、このっ!!」
千歳の声援を受け、立ち上がりながら竿を思い切り引き上げる。
竿から伝わる抵抗がなくなり、その先に少しの重みを感じる。
糸の先を見ると、そこには小さな魚が一匹引っかかっていた。
「やったなー、綾乃ちゃん~!」
足場が不安定な岩場に立っているというのに、勢い良く抱きついてくる千歳。
「ちょ、ちょっと千歳っ」
「あ、ごめんなつい…」
「い、いえ…」
…抱きつかれて嬉しくないわけじゃないけれど。
「こ、これ…どうすれば…?」
しかし竿ごと入れられる訳がない。
「そしたら魚の口から釣り針とって……」
「………」
やっぱり、そうなるわよね…。
「綾乃ちゃん…?」
もう一度言おう。
私の根っこの部分はヘタレなのだ。
「ち、千歳…。怖くて触れない…」
魚は未だピチピチと元気が良く、本当に怖くて触れない。
「……」
そんな私を無言で見ていた千歳が。
何故か鼻血を出して倒れる。
「千歳ー!?」
うわごとで。
「だから上目遣いは反則やで…」と言っていたのが、かろうじて聞こえた。
「美味しかった…」
「せやな~」
部屋に戻り、温泉を堪能し、海の幸をふんだんに使った豪華な料理を食べ終えた私達。
「まさか釣った魚を調理してくれるやなんて思わなかったわ~」
フロントに釣った魚を渡したところ、天ぷらにして夕飯と一緒に出してくれたのだ。
「露天風呂最高やね~」
満天の星空の下で入る露天風呂はとても気持ちが良かった。
「危うくのぼせるとこやったけど…」
露天風呂でなかったら、また鼻血を出して倒れていたかもしれない。
「……」
「……」
あとは寝るだけ、その状況のせいで。
なんとなく、緊張してしまう。
「あ、そうや綾乃ちゃん」
「な、なに?」
またしても、いたずらっぽい笑みを浮かべる千歳。
「もっと気持ち良い事…せぇへん?」
「…!?」
その言葉に。
今度は私がのぼせそうになった。
「あ…そこ…」
「ここがええのん…?」
「んっ…」
「綾乃ちゃん、凄く綺麗やで…」
千歳の言葉に、顔が紅潮する。
そう言いながらも手を止めない千歳。
「んふふ、気持ち良さそうな顔やね~」
「い、言わないで…」
とは言え、やはり恥ずかしいものは恥ずかしいのだ。
「千鶴も気持ち良さそうな顔するんよ~」
「千歳が上手だから…」
本当に上手だと思う。
痛みも感じない。
「えへへ、嬉しいなぁ~」
耳元で聞こえる千歳の声。
柔らかい、千歳の…。
「…はい、おしまい!」
「あ、ありがと…」
顔が熱い。
手をパタパタさせながらお礼を言う。
「収穫はなしやね~」
広げたティッシュを私に見せる千歳。
「一応毎日してるから…、耳掃除」
「次はウチの番やね!」
千歳の耳掃除をした後、二人で再び温泉に入り、就寝した。
翌日。
朝食を食べたあと、宿を出る。
遊覧船に乗る予定だったのだが、あいにくの悪天候で欠航。
仕方なく伊豆半島を回り、次の目的地へ。
「寝姿山についたわ!」
「ここも縁結びの名所みたいやね~」
最早定番となった千歳の解説。
今ではそれを聞くのが楽しみになっている。
「な、なるほど…」
そう言われてもピンと来ない。
一体どんなセンスの人が言い出したんだろう…。
「まずはロープウェイに乗らんとな!」
「ロープウェイ…」
昨日の釣りに引き続き、これまた初体験である。
ロープ一本で車両を支えている…、そう考えただけで凄く怖い。
「そ、そんなわけないないナイアガラよ!」
最近はツンツンしないように頑張っているのだが、ふとしたときに強がってしまう。
「んふふ」
はいはい、わかってますよ~という千歳の笑顔。
「さぁ、行くわよ!」
その手をとり、いざロープウェイへ。
結局千歳にしがみつきながらロープウェイに乗ってしまった。
ロープウェイを降りると売店があり、そこを出るとちょっとした展望台になっていた。
目的の愛染堂は山の上である。
「ここからまた少し登らないといけないのね…」
「ファイトやで綾乃ちゃん!」
愛染堂を目指して歩き出す。
道端には池があり…。
「うん?…鯉やね」
赤や白、黄金に輝く鯉が悠々と泳ぎまわっていた。
「大きいわね…」
「ほんまやね…、何歳くらいなんやろ…」
「うーん…」
考えても分かるはずがない。
こんなことを真剣に考えてしまう自分達が、なんだかおかしくて。
「あはは、いこか~」
「ええ」
見つめ合い、笑い合ったあと。
再び手を繋いで山頂を目指す。
「ここが愛染堂やね」
「ハートの絵馬があるわ…」
珍しい形の絵馬である。
書いてあるのはやはり恋愛成就の願い事ばかり。
中には家族へのものもあったけれど。
「もちろん書くやろ?」
「そ、そうね…」
なんでもお見通しである。
恥ずかしい気持ちが大きいが、私がこういったことに人一倍憧れているのを分かっているのだ。
「これだけお願いすれば、きっとウチらは死ぬまで幸せやね~」
絵馬に願いを書き込む私に、ニコニコしながら言う千歳。
「そう…だといいな…」
「絶対そうやって!」
千歳の力強い言葉に。
「…うん、そうよね」
私はまた、勇気を貰った。
「今日の露天風呂は貸し切りにできるみたいやね」
その日の宿。
どうやら家族や恋人向けに、貸し切り露天風呂のサービスがあるようだ。
「貸し切り…」
「楽しみやね~」
にこにこする千歳。
恋人向けの貸し切り露天風呂。
そう言われると変に意識してしまう。
けれど…。
「綾乃ちゃん?」
私の顔を覗き込む千歳。
「…ふふ、そうね」
自分でも自然な笑顔になっていたのがわかる。
「どしたん?」
予想外の反応だったのだろう。
少し心配そうな千歳。
楽しみだと言う千歳の言葉に嘘はない。
千歳が楽しみにしているのは、私と想い出を作ることなんだ。
その気持ちが嬉しくて。
「楽しみねっ」
この旅行の中で、一番の笑顔になれたはずだ。
貸し切り露天風呂は、温泉にしてはそこまで広さがあるものではなかった。
しかし家族向けという言葉通り、二人で入るには充分な広さだった。
お風呂の隣のガラス戸は外に繋がっていて、そこにはもう一つお風呂がある。
「外のお風呂は…、少し小さいわね…」
「くっついて入ればええやん」
「く…くっついて…!?」
「うふふ」
さすがにそれは恥ずかしい…、けれど。
「…そうね」
大切な想い出作り。
そう自分に言い聞かせて。
「夜景が綺麗やねー」
「本当…」
昨日とは違い、今度は夜景が目の前に広がる。
上へ目を向ければ、満天の星空。
「綾乃ちゃんもうちょっとこっちおいで?」
「う、うん…」
外のお風呂は、さすがに二人で入るには狭すぎたようだ。
肩が、腕が、触れ合い。
なんとなく黙り込んでしまう。
「……」
けれどその沈黙も嫌なものではなく。
「明日は七森に帰るんやね…」
「…ええ」
二人きりの旅行も、終わりが近づいている。
「また二人で旅行しような~」
「うん、また…二人で」
それはいつだって私の心を柔らかく、温かくしてくれる。
「次は綾乃ちゃんがエスコートしてな?」
その笑顔に、私は何を返せるだろう。
「ふふ、任せておいて!」
二人だけの時間が減り、一緒の休みを迎えることも難しくなるかもしれない。
それでも。
(いつまでも、二人一緒にいられますように―――)
旅の途中、何度も願った想いと。
今までより大きくなったお互いへの気持ちを胸に。
私達は、日常へと帰っていく。
おしまい!
支援ありがとうでした!
Entry ⇒ 2011.12.29 | Category ⇒ ゆるゆりSS | Comments (0) | Trackbacks (0)
不動遊星「ここが見滝原か……」
http://engawa.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1325048282/
遊星「プロジェクトも一段落ついて、一月程休みが出来た」
遊星「同僚にいいところだと勧められて来てみたが」
遊星「かなり栄えている街だな。ネオドミノに勝るとも劣らない……」
遊星「だが……」
ズズズ
遊星(街の人たちも皆いつもの日常を送っているように見えるのに)
遊星(なんだ、この雰囲気は……)
遊星「?」
「た……て……どか」
遊星「なんだ……?」
キョロキョロ
遊星(頭の中に直接声がしている!?)
「たすけて……まどか」
遊星「……まどかが誰かは知らないが、待ってろ!」
タッタッタッタッ
遊星(……この雰囲気、おかしなにおいがする……)
遊星「だが、行くしかない!」
遊星「この扉か!」バンッ
遊星「おい、大丈……!?」
QB「まどか!……あれ?」
遊星「……俺はまどかじゃないが、語りかけてきたのはお前か?」
QB「う、うん。そうだけど……」(彼は僕の声が聞こえていたのか……?)
遊星「……怪我をしているのか」
QB「そ、そうなんだ。それよりこのあたりで」
ほむら「そいつから離れなさい!」
遊星「!?」
QB「……しつこいね君も。僕は君に襲われるようなことをした覚えはないんだけれど」
?「黙りなさい。そこのあなた、今すぐここから立ち去って今日ここで見たことを忘れなさい」
遊星「こいつを傷つけたのは君か?何故こんなことをする!」
ほむら「……あなた、そいつの姿が見えるの?」
ほむら「……QB、どういうことかしら」
QB「知らないよ。それに知っていても教えたくはないね」
ほむら「あなた、何者?私達のことを知っているの?」
遊星「俺は不動遊星、決闘者だ。むしろこっちの方がこの状況について質問したいんだが」
ほむら「不動……!」
QB(遊星……。確かモーメント開発者の息子だったかな)
QB(そして赤き竜とやらの加護を受けていたとか……)
QB(ふむ、僕が見えるのもそのせいかな?断定はできないが)
遊星「その前に俺の質問に答えてもらおうか。君は何者だ?」
ほむら「……答える意味はないわ」
遊星「何?」
ほむら「話してもあなたには理解出来ないでしょうから」
遊星「どういう……」 バタン!
さやか「まどか、声がした方ってこっち?」
まどか「うん、さやかちゃ……ほむらちゃん!?」
マミ「QB、ここにいたのね!……あら、新顔ね」
遊星(……どうなっているんだ)
まどか「えっ、不動遊星って……そ、それよりほむらちゃん、その格好は一体」
ほむら「……学校で話したわね、違う自分になろうとしてはいけないと」
まどか「う、うん……」
ほむら「それを絶対に忘れないで」クルッ
マミ「待ちなさいっ!」
「」カチッ
マミ「……えっ」
遊星「消えた……?」
さやか「えーと、変な声に誘われてCDショップの通用口に行ったら不動遊星と変な格好の転校生と変な生き物がいて……」
さやか「……何がどうなっとるのやら」
遊星「君たちもこいつの声が聞こえたのか?」
まどか「あ、はい。この近くのCD屋さんにいたら頭の中に声がして……」
マミ「キュウベエ、一体何があったの?って怪我してるじゃない!すぐに……」
QB「マミ、その前に一仕事有りそうだよ」
マミ「……そうね」
遊星「っ!?景色が……」
まどか「歪んで……?」
まどか「さやかちゃん……」ギュッ
マミ「下がってて、来るわ!」
遊星「……!!」
ドンッ☆
魔女「」キャハハハハハ……
遊星「なんだ、こいつは……」
遊星(今まで見てきたどんなカードとも違う、禍々しいフィール……)
遊星「魔女……?」
QB「絶望を撒き散らす、君たち人類の敵だよ」
QB「魔女の口づけ……呪いといえばいいかな。それを受けた人間は絶望に心を浸し、死を選ぶ」
遊星「なんだと……!?」
QB「とは言えこの場は安心していいよ。彼女は、マミはその魔女を狩る」
QB「魔法少女だからね」
マミ(無関係の人もいるし、さっさと決めるわ!)
マミ「ティロ・フィナーレ!!」
マミ「そうだ、キュウべえ!」パアアア
QB「助かるよ、マミ」
まどか「傷が治っていく……!」
さやか「マミ、さん?あなたは何者なんですか?すっごい強いし、さっきもあんな銃をいっぱい出したりして」
マミ「うーん……QBが呼んだのなら無関係ってわけじゃないのよね」
マミ「良ければうちに来ない?そこでゆっくり話すわ」
遊星「……俺もいいのか?」
マミ「ええ、キュウべえもあなたが気になってるようだし」
さやか「魔法少女になったら、何でも一つ願いを……ねえ」
まどか「すごい……」
マミ「ええ、でもどうしてもというのでなければ安易にお願いしちゃダメよ?」
マミ「ゆっくりと考えて、それから答えを出すべきだと思うから」
マミ「私には、考える時間すらなかったから……」
さやか「そう、ですか……」
まどか「そういえばキュウべえは?」
マミ「遊星さんと話したいって、外にいるわ」
遊星「特に理由があるわけじゃない。少し休みが出来ただけだ」
QB(ふむ……見た限りだと僕らの存在に勘づいたわけではないようだ)
QB(ここにいるのはただの偶然……)
QB(いや、彼の経歴からすると、むしろ運命と言えるかも知れないね)
遊星「キュウベエだったか、お前はなんなんだ?俺はお前のような生き物を見たことがない」
遊星「イリアステルの奴らのように、俺達の前に立ちはだかるなら容赦はしない……!」
QB「そんなにいきり立たないでくれ。僕はただ力を与えてあげるだけだよ」
QB「魔女に立ち向かうための力をね」
遊星「ふう……」ドサッ
遊星(今日は色々なことがあった……)
遊星(彼女たちは魔法少女で、魔女を倒すために戦っている……)
遊星(そのための力をキュウべえから授かった……)
遊星(わからない……どんな技術を用いればそんな事が出来る?)
遊星(見滝原にはそんなとんでもないテクノロジーがあるというのか?)
遊星(サイコデュエリストだってカードを媒体に似たようなことはできるが)
遊星(昔のアキにだってそんな変身したりするようなことが出来たとは思えない……)
遊星「……殆ど眠れなかったな」
遊星(眼を閉じても昨日の光景が頭に浮かんで離れないな)
遊星「……暁美、ほむらだったか」
遊星「何故彼女はキュウべえを狙った……?」
遊星「マミは縄張り争いのためだといったが、それだけとは思えない……」
遊星(それに、あの眼。俺はあんな眼をどこかで見たことがある気がする)
遊星「彼女に会えば、何かわかるかも知れない」
遊星(中学校の前で待ち伏せは流石に不味い。間違いなく不審者扱いだろう)
遊星(魔女の気配を探していれば、そこではち合わせるかも知れない)
遊星(だが万一誰も現れなければ……)
ゾワッ
遊星(却下だな)
遊星(となれば……)
遊星「休暇なのだし街を見て周るか」
遊星(賑やかだな、魔女なんてむしろ離れていきそうなぐらいだ)
少年A「なあ、あれって」
少年B「そうだな、髪型もそれっぽいし」
少年C「あのー、もしかして、不動遊星さんですか?」
遊星「ああ、そうだが」
「うおーすっげ!生遊星だ!握手してもらお!」
「サインもらおうぜサイン!」
「いやデュエルだろ!」
「じゃあ俺からな!」
「ずりーぞオイ!」
遊星(……元気だな)
「遊星さん!サインお願いします!」
「あのー、一緒に写真撮ってもらっていいですか?」
「スターダスト見せてー!」
その次の日
「なんか見滝原に不動遊星が来てるらしいぜ」
「マジで?ってなんかあの人それっぽくね?」
「キャーユウセイサーン!」
遊星(この街はいい街だ。それは疑う余地が無い)
遊星(こんな街に魔女が潜んでいて、絶望をまき散らしているなど信じられない……)
遊星「ん、病院か。結構歩いたみたいだな」
ドクン ドクン
遊星「!!」
遊星「この感覚は……!?」
遊星(まさか!)ダッ
遊星「さやか、まどか!二人もこの気配を感じて来たのか?」
まどか「え、ええ。そうなんです」
QB「君も来たのかい、遊星」
遊星「キュウべえ……一体どういう状況なんだ?」
QB「これは魔女の卵だ。まだ孵化してはいないが、もうじきに魔女へと変わるだろう」
まどか「そうしたら、どうなっちゃうの……?」
QB「病院でそんなことになれば……わかるだろう?」
遊星「……ッ」ギリッ
QB「マミなら僕らの位置を感知して、すぐに飛んでこれるからね」
QB「万一危険な状況になっても、その時は僕と契約をすれば」
遊星「待て、結界の中には俺が行く。二人はマミを呼んできてくれ」
さやか「そんな!それだと遊星さんが危ないよ!」
遊星「俺なら大丈夫だ。それより時間が惜しい、早く行くんだ!」
さやか「……わかりました。行こうまどか!」
まどか「う、うん!……遊星さん、気をつけて!」
遊星「ああ!……さて、行くぞキュウべえ」
QB「……しようがないね、じゃあ行こうか」
QB「何かな?」
遊星「魔女はどこから生まれてくる?」
QB「人の心の絶望さ。それが形を成したのが魔女だよ」
遊星「そうか。ならばそれをより大きな希望で塗り替えることは可能か?」
QB「……魔女を生み出さないで済むか、と言う意味なら可能といえるかな」
遊星「行き着く所は同じ、か」
QB「?……おや、使い魔だ。ここで隠れて去るのを」
遊星「フッ!」ドゴオ
QB「……何でもない、行こうか」
QB「おそらくはこの向こうだね」
遊星「まだ孵化はしていないか?」
QB「うん。でももう時間がないようだ……」
遊星「……行くぞ」
ギイイ……
QB「……今まさに孵化するところのようだね」
マミ「キュウべえ!遊星さん!」
QB「マミ!」
マミ「ごめんなさい、ちょっとヤボ用があって。二人は危ないから外においてきたわ」
マミ「速攻で、決めさせてもらうわ!」
マミ「せいっ!」ボゴオ
マミ「それそれえっ!」ドンドンドンドン
マミ「はあっ!」シュルルル
遊星「すごい、リボンと銃を使った連続攻撃か……!」
QB「彼女得意のマジックコンボさ、もう決着を付ける気だね」
マミ「とっとと消えなさい!」
マミ「ティロ・フィナーレッ!!」ズドォン
QB「終わったようだね」
遊星「いや、まだだ!マミ!!」
遊星(魔女の口から……なんだ!?)
遊星(何かが……出てくる!)
ズルン オオオオオオ
マミ「えっ」
QB「!!」
ガチン
QB「まさか、マミが……」
遊星(俺が……いや、彼女が勝てなかった相手に……)
遊星「何か武器になりそうなものはないのか!?」
遊星(ドライバー、レンチ……こんなものじゃ……!)
遊星(スターダスト……いや、これは闇のデュエルじゃない。おそらくダメージは与えられない……!)
遊星(俺は、ここで死ぬのか……?)
QB「残念だったね、遊星。この結界じゃ魔女を倒さない限りここから出るのは不可能だ」
遊星「くっ……!」
ほむら「させないわ」
ほむら(マミ……)
QB「随分と重役出勤じゃないか、弱った相手からグリーフシードを掠め取ろうって気かい?」
ほむら「黙りなさい。……あいつは私が片付けるわ、あなたは下がってて」
遊星「ほむら……」
ほむら「何かしら」
遊星「いや……気をつけるんだ、奴は強い」
ほむら「わかっているわ、安心なさい」
ゴオオオオ ガチン!
遊星「っ!!」
遊星「……いない?」
ほむら「こっちよ、うすのろ」
ガチン!! ガチン!!
ほむら「遅いわ……邪魔ね、この人形」ゲシッ
遊星「なんだ、瞬間移動しているのか!?」
QB「ふーむ、これが彼女の能力なのかな」
グオオオオオオオ ガチンッ!!!
遊星「また消え……」
ほむら「ふう……」スタッ
遊星「うわっ!?」
ほむら「大丈夫よ、もう終わっているわ」
ドンッドゴッドガガガガガガ
遊星「奴の体内で爆発が!?」
プシュウ…… ドサッ
遊星「終わった……のか」
ほむら「……」
遊星「ほむら……」
まどか「ほむらちゃん、遊星さん!」
さやか「良かった、二人とも無事で……マミさんは?」
遊星「……」グッ
ほむら「……魔女に負けて、消えてしまったわ」
さやか「……は?」
まどか「うそ……だよね?」
遊星「ああ……っ!?」
遊星「っぐぅ……うえっ、ゲホゲホッ!」
さやか「遊星さん!?」
ほむら「……ごめんなさい。思い出させてしまったようね……」
まどか「そんなに、ひどかったの……?」
QB「そうだね、あまり君たちには聞かせたくないかな」
遊星(そうだ、俺は思い出してしまった)
遊星(俺の目の前で、一人の女の子の命が奪われる瞬間を)
遊星(魔女に、首から上を……!)
まどさや「「……」」
遊星「絶対に魔法少女にならないでくれ」
遊星「例えどんなに叶えたい願いがあったとしても」
遊星「それが命よりも大切なモノだとしても……」
遊星「……少しベンチで休んでいく。三人とももう帰ったほうがいい」
まどか「はい……」
さやか「マミさん……ごめんなさい」ポロポロ
ほむら「……」
ほむら「はい」ペトッ
遊星「わっ!?」ビクッ
ほむら「あなたもそんな顔をするのね、ちょっと意外だわ。コーヒー、飲む?」
遊星「帰っていなかったのか……俺も、君がそんな悪戯をする子だとは思わなかったが。助かる」
カシュッ ゴクゴク
遊星「……礼を言っていなかったな。助かった、君が来てくれなければ今頃俺は……」
ほむら「あなたを助けに来たわけではないわ。あのまま放っておけば、何人が犠牲になっていたか知れないもの」
遊星「……そうだな、助けてくれてありがとう」
ほむら「……ふん」
遊星「俺に、何かできることはないか?」
遊星「直接戦うにしても、魔女を探すにしても」
遊星「仲間を殺されたのに、今の俺には何も出来ることがないんだ……!」ギュッ
ほむら「無いわ」キッパリ
遊星「……!」
ほむら「そもそも、何故かキュウべえが見えて、魔女の気配を少しだけ感じ取れる以外、あなたは普通の人間なのよ」
ほむら「その普通の人間が何故魔女と戦う必要があるのか、私には理解に苦しむわ」
遊星「……」
ほむら「あなたにはあなたにしか出来ないことがあるのではないの?」
遊星「そうかもしれない……」
ほむら「なら早くネオドミノに帰ることね。そしてこの街であったことは忘れなさい」
遊星「……」
ほむら「魔女と戦うのは魔法少女の役目。そこに踏み込めば、今日のようなことがまた起こるでしょう」
遊星「ああ……」
ほむら「わかってくれたようね。それじゃあ私は行くわ」
遊星「それでも!」
ほむら「!」
遊星「お前を、仲間を見捨てていくことなどできない!」
遊星「そうだ、共に戦ったのならばそいつは仲間だ」
遊星「俺は何があろうとも仲間を捨てて逃げないと誓ったんだ!」
ほむら「私には……仲間なんて必要ない!」
ほむら「私は、もう誰にも頼らないって決めたのよ!」
遊星「ほむら!」
ほむら「……さよなら、もう会わないことを祈ってるわ」
スクッ カツッカツッカツッ
遊星「ほむら……何故そんなに頑なに……」
遊星(あれから街をずっと歩き回っているが、魔女の気配には至らない……)
遊星(確かに、そんなすぐ見つかるくらい沢山の魔女がいるなら今頃大勢の死者が出ているか……)
遊星(俺が探すまでもなく、彼女たちのような魔法少女が退治してくれているのかも知れない)
遊星(何より、俺が見つけたって何が出来るわけでもない……)
遊星(皆は、アキは元気でいるだろうか……)
遊星(アキのようなサイコパワーを持っていれば、俺も戦えただろうか……)
遊星「……自分が無力だと感じるのは、辛いな」
遊星「あっ、済まない……」
「ってーな、気を付けろよ……あんた、大丈夫か?顔色わりいぜ」
遊星「ああ、心配してくれてありがとう」
「ったく、寝不足かよ?寝たいんなら公園にでも行きな、天気も悪くないしさ」
遊星「……優しいな、君は」
「ふん、袖触れ合うも他生の縁って言うからな。いいからとっとと……」
遊星「これは……」
「けっ、タイミングわりーったらありゃしねえ。あんた、死にたくなきゃ隅っこでうずくまってな!」
遊星(変身した!?この子も魔法少女なのか!)
「さっさとやられろよ、おーりゃっ!」ザシュッ
「そらそらぁ!」バキキキッ
遊星(槍の柄がいくつにも別れて、使い魔と魔女を同時に攻撃している……!)
遊星(彼女も相当の使い手のようだな……)
「これで逝っちまいなァ!!」ドッギャアアアアン
遊星「結界が……」
「楽勝だったなー。おいアンタ、今のことは夢でも見たと思って忘れたほうがいいぜ。じゃ!」
遊星「待ってくれ、君も魔法少女なのか?」
「あん?」
遊星「ああ、何度も命を救ってもらった」
「そうかい、難儀な人生送ってるなあんた。今もあたしに助けられたし」
遊星「はは、本当だな」
「まあこれに懲りたら人気のない場所とかは避けたほうがいいぜ、そういう陰気なとこに魔女は集まるんだ」
遊星「そのようだな……忠告感謝する」
遊星「それにしても、この街には魔法少女が3人もいる、いやいたのか……」
「?そんなにいねえぞ、この風見町にはあたし一人のはずだけど」
「あんた、どこから来たんだ?つーかなにもんだよ」
「ああ、見滝原の隣町だよ。あんたよそ者か?」
遊星「俺は不動遊星。ネオドミノシティから来たんだ」
「へー、あのデュエルキングがこんな辺鄙なとこにいるとは。あたしは佐倉杏子、この街で魔法少女やってる」
遊星「杏子か、危ないところを助かった。礼を言う」
杏子「別に。魔女を倒すのはあたしの役目だし、気にするこっちゃないよ」
遊星「……君たちは皆そう言うな。命を懸けて戦っているのに、それに恩を着せようとはしない」
遊星「俺もそんな風にやっていけたらいいんだがな……」
杏子「そうかあ?あんただってネオドミノシティを救った英雄だろ?」
杏子「あたしからすれば、あんたのほうがよっぽど立派に見えるよ」
杏子「あーいいからいいから。あんたみたいな聖人にへりくだられるとどうしていいかわかんなくなっちゃうよ」
杏子「ま、どういう理由でやったか知らないけどさ、褒め言葉は素直に受けとりゃいーんじゃないの?」
遊星「……そうか、やはり凄いな。君たち魔法少女は」
遊星「俺がもっと強ければ、マミも死なずに済んだかも知れないのに……」
杏子「おい、ちょっと待て。今なんつったオイ!マミが死んだって言ったのか!?」
遊星「マミを知っているのか?」
杏子「……まあな、昔の仲間、さ」
遊星「済まない、俺もその場にいたんだ……」
遊星「きっと、俺にも何かできることがあったはずなのに……」
杏子「別にあんたは悪くないさ。あたしたちはそういう運命なんだよ」
遊星「杏子……」
杏子「あんたには仲間がいるんだろ?あたしはカードはやらないけど、あんたがどんな風に戦ってきたかは知ってる」
杏子「こんな危ない場所にいるこたないんだ。さっさと故郷に帰りな」
杏子「……マミのこと、伝えてくれてサンキューな。気をつけていけよ」スタスタスタ
遊星(……そうはいかない。俺は、俺に出来ることを見つけるまで帰るわけにはいかないんだ)
遊星(ようやくホテルの近くまで戻ってこれた、あの角の先だったな)
ドンッ
「キャッ」
遊星「あっ、済まない……ほむら!」
ほむら「遊星!……まだ帰っていなかったのね」
遊星「ああ、お前を残してはいけないからな」
ほむら「誰も助けが必要とは言っていないけれど」
遊星「本当に、そう思っているのか?」
ほむら「……」
ほむら「……答える必要はないわ」
遊星「誰かに裏切られたりしたのか?」
ほむら「そんなんじゃないっ!!」
遊星「!」
ほむら「……あなたと話すことなんてない、どいて」カツッカツッカツッ
遊星「……ほむら」
ほむら(失ってしまうのなら、最初から仲間なんて……)
遊星「ん……朝か」
遊星(昨日は帰ってすぐ寝てしまったんだったか……)
遊星(結局、何も問題は解決できていないな)
遊星(依然として魔女の結界を探知するのは運に頼るしかない)
遊星(そして戦おうには、実用的な武器がない……)
遊星(誰かを呼んでも戦えないのは皆同じだ。それにこんな危険なことに巻き込む訳にはいかない)
遊星「となると……」
さすがデュエル脳
遊星「ほむら!」
ほむら「……遊星、何故私の家を?」
遊星「悪いな、昨日後を付けさせてもらった」
ほむら「……ストーカーも真っ青ね。そうまでして私につきまとう理由は何?」
遊星「話がしたい」
ほむら「はあ……もういいわ、上がって頂戴」
遊星「感謝する」
遊星「すまない、頂こう」ズッ
ほむら「それで、話って?まだ仲間がどうとか言うのなら出て行ってもらいたいのだけれど」
遊星「いや……それもあるが、ほむらの能力の話だ」
ほむら「……何が言いたいの?」
遊星「魔法少女としての能力は、一人ひとり違うものだと聞いている」
遊星「そしてお前の戦い方を思い返していて、気づいたんだ」
遊星「お前の能力は時間を操ること、そうじゃないのか?」
ほむら「…………驚きね」
遊星「いいや、俺は『時間を操ること』と言ったんだ」
ほむら「……」
遊星「お前は……時間を遡ることが出来るんじゃないか?」
ほむら「……!!」
遊星「どうやら当たっているようだな……」
ほむら「……なぜ?時間を止めることに気づくのはまだわかるわ」
ほむら「どうして時間遡行のことがわかったの!?」
遊星「……お前と同じような眼をしている奴を思い出したんだ」
遊星さんならまったくかまわないけど
ほむら「……」
遊星「俺はお前の仲間として認めてもらいたいんだ!」
ほむら「……仲間なんて……必要ない……っ!」
遊星「ほむら!」
ほむら「もう嫌なのよ!!私がどんなに想っても、どんなに傷つこうとも、時間を返してしまえば皆忘れてしまうもの!」
ほむら「そんな仲間なら、最初からいらないわ……」
遊星「……吐き出してくれ、お前の思いを。全部受け止めてやる」
ほむら「…………今日の所は、帰ってくれないかしら」
ほむら「ちょっと今は、落ち着いて話せそうにないわ……」ウルウル
遊星「ああ、待ってる」
ゴソゴソ
遊星(WRGPで皆で取った写真……)
遊星(ジャック、クロウ、プロリーグでもお前たちにそうそう敵う奴はいないみたいだな)
遊星(アキ、大学生活でまた綺麗になったかもしれないな)
遊星(龍亞、龍可、ご両親と仲良くやっているか?)
遊星(ブルーノ……)
遊星(アポリア、パラドックス、ゾーン、お前たちの目指した未来、必ず俺達が築いてみせるからな……)
遊星「時間遡行か……」
遊星(あの口ぶりだと、ほむらは自分だけが記憶を残したまま時間を戻しているんだな)
遊星(ゾーン達でも4人いたんだ。それを一人で、誰にも話せずに……)
遊星(お前は、どれだけ辛い思いを……)
プルルルルルル
遊星「部屋の電話か。はい、もしもし」
『不動様ですね、フロントに暁美ほむらという方がお見えになっていますが』
遊星(ほむらが……!)「はい、すぐ行きます」ガチャ
ほむら「遊星……」
遊星「……大丈夫か?」
ほむら「ええ、もう心の整理はついたわ」
遊星「……ここじゃ人目が多いな、どこか喫茶店にでも」
ほむら「いえ、あなたの部屋でいいわ」
遊星「……いいのか?」
ほむら「何、もしかしてそういう趣味なのかしら?」
遊星「……ハア、行こう」(大丈夫みたいだな)
ほむら「ありがとう。ついでにコーヒーも頂けるかしら?」
遊星「……やけに饒舌だな」
ほむら「話すことがいっぱいありすぎて、長くなりそうだから飲むものが欲しいのよ」
遊星「ふ……」
ほむら「何?」
遊星「いや。前のしかめっ面より今のほうがずっといい」
ほむら「な、何を馬鹿なこと……」
遊星「コーヒーだな、少し待っててくれ」
ほむら(全く、変な人……)
ほむら「魔女は人々の絶望から生まれるとキュウべえに聞いたと言っていたわね?」
遊星「ああ」
ほむら「それは間違ってはいないけど、答えには程遠いわ」
遊星「そうなのか?」
ほむら「ええ、魔法少女になるとこのソウルジェムが魔法少女の証として生まれる……」
ほむら「でもその実、ソウルジェムというのは魔法少女の魂そのものなの」
遊星「!?なら、それがもし壊れたら……」
ほむら「ええ、死ぬわ。逆に言えばどれだけ傷ついてもこれが無事なら生き延びられるけど、まあ無理な話ね」
ほむら「そして魔法を使ったり、心がネガティブな感情で満たされるとどんどん黒く濁って……」
ほむら「最後に黒く染まった時、魔法少女は魔女になる」
さすがデュエル脳
ほむら「ええ、あれは全て元は魔法少女、人間だった」
ほむら「そしてこのソウルジェムの穢れを吸ってくれるグリーフシード……」ジャラッ
ほむら「これも魔女になるときにソウルジェムが変質したものよ」
遊星「……それは、魔法少女なら誰もが知っていることなのか?」
ほむら「いいえ、こんなことキュウべえは問い詰められない限り絶対に話さない」
ほむら「私がこれを話した時、錯乱して暴走してしまった子もいたわ……」
遊星「……なんてことを」
遊星「つまり、魔法少女が魔女になり、魔女を倒すためが魔法少女が生まれる……無限ループか」
ほむら「やつらはこの地球上の生物じゃないの。ずっと遠くの、地球よりもすごく文明の発達した星から来た、異星人なの」
遊星「……」
ほむら「あなたならエントロピーって知ってるわよね?そのために宇宙における総エネルギー量は目減りしていて」
ほむら「地球の第二次性徴を迎えた少女の絶望が、奴らのテクノロジーで莫大なエネルギーに変換できる、と言う話よ」
遊星「……なんだか気の遠くなる話だな」
遊星(感情がエネルギーに……モーメントに通じる部分があるが……)
ほむら「ええ、でも現実に魔法少女は奴らの手で生み出され、そのサイクルが完成している……」
ほむら「奴らは私達人間、いえ、原人の時代からこの星に目をつけていて」
ほむら「文明の発達すら奴らが促したとか……正直、あまり信じたくはないけれど」
遊星「……!」
遊星「……いや、大丈夫だ」
ほむら「そう。なら次は……私の話かな」
ほむら「私の能力が時間を操る、というのは知ってるわね」
ほむら「でもその能力も幾らでも、どこまでも操れるわけではないの」
ほむら「私が時間を戻せるのは……今日からだと、おおよそ3週間前」
ほむら「私は、その日から1ヶ月間を何度も繰り返している……何度もね」
遊星「……何のために?」
ほむら「……仲間との約束を果たすために」
ほむら「だからお見舞いにも誰も来てくれないし、どんどん引っ込み思案になっていったわ」
ほむら「この見滝原に引っ越してからもそれは変わらないと思ってた……」
ほむら「……コーヒーのおかわり、もらえる?」
遊星「……」コポポポ
ほむら「ありがとう……」
ほむら「でも、そんな私に話しかけてくれたのがまどかだったの」
ほむら「嬉しかったな、あの時は……」
ほむら「学校の行き帰りにはずっと落ち込んでたわ……」
ほむら「そしてある日、私はその感情につけ込んだ魔女の結界に取り込まれた」
ほむら「それを助けてくれたのが、魔法少女になったまどかとマミさんだったの」
遊星「……」
ほむら「それからは私にとって、一番楽しかった一ヶ月だった……」
遊星「だった……?」
ほむら「ええ。この1ヶ月を何度も繰り返す事になった、元凶がいるの」
ほむら「……ワルプルギスの夜」
ほむら「……少し違うわ。ワルプルギスの夜は凄まじく強大な魔女で、街一つが簡単に消し飛ぶほどの存在なの」
ほむら「結界なんて必要ない、この世界にそのまま出てくるぐらいの力を持ってる……」
ほむら「普通の人には見えないから、ハリケーンとかの自然現象としか思われないけれど」
ほむら「そいつを倒すためにマミさん、そしてまどかは戦って、命を落とした……」
遊星「……」
ほむら「その時に私はキュウべえに願った」
ほむら「『まどかとの出会いをやり直したい』と」
ほむら「……契約が終わった時、私は病院のベッドの上にいたわ」
ほむら「でもカレンダーを見たら、退院する1日前で、枕元にソウルジェムがあって。ああ夢じゃなかったんだって」
ほむら「その時は本当に喜んだわ。これで2人と一緒に戦えると思うとね」
ほむら「私には1ヶ月後が勝負だってわかってたから、2人と一緒に必死で戦う訓練をしたわ」
ほむら「そして3人でワルプルギスの夜に立ち向かい、勝った……」
遊星「……だが、駄目だったのか」
ほむら「……まどかのソウルジェムが真っ黒に染まって、私の目の前で魔女になった……」
遊星「くっ……」
ほむら「その時にはさやかと、隣町の佐倉杏子という魔法少女もいたわ」
遊星「佐倉……ああ、俺も会ったことがある」
ほむら「そうなの。……ぶっきらぼうだけど、いい子だったわ」
遊星「ああ、魔女から助けてもらった時、ほむらと似たようなことを言っていた」
遊星「魔女を助けるのは魔法少女の役目だ、感謝されることじゃない、と」
ほむら「ふふ、彼女らしいわね」
遊星「ほむらもな」
ほむら「?」
遊星「ぶっきらぼうだけどいい奴、というところだ」
ほむら「も、もう……」
ほむら「その時は皆半信半疑だったけれど、後になってさ……魔法少女が魔女になる瞬間に遭遇したの」
ほむら「そしたら……1人が前言ったみたいに錯乱してしまって」
ほむら「『魔女になるのなら、もう皆死ぬしかない』と叫んで、私達のソウルジェムを壊そうとしたの」
ほむら「私はすんでのところで助かったけれど、さやかと杏子、マミさんはもう……」
遊星「……おかわり、いるか?」コポコポ
ほむら「……頂くわ」ズズッ
ほむら「それでも私たちはワルプルギスに2人で精一杯戦って、奇跡的に勝てたけれどもうソウルジェムは限界だった」
ほむら「そうしたらまどかが隠してたグリーフシードで私を助けてくれて……」グスッ
ほむら「『魔法少女になる前の私を助けてあげて』って……!」ウルウル
ほむら「まどかを魔法少女にせずワルプルギスを倒すという、たった一つの道しるべを頼りに……」
ほむら「……こんなところかしらね」
遊星「ほむら……」
ほむら「……何?」
遊星「……よく話してくれた」ナデナデ
ほむら「な、何をするの!」
遊星「こんなこと、誰にも話せなかっただろ……」ヨシヨシ
ほむら「や、やめなさいよ……」
ほむら「……泣きそう、だか、らっ……」
遊星「ホットミルクだ、飲むといい」
ほむら「ありがとう……」
遊星「……何故不機嫌なんだ」
ほむら「……人前であんな姿を晒すなんて、みっともない」
遊星「俺は、嬉しかったぞ?」
ほむら「あなたの意見は求めてないわっ!」
遊星「ふっ、最もだ」
遊星「なんだいきなり」
ほむら「あなたの思惑通りなのはしゃくだけど、確かに話して……泣いたら、ちょっとすっきりしたわ」
遊星「別にそこまで考えちゃいない、俺はお前の力になりたかっただけだ」
ほむら「どう違うのかわからないのだけど……まあいいわ」
ほむら「私はこれからワルプルギスの夜の準備をする、今日はこれで失礼するわ」
遊星「どうするんだ、何か策はあるのか?」
ほむら「……私の用意できるありったけの武器で、撃墜してみせる」
遊星「……1人でか」
ほむら「……」
ほむら「……あるわけがないわ」
遊星「なら、それが絆だ」
ほむら「絆……?」
遊星「ああ。例え時を超え、相手がお前を忘れてしまっても、お前はずっと想っているんだろう?」
遊星「そばにいなくても、記憶が無くても」
遊星「想いやる気持ちがあるのなら、そこに絆は生まれるんだ」
ほむら「……」
遊星「ほむら、今までお前が過ごしてきた時間は決して辛いものばかりだったわけじゃないはずだ」
遊星「思いだせ、仲間達と共にあった時間を!」
ほむら「仲間と……まどか、さやか、マミさん、杏子……!」
ほむら「違う、まどかだけじゃない……私は、誰一人だって失いたくない!!」
ほむら「ええ……」
ほむら「私は、誰も死なせたくない」
ほむら「4人を、いえ見滝原の誰一人だって見殺しになんてしたくない!」
遊星「戻るんだな、3週間前に」
ほむら「ええ、今までも何人もで協力して戦ったことはあったわ。それでも勝てはしなかった……」
ほむら「でもきっと今ならやれる、もう何も恐くないって。そう思えるの」
ほむら「遊星、本当にありがとう……」
遊星「見えなかっただけで、答えは最初から持っていたんだ。それを手助けできて、俺も嬉しい」
ほむら「……同じ時間を繰り返すといったけれど、毎回同じ時間、同じ人に出会うわけではないわ」
ほむら「もしかしたらあなた以外にも、私が変わるきっかけを持っている人がいたかもしれないけれど」
ほむら「あなたはとびきりのイレギュラーね」
遊星「そうか……時間を戻せば俺もほむら達のこと、この街のことを忘れてしまうんだな」
ほむら「大丈夫よ、私達には絆があるのでしょう?」
ほむら「あなたが忘れても私は絶対に忘れはしないわ」
ほむら「絶対にね」
遊星「デュエルか?いいぞ」
ほむら「……台詞をとらないでくれるかしら?」
遊星「そんなかしこまる必要はない、仲間なんだからな」
ほむら「そう……ありがとう」
遊星「ふっ……」
ほむら「じゃあお別れデュエルと行きましょう。入院中でも唯一カードだけは私の友達だった、そう簡単に負けはしないわ!」
遊星「俺もカードとの絆には自信がある。来い!」
「「デュエル!!」」
ほむら「……私の負けね」 1800→0
ほむら「やっぱりデュエルキングね、歯が立たなかったわ……」
遊星「そんなことはない、お前のプレイングも見事なものだった」
ほむら「……もし、私がワルプルギスの夜に勝って、また貴方に会えたら」
ほむら「その時はまた……」
遊星「ああ、いつでも、何度でも戦ってやる。約束だ」
ほむら「……きっと私が勝ってみせる、それまでに腕が落ちていたら承知しないわ」
遊星「安心しろ、俺は約束は守る。特に仲間との約束はな」
なん・・だと・・・
遊星「自分を、仲間を信じろ。俺が言えるのはそれだけだ」
ほむら「ええ……遊星、あなたと出会えて良かった」
ほむら「何度でも言うわ、ありがとう。私の道を照らしてくれて」
ほむら「絶対に絶望なんてしない、きっとこの悪夢から抜けだしてみせる」
ほむら「だから、また会う日まで……待ってて」
遊星「ああ、その時を俺も楽しみにしてる。」
遊星「きっと絆が導いてくれる……」
ほむら「じゃあ……行ってくるわ、遊星。さよなら」
カチッ
さやか「着いたーッ!いやー流石にずっと電車だと体固まるわー」
杏子「すげーな、ネオドミノシティって……あたしら完全にお上りさんだぜ」
マミ「こらこら騒がない。皆見てるじゃない」
まどか「マミさんありがとう。私達の卒業旅行について来てもらっちゃって……」
マミ「いいのよ、大学もこの時期はお休みだし」
ほむら「……」
まどか「ほむらちゃん?」
ほむら(遊星……やっと来たわよ)
杏子「あたしネオダイダロスブリッジ見たい!」
マミ「それは後のほうじゃなかったかしら……?」
さやか「ここってさ、不動遊星とジャック・アトラスにクロウ・ホーガンの出身地なんだよね!」
まどか「そうだね、ジャックとクロウは海外のリーグで活躍してるけど、不動遊星はこの街の研究開発してるんだよね」
ほむら ピクッ
マミ「そうね、もし会えたらサインとか貰いたいわ」
杏子「あたしはDホイールで勝負だな!」
さやか「あたしはー……うーん、握手できたらいいや」
ほむら「遊星……デュエル……」
まどか(どうしたんだろ、ほむらちゃん)
マミ「入り口に青眼の白龍の像……カッコいいけど、企業としてどうなのかしら?」
ほむら「……」キョロキョロ
まどか(ほむらちゃん……)
杏子「ネオダイダロスブリッジ……やべえ、超でけえ……」プルプル
さやか「車両しか入れないから、あたしらはね……すまん」
杏子「いいさ、今度来たらおもいっきりかっとんでやる!」
ほむら「……」ソワソワ
まどか(……)
さやか「流石って感じの街だったねー、見滝原とじゃスケールが全然違うわ」
ほむら「……」
まどか「ほむらちゃん、今日ずっと浮かない顔だったけど……楽しくなかった?」
ほむら「いえ、違うの。楽しかったわ、うん……」
ほむら(楽しかった、けれど……)
杏子「……なあ、さやか。あれって……」
さやか「……うん、あれは……」
ほむら「ッ!?」バッ
杏さや「「おみやげ屋さん!」」
ほむら「」ガクッ
「……ほむら?」
「もしかして、暁美ほむらか?」
まどか「あなたは……み、みんなこっち来て!」
ほむら「不動、遊星……」
遊星「また、会えたな」
マミ「鹿目さん、どうしたの……あらまあ」
さやか「何々なんかあった?……なんですとー!」
杏子「んだよ皆して……マジで?マジで生遊星?」
ほむら「あ……」ウルッ
遊星「?どうしたほむら」
ほむら「遊星えーーーっ!!」ガバッ
絆powerでなんとでもなる
赤い龍の力云々
杏子「なんだ、感激しすぎて飛びついちまったのか?」
マミ「そんなに会いたかったのかしら……」
まどか「ううん、きっと違います」
まどか(ほむらちゃん、今日様子がおかしかったのは、ずっと遊星さんを探してたんだね……)
ほむら「遊星、やっと、やっと会いにこれた……!」
遊星「ああ、俺もずっと待ってた。ライバルがやってくるのをな」
遊星「……これが、この仲間達がお前の絆か」
ほむら「うん、うん……!」
遊星「ああ、お別れデュエルの内容も全部な」
ほむら「そんな、なんで……」
遊星「さあな。もう痣はないが、赤き竜が力を貸してくれたのかも知れない」
まどか「……もしかしたら」
遊星「?」
まどか「きっと、ほんの少しだけ、本当の奇跡が起こったんですよ」
まどか「だって、魔法少女は夢と希望を叶えるんだから……」
まどか「あ、私のことも覚えてるんですね」
遊星「ああ、金髪の子がマミ、赤い髪の子が杏子、青い子がさやかだったな」
マミ「凄い……!私達のことまで」
杏子「遊星!あたしとDホイールで競争してくれよ!」
さやか「あんた今Dホイール無いでしょ!それよりあたしと握手してもらえませんか!?」
ほむら「待って……先約があるわ」
遊星「その通りだな。悪いが少し待っていてくれ」
ガチャン キュィィイイイイン
ほむら「遊星、腕は鈍ってはいないのよね?」
遊星「当然だ。この5年間で、お前がどれだけ成長したか見せてもらう!」
「なんだなんだ、草デュエルか?」
「うおっ、不動遊星だ!」
「あっちの女の子、すげー美人だな……」
「お嬢ちゃん、頑張れよー!」
杏子「うわっ、ギャラリーが集まってきやがった!」
マミ「2人とも目立つ外見だし、1人は伝説クラスのデュエリストだものね」
さやか「ほむらー、負けんなよー!」
まどか「2人とも、準備はいいですか?」
「ええ!」「ああ!」
まどか「では。すう……デュエル開始イイイッ!」
「「デュエル!!」」 ドンッ☆
終われ
だけどデュエルシーン一回でいいからやってほしかった気もする
これは遊星ならほむらをいかにして救うかというのを考えただけのSSなんだ
もうね、途中のレスと考えてることがかち合いすぎて俺の考え浅すぎワロタ
遊星がもし戦うとすればモーメントが動力の銃とか出そうと思ってたし
多分力がないならないで誰かを助けようと一生懸命になってくれるはずだ、と思ってこのスレを立てたんだ
モーメントは人々の感情によって左右されるから、多分あちらの星では使えないんだと思って欲しい
支援と保守してくれて本当にありがとう。良いお年を
あとデュエルパートとか書いてくれる人がいたらいいなーチラッチラッ
Entry ⇒ 2011.12.29 | Category ⇒ 遊戯王SS | Comments (0) | Trackbacks (0)
娘「セック――」 男「言わせねーよ!?」 後
俺の通う大学にて。
娘「おい男。何処を見ても若い男女しかいないぞ」
男「……だから来たくなかったんだよ」
文化祭とかいう何処がどう文化的なのか理解に苦しむ大騒ぎ。
その渦中で俺と娘は人いきれにのまれていた。
どこもかしこもチャランポランな男女でごった返すここはまさにアウェイ。
娘に『興味深いな。行ってみたい』と
言われなければ絶対に来なかった。
娘「しかし、色んな屋台が並んでいるな」
門をくぐってすぐのここは屋台ゾーン。
何か食べ物が焼ける音。氷水がかき混ぜられる音。人を呼び込もうと大声で宣伝して回ってる男女の声。
嫌って程に多様な物がごった返していた。
男「まあ、お祭りと同じ様なものだよ。中では文化系のサークルとかが色々やってるけど」
去年は文化祭にも参加していたのだ。
てきとーなサークルでスポーツ喫茶的なのをやっただけだが。
いや、俺が言うのもなんだけど、大学生って最もお遊びが過ぎる部類の学生だと思うぜ。
男「まあ、その通り規模だけなら立派なもんだから暇はしないと思うぜ」
娘「そうか。ならざっと回ってみるか」
男「おうよ」
そんな感じで。
俺たちは文化祭をぼちぼち楽しむのだった。
娘「何故か知らないが両手がふさがっている」
両手に袋。中には大量のお菓子。
男「お前がそんな魔性の持ち主だとはな……」
何処に行っても。何をしていても。
娘は絶対と言っていい確率で大学生たちを虜にしていた。
『可愛いいいいいいいい!!!!』『ちっちゃああああああああああああああああああい!!!!!!!』
『だっこしたああああああああい!!!』『デゥフフッwwwく、黒髪ロリ美少女発見でござるwww神速で撮るべしw撮るべしwww』
などなど。
娘「そういえば、私が女子大学生たちと話している間にカメラを持った男と何処か行っていたな? どうしてたんだ?」
男「ああ、あいつか。あれだよ。友達になったんだよ。メールアドレスと電話番号と本名を聞いて絶対に
顔写真付きで廃棄されるべき汚物、としてネット上に公開しないよ☆っていう堅い誓いを交わしていた」
娘「おお、男にも友達が出来たのか。私もなんだか知らないが沢山アドレス交換したぞ」
娘の携帯のアドレス帳の登録件数が夢の三桁代を叩き出していた。
俺はギリギリ十件なのに……。
俺はあんまり受けていた記憶ないけどね……。
男「しかし」
もう殆どの事はやったんじゃないか?
変な自主制作映画をチラ見したり、バンド演奏を観てみたり。屋台で色々買い食いするのはもちろん
文化系のサークルも結構のぞいた。
男「まあ、大学の文化祭なんてのはこんなもんだ」
そろそろ帰るか。
そんな風に思ったとき。
女「あーーーーー!!!!!!!!!」
人がごった返す構内。その喧噪の中に一際うるさく響く声。
思わずその声の主から目をそらし、背を向ける。
やっかいなのに出会ってしまった。
女「目をそらさない!!!」
回り込んで、俯いていた俺の顔を無理矢理下からのぞき込むそいつ。
女「チームの練習にも来ない。サークルのミーティングにも来ない。その上授業もめちゃくちゃサボってる!!
今の今まで何処でどんな油をうってたのかなー!?」
大音量に思わず顔を上げ、そのまま仰け反る。うるさすぎるんだよ……。
男「えーと、これはこれは。○○大学サッカー部マネージャー兼なんとかサッカー研究部部長さんじゃないですか……」
女「アジア南米欧州サッカー研究部だよ! 自分の所属サークルぐらい把握しといてよね!?
というかもしかして私の名前も忘れてたりしない!?」
男「いやいや、そんな失礼な事は無いって」
……。
男「久しぶりだな、なんとかかんとか!」
女「私の名前は部分的にも覚えてないの!?!?」
いやまあ冗談だけど。
長い髪を後ろで一本に纏め、どっかのクラブチームの赤いレプリカユニフォームを纏った長身で
すらっとした体型のこの女子。サッカーオタクのハイテンション。
名を女と言う。
大学に入ってから知り合っただけなのにこの通りかなり馴れ馴れしい。
女「名前覚えててくれたんだ……さすがに忘れられてたら悲しすぎたよ。で、言い訳はなにかな? 聞くだけ聞くよ?」
男「えーと、色々ってのは色々で、最近だとほら、こいつとか」
娘の肩を両手で掴んで、女の前につき出してみせる。
女「まさか男くんっ!!!!!!!!!!!!」
女が俺の股間を指さしながら大絶叫した。
男「お前とおんなじ反応した奴がいたなあ!!!! もう一度言うけど違う!!!
そして子供の前でそういう事やめろ!!!!!」
女「子供っ!?!?!?!?!?」
男「叔母さんのな!!!」
やっぱり俺の周りはめんどくさい奴ばかりだった。
女「え~!? 本当に? というかそういう事なら今すぐ私に電話しなよ! 色々手伝ったのに!」
男「そういえばお前に無理矢理連絡先の交換させられたっけ……けどまあ、そこまで大変じゃなかったよ」
娘「娘という。好きに呼んでくれていいぞ」
女「あ、あたしは女だよ! 男くんのお友達!」
友達だったの俺たち。初耳だぜ。
女「あ、そうだ! 積もる話もあることだし、ウチの『喫茶、ピッチで汗を流す漢達』で
歴代の名試合を観戦しながら話そうよ! というか強制だよ! 本当なら男くんも働く側だったんだから!」
男「なんだよその汗臭そうな喫茶店は……まあちょっとぐらいならいいけどよ」
二時間歩きっぱなしだったから少し座りたいし。
そんな感じで。
俺たちは喫茶、ピッチで汗を流す漢達に入店するのだった。
短く刈りそろえられた芝が本来ならあるべき床の上敷き詰められていた。
ちなみに人の入りはまあまあで、弱小研究部にしては健闘している方だろう。
女「ふっふーん! どうだこの天然芝! 去年は許可が下りなかったけど、今年は頑張って許可をもぎ取ったんだよ!
○○大学文化祭の奇跡だよ!」
また余計な事に情熱を捧ぐ奴だなー……。こんな一発芸みたいなのにいったい幾らかかっているのやら。
女「はい! メニューだよっ!」
必要以上に大きな声で元気に言う女。
俺は軽くため息を吐きながらメニューを受け取った。
男「えーとなになに……って水しかねーじゃねーか!」
A4の紙にでかでかと『水』とだけ印字されていた。
これじゃあメニューではなく標識だろう。
男「確かに天然芝のピッチでは禁止されてるけどな……」
こいつ、喫茶店なんて作るきなかったんだなぁ。なにがやりたかったんだろう……。
女「はい! ボトル入りのミネラルウォーター! 芝の上だから被ってもいいよ!」
男「被らねーよ」
もう十月の終わりだっつの。
女「はい! 娘ちゃんにも! お代はいらないからね!」
娘「おお、ありがたい。それにしても凄い店内だな」
女「すごいでしょ! 頑張って芝を育ててきた甲斐があったよ!」
娘「外でやればいいのに」
周りに居た何人かの部員達が凍り付いたように動きを止めた。
そして目で語っている。そういうまともな意見は止めてあげてくれ! 部長が死んでしまうよ! と。
男「お、おい……あんまり身も蓋もない事を言うなよな」
時既に遅し。女が瞬間落ち込み機と化していた。どよーんと肩を下げている。
女「そうだよね……外でやればいいのにね……
こう言う馬鹿な事ばかりやってるから色々みんなから引かれるんだよね……分かってるよ…うん知ってる……」
スッ! と女が素早い動きで顔を上げた。
女「えっ? そう思う? 男くんそう想っててくれてたの!? いやああん!! 男くん大胆な接触プレーだよ!
そのプレーで私はベッカムの低弾道&高精度クロスだよっ! 当てるだけでゴールだあああ!!!」
一際うるさく意味分からない事を叫びまくる女だった。
余計なところで気を遣って慰めてしまった……。
男「いやぁ、相変わらずお前は何言ってるかわからねぇな……」
まあ分かる必要も無いだろうけど。
ピピピピッピュイイイイイイイイイ!!!!!
けたたましくホイッスルが鳴った。
チャラ男「はああああい! 男、今のプレーで一発退場ね!!!」
レッドカードを高々と掲げ、俺を指さす銀髪野郎が現れた。
お察しの通り、こいつもめんどくさい。
男「……久しぶりだな」
そういえばこいつも部員だったか。
チャラ男「いきなり現れたと思ったら何勝手に女にちょっかいだしてんだよ!」
あー……そういえばこいつ俺が女と話してると異様につっかかって来てたよな~……。
絶対こいつ女の事好きだよな。
それに気が付かない女の鈍感っぷりが恐ろしいぜ。
チャラ男「えっ!? いやだって男が!」
女「審判への抗議はイエローですっ!」
チャラ男「ちょっと!? 冷たいよ女!!」
……。
娘「なんだか賑やかな店だな……」
男「悪いな……あんまりこう言う駄目な大人達を見せたくなかったんだが……」
まだ二人でごたごた騒いでいる。
チャラ男もどうしてあの騒がしい変人女の事が好きなのやら。
まあ黙ってればまあまあ可愛い部類に入るんだろうけど。俺としては変人扱いする他にない。
チャラ男「くっ!! あからさまに追い出されようとしている気がするが女の頼みならば断れない……!」
そう言い残してあっさり店を後にするチャラ男。
素直なのか馬鹿なのか。
女「ふっー……やっと落ち着いたよ。なんでああやって男くんにつっかかるかな-? 昔はむしろ懐いてたじゃん!」
男「……まあ、俺みたいな不真面目な奴は嫌いなんだろうよ。あいつ、ああ見えて結構真面目な奴だったし」
大学サッカー部にも所属するチャラ男。
少しの間だったが、俺もあいつのプレーをみていた。
ポジションは俺がやっていたものと同じ。フォワードの一列後ろ。
男「まあ、色々話している内に俺の事が嫌いになっただけだろうよ」
女「うーん……なんかそういうのとは違う気もするんだけどねー……」
もちろんお前の事もあるだろうよ。そう心で突っ込んだ。
まあ、色々あるんだろうよ。あいつにも。
女「えー? もう帰っちゃうの? これからオールドトラフォードの奇跡の上映が始まるのに?」
男「いいよ。帰ってYoutubeで観るから」
女「現代っ子なんだね……男くん……」
男「そういうわけで」
娘「お邪魔したな。水、ありがとうな女」
女「うんっ! じゃあね二人とも! あっ! 男くんは来週から練習に参加すること!
監督からも言われてるんだからねっ!」
男「……分かったよ。行くだけ行くよ」
女「ぜーーーーーーったいだよっ!!」
そんな感じで。
俺たちは喫茶店を後にした。
娘「そういえば、女とはどういう知り合いなのだ?」
喫茶を出て、大学構内の下り階段。娘にそんな事を聞かれた。
男「……あれだよ。部活のマネージャー。あと俺もあいつがやってるあのサークルのメンバーなんだよ」
ほぼ強制的に入れられたのだけども。
娘「? 男は部活をやっていたのか? 何をやっていたんだ?」
男「……サッカーだよ。それももう昔の話だけどな」
娘「そうなのか? でも女の話から察するに、来週はその部活に参加するんじゃないのか?」
子供の癖にイヤに鋭かった。今更驚きはしないけど。
娘「ふうん? 何かよく分からないが、頑張るんだぞ男」
そう言って笑顔になる娘。
当の俺は何を頑張ればいいかすら分かっていないのだけれど。
チャラ男「やっと帰るのかよ」
男「あ? ああなんだ、チャラ男か」
ミネラルウォーターのボトルが入った袋を両手に持ち、階段を上ってくるチャラ男。
チャラ男「なんだとは失礼だな! まあいい! 今日こそ決着をつけるぞ!」
男「ああ? 決着って。何を」
チャラ男「決まってるだろうが! 女の事だよ! 負けた方が潔く手を引くってことだよ!」
手を引くも何も、手を伸ばしてもいないのだが。
男「つっても、お前何やっても俺に勝てないじゃん。カラオケ採点対決、ボーリング対決、卓球対決、釣り対決……
全部俺の圧勝だっただろうが」
チャラ男「ふん! そんなのは昔の話だろうが! そして俺は気がついたんだよ!」
男「何に」
だから最終決戦はサッカー対決だ!! 会場はこの下だ! ついてこい!」
そう言って、チャラ男は上ってきた階段を下りていく。
うーん……。
まあ適当に付き合うしかないか……。
そうして。
俺たちはその会場とやらに向かう。
それをより多くサッカーボールで打ち抜いた方が勝ち。
ストラックアウトで勝負とは、中々文化祭っぽいな。
チャラ男「言っておくが遊びじゃねーぞ、これは。負けた方は問答無用で千円払う」
男「なんか小さいな……つーかさっきはそんな事言ってなかっただろうが」
チャラ男「うるさい。今決めたんだよ」
男「そーかい……」
チャラ男「じゃあ一番手はもちろん俺だな」
そう言って、係の学生からサッカーボールを受け取る。
そしてそのままリフティング。
巧みなボールさばきに周りが沸く。
チャラ男「ふっふーん! これは圧勝かな?」
10球の内の第1球目。
バコンっ!
チャラ男「よっし! 1番ゲット!」
そんな調子で順調に枚数を重ねていく
チャラ男「ふーん。9枚か。まあ一発外したのはちょっと朝から足首に違和感があったせいだろう。
万全の状態だったら普通に抜いてたね」
男「いや、素直にしてれば結構凄い結果なのに……」
15メートルぐらいの距離から縦横50センチ程のボードを狙い打つのはけして容易じゃない。
チャラ男「うるせー! 次はお前の番だからな!」
そう言ってボールを足で浮かして俺にパスを出す。
それを受けて軽くリフティング。実用性の無い小技も挟んでやる。
チャラ男「くっ!! 俺の時よりまわり女の子達のリアクションが大きい!」
男「知るかよ」
ボールを足で踏んで感触を確かめながら的達をみる。
男「まあ右足で十分かな」
チャラ男「はっは~ん余裕だな! そういうお前の慢心が破滅の始まりなんだよ!」
別に破滅は始まらないだろう。千円は払いたくないが。
男「いっちょ行ってみるか」
一発目。
パスッ!
男「あー。1番狙ったんだけど2番に当たった」
そんなんで俺の記録を超えられるかどうかは分からないけどな!
負けるのが怖かったら利き足使ってもいんだぜ?」
男「そうかもな。やばくなったら使うわ」
そして。
一球。また一球と蹴り込んでいく。
そして最後の一球となる。
チャラ男「おいおい。四枚も残ってるじゃないですか~? え~? これ勝負にならないな~?」
やっぱり利き足じゃないと細かいブレがある。元々、逆足で蹴るのは得意では無かったし。
男「うーん。じゃあ左足解禁」
ヒョイッ、とボールの位置を逆にする。
男「幸い的は一カ所に固まっているな」
上段の4と5。下段の9と10。
こうなると狙うのはフレームだろう。
当たれば全部を打ち落とす事が出来るフレームの真ん中。十字の中心を狙う。
シュバッ!!
ガスンッ! バタッバタッ!
男「よっしゃー! 四枚抜き-!!!」
おー、と声が上がり、ぱちぱちと拍手が響く。
チャラ男「お、おい!!!! これはルール違反だよなっ!?!?」
係の男子大学生「いや、別にいいっすよ」
チャラ男「軽いなああ!!! こっちは女をかけて戦ってるのに!!!」
男「いや、俺は千円のためだけに戦ってたけど。お前、前からなんか勘違いしてるけど俺別にアイツの事好きじゃないから」
チャラ男「……! お前が好きとかどうとかじゃねーんだよ!!! ほらよっ!千円!!これでヤバイ物でも食って○ね!!」
男「じゃあなんの戦いだったんだよ……まあ千円は有り難く貰っておくよ」
娘と出かけすぎて金欠が著しいからな
男「いやー、だったら無視してくれてかまわないぜ」
チャラ男「そういう所がうざいって言ってるんだよ!」
男「はいはい。じゃあ俺は帰るよ。おーーい、帰るぞ娘!!」
ちょっと離れたところで女子大学生達に囲まれていた娘に声をかけながら歩き出す。
背を向けた後ろ。
チャラ男「おい……来週は練習に来いよな。ボランチ男とその控えが怪我で人が足りない。
だから不本意ながらお前が必要だ」
……。
男「今更いったところでどうなるかわからねぇぞ」
だって。
俺はもう長い間ピッチを離れている。
チャラ男「チームの同期達と後輩は俺から説得しておいてやったよ……マジで不本意だったけどな。
先輩達もいいって言ってる。
そして……監督はお前を必要としてるよ。いくら監督の意向だからっていって
こればっかりは俺も快く全部飲み込もうとは思えないけどな」
そしてチャラ男は言う。
チャラ男「あの高校三年の選手権決勝。お前の対戦校の控えだった俺は
お前がピッチで倒れる瞬間をベンチから観ていた」
――三年間の血のにじむ様な努力。だが、それだけでは決勝という舞台には立てなかった。
悔しさに唇を噛みしめ、ピッチに立つ選手達を眺めていた。
チャラ男「あれで美しく散ったとか思ってるんじゃねーぞ。
お前は、お前みたいな奴は惨めにボールを追いかけてる方がお似合いなんだよ」
チャラ男「止めるなんて楽でしかたない事に逃げるんじゃねーよ。
俺みたいな……俺たちみたいな高校では鳴かず飛ばず、でもサッカーを諦められない奴からしたらよ
お前みたいな才能をもてあまして、舐めた態度で諦めた振りしてる奴が一番うざってーんだよ」
だから。
与えられたチャンスには結果で答えろ。
……。
男「……ああ。やれるだけはやってみるよ」
出来るのかは……正直分からない。
でも何だかんだ言って。
走り込みの時間を延ばしたり。友のメソッドに打ち込んだり。
結局この数週間、娘と遊びながらもピッチに戻ることについてばかり考えていたのだ。
男「もう一度、やってみる」
友の足を壊したのは二年時。
それからの俺は酷い有様だった
一年を通してのゴール数が二桁を下回った事が無かったのに、その年はわずか3点しか取れていなかった。
マネージャーとして部に復帰した友を避けるようになって。代表招集も無くなって。自分の才能が信じられなくなって。
そして何より。
サッカーが怖かった――
男「……今日の日のためにみんな良く頑張ってくれた。だから絶対に勝とう!」
円陣を組み、チームを鼓舞する台詞を吐く。
観客席からの声。熱気。
そして形容しがたい緊張感に満ちたこのムードに心が高ぶっていた。
心拍数が急激に上昇し、雑音が聞こえなくなる。
主将として。そして友のためにも、俺は絶対に勝とう。
ベンチで親指を立てる友をみやる。本当はこのピッチに立っていた筈なのに、俺の所為でそのチャンスを失ったと言うのに、恨みなんて微塵も感じさせないいつもの笑顔。
男「よしっ! 行こう! 一発と言わず何発もかましてやろう!」
キックオフ。
対戦校の選手がボールを蹴る。
――――――――
前半、試合は相手のペースで進んでいた。
こちらがボールを持っても直ぐに多人数でボールを奪いにきて、ボールがうまく繋がらない。
そして後半も両者一歩も譲らない展開。
そして90とロスタイムを終え――
~ロッカールーム~
友「お互い通常よりも激しく動いた後の延長戦……つらいけど頑張って!」
友が疲れたチームメイト達に飲み物とタオルを配って回っている。
友「はい、男にも」
男「あ、ありがとう……」
未だに友と話すのには慣れない。むこうがどう思っているのかは分からないが
俺は未だにこいつの目を観て話すことが出来ない。
俺を責めるような目をしているんじゃないか。なんて事を思ってしまうのだ。
男「……ああ、問題ない。……延長もフルで行ける」
三年の初めに軽い故障をした左足。それが今でも時より痛む。
ほとんどプレーに影響が無いので、今の今まではそれほど気にしないでやってきた。
しかし。
連戦を強いられる選手権において、これは決して小さな問題ではなかった。
痛むのだ。
90分を走って、わずかな痛みは確かな疼痛となっていた。
友「そうか! それなら良かった! でも無理はいけないよ」
男「分かってる」
口だけで友の言葉を肯定する。
ここで逃げ出すなんて発想は微塵もないのに。
男「絶対勝つよ」
友の為に。
この試合に勝てば、自分道をふさいでいる何かを打開出来るような気がするから。
延長戦。辛い戦いだけど、俺は立ち上がり戦うのだ。
俺は足の痛みを無視して走り回る。
普段なら無視出来ない痛み。しかし、決勝、歓声、感情、様々なものが俺の中で渦巻き全てを忘れさせる。
欲しいのは唯一、この先にある勝利のみ。
男「足止まってるぞ!!!!!! プレス早めにいけ!!! 一秒でもスペース空けるな!」
つぶれかかった喉から無理矢理声をひねり出す。
チームメイトも同様に声を上げ、チームが一つになって動く。
悪くない流れだった。
延長戦。早めに勝負を決めたかったらしい相手は明らかに消耗している。厳しかったプレスは着実に弱まっている。
チャンスだ。
チームの全員がそう感じていたと思う。
男「そこ!! 三人で寄せろ!!!」
パスを出すと直ぐに奪われるという状況に焦れた相手の選手が突破を試みる。しかし、こちらのデフェンダーが多人数でよって、奪い取る。
ピッチの真ん中より少し下。良い位置だった。
俺は走り出す。思考と言うよりは感覚で。戦略というよりは意地の為に動く。
バスッ
チームメイトが大きくボールを前に蹴った。
それを合図に俺は一気に足の動きを速め、トップスピードを目指す。
絶対に俺が勝利を掴むという決意が背中を押しているようだった。
ボールが相手四人から成るデフェンスラインを飛び越える。それをトップスピードで追う。
男「行ける!!」
デフェンダーがボールに向くよりも速く俺はデフェンスラインを超える。目指すはボールの落下点。
男「ッ!!」
トップスピードの勢いのまま右足でボールを受けた。
立ち足となった左足が痛みに悲鳴を上げるが、今はそんな事に構っていられない。
ボールを持った俺。
目の前にはゴール。そして立ちふさがるゴールキーパー。
試合はここで決まる。
左足は……痛んでいてシュートを正確に打てるか確かじゃない。
かといって逆足の右で打とうというもリスクが伴う。
そして俺は今トップスピードで走っている。
だとしたらベストアンサーは一つだろう。
このままキーパーを抜いてボールをゴールに流し込む。それだけだ。
男「ッ……!」
痛みを堪えキーパーを見据える。
いつ動く? どっちに動く?
その時、キーパーの体が一瞬左にぶれる。
男「……右!」
左足でボールを右に蹴り出す。
行ける。
キーパーは俺の動きに反応して右に飛ぶがきっとボールには届かない。
目の前にはゴール。
あとは右足を振り抜くだけでいい。それで俺は呪縛から解放される。
右足が弓のように張り詰める。そして、それを一気に解き放ちボールを蹴る――
その時世界が暗転した。
夢から覚めた様に周囲の音が俺の耳に飛び込んでくる。
ホイッスル。怒号。悲鳴。
そして俺のうめき声。
男「ああっ……なんだこれ……」
どうやら俺は芝生に顔をつっこんで倒れているらしい事が口の中に紛れ込んだ土の味で分かった。
動けない。
ああ、そうか。キーパーの腕が俺の左足にかかったのか。
その場面を観て無くとも、それは明確だった。
だって。
男「左足が……動かない……」
誰かが俺の名前を呼んでいる。だけど意識はだんだんと遠のいていって……。
こうして俺の高校最後の大会は幕を閉じた。勝利と引き替えに、未来と希望を失って。
その日は穏やかに始まった。
娘「もう土曜日か。といっても毎日が日曜日な私たちからしてみれば何の感慨も無いな」
男「うーん。同意したら何か社会に生ける人として大事な物を失うよな……だが概ね同意せざるを得ない!」
まあ来週からは本気出すけどな! そういう予定だけどな!
娘「そういえば世の中の人たちは土曜日や日曜日に何をするんだろうな?」
男「いや、俺まで『曜日とか関係ない自由な生活』をしてみたいに語りかけるな。
俺はまだ駄目人間歴二ヶ月ぐらいだっての」
娘「そういえばそうだったか? まあ、過去の自分がどれだけ立派であったかではなく
今という瞬間に何をしているかが大事だと思うよ、私は」
男「だんだん気が付いてきたけど、お前って基本的に上から目線な……その意見には賛成だけどよ」
娘「まあとにかく、土曜日や日曜日には何をするべきなんだろうな?
今まであまり考えた事が無かったが、一般的な人々は土曜と日曜日にしか休めないのだろう?」
男「祝日やら有給やら学生の長期休暇やらなんやらを除けばそうなるんじゃないか?」
娘「で、何をするんだ?」
男「何って……そりゃその人のやりたい事だの何だのだろうよ。
それこそ、俺たちがやってきたいわゆる『遊びに行く』ってのは本来土日なんかの休みの日にやるもんだぜ」
サボりと休みは違うのだ。
男「は、はぁ? 何なんだよお前は。急に変な事きくよなぁ……まあ、多分普通にしていればいいだろう。
何なら何処かに出掛けてもいいし」
娘「そうか。じゃあ出掛けよう」
穏やかな朝。
俺たちは朝食を済ませてから出掛ける事になった。
最後の日はこうして始まる。
男「何度見てもこの人の多さには圧倒されるな……」
一人一人というよりも大きな一つの塊。そう表現したくなる様な人々から成る大きな渦。
はぐれないように娘の手を強く握る。
名前も知らない誰かとなんども肩がぶつかりそうになる。
幾千もの足音を聞きながら、俺たちは歩く。
男「しかしいろんな所に行ったけど、映画は観てなかったな。盲点だった」
娘「そうだな」
映画を観よう、という事になり俺たちは映画館を目指していた。
男「下調べもせずに来た訳だけど、何か観たいのあるか?」
娘「特にないな。上映中の作品を把握していない」
男「俺も全然何やってるかわからねぇなぁ」
まあ、その場にいって決めればいいだろう。
男「えーと……SF系洋画が二本、バンド物が一本、アニメが一本、ラブコメが一本、切ないラブストーリーが一本……
タイトルと広告を見る限りそんな感じのラインナップだな」
娘「男はどれが観たいんだ?」
男「俺はどれでもいいけど。お前が決めていいぜ」
娘「……じゃあこれだな」
娘がチケット売り場に張ってある広告の一枚を指さす。
男「切ないラブストーリーか。なになに、『死期迫る恋人との一ヶ月。訪れるのは予定通りの別れか、幸せな未来か』」
なんだかありがちな設定だ。
男「これでいいのか?」
娘「ああ」
……。なんだかさっきから口数が少ないなこいつ。
白いコート着た娘。その無口な横顔は、東京じゃあまり振らないと言う雪の様に白い。
どこかの誰かと同じく、こいつも黙ってれば絵になる奴だ。
昔はポップコーンと飲み物を買っても二千円以内に収まってたっていうのに」
娘「いつも悪いな。私のお金を使ってくれてもいいのだが」
男「いや……なんか抵抗あってな……まあいいから行こうぜ」
なんだかあの叔母さんのお金だと思うと素直に受け取れないのだ。
まあとにかく。
俺たちは飲み物を買い、劇場の席に着く。
凡作っぽい作品だからだろうか。人の入りは土曜日にしては少ない。
男「悲愛ものの映画ってのは見終わったあとなんとも言えない気持ちになるんだよなぁ。
かといってご都合主義なハッピーエンドも白けるし」
娘「……」
本当にさっきから口数が少ないな。いつもなら気の利いた話題の展開をするのに。
まあ、最近の疲れがたまっているのかも知れない。
毎日が日曜日でも、それはそれで疲れるのだ。
場内案内と注意事項の放送が終わると照明が落ちて幕が上がる。
――――――――――――――――――――――――――――――
話の内容を要約すると大体こんな感じだ。
幼なじみだった主人公とヒロイン。
しかし、ジュニアハイスクールの卒業式を明日に控えた日の夜にヒロインが突然倒れてしまう。
そして、宣告される過酷な運命。劇的な医療進歩が起こらない限り、彼女は十年と持たずに死んでしまう運命だった。
その日から彼は私利私欲を捨て、彼女のために医療研究の道を歩み出す。
そして運命の十年目。そこには研究を成し遂げた主人公と、回復の兆しを見せるヒロインの姿が……。
――――――――――――――――――――――――――――――
陳腐。それが唯一の感想だろうか。
エンドロールを眺めながらため息を吐く。
まだ暗い劇場の中、俺は小さく娘に耳打ちした。
娘「ああ……現実味に欠ける。駄作といってもいい……」
娘がつぶやく様に答えた。
スクリーン眺める娘の表情は暗くてよくうかがえない。
だけど、何かがいつもと違う。
娘「時間の無駄だったかもしれないな……こんな映画を選んでしまって悪かった。出よう」
そう言って娘は立ち上がると、殆ど走るみたいに出口に向かう。
男「お、おい……! まてってば!……っ! もうなんなんだよ……」
俺の言葉は届かないようで娘はどんどんと進んで行ってしまう。俺も立ち上がり、後を追う。
一体、今日の娘はどうしたっていうんだ。
人の声と足音。車の騒音と排気ガス。
その中に二人して黙り込んだまま立ち尽くす。
娘「悪かった。今日はなんだか調子が出なくてな」
男「……少し疲れが溜まってるんだろう。仕方ないさ、最近ちょっと遊びすぎてたからな、俺たち」
娘「ああ……そうかもしれないな」
娘がはにかむ。吹き付ける風に両のほほが赤くなっていた。
娘「……! どうしたんだ男?」
気が付いたら、娘を抱き寄せていた。過ぎゆく人の怪訝そうに視線を送ってくるが気にしない。
男「いや……何でだろう……? 何となく」
何となく現実に戻ってしまったからだ。
最近は娘と過ごすの楽しくて、色々な事を忘れていたから。
目の前の問題を無視して、子供みたいにはしゃいでいたから。
だからだろうか。
ちょっとした変化の『兆し』におびえてしまった。
夢は終わって、また以前みたいな漠然とした不安がやってくるんじゃないか、と。
これが一体どういう種類の感情なのか分からないけど、その気持ちは明確だった。
娘を抱きしめたまま動かないこの両腕が何よりも確かな証拠だ。
男「母親の所には戻らなくていいよ。学校も家の近くの所に転校してやり直そう。
色々金がかかるだろうけど、そこは俺がどうにする」
娘「……」
その為なら、今度はきっぱりサッカーと縁を切れるのかもしれない。そんな事も思っていた。
男「お前が大人になるまで、俺がお前と一緒にいてやる。俺はお前を絶対に捨てたりしないから……!」
気持ちが高ぶり、声が大きくなる。
そしてより強く娘を抱き寄せる。
男「なっ!? こっちは真面目なんだよっ!」
一世一代の勇気を振り絞って言った言葉だったのに!
娘「……でも、そう言われて嬉しい……人生で一番の幸せを今感じてる」
からかう様だった笑みを、少女はにかみに変えて娘が言う。
娘のおでこが俺の胸にこつんと当たる。
娘「大好きだ、男。心からそう思った」
男「……っ!」
言われた瞬間、心臓がバカになったみたいに早鐘を打ち始めた。
あわてて娘を俺の体から遠ざける。
男「はっはは……! 俺は結構モテるかならな! こんな感じでいっつも女を落として回ってるんだ!」
娘「彼女が出来た経験は無し、と友が言っていたが!」
男「あのボケッ! じゃなくて落とすだけ落としてポイしてきたんだよ!」
娘「ふーん……じゃあ私も落とされるだけ落とされて、後はポイされるのか?」
娘はピョン、と一歩後ろに飛び退いて、いたずらな笑みを浮かべながら首をかしげる。
その仕草に、また鼓動が高鳴る
本当によく分からない奴だ。こっちが年上だって事を忘れてしまう程。
娘「ははっ! 少し意地悪し過ぎたかもしれないな。だけど嬉しかったのは本当だし
男がどんな意味で私の事を大切にしてくれているのか、理解しているつもりだ」
娘「だから、ありがとう、今はただそう言いたい」
明るい、いつもの娘の笑顔だった。
娘「そして……」
娘「そう思ったから、私は私の話をしなければらならないと思う」
大きな目が、力強い意志を持って俺を射貫くように見つめた。
男『いや、適当に開業してどうするつもりだよ。それを言うなら店に入ろうだろう』
なんていつもみたいなバカな雰囲気を持ちかえして、俺たちはファミレスにやってきていた。
男「もうちょい洒落た店でもよかったんだけどな、せっかく渋谷まで出てきたんだし」
当ても金も無いけどそんな事を言ってみる。
娘「別に洒落た店に用は無いよ。お互い忘れがちだが私はまだ小学生なのだしな」
男「それもそうか」
店員「和風ハンバーグ定食とオムライス、お待たせいたしましたー」
頼んでいた料理がテーブルに届く。時間は既に六時。
晩ご飯はここで済ませていこう、という話になったのだ。
男「本当だよ。なんだか昔からの友達みたいだよな、俺たちって」
娘「はは。違いない……そうだ」
そう言うと、娘は思い出した様にポシェットから例の手帳を取り出し、ページをめくり始める。
そして目当てのページを見つけたのか、手帳をテーブルに置いてボールペンを走らせる。
男「今度は何の願いが叶ったんだ?」
娘「友達を作る、だよ。今更だけど、一応記しておこうと思ってな」
娘「ついでにセック――」
男「してねーよ!」
公共の場で何てこと言おうとしてるんだこの小学生。俺の世間体が危ういだろうが。
そのページを見た限りでも、チェックが付いてない願い事が殆どだし」
娘「まあ、全部を埋めなくてもいいんだよ」
男「そう言うなって、時間は余ってるんだから。その内埋まって次の願い事考える事になるかもしれないぜ?」
娘「……」
反応が無かった。
なんだか朝の時の雰囲気がまた漂い始めたような気がして、胸がざわつく。
娘「この願い事リストの事は忘れてくれていい。もう、必要なくなったから」
男「おいおい、そんな遠慮しなくたっていいんだぜ……?
お前あんまりでっかい事お願いしないから俺だってそこまで苦労しないし
俺みたいにバカじゃないから『アメリカ人になる』とか無茶言わないだろ?」
娘「そうじゃなくて……」
娘「男は私のために色々な事をしてくれるが私は何も返せない。
そして男は自分の生活を犠牲にしてまで私に付き合ってくれているから、それが嬉しくもあり、心苦しい」
娘「そして――」
娘「私はずっと嘘を吐いていた。酷い嘘を」
娘は視線を窓の向こうの景色にやりながらそう言う。
男「嘘? 嘘ってなんだよ? お前は叔母さんに捨てられて、ただ為す術もなく、仕方なく俺と――」
娘「だから、それがもう嘘なのだ……」
それが嘘?
どういう事だよ? そこにどんな嘘を吐く余地があるって言うんだ。意図が汲み取れない。
男「お前が、お前であると言う事が嘘? 全く意味が分からないぞ?」
つまり、と娘は続ける。
娘「私は男が言うところの『叔母』の娘じゃない」
そして、
娘「男、あなたの両親はもう死んでいる」
男「……」
言葉が出なかった。
娘の言っていることが理解出来なくて。
理解しようなんて気にも到底なれなくて。
娘「あなたの記憶は偽りで」
娘「今のあなた偽物で」
娘「嘘つきな私は」
――あなたの妹だ。
私には自慢の兄がいる。
サッカーがとても上手で、優しくて、他の誰よりも素敵な兄だ。
周りからの期待も凄くで、将来は日の丸を背負う立派なサッカー選手になるだろうと言われている。
だから、兄はその期待に応えるために沢山練習をしなくちゃいけなくて、あまり私と一緒に居てくれない。
だけど大丈夫だ。
私たち兄妹の両親は私が三歳で、兄が十二歳の時に死んでしまったけど私は寂しくなんか無い。
兄は昔から私が退屈しない様に色々な事をしてくれた。
練習帰りにはいつも何処からか本を拾ってきて私にくれる。
私にとってそれはいつだって宝物で、内容がどうであれ一字一句覚えてしまう程に読んだ。
私たち兄妹を引き取ってくれたお母さんのお姉さん(叔母さんって言うのかな?)はとても優しいし
お金はあんまり無くても楽しく暮らしている。
高校二年生になった兄は以前よりもずっと生き生きとサッカーをしていて、なんだか私まで嬉しくなってくる。
兄は私に大きな手帳をくれた。
『お金が無いからこれしか上げられない』なんて兄は言ったけど、私は嬉しくて仕方が無かった。
『これに願い事を書いておいてくれ。俺がプロになってガッツリ稼ぐようになったら全部叶えてやるから』
その言葉はまるで魔法みたいだった。いや、それを魔法と呼ばずに何を魔法と呼ぼうか。
私はその日から毎日日記のように願い事を書き連ねていった。
私はおもち何かを食べてたりして、お正月気分を味わっていたけど、兄はそうとも行かない様だった。
高校選手権第二回戦。大事な試合を控えていたのだ。
一回戦も観たかったけど、叔母さんお医者さんだから忙しくて、結局都合がつけられなくて観られなかったから
私はとてもワクワクしていた。
今日は父方の叔母さんの一家とこの競技場までやってきた。
この家の人たちもすごく優しくて、私たちが困っていると良く助けてくれた。
この家の一人娘ちゃんは私より三つ年上でとても優しくて、なんだか私に姉が出来たみたいで嬉しかった。
やっぱり、兄は最高に格好良かった。
私は兄が格好良くゴールを決める瞬間が一番好きだ。自分のことより嬉しい!
だけど。
今回は少し不安だ。
兄の親友の友さんが怪我をした様だった。
ピッチに立つ兄の顔はスタンドからは良く見えなかったけど、いつも兄を観ている私にははっきりと分かった。
兄は今までで一番辛そうな顔をしていた。
結局その日は兄に会えなくて、励まして上げる事が出来なかった。
父方の叔母さん一家の都合でその日にしか東京に居られなかったから残念だ。
兄が帰ってきたらいっぱい励ましてあげよう!
――――
兄は三回戦には出なかった。友さんの事がショックだったかららしい。
試合は兄の高校の敗退という結果で終わった。私はなんだかよく分からないけど泣いてしまった。
とにかく、早く兄に会いたかった。
練習が終わった後も自主的に何かトレーニングをしているらしい。
今まで良く友さんが家に遊びに来たりしていたのだけど、そういうこともめっきりなくなってしまった。
そういえば本を持ってきてくれる事も無くなってしまったなぁ。
二年生の時とは違って、兄はあまり笑わなくなった。サッカーがうまくいってないからだ。
友達と遊んだりする事も少なくなった様だった。私は『変な奴』だから友達と遊んだりしないのが普通なんだけど
兄みたいなみんなから尊敬される人の場合は違うだろう。
私ともあまり喋ってくれない気がする。
はぁ。
元々、私の兄としては凄すぎる人で、絶対に釣り合わないなぁーなんて思っていたけど。
なんだろう。
最近は更に深い溝とか、遠い距離とかを感じるようになってしまった。
盗み聞きをするつもりなんて無かったけど、偶然、兄の部屋を訪れようとした時に声を聞いてしまって
何となく聞き耳を立てる形になってしまったのだ。
男『絶対に……俺は絶対に成功しなきゃいけない……。もう妹に辛い思いをさせない為だ……。
もう誰にも迷惑かけずに生きていく為だ……。全部のしがらみを取っ払って――俺が救われるためだ……』
男『無理してでももぎ取れ……アイツの事は……もう仕方が無いんだから気にするな……!
チクショウなんでずっと頭にこびり付いて離れないんだよッ!
そんな下らない事忘れて結果出さなきゃ俺も終わっちまうだろうが!!』
兄はとても追い詰められているようだった。
だけど、私はそんな兄を慰めてやる事が出来なかった。無力は罪だ、なんて難しい事が本に書いてあったけど
その意味が何となく分かったきがした。
今までみたいな天才的な活躍が無くなって、代表戦にも呼ばれなくなってしまった兄だけど
なんとか血のにじむ様な努力で高校チームのスタメン、そして主将の座を手に入れていた。
そして決勝戦。
この日は叔母さんと一緒に観戦しに来ていた。
兄がこの競技場に立っている姿をみて、私はやっぱり感動して泣いてしまった。
背中の10番がまぶしくて、何より誇らしかった。
そんな誇らしい兄の姿を観るのはこれが最後に成るかも知れなかった。
延長戦前半。
決勝ゴールを決めた兄が左足に大けがを負った。
兄が怪我をして三日目。兄は未だに目を覚まさない。
この病院のお医者さんも、お医者さんである叔母さんを何で兄が目を覚まさないのか分からないらしい。
もしかしたらこのまま――
そんな事が頭を過ぎるけど、そんなこと無いと自分に言い聞かせる。
私の兄が、私のかっこいい兄がそんな簡単に居なくなったりするものか。
そう強く念じながら千羽鶴を折り始めた。
そして――
私が920羽目を折り終えた時兄は目を覚ました。
男『あれ? ここどこだ?』
男『あ、あれ? 何だこの足? なんでこんな――』
男『うわああああああああああ! 俺の足が! 左足が!!!!』
男『なんだよこれ! なんなんだよ! 夢じゃなかったのかよ!!!!
これじゃあもう……サッカー出来ないじゃねぇーかよ!!!!』
目覚めたばかりの兄は酷く錯乱していて私や叔母さんの事には気が付いていなかった。
いや、正確に言えば兄はその時点で私のことを『妹』だと認識することも
叔母さんのことを『今まで面倒をみてくれ来た叔母さん』だと認識する事も無くなって居たのだ。
男『何なんだよ……!』
ギプスにまかれ、吊された自分の足を見つめながら苛立ちを包含したため息を吐く。
男『あぁ……なんてこった……』
男『あの……』
兄は目覚めたから初めて私たちに目を向け、私たちに向かっての言葉を口にした。
男『どちら様か知りませんけど……今は一人にしてくれませんか……』
その時からだった。
かっこいい兄は消えなかったけど――
だけど。
兄の中から私は消されてしまったのだった。
兄の中では『父方の叔母一家』が彼の家族であり、妹は私ではなく一人娘ちゃん。
叔母さん(私たちの面倒を見てくれていた母方の方の叔母さんだ)の名前を聞くと幼少期に会ったことがある
と言ったが、それ以降の記憶は無いらしかった。
そして私に関する記憶。
それだけはどうしても見つける事が出来ない。
それどころか、私が昔の話をして兄の記憶を引き戻そうと試みる度に兄は頭痛を訴えて、その後眠りに落ちるのだった。
そして目が覚めるとまた
男『どちら様ですか?』
と、『他人としての私』と話した記憶さえも失う。
叔母と医師が相談した結果、兄はしばらくの間、彼が家族だと思っている父方の叔母一家と暮らす事になった。
幸いなのか最悪なのか分からないけれど、兄の抱える問題は『私と叔母との生活を覚えていない』 だけであり
他の部分では全く正常だった。
だから大学に行くことも出来た。
怪我でプロクラブ入団の道は閉ざされたが
監督さんという兄の知り合いからの誘いで東京の大学へ行くことになったのだ。
そうして、私と兄は切り離された。
兄の居ない生活の中でそれを問い続けた。
そして行き着いた仮説。
いや、仮説というのは自己保身がすぎて卑怯かもしれない。
だから私はあえて自分が傷つくように結論付けた。
――結局、私は邪魔な子供だったのだ。
兄にとって私は重りだったし、彼が経験した暮らしとは彼のストレスそのものだったのだろう。
両親の死。
私と叔母からの無言の期待。それがひたすらに邪魔だったに違いない。今ならそう分かる。
兄は優しいから期待には応えようとするし、実力も才能もあるから無理だって出来る。
それが決定的に、致命的に兄を苦しめてきたのだ。
兄はついに折れてしまった。
――私はなんてバカな子供だったんだろう。自分の寂しさばかりに気をかけて、兄には何にもしてあげてなかった。
そう気が付くと、弱い私はやはり泣いてしまうのだった。
その時、なんとなく昔兄からもらった本の内容を思い出していた。
脳の病気で記憶を失っていくヒロイン。彼女の病はゆるやかに死に至るもので、ヒロインの幼なじみの少年は
彼女を助ける為に先端医療の研究者を志す。記憶を失い行く彼女は、しかし何度も少年に恋する。
そして最後は大人になった少年が治療方を確立し、彼女を助けてハッピーエンド。
そんな小説らしい夢物語。
馬鹿らしい。現実はそんなに甘くないのだ。
私はその時初めて兄から貰った物を嫌いになった。
そして思う。
夢物語ではない現実の世界で私がすべきことを。
今後は兄から出来るだけ離れて暮らすべきなのだろうか。
私も、私の中から兄を消すべきなのだろうか? と。
だから一つの計画を思いついたのだ。
他人としてでもいいか兄と一緒に居よう。そう言う我が儘を叶えるための計画だった。
ついていた嘘を全てバラしてしまうと、心がすっと軽くなった。
でも、こんな事をいきなり言われた『男』の心境を考えればまたすぐにどんより暗く重い気持ちが湧き出る。
男「……」
娘「すべて、本当の話だ」
『男』は私の顔を見つめたまま、黙り込んでいる。
私は思わず目をそらした。
やっぱり、心が痛むのだ。今から自分がやろうとしていることに。
娘「信じがたいかもしれないが、私はあなたの妹で、あなたが家族だと思っていた人たちは私たちの父方の叔母一家。
そしてあなたが私の母親だと思っている人は私たちの『育ての親』だ」
男「やめてくれ……頭が痛い……」
『男』息が荒くなる。
それは一年前に何度も観た記憶喪失の前兆だった。
また失ってしまいそうで。
また『兄』を傷つけてしまいそうで。
だけどここで立ち向かわなければならない。
そうしないと『兄』には会えないのだから。
娘「……やめない」
ここで止めるわけにはいかない。
娘「正直、何も話さないままずっと『男』と居るのも悪くないと思った」
男「……! 本当にやめてくれ! 頭が痛いんだ!」
娘「あなたは『兄』と同じぐらい優しいし、一緒に居てくれる時間なら『兄』よりもずっと長かった!」
あなたは『兄』が生きるべきはずだった時間を蝕んでいる。
偽物だらけの毎日を『兄』なりかわって生きている。
娘「その時間は本物じゃない。それは私の為にも、『男』のためにも使われるべきでは無かったんだ……」
だって、
娘「『男』、あなたは偽物だから」
そして私も偽物になりかけていたから。
娘「だからっ!」
偽物ごっこはもう終わりにしようよ。
妹「お兄ちゃんを返してよ!」
吐き気を感じた時にはもう胃の中の物を半分以上吐き出していた。
人気の少ない路地裏。
ファミレスから逃げ出した俺は隠れるようにかがみ込む。
それにしても。
男「何だよあいつ……いきなり変なこと言いやがって……」
あんな嘘っぱちを俺に話すなんて、どういうつもりなんだよ……。
男「全部、嘘だよな?」
自分の存在を確かめる為に右の掌を眺める。
大丈夫だ。俺はココにいて、ちゃんと昔の事だって思い出せ――
男「うあああああ……っ! 頭が……っ!」
嘘だろ? おかしいって。
あるべき記憶がない。
あると思っていた記憶が見当たらない。
男「おえっ――」
痛みに耐えかねて胃液が逆流してくる。
何かを探すような手つきを感じる。
誰かが何かを探している。そんな感覚。
男「俺が偽物ってどういう意味だよっ!」
俺が偽物。
『娘』は『妹』 で、俺は『兄』だって?
