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小鳩「あれからもう10ヶ月かぁ………」
小鳩「ふぅー」
カチャカチャ、カチャカチャ
小鳩「(………最近、仕事おもしろくないなぁ………疲れるばっかりで………前と変わらないはずなのに………)」
カチャカチャ、カチャカチャ
小鳩「(なんでだろう………)」
カチャカチャ、カチャカチャ
小鳩「(………やっぱり………あんちゃんと離れたから………)」
カチャカチャ、カチャ………
小鳩「………はぁー」
ダッタッタッタッタッタ
マリア「おっす小鳩ぉ!」ドン
小鳩「おわぁあ!?」ガタン
マリア「あははは、ビックリしたかぁ?」
小鳩「なんだマリアか………」
マリア「ぼけーっとしてたからなぁ、勢いつけて脅かしちゃったよ」
小鳩「もぉー、なんでこっちの部に来てんの、あんた下の階で受付でしょ」
マリア「だってなぁー、ずっと座ってるのもさぁー」
小鳩「理科さんに見つかったらどうすんの………」
マリア「大丈夫だって、あの人どうせ社長室からは出てこないんだから、引きこもりなんだからなぁ、あははは」
小鳩「あんたねぇ………」ヒョイ
マリア「………?………何?」
小鳩「あれ」ヒョイ、ヒョイ
マリア「………え?」クルッ
理科「ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ!」
マリア「うわぁあ!な、何で!?」
小鳩「あ、あたし知らないっと………」
理科「ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ!」
マリア「あわわわわわわ」ガクガク
理科「………保険をかけておいて正解でしたよ………いつかこうなるんじゃないかと思って………マリアちゃんのところだけ監視しておいたんです………」
マリア「そ、そんな、ズルい………」
理科「マリアちゃん!仕事サボって何やってんですか!」
マリア「えっと………その………小鳩がちゃんと仕事してるかなぁーと思いまして………偵察に………」汗ダラダラ
小鳩「(………してるってば)」
理科「小鳩ちゃんはマリアちゃんより数年もここに勤めてるんですよ!なんでマリアちゃんがそんな心配出来るんですか!」
マリア「えっと………その………」
理科「いくら隣人部の仲だったとはいえ、入社したてのマリアちゃんに任せられるのは今はこれくらいなんです!しっかり仕事してくれないと………!」
マリア「あの………小鳩が最近元気なかったから………それで………」
理科「あっ」
小鳩「………」
理科「………そうですね」
小鳩「………理科さん、マリアの思うツボですよ」
マリア「うっ」
理科「分かってますよ………でも理科も思ってたんです、小鳩ちゃん最近元気ないなって………」
小鳩「別に………そんなことは………」
理科「でもマリアちゃん!」ギロリ
マリア「ひっ!」
理科「仕事をサボったことは許しません、理科の部屋まで来てもらいますよ、説教してやるんだから」ガシッ
マリア「うわぁぁぁん!小鳩ぉ!助けてぇ!」ズルズルズル
小鳩「言わんこっちゃないんだから………」
理科「………小鳩ちゃん」
小鳩「は、はい」
理科「今日、仕事の後どうです?久しぶりに付き合いませんか?」
小鳩「え………」
理科「このところ仕事ばっかりで大変だったでしょう?たまには愚痴でも聞かせてください」
小鳩「でも………」
理科「社長命令です」
小鳩「………わかりました」
理科「じゃあ夕方に、あとでメールします」
マリア「小鳩ぉ!助けろぉ!うわぁぁぁん!」ズルズルズル
バタン
小鳩「はぁ………」
-居酒屋-
ワイワイ、ガヤガヤ
マリア「うぅ………酷い目にあった………」
小鳩「あのねぇ、マリアはコネで入ったんだから、会社の入り口でサボられたんじゃ理科さんの面目丸潰れでしょ………」
マリア「だってさぁ、ホントに暇だったんだよ、1階はわたし1人だし………受付使う人全然いないし………」
小鳩「受付でゲームしながらポテチ食べてる人間に、誰も案内頼もうなんて思わないって」
マリア「結局全部没収されたし………」
小鳩「当たり前でしょ」
マリア「うぅ、小鳩まで………」
小鳩「はぁ、これじゃあシスターやってた頃と変わらないなぁ………」
マリア「い、いや!これでも変わったんだぞ!」
小鳩「………例えば?」
マリア「インスタントばっかりの生活じゃなくなった!」
小鳩「昼ご飯、カップラーメンだったじゃん………」
マリア「か、家事は自分でするようになった………」
小鳩「部屋汚いじゃん………あとあの匂いどうにかならないの?」
マリア「………立派な社会人になった」
小鳩「さっきまで社長に説教されてたのに?」
マリア「うぅ………」
小鳩「だらしないなぁ」
マリア「…………」
小鳩「しっかりしてよ、もう大人なんだから」
マリア「………………小鳩だって」ボソッ
小鳩「え?」
マリア「小鳩だって………馬鹿やってた頃あったじゃん………」
小鳩「………なに?」
マリア「隣人部の頃」
小鳩「うっ!」
マリア「ニヤリ」
小鳩「あ、あれは若さ故の過ちというか………」
マリア「くっくっく………我が名はレイシス・ヴィ・フェリスティ・スメラギ………」
小鳩「ちょ!やめ………!」
マリア「おや?頼んだはずの供物がまだ届いておらんな………ここの店員は一体何をやっておるのだ………」
小鳩「ま、マリア!お願いだからぁ!」
マリア「くっくっく………いいだろう………我を愚弄したら最後どうなるか………この夜の帝王の名を以てその体に………!」
小鳩「やめろって言っちょろーが!」パァン!
マリア「おごぉ!」
ガラガラガラ
理科「すいません、お待たせしましたぁ」
小鳩「もぉー、遅いですよー」
理科「思ったより会議が長引いてしまって………ってマリアちゃんどうしたんですかその顔?理科、殴りましたっけ?」
マリア「いや、ちょっと小鳩に………」ヒリヒリ
小鳩「ジロッ」
マリア「あ、いや、何でもないです………」
理科「そうですか………あ、すいませーん、ビールと焼き鳥くださーい」
店員「はいよー」
ワイワイ、ガヤガヤ
理科「しかし女だけで居酒屋ってのもアレですねぇ」
小鳩「理科さんが誘ったんじゃないですか」
理科「そーなんですけどね、あははは」
マリア「そうだぞ!社長だったらもっと良いとこ連れてけ!」
理科「あ゙?」ギロリ
マリア「あ、あはは、何でもないです………え、枝豆おいしいなぁ、モグモグ」
理科「ところで2人とも、1人暮らしにはもう慣れましたか?」
小鳩「えっと………」
マリア「ぜーんぜん、料理とかワケわかんないし、掃除とかも面倒くさいし」
理科「マリアちゃん、シスターやってた頃と変わらないじゃないですか」
マリア「うう………理科にも言われた………」
理科「小鳩ちゃんは?」
小鳩「私は家事は出来るので、なんとか………」
マリア「むー」
理科「寂しかったりしないんですか?」
小鳩「そ、それは………」
理科「ん?」
小鳩「その……少し……」
理科「ずっと小鷹先輩と暮らしてきたんですもんね、寂しくて当然ですよ」
小鳩「………」
マリア「そうか?わたしもババアと離れたけど全然寂しくないぞ?むしろ嬉しいぞ?」
理科「あっちはきっと寂しがってますよ………」
マリア「そうかなぁ?」
小鳩「………あんちゃん………元気かなぁ」
理科「元気に決まってますよ、なんたって新婚さんなんですから」
マリア「あのお兄ちゃんがなぁー」
小鳩「………」
理科「理科たちもすっかり大人ですよねぇ………」
小鳩「………グスン………あんちゃん………」
マリア「あはは、泣くなって」
小鳩「………ぅぅ………グスン」
理科「ささ、もっと飲みましょう」
マリア「おー!」
小鳩「………うん」
ワイワイ、ガヤガヤ
-小鷹宅-
星奈「………えへへ」
ピコピコ、ピコピコ
星奈「も、森島先輩………こんなところで………」
ピコピコ、ピコピコ
星奈「ひ、膝の裏!?………こ、これは………じゅるり………」
ピコピコ、ピコピコ
ガチャン
小鷹「ふぅー、ただいまー」
星奈「え………あ、しまった!」
小鷹「帰ったぞー………星奈?」
星奈「あ、あははは………お、お帰りー」
小鷹「………」
星奈「き、今日もお疲れ様!」汗ダラダラ
小鷹「おい………それって………」
星奈「あ、あはは………」
小鷹「………」
星奈「お、お風呂にするぅ?ご飯にするぅ?それともア・タ・シ?」
小鷹「………」
星奈「………こ、小鷹?」
小鷹「ゲ………」
星奈「ゲ?」
小鷹「ゲーム卒業出来てねぇじゃんかよぉお!」
星奈「ゔわぁぁぁぁぁぁん!ごめんなさぁぁぁぁぁぁい!」
-食卓-
小鷹「第1回、家族会議を行います」
星奈「………はい」
小鷹「議題はこれです」ドーン
星奈「ぅぅ………」
小鷹「なんと押し入れいっぱいに隠してありました」
星奈「ご、ごめんなさい………」
小鷹「お前なぁ………ギャルゲーとかもうやめるって言ってくれたじゃないかよ」
星奈「………はい」
小鷹「俺、あの時お前のことホントにスゴイやつだって思ったんだぞ?俺の為に自分からやめるって言ったんだから………」
星奈「はい………言いました………」
小鷹「というわけで全部捨てます」ヨッコラセ
星奈「ちょ!ちょっと待ってぇ!」ガシッ
小鷹「だってなぁ」
星奈「ご、ご飯作るの忘れたのは謝るから!お願いします!どうかそれだけはぁ!」
小鷹「家事全部すっぽかしてるだろーが!」
星奈「ゔわああああああん!ホントにお願いだからぁぁぁ!小鷹ぁぁぁぁぁぁ!」
小鷹「あのなぁー」
星奈「い、家出るわよ!?泣くわよ!?パパ怒るわよ!?」
小鷹「あぁ、天馬さんにも言っておくか………」
星奈「それもやめでよぉぉぉぉぉぉぉぉ!」
-喫茶幸村-
小鷹「………ということがあったんだ」
夜空「ズズズ」
コトッ
夜空「………」
小鷹「………」
夜空「………馬鹿かあいつは」
小鷹「だよなぁ」
小鷹「困ってんだよ、結局その日は許したんだけどな、同じような事がそれから何度かあってさぁ」
夜空「ならいっそ全部捨ててやるのが一番なんじゃないか?」
小鷹「俺もそう思ったんだけど、流石に可哀想でな………」
夜空「時間制限を設けるとかは?」
小鷹「あー、ダメだった、1度試したんだけど、あいつ我慢できずに俺が帰ってくるまでずっとやってたみたいでさぁ」
夜空「小学生かあいつは………」
小鷹「その方がまだいいんだけどな………」
夜空「で、あいつ今なにしてるんだ?今日は連れて来なかったのか?」
小鷹「平日に溜まった分の家事をやらせてるよ、1週間もサボってたからなぁ」
夜空「ホントに子供みたいだな」
小鷹「でもそういうとこ、嫌いになれないんだけどな………」
夜空「………そうだな」
小鷹「そういえば、本はどうなったんだ?」
夜空「え?」
小鷹「ほら、なんか本を書いてるとか言ってたじゃんか」
夜空「ああ………初めてのことだからな、今少し練ってるところだ」
小鷹「へぇー、どういうのなんだ?教えてくれよ」
夜空「だ、ダメだ!恥ずかしい………」
小鷹「そ、そうか………」
夜空「出来るまでは誰にも見せたくないから………」
小鷹「でもいつかは読んで見たいなぁ、夜空の書いた本………」
夜空「うぅ………なんだか照れるな………」
小鷹「完成したら見せてくれよ、ダメか?」
夜空「そうだなぁ………じゃあ特別に読者第一号にしてやろう」
小鷹「ホントか?」
夜空「ああ、ただいつになるか分からないぞ?本当に出来るかも分からないし………」
小鷹「いやいいって、ゆっくり作りなよ、俺も気長に待つからさ」
テクテクテク
幸村「姉御………わたくしも姉御の書いた本を読んでみたいです………」
夜空「え、幸村も?」
小鷹「ああ、いいじゃないか、これで読者第二号だ」
夜空「お、おい………ホントに期待し過ぎないでくれ………何だか急に書くのが怖くなってきた………」
小鷹「期待しようぜ、な、幸村」
幸村「はい………読める日を心から楽しみにしております………」
夜空「ほ、ホントにやめろってばぁ!」
小鷹「あははは」
-小鳩宅-
ガチャン
小鳩「ただいま………」
シーン
小鳩「はぁー………」
TV『日本!日本!わぁぁぁぁぁぁ!』
小鳩「………」ピッ
TV『じゃーぱねっと♪じゃーぱねっと♪』
小鳩「………」ピッ
TV『今日行われた裸祭りでは多くの参加者が………』
小鳩「………」ピッ
TV『なんと松子デラックス1000人分に相当するケーキが………』
小鳩「はぁ………」
-会社 受付-
ガヤガヤ、ザワザワ
マリア「ふわぁあ~」ムニャムニャ
社員a「おはようございまーす」
マリア「はいおはよー」
社員b「マリアさん、おはよー」
マリア「はいおはよー」
社員c「おはようございまぁぁぁぁぁぁす!」
マリア「はいおはよー、お前うるさいよー」
テクテクテク
マリア「ん?」
小鳩「テクテクテク………」
マリア「………………」
小鳩「テクテクテク………」
マリア「………………」
小鳩「テクテクテク………」
マリア「………は?」
理科「え、小鳩ちゃんが?」
マリア「うん、パジャマで出社してた」
理科「そ、それはなんというか………かわいいというか………」
マリア「最近特に疲れてるみたいだなぁ、何だか元気もないし」
理科「確かにこの前見たときも、何だかぼーっとしてたような………」
マリア「なぁー、やっぱりお兄ちゃんが原因じゃないのか?」
理科「まぁ、恐らくは多分………」
マリア「どうにかなんないかなぁ」
理科「そうですねぇ………」
-会社 オフィス-
理科「小鳩ちゃん」
小鳩「あ、理科さん………」
理科「(あ、まだパジャマなんだ………かわいい………)」
小鳩「すいません………スーツ忘れちゃって………」
理科「そんな格好じゃ他の社員に示しがつきませんよ」
小鳩「そうですよね………すいません、1度家に戻ります………」
理科「いえ、大丈夫ですよ、ちょっと理科の部屋まで来てください」
小鳩「あ………はい」
-社長室-
理科「えーっと、これだと合うかな?」ガサゴソ
小鳩「………」
理科「はい小鳩ちゃん、これ着てください」バッ
小鳩「ホントにすいません、スーツをお借りするなんて………」
理科「いえこれくらいはいいんですよ、ただ小鳩ちゃんと少し話したいと思ってたから………ちょっと掛けてくれますか?」
小鳩「………はい」
理科「紅茶です」カチャン
小鳩「どうも………」
理科「最近、なんだか調子が良くないって聞きましたよ?」
小鳩「なんだか疲れてるみたいで………今日のも多分そうなんじゃないかと………」
理科「1人暮らしは………やっぱり辛いですか?」
小鳩「そんなことは………」
理科「小鳩ちゃん、本心を言ってください、社長命令です」
小鳩「………辛いです」
理科「ですよね」
小鳩「家に帰っても誰もいないのは………スゴく………寂しいです………」
理科「ふむぅ」
小鳩「でも、社会人なんだから堪えなきゃいけないことだと思って………マリアだってそうだし………」
理科「小鳩ちゃんの場合、家に誰もいないというより、小鷹先輩がいないという方が大きいんじゃないですか?」
小鳩「ぅぅ………」
理科「やっぱり寂しいですよね」
小鳩「………グスン」
理科「まったく………仕方ないですねぇ」
小鳩「え?」
理科「チャララララララ、どこでもドア~(似てない)」ペラリ
小鳩「………」
理科「………」
小鳩「………あの」
理科「ごめんなさい」
小鳩「………これは?」
理科「ご、ゴホン!特別に休暇を差し上げます、小鳩ちゃんは良く働いてくれているし………この封筒にはその手続きと、それから向こうまでの切符やら何やらが入ってます」
小鳩「向こうって………何ですか?」
理科「なにって………決まってるじゃないですか」
小鳩「………?」
理科「小鷹先輩のところですよ」
星奈「え、小鳩ちゃんが来るの?」
小鷹「ああ、さっき直接連絡があってな、明日遊びに来るんだって、何だか急だよなぁ」
星奈「小鳩ちゃんが………うちに………うへへへ」
小鷹「顔、顔」
星奈「ご、ごめん、つい」
小鷹「それで昼間のうちに来るらしいから迎えに行ってくれないか?俺、仕事休めないし、早めに帰るようにはするからさ」
星奈「分かったわ!任せて!」グッ
小鷹「………大丈夫だろうか」
星奈「何よ、襲ったりなんかしないわよ」
小鷹「真っ先に出るのがそれかよ!」
星奈「い、いや!ホントにそんなつもりないから!」
小鷹「お前なぁ、前科一犯なんだからな?」
星奈「大丈夫だって、ちゃんと迎えに行くから」
小鷹「だといいんだけど………」
ー会社 受付ー
マリア「ふわぁあ~」ムニャムニャ
社員a「おはようございまーす」
マリア「はいおはよー」
社員b「マリアさん、おはよー」
マリア「はいおはよー」
社員c「おはようございまぁぁぁぁぁぁす!」
マリア「はいおはよー、お前うるさいよー」
ガヤガヤ、ザワザワ
マリア「………」
ガヤガヤ、ザワザワ
マリア「………今日は小鳩遅いなぁ」
ー駅ホームー
アナウンス『ドア開きまーす、ご注意ください』
プシュー
小鳩「ふぅー、ホントに遠かったなぁ、やっと着いた………」
ーバスプールー
小鳩「あんちゃん迎えに来るって言ってたけどどこに………ん?………あ゙!」
星奈「ルーンルーン♪」
小鳩「せ、星奈がいる………なんで………あんちゃんは………?」キョロキョロ
星奈「(小鳩ちゃんまだかなー♪)」
小鳩「あんちゃんいない………」
星奈「(まだかな~♪)」
小鳩「………」
星奈「♪~」
小鳩「………に、逃げよう」
テクテクテク
小鳩「そういえば今日平日だったんだ………あんちゃん来ないに決まってんじゃん………馬鹿だなぁ………」
テクテクテク
小鳩「どうしよう………家まで歩けば時間つぶせるかなぁ………」
夜空「ん?小鳩か?」
小鳩「えっ」クルッ
夜空「ああ、やっぱり小鳩だ」
小鳩「よ、夜空さん!」
テクテクテク
夜空「なんだ、来るなら来るって教えてくれたら良かったのに 」
小鳩「すいません、昨日の今日だったので………」
夜空「1人で来たのか?」
小鳩「あ………えっと………迎えが来てはいたんですけど………」
夜空「ああ、その様子だと星奈が1人で来たんだろうな」
小鳩「………はい」
夜空「あいつの今までの行いが祟ったと思えばいいさ、気にするな」
小鳩「そ、そうですね………」
-バスプール-
星奈「(………小鳩ちゃん遅いなぁ)」
-喫茶幸村-
カランカラーン
幸村「おや………これはこれは………お久しぶりです、小鳩の姉御………」
小鳩「お久しぶりです、幸村さん………あの、やっぱり姉御って………」
幸村「ああ、失礼しました………いらっしゃいませ、小鳩殿………」
小鳩「ど、どっちもなんかなぁ………」
夜空「急に来ることになったらしくてな、幸村、コーヒーを頼む、小鳩も同じでいいか?」
小鳩「あ、はい、お願いします………」
幸村「かしこまりました………」テクテクテク
小鳩「いいお店ですね」
夜空「ふっふっふ、そうだろう、実は建設に私も立ち会ったんだ」
小鳩「そうだったんですか?」
夜空「ああ、ここを建てるとき色々と注文をつけてな、私好みにしてもらったんだ」
小鳩「ゆ、幸村さんの立場は一体………」
夜空「まったく苦労したんだぞ、テーブルなんか特にこだわってな、建設直前で注文を追加したら現場ともめてしまったんだ、仕方ないから私も投資して、出来るまでに3年もかかってしまったよ」
小鳩「完全に私物化しちゃってるんですね……」
夜空「私のお気に入りだ」
幸村「どうぞ………」カチャ
小鳩「ありがとうございます」
幸村「テクテクテク………」
夜空「ズズズ」
小鳩「ズズズ」
コトッ
夜空「そういえば、どうして急に来ることになったんだ?」
小鳩「え………あ………その………」モジモジ
夜空「小鷹に会いたくなった………とか?」
小鳩「………はい」
夜空「女の一人暮らしだもんな、寂しくもなるか」
小鳩「最近、特に堪えられなくなってきて………」
夜空「そうか………」
小鳩「夜空さんはそういうことないんですか?」
夜空「え、私か?…………うーん、最近はない………かな………」
小鳩「………最近?」
夜空「一度小鷹が帰って来ただろう?あの時以来、寂しくなることはなくなったかなぁ………」
小鳩「え、なんでですか?だって夜空さん………」
夜空「………まぁそうだったんだけどな、何だか星奈のことを考えたら不思議とそう思えたんだ………なんでだろうな………」
小鳩「大人なんですね………」
夜空「ふふ………そうかもしれないなぁ」
小鳩「………」
夜空「そういう小鳩こそもう大人だろう、あれとかもういいのか?もうやってないのか?」
小鳩「え?」
夜空「ほら、あの、レイシス・ヴィ・フェリスティとかってやつ」
小鳩「………すいません、ホントに勘弁してください」
夜空「くっくっく………処女の生き血はいかがかな、我が主よ………」
小鳩「よ、夜空さん!」ガタッ
夜空「あははは」
小鳩「ぅぅ………」
夜空「小鷹にはなんて言って来たんだ?」
小鳩「あんちゃんにはただ遊びに行くって言ったんです………寂しくて来たなんて言えなくて………」
夜空「そうだな、あいつきっと心配するだろうからなぁ」
小鳩「でもどうすればいいのか………相談するのも出来なくって………」
夜空「んー」
小鳩「………」
夜空「なぁ小鳩」
小鳩「………なんですか?」
夜空「たまには相手の事なんて考えなくてもいいんじゃないか?」
小鳩「………夜空さんはもう少し考えた方が良いと思います」
夜空「うっ………ま、まぁそう言わずにな、困ったときは、後のことなど考えず誰かを頼っても良いんじゃないかということだ」
小鳩「………」
夜空「頼ってみないと分からないことってあるだろ?それに………小鷹ならきっと力になってくれるさ」
小鳩「………そうですね」
夜空「なんなら、私でもいいんだぞ?」
小鳩「それは遠慮しておきます」
夜空「むー」
小鳩「………えへへ」
-町内-
テクテクテク
小鳩「………え、じゃあ一緒に来てくれないんですか?」
夜空「ああ、仕事の都合でこっちに来てたんだ、もう図書館に戻らないといけないからな、ここらでお別れだ」
小鳩「そ、そんな………」
夜空「あんまり星奈が絡んでくるようだったら警察でも呼べばいいさ、番号分かるか?」
小鳩「じょ、冗談言わないでください!あんなのと2人でいられるわけないじゃないですか!」
夜空「小鷹が帰ってくるまでの辛抱だな」
小鳩「夜空さん結婚式のとき見てたでしょ!?私、あいつに身ぐるみ剥がされて襲われかけたんですよ!?」
夜空「あ………ああ………あれは酷かったな………」
小鳩「マリアが止めてくれたからよかったけど………ぅぅ」
夜空「そのせいで星奈のやつずっと気絶してたからな、シュールな結婚式だった………」
小鳩「きっとまた襲われます………」
夜空「被害届は出してやる」
小鳩「よ、夜空さん!」
夜空「まぁ小鷹に早く帰るように言っておいてやるから、今日は大人しく家に向かうんだな」
小鳩「そんなぁ………」ガクッ
ピコピコ、ピコピコ
星奈「結局小鳩ちゃん来なかったなぁ………3時間も待ったのに………」
ピコピコ、ピコピコ
星奈「どうかしたのかなぁ………少ししたらまた駅まで行ってみようかな………」
ピコピコ、ピコピコ
星奈「ああ………紗江ちゃんかわいいなぁ………ふかふか………」
TV『あたしが守ってあげる!』
星奈「え?」
TV『バキッ!バキッ!バキッ!バキッ!バキッ!バキッ!』
星奈「ちょ、ちょっと!なにフラグ折ってんのよ!い、イベントが………!」
TV『可哀想だけど、仕方がないよね』
星奈「だ、誰よあんた!立ち絵もない癖に!ふざけんじゃないわよぉ!」
TV『先輩………そんな………』
星奈「さ、紗江ちゃん!ち、違うの!行かないで!」
TV『さようなら………』
星奈「紗江ちゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁん!」
-町内-
テクテクテク
小鳩「はぁ………やだなぁ星奈に会うの………また襲われたりしたら………」
テクテクテク
小鳩「星奈がいなければすぐにでも家に向かうのに………」
テクテクテク
小鳩「あんちゃん………どうして星奈なんかと………」
テクテクテク
小鳩「あのままずっと一緒にいたかったのに………」
テクテク………ピタッ
小鳩「ぅぅ………グスン………」
-会社-
マリア「じゃあ、小鳩はお兄ちゃんのところに行ったのか?」
理科「ええ、2日ほど休みをあげたので、しばらくは寂しくなりますね」
マリア「小鳩のやつきっと喜んでるだろうなぁ」
理科「でもあっちには星奈先輩がいますから、ゆっくりは休めないでしょう、それでも元気になってくれればいいんですけど………」
マリア「わたしにも休暇くれたらなぁ」
理科「小鳩ちゃんはキチンと働いていたからご褒美として休暇をあげたんです、マリアちゃんもしっかり働いてください」
マリア「ぶー」
理科「でないと没収したPS vitaも返しませんからね」
マリア「ぅぅ………分かりました」
-小鷹宅 玄関前-
小鳩「………あ、この家だ」
『Kodaka & Sena』
小鳩「………はぁ」ポチッ
ピンポーン
小鳩「………」
シーン
小鳩「………ん?」
ピンポーン
小鳩「………」
シーン
小鳩「も、もしかしてまだ駅に………どうしよう………」スッ
ガチャン
小鳩「あれ………開いてる………?」
-小鷹宅-
ピコピコ
星奈「まさかさっきの子が隠しキャラだったなんて………一体どんな子かしら………早く立ち絵を拝みたいわぁ………」ワクワク
TV『は、はじめまして………あたし………上崎裡沙
っていいます………』
星奈「裡沙ちゃん来たーーーーー!はぁはぁ………なにこれ!ちょー可愛いんですけどぉ!」
星奈「や、やばい!なにその台詞!裡沙ちゃんやばすぎ!マジ天使!裡沙ちゃんマジ天使!」
TV『やっぱり………大きい胸の方が良いんですか?………努力はしてるんですけど………』
星奈「ど、努力!?………うへへ………おじさんも一緒に手伝っちゃいますよぉ?」
小鳩「………」
TV『………今日は………その………うちに泊まりに来てくれませんか?』
星奈「うっひゃぁぁぁぁぁぁ!なにこれ!?いきなり初夜!?だってそうでしょこれ!?男と女が泊まりとなれば後はベッドの上で激しく求め合って………!」
スパァン!
星奈「うごぉ!?」
小鳩「昼間っからなにやっちょるんばい!」
小鷹「もう小鳩来てるだろうな、元気にしてたかなぁ」
ガミガミ、ガミガミ
小鷹「………ん?」
ガミガミ、ガミガミ
小鷹「な、なんだ?…………家の中からか?」
ガチャン
小鷹「ただいまー、星奈ぁー?」
バンッ!
小鳩「なんで主婦が昼間っから鼻の下伸ばしてんですか!」
星奈「も、申し訳ありませんでした………」
小鳩「星奈さんもうアラサーでしょ!?結婚して主婦なんでしょ!?ゲームなんかやってて恥ずかしくないんですか!?」
星奈「か、返す言葉もございません………」
小鳩「ていうかあなた女でしょ!?なんでギャルゲーなんかしてるんですか!?ふざけちゃってるんですか!?」
星奈「ほ、本当にごめんなさい………もう許して………」
小鳩「それになんですかこの押し入れ!?なにこのゲームの量!?ほとんどギャルゲーだし!?限度ってもん越えちゃってるでしょうがぁ!」
星奈「こ、小鳩ちゃん………もうこのくらいで………」
小鳩「星奈さんが全部悪いんですよ!」バン
星奈「こ、小鷹も帰ってくるし………夜ご飯も作らないといけないから………ね?」
小鳩「あんちゃんなんでこんなのと結婚したんだよぉぉぉぉぉぉ!」
星奈「こ、小鳩ちゃん………」
小鳩「うがぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」
小鷹「と、とんでもないことになってるな………」
ゴクゴクゴク
コトン
小鳩「ふぅ………」
小鷹「落ち着いたか?」
小鳩「うん………あんなに叫んだの初めてだったかも………」
小鷹「壮絶だったからな………」
小鳩「なんか、体に溜まってたものが全部出たみたい………今スゴいスッキリしてる」
小鷹「で、出来ればあれが最後であって欲しいな……_」
小鳩「だって星奈が………」
小鷹「まぁ、ゲームのことは俺が言っとくから、俺もどうにかしようと思ってたところだし………」
小鳩「………分かった」
小鷹「それより久しぶりに来たんだ、今日はゆっくりしていけよ、小鳩の話もたくさん聞きたいからな」
小鳩「うん!」
星奈「ご飯出来たわよー」
小鷹「おーう」
小鳩「プイッ」
星奈「ぅぅ………小鳩ちゃん………」
-居酒屋-
ワイワイ、ガヤガヤ
理科「………いつもは寂しい女3人ですけど、小鳩ちゃんがいないともっと寂しいですねぇ」
マリア「わたしは小鳩の分も奢ってもらえるからいいけどなぁ」ガツガツ
理科「………呑気ですね」
マリア「だって実際そうだし」
理科「マリアちゃんのそういうところ………素直に羨ましいです」
マリア「いっつも馬鹿にしてるくせにー」
理科「それはマリアちゃんが仕事をしないときだけですよ」
マリア「むー」
理科「理科だって、たまには何も考えたくない時ぐらいあるんです………」
マリア「………」ジー
理科「………なんですか?」
マリア「理科ってさ」
理科「はい?」
マリア「お兄ちゃんのこと好きだったでしょ」
理科「んなぁ!?」ガタン
マリア「でしょ?」
理科「ど、どうしたんですか急に!こんなのいつものマリアちゃんじゃありませんよ!」
マリア「むー、失礼だなー、わたしだってそういうこと考えたりするんだぞ」
理科「そ、そりゃあそうですけど………でもなんでいきなり………」
マリア「なんとなく」
理科「なんとなくって………」
マリア「どうなの?」
理科「き、嫌いではありませんでした………」
マリア「曖昧だなぁー」
理科「そ、そういうマリアちゃんこそどうなんですか?実は陰でこっそり狙ってたんじゃないですか?」
マリア「うん、大好きだった」
理科「ぐっ、なんて素直な………」
マリア「でもなぁー、お兄ちゃんのこと考えたら結局なにも出来なかったんだよ」
理科「………?」
マリア「あのときは隣人部のみんなでいることの方が大切に思えてさぁ………きっとお兄ちゃんもそう思ってたと思うんだ………聞いたわけじゃないけど」
理科「………そうですね」
マリア「でもまぁ、星奈が1番乗りしちゃったんだけどな、わたしもなんかしとけばよかったなぁって時々思うんだよなぁ」
理科「マリアちゃん………」
マリア「理科の言うように、あの頃の私も呑気だったんだろうなぁ………」
マリア「むー、笑うなよぉ」
理科「あ、いえ………違うんです………」
マリア「………?」
理科「もしかしたら………マリアちゃんが1番大人だったのかもしれませんね………」
マリア「あはは、なんだか照れるなぁ」
理科「………うそです」
マリア「なんだよもぉ!」
理科「あははは」
ワイワイ、ガヤガヤ
-翌日 -
チュンチュン、チュンチュン
星奈「ん………んん………」
チュンチュン、チュンチュン
星奈「………ん?」
チュンチュン、チュンチュン
星奈「え………あれ!?」
ダッタッタッタッタッタ
星奈「小鷹ぁ!」
小鷹「よぅ、遅かったじゃんか」
星奈「こ、小鳩ちゃんは!?」
小鷹「さっき出かけたよ」
星奈「え?」
小鷹「夜空に呼ばれたらしくってな、朝から図書館に行ったよ」
星奈「あぁ………てっきり帰っちゃったのかと思った………良かったぁ」
小鷹「夕方には戻るって言ってたから、夜ご飯の買い物はそれまでに行くからな」
星奈「うん、分かった」
小鷹「………あのさ」
星奈「ん?」
小鷹「ゲームのことなんだけど………」
星奈「………うん」
小鷹「明日には小鳩も帰っちゃうし、安心して戻れるようにしてやりたいんだ」
星奈「………分かったわ」
小鷹「限度があれば俺は別にかまわないんだけどなぁ」
星奈「なんか、やってると夢中になっちゃうのよね………何も聞こえなくなるし………なにより楽しいし………」
小鷹「重症だな………」
星奈「でも………そうね、いつまでもこんなことしてられないわよね」
小鷹「お前なりに解決してくれればいいから………無理のないようにな」
星奈「うん………ありがと」
小鷹「よし………じゃあ溜まってる家事をやるか」
星奈「おー!」
-図書館-
ウィーン
小鳩「す、スゴいところだなぁ………ここで夜空さんが働いてるんだ………」
夜空「小鳩、よく来たな」
小鳩「あ、夜空さん………スゴいですねここ、東京ドームくらいあるんじゃないですか?」
夜空「ふっふっふ………そうだな………そしてここで働いている私も選ばれし者というわけだ」
小鳩「それでもジャージなんですね………」
夜空「それは気にするな………向こうに静かなところがあるから、話はそこでしようか」
小鳩「分かりました」
-図書館 応接室-
夜空「はいコーヒー、幸村みたいには上手く入れられなかったが」カチャン
小鳩「いえ、ありがとうございます」
夜空「ズズズ」
小鳩「ズズズ」
コトッ
小鳩「それで、話ってなんなんです?」
夜空「うん………それが………だな………」モジモジ
小鳩「………?」
夜空「その………実は今………本を書いているんだ………」
小鳩「ああ、知ってますよ」
夜空「え、なんで!?」
小鳩「あんちゃんから聞いたんですよ」
夜空「あ、あいつ!まさか言いふらしてるのか!?」
小鳩「あー、隣人部のみんなには教えてたみたいです」
夜空「そ、そんな………」ガクン
小鳩「夜空さん?」
夜空「急に書けなくなってしまったんだ………」
小鳩「えっ?」
夜空「書き出しは良かったんだ………自分でも名作と思える作品が間違いなく出来つつあったんだ………」
小鳩「そ、そういうの、自分で言っちゃうんですね………」
夜空「でもこの前、小鷹に期待してるって言われてから………急に書けなくなってしまって………」
小鳩「それで私に?」
夜空「………うん」
小鳩「そうだったんですか………」
夜空「頼めないか?」
小鳩「でも私、文学なんて分かりませんよ?」
夜空「1人の読者として感想を言ってもらえればいいんだ、出来ているところまでだが………」
小鳩「で、でも………」
夜空「頼む!小鳩にしか相談出来ないことなんだ!」
小鳩「わ、分かりました………やってみます………」
夜空「それで………これがそうなんだ」スッ
小鳩「な、なんだか緊張するなぁ………」
夜空「簡単でいいから、とりあえず読んでみて感想を聞かせてくれ、文学的な評論はしなくていいから」
小鳩「は、はい………」
夜空「モジモジ、モジモジ」
小鳩「………ペラ………ペラ」
夜空「モジモジ、モジモジ」
小鳩「………ペラ………ペラ」
夜空「ぅぅ………」
小鳩「………ペラ………ペラ」
夜空「小鳩………ま、まだか?」
小鳩「もう少しです」ペラ
夜空「ぅぅ………」
パタン
小鳩「ふぅー」
夜空「お、終わったか?」
小鳩「はい………ひと通り読み終えました」
夜空「それで、感想は………?」
小鳩「………」
夜空「こ、小鳩?」
小鳩「………その………ちょっと意外でした」
夜空「………え?」
小鳩「夜空さんがこういうもの書くとは思っていなかったので………あ、悪い意味じゃないですよ?もちろん良い意味で………」
夜空「どういう………」
小鳩「ライトノベルだったんですね」
夜空「………へ?」
小鳩「えっと………だから………ライトノベルだったんですね………夜空さんが書くジャンルとは思っていなかったので、ちょっと意外でした」
夜空「な、なにを………」
小鳩「んー、そうなると挿絵が必要になってきますね………これをどうやって乗りきるか………」
夜空「ば、馬鹿を言うな!崇高な純文学のつもりで書いたんだぞ!芥川賞も狙える名作なんだ!ラノベなどという稚拙なジャンルであるものか!」
小鳩「いえ………どう見てもこれは………ラノベです………」
夜空「馬鹿な………」
小鳩「………夜空さん、ライトノベル読んだことありますか?」
夜空「そ、それは………その………」
小鳩「まさか………」
夜空「………ない………です」
小鳩「………あなた司書でしょ」
夜空「し、司書にだって読まないジャンルはある」
小鳩「でもライトノベル読んだことないっていうのは………」
夜空「だってラノベに文学的な価値なんてないし………」
小鳩「読まないのに分かるはずありませんよ」
夜空「むぅ………」
小鳩「でも夜空さんの書いたこれ、面白かったですよ?」
夜空「ほ、本当か!」
小鳩「はい………内容が夜空さんらしいというか、らしくないというか………とにかく作品には引き込まれました」
夜空「そうか………それは良かった………」
小鳩「ただジャンルはもうライトノベルなので………知らないジャンルをこのまま書くというのは無理があるんじゃないでしょうか?」
夜空「むぅ、確かにな………」
小鳩「執筆は一度やめて、ライトノベルを知るところから始めてみたらどうですか?」
夜空「うーん、ライトノベルかぁ」
小鳩「偏見してたら、何事も損ですよ」
夜空「そうだな………よし、やってみるか」
小鳩「じゃあ図書館にある分から探してみましょうか」
夜空「分かった」
-夕方-
テクテクテク
小鳩「思ったことを言ってみただけだったけど………あんなアドバイスで大丈夫だったのかなぁ………」
テクテクテク
小鳩「でも、夜空さんの本おもしろかったなぁ、早く続き読んでみたいなぁ………」
テクテクテク
小鳩「あっ」
小鷹「よっ、小鳩」
小鳩「あ、あんちゃん、どうしたの?」
小鷹「どうしたって言われてもな、小鳩を迎えに来たんだよ」
小鳩「べ、別にいいのに………もう子供じゃないんだから………」
小鷹「まぁ、そう言うなって、久しぶりなんだ、一緒に帰ろうぜ」
小鳩「う、うん………」
小鷹「なんだよ?嬉しくないか?」
小鳩「いや………その………嬉しい………」
小鷹「まったくこいつぅ、可愛いなぁー」ナデナデ
小鳩「も、もう!やめてよあんちゃん!」
小鷹「ははは」
テクテクテク
小鳩「家事はもういいの?」
小鷹「ああ、途中から星奈が1人でやるって言いだしてな、追い出されちゃったんだ、なんだか張り切ってたなぁ」
小鳩「………なんで?」
小鷹「さぁな、もしかしたら小鳩の手前、かっこつけたいんじゃないかなぁ」
小鳩「あいつが張り切るとロクなことがないのに………」
小鷹「大丈夫だって、あいつやらないだけで家事はパーフェクトなんだから、俺よりずっと上手いんだぞ?」
小鳩「だといいんだけど………」
小鷹「そういや、なんで夜空に呼ばれたんだ?」
小鳩「えっと、かくかくしかじかで………」
小鷹「あー、そのことだったのか」
小鳩「夜空さん、かなりプレッシャーだったみたいだよ」
小鷹「それは悪いことしたなぁ………」
小鳩「あんまり軽はずみなこと言っちゃだめだよあんちゃん」
小鷹「あのときはホントに楽しみにしてたからなぁ………こんど謝っておかないとな………」
小鳩「でも夜空さんの本が読めるなんて楽しみだね」
小鷹「そうだなぁ………あ、そういえば小鳩は夜空の本がどんなのか見たんだろ?どういうのだったんだ?」
小鳩「それは………内緒」
小鷹「なんだよ、ちょっとくらい良いだろ」
小鳩「ダメ、夜空さんに口外しないって約束したんだから、あんちゃんでも駄目なの」
小鷹「………さいですか」
小鳩「でも、きっといい本が読めるよ」
小鷹「しゃーない、それまでは気長に待つか」
小鳩「うむ、それでよい」
小鷹「あははは」
小鳩「………えへへ」
テクテクテク
アハハハハハ
小鳩「………それでマリアが転げ落ちゃってさー」
小鷹「あはは、なんだよそれ、理科もびっくりだろ」
小鳩「そう、それで理科さんがマリアのことを………ん?」
小鷹「………どうした?」
小鳩「………あれ」
小鷹「ん?」
小鳩「………あそこ………なんか煙が上がってる」
小鷹「え、どこ?」
小鳩「ほら、あれ」
小鷹「あ、ほんとだ、なんだろうな………祭りか?」
小鳩「………火事?」
小鷹「この季節にか?ちょっと考えられないな」
小鳩「あ、あんちゃん………」
小鷹「ん?」
小鳩「あれ………うちから出てない?」
ダッタッタッタッタッタ
小鳩「はぁ………はぁ………や、やっぱり………うちの方から上がってる!」
ダッタッタッタッタッタ
小鷹「はぁ………はぁ………!」
カンカンカンカンカンカン
小鳩「あ、あんちゃん!消防車が!」
小鷹「小鳩!俺が先に行く!星奈が無事か確かめてくる!」
小鳩「わ、分かった!すぐに追いつくから!」
ダッタッタッタッタッタ
小鷹「(くそ!何で1人にしちまったんだ!………星奈!)」
ダッタッタッタッタッタ
小鷹「(星奈に何かあったら………俺は………!)」
ダッタッタッタッタッタ
小鷹「ほ、ホントに火が………庭の方からだ!」
ダッタッタッタッタッタ
小鷹「星奈ー!無事かぁ!」
星奈「えっ!?」ビクッ
小鷹「せ、星奈………!」
星奈「ど、どうしたのよいきなり………ビックリするじゃない………」
小鷹「え………あ………」
星奈「あ、でもちょうど良かったわ、ほら見て」
メラメラ、バチバチ
小鷹「こ、これ………」
星奈「どう?これがあたしの覚悟よ、これならきっと、小鳩ちゃんも安心して向こうに戻れるわ」
小鷹「な………なにを………」
星奈「スゴイ迷ったんだから、ホントはこんなことしないで売っちゃっても良かったんだけど、明日には小鳩ちゃんも帰っちゃうって言うし、なによりこれならあたしの決意を間近で見てもらえると思ったのよ」
小鷹「…………お」
星奈「あたしなりに考えたのよ?準備するのも大変だったんだから」
小鷹「………お前は………何をやってるんだ?」
星奈「ちょっと聞いてなかったの?小鷹だって今朝言ったじゃない」
小鷹「だから………一体………」
星奈「もう………見てわかんない?」
小鷹「………」
星奈「押し入れにあったゲームを全部燃やしてるの」
スパァン!
星奈「痛ぁー!」
小鷹「この大馬鹿野郎ぉぉぉ!」
星奈「な、なんでこうなるのよぉぉぉ!」
カンカンカンカンカンカン
夜空『じゃあ3人とも無事なんだな?怪我もないんだな?』
小鷹「ああ、家が燃えたわけじゃなかったからな、みんな大丈夫だよ」
夜空『はぁ………良かったぁ………』
小鷹「悪かったなぁ心配かけて、星奈にはキツく言っとくから」
夜空『いや、それでは駄目だ、私の気が収まらん、星奈に代わってくれ、直々に説教をくれてやる』
小鷹「あー、今は無理だ」
夜空『どうしてだ?』
小鷹「徹夜で正座させてるからな、これから明日の朝までは地獄を見てもらう」
夜空『それでもまだ足りないくらいだ』
小鷹「今はこれで許してやってくれ」
夜空『いつか必ずしばいてやる………』
小鷹「………ほどほどにな」
夜空『まったく………幸村なんてもっと心配していたんだからな』
小鳩「ホントに悪かったなぁ、幸村にも同じように伝えておいてくれ」
夜空『ああ、分かってる、ちょうどいま幸村のとこにいるからな、すぐに伝えておくよ』
小鳩「あんちゃーん」
小鷹「あ、いま行く………じゃあそろそろ」
夜空『ああ、くれぐれも本当の火事なんてよしてくれよ』
小鷹「ありがとな………それじゃあおやすみ」
夜空『うん、おやすみ』
ピッ
小鷹「じゃあ、予定よりも早く帰っちゃうのか?」
小鳩「うん、本当は明日の夕方までいようかと思ったんだけど、あんちゃん達がいないんじゃしょうがないし………明日の朝には出るよ」
小鷹「今日の騒ぎさえなければなぁ」
小鳩「やっぱり、1日かかるんでしょ?」
小鷹「消防署と警察署だからなぁ、もしかしたら明日の夜までかかると思うよ」
小鳩「はぁ………本当に馬鹿なんだから………」
小鷹「さすがに今回は大事だったなぁ」
小鳩「………」
小鷹「………どうした?」
小鳩「あのさ………」
小鷹「………ん?」
小鳩「あんちゃんって………星奈のどこが良いの?」
小鷹「えっ」
小鳩「そりゃあ容姿もスタイルも良いし、何でも出来るみたいだけど………でも………」
小鷹「………小鳩は星奈のこと嫌いか?」
小鳩「………少し」
小鷹「あはは、そっか」
小鳩「ま、真面目に話してるんだよ!?」
小鷹「いや、ふざけてるわけじゃないよ、それでも嫌いにならない小鳩が可愛くってさ」
小鳩「ぅぅ………」
小鷹「でもそうだな、どこが好きなんだろうなぁ」
小鳩「いい年してギャルゲーなんかやってるし………女の子相手に鼻の下伸ばしてるし………ボヤ騒ぎまで起こすし………」
小鷹「そうだなぁ、良いところ全然ないな」
小鳩「だったらなんで………」
小鷹「んー………」
小鳩「………」
小鷹「なんか………あいつのそういうところも含めて、嫌いになれないんだよな」
小鳩「えっ?」
小鷹「ゲームするのも、小鳩に絡むのも、馬鹿騒ぎ起こすのも………確かに迷惑だったりするけどな、あいつがすると嫌なことだけじゃないっていうか………うーん難しいなぁ………」
小鳩「………」
小鷹「多分、理屈とか抜きにしてあいつ全部が好きなんだな………嫌いなところも好きだし、好きなところも好きなんだ」
小鳩「………えへへ」
小鷹「わ、笑うなよ!」
小鳩「だって、あんちゃんまで馬鹿に見えたから、おかしくって」
小鷹「………なんだよそれ」
小鳩「でもね………私も馬鹿なんだなぁって………いま気づいた」
小鷹「………そっか」
小鳩「大人になっても、理屈なんか無しにいられるんだね」
小鷹「………そうだなぁ」
-玄関-
星奈「(ぅぅ………足痛いよぉ………)」ビリビリ
-リビング-
小鳩「あのね、これは言うつもりじゃなかったんだけど………本当は寂しくてこっちに来たんだ」
小鷹「え、そうだったのか?」
小鳩「うん………ずっとあんちゃんと2人で生活してたからさ………急にあんちゃんと離れて………辛くなって………」
小鷹「………」
小鳩「あんちゃん?」
小鷹「………本当はな、小鳩も一緒に3人で暮らすつもりだったんだ」
小鳩「えっ?」
小鷹「結婚したからって妹と暮らしちゃいけないなんてことないからな………3人で暮らせるなら、あのまま小鳩とも一緒に暮らそうと思ってたんだ」
小鳩「じゃ、じゃあどうして………」
小鷹「星奈に反対されたんだよ」
小鳩「えっ!?」
小鷹「ビックリだろ?俺もあいつの口からそんなこと聞くと思わなくってさ、あのときはかなり驚いたよ」
小鳩「ど、どうして………」
小鷹「『それだと小鳩ちゃんがあたしと同じになる』」
小鳩「…………え」
小鷹「自分と重なる部分が多いから、何かに長く依存してると、将来きっと自分と同じようになるからって………星奈がそう言ったんだ」
小鳩「星奈が………」
小鷹「スゴイよなぁあいつ………1番小鳩にべったりなのに………1番お前のために考えてくれてたんだ」
小鳩「そうだったんだ………」
小鷹「小鳩には悪いと思ったんだけどな………星奈の話を聞いたら………俺もそうするべきだと思ったんだ………でも、ごめんな、やっぱり寂しかったよな………」
小鳩「ううん………私………てっきり2人の邪魔だからって思って………恥ずかしいなぁ………」
小鷹「………今からでも3人で住んでみるか?」
小鳩「え………それは………」
小鷹「俺は別にいいんだぞ?星奈にも話してみるし」
小鳩「………」
小鷹「………小鳩?」
小鳩「………やっぱりいい………せっかく星奈が私のために言ってくれたんだし………私もそれに応えてみたい」
小鷹「………そっか」
小鳩「でも………星奈のことちょっと見直しちゃった」
小鷹「そういうところも、好きになれるだろ?」
小鳩「抱きついてくるのは嫌なんだけどなぁ」
小鷹「ははは」
チュンチュン、チュンチュン
小鳩「ふわぁあ」ムニャムニャ
テクテクテク
小鳩「あっ」
星奈「はぁ………はぁ………ぅぅ………」ビリビリ
小鳩「(そういえば徹夜で正座してたんだっけ………)」
星奈「も、もう朝なのに………なんで小鷹来ないのよぉ………ぅぅ………」ビリビリ
小鳩「………」
星奈「こ、小鷹………もういいでしょ………助けてよぉ……_」ビリビリ
小鳩「………あんちゃんが起きるまでは駄目です」
星奈「え?………あ!小鳩ちゃん!」ダッ
小鳩「あっ」
ダッタッタッタッタッタッタ
星奈「小鳩ちゃぁぁぁぁぁ………うぐぇ!」ドテッ
小鳩「………」
星奈「な、なにこれ!やばい!足が超やばいんですけど!あ、あたしの足が!」ガクガク
小鳩「………夜通しで正座してたんですから、しばらく歩けませんよ」
星奈「そ、そんな!小鳩ちゃんが目の前にいるっていうのに!ふんぬぅぅぅぅぅぅぅぅぅ!」
小鳩「………」
星奈「このぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!」ガクガク
小鳩「………」
星奈「うがぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」ガクガク
小鳩「………はぁ」
スゥ
星奈「えっ?」
小鳩「………立てますか?」
星奈「あ………うん………」
小鳩「ソファーまで運びますね」ヨイショ
星奈「あ、ありがとう………」
-リビング-
ヨイショ、ヨイショ
ドサッ
小鳩「ふぅ………水でも飲みますか?」
星奈「え?………あ………うん」
小鳩「ちょっと待っててください」
星奈「………」
テクテクテク
小鳩「はい、どうぞ」
星奈「………」ジー
小鳩「な、なんですか?」
小鳩「………?」
ガシッ
小鳩「うわぁあ!」
星奈「もぉ!小鳩ちゃん!ホントに可愛いんだからぁ!」ナデナデ
小鳩「ちょ、ちょっと!やめてよぉ!」
星奈「そらそらー!」ガシガシ
小鳩「ちょ、ちょっとー!」
星奈「うりうりー!」ウリウリ
小鳩「あははは!くすぐったい!」
星奈「ほれほれー!」コチョコチョ
小鳩「んもー!やったなぁ!」バッ
星奈「きゃあ!」
小鳩「お返しだぁ!」コチョコチョ
星奈「あははははは!ギブ!ギブー!」
キャッキャ、キャッキャ
アハハハ、ウフフフ
小鷹「(………な、何やってんだあいつら)」
-駅-
アナウンス『下り方面の改札は1階の西3番乗り場から………』
小鳩「じゃあもう行くね、2人ともありがとう」
小鷹「ああ、気をつけてな、理科とマリアにもよろしく言っといてくれ」
小鳩「うん」
星奈「小鳩ちゃん、寂しくなったらいつでも来ていいんだからね」
小鳩「うん、ありがとう、また来るから」
小鷹「でも小鳩だってもう大人だからな、次来るときは婿付きかもしれないなぁ」
星奈「そ、そんな………!」
小鳩「あんちゃん、変なこと言わないでよ」
星奈「そ、そうよ!小鳩ちゃんはあたしのなんだから!」
小鷹「えー、でもいないのか?気になる人とか」
小鳩「そ、それは………その………」モジモジ
小鷹「ん?」
星奈「え?」
小鳩「………一応いるけど」
星奈「えええええええええ!?」
小鷹「ははは、じゃあ今度連れてこいよ、そんときはちゃんと迎えに行ってやるから」
星奈「………う、嘘でしょ!?小鳩ちゃん!?」
小鳩「もぉ!いたっていいじゃん!」
星奈「そんな………ぅぅ………ゔわぁぁぁぁぁぁん!あたしの小鳩ちゃんがぁぁぁぁぁぁ!」
小鷹「頑張れな、小鳩」
小鳩「うん」
星奈「ゔわぁぁぁぁぁぁん!そんなぁぁぁぁぁぁ!」
アナウンス『2番乗り場の上り電車は間もなく………』
小鳩「あ、もう電車来ちゃう!ごめん!もう行くね!」
小鷹「ああ、気をつけてな」
小鳩「また来るから!2人とも元気でねー!」タッタッタ
星奈「ま、待って!小鳩ちゃん!」ダッ
ピーッピーッ、ピーッピーッ
駅員『こ、こらー!そこぉ!改札越えるなー!』
小鷹「お、おい!よせ!」ガシッ
星奈「ゔわぁぁぁぁぁぁん!」ジタバタ
駅員『やめんかこらぁ!』
小鷹「せ、星奈!」
星奈「小鳩ちゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁん!」
-ホーム-
アナウンス『2番線に電車がまいります、白線の内側まで………』
小鳩「………ふぅ」
ガタンゴトン、ガタンゴトン
パァー
アナウンス『電車がまいります、ご注意ください』
小鳩「(またいつか………ここに戻ってくる………だからそれまで………)」
小鳩「………行ってきます」
-後日談-
ペラッ、ペラッ
理科「こ、これどう考えても理科たちのことですよね………ぅぅ………なんだか恥ずかしいなぁ………」
小鳩「でも面白いですよ?けっこう評判になってるらしいし………あ、この絵とか幸村さんのことですよね、上手いなぁ………自分で描いたのかな」
理科「挿絵はおそらく別の人にやってもらったんでしょうね、あの人、絵心は皆無ですから」
小鳩「………聞かれたら後が怖いですよ?」
理科「大丈夫ですよ、ここに夜空先輩が来るわけないんですから、あははは」
ポン
理科「ひっ!」ビクッ
マリア「ごめんごめん、寝坊しちゃって」
理科「な、なんだ、マリアちゃんか………もう………びっくりさせないでくださいよ………」
小鳩「ちょっとー、遅いよマリア」
マリア「いやー、昨日飲み過ぎちゃってさぁ、あははは」
理科「まったく………プライベートくらい時間を守れないんですか、社会人失格ですよ?」
マリア「いいのかなぁそんなこと言って?今の話、夜空にちくっちゃおっかなー」
理科「何言ってんですか………そんなことしたらマリアちゃんクビですからね」
マリア「な、なんだよそれぇ!社長だからってずるいぞ!」
理科「社長は何したっていいんです、特にマリアちゃんに関しては」
マリア「ぅぅ………いつか理科の会社を乗っ取ってやるぅ………」
小鳩「それよりマリア、ちゃんと持ってきた?」
マリア「え………なに?」
理科「忘れたんですか?今日は夜空先輩の本を3人で読もうって、この前言ったじゃないですか」
マリア「え、夜空の本もう出来たのか!?」
理科「………やっぱり忘れてたんですね」
小鳩「ちゃんと教えたはずなんだけどなぁ………」
マリア「夜空の本かぁー………どんなタイトル?」
理科「えーと、確か………ほら、これです」バッ
マリア「なんだこれ?ホントに夜空が書いたのか?馬鹿っぽいタイトルだなぁ」
理科「あーあ、いまの夜空先輩にちくっちゃおー」
マリア「え………あぁ!」
理科「マリアちゃん、迂闊すぎです」
マリア「ぅぅ………ごめんなさい………」
小鳩「馬鹿だなぁ………」ボソッ
マリア「あ!いま小鳩も馬鹿って言ったぁー!」
小鳩「え………ち、違うよ!今のはマリアに言ったんだよ!」
理科「命知らずが多いですねぇ」ニヤニヤ
小鳩「理科さん!乗らないでください!」
マリア「あははは!夜空に言ってやるからなぁ!」
小鳩「んもぉ!そんときはマリアだって同じなんだからね!」
マリア「え?あ、そっか!しまったぁ!」
小鳩「もぉ!馬鹿!」
理科「2人とも静かにしてくださいよ、周りの人に迷惑です」
マリア「なら言い出しっぺは理科だからな!3人一緒に道ずれだ!」
小鳩「そうですよ!理科さん!」
理科「え………えぇ!?」
理科「2人とも静かにしてくださいよ、周りの人に迷惑です」
マリア「なら言い出しっぺは理科だからな!3人一緒に道ずれだ!」
小鳩「そうですよ!理科さん!」
理科「え………えぇ!?」
小鳩「ちょ!そんなんしなくていいっちゅうに!」
理科「マリアちゃん!調子に乗りすぎです!」
マリア「あははは!」ピッポッパ
小鳩「こらぁ!電話するなぁ!」
理科「小鳩ちゃん!捕まえてください!」
マリア「あはははははは!」スタタター
小鳩「マリア!待てぇ!」ダッ
理科「逃がしませんよ!」ダッ
ドタバタ、ワイワイ
ヒュー
ペラペラペラペラ………パタン
『僕は友達が少ない』
Entry ⇒ 2011.12.25 | Category ⇒ 僕は友達が少ないSS | Comments (0) | Trackbacks (0)
小鷹「あれからもう10年か……」
上司「羽瀬川くん」
小鷹「あ、はい!」
上司「さっき話したことなんだがね」
小鷹「え~と、あ、はい!書類の件でしたら…… (今は仕事に集中しなきゃな)」
-羽瀬川家-
ガチャン
小鷹「ふぅ~、ただいま」
小鳩「おかえりー、あんちゃーん」
小鷹「おーう、ただい………」
小鳩「……?……どうしたの?」
小鷹「……くっくっく……今帰ったぞ我が十僕 よ……」
小鳩「!?……はわわわわ!あ、あんちゃん……! 勘弁してよ!」
小鷹「あはははは、悪い悪い」
小鷹「今日はどうした?いつもより早いんだ な」
小鳩「うん、理科さんが今日は早めに切り上げて良いって言ってくれて」
小鷹「そっか、あいつも社会人してるんだなぁ」
小鳩「あんちゃんによろしくねって言ってた よ」
小鷹「はいはい、飯今から作るから待ってろな」
小鳩「あ……」
小鷹「何?」
小鳩「実はもう作っちゃった……」
小鷹「へぇー、小鳩の手料理か、久しぶりだな」
小鳩「うん、いつもあんちゃんに作らせて悪いと思って……」
小鷹「そっか……くっくっく……よくやった我が十僕よ……誉めて遣わす」
小鳩「あ、あんちゃん!」
小鷹「ははは」
小鳩「もぉー」
小鷹「うん、うまいな」
小鳩「そ、そう?」
小鷹「ああ、親父に食わせたらきっと驚くぞ、『俺の小鳩がいつの間にかこんな立派になって ~』とか言ってな」
小鳩「えへへー」
小鷹「でもパスタと麻婆豆腐は変だろ」
小鳩「え?そう……かな?」
小鷹「これでトマトジュースがあったらまた言ってやるんだけどな ー」
小鳩「むー」
小鷹「そういえばさー」
小鳩「んん?」
小鷹「みんなどうしてんだろうな……」
小鳩「みんなって?」
小鷹「隣人部」
小鳩「あー」
小鷹「卒業したきりじゃん?」
小鳩「あのあとここに越してきちゃったもんねー」
小鷹「距離が出来ると実際、交際ってなくなるもんなんだなーって、最近改めて分かったよ」
小鳩「………うん」
テレビ『日本!日本!わああああああ!』
小鳩「ジー」
小鷹「今どうなってんだろうな…」
小鳩「また日本負けてる……」
小鷹「いや、そっちじゃなくて」
小鳩「え?あ、ああ」
小鷹「ふぅー」
小鳩「かけてみれば?電話」
小鷹「えっ」
小鷹「いやあ、えっとその……」
小鳩「怖いんでしょ~」
小鷹「うっ」
小鳩「まぁ……分かるけどね」
小鷹「お前こそマリアとはどうしたんだよ」
小鳩「うっ」
小鷹「やっぱ俺と同じだよなー、あれだけ『うんこ!うんこ!』とか言い合う仲だったのに……」
小鳩「あんちゃん汚い……」
小鷹「でも気になるだろ?」
小鳩「でも電話はやだよぉ、あんちゃん……」
小鷹「んー……じゃあ見に行くか」
小鳩「えっ」
小鷹「土日に学園まで行ってさ、町をぶらぶら廻って見ようぜ、もしかしたら誰かに会えるかもしれないし」
小鳩「えー」
小鷹「なんだよ、マリアや星奈がどうしてるか気にならないのか?」
小鳩「マリアは気になるけど……変態は別に……」
小鷹「アイツだってきっといい歳なんだから『いやーん!小鳩ちゃーん!』なんてしてこないって」
小鳩「んんー……」
小鷹「ま、会えればだけどな……」
小鳩「じゃあ日本が勝ったら行く……」
小鷹「う……よ、よし、じゃあ日本が勝ったら行くんだな!約束だぞ!」
小鳩「うん!」
-日曜日-
アナウンス「聖クロニカ学園~聖クロニカ学園~」
プシュー、ブロロロロロ~
小鷹「ふぅー、やっぱ遠いなぁー、流石に疲れたよ」
理科「……あの……小鷹先輩……」
小鷹「お?どうした?」
理科「……いや……分かるでしょ……」
小鷹「……何だよハッキリ言えよ」
理科「……何で理科が一緒何ですか……」
小鷹「だってなー、日本負けたからなぁ」
理科「理科、会社任されてる身なんですよぉ!?なんてことしてくれてんですかぁ!」
小鷹「いや、でも日曜だし、会社……休みだろ?」
理科「ヒラはね!ヒラは!理科は社長なんです!日曜だからって簡単に休めないんです!」
小鷹「でもこうして付いてきてくれたし……」
理科「……そりゃあ、小鷹先輩たってのお願いでしたから……」
小鷹「頼むよ、な?」
理科「……ふぅー、仕方ありませんね、ていうか、ここまで来てから言われても遅いんですけどね……」
小鷹「じゃあ行くか」
理科「うん!ダーリン!」
小鷹「そういうのいいから……」
理科「……………」
理科「しかし先輩、これからどうするんです?」
小鷹「うーん、先だって決めた予定はないんだよな……みんながどうしてるか知れればいいくらいでいたから……」
理科「人知れない町で女社長をつれ回す…………なんてサディスティック!理科はもう!もう! 抑えきれません!行きましょう!誰も知らない所へ!そして理科と共に愛の楽園を!私を!私 を!欲望の赴くまま私を愛してえええええええ ええ!」
小鷹「まず俺の家に行ってみるか……」
理科「………………グスン」
-旧羽瀬川家-
小鷹「うわー、変わんねえな」
理科「…………」
小鷹「でも貸家にしてるだけあってやっぱ人住んでんのな、入れればなんて思ってたけど……」
理科「…………」
小鷹「あ、三輪車がある!家族で住んでるのか~、当然だよな~、一戸建てだもんな~」
理科「はいはい、説明乙でーす」
小鷹「な、なんだよ……どうしたんだよ理科……」
理科「むー……別にいいです……小鷹先輩のせいですから……」
小鷹「なんだよそれ……」
理科「で、どうするんです?行く宛も無いようじゃ理科帰っちゃいますよ?」
小鷹「わー!待て待て!えっと……そうだな……星奈の家に行こう!学校があるなら理事長がまだ住んでるはずだ!うん、それがいい!そうしよう!」
理科「さいですか……」
-バス内-
理科「小鷹先輩………」
小鷹「ん?」
理科 「楽しかったですよね隣人部」
小鷹 「そうだな」
理科「……楽しかったですか?……隣人部?」
小鷹「……なんだよ」
理科「いえ……楽しかったならいいんです……」
小鷹「まあ部といっても皆で馬鹿なことばっかりやってたけどな……それでも俺は楽しかったよ」
理科「………思い残したこととか無かったんですか?」
小鷹「………」
理科「ないならいいんです……」
アナウンス「○×△□~○×△□~」
プシュー、ブロロロロロ~
小鷹「やっと着いたな」
理科「相変わらずおっきいですねー」
小鷹「ああ」
理科「ホントに………おっきい………ゴクリ」
小鷹「ちゃんと家見てー!」
-柏崎家玄関前-
小鷹「う~やっぱ緊張してきたな………」
理科「しっかりして下さいよ、いい大人なんですから」
小鷹「お、おう!」
理科「……」
小鷹「じゃあ……押すぞ……」
理科「どうぞ」
ピンポーン
シーン
理科「……返事がありませんね」
小鷹「おっかしーな、留守かなぁ」
ピンポーン
シーン
理科「……どうします?」
小鷹「いないんじゃなあ、夕方に出直すか」
理科「ちょっとホッとしてません?先輩」
小鷹「べ、別にしてねーよ!」
理科「でもそうですね、夕方に出直すしかありませんね」
小鷹「残念だけどな……」
理科「行きましょうか」
テクテクテク
ステラ「あっ」
小鷹、理科「あっ」
ステラ「……えーと」
小鷹「ステラさんじゃないですか!久しぶりで……」
ステラ「スタタタター!」
小鷹「え!ちょっと待って!」
理科「な、なんで逃げたんですか!先輩何かしたんですか!」
小鷹「な、なにもしてねーよ!いいから追うぞ!」スタタタター!
理科「ま、待って!理科走るのわ……」
小鷹「(くそ!何で逃げるんだ!しかも……はええ!)」
ステラ「スタタタター!」
小鷹「(追いつけない……!ん?あ、あれは!)」
ステラ「旦那様ー!」
小鷹「え!ペ、天馬さん!?」
天馬「なんだステラ……騒がしいな、日曜くらい静かに過ごしたらどうおおおおおおお!」 スタタタター!
小鷹「(げ!今度は天馬さんがが向かってくる!)」
天馬「小鷹くぅぅぅぅぅぅぅぅぅん!」スタタタター!
小鷹「な、なんなんだー!」スタタタター!
天馬「ま、待て!なぜ逃げる!」
小鷹「何で追ってくるんですかぁ!」
天馬「体勝手に………ってそれよりも……星奈のことだ!星奈をしらないか!」
小鷹「え……」ピタッ
小鷹「星奈は……どうしたんです……?」
天馬「ゼー……ゼー……だから……君に聞いてるんだ……ゼー……ゼー……」
理科「ハァー……先輩……やっと……追いついた……」
小鷹「家に……居ないんですか?」
天馬「そうか……君の所にもいないのか………」
理科「一体何ですか……?」
小鷹「そんなことって……!」
天馬「それが……星奈が家出したみたいでな……」
小鷹「え!? …………家出?」
理科「何ですかそれ?」
天馬「ふむ……それがはずかしい話なんだが、星奈と言い合いになってな……アイツを思って言ったつもりななんだが逆鱗に触れたようで……」
小鷹「はぁー」
理科「いい歳して家出って……」
天馬「すまない……何処か心当たりはないか?」
小鷹「と言われても………俺たちも今知ったことですし……」
理科「失礼ですが、星奈さんにお友だちは……」
天馬「君たち限りだったようだ……」
小鷹「さいですか……」
理科「ふーん……小鷹先輩、隣人部のメンバーにあたって見るしかなさそうですね」
小鷹「メンバーっていうと、後は夜空、幸村、マリアの3人だな」
理科「星奈さんが行くとすればこの3人のうちの誰かの家でしょう」
小鷹「どれくらい経つんです?星奈が家を出てから……」
天馬「1ヵ月だ」
小鷹「なんでまたそんなに……」
天馬「私にも非があったからな、当分はあいつの好きにさせようと思ったんだ、ただそろそろ限度が来ているようでな……」
理科「とっくに限界越えてますよ」
天馬「アイツの会社にも色々言われてな、あと少しでクビを落とすそうだ」
小鷹「アイツ……連絡いれてないのか……」
理科 「星奈先輩……相変わらずのようですね」
小鷹「じゃあ俺たち星奈を探しに隣人部を当たってみます」
天馬「すまないな、本当はゆっくり君たちを出迎えてやりたいところだったが…………ところで小鷹君、今日はどうしてここに?」
小鷹「星奈さんや隣人部の皆に会えたらと思って……」
理科「ちょっとビビってたくせに………」
小鷹「うるさいなぁ」
天馬「そうか……小鷹くん……星奈とは良くしてやってくれ……」
小鷹「は…はい!」
理科「………」
小鷹「じゃあ」
天馬「うん、気をつけてな」
-三日月家-
ガチャ
夜空「……帰ったぞ」
ダッダッダッダッダッダッダ
星奈「夜空ぁぁぁぁぁぁぁぁ!」
夜空「うわ!止めろ!アラサー!抱きつくなああ!」
星奈「だって……だって……ヒッグ……ヒッグ……」
夜空「はぁー……まったく……」
星奈「ゔぇぇぇぇぇぇぇぇぇん!」
夜空「お前なー……」
-夜空の部屋-
星奈「パパったらほんっとあり得ないのよ!?『少しはいい人を探したらどうだ』だって言ってさーー!余計なお世話だってのよぉ!まったくぅ!」カパ、グビグビ
夜空「なぁ……昼間から空けるなよ、そしてそれは何度も聞いた……」
星奈「なぁに言ってんのよぉ!あんたぁ!あたしの気持ち分かってんのぉ!?」
夜空「いや……私の気持ちこそ分かってくれ……」
星奈「大体職場のヤツラもそぉよ!なぁにが『今夜、一緒に食事でもどうですか?キリッ』よぉ!?お前らとなんか死んでも行くかってぇの! 身のほどをわきまえなさいよねバァァァァァァァァァカ!」グビグビ
夜空「はぁー……死にたい……」
-聖クロニカ学園 校門前-
理科「果たして星奈先輩がマリアちゃんの所に来るでしょうか?」
小鷹「て言っても近場から当たるならまずここだからな、マリアにも会いたいし」
理科「どうなってますかねぇ、マリアちゃん」
小鷹「どーかな、一応教師は続けてるらしいし、一人前の大人なんじゃないか?」
理科「だといいんですけど……」
-学園内-
小鷹「うわー懐かしいな!あの頃のまんまだ!」
理科「ホントですねー 、部室はどうなったんでしょうか?」
小鷹「隣人部は俺たちきりだったらしいからなぁ、空き部屋かなんかじゃないのか?」
理科「行ってみます?」
小鷹「そうだな」
-旧隣人部 部室-
ガチャ
小鷹「失礼しまーす………う!」
理科「な、なんですかこの臭い?し、死ぬ!」
バタン!
小鷹「お、おい!」
理科「小鷹先輩!ここはダメです!次に行きましょう!」
小鷹「ま 、待てって!今……人が中に!」
理科「ダメです!生きているわけありません!行きましょう!」ガシッ!
-職員室前-
理科「うわー、中に入ってないのに臭いついちゃいましたよ」クンクン
小鷹「あの人……大丈夫かな……」
理科「いいんです!先輩!アレは死んでいました!私達が来たときにはもう手遅れだったんです!」
小鷹「くそぉ!」
理科「過去にとらわれていては先はありませんよ!さあ立って下さい!」
小鷹「うう………」
コンコン、ガチャ
理科「失礼しまーす」
小鷹「……しまーす」
ケイト「はーい、何ー?……うわ!なに!?臭い!」
理科「あっ」
小鷹「あ、ケイトじゃないか!」
ケイト「え?あ!……ぅぅ……臭い!部屋から出て!」
小鷹「え……そんな……」
ケイト「あーもー!いいから出て!」 ドン!
バタン!
小鷹「……追い出されちゃった」
理科「……ましたね」
ガチャ
ケイト「も~あんた達……」
小鷹「久しぶりだなぁ、元気だったか?」
ケイト「いいからこれ!マスクして」
理科「あ!ありがとうございます!」
ケイト「兄ちゃん……マリアんとこ行ったで しょ」
小鷹「え……マリア?」
小鷹「確かにマリアに会いに来たんだけどな、でもまだ会ってないぞ?」
ケイト「臭いで分かるって」
理科「あ!もしかして隣人部の部室って……」
ケイト「今はマリアの一人部屋だよ」
小鷹「じゃ……じゃあ倒れてたあの人って……」
ケイト「あー、アレは寝てんだよ、兄ちゃん達、 部屋には入ってないだろ?」
小鷹「てっきり死んでんのかと……」
ケイト「あいつもいろいろあってねー……」
-再び旧隣人部 部室前-
ケイト「………で、どうすんの?」
小鷹「どうするって、マリアに会いに来たんだからな、そりゃ会うよ」
ケイト「なら兄ちゃん達だけにしてくれよ、あたしはここまでだ」
理科「り……理科もここでいいです」
小鷹「このやろー………」
ケイト「じゃ、開けるよ」
ガチャ
理科「っう!」
ケイト「かぁー!」
小鷹「うう……」
ケイト「さっさと入って!」ドン!
小鷹「ま、待って!」
理科「閉めます!」
バタン!
小鷹「あいつらー……」
小鷹「しかし……この臭いほんっとに……」
スースー……
小鷹「あっ」
マリア「スースー……」
小鷹「ほ、本当にマリアだ……」
マリア「スースー……」
小鷹「(よくこんな部屋で……てか……綺麗になったな……特にスタイルが……ゴクリ)」
小鷹「マリアー、起きろー」
マリア「んー」
小鷹「おーい、マリアー」
マリア「ん……んん」
小鷹「マリアさーん」
マリア「ん………何?」
小鷹「よお」
マリア「ん………誰……………んあ!兄ちゃん!」
小鷹「よお、久し振り」
マリア「何で兄ちゃんが!はわわわ!えと……この部屋は……ケイトがやりました!」
小鷹「ケイトにはもう会ったよ……」
マリア「えーと……えーと……実は夜にデリヘルとして働いてまして……昼夜の過酷な労働のせいで精神的に支障が……そう……そのせいです!」
小鷹「いや、もっと何か思いつかないのか……それにマリアのこともケイト先生から聞いたよ……」
マリア「うー……あのババア……」
マリア「はいこれ紅茶」コトッ
小鷹「お、おう……………大丈夫かこれ?」
マリア「わたしも飲むし……」ズズ
小鷹「そ、そうか……」ズズ
コトッ
小鷹「教師……辞めたいんだって?」
マリア「うん……」
小鷹「どうしたんだよ、急に」
マリア「急にじゃないよ、ずっと思ってたことだから……」
小鷹「そうか……」
マリア「悪魔はどうしてる……?」
小鷹「……悪魔?……ああ小鳩なら理科のとこで働いてるよ、今日は来てないけどな、マリアのこと気にしてたみたいだぞ……」
マリア「……そう」
小鷹「と言っても、今はもう悪魔じゃないんだけどな……」ズズ
マリア「そっか、もう厨二じゃないんだ……」
小鷹「この前小鳩に『くっくっく、処女の生き血はいかがかな?我が主よ』とか言ってやったら『わわわ!あんちゃん!あんちゃん!』て言って慌ててたよ」
マリア「そう……」
小鷹「………」
小鷹「ま、好きにしたらいいさ」
マリア「え?」
小鷹「お前が決めたことだ、今さら俺が何か言っても、お前が悩んで考えた末の気持ちは動かせないさ……」
マリア「兄ちゃん……」
小鷹「でもいくらケイトに許してもらえないからって、この有り様はなぁ……」
マリア「こ、こうすればババアも少しは堪えると思って………」
小鷹「仕事しなくなって一気にタガが外れたんだろ……」
マリア「うう……」
小鷹「あまりケイトにも迷惑かけるなよ?アイツはあれで酷いシスコンなんだから……」
マリア「………はい」
小鷹「うん、よろしい」
マリア「………えへへ」
小鷹「ところでマリア、星奈を知らないか?」
マリア「あー、来たよ、ここに」
小鷹「じゃあ学園に……」
マリア「んーにゃ、わたしの部屋の臭いだけ嗅いで出てったみたい…」
小鷹「なんだ……そうか……」
マリア「家出してんだって?」
小鷹「ああ、1ヵ月家に帰ってないらしい」
マリア「何やってんだかねー」
小鷹「お前も人のこと言えないぞ?」
マリア「う……」
コンコン
理科「せんぱーい、生きてますか?」
小鷹「あ、悪い!今行く!」
マリア「あははは、科学女も来てる」
小鷹「今度は小鳩も連れてくるよ」
マリア「えへへ」
小鷹「それじゃあな、マリア、もしかしたら暫くこの町にいるかもしれないから、なんかあったら電話してくれ」
マリア「うん、会えて良かったよ兄ちゃん」
小鷹「おう」
マリア「兄ちゃん」
小鷹「ん?」
マリア「わたしだってもう……大人の女だよ……」チラリ
小鷹「部屋の掃除が出来なきゃな」
マリア「んもー!」
小鷹「ははは、じゃあまたな」
バタン
マリア「………えへへ」
夜空「……パラ……パラ……」
パタン
夜空「なあ」
星奈「……なに?」
夜空「どうするんだ、これから………お互いもういい大人なんだ、いつまでもこうしていられないことくらい分かるだろう……」
星奈「………はい」
夜空「もう1ヶ月になる……少しは私の身にもなってくれ……お前の気持ちも分かるがな……」
星奈「……ごめん」
夜空「じゃあ私は司書の仕事があるからもう行くぞ、帰りは夕方過ぎるかもしれん」
星奈「日曜なのに忙しいんだ……」
夜空「全くだ、あっちであくせく働いて、その上家に帰れば同居人の世話をしなくてはいけないの
だからな」
星奈「ホントにごめん……」
夜空「ふぅー……」
星奈「………」
夜空「じゃあ行ってくる」
星奈「……うん」
夜空「……なあ星奈」
星奈「なに?」
夜空「図書館も静かで良いところだ……たまには本でも読みに来い」
星奈「……うん」
夜空「じゃ」
バタン
-再びバス内-
アナウンス「次は~○×△~○×△」
理科「しかしマリアちゃん大人になってましたね、理科びっくりしました」
小鷹「ああ、成長ってのは恐ろしいな……少し見とれちゃったよ」
理科「うう~……理科にはそんなこと言ってくれないのに……」
小鷹「理科も十分綺麗だぞ?」
理科「はいはい、お世辞はいいんです、理科こうみえて社長なんですから、そういった言葉は聞き飽きてるんです」
小鷹「なんだよ……素直じゃねえな……」
理科「でも本当にマリアちゃん綺麗になりましたね、出るとこ出て……引っ込むとこ引っ込んで……うう……理科もう挫けそうです……」
小鷹「だ、大丈夫だ!理科、お前にもマリアに劣らない魅力的なところが沢山あるじゃないか!」
理科「一体どこを指して言ってるのやら……このプリン頭野郎は……」
小鷹「えと……心の底では相手を思いやってくれてるとことか」
理科「…………だ、騙されませんよ?」
小鷹「一見好き勝手してるようだけど、真に相手を思いやって行動出来るのは理科のすごく良いところじゃないか!」
理科「ぅ……は…恥ずかしいです……もう結構です……小鷹先輩……」
小鷹「いや、まだあるぞ!礼儀正しいのに時たま見せる可愛らしい仕草とか、一途に歯止めの効かないところとか、それから……」
理科「は、恥ずかしいって言ってんだろがぁ!」バキッ!
小鷹「うがっ!」
理科「しかし先輩、これからどうします?探すといっても幸村くんの住所は理科達知りませんよ?なら次は夜空先輩ですか?」
小鷹「……そ、そうなるな……そのつもりでバスに乗ったんだし……」ヒリヒリ
理科「しかし変わらずに今もそこに住んでるでしょうか……夜空先輩」
小鷹「どうかな、こればっかりはアイツの家に行ってみないと」
理科「その意気で電話すればいいのに……」
小鷹「い、いいから行ってみようぜ!」
理科「はいはい」
アナウンス「次は~○×△~○×△~」
プシュー、ブロロロロロ~
-三日月家 玄関前-
小鷹「あ、やっぱりあの時のままだ」
理科「表札がちゃんとありますね、よかったです
」
小鷹「ああ、『三日月』なんて苗字そうそういないからな、まず間違いないだろ」
理科「じゃあ押してください」
小鷹「え、また俺が!?」
理科「当然です、理科にやらせるつもりですか?さっきの勢いで理科をエスコートしてくださいよ」
小鷹「わ、分かったよ……」
ピンポーン
-夜空の部屋-
ピンポーン
テレビ『かなーしーみのー……むーこぉーえとー……たどりー……』
星奈「信じらんない!あり得ない!なにこの終わりかた!あり得ないっしょ普通!言葉ちゃんがぁ!私の言葉ちゃんがぁ!………ぅぅ…………う…………ゔわぁぁぁぁぁぁん!!」
ピンポーン
テレビ『せーいじゃくのやーみにー……』
星奈「ゔわぁぁぁぁぁぁん!」
ピンポーン
小鷹「……出ないな」
理科「ですね……」
小鷹「出掛けてるのかな」
理科「夜空先輩がですか?あり得ませんよ、ああいう手合いは土日、暗い部屋で読者かゲームをしてるはずですから」
小鷹「お前なぁ……」
理科「でもホントにいないようですし、出直すしかありませんね」
小鷹「そうだなぁ……行くか」
-再び夜空の部屋-
星奈「誠ぉぉぉぉぉぉぉ!氏ねぇぇぇぇぇぇ!ゔわぁぁぁぁぁぁん!」
-小鷹たち一行-
小鷹「(何か聞こえるな……)」
理科「行きますよ?小鷹先輩」
小鷹「あ、ああ……」テクテク
-とある喫茶店-
店員「いらっしゃいませ」
理科「しかし参りましたねー、もう星奈先輩が行きそうなところありませんよー」
小鷹「ああ……全くどこにいるんだか……」
理科「もしかしたら……この町にはもういないんじゃないんですか?」
小鷹「たしかになー……でも、頼る宛もなくここを出るかな?アイツの友達って俺たちきりらしいじゃんか……」
理科「『友達』ね……」
小鷹「…………」
理科「もしかして………彼氏のとことか………?」
小鷹「っ!」
理科「…………えへ」
小鷹「…………」
理科「だってあんな派手な容姿にあのスタイルですよ?その上成績優秀、スポーツ万能、努力を知らない天才気質…………性格こそ難ありですけど、それでも付き合いがないって方が変ですよ、ねえ先輩?」
小鷹「確かに……な……」
理科「惜しいことしましたね、小鷹先輩、逃した魚は大きいですよ……?」
小鷹「知るかよ……もう昔のことだろ……」
理科「でも………理科は小鷹先輩は正しかった思います………」
小鷹「………」
理科「……あの時の理科たちには荷が勝ち過ぎたんですよ……小鷹先輩にも……夜空先輩にも……星奈先輩にも……」
小鷹「俺は……あのままでいたかったんだ……」
理科「……でも確かに……もう昔のことなんですよねー」
小鷹「…………」
店員「おまたせしました、こーひーとけーきになります……」カチャ
小鷹「とにかく、今は今だ……星奈を見つけて……夜空に会って……話はまたそれからだ」
理科「そうですね……」
店員「……こちらだーじりんとくっきーです……かっぷがおあつくなっておりますのできをつけておのみください……」カチャ
理科「どうも」
小鷹「しかしこれからどーするよ?行く宛もないんじゃ探しようがないぞ?」
理科「夕方まで待って、また夜空先輩を訪ねるしかありませんね……」
小鷹「だよなぁ……」ズズズ
理科「はぁー……」モグモグ
店員「テクテクテク……」
小鷹「ズズズ……」
理科「モグモグ……」
店員「テクテクテク……」
小鷹「ズズズ……」
理科「モグモグ……」
店員「テクテクテク……」
小鷹「………」
理科「………」
店員「テクテクテク……」
小鷹、理科「!?」
理科「い、今のって……!」
小鷹「だよ……な……」
タッタッタッタッタ
小鷹「幸村!」
幸村「あにき、このようなところで……おひさしくございます」
小鷹「髪伸びたんだなぁ!全然気づかなかったよ!」
幸村「めんぼくございません……あにきとあわないうちにこのようにいろをたしなむようになってしまいましたうえ……おのぞみとあらば……ここできります」シャキーン
小鷹「いやいやいや!そんなんじゃねえって!似合ってるぞ、すごく!」
幸村「あにき……」ポッ
理科「ぐ……これまたスゴい美人になって……」
ゴトン
幸村「どうぞあにき、けーきです」
小鷹「いや……ワンロールはちょっと……」
理科「幸村さん……もしかして最初から理科たちに気づいてました?」
小鷹「え?」
幸村「はい……しかしわたしはしょうがいあにきにつかえるみ……ひさしくあわなかったからといってかんじょうをあらわにしてはぶしとしてあまりにみじゅくとおもい、かげむしゃとしてのにんをまっとうしようとしたしだいです」
理科「ふむ……そうでしたか」
小鷹「あいかわらず読みにくいなぁもぉ!」
小鷹「………実はかくかくしかじかという訳なんだ」
幸村「………そうだったんですか………星奈の姉御が家出を………」
理科「(………直ってる!)」
小鷹「ああ、でもその様子だと幸村のとこには来てないみたいだなぁ」
幸村「はい……もしいらっしゃれば間違いなくお出迎えしていますから……」
小鷹「そうか……」
理科「(………ツッコミなし!?)」
幸村「それでしたらあにき、夜空の姉御の所ではないでしょうか?」
小鷹「ああ、俺たちもそう思ってな、ここに来る前にアイツんちに行ったんだ、でも留守でさぁ……」
幸村「あにき………おそらく夜空の姉御は今お勤めをされています………」
小鷹「え…仕事?」
理科「あ、それで」
幸村「はい……星奈の姉御が夜空の姉御の所にいるかは存じませんが、夜空の姉御が家にいないのはそのためでしょう……」
小鷹「そうだったのか……」
理科「どうします?先輩」
小鷹「決まってるだろ、幸村、夜空はどこで働いてるんだ?」
幸村「はい、姉御は………」
-図書館-
小鷹「図書館かー、まぁ夜空らしいな」
理科「やっぱり理科の言う通りでしたね先輩、きっと夜空先輩、今本読んでますよ」
小鷹「理科には敵わないなぁー」
理科「ささ、行きましょう」
小鷹「ま、待てって!」
小鷹「広いな……」
理科「ちょっとびっくりですね……町外れにこんな立派な図書館があったなんて……」
小鷹「そこで働いてるんだから夜空は大したもんだよ」
理科「ですねー、まあもともと本ばっかり読んで…………わわわ!先輩!こっち!隠れて!」グイ
小鷹「うお!なんだよ!」
コソコソ
小鷹「おい理科……」
理科「先輩、あれ……」
小鷹「え?」
理科「ほら……貸出カウンターの……」
小鷹「…………あ!」
理科「しー!」
小鷹「よ……夜空……」
理科「ね?」
小鷹「アイツ……なんでジャージなんだ……!」
理科「夜空先輩も相変わらずみたいですね」
小鷹「ありえねーだろ!ここの図書館、俺が今まで見た中で一番スゴい施設だぞ!」
理科「理科だってそうですよ、こんな立派な建物見たことないです」
小鷹「アイツ……相変わらず勝手してんな……」
理科「で、どうします?」
小鷹「どうするって言っても………勤務中に話しかけるのもな……」
理科「きっと夜空先輩、小鷹先輩を見た瞬間に跳ね上がりますよ」
小鷹「だよなあ」
理科「小鷹先輩、理科にnice ideaがあります!」
小鷹「………とりあえず聞こうか」
理科「はいコレ!」
小鷹「へ?」
理科「コレで万事おっけーです!」
小鷹「いや………お前これ………いくらなんでもアナログ過ぎんだろ………」
理科「なに言ってんですか、帽子くらい気軽に素性を隠せるものなんて他にありませんよ 」
小鷹「もっと近未来的なものが出てくるとおもったんだけどなぁ……」
理科「甘えたこと言わないでください、夢なんて見てないで現実見てください」
小鷹「……しょうがないなぁ」キュッ
理科「武運を祈ります!」
小鷹「オーライ……」
小鷹「(どれにするかな…………なんでもいいか………よしコレだ!)」
-貸出カウンター前-
小鷹「…………」
夜空「…………ペラ……」
小鷹「…………あの……」
夜空「…………ペラ……」
小鷹「…………」
夜空「…………ペラ……」
小鷹「…………」
夜空「…………ペラ……」
小鷹「すいませぇん!」
夜空「んなぁ!」
小鷹「こ……これ借りたいんですけど……」
夜空「…………チッ」
小鷹「(コイツ……今……)」
ペラペラペラペラ、パタン
夜空「貸出は2週間になります………」
小鷹「は……はい」
夜空「……………」
小鷹「……………」
夜空「……………あの」
小鷹「は、はい!」
夜空「……………カード」
小鷹「へ?カード?」
夜空「カード」
小鷹「ええと………」
夜空「はぁー………………ナニカンガエテルンダコイツハ」
小鷹「あの………」
夜空「貸出カードがないと貸出できません」
小鷹「カード………あ!」
夜空「この本は元あった場所に戻しておいてください」
小鷹「あ………」
夜空「…………ペラ………」
小鷹「あの……」
夜空「…………ペラ………」
小鷹「…………ぅぅ」
-図書館 入口-
理科「理科としたことが……貸出カードのことを忘れるなんて……うっかりでした……」
小鷹「いや、それよりもなんだよアイツの態度!信じらんねえ!ジャージで受付してるのもそうだけど、舌打ちだのなんだのって………!」
理科「そこはそれ昔のままの夜空先輩だったってことですよ」
小鷹「はぁー……なんだかなー……」
理科「とりあえず閉館まで待ちましょう」
小鷹「………帰りたいよ………小鳩………」
-閉館後-
夜空「はぁー……疲れた……」テクテクテク
小鷹「何が疲れただよ!ずっと本読んでただけのくせによ!」
夜空「な……………!」バッ
小鷹「よう」
理科「お久しぶり振りです!夜空先輩!」
夜空「あ………お………お前ら………!」
小鷹「何だよ、俺のこともう忘れたのかよ」
理科「なに言ってんですか、忘れるわけないでしょ、ね、夜空先輩?」
夜空「………ぅ………ぅ………ぅぅ………」
小鷹「お………おい………」
理科「あらら……」
夜空「うう…………う…………グスン」
理科「あーあ、小鷹先輩、じゃあ後任せますね………」
小鷹「お、おい理科!」
夜空「ううううう……………グスン………………うわぁぁぁぁぁぁぁん!小鷹ぁぁぁぁぁぁ!」ガシッ
小鷹「………………よしよし、ほら泣くなよ、な?」
夜空「うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁん!」
小鷹「泣くなって………」
夜空「小鷹ぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」
小鷹「…………泣くなっての」
夜空「うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁん!」
小鷹「おい夜空、大丈夫か?酷い顔になってんぞ?」
夜空「だ、大丈夫だ、問題ない……」
理科「小鷹先輩……それ……およそ女性に言っていい言葉じゃありませんよ……」
小鷹「あ……ああ、悪い」
夜空「いや……いいんだ……確かに……酷い有り様だったからな……」
小鷹「目一杯泣いてたもんなぁ」
理科「スゴい泣きっぷりでしたからねぇ………1リットルくらい出たんじゃないですか?」
夜空「こ、これ以上は言うな!恥ずかしい………」
理科「『小鷹ぁ!小鷹ぁ!』」
夜空「くっ!」ベシッ!