そんなの信じられないだろうが。あり得ないだろうが。
なのに、なんでこんなに混乱しているんだよ俺は!
何でだよ……。
もう屈んだ体勢すら維持できない。俺はゆっくり倒れていく。
目の前はゴミ捨て場だけど、そんな事はもう些末な事だった。
手にどこか懐かしい感触を覚えた。
ゴミ捨て場。
何の変哲も無いただのゴミ溜めから何を思い出すというのか。だけど、手から感じるその感覚は確かに懐かしい。
力を振り絞って首を持ち上げ、その手に触れる物をみる。
男「何だよ……」
ただの本じゃないか。
こんなもん、何だって言うんだ。
男「うっ……うっ……」
とうとう俺も気が触れてしまったのかもしれない。本を触っただけなのに涙がとまらない。
『キャッチャー・イン・ザ・ライ』
有名なタイトルだった。
それこそサッカーばかりやってきた無学な俺ですら知ってるくらい。
だけど、なんで俺はこんな本を見つけたぐらいの事で泣いてるんだ?
この本にそんな深い思い入れが有るわけじゃ無いだろう。
思い入れじゃないとしたらこの感覚はなんだ――
これはいつか俺が拾った本だった。
誰かのために拾って、その誰かを喜ばせようとしていたんだっけ。
男「誰にこんなもん上げようと思ったんだっけなぁ……」
思い出せない誰か。
その誰かを想うと何故か涙が止まらない。
男「こんな本だけじゃ喜べないのになぁ……」
必要なのはそんなもんじゃ無いだろう。なんて誰かに向けての怒りが沸く。
誰への?
もう分かってるさ。さすがに、馬鹿な俺だって。
男「立ち上がれよ……」
抜けた力を呼び戻すように命令する。誰にでも無く、ただ自分自身に。
なんとかゴミまみれながらも立ち上がる。
散々な姿だろう。
みっともない姿だろう。
だけど行かなきゃ。
そいつが誰なのかを確かめにいかなきゃ。
ずっと俺を待ってるやつ。しょうもないお土産なんかを宝物みたいに大切にする奴が俺を待ってるから。
――たとえ偽物だとしても、俺は走り出す。
きっともう店を出ただろう。
そんな駄目もとで戻ったファミレスにそいつは居た。
あっけないというか。こいつらしいというか。まるで全てがお見通しみたいな感じで、最後までまるで食えない奴だ。
妹「戻ってくるって信じてた」
男「はは……そんなに信頼されてるのかよ……その『兄』って奴は」
本当に。マジで妬けるよ。
男「はぁ……信じがたいけど、信じるしかないよな」
今まで感じない振りをしてきた違和感たちに一度気が付いてしまうと、もうそれは無視出来ない。
俺は偽物で、本物が他にいる。
男「俺ってなんだったんだろうな」
男「俺なんて居なくてもよかったんじゃないか?」
妹「……そんな事は無い」
男「はは、そう言われると悪い気はしないな。つーか結構報われるかも」
男「……短かったけど、楽しかったよ……」
お別れの仕方はもう分かっている。
妹「私も楽しかった……絶対に忘れない」
右手の本。
さっきゴミ捨て場で拾ったうすきたない古本だ。
それを妹に差し出す。
これで本当にお別れ、というかバトンを本来もっていなきゃいけなかった奴に返さなきゃならない。
妹「ありがとう……っ!」
本がゆっくり妹の手に触れる。
――そして、俺の意識は急激に揺らいでいく。
どうやらこれで本当に終わりらしい。
意外とあっけない物だな。動揺していない自分も以外だし。
まあとにかく。
――あとは頼むぜ。本物の『お兄ちゃん』
高校選手権決勝からの一年と何ヶ月かの間。
その間の記憶が思い出せるようで……しかし、なんだかハッキリしない。
気が付いたら脚は大分良くなってるし(そりゃ以前みたいに50Mを五秒台で走るなんて絶対無理だけど)
東京でマンションを借りて大学に通っていた。
嘘みたいだけど本当の話だ。
一緒に暮らしている妹に聞いてみても「さあ」としか答えないし、俺たち兄弟を育ててくれた叔母さんに聞いてもまた「さあ」
まあ別に、その疑問に答えを見つけるのはいつだっていいんだけどな。
俺には今確固とした目標があって、それを目指して這いつくばるのに精一杯なのだから。
――速く走れなくたって、俺はまだまだサッカーを続けられる。
いつか監督のいった通りだったのだ。
ゲームメイクのセンスと正確なキック。それを生かしたボランチというポジション。
そこでならまだ俺は輝けるのだ。
そして俺は今新たな目標に向かって一歩踏み出そうとしている。
友は言った。
『やっぱり男は出来る男だよ! 世界一のサッカー選手とか夢じゃないよね!』
本当にむずがゆいことを平気で言う奴だ。
監督は言った。
『いや、実に良かった。
君みたいな原石を目の前に『加工ミス』をしてしまってはフットボールの神様に申し訳が立たないからね。
良かった。まだ私の目は狂っていなかったよ。老眼だけどね』
いちいち訳の分からんこと言うオッサンだ。
まあ嫌いじゃないけど
記者「怪我での挫折、そして大学二年時の劇的復活とプロデビュー。そしてその二年後の今はスペインの強豪入り!
この劇的なシンデレラストーリーについてご自身はどうお思うなんですか!?」
空港の入り口。数十人の記者に囲まれてしまっていた。
兄「――っあ、ちょっと考え事してました。えーっとなんだっけ? この二年? いやー早かったですよねー。
もうあれ、びゅーんって感じでしたはい」
記者の問いに適当に答えつつ、キャスターを引きエントランスへ向かう。
記者「恩師であり、プロデビューの立役者でもある監督氏からは何か言われましたか?」
兄「えーっと、なんだっけ。老眼?がどうのこうのって言ってましたね」
パシャッ パシャッ! パシャッ パシャッ!
記者「今の気持ちは?」
兄「早くサッカーがしたいですね」
パシャッ パシャッ! パシャッ パシャッ!
兄「うんじゃそろそろ」
記者「あ、最後の質問です!」
――感謝している人は誰ですか?
自然と足が止まった。
俺には沢山居る気がする。
妹、叔母さん、父方の叔母さん一家、友、監督、大学の奴ら。
兄「うーん……」
それで全部だろうか?
誰か欠けているような気がする。
一番近くて、一番離れている様な存在。
それは一体――
兄「まあ、それはまた今度で! 全部成し遂げてから纏めて感謝したいとおもいまーす! じゃ、アディオス!」
記者「あ、ちょっと待ってください!!」
パシャッ パシャッ! パシャッ パシャッ!
記者の群れを抜けてエントランスをくぐる。
なんとか待ち合わせの時間に間に合っただろうか。
今日みたいな真夏日にぴったりな白いワンピースを纏った長髪の少女。
数年前と比べれば随分大人っぽく成ったなぁ、なんてオヤジ臭くも思う。
妹「遅いぞ」
兄「いや、なんかインタビューとか記者の相手とか色々あって」
妹「スーツ。せっかく良いのを買ったのにもう皺になってるぞ」
そう言って彼女はスーツの皺を手で撫でならし、ついでにネクタイのズレまで直してくれる。
兄「はは、悪い。ありがとう」
そう言って頭を撫でてやる。
彼女、妹の表情は屈託のない笑み。
妹「何、兄妹なのだから助け合うのが当たり前だろう?」
そりゃそうだ。
そう心から思う。
一方的に頼られるだけでも、一方的に頼るだけでもない関係。
それが俺たちのあるべき姿。
辛いことは絶えないだろうけど、こいつが居ればどうにかなりそうだ。
いつかお互いに好きな奴が出来て結婚したりしても、俺たちの関係はきっと変わらない。
足りない分だけ補い合うのみ、だ。
妹「分かってるって!」
妹「がんばろうね! お兄ちゃん!!」
そんな感じで。
俺たちは進んでいく。
END
面白かったわ今後も期待
~おまけ~
ダメじゃねえか
おい
Entry ⇒ 2011.12.29 | Category ⇒ 兄弟姉妹「」SS | Comments (1) | Trackbacks (0)
娘「セック――」 男「言わせねーよ!?」 前
十月の終わりってこんなに寒かったっけ?」
毎年経験しているはずなのに、季節の変わり目はいつも新鮮だ。
寒空とはまだ言えないが、しかし両手をポケットに突っ込みたくなるぐらいにはしっかり寒い。
男「あー寒い。こんな時は恋人と手でもつなぎたいなー。なんて」
恋人が居たことなんてないけど。だからこそそう思った。上京してからというもの、何故か時より人恋しい。
今までそんな事無かったのに。
そうつぶやいてみる。
そうつぶやいた事は前にもあった。
この一ヶ月と半月、ずっとそうぶつぶつとつぶやき続けていた。
だけど。
男「なんでこうなったんだろうなぁ……」
語尾がそのままため息となる。
色々駄目な俺が、一ヶ月ほど前からはついに大学をサボるようになっていた。
理由は不透明。
それか無色透明。
多分、何となくやる気がなくなってきたから。
男「まあいいや。飯買わないとな、今は」
仕送りの金で買う飯は、なんだかすごく酸っぱいし苦いのだけれど。
男「まあそこそこの値段でそこそこの満足感があるよな、うん」
男「さて、帰えるとす―――」
ブー ブー ブー
男「電話?」
一ヶ月ぶりの着信だろうか。まあ友達は殆どいないし、母親からの電話だろう。
女の声『あーもしもし? 男だよね?』
母親じゃなかった。だが俺の下の名前を呼んだ。
男「は、はい。 そうですけど?」
叔母「私よ私。叔母。ってあんまり覚えてないかな?」
男「あ、あー。叔母さんですか」
名前は知っている。でも最後に会ったのは俺が6才くらいの時か? 今19才だからおよそ13年前。
正直顔は解らないし、声だって今聞いて何となく思い出した様な感じだ。
しかし、なんで俺のケータイの番号なんて知っているんだ?
叔母「突然ゴメンね。とても急いでいたから事前に連絡も出来なかったんだけど
私今○○駅前のファミレスにいるの」
男「え? あの? どういう事ですか?」
叔母「今すぐ来てほしいの」
頼み事があるから、そう一息おいた後に付け足された。
男「えーと、叔母さん。叔母さんは僕をからかってるんですか?」
久々に、本当に久々に体中に血がめぐるのを実感した。寒さなんて忘れて、今はひたすらに体が熱かった。
叔母「お金は振り込むし、それとこれ。クレジットカード。好きに使って良いよ」
いきなり現れて、勝手に身勝手な事情を説明して……そしてこれは金とかの問題じゃない。
男「自分の娘なんですよね? それって簡単に他人に投げ渡したりしていいものなんですか?」
なんと。自分の娘を俺に引き取って欲しいのだと。
震える腕を隠すようにテーブルの下にやる。震える声はどうしようもないけど。
だったらなんで? 自分の子供でしょ?」
叔母「自分の子供だからよ」
叔母「もう無理なの」
男「ッ――!」
震えていた手が耐えきれずに大きく脈を打つように跳ねた。意図は無くともテーブルの裏を殴った形になる。
コーヒーカップが跳ねてソーサーにぶつかり大きな音を立てる。スプーンは床に落ちてしまった。
隣の客からの視線を受けつつ、言った。
叔母「いいのよ。当然だもの。誰だって怒るでしょうね」
他人が同じ事をするならば、私だって怒るでしょうし。叔母さんはそう言って窓の外に視線を向けた。
表情は、西日でよく見えない。
叔母「頼まれてくれる?」
男「そんなの無理に決まってるじゃないですか! 大体なんで俺にたのむんですか?
もっと適当な、もっと大人の人に頼むべきでしょう?」
叔母「あの子、大人のことあんまり好きじゃないの。ううん。大嫌いなの」
大人のことが嫌い。
だからって大人から見捨てられてしまったら、子供は生きていけないだろう。
はらわたが煮えくりかえる。だけどどうやってこの怒りを爆発させればいいのか解らない。
叔母さんはクレジットカードを俺の方に手で押しやり席を立つ。
男「は? どういう事ですか? まだ何にも話して無いようなものじゃないですか?」
何を勝手に言っているんだ。お願いするって一体何をだ。
叔母「あの子、賢いから。住所渡しておいたのよ」
男「え?」
叔母「今頃あなたの家に着くぐらいじゃない? 迷ってなければいいけどね」
男「なにを――」
何を言っているんだこの人は。
そんな事、親がしていいのかよ。
叔母「じゃあ、仲良くしてあげてね」
今度はテーブルが跳ねた。
勢いよく立ち上がりすぎたのだ。
叔母「えーと。胸ぐら掴むのは止めてくれないかな? 目立つよ?」
男「ふざけんなよっ! なんでそんな事出来るんだよ! お前親だろ?
親ならそんな事出来ちゃいけないだろうがよ!
子供のことを一番に考えて、自分の事だって犠牲にするべきだろうが!」
十三年ぶりに会っただとか。母親の妹だとか。相手は女性だとか。
怒りに任せずに、しっかりと話をするべきだとか。
そういうものが、湧き出た熱いものに一気に溶かされ蒸発する。
叔母さんは俺に胸ぐらを捕まれても尚、無表情を貫き通す。
叔母「これが一番なの。じゃあね。お金は払っておくから」
叔母さんは俺の手を払うと、どんどんと歩いて行ってしまう。
さも当たり前の様にそうされて、俺は馬鹿みたいに立ち尽くす。
負け犬みたいな台詞になってしまった。
だけどとにかく何か言ってやらなければ気が済まない。
叔母「地獄はやめてあげてほしいかな」
レジで会計を済ませた叔母さんはそういって笑う。酷く苛立つ。
体の芯が熱いのか冷たいのか。よくわからない。
男「あー……なんかもう……あんた、もう消えてくれよ……顔を見たくない」
叔母「そのつもり」
そして付け加えた。
叔母「二度と会うことが無いように願ってる」
男「な――」
チャリンチャリーン
ドアが閉まり、心境にそぐわない間抜けなベルが鳴る。
なんて言う大人だ。
無責任ここに極まれり。
頭に血が上っていて気がつかなかったが……
男「お、お騒がせしました……」
集まってしまった客達からの奇異の視線に気が付いて。さっさと店を出た方がいい。
それに――
叔母さんの子。
叔母さんに捨てられたその女の子は寒空ともつかない空の下。
俺に何が出来るか解らないけど。
今は出来ることをするべきだろう。
俺はもらったクレジットカードを丁寧に四枚にへし折って灰皿に入れた。
冷めたメンチ弁当の袋を下げて家までひとっ走りだ。
男「えっと、叔母さんの子だよね?」
十歳ぐらいだろうか。腰に届きそうなほど伸びた黒髪と、大きな目が叔母さんによく似ている気がする。
女の子「……」
露骨に警戒された。
女の子「そうだが……あなたが男なのか?」
怪訝に思う気持ちをみじんも隠さぬジト目で俺を見上げる女の子。
三十センチぐらいの身長差を感じさせない威圧感だ。
男「そうだけど……えーと君、名前は?」
逡巡した後。
娘「娘」
俺から目をそらして短く答えた。
男「えーと、じゃあ娘ちゃん。今からお母さんを追いかけよう」
まさか、じゃあ部屋に上がってお茶でもしながら自己紹介をしようじゃないか、なんて抜かす程俺もおめでたくない。
あの人はあのまま家に帰っただろう。だったらこの子を家まで連れ返すまで。
娘「それは出来ない」
また短く言う。
男「は、はあ? なんでだよ? 嫌なのか」
娘「そうじゃない。違うけど、迷惑をかけたくない。事情があるんだ」
まだ幼い声でかたくなに言う。
娘「しばらくの間でいいから、私をここに置いてほしい。お願いする。いや、お願いします!」
我ながらデリカシーの欠片も何もあったもんじゃない言い方であった。
娘「いいや」
娘「大事にしてくれていた」
だったら尚更わからない。何で彼女がそんなお願いをするのか。
何で叔母さんがこの子を俺に投げつけるみたいに預けるのか。
一体どんな理由があるんだ。
と言うか少しぐらい『事情』について教えてもらえてもいいと思うんだけどなぁ……。
そのあたりを曖昧にしか言っていなかった叔母さんからみるに、それは聞いても納得できない物なんだろうけど。
男「一日だけって……」
一日泊めるぐらいどうってこと無い。でも、それは根本的な解決には全く結びつかないだろう。
だったら今すぐ動くべきだ。
だが。
娘「頼む……どうしてもなんだ……いいや、お願いします」
頭を垂れて今にも泣きそうな女の子にそう言われてしまえば……俺は折れる男なのだ。
それが正しいかは解らないけど。
本当に俺の意志の弱さには愛想が尽きる。
なんだか、いいように巻き込まれてるなぁ、俺……。
男「はぁ……まあ上がって。その、まあ自己紹介でもしよう」
まあ一日だけ。
明日には、きっとお別れだ。
趣味は読書。
堅苦しいしゃべり口調(自覚していた)は本の読み過ぎのため。
猫が好き。
お茶を呑みつつの自己紹介で解ったことはこれぐらいだろうか。
肝心な「なんで俺がこんな状況に陥っているのか」は未だに不明瞭だ。
男「俺の事は男と呼んでくれればいいよ」
娘「そうか。なら男、一つ頼みたい」
男「お、おう。なんだ?」
娘「友達、になってほしい」
娘「私には友達がいない。だから至急友達になってほしい。男。私では駄目なのか?」
男「えーと。何というか。俺たちさっき会ったばかりだろ?しかも経緯が経緯だし……
それでいきなり友達って言うのはなんかなー? いや、別に娘ちゃんと友達になりたくない訳では無くて。
というかなんでいきなりそんな話に?」
俺が言うのはおかしいかも知れないが、この子に友達がどうとか言っている余裕があるわけ無いと思うんだが……。
事態の深刻さが解っていないのか? それとも俺が深刻に考えすぎているだけなのか? ドッキリなの?
娘「じゃあ明日ならいいのか?」
男「そういうものでもない気がするなー……」
なんかすごく嫌な予感がした。
男「……今なんて言おうとした……?」
こいつなんかとんでも無い事を言おうとしていた気がする。
娘「だから私とセックむぐっあ!?!?」
男「言わせねー! 絶対いわせねーよ!? 十歳の女の子には絶対言わせちゃいけないワードなんだよ、それは!
そして絶対しません!」
娘「むぐっ――なに? 十歳だと駄目なのか?」
男「俺はそういう趣味の人じゃないから、そんな法律を熟知してたりしねーけど、たぶん
というか確実に駄目だろきっと……」
少なくとも俺の人生はそこで終わる。
娘は大きな鞄(彼女の唯一の持ち物だ)からメモ帳のようなものを引っ張り出す。
娘「書くものを貸してくれ」
男「え? いいけど?」
デスクからペンを取ってきて渡してやる。
娘「これは没、と」
男「何やってるんだ?」
娘「これはあれだ。to do リスト的なものだ」
男「やることリストって事か?」
娘「そうだ。私のやりたい事が書いてある」
B4ぐらいはありそうな手帳を俺に向けてバラバラと一気にめくって見せる。
男「うお。めちゃくちゃやる事あるじゃん」
内容までは見えなかったが、全ページが真っ黒くインクに染まっているのは解った。
俺よりやることの多い10才だった。なんだか自分が恥ずかしい。
男「セッ――後者はともかくとして、友達にならなれるだろう。多分」
娘「何? そうなのか? てっきりもう駄目なのかと思っていたが」
男「今は駄目かもしれないけどそのうちだろ」
この子が親の元に戻って。すべてが解決した後ならば、友達にぐらいにはなってやれるだろう。
俺も友達あんまり居ないしね!
娘「ふむ。そういうものか」
娘「ん? ならば、後者も可能だろう。それは親しい間柄である男女の間で交わされると言う。
だったら友達になれば可能だろう。どうだ」
どうだ、じゃねーよ。
男「人はそれを最悪の人間関係と呼ぶ……」
はぁ……。この子と話すと疲れるな。
こう言う状況に陥ってしまっている、ってことは何か色々他の問題も抱えていそうだしな……。
ちょっとの間だろうし、優しくしてあげた方がいいのかもしれない。
そういえば。
男「そういえば学校はどうするんだ?」
娘「学校とは何だ?」
男「それは古典的にボケてるのか?」
娘「人間とは何だ?」
男「哲学的な問いだったのか!?」
じゃなくて。
娘「冗談だ。しかし、私は学校には通っていないんだよ。これは冗談抜きで」
娘「義務教育だからこそ、通わなくてもいいんだよ。それに、小学校とは世にも幼稚な事を教わる所と聞くが?」
誰から聞くんだよそんな事。
男「いや、今となっては幼稚に思えるけど、お前ぐらいの年の奴だったらみんな行ってるし、行くべきだと思うぜ。
それこそ、友達だって百人単位で出来るだろうよ」
俺は友達百人なんて出来たこと無いけど。
娘「別に百人も欲しい訳じゃないんだよ。一人作ればそれで完了だ」
男「? まあとにかく、小学校には行くべきだと思うぜ。勉強以外にも学ぶことはたくさんある」
自分で言っていて、胡散臭かった。でもまあこう言っておくべき、だと思う。
娘「ふん……まあいいよ。とにかく学校の心配はしなくていいんだ」
男「……まあ、今はそれで納得しておくよ」
俺もそこまでは面倒みられないだろうし。
娘「ああ、そういえばもうそんな時間だな」
結構話し込んでしまっていた。というか打ち解けすぎだ。
10才の女の子とこんなに打ち解けてる事が誇れるかどうかは不明だが。
男「あー、悪いけど今日はこれを俺と半分つ、って事で手を打ってくれないか?」
メンチ弁当をコンビニ袋から出し、娘の前に置く。
娘「半分もか? 私は半分のそのまた半分で十分だ」
男「いやいや、子供が遠慮するなって。レンジで温めておくから、先に食っといてくれ。残りを俺が食うから。
それじゃ俺は風呂掃除に行ってくる。着替えとかは鞄に入ってるよな?」
娘「ああ。そうか、わかった……」
男「掃除おわったぞ。今お湯沸かしてるから二十分ぐらい待ってくれ、っておまえ、気分でも悪いのか?
飯も半分の半分ぐらいしか食ってないし」
娘は少し、気分が悪そうな顔をしながら箸を置いてイスに座っている。
娘「いや、すこし油が強くてな。そして食べる量はいつも大体これぐらいだ」
男「まじかよ。いくら何でも燃費が良すぎないか?」
いや、でも燃費が良いわけでは無いのだろう。
長袖と長ズボンで覆われているから解りづらかったが、彼女の肢体は酷く華奢だ。
それこそ、欠食児童のそれのように。
娘「まあ、気にしなくて良い。それよりもテレビをつけてもらえるか?」
男「ああ? いいけど。はい」
電源を入れて、リモコンを渡してやる。
娘「ありがとう」
国営放送の堅苦しいニュースから一変、民放のチャライ音楽が流れ出す。
なにやら動物を紹介する種の番組らしかった。
娘「ふふ」
猫の親子が仲むつまじく散歩している映像を見て娘は笑みをこぼす。
たぶん俺が見る彼女の初めての笑顔。やっぱり母親の笑顔と似ている。
母親の方の笑顔は思い出すだけでもむかっ腹がたつが。
娘「なあ男」
男「なんだ?」
娘「猫を解体」
男「なんてことを!? お前猫好きじゃなかったのか!?」
娘「ではなく、猫を飼いたい、だ」
男「ああ、そっちか。もちろん駄目だよ。というか何ここに長いこと住むことが前提になってる、みたいな話してんだよ」
娘「なんで駄目なんだ!? いくら積めばいいんだ!?」
男「どこで覚えてきたんだよそのフレーズ……。俺が個人的に駄目って言ってる訳じゃなくて
このマンションの入居規約としてNGなんだよ」
男「どんだけ猫飼いたいんだよお前……」
何がなるほどだよ。みじんも納得してないどころか、めちゃくちゃわがままじゃねーか。
娘「いや、まあテレビで観ているだけで十分なのだけどな」
男「そう言っちゃうと言っちゃうで、なんだかオヤジくさいな」
娘「可愛いから、もしも居なくなってしまった時悲しい思いをするからな」
男「それは……」
確かにそれはそうだ。居なくなってしまうと、死んでしまうととても悲しい。俺も小学生の時に亀を飼っていて
そいつが飼い始めて二年と経たないうちに死んでしまった時はひどく悲しんだものだ。
死んでしまうなんて、全然考えていなかったし。
娘「まあ、これは元々望みの薄いお願い事だったからな。よし、没、と」
男「それもリストに入ってたのか」
娘「ん? ああ。そうだ。でもまあ難しい事だろう? 生き物を扱うというのは。
だからまあ、もともとダメ元で加えたようなものだ」
男「そうか。そういえばさ、猫を飼えないのは仕方ないにしても、猫とをふれ合うだけなら案外簡単にできるぜ」
その言葉に娘がピキンと背筋を猫みたいに動かして反応する。猫耳が生えてきそうな程猫っぽい動きだ。
娘「本当か!? そんな都合の良い話があるのか!? ヤリ逃げってやつなのか!?」
男「どっからそんな下品な語彙を仕入れてるんだよ10才! 意味はわかってなさそうだけど!」
まあともかく……。
男「あー……えーとな。俺の記憶が正しければ
ここから電車で5駅ぐらい行ったところにそういうテーマパークがあるんだよ」
男「そこにいけば少しは猫を飼っている気分に浸れるだろ」
娘「なんと! 地上にこそ楽園があったのか!」
男「なんかお前のキャラつかめねーよ……。まあ喜んでくれるのはいいんだけど」
娘「そこにはいつ連れて行ってくれるんだ!?」
え?
男「何? 俺が連れて行くの?」
娘「他に誰が居るんだ?」
男「お前のお母さん、叔母さんと行けよ」
娘「……」
娘は困ったような顔をしながら目線を下に落とす。そしてもう一度俺を見上げる。
娘「さっきは一日だけと言ったが、やっぱり私はお母さんの所へは帰れないのだよ」
男「「お前も結構物わかり悪いのな……」
さすが親子だ。なんだか扱いの難しさが似ている気がする。
男「今はちょっと色々あってこんな事になってるだけなんだろうよ。
だからきっと、全部解決したときにはちゃんと家に帰るんだよ。その時叔母さんに連れていってもらえばいい」
娘「全部は全部、そっくりそのまま解決なんてしないんだ」
だって、悪いのは私だから。
そう娘は言う。
いや、俺が言わせたのかもしれない。
どちらにせよ、
男「そんな訳ない。俺が保証する」
娘「どうして……」
男「俺がそう思うからだよ」
酷く脆弱な根拠だった。だけど、それだけで十分だ。
男「明日には全部良くなる」
チキンの癖に、頭はまあまあ悪い方の癖に。こう言う大見得は一丁前にきれてしまうのが俺の悪いところだった。
事態は思いもよらぬ形で迷宮入りしかけていた。
男「吐け」
娘「黙秘だ」
男「どうしても?」
娘「黙秘だな」
男「往生際わりーな! そんなもんその内わかっちまうんだから早く吐けやあああ!」
娘「そういえば、ベッドの下からこんなイカガワシイ本が顔をのぞかしていたぞ。これは男の所有物だろう?」
男「黙秘だあああああああああああ!!」
娘の手からエロ本をひったくって、そのままの勢いでゴミ箱にダンクした。
ちくしょう! 自室のベッドを貸したらこのざまか! やっぱり娘をリビングのソファーで寝かせ方が良かった!
娘「おいおい。本は大切に扱わないと」
男「俺の中の何か大切な物を失うよりはましだよ!」
10才の女の子に奪われてしまうなんてたまった物じゃない。なんて10才なんだよまったく!
今日は朝から娘、もとい叔母さんの家にカチコミに行く予定だったのに。
男「なんで家の場所を言わない……」
娘「何度も言っているだろう。帰る気は無い」
確かに何度も言われた。
それについての理由も尋ねた。
家が嫌いなのか? 『好きだ。むしろ大好きだ』
とにかく俺だけでも行かないと話が進まないんだが?
『別に進める話は無いよ。私をここに置いて居てくれればいい。迷惑は……かけないように善処する』
お父さんはどうなってるんだ? 『さあね。私が生まれる前に何処かに行ってしまったらしい』
わからないが。一つだけ解った。
叔母さんが娘と暮らす気がないのと同時に、娘も家に帰る気が無いのだ。
事態は悪くなって行くのみだった。
いや、事態は俺の知らないところでもっと悪い事になっているのかも知れない。
なにしろ俺は叔母さんの事情も、娘の事情も、何一つとして正確に把握していないのだ。
つい昨日までは叔母さんに子供が居たことすら知らなかった訳だし。
母親は何だかんだで叔母さんと会っていた様だから知っていたのだろうが、そんな事は教えてもらっていない。
娘「とにかく、しばらくの間で良いんだ。頼みたい……お願いします」
表情は悲痛で。願いは切実だった。
一体この子の周りで、この子の中でどんな事が起こっているのかわからない。
男「わからない……が、わかったよ……。しばらくの間だけだからな。しばらく経ったらすぐに家に帰すからな」
娘「ありがたい!」
汚いマンションの一室に華やかな笑顔が咲いた。
男「ま、まあ最低限の家事手伝いはしてもらうぞ」
不覚にもその笑顔を可愛いとか思ってしまう。と言うかこの子かなり整った部類のお顔をしていらっしゃる。
男っぽい口調と、普段の仏頂面で気がつかなかったが。
娘「ああ! 任せてほしい。 こう見えても食う寝る遊ぶに関しては鬼泣かせなレベルで極めている!」
男「それ極めちゃったら親泣かせだろうが!
働かない大きなお子さんの肩書きじゃなくて実務としての家事手伝いだっての!」
娘「ああ、なら最初からそう言ってくれればいいのに」
男「なんか悪意的に取り違えてる節があるよな、お前……」
10才女子への突っ込みに息を切らしてる19才男子ってどうなんだろう。
娘はそう言うと立ち上がり、部屋をぐるりと見渡す。
娘「呑みっぱなしの空き缶はデスクの上だけにとどまらず、床にまで勢力を展開。脱ぎっぱなしの服はそこら中に。
弁当のプラスチック容器とファーストフードの紙袋で形成された、部屋の角にそそり立つ現代アート……」
……。
娘「汚い!」
ズビシッと指を指されて断言された。
男「クッ……悔しいが反論の言葉が無い……」
二週間も掃除しないとこんな有様だろう。男の一人暮らしなんて。
男「いや、ここの所忙しくて……」
娘「そうなのか。そういえば昨日、大学に通っていると言っていたな。今日は行かないのか?」
男「ああ、ちょっとね。休みみたいな? 普段は忙しいんだよ。うんすごく忙しいよ」
定期的に恋人にブルガリの時計とヴィトンのバッグをプレゼントし
夜はシャツをパンツインにしてポルシェでディスコに向かうんだろう?」
男「一つとしてやった事ねーよ……」
どこのバブル大学生だよ。
男「そんな世代の大学生とは大きくかけ離れてるけど、まあ普通に勉強とか、バイトとか急がしいんだよ」
まあ、勉強もバイトも『してた』なんだけど……。
娘「そうか。学生たるもの学業や勤労に精を出すのが一番だな、うん」
男「いや、小学校中退みたいな生活してる奴に言われたくないけどな」
昨日は聞きそびれたけど、こいついつから学校行ってないんだろう。
昨日は行きたくないから行かないみたいな感じに言っていたが、実際は何か問題でもあったんだろうか?
なんかこいつすべてが謎だな……。
男は……そうだな、とりあえず掃除機をドアの前に置いておいてくれ。後は私がすべてやろう」
男「お、おう。なんか頼もしいな」
俺はすべて言われた通りにして、自室の掃除を娘に任した。
現在はリビングのソファーに寝転がり、観るとも無くテレビを眺めていた。
男「アナログで所持していたアダルトな物はあのエロ本が最後だから、まあ心配ないな」
非常に惜しいことをした。だが俺も男だ。一度別れを告げたエロ本をゴミ箱から引きずり出すような真似はしない……!
男「昨日はソファーで寝たからまだ疲れが残ってるな……」
疲れるような生活はしてないはずだけども。
男「一眠り……」
娘「掃除おわったぞ」
男「うおうっ!!」
背もたれの方から娘が顔をのぞかせ、俺の顔に娘の髪が覆い被さる。
男「びびったわ! 一気に目が覚めた」
と言うか昨日は俺のシャンプー使ったんだよな? なのに俺の頭から垂れ流れてくる臭いと違う。
なんだこの良い香り。女の子って不思議!
娘「よかったではないか」
男「心臓に悪いって……えーと終わったのか。じゃあ早速アフターを見てみよう」
立ち上がり、自室へ向かった。
俺の部屋がキレイ…だと?
男「床が見えるし輝いてる。服も洋箪笥に収まっている。本棚の整頓も欠かしてない!」
素直に関心した。俺だったら色々手を抜いて絶対にこうはならないだろう。
男「お前やるな! かなり良い嫁さんになるとみた!」
娘「お、おう!? そうか? 良いお嫁さんになれそうか!?」
男「おうマジでマジで。つーか俺のところに嫁げ!」
娘「えっ……それはちょっと……その……」
素で反応かよ! そこは頼むからノって欲しかったよ! 褒めたときはちょっと赤くなってて可愛かったじゃん!
男「少し傷ついた……」
娘「少しは気がついて欲しい」
男「ええ!? 俺が知る以上に俺には欠点があるのかっ!? 頼む教えてくれ!
気がつかないまま一生独身だけは勘弁してくれええ!」
娘「冗談だよ」
男「冗談じゃねぇ! 危うくアイデンティティーを失う所だったよ!」
娘「ずいぶんチャチャな作りなんだな……」
だから。
だからこそまた違和感を感じた。
男「なんかお前と話してると、お前が小学生だってことを忘れちまうなぁ……」
というかそこらの同年代より大人な印象を受ける。
こんなくだらないやりとりが参考になるかどうかは解らないが、こう言うのだって色々頭を使ったり
他人の考えを読み解く力が無いと出来ない事のはずだ。
だから、それが出来るこいつに違和感を感じざるを得ない。
環境が人を作ると言うが、だとしたらどう育って、こいつはこんな風になったんだろうか?
男「別に変わってるとかだなんて、俺は思わないよ。それどころかすごいし、良いことだと思う」
えらいえらい、と頭をなでてみた。140センチぐらいだから撫でやすい。
そしてサラサラだろうと思っていた髪はやっぱりサラサラだった。
娘「べっ、別に大した事じゃないっ! 遊ぶ金ほしさでやってるだけだっ!」
娘の顔がボッと赤くなる。
男「いや、それは犯行動機だろう」
そして別に遊ぶ金は手に入らない。
娘「そうじゃなくて、あれだ! 別に最初は殺すつもりじゃなかった!」
男「言い訳する部分がすり替わってるぞ……」
娘「あー、とにかく! 私は普通でなくとも、年相応だ! むやみに褒めるな! むしろ罵ってくれ! さあ早く!」
男「第一印象の欠片も残らないキャラになってんなお前……」
娘「男がそうさせているんだろうっ」
男「そうなんだろうか? まあ、ちょっとからかったかも。悪い悪い」
娘「ふんっ」
娘は腕を組んで顔を横にプイッとする。
リアルでこの感情表現する人いるんだ……。いや、まあ様になっていて可愛いけど。
やっぱいくら性格が大人っぽいといっても、やっぱり子供だなぁ。あー微笑ましい。
娘「まあ全部演技だったのだがな」
男「台無しだよ!」
恐ろしい人心掌握術だな!
まあ、そんな感じで。
さよならの日だと思っていた日は過ぎていく。
娘「この野菜炒め、モヤシが八割なのは匠のこだわりと言う解釈でいいのか?」
男「雪国モヤシにそこまでの意匠を凝らしたつもりはねーよ。ただあれだよ、節約。
暫く二人分の飯を作らなきゃならないんだ」
娘「節約? 金が無いのか?」
男「仕送りと奨学金で生活している身分なのでね。そうそう贅沢は出来ないんだよ」
娘「そうなのか。だが、金の心配はしなくて良いぞ.。私も少しなら持っている」
そう言うと箸を置いて鞄を持ってくる。
男「おいおい、いくらこう言う状況とは言え小学生女子から金を巻き上げるような真似は出来ないぞ。男、というか人として」
それにこいつ全然食わないっぽいし。コンビニ弁当を買わないようにして
自炊に専念すればむしろ今までより安上がりじゃなかろうか。
娘「ほら、一束あれば足りるか?」
はい、とそれを俺の手のひらにのっける。
男「あーうんそうそう。これが一束あればうまい棒が1、2、3、4――」
娘「……ん? どうした? 急に止まってしまって」
おいおいこれって。
うまい棒換算してたら日が昇ってまた暮れる!
娘「おいおい、そんな事は絶対にないだろう。 百万円はヒャックマンに勝たないと手に入らないんだぞ?」
男「いつのネタだよ!? 俺でもぎりぎりの世代だっつの! そんな冗談はいいからさ!
どうしてこんな大金持ち歩いてるんだよ!」
娘「お母さんから貰ったんだよ」
あの人小学生に現生100万をポイと渡す様な人なのかよ。犯罪に巻き込まれでもしたら、とか考えないのかよ!
男「あー……! なんかもう無茶苦茶だなーお前も叔母さんも!」
娘「この野菜炒め、バンジージャンプで食べられたら百万円」
男「今すぐその話題から離れろ!」
バシッ、と堪えきれずに頭をはたいて突っ込んだ。
こいつ、気を抜くとすぐボケに走りやがる!
娘「殴ったな!? 殴った人には冬場の暖房の効いた満員電車の中で体がめちゃくちゃ痒くなる呪いがかかります」
男「地味にすごく嫌で二度ぶてないっ!? いや、というか俺はすでにその体質を抱えているんだっ!!」
スッパーン。二度もぶった。多分、親父にもぶたれたことない子を。
どうでもいいけど、冬場に発汗すると体中が非常に痒くなるアレはコリン性蕁麻疹とかと呼ばれるらしい。
電車の中でアレが来ると地獄なんだよなぁ……。
男「……いや、なんか盛り上がりすぎたとは言え、俺も反省してるよ……今後このような突っ込みはひかえる」
娘「いやいや、そんな事は言わなくていいんだ。これも私の願いだからな」
男「え? そうなのか? と言う事はあのリストに?」
娘「もちろんだ。ほら」
おおう……本当だ。びっしり文字の書き込まれたページ。
娘が指さす一行に目を通すと『激しく突っ込まれる』と達筆に記されていた。
というかもうちょっと他に書き方があるだろう……。
男「そのリスト、一体どこまでお前の願望をカバーしているんだよ」
娘「そうだな……吉野屋でお持ち帰りするときに紅ショウガを20袋ほど入れて貰う、までかな」
男「そんな紅ショウガに飢えた小学生いてたまるかっ! というかお前吉野屋でお持ち帰りとかしねぇだろ絶対!」
並を間食するまでに袋換算で15袋ほど消費する俺には割と共感出来る話だけども。
10袋ぐらいは何も言わずに入れてくれるんだけど、それ以上頼むのはちょっとためらわれるよなぁ。
男「未経験なのにそこまで紅ショウガに熱くなれるお前に脱帽だよ……」
そんな感じで。
夕食の時間は過ぎていった……。
そうとだけ娘に伝えて俺は夜の住宅街へと足を運ぶ。
目的はあるが、目的地はない。
男「自分から電話するのってどれぐらいぶりだろう」
ギリギリ二桁の名前達が並ぶアドレス帳から「母」を選択する。そこからの一歩が重かった。
男「かかってくるのを受ける分にはまだいんだけどなぁ……」
自分からかけるとなると別だ。
高校の時のアレコレで。俺はちょっと変わってしまって。そして家族と顔を合わすのが何となく気まずくなってしまって。
東京の大学に逃げるように入学して。そこでもまた挫折しかけていて……。
男「俺が地元に帰れる日は来るのだろうか……」
ケータイを握りしめたまま、ドーンと気分が重くなる。
精々噛んだりどもったりしない様に努力しよう……。
通話ボタンをプッシュして十秒と経たない内に相手が出る。
妹『はい、○○ですけど』
母親の声ではなくもっと若い、妹の声が受話口から鳴る。
ビクッ、と曲がった背筋が伸びる。
妹『……少し待ってて』
あー……。なんでこう言う時に限って妹がでるかな-。
軽く冷や汗かいた。背中が痒い。
何故か妹とは特に気まずいんだよなぁ……向こうも気まずそうだし。昔は結構仲が良かったはずなのに。
母『もしもし男? 送ったお米届いた!? 今年は豊作だったから期待しておけ、っておじいちゃんが言ってたわよ』
男「お、おう……まだ届いてないよ」
母『念のため一俵送ったからね』
念の入れ方が間違っていた。置き場所に困ること間違いない。
男「あのさぁ、まあそれはいいとして……えーとさぁ……娘ちゃん、って知ってる?」
回りくどく言っても仕方がない。俺は単刀直入に言うことにした。
沈黙の後、
母『……うん』
男「昨日さ。叔母さんにその子を半ば強引な形で引き取らされた。
えーと、つまり……いきなり呼び出されて、要領を得ない説明を受けて、
その間に娘ちゃんは俺の家の前まで来てた……。
まあ、昨日は諦めて、今日は叔母さんに家にその子を連れて行こうと思ったんだけど、
何故かあいつ中々家の場所を教えなくてさ。なんかもうほとほと困り果ててるんだよ、今の俺。
何か知らないかな? 叔母さんの事情とか、その他諸々の不明な点について」
そもそも、叔母さんに子供が居たなら俺が聞き知っていても良いはずだろう、とまでは言わなかった。
母さんは少しの沈黙の後、ゆっくりと口を開いた。
男「一人。外で歩きながらかけてる」
母『そう……』
男「もしかしてさ、この事知ってた?」
母『……うん、知ってる。事情についても、知ってる』
やっぱり。何というか。親子のカンみたいな物で感じ取っていた。
知っていた、そう確認すると少しだけ腹が立つ。それって叔母さんがしている事を容認してるって事と同じだろう。
男「じゃあさ、叔母さんに連絡つけてくれないか? 昨日の夜にも電話かけてみたんだけど全然通じなくて……」
母『悪いけど、それは出来ないの』
男「えーとさぁ……」
また体の芯が熱くなる。なんでみんなそうはっきりしないのかなぁー、なんて思う。
男「正直さ。俺がなんでこんな事に巻き込まれてるか全く意味がわからないんだよ。
別にさ、少しぐらい子供を預かるのは良いよ。
だけど、ろくな説明もなしに『無理だから預けます、はい』みたいに言われたらさぁ」
――俺だって困るし、困られるあいつだって可哀想だろ。
母『今は……詳しくは言えないの。ゴメンね。でもこれを言ったら色々駄目になっちゃうから……
だから今は少し待って欲しいの。あの子と居てあげて欲しいの。たぶん……きっと遠くない日に』
彼女が全部をあなたに教えてくれるはずだから。だから今は少し待ってあげて。そんな事を言われた。
母『そして、たぶん私は、私たちはあなたに謝らなければいけないと思う。でも今は言わせて。
あの子と、精一杯、出来る限り仲良くしてあげて』
なんだか、よくわからない。
昨日からよくわかる事が一つもない。
俺はぼーとする頭をなんとか働かせてそれに答えていた。
電話を切って。帰り道。
随分と住宅地の外れの方まで歩いてきてしまった。
男「八方塞がり、孤軍奮闘、か」
誰も何も教えてくれやしない。
男「やっぱり俺ってついて無いのかなー」
石ころを蹴っ飛ばそうとして、思いとどまる。嫌なことを思い出しそうになったから。
そして思い直す。たぶん、そういうわけでは無いんだろう、と。
そして。
八方塞がりなのも、孤軍奮闘しているのも、俺ではなくて娘なんだろう。
だったら。
男「まあ、俺ぐらいは味方になってやらなきゃなぁ……」
頼りない俺だけど。味方を名乗るぐらいは、まだ出来たはずだ。
家に帰ると娘がリビングのソファーに寝転がりながら俺の漫画を読んでいた。
というか、部屋着スカート穿くならもっと上品に振る舞え。パ、パンツが見える! 細い太ももが限界まで露出してるぞ!
いやまあ、10才のパンツにはマジで興味が無いけども。
男「ああ、あれだよ。電話したり、その後もちょっと」
娘「ん? 汗をかいているな? 外はそんなに暑いのか?」
男「いいや、別に。まあ、ちょっと汗っかきなんだよ俺」
娘「ははは、風をひかない内に早くシャワーを浴びた方がいいぞ」
そう言って視線を漫画のコマへと移す。なんでチョイスがマサルさんなんだよ。くすりともしねぇで読んでるし……。
娘「そういえばさっき見知らぬ男が何やら叫びながらいきなり家に入ってきたぞ」
男「それを一番先に言ええええええええええええ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」
男「大丈夫じゃないだろそれ!? 不審者と一つ屋根の下とか非常事態だっての!!」
娘「まあ落ち付けって、あんちゃん」
男「お前と一つ屋根の下なのも嫌だなああ!!!」
何なんだよこいつ……。なんか嫌だよ……。怖いよぉ……。
しかし。
男「鍵は閉めたはずだよな!? なんで入ってきたんだ!?」
俺は背負っていたバッグを床に置き、拳を握って軽く構える。俺の拳がやや内角に抉り込むように空を切る。
俺の部屋のドアは閉まっている。
娘「開けてくれ、と大絶叫していたので開けてやった」
男「なんなんだよお前……。それ絶対入れちゃいけない奴の台詞じゃん……。男らしすぎるよお前……」
一歩間違えれば大事件じゃねーか。というか事件だよこれ。
でもまあ見たところ何もされていないようだし……。
今のところは大事には至っていないか。
閉ざされたドア。
その向こうには得体の知れない変質者が居るらしい。
男「どんな奴だった? 強そうだったか? 凶器になりそうな物は持っていたか?」
娘「うーん……年の頃合いは男と同じぐらいだっただろうか。
凶器になりそうな物は右手に持った一本のちくわぐらいだろうか……?」
娘はひとまず漫画を置いて、ソファーの上であぐらをかいて腕を組みながら言った。
男「ちくわは凶器じゃねーだろう……」
ちくわで殺されてたまるか。
男「なんだかわからねーな……部屋も静かだし……」
娘「三十分前ぐらいからは静かにしてるな」
男「というか本当に居るのか? もしかしてお前ものすごくたちの悪い冗談を――」
?『デゥっアアアアアアアアアアアアッーーーーーーーーーーー!!!!!!!!!!』
男「誰かいるううううううううう!!!!!」
部屋の中からものすごい絶叫が聞こえてきた。
お前なんで、何を当たり前なこと声を大にして言ってやがるんだよコイツみたいな顔してるんだよ……。
?『男おおおおおおおおおおうああああああうううあああおろああ!!!!!!!!! しゃあああ!!』
男「あわわわわわああ!?!?! どうすればいいのっ?
なんかあたしの名前呼んでるよっ!? 怖いよおおおおおお!! うわーん!!!」
台詞だけ読めば不審者におびえる可愛い女の子だった。まあ俺だけど。
娘「おいおい、そんなに取り乱しても仕方ないだろ。事はもう起きてしまっているのだから」
男「お前が入れたんだろうがよっ!!」
?『男あああわっっおうっおろろろろこおおおおうっ……
うあう、はやくううううう、早く、ひゃああく来てくれっえええええええ!!!!』
なんかすげー俺の事呼んでるよこの不審者っ! すっげー怖いぜ。
だがよ。
男「チクショウ……こんな羽目になるとはな……」
右手で顔を覆うポーズをとりつつ、俺はニヒルに微笑する。
娘「おおっ、何故かいきなり顔つきが漢らしくなったぞ!」
そろそろ今宵のメインディッシュがご登場ってわけかい……
ふっ、いいだろうよ。この俺がおいしく射止めてやろう……危険な戦いになるだろう。
でもさよならは言わないぜ……アディオス・アミーガ」
娘「スペイン語で言っているではないか……」
ドアのガタガタ音が一層と大きくなる。くるかっ!!
男「でてこいやああああああああああああ!!!!!!」
ガタッン
友「うわあああん!!!男ぉ~~ゲロはいちゃいそうだよぉ~ん!!!!!」
男「おまえかあああああああああああああああああああああああああああ!!!!!!」
俺の右がやや内角に、抉り込むように吠えたのだった。
男「で、何故このような事になったんだ」
俺の右を食らって気を失いかけた友をトイレまで引きずって吐かせた後
俺は友にリビングの中央で正座するように命じた。
友「えーとその……彼女とその友達とで飲みに行って……ぐすっ……
でも、実はその飲みというのは俺との別れ話のために開かれたものでして……はうんっ……
四人+彼女という女性陣から……えんっ!……遠回しで優しい感じの言葉遣いで……
うっ……別れを迫られました……!」
うわあ……。それは壮絶だなあ……。
一対五の状況で別れ話ってどんな刑罰なんだ……。
男「なんでちくわを片手にしてたんだ?」
友「鞄と間違えて、目の前にあったちくわを引っつかんでここまで来たんだよ……」
男「おお……それはまた大層な間違いを……」
でもまあ……そんな振られ方をしたら、ちくわも鞄もあったもんじゃないのかもしれない。
友「ああぁ、多分、彼女……元彼女が鞄をもってるからなぁ……また会わないといけないのかなぁああ……
気まずいなああ……!」
友の目からは大粒の涙が溢れていた。ああ、なんかカワイソウだなこいつ……。さっきは殴ったりして悪かったよ……。
友「はぁ……そういえばその子……恵まれない僕を家に入れてくれた天使はどちら様? はっ! もしかして男さんっ!」
男「出来てねえし作ってねえよ!! 子供の前でそういうのやめろって!」
友「子供っ!?!?!?!?」
男「親戚のなっ!!!!!!!!! 大体年齢的にありえないだろ!」
なんで俺の周りの人間は扱い辛い奴ばかりなんだよ!
娘「娘だ。好きに呼んでいいい」
読書(漫画)を再開していた娘が短く自己紹介をする。
友「天使ちゃんと呼ばせて貰うよっ! かわいいしねっ!」
いきなりテンション高いな~……。いつの間にか泣き止んでるし。
男「そんで、なんで俺の家に来たわけ?」
友「鞄の中に鍵を入れてたんだよ……大家さん九時には寝ちゃうから開けて貰えないし……」
男「散々な奴だな……同情するよもう……」
友「あと、直接話したい事もあったんだ」
男「何だよ……いきなり真剣な顔しちゃって」
友「監督からの言い伝え。そして、僕からの個人的な誘いだ」
具体的に言うとスポーツ要素と男の過去とかが中心になっていきます。
女の子の話もっとかけや、と言う人には申し訳ない。
校内放送『一年B組の男君。サッカー部のミーティングがあります。至急一階の視聴覚室にきてください』
高校一年生の頃の俺は、まさしく調子に乗ったクソガキだったと思う。
だが――
まあそれは仕方が無かった事だと思うのだ。
日本代表U-15のレギュラーであり、U-18入りもほぼ確定していたし。
順風満帆。将来有望。何も心配することなんて無い。だから無敵だった。自分を無敵だと思っていた。
まあ、その性格が災いしてクラブユースチームの監督と大げんか、チーム追放という事になったんだけどな。
そして地元の高校。高校選手権の常連。最近では十指の内に数えられる名門サッカー部でプレーする様になった。
そんなの試合前にちょちょっとやれば良いと思うんだけどな~。
友「あの……男君」
男「だるいし、まあ行か無くとも俺をスタメンから落とすほどあの監督も無能じゃないだろう」
友「ねえってば!」
男「うん。きっとそうだ! よし、気合い入れてねるぞ!!!」
友「起きろおおお!!!」バスンっ
男「いってえええええええ!?!?」
こいつ加減なしで殴りやがった!?
友「うわっ! あ、あのそのっゴメンっ!!! 別にそんなに強く殴るつもりは全くなかったっていうか
そもそもミーティングに来て欲しかっただけだからあのその――」
男「うるせええ! 何だお前! いきなり殴るってのはこっちぶん殴っていいって事だよなあ!? ああっ?!」
胸ぐらを掴んで問い詰める。
男「ああ!?! お前あれだろ……部に居る奴だよなああ!? ホモとかいったけよおお!?!?」
友「と、と、と、と、友ですっ! ちなみにノーマルですっ!!!」
男「トトト・ト・トモ!? どういうネーミングセンスだそりゃっ!?!?!」
友「友ですっ!」
男「なんでもいいわコラァァァアッ!!!」
友「ひあああああああっ!!!!!」
多分そんな感じの。どうしようも無いぐらいにくだらないファーストコンタクトだったと思う。
だけど、15才だとか16才っていう年頃は不思議だ。
そんな最悪な出会いをした奴と友達になって、今では消して換えがきかない親友になっているんだから。
まあ、友と俺の話はまた、少し後に話せばいいだろう。
娘を家に残して再び住宅街へ。今度は友を連れ立っての散歩だった。
男「誰か来ても絶対に入れるなと命じたが……全然信頼できないよなぁ……」
なんつーか、あいつは常識という人間にとってとても大事なピースを欠かしているような……。
友「はは。まあ彼女ならうまいことやりそうだけどね。もしも変な奴と出会っても」
男「あいつ自体が大分な変人だからな」
友「こらこら、女の子の悪口は駄目だぞ☆」
男「何が、駄目だぞ☆、だよ。女にこっぴどく振られてきた癖に」
友「ははっ! そんなのは過去だよ! もうすっかり元気! ほらっ!」
男「……」
満面の笑みをたたえたまま鼻水と涙の大洪水を起こしてる男がそこにいた……。
男「ほら……ティッシュ」
友「ははっ……ありがとう……」
やっぱり振られたショックはでかいのか……。
友はものすごくでかい音を立てて鼻をかみ、俺の方へと向き直る。
友「うん。さっき言った通りだけど。監督の伝言と僕からの誘い」
男「まあ、手短にたのむよ。娘を一人にしたくない」
友「はは。つれないな~。すっかりお兄ちゃん、いやお父さんになっちゃったのかな?」
男「からかうだけなら帰る」
友「違う違う。悪かったよ。ここからは真剣な話」
そう言ってまた表情を硬くさせる。
友「まず監督の話。彼は君のことをまだ諦めてない。
見捨ててない。そしていつもみたいに言ってたよ『諦めるのは死んでからにしろ』って」
男「あのおっさんまだそんなスポコン漫画かぶれな台詞を口癖にしてんのかよ」
友「はは。僕は結構気に入ってるけどね。実際結構励まされる」
ふん。さすが高校時代から『高校卒業したら監督さんの居る大学でスポーツ心理とスポーツマネージメントを学びたい』
とか言ってただけあるぜ。昔から気持ち悪いほどあの初老に入れ込んでたしな。
まあ、事情は違えど俺だっておっさんが居るからあの大学に入ったわけだが。
友「それは前置き、というか締めの言葉だったね。本筋はこうだった」
『男、お前は未だに勘違いしているようだが、お前が思っているほど挫折とは甘くない。
だからお前が今経験している甘くて温いそれは、挫折と呼べるものじゃない。
だから俺は学校に行きたくないとぐずるクソガキを叩き起こすように何度もお前に言う。
サッカーを捨てるな。自分を捨てるな。諦めるのは死んでからで良い。
一度はぐれたなら、今からまたチームに合流すればいい。お前は生まれ変わることの出来る選手だ』
低い声で友が言う。糞にて無いおっさんの物まねだった。
友「実際はもっとキツイ言葉で遠回しに言っていたけどね」
男「いい年こいてラノベの読み過ぎの厨房みたいな事いってるなーおっさん、はは」
友「男」
男「それに別に俺サッカー嫌いになった訳じゃないよ? テレビでよく見るし、ゲームも結構やるよ?」
友「男……」
男「つまりさ。俺は思う訳よ。別にサッカーを『プレー』しなくてもいいやって。満足だって。
人それぞれに価値観ってあるわけじゃん? ピッチの中にしかサッカーがないなんて時代錯誤も甚だしいぜ?」
けして大きくない。でも俺の心を抉って、不快にさせて、何よりも恐怖させる声だった。
友「逃げるのはもう止めてくれ! 現実に向き合え! 君は終わってない!まだ――君はまだ逃げられないっ!」
静かな住宅街の夜が、突然花火でも打ち込まれたみたいにざわめいた。
そして、またすぐに薄暗い静けさを取り戻す。
友「君の脚、君の左膝は完全に終わっちゃいない。筋肉で補強して、練習で熟練させればいいんだ。
そうすれば君はまだ第一線で活躍出来る。それだけの才能と資質が、君にはまだ備わっている」
なにを。なにを言っているんだ。
こいつは俺をよく知っているはずなのに。
何で俺がもう駄目なのか。
俺が、俺のすべてを失った瞬間をこいつは全部見てたはずじゃないか。
昔の俺。
俺が膝を壊す前。
誰よりもピッチを速く駆け抜け、誰よりもサッカーの神様に愛されていたあの頃。
そんな俺は、もう戻らない。
男「だから」
すっかり冷えた十月の空気。
すう、と軽く吸い込んだ。
男「俺はピッチを捨てた」
俺はもうただの凡人。平凡な挫折に脚をもがれた弱い人間なのだ。
あれはまだ高校一年の春だっただろうか。
友とのファーストコンタクトがあって、また少し経った頃。
友「……」
男「……」 シュタッ バコン!
友「……」
男「……」 シュタッ バコン!
友「……」
男「……」 シュタッ バコン!
友「……」
男「……」 シュタッ……
男「おい」
友「えっ? ル、ルイス?」
男「いや、そこは『ナ、ナニ?』だろうが」
どういう言い間違いだよ。
男「どうでもいいが観られながらだと集中出来ない。どっか他に行ってくれないか」
練習が終わった後。誰も居ない学校のグラウンドでボールを蹴るのがあの頃の俺の日課だった。
その日もいつも通りに、ゴール手前25メートルの位置から黙々とボールを蹴り込んでいた。
なんかあまりにもキレイな球蹴るからさ、びっくりした」
男「お前の玉を蹴り飛ばせばもっとビックリできるぜ。ビックリ『マン』になる事は叶わなくなるけど」
友「はっ……はは~……男君は冗談が好きだな~」
男「冗談で済む内にかえって欲しいね。ホモ君」
友「と、友だってば!」
男「ホモ田・ト・友だって? 変わったミドルネームだな」
友「ホモ田さんという名字の方が珍しいよっ! と言うか日本には存在しない! とにかく僕の名前は友だよ!」
男「まあ、なんでもいいけど」シュタッ バコン
友「はー……なんか男君はもう少し硬派だと思っていたよ」
男「はぁ? うるせーな。何でだよ」シュタッ バコン
男「別に。ボール蹴るのに女は必要ないだろ」シュタッ バコン
友「あと、そういう臭い事も平気で言う」
男「……」シュタッ バコン
友「天才だって自称するけど、こう言う努力も欠かさないってのは少し硬派だね」
シュタッ…… ス……
男「何が言いたいんだ?」
友は目を伏せて、情けない顔をさらに情けない笑みにゆがめた。
友「僕、君みたいになりたいんだ」
男「はあ? それは無理だな。俺は天才だし、無敵だ。俺は二人としていらない」
先輩負かしてスタメン張ってる男君と違って、まだまだベンチ外だけど……」
そういえばそうだったかも知れない。
わざわざ東京からこの高校まで『サッカー留学』しに来てるんだったっけ?
そんな遠出して、ベンチすら温めさせてもらえないなんて哀れだな、なんて感想を抱いた事があったかも知れない。
男「そういえばお前もオフェンシブミッドフィルダーだったか? 相手にならなすぎて忘れてたけど」
友「うん……一応トップ下志望でやってる」
男「なんでまた、そんな競争率高いポジションでやってるんだよ?」
友は照れたように笑った。
友「僕、サッカーが大好きなんだよね。そして、サッカーが一番良くみえる場所が、僕にとってはそこなんだよ」
シュタッ
男「……ふーん」
バコン!
男「俺はただ誰よりも強く速くありたいだけだ。そうなれるなら何処だってかまわない」
シュタッ バコン
男「そして、サッカーが好きなのかどうかもよくわからない」
友「はは。サッカーが好きじゃない奴がこんなキレーな球蹴れるわけないじゃないか!」ニカッ
バッコーーーーン!!!!!!
友「うわあああ!!! それは人に向けて撃って良い物じゃないよ!?!?
わ、わかったよ! 帰るから振り上げた脚をゆっくり下ろして!?!?」
友は慌てた様子で下ろしていたエナメルバッグを背負い直し、俺に背を向けて小走り。ちょっとやり過ぎたかも知れない。
男「……おい!」
友「ナ、ナスリ!?!?」
男「いや、もう全然何を言い間違えてるのか解らないぞ……」
男「まあいい。えーと、そのあれだ。たまには来い」
友「えーと…何処に?」
男「だからっ!」
友「ひっ!!!!」
男「……ああもう……調子狂うなお前……」
友「ゴ、ゴメス」
男「もういいよそのネタの縛り……とにかく、えーと、あれだ! 練習の後はここに残ってろ。俺がサッカーを教えてやる。
勘違いするなよ? 俺はとにかく下手な奴が嫌いなんだ。
そんな奴が俺の控えになんてなった日には一日十時間しか寝られない」
友「十分寝られてると思うけど……じゃなくて、それって本当なの!? 教えてくれるの!?」
男「タイガーショットまでは教えてやる」
友「いや、それは無理だと思うけど……でもありがたいよ!
やっぱり君みたいな才能がある人から教わる事は多いからね!」
友「師匠って呼んで良い!?」
男「それは絶対に止めろ」
そんな感じで。
俺と友は友達になっていくのだった。
また結構住宅地の奥の方まで歩いて来てしまっていた。
俺と友は来た道を引き返す。
ケータイで時間を確認するともう零時を回っていた。早く帰らなければ。
友「監督からもう一つ伝言。三週間後の○○大学との練習試合。君をスタメンにラインナップしてるそうだ」
男「おいおい、もうかれこれ一年と数ヶ月も顔出してないボンクラだぞ?
そんな奴をスタメンに入れるなら、近所の野球少年を招き入れた方がまだマシだと思うぜ?」
一年生の夏ぐらいには既に幽霊部員、今は二年の春。今更俺なんて呼ばなくてもいいだろうが。
友「システムは変わらず4-1-3-2。男には中盤の底、ボランチの位置に入って貰う」
男「! だから何度も言ってるだろうがっ! 俺にボランチは向いてないって!
速く走れなくなったからって守備的に使ってもらっても俺は何も出来ないんだよ! 勝手に話し進めるんじゃねぇ!!」
そんな『使い回し』がきいてたまるか。
友「監督の采配だよ。僕に言われても困る。それに君は勘違いしてる」
フォワード(一番前の方に居る選手)の選手の間がオフェンシブミッドのポジション。
トップ下=フォワードの一個後ろに位置をとる選手。ゲームメイクの能力に長けた選手が多いポジ。
パスが巧かったり、ゴールも狙える感じ。
ボランチ=デフェンダーより前、オフェンシブミッドフィルダーより後ろの位置。
守備の割合が大きいが、ゲーム全体を把握して巧く調整してやるようなボジ。
凄く簡単に書いた。
分かりやすいかはわかりません。
友「それは自分で気がついてほしいな」
あー全く……! 自分の親友ながら腹がたつ。おっさんもおっさんだ。勝手に変な真似しやがって。
こっちはにはこっちの日常があって、それについて今めちゃくちゃ苦労してるっていうのに……。
友「それから。これは僕からのお願い、いや、誘いだ」
友「君を世界一のサッカー選手にさせてくれ」
何を言うかと思ったら。
なんの脈絡の無いことをさらりと言うなよ。
いやさ、お前は昔からそういう奴だったけどよ。
男「寝言は寝てからいってくれよ」
そんな言葉に乗るには、もう遅すぎるんだよ。
だって。
速かった俺はもう死んだのだ。
娘「さらに遅かったな」
男「ああ、ちょっと宇宙人や陰謀論や世界滅亡諸説について語っていたらお互い熱くなってしまってな」
嘘だけど。
娘「ああ、そういえばさっき見知らぬ宇宙人が勝手に家に入ってきたぞ」
男「それを一番先に言えええええええええええ!!!!!!?!?! あれか!? また俺の部屋にいるのか!?!?」
娘「いや、もちろん冗談だ」
冗談か。
男「ちょっと期待してたのに……」
娘「してたのか……」
宇宙人。居ると信じなきゃ現実ってつらいじゃん?
友「はは、なんか二人とも息ぴったりだねー。もうどれぐらい一緒にいるの?」
そういえばこいつ、あんまり深く俺たちの関係について聞いてこなかったな。まあ、元々こいつはそういう奴だったっけな。
そういう気を遣う奴だから俺みたいなのとも一緒にいられるんだろうけど。
娘「昨日……もう日付が変わったから正確には一昨日からだ」
友「ええっ!? あの男君がこんなにも打ち解けてるのに!?」
娘「ん? そうなのか男?」
男「しらねーよ。でもまあなんか……一昨日知り合ったばかりとは思えないのは確かだけどな……」
心の声ではもう『こいつ』 とか呼んじゃってるし。
男「おい、余計なことは話すんじゃねぇ」
娘「おお。男はそんな内気な性格をした男だったのか? そうだとは想像に難いのだが」
友「いやー、男の場合は内気というよりツンデレだったね。落ちた後は早かったよ」
男「落とされてねぇし後も糞も何にもねーよっ!」
娘「これがツンデレという奴なのか!?」
男「ちげぇよ! 純粋な誤りの修正だ!」
なんで目をキラキラさせてるんだよ。それはパンダとか観るとき目だろうが。
友「いいやっ! これがツンデレだよ天使ちゃんっ! さあ早く! 捕まえろ~~~っ!!!!!!!!!」ガッバーーー
娘「わかったぞ! とりゃあああああああっ!!」トーーン!!
男「鬱陶しいわコラアアアアアアアアアアアアア!!!!!!!!!!!!!!!」
こいつらを同時に相手するのは絶対にやめよう。
体中をもみくちゃにされながらそう思いました マル
だって10才だぜ?
いくら一緒のベッドで寝る事になろうが、そんなの隣に大根を一本置いて寝るのと全くかわりねーよ。
いや、むしろ大根の方が緊張しちゃうって。
娘「男、ベッドから落ちる恐れがあるからもっとそっちに寄るぞ」
男「……」
娘「うーん……これでも少し不安だな……恥ずかしながら私の寝相は相当悪いんだ。もうヤバイぞ、私のは」
男「……」
娘「おお、そうだ」
男「……」
娘「男、腕を動かすぞ? よし……男の右腕を私の頭の下にして……そしたら男、私の肩を抱くような形に出来るか?
……うん、それでいいぞ。後は私が右手で男の胴の反則面を抱える様にして……
そうだな、念のために脚も固定しておくか。
男、私の両脚を男の右足に絡めるから少し持ち上げてくれ」
男「……ひふっ……!」
な、な、な、な、何なんだこの状況は!?!?!?
腕枕をしてやっている女の子に抱きつかれ&脚からませだと!?!?
いやまて男っ! 冷静になれっ! こいつはたかだか10才のガキンチョじゃないか!?
深呼吸していつものお前に戻れは全然どうってこと
うわああ鼻から息吸うと女の子特有のいい香りが鼻腔に充満しゅるよおおおおおおおおおおおお!!!!!!!!!
娘「どうした男? 窮屈なら体制を考え直すが?」
男「いやイイよ。じゃなくて別に考え直すなんて面倒な事はしなくてもいいよと言う事だよ」
あいつなら別にこれ位のことでは何にも感じないだろうし。それはそれでむかつくけ。
どうせ俺は10才相手にも緊張するドチキン童貞『キング・クズ』だよ。まだまだ小僧だよ……。
娘「ならいいな。じゃあお話をしてくれ」
男「はあっ?」
首を回して横を見ると、娘と目が合う。うっ、上目遣いは止めろっ! 何の意図も無いのだろうけども!
娘「寝る前のお話だよ」
この状況でお話かよ。こっちはとっとと夢の世界に逃げ込んで平常心を取り戻したいってのに。
娘「ふうむ……私も、そこら一帯はもう制覇した感があるからなあ……」
娘「でも男を困らせるわけにはいかないな……楽しみにしてたんだけどなぁ……でも仕方ないよなぁ……」
男「お、おい……そんな風に言われても――」
娘「うっ……うぐっ……」
涙目+上目遣いキターーーーーー!!!!!! じゃなくてえええ! ええっ? 泣くの!?
これって泣く様なことなの!? ああっ! えーとこう言うときはもうとにかく適当にメイクサムシングアップ!
男「あっ! ああっ-! 今一個思い出したぞっ! これはやばい名作だよ!」
娘「本当かっ!?」ぎゅっ!
男「あ、ああ本当だとも! これはマジでやばいよ。百回話して百回とも大盛況だったもん。
寝ながらのお話なのに最後はスタンディングオベーションだったもん!!」
娘「それはすごいなっ! じゃあ早速話してくれっ!」脚カラメッ
男「ふはっ!? ああ!? ああっ! 今すぐ始めるぜ!? 乗り遅れるなよ? このビッグウェーブに!!!」
肝心な話す内容がないようううううう!?!?!
娘「さあ! スタート!!」
スタートしてしまった!
男「え、ええーと……昔々……」
ああもう! こうなりゃ適当に!
えーと……えーと……。
男「あるところに大国を治める偉大な王様がいました」
娘は余計な突っ込みはしないようで、俺の腕の中で目をぱちくりさせながら真剣に聞いている。
適当な設定を……えーとこんな感じか……。
男「王様は戦が大好きで、日々剣術の鍛錬を怠りません」
そんで何かお話の起点になりそうなイベントを……。
男「ある日、王様はいつもの様に城を抜け出し、剣術の鍛錬をするために森へ行きました」
おお。中々それっぽいぞ!
次は会話シーンの挿入だ!
木こり『……』
王様『うわっはああああああああああうりゃああああぐおおおおおおおあああfoooooooooooooooooh!!!』バッスーン! シュタバシュババシュバーン!!!!!
シュタッ……
王様『……! そこのお前ええええええええ! 我が気が付かぬとでも思っていたか!
こそこそとのぞき見る様な真似はやめて、今すぐ姿を晒すがいい!!!
我のこの伝説の剣の鋭い切っ先で、お前の喉を一突きにしてやろうぞ!!!!』
木こり『ひああああああっ!!!!! ごめんなさいいいいい!!!
あまりにも美しい刀裁きにみとれていたのです!!! 偶然です!!! 偶然なのです王様あああ!!!!!』
男「木こりは木の陰から飛び出し、そのまま王様の足下へとジャンピング土下座しました」
名を名乗れ! そして我にひれ伏せ!!!!!』
木こり『ひいいいいいっ!?!?!? キキ、キ、木こりですうっ!!!
あとこれ以上はひれ伏せませんですぅっ!!!!!!!!!』
王様『キキ・キ・キコリニデスウだとっ!?!? まさかあの一家のご子息!?!?』
木こり『いや普通に木こりですっ!!! というかそんな名前の貴族が実在するんですかっ!?!?!?』
男「強くて戦好きの王様はいつも敵国から狙われていて、どんな時でも気が抜けず、いつもピリピリしていたのでした」
王様『なんだ。ただの木こりか。気構えて損したぞ。まあどうでもいいんだが。あ。でも慰謝料はもらわないとな-?
ほらちょっと飛んでみ? 木こりでも銅貨ぐらいもってんだろ?』
木こり『一国の主がそんなちんけなカツアゲしちゃうんですかっ!?
ていうかさっきから伝説の剣でそこのウンコつついてるのは何なんですか!?!?
ネームバリューが大暴落ですよ!?!?!?』
王様『おまえうるさいよ』
木こり『え? あれ? なんか僕がわるいのか? というかいつの間にか王様のボケに激しく突っ込んでいたけど
これって何かの罪に問われるんだろうか!? すみません! どうか家族だけは!!!』
木こり『ひいいいいいいいっ!!!! そんなあああ!! でも家族は助けてくれますよねっ!?!?!?!?!?』
王様『いや。別にお前を死刑にする気はないよ』
木こり『え? 助けてくださるんですか!? なんと王様の徳高きことおおお!!!!!!』
王様『もちろんロハとはいかないぜ。ちゃんと体で払って貰う』
木こり『えっ……///// それってもしかして/////////』
王様『いやいや違うから!?!? ってズボンを下ろすな! 何で結構乗り気なんだよ!?!?
俺が言ってるのは、俺の側近として城で働けということだ!!!』
木こり『そ、側近?』
王様『そうだ。今の側近の奴らって厳しいんだよなぁ……だからそいつらを左遷してお前を側近に迎え入れる。
そしておやつを三時以外にも食べられて、夜十時以降も夜更かし出来る生活を手に入れるのだ!』
木こり『今の時代、子供でもそんなルール守りませんけどね……というかそんなに簡単に側近変えちゃっていいんですか?』
王様『え? ああ。まあ、俺はいいと思うよ!』
木こり『僕、こんな王様の国に住んでたのかぁ……』
男「こうして、木こりは王様の側近になるのでした」
うん。割とまともに進んでるぜ! この調子だ。
男「数年の月日が経つと、木こりはすっかり王を慕う様になり、二人はもう親友と呼べる間柄になっていて
戦場での二人の息のあった連携は敵兵達を震え上がらしました」
男「……しかし……」
なんだろう。
ただの作り話のおとぎ話だ。
なのに。
なのになんで古傷をほじくり返している気分になっているんだろう。
男「しかしある日の事です」
男「とある敵国の兵士群を相手取っていた王様と木こりとその他の兵達」
男「その日の王様の剣捌きはいつものそれよりも一段も二段も落ちる物でした。
少し前の戦いで負った傷がまだ治直っていなかったのです」
王様『とうとう追い詰めたぞ! 敵国の王よ!』
敵国の王『追い詰められてなどいないぞ。兵を失えど、私にはこの剣と、消しても消えぬ闘争心が残っている』
木こり『降参する気は無いのですか……王様、どうします?』
王様『無論、お望み通り伝説の剣の錆になってもらうまでだ……!』 シュタッ
王様『クッ……! こんな時にも痛むか! この軟弱な体め……! 木こり! 位置をとれ! いつも通りに片づけるぞ!』
木こり『はいっ!!』
男「二人の連携は……完璧だった」
そうだった。
完璧なはずだった。
王様『とりゃあああ!!!』
敵国の王『くっ!!!! 噂に違わぬ速さだ!!! だがまだかわせる範疇だ!』
シュンッ!
王様『紙一重だな! 敵国の王よ!
それではこの一撃は――相棒とのこの一撃は避けきれないだろう!!!!!!!!!!!!』
暗い。狭い。
そんな場所から嫌な記憶が顔をのぞかせる。
あの日。
あの寒空の下に広がるピッチ。
俺。
そして友。
ゴール前。
全力でディフェンダーを抜きにかかった俺。
もう一人のディフェンダーを背負ってコースを空ける友。
ズキッ
あの時、時間は酷くゆっくりと流れた。
王様『くっ!!! これしき――くっ!?!?――』
前の試合で痛めた脚が、まだ痛かった。
でも、無理を押して試合に出たのだ。
スカウトが来る。そう聞いていたから。
日本のリーグの中では一、二を争う大きなクラブ。
そこのスカウトに俺の技術、センス、そして試合を俺のものにするゴールを見せつけて、俺の実力を知らしめてやろう。
なんて事を考えていた。
自分のことしか、考えていなかった。
後半45分。
ロスタイム一分。
スコアラインは0-0。
ゴール前。
全力で走る俺――
目の前の友。
世界は音を失って。
王様はもう止まれずに。
バランスを崩したまま愚かしく、滑稽に進んでいく。
王様『――木こり!! 避けてくれっ!!!!!』
木こり『え――』
あの時のあいつ――友の顔はしわ一つとして忘れることが出来ない。
まさかこんな簡単に。
まさかこんないきなり。
まさか自分の大好きな物を奪われるなんて。
そんな事が起こるなんて思ってもいないような。
男「――王様は止まりきれず、木こりは避けきれず」
男「伝説の剣は木こりの脚を突き抜けた」
ゴールポストと俺の体に挟まれた友の右足。
悲鳴。
担架。
あざ笑うかのように、俺の愚かさを晒すように。スコアボードに点灯する皮肉な『1』
男「……こうして、木こりは戦場を去ることになり、二度と戻りませんでした」
続かない物語。
もう、あいつの中で終わってしまって……紡げない物語。
男「……めでたし、めでたし……ははっ」
娘は今どんな顔をしているんだろう。
こんな救いも落ちもない話を聞かされてしまって。いったいどんな顔をしているのだろうか。
見たくない。
これはいわゆるイングランド産の民族伝承系のお話で、エンディングには色々な説があるんだぜ?
あと、王様の側近が木こりじゃなくて奴隷商人であったりするエディションもあってだな、
特に伝説の剣に関する設定は地域によって伝承が違って、その中でも群を抜いて奇抜なのが――」
娘「なぜ泣いているんだ?」
男「えっ?」
娘「さっきから、なぜ泣いているんだ?」
思わず娘の方に首を回してしまう。二つの大きな瞳が俺を真っ直ぐ見据える。
男「ははっ……えーと……これはあれだよ! ナイアガラの滝だぜ!? 知ってたか?
実はナイアガラの滝は俺の顔面上にあったのだ!」
娘「……」
くだらない冗談。いつも通りの逃げ。
止まらぬ涙は、まさにナイアガラの滝のそれだったが。
親友を、かけがえのない相棒を傷つけた王様は。
男「……罪悪感から逃げるように走り続けた王様の剣は……いつか折れてしまい、王様も――」
男「――二度と戦場には戻らなかった」
それで本当にこのお話は終わる。
娘「……何がいけなかったのだろうな」
持つべき者は、それを半端にしてはいけない、そんな風に思う」
娘「そして」
娘「木こりは……王の親友は彼を恨んだのだろうか? 慕っていた友を、勇敢な王を、果たして恨んだのだろうか」
そんなの決まってる。
こんなのは俺が一番しっていなきゃいけないはずだ。
男「もちろん」
そうだ。
そうなのだ。
男「もちろん……恨むわけが無かったよ。木こりは……親友はそういう奴だった……」
娘「そうだろうな。そんな気がする。だとすると、王の親友はさぞ心を痛めたのだろうなぁ……」
娘「自分の所為で、王を追い詰めて、最後には王の剣を折るという結末を迎えてしまう。
それはきっと酷く痛かったのだろうなぁ……それこそ、自分が失ったものに対する痛みよりも、もっともっと痛かったのかもしれない」
男「……ああ……きっとそうだった……」
……きっとそうなのだ。
愚かな裸の王様の親友は。
どうしようもなく優しいのだ。
見てるこっちが痛いほどに。
奪ったこっちが失ってしまうほどに。
娘「だったら」
娘の小さくて白い手が、俺の頬に触れ、涙をぬぐう。
娘「二人の友情はそのままなのだろう? だったらそれはハッピーエンドだな」
だから。
娘「そんなに泣かなくてもいいのではないか? 涙とは……きっと、もっとどうしようもないときに流すものだろう?」
誰かにこんなに真っ直ぐ優しくされたのはいつぐらいだろう。思い出せない。
娘の言葉が胸に響く。
涙が溢れる。
男「あははっ……っく……じゅ、じゅっしゃ……10才のっ……がっ、ガキにぃ…なぐっ、なっ…慰められるようなぁ……
や、くっ、ふうっ…! 奴はぁなぁ……! も……もうっ……とっ…とっくに……」
男「とっくにどうしようもねぇんだよおおおおおおお! うわあああああああん!!!!!!!」
娘「お、おいおい……そこまで泣く話だったか? いや、感情移入の仕方は人それぞれだと思っているが……」
まあ、と娘は呆れたように。
諦めたように。
とても優しく言う。
娘「生きてれば、泣くことも必要だろう」
そういってより強く俺を抱きしめる。
その安らぎに俺は身を任せて、気が付いたら目を閉じていて。
まるで小さな天使に縋るようにして眠りに落ちた。
いや、そこまで古いわけじゃないがどこか輪郭がハッキリしない、今の俺とは関係ないようにも思える記憶。
友から全てを奪ってしまったあの日。
年が明けて数日。高校サッカー選手権の第二戦終了後。
チームメイトや監督が宿泊所に戻るバスに荷物を詰め込んでいる間、俺はこっそりとそこから抜け出す。
誰にも話かけられたくない。誰も見たくない。
何も考えられなかった。
競技場から少し離れた公園。
寂れたベンチに腰を下ろしうな垂れる。
目立つからせめてユニフォームからジャージに着替えておいた方がよかったかもしれない。寒いし。
なんて考えるでもなく感じていた。
それにしても。
男「俺は取り返しのつかないことをした」
声に出すと、それは一気に現実味を増長させる。
俺が奪った。その事実を。
男「つまらない事を気にして、無理に試合に出て……結局はこのザマか」
くだらない。
くだらない…。
くだらない……。
ぶつかった体が、友の足を通してポストの感触を伝えてくる程だった。
おかしな方向に曲がったあいつの膝がフラッシュバックする。
男「うっ……くっ……! おえっ……!」
我慢する気にもなれずにうな垂れたまま地面に吐き散らす。
心に詰まったものまでは、当然吐き出せない。
男「もう、あいつに見せる顔がないなぁ……」
初めてあんなにわかり合える友達が出来たのに。
こう言う結末を迎えてしまうのか。
あいつは、俺になんて二度と会いたくないと思っているんだろうか。
そう思われてたって、文句の言葉は一つもない。
文句を言われないと、殴って貰わないと、誰よりも嫌悪してもらわないと――
俺はもう死んでいく。
そんな感じがする。
ゆっくり折れる。
ゆっくり沈んでいく。
?「試合、みせてもらったよ」
うな垂れていた上体をゆっくり、死体を引っ張り起こすみたいにして持ち上げる。
見知らぬ初老がそこにいた。
?「まあ、90分間の内、五分は楽しませて貰ったよ。そこは素直に評価しよう」
?「残りの85分は、息をするのですら一級品の娯楽であるかの様に思わせる退屈ぶりだったがね」
無表情というか仏頂面というか。
声の抑揚も表情の変化も読み取りにくい。
男「……誰だ?」
監督「スカウト、と名乗るのは気が乗らないのだがね。
なにせ薄給の上に長くて骨が折れる割に合わない仕事ばかりやらされるのだから。
まあ、クラブへの感謝の気持ちを込めたボランティア活動のつもりでやらせて貰っているだけなのだけれども。
まあ……だから、今は監督としての私を名乗らせて貰おう。○○大学で指揮をとらせてもらっている監督という者だ」
監督「今日は君を観に来ていた」
俺を指さしながら抑揚の無い声で言う。
監督「さて、今日の君の総評を聞きたいか? 普段はこんなサービスは絶対にしないのだが
今日は特別に教えてやろうと思っているんだ」
いきなり現れて何を言うかと思えば。
そういって立ち上がり、歩き出す。
たとえクラブのスカウトだろうと。
ついさっきまで絶対に評価を得て俺の実力を知らしめてやると思っていた相手だったといっても。
今となってはもう意味がない。
どの言葉も耳障りだった。
監督「おや。君はそんなに謙虚な人物だったのか」
監督「あんなプレーをしてまで一点もぎ取った選手だとは、到底思えないな。いや、これだからサッカーは面白い」
男「……何が言いたいんだ?」
監督「そう苛立つな。そこに車を止めてある」
公園の敷地外を指さす監督と名乗る男。
堅苦しい表情だが、その雰囲気は飄々としたものを漂わせ、つかみ所がない。
監督「少し話をしよう」
監督と名乗る男は神経質そうにあごを撫でる仕草をして、言葉を加える。
監督「いや、君のために話をして上げたい、だろうか」
どっちにしろそんなの聞く気分じゃない。
歩みを早める。
監督「そして、君を助けてあげられるかもしれないよ」
背中を向けた向こう側。そんな言葉。
いつもなら信じないだろうに。
だけど、弱った心はその藁よりも信用ならない言葉に縋る。
見透かしたような事を言う見知らぬ男に、ひょっとしたらこのやり場のない物をどうにかしてもらえるかもしれない。
なんて叶わぬ愚かな希望を抱いてしまう。
黒皮シートの車に乗るなんて久しぶりの経験だった。
高級どころのドイツ車の静かなエンジンが作る独特の静寂に、すこし緊張して体が硬くなる。
遠征先であるここでの地理カンはゼロに等しい。
さっきから何処に向かっているのか、目的地なんてあるのか、全く解らない。
監督「とにかく脚が速い選手だと聞いていたよ」
車に乗ってから続いていた約五分の沈黙。監督がそれをなんのためらいもなく、流れるような品のある低声で破る。
これがベストタイミングである、と計算していたみたいな、何処か得体の知れぬ余裕を感じさせた。
監督「そこにズームアップして編集されたビデオも幾つかみせられた」
監督「確かに速い選手だと思った」
赤信号の交差点。ブレーキが生む緩やかなGが胸を押す。
監督「でも、それだけだと思ったね。それ以外は何も持っていない平凡な選手だと、正直思っていた」
青信号になり、また車が進み出す。監督は俺の反応なんて待ちもしないで話を続ける。
監督「そういう前振りがあったからだろうか。今日は、久しぶりに、少し心が動いたよ」
抑揚の無い声で監督が言った。
多分ずっとそうしてきたんだろう」
監督「これは君の過失じゃないだろう。正しく、君を見誤っていた、君の周りにいたコーチや監督の所為だろう」
何を言いたいのかさっぱり伝わってこない。話までつかみ所のない人だ。
監督「今日の君が一番輝いていたのはどういう所だろう?」
俺が回答するのを待つような空白。だけど俺は窓の外を流れる景色を眺めながら口を閉ざす。
監督「ふん……なら私が答えよう」
監督「君が低い位置でボールを奪ったり受けたりした時から始まる攻撃だよ」
監督の声は心なしか高揚しているようだった。
正直、息を呑んだよ。そう監督がつぶやく様に言う。
監督「一番遠い位置にいる選手の動きを予測出来る理解力と視野の広さ。
細かいパスの流れから、一気に大波をたてるように蹴り込むサイドチェンジ。そしてそれを可能にする積極性と技術」
監督「味方の選手、相手の選手を高いレベルで把握し、ベストな判断を下せる冷静さ」
監督「ピッチを俯瞰出来る選手と言うのは、観ている者ですら驚く『道』を探し出す事が出来る。
君もそういうものを持っている。そう感じたよ」
監督「チームを押し上げ、ゴールが生まれるまでのシナリオをその場で創り上げる創造性。それが君の武器だよ。誰でも持てるものじゃないんだ、これは」
監督が運転席から振り返り、俺の目を数秒睨むように見据える。
監督「君も、君の周りの人間も、その他人よりも速く動く両脚を伝家の宝刀の様に扱ってきたかも知れない」
監督「それは只の脇差しだ」
監督「だからそれに頼りすぎたらいけない。確かに脚を武器に戦うサッカーに置いて、俊足であることは有利に違いない」
監督「だが、君という人間が戦う人生という時間を考えた時、それに頼り続けるというのは酷く危うい生き方だと思うのだ」
眺めるビルも少なくなっていく。
監督の声を聞きながら、俺は逃げ出したい心を抑えるように胸を押さえる。
一体、何を言いたいのだ。この初老は。
監督「そういうものは、案外簡単に奪われてしまうものだから」
その言葉に胸が刺されたように痛んだ。
より強く押さえる。
痛みは止まらず、鼓動が暴れ馬みたいに跳ね回る。
監督「だから。だからこそ、君は自分と言う人間が持つ武器に気が付くべきだと思うのだ」
監督「速いことは強さではないよ。強さとは、もっと誰にも見えぬ高い所にある。
君がいくら地ベタを速く這い回ろうと手には入らない」
監督「だから、君はもっと全てを広くとらえるべきだと思うのだ。君は、君という人間は」
君にとって、サッカーが最も美しく見える場所を探さなくちゃならない。
いつまでも覚えているその言葉。
今までの自分が酷く薄っぺらく思えたその瞬間。
監督「ピッチの上でも、心の中でも。それを見つけなきゃならない。そうしなければ君はいつか止まってしまうよ。
つまらぬ挫折に脚を持って行かれ、立ち止まる事も出来ずに土の味を噛みしめる事になるかもしれない」
冗談ともつかない事をいい、車を止める監督。どれぐらい走ったのだろうか。もう何処なのか見当もつかなかった。
監督「さあ、着いたよ。君の所の監督には既に『話がある』と伝えてあるから、面倒な事にはならないと思う」
男「……どこ……ですか」
監督「君が泊まってるホテルだろう」
言われて気が付く。そういえばこんなフロントだったっけ。
監督「ドアを開けてあげよう」
エンジンを切り、車を出る監督。
俺が座っている席の方に回り込み、ドアを開ける。
監督「忘れ物はないかな。これは借り物だから、もしもの場合取り戻すのに手間がかかる」
男「大丈夫です。何も持ってきてないので」
そういえば手ぶらだった。曲がりなりにもこうして送って貰ったのは幸いだったかもしれない。
さすがにユニフォームのパンツには電車に乗る小銭なんて入ってない。というかポケットがない。
車を降りる。
監督「いや、これは私の頼み事だったからね。気にしなくていい」
男「じゃあ、さよなら」
短く告げて、ホテルの正面玄関のドアへと歩みを進める。
監督「最後に。今日のことはよく考えてみてくれ。そして――」
後ろは振り返らない。
聞こえないふりをする。
監督「――被害者面は止めた方がいい。失ったのは彼で、奪ったのは君だ。そしてこれは、ただそれだけの事。
君が逃げ出す理由にはならないよ。それを理解して、納得しろ」
後のことは良く思い出せない。
泣いたのかも知れないし。
いらだちに任せて叫んだのかもしれないし。
何もせずに何処かに籠もっていたのかも知れない。
いずれにせよ変わらない。
それが俺が友から大切な物を奪った日の話。
男「……」
最悪な目覚めだ。
久しぶりに嫌な夢を見てしまった。
男「寝る前に変な話するんじゃなかった……」
娘にせがまれて適当に話しを作ってみたけど、最後の方は色々ごっちゃになって大号泣していた気がする……。
大人としてどうだったんだろう、それって。
男「そういえば娘が居ない」
空っぽの右腕。
もう起きているんだろうか。
手探りで目覚まし時計を探し当て、目の前にもってくる。
男「もう十時かー……つーかもう大学に行かないのが普通になってるなー……」
それに伴う罪悪感も感じなく無くなってきていた。
それって色々まずいよなー……。
やっぱり、母さんと親父には申し訳ない気持ちになる。だからと言って何か行動に出られる訳じゃないけれど。
なんとなくやる気が無くなって、大学をサボるようになってもうすぐ二ヶ月になろうとしている。
将来への不安は、曖昧な輪郭から実体的な像へと変わりかけていた。
出来る事もやりたい事もわからない今の俺。
一体、一年や二年たった頃にどうなっているのやら。想像もしたくない。
男「朝からテンションがガタ落ちる……」
ガチャ
娘「男。朝だぞ」
朝というには微妙な時間だが。
男「おう、今起きた。飯作るからちょっと待っててくれ」
寝癖頭を手串で押さえつけながらベッドから這い出る。
娘「朝食なら私と友が作ったぞ」
男「え? マジで? お前料理とか出来るの?」
娘「多少の心得はあるぞ。だが、実戦経験が少ないゆえ、今回は友の手伝いをしただけだ」
男「あいつまだ居たのか……まあ元彼女から鞄の取り戻すなんてハードな任務を前にしたら
ルンルンと朝から出掛ける気分にはならないか」
娘「まあとにかく、朝食が出来たから早くきてくれ」
男「はいよ」
食卓にはいつもよりも多い食器達が並ぶ。
友「遅いよ男。朝には強い方じゃないか」
先に席に着いていた友がそんなことを言う。
男「昔の話だろそんなの。今はめっきり早起きなんてしなくなったよ。
それのおかげで10時には眠ってしまう体質が改善されたぜ」
友「確かに、最近まで10時以降に男を見かけたこと無かったかも……」
どうでもいいところで大人になっていた俺だった。
男「それにしても、焼き魚なんて久しぶりに食べるなぁ。魚、買ってきたのか?」
友「朝早くからやってるスーパーがあるからね。そこで」
わざわざご苦労な事だ。
娘「よし、これで準備が整った」
サラダの入ったボウルと取り分け用の皿をテーブルに置く娘。本日のメニューは焼き魚と卵焼きと味噌汁と白米。
そして今持ってきたゴマドレッシングサラダと言う事らしかった。
男「朝から二品目以上食べるのは幾らぶりだろ……」
一人暮らしとなると朝は抜かす事だって多くなりがちだったからな。
作るのめんどくさいし、腹減ったら出掛けるついでに外で買っちゃうし。
毎日朝食を作っていた母さんの偉大さを思い知った。
男「そういういえばこの国にはそんな文化があったなぁ。一人暮らしの所為で忘れてた」
友「僕は一人でも言うかなー。この前までは彼女と一緒に食べる事が殆どだったから一緒にいってたね。
今日からまた一人なのかー」
男「目から何か出てるぞ……」
友「ははっ……これは今朝の汁物だよ」
遠慮したい。というか味噌汁が既にあるから。
娘「ほら、早く手を合わせるんだ二人とも」
行儀の悪い大人二匹をたしなめる娘。
なんだか朝から情けない。
でも。
でもなんだか悪くもない。
なんだか悪くない日になりそうだった。
一同『いただきます!』
そんな感じで一日が始まる。
友が戦場(元彼女宅)へ赴くため家を去ってから数十分。
男「だから。俺がお前のリストの完遂に一肌脱ごうって事だよ」
娘「願ってもない話だが……男も忙しいのでは無いか?」
男「うーん……」
多分、忙しくあるべきなのかなー。
でも大学行く気にもなれないし……。
今更行ったところで、もうテストとかサボっちゃってるわけだし……。
男「えーと……知ってたか? 出来る男は大学に行かなくてもいいんだ」
娘「な、なんだって-!?!?」
期待してた以上のリアクションだった。
娘「なんで出来る男だと大学に行かなくていいんだ!?」
男「出木杉君から成績の良さ、人望の厚さ、誠実さを引いた男、と呼ばれる俺みたいな奴は
大学で『BOCCHI』と呼ばれ、周りから一目引かれる存在なのさ」
娘「おお! なんかすごそうだ! そんなにすごい奴だったのか男!」
男「HAHA. 別に大した事じゃないぜ? 食事は大衆用の汚い食堂ではなくとある個室で。
講義中は俺の近く二メートルの場所に座ってはいけないというルールがあり、
たまにある『じゃあ、近くの人とこれについて話し合ってみてください』は免除される等々……
その他思い出してみればまだまだいろんな特別待遇があったなぁ……」
アレ……? 目から朝の味噌汁が。
娘「おお! すごい待遇だな! まるで貴族だなっ!」
娘「そうか! それは私にとってもうれしい事だな!」
娘の無邪気な笑顔が痛かった……。
情けないなあ俺!!!!
男「……で、早速今日からリストに書かれてるものを消費していこうと思う」
娘「今日からか! さすがだ! 出来る男は違う!」
テンション高いなー……。俺が上げたんだと思うけど……。
男「えーと……じゃあ、早速リストを持ってきてくれたまえ」
娘「わかったぞ!」
鞄をがさごそして例の大きめの手帳を持ってくる。
男「うんじゃ、ざっと目を通すとするか」
男「うわ……この前も思ったけどかなりびっしり書き込まれてるのな……」
紀元前の遺跡から発掘された解読不能の書物みたいな感じだ。書かれている文字自体はキレイなもんだけど。
娘「いやー、書き出すとお願い事とは尽きないのでな」
男「いやまあ確かにそうだろうけど……まあいいや、とりあえずこれを全部読むわけにはいかないから
目に留まった奴を適当に候補に挙げていくぞ」
娘「わかった。それでいいぞ」
男「よし、そんじゃ適当に……」
ページを飛ばし飛ばしめくっていく。
男「えーと……ショートケーキの生クリームだけ食べたい、テリヤキバーガーにマヨネーズを追加したい
バブを一箱一気に使ってみたい、野菜炒めの肉だけ食べたい、吉野家ので並と牛皿を注文したい
吉野家のゴボウサラダが復活しますように、吉野家で働きたい」
いや。
願い事は人それぞれだけどさぁ。
男「もうちょいマシな願い事無いわけ?」
吉野家へ情熱は一丁前だな。行ったこともない癖に。
娘「それらの何処に不足があるんだ。どれも叶えたら幸せになる事間違いなしの願い事達ではないか」
男「いやさぁ……そりゃまあちょっと幸せになるだろうけど、こう言うのってもっとスケールでかい方がいいじゃん?」
娘「むー……そう言われてもな。何がスケールのでかい願い事なのか検討がつかないぞ」
男「そうか? 俺がお前ぐらいの時なんて、平気で『将来はアメリカ人になる』とか言ってたけどなー。
アメリカンドリームだよ、アメリカンドリーム」
娘「いや、それはアメリカンドリームが本来意味する物では無いと思うのだが……
とにかく、私はよくわからないから男が選んでくれ」
男「う……そう言われるとやっぱりチョイスが難しいな……」
ページをぺらぺらとめくる。
それにしてもあんまりデカイ事を書かないな、こいつ。
学校に行って無くても年齢的には小学生なんだからもっと大胆な願いを書きまくればいいものを。
『水族館でイルカをみる』
小さな願い事には違いないけど、他の鰻重のウナギだけ食べたい等々と比べてみれば立派な方だ。
男「これはどうだ?」
娘「おお、さすが男だ。それは特Aクラスの願い事だ」
男「これで特Aなのか……それはいいんだが、まあこれ位なら簡単に叶えてやれるぞ。
電車で一時間と少し行けばイルカショーやらなんやらをやってる水族館があるはずだ」
娘「本当か!? イルカはいるか!?!?」
男「いや、そういう寒いこという奴連れて行かないけどな……」
そんな感じで。
俺たちは水族館に向かう。
俺自身も十年ぶりぐらいだ。
彼女なんて作らなかった(作れなかったわけでは無い!)から家族と行った以来。
娘「おい男! あそこに人が居るぞ!」
男「あー、あれだよ。水槽の掃除してる人だよ」
娘「なんでレモンガスボンベを背負っているんだ?」
男「いや、レモンガスボンベだったらすぐ死ぬだろうが。酸素ボンベだよあれは。あれで息継ぎとかしなくてよくなるんだよ」
娘「ああ、あれか。テレビで観たことがあるなー、すごいなー」
いちいちウキウキとしている娘だった。
チケットを買い、入り口を潜ってすぐそこ。
曲線的に反り出た水槽。
雑多な種類の魚たちが銀色の鱗を煌めかせながら通り過ぎていく。
男「へぇ~さすが東京だな。地元の比べると立派なもんだ」
男「ああーあれは結構でかいなー。何々、ああ、ジンベエザメかー。確かに斑点柄が甚平っぽいかな」
でもサメと言うよりも鯨っぽい印象だ。
娘「な、何を暢気な事を言っているんだ! 危ないっ! やられるぞ!」
そう言って娘はジンベエザメの水槽へ向かう。
娘「おい! 後ろ! 後ろだぁぁあ!!」ゴンゴンゴンゴンゴンっ!!!!
男「ってコラっ!! なにやってんだよ!?!? 他のお客さんめっちゃみてるだろうが!!!!」
娘「人が、人が死んでるんだぞっ!?!?」
男「まだ死んでねーよ! というか死なねーよ!
水族館に居るサメは餌をいっぱい貰っていて人とか他の魚おそわない様になってるの!!!」
奴らは満腹だと狩りをしない省エネ族なのだ。
娘「そ、そうなのか? それは良かった……」
安堵に胸をなで下ろす娘。大げさだ。
男「はぁ……水槽の掃除のたびに死人が出てたら水族館の人材不足がとんでも無いことになるっての」
しかし、周りの人にクスクス笑われてるのが気になるなぁ……。
そういえば、俺達は親子だとでも思われているのだろうか?
いや、それは見た目の年齢的にちょっと無理があるか。それと同じ理屈でカップルも。
近くにいた若い係員の女性にそんな事を言われた。
男「あ、え?」
娘「おお! イルカの帽子をかぶっているな!」
係員「ああこれ? うん、ここで働いてる人は海の生き物の帽子をかぶるんだよ~。イルカ好き?」
娘「大好きだ! 今日はイルカに会いに来た」
係員「へぇ~。今日はお兄ちゃんに連れてきて貰ったんだ?」
娘「? 男はお兄ちゃんでは無いぞ。大学に行かない『BOCCHI』だ」
係員「へ、へぇ~……そうだったんだぁ~……」
すげー怪しい物とか哀れな物を見る目で見られてる……。いや、あんな紹介をされれば当たり前か……。
男「あはは……今のはたちの悪い冗談ですよ。ちょっと訳があって叔母さんの子供を預かってるんですよ。
普段は普通に楽しく大学生活してますよ僕」
平日に堂々と水族館に居るのにこんな事言っても無駄かもしれないが。
係員「そ、そうだったんですか~。若いのに偉いですねぇ~、子供の面倒みてあげるなんて~」
棒読みで褒められた。
そして係員さんはすっと逃げるように俺から娘へと目を移す。
係員「えーと、イルカ好きなんだよね? それじゃあ、あと十五分ぐらいでイルカショーが始まるよ? 観に行きたい?」
娘「行く!」
一つ返事だった。
イルカショー。
恥ずかしながら人生初体験だった。
娘「なんでイルカショーなのにアシカが一番手なんだ?」
男「うーん……これは一番手というよりも前座な感じが否めないな……」
輪っかを器用に受け取るアシカのトリオ。実に年季が入った無駄のない所作だった。
しかし息荒くひげを揺らす姿が何処となくオッサンを彷彿とされる。残念ながらイルカほどのスター性は感じられない。
なんか現代社会の序列をそこに観た気がした。
男「どれだけ頑張っても、所詮はイルカ達の前座なのさ……」
娘「そうなのか……確かにイルカほどの華々しさは無いからな……」
そんなこんなで前座が終わる。
ピョーン!
吊されていた輪を三匹のイルカが連続でくぐり抜ける。大ジャンプだった。
娘「うおおおお!!! 飛んだぞ! 羽ないのに!」
娘は大興奮。飛び散る水しぶきにキャッキャしている。
男「すげーもんだな。俺も初めて観たけど」
悪くない。最初はどんなもんかと思っていたが、かなり楽しめるぞ!
娘「すごいなー。おお、今度は尾ひれで水面に立つ様にして泳いでいる!」
男「すげー!! エビフライみてぇだ!!!」
娘「今度はボールをバスケットのゴールにシュートだ!」
男「すげー!! 俺だったら外してたぜ!!!」
どっちが子供かわからない。
というかどっちも子供だった。
イルカショーの人『はーい!! じゃあ、イルカに触りたい人手をあげてー!!!』
娘&男『はああああああああああああああああああいいいいいいいいい!!!!!!!!!!!!!!!!』
俺たちの鬼気迫る大絶叫に営業スマイルが引いていた。
いや、だって触りたいじゃん? イルカ。
そしてイルカたちが待機するプール際へ。
娘「Oh////// すごいな……なんかヌメッとしてるけどあったかいぜ……本当にほ乳類なんだな……」
男「なんかお前キャラが崩壊してるよ……でもこいつは……ゴクリ……!?!?!?」
すげー。
ヌメッとしててあったけー。
でも灰色の肌は結構傷みたいなのがあって痛そうだ。
イルカ『……』
……。
男「イルカなのにマグロなんだな……」
そんな感じで。
俺たちはイルカと触れ合った。
ウニを触るコーナーでウニタワーを作って怒られたり(ヒトデが居たのでそれを一番上にのせてみた)、サメの水槽に餌の小魚を入れる体験をさせて貰ったり、おみやげ屋さんでイルカの帽子を買ったり。
そんなこんなですっかり夕方になっていた。
娘「マンボーが思った以上に大きかったな。そして、もっと愛嬌がある物かと思っていたのだが
現物観て少し考えを改めてしまったよ」
男「あー、なんか目が怖いよなあいつら。寄生虫とかもヤバイらしいし」
娘「そうなのか……サン○オがアレンジしたマンボーはあんなに愛らしいのに……」
そんなくだらない話をしながら歩く帰り道。
娘は早速イルカの帽子を被っている。
後ろで二つに結っている髪がプラプラ揺れているのと合わさってなんだか宇宙人みたいだ。
そんな事を、本当に屈託のない笑顔で言う。
夕日のオレンジに照らされるそれがとてもまぶしい。
そしてちょっとストレート過ぎて照れる。
男「はん、この程度で楽しいなんて言ってたらこの先ぶっ飛び過ぎてマジバイヤーだぜ姉さん?
こっからマジでギンギマリだぜ? ah hun?」
娘「本当か!?」
イルカの宇宙人が俺に抱きつく。
男「当たり前だっつーの。まあ、色々終わるのに時間かかりそうだし
その間に俺がお前のリストをコンプリートしちゃうって寸法だぜ!」
こいつの事情がどうなるのか。まだ全然不透明。
でもなんだろう。
まだ出会って数日なのに。
こいつのこの笑顔を見ていると嬉しくなるのだ。もっと見ていたくなるのだ。
娘「あははっ! 大好きだぞっ! 男!!」
小さい宇宙人の頭を撫でてやり、手をつなぐ。
駄目人類とイルカの宇宙人は仲良くオレンジ色に染まっていた。
家に帰ってきて飯を食って数時間後。テレビを見終わった娘を俺の部屋に連れて行った。
そろそろ娘は寝ただろうか。
男「じゃあ……今日もジメジメ未練たらっしく言ってみるか-!」
無意味に明るく言ってみた。
余計惨めな気分になるだけだった。
男「……まあ、特に目標があるわけじゃないんだけどな」
ランニング。軽い走り込み。そして基本的な筋トレ。
それらは膝を壊した後も、結局観るだけだった大学サッカー部の幽霊部員になった後も止めずに続けていた。
惨めにダラダラジメジメと。目的なんて無い癖に。
ただ、止めたら自分が消えてしまいそうだから。
今までの自分が無かった事になりそうだから。
そんなくだらない理由で続けていた。
男「今日は少しペース早めでいっときますかー」
男「……? なんだこれ?」
ランニングシューズの片方に、一枚の紙が入っていた。
取り出してみる。
男「……友の奴……またこう言う余計な事を……」
あーあ。
何が『男改造計画その一 ~世界一のサッカー選手への道~』 だよ。小学生でも考えないっての。
ざっと目を通すと、筋トレのメニューや、走り込みをする際に意識する点
その他には友が独自に考えた『俺の現在の体のパフォーマンスの限界』を引き出すカギなど
いろんな項目に別れてびっしりと書き込まれている。
見た感じの印象だと、高校の時にやっていたメニューと同等、またはそれ以上にハードなものかもしれなかった。
男「本当に余計なお世話だよな~……」
そしてたちが悪い。
男「お前にここまでして貰ったらさー」
簡単に無碍にできないよなー。と。
俺がそう思うことをあいつは解ってやってる。
男「世界一のサッカー選手なんてお笑いだけどさ」
ふっと、なんだか懐かしい様な気持ちが溢れる。
言って、自分で驚いた。
試合に出てもいいかもしれないなんて。
もう一度やってみようなんて。
そんな事思った自分に酷く驚く。
男「あーあ。やっぱりまだ未練たらたらなのかねー」
彼女なんて出来たこと無いけど。
人を好きになった事なんて数える程だけど。
それでもこれは。この気持ちは否定できやしない。
やっぱり俺は、惨めなまでにサッカーに一途なのだ。
次の日も。
その次の日も。
そのまた次の日も。
多分一週間と少し。
俺たちはリストに従っていろんな事をした。
男「いやー、吉野家で紅ショウガの使いすぎで注意される奴を見ることになるとは思わなかった」
娘「いや、デ○ズニーランドでミ○キーに「あの、あんまり触らないでください」と
普通のトーンで注意される人の方が珍しいのではないか」
まあ、本当に色々なところに行って色々な事をした。
ゲーセン、カラオケ、ボーリング、動物園、スクランブル交差点、高級店をウィンドーショッピン、東京タワー
夜景、プール、ピンポンダッシュ、二人だけの鬼ごっこやかくれんぼ、ザリガニ釣り、野球観戦……。
言い出したら切りがない。よくもまあ一週間と数日でここまでやったもんだ。
娘も疲れた様子で歩いていた事が多かった気がするし。
男「これだけ遊んだのはいつぶりだろうか……というかこんなに遊んだ事ねーよ」
金が水のようにするする何処かに行ってしまうなんて初めての体験だよ。
俺が知らないだけで、世の中にはこんなにも多くの娯楽があったのか。
娘「ああ、私も生まれて初めてだよ。多分、一生分遊んだぞ」
まあ一生分は言い過ぎでも。
男「ああ、なんか遊ぶのも結構な体力がいるもんだな」
娘「確かにな。こんなに楽しくて疲れたのは初めてだ」
楽しんでくれたならよしてするか。
それだけでいいんだろうか。
やっぱり色々引っかかる。
男「……あのさ」
娘「? どうした」
男「楽しかったあとにこう言う話するのもアレだけど……お前のお母さん。
お前を俺に預けたっきりなんの連絡もない。
お前もお前で自分の家いわねーし」
しかも家の母親まで黙りときた。
男「俺はさー。こう言う『解らない』だとか『知らされない』だとかが嫌いだ」
男「でもさ。お前に理由があったり、叔母さんに理由があったりするのは……今では冷静に見る事が出来る。
良しとするほど俺は出来た人間じゃないけど、少しの間看過するぐらいは出来るつもりだ」
でもだ。
何か根本的におかしいとは思わないか?
つまり。
預けるだけなら俺の実家でいいわけだし。
じいさんとばあさんの家もあるわけだ。
そのなかで、なんで一番無責任そうで、一番若い俺が選ばれる?
面倒に思ってるわけでは無く、純粋に。何か引っかかる。
男「だから俺はお前のことが心配だ」
嘘偽りなく言った本心。
男「お前のことを助けたいとも思ってる。短い間しかまだ付き合いが無いけど――」
いざ言おうと思うと結構緊張する。別に恋人になってくれと告白するわけでもないのに。
男「――お前の事が大事だ。多分友達とか親友とか、もしくはそれ以上に思える」
俺には妹がいるけど。やっぱり妹と比べても同じぐらいに大事だった。
男「だから話してほしい。お前が言いたい事とか、お前が一人じゃ抱えきれず背負いきれない物を」
娘「……」
娘は何処か悲しそうな。何かを諦めた様な目で俺を見る。
そして、と娘が付け加える。
娘「全部謝る」
男「……わかった。俺もお前を急かしてる訳じゃない。ただお前の力になりたいってだけだ」
娘「……ありがとう」
いつもの張りのある声ではなく、しぼんだ声でそういう。
力になれないのがもどかしい。
こんな小さな女の子の力になってやれない俺が情けなかった。
男「……今日は一緒に寝ようか」
そうやって。
何か変化の予感を残して。その日は終わっていく。
続きます→娘「セック――」 男「言わせねーよ!?」 後
Entry ⇒ 2011.12.29 | Category ⇒ 兄弟姉妹「」SS | Comments (0) | Trackbacks (0)
セイバー「問おう。貴方が私のご主人様(マスター)か?」士郎「え」
http://engawa.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1325038892/
セイバー「どうなのですか?」
士郎「あの……」
セイバー「はい」
士郎「えと……君が?」
セイバー「は?」
士郎「だから……今日から来ることになってる……」
セイバー「はい、サーヴァントです」
士郎「サーヴァント?」
セイバー「メイドのことです」
士郎「あぁ」
セイバー「はい」
士郎「こっちが居間、キッチン」
セイバー「ふむ」
士郎「向こうが洗面所と風呂」
セイバー「なるほど」
士郎「で、ここはトイレ」
セイバー「……」
士郎「ここを真っ直ぐ行けば離れ」
セイバー「見取り図は?」
士郎「えっと……はい」
セイバー「どうも」
士郎「ああ。でも、実質住んでるのは俺だけなんだ」
セイバー「なぜですか?」
士郎「切嗣……俺の親父は随分前に死んじゃって、母親もいないんだ」
セイバー「それは……失礼なことを」
士郎「いいんだ」
セイバー「では、これからは私が家事全般をこなします!!」
士郎「ありがとう。家が広いから掃除とか大変だったんだ」
セイバー「それにしては行き届いている気もしますが」
士郎「ああ、実は―――」
桜「ただいまー。先輩、いますかぁー」
セイバー「曲者!?」
セイバー「貴女こそ」
士郎「桜、言ってただろ。メイドさんだ」
桜「あ、ああ……」
セイバー「どうも。メイドです」
桜(こんな綺麗な家政婦さんなんて……!!)
士郎「桜っていって、幼馴染なんだ」
セイバー「そうですか。以後、お見知りおきを」
桜「は、はい」
士郎「いつも桜が掃除を手伝ってくれてたんだけど、流石に悪いって思って」
桜「そんなことないのに……」
セイバー「なるほど。これからは私に任せてください、桜」
桜(呼び捨てだし……)
士郎「よし、じゃあ後のことは任せていいかな?」
セイバー「はい。マスターの期待に沿えるよう尽力いたします」
士郎「お昼ご飯かって来てくれたんだろ?」
桜「はい」
士郎「じゃあ、一緒に作るか」
桜「は、はい!!」
桜(そうです。私はずっと先輩の傍にいたんです。家政婦に危機感を覚えるなんてどうかしてました)
セイバー「……」
セイバー「まずは……拭き掃除から」
セイバー「……」ゴシゴシ
セイバー「……」ゴシゴシ
セイバー「お腹すきました」
セイバー「次は……」
士郎「休憩にしようか」
セイバー「え?しかし……」
士郎「ご飯、できてるよ」
セイバー「ありがとうございます」
士郎「こっちだ」
セイバー「すいません。本来なら食事は私が作ることになっているのですが」
士郎「いいんだ。料理は好きだから」
セイバー「そうですか」
士郎「でも、メイドさんの料理も食べてみたいな」
セイバー「マスター」
士郎「ん?」
セイバー「私のことはセイバーで構いません」
士郎「そうか。なら俺のことも士郎でいいよ、セイバー?」
桜「……」
セイバー「これは美味しいです、士郎」
士郎「ありがとう。そういってくれると嬉しいよ、セイバー」
セイバー「うん……いつもはこのように凝った料理はしないもので」
士郎「別に凝ってないよ」
セイバー「いえ。この舌の奥までしみこんで来るような味わい……特別な技術があるに違いない」
士郎「ないない」
セイバー「本当ですか?」
士郎「うん。あ、おかわりは?」
セイバー「頂きます」
桜「あの!!」
士郎「え?」
セイバー「なんですか、桜?」
桜「変ですよね?なんで家政婦さんが次のお茶碗を出すんですか?」
桜「……」
セイバー「桜?」
桜「それも変です」
セイバー「は?」
桜「私はともかく、どうして先輩のことを呼び捨てにしているんですか?」
セイバー「それは士郎からの許可が」
桜「許可が出たからって、家政婦としての立場があるんじゃないですか?」
セイバー「え……?」
士郎「桜、どうして怒ってるんだ?」
桜「先輩も!!」
士郎「は、はい」
桜「主人と家政婦。互いの立場をきちんと理解してください!!」
士郎「わ、わかった……」
セイバー「……で、ではおかわりは控えます……」
士郎「お粗末さまでした」
セイバー「洗い物は私が―――」
桜「私がします」
セイバー「そうですか」
士郎「セイバーはお風呂掃除してくれないか?」
セイバー「かしこまりました」
桜「……」
士郎「桜?」
桜「なんですか?」
士郎「言いすぎじゃないか?俺は別におかわりぐらいいいと思うぞ?」
桜「だって……」
士郎「……」
桜「ごめんなさい……」
士郎「いいけど……」
セイバー「立派な浴槽ですね」ゴシゴシ
セイバー「……」ゴシゴシ
セイバー「三時のおやつはあるのでしょうか……」
桜「―――セイバーさん?」
セイバー「はい?」
桜「あの……さっきはごめんなさい」
セイバー「いえ。桜の言うとおり、給仕が家人の許可なく腕を差し出すほうが悪いのです」
桜「……」
セイバー「なんですか?」
桜「いえ……」
桜(そうよ……別に焦ることなんてない。先輩はずっと私と一緒だったんだから)
セイバー「桜?」
桜「あの……セイバーさんは何時までここに?」
セイバー「は?住み込みなので24時間、ここで過ごしますが。契約期間は半年です」
セイバー「何を驚かれているのですか?」
桜「だって普通は交代制じゃあ……」
セイバー「我が経営者が中々の悪人でして、人件費削減とかでこのような体制なのです」
桜「なんで辞めないんですか!!そんなのブラックですよ!!」
セイバー「お給料がよくて」
桜「……」
セイバー「桜?」
桜(ということは……先輩とセイバーさんはずっと一緒……)
セイバー『士郎……今日は夜のご奉仕もさせていただきます』
士郎『ありがとう……』
セイバー『ぁ……ん……』
桜「―――だめぇぇ!!!」
セイバー「え?この『バスマジック凛』は使用不可ですか?いい洗剤なのですが」
桜(まずい……先輩をとられちゃう……!!)
桜「こうなったら……!!」
セイバー「あ、桜?」
セイバー「……ふむ」
セイバー「とにかく清掃を終わらせましょう」
セイバー「えーと……」
セイバー「排水溝も……」
セイバー「ん?」
セイバー「……」
セイバー「士郎……」
セイバー「お風呂では止めるように言っておいたほうがいいですね」
セイバー「……」ゴシゴシ
士郎「うーん……セイバーがいるからやることがないなぁ」
桜「先輩!!」
士郎「どうした?」
桜「私もここに住みます!!」
士郎「駄目だ。お姉ちゃんが怒るだろ」
桜「でも……!!」
士郎「どうしたんだよ、さっきから変だぞ?」
桜「だって……だって……」
士郎「桜?」
桜「……じゃあ、姉さんも一緒ならいいですか?」
士郎「な!?」
桜「相談してきます!!」
士郎「馬鹿!!桜!!!そんなことしたら俺の身が持たない!!」
士郎「……いっちまった……」
士郎「あ、お疲れ様。お茶いれるな」
セイバー「どうも」
士郎「大変だったろ。うちの風呂結構広いからな」
セイバー「あの……」
士郎「ん?」
セイバー「申し上げにくいのですが」
士郎「どうしたんだ?」
セイバー「お風呂でするのは控えたほうが……いいかと……」
士郎「……」
セイバー「その……取るのが……」
士郎「あの……え……?」
セイバー「きっと今までは桜がやっていたために気づかなかったのでしょうが……その……残るのです。あれは」
士郎「……」
セイバー「……」
桜「先輩!!」
セイバー「桜。おかえり―――おや、そちらの女性は?」
桜「私の姉さんです」
ライダー「どうも」
セイバー「似ても似つきませんね」
桜「その……実の姉ではないんです」
ライダー「はい」
セイバー「そうですか。本日は何用で?」
ライダー「それが私も詳しくは……」
桜「セイバーさん!先輩は?!」
セイバー「部屋に居ると思います」
桜「姉さん、いきましょう!!」
ライダー「桜、待ちなさい」
セイバー「……」ズズッ
士郎「……はぁ」
桜「せんぱーい!!」
士郎「桜か?」
桜「……あの」
士郎「あ……」
士郎(桜も知ってるんだよな……きっと……)
桜「姉さんをつれてきました」
士郎「え?!」
ライダー「お久しぶりです」
士郎「あ……うん……」
ライダー「……」
桜「あの……姉さんと一緒になら住んでもいいんですよね?」
ライダー「えぇ?!?!」
士郎「だめだ!!」
士郎「いや……その……」
ライダー「……私も結構です」
桜「姉さん!!」
ライダー「桜……自力でどうにかするべきです」
桜「でも……住み込みのメイドさんになんて……どうやって……」
ライダー「でしたら……」ゴニョゴニョ
桜「ふんふん……」
士郎「……?」
ライダー「そうすればきっとメイドのほうから音を上げます」
桜「や、やってみる」
ライダー「その意気です」
士郎「ライダー……」
ライダー「士郎……失礼します」
桜「……?」
士郎「ん?」
桜「姉さんとなにかあったんですか?」
士郎「え……いや」
桜「そうですか」
士郎「……」
桜「さてと……」
士郎「どうした?」
桜「セイバーさんは掃除を担当するんですよね?」
士郎「ああ」
桜「わかりました」
士郎「桜?」
桜「……」
セイバー「……」モグモグ
セイバー「この菓子は美味だ」
桜「セイバーさん、ちょっといいですか?」
セイバー「なんでしょう?」
桜「こっちへ」
セイバー「はい」
桜「ここ、掃除したんですよね?」
セイバー「ええ」
桜「……じゃあ、この埃はなんですか?」
セイバー「え……」
桜「これで掃除したって言えるんですか?」
セイバー「申し訳ありません。すぐに―――」
桜「自分の仕事もできずに食事だけはきっちり取るなんて何を考えているんですか?」
セイバー「返す言葉もありません」
セイバー「ふぅ……これで」
桜「セイバーさん」
セイバー「はい?」
桜「こっちへ」
セイバー「はい」トテトテ
桜「この部屋も掃除したんですよね?」
セイバー「はい。ここは念入りに……」
桜「エアコンのフィルター、埃だらけですけど?」
セイバー「あ……」
桜「これで掃除したって言えるんですか?」
セイバー「見落としていました」
桜「プロなんでしょう?こんなミスがあってもいいと思ってるんですか?」
セイバー「はい……申し訳―――」
桜「謝る前に掃除をしてください」
セイバー「うむ……完璧です」
セイバー「さてと……」
桜「セイバーさん?」
セイバー「は、はい!!」
桜「こっちへ」
セイバー「は、はい……」トテトテ
桜「お風呂掃除、したんですよね?」
セイバー「はい……なにか問題でも?」
桜「ここ。水垢がとれてません」
セイバー「いや……これは中々とれなくて……」
桜「綺麗にするために掃除ってするんですよね?汚いままなのに掃除っていうんですか?」
セイバー「す、すぐにとりかかります……」
桜「急いでくださいね」
セイバー「は、はい……かしこまりました……」
士郎「あ、セイバー?」
セイバー「士郎」
士郎「なにやってんだよ?」
セイバー「いえ、水垢が落ちなくて……」
士郎「もう休憩にしよう」
セイバー「いえ……士郎に気持ちよくなってもらうためにがんばります」
士郎「セイバー……」
セイバー「……」ゴシゴシ
士郎「今から買出しにいってくるけど、留守番頼めるか?」
セイバー「はい」
士郎「ごめんな」
セイバー「いえ」
士郎「……」
セイバー「……」ゴシゴシ
セイバー「マジック凛は万能ですね」
セイバー「さてと……」
ピンポーン
セイバー「ん?」
セイバー「お客様でしょうか……」トテトテ
セイバー「どちら様ですか?」
『貴女は?』
セイバー「今日からここで住み込みで働いている者です」
『ああ、そう。とりあえずあけてちょうだい』
セイバー「しかし……」
『私は知り合い』
セイバー「わかりました」
イリヤ「お兄ちゃんは?」
セイバー「お兄ちゃん……士郎のことですか?」
セイバー「今は買い出しにでかけております」
イリヤ「ふぅん」
セイバー「……なにか?」
イリヤ「じゃ、上がらせて」
セイバー「失礼ですが、貴女は?」
イリヤ「イリヤ」
セイバー「いえ……士郎との関係を聞きたいのですが」
イリヤ「従妹」
セイバー「しかし……あなたはどう見ても日本人では……」
イリヤ「うるさいわね。侍女のくせに生意気よ?」
セイバー「む……申し訳ありません。口が過ぎました」
イリヤ「よろしい」
セイバー(なんて高圧的な人だ……)
イリヤ「ねえ?」
セイバー「はい?」
イリヤ「なんで座ってるの?」
セイバー「え?」
イリヤ「普通、侍女は主人が寝るまで立っているものでしょ?」
セイバー「そ、そうですか……」
イリヤ「なにもわかってないのね?」
セイバー「はい……日が浅いもので」
イリヤ「ほら、起立」
セイバー「はい」
イリヤ「両手は臍のあたりで重ねて」
セイバー「こうですか?」
イリヤ「それでいいの。主人がなにかいうまでそうしていなさい」
セイバー「は、はい……」
イリヤ「おにーちゃーん!!!」ダダダッ
士郎「イリヤ!?どうしたんだよ?」
イリヤ「きちゃった」
士郎「来るときは連絡してくれないと」
イリヤ「だって、お兄ちゃんをびっくりさせたかったんだもーん」
士郎「そうか」
セイバー「お帰りなさい、士郎」
士郎「ただいま、セイバー」
イリヤ「今日は泊まってもいいでしょ?」
士郎「駄目だ。俺がまた怒られるだろ?」
イリヤ「士郎を怒るやつを私が怒るから安心して」
士郎「それしたら余計に俺が怒られるんだって」
セイバー「……」
イリヤ「あれ?この人がつくるんじゃないの?」
士郎「え?」
セイバー「……」
イリヤ「だって侍女でしょ?」
士郎「そうだけど……」
イリヤ「食事の用意なんてこの人に任せて、お兄ちゃんは私と遊ぼうよ」
士郎「いや……そういうわけにも」
セイバー「構いません」
士郎「え?」
セイバー「私がします」
イリヤ「ほら、こういってるし」
士郎「……じゃあ、頼めるか?」
セイバー「はい。腕によりをかけます」
士郎「それじゃあ……お願い、セイバー」
イリヤ「……」
士郎「……」
セイバー「あの……」
イリヤ「まずいわ」
セイバー「……っ」
イリヤ「なにこれ?ここまで素材の味を貶めることができるなんて初めて知ったんだけど」
士郎「イリヤ!!」
セイバー「……申し訳ありません」
イリヤ「魚もこれ……ただ焼けばいいってわけじゃないわよ?」
セイバー「……」
イリヤ「味も極端。辛いか薄いか。こんなの犬だってしかめっ面になるわ」
セイバー「……」ウルウル
イリヤ「侍女に向いてないわ、貴女」
士郎「イリヤ!!言いすぎだ!!」
士郎「送っていくよ」
イリヤ「うん」
セイバー「……」
イリヤ「……ふん」
士郎「セイバー、俺が片付けるから……」
セイバー「いえ……全て私がやります」
イリヤ「当然でしょ」
士郎「イリヤ!!」
イリヤ「……いこ、お兄ちゃん」
士郎「ああ」
セイバー「……」モグモグ
セイバー「……」ウルウル
セイバー「……まずい」ポロポロ
セイバー「おかえりなさい、士郎。お風呂の準備を始めたところです」
士郎「セイバー……イリヤはあの、本当のお嬢様でさ……その……」
セイバー「さ、士郎。準備が整うまでしばらくお待ちください」
士郎「セイバー……」
セイバー「外は冷えたでしょう?」
士郎「……」
セイバー「くつろいでいてください。私は寝具の用意をしますので」
士郎「ありがとう……」
セイバー「それでは失礼します」
士郎「……」
士郎「はぁ……」
士郎「セイバー……無理してたな……」
士郎「イリヤもきついところがあるからなぁ……」
士郎「……」
セイバー『士郎?湯加減は?』
士郎「え、うん。ちょうどいいよ」
セイバー『着替えを置いておきます』
士郎「ありがとう」
士郎「……セイバー!!」
セイバー『は、はい!?』
士郎「セイバーもお風呂に入っていいから。というか、いつでもいい。俺より先にはいっても全然問題ない」
セイバー『……ありがとうございます』
士郎「それだけ」
セイバー『はい』
士郎「布団まで……」
士郎「……」
士郎「寝よう……」
士郎「……セイバーかぁ……」
士郎「綺麗だよな……」
士郎「……」
士郎「かわいいし……何事にも一生懸命なのは今日だけでもわかったし」
士郎「……」
士郎「セイバー……すぅ……すぅ……」
士郎「ん……」
士郎「四時か……」
士郎「顔、洗おう……」
―――洗面所
士郎「ん?」
士郎「浴室の電気が……」
士郎「消し忘れて―――」
ガララ
セイバー「ふぅ……」
士郎「は―――」
セイバー「し、しろう……」
士郎「あ……あの……」
セイバー「あ……えと……私……朝風呂がすきで……」
士郎「ごめん!!!」ダダダッ
士郎「はぁ……はぁ……」
士郎「全部……みちゃった……」
士郎「……っ」
士郎「……なんで!!なんで気づかなかった!!」
セイバー「あ、あの……」
士郎「わぁ!?!?」
セイバー「申し訳ありません……いつでもいいという言葉に甘えてしまって……その……」
士郎「い、いや……きにするな!!」
セイバー「しかし……」
士郎「……」
セイバー「士郎……」
士郎「ごめん!!ちょっとトイレ!!」
セイバー「あ……」
セイバー「朝ごはん……」
士郎『―――な、なんだ!?』
セイバー「いえ……かなり長いようなので体調でも悪いのかと……」
士郎『大丈夫!!もうちょっとだから!!』
セイバー「わ、わかりました。あの、庭の掃除をしてきます」
士郎『うん!!』
セイバー「……」
セイバー「士郎……大丈夫でしょうか?」
セイバー「よし」
セイバー「今日も一日、がんばらなければ」
セイバー「……」ザッザッ
セイバー「……ん?」
大河「ふわぁぁ……」
セイバー「……」
大河「……誰?」
セイバー「貴女こそ。堂々と敷地内に入ってくるとは無礼です」
大河「失礼ね。私は士郎の姉的存在よ?」
セイバー「姉?」
大河「そうよ」
セイバー「士郎に姉がいるなど初耳ですが」
大河「あなたこそ、誰なの?」
セイバー「私は昨日からここで働かせていただいているセイバーというものです」
大河「あー!!メイドさんかぁ!!士郎が言ってた!」
セイバー「なにか御用ですか?」
そこまでにしておけよ藤村
道場から出てくるんじゃない
セイバー「いつも朝食をとりに?」
大河「週に5日ぐらいかなぁ」
セイバー「そうですか」
大河「じゃ、掃除がんばってね」
セイバー「わかりました」
大河「……ところで」
セイバー「なにか?」
大河「士郎のこと好きになっちゃだめよ?」
セイバー「え?!」
大河「士郎にはもう将来を誓い合った人がいるんだから」
セイバー「そうなのですか!?」
大河「うん」
セイバー「それは……しりませんでした」
大河「だから、くれぐれも惚れちゃだめよ?惚れるだけ損だから」
セイバー「庭掃除終わりました」
士郎「あ、うん……お、お、おつかれ……」
セイバー「士郎……あの、今朝はお見苦しいものを……見せてしまい……大変申し訳ありません」
士郎「な、なにいってるんだ!!そんなことない!!」
セイバー「え?」
士郎「あ、いや……その……綺麗……だったし」
セイバー「は?」
士郎「あ……俺なにいってんだ!?ごめん!!忘れてくれ!!」
セイバー「はい……」
大河「おかわり!!!」
士郎「はいはい……。セイバーの分はそれな」
セイバー「ありがとうございます」
士郎「おかわりもしていいから」
セイバー「はい」
セイバー「お気をつけて」
士郎「さっき渡した紙にやってほしいことは全部書いてるからな」
セイバー「はい」
士郎「行ってきます」
セイバー「行ってらっしゃいませ」
セイバー「……」
セイバー「さて……」
セイバー「……」ペラッ
セイバー「居間の掃除に……買出し……」
セイバー「これは全部午前中に終わってしまいますね……」
セイバー「幸いこの屋敷は広い。全てを掃除するだけで一日が終わるでしょう」
セイバー「始めましょうか」
セイバー「……」ゴォォォ
セイバー「ん?」
セイバー「これは……お弁当……」
セイバー「二つありますね……」
セイバー「もしや……私の分でしょうか?」
セイバー「士郎……本当に優しい……」
セイバー「……」キョロキョロ
セイバー「……」パカッ
セイバー「これは……?!」
セイバー「……」ゴクリ
セイバー「……」キョロキョロ
セイバー「……」モグモグ
セイバー「次は離れでも……」
トゥルルルル
セイバー「電話ですね」トテトテ
セイバー「はい、衛宮です」
士郎『セイバー、悪いんだけど。居間のほうにお弁当箱が二つなかったか?』
セイバー「はい、ありました」
士郎『ごめん。それ俺と桜の昼飯なんだ』
セイバー「え……?」
士郎『お昼までにいいから学校に届けてくれないか?学校までの道は今からいうから』
セイバー「あ、あの……」オロオロ
士郎『なんだ?もうすぐ休み時間終わるから早くしてほしいんだけど』
セイバー「あ、いえ。はい。メモを用意しました……」
士郎『じゃあ、まずな―――』
セイバー(なんて失態を……!!)
セイバー「な、なんとか」
士郎『それじゃあ、悪いけど届けてくれ』
セイバー「は、はい!!」
ガチャン
セイバー「……」
セイバー「……」トテトテ
セイバー「……半分食べてしまった」
セイバー「……考えてみれば、私の分が弁当箱に詰まっているはずがない」
セイバー「……」
セイバー「くそっ……!!」
セイバー「作らないと……!!」
セイバー「私が士郎のお弁当を」オロオロ
士郎「そろそろかな……」
セイバー「し、しろー……」
士郎「あ、セイバー。迷わなかったか?」
セイバー「は、はい……残念なことに」
士郎「え?」
セイバー「いえ……」
「なんだ、すげー美人なひとがいるけど」
「メイドさんだって」
「まじかよ」
セイバー「……」オロオロ
士郎「あ、ごめん。ここじゃ目立つからな」
セイバー「いえ……」
士郎「ありがとう、セイバー」ニコッ
セイバー「は、はい……では、失礼します……」
士郎「桜」
桜「あ、先輩」
士郎「はい、お弁当」
桜「先輩、ありがとうございます」
士郎「今日は俺の番だからな」
桜「先輩のお弁当、いつもおいしくて大好きです」
士郎「桜もかなり腕をあげたからな。そろそろ免許皆伝だ」
桜「そ、そんなことありません。先輩にはもっと色んなことを学びたいです!!」
士郎「そうか?」
桜「はい」
士郎「それじゃ、食べるか」
桜「はい」パカッ
士郎「今日のは自信作―――」パカッ
桜「……なにこれ?」
セイバー「……」ソワソワ
セイバー(見てくれは悪いですが……味は……)
セイバー「悪いんですよね……」
セイバー「……こわい」
セイバー「どうしたら……このままでは……」
士郎『このサーヴァントだめだ。使えない』
桜『クビでいいんじゃないですか?』
イリヤ『メイドの風上にもおけないわね、この体たらくじゃ』
セイバー「……」ウルウル
セイバー「あぁぁ……」ポロポロ
セイバー「私は……なんてことを……してしまったんでしょうか……」ポロポロ
士郎「―――ただいま」
セイバー「……?!」ビクッ
セイバー「し、しろう……!!」
士郎「セイバー……このお弁当……」
セイバー「申し訳ありません!!!あの!!」
士郎「わざわざ作ってくれたのか?」
セイバー「えと……」
士郎「間違って食べちゃったんだろ?」
セイバー「士郎……」
士郎「それならそうといってくれればいいのに。学校には購買もあるし食堂もあるんだから」
セイバー「士郎……あの……」ウルウル
士郎「料理はこれから練習しような?」
セイバー「はい……はい……」ポロポロ
士郎「うん。でも、セイバーはきっと上達するよ。真面目だし、何事にも一生懸命だから」
セイバー「し、ろぉ……」ポロポロ
士郎「お疲れ様。家の中、すごいピカピカじゃないか。すごいな」
士郎「セイバー、俺ちょっと出かけてくるけど、しばらく留守番しててくれ」
セイバー「……」ゴシゴシ
セイバー「はい!!任せてください!!」
士郎「うん。お願い」
セイバー「……」
セイバー(士郎……)
セイバー「……」
セイバー「ここに来れてよかった……」
桜「―――セイバーさん?」
セイバー「あ、桜。お帰りなさい」
桜「ちょっとお話いいですか?」
セイバー「はい」
桜「―――なんですか、この残飯?」パカッ
セイバー「……」
セイバー「はい……」
桜「こんなものを先輩に食べさせようとしたんですか?」
セイバー「……」
桜「どうなんです?」
セイバー「そ、そのとおりです……」
桜「はぁ……信じられません」
セイバー「……っ」
桜「何かいいたいことは?」
セイバー「申し訳ありません……」
桜「謝るようなことをどうしてしようと思ったんですか?」
セイバー「……」
桜「セイバーさん?」
セイバー「すいません」
桜「謝罪はいいです。理由をきかせてください。どうしてこんなお弁当を作ろうと思ったんですか?」
桜「……」
セイバー「……すいません」
桜「セイバーさんは台所に立たなくてもいいです。むしろ立たないでください」
セイバー「……はい」
桜「全く……こんなメイドを置いておくメリットなんてどこにあるんでしょうか」
セイバー「……」ウルウル
セイバー「……士郎は……ゆるして……くれました……」ウルウル
桜「……なんていいました?」
セイバー「士郎は……ゆるしてくれましたっ!」ポロポロ
桜「なにそれ?もう恋人気取りですか?」
セイバー「……!?」
桜「最低ですね……メイドのくせに」
セイバー「……っ!!」ダダダッ
桜「……」
セイバー「……」ポロポロ
セイバー「ぐすっ……」ゴシゴシ
セイバー「私は……どうして逃げてしまったんでしょうか……」
セイバー「……」
ライダー「セイバー?」
セイバー「あ……」
ライダー「どうかしましたか?」
セイバー「いえ……」
ライダー「桜に苛められましたか?」ニヤニヤ
セイバー「ち、ちがいます!!」
ライダー「……」
セイバー「……なんですか?」
ライダー「少し、お茶でもどうですか?」
セイバー「え?」
ランサー「おまちどう」
ライダー「どうも」
セイバー「……」
ライダー「ここのコーヒーは絶品です」
セイバー「……あの話とは?」
ライダー「士郎のことで」
セイバー「……?」
ライダー「まだ二日目の貴女にこういうことをいうのは気がひけますが……士郎にはあまり近づかないようにしていただきたい」
セイバー「え……?」
ライダー「私も……以前、間違いを犯しそうになったことがあります」
セイバー「間違い……?」
ライダー「士郎には将来を誓った人がいるのに……。だからは私はもう極力、士郎には会わないようにしています」
セイバー「そう……なんですか」
ライダー「士郎は優しいですからね。すぐに好きになってしまう。いけないとはわかっているのに」
ライダー「好きになってしまう前に出て行ってください」
セイバー「……?!」
ライダー「ずっといれば恐らく貴女も士郎の人柄に惚れこんでしまうでしょう……。でも、それは士郎を困らせるだけ」
セイバー「……」
ライダー「そして、貴女も虚しいだけです」
セイバー「はい……」
ライダー「私が言いたかったのはそれだけです」
セイバー「……でも」
ライダー「……」
セイバー「私は士郎に仕えたい。今日、心からそう思えました」
ライダー「貴女……」
セイバー「士郎の幸せを心から願い……そして傍で支えたい……そう思うのはいけませんか?」
ライダー「……好きにすればいい。後悔するのは貴女です」
セイバー「後悔なんてするはずがない。私はメイドとして士郎のお傍に仕えるだけですから」
セイバー「……ただいま戻りました」
士郎「セイバー!!」
セイバー「あ……」
士郎「どこ行ってたんだ、心配したじゃないか」
セイバー「申し訳ありません」
士郎「じゃあ居間で―――」
セイバー「折角ですが、まだ掃除が残っていますので」
士郎「え……あ、そうなのか?」
セイバー「はい」
士郎「じゃあ、また晩御飯になったら―――」
セイバー「これからは晩御飯も結構です」
士郎「なんでさ?」
セイバー「家人の者が食べ終えてから、食事にします」
士郎「セイバー……?」
士郎「セイバー?」
セイバー「はい?」
士郎「寝ないのか?」
セイバー「士郎が就寝した後に寝ます」
士郎「そう……」
セイバー「それまで縫い物を……いっ!?」
士郎「あ、大丈夫か?!」
セイバー「平気です」
士郎「見せてみろ」
セイバー「士郎はもう就寝を」
士郎「セイバー、いいから」
セイバー「……やめてください!!」
士郎「え……」
セイバー「私はメイドです。優しくされても困ります」
セイバー「……っ」
士郎「昼間のことなら……俺……」
セイバー「……」
士郎「ごめん……セイバーが困るなら……もう、何も言わない」
セイバー「あ……」
士郎「おやすみ……」
セイバー「……」
セイバー「士郎……」
セイバー「……」ウルウル
セイバー「堪えろ……私はメイドだ……」
セイバー「マスターとメイドでしかないんだ……!!」
士郎「セイバーは?」
桜「庭掃除をしていました」
士郎「そう……」
桜「先輩?」
士郎「いや、なんでもない」
桜「そうですか」
士郎「はい、これお弁当」
桜「いいんですか?今日は私の番だったのに」
士郎「昨日は結局食べられなかったからな」
桜「ふふ……」
士郎「じゃ、早く食っちまおう」
桜「はい」
セイバー「あ……」
士郎「学校にいってくる」
セイバー「お気をつけて」
桜「行きましょう、先輩」
士郎「ああ……」
セイバー「……」
士郎「セイバー、あの……」
セイバー「……」スタスタ
士郎「……」
桜「先輩」
士郎「行こうか」
セイバー「……」
セイバー「いってらっしゃいませ……」
士郎「セイバー、お風呂あいたから」
セイバー「はい」
士郎「……」
セイバー「おやすみなさい、士郎」
士郎「あ、ああ……」
セイバー「……」
セイバー「はぁ……」
セイバー「士郎……」
士郎「……いってきます」
セイバー「お気をつけて」
士郎「……」スタスタ
セイバー「……」スタスタ
セイバー(もう殆ど口をきかなくなりましたね)
セイバー(主従関係でしかないのですから……当然ですが……)
セイバー「さてと……」
セイバー「……」
セイバー「……」ポロポロ
セイバー「あれ……」ポロポロ
セイバー「……」ゴシゴシ
セイバー「掃除をしましょう……」
セイバー「あとは……士郎の部屋ですね」
セイバー「……」ガラッ
セイバー「とはいえ……綺麗なのでどこを掃除していいやら……」
セイバー「そうです。今日はお天気もいいし、布団でも干しましょう」
セイバー「よっと……」
セイバー「あ……士郎の匂い……」
セイバー「……」クンクン
セイバー「はぁぁ……」
セイバー「……」クンクン
セイバー「……」
セイバー「……ちょっとだけ」
セイバー「……」モゾモゾ
セイバー「士郎の匂い……」
セイバー「……すぅ……すぅ……」
ゲシッ!!
セイバー「わぁ?!」
イリヤ「……」
セイバー「な……!?」
イリヤ「主がいないからって昼寝とは……肝が据わった侍女もいたものね」
セイバー「どどど、どこから……!?」
イリヤ「裏口が開いてたわ。無用心ね」
セイバー「あぁ……」
イリヤ「……」
セイバー「あの……このとこは……」
イリヤ「最近、士郎と喋ってないんだって?」
セイバー「え?」
イリヤ「士郎から聞いたわ。どうして?」
セイバー「えと……私はメイドとして士郎に仕えると決心したからです……」
セイバー「うぐ……」
イリヤ「貴女……本当に侍女に向いてないわ」
セイバー「料理はこれから―――」
イリヤ「違う」
セイバー「は?」
イリヤ「主の気持ちを察することもできない侍女は料理ができても掃除ができても、駄目なの」
セイバー「……」
イリヤ「家事をこなすことよりも、主のことを想う。それが侍女よ。今の貴女は料理もできない、掃除も中途半端、主も想えない最低の侍女なの」
セイバー「な……!!」
イリヤ「士郎の顔、ちゃんと見てる?」
セイバー「え?」
イリヤ「今にも海の底に向かっていきそうなほどくらーい顔してるのよ?」
セイバー「それは……」
イリヤ「何が原因か、わかる?」
イリヤ「あんたが暗い顔してるからよ」
セイバー「私が……?」
イリヤ「そして会話も最低限しかしてないんでしょ?」
セイバー「はい……」
イリヤ「はぁ……味付けも極端なら行動も極端なのね」
セイバー「……」
イリヤ「士郎は貴女と喋りたいし、ご飯も一緒に食べたいって想ってるのよ?」
セイバー「ですが……!!」
イリヤ「なに?」
セイバー「あの……士郎には将来を誓った人がいると……」
イリヤ「それで?」
セイバー「その……必要以上に親密になっては……士郎を困らせるだけだろうと……」
イリヤ「……ふふ」
セイバー「え?」
セイバー「そんなこと!?」
イリヤ「多分、士郎はそんな気ないと思うし」
セイバー「え……?」
イリヤ「いいから、これから士郎とはちゃんと会話すること」
セイバー「でも……」
イリヤ「好きになったならそれでいいじゃない。無理に気持ちを押しとどめることもないわ」
セイバー「いいのでしょうか……?」
イリヤ「誰を選ぶかは士郎だもん」
セイバー「イリヤ……」
イリヤ「はい!それじゃあ、家事を始める!!」
セイバー「は、はい!!」
イリヤ「居眠りしていた分、取り戻すのよ?」
セイバー「わかりました!!」
イリヤ「ふふ……」
セイバー「お、おわりました……」
イリヤ「まぁまぁ、ね」
セイバー「あの……」
イリヤ「なに?」
セイバー「士郎の誓い人とは……?」
イリヤ「それは―――」
士郎「―――ただいま」
イリヤ「ほら、帰ってきたわよ」
セイバー「あ、えと……」
士郎「あ……」
セイバー「お、おかえりなさい……」
士郎「あ、ああ……」
セイバー「……士郎。おやつの菓子が切れましたので……その……一緒に買い物でも……どうでしょう、か?」
士郎「え……」
セイバー「……」
士郎「……」
セイバー(気まずい……何を喋ったら……)
士郎「セイバー?」
セイバー「は、はい!?」
士郎「……」
セイバー「……」
士郎「あのさ……その……」
セイバー「はい……」
士郎「俺……セイバーになにかしたかな?」
セイバー「え?」
士郎「その……セイバーはずっとなにかに怒ってるんじゃないかって……でも、見当がつかなくて……」
セイバー「士郎……」
士郎「悪いところがあったら直すから……その……機嫌なおしてくれないかな?」
士郎「違う?」
セイバー「全ては私が悪いのです」
士郎「セイバー?」
セイバー「貴方に仕えようと気負うばかりに、主に多大なる心労を与えてしまった」
士郎「そんなこと……」
セイバー「最低のメイドです」
士郎「セイバーは最低じゃない!!」
セイバー「士郎……」
士郎「掃除だって毎日隅々までやってくれてるし……普段気にしないような細かいところも……」
セイバー「……」
士郎「洗濯物も綺麗になってるし……それから……」
セイバー「ふふ……士郎?それはメイドとして当然のことでして……あまりそこばかりを褒められると……私が無能みたいで……悲しくなります……」
士郎「いや!!!そういうことじゃない!!だから……あの……なんていえばいいか……」
セイバー「……」
セイバー「は?」
士郎「あ……いや……えと……うん……そういうこと……なんだ」
セイバー「それは……あの……」
士郎「セイバー……これからは……一緒にご飯食べてくれ」
セイバー「……はい」
士郎「セイバーのこと、もっと知りたいし……見ていたいんだ」
セイバー「私もです……士郎」
士郎「料理は俺が作るから……セイバーは他のことをしててくれ」
セイバー「いいえ。いつかマスターの舌をうならせるぐらい、上手くなります」
士郎「それだとセイバーが完璧になるからなぁ……」
セイバー「完璧はだめですか?」
士郎「だって、一個ぐらいセイバーを補えるところがあれば、セイバーとずっと一緒にいても飽きないし、楽しいと思う」
セイバー「士郎……」
士郎「セイバー……」
士郎「ただいま」
桜「おかえりなさい、先ぱ―――」
セイバー「士郎……」イチャイチャ
士郎「セイバー、すぐにおやつにするからな?」イチャイチャ
桜「……え?」
イリヤ「おかえりー、お兄ちゃん」
士郎「おう」
イリヤ「仲直りできたみたいね」
士郎「え、いや……」
セイバー「初めから仲違いなど起こしてません」
イリヤ「はいはい」
士郎「セイバーは座ってていいから」
セイバー「なりません。士郎こそ座っていてください」
桜「なんで……なにが……あったの……?」
士郎「ありがとう、セイバー」
桜「先輩?」
士郎「ん?」
桜「えと……」
イリヤ「駄目よ、桜。今は何を言っても無駄よ」
桜「そんな……」
士郎「どうかしたのか?」
セイバー「顔色がよろしくないようですが」
イリヤ「気にしないで。そろそろ帰るから」
士郎「もうか?」
イリヤ「ほら、桜。立ちなさい」
桜「いや……そんな……どうして……」
セイバー「あの……」
イリヤ「お幸せに」
士郎「あはは」
セイバー「もう笑わないでください」
士郎「セイバーは綺麗なだけじゃなくてかわいいな」
セイバー「やめてください」
士郎「あ、そろそろお風呂にはいるか」
セイバー「そうですね」
士郎「先にどうぞ」
セイバー「滅相もありません!!」
士郎「いいから」
セイバー「そんな士郎から!!」
士郎「……」
セイバー「……」
士郎「そうだな。じゃあ、俺から入ろうかな」
セイバー「え、ええ……そうしてください」
士郎「……」
トントン
士郎「セイバー?」
セイバー「はい……入ってもよろしいですか?」
士郎「うん」
セイバー「失礼します……」
士郎「どうしたんだ?」
セイバー「……」
士郎「セイバー?」
セイバー「あの……一緒に寝ても?」
士郎「な、なんでさ!?」
セイバー「あ、いえ……士郎がだめというなら……!!」
士郎「あ……うん……だめなことは、ない……」
セイバー「で、では……失礼します……」ゴソゴソ
セイバー(士郎の動悸が伝わってくる……)ドキドキ
士郎(セイバー……いい匂い……)
セイバー「……あの」
士郎「な、なんだ?」
セイバー「とても……幸せです」
士郎「あ、ああ……俺も……」
セイバー「―――あの……士郎?」
士郎「ん?」
セイバー「士郎には婚約者がいると……聞いたのですが……」
士郎「……」
セイバー「あの……この幸福がとても怖いのです」
士郎「セイバー……」
セイバー「いつか崩れてしまうものなら私は……」
士郎「イリヤのことか……」
士郎「ああ」
セイバー「でも……どうして?」
士郎「親同士が決めたことなんだ。一族のためとか、よくわかんないけど」
セイバー「それなら……士郎は……」
士郎「イリヤが昔さ、こう言ったんだ」
イリヤ『―――士郎が20歳になっても好きな人ができなかったら、結婚してあげる』
イリヤ『好きな人ができたらその人を幸せにしてあげること。私のことは保険とかそう言う風に考えてて』
士郎「イリヤは俺と結婚なんてしたくなかったんじゃないかな」
セイバー(違う……そんなことは……)
士郎「でも……もう……」
セイバー「え……?」
士郎「俺には好きな人……できちゃったし……」
セイバー「士郎……あの……」
士郎「セイバー……好きだ……」
士郎「いや……この状況なら……言えるかなって……」
セイバー「……こんな私を好きになっても……後悔するだけですよ?」
士郎「後悔なんてしない」
セイバー「え……」
士郎「俺はセイバーが傍に居てくれれば……いいから」
セイバー「料理……できませんけど」
士郎「俺がする」
セイバー「じゃあ……掃除は私がします」
士郎「洗濯は……当番制かな?」
セイバー「洗濯もします!!」
士郎「俺の仕事がなくなるんだけど」
セイバー「士郎は……美味しい料理を毎日つくってくれれば……」
士郎「そっか。がんばる」
セイバー「はい……」
士郎「セイバー!!」
セイバー「はい」
士郎「行ってきます」
セイバー「いってらっしゃいませ」
士郎「うん……」
セイバー「……」
桜「先輩!!はやく!!」
士郎「あ、ああ、ごめん!!」
桜「セイバーさん!!」
セイバー「はい?」
桜「私は諦めてませんから!!!」
セイバー「いつでも受けてたちます」
桜「くっ……!!!なんて余裕なの……!!!!」
セイバー「お気をつけて」
セイバー「む……もうマジック凛がないですね」
セイバー「新しいのを買いにいかないと」
イリヤ「―――ごめんあそばせ」
セイバー「イリヤ」
イリヤ「がんばってる?」
セイバー「あの……」
イリヤ「なに?」
セイバー「イリヤは士郎のことを……」
イリヤ「いいの。だって士郎が恋をしらないままで、私を好きだって錯覚されても嫌だもん」
セイバー「……」
イリヤ「そのかわり、士郎を泣かせたら……殺す」
セイバー「わ、わかりました……」
イリヤ「ふふ……さてと、ランチの用意でもしてくれるかしら?」
セイバー「は、はい!!ただいま!!」
セイバー「はぁ……」
士郎「お疲れ様、セイバー?」
セイバー「いえ」
士郎「今日も一日、ありがとうございます」
セイバー「いえいえ……士郎のためですから」
士郎「あはは」
セイバー「ふふ」
士郎「じゃ、おやすみ」
セイバー「はい、おやすみなさい」
セイバー「……士郎?」
士郎「ん?」
セイバー「―――よい夢を」
END
イリヤが可愛い
セイバーが幸せになってよかった
Entry ⇒ 2011.12.28 | Category ⇒ FateSS | Comments (0) | Trackbacks (0)
紅莉栖「ガンダムEXVS?」
ダル「オカリン、暇だし久しぶりにゲーセン行かね?」
岡部「どうしたダル、暇ならばメイクイーンにでも行けばいいのではないか?」
ダル「残念ながら今日はフェイリスたんは休みなんだお」
岡部「…前から思っていたが何故フェイリスのシフトを完全に把握しているのだ?」
ダル「一フェイリスファンとしてシフトを把握していることぐらい当然だろ常考」キリッ
ダル「それに夏休み入ってから全然行ってなかったっしょ?」
岡部「ふむ…確かに夏休みに入ってからは全然行ってなかったな」
岡部(まあゲーセンどころではなかったからな、金銭的な問題もあるが…)
マイフェイバリットライトアーム
岡部「我が右腕の頼みとあらば仕方ない、この狂気のマッドサイエンティストこと鳳凰院凶真がゲーセンへ華麗に出撃を…」
ガチャ
紅莉栖「ハロー」
紅莉栖「ん、まゆりはまだ来てないの?」
紅莉栖「だからティーナではないと言っとろーが!」
紅莉栖「ったく…ところで出撃がどうとか言ってるのが聞こえたけど今から買い物にでも行くのか?」
マイフェイバリットライトアーム
岡部「知りたいのならば教えてやろう、先ほどこの鳳凰院凶真は我が右腕たるダルから救援要請を受けt」
ダル「要するに、暇だからオカリンと二人でゲーセンに行こうとしてたところだお」
岡部「ぐぬぬ…まあそういうことだ、助手も一緒に来るか?」
紅莉栖「はぁ…まあいいわ、どうせ暇だったし」
紅莉栖「それに少しぐらい知識はあるけど行ったことないから興味もあるしね」
岡部「よし、決まりだな…」
紅莉栖「くそみそ乙」
岡部「むう…流石にこの時間はまだ過疎っているな」
紅莉栖「なに、そのゲーム?」
岡部「これは機動戦士ガンダム Extreme vs.という対戦ゲームだ」
岡部「俺はゲーセンに行くときは大体いつもこれをやりにゲーセンに来ているのだ」
紅莉栖「そういえば前にロボット系のアニメとか好きだって聞いたわね」
岡部「ああ、まあそこまで詳しいわけではないが…クリスティーナはガンダムは詳しいのか?」
紅莉栖「だからティーナと呼ぶなと…@ちゃんねるとかでちょっとかじったぐらいの知識しか無いわよ?」
岡部「まあ@ちゃんねらーなら多少の知識は持ってるだろうな」
岡部「これは1対1で戦う普通の格闘ゲームと違って2対2で戦うゲームだからな」
岡部「個人の技術だけではなくパートナーとの戦略や息の合ったコンビネーションも重要なゲームなのだ」
紅莉栖「息のあった…コンビネーション…」
―――――――――――――――――――――――――――――
岡部「流石だな紅莉栖!」
紅莉栖「ふふふ、私たちのコンビネーションの前には敵なしね」
岡部「ああ。やはり俺のパートナーは紅莉栖、お前しか居ない」
岡部「そして人生のパートナーもな///」
紅莉栖「岡部…///」
岡部「紅莉栖…///」
―――――――――――――――――――――――――――――
岡部「一体何を想像しているのだ?」
紅莉栖「な、なんでもない!」
紅莉栖「と、ところで…カードの差込口があるみたいだけどこのゲームってプレイするのにカードが必要なの?」
岡部「いや、プレイするだけならカード無しでも可能だ」
岡部「だがカードがあれば戦績が、モバイルサイトに登録しておけばPNやBGM・ゲージのデザインなどのカスタマイズが出来る」
岡部「初心者がいきなりカードを使っても挿すたびに戦績を見てへこむだけだしカードを作るのは操作になれてからの方がいいだろう」
紅莉栖「戦績か…岡部は何戦ぐらいしてるの?」
岡部「ああ、えーっと何戦だったか…」
スチャッ
2498戦 1517勝 61.5% 俺がガンダムだ
お気に入り機体
エクシア 00 クアンタ
☆3 ☆3 ☆2
このカードを使用しますか? はい いいえ
紅莉栖「に、2498戦って…」
ダル「上級者になると10000戦越えしてるやつもザラなんだなこれが」
紅莉栖「でも一回100円って考えると結構な額のお金使ってるんじゃないの?」
紅莉栖「アンタいつも結構お金に困ってるイメージがあるんだけど」
ダル「oh…」
岡部「…クリスティーナよ、そういうことを聞くのはやめてくれ」
岡部「正直今までいくら使ったかはあまり想像したくないんだ…」
紅莉栖「ゴ、ゴメン…」シュン
紅莉栖「んー…特にどれが使いたいってのは無いのよね」
紅莉栖「というか何を使ったらいいか分からないってのもあるし…それ以前に操作とかいろいろ確認しないと」
岡部「ああ、そういえばまだだったな」
岡部「とりあえず操作だが…かくかくしかじか」
牧瀬「まるまるうまうま、と…とりあえず基本的なシステムについては把握したわ」
岡部「この短時間で基本システムについて把握するとは…やはり天才か…」
ダル「凄ェ!さすが牧瀬氏!」
※未プレイの方は↓のwiki参照して下さい
http://www29.atwiki.jp/arcgundamvs/
ダル「とりあえず初心者がいきなり1000コス使うのは止めた方がいいお」
紅莉栖「でも初心者なら1000コストの方がいっぱい落ちれていいんじゃないの?」
岡部「フゥーハッハッハ!だからお前は助手なのだ!」
紅莉栖「助手言うなバカ岡部!でも落ちれる回数が多いのは本当でしょ!」
ダル「牧瀬氏牧瀬氏、1000コストは確かに落ちれる回数は多いけど基本的に機動力が低いんだお」
ダル「だから相手を追いかけるのも逃げるのも大変だから連携とか立ち回りが上手くないとすぐ蒸発しちゃうんだなこれが」
ダル「しかもほとんどの機体が武装に一癖も二癖もあるもんだから初心者にはオススメ出来ないお」
紅莉栖「そ、そうなの…」ショボーン
ダル「美少女ならともかく髭生やした男のツンデレとか誰得…」
ダル「ところで牧瀬氏、さっきみたいなこと言っておいた後でなんだけどこれとかどうよ?」
紅莉栖「何これ…ええと、アレックス?」
岡部「ブフ…フゥーハッハッハwwwww名前が同じクリス同士で丁度いいではないかwwwww」
紅莉栖「芝を生やすな、海馬に電極突き刺すぞ」
岡部「すみませんでした」
岡部「まあ初プレイの時なんて操作確認で精一杯だろうからな…」
紅莉栖「別にいいけど…アレックスってどんな機体なの?」
岡部「基本的にはアーマーを脱いで射撃戦をしながら近づいてからアーマーを着て格闘を叩き込む機体といったところだ」
岡部「…正直俺も使ったことないからよく分かってないがな」
紅莉栖「ええと、とりあえずアーマーを脱いで近づくのね?」
ダル「牧瀬氏、『脱いで近づく』って所をセクシーな声でもう一回…」
紅莉栖「自重しろHENTAI」
紅莉栖「あれ、岡部もやるの?」
岡部「鳳凰院教官と呼べ、クリスティーッナ!何かやらかしても俺がフォローしてやるから落ち着いて操作するのだ!」
紅莉栖「あ、ありがとう…///」
ジョインジョイン
紅莉栖「アレックス、出るわよ!」
岡部「よし…エクシア、目標を駆逐する!」
岡部「ルートは…Aでいいか、ステージが少ないトライアルよりステージが多い方がいいだろうし」
ダル「これはひどい」
岡部(初プレイで何も知らずにいきなりシャゲダンするとは、やはり他人を煽ることに関して天性の才能を持っているとしか思えんな…)
ウィーン
4℃「4℃様華麗に参上」
4℃「ん…男のものである戦場に女子供が居るとは、気に入らねえな」
手下「カップルが練習してるみたいですね」
ヴァイラル・アタッカーズ
4℃「クッ…どうやら“黒の戦隊”隊長の“黒い貴公子”こと4℃様によって漆黒に染められたいらしい」
手下「俺もお供します」
スチャッ スチャッ
3427戦 1604勝 46.8% 黒の戦隊
お気に入り機体
デスヘル ベルガ X2
☆5 ☆3 ☆2
このカードを使用しますか? はい いいえ
少佐
2119戦 929勝 43.8%
お気に入り機体
このカードを使用しますか? はい いいえ
紅莉栖「へー、そんな有名なやつらなの?」
岡部「ああ、最も有名なのは悪い意味でだがな…」
岡部「あいつらはリアルファイト・台パン・台蹴り・煽り・GN灰皿・リプレイ晒しなど何でもやるDQNどもだ」
岡部「したらばの地域スレでも何度か晒されている、恐らく他のゲーセンで出禁になったからここに来たのだろうな…」
ダル「あいつら雷ネットもやってるんだけど黒い噂が絶えないお」
紅莉栖「今時ゲームが原因でリアルファイトしちゃう男の人って…」
岡部「…まあいい歳してやるのはあれだが子どもには意外とあるものらしいぞ、スマブラとかボンバーマンとか桃鉄とかな」
-!CAUTION!-
紅莉栖「え、何ぞこれ?」
岡部「やはり乱入して来たか…」
紅莉栖「ちょ、全然練習出来てないんですけど!?」
岡部「ダルよ、アレックスに乗ったことは?」
ダル「悪いなオカリン、僕ゴッド専なんだお」
岡部「むぅ…」
紅莉栖「ど、どうしよう岡部!?」
岡部「紅莉栖よ、落ち着いて操作方法やシステムを確認するのだ」
岡部(勝つのは難しいだろうな…まあ最善を尽くすしかあるまい)
†黒い貴公子4℃† 中佐 黒の戦隊
VS
A-TEAM / B-TEAM V・アタッカーズ
サイド7
ガンダムエクシア ベルガ・ギロス
鳳凰院凶真 大将 俺がガンダムだ 少佐
岡部(相手は近距離より機体×2か、エクシアでは厳しいな…)
岡部(特にデスヘルの格闘性能は伸びを除けば全機体最強クラス、接近戦では勝機は無い…)
岡部(狩りのつもりなら恐らく助手を集中狙いしてくるだろうからそこを闇討ちするしかあるまい)
GO
手下「そらっ!」
紅莉栖「アーマーがあっという間に…!」
岡部「今助けるぞ紅莉栖…何っ!」
4℃「行かせねえぜ!」
岡部「クッ…擬似タイマンに持ち込まれるとエクシア単機では!」
残コスト6000→5000
岡部(やはり厳しいな…こっちに攻めてくるぶんにはやりようがあるのだが)
紅莉栖「え…///」キュン
ダル「こんなときにもフラグ立てるんじゃないおオカリン!」
岡部「いいからアーマーを着て下がっていてくれ!」
紅莉栖「う、うん!」
4℃「格闘戦で死神に勝てるとでも思ってるのか?とんだ間抜け野郎だぜ、これでも喰らいな!」
岡部「フッ…それはどうかな!」
4℃「なっ…エクシアごときの格闘に潰されただと!」
岡部(前格なら一応判定勝ち出来るからな…射撃派生が当たらないと安いからハイリスクミドルリターンだが)
4℃「チッ、しゃらくせえ…アレックスを片追いするぞ!エクシアなら格闘を喰らっても火力勝ち出来る!」
手下「了解です!」
手下「ぐっ!」
4℃「さっさと落としてやるよ!」
紅莉栖「!?姿が見えなくなった!?」
ダル「デスヘルは特殊射撃のハイパージャマーで姿を消せるんだお!」
ダル「消えてる間は攻撃か被弾をするか任意解除するまで銃口補正や誘導がかからないんだお!」
4℃「あーらよっと!」
紅莉栖「きゃっ!」
残コスト5000→4000
岡部「アレックス3落ち狙いか…ラッセ!」
4℃「当たらねえよ!」
岡部(糞、射撃でカットしたいが手数と火力が足りない…!)
手下「なっ!」
敵残コスト6000→5000
4℃「油断しやがって、馬鹿が!」
手下「す、すいません」
岡部「お前が言うな、そこだっ!」
敵残コスト5000→2500
4℃「糞、エクシアごときに…!」
>>28
遠まわしにゴッド以外乗らないって断ってる感じです
シュピーン!
4℃「喰らえ!」
紅莉栖「また姿が消えた…きゃっ!」
残コスト4000→3000
岡部「紅莉栖!?しまった!」
手下「これでどうだ!」
残コスト3000→1000
岡部「くっ…」
岡部(紅莉栖が落とされる前にデスヘルを落とすしか無い!)
岡部「紅莉栖、次何か攻撃を喰らったら覚醒を使って覚醒抜けをして時間を稼いでくれ!」
紅莉栖「わ、分かったわ!」
岡部「このっ!」
4℃「甘いぜ!」
岡部「かち合いで負けるのも計算の内だ…トランザム!」
シャキーン!
4℃「覚醒抜けか!…クッ、ブーストが足りねえ!」
岡部「俺が…ガンダムだ!」
4℃「トランザム格闘5段×2…攻め継続か!」
紅莉栖「か、覚醒を!」
シュピーン!
岡部「紅莉栖!…さっさとケリをつけねば!」
4℃「フッ…どうやら忘れているようだな」
4℃「この4℃様のみに許された武装、ハイパージャマーの存在をな!」
ダル(いや、誰でも使えるでしょ常考)
カチッ
4℃「リ、リロード中だと!?」
岡部「先ほど使ったばかりだろうが、間抜けめ!」
4℃「着地硬直に格闘が…!」
岡部(だが後一回格闘コンボを決めれば勝てる!)
LOSE
手下「4℃さん、てこづってすいませんでした」
紅莉栖「ゴメン、岡部!」
4℃「油断してたぜ…だがまあ当然の結果だな」
手下「男の方はなかなかやるみたいでしたが、4℃さんにかかればこんなものですね」
岡部「間に合わなかったか…!」
ダル「残念ながらデスヘルも覚醒も溜まっていただろうしワンチャン無かったと思うお」
岡部「気にするな、俺は気にしてない。一回や二回ぐらい負けることぐらい誰でもある」
岡部「それに最初から上手いやつなんて居ないものだ。紅莉栖の責任ではないさ」
ダル「最初から牧瀬氏ガン狙いしてたからなー、まあ仕方ないと思われ」
岡部「シャッフルなどでも弱い方を集中狙いするのは定石だからな」
岡部「俺の場合相手にあまりに戦績が酷いやつが居ると極力狙わんようにしてるが、所詮自己満足だ」
ダル「しかし対戦の定石とは言えちょとsYレならんしょこれは・・?」
フェイリス「それ以前にアレックスエクシアの時点でキツイと思うニャ」
岡部「フェイリスか!?どうしてここに?」
フェイリス「凶真を笑いに来たニャ、そう言えば凶真の気も済むんじゃないかニャン?」
岡部「好きでこうなったのではない!それはお前にも分かるはずだ!」
フェイリス「流石は凶真、突然のフリでもバッチリニャ!」
岡部「フッ、この鳳凰院凶真を見くびってもらっては困る!」
岡部「まあそれはさておきフェイリスよ、なぜここに居るのだ?お前もこれをやりに来たのか?」
フェイリス「もちろんニャ!でも凶真たちと会ったのは偶然なのニャ!」
フェイリス「やっぱり凶真とフェイリスは運命の赤い糸で結ばれているみたいだニャ♪」ダキッ
岡部「ちょ…い、い、いきなりなにをする!」
コンフューズ的な
一定距離まで灰を振りまきつつ爆散
ゲーセン怖い
世の中にはGN腹パンとかもあるらしいぞ
なんぞそれwwwwww
酷過ぎるwww
ダル「屋上へ行こうぜ…久しぶりに…キレちまったよ…」
岡部「何故俺が責められる!?」
岡部「と、とりあえず早く離れるのだ!」ガバッ
フェイリス「なんだか凶真が冷たいニャ…」グスン
岡部「べ、別に冷たくしているとかそういうわけでは無くな…」
岡部「そ、そういえばお前もこれをやっていたのだな、全く知らなかったぞ」
フェイリス「前からやってたのニャ、まあプレイ頻度はあまり高くないんだけどニャン」
フェイリス「凶真と会わないのはたぶんそのせいだニャ」
岡部「まゆりはやっているのは知っているがお前がやっているのは今初めて知ったぞ」
紅莉栖「え、まゆりもこれやってるんだ」
ダル「フェイリスファンならフェイリスたんがやってることぐらいみんな知ってるお」
4℃「チッ…あの目障りなメス猫も来てやがるのか」
手下「どうやら今乱入した奴等の知り合いみたいですね」
4℃「丁度いい、伊達ワルの名にかけて全員まとめて凍りつかせてやるぜ!」
岡部「さて乱入するか、ダルはゴッドだから俺はクアンタでも使おうかな」
ダル「あの動き見た限りじゃ僕とオカリンが組んだらたぶん勝てると思われ」
岡部(しかしあのDQNども相手だからな…)
岡部「ダルよ、ちょっと用事があるから待っていてくれ」
岡部「ああ、行くぞダルよ!」
ダル「おう!」
スチャッ スチャッ
変たいと言う名の紳士 元帥
6863戦 4658勝 67.9% キングオブハート
お気に入り機体
ゴッド
☆5
このカードを使用しますか? はい いいえ
チャリン チャリン
岡部「ダブルオークアンタ、未来を切り開く!」
ダル「出ろぉぉぉ!ガンダァァァァム!」パチィン
変たいと言う名の紳士 元帥 キングオブハート †黒い貴公子4℃† 中佐 黒の戦隊
VS
ウホッ!!いい男たち A-TEAM / B-TEAM V・アタッカーズ
サイド7
ダブルオークアンタ ベルガ・ギロス
鳳凰院凶真 大将 俺がガンダムだ 少佐
4℃「メス猫の取り巻きには元帥も居やがるのか…!」
手下「何とか同時落ちを狙うしか無いですね」
岡部「おいダル、タッグ名」
ダル「ゴメンゴメン☆ミ」テヘペロ
GO
岡部「切り裂く!」
4℃「クッ、流石の俺でもあの2機相手に突っ込むのは無理だな」
手下「ええ、とりあえずは様子見ですね」
岡部「GNソードビット!」
ダル「石破、天驚拳!」
4℃「痛っ…とりあえずクロークに換装だ!」
手下「バグでも撒いておくか…」
手下「チッ、だがベルガならバリアごとき…」
岡部「甘いな!」
手下「BR始動か!?」
岡部「ここは!俺の距離だ!」
紅莉栖「? バリアを着けているんだから無理やり格闘に行けばいいんじゃないの?」
フェイリス「ベルガのシェルフ・ノズルやバズーカみたいな実弾+爆風の射撃は実弾部分でバリアが破壊されると爆風を喰らうんだニャ」
フェイリス「それに1000コストならBR始動コンボ2回で落とせるから無理する必要もないのニャ」
ダル「たぁ!」バキッ
4℃「闇討ちか!?」
ダル「ばぁぁく熱、ゴッド、フィンガー!!ばぁぁく熱、ゴッド、フィンガー!!」
4℃「ワ、ワンコンで300越えだと!?」
ダル「誰も、俺のゴッドガンダムの凄さを知らないんだ」ドヤァ
岡部「コンボ選択も含めてその判断力は流石だな、ダル!」
手下「うおっ!?」
敵残コスト6000→5000
4℃「クッ…格闘性能自体ならこっちの方が上だ!」
ダル「うおっ!」
岡部「ダル、神2落ち作戦に変更するぞ!」
ダル「了解だお!」
岡部「BD格か…だがここは俺の距離だ!」
手下「がっ!」
岡部「そこっ!えあっ!」
紅莉栖「えっ、今不自然な落ち方したけど?」
フェイリス「BS時の前格は突き部分で相手が強制ダウンしたら即落下出来るのニャ」
フェイリス「低コスト相手にさっさと起き攻めに移りたい時とかには使えるニャ、この場合1000を2落ちさせてコストオーバー狙いかニャ?」
4℃「助けに行きたいところだが…」
ダル「逃がさんぞ!」
4℃「チッ、ジャマーだ!」
刹那の声と同じだから?
岡部「大丈夫だ、恐らくこっちに来る前に落とせる」
手下「クッ…高飛びすれば!」
岡部「甘い!」
手下「な、後格で追いついてきやがった!」
4℃「糞、間に合わねえ!」
敵残コスト5000→4000
ダル「ふん!ぬおおっ!」
4℃「な、いつの間に!」
敵残コスト4000→1500
>>68
中の人ネタやりたかっただけです
4℃「…ってクアンタの目の前に復帰か!」
岡部「えあっ!えあっ!えあっ!」
4℃「うおっ…全覚抜けするしかねえ!」
シュピーン
岡部「だろうな……ッ!」
ガガガガガ
岡部「デナン・ゾンか!」
手下「4℃さんはやらせねえよ!」
ダル「当たれ!」
手下「ぐあっ!」
ダル「よしっ、これで覚醒が貯まったお!」
ダル「終わらせるぞ…!」
シュピーン!
4℃「覚醒か、だがこっちにはジャマーがある」
ダル「はあぁ!」
4℃「なに、掴まれただと!?」
ダル「ヒィィィィト、エンド!」
WIN
4℃「糞っ、“不運”と“踊”っちまったぜ…」
岡部(オーバーヒ-ト中に近距離でジャマーなど使うからだ、運のせいじゃなく自業自得だ)
ダル「いやあ、ヴァイラルアタッカーズは強敵でしたね…」
フェイリス「流石は凶真とダルニャンだニャ!」
紅莉栖「やっぱり二人ともガンダム上手いわね」
岡部「ありがとう、最高の褒め言葉だ」
4℃「だがこんな幸運は何度も続かねえことを教えてやるぜ!」
チャリン チャリン
岡部「誰に向かって喋っているのだお前は」
4℃「…糞っ!」バンッ
紅莉栖「ひっ!」
4℃「たまたま運良く何回か連続で勝てたからって調子に乗ってるんじゃねえぞ!」ガタッ
紅莉栖(こ、怖い…)
フェイリス(な、何故か前にもこんなことがあったような気がするのニャ…)
ダル「オ、オカリン、これヤバくね?」
岡部「大丈夫だ、手は打ってある」
警察「ちょっといいかな?」
4℃「」
何でもGN付んなwww
警察「たしか君達は前にも他の店で騒ぎを起こしてたよね、ちょっと署まで来てくれるかな?」
4℃「…グラチャンでこの借り、返してやるよ!」
手下「糞っ、覚えてろ…」
ウィーン
紅莉栖「こ、怖かった…」
フェイリス「もしかして凶真はこうなるのが分かってたのニャ?」
岡部「ラボメンの身の安全を守るためにもしもの場合を想定して行動するのはラボの長として当然のことだ」
岡部(タチの悪い連中だということはあの世界線で知っていたからな)
ダル「流石オカリン!おれたちにできない事を平然とやってのけるッ!そこにシビれる!あこがれるゥ!」
紅莉栖「え、私も!?」
岡部「実戦に勝る訓練は無いというしな、まあ習うより慣れろというやつだ」
岡部「幸いここには勝率制限台もあるからな、初心者が練習するにはもってこいだろう」
紅莉栖「うーん、基本操作はだいたい分かったけどまだ自信が…」
岡部「早く一人前になった助手と組んだり戦ってみたいからな、俺も協力するぞ」
フェイリス「フェイリスもクーにゃんが早く一人前になれるよう応援するニャ!」
紅莉栖「…よし、じゃあ頑張ってやってみるわ!」
岡部「それでこそ我が助手だ!さあ、シャッフル台まで行こうではないか!」
紅莉栖「だから助手言うな馬鹿岡部」
ワイワイガヤガヤ
…………
………………
ダル「じゃ、僕はこの辺で帰るお」
岡部「じゃあな、ダル。しかし紅莉栖が半日ぐらいで尉官並みの動きが出来るようになるとはな」
岡部(メキメキ腕を上げる紅莉栖を見ていて2,3日で腕が抜かれるんじゃないかとちょっと焦っていたのは内緒だが)
紅莉栖「ふふっ、岡部とは違うのだよ岡部とは」
岡部「な…、ええい助手の分際で…」
紅莉栖「…でも今日はありがと、楽しかったわ」
岡部「むっ…」
紅莉栖「向こうでは、こんな風にみんなで遊んだような経験も無かったから」
紅莉栖「本当にありがとうね、岡部」
岡部「それに12月には家庭用も出るからな、向こうに戻ったとしてもネット対戦ぐらい出来るだろう」
紅莉栖「…で、岡部はPS3と家庭用を買うお金のアテはあるの?」
岡部「ぐぬぬ…何とかするさ、お前の為だからな」
紅莉栖「え…///」
岡部「ち、違うぞ、今のは向こうに戻っても遊ぶ相手の居ないぼっちの助手に対する哀れみの情から…」
紅莉栖「…一言多いんじゃおのれは!」ドカッ
岡部「痛っ!お、落ち着けクリスティーナ、今のは俺が悪かった!」
岡部「だから止めろ!また入院して下の世話をしてもらうことになるのはもうゴメンだ!」
ダル(ラボに来てみたらが修羅場みたいなふいんきになっている件について)
まゆり「まゆしぃが居ない間にみんなでワイワイ対戦してたなんて…」
まゆり「参加出来なくてまゆしぃは残念なのです…」
るか「おか…凶真さん、僕が居たら迷惑でしたか…?」グスッ
萌郁「………」ムスッ
シャイニングフィンガー
岡部「そ、そういうわけではないのだ!まゆりも閃光の指圧師もバイトだったから仕方ないだろう!」
岡部「それに助手を誘ったのは成り行きだしフェイリスが居たのは偶然だったからな」
るか「………」グスッ
岡部「だ、だからそんな捨てられた子犬のような目で俺を見るな!」
岡部「そ、そうだ、家庭用も出ることだしラボメン全員でやろうではないか!」
岡部「ルカ子や萌郁はよく知らんだろうからこの俺自ら直々にマンツーマンでレクチャーしてやる!」
萌郁「………それなら、許してもいい」
紅莉栖「わ、私も岡部がやりたいならその…私にマンツーマンでレクチャーさせてあげてもいいわよ?」
フェイリス「フェイリスも教えて欲しいのニャ!」
まゆり「まゆしぃもオカリンにマンツーマンで教わりたいのです!」
岡部「助手にはすでに基本的な立ち回りなどについては教えたからもうレクチャーなど要らんだろう、すでに尉官クラスの腕があるし」
岡部「フェイリスは元帥ではなかったか?まゆりも俺より上手いはずだし、なぜ教わる必要があるのだ?」
紅莉栖・フェイリス・まゆり「「「…」」」
ダル「オカリンは一回爆発した方がいいと思うお、ていうか爆発しろ」
終わり
乙!
とりあえず適当に考えてたラボメンの持ち機体は
オカリン…クアンタ・00・エクシア(中の人)とX1
ダル…ゴッド(中の人)
まゆり…ベルガ(シャル繋がりで近距離強め)・隠者(シャル繋がりで武装多い)
助手…アレックス(名前繋がり)
萌えいくさん…羽
ルカ子…男の娘だから髭
フェイリス…癖がある、もしくはネタ要素が強い機体全般
鈴羽…マスターかドラゴン一択
みたいに考えてました
鈴羽出したかったんですがシュタゲ世界線だと…
一応GN警察じゃなくて颯爽と鈴羽登場とかも考えてたんですけど
ムカついたけど壁を殴る機体が無い、壁を殴りたいけど殴る壁が無い、そんなときに!
壁殴りで鍛えたガンダムたちが一生懸命あなたの代わりに壁を殴ってくれます!
モチロン壁を用意する必要もありません!スタッフがあなたの家の近くの家の壁を無差別に殴りまくります!
1時間\1200~ 24時間営業 年中無休!
__
ヽ、r'ュ_,rッ<、
__ li Yvィュ ,{、>イノ _ ___/ ̄rヽ、
l ヽ _>ー,ll={ln〈ィl∠f‐/└' - '>/-、||
〉、>_i」r‐'/r_ニ/〈‐'´ /ヽ} l/
ヽヘ ゞ=(./ー'くヾ='、ヽト、_, ヘ / /
∨Yt-ヘ「|ヽ>ヽノヽ」__ト、 ∨ ∧ 壁殴り代行では同時にマイスターも募集しています
/ / 〉、||〈_>'_/ヘ /7/'〈-ヘ _ヽ∧ 操縦に自身のあるそこのアナタ!一緒にお仕事してみませんか?
,イ_/>.ノ 〉、ヽノ〈`lー〈/ 〕ン ハ`〉∧ 壁を殴るだけの簡単なお仕事です!