理科「痛ぁー!」
小鷹「おいおい………」
小鷹「しかし夜空が図書館の司書になってたとはなぁ……しかもあんな立派なところで」
夜空「図書館は静かで良いところだからな……本に囲まれるのも好きだったから前々からなりたいと思ってたんだ」
理科「でも大変だったんじゃないですか?採用試験」
小鷹「そうなのか?」
夜空「ふっふっふ………倍率なんと5000倍だ」
小鷹、理科「ご、5000倍!」
夜空「だからまぁ、私は選びに選び抜かれたスーパー司書ということになるな…………ふ」
理科「5000倍………」
小鷹「ど、どんな試験だったんだ?」
夜空「なに……文学について簡単な質問があったくらいだ、まぁ私にとっては常識レベルだったがな」
理科「面接とか無かったんですか?」
夜空「あったぞ、それが一番の難所だったな………」
小鷹「どうやって乗り越えたんだ?」
夜空「さすがにその時の私では無理があったのでな………適当な演劇団に入って、面接で自分を偽る特訓をした」
小鷹「こ……こいつ」
夜空「苦労したよまったく……劇団のヤツ
らが鬱陶しいのなんのと……」
理科「こ、ここまで不純な動機はそうそうありませんね……………理科、この世の悪を見ているかのようです……………」
夜空「しかし努力した甲斐もあってな、うまく面接官どもも騙せて見事採用された、今後の人生でも有力であろうスキルも身に付けられて一石二鳥とはまさにこのことだな…………はっはっは!」
小鷹、理科「……………」
小鷹「だけどなぁ、夜空………あの受付態度はどうなんだ………?」
夜空「………?………なんだ?」
小鷹「だから受付がな………」
理科「夜空先輩………小鷹先輩は今日、貸出カウンターまで行って夜空先輩と話してるんですよ」
夜空「?」
小鷹「あんなの会話にすらなってなかったけどな……」
理科「確かに……」
夜空「どういう………?」
理科「小鷹先輩」
小鷹「……よし」
夜空「…………?」
小鷹「『すいませぇん!』」
夜空「んなぁ!…………………………あ」
理科「思い出しました?」
夜空「小鷹…………お前あのときの帽子だったのか……………」
小鷹「ばれるんじゃないかってヒヤヒヤしたんだけどな……」
理科「ね、先輩?帽子は偉大でしょ?」
小鷹「まぁな」
夜空「そうだったのか………」
小鷹「酷い対応だったぞあれ…………いつもああなのか?」
夜空「………採用当時は上手く演技してたんだがな、思いのほか疲れるので最近はいつもああだ…………楽な仕事だと思ったんだがな」
小鷹「お前に合格された他の受験生が可哀想過ぎるな………」
理科「理科だったら呪ってます………」
小鷹「それになんでまたジャージなんだ?………いくらなんでもその格好で司書って………」
夜空「動きやすいからに決まっているだろう」
小鷹、理科「……………」
小鷹「………いや………でもな………」
夜空「司書といっても仕事のうちには本の運搬とか肉体労働も含まれるからな、その点においてジャージは最強なんだ」
小鷹「一見、利にかなってるけどな………」
理科「人としてアレですね………」
小鷹「お前も相変わらずだったんだなぁ……」
夜空「う、うるさい!」
理科「あ、着きますよ」
アナウンス「次は~○×△~○×△~」
プシュー、ブロロロロロ~
-喫茶店 入口前-
小鷹「しかし今気づいたんだが………」
理科「ええ………理科もです…………」
夜空「なんだ、知らなかったのか?」
『喫茶店 幸村』
小鷹「幸村って書いちゃってるなこれ……」
理科「これに気づかずにいたんですから……理科たちはとんだ間抜けですね……」
夜空「ほら、行くぞ」
カランカラーン
小鷹「よう、幸村」
幸村「あにき、お帰りなさいませ……おや……夜空の姉御にも会えたようで……」
小鷹「ああ、おかげさまでな」
理科「理科、1日歩いてヘトヘトですぅー」
幸村「お食事を用意しておきました……召し上がってください……」
理科「やったぁー!」
小鷹「店いいのか?幸村」
幸村「はい……久しぶりにあにき達がいらっしゃったのですから、今日は貸し切りにしましょう………」
小鷹「悪いなぁ」
夜空「みんなで食べるのもひさしぶりだな」
理科「ささ、みなさん食べましょう!」
小鷹「そうだな」
-喫茶幸村-
小鷹「うまい!」
幸村「それは何よりです………まだまだありますゆえ、どんどん召し上がってください………」
夜空「し…しかしスゴい量だな………」
理科「パスタなんて理科の知ってるやつ全部ありますよ……ミートソース、カルボナーラ、ペペロンチーノ、ナポリタン……etc……etc ……」
幸村「店の総力をあげて作りましたゆえ………」
夜空「店のメニュー全部がここにあるわけか………」
幸村「はい………」
小鷹「流石に食べきれないなぁ………マリアとケイトを呼ぶか………」
理科「あ、いいですね」
夜空「そうだな」
小鷹「よし、ちょっと待ってろ」
-店の外-
カランカラーン
小鷹「えっと………マリアは………」ピッポッパッポ
プルルルルルル
プルルルルルル
ガチャ
小鷹「あ、もしもし……マリア?」
マリア『もしもし兄ちゃんかぁ?』
小鷹「おう、悪いなぁ、さっき会ったばっかりなのに」
マリア『あははは、兄ちゃんなら全然いいぞぉ、なんだぁ?』
小鷹「実はいま夜空たちと一緒に幸村の店でご馳走になってるんだけどな、それが食べきれないくらいなんだ」
マリア『え………』
小鷹「だからな、隣人部の久しぶりの集まりも兼ねてケイトも連れて食べに来ないか?」
マリア『…………』
小鷹「マリア………?」
マリア『それは………まことでございますか………?』
小鷹「………?………おう、いっぱいあるぞ?マリアとケイトが来ても食べきれるか分からないくらいだ………」
マリア『具体的にはどのような………?』
小鷹「そうだな………イタリアンがほとんどだな………スパゲッティとかピザとか………ああ、ローストビーフとかサラダもあるぞ」
マリア『……………マジ?』
小鷹「ああ」
マリア『……………』
小鷹「…………マリア?」
マリア『いやぁぁぁぁぁぁぁぁぁほぉぉぉぉぉぉぉぉぉい!』
小鷹「お、おいマリア!」
マリア『兄ちゃん!すぐ行くからな!わははははは!食べ終わったら承知しないぞぉぉぉ!』
小鷹「け、ケイトもちゃんと連れてくるんだぞ!あと、体洗ってこいな!」
マリア『ケイト?なんだそれ?わははははは!待ってろな兄ちゃん!飛んでいくから!わははははは………!』ガチャ
ツー…ツー…ツー…
小鷹「(……………大丈夫かな、アイツ)」
カランカラーン
夜空「小鷹、早くしろ、私たちだけじゃ食べきれん」
小鷹「あ、悪い、今行く」
理科「先輩……理科もう食べられません……助けて……ウップ」
小鷹「はいはい………」
-再び喫茶店内-
ゴクゴクゴク
理科「プハー!…………ウップ…………えへへ」
小鷹「お、おい理科………飲み過ぎだって………顔真っ赤だぞ………」
理科「なんてことないれすよ小鷹先輩………ウップ………えへへ………それより理科と結婚してください………ウップ」
小鷹「お前なー………」
夜空「なぁぁぁぁぁぁぁぁぁにぃぃぃぃぃぃ!」
小鷹「うわ!よ、夜空!」
夜空「やっちまったなぁぁぁ!」
小鷹「………………へ?」
夜空「男は黙って………!」
理科「はしご酒!」
夜空「男は黙って………!」
理科「はしご酒!」
夜空、理科「あははははははははは!」
小鷹「なんだかなぁー………」
幸村「あにき………」
小鷹「幸村………お前は大丈夫か?」
幸村「あにき………よくぞご無事で………」
小鷹「…………え?」
幸村「本能寺で明智の者どもに火囲いになっと聞いた時には………わたくし………この身を焼かれる思いでした………本当によくぞご無事で…………わたくし…………わたくし…………それだけでもう…………グスン」
小鷹「ダメだこりゃ…………」
カランカラーン
マリア「兄ちゃーん、来たぞぉ!」
小鷹「おお、よく来たな!…………あれ…………ケイトは?」
マリア「えへへ……………今ごろ気絶してる」
小鷹「え!?」
マリア「兄ちゃんとこ行ってくるって行ったらな、『あんた!それより仕事に復帰しなさい!』なんて言うからなぁー、首根っこ叩いて1人で来ちゃった、あははは!」
小鷹「だ、大丈夫なんだろうなそれ……」
マリア「あんなんで死ぬならとっくに天に召されてるって、大丈夫、大丈夫」
小鷹「(…………すまない…………ケイト)」
夜空、理科、幸村「zzz………zzz…………」
ガツガツ、ムシャムシャ
マリア「うん!うまい!」
小鷹「幸村が作ったんだ、後で礼言っとけよ」
マリア「うん!」ガツガツ、ムシャムシャ
マリア「プハー………お腹いっぱいだ………ゲップ」
小鷹「おう………よく食べきれたな………すげぇな………」
マリア「最近ずっとインスタントだったからなぁ、手料理が食べたくってしょうがなかったんだよ………あーでも、もうお腹いっぱい………もう無理………ゲップ」
小鷹「インスタントばっか食ってるシスターって………全然ありがたくねえな………」
マリア「だってなぁ、仕事サボりだしてからババアが食事にまで規制かけるようになってなぁ、コンビニで買うしかなかったんだよ、そりゃあもう大変だったんだぞ兄ちゃん」
小鷹「そっか………ケイトも大変なんだなぁ」
マリア「なんでわたしじゃないんだ?」
小鷹「だってなぁ……」
小鷹「マリア…………教師辞めた後どうするんだ?」
マリア「そうだなぁ………とりあえず辞めたいって思ってただけだから………そのあとは全然考えてなかったなぁ」
小鷹「そりゃケイトも止めるって」
マリア「むー」
小鷹「就職とか?」
マリア「それが出来ないだろうってことは社会人になった兄ちゃんが一番よく分かってるだろ?」
小鷹「………だな」
マリア「どうするかなー………」
小鷹「………」
理科「はい!理科に任せてください!」
小鷹「おわ!お前起きてたのかよ!」
理科「うぇへへ………マリアちゃん…………理科の会社で働きますか………?…………ヒック」
マリア「え………ほんと?」
小鷹「おい、いいのかよ理科、酒も抜けてないのにそんなこと決めちゃって……」
理科「なに言ってんですか、このプリン頭は……ヒック……理科は社長なんですよ?………何でも出来るに決まってるじゃないですか………ヒック」
マリア「兄ちゃん………その会社って確か………」
小鷹「ああ!小鳩が働いてるところだ!よかったなマリア!」
マリア「えへへ………また小鳩に会えるんだ………グスン………」
小鷹「泣くなってマリア、でも………よかったなぁ!」
マリア「えへ………えへへ………ぅ………ぅぅ………う………うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁん!よがったよぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!」
理科「いやーん!もう!泣いてるマリアちゃんかわいい!………ヒック」
小鷹「よーし!マリアの就職祝いだ!もっと飲むぞぉ!」
理科、マリア「おおおおおおおおお!」
アハハハハハハ!ワイワイ
-夜空の部屋-
ピコピコ、ピコピコ
星奈「……………」
ピコピコ、ピコピコ
星奈「……………」
ピコピコ、ピ……
星奈「……………おそいなぁ、夜空」
チュンチュン、チュンチュン
小鷹「ん………ん………んあ?」
夜空「………zzz………zzz………」
理科「………zzz………zzz………えへへ………むにゃむにゃ………」
幸村「………zzz………zzz………あにき………zzz」
マリア「スー………スー………」
小鷹「………………………?」
チュンチュン、チュンチュン
小鷹「!!!!!!!!!」
チュンチュン、チュンチュン
小鷹「理科ぁぁぁぁぁぁ!起きろぉぉぉぉぉぉ!」
理科「ん…………んあ…………あ……………おはようございます…………小鷹先輩…………」
小鷹「理科!大変だ!今日は月曜日だ!」
理科「え?……………あ……………ああああああああああああ!」
小鷹「夜空!お前もだ!仕事あるだろ今日!」
夜空「んん…………昨日祝日勤務だったから…………今日は休みだ…………zzz」
理科「わわわわわわわわわ!どうしよう!どうしよう!」オタオタ
小鷹「あーもぉー!会社に何て言えばいいんだよ!」アタフタ
理科「小鷹先輩!理科、夕方に大事な会議があるので!すぐに帰ります!マリアちゃんの件もその時に突っ込んでおきますから!」ドタバタ
小鷹「ああ!よろしく頼む!気をつけて帰れよ!」
理科「では!」スタタタター!
夜空「………zzz………zzz………」
幸村「………zzz………zzz………あにき………zzz」
マリア「スー………スー………」
小鷹「はぁー………」
チュンチュン、チュンチュン
小鷹「……………会社休むか」
-数時間後 町内-
テクテクテク
夜空「………じゃあ今日1日ここにいるのか?」
小鷹「ああ、会社にはもう連絡したよ、理由つけるの大変だったよまったく………」
夜空「昨日はみんなはしゃいだからなぁ」
小鷹「マリアまで酒飲んじゃうんだもんなぁ、なんだかおかしかったよ」
夜空「仕事が決まってよっぽど嬉しかったんだろうな」
小鷹「まぁな………ただ、ケイトはさみしがるだろうなぁ」
夜空「しかし、これでマリアもれっきとした社会人になるわけだ」
小鷹「あのマリアがなぁ……」
夜空「あの頃の私たちからじゃ考えられないな」
小鷹「ほんとだな」
テクテクテク
-三日月家 玄関前-
小鷹「夜空の家にあがるのも随分久しぶりだな」
夜空「ああ、高校の時以来だな」
小鷹「10年くらい前か………」
夜空「そうだな………まぁ今日は私も休みなんだ、ゆっくりしていけ」
小鷹「ああ」
ガチャン
夜空「帰ったぞ…………………あ゙!」
小鷹「………?………どうした?」
バタン!
小鷹「夜空?」
夜空「ちょっと来い!」グイ
小鷹「お、おい!お前んちここだろ!」
夜空「いいから来い!」スタスタスタ
-夜空の部屋-
星奈「夜空ぁー?帰ったのー?」
シーン
星奈「………?………気のせいかしら?」
-近くの公園-
小鷹「おい、どうしたんだよ?」
夜空「……………忘れてた」
小鷹「……………何を?」
夜空「……………」
小鷹「……………おい」
夜空「……………星奈」ポツリ
小鷹「え?」
夜空「星奈がウチにいるんだった…………」
小鷹「星奈?…………星奈…………あ、そうだ!」
夜空「しまったなぁ」
小鷹「夜空!星奈が家出したらしいんだ!」
夜空「あぁ、よく知ってるよ、毎日のようにあいつに聞かされていたからな……」
小鷹「じゃあ、お前の家にいるのか?」
夜空「ああ」
小鷹「よかったぁ………」
夜空「よくないだろ!」
小鷹「え?」
夜空「あいつを昨日の集まりに呼んでないだろ!」
小鷹「あ………あぁ!」
夜空「ましてや今帰ったんじゃお前と朝帰りということになる………あいつ間違いなく誤解するぞ………」
小鷹「しまったぁ………」
夜空「少し時間を入れよう」
小鷹「………そうだな」
-再び町内-
テクテクテク
小鷹「しかしなんで忘れてたんだろうなぁ………」
夜空「急なことだったからな………お前が図書館に来たのも、みんなで集まることになったのも…………」
小鷹「お前がえんえん泣いたからじゃないのか?」
夜空「うっ」
小鷹「探すの忘れてた俺もそうだけど………家に星奈いるの知ってて忘れるのはなぁ………」
夜空「…………ごめんなさい」
小鷹「『小鷹ぁ!小鷹ぁ!』」
夜空「や、やめろ!ばかぁ!」
小鷹「ははは」
夜空「ぅぅ………」
-喫茶幸村-
カランカラーン
幸村「おや、あにき………お早いお帰りで…………」
小鷹「ああ、ちょっと事情ができてな、悪いんだけど少しの間またここにいさせてくれ」
幸村「お気にせずとも好きなだけここにいらしてください………わたくしにはそれがなによりなのです………」
小鷹「そっか…………あれ、マリアは?」
幸村「先ほどケイト殿がいらして学園の方へと担がれていきました………」
小鷹「ケイトも相変わらずだなぁ」
幸村「コーヒーをお持ちしますね………」
小鷹「ありがとな」
幸村「どうぞ………コーヒーとクッキーです………」カチャ
夜空「ありがとう」
幸村「いえ………」テクテクテク
夜空「ズズズ……」
コトッ
小鷹「………」
夜空「………」
小鷹「………」
夜空「………」
小鷹「なぁ、星奈はなんで家出したんだ?」
夜空「星奈の家に行ったんだろう?聞かなかったのか?」
小鷹「詳しくは聞かなかったよ、星奈にも悪いと思って……」
夜空「心当たりは………?」
小鷹「…………」
夜空「ふぅー……」
小鷹「…………」
夜空「まぁ、家出した理由は確かにあるんだけどな、根を掘っていけば、それはやはりお前のせいなのだろう………」
小鷹「そっか………」
夜空「なんだ、気づいてたのか」
小鷹「少しな……」
夜空「だが、お前にあんなことをさせたのも元はといえば私と星奈みたいなもんだからな………自業自得みたいなものだ………」
バンッ!
小鷹「この町を離れたのは俺の意思だ!」
夜空「…………」
小鷹「…………」
夜空「そうさせたのが私と星奈だって言ってるんだよ………」
小鷹「…………」
夜空「簡単な話、星奈は父親にお前以外の男との結婚を勧められて、堪えきれず私のところに転がり込んできたんだ、いい迷惑だよまったく」
小鷹「あいつ、仕事まずいんじゃないのか?天馬さんにこのまま会社に連絡入れないようだと間違いなくクビ切られるって聞いたぞ?」
星奈「本人は気にしてないらしい、あいつにしてみればそれ以上の問題なんだろう……」
小鷹「結婚かぁ………」
夜空「小鷹はそういう予定はないのか?」
小鷹「…………あったとしても、ここに1度戻ってくるべきだと思ったんだよ…………まぁ、ないんだけどな…………」
夜空「相変わらずヤンキー扱いなんだろうなぁ」
小鷹「うっ………よ、夜空こそどうなんだよ?」
夜空「ジャージで司書やってる女に男が寄ってくると思うか?」
小鷹「さいですか…………」
夜空「いつの間にか私たちも、忙しくなったんだよなぁ…………」
小鷹「…………そうだな」
-喫茶幸村 入口-
カランカラーン
小鷹「じゃあ幸村、俺は多分、このまま夕方のバスで駅まで向かうと思う…………いろいろご馳走になったな、うまかったよ」
幸村「とんでもありません………あにき………来ていただけるだけでなによりです………是非またいらしてください………」
夜空「幸村、私はあとでまた来るから、そのときはまたコーヒーを入れてくれ」
幸村「かしこまりました………」
小鷹「また来るよ、それまで元気でな」
幸村「はい………いってらっしゃいませ………」
小鷹「…………ああ、行ってくる」
カランカラーン
-再び町内-
テクテクテク
夜空「こう言ってはなんだが、星奈に会ってどうするつもりだ?」
小鷹「さぁな………とりあえず家に帰るよう促して、仕事に復帰させて、それまでに話すことがあれば話せばいいさ」
夜空「随分あっさりなんだな………」
小鷹「久しぶりに会う友達何てそんなもんだろ」
夜空「『友達』か………」
小鷹「変か?」
夜空「私に聞くのか?それを」
小鷹「…………」
夜空「…………」
小鷹「…………悪い」
夜空「…………」
小鷹「…………星奈に会うの…………少し怖いんだよ」
夜空「…………」
小鷹「…………」
夜空「…………ならどうして戻ってきたんだ…………?」
小鷹「…………」
夜空「…………」
小鷹「…………」
夜空「…………」
小鷹「俺ももうアラサーだからなぁ…………」
夜空「…………」
小鷹「…………」
夜空「…………」
小鷹「…………」
夜空「小鷹…………」
小鷹「…………なんだよ」
夜空「私は別にいいんだぞ…………」
小鷹「…………」
夜空「…………」
小鷹「でも…………」
夜空「あの頃に比べたら、私たちは随分大人になったんだ…………」
小鷹「…………」
夜空「自分の道くらい…………そろそろ自分の好きなように…………もう…………選んでもいいんじゃないか?」
小鷹「でも夜空は…………」
夜空「なぁ小鷹」
小鷹「…………」
夜空「10年って…………長かっただろう…………?」
小鷹「…………」
夜空「あいつもきっと長かったはずなんだ」
-三日月家 玄関前-
夜空「雰囲気ぶち壊しなんだが、あいつきっと今、ギャルゲーやってるぞ」
小鷹「あいつ………自分の歳とか数えてないのか…………?」
夜空「さぁな、鏡の前に立って、そこの自分に満足ならそれでいいんだろう」
小鷹「………相変わらずなんだな」
夜空「あいつが私の家に転がり込んできたときなんて本当に酷かったんだぞ、あいつ服や化粧品なんて一切持たずに、代わりに大量のギャルゲー、エロゲーを抱えてきたんだからな」
小鷹「本当に酷い話だな、それ……」
夜空「あの頃の私でも、あいつはこういったゲームからいつかは足を洗うと思っていたんだがな…………甘かったようだ」
小鷹「相変わらずなんだな………」
夜空「みんな、変わらないところもあるさ………」
小鷹「…………」
夜空「…………」
小鷹「じゃあ」
夜空「うん」
ガチャン
ピコピコ、ピコピコ
星奈「…………」
ピコピコ、ピコピコ
星奈「…………」
携帯『you've got mail!』
ピコピコ、ピ………
星奈「…………」
星奈「…………」
カチャ
星奈「…………あ」
『件名 今後の退社手続きについて』
星奈「…………」
星奈「…………」
パタン
星奈「…………」
ピコピコ、ピコピコ
星奈「…………」
ピコピコ、ピコピコ
星奈「…………」
ピコピコ、ピ………
星奈「…………ぅぅ」
星奈「………ぅ………ぅ…………」
星奈「ぅ………ぅぅ………グスン」
星奈「ぅぅぅぅぅぅぅぅ…………グスン…………グスン」
星奈「あ………あそこ………いいところだったんだけどなぁ………」
星奈「家からも通えて………優良企業で………給料もいいし……」
星奈「仕事は………やりがいあって楽しかったし………勤める価値のあるところだったし………」
星奈「男は………あたしの言いなりだったし………女どもは………いつもあたしの陰口叩いてたし………」
星奈「誰も………本当のあたしを好きになってくれないし………家に帰れば………いつも泣いてたし………」
星奈「………………」
星奈「どうしてこうなっちゃったのかな…………」
星奈「あたしって…………容
星奈「あたしって…………容姿端麗で…………成績優秀で………」
星奈「スポーツ万能で…………スタイル抜群で………才色兼備で…………」
星奈「なんにでもなれた筈なのに………」
星奈「どうしてこうなっちゃったんだろう…………」
星奈「…………あのとき先走ったから…………かな…………」
星奈「…………夜空を差し置いたから…………だよね…………」
星奈「…………小鷹に…………付き合って…………なんて…………言ったから…………小鷹は…………」
星奈「でも……………こんな……………」
星奈「こんなのって…………こんな…………」
星奈「ぅ………ぅぅ………う………うう………グスン」
星奈「ぅ………グスン………グスン…………うううううう」
星奈「ゔわぁぁぁぁぁぁぁぁぁん!」
星奈「ゔわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁん!」
小鷹「…………」
星奈「ゔわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁん!」
小鷹「……………」
星奈「ゔわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁん!」
小鷹「そんなに泣くなよ……」
星奈「ゔわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ……ぇ?」
小鷹「後ろ後ろ」
星奈「……え?」バッ
小鷹「久しぶり」
星奈「…………小鷹?」
小鷹「うん」
星奈「な、なんで…………?」
小鷹「なんでって言われてもな、大変だったんだぞ、お前が家出したっていうから」
星奈「なんで…………グスン」
小鷹「でもそのおかげで隣人部のみんなにも会えたんだからな、よかったよ、星奈ともこうして会えたし」
星奈「…………」
小鷹「親父さん、心配してるぞ」
星奈「…………」
小鷹「仕事も戻らないと大変だろ?」
星奈「…………今クビになった」
小鷹「へ?」
星奈「今ぁ!クビになったのぉ!ほらぁ!」バッ
小鷹「………………あ」
星奈「………はぁー………でも………清々したわ………あんなとこあたしには物足りないくらいだったし………」
小鷹「やりがいのある優秀企業だったんじゃないのか?」
星奈「あ、あんた!聞いてたの!?」
小鷹「すぐそこにいたからなぁ」
星奈「ぅぅ…………」
小鷹「ははは」
-バス停近く-
テクテクテク
星奈「ねぇ」
小鷹「ん?」
星奈「夜空は来ないの?」
小鷹「ああ、あいつとはさっきそこで別れたよ」
星奈「いつこっちに来たの?」
小鷹「………昨日から」
星奈「昨日………?」
小鷹「………実を言うと、昨日隣人部のメンバーみんなでな、幸村のところで一晩中飲んでたんだよ………小鳩はいなかったんだけどな………」
星奈「えっ」
小鷹「夜空を責めるなよ…………あいつも俺に会ったときえんえん泣いたんだから…………いろいろ思い出して大変だったんだよ」
星奈「あ、あたしも行きたかった…………」
小鷹「家出なんてしてなければなぁ」
星奈「ぅぅ………」
-バス停-
星奈「………あのさ」
小鷹「ん?」
星奈「あのときは………その………ごめん………」
小鷹「あのときって………あれ?」
星奈「………うん」
小鷹「………たしかにあれにはまいったなぁ」
星奈「あたしも卑怯だったと思ってる………小鷹の気持ちも考えずに………」
小鷹「…………」
星奈「夜空にも何も言わないでやったことだし………」
小鷹「俺も悪かったよ………ケジメもつけないままただこの町を離れて………卑怯だった」
星奈「あたしのせいだから…………それに小鷹の立場だったら、あれが当然だと思うし…………」
小鷹「でも、夜空のやつ、そのあとも変わらずにお前といてくれるんだから、いいやつだよな」
星奈「そうね………いっぱい迷惑もかけたし………」
小鷹「ちゃんと礼言っとくんだぞ?」
星奈「うん………」
小鷹「あのな、星奈」
星奈「なに?」
小鷹「さっき、夜空に言われたんだ」
星奈「なにを?」
小鷹「もう自分の好きな道を自分で選んでもいいんじゃないか?って」
星奈「…………夜空」
小鷹「10年って…………長かったよな…………」
星奈「夜空…………」
小鷹「感謝しきれないよな…………あいつには…………」
星奈「夜空…………ぅぅ…………グスン………ぅぅ…………夜空ぁ…………」
小鷹「泣くなよ…………もうバス来るぞ?」
星奈「う………うん………グスン………えへへ………そうね………グスン………でも…………嬉しくて………」
小鷹「そうだな」
星奈「ぅぅ………ゔわぁぁぁぁぁぁぁぁぁん!」ガシッ
小鷹「よしよし………今までごめんな」
星奈「ゔわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁん!」
ブロロロロロ~
小鷹「なぁ星奈」
星奈「………グスン………なに?」
小鷹「このまま一緒に来るか?」
星奈「………ダメ」
小鷹「え゙!?」
星奈「…………えへへ」
小鷹「…………えっと」
星奈「夜空にまだお礼言ってないし、一度家にかえってパパに顔も見せないといけないし、仕事の手続きもしないとね…………」
小鷹「飛びついてくると思ったんだけどなぁ」
星奈「少しは大人になったのよ」
小鷹「でも、ギャルゲーまだやってるんだって?夜空から聞いたぞ」
星奈「あ、あれは!………その………」
小鷹「まぁ、ほどほどにな………」
星奈「………ぅぅ………今日でやめるわ………」
小鷹「いいのかよ?」
星奈「だって…………小鷹もギャルゲーやってる奥さんなんて嫌でしょ?」
小鷹「奥さんかぁ」
星奈「……………えへへ」
小鷹「……………はは」
星奈「でも全部済ませたら必ず行くわ、だから………それまで………」
小鷹「うん、待ってる」
星奈「うん!」
運転手『お客さーん、乗られますかー?』
小鷹「あ、はい!すぐ乗ります!」
星奈「じゃあ気をつけて………」
小鷹「ああ、早く来いな」
星奈「飛んでいくわよ!」
小鷹「おう!」
運転手『発車しまーす』
バタン
ブロロロロロ~
星奈「………さてと」
星奈「(…………………夜空にお礼しないとね)」
-後日談--
小鷹と星奈が町に戻って来たのはそれから少しあとのことだった、式のときもそうだったが、二人ともこれから充分幸せにやっていけるように思えた、泣き崩れていた星奈の父親はすごかったなぁ
マリアは理科の会社で無事に採用されたようだ、久しぶりに小鳩と会ってスゴいはしゃぎ様だったと小鷹は言っていた、理科もこれから大変だ
幸村は相変わらずだ、今もここで、こうして私にコーヒーを入れてくれている…………私はというと…………そうだな…………何だか落ちついているなぁ………ふふふ…………そうだな…………本でも書くか………どんな本を書こうかなぁ…………
-おわり-
これは良いはがないSS
はがないSSでは好きだなこれは
正直続きがみたいが…
次→小鳩「あれからもう10ヶ月かぁ………」
Entry ⇒ 2011.12.25 | Category ⇒ 僕は友達が少ないSS | Comments (0) | Trackbacks (0)
梓「安価で先輩たちにやる気を出してもらうんです」
http://engawa.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1324788498/l50
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|.:.:.:::: | } l | // }|| ト、∨ { ∧ }::::::::.:.|
}.:.:.:::: { |ヽ i L _ V { /小.ヽ}. 〉 j | |::::::.:.:.|
いつもいつも部室でお茶を飲んでいるだけで、全然練習できてないんです……。
だから>>5をして先輩たちにやる気を出してもらうんです!
r'^ヾ\ ゝ、: : ̄ ̄ ̄ ̄ ̄∧:く て { `ヽ
. } ≧\ン'´/ : : : : : : : : :│ ! : :`:ヽ、!
| フ,/ : /: : :│ : : : 卜、 し' : : : : : : \
} Ⅳ: .: : : .: :ト、{: : : : :├-\: : : : : : \ : ヽ.─‐‐ - __
ヽ,′: : : : ; :| ヽ: : : : :| ヽ: : : : : : : rヘ! : : : : : : : : : : `ヽ
ノ! : : : : / Vー'^、\: : :| ,ィ≠ミx、: : : :{ ̄``ヽ : : : : : : : : : \
. /从: :l: : :! x≠ミヽ \ |イんハ丿V人:八  ̄\: : : : : : ヽ
/ l/l: : |: : Y´んハ` Vrう リハ: : :\__ \: : : : : .'.
/: : 人: :{: : {ヽ Vrう ´¨ rゥⅥ :ヽ: ヽ`ヽ ヽ : : : : l
,': : : : :/ヽ人:≧ ´¨ ’ '""´ rソノ`Y: } : | ヽ : : :|
/: : : : / ∨ハ '""´ ノ~´ 川リ: :! | : : :|
. /: : : : / V:小、 '⌒ / l|: ノV }: : : !
/: : : : / ∨: : >、 _ イ_.. -‐イ⌒ く ,': : : ′
/ : : : / ヽ、 : : `V^ミ ー ´ 八 │ ヽ / : : /
′: : : { /⌒ヽ: :}、 \/ノ└--、| 丶 / : : /
l : : : : | │ }ハj\ イ乂<二つノ| ヽ /: :/
| : : : : | | ヽト 〃ハ、 `ヽ\│ / / : /
| : : : : | | ヽト {{ { }| `ヽヽ /\/ : /
|: : : : リ | `ソ| ゝ.し小 | l \/ ヽ/
. 从 : : { | | | | Lj !
そうです! むぎ先輩がお茶を持ってくるからいけないんです!
お仕置きしてやるんです! ひっぱたいてやるんです!
作戦
>>14
/ ..:.:::i. ..::.:::.:.:.i 夕 , i:ヽヾ l \::l ii }うハ、 ミ i ::::::::::::::::} :::::::: ̄ヽ
/ ..::..::::i ..::.::.:.:.i《 ん':゚::ハ:::::::::::::::::::::: { ん':゚:::::ハ 》 i ::::::::::::::} ::::::::::::::::::::\
/ ...::.:.:::::/\ ..::.:.:i` 弋::。ソ:::::::::::::::::::::::::: 弋:::。ソ i ..:::..:.:.:::} :::.::.:.:.:.:.:.:.:.......\
..:.::.:.:./ i ..\ .:.\ ^‐'‐¨^ ^¨``^ i ..::.::.:.:.::.}\ ..::.::.:.:.:.::: .......\
..:.:.:./ i ..:.::.ヽ ̄ ' .i \ ..:.:..} \ ..:::.::.:.:.::.:.:.:.:.:.::\
...../ i ..:.::.::.l ζi /l ...} \ ...::.::.:::...:.:.:.:.:.:.:.\
::./ i ..:.:.:.:i. i ノ i...} \ ..:::.:.:.:.:.:.
/ i ..::.:.:ハ ` ´ /‐ ' i..}
むぎ先輩を連れ出して監禁してやるんです!
ひっひっひ。そうと決まればさっそく行動です!
/ / | \
/ .| \
/ / ,イ ト、. ヽ
,' i /,' l ヽ ',
| ∠、.| ,イ |_ ',
| | ./_ノ ! / |人`ヽ ∨ !
| | /´ | / `´ ', | |
| ', / .|/ ! | |
| ! ∨ | | |
.| .| | | / |./
', __| | ,z≠ミ ,z=ミ、 レ' レ'
/ | | /::: |
| ∧ | | 、、、 、 、、、 :::::: |
∧ ゝ! ! ,'::::: |
,' | | | 、 , ∧:::: |
./ | | | \ イ:::::::: ! |
i .! | ト、 > 、 <:::::|::::::: | /
| .,' | | ` 、 ` -<:::::::::::::::|::::: レ'
/ ! / / :! ! `> 、 | `ヽ::::::::!:',:: |
./ i/ /:::::| ', `Y !、_ 人! |
/ / /-‐.ノ } /⌒ヽト、`ー! |
「あら梓ちゃん、何か用かしら?」
ええ、ものすごく用ですよ、むぎ先輩。
あのですね、
梓の巧みな言葉
>>22
,.:.'´.:.:.::::::::::::::::::.:.:.:.::::::::.:.:.::`ヽ、
,.:'.:.:.:./.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.::.:.:.:.::.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:\
/.:.:.:.:.;'.:.:.:.:.:./.:./.:.|.:.:.l.:l.:.:.:.:.:.:|.:.\.:.:.:.:.\
/.:.:.i.:.::l.:.:/.::/.:./ l.:.ト、.:l l.:.:.:.:.:.:|.:.:.:.:.ヽ.:.:.:.:.:ヽ、
_ノ.:.:.: l.:.::|.:.|.:.:|.:./__」_l_ V.:l.:.:.:.:.:.:ト、.:.:.:.|.:.: : |:.ヽ`ー'
/.:.:. }.:. :.l.:.::|::.|.:.:|/´ l/ V.:.:.:.:./:l⌒ヽ. |.:.: : |..:::|
/.:.:.:.:.:/.: : .l.:.::|.::|.:.:{ , テミヽ |.:.:.:./ リ _ニl/ |.:.:.:.ノ.::.:}
.:.:.:.:.:. ∧ ミミ.:.: ト、ト、V´んハ` |:/ イんハ V:::::::::::::/
.:.:.:.:/ ヽミ{.:. {.:.:\|ヽV:りノ ヒソノノ}.:.:/.:/l/{
::/ ヽ:.:.:.:.:.:.:.:.| //// , ////レ'.`Y´.:.',
|.:.:.:.:.:.: :| {.:.:.:.:.:l.:.:.:.:',
|.:.:.:.:.:.: :| `ーー' ノ.:.:.:.:.:l.:.:.:.:.i
ヽ.:.:.:.:.:.::ト、 イ.:.:.:.:.: ∧.:.:.:.l
\.:.:..:|〈 丶、 ___, <ノ |.:.:.:.:.:.,' i.:.:.: l
,. イヽ::| `丶、 ∧ |.:.:.:.:./ l.:.:.: l
__,. '´. : :.|: : :.{ ,r V ',`ヽ |/|/ l.:.:.:..l
/. ヽ: : : : : :.|: : : ト、 / >ⅩくVi: : ',:.ヽ、 l.:.:.:.:.l
/. : : : : \: :.:.:.:|: : : :ヽ V //l l ト、l:. く: : :i: `ヽ、.:.:.:.:.|
/. : : : : : : : \: :. ̄フ: :.| // l l V}: : 〉: :|: : : : }.:.:.:.::|
――中野家自宅――
「まあ、きれいな部屋ね」
どうぞどうぞ、楽にしてください。
今日は両親帰ってこないから、ゆっくりくつろいじゃってください。
\
/ \
. / , / ヽ
/ /| | l ', ヽ
. ′ / / | | | i ,
| ′ ィニ | :| | | | i
| i / 八 lヽ |ニゝ | | |
| | ′ \| \|ヽ | | |
| ヽ| ィえx ∨ :| | |
| ∧ {xイi} ィえミx∨ | | /
', l ゞZリ {xイ} 》∨ / | ′
' | ::::::: ゞZリ } ′ | ′
V :l ' :::::::::: / / , {
| ヽ 、_, //' / 八
| |\ イ / / \
| | 丶 __ .. ≦ _l/ ∧ 、 ヽ
| | r:ハ // ハ_ ヽ \ ハ
_j |イ:./ \ / / /}:.:.:.>:....、ヽ }
/:.:.:. | |/:.:| /^iハ ′ /:.:!:.:.:.:.:.:.:.:.:.`ヽ、ノ
. /:.:.:.:.:.:.:| /:.:.:.{ / /|ヽ∨ /:.:.:|:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:\
{:.:.:.:.:.:.:. ! /:.:.:.:.:.∨ ' l / /:.:.:. |:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.}
「それで、大事な話ってなあに?」
えーっとそれはですね……
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| :::::|:::::/::|::::::::::: | ::ハ:::::::::::|::::::|::`Y⌒ヽ
| :::::|:::::::´|:::::::::::::::/ー\ ::::|:::::::/{::::::::: \
/| :::::l ::/ |八::::::|/ ,厶:::|:::::ト、/∧:::::::::::::::.
:: | :::::|:::i〃r心\| ィぅ心V:::::|"}厶_\:::::::::::::.
|八:::人ハc弋.:ソ /// 弋.:ソっ:::::|ノ `ヽ:::::::::::i
|::::::∨::::::::. . │:::::| }| ::::::::|
|::::::::|:::::: 八 r/7Yヘヽ |:::::::|/ │:::::: |
|:::::::ハ ::: | 个〈{ | }< {::::::,′ /| ::::::::|
|:::::::| {\| ∨\ | /∨ Vl/ /}| ::::::::|
|:::::::| 〉 / `〈 \/ / / | ::::::::|
|:::::::l 〈 / o人 `'く /| | ::::::::|
|:::::::| Y ノL∧ ヽ /' | | ::::::::|
|:::::::| { / ○ / │ | ::::::::|
やったです! むぎ先輩を自宅に連れ込み成功なんです!
でもこれではまだ監禁じゃないんです、簡単に逃げられちゃうんです!
だから>>36をしてやるんです!
/⌒/.:.:.:.:.:l :.:.:.:.:.:.:.:.:|.:.:.:.:.:.:.:.:.:.ll:.:.:.:.:.:.:.:.:ll:.:.:.:.:.:.:.:l:.:.:.:\
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|:.:.:.:.:.l :.:.| /「 \:, 〕 ∨,:/ / l:.:.ll:.:.:.:.:,
|:.:.:.:.:. :.:.:| / 」 〈 >〔_〕 \ ∨∧\_ l:ll.:.:.:.:.:.,
:.:.:.:.:.:l:.:.|/ | ∨// / | 「|\\/ ∧ ´' .,_ lll:.:.:.:.:.:.,
実はですね、私、最近紅茶を作るようになって。
「まぁ、梓ちゃんが?」と目を輝かせる紬。
ええ、それで、是非むぎ先輩に飲んでもらいたくて!
それでは、いまから作ってくるのですこし待っていてくださいね
――そして10分後――
「まぁ、おいしそう」
どうぞどうぞ! 飲み頃の温かさです!
ぐいっと飲んでください! 一気に飲むと一番おいしいんです!
「ふふ。それではお言葉に甘えて」
/ .: .::i!. .::'; ヽ::. \
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/. .:/.::: ';:::. .::} .:i ; ヽ ':,
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i . ::j . ::./ ';::::. ;: .. i! ,ィー: .、:: ; !:. i
! {: ,イ⌒ヽ ';:::. !:::.. ! (_,,ィー-ヘ::. };'::. :i!
i! .::i!: . (_,ィ⌒" \ト、:.| yxz=x、V::.!::. !
i .::|::. ;' y'斥ミ、 V rVリ ,` !: |::. |
. '; . . !::. i!"、rVリ ` "~ i!:.i:. ;'
. ''; .i:::. :i ~` " , """"ノノ::.. i!
i! ';:. .八 """ , /"::::. i!
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紬は10秒ほどかけて紅茶を飲み干すと、カップをゆっくりとテーブルに置く。
どうですか、どうですか、梓特製紅茶は!?
「う~ん、そうね……」(なんか薬っぽい味がするような……)
/ | ./ / / ノ i
言いかけて、紬の体がくらりと傾く。 i | / / /'´ ./
i, | .l l / ./ , ' `,/
「……あれ?」 .l.l ', .| ',.| ./ / / / ´,ニ=、
l .| ヽ! ヽ, i | / / ! ヽi ヽ、
| .l i ヽ ,' .イ ヽ、 ヽ _
| ', ','、 l ! ', ! .ヽ i
i ヽ、l ヽ | ヽ、__ / !|l
l ', '`::....´ ̄ ̄`ヽ, / , -- / ', .|
ヽ, /::. ::. ::. ::. ::. ::. ::¨ ', / ,'/ / _ .l !〈
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/:: ::. ::. i::. ::. ::. ::. ::. ::. ::./ / .| .レ´ i,// |/ ,' l lヽ
/ヽ、 /::. ::. ::. ::l::. ::. ::. ::. ::. ::. ::.'l ´ 〈,| i i!_/' | / ,'. l ノ | ',
/ : : !: :ヽ====-、--.. 、 /::. ::. ::. ::. ::.i::. ::. ::. ::. ::. ::. ::/ `.‐| |/´ ./! イ /. i´ / i
i : : : : :ヽ__ノヽ 丶,::. ::. `─... -.´::. ::. ::. ::. ::. :::.', ::. ::. ::. ::. ::. :/ i l ト、 /ノ 'リ |/ ,' ,'. /
| ヽ, : / ', : :ヽ::. ::. ::. ::. ::. ::. ::. ::. ::. ::. ::. ::.:i ::. ::. ::. ::. ::.i i ,,' | .l ! ¨´ l ', / /
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.', : : : ,' l: : : :! ::. ::. ::. ::. ::. ::. ::. ::. ::. ::. ::. ::l::. ::. ::. ::. ::.,' '、 `´ ,' `ヽ -‐ ´
. ヽ : :i `T7/ ::. ::. ::. ::. ::. ::. ::. ::. ::. ::. ::. ::|::. ::. ::. ::.ヽl `ヽ_ ノ
i : :| |: |::. ::. ::. ::. ::. ::. ::. ::. ::. ::. ::. ::/',::. ::. ::. ::. :',
ヽ,! ,': :_ヽ::. ::. ::. ::. ::. ::. ::. ::. ::. :/ .' ::. ::. ::. ::. i
| /y´ ヽ,::. ::. ::. ::. _ -‐ ´ ', ::. ::. ::. ::l
-‐  ̄' ‐- ,'-- , __ ヽ, ::. ::/ i::. ::. ::. ::. ,
/ '.,/ l::. o::. ::. :|
/ l |::. ::. ::. ::.|
____ /__ ノ `i.,o::. ::. :|=--ァ
 ̄  ̄ ̄ ヽ_ ---‐─‐=ニ, 、
ヽ__ , -==ミ
/ .: .:/: : : : :.li : :∧ : : :|: : : : : : \: : :.',
/. .: : : :∧.: : : : :|i :/_ノ',: :.ハ: : : : : : : : : : : :.
,′/ : :./ ! : : : : li/ V ヽ. : : :ヽ : : : : : r‐..、
l : : :l レ'ヽ: : :/ ´,ィf笊ミx、V.:. .:.|.: .: .: : :|: : : \
i : : :| : : :! ,ィ示、',: l{ lr'゙::,ハ ' i: : :∧ : : : :∧: : : : :\
}l 、 :l : : :〃ir'゙,ハ V ゝ--' !: :/: : : : ::/ \: : : : :\
〉:.V : :从` `ー´ , //////ムィ:.:|: : :.∨ ヽ : : : : :\
,′:l :/ : :.',///// ___ |:.:i : : : | \: : : : :
/.:. .:|/.: : : :i /ー‐ 'ヽ V′: : :! \: : :
,' : : :イ.: : : :人 l/ } イヽ: : :./ \
: : :/}l : : : l : iヽ ` ー ´ / / |: :./`ー‐' ¨ ̄`ヽ
,' : : / | l : : | :.l ,> / }l∧ / ',
il: :.{ |卜、.:l :.|-‐´ .i |', ̄ / / ', / ハ
先輩!? どうしたんですかぁ!?
紬の元へ近づき、肩に手を置く。
紬はやや焦点の合っていない目をぱちくりさせて、
「平気よ……、なんだか、急に眠くなっちゃって……」
机に手をついて、ふらふらと起き上がろうとする紬に対し、
むぎ先輩、無理しないでください!
顔色も悪いですし、安静して休むべきです!
< `> 、
./ \
/ / ', ヽ
, | / ∧ | ',
i | ,' / ', |、 |
| | ! /-=ヘ ト、! | |
', |! .| /¨ ̄´ ', ト、|-| ./ |
| , - i| !/___ ∨ __ |/ /
,/| .{ ヽ| /〈て.ノ` イ_ノ / /
./ | \ | | //// /// i
/ ./ `| | ` ′ |
{ / / /,| ト、 ‐‐ ,イ| ′
∨ /__/::〈 | | >,、__ <| |/
/≦:::::::::::::::゙| ト、 / }::ヽ-| ト、
「心配させちゃって……なんだか、ごめんなさいね。
でも……ちょっと、疲れがたまっている、だけ……」
話しているうちにも紬のまぶたは少しずつ落ちていき、声も不明瞭になっていく。
ノi,___
/ ` ̄`ー-‐ー-<´ `ヽ、_
/ ー, ⌒ヽ , -‐-  ̄`ヽ
./ \ ̄` 、 ,∠::::::::::::::`:...、 \
| .___,≧ヾーヘ、  ̄`y::::::::::\::::::::::::::::ヽ ー- 、
,へ \(j |j ゙ `ー./::::::::::::::::::ヽ:::::::::::::::::\ ヽ、
{ ヽ、 \、 , /:::::::::::::::::::::::::',::::::::::::::::::::`ヽ、 ヽ
! ヾ-、_\ _ ` `/-―::::::::::::::::::::::ヽ::::::::::::::::::::::::', l
./ ヽ \(j ` |j ゙/ ̄´:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::ヽ ',
i |〉、 ,`-‐/ ̄:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::', |
.  ̄ ̄ ̄ ̄人 !::::い-‐/::::/::::::::::::::::::::::::::::::ー―――-:::::::::::::::::::::::::::::::::::i i ヽ
rゝ -:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::,∠::::::::::::::::::::::::::::::::::::| | | !
./、-,ヽ:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::,-‐‐< ̄´`ヽ、::::::::::::::::::::::::::::::::::::! ∧ .!ノ|
ゝ-´ \::::::::::::::,二-< ̄ `ー-;:::::::::::::::::::::::::イ /:::::} /::
 ̄´ ∧|ヾ::::::::::::::::::::::!/:::::::/:::::
∧´:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
ゆっくりやすんでください。
日頃むぎ先輩にはおせわになっていますから、これくらいどうってことないですよ。
紬はむにゃむにゃと何かつぶやいているが、もはや何を言っているかは聞き取れない。
/ ..:.:::i. ..::.:::.:.:.i 夕 , i:ヽヾ l \::l ii }うハ、 ミ i ::::::::::::::::} :::::::: ̄ヽ
/ ..::..::::i ..::.::.:.:.i《 ん':゚::ハ:::::::::::::::::::::: { ん':゚:::::ハ 》 i ::::::::::::::} ::::::::::::::::::::\
/ ...::.:.:::::/\ ..::.:.:i` 弋::。ソ:::::::::::::::::::::::::: 弋:::。ソ i ..:::..:.:.:::} :::.::.:.:.:.:.:.:.:.......\
..:.::.:.:./ i ..\ .:.\ ^‐'‐¨^ ^¨``^ i ..::.::.:.:.::.}\ ..::.::.:.:.:.::: .......\
..:.:.:./ i ..:.::.ヽ ̄ ' .i \ ..:.:..} \ ..:::.::.:.:.::.:.:.:.:.:.::\
...../ i ..:.::.::.l ζi /l ...} \ ...::.::.:::...:.:.:.:.:.:.:.\
::./ i ..:.:.:.:i. i ノ i...} \ ..:::.:.:.:.:.:.
/ i ..::.:.:ハ ` ´ /‐ ' i..}
――さてと。
これでもうむぎ先輩は逃げられないんです
むぎ先輩ゲットなんです。
むぎ先輩には、>>87をしてやるんです。
鬼畜わろた
また首絞めかwww
」::::::::::::::::::::: イ::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::ト
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. /::::::::::::::::::::::::: / .|:小:::::::::::::::/ !:::ハ:::::::::::::::::::::::::::::\
/:::::::::ハ::::::::::::: /¨¨レΤ:::::::::::/ ̄j:/「Τ::::|:::::::::ハ:::::::::::::ヽ
'::::::::::ハ:::|:::::::/,≦_L.ト ヽ::::: ! ,..L_≧}::: /:::::: ハ::::::::::::::::
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':::::::::::,' |::::::::`トヽ弋.ソ::::::::::::弋::ン 彳 :::::::::| ',:::::::::::::
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ぐったりしている紬の顔を、腰をかがめて至近距離からのぞき込む。
紬は驚いたように目を半分開けて、
「な、なに……?」
結局1回も合わせられませんでしたよね。
「そう……だったかしら?」
今日の放課後。
しつこくせかす梓に対し、
唯は「わかった、じゃあ最後にこの1杯を飲んだら練習しよう!」などと言うが、
飲み終わっても「あと1杯だけ、あと1杯だけ」と延々と粘り続け、
いつのまにか日が暮れて、「まぁ今日はもう遅いし、明日がんばればいいよね!」とそのまま解散。
練習時間はゼロだった。
そういえば、昨日も一昨日も練習できませんでしたよね。
というか、最後にみんなで合わせたのっていつでしたっけ?
「えーっと……」
うつろな目をしばたかせて、紬は思考を巡らすが、
「……ごめんなさい。ちょっと思い出せないわ……」
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l : : :l レ'ヽ: : :/ ´,ィf笊ミx、V.:. .:.|.: .: .: : :|: : : \
i : : :| : : :! ,ィ示、',: l{::::::: lr'゙::,ハ ' i: : :∧ : : : :∧: : : : :\
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〉:.V : :从` `ー´ , //////ムィ:.:|: : :.∨ ヽ : : : : :\
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むぎ先輩がお茶なんて持ってくるからいけないんです!!
テーブルにダンと手をついた。
紬は短い悲鳴を上げてビクリと体を震わせる。
いつから、軽音部はお茶会部になったんですか!?
なんのための軽音部なんですか!?
むぎ先輩のせいでみんな堕落してしまったんです!
みんなみんな、むぎ先輩のせいなんです!!
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il: :.{ |卜、.:l :.|-‐´ .i |', ̄ / / ', / ハ
「そんな……」
紬の顔がゆがみ、目から涙があふれだす。
「わたしは……みんっ、なとっ、ただっ……」
黙れです!
泣けばゆるされると思っているんですか!?
梓は本気で腹が立っていた。
気がついたときには、紬の首を力の限り絞めていた。
軽音部をどうしてくれるんですか!?
責任を取ってください!!
「んん~~、ぅんんっ」
紬は、首を締めつける手を両手でつかみ、必死に逃れようとするが、
睡眠薬で既に意識朦朧の状態では梓の敵ではない。
梓に体重を掛けられて、紬は椅子から滑り落ちる。
紬は床に頭を強打し、ゴツンと鈍い音を響かせる。
それでも梓は紬の首を絞めたままだった。
床の上で、紬に馬乗りになり、手に力を込め続ける。
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|:::|:::::::/::::r'´ /' イノ/ニノ Y:::::::/::::ll:::::|::::::::::| ハ|:::::::l:: |
|:::|::::::i:::::/ `ー‐'' |/ ̄ヽー‐' /:::/:八::::|::: |::::::::::|::::l::::::: |:::|
|:::|::::::l::::ハ ヽ /´// リ ∨::/:::::::::::|∨::::: ∧:l
リ´ヽ::|:::l :ム (ア云テ、ヽ ,チムテニニミx ∨:::::::::::: |ノ:::::::/::::|∧
Y ::l::l::ハ とうzり 'とうzツハ/ |::::::::::::::/::|::::::ハ:: |:::∧
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. |::: |:l::|:::ハ NW/ ` M/W |::::::: /:://:::::/::.::.::.::.:\
/|::: |:l:::::|:八 イ ::: /::/::i :::/::.::.::.::.::.::.::
l:::|人:::::: |::.::.:>.. z =ニ' イ |::::::: //::|::::|::.::.::.::.::.::.::.::.
Y:::::::ト、::{::.::.::.::.::.::.> </ / |:::::://::. |::::|::.::.::.::.::.::.::.::.:
. |::::::/::.::.::.::.::.::.::/::.::.::.|  ̄ヽ / /::.:{/:/ .::. |::::|::.::.::.::.::.::.::.::.
せっかく最高の仲間に出会えたのに……、
ろくに合わせることもできなくて……、
こんな……、こんな……
急速に色を失っていく紬の顔に、涙が幾滴もこぼれ落ちる。
次の展開
>>151
. /:::::: : : : : : / : : : : : : ∧ : ::::: : : : : : : : ::.:: : : : : : : }
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. /:::::::::: : : ://::: : :/:: ://⌒ト :::: |::: : : :| : :::::.:: : |::::|i: : : : : i
:::::::::::: : :/::: : :/ ::: ://:7 ハ:::::|::: : : :|: : :i:: : : |::::|i: : : : : |
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|:i::::::::::厶イ / /{:. 〉 }」/:ハi::: : :./:: : :|:: : : |/八i: : : : |
|:|::::::::::::::/ `ー‐'' ∨ /ー'⌒7 : : :/::: : : |:: : : |/:::リ: : : : :|
|八i::::::/{ _ ヽ ∨ //:/|∧::: : : |:: : : ト:::::| : :i: : :|
丶 | :::::∧ {!弌:::ミ、 二斗≠:::=ミ:::.: : |:: : : | }く| : :i: : :|
|::::::::::::. ヾと公リ cV公とつ∧::: : : : : lノ | : :ト、 |
|:::::::::::::::. ∨:::: : :.| !: :| \
{:ハ:::::::::: ∨// ' //// │::.:: : :| │: :| \
| |::::i::::::i人 /|:::: :/ 八.│: :| ヽ
| |::::i::::::| > . ^⌒ ´ / |::.:/ / /│: :|
Vヘ八:::| 〕> ._.、 イ /∨:: : / | : :| |
j:::リ ∨\ 〉 |: しヘ/ | {/V / | : :| |
むぎ先輩は絶対許さないんです!
罰として中野家に伝わる秘伝の薬を飲ませてやるんです!
と、懐から取り出した小瓶を開け、
錠剤を紬の口の中に押し込み、無理やり飲ませる。
「……? なに……これは……?」
すぐにわかるです!
/ ..:.:.:.:..:...:..:.. ..:...:..:..:...:...:...:..:. \
/ .. ..:.:/:...:...:.:.::.. .. . .:i:...:.:..:..... ..:..:... ヽ
′.. ..:/′..:.../.::.. ....:.::|::..:.:.::..:.:... ...:.:.:.. '.
i .. .: i′.i:....:|..:::.. .. ..:.l!:..i:...:l:..:.:... ..:.ヽ:. i
/| ../ ..:.i{ .. |..:._|:.i ::... ..:.:}:...}:.:..|::.:. i:.. :.. i:. 「ミ 、
/..:.::|..:|..:.:.:.:|..:.,|.:厂:.{..:.:..:.:..i:..バ:下.:...|:i:.:.. |:..|:::.:..\
/..:/..::|..:|..:.:.:.:|:/ムL 、ハ...:.:.:.}/ ,}:ムヽハ}:.:...}:..l:::::.:.:. 丶
. /..:/..:.::,l ..!:!:..:..〃 笊ミ、 ヽ. ./ イ笊ミヾV:.. ,'. ハ:::::::.:.:.. ヽ
/..:/..:.:::ハ.从::.:.ト{. ト':: i} :::::V::::::: ド'::..i} ノ':../:..{ ';::::::.:.:..... '.
.′'..:.::/ r!..:.\{ V.ツ :::::::::::::::::::: V.ツ }ィイ:::..|} V::::::.:.:.... '.
|/..:.::/ {|..:.::ハ` , 小:..| V::::::.:.:... l
/..:.:::/ |..:.:.:::::. /:.:.... ! ';:::::::.:.:.. l
.: .:.::::′ l...:.:.:.:入 r‐、 /}::.:.:.....′ '::::::::.:.:. |
.′.::::i |..:.:.:.{;:}> . ー' イ ノイ:...}/ }:::::::.:.: |
j ..:.::::::| ..:. .:. V ,r|> __ . iチ、 }リ:../′ :::::::::.:.:|
i..:.:.:::: { ヽ ..:.. {,ィ´/ \_ __ノ }\/:.ノ i:::::::.:. !
「きゃっ? 何これ!? おしっこが止まらない!?」
これでむぎ先輩は一生おしっこ垂れ流しです!
そのまま辱めを受けつつ一生苦しむがいいです!
みんなを堕落させた天罰です!
次の展開
>>170
< `
, \
/ ヽ
,' |
i / ! | ハ
| ,' ∧ ト、 i ,
| i ムヘ ', \.ト、 /
! | i‐--ヘ ト、 ト二リ ヽ i
ノ .| .| `ヽ \ | ', | |
, ´,イ ト| .人 | `! ∨ ! .|
./ / ,' `| !ィ三ミ、 ,≦ミ、 /| ,' ∧
/ ノ ,i | //// /// ∧| ././ ',
{//, -‐ ´ | | //// ! /// ,' ,レ ./- 、 ヽ
ゞ/⌒ヽ、 | ト = 、 人 ,' ! \
/ i ヘ !_ | ゝ ( } イ | __ ./ ヽ 、
/ | _yヘ`) | >- ´≦ !(/ \ ', }
, /! / | / Y !、 ,/ヘvヘ / /!,-‐ ヽ ト、 /
/ 〈 | / } ',∨/} (ヽ\ / ,' |,-‐ | ! ∨
,' / ! / } Y{ /, ∧ヽ} ∨ .! {,-‐ / ハ ',
,イ ,/ /⌒ゝ入 Y ト _,イ./ ∧ソ/ ∧ `イ ./, ⌒ト、〉 ヽ
人 / ! 〈 イ / ノ | // Y´ ./ ,イ ∧ ´\ |,ノヽ \
「いやぁっ、とまらない! とまらないよぉ!!」
ふっふっふ。まだまだ、こんなんじゃあ生ぬるいです。
むぎ先輩にはもっと酷い目に遭ってもらうんです。
パニックになっている紬を押さえ込み、今度はもう一つ別の薬を飲ませる。
それもすぐにわかるです!
ほどなくして、
「うぅ、お腹が痛い!」
今度は超強力下剤です!
「なにそれ!? なんでそんなの持ち歩いているの!?」
うるさいです! 中野家秘伝の薬なんです!
//.: ..:′....:ハ .:.. .: ...:.| ..:.:.ヽ .:.::.、
,/.i .:. .:{:. ..:./ |.:.. .:. .:.:|i ..:.:.:i:..:.:ト:'.
/!./{.:i: :イ´:丁` l:{:.:....:´丁ヽ`.:}..:.:.| }} }}
,.:...:.:{:{:.|.:{:..::ト.:.:.{ {ヽ:.i..:.:リ }..:.|i..:.:ト.l|
./ ..:.:.:从:ハト、.:{ ,≧、 ∧{ヽム=ミ|..:ハ..リ:ノヽ.
/ ..:.:,イ.:.:,イ.:.:.:{V rぅiヽ イrぅi`}ハ:.:.}〈:..:.:.:.ヽ
,..:..:.:/ノ.:/|.: i|ハ ヒヅ ヒヅノ i}:.:.:..{、..:.:.. '.
/...:.:./:'.:/ !..:.:トi ¨´ `¨ 小:.:..i '. ...:.:.:.'.
.′.:.:':.: / | .: l从 ム|.}ハ{ハ ..:.:.. i
i ..:.: i.:ノ l:i :i{ \ ヘ ..イ }イ..:|ヽ i:...:.:. l
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/|..:.:.:.| 从{,.斗ヘ. ` ーx rー' ノト.. /:/ l::...:. |
i / :|..:.:.:.l ,. < ::.::.:}:::::::\/ミrAイ::::{::::`ソく、 }i:.:.. |
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|::l::::::::l ィfヤ心 弋ぅツ l:::/:::::l }::/ \::::::::\
}∧:::::::ヘ 乂ぅツ ´,,,, /:/::::::// \::::::::\
i! }从:::::'. ,,,,, 、 l:/:::::/´ ヽ:::::::::ヽ
ヽ::V:::ヘ 、‐ ァ j:::::/、_ ',:::::::゙,
八:.:.:人 ` ィ}:/≦丶 l:::::::::::l
/丶:.:\:.:.:> ≦匕..-──--ヘ l:::::::::::l
/::::::/>、j` ,斗≦--、:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.\ }:::::::::::!
/::::::/ __/:.:.:.:.:.:.:.:.:.:ヘ:.:.:..:.:.:.:.:.:.:.:.:\ |:::::::::/
「放してっ……トイレに行かせて! 漏れちゃう、漏れちゃう」
おしっこは散々垂れ流しているのに……
今さらうんこを漏らしたくらい、大差ないですよ。
「いや……、あぁ、そんな……」
紬は右手で前を、左手で後ろを押さえていた。
前の方からは既にびしゃびしゃと尿が漏れていて、
スカートも太腿も靴下もびっしょりと濡れていた。
「うぅ……お願いだから……」
ずいぶんとしぶといですね。
なら、こうしてやるんです!
と、紬の下っ腹に掌底を叩き込んだ。
「んはっ、あぁ、あああああああああああ」
ぶぼぼぼぼぼぼぼぼぼぼぼぼぼぼぼ!!
あはははは、いい気味です!
一生おしっことビチクソに苦しめられるがいいです!
£__
/ ̄ \
~ & | :::|
~ | ::::|
| 紬 ::::::|
| ::::::|
| の :::::|
| :::::::|
| 墓 :::::::|
| :::::::::|
| ∬ ∬:::| チーーン、、、
| ii ,,≦≧、 :ii :::::|
_ | 旦∥===∥旦::::::| _
-W-----┘二二二二二二二二二└--ff---\--
そして紬は脱水症状で死亡した。
――完
おつ
次回を期待してる
Entry ⇒ 2011.12.25 | Category ⇒ けいおん!SS | Comments (0) | Trackbacks (0)
番外個体「そんなもんかもねぇ」
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1324386154/
始まるよ!
上条さんのハーレム話だけど主人公は一方通行さんだよ!
お相手は番外個体さんだよ!たぶん一週間かからず終わるよ!気楽にみてってね!
~とある日、黄泉川家にて
番外個体「おいーっす、一方通行。やけに遅いお目覚めで」
一方通行「うっせー。何時に起きようが俺の勝手だ」
番外「あ、私知ってるよ。重役出勤って奴でしょ?」
一方「ぜんぜん違うけどな」
番外「うっわ、居候の癖に偉そうだねぇ。礼儀の欠片もありゃしない。死んだ方がいいんじゃない?」
一方「・・・・・・」がじがじ
番外「・・・何食ってんの?」
一方「カロリーメェト」
番外「いい加減飽きないの?」
一方「昨日はチョコ味だったしィ」
番外「栄養とか大丈夫なん?野菜食えよ」
一方「カロリーメェトはなァ、完璧なンだよ。パーフェクト食品なンだ」
番外「んな訳ないじゃん。まあ、栄養失調で倒れたらミサカがサクッと殺してあげるから安心してね」
一方「……」
番外「・・・何?どしたの?」
一方「いや、別にィ。それより黄泉川はどうしたんだ?」
番外「ん、なんかデートどか言って出てった」
一方「ふーん、あっそ。まあ、どうでもいい」
番外「あんたが聞いてきたんじゃん。はい、コーヒー」
一方「おォ、ありが・・・」
番外「・・・・・・」
一方「・・・・・・」
番外「・・・・・・」
一方「・・・すまん、今なんつった?」
番外「え?いや、だからコーヒーが」
一方「いや、その前」
番外「ん?ああ、黄泉川彼氏出来たらしいよ」
一方「ええええええええええええええええええええええええええええ!!!」
番外「しかも教え子らしいよ」
一方「あsdfghjkl;んdさlkfhじゃlf!!!!???」
番外「・・・・・・」
一方「・・・・・・」
番外「・・・・・・」
一方「よく考えたらどうでも良かったわ」ズズズ
番外「まあ、むしろよく今まで独身だったよね」
一方「もうギリギリの線まで来てたからな。いやはや喜ばしい」
番外「あんたがそこはかとなく上から目線なのが鼻につくね」
一方「で、どんな奴なンだ?」
番外「さあ?名前だけ聞いたんだけど、忘れちゃった」
一方「よく考えたらどうでもいいわ」ズズズ
番外「あ、思い出した」
番外「確か、カミジョーとかいう奴だった」
一方「ぶっふうううううううううううううううううう!!!」
番外「・・・・・・」ポヤポタ
一方「がっっ、つっ、はっ、がはっ」ゼェゼェ
番外「・・・人にコーヒーぶちまけて謝罪の一つも無し?」
一方「ちょ、ちょま、の、喉にカロリーメェトが詰まって・・・」
番外「んな奴見たことねーし!」
一方「まあ落ち着けよ。カロリーメェト食うか?チョコ味だぞ?」
番外「どうしよう。このまま殺しちゃおうかなこいつ」
一方「おいおい穏やかじゃねェな」
番外「人をコーヒー塗れにしておいてなんだその言い草は」
一方「しっかし、相手が三下とはな。嫌な予感がする」
番外「何?そんなエグイ奴だっけ?」
一方「身も蓋も無いことを言えばそうなんだが…まあ、黄泉川自身が納得して決めたんならいいンじゃねェか」
番外「おや、随分と素っ気ない言い草だね」
一方「あいつも大の大人だからなァ。向こうから求められたならまだしも、俺がグチグチ口出しすることじゃねェ」
番外「結構ドライなんだね。『愛する家族をそこらへんの青二才なんかにやれん!』とか言い出すかと思ったのに」
一方「俺はンな話し方しねェよ・・・ま、見守るのもまた愛、って奴だ」
番外「ふーん」
番外「そんなもんかねぇ」
―――――三日後。
芳川「…ただいま」
番外「ああ、おかえりー。朝帰り、とは結構な御身分で」ハグハグ
芳川「あら、あなただけ?」
番外「うん。一方通行は変な金髪のチンピラとどっか行っちゃった」ハグハグ
芳川「あら、朝早くから元気ね。どこに行ったの?」
番外「なんだっけかな。確か爽やかな男同士でタマを足でいじくりまわしてブチ込みに行くとかなんとか」ハグハグ
芳川「……」
番外「……」ハグハグ
芳川「…まあ、趣味は人それぞれだものね」
番外「そうだね」ハグハグ
芳川「私はちょっと寝るわ。なんか頭が痛くなってきたし」
番外「そりゃ大変だ。早く寝た方がいいよ。なんたって朝帰りなんだから」ハグハグ
芳川「……」
番外「どしたの?」ハグハグ
芳川「聞かないの?なんで朝帰りだったか」
番外「んーまあぶっちゃけそんなに興味は…」
芳川「実はね、私最近ある人と付き合い始めたの」
番外「あれ?私の話聞いてた?」
芳川「今日はその人の家に泊ってたのよ。だから今帰ってきたの」
番外「あーこれ完全に聞いてないね。自分語り始めちゃったね]
芳川「彼ったら、情熱的に私を愛してくれて・・・素敵な一夜だったわ」
番外「ほうほうお惚気ですか。おめでとう」
芳川「それほどでもないわ」
番外「褒めてないけどね。まあいいや。で、相手はどんな奴なん?」
芳川「上条当麻っていう子よ」
番外「ぶふううううううううううううううううううううう!!!!!」
芳川「うっわきたねぇ!」
番外「よ、よ、芳川、今なんて…」
芳川「…それより前に言うことがあるんじゃないかしら」ベットリ
番外「そんなことはどうでもいいんだよ!」
芳川「ぶっとばすわよ?」
番外「…因みにさ、そのこと黄泉川には話した?」
芳川「話したわ。お互い納得済みよ」
番外「…ってことは黄泉川は」
芳川「ええ、彼は平等に愛してくれるから大丈夫よ」
番外「はあああああああああああああ!?」
芳川「何を驚いてるのよ。一夫多妻制なんて、イスラム圏では当たり前のことよ」
番外「あばばばばばばば」
番外「…ってことがあったんだけど」
一方「何?最後の声」
番外「ミサカよく解んないけどさ、たぶんこれ二股って奴だよね?」
一方「……」
番外「だとしたらさ、これって止めた方がいいのかな?」
一方「いいことを教えてやる。『なになにした方がいいのかな』って人に聞くときは、だいたいお前がそれをしたい時だ」
番外「そうなの?それってミサカだけ?それともみんな?」
一方「大概の奴はそうだ」
番外「ふーん、じゃあ止めようかな」
一方「・・・まあ、個人的にはあんま手ェ出すべきじゃねェとは思うがな」
番外「そんなもんなん?」
一方「ああ・・・それに、たぶん言っても聞きやしねェ」
番外「・・・まあ別にいいんだけどね。可能なら、あんま面倒な事したくないし」
一方「気になンのか?」
番外「まあ、ぶっちゃけ少し」
一方「……」
一方「…面倒な目にあいたくねェってのは同感だ。二人はとりあえずほっとこうぜ」
番外「とりあえず、そうする理由が知りたいんだけど」
一方「…あいつらはもういい大人だ。本人が納得してンなら、俺が手を出すことじゃねェ」
番外「なんかこの前も同じようなこと言ってたよね。ホントに大丈夫なの?それで」
一方「・・・18にも届かねェガキに心配されなきゃデートも出来ねェようなタマでもねェよ」
番外「ふーん」
番外「…そんなもんかねぇ」
―――――そのまた二日後。
一方通行「・・・・・・」モグモグ
打ち止め「あ、一方通行おはよう!ってミサカはミサカは浮き立つ気持ちを抑えきれずに挨拶してみたり!」
一方通行「おォ。なンだ?やけにご機嫌じゃねェか」
打ち止め「へへっ!解っちゃう?実はねー」
一方通行「ちょっと待って。コーヒー淹れるから」
打ち止め「・・・カフェイン無きゃ会話も出来ないの?」
一方通行「かのサヴァランも言っている。『精神がコーヒーの鞭をくらうからこそ、有象無象までが大挙して、オリンポスの山や記憶の殿堂への道を押しすすむことがあたうのであろう』、と」
打ち止め「全然意味が解らないよ、ってミサカはミサカはなんだか頭痛がしてきたり・・・」
一方通行「コーヒーを飲めば解る。だから飲め。喉からあふれ出るまで」
打ち止め「イヤだよ。程度を知ってよ」
一方通行「ったく、ああ言えばこういう奴だ」
打ち止め「すっげー理不尽だよね。別にいいけど」
一方通行「で?話って何?」
打ち止め「え?ああ、えーとね・・・」
打ち止め「ミサカにも彼氏さんができたのだ!ってミサカはミサカは重大発表してみたり!!」
一方通行「・・・・・・」
一方通行「・・・・・・」
打ち止め「・・・・・・・・・・・・・???」
一方通行「・・・・・・!・・・・・・・・・・・・!!!!」
打ち止め「・・・あれ?ノーリアクションは酷いんじゃない!?ってミサカはミサカは予想外の冷たい仕打ちに動揺してみたり・・・」
一方通行「・・・・・・・・・夢でも見てンだろ。顔洗って来い」ガタガタ
打ち止め「大丈夫?なんかものすごい勢いで震えてるみたいだけど」
一方通行「うるせェ。黙って向こうに行け。俺のカロリーメェトタイムを犯すことはなんびとたりとも許さん」
打ち止め「あ、それちょっと解る。ベジタブル味が最高だよね、ってミサカはミサカは・・・」
一方通行「打ち止めァ!!!!俺はお前をそんな子に育てた覚えはありませんっ!!!」
打ち止め「え?いやカロリーメイト如きでそんなに怒らなくても」
一方通行「そっちじゃねェよ!その前だよ!!」
打ち止め「解り難いなぁ・・・彼氏ができたこと?ってミサカはミサカは念のために確認してみたり」
一方通行「そうそうそれ・・・どういうことだァ?」
打ち止め「だからそのまんまだよ。彼氏が出来たの」
一方通行「ふーん、あっそう。お幸せに」
打ち止め「え?さっきと全然反応が違うよ?ってミサカはミサカは急激な変貌に驚きを覚えたり・・・」
一方通行「別にお前がそれでいいンなら、俺の意見なンかカスほどの価値もねェだろ」
打ち止め「一方通行・・・」
一方通行「好きにすればいいンじゃねェか?少なくとも、邪魔したりはしねェから安心しろ」
打ち止め「・・・・・・」
一方通行「どうした?」
打ち止め「ううん・・・ミサカ、絶対に幸せになるからね」
一方通行「おうおう、勝手にやれ・・・で、相手はどんなやつなンだ?」ゴクゴク
打ち止め「あなたも良く知ってる人だよ!」
一方通行「え?」
打ち止め「ヒーローさん!」
一方通行「ぶっふううううううううううううううううううううううううううう!!!!」
打ち止め「うっわきたね!」
一方通行「・・・ってことを、目をきらきらさせながら語られた」
番外個体「すっげーな。カミジョーさん」
一方通行「確か知り合いが二挺拳銃の殺し屋とツテがあったな。ちょっと連絡を取ってみよう」
番外個体「落ち着け」
一方通行「すまねェ、ちょっと動転してた」
番外個体「まあ、あんたにとっちゃ紫の上みたいなもんだからね」
一方通行「何言ってんだお前」
番外個体「で、どうする訳?」
一方通行「あァ?」
番外個体「気に入らないんでしょ?ふざけんなって叫んで引き剥がしちゃえば?」
一方通行「・・・あのなァ、本人が幸せになるかって所を、俺が気に入らねェとか言って邪魔できる訳がねェだろォが」
番外個体「あ、気に入らないのは認めるんだ」
一方通行「・・・まあな」
番外個体「うーん、よく解んないなぁ・・・それって何?”愛”って奴なの?」
一方通行「・・・・・・あァ、そうだ」
番外個体「それってさ、”正しい”の?」
一方通行「正しいさ。正しいに決まっている。間違ってないに決まってる」
一方通行「・・・そうに違いねェ」
番外個体「・・・・・・」
番外個体「そんなもんかねぇ」
―――――翌日。
番外個体「・・・ってことが最近あってさぁ」
美琴「・・・・・・それを何故、わたしに?」
番外個体「あ、お姉さまそういえばカミジョーさんにフラれたんだっけ。ごめんねこんな話して」
美琴「ふ、フラれてないし!どっちかといえば、こ、こっちからフッてやったようなもんだし!」
番外個体「告白しない間にいつの間にか彼女が出来ていて結局諦めたお姉さまと、それでも突っ込んだ打ち止め。どこで差がついたのか。慢心、環境の違い・・・」
美琴「うっさいわね!八股するような奴、こっちから願い下げよ!」
番外個体「え?今八人もいんの?」
美琴「え?う、うん。黄泉川って人と、芳川って人でしょ、インデックスでしょ?五和さんに神裂さんに、佐天さんと初春と黒子で八人」
番外個体「マジぱねぇ」
美琴「あと麦野さんが攻略中との情報が」
番外個体「うわぁ、結構えげつねぇ言葉使うんだね」
美琴「でも、なんかみんな受け入れてるっぽいのよね。それなりに秩序があって、お互い嫉妬したりしないっていうか」
番外個体「完璧なハーレムだね」
美琴「ただ部屋はめちゃくちゃ手狭だって佐天さんが言ってた」
番外個体「むしろあの部屋に住んでんのかよ」
美琴「なんか今度引っ越すって言ってたよ」
番外個体「・・・・・・」
美琴「何よ」
番外個体「お姉さまさ、もっかいアタックしてみれば?ハーレムの仲間入りできるんじゃない?」
美琴「絶っ対しない!」
番外個体「なんで?」
美琴「だっておかしいじゃない!好きな人が九人もいるなんて!」
番外個体「そういうこともあるんじゃない?受け入れてあげたら?」
美琴「わたしは無理ね」
番外個体「うーん、ミサカよく解んないけどさ、好きな人の決めたことを受け入れるってのも、”愛”なんでしょ?」
美琴「・・・・・・」
番外個体「ってことはさ、今の状況を受け入れたその九人ってのは、単純にお姉さまよりカミジョーさんを愛してたってことなんじゃない?」
美琴「・・・・・・そうかもしれないけど、仕方ないじゃない。だって私はあいつに”恋”してたんだもん」
番外個体「”恋”?それって”愛”とは違うの?同じようなもんなんじゃないの?」
美琴「同じ人もいるかもしんないけど、私は違ったの!」
番外個体「・・・・・・」
美琴「・・・何よ」
番外個体「いや、ね?ミサカさ、愛とか恋とか、よくわかんないんだよね」
美琴「はぁ?」
番外個体「ほら、ミサカってクローンじゃん?で、生まれてそんな経ってないからさ、そういう経験も特に無いわけよ」
美琴「・・・う、うん」
番外個体「今回のことってさ、ミサカが”愛”を知るにはいい機会じゃん?だから折角だから、いろいろ聞いてみたいわけ」
美琴「・・・なるほど」
番外個体「って訳で、もっと具体的に教えてよ。”恋”って何?」
美琴「えー?・・・うーん・・・えーと、その・・・」
番外個体「その?」
美琴「・・・・・・わ、わたしだけを見て欲しかった、っていうか・・・」
番外個体「うわぁ」
美琴「うっさいわね!」
番外個体「で、それがお姉さまの”恋”だったと」
美琴「うう・・・まあ、そうだけど・・・」
番外個体「それってさ、嬉しいの?」
美琴「え?」
番外個体「”愛”ってのを向けられたら、向けられた方が嬉しいのはなんとなく解るよ。自分のことを受け入れてくれるわけだから」
美琴「・・・うん」
番外個体「でもさ、”恋”ってどうなの?要するに、それって相手に対する要求なんでしょ?」
美琴「そうだけど・・・」
番外個体「そんなもん向けられて嬉しいの?鬱陶しいだけなんじゃないの?」
美琴「・・・・・・」
美琴「・・・・・・」
美琴「・・・・・・」
美琴「・・・・・・」
美琴「・・・でも、それを喜んでくれる人だったらいいなぁって、思ってたのよ」
番外個体「・・・・・・」
美琴「実際にはそうじゃなくて、あいつはもっといろんな人に愛を向けることを選んだわけ。その時点で私の恋は破れちゃった。だから私は、あいつのところに行くつもりは無いわ」
番外個体「・・・ふーん、人間って難しいねぇ。クローンの私には、やっぱよく解んないよ」
美琴「何言ってんのよ。あんただって人間じゃない」
番外個体「・・・・・・」
美琴「きっとあんたも、いつか”恋”をするわよ」
番外個体「・・・・・・」
番外個体「・・・・・・そんなもんかねぇ」
―――――さらに三日後。
番外個体「ただいまー」
一方通行「おォ」
番外個体「・・・・・・」
一方通行「・・・どうした?」
番外個体「・・・何?その荷物」
一方通行「ちょっとな」
番外個体「いや、ちょっとってレベルじゃないでしょ。夜逃げレベルじゃん。今更借金で首が回らなくなったの?」
一方通行「いや、そういう訳じゃねェンだが・・・」
黄泉川「一方通行・・・ホントに出て行くじゃん?」
番外個体「え?出てくの?」
一方通行「おォ」
番外個体「はぁ?なんでよ」
芳川「気をつけて暮らしなさいね」
番外個体「え?止めねーの?」
黄泉川「たまには帰ってくるじゃんよ」
一方通行「いや、ホントマジ無理なんで勘弁してください」
番外個体「ちょ、ちょっと待って!ホントに話が見えないんだけど!」
一方通行「あァ?あァ、そういやオマエまだ知らないんだったな。実は・・・」
上条「愛穂、トイレはどこだ?」
黄泉川「突き当りを右じゃん」
上条「あ、ここか。・・・・・・」
黄泉川「どうしたじゃん?」
上条「なんか悪いな。こんな家に住まわせてもらって」
黄泉川「なに言ってるじゃん!水臭いじゃん!私とオマエの仲じゃん!」
番外個体「・・・・・・」
一方通行「・・・ってことだ」
番外個体「全然わかんないんだけど」
佐天「あ、今日からお世話になる佐天涙子です」
初春「同じく初春飾利です」
黒子「ジャッジメントですの!」
番外個体「おい最後だけおかしいぞ」
インデックス「13人で暮らすには、とーまの家は狭すぎるんだよ!」
番外個体「え?また増えたの?」
五和「そこで黄泉川さんと芳川さんが自宅を提供してくれるということで、みんなで移ってきたんです」
神裂「この部屋から私たちの新しい生活が始まるのですね」
オルソラ「よいお天気なのです」
番外個体「あんたら誰だよ」
打ち止め「正直ミサカも把握しきれてないの」
番外個体「・・・なんだか頭痛くなってきた」
一方通行「そんな訳で一緒に暮らすのはちょっとキツいンじゃねェかな、と思った次第でして」
黄泉川「そんなの気にすることないじゃんよ」
一方通行「いや、気にしないとか無理なんで。もうすでに胃に穴が開きそうなンですけど」
番外個体「・・・金とかあんの?」
一方通行「今までだって払ってたしな。変わンねェよ」
番外個体「一人暮らしとかできんの?」
一方通行「バカにすンな」
番外個体「住むトコ無いでしょ。見つけてから行けば?」
一方通行「マンションいくつか持ってるからそのどっか行くわ」
番外個体「何も今すぐ出て行かなくてもいいんじゃない?もうちょっとゆっくりと・・・」
一方通行「住居も決まってんのに残る意味あンのか?」
番外個体「・・・まあそうなんだけど・・・うーん、なんか釈然としないな」
一方通行「あっそ・・・で、オマエはどォすンだ?」
番外個体「え?」
一方通行「え?じゃねェよ。年増女共の愛の巣に、部外者は邪魔だろ。俺のトコにでも来るか?」
番外個体「あはっ、酷い冗談。なんだってミサカがわざわざアンタに付いてかなくちゃいけないのさ。気持ち悪すぎて吐き気するよ。ひょっとしてロリコン?ミサカまだ10歳くらいなんだけど」
一方通行「別に手ェ出したりしねェよ。ただ、もし行くトコがねェなら泊めてやるぞって話だ」
番外個体「はぁ?頭沸いてんの?そんなことしたらストレスで血ぃ吐いて死んじゃうって。無理無理」
一方通行「だったら、ハーレムの仲間入りでもすンのか」
番外個体「・・・・・・」
芳川「ねぇ、別に私たち何もあなたたちを追い出そうとしたいわけじゃ無いのよ?むしろ、残ってくれるのならば大歓迎なのだけど」
黄泉川「そのとおりじゃん!」
打ち止め「異議なーし」
インデックス「勿論なんだよ!」
五和「当然です」
神裂「そもそもここはあなたの家なのですから、文句があろうはずもありません」
番外個体「・・・・・・」
一方通行「・・・・・・」
番外個体「・・・どうすればいいんだろう。よくわかんないや」
一方通行「そりゃあ…」
一方通行「………………。」
番外個体「…?どしたの?」
一方通行「…いや、お前が自分で考えて決めればいいンじゃねェか?」
番外個体「…そんなもんなの?」
一方通行「そんなもんも何も、てめェも一人の人間だろォが。自分のことくらい自分で決めろ」
番外個体「えー、めんどくせー・・・そうだ、一方通行はどうして欲しいわけ?」
一方通行「・・・・・・」
一方通行「・・・何度も言った様に、俺は”オマエが納得して決めた”のなら、それを尊重する。俺の希望をねじ込むことはねェ」
番外個体「・・・あっそ」
番外個体「そんなもんかねぇ・・・・・・」
―――――翌日。
美琴「・・・・・・」
番外個体「・・・どしたの?なんか燃え尽きてるよ?」
美琴「…昨日門限破っちゃって…」
番外個体「またぁ?お姉さまもこりないねぇ」
美琴「そしたら…」
番外個体「うん」
美琴「・・・・・・ベレッタが・・・」
番外個体「うん?」
美琴「ケツマンコに」
番外個体「なんの話だよ」
美琴「私はまだ処女だ!!」
番外個体「ギリギリっぽいなぁ」
美琴「ギリギリじゃねーし!逃げ切ったし!よしんば入っててもまだ穴は一つ残ってるし!」
番外個体「その台詞がすでにギリギリだよね」
美琴「それはそうとして、なんかすごい話ね」
番外個体「何が?ケツが?」
美琴「違うわ!あんたの家・・・っていうか黄泉川さんの家」
番外個体「ああ、それ?ホントだよ。昨日とか何時までギシギシやってたと思う?朝の五時だよ!?十時になっても誰一人おきてこねーし。おかげで朝飯は今日もカロリーメイトだよ」
美琴「あら、あれ好きなの?」
番外個体「別に好きだから食ってるわけじゃないよ。昨日まで住んでいた真っ白けのロリコンがやたら買いこんであって、それしか無かったから仕方なく食ってるだけ」
美琴「なんだ、残念」
番外個体「いや、しかしあれだね。ベジタブル味ってのはひでーもんだね。やたらあればっか残ってたから何かと思ったら・・・」
美琴「おいちょっと表出ろ」
番外個体「え?」
美琴「・・・いや、なんでもないわ。ちょっと眩暈がして・・・」
番外個体「大丈夫?無理は禁物だよ」
美琴「うるさい!チョコ味チーズ味の尖兵にほどこしなんて受けないわ!」
番外個体「なんの話をしているの?そして何と戦っているの?」
美琴「ごめん、なんでもないわ・・・で、あんたは結局どうするの?一人暮らしでもする?」
番外個体「それもいい案なんだけど・・・まあ、とりあえず、もう少しあの家に残ってようかと思うんだ」
美琴「はぁ?あんだけ文句言っておいて?なんでよ」
番外個体「いや、なんていうかさ、あの人達”愛”って奴で繋がってるんでしょ?」
美琴「・・・・・・」
番外個体「ミサカもその”愛”ってのに興味あるからさ、あそこに残ればちょっと解るようになるかなーって思って」
美琴「・・・あんたのさ、その”愛”に対するあくなき執念ってどこから来てるわけ?」
番外個体「・・・さあ?解んないや。クローンだから、普通の人間に憧れてるとか、そういう感じじゃない?」
美琴「・・・・・・」
美琴「私は・・・・・・あんたのこと愛してるから」
番外個体「ごめんそういう趣味はないんだ」
美琴「あんたはちゃんと愛されてるから。愛されてるってことは、きっとあんたもその人に愛を向けてるってことだから」
番外個体「・・・・・・」
美琴「だからあせる必要は無いのよ。あんたはちゃんと”愛”を持ってるんだから。この御坂様が保証してやるわ。間違いない」
番外個体「・・・ごめん、お姉さま。やっぱりミサカにはよく解んないや」
美琴「それでもいいわ。何も難しく考えることはないのよ。”愛”は気が付けばそこにある物なんだから」
番外個体「気がつけばそこに、か」
番外個体「そんなもんかねぇ」
―――――同日、同時刻。
浜面「・・・ってそりゃミスチルだろうが!」
一方通行「いきなりなに言ってんだ?オマエ」
浜面「いや、なんか言わなきゃいけない気がした」
一方通行「・・・大丈夫・・・じゃあねェか、元から」
浜面「大丈夫だよ!問題ねえよ!でもさぁ、なんかやんなきゃいけない気がするときあるじゃん!そういうのを逃したくないの!俺は!」
一方通行「ねェよ。そンなン」
浜面「あるよ。俺は唯一、それを逃さなかったことだけを誇りに生きている」
一方通行「・・・・・・」
浜面「・・・てな冗談は置いといてよ、さっさと用件ってのを教えてくれよ。俺これから買い物行かなきゃなんないんだよ」
一方通行「・・・・・・」
浜面「聞いてる?」
一方通行「・・・おォ。あまりの寒さに意識が飛んじまった」
浜面「そこまで!?」
一方通行「自覚してねェのか・・・残念な奴だ」
浜面「うるせぇ!・・・で、なんで俺呼んだの?」
一方通行「暇つぶし」
浜面「はぁ!ふざけんなよ・・・ああ、ひょっとして番外個体ちゃんと喧嘩でもしたか?」
一方通行「あァ?」
浜面(あれ?ひょっとして当たりじゃね?)
一方通行「・・・ンなコトでテメェ引っ張り出すわけねェだろ」
浜面「じゃあ何があったんだよ」
一方通行「・・・・・・」
浜面(だんまりかよ・・・めんどくせー)
浜面「そういやよ、上条のハーレムの話知ってるか?最近全然会ってねーから噂でしかねーんだけどさ、あいつ今二桁の女の子と一緒に暮らしてるらしいぜ」
一方通行「・・・・・・」
浜面「なんでも人が増えすぎて部屋が手狭になってきたから引っ越すんだってよ。その引越し先も、ハーレムの女の家なんだってさ!麦野もなんだかんだアプローチかけられてたらしいけど、結局断ったみたいだぜ」
一方通行「・・・・・・」
浜面「いやーでも羨ましいよなぁ、かわいー女の子をとっかえひっかえだろ?男の夢だよな!」
一方通行「・・・オマエそんなこと言ってると愛想つかされるんじゃねェ?」
浜面「はっはっは、大丈夫俺らラブラブだし」
一方通行「そんなこと言ってる間に、どこぞのハーレムの仲間入りしてたりしてなァ」
浜面「いやいや、ありえねえって」
一方通行「どうだかなァ。なんてったって、稀代のフラグ建築士が相手だからなァ」
浜面「・・・あれ?なにこれすんごいやばい気がしてきた」
一方通行「いつの間にか『ごめんはまづら。もっと好きな人ができちゃった』とか言ってきたり」
浜面「いやだー!そんなのいやだー!」
一方通行「・・・ってなことがあったらどうすンだ?オマエ」
浜面「どうするっつったって、理后がそういうなら諦めるしかねーよ・・・」
一方通行「・・・・・・」
一方通行「・・・だよなァ」
浜面「理后ー!行かないでくれー!」
一方通行「うるせェ。妄想で取り乱すな。つーか叫ぶな」
浜面「あーでも諦め切れねー」
一方通行「あァ?さっき諦めるっつってたじゃねェか」
浜面「うん、やっぱ無理だな。だって好きだし」
一方通行「・・・コロコロ意見変えやがって、このバカ面が」
浜面「ま、実際はその時になんねえと解んねーし」
一方通行「身も蓋もねェな」
浜面「とはいえそんな目にはあいたくねーしな。そうならねー為にも、俺は買い物に行かなければならないって訳だ」
一方通行「・・・前から言おうと思ってたンだが、オマエ完全にヒモだよな」
浜面「ヒモじゃねーよ!社長だって何度も言ったじゃん!」
一方通行「三ヶ月誰も客が来ない何でも屋の店主は社長とは呼べねェよ」
浜面「今は休暇なの!でっかい仕事終わったから余裕あるって何度も言っただろーが!」
一方通行「うるせェ叫ぶなニート」
浜面「いっつも思うけど、家事手伝いってニートに入るのかな」
一方通行「入るんじゃねェか?」
浜面「え、じゃあ俺今ニートじゃん」
一方通行「いや、そんなマジレスいらねェンだけど」
浜面「マジじゃねーよ!ジョークだよ!!解れよ!」
一方通行「無茶言うな・・・」
浜面「つーかよ、それ言ったらお前だってニートじゃねーか!働いてねーし、居候だし」
一方通行「生憎一人暮らしを始めたばっかでな。どこぞのスキルアウト崩れとは身分が違ェ」
浜面「え?お前あの家出たの?」
一方通行「あァ?文句あンのか?」
浜面「キレるポイントおかしいだろ・・・で、何で出たの?」
一方通行「どォでもいいだろ、ンなコトは」
浜面「まーそーだな。でもあれじゃないか、寂しがったんじゃねーか?番外個体ちゃんとか、打ち止めちゃんとか」
一方通行「別にィ、普通だった」
浜面「そんなことねーだろ。平気ぶってても、きっと影で寂しがってたりするぜ?」
一方通行「そんなタマじゃねェよ」
浜面「いーや、間違いないね。俺にはわかる!」
一方通行「・・・・・・」
一方通行「そンなもンかねェ」
―――――同日、夜。
番外個体「そんな訳でですね」
黄泉川「・・・・・・」
芳川「・・・・・・」
打ち止め「・・・・・・」
番外個体「きっと奪うでも与えるでもないものってのがどんなもんなのか知ってみたいわけです」
黄泉川「それミスチルじゃんね」
番外個体「みすちる?何それ、おいしいの?」
佐天「いや、食べるものじゃないですよ」
オルソラ「バター和えは美味しいのでございます」
インデックス「食べてみたいんだよ!」
佐天「話聞いてた?」
初春「有名なポップバンドの名前ですよね」
神裂「・・・訂正してください、彼らはロックバンドです」
初春「ロック(笑)ツェッペリンのセカンド100回聞いて出直せ(笑)」
神裂「この腐れお花畑がっ…!!」
初春「腐ってねーよ」
番外個体「あー・・・話戻していい?」
黒子「ジャッジメントですの!」
番外個体「こいつ一体何なの?」
初春「ジャッジメントです」
番外個体「いや、そーいう話じゃなくて」
佐天「私とタメです」
番外個体「いやそーいう話でもなくて」
黒子「レズです」
番外個体「そんなカミングアウトは聞きたくなかった」
芳川「で、愛がどんなものか知りたい、と」
番外個体「ああ、芳川は話を戻してくれるんだね。助かるよ」
神裂「愛ですか・・・言葉で説明するのは難しいですね」
五和「そうですねぇ・・・強いて言えば、ドキドキ、といいますか」
番外個体「ドキドキ」
オルソラ「愛を感じると胸がぽかぽかするのでございますよ」
番外個体「ぽかぽか」
打ち止め「好きな人に触ったり声を聞いたりすると、キュンってなるんだよ、ってミサカはミサカは自分の経験を話してみたり」
番外個体「胸キュン・・・とりあえず、こんな感じの要素を満たしていれば、それが”愛”ってこと?」
芳川「うん、まあ、そんな感じじゃない?」
番外個体「適当だなー。なんか実感湧かないや」
黄泉川「番外個体はそんなことを感じた記憶は無いじゃん?」
番外個体「うーん、正直記憶に無いねぇ。だから、やっぱ解んない」
オルソラ「それならば、愛を感じてみればいいのでございますよ」
番外個体「身も蓋もねー意見だなー」
芳川「あら、あの子がああいうのにはそれなりに根拠があるのよ?」
番外個体「根拠?」
芳川「ええ。だって私達は、ある人への愛で繋がっているんだから」
番外個体「・・・・・・はい?」
五和「そうですね、きっと彼なら、あなたに愛を与えてくれるはずです」
番外個体「え?」
神裂「すばらしい・・・あなたも私たちの愛の輪の中に加わるのですね」
番外個体「・・・つまりミサカもあんた達のハーレムランドに仲間入りしろ、と」
黄泉川「理解が早くて助かるじゃん」
番外個体「無理だね」
黄泉川「じゃん!?」
番外個体「だってさ、ミサカはカミジョーさんのこと全然好きじゃないからねぇ。まあ、悪い人だとは思わないけど」
芳川「それの何が問題なの?」
番外個体「いや、だって芳川たちはみんなカミジョーさんが好きだからそこに居るんでしょ?ミサカみたいなのがただ仲間入りしたって、あなた達が感じる愛なんて感じられるわけ無いじゃん」
芳川「あら、別に良いじゃない。これから好きになればいいのよ」
番外個体「はあ、まあそれはそうなんですけど・・・どうやって?」
佐天「まずはデートしてみたらどうですか?」
番外個体「でぇと?」
佐天「はい!一緒に一日過ごせば、二人の距離が急接近するかも!きゃっ!」
黒子「チョロいですの!」
番外個体「殴っていいかな」
五和「いやぁ、私に聞かれても」
番外個体「てかなんであのツインテールここにいんの?レズなんでしょ?」
五和「いやぁ、私に聞かれても」
番外個体「喧嘩売ってんのか」
黄泉川「冗談は抜きにしてもいい案だと思うじゃん。まず愛を感じるには、お互いのことを良く知ることが大切じゃん」
番外個体「はあ」
黄泉川「ここに居たらどうせみんなで取り合いになっちゃうし、どこか出かけて二人っきりの時間を作るのは、お互いを知る上でいい手段だと思うじゃん」
番外個体「えー・・・」
芳川「私もそれが一番だと思うわ」
神裂「同感です」
五和「仲間が増えるのは大歓迎です」
佐天「面白そう!」
オルソラ「明日はたらこスパゲッティでありますのよ」
インデックス「わーい、わーい」
打ち止め「わーい、わーい」
初春「みすちるwwwwwwww深海wwww」
黒子「ジャッジメントですの!」
芳川「・・・・・・」
芳川「ほら、みんなもこう言ってることだし」
番外個体「結構ばっさりスルーするんだね」
黄泉川「ま、何事もまずやってみることが肝心じゃん。あいつはすげーいい奴だから、きっと番外個体も好きになるじゃんよ」
番外個体「・・・・・・」
番外個体「・・・そんなもんかねぇ」
―――――翌日。
番外個体「・・・そんな感じでこれからカミジョーさんとでーとすることになったよ」
美琴「・・・なんかこう、秩序の無い世の中にドロップキックかましてやりたい気分になるね」
番外個体「お姉さまも誘ってみたら?なんかあの人、デートならEverybody goesらしいよ」
美琴「オイなんでミスチル被せた」
番外個体「へ?みすちるって何?それおいしいの?」
美琴「・・・ホントに知らない?」
番外個体「うん。食べ物じゃないのは知ってる」
美琴「・・・まあいいや。それで、あんたアイツとデートすれば、”愛”てのが解ると思ってるわけ?」
番外個体「ううん。そんなに簡単じゃ無いでしょ」
美琴「そうね。それにもっといい方法がありそうだし」
番外個体「でも考えすぎで行動に困る、自分の不器用さは嫌いなんだ」
美琴「お前絶対ミスチル知ってるだろ」
番外個体「だから知らないって」
美琴「微妙に改変して使いやがって」
番外個体「何のことだかわからないよお姉さま」
美琴「・・・っていうか、あんたもあのハーレムの仲間入りするつもりなわけ?」
番外個体「今のところは全く無いねぇ。何度も言うけど、ミサカは”愛”ってのに興味があるだけだよ。あそこに居るのは、あの人たちが”愛”ってのを持っているっぽいからで、そいつに興味があるだけだからね」
美琴「・・・・・・」
番外個体「じゃなかったら、あんな肩身の狭い桃色空間とっくに出てってるよ」
美琴「じゃあさ、もし。もしもその”愛”をアイツが与えてくれたら、あそこに居るわけ?」
番外個体「まあ、そんな可能性もあるんじゃない?」
美琴「!!」
美琴(ひょっとして・・・満更でも無い感じ!?)