/- 〃_ フr{_r‐<_}_ユ !-ュ {i =|{(、))∧〉
//,〃 >ー└/ | l--┘' /ヽ,|L」 ! || リ
/、へ / ,>、`!__//l'´ /-ヘソ〉‐'コl !l/
〉>>' i、/ハl l l__ハ-‐ヘ〈 ゞ、-レll/
ヒ!、〉 { !l l `ト '=、∧ l l l/,〈___リ
`^゙′ !.l| ! | / |l | | l l |^ー‐'
Entry ⇒ 2011.12.28 | Category ⇒ シュタインズゲートSS | Comments (0) | Trackbacks (0)
吸血鬼「そういえば、母乳って血液なのよね」女「私は出ないからね」
悪くない
女「赤ちゃんが出来ないと出ないの」
吸血鬼「えー。じゃあさっさと赤ちゃん作ってきなさいよ」
女「できるくぁ! つーか、なんでアタシなのよ!?」
吸血鬼「え、だって……ぽっ」
女「何故そこで頬を赤らめる」
吸血鬼「貴女、お隣さんを売る気?」
女「ぐっ……良心を突いてきやがるこの女郎ッ!」
吸血鬼「おっぱいだしてみなさいよ。もしかしたら出るかもしれないじゃない。エロ漫画みたいに」
女「出るかッ!」
吸血鬼「じゃあどうしろって言うのよ!」
女「こっちの台詞じゃあ!!」
吸血鬼「あんっ、強引ね♪」
女「こうでもせんと母乳談義から離れられん」
吸血鬼「で、何よ?」
女「そろそろ帰りなさいよ。何言ったって血は分けたげないからね」
吸血鬼「えー」
女「えー、じゃない」
女「そんな一時の快楽に身を任せてられるか」
吸血鬼「今ならもれなくお肌も綺麗になるしお通じも良くなるわよ」
女「……」
吸血鬼「あ、今ちょっと揺らいだでしょ?」
女「そ、そそそそんなことあるわけねぇべ!」
吸血鬼「ふふっ、分かりやすいわね」ズイッ
女「ちょ、迫るな」
女「近い近い、顔が近い」
吸血鬼「貴女の血が吸いたくて吸いたくてたまらないの……」
女「おーい、聞こえてるー?」
吸血鬼「ふふ、ねぇ? 一緒になりましょ?」
女「……だぁらっしゃああああい!!」トモエナゲッ
吸血鬼「うきゃあっ」
吸血鬼「んもぅ、痛いじゃないのよぅ」
女「だまらっしゃい! アンタやっぱり危ねーよ!」
吸血鬼「もう少しだったのに……」
女「こんな所で堕ちてたまるか」
吸血鬼「貴女も頑なねぇ」
女「私は白馬に乗った運命の王子様を待ってるの」
吸血鬼「白馬に乗った王子様(笑)」
女「笑うな」
女「ぐぬぬ、取り付く島もない」
吸血鬼「うふふ」
女「とっとと帰って。私の生活に支障をきたすから」
吸血鬼「でも、私も血を飲まないと生きてけないのよねぇ」
女「そんなの代わりがいくらでもいるじゃない。アタシより良い女は星の数ほどいるよ」
吸血鬼「そんな貴女が良いの」
女「だめだ、グダグダだ……」ズーン
吸血鬼「やーだぷー」
女「何それ。なんか知らんけど腹立つ」
吸血鬼「流石の私も学業は邪魔しないわよ。日の光に当たるのも嫌だし」
女「変なところで常識人ね。太陽に行ってとろけちまえ」
吸血鬼「あら、おかえりなさい」
妹吸血鬼「おかえりなさい」
女「何で当然の様に増えてるのよ」
妹吸血鬼「あ、申し遅れました。わたくし、この愚姉の妹をさせてもらってます」
女「あ、ご丁寧にどうも」
妹吸血鬼「この度はうちの姉がご迷惑をお掛けして、誠に申し訳ございません」
女「お、oh,,,」
吸血鬼「や!」
妹吸血鬼「こんな時だけ可愛くしたって無駄です」
吸血鬼「やーなのー!」ダキッ
女「こ、こらっ! 抱きつくな!」
吸血鬼「お願い……もう少しだけ、このままでいさせて?」
女「うっ……」(なんだこの破壊力……すげードキッとした)ドキドキ
妹吸血鬼「こうなったら力づくで……」
女「ちょ、ちょい待ち!」
女「もうちょっとだけ、一緒に居させてあげても……いい、かも」
妹吸血鬼「へ?」
吸血鬼「本当!? ありがとっ!」ギューッ
女「苦しい苦しい……勘違いしないでよね、今のアンタがほんの少しだけ不憫に思っただけなんだから」
妹吸血鬼「はぁ……」
吸血鬼「んふふー」ギュー
吸血鬼「うちの妹は帰ったし、早速ちゅーちゅーさせてもらおうかしら?」
女「アンタ、血を吸わないとどうなる訳?」
吸血鬼「そうねぇ、長期間吸わないと禁断症状が出て見境無く手当たり次第に血を吸っちゃうわね。最悪死ぬ」
女「おぉう……思った以上にヘヴィね」
吸血鬼「私は強引に吸うのって好きじゃないのよねぇ。かといって吸わないわけにもいかないし」
女「……血を吸われる方に、メリットはあるの?」
女「それは本当だったのか」
吸血鬼「詳しい理由は良く分からないんだけどねぇ」
女「デメリットは?」
吸血鬼「ん~、そうねぇ。こちらが吸い過ぎると、吸われる方が依存状態になっちゃうくらいかしら」
女「……嫌な予感しかしない」
女「まぁ、少しの間だけ面倒見るって妹の方にも言っちゃったし、他の人に迷惑掛けられるのもアレだから……」
吸血鬼「だから?」
女「す、少しくらいなら……吸わせてあげてもいい、けど」
吸血鬼「本当? ありがとー!」ギュー
女「苦しいって!」
女「ちょ、ちょっとだけだかんね」
吸血鬼「分かってるわよ。じゃ、遠慮なく」
女「んっ……」ドキドキ
女「痛っ」
吸血鬼「痛いのは最初だけよ。段々気持ち良くなってくるから」
女「さ、さっさと終わらせなさいよね」ドキドキ
吸血鬼「言われなくてもね。……ちゅ、んふ……ちゅる」
女「あっ、んんっ」ビクッ
吸血鬼「ふっ、ん……ちゅ~っ……ぷはっ」
女「んん~っ!」ビクビク
吸血鬼「んふ、ご馳走様」
女「あっ、はぁ……はぁ……」
吸血鬼「ふふっ、どう? 気持ち良かったでしょ?」
女「否定はしない。うわ、首がベトベトだ」
吸血鬼「ごめんなさい、あんまり夢中だったものから」
女「変な汗も掻いたし、ちょっと風呂に入ってくる」
吸血鬼「ふふっ、いってらっしゃい」
吸血鬼「うふふふ……」
女「あ゙ー、やっぱり追い出しときゃ良かった……」
女「しかし、心なしか肌が綺麗になってる気が……イカンイカン、落ち着けスネーク、それはプラシーボ効果だ」
女「気持ち、良かったけどさ」
女「やべー、思い出したら火照ってきた。……ちょっとくらいなら、良いよね?」
女「ん……」チュク
女「ヴぇのあっ!? な、ななななななんでアンタこっここに!!」
吸血鬼「私もシャワー浴びたくなってきたのよ」
女「だったら後で入ってきたらいいでしょうがー!」
吸血鬼「カタイこと言わないの」
女「出てけ!」
女「おいおいおいおいそれ以上近づくなマジヤバイ」
吸血鬼「無理しなくてもいいのよ? 体が疼いて仕方がないんでしょ?」
女「そっ、それは……」
吸血鬼「……ごめんね、ちょっと嘘ついちゃったわ」
女「えっ?」
吸血鬼「一度でも吸血鬼に血を吸われた人間は、その吸血鬼の虜になってしなうの」
女「そ、そんな……」
女「ぅあ……」
吸血鬼「ね、我慢しなくてもいいのよ? ほら、私の手をとって?」
女「ぃ……あ」
吸血鬼「力が抜けてくるでしょ? さぁ。楽にして」
女「んっ」
女「んむ~っ!? ……ちゅ、あ、はむ、れろ」
吸血鬼「ふふっ、自分から舌を絡めちゃって……んんっ」
女「んにゅっ……くちゅ、や、だめっ」
吸血鬼「れりゅ、ちゅっ……ちゅぱっ……素敵な顔になったわね」
女「あ、はぁ、はぁ……」
吸血鬼「あら、来てたの?」
妹吸血鬼「どうする気ですかその人」
吸血鬼「どうするもなにも、この子はもう私のモノ。何をしようが勝手でしょ?」
妹吸血鬼「ですが……」
吸血鬼「貴女もどう? この子は特別、美味しいわよ?」
妹吸血鬼「何を……」
吸血鬼「貴女だって血を吸わずにはいられないのじゃない? 据え膳食わぬはなんとやら、よ?」
女「あ、はぁ……」ビクッビクッ
妹吸血鬼「……」ゴクリ
もう自分が自分とは思えない。快楽を求め、乱れに乱れた。今思えば、彼女たちは淫魔だったのではないか。
だが、もうそんなことはどうでも良い。今は彼女が欲しい。それだけで頭が一杯だ
「じゃあ、今日も楽しもうかしら。おいで、また可愛がってあげる」
彼女の呼ぶ声だ。体の奥が再び疼いてくる。彼女の一言一言が薪をくべる様に、自分の心の炎を燃え立たせる。
嗚呼、また始まるんだ……。重い体をゆらりと起こす。この気だるささえ快楽の波となって押し寄せてくる
「いらっしゃい、宴を始めましょう……」
もう、戻れない
~fin~
乙
出来ることなら俺だってほのぼのエロスにしたかったもん
でもボキャブラリーが貧困過ぎたんだもん
よくやった
よく頑張った
Entry ⇒ 2011.12.28 | Category ⇒ その他 | Comments (0) | Trackbacks (0)
テロリスト「この学校は占拠したぁ!!」生徒「きゃー!!」
生徒「きゃー!!」
テロリスト「うるせえ!!静かにしろ!!」
生徒「きゃー!!きゃー!!」
テロリスト「黙れって言ってんだろ!!」ダダダダ
生徒「きゃー!!!マシンガンだー!!きゃー!!」
テロリスト「蜂の巣になりたくなきゃ、静かにしろぉ!!」
生徒「きゃー!!テロリストー!!きゃー!!」
テロリスト「死にてえのかぁ!!」
生徒「きゃー!!すてきー!!」
テロリスト「……」
生徒「テロリストさん、かっこいいー!!」
先生「しずかにーテロリストさんも困ってるだろ」
生徒「「はぁーい」」
先生「あ、じゃあどうぞ」
テロリスト「お、おう」
テロリスト「いいか!!お前らは人質だ!!」
生徒「しつもーん」
テロリスト「あぁ!?」
生徒「なんでこの学校を選んだんですか?」
テロリスト「……ここは金持ちの子どもが多く通っていると聞いたからな」
生徒「確かに。政治家の親を持ってる人もいるよねー」
生徒「それわたしー」
生徒「じゃ、殺されるんじゃない?」
生徒「まじ!?きゃー!!どうしよー!!」
テロリスト「……」
テロリスト「何が?」
先生「みんな日ごろから妄想していたのか、怖がってません」
テロリスト「……」
生徒「ちょっと、男子ー。ここは俺が!とかいって前にでなさいよー」
生徒「うっせーブス」
生徒「誰がてめえを庇うかよ」
生徒「いったなー!!」
テロリスト「だまれ!!こらぁ!!!」
生徒「きゃー!!」
テロリスト「てめえ、こい」
少女「え?」
テロリスト「俺たちの要求にてめえらの親、警察が応えない場合、殺す」
少女「……」
テロリスト(流石にびびったか……?)
テロリスト「こっちにこい」
少女「あの」
テロリスト「なんだ?」
少女「糸くずがついてますよ」
テロリスト「え?」
少女「はい、とれました」
テロリスト「……お前、怖くないか?」
少女「いえ」
テロリスト「銃を突きつけられてるのにか?」
少女「不思議と……この銃口は優しい目をしています」
テロリスト「……」
少女「あはっ」
テロリスト(なんだ……この学校は……)
少女「仲間は何人ぐらいいるんですか?」
テロリスト「15人だ」
少女「意外と少ないんですね」
テロリスト「まぁな」
少女「ふぅん」
テロリスト「はやくこい」
少女「はい」ヒョコヒョコ
テロリスト「……」
「よぉ。つれてきたか。見せしめ要員」
「よし、このカメラの前に立て」
少女「はぁーい」
「これを読め」
少女「あ、脅迫文ですね。わかりました」
テロリスト「……」
「……なんでハキハキしてんだ?」
「怖がってないな」
テロリスト「……」
「なんだ、あいつは?」
テロリスト「知らん」
少女「―――以上。要望が通らない場合はなんと!!二時間ごとに生徒が脳を撒き散らして死に絶えるでしょう!!」
「そんなこと書いてない!!」
少女「でも、これぐらいインパクトがないと」
「いや……」
テロリスト「まぁ、これでいい。早速このビデオを送ろう」
「そうだな。一時間もすれば大騒ぎになるはずだ」
少女「その間、私は監禁ですか?」
テロリスト「ああ」
少女「じゃ、オセロでもしませんか?」
少女「なぁーんだ」
「じゃあさっそくダビングしてっと……」
少女「手伝います」
「お、わりいな」
少女「これですね?」
「そうそう」
テロリスト「見回りしてくる」
「おう」
少女「どうやって送るんですか?」
「外に仲間がいる。そいつらがバイクで届ける寸法だ」
少女「あったまいー!!」
「そうか?」
テロリスト「……」
テロリスト「……」スタスタ
テロリスト「……ん?」
生徒「……」ヒラヒラ
テロリスト(手を振ってやがる……)
生徒「……」ゴソゴソ
テロリスト「……?」
生徒「……」タン
カンペ『拳銃はロシア製ですか?』
テロリスト「……」コク
生徒「……」カキカキ
カンペ『マジカッケー!!』
テロリスト「……」
テロリスト(おかしい……これがゆとり教育で培われた個性なのか……?)
少女「おかえりなさい」
「どうだった?」
テロリスト「異常はない」
「そうか」
少女「お茶です」
テロリスト「……」
少女「睡眠薬とか盛ってませんから」
テロリスト「そうか」
「しばらくは静観するか」
「だな」
少女「じゃあ、大富豪でもしませんか?」
テロリスト「黙れ」
少女「……」
テロリスト「殺すぞ?」
テロリスト「あのなぁ……」
少女「うえぇぇん……」ポロポロ
テロリスト「泣くポイントがずれてんだよ……」
少女「うぇぇぇん……ウノでもいいですからぁぁ……」ポロポロ
テロリスト「……」
「おい。別のところにいれておけ」
テロリスト「そうだな」
少女「あれ?」
テロリスト「こっちにこい」
少女「はい」
テロリスト「くそ……」
少女「掃除用具ロッカーとかはやめてくださいね?」
テロリスト「入るぞ」
校長「おや?」
少女「パパー!!」
校長「どうした?」
テロリスト「なに……?」
少女「パパ、紹介するね。今、この学校を占拠してるテロリストさん」
校長「そうですか。それはご苦労様です」
テロリスト「この娘は最初の見せしめだ」
校長「ほう」
少女「私、殺されるっぽいよ?」
校長「それは困るな」
テロリスト「ふん……俺たちの要望が通れば殺さないでいてやる」
校長「そうですか。お手数お掛けします」
少女「いい人だよね」
校長「なんだと?!ビデオに!?」
少女「多分、全国に私の顔が公開されちゃうよ」
校長「お前はかわいいからなぁ。アイドルになっちゃうかもしれんな」
少女「もうやだぁ!」
テロリスト「おい」
校長「あ、すいません。今、お茶を出します」
テロリスト「……」
少女「私が淹れる」
校長「そうか、頼んだよ」
少女「うん!!」
テロリスト「なぁ?」
校長「なんでしょうか?」
テロリスト「こう言ってはなんだが……この学校の生徒は全員、頭おかしいのか?」
校長「いえ、滅相もない。人質の価値は十分にあります」
校長「何かご不満でも?」
テロリスト「銃を突きつけても恐怖しないのはおかしいだろ」
校長「ああ、すいません」
テロリスト「……」
校長「今度からカリキュラムに組んでおきましょう。銃を見せられたら怖がるように訓練します」
テロリスト「いや……」
少女「はい。お茶です」
校長「ありがとう」
テロリスト「……お前も変だな」
校長「教育者として、テロリストがいつきてもいいように我々は心構えができていますから」
テロリスト「そんな馬鹿な……」
校長「このご時勢……なにがあっても不思議はありませんからな」
テロリスト「……」
少女「あ、警察がきてるー!!」
少女「いるんじゃないかな?」
テロリスト「意外に早いな」
少女「これからどうしますか?」
校長「髪を整えておこうか」
少女「そっかー、アイドルになれちゃうかもしれないもんね」
校長「ああ」
少女「パパ、がんばるね!!」
校長「がんばれ」
テロリスト「……」
校長「では、娘をお願いします」
少女「私、いつかミリオンヒットを出して見せます!!」
テロリスト「俺はプロデューサーじゃない」
少女「あ、そっか」
校長「あはは、気が早いやつだ」
『こっちでも確認した』
テロリスト「じゃあ、交渉を始めるんだな?」
『既に始まっている。電話がかかってきたからな』
テロリスト「じゃあ、今から二時間後にこいつを殺せばいいんだな?」
『動きがない場合な』
テロリスト「了解」
少女「あー!パパ、あれがSATじゃない?」
校長「ほんとだ。初めてみたよ」
少女「踊る大捜査線でみたことあるある!!」
校長「パパも」
少女「かっこいいねー」
校長「そうだな」
テロリスト「おまえら……いい加減にしろ。緊張感がないのか?」
少女「生憎と」
少女「あ、怒りました?」
テロリスト「呆れただけだ」
少女「よかった」
テロリスト「……」
校長「さて、二時間後はどうなっていることやら……」
少女「ドキドキだね」
校長「そうだな」
テロリスト「お前、娘が死ぬかもしれないというのに余裕だな」
校長「なんでしょう……不思議と娘が死ぬとは思えないのです」
テロリスト「なに?」
校長「貴方の目はとても優しい……だから娘を到底殺せるとは思えないのです」
テロリスト「……」
少女「私もそう思う!!」
テロリスト「ふふ……なめるのも大概にしろ……俺たちは本気だ」
テロリスト「……」バァァン
少女「ひゃ!!」
校長「おぉ……!?」
テロリスト「躊躇なく引き金をひける」
校長「……」
少女「……」
テロリスト(ふっ……ようやく、事態の深刻さを理解したようだな)
校長「今のは……」
テロリスト「……」
校長「ロシア製の拳銃ですね?」
テロリスト「それがなんだ?」
校長「私もマニアでして……ほら」チャカ
テロリスト「!?」
校長「拳銃集めるの、趣味なんです」
校長「……」
少女「パパってばすごいんだよ。ここの引き出しに……何丁もあるの」チャカ
テロリスト「!?」
校長「ふふ……どうです?」
少女「すごいでしょ?」
テロリスト「銃を置け……」
校長「ほら……よく見てください」
少女「結構重たいね」
テロリスト「銃をおけぇ!!」
校長「……ばん!!」
テロリスト「……っ!?!??」
校長「なんちゃって。これモデルガンです」
少女「びっくりしました?」
テロリスト「……」
校長「わっはっはっは」
テロリスト「……」バァァン
少女「きゃぁ!?」
校長「な……?」
テロリスト「人質は死なないとでも思っているのか?」
少女「いや、そんなことは」
テロリスト「こい」
校長「なんですか?」
テロリスト「お前から殺す」
少女「そんな!!私が先です!!」
校長「そうです!!こんな中年の死亡シーンなどお茶の間は期待していません!!殺すなら娘を!!」
テロリスト「うるせえ!!!こい!!!」
少女「パパー!!」
校長「やめてくれぇ!!!」
テロリスト「こいつを見せしめに殺す」
校長「どうも」
「おいおい……なにがあった?」
テロリスト「色々だ」
「やめろ。交渉している最中にそんなことしてみろ、向こうは強硬手段に出るぞ」
テロリスト「怖気づいて譲渡してくれるかもしれないだろ?」
「あのな……どこで殺すんだ?」
テロリスト「ビデオを回せ。殺すところを撮って送りつけやる」
「おいおい、もっとクールになれよ」
テロリスト「うるせえ!!」
校長「そうだ!」
テロリスト「あぁ?!」
校長「私がみなさんに殺されるよりも、レイプされるところをビデオで撮りましょう。インパクトあると思います」
テロリスト「あ、ああ……?」
「あのなぁ……」
校長「だめですか?」
テロリスト「そんな趣味のやつはいねえ!!」
校長「では、体育教師の通称ゴリ先生を呼んでください。あの人なら嬉々としてやってくれましょう」
テロリスト「きもいんだよ!!」
校長「えぇ……」
「つまりあれか……お前はそういう趣味があると全国にカミングアウトしたいのか?」
校長「いえいえ。あくまでも強要されているように見せませんと」
テロリスト「娘が知ったら悲しむぞ!!いいのか!!」
校長「それも拷問のうちです!!」
テロリスト「……」
校長「さぁ!!場所は体育館倉庫で!!」
テロリスト「……元の場所に戻してくる」
「そうしてくれ」
テロリスト「ふぅ……」
少女「あ、おかえり」
校長「ただいま」
少女「よく無事だったね」
校長「死んでもおかしくなかった」
テロリスト「頭いたいな……くそ……」
『応答しろ』
テロリスト「どうした?」
『動きがあった。人質の解放を条件に、俺たちの要求を呑むそうだ』
テロリスト「ふん……テンプレ通りだな。どうする?」
『さっきの校長だけを解放しよう。正直、頭痛のタネだ』
テロリスト「同意だ」
『では、頼んだ』
テロリスト「ああ」
校長「なんですって?!」
少女「やったね!!」
テロリスト「立て」
校長「私だけを解放ですと!?何をおっしゃいますか!!」
テロリスト「なんで困惑してんだよ。普通は歓喜するとこだろ!!」
校長「そうですか」
テロリスト「そうだ」
校長「わかりました。よろこびます……」
テロリスト「全然、嬉しそうじゃねえな」
少女「またね、パパ」
校長「今日の晩御飯はなにがいい?」
少女「ハンバーグ!!」
校長「わかった」
テロリスト「さっさとこい!!」
テロリスト「こいつを解放する!!残りはきちんと要求が通ったあとで随時解放してやる!!」
警察「無駄な抵抗はやめろー。お母さんがかなしむぞー」
テロリスト「あぁ!?」
警察「たけしー!!」
テロリスト「俺はたけしじゃねえ!!」
警察「違うって」
警察「やっぱりたかしだったんじゃ……」
警察「賭けは失敗だな」
警察「じゃあ、二回目いっとく?」
警察「たかしー!!」
テロリスト「いい加減にしろ!!こいつを殺すぞ!!」
校長「マンマミーヤ!!」
警察「それはまずいな!!」
警察「わかった!!もうしない!!人質を解放してくれー!!」
校長「おぉぉ……」
警察「さ、こちらへ!!」
校長「はい……」
警察「お怪我は?」
校長「大丈夫です」
テロリスト「ふん……!!」
警察「まて!!」
テロリスト「なんだ?」
警察「子どもたちは無事なんだろうな?」
テロリスト「知らないね」
警察「いいか。子どもに手を出してみろ……どうなるかわかっているな?」
テロリスト「どうなるんだ?」
警察「児童ポルノ法で―――」
テロリスト「死ね」
テロリスト「ふぅ……早く要求を呑んでくれないかな……疲れてきた」
「もう少しだ。我慢しろ」
テロリスト「……もう昼か」
少女「あのぉ」
「どうした?勝手にうごくんじゃねえ」
少女「すいません。でも、そろそろお昼ごはんの時間なんですけど」
テロリスト「それがどうした?」
少女「ごはん……」グゥ~
テロリスト「そんな状況に見えるのか?」
少女「でも、お弁当を放っておくと臭いとかすごいことに……」
テロリスト「……」
少女「そうなるとテロリストさんたちもテロってる場合ではなくなると思うんですよぉ」
テロリスト「そのときは捨てるまでだ」
少女「駄目です!!せっかくお母さんが作ってくれたのにぃ!!捨てるなんて何言ってるんですかぁ!!」
少女「ひどい!!テロリストさん鬼畜ぅ!!」
テロリスト「最高の褒め言葉だ」
少女「うわ……マゾ?」
テロリスト「こいつ……!!」
「落ちつけ」
テロリスト「だが……!!」
少女「落ち着け」
テロリスト「……」
「わかった。だが、いいのか?」
少女「え?」
「飯を食う。飲み物を飲む。そうなると生理現象が起こる」
少女「そうですね」
「我々はお前たちを教室から一歩も出さないぞ?そうなると……?」
少女「おもらし……大会……開幕!!」
少女「でも……!!」
「我慢するか、欲を満たし教室を汚物で満たすか……どちらがいいかな?」
少女「……!!」
テロリスト「何を言ってんだ?」
少女「窓!!」
「なに?!」
少女「窓から用をたせば……」
「お前……天才か?」
テロリスト「お前、しっかりしろ」
少女「どうやら、私の勝ちですね」
「それをやられるとこちらが困るな」
少女「え?」
「お前たちにそういうことを強要しているように映る。そうなると我々はもれなくロリコンテロリストとなる」
テロリスト「なぁ!!どうしたんだ!!しっかりしろ!!!」
少女「ありがとうございます」
「いいネゴシエーターになれそうだな」
少女「私の夢は公務員です」
「そうか」
テロリスト「……見回りしてくる」
「わかった。おい、校内放送でお昼ご飯の時間になったことを伝えろ」
「わかりました」
テロリスト「……」
少女「テロリストさん!」
テロリスト「なんだ?」
少女「一緒にお弁当どうですか?」
テロリスト「断る」
少女「お腹がすいてはテロもできませんよ?ほらほら」
テロリスト「ひっぱるな!!」
スピーカー『今からランチタイムに突入だ。トイレに行く場合は最寄のテロリストに一声掛けろ。以上』
テロリスト「……」
少女「これ、私のお手製なんですよ」
テロリスト「そうなのか」
少女「私の家、お母さんがいなくて」
テロリスト「そういえばさっき、父親が夕食のことを訊ねていたな」
少女「はい。朝は私。夜はパパなんです」
テロリスト「そうか」
少女「はい、あーん」
テロリスト「やめろ」
少女「え?卵焼き嫌いですか?」
テロリスト「そういうことじゃない」
生徒「あ、仲いいな!!ヒューヒュー!!」
少女「や、やめてよ!!そんなんじゃないんだから!!」
生徒「テロリストさん、私のお弁当……もらってください!!」
生徒「あー!!ぬけがけー!!」
生徒「私のお弁当もおいしいですよ!!!」
テロリスト「……」
少女「み、みんな!!テロリストさんが困ってるから!!」
生徒「なによ!!独り占めにするき?」
生徒「テロリストさんはあなたのテロリストじゃない!!みんなのテロリストなのよ!!」
少女「そ、そうだけど……」
生徒「そうだ!学校を案内します!!」
生徒「あ、それいい!!」
テロリスト「お前ら……うっとうしいから座ってろ」
生徒「あはぁん……声がしぶい……」
生徒「まさにテロリスト……」
テロリスト(殺したい……)
テロリスト「なんだ?」
『第二の要求に関しては妥協案を出してきやがった』
テロリスト「はっ。想像通りだな」
『そこでだ。今度はあのガキを連れて行け』
テロリスト「銃をつきつけてか」
『ああ、それで脅せ。もし向こうが渋るようなら、腕か足を撃て』
テロリスト「ふっ……了解」
少女「誰からでした?」
テロリスト「無線だから仲間だけだ」
少女「へえ」
テロリスト「さてと……こい」
少女「え……や、やだ……そんな……や、やさしくしてください……」
テロリスト「……」
生徒「いいなー。絶対にキスはするね、あの感じ」
警察「へえ、奥さんとはそんな馴れ初めが」
校長「ええ」
警察「うらやましい」
校長「いえいえ」
警察「それで、奥さんの処女はいつ?」
校長「あれは……あいつが中学―――」
テロリスト「おらぁ!!!おまえらぁ!!」
警察「なんだ!?」
警察「なんだ!?なんだ!?」
テロリスト「要求がのめないそうだな!!」
少女「きゃー!!きゃー!!」
警察「貴様!!その子をどうする気だ!!」
テロリスト「お前らの態度次第だ!!」
警察「児童ポルノ法に抵触するぞ!!そんな前科、恥ずかしくて履歴書にかけんぞ!!」
少女「きゃー!!きゃー!!」
警察「なにを……!!」
テロリスト「妥協案なんて出してんじゃねえ。100%要求を呑め」
警察「しかし……!!」
テロリスト「そうか……」
警察「!?」
テロリスト「このガキは五体満足で居られなくなるぞ?」
少女「きゃー!!」
警察「やめろ!!」
テロリスト「要求をのめ」
警察「……っ」
テロリスト「それが答えか……なら!!」
少女「?!」
校長「バァァァン!!!」
少女「きゃー!!」
警察「なに!?」
校長「……」
警察「もう!!びっくりするじゃないですか!!」
校長「銃声のモノマネは十八番なんです」
警察「すごいですね」
校長「空港で鳥を空砲で追い払う仕事あるじゃないですか。老後はそれで食べていこうかと」
警察「あはは、いいですね」
校長「でしょう?」
テロリスト「きさまらぁぁ!!!」
警察「うるさいなぁ」
テロリスト「要求はのむのか!!」
警察「どうする?」
警察「めんどくさいし、のんじゃう?」
少女「きゃー!!」
テロリスト「うるさい」
少女「あ、すいません」
警察「わかった!!呑む!!ただし、人質を解放しろ!!」
テロリスト「お前らがちゃんと我らの要望に応えたらな!!」
警察「オーライ!!では、30分で応えよう!!」
テロリスト「わかった」
警察「よし、各員に知らせろ」
警察「わかりました」
テロリスト「ふ……これで、あとは最後の要求……逃げ足を用意させれば勝ちだな」
少女「もう終わりですか?」
テロリスト「ああ」
警察「おい!!」
テロリスト「あぁ?」
テロリスト「……どうする?」
『いいんじゃないか?』
テロリスト「……よし」ドン
少女「あぅ!?」
警察「大丈夫か?」
少女「はい……」
警察「胸とかお尻とか触られてない?」
少女「え、ええ」
警察「そうか……」
テロリスト「じゃあ、期待しているぞ?」
警察「……」
少女「テロリストさん!!楽しかったです!!ありがとう!!」
テロリスト「ふん……」スタスタ
警察「やはり……ロリコンか……!?」
「こんなもんさ。今の警察は腑抜けだ」
「確かに」
テロリスト「あとは車を用意させるか」
「そうだな。その前に……これを仕掛けて来い」
「へへ……爆弾……ですね?」
「俺たちが逃走して奴らが追ってきたら……ドカーン!ですね?」
「その通りだ」
テロリスト「よし。じゃあ、仕掛けてくる」
「どこに仕掛けるか……」
「教室がいいだろうな」
「確かに……くく、こりゃいっぱい死ぬな」
「―――もしもし?最後の要求をするよくきけ」
テロリスト「……」
テロリスト(ようやくらしくなってきたな)
テロリスト「……」ゴソゴソ
生徒「なにしてるんですかぁ?」
テロリスト「爆弾を仕掛けている」
生徒「すげー!!」
テロリスト「……お前らもここまでだ」
生徒「あー!!初めから生かす気なんてなかったんですね!!」
テロリスト「その通りだ」
生徒「渋い!!」
生徒「立つ鳥後を濁さず……か」
生徒「いいっすね!!」
テロリスト「……ふん」
生徒「よーし!!みんなぁー!!爆弾解体しようぜ!!」
生徒「どうせ最後は赤の線と青の線が残るんだよな!!」
テロリスト「おまえら……!!」
その発想はなかった
生徒「らぁぁん!!」
生徒「知ってる!時計仕掛けの摩天楼!!」
生徒「いいよな」
生徒「おう」
テロリスト「こいつら……マジか……!?」
『おい!!』
テロリスト「どうした!?」
『爆弾を仕掛けたらガキどもが嬉しそうになんか解体を始めようとしている!!』
テロリスト「なんだと!?」
『こっちもだ!!』
『こっちも―――こら!!それに触れるな!!あぶない!!うわぁぁ―――』
テロリスト「どうした!!!おい!!!」
生徒「これランカンじゃね?」
テロリスト「触るな!!」
生徒「切れ切れ」
テロリスト「やめろ!!」
生徒「えー?」
テロリスト「くっ……応答しろ!!」
『聞いている』
テロリスト「爆弾の設置は危険だ」
『みたいだな』
テロリスト「この作戦は中止にしたほうがいい」
『ああ、撤収しろ』
テロリスト「了解」
生徒「爆弾は?」
テロリスト「没収だ」
生徒「そんなぁ」
生徒「殺生な!!」
「ここのガキはクレイジーだ」
「そうだな」
テロリスト「どうする?逃げるときの保険は?」
「よし……人質をとるぞ」
テロリスト「それしかないか」
「爆弾を解体しようとするなんて想定外にもほどがあるからな」
「で、誰にする?」
「そうだな……」
少女「立候補!!」
テロリスト「!?」
校長「私も!!」
「お前ら……!!?」
少女「私が全校生徒の囮になります!!」
「おい、無能な警察ども良くきけ。解放した人質がまた人質になったぞ。どうしてくれる?」
「違う。勝手に帰ってきた。ガキはいいがおっさんは本当にいらん」
警察『ならば解放しろ』
「わかった」
「お前は外にいけ!!」
校長「なんでですかぁ!!必死になって警察の目を盗んできたのに!!」
テロリスト「邪魔なんだよ!!」
校長「くそ……こんなところで……!!」
警察『ところで車なんだが』
「どうした?」
警察『2tトラックしか用意できなかったがよろしいか?』
「貴様……!!」
警察『トラックの荷台に仲間全員乗せればいいと思って……』
「目立つだろ!!」
警察『しらんし』
警察『車種を言わなかったお前たちにも責任はあるぞ!!』
「く……正論を……!!」
テロリスト「押されんな」
「普通車だ!!」
警察『セダンか?』
「それは任せる」
警察『わかった。おい、キューブでいいそうだ』
「あ、こら!!」
「切れた……」
テロリスト「とりあえず逃げるときの人質はこいつでいいな?」
少女「やん」
「もうそいつでいい」
少女「なんですか!失敬な言い方ですね!!」
テロリスト「外にいくぞ」
テロリスト「車は?」
警察「用意した」
「どこにある?」
警察「校門の外だ」
テロリスト「校庭の真ん中までもってこい」
警察「わかった」
少女「あのどこまで行きます?」
「知る必要はない」
少女「いや……どこに行くか相談したいんですけど……」
ブゥゥゥゥン
警察「へい、おまち!!」
テロリスト「降りろ」
警察「……はいはい」
「へい」
テロリスト「追ってきたらどうなるか……わかっているな?」
警察「どうなる?」
テロリスト「このガキを……目を覆いたくなるような姿にしてやるぜ」
警察「アヘ顔ダブルピースか」
テロリスト「違う」
警察「ほぅ……それ以上か。詳しく」
テロリスト「死体にきまってんだろ!!」
警察「警官をなめるな!!死体だけで目を覆いたくなるようではつとまらんよ!!」
テロリスト「そう言う意味じゃない」
警察「ふむ……」
少女「私、助手席ー!!」
警察「シートベルトはちゃんとしろ」
少女「はぁーい」
「そのような反応もないですね」
「よろしい。もらっていく」
警察「80万だ」
「なに?」
警察「あと車庫証明も―――」
「おまえはディーラーか?」
警察「ポリスメンだ」
「……」
警察「……」
テロリスト「ほら、いくぞ」
「ああ」
少女「峠をせめるぜ!!」
警察「道路交通法は守れよ!!」
テロリスト「余計なお世話だ!!」
テロリスト「……」
少女「ラジオを聞いてもいいですか?」
テロリスト「好きにしろ」
「後続車はちゃんとついてきてるか?」
「問題ないです。他のメンバーもちゃんと後ろにいます」
「ふふ……勝ったな」
テロリスト「ああ……完勝だ」
少女「ニュース、ニュース……」
ラジオ「―――速報をお伝えします」
少女「お」
テロリスト「俺たちのことか?」
ラジオ「少女一名を誘拐したテロリスト集団は現在逃走中とのことです」
少女「おぉー!!」
ラジオ「ただいまから車番と車種を読み上げますので、見かけた方はそのまま追跡して警察に連絡をしてください」
少女「なんてこった」
「考えたじゃねえか……」
テロリスト「おい……こいつを殺そう」
少女「なんですか?!」
「……」
テロリスト「追ってくるなと警告したのに……この様だ」
「まて」
テロリスト「なんだ?」
「俺たちは警察に追ってくるなといった……だが、民間人にまではそれを言っていない」
テロリスト「……は?」
「つまり……俺たちの負けだ」
テロリスト「おい!!なに遠い目をしてるんだよ!!しっかりしろ!!!」
少女「負けた……完敗ですね」
テロリスト「なんでお前まで悟った顔をしやがる!?くそ!!なんだよこれ!!!どういうことだよ!!」
「まけたよ」
警察「中々だったぞ」
テロリスト「くそ……こんな終わり方なんて……」
警察「お前は児童ポルノ法で逮捕だ」
テロリスト「!?」
少女「やめて!!お兄ちゃんは悪くないんです!!」
警察「その話はゆっくり署で聞こう」
少女「はい……」
テロリスト「……」
校長「これで一件落着ですな」
警察「ええ。ご協力ありがとうございます」
校長「いえ。私は必死に犯人たちを追いかけただけです。親子で人質になったほうがいいと思いまして」
警官「なるほど」
校長「わっはっはっは!!」
看守「もう来るなよ」
テロリスト「……ああ」
少女「あ、あの……!!」
テロリスト「君は……!!」
少女「……あの……私……」
テロリスト「……」
少女「貴方のテロ被害にあったんです……心が……」
テロリスト「え……?」
少女「私を一生……貴方の人質にしてください……」
テロリスト「……わかった」
少女「うれしい……大好きです……」
おしまい。
乙!
面白かったぜ!
面白かったぞ
Entry ⇒ 2011.12.28 | Category ⇒ その他 | Comments (0) | Trackbacks (0)
セイバー「鼻からエクスカリバー出せます」切嗣(なに!?)
http://engawa.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1324993887/
セイバー「いえ、マスターの命令が無ければ出すわけには……すみません、アイリスフィール」
アイリ「そんな……」
切嗣(くっ……僕だって凄く見たいけど、セイバーに話し掛けるわけには……!)
セイバー(ふふふ……これでマスターも興味を持って話し掛けてくれるに違いない
酒の席で酔ったランスロットに無理矢理やらされた芸だが、こんな所で役に立つとはな)
切嗣「…………」ソワソワ
セイバー(ふふふ……)
そんなことが出来るなんて、とても信じられないわ」
セイバー「マスターが命じてくだされば、すぐにでもお見せしましょう」
切嗣「くっ……」
セイバー(ランスロットと一緒に酔ったガウェインに試しにそのまま喋ってみろと言われて案外出来たのだ
これで興味を持たないわけがない……勝った!)
アイリ「切嗣! 期間限定よ! 早くセイバーに頼まないと!」
切嗣(期間限定だと……!? 僕はどうすれば……!)
切嗣(令呪を2つ使わないとやってくれないのか…!?)
切嗣「あ、あぁ……」
舞弥「惑わされないでください」
切嗣「!?」
舞弥「…………」
セイバー「貴様……邪魔立てするというのなら……」
セイバー「ちょっと城の裏まで来て下さい」
<エクスカリバァァァァァァァァ!!
<うわぁぁぁぁぁぁぁ!!
切嗣「今のはセイバー……それに、舞弥の悲鳴か!」
<本当に鼻からエクスカリバーがぁぁぁぁぁぁ!! しゅごいのぉぉぉ!!
アイリ「ええっ!?」
クソワロタwwwwwwwwwww
切嗣(舞弥がここまで動揺するとは……)
アイリ「舞弥さんだけズルいわ! 私にも、お願いよ!」
セイバー「アイリスフィール……頼むべき相手は私ではなく、切嗣ですよ」
アイリ「切嗣!!」
アイリ「そんなっ! 酷いわ!」
切嗣(心が痛い……!)
セイバー「ふふふ……マスター?」
ランサーなら両方からだろうな
じゃあライダーなら鼻から軍勢が出てくるのか
ヤッターマンに出て来るスペシャルロボットみたいだな
アサシンは鼻が80個に分裂
切嗣「舞弥……録画しなかったのか……!」コソコソ
舞弥「カメラも使い魔も直感スキルで全て潰されました……」コソコソ
アイリ「……切嗣」
切嗣「ダメだ」
アイリ「セイバーにお願いして」
切嗣「ダメだ」
アイリ「……どうしても?」
切嗣「…………」
アイリ「なら……離婚しましょう」
切嗣「!!!?」
切嗣「アイリ! 冷静になるんだ!」
セイバー(離婚だと……ま、まさかここまで大事になるとは……)
セイバー(しかし、王として、引くわけには……私にも誇りがある)
舞弥「もう、鼻からエクスカリバー見てない人の道具をやる人生なんて考えられません」
切嗣「舞弥……君もか!?」
舞弥「あの感動を共有出来ない相手を信頼する事は出来ません」
セイバー(どうしよう……切嗣の気を引くだけのつもりが、我々の陣営の崩壊の危機に……)
舞弥「令呪を使うしかありませんね」
切嗣「くっ……!」
セイバー「あ、あの……あと3分くらい待ってもいいですよ?」
アイリ「セイバー!! なんて優しいの……こんな男に対して……」
セイバー「いえ、王として、当然です…はい」
アイリ「セイバー、私と……レッツ背徳しましょう」
切嗣「!!!?」
セイバー「アイリスフィール!? お、落ち着いて!」
アイリ「あなたに、毎晩、添い寝しながら鼻からエクスカリバー出して見せて欲しいの……」
アイリ「もう、終わりにしましょう」
セイバー「アイリスフィール……それはいけない」
アイリ「もう、止まれないわ」
セイバー「ま、待ってくださいマスター!! そんな、無茶だ!」
切嗣「鼻からコンテンダー出します……!」
アイリ「気を引こうとしたって、出来るわけがないわ」
切嗣「魔術師殺しを舐めないで欲しいな……」
セイバー「マスター……」
切嗣(鼻から出すのならまず……口から入れるしかないな……)
切嗣「うごごごご」
セイバー「もうやめてください!!」
セイバー「切嗣! 切嗣が銃を飲み込んだ!!」
切嗣「ぐあぁぁぁぁぁぁぁ!!」
セイバー「アイリスフィール!! 早く治療を!!」
アイリ「馬鹿な男……それがあなたの限界よ」
セイバー「アイリスフィール!!」
セイバー「凄いです! さすがはマスター!!」
舞弥「…………」
アイリ「確かに凄いけど、鼻からエクスカリバーに比べたら……」
切嗣「そ、そんな……!」
麻婆「ああ」
ハサンさん「鼻からエクスカリバーを出せるようになりたい……だとか」
麻婆「それはまことか!?」
ハサンさん「間違いありません」
麻婆「これは、一度奴の所に行くしかないな」
麻婆「鼻からエクスカリバー……かつて感じたことの無いこの高揚は……」
完
乙
本当にそんな答えでいいのか言峰wwwww
Entry ⇒ 2011.12.28 | Category ⇒ FateSS | Comments (0) | Trackbacks (0)
男「お、流れ星か。理想の妹をくださいっと」 後日談
『男、怒涛のデート編』
近日投下
――男、怒涛のデート編――
男「デート?」
大人妹「あれからはれて私とお兄様は結ばれたというのに、あまり恋人らしいことをしてないじゃないですか」
男「ん、まあそうだな・・・・・・」
大人妹「ですので私とお兄様が付き合っているという証拠を見せてくださいな」
男「でも、他の妹たちがいる手前なあ」
大人妹「お願いします。共有物としてのお兄様ではなく!」
男「俺はパソコンのフォルダか何かか?」
大人妹「ちなみにお兄様のパソコンのパスワードは・・・・・・」
男「何で知ってんの!?」
大人妹「それはお兄様を愛しているからですわ」
男「愛しててもやっていいことと悪いことがあるよね!?」
大人妹「しっ!」
男「おう!?」
ドンドン
<兄貴たちうるさい!
大人妹「これ以上家にいたら反感を買いそうなので、早急にまいりましょうか」
男「あ、ああ同意するわ」
男「って何脱いでんだよ!?」
大人妹「デート用の服に着替えるからに決まっていますでしょう?あ、お兄様はそこにいてください。じっくりたっぷりストリップを見せてあげますわ」
男「に、2時に駅前集合なーーーー!!」ピュー
大人妹「作戦成功ですわ。出てきてもいいわよ」
敬語妹「ぷはっ!!クローゼットに隠れるのは3人隠れるのはキツイですよ」
ガチャ
ツン妹「で、うまくいったの?」
大人妹「バッチリですわ」
ボー妹「ねえ、何でクローゼットにコスプレ道具ばっかり入ってるの?」
大人妹「それはお兄様と熱い夜を過ごした・・・・・・」
ツン妹「え、そこまで進んでるの?」
大人妹「という妄想で慰めているだけの道具ですわ」
敬語妹「よりによってどうしてボンテージなんですか!?」
大人妹「あら。私より素質がありそうね」
敬語妹「やめてください!この子は我が家の唯一の純心なんです!!」
ボー妹「さすがにアレはしてないんだよね?」
大人妹「ええ。いざ私が誘っても、お兄様に『まだ早い』とか『俺らは一応兄妹なんだ』とか言われて」
ボー妹「ボク、乳姉ぇがスッケスケのネグリジェで兄ちゃんの部屋に入ったの見た事あるよ」
大人妹「ああ、これですか」
敬語妹「え?これって布って言うんですか?透過率90パーセント超えじゃないですか」
ツン妹「でも義妹は、その・・・・・・アレをしても法律上問題ないんでしょ?」
大人妹「アレとは何ですか?」
ツン妹「い、今更何言ってるのよ!!」
無垢妹「アレってなーに?」キラキラ
ツン妹「う・・・・・・!!」
敬語妹「狙いましたね?」
大人妹「さあ何のことでしょう?」カンラカンラ
ツン妹「と、とにかく時間無いからさっさと行くわよ!」
全員「オー!!」
無垢妹「事の発端は数日前の夜」
敬語妹「どうしました?」
ボー妹「気にしないでいいよ。いつものだから」
大人妹「あら。リビングに大集合ですか?」
敬語妹「偶然見たい番組がみんないっしょでですね、せっかくだからリビングの大きなテレビで見ようということになって」
大人妹「匿名係長ですね!私もこれ好きです!」
ボー妹「ちなみに乳姉ぇのことだから期待を裏切らないと思うけど、どんなシーンが好き?」
大人妹「ふふふ。話す必要もありますかしら?」
ボー妹「だよねー」
ツン妹「ちゃんとストーリーも見なさいよ!」
大人妹「ストーリー“も”?」
ツン妹「はぅあ!?」
無垢妹「地雷?」
ボー妹「うん」
大人妹「まあしかし、私ならまだしも、皆さんも匿名係長が好きだということは・・・・・・やはりお父様の血を引いているわねえ」
敬語妹「意見はしませんよ」
ツン妹「な、何のことやら」
ボー妹「人並みだよー」
無垢妹「??」
敬語妹「兄さんは今どうしてます?」ボソボソ
大人妹「3日に1度の賢者の日ですわ。多分あと1時間は部屋から出てこらないわ」
敬語妹「そ、そうですか・・・・・・」
大人妹「はい」
敬語妹「あ、あの!」
大人妹「どうしたました?」
敬語妹「い、いつから兄さんと恋仲になったんですかッ!?」
ツン妹「ゲフッ!!」
ボー妹「ガハッ!!」
無垢妹「おお!今週のプロレス(?)シーン!」
ツン妹「こ、声が大きいのよ!!」
大人妹「気になりますか?」ニヤニヤ
敬語妹「そ、それはもう!今のうちに聞いておかないと、一生聞くチャンスが無いと思いまして!」
ボー妹「ボ、ボクも聞きたい!」
ツン妹「わ、私はどうでもいいけどね!」
ボー妹「橋の下編は何度か聞いた記憶が・・・・・・お兄ちゃんが不憫なやつだよね」
大人妹「いい思い出と言ってくれるかしら」
敬語妹「流れ星編は初めて聞きました。どういう話ですか?」
大人妹「お兄様と私が滅び行く世界を救っていくというSF短編恋愛モノです」
ツン妹「それは、何かのプレイの一環?」
大人妹「事実といえば事実で、虚構といえばそうなのかもしれません」
敬語妹「はぁ・・・・・・?」
大人妹「しかしながら、お兄様と私は間違いなく流れ星編で恋仲となりました。そうですわね、熱海から帰って5日目の雨の日です」
ツン妹「5日目ねえ。私何してたっけ?」
ボー妹「生理じゃない?5日目の」
ツン妹「違うわよ!!」
大人妹「私が、このようにお兄様のベッドで」
ボー妹「ギシアン」
ツン妹「ええい!話の腰を折るな!!」
大人妹「ロマンチックな話の邪魔をしないでくれるかしら?」ゴゴゴゴゴ
ボー妹「ひぃ!?下ネタ女王が自ら下ネタを拒否した!?」
敬語妹「それで続きは?」
大人妹「こほん。私が、このようにお兄様のベッドでお兄様にもたれかかってずっとお話していました。そしてお兄様は私に好きだと言ってくださいました」///
ボー妹「でもでも何で下ネタ女王の乳姉ぇを選んだの?」
大人妹「あなた方には知りえない昔からの愛情があるのですよ」
ツン妹「うわ!勝ち宣言ムカツクー!!」
大人妹「おほほほほほ!お母様のお腹の中から出直してきなさい!」
ボー妹「何キャラ!?今夜は何キャラでいくつもりなの乳姉ぇ!?」
ツン妹「姉さん・・・・・・」
ボー妹「やっぱりその山2つには勝てないってことかー」
大人妹「そんなことありませんわ。お兄様はあなたたちのこともちゃんと愛していますよ」
敬語妹「家族としてですか?」
大人妹「妹としてですわ。忘れたのですか?お兄様は妹フェチなんですよ?」
ツン妹「確かにベッドの下には妹モノの本がたくさん・・・・・・」
敬語妹「デートとかもしてるんですよね?」
大人妹「はい。数回ほど。いずれもホテルに連れ込み損ねましたが」
ボー妹「乳姉ぇの最終目標は何なの!?」
敬語妹「いいなー」
ツン妹「敬語忘れてるわよ?」
敬語妹「それほど羨ましいということです」
妹たち「えっ!?」
大人妹「正直、私もお兄様を占有してしまうのは心苦しいといいますか」
敬語妹「ぜぜぜぜ是非!!」
ツン妹「それは本当なのよねッ!!?」
ボー妹「いつ!?いつ兄ちゃんとデートできるの!?」
無垢妹「え?お兄ちゃんと遊べるの?」
大人妹「2日後はどうでしょうか。1時間程度でローテーションという形で」
敬語妹「た、頼みましたよ!!絶対ですからね!!」
大人妹「ええ、心得ましたわ」
無垢妹「今に至る」
ボー妹「はーいありがとう」
ツン妹「?誰に話してるの?」
大人妹「無垢妹の有効活用ですね」
敬語妹「変なことに利用しないでください!!」
大人妹「今日は快晴ですので絶好のストーキング日和ですわ」
ツン妹「そんな日和作るな!」
大人妹「町外れの墓地は、夜空がとても綺麗らしいですわよぉ~・・・・・・」
ツン妹「ひぃぃぃ!!」
2:00
男「それにしても急にデートなんてな。家に一緒にいるならそれでいいんじゃないか?」
ツン妹「そんなんだからモテないのよ」
男「はは。悲しい現実をありがとう・・・・・・ん?」
ツン妹「何?」
男「あー、俺の目が正しかったら、大人妹がツン妹になってるんだが?」
ツン妹「私じゃ悪いの?」
男「そういうわけじゃないけど。でも何故?」
ツン妹「あの人が急に用事が入ったから、行けないって言って来てって頼まれたのよ。感謝しなさいよね!」
男「ケータイあるのに?」
ツン妹「黙って聞けっ!」ゲシッ
男「おぉん!!」
ツン妹「そ、それでおめかしして来たのに待ちぼうけくらってるかわいそうな兄貴のために代わりに私が、デ、デートしてあげる」
男「お前がか?」
ツン妹「何?悪い?」ギロッ
男「悪くないッス!むしろ光栄ってか!!」
ツン妹「よろしい」
ツン妹「え?」
男「え?じゃなくて、ほら手出せ」
ツン妹「あ、あ、握手・・・・・・?」
男「お前バカになっちゃったか?手をつなぐぞって言ってんだけど・・・・・・」
ツン妹「手ぇぇぇぇ!!?」
男「えっ!?イヤだったか!?」
ツン妹「イヤじゃない!!イヤじゃないけど、少し待って!!」
男「お、おう・・・・・・」
ツン妹「スーハー、スーハー、め、目の前にいるのはバカ兄貴・・・・・・目の前にいるのは変態だけが取り柄のバカ兄貴・・・・・・」
ツン妹「オッケー!」
男「おかしいな。全然嬉しい気分になれない」
ツン妹「フン、兄貴のクセに気が利くじゃない」
男「そりゃあ男だし。デートん時はリードする側でいたいだろ?」
ツン妹「そ。じゃあその余裕が無いくらい振り回してあげる!」
男「ほどほどになー」
物陰
ボー妹「ほうほう。ツン姉ぇの初々しさがかわいらしいぜ・・・・・・」
敬語妹「兄さんってあんなに落ち着いた人でしたっけ?」
大人妹「おかしいですね。私とのデートの時はもっと余裕の無い感じでしたのに・・・・・・」
ボー妹「うん、大体理由分かるけど、絶対乳姉ぇの下ネタにツッコミ入れてるからでしょ?」
大人妹「はて?突っ込まれたことは無いですが?」
敬語妹「カタカナの方です。漢字の方ではないです」
無垢妹「ねえ、つまんない」
敬語妹「無垢妹ちゃんは兄さんとデートしたくないですか?」
無垢妹「デートって日付のことでしょ?意味分からないよ」
敬語妹「そっちの意味もありますが・・・・・・ああ、どうして、こう中途半端に知識があるのですかこの子は」
ボー妹「じゃあ兄ちゃんと遊びたい?」
無垢妹「うん!!あ、デートって遊ぶって意味?」
敬語妹「もうそれでいいです」
大人妹「移動始めましたわ!行きますよ!」ダッ
ボー妹「あ、待って!」ダッ
無垢妹「出ぱ~つ!!」ダッ
敬語妹「何故彼女であるあの人の方がノリノリなんでしょうか・・・・・・」
男「何故に小学校・・・・・・」
ツン妹「いいから着いてきなさいよ!」
男「あの、そろそろ手を離していいですか?何か汗でぐっしょりなんですけど・・・・・・」
ツン妹「兄貴ったら、女の子と手ぇつないでそんなに緊張してるの?」
男「いやこの汗はむしろ俺じゃなくておま・・・・・・ゴホッ!?」
ツン妹「ききき緊張なんてして無いわよ!?」
男「言ってねえ!!」
ツン妹「ほら着いた」
男「あん?伝説の木じゃないか」
ツン妹「伝説の木?」
男「ああ。小学校の頃さ、ここの下でコクった女の子が成功してから付けられた名前だよ」
ツン妹「じゃあここで告白した者はみんな叶ううんぬんってこと?」
男「ははは。その後その伝説に乗じて告白を試みたある男がな、見事に撃沈!しかも3回」
ツン妹「小学生の頃って安直にかっこいい名前付けたがるし、それを信じちゃうからね」
男「ちなみにその男ってのは男友っていってな」
ツン妹「そんな情報要らない!?」
ツン妹「なんか、思い出さない?」
男「男友の振られっぷりははっきりと思い出すが?」
ツン妹「さぞかしひどい振られ方だったのね・・・・・・ってそうじゃないわよ!」
男「えー」
ツン妹「う・さ・ぎ・の・に・ん・ぎょ・う!!」
男「あー!いじめっ子集団のヤツ!」
ツン妹「やっと思い出してくれたわね」
男「で、それがどうかしたのか?」
ツン妹「」ガクッ
男「何で!?」
ツン妹「か、回想入りまーす・・・・・・」ハァ
男「え、え?」
~回想~
ツン妹「返してー!わたしの人形ー!」
よしゆき「学校にこんなもの持ってくるお前が悪いんだぜー!」
ツン妹「こんなものじゃないもん!おにぃちゃんがくれたものなんだもん!」
かずひろ「お兄ちゃんだってー!」
ふみのり「ござるwwござるww」
ツン妹「返してよーー!!」
かずひろ「よしゆきくん、これ木の上にのせちゃおうよ!」
ふみのり「名案でござるww」
よしゆき「お!いいな!」
ツン妹「やめて!!」
よしゆき「よーし、のぼるぞー!」よじっ
ツン妹「お、おにぃちゃーーん!!」
男「呼んだ?」ニュッ
よしゆき「うおおおおおおおおお!!?」ズッテーン
かずひろ「よしゆきくーーーーん!?」
男「ツン妹が遊んでたから見守ってたんだよ!」
ツン妹「遊んでないよ!?」
よしゆき「そうか、こいつ男の妹だったのかあ・・・・・・!!」
男「それにしても意外だなー。よしひろくんとツン妹が友達だったなんて」
よしゆき「よしゆきだ!・・・・・・はん、俺が妹と遊んでやってたんだぜえ」
ひみのり「大きいお友達・・・・・・フヒヒ!サーセン」
ツン妹「違うよおにぃちゃん!この人たち私の人形とったの!」
男「!!あ、遊んで・・・・・・!?」
ツン妹「あ、あれ?お兄ちゃーん・・・・・・?」
よしゆき「ああ、たのしーい遊びだ」
男「こんの、不純異性交遊がっ!!妹の純潔返せッ!!」
かずひろ「小学生が言ったとは思えない言葉がっ!?」
よしゆき「許さなかったらどうするんだー?」
男「まゆちゃん呼んでくる!」
かずひろ「は、はあ?まゆちゃんがどうしたんだよ?」
よしゆき「」ガクガク
かずひろ「よ、よしゆきくん?」
男「あ、ちょうどあんなところに!まーゆちゃーーん!!」
よしゆき「や、やめてくれえええええええ!!!」
まゆ「あ、男クン。どうしたの?」
男「うん。よしゆきくんが話があるんだって」
よしゆき「うわあああああああああ!!!」
まゆ「え、明らかに話せる状態じゃないよね?」
男「じゃあ代わりに僕が話すよ!」
よしゆき「頼む!やめてくれ!人形なら返すから!」
かずひろ「本当にどうしたのよしゆきくん!?」
男「あ、本当?じゃあよしゆきくんがまゆちゃんのリコーダー舐めてたって話しないであげる」
かずひろ「」
まゆ「」
ふみのり「wwwwwww」
男「え?どうしたの?」
ツン妹「おにぃちゃん、言っちゃってる・・・・・・」
まゆ「サイッテーー!!」
よしゆき「ち、違う!誤解なんだっ!!」
かずひろ「よしゆきくん、そんなことしてたんだ・・・・・・」
男「誤解じゃないよ。昨日よしゆきくん卓越した表情で『まゆ・・・・・・ここが、いいのか・・・・・・ハァ・・・・・・レロ、ヌチュ・・・・・・』って舐めた後、裏声で『私、よしゆきくんになら・・・・・・何されてもいいよ?』って裏声でまゆちゃんの真似してたね」
まゆ「うげぇ・・・・・・」
男「あ、ごめん!それはまゆちゃんの体育着だったね!」テヘッ
よしゆき「うああああああああああああああああ!!!」
ふみのり「ござるwwww」
男「ありがとう」
まゆ「よしゆきくん、人間やめる?あと近寄らないで。半径500キロ」
よしゆき「マ、ママーーーーーーーーーー!!」ダッ
男「わざわざ来てもらってごめんね、まゆちゃん」
まゆ「いいよ。もし男クンに言ってもらわなかったら、私その体育着着て、リコーダー使っちゃうところだったから」
男「でもねまゆちゃん、女だったら男のそういう醜い部分も受け入れていかなくちゃいけないんだよ」
まゆ「うん。少なくともよしなんとか以外なら大丈夫だと思うから」
男「それはよかった」
男「ほら、取り返したぞ!」
ツン妹「ごめんね・・・・・・」
男「違う違う。そういう時は、ありがとうって言うんだ。そっちの方がお互いスッキリするだろ?」
ツン妹「うん」
男「それに僕はお前がバージンじゃなくても大丈夫だからな」
ツン妹「よくわからないけど、ありがとうおにぃちゃん」
男「全く変態はいけないね」
ツン妹「え、おにぃちゃんも・・・・・・ううん、何でもない」
男「まあそれを大切にしてくれてるってことは嬉しいかな。でもほどほどにしないとまたこんな事があるぞ?」
ツン妹「わかった。お家だけにする。・・・・・・もしまたこんな事になったらおにぃちゃんが助けてくれるよね・・・・・・?」
男「当たり前だ!だからツン妹!」
ツン妹「な、なに?おにぃちゃん」
男「助けた報酬はパンツでどうだ?」
~回想終了~
ツン妹「うん。よく考えたら思い出さないほうがよかったかも」
男「ちなみに本当に純潔散らされたわけじゃないよな?」
ツン妹「あ、当たり前じゃない!!」
男「あの時のパンツの色は黄色だったな」
ツン妹「どーしてそんなことばっかり覚えてるかなぁ!!」
男「あの頃はあんなに素直だったのに」
ツン妹「パンツを見せてやる=素直だと思ったら大間違いだからね?」
男「で、何で木に登らなくちゃいけないかを3字で説明してください」
ツン妹「の、登れば分かる・・・・・・って3字!?少なすぎるわよ!!」
男「俺は理由もなしに行動する人間じゃないんだよ」
ツン妹「エロ本」
男「アイムクライミーング!!」ヨジヨジ
ツン妹「はぁ・・・・・・」
男「登ったぞー!エロ本どこだー?」
ツン妹「その2本目の木の枝をくまなく探してー!」
男「お、鳥の巣!」
ツン妹「いいから探せやバカ兄貴ーーー!!!」
男「理不尽に怒られた・・・・・・一体何なんだ」
男「・・・に・・・ちゃんだいすき・・・・・・?2ch大好き?」
ツン妹「み、見つけたー?」
男「あーなんか彫ってあるー」
ツン妹「そ、それよそれ!いい?聞きなさい!それが私の気持ちだから!絶対に忘れちゃダメなんだからねっ!!」
男「ツン妹もにちゃねらーだったのか。少しショックだ。だが忘れちゃいけないって言われたからには、現実を受け止める事にするか」
ツン妹「それを伝えたかったから連れてきたんだからね!」
男「わかってる!しっかり受け止めてやるよ」
ツン妹「・・・・・・!!」///
男「降りるか」
ツン妹「え、テレパシー!?どうやって!?」
男「どうした?」
ツン妹「あの、急用が出来ちゃったの」
男「ありゃ。そうかそりゃあ残念だ」
ツン妹「兄貴、今日は嬉しかったよ」
男「そいつはよかった。俺もお前の意外なカミングアウトが聞けて嬉しかったよ」
ツン妹「意外、だった?」
男「意外だったけど、ちゃんと受け止めてやる。これからはいっしょに楽しもう」
ツン妹「(デートの事かな?これからもデートしてくれるってことだよね!)うん!」
男「ほら急用なんだろ?早く行け」
ツン妹「兄貴・・・・・・おにぃちゃん」
男「おう?」
ツン妹「こ、今回はでこちゅーできなかったけど勘弁してあげる!」ダッ
男「あれ?あの時の記憶があるのか?・・・・・・ま、いっか」
物陰
ツン妹「き、緊張したーー!!」ドキドキ
ボー妹「木に登らせて何やってたの?」
ツン妹「それは秘密よ!」
大人妹「きっと『おにぃちゃんだいすき』と昔彫ったものを見せてたに違いないですわ」
ツン妹「あ、あなた超能力でもあるの!?」
敬語妹「ナイスアイデアですね!」
ボー妹「でもそれって小学生の頃彫ったなら、つぶれて読めなくなってんじゃない?」
ツン妹「あ・・・・・・」
大人妹「まだまだ事前の調査不足ですわね」
敬語妹「もしかしたら『にちゃんだいすき』なんて感じになってるかもしれませんよ?」
大人妹「そうなってるはずです」
ボー妹「いつでこちゅーしたの!?」
ツン妹「いつって・・・・・・いつだったかしら?あれ、記憶の思い違い?」
大人妹「老化は突然やってくるものです」
ツン妹「私が老化始まってたら、あなたはどうなるのよ!!」
大人妹「ほら、私は永遠の17歳ですので」
敬語妹「まだ16歳でしょうあなたは・・・・・・」
ボー妹「で、次は?」
大人妹「もうすでに現場へ向かっていますわよ」
ボー妹「あ、無垢妹か」
ツン妹「行動が一番予期出来ないといえば一番予期できないよね」
敬語妹「不安しかありませんが・・・・・・」
大人妹「次回へ続きますわ!」
明日も23時より投下させていただきます。では。
無垢妹のお兄さんになりたい人はその時間に来てくださいね。
3:00
男「急用って何だったんだろうか」
男「しかしツン妹がにちゃねらーだったとは。意外だなー」
男「どれくらい意外かというと、いつも登下校を共にしていた幼馴染が実は処女じゃなかったくらい意外だな」
たかし「それ意外を通り越してショックでしょ!」
男「・・・・・・処女じゃない事にショックを受けてる男が出てきた」
たかし「違いますよ!俺たかしって言います。無垢妹の友達です」
男「折れた菓子?ああ、無垢妹は折れたうめぇ棒と友達だったのか」
たかし「名前がたかしです!!」
男「もしかして、いつも無垢妹が言っているたかしくんか・・・・・・?」
たかし「はい!そうです!」
男「ちょ、ちょっと近寄らないでくれる?」
たかし「えっ!?」
男「いやー、ドラッグストアでゴムを連呼してる子と知り合いにはなりたくないよな」
男「大人妹が変な入れ知恵したらしいな」
たかし「そうですねー。ゴムの説明から生命の神秘、快楽悦楽、SMの極意まで習いましたよー」
男「遠い目だな。ちなみに大人妹は俺の本でSMの極意を身に付けたんだぞ」
たかし「原因!?」
男「貸してやってもいいと思ったが、この間の謁見で処分させられたんだっけか」
たかし「は、はあ・・・・・・」
男「で、そんな君が俺に何の用だ?大体小学生ならこんなところにいるのは変だろ」
たかし「ここ小学校だから小学生がいるのは当たり前なんじゃ・・・・・・むしろお義兄さんがいる方がおかしいのでは?」
男「で、なんでマセガキがどうしてここにいるんだ?」
たかし「あの、無垢妹に呼び出されましてお義兄さん」
男「ああ?てめー誰に向かって兄なんて言葉を発してんだ?俺に兄という言葉を使っていいのは妹たちだけなんですけど?」
たかし「し、しかしいずれ・・・・・・!!」
男「無いね」
たかし「あ、諦めませんよ!」
たかし「はい。30分ほど前に『あなたに認めて欲しい事があるの。学校に来て』と」
男「認知だとっ!?無垢妹・・・・・・信じてたのに!!変態だけは好きにならないように育ててきたのに!!・・・・・・ていうかあいつ生理来てないはずだが?」
物陰
敬語妹「どこからその自信が湧いてくるんでしょうか。自分の事が見えてないんですかね?」
ボー妹「まあ僕たちはそんな変態が好きなんだけどねー」
ツン妹「それよりもどうして妹の生理の有無を知っているかを問いたださなきゃ」
大人妹「あの文を考えたのは私ですわ」
たかし「変態じゃないです!」
男「俺はこいつからお義兄さんと本当の意味で言われないといけないのか・・・・・・」
たかし「よろしくお願いします!!」
男「どうして今日という日はこんなに妹たちの純潔が散るんだああああああ!!」
物陰
ツン妹「散ってない!散ってないから!!」
<あー、いたいたー
<えっと・・・・・・待ってたよ?
男「い、意味深な言葉・・・・・・無垢妹、お前本当にそれでいいのか!?」
無垢妹「あれ?お兄ちゃんもいるの?」(白々しく)
たかし「よ、よう・・・・・・マイハニー?」
無垢妹「はちみつがどうかしたの?」
男「熊野プー太郎さんの事だよ」
無垢妹「なるほど」
たかし「ところで『認知して欲しい事』って何?」
男「さらっと認知に替わってる!?ていうか認知なら1つしか無くない?」
無垢妹「うん・・・・・・とっても言いにくいんだけどね」
たかし「大丈夫。俺なら君を幸せに出来るよ」
男「させねぇ!月に代わっても結婚なんてさせないぞーーーー!!」
男・たかし「へ?」
男「ま、ままごと?」
無垢妹「うん。お兄ちゃんと最近遊べなくて寂しくて・・・・・・それで昔いっしょに遊んでたままごとがしたいなって」
たかし「小学6年生にもなって・・・・・・」
無垢妹「たかしくんもいっしょに・・・・・・ダメ、かな・・・・・・?」
たかし「う・・・・・・しょうがねーなー」
男「嬉しいくせに。俺はオッケーだけどな」
無垢妹「ヤッター!!」
男「それにしても無垢妹をこんなに寂しがらせていたなんて、俺も兄失格だな」
たかし「そんなことないですよ男さん!!」
男「だからと言って言い方をお義兄さんから名前にすんじゃねーよ」
男「それじゃあ俺は単身赴任して、3年ぶりに我が家に戻ると知らない男と妻がベッドで寝ててショックを受ける夫の役な」
たかし「深いーー!?役どころか内容まで決まっちゃった!?」
無垢妹「イエーイ!!」
たかし「そんなディープな内容を幼少時代から・・・・・・!?」
男「ちなみにたかし、お前は重要な役だ」
たかし「え、何ですか?その妻を寝取る男役ですか?」
男「通行人Fだ」
たかし「重要でも何でもないですよねっ!?しかもあとAからEの5人も必要!!それに俺が通行人したら寝取る役の男は誰がするんですか!?」
男「無垢妹の演技力なめんなよ」
たかし「エア寝取る男!?だったら俺を寝取る男役にしてくださいよ!!」
男「ぐちぐちうっせーなあ。ハイ、アクション!!」
たかし「え、え?もう始めるの!?」
物陰
大人妹「懐かしいですわね、おままごと」
ボー妹「無垢妹が好んでやってたもんね。しかもまたNTRと愉快な通行人たちか・・・・・・」
敬語妹「私、いつも通行人Bでした」
ツン妹「私はAだったわ」
大人妹「名は体を表すって言うけどまさにその通りね」
敬語妹「どういう意味ですか!?」
ボー妹「ツン姉ぇがA、敬語姉ぇがB、ボクがCでお母さんがDだったよね。有無を言わず乳姉ぇはEだったけど」
大人妹「あの当時はまだまだCが限度でしたが」
ツン妹「役の話よね!?ねえ、役の話よねっ!!?」
敬語妹「お父さんは何役でしたっけ?」
ボー妹「・・・・・・覚えてないの?」
敬語妹「は、はい・・・・・・」
大人妹「うふふ。お父様はいつもあの役でしたものね」
敬語妹「で、何だったんですっけ?」
ボー妹「ベッド」
敬語妹「あぁ・・・・・・」
男「ふふっ、旦那が帰ってきたらなんてイジワルな質問」
男「え・・・・・・?あと1年旦那が帰ってこなかったら結婚しよう?・・・・・・いいの?」
たかし「ガチャ。ただいまー。・・・・・・!!お前、何してんだ!!」
男「あ、こ、これは・・・・・・違うの!!」
たかし「何が違うんだ!その男は誰なんだ!!」
男「・・・・・・ごめんなさい。だってあなたが寂しくさせるから・・・・・・!!」
無垢妹「今日も特売間に合ってよかったわー」
たかし「・・・・・・おかしいよね!?絶対おかしいよね!?」
無垢妹「どうしたの?おかしいってどこ?お兄ちゃん、分かる?」
男「いやさっぱりだ。どこもおかしいところは無いが」
たかし「誰がどう見ても配役でしょ!!内容に関してはもう諦めたとして、配役はどうにか出来たでしょう!!」
男「でもじゃんけんで決まったわけだし」
無垢妹「実は通行人をするのは初めてでドキドキしてた」
男「だからままごとではじゃんけんは絶対なんだよ!それに通行人Fがいることで物語りに深みが増すんだ」
たかし「深まらないです!コーヒーにオレンジジュース入れるくらい深まらないです!」
無垢妹「さっきから文句ばっかりだなあ」
たかし「あ、ご、ごめん・・・・・・」
男「ちなみに妹たちに通行人やらせたら、いつの間にか通行人バトルロワイヤルが始まるんだよな」
無垢妹「その横で離婚調停を結ぶ妻と旦那だよ」
たかし「これって何がゴールなんですか?」
男「離婚後、やっぱりあの人じゃなきゃダメって思って旦那に会いに行って海の見える町で再婚するまでだ」
無垢妹「でもその思うまでに夜のお仕事するんだよ」
男「その夜のお仕事が1時間でも演じきれないほど長くてなー」
たかし「1時間以上するおままごとなんて初めて聞きましたよ」
男「その気になれば5時間出来るな?」
無垢妹「うん!あの時は大変だったね!」
たかし「あ、したんだ・・・・・・」
無垢妹「でも今日は1時間しかないから縮小版で夜のお仕事編は30分でいい!」
男「1時間しかない?」
無垢妹「あ・・・・・・!!」
物陰
ツン妹「あ、バカ!やっちゃった!」
大人妹「え?とうとう合体ですか?」
敬語妹「違いますよ。ってなに呑気にトランプしてるんですか・・・・・・」
ボー妹「あ、それダウト!」
大人妹「ふふふ。甘いですわ。ババを生贄にキングを召喚です!!」
ボー妹「ああ!革命起こっちゃったよ・・・・・・」
ツン妹「ルールが分からない!?」
敬語妹「あ・・・・・・無垢妹ちゃんがオドオドし始めちゃいましたよ」
大人妹「しょうがないです。助け舟を出してあげましょうか」
ボー妹「どうすんの?」
大人妹「少し脳にハッキングを掛けましょうか」
ツン妹「さっき私にしたでしょそれ!!」
敬語妹「それ以前になぜその様な事が出来るか疑問に思うのは私だけでしょうか・・・・・・」
男「アイスはお腹を冷やさない2時か、お風呂上りって決めてるだろ?今は3時じゃないか」
無垢妹「あ、う、え・・・・・・」
大人妹『無垢妹聞きなさい。今からたかしくんを押し倒して馬乗りになりなさい!』
無垢妹「わ、わかった!!」
ドンッ
たかし「ほわっ!?」
ドテーン
無垢妹「ご、ごめんね?」ノリッ
男・たかし「!!??」
たかし「こここここここれはどういう了見で!?」
男「・・・・・・また野外露出とはマニアックな・・・・・・ゴクッ」
物陰
ボー妹「無垢妹がたかしくんを押し倒した!?」
敬語妹「ああああなた何を命令したんですか!?」
ツン妹「なんであの子テレパシーが伝わった事に疑問を感じてないの!?」
大人妹「あとは照れた顔で、いいよ?って言いなさい」
ツン妹「最悪の命令だった!!」
無垢妹「・・・・・・いいよ?」
たかし「オッケエエエエエエエ!!!俺時代来たフォオオオオオオ!!」
男「たかしてめえコラアアアアアア!!」
たかし「向こうが誘ってきたんだ!!据え膳食わぬは男の恥!!お義兄さん、これから義弟としてかわいがってくださいね!!」
男「たかしそこ代われーーーーーー!!妹たちの初めてもらうのは俺だああああああああ!!」
ギャーギャー
物陰
ツン妹「とりあえず兄ならぬ発言をしているバカ兄貴あとで説教ね」
大人妹「あら?そう言いながら嬉しいのではないのですか?」
敬語妹「///」モジモジ
ボー妹「///」モジモジ
ツン妹「みんな・・・・・・近親相姦って言葉知ってる?」
大人妹「私には当てはまりませんわ!!」ドヤッ
ツン妹「お前は一回黙ってろ」
無垢妹「お兄ちゃん・たかしくん戦争が始まって早40分。一向に決着はつきそうに無かったのでした」
男「じゃんけんぽん!!」パー
たかし「ぽん!!」グー
男「シャアアアアア!!」
たかし「くそぉぉぉぉぉ!!」
男「これで568勝567敗だ」
たかし「ま、まだだ!まだ終わらないっ!」
無垢妹「お兄ちゃーん」
男「次は俺はチョキを出す!」
たかし「な、心理戦だと・・・・・・!?」
無垢妹「お兄ちゃーーん」
男「小学生ごときの脳で俺の心理を読めるかな」
たかし「じゃあ俺はグーを出します」
男「き、貴様・・・・・・卑怯な!!」
男「ええいうるさい!あとでちゃんともらってやるから静かにしてろ!!」
無垢妹「そんなっ・・・・・・」
たかし「いきますよー。じゃんけーん・・・・・・」
無垢妹「うぐっ・・・・・・うわーん!!」
男「!!ど、どうした無垢妹!!」
無垢妹「どうしたじゃないよお兄ちゃん!!なんで40分も構ってくれないの!?そんなことされたら・・・・・・さびしいよぉ」
男「ごごごごごめん!・・・・・・なんかその発言エロいな」ハァハァ
たかし「あー泣ーかせーた泣かせーたー」
無垢妹「たかしくんもたかしくんだよ!!たかしくんなんて大嫌いっ!!」
たかし「エロく無い上に残酷だー!!」ガビーン
男「帰れっ!!」
無垢妹「もう知らない!!」ダッ
たかし「ああ!!」
男「違うんだ!お前に言ったんじゃないんだーーーー!!」
たかし「お、お義兄さん、探しましょう!」
男「わかった!お前はあっちな!」
たかし「はい!」
物陰
敬語妹「無垢妹どこかへ行っちゃいましたよ!?」
大人妹「・・・・・・計算通りね」
ツン妹「絶対違うでしょ!ああもう!私たちも探すわよ!!」
ボー妹「待って!」
ツン妹「何よ?」
ボー妹「無垢妹ならあそこにいるよ?」
敬語妹「どこですか?」
ボー妹「ほら隅っこのブランコ」
ツン妹「校門出てもっかい入ってきたの!?」
敬語妹「なぜわざわざブランコなんかに」
大人妹「寂しいこと=ブランコを漕ぐ。ドラマの影響ですわね」
ツン妹「それ実行しちゃうんだ・・・・・・」
ボー妹「あ、兄ちゃんが気付いたよ」
敬語妹「たかしくんは校門の外に出て行ってしまいましたよ・・・・・・」
ボー妹「にしても無垢妹、どす黒いオーラ背負ってるね」
大人妹「純粋無垢なので、様々な感情や言動などに影響されやすいのですよ。良くも悪くも」
ツン妹「だからあなたに影響されてゴムなんて連呼する子になっちゃったのよ」
敬語妹「うちは子供の育つ環境としては最悪ですもんね。兄さんとかあなたとか」
男「無垢妹・・・・・・」
無垢妹「・・・・・・」
男「すまなかった。正直遊びが過ぎてたよ」
無垢妹「バカお兄ちゃん・・・・・・」
男「ああ。バカなお兄ちゃんだよ俺は」
無垢妹「せっかく遊べるって思ったのに」
男「・・・・・・隣、いいか?」
無垢妹「ダメ」
男「そいつは困った。じゃあお兄ちゃんはどこでお前と話せばいい?」
無垢妹「ん・・・・・・」
男「私を膝に乗せろってか。いいよ。俺が悪かったんだ。気が済むまでそうしてやるから元気出せよ?」
無垢妹「うん・・・・・・」
男「よっこらせっと。ほら、おいで」
無垢妹「おじゃまします」
男「ぎゅってしてやろうか?」
無垢妹「うん」
無垢妹「悪ノリで40分もじゃんけんしないよ」
男「ははは。全くその通りだ。・・・・・・でもさ、たかしくんがお前を好きだって言ってたからさ」
無垢妹「え?たかしくんわたしのこと好きなの?」
男「気付いてなかったのかよ・・・・・・」
無垢妹「だってただの友だちだって思ってた」
男「その言葉、絶対たかしくんの前で言うなよ?」
無垢妹「うん分かった」
男「それでさ、お前をたかしくんなんかに奪われたら嫌だなって思ったんだよ」
無垢妹「わたしもお兄ちゃんを誰かに奪われたら嫌だよ」
男「でもお兄ちゃんは大人妹に奪われちゃったぞ?」
無垢妹「大人お姉ちゃんは家族だからいいもん」
男「・・・・・・無垢妹は妹たちのこと好きか?」
無垢妹「好きだよ!」
男「じゃあお兄ちゃんのことは?」
無垢妹「大好きだよ!」
無垢妹「なんか、むつかしい・・・・・・」
男「そうだろ?無垢妹は純粋だからまだ色んな気持ちを知らないんだ。嬉しい、悲しい、楽しい、寂しい。人の感情ってのはそのくらいじゃない。もっともっと無限大なんだ」
無垢妹「宇宙より広い?」
男「ああ。宇宙なんか豆粒くらい小さくなっちまう」
無垢妹「鬼は外、福は内だね」
男「ああ。だからさ、もっと大人になっていろんな事知って、いっぱい笑っていっぱい泣いて、それから好きっていう感情を探せばいい」
男「焦る必要は無い。俺は無垢妹が誰を好きになろうと、お前を信じてるから」
無垢妹「お兄ちゃんを好きになったら?」
男「そん時は大人妹とじゃんけんでもしてくれ」
無垢妹「40分くらいで決着がつくかな?」
男「40分でも40時間でも40日でも構わないさ。だからそれまでは俺をお兄ちゃんとして好きでいてくれ」
無垢妹「わかった」
無垢妹「たかしくんはお馬さんなの?」
男「もしお前がお馬さんのたかしくんを好きになったらムチでもふるってやれ。喜ぶぞあいつ」
無垢妹「たかしくんは変態さんだったのかー」
男「あ、そいうことは変態って認識できるんだね・・・・・・」
無垢妹「ねえお兄ちゃん」
男「ん?どした?」
無垢妹「まだまだ好きって気持ちは分からないけど、好きって気持ちの練習していい?」
男「どうやって?」
無垢妹「こうやって」
チュッ
男「」ポカーン
無垢妹「ごちそうさまでした」ペコリ
物陰
ツン妹「にゃああああああああ!!いいいい今あの子、ちゅちゅちゅチューした!?」
敬語妹「し、しかもツン妹ちゃんのようなでこちゅーじゃなくて・・・・・・」
ボー妹「マ、マウスツーマウス」///
大人妹「くっ、やりますわね無垢妹・・・・・・!!」
男「こ、こちらこそごちそうさまでした・・・・・・?え、え?」
無垢妹「ファーストキスだよ。ちょっと好きって気持ちがわかったかも」
男「そ、それはよかった・・・・・・」
無垢妹「それじゃあ行くね。たかしくんも探さないといけないし」
男「お、おう。たかしくんによろしくな」
無垢妹「また遊ぼうねお兄ちゃん!」ダッ
男「気をつけろよー!」
男「・・・・・・俺のセカンドキスは無垢妹かぁ。犯罪になりませんようにっと」
4:00 駅前
男「ゲッダン☆うーそもゆーめもいーまはどおでーもいいー」
男「ふたりーでいっしょにすーごすウィンターラーン」
男「やさしいキスをしーて・・・・・・ああっ!!」
男「ほしにーねがいかけー・・・・・・たらこうなったよ!!」
男「かこをーーーーーーーー」
男「わーすーれーーー」
男「られないよおおおおおおおおお!!」
物陰
ツン妹「さっきからあの歌ばっかり・・・・・・キスの歌詞のところでもだえるのは分かるけど、星に願いかけてでなんで暴れだすの?」
大人妹「ギクッ。そ、それはきっとお兄様はお星様が好きなんでしょう」
敬語妹「何が、ギクッ、ですか。あからさまに秘密ありますよアピールやめてください」
ツン妹「秘密あるの?」
大人妹「無いですよ。ゴッドオブロマンスなんて」
敬語妹「あなた、ちょいちょいネタを挟みますよね?あなたの趣味ですか?」
大人妹「いいえ。作者の趣味です」
ツン妹「作、者?」
大人妹「あ、ボー妹が動き出しましたよ!」
男「うわあああああ!!お星様があああああ!!」
ボー妹「ええっ!?」
男「なんだボー妹じゃないか」
ボー妹「だ、大丈夫兄ちゃん?どこか病気なの?頭とか心とか」
男「俺は通常運転だ」
ボー妹「それを聞いて安心した反面、すっごく不安になったよ」
男「ところで今日はよく妹たちに会うな」
ボー妹「ギクッ」
男「まあ遊ぶところといえば駅前か学校のグラウンドくらいだもんな」
ボー妹「そ、そうだね。(バレてないよね?)」
男「お前は何してたんだ?」
ボー妹「買い物だよ。この時間だけど服が欲しいなーって」
男「そうだったのか。ヒマだし付き合おうか?」
ボー妹「お。デートのお誘いですか?」
男「そうですぞ。マドモアゼル」
ボー妹「じゃあエスコート頼みますわ」
男「ウィ」
男「デートすっぽかされたからな、帰ったら仕返ししないと」
ボー妹「ボクも手伝うよ!」
物陰
敬語妹「ですって」
ツン妹「これで少しは懲りるわね」
大人妹「なるほど。仕返しに私をベッドに押し倒してそうとうマニアックなプレイをすると見ました。心の準備が必要ですね」ハァハァ
敬語妹「あなたもどこか病気ですね。頭とか心とか」
男「とりあえず喫茶店でお茶しないか?小学校からここまで歩いてきて喉渇いた」
ボー妹「もちろん兄ちゃんのおごりでしょ?」
男「今日くらいは全部持ってやるよ。服代も全部」
ボー妹「本当!?ヤッター!」
男「そこでいいか?」
ボー妹「オッケー」
カランカラン
サン「いらっしゃい」
男「」ドテーン
ボー妹「に、兄ちゃん!?」
男「おおおお前なんでここにいるんだ!?母国は自由の国だろ!?」
サン「そうだが、監査員としてこちらにいなければいけないだろう?」
男「あ、ああこいつは・・・・・・なんて説明すればいい?」
サン「君の両親の知り合いだよ。ついこの間この男くんと友人になったんだ」
男「友人になった覚えは無いが・・・・・・」
サン「まあ座りたまえ。注文が決まったらベルを鳴らすといい」
男「だってよ。ほら座りな」
ボー妹「うん」
男「俺はアイスコーヒーだな」
ボー妹「ねえ、すっごくイケメンだねあの人」
男「へーへー。俺はどうせブサメンですよー」
ボー妹「む。そうは言って無いじゃん。むしろ、に、兄ちゃんの方がかっこいいというか・・・・・・ごにょごにょ」
男「え?なに?聞こえない」
ボー妹「こ、このフルーツパフェにするって言ってんの!」
男「そんな怒らなくても」
ボー妹「怒ってないし」
ボー妹「コーヒーは苦くて飲めな・・・・・・ってかけるって何?パフェに?」
男「お前に」
ボー妹「そんなことしたらコーヒー臭くなっちゃうじゃん!?」
男「コーヒーはいい匂いじゃないか。俺が舐め回せるし、おっさんも寄って来そうだな」
ボー妹「嬉しくないフェロモン!?」
男「あ、注文頼むー」チリンチリン
ボー妹「相変わらずマイペースだなあ」
<アイスコーヒーにフルーツパフェだね
男「お前、厨房で俺らの話聞いてただろ?」
<監査員だからねー
男「プライベートに突っ込むなよ」
<可能な限りそうするよ
男「ストーカーだけどな」
ボー妹「そうなの?」
男「ああ。俺らの・・・・・・いやあいつの場合は妹たちのストーカーか。注意しとけよ?」
ボー妹「わかった」
サン「お待たせ。アイスコーヒーとフルーツパフェだよ」
男「サンキュー」
ボー妹「ありがとうございます」
男「それうまそうだな」
サン「腕によりをかけたからね」
男「お前は引っ込んでろ」
サン「そうすることとしよう」
男「おう。スプーン貸してくれ」
ボー妹「おっと、今はデート中だよ?」
男「ん?・・・・・・ああ。なるほど」
ボー妹「ふふ。はい、あーん」
男「あー」パクッ
男「んまい」
ボー妹「(これを舐めれば、か、間接キス・・・・・・!!だ、大丈夫。兄妹だから。兄妹だから・・・・・・)」スーハースーハー
男「スプーン見つめてどうした?スプーン曲げでもするのか?」
ボー妹「ええい南無三!!」パクッ
男「ははは。スプーンだけを食べるなんて、ボー妹は変わってるなー」
ボー妹「ボクは、最悪だ・・・・・・」
ブティック
男「こういう店に入るのは初めてだなー」
ボー妹「普段兄ちゃんはどこで服買ってるの?」
男「ユ○クロ」
ボー妹「庶民の味方だね」
男「俺らは形だけは庶民だからな」
ボー妹「たくさん服買っちゃうかもけど、イイ?」
男「まあ親父も使えって言ってたし、オッケーだ」
ボー妹「おごりって言ったけど、親のお金だもんね」
男「う、兄としての面目だけは立たせてくれ」
ボー妹「そういうことにしておいてあげるよ」
男「ありがてえ」
ボー妹「おお!この服カッコいい!」
男「そいうやボー妹って、ボーイッシュな服ばっかり着てるよな。たまにはフリルとか付いてるの着てみたら?」
ボー妹「いや、似合う気がしないからよしとくよ」
男「そうか?絶対似合うと思うんだけどな」
ボー妹「そ、そうかな・・・・・・?」
男「ああ。俺が保証するよ」
男「こう、ミニスカートやらニーハイソックスやらをこいつに着せてくれませんか?」
ボー妹「あれ?兄ちゃんの趣味に変わった」
店員「了解しました。・・・・・・ご兄妹ですか?仲いいんですね!」
男「ああ。今デートしてるくらい仲いいんだ」
店員「あ、え?そ、そうですか。複雑なんですね」
ボー妹「ちょ!変な誤解生むような発言しないでよ!」
男「なんだよ。デートしようって言ったのはお前からじゃないか」
ボー妹「ボクからじゃないよ!兄ちゃんがヒマだから(買い物に)付き合ってやるって言ったんじゃん」
店員「(ヒマだったらお付き合いしちゃうの!?)」カチャカチャ
男「あれ?そうだったっけ?てっきりお前から(買い物に)誘ってきたと思ってたんだが」
ボー妹「兄ちゃんを(買い物に)誘うのは(部活が無いから)誘っても大丈夫な日だけだよ」
男「(他の部活が体育館を使うから練習が)デキない日はだいたい土曜日だっけか?」
店員「(ええ!?曜日によってデキる、デキないとかがあるの!?)」
ボー妹「最近(練習が)キツイよー。兄ちゃんが構って(遊んで)くれなきゃ(ストレスが)溜まっちゃってさー」
男「たまには(毒素を)出すのも必要だな」
店員「ああああの!こ、コーディネートが整いました!い、妹さんは試着室にドウゾ!!」ササッ
ボー妹「??行って来るね?」
男「ん、あ、ああ。何だったんだ?」
物陰
敬語妹「どうして店員さんはあんなに慌ててるんでしょうか?」
ツン妹「さあ?」
大人妹「いたって普通の会話に聞こえたあなたは大丈夫。だけどそうでなかったあなたは人生やり直しなさい」
ツン妹「何言ってるの?」
敬語妹「よく分かりませんが、あなたはやり直すほうだと思います」
店員「こちらになります」
シャッ
男「おお!」
ボー妹「こ、これめっちゃ恥ずかしい・・・・・・」
男「何言ってんだ。素晴らしいぞ!健康的にのびた足を覆い隠さんとする縞々のニーハイ、そして待望したかのようにフリルのミニスカートとニーハイの間に見える太もも!」
男「完璧だ・・・・・・!!」
ボー妹「兄ちゃんのそれってフェティシズムって言うんでしょ?」
男「そうフェチだ!」
店員「(そんな堂々と言うことでは・・・・・・)」
男「これ買いで。このまま着ていくので包まなくていいです」
店員「あ、はい。2万4000円になります」
男「カードで」
男「いやこれモンスターカードだし」
ボー妹「なぜ出したっ!?使えないことは目に見えてるじゃん!!」
男「レアカードだし」
ボー妹「そういう問題じゃないから!!」
男「もしかしたら使えるかもしれないだろ!!」
ボー妹「仮にそのくらい価値があるにしても、物々交換できるわけ無いから!!」
男「カードで支払うってカッコいいからイイだろ!!」
ボー妹「カード違いだよっ!!」
ギャーギャー
店員「(いつまでこのコント見てればいいのかなぁ・・・・・・)」
物陰
ツン妹「どこに仕込んでたんだろ、あのカード」
敬語妹「兄さん多趣味ですからね」
大人妹「お兄様が好きなカードは『水の踊り子』ですよ」
店員「ありがとーございましたー」
男「結局キャッシュか」
ボー妹「なんでキャッシュ<カードみたくなってんの?」
男「それ気に入ったか?」
ボー妹「ま、まあ兄ちゃんが好きなコーディネートならそれで、いい」
男「ん?俺が好きなコーディネートは全裸だが?」
ボー妹「じゃあ自分がそのコーディネートすればいいと思うよ?」
男「しゃあねえ。やってやらぁ!!」脱ぎッ
ボー妹「やめてええええええええええ!!!」
男「さて、これからどうする?町の男共にお前のそのかわいい服を見せびらかすか?」
ボー妹「うーん・・・・・・でもあと15分だし」
男「15分?」
ボー妹「あ、違う違う!今のなし!」
男「・・・・・・なーんか怪しいな」
ボー妹「ほ、ほら!あそこにソフトクリームがあるよ!ソフトクリームが食べたいなあ!!」
男「パフェといいソフトクリームといい・・・・・・太るぞ?」
ボー妹「ボクは太らない体質だからいいの!」
男「ははは。他の妹たちに聞かせてやりたいな」
物陰
ツン妹「兄貴、あとで、コロス」
敬語妹「くっ・・・・・・」
大人妹「あらあら、うふふ」ニコニコ
敬語妹「何笑ってるんですか。陰でひどいこと言われたんですよ?」
大人妹「私も太らない体しt・・・・・・あ、食べたものは全部こちらに回りますので」むにっ
大人妹「やれやれ、重いですわ」よっこらせ
ツン妹「あ・・・・・・あんたも死ねえええええええええええええええ!!!」
敬語妹「ツン妹ちゃん!今は抑えてください!」
大人妹「どうしたのですか?もしかしてあなた方は食べたものがこちらに回らず・・・・・・おなかの方に?」クスクス
敬語妹「血の雨です!血の雨を降らせてやりますっ!!」
男「ほれ」
ボー妹「ありがとう」