番外個体「まあ、でも正直その可能性は無いんじゃないかな?同じ家に住んでるから何度か話したけど、それっぽいもの全然感じなかったし」
美琴「そんなの解らないじゃない!」
番外個体「うわっ」
美琴「どうせあんただって、壊れるほどの抱擁とキスで、胸の鐘の音を鳴らしちゃったりするんでしょ!?」
番外個体「何言ってるか解らないけど動揺していることは伝わった」
美琴「・・・でもさ、実際いいわけ?好きでもない奴とデートとかしても」
番外個体「別に」
美琴「もっと大事に考えなさいよ!あーんなことやこーんなことされちゃったりするかもしれないのよ!」
番外個体「まあ、別にいいんじゃない?そりゃ積極的にやりたいかって言われたら微妙だけどさ、一度経験してみないと、それがいいことか悪いことかなんて解りようが無いじゃん」
美琴「そりゃそうだけど・・・」
番外個体「それにさ、別にデートとかキスとか、別に順番とか関係ないじゃん。制限回数があるわけでも無いんだし」
美琴「そ、そうなんだけど・・・えーと、ほら、もうちょっといろんな人と相談してからでもいいんじゃない?」
番外個体「一方通行には話したよ」
美琴「あー・・・えー・・・えー?」
番外個体「あいつも『お前が決めたならそれでいい』って言ってたし、やっぱりこういうのはチャレンジしてみないと駄目かなーって」
美琴「・・・・・・あいつ、そんな事を」
番外個体「うん」
美琴「救いようがねぇ」
番外個体「うん?」
美琴「いや、なんでもないわ・・・どうしてもデートはするって訳ね?」
番外個体「・・・お姉さまはさ、何でミサカをでーとに行かせたくないの?」
美琴「それは・・・その、あんたに後悔して欲しくないから・・・」
番外個体「後悔なんかしないって」
美琴「そりゃあんたにとっては何でもないことかもしれないわよ!?でも、世間一般では好きでもない奴とキスしたりとかするのはおかしいでしょ!」
番外個体「だからさ、ミサカはその世間一般ってのがどんなもんか知りたいんだって。よっぽど大事なモノなんでしょ?それ」
美琴「・・・・・・」
番外個体「そんな大事なものならさ、なんとしてでも手に入れたいなって思うじゃん。その為の手段になるんだったら、別に構わない訳。実際何人もの人とキスしたりデートしたりする奴は居るんだから、それをしたからって”普通の人間”じゃあなくなるなんてことは無いでしょ?」
美琴「・・・・・・」
番外個体「お、もうこんな時間じゃん。待ち合わせに遅れるからミサカもう行くね。ばいばーい」
美琴「・・・・・・」
美琴「・・・・・・」
美琴「・・・・・・」
美琴「・・・・・・」
美琴「そんなもん・・・な訳あるかっ!!」
―――――同日、同時刻。とあるファミレスにて。
浜面「俺・・・思うんだけどよ」
一方通行「あァ?」
浜面「ミスチルじゃなくて、イエモンにすりゃ良かったわ」
一方通行「何の話だよ」
浜面「ミスチルの歌詞とかぶっちゃけ良く知らねーんだよ!イエモンだったら!もっとポンポン歌詞が出てくるのに!!」
一方通行「ぶっちゃけそンなでもねェだろ」
浜面「うん」
一方通行「つーか、お前暇人だな。なンかやることねェのかよ」
浜面「お前が呼び出しといてそれはねーだろ!それに別にいいじゃん暇だって!誰にも迷惑かけてねーし!」
一方通行「・・・お前のためを思って教えてやるよ。家でゴロゴロしてるだけの夫を疎ましく思わない妻が居るわけねェだろ」
浜面「やめろよ!そこはかとなくリアルじゃねーか!」
一方通行「俺はお前のためを思って外に呼び出してやってンだ。ありがたく思え。そして謝罪しろ」
浜面「そんなこと言って・・・あれだろ?ホントは寂しいんだろ」
一方通行「ほざけ。なンで、俺がテメェと会えないことを寂しがらなきゃならねェンだよ」
浜面「ちげーって。一人暮らし始めて、身近に誰も居なくなったのが、だよ」
一方通行「・・・ンな訳ねェだろ」
浜面「いやー、学園都市第一位なんて看板を背負った奴でも人恋しさに泣いてしまうって訳だな」
一方通行「・・・・・・」カチッ
浜面「痛いトコ突かれて逆ギレするくらいなら賢ぶってんなよ。バッカじゃねーの」
一方通行「・・・・・・」
浜面「せめて番外個体ちゃんくらい連れてっちゃえばよかったじゃん。なんなら無理やりでも攫って・・・」
一方通行「すいませン、アンチスキルですか?目の前に未成年誘拐を示唆するアホ顔の金髪がいるンすけど」
浜面「すいません調子乗りましたー!!・・・ん?」
一方通行「?どうした?」
浜面「あ、いや、なんか向こうから凄い勢いで見知った女の子が走って」
美琴「殺すオラっ!!」
一方通行「ごふっ」
浜面「背後からランニング稲妻レッグドロップを放とうとしていた」
一方通行「遅ェよ!!さっさと教えろ!」
浜面「えー・・・だってそんなバイオレンスな展開になるとは思わねーだろ?」
一方通行「俺だって思わねェよ!」
美琴「イナズマッ!!」
浜面「いや、それは放つ前に言うものだぞ」
一方通行「このネタ解る奴いねェだろ・・・」
美琴「んなことはどーでもいいのよ!あんたのせいで!番外個体がアイツとデートする羽目になっちゃったじゃない!どう責任取ってくれるのよ!」
浜面「は?デート?いや、そもそもあいつって誰?」
一方通行「・・・なんでオレのせいなンだ?そりゃあいつが自分で決めたことだろォが。オレはああしろこうしろと指図した覚えなンてねェ!」
美琴「はぁ!?あんたホントにそれでいいわけ!?あの子が好きでもねー男とキスしたりしてもいいの!?ていうかそういうの軽々しくするもんじゃないでしょ!ちゃんとそこらへん教えときなさいよ!」
一方通行「・・・あいつだってガキじゃねェンだ。自分で判断して、決めたンなら仕方ねェだろ」
浜面「あ、そのフレーズ聞き覚えあるぜ!打ち止めちゃんにも同じようなこと言っただろ?」
一方通行「うるせェ、お前は黙って・・・・・・」
美琴「・・・?」
一方通行「・・・おい、なンでオマエがそれを知ってる?」
浜面「え?ほら、三日前に打ち止めちゃんが、カミジョーのハーレムに加わったって嘘ついたろ?あの後滝壺に愚痴ってたんだよ」
一方通行「・・・・・・」
浜面「なんか前から相談に乗ってたみたいでさ。俺らはお前相手じゃ効き目ねーんじゃねーのって予想してたけど、なんかあたっちまったみたいだな。あっはっはっは・・・」
一方通行「・・・アレ嘘だったのかよ」
浜面「え?まだネタばらししてなかったの?」
美琴「つーかそれくらい気づきなさいよ」
一方通行「ンなの気づく訳ねェだろ」
浜面「・・・え?じゃあ、あれは本気で言ってたのか?『好きにすれば?』、って奴」
一方通行「・・・・・・」
浜面「そうなのか・・・てっきり冗談だと受け取ったから、あんなつれない反応したと思ってたぜ」
一方通行「・・・・・・」
浜面「・・・なんつーか、あれだな、お前妙に大人なんだな」
一方通行「あァ?当たり前だろ。バカ面とは違ェンだよ」
浜面「そうだな。ちょっと俺とは違いすぎて、やっぱお前とは合わねーわ」
一方通行「はァ?何言ってンだ?」
浜面「御坂、行こうぜ」
美琴「え、ちょ、ちょっと、まだ話は・・・」
浜面「何言ったって無駄だって。それに・・・」
一方通行「・・・・・・」
浜面「俺はもうお前と話してたくねーし」
一方通行「・・・はァ?」
浜面「おっと、これは俺が決めたことだぜ?自分で決めたことだったら尊重してくれるんだろ?お前の願望を捩じ込んだりはしねーんだろ?」
一方通行「・・・・・・」
浜面「・・・じゃあな、一方通行。もう呼び出すなよ。いこーぜ、御坂」
美琴「え、ちょ、ちょっと・・・」
浜面「いいからいいから」
一方通行「・・・・・・」
一方通行「・・・・・・」
一方通行「・・・・・・」
一方通行「・・・クソっ。何だってンだ。俺は間違っちゃいねェ」
―――『うーん、よく解んないなぁ・・・それって何?”愛”って奴なの?』
一方通行「あいつらは一人の人間だ。ちゃんとした個を持ってンだ。それを俺が犯していいはずがねェ」
―――『それってさ、”正しい”の?』
一方通行「・・・・・・」
一方通行「・・・・・・クソが」
―――『うーん・・・そうだ、一方通行はどうして欲しいわけ?』
一方通行「クソ、クソ、クソっ」
―――『はぁ!?あんたホントにそれでいいわけ!?あの子が好きでもねー男とキスしたりしてもいいの!?』
一方通行「・・・・・・」
一方通行「・・・・・・良い訳ねェだろっ!!!!!!!!」
―――――同日、とある路上にて。
美琴「ちょ、ちょっと、そろそろ手を離してよ」
浜面「・・・・・・」
美琴「・・・浜面さん?」
浜面「・・・どうしよう」
美琴「はい?」
浜面「やべぇ!絶対殺される!どうしよう!!」
美琴「え?え?」
浜面「ああああああああ!!!なんかカッとなっちまったんだよ!しゃーねーじゃん!どうしてもいいたくなっちゃったんだって!!だってなんかムカついたんだもん!」
美琴「ちょ、ちょ、落ち着け」
浜面「やべぇよ・・・絶対ガチ切れしてたよ、一方通行の奴・・・絶対次あったら殺されるわ・・・」
美琴「・・・いや、たぶん大丈夫だと思うけど」
浜面「・・・・・・いっそ」チラッ
美琴「オイこっち見んな」
浜面「超電磁砲って即死できるのかな?」
美琴「物騒なこと言ってんじゃねーよ」
浜面「御坂、滝壺に伝えてくれ。俺はお前を世界で一番愛していたと」
美琴「知るか!・・・ってねェ!あれ見て!」
浜面「そうだ、せっかくだから500円玉使ってくれ。豪勢に死にたい」
美琴「知らないわよ!ってか安!あんたの豪勢安っ!」
浜面「だってお前札だったら燃えちゃうじゃねーか。バカだなー」
美琴「ほんとに当てるぞ超電磁砲」
浜面「御坂!俺は一体何を見ればいいんだ!?」
美琴「・・・・・・」
浜面「あれ・・・か・・・?」
美琴「え?」
10039号「パパ、ミサカあれがほし~い、ってミサカはパパにおねだりしてみたりしてぇ~」
冥土帰し「はっはっは、全く仕方の無い子だな。いいよ、買ってあげよう」
10039号「やったぁ~、ミサカ、パパのことマジ大好き~みたいな~、ってミサカはちょろいなって思ったり~」
冥土帰し「はっはっは、その代わり今日も帰ったらナースプレイだぞ?」
10039号「いや~ん、もうパパったらスッケベ~、ってミサカは爺を嘲り笑ってみたり~」
美琴「・・・・・・」
浜面「・・・・・・」
美琴「・・・・・・」
浜面「・・・・・・」
美琴「・・・なんちゅうもんを・・・なんちゅうもんを見つけてくれたんや・・・」ポロポロ
浜面「・・・なんつーか・・・すまん・・・」
美琴「見てはいけないものを見てしまった感が半端無い」
浜面「見なかったことにしよう」
美琴「そうしよう・・・」
浜面「・・・・・・」
美琴「・・・・・・あ、浜面さん!あれ見て!!」
浜面「え?・・・あ、あれは・・・!!」
上条「・・・本当にいいのか?」
番外個体「うん、まあ、別に問題ないんじゃない?」
美琴「デート中、みたいね・・・」
浜面「・・・本当だったのか」
美琴「嘘であんな騒ぐわけないでしょ!」
浜面「いや、あの子も一方通行の気を引きたいだけかと思ったんだ・・・でも違うんだな。本当にデートしてるのか・・・」
美琴「・・・たぶん、それ合ってるのよ」
浜面「はぁ?気を引きたいがために嘘をついて、で気をひけなかったら好きでもない奴とデートすんのか?それじゃあただのやけくそじゃねーか」
美琴「違うわよ。合ってるのは、『気をひきたい』ってとこだけ。あの子は何も嘘なんかついてないわ」
浜面「・・・意味解んねー」
美琴「浜面さんとか私が考えているよりも・・・たぶんずっと真摯で純粋なのよ。きっと」
浜面「ふーん・・・って、おい、なんか雰囲気やばくねーか?」
美琴「え?」
上条「・・・行くぞ」
番外個体「うん、いいよ」
浜面「・・・おい、あれラブホじゃねーか?」
美琴「嘘でしょ!?追いかけるわよ!」
浜面「ええ?俺も!?・・・解ったよ」
絹旗「あれ?誰かと思ったら超浜面じゃないですか?何やってるんですかこんなところで」
浜面「き、絹旗!?何故こんな場所に!?」
美琴「ほら、浜面さん、早く行かないと番外個体が・・・」
絹旗「・・・・・・」
浜面「・・・・・・」
美琴「・・・・・・」
絹旗「・・・ほう、真昼間から女性とラブホテルですか。超お楽しみのようで」
浜面「絹旗さん!それ誤解だから!本当に全く持って誤解だから!!」
絹旗「安心してください。滝壺さんにはちゃんと話しておきますから。確実に、超詳細に」
浜面「やめてぇぇえええええええええ!!!」
美琴「ちょ、違うわよ!なんで私がこんな奴とラブホなんか行かなきゃなんないのよ!」
絹旗「そうですか・・・私の目にはあなたが浜面を超誘っていたように見えましたが・・・」
美琴「くっ・・・それは、その、のっぴきならない事情が・・・」
浜面「御坂の妹が変な奴に騙されてラブホに連れ込まれちまったから助けに行くんだよ」
絹旗「ほう・・・あのラブホに入っていった御坂さんのそっくりさんは妹だったんですか・・・その割には、御坂さんより成長していたように見えましたが」
浜面「なあ、お前本当は全部見てただろ」
美琴「真昼間からラブホを見つめる女とかマジ引くわ」
絹旗「妹のほうが超胸が大きいんですね、御坂さん(笑)」
美琴「てめぇえええええええええええ!!!」
浜面「おい落ち着け貧乳」
美琴「ぶっ殺すぞ」
絹旗「超貧乳というな。慎み深いといえ」
浜面「いや、超貧乳とか言った覚えがねぇよ・・・ん?おい!あれ・・・」
美琴「遺伝子のせいだと信じてたのに・・・あんなの酷いよ・・・」シクシク
絹旗「気持ちは解ります・・・」
浜面「おいなに慰めあってんだ貧乳同盟」
絹旗「浜面後で超ぶっとばす・・・うん?」
美琴「どうしたの?」
絹旗「・・・いや、なんだか、ラブホに一人で入っていく人が見えたもので」
美琴「・・・・・・」
浜面「・・・・・・」
絹旗「白い人でしたね。一方通行みたいな」
美琴&浜面『はぁ?』
―――――同時刻。ラブホ内のとある部屋で。
一方通行「よォ」
番外個体「・・・・・・」
一方通行「・・・楽しそうなコトしてンじゃねェか。もうヤったのかァ?」
番外個体「・・・・・・」
番外個体「・・・一方通行?」
一方通行「お前なンでバスローブなンか着てンだ?」
番外個体「え?カミジョーさんがここに来たらこれに着替えるのがマナーだって言ってたから…変だった?」
一方通行「いや、別にそういう訳じゃねェが…うン、まあいいや」
番外個体「・・・で、何しに来たの?因みにまだ何もしてないよ」
一方通行「……」
番外個体「…?」
一方通行「・・・・・・シンプルな話なンだ」
一方通行「俺も・・・」
――――『あるよ。俺は唯一、それを逃さなかったことだけを誇りに生きている』
一方通行「誇りって奴を、見てみたくなった」
番外個体「はぁ?」
一方通行「悪ィな番外個体」
一方通行「”攫う”ぞ」
上条(イヤー最近ついてるなー)
上条(俺って実はモテる奴だったんだなー。今日もハッスルしちゃうぞ!)
上条「お待たせー。出たぞー」
しーん。。。。。
上条「・・・・・・」
上条「あれ?誰もいない…」
上条「…????」
―――――10分後、一方通行の家にて。
一方通行「着いたぞ」
番外個体「・・・ここで暮らしてんの?」
一方通行「あァ」
番外個体「ふーん・・・思ったより手狭だ。一人暮らしの大学生みたい」
一方通行「狭ェ方が落ち着く」
番外個体「ぶひゃひゃ。なんだそれ、貧乏くせー」
一方通行「貧乏くせェ奴らと、貧乏くせェ所で暮らしてたからな」
番外個体「ふーん、まあ、確かにミサカはそうかも。少なくても高級品じゃあ無いね。なんてったって、欠陥品だ。普通の人間が普通に持ってるものとやらが、一切合財わかりゃしない」
一方通行「・・・・・・」
番外個体「でも、ミサカなりにそれを埋めようとしてるのは解って欲しいな。出来損ないに纏わりつかれてムカつくのは解るけどさ、人の努力って奴を邪魔するのは止めて欲しいんだけど」
一方通行「努力、ねェ。自分の欲しいもののために、男に股開くのが、努力ねェ」
番外個体「うーん、お姉さまにも言われたんだけどさ、それってそんな悪いことなの?なんかピンと来ないんだよね」
一方通行「・・・・・・」
番外個体「だってさ、自分の欲しいもののために何かを犠牲にするって普通じゃん。見ず知らずの人に触られるのが好きって訳じゃないけど、仕方ないんじゃないの?」
一方通行「・・・・・・」
番外個体「黄泉川とか、芳川とかも、セックスは愛を得る手段の一つだって言ってたし、ヤってそれが解るんなら、それもいいかなと思うんだけど」
一方通行「イヤなンだよ」
番外個体「へ?」
一方通行「俺がイヤなんだ。だからやるな」
番外個体「………」
一方通行「……」
番外個体「…はい?え?ちょっとよく意味が解んないんだけど」
一方通行「……だからだな、俺は、お前が、そこらへんの三下とイチャイチャするのが、酷く気に入らねェ」
番外個体「だから止めろと」
一方通行「あァ」
番外個体「え?ミサカ個人の意思って奴はどうなるわけ?」
一方通行「知らねェ。とにかくだな、あー、えーと…」
番外個体「……」
一方通行「なンつーか、ほかの奴なんかじゃなく、俺を見てて欲しいっつーか…」
番外個体「……はぁ?」
一方通行「…今のは忘れろ」
番外個体「……どういう意味?」
一方通行「すまン。俺もよく分からねェ」
番外個体「意味解んねーし…ん?」
一方通行「どした?」
番外個体「いや、今の台詞、どっかで聞いた覚えがあるような…」
番外個体(いつだったっけな…あ、そうだ、この前お姉さまと話した時だ)
『・・・・・・わ、わたしだけを見て欲しかった、っていうか・・・』
番外個体(おお、これだこれだ……ん?)
『で、それがお姉さまの”恋”だったと』
『うう・・・まあ、そうだけど・・・』
番外個体(……)
番外個体「……」
番外個体「ええええええええええええええええええ!!!!」
一方通行「うおっ、なンだよ」
番外個体「あ、あん、あん、なに、な、な、な…」
一方通行「え?何マジ何?」
番外個体(ま、ま、まさか…)
番外個体(一方通行はミサカに”恋”してるってこと!?)
番外個体(……ってことは、一方通行はミサカが好きってことなんだ!)
番外個体(こんな欠陥品で、愛も普通もわからないようなミサカが好きなんだ)
番外個体(だから、自分以外見て欲しくないんだ。それくらい、ミサカを求めてるっていうことなんだ…)ドキ・・・
番外個体「・・・・・・」ドキドキ
一方通行「…おい、何さっきから黙ってんだァ?」
番外個体(どうしよう、それって…)ドキドキドキ
番外個体(すっごい嬉しいかもしんない…)ドキドキドキドキ
番外個体「・・・・・・!」ドキドキ
一方通行「・・・どした?」
番外個体「な、なんでもないよばーか!ばーかばーか!!」ドキドキ
一方通行「え?なんでこんなに馬鹿にされなきゃなんないの?ちょっと傷つくんだけど」
番外個体「……!!」キュン!!
一方通行「…スルーかよ」
番外個体「…だ、だいたいさぁ!?何でアンタの言うとおりにしなきゃなんないのさ!」アセアセ
一方通行「いや、まあ確かにそうなンだが・・・」
番外個体「・・・・・・」ドキドキ
番外個体(やばいやばいやばい顔熱いマジ熱い…ぽかぽかってレベルじゃねぇ!!)ドキドキ
一方通行「…スマンちょっと錯乱してたな。やっぱ。忘れろ」
番外個体「嫌だっ!!」ドキドキ
一方通行「はい?」
番外個体「え?いや、その、あれだ!あの、えーと、あ、そうだ!これから散々馬鹿にしてやるんだから、忘れて何かやるもんか!」ドキドキ
一方通行「いや、『そうだ!』って言われても」
番外個体「うるさいばーかばーかばかばかばか!」
一方通行「お前そんなボキャブラリー無かったか?」
番外個体「うっ……」
番外個体(まずい、このままじゃどんどんボロが出る…話題変えなきゃ…)
番外個体「話題…話題…」
一方通行「…何ブツブツ言ってンだァ?」
番外個体「そういえばさ・・・」
一方通行「うン?」
番外個体「ずっとバスローブっつーのもアレだから着替えたいんだけど、なんかない?」
一方通行「・・・(そういえば着替えのことすっかり忘れてたわ)」
―――――同日、夜。
美琴「・・・・・・」
美琴(あの子大丈夫だったのかしら・・・結局あの後どうなったかよく解んなかったのよね)
コンコン。
美琴(・・・ノック?黒子は・・・)
黒子「お姉さま・・・むにゃむにゃ・・・」
美琴「寝てるわね」
黒子「うふふ・・・可愛がってあげますわぁ・・・」
美琴「・・・・・・」
コンコンコン。
美琴(こんな真夜中に訪問者・・・っておかしいだろ)
美琴(・・・・・・)
美琴(まあいいか)
美琴「はーい」ガチャ
一方通行「よォ」
美琴「なんでさも普通のように来てんだよ。ここ女子寮なんだけど」
一方通行「すぐ出る。とりあえずこいつを預かってくれ」
美琴「はぁ?こいつって・・・」
番外個体「」スヤスヤ
美琴「・・・・・・」
一方通行「じゃ、預けたから。それじゃ!」
美琴「おい、ちょっと待て」
一方通行「何だよ。オマエがすぐ出てけって言ったンじゃねェか」
美琴「いや言ってねーし。それよりまず説明しろ」
一方通行「あァ?番外個体を連れてきました。預かってください。以上」
美琴「簡単すぎだろ」
一方通行「別にいいだろ」
美琴「あんた一人暮らしなんでしょ?自分ち泊めればいいじゃない」
一方通行「・・・・・・」
美琴「・・・・・・」
一方通行「・・・今日のあの雰囲気で一緒に居たらヤバイ」
美琴「はぁ?」
一方通行「耐え切れない気がした。だからここに持ってきた」
美琴「うわぁ」
一方通行「つー訳だ、置いてくぞ」
美琴「ヘタレ」
一方通行「何とでも言え。まだ早ェ」
美琴「はいはい。解ったわ。預かってやるからさっさと帰りなさい」
一方通行「悪ィな」
美琴「…一方通行」
一方通行「なンだよ、まだ何かあンのか?」
美琴「気をつけて帰りなさい。誰にも見つからないように」
一方通行「???」
―――――二分後。
一方通行「・・・・・・」
一方通行「・・・オイ、こりゃ何の真似だァ?」
寮監「何の真似だ、とはこちらの台詞だよ。ここは女子寮だ。勝手に入るのであれば、それなりの対処をしなければならない」
一方通行「そりゃ悪かったな。もう帰るから許してくれ」
寮監「そういう訳にもいかんのだよ。。。何せ、私は”これを楽しみに”しているのだからね」
一方通行「・・・あァ?」
寮監「学園都市、第一位、一方通行」
一方通行「・・・・・・」
寮監「ああ、なんて甘い響きだ。きっと強いのだろう。最強なのだろう。この学園都市という、下らない檻に囲い込まれたガキンチョの中で、並ぶものの居ない存在として己が春を甘受しているのだろう」
一方通行「回りくでェババアだな。行き送れて頭が狂ったか?」
寮監「素晴らしい・・・その長く細く、身の程を知らず伸びた鼻っ柱を叩き折るのはどれほどの愉悦であろう・・・少し前にも、とある女子を叩き潰してやったよ」
一方通行「ハッ、そこらへんのケツの青いガキ蹴飛ばして自慢話たァ、随分とスケールの小せェこった」
寮監「徹底的に叩き潰してやった。追い回し、引きずり回し、嬲り回して、請わせた。これ以上規則を破るのであれば・・・貴様のケツマンコにベレッタを突っ込んでやるぞ、と言ってやった」
一方通行「チープな銃を使ってやがる」
寮監「それが良いのだよ。中国の能無し共が金のためだけに量産した粗悪な鉄くずで、”レベル5を追い詰めるのがたまらない”」
一方通行「・・・・・・」
一方通行「…オイ、今なンて言った?」
寮監「ふふ、怖気づいたのかね。あの時は、そうだ、君の言う”ケツの青いレベル5の少女”が、あまりにも惨めに懇願するものだから、興が削がれてね。本意では無かったが、解放してやったよ・・・さて、少々話が長くなりすぎた」
寮監「・・・死刑を、執行しよう」コォォォォォォォ
一方通行「!!!」
一方通行(な、なンだこのオーラは・・・ヤバイ・・・)
寮監「逃がさんよ・・・…君は”最強”だからな、件の少女とは違い、それなりの装備を持って相手をしよう。感謝したまえ」
一方通行「・・・S&W M500とフェイファー・ツェリザカの二丁拳銃!?頭狂ってンじゃねェか!?」
寮監「くく・・・聞いたことくらいはあるんじゃないか?”二挺拳銃の殺し屋”の話・・・」
一方通行「・・・まさか!」
寮監「くくく、この街は素晴らしい。どこぞの何でも屋のフケ顔の金髪男に、第二学区の寂れたタバコ屋で、セブンスターを三カートン買ってきてもらえば、こんなモノも手に入る・・・」
―――『今は休暇なの!でっかい仕事終わったから余裕あるって何度も言っただろーが!』
一方通行「・・・あの野郎・・・仕事選べってンだ・・・」
寮監「彼を責めるのはお門違いだよ。なんと言っても、彼はこのことを知らないのだからね。勿論金払いの良さには、多少の不安を抱いたようだが」
一方通行「クソが・・・」
寮監「君は私の領地を侵した・・・故に、その咎の責を問わねばならない。なぁに、たいしたことは無い。貴様のケツに銃口を突っ込んで、引き金を引かせてくれればいい。それだけで君は解放される。簡単だろ?」
一方通行「・・・お断りだ」
寮監「そういきり立つな。ならば無理やりやるだけだ。どちらにしろ、結末は変わらない・・・」
寮監「私を楽しませてくれよ?第一位」ニタァ
一方通行「・・・・!!!・・(来るっ!!!)」
―――――翌日。
浜面「・・・・・・」
一方通行「・・・・・・」
浜面「・・・・・・」
一方通行「ケツに・・・」
浜面「・・・・・・」
一方通行「ケツにM500が・・・」
浜面「ねぇ、さっきから何の話してんの!?」
一方通行「入ってねェぞ!ギリギリ逃げ切った!」
浜面「何がドコ入るんだよ」
一方通行「ケツの穴に50口径のマグナムが、だ」
浜面「恐ろしすぎるだろ」
一方通行「くそっ・・・なんなんだあいつ。フェイファー・ツェリザカ片手でぶん回す奴なンか聞いたことねェぞ・・・」
浜面「第一位でも苦戦すンのかよ」
一方通行「苦戦どころか逃亡がやっとだった」
浜面「何それ怖い」
一方通行「人生で一番死に近づいたひと時だったな」
浜面「オマエ一体誰と戦ってきたんだよ」
一方通行「それは・・・」
番外個体「あ、ヘタレの一方通行さんじゃーん。こんなトコで何してんの?」
一方通行「・・・・・・」
浜面「あ、番外個体ちゃんじゃん。ちっす」
番外個体「あ、浜面さんじゃん。お姉さまと一緒にラブホ入ろうとしたんだって?」
浜面「誤解だから!それマジで誤解だから!!」
一方通行「オマエ・・・いつかやると思ってたよ」
浜面「だから誤解だっつってんだろ!人の話を聞けお前ら!!」
美琴「そうよ!なんで私がこんなフケ顔と一緒にラブホ行かなきゃなんないのよ!言われた方の気持ちを考えなさいよ!!」
一方通行「いや、お前も考えろよ」
浜面「俺の心はものすんごい勢いで砕かれたよ。粉々だよ」
一方通行「つーか、オマエ居たんだな」
美琴「ずっと居たわ」
一方通行「影も胸も薄いな」
美琴「おい誰かハンマー持って来い。こいつの頭かち割る」
浜面「そういや話は戻るけどさ、ヘタレって何?」
一方通行「!!」
番外個体「なんでも同じ家に二人っきりで泊まっていながら全然手を出さずにあまつさえ片方を寝ている間にお姉さまのところに運んじゃう人をへたれって言うってお姉さまが言ってた」
浜面「・・・・・・」
一方通行「・・・なンだよ」
浜面「いや、別に」
美琴「実際ヘタレだと思うわ」
一方通行「それはオマエが言っちゃうとこの一連の流れなンだったのって感じになっちゃうよね、たぶん」
番外個体「あ、ヘタレ、ミサカのドリンクバー取ってきて。コーヒー」
一方通行「あァ?なンで俺が・・・」
番外個体「あーあ、言っちゃおうかな。魔法の言葉があるんだけどな。なんか昨日言ってたな、俺はオマエに・・・とかなんとか」
一方通行「くそがァっ!」
美琴「あ、私オレンジジュース」
浜面「俺コーラ」
一方通行「オマエら便乗してンじゃねェぞ!!」
番外個体「はやくドリンク飲みたいなー」
一方通行「後で覚えてろよ!」
美琴「・・・すごいわね、確かに魔法の言葉だ」
浜面「全くだな。まさかあいつが俺のジュースを取りに行くなんてことがありえるとは」
番外個体「そだね、なんか面白いし、しばらくはこれで散々弄ってやろう」
美琴「詳しくはなんて言われたわけ?」
番外個体「…それは内緒」
美琴「・・・番外個体」
番外個体「ん?にゃに?」
美琴「また昨日みたいなこと、するつもりはあるの?」
番外個体「昨日みたいなことって・・・ああ、カミジョーさんとのデート?ないない」
浜面「やけにあっさりとしてんな」
番外個体「んー、やっぱあんま楽しくなかったしね。ラブホまで言ったのも、デート自体に思ったより収穫が無かったからなわけだし、そこまで行けば”愛”ってのが解るかなーって思ったんだよ」
美琴「もうデートする気が無いってことは、自分なりに解ったの?その、”愛”って奴」
番外個体「いんや、全然」
浜面「え?駄目じゃん。いや、駄目じゃないけど」
番外個体「どっちだよ」
美琴「じゃあ、何で?」
番外個体「んー、まあ、一方通行がやって欲しくなさそうだったからねぇ。あんなんでも、ミサカよりいろんなこと知ってるし、たぶんミサカのことを一番良く知ってる人だからね。あの人が言うんなら、まあやんないほうがいいんだろうなって思ったんだよ」
浜面「へー、信頼してんだな」
番外個体「まあ、ほどほどにね。あともう一つ理由があってさ」
美琴「もう一つ?」
番外個体「うん。まあ自分でもよく解んない感情なんだけどさ、なんか・・・」
番外個体「一方通行以外とは、そういうのしたくないなぁ、って思ったんだよね」
美琴「・・・・・・」
浜面「・・・・・・」
美琴「・・・ええ!?」
浜面「・・・はぁ!?」
番外個体「ま、そんな訳で、ああいう手段で”愛”ってのを理解しようとするのはとりあえず中止にしようかと思った訳。どっちかというと、”愛”どうこうよりこっちの感情を理解したいってのが先に着てる感じかな。だから、とりあえず一方通行を基準にして生活してみようかな、って思ったわけ」
浜面「え?これ実はすげぇ爆弾発言なんじゃねぇの?」
美琴「なんか事態が悪化している気がしないでもない」
一方通行「オイ、持ってきたぞオラ」
浜面「・・・・・・」
美琴「・・・・・・」
一方通行「な、なンだよ」
浜面「オマエ・・・どこから聞いてた?」
一方通行「?どこからって・・・全然聞いてるわけねェだろ。俺ドリンクバー行ってたし」
浜面「だよな!あっはっは、ならいいんだ、うん」
一方通行「・・・オイ、テメェら一体何の話していやがった」
浜面「え?いやー、えーと・・・御坂、ほら、教えてやれよ」
美琴「え?あ、あたし!?えーと・・・えーと・・・」
一方通行「・・・・・・」
番外個体「・・・・・・」
浜面「・・・・・・」
美琴「・・・あ、愛について」
一方通行「・・・前からヤバイとは思ってたが、ついにオマエも頭の中が花畑に・・・」
浜面「惜しい人を亡くしたな」
美琴「ちょ!違うわよ!番外個体はずっと”愛”ってのを知りたかった訳でしょ!?だから、二人で教えてあげてたのよ!ね?浜面さん!」
浜面「え?お、おう、そうだ!そうだぜ!?」
一方通行「・・・・・・」
番外個体「・・・何?」
一方通行「・・・なァ、オマエら、本当に”愛”について話してたのか?」
番外個体「愛、ねぇ・・・・・・」
一方通行「・・・・・・」
番外個体「まあ、正直なところ、ミサカにもよくわかんない」
一方通行「はァ?」
番外個体「うん、でも、ひょっとしたら……」
番外個体「そんなもんかもねぇ」ニコッ
(終わり)
正直無理矢理過ぎないか?打ち切り作品みたいだよ。
一方通行からも番外個体からもいつそれらしい感情がにおわされたのかわからないんだけど…
番外通行は大好物な筈なのに…悶える結末のはずなのに、全然こなかった。
>>178
これ位が丁度いい。元々悪意の塊で出来てんだから、イチャラブとかじゃなくてプラトニックな関係になるだろうし
番外個体はあの時はじめて自覚したんだろうから、それまでに書いていないのは割と大丈夫だと思う。
一方通行は自分を抑えて器の大きい意見をあえて言おうとしてる描写入れたつもりだったけど、そこらへんが伝えられなかったのは申し訳ない。
Entry ⇒ 2011.12.25 | Category ⇒ 禁書目録SS | Comments (0) | Trackbacks (0)
まどか「寺生まれのTさん」
http://engawa.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1324723158/
とりあえず昨日投下した分から
突然、私の頭に「助けて…助けて…」という声が聞こえてきました。
私とSはその声に釣られてCDショップの裏の方に行きました。
いつの間にか、私達は見たことのない気味の悪い空間にいました。
そして、気付いたら気味の悪い怪物に囲まれていました。
もう駄目だ、そう思った瞬間、
「危なかったな、もう大丈夫だ」
声とともに、気味の悪い生物が蹴散らされました。
「さて、久々に力を使うなあ…腕がなまってねえといいがな」
「破ァ!」
その瞬間、白い爆発が何度も起こり、たちまち怪物はいなくなりました。
Tさんは生まれつき霊感が強く、今までも何度も悪霊を祓ってきたそうです。
やっぱり寺生まれってすごい、私はそう思いました。
T「誰だ?…って、巴じゃないか。ここは危ないぞ?」
マミ「それはこっちの台詞なんだけど…。あなたたち、今妙なやつらに襲われなかった?」
T「ああ、襲われた。奴らのことを何か知ってるのか?」
マミ「襲われたって…。よく無事だったわね」
T「まあ、あんなのは慣れっこだからな」
マミ「私は巴マミ。あなたたちと同じ、見滝原中の3年よ」
マミ「そして、魔法少女と呼ばれる存在よ。あなたたちもキュゥべえに選ばれたなら、話しておくべきね」
???(くっ…またまどかと巴マミの接触を許してしまった…。それにあの謎の男は一体…?)
マミ「私達は、なんでも1つ願いをかなえる代わりに、その魔女やその使い間達を倒しているのよ」
さやか「すごい!なんでも願いがかなうなんて!億万長者とか、不老不死とか!?」
マミ「ええ。そして、これが私のソウルジェム」
T(…!?これはっ…まさしく、人間の…)
マミ「?どうしたのT君?」
T「…いや、なんでもない」
T(このキュゥべえと名乗る謎の生き物…いったい何者なんだ?)
さやか「魔法少女体験コース?」
マミ「そうよ。実際になる前に何度か私の戦いを見てみない?」
T「おいおい…あんなのに一般人を巻き込むのは危ないんじゃないか?」
マミ「私が守るから大丈夫よ。…まあ、本人たちが嫌って言うなら、もちろん取りやめるけど」
さやか「私は行きますっ!まどかは?」
まどか「うーん、じゃあ、私も行こうかな…」
???「待ちなさい」
T「ん?誰だい君。こんな時間に出歩くのは危ないよ?」
???「私は暁美ほむら。見滝原中学2年生よ」
ほむら「そして、これが私のソウルジェム」
T「ふーん。君も魔法少女とやらなのか」
T「で、何の用だい?悪霊に悩まされてるなら聞いてやるぜ?」
ほむら「使い間と戦える人間なんて、普通じゃないわ」
T「俺はT。いたって、普通の人間なんだが…」
T「だいたい、何者だなんて聞きたいのはこっちだぜ」
T「例えば、ソウルジェムの正体とか」
ほむら(…!?)
T(彼女は知ってるみたいだな)
ほむら「あなた…どうして…」
T「職業柄、こういうのには敏感なんだよ」
ほむら「巴マミには、絶対にこのことは言わないで」
T「分かってるよ。あのキュゥべえってやつは多くを語らないようだな」
T「別にこれ以上関わる気はないんだが…。巴も自信満々に私が守るなんて言ってたし」
ほむら「…そう。ならいいわ」
SGを使って魔女の反応を探っていくと、とある廃ビルにたどりつきました。
その時です。
なんと、ビルの屋上から飛び降りようとしている人がいたんです。
「マミさん、あれ!」
「っ!?まずいっ!」
そして、遂にその人は飛び降りてしまいました。
「危ないっ!」
Tさんはお札でクッションを作ると、その人を優しくキャッチしました。
「大丈夫ですか?」
「…!?私は、なんであんなことを…!?」
「…あなたは、悪い夢を見てただけです。すぐ忘れてください」
「この辺は昔から自殺の名所だ。できるだけ近づかないようにしてください」
やっぱり寺生まれってすごい。私はそう思いました。
T「別に。ただ、この辺から危ないにおいがしたんでね」
マミ「ここには、おそらく前の使い間達の本体がいるわ。危ないから離れて」
T「2人守れるなら3人守れるだろう?それに、俺なら襲われてもある程度は大丈夫だ」
T「俺もその魔女とやらには興味がある」
マミ「そう…。じゃあ、あなたも私に付いてきて。」
「うわっ、グロ…」
「これ以上は危ないわ。この結界の中にいてね」
そういうと、Mさんは魔女と戦いを始めました。
最初は一方的かと思いましたが、なんと、Mさんが魔女の触手に捕まってしまいました!!
(これはマズいか…!?)
「マミさんっ!!」
「ふふっ…大丈夫」
そして、Mさんはリボンを使って魔女の触手から抜け出したのです。
「おしかったわね。でもこれで形勢逆転よ」
「ティロ・フィナーレ!!」
巨大な銃で、魔女を吹き飛ばしてしまいました。
人助けの為に頑張るMさんは、とっても素敵でした。
魔法少女ってすごい、私はそう思いました。
私もあんなふうに人の役に立てるなら、それはとっても嬉しいなって、思ってしまうのでした。
マミ「ほら、私のソウルジェム、昨日よりちょっと汚れてるでしょ?でも、これを当てると…」
さやか「わあっ!綺麗になった」
T(GS…か…。なんともSGに似た造りだ)
T(おいおい。キュゥべえってやつはそうとうのド外道のようだな)
マミ「まだ1回ぐらいなら使えるわよ?あなたもこれが目当てだったんでしょ?」
さやか「えっ?転校生…。その格好、アンタも魔法少女だったの!?」
マミ「…」
ほむら「T。あなたはこれ以上まどかに関わらないでと言ったはずよ」
T「おいおい、俺は魔女の反応を追っていたらたまたま彼女らに会っただけだ」
ほむら「もう魔法少女と関わるのもやめて。あなたが関わっても、損するだけよ」
T「別に損得で動いてるわけじゃないよ。ただ興味があるから関わってるだけだ」
ほむら「…次はないわよ」
ほむら「もう無関係の一般人を巻き込むのはやめて。魔法少女体験コースなんてやめなさい」
マミ「あら、彼女たちはキュゥべえに選ばれたのよ?もう無関係じゃないわ」
ほむら「…でも、危険なのには変わりないわ」
マミ「ライバルが増えるのが怖いのかしら?」
ほむら「そうじゃない。私はただ、彼女たちを不幸にさせたくないだけ」
ほむら「魔法少女なんて、進んでなるものじゃない。それは、あなたも分かっているはずよ」
さやか「なーんか感じ悪い奴」
マミ「GSには限りがあるわ。だから、魔法少女同士で争いになることは少なくないの。」
マミ「あの子は、魔法少女が増えることを随分警戒していたようね」
T(…なるほど。暁美の本当の目的はGSなんかじゃない。ただ…)
T(これ以上哀れな犠牲者を増やしたくないだけなんだな)
さやか「こんなところで孵化したら…!まどかっ!マミさんを呼んできて!」
まどか「…うん!分かった!」
マミ「またあなた?もう会いたくないと言ったはずだけど」
ほむら「お願い。私の言うことを聞いて。…っ!?」
ほむら「ちょっと!こんなことをしてる場合じゃないのっ!!」
マミ「おとなしくしてれば帰りに解いてあげるわ」
マミ「でもせっかくなんだから、願い事は考えておきなさい」
マミ「この戦いは終わるまでに決まらなかったら、キュゥべえに頼んで大きなケーキを出してもらいましょう!」
まどか「ええっ!?私、ケーキで魔法少女になっちゃうんですか!?」
マミ「それが嫌ならちゃんと願いを考えておいて!」
マミ(もう何も恐くない。だって私、もう1人ぼっちじゃないもの!)
マミ「大丈夫!?」
さやか「ははっ、何とか」
マミ「…って、あれ?どうしてT君が…」
T「知り合いのお見舞いに来たら、たまたま美樹と会ったんだ」
マミ「あなたもつくづく魔女と縁があるわね…」
QB「マミ!卵が孵るよ!」
正直、Mさんが負けるわけがないと、私は安心しきっていました。
「今日という今日は速攻で決めさせてもらうわよ!」
Mさんは、リボンで魔女を拘束し、弾丸をどんどん撃ち込んで行きました。
「ティロ…フィナーレ!」
「やったぁ!」
Mさんの必殺技が決まり、魔女はやられたかのように見えました。
その瞬間、魔女は恐ろしい本体を現しました。
口をあんぐりと開け、Mさんに噛みつこうとする黒い影。
私はその瞬間、思わず目をつぶってしまいました。
「ちっ…。見た目で相手を判断したら、痛い目にあうぜ?…って、おいおい、気絶中かよ」
魔女の本体は、遠くに吹っ飛んでいました。
恐らく、Tさんの力によるものでしょう。
「破ァ!!」
Tさんはとびきり大きな光弾を作り、魔女にぶつけました。
「…そうか。あっちの小さいのが本体か?」
そう言うやいなや、Tさんは小さめの光弾で人形の方を叩きました。
人形はあっけなく崩れ去りました。
「これでも駄目なら…アレを使うしかねえか!!」
Tさんはもう1度大きい光弾を作り、魔女にぶつけました。
炸裂する魔女の咆哮。魔女は倒れ、空間も元に戻りました。
寺生まれってすごい。私はそう思いました。
T「ん?遅かったじゃないか。魔女ならもういないぞ」
ほむら「っ!またあなたは私達に関わって…」
さやか「ちょっと!そんな言い方はないんじゃない!?」
さやか「Tさんがいなきゃ、マミさんも、私達も死んでたんだよ!?」
マミ「…っ。あれ?私、魔女に食われて…」
まどか「目が覚めました、マミさん?Tさんが助けてくれたんですよ」
T「ん?遅かったじゃないか。魔女ならもういないぞ」
ほむら「っ!またあなたは私達に関わって…」
さやか「ちょっと!そんな言い方はないんじゃない!?」
さやか「Tさんがいなきゃ、マミさんも、私達も死んでたんだよ!?」
マミ「…っ。あれ?私、魔女に食われて…」
まどか「目が覚めました、マミさん?Tさんが助けてくれたんですよ」
ほむら「よかった…。生きてた…」
さやか「えっ!?ちょ、ちょっと、なんでいきなり泣き出して…」
マミ「ありがとう、T君。私、あなたがいなかったら…」
T「…なあ巴。やっぱりこんなことやめないか」
T「これは生ぬるいゲームじゃない。殺るか殺られるかの戦場だ」
T「遊び感覚で彼女らを連れてくるのは、これで最後にした方がいい」
マミ「鹿目さん、美樹さん。今日は怖い思いをさせちゃったわね」
マミ「魔法少女体験コースは今日で終了よ。きれいさっぱり忘れてちょうだい」
さやか「マミさん…」
マミ「でも…どうして私を助けようとしたの?それに、どうして私が今日死にそうになる事が分かったの?」
ほむら(真実を話すのはマズイ…。でも、ここで黙って立ち去るのもせっかくの関係を気付くチャンス無駄にしてしまう)
ほむら「それは、私の願いの力と関係があるわ」
ほむら「ええ。私はそいつを倒しこの町を救うため、時間を繰り返している」
ほむら(まずいところはぼかして説明したわ)
マミ「この前はひどいことを言っちゃったわね…。あなたの気持ちも考えずに」
ほむら「分かってくれればいいの。一緒にワルプルギスを倒しましょう」
さやか「恭介!!」
さやか「…あるよ」
さやか「奇跡も魔法も、あるんだよ!」
仁美「どうして邪魔しますの…?いけませんわ、まどかさん」
まどか「ひっ…!?」
まどか(誰かっ…助けて!!)
まどか「さやかちゃん!?その格好…」
さやか「ふふん。見ててよ、まどか。魔法少女さやかちゃんの実力を!」
さやか「まあね。心境の変化ってやつ?」
まどか「そっか…。やっぱり、さやかちゃんは強いね」
まどか「私、この前のマミさんの戦いを見て…。今まで軽い気持ちで魔法少女になろうと思ってたけど」
まどか「これは命がけの戦いなんだって分かって、怖くなっちゃった」
まどか「卑怯だよね…。私、マミさんと約束したのに…」
さやか「まどかは気にしなくていいよ。あんなの見ちゃったら、仕方ないよ」
さやか「この町の平和は、マミさんと私がガンガン守っちゃうんだから!」
T「破ァ!」
???「ちょっとちょっと、何やってんのさ」
???「そいつ使い間だよ?卵産む前の鶏絞めて…あれ?男?」
???「もしかして、食われてる最中だったか?いや、違うよな?」
T「?よく分からんが本職が来たなら俺の役目はもう終わりだな」
???「アンタ、魔法少女について知ってるのか?」
T「ああ。知っているが」
???「使い間ってのは人食わせりゃ成長して魔女になるんだ」
???「ボランティアのつもりか知らねえが、あんまり狩られると困るんだよ」
T「ふーん…。残念だけど、君とは相容れそうにないな」
T「形のない悪から人を守るのが俺の仕事だしな」
???「そーかい。だったら、さっさとこの町から去ってくれ。次は話し合いじゃ済まさねえからな」
???「あたしは佐倉杏子だ。覚えときな」
T(ん?この町にはもう1つ気になる反応があるな)
T(魔女ではない…。普通の悪霊でもないようだが…)
T(まあ、今日はもう遅い。明日にでもまた来るとしよう)
ほむら「美樹さやか。…なってしまったのね」
さやか「…戦いの運命を受け入れてでも、叶えたい願いがあった。それだけだよ」
ほむら「あなたは…。いや、もういいわ」
ほむら「なってしまったなら仕方ない。この世界で生きてく方法を教えてあげるわよ」
T(どうやらあの壊れた教会のようだな)
T(これは…この教会の神父だった者か?いったい何があって…)
T「ほう…娘が不思議な力を使って…一家心中しようと火をつけて…」
???「あーっ!?てめえ、今日は何しに来やがった!?」」
T「何、俺は仕事をしに来ただけだ」
T「ここにゃ、ちょいと気になる霊がいるんでね」
杏子「え?霊?」
T「破ァ!!」
杏子「うわっ!?」
T(成程。この神父は佐倉の父親か。となると不思議な力ってのは…)
T「そいつはこの世に未練があって成仏できずにいたんだ。ちょっと話を聞いてやれ」
父「杏子…まずは謝らせてくれ」
父「お前はただ純粋に願っただけなのに…私は、それを魔女だなんだと罵って…」
父「あげくに、取り返しのつかないことをしてしまった…」
父「こんなバカな父親を…許してくれ…」
父「もう、何も言わなくていい…。お前には、辛い思いをさせたな…」
杏子「親父…」
杏子「あたしなら…気にしなくていい。今は、この力使って好き勝手やってるから、それなりに楽しいぜ?」
杏子「あたしは…アンタを恨んだりしてないぜ」
父「そうか…。ならば、最後にもう1つ」
杏子「え?あの子?」
父「あの金髪の子だよ。彼女とは私は数回しか会ってないが、それでも分かる」
父「彼女は優しい心を持っていた…。彼女と一緒にいれば、お前も寂しくないだろう」
杏子「…マミのことか。もう、あいつとは終わったんだ。ちょっとした意見の食い違いってやつさ」
杏子「今更、どの面下げて会いに行けば…」
父「彼女と居る時のお前は、とても嬉しそうだったぞ?」
父「親として最後のお節介だ。…もうお前に寂しい思いはさせたくないんだ」
父「もう1度…彼女に会いに行って、一緒にいてくれるよう頼め…」
父「じゃあな、杏子」
杏子「…親父!行かないでくれよ!」
父「何言ってるんだ、私はとっくに死んだ人間だ」
父「お前には、もっとふさわしい仲間がいるよ…」
父「有難う。そこの人。あなたがいなければ、私は永久に未練を持ったまま彷徨い、悪霊になっていただろう」
父「最後に娘と話す機会まで与えてくれて…。もう、思い残すことはない…」
杏子「親父ぃー!!」
T(…さて、帰るとするか)
杏子「待ってくれ」
杏子「あたしからも礼を言わせてくれ。アンタのお陰で、心のつかえが取れたよ」
T「礼はいらねえよ。彷徨える魂を成仏させるのも俺の仕事だ」
T「俺は、ただ仕事をこなしただけだ」
杏子「アンタは礼がいらなくても、あたしの気が済まねえんだよ」
杏子「つっても、たいしたもんはあげられねえが…これ、やるよ」
T「ロッキーか。…ありがたく貰っておくよ」
ほむら(まあ、いいわ。あの男とも、早めに話をつけておかないと)
ほむら「T。話があるの」
T「…何だい?」
ほむら「私の正体と目的についてよ」
T「でも、それはお前の本当の目的じゃないな?」
ほむら「えっ?」
T「嘘をついてる顔してるぜ。…話してみなよ」
ほむら「……」
ほむら「あなたって、本当に鋭いわ。嫌気が差すくらい」
ほむら「いいわ。あなたには、真実を話す」
ほむら「…そして、最悪の魔女になって、世界を滅ぼすわ」
T「だから俺に協力を仰いだのか」
ほむら「そうよ。今まで数え切れないほどの時間軸を見てきた。けど、あなたが現れたのは今回が初めて」
ほむら「あなたの力があれば、あいつを倒せる。だから、力を貸して」
T「いいよ。協力しよう。形のない悪から人を守るのが俺だ。それに…」
T「この町が破壊されるのを、黙ってみていられる訳がねえ」
ほむら「感謝するわ」
ほむら(これで…あと1人)
さやか「どうしよう、マミさん」
マミ「…美樹さん。もう1人でも戦えるわよね?」
マミ「二手に分かれましょう。私は魔女を、あなたは使い間をお願いね」
さやか「へへーん、分かりましたよ。もう1人でも大丈夫ってところ、見せてやりますよ!」
さやか(こいつら…小さいくせに、なんてすばしっこいの…!」
さやか「くそぅ…。うわぁっ!?」
さやか(まずっ…!?このままじゃ、やられ)
???「はあー、だらしねえなーオイ」
さやか「!?」
???「この程度の使い間に苦戦してるんじゃ、生きていけねーぞ?」
???「…ちょいと手本を見せてやるよ」
杏子「ったく、次はもっと上手くやれよ?」
さやか「あ、えっと…。助けてくれて、ありがとう…」
杏子「礼なんていらねーよ。あたしはただ仕事をこなしただけだ」
マミ「美樹さーん、大丈夫…って、佐倉さん!?」
杏子「マミか。アンタまた新米育成でもしてんのか?」
マミ「佐倉さん、久しぶりね」
さやか「えっ?2人とも、知り合いなの?」
杏子「い、いや、えーっとだな、その…今日は…」
杏子「………ごめん!」
マミ「……え?」
杏子「あ、あの…あのときは、ごめん。…あのときは、ショックで何もかもどうでもよくなってた…」
杏子「この通りだ!あたしと…もう1度コンビを組んでくれ!」
マミ「私は、ずっとあなたを待っていたわよ?」
マミ「お帰りなさい。佐倉さん」
杏子「マミ…」
杏子「えっ?」
マミ「この美樹さんもいるし、もう1人、新しい仲間がいるわ」
マミ「これからは、魔法少女カルテットよ!」
風呂入るので保守頼む
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T「何だい?」
ほむら「美樹さやかは、どの時間軸でも失恋し、それがきっかけでずるずる絶望して、魔女になる」
ほむら「…そして、それを見た巴マミは発狂して、私達のソウルジェムを砕きだす」
ほむら「どうにかして、美樹さやかの恋に決着をつけてもらわないと…」
T「なるほどね。でも、それは正直俺たちじゃどうしようもないと思うぞ?」
T「恋の悩みってのはデリケートだ。無理に他人が首を突っ込んでも、うまくはいかない」
T「そうだな…。軽く背中を押してやるくらいならいいんじゃねえか?」
さやか「へえー、仁美がねえー?恭介も隅に置けないなー」
仁美「さやかさんは、どうですの?」
さやか「…え?」
仁美「さやかさんは大切なお友達ですわ。抜け駆けも横取りもしたくない」
仁美「さやかさんは、自分の本当の気持ちと向き合えますか?」
さやか「仁美…」
仁美「私、明日上条君に告白します」
仁美「1日だけお待ちしますわ。…どうすべきか、考えてみてください」
まどか「さやかちゃん!」
さやか「まどか…?どうしてここに…」
まどか「えへへ…。ほむらちゃんにさやかちゃんの話を聞いてあげてって言われて…」
さやか「ほむらが…?」
まどか「さやかちゃん、悩みがあるなら、相談に乗るよ?」
さやか「…ごめん。これは私の問題だから」
さやか「ちょっと、1人で考えさせて」
まどか「さやかちゃん…」
まどか「じゃあ、これだけは言わせて」
さやか「…何?」
まどか「難しく考えずに、素直な気持ちをぶつけてくればいいんだよ!」
まどか「いつものさやかちゃんらしくさ!」
まどか「何もしなかったら…絶対後悔しちゃうよ?」
まどか「じゃあね。がんばって!」
さやか(そうだよ。私あの時誓ったじゃん。後悔だけはしないって)
さやか(当たって砕けろだ!頑張れさやか!)
まどか「もう、遅いよさやかちゃん。遅刻しちゃうよ?」
さやか「あはは、ごめんごめん」
仁美「ふふ。随分と嬉しそうですわね。さやかさん」
さやか「え?そ、そんなことないよ?」
仁美「もう…。隠さなくてもいいですよ」
仁美「私は、何も後悔してません」
仁美「さやかさんと上条君が幸せになってくれるなら、私はそれでいいです」
さやか「仁美…」
さやか「よーし、じゃあ私が仁美の分まで幸せになっちゃうんだから!」
マミ(家の用事らしいけど、一体何をやってるのかしら…)
ほむら「あなたの方から話なんて、珍しいわね。何かしら?」
T「今日、みんなに魔法少女の真実を話そうと思う」
ほむら「!?何を言ってるのあなた!?」
T「どうせ一生付きまとう問題なんだ。だったらさっさと言っちまった方がいい」
T「今なら信頼関係も築けてるんだ。信じてくれるさ」
ほむら「でも…!それを話したら、特に巴マミのショックが激しい!」
ほむら「美樹さやかも!ようやく難題を解決したのに、また逆戻りだわ!」
T「こいつを見ろ」
ほむら「何?この古ぼけた紙は…」
T「こいつは俺が家の掃除をしたら見つけた紙だ。3日もかけて解読した」
T「それには、魔法少女を人間に戻す方法が書いてある」
ほむら「ちょっと、それは本当なの!?」
T「ああ、本当だ」
T「こいつは俺の親父が10年かけて練り上げた結界だ。魔法少女になった者の魂を元に戻すためのな」
T「…実はな、俺のお袋は、元魔法少女だったらしい」
ほむら「元…?」
T「そうだ。でも、今はソウルジェムはどこにもない。だから効果は保障する。ただ…」
ほむら「ただ?」
T「もう、材料の5種類のうち3種類は絶滅しているんだ」
T「そして、家には材料が3人分しかない」
ほむら「そんな!!」
ほむら「……」
ほむら「…そう。分かったわ」
T「…悪いな。今の俺の力じゃ、これが精一杯なんだ。本当にごめん」
ほむら「いいわ。私はこの力にそこそこ感謝もしている」
ほむら「この力が無ければ、私は今も病弱なままでしょうし」
ほむら「…」
T「いつかお前も、絶対に戻す方法を見つけてやるからな」
ほむら「魔法少女の…真実を伝えようにきたの」
さやか「魔法少女の真実?何それ?」
ほむら「まずはソウルジェムについて」
ほむら「さあ、話しなさいキュゥべえ」
伝えように→伝えに
ほむら「いいから話しなさい。あなたは嘘だけはつかないはずよね?」
QB「分かったよ。ソウルジェムは君たちの魂そのものだ」
ほむら「そして体を制御できるのはせいぜい半径100メートルほど。そうよね?」
マミ「もう…暁美さんとキュゥべえ、組んで私達を騙してるのね?嫌な嘘はやめてよ…」
QB「嘘じゃないよマミ」
ほむら「その証拠に…私のソウルジェムを使って、見せてあげるわ」
ほむら「ソウルジェムと体が離れるとどうなるか。…T。お願い」
T「OK」
さやか「嘘でしょ…!?」
杏子「ふざけんな!!これじゃあたしたち、ゾンビにされたようなもんじゃねーか!?」
まどか「ひどいよ…こんなの、あんまりだよ…!」
マミ「私達を…騙していたのね…キュゥべえ…」
QB「騙す?聞かれなかったから答えなかっただけさ」
杏子「うるせえ!!そういうのを騙すって言うんだよ!!」
QB「どうして人はそんなに魂のありかを気にするんだい?」
QB「わけがわからないよ」
さやか「うるさいっ!!早く…あたし達を戻しなさいよ!!」
QB「はあ…。僕としては親切でやってあげたんだけどなあ」
QB「魔女と戦うには人間の体は脆すぎる」
QB「その点、これなら心臓をつぶされても、体中の血を抜かれても、SGが無事なら元通りだ」
QB「便利だろう?」
まどか「そんな理由で…みんなをゾンビにしたって言うの!?」
ほむら(T。手筈通り巴マミを抑えて)
T(OK。とびきり強力な結界でかこってあるから、大丈夫だ)
ほむら「SGが濁りきるとどうなるのか、答えなさい」
QB「SGが濁りきると、魔法少女は魔女になるんだ」
杏子「はあっ!?」
マミ「……」
QB「エネルギーには限りがある。今宇宙は破滅に向かってるんだ」
QB「それを覆すために、僕たちは熱力学にとらわれない、新しいエネルギーの研究をしてきた」
QB「そこで目を付けたのが感情だ」
QB「それを回収するのが僕の役目だ」
QB「あいにく僕たちは感情を持っていなかったから、僕たちは人間に目を付けたんだ」
まどか「ふざけないでっ!!そんな気の遠くなる未来の為に、私たち人間を食い物にしてるって言うの!?」
QB「僕たちはこれでもかなり譲歩してるんだけどなあ」
QB「曲がりなりにも君たちを知的生命体と認めたうえで交渉してるのに」
ほむら「まどか。こいつらに人間の常識は通用しないの」
ほむら「何を言っても、奇跡の正当な対価だと言い張るだけよ」
マミ「ソウルジェムが魔女を産むなら…」
マミ「みんな死ぬしかないじゃない!!」
さやか「マミさんっ!!何を」
T「破ァ!!」
マミ「何するのっ!離して!」
T「早まるな、巴。悪いのは全てこいつだ。お前らが死ぬ必要なんて、どこにもない」
マミ「でもっ!!私達はここで死ななきゃ魔女になって、多くの人を殺すのよ!?」
T「いつかは、今じゃない」
T「最後の瞬間まで戦って、それ以上に人を救えばいい」
ほむら「そうよ。私達は、普通の人間に戻れるのよ」
さやか「…えっ!?」
杏子「おいっ、それは本当かっ!?」
ほむら「ええ。そこにいるTの力でね」
T「詳しい説明は省くが、こっちにもいろいろ準備がいる」
T「それに、戻ったら、もちろん魔法少女の力は使えなくなる」
マミ「それじゃあ…」
T「ワルプルギスを倒せるものは、いなくなる」
QB「君たち人間の力で」
まどか「ほむらちゃん!?」
ほむら「お前はもう…黙ってなさい!」
QB「やれやれ。無闇につぶさないでくれるかな。かわりはいくらでもいるけど、勿体ないじゃないか」
T「俺のお袋もこれを使って人間に戻ったらしい」
さやか「Tさんのお母さんって…魔法少女だったの…?」
T「ああ。親父が言っていた」
T「あの人はいつもふざけてばかりだが、嘘だけは言わない人だった」
T「あいつを倒したらパーティだ。飲んで騒いで思いっきり楽しんで」
T「そしたら、みんなで普通の女の子に戻るんだ」
T「よくできた話だろう?」
杏子「…そうだな」
さやか「杏子?」
杏子「最後に愛と勇気が勝つストーリーだった」
杏子「だったら、あたしたちも悪の組織に負けないで、勝利を掴み取ってやろうじゃん!」
さやか「ぷっ。アンタにも、そういう可愛いとこあるんだね」
杏子「なっ!?こっ、子供の頃の話だよ!」
さやか「今だって子供じゃん」
杏子「何をー!!」
マミ「ええ。さっきはごめんなさい」
T「ったく。命は自分だけのものじゃないんだぞ?簡単に死ぬだのなんだの言うんじゃない」
T「それに、自殺者ってのは不思議でな。例外なく自殺したことを後悔する。自分から死んだはずなのにな」
T「そして、未練たらたらでこの世を彷徨い、悪霊になるんだ」
T「だから、死ぬなら絶望に打ちひしがれながらじゃなくて…」
T「希望で満ち溢れてないといけないんだ」
T「もうすぐ感動のエンディング。魔法少女は、晴れて普通の女の子に戻れるんだ」
T「そしたら、友情も恋愛も好きなだけやって、幸せな人生を過ごせ」
マミ「…うん」
ほむら「ラスボスを倒さないと、感動のエンディングなんて見れないわよ?」
マミ「そうね。暁美さんの言う通りよ」
マミ「私達の力で、未来を勝ち取りましょう!」
さやか「はいっ!」
杏子「幸せな未来…か…」
ほむら「駄目っ!!それは絶対駄目!!」
まどか「えっ!?どっ、どうして…」
ほむら「それは…」
ほむら「私はいいの」
ほむら「話の続きだけど…魔法少女が魔女になった時の強さは、素質の高さで決まるの」
ほむら「そして、あなたが魔女になったら…この地球の全人類を滅ぼすほどの魔女になる」
まどか「っ!?」
ほむら「だからっ…あなたは絶対に契約しては駄目。例え…私達が負けてしまっても」
まどか「ほむら…ちゃん…」
マミ「ええ。これが私達の最後の戦いよ」
さやか「この町の平和は、あたし達が守る!!」
⑤ ④ ② ①
「行くわよみんなっ!!」 「はいっ!」 「おう!」
QB「まあ、無理だろうね」
まどか「そんなっ!?」
QB「残念ながら、奴の力は桁違いだ。4人程度じゃまだ足りない」
QB「まあ、君が契約してくれれば1人で十二分なんだが」
まどか「その手には乗らないよ」
まどか「私が契約したら…世界が破滅しちゃうってほむらちゃんが言ってたもん」
まどか「それに…みんなは、絶対勝って戻ってくるって!私信じてるもん!」
まどか「えっ?」
一方的な虐殺でした。
「まだよっ…みんなまだやれるわよね…」
「当たり…前だっ…!」 「こんなところで…倒れてられませんもん…!」
「暁美さんが来るまで…絶対に持ちこたえる…!」
「私は…ほむらちゃんとTさんを信じてるもん…」
その時でした。
5機の戦闘機が、機銃を掃射しながら突っ込んでいくのを見ました。
そして、その一機からHとTさんが降りてきたのです!!
「暁美…さん…!」 「ったく…来るのが…おせーんだよ…!」 「やっちゃって…ほむら…Tさん…!」
「結局親父は見つからなかったが…俺と暁美だけでも、十分だ!!」
そこから先はまさに死闘でした。
銃器と光弾、黒い槍が飛び交い、槍、剣、銃弾が使い間達を蹴散らし。
「任せておけ」
Tさんの周りに光が集中し始めました。
「破ァ!!」
莫大な閃光が迸り、何も見えなくなりました。
そして…
ワルプルギスの夜は、生きていました。
相も変わらず、気味の悪い笑い声と、破壊をまきちらしながら。
「っ!みんな!まだ諦めちゃ駄目よ!」
「そうだぜ。…誰が一発で済ますと言った!?」
Tさんは、もう1度力を集中させ、5発、10発と光弾を撃ち込みました。
「お前が圧倒的な呪いを背負ってるなら…俺が、全部解き放ってやる!!」
「破ァ!!!」
そう、戦いは終わったかに見えました…。
「やっと、終わったのね…。!?がはっ!!」
「!?暁美!?ぐあっ!?」
それでも、ワルプルギスは生きていたのです。
「…ははっ。今度こそ…終わりだな…」
「すまねえな…。俺の力じゃ…お前らを…救えなかった…」
誰もが絶望した、その瞬間。
「ちょいと準備をな。世界中の秘境を回って、こいつに力を集めてた」
そういうとTさんのお父さんと名乗るその人は、1枚のお札を取りだしました。
「さあ、ワルプルギス…。10年越しの決着を、着けてやろうか!」
「破ァ!!」
閃光が日本を覆った時間はほんの5秒ほどでしたが、歴史の教科書を塗り替える程の大事件になりました。
空は晴れ、もちろんワルプルギスの姿など欠片もありません。
今度こそ、戦いは終わったのです。
「家を継ぐ気なら、あと100倍は修業を積むんだな」
寺生まれってすごい、私はそう思いました。
アバン先生クラスだな
でも、Tさんは完全に力を使い果たしていたようで、家に着いたらすぐ寝てしまいました。
お父さんも、すぐ帰ってしまいました。
そして、次の日…。
T「ああ、そうだ。みんな、準備はいいか?」
マミ「ええ。大丈夫よ」
杏子「おい、ほむらはどうしたんだ?あいつも早く戻してやらねえと」
まどか「…。それは無理なんだよ…杏子ちゃん…」
T「っ!?バカ、言うな!」
さやか「えっ?なんで無理なの?」
マミ「そうよ。暁美さんだってずっと苦しんできたんだもの。早く戻してあげきゃ」
T「ちっ。もう隠すわけにゃいかねえな。実はな…」
杏子「あの馬鹿野郎…!!おい、儀式は中止だ!中止!」
さやか「みんなでほむらに殴り込みに行かないと!」
T「ははっ。こうなるだろうと思ったぜ…」
まどか「えっ?えっ?ど、どうしたのみんな?」
ほむら「何よ。朝からうるさいわねごふぅ!?」
さやか「このバカっ!バカっ!大バカっ!どうしてこんな大事なこと黙ってたのよ!?」
杏子「てめぇなあ!?こんなことされたって、あたしたちは何も嬉しくねえよ!!」
マミ「そうよ暁美さん!?私達は魔法少女カルテットよ!?やめるときだって一緒に決まってるでしょ!?」
ほむら「みん…な…」
マミ「あなたを残して魔法少女やめるぐらいなら、死んだ方がマシよ!」
さやか「そうだそうだ!アンタはいつもっ!自分1人で何でもかんでも背負い込んで!」
杏子「あたしたちは仲間だろう?もうちょい仲間を頼ってくれよ!」
マミ「もう…すぐ強がるのはあなたのくせよ?さあ、思いっきり泣きなさい…」
杏子「これはっ…!?超レアなほむらの泣き顔ゲットだぜー!」
さやか「携帯!携帯はどこっ!?」
まどか「すみません…。私、あの時のほむらちゃんの悲しそうな顔、忘れられなくて」
T「ま…なんだかんだであいつらは嬉しそうだし、まあいいか」
Tさんの行動だって、QBから見れば指の先のような出来事かもしれません。
でも、確かにTさんは、4人の魔法少女を絶望の淵から救いあげたのです。
寺生まれってすごいなあ、私はそう思いました。
Fin
見てくれた人本当にサンクス
Entry ⇒ 2011.12.25 | Category ⇒ まどかマギカSS | Comments (0) | Trackbacks (0)
まどか「ウルトラマン先生」
http://engawa.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1324699787/
まどか「うん、確かそうだったはず」
さやか「でも驚いたよねえ、早乙女先生が寿退職なんて……」
まどか「結婚、できたんだねえ……」
さやか「うん……」
まどか「……新しい先生、どんな人だろうね」
さやか「男の先生らしいけど。……あっ、来たよ」
ガラッ
矢的猛「やあ、おはよう。みんな席につけー」
このクラスの担任になる矢的猛だ。よろしく」
さやか「へえー、なかなかかっこいい先生だね」
まどか「若いころの長谷川初範に似てるー」
猛「実は先生が担任を持つのはこれが初めてなんだ。
緊張して失敗するところもあるかも知れないけど、
その時はみんなに助けてもらえると嬉しい」
さやか「さわやか系だね」
まどか「かっこいいしねー」
ほむら「……」
先生がモットーにしていることなんだが……」
一生懸命→一所懸命
さやか「いっしょけんめい?」
猛「そうだ。何かの目的を達成するために、一生懸命になる。
それはもちろん大事なことだ」
まどか「……」
猛「人には、一生、命をかけてやらねばならない事があるよな。
その大きな目的を達する為には、その人が今いる所で、
今やっていることに最大を尽くす。
一所懸命、ひとところに命をかける。
そういう事が必要なんだと、僕は思うんだよね……」
キーンコーンカーンコーン
猛「おっと、もう1時間目が始まっちゃうな。
それじゃあまた、放課後に」
さやか「いいこという先生だね、私ちょっと感動しちゃったよ」
まどか「私も~」
ほむら(あの先生……)
屋上
マミ「あら、鹿目さんに美樹さんじゃない」
まどか「マミさん!」
さやか「マミさんもここでお弁当食べてたんですか?」
マミ「ええ、よかったら一緒に食べましょ」
まどか「はい、喜んで!」
さやか「ていうかマミさんってよく一人でお弁当食べてますよね。
クラスのお友達とかと一緒に食べたりしないんですか?」
マミ「ええ……たまに物思いにふけりたくなる時があってね」フッ
さやか「ふうん……」
マミ「ところでふたりとも、魔法少女になるための願い事は決めた?」
さやか「あー……実はまだ全然決められなくて~」
まどか「私もです……いざ何でも叶えてあげる、って言われたら
迷っちゃうものですね~」
QB「そんなに焦らなくてもいいよ、僕はいつでもいいからね」
まどか「あっ、きゅうべえもいたの」
とりあえずお弁当を食べましょう」
まどか「そうですね、いただきまーす」
さやか「いただきまーす」
まどか「あっ、さやかちゃんの卵焼き美味しそ~、交換しよ~」
さやか「いいよー、じゃあそっちのチーズちくわちょうだい」
QB「女学生の食事というのはかしましいね」
マミ「ほんとにねえ」
まどか「あっ、そうだ。今日新しい担任の先生が来たんですよ~」
マミ「へえ、早乙女先生の代わりに来た人よね。どんな先生なの?」
さやか「それが結構なイケメンなんですよ~」
ガチャッ
猛「ここが屋上か……おっ、なんだ先客がいたか」
まどか「あっ、噂をすればなんとやら」
さやか「せんせーい」
猛「なんだおまえら、ここで昼飯食べてたのかー」
さやか「先生、このひと先輩の巴マミさん」
マミ「初めまして、巴マミです」
猛「どうもよろしく。鹿目と美樹の担任の、矢的猛です」
まどか「先生、もう私たちの名前覚えてくれたんですか?」
猛「ああ、さっきの時間がちょうど開いてたからね。
クラス写真を見て覚えたんだ」
さやか「先生気合いはいってるね~」
猛「ははは、まあ初めての担任クラスだからな。そりゃ気合いも入るさ」
マミ「良い先生ね、羨ましいわ~」
さやか「でしょー?」
まどか「そうだ、先生は何で屋上に来たんですか?」
猛「うん、学校内を探索しててね……、……!?」
QB「…………」
猛(インキュベーター!なぜここにいる……)
QB(それはこっちのセリフだよウルトラマン80)
QB(そのまさかだよ。この学校には既に二人の魔法少女がいる。
この巴マミと、そして暁美ほむらだ)
猛(暁美ほむら?うちのクラスの生徒じゃないか……
あの子を魔法少女にしたのか)
QB(暁美ほむらについてはイレギュラーな存在だよ。
僕もその正体についてはよく分からない)
猛(とにかく許さないぞ……お前たちの勝手な計画に
この学校の生徒を、いや無関係な子供たちを巻き込むのは!)
QB(まったく、なぜ分からないんだい?
君も宇宙人ならば分かるはずだろう、
宇宙エネルギーが限界を迎えたらどうなるかを……
僕は宇宙の寿命をのばす手伝いをしているだけなんだけどね)
猛(やり方に問題があると言っているんだ!)
QB(やれやれ、じゃあ君たちウルトラの一族にどうにかできるとでもいうのかい?)
猛(それはっ……)
まどか「あの……先生?どうしたんですか、怖い顔して」
猛「はっ……!あ、いや、すまん、なんでもない」
気負いすぎて気分が悪くなってきたよ、あはは」
さやか「はは、そんなに緊張しすぎなくていいのに」
まどか「そうですよ、もっとリラックスしてください。
私達も先生を応援してますから、ね」
猛「あっ、ああ……ありがとう。
それじゃあ先生はもう職員室に戻るよ」
まどか「はい、がんばってくださいねっ」
猛「ああ……」
QB「……」
猛(インキュベーター……お前の思い通りにはさせないぞ。
僕の生徒は僕の手で守りぬいてみせる……)
QB(ウルトラの一族といっても所詮は戦うためだけの存在でしかない。
戦士であって神ではないんだ。
君に出来るのは敵を倒すことだけであって
守ることなど出来はしないんだよ、ウルトラマン80)
猛(それでも、僕は……)
マミ「ごちそうさまでした」
猛「よし、じゃあ今日はこれで終わりだ。日直、号令頼む」
仁美「起立、礼」
ガタガタッ
「さよならー」
猛「うん、さよならー」
ワイワイガヤガヤ
猛「ふう……」
まどか「先生~、もう気分は大丈夫なんですか?」
猛「えっ、ああ、もう大丈夫だ。
5時間目に休んでいたらすっかり良くなったよ」
さやか「そうなんだ、良かった」
まどか「ウェヒヒ、私保健委員ですから、
体調が悪くなったりしたらすぐ言ってくださいねっ」
猛「うん、ありがとう」
まどか「それじゃあさようなら、先生」
猛「あっ、ちょっと待ってくれ!」
猛「いいか、鹿目……それから美樹もだ」
さやか「え、何?」
猛「あのな、お前たち、家族や友達のことは、大切だと思っているか?」
まどか「え?はい、そりゃ……」
さやか「大切に思ってますよ」
猛「そうか、それなら、その気持ちが本当なら、これだけは守ってくれ。
お前たちのような少女に、甘い言葉で誘いを持ちかけてくる奴がいる。
でも決してそんな奴の言葉に耳を貸すんじゃないぞ。
お前たちに何かを与えてくれるとか、お前たちの現状を変えてくれるとか、
そんな夢みたいな話には絶対に裏があるんだ。
何か成し遂げたいことがあるなら自分の力だけで叶えなければいけない。
そうしなければ、お前たちの大切なものを、すべて失うことになるんだ。いいな」
さやか「えっ、ど、どうしたの、先生……いきなり……」
まどか「あはは……なんか同じようなこと、前にほむらちゃんも言ってたような」
猛「えっ、暁美が?」
ほむら「さようなら、先生」
猛「あ、ああ……」
猛(まさかインキュベーターがうちの学校に狙いをつけていたとはな……)
猛(かといって生徒たちに真実を伝えるわけにも行かない)
猛(伝えたところで信じて貰える話でもない)
猛(それならば僕に出来るのは1つだけだ)
猛(この街の魔女を倒すこと……)
猛(魔女さえいなければ魔法少女が生まれる必要もない)
猛(既存の魔法少女が戦うこともなくなる)
猛(インキュベーターの野望を完全に食い止められるわけではないが)
猛(とりあえず今はこうするしかない)
猛(!!)
猛(ブライトスティックに魔女の反応が……)
猛(こっちか……)
猛(……ここは病院じゃないか!)
猛(まずいな、こんなところで魔女が生まれると……!
迷っているヒマはない、魔女空間に突入だ)
猛「まさか勤務初日から魔女と戦うことになるとはな……」
猛「魔女空間……他のウルトラマンたちから聞いていた通りの
不気味な、不条理な空間だ」
使い魔「キーッ」
使い魔「キーッキーッ」
猛「はっ!」ビーッ
使い魔「ギギ……」
猛「このブライトスティックには光線も出せるんだ」
猛「幸い魔女自体はまだ孵化していないようだ」
猛「よし、こうなったら変身して一気に……!」
猛「!!」
猛「あれは……暁美? 暁美なのか?」
ほむら「矢的先生……っ」
猛「どうした、こんなに縛られて……使い魔にやられたのか?」
ほむら「いえ、巴マミにやられたのよ」
ほむら「彼女は私を目の敵にしていてね」
猛「よく分からんが、今ほどいてやるからな……
くそっ、きついな……」
ほむら「私のことはいいわ。それよりこの先にまどかがいる。
それから美樹さやかと巴マミも」
猛「なにっ、あいつらもうここに来てたのか!?」
ほむら「とにかくすぐにあの子たちのもとに行って!
この魔女はただの魔女じゃない……巴マミでは勝てない!」
猛「勝てないって、どうしてそんなこと……」
ほむら「とにかく、早く!
魔法少女のことを知っていて今この場にいるってことは、
あなたも『そういうこと』なんでしょう!?」
猛「……あっ、ああ、分かった!
巴たちは先生がきっと助けるから待っててくれ!」
ほむら「ええ」
猛(暁美は僕のことを知っている? 他にも色々と訳知りのようだが……
いや、今はそんなことはどうでもいい!
生徒たちを助けることが先だっ!)ダダッ
猛「エイッティ!!」
今さらだが説明しよう
矢的猛は光の国からやってきたウルトラマン80だったのだ
彼はウルトラマンとして魔女を倒す使命を果たす一方
人間から発生するマイナスエネルギー……
つまり憎しみや怒りといった負の感情こそが
魔女を生み出し、その力を増幅させると考えて
教育という見地から人の心を清く正しい方向へと導くべく
中学教師としても活動しているのであった
QB「孵化が始まった、魔女が出てくる!」
さやか「ええっ、マミさんがまだ……」
マミ「おまたせ、美樹さん!」
まどか「さやかちゃん、大丈夫だった?」
さやか「お、遅いですよおマミさん!
もう孵化し始めちゃってますよ!」
マミ「お出ましのとこ悪いけど、一気に片付けてやるわ!」シュシュッ
シャルロッテ「…………」
マミ「えっ!?」
シャルロッテ「グバアアアアアァ」
 ̄ ̄\ : : ∠_,,..-''" ,.-''`ヽ::::::::::::::::::::::::::::::::::::::`''-..,,__,,..-''":::::::::::::::::::::::::::::::/
\/::_,,-‐-' └―-.、:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::/
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ヽ::::::', --=二___,,..-''´ ノ:::::::::::/
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マミ「……えっ………・?」
さやか「マ、マミさん、逃げてええええっ!」
まどか「い……いやあああっ!!」
80「サクシウム光線!」シュビビビビ
シャルロッテ「グギイイイ!!」ボカーン
まどか「えっ……な、何が……」
さやか「まどか、マミさん、あれ!!」
まどか「なっ、なに、あのでっかい人……」
さやか「まさか新しい魔女!?」
まどか「でも今あの人が魔女を攻撃したんでしょ!?」
さやか「じゃ、じゃあ私たちを助けてくれたの?」
マミ「は、はああ……助かった、のね……」
まどか「味方なの、あの巨人は……」
QB「ウルトラマン……」
さやか「ウルトラマン!?」
QB「あの巨人の名前だよ……
人類を、地球を守るために戦う正義の超人だ」
まどか「……ウルトラマン……」
80(言っただろう、インキュベーター。
お前の思い通りにはさせないと)
QB(つくづく邪魔な存在だね、正義を標榜して人助けを生きがいにする連中は)
まどか「あっ、魔女が起き上がるよ!」
マミ「で、でも」
80「いいから逃げるんだ。
この魔女は君には勝つことはできない」
さやか「に、逃げましょうマミさん」
まどか「そうですよ、ウルトラマンは私達を助けてくれるみたいですし」
マミ「……そうね、悔しいけれど……
ここはあなたにお任せしてもいいかしら、ウルトラマン」
80「任せてくれ。私は魔女と戦うために地球に来たのだ!」
さやか「さあ、行きましょう!」
マミ「ええ」タタッ
まどか「頑張ってくださいねーっ」タタッ
シャルロッテ「ギャアアアアアアアス」
80「フンゥ!イヨーアァー!」
ドタンバタン
QB(ウルトラマン80……せっかくまどかとさやかに
契約させるチャンスだったのに……まったく)
マミ「はあ、ふう……」
まどか「なんとか逃げてこられましたね」
さやか「あのウルトラマンとかいう人、勝ったのかなあ」
QB「大丈夫だよ、なんたって彼は……」
ほむら「全宇宙を股にかける正義の集団、宇宙警備隊の一員だもの」
まどか「ほむらちゃん!」
マミ「ああ、ほどくの忘れてたわ。抜けだしてこられたのね」
ほむら「死ねばよかったのに」
さやか「それより転校生、あんたあのウルトラマンのこと知ってんの?」
ほむら「ええ、まあね」
QB「…………」
まどか「あっ、見て、魔女空間の入り口が」
さやか「消えていく……」
マミ「倒したのね、魔女を」
さやか「…………」
マミ「何者なのかしら、あのウルトラマン……」
ほむら「私達の味方よ、間違いなくね」
マミ「ふん、あなたの言うことはあてにならないわ」
QB「そうだね。マミを助けたとはいっても
得体のしれない存在には違いないんだから。
なんの目的があって戦っているのかも分からないんだし」
ほむら「それは貴方も同じでしょう、きゅうべぇ」
まどか「でもっ、きっと良い人だと思うよ。
なんていうか……嫌な感じがしなかったもん」
さやか「私もそう思う。魔女とか見ると全身に怖気が走るけど
ウルトラマンと出会った時、なんだかほっとしたもん」
QB「君達……」
ほむら「巴マミ。これからはあのウルトラマンと協力して戦っていくことね」
マミ「フン」
ほむら「それから……まどか、美樹さやか」
ほむら「あなたたちももう魔法少女になろうなんて考えないようにね。
この街にはあのウルトラマンがいてくれるんだから」
まどか「う、うん……」
さやか「…………」
ほむら「あなたたちが戦う必要なんてどこにもないの。
いいわね……」
マミ「待ちなさい、暁美さん。あなたはどうしてそうやって
自分の考えを鹿目さんたちに押し付けようとするの。
魔法少女になるかならないかは、この二人の自由でしょう、ねえ?」
さやか「そうですよねえ、別に転校生には関係ない話じゃん」
ほむら「関係なくなんかないわ」
マミ「そうよね、関係なくないわよね。魔法少女が増えると
この街での自分の取り分が減ってしまうから……」
ほむら「そういう話じゃないわよ」
まどか「み、みんなちょっと落ち着いて……」
猛「おーい、みんな!」タタタッ
さやか「何やってんの、こんなところで」
猛「いや、ちょっと用事があってな。
そういえばさっき、こんなものが落ちてたんだが……
これ、なんだか分かるか?」
マミ「あ、グリーフシード……」
さやか「もしかして、さっきの魔女の?」
猛「なんだ、これはグリーフシードっていうのか?」
マミ「え、ええまあ……でもどこでこれを」
猛「ああ、さっきそこに落ちてたんだ。
じゃあこれは巴、お前に渡しておこう」
マミ「えっ、はい……ありがとうございます」
猛「じゃあみんな、遅くならないうちに帰れよー」
まどか「はーい」
ほむら(……この人が、この時間でのウルトラマン)
中学教師と魔女退治の二足のわらじを履く矢的猛。
矢的猛の戦いは、まだ始まったばかりなのだ。
中学教師の仕事にも慣れてきた矢的猛。
彼がある朝学校に到着するととある事件が発生していた。
生徒「先生おはようございまーっす」
猛「おう、おはよー」
生徒「はよざーっす」
猛「おはよーう」
生徒「先生、先生!タイヘンですっ」
猛「な、なんだどうした?」
生徒「ちょっときてください、美樹さんと志筑さんが殴り合いの喧嘩を」
猛「はあ?な、殴り合い?どこでやってるんだ」
生徒「グラウンドの真ん中です」
猛「な、なんでそんなところで……」
生徒「とにかく早く来てください!」
猛「わ、わかった!」タタッ
野次馬「おう、そこだ、やっちまえ~」
野次馬「いいぞいいぞー」
さやか「この女狐!泥棒猫!くそびっち!」ガッシボカッ
仁美「人聞きの悪いことを言わないで!
上條くんは私の方を選んでくれたんですのよ」ドカッバキッ
まどか「はわわわ、さやかちゃん、仁美ちゃん……」
ほむら「醜いわね」
猛「おい、何やってるんだ!」タタッ
まどか「あ、先生!」
猛「やめろー、お前らー!」
仁美「ふんぬらばっ!」グオッ
さやか「うわああっ!!」ドシーン
仁美「ふっ、私は柔道も習っているんですのよ」
さやか「く、くっそおおお……」
猛「いったいどうしたっていうんだ、お前たち……」
さやか「……ちくしょーっ!」ダダダッ
猛「美樹ーっ!」
まどか「さやかちゃん……」
猛「志筑、これはどういうことだ?」
仁美「私は別に何もしてませんわよ」
上條「仁美、怪我してるじゃないか……」
仁美「かすり傷ですわ」
上條「ダメだよ、保健室に行って手当てしなくては」
仁美「別にいいですわよ」
上條「ダメ、一緒に行こう」
仁美「ええ」
猛「お、おい待てよ、志筑……何がどうなってるんだよ一体……」
生徒「決闘。決闘見滝原中学です」
生徒「志筑のやつがさあ、美樹のボーイフレンドを取っちゃったんだよ」
生徒「女の嫉妬って、見苦しいよな~」
生徒「上條も上條だよ、ころっと裏切っちゃってさ~」
生徒「それが女心よ。
上條くんはファッショナブルだし、バイオリニストだし。
私だってああいう人が現れたら、喜んで靡いちゃう。ねえみんな」
生徒「そうよそうよ」
生徒「あーあー、女は怖いなー」
生徒「もう行こうぜ!」
生徒「いこいこー」
猛「…………」
まどか「大丈夫かなあ、さやかちゃん……」
ほむら「さあね。私ももう行くわ。今日は日直だから」
まどか「あ、うん……」
猛「上條、上條……
あんな生徒うちの学校にいたかなあ……」
猛「…………」ペラリペラリ
猛「かみじょう、かみじょう……」ペラリペラリ
猛「あった、この生徒だ!」
猛「バイオリンで数々の賞を受賞……
天才バイオリニスト……ふうむ」
猛「何、事故で最近まで入院してたのか。
どうりで見覚えがなかったはずだな」
京子「あっ、その生徒さん……」
猛「京子先生、どうしたんですか?」
京子「その子、バイオリンがすごく上手な子でしょ?
でも事故で指が動かなくなっちゃったんですって」
猛「そうなんですか?」
京子「ええ、それで二度と動かないかもって言われてて、
回復は絶望的だったけど、見事に回復したって。
まるで奇跡か魔法でもあったみたいだって、
噂されてるのを聞いたことがあるわ」
猛「奇跡……魔法? まさか.……」
まどか「さやかちゃん、大丈夫?」
さやか「いっつつ……腰めっちゃ打った……」
まどか「保健室行かなくていい?」
さやか「バカ、保健室行ったら仁美たちと会っちゃうじゃん」
まどか「でもそんな傷だらけの体じゃ……」
さやか「大丈夫だよ、私の魔法は癒しの特性があるんだって。
こんなケガぐらいすぐなんともなくなるよ」
まどか「…………」
さやか「魔女とも戦わなきゃいけないし、
こんなことでへたばってられますかっての」
まどか「……あのさ、さやかちゃん」
さやか「何?」
まどか「魔法少女になって、怖くない?」
さやか「……そりゃ、ちょっとは怖いけど。でも、私は後悔なんかしてないよ。
見滝原の平和はこの魔法少女さやかちゃんが守りまくっちゃいますよー、なんてね」
まどか「さやかちゃん……」
まどか「ウルトラマン……か」
さやか「私やっぱりウルトラマンは私達の味方だと思う。
なんかそんな気がするんだ」
まどか「……」
さやか「そしてウルトラマンと一緒に戦えば、
どんな強敵にも立ち向かっていける……とも思うんだよね。
私はもう、戦うしかないからさ……」
まどか「さやかちゃん……」
さやか「そうだよ、戦うしかないんだよ……
だから……もう……
恭介のことは……」
まどか「……」
さやか「……」
キーンコーンカーンコーン
まどか「あっ、じゅ、授業始まっちゃう!
いこっ、さやかちゃん!」
さやか「うん……」
猛(奇跡的に完治した上條恭介の指……)
猛(明らかに魔法の力が働いたとしか思えない)
猛(やはりインキュベーターに願いを叶えてもらった者がいるんだ)
猛(そう、それは間違いなく美樹……)
猛(上條に思いを寄せていた美樹が)
猛(願いと引換に魔法少女になってしまったんだ!)
猛(その希望が絶望を生み出すとも知らないで……)
猛(くそっ、どうすれば……)
ほむら「先生」
猛「暁美!どうした」
ほむら「ちょっときてください」
猛「……」
お前は何者なんだ?」
ほむら「……」
猛「……お前は何を知っているんだ?
先生のことを……どこまで知ってる?」
ほむら「矢的先生、あなたがウルトラマンね」
猛「! なぜ、それを……」
ほむら「分かるわ、他の人には分からなくても。
ウルトラマンとともに戦ってきた私には……」
猛「どういうことだ、暁美……」
ほむら「今はそんなことはどうでもいいことよ。
それより美樹さやかが魔法少女になったことについては知ってる?」
猛「あ、ああ……やはり美樹が上條恭介の指を」
ほむら「ええ。私達の警告を無視して
美樹さやかはインキュベーターと契約を交わした」
猛「やはりそうだったのか……
僕がもっと、しっかりあいつらを見守ってやっていれば……」
ほむら「そのことについて今さら後悔しても遅いわ。
問題はこれから先のこと」
ほむら「ええ。彼女は上條恭介を救うべく契約した。
でも上條恭介の気持ちは美樹さやかではなく……」
猛「志筑に向いてしまった……」
ほむら「そうよ。このままではどうなるか、
あなたも理解しているわよね」
猛「ああ……恋が破れたことによる
失意と絶望で……美樹のソウルジェムは」
ほむら「魔女に変わるわ。間違いなくね」
猛「しかし、だからといってどうすれば……!