ペロペロ
男「あー、違う」
ボー妹「?何が?」
男「ソフトクリームはな、もっとこう、扇情的に食うんだよ」
ボー妹「センジョウテキ?」
男「兄ちゃんの言うとおりに舐めるんだぞ」
ボー妹「うん」
男「まず、下の方から舌先を使って少し舐める」
ボー妹「こう?」チロチロ
男「そう。それから、下を半分くらい出してあごを使って舌を上げる」
ボー妹「ん・・・・・・」ペロ
男「いいぞ!そしてソフトクリームを少しずつ回しつつ、這うように舐める!」
ボー妹「んちゅ・・・・・・」レロレロ
男「口や顔の周りにソフトクリームをつけるように心がけろ!」
ボー妹「ふぁ。こんなに汚れちゃった・・・・・・」
男「ナイス扇情的!!」
ボー妹「まあやらせようとした事はわかったけどね・・・・・・」
<女子中○生の舌使い・・・・・・!!ハァハァ
<トイレ行くお
<【速報】JCがショッピングモールでフ○ラ
男「ちょっと2ch確認してきますね」
ボー妹「オイ待てこの野郎」
男「すまん。ちょっと調子に乗りすぎた」
ボー妹「分かればよろしい」
男「まあでも、普段男っぽくしてるお前だけどさ、こうやって男共を興奮させるほど魅力的なんだよ」
ボー妹「な、あ、う・・・・・・急に変な事、言わないでよ///」
男「俺の発言は常に変なことだ」
ボー妹「自信持っちゃダメだよ」
男「男ってのは、変態でなきゃいけないんだよ」
ボー妹「最悪じゃん」
男「いやいや。真面目な意見。結局は変態だから、最終的な行為に導くためにカッコつけるんだよ男は」
ボー妹「最終的な行為?」
男「そりゃあセッ・・・・・・」
キーーーーン
男「付き合うとかキスとかだな」
男「?あれ?」
物陰
大人妹「ふう。危ないところだったわ」
敬語妹「何したんです?」
大人妹「脳内ハッキング」
ボー妹「キス、ね・・・・・・」
男「お前も大人になれば分かるよ」
ボー妹「自分が大人みたいな言い方だね」
男「いやだって・・・・・・アレは大人妹と無垢妹からだし」ボソッ
ボー妹「その話詳しくっ!!」
男「ムリーーー!!」
ボー妹「お願い!」
男「却下!」
ボー妹「むぅ・・・・・・」
男「素直にこの話忘れろ」
ボー妹「・・・・・・わかった。それじゃあその話を上書きしてからね」
男「上書き?」
ボー妹「えいっ!ソフトクリーム攻撃!」
ベチャ
男「うお!?甘いクリームが目と口に!?」
チュ
ボー妹「どったの?」
男「・・・・・・今なんか唇が・・・・・・いや何でもない」
ボー妹「ふふ。変な兄ちゃん」
男「うわー。顔が大惨事だよ。ちょっと顔洗ってくるな」テクテク
ボー妹「うん。待ってるね。兄ちゃん!」
ボー妹「・・・・・・今日はありがとう」
5:00
大人妹「頭の良い作戦に出ましたわね」
ツン妹「ーーーーー///」
敬語妹「なるほど。顔を覆ってからキスすればいいんですね」
ボー妹「き、緊張したーー!!」
大人妹「さて、時間となってしまいましたが」
ボー妹「待ってるって言っちゃったけど、どうしよう?」
ツン妹「もう割り切って、待ってたのが敬語姉さんでしたーってことにすれば?」
大人妹「それ採用で」
敬語妹「いくら兄さんだからってそれは通じないでしょう・・・・・・」
大人妹「では、いい案があります。敬語妹がここのベンチでお兄様が来るまで寝たふりをしてください」
敬語妹「寝たふり?そんな意味の無いことを・・・・・・」
大人妹「なるようになりますよ。さ、お兄様がそろそろ帰ってきますわ」
男「間違いなくアレは、キスだった」
男「妹が好きすぎて幻想起こしてんのか俺?」
男「ダメな兄貴だな。妹たちのファーストキスを奪っていく兄貴なんて聞いたことねーよ」
男「おい愚息、元気になるんじゃねえ」
男「さ、兄ちゃんが帰ってきたぞー・・・・・・?」
敬語妹「スヤスヤ」寝たふり
男「変だな・・・・・・俺が顔洗ってから戻ってくると、そこにはさっきまでいたボー妹ではなく、敬語妹がそこにいて寝ていた」
男「ああ。これはアレだな」
男「いただきまーす」
あむっ
男「うおっ!?なんだ急に!?」
敬語妹「なんだはこっちの台詞です!急に手を食べないでください!!」
男「ハンドソープの味がした。きれい好きだもんなお前。おいしかったよ」
敬語妹「ま、まあきれいな方が好きですから・・・・・・って話脱線してますけど」
男「そうそう!ボー妹はどうした?」
敬語妹「ボー妹なら服を先輩に見せに行くとかでそそくさと帰ってしまいましたが」
男「本日2度目のすっぽかされktkr」
敬語妹「可哀想に」
男「ということで、お前!俺とデートの続きだ!」
敬語妹「ええっ!?私がですか!?」
男「あー、もう5時だ!急ぐぞ!」
物陰
ツン妹「すごいわね。さすが兄貴ってところかしら?」
ボー妹「ボクがすっぽかしたって言い訳で通じたのはいいけど、どうしてそこに敬語姉ぇがいることに疑問が湧かないのかな」
ツン妹「?あなたどこに行こうとしてるの?」
大人妹「ちょっと薬局にイチゴ味のハンドソープを買いに」
ツン妹「ねーよそんなもん」
敬語妹「ゲ、ゲームセンターですか?」
男「ああ。ボー妹のな、太も・・・・・・かわいい服を撮ってやろうと思ったんだが、プリクラ機の中でイチャコラ、あいつ帰っちゃったからさー」
敬語妹「ところどころ心の声が聞こえたのは気のせいでしょうか・・・・・・」
男「どうせお前は真面目だからこんなところ来たこと無いだろ?」
敬語妹「え、ええ。友達に誘われてもちょっと入り難い印象があったので」
男「楽しいぞ?」
敬語妹「そうであれば幸いです」
男「じゃ、まずは太鼓ゲームだな」
敬語妹「プリクラではないのですか?」
男「そういうのは最後だよ」
敬語妹「では兄さんに任せます」
男「よし。任された」
太鼓ゲーム
敬語妹「ふえぇ。こんな速すぎる譜面読めませんよぉ!」
男「やっぱり青鬼はムリか。じゃあ赤鬼だな」
敬語妹「今度は譜の量が2倍に!?」
男「そんな難しいか?」
敬語妹「兄さん手伝ってくださいよ!」
男「しかたねーなー」掴みっ
敬語妹「・・・・・・え、と。なぜ私の後ろから?」
男「手伝ってって言うからだろ。こうしたら2人で出来るじゃねーか」
敬語妹「そ、そうですね」///
ドンドンカッドンドンカッドンドンカカカッ
男「ほれフルコン」
敬語妹「すごい・・・・・・!さすが兄さんです!」
男「えっへん!」
敬語妹「と、言いたいところですが、このレベルに達するまでどれだけの時間とお金をかけたんでしょーね?うふふ」
男「あ、あはははは。次はUFOキャッチャーでもするか」
敬語妹「」ジトー
UFOキャッチャー
敬語妹「こ、このぬいぐるみ・・・・・・すごくかわいいです!!」
男「自分でチャレンジしてみるか?」
敬語妹「はい!」
男「操作方法は、わかるな?」
敬語妹「馬鹿にしないでください。それくらい分かりますよ!」
男「じゃあまず100円もってオロオロしないようにしような」
敬語妹「こ、ここに入れるんでしょう!?」
チャリーン
男「それ隣のやつ」
敬語妹「えっ!?」
隣の人「えっ!?」
男「あ、その100円使ってもいいんで」
隣の人「は、はあ。どうも」
敬語妹「見て学ぶと書いて見学ですもんね!」
男「あ、ああお前、真面目だな本当に」
敬語妹「」ジー
隣の人「(や、やりづれぇ・・・・・・)」
<ウィーン、ガシッ
敬語妹「おおっ!!」
<スィー
敬語妹「おおおっ!!」
<ポトッ
敬語妹「おおおおっ!!」
隣の人「(なんか、すっげーかわいいなこの子)」
男「わかったか?」
敬語妹「はい!バッチリです!楽勝です!」
男「そうか。じゃあやってみるんだな。このマシンにハマるなよー」
敬語妹「ふふ。すぐにこのぬいぐるみを取ってやりますよー!!」
30分後
男「なー、もういいだろ?」
敬語妹「あ、あと1回!あと1回です!」
男「さっきもそう言って、結局位置戻っただけじゃん」
敬語妹「次はなりませんから!」
<ペイッ
敬語妹「ああっ!!」
男「ほら」
敬語妹「し、仕方ありません」
男「ようやく分かってくれたか」
敬語妹「この1万円を割ってきますね」
男「ストーーーーーーーップ!!」
敬語妹「何ですか!?兄さんどいてくださいこれ割れません!」
男「お兄ちゃんどいてそいつcoroせないみたいな台詞言わないで!?」
敬語妹「それは、小銭が切れるまであと1回という意味です」
男「そんな隠れ言葉読み取れるかっ!!」
敬語妹「あのぬいぐるみが私を待ってるんですー!!」ダッ
男「このっ!!」ガシィ
敬語妹「ぐぬぬ・・・・・・」
男「おま、意外に力強い・・・・・・!」
敬語妹「お願いします!これで取れるんです!」
男「くそぉ何言っても通じねえ。・・・・・・こうなったら最終手段だ」
敬語妹「あ、あと5センチ・・・・・・!!」
男「南無三!」
もみっ
男「あれ?掴んだ感触がイマイチなかった・・・・・・」
敬語妹「きゃ、きゃあああああああああ!!?」
バッシーーン
男「どぅふ!!」
敬語妹「なななななんて事するんですか!?」
男「こ、これで正気に、も、戻った、だろ・・・・・・」ガクッ
敬語妹「に、兄さーん!!」
男「う、パ、パンツを見せてくれれば・・・・・・生き返る」
敬語妹「いい加減にしてください」パシッ
男「おうふ!」
敬語妹「人の胸揉んでおいて、さらにパンツまで要求するとは何て人間ですか!!」
男「UFOキャッチャーにムキになってウン万円も使うなんて何て人間ですか!!」
男「ま、これはそういうモンだよ。負けず嫌いな奴ほどハマってしまう。お前みたいな、な」
敬語妹「すみません。まさに泥沼でした・・・・・・」ショボーン
男「・・・・・・はあ。しゃーねーな」
敬語妹「?どうするんですか?」
男「ちょっと待ってろ」
<チャリーン
<ウィーン、ガシッ
<ポトッ
男「ほれ」
敬語妹「あ、すごい・・・・・・」
敬語妹「あ、ありがとうございます」
敬語妹「」ジー
敬語妹「ふふ。かわいいです」ギュー
男「(お前の方がかわいいです)」
敬語妹「そこのベンチで休みましょう。長く兄さんを付き合わせてしまったので」
男「そうだな。足がパンパンだ」
敬語妹「兄さんは座っててください。私が飲み物買ってきます」
男「そうか?悪いな」
物陰
ボー妹「きゃー!このぬいぐるみ可愛いです!取ってください兄さん!的な展開を予想してたんですが」
ツン妹「ハズレだったわね。私は敬語姉さんがUFOキャッチャーにハマることは予想してたけど」
大人妹「ああ!また落ちてしまいました!」
ボー妹「さっきから乳姉ぇは何を取ってんの?」
大人妹「何に見えますか?」
ボー妹「・・・・・・マッサージ器?」
大人妹「うふふ。健全でよろしいですわ」
敬語妹「はぁ。兄さんにみっともないところ見せてしまいました・・・・・・」
敬語妹「しかも30分無駄に消費してしまいましたし・・・・・・」
敬語妹「でも・・・・・・ふふ。兄さんからのプレゼントです」
よしゆき「ヘイ彼女!」
敬語妹「自分の彼女の事を、ヘイ彼女、なんて呼ぶ人がいるんですねー」
よしゆき「おい、シカトすんなよ彼女」
敬語妹「え?私ですか?」
よしゆき「そう、君だよ君。かわいいねー」
りょうた「君どこ高?」
やすひろ「髪さらっさらだねー」
敬語妹「ナ、ナンパですか?」
よしゆき「いやいやナンパじゃないよ。ただヒマなら一緒に遊ばないってだけ」
敬語妹「それをナンパというのでは・・・・・・」
りょうた「こまけぇこたぁいいんだよ」
敬語妹「すみません。折角ですが兄さんを待たせてるんで」
よしゆき「兄だろ?別に彼氏じゃないならいいじゃん」
敬語妹「そういうわけにもいきませんよ」
やすひろ「いいじゃねーか。この年で兄貴と一緒に外出するより、他の男と遊んだ方がいいだろ?」
敬語妹「む。兄さんと外出したっていいじゃないですか。それに私はまだ中学生です」
やすひろ「うっひょー!中学生!」
よしゆき「しかもブラコン!」
りょうた「俺らがブラコン治してやるよ。不甲斐ない兄貴より俺らの方がいいってこと教えてやるからよ」
敬語妹「に、兄さんを悪く言わないでください!」
りょうた「あん?誰だてめえ」
男「何でノートデスに名前書かれて死なないんだよ渋井丸卓男」
りょうた「いや俺りょうただし」
敬語妹「兄さん!」
やすひろ「お!兄貴登場じゃん!」
りょうた「めんどくせーな。よしゆき、こいつ片付けてくんね?」
よしゆき「」ガタガタガタガタ
りょうた「よしゆき?」
男「よしゆき?よしゆきくんじゃないか!」
よしゆき「いやーーーーー!!近寄るな悪魔ーーーーー!!」
やすひろ「どうしたよっしー!?柔道で敵無しのよっしーがなんでビビッてんの?」
男「やあ!中学校から別々だったもんね!」
よしゆき「に、逃げるぞ2人とも!」
りょうた「はあ?なに言ってんだよ。こいつらボコるぞ」
よしゆき「と、とにかくこいつはヤバいんだって!」
りょうた「何がどうヤバいんだよ。ヒョロっちーだろ」
よしゆき「言えないけど、とにかくヤバいんだよ!なあ、早く逃げようって!」
男「敬語妹、お前もよしゆきくんと友達?」
敬語妹「い、いえ。この人たちがナンパしてきたので・・・・・・」
男「まあそれくらいお前が可愛いって事だよ。よかったな」
敬語妹「///」
りょうた「目の前でイチャイチャしてんじゃねーよ」
よしゆき「お、俺は逃げるからな。じゃ、じゃあな2人とも!」ピュー
やすひろ「あ、待てよよっしー!」ダッ
男「・・・・・・どうだ?逃げるなら今のうちだぞ卓男」
りょうた「誰が逃げるかっつーの。ていうか俺は卓男じゃないつってんだろ」
男「じゃあ妹をどうする気だ?」
りょうた「どうすると思う?」
男「いただきますする気だろ?」
りょうた「あ?あ、ああ幼稚な言い方だが、その通りだ」
敬語妹「ちょ、兄さん!?」
男「妹たちの初めては俺がもらうって決めてんだよ」
りょうた「ふはっ!コイツは筋金入りのシスコンとブラコンじゃん!キモー!ずっと2人でズッコンバッコンやって・・・・・・」
男「黙れ童貞」
敬語妹「ズシっと来る一言!?」
りょうた「な、なんでてめえがその事を・・・・・・!?って、そうじゃねえ!バカにすんなオラァ!!」
バキッ
男「グハッ・・・・・・」
敬語妹「に、兄さん!大丈夫ですか!?」
男「ふ、ふはは・・・・・・」
りょうた「殴られて感じてるのかよこのマゾが!それとも気でも狂ったか?」
男「いや。殴られたんなら、殴り返しても正当防衛になるなって思って」
りょうた「勝つ気でいんの?ふはっ!俺柔道部なんですけ・・・・・・ど?」
バッキィ
男「なにパンチ力だけで柔道部であること自慢してるんですか?柔道部ってのは柔能く剛を制すっていうんだけど?」
りょうた「わ、わかってるわ!んなこと!」
男「まあ俺は体の動きを無駄なく使う空手のほうだけど」
バキッ
りょうた「グフッ!!・・・・・・て、てめえの細い腕のどこにそんな力があるんだよ!」
男「筋肉の大きさが力じゃなくてさ、体の使い方なんだよ。それを知っとけ」
ドスッ
りょうた「うっ・・・・・・」ガクッ
敬語妹「す、すごい」
男「お前今日そればっかだな」
敬語妹「兄さん、いつこんな力を・・・・・・?」
男「その前に!」
敬語妹「??」
男「トンズラすんぞ!!学校にばれたら大変だ!!」ピュー
敬語妹「あ、ま、待ってください!!」ダッ
男「」ゼーゼー
敬語妹「」ハァハァ
男「結局ゲーセンから出ちまったな」
敬語妹「野次馬が集まってくるよりはマシですよ」
男「いやほら、プリクラ」
敬語妹「あ・・・・・・」
男「すまないな。一緒に撮ろうって言ってたのに」
敬語妹「気にしないでください。絡まれてしまったのは私ですし」
男「・・・・・・ジュースもらっていいか?」
敬語妹「あ、はいどうぞ」
カシュ
男「ごくごく・・・・・・ああうまい!」
男「ひっそり隠れてな。親父に勧められてさ。妹たちを守る力を持て!ってな」
敬語妹「バレちゃいましたね」
男「バレちゃったな」
敬語妹「どれくらい強いんですか?」
男「さてね。強さは競うもんじゃないから。単純に力だけってなら、瓦5枚は余裕かな」
敬語妹「本当にあなたは兄さんですか?」
男「ふははは。バレちゃしょうがないな!私は正義の味方、ヲニー・チャンだ!」
敬語妹「アクションスターみたいですね」
男「ま、バレちまったけど、お前を守れたならそれでいいよ」
敬語妹「ありがとうございます」ニコッ
男「本日3度目の妹の貞操の危機だったからな」
敬語妹「??」
物陰
ツン妹「やだ兄貴カッコいい・・・・・・」
ボー妹「どうしようもない変態なのに空手家なんて・・・・・・そのギャップがたまらない!!」
大人妹「いずれ強く腕を押さえつけて私を蹂躙するための力ですね。ふふふふふ」
無垢妹「お兄ちゃんが日曜日の夜にこっそり抜け出してたのはそれだったんだね」
大人妹「おや。お帰りなさい無垢妹」
ボー妹「日曜日の夜って賢者の日じゃなかったっけ?」
大人妹「き、禁欲してまでも私たちのために・・・・・・!!」
ツン妹「兄貴大好きッ!!」
敬語妹「だいぶ日も暮れてきましたね」
男「わずか一時間のデートだったな」
敬語妹「いいんですか?あの人がいるのに私とデートなんて」
男「ほら不倫は文化っていうだろ?」
敬語妹「そんなこと言ってると、知りませんよ?」
男「まさか陰で大人妹が聞いているわけでもないだろ」ケラケラ
敬語妹「そ、そうですよね。あは、あははは・・・・・・」
物陰
ツン妹「だって」
大人妹「さて、ムチはどこにしまっていたかしら?」
ボー妹「乳姉ぇが鬼の形相だよ!?」
無垢妹「ムチは戸棚の一番下の左端だよ」
男「今日はなぜか妹たちに振り回される1日だったよ」
敬語妹「な、何ででしょうね」
男「そういう日も悪くねえ・・・・・・むしろ大歓迎だ。最近、俺自身が妹たちを避けてた気がするからな」
敬語妹「そんな。兄さんはいつも通りで・・・・・・最近少し大人っぽくなっただけで」
男「何でだと思う?」
敬語妹「あの人と付き合いだしたからですか?」
男「いんや。それ以前の問題だな。・・・・・・ま、俺も1個正しい選択を出来たってことかな」
敬語妹「どういうことなんでしょう・・・・・・?」
男「さて日も落ちてきた頃だし、帰るか」
敬語妹「お夕飯の準備もしなくてはいけませんからね」
男「手伝うぞ」
敬語妹「兄さんはソファに腰掛けていてください。出した料理をおいしいと言ってくれるのが私の楽しみですから」
男「お前が作ってくれる料理なら何でもおいしいさ」
敬語妹「一生俺のために朝、みそ汁を作ってくれってことですか?」
男「それを言いたいが、言ったら殺されちゃうからさ・・・・・・」
物陰
ボー妹「まずはみそ汁を作る練習からだね、乳姉ぇ」
ツン妹「私知ってるわよ。あなたの家庭科の成績!ププッ」
大人妹「お、お黙りなさい!!今から、そう!今からなのです!」
無垢妹「もうキッチンが爆発するところは見たくないな」
男「よろしく頼むよ。でもさ」
敬語妹「はい?」
男「敬語妹が俺のためにみそ汁を作らなくなったからって、俺の妹でなくなったって訳じゃないからな」
敬語妹「そ、それはそうです!私はずっと兄さんの妹です!!」
男「それが聞けて安心したよ」ニッ
敬語妹「・・・・・・!!は、反則ですよ」///
男「んー?何が反則なのかなー?」サワサワ
敬語妹「ふ、太ももを触らないでくださいっ!!・・・・・・腰もダメですぅ!!」
男「ケチケチすんなよー」
敬語妹「お、お夕飯無しにしますよ!!」
男「すみませんでした。どうかお夕飯だけは、お夕飯だけはお許しください!!」ドゲザ
敬語妹「兄さんの土下座って安いんですね・・・・・・」
男「お夕飯を許してくれるまでこうする」
男「本当か!?」
敬語妹「それに体を触ることも許してあげます」
男「本当かっ!?」
敬語妹「ただし!」
男「!!」
敬語妹「1か所だけ・・・・・・ここ、だけです」
男「そこって・・・・・・唇」
敬語妹「に、兄さんの体で私の唇に触れて、だ、大丈夫です!」
男「・・・・・・わかった。お前の決心受け取った。・・・・・・目つぶれ敬語妹」
敬語妹「はい・・・・・・」
男「俺からするのは、初めてなんだよな実は」
チュゥ
物陰
大人妹「お、お兄様のある意味初めてを奪われてしまいましたの」ort
ツン妹「いつもは自己主張の小さい敬語姉さんが・・・・・・積極的に」
ボー妹「きょ、今日の努力賞かも」
無垢妹「兄ちゃんの唇ってちょっと固いよね」
ボー妹「確かに。ちょっとだけ」
大人妹「ふふふ。私はすでにキスは済ませましたもの!合体さえすれば、MVPは私ですわ!」
ツン妹「・・・・・・よく考えれば唇にキスしてないの私だけな気がする」
ボー妹「本日の残念賞はツン姉ぇでしたー」
ツン妹「え、ちょ!うそっ!?」
無垢妹「ツンデレの需要ってだんだん減ってきてるよね?」
敬語妹「すみません。それでは私はここで」
男「本当に家まで一緒に行かなくていいんだな?」
敬語妹「はい。兄さんにはこれからもう1つお仕事がありますので」
男「なんだそりゃ?」
敬語妹「あと3分ほどしたら分かりますよ」
男「そっか。受身っとくわ」
敬語妹「頑張ってください。今日はありがとうございました兄さん。ぬいぐるみ大切にします」
男「ん。気にすんな」
敬語妹「では」テクテク
男「・・・・・・んー。仕事ってなんだろな。・・・・・・この流れからしてあと1人しかいない気がする」
6:00
男「きっとその辺に大人妹が隠れてるんだろうな」
大人妹「隠れるなどしませんわ」
男「うわーーおっ!?いつの間に俺の後ろに!?」
大人妹「あ・・・・・・立ちくらみが」むにゅ
男「ヤメローーー!!意識が、理性が飛んじゃう!!」
大人妹「むしろ大歓迎ですわ!!」ギューギュー
男「身がいくつあっても足りねえええええ!!」
大人妹「は・・・・・・はくちゅん!」
男「・・・・・・」
大人妹「・・・・・・」
男「・・・・・・なんだお前寒いのか?」
大人妹「は、初めてお兄様の前でくしゃみなど・・・・・・は、恥ずかしいですわ!」
男「お前の恥ずかしいの基準が分からない!?」
男「俺の上着貸してやるよ」パサッ
大人妹「そうでないでしょう。こう、お互いの肌で温めあうという」
男「今日の最後がこいつのお守りかよー」
大人妹「こ、恋人に向かってそのような発言は・・・・・・!?というより他の妹たちにはきっとギュッとしたでしょうね今日のお兄様なら」
男「え、べ、別に分け隔てないよ」
大人妹「恋人と妹たちに分け隔てが無いのですか!?この浮気者!!」
男「ああもうどうしろと!!」
大人妹「抱きしめる以上の事をしていただかないと」
男「そ、それは・・・・・・その」
大人妹「はい。休憩にします?宿泊にします?」
男「ああ、父さん母さん。俺は今日いろいろ卒業します」
大人妹「・・・・・・クスッ」
男「何がおかしいんだよぉ」
大人妹「大丈夫ですわ。お兄様の思いは知っています。ですのでその代わり・・・・・・今日の最後に私に付き合ってください」
男「あ、ああ」
物陰
ツン妹「ね、ねえ私帰っていい!?本当にあんなところに行くなら私帰る!」
ボー妹「ボクも無理だよ。こんな時間に」
敬語妹「わ、私はお夕飯の準備がありますので、これでー・・・・・・」
無垢妹「えー。もうみんな帰るの?」
敬語妹「ほら、あとは若い2人に任せて早く帰りましょう!!」
無垢妹「ちぇー!」
ツン妹「あなたならきっとあの場所の住人とも仲良く出来るわよ・・・・・・」
男「こんな時間に墓地!!」
大人妹「さあキモ試しを始めますわ」
男「オイ、季節違う!」
大人妹「冗談ですわ」
男「・・・・・・墓参りねぇ。別の日にでも出来ただろうに」
大人妹「いえ。今日でなくてはいけないのです」
男「?今日はお前の実の両親の命日じゃないだろ?」
大人妹「・・・・・・今日は父と母の誕生日ですわ」
男「・・・・・・そっか」
大人妹「数日前、妹たちが私に、いつお兄様と私が恋仲になったのかと聞いてきました」
男「賢者の日か」
大人妹「流れ星のことは伏せました。妹たちがお兄様に兄妹以上の感情を寄せているのは知っていますよね?」
男「ああ。俺がそう望んだ世界だからな」
男「またなぜ?」
大人妹「私がお兄様を独占するのが心苦しいというものもありますし・・・・・・私もお兄様同様、妹たちを想っていますので。少しでも心の重りが取れればと思いまして」
男「それで俺に次々に刺客を送ってきたと」
大人妹「刺客・・・・・・面白い表現ですわね」
男「面白いか?」
大人妹「ええ。お兄様といると世界が輝いて見えますわ」
男「~~~~~っ!!」///
大人妹「照れているお兄様も可愛いですわ」サワッ
男「こ、こら。顔を触るな・・・・・・ってお前震えてる?」
男「お前、憑かれてないだろうな・・・・・・?」
大人妹「いいえ。そうではなく、亡くなった両親を裏に私がこんなに幸せでいいのかと思うと・・・・・・重圧で押しつぶされそうになるんです」
男「こんの・・・・・・バカヤローーーーー!!!」
大人妹「ええっ!!?」
男「お前はアホか!子供がすくすく育ってるのに嬉しくない親がいるかよ!」
大人妹「しかし!残された者の方が深い悲しみを・・・・・・」
男「だからバカなんだお前は!大人っぽい顔して実はピュアハートの少女ですってか?もうお前に少女って言葉は合わねーよ」
大人妹「な、ななな!?お、お兄様と言って今の発言は許せません!!」
男「お前は親父たちがくれた喜びや幸せを否定すんのか?」
大人妹「違います!決してお父様たちのお心をむげになどは考えて・・・・・・」
男「いいや考えてたね!ついでに義兄と結ばれること、義妹を裏切るかもしれないと言うことを!」
大人妹「考えていません!」
大人妹「そ、それは・・・・・・」
男「流れ星の事が解決したと思ったら、次はお前か」
大人妹「あ、う・・・・・・」
男「だったら、お前を救わなくちゃいけない」
大人妹「え・・・・・・?」
男「お前をバカとアホって言ったけど、間違ってるって言ったか?」
大人妹「バカもアホもニアイコールで間違っているという意味になりそうですが・・・・・・」
男「お前の考えはバカだ。だけど、そう考えるのは悪いことじゃない。確かに後ろめたいもんな」
大人妹「ではどうすれば・・・・・・」
男「お前がちょっと前に考えてたこと当ててやろうか?」
大人妹「は、はい」
男「『手に入れた幸せが、実の両親の幸せと引き換えのようだ。報復があるかもしれない』」
男「『だから、お兄様と共に墓参りして、許しを請おう』」
男「『お兄様と妹たちをデートさせれるのも、妹たちを裏切ったと思われないため』」
男「『そして数日振りに晴れた上にここは流星がよく見える』」
男「『願おう。実の両親がいる世界を』」
大人妹「・・・・・・まったくその通りですわ」
男「だてに兄貴してないぜ」
大人妹「星に願えるのなら」
男「願いが叶うのなら、俺とお前が恋仲である可能性は低いだろうな」
大人妹「そんなことありません!私はずっとお兄様をお慕いしています!」
男「手に入れた幸せが俺との恋仲だ。お前が実の両親って言う幸せを手に入れれば、前者は消えるだろう」
大人妹「しかしお兄様と私は幼馴染であったのですよ?」
男「俺の周りには、妹4人に女さんだっている。お前を選択肢に入れないこと自体も十分ありえる」
大人妹「・・・・・・」
男「お前はあの日、自分で選択したんだ。幸福と不幸をいっぺんに手に入れた世界を。自分の選択にケチつけるんじゃねーよ」
男「両親が恨んでると思えば、喉引っかいてでも許しを請えばいい。報復があるなら全身全霊でそれを受けろ」
男「ただ、自分が行った選択を変えようって事だけはするな。正しくない選択をしたと思うなら、正しい世界に近づくように努力しろ」
男「『自分の力』で」
男「少なくとも俺はそう学んだ」
男「まったく一番の弱虫はお前じゃないか」ギュッ
男「一緒にあの雨の日を乗り越えただろ?」
大人妹「身勝手な私をお許しください・・・・・・!」
男「許すも何も怒ってないよ。妹たちも、親父たちも、そんで・・・・・・実の両親も」
男「お前が生きている、それ自体で俺は嬉しいんだ」
大人妹「ぐすっ・・・・・・しばらくお兄様の胸を借りてもよろしいですか・・・・・・?」
男「好きなだけ借りとけ。ただし、利子付きでいずれ返してもらうぞ?」
大人妹「・・・・・・ふふ。100割り増しでお返ししますわ」
墓前
大人妹「私にとっては、記憶の多い方がお父様とお母様です。ですのでお2人を何と呼べばいいのか分かりません」
大人妹「もし、こんな私でもお2人を父母と呼べるのであれば、そうさせてくださいませ」
大人妹「あの日・・・・・・私は自らの意志でお兄様を選びました」
大人妹「そしてお父さんとお母さんを失いました」
大人妹「もしこれが、正しい選択であれば笑っていただけますか?」
大人妹「実の娘の幸せを笑顔で受け入れてくれますか?」
大人妹「・・・・・・・・・・・・」
大人妹「ふふ。辛気臭いですわね」
大人妹「次来る時は、笑顔で参ります。お父さん、お母さん」
大人妹「お兄様」
男「ん。終わったか」
大人妹「ええ。これでスッキリ・・・・・・とはいきませんが、心が少しばかり落ち着いた気がします」
男「結構だ。それでいい」
大人妹「では帰りましょう」
男「ちょっと待て。俺もこのお墓に言いたい事がある」
大人妹「お兄様が、ですか?」
男「あーあー・・・・・・正しく言えるとは思えないですが、はっきり言います」
男「このお墓にこいつの骨は入れさせません。大人妹は・・・・・・ずっと俺の傍にいる奴ですから」
男「それが嫌なら取り返しに来てください。化けてでも」
男「・・・・・・絶対に大人妹を返しませんよ」ニッ
大人妹「」ギュウ
男「帰ろう。みんながいる我が家に」
大人妹「はい!」
女「ヒュードロドロ」
サン「なかなか様になっているではないか」
女「そうかい?三角頭巾でも着けておくべきだったが」
サン「それでは本当に物の怪の類と間違われん。やめておくといい」
女「ふ。男くんたちは良い選択をした」
サン「それはまだ分からないことだが」
女「私には分かる。良くも悪くも荊の道、彼らは6人で力を合わせて乗り越えていく。そんな気がね」
サン「流星の監査員が感情的になってはいけないよ」
女「私は人間出身だからな。どうしても感情的になってしまうのだよ」
サン「そうかい。ではその君の勘を頼りにして我々はこの願いたちの監査員から引き下がろう」
女「いいのかい?」
サン「きっと彼らならうまくいくんだろう?」
女「ふふ。違わない」
女「あんな固い守りを崩せる自信はないよ。堅実に他の良い男性でも探すとしよう」
サン「星に願う時は、私を頼ってくれ」
女「ごめんこうむりたいね」
サン「ふふ。では良い日常を過ごすといい。あなたにも良い選択があらんことを」
女「ああ」
シュン
女「・・・・・・コスモ的パワーは失われたみたいだね」
女「私も流星に心を踊らされた人間の1人だったということか」
女「ふふ。久しぶりにティーショップに行くとしよう」
男「ただいまー」
大人妹「ただいま帰りました」
無垢妹「お帰りんこーーーー!!!」
男「やや鋭角からのジャンピングキックーーーーーー!!?」ゴッハー
大人妹「はい。マ○コマ○コ」ニコニコ
ツン妹「笑顔でなに言ってるのよ!?普通ただいまん・・・・・・って私が何言ってるのよ!!」
ボー妹「相変わらず下ネタ多いなー」
敬語妹「食事前に暴れないでください!兄さんと大人姉さんは手を洗ってきてくださいね」
大人妹「!!」
男「?どうした大人妹?」
大人妹「大人姉さん・・・・・・ふふなんでもありませんわ」
敬語妹「私もいつまでも子供ではないということです。それに、私と大人姉さんが対等ということを示したつもりです」
大人妹「ふふ~ん♪」
男「よく分からんが機嫌がいいのはいいことだな」
大人妹「今なら、全部お兄様に捧げてもいいほど機嫌がいいですわ」
男「いやそれは・・・・・・また別の機会に」
ツン妹「はぁ。そんなんだからモテないんだよ兄貴は」
ボー妹「そうそう据え膳食わぬはなんちゃらって言うでしょ?」
敬語妹「女心を察するのも男性の仕事ですよ兄さん」
無垢妹「プロレス(?)が始まるんだね」
男「お前たちまで!?」
男「ぎ、ぎゃあああああああ!!」
敬語妹「あ、ちょっとご飯を食べてからにしてください!」
男「こうなったらヤケクソだあああああああああ!!」ガバッ
大人妹「きゃあ♪」
敬語妹「兄さんも落ち着いてください!!」
ツン妹「食事前にエキサイティングしてるんじゃないわよ!!」
ボー妹「こんなグダグダで大丈夫かな・・・・・・」
無垢妹「もーまんたいだよ!・・・・・・また会う時まで。じゃあね!」
これまでの世界、これからの世界。
有った世界、無かった世界。
願った世界、願われた世界。
選んだ世界、選ばなかった世界。
そして、選んでいく世界。
ハッピーエンドか、バッドエンドかは末来が決めること。
未来の自分が決めること。
サン「さあ。次の願いは誰かな」
THE END.
面白かったよニヤニヤしたよ
デート編大人妹だけキスしてないな。だけに、おまじないのがグッとくるね
ほっこりするいい話でした
Entry ⇒ 2011.12.28 | Category ⇒ 男女「」SS | Comments (0) | Trackbacks (0)
男「お、流れ星か。理想の妹をくださいっと」
<チノツナガリナンテドウデモイイ! ワタシハオニイチャントイッショナラドコヘデモイケルヨ 完
男「おっしゃー!攻略完了」
男「うんやっぱり妹ゲーはいいな。血が繋がってるからこそ生まれる愛っていうの?」
男「禁断の愛を乗り越えて育まれ、2人はさらに愛し合っていく」
男「・・・・・・はぁ。何で俺には妹がいないんだ?」
男「星明りがこんなにキレイなのに、俺の心は現実という容赦ない光に照り付けられて」
キラーン
男「お、流れ星か。理想の妹を下さいっと」
男「ははっ。何だか悲しくなってきたやっ!」グスッ
男「寝るか・・・・・・」
男「」ぐーすかぴー
キラーン・・・・・・
朝
チュンチュン
「て・・・さい。・・・きてください!・・・起きてください!」
「兄さん!」
男「う・・・ん?誰だよ。俺の睡眠を邪魔するのは。そもそもニイサンって誰だよ・・・・・・ん?兄さん?」
「随分寝ぼけていますね」
男「そこには可憐な少女が立っていた。俺に敬語を使い兄さんと呼び、まるで妹のように・・・・・・?」
「え、まあ妹ですから」
男「えと・・・・・・誰の?」
「あなたの妹ですよ、兄さん」
男「オーケー。10秒待ってくれ」
「ど、どうぞ」
男「(よし。状況を整理だ。昨日俺は妹ゲーを完クリした。それで妹欲しいなどと星に願った。するとどうだ。そこには妹と名乗る少女がいるではないか。ははーん。こりゃアレだ)」
男「夢、だな」
「まだ寝ぼけてるんですね」
男「夢なら仕方ない。襲うか」
「襲う・・・・・・えっ!?」
男「据え膳食わぬは男の恥。妹襲わぬは妹ゲーマーの恥。・・・・・・よしっ!」
「に、兄さん・・・・・・?」
男「ふぅ~じこちゃぁ~~ん!!」
「い、イッヤァァァァァァァァァァァァァ!!!」
バチーーーーーン
間。
「あらおはようございます。お兄様」
「兄貴、2階でなに騒いでたのよ・・・・・・」
「兄ちゃんおはよぅ!ってどうしたのそのほっぺたの手形?」
「うとうと。あ、お兄ちゃんおはよー」
ガヤガヤ
男「ああ・・・・・・これは現実だとこの紅葉と痛みが証明してるよ」
「今度あんなことしたら許しませんからっ!」
男「まっじでスイマセンでした!!」
「えー何してたのぉ?」
「何でもないですから早く朝ごはん食べて支度してくださいね」
「くすくす。お兄様も酔狂ですね」
「まったく、静かに食事したいこっちからしたらいい迷惑よ!」
「遊んでたのー?」
男「(状況から察するに、ガチで願いが叶ったとしか思えねぇ。動揺するが、逆に考えれば天国じゃね?)」
男「(こうなっちまった以上しかたないな。うん。この世界を謳歌するぞっ!)」
「お兄様、早くしないと遅れてしまいますよ?」
男「(大人っぽいなぁ。黒髪長髪ストレート。そんで胸は・・・・・・大!)」以下『大人妹』
大人妹「どうしました?」クスクス
男「お、おう。いただきます」
男「う、美味い・・・・・・!これは誰が作ったんだ?」
「私ですけど何か、兄さん?」ギロッ
男「ひぃ!?」
男「(な、なるほど。この子は家庭的な子だな。ミドルヘアーがよく似合ってるな。んで胸は・・・・・・小?)」以下『敬語妹』
敬語妹「ど、どこ見てるんですかっ!?」
「あ、朝から不潔よバカ兄貴ーー!」バッシーン
男「2発目の紅葉ぃー!?」
男「(こ、この子の性格は・・・・・・?)」
「む、胸ばっかり見て!あんたそんなんで恥ずかしくないのっ!?」カッー
男「(何だツンデレか。なるほど。象徴するかのごとくツインテールだな。しかも・・・・・・極小)」以下『ツン妹』
ツン妹「べ、別に兄貴のために言ってるんじゃなくて、わ、私たちの風評に関わるからなんだからねッ!」
男「(オッケー。教科書どおりのツンデレだぜ!)」
「へへーん。ボクはツン姉より胸あるよーん!」
男「(ショートボブヘアにボクっ娘。ボーイッシュな子か。確かにツン妹より胸はあるな。並か)」以下『ボー妹』
ツン妹「アンタも兄貴と同じ程度の思考!?」
ボー妹「でも男の子はおっぱいが好きだってのは事実じゃん」
敬語妹「朝から変な話題で盛り上がらないでください!」
ボー妹「敬語姉も胸ちっちゃいもんね」
敬語妹「なっ・・・・・・!?」
大人妹「そんな敬語妹とツン妹に朗報。日本人の男の4割は小さい派よ。まあそこにお兄様が入るかは分かりませんが」チラッ
男「いやこっちにふるなよ」
ツン妹「で、兄貴は実際どうなのよ!」
男「まあ無いよりはあった方がいい、かな?」
大人妹「だそうよ」クスクス
ボー妹「敬語姉とツン姉はこれで兄ちゃんの眼中から消えちゃったね」
ツン妹「はっ!そ、そもそも兄貴を意識する必要が無いじゃない!ふ、ふん。どうでもいい話だったわね」
敬語妹「兄さん、晩飯抜きですね」ニコニコ ゴゴゴゴゴ
男「ホワイ!?俺は一般論を述べたまでだ!」
大人妹「ではお兄様、今夜私と外食いたしましょう」
敬語妹・ツン妹「「それはダメ(です)っ!」」
大人妹「あらあら」クスクス
男「(これは・・・・・・天国なのか?状況がカオスすぎんだけど)」
グイグイ
男「ん?」
「お兄ちゃん、わたしのおっぱいは大きい方?」ムニュ
男「お、ああ。そうだな。普通じゃないか?そのくらいがちょうど良いよ」
「そっかー!よかったー!」ニコニコキラキラ
男「(うおぉぉ。眩しい。この子は純粋無垢だ。きっと胸の話も訳分からずに聞いてたんだろう)」以下『無垢妹』
無垢妹「でもでも同じクラスのあかりちゃんは、わたしよりおっぱいちっちゃいけどモテモテだよ?」
男「世の中定石には囚われないって事だよ」
無垢妹「難しいね。世の中って」
男「ああ難しいぞ。何たって星が願いを叶えてくれるくらいだからなあ」
無垢妹「??」
男「状況をまとめると、キラッ☆お星様は5人の多様な妹を作り、ギャルゲのごとく俺に好意を寄せさせた!」
男「長女は『大人妹』で俺と一緒の高校に通うJK1だ」
男「次女は『敬語妹』で隣町の中学校に通うJC3だ」
男「三女は『ツン妹』で地元の中学校に通うJC2だ」
男「四女は『ボー妹』で地元の中学校に通うJC1だ」
男「五女は『無垢妹』で地元の小学校に通うJS6だ」
男「俺は低スペックなゲーム脳、DK2です。ごめんなさい」
敬語妹「兄さん、誰と話してるんです?」
男「違う世界のお友達、かな」
男「完全に忘れてたけど親は?」
ツン妹「何言ってるの?海外に住んるじゃない」
男「えっと、ご職業は・・・・・・?」
ツン妹「はぁ?不動産の社長。そんなことも忘れたのこのバカ兄貴は」ハァ
男「とんだご都合設定でした」
敬語妹「今日の兄さん変ですよ?」
大人妹「あら?お兄様が変なのはいつもの事じゃない」
男「どういう意味だ!?」
ツン妹「それもそうね」
ボー妹「そうだね。兄ちゃん変だもんね」
大人妹「ええ。特にベッドの下が変ですからね」
男「ノォォォォォ!?プライベート丸出し!?」
敬語妹「・・・・・・この間の掃除からまた増えてるんですか、兄さん?」
無垢妹「え?お兄ちゃんのベッドの下に面白いものがあるの?」
大人妹「夢と希望よ」
男「変な事言わなくてイイから!」
敬語妹「帰ったらお掃除ですね、兄さん」ニコッ
男「どうして学校行く前からこんなに疲れなくちゃいけないんだ・・・・・・」
無垢妹「がっこー到着!じゃあねみんな!」ダッ
男「おお。しっかり遊んで来い」
ツン妹「私たちはこっちだから」
男「うむ。しっかり励んで来い」
ボー妹「バイバーイ!」フリフリ
敬語妹「では兄さん、私もバスが来たので」
男「ああ。しっかり学んで来い」
大人妹「それは誰かの台詞ですか、お兄様?」
男「いや、妹ができたらこう言おうと決めてたんだ」
大人妹「ふふっ。まるでつい最近妹が出来たみたいな言い方ですね」
男「そのまさかだとしたら?」
大人妹「こうしてお兄様に出会えたことに感謝します」ニコ
男「・・・・・・お前本当に高1?」
大人妹「さ、お兄様。学校に到着しました。私にもお言葉をくださいな」
男「あ、ああ。しっかり過ごして来い」
大人妹「お兄様もです」クスクス
男「(愚息がヤバいんですけど・・・・・・)」
男「オーッス」ガラッ
男友「おはっす」
男「(学校とかに改変は加わってないから、やっぱりうちの家だけか)」
男友「どうした?元気ねえぞ」
男「急に生活環境が変わったので、これから慣れていこうと必死なのさ」
男友「へーそうか。お前のうちも大変だな」
男「俺のうちじゃなく俺が大変なんだけどね」
女「やあおはよう男くん」
男「おはよう女さん。今日も相変わらず麗しいですね」
女「なに、君の妹たちに比べたら劣ってしまうよ」
男「あ、自分麗しいって自覚はあるんだ」
男友「女さん今日もおキレイっすね!!」
女「ありがとう。で、だ。私が君に話しかけてきたのは他でもない。君に用事があるからだ」
男「用事?珍しいですね」
男友「・・・・・・」
女「まあ何だ。流れ星と言えば通じるかい?」
男「流れ星・・・・・・まさか、ねぇ」
女「今日の昼休み、もしくは放課後に一緒にどうだい?」
男「ご一緒させていただきます」
男友「俺も一緒にイイっすか!?」
女「すまないが、男くんと2人っきりになりたいのでね」
<オイどぉいうことだ男ぉぉぉ!!
<血祭りじゃぁ!かがり火を用意せぇ!!
<ちょっと男子騒がしいんだけど!!
<男くん・・・・・・どういう事!?
男「何か、いらん反感買ってる気がする・・・・・・」(泣)
女「人生様々な経験があるさ」
昼休み屋上
女「おや。遅かったじゃないか」チョコン
男「よくそんな平然と座ってられますね・・・・・・俺が男子どもに追いかけられてたってのに」ゼェゼェ
女「まあ座るといい」
男「言われずとも」
女「お茶でもどうだい?最近紅茶にハマっていてね」
男「んー、それもいいけど本題が聞きたいです」
女「急かす男は嫌われるぞ」
男「じゃあ紅茶ください」
女「それでいい」スッ
男「いただきます」ズズズ
女「さて君が急かす本題だけど」
男「流れ星ですか?」
女「そもそも同級生に敬語を使うのはどうかと思うが?」
男「さあ。女さんは高嶺の存在っぽいから敬語使うのも自然かと」
女「そんなことはどうでもいいけど」
男「いいんですか・・・・・・」
女「昨日の夜の流れ星。君は何を願った?」
男「あの、それ言わなくちゃダメですか?」
女「どうして?何か恥ずかしい事があるかい?」
男「大有りだろ!つーか女さん知ってるでしょ絶対」
女「まあ知ってはいるが」
男「どうやって知ったんですか?あなただけご都合改変から逃れられたんですか?」
女「君が願ったあの流れ星、そのまま私に降り注いでね」
男「ええっ!?」
女「私が願いを見届ける監査官のようなものになったのだよ」
男「監査官?・・・・・・はっもしかして『この宇宙を統括する情報統合思念体によって作られた対有機生命体コンタクト用ヒューマロイドインターフェース』ですか?」
女「すまない。世界が違う」
男「そうですか・・・・・・」
女「うむ。ときに、君には5人の妹たちに同時に愛されているね」
男「みたいですね」
女「つまりそういうことだ」
男「???」
女「さて、紅茶の味はどうだい?」
男「俺は紅茶よりコーヒーが好きですかね」
女「素直で結構だ」
男「あの。女さんは急にそんな監査官になって抵抗って無いんですか?」
女「さてね。流れ星はそんな心さえも私に与えてくれなかったよ」
男「何かすみません・・・・・・」
女「そう暗い顔をするとこちらも困るが」
男「そう言ってもらえれば嬉しいです」
ガチャ
大人妹「こちらにいらしたんですねお兄様」
男「大人妹。どうした?」
大人妹「お昼一緒にと思ったのですが、先約がいらしたんですね」チラッ
男「ああいや、そういう訳じゃないんだが」
女「そちらに行くといい。話すことは話したのだし」
男「女さんも一緒にどうですか?」
女「私は遠慮しておこう。妹と水入らずの食事を楽しむといい」
男「そうですか」
女「では」
ガチャ
女「私も君の妹でありたかったよ」
昼休み屋上
大人妹「さきほどの女性はどなたですかお兄様?」
男「俺のクラスメイト、で正しいと思う」
大人妹「どういうことでしょう?」
男「まあいろいろあるんだよ」
大人妹「まさか・・・・・・お慕いしている仲ですかっ!?」
男「そうじゃない。むしろあんな人と付き合えるわけが無いな」
大人妹「そうですか。よかったです」
男「(大人妹は静かに愛すタイプか?)」
大人妹「それではお弁当を食べましょうお兄様」カチャカチャ
男「ああ。ところでさ」
大人妹「どうぞお箸です。何でしょうか?」
男「ありがとう。そのお兄様ってどういう過程で使い始めたの?」
大人妹「まあ。あの日のことをお忘れになられるとは・・・・・・少しショックです」
男「(あーミスった!)」
大人妹「そうですよね。あれはお互い幼い間でしたものね」モグモグ
男「涙拭く動作してるけどちゃっかり食うのね」モグモグ
大人妹「忘れたのであれば思い出させてやりましょう。あの日のことを」モグモグ
男「えっ、回想入んの?」
回想
男(幼)「おーい大人妹(幼)ちゃーん!こっちこいよー!おもしろいものがあるぞー」
大人妹(幼)「おもしろいものですかー?」
男(幼)「マンガ本が落ちてる」
大人妹(幼)「ほんとうですね。なんのマンガでしょう?」
男(幼)「お兄さんと妹がプロレス(?)してるなー」
大人妹(幼)「ほんとですね。でもなんで服着てないんでしょうか?」
男(幼)「プロレスってそんなもんだろ?」
大人妹(幼)「男の人パンツ一丁ですものね」
男(幼)「なあ大人妹(幼)ちゃん、このプロレス(?)しようぜ」
大人妹(幼)「でもこれお兄さんと妹じゃなきゃできないみたいですよ?」
男(幼)「じゃあ俺がお前を妹にしてやるよ!」
大人妹(幼)「ほんとにですか!?ではこの漫画のようにお兄様と呼んでいいのですか?」
男(幼)「男は言った事に嘘はつかないぞ!」
大人妹(幼)「わーい!うれしいです!」
回想終了
大人妹「そして2人はプロレス(?)を楽しみました」///
男「うそだぁ!明らかに幼稚園生くらいなのに・・・・・・ってお前・・・・・・義妹?」
大人妹「はいそうですが?あのあとお父様に養子に入れてもらったじゃないですか」
男「親父何やってんねんっ!!」
大人妹「ですがしかし」ズイッ
男「!!」
大人妹「義妹といえども、法律上は他人ですもの」ズイズイッ
男「大人妹さーん・・・・・・?」
大人妹「せっかくの機会ですわ。あの時のプロレス(?)の続きをいたしませんか・・・・・・?」フゥ
男「(静かなタイプかと思ったら静かなる変態だった!?)」
大人妹「ほら。お兄様の大好きな大きな胸もこんなにドキドキしています」ムニッ
男「(オーマイガーーーーーー!!?コレナンテエロゲーーーー!?)」
大人妹「冗談ですわ」クスクス
男「ふえっ?」
大人妹「あら。とても残念そうな顔をなさっていますね?」
男「そそそそそんなことないぞ!!」
大人妹「私だけが占有してしまったら妹たちがかわいそうですからね」
男「えっと、何の話?」
大人妹「さあ何の話でしょう」クスクス
男「さっぱりわからん(いや、分かるが分からないフリしてよう。なんかそっちの方がいい気がする)」
大人妹「ふふ。こちらのハンバーグはいかがですか?おいしいですよ」
男「じゃあいただくか」
大人妹「あーん」
男「あーん」パクッ
男「うん、美味い!」
男「(うん、美味い!じゃねえよ俺!!何空気に呑まれてんだよ!?)」
大人妹「美味しいですか。では私の食べかけもプレゼントいたします。あーん」
男「あーん」パクッ
男「(こいつ、大人の空気を漂わせてる辺り、男を巻き込む習性があるっぽいな。間接キスか。うまうま)」
大人妹「お兄様に喜んでもらえると作った甲斐があります」
男「コレ大人妹が作ったのか?」
大人妹「いいえ。敬語妹ですわお兄様」
男「えっなにそのフェイント。わずかに褒め言葉探してた俺の努力返せ」
大人妹「早く食べないと昼休みが終わってしまいますよお兄様」クスクス
男「ああもう!俺を惑わすなあああーーーーー!!」
特に敬語妹素晴らしい
ちょっと流れ星探してくる
帰り道
男「朝といい昼といい、これでは俺の愚息が持つかどうか・・・・・・」
プップー
男「お、バスか」
プシュー
敬語妹「あれ、兄さん?」
男「敬語妹か。おかえり」
敬語妹「姉さんは一緒じゃないんですか?」
男「よくわからんが駅前の書店に買い物だとよ。着いていくぞって行ったら、お楽しみですうふふだとよ」
敬語妹「またあの人は何か考えていますね」ハァ
男「それはそうと、なぜ2つ手前のバス停で降りるんだ?」
敬語妹「夕飯のお買い物です。兄さんも手伝ってください」
男「なるほど。よっしゃ手伝うぞ」
敬語妹「それから、にんじんにジャガイモ・・・・・・」
男「あの」
敬語妹「あ、チョコレートに蜂蜜も必要ですね」
男「敬語妹様!」
敬語妹「どうしました兄さん?」
男「もう両手で抱えきれないんですけどっ!!」
敬語妹「しょうがないじゃないですか。6人もいるんですよ?」
男「カレーの材料にしては多すぎるだろ!チョコレートって無垢妹のお菓子か!?」
敬語妹「はぁ。知識の浅い兄さんのために言いますが、それはカレーに使うものです。カレーというもののコクを出すものは甘いものなんです」
男「といってもこの量は食えないだろ・・・・・・」
敬語妹「?いつも兄さんが半分食べてしまうじゃないですか?」
男「俺立派!?」
敬語妹「これでオッケーです。お会計に行きましょう」
男「た、大量大量」
敬語妹「家までもう少しです。頑張ってください!」
男「お前のもなかなか重そうだな。それなに?」
敬語妹「ぎゅ、牛乳です」
男「あー・・・・・・なるほど」
敬語妹「な、なんですか!これもコクを出す調味料なんです!」
男「5リットルも?シチューになるだろ」
敬語妹「なりませんよ」
男「おっと知識の浅い兄から漏れる言葉だから気にしないでいいが、牛乳って意外と脂肪分が多いのよな」
敬語妹「え!?そうなんですか!?」
男「いやほら俺知識浅いから」
敬語妹「うぅ~・・・・・・すいません。知識が浅いなんて言って」
男「ん。素直が一番だぞ」
敬語妹「はい。兄さんも素直になってくださいね」
男「俺はいつでも素直じゃないか」
敬語妹「では帰ったら素直にベッドの下の夢と希望を差し出してくださいね」ニコッ
男「あ、悪魔や・・・・・・」
敬語妹「あれ?開いていないんですか?いつもなら無垢妹が帰ってきてるんですが」
男「敬語妹と2人っきり・・・・・・」ボソッ
敬語妹「鍵はー」ガチャガチャ
男「んでエロ本の謁見」ボソ
以下男の妄想
敬語妹「まったく呆れますよ。前回の捜査から半月しかたっていないのにこの量ですか」
男「申し訳ないっす・・・・・・」正座
敬語妹「しかも・・・・・・前回よりマニアックなプレイで」
男「日々成長するのです」
敬語妹「兄妹モノですか・・・・・・しかも敬語を使う妹ばかり」
男「そ、それは・・・・・・!!」
敬語妹「いけませんね。ぴったり的を得ている妹に欲情してしまう兄さんには・・・・・・オシオキが必要ですね」
以上男の妄想終了
男「ッシャァァァァァ!!」
敬語妹「ビクッゥ!?」
男「よし。早く掃除すんぞ妹よ」
敬語妹「えぇー!?どうしたんですか兄さん!?とうとう頭のネジが外れてしまいましたかぁ!?」
男「敬語妹よ、善は急げだっ!」
敬語妹「一体どうしたというのでしょう・・・・・・」
ツン妹「ただいまー・・・・・・って何で兄貴が玄関で息絶えてるのよ」
敬語妹「ほんっと信じられません!!朝といいさっきといい!!」プンプン
ツン妹「またなんかやらかしたわねバカ兄貴が。一体何したのよ?」
男「夢と希望の謁見の際に・・・・・・」
ツン妹「ああ、ベッドの下のね」
男「敬語妹がかがんだ拍子に、スカートの中の幻想が見えたので」
ツン妹「もういい。オチが読めたわ。うん。ブレなくバカ兄貴だった」
男「クソッなんて日だ!」
ツン妹「敬語姉からすればなんて日でしょうね」
男「はぁ・・・・・・俺の気持ちはグレーだよ」
ツン妹「ほら邪魔だよ兄貴」ゲシゲシ
男「痛い痛い!蹴らないでっ!・・・・・・ん?こっちもグレーか」
ツン妹「・・・・・・っ!!!??」
男「お前なぁ、もっとかわいいパン・・・・・・」
ツン妹「死ねクソ兄貴ッッ!!!」
ドゴッッ
男「グホァ!!」
敬語妹「どうしたんですかー?」タッタッタ
男「」シューー
敬語妹「うわ、屍が・・・・・・!?」
ツン妹「敬語姉、それ片付けといて。それで明日の燃えるごみの日で出せばいいから」
男「せ、せめて不燃物・・・・・・」ガクッ
敬語妹「そういう問題ですか。あと私は料理で忙しいのでツン妹ちゃんが運んでください」
ツン妹「な、アタシにこれ以上恥をかかせる気っ!?」
敬語妹「兄さんを運ぶことのどこが恥ですか・・・・・・」
ツン妹「敬語姉はパンツ見られて平気なの!?」
敬語妹「もう慣れましたよ。こんな兄さんですから」
ツン妹「おおお男にパンツ見られるとかっ・・・・・・!!」
敬語妹「誰でもいいわけじゃないですよ。ツン妹ちゃんも、そうでしょう?兄さんだからこの程度で済んだんですよね?」
ツン妹「う、確かにクラスの男子なら殺してた・・・・・・って、それじゃあアタシがこのバカ兄貴好きみたいじゃない!!」
敬語妹「あれ?違うんですか?」
ツン妹「ち、違わない・・・・・・」ボソッ
敬語妹「では兄さんを部屋まで運んできてください」ニコッ
ツン妹「わ、分かったわよ!」
シューシュー
敬語妹「お湯が沸いたみたいです」タッタッタ
ツン妹「よいしょっと・・・・・・重っ!?」
ツン妹「え、何で兄貴こんなに筋肉ムキムキなの・・・・・・?」
間。
男「うぅ・・・・・・許してくださいパンツ神様・・・・・・」
ツン妹「一体どんな夢見てんのよ」ベシッ
男「アウチ!ここは誰?私はどこ?」
ツン妹「本当に困った低血圧ね」
男「あれ?ツン妹か?何だこのやわらかい枕・・・・・・ずっと触っていたくなるような・・・・・・」
ツン妹「膝枕してんのよッ!!さりげにスカートの中に手を伸ばすなぁ!!」バシン
男「グッモーニン!?」
ツン妹「起きたなら早くどいて。足が痺れて敵わないの」
男「バカかッ!!太ももとか高貴な物の代表だろ!それをみすみす手放せっていうのか!?」
ツン妹「ここにちょうどナイフがあるの」
男「やあおはよう俺の可愛い妹」ガバッ
ツン妹「はあ。やっといつもどおりに戻った感じね」
男「それはどういう意味だ?」
ツン妹「朝元気なかったじゃない」
男「ん、ああ。俺にも悩みの一つや二つくらいあるさ」
ツン妹「成績とか?」
男「ん?それは総じてオールオッケーだが?」
ツン妹「うそっ!?信じらんない!」
男「それは少しショックだな。やる時はヤるさ」
ツン妹「字が違う」
男「それより、ここまでツン妹が運んできてくれたのか?」
ツン妹「ふん。感謝しなさいよねっ!」
男「ああ、ありがとうな」ナデナデ
ツン妹「き、気安く頭を撫でないでッ」///
男「さらさらだなあ」ナデナデ
ツン妹「うん・・・・・・」///
男「さて夕飯みたいだから下に降りるか」スッ
ツン妹「あ・・・・・・」
男「どうした?」
ツン妹「何でもない!早く行けバカっ!」
男「さ、サー!イエッサー!」
ツン妹「よっと・・・・・・あ、足が痺れて・・・・・・」ジーン グラッ
男「危ないっ!!」
ガシッ
男「あ・・・・・・」
ツン妹「・・・・・・・・・・・・」
無にゅうーーーん
男「こ、これはダナ、事故であって故意では・・・・・・」
ツン妹「」ギロッ
ツン妹「もっかい死ねバカ兄貴ィィィィィィ!!!」
ドッカーーーン
男「」ドサッ
ツン妹「・・・・・・故意で、恋だったらよかったのに。おにぃちゃんのバカ」
リビング
ボー妹「ただいまぁー!ご飯はー?」
無垢妹「ただいまー!お兄ちゃんはー?」
敬語妹「もっと早く帰ってきなさい!今何時だと思ってるんですか!」
ボー妹「7時!」
無垢妹「7時5分!」
敬語妹「外は?」
無垢妹「真っ暗!」
敬語妹「分かってるなら早く帰ってきなさい!」
男「そうだぞ。悪い狼が出るからなぁ」
ツン妹「それはあんたの事でしょうが」
敬語妹「あら兄さんいつの間に復活してたんですか?」
男「いましがただ。ところで大人妹の姿が見えないぞ?お前ら一緒じゃなかったか?」
ボー妹「ううん。ボクは知らないよ。無垢妹ともそこで会ったし」
無垢妹「わたしは砂場でたかしくんとずっと遊んでたー」
男「そうか。ちょっとたかしくん呼んできなさい。お話があります」
敬語妹「大丈夫ですよ。たかしくんの方がよっぽどマシですよ」
男「まだ何にも言ってないけどっ!?」
ツン妹「早く食べましょうよ。あの人待ってたら日付変わっちゃうわよ」
男「なんつーやつだよ。本屋にそんなにいるつもりなのか?」
ボー妹「乳姉ぇの趣味は読書だからね。多分また大量に買ってるんだよ」
男「いやもっと別の呼び方があるだろ」
無垢妹「大人お姉ちゃんのマンガ面白いんだよ!男の人と女の人が裸でプロレス(?)しててねー。お姉ちゃん顔真っ赤にして『お兄様と私のことですよ』って言ってるんだー」
男「ぶぉっほ!!?」
敬語妹「何やってるんですかあなたたちは!」
ボー妹「え、それマジ?ちょっと引くなぁ・・・・・・」ススス
ツン妹「死ね」
男「やめて!距離を置かないで!あと、単語での罵倒は心をえぐる!・・・・・・って違う!事実無根だ!」
無垢妹「わたしもお兄ちゃんとプロレス(?)したいなー!」キラキラ
男「こいつ実は分かってんじゃねっ!?」
男「帰ってきた諸悪の根源んんんん!」
大人妹「あら?どうしたの一斉に私の方を振り向いて」
敬語妹「ちょっとお話があります!座ってください」
大人妹「怖いですわ。お兄様助けてください」ピトッ ムニッ
男「くぁwせdrftgyふじこlp」
ボー妹「また乳姉ぇがおっぱいアピールしてる!」
男「お、おっぱい祭じゃあああああああああああ!!!!」
ツン妹「兄貴が壊れたーー!?」
大人妹「ふふ、そのお祭では私の独壇場ですね」
無垢妹「わ、わたしは参加できる?参加できる?」
敬語妹「全員そこに直りなさーーーーーーーーーい!!」
男の部屋
男「はぁ・・・・・・今日だけで散々な目にあった」
<トントン 兄ちゃん入っていいー?
男「ん、ああいいぞ」
ガチャ
ボー妹「ゲームしようよ!」つペケモン
男「お、いいな。久しぶりだなペケモン」
ボー妹「そうだっけ?昨日もしたじゃん」
男「あ、そ、そうだよな。うっかりうっかり」
ボー妹「??」
ボー妹「リザー首領のそらをとぶ!」
男「甘いな!俺の海オーガはかみなりを使えるんだぜ!」
ボー妹「ふぎゃああーー!!」
<ピチューン
ボー妹「じゃあ雷チュウの電撃で押し切る!」
男「海オーガの じしん」
<ピチューン
ボー妹「ぎゃあああーー!!くっ、藻ジャンボのギガドレイン!!」
男「れいとうビーム」
<ピチューン
<Geme Over
ボー妹「一撃も食らわせることなく終わった・・・・・・」
男「完全勝利ィ!」
ボー妹「兄ちゃんって大人気ないね」
男「ぐはっ!!それを言われると何も言えない」
ボー妹「じゃあ何も言わなくていいからちょっとそのままね」
男「うん?」
ボー妹「よいしょ」チョコン
男「え、え?」
ボー妹「さ、レベル上げ手伝ってよ!」
男「お、おお・・・・・・」
男「(え?ボー妹が俺の膝に座って一緒にゲーム。必然的に抱きつくような形になるんだけど・・・・・・)」
男「はぅぁ!?」
ボー妹「ど、どうしたの!?」
男「何でもない。(愚息ぅぅぅぅぅ!!)」
ボー妹「変な兄ちゃん」
男「(こんな時は素数を数えるんだ。2,3,5,7・・・・・・)」
ボー妹「兄ちゃんさ」
男「は、はい何でしょう?」
ボー妹「当たってる・・・・・・」
男「(オーマイサーーーーーーーーン!!!)」
ボー妹「それって、ボクでそうなったんだよね・・・・・・?」
男「逃げちゃダメだ逃げちゃダメだ。妹に邪な気持ちを持っちゃダメなのに・・・・・・!!」
ボー妹「そうだったら、ちょっと嬉しい、かな?」
男「へ?」
男「何言ってんだ。お前は十分すぎるほどかわいいじゃないか」
ボー妹「そう、かな?」
男「ああ。俺が保証する。あと俺の息子もな」
ボー妹「変態だね」
男「今に分かったことじゃないだろうよ」
ボー妹「じゃあ変態さんの膝に座ってるボクは、変態さんにギュってされちゃうね」
男「ああそうだな」ギュゥ
ボー妹「えへへ」///
ボー妹「あ」
男「よそ見してるから」
ボー妹「兄ちゃんが変な事するから」
男「俺のせい!?俺のせいなのか!?」
ボー妹「この光景を見られたら5対1で兄ちゃんの敗訴です」
男「ヤバイ!今すぐ離れないと!」
ボー妹「ボクから離れると大声出すよ?悲鳴の方ね。駆けつけてきた姉ぇたちはどう思うかな?」
男「クソッ。前門の虎、後門の狼か」
ボー妹「ほらほら、手が緩んでるよ?」
男「もうどうにでもなーれっ!」ギュゥゥ
ボー妹「~♪」
ガチャ
大人妹「お兄様、お風呂どうぞ」
男「あ」
ボー妹「あ」
大人妹「あらあら、お楽しみの時間でしたか。これは失礼いたしました」ニヨニヨ
男「違うーーーーーー!!」
ボー妹「あ、勝った」
朝
敬語妹「兄さん!いくら低血圧でもそのぐずりっぷりは無いでしょう!」
男「あと・・・・・・50年」
敬語妹「もう勝手にしてください。遅れても知りませんよ?」テクテク
男「俺の睡眠は・・・・・・健全なニーソ太ももを見れば、覚める・・・・・・」グガー
大人妹「あら残念。今日は黒タイツでした。と、ちょうど純白ニーソのツン妹が」
ツン妹「ん?なに?」テクテク
大人妹「ちょっとこちらにおいでなさいな」
ツン妹「兄貴の枕元に?何する気?」
大人妹「お兄様、少し目をお開けください」
男「う、あ?」
大人妹「ほれ」サワラセ
ツン妹「にゃっ!?」
男「この細くてやわらかい太ももに生地の気持ちいいニーソはツン妹か。おはよう我が愛しの妹たち」キリッ
ツン妹「さ、触るな汚らわしい・・・・・・ちょっ!なにホールドしてんのよっ!?」
大人妹「ふふ、こうした方が面白いかと思いまして」
男「ふへへへへ。お、お嬢ちゃん、ぱ、パンツ何色ぉ?」
ツン妹「イヤーーーー!!操が奪われるぅぅぅぅぅぅ!!」
男「それじゃあいただきま・・・・・・あん?」ガシッ
大人妹「あら?」
ツン妹「え?」
無垢妹「すやすや」
男「こっちもホールドされてんだけど。・・・・・・なんでここにいるの無垢妹は?」
大人妹「超えてはいけない一線を超えてしまったのですね」
ツン妹「しかもよりによって一番幼い妹に・・・・・・」
男「えっとぉ、多分皆さんが思われていることは無いと思いますよ?」
ツン妹「無意識って怖いわぁ・・・・・・」
大人妹「おかしいですね。ロリやペドは入らないように心掛けていたのですが」
男「だから違うって!」
無垢妹「う・・・・・・お兄ちゃんそんな大きいの・・・・・・入らないよぉ」
ツン妹「うわ」
大人妹「うわ」
男「誰かー!俺を殺すか無罪を証明してーー!!」
大人妹「無垢妹の低血圧はお兄様譲りですからね」
男「いや親譲りだから。俺譲りなら俺がこいつの親になるじゃん」
ツン妹「で、手を出したと」
男「ははは・・・・・・絶対に無いと思う・・・・・・うん」
大人妹「ほらあなたも早く起きなさい」ベイベシ
無垢妹「あれ?ツンお姉ちゃんに大人おねえちゃんだ」
大人妹「さてまずは、どうしてあなたがここにいるのですか?」
無垢妹「昨日の夜ね、おしっこに起きたんだけど、お兄ちゃんの部屋が少し開いてて気付いたら布団に入ってたー」
大人妹「なるほど。その時お兄様は寝ておられましたか?」
無垢妹「うん。ぐっすり。気持ちよさそうだったからわたしも無意識に入っちゃたのかも」
兄「へへーん!俺の無罪が証明されたぜェ!!」
ツン妹「チッ。よかったわねバカ兄貴」
兄「ねえ何で今舌打ちしたの?ねえ何で?」
大人妹「お兄様の無罪が証明されてよかったと思う反面、少々残念ですわ」
兄「お前まで・・・・・・俺をどうしたいんだよ君たちは」
無垢妹「お兄ちゃんのお布団温かかったよ!イカ臭かったけど」
兄「ん?」
大人妹「ん?」
ツン妹「ん?」
大人妹「無垢妹、もう一度先ほどの発言を言ってください」
無垢妹「お布団温かかったよ?」
大人妹「その後」
兄「ちょちょちょちょちょ」
無垢妹「イカの臭いのするお布団?」
ツン妹「兄貴、アウトー!」
デデーン
大人妹「うふふ。昨夜はお1人で励まれた後体も洗わずに?」
ツン妹「そんな布団に妹あげちゃう兄はどうかと思うわ」
兄「ふ、不可抗力じゃね?だって俺寝てたんだよ?」
無垢妹「でも大人姉ちゃんも、男の人はイカ臭いって言ってたよね?」
大人妹「そうですね。身をもって体感しましたか?」
無垢妹「うん」ニコニコ
大人妹「ふう。この件は無垢妹の笑顔に免じて不問といたしますわお兄様」
兄「うん。だから俺悪くないからね?」
ツン妹「よかったねバカ兄貴」
兄「うん!だから俺悪くないからね!?」
大人妹「これで法廷を閉じますわ。みなさん、この事は決して他言しないように」
全員「はーい」
大人妹「もしいつも励まれた後お風呂に入られていられないのであれば、朝風呂はいかがでしょう。目も覚めて低血圧のお兄様にはピッタリだと思います」
兄「まあ朝風呂のためにさらに早起きしなくてはいけないというジレンマがあるけどな」
ツン妹「いいから入れ。なるべく私たちに触らないようにして」
兄「はい・・・・・・」テクテク
大人妹「さ、私たちも準備いたしますよ」テクテク
ツン妹「朝ごはんまだだったー」タッタッタ
無垢妹「でも何でイカの臭いがしたんだろ?よし!あとから敬語姉ちゃんに聞こう!」
学校
男友「おはよーさん。ってどうした?でっかいアザなんて作って」
男「・・・・・・俺は悪くない俺は悪くない・・・・・・だから叩かれたのは幻想なんだ。ははっ」
男友「低血圧ってレベルじゃねーぞ!?」
女「くすくす。面白いものを見せてもらったよ男くん」
男「俺に罪は無いだろぉ・・・・・・ん?え、もしかして今日のこと知ってんですか?」
女「ほら、私は監査官」
男「ちょ、ど、どこから知ってる・・・・・・?」
女「さあ?『妹・・・・・・いもう、と・・・・・・うっ!』なんて知らないわ」
男「ホにゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!??」
男友「え、え?何の話?」
男「男友ー、俺を殺せー!!それと弔辞はお前に頼むー!!」
大人妹「学校でもエキサイティングですねお兄様」
男「大人妹?どうしてここに?」
大人妹「あの事を知ってしまった敬語妹が没収したお弁当ですわ」
男「え?いいの?」
大人妹「今後二度とその様な事が無いようにという条件付で、と口をすっぱくして言われております」
男「わーい!お弁当だぁ!」
男友「やあ大人妹ちゃんおはよう」
大人妹「おはようございます。いつも兄と遊んでいただき感謝しますわ」ニコッ
男友「え、ええ娘や・・・・・・」
女「おはよう、元気そうだね」
大人妹「えっと・・・・・・昨日屋上にお兄様といらっしゃった?」
女「女だよ。以後よろしく頼むよ」
男友「屋上・・・・・・?男てめえ、屋上+美少女と言えばエロフラグしか浮かばないんだけど?俺はお前を殴らないといけないかもしれない」
男「勝手に頭腐ってろエロゲ脳」
大人妹「あら?それではお兄様もそうなるはずです」
男「?どうして?」
大人妹「お兄様のパソコンの12階層、稼動ギリギリのフォルダにしまっておられる『妹と恋しよっ!』もエロ・・・・・・もがッ!?」
男「ノーーーーー!!?」ガシッ
大人妹「もがもがもが・・・・・・ッ!?」ジタバタ
男「あそこは5つのパスワードに、指紋認証も付けてるはずのフォルダだろーーーーーー!!?」
女「男くん、男くん」
男「やめて!女さんまで俺を辱めないで!」
女「そうじゃない。君がホールドしている妹の様子を見てみたまえ。あと君が掴んでいるもの」
男「??」
大人妹「」グデー
むにゅむにゅ
男「」
男友「俺は・・・・・・幸せです!」
男「大人妹ーーーーー!!!」
クラスの男共「ごちそうさま・・・・・・」
クラスの女共「タヒねよ男」
大人妹「はぁ・・・はぁ・・・もう、お兄様ったら・・・・・・激しいんですから」
女「ふむ。好感度+1、高感度でもあったということろか」
昼休み屋上
女「やあ、いらっしゃい。今日は私と昼食だ」
男「何気に俺って贅沢ですよね。こんな美少女の女さんと妹たちに囲まれて」
女「今頃気付いたのかい?」
男「今頃気付きましたよ。昨日はドタバタだったんで」
女「自ら慰めるくらいの余裕はあったじゃないか」
男「本当にどうなってるんだ監査官ってのは!?」
女「コスモパワーだよ。大宇宙の意思?みたいなね」
男「コスモパワーねえ・・・・・・とんだ厨二設定ですよね」
女「君が願った流星にそうされたんだが?」
男「マジですいません」
女「ところでハーブティーはどうだい?最近ハマっていてね」
男「昨日は紅茶じゃなかったんでは?」
女「昨日とは既に過去のこと。今日は今日の生き方がある」
男「はー深いですね」
女「そう、このハーブティーのように」
男「いただきます」ズズッ
女「そう。今日は君に譲渡したいものがあってだな」
男「譲渡?」
女「これだ」
男「これだ、って女さんの手のひらですが?」
女「これをこうするのさ」
ガシッ
男「何だっ!?急に暗くなったぞ!?」
スッ・・・
男「あ、女さんの手のひらが俺の目を閉じさせてたんですか」
女「手が脂っこくなってしまったな」フキフキ
男「すいません。でもどうしてこんなことを?」
女「そうだな、君は無垢妹が生まれた時のことを覚えているかい?」
男「いや、俺にそんな記憶があるわけ・・・・・・ある」
女「どんなのだい?」
男「確か俺が幼稚園から帰ると母さんが倒れてて、そんで病院に電話して無事出産・・・・・・」
女「しかし君は昨日から妹たちを手にしているはずだが?」
男「なるほど・・・・・・記憶のつじつま合わせですね。コスモパワーで」
女「その通りだ。妹たちにある記憶が男くんになかったらダメだろう?」
男「妹たちとの関係がギクシャクと」
女「くすくす。今は愛情ある罵倒だが、ギクシャクすると愛情なき罵倒、もしくは無視になるだろうな」
男「どっちの罵倒もイヤですよ」
女「そうだな」
男「しかし奇妙ですね。妹たちと楽しく過ごした17年間の記憶と、冴えなく妹ゲーをしていた17年間の記憶が同じ頭の中にあるなんて」
女「ああ、それはシュレー・・・・・・おっと何でもないよ」
男「??」
女「しかしよかったじゃないか。冴えない17年間から卒業できたのだし」
男「そうですね。出来れば女さんも監査官の立場じゃなくて、こちら側にいて楽しく過ごして欲しかったです」
女「・・・・・・!!そ、そういうことを急に言う、な」カーッ
男「あ、ハーブティーのおかわりもらえますか?」
女「・・・・・・・・・・・・」バシャッ
男「熱いっ!?え、今俺何かしたっ!??」ジタバタ
敬語妹の学校
敬友「敬語妹~、数学の宿題見せてー」
敬語妹「またですか?少しは自分でしましょうよ」
敬友「ああ、その敬語で哀れにされる感じ・・・・・・堪らん!」
敬語妹「あー、ノートが飛んで行っちゃいましたー」
敬友「めんごめんご。お詫びに今日駅前で何かおごるからさ」
敬語妹「はあ。どうぞ」
敬友「ありがとー♪」
敬語妹「しかしこれくらいならすぐ出来ますよ?」
敬友「成績優秀者はすぐそう言う。私はバカだし、家では幼い弟の面倒を見なくてはいけないのですよ、閣下」
敬語妹「そういえば5歳になる弟くんがいましたね」
敬友「そう!こっれがかわいいのなんの!ショタだよショタ!家族だから合法!」
敬語妹「ショタ?」
敬友「あれ?ショタ知らないの?・・・・・・あ、そっか。敬語妹にはお兄さんがいるから年下なんて気にしたこと無いもんね」
敬語妹「兄さんは、兄さんです。別に気にしてませんよ」
敬友「あららー?キャラが違うよ。ツンデレは別担当でしょ?」
敬語妹「えっと、どういう意味でしょう?」
敬友「でさ、好きなんでしょ?」
敬語妹「・・・・・・はい」
敬友「ヒューヒュー!いいねっ!血のつながりを超えた愛!素晴らしいわ!」
敬語妹「ば、馬鹿にしないでください!私は本気なんです!」ガァッ
<え、敬語妹ちゃん誰かに本気だって?
<なん、だと・・・・・・
<漏れのプリティーマイエンジェルがぁぁぁぁぁ
敬語妹「や、やってしまいました・・・・・・助けてください敬友さん!」
敬友「あ、ここ2乗するんだー」シレッ
敬語妹「タイミングよく数学をしないでください!」
<ねえねえ誰なのー?
<ソース出せやゴルァ
敬語妹「ち、違いますよみなさん。私が本気なのは料理のお話であって、誰かを好きとかでは・・・・・・」
敬友「その料理は誰に食べさせるために日々精進してるのかなー?」
敬語妹「け、敬友さん余計なこと言わないでくださいっ!!」
敬友「愛情というなの隠し味ってか?もしくは愛えk・・・・・・がはっ!!」
敬語妹「それ以上言うと・・・・・・わかってますよね?」ニコニコ
<ひぃー!笑顔なのに般若が見える!?
<ブヒィィィィ!怒った天使も可愛いお
<うっ
敬友「こ、こうして楽しい学校生活は過ぎていくのだった・・・・・・」ガクッ
ツン妹「」カキカキ
先輩「あ、そこの影のつけ方はもっと薄くした方がいいよ」
ツン妹「そうですか?」
先輩「うん」
ツン妹「ふーん・・・・・・」カキカキ
先輩友「ねえ、ツン妹ちゃんって何か無愛想だよね」ヒソヒソ
先輩「そう?」
先輩友「私たち美術部って3人、しかも女だけしかいないじゃん?それで私たちの先輩感が足りないのかも」
先輩「そうは思わないけどな。あの子はしっかり自分とその他の区分が出来てる子だと思うよ?」
先輩友「えー、じゃああの子にとって私たちはどうでもいい人間ってこと?」
先輩「そうなるかもね」
先輩友「なにそれ!」
先輩「どうでもいいと言っても、きちんと節度ある区分だよ」
先輩友「訳分からんわ」
ツン妹「すいません先輩、そこの赤のポスターカラー取ってもらえますか?」
先輩「はい」
ツン妹「ありがとうございます」
先輩「どう?完成は近い?」
ツン妹「近くはないけど、遠くも無い感じです」
先輩友「なんかますます無愛想・・・・・・」
先輩「だけどね、コレが家族のこととなるとね・・・・・・」
先輩「ねえツン妹ちゃん。敬語妹のことなんだけどさ」
ツン妹「あれ?先輩敬語姉さんを知ってましたっけ?」
先輩「うん。小学校が一緒だったよ。今は進学校行ってるらしいね」
ツン妹「はい。今日も真面目に勉強してるんだと思いますよ。で、帰ったら家事をして・・・・・・」ウンタラカンタラ
先輩「ね?」
先輩友「な、長い・・・・・・」
ツン妹「それで、バカ兄貴が私の太ももを触ってきたんですよ!ほんっと信じられないです!!」
ツン妹「はい。とんでもなく変態のバカ兄貴です」
先輩友「そんな声荒げて・・・・・・嫌いなの?」
ツン妹「べ、別に兄貴のことなんてどうでもいいんですから!」
先輩友「おーツンデレ」
先輩「でも嬉しそうにお兄さんのこと話すね?」
ツン妹「嬉しそうじゃないです!!」
先輩「テンプレート通りでしょ?」
先輩友「あーもう今のでツン妹ちゃん好きになったわー」
ツン妹「何の話ですか?」
先輩友「大人の話。私、ツン妹ちゃんの事気に入っちゃったから今日帰りに駅前で遊ぼうか!」
ツン妹「いいんですか?」
先輩「うん。私も歓迎だよ」
ツン妹「あ、ありがとうございます」
先輩友「」キュン
先輩「ダメだよ先輩友。後輩食べちゃ」
先輩友「わかってるって」ウヘヘ
ツン妹「な、何の話ですか?」
先輩友「んー、お花畑の話かな」
先輩「一面百合の花だけどね」
ツン妹「キレイですね」
先輩友「そうなのよ、キレイなのよ」
先輩「今まで何本食べた?」
先輩友「・・・・・・5本くらい?」
先輩「はぁ。ツン妹ちゃん、気を付けてね?」
ツン妹「?はい」
ボー妹「うおおおおおお!!ハットトリックーーー!!」
シュパァッ!!
先輩「バスケットなのに!?」
ボー妹「ふはは!ボクのスポーツにルールは無用だよ!」ダムダム
同輩A「適当にやってるのにそれでシュートが入るからすごいよねー」
同輩B「しかもあのルックスでしょ?ボー妹が男だったら私絶対コクってた」
同輩A「同感!」
ボー妹「回転シューーーーートッ!!」グルグルグル
シュパ!!
先輩「うんなんかもう、運動神経とかの域を超えてると思う」
ピピーー
同輩A「お疲れボー妹ちゃん!」ハイタッチ
先輩「お疲れさま。次も多分スタメンだよ」
ボー妹「本当ですか!?ヤリー!」ガッツ
同輩B「先輩、今日はここまでですか?」
ボー妹「うんそうね。各自ストレッチして解散ね」
全員「はーい」
同輩A「ねえ、どうやったらあんなシュートが出来るようになるの?」
ボー妹「うーん・・・・・・勘かな」
同輩B「勘であそこまで正確なシュートが出来たら苦労しないよ」
同輩A「ていうかさ、ボー妹ちゃんさ、バスケだけじゃなくてスポーツ全般得意だよね」
同輩B「そうそう!この間陸上の先輩より早いタイム出したって聞いたよ?」
ボー妹「あー、あのあと陸上の顧問に必死に入部勧められてさー、まいったよ」
同輩B「すごいよね。バスケでも1年生にしてポイントゲッターだし、司令塔だし」
ボー妹「ほめても何も出ないよん」
同輩A「もうなんか、抱いて欲しい」
ボー妹「?そうなの?」ギュー
同輩A「ん、えっとそういう意味じゃなかったんだけど、ま、いっか」
ボー妹「どうしたの?」
同輩A「ちょっとごめん」むぁんず
ボー妹「ひゃぁっ!??」
同輩B「な、何してんの!?」
同輩A「な、なんで私よりおっぱいが夢いっぱいなのよ・・・・・・」ムニムニ
ボー妹「あ・・・ぁ・・・・・・///」ビクビク
先輩「こら何やってんの!」
同輩A「だ、だって先輩、この子ボーイッシュなのに夢いっぱいで感度良好なんですもん!」
先輩「げ、同輩Aが変態化してる・・・・・・」
同輩B「今に知ったことじゃないですけどねー」
同輩A「で、私のテクは気持ちよかったかい?」
ボー妹「ん、え?ああ、上手だったけど兄ちゃんよりは下手だったかな?」
先輩「」
同輩B「」
ボー妹「あ、しまった」
先輩「ちょちょちょちょちょ!今、ボー妹家のイケない部分が見えたよ!?」
同輩B「それは・・・・・・ないわ」
同輩A「き、禁断の愛・・・・・・?」ハァハァ
ボー妹「えっと、忘れて?」
先輩「ムリ」
同輩B「ムリだよ」
同輩A「mixiっと」ポチポチ
ボー妹「お、お疲れ様でしたーーーーーーーーー!!」ダッ
先輩「あ、逃げた!!」
同輩B「追え!追うんだーー!!」
同輩A「ツイートっと」ポチポチ
たかし「おーい無垢妹ー!」
無垢妹「あれ?たかしくんどうしたの?」
たかし「いっしょに帰ろうぜ?」
無垢妹「いいよ!今日も砂場行く?」
たかし「今日は別のところに行こう。駅前とか」
無垢妹「でもお金持ってないから何も買えないよ」
たかし「俺が持ってるから大丈夫だ!好きなものは何でも買ってやるぜ!」
無垢妹「ごめんね。お兄ちゃんから、知らない人に物を買ってもらってはいけませんって言われてるの」
たかし「俺たち知り合いだろっ!?」
無垢妹「あ、そうだった」
たかし「ったく。で、何か欲しいものあるか?」
無垢妹「んっとねぇー、『ゴム』ってやつ欲しい」
たかし「ゴム?それでいいの?」
無垢妹「なんかね、普通のゴムじゃなくてねヒニンができるゴム。薬局にあるんだって」
たかし「そんなのがあるんだ」
無垢妹「うん。大人お姉ちゃんから聞いたんだ。それを使えばお兄ちゃんとプロレス(?)ができるんだよ!」
たかし「お前アクティブだなー」
無垢妹「にきびはまだ出来てないよ?」
たかし「そっちじゃねーよ!頭にプロはつかないから!」
無垢妹「さ、薬局行こう!」ダッ
たかし「ちょ、待って!」
たかし「ゴム・・・・・・ゴム・・・・・・輪ゴムしかねーや」
無垢妹「おお!チョコ!」
たかし「あっちはあっちでお菓子に目が行ってるし」
たかし「もう店員に聞こう。すいませーん」
店員「どうしたのボーヤ?」
たかし「ゴムはありますか?」
店員「ああ、それならこっちにあるよ」
たかし「あ、輪ゴムじゃなくて、ヒニン?が出来るゴムらしいです」
店員「」
たかし「?どうしました?」
店員「え、っと。それは誰が欲しいの?」
たかし「あいつです。あそこでチョコと格闘している女の子です」
店員「ちょっと待ってなさい」
<そこの女の子?こっちにおいで
<え?チョコ買ってくれるんですか?
<チョコは置いて!
たかし「は、はい」
無垢妹「たかしくん、ゴムあった?」
たかし「うん。今から店員さんに案内してもらう」
店員「ごめんね。ショッキングかもしれないけどそのゴムについて少しお話しないといけないの」
無垢妹「どういうお話ですか?」
店員「これは確かに必要なものだけれど、あなたたちにはまだ早いの」
無垢妹「えっ!?」
店員「それはこの年で(性的)欲求が高まるってくるのは知ってるけど、そこをぐっと堪えてお互いのために考えて欲しいの」
たかし「(欲求?プロレス(?)したい欲求?)」
店員「だから簡単にお互い体を許しちゃダメよ?」
無垢妹「じゃあ、わたしはお兄ちゃんとプロレス(?)が出来ないんですか・・・・・・?」
店員「え、お兄さん?」
無垢妹「だってお兄ちゃんとプロレス(?)ができるって聞いたからゴム欲しいのに、店員さん何言ってるか分からないですよぉ!」
店員「なんてこと!最近の若者はここまで乱れていたとは・・・・・・!」ガーン
たかし「確かにプロレスは乱れて危ないな」
無垢妹「ゴム欲しい!!ゴーム!ゴーム!」
<小さい女の子がゴムゴム言ってんぞ
<幼女ハァハァ
店員「ひえぇぇ!店長助けてーー!!」
無垢妹「ヒーニーンーーー!!ほら、たかしくんもいっしょに!」
無垢妹・たかし「ヒーニーンー!!ヒーニーンー!!」
<あら?
店員「いやぁぁぁぁぁ!!だれか助けてぇぇぇぇぇぇ!!」
大人妹「どうしたのですか?」
店員「小学生が乱れてるのーーーー!!」
無垢妹「あれ?大人お姉ちゃん?」
大人妹「ふふ。店内でヒニン、ヒニン叫ぶ少女がいたと思えばやっぱりあなただったのね」
無垢妹「うん!大人お姉ちゃんの言ったとおりヒニンとプロレス(?)の出来るゴムを買いにきたんだよ!」
大人妹「奇遇ですね。私もですわ」
たかし「お、おい。お前の姉ちゃん?」
無垢妹「そうだよ!」
大人妹「あら、うふふ。あなたはたかしくんね?」
たかし「よ、よろしくおねがいします!」
無垢妹「それより、大人お姉ちゃんならゴムがどこにあるか知ってるよね?」
大人妹「もちろん。さ、こっちよ」テクテク
無垢妹「オス!」テクテク
たかし「で、結局ゴムって何なんですか?」テクテク
大人妹「それも含めてしっかりお勉強しましょうか。コウノトリとキャベツ畑の幻想をぶち殺してあげますわ」
店員「・・・・・・はっ!あなたたち待ちなさーーーーい!!」
駅前
ボー妹「はぁ、はぁ・・・・・・ここまで来ればもう大丈夫だよね」
ボー妹「全く、先輩と同輩Aには呆れるよ。・・・・・・まあ口が滑ったボクが悪いんだけどね」
ボー妹「せっかく駅前来たんだし買い物してから帰ろうっと」
ドンッ
ボー妹「イタッ!」
<あ、すいません
ボー妹「あ、こちらこそ・・・・・・ってツン姉ぇ?」
ツン妹「ボ、ボー妹?」ゼェゼェ
ボー妹「何でそんな息切らしてるの?」
ツン妹「野獣から逃げてきたからよ」
ボー妹「あー、僕といっしょだね」
ツン妹「あんたも誰かに追われてるの?」
ボー妹「もう撒いたけど、うっかりね兄ちゃんが好きな事口走ってしまってさ、それを言及しに先輩やら誰やらに追われて・・・・・・」
ツン妹「全面的にあんたが悪いわ」
ツン妹「私は・・・・・・百合の花の獣と化した先輩友に駅前のホテルに連れ込まれそうになったのよ。命からがら逃げてきたけど」
ボー妹「百合?ホテル?」
ツン妹「今日で知らなくて良い単語をたくさん覚えちゃった」ウフフフフフフフ
ボー妹「ツン姉ぇがダークサイドに!?」
<じゃーねー!お兄さんによろしくー
<あなたのせいで今日は散々だったんですからね!?
ボー妹「誰かと思えば敬語姉ぇじゃん」
敬語妹「おや?ツン妹にボー妹じゃないですか。二人揃ってどうしたんですか?」
ツン妹「さっきそこで会っただけよ。敬語姉さんは何してたの?」
敬語妹「数学の宿題を見せてやる見返りをパフェでいただいてました」
ボー妹「うげ、よくそんな甘ったるいもの食べれるね」
ツン妹「そっか、ボー妹は辛党だったわね」
敬語妹「さすがに某カレーやさんで10辛を頼んで、汗一つかかずに完食したときは店員さんも引いてましたね」
ボー妹「汗はかいたよ汗は」
ツン妹「でも辛さは?」
ボー妹「普通だったね。敬語姉ぇの特性タバスコの方がよっぽどおいしい」
敬語妹「あれでまだおいしいのレベルですか・・・・・・」
<ふふ、また来ますわ
<ゴム買えなかったね
<ひ、ヒニンは否認で、ゴムは近藤夢・・・・・・
大人妹「あら?」
無垢妹「お?」
敬語妹「お姉さんに無垢妹じゃないですか。と、そちらの子は?」
大人妹「無垢妹ちゃんを大好きなたかしくんよ」
たかし「はいー・・・・・・」ボー
敬語妹「えっと、上の空なんですけど、あなたまた何かしました?」
大人妹「大人の階段を駆け足で昇っただけよ、心配しないで」
敬語妹「何てことしてるんですか!?純粋な少年をあなたの毒で犯さないでください!」
ツン妹「あきらめて姉さん。いつも通りと言えばいつも通りよ」
ボー妹「今度は何したんだろうね」
無垢妹「ゴムを買えなくてプロレス(?)が出来ないからって、どうしてたかしくんがショック受けてるの?」
敬語妹「ゴ、え?ゴム?」
ツン妹「・・・・・・あーあ」
ボー妹「ここにも兄ちゃんと乳姉ぇの被害者が生まれたわけだね」
たかし「無垢妹なんて・・・・・・大ッ嫌いだーーーーーーー!!一生兄貴とプロレス(?)やってろぉぉぉぉぉぉ!!」ダッ
無垢妹「うん!」
敬語妹「おい」
大人妹「さて。なぜか一家妹全員大集合なんですが」
ツン妹「偶然って恐ろしいわね。少なくとも私は一番上の姉さんを連れて歩きたくはないわ」
大人妹「まあひどいわ。ツンデレの症状が悪化してるのね」
ツン妹「それが原因よ!」
ボー妹「ま、とにかく家に帰ろう。日が暮れるよ!」
敬語妹「そうしましょうか」
無垢妹「手ぇつなご!」
大人妹「そういえば、こうやってお兄様抜きでお話するのはとても久しぶりな気がするわ」
敬語妹「そうですね。常にどこかに兄さんがいましたし」
ツン妹「まるで金魚のフンね」
ボー妹「でもそんな金魚のフンの兄ちゃんがみんな好きなんだけどね」
無垢妹「お兄ちゃん嫌いな人はいないよ!」
大人妹「ふふ。そうですわね」
敬語妹「バカな兄さんほど愛してます」
ツン妹「べ、別に私は家族としてであって・・・・・・ゴニョゴニョ」
ボー妹「兄ちゃんがいない生活は考えられないなあ」
無垢妹「お兄ちゃん大好きだよっ!」
<しかしよかったのかい?可愛い妹たちがいるにもかかわらず私に付き添って
<大丈夫でしょ。また昼休みにティーを飲みたいですし
<いやいやそういうわけじゃなくてな
<?どういうことですか?
敬語妹「?この声は」
<こんな薄暗い路地裏から出てきた男女、怪しまれる理由は多々だ
<でも行きつけのティーショップがそこにしかないってだけですし
<まあ今話すのもなんだと思うが、コスモ的なパワーにはもう一つ力があってだね
<ほう
<少しばかり妹たちと君に関することで予知が出来るんだよ
<めちゃ気になります
<言っておくが、私は君が私に付き添うことを拒否したからね
<ん、まあショックではありましたけどそうですね
<それが、残念なことにならないように配慮したことだと気がつかなかった君が悪いんだからね
<?どういうことですか?
<ふふ、まあ目の前を見たまえ
<前?