上條をむりやり美樹とくっつけさせるわけにもいかないだろう!
美樹の恋をどうにかする方法なんて……」
ほむら「しっかりして。あなた、教師でしょう」
猛「!」
ほむら「子供を正しく導くのが教師の役目。
今美樹さやかを魔女堕ちから救えるのは、あなたしかいない」
猛「暁美……」
だからあなたこそが適任」
猛「分かった……先生が、美樹さやかの心を、
きっと救ってみせる!」
ほむら「ええ、頼んだわ。時間がないから急いで」
猛「ああ、待っていてくれ。
それと暁美」
ほむら「何?」
猛「お前はクールな感じだけど、実は友達思いなんだな。
ちょっと見なおしたよ」
ほむら「……別に。さやかが魔女になって
まどかを悲しませたくないだけよ」
猛「それでも立派だよ」
ほむら「……時間がないといったはずよ。早く行って」
猛「ああ。ありがとう、暁美!」
ほむら「…………」
上條「あはははは」
仁美「うふふふふ」
さやか「くそっ、くそっ、うううっ……」
さやか「うっ、うぐっ……なにこれ……」
さやか「う、うううっ……」
猛「美樹っ!」
さやか「せ、先生っ……」
猛「大丈夫か、美樹!」
さやか「先生、先生……助けて……
胸が痛くて、苦しくて……」
猛「それはお前の、心の痛みだ……」
さやか「う、ああ……」
猛「憎しみや悲しみ……マイナスの感情によって
お前の心が悲鳴を上げてるんだ」
さやか「っ……」
愛されなければ、腹が立つ。
でもほんとの愛って、そんなちっぽけなもんなのか?
人のお返しを期待する愛なんて、偽物じゃないかなあ」
さやか「…………」
猛「想う人には想われず!よくあることだぞっ」
さやか「でも……」
猛「先生だってそんなことあったよ」
さやか「先生も?」
猛「ふるさとにいた頃、本当に好きな女の子がいてなあ。
その子のためなら、なんでもしようと思った。
その子、楽器を欲しがってたんだ。
先生、どうしても買ってあげたくてさ。必死になってバイトをした。
だけどなあ、2ヶ月目にやっと手に入れたときには、もう遅かったよ。
その子には、新しい恋人ができてたんだ。
悲しかった。悔しかった。憎かったよ。
だけどなあ、先生そのままプレゼントしたよ。
その楽器が、先生の本当の心を鳴らしてくれると思ったんだ。
それで終わりだ。今はもう懐かしい思い出だ。
なあ美樹、志筑や上條を憎む気持ちが、
お前の本当の気持ちだなんて先生思わないぞ。
今にきっとお前にも分かる」
さやか「分からないよっ!!」
猛「美樹っ!?」
さやか「悔しいんだ――――っ!!!」
猛「美樹ぃぃぃぃぃっ!!」
ゴオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ
ほむら「間に合わなかったのね……」
QB「遅かれ早かれこうなる運命だったんだ。
あの教師が悪かったわけではないよ」
まどか「何、ほむらちゃん、なにがどうなってるの!?」
ほむら「美樹さやかが、魔女になったわ」
まどか「そっ……そんなっ! さやかちゃん!」
さやか「ごめんね、先生」
猛「美樹っ!!」
さやか「あたしってほんとバカ」
猛「……エイッティ!!」ピカーン
: : ``:ヽ.、 V::/´ `Y´`Y´ `Y´ r二 ̄ニi `Y´ `Y´ `Y´ `::/ /: : : : : : : : : : : : : :
: : : : : : : :`ヽ、 _ \、__人__人_人Y=ミr三Y=ヽ.人_人_人__:/ ./: _: : : : : : : : : : : : : :
: : : : : / ̄ ̄: : : `ー\Y´ `Y´ `Y´{{0}{{iO}{{0ノ:::Y´ `Y´ `Y/____∠:-:/: : : : : : : : : : : : : :
: : : : : `ヽ、_: : : : : : : : : : \ 人 ノi:::ヾt`tt'tY:::::::i|、__人__/ : : : : : : : : : : /: : : : : : : : : : : : : : : :
: : : : : : : : : :\: : : : : : : : : : `ヾ<{ |://ヽニノ>‐<ノヽ./ : : : : : : : : : : /: : : : : : : : : : : : : : : : : :
: : : : : : : : : : : : >、 : : : : : : : : : : _Y ̄`ヽ<>'´ }´/: : : : : : _:. - ‐ ´ノ: : : : : : : : : : : : : : : : : :/
: : : : : : : : : : : : ヽ ` ー--─;<´、ヽ_.フフヽ、__.ノヾ、_,:< ´ ,イ: : : : : : : : : : : : : : : : : :<
: : : : : : : : : : : : : : >、 ノl|、・ ヽ._/ / ヽ\ /・人__>、_ / |: : : : : : : : : : : : : : : : : _:>
オクタ「ゴゴゴゴゴゴゴゴ」
80「正気を取り戻せ、美樹!お前は……」
ほむら「加勢するわ、ウルトラマン」タタッ
80「暁美、来てくれたのかっ」
まどか「あ、あああ……あれが、さやかちゃん……?
嘘だよね、そんなの……こんなのって……」
ほむら「残念だけど……これが現実よ……」
まどか「ねえっ、元に戻せないの?
元のさやかちゃんに戻してあげられないの!?」
80「そうだ、何か手はあるはずだ!彼女をもとに戻す方法が」
まどか「きゅうべぇ!」
QB「魔女になった魔法少女が元の姿に戻った事例は存在しない。
もはや魔女になってしまった時点で手遅れなんだよ」
まどか「そ、そんな……」
ほむら「でも、ウルトラマンの力ならあるいは……」
QB「無駄だよ。ウルトラマンは戦うことしかできない。
何かを守ったり、救ったりすることは彼らの力の範疇外なんだよ。
ウルトラマンの力は、魔女を倒すことにしか使われない」
80「っ……」
QB「でも、1つだけ方法がある」
まどか「えっ、本当に!?」
QB「うん、君が僕と契約すればいいのさ」
ほむら「!!」
まどか「私が契約すれば……本当にさやかちゃんは救われるの?」
QB「そうだよ。君がそう願えば、僕は何でも叶えてあげられる」
まどか「分かった、私……魔法少女に……」
ほむら「だめええっ!」ボカッ
まどか「グフゥ……」ガクッ
QB「なかなか強引なことをするね、君は」
ほむら「……まどかには何としても契約させるわけにはいかない。
それに……」
QB「それに?」
ほむら「美樹さやかを倒すところなんて、
この子には見せたくないから……」
80「やはり倒すしかないのか……」
ほむら「ええ……こうなった以上はもうそうするしか」
80「……」
ほむら「それに、戦うための力しかない、
守ることも救うこともできない……それは、
ウルトラマンだけじゃなく魔法少女も同じだから」
80「っ……」
ほむら「動き出したわ。いくわよ」
80「私は……自分の生徒をこの手で
倒さなければならないというのか……」
ほむら「そうよ。今のあなたは教師である以前に
ウルトラマンなのよ」
80「くそうっ……」
ほむら「私が援護するわ。
あなたはすきを見て魔女にサクシウム光線を叩きこんで」
80「あ、ああ……」
オクタ「ウゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ」 三◎ 三◎ ピュー
ほむら「はっ!とう!うらっ!」
80「…………」
ほむら「今よ、撃って」
80「っ……」
ほむら「早く!」
80「私には……できない」
ほむら「そんなこと言ってる場合じゃないでしょう!」
80「しかし……!」
オクタ「ウゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ」 三◎ 三◎ ピュー
ほむら「ぐあっ!」ボカッ
80「暁美っ!」
ほむら「うぐっ……」
80「大丈夫か、暁美……!」
ほむら「早く、倒して……あの魔女を」
80「だが……」
ほむら「あれはもうあなたの生徒じゃない、人類に危機をもたらす存在なのよ!」
80「しかし、あれは……」
マミ「ティロ・フィナーレ!」ドーン
オクタ「グオオオオオオオオオオオオ」ドターン
ほむら「巴マミ!」
ほむら「え、ええ……」
80「…………」
マミ「暁美さん、あなたもたいしたことないわね……
こんな魔女に手こずっちゃって」
ほむら「巴マミ……この魔女はあなたに任せるわ」
マミ「ええ、引き受けたわ!」
オクタ「ウゴゴゴゴ……」
80「くそっ……やっぱりこうするしかないのか……」
マミ「ウルトラマンさんも何へたばってるの?
早く一緒に攻撃してちょうだい」
80「あ……ああ……わかった……」
マミ「ティロ・フィナーレ!」
80「……バックルビーム!」
オクタ「ウ、ゴゴオオオオオオ…………」ボカーン
ほむら「……」
マミ「ええ」
まどか「……」
マミ「ところで、美樹さんがいないようだけど。サボりかしら」
ほむら「いたわ」
マミ「え、どこに?」
ほむら「あなたと戦ってたじゃない」
マミ「えっ?」
QB「今君達が倒した魔女は、美樹さやかが魔女になったものなんだよ」
マミ「えっ………・えっ!?」
ほむら「そういうことよ、巴マミ」
マミ「そんな……」
ほむら「グリーフシード……あなたにあげるわ。それじゃ」
マミ「…………」
魔女になってしまったとはいえ自分の生徒を撃ってしまった矢的猛。
そのことに罪の意識を感じ、彼は学校に来なくなってしまったのだった。
QB『君の祈りのために、魂を懸けられるかい?』
QB『戦いのさだめを受け入れてまで叶えたい望みがあるならば』
QB『僕が力になってあげるよ』
QB『さあ聞かせてごらん』
QB『君はどんな祈りでソウルジェムを輝かせるのかい?』
ほむら『私、鹿目さんとの出会いをやり直したい』
ほむら『彼女に守られる私じゃなくて彼女を守る私になりたい』
QB『契約は成立だ』
QB『さあ、解き放ってごらん』
QB『新しい力を……』
ほむら「はいっ、よろしくお願いします!」
まどか「ほむらちゃんの能力は、時間停止なんだよね」
マミ「時間停止能力……ねえ。
具体的にはどういう感じなのかしら?」
ほむら「えっと……あっ、じゃあのドラム缶を見ててください」
マミ「ええ」
ほむら「……」カチッ
まどか「あっ、すごい!べっこべこになってる!」
ほむら「はあ、はあ、はあ、はあ……」
マミ「すごいけど、そんなに息切らして……大丈夫?」
ほむら「ずみまぜん……虚弱体質で……ぜえはあ」
まどか「これだと魔女と戦うのは……ちょっときついかな……」
ほむら「えっ……」
マミ「そうね……私達と一緒に戦うのは、まず体を鍛えてからね」
ほむら「そ、そんな……」
ほむら「せっかく鹿目さんと一緒に戦えると思って」
ほむら「鹿目さんを守れる私になれたと思ったのに……」
ほむら「魔法少女になっても……」
ほむら「私は無力なままなの……?」
ほむら「そんなの……」グスッ
ダン「その顔はなんだ」
ほむら「!!」ビクッ
ダン「その目はなんだ、その涙はなんだ!!!」
ほむら「えっ、ええっ!?」
ダン「お前のその涙で、鹿目まどかを救えるか!!」
ほむら「誰ですか貴方は……」
ダン「私の名前か。そうだな、モロボシダンとでもしておこうか!」
ほむら「は、はあ……」
ほむら「えっ……」
ダン「お前は新米の魔法少女だそうだな」
ほむら「し、知ってるんですか、魔法少女のことを……」
ダン「ああ、知っている。俺も変身して魔女と戦っていた男だ」
ほむら「そ、そうだったんですか……
やっぱりきゅうべぇと契約して……?」
ダン「いや、俺は違う。奴は思春期の少女を自分の捨て駒にすべく
魔法少女を生み出し続けている悪魔のような存在だ!」
ほむら「ええっ!?」
ダン「いや……今はそんなことはどうでもいい」
ほむら「えっ、すごく気になるんですけど……
どういうことなんですか? きゅうべぇが悪魔って……」
ダン「いずれお前も身をもって実感する時が来る!
それより今、お前がなすべきことはただひとつ!違うか!」
ほむら「体を鍛えること……」
ダン「そうだ!」
体が弱くては満足に戦うこともできない!」
ほむら「はい!」
ダン「体を鍛えるには特訓あるのみだ!いいな!」
ほむら「はい、ダンさん!」
ダン「俺のことは親父と呼べ!」
ほむら「はい親父!」
ダン「良い返事だ! よし、まずは腕立てからやるぞ!
いっちに! いっちに!」
ほむら「いっち……に……いっち……も、もうだめ……」ガクッ
ダン「なんだなんだその腕立ては!
そんなこともできないのかお前は!」
ほむら「だ、だって……今までずっと入院してて運動なんて全然……」
ダン「弱音を吐くんじゃない!
まったく……貴様は体を鍛える前に
性根から叩き直さないといけないようだな」
ほむら「え、えええっ……」
ダン「こいっ!」
ダン「見たことがないか。ジープだ」
ほむら「これでドライブでもするんですか?」
ダン「バカヤロー!」
ほむら「ひいっ!」
ダン「俺は言ったはずだ。お前の性根を叩き直すと」
ほむら「ジープに乗ってどうするんですか?」
ダン「お前はそこに立っていろ」
ほむら「どうしてエンジンを掛けるんですか?」
ダン「行くぞ、逃げるなよ!」ブロロロロロ
ほむら「ど、どうして私に向かって……ひいいい!」
ダン「逃げるなあああっ!」ブロロロロロロ
ほむら「や、やめてくださいいいっ!いやあああ!」
ダン「逃げるなっ、ぶつかってこい!!」ブロロロロロロロ
ほむら「ひいいい!」
ダン「バカヤロー!逃げるなと言ってるだろう!」ブロロロロロロ
ほむら「だからってこんなっ……むちゃくちゃな」
ダン「真夏竜はスタント無しで撮影したんだぞ!」ブロロロロロロロ
ほむら「何の話ですか!?」
ダン「逃げるな、車に向かってこいっ!」ブロロロロロロ
ほむら「いやあああ!」
ダン「今のままではお前はいつまでも弱いままだぞ!それでいいのか!」ブロロロロロロロロ
ほむら「うっ、そっ、それはああ……」
ダン「こいっ、暁美ほむら!」ブロロロロロロ
ほむら「はっ、はいいいっ!」
ダン「逃げるんじゃないぞっ!」ブロロロロ
ほむら「はいぃ…………ぎゃーっ!」ドカッ
ダン「よくやった……よく逃げなかったな、暁美ほむら……」キッ
ほむら「まさか本当にぶつかってくるとは……痛い……」
ほむら「あっ、魔法を使えば……」
ダン「そうだ。お前の時間停止能力を使えば、いつだって逃げられた。
だがお前は向かってきた!俺のジープに!」
ほむら「……」
ダン「お前は体は弱いが……心は強くなった。人一倍な」
ほむら「親父…………」
ダン「さあ、特訓を再開するぞ。今度はお前の体を鍛えあげてやる」
ほむら「はいっ、体を鍛えて……親父とも一緒に戦いたいです」
ダン「すまないが、俺はもう戦うことはできない……変身能力は失われている」
ほむら「そ、そうなんですか?」
ダン「だから俺が持っている全てをお前に叩きこむ!
戦えない俺のぶんまで戦ってもらう!いいな!」
ほむら「はいっ!」
ダン「あそこに沈む夕陽が私なら……
明日の朝日は、暁美ほむら、お前だ!」
ほむら「はいっ!(感涙)」
――――
――――――
まどか「うっ……うあああっ……」
ほむら「鹿目さんっ、しっかりして!どうしちゃったのっ!」
まどか「うあっ……ほむらちゃん……逃げ……」
ほむら「どうして、こんな……ワルプルギスの夜倒したのに……!」
まどか「うっ、ううっ、うああああああああっ!!」グバアアアアア
ほむら「こっ、これは……魔女……!?」
ダン「そうだ!」
ほむら「親父、どうしてこんなところに……!
あっそれより鹿目さんがっ……」
ダン「そう、それこそが魔法少女の真実だ!」
ほむら「えっ!?」
ダン「力を使い果たした魔法少女は……魔女へと変わり果てる」
ほむら「そん……な……」
どうして教えてくれなかったんですか……?」
ダン「この絶望をお前が味わう必要があったからだ!」
ほむら「どうして……」
ダン「鹿目まどかを救うこと……
お前が成し遂げようとしているのは果てしなく長い道のりだ……
生半可な覚悟だけでは到底達成することなどできん!」
ほむら「……」
ダン「だが今お前は絶望を知った!
その絶望が、お前の意志と、決意と、覚悟を!
さらに強固なものへと変えたはずだ!」
ほむら「っ……」
ダン「行けっ、暁美ほむら!
お前は生き続けなければならん!
インキュベーターの策略から、鹿目まどかを救うんだ!」
ほむら「はいっ!」
ダン「鹿目まどかの最期は俺が見届ける!早く行けっ!
お前の命は、お前一人のものではないことを忘れるな!行けーっ!」
カチッ
キュルルルウルルルルル
何度でも、何度でも。
まどかを救う、ただそれだけのために……
ワルプルギス「アーハハハハハアーハハハハハ」
まどか「…………………」
ほむら「まただ……また救えなかった」
郷秀樹「僕ももう戦う力は残っていない……
君は時間を遡行できるんだろう。ならば過去に飛んで……
全てをやり直すんだ……
ワルプルギスを倒すため……そして君の友を救うために」
ほむら「ほんとに……救えるのかな……私……
親父、まどか、ごめんなさい……私もう自信ないよ……」
秀樹「自信がない、か……じゃあこれを君に託そう……
君が自分自身の運命に負けそうになった時、思い出してくれ」
ほむら「これは……?」
秀樹「……ウルトラ5つの誓いだ……
ウルトラマンと、人間との、繋がりの証だよ」
ほむら「ありがとう、郷さん……いえ、ウルトラマンジャック……」
カチッ
キュルルルウルルルルル
まどか「優しそうな先生だね~」
さやか「なんか変な指輪つけてるね」
ほむら(この人がこの時間でのウルトラマン……)
北斗「早速だがみんなは魔女というものを知っているか?」
生徒「は?魔女?」「魔女って漫画に出てくる魔女?」「おジャ魔女どれみ?」
北斗「魔女はこの世界のあちこちに潜んで君達を狙ってるんだ!
君達の心の隙間に漬け込んで、悪さをしたり人を苦しめたり……」
生徒「何言ってんの」「バカジャネーノ」「頭おかしいんですか?」
北斗「おい、もしかして信じてないのか?本当なんだ、本当に魔女はいるんだ!
なんで信じてくれないんだよ、おい!なあ!」
生徒「この先生やべー」「狂ってるよ」「こえー」
北斗「俺は一つも嘘は言ってない!魔女はほんとうにいるんだ!いるんだよ!信じてくれ!」
まどか「あ、あはは……」
ほむら(このウルトラマンはダメね……)
カチッ
キュルルルウルルルルル
ウルトラマンタロウの強力があれば、
きっとワルプルギスの夜にも余裕で勝てるはず……)
マミ「きたわ。あれがワルプルギスね」
さやか「この街は私達が守るんだよ。いいね」
杏子「分かってる。頼りにしてるぜ、ウルトラマンタロウさん」
東光太郎「ウルトラマンの力に依存してはいけない」
ほむら「は?」
光太郎「君達は心のどこかで、タロウに助けて欲しいと思ってたんだ。
タロウのことを忘れて、自分の力だけで戦おうとするのは、大変なことだ。
だが、そんな苦労を君たちだけにさせない。
僕も、ひとりの人間として生きてみせる。僕はウルトラバッジをもう、頼りにはしない!」
ほむら「ちょっと?」
光太郎「魔法少女達、よく見ておくんだ!
人間には知恵と勇気があることをーっ!」ダダダッ
杏子「生身のままで行っちまったけど、いいのか?」
ほむら「…………」
カチッ
キュルルルウルルルルル
魔法少女3人が倒されてしまうなんて……
それにまどかまで犠牲に……」
おゝとりゲン「円盤魔女シルバーブルーメ……なんて恐ろしい敵だ」
QB「シルバーブルーメだけじゃない。
円盤魔女はこれからも続々と飛来するだろうね」
ほむら「そんな……」
ゲン「君は行け。自分の戦場へ」
ほむら「でも貴方は……」
ゲン「俺はこの世界で戦い続ける!
俺のこの身に変えてでも、地球と人類を守ってみせる!」
ほむら「…………」
カチッ
キュルルルウルルルルル
私はやり直す。
たくさんの出会いをなかったことにして。
何度でも、何度でも、何度でも、何度でも。
まどかを救う、ただそれだけのために……
相変わらずのトラウマっぷりですシルバーブルーメさん
猛「そうか……君は同じ時間を何度もやり直していたんだな……
だから全てを知っていたわけだ」
ほむら「ええ」
猛「強いな、君は……
僕は生徒一人を失ってしまっただけで
こんなにも悲しいというのに……」
ほむら「ウルトラマンは、決して神ではない。
どんなに頑張ろうとも、救えない命があれば、届かない思いもある……
他のウルトラマンが言っていた言葉よ」
猛「…………」
ほむら「だからこそ、大切なのは、最後まで諦めないことなのよ」
猛「諦めないこと……」
ほむら「あなたは確かに生徒を救えなかったけれど。
だからといっていつまでもうじうじしていてはいけないわ。
これからはもう誰も死なせない……そういう気持ちが大事なのよ」
猛「……」
ほむら「あなたならそれが出来るわ。なんたってウルトラマンなんだもの」
猛「暁美……」
もう一度戦いましょう」
猛「ああ、ありがとう……暁美。
……ははは、教師なのに生徒に励まされてしまったな……」
ほむら「私は他のウルトラマンたちから愛と勇気を教えてもらった。
そのお返しをしたまでよ」
猛「そうか。じゃあ僕も……ウルトラマンとして最後まで戦うことで
みんなに愛と勇気を教えることにしようか」
ほむら「その意気よ、先生」
猛「ああ」
ほむら「ワルプルギスの夜はもうすぐそこまで迫ってる……
ここが正念場よ」
猛「ワルプルギスを倒して、この街を守る」
ほむら「まどかを救ってみせる、今度こそ……」
暁美ほむらに励まされて再び立ち上がった矢的猛。
しかし彼の前に立ちはだかるのはワルプルギスの夜という恐るべき強敵である。
はたして矢的猛の運命やいかに。
ワルプルギスの夜・襲来当日。
ほむら「ワルプル迎撃のために有能な魔法少女を連れてきたわ」
杏子「よろしく」ムシャムシャ
マミ「戦力が増えるのは心強いわ」
杏子「まあどんだけ強いやつかは知らねえけど、
魔法少女が4人もいりゃあ勝てるだろ」
マミ「4人?」
杏子「え?私と、こいつと、あんたと、そっちので4人だろ」
まどか「あ、私は違うの……ごめんね」
杏子「ああん?なんで魔法少女じゃないやつがここにいんだよ」
まどか「応援したくって……」
杏子「ちっ……しょうがねえな……
そういやここにはウルトラマンってのもいるんだって?」
ほむら「ええ、もうすぐ……あっ、来たわ」
猛「おーい、みんな~」タタタッ
猛「すまない、遅れてしまって。テストの採点があって」
ほむら「いえ、別に大丈夫よ」
杏子「なんだこのオッサン」
まどか「先生、なにしてるんですか?」
猛「鹿目……まずお前に謝らせて欲しい」
まどか「え?」
猛「すまん!美樹を……
お前の友達を、救ってやることができなくて……ほんとにすまん!」
まどか「先生、そんなに自分を責めないでください……
さやかちゃんを救えなかったのは私も同じですから……
それにほむらちゃんや、マミさんだってそうです」
マミ「えっうん」
猛「鹿目……許してくれるか、こんな先生を……」
まどか「はいっ」
杏子「ん?おいオッサン、なんか落としたぞ」
杏子「ブライトスティック?」
猛「ウルトラマン80に変身するための道具だよ」
まどか「えっ!?」
杏子「じゃあ、あんたが……」
マミ「ウルトラマン……」
猛「そうだ。すまなかったな、今まで隠していて」
まどか「いえ……でも、なんとなくそんな気はしてました」
猛「そうか。女の子は勘が鋭いな」
マミ「ウルトラマン先生……」
猛「はは、なんだそりゃ」
杏子「おい、そろそろ和やかムードも終わりにしろよ」
ほむら「風が騒がしくなってきたわ」
マミ「ついに来るのね……」
猛「ワルプルギスの夜……」
ノ \ ヽ ヽ. Vヘl三ヽ,ィ<≡=-‐''" ̄ ゙̄'''7' ´
く ヽ l \:.... l ll{/'´ /
\ \ l_ヘ へ ::::mnv'、 ,.イ
` -( `ヾ ∧ 〉}メ{{:::::::........ _ . -=''"´
 ̄、 \ /,}刈l´  ̄ ̄ ´ _
`丶、 丶_ _ム}},'}{ l /´  ̄ヽ
`ー- ニ二{゙==={―――-----‐=--― }
__〕 ,-‐'==‐- ....,,__〃 ̄ヾ}ー--=/
/ -=、ヽ `  ̄´ヘニ _ノ´
_.。ャぁリゝ、__...イ
O ̄ ̄ ̄ ̄\ ∧
ヽ∧
ワルプル「アーハハハハハハ、アーハハハハハアハアハアハ」
マミ「あいつがワルプルギスの夜!?」
ほむら「いくわよ。事前に打ち合わせた作戦通りに」
杏子「おうよ」
マミ「がってん」
まどか「頑張って、みんな……先生も」
猛「ああ、ありがとう……
美樹のぶんも、先生が戦ってみせる!
エイッティ!」
ワルプル「アーハハハハハハハハハ、アーハハハハハハハ」
ほむら「くそっ、なんて強い……」
80「我々が束になってもかなわないなんて……」ピコンピコン
まどか「マミさん、目を覚ましてください!杏子ちゃんもっ」
マミ「…………………」
杏子「…………………」
QB「魔法少女は二人死に、そしてウルトラマンもすぐに変身が解ける……
もはや君達に勝ち目はないよ」
ほむら「どうして、こんなに強くなかったはず……!」
QB「知らなかったのかい?ワルプルギスの夜は地球外から飛来したんだ」
ほむら「えっ?」
QB「海王星、天王星、土星、木星、火星でウルトラ兄弟と交戦。
そして勝利しているんだ。
そのウルトラ兄弟の力を吸収して強くなっていくんだよ。
君が何度も時間をやり直すたびに太陽系のウルトラ兄弟が増えていってたんだ」
ほむら「そんな……じゃあ……」
すべては君の自業自得というわけさ……」
ほむら「そん……な……」ガクッ
猛「暁美、しっかりしろ!」
ほむら「でも……全部私のせいだったなんて……」
猛「諦めちゃダメだ!まだ勝機は……」
ほむら「勝機なんてもうないじゃない……!
先生だってもう変身が解けてるんだし……もう終わりよ……」
猛「暁美っ……!」
ほむら「また時間をやり直しても無駄……
ワルプルギスの夜はもっと強くなって帰ってくる……もうどん詰まりなのよ」
猛「諦めるなっ!」
ほむら「!!」
猛「お前の覚悟はそんなものだったのか?
何が何でも、鹿目を救い出すんじゃなかったのか!?」
まどか「えっ……私?」
猛「そうだ!暁美はお前を助けるために、
何度も時間をやり直して戦ってきたんだ」
ほむら「ええ……何度も時間を巻き戻して……
たくさんのウルトラマンと協力して……
でもあなたを救うことができなかった……」
まどか「…………」
ほむら「あなたを救うこともできない……
ウルトラマンたちの思いも無駄にしてしまう……
私たち魔法少女は結局……
戦って、絶望して、死ぬ運命しかなかったのよ」
猛「そんなことはない。
魔法少女だって、ウルトラマンだって、戦うだけじゃない。
諦めなければ、なんだって救える、守れるはずだ!」
まどか「先生の言うとおりだよ、ほむらちゃん」
ほむら「まどか……」
まどか「私、ずっとほむらちゃんの戦いを見てきた。
先生が戦う姿も目に焼きついてる。
ほむらちゃんも先生も、何かを守るために戦ってきたってこと、私は知ってるよ。
救えなかったっていうのは、ただの結果でしかない。
救うために頑張ってる。それで充分なんだよ」
ほむら「……」
まどか「きゅうべぇ、私、願いごと決まったよ」
まどか「うん」
ほむら「ダメよ、まどか!
契約しちゃ……魔法少女になっちゃ駄目っ!」
猛「そうだぞ、鹿目……
ワルプルギスの夜は先生たちが倒す、だから……!」
まどか「先生たちは、休んでいてください。
ほむらちゃん、今まで私のために頑張ってくれてありがとう。
今度は私がほむらちゃんのために戦うね」
ほむら「ダメっ、そんなこと、私は望んでない……」
猛「やめるんだ、鹿目っ……うぐっ、傷が……」ガクリ
QB「さあ、早く聞かせておくれよ。君の願いごとはなんだい?
君ほどの魔力の素質があれば、君が望むものは
なんでも叶えてあげられるよ……」
まどか「私は……」
ほむら「やめてっ、まどかっ!」
まどか「……私は、ウルトラマンになりたい」
QB「えっ?」
ほむらちゃんに勇気を与えてくれたウルトラマンに、私はなりたい。
ウルトラマンになって、誰かを守るために、戦いたい」
ほむら「…………」
QB「何を言っているんだ……魔法少女になるための願いごとなのに……
ウルトラマンになりたいだなんて……!」
ほむら「まどか……ウルトラマンになりたいって、どういうことなの!?」
まどか「恩返しだよ。
今まで私を守ってくれていた全ての人への。
今度は私がウルトラマンになって、みんなを守る。
ウルトラマンになって、ほむらちゃんに勇気をあげたい。
ウルトラマンになって、先生と同じように戦いたい。
ウルトラマンになって、全宇宙のあらゆる人達を救いたい。
これが私の願いだよ、きゅうべぇ」
QB「っ……」
まどか「さあ早く……叶えてよっ!」
「ユリアーン!」
ほむら「まどか……」
猛「…………」
QB「取り返しの付かない願いを叶えてしまった気がするよ」
ユリアン「先生、私のエネルギーを分けてあげます!」シュビビビビビ
猛「あ、ありがとう、鹿目……いや、ユリアン!」
ユリアン「一緒に戦いましょう!」
猛「ああ……エイッティ!!」ピカーン
ほむら「まどかっ!」
ユリアン「ほむらちゃんはそこで見てて!私の戦いを!」
ほむら「えっ、ええ……」
80「いくぞ、ユリアン!」
ユリアン「はい、先生!」
ほむら「どうしてこうなった……」
QB「こっちの台詞だよ」
80「デヤアアアアアア」
ワルプル「キャアアアアアアアアアアアアアアアア」
ほむら「すごい……ワルプルギスの夜を圧倒してる……」
QB「そんな馬鹿な。最強クラスの魔女なのに」
ほむら「このままいけば、本当に勝てるんじゃ……」
ダン「いや。勝てないな」
ほむら「親父!?なんでこんなところに……」
ダン「いい面構えになったな、ほむら」
ほむら「それより、勝てないってどういうことですか?」
秀樹「ワルプルギスを倒すために決定的に足りないものがある」
ほむら「そ、それは?」
北斗「君の力だ……あの二人に君の力が加われば、
あの恐るべき魔女を完全に倒すことが出来るだろう」
ほむら「私の力……」
馬鹿正直に見てるだけなんてことはないよな?」
ほむら「でも、私もワルプルギスの攻撃でダメージを受けすぎて、
戦うための余力は……」
ゲン「それなら大丈夫だ。ゾフィー兄さんにいいものを持ってきてもらった」
ほむら「いいもの?」
サコミズ「これを君に授けよう。メテオール『マジカルコンバーター』だ」
ほむら「これは……」
サコミズ「我々が開発した、魔法少女のためのアイテムだ。
体内の魔力を増幅・変換することでダメージを回復することができる」
ほむら「ありがとうございます、ゾフィーさん」
サコミズ「さっそく使ってみてくれ」
ほむら「…………すごい……全身の傷が治ってく」
サコミズ「これで戦えるな。君の大切な友と一緒に」
ほむら「はい」
サコミズ「魔法少女、サリー・ゴー!」
ほむら「GIG!」バビューン
ユリアン「ほむらちゃん!?」
ほむら「私も一緒に戦うわ!」
80「体は大丈夫なのか?」
ほむら「ええ、ウルトラ兄弟たちのおかげで」
ユリアン「そっか、じゃあ一緒にワルプルギスの夜を倒そう!」
ほむら「ええ!」
ほむら(そうだ、私は……
まどかを救うのは勿論だけど……
こうやって一緒に戦うことを……
一番夢見ていたのかも知れない……)
ワルプル「アーハアハアハアハアハアハアハアアアハハハハハ」
80「よし、3人合体攻撃だ!一気に止めを刺すぞ!」
ユリアン「はい!」
ほむら「今度こそ倒す……ワルプルギスの夜を!」
80「行くぞ!」
80「必殺!」
80・ユリアン・ほむら「トリプル・パワー!」
説明しよう
トリプル・パワーとはダブル・パワーの強化版である
ウルトラマン8049話に登場した怪獣・プラズマとマイナズマ
この二体の怪獣はたいへん強力でサクシウム光線も効果はなく
合体・分離を繰り返してタッグ攻撃で80を追い詰め
無敗記録を打ち立てていた80を敗北寸前に追い込んだ
そこに助けに入ったユリアンが80を救い
80とユリアンが合体して使った技がダブル・パワーであった
プラズマとマイナズマを粉砕したこの強力な技に
僕らの暁美ほむらが加われば最強なのは確定的に明らかである
80・ユリアン・ほむら「うおおおおおおおおおお!!!」
ワルプル「ウギャアアアアアアアアアアアアアア!」
QB「ありえない……ワルプルギスを粉々にするなんて」
ハヤタ「お前の負けだ、インキュベーター。
最強の魔女を用意して鹿目まどかを契約に持ち込ませる算段だったようだが、
みごとに失敗してしまったな」
QB「やれやれ……これだからウルトラの一族は厄介なんだ」
――――
――――――
魔法少女とウルトラマンの活躍によって
最強の魔女は打ち破られた
ワルプルギスの夜が倒されたことで
見滝原に迫っていた大災害は消滅、街は救われた
そしてきゅうべぇ……インキュベーターも
ほむらたちの前から姿を消したのであった
ほむら「行ってしまうのね、まどか。そして先生も」
ユリアン「うん。私はこの力を役立てたいんだ。
宇宙には困ってる人がたくさんいると思うの。
私はそういう人を救ってあげたいんだ」
80「今までありがとう、暁美。
お前がいたから、私は最後まで戦い抜けた」
ほむら「それは私も同じです、先生」
元スレ
まどか「ウルトラマン先生」
社会生活VIPツールにより生成されました。
Entry ⇒ 2011.12.25 | Category ⇒ まどかマギカSS | Comments (0) | Trackbacks (0)
男「今年も」友「一緒か」
友「そりゃこっちのセリフだ」
男「街中はカップルていっぱいなのに」
友「俺たちは狭い部屋でクリスマスパーティー」
友・男「はぁ…」
友・男「(今年こそ言えるかな…)」
友「(家も近いからか家族ぐるみでよく遊んだりもしてる)」
男「(小中高一緒で、クラスも部活も一緒)」
友「(ついでに学力も一緒)」
男「(友の方か身長かちょっと高い…お、俺はまだ成長期かきてないだけだ!)」
友「(男は俺より少し背か低いけど、筋肉の付き方がしっかりしてる…男らしい身体て羨ましい)」
友「(男を意識するようになったのは)」
男「(友を見る度に顔がにやける)」
友「(一緒にいるだけで嬉しくなる)」
男「(友が笑えば)」
友「(俺も笑う)」
男「(友が悩んでると)」
友「(俺も悩む)」
そして思い知る
あぁ、あいつが好きなんだって…
そして そんな想いが勿論打ち明けられるほど、俺たちの心臓メンタルは強くないわけで
こうして6回目のクリスマス
未だに告白できないでいる
男「…こんなに近くにいるのに」ボソッ
友「…心遠ず…か…」ボソッ
男・友「え?」
男・友「い、いや、何でもない」
友「お、お前こそなんかボソッって呟いてただろ!」
男「俺のはあれだよ。ため息だよ」
友「あんなゴモゴモしたため息あるかぃ!」
男「俺のため息はこーなの!」
友「そーですかぃ」
こんな些細なやり取りも
幸せな時間に思えてきてしまう
顔のにやけを抑えるのに必死だ。そのうち顔面が筋肉痛になってしまうのではないかちょっと心配
\ l ,ッィrj,rf'"'"'" lミ::::::: く れ モ ま
Y ,!ミ::::::: ヽ な 以 な
`ヽ、 | くミ:::::::: ノ い 外 い
|、__ ャー--_ニゞ `i::::,rく か は
``''ー- ゝ、'l  ゙̄´彑,ヾ }::;! ,ヘ.) ! 帰
゙ソ """"´` 〉 L_ っ
/ i , /| て r
≡=- 〈´ ,,.._ i 't-'゙ | ,へ ,r┘
,、yx=''" `ー{゙ _, -、 ; l レ' ヽr、⌒ヽ'
゙、`--─゙ /! `、
_,,、- ゙、 ー'' / ; `、
-''"_,,、-''" ゙、 /;;' ,' / 、\
-''" / `ー─''ぐ;;;;' ,' ノ
// / ヾ_、=ニ゙
男「今年はクリスマスケーキ頼んでねーぞ」
友「え?いつもお前さんとこの母様頼んでたじゃん。ほらあそこの美味しいケーキ屋で」
男「だって今年母ちゃんたちいないもん」
友「え!?」
男「じいちゃんの病院でそれどころじゃないんだとさ…」ドサッ
友「た…大変なんだな…お前んとこ」
男「なぁに謝ってんだよ、お前の母ちゃん忙しいのは俺らがよく知ってっから。だから毎年一緒にクリスマス過ごしてるんだろ?」
友「男ぉ…」
男「…!べ、別に男同士で過ごすのがいいとか思ってないからなホモじゃあるまいし!」
友「うっ…そうだよな、これじゃなんかホモみたいだよな俺たち」ズキッ
男「そ、そーだよ…」ズキッ
友・男「(やっぱはっきり言われるとキツイな…)」
友「(やっぱ男はホモじゃないよな…エロい話したりするし、女子とも仲良いし…こうしてホモ否定するくらいだし)」
男・友「はぁ…」
お互いに聞こえないよう、見えないようにまたため息
相思相愛…だけれど、勘違いが故に結ばれぬ6年目の恋
第三者から見たらもどかしいことこの上ないだろう
友「え、まさか作んの?」
男「お前クリスマスはケーキがないと始まらないだろ。大丈夫だよスポンジ買って生クリームを作って塗って、イチゴ飾る簡単な作業だから」
友「あ~それなら短時間でできそう」
男「イチゴは冷蔵庫にあるし、生クリームとスポンジ買いにいくべ」
友「ち、ちょっと待ってて、家から財布とってくる」ダダダッ
男「おぅ」
男「(周りは家族ぐるみか…さすがにスーパーでカップルはいないよなぁ)」スタスタ
友「(よかった…これなら男二人でも別に違和感ないよ…なぁ?)」キコキコ
男「え~っとぉスポンジスポンジのあるコーナーはどこかしら~…っと見っけ」
友「2つくらいで十分かな?」
男「俺たち二人だけだからなぁ」ガサッ
男「後は生クリームだけか」
友「なんか早い買い物だな」
男「なに、何か欲しいものあんの?」
友『男』
友「…特にないっす」
男「じゃあ会計いくべ」スタスタ
友「おいっす」キコキコ
男「俺が持つよ」
友「いいよ俺か持つって」
男「ん~…なら二人で持とうか?」
友「え?」
男「じょ、冗談だよ冗談!ほら貸せって」
友「あっ…(冗談か…)」
男「(あ~何キモい発言してんだよ、嫌われちゃうキモがられちゃう普通分かるだろ馬鹿馬鹿馬鹿ぁ!)」
男「ただいま~」
友「お邪魔しま~す」
男「じゃあちょっと早いけど早速作っか」
友「え、早くね?」
男「夕飯時にあっちもこっちもじゃヤダろ?先に作って廊下なりなんなりで冷やしておけばいいさ」
友「あ~なるほど」
男「じゃ早速スポンジを取りだして…ほい」ガサガサ
友「?」
男「さっき俺が荷物持ったんだから生クリームはお前が作れ」
友「え~面倒くさっ」
男「なんでもチャレンジすることか大切なのだよワトソンくん。いいからやれって俺イチゴ洗うから」
友「割にあってな…いいよやるよ…」ガシャッ
友「この機械でかき混ぜればいいんだよねー?」
男「そうそう」
友「よいしょ…ポチっとな…おお混ざる混ざる」ウィィィ
男「いい感じに泡たつよう空気いれながらしっかりやれよー」
男「うおっ!!てめえ飛ばしてくんなよ勿体ねえな~」
友「ご、ごめんごめん…あっ男男こっち向いて」
男「あん?」
友「よっ」スゥ…
男「!?」
友「へへ、生クリーム付いてたよー」ペロッ
男「!?馬鹿!!キモいことしてないでもっとかき混ぜろよ」プイッ
友「お、おうそうっすね」
男「~(いきなり顔についた生クリーム指で舐めるやついるかよ…変に期待させんなっつ~の…ったく)」カァ
友「(やべぇちょっと大胆に行動し過ぎた…男怒ってるっぽいな…顔真っ赤だし)」
友「こんな感じでどう?」
男「上出来。じゃあスポンジに塗る作業にかかろう」
友「(よかった怒ってない)了解ぃ」
ペタペタペタペタ
友「男もっと丁寧に隙間なく塗れよ、あと厚みが疎ら過ぎ」
男「不器用なんだよ」
友「せっかくのクリスマスケーキなんだから丁寧にやるべ、ね?」
男「(目が怖い…)あっ…」
男「(友の顔にクリームついてる…)」
ドックンッ ドックンッ
男「(つか男同士のじゃれあいってこんなんだよな?変に考え過ぎ?そーだよこんな生クリームの舐め合いなんて普通だ普通)」
男「友~こっち向い…」ツルッ
友「ん?なn」ベチャッ
男「…」
友「…」
友の顔に男が塗っていた生クリームつきのベラががっつりと髪の毛までくっついた
甘い香りと苦い空気が数秒二人を包み込む
男「…え、えへへ…ごめんごめん!」
友「…覚悟はできてるだろうなぁ」スチャッ
男「ぎぇ!?」
友「おりゃぁっ!!」ベチャッ
男「うわっ俺そんなにつけてないだろ!このっ!」ヌチャッ
友「お前自分からやってきといて…うらっ」ドシャァァァア
男「おらおらおらおらおらおらおらおら」
友「うらうらうらうらうらうらうらうら」
男「あっははははは~」
友「っは~っはっはっは」
友「うへぇ…生クリームだらけだ…うお甘っ」ペロッペロッ
端から見たら男同士で生クリームのつけ合いなんて…正直気持ち悪い以外の何者でもないだろう
それでも二人にとってはこれもまた幸せな時間の一つだったのだが―
男「とりあえずお前風呂入っとけよ、後片付け俺がやっとくから」
友「いやいいよ、男もベトベトじゃん、先に入りなよ」
男「ベトベトはお前もなんだが…あっ」
男「じゃあ二人で入るかww」
友「いいよ」
男「」
友「二人で入った方が時間短縮にもなるし、暖かいしね」
男「」
友「?男?」
男「…あ、あぁ」
友「上着だけ借りていいかな?」
男「い、いいよぉ?(やべ声裏返った…)」
友「二人で風呂入るなんて久しぶりだね」
男「そそうだね、小学生以来なんじゃない?」
友「あ~そーかも」
お互いに背を向け合いながら衣服を脱いでいく
友の身体は程よい筋肉がついているが、男子高校生と言われると少しだけ華奢な部分もある
男の身体は、普段から部活以外でも自主トレしているからか友より筋肉がついている
しかし背の差のせいか、友より華奢に見える
友「じゃあ先に入るね」
男「まった俺か先に入る」
友「いいじゃん寒いから先に入らせてよ」
男「俺だって寒いわ!」
男・友「(だって後からだと入りづらいじゃん!)」
友「いいよ」
生まれた時の姿で、向かい合う二人
男「(やっ…友の身体…綺麗だなぁ…)」ジーッ
友「(男…キャランドゥがある…)」ジーッ
ムクムクムク
男・友「はっ!」
男・友「(馬鹿、何見とれて反応しとるんだ!静まれ俺の息子!)」
男・友「(…あれ?ちょっと(男)(友)のちんぽ…おっきくなってる?」
男・友「(…まさかぁww)」
男「…さっ最初は」
友「グー」
少し前屈みになる二人
友「お先に失礼」ガラッ
男「あってめっ」ガラッ
友「おい早いよこれじゃ二人同士に入ってきたのと変わんないじゃん」
男「お前白々と…」
友「とりあえず先に頭洗うね」
男「いやいや俺も洗うから」
背中を向けて頭を洗い出す二人
裸で一緒の空間にいるという事態に心臓の鼓動が通常運行するわけもなく、この高鳴りが相手に聞こえてしまうのではないかという不安が、更に心臓に拍車をかける
男「(…さっきの抜け駆けの仕返しをせねば…!)」ピコーンッ
男「友、身体洗ってやるよ」スッ
友「へ?いやいいよいいよ自分で洗うから」
男「遠慮しんなって!裸の付き合いってよくいうじゃん?ほら頭洗い続けてろって」
友「いやマジでいいから!」
友の言葉を無視し、垢擦りタオルに石鹸を擦り当て、よく泡立てる。
後ろから周り込むように友の胸元に手を当て、優しく当てる感じで綺麗に洗っていく
両手が塞がり無防備な友、泡のせいで目が開けられない
男「(タオル越しだけど…友の肌…さ、触ってるんだよな?)」ヌルヌル
男の手は胸板、脇、腹筋と徐々に下に下がっていく
友「!!ちょっマジでもういい!いいから本当に!!」
男「いいじゃんどうせなら全部洗ってやるよ(あともう少しでちんぽが…)」
男からは普段のリミッターが解除されたかのように冷静さが欠け、本能と欲望のままに動いていた
友「…っ!!(ヤバい…勃起してるってバレる…!!)」
男「(もう少しで…)」
友「く…うぉあぁあっとぁぁぁ!!?」クルッ
男「へっ…ぬわぁぁああ!!」
男の手を払い退けるつもりが頭から垂れ落ちたシャンプーの泡に足を滑らせ、そのまま男に覆い被さる友
男は友に押される形で足を滑らせ、後ろに倒れる
友「(…やばっ…え?)」
男・友「(…(男)(友)勃起してる…何で?)」
覆い被さったせいで二人のちんぽは重なり、互いに勃起しているのがバレるという本末転倒な展開になってしまったのは友にも男にも予想外な展開だろう
男「(友の顔が近くに…肌も直に…しかもちんぽが…あつ)」ビクンッ
友「(男の肌が…んあっつ…い、今男のちんぽビクッて…」ムクムクムク
男「…ハァ…ハァ…ん…」
友「……ハァ…ハァ…」
風呂の熱気もあるからだけじゃなく、普段無い展開に思考が麻痺し、夢にもみたエロティックなシチュエーションが心臓の鼓動を促進させる
友の吐息が、男の吐息が、互いにかかり何とも言えない興奮を誘う
未だ重なり合う二人のちんぽは、脈をうち、我慢汁を塗らしながらクチュクチュとイヤらしい音を立て風呂場の音域を支配している
男「…友…」
友「…男…」
名前を呼ぶが、その先の言葉が出てこない
頭かボーっとして、思考が働いてないのか、ただ見つめ合う二人
友「(夢でも男の裸を見て射精してる自分がいたりしたけど…こんなにリアルな夢はない…よなぁ…)」
男「(今俺が見ている友)」
友「(今俺が見ている男)」
男・友「(夢より、今まで見てきた中で一番色っぽくて雄っぽい…!!)」
二人の想いに反応するちんぽ達
我慢汁がトロットロにちんぽをエロくコーティングし、亀頭同士が擦り付け合いながら互いを膨張させていく
玉袋は静止の匂いが溢れでんばかりの雄臭い匂いを放ち、風呂場という空間を変えつつある
/::::::::::::::::::::::::::::::ヽ,
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|i " )_,,, _ {,---‐ッ ゞヒニ二二-`i:/⌒i| |
|i ヽ | i  ̄t i! ´__てj"' |:lr'` l | ホ 目 お
や 全 |i / ・ i '、',  ̄|  ̄ 冫'/ | モ を い
っ 員 |i t ヽ! 、 ,、 イ:i | だ 離 お
ち |i 〃 ● '! ゙' ij ,' i::l < ら し い
ま |i r一 ヽ ) '、 '.==-‐ / ':i | け た ち
お |i | i ∀" ヽ ""´ ∠i '、 | だ 隙 ょ
う |i | i ノi ノ:i\ / l `| ぜ に っ
ぜ |i ニ| |二二◎ __,..'| /  ̄ / ::::| と
! |i i i ヽ __,,:'´ t/ / :: |
li } ,_:'´ { ,,___ / ,,/i \____
|i | /j\ _:ヘ:ニヽ,,,/_,, , /:::j j
__ / / ⌒`)⌒) i:::::ヽ::`r‐'___ ` ヽ ,,:_,,_,,/:::::ノ"ノシ 〃
,ノ フr フ メ / ノ ゝ:::::: ゝ- 、 ヽ |::::::::::::::::::::ソ / ./
友「な…なに…?」
男「……お…」
ピーンポーン
男・友「!!?」
女「男ー!!いるんでしょー?」
男・友「お、女ぁ!?」
男・友「(なんて空気の読めないやつ!!)」
男「…」
友「…」
バッ
男「…と、とりあえず早く洗い流しちゃおうぜ」
友「うん…あっ、男身体洗ってない…」
男「いや…さ…さっきの…あ、泡で…洗ったかな~って、はははは」
友「あはは…」
男・友「(あ~ヤバい、恥ずかし過ぎて顔真っ赤で直視できない!)」
男・友「(勃起ちんぽ押し付けあうとかもう完璧にヤるシチュエーションだったじゃん!)」
男・友「(そもそもなんであいつ勃起してたんだ?)」
男・友「(あれ…もしかして脈あり?)」
玄関前
女「遅い遅い遅い遅い遅い遅い遅い遅い」
女「遅い!呼び鈴鳴らしてから10分よ!…って何で友が?」
男「あ?いや二人でクリスマスケーキ作ってたんだよ、なぁ?」
友「あ、あぁそうそれで生クリームでベトぶふっ」
男「余計なこと言わんでいい」ボソボソッ
友「わ、悪いつい」ボソボソッ
女「…ふ~ん、でもなんか二人とも顔赤くない?」
男「それは、え~とあれだ」
友「ちょっと胸焼けしちゃって!」
男「(友ナイス!)」
女「な~に?クリスマスケーキもー食べたの?早すぎ」
男「え」
友「へ?」
女「ちょっと男と行きたいところがあって…今夜じゃなきゃどーしてもダメなの!お願いっ!!」
男「いや…俺は…」
友「行ってきなよ」
男「!!友…」
友「男も高校最後のクリスマスくらい女の人と過ごしたいだろ!遠慮すんなってスケベ」グイゲイ
男「は!?誰がスケベだこの野郎!」
友「俺は気にすんなって、お前は今年で野郎同士のクリスマスから卒業できんだぞ?」
男「…っでも」
友「あ~俺も街でナンパでもしよっかな~」
女「ありがとう!じゃあ決まり、早く早く日が暮れちゃうよ」イソイソ
男「あぁちょっと上着とってくる」
友「じゃあ俺ケーキの片付けしとくね」ガチャッ
男「あぁ…悪いな」
友「謝るようなことじゃないっつーの。…楽しんてこいって!女泣かせるようなことすんなよ?」
男「…馬鹿!」
友「うへへ」
友「これでいいんだよ…うん」
友「それに、こんな感情、やっぱダメだ。さっきの風呂場だって多分間違いかなんかだよ」
友「男には女がお似合いだよ…結婚だってできるし、子供だって産める、周りから変な目で見られることもないし」
友「…なぁに語っちゃってんだよ一人で…俺気持ち悪っ…」カチャッ
友「…あ~あ…俺女に生まれてくればよかったなぁ…」カチャッカチャッ
友「…このケーキどーしよ…」
友「…」
友『こんな感じでどう?』
男『上出来。じゃあスポンジに塗る作業にかかろう』
友『(よかった怒ってない)了解ぃ』ペタペタペタペタ
友『男もっと丁寧に隙間なく塗れよ、あと厚みが疎ら過ぎ』
男『不器用なんだよ』
友『せっかくのクリスマスケーキなんだから丁寧にやるべ、ね?』
友『おりゃぁっ!!』ベチャッ
男『うわっ俺そんなにつけてないだろ!このっ!』ヌチャッ
友『お前自分からやってきといて…うらっ』ドシャァァァア
男『おらおらおらおらおらおらおらおら』
友『うらうらうらうらうらうらうらうら』
男『あっははははは~』
友『っは~っはっはっは』
友「あ、あんな風になにか作ったのって今回が初めてだったかも…生クリーム作りだけど」
友「あぁ…俺…男のそばに入られれば幸せなんだ…」ポタッ
友「ぐっ…なんだよな…自分から女に行くよういっどいで…泣くとか…かっ…カッコ悪ぃ…」ポタポタッ
友「う~…うぅ…男ぉ…」ポタポタッ
男「…」
女「…ぇ…ねぇ!!男ぉ?」
男「!!わ、悪い…」
女「何よ、ボーッとしてさ。まっボーッとしてるのはいつもだけど」
男「言ってくれる」
男「…うぉ~」
女か指差した先には、夜になりかかりの街を彩り始める装飾のイルミネーションがまさに輝く瞬間かあった
女「キレイ…」
男「これがお前が行きかった場所?」
女「だって今年で最後かもしれないんだもん、地元のこのイルミネーションを見るの」
男「あ~…お前留学するんだっけ」
女「そう、向こうにパティシエの先生がいるから少しお世話になるの、小さい頃からの夢だから…」
男「女…」
女「へへ…世界一のクリスマスケーキを作って、こんな日だけでも色んな人に笑顔になってもらいたい、それが私の夢」
女「我ながら「何偽善者ぶってんの」って笑っちゃうけどね…」
男「そんなことない」
女「男…」
男「向こうに行っても頑張れよ」
女「うん!あっあの…男…わ、私…」
男「このイルミネーション…友にも見せてやりたかったな…」ボソッ
女「え?」
男「…!(やべっ心の声が…)い、いや、何でもない」
女「…そう、じゃあ早く行こう!美味しいお店があっちにあるの!」グイッ
男「あ、あぁ」
男「(何で友のことが頭中に…風呂場のあれのせいもあるのかもだけど…)」
友『楽しんでこいよ』
男「(なんであんな悲しい顔すんだよ…)」ズキッ
男「(お前に突き放された俺の方が悲しいっつの…)」
女「ふ~美味しいかった!ね、男!」
男「あぁ、そうだな」
女「…男さっきからしかめっ面でなんか楽しくないみたいー私といるのつまんない?」
男「い、いやそんなことな」
女「あっ…男…あれ…」
男「何…!」
気が付けば周り中カップルだらけになっていた
ベンチを占領するカップルは、まるで見せつけるかのようにマウストゥーマウスを交わしあう
それはどのカップルも同じだった。まるで愛を確かめあうかのように…
男「(…この雰囲気…)」
女「男…」
男「!!」
目を閉じ、唇を差し出す女
男「…」
男「(これが普通…なんだよな。躊躇う理由なんてない。女はこんなに夢を追うような良い子だし、ここで拒む理由なんて…)」
友『男!』
男「…」
友『男~!』ギュッ
男「…」
友『お~い、男!!』ドッ
男「…」
友『また明日な、男!』
男「…」
男『今年も』
友『一緒か』
男「(…普通ってなんだ?)」
男「(俺にとってあいつが側にいる日常が普通だった。いつも一緒に笑って、一緒に悩んで、一緒に補修受けて、一緒に弁当食って、一緒に帰って、一緒に成長して…一緒にケーキ作って…)」
男「(そんな友との日常が大切で、大好きで)」
男「(あいつの笑顔が愛しくて…愛しくて…俺はあいつが…友が…大好きなんだ…大好きなんだ!!)」
男「(何度だって言える!)」
男「俺は友が好きだ!!」
女「!!」
男「…あっ…」
ヒソ…ヒソ…ヒソカ…ヒソ
ドーシタノオオゴエアゲテ…
女「…」
男「…女…」
女「やっぱりね」
男「お、女」
女「あんたが友を好きなんて知ってるわよ」
男「ひぇ!?」
女「ちょ、情けない声出さないでよ…だって見てれば分かるもん。知ってる?あんたたち一緒にいる時凄いにやけ顔なの」
男「え、嘘?」グイグイ
女「もう見てるこっちまでニヤケちゃうくらい、純粋な幸せな顔…してたわ」
男「女、お前…」
女「それでも私は男か好きだった」
男「…」
女「私だって負けないくらい男が好きで、好きで、大好きだった…」
男「…女…」
女「ねぇ…最後のクリスマスくらい…夢…見させてよ…」グイッ
女「…プッ…な~んて、あんたを困らせるようなことするほど私はダメ女じゃないわ」
女「敵わない恋にはしっかり身を引く、そして明日から新しい恋に走る、それが本当の女性に近づく一歩になるの」
女「そんな貴重な体験をあなたはさせてくれた。ちょっと納得いかないけどね」
男「女…」
女「早く帰りなさいよ!友が好きだっていうならしっかり抱きしめなさい!あっちも…っと」
女「(これは私の口から言うべきじゃないか…)」
女「早く行け!!メリークリスマス!!」ドガッ
男「ってぇ~…女ぁ!!」
女「何よ!!」
男「ありがとう!!!」
女「!!…ふんっせいぜい頑張んなさいよーつ!!!」
男「おーっ!!」ダッ
女「…はぁ…」
女「フラレちゃった…」
DQN1「よぉ姉ちゃん、こんなイブに1人かwww」
DQN2「俺たちと素敵な夜を凄そうじゃぎやぁぁあああぁぁあぁぁぁああ腕がぁぁぁあぁぁ」
DQN1「!!?どうしたDQN2ぐふぇあっ!!?」ドサッ
女「…付いてきてたの」
爺「いえ、爺やはお嬢様の危機ならどこにでも駆けつけます…」
女「ふん……ありがとう…帰りましょうか、何だか寒くなってきたわ」
爺「かしこまりました」パチンッ
キーイッ
爺「どうぞお乗りください」
女「(…どうなるかは“あなたたち”次第よ…)」
男「グッ…ハァ…ハァ…うわっ」スベッ
アブネーナーァ!キィツケロヤァ!
男「さーせん!ハァハァ…」ダッ
男「友ぉ…」タッタッタッ
~家~
男「友!!」バンッ
男「ハァ…ハァ…」
男「…片付けてある…」
男「…隣の家は電気…点いてないか…」
男「…本当にナンパいっちまったのかな…」
男「今この気持ちを伝えないと…」
男「“この日”に伝えなくちゃダメなんだよぉ…」
男「お前か好きだって…!」
男「友ぉ!!」
ジャーッ
友「ふぅすっきり…男?」
男「」
友「ごめんトイレ借り…」
男「」ガシッ
男「好きだ」
友「へ?」
男「気持ち悪いとかおかしいとか思われても…構わない。俺はお前が好きだ」
男「お前の笑う顔や怒った顔や困った顔も全部好きだ」
男「その人を気遣うお人好しな性格も、細かいところに目かいくところも、優しい心の持ち主だってとこも全部、全部好きだ」
男「お前か…大好きた…」
友「…」
友「ダメ…だよ」
友「だって…男同士だよ?結婚もできなけりゃ子供も産めない…世間からは冷たい眼差しでみられる。男まてそんな目にあうのは…耐えられない」
男「…んだよ…そんな先のこと考えてるのかよ」
友「男?」
男「お前昔っから難しく考え過ぎなんだよ」
友「なっ…これはそんな軽いかとじゃ」
男「俺は!!」
友「!」
俺「…俺は“今”お前といる時間を、一分一秒たりとも無駄にしたくない」
俺「未来なんて、どいにでもなる。俺は今お前の側にいるこの時間を大切にしたいんだ…」
友「…」
俺「お前の…本当の気持ち…聞かせてくれ」
友「…!(男…唇が震えてる…)」
友「…」
友「お前の何も考えずに突っ走ったりする性格とか、たまに遠慮しちゃうところとか」
友「お茶らけた顔とか、たまに真面目になる顔とか…」
友「…俺だって!!全部全部ぜーんぶ大好きだよ!!」ポタポタッ
男「友…」
友「お前か女に誘われた時、正直止めようと思ったんだ」
友「でも、お前はノンケだろうなって…ここで止める権利は俺にないんだって」ポタポタッ
友「でもやっぱり…苦しく…なっちゃって…」ヒック
男「…馬鹿」グイッ
男「“6年間クリスマスを共に過ごしてきた”…権利なんてそれで十分だろ」
友「…」
男「俺に聞くなよ…」
友「あぁ…」
男・友「(俺たちはようやく…繋がったんだ…)」
男「つか何が悲しくて俺より背かデカイ野郎を抱きしめなくちゃいけねぇんだよ」
友「は?お前が背か低いのが悪いんだろぉ?」
男「背の違いなんて数cmじゃねえかよ」
友「違いは違いだっつーの!」
男・友「グギギギ」
男・友「(でもやっぱり大好きだ)」
友「ケーキなら廊下に冷やしてあんよ?」
男「え?」ガチャッ
友「だいたい男か廊下で冷やしておいたりっつったんじゃん」
男「そんな言ったっけな~」
友「とりあえず食うべ」
男「ん」
友「やっぱ市販のスポンジだとカペカペするなぁ」
男「生クリームもちょっとベトベト…つかなんかしょっぱくね?ここの部分だけ」
友「え…!!いや、き、気のせいなんじゃないかな?ほらほらこっちの部分食えよ!」
男「お、おう」
友「(涙でしょっぱくなったなんて口か裂けても言えねぇ…)」
友「太るぞー」
男「なぁに自主トレしますって」
友「さいですか」カチャカチャッ
男「なぁ友」
友「なn」
男「…んっ…ちゅ…ジュルルル」
友「んんん!…んふっ…んあっ…むんん…」ヌチャヌチャ
静寂はイヤらしいキスの音で静かに切り裂かれる
舌と舌が不器用に絡みあい、唾液は口から漏れて顎を伝い床に落ちる
寒さもあってか自然と鼻息が荒くなる二人
友「ん…ぷはっ…ハァ…ハァ」ハァハァ
男「へ…へへ…ハァ…ハァ…な、生クリームの…味…」ハァハァ
友「ばばば馬鹿!!急にキスとか猿かよ」
男「だって世はクリスマスだぜ?キスの1つくらいしておかないと」
男「それともそんなに俺のキスよかった?」ニヤッ
友「カァァァ」プチッ
友「うりゃっ!!」ドサッ
男「うぉっ…友…ひゃっぁあ!!」
友の冷たい手が男のシャツの中をまさぐる
友の手から必死に逃れようとする男。しかし完全にマウントを友に取られているため自由に動けない
友「男やっぱいい筋肉してんな~…っとここかな…」クリッ
男「!!」ビクンッ
友は男の乳首を摘まむと、まるで電撃が走ったかのように男の身体が脈をうった
男「や…なんか…変…ちょ…友…す、ストップ!本当に…やっ!!」ピクッピクッ
友が乳首を弄り、男がそれに反応して身体をびくつかせる
友「もっとよく見せて…男の身体…」グイグイ
男「ん…」ヌギヌギ
お互いに上半身だけ裸になる
友「舐めていい?」
男「…」
顔を真っ赤にした男か顔を反らす
しかし抵抗しないということはOKのサインなのだろう
友「…んちゅ…」
男「あっ!」
友「ハァ…ハァ…ん…ちゅーっ…ぷっ」レロレレ
男「あぁぁあぁ…ぁあ気持ちいい…」
片方の手で乳首を弄り、もう片方の乳首を口の中でコロコロと舌で弄くる友
男の顔からは余裕か消え、完全に友が主導権を握っている
男「気持ち…いい…」
友「続けてほしい?」
男「…」
友「こっちの方が苦しいか」サワッ
男「あっ…」ビクンッ
友「うわ…カッチカチ…しかも、ほら…我慢汁が滲み出てる…」
男「(ふ…普段ならこんなエロいこと…言わねぇのに…)」
友「苦しそうだから脱がす…っ!」ビクンッ
男「ハァ…ハァ…友も…カチカチじゃん…」サワサワ
友「ハァ…ハァ…脱ぐか…」
男「ん」
男「んぁ…ちゅ……(友のちんぽ…デカイ…)」クチュクツュ
友「ちゅっ…ん…っぷ…(男のちんぽの我慢汁すげぇ…雄くらさい)」ハムジュッポ
男「(やべぇ…友しゃぶるの上手すぎ…)ハァ…ハァ…んちゅるっレロレロ」シコシコ
友「(男さっきから…ん…亀頭ばっかり…んぁあっ)くちゅ…くちゅ…んじゅっぷ」シコシコ
友「んーんー…おひょこのひんぽうはいよ…」チュッパ
男「!!っんあぁんぁ(しゃぶりながら喋んな…っ)」シコシコ
男「…ハァ…ハァ」
友「…なぁ男…」
男「ハァ…ハァ…にゃ、なに…?」
友「流石に…ん…まだ…あ…あ…」
男「…?」
友「アナルセックスは…早い…よな…?」
男「…!!ちょ…そんな言葉どこで覚えたんだよ!」
友「ネットで…いつも抜く時に…お前に入れてるのを想像して抜いてた」
男「お、俺だってお前の…腰振る姿を想像して抜いてた…さ!」
男・友「…」
男・友「変態だな俺たち」
男「なぁ?」
友「じゃあ…兜合わせだな…」グイッ
男「うぉっと!」ダッ
向かいながらお互いの勃起したちんぽを重ね合わせる
ギンギンに勃起したちんぽは唾液と我慢汁で雄臭い臭いを放っていた…まるで風呂場のあの時のように
友「うっ…やべぇ…お前のちんぽに当ててるだけでイきそうなくらい気持ちいい…」ハァハァ
男「お前の…デカマラ過ぎるって…ん…あっやばい…超気持ちぃ…」ハァハァ
快楽に身をまかせ、少しずつ腰を振り始める二人
男「ん…あぁ…んなこと…口て…言うなよ…」ギシギシギシ
友「ほぉら…カリと…カリが…擦れあって…我慢汁トロットロで…」ギシギシギシ
男「あぁぁあ…気持ちよくて…おかしくなりそう…友…」ギシギシギシ
友「男のちんぽエロすぎ…ほら口近づけて」ギシギシギシ
男「ん…んんんんん~」ギシギシギシ
友「くちゅ…んちゅ…じゅるんちゅ…っはぁ…んん…」ギシギシギシ
男「んんん…っは…ちゅっちゅ…じゅるる…ん…ちゅる…ハァ…ハァ」ギシギシギシ
友「男…男ぉぉ」シコシコシコシコシコシコシコシコシコシコシコシコシコシコ
男「!!友…ちょ…急ぁぁあぁ」ギシギシギシギシギシギシ
男「あぁぁあぁぁぁああ気持ちいい~ぃぁぁぁあ」ギシギシギシシコシコシコシコシコシコシコシコ
友「んぁっ…男…俺凄い幸せ…」シコシコシコシコヌチャヌチャシコシコシコシコシコシコヌチャヌチャシコシコシコシコシコシコヌチャヌチャシコシコシコシコ
男「ぁぁああん…俺も幸せだよぉぉあぁぁあ」ギシギシギシシコシコシコシコシコシコヌチャヌチャシコシコシコシコシコシコヌチャヌチャシコシコシコシコシコシコシコシコシコシコシコシコシコシコ
友「ハァ…ハァ…ん…ハァハァ」シコシコシコシコシコシコシコシコシコシコシコシコシコシコシコシコシコシコシコシコシコシコシコシコシコシコシコシコシコシコシコシコシコシコ
男「あぁ…友!イきそう!やばいイきそう!」シコシコシコシコシコシコシコシコシコシコシコシコシコシコシコシコシコシコシコシコシコシコシコシコシコシコシコシコシコシコ
友「あぁ俺もイく!!あぁヤバいイく!!イく!!!!あぁぁあぁぁあ」ドピュッ
男「あぁぁあぁイく!!ぁぁイく…ぁぁあ!!!」ドピュッ
友「…ハァ…ハァ…」
男「…お前…エロすぎ…つーかS過ぎ…」
友「お前も…充分エロかったよ…あ~あギャランドゥが精液まみれだ…」ヌメッ
男「お、おい」
友「掃除してやる」ペロペロ
男「…~///…お前…やっぱ変態過ぎるよ」
友「どこがよ。やっと長年の想いか実って手に入った恋人なんだ、こんなの変態のうちに入らないさ…んちゅ」
男「あっ…つ!」ビクンッ
友「二回戦…いく?」
男「兜合わせで何が二回戦だ馬鹿」
友「…」
男「…」
男・友「…っぷ」
男・友「あっはははははははははははははははは」
本当に長く長け閉ざしていた蕾が、ようやく開いたのだから
確かに未来には悲しい現実が待ち受けているのかもしれない
幾つもの試練や戦いもあるだろう
でも、今はこの人と一緒に入れれば、それで幸せ
これ以上の贅沢なんてないくらい、笑顔になれる
この人の笑顔が、俺に幸せをくれる
今はそれだけて充分
これから何があっても、この人となら…笑い合って行ける気がするから…
男「来年も」友「一緒だな」
おわり
世はクリスマス、カップルがイチャイチャしてるのを見てたらむしゃくしゃして書いた、後悔はしていない
ちなみにガチゲイです
来年のクリスマスこそ素敵な彼氏を作って過ごしたいものです
Entry ⇒ 2011.12.25 | Category ⇒ 男女「」SS | Comments (0) | Trackbacks (0)
梨花「ここは雛見沢なのです」 岡部「聞いたことがないな」
・確実に日付をまたぐ
・メリー紅莉栖マス
↓スタート↓
紅莉栖「・・・」
岡部「・・・」
紅莉栖「・・・」ペラリ
岡部「・・・」チラッ
紅莉栖「・・・」
岡部「・・・なぁ、助手よ」
紅莉栖「・・・」ペラリ
岡部「おい、クリスティーナ」
紅莉栖「・・・」
岡部「・・・牧瀬さん」
紅莉栖「何?」
岡部「とっとと返事をせんか!!」
岡部「いや、さっきから何度も!」
紅莉栖「言っておくけど、私は助手でもクリスティーナでもないから」
岡部「ではなんと呼べと?」
紅莉栖「・・・紅莉栖、でいいわよ」
岡部「紅莉栖・・・ティーナ」
紅莉栖「だぁぁぁもう!何で最後にそれ付けちゃうのよ!バカなの?死ぬの?」
岡部「・・・”死ぬ”という言葉は、しばらく、聞きたくない」
紅莉栖「・・・今のは謝る」
岡部「・・・」
紅莉栖「・・・」
岡部「・・・」
紅莉栖「・・・ごめん」
紅莉栖「な、何よ、あらたまって?」
岡部「俺が退院しました。お前と再会しました。お前がラボメンとなりました。かれこれ2週間前のことだ」
紅莉栖「もうそんなに経つのね」
岡部「そうだ。2週間だ。なーーぜお前は終始無言なのだ?」
紅莉栖「別に」
岡部「『別に』ときたか。どこぞの女優かお前は!」
紅莉栖「いいじゃないの。何か話さなきゃいけないルールでも?」
岡部「いやいやいや、あのな?もっと俺に聞きたい事とかは無いのか?」
紅莉栖「別に」
岡部「はい2回目いただきました。ってやかましいわ!」
紅莉栖「うるっさいわね。何なのよ今日は。あまり騒ぐと傷に響くわよ」
紅莉栖「別に」
岡部「もうそれはよい!ではお前は何しにラボに来ているのだ!」
紅莉栖「ラボメンがラボに来ちゃいけないの?」
岡部「ぐ・・・!」
紅莉栖「今これ読むのに忙しいの。あまりうるさくしないで」
岡部「・・・はぁ」
岡部は大きく溜息をつき、紅莉栖に並んでソファーに座る。
紅莉栖「な、なんでわざわざ隣に座るのよ」
岡部「別に」
紅莉栖「っ・・・はぁ」
岡部同様、紅莉栖も大きく溜息をついた。
ここまで来れたのも、紅莉栖がいたおかげだ。
そう、俺は紅莉栖が好きだ。だから再会できたことに心から喜んだ!
だがなんだこれは!デレない!こいつデレてくれない!
俺の紅莉栖への気持ちが、一切伝わらないではないか!
辛い!この温度差、凄く辛い!
おまけに紅莉栖に合わせるように俺までツンデレっぽくなってきてしまった!
・・・どうすれば、紅莉栖との距離を縮められるだろうか)
―――人の子よ、今の願いは、そなたのものか?―――
ああ、俺の希望を心の中でブチ撒けただけだ。
―――・・・ふむ、面白きカケラを見つけた。どう紡いでくれるやら―――
紡ぐ?お前は誰だ。
―――ふふふ、この男ならば、出口のない迷路に突破口を見出すやもしれぬ―――
耳の奥がチクリと痛み、そのまま、岡部は意識を失った。
私だって岡部と話したいことは山のようにあるわよ。命の恩人だもの。
あの時、私の代わりに死んじゃうかもしれないって、泣いたもの。
それに、岡部のこと、ちょっと・・・いいな、って思ったもの。
でも恋なんてしたこと無いから、どうしてもけんか腰になっちゃう。
ラボに来る理由は洋書を読むため?1ページも頭に入ってないわ。
ラボメンだからラボに来る?岡部のいない時には来たことないわよ。
・・・もっと、自分に、素直になりたい)
―――へぇ、あんたの頭の中、意外とお花畑なのね―――
ええ、生憎これでも18歳よ。人並みに乙女回路は内蔵されてるわ。
―――・・・あいつ、なんでこんなやつらを選んだのかしら―――
失礼ね。勝手に人の心の中覗き見といて。そもそも誰よ。
―――まぁ、退屈しのぎにはなるかしら。どうせくだらないコメディでしょうけど、くすくす―――
耳の奥がチクリと痛み、そのまま、紅莉栖は意識を失った。
岡部「んが・・・いつの間にか眠って・・・」
紅莉栖「ん・・・あれ、いつの間に眠って・・・」
「気持ちよさそうに寝てる所悪いけど、ここ、終点ですんね」
岡部「しゅうてん?しゅうてん、しゅうてん・・・」
視界が明瞭になると、眼前には人のよさそうなおじさんが笑顔で肩を叩いていた。
「お二人、アベックさん?こらまたえらいべっぴんさんね」
岡部「え、えーと、あれ?どこだ、ここ」
紅莉栖「・・・バス?え?何で?さっきまでラボに」
「ほら、外の空気吸って目さましぃ。今日は絶好の散歩日和よ」
岡部「あ、はい、降ります。えーと、料金は・・・」
「100円」
載った記憶の無いバスに、全財産の1/8を払う羽目になるとは。
紅莉栖「・・・ねぇ、岡部」
岡部「ん?」
紅莉栖「・・・私、財布持ってきてない」
古めかしいバスは、真っ黒な排気ガスを撒き散らしながら走り去った。
岡部「・・・全財産の1/4を失った」
紅莉栖「あとで倍にして返すってば」
岡部「絶対だぞ。・・・ところで、なんなんだ。一体」
紅莉栖「もしかして、あんたも?」
岡部「ああ。ソファーに座って一息ついたら、何かが聞こえて、気付いたらここにいた」
紅莉栖「私も全く同じ。夢・・・ではなさそうね」
岡部「かといって現実だと言われると余計に疑問だ。今は何時だ」
携帯を取り出す。見慣れたマークが、ない。
岡部「3時か。さほど時間は・・・あれ、圏外か」
紅莉栖「私のも」
岡部「相当田舎とみえる」
紅莉栖「そうね。どっちも圏外なんて」
紅莉栖「っていってもどっちに?」
岡部「ここが終点といっていた。ということは、戻っていけば中心部に向かうと思う」
紅莉栖「そういう勘だけは働くのね」
岡部「”だけ”は余計だ。行くぞ」
・
・♀
・
・♀
・
・♀
・
紅莉栖「一向に景色が変わらない件について」
岡部「だ、だがバス停は3つ通り過ぎただろう?大丈夫だ、多分」
紅莉栖「はぁ。暑くなってきた。上着脱ごう」
岡部「ほら、貸せ。持ってやる」
紅莉栖「あら、気が利くじゃない」
岡部「・・・さすがに俺も暑い」
さらに30分。時刻は4時にさしかかる。ひぐらしの鳴き声も聞き飽きてきた。
岡部「お、車の音だ。おーい!」
岡部の呼び止めに、後方からやってきた黒いセダンは二人の前で止まった。
「いかがなさいました?」
岡部「あ、いや、すいません、えーと、この先、中心部まであとどれくらいかかりますでしょうか?」
「そうですね。歩いてでしたら15分ほどでしょうか。お急ぎでしたらお送りしますが」
岡部「あ、いえ、大丈夫です。問題ないです」
「そうですか。ではお気をつけて」
黒いセダンはまたゆっくりと発進していった。
紅莉栖「・・・よく止められたわね、あんなの」
岡部「今のは怖かった・・・怖かったぞ」
葛西「親切に対応したつもりだったんですが」
詩音「”ホンモノ”のオーラが出てるんですよ。あんたからは」
葛西「・・・ところで、なぜこんな所を歩いていたんでしょう」
詩音「終点まで行っちゃったんじゃない?つまんないド田舎の風景が続いて、飽きて居眠りしたんでしょ」
葛西「・・・」
どう返答していいか分からず、葛西はポリポリと頬をかいた。
詩音「でもなんでわざわざこんなド田舎まで来たのかしら?」
葛西「男性のほうは白衣を着用なさってました。入江先生のお知り合いなのでは」
詩音「ああ、納得。見るからにひ弱そうでしたもん。きっとどこかの医者か科学者ね」
葛西「・・・」
歩き始めてから1時間と少し。ようやく寂れた商店街の姿が見えてきた。
紅莉栖「・・・遠かった・・・」
運動とは無縁に近い二人には、子一時間におよぶ道のりですら過酷なものであった。
紅莉栖「喉渇いた。何かお店やってないかしら」
岡部「そうだな、どこかで休憩したいところだ」
精肉店、八百屋、豆腐屋。雑貨屋、理髪店。
道路も舗装はなく、均された砂利道。
昔ながらの商店街の雰囲気に、平成生まれの二人がピンと来るはずも無い。
紅莉栖「映画やドラマのセットみたい」
岡部「昭和はこんな風景がザラだったのかもしれんな。お、商店発見」
紅莉栖(あっ)
清涼飲料水の陳列された棚を眺めながら、紅莉栖は思い出した。
私、財布ないんだった。
この貧乏大学生に借りることも考えたが、後々ネチネチ文句を聞かされるのも嫌だ。
紅莉栖(いいわよ。我慢するわよ。公園で水飲むわよ)
買えない物を眺めても空しくなるだけなので、一足先に商店を出た。
紅莉栖「・・・いい天気」
突き抜けるような晴天にひぐらしの鳴き声は初夏を髣髴とさせる。
紅莉栖(・・・今、9月末よね?なんでセミが鳴いて・・・)
ペタリ。
岡部「どこから声を出している」
紅莉栖「え、今、首に冷た、え、それ何?」
岡部が細長いガラス瓶を差し出している。
岡部「ラムネだ」
紅莉栖「ラムネ?ラムネ・・・ラムネ」
岡部「知らないのか?これだからメリケンセレブは」
紅莉栖「き、聞いたことくらいあるわよ!なんかジュースみたいなのでしょ!」
岡部「聞いたことしかないのか。ほれ、受け取れ」
紅莉栖「え?くれるの?あんたが?」
岡部「喉が渇いたのだろう?くれてやる」
紅莉栖「え、でも私お金・・・」
岡部「くれてやると言っただろ。70円くらい構わん」
紅莉栖「・・・サンクス」
紅莉栖(・・・)
飲み方が分からない。キャップを開けようとしてもびくともしない。
岡部「そうか、知らないか。見本を見せてやる、このキャップで、勢いよくビー玉を中へ押し込む!」
カシャン!シュワー!ダバー。
岡部「な?」
紅莉栖「すごく・・・こぼれてます・・・」
岡部「昔から成功したためしがない」
紅莉栖「別にそこまで力まなくても・・・えいっ」
カシュ。・・・
紅莉栖「ね?」
岡部「くっ」
岡部「100年以上前からある飲み物だ。密封する技術が乏しかったのだろう」
紅莉栖「なるほどね。でもこれじゃ飲むときに引っかかっちゃって全然飲めない」
岡部「スネーク、その凹みにビー玉を引っ掛けるんだ」
紅莉栖「誰がスネークか。・・・あ、飲めた。おいしい」
岡部「昔はこのビー玉をよく集めたな」
紅莉栖「取れるの?これ」
岡部「取れなければどうやって入れるのだ。キャップをはずせばいい」
紅莉栖「でもこれ、開かなかったけど?」
岡部「ペットボトルなんかとは違って、逆ねじになっている」
時計回りにを捻ると、いとも容易くキャップは回った。
岡部「誤って開けない為の配慮だろう」
紅莉栖「へぇ。でもこのビー玉、集めてどうするの」
岡部「特に意味はない。そういえばビー玉を打ち出すおもちゃなんかもあったな」
摘出を終えたビー玉を、白衣のポケットへしまった。
紅莉栖「ん、ちょっと止まって」
岡部「どうした?」
紅莉栖「・・・」
数メートル先の地面を、目を細めじっくりと眺め始めた。
紅莉栖「やっぱり。ピアノ線が張ってある」
岡部「ピアノ線?なんでこんな所に」
紅莉栖「イタズラ・・・にしては悪質ね」
物陰に隠れていた少女は、思いも寄らぬ通行人に焦っていた。
沙都子「ま、マズイですわ・・・あの方達が先に引っかかってしまっては・・・!」
圭一「くっそー、どこだ沙都子ー」
紅莉栖「あっ、そこ、ピアノ線・・・!」
圭一「へっ?のわぁっ!」
間一髪、15cm程の高さに張られたピアノ線を飛び越えた。
圭一「あ、あいつめ・・・!ただじゃおかねぇ!すいません、ありがとうござ
苦笑いを浮かべながら礼を述べた少年が、突然視界から消えた。
ほぼ同時に、物陰から一人の少女が飛び出す。
沙都子「ヲ、ヲーッホッホッ!忠告を受けながらも2重トラップに引っかかるようではまだまだ甘いですわよ!」
圭一「くそ、落とし穴とは古典的な・・・待てコラァー!」
真っ黒く汚れた少年が、チョコマカと走り去る少女を追いかけていった。
岡部「なんだ、今のは」
紅莉栖「田舎ではよくあること・・・ではないわよね」
岡部「?」
紅莉栖「どうかした?」
岡部「いや、遠くから変な声が」
はぅ~
紅莉栖「え、何これ」
はぅ~
岡部「お、おい、あそこ」
粗大ごみの集積場だろうか、奇声を発しながら鉈を振り下ろす少女。
はぅ~
紅莉栖「こ、こわぁ・・・」
岡部「いいか、俺達は何も見ていない。そうだな?」
紅莉栖「ええ、何も見ていない」
紅莉栖「古手神社ですって。とりあえず行ってみる?」
岡部「階段か・・・」
紅莉栖「なによ、男でしょ。少しくらいは意地を見せ・・・」
彼があの時意地を見せたから、私は今、こうやって―――
紅莉栖「・・・行ってみましょうよ」
岡部「まあ、他に行くあても無いが、正直しんどい」
「みぃ?」
聞きなれない、いや、聞いたことが無いわけでもないような声。
梨花「どうかしたのですか?」
羽入「あ、あぅぅ」
紅莉栖「あ、ううん、なんでもないの。神社に行ってみようかって話をしてただけ」
梨花「じゃあボク達と一緒に行くのです。景色がとっても綺麗なのですよ。にぱー☆」
紅莉栖「ほら岡部、こう言ってるんだから行くわよ」
岡部「くっ・・・まあいい」
・
・
・
岡部「ゼェ・・・ゼェ・・・」
紅莉栖「あんた、息、切らし、すぎ」
岡部「お前だって、切れかけ、じゃ、ないか」
梨花「二人とも、こっちなのですよー」
岡部「子供は何故体力が無尽蔵なのだろうな」
紅莉栖「・・・言いたくないけど、私達の体力が無さ過ぎるのよ」
仏閣の脇、4人は展望台から町内を見下ろした。
紅莉栖「あ、ほら岡部あそこ、さっき通った所。あんなに遠くだったのね」
岡部(あの紅莉栖が笑顔ではしゃいでいる)
紅莉栖「どうしたの?」
岡部「ああ、確かにいい画だ」
梨花「ここは何もない所ですが、景色は抜群なのですよ」
岡部「そういえば、ここはなんという地名なのだ?」
梨花「っ」
一瞬、少女の表情が引きつったように見えた。
梨花「ここは雛見沢というのです」
紅莉栖「知ってる?」
岡部「いや、失礼だが初耳だ」
紅莉栖「まあ、散歩というか、観光みたいなものかしらね」
梨花「そうなのですか。ではボク達は行くのです。さ、羽入、行くのですよ」
羽入「は、はい、なのです・・・」
そういうと梨花は、羽入という名の少女の手をとって神社の裏手へ走っていった。
紅莉栖「・・・なにか気付いた?」
岡部「気になる点はある」
紅莉栖「私も。別れ際の梨花ちゃんの表情見た?」
岡部「俺からは見えなかった」
紅莉栖「一瞬だけどね、すごく神妙な顔をしてたのよ。あんたは何を?」
岡部「これでも俺は大学生だ。だが雛見沢という地名は聞いたことすらない」
紅莉栖「・・・なんか、ひっかかるのよね。ついていってみましょ」
梨花「さぁ羽入、説明しなさい」
羽入「あうぅ、ボ、ボクには何のことだかサッパリなのです」
梨花「とぼけないで。あの二人、誰なのよ」
羽入「あぅ、だからボクは何も・・・」
梨花「今日はワインのウォッカ割りを飲んでみるのですよー。にぱー☆」
羽入「そ、そんなの飲んだら、ボクは死んじゃうのです!」
梨花「おつまみは、ハバネロのキムチにするのですー♪」
羽入「だ、ダメなのです!絶対ダメなのですー!」
梨花「じゃあ話しなさい」
羽入「・・・怒らないと約束できますか?」
梨花「内容による」
羽入「はいなのです」
梨花「それを、裾にしまった」
羽入「・・・はいなのです」
梨花「そのことをすっかり忘れて、私のカケラ紡ぎをはじめた」
羽入「・・・はい」
梨花「その時に裾からそのカケラが落ちた」
羽入「・・・」
梨花「そのことに気が付かず、混じったままこの世界が始まった、というわけね。なるほど」
羽入「っ・・・・・・?怒らない・・・のですか?」
梨花「えぇ、怒らないわよ」
羽入「り、梨花・・・!」
梨花「ただ、これからはあんたを全力で見下すことにするわ」
羽入「梨花ぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」
羽入「ごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさい!」
梨花「うっさい!なんであんたは厄介ごとを増やしてくれるのよ!」
羽入「あうぅ、怒らないって言ったのですー!」
梨花「あんたが実体化した時点で嫌な予感がしてたのよ・・・これが最後なんでしょ」
羽入「・・・もう、次のチャンスはないのです」
梨花「あんたが死んでもきっと終わりよ!なんで敗北条件増やしてるのよ!」
羽入「・・・きっと、あの二人が死んでも終わりだと思うのです」
梨花「はぁぁぁぁああ!?これで敗北条件が一気に4倍になったわよ!死ね!」
羽入「あぅぅ、ひどいのですひどいのですー!」
岡部「賑やかだな」
梨花「っ!」
羽入「あぅ・・・」
梨花「っ・・・ボク達は、今度発売される漫画の話をしていたのですよー☆」
紅莉栖「へぇ、ということは、あなた達は漫画の登場人物なのね」
梨花「・・・どこから聞いていたのですか?」
紅莉栖「そ、そんなの飲んだら、ボクは死んじゃうのです! ってあたりから」
梨花「ほぼ最初からじゃないのよ・・・!」
岡部「教えてくれ梨花。お前に、そして俺らに何が起きているのか」
梨花「・・・言ったところで、信じてもらえるはずがないのです」
岡部「信じるさ」
梨花「・・・そういえばまだ名前を聞いてなかったのです」
岡部「岡部倫太郎だ。岡部でいい」
紅莉栖「牧瀬紅莉栖。呼び方は助手とクリスティーナ以外ならなんでもいいわ」
岡部「・・・」
紅莉栖「・・・そんなのって・・・」
梨花「どう、信じられないでしょ?無理もないわ」
岡部「・・・そのループを終わらせるためには、何をすればいい?」
梨花「信じられるの?ただの子供の戯言かもしれないのに」
岡部「俺だって似たような経験をしてきた。聞いてくれるか」
脇に腰掛ける紅莉栖へ視線をうつす。
岡部「紅莉栖、申し訳ないが、少しだけ席を外してほしい」
紅莉栖「は?私には聞かせられな・・・わかった。終わったら呼んで」
岡部「すまない。お前にも、話せるときが来たら話す」
岡部の眼差しを受け、紅莉栖は立ち上がり展望台のほうへと足を運んだ。
紅莉栖(・・・あの時と同じ目)
梨花「昭和58年の6月。西暦でいえば1983年よ」
岡部「・・・やはりな。商店の日めくりカレンダーを見ておかしいと思った」
梨花「岡部はいつのどこから?」
岡部「平成20年、東京だ」
梨花「平成って?」
岡部「ああ、すまない。西暦でいえば2010年だ」
梨花「・・・あんた、どこでカケラ拾ったのよ」
羽入「あぅ・・・」
梨花「岡部は何年生まれなの?この時代ではまだ生まれていないでしょ」
岡部「91年生まれだ。そうか、携帯が繋がらん理由もはっきりした」
梨花「けいたい?」
岡部「そうか、これも知らないのだな」
羽入「すごいのです!すごいのです!」
岡部「ほら、カメラにもなる」
梨花「ほおおぉぉ・・・」
岡部「そういや、この時代にテレビゲームはあるか?」
梨花「え?ああ、ファミリーコンピュータっていうのが来月出るわね」
岡部「ファミコンか。名機だ。だが」
ニヤリと不適な笑みを浮かべる。
岡部「未来では、まるで実写と見まごうほどの美しい映像でテレビゲームができるぞ」
梨花「っ!・・・岡部、私達に力を貸して」
岡部「生きる希望が湧いたようだな。だが、ひとつ条件がある」
梨花「・・・何?」
岡部「そろそろ俺の話を聞いてくれ」
羽入「話が脱線しすぎなのです」
羽入「あぅぅ、痛い話は嫌なのです」
梨花「お腹をナイフで・・・その痛み、よく分かるわ。苦しかったでしょ?」
岡部「こんなものかすり傷だ。紅莉栖に比べれば」
羽入「好きなのですね。牧瀬のことが」
岡部「あいつの気持ちは分からんままだがな」
数十メートル先、展望台から遠くを眺める紅莉栖の背中を見つめ呟いた。
羽入「あぅあぅ、恋バナは大好きなのですよー♪」
梨花「ちょっと黙ってなさい」
岡部「羽入って、梨花の先祖なんだよな?」
梨花「ええ。嘆かわしい」
羽入「あぅッ!?」
岡部「わかった。だが俺らの正体は内緒にしてくれ」
梨花「ええ、わかってる。今日はどこかに泊まるしかないわね」
岡部「泊ま・・・あっ」
財布の中身を確認する。
岡部「・・・460円で泊まれるホテルはあるか?」
梨花「ないでしょうね」
岡部「俺は野宿でも構わんが、紅莉栖はそうもいかない。どうするべきか・・・」
羽入「あぅあぅ、レディーファースト!かっこいいのですー♪」
梨花「だから黙ってなさい。そうね、岡部のその電話、使える?」
岡部「残念ながら不可能だ。昭和に携帯のアンテナなど建っていない」
梨花「しょうがない、家まで戻るわ。ついてきて」
岡部「すまない。ひとまず梨花の家に行くぞ」
紅莉栖「どういう結論が出てそうなったのよ」
岡部「質問だ。野宿をしたいか?それとも布団で寝たいか?」
紅莉栖「は?そりゃ後者を選ぶけど」
岡部「ならば行くぞ。梨花がどこか泊めてくれる場所を探してくれる」
紅莉栖「ああ、なるほどね」
梨花「岡部、牧瀬、早く来ないと置いていっちゃうのですよー。にぱー☆」
岡部「あいつは・・・2重人格なのか?」
紅莉栖「いや、違うわね。記憶が共有されてるもの」
岡部「そういうもんなのか」
梨花「ちょっと、知り合いの人に会ってお話をしていたのです」
沙都子「梨花のお知り合いですの?どのような・・・あっ」
岡部「あっ」
紅莉栖「あっ」
沙都子「さ、先ほどはご迷惑をおかけ致しましたわ!危うく梨花の知り合いの方をトラップに・・・」
紅莉栖「あ、ええ、大丈夫よ。心配しないで」
岡部「あの後少年に追いかけられていたが、逃げ切れたのか?」
沙都子「ヲーッホッホッホッ!この北条沙都子、あんなヘナチョコに捕まるようなヘマはいたしませんわよ!」
岡部(変な子)
紅莉栖(変な子)
梨花(あ、今 変な子 って思ってるわきっと)
梨花「実は魅ぃにお願いがあって電話したのです」
魅音「梨花ちゃんがお願いなんて珍しいね。言ってみ?」
梨花「今ボクのお友達が遊びに来ているのですが、お泊まりするところが無くて困ってるのです」
魅音「ふむふむ、なるほど。どんな子?」
梨花「大学生の二人組なのです」
魅音「だ、大学生?交友関係広いねぇ」
梨花「無理ですか?」
魅音「うーん、おじさんは歓迎するけど、婆っちゃがなんて言うかなー」
梨花「お願いなのです」
魅音「むーん、ちょい待ってて、婆っちゃに聞いてみる」
・・・・・・
魅音「その二人と梨花ちゃんで挨拶に来いって言ってる。多分大丈夫っぽいよ」
梨花「みぃ、本当ですか?ではこれから行くのです」
紅莉栖「・・・」
岡部「ところでこの玄関の門を見てくれ。コイツをどう思う?」
紅莉栖「すごく・・・大き、って言わせんな」
魅音「お、いらっしゃーい。このお二人が梨花ちゃんの知り合い?」
岡部「始めまして、岡部だ」
紅莉栖「どうも。牧瀬です。よろしくね」
魅音「ひぇー、本当に大学生だ。・・・ふーむ」
岡部「な、なんだ、何をジロジロ」
魅音「・・・うん、多分大丈夫だね。案内するよー」
梨花「お邪魔しますなのですー」
紅莉栖「・・・ところでこの家を見てくれ。コイツをどう思う?」
岡部「すごく・・・大きいです・・・」
お魎「入り」
魅音「よし、じゃ岡部さん一人で」
岡部「へぇあ!?何故だ!?襖から禍々しいオーラが出ているぞ!」
魅音「大丈夫大丈夫。あとで皆で入るから」
岡部「し・・・失礼いたします」
老婆が一人、背中を向けて座っていた。
お魎「なんね、一人で挨拶かいね」
岡部「あ、いや、はい、本日は園崎様の邸宅にお泊め頂きたくてご挨拶に・・・」
お魎「やれやれ、梨花ちゃまの知り会いやいうからどんな子かと思たら、その声は大人やんね」
老婆は振り返り、正座で小さく縮こまる岡部の顔を見た。
お魎「よし、泊まっていき」
岡部「へ?」
襖の外では、魅音が口を抑えながら必死に笑いを堪えていた。
岡部「お、岡部倫太郎と申します」
お魎「歳は」
岡部「18になります」
お魎「気に入った。魅音、入り」
魅音「よかったね、岡部さん!」
岡部「え、あ、ああ」
お魎「なんね、女連れやったんかい。名前は」
紅莉栖「始めまして、牧瀬と申します。この度はお世話になります」
お魎「ふん、礼儀はしっかりしよる娘やわ。構わん。あんたも泊まり」
魅音「岡部さん、絶対婆っちゃのタイプだと思ったんだよねー」
お魎「なんであんたは本人の前で言うかねこんダラズが」
梨花(あのお魎が照れてる・・・嫌だ、怖い・・・!)