男「あ・・・・・・」
大人妹「路地裏から同級生の女性といっしょに出てくるお兄様」
敬語妹「薄く笑みを浮かべている女性」
ツン妹「私たちと会ったことでばつの悪そうな顔になる兄貴」
ボー妹「信じていた者に裏切られる私たち」
無垢妹「えっと、中に誰もいませんよ?」
女「ということだ。君には状況説明の義務がある。では」テクテク
男「ダメだ。俺死んだな」ハハッ
大人妹「ふふ。大丈夫ですわお兄様。家に帰ればお兄様の部屋からボンテージ衣装を取り出して、一晩眠れないようにしてあげますわ」ニコッ
敬語妹「あー新しい特性タバスコの材料思いつきましたー。ですが味見が必要ですねー」アハハ
ボー妹「奇遇だね敬語姉ぇ。私もその人といっしょに食べたいんだ」ウフフ
ツン妹「そう言えばボーイズラブに興味のある男の子がうちのクラスにいたわね」オホホ
無垢妹「??みんなどうしたの?」
男「さあみんな、あの太陽に向かって競争だああああああああああ(泣)!!」ダッ
大人妹「!逃げました!追いますよっ!!」
全員「オーーー!!」
男「」シーン
無垢妹「へんじがない ただのしかばねのようだ」
ボー妹「前々から思ってたんだけどさ、無垢妹って知識が偏ってるよね」
ツン妹「ボー妹、少し考えれば分かるじゃない。ウチには偏った知識人が2名ほどいることを」
大人妹「いやねえ。いったい誰かしら?」
敬語妹「胸に手を当ててしっかりと考えてくださいね」
大人妹「胸に手を当てて・・・・・・」モミモミ
敬語妹「くっ・・・・・・」
ツン妹「くっ・・・・・・」
無垢妹「2人ともどうしたの?」
ボー妹「地雷踏んだ人と、その巻き添えだよ」
男「やめろ。道端でそんなことするんじゃない」
ボー妹「おー!兄ちゃんが初めてまともな事言った!」
敬語妹「明日嵐じゃないですか?」
ツン妹「いや雪ね。吹雪のほう」
男「お前ら俺をなんだと・・・・・・」
ツン妹「要素①に、変態の単語は欠かせないわね」
敬語妹「同意です」
大人妹「同意ね」
ボー妹「乳姉ぇもだからね」
無垢妹「あ、お家が見えたよ!ダッシュ!!」ダッ
敬語妹「危ないですよ!」
無垢妹「ただいまー!!」
男「えっ!?」
ツン妹「ちょ、なんで家の鍵開いてんのよ!?」
敬語妹「そんな・・・・・・確かに閉めたはずなんですが」
ボー妹「うん。確かに閉めてたよ」
男「つーことは泥棒、か?」
大人妹「無垢妹が危ないわ!」
ボー妹「とにかく急ごう!」
ガチャ
男「無垢妹っ!!」
<やあお帰り
<おかえりなさい
全員「え・・・・・・?」
男「お前ら・・・・・・もしかして」
大人妹「お父様とお母様!!」
敬語妹「これは、ビックリしました」
ツン妹「相変わらず気ままね」
ボー妹「テレビでしか見ないもんね」
無垢妹「パパ!ママ!」
父「会いたかったよ!娘たち!!あとオプションの男もな」
母「あらあら、うふふ。みんな元気そうで良かったわー」
男「相変わらず残念イケメンだな親父!」
父「そのフツメンは、お前どこの家の子だよ?」
男「あー?てめえ自分の棒の先から出た液で生まれた子供の顔も分からないんですかぁ?」
父「オレは常に肌身離さず息子を持ち歩いてるんで、お前なんて知りませーん」
母「あらあら、うふふ。5年ぶりでも仲良いわね」
大人妹「お母様もお元気そうで良かったですわ」ギュー
母「あらあら、うふふ。大人妹さんはこちらがだいぶ成長なさったんですね。圧死しそうです」
敬語妹「止めてください!!母さんの身長分かってるんですか!?135センチなんですよ!?」
ツン妹「ほんと、5年間も家ほったらかしにしないでよ!」
父「うんうん。悪かった。だから今日は盛大にパーティなんだよ娘!」
無垢妹「パーティ!?サンタさんは来るっ!?」
父「ああ!来るとも!」
男「嘘言うなよ!時期が半年以上違うわっ!」
母「あら?知人のサン・ターさんを呼んだのだけれど」
男「まさかの知人!?って紛らわしいわ!家族の団らんにサン・ターさんはいらなくない!?」
父「それもそうだな」
ボー妹「なんか、さすが金持ちの考えることは分からないって感じだね」
父「娘たちも金持ちの家族ってことになるんだぞ?」
敬語妹「とは言っても毎月支払ってもらっている仕送りの9割以上は残っていますし」
ツン妹「そうそう。貯まる一方なのよね」
大人妹「このあいだ貯金を下ろしに行った時に、残高を見てとても驚きましたわ」
父「何故だ!?なんでそんな余る!?」
男「子供に毎月1000万はどうかと思うけどな」
父「そうか・・・・・・だから、『パパ、お金足りないから送ってー(汗)』『そうか、仕方ないな娘よ』『パパ大好き!』が出来なかったのか・・・・・・!!」
無垢妹「3ヶ月でランボルギーニが買えるね」
ツン妹「やっぱりこの子知識が偏ってるわ」
母「あらあら、うふふ。さ、お料理の準備が出来ていますよ」
全員「はーい!」
父「旅行行くぞ!」
男「静かに食えんのかバカ親父。あ、敬語妹その焙煎肉取って」
敬語妹「どうぞ兄さん。これおいしいですよ」
大人妹「こちらのロブスターもとても美味ですわお兄様」
ツン妹「キャビアなんて初めて食べたんだけど。あんまりおいしくはないわね」
ボー妹「四川風麻婆豆腐の辛さが最高!」
無垢妹「コレもおいしい!コレも!コレも!」
母「あらあら、うふふ。5年という歳月はお父さんの威厳を根こそぎ取っていったみたいですね」
父「返して!!利子付きで威厳を返して!!」
男「はぁ。コレが親父かよ。叫ぶ事しか能がねーんじゃないのか?」
大人妹「お兄様も同じようだと思われますが?」
敬語妹「仮にも1代で財をなしたお父さんに言うことではないですよね」
男「じゃあハイ、親父。発言するときは手を上げてから言うこと」
父「はい!」ノ
男「親父くん」
父「家族で旅行に行くことを提案します!」
男「却下。俺ら学校、親父仕事」
父「が、学校も土日は休みだろ。仕事は1週間休み取ったから大丈夫だ!」
男「コーコーセーに土日があるとでも?それに部活もありき、お前は仕事しろ。はい論破」
父「もう、父さんには倒産しなかいのか・・・・・・」
敬語妹「縁起悪いこと言わないでください!って、そうじゃなくてウマくないです!」
大人妹「で、旅行はどこに行くと予定されていたのですか?」
母「京都や北海道などお父さんと相談していたのですがね、やっぱり熱海などでゆったり温泉に浸かろうということになりました」
男「いいなそれ!」
父「明らかな反応の差!?」
男「母さん・・・・・・」
大人妹「お母様・・・・・・」
敬語妹「お母さん・・・・・・」
ツン妹「母さん・・・・・・」
ボー妹「お母さん・・・・・・」
無垢妹「おかあさん・・・・・・」
抱きっ!!
母「あらあら、うふふ。みんなで抱きついて。お母さん嬉しいです。あらあら・・・・・・うふふ・・・・・・」
父「やめて!オレの妻が6人の圧力で圧死してしまうから!母さん、かあさーーーーーん!!!」
屋上
男「というわけで熱海に行くことになったんですよ」
女「そうか。お土産は一番高いので頼むよ」
男「そうっすね。いつものティーのお返しです」
女「今日はレモンティーだ」
男「おいしいです」
女「帰ってきたんだねご両親が」
男「ふらっと帰ってきていきなり旅行行こうですからねえ。1週間学校休む羽目になりましたよ」
女「残念そうにいうわりに嬉しそうな顔じゃないか」
男「え、違」
女「分かるよ。こっちの世界の記憶では5年間もいなかった両親だからね」
男「前の世界では口うるさい親父と・・・・・・母親は何一つ変わってないや」
男「ええ。最近、この上ない贅沢を感じてるんですよね」
女「というと?」
男「朝は理想の妹たちと言葉を交わして楽しく朝食、昼は女さんと少し早いアフタヌーンティー、夜は妹たちとエキサイティング。さらに明日から熱海旅行」
女「エキサイティングさせられているんだろう?」
男「はい、ごめんなさい。話を盛りました」
女「それが贅沢だと?」
男「元が平凡だったから、こういう風にいっぺんに幸福を感じると、不安になるんですよ」
女「全く理解できない感情だね。私なんて監査官の仕事を全うするのに必死だというのに」
男「すいません・・・・・・お土産たくさん買ってきます」
女「ふふ。特に皮肉を込めていったわけじゃないよ」
男「いや今の皮肉じゃね?」
女「監査官と言っても宇宙から感じる意志をビビビッと感じたり、念視する程度だから苦ではない」
男「電波ですね」
女「じゃあ君は青春している男か?」
男「もうそれでいいです」
女「それはよかった」
男「流れ星にどんな力があったんでしょうね」
女「流星は人の願いを叶えると昔から言うじゃないか」
男「それは星が流れている間に願いを三回言えるほど努力しているから叶うってことじゃないですか?」
女「そうだよ。じゃあその努力に神様が見返しをくれても良いじゃないか」
男「なんかもう非科学的で頭痛くなってきました」
女「非科学ついでにこのSSのタイトルを考えてみると、男『お、流れ星か。理想の妹くださいっと』になるんだけどね」
男「何言っているかさっぱりです・・・・・・」
女「宇宙(VIP)と交信していたのさ」
男「で、そこで女さんに予知して欲しい事が」
女「却下」
男「おえっ!?」
女「未来は自分で切り開いていくものだよ。私に頼るべきではないぞ」
男「そんなー・・・・・・」
女「ちなみに君は『熱海で起こるエロハプニングを教えてください』と私に言って、その場面になって慌てずに(変態という名の)紳士的に対応しようと考えていたんだろう?」
男「がっつり心読まれてた!?」
女「コレも予知だ。全くもって君の発想は変態の極みではないか」
男「もっと言って・・・・・・!!」ハァハァ
その頃
大人妹「!!」ガタンッ
大友「どうしたの?」
大人妹「よく分かりませんが、今お兄様が大変な変態な気がしますわ・・・・・・!!」
大友「え、その怪電波を感じ取るあんたも相当変態よ」
大人妹「いいえ。私にとっては快電波です」
大友「悪化してるじゃん!!」
女「さっきの言葉はスルーするとして、監査官として一つアドバイスしておく事がある」
男「アドバイス?エロニングの?」
女「エロハプニングを略したんだね。何となくエロの現在進行形に聞こえなくもないよ」
男「どんなエロニングが起こるんですか?」
女「エロニングのことではないが、まあ、両親の話をしっかり聞いておくべきだというアドバイスをしたかったんだ」
男「チッ。そんなことですか」
女「あからさまに不機嫌になるな」
男「でも聞くに足りない父親と、自己主張の小さい母親ですよ?」
女「それに加えて、大人妹の話もしっかり聞いておくといい。特に温泉で、ね」
男「温泉=エロング・・・・・・!!ウハッ!やっぱり流星は僕を見捨ててなかったんだ!」
女「さらに略した!?どうでもいいが、今日の君は流星に当たって欲しいほどのウザったさだな」
男「褒め言葉ッス!!」
女「・・・・・・」
熱海
無垢妹「そんなわけで熱海!!」
大人妹「お兄様、妹を場面説明に使うのはよしてください」
男「いや、これは無垢妹が自発的に」
ツン妹「で、私たちは今どこにいるのかしら?」
ボー妹「どこって、旅館じゃん?」
大人妹「ほら」
男「俺絡んでねーよ!?今の明らかにツン妹とボー妹のやり取りじゃん!」
母「あらあら、うふふ。ロビーでゆったりするのもいいですね」ニコニコ
敬語妹「なぜか私たち以外に人がいないように感じますが?あとお父さんも」
母「貸切ですからね。3日間貸切しています」
男「なんつー財力・・・・・・!!」
ツン妹「本当ッ!ダイアモンドみたい!」
敬語妹「あ、あの」
ボー妹「サーフィンとかしたくなっちゃうね!」
敬語妹「あの」
男「いやサーフィンするには微妙だな」
敬語妹「そこは素直に、そうだな、とか言いましょうよ!!って、そうじゃなくて誰もお父さんがいないことをスルーですか!?」
大人妹「お父様は心の中で生きていますわ・・・・・・」
敬語妹「生きてますから!!あなたがしみじみ言うとシャレに聞こえません!!」
ボー妹「目を覚ましてよ・・・・・・父ちゃん!」
敬語妹「お父さん死んじゃったみたいな言い方ですが、低血圧でまだ寝てるだけですからね」
男「俺と」
無垢妹「わたしの低血圧は」
男・無垢妹「「親父のせい!」」
ツン妹「ほんと・・・・・・死んじゃえばいいのよ」
敬語妹「え、ツン妹ちゃん何かあったんですか・・・・・・?」
母「お父さん、寝ぼけてツン妹ちゃんの太ももを舐めはじめたんです」
敬語妹「それ本当に寝ぼけてるんですか?」
男「・・・・・・!!?」
敬語妹「兄さんもさもその手があったかって顔しないでください」
大人妹「あらお兄様、そんなに太ももが欲しいのであれば・・・・・・どうぞ」チラッ
ボー妹「あ、ずるい!私も!」ヌギヌギ
無垢妹「お兄ちゃんが好きならわたしも好き!」ヌギヌギ
男「みんな・・・・・・!!いただきますっ!」
敬語妹「旅館のロビーでストリップしないでください!!」
母「ダメですよ。何だかんだであなたたちのことを一番考えてくれているのはお父さんなんですから」
男「そうなの?」
ツン妹「そ、それは分かるけど・・・・・・」
ボー妹「私は父ちゃんのこと尊敬してるよ!」
無垢妹「毎月お金くれる都合のいい人だよね?」
敬語妹「実の父親に向かってなんという発言!?」
大人妹「私もお父様は尊敬していますわ。だって私を拾ってくださったお方なんですもの。そしてお兄様も」
男「義妹ってシチュ、めっちゃ興奮するよね?」
敬語妹「その発言で台無しです兄さん。あと3人はきちんと服着てくださいね」
父「まあ合流したわけなんだが・・・・・・」
男「旅館に残っていたのが息子だけで、ウホッな想像張り巡らしてんじゃねーよ。近寄らないで」
父「うえぇぇ。父→男→父の文字見てたら気持ち悪くなってきた・・・・・・」
男「もっかい寝ろ。そんで永遠に目覚めるな」
父「それだったら、文字が男だけになって独り言乙になるぞ?」
男「う、それはそれで寂しいやつになるからヤダ・・・・・・」
父「で、愛しの母さんと娘は?」
男「露店巡ってるんだと思うが?」
父「どうして疑問系なんだ?」
男「いやトイレ行ってたらさ、置いてかれた」
父「へへ、ざまぁ」
男「それ言うと、起こされもせずに置いていかれた親父も同類だぞ?」
父「・・・・・・・・・・・・」
男「へへ、ざまぁ」
男「ポジティブでよろしい。が、それはツン妹だけで十分でーす」
父「し、仕方ない。ツン妹のプレゼントだけだがよしとするか」
男「プレゼントがあるとしても親父には無いと思うなー」
父「ああ?それはいかにも、ツン妹が男だけにプレゼントをやりますって言ってるように聞こえるんだけど?」
男「あ、いや別にそういう意味で言ったわけじゃ・・・・・・いやそういう意味で言ったんだけど?」
父「強気な態度!?どーいうことだ男ぉぉぉぉ!!」
男「いやだって・・・・・・妹たちは俺の事好きだし?」
父「うっわ、ナルシストとか引くわー」
男「事実だっ!!」
父「・・・・・・やっぱりそうなのか?」
男「そうじゃないと言えば嘘になる」
父「はあ。オレは自由の国で仕事してるから大概のことは自由なんだが、自由の裏には責任がまとわりつくんだ」
男「まあ親父が言わんとしてることは分かるよ」
父「誰を選ぶとかは?」
男「そんなの決められない。責任逃れみてーな言い方かもしれないけど」
男「つくづく俺があんたの血を引いていることを実感させられるよ」
父「ま、それは冗談だが、オレは反対しない。ただ、後ろがあることはしっかり覚えておけ」
男「ちっ。親父みたいなこと言いやがって」
父「親父だからだ。コレ、取っておけ」つ●
男「?何コレ?」
父「つけ心地ゼロ!新体験の薄さ!」
男「ちゃっかり5枚分ゴム準備してんじゃねー!!てめーで母親相手に盛ってろ!!」
父「いや、母さんはダメだ」
男「まさかの浮気宣言!?」
父「そうじゃなくてな、母さんはあの身長だろ?だからもう子供は産めないんだ」
男「たしかに135センチとか、端から見れば合法ロリで嬉しいけど、その分色々な器官が小さいもんな」
父「お前の出産も苦労したんだぞ」
男「らしいな」
男「それが大人妹」
父「あの雨の日な・・・・・・」
男「雨の日とかあったっけ?」
父「ん?あれ?いや雨の日だったか、晴れの日だったか・・・・・・たしかプロレス(?)がどうこう言っていたのだけは覚えてるんだが」
男「忘れてください!!」
父「ふむ。さて、この旅館には家族風呂がある」
男「え、家族風呂にはいるのか?」
父「それの方が盛り上がるだろう?」
男「どこが盛り上がるんだよ、どこが」
父「とは言っても家族風呂は4人までらしい」
男「8人だから半々だな」
父「色々考えたんだが、父さん母さんお前大人妹でどうだ?」
男「何を色々考えてそうなる?完全に年功序列じゃねーか。自由の国の人間が何日本の格式に囚われてんだよ」
父「常識は破るためにあるんだ」
男「一回転して通常だよ」
父「で、どうだ?」
男「俺は構わないけど、女衆に聞くんだな」
父「よーし!舐め回す様に見るぞ~!!」
男「お前やっぱ独りで入れっ!!」
父「えっお風呂入ってきたの!?」
男「くっ・・・・・・」
敬語妹「すいません。兄さんのトイレが長いのと、お父さんの睡眠が長いので私たち待ちきれなくなって・・・・・・」
大人妹「ちなみに上の分からトイレと睡眠という言葉を抜くと、良いわよ」
ツン妹「何がどういいのよ!?」
無垢妹「すいません。兄さんのが長いのと、お父さんのが長いので私たち待ちきれなくなって・・・・・・」
ツン妹「わーわーわー!!言わなくていい!!」
ボー妹「なんか、おえっ」
母「あらあら、うふふ。それではお父さんと男君が寂しいので、私といっしょに家族風呂でもいかがですか?」
父・男「オッケーっす!」
敬語妹「ちょ!野獣の中にお母さんを放り込ませません!!」
父「野獣とは失敬な!紳士だよ、娘」
男「じゃあ首輪係でもう一人だれか一緒に入るか?」
敬語妹「えっ・・・・・・・」
ツン妹「・・・・・・!!」
ボー妹「チャンス・・・・・・!!」
大人妹「ダメよ。あなたじゃ首輪係りどころか餌になってしまうわ。ということで私が首輪係をしますわ」
敬語妹「あ、あなたも十分に餌じゃないですか!」
大人妹「私は餌となる覚悟がありますので」ニコニコ
ボー妹「お、大人の眼・・・・・・!!」
ツン妹「く、悔しいけど、それがいいかも」
無垢妹「ちぇー!残念だなー」
男「おーい、決まったかー?」
大人妹「私がお兄様とお父様の首輪係をさせていただきますわ」ピトッ
父「ひゃっほーい!!」
ツン妹「バカ親父の喜びよう!?」
男「コラひっつくなって!」抱きッ
敬語妹「ひっつくなと言っている割に抱き寄せてませんか?とくに胸部辺りを中心に!!」ギロッ
男「いや、これは大人妹が・・・・・・」
大人妹「あんっ、お兄様!」
父「チッ!!」ギロッ
ツン妹「」イライラ
無垢妹「むー・・・・・・」
男「なるほどこれが四面楚歌か」
ボー妹「状況的に盛ったライオンの檻(男と父)に、餌(母)と餌をぶら下げた調教師(大人妹)を入れるようなものか」
男「俺はライオンじゃなくてダチョウくらいだYO」
敬語妹「それって欲が低いことのアピールになりますか?それになぜヒップホップ?」
男「いや、楚歌はヒップホップだと思うんだ」
父「そっか」
男「」イラッ
大人妹「さ、お兄様お風呂場に行きましょう」
敬語妹「なんかあなたが言うと、そういうお仕事をしている人のように聞こえます」
母「まあ。敬語妹さんはそういうお仕事に興味があるんですか?」
敬語妹「まさかのお母さんからの質問!?って、興味ないですよ!」
ボー妹「だけどホントは?」
敬語妹「人並みに・・・・・・って何言わせるんですか!!」
男「だんだんツッコミが上手くなってきたなー」
敬語妹「好きでこんなことしてるんじゃないですよ・・・・・・」
大人妹「最初は清楚なキャラだったはずなのに」
敬語妹「う」
ツン妹「変態たちのせいでいつのまにか」
ボー妹「暴走の抑止剤と考えれば大切な役だけど、損な役回りであることには変わりないよね」
無垢妹「敬語お姉ちゃん、いろいろ大丈夫?」
男「敬語妹ーーー!!?」
大人妹「このノリするの2ヶ月ぶりね」
父「え、2ヶ月に1回はこんなことしてるの?」
無垢妹「大丈夫だよ。おなか空いたら帰ってくるから」
父「どこの小学生!?」
母「あらあら、うふふ」
大人妹「さ、お父様、お母様、お兄様、行きましょう」
男「オーー!!」
ツン妹「バカ兄貴」ゲシゲシ
男「えっとなんでしょうツン妹さん。なぜか爪先が痛いんですが・・・・・・」
ツン妹「手ぇだしたら・・・・・・どうなるかわかってるよね?」ニコッ
男「はい。もう十分存じております」
ツン妹「分かればいいのよ。分かれば」
男「それ、親父にもしてやれ」
ツン妹「イヤよ」
男「どうして?俺よりあいつの方が危ないだろ?」
ツン妹「だって、ハァハァして喜ぶだけだもん」
男「そう、だな・・・・・・」
注意:バスタオル着用です
大人妹「それではお邪魔します」チャプ…
父「おおお!バスタオルからのぞく四肢が色っぽい・・・・・・!生まれて来て良かった・・・・・・!!」
大人妹「大袈裟ですわお父様」カンラカンラ
男の愚息「お父さん!!」
男「(やめろ!家族の前でお前は節操なしかーーーーー!!)」
男の愚息「でもでもお父さん、お父さんのお父さんの息子さんを見て!」
男「(俺か!?俺を見てどうする!?)」
男の愚息「違うよ!お父さんの股間だよ!」
男「(あ、股間。股間ね・・・・・・うっわ。家族の前でアレかよ。タオルの上からもクッキリ)」
男の愚息「何か、アレ見たら萎えた・・・・・・おやすみー」
男「ああおやすみ」
母「あら、おねむですか男さん?」
男「いや、精神世界で大切な会話をしてたんです」
母「そうですか」
父「はー、極楽極楽」
母「ふふ、血は争えませんね」
男「チッ」
大人妹「私もお父様とお母様の血を欲しかったですわ」
父「何を言っている!!血など繋がっていなくてもお前はうちの娘だ!!」
大人妹「ありがとうございますお父様」
父「思えば、えっと・・・・・・」
母「13年前」
父「13年前!雨の日に男が血相変えて家に飛び込んできたかと思うと、『この子を妹にして!』だからな」
男「あー、そんなこともあったなー」
母「その時男さんの右手に持っていた本は『義妹愛』でしたね」
大人妹「あらあら、うふふ」
男「なんでそんなことまで覚えてるんだよ!?あと口調移ってんぞ大人妹」
父「今でも思い出すなー」
男「そんなに思い出深いのか?」
父「いやだってあんなにディープな本は今じゃなかなかお目にかかれないぞ?」
男「本の話しかよっ!?ああもうそんなのは忘れていいから!!」
男「あ、それは俺も思った」
父「あれ?そうだったか?」
母「私は降っていたように思えますが」
父「なるほど。2人は愛の力で心が晴れていたのか」
男「うまくないぞ。全然うまくないぞ親父」
大人妹「その晴れた心は私の中でたまって、このように実りましたわ」ムニッ
男の愚息「あーもうムリっす」
男「セットアップ!カモーンベイベー!」ガバッ
大人妹「きゃあ♪」
母「男さん!」
男「は、はい・・・・・・!!」
母「ゴムはきちんとしてください!!」
男「そっちか!せめて母親らしくこの行為自体をとめて欲しかった!」
大人妹「そんな・・・・・・」
男「お前はそんなに落ち込むなよ」
母「きゃあ♪」
大人妹「お父様!」
父「は、はい・・・・・・!!」
大人妹「私、弟が欲しいですわ」ホッコリ
男「とめてーー!!俺が言うのもなんだけど、この家族をとめてーーー!!」
父「まあ久しぶりの家族集合なんだ。もっとゆっくりしようじゃないか」
男「お前が言うなよ」
大人妹「ゆっくり・・・・・・」グデー
母「」ウツラウツラ
男「さっきまで騒いでいたとは思えないほど静かになった。てか寝た」
男「うん?家事は敬語妹に任せっぱなしだぞこいつ」
父「違う。大人としての指標を示す事だよ」
男「変態行動がか?」
父「まあそれもだ。この子は良くも悪くも大人だからな。そういうところを見て下は善悪を学んでいく」
男「善2割、悪8割だけどな」
父「そういう意味では、この子を養子に入れてよかったと思っているよ」
男「そういや前の家族は?」
父「ん、忘れたか?・・・・・・まあ覚えてもいないか」
男「??」
父「交通事故でな。お前がこの子を家に連れてきた日に他の家族は、な」
男「なん、だと・・・・・・」
父「この子を救ったのはお前だ。どうやらこの子もそう感じているみたいだな」
男「普通、どうして私だけが生き残ったの、とか泣き叫ぶかと思ったが」
父「家族愛<お前への愛だったんだろ?」
男「嬉しいような、複雑なような・・・・・・」
男「タオル?」
大人妹「すぅ、すぅ」全裸ー
男「バスタオル取れてるううううううううう!!??」
父「うっひょおおおおお!!」
男「ちょ、バカ親父興奮してんじゃねーよ!!巻くからタオル貸せっ!!!!」
大人妹「う、ん・・・・・・」
男「げ」
大人妹「あらお兄様?・・・・・・あ」
男「ち、違うこれはバスタオルが取れたんで、巻きなおしてやろうと・・・・・・」
大人妹「で、出来れば初めてはベッドが良かったのですが・・・・・・///」
男「ちーーがーーーうーーーーー!!!」
父「せっかくだから母さんのも取っておくか」脱がしッ
男「どこがせっかくだバカ親父ーーーーー!!」
男「お前ロリコンだろ!?なあそうだろ!?」
父「知ってるか?アメリカ精神医学ではロリコン、もといペドフィリアの基準は『13歳以下との性行為』と規定されてまーす」
男「こんなところで自由の国を使うなっ!!ていうか範囲狭っ!?」
大人妹「ではお兄様がボー妹と無垢妹に手を出せば・・・・・・」
父「お茶の間の話題になるってわけだ」
男「ドヤ顔してんじゃねーよクソ親父」
父「バカからクソに格上げ!?」
男「格下げだっ!!」
大人妹「まあ私のみが裸で話すのもなんですから、お兄様とお父様のタオルも没収ですわ」バッ
男「おウッ!?」
父「ふん!!」
大人妹「でしたら私を奪ってご覧なさい!」
男「タオルだ!何キャラだよお前!?つーか親父は前を隠せっ!!」
父「子曰く『我五十にして前隠さず、悦ばしや』」
男「それはお前の性癖だ!あと孔子はそんなこと言ってない!」
母「あら、寝てしまってましたか・・・・・・おや?」
大人妹「ほーらお兄様、タオルがこんなところにー」
男「やめて!四つん這いになると危ないところがデンジャラス!!」
父「ね、つ、つ、次は女豹のポーズしてもらってい、いいかな?」
男「てめーは何キョドってんだ!!」
母「あらあら、うふふ。みなさん仲がいいですね。それにしても私のタオルはどこへ?くしゅん」
敬語妹「」ソワソワ
ボー妹「そんなに心配なら見てくればいいじゃん」
敬語妹「ちちち違いますよ!だ、誰が心配ですか!」
ツン妹「私はあの人たちより敬語姉さんの方が心配よ」
ボー妹「そんなこと言いながらー、実はツン姉ぇもさっきから爪噛みすぎだよ」
ツン妹「か、噛んでないわよ!」
ボー妹「2人とも胸が小さいから度量も小さ・・・・・・ゲフッ」
敬語妹「うふふ。何か言った?」
ツン妹「聞こえなかったんだけど?」
ボー妹「何でもありません、麗しいお姉さま方・・・・・・」
無垢妹「」スゥスゥ
敬語妹「こんな場面でよく寝ていられますね」ナデナデ
ボー妹「こんな場面だからだよ。この子にとっては愛も恋も家族愛も全部いっしょなんだよ。だから仲いいあの4人見て安心したんだろうね」
ツン妹「ボー妹もよく落ち着いていられるわね」
ボー妹「いやーボクって性同一性障害になりかけだったからさー、男心も女心もわかるんだよねー」
ツン妹「えっ!?」
ボー妹「えっ!?」
ボー妹「・・・・・・もしかして知らなかったの?」
敬語妹「全く知りませんでした・・・・・・」
ツン妹「だからボクなんて使うのね」
ボー妹「名残りだね。今は女だけど」
ツン妹「たまに男になるの?」
ボー妹「それは無いかなー。兄ちゃんを好きになったらさ、全部元に戻っちゃった」
敬語妹「あ、もしかしてしばらくアメリカにいたのは」
ボー妹「そうそう治療だよ。なんていうの?それまでは心に男も女もいるみたいな感じだったけど、向こうに渡って兄ちゃんが恋しくなって、女心が勝った的な?」
ツン妹「もし私たちが恋しくなっていたら・・・・・・?」
ボー妹「性転換手術を受けて帰ってきてただろうね。そんで姉ちゃんたちにちょっかいだしてたかもよ?」
敬語妹「」ゾクッ
ツン妹「そもそもうちの家系は問題が多すぎな気がする」
敬語妹「みんな難産みたいでしたしね。お母さんの体型から考えればそうでしょうが」
ツン妹「小学生が子供生むようなものよね?」
ボー妹「父ちゃんはロリコンなのかー」
敬語妹「変態な兄さんに、変態な姉さん、ツンデレな妹に、性同一性障害になりそうになった妹。まともなのは私と無垢妹だけですね」
ツン妹「変態な兄貴に、変態な姉さん、敬語がステータス(笑)な姉さんに、ボーイッシュな妹。まともなのは私と無垢妹だけね」
ボー妹「変態な兄ちゃんに、変態な乳姉ぇ、敬語で清楚な感じを出そうとしている姉に、ツンデレで票を狙う姉。まともなのは私と無垢妹だけだね」
敬語妹「・・・・・・」
ツン妹「・・・・・・」
ボー妹「・・・・・・」
ツン妹「だって、同級生にも下級生にも敬語でしょう?狙ってるとしか思えないわ」
ボー妹「需要(笑)ですか?」
敬語妹「そんなこと言うと、ツン妹ちゃんだって、もうツンデレは衰退してきているのに逆行してるじゃないですか!中二ですね」
ツン妹「だから誰がツンデレだって言ってんのよ!ていうか中二って何よ!学年がどうしてけなし言葉になるのよ!」
ボー妹「邪気眼乙!」
敬語妹「ボー妹ちゃんも、いくら性同一性障害だったからと言って、ボクっていう一人称はどうかと思いますよ?」
ツン妹「あなたこそ、票を狙ってるんじゃないの?」
ボー妹「う、うるさい貧乳たち!!」
ドゴッ
敬語妹「さて、1人天に召されてしまいましたが、肝心な事が残っています」
ツン妹「そうね、この子のことを忘れてはいけないわね」
ボー妹「・・・・・・」シーン
敬語妹「百歩譲って私たちが個性的なのは認めます。ではこの子はどうなんでしょう」
ツン妹「それにしてもよく寝てるわね」
無垢妹「」グガー
敬語妹「さっきまでこんな下品な寝方してましたっけ?」
ツン妹「この子の特徴・・・・・・純粋なところ?」
敬語妹「むしろ無知ですね」
ボー妹「もうさ、最終的にこの子だけがまともでいいんじゃない?」
ツン妹「あ、復活した」
敬語妹「釈然としませんが、それでいいです。私は争いを好みませんから」
ボー妹「またそうやって票稼ぎする」
敬語妹「そもそも票って、何に対する誰が入れる票ですか?」
ボー妹「まあ画面の向こうの人たちかな?」
敬語妹「??」
敬語妹「前言撤回です。この子もこちら側でした」
ツン妹「この年でどんな夢見てるのかしら・・・・・・」
ボー妹「まとめると、ボクたちの家系にまともな人はいないと」
敬語妹「あ、お母さんがいました!」
ツン妹「あの『あらあら、うふふ』しか言わない人?」
敬語妹「それは産んでくれた母親に向かって言うことじゃないですよ・・・・・・」
ボー妹「たしかに。こんな貧乳でも生むのに腹を痛めてくれたん・・・・・・ドフッ」
ツン妹「どの口が、どの口がまだそんな事言うのかなー?」
ボー妹「いひゃい!いひゃい!」
ボー妹「そんなに難産だったの!?」
ツン妹「う・・・・・・お母さんごめんなさい」
ボー妹「出来ればもう少し胸があるように産んで欲しかったわ」ボソッ
ツン妹「ええい!心の声を代弁しなくていい!!」
敬語妹「ボー妹ちゃん?」
ボー妹「え、な、なに?敬語姉ぇ、その手は何かな?」
敬語妹「兄さんで鍛えたスリーパーホールドです」ニコッ
ボー妹「笑顔で言うことじゃないーー!!うげぇ!!・・・・・・あ、やっぱり絶ぺk・・・・・・」
敬語妹「ふん!!」
ボー妹「きゅう」
ツン妹「やっぱり変態ばっかり」
無垢妹「むにゃむにゃ・・・・・・」
無垢妹「そんなわけで楽しい熱海旅行も過ぎて行き、お別れの日が来たのでした!」
男「便利だなこの子」
ボー妹「お手ごろ」
敬語妹「え、何言ってるんですか?」
大人妹「省略ですか!?ではあの後のお兄様との初めての夜も、激しい夜も、全部無かったことにするんですか!?」
男「あー、うん。実際そんなことなかったし、大丈夫だよ」
大人妹「ひどい!結局は私の体だけが目当てだったんですね!」
乳「貴様!責任を持たんか!!」
男「親父、表記が違う!!どこの乳が話してるんだよ!!」
大人妹(裏声)「乳『そんな、お兄様の舌使い、忘れられません・・・・・・!!』」ムニムニ
大人妹「こうですよね?」
男「実際に乳で話すな!!ていうかそんな事実無いからなっ!?」
敬語妹「くっ・・・・・・」
ツン妹「ちっ・・・・・・」
母「あらあら、うふふ」
ボー妹「あっはっは!!・・・・・・くふっ・・・・・・げほっげほっ」
男「1人ツボにはまって大惨事なんだけど!!」
ボー妹「あーっはっはっは!!」バンバン
敬語妹「」ゴゴゴゴゴゴゴゴ
ツン妹「」ゴゴゴゴゴゴゴゴ
男「もう乳ネタ引っ張るのやめろよ!2人ほど殺意の衝動に目覚めた人がいるから!!」
父「まあとにかく娘たち、元気でな」
男「あ、ここで仕切るんだ・・・・・・」
大人妹「お父様方もお元気で。お仕事頑張ってくださいね」
敬語妹「あの、月々1000万円もいらないですよ?」
ツン妹「ま、まあたまにはメールでも電話でもくれればいいじゃない」
ボー妹「ボクはバスケでアメリカまで行ってやるよ!」
無垢妹「じゃあわたしは泳いでいくよ!」
父「そうか!水着を速達で送ってやるからな!」
男「お前の想像している水着はヒモっていうんだよ。それにそんな格好で太平洋横断させる気か?」
父「まさか。インド洋を回ってだな・・・・・・」
男「もっと性質悪いわ!!」
母「みなさんが元気そうで良かったです。次に会えるのはいつか分かりませんが、それまで元気でいてくださいね」
全員「お母さん・・・・・・!」
父「では、行くからな」
母「また会いましょう」
大人妹「行ってしまいましたわね」
敬語妹「嵐のような人たちでしたね」
ツン妹「それはバカ親父だけじゃない?」
ボー妹「いざお別れになると寂しいね」
無垢妹「うっ、うっ・・・・・・」
男「お前、泣いてんのか?大丈夫だよ。永遠に別れるわけじゃないし、それに俺らもいるだろう?」
無垢妹「違うの。泳いでいくって言ったけど、わたし泳げなかったの・・・・・・」
男「あ、そういうこと・・・・・・泳げようが泳げまいが、泳いでアメリカまで行くことは出来ないだろうなー」
敬語妹「じゃあ送られてくる水着・・・・・・ヒモはどうします?」
男「新聞縛るのに使えばいいんじゃね?」
父「嵐のような娘たちだったな」
母「嵐の中心は男さんでしたね」
父「あっ!ゴム渡し忘れた!」
母「まあそれはどこにでも売ってありますから」
父「男は誰を選ぶのか」
母「それはあの子達に任せるとしましょう」
父「まあオレたちも最初から同じ名字だった訳だしな。娘たちが男を好きなるのは当然だと」
母「それは言わない約束ですよ。うふふ」
父「それはそうと」
母「はい?」
父「サン・ターさんは?」
母「あらあら、うふふ。どこへやら」
男友「あー学校ダリぃ」
男「おはよっす!!」テカテカ
男友「あ、男じゃねーか」
男「どうした元気ねーな!そんなお前にはコイツをプレゼント!」
男友「うっざ!旅行帰りのテンションうざ!・・・・・・ってこれ安産祈願のお守りじゃん!俺にどう使えと!?しかも熱海関係ない!!」
女「では私が貰おう」
男友「え、あ、どうぞ。・・・・・・えっ!?」
男「あ、女さんおはようございます」
女「エネルギーをチャージしてきたみたいだね」
男友「あの」
男「女さんにお土産いっぱい買ってきましたよ!」
男友「あの」
女「そうか。では昼休みに屋上で頂くとしよう」
男友「あの!!」
女「すまない。少し静かにしてくれないか?」
男友「は、はい・・・・・・」
男「コレ全部昼休みに食べる気ですか?」
女「いやいや食べきれない分は君に持たせて、私の家まで運ばせるけどね」
男「たっはー!敵わないっす!」
女「ちょうどこのお土産に合う様なティーを準備していたんだ」
男「おお!楽しみです!」
女「うふふふふふ」
男「あははははは」
男友「・・・・・・女さんが安産祈願のお守り貰った真相はっ!!?」
屋上
女「ふむ。これはなかなか・・・・・・!」
男「でしょう?試食してから買ったんですよ」
女「ただのお饅頭と思っていたが、皮がしっかりしていて、あんもしつこくない」
男「ばっちりグリーンティーに合いますよね!」
女「ジャスミンティーと迷っていたが、グリーンティーを持ってきてよかった」
男「女さん、ティーと名の付くものは全部持ってるんですか?」
女「絶賛蒐集中だ」
男「あ、でもあの時のアレはもうやめてくださいね・・・・・・」
女「あの時のアレとは何だい?読者が分かるように言ってくれないかい?」
男「読者とか言わないでください。あとちょっと悪い事が起こった感じを出そうとしただけなのに掘り下げないでください」
女「そうか。それはすまなかったね」
男「何はともあれ、楽しかったですよ」
女「私のアドバイスは覚えていたかい?」
男「アドバイス・・・・・・?あ、は、はい!モチロンッスヨ!」
女「はぁ・・・・・・覚えていなかったんだね」
男「すいません・・・・・・」
男「ああ!エロニングの時ですね!」
女「そういうことばかり覚えているんだな」
男「がっつりそんな場面がありましたけど、特に気にすることは無かったかと」
女「そうかい。それは残念だ」
男「男は大抵残念な生き物なんですよ」
女「では今夜、その残念さを身に染みるといい」
男「・・・・・・予知ですか?」
女「さて、ね」
スクッ
女「お土産ありがとう。私は教室に戻るとするよ」
女「最後にアドバイスだ。“あと4日”・・・・・・忘れないでくれ」
男「女さん・・・・・・」
男「急に立つとパンツ見えますよ」
ドゴッ
女「君は1度天に召された方がいいんじゃないかい?」グリグリ
男「ああ、もっと右・・・・・・!!」
男「たっだいまー」
敬語妹「あ、兄さんお帰りなさい」
男「おーイイ匂い!今夜はハンバーグか」
敬語妹「そうですよ。珍しくボー妹ちゃんが手伝ってくれてるんです」
ボー妹<珍しいは余計だよー。兄ちゃんのはこっちの脂身80パーセントのでいいねー?
男「いやー!せめて半分は赤身を入れてー!」
敬語妹「ではお料理に戻りますね」
男「ああ。赤身、頼んだぞ」
男「さて、宿題するのもなんだし、無垢妹と遊んでやるかー」
トントン
男「おーい無垢妹、いるかー?」
シーン
男「おいおい、死んでんじゃないだろうな?」
ガチャ
男「あ、れ?」
男「部屋間違えたっけ?ここ物置だったか?」
男「階段上がってすぐ右の部屋が無垢妹の部屋だったはず・・・・・・」
男「ボケてんのか俺?」
ガチャ
ツン妹「え・・・・・・?」ヌギヌギ
男「あ、うんほら、間違いない・・・・・・」
ツン妹「死ねバカ兄貴ぃぃぃぃぃぃぃぃぃ!!!」
男「のああああああああ!!!」
ドカッ
男「」シーン
敬語妹<どうしたんですかー?
ツン妹「バカ兄貴が私の着替えのぞいてきたのー!!」
ボー妹<いつも通りじゃーん
ツン妹「コレが日常茶飯事なら私、この人と同じ屋根の下にいれないわよ!」
――――――
――――
――
―
男「はっ!!朝っ!?」
敬語妹「あ、おはようございます。低血圧の兄さんには珍しく早起きですね」
男「そうか・・・・・・ツン妹に蹴られてそのまま気絶してしまったのか」
敬語妹「着替えを覗くからですよ」
男「いや、覗いたわけじゃなくて・・・・・・何でだっけ?」
敬語妹「朝食の準備できてますよ」
男「はーい」
リビング
ツン妹「げ、起きてきた」
大人妹「おはようございますお兄様」
敬語妹「兄さんは昨日ハンバーグ食べれなかったんで、今日のお弁当にハンバーグ入れておきますね」
男「ああ、昨日はハンバーグだったんだな。たしかボー妹もいっしょに作ってたよな。そういえばボー妹と無垢妹は?」
敬語妹「・・・・・・?えっと、何を言ってるんですか?」
ツン妹「ボー妹と無垢妹ってだれ?ゲームのし過ぎで頭おかしくなっちゃった?」
大人妹「まあ。私たちがいますのに」
男「はあ?お前らこそ何言って・・・・・・!!」
男「そういえば昨日・・・・・・!!!」ダッ
大人妹「お兄様?」
男「階段上がってすぐ右が無垢妹の部屋!」
ガチャ
男「物置・・・・・・」
男「つっ、その隣がボー妹のへ・・・・・・」
ガチャ
男「や・・・・・・」
男「ははは、こりゃ何の冗談だ?かくれんぼのつもりか・・・・・・?」
敬語妹「何をしているんですか?朝からエキサイティングですね兄さん」
ツン妹「きっとエロ本を隠し忘れてたとかよ」
男「そう、だな・・・・・・その方がいいな」
ツン妹「・・・・・・どうしたの?震えてるわよ?」
ツン妹「な、なななな!ちょ、掴まないでよ!!///」
男「頼む・・・・・・」
ツン妹「・・・・・・4人だけど、それがどうしたのよ?ていうか兄貴大丈夫?顔色悪いよ?」
男「その4人ってのは、俺、大人妹、敬語妹、ツン妹か?」
ツン妹「そうだけど・・・・・・悪い妄想にも取り付かれてるの?」
男「そうだ・・・・・・女さん」
敬語妹「兄さん?」
男「がっこ行って来る!!」ダッ
敬語妹「あ、朝ごはんは食べないんですかーーーー!!?」
敬語妹「もう!」
ツン妹「兄貴、変だったよ?」
敬語妹「そうですね。いつもの変と違うような・・・・・・」
大人妹「あら、降水確率100パーセントだって。1週間雨が続くみたいよ」
敬語妹「じゃあ兄さんの分の傘まで持って行ってください」
大人妹「分かったわ」
男「女さんっ!!」ゼェゼェ
<やだ、朝から女さんと?
<あいつ世の男性の敵だろ?
男友「なに息荒げてんだよ。周りから勘違いされるぞ?」
男「そんなことどうでもいいから!もうこの時間にはきてるだろ女さん!」
男友「え、や、知らない。いつもはきてるんだけどな」
男「そんな・・・・・・」
ピリリリリリ
男「ん、俺のケータイ。メールか」
From:女さん
件名:なし
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
あと3日
男「・・・・・・!!」
To:女さん
件名:なし
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
あと3日って何なんですか!?
妹がいなくなったことと関係あるんですか!?
男友「お、おい。顔色悪いぞ・・・・・・?」
ピリリリリリ
From:女さん
件名:なし
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
キーワードを拾うんだ
男「キーワード・・・・・・?」
担任「おい男、チャイム鳴るぞ。ケータイなおせ」
男「すんません。早退っす!!」
担任「お、おい!」
To:女さん
件名:なし
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
今から女さんの家に行きます
家の場所教えてください
ピリリリリリ
From:女さん
件名:なし
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
すまないが言えない
ただ、最後にアドバイスをする
屋上に行きたまえ
男「最後に・・・・・・?」
To:女さん
件名:なし
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
最後ってどういうことですか?
男「返信が・・・・・・来ない」
To:女さん
件名:なし
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
返信ください
To:女さん
件名:なし
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
大丈夫ですか?
To:女さん
件名:なし
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
何かあったんですか?
To:女さん
件名:なし
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
教えてください
男「・・・・・・屋上に行くか」
屋上
男「雨降ってる・・・・・・」
??「待ってたよ」
男「誰ですか・・・・・・?」
??「私はサン。サン・ターだ」
男「すいません。ちょっといいですか?」
サン「構わないよ」
男「ええええええええええ!!??」
サン「そんなに驚くことかい?本来なら既に君と会っている予定だったんだが」
男「親父たちとの会話でお流れになりましたもんね」
サン「そうだ。君の『家族の団らんにサン・ターさんはいらなくない!?』の発言でね」
男「それは本当にサン・ターさんがいるとは思わなくて・・・・・・ていうかあなたは誰なんですか?」
サン「僕は流星の監査員だよ。女くんといっしょのね」
サン「いや、僕は君のじゃない。君の両親が願った流星の監査員だよ」
男「親父たちの?」
サン「そうだ。正しくは君の母親。彼女は流星に正しく願った」
男「何を願ったんですか?」
サン「『生まれてこなかった子供たちが生まれた世界が欲しい』と」
男「生まれてこなかった・・・・・・?」
サン「重要なのはそこではない。願い方だ」
男「願い方って・・・・・・流星が流れている間に3回言うってやつですよね」
サン「その通り。彼女は正しく3回願った。そして望む世界が手に入った。しかし君はどうだ」
男「俺は・・・・・・1回しか言ってない」
サン「偶然にも君と母親の願いが合致し、叶った様に見えた。が、実は君のその中途半端な願いは母親の願いを食いつぶすように打ち消していっているんだ」
男「それが・・・・・・妹たちの消失」
サン「ああ。君は、所詮ゲームの世界に憧れて、つまらない気持ちで星に願ったに過ぎないんだ」
男「そんな・・・・・・」
サン「だから女くんは君にその考えを更正させるチャンスを与えたんだ」
男「それが、熱海旅行ですか?」
サン「それを君は棒に振った。愚かな」
男「そんな・・・・・・そんな・・・・・・」ガクッ
サン「そして、願いを見届けきれない監査員はどうなると思う?」
男「もしかして・・・・・・監査員も消えるのか!?」
サン「その通りだ」
男「お、俺はどうすれば!どうすればいいんですか!!?」
サン「だから君は愚かなんだ。他人に頼ろうとするその姿勢。3度願おうともせず、他力本願」
男「俺はどうなってもいい・・・・・・ただ、母親と妹たちと女さんに罪は、ない」
サン「・・・・・・」
男「俺の命でも何でも使えばいいじゃないか・・・・・・俺が愚かなら、死んでその命を別のものに変えればいいじゃないか・・・・・・」
サン「あと3日だ。その間に自力で答えを出すといい。君が正しい選択をしたのなら、僕は喜んで君の願いを見届けよう」
男「あ、ああああぁぁぁぁぁぁ・・・・・・」
男「正しい選択・・・・・・」
ガチャ
大人妹「お兄様!!」
男「大人妹・・・・・・」
大人妹「傘を届けようと教室に向かったのですが、慌てた様子で屋上に向かったと聞いて飛んできました」
男「あぁ、すまない・・・・・・」
大人妹「こんなに濡れて・・・・・・何かあったのですか?随分と顔色が悪いですが」
男「俺は・・・・・・」
大人妹「・・・・・・」
大人妹「お兄様、少しお話いたしましょう」
男「あ、ああ」
大人妹「こちらだと雨をしのげますわ」
男「すまない、な・・・・・・」
男「」コクン
大人妹「もし、気分を害されるのなら申し訳ありませんが、私にはその様な妹がいた記憶はございません」
男「知ってる」
大人妹「全てお話くださいとは言いません。しかし、気分が休まるのならいくらでもお傍にいますわ」
男「・・・・・・俺がもし、いや。お前たちがもし、生まれていない存在だったら、どうする?」
大人妹「私たちがですか?」
男「ああ」
大人妹「以前も同じような質問をなさいましたよね?その時と答えは変わりません。今お兄様と会えたことに感謝します」
男「大人妹・・・・・・」ギュッ
大人妹「泣きたいのであれば私の胸をお貸しします」
男「泣かねーよ。少なくともお前たちの前では立派な兄貴でありたいからな」
男「ああ」
大人妹「確かあの時も・・・・・・?あら?あの時は晴れでしたっけ?」
男「あの時?」
大人妹「お兄様が私を妹にしてくださった時です。あの『義妹愛』の本を拾った橋のことですわ」
男「『義妹愛』はもういいから!」
大人妹「あの時、確か晴れていたはずです・・・・・・そうでないと本が濡れて読み物にならなくなってしまいますからね」
男「ああそうだな」
大人妹「しかしお父様とお母様は、雨、そう断言していますわ」
男「いや、雨は・・・・・・交通事故が起こった時の天気・・・・・・あれ?」
男「親父の話じゃ、お前を妹にした日は雨、同時に交通事故が起こってた」
大人妹「ですが、私たちの記憶では晴れの日ですわ」
男「同じ日なのに、矛盾が生じてる?」
男「違う。これは、2つ記憶があるんだ。そうか、俺は2つ記憶を持ってたんだ」
大人妹「お兄様は2つ記憶があるんですか?」
男「SFみたいな話かもしれないけど、そういう事だと思って話を聞いてくれ」
大人妹「はい。お兄様を信じますわ」
男「1つはお前と同じ記憶。俺とお前はそれまでは幼馴染だったな」
大人妹「そうですね。毎日いっしょに遊んでいましたわ」
男「あの日、晴れていて橋の下で本を拾った。そしてそのまま家に帰ってお前を妹にしたいと両親に告げた。俺と遊ぶことを優先したお前は交通事故を逃れた」
大人妹「その通りですわ」
男「それでもう1つだ。それは、お前と俺が幼馴染ってところまでいっしょだったんだが・・・・・・」
大人妹「それからが違いますの?」
男「ああ。あの日は雨で・・・・・・映画に行く途中に幼馴染が乗る車は交通事故に遭う。一家全滅・・・・・・」
大人妹「そんな・・・・・・」
男「大人妹は、俺の妹にならなかった・・・・・・」
大人妹「そう、ですか」
大人妹「2つの記憶で思い出したのですが、シュレーディンガーの猫というお話をご存知ですか?」
男「?」
大人妹「確立が50パーセントずつの2つの事象があるとき、それらは同立してしまう・・・・・・つまり、ありえない2つの事象が同時に成立してしまうことを意味するんです」
男「何か、高度なお話になってきてないか?」
大人妹「つまり、私がいる世界と私がいない世界が同立しているのですよ」
男「なるほど・・・・・・?」
大人妹「話してください。お兄様にとって私がいない世界を・・・・・・!!」
大人妹「待ってください。私だけではなく、他の妹もいませんの?」
男「ん、ああ。何回か母さんも出産を試みたんだけどな、4回ばかり失敗してから健康のために妊娠をやめたんだ」
大人妹「4回・・・・・・敬語妹、ツン妹、そしてボー妹に、無垢妹・・・・・・お兄様、数がぴったりすぎませんか?」
男「た、確かに」
大人妹「もしかして、この現象は『妹たちがいた世界』と『妹たちがいなかった世界』が同立しているのでは?」
男「そうかもしれない・・・・・・出産失敗年と、妹たちの年齢が合致する!」
大人妹「しかし・・・・・・なぜその様なことが」
男「俺が流れ星に願ったんだ。『妹が欲しい』って1回だけ」
大人妹「そんな非科学的な・・・・・・」
男「あの女さん、あの人はこの願いを見届ける監査員だったんだよ」
大人妹「そうなんですか」
大人妹「?この世界はお兄様の願った世界ではないんですか?」
男「俺の願い方はダメだったらしい。3回、きちんと唱えなかったから、被った願いを食いつぶしてるんだ。だから、妹が2人消えちまった・・・・・・」
大人妹「なるほど」
男「そうか。あと3日っていうのは、妹が残された日数だ」
大人妹「どうすれば食い止められますの?」
男「それを、探してる。お前にも手伝って欲しい」
大人妹「もちろんですわ。ですが、その前に・・・・・・」ギュッ
男「どうした・・・・・・?」
大人妹「その話が進むのであれば、私はいずれ消えてしまいます。それが怖いのです」
男「・・・・・・俺もだ」ギュッ
男「何だ?」
大人妹「その・・・・・・とても申し上げにくいのですが・・・・・・」
男「お前の頼みだ。俺が断るわけ無いだろ?」
大人妹「そう、ですよね。でしたら・・・・・・消えないためのおまじないです」
チュッ
男「えっ・・・・・・?」
大人妹「わ、私の初めてです!受け取っていただけましたか・・・・・・?」///
男「はにゃー」ボンッ
大人妹「お、お兄様!?お兄様ーーーー!!」
家
敬語妹「それにしてもどうしたんですか?急に早退して来いなどメールして」
ツン妹「本当よ!理由もなく早退なんて出来ないんだからねっ!」
大人妹「すみません」
男「申し訳ない」
敬語妹「う、やけに真面目な応答ですね」
大人妹「実は、お兄様が大変なんです」
ツン妹「大変な変態はいつものことでしょ?」
男「そうじゃなくて、お前たちにも関わることだ。聞いてくれ」
ツン妹「な、何よ」
男「お前たちは『妹たちがいる世界』の人間なんだ!」
大人妹「お兄様、それでは伝わりませんよ?」
敬語妹「そのくだらない事を聞くために私たちは呼ばれたと?」
男「違う違う!そうじゃなくって、えっと、あのー、なんだっけ?」
ツン妹「何か久々に腹立ってきた」イライラ
敬語妹「やけに真面目ですね・・・・・・何かありました?」
男「な、何も無いです!」
ツン妹「怪しい・・・・・・」
大人妹「変わって私が説明いたします」
少女説明中...
大人妹「―――というわけです」
ツン妹「えっと、ごめん。ついていけない」
敬語妹「それは何の哲学の話ですか?」
大人妹「かいつまんでお話しますと、あと3日で私も、敬語妹も、ツン妹も消えてしまうということですわ」
ツン妹「まさか。それ兄貴の妄想のお話でしょ?ねえそうでしょ?」
男「・・・・・・」フルフル
大人妹「証拠ならございますわ。上の2つの空き部屋。設計は私たちの部屋と同じ造りですわ」
ツン妹「それは家建てた時に、2階に物置が必要だったから」
大人妹「この家は2年前に建てられました。お母様の性格、分かりますよね」
ツン妹「無駄なく、きれい好き・・・・・・」
大人妹「そうであればあの部屋は物置用の造りをしているはずです」
ツン妹「そんな・・・・・・」
大人妹「私も本人ではないのでよく分かりませんが、そういうことらしいですわ」
ツン妹「兄貴・・・・・・」
男「すまない。全部俺のせいだ」
敬語妹「ですが、変じゃないですか?」
大人妹「変?」
敬語妹「兄さんに2つの記憶があるのに、どうしてお父さんとお母さんには1つの記憶しか無いんですか?」
男「ああ、それは女さんが俺にこちらの世界の記憶をくれたからだ」
大人妹「あら?でしたらお兄様は最初はこちらの世界の記憶を持っていらっしゃらなかったと」
男「あ・・・・・・」
敬語妹「やっぱり不完全だったからでしょうか?兄さんの願いう心が不完全だったので中途半端に叶って、そんな風になったんじゃないですか?」
男「そうかもしれない」
大人妹「でしたら、もう1度星に願えば・・・・・・!」
敬語妹「そんな簡単に流れ星が流れることは無いですよ。それに、1週間雨は続くそうです・・・・・・」
大人妹「そんな・・・・・・」
ツン妹「バ・・・・・・バッカじゃないの!?全部バカ兄貴の妄想でしょ!?妄想妄想妄想!!くっだらない!!あーあ、早退なんてしなきゃよかったッ!!」ダッ
敬語妹「ツン妹ちゃん!?」
大人妹「私がなだめてきます」
男「いや、俺が行く」
敬語妹「・・・・・・お願いしますよ」
男「ああ」
コンコン
男「ツン妹?」
ツン妹「帰れ・・・・・・バカ兄貴」
男「頼む。入れてくれ」
ツン妹「全部兄貴の妄想だって言ってくれたら、入れてやる」
男「・・・・・・わかった。全部俺の妄想だ。・・・・・・これでいいか?」
ツン妹「うん。入っていいよ」
キィ・・・
男「やっぱり電気も点けないでそのぬいぐるみ抱いてたんだな」
ツン妹「ラビちゃん」
男「ん、ああそうだなラビちゃんだったな」
ツン妹「・・・・・・」
男「隣、いいか?」
ツン妹「ダメって言っても勝手に座るくせに」
男「そうだな」
男「・・・・・・」
ツン妹「バカ兄貴の妄想に付き合ってあげる妹がいることに感謝しなさいよね・・・・・・」
男「ああ。感謝してる。お前たちには数え切れないくらい感謝してる」
ツン妹「・・・・・・私も、兄貴に数え切れないくらい感謝してる」
男「本当か?」
ツン妹「私は体の弱い子だったから、外で遊べないで泣いてたじゃん。それで、兄貴がこの人形を持ってきてくれた時、すっごく嬉しかった」
男「はは。誕生日間違えてたんだっけ」
ツン妹「本当。信じられないよ。1カ月ならまだしも半年も間違えちゃうバカ兄貴」クスッ
男「あの時は1と7の区別がつかなかったからな」
ツン妹「兄貴らしいね」
男「今でも俺はお前にとってバカ兄貴か?」
ツン妹「うん。最高のバカ兄貴だよ、おにぃちゃん」ギュッ
男「ありがとな」
男「俺だって怖いさ。だから消えさせないように頑張ってる」
ツン妹「でも、流星なんてなかなか見れないし、しばらく雨だし」
男「そん時は世界の果てに行ってでも流れ星を見てやる。そして願う」
ツン妹「3回?」
男「100回」
ツン妹「そうでなくちゃね」
男「・・・・・・全部俺のせいなんだ。許してくれ」
ツン妹「許さないよ」
男「ええっ!?」
ツン妹「ふふっ。許して欲しかったら、目をつぶりなさい!」
男「こ、こうか?」
男「わかってるって」
ツン妹「しゃ、しゃべらないで!!」
男「・・・・・・」
ツン妹「おでこで、勘弁してあげる・・・・・・」
チュ
男「・・・・・・!!」
ツン妹「こ、これで私が消えてもバカ兄貴は忘れないわよね!?よ、よかったじゃない!!」
男「ツン妹っ!!」ギュ
ツン妹「く、苦しいわよ!」
男「俺の妹でいてくれてありがとう・・・・・・!!」
ツン妹「これからもずっと、だよ。おにぃちゃん」
男「しまった・・・・・・妹の部屋で寝てしまって・・・・・・た?」
男「え、何ここ。物置?・・・・・・まさか!!」
ガチャン
男「やっぱり・・・・・・ツン妹の部屋だ」
大人妹「お兄様・・・・・・」
男「・・・・・・記憶は、あるか?」
大人妹「申し訳ございません。昨日その様な話をしたことはきちんと覚えているのですが・・・・・・その部屋にもう1人妹がいたのですね」
敬語妹「あれ?2人とも早いですね?」
男「敬語妹・・・・・・すまない。ツン妹も消えてしまった」
敬語妹「ツン妹って誰ですか?」
男「え・・・・・・?」
敬語妹「ああSFのお話ですね。シュレーディンガーの猫論ですよね?兄さんが作った割にはよく出来て・・・・・・きゃあ!?」
大人妹「いい加減にしなさい。あなた・・・・・・どういう了見!?」ガシッ
敬語妹「な、何ですか!?昨日は3人であんなに楽しく盛り上がったじゃないですか!!」
大人妹「3、人・・・・・・?」
男「手を離してやれ大人妹。多分・・・・・・そういうことだ」
大人妹「そんな・・・・・・」ガクッ
敬語妹「一体何の話ですか?」
男「ああちょっとドラマのシーンを再現してみようってことになってな。お前を驚かそうって」
敬語妹「そうなんですか。ビックリしましたよ」
男「テッテレーってな」
敬語妹「あははは。兄さん、面白いですね」
男「俺はいつだって面白くありたいからな」
敬語妹「では朝食を作りますね」テクテク
男「くっ・・・・・・」ギリッ
大人妹「どうして、私には記憶が残って、敬語妹には記憶が残っていないんでしょうか?」
男「・・・・・・そこに解決の糸口があるかもしれない」
大人妹「今日は学校をお休みなさいますか?」
男「いや、行く。女さんが来てれば話をしたい。それで、いなければ担任から住所聞いて家に行くまでだ」
大人妹「ですがそう簡単に住所を教えてくれるでしょうか?」
男「そん時は脅してでも聞くさ」
大人妹「お兄様・・・・・・やっぱり無理をなさらないでください。私はお兄様のその様なお顔を見るのが辛いです」
男「それでも!俺はお前たちに消えて欲しくない!母さんたちの願いを潰えさせたくない!・・・・・・何があってもだ」
<兄さーん、ちょっと来てください
男「すまない。呼ばれたから行くな。お前は着替えて準備しろ」
大人妹「はい」
男「今行くー」テクテク
男「どうした?」
敬語妹「これ、味見してください」
男「うん?」ズズズ
敬語妹「おいしいですか?」
男「おいしいけど?」
敬語妹「これ、誰が作ったと思いますか?」
男「お前じゃないのか?」
敬語妹「さあ?」
男「え!?得体の知れない物を食べさせようとしたの!?」
敬語妹「それはそうと、どうして今朝物置で寝てたんですか?」
男「唐突な。それは・・・・・・探し物しててそのまま寝てしまったからさ」
男「!!?お前、覚えて・・・・・・!!」
敬語妹「いいえ。記憶はありません。昨日は兄さんとあの人と私で楽しくシュレーディンガーの猫のことを話しました。ですが・・・・・・」ピッ
男「なんだ、それ?」
敬語妹「『15:30-ツン妹ちゃんが部屋から出てくる。兄さんは寝ている。15:30‐ツン妹ちゃんが兄さんのために料理をする。16:30-ツン妹ちゃんが部屋に戻る・・・・・・』」
男「それはもしかして」
敬語妹「はいメモです。昨日の行動記録が、私、あの人、ツン妹、と3つ細やかに書いてあります」
男「それを書いた時の記憶はあるか?」
敬語妹「この2枚はあります。ですが、このツン妹と書かれたメモの記憶はありません」
敬語妹「はい。私の筆跡です。ですので、自分と兄さんを信じてみようと思います。・・・・・・何があってるんですか?」
男「朝食の時に話す」
敬語妹「・・・・・・分かりました」
男「あと」
敬語妹「何ですか?」
男「こんな俺を信じてくれて、ありがとう」
敬語妹「そんな兄さんだからこそ信じていますよ」
男「大人妹、入っていいか?」
<どうぞー
ガチャ
男「ってうわ!?まだ着替えてるじゃないか!!」
大人妹「お気になさらず」
男「俺が気にするわ!!」
大人妹「裸まで見合った仲ですのに?」
男「そ、それは温泉での事故というか何と言うか・・・・・・って俺を裸にしたのはお前だからな!!」
大人妹「存じておりますわ」
男「調子のいいやつだなー。ってそうじゃなくて重要な話」
大人妹「何かつかめたのですか?」
男「ああ。記憶は残っていなくても、小物・・・・・・メモとかは残るらしい。昨日ツン妹が料理したらしいな」
大人妹「そういえば・・・・・・料理を誰かがしていたような」
男「だから、行動記録をひとつひとつ付けていけば忘れる事が軽減できるんじゃないか?」
大人妹「なるほど・・・・・・一理ありますね」
大人妹「分かりました。そうしましょう」
男「頼んだぞ」
大人妹「さて、着替えが済みましたので行きましょうか」
男「ああ」
大人妹「さて、料理を作りましょうか」
男「・・・・・・待て」
大人妹「どうなさいました?」
男「俺が相槌打っている間に発言が変わってんぞ?」
大人妹「発言が変わってると申されましても、朝食の当番は私ですが・・・・・・」
男「ウソだろ・・・・・・」ダッ
男「敬語妹!!」
シン・・・・・・
男「たった今ので!?ほんの数分じゃないか!!」
大人妹「もしかして・・・・・・妹がいたのですか?」
男「なんてことだ!!俺が目を離したから!!」
大人妹「お兄様・・・・・・」
男「あと2日じゃないのか!?2人は残っていいんじゃないのか!?」
大人妹「落ち着いてくださいお兄様!!今は悲観する場面ではありません!!」
男「くっ・・・・・・大人妹」
大人妹「はい」
男「消えないようにずっと手を握っていてくれ・・・・・・」
大人妹「はい。お兄様の仰せのままに、ですわ」ギュ
男「飯は、いい。今から学校に行って女さんにコンタクトを図ろう」
大人妹「お兄様、1つ確認させてください」
男「何だ?」
大人妹「お兄様には私を含めて何人の妹がいましたか?」
男「5人だ。みんな個性的で兄想いのいいやつらだったよ」
大人妹「そうですか」ギュッ
大人妹「どうして手を握ってるんですか?男くん?」
男「・・・・・・!!??」
大人妹「い、いえ。別に手を握るのはよろしいんですが、その、急にだと恥ずかしいと言いますか・・・・・・」///
男「お前は・・・・・・大人妹か?」
大人妹「そうですわ?私たち、幼馴染じゃないですか」
男「・・・・・・なんてことだ・・・・・・」
大人妹「あの、そのように悲しい顔をされると、私も悲しいのですが」
男「このまま、手を握っていてくれ」
大人妹「え、あ、は、はい!」
男「学校まで走るぞ!」ダッ
大人妹「え、ええ!?」ダッ
男「おい男友!!」
男友「な、なんだよ!?って、何お前幼馴染ちゃんと手握ってんだよ!?」
男「そんなことどうだっていい!!女さんはいるかっ!?」
男友「女さん?ああ今日も学校来てないな」
男「つっ!!」ダッ
大人妹「はぁ、はぁ・・・・・・えぇ!?」ダッ
男「担任!!」
担任「お前、職員室に入るなり呼び捨ては無いだろ・・・・・・何だお前ら。イチャイチャアピールか?ああ?」
男「んなこたぁどうだっていいんだよ!!それより女さんの住所教えてくれ!!」
担任「人にものを頼む態度じゃねえな」
男「こっちは急を要してんだ!!いいから!!」
担任「!!な、なんだよ。こっちだって先生としての威厳とかあんのによー」ブツブツ
大人妹「さ、さっきから何なんでしょうか・・・・・・手を握られて振り回されて」ゼェゼェ
担任「ほらよ。ここだ」
男「サンキュ!!」バシッ ダッ
大人妹「え、また!?」ダッ
担任「ったく。イチャイチャアピールしやがって。その上、女もか。俺だって彼女の1人や2人くらい・・・・・・」
校長「それは二股と言うのですぞ」
大人妹「はぁ・・・・・・はぁ・・・・・・お、男くんストップ!」ゼェゼェ
男「どうした?」
大人妹「今日、変ですよ?手を握って急に走り出したかと思うと、女さんの家に行くなど」
男「すまない。状況を説明する暇が無いんだ」
大人妹「・・・・・・それは信じていいんですか?」
男「え?」
大人妹「男くんは私を裏切らないと信じてもよろしいんですか?」
男「ああ。信じてくれていい。だから・・・・・・お前もこの手を離さないでくれ」
大人妹「・・・・・・!!」///
男「走るのが辛かったらおんぶするか?」
大人妹「いえ、雨の中をそれはきついですし、男くんが頑張っているのなら私も頑張れます!」
男「そうか。恩に着る!」
大人妹「もう少しなので頑張りましょう」ダッ
男「・・・・・・ああ!」ダッ
マンションの前
男「ここだ」
サン「やあ待っていたよ」
男「やっぱりいたか。無駄イケメン」
サン「だいたい状況の整理はついたみたいだね」
男「中に女さんはいるんだろ?」
サン「入るといい」
ガチャ
男「お邪魔します」
大人妹「お邪魔しますわ・・・・・・」
女「よく来たね。さ、座るといい」
男「その前に、1つ言いたい事があります」
女「なんだい?」
男「俺なんかのために落としてくれたチャンスを無駄にして、すいませんでした!!」
女「構わないよ。その一言が聞けて私のほうも踏ん切りがつける事が出来た」
男「ああ。最悪なことをしてしまった」
女「それに関してはもういい。話をスムーズにするために大人妹をこちらに渡してくれないか?」
男「どうするんですか?」
女「なに記憶を戻すだけだ。今この子は、消えそうな君の願いの一部を幼馴染という形をもって維持している。いわば彼女が君の願いの生命線だ」
大人妹「あ、あの・・・・・・」
男「大丈夫だ。信じていい」
大人妹「はい・・・・・・」
女「いくよ」
スッ
大人妹「・・・・・・」
女「気分はどうだい?」
大人妹「お兄様のお役に立てず、まことに残念ですわ・・・・・・」
女「そうかい。健康な精神の証だよ」
女「君の思っている通りだよ」
男「やっぱり、こいつは俺の願いなんですね。ということは・・・・・・」
女「君の両親の願いはもう、ない」
男「くっ・・・・・・」
大人妹「どういうことなのでしょうか・・・・・・?」
女「詳しく説明しようか。君たちの両親の願いは『生まれてこなかった子供たちが生まれた世界が欲しい』だ。そして男くんの願いは『妹がいる世界が欲しい』だ」
大人妹「その願いから言うと、私は宙ぶらりんな存在なのでは?」
女「そう。君はどちらの世界でも生まれはしている。ただ、妹になれたかどうか、だ」
大人妹「つまり、私を除く4人は両親の願い、私はお兄様の願いということですか?」
女「君は男くんに直々に願われたんだよ」
サン「おや?僕が消えるだって?」
男「ぬおお!?いつの間に俺の後ろに!?」
サン「君は言ったよね?『妹がいる世界が欲しい』と」
男「あ、ああ言ったが」
サン「ということは、強欲ながら両親の願いにも足を引っ掛けている存在になるんだよ。だから君の願いが消えない限り僕も消えない」
大人妹「複雑に絡み合ってるんですね」
サン「しかしながら僕にはもう願いを見届ける力は残っていない。だから君と女くんに託したよ」
男「あと2日、その意味がようやくわかりました。実妹が消えるまでに3日、義妹が消えるのに1日、そして女さんとサンが消えるのに1日。そういう意味ですよね」
女「その通りさ。・・・・・・そこまでわかっているなら解決策はもう見つかっているのだろう?」
男「・・・・・・ダメなんです」
男「あと1つピースが見つからないんです。それさえ見つかれば何とかなるはずなのに、それが見つからない」
大人妹「及ばずながら私も分かる気がします。解決法は星に願うことじゃないと思うんですの」
サン「まあピースが見つからないのも仕方ないと思うな」
男「何だと・・・・・・!?」
サン「そう気を張るな。悪い意味で言っているわけじゃない」
大人妹「と言いますと?」
女「最後のピースはやはり最後の日に見つかるという事だ」
男「ということは明日?」
男「大人妹を最後に?でも、それじゃあ女さんたちが・・・・・・!」
女「それは最後のピースが見つかってから考えればいい。私は、君を、君たちを信じている」
サン「僕の願われた本質は君の母親だ。母親を悲しませないようにしてくれよ?」
男「絶対に、見つけてみせます・・・・・・!」
女「さあ行くんだ。時は迫るよ?」
大人妹「あの」
女「ん?」
大人妹「ありがとうございました」
女「構わないさ。それが運命だとすれば」ニコッ
男「ついに最後の日か」
大人妹「女さんたちは消えてしまいました」
男「知ってる」
大人妹「こうやってお兄様の肩を借りてまどろむのもいつ以来でしょう」
男「お前と俺が近くにいるときはいつでも雨だったな。晴れてたのはあの橋の時くらいだ」
大人妹「お兄様は雨男なのですね」
男「お前が雨女なんだろ?」
大人妹「・・・・・・」
男「・・・・・・」
男「クサいぞ」
大人妹「お兄様はロマンがありませんわね」
男「俺は現実主義者なんだ」
大人妹「星に妹を願うのに?」
男「・・・・・・」
大人妹「・・・・・・最後のピースは見つかりましたか?」
男「ああ、見つかった」
大人妹「私に教えてくださいませんか?」
男「最後のピースはお前だ」
大人妹「私が、ですか?」
大人妹「本当にこんな場面でもロマンチストでないのですね」
男「ははっ。その通りだな」
大人妹「4本の妹ゲーム・・・・・・まさか」
男「無垢な妹がいるゲーム、ボーイッシュな妹がいるゲーム、ツンデレな妹がいるゲーム、敬語を使う妹がいるゲーム」
大人妹「・・・・・・」
男「母さんが流産したとか、妊娠失敗したとか聞いてからかな。そういうゲームを集め始めたのは。・・・・・・兄妹への醜い嫉妬だな」
大人妹「いえ醜くなどは・・・・・・」
男「これがさ、姉が欲しかったとか、兄や弟が欲しかったとは思わなかったんだ。俺が兄貴、そんで妹。絶対に俺の中で決まってた」
大人妹「どうしてですか?」
大人妹「その、女の子もお兄様の事が好きだったと思います」
男「ああ。そうであればいいな」
大人妹「きっとそうですわ」
男「この世界はさ、俺の『守れなかった女の子を生き返らせた世界』なんだよ。それを『妹が欲しい』なんていう仮面を被せた思いに乗せてしまったから、ほころびが生じたんだろうな」
大人妹「しかしお兄様は確かに妹が欲しかったはずです」
男「欲しかったさ。生まれてきて欲しかった。だから女の子はその思いも汲んで義妹になったんだろう」
男「それに、綺麗に成長した姿だったから記憶もらうまでは元幼馴染だって気付かなかったしな」
大人妹「ふふ。ありがとうございます」
大人妹「・・・・・・これで謎解きは終わりですわね」
男「あとはピースをはめるだけだな」
大人妹「ピースをはめれば、この世界はどうなると思いますか?」
男「元に戻るよ、絶対に」
大人妹「信じています。お兄様」
男「それじゃあピースをはめて、正しい選択を行いますか」
大人妹「・・・・・・どうぞ」
男「大人妹」
大人妹「はい」
男「・・・・・・ずっと好きだった。これからも一緒にいてくれるか?」
大人妹「もちろんです。男くん・・・・・・」
―――――――
―――――
―――
―
ジリリリリリリリリ
「兄さん起きてください!!」
「あと、5万年・・・・・・」
「そのまま化石になればいいのよ」
「どっちかというと石油?」
「お兄ちゃんのベッドに、ダーイブ!」
「ンゲフッ!?」
「あらあら、エキサイティングですわね」
「内臓が飛び出るかと思ったわ!!」
――人生とは選択なのかもしれない
「おはよっす!」
「んぁ。おはよさん」
「低血圧は辛そうだなー」
「お前の血圧分けてくれ」
「出来るならそうしてみろ」
「おや、寝不足かい?」
「あ、ああ。すんませんが目覚ましティーもらえますか?」
「今日はミルクティーだ」
「うげ、苦手なヤツだ」
「大丈夫さ。コスモ的なパワーできっとおいしく感じるよ」
「じゃ、じゃあ俺がもらいます!!」
「生憎だが、このマグカップは専用品なのでね」
「そ、そんなー・・・・・・」
――ひとつ選択すれば、ひとつ失うことになる
「だーかーらー、ゴム送ってくんなつってんだろうが!!」
『バカか!親心くらい汲み取れ!!』
「どこに息子と娘を連結させようとする親がいる!!」
『ここだ!!』
「おま・・・・・・はあ。まあいろいろすまなかったな」
『え?何急に素直になってんの?』
「子供心くらい汲み取れ」
『ムキー!!何か腹立つーー!!』
――だが、その選択が正しかったかどうかを判断するのは
「お兄様、今日は雨のようですわ」
「あそっか。じゃあ傘はいらないな」
「どうしてですか?」
「お前の傘に入れてもらうから」
「まあ。それでは私の進む方向にお兄様も進むことになりますわ」
「それも一興だな」
「間違った方向へ進むかもしれませんわ」
「間違ってる正しいとか判断するのは―――」
男「まだまだ、先の話―――だろ?」
To Be Continued...?
乙!
後日談あるなら読みたいな
次→男「お、流れ星か。理想の妹をくださいっと」 後日談
Entry ⇒ 2011.12.28 | Category ⇒ 男女「」SS | Comments (0) | Trackbacks (0)
一夏「俺…もしかしたらホモかもしれない……」
http://engawa.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1324964367/
一夏「転校してきたシャルルっているだろ……?俺…どうやらあいつの事が好きみたいなんだ……」
箒「なんだと!?」
一夏「シャルルの事を考えるだけで胸が苦しくなるんだ…あいつの顔を思い浮かべるだけで心臓がドキドキするんだよ……」
箒「でもあいつは男じゃ……」
一夏「そうなんだよぉぉぉぉぉ!!!!!」
一夏「そこがっ!一番のっ!問題なんだよっ!!!!」
一夏「だからあいつが女だったら何の問題も無かったんだ……」
一夏「なぁ箒……世間では男で男が好きな奴の事をなんていう?」
箒「……ホモ」
一夏「うわああああぁぁぁぁ!!!!違う!!違うんだよ箒!!!俺はホモでもゲイでもねぇんだよ!!!」
一夏「でもっ…でも……俺はシャルルっていう男が好きになっちまったんだよォォォォォォォォ!!!!!」
一夏「うわぁぁぁぁぁぁァァァァァァ!!!!」
箒「おっ、落ち着け一夏!!……そうだ、勘違いではないのか?」
箒「私も同姓の美人を見るとたまにドキっとすることがある。だが私はレズではない」
箒「お前もそういう感じなのではないか?」
箒「……それで?」
一夏「……匂い嗅いだ」
箒「えっ」
一夏「匂い嗅いじまったんだよぉぉぉォォォォ!!!すげぇいい匂いしたぁぁぁぁァァァァァ!!何やってんだ俺はァァァァァァァ!!!!!????」
箒「だっ、大丈夫!!それくらいならまだ大丈夫だから!!セーフだから!!!」
一夏「本当か!?そのいい匂いのするジャージを嗅ぎながらオナニーしたんだがそれもセーフなのか!?」
箒「それは完全にアウトだな」
一夏「ちくしょぉぉぉぉぉォォォォォォォォォォ!!!!!!!!」
一夏「箒さんっ!?なんで急に俺から距離をとったの!?」
一夏「頼むっ!!俺を見捨てないでくれよぉぉぉぉォォォォォォォォ!!!!!!」
箒「いや、見捨てたりはしないぞ。織斑君は友達だからな」
一夏「呼び方がよそよそしくなってるぅぅぅぅぅぅぅ!!!!!」
箒(……私しかいないだと?///)
箒「し、仕方のないやつだ///」
一夏「俺を…見捨てないでくれるのか……?助けてくれるのか?」
箒「ああ」
一夏「うぅ…ありがとう……えぐっ…ありがとうぅ………」
一夏「ああ……部屋が一緒なのを最大限利用してシャルルの寝顔を一晩中見てたり、シャルルがいない時に枕の匂い嗅いだり、シャルルの使用済みティッシュをゴミ箱から回収して食べたりしてるんだよ……とんだ変態だぜ……」
箒(うわぁ……)
箒「まぁそれは置いておいてお前は私と一緒だった時にもそういう事をしたりしていたのか?」
一夏「は?んな事するわけねーだろ」
箒「このホモ野郎がっ!!!!」バキッ!!
一夏「げふぅっ!?」
箒「何故女の私にはそういう事をしないで男のシャルルにはしてるんだ!!」
一夏「俺もなんでなのか分かんねぇんだよ……箒と二人の時は別になんでも無かったんだけどシャルルと二人きりになったらすげぇ胸がドキドキするんだ」
箒「ちくしょおおおおぉぉぉぉォォォォォォ!!!!!!!」
一夏「俺がホモなのは確定なの!?」
箒「当たり前だ!!」
一夏「でも箒に相談してよかったよ。ちょっといつもと箒のテンションが違うけど、頼んだぞ!!」
箒「私に任せろ!!」
一夏「お、おう!!」
ギュッ
箒「あっ……///」
一夏「……こ、これでいいか?」
箒「どんな感じだ?」
一夏「箒の体すげぇ柔らかい……それでいい匂いがする…ずっと抱きしめていたいかも……な」
箒「そうか……///ならもうちょっとだけ抱きしめていてもいいぞ///」
一夏「ああ…何だか照れるな…///」
箒「ふふっ……///」
箒「なんだ?」
一夏「俺、前にシャルルに事故を装って抱きついた事あるんだよ」
箒「それで?」
一夏「そっちの時の方が今より興奮したな」
箒「………」イラッ
箒「………」ギリギリ
一夏「いだだだだっ!?箒!?痛い痛い痛いって!!!」
箒「………」ギリギリ
一夏「いだいいだいいだい!!!これはハグじゃなくてベアハッグ!!!今はプロレスやってるんじゃないだろ!?折れる折れる折れるって!!!」
ノ l Jヽ レ/::/ /:イ:\/l:l l::l u !. l / ';:::l ', ';:::::l. ';::::l:::::
ノヌ レ /:l l:::::lヽ|l l:l し !/ ';:l,、-‐、::::l ';::::l::::
/ ヽ、_ /::l l:::::l l\l ヽ-' / ';!-ー 、';::ト、';::::l:::
ム ヒ /::::l/l::::lニ‐-、`` / /;;;;;;;;;;;;;ヽ! i::::l:::
月 ヒ /i::/ l::l;;;;;ヽ \ i;;;;;;;;;;;;;;;;;;;l l::l:::
ノ l ヽヽノ /:::l/:l /;;l:!;;;;;;;;;', ';;;;;;;;;;;;;;;;;ノ l:l::
 ̄ ̄ /::::;ィ::l. l;;;;!;;;;;;;;;;;l `‐--‐'´.....:::::::::!l
__|_ ヽヽ /イ//l::l ヽ、;;;;;;;ノ.... し :::::::::::::::::::::ヽ /!リ l
| ー /::::l';!:::::::::::::::::::: u ', i ノ l
| ヽー /イ';::l ’ し u. i l l
| /';:';:!,.イ し 入 l l U
| /,、-'´/ し / ヽ、 u し ,' ,' l
| /l し _,.ノ `フ" ,' ,' ,ィ::/:
| /::::::ヽ ヽ / し ,' ,' / l::
| /::::::::::::`‐、 し ', / u ,、-'´ l,、-
| ``‐-、._::::::::::` ‐ 、 ',/ , -'´`'´ ,-'´
| _,、-‐'"´';:::::::::イ:l';:::` ‐ 、._____,、-‐'"´ u /
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一夏「いてぇ…これ絶対背骨にひび入ってるよ……」
一夏「なんだよ…俺のホモを直してくれるんじゃないのかよ……けがさせてどうすんだよ……」
箒「……思ったより重症のホモだなお前は」
箒「死んだ方がいいかもしれない」
一夏「ええっ!?治療のはずが俺に対するホモ認定がどんどんひどくなってない!?」
箒「こうなったら質より量作戦だ!!私についてこい!!!」
一夏「おうっ!!」
箒「バニーコスでもダメか……」
一夏「ああ……実物の箒のバニーよりもシャルルのバニーを想像した方が興奮したぜ……」
箒「『お兄ちゃん』って呼んでもダメか……」
一夏「ああ……俺はどっちかっていうと姉萌えなんだ……」
一夏「でもシャルルに『お兄ちゃん』って言われたらすごく嬉しいけどな……」
箒「もうダメだ……お前は完全にホモだな……」
一夏「箒さんっ!?諦めないで下さいよっ!!」
箒「今までありがとう」
一夏「見捨てないでくれよぉぉぉぉォォォォォォ!!!!」
一夏「あの手って?」
箒「シャルルのち〇こを切断する」
一夏「お前……天才かっ!?」
箒「私としては不本意な行動だが仕方あるまい。お前をホモにする訳にはいかないのでな」
一夏「箒っ!!俺お前に相談して良かったよ!!!」
箒「〇んこがあるのなら切っちゃえばいいじゃない」
一夏「確かに…シャルルが女になってしまえば俺がホモと言われることもない……!!なんなんだお前!!天才か?天才なのか!?」
箒「我ながらナイスアイデアだな」
箒「私にもいろいろと準備がある。今すぐには無理だ」
一夏「それもそうだな……じゃあ楽しみにしてるせ!!」
箒「それでは私は準備あるから」
一夏「ああっ!!頼んだぞっ!!」
一夏「ただいまー」ガチャ
シャルル「どうしたの一夏?ずいぶん機嫌がいいみたいだけど」
一夏「ちょっとなー」
シャルル「……?」
一夏「……!!」
一夏(ああああぁぁぁぁ!!!この不思議そうにして首をかしげるこの仕草!!可愛すぎるだろう!!!)
一夏(なんでだ……?なんでこいつが男なんだよぉぉォォォォ!!!!)
一夏(最後に一応シャルルの〇んこ見とくか)
一夏(でも今までの経験からしてシャルルが素直にちん〇を見せてくれるとは思えない……)
一夏(あの手でいくか……)
一夏「シャルルー、日本茶入れたんだけど一緒に飲まないかー?」
シャルル「うん、じゃあ頂こうかな」
一夏(ああ…この睡眠薬入りの日本茶をな!!)
一夏「さてと…とりあえずズボン脱がすか」ズルッ
一夏「こっ…これは……!!女物のパンツだと!?」
一夏「どうなってるんだ…?」
一夏「パンツを脱がしてみよう」スルスル
一夏「ああああぁぁぁぁ!!!???」
一夏「ひいいいいぃぃぃぃ!!!!」
一夏「しかも無い!!ち〇こが無い!!シャルルのち〇こが無いぞ!?」
一夏「一体どうなってるんだ……何がなんだか……」
一夏「……はっ!!」
一夏「まさか…箒のやつ……この短時間でもうシャルルのち〇こ切っちまったのか!?」
一夏「そうか…それならこの出血やシャルルのちん〇が無いのも説明がつく」
一夏「だが箒と別れてから俺の部屋に着くまで5分と経ってないはず」
一夏「この短時間でシャルルのち〇こを切断しただと……!?」
一夏「篠ノ之箒…俺はどうやらものすごい女を幼なじみに持ってしまったらしい……」ゴクリ
箒「さてと…一夏とシャルルの部屋に忍びこんでさっさとち〇こを切断しないとな」
箒「ピッキングでドアを開けてと……」
ガチャッ
一夏「Zzz……Zzz……」
シャルル「すぅ…すぅ……」
箒「二人ともよく眠っているな」
箒「……ん?」
箒(なっ、何だとぉぉぉォォォォォォ!?)
箒(ち〇こが無い!!シャルルにちん〇が着いていないではないか!!)
箒(どっ…どういう事だ……?)
箒(しかもこの出血…なぜ股間からこんなに血が出ている……!?)
箒(……ま、まさか)
箒(私が切断する前にもう切ってしまっていたというのかッッッッ!?)
箒(シャルルが自分で自分のちん〇を切断する訳はない…一夏は私に頼むくらいだ……自分でシャルルのち〇こを切ろうなどとは思わないはず……)
箒(分からんっ……!!一夏は私以外には相談はしていないと言っていた……)
箒(一体何が起きているんだ……!?)
シャルル「う…うーん……」ゴロリッ
箒(まずいっ!!シャルルが起きてしまう……!!)
箒(一時撤退だッ!!!)スタコラサッサ
シャルル(うぅ…昨日から生理だから具合悪いなぁ……)
シャルル(でもいつも通りにして一夏に女の子だってことばれないようにしなきゃ……)
一夏「おはようシャルル。具合悪そうだな」
シャルル「!?」
シャルル「おっ、おおおはよう一夏!!そんな事ないよ?僕はいつも通りだよ!!」
一夏「だけど(ち〇こを切断してから)2日目だからまだ辛いんだろう?」
シャルル「えっ」
シャルル「う、うん……」
ガチャッ
シャルル(な、なんで……?)
シャルル(なんで一夏は僕が生理二日目だって事知ってるの?)
シャルル(まさか…女だってことがばれた…!?)
一夏「おっす!!箒!!」
箒「あ、ああ…おはよう一夏……」
一夏「お前やっぱすごいな!!あんなすぐにシャルルのちん〇切断しちまうなんて!!」
箒「……えっ?」
一夏「何とぼけてんだよ!!昨日シャルルのち〇こ切ってくれたんだろ?」
箒「あ、ああ…まぁな……」にへらっ
一夏(何だその微妙な笑顔ーーー!!!!) ガビーン
一夏(やってねぇ!!こいつ絶対シャルルの〇んこ切ってねぇぞ!!)
箒「私ではない…私が行った時にはもうシャルルにち〇こは着いていなかった……」
一夏「じゃあ一体誰かシャルルのち〇こを……?」
箒「その事なんだがな……」
一夏「ん?」
箒「昨日一晩考えたんだが…シャルルは……あいつは実は女なんじゃないのか?」
一夏「えっ」
箒「ち〇こが無いのは女の子だからで……多分あの出血は生理によるものだと思う」
一夏「なんだってぇぇぇェェェェェェ!!!!!???」
一夏「そうか…そうだったんだな……ははっ」
箒「よかったな、ホモじゃなくて」
一夏「ああ……そっすね」
箒「一応本人に確かめに行くか?」
一夏「あー…うん、別にいいんじゃないかな」
箒「え、さっきから何すか?私何か気に入らないこと言ってますかテンション低っ」
一夏「いやそういう訳ではなく……なんか冷めたっていうか」
箒「冷めた?」
箒「ほう」
一夏「だから女の子のシャルルにはまるで興味が無くなってしまった」
箒「お前、あれだけシャルルが男じゃなかったらよかったのにって言ってたじゃないか」
一夏「そうなんだよなー…なんなんだこれは。あんなに可愛い子が女の子なはずがないんだが」
箒「訳の分からない奴だな」
蘭「一夏さん、話ってなんですか?」
一夏「ちょっと蘭に相談があるんだが……」
蘭「なんですか?悩みがあるんなら聞きますよ!!」
一夏「俺…もしかしたらホモかもしれない……」
蘭(お兄ちゃんのケツが危ない!?)
おしまい
Entry ⇒ 2011.12.27 | Category ⇒ インフィニット・ストラトスSS | Comments (0) | Trackbacks (0)
京子「ごめん………」結衣「クリスマスだからさ」
結衣「いいよ、気にするな」
京子「ごめん…………」
京子「………結衣、ごめん、カーペットの上にコーヒーこぼしちゃった」
京子「…………ごめん」
結衣「大丈夫だって、すぐに洗えば大丈夫だから」
京子「………………」
京子「………結衣」
結衣「ん?どうした?」
京子「ごめん、壊しちゃった………」
結衣「気にするなよ、安もんだからさ」
京子「(大好きな結衣に迷惑かけてばっかだよ………)」
京子「(だから………結衣に………なんかしなきゃ………)」
京子「(そこで…………ね……もうすぐクリスマスだ……)」
京子「(そこで結衣にプレゼントをしよう)」
京子「(気持ちを込めたものを…………)」
京子「(結衣にプレゼントしよう)」
京子「(そして………そのとき私の気持ちも………)」
京子「(すごいの作って結衣を驚かそう)」
京子「ふっふっふっ」
クリスマスイブ前日
京子「よしっ」
京子「我ながら、いい出来だ」
京子「結衣のやつ驚くぞぉ」
京子「『京子大好き』って言って抱きついてくるかもね」
京子「ふふふっ」にやにや
ピーンポーンピーンポーン
がちゃ
結衣「おお、なんだ京子か」
京子「そうだよ~」
結衣「って、うお、なんだその大きい持ち物は」
京子「いや~後でのお楽しみぃ」
結衣「まぁ、とりあえずあがってよ」
京子「さっそくだけど、結衣、冷蔵庫借りるよ」
結衣「いいよ」
結衣「(京子、今日はクリスマスイブだし、なんか作ってきてくれたのかな)」
結衣「(京子ったら…………)」にこにこ
結衣「んじゃ、とりあえずゲームでもするか」
京子「うん」
結衣「よしっ、勝った」にこっ
ピコピコ
京子「私はレアアイテムげっとした~」にこにこ
ピコピコ
ピコピコ
ピコピコ
京子「(…………そろそろかな)」
京子「よしっ、結衣、そろそろ、お楽しみのものを紹介しま~す」
とことこ
バタン
京子「よっと………今から持ってくから」
京子「結衣……ちょっとテーブルの上片付けて………」
結衣「うん」
京子「ふふふ~ん」
とことこ
ずるっ
京子「えっ!?」
どしゃん
京子「いたた~」
結衣「大丈夫か?京子」
京子「うん、大丈夫……ちょっと床ですべっちゃ…………あ」
結衣「あ…………………」
京子「ケーキ………………」
結衣「……………………」
京子「……………」
うっうっうっ
京子「ゆいぃ、ごめん、ごめんなさい」
結衣「だ、大丈夫、大丈夫だよ」
結衣「(ん?なんか絵が書いてる………これって………私?)」
結衣「(『結衣、迷惑かけてごめんね、結衣のこと大好きだよっ』)」
結衣「(京子…………)」
京子「結衣……………また迷惑かけちゃったね」
京子「ははは、最近いつもドジって迷惑かけてるのに」
京子「それで迷惑のお詫びをしようとしたらまた迷惑なんて」
京子「ねっ」
京子「結衣もそう思うでしょ」
結衣「…………………………」
だきっ
京子「」!?
結衣「京子…………ありがとう」
結衣「ありがとう」
結衣「嬉しいんだよ」
結衣「私は京子といられるだけで嬉しいんだ」
結衣「だから京子が何しようと関係ない」
結衣「それに、京子がわざわざ私のためにケーキを作ってくれるんだもん」
結衣「嬉しいにきまってるだろ」
京子「結衣…………」
京子「(結衣………いまなら………)」
結衣「だから、いいって、な、京子」
京子「……いや………ごめん」
結衣「謝るなよ……な、大丈夫だから」
京子「いや………『今から』やることに謝ってるんだよ」
チュッ
結衣「///////」
京子「……これが私の気持ちだよ」
京子「女の子が女の子にキスだなんて」
京子「でも、私は結衣のことが好きなんだ」
京子「本当だったらさ、ケーキ渡して、告白して……って流れにしたかったんだよ」
京子「でも、失敗しちゃってさ」
京子「でさ、そこで」
京子「結衣が私が何しようと関係ないって言葉をきいて」
京子「テンパっちゃって」
京子「気づいたらキスしてた」
京子「………………うん」
京子「分かってるよ」
京子「今のはいくら謝っても謝りきれないって」
結衣「…………………」
結衣「ちがう……………」
結衣「私も…………好きだよ」
結衣「………………京子」
結衣「私も好きだよ、京子のこと」
京子「いつから…………」
結衣「気づいたらいつのまに」
京子「私と同じだ…………」
結衣「…………私はてっきりお前はちなつちゃんのことが好きだと思ってたんだけどな」
京子「あの好きと結衣に対しての好きは別物だよ」
京子「最初はミラクるんにそっくりだったから……」
京子「でもね……気づいたんだ」
京子「ちなつちゃんに絡むと結衣は見てくれてるってさ」
京子「そして、いつしか、結衣のために絡むようになった………」
京子「ちなつちゃんには悪いけどね……………」
結衣「……今は私のことが好きでも」
結衣「いつか、京子の魅力に気づくんじゃ……って思って」
京子「ふふっ………私たち似たもの同士だね」
結衣「うん………」
結衣「そだね」
結衣「/////」
京子「ゆ、結衣、なんでいきなり顔が赤くなる」
結衣「い、いや、さっきキスをされた………」
結衣「………実感がわいてきて」
京子「……/////」
結衣「うん」
結衣「…………私のファーストキスなんだよ」
結衣「相手が京子で良かったよ」
結衣「うん、そうだ」
京子「私も………ファーストキスだよ」
京子「………うん」
京子「………………………」
結衣「…………………………」
京子「…………………………」
京子「(き、気まずい)」
結衣「(………気まずい)」
京子「………………あっ、結衣、言う事があるんだ」
結衣「言う事?」
結衣「言いたい事………」
京子「それはいまの私たちにぴったりの言葉」
結衣「…………うん、そうか!」
結衣「私にもあるよ言いたい事」
結衣「たぶん、そうだね………京子と同じ事」
結衣「うん、これを言えなかったら一生後悔する気がする」
京子「せーの」
二人「「私と付き合って下さい」」
京子「結衣!」結衣「京子!」
結衣「ふふふっ」
京子「えへへっ」
正確には>>43からないんだが
少し書き溜めてくる
京子「うん」
結衣「……………って暗っ」
京子「もう、6時だもんね」
結衣「京子がきたのが2時だったから」
結衣「………もう4時間経ったのか」
京子「でも、結構、ほら密度が濃かったよね」
結衣「うん、いろいろあったな」
京子「………うん、やめとくよ」
京子「今、泊まると、キス以上のことをしちゃう気がする」
京子「こういうのは段々とがいいんだよ」
京子「それに結衣……実家に帰るんでしょ、クリスマスイブだし」
結衣「う、うん、そうだった、忘れてたよ」
京子「……あ、忘れてた、明日デートね」
結衣「えっ?」
京子「私たち付き合い始めたんだし」
京子「明日はクリスマスだよ」
京子「デートでしょ」
結衣「………しょうがないなぁ、京子は」にこにこ
京子「じゃあね」にこっ
バタン
結衣「あ…………ケーキ片付けなきゃ」
京子「(いろんな事、あったな)」
とことこ
京子「(結衣とキスしたり、付き合える事になったり)」
とことこ
京子「(最高の日だよ)」
とことこ
京子「(ねぇ、結衣)」
とことこ
京子「メリークリスマス」
京子「(いい日を)」
とことこ
結衣「ケーキ勿体ないよなぁ」
結衣「少し、食べよっか」
ぱくっ
結衣「うん美味しい」
結衣「(…………わたしの顔と京子のメッセージのケーキ)」
結衣「京子………メリークリスマス」
結衣「………それにしても量が多いな」
ピーンポーンピーンポーン
京子「あれっ?」
ピーンポーンピーンポーン
京子「おかしいな結衣、寝てるのかな」
京子「……ケータイに電話しよ」
プルルルルルルプルルルルルル
がちゃ
京子「もしもし、結衣?」
京子「ちょっと結衣、ドアを開けてよ」
結衣「………………」
京子「ちょっと、結衣なんなの?」
結衣「………後ろ後ろ」
ぐるり
京子「………結衣」
結衣「うん」
結衣「あ~、えっと、ね」
結衣「私、実家に帰ってただろ?」
結衣「で、今日、クリスマス当日、京子の家に行ったんだ」
結衣「そしたら、京子が私のマンションに向かったって」
結衣「ってこと」
京子「………私、心配したんだよ」
結衣「うん、ごめん」
結衣「……………」
だきっ
結衣「これでいいか?」
京子「うん」
京子「えへへっ」
結衣「無謀すぎたな」
結衣「あらかじめケータイで連絡すれば、よかったよ」
京子「………でもさ………お互い同じ時間に誘いにいって」
京子「こうして今、会えてる…………」
京子「これだけで、私たち…………」
京子「お似合いって気がしない?」にこっ
結衣「……ああ、そうだな」
結衣「私………デートプラン作ったんだ……」
京子「あ、私も作った………んだけど結衣に任せるよ」
結衣「いや………なら、二人でそのプランを見せ合って」
結衣「合わせたものにしよう」
結衣「いいだろ?」
京子「うん」にこっ
①近くの遊園地に行く
②そして夜景を見る
結衣「とまぁ……なんていうか………普通で………で」
京子「私のは……」
①結衣と一緒に遊園地に行って遊びまくる
②そして暗くなったら町にいって適当にブラブラする
京子「とね…………結衣とだいたい同じ………」
結衣「ふふふっ」
京子「えへへっ」
二人「「お似合いだね」」
結衣「遊園地までだいたい40分ぐらいかかって………」
結衣「遊園地は10時に始まるから………」
結衣「ぴったしだね」
京子「うん」
結衣「それじゃあ、行くよ」
結衣「京子………手」
京子「うん………」
にぎっ
次は~遊園地前~遊園地前~
結衣「ほらっ、京子、起きろ、ついたぞ」
京子「う~ん、もうちょっと………」
結衣「おいおい………」
ぷしゅー
どかどか
どかどか
結衣「みんな行く人が降りてるよ」
結衣「きょ~こ」
結衣「起きろ~」
結衣「よっと…………」
だきっ
とことこ
結衣「すみません………中学生二人です」
とことこ
ぷしゅー
結衣「ふ~危なかった」
結衣「お、やっと起きたのか」
京子「……うん……って、私……宙に浮いてる?」
京子「(えっと、ってことは…………結衣にお姫様だっこされてる!?)///」
結衣「よし、ならおろすぞ」
すちゃ
京子「………ありがと///」
結衣「うん」
京子「いや~結衣とのデートが楽しみで寝れなくてさ」
結衣「………////」
結衣「……まぁ、今日のとこは許してやるよ」
結衣「クリスマスなんだから」
結衣「いっぱい楽しもうよ」
結衣「な」
結衣「京子」
京子「うん」
結衣「………………」
京子「……ん?」
結衣「……………手///」
京子「うん」
にぎっ
結衣「デートはこうでなくっちゃ」
結衣「ね」
京子「そうだね」
結衣「さて、無事遊園地に入れたし……どこ行く?」
京子「うん……とりあえずジェットコースターかな」
結衣「よしっ」
とことこ
とことこ
京子「うわ~人がいっぱい並んでるね」
京子「どうする?」
結衣「………今日はクリスマスだし、どこも似たようなもんだろ」
結衣「退屈なんてするもんか」
京子「うん」にこっ
とことこ
とことこ
京子「60分まちか………」
京子「ってことは、60分結衣とおしゃべりできるんだね」
結衣「うん………そういうことだ」
京子「………まわり………カップルだらけだね」
京子「私たちは………どう見えてるのかな」
結衣「う~ん……『仲のいい二人』って感じじゃない?」
京子「うん…………そうだよね、カップルには見えないよね………」
結衣「………私は、周りにカップルって思われなくてもいいと思うんだ」
結衣「ただ………付き合ってるってことを二人が分かってればいい」
結衣「ちょっと、クサい台詞だけど………ね」
京子「結衣…………」
結衣「デートするためにきているんだよ」
結衣「だから…………さ」
京子「………うん」
だきっ
京子「結衣、だ~い好きっ」
結衣「おいコラ、人前だぞ///」
結衣「…………そうこうしてる間に順番がまわってきたな」
京子「ずいぶんはやかったね」
結衣「うん、はやかったな」
次の方どうぞ~
京子「呼ばれたね」
結衣「ああ」
ガタンガタン
京子「動きだしたね」
結衣「うん」
ガタンガタン
結衣「………………」
京子「………………」
ガタンガタン
京子「なんかさ………こう独特な雰囲気があるよね」
結衣「うん」
京子「こう動き出したとき………さ」
結衣「うん分かるよ」
ガタンガタン
京子「この独特な音が私たちをステージに引き込んでくれる」
京子「そういう気がするんだ」
京子「うん、ステージ」
結衣「うん」
ガタっ
結衣「おっ!」
京子「のぼり始めたね」
結衣「綺麗だ………」
京子「綺麗………」
京子「おっ、てっぺんだね」
ガタン
シューシューシューシュー
結衣「きゃぁ」
だきっ
京子「………結衣抱きついてきちゃって」
結衣「………しょうがないだろ、怖かったんだから」
京子「……可愛い」
結衣「いうなバカ///」
シャーシャーシャー
ガタンガタン
ガタンガタン
安全バーからお手を離してお待ちください
京子「…………この声で私たちは一気に現実世界に連れ戻される」
京子「ステージからおろされる」
京子「余韻をもってね」
結衣「………今日の京子………詩人だな」
京子「…………///」
とことこ
とことこ
結衣「次は何に乗る?」
京子「いいよ、ジェットコースターは私が決めたんだかから」
京子「結衣が決めて」
結衣「………なら………」
結衣「これぞデートって感じでしょ」
京子「いいねぇ」
とことこ
とことこ
結衣「え?80分まち………?」
京子「さすがクリスマス長いね」
京子「でも……待つのもデートでしょ」
結衣「うん」にこっ
結衣「もう順番まわってきたね」
京子「おしゃべりしてるとはやいね」
京子「………結衣と……ね」
結衣「/////」
京子「…………乗るよ」
結衣「いいよ」
京子「結衣は前後ろどっちにする?」
結衣「私は後ろかな………京子を抱きしめられるし………」にやっ
京子「……………///」
京子「なら……乗るね」
結衣「うん」
すちゃ
結衣「私もっと………」
すちゃ
京子「……………」
結衣「………………」
だきっ
とくん
京子「(聞こえる………)」
とくん
とくん
京子「(結衣の心臓の音…………)」
グラっ
結衣「おっ、始まったね」
京子「うん」
とくん
京子「……………」
とくん
とくん
京子「……………うん」
とくん
とくん
京子「……………結衣」
ぷしゅー
結衣「お、もう終わりか」
結衣「楽しい時間ってはやいもんね」
京子「そうだね」
結衣「………あ、もう1時か………遅くなったけどお昼にしよっか」
京子「うん」
結衣「たぶん、すごくこんでると思うけど………」
京子「それも楽しみのうちだよね」
とことこ
とことこ
とことこ
結衣「よしっ、着いた~」
結衣「って、アレっ?」
京子「そうだね……」
京子「きっとみんな乗り物で忙しいんだよ」
結衣「うん、そうだな」
結衣「京子はなに食べる?」
京子「私は…………」
結衣「んじゃ、私もそうしよ」
結衣「すみません、オムライス二つ」
京子「それと、パフェを一つ」
結衣「」!?
京子「えへへっ」
ぱくぱく
結衣「…………パフェ………」
もぐもぐ
京子「いや………これが私からの結衣へのプレゼントだよ」
ぱくぱく
京子「昨日失敗しちゃったし………さ」
結衣「京子…………」
京子「オムライス食べ終わったね」
京子「パフェパフェ………と」
京子「結衣、口開けて」
結衣「ん?」
京子「あ~んしてあげる」
あ~ん
結衣「分かった」
あ~ん
ぱくっ
結衣「………美味しい」
結衣「……………」
結衣「スプーン貸して、京子」
結衣「あ~んしてあげる」
京子「い、いや、いいよ」
京子「これは私からのプレゼントだよ」
結衣「だからこそだよ」
結衣「私たちは恋人同士………」
結衣「だから分け合うんだよ」
結衣「なんにしても………そう」
結衣「嬉しさも悲しさも分け合いたいんだよ」
結衣「だからさ…………まずは………」
京子「うん………」
あ~ん
京子「あ~ん」
あ~ん
ぱくっ
京子「うん………美味しい」にこっ
結衣「そうか」にこにこ
京子「ふ~食べ終わったね」
結衣「……あ~んのし合いっこはさすがに恥ずかしかった………」
京子「それもデートだよ」
結衣「………そうだな」
結衣「あ……もう一つ何か乗ったら帰ろうか」
結衣「名残惜しいけど………さ」
京子「うん」
京子「分かってるよ、結衣」
結衣「それでね………」
結衣「最後に乗りたいのがあるんだ」
京子「私もある」
京子「たぶん………結衣と同じ
結衣「なら……一緒に言うか?」
京子「もちろん」
結衣「なら………せーの」
二人「「観覧車」」
京子「えへへっ」
二人「「お似合いのカップル」」
二人「「だねっ」」
結衣「それじゃあ、行こうか………」
京子「うん♪」
とことこ
結衣「やっぱりクリスマスだけあって、90分まち」
京子「すごいね………やっぱ」
京子「でも………デートの楽しさは」
結衣「待ち時間でもあるんだよな」
京子「ふふふっ」
結衣「えへへっ」
次の方どうぞ~
京子「もう順番まわってきたね」
結衣「はやいよ………ね」
京子「楽しいと………さ」
結衣「じゃ、最後のアトラクションを楽しみますか」
京子「ねっ」
京子「よっと……」
京子「だんだんと高くのぼる」
京子「そして下にかえってくる………か」
結衣「どうした京子?」
京子「ううん、なんでもない」
結衣「///」
結衣「う、うん、いいよ………」
京子「ありがと…………」
結衣「あ、てっぺんだよ」
結衣「綺麗………」
京子「綺麗だね」
京子「ふ~綺麗だったね」
とことこ
結衣「うん綺麗だったね」
とことこ
京子「………って終わりっぽくなってるけどまだ4時だよ」
京子「夜景、夜景~楽しみぃ」
結衣「そうだな」
ぷしゅー
どかどかどかどか
結衣「きょ~こ着いたよ」
結衣「起きろ~」
京子「(………こうしてたら……結衣またお姫様だっこしくれるよね)」
結衣「………京子………愛してるよ」
京子「……………」にやっ
結衣「おいコラ、起きてるな
結衣「当たり前だ」
結衣「おりるぞ」
京子「うん」
とことこ
結衣「中学生二人で」
とことこ
ぷしゅー
京子「うん、暗いね」
結衣「それじゃあ、行くか」
京子「うん」
二人「「あ、手をつなご…………」」
結衣「ふふふっ」
京子「えへへっ」
二人「「お似合いだよ」」
にぎっ
結衣「イルミネーション綺麗だね」
とことこ
京子「うん」
とことこ
結衣「暗いからこそ輝く………」
とことこ
京子「うん………」
とことこ
結衣「着いた」
京子「わぁ、綺麗……」
京子「クリスマスツリー」
結衣「綺麗………うん」
ぎゅっ
ぎゅっ
京子「ふふふっ」
結衣「京子……ここでも言いたい事がある………」
京子「分かってるよ、結衣」
二人「「メリークリスマス」」
結衣「京子」京子「結衣」
結衣「京子はまだ行きたいとこある?」
京子「私も大丈夫」
京子「だから、結衣の家に行こっ」にこっ
結衣「ああ」にこにこ
とことこ
とことこ
とことこ
がちゃ
ギー
バタン
結衣「ふ~、帰ってきたぁ」
京子「疲れたね、楽しかったけど」
結衣「うん」
京子「へっ?………」
京子「えっと…………ミネストローネ!」
京子「ミネストローネが食べたい」
結衣「ミネストローネか………いいよ」
京子「やったぁ」
京子「食後は……」
結衣「ラムレーズンだろ、分かってるよ」
京子「さっすが結衣、分かってるぅ」
京子「いや………私も手伝うよ」
京子「それが恋人なんでしょ」
京子「結衣、言ってたじゃん、分け合う事が大切って…………」
結衣「………ああ、そうだな」
結衣「さぁ作りましょうか」
トントントン
ぐつぐつ
かちゃかちゃ
ぐつぐつ
結衣「よしっ、出来たな」
結衣「京子、味見してみて」
ぺろっ
京子「うん、美味しい!」
京子「うん、分かった~」
京子「コップ、コップ………と」
ことっ
京子「飲み物飲みもの……」
バタン
京子「あった、あった~」
京子「(あ………私が作ったケーキ……)」
京子「(結衣…………)」
ぱくぱく
ぱくぱく
二人「「ごちそうさま~」」
京子「いや~結衣の作るご飯は美味しいなぁ」
結衣「いや~、そんなことないよ」
結衣「そしたらラムレーズンだな」
京子「いや………今日はいいよ………」
結衣「………うん、そうか………」
結衣「私は片付けしとくから」
京子「なら……私も………」
結衣「いや、いいよ、結構量すくないし………」
京子「うん……じゃ入ってくるね」
京子「結衣~お風呂からあがったよ~」
結衣「よし、入るか」
結衣「ふ~いい湯だった………」
京子「………………うん」
結衣「うんいいよ……………」
がさごそがさごそ
結衣「布団ひき終わったな」
京子「だね」
京子「おやすみ、結衣」
結衣「……………………」
京子「……………………」
結衣「……………………」
京子「……………ねぇ、結衣、起きてる?」
結衣「ん?なんだ?」
京子「……………一旦やめない?」
結衣「えっ!?なんで……………」
京子「…………ドキドキが多すぎるんだ」
結衣「……………ドキドキ……………」
京子「うん、ドキドキ」
結衣「うん…………知ってるよ」
京子「私は………恋愛でもそう思うんだ…………」
京子「うん…………そう思う」
結衣「そうか……………」
結衣「分かった、いいよ、やめよう…………」
結衣「うん……………分かった」
京子「それに………私は『いま』を楽しみたい」
京子「結衣、あかり、ちなつちゃん…………のごらく部を壊したくない」
京子「そりゃ、いつかなくなるかもしれない………でも…………」
京子「わざわざ早めることはしたくない」
京子「私と結衣が付き合ったらちなつちゃん…………ごらく部にこなくなっちゃうかもしれないから」
結衣「…………うん」
京子「一旦停止だからね、ステージからおりないでよ」
結衣「うん………誰がこんな面白いステージからおりるもんか」
京子「よかった……………」
京子「………結衣…………そばにいっていい?」
結衣「うん…………いいよ」
京子「えへへっ」
京子「あったかい」
結衣「私も……………」
とくん
とくん
京子「(結衣の心臓のおと………)」
京子「(私が、虐められてたとき………)」
とくん
京子「(助けにきてくれて………)」
とくん
京子「(抱きしめてくれたとき)」
とくん
京子「(聞こえた)」
京子「(力強く)」
とくん
京子「(暖かいおと)」
とくん
京子「(うん……………)」
結衣「ああ、おやすみ」
二人「(メリークリスマス)」
おわり
すばらしかった
Entry ⇒ 2011.12.27 | Category ⇒ ゆるゆりSS | Comments (0) | Trackbacks (0)
結衣「なら私とゆりゆりすればいいだろ!」 あかり「えっ?」
ガラッ
あかり「結衣ちゃん京子ちゃん遅れてごめんねぇ、今日は何して遊ぼっか」
結衣「やぁあかり、外寒かっただろ」
あかり「うん寒かったよぉ、えへへおこたぬくぬくだね」
結衣「あぁ、おこた無しはもう考えられないな…」
あかり「そうだねぇ…」
あかり「…冬だね、結衣ちゃん」
結衣「冬だな、あかり」
結衣「そっかそっか、京子も家で同人誌書くってさ」
あかり「今日は京子ちゃん来ないんだぁ」
結衣「……くふっ」
あかり「えぇっと、何かおかしい事言ったかなあかり」
結衣「いや何でもないよ」
あかり「きょうはきょうこちゃん…」
結衣「…ぷぷっ」
あかり「えぇぇ……」
結衣「な、何だよその目は!」
あかり「…ダジャレにすらなってないと思うよ」
結衣「そもそも笑ってないし、あかりが幻覚でも見たんだろ」
あかり「…結衣ちゃんその言い訳はちょっと苦しいんじゃないかな?」
結衣「う、うるさいな!…今お茶淹れてくるから」
あかり「ぇへへ、ありがと結衣ちゃん」
あかり「うんありがと、結衣ちゃん」
結衣「まったく…まさかあかりにいじられるとはな」
あかり「ご、ごめんね」
あかり「ふふっ結衣ちゃんはクールに見えて笑いの沸点が低いよね」
あかり「そのギャップがすごい可愛いと思うんだぁ」
結衣「かっ可愛くなんか……そのお団子そぎ落とすぞあかり」
あかり「そ、そぎ落とす!?それだけは勘弁なすってぇ!」
結衣「ったく…」
結衣「あぁいいねそれ」
あかり「ネギに白菜にお豆腐に鶏肉いっぱい入れてぇ…」
結衣「…あかり、ヨダレ出てるよ」
あかり「ふぇっホント!?」ゴシゴシ
結衣「ふふっ嘘だよ」
あかり「もぉー結衣ちゃんってば!」
結衣「あはは、ごめんごめん」
結衣「ふふふ」
あかり「…この間結衣ちゃんとデートしたってちなつちゃんから聞いたよ」
結衣「デートというか…確かに二人で遊びに行ったね」
あかり「本当に嬉しそうだったよぉちなつちゃん」
あかり「3日間は延々とその話聞かされて大変だったけど…」
結衣「あはは…」
あかり「結衣ちゃんもなかなかスミに置けないよねぇ」
結衣「ど、どういう意味だよそれ」
あかり「別に、深い意味はないよぉ」ズズー
結衣「む…」
結衣「毎週ってわけじゃないけど…」
結衣「週末はたまに泊まりに来てるね」
あかり「そうなんだぁ」
あかり「ふふっごらく部みんな結衣ちゃんと仲いいよねぇ」
結衣「そうだね、二人っきりで遊ぶような仲だしね」
あかり「あかりもよく結衣ちゃんと二人っきりで遊ん…」
あかり「あ、あれぇ!?」
結衣「えっ?」
結衣「お、落ち着けなにが無いんだよ!あかりの胸か?」
あかり「うん全然育たなくて…って違うよぉ!合ってるけど違うよ!!」
あかり「気にしてるからそれは言わないで!」
結衣「わ、分かったって」
あかり「結衣ちゃんと二人っきりで遊んだ記憶が無いよぉ…」
結衣「……」
結衣「……あぁ」
結衣「……京子にずっと付きっきりだったからな」
あかり「……うぅ」
結衣「あ、あかり」
結衣「きょうきょうこが…」
あかり「そんなダジャレであかり笑わないよぉ!?」
結衣「ご、ごめん…でも面白いのに」
あかり「そんなので笑うの結衣ちゃんと杉浦先輩くらいだよぉ…」グスッ
結衣「……そうなのか」
結衣「何言ってるんだよ!!!」
結衣「あかりは私の大切な幼なじみだろ…そんな事言わないでよ」
あかり「……ありがと、でもね」
あかり「今さらだけどあかりね、ごらく部で浮いてる気がしてきたんだ」
あかり「あかりだけゆりゆりしてないもんね…」
結衣「そんなの関係ない!!…それが嫌なら」
結衣「わ、私とゆりゆりすればいいだろ!」
あかり「えっ…」
結衣「あっ…」
結衣「…あかりは嫌なの?」
あかり「ううん、でもそんなの結衣ちゃんに迷惑かかっちゃうもん」
結衣「…迷惑なんかじゃないよ」
あかり「…存在感を出すために結衣ちゃんにすり寄ったなんて思われるもん」グスッ
結衣「あかりは存在感が薄い子なんかじゃないよ」
あかり「そんなのウソだよぉ…」
結衣「ウソじゃない!」
あかり「!」ビクッ
結衣「大室さんに割りばし貸してあげたり、絆創膏で治療したり」
結衣「ソーイングセットでボタン付けてあげたりね」
あかり「…誰から聞いたの?」
結衣「ちなつちゃんだよ」
結衣「あかりは人より一歩下がって、周りをよく見渡してくれてるんだ」
結衣「スポットライトが当たらないだけ、あかりは空気なんかじゃない」
結衣「…周りに気を使える、優しいあかりが大好きだよ私は」
あかり「ゆ、結衣ちゃん……」
あかり「でもアッカリーンなんて効果音考えたの結衣ちゃんだよね」
あかり「小さいころから薄々気づいてたよ…手の施しようのない存在感だって」グスッ
結衣「うぅぅ…あかりぃ…」
あかり「ぇへへでもね」
結衣「うん?」
あかり「結衣ちゃんがあかりのことも見ててくれてたんだなぁって」
あかり「それが分かってホント嬉しいんだぁ」
結衣「あかり…」
結衣「…大切な私の幼なじみなんだから当たり前だろ」ギュッ-
あかり「ぇへへ、結衣ちゃん暖かいよぉ…」
あかり「うん、ありがと結衣ちゃん」
あかり「う~ん…」
あかり「ゆりゆりするってどんなことすればいいのかなぁ」
結衣「うーん…私もよく分からないな」
結衣「さっきあかりを慰めるためにハグしたけど」
結衣「…そういうスキンシップとかすればいいのかな?」
あかり「なるほど、結衣ちゃんのハグ暖かくてほんわかしたよぉ」
結衣「私もあの感覚好きだな、安心するというか」
あかり「うんうん!」
あかり「…そ、そうだね」
あかり「ふ、2人っきりでハグだもんね」
結衣「放課後の部室で2人っきり…ハグ……あかり」
あかり「ゆ、結衣ちゃん…」
結衣あか「………ぷっ…あはははははははははははは!」
結衣「ふふっ、あかり顔が耳まで真っ赤だよ」
あかり「結衣ちゃんだってリンゴさんみたいに真っ赤っかだよぉ~!」
結衣「えっ嘘!?」
あかり「ほんとだよ~」
あかり「ぇへへ、なんだか可笑しいねぇ」
結衣「はー笑った……ん、そろそろ日が落ちてきたね」
あかり「本当だ、もう真っ暗だね」
結衣「そろそろ帰ろうか、あかりの家まで送っていくよ」
あかり「うん!ありがと、結衣ちゃん」
結衣「忘れ物しないでね」
あかり「はーい!」
あかり「ふふ、結衣ちゃん転ばないようにね」
結衣「…私はあかりが心配だよ」
あかり「ぇへへ」
<ブロロロ~ プーップップー
結衣「あかり、車来てるよ!!」グイッ
あかり「きゃあ!?」
結衣「ったくあんなスピード出して危ないな…大丈夫か?」ギュッ
あかり「う、うん」
あかり「ぇへへ…結衣ちゃんそんな抱きしめたら苦しいよぉ」
結衣「わっ…ご、ごめん」
あかり「ううん」
あかり「……今日だけで2回結衣ちゃんに抱きしめられちゃったね」
結衣「ど、どっちもその…不可抗力と言うか」
あかり「…さっきの結衣ちゃんとってもカッコ良かったよ」
あかり「助けてくれてありがと、結衣ちゃん」ニコッ
結衣「っ!……ど、どういたしまして」
あかり「ぇへへ~♪」
結衣「…なんかほっぺ熱い」
結衣「あぁ、また明日学校でな」
あかり「うん!」
結衣「寒いから風邪引かないでね」
あかり「ふふ、結衣ちゃんもね」
結衣「ちゃんと宿題するんだよ」
あかり「ふふっ分かってるよぉ」
結衣「…じゃあまたね」
あかり「…うん」
あかり「今日は結衣ちゃんとお喋りして…は、ハグしてもらって」
あかり「車から助けてもらったりして…カッコ良かったなぁ」
あかり「結衣ちゃんの事考えるとドキドキする…」
あかり「ぇへへ、結衣ちゃぁん」
あかり「…寝る前に結衣ちゃんにメールしてみようかな」
あかり「迷惑じゃないかなぁ」
あかり「……」メルメル
結衣「…1人で食べるのってやっぱ味気ないな」
<ゴーユルリ ト ニャニャニャー
結衣「メール…ふふ、あかりからだ」
結衣「『今日は結衣ちゃんといっぱいお喋り出来て楽しかったよ!』」
結衣「『明日はお家からミカン持っていくよぉ、皆で食べようね!』」
結衣「『また明日学校で、おやすみなさい』」
結衣「ふふ、まだ9時なのにもう寝ちゃうのか…あかりらしいな」
結衣「私も楽しかったよ……」メルメル
<カゲ ガ ウスイトカー
あかり「ひゃう!?」
あかり「もう返ってきた…どれどれ」
あかり「『私も楽しかったよ、今度2人で遊びに行こうな』」
あかり「『ミカン楽しみにしてるからね』」
あかり「『おやすみ、あかり』」
あかり「ふ、2人で遊びに…ぇへへ今日の話覚えてくれてたんだ」
あかり「おやすみなさい、結衣ちゃん」
あかり「…」zzz
あかり「みんな、あかり今日はねみかん持ってきたんだよ」
京子「でかしたぞあかり!!」
ちなつ「コタツにみかんですか~、いいですね」
結衣「一体何の部活なんだろうなここは…」
京子「まぁまぁいいじゃん、食べよ食べよ」
ちなつ「あかりちゃんありがと」
結衣「あかりありがとね」
京子「サンキューあかり!」
あかり「ぇへへ、ミカンのおかげであかりいっぱい目立ってるよぉ」
ちなつ「あかりちゃん……」ホロリ
結衣「ん?あ~ん…うん、おいしいよ」
結衣「はいあかりも、あーん…」
あかり「ぇへへ、あ~ん」
結衣「はむ、なんちゃって」
あかり「もぉー!結衣ちゃんひどいよぉ!」
結衣「ふふふ」
京子「…ちょっとちなつちゃん」
ちなつ「えぇ言いたいことは分かります」
京子「なんかあの2人すっごい甘々だよね」
ちなつ「幸せオーラがすごいです…」
結衣「へ?」
あかり「結衣ちゃんがこれからあかりとゆりゆりするって約束してくれたんだぁ」
結衣「まぁ…うん」
京子「そ、そんな…私とは遊びだったのね」
結衣「変な事言うなっての」
ちなつ「…結衣先輩が本当にそう言ったんですね」
ちなつ「……ふふ、あかりちゃんこれから夜道には気を付けてね」
あかり「ひぃぃ!?」
あかり「また…」
京子「へ??今日はね~これを使って遊ぼうかと」
ちなつ「箱が二つ…」
京子「へへ~この箱から選ばれた2人に!」
京子「こっちの箱に書いてある事を成し遂げてしてもらいます!」
結衣「また変な事考えて…」
あかり「でもおもしろそうだねぇ」
京子「まぁまぁ、王様ゲームだと思ってさ」
ちなつ「ふふっ…これで結衣先輩と…」
ちなつ「…私と結衣先輩でお願いしますよ」
京子「そんなプレッシャーかけないでよ!…そりゃっ」
京子「ん~私と、ちなつちゃんが……プッキーゲームだってさ」
ちなつ「えぇぇぇぇ…ちょっと京子先輩!」
京子「えっへへ~」
結衣「いきなりプッキーゲームって、先行き不安だな…」
あかり「ぷっきーげーむ??」
結衣「ん?まぁ見てればだいたい分かるよ」
京子「ふへへ、ちなつちゃんわざと折らないでね」
ちなつ「はぁ・・・せめて結衣先輩が良かったなぁ」
京子「観念しなよ~、次は結衣と出来るかもしれないじゃん」
ちなつ「はいはい…」
ちなつ「早く終わらせて次に行きましょうか」
京子「乗り気じゃないなぁ~ちなつちゃん」
ちなつ「もぉ…やってあげるだけ感謝して下さいよ」
京子「ぶ~」
ちなつ「……」コクン
ポリポリポリポリ
あかり「えぇ!?こ、こんな恥ずかしい事するのプッキーゲームって…」
結衣「み、見てるだけでも結構恥ずかしいね」
ポリポリポリポリ
あかり「あわわ、口と口がくっ付いちゃうよぉ」
結衣「あかりにはまだ早い」スッ
あかり「ひゃあ!?」
あかり「手であかりの目を塞がないで!見えないよぉ結衣ちゃん!!」
あかり「うぅ~あかりも見たいよぉ!!」
チュッ チュー
結衣「うわぁ…すご」
あかり「な、何が起こったの!?」
結衣「見てみてなよあかり…2人とも蕩けてだらしない顔だ、よだれも出してさ」
あかり「見せたいのか見せたくないのかはっきりしてくれるかなぁ、結衣ちゃん!」
京子「ぁ…」
ちなつ「…うぅ、どうして止まらないんですか!!」
京子「ち、ちなつちゃんだって止まらなかったじゃん!」
京子「えへへ、しちゃった…」
ちなつ「もぉー!」
あかり「……あれ?京子ちゃんとちなつちゃん顔真っ赤だね」
ちなつ「な、何言ってるのよあかりちゃん!!」
ちなつ「私が京子先輩相手に顔赤くするわけないじゃない!」
京子「ち、ちなつちゃんってば舌まで入れてくるんだもん…」
結衣「そ、それはすごいな」
ちなつ「なにさらっと誤解されるような事言ってるんです!?」
ちなつ「京子先輩、次変な事言ったら…!」
ちなつ「あかりちゃんのお団子をそぎ取ってカラッと揚げますからね!?」
あかり「んん!?あかりのお団子関係ないよねちなつちゃん!」
ちなつ「私が舌と舌を絡ませるのは結衣先輩だけですからね!」
結衣「え、えぇ!?」
京子「えへへ、さい先いいなぁ…よし次行ってみよう!」
京子「んん~よっと…」
京子「私と、あかりが…愛してるを言い合う」
結衣「さっきから京子ばっかりだな」
ちなつ「そ、そうですねきっとズルしてますよ!」
京子「す、するかぁそんな事!」
京子「んん~なんだ嫌そうな顔だなあかりぃ」
あかり「ううん、嫌なんかじゃ…」
結衣「ちなつちゃん、はいミカン」
ちなつ「えぇ!?そんないいんですか!…あ、あ~ん」
あかり「……」チラッ
結衣「うん?どうしたんだあかり」
あかり「な、何でもないよぉ!…結衣ちゃんのバカ」
結衣「?」
あかり「…ふぅいくよ京子ちゃん」
ちなつ「結衣先輩もミカンどうぞ、あ~ん」
結衣「うんありがと、あーん」
あかり「もぉー!!…京子ちゃん大好き!!」
あかり「結衣ちゃんなんかよりずっと、ずーーーーっと大好き!!!」
京子「おぉう、…なんか照れるな」
結衣「ふーん…」
あかり「ふーんだっ!」
あかり「…うん」
結衣「……」
京子「よしよし、それじゃ次行こうか」
結衣「まだやるのかよ」
京子「もちもち、そいやっさ…」
京子「結衣、あかりが後ろからハグ」
京子「へへへ、だってさ~」
結衣「…ふん」
あかり「ふーんだっ」
あかり「そうだね、は・や・く終わらせようね結衣ちゃん」
結衣「むかっ…ホラこっちおいでよ、寒いからコタツで座りながらだ」
あかり「別にそんな気づかい、いらないよぉ」
結衣「あかりの事なんか別になんとも思ってないけど」
結衣「私が寒いの嫌なだけだから、勘違いするなよ」
あかり「むむむむむっかぁ~!」
京子「ちょっと、私のせいなのかな」
ちなつ「さぁ、どうでしょうね」
ちなつ「とりあえず見守りましょうか」
京子「そうだねぇ」
あかり「結衣ちゃんのイジワル…」グスッ
結衣「イジワルってなんだよ!」
結衣「…あかりは私より京子の方が好きなんだろ?」ギュッ
あかり「そ、それは結衣ちゃんとちなつちゃんが仲良くしてたから…」
結衣「…嫉妬してたんだ?」
あかり「ち、違うもん!ただそれ見てヤキモキして胸が苦しくなっただけだもん…」
結衣「それ嫉妬って言うんだよ」ギュッ
あかり「違うったら違うもん!…あかりは結衣ちゃんなんかに焼きもちやかないよぉ!」
結衣「素直じゃないな…」
結衣「ふーんそっか」
結衣「あかりは私の事なんとも思ってないんだね」
あかり「え、え?」
結衣「もうゆりゆりするの止めようか」
あかり「そ、そんなぁ…!」グスッ
結衣「だってそうでしょ、嫌がってるのに無理強いするのは悪いし」
結衣「…私はあかりの事好きだったのになぁ」
あかり「い、イジワル言わないでぇ結衣ちゃん!…あかり嫌がってなんかないよ!」
結衣「どうだかねぇ」
あかり「うぅぅぅ…」グスッ
あかり「いやだよぉ!あかりは結衣ちゃんとゆりゆりしたいよ!」
結衣「なんで?大好きな京子とすればいいじゃん」
あかり「うぅぅ…あかりが好きなのは結衣ちゃんなの!!」
結衣「……知ってる」ニコッ
結衣「やっと言ってくれた、結構頑固だよねあかりって」
あかり「…知ってて言わせたの!?結衣ちゃんのイジワル、イジワル!!」ポカポカ
結衣「あはは、ゴメンゴメン」
あかり「…もうこんなひどい事しない?」グスッ
結衣「しないよ、だから泣かないで」
あかり「…結衣ちゃんのバカぁ」
結衣「ふふっ…」ナデナデ
京子「……なにこれ」
ちなつ「えへへ京子先輩」
京子「な、なにかなちなつちゃん」
ちなつ「…ちょっと修学旅行のお土産の木刀借りますね」
京子「ちょ、ちょっと落ち着いてちなつちゃん!」
ちなつ「離してください、今の私は誰にも止められませんから」
ちなつ「ふふっ、幼なじみなんて…」
京子「そ、そうだ次のゲームに移るぞ!そりゃっ…」
京子「京子、ちなつが1週間カップルごっこ…」
京子「だってさ!」
ちなつ「……もうこの際京子先輩でいいですよ」
京子「えへへ、この際っていうのが気になるけど」
結あか「イチャイチャ」
ちなつ「……」
ちなつ「とりあえず、今日はもうどこか行きましょ」
ちなつ「このままだとダークサイドに落ちそうなんで」
京子「そ、そうだね…カラオケでも行かない?」
ちなつ「…私今日はノド枯れるまで歌いますから」
京子「よし、今日は私のおごりだ!」
ちなつ「さり気ないところで気が利きますよね、ほんと」
ちなつ「ワリカンでいーですよ、その代わり今日一日付き合ってくださいね」
京子「へへ~もち」
結衣「はいはい、ワガママだなぁあかりは」ギュー
あかり「ぇへへ、あったかいよぉ」
結衣「…あかりの髪いい匂いだね」スンスン
あかり「んぅやだぁ…くすぐったいよ結衣ちゃん」
結衣「……」
結衣「…なぁ、あかり」グスッ
あかり「ゆ、結衣ちゃんどうして泣いてるの?」
あかり「うん…」
結衣「結婚なんて出来ないしさ、ただ一緒にいる事しかできない」
結衣「それに…」
結衣「あかりは可愛いし、ちょっとドジだけど、優しくて家庭的だし…」
結衣「きっと素敵な男の人と幸せになれると思う」
結衣「だ、だから…もう終わりに」
あかり「結衣ちゃん、ちょっとうるさいかな」
結衣「えっ?」
あかり「……んっ…ちゅっ…」
結衣「!?…んぅ…」
結衣「お、お前私の話聞いてたのか!?」
あかり「聞いてたよ?」
結衣「それならどうして…」グスッ
あかり「あかりは結衣ちゃんが大好きだもん」
あかり「クールでかっこよくて、お料理が上手で、ダジャレが好きで、ちょっと寂しがり屋なところも…」
あかり「ぜ~んぶ大好きだよっ」
結衣「わ、私が言いたいのはそういう事じゃないんだよ…」
あかり「…」
あかり「結衣ちゃんと一緒にだったらそれでいいのあかりは…」
あかり「それがあかりにとっての幸せだから」
あかり「ねぇ結衣ちゃん」
あかり「……そこまで真剣に考えててくれてあかり嬉しいよ」
結衣「う、うぅ…うわぁあああああ……」ポロポロ
あかり「ぇへへ、よしよし」
あかり「泣きたいときは胸をかしてあげるよ結衣ちゃん」
あかり「だから一人で抱え込まないで…」
結衣「うん、うん…」
あかり「ぇへへ、あかりだってやる時はやるよぉ」
結衣「あかりの胸…」
あかり「ふふ、暖かったでしょ?」
結衣「小さかったなぁ…」
あかり「もぉーまたそれ!?心配して損したよぉ!!」
結衣「ぷっあははは、ありがとなあかり」
あかり「ふーんだっ」
結衣「また拗ねた…」
あかり「…イジワル言わないなら」
結衣「ふふそれはちょっと無理かな」
あかり「もう!…あかりも結衣ちゃんとずっと一緒がいいな」
結衣「そっか、…女の子どうしだからきっと心無い事を言われるかもしれない」
結衣「でもそんなの私が守ってやるから」
あかり「うん、でもあかりにも結衣ちゃん守らせてほしいな」
結衣「ありがと…あかりこれからもゆりゆりしような」
あかり「ふふっそうだね、結衣ちゃん!」
おしまい!
Entry ⇒ 2011.12.26 | Category ⇒ ゆるゆりSS | Comments (0) | Trackbacks (0)
あかり「安価で放課後を楽しもうかな」
どうしようかな
よし>>5をしよっと!
{/ / ∨-=ミマ \
/ / ヽ ∨i{ /} }}
/ / /| : / i: ∨/ ノリ /⌒)
/イ : / ⌒ト | /| ∧ |: |、__,彡 { ⌒)
|/ . : : :| :/ | l |/ /⌒ト、:/∨:!: |/: : : ハ / ̄ ̄
(⌒ヽ レイ: : : : 〃⌒心八 │ ∨ | :/\| : | : : : : : |
. ヽ ヽ、 -、:|: :|: イ{{. i_ノ:.:ハ \| |/ :|/ 厶L:_:」_:リ
\ `( }八八ハ. 弋いソ __ / ,: : : : : | ゆるゆりはっじまるよー
. / ⌒ヽ ∨ : : :j(//) . ⌒¨¨~ヾ /: : / : リ
〈 ´ ̄) | : { _ (//) : : / : : |
' '⌒) }i| : :丶 「 } ∠/: : / : : : |
'. ノ´ {八 : :∧\ __ノ / : : : / : : : : 人|
} \厶:∨::> _,,,... ´/: :/| 〃丶:∧: :/
/〉 ∧ /{:::|「::::::::::::::::: ∧ // /|/::::::::::\|/
/ / / 〉 八:||:::::::::::::::::/_ /:::::::::::::::::::/>、
きっとみんなも持ってきてるはず!
,. -‐‐-y'ニ二_に
,ィ'ニ'.v ´: : : : : : : : : : : : `ヽ、
{イ: :/: : : :/: : ; : : : : : : : : : : : Yニiヽ
,ゞ/: : : ;イ: /|: : : : : :_:イ: : : : : V: :リ
彡: |: :|: / |/ V、: : :./`ト i: : : : :.iイ
\:!: : / ヽ'´ Vヽ: : : :|:.ヽ,
,|ハ:i `ー ´ 、 j/: : :|: : r''
ノ|:.:゙| l i `ー‐ /: : :/_ル'
'ヘ|.: :! l i ,': : :イ
j:ノ:ヽ、 /) j/:/|
ヽ: :ハ>、 n _. .ィ':,ィ::∧j
,イニ三ニ! } }__/三≧x_j/
| ゙ミ三ニ}〈 }ニニ7' `i
| ゙ミ三!'ヽ_ノ}ニヲ' |
{,r‐=t ∨: : : :/‐" l |
{三ニニ}/: : : :/ {三三}
゙ミニヲ':´: : : :/:| {三三}
/ヽ、:_;/: :| /: : : :/
/ l: : : :l /: : : :∧
うーん、じゃあ>>8ちゃんとやろうかなっ!
,,,,:::::::゙゙゙゙、-‐‐-、::::::::-‐‐-、゙゙゙゙::::::,,,,
,,::"::::::::::::::/ ヽ/ ヽ:::::::::::::"::,,
/::::::::::::::::;;;;l ●|● l;;;;::::::::::::::::\
/:::::::::::: ''" ヽ. ,.-‐-、 ノ "'' ::::::::::::\
/::::::::::/ ー-、,,,_  ̄´l::::::::::::l` ̄ _,,,、-‐ \:::::::::ヽ
i':::::,、-‐-、. `'''‐- `‐-‐' -‐'''´ ,.-‐-、::::::::i,
i'::::/ ──----- | -----── ヽ:::::::i,
i':::::{. -----‐‐‐‐‐ │ ‐‐‐‐‐----- }::::::::i
.|:::::i ヽ., _____,,,,,,,,|,,,,,,,_____ ,ノ i:::::::|
.|::::| `'t‐----‐''''''´ `''''''‐---‐t''´ |::::::i
i::::i i i i:::::i'
.'i:::i i i i::::i'
, -‐‐- 、::i, ヽ. / /::i'
/ ヽi, ヽ /゙゙゙゙゙゙゙"'‐--‐'"゙゙゙゙゙\ / /:i'
{ } ヽ \ / i/ ./'´
ヽ ノ:::::::\ `''‐-、,,,,,,,,,_______,,,,,,,、-‐'´ /
`'''''''''t":::::::::::::::::\,,,,__ __,,,,,/
\::::::::::::::/;,,,,,,,,"""'''''''''''''ゝ‐-、''''''''''''''""",,,,,,,},,,,,,,,____, -‐- 、
\::::::/:::::::::::"""'''''''''''''{===}'''''''''''''"""::::::::::::::::::::/ ヽ
、'''゙゙ ̄ ゙゙̄ヽ./ `ー゙‐" \:::::::::::|:::::::::::{ }
/ ヽ ヽ::::::::|‐‐--ヽ、______ノ
/ |─--、、、,,,,,,,______ |::::::::|
| | | }::::::::l
| | / ./::::::/
ヽ. /ヽ、,,,,________,,,/ /::::::/
\ /ー----------‐‐''´:::::::::/
「こんにちはあかりちゃん!」
わー、ドラえもんだぁ!「さっそくあかりのメノクラゲとゴーストと勝負だよ!」
「ふふふ、僕勝てるかな?」
ドラごとき、コテンパンにしてやってください
「えっ?」
「もしもボックス~!――もしも僕がポケモンの世界に入れたなら」
キュィィイイイイイイン
// //
. / / //
/ / _.. ~'::""::''ヽ、 / /
// /:;r‐、:::::::__:::::::::::\ / /
// /:::ノ ・ _)( ・_`つ、::::::ヽ、 l l
/ /::r(__ ノ´(:;;:)´__ノ〃ヽ:::::::} | |
/:::::ノ二ニ彡 ノ 三彡-、 )::ノ | | うわああああああ
{::::( -_二 -‐'' ̄ )(::/ ノ ノ
ヽ:::ヽ( ,r'' " ''‐-‐′ノl//
ヽ )`― ''′_ .... __ノ//
ゞニニ二 -(/∂-‐//
ドラえもんがあかりのゲームの中に転送されていくよぉ!
いよいよ勝負だね!あかり、負けないよ!
あかりのポケモンは・・・あっ、メノクラゲはもう進化したんだった!
手持ちは
ドククラゲ
ゴース
ゴースト
どうしよっかな・・・ドラえもんは強そうだし・・・
とりあえずゴースで様子を見よっと!
「いけっ!ゴーちゃん!」
. : : : :
. : : : : . . : : . . ;';'; : : : :
. : :;';';: : : : : : : : : : : : : : : : : : .
,イ : :,: --- 、 ;';';.:.: : : : : ;';'; : : : :
. : :/ レ:´::::::::::::::::::;::ヽ . : : : : : : : : :
l l::::::::::::::::::/l:::::::', :.:';';':.: : : :
| |:::::::::::/ l::::::::i : : : : : : .:;';';:
ト'ノ::::レ' , l::::::::l : : : : : : '
lス、::::ヽ、__ ノ:::::ノ : :.:;';';.: : : :
`ヽ==ャ-‐''´: : : : : : : : : :
: :.:;';';:.: : :
,-、 nn
.r-、 _00 /::::'┴'r'
.|::::'´::::r┘ !「`L00、|.l└ク_;厂 /
.|::::「|:::| l| |Ln:::r┘|.l _lニユ、 ./
. ̄└r''"´]_ l| | r゙=゙┐ |└ァ::/ / /
、ヽ、 ,ゞ´_::::| l| |「二:::7 .|.l └′/ / /
. \\`´ |:::|. l| l 〈::/ 、 ! '/
\ ̄ l ,>ィ''ヾト:r:‐、_
. , / ,.-、/ /::\ `‐'^ヾ;<´
/ { ゝイ /.:::::....`丶、.__戈‐
! _ | ::| |::::::::::::::::::::::::::::::;イ:l
/ `ヾl、 l:::(\____:::::::/ l::|
. { ,ム\\:`‐-‐':/ /:/
ヽ;:-ィ'´,.、 `㊦、、 ̄´ /='ィ⌒i
! {. ヾ;| l \ `ヾ='´;: -‐'^'''゛ 「そんなレベルで僕に勝てるわけないじゃないか!」
', '、 \\_,,> ノ::/ } !
ヽ,\ ヾ;、.__,/∠_ ノ/
丶丶、ヽ;:::::::;:ィ´ ゙, /
`'‐-<.___ノ
. -――‐-〃‐ .
.// /⌒ ⌒\\
イ⌒ ヽ/ ' ヽ.ヽミヽ
./ / \ /{ } .ィ ∨ }
、 _/ ./{/{/ヽV ハ/ハ リ ∨
: /γ⌒ヽ ∨γ^ヽ∨ .
|. | iii、_ノ 、._ノii| |
<ハY| N xxx . ―- 、 xxx.{ |
J | / . } | 「ゴーちゃんを馬鹿にしたなぁ!」
| ∧ |. / | ./| }/
「空気砲!」ドン!ドン!ドン!
こうかが ない みたいだ
「なんだって!?22世紀のひみつ道具なのに・・・!」
「あかりのポケモンにはそんな攻撃効かないんだよっ!」
でも・・・あれ、なんでだろ、涙が出てくるよぅ
__
.: : :´ : : : : : : : : :`: : ..、
//  ̄`: : : : ´ ̄`丶 :Yて`ヽ
/⌒: : : :-=‐: : : : : =ミ: : : : :\f :}: :|
.′/ : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : .V::ノ_
弋/: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : :  ̄:<
/./: : : : : 八: : : : : ∧: :/- 、: : : : : :ト、/
: :/: : :/|ィ/ \: :./ ∨ ∨:: : : : :|¨~
:┴i: :{ .|!/____ ` .____V} : i : :|
. | i : Т.「 ̄  ̄| 「 ! : i: : :!
. 人 | | __. | | 丿: :i: : :`
|: ヘ.:>zf^i、__ヽノ_/)ァ:<ノ)ノ) 丿
′ }:::::::{:: . |::::::::|
}::::::::|\/}::::::::}
ト- ' /ヨ 廴.ソ
. 丿 /: :| /、
r′ /: : :| { ∧
└ト、./: :/: |__|_xく
「¨ーr‐t‐t厶.-‐ ´
|`ーi′ ヽ_ノ}
L.Y . V.j
「ゴーちゃん!のろいっ!」
/ 〃__.ヽ / /:::::ゝ ∠::::`丶、 \`ヽ \
. { {{'´ ヽ ソ / \} l\}
. 人 ヽ ∨ / \j ノ
/ `7ー--ァ / / 、 `くヽ、
く 〃 /// / .イ { } \\
`ヽ<、 / {イ イ /:::::|ハ }、,ハ } | ヾ/
|V i { /:::|7ー--::ヘ } 'ー/-- | / }:.レ'´
| !|人 /:::::x=ミ::::::::::ヽハ./::x==j.ハ ハl
j l/| ヽ{:::::{{ }}i:::三三三::{{ }}| / |
/:{: : l | :::::ゝ==:''::::::三三三::ゝ==:''ノィ′ i | 怨念はおんねん・・・!
{ハ: : :、 |:::: ::::{/ ハ|
rヘl\ヽ |:、 ―- 、 ノ /
xヘ::::::::::ヾ\::\ { ソ /}//
/ \::::::::::::::::::::{丶 、`¨ ´_....<jノ/'´ }
| ヽ\:::::::::/⌒ヽ 二二/::::::::::://´ ̄`ヽ
| __\`>'/ V///::::::::/ / l
〉/::::::::::::::::/ | V/::::/ / l
{' ::::::::::::::::: / | 》]´ } ハ n i i }
「うわぁぁあああああああ!頭がっ!頭がっ!」
やったぁ!効いたみたいだよっ!
/
/
` ー
_,.>
r "
ワッ!!! \ _
_ r-''ニl::::/,ニ二 ーー-- __
.,/: :// o l !/ /o l.}: : : : : : :`:ヽ 、
/:,.-ーl { ゙-"ノノl l. ゙ ‐゙ノノ,,,_: : : : : : : : : :ヽ、
__l>ゝ、,,ヽ /;;;;;;;;;;リ゙‐'ー=" _゛ =、: : : : : : : :ヽ、
/ _________`゙ `'-- ヾ_____--⌒ `-: : : : : : : :
...-''"│ ∧ .ヽ. ________ / ____ ---‐‐‐ーー \: : : : :
! / .ヽ ゙,ゝ、 / ________rー''" ̄''ー、 `、: : :
.l./ V `'''ー-、__/__r-‐''"゛  ̄ ̄ \ ゙l: : :
l .,.. -、、 _ ‐''''''''-、 l !: :
| / .| .! `'、 | l: :
l | .l,,ノ | ! !: :
/ '゙‐'''''ヽ、 .,,,.. -''''''''^^'''-、/ l !: :
r―- ..__l___ `´ l / /: :
\ `゙^''''''―- ..______/_/ /: : :
スーッ
こうかが ない みたいだ
「なんだって!?」
「無駄無駄っ!そんな塊は当たらないんだよっ!」
ドラえもんの道具もたいしたことないなっ!
このままゴーちゃんで行っちゃおう!
「ナイトヘッド!ナイトヘッド!ナイトヘッド!」
「ぎゃあああああああああああああああああああ!!」
\ ̄ l ,>ィ''ヾト:r:‐、_
. , / ,.-、/ /::\ `‐'^ヾ;<´
/ { ゝイ /.:::::....`丶、.__戈‐
! _ | ::| |::::::::::::::::::::::::::::::;イ:l
/ `ヾl、 l:::(\____:::::::/ l::|
. { ,ム\\:`‐-‐':/ /:/
ヽ;:-ィ'´,.、 `㊦、、 ̄´ /='ィ⌒i
! {. ヾ;| l \ `ヾ='´;: -‐'^'''゛
', '、 \\_,,> ノ::/ } !
ヽ,\ ヾ;、.__,/∠_ ノ/
丶丶、ヽ;:::::::;:ィ´ ゙, /
`'‐-<.___ノ
「レベル15の威力だって積み重ねれば大ダメージになるんだよっ!」
「ギブアップ!ギブァァアアアップ!!」
> つァ、
/ (/,ニヽ
__ / ⌒` _ノ
〃⌒` / .√´
__ {i /⌒`丶、 /フ__\ .′ /
___/ -= ⌒ミ \{ ト< }/ .′
/ V7 ヽ人ノ_)/ ′
{ (}/ / .| ヽ ヽ 个=ト/ ′.
弋_/ .′j | ! ト⌒,ハ },∨ 7
>' //{ .⌒八 ト、,斗=ミ } Ⅳ 7
{/ { | |ハ ,ニ、\ .{ __ノハi} | .′ /
、 ゙ ̄|_ヘ 人〃r'ハ 弋z.ソ .′ .i } ;′
. \ |ヘ, 弋.ソ , , , //} ,八 ハ
. ヽ. ∧ { ,ハ' ' ' r 丶. 'イ /\\ // }
. //∧,ハヽ` . 丶. ′. イ 7\ \\/ノ
\///\ハト、≧=≪ //} \ ー/
ヽ、_ i |,///// .//// .`У
V}V,'///>y'/// } ノ
} V// {⌒)/´ ヽ /
,' \/// }
.′ /_7
「あかりちゃんのポケモンは強いね。全然僕の攻撃が効かなかったもの」
「えへへ。あかりも頑張って育ててるんだよぉ」
「すごいや。まるで空気見たいだったもんね」
「……」
まあいっか!あかりの勝ちだもんねっ!
勝負は終わったけど、ドラえもんを>>42
1 元の世界に戻す
2 戻さない
「元の世界に戻して」
ウワァァアアアアアアン
「ありがとう、あかりちゃん」
「いえいえ。楽しかったよ、ドラえもん!」ワーイ
「この世界ではきみには勝てないのかもしれないね。きみはすごいよ」
「えっへっへー。そうだと思うよ」
/⌒
ゝ´⌒`´⌒` 丶.、
ィ'⌒>'´ `<⌒ヽ
{{ ∨ ヾ: }}
八/ / / | | | l ヽ ハ八
/ / / 八 | { ∧ l | | 〉
\{ l l /∨ \{ 八{ ノハ | |/
| l N三≧ ≦三 ノ ノ | 「私、ゆるゆり主役の赤座あかりですからっ!」
| :八|{ ''' ''' イ .l
从 ハ _ ノ .l .ノ
\Y^ゝ、. ____ /⌒Y/
|\ Yミ∀彡( ノ\
.| ̄ ̄ |"∧^´| ̄ ̄ | .}!
.| :::: | !::! | :::: |ミノ
| :::: :: | |:::| | ::::: /
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄乂__ノ  ̄ ̄ 乂_ノ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
「ドラえもん・・・また、会えるよね?」
「もちろんだよ!」
\===========,、,、
い い .ぼ 戦 .楽 き |ニニニニ./ ̄ ̄ ̄ \ニミ
つ つ く い し み /ニニニ / \ミ、
ま ま は を. か と <───‐| ま じ l、
で で わ .っ の ヽ───ヽ. た ゃ ノミ、
も も す た l───/ ね. あ ヽ㍉
. : れ , -─‐- 、 ! 。 、 l"´
. : な / ヽ\ /
。 い ! l ー-, , -‐'´ -‐'"´
。 , 、 ! l〇 〃´|‐''"´
、 ,.イ_,,」`ー─‐ ヽ / / .|_, -─
| ー───‐- 、/ | .| {====='´,/ |
|──‐┼─┼ヽ‐┼┤ / , l、 |──--
|. | | ._」 ! ◯ヘ c ノ l .|
| _」 -‐''¨´ /⌒ヽ--‐'`^ `¨''ー 、 _
-‐''¨´ ニ三ゝ__ノ三ニ `''
ニ三三三三ニ
ぐすん、寂しいよぉ…
あかり、なんか人恋しくなっちゃった
夕方だけどまだみんな学校に残ってるよねっ!
よし、>>50ちゃんのとこに行こっと!
「やっほー、みんなー!・・・あれ、ちなつちゃんだけ?」
「あかりちゃんおそーい」
_. . -. . .、__r‐ァ, .-: : ´ ̄`': :-. . .、
, : ´: : : : γ⌒': ´: : : : : : : : : : : : : : : : :` ヽ,r‐-、 _
/ ; :,-――!/´ : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : ヽ },. ':´: : : : :`: . 、
/: :/´:, :-: /; : : . . : : 、: : : ハ^ヾ´ ̄`ー‐-、 ヽ、
:/: ./: ://: : : : : . . . ./. . /: : . . . . . . : : : : : : '; : : ハ }‐-、: : : : `': ハ
|': : ://: :///:/: : : :,: : : : :/: : /:, : : : ,: : : : : : :!: : : : `; : ノ|イ: : ヽ、ミ、. : : : :`!、
/: : // . /: :|:/ : : :∥: : :/:|: : :!/: : : : |、:!: : : : |:, : : : : ',: : :|: : ',: : :`、'、: : : : :ハ
: : : !;': : :': /|/ : ィ: ||: : :/ ';!: : |l : : : : | '、:! : : : |:| : '; : : ',´ノ|: : : '; : : : 、: i: : : : : !
{ : : i}: : : : l/:| : /| | |-‐|‐‐|-: ||V: : : !|、_ヾ__: |:!: : '; : |:!ノ:,': : : : ',: : : :!: !: : l: : :!
ヽ: : !: : : ::i}:└┘ト:!,,ー‐ -、L_」| ハ: : :|| __VL_`ン!: : :|: ;'|': ;': : : : : :!: : : !:ノ: : |: : ;
ヽ: : : : : |: : : /:ハ イこテミミ、  ̄´rテ=テ=ミミァ : |_!: !:ノ: : : : : :|: : : |': : : :! :ノ
'; |: : : :'; : /イ:/:ハ弋_ー'_リ ` トイ_, リ'/: : : !. }ノ: : : : : : :!: : ノ ; : : !'´
ノノ!:!、 : ' ´: l/: !: ! ,, ,, `ー─''/ : :i、: K: : : : : : :!: ! ´: : ノ!:ノ´
"´ ';',`、ヽ : !;/八 ` '' '' /イ: :|:! :|、`、: : : : !:ノ : : ノ/:/
. ヾ、 `!:,、: イ/´ ゝ、 、 , !_ノ '´ ヽ!: : : //: : !´,/'´
` リヽ; ( > _ _, イ´ ´ },、: ∥' !:ノ
` ´ `ー___,,,,,,ィ'| ´ |ヽ、__ -‐'´ヽ: { _ノ' 「結衣せんぱい…独りぼっちにするなんてひどいですぅ」
,寸三三三三ニl /三三ニ=- 、_ `ヾ、
/ ', 寸三ニニニニ!,_ ,-!三三三三三ニ>、
ム. ',. 寸三ニニニニl_,,,,-,,,_!三三ニニニン´:. ヽ
| , 寸三三三ニ!三ニ!三三三三ン´ , |
,イ ', , 寸三三三!ニニ|三ニニニン´ :,' |
{ ',;. 寸三ニニ!三!三ニニン´ ,' l
「結衣先輩がまだ来てないの!もぅ・・・」
「京子ちゃんは?」
「あ?知らない」
そっかぁ、でもちょうどちなつちゃんに会いたかったしいっか!じゃあちなつちゃんと>>57をしようかな!
「えー、にらめっこぉ?子どもっぽーい」
「ええっ!?あかり達まだまだこどもだよぉ!」
「しょうがないなー、することないし、じゃ、あかりちゃんから」
「見ててねー、行くよー!」
γヽ γヽ
( ノ ( ノ
- 、V レ'
( > 二 ヽ― 、
r‐≠ 、 ヽ \ ∫
γ^ヽ У //へV ハ ヘヽ γ^ヽ
| ノ /ィ / \ レV ̄V |リ/ \ ノ
「  ̄ | / | /V u '''  ̄ レ Ⅳ /
{ } へ.V { З ''' リ / / 「ぶーぶー!」
ヽ >r:<レヽ / / ノ
\ /// V≧ > 、.__ . ィ./ /
<// V//{. ノ///ハ//У
X. V//=/// /
/ ヽ/// /
ノ 笊 /
./ 〃 }} /
く{{ 〃/. {{. |
く 》、 〃 / | }} リ
___ __ _
,. :´: : : : : , ‐。、´ ̄: : : : ̄` : :、, -。,-: ´ ̄`: :ヽ、
,≠´: : ;::-r⌒´: : : : : : : : : : : : : : : ヽrト、‐-、: : : : : :ヽ
/: : : :./: : ;>" : : : : : : : : : ハノ : : :ヽ、: : : ヽ
. / : : : : : :/: : : : : :∥: :/:,、: : :,、: : : : : ; l::::. : : : : : : : : ハ
{: : : : ; : : /イ: : : |: ;∥_レハヽ┼ヘ、」_; : :`l:::::. : : . . . . . . :ハ
{: : : :/: : : :::|': :!::||ノ ̄凵'L! ‐┘ L儿;|:: : ;|::::. : : : : : ヽ: : λ
{:Λ:|: : : :.::└-!,」 -r===テ テ===ァ|_|ノ::::::. : : : : : : |:: : ノ
レ V: : : :.:::::::/ハ `-´ `-´ ∧ヽ、:: :、: : : : : |:;ノ
|Λ : ::::::'ヽ、λ "" ' "".ムハ/:::: : } : : : : イ
| ):.:;::::|:;/´>、 _ , ι.ィ ヽ、:::::: :v': : : :ノレ
ムイヽ、(’ `> _  ̄ , イ `Y: ノ :ィ ´ 「正直冷めるわぁー」
χ|.  ̄ |-、 ):人:{
,....::::´〈‐- -‐〉:`::.、 "
ィ、ヽ::::::::::::v===v::::::::::;`,>
イ.',ヽヽ、::::::V ̄V::::::;//.`!
l ', ``ミ=、-∨-,イィ ´ /.}
〉、 ハ `Θ] | イ/ /
l_ヽ_ハ / ̄', |./_ ^l
イ::::::::::::::} /:.:.:.:.:.', イ:::::::::::::}
「ええっ!?あかりはちなつちゃんを笑わせようと・・・」
「はっ、ないない。あかりちゃんは子どもだなぁ」
「鼻で笑ったのをカウントするなら負けでもいいけど、どうする?」
「えー、わたしー、そんなのできないー」
-- 、
. -‐  ̄ ̄ `YY⌒ ̄` _\
, -― T >' (/⌒ \ `ヾ
/⌒.-‐(_/ 7 { ヽ ヽヽ, ',
/ 彡 l \ リ ||`|
. |// /イ / /イ |ハ V八 ヽ //
. l// /〈 イ /__イ'/__/| .斗‐'┴入 _ ハ: // _ ノ
|{! `|_ハ┘、`丶 '´ / / l\)-ミ |:{/ ___ / |_,,
ぃ ヽ| /ノハ. >  ̄:::: |L 」ノ )/>r┬ '´ _ >'
`ヽ | {ーく/|」:::: , ヘ /77 ̄ ̄ l l! | > '´ 「わたしー、かわいい可憐な乙女だしー」キャー
ー'´ヽゝ > 、 __ \ノ イ|/// || l l! 厂´
ぅ<//ハ-彡|// |// ̄
l ' /)、`丶ミV彡' !´
ゝ、ム 〈ツ |
// ヽハ∧ |!ヽ |
l´ . イ ∨ |! ’, !
. \_ ノ /l: /::: : ’, ト、
/ / : :: :: ’, |∧
「ち、ちなつちゃん」
「でもまあ、やってあげないこともないけどぉ」ソワソワ
あれ、やってくれるんだ。ちなつちゃんは優しいなぁ
「私の方が大人だから仕方なく、ね」
「見てなさい!」
,. -:――-
/ `ヽ
// / ●<  ̄`ヽ
. /: :/: : : :|: : : : : : ● ヽ ,ハ
. /: :./:.|: : :|: {: |: : : : : : :|: |: : : : :/:小 ハ : : |
/: :./: /ハ: :|: |: |: |: : | : : !: l: : /: :.:|: : : : : :}: : :|
〃|: :|: :ll|ハ_|:_|爪_|_|_: : |: ハ: : : : :/|、 : : : :|.:.:. |
{ |: :|: :l|:|:|:|:|払斗匕|:|lL/: :/レ=ミ /:,ハ : : : :| : : |
|_」斥|:|:|:|:||レ=ミl:l:|:|:|/: :/ |/ヽ }/ : :|: : : : | : :/
/|{》l:|:|:|:ト==彳!|:| {: : {:.リ んリ: : : :|: : : : : :/
/|:./ ,:::|:|:|:|:|:|:|::/:. ハ: : / _ノ:.:. : :∧ : : : /
{ |/ ゞ:: {:: { '∨ 厂`ヽ:_/ |: : :|:{
!>r__ / |ヽ |: : 从
‘r―― ,.イ l 从:.| `
ヘフ , イ7 | //j:|ゞ
{__x≦三7 | 八
j人ハア′ |
| |{≧ix、「これが大人の笑いってやつよ、あかりちゃん」
,ィiI7 / __,ノ三三ハ
_,x生7 厶-=E三三三三三込
/三三I{_/三三三三三三三三三
´ ̄ ⌒Y⌒ ̄ ̄`
/ /⌒ ⌒\ \
--/ x-- 、
〃{ / / / / \ ヾ ハ
{i ∨ / / / l 八 ヽ ヽ ∨ }
_ゝ / / / /ハ | /} l \ | l ∨ノ_
/ ,′ // l {l l∧ | // ノノ八ハ | | 〈 \
\ { 丨l/⌒ヽ∧ j/l l l /⌒ヽ}ノ } | /
ヽ| {ハ |〈 l l Yl l l l }| ハj l |/
| l Ⅵ 、 l l l l l l l ノノⅣ l |
| l {ハ ^冖'^ ^冖^´ }ハ l |
| l |ハ ハ} l |
|八 八人 「 ̄ | イ 八 八|
\( \> 、 、 _ノ < / )/ 「はうっ!」
\{ハノハ 〕トー‐ セ〔ハノイノノ}/
...:<{ }>:...
..:<:::::::::::::::∧ __ /::::::::::::::::> 、
{ \\::::::::::::::∨::::::::∨::::::::::::// }
__ _ _
_ __ . ´  ̄`丶、, -、/ `丶
´ _>l/ /⌒>'´ ̄ \
/ / ( / ヽイ `ヽ'、
. / / | \ |. ∧
/ .// :| ハ∨ :::ヽ\ ヽ\ |::::... ’
.| /イ ::| ./lレハ |{. ーr‐|-| ∨ヾ::::::::::::.. |
! / / / /|-‐'「|| | リ丶‐┘ l_」-く::::::::::::::::.. ... ヽ /
∨| | :: ヽ、_l |_/  ̄ x ._-‐ュ‐ 入::ヽ、:::::::::::: ::::: い/
. ヽ | ::::.:::::::::入-r=-ミ '´///////.::∨:V、:::::::::::: ::::: ::l |
lト、 ::::::::::/ィ ∧//// , イ :::::|:::::〉 \::::::..::::::::: / ′
\| ::::::/:::L 个n、 ___ _ 「lTl>‐' ´ )::::|:::::::/
l ::| L彡'^ l l | | ∨ }||| l || -ー '^ヽ::{
ノ_ 人,ゝ l | | |ト,、 ` ‐ | `' //l 「やーん、恥ずかしー」クネクネ
', \l ≧T ¨/ 人_ _
. _ヽ Yレク l ///' ⌒ヽ
/∨} l|‐._ | /'/イ |
. l ∨ ハ|-‐-/| ∨ | / |
/ V ,ト | / l ∨ レ'´ |
. /-‐/ l 「X T´ ! ∨―- 、 /
/ニ/ l テ〒 | ∨ミ `〈
ど、どうしよう・・・面白いというより怖かったよぅ、わーん!
「で、どうなの?面白いでしょ?」
「う、うん、あはは、あかりの負けだぁ」
あ、あれ、言わされてるのかな?
にらめっこやってよかったな
ちなつちゃんの笑顔見てるとあかりまで嬉しくなってくるよ
/⌒`
r― y .´  ̄ `ゞ´  ̄ `ゝ -― 、
./ {=/ \リ .|
.| / \ \ 丿
,/ / ./ /i |ヽヽ .ヽ ヽ<
\// ./i //| |/ヽ 、 ! .| \
| | / |/ \/ \ヾiヾ | |,/
| ヽ i x===z x===z | .ノ |
| ,,|,,,,, ,,,,,,|,| .丿
ヽ 、 r.- 、 イ.! /
!,、∧ .ヽ _ヽ .ノ, ノ∧ノ.∨
/、 \/ ノ|
/ヽ、i  ̄ ´ハ i ヽ
./ヽ .ノ .ノ | ノヽ
´.! ̄ ノ .i丶 .`丶
ゝ、__/ | .| .\_ノ
`─,__/!__.|ヘ!__!--`
ヽ__| |__/
.`、! !ノ
そろそろ暗くなってきたなぁ
冬は日が沈むのが早いね
これからどうしようかな
>>93
「どうしたのあかりちゃん?」
「ううん、別に」
どうしたんだろう、この気持ち・・・なんだか変な気分だよぉ
/ i || .ハ .| ヽ | ヽ .i ヾ i | i .ヽ
/ ./ | i( i / 、 | /|´ .ヽ |、 .i 丶 |/ | __ゝ
/ / | /i ハ |丶 | V | | | /_`V ヽ.|.ヽ | |、 リ| , イ´ ̄
. //| |/ | i | |ヽヾゝ | / リ/ _ - - _|/ | .| |ヽ ´ |
// | /| |.| /| |__| 丶| .ヽ.、|、 | ./ - /〃-´,⌒心ヽヽ| i ./ |.ヽ |
|/ | .| | |.| | | |、 |``ヘ.ト-\|ヽ V  ̄ .( {、,、 ) . }}.ヽ | /|/i | .| |、 ヾ.|
! /|、 |.ヽ | .|.ヽ |ヽ| , ゝ=、 ヽ | 、.{::{ .,.又.ヽ,} ノ | /.リ/ | | |.| ヽ|
/ .|ヽ| /、 `、| .ヽ | .ソ〃,⌒,.心、 ヽ! .ヽゝ{、 _丿 i./ /リ i、 .i | | | .| |
| | ヽi| .ヽ ヽi .i、 .| | { {{、,.), -.、〟 ` ´ !イノ | | ||.| .リ | |
| .ゝ/\ヽ |.\ヽ ヽ入{ 又 }} /////// | .| .| ./|/ .| |
"´ ゙ `ゝ | .ヽ人 丶ゞ___,ノ .| | |/ | |.∧.| 「(身体がムズムズして変な感じだよぉ)」
|ヾ゙ ヽ, ` | / | リ リ .∧ !/ .リ
| .ヽi、 | .ゝ////// .| ./| | / / 丶 i/
| ヽ| | 丶 _ , -、 | / | | .ゝ─ヽ . ∨
.| ヽ | |\ ._, .、 ゙ - ´ /ソ | /丿./ ヽ へ 、
| .ヽ、 |, _ .-,^/ ノ.) / |/ | /ゝ/ / \
| i ハ y , ´ ,/ ,/´) -, 、 ._ - .´ ./| | // ./ / ´⌒\
ヽ| .ハ ./ ./ / ., ´ /ヽ/ゝゝ ヽ |/ / / / 丶
|./ヽ/ ,/ ,.´ / ,.´´ ./ ,/ヽ, |ノ ./ /,
リ { ´ / | | / / / / / / ,
.| ./ | | / ´ / ./ /
「向日葵ちゃんの家いこっ!」
「え、今から!?」
「うん!」
なんか・・・我慢できない!
「はーい」ガチャ「どちら様・・・って櫻子ですの」
,,,......................,,_
_..-‐"´ ^''ー.._
.ィ' \,
/, .'' , ..ヽ
./フ / / ,イ ,イ li ヽ l い
./ .i イ / / / | / | ハ l i !
’ リ| f f l\| .f | / |/ l .| | |
,/ l__.| | │ |\| |__' イ__ ∥ |=== l l
,......./ / | | ̄ __,, ̄ ,_,, ̄ 'ー|=== | l\
_....-ァ' i ./ ,r イ iィ≡≡ミ、 ,r==≡ミ | | |\ \
/´ - ,'il !: : :) l" , ノ ノ ノ llヽ )
! 、___,ノ ノ |,ン' 丿: : : : : : : : / i / '-、_''/,/
! `r‐r'~ ,r' ,λ r'  ̄ `ヽ ( ゝ/、 `Y、_ノ
ゝ _......:::/./ ,-ィf ∧( 人_ __ ゝ ノ .入 ゙ヽ, ̄ヽ,l lー´ 「今日も宿題を見せてもらいに来たのだったー」
`'く. ,' ,'~ ゝl ヽ、ゝ、,l|:.:.`.ー┐  ̄´ ノ:`<、,) ノ )ヽ ノ ノ`、
゙ l l、 `ゝ|`~T 、ヽ:.:.:.:.:ト----イ:.:.:.:.:.r'~/、ノ`=彡'ノ /
ゝ_ゝ__, | | i、 ゙llii、:.:|: : : : :/:.:.:.:.:.( (´ ''ヽノ-、 f (
\ , ! ト、ゝl、゙llllllヽ: : :/llllllllllゝゝ- ノ `iゝ_`-'
゙ゝ ヘ. `ゝ`ー≧ ゙llllllllゝ,|llllllllllllllll`i ( / l
ゝ::::::::..lllllllin、 ゙lllllllll|」llllllllllllllllノ人ゝ__, |
゙ヘ::::llllllllllllin、 ゙lllllll||llllllllllllllll'lllll|` |
`|lllllllllllllin、 ゙lllll||llllllllllllllllllllll| / |
〈llllllllllllllin、 ゙lll||lllllllllllllllllllll| / .|
「はあ、まったく櫻子は。少しは自分でやったらどうですの?」
「いいじゃんかよー、けちけちー」
「まあ玄関で話していても仕方ありませんわ、上がりなさいな」
「わーいわーい、じゃまするぜー」
「なんですの?」
「簡単にドア開けちゃうんだなーって。怪しいやつだったらどうすんだよー」
「ま、まあ、確かに。(櫻子の癖にもっともなことを言いますわね…)」
「あっれー、もしかして私がくるの待ってたとかー?ねーねーどうなんだよー」
「なっ!?そ、そんなわけないでしょう!」コノコノ
「い、いたっ!やったなー!!」
-───- _
_/ ノ─ : \ ´ ̄ ̄ ̄`
/: : : : : : : : : /⌒:::_::: ─: : \ / /  ̄\
.: : : : : : : : : : :|:::/ : : : : : : : : : : \ / ヽ
|: : : : : : :′ : : |/: : : : : : : : \: : : : : ヽ / / ./ / /
|.: .: .: : .:| : : : : |: :\.: : : .: : .: :|: : |: : : : / / ./| / / ヽ ‘,
|.: .: .: : .:| : : : : |: : |>、.: : .: : .:|\l: : :| : | / / .メ .| /| | _l | / .|
|.: .: .: : .:| : : : : |: /| \ : :/| x=ミ: :| : |. \/ ム=ミl\| | | iヽ|l || ||
|: : :|: : : | : : : : |: : |x:≠ミ ∨ ノ} { :ハ/. ∨/ ノ:| └x≠ミx_l|ニニ! :|| |′
|: : :|: : : |.: .: : : :\|_ノ::i} 弋},(\:| |T}弋ソ _ノ::::i:} |ニニ! :|| |
ノ.: .:.|: : : : : : : : : : :代ヒノ ` ''''} ヽ l .|{'''' , 弋/⌒'| || |
| : : :l: : : : \: : \: :\'''' . ァ .イ | | 八 ´'ノソ/Y .八 \
.八: : : 、.:\: : :\ : |\: :> └' /) ヽ. | / / ゝ ヽニ) / / Y /|\. \
\: \(: : : : : \} ー _. .イ \_ ヽ、 ./ / . ヘ、_ | } (. |. 〉 〉
\_\ : : .: : )、 /__: :イ ヽ | :\ 〈( (/' . イ( / } ノ イ / ./
/:::/ ̄⌒⌒ ̄`\.: .: :〉 \ / : : : \ \. \|/| イ ./ /八| (
/:::/ / ̄7 ̄`ヽ、.|/: : : . : : : :`ー/ ̄ ̄.: : .:| . イ/ |. 〈.イ::く 八 ‘,
./:::::/ ./::::::/:::::::::::/\\.: .: :/ ̄: : : : : .: : : : : :|. イ ‐/ .ト.. ニ=‐:\ ) 〉
/:::::/ ./::::::/:::::::::::/ : : :  ̄ ̄.: .: : : : .: : : .: : : : .: :| :::|__| /::::::::::/ ̄\/ /
|::::::| /::::::/:::::::::::/: : : : : : : : : : : : : : : : : : : :__/:::::::::::八 |::::::/ ー=ニ. イ
|::::::| __/:::::::::/:::::::::::/: : : : : : : : : : : : : : : : : //⌒Yヽ:::::::::::::::ゝニ=- /|
ノ:::::ノ /⌒ ̄ ̄\_/\_______,/ ̄⌒ | \/ ̄ \| / .|
ピンポーン「あら、誰か来ましたわね」
「あ、あかりだよっ!」
「あと吉川もいまーす」
「あらっ、今行きますわ」ガチャ
\ ___
xヘ_}_/ - 、丶.`丶_
__/ニゝ '¨ ̄` `く-=ヽ\
イー/'´ \ } }
{ ∨ / ヽ ヽンヘ
∨ / } } ヽ ', _.ゝ
〃:| / { { : ハ∧ }| l''´l
_.ゝ| { { ハ∧{ : j / j V| | |: |
/ :::: | ヽ V { ___\{′x:== 、jイ j:|: |
ヽ::::::| \{ 〃⌒` ::::::: | ./:|}リ 「えへへ、来ちゃった」
\:| ! { :::::: '_ . |/: : j/
(´ |ヽ ト 、 V } /j/ィ/j/
\/ヾ >ー-r-‐ '{/:`'く
ヽ | ∧:::::/_ -/::::::::::::;ゝ、
\/ \{::`ン::::::: / |
| (;;)ー ''´/ |
| lニコ / イ
| /:iハ /^'ー---}
l /:::l::∧ {::::::::::::::::{
「どうしたんですの?こんな時間に」
「あかりね、向日葵ちゃんと遊びたくなっちゃった」
「そうでしたの、そういってもらえると嬉しいですわ。どうぞ上がって下さいな」
ドキドキするよぉ・・・!
「あれっ、あかりちゃんとちなつちゃんじゃーん」
「あ、櫻子ちゃん」
「おじゃましまーす」
「へー、物好きだねー、向日葵なんかの家に来るなんて」
//: : : : /彡イ : : : : : : : : : : :-ゞ: : ヽ
/::/: : : :∠<: : : : ; ;| : : : : : : : ::i : : : : : :ヽ
/: : : : : : : : : : : /: : / |: l: : : : : :l::|: : : : : : : ヽ
.; : : : : : :/: : : : /: :/ :l:.:| l:::. : : :.∧:. l: : : : : : !
i : : : : : .l: : :.:|:/|: / ヽ: l: ::::::.: :| ヽ:|: :i : : : l
l : : : : : |: : : | ̄/¬ ._ \卜:::::.:l ,/∨|: :.: :l
l : : : : : |: : : | ___\n, ! 从/__ |/: : !
|:, : | : : |: : : | |:::::::| |::::::| /: : :|: |
レ: : |: : : : : : | ゞ::ソ ゞ:ソ l: : : |: |
/::::: : i ::. : : :::| ,,,, , | : : l :l
i ::::: : : :i : :. : : | '''' |:: : :/ !
l: ::::| : : : : :::. l::| u ノ::: /
| : :lヽ: : : : : :::::i\. ⌒ /::.::/
!: :\\: : : : : : 乂> _ イ |:::/
ヽ : :二ソ: :∨: ::》\ i:: : i ::/シ|/ 「櫻子、そういうこと言うなら追い出しますわよ」
./\::::::..r-く´ \ /ヽi::::.l.::ノ
/  ̄/:::::\ / カ ゞ-く`ヽ
/ |:: :i: : :l / l l l: i: : :| l
「せっかく来た下さったのに」
「ふんっ、なんだよー」
2人は学校から帰ってもいつも通りなんだね
でも、今日はあかり・・・あかり・・・!
「どうしたんですの吉川さん、そんな顔して」
-‐‐ 、  ̄ ̄ ̄ ̄ 、
/ \ / \
/ ─- 、 Y⌒) \ _, -─-
. : ´ V⌒) ヾ⌒) \
/. : ゝ< ∨Y⌒` 、 ヽ
. / / . :/ / } }ヽ V :.
, . :/ / / .:/ .:∧ .:| l:. l \ :.
i . :/ / . :/ / / .:/ } __/_ } .:| |:. | l \ \ }
{. :〃 . :{ / . -‐/ 7 .:/ / ..:ノ lー- _| |:. |:. \ / ヽ ′
∨:. { : :∨\{__{ _,.二.,_ ー 一'′ ノ─ --l`ノ |: / :. /
| i{ ヽ /| . l. \ ィf´.::://}` u ァ‐‐-ミ、 〉─‐ j__/ ヽ. l: . /
|八:. :.. ∧| : l: . ∧乂辷ツ {.::://} ∨\: : / :. j/
⌒ヽ :}i /. :|: l: : . }//// ー‐'′/:l ∨ } } |
} .:八 . :{ / ー┴─ く u ' ////:_:l___} .:. ∧.:/
.厶:イ \( _}: 、 ____ u , '⌒ヽ: : : . /: / }/
__ ノ:::} >/ ---く_,. イ }: : :ノ //
∠-- 、:::::::::::::〈u ' ニ厂:::::-r 、 厶イ人( 「なんかね、あかりちゃん、今日ちょっと変なの」
/ ⌒\\::::::::::∧ | ニ}:::::::::::| }ハ
′ \\:::::::∧ :| u /:::::::::::// !
{ \\::::∧ | :{ :::::::::// |
「変?って、どういうことですの?」
「わかんない・・・けど、なんかね。来る途中も鼻息荒くて」
「はあ・・・?赤座さんが、ねえ。きっと大丈夫でしょう」
「わ、わたしもそこまで大変だとは思ってないけど!でも・・・女として何かを感じるというか・・・」
今日だっておうちに二人でいて・・・羨ましいなぁ
櫻子ちゃんとはよくおしゃべりしするけど、よく考えたらあんまり向日葵ちゃんとは話せてないんだよなぁ
いつも、櫻子ちゃんが傍にいるからね
幼馴染
わたしにも結衣ちゃんと京子ちゃんがいるけどあの2人はいつも一緒・・・それを見てるからかな
割って入りたい
向日葵ちゃんともっと仲良くなりたいよ!
今日は、すごく、すごく向日葵ちゃんに甘えたいよぉ!
,. ´ ̄ ̄`Y´ ̄ ` .
-‐- 、 /: : : : : x-=: : : : : ‐=ミ. : : :\〃⌒ヽ`ヽ
/:. ///:. :/: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : :ヽ\/}:}: : Y
. l:.:. l:.:./:.: / . . . . .: : : : ヽ. : : : : : : : :.:.V//: : :ノ
. 人:. ∨: :/: : :.:.:./: : :./ : : : : : : : ト、: : : : : :\:.∨ く
/: :. :.y′//:./′/l: : : : : : : ハ: :! ヽ..:|: : : : :ヽマ´、: :\
..〈/: : : :./:.:.〃: :./ lX |: : :. :.:.:./ : :! j∧: |: : :.:.l !: : ヽ: :.〉
\/! l: : :{:|:.:./ U .\ハト、: : :/ ! ノ / V: | ト、!:|: : : :lV
└|: : : :∨ ,ィf孑丐ミー j/ ,斗,ィf 丐ミx、 V:.:|:.:.:.|`ー'′
. /|: : : :.lハ {{ {ト、.j::ハ ん..:/ハ }}│:.!:.:.:.|
/ !: : : :抓 弋い.ソ V辷ン '′レv: : :.|
. | |: : :ト.ハ ,,,,,,,,, ' ,,,,,,,,, ∧!: : : :|
レ! ∧!: : :|: ::: .'''''''' ''''''''' /イ: : : :.:ト、
. レ,j∧:.:.:.ト、vヘ , ─‐ 、 u,イ : ||!: : / ト、!
}ヘ.:.:|/::::::::::... . イ/j/ l:.:/j/
人! .、:::::::::::::::`__ _ __<._/ :::..ヘj/
/ \\:::::::::::ハ .x-‐-x /::::::::::::://⌒ヽ
v‐く二)__i. V´  ̄ `〉r‐~<./
l / .{ } i l`ヽV///`Y^i⌒i⌒Y´ │
. 」/ 八 ィ V:(' ' ' ' .ノ |
「もう我慢できない!」
ポヨン
「あ、あああ赤座さん!?」
「ごめんね、ずっと前からしてみたかったの!」モミモミ
,,ィ : : : : :_;,;,;,;,;,;,;,;、,,_: : : : : : : : :、:ヽ
,ィ: : : :.,、nilllllllF''''"~~ ̄ : : : : : : : : ヽ: :ヽ
_ィ: : : : ,il|F'"~: : : : ; : : : : : : : : : : : : : : : ヽ ::ヽ
jl: : : : ,il!' : : : : : : : : : :i: : : : l: : : : : : : : : : : : i: :ヽ
./:,,: : : : : : i: : : : : : : : : : l : : : :iヽ、,;,; : :: : : : : : :i : ヘ
,t'~: : : : : : :,li: : : :i : : : : : :|ヽ、: _i/ゝ: : : : : : : : : l: : ハ
j : : : : : : : :/゙弋 : :l、 : : i : :| ,X:ノ==ii、ゝ、i : : : : : : l : : :l
j: : : : : : : : :i ゙弋i 弋 i`ヽ' /,r-vin、 ヽi:l : : : : : : :i : : :i
!: : : : : : :i;,;|_ ` i i`i i i ` f、,,,d,illll| i |: : : : : : : i: : : :i、
!: : : : : : i: :|  ̄`‐ i i i i i i 乂!!':':.ノ ,'l: : : i: : : i: : : : i
! : : : : : :i i、l ,f"r'~`h、i i i i i i  ̄ ノ |: : : i : : i : : : : |
. !f|; : : : : i:i `|l .l|luul|ヘ i i i i u |:i|: : i: : :i : : : : :i
|i`i: : :i、:i:ヽ弋,弋:.:.:ン 、 i; | : i:i : i : : : : : i
ヽ.l:ゝ:iヽ:i :ヽ`  ̄ ノ i :i: i :i: : : : : : :i
|: l:`: :ヽ: : lヽ , --, ノ; :iノ: : : : : : :ノ「そ、そんなっ・・・んっ」オドオド
l:λ: :i: : : i:`ヘ `"´ ノ' |:l^、: : : : 彡'´
`| 弋 :ヽ: i : : ゝ ,/ i:弋l ; ; ; 〉
ヘ ゙゙ヽ`、i: :,、; : `; : . 、 __ , ィ" ゝ 'i :i: ノ ,,-、_
ヽ `l`: :| ヽ;;: : : 、: : : , : : : / 〉| :)-ー'~ノ
弋: :ゝ ゝ、: :ゝノ : :ノ' | f: : ノ /
ゝ: :`: -': , ; ; :}`~ 丿 ,i:ヘ:ノ/
「ひ・・・向日葵ちゃんっ!ギュってして!お願いっ!」ダキッ
「あ、赤座さん・・・分かりましたわ///」
ギュー
ああ・・・幸せだよぉ///
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へ, .:.:.:.:.|. ヘ .:.:.:.:.:.:`丶.:.:| | .:.:.:.:.:λ | .|.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:..:.:.:.:.:.:.:.:\.:.:.
`--┘ 三_.:.:.:.:.:.:.:.:.:| .| .:.:___Π | | .:.:.:.:.:.:.:.:.::.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:
) __  ̄ ̄ ̄ ^  ̄ ̄ λ| .| .:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:
-´| ニ____..... _____. _ ヘ| | .:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:
ノ ../::::::::::::::::::_==-^ ι ノ | ,|.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:彡 「こうやって大人の階段をのぼっていくのね」キャー
ノ `´`´ ̄ ̄ ̄ / .:.:|.:.|\.:.:.:.:.:.:.:.:.:/
ノ / / / / / ./.:.:.:.:.:.:|.:| \.:.::.:.: /
.\ / / / / / / /|.:.:.:.:|.:|.:.:.:|\/
\ |. | .| .:.:.:|.:|.:.:.| /
` , | | |.:.:.:.:.:.:Y.:.:.:| |
ι .| | .|.:.:.:.:.:.:.:.:.:.γ
`, `=- |.| |.:.:.:.:.:.:.:ナ | /
\ ι .|/ |_.:.:ノ^ > /
丶、 ^ ...,,,,----/| /
「私ももっと積極的に・・・ん?」
「ぐぬぬぬぬー」
「さ、櫻子ちゃん!?」
「べ、べっつにー!」
「な、何か聞こえてきた気がしたんだけど・・・」
‐ - _
´ `
/ .ヽ
, ' ヘ .ヘ
/./ / ヘ .ハ
. / / / l i
'イ / .,、 l..l l
/ハ l / /.ハ / ハ l l l ハl
{ハ .l l l ハ .ハ ./ li、 l、._ Ll ヘ、
ハ l li .Tト廴__,{.ヘi {、、斗匕´L,リlニニ! l l ハ`ヽ
{ト{:.{:.`.r=テ示ミ.` ´ .'''Tテて,),'ニニ! 、 ヽ }
/ :::/.).゙ ゞニソ ゞニノ' .::l ヘ ヽ )
/ .{.〈 ! ` , ` ( .:::::l :) .) 人
人 ハ ` ゝ- .、 ヽ .ゝ:/ ,' .(
ヽ `:..、 .ヽ ‐ ....< ハ ヽ::::; .j 、ミィ 「えー、しーらない」ムッスー
、 )::...:::リ:::::\ `l¨:::::::::: リ .ハl ,' ィ ⌒ヽ
ゝ:::_::::ィ ::::/f./ .l::ヽ ゝ='ィ.) イゝ(_ .ヘ
. /, イ 八 ハ. ゝ=,イ //ゝ乂_ i
. ヘ{ゝl .リ:::::\ l::::ヘ /.八{//// ハ
j l::::::::::::::`:.!、_;:::〉-=////////l./ .l
l ,':::::::::::::::::::::::::;イ=ニ////////'/ ハ
. j/::::::::::::::::::::::::::jマニ///////:j' .ハ
i::::::::::::::::::::::::::::;'/∨/////:::::l ハ
. j::::::::::::::::::::::::::人/////:::::::::::l´三三三三三≧={:::i
. /::::::::::::::::::::::::::j `ーヤ :::l三三三三三三三j::::ヽ
「あ、あはは、なんだかご機嫌斜めだね」
「なんかさー、向日葵が同級生の癖にあかりちゃんにお母さんぶってて生意気ー」フン
「う?うーん、向日葵ちゃあん」スリスリ
「なんだよー!私のこと適当に扱いやがってー!向日葵のだらしないおっぱいが悪いんだー!ばかーばかー!」
「なっ!?」
. : : :⌒ヾー: :'⌒ : : .
. : :´:/::::::::ヽ:/::::::::\: : :\
/: : : ;斗≦三三三三三≧、: : :ヽ
.: : : : : 厶斗-─¬冖¬─-=ミ 、: : : .