紅莉栖「部屋・・・だと・・・?」
魅音「あれ、嫌なの?私てっきり」
岡部「ま、まあ俺は吝かではな
紅莉栖「嫌よ!こんなヤツと一緒の部屋だなんて、何しでかすかわからないもの!」
梨花「岡部は何をしでかすのですか?」
魅音「いっしっし、梨花ちゃんにはまだ早いかなー。ちょい待ってて。他の部屋開いてないか聞いてみる」
・
・
・
魅音「ごめーん、他の部屋、空いてないんだって。我慢して二人で寝てくれだってさ」
紅莉栖「うぅ・・・泊まらせて貰ってる以上、贅沢は言えないわね」
岡部「そんなに信用ないか、俺」
梨花「それじゃボクは帰るのです。また明日なのですー☆」
魅音「婆っちゃ、いいの?部屋いっぱい空いてるのに」
お魎「ひっひっひ、いいんね」
岡部「ああ、明日は夕方までは自由?時間となる。どうするか」
紅莉栖「そうね、もっと色々な所見て回ってみましょうか」ズズズ
岡部「おい、どこまで自分の布団を引っ張っていく気だ」
紅莉栖「どこって、あんたの対角線上ですが何か」
岡部「そこまで敬遠されたらさすがの俺もヘコむぞ」
紅莉栖「・・・わかったわよ。でもこれくらいは離すわよ」
岡部「・・・好きにしろ」
紅莉栖「おやすみ」
お魎「ん、もう寝ちまったんね。つまらん」
魅音「婆っちゃ・・・」
岡部「声だ。あの声は、信用に値する」
紅莉栖「お前は何を言ってるんだ」
岡部「お前には分からない。分かるとしたら20年後くらいになるのだろうか」
紅莉栖「もういい、寝るわ」
岡部「ぐ・・・そっちから話を出したくせに・・・!」
紅莉栖「・・・」
岡部「・・・」
紅莉栖「・・・」
岡部「・・・なあ」
紅莉栖「・・・すー・・・すー・・・」
岡部「・・・はえぇ・・・!」
紅莉栖「・・・んぁ・・・」
岡部「もういい時間だぞ」
紅莉栖「ぅぅ・・・あ、おかべぇ、おあよう・・・って岡部!?」
岡部「そこまで驚かれる筋合いはないのだが」
紅莉栖「え、あ、なんだ・・・ああ。泊めてもらったんだっけ。おはよう」
岡部「お早くないぞ。12時だ」
紅莉栖「・・・どう考えても寝すぎです本当に(ry」
岡部「まあ、お互い精神的にも疲れていたのだろう」
紅莉栖「・・・この世界は、やっぱり夢じゃないのね」
岡部「ああ、しっかり寝起きしたな」
お魎「ん、よう寝とったな」
岡部「ええ、すいません。まさかもうこんな時間とは」
お魎「魅音がこれ、二人にってな」
岡部「ん?エンジェル・モート ランチ無料券とな」
お魎「あんたら、昨日から何も食うとらんでな」
紅莉栖「そういえばそうね。わたわたしてて忘れてた」
お魎「そこに魅音の妹の詩音っちゅうのがおってな。見たらすーぐわかる顔しよる」
岡部「すいません、お言葉に甘えます」
紅莉栖「すいません、色々と尽くしていただいて」
お魎「礼なら魅音に言い」
岡部「」
紅莉栖「」
「ただいま席にご案内いたしまーす!」
岡部「」
紅莉栖「」
詩音「ん?あの人たちって」
紅莉栖「なんぞこれ・・・!」
岡部「2010年に帰ってきたのかと思った・・・」
詩音「はろろーん♪こんにちはー♪」
岡部「ん?あれ、魅音?」
詩音「ざんねーん、妹の詩音でーす」
岡部「昨日・・・どこかで会ったか?」
詩音「ほら、道で車呼びとめたじゃないですか。あれに乗ってたんです」
岡部「ああ、あのヤク、もとい、逞しそうな人の車に」
詩音「言い直さなくても大丈夫ですよ。本物のヤクザですから」
岡部「・・・!」
紅莉栖「あ、それで魅音さんからコレを貰って来たんだけど」
詩音「あら、うちの無料チケット。ってことは梨花ちゃまの知り合いってあなた達だったんですね」
岡部「まあ、そういうことになる」
詩音「てっきり子供だと思ってたけど、梨花ちゃまって交友関係広いんですね」
岡部「魅音も同じ事を言っていたな」
詩音「双子ですから♪」
岡部「すまない。興宮の方で時間をくってしまって」
紅莉栖「本屋でかたっぱしから雑誌読んでるんだもの」
大石「古手さん、お知り合いの方ですか」
梨花「はい、ボクのお友達なのです」
富竹「こりゃまたずいぶん大きなお友達がいたんだね」
梨花、恰幅のいい壮年男性、マッチョなタンクトップ、細身の白衣、マッチョなイケメン。
岡部「昨日3人が集まると言っていたな。4人だったのか」
梨花「赤坂まで来てくれるなんて思っていなかったのです」
赤坂「えーと、岡部さんですか。始めまして、警視庁公安部の赤坂衛です」
岡部「あ、どうも、岡部倫太郎です。大学生です」
紅莉栖「牧瀬紅莉栖です。大学の研究所で研究員をやっています」
梨花「東京のほうから遊びに来ているのです」
入江「入江です。この雛見沢で診療所をやっています」
富竹「僕は富竹。フリーのカメラマンさ。あはは!」
岡部(ああ、やっと親近感の湧くポジションの人が・・・)
梨花「富竹、岡部には本当の事を話しても大丈夫なのですよ」
富竹「あはは、そうかい?じゃあ」
呑気そうに笑っていた目が、真剣な眼差しへと変わる。
富竹「始めまして岡部くん。富竹ジロウ二等陸尉です。監査役兼連絡員として雛見沢に派遣されています」
入江「では私も。入江京介二等陸佐です。入江機関という研究所の最高責任者です」
岡部「」
入江「岡部君は大学生なんですね。白衣を着ていますが、どういった分野を?」
岡部「・・・電気です」
岡部倫太郎。初めて”白衣を脱ぎたい”と感じた瞬間であった。
紅莉栖「はい。始めまして」
入江「突然ですがメイド服には興味ありませんか?その美しい容姿、ぜひメイド服を着用していただきたいのですが」
紅莉栖(あ、この人生理的に受け付けない)
梨花「入江、自重しやがれなのです」
入江「おっとすいません、つい本音が。研究員との事ですが、どういった分野を?」
紅莉栖「脳科学です」
入江「脳、科学・・・失礼ですが、どちらの大学の研究所でいらっしゃいますか・・・?」
紅莉栖「ヴィクトル・コンドリア大学ですが何か」
入江「ヴィッ・・・!!!」
数歩後ずさり、慌てて深々と頭を下げた。
入江「も、申し訳ございません!ご無礼を働いてしまったことをお許しください!」
紅莉栖「ああ、もういいです。頭上げてください」
岡部(ダルを見るときと同じ目をしている・・・!)
大石「えぇ、毎年ね、この時期になると男女二人組が謎の死を遂げたり行方不明になるんですよ」
煙草に火を点けながら、大石はニヤリと笑った。
大石「巷じゃ”オヤシロ様の祟り”だなんて言われてます。あなた達も気をつけて下さいよ?」
梨花「大石、岡部達を驚かさないでください」
大石「ああ、すいませんねぇ。つい癖で。さて、私達はそろそろお暇しましょうか」
赤坂「そうですね。私は一度大石さんと署に戻ります」
富竹「僕も、興宮のホテルに戻ります」
梨花「じゃあ、今日はこれで解散なのです」
岡部「毎年、男女が、この時期に・・・」
入江「牧瀬さん」
紅莉栖「なんですか」
入江「・・・ヴィクトル・コンドリア大学脳科学研究所の一員であるあなたに、見て頂きたいものがあるのです」
入江「ええ、風土病のようなものです」
紅莉栖「具体的な発祥例は?」
入江「幻覚や幻聴、極度の疑心暗鬼や人間不信に陥ります。重度になると理性を失い、リンパ線に異常なまでの掻痒が現れます」
紅莉栖「疑心暗鬼に人間不信、そして理性を失う・・・」
岡部「どうやら、穏やかではなさそうだな」
入江「空気感染が主な感染経路ですので、お二人には一応予防薬を投与いたしましょう。さぁ、ここです」
岡部「入江診療所・・・失礼ですが、研究所にしては小ぶりですね」
入江「表向きはただの診療所です。研究所の部分は全て地下となっています」
紅莉栖「見て頂きたいものとは?」
入江「・・・地下に重度の感染者が極秘で入院しています」
紅莉栖「重度?面会に問題は?」
入江「大丈夫です。現在は薬によって昏睡状態となっています」
紅莉栖「・・・」
紅莉栖は神妙な面持ちで、四肢を拘束されて昏睡した少年を見つめる。
岡部「北条・・・沙都子と関係が?」
入江「おや、沙都子ちゃんをご存知でしたか。彼女のお兄さんです」
岡部「あのクマのぬいぐるみは?」
入江「沙都子ちゃんの誕生日プレゼントとして、渡す予定だったそうです」
岡部「そうですか・・・」
紅莉栖「彼がL5となった原因は?日常生活で発症するものではないのでしょう?」
入江「・・・場所を移しましょう。聞こえていないとはいえ、彼の前でこの話はできません」
”梨花とはもう1年近く、ここで一緒に暮らしているんですのよ”
昨日、沙都子は笑顔でそう話していた。
岡部(・・・強いんだな)
入江「”オヤシロ様の祟り”の2年目と3年目の事件にあたります」
紅莉栖「それで悟史くんは重度のストレスを?」
入江「いいえ、悟史くんと沙都子ちゃんは叔父夫婦に引き取られたのですが・・・」
岡部「虐待、ですか」
入江は小さく頷いた。
紅莉栖「C-PTSDね」
岡部「C・・・なに?」
紅莉栖「C-PTSD。複雑性心的外傷後ストレス障害の略よ」
入江「複雑性というのは初めて耳にしました。それはどういった?」
紅莉栖「長期間にわたる外傷やストレス等、複数の原因に起因するPTSDのことです」
入江「ほう、勉強不足でした。やはりアメリカの研究は進んでいらっしゃる」
紅莉栖(あれ、83年にはまだ無かったっけ・・・?)
岡部「それが、発症の原因に?」
入江「・・・去年の6月、叔母が何者かに撲殺されました。”オヤシロ様の祟り”4年目です」
岡部「なっ・・・!」
入江「その数日後に彼はL5を発症、そして、今に至ります」
紅莉栖「なるほど、一人が死亡、一人が行方不明ってわけ・・・」
入江「叔母を殺した犯人は後日逮捕され、留置所内で自殺を図りました」
岡部「で、ですがそれでは・・・」
入江「今はそれで納得してもらえないでしょうか。お願いします」
岡部「・・・分かりました」
紅莉栖「入江先生」
入江「はい?」
紅莉栖「私も、一時的にこの研究に携わらせて下さい」
紅莉栖「今の話を聞いて、ただ何もせずに帰ることなんてできません」
そういうと紅莉栖は、隣に座る岡部の方を向いてフッと微笑んだ。
紅莉栖「いいでしょ?どうせ特にすることも無いんだし」
岡部「お前なら絶対そう言うと思っていた。驚きも拒否もしない」
入江「・・・有難うございます。では、早速ですがお二人は明日からこちらへ来てもらえますか」
岡部「二人・・・え、俺も?俺はただの大学生なのですが」
入江「問題ありません。実は、書類整理や事務作業も人手が足りていなくて」
岡部「だ、だからといって・・・」
入江「タダでとは言いません。無論お二人には日当をお支払いします。どうですか?」
岡部「わかりました。俺でよければお手伝いしましょう」
紅莉栖「言うと思った」
岡部「夕食までご馳走になるとはな」
紅莉栖「・・・また、あのお店とはね。詩音さんはいなかったけど」
岡部「あの制服、軽犯罪法とかにはひっからないのだろうか?」
紅莉栖「さあ、でも今よりは寛容だったんじゃないの?」
岡部「ダルは生まれてくる時代を間違えたな。まあ、明日は早い。今日は早めに寝るとしよう」
紅莉栖「そうね。忙しくなりそう」
岡部「その割には若干嬉しそうだな」
紅莉栖「人の命がかかってるんだもの。そりゃ奮起するわよ」
岡部「・・・人の命、か。そうだな」
紅莉栖「あっ・・・」
岡部「・・・」
紅莉栖「・・・」
岡部「ああ、入江先生に会っていてな」
魅音「監督に?大学の関係で用があったとか?」
岡部「まあ、そんな所だ」
紅莉栖「監督?」
魅音「ああ、少年野球チームの監督もやってるんです。忙しい人だよねー」
岡部「そうだ魅音、話を聞きたいのだが」
魅音「何ですか?アッチ系の話をするにはまだ早いですよ~?」
岡部「せんわ!」
紅莉栖「悟史、北条悟史くんのことについて教えて欲しいの」
魅音「・・・監督に、聞いたんですか?」
岡部「話したくないかも知れないが、俺達は知っておきたいんだ。頼む」
魅音「・・・わかりました。あとで部屋に行きます」
岡部「沙都子の兄だということ、それと・・・1年前から行方をくらました事くらいか」
魅音「悟史、元々私達とおなじ学校に通ってたんです」
紅莉栖「学校?それらしい建物は見当たらなかったわね」
魅音「生徒が少ないから営林所の一部を借りて学校にしてるんです。合同学級で」
岡部「では兄弟でおなじ学校に通っていたということか」
魅音「はい。でもある日を境に、二人とも急に元気がなくなっちゃって」
岡部(それが叔父夫婦に引き取られた日か)
魅音「そしたら今度は、沙都子の誕生日プレゼントの為にアルバイトを始めたんです」
紅莉栖(そんな精神状態でさらにアルバイトなんて・・・)
魅音「で、沙都子の誕生日の直前、ドロンと姿を消したんです」
岡部(なるほど。ぬいぐるみを買って帰る途中でL5か。合点がいく)
魅音「もしかしたら悟史は忍者なんじゃないかーなんて心の中で思っちゃいました。あはは」
岡部「ああ、お前とそっくり過ぎて驚いた」
魅音「たまに私と入れ替わってることがあるから注意した方がいいですよー?」
岡部「そっちの方ががよっぽど忍者ではないか」
魅音「ここだけの話、詩音は悟史にホの字だったんです」
紅莉栖「そう・・・悲しんだでしょうね」
魅音「『必ずどこかで生きてるから私は悲しまない』と口では言ってるけど、絶対辛いはずです」
岡部「そうだな、絶対どこかで生きているはずだ」
魅音「沙都子に詩音、二人も女の子を悲しませるなんて、ホント罪作りな・・・男、ですよね・・・」
気丈に振舞っていた魅音の瞳から、止め処なく涙が溢れ出した。
紅莉栖「魅音さん・・・」
魅音「・・・いいえ、大丈夫です・・・」
岡部「話してくれたことに感謝する。お礼に、一つだけ教えてやろう」
魅音「・・・なんですか?」
岡部「悟史は、生きている」
紅莉栖「ちょ、ちょっと!」
わかっている。慌てる紅莉栖を目で諭した。
魅音「・・・今、なんて・・・?」
岡部「悟史は生きている。訳あって、入江先生の所に誰にも気付かれないよう入院している」
魅音「・・・冗談では、ないんですよね?」
岡部「事実だ。俺と紅莉栖で実際に会ってきた。薬で眠らされている。かれこれ1年ほど」
魅音「嘘、そんな・・・悟史が、監督の所に・・・」
魅音「そうですか・・・。ということは面会なんかも」
岡部「まだ顔を会わせる事は難しい。だが、紅莉栖が悟史を救うことに協力してくれる」
魅音「牧瀬さんが?」
岡部「ああ。こいつは俺とは比べられない程の天才だ。悟史の為に尽力してくれる」
魅音「ま、牧瀬さん・・・ありがとうございます。悟史を、助けてやってください」
紅莉栖「ううん、今までの話を聞いてたら、本気を出すしかないわね」
岡部「いいか、この事を知っているのは俺ら3人だけだ。絶対誰にも言うな」
魅音「ええ分かってます。詩音のやつ、この事知ったらビックリするだろうなー」
その頃、興宮―――
善郎「お疲れ様ー」
魅音「ふひー、バイトちかれたー。帰ろ帰ろ」
すっかり元気を取り戻した魅音は、笑顔で部屋を去った。
と思えば、30秒ほどでまた引き返してきた。
魅音「岡部さーん、梨花ちゃ・・・んから電話ですよー」
岡部「梨花?なんでまたこんな時間に」
岡部「もしもし、俺だ」
梨花「今大丈夫?」
岡部「大丈夫だ、問題ない。沙都子はどうしてる?」
梨花「今お風呂に入ってる。残念な私の先祖と一緒にね」
岡部「そうか。で、何かあったのか?」
梨花「・・・今、私に起きていることを、皆に話してみようと思う」
梨花「レナと圭一にはまだ会ってないのね。二人とも魅音の1コ下よ」
岡部「1コ下・・・その圭一ってのは、沙都子の落とし穴にハマったりするか?」
梨花「なんだ、知ってるんじゃない」
岡部「・・・レナという娘は、よもや”はぅ~”という声を出したりするか?」
梨花「いかにも。それがレナよ。どうせゴミ置き場で見かけたんでしょ?」
岡部「ああ。俺も紅莉栖も見なかったことにしていたが」
梨花「変わってるけど、いい娘だから大丈夫よ」
岡部「その言葉、信じるぞ。で、いつ話すんだ?」
梨花「そうね、明日にでも」
岡部「わかった。進展があったら教えて欲しい」
梨花「ええ、わかった」
梨花「手伝いって、雛見沢症候群の研究?」
岡部「ああ、紅莉栖が俄然やる気になっていてな。あいつの頭脳は俺が保障する」
梨花「2010年の知識は心強いわね」
岡部「ああ、数日で特効薬を作り上げるかもな」
梨花「そうなってくれることを祈るわ。で、岡部は何をするの?」
岡部「・・・雑用だ」
梨花「・・・・・・ふふっ」
岡部「あ、今笑ったな?絶対笑ったな?」
梨花「わ、笑ってないわよ。あ、二人ともお風呂上がったみたい」
岡部「では続きはまた後日」
梨花「はいなのです。ではおやすみなさいなのですー」
岡部「自分のおかれてる状況を、友人皆に話すそうだ」
紅莉栖「そう、信じてもらえるといいんだけど」
岡部「ループの話はせず、何者かに殺される、という部分を話すのではないか」
紅莉栖「なるほど、それならまだ話がスムーズね」
岡部「しかし、なぜ梨花が、一体何者に命を狙われるのか」
紅莉栖「女王感染者ってことに関係があるかもね。明日、研究所で色々調べてみましょう」
岡部「うむ。書類整理中にも何か手がかりが見つかるかもしれない」
紅莉栖「そっちの方はまかせたわよ。助手よ」
岡部「なっ、なにをう!」
紅莉栖「どう?助手って言われる気分は」
岡部「ぐ・・・」
詩音「お帰り、お姉♪」
魅音「あるぇー?私が二人?なーんて。影武者ご苦労であった!岡部さん達は?」
詩音「もうすぐお休みするみたいです」
魅音「今日も早いなー。まだ10時じゃん」
詩音「明日から監督のお手伝いに行くんですって」
魅音「お手伝いって診療所の?医科大学なのかな、あの二人」
詩音「私、岡部さんからすっごい話聞いちゃったんです」
魅音「なになにー?教えてー」
詩音「内緒です♪」
魅音「えー、何さそれー」
詩音「お姉が聞いたことになってるんで、それっぽい話を言われたら『うん、わかってる』って適当に返してくださいね」
魅音「いや、そこまで言うなら教えてよ!」
詩音「これは3人だけの秘密なんです♪じゃ、私帰りまーす」
岡部「どうした」
昨日と同様、部屋の端と端に離されて敷かれた布団。
昨日は背中を向けていたが、今日はこちらを向いている。
紅莉栖「雛見沢に来てからずっと、私のこと紅莉栖って呼んでるわね」
岡部「・・・気付いていたか」
紅莉栖「どういう風の吹き回しよ。何を企んでいるんだか」
岡部「お前がそう呼べと言ったんだろう。他意はない」
紅莉栖「・・・まあ、そうだけど」
岡部「助手と呼ばれると、意外とカチンとくるものだな。考えを改める」
紅莉栖「じゃあ、もうラボに戻っても助手は禁止ね」
岡部「ああ、いいだろう。おやすみ、紅莉栖」
紅莉栖「・・・おやすみ」
就寝の挨拶を終えると、紅莉栖はまた背中を向けてしまった。
葛西「いいえ。何やらご機嫌ですね」
詩音「ふふーん、ちょっといい事があったんです。でも葛西にはナイショ」
葛西「そうですか。ではこれ以上は聞かないでおきましょう。発車いたします」
詩音「あ、昨日この車を止めた二人組、梨花ちゃまとカントクの知り合いだったみたいですよ」
葛西「やはり入江先生のお知り合いでしたか」
詩音「明日から診療所のお手伝いですって」
葛西「ということは、お二人は医者か医大生なのでしょうか」
詩音「さあ。じゃあ私眠くなっちゃったんで、着いたら起こして下さいね」
葛西「分かりました」
詩音は外を眺め、岡部との会話を思い返す。
砂利道を橙色に照らす街灯が、頬を伝う一筋の涙をキラリと輝かせた。
紅莉栖「牧瀬紅莉栖です。ヴィクトル・コンドリア大学脳科学研究所の研究員です」
ヴィ、ヴィクコンだって!?
お、おい、なんであんな権威ある研究所の方が・・・?
若い・・・そして可愛い・・・!
という事は、隣の白衣の男も・・・?
ざわ・・・ざわ・・・
岡部「始めまして。岡部倫太郎です。普通の大学生です。雑務担当です」
ほっ。
よかった、普通の人だ。
岡部(紹介順、逆にしてもらうべきだった)
岡部「はい、わかりました」
「岡部君、これ上まで持ってって」
岡部「はい、すぐ行きます」
「岡部さん、この書類、10部づつコピーしてもらえますか?」
岡部「は、はい、急いで」
紅莉栖「岡部、これ入江先生に渡しといて」
岡部「はいはいただ今、ってお前か」
紅莉栖「忙しそうね」
岡部「見ての通りだ。そっちは?」
「牧瀬さん、dcSQUIDの準備ができました。あとこちらの書類に目を通しておいてください」
紅莉栖「わかりました。すぐ行きます。 見ての通りよ。じゃ、それよろしく」
岡部「もう現場を把握できているのか・・・真似できん」
紅莉栖「お疲れ」
岡部「ああ、お疲れだ」
紅莉栖「だらしないわね。まだ2時よ」
岡部「さっきからずっと走り回ったりなんだりでな」
入江「お疲れ様です。お二人とも」
紅莉栖「あ、お疲れ様です」
入江「お二人の働きっぷりに、職員の皆は舌を巻いていましたよ」
岡部「まあ、役に立てているなら本望です」
入江「この調子だと今日の分は3時には終わるでしょう。あとひと踏ん張りですよ」
紅莉栖「そんなに早く?」
入江「牧瀬さんの行動力と統率力はお見事というほかありません。リーダーになってもらいたいくらいです」
岡部「ここでも威張りちらしているのか」
紅莉栖「し、失礼ね!そんなことはないはずよ!」
「す、すごい・・・この実験を3時で終わらせた・・・!」
紅莉栖「明日も同様の実験を行い、今日のデータとの差異を分析してみましょう」
「は、はい、わかりました!ご協力に感謝いたします!」
岡部(実験大好きっ娘の本領発揮、か・・・)
三四「すごいじゃない、あの子」
入江「ええ、さすがは脳科学の権威の一員といった所ですね」
三四「入江先生、追い抜かれちゃいますわよ」
入江「彼女の着眼点には驚かされます。我々が気にしないような些細な点から新たな発見がありました」
三四「未来からタイムスリップしてきてるんじゃない?」
入江「ははは、そう思いたくもなります」
入江「今日はお疲れ様でした。はい、今日の分の謝礼です」
岡部(封筒の厚みからして3000円だな。時給600円、そんなもんか)
入江「明日もよろしくお願いいたします」
紅莉栖「お札、今とデザインが違うわね。聖徳太子?」
岡部「これがバブル時代か・・・!じゃあお前には幾ら入っているんだ・・・?」
紅莉栖「私も3万円だった」
岡部「へ?なぜ俺と同じ金額なのだ」
紅莉栖「なぜって、同じ時間仕事したんだもの、当然じゃない」
岡部「いやいや、俺は雑用、お前は研究所の軸となって働いたのだぞ。不満はないのか?」
紅莉栖「別に。あんたと違ってお金のために働いてるわけじゃないもの」
岡部「く・・・金に困ったことが無いからそう言えるのだ。まあいい、飯行くか」
紅莉栖「そうね、今日は食べ損ねちゃったし。私も財布買いに行きたい」
岡部「今日の俺は大変気分がいい。奢ってやっても構わんぞ」
紅莉栖「現金なヤツ。じゃあお言葉に甘えるわ」
紅莉栖「なんでここなのよ・・・」
岡部「しまった、つい・・・!」
詩音「あっ、岡部さん達、はろろーん♪仕事終わりですか?」
岡部「おお詩音、お勤めご苦労。何故それを知っている?」
詩音「ああ、お姉から聞いたんです。連日の来店なんて、ここ気に入っちゃいました?」
岡部「う、うむ、まあ」
詩音「でも彼女連れでうちに来るなんて、中々の度胸ですよねー」
紅莉栖「ふぇ!?ち、違う!そんなんじゃないから!!コイツとは何の関係も無いの!」
詩音「ありゃ、私のセンサーではてっきりカップルだとばかり。こりゃまた失礼いたしました~♪」
紅莉栖「もう!一番高いメニューとデザートまで注文してやるからな!」
岡部「いや、好きにしていいが・・・」
紅莉栖「必要なものは揃ってるけど、やっぱ古さは否めないわね」
岡部「お前からすれば最新機材ですら27年前のものだしな。あれはないのか?頭を輪切りにするやつ」
紅莉栖「MRIのこと?それがあればどれだけ楽か」
岡部「この時代にはまだ存在しないのか」
紅莉栖「いいえ、あることはある。でも発売されたのが先月で、まだ設置には時間がかかるって」
岡部「そうか、頑張れ」
紅莉栖「ええ、やるだけやってみる。岡部のほうは?」
岡部「運搬とコピーと書類の片付けとホッチキス止めしか記憶にない」
紅莉栖「本当に雑用ね」
岡部「俺のできることはそれくらいだ。だがコピーとホッチキスのスキルは上がったぞ」
紅莉栖「知らんがな」
岡部「あまり長居はできんぞ。早めに帰って梨花の報告を待たねば」
紅莉栖「わかってるわよ。あ、可愛い財布ハケーン」
「ありがとうございましたー」
紅莉栖「~♪」
岡部「随分と可愛らしいのを買ったな」
紅莉栖「な、何よ、悪い?どうせお前には似合わんとか言うつもりでしょ」
岡部「いや、いいのではないか」
紅莉栖「えっ・・・」
岡部「そういった小物の可愛らしさで中和しないとな」
紅莉栖「・・・どういう意味よ!氏ね!ハゲろ!」
岡部「なッ!ハゲてたまるか!絶対ハゲるものか!」
魅音「お、お帰りなさーい。今日は賑やかだよー」
岡部「確かに。来客か?」
魅音「今日は梨花ちゃんの提案で、部活をうちでやってんですよ」
紅莉栖「部活?」
魅音「ま、罰ゲーム付きのゲーム大会みたいなもんです。参加します?」
岡部「ふむ、まあ時間はあるしな。多少付き合ってやる」
魅音「ひっひっひ~、どうなっても知らないですよ~?」
レナ「はぅ~」
紅莉栖(今の声って・・・!)
魅音「じゃーん!岡部さんと牧瀬さんも連れてきたよー!」
紅莉栖「あ、う、うん、よろしくね」
圭一「あれ?一昨日の」
岡部「お、あの時の。沙都子は捕まえられなかったか」
圭一「ええ、残念ながら。こいつ逃げ足だけは速いんすよ」
沙都子「ヲーッホッホッホッ、小学生の逃げ足に追いつけないなんて、所詮都会育ちのもやしっ子ですわねー」
圭一「な、何をー!こんにゃろ、待て!」
沙都子「捕まえてご覧なさいましー♪」
岡部(変な子)
梨花「にぱー☆」
梨花め、うまいこと全員を一箇所に集めたな。
流し目を送ると、梨花は不安げな笑顔を浮かべながら小さく頷き返した。
圭一「よっしゃー!二人には悪いけど、ここは本気ですからね!」
・
・
・
紅莉栖「はい、1抜け」
圭一「なっ!」
紅莉栖「相手の気持ちを表情から読み取るのが得意なのよ、私」
圭一「くっ、標的変更!岡部さん、覚悟!」
・
・
・
岡部「残念だったな少年。俺の勝ちだ」
圭一「だーーーっ!何で!?結局俺がビリかよ!」
岡部「経過はどうあれ、圭一がビリになるという世界に収束するということだ」
岡部は急に真剣な表情となり、圭一の顔を正面から見据えた。
圭一「お、岡部、さん・・・?」
岡部「さあ、罰ゲームを、受けるのだ」
魅音「ぎゃーーっはっはっはっはっは!!!似合ってるよ圭ちゃーん!」
紅莉栖「罰ゲームがコスプレって・・・でも似合ってる・・・」
岡部「負けなくて良かった・・・!だが似合っているな・・・」
圭一「うぅ・・・屈辱だ・・・!」
岡部「そうだ紅莉栖、耳を貸せ」
紅莉栖「け、圭一くん」
圭一「はい・・・何ですか、牧瀬さん・・・」
紅莉栖「その格好、とってもかわいいわよ、圭一くん。だから・・・お姉さんに、もっといっぱい見せて?」
圭一「!・・・おおぅ!一時撤退する!」
沙都子「どうしたんですの?慌てて出て行かれましたけど」
岡部「対思春期少年用の硬化魔法だ」
紅莉栖「岡部氏ねHENTAI。ハゲろ、とにかくハゲろ」///
レナ「はぅ~、照れてる圭一くん、かぁいいよぉ~」
梨花「魅ぃ、これは何ですか?」
魅音「ああ、チェスだよ。おじさんもほとんどルール知らないけどね」
圭一「俺も知らないな。チェックメイト!ってやつだろ?」
レナ「レナも知らなーい」
岡部「俺、昔やってたぞ」
紅莉栖「私も。ちょこっと嗜む程度だけど」
沙都子「あら、じゃあお二人にルールを教えてもらいませんこと?」
圭一「お、それもいいな。今後ゲームに追加できるかもしれないしな」
岡部「フッ・・・紅莉栖よ、この俺と戦いたい?いいだろう。返り討ちにしてくれよう」
紅莉栖「何も言っとらんわ。じゃあ、岡部と対戦しながら説明するわね」
20分後
紅莉栖「はい、チェックメイト」
岡部「なッ!!」
圭一「ほー、奥が深そうなゲームっすね」
岡部「き、貴様!嗜む程度というのは嘘かっ!」
紅莉栖「ただ闇雲に突っ込んでくるだけの相手なら、初心者の私でも勝てるわよ」
岡部「そ、そうだ、全然勝てなくてやめたんだった、俺・・・」
紅莉栖「悪手とまでは言わないけど疑問手ばっかよ、あんたの打ち方」
岡部「曲がったことは嫌いでな、正面から突っ込むのが俺の流儀だ」
紅莉栖「一回でもそれで勝ててから言いなさい」
羽入「今のを踏まえて、もう一回最初から見てみたいのですー」
紅莉栖「じゃ、おさらいね。岡部、もう一局やるわよ」
25分後
紅莉栖「チェックメイト」
岡部「ぐっ!!もう一局!」
紅莉栖「チェックメイト」
岡部「えっ、うそ」
紅莉栖「フールズメイトっていって、2手で勝負がついちゃう事もあるの」
岡部「もういい、小一時間で3敗とかもういい」
圭一「面白いですね。俺もやってみるかな」
沙都子「岡部さんといい勝負になりそうですわね」
岡部「おい、それはどういう意味だっ」
圭一「おい、それはどういう意味だっ」
魅音「お、だいぶいい時間になったね。今日はそろそろ解散ってことで」
梨花「待ってください」
今まで沈黙を続けていた梨花が、突然立ち上がった。
梨花「ボクの話を、聞いて欲しいのです」
魅音「えーと・・・それって、なんかのゲームの話かな?」
岡部「事実だ」
壁に寄りかかって目を閉じていた岡部が、不意に口を開いた。
岡部「この家に集めたのは、俺と紅莉栖も含めた全員で話ができるから。そうだろ?」
梨花「・・・はいなのです。岡部達は、ボクの協力者なのです」
レナ「でも、一体誰が梨花ちゃんを?」
沙都子「確かに、梨花が殺される理由が思いつきませんわ。・・・皆から愛されてますのに」
梨花「直接私を殺めるのは鷹野。鷹野三四。それだけは分かっているのです」
岡部「っ!」
紅莉栖「あの鷹野さんが?なぜそうだって分かるの?」
梨花「岡部と牧瀬には、その理由を以前話したのですよ?にぱー☆」
”私は綿流しの後、何者かに眠らされ殺される。そしてまた同じ姿で生を受ける。羽入の力でね”
”前回は犯人の姿を刻み付ける為、眠らされずにお腹を裂かれたわ。フフ、とっても痛かったわよ?”
一昨日の梨花との会話を思い出し、紅莉栖はハッと大きく目を見開いた。
梨花「あの診療所は仮の姿。真の姿は”入江機関”という研究所。鷹野も研究員の一人なのです」
圭一「き、機関?またすごい話だな」
梨花「ここ雛見沢には、雛見沢症候群という風土病が蔓延しているのです」
沙都子「雛見沢症候群?初耳ですわね」
梨花「この事を知っているのは入江達とボク、そして、岡部達だけなのです」
岡部「実は、俺と紅莉栖でこの病気の研究を手伝っている」
圭一「その病気はどういった症状が?」
梨花「幻覚や疑心暗鬼、理性を失い、首が痒くなってしまうのです」
レナ「! それって昔、レナがなったのも・・・?」
梨花「典型的な症状の一つなのです」
岡部「魅音、昨日の夜に話したことと、話が繋がっただろう?」
魅音「ぷぇ?・・・あ、ああ、うん、わかってる」
魅音「ええ、学校が終わり次第ここに来ます」
岡部「俺達も研究所で手がかりとなりそうなものを探してみる」
梨花「岡部、絶対無理をしてはいけないのです」
岡部「ああ、分かっている」
紅莉栖「私も、できる限り解明に尽力するわ」
梨花「・・・ありがとう。本当に頼もしいのです」
圭一「よっしゃ!明日から忙しくなるぞー!」
レナ「梨花ちゃん、レナ達だって目いっぱい協力するよ?お友達だもんね♪」
梨花「・・・信じてもらえて、本当に良かったのです」
沙都子「では皆様、明日以降に備えて今日はじっくりお休みですわよ!」
一同「おー!」
紅莉栖「よかったわね、梨花ちゃん」
岡部「仲間に話すというのは、相当な勇気を必要とするものだ」
梨花「・・・ねえ、羽入」
羽入「なんですか?」
梨花「あんた、胸でかいわね。ムカつく」
羽入「あぅ!?ど、どどどどうしたのですかいきなり!」
梨花「今度こそは、私もそれくらいになるまで成長できるかしらね」
羽入「・・・今回は仲間がたくさんなのですよ。皆信用してくれたのです」
梨花「・・・そう、よね。これが最後のチャンスだもの。うまくいくに決まってる・・・」
羽入「あぅ、梨花が泣きそうなのです。仲間が多くて嬉しいのかそれとも胸が大きくなれる喜び
ゴチーン!
梨花「一言多いのよ、バカ先祖」
羽入「み・・・眉間を殴るのは反則なのです・・・」
沙都子「り、梨花、今のは何ですの?何かすごい音が・・・」
紅莉栖「そうね、明日も忙しそう」ズズズ
岡部「それ、もういいだろう。お前に手など出さん」
紅莉栖「・・・わかったわよ。いいわよ、ここで」
離されること、約1m。
紅莉栖「おやすみ」
岡部「うむ」
岡部「・・・」
紅莉栖「・・・」
岡部「・・・」
紅莉栖「・・・ねえ」
岡部「来ると思った」
岡部「いいから話せ」
紅莉栖「・・・梨花ちゃん、嬉しそうだったわね」
岡部「胸のつっかえが取れた顔だった」
紅莉栖「今までは誰にも話さず、自分だけで何とかしようとしてたんでしょうね」
岡部「心を開けば、自ずといい結果が導き出されるものだ」
紅莉栖「ちょっと何言ってるかわからないですね」
岡部「ああ、俺も言っててよくわからなかった」
紅莉栖「おやすみ」
岡部「ああ」
紅莉栖(心を開けば、か・・・)
研究所に入るなり、紅莉栖は大急ぎで実験の準備を始める。
険しい表情を浮かべてはいるが、その目には力がみなぎっている。
その頃俺は、コピーとホッチキス止めに追われていた。
岡部「だーー!40枚×30部の書類とは何だ!」
ピーッ、ピーッ、ピーッ
プリンターから赤いランプと警告音が鳴り響いた。
岡部「なッ!?おい、どうした!機械が人間より先に根をあげるな!
ピーッ、ピーッ、ピーッ
いまだ止まらない警告音。
岡部「どうしたらいい!ダル!助けてくれー!」
「はい」
一人の看護婦が、紙の束を差し出していた。
三四「ただの用紙切れよ、それ」
岡部「ふう、一時はどうなることかと」
三四「もしかして、機械オンチなの?」
岡部「い、いえ、ちょっとパニック状態になっていまして」
三四「うふふ、そんなに慌てなくても大丈夫よ」
鷹野さん、そのミニスカートで足を組まないでくれ。目のやり場に困る!
何これ気まずい。とりあえずこのでかいホッチキスで書類をまとめていこう。
三四「紅莉栖ちゃん、よく働いてくれてるわね」
岡部「ええ、あいつは俺と違って脳のエキスパートですからね」
三四「紅莉栖ちゃんのこと、好きなんでしょ?」
岡部「ふぉあ!?」
ピーッ、ピーッ、ピーッ
三四「あらあらうふふ、図星?」
岡部「な、何を言うんですか突然!」
三四「だって、紅莉栖ちゃんのことばかり見てるもの」
岡部「へ?俺がですか?」
三四「ええ、気付いてないの?」
そういえばさっきから紅莉栖の状況説明ばかりしていた。
ああ、見てたな。俺ずっと紅莉栖見てた。
岡部「見てますね」
三四「鈍感なのね」
岡部「否定できません」
岡部「・・・好きです」
三四「でしょうね。応援してるわよ」
岡部「で、ですが、あいつも中々心を開いてくれないんです」
三四「そんなの簡単よ、『黙って俺について来い』って言って強引に手を引っ張っていけばいいの」
岡部「そんなことをしたら背中を蹴り飛ばされます」
三四「そうね、じゃああの子が困ってる時、手助けしてあげればいいのよ」
岡部「あいつが困ってる時をほとんど見たことが無いです」
三四「んー、前途多難ね。でも道は険しくてもかならずゴールはあるわ。頑張ってね。それじゃ」
案外気さくで優しい人なのだな。それに、人の恋バナ(笑)に目を輝かせていた。
こんな人が、梨花を・・・?
去り際、三四の手にしていたファイルから1枚のプリントがハラリと落ちた。
三四「岡部くん、この辺でプリント落としたかもしれないんだけど、見なかった?」
岡部「プリント?いいえ、見てないですが。あ、それじゃないですか?」
通路の端に落ちているプリントを指差すと、俺に見えないようにしゃがみこんで中身を確認した。
三四「ああ、これよ。よかった。大事なものだったの」
岡部「すいません、落としたときに俺が気付いていれば」
三四「ううん、いいのよ。邪魔したわね」
三四はプリントをファイルにしまうと、苦笑いを浮かべながらそそくさとその場を立ち去った。
岡部(印刷スキルの上昇が、こんな形で役に立つとはな)
岡部「もうそんな時間か。その前に入江先生の所へ行ってくる。お前も来い」
紅莉栖「何でよ?」
岡部「例の件で、重大な話がある」
紅莉栖「・・・わかった。行く」
岡部「失礼します」
入江「おや、二人揃ってどうなさいました?」
岡部「先にお尋ねします。この部屋に監視カメラは?」
入江「・・・音声は記録されません。話す分には大丈夫です」
岡部「先ほど、鷹野さんが落としたプリントをコピーしたものが手元にあります」
「訪問者は・・・岡部と牧瀬の二人です」
小此木「なんだ、助っ人とかいう二人組か」
「なにやら談笑しているようですが」
小此木「どうせ他愛も無い話だろう。記録しなくてもいい」
三四(・・・本当に見てはいないようね。命拾いしたわよ、岡部くん)
入江「表情が読み取れるほど精細に記録されるので、今はそれを受け取らないほうがよろしいでしょう」
岡部「では、どこでお渡ししましょうか」
入江「そうですね、私の行きつけのお店があるんです。ウェイトレスの制服がとても素敵でして」
紅莉栖「もしかして・・・エンジェル・モートですか?」
入江「おや、ご存知ですか?いかにも」
紅莉栖「3日連続になるのね・・・」
岡部「俺らにとっても十分行きつけの店だな」
入江「はぁーい!みんなのイリーがやってきましたよー!」
紅莉栖「はぁ・・・」
詩音「あら、今日は3人なんですね」
岡部「ちょっとした話し合いがあるんだ。奥の席をお願いできるか」
詩音「はいはーい、ごあんなーい♪」
入江「で、鷹野さんの持っていたプリントというのは?」
食後のコーヒーが運ばれて来る頃には、”みんなのイリー”は”入江京介二等陸佐”の顔に戻る。
岡部「こちらです」
入江「・・・滅菌、作戦ですって・・・!」
岡部「俺もまだ流し読み程度ですが、穏やかでない文章が並んでいるのは分かります」
岡部「その作戦が、”宿主ごと全ての寄生虫を葬り去る”事だとしたら、どうする?」
紅莉栖「・・・なるほどね」
入江「まだ、こんなものを持っているなんて・・・」
岡部「この作戦の最終的な決定権を持つのは誰になりますか」
入江「最高責任者である私となります。ですが、断じて決行する気はありません」
岡部「わかっています。ですが、入江先生が”何らかの原因で”決定権を失った場合は」
入江「・・・鷹野さんに、決定権が移ります」
紅莉栖「つまり、もしもこの作戦が決行された時は」
入江「きっと私は”何らかの原因で”もうこの世からいなくなっているのでしょうね」
岡部「入江先生。十分に気をつけてください」
入江「はい、あなた方も」
入江「ええ、あくまでも仮説の一つですが」
紅莉栖「つまり、鷹野さんが梨花ちゃんを殺し、村人が発症する前に作戦を発動し、事態の沈静化を目論む」
岡部「何故そのようなマッチポンプを?」
紅莉栖「雛見沢症候群を最初に発見した人物はどなたですか?」
入江「鷹野さんの祖父にあたる、高野一二三という方です」
紅莉栖「鷹野さんはお爺ちゃんっ子で、その遺志を継いで研究を続けていることは本人から確認済み」
岡部「む・・・つまり?」
紅莉栖「簡潔に言うわ。”雛見沢症候群は実在する”これが証明されて一番浮かばれるのは誰?」
岡部「そりゃ鷹野さんの祖父ではないか?志半ばで亡くな・・・っ・・・!」
入江「す、すごい・・・全てが繋がった・・・!」
紅莉栖「祖父の研究は間違いではなかった。全てが正しかった。胸を張って論文を公開できるのよ」
入江「私は一度古手さんの家に行きます。園崎家までお送りいたしましょうか?」
岡部「いいえ、ちょっと考えたいことがあるので歩いて帰ります」
入江「わかりました。このプリントはお返しいたします。私が持っていてはいけません」
岡部「了解です。では」
岡部「・・・」
紅莉栖「相当ショックだったみたいね」
岡部「お前が一緒にいてくれて、本当に良かった」
紅莉栖「なっ、何よ、急に」
岡部「お前がいなければ、ここまで全容を掴めなかった」
紅莉栖「珍しく普通に褒めたわね。雪でも降るかしら」
岡部「・・・お前はそろそろ身を引いたほうがいい」
紅莉栖「何よ、心配してくれてるの?」
岡部「当たり前だ!」
突然の大声に、道行く人も何事かと奇異の目を二人へと向けた。
紅莉栖「ちょ、突然大声出さないでよ、ビックリするわね」
岡部「もうこれ以上・・・!」
紅莉栖の両肩が、両手で強く捕まれた。
岡部「もうこれ以上、お前を危険な目に会わせたくない・・・」
紅莉栖「い、痛ッ、痛いって・・・どうしたのよ・・・?」
岡部「っ・・・すまない。取り乱して」
紅莉栖「・・・残念だけど、あんたの意見は取り入れられない」
震えた声と、今にも泣きそうな顔。これも、あの時の岡部の顔と一緒だった。
紅莉栖「中途半端で終わらせるの嫌いなのよ。でも無理はしないから、心配しないで」
だから、わざと明るくつとめて、こう言うしかなかった。
岡部「皆、このプリントに目を通して欲しい」
圭一「滅菌作戦、ですか」
岡部「鷹野さん、いや、鷹野が隠し持っていたもののコピーだ」
レナ「この”女王感染者の死亡”っていうのが、梨花ちゃんのこと?」
岡部「ああ、梨花の死亡が村人全員のL5発症のトリガーとなっている」
紅莉栖「あくまでも仮説、だけど」
沙都子「で、では滅菌作戦というのは・・・」
岡部「単刀直入に言う。『梨花を殺し、村人がL5を発症する前に村人全員を抹殺する』ということだ」
梨花「っ・・・!」
圭一「ひ、ひでぇ・・・こんなの人間のやることじゃ・・・」
岡部「数千人を一度に殺すということは、細菌、服毒、毒ガスあたりであろうな」
紅莉栖「ええ、手間を考えると、それが一番効率的でしょうね」
岡部「プリントには24時間以内とある」
沙都子「では、24時間経過していても誰もL5を発症していなければ仮説は間違いですわよね?」
岡部「ああ。そうなるな」
沙都子の口が、ニヤリと歪んだ。
沙都子「では、既に梨花が死んでいれば、私達は発症してなくてはおかしいですわよね?」
岡部「う、うむ、そうだが」
圭一「あっ・・・なるほどな!珍しく賢いぞ沙都子!」
沙都子「”珍しく”は余計ですわ。 さて、梨花」
梨花「みぃ?」
沙都子「悪いですけども、一足先に梨花には死んでもらいますわよ」
圭一「ああ、骨は拾ってやるぜ?梨花ちゃぁ~ん?」
梨花「み?み?み!?」
圭一「みおーん!今すぐ大石さんに電話だァー!」
沙都子「ええ、梨花がもう既に死んいることにしてしまえばいいのですわ」
圭一「ですが、俺達はいつもどおりピンピンしてる、と」
沙都子「そうすれば、仮説は間違っていた!?と鷹野さん達は大パニック必至ですわよ」
紅莉栖「そ、その発想はなかったわ・・・!」
大石「ふぅーむ・・・」
岡部に渡されたプリントを隅々まで読んでいた大石が、顔を上げた。
大石「もしそんなことがバレたら、私は何の罪に問われるんでしょうかねぇ?」
梨花「大石・・・」
眉間に皺を寄せた渋い表情が、ニッと明るくなる。
大石「もし退職金が吹っ飛んだら、村人からのカンパ集めを手伝ってくださいよ?」
魅音「お、大石さん・・・じゃあ・・・!」
大石「困ったことに、鑑識に古い友人がいるんですわ。話を持ちかけてみましょうかね」
圭一「あ、ありがとうございます!お願いします!」
大石「そいつは酒が大好きでねぇ、ちょいと飲ませたらすーぐ心が大きくなるんですよ」
レナ「だったら大石さんの奢りでジャンジャン飲ませちゃえばいいよー!」
大石「おおっと、じゃあその分もカンパ集めも手伝ってもらわないと」
やんや、やんやー!
紅莉栖「大石さん、いいんですか?そんな安請け合いをしてしまって」
大石「雛見沢だって興宮署の管轄です。住民の安全を守るのが警察の仕事なんですよ」
岡部「ご協力、感謝します」
大石「退職金はたいて、でっかい打ち上げ花火を買ったと思えばいいんです。んっふっふ」
魅音「融通の利く人だったんだね。あの人、いつもはうちを目の敵にしてたからさ」
梨花「大石はもう、魅ぃたちを悪く思ったりはしてないのですよ。にぱー☆」
岡部「ん?そういえば入江先生は梨花の家に行くといっていたが、留守なのでは?」
梨花「赤坂が中にいるのです。ボク達が中にいるフリをしてくれているのですよ」
魅音「梨花ちゃんはキーパーソンだからね。今日から3人ともうちに泊まることになってるんです」
羽入「お世話になりますです」
沙都子「お泊り会みたいで楽しそうですわね」
紅莉栖「部屋、空いてないんじゃなかったの?」
魅音「うぇ?あ、ああ、昨日たまたま一部屋空いたんです。牧瀬さんも移ります?」
紅莉栖「・・・ううん、このままでいい」
岡部「っ」
魅音「んー、言われてみれば。もういい時間だもんね」
沙都子「それでは壮行会も兼ねて、どこか外食しませんこと?」
レナ「あ、さんせーい!」
圭一「じゃあ、場所は決まりだな!」
紅莉栖「・・・ねぇ」
岡部「ああ、この流れは・・・」
「「「いらっしゃいませー!エンジェル・モートへようこそー!」」」
岡部「・・・」
紅莉栖「・・・」
詩音「・・・えーっと、そんなに気に入ってもらえました?」
岡部「ああ、心労とエンジェル・モートあたりを起こした」
紅莉栖「1日2回はさすがにね」
岡部「・・・離さないのだな」
紅莉栖「へ?あ、布団・・・もういいわ。めんどくさい」
岡部「ほう、どんな心境の変化だ」
紅莉栖「・・・信用してるから。あんたの事」
岡部「だから最初からそう言っただろうが」
紅莉栖「ほら、いいからとっとと寝なさい」
岡部「おやすみ」
紅莉栖「おやすみ」
岡部「・・・」
紅莉栖「・・・」
岡部「・・・なあ」
紅莉栖「そっちから来たか」
紅莉栖「ええ、それが何か?」
岡部「『やあ牧瀬さん、ボクは警視庁公安部の赤坂なのですよ、にぱー☆』」
紅莉栖「ブフッwwwwww夜中に笑わすな馬鹿wwwwww」
岡部「それだけだ」
紅莉栖「氏ねwwwwwww」
岡部「今俺が言ったことは誰にも内緒だ。いいな」
紅莉栖「言わねーよwwwwww」
岡部「・・・」
紅莉栖「・・・www」
岡部「『こう見えても小学生なのですよ。にぱー☆』」
紅莉栖「だwwwwwまwwwwwれwwwwwwwwwwww」
沙都子「岡部さん達のお部屋、賑やかですわね?」
紅莉栖「・・・」
岡部「・・・」
紅莉栖「・・・」
背中を向けた紅莉栖の肩に、優しく触れた。
紅莉栖「ひわぁっ!?ちょ、あんた、絶対手は出さないって言っ・・・!」
岡部「昼間は、すまなかった」
紅莉栖「ふぇ?」
岡部「つい感情的になってしまった。俺の悪いクセなのかもしれない」
紅莉栖「あ、ああ・・・ううん、気にしてない」
岡部「肩、痛かっただろう?すまない」
紅莉栖「・・・大丈夫、これくらい。心配しないで」
岡部「今度こそおやすみ」
紅莉栖「・・・おやすみ」
2件の実験データの照合が終わると、研究所内にどよめきが響いた。
紅莉栖「予想通りだわ」
「ほ、本当に改善されている・・・!」
紅莉栖「ええ、でもまだ2件。もう少しデータを取っていきたいですね」
「す、すごいです牧瀬さん!たった一人でここまで結果を出されるなんて!」
紅莉栖「いいえ、皆さんが出した過去のデータがあったからこその成功です」
「順調に行けば近いうちに新薬の試作も・・・!」
紅莉栖「ええ、そちらは専門の方々にお任せします。期待しています」
三四「・・・すごいわ、紅莉栖ちゃん、本当に天才なのね」
紅莉栖「あ、鷹野さん。これも全て病気の解明のためです。お役に立てたようで何よりです」
「ああ、すごい」
「かわいいよな」
「ああ、かわいい」
紅莉栖「お疲れ様です。岡部見ませんでした?」
「おっ、お疲れ様。岡部くんだったらまだそこの部屋に、あ、出てきた」
紅莉栖「いたいた、岡部ー、お昼行きましょうよ」
岡部「ああ、もうすぐ終わる」
紅莉栖「早くしないと置いてくぞー」
岡部「わーかったわかった、あと5分で終わらせるから待ってろ」
紅莉栖「300、299、298、297、296・・・」
岡部「だー!カウントするな!」
「・・・いいな」
「・・・ああ、いいな」
一足先に外に出ていようと、地上への階段を上る。
今日は気分がいい。天気もよく、研究も順調。
それに、少しづつお互いの距離が近づいてきた気がしなくもない。
「・・・ええ、実行は例年通り、明日の予定です」
どこからか話し声がする。声は一人だけだった。
紅莉栖(電話かな?静かにしないと)
落ち着いた、艶のあるトーン。この声は鷹野さんだ。
「はい、そちらは幾らでも破棄は可能です。データなんて物は所詮、紙切れに過ぎませんから」
紅莉栖(・・・何の話かしら、破棄?)
息を潜め、聞き耳を立てる。
行儀が悪いことは分かっている、だが今、彼女の前に姿を現すのは得策でないと直感的に感じた。
「ええ、もしご希望なさるのでしたら『研究所に来たのは岡部くん一人』ということにもできますよ?」
紅莉栖「・・・」
岡部「いい天気だな。絶好のエンジェル・モート日和だ」
紅莉栖「・・・」
岡部「おい、ツッコミはどうした。本当に行ってしまうぞ?」
紅莉栖「・・・え?あ、ああ、いいんじゃないかしら」
「「「いらっしゃいませー!エンジェル・モートへようこそー!」」」
岡部「・・・」
詩音「・・・はろろーん。ついにカントクと並びましたね」
岡部「何がだ?」
詩音「連続来店日数です。カントクは3食全部でしたけど」
岡部「なんという紳士」
紅莉栖「・・・」
岡部「・・・何かあったのか?」
紅莉栖「えっ、何が?」
岡部「絵に描いたようなうわの空だぞ」
紅莉栖「あぁ、ううん、気にしなくても大丈夫」
岡部「・・・俺が6分遅れたことに怒っているとか?」
紅莉栖「失礼ね。そんなことで怒るような小さい人間じゃないわよ」
岡部「ふむ・・・では、なんだというのだ。相談ならのってやるぞ」
紅莉栖「・・・ねぇ、岡部」
岡部「どうした」
紅莉栖「ううん、やっぱいい」
岡部「・・・何があったかは知らないが、一人で抱え込むのだけはよすんだ」
入江「どうぞ。どうなさいました?」
岡部「紅莉栖が、相談したいことがあるということで連れてきました」
入江「ま・・・まさか・・・ついにメイド服を着る気に・・・?」
紅莉栖「失礼しました」
入江「じょ、冗談ですって!半分は記録映像を誤魔化す為の演技ですから!」
岡部(半分・・・?)
部屋を出ようとしていた紅莉栖が踵を返し、入江の机に強く両手を突いた。
入江「ひぃッ、な、何でしょうか・・・?」
紅莉栖「・・・じゃあ、私も”賃上げ交渉”を装って話をさせて頂きます」
「入江先生の部屋に訪問者。記録開始します」
「訪問者は・・・岡部と牧瀬です」
小此木「賃上げ要求に来たら、メイド服着用を勧められたって所だろうな。映像だけでもわかる」
「牧瀬が笑顔に戻りました。・・・映像の保存はどうしましょうか」
小此木「必要だと思うか?」
入江「・・・では、確かに『実行は明日』と・・・?」
紅莉栖「はい、間違いなく鷹野さんの声でした」
入江「・・・明日は綿流しのお祭りの日です。そして、例年通りと・・・」
岡部「まさか、”5年目の祟り”を・・・?」
入江「・・・明日は忙しくなりそうです。ご報告ありがとうございました」
紅莉栖「はい、それでは失礼いたします」
机についた両手を戻すと、紅莉栖はニッコリ微笑み、部屋を後にした。
岡部「おお、で、どうだった?」
魅音「へっへーん」
白い歯を見せながら、右手でOKサインを出した。
岡部「本当か!礼を言わないとな。部屋にいるんだろ?」
魅音「うん、こっち」
レナ「はぅ~、大石さんのポヨポヨお腹、かぁいいよぉ~」
大石「いやはやこれは困りましたねぇ、身動きが取れませんよ。んっふっふ」
岡部「なんだこれ」
魅音「気にしなくても大丈夫ですよ。よくある光景ですから」
大石「いやぁそれがね、二つ返事でOKが出たんですよ。しかも私の部下までその気になっちゃいまして」
圭一「酔わせなくても、最初からやる気だったって事ですか?」
大石「なぜか私の周りには血気盛んな輩が多いんですよ。私も含めてね。んっふっふ」
岡部「大石さん、改めて礼を言わせて貰います」
大石「打ち上げ花火は大勢で見たほうがより楽しめるんですよ。それと園崎さん」
魅音「ぷぇ?」
大石「私は長年、園崎家を疑っていました。全ての黒幕はあの園崎お魎なんじゃないかってね」
魅音「その件は、全部うまくいったあとに改めて話して下さい。もちろん婆っちゃとサシでね」
大石「おお怖い、五体満足で園崎家から出られるんでしょうかねぇ?」
やんや、やんやー!
岡部「・・・フ・・・フフ・・・」
紅莉栖「岡部?」
一同「!?」
岡部「よもやファースト・ムーブからスインドルとはな!これ以上ないオープニングだ!」
圭一「そ、そうだぜ!作戦は完璧だ!」
岡部「全ての駒はここに揃った!鷹野三四率いる”東京”など、恐るるに足らん!」
圭一「そうだ!俺達の力、見せ付けてやりましょう!」
岡部「これより、本作戦を”オペレーション・ヴォルスパー”と命名する!」
圭一「おお!なんか分かんないけどかっけー!」
岡部「既に勝利は手中に収めたも同然である!フゥーハハハ!」
圭一「よっしゃ!面白くなってきたー!フゥーハハハ!」
レナ「はぅー!レナも頑張っちゃうよ!」
大石「こういうのって、若い人の間で流行ってるんですかねぇ?」
紅莉栖「・・・いずれ、流行るんじゃないでしょうか」
紅莉栖は呆れながら答えるも、その顔には安堵の笑みが広がっていた。
羽入「レナが青く燃える炎なら、圭一は真っ赤に燃える炎なのです」
梨花「じゃあ岡部は送風機ってとこね」
羽入「どういう意味なのですか?」
梨花「二つの炎に風を送って皆に炊き付け、風向きを変えて敵に送る」
羽入「確かにその通りですが・・・あまりかっこよくないのです」
梨花「うっさいわね」
羽入「でも・・・彼はボク達に、新しい風を運んできてくれたのです」
梨花「ほら、やっぱり送風機よ」
羽入「あうぅ・・・もう送風機でいいのです」
梨花「じゃあ牧瀬は何になるのかしら」
羽入「牧瀬は、この強力な送風機を動かすための強力な電源なのですよ☆」
梨花「・・・うまいこと言うわね」
梨花「みぃ!?」
沙都子「そうですわね、明け方、4~5時に死ぬなんてのはいかがでしょう?」
岡部「大石さん、お願いできますか?」
大石「やれやれ、年寄り相手に遠慮がないですねぇ」
レナ「大石さん、ごめんなさい。ワガママばかりで」
大石「ま、この後はひとっ風呂浴びて、ビールでもかっくらって早々に寝る予定でしたがね」
圭一「じゃあ、梨花ちゃんは昨日の朝4時に死亡、警察の発表が今日の5時ってことで」
紅莉栖「ふむ、寝起きでそんな報告が来たら、パニックは必至ね」
岡部「ああ、自然だな」
梨花「できればもう少しオブラートに包んで欲しいのですよ?」
圭一「じゃーなー!また明日!」
レナ「明日は5時前には来るからねー!」
大石「失礼しました。ご武運をお祈りしますよ。んっふっふ」
沙都子「さてと。私も裏山のトラップの準備にかかりますわよ」
岡部「トラップって、こないだみたいなヤツか。一人で出来るのか?」
沙都子「できたら、お二人のどちらかに手伝っていただけると助かりますわ」
岡部「よし、そっちは紅莉栖に任せる。俺は梨花達と打ち合わせだ」
紅莉栖「おk。じゃあこっちも打ち合わせしよっか」
沙都子「牧瀬さんの頭脳があれば百戦危うからずですわね!」
紅莉栖「トラップは足止め程度?それとも、心身ともに二度と立ち直れなくなるくらい?」
沙都子「え、えっと・・・その中間くらいがよろしいですわ」
紅莉栖「明日って私たちはどうしたら?」
岡部「俺達は普通に研究所へ行き、入江先生と行動を共にしよう」
紅莉栖「そうね、迂闊に動いたら怪しまれるし」
岡部「梨花達と大石は朝5時前から行動に移るそうだ」
紅莉栖「だから梨花ちゃんたち、もう寝てるのね」
岡部「お、ちょっと見てみろ、なんとも綺麗な星空だ」
紅莉栖「あっ、ほんと。雲ひとつ無い」
岡部「星がこんなにも輝いているとは、よほど空気が澄んでいるのだろうな」
紅莉栖「綺麗。都会じゃ絶対見られないわね、こんなの」
岡部「いい所だな。雛見沢というのは」
紅莉栖「ええ、この景色は守らないと」
紅莉栖「ねえ、岡部」
岡部「早いな」
紅莉栖「もしも、もしもだけどさ」
岡部「言ってみろ」
紅莉栖「もし、私が危ない目とかに逢ったとしちゃったら・・・どうする?」
岡部「・・・」
岡部は体を紅莉栖の方へ向け、そっと手を伸ばし、
紅莉栖「・・・!」
頭をワシャワシャと撫でた。
紅莉栖「ひっ、な、なによ・・・?」
岡部「いつもの強気はどこへいったのだ」
紅莉栖「な・・・なんでもない!おやすみっ」
紅莉栖「・・・」
岡部「・・・」
紅莉栖「・・・まだ起きてる?」
岡部「うむ」
紅莉栖「明日って、お祭りがあるんですってね」
岡部「ああ、古手神社でな。綿流しとかいう」
紅莉栖「明日、全部が片付いたら一緒に行かない?」
岡部「ああ、そのつもりだった」
紅莉栖「そこでまた・・・二人で星空を見たいな」
岡部「そうだな。約束しよう」
紅莉栖「・・・ありがと。おやすみ」
小此木「三佐、おはようございます。小此木です」
三四「うぁ、小此木、なんの用よ」
小此木「それが、興宮署でRの死亡が確認されました・・・!」
三四「死亡・・・ちょうどいいじゃない・・・」
小此木「発表によると、死亡推定時刻は24時間以上前との事なのですが・・・」
三四「・・・・・・うーーーー・・・・・・」
小此木「・・・三佐?起きて下さい!」
三四「24時間・・・24時間・・・・・・はぁ!?」
小此木「うぉっ、はい、間違いなく」
三四「ちょっと待って、どういうことよ!説明しなさい!」
小此木「いや、今確認を取っている所です」
三四「わかった、すぐ行くわ!」
富竹「うぇひひ・・・鷹野さぁん・・・にへへへへ・・・ムニャムニャ」
「突入!ドアを蹴破れ!」
「・・・ダメです!一足先に逃げられました!」
「くそ、窓から飛び降りたか!急いで回り込め!」
富竹「くそ・・・あと一歩だったのに・・・!」
「いたぞ!囲め!」
富竹「・・・山狗の連中か・・・」
「さあ、もう逃げられんぞ!」
富竹「・・・ああ、夢さ、夢とはいえ」
「・・・?」
富竹「鷹野さんといい雰囲気だったのに!許さんぞ貴様ら!死して償えぇぇぇぇ!」
入江「あ、おはようございます」
三四「昨日、梨花ちゃんの家に診察に言ったと言っていましたわよね?」
入江「はい、それが何か?」
三四「梨花ちゃん、元気だった?」
入江「え、ええ、まだ体調は優れないそうですが、お祭りには間に合いそうだと」
三四「それは何時ごろ?」
入江「え、えーと、午後4時頃だったと思いますが」
三四「・・・そう、わかりました」
入江「・・・? 何だったんだ・・・?」
岡部「おはようございます。早速ですが重要な話がありまして」
入江「あ、はい。では私の部屋で」
「訪問者は・・・岡部と牧瀬ですが」
小此木「もういい。その二人は放っておけ。今はそれ所じゃない」
岡部「・・・という作戦です。死角はないと思います」
入江「古手さんが、24時間以上前に死亡・・・?」
紅莉栖「どうしました?表情が引きつってますけど」
入江「・・・私、昨日古手さんの家に伺ってしまいまして」
岡部「ええ、行くと言ってましたね」
入江「・・・さっき、その事を鷹野さんに言ってしまいました」
紅莉栖「oh...」
岡部「いきなり暗礁に乗り上げた、だと・・・?」
紅莉栖「でもまあ、これはこれで情報が錯綜できてるわね」
岡部「そうだな。入江先生と警察が違うことを言っているのだからな」
入江「っ!あ、あれは・・・富竹さん!?」
岡部「どうしました?」
入江「ボコボコにされた富竹さんが男達に担がれています!」
そう言うと、慌てた様子でどこかに電話をかけ始めた。
入江「お二人とも、一緒に来てください!ここにいては危険です!」
「・・・あっ!入江先生の部屋から電話の発信です!」
小此木「な、なにぃ!?どこへだ!」
「発信先はRの自宅です!ですがもうカメラに姿はありません!」
小此木「くそ、油断した・・・!警邏中の奴らに尾行させろ!」
入江「古手さんの自宅です。赤坂さんへ避難のサインを送りました」
紅莉栖「今はどこへ?」
入江「園崎家に向かっています。前原くんたちと合流しましょう」
岡部「そうですね。そこまで行けばなんとか」
入江「間違いなく追跡されるはずです。後方の確認をお願いできますか」
岡部「はい、わかり・・・もういます。白いワゴンが」
小此木「何人乗っている?」
「3人の姿が確認できます。岡部と牧瀬が同乗している模様」
小此木「ヘタに部外者は巻き込めん。足止め程度でいい」
「了解」
紅莉栖「え?きゃっ!な、何!?」
岡部「助手席の男が銃を構えています!」
入江「くっ、二人とも、絶対に頭を出さないで!」
男の放った銃弾は、入江の車のリアタイヤを打ち抜く。
バランスを失った車体はスピンし、後部側面が立ち木に激突。
その勢いで10mほど斜面を数回横転しながら下の道路へ転がり落ちていった。
「馬鹿野郎!やりすぎだ!」
「す、すいません!まさか下に落ちていくなんて!」
「急げ!逃げられるぞ!」
岡部「・・・紅莉栖、怪我はないか」
紅莉栖「うぅ・・・多分平気」
強く抱きしめた両手を緩めると、紅莉栖はゆっくりと顔を上げた。
紅莉栖「岡部は大丈、あっ・・・!」
岡部「どうした?どこか痛むか」
紅莉栖「す、すごい血出てる・・・頭から・・・!」
岡部「え?・・・うおっ、本当だ!」
頭に触れると、粉々になったガラス片がパラパラと落ちてきた。
岡部「どうやら、割れた窓ガラスの破片を浴びたようだ」
紅莉栖「いや・・・また私のせいで・・・」
岡部「・・・まだ、昨日の夜の質問に答えていなかったな」
紅莉栖「昨日の夜?・・・あっ・・・」
岡部「この状況が、俺の答えだ」
車外へ出ると、入江先生が傷を診てくれた。
入江「あまり深くはないですね。少しの間安静にしてハンカチなどで患部を押えていれば大丈夫でしょう」
紅莉栖「あ、私持ってます」
岡部「大丈夫なんですか?こんな所に長居していて」
入江「上の道路とこの道路は繋がってないんです。急いでも30分はかかると思います」
岡部「田舎道に感謝ですね」
紅莉栖は、ずっと俺の頭にハンカチをあててくれている。
目を合わせると、今にも泣きそうな目をふっと逸らしながら俯いてしまった。
岡部「心配するな。これくらいかすり傷だ」
頭をポンポンと軽く叩いてやると、紅莉栖は俯いたまま小さく頷いた。
岡部「あっ、い、いや」
紅莉栖「いいえ・・・違います」
入江「ありゃ、違いましたか。これは失礼。ははは」
岡部「えーと、とりあえずこの先、どうしましょうか」
入江「山狗の連中に見つからないよう、歩いていくしかなさそうですね」
紅莉栖「っ!車!隠れて!」
岡部「なっ! いや、あの車は・・・」
1台の黒いセダンが、木陰に佇む岡部達の前で停車した。
詩音「はろろ~ん♪岡部さん、この様子だと来店記録の更新は無理っぽいですね」
岡部「ああ、残念ながらな」
葛西「ひとまず乗ってください。事情はそれから聞きましょう」
詩音「来ちゃいました。年に一度の綿流しですから♪」
圭一「ちょ、岡部さん、服に血が!」
岡部「ああ、いろいろとあったが特に問題ない」
魅音「ひとまず中に入って!地下なら安全だよ!」
「標的は園崎家に侵入した模様です」
小此木「くそっ、厄介な所に逃げ込みやがった」
「発信機の電波、ロストしました」
小此木「ロスト?地下に入られたか・・・地図は持ってるか?」
「はい、全部隊所有しております」
小此木「よし、行け!相手は袋の鼠だ!」
葛西「私たちでよければ加勢いたしましょう」
詩音「よいしょっと、私たちにはこれがありますから。予備マガジンもたっくさん」
岡部「なっ!AK47だと!本物なのか!?」
詩音「あら、岡部さんご存知?もちろん本物ですよ」
岡部「知ってるも何も名器ではないか!正式名はアブトマット・カラシニコバ、ふむ、Ⅲ型か」
葛西「お詳しいですね。どこかでこういった経験がお有りなのですか?」
岡部「いや、ゲーm・・・本で読んだ程度です」
詩音「岡部さんも使います?今日を逃したらもう持てる機会なんて無いですよ?」
岡部「ぐ・・・だが引き金を引ける気がしない」
次の瞬間、地下牢内の電灯の灯りが消滅し、一面が闇となった。
葛西「電線をやられましたな。手馴れているようです」
詩音「皆さんは奥に避難していてください。ちゃっちゃと片付けますから」
岡部「なにそれこわい」
圭一「おい、本当に大丈夫なのか?いくらなんでも二人だけじゃ・・・」
詩音「大丈夫ですって。岡部さん、ちょっとお耳を拝借」
岡部「俺?」
詩音に耳を傾けると、はにかんだような表情で耳打ちをしてきた。
詩音「私、ある人に会えるまでは絶対に死にませんから」
岡部「ん?あるひ・・・え?あの時の魅音ってまさか」
詩音「”注意したほうがいい”って先に忠告はしましたよ♪」
岡部「・・・フフッ、やられた。ではこの場は任せた」
詩音「りょうかーい♪ 葛西、行くわよ」
葛西「はい、では皆様、後ほど」
レナ「はうぅ~、大丈夫かな?かな?」
魅音「ん~、大丈夫だと思うよ。あの二人なら」
閂をかけた扉はC4で爆破され、山狗の隊員5~6名が地下牢へと侵入する。
「赤外線だらけだ、慎重に進め。ここは園崎家だ。何が仕掛けてあるかわからんぞ」
隊員の足元に、何かが転がってきた。
扉の破片にしては妙だ。暗視ゴーグル越しに円筒形の何かが・・・円筒形?
「っ! グレネード!伏せ―――」
突然の破裂音と閃光に、赤外線と戯れていた隊員たちは成す術もなかった。
「くそっ・・・こんなにあっけなく死・・・んでない?」
詩音「皆さん生きてます。ただのフラッシュバンですよ」
「だ、誰だ!くっ、暗視ゴーグルが・・・」
詩音「メインの入り口をあんたたちのハンバーグ工場にする気はありませんから♪」
葛西「別の入り口から侵入していたら命の保障は出来かねましたがね」
詩音「あら、その暗視ゴーグルはもう使い物にならないんですね。すぐ近くにいますよ」
「くっ!」
「待て、撃つな!」
葛西「その方が懸命です。同士撃ちも免れないでしょう」
詩音「電線切っちゃったのが裏目に出ましたね」
葛西「ちなみに私達からはあなた方の姿がはっきりと確認できます」
詩音「1、2、3・・・6人に、主兵装はMP5ですね」
葛西「では取引といたしましょうか」
詩音「このまま引き下がってくれれば、扉と電線の事は目を瞑りましょう。どうします?」
「く・・・くそぉっ!」
「馬鹿、やめ・・・!」
隊員の放った10数発の弾丸が地下牢内の壁に突き刺さる。
同時に、空となった薬莢が甲高い金属音を立てて地面へと転がった。
葛西「宣戦布告とみなしました」
詩音「同じく。・・・さて皆さん」
先ほどまでの軽快さはなく、低く落ち着き払ったトーンで続ける。
詩音「扉の破壊、電線の切断。そして敷地内での無許可での発砲」
「そ、それはこいつの勝手な行動で・・・」
詩音「お黙りください。ここが園崎家と知っての狼藉か」
冷たく、鼓膜に突き刺さるような声だけが響き渡る。
詩音「この地下牢にはですね、長い事使ってない深い古井戸があるんですよ」
隊員の一人の額に、赤いポインターが点いた。
「ひっ・・・!」
葛西「おっと、動かないでください。慌てて引き金を引いてしまいます」
詩音「最近は園崎家も丸くなっちゃって、久しく生贄が放り込まれていないんですよね」
「わぁぁっ!・・・あ・・・」
葛西「おっと、申し訳ございません。いかんせん命中精度が低いもので」
詩音「こら葛西、早く楽にしてやんなさい」
葛西「次こそは必ず当てますので、ご安心を」
「た・・・助けてくれ・・・!」
詩音「残念ですが受け入れられません。手遅れです」
葛西「園崎家に安易に踏み込んだ事を、地獄で深く後悔なさるといいでしょう」
セレクターをフルオートに切り替えると、二人は躊躇いなく引き金を引いた。
詩音「さあさあ最初に古井戸にブチ込まれたいのはどいつですかねぇ!!」
「た、退避ぃぃぃ!!」
詩音「ホントに命中精度悪いですね。一発も当たりませんでしたよ」
葛西「奇遇ですね。私もです」
入江「よかった。二人ともご無事なようで」
葛西「ちょっと話をしたらわかって頂けたようで、すぐにお帰りになられました」
岡部「いや、銃声と詩音の怒声が響き渡っていたが」
詩音「あら、聞こえちゃいました?」
葛西「もう外に出ても大丈夫でしょう。私の後に続いてください」
大破したワゴン車。昏倒する数人の山狗の隊員。
そして、仁王立ちで岡部達を見据える、マッチョなイケメン隊員。
赤坂「梨花ちゃん、君を助けに・・・来たつもりだったんだけど」
梨花「ヒーローになりそこねたのです。でも嬉しいのですよ」
詩音「葛西、この気絶してる男達はどうします?」
葛西「若い衆を呼びましょう。”お説教”が必要です」
詩音「ま、けじめとして一人4~5枚ってところですかね」
岡部「なにその数字こわい」
詩音「はーい!私も行きまーす!」
赤坂「男手は多いほうがいいでしょう。私も行きます」
圭一「じゃ俺達と岡部さん達は裏山に逃げ込むか」
沙都子「・・・ついに、ついにあのトラップを発動させる瞬間がきましたわぁー!」
魅音「ああ、せっせせっせとなんか作ってたねぇ」
沙都子「私と牧瀬さんの合作トラップ、楽しみで昨日は殆ど眠れなかったですわよ!」
岡部「紅莉栖、何を仕掛けたんだ?」
紅莉栖「え、えっと」
沙都子「さあさあ皆様方、山の頂までレッツゴーですわ!」
梨花「沙都子、心から笑ってるわね」
羽入「あんな笑顔、久々に見たのですよ」
三四「別れの挨拶をすませてくるわ」
ジロウさん。
あなたと会話をするのはきっとこれで最後。
あなたは今日、雛見沢で奇怪な死を遂げる。
そう、自らの手で首を掻き毟って命を落とすの。
手足を縛られ部屋で一人、傷だらけのあなたは何を想うのかしら。
今頃必死に命乞いの言葉を選んでいる?
いいえ、それはない。ジロウさんはそんな人じゃない。
「君に殺されるなら本望だ」とでも言い出しかねない。
残念だけど、あなたを殺すのは私じゃない。
雛見沢という地があなたを殺すの。
ガチャ
三四「ジロウさん」
富竹「鷹野さん、それ以上はやめ・・・いや、やめないで、痛い痛い痛い、うぇひひひ・・・ムニャムニャ」
三四「・・・」
バタン
もういい。勝手に死ね。
圭一「あ、あれ全部山狗が乗ってるのか?ちょっと多すぎるんじゃ・・・」
沙都子「少なすぎるくらいですわ。100人くらいを想定していましたのに」
岡部「第一の目標は梨花の安全だ。そこを忘れるなよ」
沙都子「わかってますわ。梨花を殺そうとする不届き者なんて、最初のトラップで地獄行きですわよ!」
梨花「沙都子、何を仕掛けたのですか?」
沙都子「ウフフ、見てのお楽しみですわよ」
魅音「よーし、それじゃ最初のトラップ発動後、各自持ち場へと移動!」
岡部「これより”オペレーション・ヴォルスパー”第2段階、敵殲滅フェイズへと移行する!」
圭一「よっしゃあ!のってきたぁー!」
岡部「第一目標は敵の無線機の奪取!精神攻撃を仕掛ける!」
一同「おー!」
三四「Rはこの山の中にいる。袋の鼠よ」
「Rの他、民間人も一緒にいるとの事ですが、いかがいたしましょう?」
三四「殺しちゃいなさい」
「なっ・・・!」
三四「邪魔をするものは誰だろうが容赦なく撃ちなさい。その銃は飾りじゃないの」
「りょ、了解しました!」
三四「私は本部で吉報を待つとするわ。小此木、指揮は任せたわよ」
小此木「了解です」
「こ、殺せって言われたって・・・」
「ああ、相手は子供なんだろ?」
「そもそも、Rを捕獲してどうするつもりなんだ?」
小此木「・・・」
「はっ!」
小此木「それに、銃のセーフティは外すな」
「えっ、ですがそれでは・・・」
小此木「ここ数日、三佐の様子がおかしい。あまりにもカリカリしすぎている」
「何かあったのでしょうか?」
小此木「まあ、思いあたるフシは無くもない。よし、行け」
「了解です!各員、行くぞ!」
小此木「いいか、女子供を撃つような落ちぶれたマネだけは許さんぞ!」
沙都子「そわそわ、そわそわ」
岡部「口でそわそわ言う人を初めて見た」
「うおっ!なんだ!眩し・・・」
ドーーーン!
「「「どわーっ!」」」
ブワッ!
「「「げふっ!」」」
ドドドドドドドド
「わ゛ーーっ!!お、鳳1、聞こえますか!トラップが!」
小此木「聞こえているも何もすぐ近くで音がしたが。大丈夫か?」
「総員の7割近く、行動不能に陥っています!」
小此木「あぁ!?」
「ん、なんだこれは・・・殺す気か・・・!」
「うぅ・・・たす・・・け・・・」
「悪意の塊だ・・・!」
小此木「・・・!」
岡部「おい沙都子」
沙都子「大成功ですわ!今頃あの辺一帯は阿鼻叫喚の渦に・・・うふふ」
岡部「おい北条沙都子」
沙都子「さすが牧瀬さん、お陰で完璧なトラップになりましたわ!」
岡部「おい北条沙都子と牧瀬紅莉栖」
沙都子「何ですの?人が成功に喜んでいる最中ですのに」
岡部「まず紅莉栖、何を吹き込んだ」
紅莉栖「わ、私は心理学に基づいて配置とかをアドバイスしただけで・・・」
岡部「沙都子、何を設置した」
沙都子「まずは目くらまし、その後に○○○、×××、△△△、それから・・・」
岡部「字にできんわ!殺す気か!」
沙都子「失礼ですわね、命を奪うほどの威力は持たせてありませんわよ!」
岡部「・・・まさか敵の安否を気遣う事になるとは・・・」
「はっ!」
小此木「行動可能が5人しかいないってどういうことだ!」
「も、申し訳ありません!まさかあんなトラップが・・・」
小此木「くそっ!追加召集をかけるしかないか・・・!お前らは待機!」
入江「・・・っ!皆さん、身を隠して!」
赤坂「どうされました?」
入江「今走っていったワゴンに、山狗達が乗っていました」
葛西「増員ということでしょうか」
入江「わかりません。研究員の姿もありました」
詩音「研究員って戦えるんですか?」
入江「いいえ、訓練すら行っていないはずですが・・・うーむ」
赤坂「富竹さんが心配です。急ぎましょう」
ガチャ!
入江「富竹さん!」
富竹「へぇあ!?ここはどこ?僕は誰?鷹野さんはいずこに?」
入江「ああ、よかった。ご無事なようで」
富竹「えぇ?・・・ああ、夢だったのか・・・」
葛西「眠らされていたのですか?」
富竹「え、えーと、そんな所です。助かりました」
詩音「見張りの一人もつけないなんて、山狗ってどこかぬけてますね」
富竹「いえ、数人が待機していたはずですが、いないのですか?」
赤坂「やはり、さっきのは臨時増員ということか・・・」
入江「見張りや研究員にすら召集をかけるとは、どういうことでしょうか」
富竹「番犬部隊を呼びましょう。幸いここの電話はまだ繋がっている」
入江「お願いいたします。私は詩音さんと話があるので」
入江「まさか、岡部さんから聞いていたのですか?」
詩音「はい。実はお姉に扮して、こっそり聞いちゃいました」
入江「そうでしたか・・・ですが、彼はまだ目を覚ますことが出来ません」
詩音「そう、まだ無理なんですね・・・」
入江「ですが、牧瀬さんのお陰で新薬の開発段階まで進むことが出来ました」
詩音「牧瀬さんが?本当に天才なんですね、あの人」
入江「とても不思議な方です。まるで未来を生きてるかのような発想力をお持ちで」
詩音「お礼を言わないといけませんね。ところでカントク」
入江「はい?」
詩音「今はまだ、目を覚まさないんですよね?」
入江「・・・はい、今は薬で強制的に」
詩音「ということは、今は何をしても大丈夫ってことになりますよね?」
入江「はい・・・はい?」
入江「ありがとうございます。事態は収拾しそうな感じですね」
赤坂「では私たちも園崎家に向かいましょう」
詩音「えー、また歩きですかー?もう歩きたくないですー。ぶーぶー」
葛西「車での移動は人目につきやすいものです。ここは歩いたほうが得策かと」
富竹「同感です。どこから監視されているかわかりません」
詩音「疲れたー。私ここに残るー」
葛西「詩音さん、わがままを言っている場合では・・・」
入江「詩音さん、男というのは活発的な女性を好むものなんですよ」
詩音「よし!ちゃっちゃと我が家まで歩きますよ!ほらほら急いだ!」
入江(悟史くんと詩音さんだけをここに残してはいけない・・・!)
レナ「誰も来ないねー」
圭一「全滅させちゃったか?」
「あの、何をすればいいのかも聞かされていないのですが」
「ええ、何も聞いていません」
小此木「R、古手梨花がこの山の中に隠れている。連れ出して欲しい」
「古手さんが?何故こんな山の中に」
小此木「詳しい事情は後で話す。とりあえず着替えてくれ。念のためこれもな」
「はあ」
三四「手を焼いているようね。待ちくたびれたわ」
小此木「三佐。どうも予想外の事態が発生しまして」
三四「子供の仕掛けた罠ごときにひっかかるなんて、あんたの指揮も大したこと無いのね」
小此木「申し訳ありません。まさかあんな」
三四「言い訳はいいからとっとと捕まえてきなさい」
小此木「・・・了解しました」
紅莉栖「一人ね。無線は・・・担いでる」
岡部「願ったり叶ったりだ」
紅莉栖「気をつけて」
岡部「ああ、大丈夫だ。台本通りに頼む」
久しく電波の入っていない携帯電話を取り出し、内臓のストップウォッチを起動した。
「~♪」
岡部(鼻歌交じりとか何コイツ)
木の陰に隠れた岡部に気付くことも無く、横を通過する。
岡部「動くな」
「なっ・・・」
隊員の背後に回りこみ、心臓の辺りに携帯電話を突きつけた。
「あ、あんた、研究所で見かけたことがありますぜ」
岡部「それは光栄だな。これが何かわかるか?」
左胸に突きつけられた機械の液晶に表示されるタイマーは、残り60秒を表示していた。
「・・・なんですかい?これは」
岡部「この数字が0になった瞬間、貴様の心臓は停止する」
「・・・そんなハッタリ、俺には通用しませんぜ?」
岡部「ヴィクトル・コンドリア大学脳科学研究所が開発したガジェットだと聞いてもか?」
紅莉栖「それの実力は、私が保証するわよ」
「あ、あんた、噂の・・・」
紅莉栖「光栄ね。もうすぐ死ぬ相手にすら知られてるなんて」
「な・・・ってこたぁ、これって・・・」
岡部「だから言っただろう?あと40秒でこの世とはお別れだ」
紅莉栖「言い残したことはある?」
岡部「銃を下へ置け。そして無線機をいただく」
「ふむ・・・」
岡部「さあ、残り30秒だ」
紅莉栖「念仏は唱え終わったかしら?」
「・・・わかりやした。条件をのみましょう」
紅莉栖「っとと・・・えいっ!」
下に置いた銃を恐る恐る拾い、崖下へと投げ捨てた。
岡部「無線機を下ろしたら、振り返らずにまっすぐ走って下山しろ」
「ヒャッハ、あんたら最高にクールですぜ」
男は無線機を降ろすと、振り返ることなく小走りで下山し、姿を消した。
紅莉栖「・・・この作戦、驚くほどうまくいったわね」
岡部「携帯電話の新たな可能性を感じた」
紅莉栖「いや、今は1983年ですから」
圭一「さっすが岡部さん!いったいどうやって?」
岡部「ナイショだ」
梨花「で、これを使って何をするのですか?」
岡部「ああ、精神攻撃を仕掛ける。まずは女子グループ全員で・・・」
・
・
・
岡部「で、ラストに紅莉栖のセリフで締めて、無線を切る、と」
魅音「あっはっは、そりゃ怖いねー」
岡部「圭一、俺とお前の演技力がカギとなる」
圭一「超面白そうじゃないっすか!本気出しますよ!」
岡部「よし、ではリハーサルの後、作戦を実行する」
『お、おい、今、何か歌声が・・・?』
ここはどこの 細通じゃ―――
『ああ、聴こえる・・・っ!誰だ!!』
オヤシロ様の 細道じゃ―――
『・・・誰もいない・・・だがはっきりと視線を感じた・・・!』
ちっと通して 下しゃんせ―――
『お、俺もだ・・・誰だ!姿を見せろ!』
御用のないもの 通しゃせぬ―――
この子の七つの お祝いに―――
『やめろ!見るな!俺を見るな!やめろぉぉぉぉ!!!』
お札を納めに 参ります―――
行きはよいよい 帰りはこわい―――
ガーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
『ウボァーーーーーーー!!』
『ぬわーーーーーーっっ!!』
―――・・・その目、だれの目?――― ブツッ
羽入「あぅ~、緊張したのですー」
魅音「ところでこれ、どういう意味です?」
沙都子「なんかこう、心の底からゾッとするような・・・」
岡部「大人になればわかる」
圭一「あと俺の断末魔、ウボァーってなんですか?」
岡部「ちょっとした遊び心だ」
「隊長!我々はもう一歩も動きたくないであります!」
小此木「バッキャロウ!こんなもんただのハッタリだ!」
「ですが、はっきりと”オヤシロ様”という言葉が・・・」
「ま、まさか本物のオヤシロ様の祟りが・・・!」
小此木「チッ、ヘタレどもが!いいから慎重に進め!何かあったら引き返せばいい!」
三四「・・・なるほどね、あの二人も一緒・・・」
一同「りょうかーい!」
梨花(一番楽しんでるの、岡部よね)
「なあ、なぜ俺達は研究員なのに山を登っているんだ」
「ああ、何故だろうな」
「無線を持った人はすぐにはぐれてしまうし、古手さんも見つからない」
「ああ、むしろ誰もいないな」
岡部「なっ、あの二人組は研究所の・・・?」
紅莉栖「そうね、間違いないわ」
岡部「どうする?」
紅莉栖「多分、人手不足で呼び出されたんだと思う。話はできそう」
岡部「わかった、一応背後から呼び止める」
「ひっ!」
研究員の二人組は、呼び止めると即座に両手を上げた。
岡部「武器は?」
「て、手ぶらです」
紅莉栖「ゆっくり振り返って」
「その声・・・牧瀬さん?岡部さんまで。なんでこんな所に?」
岡部「まあこっちのセリフでもあります。なぜあなた方がここに?」
「こいつと研究所にいたら、突然ここに呼び出されてしまって」
紅莉栖「ここでの目的は聞いてる?」
「古手さんがこの山にいるから、連れてきて欲しいとしか」
「ええ、同じく」
岡部「・・・その先の事は?」
「いや、聞いてないけど・・・?」
紅莉栖「ええ、事情は今話した通り」
「なんてことだ・・・最大の協力者である古手さんを手にかける作戦になど、手を貸せるわけがない!」
紅莉栖「よかった、あなた達なら分ってくれると信じてました」
「俺達は下に降りて、この捜索から離脱する」
岡部「大丈夫なんですか?敵前逃亡になってしまうのでは」
「元々非戦闘員だし、期待なんかされてないさ」
「ああ、正規部隊の人ともはぐれてしまっって無線も使えないしな」
岡部「・・・もしかしてそいつ、”ヒャッハ”って言います?」
「あれ、会った?」
岡部「武装解除して下山していきましたが」
「えぇー・・・」
紅莉栖「では、トラップに気をつけて下山してください」
「北条さんの心理テストの解析もやってるからね、大体設置場所に見当はつくよ」
紅莉栖「あの・・・私のアドバイスも入ってるのでお気をつけて」
「雲雀14(仮)と雲雀15(仮)です」
小此木「ああそうだ。雲雀13はどうした?」
「それが、早々にはぐれてしまって」
小此木「チッ、あいつ・・・定時連絡もよこさない上に単独行動か・・・!」
「やはり私たちにはこの作戦を務めるのは無理があるようです」
「ええ、他の部隊の足を引っ張りかねません」
小此木「・・・」
しかめっ面で頬をかくと、フフッと苦笑いを浮かべた。
小此木「ま、非戦闘員に最初から期待はしてなかったがな」
「申し訳ありません」
小此木「お前らはここで待機、次の指示があるまではけが人の処置にあた―――
2発の銃声。
その衝撃に倒れこむ二人を、鷹野は表情を変えずに銃を構えたまま見下ろしていた。
小此木「あ、あんた!自分が何したかわかってんのか!」
三四「何って、敵前逃亡しようとした裏切り者への制裁よ」
呻き声をあげる二人の容態など気にすることも無く、三四は言い放つ。
三四「いい?あんた達は今、私に撃たれて死んだ。だからもう2度と私の前に現れないで」
三四は踵を返し、山へと歩き出した。
小此木「・・・どちらへ」
三四「役立たずばかりじゃ埒が明かない。私が直接仕留めにいくわ」
小此木「おい、しっかりしろ!傷は・・・ないな」
「す、すいません、防弾チョッキ、感謝します」
小此木「・・・お前らは白衣に着替えて研究所に戻れ」
近くにあった無線機を手にする。
小此木「こちら鳳1。各員に告ぐ。至急下山されたし。姫様のご乱心だ」
紅莉栖「無線で何かを聞いたみたいね」
岡部「圭一達の無線にも何か届いてるかもしれない。戻るか」
紅莉栖「そうね、一度合流しましょ」
紅莉栖「あ、雨」
岡部「本当だ・・・うおぉ!スコールか!」
紅莉栖「な、なんぞこれー!?」
岡部「あの木の下に避難だ!」
紅莉栖「やーん、濡れちゃった」
岡部「ガタッ」
紅莉栖「橋田かおのれは」
岡部「この降り方なら通り雨だろう」
紅莉栖「お祭り、中止にならなきゃいいけど」
岡部「すぐにやむさ」
紅莉栖「・・・夜には晴れるかな」
岡部「さあな。そうなってくれる事を祈るが」
紅莉栖「・・・」
岡部「・・・」
紅莉栖「・・・」
岡部「・・・フフッ」
紅莉栖「なぜ笑ったし」
岡部「いや、つい先日もよく似た出来事があってな」
紅莉栖「雨宿りを?誰と?」
紅莉栖「それなんて死亡フラグ?」
岡部「・・・無意識だった。悔しい」
紅莉栖「くすくす・・・話って、前に神社で梨花ちゃん達とした話のこと?」
岡部「よく覚えているな」
紅莉栖「あの時の岡部、私を助けてくれた時と同じ目をしてたから」
岡部「・・・そうか、そうかもしれないな」
紅莉栖「岡部の話、聞かせて欲しい。だから無事に帰ろうね」
岡部「・・・ああ。絶対だ」
視線を降ろすと、紅莉栖の右手が見えた。
岡部(たとえ何が起きようと・・・今日だけは必ず、お前を守ってみせる)
その右手に触れようと、岡部は左手をそっと伸ばす。
だが、紅莉栖の手には、触れられなかった。
岡部「紅莉栖?どうし・・・!」
三四「通り雨もいいものね。足音が聞こえないんだもの」
岡部「鷹野・・・!」
三四「それ以上近づかない方がいいわよ?」
紅莉栖「い・・・いや・・・!」
銃口がこめかみに押し付けられ、ゾッとするような冷たさが全身を巡った。
圭一「岡部さーん!お、いたいた!山狗の奴ら、全員下山したそうですよー!」
岡部「来るな!」
梨花「っ・・・鷹野・・・!」
岡部「お前達はそこから近づくんじゃない!」
梨花「・・・どうして・・・あと一歩だという所で、どうして・・・!」
羽入「・・・」
三四「あら、私はいたって冷静よ」
岡部「せめて、せめて紅莉栖を放してもらえませんか」
三四「嫌よ」
三四から微笑みが消え、無表情で紅莉栖のこめかみに銃口を強く押し付けた。
三四「紅莉栖ちゃん、本当に頭脳明晰よね。研究所ではよく働いてくれたし」
岡部「で、では何故・・・」
三四「それが気に入らないの」
目をスッと細め、冷たい視線を岡部に送る。
三四「この研究はね、祖父と私が歳月を費やしてようやくここまで来れたのよ」
岡部「・・・入江先生から話は聞いています」
三四「それを、こんな小娘が、たった数日で、今まで以上の成果をあげた」
岡部「それは、鷹野さんや悟史の為を思って尽力しただけであって・・・」
三四「それでは報われないのよ!」
爆発音に近い銃声が、その場にいた8人の身をすくませる。
岡部「っ!・・・ん・・・?」
三四「当てないわよ。岡部君に恨みは無いから」
そう言うと三四は、力が抜けたように右腕を下ろし、自嘲気味に笑った。
三四「論文を発表したら、非常識だ、馬鹿げていると散々罵られ、失意の内に亡くなったのよ」
岡部「・・・高野一二三さんのことですか」
三四「ええ。私は恨んだわ。祖父の論文を嘲笑ったそいつらが祖父を殺した。いつか仇を取るって」
岡部「その執念が実を結んで、いまの研究所を建てたわけですか」
三四「これでようやく研究が進むと思ったのに、なかなか成果が現れなくてね」
岡部「そこに現れたのが俺達、と」
三四「紅莉栖ちゃんが手伝ってくれるって聞いたときは、神に感謝したくらいよ」
降ろしていた右腕を再び上げ、同じようにまた銃を押し付ける。
三四「でもね、やりすぎたのよ、この小娘は」
岡部「喜ぶべきことではないんですか、あなたにとっては」
三四「ええ、喜んだわ。紅莉栖ちゃんがイニチアチブを取るまではね」
紅莉栖「そ、そんな、私はただ・・・」
三四「私と祖父の研究を横取りされるんじゃないかって心配もあったのよ」
岡部「そんな、紅莉栖はただこの病気を・・・!」
三四「数回脳波を計測しただけで結果を出すんだもの、自分の無能さに笑っちゃったわよ」
岡部「そ、それではただの逆恨みじゃないですか!」
三四「ええ、そう。ただの逆恨み。岡部君も女の逆恨みには注意したほうがいいわよ?」
紅莉栖「お、岡部・・・助けて・・・」
岡部「くっ・・・」
―――岡部、聞こえますですか―――
岡部(っ・・・羽入か?どうやって話しかけて・・・)
―――オヤシロパワーなのです―――
―――スキを見て銃を奪い取るのです!―――
岡部(スキと言われても、一歩でも動けば紅莉栖が・・・)
―――大丈夫、次に放つ銃弾は絶対に誰にも当たりません―――
岡部(何故そう言い切れる?)