/:/: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : :ハ
{/: : : : : : : : : :{: : : : : : : : : : : : :ヽ: : : : : : :
/: : : : :/: : : /:∧: { : : : : : ト、: : : :ハ: : : : : }
,′: : : : : : ‐/L廴: : :、: : : : !_ ヽ}斗: } : }: : ;′
{: { : : : {: : :/ ≫=ミ、: :ト、:V r==≪∨: : : : ′
{:∧: : 小: :{〃トイ刈 ヽ{ ` トイ刈 》}:/: : {
. :{ {:、: : :ヽ{ 乂 ツ 乂 ツ // : : :}!
|! 从: : : :∧ /////// /イ : : ; 八
〉: :、 : : ヽ ′ /: :// ;ハ
. /: :{: :\ : :个: . ´ ` . イ/ィ : :' :/ ): 「人が気にしていることを・・・!」
ミ 、{\ : \ノ : : 〕 -- 〔:/ : ノイ: ;厶イノ
> ミ:_:´-=人 人: : ´: :イ=≦、
/ __r─<` ミ 辷 彡'^弋:_:_;ノ ',
{ r┴=ミ 、 ヽ /: : :} }
、 r‐=ミ、 ∨、厶 -┐イ:Y ヽ ′
. ハY ⌒ヽ V | ′ Y {
′{ 人 レ ´ ̄´ . : : : : } 八
〈 人: : : : : `ヽ '、: : : : : : : : : : : :ノ 〉
「やーいやーい、乳牛ー!」
「ちょっと待ってよ!櫻子ちゃん!」
「櫻子ちゃん!そういうこというのはひどいよ!向日葵ちゃんだって気にしてるんだからさっ!」
いつもいっしょにいるんだから、それぐらい分かってるはずだよね
なのに、そこを気遣ってあげないなんて向日葵ちゃんが可哀想だよ!
今日は、今日は言っておかなきゃ!
「櫻子ちゃんは向日葵ちゃんをいつも自分のもののように好き勝手扱ってるけど・・・でも、でもでも・・・そんなのだめだよ!」
}}
. -――‐-〃‐ .
.// /⌒ ⌒\\
イ⌒ ヽ/ ' ヽ.ヽミヽ
./ / \ /{ } .ィ ∨ }
、 _/ ./{/{/ヽV ハ/ハ リ ∨
: /γ⌒ヽ ∨γ^ヽ∨ .
|. | iii、_ノ 、._ノii| |
<ハY| N xxx . ―- 、 xxx.{ |
J | / . } |
| ∧ |. / | ./| }/ 「向日葵ちゃんは櫻子ちゃんだけのものじゃないんだよっ!」
|ハ ヽ| > 、{ |/ | /
∨Vへ.ィ/>ー‐z:<}/}/}/
「 {{ ̄ ̄ 〈 〈 \
. 、
. ´ ` 、
/ ィ ィ´ ./ .ヽ
, '/イ./ /イ / .ヘ
. /.' .// ,ィヘ /' .ィ/ './ / / }
/' ,' ' / /∨ ///..∥ ./ イ/ ./ l l
. l j / / ./ヘ ' {' } // レ /.ィ´l l
. { / ./ / ,.r=ミミ、 .└、/ ´ /.ィ ´.l , l l
/ / ./ .Y/γ .y:.ヾ~ i,r 彡=ミ、.リl lニニコ
. `∨ .' .l { 心uイ::::} "ィ .y:::.ヾx ,' l
. / ハ .弋:::::::ソ .心uイ:::::} i レ'ニニコ,'
, --ィ ノ/}.//// 弋::::::::ソ 'イ' j
.´ __ イ .人l ////. ' ////´ ./ /
_,,... ィ ハ //// イ /
´,ィ ィ ´ / ,' ヽ. , ‐ ,、 u /´ // / 「なんだよー!」ムゥゥ
. / '´ ./ . ,' .\ ゝ _ ) ヽ ,イ /' //
. ' 、_ ノ、 ,' .{ ` 、 .ィ ハ / .l' /イ
`´ ヘ { .{ / }:::‐ ´ .レ .} / .l {' {
ヾ、 .乂,ィ'.::´:j .l:::ン } .ヽ l
,.r:::::::::´:/:::::::f ' (、 _ 斗' j ヽ 乂
. ,イ::i::::::::/:::::::::::::j.、 ,r´:::::‐-, .....-‐ノ .} }:.、
/::l::l:::/::::斗ヤ´:::::}/:´`i::::::/ /´:;r ´,r .ノ ィ::::
/::::::Y:::´::::::::::::::::::::::::/:::::::::::::l:::弋 {:::/,.:´:{ ,r:::´::::::::::::::
「あかり、大人しくしてられないよ」
「なんで、なんでなんで、今日はそんななの!?」
「だって・・・あかり・・・あかり・・・向日葵ちゃんのこと」
「!? だ、だめー!そういうこと言っちゃだめーっ!」
「馬鹿はどっちですの、櫻子。赤座さんの話はまだ途中だったでしょうに」
「いいんだよー!言わせちゃだめなんだよーっ!」
/:::::::::::彳''て"~~""'''‐.`、:::::::::\
/::::::::::::::::::::::::{::::::::::::::::::::::::::`::ゝ:::::::::ヽ
./:::/:::::::::::/:::::λ::ii::::::::::::::ハ::::::::::::::::::::ヽ:ヽ
/:::/::::::ii:::イ:::::/│::iiii::::i:::i:::ハ::::i:::::::i:::::::::i:ハ
∥〈:::::::iii4:=:/-‐ヘ::iiiii::iii:::i::l`'ヘ:}、::::li:::::::::}::l
.{::::l:::::::iiii.l::/,,..,,,_、 \iiiiiiヘi:リ レ ヽ:ト::::::::::|:::|
イ:::{::i::::iii .yて了ヾ Nヘl yャニエェ、. }:::::::::}リ
│::::i:iii:::iii 廴弋エフ | 弋ノリ .}::::iii::i::l
│i::::iiiiii::ii ト、二zイ 从.二ノノ./::::iii:::i:リ
{iii::::ii::iiヘl ,',',' ' .,., ̄ /:::iiiiii::::/
.〈iiii:::::::::ii '.'.' /イ/iiii::::リ 「また、櫻子はわがままばっかり・・・」
}iiiiii::::::::ヘ -. u /iiiiiiii:/l:|
|:i i:iiiii:ii:::::ii\ イiiii:iii/ハリ
{::ヘ:::iiiiiiiiiii:::iiiiiiト- .____,..-'''iiiiiiiii:::ii:λ} レ
ト::N::::iiiiiii::iiiiiiiリ トiiiiiiiiiiii:::::/丿ノ
`┐::::::/ `丶、 .l`メ、iiiii:iiiイ/
, -'''"´フ:::ヘ ヽ η 〉 レ >、iiii〉
/ │::::::::〉 .ヽ / .ト、`、 //\| {ii::\
ヽ ´ヽ::ソ v `γ ヽ::::::}ヽ
ヽ Y \ |υ \{ }
l x n l ヽ l
「い、いいんだ!私が向日葵に何言ったっていいんだっ!別に誰かに口出しされることじゃないもん!」
「・・・はぁ、赤座さん、吉川さん、櫻子なんて置いてあっちでお菓子でも食べましょう」
「う・・・うぅ・・・」
/// / / .,' | い /
. /' / 〃 ,' , , ! ' ヽ、i' | | r´ な な
/'. ,i / , / f. ィ ' i ,'. ハ ノ __`‐ .| i | │ ん ん
丿 |:./ ,' / /! /| l i. ト |i i ´ ` i / l. i ゝ | で で
|/ / /. |\,' i.λ N .| i { i , ィ´ ' |:. ` | な !?
,' ,'イ. / |. f\v i l | !、 l. i .i ヘl / l√i ,'ニニコ. |:.:.:.、_ .| の
|イ |:.:| λ \|. `ヽー'' ゝ_ゝゝ_{ /`ー┘ ||_fニニコ |:.:.:.:.:.:./` -! !?
|'i .|:.:.i ,':.ヘr-三ニミ 、 、 ` ,,,ィニニニニミヽ |ヽ ヽ/
/|:.:` 、|:.:i. f:.:.:.ヽ‐´ ゙゙゙ヾ ,/''"´ `ーi ´ |:.:ヽ/
./ /:.:/:.:.:.:.:l、 |:.:.:.:.:l /////// ////// | ゙、 !:. / ば .な
! i::∥:.:.:.:.:ノ\|::ノ:::ハ 、 i ! ヽ/ .っ .ん
゙゙''''''‐‐ー┴ ハ:.__./ /' /:人 _,,,,,,,,,,,,,,,,,,、 ヘ ヽ / か .で
| ノ' ノゝ、ヘ. r'/ ヽ 入 \/ な .あ
|. /:.:.:.:.:.:.:.7~> . !' } ,.. イト:::::::ヽ .| .の か
. 役. 私. .|. /´i.:.:.:.:.:.:.:.:/ |:::::::::`::.... ゝ ノ < ! }::::::::| 、_| ! .り
. 目. の. ..|. |:.:.:.ヽ:.:.:.:.:.:f |:::::::::::::::::::::::::`.....- ´ ノ::::::::| \ ? ち
. を 面 | i:.:.:.: :`.:,ノ! ` {:::::::::::::::::::::::::::::::::i /:::::::::ノ | ゃ
. 忘 .倒 | ` 、___ /, ゝ:::::::::::::::::::::::::::::::i , /::::::::::ノ |. ん
. れ を .|_゙=--‐ '´,ノ ゙、::::::::::::::::::::::::::::::i ゝ、 /__ ノ´, ノ| .と
. た 見 /--‐ ´ `、:::::::::::::::::::::::::::i `rー...~ ノ ノ:::|
. の る | /::::, ― 、_ 、 ゛、::::::::::::::::::::::::i /:_ , - ´:::::::|
. か | ノ:/ /'^'lヽ、_ | ゙、:::::::::::::::::::::i`,,,,-,,,,,´::::::::::::::::::::::::::::::::|___
|:::f / ⌒iノ....|. \::::::::::::::::::';';';';';:::::、-r⌒´ `、:::::/
l:::゙、 / ,' ⌒!:::| \::::::::::::::::':';'::::::r'´ 、 ヽ ヽ::
, ´ ` 、
r' ヽ
/ ヽ
f い
l ' : ¦ ハ ヽ
! ''、 | , i | ! | 、 i ヘ
_,ノ !,' / `トl、ノ| .|∧ |i ノ|i l|='l |.| !
. r'~ ィ,' | レ,|ム,トノ |_ノ|_ノムイ´l='l |! 「なんだよなんだよ向日葵ばっかいい顔してさ…グスッ
: _ィ:::| | i |'~ィこミ'` fニミ'`ノ-'ト' 私が悪いみたいじゃんか!もう!もうもう!
ヽ ,´l:::::| | ヽl `ー´ `- ' ,´:::、`、 向日葵は私と一緒にいればいいんだ!
、 ノ ノ ヘノ ハ ヽ.,' ' ' ' 'ノ::`,:::} ヽ, ずっとそうしてきたんだからこれからもそうなんだ!
`ー イ (´ ノ 乂 ノ ノ -' ィ:::l:::::ii:ノ ノ そうじゃなきゃだめなんだもん!嫌なんだもん!」
、_ノ nヽ (__ノ:::ノ f,,_≧ <´ヽ::::|:;ノ (、_,
 ̄´ _) ノ,ヘ:::::::(、 ゝ、_ハ oi` '::::::...ィ iヽ、 r-'
`7f:::::ゞ:::::::::::`ヽ,f´::ヘ、`、__:::::ノノ゙-' }ノ
!::::::::::::::::::、::::::::':::::::::::::::`:..`:::ヽ ニニヽ
|::::::::::::::::::::ヽ:::::::::;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;::::::;;;;;;;ヽ
゙:::::::::::::::::::::::)::;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;}
゙:::::::::::::::''''">;;;;;;;;;'''''´ヽ ̄ー-、;;;ノ
ヘ"~__, - ~ ヽ, ´ ヽ ヘ'
. ノ;;;ヘ、 , ´::`. ハ
`、;;;;;:ヘ、 /l:;:;:;:l:V }
〈:::::::::へ、 , イ:;:;:;l;l:;:;:;l:弋__ノ
ハ::::::::ノ:l:`:´l:.:.:l::;:;:;l:l:;:;:;:l:;:;:;|:|
〈:::::;" :l : : l: : :l: : :l:l ::;:;:;l;:;:;f´
`´j: : l : : l: : :l: : :l l: : :;:;l:;:;:i、
{: : :l: : :l : : l: : :l: l: : : :l:;:;:;:i
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./.: : .: .:/:/:/´ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄\
/.: : .: : : .:|//: : : : : : : : : : : : : : : .:\
./.: : : .: : : .:|/: : : : : : : : : : : : ト、: : . .
. . . : : : : : : ハ.: : : : .: :| \: : |:.:、\
|.: : : .: : : .: : .:|: : : / ',.: :l: : ; `ー ‘,|:.:|
| : : |: .: : : : : :|: : /_,/ハ /|: / xf斥|/: 八
| : : |.: : : : : : :|/xf示斥 |/ |弋_ |∨ハ)
| : : |.: : : : : : :|. /:::弋_ 弋::ノ |.: :|
| : : |.: : : : : : :|.八:::::::ノ 、/i/|: :ハ
| : 八: : : : : .: :\/i/i/ /.:八:|
| : ∧ヽ::: : : : :|⌒ '^ /:|/ ) 「櫻子……」
|: :|. ヽ:\: : : \> ..___. ィ.|.: .:|
. \\__〉 : \: : : \ / :::::::::リ: :/
¨¨フ\.: : .: ̄√ /\__/:/
./:::: (: : ̄\:\ \}|: : : )
「ごめんなさい、赤座さん、吉川さん」
「どうしたの、向日葵ちゃん」
「机の上のお菓子、好きに食べていて下さいな。櫻子のとこへ行ってきますわ」
「向日葵ちゃん・・・でも、でもっ」
「ちょっとだけですから。あの子・・・櫻子は、私がいないとだめなんですの。そして、私も」スッ
そうだよね、いきなりあかりがずかずか入り込むなんてことはできないんだよね
向日葵ちゃんは本当に優しくていい子だし
櫻子ちゃんも、向日葵ちゃんのことが大事で一緒にいたいのがひしひし伝わってくるよぉ
はぁ
寂しいなぁ
:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.;:!:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:|:.:.:.:.:.|:.::.:.:.:.:.:.:.ハ
:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:|:.:.:.:.:./.|:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:i:.:.:.:.:.i:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:',ヽ
:.:.:.:.:.:.:.i!:.:.:;ォ―-' _ !:.:.:.:.:i!:.:.:.:.i!:.:.:.:.,':.:.:.:.:.:.:.::.:.:.:.i!:.ハ
:.:.:.:.:.:.:.:.:.:/ |:.:./ i!:.:.:./|:.:.:.:,':.:.:.:.:.:./.!:.:.:.:.:.:.i!:.:.i!::.:.}
:.:.:.:.:.:.:.|.,.≠ = ミ !:.:/ .|:.:.:.:.:.:.:.:.:; '、 i:.:;':.:.:.:.i!:.:.i!:./
:.:.:.:.:!;'.〃.≠ ´ ヽ !/ |:.:,':.:.:.:/ ト、 |:.:.:.:i!:.:.}/
.:.:.:.:;' i! ,′ ,′ |:;':.:/ |:.ハ:.:.:.:.:.:.:.′
:.:.:.:i!. r ヽ _/ |/ ,≦.、ヽ !; ':.:.:.:.:.:,′
:.:.:.:|. `ー ′ / } .i! 〃:.:.:.:.,'
:.:.:.i! { ノ 〃/:.,':.;:,:',′
:.:.:.| , こつ ´/:.:|:.:.从:/
、:.:.ト、 _ ,..'ノ:.:.:i/:.:./ ぐすん……
. ヽi \ ー` /イ:.:.〃:.:.:./
. \ __ ,... <::/:.:./:.:.:/
 ̄ /:::/::::/ /:.:./;/
「ちなつちゃん・・・!」
-‐ ´ ̄ ̄`
__ / ` <`ヽ
/ __Y⌒7 ヽ く) ゝ
. / ̄ /⌒ハ ∧ ヽ. ハ | ヽ \
/ -八_∧ |/斗― |ハ | ィ Tヽ| ト、 〉 l
. / / | ∨ |イ | L」| L 」 フ=-、} | l/ 、 |
|/ / {ヽ || | レ _ - うハ Yレヘ Y
|.l / | ハ_|ハィ `イ' ⌒` し′{∨.| |
l{| |l ( | l\ ::::::: ′ ::::: | 〉! l!|
|人 /ヾ、 ! _ト ┌‐┐ 「 / リ
| 丶ゝ|/彡'´ ` < 丶 ノ イ /
. }ハ { ≦ノ 、 _ .イミ| | / ねっ?
/ `ー / \ /ヽ、 '´``
/-―- 、 \ ∨ ト、
イ´ \ l_」. | |
. // 、 l | 〉//
. イ \ 八 |/ィ 〉
/ | \{. ヽlイレク
. / |―――┐ 区l |_7
/ l二二二」 7||/
-/ |--――l /l |/ l
. /</___ | |//l / l
/ | | /l/ |
「ほら、一緒にお菓子食べよ?」
「う、うん、ありがとう、ちなつちゃん」
ちなつちゃん、優しいなぁ
本当にありがとう
「え?う、うん」
「女の子はね、涙の数だけ強くなるんだから」
,--、. .-‐: : : ‐-. . .、 _ , _ _
. -:_ ̄-`:,-レ, ´ : : : ヽ、)<´_: : :`: .、
. :,: :´: : : :/イ/: : :,: : :,、: : 、: : :',: : :、 : ヽ、): : :`: : 、:ヽ
. //,: :´: :,: ´// :/:/l: : ィV、: :ヽ、、:'、,: :ヽ、: :、、: :、: : : : : :ハ
|:/: : : /: : :/l: :/|/, 彳__| ヽ ヽ_ゝ┴ー、ヽ: :ハヽ: 、:、: : : : :!
l': : : / : : /: レ/x,>っニニコo lニニニも V」/ヽ: :ヽ', : : :。:'
!: 。:/: : : /: : {/イヽ/// ゚ ' /// ハヽ: : ',: : :||: : : : }
゙: : |: : : /: : Y 'ニユ;´ r-―-ァ ゚oΛ N x ', リ: : : : |
ヽ、: /: : : :Λ  ̄フ 。 ヽ _ ノ イ-レ´: : : :',: : : : :ハ{
!,、: : : ,': :,〉 `ヾx、 _ イ ヽ: ',: : : : ': : : ノ `
しヽ:,、://゙i. ト'ー≧ ‐-.<| -' ` -、: : :,、: {
)ノ// | |',::::::\ ト、 )ノ ヾ 「私も、負けないもん」
/( ,l !',::::::::::\-__V::`ヽ
/::/ , -| lヽ:::::::。::\`l:::::::小、
'‐--ゝ/:::/| ! ヽ、:::::::::::ヽ!:::::::::〉',
イ:/:::! ', ` - _::::::`゚/ } .',
Y:::(| l `(X)] |_,,ゝ
ヽ‐', / | | .|:::::::`、
|` -'´ || |::/ヽ
| | | |、 ヽ
{ | | .|.ヽ ヽ、
/', ,'.|', | ト, \ \
,' , , | , ト、 | ! \ ` 、
,' , , | , ', ! !ハ、 ヽ、
,' ' | , ', ヽ `- _ \
「えへへ、よく分かんないけどちなつちゃんも頑張ってるんだね」
「やっぱり積極的にガンガンいかないとだめね!うん!ガンガン!」
ちなつちゃんもこう言ってくれてるし、元気出さなきゃね
: ; .: /\ .ヾ/ : / i | .ヽ
\ ; l ヽ: : / ./ .l , l .l .l
ヽ、 , ! / / : / ハ .l. /、 l ハ i : i .ハ | .|
.ゝ´ , .:: / / l l / 、 i l / ; .l::リ ; .l:: l ||
| l .|:: ; / , l / ,ヽ.l リ l l l::: ; l:: ; :l .ノ|
.|,' .;l l:: ;//┼─┼:- ´ ヾ l l  ̄ .++-l:: l :::: : ;./.リ
./ ; l , i l::; l/'__リ_、 .l., /.|./__ リ l.:; ;: : ; ./ !
,' ; : ./: | l イ 心 : : マ ソ r .): :マ ̄ゞ / /
l ハ ハ .: ; : | .l 、 弋: :- / .匕 - : ノ ´ / /´
|l 、 l: ; l | : ; l 从  ̄ ̄  ̄ ̄./ : ".;´|
リヽ l: ;、 .| | ; ; : | ヾ (//) , (//), / l
ヽ.ハ ソ l |.ヽ lヽ ./: : : l
リ ヽ: ; 、| ;ヽ, l ` 、 _ ノ : : ; ハ.l
ヽ | ソゝ .∧ .l ` 、 ., イ | ./i : ; /.リ
.,/.三三ヽ..ヽ`、 ` ゝ -, - ´ .ハ/ |/ l ./ 「はぁ」
. /三三三 :ヽ、 ` /v三` !/ ソ
/三三三三三 \ V三三三` 、
やっぱり、あかりは入る余地がないのかなぁ
「あかりちゃん!」
なんだろう、櫻子ちゃんの後ろで向日葵ちゃんがもじもじしてる
「向日葵のおっぱい、半分こしよ!」 -
. ´ `
´ `
/ ィ , / .\
/ ./. ,' .ヘ
/ / / ,l .l .{ .l .l .ヘ
. イ / l ,'l .ハ l、 .l ハ
イ ./廴 ./ .l l ヘ .j、 l.ヘ ,レ ', ',
. /.l ∥. ,','. リ { ト 、l l 从廴レ リ´ lヘ ', ',
/ l l.i x,r==ミ、ゝ ┘ 彡==、x.lニニコ,' .', i
} ll lリ 〃ィ ,):ヽ` ´ィ ,):ヽヘYニニ! .lリ
イ ハ .lハ. !{ l::`:.イ:::::i i::`:.イ:::::j }.!j / l
,ィ .', { .ヽ{ ミ .乂 ニ ノ .乂.c_っ' ハ/ ', 廴__
. l ..::乂ゝ 从 ///// ' ///// / :. ',:.... `Y
. j .::::ィ ..::ノ ヘ .i :::. ヘ::::::::.. .l
.( ィ ィ´,:::: ..:::イ:::`...ゝ ` - ´ λ ::.ヽ ヽ:::::::. l
. ゞニ.,´ / l:::::::::´::::::::_:::::ヽ イ:::ヽ :::::::Y、 > 、 ゝ- ')
. ,イ ', ゝ::::::;:ィ:´:::`. 、:>...... ....≦::::::::::::::::::Y l:::ヽ ヽ‐ ´
,' ,r‐‐乂 ヽ:::::::::::`ヽ::}::::::::::¨斗―┴ 、::::::::::::::j リ/ ノ
. 乂( `.>、 Y::::::::::::` <、、_::::::: ヽ‐‐:ノ , ィ´ .イ
` .イ:::)ノ::::::::::::ヽ:::::```:::::: ヘ`´:Y ...,.<',
/:::::::: x―x:::::::::`ヽ:::::::::::::ハ::::l r:´/ i 「ふふん!」
Yイ//::::::/: /:,rヽ::::::::::`ゝ、.,__::::::::.';:ゝ.乂_ ノ !
. Y∥:::://::.l:/:::::::::`:.、:::::::::::::斗<⌒ヽ.i::::イ`¨¨´ `i
「私ももう中学生で大人だから、半分こならいいよ!」
「ほ、ほんと?いいの?」
「いい!私が許す!」
「さ、櫻子ったら」モジモジ
「そ、そうなんで・・・しょうか」
「そーだそーだ!半分こさせないならおっぱい禁止ー!」
「きゃっ!?」
_ ___ -―――-
/:.:.:/:.:.ィュ:.ヾ⌒ヽ / ヽ
/:.:.:.:.:.:.:.:.:´¨¨¨¨¨¨`ヾ、 / '.
/:.:.:.:.:.:.:.:.:/:.:.:.:.イ:.:.:.:.:l:.:.ハ /| j__jヾキ l
/:.:.:.:.:l:.:.:.:.:|:./|/ |::.:.:.:/:.:.:.:.', ‘‐ '. //! | l 、.!- 、
|:.:.:.:.:.|:.:.:.:.:|',,_\ゝ;;:斗/:.:.N ) ゝ '! : : ! l: . '.:_:_ゝニヽ
/ィ::...::::ト;:.:.:.リ ̄` ´=/::jノ ヽ,.へ! : : : :〉 、: : : : `ヽ: :├ノ
. 《_j::::Y::::ハ:.:/ ,....._ ' ,:'::「 '.ー|j!: : : :ヽァ'⌒ヽ l_: ヽ)
>ゞ::y:ノヽリヽ ー‐',. イ:.j` `ニい: : : :/! \,ノ´′
/: : `¨´い:  ̄ゞ´;ノ jノ _,,..f¨¨´ (ハ: : ( l :、 \
/: : : : : : ! : : 、:-<fレ、) __,,.. -=≦////ハ´ `¨{ l \ /、
/、!: : : : :.,' : : : :ヽ: ヽ `y'´////////////ニ -‐ゝ-―― 、i | \,イ.///\
. / : |: : : : : 〉: : : : : }/__.. ゝ////ニ-‐ ¨´ ヽ! `У//j\__
. /: : :'. : : : : { : : : .:ノ;ノ‐┬‐ ´,.三} 丶..,_ //// ゝ
. ,: : : : :! : :--j-‐_'"三三ニl―‐¨‐’ \’ //// 〉
j : : : : '. : : : : : : : : : : ≧ュ‐ ´ ̄ ミ ヽ:, //// / ヽ
,′: : ::::::ゝ.___: : : : : j__ ミ //// / ///ハ
/ : : : : : : : : : : /  ̄ ̄ ` 彡 ̄ `ーr、' ̄ ̄///////ツ
. /: :ヽ: : :_: : -‐:/ ー ´ ̄ \/////////
7 、.;_;_;_;_;_;_;./ \/////イ
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l┃l ┃/ \lノ
(
´ ̄ ̄`\  ̄ ̄ ̄` 、
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`V / /⌒ ⌒ヽ \∨´⌒ヽ `ヽ
〃⌒У 〈 } } } l
ハ / / \ / ノノ |
∨ ∨ /-=彡 ノ
i / / / ヽ ∨--r-<、
/ / / } |、 ∨ ∧ \
/ / / i | ハ | ヽ l V ∧ /
. / 厶 7T l | / 「 丁ハ | ∨ }/
∧ ハ / 八 { |/ } ノ } | | |/
{/ ∧ j V \(\|( ノ/ ノⅥ ∧} |
{ ∧ { r≡≡ミ 彡≡≡x |∧ i |
il \_V / } i| | 「うん!」
i| ∧: : : : , : : : : 厶イハ i| |
i{ / ∧ 、 , / ∧} i l |
ノ八__(_(ハ\ ` ´ /)_ノ ノ_ノ八ノ
「向日葵ちゃん、失礼します」モニュ
「あ、いえ、こちらこそ///」
柔らかいなぁ///
「へへへー、みんな仲良し仲良し。私は大人だなー」
えへへ、やっぱり櫻子ちゃんには敵わないや
「あ、ちなつちゃんも半分こするー?向日葵のおっぱい」
「え!?いい!いい!私は!っていうかどうやって半分こするの!?」
__ _. '´ ` <‐〈
´ く_> 、 ヽ) `丶
/ '´ ̄ `ヽ) ∨ \
/ ヽ | | ∨ い \
/ ∨ l| ハ ハ |'_lL.」 l ト
|/ l /| _ 斗‐| | | 「 l| l |∨ | 」
. / | ィ「_/..、|/|_ ノ x壬く, } レ´
l | | | / フチニミ ´ 勹 lリル┘ 「まったくもう」
| ハ | l / l‐l/ 廴ノ l ト ノ ハヽ
l{ ∨.| // / \ 弋_ーノ `´::{ | ハ
l ハ. / / 「` ::::::::: ′ ノ_レ┘ >
l| ∨ ィL _ | ,_、 / l /> ´
ヽ. 彡 > 、 ィ 丿入|′
} 」. l´ / |ノ ` ー</ \  ̄ `ヽ
‐' ´ ヽゝ く { / \
「あかりちゃん、よかったね」
「え?・・・う、うん!」
「あーあー、私も結衣先輩と仲良くしたいなー」
今日はみんなといつも以上に向かい合えた気がするなぁ
向日葵ちゃんと櫻子ちゃんの仲は固いけど、少しずつならあかりも入っていけるよね
結衣ちゃんと京子ちゃんの間にも、きっと
ちなつちゃんは傍にいると優しく声をかけてくれたりする
部活も同じだし、これからもっともっと仲良くなれるよね
// ̄,ヽ´ \ \ /ゝ⌒`\
{ ヾ/ ヽ // .l .ヽ
ヽ/ i .ヽ{ ヾー.| |
/ ,.l , , 、 ヽヽ、 ノ ノゞヽ、
-=彡, , /| , , ./i .ハ | | .` i ´ .ミ
リ{ , ハ i | | ./ 丿 | .ノ ヽ i | .| | , , i/
ヽ.! .| リ ㍉ .|/ 〃 ヽ!、 ,' , | | _ ゾ
ヾ, | ヽ | イ,二ヽヾ|/ ./ , | | }
./゙´ヽ r==ミ ゙ 、{: 乂: }} /,' .l i | , .`、
i , i ,,,, 辷 :ノ ." ; : | i .|
| | 、 ' ,,,,, ./ ; ./ / | リ
リ.、, 人 r─ .、 ./ / ,ソ, ,ソ"リ
゙ ヾリ /丶、 ヽ_ .ノ , イ / !、"!ノ
i |:::::::::::;r´.)- ´ ノ//:::::::ヽ、
| .ヽ:;/., ,-、 ./:::::::::::::::::::`ヽ、
.ゝ / -´-┤ , ':::::::::::::::::::::::::::::::::::ヽ、
{ ./ `--i . /::::::::::::::::::::::::::::::::::/´ヾ
今日はいい日だったなぁ
色々と成長して大人になれた気がするよぉ
そういえばドラえもんにも会えたしね!
また放課後を違った形で過ごしてみたいなぁ
彡ィ / / / _. -}- |、 ヽ |∨ノ/ノ
/'|| { ∧- : | |: ハ ト、 | | ':ー '⌒ヽ、
、|| |∧'´| ヽ { | :j | / V ヽ |:. || Vハ ヽゝ
ヽ | j : | ヽ! \ |: / j/.ィチ丁ミjハ: ト:l | :, }リ
: :|| | ィチ丁ミヽ \{ヽ/ 〃 ノ ハ: }||l | イ}/
ヽ | |/:/、ノ ハ うーイ }' | j |
| ヽ:{\:ト { うーイ 乂(ノン j/ |
`Tl \ヾ 乂(ノン l''「 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
|:| {:ハ ::::::: ' | |
|ハ { {: `∧ , | |
| ヽ \: : ヽ `¨ ´ | |
| |、: :\ `: : : : > ,| | ┼ヽ | ニ|ニ / l
| | \:} : ヽ: : i ト、: jxィi` _. 彡 " ̄\ d⌒) 、_,ノ .cト、 レ ノ
ヽ:| ノノV\:トj /::/ハ / ー‐= 、 ヽ
_. ''´:::::::{' } / `¨¨ヽ }ー‐'
/´::::::::::::::::::ヽ / ‐┐ }、_)
長時間ありがとうございました
乙
乙乙
Entry ⇒ 2011.12.26 | Category ⇒ ゆるゆりSS | Comments (0) | Trackbacks (0)
和「あら、貴女確か……」 梓「あ、唯先輩の友達の……」
http://engawa.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1324887844/
梓「あ……は、はい、そうです」
和「貴女も今帰り?」
梓「はい……えーと」
和「真鍋和よ、中野さん」
梓「す、すいません真鍋先輩。何度も部室来てるのに名前覚えてなくて……」
和「まあ、お互いちゃんと自己紹介したこともなかったしね。気にしなくていいわよ」
梓「は、はい」
和「こうやって二人でいるのは初めてね」
梓「そうですね」
和(……下駄箱で会ったから一緒に帰ろうって誘ってはみたものの、)
梓(……な、なにを話せばいいんだろう)
梓「そ、そういえば真鍋先輩」
和「?」
梓「唯先輩とは、いつからお友達なんですか?」
和「うーん……そうねぇ、元々家が近かったし、幼稚園の頃から一緒にいたっけ」
梓「へぇ……」
和「そうね。羨ましい?」
梓「……へっ、えっ?」
和「?」
梓「い、いえ別にそこまでは……」
和「あら、そうなの?……いつも唯にくっついているからそうかなって」
梓「あ、あれは唯先輩がくっついてきてるだけで……」
和「あら」
梓(こ、このひと、大人っぽく見えてしっかりしてそうだけど……もしかして、天然?)
梓「はい?」
和「梓、って呼んでもいい?」
梓「へっ?」
和「考えてみたら、確かに話したことはないけどお互い知らない仲ってわけでもないんだし……。これを機に、ってことで」
梓「べ、べつに構いませんが……」
梓(いきなりだなぁ……)
和「ふふ、そう。……じゃあ、梓」
梓「はいっ!」どきん
梓(なんか緊張する……)どきどき
梓「あ、は、はい……和先輩……」
和「うん。改めてよろしくね」
梓「はい、よろしくです」
和「じゃ、私帰り道こっちだから」
梓「あ、はい」
和「じゃあね、梓」
梓「さよならです、和先輩」
和「そうだ」
唯「?」
和「昨日、梓と帰ったのよ」
唯「~~~~~っ?!」がたっ
和「 ……どうしたのよ」
唯「……の、のどかちゃんが」
和「?」
唯「……和ちゃんがあずにゃんのこと“梓”って言ったぁぁぁー!!」
和「え……い、いや確かに言ったけど」
唯「和ちゃん!!あずにゃんになにしたの!!わたしのあずにゃんに!!」ふんすふんす
和「な、なにもしてないわよ……」
唯「ぐすっ、和ちゃんにあずにゃんとられたぁ~……」ぐす
和「とってません」
和(飽きたのね)
和「うん、そう。そこで気づいたんどけど……私、あのこと二人でじっくり話すのは初めてだったのよね」
唯「およ、そうなんだ?」
和「私が部室行ったときとか、ライブのときの舞台袖とか……顔合わせるだけなら何度も会ってるのに、なんだか不思議な気分だったわ」
唯「へへぇ~いいこだよ~あずにゃんは~」
和「ふふ、でしょうね」
澪「へぇ、昨日は和と一緒だったんだ」
梓「はい、そうなんです」
律「へー、なんか珍しい組み合わせだな、その二人」
紬「どうだった、梓ちゃん?」
梓「どう、って……いいひとでしたよ、真鍋せんぱ……和先輩」
律「おっ?なんだーしっかり仲良しになってんじゃん」
梓「和先輩がそう呼べって言ったんですよ」
澪「しっかり者同士で、梓とは気が合うかもな」
紬「そうねぇ」
唯「やっほー」
律「お、来たな」
唯「今日はお客さんもいるよ~」
澪「?」
和「どうも」
梓「あ、和先輩」
律「およ、和じゃん。どしたー?」
紬「りっちゃん、またなにか提出し忘れてる?」
律「んー?なんかあったよーな……べつになかったよーな……」
和「ああ、違うのよ。べつにそういうので来たんじゃなくて」
梓「?」
律「おー、了解」
澪「それくらいなら唯に伝言頼めばよかったんじゃないか?」
和「……覚えてると思う?」
唯「ほぇ」ぽけ
澪「まあ、それは……」
和「とりあえずそれを伝えにきただけだから。じゃあ生徒会に戻るわね」
梓「あ……!」
和「?」くる
梓「あ……え、えーと……」
和「どうかしたの、梓?」
梓「……お、お茶!していきませんか?」
和「……え」
律「そだなー。ちょっとくらいゆっくりしてけよ」
澪「まあな。たまにはいいんじゃないか」
唯「ムギちゃんのお茶はねぇ、おいしんぼなんだよ~」
ムギ「お茶はいったわよ~」
和「……そう。それじゃ、少しだけ」
梓「……」にこ
和「うん」
唯「あずにゃんたいじょぶ?へんなことされてない?」
紬「えっ」きらきら
和「してません」
梓「されてません……」
律「だいたいへんなことってなんだよ……」
唯「だきついたりとか」
律「それは普段のお前だァー!」
唯「えへへぇ」
梓「照れるところじゃないでしょう……」
唯「そこはねぇ、うちのムギちゃんとかあずにゃんが、頑張ってくれてますから」ふんす
澪「唯が威張ってどうする……」
律「まあ、私らだけだとゴミ出しとかけっこう忘れがちになるからなー。梓には感謝してるよ」
和「そう。偉いのね、梓」
梓「いっ、いやそんなっ!そんな……でもないです……」
唯「照れてるねぇー」
梓「……」ぷぅ
和「ふふ、唯のお気に入りってのもわかるわ」
澪「ああ、またな」
和「律、活動自粛日は来週の木曜日だからね、忘れないでよ」
律「わぁーってるって」
和「お茶とお菓子もごちそうさま。じゃあ、また明日ね」
紬「おそまつさまでした」
唯「和ちゃんまたね~」
梓「……」
ドア「ガチャ」
梓(……明日、か。先輩がたは、クラスも一緒だし明日も会えるんだろうけど)
梓「……はっ」
梓(……なに考えてるんだろう、私?)
唯「あずにゃん?どしたの」
梓「い、いえ、なんでも」
律「和が行っちゃって寂しいのかー?」
梓「……ち、ちがいますっ!もぉ!」
梓「はあ、帰りは一人かぁ。先輩達は部室に残って勉強だし……」
梓「……うぅ、寒くなってきたなあ。そろそろマフラー要るかも……、って、あれ」
和「練習お疲れ様、梓」
梓「和……せんぱい……」
和「なんとなくなんだけどね、ここで待ってれば梓が来るかなって思って待ってたんだけど……当たりみたいね」
梓「……あ、え……えっと……」
和「橋の上って水辺だし、より一層寒いじゃない?ほら、帰りましょう」
梓「……はい……」
梓「そうですね」
梓(……会えた)
梓「和先輩、勉強は?」
和「私は家でやったほうがはかどるから、帰ってからやろうかなって」
梓「そうですか 」
梓(“明日”じゃなくて、今日のうちにまた会えた……)
梓「……へへっ」にこ
和「?どうしたの?」
梓「いえ、なんでも」
和「うん、そう」
梓「それじゃ、さよならです。勉強頑張ってくださいね」
和「ありがとう、梓。……また、明日ね」
梓「……はい、また、また明日!」
和「ふふ。それじゃあね」
おわり
今日は和ちゃんの誕生日ということですがかるーくさくっとしたおはなしにしたいなあということでここらで終わっときましょう
そのうちまたなんかかきまーす
それでは
もうちょっと続けてほしかった
これはいい
Entry ⇒ 2011.12.26 | Category ⇒ けいおん!SS | Comments (0) | Trackbacks (0)
セイバー「士郎、クリスマスの予定は?」士郎「ないよ」
http://engawa.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1324790530/
士郎「バイトもないなぁ」
セイバー「そうですか」
士郎「うん」
セイバー「……」
士郎「あ、お茶淹れようか?」
セイバー「士郎」
士郎「ん?」
セイバー「クリスマスは意中の相手と一緒に過ごすのがこの国の倣わしと聞き及んでいますが」
士郎「うん」
セイバー「凛か桜のところに行ったほうがいいのでは?」
士郎「なんでさ?」
士郎「お茶は?」
セイバー「頂きます」
士郎「うん」
セイバー「……」
セイバー(士郎、何を考えているのでしょう)
セイバー(凛や桜による報復が怖くないのでしょうか?)
セイバー「……」
士郎「ふんふふーん」
セイバー(士郎が傷つくところなど見たくない)
セイバー(ここは一つ、私が手助けをしましょう)
セイバー(全く、士郎は鈍感なのですから)
士郎「んー?」
セイバー「少し席を外します」
士郎「ああ」
セイバー「……」トテトテ
セイバー(まずは凛に連絡を……)
セイバー「……」
セイバー(しまった)
セイバー(遠坂邸の電話番号、知りません)
セイバー「……」
セイバー「士郎」
士郎「んー?」
セイバー「少し出てきます」
士郎「え、じゃあ俺もいくよ」
セイバー「え……」
セイバー「えと……」
士郎「……?」
セイバー「いや、その……士郎のためにですね……」
士郎「俺の……?」
セイバー(いや、シロウのことです。私の気遣いに感づけば、恐らく―――)
士郎『気にしなくていいよ。それより、夜ご飯は何にする?』
セイバー(と、言ってくるに違いありません)
士郎「セイバー?」
セイバー「すいません。散歩です」
士郎「一人で?」
セイバー「はい」
士郎「そう……わかった。いってらっしゃい」
セイバー「はい」
セイバー「……」ピンポーン
凛「はーい。あら、セイバーじゃない。どうしたの?」
セイバー「凛こそどうしてここにいるのですか!!」
凛「へ?」
セイバー「今日はクリスマスですよ!!」
凛「そうね」
セイバー「なら、シロウの傍にいてあげるべきです」
凛「え?いいの?」
セイバー「構いませんが」
凛「うーん……」
セイバー「凛?」
凛「私なりに気を遣ってたんだけど……」
セイバー「は?」
セイバー「よろしくおねがいします」
凛「セイバーはその間、どうするの?」
セイバー「そうですね。お二人の時間を邪魔するわけにも参りませんので、少し遠出をしようかと」
凛「そう……」
セイバー「では」
凛「セイバー?」
セイバー「はい?」
凛「士郎は何も言わなかった?」
セイバー「いえ、特には」
凛「……あの馬鹿」
セイバー「どうかしましたか?」
凛「ううん。なんでもない」
セイバー「それでは」
凛「……」
セイバー「いいことをするとやはり気分がいいですね」
セイバー「……」トテトテ
ライダー「セイバー?」
セイバー「おや」
ライダー「何故、このような日に一人でいるんですか?」
セイバー「このような日だからこそです」
ライダー「……」
セイバー「シロウと凛の貴重な時間に水を差すわけにもいかないでしょう」
ライダー「いや……」
セイバー「ライダーも案外、鈍いところがあるのですね」
ライダー「本気で言っているのですか?」
セイバー「どういう意味ですか?」
ライダー「……」
セイバー「……?」
セイバー「気のせいですか?どこか侮蔑を感じます」
ライダー「そう聞こえてしまったのなら謝ります」
セイバー「ライダー、苛立っているのですか?」
ライダー「別に……貴女の愚鈍さにはもう慣れたと思っていましたが、まさかここまでとは」
セイバー「は?」
ライダー「まぁいいでしょう」
セイバー「ライダー?」
ライダー「これを」
セイバー「これは!?」
ライダー「先ほどそこで購入しました」
セイバー「うんうん……」モグモグ
ライダー「肉まん、美味しいですか?」
セイバー「はい。でも、どうして?」
ライダー「いや……何故か同情してしまいまして」
ライダー「では、わたしはこれで」
セイバー「そうだ。桜にも伝えてください」
ライダー「……」ピクッ
セイバー「できれば、桜にもシロウの傍にいて欲しいのです」
ライダー「何故です?」
セイバー「シロウも凛と桜が両隣にいるほうがきっと嬉しいはずです」
ライダー「……」
セイバー「それでは」
ライダー「まちなさい」
セイバー「なんでしょう?肉まんのお礼は後日―――」
ライダー「そこに貴女はいなくていいのですか?」
セイバー「私はシロウの恋人ではない。聖夜に居場所などありません」
ライダー「……」
セイバー「失礼します」
セイバー「……とはいえ、行くあてもないのですが……」
カレン「これは、これは」
セイバー「シスター」
カレン「この寒空の下、身を寄せ合う者もいないのですか?」
セイバー「はい。生憎と」
カレン「それにしては不幸そうな顔をしていませんね」
セイバー「特に嘆くようなことでもないですから」
カレン「ほぉ……」
セイバー「貴女は?」
カレン「教会は大忙しです。神に縋ろうとするものが後を絶たない昨今ですからね」
セイバー「でしょうね」
カレン「人の不幸は蜜の味といいますが、蜜もなめすぎると体を悪くしますね」
セイバー「ふふ。確かに」
カレン「それにしても、この街で一番不幸なのはあの駄犬であることは確定のようですね、セイバー?」
カレン「これはたとえ話ですが……思いを寄せる者と一つ屋根の下で生活しているとしましょう」
セイバー「……?」
カレン「しかし、それは一方的な片思い……と双方が思い込んでいる」
セイバー「ふむ」
カレン「しかも、その片方は特別な日に限って、家から出てしまった。いつもは家を守っているのに」
セイバー「何が言いたいのですか?」
カレン「折角、仕事も無理に休み、一緒に過ごせると思っていた引きこもりの相手がその日だけ家を空ける。これはどういうことでしょう?」
セイバー「よくわかりませんが、家を空けるほうに非があることは明白ですね」
カレン「まぁ」
セイバー「相手のことを思わず、身勝手な行動です」
カレン「ふふふ……」
セイバー「なにか?」
カレン「いえ。世界はうまくできていると実感したまでです。主観と客観では色々なものが乖離してしまうのですね。その先にあるのは絶望と地獄だけ……」
セイバー「はい?」
セイバー「それはいい」
カレン「……」
セイバー「シロウも喜びます」
カレン「おやおや……無邪気な瞳ですね」
セイバー「え?」
カレン「まぁ、いいでしょう。守護者の許可が下りたのであれば、ご招待に預かります」
セイバー「ええ。シロウも貴女のことは一目置いているようですし」
カレン「それは反吐がでるような情報ですね」
セイバー「では」
カレン「どちらへ?」
セイバー「……わかりません」
カレン「教会は迷える子羊をいつでも迎え入れます」
セイバー「教会の世話にはならない」
カレン「あら、随分と嫌われているのですね。残念」
セイバー「……」
セイバー「路銀は……」
セイバー「むぅ……」
ランサー「セイバーじゃねえか」
ギル「あれ?どうしたんですか?」
セイバー「……」
ランサー「そんな警戒すんなよ。今日はクリスマスだぜ?」
セイバー「何用か?」
ギル「セイバーさんこそどうして一人なんですか?」
セイバー「貴方には関係のないことだ」
ランサー「かーっ、小僧も随分偏屈な奴に惚れたもんだな」
ギル「全くですね。まぁ、そこが魅力でもあるのかもしれませんが」
ランサー「そうかぁ?」
セイバー「なんの話ですか?」
セイバー「結構だ」
ランサー「お前も物好きだな」
ギル「セイバーさん以上に魅力ある人はいません。かわいいですし」
セイバー「愚弄か?」
ギル「えー……純粋に褒めてるんですけど」
ランサー「セイバーよぉ」
セイバー「なんですか?」
ランサー「家に戻れよ」
セイバー「何故?」
ランサー「何故っておまえ……小僧は今頃泣いてるぞ?」
セイバー「益々わけが分かりません」
ランサー「おいおい……マジかよ……」
ギル「これは面白い……」
セイバー「なんですか、その目は?まるで愚者を哀れむような眼差しだ。無礼です」
セイバー「それは……ナンパですか?」
ランサー「誰がお前みたいなチンチクリンに欲情するかよ」
セイバー「……」
ギル「ランサーさん、女性に失礼ですよ」
ランサー「こいつはそういう扱いにできないんだよ」
セイバー「用がなければこれで」
ランサー「待て待て。この際だ、言っておきたいこともあるんだよ」
セイバー「……」
ギル「昼食はまだでしょう?奢ります」
セイバー「……オムライス」
ランサー「今日はクリスマスだぜ?鶏肉に決まってんだろ!!」
セイバー「む……」
ギル「よし、行きましょう」
セイバー「はい」
士郎「はぁ……」
ガララッ
士郎「セイバー!?」
カレン「残念」
士郎「な!?」
カレン「おやおや。驚愕に染まり、希望と血の気が引いていくその表情……なんて愛いのでしょう」
士郎「なんだよ……」
カレン「失礼します」
士郎「……」
カレン「……おや?ここはお客様にお茶も出さないのですか?」
士郎「喫茶店ならここから真っ直ぐいって突き当たりを左だ」
カレン「ふふ」
士郎「帰れよ」
カレン「そう邪見にせずともいいでしょうに。―――セイバーの居場所、知りたくないですか?」
カレン「ほら、お茶」
士郎「……」
カレン「砂糖も忘れずに」
士郎「はいはい」
カレン「……」
士郎「―――ほらよ」
カレン「どうも」
士郎「……お茶に砂糖とかいれんなよな」
カレン「こうでもしないと空気を飲んでいるような感覚になるのです」
士郎「……で、セイバーは?」
カレン「……」ゴクゴク
士郎「……」
カレン「ふぅ……新都に向かいました」
士郎「……」
ランサー「いいか?小僧はお前に惚れてんだぞ?」
セイバー「はい?」
ギル「わぁ、直球」
セイバー「惚れている?誰がですか?」
ギル「あのお兄さんに決まってるじゃないですか」
セイバー「お兄さん?」
ランサー「てめえの隣にいつもいるあの童顔のマスターだ」
セイバー「シロウが?」
ギル「分かってなかったんですか?」
セイバー「それはありえません」
ランサー「なんで?」
セイバー「シロウの周囲には魅力的な女性が多くいます。私に情を抱くわけがありません。抱くとすれば、尊敬の念ではないでしょうか」
ギル「……」
ランサー「……」
ギル「(本気でしょうか?)」
ランサー「(お前から見てどう思うよ?)」
ギル「(うーん……由紀香みたいにあるいみ純粋な人ですからねえ)」
ランサー「(つまり真性か)」
セイバー「なにか?」
ランサー「おたくは小僧のことどう思ってんだ?」
セイバー「無論、信頼しています」
ギル「それだけ?」
セイバー「はい」
ランサー「……」
ギル「嘘ですね」
セイバー「は?」
ギル「いや……正確には嘘であることを嘘だと思っていない……。独裁者や王にはよくあることですけど」
セイバー「貴様……」
セイバー「決闘なら受けて立ちます」
ギル「これだもん。どうしてこんな人を将来気に入ってしまうのか。いや、まぁ、傍から見る分には愛らしいと思いますが」
セイバー「……」
ランサー「ま、よく考えるこったな」
ギル「それでは」
セイバー「待ちなさい!!」
ランサー「会計は?」
ギル「僕が払うのはセイバーさんの分だけです」
ランサー「ちゃっかりしてんなぁ」
セイバー「はっきり言ってください!!どういうことなのですか!?」
ランサー「うっせえな」
セイバー「そんな遠まわしに言われても困ります!!」
ギル「遠まわし……」
ランサー「一生、自分の尾でも追っかけてればいいだろ?」
士郎「ここにいるんだな?」
カレン「恐らく」
士郎「……」
カレン(なんて愛らしい……悲劇でも降って沸いてこないかしら……)
セイバー「―――待て!!話は終わっていない!!」
士郎「あ……」
カレン「おや?」
ランサー「うるせえ」
セイバー「しっかりと私の問いに答えろ!!」
ランサー「あのなぁ」
セイバー「答えるまで今日は逃がしませんよ?」
ランサー「こわ……」
カレン「なんと……サーヴァントが痴情の縺れを……」
士郎「……」
セイバー「え?」
士郎「……」
カレン「ふふ……」
セイバー「シロウ……」
ランサー「な?!」
カレン「おやおや……駄犬のくせに人様の餌に手を出すとは、中々性欲的ですね。聖夜の所為でしょうか?」
ランサー「そんなんじゃねえ!!」
ギル(なんか楽しんでるな、マスター……)
セイバー「カレンこそシロウと逢引ですか?」
士郎「……っ」
カレン「そうだ。といったら?」
セイバー「いえ、特に」
士郎「……!!」
カレン(あはっ……面白い……なんでしょう、この不器用な二人は……絶対にくっつけたくない……)
セイバー「シロウ?」
ランサー「あーあ……しらね」
ギル「こういうの、見ていて面白いろ感じるのは性格が歪んでるひとだけですね」
ランサー「誰とは言わないけどな」
士郎「よくわかったよ……セイバー……」
セイバー「え?」
士郎「カレン、いくぞ」
カレン「おや。どこの路地裏ですか?それとも草むら?」
士郎「いいから」
カレン「では」
セイバー「……」
ランサー「いいのかよ?」
セイバー「なにがですか?」
ギル「これだよ……」
セイバー(結局、ランサーには逃げられた……)
セイバー(何が言いたかったのか)
セイバー「……」
イリヤ「あれ、セイバーだ」
大河「やっほー」
セイバー「イリヤ、大河。どうしたのですか?」
大河「いや、イリヤちゃんがクリスマスプレゼントはぬいぐるみがいいっていうからさぁ」
イリヤ「これこれ!!」
セイバー「なんとも愛らしい……イリヤにぴったりですね」
イリヤ「でしょ?」
大河「あれ?士郎は?」
セイバー「え?」
イリヤ「待ち合わせ?こんな寒い場所を指定するなんて士郎は駄目ね」
大河「ほんとよねー」
大河「まぁ、セイバーさんなら甲斐甲斐しく待ってくれているだろう、なーんて士郎も安心してるからねー」
イリヤ「そうよね。セイバー、ちゃんと言わなきゃだめよ?」
セイバー「あの……シロウとは行動を共にする予定はありません」
大河「んほぉ!?」
イリヤ「なんでー!?」
セイバー「なんでといわれましても……」
大河「でも、一週間ぐらい前に士郎は『俺、クリスマスはセイバーと一緒に過ごすんだ』的なことを言ってたけど?」
セイバー「え?」
イリヤ「うん。私も聞いたよ。だから、今日は仕方なく大河に付き合ってあげてるの」
大河「仕方なくってなんだー!!」
イリヤ「どうせ一人の夜なんでしょ?いいじゃないの」
大河「うっせー!!」
セイバー「あの……大河、それは真ですか?」
大河「うん。なんかバイト先の店長にも無理言って仕事はおやすみにしてもらうーって言ってたし」
イリヤ「でも、肝心の士郎がいないんじゃね」
大河「どうかしたの?もしかして、士郎ってば浮かれすぎて熱でもでちゃった?」
セイバー「いえ……士郎は今、シスターと逢引を……」
大河「シスター?」
イリヤ「カレンのこと?」
セイバー「はい」
大河「え?誰?」
イリヤ「新しい女ね」
大河「しろぉぉぉ!!!!お姉ちゃん、ゆるしませんよぉぉぉ!!!!!」ガオー
イリヤ「はいはい」
セイバー「……」
大河「待ってて、すぐに士郎を探して報復ビンタをかましてやるわぁ!!」
イリヤ「報復ビンタ……」
セイバー「あ、いえ。気にしないでください。シロウの邪魔はしたくありませんし、その休みもカレンと過ごすために取ったのでしょう」
セイバー「では、これで」
イリヤ「セイバー?」
セイバー「なにか?」
イリヤ「鏡でも見てきたら?」
セイバー「え?」
イリヤ「酷い顔よ、今の貴女」
大河「セイバーさん……」
セイバー「失礼します」
イリヤ「……」
大河「……」
セイバー(士郎は私のために……?)
セイバー(何故……?)
セイバー「……」
セイバー(シロウ……)
キャスター「あら」
セイバー「む」
キャスター「……誰かと思えばセイバーじゃない」
セイバー「なんですか?」
キャスター「どうかしたのかしら?」
セイバー「なにがだ?」
キャスター「今にも泣きそうな顔だったけど?」
セイバー「そんなわけない」
キャスター「……そうだ。家にこない?」
セイバー「断る。また着せ替え人形にされるのはごめんだ」
キャスター「美味しいクリスマスケーキがあるのだけれど?」
セイバー「ふざけるな!!私を食べ物で釣ろうなどと万死に値する!!」
え?
一成「な……」
キャスター「冷蔵庫にあるケーキを持ってきなさい」
一成「……セイバーさん」
セイバー「なにか?」
一成「いや……衛宮と一緒では?」
セイバー(みんなそういう……何を勘違いしているんだ)
セイバー「いえ、シロウは関係ありません」
一成「そうですか……」
キャスター「ほら、早く」
一成「分かっている」
セイバー「いいのですか?貴女には確か夫が……」
キャスター「今日はいないの。でなければ貴女は呼ばないわ」
セイバー「そうですか」
キャスター「こっちよ」
キャスター「どうも」
セイバー「ありがとうございます」
一成「……では」
キャスター「早く食べないと痛んでしまうからね」
セイバー「このケーキは?」
キャスター「私のお手製よ」
セイバー「……」
キャスター「毒なんて入ってないわ」
セイバー「……頂きます」パクッ
キャスター「どうかしら?」
セイバー「大変、美味です」
キャスター「嬉しいわ」
セイバー「……して、どうして私を招き入れた?」
キャスター「さぁ……心にゆとりができたからからかもしれないわ」
キャスター「なにかあったの?」
セイバー「随分と気に掛けてくれるのですね」
キャスター「私の生きがいが沈んでいては、こっちもやる気がでないのよ」
セイバー「は?」
キャスター「ほら、つまらないでしょ。そんな貴女を盗さ―――じゃなくて、見ていても」
セイバー「そうですか」
キャスター「で、このクリスマスに夫と一緒にいられない新妻以上に不幸そうな貴女はどうしてなのかしら?」
セイバー「なんでもない」モグモグ
キャスター「ケーキを提供したのだから、心中ぐらい語ってもいいんじゃないの?」
セイバー「……」モグモグ
キャスター「坊やとなにかあったのね?」
セイバー「……」ピクッ
キャスター「かわいい……」
セイバー「……」モグモグ
セイバー「ご馳走様でした」
キャスター「帰るの?」
セイバー「はい。やはりここは居心地が悪い」
キャスター「言ってくれるわね……」
セイバー「ありがとうございました」
キャスター「一言だけ」
セイバー「……」
キャスター「分からないのなら、言ってあげるわ」
セイバー「何をですか?」
キャスター「貴女は坊やのことが好き」
セイバー「……それは勿論です」
キャスター「え?」
セイバー「私はシロウのことを愛している。それがなにか?」
キャスター「あなた……もしかして……」
キャスター「じゃあ、どうしてここにいるのかしら?」
セイバー「シロウには私以上に相応しい相手がいるからです」
キャスター「やっぱり……身をひいているわけね?」
セイバー「それに私はサーヴァントだ。私が想いを告げても困惑させるだけでしょう」
キャスター「……」
セイバー「心中を語ったのはケーキの礼です」
キャスター「そう」
セイバー「他言無用です」
キャスター「はいはい」
セイバー「……」
キャスター「あと、女だから語ってくれたのかしら?」
セイバー「さあ……どうでしょう。ライダーにすら話したことはありませんでしたが」
キャスター「……さよなら」
セイバー「はい」
セイバー「……」
アサシン「手向けの花は如何か?」
セイバー「……必要ない」
アサシン「そうか。では、一輪だけ」
セイバー「……」
アサシン「いい女ほど損をするぞ?」
セイバー「何が言いたい?」
アサシン「世の中、少しぐらい悪事を働かせたほうがいい。清廉潔白であろうとするが故に己の幸福すらも手放す者がいる」
セイバー「……」
アサシン「誰とは言わんが」
セイバー「失礼する」
アサシン「また来られよ」
セイバー「……」スタスタ
アサシン「ふん……光を失った太陽は見るに耐えんな」
セイバー(なんだ……この苛立ちは……)
セイバー(何故……皆は同じようなことを私に告げる……)
セイバー「……」
アーチャー「ここにいたか」
セイバー「……」
アーチャー「凛が探しているぞ?」
セイバー「貴方も同じことを言うのですか?」
アーチャー「なんの話かな?」
セイバー「……」
アーチャー「ふ……」
セイバー「なにがおかしい」
アーチャー「この間合い。戦いならば私が勝っている」
セイバー「!?」
アーチャー「らしくないな、騎士王。今、貴様は乱れているぞ」
アーチャー「凛から聞いた。衛宮士郎のことだろう?」
セイバー「……」
アーチャー「否定はしないか」
セイバー「何用だ。もう御託は聞き飽きた」
アーチャー「いやいや、私から言えることはないもない。むしろあのような屑を心底好いているお前の気が知れないぐらいでね」
セイバー「マスターを侮辱するか!?」
アーチャー「……」
セイバー「……」
アーチャー「こい」グイッ
セイバー「な!?」
アーチャー「見せたいものがある」
セイバー「はなせ!!」
アーチャー「辛抱してもらおう」
セイバー「離せ!!」
カレン「うふ」
士郎「……」
カレン「おや……つまらない」
士郎「なにが?」
カレン「こうして手を繋ぎ、連れ添っているのに……笑顔どころか視線すら向けてくれないのですから」
士郎「……」
カレン「まだ怒っているのですか?」
士郎「別に」
カレン「ふふふふ」
士郎「なんだよ……」
カレン「人はなんと愚かでしょう。掴める筈の幸せをこうして無碍にしていくとは」
士郎「……」
カレン「さ、私に全てをぶちまけてみませんか?」
士郎「は?」
士郎「なに言ってんだ?」
カレン「この国の聖夜は男女が性交を通じて愛を確かめあうのでしょう?」
士郎「そう……かな……?」
カレン「貴方のその苛立ちも一度吐き出してしまえば落ち着くでしょう」
士郎「いや……」
カレン「さぁ……あそこに見える『休憩タイムクリスマスサービス割引』と書かれた場所へ行きましょう」
士郎「なんでさ!?」
カレン「おや?休憩ですよ?休憩。なにを嫌がりますか?」
士郎「あそこは休憩する場所じゃ……」
カレン「早漏野郎の相手をするには休憩と称してもいいでしょう?」
士郎「おい」
カレン「どうせ、ものの五分も持たないくせに」
士郎「ふざけんな!!」
カレン「では、そのくだらない矜持と名誉を守るために行きましょう。勿論、貴方持ちで」
カレン「私から誘うなど滅多にありませんよ?このチャンスを逃していいのですか?」
士郎「あのなぁ……」
カレン「さぁ」
士郎「やめろ」
カレン「意気地のない駄犬だこと」
士郎「そういう問題じゃない」
カレン「……私では駄目ですか?」
士郎「……っ」
カレン「……今日ぐらい……めちゃくちゃにしてほしいのですが……」
士郎「……」
カレン「……」
士郎「あ……え……」
カレン(ちょろい……)
アーチャー「見えるな?」
セイバー「……で、何が目的です?」
アーチャー「あの二人に割って入れ」
セイバー「二人の営みを邪魔するような資格はわたしには……」
アーチャー「……」
凛「よっと。セイバー、早く行きなさいな」
セイバー「……凛」
凛「正直、士郎はセイバーを待ってるんだから」
セイバー「ですが……今まさにカレンと」
アーチャー「どう見ても嫌がっているが」
セイバー「……」
凛「あー!!もう!!じゃあ、私がいく!!!」
アーチャー「凛」
凛「煮え切らないセイバーが悪いんだからね!!」シュバッ
凛「そこまでよ、淫乱シスター」
士郎「遠坂!?」
カレン「なにか?」
凛「何かじゃないわ。その汚い手を離して」
カレン「いや」ギュッ
士郎「おい……」
凛「士郎もちゃんと言いなさいよ」
士郎「言ってるけど……」
カレン「私のいやらしい裸体を拝みたいと懇願するもので」
凛「はぁ!?」
士郎「言ってないだろ?!」
カレン「その目は言ってます」
凛「いいから離れろ!!」
カレン「乱暴」
カレン「無駄です」シュルルル
士郎「もがぁ!?」
凛「な!?」
カレン「この聖骸布からは誰も逃げられません」
凛「あんたねえ……」キュゥゥゥン
カレン「おや?」
凛「くらえ!!」ドンドンドン
カレン「バリア」
士郎「いだだだだ!!!!」
凛「ちょ……!!」
カレン「酷い人。呪いが駄犬に全弾命中してしまいました」
凛「士郎を盾にすんな!!!」
カレン「どうして人の恋路をじゃまするのですか?」
凛「恋路だぁ!?」
セイバー「……」
アーチャー「全く……」
ライダー「―――ここにいましたか」
アーチャー「どうした?」
桜「先輩……」
アーチャー「桜も一緒か」
セイバー「桜……?」
桜「ライダー、行きましょう」
ライダー「はい」
セイバー「あ……」
ライダー「セイバーがいらないというなら、桜に譲ってください」
セイバー「な、なんのことです……?」
ライダー「では」シュバッ
セイバー「……っ」
士郎「もが!?もがぁ!!」
凛「拘束プレイでもする気かぁ!?」
カレン「縛られるのは私」
凛「おい」
ライダー「そこまでです」
カレン「……」
桜「先輩を返して」
カレン「役者が揃ってきましたね」
凛「桜……」
桜「姉さん……」
カレン「ふふ……」
士郎(息ができない!!!)
凛「いいから、士郎を渡せ」
桜「先輩は姉さんの所有物ではありません」
桜「いいえ。ずっとお傍で世話をしてきた私です」
ライダー「同意」
カレン「でも、彼は私の傍から離れようともしませんが?」
士郎「ふご……」
凛「その赤い布を外せばいいでしょ」
桜「そうです」
ライダー「……」
カレン「さあ、どうしましょうか?」
カレン(あと一人……まだ来てませんね)
凛「ちっ……!!」
桜「ライダー、お願い」
ライダー「分かりました」
カレン「まぁ」
ライダー「多少、強引にいかせてもらいます!!」
ライダー「な!?」
カレン「遅いですよ。かませ犬」
ランサー「うるせえ!!」
ギル「マスターに危害を加えるなら、流石に静観はできませんしね」
凛「アーチャー!!布だけを射抜きなさい!!」
アーチャー「―――了解だ」
セイバー「アーチャー?」
アーチャー「ここから射抜く」
セイバー「……やめろ」
アーチャー「……」
セイバー「どうやら貴方はどさくさに紛れてシロウを亡き者にしようとしてる」
アーチャー「ではどうする?」
セイバー「主君を守るのが騎士の務めだ」
アーチャー「ふ……」
士郎「ふご!!」
ライダー「まて!!」
ランサー「待つのはお前だ」
ライダー「ランサー……!!」
ランサー「さぁ、どうする?俺を倒さないと―――」
ライダー「ベルレ―――」
ランサー「え?!」
ライダー「フォーン!!!!」ドォォォン
ランサー「あ―――」
ライダー「―――よし」
桜「ライダー!!急いで!!!先輩がいやらしい休憩所につれていかれちゃう!!」
ライダー「わかりました!!」
凛「アーチャーのやつ……なにやってんのよ……!!」
ギル「ランサー……」グスッ
ライダー「貴女は走れないのでしたね」
カレン「では、三人でいいことをしましょうか」
ライダー「?!」
カレン「何を驚きますか?ここ、女二人男一人なら入れてくれるのですよ?」
ライダー「い、いや……」
カレン「私は上で構いません。貴女はこの駄犬の粗末な一物を舐ってさしあげてください」
ライダー「そ、それは……」
カレン「何を戸惑いますか?貴方にとってもこの犬にとっても幸せなことです」
ライダー「……」
カレン「さ、行きましょう」
ライダー「……だめだ!!」
カレン「好きなだけ搾り取ってあげてください」
ライダー「しかし……!!」
カレン「ふふ……三人だと色んなことができますよ?」
セイバー「シロウが誰と添い遂げようとも私には関係のないことだ!!」
アーチャー「本気か?」
セイバー「シロウを守れればそれでいい!!」
アーチャー「セイバー……」
セイバー「シロウだけは守る……!!」
アーチャー「愛しているが故か?」
セイバー「……!?」
アーチャー「後悔はせんのだな?」
セイバー「……」
アーチャー「……」
セイバー「くどい」
アーチャー「一瞬の迷い。それがお前の答えだろうに」
セイバー「いつかは消える身だ。シロウが私を受け入れてくれるとは思わない!!」
アーチャー(本音が漏れたな……)
士郎「ふがふが!!」
ライダー「……」
ギル「ここ、僕の経営するホテルですから。無料でいいですよ」
カレン「それはどうも」
ライダー「あ、あの……」
カレン「なんですか?」
ライダー「えと……本当に私が……その……」
カレン「ええ。好きにすればいい。枯れ果てるまで存分に繰り返し、彼の欲を抜き取りましょう」
ライダー「……」
桜「ライダー!!!」
ライダー「……!?!」
凛「なにしてるわけ?」
カレン「5Pですか……栄養ドリンクでも用意しないと」
ギル「任せてください」
桜「カレンさん……」
カレン「私は右腕だけもらえればそれでいいです」
凛「何の話?」
カレン「手で気持ちよくしてもらいます」
桜「きもち……?!」
ライダー「さ、さくら……あの……」
凛「ふーん……じゃあ、私は士郎の唇でももらおうかしら」
桜「姉さん?!」
カレン「舌で蹂躙してもらうと?まぁ、はしたない」
凛「あんたが言うな」
ライダー「……桜……半分で分けませんか?」
桜「……」
ライダー「あ、いや……私は2割で構いません……」
カレン(さて……そろそろ時間ですが、まだ踏ん切りがつかないようですね)
セイバー「うるさい!!」
アーチャー「……」
セイバー「……」
アーチャー「怖いのだろう?」
セイバー「な……」
アーチャー「もし衛宮士郎が自分を受け入れたとき、いつか消えてしまう最後のときが」
セイバー「違う……」
アーチャー「また、自分を受け入れてくれなかったときが」
セイバー「やめろ……!!」
アーチャー「どちらも怖い……そうだな?」
セイバー「違うといっている!!」
アーチャー「だから、そうして自分を偽り、衛宮士郎を遠ざける」
セイバー「私は……心から……シロウのことを愛している……だから、だから……!!」
アーチャー「困らせたくない。傷つけたくない。別れたくない。―――それでいいのか?」
アーチャー「……」
セイバー「私は……どうすれば……いいのですか……」
アーチャー「そうだな……」
セイバー「シロウは優しい……きっと私の想いにも応えてくれる……でも……」
アーチャー「セイバー、先の話だ」
セイバー「でも私は知っている。今の幸福は未来の苦行でしかないこと」
アーチャー「その想いを閉じ込めたまま、彼の者の幸を傍らで見守り続けるのか?」
セイバー「そうだ……それが―――」
アーチャー「それではお前の幸福はどこにいく?」
セイバー「え……」
アーチャー「そろそろ己のことを労わっても罰は当たるまい?」
セイバー「わた……し……は……」
アーチャー「セイバー……とりあえず……いけ!!」ドン
セイバー「な―――」
ライダー「え?」
カレン「つまりですね、擦り方が大事なのですよ」
桜「こ、こすりかた……?」
凛「なによそれ」
カレン「いいですか、まずは腕にまたがってですね。ゆっくりと腰を前後に動かすのです」
桜「……」
凛「……」
ギル「マスター、精力剤を箱買いしてき―――」
セイバー「あぁぁぁぁぁぁ!!!!!」
ギル「え―――」
ドォォォォン!!!
ライダー「なにごとですか?!」
セイバー「くっ……アーチャーめ……私を矢にするとは……」
カレン「ようやく来ましたか。臆病ライオン」
凛「セイバー……」
セイバー「あ……」
カレン「6Pでもしますか?」
士郎「ふぇいふぁー!!!」
セイバー「シロウ!!―――カレン、シロウを解放しなさい」
カレン「……どうしましょうか?」
ライダー「えと……」
カレン「駄犬の右足ならあいてますよ?」
セイバー「……」
士郎「もがぁ!!」
凛「セイバー、どうするの?私たちで分ける?それとも独り占めする?」
セイバー「い、いや……私は―――」
カレン「そうやってまた逃げるのですね」
セイバー「な、なに……?」
セイバー「……?」
カレン「返します」シュルルル
士郎「うわぁぁ!!!」
セイバー「シロウ!!」パシッ
カレン「さようなら」
セイバー「ま、て……」
カレン「サンタクロースになるのは疲れますね」
セイバー「……」
士郎「うーん……」
桜「……」
ライダー「あの……セイバー……1割でも―――」
凛「終わりよ、ライダー」
ライダー「……」
凛「セイバー、あとはよろしくね」
士郎「ん……」
セイバー「シロウ……」
士郎「セイバー?!」ガバッ
セイバー「……おはようございます」
士郎「えと……ここは」
セイバー「公園です」
士郎「……」
セイバー「……」
士郎・セイバー「「あの!」」
士郎「あ、なに?」
セイバー「シロウこそ……」
士郎「……」
セイバー「……」
セイバー(何を言えばいいのか……)
凛「なにやってんだが……初恋かよ」
ライダー「……」
桜「先輩……やっぱり……」
アーチャー「まぁ、しばらく進展はないだろう。どちらも朴念仁だ」
凛「それもそうね」
アーチャー「全くもってあきれ返るばかりだ」
ライダー「1割……」
桜「……」ギュゥゥゥ
ライダー「ひゃぁ!!!」
桜「……」
ライダー「お、おしりを抓らないでください……」
桜「私だって我慢してるんだから」
ライダー「はい……」
凛「……」
セイバー「申し訳ありません」
士郎「え?」
セイバー「大河から聞きました。私のために仕事を休みにしたと」
士郎「あ……えと……」
セイバー「……」
士郎「どうしても俺……セイバーと過ごしたくて」
セイバー「シロウ……」
士郎「迷惑だったか?」
セイバー「そんなことは!!」
士郎「よかった……」
セイバー「ですが……私には過ぎた至福です」
士郎「どうして?」
セイバー「私は士郎の傍に居られればそれでいいのです」
士郎「……」
士郎「セイバー……」
セイバー「こうして言葉を交わし、削られていく時間を切り取るようにして貴方との記憶を得る」
セイバー「それだけで……十分です」
士郎「……」
セイバー「ですから―――」
士郎「セイバーは今がいいのか?」
セイバー「え?」
士郎「今のままでいいのか?」
セイバー「はい」
士郎「本当に?」
セイバー「はい」
士郎「……そっか」
セイバー「士郎?」
士郎「なら、家に帰ろう。いつもの時間を過ごそう」
セイバー「ただいま戻りました」
士郎「ただいまー」
セイバー「誰もいませんね」
士郎「みんなを呼ぶか」
セイバー「え?」
士郎「遠坂も桜もライダーもイリヤも……ついでに藤ねえも」
セイバー「……そうですね」
士郎「それがいつもの時間だもんな」
セイバー「はい」
士郎「じゃあ、居間で待っててくれ。みんなの家に電話してくる」
セイバー「わかりました」
セイバー(これでいい……私に特別など必要がない)
セイバー(この一瞬が既に奇跡なのですから……)
士郎「え?!無理?!」
セイバー「……?」
士郎「わ、わかった」
セイバー「士郎?」
士郎「みんな用事があるって」
セイバー「クリスマスですからね」
士郎「そうか……」
セイバー「……」
士郎「……」
セイバー「えと……」
士郎「あ、仕方ないな。じゃあ、二人でクリスマスパーティーでもするか」
セイバー「は、はい」
士郎「じゃあ、料理作らないと。下ごしらえは終わってるからすぐだぞ」
セイバー「わ、わかりました」
士郎「どんどん食べていいぞ」
セイバー「はい」
士郎「……」
セイバー「……」モグモグ
士郎「にしても……藤ねえや遠坂に用事があるって……ちょっと信じがたいな」
セイバー「大河はどのような用事だと?」
士郎「え、ああ。イリヤが電話に出たんだけど、なんでも藤村邸でクリスマス会をするとか」
セイバー「なるほど。凛は?」
士郎「桜と一緒にクリスマス」
セイバー「……」
士郎「……」
セイバー「なら、ここに来ればいいのに、変な話ですね」
士郎「そうだな」
セイバー「……」
士郎「じゃあ、片付けるな」
セイバー「はい」
トゥルルルル
士郎「あ、セイバー、代わりに出てくれ」
セイバー「わかりました」トテトテ
セイバー「もしもし、衛宮ですが」
凛『あ、メリークリスマース!!』
セイバー「凛、どうしてこちらにこないのですか?」
凛『そんな甘酸っぱい空間にいくわけないでしょう』
セイバー「甘酸っぱい……?」
凛『あ、そうそう。クリスマスの夜はね、ある決まり事があるって知ってる?』
セイバー「決まりごと?」
凛『ふふ……』
凛「じゃあ、そういうことだから」
ガチャン
凛「ふぅ」
アーチャー「最後の一押しか」
凛「まぁ、ああでもしないとね」
アーチャー「ふっ……」
凛「さてと、もう寝るかな」
アーチャー「添い寝してやろうか?」
凛「令呪で自害せよって命令してほしいの?」
アーチャー「やめろ」
凛「ふん」
アーチャー「……」
凛「いや、本当にしなくていいからね?」
アーチャー「分かっている」
士郎「終わった。セイバー、これからどうする?」
セイバー「ああ、あの……」
士郎「ん?」
セイバー「お風呂に入ってきてください」
士郎「セイバーが先でいいけど?」
セイバー「わ、わわ、わかりました……」
士郎「セイバー?」
セイバー「は、はい?」
士郎「どうしたんだ?」
セイバー「い、いえ……クリスマスを締めくくりませんと……」
士郎「は?」
セイバー「で、では、お先に失礼します……」
士郎「変なセイバー」
セイバー(ま、まさか……現代のクリスマスがこのようなことになっているは……!!)
士郎「うん」
セイバー「……あの」
士郎「なに?」
セイバー「寝室で待っていたほうがいい、でしょうか?」
士郎「え?」
セイバー「そそ、それとも、居間でお待ちしていましょうか?」
士郎「えーと……じゃあ、居間で」
セイバー「わ、わかりました!!」
士郎「……?」
セイバー「……」
セイバー「テーブルを使うのでしょうか……?」
セイバー「いや……でも……」
セイバー「あ、座布団をこうしてならべ―――」
セイバー「くっ……クリスマス……なんという魔教なのでしょうか……!!」
セイバー「……」
士郎「セイバー、何か飲むか?」
セイバー「あああ、あの……」モソモソ
士郎「ん?」
セイバー「ど、どうぞ……」
士郎「ど、どうしたんだ……セイバー?テーブルの上に仰向けになって……」
セイバー「……」
士郎「セイバー?」
セイバー「どうぞ!!」
士郎「……」
セイバー「クリスマスの最後は……女性が男性に蹂躙されるとか!!」
士郎「ぶっ!?」
セイバー「どうぞ!!―――ただ……脇は弱いので……優しくしてもらえる……と……」
士郎「セイバー……」
士郎「セイバー、いいからテーブルから降りろ」
セイバー「え……?」
士郎「どうせ遠坂あたりがなんか吹き込んだんだろ」
セイバー「あの……女性は聖夜の最後のデザートでは?」
士郎「違う。そんなことない」
セイバー「そ、そうですか……よかった……もしシロウに乱暴されたどうしようかと……」
士郎「あはは」
セイバー「笑わないでください!!」
士郎「セイバー」
セイバー「は、はい?」
士郎「好きだ」
セイバー「え……」
士郎「俺……やっぱりセイバーのこと大好きだ」
セイバー「えっと……はい……私も……」
セイバー「ですが……私は―――」
士郎「迎えにいく」
セイバー「え?」
士郎「セイバーがいつか消えても……俺はセイバーを迎えに行く」
セイバー「そんなこと……!!」
士郎「やってみないとわからない」
セイバー「シロウ……」
士郎「だから……今は傍にいてくれ」
セイバー「……はい」
士郎「セイバー……もっと近づいてもいいか?」
セイバー「いえ……これ以上は……」
士郎「……」
セイバー「息が……あの……」
士郎「セイバーの吐息が届く……。いい匂いがするな」
セイバー「うぅ……」
士郎「そろそろ寝るか」
セイバー「え、ええ……」
士郎「……あの」
セイバー「は、はい?」
士郎「一緒に寝るか?」
セイバー「いいのですか?」
士郎「今日ぐらいは……」
セイバー「……」
士郎「……」
セイバー「はい、シロウの傍に居られるのなら喜んで」
士郎「ありがとう」
セイバー「いえ」
セイバー「シロウ、雪です」
士郎「通りで寒いと思った」
セイバー「……」モゾモゾ
士郎「セイバー……そんなにひっつかなくても……」
セイバー「これだけ体を密着していれば寒さなど忘れます」
士郎「そうだな……もう忘れてきた」
セイバー「シロウ……」
士郎「……」
セイバー「愛しています……心から……」
士郎「俺もだ」
セイバー「夢を見させてください……」
士郎「うん」
セイバー「覚めない夢を……ずっと……」
士郎「ん……?」
士郎「セイバー?」
士郎「……」
士郎「セイバー?」
士郎「……」
士郎「どこだ?」
士郎「セイバー?」
士郎「あれ……」
士郎「……」
士郎「……まさか」
士郎「セイバー!!」
士郎「セイバー!!どこだ!!」
士郎「セイバー!!」
士郎「……」
士郎「ここじゃない……」
道場
士郎「セイバー!!」
士郎「ここにも……」
士郎「……」
離れ
士郎「セイバー、どこだ!!」
士郎「……」
士郎「……セイバー……どこに……」
士郎「消えたのか……?」
士郎「そんな……」
セイバー「シロウ」
士郎「セイバー……」
セイバー「どうしましたか?昨日の疲れがまだ―――」
士郎「どこに行ってたんだよ?!」
セイバー「え……?」
士郎「心配しただろ……」
セイバー「すいません……凛から呼び出しを受けまして。今、帰って来ました」
士郎「遠坂……?なにかあったのか?」
セイバー「シロウのことどうするのか、と」
士郎「そ、それでセイバーはなんていったんだ……?」
セイバー「勿論―――」
―――私はシロウを愛し続けます。
END
乙
あぅはぁああああああああああああああ
Entry ⇒ 2011.12.26 | Category ⇒ FateSS | Comments (0) | Trackbacks (0)
結衣「もう、嫌だ」あかり「……もう、嫌……」
そこは、暗い部屋。
時々、見る夢。
今日は、誰が来るんだろう。
京子ちゃんかな。結衣ちゃんかな。ちなつちゃんかな。
結衣「………」
―――今日は、結衣ちゃんだ。
結衣「……くそっ」
―――また、始まるんだ。
結衣「私の身にもなれよ………」
棒立ちで、ぶつぶつとつぶやく結衣ちゃん。
何回、経験しても。
あかりは、まだ慣れないなぁ……。
………。
結衣「毎日、来る気か………? もう、うんざりだ……ラムレーズン……」
話しかけたいのに、話しかけられない。
私は、結衣ちゃんが見えてるのに。
結衣ちゃんは、私が見えない。
結衣「ちなつちゃんも、ちなつちゃんだ……。私にばかり……たまには、京子に……疲れるから、やめてくれ……」
………。
悲しいよ。
もう、やめてよ。
もう、やめてよ……。
結衣「私は昔からそうだ誰かに頼られてばっかりで私は頼るなんてことは出来ない今も昔もずっとずっと何でなんだ疲れる疲れる疲れる…………」ブツブツ
結衣「いつも損ばっかりだいつも支えてばっかりだ、なのに感謝の言葉はもらえなくて、みんな私が居ることを、みんな私に頼るのを当たり前だと思ってるいい加減にしろ…………」ブツブツ
結衣ちゃん。結衣ちゃん。
ごめんね、ごめんね。
だから、お願い。もう、やめてよ。
結衣「くそっ……くそっくそっくそっ…………!!!!私は私のために……なんでこうなった……!? そりゃ、最初はうれしかったさ……」
結衣「……はぁ、はぁ……」
結衣「…………まぁ、私も元気をもらってるんだし、不満ばっかりでも仕方ないか」
結衣「…………」スクッ
ガチャ…バタンッ
結衣ちゃんは、部屋から出ていった。
・・・・・・
・・・・
・・
・
あかり「……っ!!」ガバッ
あかり「……はぁ……はぁ……」キョロキョロ
あかり「………………」
あかり「また、この夢……」
あかり「……見たくない、のに……」
あかり「……………………」
あかり「学校、行かなきゃ………」
あかり「………」ボーッ
ちなつ「―――で、クラスでもずっと、こんな調子なんですよ」
京子「ふーん………ずっと?」
ちなつ「そうなんですよ! 何をするにしても上の空で!」
結衣「重症だな……」
京子「……よし。それじゃ、私達で元気づけてあげよう! あかりー!何かして欲しいことある?」
あかり「………」ボーッ
京子「……あかり?」
あかり「………」ボーッ
京子「あかりってばー!!!」
京子「………ダメだわ、聞いてないなこりゃ……」ジッ
あかり(結衣ちゃん……疲れてるんだよね……どうすれば……)ボーッ
結衣「……あかり」
あかり「……」ボーッ
結衣「あかり」ユサユサ
あかり「―――うわっ! あ、その、えっと……結衣ちゃん、いつもごめん!」
結衣「……?」
ちなつ「何で謝ってるのあかりちゃん……?」
結衣「……どうしたの、本当に?」
あかり「あっ………いや、なんでも、ない、よぉ………」
京子「何でもない風に見えないんだけど」
ちなつ「でしょ? でも、熱もないみたいだし……どうしましょう?」
京子「……うーん」
京子「ほっとけばいいんじゃない?」
結衣「おい」
京子「だって、無理に元気づけてもさぁ。私達の話は聞く耳持たずだしー」
京子「いつのまにか元気になってるでしょー」
ちなつ「はぁ……テキトーですね」
京子「なんだよー! 私はあかりのことを思って言ってるのにぃー!」プンプン
あかり「………あ。みんな、あかりのお話してるの……?」
ちなつ「……あ、あかりちゃん……」
結衣「本当に、重症だな……」
あかり「えっと、あかりのことは、ほっといていいよ……気にしないで……」
京子「ほら見ろ!」
結衣「……まぁ、あかりが言うなら。あかり、あんまり無理するなよ?」
あかり「……結衣ちゃんこそ」ボソッ
結衣「……え?」
あかり「あ、いや、……なんでも、ないよぉ」
京子「ま、あんまり気にしないようにしようよ。あかりも困ってるじゃーん」
結衣「おまえは気にしなさすぎだ」
ちなつ「あはは、たしかに」
京子「なんだよ二人して!失礼だなぁー!」プンプン
ガヤガヤガヤガヤガヤ
あかり「………」ボーッ
・・・・・
・・・・
・・
・
あかり「…………おやすみなさい」
あかり(……)
あかり(今日は、あの夢を見ませんように………)
あかり(…………)ソワソワ
あかり(…………)ソワソワ
あかり(………眠く、なってきた…)ウトウト
あかり(………)
あかり「すー……すー……」
・・・・・
・・・
・・
・
…………暗い、部屋……。
まさか……また?
………今日は、誰………?
ガチャ
京子「……………」
……京子ちゃんだ。
京子「……あーあ。やってらんないなぁ……」
…………。
また、始まるの?
京子「いっつも、そうだよ……。私が言うと……」
やめてよ。
京子「……私、普通にあかりが心配なだけだったのに……」
それ以上は、ダメだよ。
京子「……大体さぁ」
あかり……
悲しく、なっちゃうよ。
やめて、やめて。
京子「でもさ、ただの提案じゃん。『ほっとけば』って。私はそれが1番だと思ったそうだよ私はそれがあかりのためだと思ってなのに結衣とちなつちゃんは私が言ったからってテキトーテキトー……」
京子ちゃん……
京子「いっつもそうだよねー私が言ったら呆れたりなんなりしてさ、意味わかんないよちゃんと話きいてよ実際あかりは『ほっといて』欲しかったワケだしさ」
京子「………あーっ………」
…………。
京子「なんで!!!いっつも!!!テキトーとかって!!!あーあ!!!イライラするなぁ!!!」
そう、だよね。
決めつけは、よくないよね。
京子「………うん」
京子「まぁ、確かに、理由もなく『ほっとけば』って言うのはテキトーぼかった……かな」
京子「…………」
ガチャ……バタンッ
……………。
……………。
この夢を見るたび
あかりは、悲しくなっちゃう。
・・・・・
・・・・
・・
・
あかり「………っ!!」ガバッ
あかり「はぁっ、はぁっ、はぁっ……」
あかり「……………また……………」
あかり(………最近は、見る回数が多くなってきたよぉ……)
あかり(……どれも、生々しくて……強烈で)
あかり(………………ぅぅ)
あかり(本当に、あんなこと思ってるみたいだよ……)
あかり「……」
・・・・・
・・・
・・
・
あかり「・・・」ボーッ
ちなつ「―――で、今日はさらにヒドイんですよ……」
京子「顔色わるっ!」
結衣「あ、あかり……何か悩み事でもあるのか? ちゃんと寝てる?」
あかり「………え、へへ………大丈夫………ちょっと、寝不足気味なだけだから………」フラフラ
ちなつ「ね?」
京子「……むむむむ……」
結衣「寝不足にしては、何か考え込んでるみたいだけど……?」
あかり「・・・」ボーッ
京子「ダメだこりゃ……」
ちなつ「………ハァ」
結衣「バカ」
京子「…………えっ?」
結衣「寝不足が原因じゃないだろ、これは。なにか、他のことだよ」
京子「………あ、まぁ。そうだけどさぁ。ベツニソコマデ………」
あかり「……!」ピクッ
京子「―――あ、普通に本人に聞き出せば……」
結衣「おいコラ」
京子「―――なに!?」
結衣「昨日だって話さなかったんだから、話したくないことに決まってるだろ?」
ちなつ「そうですよー」
京子「……ハイハイ、ソウデスネ」
あかり「っ……っ……」
結衣「え、あ、ありがとう」
ちなつ「そんな結衣先輩が大好きです~♪」ギュー
結衣「うわっ、ちょ、ちょっと……」
京子「………」ジッ
ちなつ「先輩~♪」
結衣「は、はは………ハハ」
京子「……」ジッ
ちなつ「~♪~♪」
結衣「………」
あかり「………」
あかり「…………ヤメテヨ」ボソッ
・・・・
・・・
・・
・
あかり(……怖くて、起きてたけど……)
あかり(………もう、11時……さすがに寝ないとね………)
あかり「…………おやすみなさい」
あかり(……………)
あかり(おねがい………おねがい………)
・・・・
・・・
・・
・
……………!!
…………いい加減に……………
…………して………………
ガチャ
ちなつ「……………」
ちなつちゃん……
ちなつ「………あー………はぁーあ………」
―――やめてね、ちなつちゃん?
聞こえなくして欲しいな。
ちなつ「………うまくいかないなぁ………」
おねがい。
ちなつ「………結衣先輩………チッ京子先輩………」
それ以上、言ったら
あかり、壊れちゃうよ。
……………。
ちなつ「的外れなことばっかり言っていちいち邪魔してきて私がごらく部に来てる1番の理由は結衣先輩なのに京子先輩が邪魔してどうするの、そもそも結衣先輩も結衣先輩で………」
……………。
ちなつ「もっと私の方を見て欲しいのに今日だってアピールしてたのに迷惑そうにして何で私、こんなに結衣先輩が大好きなのに、こんなに思ってるのになんで上手くいかないの?」
……………。
ガチャ
ガチャ
―――っ!?
京子「あーあーあー今日も責められましたっと………」
結衣「今日も疲れた………」
結衣ちゃん、京子ちゃん……!?
京子「―――って、ちなつちゃんに結衣じゃん」
結衣「うわ、なんで」
ちなつ「………結衣先輩………京子先輩………」ジロッ
ちなつ「京子先輩、いい加減にしてくださいよ」
京子「なに? ……あっ、今日はよくも私を責めてくれたなぁ……!」
ちなつ「はぁ?」
京子「本当に疲れるからさーやめてくれない? 私、真面目に言ってるだけなのにさ 」
ちなつ「―――それは、京子先輩が悪いんじゃないですか。的外れなことばっかり言って結衣先輩の邪魔するから……」
京子「……は、的外れ? 私は―――」
結衣「おいコラ。二人とも」
ちなつ「―――なんですか?」
京子「なんだよ!」
結衣「1番疲れてるのは誰か、分かってる?」
ケンカ、しないでよ。
ちなつ「えっ」
京子「フォロー? 私、フォローなんてしてもらった覚えないけど」
結衣「―――うわ、おまえ、本当に私に感謝してないんだな………」
京子「は?」
ちなつ「ちょっと待って下さい!私の対応に困るってどういうことですか!?」
結衣「そのままの意味。抱きついて何がしたいの?」
ちなつ「いや、それは、結衣先輩が好きで……」
結衣「困るからやめてくれ」
ちなつ「えっ」
ちなつ「――そんな言い方しなくても――」
ここは、きっとごらく部なんだ。
結衣「――事実だから仕方な――」
現実と、違うのは
京子「――私の話もちゃんと――」
ここは、みんなが本音をぶつけあう場所だってこと。
そして、本音をぶつけあう時
あかりは、邪魔。必要ないんだね。
京子「――そもそも誰がごらく部を――」
やめてよ……
結衣「――辞めてやろうか?――」
みんな……………
ちなつ「――私は別に――」
あかりも、話に入れてよ。
あかりも、本音をぶつけたいから。
みんな、ちょっとズレてるだけなんだよ?
みんな、お互いに好きなはずだよね?
えっ
結衣「ああ。じゃあな」
待って
ちなつ「…………ふんっ」
………………
あかり「みんなっ!!!!!!!!」
・・・・・
・・・
・・
・
あかり「……はっ!!」ガバッ
京子「―――あっ、起きた!」
結衣「よ……よかった……」
あかり「え……? え……?」
ちなつ「あかりちゃん……!」
あかり「ここ、どこ……? あれっ?」
結衣「病院だよ」
あかり「―――病院!? なんであかりが!?」
結衣「あかり、倒れて……一日ぐらい、寝込んでたんだ」
あかり「い、一日……」
あかり「……あれ、今日って何曜日だったっけ?」
京子「金曜日でーす!」
あかり「―――学校は……?」
ちなつ「……なに言ってるの、あかりちゃん?」
あかり「え…………?」
京子「あかりが倒れてるのに、学校なんて行ってらんないよ!」
あかり「………………」
結衣「……まぁ、京子が言い始めた時は正直迷ったけど」
結衣「めちゃくちゃだけど、いい提案かなって」
京子「あーあ……失礼な子だよ」
結衣「―――その提案に感謝してるぞ?」
京子「!…………へへ、そうだろうそうだろう」ニシシ
あかり「みんな、あかりのために……?」
あかり「いや、そのぉ……」
京子「無理してんじゃないよっ!」ペチッ
あかり「きゃっ」
結衣「おいコラ」
京子「なんだよー。軽くだからいーじゃん。スキンシップですよっ」
結衣「病人だぞ……」
あかり「……えへへ」
ちなつ「まったく……京子先輩は」
……やっと、言えるね。
京子「――へへっ――」
だから、いっつも、どこかで溝を感じてて。
結衣「――ったく――」
だから、あんな夢を見ちゃったのかも。
ちなつ「――結衣先輩~――」
でも、あかりは一人じゃないよね。
そんなの、当たり前だよね。
みんな、少しでも疑っちゃってごめんね。
京子「――あれ、あかり?――」
心の片隅に、不満を持ってたりするかもしれないけど。
結衣「――そうだよ、あかりの見舞いにきたんだから――」
そんな不満よりも、もっと、もっと大きい本音。夢じゃ言えなかった、あかりの本音。
ちなつ「――あかりちゃん?――」
ありがとう。
ずっと、ずっと、あかりと仲良しでいてね。
あかり「みんなっ、大好きっ!」ニコッ
終わり
Entry ⇒ 2011.12.26 | Category ⇒ ゆるゆりSS | Comments (0) | Trackbacks (0)
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