―――それもオヤシロパワーなのです―――
岡部(・・・便利な言葉だな。信じるぞ)
―――1発目を撃ったら、すぐさま飛びつけばチャンスは生まれるのです―――
岡部(・・・2発目以降にはオヤシロパワーは通用しないのか・・・)
―――あぅぅ、今のボクにはそれで精一杯なのです―――
岡部(まあいい、感謝する)
紅莉栖「・・・まだ・・・」
辛うじて保たれていた紅莉栖の感情の糸が、溢れ出る涙と共にプツリと切れた。
紅莉栖「ひっく・・・まだ、死にたくない・・・死にたくないよ・・・」
紅莉栖「怖いよ・・・岡部・・・助けて・・・」
三四「あらあら、今まで我慢してたのね」
紅莉栖「まだ、私の気持ちも伝えられてないのに・・・ひっく、死にたくない・・・」
岡部「っ!」
三四「あらあらうふふ、よかったわね岡部くん、両想いだったみたいよ?」
紅莉栖「・・・え・・・?」
三四「でもその想いは通じないのよ。紅莉栖ちゃんはもう死んじゃうんだもの」
紅莉栖「い・・・いや・・・!」
三四「紅莉栖ちゃんは死んで、岡部君は失意により行方不明。あら、5年目も祟りは起きるのね。くすくす」
岡部「や・・・やめ・・・」
三四「もう少し離れたほうがいいんじゃない?返り血、浴びちゃうわよ?」
三四「動いちゃだめよ」
岡部「紅莉栖を、放せ」
三四「あら、じゃあ先に貴方を撃とうかしら?」
銃を突きつけられても、なお岡部はゆっくりと三四との距離を詰める。
岡部「聞こえないか。紅莉栖を放せと言っている」
紅莉栖「だ、だめ・・・岡部、やめて・・・」
三四「恨みは無いけど、紅莉栖ちゃんに絶望を味わわせる為なら躊躇無く撃つわよ」
紅莉栖「い、いや・・・岡部が死んじゃったら、私・・・」
岡部「当ててみろ」
短く言い放ったその言葉に、畏怖を覚えるほどの怒りを感じた。
三四「っ・・・わかったわ、お望み通りにしてあげる」
紅莉栖「いやぁっ!岡部っ!やめてぇっ!!」
三四「死ねぇっ!」
岡部を照準に定めると、三四は力強く引き金を引いた。
その事を気にも留めず、三四から視線を外さずに近づく。
三四「なっ、こ、このガキっ!」
必死に体を動かして抵抗を見せる紅莉栖に、三四の怒りが頂点に達した。
三四「もういいわ、二人ともこの場で殺してあげる!あの世で仲良くしてなさい!」
どちらを先に撃つか、一瞬の躊躇いを岡部は見逃さなかった。
間合いを詰め、三四の手にしていた銃のスライドを目いっぱいに引く。
三四「ぐ・・・な、引き金が・・・」
岡部「オートマチックの弱点だ」
白衣のポケットから何かを取り出し、排莢口に押し込み、手を離す。
岡部「ジャムだ。片手で直せるものなら直してみろ」
手を離してもスライドが戻りきらない。
排莢口から半分だけ姿を見せたビー玉が、雨粒をうけてキラリと光った。
紅莉栖「岡部っ!」
岡部「俺の後に下がれ!」
三四「く・・・こんなガキ相手に・・・!」
お世辞にも力があるとはいえないが、女性の力に劣るほどひ弱ではない。
必死に抵抗を見せるも、やがて力の差に圧倒され、銃が三四の手から滑り落ちた。
三四「きゃっ!」
尻餅をつくとほぼ同時に銃のスライドを引く音がして、視線の先に弾薬とビー玉が落ちる。
顔を上げたときには、銃口は岡部の手によって三四の額に向けられていた。
三四「な・・・!」
岡部「終わりだ」
三四「い、いや・・・やめ
雨足が一層強くなる鈍色の空に、13発の銃声が鳴り響いた。
カチッ、カチッ。引き金は空打ちを繰り返す。
天に向けて撃ち尽くした銃を地面に落とすと、ノズルからジュッと湯気が発生した。
岡部「・・・人を殺めるのは、バーチャルの世界だけでいい」
「銃声だ!近いぞ!」
「いたぞ!囲め!」
三四「な・・・なによ、あんた達・・・」
残り少ない正規隊員の山狗達が三四を取り囲み、一斉に銃を構える。
三四「なんで、私に銃を向けるの?敵はあっちよ・・・?」
「どの口がほざいてやがるんです」
一人の男が、銃を片手で構えたまま遅れて現れた。
小此木「あんた、自分のやったことをもうお忘れですかい?」
小此木「説明も何も、見りゃわかるでしょう?裏切り者の処分ですよ」
三四「うらぎ・・・何で、私が・・・?」
小此木「予告も無しに味方を後ろからズドン。これが裏切りじゃなかったら何だってんです?」
三四「あ、あれは、あいつらが先に・・・」
小此木「ありゃあね、俺らの間じゃ”戦線離脱”って呼ぶんですよ」
いつの間にか、雨はすっかりやみ、雲の切れ間から太陽が顔を覗かせている。
小此木はシガーケースから取り出した一本に火をつけ、溜息混じりに煙を吐き出した。
小此木「残念ですが、己の都合の為だけに人を殺そうとするあんたに、もう味方は一人もいないんですわ」
三四「ひっ・・・!」
小此木「おっと、動かんでください。敵前逃亡になりますよ」
予想外の高笑いに、隊員たちも困惑気味に顔を見合わせる。
三四「撃ちなさい、気の済むまで。私をもう楽にして頂戴」
小此木「辞世の句を詠む時間くらいは設けますよ」
三四「そうね。せめて遺言だけでも私が存在した証を残さないとね、くすくす・・・」
突如、静寂を切り裂くような轟音と風が巻き起こり、空から数本のロープが垂れた。
何事かと空を見上げると、ダークグレーの迷彩服を纏った集団が、ヘリコプターから降下を始めた。
『入江機関の全職員に告ぐ、直ちに武装を解除し、投降せよ』
小此木「おおっと、お早いお着きで。三佐、どうやら時間いっぱいのようです」
鷹野「番犬部隊?誰が・・・誰が呼んだのよ!?」
小此木「緊急だったもんで、富竹の監視役も連れてきちまったんですわ。スキをついて呼んだんでしょうなぁ」
『繰り返す!直ちに武装を解除し、投降せよ』
小此木「へいへい、聞こえてますよ」
小此木と隊員は、手にしていた銃を地面に放り投げる。
小此木「ま、最初っからセーフティは外してなかったんですがねぇ」
「さあ、立て!」
三四「殺して!誰からも必要とされていない私をとっとと殺しなさい!」
番犬部隊の手にしたMP5のフォアグリップを掴み、銃口を自らの額に押し当てる。
「こ、こら!離せ!」
三四「ほら、早く引き金を引きなさいよ!早くお祖父ちゃんに会わせて!」
「もう、よすんだ」
何者かに後ろから強く抱きしめられ、思わずフォアグリップを離す。
三四「誰よ!私に触らな・・・あ・・・!」
富竹「誰にも必要とされない命なんて、存在しない」
三四「じゃあ私は・・・誰に必要とされているの・・・?」
富竹「勘の鋭い君なら、もう言わなくてもわかっているだろう?」
三四「ジ、ジロウ・・・さ・・・」
静寂の森の中、皆の耳に届くのは三四が子供のようにむせび泣く声だけだった。
「はっ!かしこまりました!」
レナ「・・・終わった、ね」
魅音「うん、終わった」
圭一「岡部さん!最高にかっこよかったですよ!・・・岡部さん?」
遠くの空を見つめていた岡部の体が、グラリと揺れる。
右腕をつかんいた紅莉栖が咄嗟に支えようとするも間に合わず、ついには膝から崩れ落ちた。
紅莉栖「岡部?・・・岡部!大丈夫!?ちょっと!岡部!」
岡部「・・・・・・った・・・」
紅莉栖「え?今なんて・・・?」
岡部「怖かった・・・めっちゃくちゃ怖かった・・・!」
沙都子「えぇー・・・」
圭一「無意識の内に突っ込んでいったんですか?」
岡部「いや、頭に血が上っていた」
心配そうに見つめる紅莉栖に、なんとか笑顔を作る。
岡部「お前を守れてよかった。ケガはないか」
紅莉栖「・・・馬鹿!馬鹿馬鹿馬鹿馬鹿!!岡部の超馬鹿ぁ!ぅわぁーん!」
岡部「ぅおうッ!どうした、いきなり!」
紅莉栖「なんであんな無茶すんのよぉ!心配させないでよ!」
岡部「すまなかった。俺の悪いクセだ」
紅莉栖「あんたが死んじゃったら、私、頼りに出来る人いなくなっちゃうんだから・・・」
胸に顔をうずめて泣きじゃくる紅莉栖の背中を、ポンポンと優しく叩いてやる。
おっ、これは! 圭一達は顔を見合わせた。
番犬部隊の一人が、へたり込む岡部に手を差し伸べた。
岡部「あ、すいません。よっこい・・・痛っ!」
紅莉栖「ど、どこか痛むの?」
岡部「右手首が痛い。そうか、片手で撃ったから」
紅莉栖「もう、無茶しないでよ・・・」
「君がこの銃を?・・・まあ、聞かなかったことにしよう。ほら、左手を出して」
差し出した左手を引っ張られ、ようやく立ち上がる。
岡部「今気付いたが、右耳もあまり聞こえない」
紅莉栖「だ、大丈夫なの?鼓膜とか・・・」
「難聴だな。病院で診てもらうといい」
岡部「病院・・・なんて説明をすればいいんでしょう」
「入江研究所の人だったら事情は知っているだろう?」
包帯を巻き終えると看護婦は立ち上がり、頭の切り傷を眺める。
「うん、消毒だけで大丈夫ね。あと耳の方は突発性の難聴だから、すぐに治ると思うわ」
岡部「ありがとうございます。わざわざ診ていただいて」
「それが看護婦の務めだもの。服、もう少しで乾くからちょっと待っててね」
待合室へ戻ると、患者用のパジャマを纏った紅莉栖がうなだれて座っていた。
岡部「待たせたな」
ハッと顔を上げると、慌てて両目を拭った。
紅莉栖「あっ、ううん、大丈夫」
岡部「まだ泣いてたのか」
紅莉栖「な、泣いて・・・泣いてたわよ」
岡部「泣き虫」
紅莉栖「な、何よ!悪い?」
岡部「何を泣くことがある」
紅莉栖「・・・もしも、もしもあの時、岡部が撃たれて死んじゃってたらって考えちゃって・・・」
またも項垂れ、鼻をすする音が聞こえる。
紅莉栖「すごく悲しくて、ひっく、辛くて・・・」
岡部「・・・はあ」
小さく溜息をつくと、左手で紅莉栖の肩を抱き寄せた。
紅莉栖「な、あ・・・っ」
岡部「俺は見ての通り元気だ。少なくとも左半身は」
紅莉栖「・・・うん」
「二人ともお待たせ。服、乾い・・・あっ」
二人分の服を抱えた看護婦が診察室から出てこようとしたが、すぐに体を引っ込めた。
「邪魔しちゃった?」
岡部「あ、いや、お気遣いなく」
「お大事にねー」
岡部「圭一達は?」
紅莉栖「お祭りの準備を手伝うって言ってた。梨花ちゃんも儀式のリハーサルですって」
岡部「そうか。何時からだったか」
紅莉栖「圭一くん達と6時に待ち合わせしてる」
岡部「そうか、まだ5時間近くあるか」
紅莉栖「疲れたでしょ?一度魅音さんちに戻りましょ」
岡部「そうだな。今日は色々なことがありすぎた」
紅莉栖「本当にお疲れ様。ゆっくり休んで」
岡部「・・・鷹野さん、どうなるんだろうな」
紅莉栖「さっき聞いたけど、診療所のほうに入院するんですって」
岡部「・・・そうか、ひとまずは安心だな」
紅莉栖「ええ、富竹さんと入江先生もつきっきりで対処してるみたい」
部屋の襖を開けると、朝と変わらぬ状態で布団が敷かれていた。
紅莉栖「なんか、すごく久々に戻ってきたみたいな感じ。岡部もそう思わな・・・ひゃぁっ!」
帰路の途中からすっかり黙りこくっていた岡部に、強く抱きしめられた。
紅莉栖「え、ちょ、あの、え?え?」///
岡部「よかった・・・お前が無事で、本当によかった・・・」
紅莉栖「っ・・・岡部・・・泣いてるの?」
岡部「怖かった。また、お前を失ってしまうのではないかと。それだけが、怖くて仕方が無かった」
紅莉栖「また・・・ラジ館の時のこと?」
岡部「・・・違う。その、もっと前の話だ。日付でいえば後になるがな」
紅莉栖「・・・どういうこと?」
岡部「お前には全てを話したい。俄かに信じ難いだろうが聞いて欲しい」
紅莉栖「うん。聞かせて」
岡部「だが、少しでいい。あと少しでいいから、このままでいさせてくれ・・・」
紅莉栖「・・・わかった。3分間待ってやる。ふふ」
紅莉栖「ほんと、体力、ないわよね、私たち」
レナ「あっ、岡部さんたち、こっちですよー!」
魅音「ちょっとちょっとー、階段だけで疲れてたら今日の部活の勝ち目はないですよー?」
岡部「部活だと?こんな日にもやるというのか」
魅音「早食い、射的、型抜き、これ以上ない大舞台ですよ!」
沙都子「ま、圭一さんにはどれも勝機が見えませんわね」
圭一「なっ、何だと!いいだろう、俺の本気を見せてやる!後で吠え面かくなよ!」
詩音「はろろ~ん、お待たせしましたー」
魅音「お、詩音も来たね。一人?」
詩音「葛西なら、わたあめ買って帰りましたよ」
レナ「はっぅ~!巫女服姿の梨花ちゃん、かぁいいよぉ~!」
岡部「古手梨花。古手神社の一人娘。巫女服がとても似合っている・・・だがおと
紅莉栖「違う違う違う」
魅音「よっしゃ、今年の部活は盛り上がっていくぞー!」
岡部「すまないが、俺は辞退させて欲しい。生憎手負いなものでな」
紅莉栖「私も。審査員側にまわるわ」
魅音「そっか、お疲れですもんね。じゃあ7人で勝負!」
岡部「そのかわり」
おもむろに財布から1枚の紙幣を抜き出す。
岡部「フゥーハハハ!見事総合優勝を飾ったものには、俺から1万円を贈呈しようではないか!」
圭一「おおお1万円!大学生ってすげぇ!」
紅莉栖「あら太っ腹。じゃあ私からは2位の人に5千円!」
魅音「さぁさぁ、今年はスポンサー付きだ!七凶爆闘、開始!」
魅音「いっちまんえーん!」
沙都子「ごっせんえーん!」
圭一「ちくしょう、早食いですら勝てないとか何者なんだよお前ら・・・」
岡部「総合1位の園崎魅音、栄誉を称え、ここに1万円を贈呈する」
魅音「へへぇー。ありがてぇありがてぇ」
紅莉栖「はい、沙都子ちゃん。大事に使うのよ」
沙都子「しばらくは夕食にもう一品追加できそうですわね」
梨花「では、ボクはそろそろ儀式の準備に入るのですよ」
圭一「よし、俺達も行こうぜ!最前列とらなきゃな!」
魅音「オッケー!岡部さん達も絶対見に来てくださいよー!」
岡部「やれやれ、ついさっきまで闘志むき出しだったというのに」
紅莉栖「試合以外では敵見方なし。ノーサイドの精神ってやつよ」
紅莉栖「もうちょっと色々見て回らない?」
岡部「そうだな、何でも買ってやろう。なんたって今の俺は超リッチメンだからな」
紅莉栖「ったく、ちょっと財布が潤っただけで態度が大きくなるんだから」
岡部「”ちょっと”だと・・・?このセレブめが」
紅莉栖「私だってこんな大金手にしたことないわよ。お札で財布がパンパンなんて初めて」
岡部「・・・似合っているぞ、その財布」
紅莉栖「ふぇ・・・あ、ありがと」
岡部「その財布を買ったとき、なにか失礼な事を言った気がする」
紅莉栖「『そういった小物の可愛らしさで中和しないとな』って言ったわ。ハッキリと」
岡部「なぜ一字一句覚えているのだ・・・その、すまなかった」
紅莉栖「・・・手、繋いでくれたら許してあげる」
圭一「お、羽入、遅いぞー」
羽入「ごめんなさいです。お手洗いが混んでたのです」
岡部「富竹さん、間に合ったんですね」
富竹「うん、今日の儀式はどうしても写真に収めたくてね」
紅莉栖「鷹野さんはどうなりました?」
富竹「うん、容態も少し落ち着いて、ぐっすり眠っているよ」
紅莉栖「そう・・・よかった」
富竹「雛見沢症候群の予防には、9時間以上の睡眠がいいといわれているんだよ」
岡部「じゃあ俺達は知らぬうちに予防対策を行っていたのだな」
紅莉栖「そういえばそうね、10時には寝てたもの」
富竹「しかし、二人ともいつの間にそんな仲に?」
二人の繋がれた手に視線を落とし、少年のような笑顔を見せた。
富竹「ここで始めて会ったとき、そうは見えなかったんだけどなぁ」
岡部「い、いや、そんなんじゃないですよ」
紅莉栖「・・・鷹野さんは、この後どうなるんですか?」
富竹「彼女の件は、僕が全面的に引き受けた。近いうちに投薬療法を進めていこうと思っている」
岡部「投薬?もう薬が完成したのですか?」
富竹「今はまだ実験段階さ。これから改良を加えていくんだ」
紅莉栖「お願いです。絶対に鷹野さんを助けてあげてください」
富竹「・・・彼女は雛見沢症候群の”最大の被害者”だ。全力を尽くすつもりだよ」
岡部「献身的な姿を見せて、鷹野さんの気持ちを引きつけるんですね」
富竹「あれ?僕の完璧な作戦がもう見破られちゃったのかい?なんてね。あっはっは」
わざとらしい乾いた笑いが収まると、帽子を脱いで遠くを見つめた。
富竹「・・・今年の綿流しは、今までで一番忘れられない日になりそうだよ」
『皆様、これより古手梨花様による綿流しの儀式が行われます。境内までお集まりくださいませ』
身の丈よりも長い鍬を振り上げる度に、小さな体がよろめきかける。
紅莉栖「ふふ、かわいい」
岡部「たとえ何年ループしようと、体は小学生のままだものな」
梨花(くっ・・・子供用の鍬ぐらい、用意しといてよ・・・!)
さすがに重い。額にジワリと汗が滲む。
チラリと横目で観客を見渡すと、老人達は皆手を合わせ拝み続けている。
そんな中、仲睦まじく手を繋ぐ岡部と紅莉栖の姿があった。
梨花(あら、あの二人ったらいつの間に)
次いで羽入と目が合うと、ニッコリと微笑み返してきた。
梨花(? 何よあいつ・・・ああ、そういうことね。すっかり忘れてたわ)
観客には聞こえないよう、フフッと小さく鼻で笑う。
―――オヤシロ様は元々 縁結びの神様なんだっけ―――
梨花「はふー、緊張したのですー」
レナ「ヨタヨタしてて、とーってもかぁいかったよぉ~!」
沙都子「でも、あの真剣な表情はとてもかっこよかったですわ!」
羽入「大役お疲れ様なのです」
圭一「さて、この後どうする?綿流しまではまだあるんだろ?」
梨花「ボクは着替えたりなんだりで忙しいので、皆で楽しんできて欲しいのです」
岡部「俺達もちょっとその辺をブラっと散歩してくる。気にせず遊んでてくれ」
魅音「はーい。そんじゃ各自、自由行動ー」
魅音「・・・さて、と、ちょっと行く所があるんで」
圭一「おや魅音さん、奇遇ですな、私もちょっとアテがありまして」
レナ「はぅ~、二人とも悪い顔してるー」
圭一「そういうお前だって、目が笑ってるぞぉー?」
岡部「ちょうどいい、そこに腰掛けるか」
紅莉栖「祭具殿・・・何かしら、この建物」
岡部「名前から察するに、さっきの鍬みたいな物の保管庫だろう」
入り口前の石段に、並んで腰掛ける。
紅莉栖「本当に、夢じゃないのよね、これって」
岡部「もし夢だとしたら、悲しいな」
紅莉栖「また今まで通りの貧乏学生に戻るから?」
岡部「いや。・・・それも無くはないが」
体の向きを変え、紅莉栖の顔を正面に見据えた。
紅莉栖はつい目を逸らしてしまう。
岡部「お前の気持ちを聞けたことが、幻となってしまうからだ」
岡部「言うまでもないが、あえて言わせて欲しい。お前のことが好きだ」
紅莉栖「うが・・・」///
岡部「これが俺の本心だ。お前の気持ちも聞かせて欲しい」
紅莉栖「え、わ、私だって、あんたのこと、尊敬できたり頼りになる面とかもあるけど・・・」
―――心を開けば、自ずといい結果が導き出されるものだ―――
紅莉栖「っ・・・」
岡部「どうした」
紅莉栖「・・・うん、私ももう隠さないことにする」
覚悟を決め、岡部の顔を正面に見据える。
紅莉栖「・・・わ・・・私も、す、すすす、すす好きです!」
岡部「うぉっ、声でかい」
少し離れた所の草場が風もないのにガサリと揺れたが、二人は気付かなかった。
岡部「・・・やっと、聞けた。長かった」
紅莉栖「や、やっとって、どういうことですか?」
岡部「何故敬語になる。まあ、8月に色々と、な」
紅莉栖「ああ、さっき聞かせてくれた話・・・」
岡部「あの時ほどEnterキーを憎んだ日はない」
紅莉栖「・・・その時の私って、もう岡部のことが好きだったのかな」
岡部「好きでもない相手と2回もキスするのか、お前は」
紅莉栖「ふぇ!?キ、キスって何それ、早くない!?って2回!?」
梨花「賑やかなのですー☆」
紅莉栖「ひわぁっ!!」
紅莉栖「え、えっと、いや、その」
羽入「あぅあぅ、恋愛成就、恋愛成就なのです~♪」
紅莉栖「・・・ど、どこから聞いてた?」
梨花「お前の気持ちを聞けたことが、幻となってしまうからだ。 ってあたりね」
紅莉栖「ほぼ最初からじゃないのよ・・・!」
梨花「初めて会った時のお返しよ、ふふ」
岡部「・・・あー、見事な流れだ」
梨花「実は二人を探してたの。そしたら羽入がここにいるんじゃないかって」
岡部「それもオヤシロパワーか」
羽入「いいえ、必然なのです」
梨花「オヤシロパワーって何よ」
岡部「なんだ、それくらい別に皆の前でもよかっただろう?」
梨花「今まで、数え切れないほどの6月を繰り返してきた」
岡部「・・・そういう話か」
梨花「今回が最後って時にこのバカ先祖が間違って二人を連れてきたときは心底ムカついたけど」
羽入「あぅー」
梨花「まさか、その二人のお陰で助かるなんてね・・・」
ポタリ、梨花の目から雫がこぼれ落ちた。
サッと地面を足でもみ消し、顔を見られないように俯く。
岡部「隠さなくてもいい。存分に泣くといい」
梨花「な、泣いてなんか・・・」
岡部「強がるな。お前はもうただの小学生だ」
梨花「っ・・・!」
岡部「だから泣け。小学生らしく精一杯な」
梨花「・・・っく、ひっく、う、うぁ・・・うわあああああん!」
体にしがみついて泣きじゃくる梨花の頭をやさしく撫でる。
彼女の心を覆い尽くしていた魔女の影は、満天の星空の光によって霧消した。
圭一「よかったな、梨花ちゃん」
レナ「ほんと、よかった・・・ぐす」
沙都子「梨花が泣いてる所なんて、初めて見ましたわ」
魅音「あーだめだ。おじさんこういうの弱いんだー。ほら、皆もう戻るよ」
圭一「そうだな。今はそっとしといてあげよう」
詩音「やれやれ、盗み聞きなんて悪趣味ですこと」
魅音「って、あんたも最初からいたじゃんか」
羽入「先に戻っててください。ボクも岡部とお話があるのです」
梨花「そう、あまり邪魔しちゃだめよ。私は夜風に当たってくる」
羽入「岡部、そして紅莉栖。二人の多大なる働きに改めてお礼を言わせてもらいます」
絶対に恋バナ(笑)が来ると思っていた二人は、羽入の真剣な表情にたじろいだ。
岡部「いや、感謝の言葉はもういい。当然のことをしたまでだ」
紅莉栖「私はまだ研究の途中だもの。まだ終わってないわ」
岡部「で、話とは何だ。お礼を言うために残ったわけではないのだろう?」
羽入「・・・お二人には、謝らなければならないことがあります」
岡部「・・・話してみろ」
羽入「以前、お二人は私の不注意でこの世界に紛れ込んだという話をしましたね」
岡部「ああ、俺達のカケラを拾って、途中で落としたとかいう」
羽入「・・・実は不注意ではなく 私の意志でお二人をこの世界へと招いたのです」
羽入「今にして思えばなんという愚行か、ましてや命の危機に晒してしまうなど。詫びても詫びきれません」
岡部「どういう経緯で俺達のカケラを手に入れた?」
羽入「それ自身は偶然といいましょうか。たまたま目に入ったカケラが、不規則な動きをしていたのです」
岡部「不規則、か。理由はわかる」
羽入「時を遡り、世界を移動し、そしてまた時を跳躍する。そのようなカケラは初めて目にしました」
岡部「あの頃は必死だった。命も顧みずな」
羽入「この男達ならば、塞がれた迷路に光を呼び込める、・・・つい、魔が差したのです」
岡部「・・・」
羽入「許しをいただけるのであれば、今はどのような罵りの言葉でさえも心に受け止めましょう」
岡部「・・・」
深々と頭を下げる羽入に、大股でズカズカと近づく。
紅莉栖「お、岡部、優しくしてあげて・・・」
岡部「そんなことはどうでもよい!というか、脅かすな!」
紅莉栖「あ、あれ・・・?」
羽入「・・・お怒りにはなられないのですか?」
岡部「怒る?別に怒る理由などない」
羽入「・・・あ、あぅ・・・」
岡部「むしろ感謝している。その・・・紅莉栖と、な?」
紅莉栖「ま、まぁ確かにそれはこの事が無かったら言えなかった、かも」
岡部「まあ、鷹野さんとのアレだって気にはしない。あの程度のピンチなど慣れっこだ」
紅莉栖「腰ぬかしてたけどね。くすくす」
岡部「あっ!笑いやがった!慣れているとはいえ怖いものは怖いのだ!」
紅莉栖「うふふ、ごめんごめん」
羽入「あぅ、あぅあぅあぅあぅあぅあぅあぅあぅあぅあぅ・・・」
岡部「なっ!?お前まで泣き出すのか!なんか俺が泣かしてばかりいるみたいではないか!」
羽入はヘナヘナと、力なく地面に膝をついた。
羽入「難しい言い回しも練習して、少しでも反省してる感を出そうと頑張ったのですよ!」
岡部「まあ、確かに威厳はあったが」
紅莉栖「もし本当に罵りの言葉をぶつけられ続けたとしても、耐えられたの?」
羽入「・・・途中で、静かに涙を流す作戦だったのです」
岡部「うわ、こいつ小賢しい!」
羽入「あぅあぅあぅあぅあぅあぅあぅあぅあぅあぅあぅあぅあぅあぅ」
岡部「・・・もういい。泣きやめ。怒ってないから」
羽入「ごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさい・・・」
岡部「これが夢でもなく、ちゃんと2010年に戻れるのならば何も問題はない」
紅莉栖「ほら、そろそろ梨花ちゃんの所に戻らないと、それこそ怒られちゃうわよ」
羽入「あぅ!?じゃ、じゃあボクは戻るのです!また後で!」
岡部「いや、いきなり『はい、綿』と渡されてもだな」
紅莉栖「どうするの?これ」
魅音「説明してませんでしたっけ?これをそこの川に流すんです」
詩音「古くなった綿の供養と同時に、この綿が自分の悪いところを吸い取って流してくれるんですよ」
紅莉栖「日本ってこういうところがロマンチックね」
岡部「だが、こんなものを大量に川に流していいものなのか?」
魅音「ご心配なく、ちゃんと下流に回収班がいますから」
岡部「回収班というのはレナのことか?」
レナ「? なんでレナなの?」
岡部「いや、かぁいいかぁいいと言いながら全部を集めて回るのかと」
魅音「あっはっはっは!想像できるー!」
レナ「んもー!綿は別にかぁいくないよー!」
沙都子「その言葉、そっくりそのままお返ししますわ」
紅莉栖「うーん、悪いところか・・・何にしようかな」
岡部「提案がある。俺とお前の綿、合わせて一つにしないか」
紅莉栖「なんで?」
岡部「二人分の綿の力で、雛見沢症候群という悪しき風土を流してもらおう」
紅莉栖「・・・素敵ね。賛成」
二つの綿を重ね合わせると、簡単にくっついて大きな綿となった。
岡部「ほら、上に手を重ねるんだ」
綿を持った左手の上に自分の右手を重ね、目を閉じて強く念じる。
岡部「よし、綿よ、お前には少しばかり荷が重いかもしれんが、頼んだぞ」
願いの詰まった大きな綿はゆっくりと川の流れに乗り、二人のもとを離れていった。
レナ「あっ、岡部さんの綿、おっきい・・・かぁいい・・・!」
岡部「やめてくれ」
レナ「んーとね、9時ちょっと過ぎたくらい」
魅音「んー、微妙な時間だなー」
岡部「今日はもう解散にしよう。皆も疲れただろう」
圭一「そうですね。じゃあ皆、また明日な!」
レナ「ばいばーい!」
沙都子「では、私も梨花達と合流して帰りますわ」
詩音「私はお姉の所に泊まります」
魅音「じゃ、私たちも帰るか」
大石「おや皆さん、お帰りですか」
岡部「大石さん。いらしてたんですか」
大石「なに、ちょっと寄っただけですよ。んっふっふ」
岡部「なんだ」
魅音「二人って、付き合ってんの?」
岡部「・・・何を今更。さっき覗いていただろ」
魅音「あちゃー、バレてました?」
岡部「えっ?本当に覗いていたのか?」
魅音「えっ?適当に言ったんですか?」
岡部「むぅ・・・まあいい、そういうことだ」
詩音「牧瀬さん、夜道でもわかるくらい顔が真っ赤ですよー?」
紅莉栖「こ、こっち見んな!」///
魅音「・・・いいですね、両想いって」
詩音「ホント、お姉ももっとがんばらないとね」
岡部「ほう、相手は圭一か?今夜はその辺をじっくり聞かせてもらおうではないか」
魅音「だー!なんで矛先こっちに向けんのさ!詩音のバカ!」
岡部「ふはへは」
紅莉栖「ほんと、充実した1日だったわ」
岡部「ほはへはまはへんひほうはは」
紅莉栖「日本語でおk」
岡部「よっ・・・お前はまだ元気そうだな」
紅莉栖「私だってクタクタよ。岡部ほどではないだろうけど」
岡部「明日も研究所に行くのだろう?もう休もう」
紅莉栖「そうね、気持ちを切り替えないと」
岡部「折角だから一緒の布団で寝るか?さあ来い」
紅莉栖「ちょ、調子に乗んな」///
岡部「冗談だ。おやすみ」
岡部「ほいきた」
紅莉栖「なんで銃の知識に長けてるの?詩音さんの銃を知ってたり、咄嗟に撃てないようにしたりとか」
岡部「FPSのおかげだな」
紅莉栖「FPS?FPS・・・え、ゲーム?」
岡部「知識だけは豊富だぞ?最初で最後の実践で右手首がご覧の有様だが」
紅莉栖「・・・呆れた。ゲーム脳もここまでいったら大したもんね。耳は大丈夫?」
岡部「ああ、そういえばもうほとんど治っている」
紅莉栖「そう、よかった。・・・ちょっと、手出して」
左手を差し出すと、紅莉栖の両手が優しく包み込んだ。
紅莉栖「一緒の布団ではまだ寝られないけど・・・これくらいだったら」
岡部「ああ、十分だ。おやすみ」
紅莉栖「うん、おやすみ」
紅莉栖「・・・確か、10時頃」
岡部「・・・現在の時刻は?」
紅莉栖「・・・11時」
岡部「・・・経過したのは1時間だけか?」
紅莉栖「・・・太陽が出てるわ」
岡部「・・・」
紅莉栖「・・・」
二人は飛び上がり、猛ダッシュで玄関へと向かう。
紅莉栖「ああもう!寝坊ってレベルじゃねーぞ!」
お魎「おお、よう寝とったな」
岡部「よく寝すぎました!」
研究所のドアを開けると、入江が驚いた顔でこちらを見ていた。
入江「ひっ、あれ、岡部くんと牧瀬さん?」
岡部「・・・誰もいない」
入江「昨日は色々とあったんで、今日はお休みにしました」
紅莉栖「・・・あるぇー?」
入江「お二人の話は聞きました。なので今日はてっきり休むものだとばかり」
紅莉栖「入江先生は一人で何を?」
入江「昨日の件の整理です」
岡部「せっかくなので手伝います。このまま帰っても恥ずかしいので」
入江「それは助かります。そういえば、お二人はいつまでお手伝いを?」
岡部「・・・そういえばそうだな」
紅莉栖「後で羽入ちゃんに聞いてみるしかないわね」
岡部「俺だ」
紅莉栖「他の二人は?」
羽入「お買い物に行ってるのです。どうしたのですか?」
岡部「聞きたいことがある。俺達はいつまで雛見沢にいればいいのだ?」
羽入はハッと目を見開き、申し訳なさそうに目を伏せた。
羽入「・・・誠に言い辛いのですが・・・」
岡部「お、おい・・・まさか・・・」
羽入「・・・あと1週間、滞在してもらいたいのです」
岡部「いや、だからその不安を煽る前フリはやめろ」
紅莉栖「1週間後に何かあるの?」
羽入「ボクのオヤシロパワーが満タンになるのです」
岡部「あれって、紅莉栖が腕の中でもがいたから逸れただけではないのか?」
羽入「そうなるように仕組んだのもボクの力なのです」
岡部「実体化してもそのような力が使えるのか」
羽入「ちなみに二人を元の世界に戻すには、オヤシロパワー2か月分を要するのです」
岡部「仲介手数料かっ」
紅莉栖「戻ったとして、元の世界ではどれくらい時間が経過してるの?」
羽入「多分、来たときからさほど経過していないと思うのです」
岡部「・・・まさに、夢のような話だ」
紅莉栖「聞きたかったのはそれだけなの。じゃあね」
羽入「はい、いつでも来てくださいなのです」
入江「本日をもって、岡部君と牧瀬さんがお帰りになられます」
研究員達から、大きな拍手が巻き起こる。
岡部「お世話になりました。これからは印刷とホッチキス留めのプロとして生きていきます」
所内が笑いに包まれる。
紅莉栖「私も、微力ながら研究に携わらせてもらったことに感謝します」
入江「何をおっしゃいます。我々だけではこの成果の3分の1も到達できませんでしたよ」
岡部「しかし、1週間前まで実験段階だった薬がもうここまでできるとは」
入江「資金だけは不自由しておりませんので。ここまで来れたのも牧瀬さんのお力添えがあったからこそ」
紅莉栖の手を取り、硬く握手を交わす。
入江「今回の研究、お二方との連名で論文を書かせてもらえませんか」
岡部「いや、俺なんて雑用ばかりでしたし、論文に名を残すようなことはしていませんよ」
紅莉栖「私、お忍びでここに来てるんです。名前を残しちゃったらちょっとマズイかも」
入江「そうですか、残念です。ではお気をつけて。いつでも遊びに来てください」
研究所を出ると二人は深々と研究所に頭を下げ、その場を後にした。
園崎家の玄関に、見慣れた5人の姿があった。
魅音「お帰りなさーい」
レナ「もう帰っちゃうんですね。寂しくなっちゃいます」
沙都子「また遊びに来てくださいまし!いつでも歓迎ですわよ!」
紅莉栖「・・・うん、ありがと」
詩音「お送りはいいんですか?葛西に言えば駅まで送ってくれますけど」
岡部「ああ、ちょっと寄るところがあるんでな」
圭一「それじゃ、気をつけて!またいつか会いましょうね!」
岡部「ああ、またいつか、な」
手を振り続ける5人の姿が見えなくなる。
岡部「・・・よし、行くぞ」
紅莉栖「うん。本当に最後に会う人がいるもの」
梨花「ごめんなさい、わざわざ神社まで呼びつけちゃって」
紅莉栖「羽入ちゃんは?」
梨花「もうすぐ来ると思う」
羽入「お待たせなのですー」
巫女服姿の羽入が小走りでやってきた。
梨花「何よ、遅れたのはそれに着替えるためだったの?」
羽入「はいです。最後の大仕事なので」
岡部「それ、オヤシロ様の公式コスチュームなのか」
紅莉栖「脇のところ、大胆なスリットね」
岡部「腕のところ、どうなってるんだ?それ」
羽入「そ、そのことは別にどうでもいいのです!」
手にした大幣をゆっくりと高く振り上げた。
羽入「人の子よ、一歩前へ」
数分前から想像も出来ないような荘厳な立ち振る舞いに、3人は息を呑む。
羽入「では、参ります」
高く構えた大幣を勢いよく振り下ろし、カッと眼を見開いた!
羽入「オヤシロあぅあぅ、ペタペタあぅあぅ、オヤシロパワー2か月分!!!ドーーーン☆」
梨花「・・・ひっどいわね」
岡部「っ・・・ん?あれ?まだ移動していない」
紅莉栖「まさか、失敗?」
羽入「今のは魔法をかけたようなもの。来たときと逆の手順で戻れるようになったのです」
岡部「来たとき・・・ああ、なるほど」
羽入「ちなみに、この儀式には何の意味もないのです。雰囲気作りなのですよ」
梨花「ええ、お別れ。岡部達との2週間は忘れられない思い出になるわ」
岡部「では、2010年の秋葉原で待っているぞ」
梨花「・・・ふふ、そうね。どこに住んでるの?」
岡部「”未来ガジェット研究所”だ。巨大な高層ビルの1フロアを借しきって運営している」
紅莉栖「うわ」
梨花「嘘でしょそれ。古手神社の巫女をなめないでよ」
岡部「さあな、見てのお楽しみだ」
羽入「バスの時間も近いのです。そろそろ行かないと」
岡部「もう7月だ。悔いの残らない夏を堪能しろよ。じゃあな」
紅莉栖「さようなら、梨花ちゃん、羽入ちゃん」
羽入「バイバイなのですー!」
梨花「悔いの残らない、か・・・。羽入、めいっぱい遊ぶわよー!」
羽入「おー!賛成なのですよー!」
興宮署は3日、雛見沢内の複数の場所から偽造と思われる硬貨が見つかったと発表した。
硬貨は材質、重量ともに本物と見分けがつかないほどに精巧であるものの、
「昭和」ではなく「平成」と刻印がされており、愉快犯である可能性が高いという。
発見されたのは、鹿骨交通興宮営業所から2枚、雛見沢内の商店から2枚、
先月26日に行われた綿流し祭の露店から1枚の計5枚。
他の場所からの発見も可能性もあるため、興宮署では引き続き捜査を続けている。
熊谷「しかしまぁ、なんで”平成”なんて入れたんですかね?」
大石「どういう意味です?」
熊谷「だってこれ、”昭和”って入れてたら絶対バレてないですよ」
大石「熊ちゃん、署内では下手なことは言わないほうがいいですよぉ」
熊谷「おっと」
大石「んっふっふ、聞かなかったことにしときましょう。ですがね」
胸ポケットから一本のタバコを取り出し、近くにあったマッチで火をつける。
大石「この事件の犯人は、きっと我々では捕まえられない、そんな気がしてならないんです」
熊谷「大石さんとは思えない弱気な発言ですね」
大石「それこそ、神様の力でも借りない限りね。んっふっふ」
岡部「覚えてましたか」
「若い人なんて滅多に乗らんからね。あっはっは」
他の乗客はいない。一番後ろの席に並んで腰掛けた。
紅莉栖「・・・もう、会えないのよね。あの子達、ううん、雛見沢の人たちに」
岡部「ああ、多分会うことはないだろう」
紅莉栖「・・・悲しいね、とっても」
小さく嗚咽をもらす紅莉栖の手を取り、目を閉じた。
岡部「何も死ぬわけじゃない。会えないとはいえ俺達とは違う世界でちゃんと生き続けるさ」
紅莉栖「そうだよね。うん、そう」
岡部の肩に頭を乗せ、瞳を閉じる。
耳の奥がチクリと痛み、そのまま二人は意識を失った。
ああ、いつだかの天の声か。
―――なるほど、時に強制手は戦法になりうる、と―――
そのようだな、記念すべき初勝利だ。
―――よい棋譜だった。我が物語の次の題の参考とさせてもらおうか―――
盗作か。
―――む、言うではないか―――
ま、好きにするといい。無論主人公は俺だな?
―――それではただのノベライズに他ならぬ。キャストは変えさせてもらおうか―――
なんだ、なにも見返りは無しか。
―――ふむ、それもそうだ。わかった、その内、もう一つだけ小さな奇跡をご覧に入れようぞ―――
ああ、期待しないで待っている。
―――ふふふ、これだから偏屈者との会話はやめられぬ―――
なっ、誰が偏屈だ。失礼な・・・いなくなりやがった、くそ。
あら、2週間前の。ごきげんよう。
―――最悪な気分よ。何よこのゲロカスラブコメ。吐き気がするわ―――
妬いてるの?
―――・・・あんたのこと、本気で嫌いになりそう―――
そういえば貴方、梨花ちゃんに声が似てるわね。口は汚いけど。
―――・・・に、にぱー―――
えっ。 えっ。
―――な、なんでもないわよ。もう帰るわ―――
待って。この物語を見せてくれたのって、貴方なの?
―――正確には違うけど、まあそんなところよ―――
ありがとう。感謝するわ。
―――なっ・・・ああああもう甘ったるい!もうあんたとは二度と会わない!―――
・・・行っちゃった。
岡部「ん・・・」
ここは?・・・まさか!
寝ぼけ眼で周りを見渡す。
岡部「・・・帰ってきた・・・紅莉栖、起きろ!帰ってきた!ラボに帰ってきたぞ!」
紅莉栖「ふぇ、何・・・ラボ?えっ、あ、本当!」
岡部「今は何日の何時だ!」
慌てて携帯を取り出す。
岡部「あの時から、1時間も経っていない・・・?」
紅莉栖「ほ・・・本当に夢じゃないのよね・・・?」
岡部「あ、あんなはっきりとした記憶が夢とは思えんが・・・」
まゆり「トゥットゥルー♪」
岡部「ふぉう!?」
紅莉栖「ふぉう!?」
まゆり「30分くらい前からいたよー。今日はバイトだから立ち寄ったのです」
まゆりの携帯電話が鳴る。
まゆり「あ、萌郁さんから。”ちょっとちょっと何コレ!キャー(///▽///)”だってー♪」
紅莉栖「・・・嫌な予感がするけど、何てメールを送ったの?」
まゆり「二人の寝顔を撮って、送っちゃったのです」
岡部「そうか、その音で目を覚ましたのか・・・まぁ、萌郁だけなら」
まゆり「ちなみに、ラボメン全員に送っちゃった♪」
岡部「なっ!何をするだァーッ!」
紅莉栖「なっ!何をするだァーッ!」
まゆり「はいこれ、仲よしさんだねー♪」
まゆりが携帯電話をこちらへ向ける。
そこには、手を取り合い、肩を寄せ合って中睦まじく眠る二人の姿が映っていた。
紅莉栖「ち、違うの!いや違わないけど!じゃなくて、これは・・・」
岡部「・・・もういい、ラボメン全員に知れ渡った以上、隠しても無駄だ」
岡部は勢いよく立ち上がり、紅莉栖の手を取り、起立を促す。
岡部「そう、俺と紅莉栖は”2週間の時”を経て、ついに想いが通じ合ったのである!」
紅莉栖「ちょ、声大きい!外に聞こえちゃうから!」///
岡部「まゆり!ラボメン各員へ召集メールの送信を命ずる!」
まゆり「イエッサー!」
紅莉栖「な、何をする気?」
岡部「フゥーハハハ!我等の関係をラボメンに見せ付けてやるのだ!」
紅莉栖「なっ!ちょ、まゆり!メールは送らないで!」
まゆり「もう送っちゃったー♪」
紅莉栖「な、なにをする、きさまらー!」
岡部「なお これより本作戦を”オペレーション・フレイヤ”と命名する!」
-fin-
紅莉栖「・・・」
岡部「・・・」
紅莉栖「・・・」ペラリ
岡部「・・・」チラッ
紅莉栖「・・・」
岡部「・・・なぁ、紅莉栖」
紅莉栖「・・・」ペラリ
岡部「・・・あの、紅莉栖さん」
紅莉栖「・・・」
岡部「・・・牧瀬紅莉栖さん、応答願えますでしょうか」
紅莉栖「何?」
岡部「・・・やはり、怒ってらっしゃいます?」
紅莉栖「別に」
紅莉栖「怒ってない」
岡部「・・・まあ無理もない。正直すまんかった」
紅莉栖「・・・恨むからな」
岡部「完全に舞い上がっていた。冷静に考えたら、あれはないな」
紅莉栖「・・・もう、恥ずかしくて死ぬかと思った」
岡部「ダルのドス黒いオーラに呪い殺されるかと思った」
紅莉栖「ああもう、あのオペレーション何だかの日は思い出したくない」
岡部「・・・本当にすまない」
紅莉栖「だから怒ってないってば。謝らなくていい」
岡部「いや、だがしかし・・・」
紅莉栖「本当に怒ってたら・・・ラボには来てないわよ」
岡部「耳、真っ赤だぞ」
紅莉栖「う、うるさい、こっち見んな」///
岡部「ゴクリ・・・!」
正座する俺を冷たい目で見下ろしていた紅莉栖が、恥ずかしげに微笑む。
紅莉栖「・・・買い物行きたいから、付き合って」
岡部「・・・フッ、わかった。お詫びに何でも欲しい物を買ってやろうではないか」
紅莉栖「あんた、貯金しないの?」
岡部「1日1回財布の中身を見てニヤリとする。いい気分だぞ」
紅莉栖「貧乏学生が大金を掴むとこんなことになるのね」
岡部「失礼な。彼女にプレゼントを買ってあげる素敵な彼氏と
玄関から小さくノックの音がする。
入室時にノックをするという礼儀の備わったラボメンは地球上には存在しない。
ミスターブラウンのノックはこんなかわいいものではない。
―――この二つの真実から導き出される答え―――
来客だ。
30代ほどであろうか。すらりと背の高い女性だった。
麦わら帽子で遮られ、表情は読み取れない。
「へえ、高層ビルの1フロアね」
岡部「えーと、どちら様でしょうか?」
「何よ、呼んだのはそっちじゃない」
聞きなれない、いや、聞いたことが無いわけでもないような声。
岡部「・・・誰だ?」
紅莉栖「どうしたの?」
奥から紅莉栖が顔を出す。
「あら、もしかしていいところを邪魔しちゃったかしら?」
紅莉栖「ふぇ・・・な、何ですか、いきなり」
岡部「探したって、俺をか?」
「ええ、でも途中で気付いたの。460円しか持ってない大学生がそんなビルにいるわけがないってね」
岡部「・・・! ま、まさか・・・」
紅莉栖「嘘・・・!」
―――その内、もう一つだけ小さな奇跡をご覧に入れようぞ―――
麦藁帽子を脱ぐと、青みがかった長い髪が姿を現す。
そして、少女のようなあどけない笑顔を見せた。
「岡部、牧瀬、お久しぶりなのですよ、にぱー☆」
-fin-
原作やらないとフェザリーヌさんわかんないよね
ついでに無線機を盗られたのは天草十三
いやー書いてて楽しかった
少しでも今日という日を楽しく過ごしてもらえたのなら幸いです。
ノシ!!!
Entry ⇒ 2011.12.24 | Category ⇒ シュタインズゲートSS | Comments (0) | Trackbacks (0)
C.C.「さすが童貞、ぶれないな」
http://engawa.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1324686746/l50
C.C.「だから童貞なのだ!乙女の気持ちも汲み取れぬとは!」
C.C.「……はっ!?」
C.C.「照れ隠しか!?あれは照れ隠しなのか!?」
C.C.「そうか、そうだろう!」
C.C.「童貞には刺激が強すぎるからな、私は!」
C.C.「はははっ、私は罪な女だな!」
C.C.「……もういいや、不貞寝する」
C.C.「やっと帰ってきたか」
C.C.「騎士団の首尾は?」
ルルーシュ「いやー、それがな……ハハッ」
ルルーシュ「寮を出たところで生徒会のヤツらと出会ってしまって」
C.C.「……ほう?」
ルルーシュ「……遊びに誘われてしまったのだから仕方がないだろう!」
ルルーシュ「俺だって人の子だッ!」
C.C.「ルルーシュ」
ルルーシュ「何だ?」
C.C.「私とは遊ばないのに生徒会の連中とは遊ぶのか?」
C.C.「不公平ではないか!」
C.C.「だがしかし……あんまりではないか……?」
ルルーシュ「……ほ、ほら、一人にして悪かったよ」
ルルーシュ「プレゼントだ。受け取れ」
C.C.「……この私を物で懐柔するつもりか?」
ルルーシュ「そ、そういうつもりではない!」
C.C.「しかし、受け取らないのも無粋だな」
C.C.「ありがとう、ルルーシュ」
ルルーシュ「あぁ、似合うといいんだが」
C.C.「ふふっ、童貞のセンスが私に似合うとでも?」
ルルーシュ「違うな、童貞のセンスではないッ!」
ルルーシュ「シャーリーに選ぶの手伝って貰ったからな」
C.C.「……ルルーシュ!」
C.C.「何故お前はいつも一言多い!」
C.C.「しかも、シャーリーに手伝って貰っただと!?」
C.C.「だからお前は……童貞なのだ!」
C.C.「冗談だと?」
ルルーシュ「本当は」
ルルーシュ「俺が一人で恥を偲びつつ、童貞丸出しのセンスで選んだんだ、その髪留めは」
C.C.「……ルルーシュ」
C.C.「お前、私の反応を見て楽しんでいるな?」
ルルーシュ「……ッ!?」
C.C.「何だ!?その『何故だ!?何故バレた!?』とでも言わんばかりのわぞとらしい顔は!?」
ルルーシュ「すまない、冗談が過ぎたな」
ルルーシュ「……これは照れ隠しだ」
ルルーシュ「俺だって照れることくらいある」
C.C.「普段からあんなに痛いことをしているのにか?」
ルルーシュ「痛い、だとッ!?格好いいの間違いだろ!?」
C.C.「これだから何かと腕をクロスさせたがる痛い子は……」
ルルーシュ「あれは痛かったのか……何故誰も止めてくれなかった……」
C.C.「そんなに落ち込むな、時々格好いいから安心しろ」
ルルーシュ「時々……か」
C.C.「百回に一回くらい、だが」
ルルーシュ「1%か……」
ルルーシュ「……明日からどんな顔をして黒の騎士団のメンバーに会えばいいんだ」
C.C.「仮面をつけてるんだから、顔はわからないだろう」
ルルーシュ「人の言葉尻を捕まえるなッ!」
C.C.「それにな、ルルーシュ?」
C.C.「共犯者とか言っちゃう私も十分痛いから安心しろ」
C.C.「お前は一人じゃない」
ルルーシュ「……C.C.」
C.C.(落ちたッ!)
ルルーシュ「……と、考えているな?」
C.C.「そ、そんなことはないぞ!?」
C.C.「これだから童貞は困る!」
ルルーシュ「ほう?」
C.C.「ルルーシュ、私にギアスをかけてみろ」
ルルーシュ「お前にはギアスが効かないだろう?」
C.C.「……何故か今は効くことになっている」
ルルーシュ「しかし」
C.C.「童貞丸出しの命令でも従ってやるぞ?」
C.C.「お前のギアスは絶対遵守の力だから従わざるを得ないからな」
C.C.「わ、私としても不本意だが……ギアスのせいだ!仕方ない!」
C.C.「あ、あまり私に恥をかかせるな!」
ルルーシュ「では」
ルルーシュ「ルルーシュ・ヴィ・ブリタニアが命じるッ!」
ルルーシュ「C.C.よッ!」
C.C.「な、何だ!」
ルルーシュ「お前は床で寝ろッ!」カッ
C.C.「わかった」
C.C.「……え?」
ルルーシュ「聞こえなかったか?床で寝ろといったんだ」
ルルーシュ「たまには俺もベッドで寝たい」
C.C.「さすが童貞……ぶれないな」
完
え
え?
え?
Entry ⇒ 2011.12.24 | Category ⇒ コードギアスSS | Comments (0) | Trackbacks (0)
ベジータ「な…たった一晩で全ての家庭にプレゼントを配るだと?!」
トランクス「え?」
ベジータ「そのサンタってヤローはどこにいやがるんだ!」
トランクス「そ、そんなの知らないよ
聞いてどうするの?」
ベジータ「フン、決まっているだろう
サンタが一体どれほどの力を持っているのか試してやる」
トランクス「え?」
ベジータ「まぁ知らないのなら仕方ない」スッ
トランクス「ちょ、どこ行くの?」
ベジータ「……それほどのパワーの持ち主ならばカカロットの奴が何か知っているはずだ…」ヒュイン
トランクス「あ、パパ!…ちょっと…
……行っちゃった」
パオズ山
シュイーーン スタッ
ベジータ「カカロットー!でてこい貴様に用がある!」
ガチャ
悟空「おーベジータじゃねえか
めずらしいな、おめえがここに来るなんてよ
今メシ食ってたんだ。あがってくか?」
ベジータ「いらん。そんなことよりカカロット、聞きたいことがある」
悟空「んー?なんだ?」
ベジータ「貴様サンタがどこにいるか知っているか」
悟空「サタン?サタンならサタンシティにいるんじゃねえか」
ベジータ「ちがう!だれがあのホラ吹きヤローの居場所なんか聞くか
サンタだ」
ベジータ「ああ」
悟空「サンタってあのサンタクロースのサンタ?」
ベジータ「そうだ」
悟空「ベジータ、サンタが何か知ってんのか?」
ベジータ「当たり前だ。
トランクスから話を聞いて会ってみたいと思ってな」
悟空「え…」
ベジータ「なんだ?」
悟空(さ、サンタ信じてんのかベジータ…クッ……ブフ…)
悟空(しかも会いてぇって……くくく…
会って何すんだよ…ブフ)
ベジータ「どうした、なに気持ち悪い顔してやがる」
悟空「い、いやなんでもねえ…コホン
サンタの居場所な、いやーオラにもちょっとわかんねえや」
ベジータ「チッ、使えないヤローだ」
悟空「サンタに会いてえんだったら家で待っとけばいいじゃねぇか(来ねえけど)」
ベジータ「……来たとしても仕事中だ…
引き止めればプレゼントを配り終えることが出来なくなってしまうかもしれん
そんなこともわからんのか貴様は」
悟空「そ、そうだな……」
ところかわって西の都
ブルマ「ベジーター?ちょっとぉーいないのー?
あ、トランクス。ベジータ知らない?」
トランクス「あ、ママ。パパならどっか行っちゃったよ
サンタの話してただけなのになんであんなに興奮してたんだろ…」
ブルマ「もう、今日は皆で外食するから家に居てって言っておいたのに……まったく」
トランクス「ねぇママ、サンタさんってホントにいるの?」
ブルマ「んー?サンタさん?いるに決まってるでしょ
だからプレゼント貰いたかったらいいこにしてなさいよ」
トランクス「…………」
トランクス「え?うーん…特に欲しいモノもないからなあ」
ブルマ「あ、そう……」
ブルマ「あ、しゃべってる場合じゃなかったわ
トランクス、あんたベジータ呼んできてよ
キってやつでわかるんでしょ?居場所」
トランクス「え、うん。でもまだまだ時間あるよ
急がなくてもいいんじゃないの」
ブルマ「余裕あった方がいいじゃない
それにいいレストラン行くんだからベジータ着替えさせなきゃいけないし
ほら!サッサと行く!」
トランクス「ちぇ…わかったよ…」バシュッ
パオズ山
ガチャ
悟天「おとうさーん、何してんの?
もう皆ご飯食べ終わっちゃったよ」
悟空「あ、悟天、まってくれよ
オラまだ食うぞ」
悟天「あ、おじさん。こんにちは」
ベジータ「カカロットの冗談かと思ったが貴様らこんな早い時間にメシを食うのか……」
悟空「うちは早寝だからな」
悟空「ん?」
シュイーーン スタッ
悟天「トランクスくん!」
トランクス「よっす、悟天。こんにちはおじさん」
悟空「よう」
トランクス「もーパパ、今日は皆で食べに行くって言ってたじゃん
ママが帰ってこいって」
ベジータ「チッ……そうだったな……」
悟天「わーいいなあ…ぼく外食したことないや」
トランクス「早く帰らないとサンタさんが来なくなっちゃうから早くいこうよ」
悟空(……まートランクスはなぁ)
悟天「サンタさん?サンタさんってなに?」
トランクス「え?」
ベジータ「ん?」
悟天「え?」
悟空(あ)
悟天「うん」
トランクス「あのな、サンタってのはな……かくかくしかじか」
悟空(あちゃー)
悟天「へー……プレゼント……でもうちには来たことないよ」
トランクス「え?」
悟天「だってプレゼントもらったことないもん」
ベジータ「なに…」
悟空「…………」
トランクス「ええー!ウソだろ悟天……マジかよ」
ベジータ「どういうことだトランクス
ガキは皆貰うんじゃなかったのか」
トランクス「さあ……なんでだろ」
悟天「そうなのかな……」
悟空「そうそう!だからあんま気にすんなよ!な!」
悟天「う、うん……」
トランクス「……なんかおじさん必死だね」
悟空「え?」
悟天「たしかにキョドキョドしてるよおとうさん……」
悟空「い、いやそんなことねえよ……はは」
ベジータ「貴様なにか隠してやがるな」
ベジータ「…………」
ベジータ(妙だぞ…サンタのことを聞いたときの反応といい、今といい……)
ベジータ(ん?……早寝……こいつの家にはサンタが来ない……)
ベジータ「も、もしや……!」
悟空「ん?」
ベジータ「カカロット!貴様がサンタクロースだな!」
悟空「」ブフォッ
悟空「な、なに言い出すんだよベジータ!」
ベジータ「しらばっくれても無駄だ
たった一晩で地球すべての家庭にプレゼント配って回る……そんなマネができるやつは貴様以外にいない」
ベジータ「それに悟天がプレゼントをもらったことがないことも説明がつくだろう」
悟天「え?」
ベジータ「貴様がサンタなら自分の家にわざわざ配らなくてもいいと考えるだろうからな」
トランクス「そ、そっか!」
悟天「ええ!じゃあホントにおとうさんがサンタクロースなの?」
悟空「いやいやいやいや」
トランクス「で、でも……」
ベジータ「とぼけるな!それ以外ない」
悟空「え~……(なんか変なことになっちまったな……)」
悟空「そういやおめえ、サンタに会ってなにする気だったんだ?」
ベジータ「フン、実力がどんなものか戦って確かめてやる
……つもりだったが貴様なら戦うのも……今更……」
悟空「あ、そうなの?」
悟空(もうオラがサンタクロースってことにしとこうかな…
そうでもねえと帰りそうもねえし)
悟空「……今まで黙ってて悪かった」
ベジータ「!」
悟天「え……」
トランクス「お、おじさん…!」
悟空「ああ……実はオラサンタクロースなんだ……」
ベジータ「フン、やはりか」
トランクス「す、すげえ!」
悟空「じゃ、ベジータこれで満足だろ?
もう帰rベジータ「勝負だカカロット!はあっ!」
バキッ
トランクス「ぱ、パパ?」
悟空「オラがサンタなら帰るんじゃなかったのか!」
ベジータ「だれがそんなこと言った」
ベジータ「どうせ今更帰ってもブルマに怒られるだけだ
貴様と勝負してから帰る」
悟空「そういう意味かよ……」
ベジータ「さあこい!カカロット!」バシュ
悟空「ちぇ、仕方ねえなあ」バシュ
トランクス「変なことになったな…」
悟天「トランクスくんは帰らなくて大丈夫なの?」
トランクス「げっ今何時だ?…もうこんな時間!?
……いいや、オレも見学していこーっと」
悟飯「あれ、トランクスくん来てたのか」
トランクス「!悟飯さん」
悟天「あ、にいちゃん。どっか行くの?」
悟飯「え、いやちょっとビーデルさんと約束してて…
……ってとうさん達は何してるんだ?」
悟天「さあ…」
悟飯「トランクスくん来てるなら言ってくれればよかったのに……
さっきブルマさんから電話があったよ」
トランクス「ママから?」
悟飯「ああ。こっちにトランクスくん来てないかって
来てるの知らなかったからベジータさんならいますって言っといたよ」
トランクス「え……それでなんて言ってました?」
悟飯「こっちくるって」
トランクス「げげ……」
トランクス「パパが悪いのに…」
悟天「ねーにいちゃん、トランクスくんもおじさんもいるし
ブルマさんも来るならビーデルさんとか皆呼んでパーティしようよ!」
悟飯「ええっ」
トランクス「!いいなそれ!あ、でもおまえらもうメシ食ったんじゃねえの?」
悟天「まだ全然食べれるよ!
ねね!にいちゃんそうしようよ!」
悟飯「そうだなぁ、ぼくもこのあとビーデルさんと食べに行くつもりだったからまだお腹空いてるし…」
悟飯「西の都で集まることがあってもうちで集まることって滅多にないもんな
よし、そうするか!せっかくのクリスマスイブだしな!」
悟天「でしょ?やったーパーティパーティ!
ぼくカメハウスの皆に電話してくるよ!」
トランクス「じゃあオレもママにじいちゃん達連れてくるように知らせてきます!
パーティのこと言ったら怒られずに済みそうだし……」
悟天「へへ…ぼくなんだかワクワクしてきた」
チチ「すまねえなブルマさん、手伝ってもらっちまって
急に言い出すからなんも準備できてねえべ……」
ブルマ「気にしないでいいのよー、トランクスのせいでもあるんだから」
ちょっと、ウーロン!これ外に運んでちょうだい」
ウーロン「へいへい……なんでオレが……」
ブルマ「文句言ってると豚の丸焼きにするわよ」
ウーロン「あーこわこわ」
ガチャ
悟飯「かあさん、ブルマさん、みんなもう来ましたよ」
ブルマ「あらほんと?ところでベジータと孫くんはまだ戦ってるの?」
悟飯「いやもう終わりました。二人ともぼろぼろなんで悟天が仙豆とりにいってます」
ブルマ「えーそんななるまでやってたの?
…まったく、何考えてんのかさっぱりだわ」
チチ「ほんとだべ
じゃ、悟天がけえってきたらパーティはじめるとすっべな」
悟飯「はい。じゃあみなさんにそう伝えておきますね」
悟飯「悟天が帰ってきたら始めるそうです
って、あ、帰ってきましたね」
ヒュイーーン スタッ
悟天「はい、にいちゃん仙豆」
悟飯「ありがとう悟天。さ、とうさん、ベジータさん、どうぞ」
悟空「おーサンキュー…ふう」
ベジータ「チッ…手加減しやがったなカカロット」
悟空「おめえだって途中までは思いっきりやってなかったじゃねえか」
悟飯「まあまあ……」
ベジータ「貴様はこの後大事な仕事があるんだろう
だからあまり疲れないようにオレが気をつかってやったんだろうが
まあ途中から白熱しすぎたがな……」
悟空「え?」
悟飯「仕事?」
悟空「んなもんねえよ」
ベジータ「何言ってやがる。サンタとしての仕事があるだろう」
悟飯「……へっ?サンタ?」
悟空(あ……そういやそんな話してたっけ……)
ヤムチャ「なんだ?なんの話だ?」
ベジータ「??だからこいつはサンタクロースなんだろ?
今日中にプレゼントを配らないと……」
悟飯「え…な、なに言ってるんですかベジータさん」
悟空「あーあのよぅベジータ。実はsヤムチャ「」ブフォッ
ヤムチャ「しかも悟空がサンタって……ブフッ…ずいぶんメルヘンだな…クップププ」
悟空「お、おいヤムチャ」
ヤムチャ「サンタってのは架空の人物だぞ……おまえ悟空に騙されてんだ……ブフッ」
悟空「…………」
ヤムチャ「それにしても悟空がサンタって……おまえ馬鹿だな………プフッ
グフッやべえつぼに入ったブフォ…クク」
ベジータ「…………」
トv'Z -‐z__ノ!_
. ,.'ニ.V _,-─ ,==、、く`
,. /ァ'┴' ゞ !,.-`ニヽ、トl、:. ,
rュ. .:{_ '' ヾ 、_カ-‐'¨ ̄フヽ`'|::: ,.、
、 ,ェr<`iァ'^´ 〃 lヽ ミ ∧!::: .´
ゞ'-''ス. ゛=、、、、 " _/ノf:::: ~
r_;. ::Y ''/_, ゝァナ=ニ、 メノ::: ` ;.
_ ::\,!ィ'TV =ー-、_メ:::: r、
゛ ::,ィl l. レト,ミ _/L `ヽ::: ._´
;. :ゞLレ':: \ `ー’,ィァト.:: ,.
~ ,. ,:ュ. `ヽニj/l |/::
_ .. ,、 :l !レ'::: ,. "
パラパラ……
ベジータ「…さてと……どういうことだ」
悟空「え、えーと…いや、あはは」
ブルマ「ちょっとー!あんたたち、パーティはじめるわよー」
チチ「悟空さー!悟飯ちゃーん!早くこっちにくるだ!食いもんなくなってもしんねーぞー」
悟飯「あ……は、はーい。今いきまーす」
悟飯「お、おとうさん……ベジータさん……」
悟空「……なあベジータ、話は後にしようぜ!メシがなくなっちまうよ!な?
おめえもハラ減ってるだろ?」
ベジータ「仙豆食ったばかりだろうが……
フッ、まあいい。だが後で必ず説明しろ、いいな」
悟空「そーこなくっちゃ!じゃ、いこーぜ!」
悟空「おーメリークリスマス!みんなきてたんか」
クリリン「おまえなんだってベジータと勝負なんかしてたんだ?」
悟空「いやーまあいろいろあってよ……お、じっちゃん」
亀仙人「久しぶりじゃのう悟空
まったく……急に呼び出しおってからに」
海がめ「ほんとですよ……」
悟空「呼んだのはオラじゃねえけどなー
あ、おめえらもきてたんか」
サタン「いやーわたしまでお呼ばれされちゃって……」
ブウ「おっす」
悟空「はっは!久しぶりだなー!ま、遠慮すんなよ!」
ビーデル「……ちょっと悟飯くん、後で話があるから」
悟飯「え?は、はい」
悟空「よーしみんなそろったな!じゃ、乾杯すっか!」
ブルマ「こどもはジュースね」
トランクス「ちぇ~」
チチ「あたりまえだべ。ほれ悟天、マーロンちゃんも」
プーアル「あ、ボクもジュースでお願いします!」
ピッコロ「オレは水でいい。デンデにも水をやってくれ」
悟空、おめえが乾杯するとええ。ほれ、みんな静かにせんかい」
悟空「よーし、今年もいろいろあったけど楽しかったな!来年もいい年になりますように!
かんぱーい!
そんでメリークリスマース!」
みんな「メリ-クリスマース!!」かちゃんかちゃん
あ、おもいっきりやるからグラスがわれたぞ!
なにやってんだよ18号~
ははははは………
おわり
/ ,ィ介i | う ぶ 続
{. |l ,イ ///|| | ち っ け
,-.、Vl / | /// | | 」 に と ろ
lこ!l ! ト ト.l | !i | ヽト、< な ば
| l Vヽ トjヽ\!l ,>‐_ニヽ さ
| | \ ! く__・、jiLノ・_´フ .|| れ
| | __ ヽ} -‐ -─‐ レヘ. ん
_r‐j >イ fヽ l ノ __ ,イ-ハ
/ ′、 i {ノ-、 ヽ `t_/ /| /´ヽ
〈 ヽ l | } \ -' j | \
ヽ / |  ̄ L
Entry ⇒ 2011.12.24 | Category ⇒ 版権物SS | Comments (0) | Trackbacks (0)
一方通行「新訳・絶対能力進化計画……ふざけてンのか」芳川「いたってまじめよ」 後半
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1306515187/
前→一方通行「新訳・絶対能力進化計画……ふざけてンのか」芳川「いたってまじめよ」 前半
佐天「(いやいや、ないない!!)」ブンブンブンブン
一方通行「最初からそうしてりゃいいンだよ……メスガキ、どうした」
初春「どうひたんでしょうねぇ……」ボー
佐天「(いくらかっこよくても!この服はない!!絶対にない!!!)」ブンブンブンブン
一方通行「そォか。まァいい、お前らもやっぱり常盤台に用があンだな」
ピタッ
佐天「あ、はい。も、ってことは白いお兄さんもそうなんですか?」
一方通行「……さらっとうたのお兄さん的なノリで言ってンなメスガキ」
初春「」ボーー
佐天「そっちこそメスガキって言ってるじゃないですか!私は佐天!涙子です!!」
一方通行「あァあァはいはいさてンねさてン。こっちゃァ一方通行ってンだ。それでェ?誰に用事なンだよ」
佐天「いや、男の一方通行さんの方こそ……まぁいいや。たぶん知ってると思うし」
一方通行「はァ?」
佐天「常盤台の超電磁砲、学園都市第三位の御坂美琴さんですよ。私達の友達は」フフン
一方通行「」
初春「」ボーー
御坂「……」
白井「……はぁ、困りましたわ」
白井「あの類人猿がつかまったと聞いてからずぅっとカリカリしてらっしゃったおねぇさま。黒子も捜査の関係で寮を留守にしがちでしたが、寮監によりますとおねぇさまもずぅっと戻っていらっしゃらなかったそうですの」
白井「……で、類人猿が無罪放免となった後、元に戻るかと思っていたら」
白井「今度は、布団にくるまってひきこもってしまうなんて」
白井「……」
白井「まだ、もう少~~~しだけ時間はありますの」
白井「……」
1白井「……癪ですが、あの類人猿も呼び出しておきますの。チッ。イタメ目的で登録したのをあろうことかお姉さまのために使うことになるとは……」
2白井「……いえ、あのタイミングも悪い甲斐性なしの類人猿のこと。むしろ絶対にお姉さまの前に顔を見せないほうがよろしんではなくて?……来るなとメールしますの!!」
このレスから先着5レスで多数決です><
白井「ッッハ!白井黒子を甘く見ては困りますわ!こういった話をした場合、あの類人猿はむしろどうにかして来ようとしますの!」
白井「……風紀委員ですの!!!」キリッ
白井「完膚なきまでにこきおろして、二度とおねえさまの前に顔を見せないようしてやりますわ!!!」
白井「ぐふふひひひひひ……そして甲斐甲斐しくおねぇさまに使え続ける黒子!すぐそばにあったぬくもりに気づいたおねぇさまはついに!あぁ!いけませんの!!まだ初春と佐天さんが……そ、それでもですの!?それでも黒子を求めますのおねぇさま!!黒子は!!黒子はぁぁぁぁぁ!!!!」
御坂「……」
白井「……」
白井「こんな時に電撃がないと、本当に寂しいんですのよ、おねぇさま」グスン
上条「……」
上条「って、誰もいねぇからそりゃそうなんだけどよ」
上条「インデックスは神裂と出かけちまったし、一方通行も忙しいらしいしよぉ」
上条「……あぁ、美食倶楽部の料理、美味かったなぁ」
上条「もう一週間も前の話なのに、こんなに味の記憶が残ってる」
上条「俺、この記憶があるならもう別に昔の記憶とかどうでも……」
ブゥゥゥゥゥ ブゥゥゥゥゥ
上条「お?メールだ」
上条「……白井か、珍しいな」
上条「確か、俺が補導の常習犯だから連絡先を交換しておくとかどうとか無茶苦茶言って交換させられたんだよな」
20××/ ○/○○ 12:28
From:i.love.railgun.desuno.171@○○○○
Sub:
~~~~~~~
~~~~~~~
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上条「ひ、ひでぇ。とにかくひでぇ。言葉に出来ないほど、文字におこすと捕まっちまうくらいひでぇあんまりだ」
上条「と、とにかく要約するとだな……ビリビリは俺の顔も見たくないようだから、絶対に姿をあらわさないよう。ってことか」
上条「……」
上条「ふふふ。分かった、分かったぜ、インデックス」
上条「こんな時に使うんだな……この……」
上条「インデックスさん著!『とうまでもわかる!!女心の本 第34295版』を!!!!」
上条「……女は稀に、強がって本心とは逆のことを言ってしまう、か」フムフム
上条「……ってことは、なにか」
上条「ビリビリは今目茶苦茶凹んでて、すぐに俺が顔を見せにいかないとやべぇってことかぁぁぁぁ!?!?」
上条「くっ!白井めどうしてこんなまわりくどい……いやまてよ」
上条「白井はビリビリのパートナーだ!ビリビリの性格を汲んで、あんな風に言ったに違いない!俺が気づけるように!!!」
上条「白井、お前なんていいやつなんだ!!!」
上条「っと、こうしちゃいられねぇ!!」
上条「詳しいことは書いてないからな!元気付けるための菓子やら料理やらは買いにいかなくてもいいだろ!!」
上条「待ってろぉぉぉぉ!ビリビリぃぃぃぃぃぃ!!!!!」
ガチャ!バタン!!!
白井「さて、もうそろそろ二人も来るころでしょう。いい加減におねぇさまを本格的に起こしますの」
白井「おぉぉぉねぇぇぇさまぁぁぁぁぁぁ!!!!」
御坂「(……最悪。最悪よ)」ブツブツブツ
御坂「(あいつが捕まっちゃって……怪しい廃ビルじゃあんな写真見つけちゃうし)」
御坂「(やっと居場所をつきとめて、ゲコ太仮面で襲撃したら……もうあいつは誰かに助けられたあとだった)」
御坂「(……それだけならいいのよ)」ギリッ
御坂「(次の日、あいつの隣には…ヤツがいた!一方通行が!!)」
御坂「(どうして…どうして!?頭ん中ぐちゃぐちゃよ!)」
御坂「(あいつは、あいつは……もしかして、ヤツと……)」
白井「はぁぁぁ。もう、そこまで頑固におなりなら仕方がありませんわね」
ポン シュッ
御坂「え!?うわっ!!!まぶしい!!!!!????」
白井「布団を空間移動させましたの。さぁさ、おみぐし整えましょうおねぇさま」
白井「はい、よろしい(あぁぁぁぁ!!うん!!!うんですの!!!!!ちょっぴり弱ってて素直なおねぇさま可愛すぎますわぁぁぁぁぁぁ!!!)」
御坂「ははは、なんかお腹空いちゃったわ。黒子、あんたなんか持ってる?」
白井「もう、おねぇさまはろくに食事もとろうとしないんですもの!黒子は心配でしましたわ!(せっかく唾液を混入してましたのに!黒子ブレンドでしたのにぃぃぃ!!)」
白井「それに、もう何度も言ってますの。そろそろ初春と佐天さんが到着しますわ。大方、たっくさんの食べ物をこしらえてますのよ」
ピンポ~ン
白井「あら、噂をすれば……」
インターホン初春「白井さ~~ん来ましたよ~~~。奇遇ですよね~、御坂さんに用事だったなんて」
インターホン佐天「こんにちわ~~~。あ、もしかしてアクセラさんも高位能力者なんですか?」
白井「あら?誰か一緒……」
インターホン一方通行「おォ、まァな」
御坂「」ビクッ
白井「……失礼ですが、どなたですの?おねぇさまに用事でしょうか」
インターホン一方通行「おォ……あー、なんだ」
インターホン一方通行「クソッタレが顔見せに来た、って言えばわかる、のか」
初春「……」
佐天「……」
御坂「……」
一方通行「……よォ」
佐天「ちょっと白井さん!なんなんですかあの二人の空気!!」ヒソヒソ
白井「し、知りませんの!そもそも殿方を連れて来たのはあなたたちではなくって!?」ヒソヒソ
初春「み、みしゃかしゃん怖い顔してます……」ヒソヒソ
御坂「……」
一方通行「……今更、どの面下げて来やがった、そう言いてェンだろ。でも、まず聞いてくr」
ガンッッ!!!!!
白井「!」
佐天「!」
初春「!」
一方通行「……高ェンじゃねェか、そのテーブルは」
御坂「……」ギロリ
一方通行「……」
御坂「……」
御坂「
1御坂「三人とも、ちょっと席はずしてもらえる?」
2御坂「……」無言のまま、御坂は出て行ってしまった!
このレスから先着5レスで多数決です><
白井「お、おねえさま……?」
初春「み、みさかさん!あの、あの!その人は、私達をですね……」
佐天「そ、そうなんです!御坂さんとは仲がよろしくないみたいですけど、アクセラさんは……」
一方通行「……やめとけェ。今のこいつにゃ焼け石に水、だ」
御坂「……そう、二人とも、騙されたのね。こいつに」
御坂「本当なら今すぐここで糾弾してやりたいとこだけど、この二人に免じて今は黙っててやるわ」
御坂「あんたからもいいなさい、席をはずせって」
白井「……」
初春「みさか、さん……」
佐天「……」
一方通行「そういうことだァ、ちっとばっか外で待っててくれっか?そこのお三人さんよォ」
白井「……分かりました」
初春「え!?」
佐天「ちょ、ちょっと白井さん!?」
白井「おねぇさま、感謝いたしますわ」
白井「そんなに拳を握って、ふんばって」
白井「この殿方、いえ、このクソッタレは。そこまでおねぇさまにとって憎い方なのですわね」
初春「!」
佐天「!」
白井「……どうか、出来れば穏便にすませてくださいまし」
白井「行きますよ、二人とも」
初春「……はい」
佐天「……」
ガチャ
パタン
御坂「……」
一方通行「……」
一方通行「……」
御坂「その通りよ……どの面下げて……ここまで……来てんのよ!!あんたは!!!!!」
ビリビリッ
バシッ
一方通行「……っ」
御坂「……なによ、あんた。反射しないの」
御坂「木片を放った電磁砲もどきなんか、あんたの前じゃいとも簡単にへたっちゃうはずでしょ」
御坂「そうよ……あんた……学園都市第一位、クソッタレの中のクソッタレ……」」
御坂「私の妹達を!!!一万三十一人も殺した!!!!!!あんたならさぁぁぁ!!!!!!!」
ビリビリビリビリビリ
一方通行「……」
一方通行「……」
御坂「謝りに来たから、筋を通しに来た。だから私には手をあげない?」
御坂「……馬鹿にしてんじゃないわよ!!!」
御坂「あんたは!あたしを壊した!!」
御坂「そんなあんたが!!私に甘さなんてみせてんじゃないわよ!!!!」
御坂「あたしの中で、あんたは極悪人の殺人鬼!クソッタレの外道野朗!!!!」
御坂「それ以外の顔を、あんたがわたしにみせていいと思ってんの!!!???」
スッ パサッ
一方通行「……?……!!!!」
御坂「ある廃屋……いや、アジトね。そこでみつけたわ」
御坂「あんたと、その隣に映ってる……小さい頃の私そっくりな子は、いったいなんなのよ」
御坂「ほら、崩れた」
御坂「全部謝ろうとしてたぁ?あの計画のこと全部?」
御坂「じゃぁ、この子はなんなわけ?」
御坂「私が、私だけが知らない場所で、私の遺伝子を使って、私の妹達を巻き込もうとしてる……」
御坂「そんなあんたをどうやって許すのよ……」
一方通行「……」
御坂「そう、あんたは私の大事なものを全部奪っていった」
御坂「プライドも、人としての尊厳も、妹も、なにも!かも!!!!」
御坂「あんたが謝ったところでさぁ!命をなげうったとして!!!あんたは返せるの!?私を!!あんたが奪った、あのわたしを!!!!!!」
御坂「その上……今度は……」ギリッ
一方通行「……」
御坂「……あんた、この間。あいつと…・・・上条当麻と、一緒にいたわね」
一方通行「!?……あァ」
御坂「やっぱり……」ギリギリッ
一方通行「おい、これだけは言っておく。俺は、あいつを殺そうとなンて……」
御坂「黙りなさい!!!殺そうとなんてしてない!!??えぇ、そうでしょうよ!!!そりゃそうよ!!!」
一方通行「……あァ?」
御坂「あんたは……あんたたちは……」ワナワナワナ
御坂「あんたたち!!!!付き合ってんでしょ!!!!!!!!!!!」
一方通行「………………」
一方通行「はァァァァァァァァァァァァァ!?!?!?!?!?!?!?」
一方通行「はァ、はァァァ!?おま、お前、バカか!!!」
御坂「そうよ、あんたきっと……あ!!私の妹孕ませてあの子を産ませたあげく、愛人のあいつに預けて……これよ!!!」
一方通行「これよ!じゃねェェェェェ!わかった!!わかった!!!もういいわかった!!!!お前はバカだ!!バカヤローだよちくしょォォォォ!!!」
御坂「おそらく、留置場であいつと出会って……あんた婦女暴行かなんかで捕まってたんでしょ大方。それで、柵の中で……ふけつ!!ふけつだわ!!!!」
一方通行「お前ェェェェ!!発言を読み返せェェェェ!!!時期が前後してンでしょ!?!?!?お前が打ち止めをみたのいつだこら!!!!そして三下が捕まったのはいつのことだこらァァァァァァ!!!!」
御坂「……時を、駆けた」ハッ
一方通行「誰かこいつどうにかしろォォォォォォォォォ!!!!!」
初春「だ、大丈夫でしょうか……」
佐天「なんかちょいちょい電撃も打ってるっぽいし、まずくないですか?」
白井「……えぇ。これは、そろそろ……!?」
上条「待たせちまったな、白井」ハァハァ
白井「か、上条当麻!?どうしてあなたがここへ!?」
上条「お前が書いたメール、しっかり俺の胸に届いたぜ!おかげで、迷わずここに来ることができた!!」
白井「……(この方、マゾヒストでしたの?)」
ギャーギャー
上条「くっ。苦しんでるんだな、ビリビリ」
上条「きっと誰も、お前の中の闇に気づいてやれないんだな!!」
上条「それでも、それでもよぉ!!お前は俺を呼んだんだろ!!」
上条「ほかの何物でもなく、他の何者でもねぇ!!!この俺を!!」
上条「だから!ここに来たんだ!!」
上条「ごみだしなんて関係ねぇ、そういや補修があったきがするがどうでもいい!!」
上条「俺は、お前を助けに来たんだ!!」
上条「きっと勇気のいることさ、自分の中に誰かを招き入れるってのは!」
上条「でも、俺を呼んだのはお前だ!!」
上条「ここを開けてくれ!!!ビリビリ!!!!!!!」
白井「…」
初春「…」
佐天「…」
上条「……」キリッ
白井「カギ、かかってませんの」
御坂「うっさいわねやめてよ飴と鞭とかやめてよそうやってあいつのことも篭絡したわけ!!!???」
一方通行「おま……もォォォォォ!!!なァァァンなンですかァァァァァこの人ォォォォォ!!!」
御坂「金剛さんが貸してくれた本にそういうこと一杯書いててくれたおかげだわ!!!お陰で、あんたがあたしからあいつを奪おうとしてることに気づけた!!!感謝しないとね!!!!」
一方通行「女性向けの薄い本ンンンンン!!そしてまだ見ぬ金剛さんとばっちりィィィィ!!!!お前!黙れ!!!もう黙れ!!!!」
御坂「いやぁぁぁぁそのうえ私を手篭めにしてあいつの前で犯す気ねぇぇぇ!!!!触れるなぁぁぁぁ!!!!」
一方通行「だァァァァもォォォォお前確実にあの性悪とか変態の遺伝子だわ納得だわ今分かったァァァァァ!!!助けてェェェェェ!!!ヒーーーーーーローーーーーー!!!!」
バァァァァン!
上条「ビリビリッ!大丈夫か!?」
一方通行「」
御坂「」
上条「あれ、一方通行?なんでここに……」
一方通行「ヒーーーーーローーーーーー!!!」ウワァァァァン
上条「え!?うわ、なんだよいきなり抱きつくな!!!」ダキトメッ
御坂「キャーーーー!!!きゃーーーーーーー!!!!決まり、決まりだわぁぁぁぁぁl!!!」カシャッピロリーン シャシンヲトッタゲコ!
上条「上条さんは、一方通行とは付き合ってないです。お友達d」
一方通行「親友」ボソッ
上条「そう、親友です。ですんで、いま俺の背中をこいつにかしているのは親友として至極当然のことであり……」
白井「意義あり!ですの!」
初春「はい、白井さん」
白井「そもそも、どうしてお二人ともそこまで否定するのでしょうか。とても仲の良い異性、むちゃくちゃ仲のよろしい同姓。その二つの愛情を比べる時、同姓だからといって異性におとる、そんな勝手な価値観、あってよろしいのでしょうか」
佐天「今、とてもいいこといいました。白井さん、とてもいいこといいましたよ」
御坂「じゃぁ、二人は付き合ってるってことで……」
一方通行「アホか。というかお前は黙れ。もう黙れマジで」
初春「はい、シスターちゃん」
禁書目録「二人は親友かも!っていうか、そうじゃないと困るんだよ!とうまはその……と、とうまにはたくさん女の子の知り合いいるもん!」
金剛「意義有。」
初春「は、はい。金剛……さん?」
一方通行「やつァなにものだ……一体どこの大物弁護人だってンだよ」ゴクリ
金剛「小生、金剛美津子に候。此度の混乱、詰り御坂美琴嬢の暴走は一重に己の不徳と成す所。二人に、所謂男性愛成る感情有か無しか知りもせ不、小生の所蔵する男性愛的漫画・小説・電子記憶媒体を貸しめん故。而して、ここは小生の切腹にてこの場を……」
御坂「ま、待って!!!金剛さん!!」
白井「そ、そうですの!!!どこぞの空力使いそっくりな名前の金剛さん!!」
初春「落ち着いてください。それではここでひとまず本日の公判を終了とします」
佐天「明後日の午後一時、必ず出席してください」
解散!
上条「くそっ、今日も無実を証明できなかったな!」
一方通行「先は長いぜ、上条なにせ……」
上条・一方通行「「俺達はこの長い長い裁判道を、上り始めたばっかりなんだからよ」」
ギィ
バタンッ
一方通行「マジ勘弁してくださいもう頼みごとなんて殆ど覚えてないんでホントお家返してください闇咲くンかかンざきに電話させてください切にマジで早急に」
上条「インデックス、お前いつ来た?」
禁書目録「かおりが抱えて送ってくれていたんだけど、『ここで降りてあなたがこの寮の中に入れば、きっとなにか面白いことがある。そう朝の占いで言ってました』って!」
一方通行「かァァァァァァンざきィィィィィィィ!!!!」
初春「金剛さんおっきかったですねぇ」ズズズ
佐天「確実に背筋伸ばしたらここの天井に届いてるよねあれ」ズズズ
白井「ですの」ズズズ
御坂「あんたたちはなぁにお茶始めてんのよぉ!!!まだ問題は解決してないわよぉ!!」
初春「いやぁ、飽きちゃいました」
佐天「お二人が言ってるじゃないですかぁ、親友だって」
白井「おねぇさま……すみません本当言うと私殿方同士というのはちょっと……」
御坂「え?え?」
一方通行「お前だけは!お前だけは信じてたのにィィィィ!かンざきィィィィィ!!!!!」
初春「強引な軌道修正ですねぇ御坂さん。そういう神経いいと思いますよ~」
御坂「……いつまでも過去を引きずるのはよくないしね」
佐天「いや一番ひきずってたのはあなたですからね」
御坂「それに、あんたもそのシスターも親友だってのなら!一方通行、あんたもしかしてかなり反省して、ひょっとして妹達のことを守ってくれてたりするんじゃない!?」
白井「第一位さんがさっきまで必死に訴えていたことを繰り返してるだけですの」
御坂「な、なんだったら!いままでのことぜぇんぶなしにしちゃってさ……一方通行、あんたわたしと……」
禁書目録「とうまにどうにかして近づこうとしてるね。みえみえだけど」
御坂「うぐっ。えぇいうるさい!一方通行!!あんた許す!!!!だから、私と!!!!!」
一方通行「ありがとなァ、ヒーロォ。お前が来なかったら俺もう血管切れて黒翼出てたわ」
上条「いや、俺がここに来れたのは白井のお陰だよ」
一方通行「白井ィ?あ、お前か」
白井「え!あ、そうですの。白井黒子と申します」ペコリ
一方通行「…白に、黒か。いい名前だなァ最っ高にいいセンスしてるぜ。どっちも俺の好きな色だしよォ」
白井「」キュンッ
一方通行「あ、よかったらダチになンねェか?アドレスと番号を……」
白井「はいですの、第一位さまぁ」ボーーー
初春「」イラッ
佐天「はっはっは、白井さんがライバルとは初春きっついね~」
禁書目録「よかったねあくせられーた!友達が増えたんだよ!」
一方通行「おォ、シスター。これで……」
御坂「シカトすんなゴルァァぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁああああああああああ!!!!!!!」
バリバリッ ドーーーーーーーーーーーン
一方通行「……おォ」
御坂「周波数とかは分かるの?あれ?妹達って全員同じ?だったらちょっと難しいと思うんだけど……」
一方通行「いや、あいつァどうやら他のやつらとは一線を画してるらしい。そもそもそのせいで……はァ」
初春「なんだか難しい話をしてらっしゃいますねぇ」ズズズ
上条「あの、みなさん御坂の妹達のことは知ってらっしゃる、のかな?」
佐天「噂程度に。まさかそんなにいるとはしりませんでしたけど」ズズズ
白井「ですの(あぁぁ!麗しのおねぇさまが!窓辺で!額を付き合わせん程の距離で殿方とお喋りになっていらっしゃる!!)」
禁書目録「とうまぁ、まさか。お前らよく平気な顔してんなぁ、とか言わないよね?」
初春「舐めてやがりますね」ズズズ
佐天「よほど愉快なオブジェになりたいとみえますね」ズズズ
白井「ですの(本来なら!!!殿方に殺意が芽生えるところですわ!!ですが!!!ですがその殿方は……あぁぁぁ愛しの第一位さま!!!)」
初春「私達、友達ですから」
佐天「このぐらいのこと受け止めてああげなくてどうするんですか。それに、御坂さんは御坂さんですよ」
白井「ですの(この場合!!この場合は!!!どちらに嫉妬するべきですの!!??おねぇさまの露払いたる黒子!?それとも第一位さまに恋焦がれる黒子!?一体どちらが正しくて、どちらが間違ってますの!?!?)」
禁書目録「そうなんだよ!とうまはもし仮に私に二万体のクローンがいたとして、それだけで私を見る目が変わっちゃうのかな?気持ち悪い、とか。関わり合いにならないでおこう、とか!そういう風に思っちゃう、薄情者だったのかな?」
上条「……いや、お前が二万体もいたら流石に……食費的な話でほんと遠慮して欲しく思いますよ」ズズズ
白井「ですの(あぁぁぁぁ分かりません!分かりませんわ!!!運命はなんて残酷な選択をわたくしに突きつけなさるのか!!!)」
白井「ですの(ですが、あぁぁぁ!第一位さま!第一位さまは!!!)」
白井「ですの(初めて……生まれて初めて!!!黒子の名前を褒めてくださいました!!!)」
白井「ですの(やれホクロだの、パンダだの一人オセロだのマイケルだのと下げずまされ続けていた黒子の名前を!!!いい名だと!!!最高だと!!!!好きな色だと!!!!!!)」
白井「ですの(あぁぁぁ第一位さま!!!第一位さまぁぁぁぁ!!!)」
上条「……なんか白井はずっとこれだけどほっといていいのか」
佐天「あはははは、アクセラさんに骨抜きにされちゃいましたね」
初春「知りません。コーヒーでもぶっかければいいんじゃないですか?」ブッスー
禁書目録「分かったんだよ!!!」バッシャァァァァ
白井「でsあっつぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!(あぁ!この!身を焦がすほどのこの衝撃は!?天啓!?天啓ですの!?一生第一位さまに添い遂げろという天啓ですのぉぉぉ!?)」
上条「お、話はすんだか?」
一方通行「おォ。これから屋上いって、こいつにレーダーであいつの位置を探ってもらう」
佐天「へぇ、御坂さんってそういうことも出来たんですね!白井さんに電撃するとこが印象的すぎて、意外です!!」
御坂「うぐっ。わ、私は本来はね、そういう、攻撃的な能力だけじゃなくて、応用力の幅が評価されて第三位にいるわけであって……」
一方通行「まァ、俺の足元にもおよばねェけどなァ」カカカ
初春「一方通行さんは第一位だったんですね……ほんと、すごいです!」
一方通行「あァ?ンだよ花畑、お前知らンかったのか……」
一方通行「学園都市第一位の頭脳、舐めてんじゃねェ!」キリッ
初春「あ……」ボーー
上条「いや別に初春さんは舐めた上での発言ではないと思うのですが」
佐天「あっはははは!初春顔真っ赤!!」
白井「」ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ
初春「え!?あ、はい!!なんでしょう!?でも、私にできることなんて……パソコンくらいしか」
一方通行「それだァ。お前、風紀委員のくせに監視モニターをジャックできるらしィなァ」カカカ
佐天「ほんっと凄いんですよぉうちの初春は!凄腕ハッカーです!」
初春「ちょ!佐天さんやめてください!!私がそういうことするのは、どうしてもって時だけなんですからね!!!」
御坂「それでね、大体の位置を私が掴んだら、初春さんが監視モニターで探して、そいつを映してほしいのよ」
初春「わ、分かりました!!わたし、がんばります!!やっと恩返しできます!!!」
一方通行「そンなに気負わなくていいのによォ」
白井「黒子は!?!?!?」ガバッ
一方通行「うォ!?な、なンだ!?」
白井「黒子は!なにかお手伝いできることはありませんの!?!?第一位さま!!!」
白井「大能力者の空間移動ですわ!」
一方通行「最大飛距離ィ」
白井「81.5mですの!」
一方通行「最大重量ォ」
白井「130.7kgですの!」
一方通行「精度の程ォ」
白井「限界置まで飛ばすと、1~2mほどのズレが出ますの!!」
一方通行「ふゥン、自分の能力をよォく把握してんじゃねェか。さすが風紀委員だなァ」
白井「は、ハイ!!!風紀委員ですの!!!」キリッ
佐天「白井さんめちゃくちゃうれしそうです」
御坂「そこであのポーズするのは意味不明だけどね」
初春「わたしのターンが!さっきまでわたしのターンだったのに!!」ギリギリギリ
上条「いいなぁ、一方通行は女の子にもててさぁ。はぁぁ上条さんも出会いがほs」
禁書目録「そぉい!」バッシャァァァァァ
上条「ああああっっっつぁぁぁぁぁぁ!?インデックスぅぅぅぅぅ!?!?」
白井「あ……そう、ですの」
一方通行「……お、チョイ待ていいこと思いついた」
ピッピッピッ
プルプルプルプル
一方通行「よォ、ちょっといいかァ?」
一方通行「いや、忙しいのは知ってンよ幼稚園の観察という名の盗撮だろ知ってンよそれは」
一方通行「ただ、ちょっとばっか聞きたいこと……バカかあの性悪にお前みたいな格好させられっか」
一方通行「いいから教えてくれ。あのよ、空間移動系の演算式って……」
御坂「どこにかけてるのかしら?」
白井「話しぶりからして、空間移動系能力者の方らしいですわね」
初春「ップー。白井さんしょぼいからお払い箱ってことですねー」ップークスクス
白井「初春あなた後で覚えておきなさい第一位さまがお帰りになられたら覚えておきなさい」
上条「(結標かぁ……こいつらの前では名前出さないほうがいいな)」ボタボタ
佐天「上条さんいつまでコーヒー滴らせてんですかちょっとウザイです」
上条「あ……すみません」
禁書目録「わさビーフ美味いんだよ!!」バリバリ
上条「インデックスは無邪気だなぁ。俺にコーヒーぶっかけるけど」フキフキ
一方通行「……アルバム?あァ、木原くン印のか。分かった、今度貸してやるよ。じゃな」
ピッ
白井「あの、お話は終わりましたの?それで、く、黒子は用済みなのでしょうか!?」
一方通行「いやちょっと待て。許可とンねェとな一応こういうことは」
ピッピッピ
プルプr
一方通行「取るの早いな変態ほどじゃねェけど。今いいか?」
一方通行「おォ、防水にしてよかったろ。なんせカッキーデザインだ!深海でもつながるってなァ」
一方通行「おう、本題なンだけど、今日一日だけあれ増やしちまってもいいか?」
一方通行「……今ので伝わるンだな、マジ便利だわお前」
一方通行「あンがとよ。おォ、あァ?ボルシチ?ロシア料理か……うちの性悪にいいとこ聞いとく。おォ。うィ~~~、おつかれェ~~~~」
ピッ
白井「ど、どうですか!?」
一方通行「待たせちまったな。許可はおり……あ、待てついでに……」
ピッピッピッ
ぷr
一方通行「はやっ!お前取ンのはやっ!おいこらかンざきさァァン……」
上条「いいからさっさとはなし進めろぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!!!こっちゃコーヒー濡れでお前が乾かしてくれんの待ってんだよぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!!」
一方通行「え、うわなにお前コーヒーくさっ。いや、お前じゃなくてな、いま三下がマジ面白いことになっててよォ。お前もくr」
上条「切れってんだよ!!!!うっせぇよちくしょぉぉぉぉぉぉ!!」
一方通行「……悪かった。そらよ」
カチッ シュパッ
上条「一気に爽快!ありがとう学園都市第一位!」
御坂「背中に『三下ヒーローばかみじょう見参!』ってコーヒーのしみでかいてある……」ヒソヒソ プルプルプル
佐天「御坂さん、言っちゃだめですよ」ヒソヒソ プルプル
初春「……ッ!!……ッッ!!!!」声にならない笑い
一方通行「よし、スイッチいれたついでだ。一気にやるぞ……おい、後頭部向けてこっち座れ」
白井「は、はい!ですの!!」ストッ
一方通行「よォし……」
佐天「初春、あんたちょっと静かにしなさい。怒られる」
御坂「大丈夫かしら……」
一方通行「お前、いい髪してんなァ」サラサラ
白井「のぉぉ!?そ、そんなことありませんのぉぉぉ!だ、第一位さまにくらべれば……」
一方通行「……いくぞ」
白井「え、あの!はい!きてくださいまし!!!」
一方通行「……せやっ」
ズプッ
御坂「」
初春「」
佐天「」
禁書目録「」
上条「(右手を頭の中に突っ込んだぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!?!?)」
一方通行「三下ァ!超電磁砲の腕掴んでろ!!!今電撃飛ばされたらこいつの脳みそぶっ飛ぶぞ!!!」コネコネ
白井「あ……う……ふにゃ……」
佐天「み、見た目に反して気持ちよさそうな反応を……」
初春「……わたしの意見を聞いてくれたんですかね?」
上条「お、おちつけビリビリ」ガシッ
御坂「え!?あ、な、なによ!?いきな……ふにゃ~~~」ヘタッ
禁書目録「とうま!あくせられーたは腕でいいって言ったかも!なんで腰にしがみつくかな!!!」ガブッ
上条「だぁぁぁぁいってぇぇぇぇ!!一方通行さんはやく!!!はやくぅぅぅぅぅぅ!!!!」
一方通行「おォ……ちょいまて……えェっと……ここが……こう……電気信号を…………」
一方通行「……あ」
御坂「」
初春「」
佐天「」
禁書目録「」
上条「いまの あ はなんだぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!?」
白井「え……あ!わ、わたくしなにを!?」
御坂「く、黒子……!平気!?なんともない!?!?」ガバッ
白井「うっひょぉぉぉ!!おねぇさまどういたしましたの!?なんのご褒美ですの!?!?黒子はいたって正常ですのうふふひひひひひひひひひひひぃぃぃぃぃぃ!!」クンカクンカ
初春「いや異常……あ、正常ですね」
佐天「うん、いつもの白井さんだ」
上条「すげぇ、血の一滴もでてねぇ。サ○ババかおまえ」
一方通行「サイ○バこういうことしたかァ?っと、おい。なんにも変わりねェことはねェだろ。ちょっと能力演算を意識してみろ」
白井「は、はい……えぇぇ!?な、なんですのこれ!?!?!?今まで到底能力の及ばなかった場所の演算まで、余裕綽々で行ってしまえますのなんですのこれ!!!!」
御坂「あ……あんたまさか」
一方通行「おう、さっき知り合いの……こいつよりちょっとばっか上位の空間移動系能力者に電話してなァ。そいつの演算式をもとに、俺独自の演算方式やら、11次元の縮小削除複製拡大の演算方法をたたきこんだ。まぁ、もって2時間程度で元に戻るが……」
一方通行「今、この瞬間。学園都市に8人目の超能力者(レベル5)誕生だァ!!」
御坂「」
初春「」
佐天「」
禁書目録「」
上条「」
白井「やっべぇぇぇぇぇですのぉぉぉぉぉぉ!!!!!おねぇさまの下着をいくらでも取り放題ですのぉぉぉぉぉぉぉぉぉうへへへへへへへへへ!!!!」ヒュンヒュンヒュンヒュン
上条「(やってることがショボすぎて……)」
御坂「この寮に屋上なんてあったのね~~」
白井「えぇ、ありましたわ。たぶん、きっと」
佐天「いや現に来てるんですからあったってことでいいじゃないですか」
禁書目録「高いんだよ……あ!焼き芋やさんが走ってる!!とうまとうま、あとで買おうね!!あくせられーたとかおりとたべようね!!」
上条「まだたべるのかお前は」
初春「私達は勘定にいれてもらえないんですね」ハハハ
禁書目録「とうまにこの人数におごる甲斐性はないかも!」
上条「いやあなたが控えてくれれば大丈夫なんですのことよインデックスさん」
一方通行「無駄話はいィからさっさと始めるぞォ。超電磁砲、頼む」
御坂「はいはい……っと」
パチッ……ジーーーーーーーー
御坂「……ここは」
1「セブンスミスト……の、前、あたりかな?」
2「ここは……まさか、第十七学区の……操車場!?」
このレスから先着5レスの多数決です><
上条「……なぁ」
一方通行「……」
御坂「あの子、何する気なの?あの、あの場所にいるなんて……」
佐天「?三人ともどうされたんです?」
白井「そうですの。街中で追いかけっこするよりはよろしいんではなくて?」ヒュンッヒュンッ
御坂「ちょっとね。それとあんたが今なにか布を被ったり消したりしていることについて後で詳しく聞くから。2時間後に」
禁書目録「ん~、確か、とうまがとっても怪我して帰ってきたところかな?私とあってすぐあたりに」
上条「……」
一方通行「……」
初春「よぉし、繋がりました!いま映し……ます……」
佐天「……あの、このコンテナの上にいる……」
禁書目録「仁王立ちしてるんだよ……」
上条「あぁ……」
上条「誰かの下着、頭に被って」
御坂「」
一方通行「」
白井「(二つの意味で被ってしまいましたの!)」ヒュンッ
白井「は、はいですの!彼女の……真上でよろしくて?速攻をしかけるなら……」
一方通行「いや。街中であんなことしてたらたしかに即刻ぶっ飛ばしてるとこだが、幸い人目はねェからな」
御坂「私達に見られてるけど」
一方通行「あれお前の妹さんなんですけど」
御坂「」
一方通行「(勝った)」
上条「一方通行、なんてか、落ち着けよ。いくら切れても、あれは妹達の一人だからな」
一方通行「あァ……」
上条「(遠い目をしてらっしゃるぅぅぅぅぅ!!)」
初春「あ、あの!あれが、一方通行さんのものだと、決まった……わけでは!!」アセアセ
佐天「そ、そうですよ!!あんな男物の下着、いくらでも……あります!!!」
一方通行「……」
一方通行「お前ら、俺の服とあれを見比べて。もう一度その台詞を言ってみろ」
初春・佐天「「……」」
20000ごう(ゼブラ柄装備)「……」フンス
20000号「ってかやっべほんとこれいいわなんで今までこれしてこなかったんミサカ、とミサカはこれまでセロリたんの下着なしに呼吸をしていた自分自身に疑問を提起します」スーーーハーーーー
20000号「超リアル・アクセラ人形作ってよかった。まさか上位個体がセロリツンパ1ダース分で買ってくれるとは、とミサカはあの闇の取引現場を思い起こします」
20000号「……っと」
カツッカツッ
20000号「来ましたね、セロリたん」
一方通行「……よォ、変態」
一方通行「……」
20000号「それにセロリたん!今、空間移動でここまで来ましたね!?とミサカは暗にこのあたりはミサカのセロリたんレーダーで覆われていることを暴露します」
一方通行「……」
20000号「どうして奇襲しなかったのかなセロリたん!あ!あれか!!!セロリたんひょっとして!!!漏れの熱いベーゼを受け入れて上位固体に権限を返してもらおうってくちですか!?とミサカは推理します」
一方通行「……」
20000号「うっひょぉぉぉぉぉ!!!まじかよぉぉぉぉぉ!!!セロリたん今日は寝かせないぜおぃぃぃぃぃぃぃぃ!!!とミサカは栄養ドリンクをどこからか取り出します」サッ グビグビグビ
一方通行「……あァ、てめェがそうしたいなら、そうすればいい」
20000号「まじかぁぁっぁぁぁっぁあぁぁ!!!!!漏れの時代!!!!完っっ全に漏れの時代到!!!!来!!!!男に二言はねぇよなセロリたんうへへへへへh……」
一方通行「……あァ。もちろん二言はねェ。これは俺の本心だ」
一方通行「今度はてめェが語れ、20000号。てめェの本心を」
20000号「!?」
一方通行「俺はなァ、ここんとこ超能力以外にもちっとばっか勘ってやつが芽生えたんだよ。相手が言ってることが本心かどうか、上っ面だけで喋ってるかどうかってなァ」
一方通行「さっきからお前、目ェ泳ぎまくってンだよ。それに、オラ。今すぐ飛び掛ってきてもおかしくねェのに……最大のチャンスだろォが、無抵抗だって言ってんのによォ……なのにどうして、おめェ、手足震えてやがんだァ?」
20000号「!!!」ブルブル
20000号「や、やっだぁぁセロリたん漏れのこと見すぎだろぉぉぉ!!!これは、あれよ!!!!武者震いってぇやつだよ!!!!とミサカはとっさに浮かんできた言葉で返します」ブルブル
一方通行「嘘はやめろっつってンだろォォォがァァァァァ!!!!!」
20000号「!!」ビクッ
一方通行「俺はな、おめェら妹達を絶対に守るってェ決めた!!打ち止めも番外個体も、てめェだってそうだ!!!俺に取っちゃ守るべき一人なンだよ!!!」
一方通行「だから望むことはかなえてやる、そうさせてやる、それが、本心からくる本当の望みならよォ!事情が事情だ、ここにはお前のどんな変態な願望でも答えてやるつもりできたっての!!!」
一方通行「だけどよォ、なンだァお前のその目ェェェェ!!!!!カメラ越しでも分かンだよ今の俺ならよォォォォ!!!!!」
一方通行「なンでてめェはァァァァァ!!!!!いつまでも変態のフリをしてやがンだァァァァァ!!!!」
一方通行「……」
20000号「……なんで、って」
一方通行「……」
20000号「……」
20000号「なんで!?なんでなんデなンデナンデ!?!?!?!?ナンデがなんでだこのやろーーーーー!!!!!!!とミサカはセロリの胸倉を掴みます」
一方通行「……っ」
20000号「なんでミサカが本心を語らないか!?なんでミサカがあなたにばっかりちょっかいをかけるか!?なんで、なんでミサカがこうなっちまったか!??!?そんなの決まってんだろぉぉぉぉぉがぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!」
20000号「ミサカはぁぁぁぁぁぁ!!!!!てめぇが大好きなんだよぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!アクセラレェェェェタァァァァァァァ!!!!!」
一方通行「!?」
20000号「そうだよ大好きなんだよわりぃかよぉぉぉぉぉぉ!!!気が狂いそうなくらいてめぇぇが好きなんだよこのぼけぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!!」
一方通行「んな……じゃぁ、なんでもっと普通n」
20000号「なんでっていうなぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!なんでがなんでっていってんだろぶっとばすぞてめぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!」
ガツン!
一方通行「ぐっ(馬乗りに……)」
20000号「ミサカの顔をみろよぉぉぉぉぉ!!アクセラレェタァァァァァァ!!!!!」
グイッ
20000号「てめぇはこのかおに見覚えあんなぁぁぁ!?!?!?あったりめぇだろそうだよなぁぁぁぁぁ」
20000号「一万もおなじ顔がいるミサカみてぇなのが、ふつうの方法でてめぇにおぼえてもらえるわけねぇぇぇだろぉぉぉがよぉぉぉぉぉ!!!!!」
一方通行「!?」
20000号「絶望してんだよとっくにぃぃぃぃ!!!じぶんで嵌めちまった設定によぉぉぉぉぉぉぉ!!!」
20000号「けどなぁぁもういいんだよぉぉぉ!!たとえ向けられるのがさげずみのしせんでも、てめぇにみてもらえるなら、ミサカはそれでいいつってんだろおがァァァァァァァァ!!!!!」
一方通行「(そうか……ずっと考えてた。番外個体のあのたまに出る下世話な言葉使い。学習装置はあんな無駄なもンいれねェはずだ)」
20000号「あは!!!どうですかアクセラレータ!!!ミサカみりょくてきですか!!!???今あなたにみてもらえてんのかこら!!!!」
一方通行「(自然にみにつくはずもねぇ……オリジナルがあァなるとも思えねェ……)」
20000号「ミサカなんでもしますよ!!!なんでもさせます死ねってんなら死んでやるよぉぉぉぉボロ雑巾みてぇぇにあつかわれてもミサカはそれでほんもうです!!!」
一方通行「(そうだ、あれは……)」
20000号「だから!!!ミサカは!!!!ミサカを!!!!!ミサカはぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」
フワッ ギュッ
20000号「!!!!!?????」
一方通行「(全部コイツの持ってた、強烈な負の感情だったンだ)」
一方通行「やめねェ」
20000号「やめろやめろやめろ!!!!ミサカは、このミサカはあなたにこんなことをされる資格はありません!!!」
20000号「このミサカは。このミサカは……てめぇに……あなたに、こんな風に優しく抱きしめられちゃだめなんです……だめなんだよ……」
20000号「ミサカは、ミサカは……変態で、いつもあなたをおちょくって、みんなからも後ろ指さされて、そういう存在なんです。そうじゃなきゃだめなんです。と、ミサカは……」
一方通行「……あァあ、そこまで考えてンなら十分変態だ、なンですかァ、お前マゾヒストだったンですかァ?」
20000号「んな!!ち、違います!!!ちがう!!!!ミサカは、ミサカは絶対無敵放送禁止即刻レッドカード退場クラスの……」
一方通行「おォおォ違いねェ。だけどなァ、てめェはちっとばっか勘違いしてる」
一方通行「そんな設定がなくてもなァ。そンな無理しなくても、俺はお前達のことちゃんと見てンだぞ?」
一方通行「この間三下とゲーセンにいた時にすれ違った。神裂と連れ歩いてた時はすっげェ睨まれた。ガキと散歩してるときは、あざ笑ってるのと悔しがってるのがいたなァ。それともちろん、俺の部屋に忍び込もうとする強烈すぎるバカもいたけどよォ」
20000号「……そうです、そうやって、ミサカはあなたに……覚えてもらおうと……」
ピシッ
20000号「いたっ」
一方通行「バカ言えこのバカ。てめェは今日から変態じゃねェバカに改名だバカやろー」
一方通行「ンなことしなくたって、俺はお前ら……9968人も、先に送っちまった10032人も含めて……」
一方通行「全員が全員、覚えてるっつゥの。忘れてたまっか」
20000号「ミサカは……ミサカはそれでは……」
一方通行「あァったくまどろっこしィことしやがって長いことよォ」
一方通行「学園都市第一位の頭脳、舐めてンじゃねェ」
20000号「……グスッ」
一方通行「……おォ、泣けェ」
20000号「失礼……します。と、ミサカはセロ……アクセラレータの胸に顔をうずめます。ウグッ……アァァァァァァ!!!!!!」
一方通行「おォおォよしよし。つらかったでちゅねェ」
20000号「アァァァァ……ウワァァァァン」ビーー
一方通行「あァ~あ」
一方通行「(結局、芳川達が正しかったわけか)」
一方通行「(こいつは、目をかけてもらえる妹達への嫉妬。俺への羨望。他の妹達を出し抜きたいという我執。完璧に変態を演じきる自己確立。その他もろもろ、妹達が一つももってねェ、持つ兆しも見えねェ感情を有してたわけだ)」
一方通行「(……その結果があの変態行為って)」ハァ
一方通行「(……まァいいか)」
一方通行「(またコイツがバカな考えに囚われたら……俺がこうしてやればいいだけだ)」
ギュッ
20000号「グスッ……グスッ」
20000号「(アクセラレータに、抱きしめられてます……)」
20000号「(夢にまでみた、アクセラレータの胸に……)」
20000号「(今まで本当に辛かった……でもやっと、報われたんですね、ミサカは)」
グスンッ
20000号「(あぁ……なんてあったかい)」
20000号「(それに……)」
20000号「(セロリたんの……いいにおい……)」スンスン
20000号「(あ、あれ!?とミサカは唐突に沸いてきた感情にあせります!!)」
20000号「(でも、ど、とうして!?アクセロリータの匂いをかぐのが止まらない!!やめられない!!)」スーハー
20000号「……」スーハーーーーーーーー
20000号「(……人間失格、という小説をご存知でしょうか)」
20000号「(狂人を演じているつもりだった男が、最後にはじつは本物の狂人になってしまっていた。というあれです)」
20000号「(み、み、ミサカは……恐ろしいことに……!!)」スーハスーハーーー
20000号「(いつのまにやら変態になってしまっていたようです!!!!)」スーーーーーーーーーーーーハーーーーーーーーーー
一方通行「……?(やけに息吸うな?)」
20000号「(いやいやもちろん以前ほどじゃないっすよ全然違うよとミサカはそのあたりを大否定します!!)」
20000号「(なぁんてよぉ……)」
20000号「このミサカ20000号がぁ!言うと思ったおまいらぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」ガバッッ!!!
一方通行「のあ!!??ンだお前!!!!」
20000号「アクセラレータ!!いいえ!!!セロリたん!!!!ありがとうございます!!!!!」
20000号「ミサカ、あなたのお陰でふっきれました!!!」
20000号「このミサカはミサカじゃない!!最後の最後で徹し切れてないミサカが心にいたんです!!!!」
20000号「でも!!!!もう自信をもてます!!!!」
20000号「このミサカは!!!!!!!」
20000号「ミサカ20000号は!!!!!!!!」
20000号「絶対無敵!!!!!放送禁止慇懃無礼開始0分即刻退場レベルの!!!」
20000号「変態だァぁぁァァぁァァぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!」
一方通行「まじありがとう白井さンマジありがとうキミ命の恩人一生ついてくあくせられえた一生ついてく」
白井「ほ、ほんとですのぉぉ第一位さまぁぁぁぁ!!!」
初春「はいは~~い白井さん馬鹿なこと言ってないでこちらの容疑者抑えるの手伝ってくださーい」イライラ
20000号「はなせぇぇぇぇぇぇ!!!ツインテェェェェェ!!!セロリたんに近づくなぁぁぁぁぁぁ!!!」
御坂「だぁまりなさい!!!もう!!!ほんとにあんたはどうなってんのよ!!!!途中までいい感じだったでしょどうなってんのよ!!!!」
20000号「おねぇさま、いくら譲れてもこれだけは引けない。そんなものが人には、あるんですよ」キリッ
御坂「」バリバリバリバリ
20000号「あbbbbbbbb」
佐天「いやぁこりゃひどい。アクセラさんが唾液まみれだ」
禁書目録「ふいてあげるね!!あくせられーた!!」
一方通行「ありがとうシスターマジありがとうシスター一生ついてく」
白井「わたくしは!?わたくしはどうなさいますの!?第一位さまぁぁぁ!?!?」
一方通行「……」モグモグ
白井「一心不乱に食べてますの……中々調子を取り戻せなそうですわ」
御坂「あんた一体なにしたのよ」
20000号「ふひひ!ちょび~~っとだけ、チョーカーに電流を送ってしまいました!!反省してます!!とミサカは花畑風紀委員に取り押さえられていることに若干の興奮を覚えてきます」
初春「花畑って呼ばないでください!!」
佐天「初春って強かったんだね~。そんな締め技知ってるなんて」
初春「一生かかってできるかわからない技です!!ぶっちゃけここからどうやって解けばいいのか私もわかりません!!!」
20000号「ちょ!!!!待って一生絡むのが花畑とか勘弁して!!!セロリ!!!セロリたんをよこしなさい!!!!」
上条「お~~~~~い!!!!待たせたな~~~~~!!!」
御坂「あれ、あいつ随分早かった……って!!!」
白井「誰だか知らない髪の長い空飛ぶ御仁に背負われてますのぉぉ!?」
アレイスターβ「ふふふ。友のピンチとあらばな(ボルシチ食べたい……)」
上条「いいぜ!!!」バババッ
上条「おまえがどうしても!!正気に戻れないってんなら!!!!」ババババッ
上条「まずは!!!」バッ
上条「その幻想を、ぶち殺す!!!」パシンッ
一方通行「……ハッ」
禁書目録「わ~いさすが主人公補正なんだよ!!!」
白井「普通に頭をはたいただけで、目に生気が戻りましたの」
一方通行「あ~、あァ?おォ。お前ら世話かけたなァ」
御坂「いいわよ。おとなしいあんたを目一杯写真に収めたし」ピピピッ メモリーガイッパイゲコ
一方通行「即刻消せ。ヒーローもありがとよ……ンでなンでお前がここに……」
アレイスターβ「ふふふ。携帯の日光充電機能を使ってみたくて外を散歩していたら、丁度上条当麻が走ってきてね。なにやらキミがピンチだというので、文字通り飛んできたわけさ」
佐天「外国の方ですか?っていうか、男?女?」
上条「あー、えっとこちらはアレイ……じゃなくて、その……」
一方通行「……星野さんだ」
アレイスターβ「」
一方通行「……ちなみに巨人ファンだ」
御坂「へぇ、ハーフ?なのかしら。一方通行の友達?」
白井「でしたら私たちとも仲良くしましょう!!星野さん!!!」
佐天「よろしくお願いします!!星野さん!!!!」
初春「楽天ではないんですね!!星野さんなのに!!!」
アレイスターβ「」
上条「(ま、まずい。アレイスターのやつ、流石に怒るんじゃ……)」
アレイスターβ「星野、か」フフフフフフフフ
上条「まんざらでもなかったぁぁぁぁぁ!!??」
一方通行「よォ、変態」シュルシュル
20000号「おっはよぉございまぁぁぁす!!セロリたん!!!ミサカの熱いベーゼに心奪われてたみたいだけどようやくおっきですね!!とミサカは花畑の拘束から開放してくれたセロリたんまじ天使!!そして縄プレイとかまじ歓喜!!!!!うっへぇぇぇたぎってきたぁぁぁぁ」
一方通行「……」
20000号「なんですかぁセロリたん漏れの瞳をのぉぞいちゃってぇぇぇ!!!ミサカたっちゃうぞ!!ついてないのに心の男根バッキバキだぞおい!責任とってくれるんですか!?とミサカは鼻息荒くセロリたんに少しでも近づこうと身をよじります!!!」
一方通行「……へっ」
一方通行「少しはましな目ェするようになったじゃねェかよ、20000号」
ワシワシ
20000号「あ……」
一方通行「でもまァ、もうちょいだな。さァてと」
一方通行「おいおめェら!くっちゃべってねェでコイツ運ぶぞ」
白井「あ、わたくしまだ超能力者モード継続中ですの!第一位さま!!」
一方通行「おォ、そんじゃァ俺が先に連絡すっからよォ。そしたら一緒に来てくれや」
白井「はい!!!ですの!!!」
上条「どこに運ぶんだ?一方通行」
ピッピッピッ
プルプルプル
一方通行「おォ。せっかくだ、お前らもくっか?第一位さまのダチになった記念恒例……」
打ち止め『はぁい!黄泉川です!!って!ミサカはミサカはいい結果を待ち望みながら受話器をとってみる!!!』
一方通行「作戦本部へ凱旋だ、やろーども」
御坂「お邪魔しま~す」
白井「お邪魔しますの」
初春「お、おじゃまします!!!」
佐天「こんにちは~~~」
上条「ど、どうもまた来ました~~」
禁書目録「お邪魔するんだよ!!」
20000号「ぐへへへへへ!!!セロリたんが日頃吸っている空気が!!ミサカの肺に!!!とミサカは……まぁ週2でセロリの部屋はいってるけど」
一方通行「ちょっとまて今挨拶にまぎれてぶん殴りたいやつがいた絶対いた」
打ち止め「おっかえりぃぃ!ってうわ!凄い大所帯だねってミサカはミサカはおねぇさまにむかってダ~イブ!!」
御坂「わっ、えっと、打ち止めね。話は聞いた。久しぶり」
打ち止め「覚えててくれたのねおねぇさま!!!ってミサカはミサカはあの短い出会いを大切にしていたミサカの思いは報われた!!!」
一方通行「最悪な覚え方でしたけどねェ……おォ、性悪」
番外個体「……」
一方通行「?」
番外個体「おかえり。おそかったな、一方通行。心配したよ」
一方通行「」
上条「」
禁書目録「」
打ち止め「」
御坂「ママ!?あ、いや若すぎるわね。あんたもひょっとして妹達の一人!?」
白井「可憐ですの!!やさしげな笑みがとてもお美しいですの!!!」
初春「わぁ、ステキですね」
佐天「さっすが御坂さんおっとな~~~!!」
一方通行「」ゾワァァァァァァ
一方通行「(ハッ!そうか、20000号の下ネタへの負の感情が消えたから!!)」
番外個体「顔色が悪いな……よっぽど変な目にあわされたのか?かわいそうに……」スッ
一方通行「!!!」ズサァァァァァ!!!
アレイスターβ「やれやれ挨拶にでおくれふぬぉぉぉぉぉぉぉ!!!!」
御坂「あ!一方通行が頭を撫でようとした大きい私の手を避けようとした結果!!!」
佐天「後方にヘッドスライディングして!」
初春「星野さんに激突してしまいました!!!!」
白井「ですの!!!!」
アレイスターβ「……一方通行よ、こういった友情も、その、私は未だ経験がないからかまわないのだが、なにもこんなところで」
一方通行「ちげェェェ!!!変な勘違いすンじゃねェェェェ!!!」
20000号「うっひょっぉぉぉぉ!!セロリたんとブロンド美形のからみ!!!あり!!!ありだろこれは!!!!」
御坂「キャー!!!きゃーーーーーー!!!!」カシャッ ピロリロリーン シャシンヲトッタゲコ
番外個体「……」
番外個体「……プッ」
御坂「!?」
白井「!?」
初春「!?」
佐天「!?」
番外個体「その変態が変態に負い目がなくなったからってミサカがおしとやかになるぅぅぅ!?」
番外個体「っぷぎゃははははは!!!」
番外個体「そんなの、あるわけなぁぁぁぁいじゃぁぁぁぁぁん!!!!!!」
一方通行「」イラッ
番外個体「考えすぎだよ白モヤシ!そりゃ人格形成時にそこの変態から漏れ取ったせいでこうなったけどさぁ!」
番外個体「いまさらそれがなくなったからっつって!!!ミサカが変わるわけなぁいでしょぉ!?第一位さま耄碌してんじゃね!!あひゃひゃひゃひゃひゃひゃ!!!!」
一方通行「おまえh」
20000号「うっせぇぇぇアバズレェェェェェェェェェ!!!!!!セロリたんにはなしかけんなぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!」
ブチブチブチブチッ
全員「!?」
ゴロゴロゴロ
番外個体「はぁぁぁぁぁ!?さっきまでウジウジしてた陰険やろぉに言われたくないんですけどぉぉぉぉぉ!!こっちゃ一部始終みてんですけどぉぉぉぉ!!
ドタドタドタ
20000号「うっせぇぇぇぇ変態分返せこらぁぁぁぁぁミサカの変態成分返せぇぇぇぇぇ!!!」
一方通行「よし、ほっとこう」
上条「い、いいのかよあのままで」
一方通行「きりがねェ、それに人待たしてンだよ。おら行くぞお前らも」
佐天「うわすっごいみてみて初春。女同士のコブラツイスト生でみちゃったよ」
初春「キャットファイト……いや、ミサカファイトで……あぁ御坂さんすみません!!そんなつもりじゃ!!!」
御坂「いいのよ、あれは私、私の遺伝子。わたしは所詮残念遺伝子……」ズーーーーーン
一方通行「あァ?呼んだのはカエル医者だけだと思ったンだが?」
カエル「もちろん僕もいるよ。でも人手があれば憂いなしなんだね?」
黄泉川「お客さんたちには!!黄泉川特製炊飯器お好み焼きを披露しちゃうじゃん!!!」
打ち止め「わーい!!」
御坂「」
白井「」
初春「」
佐天「」
上条「あ、あはははは……」慣れた
禁書目録「楽しみなんだよ!!!」食べられればいい
布束「exactly キミが今回しようとしていることは、かなり前代未聞だ。私が先生の補助に回るのは適任といえるわ」
カエル「そう、キミの申し出にはびっくりしたさ……」
カエル「MNW(ミサカネットワーク)への外部アクセスを可能にしろ、なんてね?」
一方通行「……」
布束「あぁ、あなた、友達を増やしているらしいわね。おもしろい、私とも交換してくれる?」
一方通行「……おォ」
カエル「僕は機材の確認をしているよ。キミとはもう交換したはずだから」
布束「please なるべく若い番号で登録してくれる?緊急時に便利だし」
一方通行「ンな無理を言うな……あァ?」
一方通行「(……登録番号006が消えてやがる)」
一方通行「(……なンでだ?ここは確か……)」
一方通行「(……まァいい)」
布束「why どうしたの」
一方通行「なンでもねェ。そらよ」
編集
登録番号:006
分類:親友
布束
上書き完了!
黄泉川「っとここで!!蓋をあけて紅しょうが投入じゃん!!!!」
打ち止め「ワーーオ!!!ファンタスティーーーーック!!」
20000号「言われなくても行くしバーカとミサカは居間へ推参つかまつります」
打ち止め「あ!やっと終わったの!?ってミサカはミサカは二人の姿にちょっとお叱りモードにはいってみる!!」
白井「あら、あまり怪我はないようですわね」
番外個体「こいつ、関節技ばっかしてくるから……」
20000号「いつセロリたん襲える機会あっかわかんねぇだろノータリンとミサカは考えの至らない妹にプーップクスクス」クスクス
番外個体「んなもん至ってたまるかこの変態」
一方通行「おォ、20000号。打ち止めもちょっとこっち来い」
20000号「なんですかセロリたん!ミサカセロリたんのためならバミューダ海域横断してでもお会いに行ってペロペロしますよ!」
打ち止め「は~~い、なぁに?」
一方通行「権限を戻すための機械だそうだ」
キュィィィィィン
布束「even これは痛いと思うわ……」
打ち止め「」
20000号「セロリたんが!!!セロリたんがしてくれるならミサカどこまでもうけとめます!!!!」
番外個体「(ざまぁって言おうとしたのに……)」
禁書目録「おいしいんだよ!!!緑ジャージの作る炊飯器飯は最高かも!!!」ハグハグハグ
御坂「ほんと、一体全体どういう工程でこれができたのか意味が分からないわ」
黄泉川「ちゃんとそのつど教えたじゃん!常盤台のお嬢様は料理しないのか?」
白井「いやこれは料理と言っていいんですの?美味しいですけど」モグモグ
アレイスターβ「炊飯器の可能性……プランの進行に……」ブツブツ
佐天「プランって何ですか星野さん。オーダー表かなにかですか?」
初春「いやそれ結構無理やりですよ佐天さん」ハフハフ
一方通行「よし、準備できたな」
一方通行「ちょっと待てヒーローこっち結構精密機械あンだわ持ってくンな皿置け」
禁書目録「そうモグモグモグなんだよモグモグとうまモグモグモグモグ配慮にかkモグモグモグ」
一方通行「いや口に入れておけばいいってことでもねェよお前が配慮とか言ってんな暴食シスター」
御坂「……」ビリビリ 豚玉苦手だった
一方通行「ちょっとォそこの電撃使いさァァァン!?精密機械って言いませんでしたかァァァァ!?」
白井「そうですのおねぇさま!こんなときは一つのほこりもたたぬように……」シュルシュル
一方通行「だからって服脱ぐ必要ないですゥゥゥゥ!!!俺一瞬前までお前のこと常識人だと思ってのにィィィィィ!!!」
アレイスターβ「よぉしいまからここで三角ベースするか!!!」
初春・佐天「「はーーい!!!」」
一方通行「人の話きけェェェェェェェ!!!!さっきまで退屈な描写続いたからってここぞとばかいにボケてンじゃねェェェェェェェェ!!!!!」
上条「そんなことできるかよ!?」
カエル「可能なんだね?ぼくと彼女の作ったこのデバイスを彼のチョーカーにさす。あとは打ち止めの上位個体権限で彼がネットワークに入ることを許可すればいい」
佐天「ネットワーク!初春!!お手伝いしなよ!!」
初春「えぇぇ!?いやいや私はただの風紀委員ですから!!こんな専門機器扱えませんよぉ!!」
布束「……perhaps あなた、171支部の風紀委員さん?」
初春「え?あ、はい!そうです!」
布束「……コンピューターに詳しいのなら、少ししてほしいことがあるの。ちょっとこっちへ」
初春「え!?いいんですか!!??あの、がんばります!!!」
白井「キィィィィ!初春だけ第一位さまの力にぃぃぃぃ!!こうなったら、黒子もぉぉぉぉ!!!」
御坂「あんた超能力者モード終わったでしょ」
禁書目録「っていうか早く服をきるんだよ!ツインテ!!」
禁書目録「な、なんだからすとーだーの様子が変かも」
カエル「準備中なんだね。全個体への連絡が先だから」
一方通行「……」
上条「緊張してんのか?一方通行」
一方通行「……あァ。まァな」
20000号「緊張して無口なセロリたんかわゆす!!!あ!!!ほんとはそもそもセロリたんは無口!?!?ということは…… こ の セ ロ リ た ん は 現 実 じゃ n」
番外個体「茶化してまでルイズしようとすんな変態」バコッ
一方通行「……やっぱよォ。超電磁砲のときと同じくらい、その、緊張してるな」
御坂「はははっ!あんたのあの時の顔!!今思えば超おもしろかったわね!!」
一方通行「……るせェ」
御坂「……がんばってきなさいよ。あんた、あの子たち守んでしょ?嫌われてる子をそのままにしてるなんて、承知しないんだから」
一方通行「……おォ」
白井「第一位さま」
一方通行「おォ、なンだ服着たな」カカカ
白井「うぐっ。先ほどはおみぐるしいところを……正直、黒子には今からなそろうとしていることはよくわかりませんの」
白井「でも、おねぇさまと語らおうと決心した時と同じくらいということは、きっと妹さん方のことなのですね」
一方通行「……そォいうこった」
白井「……く、黒子は、第一位さまのことばに励まされましたの!!」
白井「第一位さまはクソッタレなんかじゃありませんの!!!ステキな殿方です!!」
白井「自分に自信をお持ちになって、いってらっしゃいまし」
一方通行「……おォ」
一方通行「あンだとよ」ニヘラ
20000号「ツインテメントあとでころs」
番外個体「水を指さない!」ゴッ
一方通行「おォ、どォも……なンだこれ俺死ぬのか死地へ旅立つのか!?」
佐天「あなたが私と初春に言ってくれたこと……絶対に、忘れませんよ」
一方通行「おいまてお前はなにか勘違いしている絶対にテンションがおかs」
佐天「先に逝った初春もきっとそう思ってるとおもいます」
一方通行「花畑死んでたァァァァ!先に死ンでたァァァァ!!!」
佐天「えっと、以上です!」
一方通行「投げっぱなしかお前」
アレイスターβ「……」
一方通行「……」
アレイスターβ「ボルシチ、約束したな。キミは」
一方通行「……おォ」
アレイスター「……1万人近く入る店、あるだろうか」クスクス
一方通行「……ケッ。そンときゃ学園都市のどっか貸しやがれ 統括理事長さんよォ」
一方通行「おォシスター。そうなったらいいンだけどよォ」
上条「ははは、自信持てよ、学園都市第一位」
上条「言ったろ、お前も誰かのヒーローだって」
上条「お前はずっと、妹達のために駆け回ってたヒーローじゃねぇか」
上条「……誠心誠意話せば、みんなきっとわかってくれる」
一方通行「おォ、あンがとなヒーロ……」
上条「」ムッ
一方通行「……あンがとよ。当麻」
上条「……へへっ」右手上へ
一方通行「……くかか」左手上へ
パシンッ
一方通行「おォ、黄泉川」
黄泉川「おまえ、かわったな。とっても変わった。くぅ!親なかせなやつじゃんよ!まったく」バシッバシッ
一方通行「いてェ!……芳川はどうした」
黄泉川「ちょっと急用じゃん。なんだ、わたしの見送りじゃ不服かぁ悲しいなぁ」
一方通行「そうじゃね……チッ。炊飯器料理で9千人分以上作る覚悟あンだろォなお前」
黄泉川「臨むところじゃん!さ!いってらっしゃい!」トンッ
一方通行「……行ってくる」
番外個体「ぎゃは!私らはあっちで待ってるね第一位!あなたの泣き顔を見られるの、楽しみにしてるよ!!」
20000号「マジですかそれどどどどうしよう漏れ最近アクセスしてねぇやパスあってっけな」アセアセ
一方通行「そォかお前らもいンのか……騒ぎおこすなよ頼むから」
番外個体「どぉだろね、わたしらじゃなくてもさわぐやつはさわぐかもよ」
20000号「うへへへへセロリたんそのときは漏れの背中に隠れちゃっていいぜ!そのまま強奪するけど」
一方通行「あァあァはいはい、またな、お前ら」
一方通行「よォチビガキ。たのむぞ」
打ち止め「はぁい!って、ミサカはミサカはミサカの目線にあわせてしゃがんでくれたあなたと目をあわす!」
打ち止め「今度はミサカが案内する番ね!嘘の番号なんて教えないから安心して!って、ミサカはミサカはあの時のことを思い出してちょっとあてつけに言ってみたり」
打ち止め「ミサカとっても嬉しいの!って、ミサカはミサカは得意満面!!」
打ち止め「ようやく!やっとあなたの役に立てる時がきたんだから!!って、ミサカはミサカはこれまでのミサカではなく頼れるミサカであることをアピールしてみる!!!」
一方通行「……カカカ、自分で言ってンじゃねェ」
一方通行「……打ち止め」
打ち止め「!」
一方通行「行ってくる。ンで、おめェの妹達とお手手つないでおどってやらァ」
一方通行「それで、お前のがンばりは報われるンだな?」
打ち止め「うん!!!一方通行!!」
一方通行「っと……おォおォ。なンですかここァ」
一方通行「ただっ広い空間……誰もいねェな。ホントにここMNWの中なンか?」
一方通行「……なんというか、あいつらの口ぶりからして掲示板みてェなもンかと勝手に思ってたンだが」
10032号「それは外部の視覚媒体によってここを閲覧した場合の話ですね、とミサカは一方通行に唐突に話しかけます」
一方通行「……ほンと唐突だな」
10238号「今来ましたから。あなたはここのみのアクセスしか許可されていませんから見えないでしょうが、妹達は各領域……あ~、分かりやすく言えば他のスレッドからすぐに集まりますよ、とミサカは一方通行の驚きをもっともだとなっとくします」
一方通行「おォ、言ってるそばから増えたな。なンかないのか扉とかそういうの」
14510号「ミサカ達には見えてるんですよ、あ、あ、一方通行さん、とミサカは緊張しまくりで声をかけます」
ミサカハミサカハミサカハミサカハ…………
一方通行「……」
一方通行「……(いっぺんに来ンのか)」個人面談だと思ってた
一方通行「……」
妹達「「「「「「「「と、ミサカは歓迎しま「やほォォォセロリたぁぁん「こ、こんにちは!「踏んでください!「白っ!ほんっと白!「っていうかホッそ!!「はんぱねぇなセロリ!「ぎゃっはあの顔なにうけんですけどぉぉ」」」」」」」」」」」」
一方通行「……グダグダじゃねェかよ第一声くらいあわせろよお前ら」
スッ
10032号「ゴホン。ここは、代表に選ばれたミサカ10032号があなたと受け答えするのが一番かと思われます、とミサカは提案します」
一方通行「……はァ?それでいいンかよお前ら」
10032号「かまいません。一方通行、あなたがわざわざここまで来たのは、ミサカたち妹達(シスターズ)全個体と友達になりたいから、そうですね?とミサカは何故だが少し気を落としているあなたに問いかけます」
一方通行「そォだ。だから……」
10032号「相手が、自分が10031人殺した相手と同じ遺伝子だと分かっていながら、ですか」
一方通行「……おォ」
10032号「……上位個体から聞いた、私達はあなたを憎んでいないという、ともすればただの慰めかもしれない言葉を信じて、ですか」
一方通行「……そうだ」
10032号「本当ですか?あなたは、この中にあなたのことを死ぬほど恨んでいる物がいると思いもせず、上位個体の言葉に安心してノコノコと」
10032号「ちょっとばっか友達が出来た、自信がもてた、自分は変われた、あの頃とはちがう」
10032号「そんな気持ちで、ここまで来たんですか一方通行」
一方通行「……」
10032号「ったく追い詰めるとすぐこれだよあんたすっかり話術サイドだな、とミサカはへたりこんだ一方通行に話しかけます」
一方通行「えェ……だって、オールオーケーって、その、後ろのお前らのなかにはさァ」
妹達「「「「「「「「恨んでないで~~~す、と、ミサカは返答します」」」」」」
一方通行「えェ……なにこれ、俺の決意とかあいつらの熱い見送りとかなンだっだの?フリ?フリなの?またなの?」
10032号「ぶっちゃけていえば、芳川女史の計画を受け入れた時点で、妹達はあなたと友達になることを決めていました、とミサカはだんだんズルズルと寝そべりだした一方通行にここでネタ晴らし」
一方通行「はァ?」
10032号「そして、20000号の感情決定権、あれもうそっぱちです」
一方通行「はァァァァァァァ!?」
20000号「え!?なにそれミサカ聞いてない!!とミサカはひな壇からセロリたんのもとへかけおります!!!」
20000号「ど、どういうことだよおまいらぁぁぁぁ!!!とミサカは声を張り上げます!!!」
10032号「一方通行、あなたも気づきましたよね。この子の悩み」
20000号「シカトすんなやぁぁぁ!!」
妹達「「「「「「ミサカ達は、20000号を助けてあげてほしかったんです。一方通行」」」」」」
一方通行「……」
20000号「……」
10032号「ミサカ達はとっくに気づいてました。この子が、自分は本当は変態などではない、本当のミサカはここにいない、そう思っていることを」
10032号「それとなく言ってやるミサカもいました。変態は変態でいいではないか、それもあなたの個性じゃないか、と」
10032号「その子はそのあと意地になって、上位個体からBANくらうはめになってましたが」
10032号「だから……あなたに気づかせてあげてほしかったんですよ、一方通行」
10032号「20000号が愛してやまない、狂ってしまうほど大好きな、あなたに」
一方通行「頭いてェ」
番外個体「ぎゃっは!!いい顔してるねェ第一位!!!」
20000号「妹達による胴上げ、セロリたん派ミサカの大ペロペロ大会、フィーリングカップル(男側はセロリのみ)、上条派一方派の大討論へゲスト参加、セロリの部屋、ミサカの部屋とイベントもじろおしでしたもんね、セロリたん!とミサカはゲッソリした顔もたまんねぇと思いつつ味噌汁をすすります」ズズズ
一方通行「お前はなんでここに……あ~まァいいや。ってかよォ、俺はてっきりあの中で何週間も過ごしてたもンかと思ったンだが」
打ち止め「チッチッチ、MNWの超高速通信を舐めちゃいけませんな~、って、ミサカはミサカは指をフリフリ!」
番外個体「そもそも現実時間と同じなら最初からMNW経由させるなんてリスキーなことさせないでしょカエル先生も。ミサカ、このこと知ってて提案したもんかとおもってたよ」
一方通行「……言ったろォが。何年かけても説得するって。……あァあ、なのにお前らは遊んでばっかだし……」
20000号「セロリたんの存在にテンション上がってたんすよ!!!漏れも含め!!!」
一方通行「だからってお前、最初から下着姿の野球拳ってなンなンですかァ?」
黄泉川「あっさりしたもんじゃん。和解した感慨とかないのかねあいつは」
芳川「それを感じる間もなくあの子たちに振り回されてたみたいね」
黄泉川「まったく、意気込んで送り出したこっちは肩透かしじゃん。そういえばあいつ、接続する前桔梗のこときにしてたじゃん」
芳川「そう、悪かったわね立ち会えなくて」
黄泉川「いやわたしは別に」
20000号「よぉぉぉしセロリたん!!!!んじゃぁいまから続きしますか学園都市固体全員あつめて!!!!」
アレイスターβ「場所はまかせろ」キリッ
一方通行「しねェよあhってお前いつきたァァァァァァァァァァ!?」
アレイスターβ「空間移動はワシが育てた」キリッ
一方通行「うぜェェェェそのキャラ超うぜェェェェェ」
芳川「……よかったわね、一方通行」
一方通行「おォ、当麻。また世話になったな。お前らいつ帰ったんだ?」
上条『ん~~~、そうだな』
上条『お前が○×ゲームで泥の中に突っ込んだあたr』
一方通行「見てンのかよお前らもォォォォォォォォ!!!!!!」
上条『あ、いや俺達はなんか、文字でしか。だから、お前と20000号が泥の中でつんぐはぐれずもつれあった感覚とかはちょっと……20000号の感覚でしか分からないです』
一方通行「それ全てェェェェ!!!全てだろォォ筒抜けだろォォォォォ!?」
上条「いやぁそれにしても一方通行さんは面白いツンパはいてらっしゃるのですね」ケタケタ
一方通行「決めた、今度のボルシチツアーにお前は連れて行かん。もう決めた」
一方通行「くそ、当麻のやつ散々こけにしたあげくおめでとう、だとよ。素直に喜べねェっての」
ガチャッ
アレイスターβ「一方通行、そろそろ私は失礼するよ」
一方通行「お前まだいたンかというか俺がいなくてもあいつらと話してるってなじみすぎだろお前」
アレイスターβ「ふふふ、芳川女史のコーヒーは絶品だ……皮膚で摂取するコーヒーとは興味深い」
一方通行「なじンでなかった。お前なにした。それあの女の最終手段だぞ。結構頻繁に出るけど」
アレイスターβ「妹達を学園都市に招きたい時はすぐに言いたまえ。便から場所から、私が手配しよう。理事長だからな。理事長だから」
一方通行「おォ、あンがとよ。そンときゃお前の本体ンとこにかンざきの梅干持って行くわ」
アレイスターβ「ふふふ、そうか。待っている。ところで、キミの携帯」
アレイスターβ「電話を切ってからずっと受信中みたいだが、充電は平気かね」
一方通行「……あいつら、登録完了のくだりは終わったっつったのに……」
一方通行「やっと返信まですんだ……」
一方通行「なんだよあいつら、途中の個体なンて前の個体にほぼ言われたいこと書かれてるせいで途中から『今日のミサカ』みたいな日々の観察記録送ってンじゃねェかこれ毎日かやめろ」
一方通行「そして当麻の連絡先を聞きたがる個体の多いことだよ。昨日の討論みてて思ったけど上条派怖ェわあいつのこと崇めてるレベルだわ」
一方通行「……ま、なんにせよ。成功したから言える贅沢な悩み、ってなァ」
一方通行「……15000番台のやつらめ斜め読みでセロリセロリ言ってやがった」
一方通行「どォりで変なところでロート製薬みたいですねとか言うはずだよちくしょォ」
一方通行「最初見たときはどンだけアホかと思ったけどよ……」
20××/ ○/○○ 7:28
From:uiharu-haiteruka.310@○○○○
Sub:
どうもアクセラさん!!佐天さんですよ!!
いやぁ昨日は超面白かったです!!アクセラさんの周りは凄い人ばっかりですね!!
わたしなんてただの無能力者ですから……
アクセラさんにふさわしいかはわからないですけど!!
仲良くしてやってくださいね!!
今なら初春もつけちゃいますから(笑)
それじゃ!
一方通行「……ダチになってみりゃ、いいヤツじゃねェかよ」
一方通行「……」
一方通行「あンなドーピングみたいな真似はもうやらねェけどよ」
一方通行「能力向上のトレーニングなら、いつでも付き合ってやるよ、さてンさンよォ」
カチカチ……カチ
登録番号:9982
分類:親友
さてンさン
登録完了!
一方通行「……って、布束は簡単に言ってたけどよ。あンな専門機器を普通一発で扱えるか素人が」
一方通行「なにもンだよ……花畑……」
一方通行「……まァ、いいや」
20××/ ○/○○ 7:45
From:flower-garden.nannokotodesuka.@○○○○
Sub:
初春です!おはようございます!
あ、花畑です!!これでわかりますかね(w)
前の時も、昨日もありがとうございました!
あの、こう言ってはなんですけど
一方通行さん随分お変わりになられましたよね
あの、なんていうか、たっくさんお友達ができて、怒ってるのに笑ってて
すっごく楽しそうです!
私もその一員になれたらな、なんて!
なにかトラブルがあったら、言ってくださいね
私だって、風紀委員ですから
それじゃ、また!
一方通行「これみりゃ分からァ。あいつは根っからのお人よし」
一方通行「俺の……ダチ、それ以外でもなンでもねェンだ、おれにとってはよォ」
登録番号:9983
分類:親友
花畑
登録完了!
一方通行「……結局、なンだかンだでうやむやになっちまったけどよォ」
一方通行「……もうちょい謝らせろ、弁解させろってンだ、お前らの遺伝子は……」
20××/ ○/○○ 8:19
From:only-my-railgun@○○○○
Sub:
超電磁砲です、ってアドレスみれば分かるか
妹達と上手くいったと、あのバカから聞きました
まったく、一番にあたしに報告するのが筋じゃないでしょうか
妹達が許したのならあたしはなにも言いません
あたしの気持ちは昨日言いました
あんたを許します
あんたがMNWに行っている間、家族の人に話聞きました
だから、あたしからはもうあんたを憎みません
あ、あたしの後輩に酷い事したら別です
っていうかなんなのよあんた!あのバカかっての!!
フラグ建てすぎでしょ!!あたしは絶対に巻き込まれないけどねあんたらのどっちにも!!!
また遊ぶんだからね!!あのバカも誘っときなさい!!!!
一方通行「……支離滅裂だな」
一方通行「あァあ、ホントどいつもこいつも俺の覚悟とか関係ねェのな」
一方通行「退屈しねェよ、おまえらは」
登録番号:9985
分類:親友
超電磁砲
登録完了!
一方通行「……」カチカチカチカチ
一方通行「……(あと、15人)」
-----登録番号:006
一方通行「……(いま、ここには布束の名前がある)」
一方通行「……(でも、あの時は)」
『please なるべく若い番号で登録してくれる?緊急時に便利だし』
『ンな無理をいうな……あァ?』
--------登録なし
一方通行「……」
カチカチッ パタッ
一方通行「……(いや)」
一方通行「……(てめェがなに考えてンのか知らねェが)」
一方通行「……(俺が外に行って作るダチの数は)」
一方通行「(あと14人だ)
次回 最終回
とある親友の登録削除(ロストメモリー)
一方通行「本当は、最終回まで出ることはねェ、最後にビシッと決める、そのつもりだったンだ」
一方通行「でも、こンな重大なミスは見逃せねェ。流石に駄目だ。ちょっとお腹痛くなってきた助けて闇咲くン」
一方通行「妹達登録の時、20000号が既に登録済みだっていうのを失念した」
一方通行「おかげで9981も登録なしじゃねェかバカか俺は」
一方通行「あの部分は」
登録番号:013~9980
分類:親友
ミサカ10032号~ミサカ19999号
登録完了!!!!!
編集
登録番号:006
分類:なし⇒親友
20000号
上書き完了!!
一方通行「これが正しい。いや、こうするつもりだったのに、布束で編集のくだりをしたせいで忘れてた」
一方通行「あと、9981だが……」
一方通行「……」
一方通行「実は、入る時に常盤台女子寮寮監と意気投合しちまってな」
一方通行「……」
登録番号:9981
分類:親友
メガネ寮監
登録完了!!!
一方通行「よォォォォォォォォし!!!!これだ、これだな!?!?!?!?!もう大丈夫だよなァ!?!?!?!?」
一方通行「ほンとすまねェ、>>1はほンと残念なヤツだ数字に弱すぎる」
一方通行「じゃ、そういうことだ」
一方通行「指摘あンがとよ。じゃァな」
一方通行「はァ?なンでだよ」
佐天「なんでって、そりゃあそこが女子寮だからに決まってるじゃないですかぁ、もう」
初春「しかもですね!寮監さんがすっごく厳しいって有名なんです!!常盤台女子寮は」
佐天「そうそ、しかも物凄いてだれ!!最低でもレベル3の常盤台生徒をちぎっては投げちぎっては投げ!!寮則を破る者には容赦ないんです!!」
一方通行「ンだそりゃ。俺を常盤台の雑魚どもと一緒にしてンじゃねェ」
佐天「ざ、雑魚って!レベル5が二人もいる学校ですよ!?」
初春「そうですよ!しかも噂では、御坂さんと第七位の抗争にも割って入ったらしいですし」
一方通行「……あの根性バカをどうにかできんのか。そりゃちっとあれだな」
ヒョコッ
一方通行「……あのメガネかけてる女か。スーツきた」
ヒョコッ
佐天「そうそう、あれです。ほら、出て行く生徒を厳しく見守ってるでしょ」
ヒョコッ
初春「……あれ?でもなんか変じゃないですか?」
佐天「へ?なにが」
初春「いや~、なんだか生徒よりも、手元の携帯の方に意識がいってるような……」
一方通行「……」カチッ 集音
女生徒「寮監さま~~~今日はおそくなるんですがかまわないですか~~~~?門限が過ぎてしまうと思うんですが~~~」
寮監「……うむ、大変だな。行って来い」カチカチカチカチ
女生徒「寮監さま~!掃除が面倒なのでサボって遊びにいってもよろしいですか~~」
寮監「……うむ、大変だな。行って来い」カチカチカチ
寮監「……」カチカtカチ
寮監「……ゆうくんからメールが返ってこないな。やはりまだ会おうというにははやs」
一方通行「出会い系にはまっているゥゥゥゥゥゥ!?!?!?」
女生徒「「!!」」ビクッ
佐天「わ、なんですか!?」
佐天「そ、そんな。私達が遊びに来た頃は、確かに厳格で、まじめで、白井さんをちぎっては投げてたのに!!!」
初春「佐天さん、言っておきますけど私がそういうこと言うと白井さん物凄く怒りますよ。佐天さんだから言わないんですよ」
???「あら、そこにおわすのはもしかして、佐天さんと初春さん……?」
佐天「え!?」
初春「……あ!?」
???「随分お久しぶり。わたくしもこの寮の学友に会いに来たのですが、お二人はやはり白井さんと……」
佐天「あぁ!!!あなたは!!!!!」
初春「自称常盤台筆頭!!!レベル4の空力使い、またの名をトンデモ発射場ガール!!!」
???「え?なんです?あぁ、そこの殿方はお初にお見えしますわ。自己紹介を、ということですのね」
???「わたくし、常盤台中学二年!!その名を知らぬものはいないともっぱら噂の超新星!!!」
婚后「婚后光子ですわ!!!!」
婚后「な!!なんですかその態度!!!わたくしせっかく自己紹介をいたしましたのに、即刻退場を命じるなんて!!!」
佐天「婚后さん、寮監さんについて何か知りませんか?」
婚后「寮監?あぁ、あのメガネをかけた、最近ふ抜けているというあのかたですわね」
初春「ふぬけ……?」
婚后「えぇ」
婚后「わたくしの学友によると、あの方は少し前に随分といたい失恋をして」
婚后「それからしばらく経った後。生徒の一人から取り上げた携帯電話に、迷惑メールがきたようで、出会いという言葉に即反応」
婚后「そこからは、もう」
婚后「あぁやって、かつての仕事の持ち場に立ちはするものの、ずぅっと携帯を見てばかり」
婚后「しかもいまだ出会い0。いわゆる、業者というのにつかまされているそうですわ」
佐天「それは……なんという」
初春「……(まさか、あすなろ園の時の)」ダラダラ
婚后「まったく、天下の常盤台の寮監が聞いてあきれますわ」
婚后「偽者の人間からのメールにいちいち一喜一憂するなんて、わたくし考えられませんわ」ハァ
一方通行「黙れこのふざけた苗字めわかりにきィンだよくそぼけが」
佐天「!?」
初春「!?」
婚后「は、はぁぁぁぁ!?」
一方通行「しらねェってンだよくそぼけェェェェェェ!!!!黙って聞いてりゃぺちゃくちゃぺちゃくちゃよォォォォォォォ!!!!」
婚后「な、寮監さまのことを知りたいと言ったのはあなた方のほうで……」
佐天「アクセラさん!?ど、どうしてんですか!?」
初春「お、落ち着いてください!!!」
一方通行「確かになァァァァァァ!!!!確かに!!!!!!俺は虚構の人間とメールしたたよそォだよわりィかァァァァ!!!」
一方通行「でもなァァァァァ!!!!!それが虚構だからって、あいつらの言ってたことが全部意味の無い、からっぽのものだって言うのかよォォォォォォ!!!!」
一方通行「俺とバカトークしていた闇咲くンは現実にはオッサンだった!!!俺を寝る前にもやもやさせて困らせたかおりさンはいつの時代の女だってくらいの清純なやつだった!!!!!」
一方通行「ひょっとすると俺に夜な夜な恋愛相談を持ちかけたヴェんトちゃンも、実際は顔のそこかしこにピアスを空けた黄色いイカれ女なのかもしれねェェェ!!」
一方通行「でもなァァァァァ!!!現実の姿を知っても、それでも、それでもよォォォォォォォォォォ!!!!」
一方通行「俺があいつらのことを都合よく忘れていいってことには、ならねェェェェェェだろォォォォォがァァァァァァァァァ!!!!!!」
佐天「」
初春「」
婚后「」
一方通行「……」
一方通行「今のなし。忘れろ」
寮監「買わないと。なぜだかコインが多いときは返信が多いから……」カチカチカチ
ザッ
一方通行「よォ、そこのメガネ」
寮監「……いらっしゃい、ゆっくりしていきなさい」カチカチカチカチ
一方通行「あれェ?いいンですかァ?常盤台女子寮の厳格な寮監様。素性のよくわからねェ男が入ろうとしてますよォ?」
寮監「……いらっしゃい、ゆっくりしていきなさい」カチカチカチカチ
一方通行「……もしかすっと、この寮をぶっつぶしにきたかもしンねェなァ?」
寮監「……いらっしゃい、ゆっくりしていきなさい」カチカチカチ
一方通行「あ~……」
一方通行「い、いいンかよォ?見るからに怪しくて、おい、細くて、ほら、白い男だぞォ」
寮監「……いらっしゃい、ゆっくりしていきん」
一方通行「誰が白モヤシだてめェェェェェ!!!!ぶっ潰すぞこらァァァァァァ!!!!」
ヒョコッ
佐天「あ、初春だめだ。アクセラさんスルースキルに弱い」
初春「御坂さんと似てますね」
婚后「わたくし帰っていいかしら」
佐天「あ、話を戻そうとしてるよ初春」
初春「ですねぇエド並みの短気さは私達に露見しちゃいましたけど」
婚后「……」
寮監「……いらっしゃい、ゆっくりしなさい」カチカチカチカチ
佐天「婚后さん、突っ込みがないなら帰ってくださいよ」
初春「そうですよ。三点リーダーの無駄ですよ」
婚后「……ウワァァァァン!!!!」シュバッ
一方通行「現実で、ちょっとばっかつまづいて。すこし他人に拒絶されて。それだけで、この世界から背を向けちまうのか?お前は、そンなに弱ェのか?」
寮監「……いらっしゃい。ゆっくりしていきなさい」カチカチカチカt
一方通行「聞いてンな。フリは無駄だぞおい、俺を舐めんな糞メガネ。打つ速度が0.0003秒落ちた。それまではありえねぇ程正確だったのによォ。話続けるぞこら」
寮監「……いらっしゃい…ゆっくりしていきなさい」カチカチカチカt
一方通行「お前が逃げ出した世界は、そンなにお前に無慈悲だったか?」
寮監「……いらっしゃい……ゆっくりしていきなさい」カチカチカチk
一方通行「お前を振った男以外に、お前のことを癒してくれるやつは本当にいなかったのか?」
寮監「……いらっしゃい……ゆっくり……していきなさい」カチカチカt
一方通行「……思い出せや、寮監。厳しいってことァよォ……人一倍、ここのやつらを心配してるってことだろォが」
寮監「……いらっ……しゃい……ゆっくり……していきなさい」カチカチk
一方通行「お前が!!!!それまで恋を捨ててまで守ってきたここのやつらは!!!!!たった一度の失恋で!!!!てめェの中から消えちまうくらい!!!!!本当にどうでもいいやつらだったのかよォォォォォ!!!!!くそメガネェェェェェェ!!!!」
寮監「……いらっ……しゃい、ゆっくり……して……」カチカt
寮監「…………」ピタッ
女子生徒『え~~、寮監さま!!たった一分すぎただけですわ~~~!!!』
寮監「(なにをバカな。わたしはただ、仕事でここにいるだけだ)」
女生徒『罰掃除!?か、厠を掃除しろというのですか!?この私に!?!?』
寮監「(それに、ここの生徒は。世間知らずで、傲慢で、自分勝手で)」
女生徒『ぐへへひひひひ!!!これでおねぇさまをいちころ!!k……』
寮監「(問題児も多く、目が離せず、疲れるばかりで)」
女生徒『寮監さま……その、少し、ご相談が』
寮監「(いつも就寝時間も守らず、私を、私を困らせて)」
女生徒『寮監さま、これ、受け取ってください』
女生徒『今日、母の日ですわよね……?』
女生徒『あの、寮監さまはお若いから、こんなこといわれたくはないかも知れませんが』
女生徒『置き去りの私達にとって……寮監さまは、母親のようなものなんです』
女生徒『それで、みんなでお金をだして。お花を……』
寮監「(私を……私の……)」
女生徒『寮監さま!』女生徒『寮監さま~』女生徒『おねさまぁぁぁぁ!!!』女生徒『寮監さま!』
回想終了
寮監「私の……!大事な……!!!大事な生徒達……!!!!!」ポロッ カシャーン
一方通行「……ヘッ、分かってンじゃねェか、クソメガネよォ」
佐天「初春、終わっちゃったよ」
初春「あっけなかったですね。はい、わたしの勝ちです」
佐天「はうぁぁ!!○×で15連敗したぁぁぁ?」
一方通行「いいってことよ。一歩間違えれば、俺もお前と同じだった。それだけだ」
佐天「わぁ、いつもの寮監さんだ!メガネが光ってる!」
初春「こんにちは!!遊びにきました!」
寮監「キミ達はいつかの、御坂と白井の友人か。……少年、ところでキミは?」
一方通行「友情の伝道師アクセラ仮m」
寮監「まじめに」
一方通行「……こういうもンだ。ちっとばっか研究協力を頼みに、御坂美琴に用事がある。こいつらとは、すぐそこでたまたま会ったンでな」
寮監「……ふむ。たしかに正規のものだな。いいだろう、ゆっくりしていきなさい」フッ
佐天「ありがとうございます!」
初春「お邪魔します!一方通行さん、こっちですよ」
一方通行「あァ、待て。寮監、おめェ俺とダチになれよ」
寮監「……なんの冗談だ」
一方通行「まじめだっての、おふざけはさっきので終いだ。おめェもよ、生徒のほかに一人くらい楔になるもンがありゃ踏みとどまれンだろ」
寮監「……ふふっ、変わったやつだ、きみは。わたしのような女に友達になれ、とは」
一方通行「おォ、よく言われる。送ったぞ。時間が無いから、明日にでもそっちからメールしろや」ピッ
寮監「明日だな、いいだろう」
一方通行「……それと、これ。くれてやる。どうしてもキツくて誰もいなかったら、その電話帳にあるアドレスにメールでも、電話でもしてみろ。そンなときのお勧めはアウレオルスくン」
寮監「これは……いいのか?」
一方通行「……あァ」
一方通行「俺にはもう、必要のねェもンだ」ボロボロボロ
寮監「(めっさ泣いてるーーーーーーーー!!!!!)」
一方通行「いらねェ混乱をまねいたことは深く詫びる!!!>>1はちょっとほンと今お腹痛い正露丸どこだ!?」
一方通行「色々残念なヤツが多い中で実は>>1が一番残念な子だったっていうのは内緒だァァ!!!」
一方通行「それじゃァな!!次会うのは最終回だ!!」
一方通行「今度こそ間違いはねェはずだァ!!!」
一方通行「あァ?なンでなンですかァって?ンなもンきまってンだろォがよォ!!」
一方通行「学園都市第一位の頭脳、舐めてんじゃねェ!!」キリッ
寮監編 終
カチカチカチ
垣根『はっはーーーーー!!!残念だったな第一位!!!!てめぇが心酔しているD・M・カッキーとは……俺のことだぁぁぁぁぁ!!!!』
登録番号:9986
垣根『ナンデ俺ハ生きteんだよぉォォぉぉぉォぉォooooo!!!!!第一位いぃぃぃィiいい!!!!てめェニ殺されちまったハズノレオレガ!!!どうshiていきチマッテンだよォォォォォぉぉぉぉぉおォオぉォォォォォォ!!!!!!!!!!』
一方通行「……」
カチカチカチ
麦野『それで、天下の第一位様が、わたしの料理処になんのようなのかにゃ~ん?』
登録番号:9987
麦野『関っっ係ねぇ!!!関っっっっ係ねぇぇぇんだよぉぉぉぉぉ!!!!あのバカと滝壺がどうなろうが、わたしにゃもう!!!関係ねぇんだよぉぉぉぉ!!!第一位ぃぃぃぃぃ!!!』
一方通行「……」
浜面『たしかにやっぱり俺の扱いはここでも雑用さ。それでも、俺にとってこの探偵公社は大事な居場所なんだ!!!アイテムと、同じくらいな!!!』
登録番号:9988
滝壺『大丈夫だよ、あくせら。私はそんなヘタレなあくせらを応援してる』
登録番号:9989
絹旗『あンたさえいなけりゃよォォォォ!!!私は……私達はァァァァァァァァ!!!!!』
登録番号;9990
フレ『結局、統括理事長の気まぐれで生かされてるの』
登録番号:9991
ンダ『プラナリア理論なんて絶対にでだらめな訳よ』
登録番号:9992
フレメア『大体、おねぇちゃんと友達が増えて嬉しい。にゃあ』
登録番号:9993
ヴェント『すんませぇぇんねぇぇぇぇ!!!!理想の女の子じゃなくってぇぇぇぇぇ!!!!!』
登録番号:9994
フィアンマ『元神の右席最強の俺様を、舐めてんじゃねぇ!!!!』
登録番号:9995
吹寄『き、貴様も!!あの上条と同じ人種のようね!!ふんっ!!』
登録番号:9996
オリアナ『……絶対の基準点、おねぇさんと一緒に作ってくれる?』
登録番号:9997
アニェーゼ『ひ、ひっちぎられてぇんですか!?この白ウサギ!!!』
登録番号:9998
オルソラ『神の前にはみな平等。わたくしとあなたとの間に、なにも隔たりなどないのでございますよ。一方通行さん』
登録番号:9999
一方通行「……」
カチカチカチ
打ち止め『あれ?あなたの携帯、電話帳になんにも入っていないのね!って、ミサカはミサカはものの見事にまっさらなあなたの携帯メモリーに唖然としてみる!!』
登録番号001
打ち止め『えへへ!それじゃぁ、ミサカがあなたの初めてのお友達ね!!って、ミサカはミサカは得意満面に登録した画面をあなたに見せてあげたり!!!』
一方通行「……」
カチカチカチ
黄泉川『ほら、今日から私達は一緒に住む家族じゃん。……なんだその嫌そうな顔!文句言ってないで登録登録!』
登録番号:002
黄泉川『よっしゃぁ、これで飲みすぎた時のお出迎えはお前にじゃんじゃん頼んじゃうじゃんよ!!』
一方通行「……」
カチカチカチ
カエル医者『キミの肉体は脆弱過ぎる。能力が日常で使えなくなっな今、いつどこで倒れるかも保障できないんだね?』
登録番号:003
カエル医者『これがぼくの番号とアドレス。なにかあればすぐかけるんだ。いいね?』
一方通行「……」
カチカチカチ
番外個体『ぎゃはっ!!!第一位さまぁミサカもあんたのこと登録したいんだけど!イタメしまくりたいからさぁ!!!』
登録番号:004
番外個体『……きひっ!これでミサカも一番上があの人……な、なんだよ白もやしこっちみんなぁぁぁ!!!』
一方通行「……」
カチカチカチ
登録数:9999
芳川「おはよう、今日は早いわね」
一方通行「……よォ」
芳川「コーヒー淹れる?」
ビクッ
一方通行「いや、おめェは座っとけ。俺がやっから」
芳川「なにビビッてるのよ、あなたが何もしなければぶっかけたりしないのに」
一方通行「それはこの間起き抜けの俺に目覚ましと称して豆とお湯をぶつけてきたお前が言っていい台詞じゃない絶対にない」
芳川「わたしも寝ぼけてたのよ」
一方通行「余計タチわりィわ……座っとけ」
一方通行「……ン」
芳川「……!!」
芳川「……そう、9999人。凄いわね」
一方通行「……まァな」
芳川「今日は、どうするの?HAMAZURA探偵公社のお手伝い?それとも、また大勢連れて海外にでも行くの?」
一方通行「……今日は」
芳川「あ、イギリスに行くなら神裂さんに梅干のお礼を言っておきなさい。あと、変なお土産買ってきちゃだめよ。まったく、この間上条家と旅行したときなんて特に酷かったわね……」
一方通行「……今日は、ダチを作ろうと思う」
芳川「!!」
芳川「……そう」
一方通行「……芳川」
芳川「なんせ、あと一人だものね。本部も気合入るっての、そうでしょう?」ガタッ
一方通行「芳川……黙れ。そこ座れ」
芳川「さぁて、こうしちゃいられないわ。私も……」スッ
一方通行「芳川!!!!!!」
一方通行「どうして、俺の携帯からてめェの名前を削除した?」
芳川「……」
一方通行「闇咲くンが007だったんだ、間違ってるはずがねェ」
芳川「……」
一方通行「9000人以上も登録したあとなら気づかれねェとでも思ったかァ?舐めるなよ、お前」
芳川「……」
一方通行「……チッ」
パサッ
芳川「!?!?」
一方通行「自分から言うなら俺はなにもしねェつもりだったが、暴露させてもらうぞ」
一方通行「お前の素性、経歴、ここンとこの学園都市内での動きを調べた」
一方通行「削除されてることに気づいて、始めに疑問を感じたのは、お前が俺のMNWへのアクセス時にここにいなかったことだ。てめェほどの適任、いねェだろォがよ」
一方通行「それに、そンなてめェほどの技術者が、なァンでろくに働かずただ飯ぐらいしてンのかってよォ。常々不思議だったンだ」
一方通行「そしたらなンだァ?」
一方通行「おめェ、ニートじゃないンじゃねェか」
芳川「……」
一方通行「……働けないンじゃねェかよ、ろくに。そンな体じゃ」
芳川「……」
一方通行「正気かァァァァァァ!?おい!!!!芳川ァァァァァァ!!!!!!」
一方通行「8月31日の時の傷跡悪化、腫瘍化ァァァァ!?」
一方通行「カエル医者のとこの治療も拒否して余命二ヶ月だァァァァ!?」
一方通行「陳腐すぎてよォォォォォ笑えねえぞこっちはァァァァァ!!!!」
一方通行「そうよ、じゃねェェェェェ!!!!達観してンじゃねェェよォォォォォ!!!」
一方通行「それじゃなにかァ!?てめェェェ!!!!」
一方通行「もう先が長くねェから!?!?」
一方通行「だから俺の携帯から登録を削除したってのかよ!!!おい!!!!!」
芳川「そう、その通り」
芳川「1万人の親友が出来たあと、その一員の私がすぐ死んじゃったらあなたがどうなるか分からないでしょ?間に合うかも、分からなかったし」
芳川「だから、抜けることにしたの」
一方通行「勝手に決めンなァァァァァ!!!」
一方通行「お前はなンだ!?おい!!!勝手に生きることを諦めて、勝手に俺のとこから一抜けただァ!?」
一方通行「どうして!!!誰にも言わず……」
芳川「……あなたの友人の一員になることも、生きることも」
芳川「私には、そのどちらの権利もないからよ。一方通行」
芳川「わたしは、あの子たちが殺されると分かっていて製造した」
芳川「わたしは、あなたが本心ではこんなことをやりたくないと知っていて妹達をけしかけた」
芳川「……それらを清算したくて、わたしはこの計画を始めたの」
芳川「……愛穂たちは、これがただのあなたにお友達を作らせるための作戦だと思っているけどね」
芳川「わたしの勝手で殺された一万三十一人の悲願を成すため」
芳川「わたしの勝手で殺人に手を染めたあなたを救うため」
芳川「そのために、わたしはこれまで生きていた。しぶとく、欲深くね」
芳川「……でも、もう十分」
芳川「気づいてる?一方通行。あなたはもう、あなた自身がそれと意識して動かなくても友達を作ってしまえるほど、成長しているの」
芳川「……もう一度言うわ」
芳川「自分にどこまでも甘いわたしにはもう、生きる権利も。優しいあなたと共にいる権利も。どこにもないの」
芳川「……わたしは、学園都市から出て行く」
一方通行「!?」
芳川「この間、統括理事長と話したの。あまりに茶化してくるから、思わずコーヒーぶっかけたけど」
芳川「……最期の刻は、生まれた街で過ごすことにするわ」ガタッ
一方通行「……」
芳川「……」
芳川「……右手、離してくれない?」
ヒッシ
一方通行「……離さねェ」
一方通行「俺を舐めるな。この学園都市に存在するあらゆる医学書、シスター共の持っていた科学外の医術知識、すべて叩き込ンでンだ。そンで、あのカエル医者のことも。もう話しつけて、手術室で待ってンだよ」
芳川「……何度も言わせないで、一方通行」
一方通行「……」
芳川「私には、その権利がない」
一方通行「……」シュンシュンシュン
芳川「わたしの代わりになる人なんていくらでもいるでしょう?ね?」
一方通行「……」コポコポコポコポ
芳川「……」
芳川「……え?」
一方通行「ごちゃごちゃうっせェェェェェェェェェェ!!!!!!!」バッシャァァァァァァ
芳川「あっつぁぁぁぁぁあああああああぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!!」
芳川「あっつぅぅ!!!待って、待ちなさいあなたこれ尋常じゃないし私病に……ど、どうしてまた淹れているの!?」
一方通行「良薬身体に熱しってなァァァァァァァァ!!!!!」バッシャァァァァ
芳川「あっつぃぃ!!!!なにが良薬なのよ毎日飲んでも白モヤシじゃないあなた!!」
一方通行「…………」コポコポコポコポコポコポ
芳川「まって、今のは失言だったわ。謝る。平和的に話し合いを」
一方通行「そぉい!」バッシャァァァァ
芳川「あああああぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」
コーヒーをぶっ掛ける事により、力場・能力、ありとあらゆる流れを遮断させる能力
その効果は具体的な事象のみに留まらず、抽象的な事象をも遮断することが出来る
芳川「目の前の惨状は無視なのあなた」ボタボタ
一方通行「おォ、ガン無視だバカ野郎そのまま聞け」
一方通行「俺が成長したのは、てめェのおかげだろォが」
一方通行「俺を後押ししてくれた、前に進ませてくれた、向き合えと、受け入れろと、教えてくれたのはお前だろォが芳川」
一方通行「甘いだけでそンなことが出来るか。償いのつもりだけでそんなこと言えるか。死ぬつもりなンかで、そンなことされてたまるかよ」
一方通行「お前は甘くねェ。十分優しい。俺に最後のダチを作るすべを、自分を助けるチャンスを残してンだよ、芳川」
一方通行「生きる権利……あるに決まってンじゃねェか」
一方通行「お前はあえてこの言葉を使わなかったな。俺が使うと恐れたか?そンなもンヒントにしかならねェよ」
一方通行「……お前には」
一方通行「俺達の家族として、生きる権利があンだろォが、芳川」
一方通行「黄泉川と、打ち止めと、番外個体と、俺との家族だろォがお前は」
一方通行「家族として生きる権利が、意味が、義務が、お前にはもうあンだろ、芳川」
一方通行「……勝手に死ぬなンて言うンじゃねェ」
一方通行「俺達は……家族だろ!!!!芳川!!!!!」
芳川「……(コーヒーぶっかけといてよく言うわこの子)」ボタボタ
芳川「……」ボタボタ
一方通行「……」キリッ 黄泉川「」打ち止め「」番外個体「」
芳川「……」ボタボタ
一方通行「……」キr…… 黄泉川「」打ち止め「」番外個体「」
芳川「……」
一方通行「」クルッ 黄泉川「」ブワァァ 打ち止め「」ボロボロボロ 番外個体「ぎゃはっ☆」ウルウル
芳川「おはよう、三人とも」
一方通行「いつからきぃてたァァァァ……ぐっへェェェェ!!!!」
ガッシィィィィィィ!!!
打ち止め「あなだぁぁぁぁぁ!!!愛してるぅぅぅぅぅ!!!っで、ミザカは、ミサガはぁぁぁぁぁぁぁ!!!」ボロボロボロボロ
番外個体「くっせぇぇぇぇぇ!!!超くっせぇぇぇぇんですけど第一位!!!ぎゃはっ!!!くさすぎてミサカ目にきちゃった!!ちょっち目にきちゃったよ!!!!」ウルウル
一方通行「待てよせやめろ締めンな黄泉川乗るな打ち止め叩くな番外個体……ぐ……お……」ガクッ
芳川「」クスクスクス
芳川「まったく、あなたって子は」
芳川「あなたの甘さには負けたわ。一方通行」
登録番号:10000
分類:親友 家族
芳川桔梗
登録完了!!!!
10000人!
達成!!!!!!!!
上条「えぇぇぇぇ!!!ただいまより!!!一方通行さん祝親友一万人達成パーティーならびにやっべぇよ絶対能力者になっちまったよあんた!!!祝賀会を始めます!!!!」
ワーーーーー!!!
上条「それでは!こころよく第十九学区をぶっ潰して世界最大規模の文化会館『アクセラホール made in D・M・カッキー』を建ててこの会場を確保してくれました!!星野さんより乾杯の挨拶を!!!!」
ワーーー! キャーーーー! 巨人ファンーーーー!!! 偽名ーーーーー!!!
アレイスター星野「一方通行はワシg」
20000号「おまいらぁぁぁぁぁぁ!!!!セロリたんにかんぱ~~~~い!!!!!」
かんぱ~~~~~~~~い!!!!!!!
アレイスター星野「……お約束、か」フフフフフ
上条「ま、まんざらでもなかった!?」
一方通行「よォ、当麻。司会どォもな」
上条「なァにお安いごようですよ」
禁書目録「すっごいんだよとうま!!びしょくくらぶに負けないくらいのお料理かも!!」
上条「なに!?そりゃ凄いなインデックス!!」
一方通行「あァ、なにせ部下にあそこのスパイさせた料理人が作ってっからなァ」
上条「それやばくないですかね」
禁書目録「美味しければそれでいいんだよ!!」
ンダ「……まぁ、フレメアがこれでいいっていうんなら、私達も気にしない訳よ」ハァ マグマグ
アレイスター星野「めんご」
一方通行「おめェは、そこかしこでやらかしてたンだなァ」
上条「垣根もだっけ?」
アレイスター星野「ふふふ。一人でも多く、一方通行、キミの友達になってほしくてね。キミの友達は私の友達だ。美味しいものがたべれるんだよ」
一方通行「暴食シスターがうつってるぞ」
上条「意外に気が合ってんだよなぁ」
禁書目録「ほしの!このお寿司超うまいんだよ!超おすすめかも!」モグモグモグ
アレイスター星野「……ほんとうだな。超美味い」ハグハグ
絹旗「ちょ、ちょっと!!私の超ポリシー奪わないでください!!」
結標「そうよそうよ、子役もりだくさんの探偵活劇やるって言ったじゃない!」
一方通行「ンな約束してねェよどういうことだよ少年探偵団の回でも流せばいいのかコナん君の」
白井「第一位さまぁぁぁぁぁぁ!!!!」ヒュンッ
一方通行「うお!?ンだ、白井か。それに、超電磁砲。さてン」
御坂「やっほぉ、呼んでくれてありがとね」
佐天「おっめでとうございます!アクセラさん!!」
白井「ほんとうですの!!でも、黒子を置いて先に進んでしまうのはあんまりですわ!!」
御坂「……あんた、この間の能力診断で最大飛距離と重量増えたんでしょ。あんだけ伸び悩んでたのに。あとちょっとじゃない」
佐天「ほんとですよ~ようやく私が低能力者になれたっていうのに……」
白井「まだまだですの!!おねぇさまや第一位さまどころか、あの結標に負けてるようでは!!」
結標「あの、とは失礼ね」モグモグ
絹旗「うちの居候もわたしに同じようなこといってきて超うざいですよ」マグマグ
妹達「「「「「「ふむふむ、と、ミサカは乙女の美容術を吹寄女史から授かります」
吹寄「よろしい、妹達はばっちりね。わかりましたか、オルソラさん!」
オルソラ「えぇ。このパスタとても美味しいのでございますよ、吹寄さん」
吹寄「聞いてないぃぃぃぃ!!!52回目の演説オール無視ぃぃぃぃ!!もうだめ助けなさいよ貴様!!」
一方通行「いや俺にふるな。知るかよンなもン」
オルソラ「あぁ、富士額というのはすばらしいのでございますね!!!!」
吹寄「いまぁぁぁぁ!?」
アニェーゼ「なぁにが富士額ですか。美人よりなにより、格好がダサダサじゃもてるもんももてなくなるってもんですよ。その点私は自分的おしゃれポイント極めてますから問題なしです。ね、白ウサギ」
一方通行「だから俺に振らないでくださァいそういうのはあの辺の人たちに言ってくださァい」
アリアナ「そうよ、そうよね。おねぇさんだってこんな男の子たちの視線を集める服装、ほんとはしたくないわぁ……濡れっちゃうもん」
神裂「そうですよね、そうで……ぬ、濡れ?脇とかですか?」
一方通行「こらオリアナてめェなァにかンざきにいらねェ知恵さずけてんだもォォォォ!!!」
ヴェント「うっせぇなぁ科学の結晶……フィアンマ、あんたの寿司ほんとヤバイ。おもわずすんませぇぇんって言いたくなるくらい美味いわほんと」マグマグ
フィアンマ「俺様の神の右手、舐めてンじゃねぇ!!!」キリッ ニギニギ
麦野「ちょうしのんな童貞。あたしの店ぶっ潰したつけはガンガン働いてかえしてもらうんだからにゃ~ん」
フレメア「にゃ~ん、にゃあ」
浜面「うぐっ、やばい、駒場の兄貴がこの子かくまってた理由がよくわかる」
垣根「たっきー、ほれ。カッキーデザインの超痛いけど跡にならない鞭」
滝壺「ありがとう。こんな浜面はよほど愉快な死体になりたいと見える」バッチィィィン
浜面「いってぇぇぇぇぇぇぇ!!!!」
一方通行「てめェら、どいつもこいつも変なとこで影響されンなァァァァァ!!!!!」
一方通行「あ~……あンまよくわかンねェ。というか、これまでとどう違うのか……」
上条「ハハハ、だろうな。ここじゃまだ」
一方通行「あ?何言って……」
上条「俺達やビリビリ達はもう、お前がMNWに入るときに大体言っちまったからよ。他のやつらにゆずるわ。そいじゃな、一方通行」
禁書目録「またね!あくせられーた!」
佐天「えぇ?もうですか?まだわたしお礼も言えてないのに……」
御坂「しかたないわよ、佐天さん。そいじゃね、またよろしく」
白井「またすぐ!わたくしからも飛んでいきますわ!」
一方通行「お、おい?当麻?シスターもお前らも、何を言って……」
一方通行「闇咲くゥゥン!!!よォ!!!!……あァ?当麻達どこ行った?」
闇咲「結婚式の時はすまなかったな、あんなに大きな花を」
一方通行「いや、こちらこそだ。親友の晴れ舞台に出席できなかったンだ。あれくらいさせろ」
闇咲「ふふ、キミらしい」
闇咲「……大事にしろよ、友を大切にする心、思いやる心を。それはキミの財産となる……それではな」
一方通行「はァ?ちょ、闇咲くン……?」
一方通行「おォ、よォ花畑。闇咲くン見なかったか?あと当麻と、お前の連れも」
初春「あ、きっとさきに行かれたんですね」
一方通行「あ?先って、どこにだよ」
初春「すぐに分かりますよ!」
初春「一方通行さん。あなたは随分変わったと思います」
初春「どこに行っても、どうなったとしても、もうあなたは前のようにはなりませんよね」
初春「また、仲良くしてくださいね!それじゃ」
一方通行「おい、おい!!花畑!!!!」
フッ……
一方通行「!?き、消え……?」
一方通行「一体全体、なにがどうなってやがンだ!!!!おい!!!!」
――――――
――――
――
フッ
アレイスター「また会おう、一方通行」
――――――
――――
――
フッ
結標「きっとあなた、忙しいわよこれからも」
――――――
――――
―――
フッ
一方通行「なンなンだ!?なンなンだこりゃ!?」
一方通行「みんながみんな、俺に声をかけた後!」
一方通行「どうしてどこかに消えやがる!?!?」
一方通行! ぼうや
一方通行さん 超能力者!
白ウサギ 超第一位!
第一位!! あくせら
第一位様
一方通行「何が、何が起こってンだよォォォォ!!!!」
一方通行「……」
ガバッ!
一方通行「!?」
打ち止め「へへ~。最初で最後はミサカなのでした~って、ミサカはミサカは後ろからあなたの腰に抱きついてみたり!!!」
一方通行「……なァ、打ち止め」
打ち止め「なぁに?」
一方通行「俺は、絶対能力者になったらしい」
一方通行「でも、でも俺はこれからどうしたらいいのか分からねェ」
一方通行「俺は、どうすればいいンだ?」
一方通行「どこで、なにを……どこから、始めればいいンだ?」
打ち止め「……怖がらなくても大丈夫よ、あなた」
打ち止め「今のあなたなら、きっと大丈夫。すぐに分かる」
打ち止め「一方通行!あなたなら、きっとみんなと、すぐに会えるよ!って、ミサカはミサカは少し泣いてるあなたの頭を、そっと撫でてあげてみる!!」
打ち止めが
世界が、消えた
「……あァ?」
意識を取り戻して目にしたのは、白い白い天井と、同じように白いカーテン
どうやらここは病室、カエル医者の病院の一室のようだ
そして頭にある暖かい感触は
一瞬前までと思っていた時間とは打って変わった表情、驚愕に目を見開いたような顔の、打ち止めの小さな手のひらだった
「……あなた!!!目!!覚めたのね!!!!ってミサカはミサカは感動の目覚めにあなたの胸にダ~~~イブ!!!」
そう言いつつイソイソとベッドによじ登る少女に、一方通行は抵抗できない
できようもない
酷く混乱していたのだ
「おいまて、打ち止め。どうなってやがンだ?なンで俺は病院にいる?パーティーはどうした?あいつらは?当麻達はどこだ?」
「……当麻って、上条当麻のこと?あなた、いつの間にあの人と仲良くなったの?それに、パーティーって?って、ミサカはミサカは首を傾げてみる」
言葉通り、打ち止めは枕元に座ると一方通行にむけて首をかしげた
その後、少しだけ笑う
「ねぼすけさんね!一方通行!」
「ロシアから学園都市に帰ってきた直後からずっと寝たきりだと、仕方ないのかもしれないけど!!って、ミサカはミサカはそんなことより今度こそダイブ敢行~~~!!」
あの後すぐ、一方通行が目を覚ましたらカエル医者を呼ばないといけないことを思い出したらしい
一方通行は、一人。現状を理解しようとしていた
実際のところ、さきほどの打ち止めの言葉でほとんど理解は追いついていたのだが
『あなた、ロシアで。その、なにか物凄く頭をつかうことをしたの?ってミサカはミサカは倒れた原因に心当たりがないのかそれとなく尋ねてみる!』
心当たり、存分にあった
ロシアでの、打ち止めを救うための最終手段として行使した『歌』
あれは、魔術的要素を多分に含んでいる危険なものだ
超能力者である自分の脳を、みごとに酷使していたらしい
その結果
自分は、あの大戦終結からいままでずっと、眠り続けていたのだ
傍らにポツンと置いてあった携帯を開く
そこにはやはり、本当の親友はたった三件の登録しかなかった
打ち止め、黄泉川、カエル医者
このたった三件の。番外個体さえ登録されていない
これが、全てだったのだ
「ってこたァよォ」
あれは全部、夢だったのか
長い長い、偽りの幻だったというのだろうか。
幾日も、幾月もかけて積み上げてきたものが、無に返したのだから
腹をくくり、おびえながら
涙し、怒りながら
あんなにも全力を出し切ったすべてが、虚構にすぎなかったのだから
「……」
だが
「……くかか」
一方通行は、その限りではなかった
「くかきけこかかきくけききこくけきこきかかかーーー!!!」
今の、一方通行は。もうそうは思わないのだ
「あァあ、しょうもなさ過ぎて笑っちまった」
「……夢だからどうしたってンだよ、それが」
自分で生み出した夢想にすぎなかったとしても
彼らが。一方通行の親友たる彼らが、あの世界で教えてくれたこと
それらはすべて、生きている
一方通行の中に、確かにいきて、語り、背中をおしてくれているのだ
「ふりだしに戻る、ってかァ?だがなァ!!!」
「俺の場合は強くてニューゲームってやつだァ!!」
「あはぎゃはっ!!!!最っっ高だねェェェ!!!」
エピローグとは本来話の終わりにくるものだ
それを捻じ曲げるのは、ほかでもないこの物語の主人公
一方通行はたったいまから始めるのだ
プ ロ ロ ー グ を
また友となれるのか、そういった疑問はもちろんある
もしかすると、現実ではみながみな、自分のことを拒絶するかもしれない
そう、まったく同じようで、すこしずつことなった物語となるのかもしれない
これは新たに訳(はな)される、一方通行の物語
「これがホントの新訳・絶対能力進化計画、ってかァ?……ふざけてンなァ!!」
天気は快晴。まさに五月晴れと呼ぶに相応しい空模様である
「だがよォ。それでも向き合わなきゃいけねェンだ」
「表の世界で生きるってきめた俺に……もう、関わっちゃいけねェ相手なんていねェ」
一方通行は、前を向いて歩き出す
少し前まで、自分には似合わないと避けていた。
光り射す、暖かな道を
「さァて、と。誰から会いにいきますかねェ。ちっとばっか候補でも挙げてみるかァ?」
「逃げられるなンて思うンじゃねェぞ、おい」
一方通行「学園都市第一位の頭脳がァァァァ!!!今すぐ会いに行ってやるよォォォォ!!」
いや、終いじゃないですね。これから一方さんは、みんなとまた会えるのか
はたまた拒絶されてしまうのか
どうなるかは分かりませんが、あれだけ強くなった一方さんなら乗り越えてくれると思います
やはり締めは一方、芳川と続けたくて最期まで出張っていただきました
最初のこの二人のノリがなかったら、きっとここまで続けることは出来なかったと思っています
残念美人好きだ。芳川さん養いたい
この続き、はたまた途中のエピソードに手をつけるかまだ分かりません
SSを書くのがおもった以上に大変だと言うこと
しかしそれ以上にみなさんの感想が直でくる楽しさも味わえました
ちょっとだけ様子をみてみようかと思います
1時以降戻った時に削除出すか決心しておこうかと
レスの数々、大変ありがとうございました
こんな残念な子を見守っていただき感謝感謝です
数字のことは言わないでください正露丸はもうつきました泣くしかないですたすけて闇咲くン
ここまでは、灰の舞う鹿児島から、淹れ立てコーヒーとともにお送りしました
それではまたいつかどこかで
よしなにしてやってください
Entry ⇒ 2011.12.24 | Category ⇒ 禁書目録SS | Comments (0) | Trackbacks (0)
一方通行「新訳・絶対能力進化計画……ふざけてンのか」芳川「いたってまじめよ」 前半
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1306515187/
次→一方通行「新訳・絶対能力進化計画……ふざけてンのか」芳川「いたってまじめよ」 後半
地の文無し、会話形式です。ハートフルコメディを目指……したい
安価をたまに挟みます。というのも優柔不断なもので、展開につまると助けが欲しいのです
よしなにしてやってください
初SSなもので色々至らぬところが多いとはとは思いますがどうぞよろしく
それでは、先刻投下分までパパッと参ります。
とくに加筆はしていないので、既読の方は読み飛ばしてもいいかと
芳川「えぇ。理事会はどうしても諦め切れていなかったようね」
一方通行「・・・・・・ンで、どうしてお前がそれを知ってンだ?」
芳川「だって、実験の総責任者は私だもの」
一方通行「はァ!?」
芳川「あなたたちが働け働けってうるさいから・・・」
一方通行「他にいくらでもあったろォが!糞!糞!!糞!!!理事会どもめ舐めやがってェェ!!」カチッ
芳川「勘違いしないで頂戴。今回の実験は前のような内容ではないわ」
一方通行「・・・あァ?」
芳川「私が責任者だって言ったでしょう?妹達や、あまつさえ打ち止めに被害が及ぶようなこと、するわけないじゃない」
一方通行「そォか・・・芳川お前、前回のみてェにならねぇよう手を回すために、責任者になったンだな?」
芳川「・・・・・・」
一方通行「おい」
芳川「実験日以外は休みでいいって言うから・・・・・・」
一方通行「どこまでもニート思考かてめェはァァァ!!!」
一方通行「もォいい。説明を続けろ」
芳川「そう。それで、実験内容なんだけど……」
芳川「『被験体名一方通行が10000人と親友になる』それが今回の実験よ」
一方通行「……は?」
芳川「聞こえなかったかしら?『被験体名アク……」
一方通行「そうじゃねェ!!ンだそのふざけた実験は!?ってか実験なのかそれ!?」
芳川「私達『絶対能力進化計画を大いに成功させる団』略して『SOS団』は必死に考えたわ」
一方通行「まて、突っ込む所が増えやがった。なンでZじゃなくて『進化』のSを……」
芳川「まぁ聞きなさい。あなた、いまでもぶっちゃけた話ほとんど完璧じゃない?」
一方通行「……確かに、ベクトル操作で大概のことは可能だわな」
芳川「0930事件で発現した黒翼、第三次世界大戦時の白い翼と輪。あなたの能力は、もはや別次元のものと言って過言ではないわ」
一方通行「だからなんだァ?そこからどうしてあれにつながる……」
芳川「そんな完璧なあなたの欠陥、それを考えたとき思いついたのよ」
芳川「あなた、コミュ障じゃない?」
一方通行「ぶっ殺すぞ」
一方通行「あら怖い、じゃねェ!!おちょくってンのかお前!!!」
芳川「だって事実じゃないの。そりゃぁ、カフェイン中毒だとか厨二病全開なファッションセンスだとか、学園都市第一位のロリコンだっていう噂で持ちきりだとか。他にも挙げればキリはないけれど、一番重症なのはそれでしょう?」
一方通行「愉快なオブジェになりてェンだな?そうなンだな?……色々と反論したいことはあるが、まァいい。けどこれだけは言っとく!俺は別にコミュ障なンかじゃねェンだよ!!」
芳川「……自覚なし、か。やはりSOS団の読みは正解ね」
一方通行「なにコイツほンとうざい」
一方通行「……なンでだよ」
芳川「電話帳、人並みの登録数はあるの?私、愛穂、打ち止め、番外固体以外で」
一方通行「…ふン、ったりめェだろうが。ほらよ」スッ
芳川「これ仕事用のでしょ。あなたがこんな普通のデザインのものを選ぶはずないじゃない」
一方通行「チッ」
芳川「あの、黒基調に純白の翼と十字架デザインが全面に施されていて、物欲のない貴方が打ち止めの『この前ミサカ達と一緒の機種にしたばっかりでしょ!ってミサカはミサカはもう1時間も実機を手放そうとしないあなたの裾を引っ張りながら言ってみたりぃぃぃ!!』って言うのを無視して買った、あれよ」
一方通行「るせェ!ンなことどうだっていいだろうが!!」
芳川「カチッ『新鋭奇才デザイナー、D・M・カッキーとのコラボなんだぜェ……』カチッ こればっかりなんだもの。思わず愛穂と動画撮っちゃったわ」
一方通行「消せェェェェェ!!!……番外固体は?」
芳川「撮ってなかったわね」
一方通行「ホッ」
芳川「でも何故かあなたから目を離さずに、『MNW接続……プププッ……おまいらセロリの爆笑動画だぞ……っと』って」
一方通行「駄々漏れじゃねェかよ約一万人にィィィ!!」
芳川「さて、一方通行が落ち込んで机につっぷしてる間にポケットから携帯を拝借したわ」
一方通行「」
芳川「……これは」
芳川「」
一方通行「どォだよ、おら」
芳川「」
一方通行「いやァ、SOS団、だっけか?中身の無ェ頭振り絞って考えてくれたってのに、悪かったなァ」
芳川「」
一方通行「この通り、俺ぁダチなら腐るほどいるンだわ。分かったらこの計画は中止。いいな?」
芳川「」
一方通行「(くくく……くかきけこかかきくけききこくけきこきかかかーーー!!!)」
一方通行「(甘ェ!相変わらず甘すぎンだよ芳川よォ!!)」
一方通行「(俺はお前らの下に戻ると決めた以上、どうやってもこの手の話になると感づいてた!)」
一方通行「(お前、たまには外に出て知り合いでも作るじゃン?だの、あなたってお友達いるの?ってミサカはミサカは心配してみる、だの言われるだろう、ってなァ!)」
一方通行「(学園都市第一位の頭脳を舐めるンじゃねェ!)」
一方通行「(ロシアから帰る前に三下ンとこのシスターに……)」
一方通行「(誰でもいいから実在する知り合いの名前を、かったっぱしから教えてもらったンだよォォォ!!!)」
一方通行「(まァ、何人かは会社をハッキんグしたから本物だかな)」
一方通行「(魔術師携帯もってないやつ多すぎだろほンと)」
一方通行「(だがな、そこは学園都市第一位の頭脳!!)」
一方通行「(設定した性別、年齢、性格で俺が送ったメールにベストの返信が返ってくるAIプログラムを作ってやった!!)」
一方通行「(ギャハハ!コレが中々いい出来でよォ!!)」
一方通行「(最近、暇な時はもっぱらメールをするようになっちまった!!)」
一方通行「(闇咲くン良い奴すぎンだろォがァ!!)」
芳川「……(でたらめじゃないみたいね。メールも、きちんと会話がなりたっているし)」
一方通行「まァ、俺達も少し口やかましく言いすぎだったなァ。もうしばらく休んでみてもいいンじゃねェか?」
芳川「(にしても、意外だわ)」
一方通行「そうだ、お前もういい歳だろ。このまま家庭に入って主婦になっちまえ、な?働かなくていいし、余計なこともしなくてすむ。な?」
芳川「だれがいい歳なのよ……(この子、メールだとデレまくりじゃない)」
20××/ ○/○○ 1:25
TO:闇咲くン
Sub:ReReReReReReReReRe
今日の打ち止めかァ?
相変わらず天使みてェだったぜ
いや、ありゃァ天使、大天使に違ェねェ
ガチの大天使と殺りあった俺がいうンだ、そうに決まってる
打ち止めまじ大天使
芳川「(しかも随所にデコメ絵文字入り……)
芳川「(何時の間に……ん?)」
20××/ ○/○○ 1:28
From:闇咲くン
Sub:
あいわかわらずだなお前はwww
じゃぁ、俺あしたも学校だから寝るわ。おやすみ
芳川「(……)」
芳川「(……)」
芳川「(資料で見たけど、彼はたしか成人男性だったはず……よね?)」
一方通行「天井なンかどうだァ?地味だが、堅実で……あァ、あいつァお前が撃っちまったっけなァ」
芳川「(……確かめてみる必要があるわね)一方通行?」
一方通行「じゃァ、木ィ原くン……あ?」
芳川「ちょっとこの人に、電話してみてくれる?」
一方通行「……ンだァ?疑ってやがるのかよ?」
芳川「何言ってるのよ。他でもないあなたがお世話になっているんだから、少し挨拶をしてみたいの。ほら」
一方通行「チッ……」カチカチ
一方通行「(くくく。大方、メールはなンとかできても電話はどうしようもねェ、そう思ってのことだろうがなァ)」
一方通行「(三度言うぜ、そこは学園都市第一位の頭脳!!)」
一方通行「(声帯いじくって、ゆうに一万人分もの声のサンプリングをしてあンだよォ!!)」
一方通行「(元の声が分からなくなっちまって、止む無く木ィ原くン家にあった『クソガキ成長記録♯128』を観るはめになったがなァ)」
一方通行「(まァいい。えーっと……)」
一方通行「(エリザード、たしか俺と殴り合いの喧嘩の末にダチになった、ってェ設定だったな)」
芳川「……」
一方通行「(さすがに電話機能は試験運転の時にかけたっきりだァ。目立ちすぎるからな)」プルルルルル
芳川「……」
プツッ
一方通行「よォ、三下ァ!今時間あるか!?あるよなァ!?無ェとは言わせねェぜ」
芳川「………」
一方通行「あァ!?今彼女と一緒だァ!?ンなもンよりダチの方が優先だろォが!」
芳川「……………」
一方通行「用はなンだだと!?いつからてめェ俺にそンな口を……おい!おい!!」
ツー、ツー
一方通行「あ……糞が。悪ィな芳川。あいつァいま忙しいんだとよ」
芳川「構わないわ」
芳川「よく、わかったから」
芳川「えぇ、それにしてもあなた、いいお友達をもったのね」
一方通行「あ?ンなもンじゃねェよ。ただの腐れ縁だっての」
芳川「へぇ?」
一方通行「おォ、あいつがこの俺に喧嘩を吹っかけてきやがってなァ。その後まァ、なンやかンや、あったンだよ、うン」
芳川「そう、それは凄いわね。本当に凄い」
一方通行「そォかァ?ありがちな話で……」
芳川「だって、エリザードってあなた、英国王のあのエリザードでしょ?」
一方通行「……」
芳川「……」
一方通行「あの野郎がな、なンだ。学園都市の……視察……そう!学園都市の視察とやらに来た時によォ(マダイケル!イケル!!)」
芳川「……一方通行」
一方通行「お忍びだとかで、裏路地を走ってやがってなァ!!(シコウヲトメルナ!カンガエロカンガエロカンガエロォォォォ!!)」
芳川「一方通行!!!!」
一方通行「な!なンだよ!!」
芳川「もういいの、私が悪かった」
一方通行「はァ?意味分かン無ェ(よし!終わり!?この話もう終わりだな!乗り切った!さすが学園都市第一位のず……)」
芳川「私の言い方がだめだったわね」
芳川「エリザードは、英国の 女 王 よ」
一方通行「…………………」
芳川「コーヒー淹れたわ」
一方通行「おかしィだろ、エリザードって、どう聞いても男だろォがよ」ブツブツブツブツ
芳川「まだ言ってるの?」
一方通行「リザードだぞ?あのヒトカゲが進化したまじかっけェリザードが入ってんだzブクブクブクブク」
芳川「ぼやくか飲むかどちらかにしなさい汚いわね」
芳川「で、結局この電話帳に登録されてるほとんどが、あなたの手によるでたらめってことなのね?」
一方通行「……おォ」
芳川「まったく呆れるわ。ロシアから帰国してしばらくコンピューター関連の研究施設を借りてたのは、そのAIプログラムとやらを作るためだったのね?」
一方通行「まァな。その分野の研究を10世代は先に進めた自信はある」フフン
芳川「こんなとてつもなくしょうもない事に使われたら本も子もないわよ」
一方通行「るせェ」
芳川「その技術を生かして働いて、世の中の役に立とう、そうは思わないの?まったく……」ズズズズ
一方通行「待て、お前にだけは絶対に言われたくねェ」
一方通行「あ?」
芳川「登録数。実際に交換したのは何人なの?でたらめと分かってはいても、私から見たら区別がつかないのよ」
一方通行「……チッ、よこせ」カチカチカチカチ
芳川「あら、消しちゃうのね」
一方通行「あァ?ったりめェだろが。ばれちまった以上、もう必要のねェカモフラージュだからな」
芳川「そう……あなた、随分と楽しそうにみえたのだけれどね」
一方通行「馬鹿言え」カチカチカチ
一方通行「(……)」
一方通行「(SDの方にバックアップしておこう……ロックもかけて)」カチカチカチカチカチカチ
一方通行「(一応な、一応。何が必要になるかわかンねェ世の中じゃねェか……)」
一方通行「(ヴェんトちゃんの相談も……まだ途中だったしなァ)」カチカチカチ 本体データ削除シマスカ? YES
芳川「潔いわね」
一方通行「ふン、たしかに俺は知り合いは少ねェ方だ。それは認めてやる」
芳川「……」
一方通行「だけどな、それはコミュ障なンかじゃァねェ。断じて違う」
芳川「……」
一方通行「そもそも無理して人と馴れ合う必要がどこにあンだ、くだらねェ。俺達ァ自立した大人だろォが」
芳川「あなたが果たして大人と言えるかどうかはいいとして、たしかにその言い分も一理あるわ」
一方通行「おォ」
芳川「でもね……」
一方通行「……ンだよ」
芳川「愛穂、打ち止め、番外固体、病院……そして一番これが不可解なのだけれど……ミサカ20000号、これだけっていうのはちょっと……予想外というか……」
一方通行「……」
芳川「ひどすぎるわ」
一方通行「そうか……」
芳川「っていうか私はどこよ」
一方通行「お前はずっと家にいンだろが。メモリーの無駄だ」
レスありがとうございます。励みになります。
>>25
でたらめでもいいが念のため実在する人間の名前がいい
↓
それも、打ち止めたちに関わりがなさそうな人間を大量に
↓
ポクポクポクポク
↓
チーン 三下のとこのシスター(絶対記憶能力保持者+外人)だァァァァ!!!
と、帰りの機内でインさんに飛びついたのでした。
……ほんと言うと、インさんはもう学園都市での知り合いのほうが多い気はしますが、そこはご都合主義ということで……
>>28
そこんとこは決めかねてますね……まぁ追々ということで
頭も起きてきたのでぼちぼち始めようと思います。
一方通行「るせェ。勝手にコミュ障認定しておいて期待してンじゃねェよ」
芳川「色々と言いたいことはあるけれど、とりあえず」
芳川「20000号は……なんなの?」
一方通行「……」
芳川「……」
一方通行「……」
芳川「……」
一方通行「何度変えてもメールが来てェ……」
一方通行「着拒しても知らねェ番号からかけてきてェ……」
一方通行「『今すぐミサカのことを登録しないとセロリたんの脳裏にミサカの痴態を焼き付けにいっちゃうゾ☆ぐへへへへへあbbbbbbbbbb』ってェ……」グスッ
芳川「なにかしら、目から汗が」
芳川「仮説の証明が得られて実験の正しさの裏づけになったから、そりゃ満足よ」
一方通行「ってかよォ、いい加減聞こうと思うンだが」
一方通行「なァンでダチ作るってのが、絶対能力進化への条件になっちまうンですかァ?」
芳川「あ!それ聞いちゃう!?ついに聞いちゃう!?」
一方通行「な……なンだよその異様な食いつきは」
芳川「だって……」
芳川「ここに来るまでに、丸一日かかったような気がしたから」
一方通行「黙れ」
一方通行「なンだ?」
芳川「一方通行、あなた友達ができないんじゃなくて……そもそも、欲しいとも思っていない、そうなんでしょう?」
一方通行「……」
芳川「あなたは一番最初の能力診断からレベル5、常勝無敗の第一位。だからずっと実験ずくしで、知り合いなんてほとんどいなかった。作る必要も無かった。打算と利害のみの人間関係。それは理解してるわ。それで生きていけた、そういう世界だからね」
一方通行「……」
芳川「でもね、もうあなたはあちら側の人間ではないわ。表の世界で生きると決めた以上、いつまでもそんなつまらない言い訳は通用しないわよ?」
一方通行「……俺みてェな」
芳川「なに?」
一方通行「俺みてェなクソッタレが。表の人間と関わっていいはずねェだろうが」
一方通行「打ち止めも、番外固体も他の妹達も。あいつらは俺が守るって決めた。乗り掛かった船だ、お前と黄泉川も入れてやらァ」
芳川「……」
一方通行「それで、十分だ。これ以上は求めねェ、求めていい立場にねェんだよ俺は」
芳川「……」
一方通行「一万三十二人の殺害?ハッ、人類史上最悪の殺人鬼じゃねェかよ俺は」
芳川「……」
一方通行「本当ならなァ、お前達とこうしてるのだって俺は自分で自分が許せねェんだよ」
芳川「……」コポコポコポ
一方通行「分かったら、もういいか芳川……おォ、あんがとよ」
芳川「歯ぁくいしばりなさい最強(さいじゃく)」
一方通行「!?」
芳川「私のコーヒー(さいきょう)は、ちっとばっか熱いわよ」バッシャァァァァァ
一方通行「あっつァァァァァあああああああァァァァァァ!!!!!!!!」
一方通行「あっつゥゥ!!おま……!これ尋常じゃ……おいおいおいおいィ!何でまた淹れてンですかァァ!?」
芳川「やっぱりあなたは大人じゃないわ」バッシャァァァァア
一方通行「二杯目ェェェあああああァァァァ!!!!!」
芳川「私の考えていたとおりだったわね。あなたのそういう考え方g……聞いてるの?」
一方通行「あっちィィ!糞が!!どの口でいいやがるこの行き遅れ!!」
芳川「…………」コポコポコポコポ
一方通行「待て、今のは失言だった。謝る。平和的に話しいをs……」
芳川「そぉい!!」バッシャァァァァァ
一方通行「あああああァァァァァァァ!!!!!!」
芳川「で、あなたのそういう考え方自体があなたの能力進化の足かせになっている、そう言いたいのよ」
一方通行「目の前の惨状は無視かお前」
芳川「コーヒーカップの帽子というのは趣味が悪いわね」
一方通行「マジで黙れ」カチッ シュパッ カチッ
芳川「あら便利。ドライヤーいらず」
一方通行「るせェ。続けやがれってンだ」
芳川「能力には自分だけの現実が深く関わってる、それはよく理解しているわよね?」
一方通行「ったりめェだ。学園都市第一位舐めんな」
芳川「自分だけの現実、それすなわち人の内面とも言えるわ」
芳川「一万人ものクローンの殺害、己が極悪人だという自己評価、そこから来る他人への拒否反応」
芳川「そういった要因があなたの自分だけの現実の成長を阻害しているのよ」
一方通行「……そう、なのかァ?」
芳川「えぇ、そう、そうなのよ」
一方通行「なンてかこう……無理やりじゃねェか?本当に大丈夫か?」
芳川「……もちろんよ。みんなそう言っている」
一方通行「(みんなって誰だ……)」
一方通行「心読むな。ってかよおォ……その理屈があっていたとしても、俺はもう絶対能力者になろうとは思ってねェしなァ……」
芳川「いいの?」
一方通行「……無敵になることだけが、守る術じゃねェって分かってっからな」
芳川「そう。絶対能力者になることが、死んでいった妹達への一番の弔いだと思うのだけれどね」
一方通行「……あァ?」
芳川「あの子達は、あなたを絶対能力者へ進化させるという実験のせいで無理やり命を与えられ、それを無理やり奪われた」
芳川「じゃぁ、こう言えるんじゃない?」
芳川「あの子達の悲願は。散っていった命の分、あなたが絶対能力者になることなんじゃないか、って。死を無意味にしないで欲しいって」
一方通行「……」
芳川「それに今回の実験なら、あなたは人を殺すなんてはめにはならない。至極真っ当なそんな手段なら、あの子達も報われるんじゃない?どうかしら、一方通行」
一方通行「…………」
芳川「確かに。どんな理由を並べようと。それが妹達の意思だろうと。あなたが一万人以上のクローンを殺した事実、それは変わらないわ」
芳川「そう、その事実はあなたが背負って良い。でも、あなた自身が変わってはいけないなんてことはないのよ」
一方通行「……」
芳川「それに、あなたはもう十分に報いを受けたと思うわ。能力を失って、自力じゃ喋ることも、歩くこともできなくなって」
一方通行「……」
芳川「そう……あなたは罪を犯して、罰を受けた。今度は償いをしなさい。しっかり生きて、ね?」
一方通行「……芳川ああァ!」ダキッ
芳川「フフフ、いいわ、お泣きなさい」
芳川「(……)」
芳川「(……)」
芳川「(web漫画を読み漁ってたのがこんな所で役に立つとはね。ありがとう○道)」
芳川「(ぶっちゃけ打ち止めも番外も救ってんだから償いも終わってんだろってのは無しよ。せっかく上手くごまかされているんだから)」
芳川「(そう、私の有職ニート生活がかかってるんだから)」
芳川「お腹も膨れたしね」
一方通行「黙れ。とにかくその計画、受けてやンよ。ンで、必ず絶対能力者になってやる。妹達のためにもな」
芳川「ありがとう、SOS団もようやく本腰を入れることができるわ(私の役目はもう終わりだけど)」
一方通行「とにかく、ダチを作ればいいンだな?あー待て、基準は?いくらなンでも一年かけないと親友にならないってェ言われると、先が長すぎンだが……」
芳川「そうね……でも、あなたのいままでの交友関係を見る限りは……」
芳川「メアドと番号の交換、あとはまぁ握手でも出来れば親友と言っていいレベルじゃない?あなたにとっては」
一方通行「あく……握手だァ!?マジか…………」
芳川「……(オチだから、黙れ、って言う場面だったんだけれど)」ホロリ
芳川「なに?」
一方通行「ダチ作るって、何すりゃいいンだ?」
芳川「そうねぇ……とりあえず外に出て人と積極的に関わってみる、とか、手っ取り早く交友関係の広い人と会ってみる、とか……人助けとかどうかしら。あと、出会いも増やしたほうがいいわねあなたは。働きなさい」
一方通行「お前にだけは絶対言われ(ry 分かった。あンがとよ」
芳川「はいはい。ああ、これ一応、実験の概要説明書ね。もうほとんど口で説明してしまったけれど」
一方通行「おォ。…………おィ」
芳川「なぁに?いまさら引っかかるところがあった?」
一方通行「大有りだそれも見出しの部分から。ンだこの実験名はよォ!」
芳川「流行を取り入れてみたんじゃないの。厨二なあなたも納得すると思ったのに……」
一方通行「黙れ。ったっく……」
一方通行「新訳・絶対能力進化計画……ふざけてンのか」
芳川「いたってまじめよ」
一方通行「家の中で会議ってどういうこった……あァ、パソコン経由か。にしても今日は家に誰もいなかったな」
一方通行「打ち止めも番外固体も、調整の日はまだ先だったはずなンだが……まァいい」
一方通行「天気は快晴、五月晴れってなァ」
一方通行「もうすぐ梅雨に入っちまうけどよォ」
一方通行「とりあえず今のところは出歩くには丁度いい」
一方通行「さて、と。これからどうすっか……」
一方さんの行動
1「とりあえずブラブラするか……そういえばこの間、学園都市には珍しいデザイナーズマんショんが出来たって言ってたなァ」
2「少し遠出してみっか。外へのゲートあたりまで歩いてみることにしよォ」
3「相談……でもしてみるか、クソ。勝手が分からねェしな」
4「人助け…ハッ!ヒーローみてェな話か!そうと決まれば裏路地に突撃するっきゃねェ!!」
5「働くってなァ……めんどくせェけど探してみっか」
このレスから先着5レスの多数決で><
一方通行「少し遠出してみっか。外へのゲートあたりまで歩いてみることにしよォ」
一方通行「っとォ?ゲートがあんのは……」
その頃、学園都市出入ゲート内では
???「ふふふ、久しいな学園都市は」
???「あの少年に、今一度礼を言いたくて入場許可を申請してみたが……」
???「えらく簡単に降りるものだな。催し以外では滅多なことでは許可されないと聞いていたのだが」
???「どちらにせよ、その時はまた潜入するだけだったのだが……前以上に何か違和感が……」
係員「すみませ~ん、許可証提示願えますか~?」
???「む。すまんな、ホラ」
係員「はい、どうも~。えぇっと……」
係員「闇咲逢魔さん、ですね」
闇咲くン「うむ」
一方通行「いつだったか、迎電部隊とこのあたりのホテルで殺りあったっけな」
一方通行「……って、俺は別に感慨に浸りたくて来たわけじゃねェんだよ」
一方通行「というか俺はなにがしたくてこンなとこに……」ブツブツ テクテク カツカツ
闇咲「……道に迷ってしまった」
闇咲「しかし、前はそれどころではなかったせいでよく見ていられなかったが、本当に凄いな学園都市は」キョロキョロ
闇咲「外の科学力とは一線を画すというのも頷けるというものだ」キョロキョロ
闇咲「……銘菓ひよこなどでは、あの少年の手土産にならないかもしれぬ」ガサッ ピヨピヨ
闇咲「どうしたものか……いや、まずは道を聞くのが先、か?」ブツブツ テクテク
ドンッ!
一方通行「あァ?」
闇咲「む?」
グシャッ!!
一方通行「あ……」杖先貫通
闇咲「……!!!」哀れなヒヨコ
闇咲「」ワナワナワナ
一方通行「ちょっと余所見しちまって。この通り、杖突きなもんでよ」
闇咲「」ワナワナワナ
一方通行「あー……」
闇咲「」ワナワナワナ
一方通行「お気の毒ですが銘菓ひよこは潰れてしまいました~、ってか」
闇咲「」
闇咲「断魔の弦!!!!」
一方通行「はァァ!?(ンだこりゃ……魔術か!)」カチッ
闇咲「あの菓子は……」ブツブツ
一方通行「けっ、あいかわらず魔術ってのはよくわかンねェな。逸らすだけで一杯かよ(アスファルトがえぐれてやがる……)」
闇咲「土産などいらぬ、という私の言葉を無視して……」
一方通行「それよりもよォ、オッサン。覚悟はいいかこら」
闇咲「病み上がりのあの女が無理をして買ってきたものなんだああああああああ!!!!」
一方通行「いきなり逆切れしやがってよォォォォ!!!場を和ますようにフォローまでしたろォォがァァァ!!」
一方通行「!!(こいつの攻撃は目に見えねェ……)」ソラシソラシ
闇咲「衝打の弦!!衝打の弦!!!衝打の弦衝打の弦衝打の弦!!!!!!」
一方通行「クソがっ!(だからって、何時までも謎の力なんて定義じゃァこっちがジリ貧だな)」飛びのいて距離とる
闇咲「ちょこまかと……杖突きというのは偽りか!超能力者ぁ!!」
一方通行「半分本当だっての、余所見してていいンかよォ!!(砕けたアスファルトを俺への反発の分も含めて蹴り上げ、ついでに加速のおまけつきだァ!)」
闇咲「風魔の弦!!!」バキャァ
一方通行「……!?見えない壁を?」
一方通行「(駄目だ、どうしても見えないだのって考えに囚われちまう)」
一方通行「(考えろ。未現物質のクソメルヘンじゃあるめェし、今までみてきた魔術ってのも、結局は何かしらの物理法則にあったはずだ。水やら火やら……こいつのこれはなんだァ?)」
闇咲「透魔の弦!!!」
一方通行「(最初の現象。刃物で切り裂いたようにえぐれた地面。思い出せ、俺はあの現象を見たことが)」
一方通行「……あ?どこにいって……」
闇咲「余所見は禁物、ではなかったのか?」
一方通行「!?(こいつ、いつの間に後ろへ……)」
闇咲「断魔の弦!!!!!!」
ゴシャァ!!
一方通行「……」ポタ…ポタ…
闇咲「能力者の少年、実力の差が分かったろう。いまなら誠心誠意謝ればゆるしてやらぬこともない……」
一方通行「…くかか」
闇咲「む?」
一方通行「ンだよオッサンその台詞はよォ。知ってっかァそいうのって、死亡フラグってンだぜ」
闇咲「……ぬかせ。断魔の弦!!!!」
一方通行「(よォやく思い出した。ったく、平和ボケで頭が鈍っちまったかァ?)」
一方通行「(見えない斬撃?不可視の力?ほざいてろってェの)」
一方通行「(あの斬撃は、かまいたちのそれと全く同じ。つまり、こいつの撃ち出してンんは……)」
一方通行「大気の塊ごときで、この俺を任せると思ってンのかァァァァ?」キィィィィン
闇咲「!!なんだ!?た、竜巻!?!?!?ばかな!どうして突然、こんなに局所的に!!」
一方通行「あはぎゃは!どうしてかってェ?そンなに教えて欲しけりゃ答えてやるよ!」
闇咲「ひっ!」
一方通行「学園都市第一位の頭脳、舐めてんじゃねェ!!!」
ゴシャッ!!
一方通行「まだ原型をとどめていやがるたァなァ。そうこなくっちゃ」
闇咲「……透魔のt」
一方通行「おォっと、さっき俺の後ろをとった術なら、もう無駄だぜェ?」
闇咲「!?」
一方通行「もうてめェの底は知れるって言ってンだよ。大方、空気の屈折やらを利用して姿を見えなくしてるンだろォがなァ、実在していると分かってりゃァ、何のことはねェ。もう俺は、目ェつむってたっててめェの姿が割り出せるぜェ?足先から指先、粗末な中身が詰まった頭の位置までよォ!!」
闇咲「……それでも私は、屈するわけにはいかんのだ」
一方通行「あァ?いいからおとなしくやられとけェ」
闇咲「お断りだ。男、闇咲逢魔!魔術師の威信にかけても、貴様を……」
一方通行「……ちょっと待て」
闇咲「うるさい!梓弓、この身を糧とs……」
一方通行「黙れって言ってんだろォがァァァァァァァ!!!!!」
闇咲「あぁ!梓弓ぃぃぃ!!!!!」
一方通行「(……)」ジーッ
闇咲「(……もう十分も路肩で座らされているのだが)」
一方通行「(……)」ジーッ
闇咲「(霊装を破壊され、本格的に滅せられるものなのだと思ったら、この男、あれからずっと私を見下ろして固まっている)」
一方通行「(……)」ジーッ
闇咲「(いい加減に通行人の目が痛い。というかあの攻防中には影も形もなかったくせに、なぜいまはこんなにも人であふれているのだ学園都市よ)」
一方通行「(……)」ジーッ
闇咲「(……帰りたい。あの女のところ……いやいやそもそもあそこは私の実家であって正確にはあの女のところというか己の家に帰りたいと思うのは至極当然なことであってだな……)」
一方通行「(……)」ジーッ
一方通行「……くひっ」
1現実と向き合った一方さんの心「くかかかかか!!まァ、実際はこんなもンだァなァ!」
2妄想を捨て切れなかった一方さんの心「認めねェぞォ!!!てめェがあの闇咲くンだなんてよォォォォォォおおおおjijdfgdsgirkvijgba1!!!!!!」
このレスから先着5レスで多数決です><
闇咲「な、なんだ?」
一方通行「そりゃァそうだ!俺がメールしていた闇咲くンは、あのシスターから適当に名前を聞いて、俺が勝手に性格を設定しただけの偽者なんだからなァ!」
闇咲「(……話がよめない)」
一方通行「べっつにィ!いつの間にか本当の親友になったつもりだったとか!ンなことぜんぜん思ってなかったしよォ!!」
闇咲「(……)」
一方通行「あァあほらしい!こンなSD、すぐに捨てっちまうかァ!!」
闇咲「(……)
一方通行「悪かったなァ、オッサン!あの菓子は弁償してやらァ!興ざめしちまったンでよォ!!その前に、清掃ロボ探してこいつを処理してもらってからで構わねェかァ!?」
闇咲「……なァ、能力者の少年よ」
一方通行「ンだァ!?この学園都市第一位の頭脳の持ち主にして、孤高すぎて誰もついていけねェ俺に何の質問だよオッサン!!今なら受講料はまけてやるぜェ!!」
闇咲「正直、菓子一つで私も大人気なかった。弁償すると言うならば、もちろんその意向を受けよう。だが、その前に……」
闇咲「そんなにも泣いている理由を、年長者に話してみてはどうだ?」
一方通行「……チクショォォォォォォォ!!!!!」ウワーン
一方通行「……おう」
闇咲「……あまりにもリアルすぎて、機械が送った偽者の人格からのメールにも関わらず、のめりこんでしまった」
一方通行「……そうだ」
闇咲「そして……ある計画のために友人を作ろうとしていたところ、たまたまプログラムの中に名前のあった私と、現実で出会ってしまい……」
一方通行「……」
闇咲「プログラムの……その、住人が、全否定されてしまったことにショックを受けた……と」
一方通行「……あァ」
闇咲「……」
一方通行「……笑えよ」
闇咲「……」
一方通行「……」
一方通行「(絶対引かれた絶対引かれた絶対引かれた…………)」
一方通行「(ゆとり怖ェって思われた思われた思われた………)」
一方通行「(オッサンだけど仮にも闇咲くンに……)」グスン
???『♯1 偽りを超えた友情、というわけですね』
???『予想を遥かに上回る実験の進行速度に驚きを隠せませんが、引き続き監視を行います、では』
17600号『と、スネークこと17600号はなにあいつら男同士で引っ付いてんだよきめぇと思いながら本部への報告を終わります』
番外固体「はぁぁぁぁぁ!?ありえないってぇぇぇ!!」
打ち止め「さっすがあの人ミサカは信じてた!って、ミサカはミサカは初日一人目GETという大穴に賭けたミサカを馬鹿にしていた下位固体達をMNW内で煽りながら悦に浸ってみたり!!」『おまいらざまぁwww m9(^Д^)プギャー』
芳川「……まさかの闇咲くン登場だったわね。冷や冷やしたわ」
黄泉川「っていうか暴れすぎ!私が警備員を説得していなかったら、今頃親友がどうこうどころじゃなかったじゃんよまったく!!」
番外固体「ほっとけばよかったのにさぁ……あ~あ、今月スッカラカンだよ第一位め」
打ち止め「あの人を信じられないのが悪いのよ♪ってミサカはミサカは末の妹の肩を叩きながら慰めてみる」
番外固体「……そこ背中なんだけどおチビさん」
黄泉川「しっかし桔梗も上手いこと話を作ったじゃん」
芳川「なんのこと?」
黄泉川「今朝の説得。『第28回 一方通行抜き黄泉川家家族会議』で議題に上った『残念な天才の一方通行が友達を作るにはどうするか考えるじゃん』を、あんなでたらめな実験計画で解消させるなんて」
芳川「あぁ、それね」
黄泉川「一方通行もあれで中々単純じゃん!友達を作るだけで、レベルが上がるなんてあるわけないじゃんね!!」ハッハッハ
芳川「……」コポコポコポ
黄泉川「……桔梗?」
芳川「……どうかしら、ね」ズズズ
黄泉川「(……もしかして、とんでもないことを始めちまった、じゃん?)
闇咲「うむ。すまないな、キミは杖なのに案内を頼んでしまって」
一方通行「いィってことよ。っつゥか俺もそこから歩いてきたし、なにより……」
一方通行「俺達ァ、親友だろォが」キリッ
闇咲「ははは、感謝するとしよう。ひよこも結局、キミが能力とやらで元に戻してくれたしな」
一方通行「俺のベクトル操作に常識は……あァまて今の無し。とりあえず不可能はねェから、何かトラブったら俺を頼れよなァ。しばらく学園都市にいンだろ?お礼参りで」
闇咲「参りはいらん参りは。今回は騒ぎをおこすつもりはない。少し前に世話になった少年がいてな……ところで、そのチョーカー……と言うのか?大丈夫か?」
一方通行「あァ?なにがだァ?」
闇咲「いや、さっきひよこを直した後あたりからか……」
一方通行「おォ」
闇咲「ライトの所が点滅しているように見える、のだが」(帰国後の改良で、残量がヤバイと点滅するようになりました)
一方通行「(……)」
一方通行「(闇咲くンとの戦闘時間……)」
一方通行「(ひよこを修復するのにかかった時間……)」
一方通行「(それに……)」
一方通行「(結局歩くのダルくなって飛んできちまったこともふまえjぎsjdvkdしvjdsvk)」ガクガクガク
闇咲「な……え!?ど、どうしたのだ!?」
17600号「(友達より先に体力を作ったほうがいいのではないでしょうか、とミサカ17600号は草陰でため息をつきます)」
翌朝!
一方通行「……情けねェ」
番外固体「よくわかってんじゃん。闇咲さんに背負われた第一位は無様すぎてミサピクランキング堂々一位だよ」ギャハ☆
一方通行「まァたお前らはそういうのを……ンでェ?粗相はなかったろォなァ?」
番外固体「黄泉川がジャージ以外の服を探し回ったせいで服の山があったり、おチビがまたまた嫁宣言しちゃったり、芳川がしつこく既婚かどうか問いただしてた程度には☆」
一方通行「最悪じゃねェかよォォォ!!!」
打ち止め「むぅ、番外固体だって闇咲さんが帰る時に電撃とばしちゃってたじゃない!って、ミサカはミサカは自分の粗相を隠蔽する番外固体に憤慨してみたり!」
一方通行「てめェはてめェでなにしてンだこらァァァ!!!」
番外固体「な……あれはだってさぁ!!泊まってけって言うのに、どうしても行くところがあるからってしぶとくって」
一方通行「ンで電撃ってかァ!?馬鹿かお前!」
番外固体「カッチーン、バッテリーの節約もできない早漏くんにそういうこと言われたくないんですけどぉぉぉぉ!!!」
一方通行「黙れやアバズレェェェ!スクラップになりてェのかァァァァ!?」
打ち止め「ちょっとやめてぇ!って、ミサカはミサカは朝食の席なのに取っ組み合い始めた二人の間で抗争阻止ぃぃぃぃ!!」
黄泉川「……やっぱり変に思われちまったじゃん?あぁそれとも……やっぱり炊飯器以外で作った料理はいまいちだったのか!?あんた達があんなもの見られたら引かれるって言うからいけないんじゃん!」
芳川「そこじゃないと思うのだけど……」
一方さん自室
一方通行「あァあ、ったく……闇咲くンに侘びをいれて……ン?」
20××/ ○/○○ 8:28
From:闇咲くン
Sub:
昨日はお邪魔した
私の用事は無事済ませることが出来たので心配なきよう。
帰るまでに、是非学園都市の美味いものでも食べようと思うのだが、また案内を頼めるだろうか
焦る事は無い、ゆっくり返信したまえ
p.s いい家族をもったな
一方通行「……ケッ」ニヨニヨ
番外固体「ちょぉっと第一位!今日の洗い物は……なにその顔気持ち悪」キュン
一方通行「るせェ。それよりお前……」
一方通行「こないだ持ってた学園都市グルメ特集の女性誌、よこしやがれ」
登録番号:007
分類:親友
闇咲くン
登録完了!
芳川「なに?」
一方通行「ダチ、できねェ」
芳川「……まだ五日目じゃないのよ」
一方通行「初日で闇咲くンっつゥソウルメイトが出来たンだぞ!?これだけ経ちゃァそりゃもう相手の方から俺の下に馳せ参じてもおかしくねェだろうがァァァ!」
芳川「だからあなたは……いいじゃない、ゆっくり作っていけば」
一方通行「……闇咲くンは一昨日帰っちまったしよォ」
芳川「一日中連れまわしてたわねあなた」
一方通行「コネをフル活用して学園の園のカフェやら美食倶楽部やら回ったかンな」
芳川「そう。それで、ここ二日はどうゆう活動をしてみたの?何かアドバイスできたら……」
一方通行「もちろん、ゲートの前にずゥゥっといたぜェ。何せ俺ァあそこで闇さk……」
芳川「……」バッシャァァァ
一方通行「無言でコーヒーかけるなどこから出したあっつァァァァァあああああァァァァ!!!!!」
一方通行「話し合いもせずにあっちィコーヒーをぶっかけてくる人間に言われたくないですゥ!」ボタボタホボタ
芳川「あんな出会い方は偶然中も偶然、一生に三回来るチャンスがたまたま初日に来ただけよ」
一方通行「ンなことねェよ!俺だってなァ!ゲートの前でぼうっとしてるわけじゃねェ」
芳川「へぇ、それは悪かったわ。積極的に、人と関わっているのね?」
一方通行「おうともよ。俺ァな、この二日間……」
一方通行「積極的に、肩ぶつけにいってンだぞ!!!」
芳川「そぉい!!」バッシャァァァ
一方通行「だからお前どこから出してンだァァっつああああああァァァァ!!!!」
一方通行「ンだァそのだっせェ呼び名はァ?『友情鉄拳(フレンドシップ)』と呼べェ!!」ボタボタボタ
芳川「……大概にしないと次は淹れたてにするわよ」
一方通行「……すまン(あれで時間経ってたのかよ)」カチッ シュバッ カチッ
芳川「とにかく、もうそんな乱暴なことはしないで頂戴。成功するわけがない上に、脅しで得た友情なんて欲しくないでしょう?」
一方通行「……あれァ脅したことになンのかァ?」
芳川「……」
ピッ
『……肩パン男は通行人の肩を殴り「ここから先は友情の一方通行だァ!返品は禁止ってなァ!!」「分かったら、さっさと愉快で素敵な俺のダチになりやがれェェェ!!」などと被害者に迫り、30分以上もの追跡を行いました。尚、周辺の被害状況から犯人はレベル4以上の能力者または武装したスキルアウトかと見られています。また、最初の事件発生の二日前に時期はずれの訪問者として外から学園都市を訪れていた男性と何らかの関連があったとみられ、この男性と接触したとある男子高校生を重要参考人として拘束していま……』
プツッ
芳川「……」
一方通行「……」
芳川「一方的だって自分で分かってるんじゃないの」
一方通行「……」ガクッ
一方通行「……おォ、分かった」
芳川「いい?あなたが作るのは親友なの。自分に都合の良い性格ばかりじゃない。例え真逆の人間性を持った相手だって、時には向き合う必要があるのよ。分かった?」
一方通行「だから言ってンだろ!分かったてェの!!闇咲くンのようにすんなりはいかねェ!そう言いてェンだろ!?」
芳川「それで良いわ。とっとと外に行って行動を始めなさい。みんな待ってるでしょう」
一方通行「……そりゃァ、誰達のことを言ってンだァ?」
芳川「SOS団のみんなに決まってるでしょう」
一方通行「まだそれ続けてたのかよ……」
芳川「いいからさっさと行動!まったく……」
芳川「平日のこんな時間に起きてきて朝昼兼用食なんて、どんなご身分なのやら」
一方通行「減らず口は打ち止めレベルのアホ毛直してから言え糞ニートが」
一方通行「樹形図の設計者が壊れてから天気予報もあてになンなくなっちまったからなァ。降らないといいンだが」
一方通行「……まァいい。今日はどうすっかな」
一方さんの行動
1「……そういやクソガキがこの間傘を壊したとか抜かしてやがったなァ」
2「……っと、マジで降ってきやがった。ここァ第十二学区だ。雨宿りするには教会に入るしかねェな」
3「……元アジトの一つに置き傘があったなァ。念のため取りにいくかァ」
4「……途中で芳川におん出されて腹が満たしきれてねェ。ファミレスでも行って、行動はその後だ」
5「……芳川は、あァいうチャンスは一生に三回ある、って言ってたよなァ。……可能性は0じゃねェ、つまりァ可能ってェことだ!」
このレスから先着5レスで多数決です><
4
ファミリーレストラン D・M・キッチン
一方通行「ここァD・M・カッキーが外装から内装、メニュー、果ては調理器具の一つ一つに至るまで監修した、にも関わらず全品破格の値段で喰えるってェ店だ」
一方通行「この店構え……さっすがカッキーだぜェ」ゴクリ
一方通行「安い店っていうのは、態度のよろしくねェ、もちっと言えばスキルアウトやら無能力者どもの溜り場になるのがお約束だが」
ご注意『強能力者(レベル3)以下の人間は物理的にご来店出来ませんので とっとと他の店にいきやがれ』
一方通行「出入り口全てに施されてる俺にも謎の設備のおかげで、この店の秩序は守られてるってわけだ」
一方通行「さっすがカッキー、希代のデザイナー、まじクール」
一方通行「…・・・けどよォ」
一方通行「流石のカッキーも看板にかじりつく客がいるとは思いもしなかったろうぜ、三下ンちの暴食シスターよォ」
禁書目録「お腹空いた……ひもじぃんだよ……」ブツブツ カジカジ
一方通行「喰うかしゃべるかどっちかにしろォ。クソガキかてめェは」
ゴクリ
禁書目録「プハァ、やっと小腹が満たされたたかも!ありがとうあくせられーた!匂いに誘われてここまで来たのに店の中に入れなかった時は、流石の私も父の下へ還ることを覚悟しかけたんだよ!」
一方通行「この伝票の長さをみても小腹と言うのかこら。ここはアホみてェに安いからどうってことねェけどよ」
禁書目録「えへへ。それにしても流石はあくせられーただね!店員さんに話をつけてくれるなんて!」
一方通行「……まァ、レベル5ともなれば店側も無下にはできねェだろ。俺も、お前にゃ一応借りがあるからな」
禁書目録「あぁ、魔術師の名前のこと?あれ、本当に役に立ったのかな?私にはいまいち意味が分からなかったんだよ」
一方通行「あぁ、もう意味はねェンだが、お陰で俺は成長できた。かけがえの無ェものにも気づけたしな。感謝してるぜ」
禁書目録「……そう」ニコリ
禁書目録「名前を売るだけでこんなに奢ってもらえるなら魔術師と言わずいくらでも教えてあげるんだよ!とうまでしょ!あいさでしょ!」
一方通行「さっきまでのちょっとだけいい雰囲気返しやがれ煩悩シスターめ」
禁書目録「なにかな?あ!デラックスハンバーグマターおろし膳が食べたいんだよ!あと未現チョコ・キング・オブ・カキネパフェも!」
一方通行「好きにしろォ……俺が聞きてェのは、なァンでてめェがこんなところでのたれ死んでたのかってことだよ。三下なら、こないだヒョッコリ帰ってきたろうが」
禁書目録「……」
一方通行「?」
禁書目録「とうまは……」
禁書目録「とうまは捕まっちゃったんだよぅ、あくせられーたぁ!」
一方通行「な、なンだとォォォォォォォォ」
17600号「(お前が言うな、と、ミサカ17600号は彼が捕まった原因が自身にある事に気づけない一方通行にため息をつきます)」ハァ
一方通行「(な……)」
禁書目録「家にお金はないし、小萌は緊急職員会議とか、とうまのために色々してくれてるから家を空けてるし」
一方通行「(なンてこった……)」
禁書目録「もとはるもいないからまいかも来ない。残されたのはわずかな保存食と……」
一方通行「(俺が第三学区で友達づくりなンてことにいそしんでる間に……)」
禁書目録「スフィn…………あ~、スフレ……くらいしか無くて私は餓死寸前だったんだよ!!!」
一方通行「(その近くで!ヒーローのことを嵌めた野郎が、犯罪行為を行ってやがったってのかぁぁぁぁ!?!?)」
17600号「(あ、シスターも大概だけどセロリもこれなんかアホこと考えてるわ、と、ミサカ17600号は察して再びため息をつきます)」ハァ
御坂?「ヤッホウ、ミサカ ビコト デス」
上条「いやぁ、最近寒くなってきたよなぁ」
御坂?「アンタノ フトコログアイニハ マケルワヨ」
上条「うるせぇよ!ってかそこは、『なに言ってんの今は五月でこれから暑くなってくるんでしょうが』ってツッコムとこだろ!」
御坂?「アンタノ 頭の花畑ニハ マケルワヨ』
上条「うっせぇ!そしてやけに頭の花畑だけは発音よかったな!?あのな、上条さんが寒いのはですね……」
スキルアウト「うっせぇぞ新入り!!一人遊びなら黙ってやりやがれ!!!」
上条「留置所の独房にいるからなのです……不幸だ」
×御坂 ○配給された週刊レベル5の表紙「フコウネ……(上条さんの裏声)」
上条「インデックスは暴れてるだろうな。誰かにたかってないといいんですけどねぇ」
上条「神裂に送った手紙はどれくらいで英国に届くかなぁ。ペンデックスが発動するまでに補給物資を持っていってくれるといいんだが」
上条「っていうか、どうして上条さんは捕まってしまったんでせう」
上条「昨日と一昨日起きた傷害事件なんて、これっぽっちも身に覚えがねぇのに」
上条「確かに五日前、闇咲とは会ってるけどよ……あいつこそなんの関係もねぇだろ。一昨日の早朝には帰ってるはずなんだから」
上条「……ゲートから出た記録がないらしぃけどさあ」
※闇裂くンは帰りは一方さんが壁ごと飛び越えて送っていきました。友情っていいね!
上条「唯一の救いはご飯がでたことですね。というか、ここのご飯はすごい!箸が!立つんですよ!!」
上条「わたくし上条当麻は!!!久方ぶりに自分の食器から垂直に箸が立っているという事実に!!!えも言われぬ感動と涙を」
スキルアウト「うるせぇっていtt」
上条「そっちこそうるせぇぇぇ!!!!俺からこの幸せを奪うんじゃねぇぇぇぇぇぇ!!!!」
上条「こういう時はさっさと寝たいんだが……慣れない環境のせいか寝付けない」
上条「そこで暇つぶしに雑誌なんぞ広げてみて、ビリビリの写真を使って一人漫才してみたんだが、これがおもしれぇ」
上条「今度ビリビリに披露してみるか……コンビ名は上条美琴、これだな……」
上条「まぁ出られたらの話なんですけどねぇ~~」ハハハ
スキルアウト「(独り言多すぎだろこいつ。話術サイドか)」
上条「……一方通行だ。なんだあいつ、隠し撮りみたいな写真しかないな……変な構図の」
上条「そういえばいつかお前は、俺なんかのことを正義のヒーローって呼んでたっけなぁ」
上条「悪いなぁ一方通行。ヒーローも法の下には無意味なんだってよ」
上条「正義は法を覆せないけど、法は正義を覆せるんだってさ」
上条「俺、なにも言い返せなかったよ。屈してもねぇけどさ」
上条「俺は、戯言使いでさえなかったみたいだ。一方通行」
上条「小萌先生が言ってたじゃねぇか!どんなに苦しめられても、自分の主張は曲げちゃいけねぇって!」
上条「万年不幸体質の上条さんを舐めるんじゃありませんのことよ!!」
上条「三食・ベッド付、絶対にこれ以上のトラブルが舞い込まない環境のどこが不幸だっていうんだ!昨日の俺なら羨んでるところだぜ!!」
上条「こんなもん不幸でもなんでもねぇや……」
上条「この壁を突き破って化けモンでも出てくってのなら、流石に不幸だけどさぁ」ハッハッハ
上条「……へ?」
バキバキバキバキバキッ!!
上条「へ……えぇ!?」
バキャァァァァ!!!
上条「マジかよぉぉぉぉぉ!?!?」
ガラガラガラ……
???「かァァみじょォォうくゥゥゥン!?」ジャリッ
上条「!?!?」
???(カナミンのお面装備)「お出迎えの時間だぜェェェェェ!?」
上条「ふ、不幸だぁぁぁぁぁぁ!!!」
カナミン仮面「ンだァ?さすがのヒーローもとっつかまってちったァ凹ンでるかとおもってたンだが、元気そうじゃねェかよ」
上条「さっきまでそうだったけどな……って、その柄の悪い喋り方!?まさか一方r……」
カナミン仮面「みなまで言うなァ三下ァ。監視カメラはぶっ潰してきたがどこで誰が聞き耳立ててっかわかンねェだろ」
上条「お、おう……とにかく、驚いた。まさかお前が俺のことを……」
カナミン仮面「おォっとォ、早とちりはいけねェなァ三下ァ」
カナミン仮面「俺が地獄と天国、どっちからのお出迎えなのか。まだハッキリしてねェだろォがよォ」
上条「……えぇ!?」
上条「……まだそんな」
カナミン仮面「いいから聞け。だがなァ、お前がこンなつまンねェこと起こすはずがねェ、そう思ってンだが……生憎、身内に警備員がいるンでよォ。あいつらがなンの証拠もなしに動くはずがねェ、そうも思うンだ」
上条「……」
カナミン仮面「だから答えろ。ヒーローなのか、三下以下のど外道なのか、てめェの口から聞かせやがれ」
カナミン仮面「お前は本当に、今回の事件に関わってンのかァ?」(真犯人から冤罪被害者への言葉です)
上条「……俺は」
1弱気な上条さん「何もやってねぇ。けど確かに警備員の言うとおり、俺も何か関わっているのかもしれない。闇咲と会ってたってのは事実だし……」
2いつもの上条さん「何もやってねぇし、今回のことに闇咲が関わってるってのも何かの間違いだ!俺もあいつも、もう誰かを不幸になんかさせねぇと誓ったんだよ!!」
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ヒーローはこうでなくっちゃなァ
まあヒーローだし
カナミン仮面「……ハッ!くせぇこと言いやがる!それでこそヒーロー!!……おい、警備員のやつら闇咲くンまで疑ってやがンのか?」
上条「あぁ……ってどうしてお前が闇咲のことを知っているのでせう」
カナミン仮面「ダチだからなァ。……チッ、黄泉川の奴、どうして捜査でこいつと闇咲くンを擁護してねェンだよ」
上条「ダチって……あぁ、黄泉川先生はこの事件、担当してないらしいぜ。っていうか三日ほど病欠なんだと」
カナミン仮面「はァァァ!?この大事に何してンだあいつァァァ!!!」
上条「いや、なんだか普段は飲まない高級酒のせいで二日酔いをこじらせたとかなんとか……」
カナミン仮面「(……そういや闇咲くンも頭痛でやべェって言うから俺が送ったっけなァ)」
上条「……っていうかお前黄泉川先生と住んでるだろ何で知らないんだよ」
上条「細かくないし キリッ されてもお前女児向けキャラクターの顔だからな今」
カナミン仮面「黙れ。さっさと出るぞォ掴まりやがれ。そろそろ事態を把握してここに駆動鎧が殺到すっかもなァ」
上条「うわっ!それは困る!!お願いします最強様!!」ガシッ
カナミン仮面「やめろその呼び方。よしゃァ!舌ァ噛み切りたくなかったら口ァ閉じてンだなァ!!!」
上条「うぉっっっ!!!!!」
ゴウッッッ………
土御門「はぁ、はぁ」
青ピ「ふぃ~。なんとか無事ここまで来れましたなぁ、つっちー」
土御門「全くだ。誰だか知らないけど騒ぎを起こしてくれて助かったにゃー」
青ピ「駆動鎧の動きも止まっとったしねぇ。あれはなんだったんやろ」
土御門「おそらく電流操作系の誰かの仕業だろう(第三位か……?)」
土御門「それより青ピ……お前が協力してくれるとは思わんかったぜよ」
青ピ「っはぁ~~!!何言うてまんのぉ土御門くん!!!上やんは僕らの親友やないの~!それに……」
青ピ「もし上やんが小萌せんせを泣かすようなこと本当にしたんやったら、僕の手で一発殴ってやらんとね」
土御門「……はっは!違いないにゃー!!どっちにしろまいかの手料理が食えなかったから、俺は殴らせてもらうぜよ!!」
青ピ「あっはっはっは!そんなら行きますか!」
土御門「おう!か~~みや~~~ん!!!助けにきたにゃ……あれ?」
青ピ「……誰もおらんねぇ。ごっつぅでかい穴はあるけど」
土御門「(一体誰が……!?まさか、どこかの魔j)」
駆動鎧×50「動くなぁぁぁぁぁぁ!!!!」
ガチャガチャガチャガチャ!
土御門「……」
青ピ「……」
土ピ「不幸にゃ(や)ーーーーーーーーーーーー!!!!!!!」
上条「インデックス!悪かったな、心配かけて」
禁書目録「本当なんだよ!……もう一人にしないって、約束してたのに」
上条「……すまん。でもな、今回のことは」
禁書目録「分かってるよ、とうまは何もしてないもん。けどね、とうまが連れて行かれちゃって……とっても、寂しかったかも」
上条「インデックス……」
禁書目録「とうま……」
一方通行「人の背中でラブコメはやめてもらえませンかねェェェェ!?」
禁書目録「あくせられーた、今からどこに行くの?突然戻ってきたと思ったら抱えられるし、とうまも一緒だし、私はわけがわからないんだよ!」
一方通行「俺が前に使ってたアジトの一つだ。三下が逃げたと知られたら、あの家でゆっくりしてる道理はねェからな」
上条「……ありがとよ。本当に、ありがとう。一方通行、聞いていいか?」
一方通行「手短にしろよォ。演算に集中しないとバッテリーがもったいねェ」
上条「どうして俺を助けてくれたんだ?今回のことは……打ち止めがどうとか、妹達に被害があるとかじゃない。お前からしたら、取るに足りない、関係もないことだったろうに」
一方通行「……」(当事者)
一方通行「チッ、つまンねェことききやがンなァ三下。……ちょっと前に、芳川ってェ女から言われたンだよ」
一方通行「昔の俺なら、てめェが捕まろうとどうなろうと確かにどうだってよかったろうよォ」
上条「……」
一方通行「三下も馬鹿なことォしやがったなァ、だの呟いて、シスターの頼みなンか聞くわけがねェ。もしかすると勝手に作った俺の中のてめェのイメージを崩されたっつって、勝手に失望しただけかもしンねェな」
禁書目録「……」
一方通行「でも、駄目なんだよなァ。それじゃァ全部俺の押し付けだろォが。真偽も確かめねェで俺の勝手な評価でてめェを位置づける、そンなンじゃ駄目だって言われたばっかりなンだよ」
一方通行「いくらクソッタレかもしれねェ相手でも、一度は向き合わないと何もわからねェ……っつゥわけで俺自身でもって、てめェの居場所を突き止めたわけだ」
上条「……そうか」
上条「俺は……俺は猛烈に感動しているぞぉぉぉぉぉ!!あくせられぇぇぇぇたぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!」ガシッ
一方通行「ぬあっ!?ンの馬鹿!!暴れンなァァァァァ!!!!!手をどけろ前が見えねェェェ!!!」
禁書目録「きゃぁぁぁぁぁ!!!堕ちるんだよぉぉぉぉ!!!」ガブッ
一方通行「お前も噛むなァァァァァァ!!!!」
一方通行「いいから顔から手を退けろこの馬鹿!あァァァ!!頭触ンなァァァ!!!!」バタバタ
上条「ロシアでも言ったけど!ほら!やっぱりヒーローなんて必要なかったじゃねぇか!」ジタバタ
一方通行「訳わかンねェェェから早く頭から手を……離s…」バタ…バタ…
禁書目録「ふむーーー!!ほぉまぁーーー!!!」(何だか高度が下がっていくんだよ!とうまー!!)
上条「……お前ももう!誰かにとっての!!今は俺達の!!!最っっっ高のヒーローなんだからよぉぉぉぉ!!!」
一方通行「…………………」
一方通行「マジでェェェェェェェェェェェェェェェ!?!?!?!?!?!?」バッサァァァァァァァァァ!!!
上条「翼が生えた!?」
禁書目録「ふんもっ!!ふむーーー!」(真っ白なんだよ!!物凄い力を感じるかもっ!!)
上条「死ぬかと思いました。あれからもうでたらめな速度で上へ下えと飛び回り、上条さん一行はようやくここまでたどり着けたのです」
禁書目録「とうまが言っていい台詞じゃないかも!」
一方通行「悪かったなァ。何か俺、さっき無敵になれてたような気がするゥ」ニヨニヨ
上条「ご機嫌なとこ悪いけど、お前膝からめっさ血ぃ出てるぞ。歯型の傷跡と」
禁書目録「本当だ!どうしたのあくせられーた?」
上条「インデックスさんが言っていい台詞じゃありませんのことよ」
一方通行「大丈夫だってェのこれくらい……まァ消毒くらいはしとくかァ。バッテリーがもったいねェし、救急箱はどこだったっけな」ゴソゴソ
上条「何にせよ、無事にここまで来られてよかったぜ。……なんか、すっごい散らかってんのな」
禁書目録「そうだね。とうまが夏休みの課題ってやつをしていた時の部屋並にきっちゃないかも」
一方通行「あァ……暫く使ってねェし、ここまで散らす面子でもねェはずなンだが」
上条「本当にここ安全なのか!?」
一方通行「平気だっての。ひょっとすると……」
一方通行「超電磁砲あたりがお前の情報を探るために、早とちりして手当たり次第暗部のアジトを探ってンのかもなァ」
上条「……なんだそりゃ」
一方通行「薄情ったって、俺だって忙しいンだよ知ってンだろ」
一方通行「うるせェ……あァあァはいはい分かりました。黒蜜堂でスイーツですねェ買って帰りますよォ」
禁書目録「なんだか家庭地位の低いお父さんみたいかも」ヒソヒソ
上条「尻に敷かれてるんだなぁ。女四人に囲まれてるなんて、男冥利に尽きるけど……うっ」ヒソヒソ
一方通行「あァ?もうお前まで話が回ってンのかよ。ンで、三下の容疑は晴れたンだな?闇咲くンの退場カードが郵送されてきたのが決定打、と」
禁書目録「」ジトーッ
上条「ま、待てインデックス。今一方通行さんが大事な電話中……」ヒソヒソ
一方通行「そういやそンなもンあったンだなァ忘れてた……あァはいはい帰ってから存分に叱られますゥ。じゃァな」ピッ
禁書目録「待ってたんだよ!!!」ガブッ
上条「あぁぁぁ!不幸だぁぁぁぁぁぁ!!!」
禁書目録「ふぃしふぃです」(儀式です)
上条「生贄です」
一方通行「……あほらしい。さっさと止めろ、もォ帰れンぞ」
上条「ほんとか!?」
一方通行「おォ。俺が襲撃した時、他にも何組かあの施設にいたらしィなァ。被害がけっこう凄いことになって、第三学区にいた黄泉川の班も加勢に行くことになったンだと。で、一応指示を仰いでおこうと黄泉川に連絡が来て、よォやく起きれた黄泉川が自体を終結させた、と」
上条「はぁぁぁ、良かった」
禁書目録「ありがとうなんだよ!あくせられーた!!」
一方通行「べっつにィ。俺が何もしなくても、きっと解決してたろうぜェこの分なら」
禁書目録「ううん。確かにそうかもだけど、あくせられーたがとうまを必ず連れ戻す キリッ って言ってくれたとき、わたしはとっても嬉しかったんだよ!それに、お昼と夜のご飯のこともね!!」
一方通行「気まぐれだァ」
上条「おや、一方通行さん照れてらっしゃる」
一方通行「黙れ三下ァ」
上条「……ハハハ」
一方通行「……フンッ」
禁書目録「えへへ」
禁書目録「とうまは、とってもいいお友達をもったね!!!!」
一方通行「コーヒー臭ェ!!!!」
番外個体「なにその起き抜けの第一声。っていうかあなた顔にサンダルの模様がクッキリなんだけど!うっけるぅぅぅ!」ギャハッ☆
打ち止め「ミサカのだ!って、ミサカはミサカはごめんね見えるところに跡つけちゃって……」☆-(ゝω・)vキャピッ
一方通行「黙れ性悪。クソガキは昼ドラ禁止な」
番外個体「その顔で凄まれても面白いだけだっての!」ギャハハ
打ち止め「そんなぁ!って、ミサカはミサカはあまりの仕置きに猛抗議を表明してみる!!」
一方通行「うっせェ。……三下とシスターは泊まってったのかァ?」
黄泉川「あんたと違って上条の方は学校があるじゃん。先に寝ちまったシスター背負って、桔梗の運転で帰ったよ」
芳川「えぇ。あなたに最後までお礼を言ってたわよ、ヒーローさんは」
一方通行「そうかい。そンで芳川、俺になにか謝ることはねェのか?」
芳川「……どれ?」
一方通行「候補が複数ある時点でさっさと謝れやクソがァァァ!!」
一方通行「……性悪の言うところによると、あの二人には俺の例の事情を説明しそうだァ」
一方通行「……その上であいつらは、俺と番号を交換すること二つ返事で了解したんだと」
一方通行「……まァ、ありがてェよ。慣れない携帯で必死に打ったのがわかるから、目茶苦茶ありがてェンだけどよォ、シスター」
20××/ ○/○○ 7:28
From:index‐nandayo@○○○○
Sub:
めーるをうち のは ひささぶりかも
ちゃんととどいてるなかな?
きのうはありがとう!
わたしとも友ダチになってくれたらうれしいな!
それでこんどはとうまもいっしょに あのおみせいこうね!
いんでっくせより ゆうじょうをこめて
あくせろりーたへ
一方通行「わざとか!?わざとなのかシスタァァァァァ!!!!」
登録番号:008
分類:親友
暴食シスター
登録完了!
一方通行「しっかたねェよなァ、うん。何せ……」
20××/ ○/○○ 9:28
From:give-me-money.i.b.k.t@○○○○
Sub:
上条です!
昨日はどうもな!あれから、お前の家族から実験のこととか聞いたよ
お前が、妹達のためにも前に進もうとしてるってこともな
お父さん、とっても嬉しいぞ(笑)
俺達、今まで色々あったけどさ
親友ってのになるのもわるくないんじゃないかな
短い間だけど昨日お前といて、そう思ったぜ
また会おうな!絶対だぞ!
インデックスもとっても会いたがってっから!
頼むよ!な!
一方通行「……俺達ァ、親子レベルの親友らしいからよォ」
登録番号:009
分類:親友
ヒーロー
登録完了!
『吸血殺しの。能力者占い』
一方通行「……」ジーッ
『里芋の煮っ転がしを喉に詰まらせることで。能力者の。レベルごとに運勢を占っていく。いきます……ングッ」
芳川「珍しいわね、占いなんて。でも他のにしない?私は能力開発受けてないから、この占いだと運勢出ないみたいだし」
一方通行「これが今、樹形図の設計者が無ェ中での一番的中率が高い予報なンだよ……無能力者が低かったら、三下からいきなりヘルプのメールがくっかもしれねェからなァ。予防線だ予防線」
芳川「……彼は本当についてないのね」
『ンゲホっ!!!カハッ!!!!なんで今日はこんなにウェごほ!!!!』
芳川「絵柄最悪ね。どうして朝っぱらから女の子のえづいてる姿を見ないといけないのよ」
一方通行「幸薄そうな女が健気に占ってるってのがウケてンだと」
芳川「悪趣味過ぎでしょ学園都市……」
『お見苦しい映像をお見せしました しばらくお待ちください』
芳川「放送事故レベルならなんで最初から生中継にしちゃうのよ馬鹿じゃないの」
一方通行「このギリギリのライブ感がたまらないんだよ!ってシスターが」
芳川「あの子ほんとにシスター?」
『はぁ。はぁ。出ました』キリッ
一方通行「はぁぁ、またか。覚悟しとかねェとなァ」
芳川「かなりズバッと言うのね、おとなしそうな顔して」
『~~~~~。~~~~。~~~』
『~~~~。~~。~~~~~~~~~~~~~』
一方通行「三下とダチになってからもう三日経ったしよォ、そろそろまた本格的に動こうかと思ってたンだが……」
芳川「そうね、あの二人とはかなり仲良くなれたみたいだし」
『~~~~。~』
『~~~~~~~~~~~~~~。~~。~~~~~~~~~~~~~』
一方通行「今日はやめにすっかなァ」
芳川「頑張りなさいよせっかくなんだから」
『~~そして、レベル5のあなた。今日は。とんでもない一日。どういう幸運か。どういう不運が起こるか。分からない。どちらに転んでも。今日はあなたにとって。重大な局面かもしれない』
一方通行「よし、テンションあがった。行ってくらァ」
芳川「……意外に単純よねあなたって」
一方通行「……平日なのに、木陰なンかでカップルがいちゃついていやがる」
一方通行「お前ら、学校はどうしたァ?あァ?」
一方通行「……まァいい」
一方通行「今日はちっとばっか気合いれっか」
1「……窓の無いビル、ねェ」
2「……おい、なンなンですかァ向こうから近づいてくるやたら光った見覚えのある不快極まりない奴ァ」
3「……『山岳かくれんぼヒューマンドラマ 隠!』映画なァ。面白いのかちっとも分かンねェが、たまには観てみるかァ」
4「……なンか露出狂っかってェくらい布の少ねェ女が、目茶苦茶でかい荷物抱えて困ってるっぽいンだけどよォ。助けるべきかこれは」
5「……嫌な電磁波を感じる。俺の第六感が全力でここから逃げろ、そう言っている気がする」
このレスから先着5レスで多数決です><
一方通行「……人助けもまた出会い、ねェ」
一方通行「考えてみりゃァ三下はそうやって知り合いを増やしてるんだもンなァ」
一方通行「よし、最初は……えェっと、相手のことを褒めつつ……」
神裂「……困りました」
神裂「……とても困りました」
神裂「わたし、神裂香織は上条当麻からあの手紙が来てすぐに、この大量の食料を抱えて英国からこの地へとやってきました」
神裂「だのに……土御門と連絡がつきません」
神裂「わたし、案内がないと彼の家までの道が分からないんですよ」
神裂「それに、統括理事長へも挨拶をしておかねばならないんですが……とにかく土御門はどこにいるのでしょう」
神裂「あぁ!視線が痛い!蟻が飴玉を抱えているようなこの大荷物のせいですか!?それともやっぱりこの服装なんですか!?」
神裂「私だって頑張った!頑張ったんですよ!術式に影響のないよう、少しでも布を増やせるように!でもだめd」
一方通行「あのォ~~~」
神裂「あ!え!?な、なんでしょう!?」
一方通行「目茶苦茶面白い格好をしてやがりますねェ!センターマンの仮装ですかァ!?」
神裂「」
神裂「」ワナワナ
一方通行「あれですねェ!お姉さん…」
一方通行「いい歳してみえて!お茶目な方なんですねェ!!」
神裂「」
一方通行「なにか困ってるみてェでしたけど、よかtt」
神裂「七閃!!!」キンッ
一方通行「なんだぁぁぁ!?(また魔術かよォォ!距離をとらねェと!!)」カチッ
ズガァァァァン……
一方通行「……ハハハ、すっげェなあんた。ンな荷物抱えて、一度に七回の斬撃を走らせます、ってかァ?」
神裂「わたしだって!!流行のスカートとかワンピースとか着たい!着たいんですよ!!!」
一方通行「今度はどんなまやかしだァ?言っとくがなァ、露出狂」
神裂「でもだめなんですよ!春物を試し、夏物に期待し、秋物に期待し、冬物は半ばあきらめて!!そこまでしても、術式に影響の無い服装は見つからなかった!!!!」
一方通行「せっかく慣れねェおべっか使ってやったのによォォォ!!逆切れする年増に容赦はねェぞォォォォォォォ!!!!」
神裂「好きでこんな格好してるわけじゃねぇんだよぉぉぉぉ!!!ど素人がぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!」
ぶち切れ状態のねーちん相手に一方さんはどうなるでしょうか
小休止といううことで、ご飯を作って食べてまいります
>>181
オリアナさんは曇りの日行動安価での候補でした。またの機会に
つっちー青ピはたぶん絡んできますよー
それではまたあとで
一方通行「おらァァァァァ!!(竜巻を右拳に接続!闇咲くンみてェに空気の刃ならこれで……クソがっ!!)」
ズガァァァァン
一方通行「っはァ、あぶねェあぶねェ(はずれだな。それに、一瞬何かが目に映った……)」
神裂「七閃!!!!」
一方通行「くはは!いいねいいねェ!最っっ高だねェ!この俺相手に同じ技の応酬たァ、よっぽど自信があると見えるぜ!(竜巻を背中へ!!とにかくまずは動く!!)」
神裂「……ちょこまかと」
一方通行「そのイカサマが打ち破られちまった時の顔ォ想像するとたまンねェよ!!命乞いする準備はいいだろォなァ!!(何かを高速射出している?触れてみてェが、魔術とやらで制御されるならちとマズイか)」
神裂「……あなた程度に全てをお見せするつもりはありません。これで潰されなさい!七閃っ!!」
一方通行「!!??(なァンでこの速度について来られンですかァ!?)」
ズガァァァァァァン
神裂「……おしいですね。ですが、そろそろ終いです。私からは逃げ切れないと分かったでしょう?」
一方通行「……なァに冷静になってやがンですかァ?それに、てめェはまだ俺に傷一つつけてねェぜ?勝ち名乗りには、ちィっと早ェンじゃねェか?」
神裂「名乗り、ですか。それも必要ありません。私の七閃は……幻想殺しでさえ防げない、最強の斬撃ですよ」
一方通行「!?」
神裂「……その顔、上条当麻を知っていますね。吐いてもらいましょう……七閃!!!!」
ズガァァァァァァァァァ
一方「……くひっ」
神裂「な!?一歩も動かない……!?」
一方通行「くかきけこかかきくけききこくけきこきかかかーーー!!!」
ガッッッ……ギリギリギリギリギリ
神裂「七閃を……掴んだ!?」
一方通行「余計なことォ言っちまったなァ!魔術師改めペテン師さんよォ!!!!」
一方通行「お察しの通り、俺ァあのヒーローの力はよォく知ってんぜ!」
一方通行「右手で消せねェ……だったら話は簡単だァ!!」
一方通行「てめェのやってることは魔術でも何でもなく、そのバケモンみてェな身体能力で何かを操ってるだけだってなァ!!
一方通行「あはぎゃはっ!!案の定だァ!なんなんですかァこのワイヤーはよォ!!」
ブチブチブチブチブチブチィッ!
神裂「!!馬鹿な!!素手で……千切れるような強度ではないのに!!!あなたは……一体なにものですか!?」
一方通行「はァァ?お前、まだ分かってなかったンだなァ……さァァァみなさんご一緒にィィィィィ!!!」
神裂「ひっ!」
一方通行「学園都市第一位の頭脳、舐めてンじゃねェェェェ!!!!」
神裂「っっっっあああああぁぁぁぁぁぁ!!!(肩パン!?!?!?!?!?)」
バギャギャギャギャドーーーーーーン!!
神裂「」
一方通行「さァてと、どう料理してやりましょうかねェペテン師さンよォ」
神裂「」プルプルプル
一方通行「おォ、なんだァ?武器を失っても、まァだ殺りあう気ですかァ!?いいねいいねェ!」
神裂「」プルプルプル
一方通行「……あ?」
1神裂「ひぐっ……うぅっ……ななちゃぁぁん……」一方通行「マジ泣きしてらっしゃるゥゥゥゥ!?」
2神裂「救われぬ者に救いの手を(Salvere000)!!」一方通行「最っ高だねェ!第二ラウンド開始ってなァ!!」
このレスから先着5レスで多数決です><
一方通行「マジ泣きしてらっしゃるゥゥゥゥ!?」
神裂「うえぇぇぇぇぇ!ななちゃぁぁぁぁん!!!」ビー
一方通行「だァァァやめろ、悪かった、悪かったァァァ!だがら往来でいい大人が泣くなァァァ!!!」
神裂「火織は、火織はおとなじゃないです……じゅうはっさいですぅぅぅ!あぁぁぁななちゃんななちゃんんんんん!!!」
一方通行「マジかァァァァァ!?本当年増とかすいませんでしたァァァ!だから裾から手を離してェェェェ!!!」
神裂「ふぇぇぇぇ……うぐしゅっ!うぅ……」フキフキ
一方通行「拭くなァァァァァァァ!!!!」
一方通行「落ち着いたな?」
神裂「……ヒック」コクリ
一方通行「よし、じゃあこのベンチで待ってやがれ。急いで拾ってきてやっから」
神裂「……スンッ そんなこと、できっこないですぅ」
一方通行「学園都市第一位n(ry ちゃんとどこまで飛ばすか計算してあるっつゥの。待っとけよ」カチッ
神裂「あ……行ってしまいました」グスッ
神裂「……かなりの醜態をさらしてしまいましたね」
神裂「しかし……ななちゃんがいないと、わたし、わたしは……」グスッ
女の子「おねぇちゃん、大丈夫?」
神裂「ふぇ?」
女の子「悲しいの?どこかいたいいたーいなの?」
神裂「……怪我ではないですが、ヒクッ、悲しいですね」(脱臼は治しずみです)
女の子「そっかぁ、はい!飴玉あげる!!」
神裂「……ありがとうございます。あなた、お名前は?」
女の子「ななだよ!」
神裂「……」
神裂「ななちゃぁぁぁぁん!!!」ウェェェェェェェェン
女の子「えぇ!?どうしてぇ!?」
母親「ななちゃん!変な女の人にかまっちゃいけません!!!!!」
青ピ「そうやねぇ……結局三日間も捕まっとったから」
土御門「俺達は、なぁんにも壊さず穏便に忍び込んだのに……」
青ピ「どこぞのもんが、カメラは壊すわ電気系統焼き切るわ駆動鎧の制御装置を麻痺させるわ……その容疑全部、僕らにかかってしもうたんやったっけ?」
土御門「そうだぜい。あぁあ、俺達には実行不可能って理由で無罪放免なのは腹立つけど、レベル0でよかったかもにゃー」
土御門「(ゲッ、ねーちんからやばいくらいの着信とメールきてるぜよ)」
青ピ「……そう、やねぇ」
土御門「どうした?」
青ピ「いや、朝の占いで言うとったやん?レベル0の運勢は最悪、外を歩くなって」
土御門「ッハッハッハ、あんな事故映像まがいの占いでなにが分かるぜよ!」
土御門「(……本当はすさまじく高度な占術術式だけどな)」
青ピ「そうやね……よっしゃ!今からがっこ行くのもなんやし!ナンパでもしようやないの土御門くん!!」
土御門「おう!おともするぜy……」
ズガァァァァァン
青ピ「アオピッ!!!」
土御門「空から刀が降ってきたぁぁぁぁぁぁぁ!?!?(姫神やっべぇぇぇぇぇ!!!!)」
土御門「青ピ!?青ピーーー!?くそ、どこのどいつ……ってこれねーちんの七天七刀かにゃー!?!?」
土御門「うわ、すっげ。ねーちんがいつも身に着けてるから分からんかったけどこんなに重いのか」
土御門「いや!感想は後回しにゃー!!ねーちんの診にいったい何が……!?」
一方通行「あァ?土御門かァ?」
土御門「……一方通行。どうしてお前がこのタイミングで現れる?」
一方通行「それ拾いにきたンだよ。ちょっと絡まれて、仕置きのつもりでなァ。大泣きされてたなンねェから、早く持って帰りてェンだよ、よこせ」
土御門「な、泣き……!?嘘を言ってる顔ではないな……」
一方通行「おォ。見ろよこの涙と鼻水の跡。どォしてくれンだこの服高ェのに……」
土御門「……これを機に普通の格好してみればどうかにゃー。ほらっ」
一方通行「黙れ。……どォも。その分じゃお前も知り合いかァ?一緒に来るかよ」
土御門「いや、やめとく。青ピを介抱せにゃならんし……」
土御門「ねーちんのイメージを崩してあげたくないにゃー……」
一方通行「……そォか」
一方通行「悪かったなぁ、そんなに大事なもンだとは思わなくってよォ」
神裂「いえ!あの、こちらも醜態を!というかその、なんといいますか色々とご迷惑を……」
一方通行「あァ、いい、いい。どっちもちィっとばっか短気が過ぎてた、それてあいこだ」
神裂「そうですか……はぁぁぁ、よかったです。ななちゃんが無事で」
一方通行「凄い取り乱し方だったなもンんあァ」
一方通行「……俺はよ、あンまり物に固執するタイプでもねェンだわ」
一方通行「この服も杖も気に入ってるが、なくなりゃ替えがある、そのぐらいのもンなんだけどよォ」
一方通行「どォしてそこまでその刀が大事なンだ?あー、高価なもンだってのは理解できるが……」
神裂「それは……」
神裂「それは、この七天七刀が……わたしの最初の、そして一番の友達だからです」
一方通行「(…・・・分かってたけど、予想以上に痛い人でした)」
一方通行「おォ?ってことは暴食シスターとも知り合いか?」
神裂「えぇ、というか今回は彼女のために……話を続けます」
神裂「幼い頃から聖人といて、時期教皇としての才能を見出された私は、よく言えば特別扱い、悪く言えば隔離ともいえる幼少期を過ごしました」
神裂「6歳になる頃には既に女教皇ですからね。大人でさえ、私とは対等どころか見上げるような態度で接してきましたよ」
神裂「当然、友と呼べる関係が作れるはずもありません」
神裂「同年代のこどもは……ハッキリとは言いませんでしたが、正直わたしが怖かったようです」
神裂「フフフ、そりゃそうですよね……鞠を足先で破裂させてしまうような私と、遊びたいわけありません」
神裂「それで……教皇の重みや、修行の厳しさを相談できる相手、それが……」
神裂「物心ついた時から、常に私のそばにあった。この、七天七刀なんですよ……」
一方通行「……」
一方通行「(……そりゃ刀常備だったらガキは近づけんわ。俺だって怖ェよきっと)」
一方通行「……(はい)」
神裂「……おや、どうやら土御門から連絡のようです」
一方通行「……(正直ドン引きだァそりゃそうだろ。刀が友達って、どんだけバイオレンスだおまえ)」
神裂「……留置所にいたって、何をしたのですか彼は」
一方通行「……(だがよォ、それで引き下がっちまっていいのか、俺)」
神裂「ご迷惑をおかけしました。あの、このこと上条当麻にはくれぐれも……」
一方通行「(なんでこの女はこンな話を俺にした?)」
神裂「聞いてます?」
一方通行「(問われたたから?迷惑かけたから?ンなもンでここまで話すかよォ普通)」
一方通行「(っつゥか、こいつの生い立ち……ちょいちょいどこかで共感できやがる)」
一方通行「(きっと今まで、こンな話はしたことねェみてェだな。土御門の反応を見るに、日頃は随分強がってるみてェだし)」
一方通行「(泣き顔見られて、不意にきかれて、思わず本音が出ちまったってかァ?)」
一方通行「(そンで、お前は俺にどうして欲しいンだよ)」
一方通行「(……なァンて尋ねちまうほど、俺ァもう野暮じゃねェぜ)」
一方通行「別によ……」
神裂「はい?」
一方通行「気にすることねェんじゃねェか?構わねェだろ、刀が友達でも」
神裂「え……?」
一方通行「(てめェはもう十分本音を語った。向き合った)」
一方通行「(今度は、俺の番だな)」
神裂「えぇ」
一方通行「ンじゃァ、それが意味するところは?」
神裂「……レベル5。その中でも学園都市最高の、最強の能力者、ということですか?」
一方通行「そォだ。つまりよォ……俺も周りから、化け物だなンだつって、腫れ物扱いされてたンだわ。これが」
神裂「!!」
一方通行「おォ。俺の能力は見たな?実際はあんなしょっぺェもンじゃねェンだけどよ。ガキの頃からあんな感じだ」
神裂「……」
一方通行「研究所から研究所、クソッタレどもからクソッタレどもへのたらい回し。俺はモルモットだった。それはひょっとるすと今も変わらンねェのかもしれねェけどよ」
一方通行「もちろん、ダチなんていなかった。同年代と会うことはあっても、恐れられるか、死ね!だの言われるかだったからな」
神裂「……」
一方通行「だからよ……その(やべェ、一杯一杯だ)」
神裂「……」
一方通行「お前の、その、それもよ……(助けて闇咲くン!)」
神裂「……」
一方通行「……」ピコーン
一方通行「お前だけがなるような、気にすることでもねェ、異常なことじゃねェってことだ(…いや苦しすぎだろこれ)」
神裂「……」
一方通行「お、俺もよォ!もしお前みたいに手元にずっと持ってるもンがあったら、それを友達にしてたかもしンねェしな!!!(やけだちくしょう)」
一方通行「だから、恥じるんじゃねェ!!」
一方通行「そいつはお前の、立派なダチなンだろォが!!!!!!」
神裂「う、うるさいですよ、土御門!」
一方通行「」死ーン
土御門「一方通行がピラッピラぜよ。どんだけ締めたらそうなるんだ……馬鹿力だぜい」
神裂「黙りなさい!それよりも私の七天七刀!ちゃんと持っていてくださいよ!」
土御門「そんなに気になるなら、別に俺が一方通行を背負ってもよかったんだけどにゃー」
神裂「そ、それは……いえ、こうなったのは私のせいですから、責任はとります」
土御門「おやおや責任ときたにゃー。一方通行を娶るつもりですかい」ケタケタ
神裂「めと……!うっせぇんだよど素人が!!!」
土御門「いやぁねーちんの初心さには負けるにゃー」
シュンッ
結標「騒がしいわね。荷物、届けてきたわよ土御門」
土御門「おぉ、サンキューな結標。ちゃんと上条当麻の家にとどけたか?」
結標「……え?あなたさっきは、ただ上条当麻のところに、って言わなかった?」
土御門「……お前まさか」
とある高校
小萌「かみじょうちゃぁぁぁん!!!そのあふれんばかりの食べ物の山はなんなんですか!!またせんせーを泣かせたいんです!?」
上条「ち、違います先生!いきなり頭上から降ってきたんです!!本当ですって!!!!」
小萌「いいわけわ聞きたくないのです!ふきよせちゃん!やっちゃってください!!!」
吹寄「はい先生!!上条当麻ぁぁぁぁ!!お前というやつはぁぁぁ!!!!」
上条「あぁぁぁぁ!不幸だぁぁぁぁ!!!!!」ゴッ
神裂「わたしが必死に買い集めたあの子のための食料が……」
土御門「……まぁそれもとっくの昔に解決してるんだけどにゃー」
神裂「!?」
土御門「まぁいいぜよ。さっさとアレイスターんとこに顔見せにいくにゃー。結標、やってくれ」
結標「……いいの?土御門」
土御門「?なにがだ?」
結標「いえ……その」
結標「……あなたが気づいてないなら、それでいいわ」
土御門「?」
ヒュンッ
ヒュンッ
土御門「久しぶりに来たny……ってなんぜよこの通路に積まれた箱の数々は!?」
結標「早めのお歳暮みたいよ。世界各地から届くから、この時期から送るようアナウンスしてあるの」
神裂「……私もここに来るのは数度目ですが、なんだか一気に所帯じみてみえますね」
結標「運ぶ私の気にもなって欲しいわ」
土御門「……無駄話はよそう。早く……」
神裂「あ!梅干がある……どこのど素人ですか贈呈用にこんな容器を選ぶとは」ブツブツ
土御門「ねぇぇぇちぃぃん!?梅干職人の肩書きはこの際捨て置いてくれないかにゃー!!」
結標「(……発泡性入浴剤があるわ)」
神裂「ですが、土御門。こういった衝撃・日光にさらされる場合には一番適した素材で保存しないと大変なことに……」
土御門「どうせそれを食うのはねーちんじゃねぇぜよ!!早く進ませてくれ!!」
結標「(……小萌に持っていってあげよう)」ガサゴソ
土御門「そこも猫ばばすんのやめろぉぉぉぉ!!」
神裂「あ、ありなんですか?じゃあわたしも……」ゴソゴソ
土御門「あれだけ文句言っておきながら喰いたいのかにゃぁぁぁぁ!!」
神裂「やっぱりあなたもほひかったんじゃないrふか……」チュパチュパ
土御門「食うのがはやぁぁぁぁい!!仮にも今から会うのは学園都市のトップぜよぉぉぉぉ!!!」
神裂「……やばいこれちょーうまいんですけど」
土御門「キャラが違うぅぅぅぅ!ちょっとまって、ねーちん!あんたがぼけるとほっとけないから先に進めないぜよ!結標をみろ!おとなしく歩いて……」
結標「『おねぇちゃん!泡泡のお風呂楽しいね!』そう、フフフ。それじゃあ今度はおねえちゃんをあなt」
土御門「言わせねぇにゃぁぁぁぁ!!!さっきの同居人思いのお前はどこいったぜよ!!!もうやだなにこれ!!!俺もぼけ担当だったのになにこれ!!!」
神裂「適材適所です、土御門。先程まではほぼツッコミ…?だった彼が寝てますから」
一方通行「」スヤスヤ
土御門「おきてぇぇぇ!学園都市第一位の頭脳起きてぇぇぇ!お前のこと甘くみてたにゃぁぁ!俺にはもうむりぃぃぃぃ!!!」
アレイスター「……騒がしいな」ゴポゴポ
神裂「アレイスター、梅干好きですか?」
土御門「流れをぶった切るなねーちぃぃぃぃぃん!!」
アレイスター「いただこう。結標」
結標「はいはい」
ヒュンッ
アレイスター「……ちょーうまいなこれ」
神裂「ですよね」
土御門「仲良しかっ!というか結標も慣れてるな!?」
結標「アレイスター餌付け係りは他でもない私よ」フフン
アレイスター「介護とも言うな」
土御門「自分で言ってたら世話無いな……」
アレイスター「……ざれごとはいい。それで」
アレイスター「どういうつもりで一方通行を連れて来たのだ?土御門」
土御門「……それは」
1仕事モード土御門「こいつが俺の、友達だからだ!」
2つっちー「なぁに言ってるんだ、これは超リアル・アクセラ人形だにゃー!!」
このレスから先着5レスで多数決です><
アレイスター「……」ゴポゴポ
神裂「……」
結標「……」
土御門「っはっはっは、流石のアレイスターもだまされたみたいだぜよ!!!!」
アレイスター「……」ゴポゴポ
神裂「……?」
結標「……」
土御門「っすげぇできだろう?ホラ、見ろ!!ガリガリ体系を極限まで再現したこの造型!!!!!」
アレイスター「……」ゴポゴポ
神裂「……」
結標「……」
一方通行「……」
土御門「驚きの白さ!モヤシの名はだてじゃないにゃーー!!」
アレイスター「……」ゴポ
神裂「……」
結標「……」
一方通行「……」カチッ
土御門「それに見よ!体毛は天然ものを移殖してるにゃーー!こう、根元まで……」ガシッ
キュイーーン
土御門「あり?なんで反射がはたらいてるz……」
一方通行「……」
土御門「……」
一方通行「……」
土御門「……」
一方通行「……」
一方通行「スクラップの時間だぜェェェェェェ!!!つゥゥゥゥゥゥゥゥゥちみかどくゥゥゥゥゥゥン!!!!!!」
土御門「ま、待つにゃー俺はお前を守るために……ああああああぁぁぁぁぁぁぁあああ!!!!!」
バッキャァァァァァァァ!!! キラーン
一方通行「馬鹿言えあほみかど。手加減してなかったらてめェが原型とどめてるわけねェだろが」
アレイスター「わたしも流石に寸前でちょっとだけ手を出したからな。土御門はまだ使える男だ、失うのは惜しい」
土御門「ぜんぜんうれしくねぇぜよ……そっちの二人は止めようともしてくれないし」
神裂「わたし、さっき彼にボロ負けしてるので」
結標「わたしも、軽くトラウマなので」
土御門「息があいすぎだぜい!?ホントになんなのお前達!!」
一方通行「黙れ三下ァ……でェ?」
一方通行「てめェがクソッタレの、学園都市統括理事長アレイスター=クロウリーかァ?」ギロリ
アレイスター「……いかにも。あいたかったよ、私のメインプラン」ゴポゴポゴポゴポ
土御門「(そういや修羅場だったことに替わりねぇんだったぜよ)」ダラー
神裂「(ジャクジーですかね?女子寮にほしい……)」ジーッ
結標「(……あわ菌ってなによ)」ムスー
アレイスター「ふふふ、20年も生きていない君に、百年越しの回合の瞬間の喜びなど、分かろうはずもないのだがな」
一方通行「あァ、分かりたくもねェなァ……俺が生きている間に百年も、てめェを野放しにするわきゃねェだろォが」
アレイスター「エイワスにこてんぱんにやられたことを忘れたか?きみでは、まだ。今の領域のキミでは私にはかなわんよ」
一方通行「確かになァ……それに、てめェにも俺を殺る意思はねェとみえる……今の領域の?俺は?ってかァ?」
一方通行「くかか、おもしれェ」
一方通行「……見下してンじゃねェぞォォォォォ!!!!」
土御門「(……あまりの展開に水を差さないよう、二人の口は俺がふさいどくにゃー)」
神裂「(……離せってんだよど素人が!)」
結標「(……なによ!離しなさいよ!それか十歳戻って抱きしめてよ!!!)」
アレイスター「……いたってまじめだ」
一方通行「……」
神裂「歴史的告白ですね……」
土御門「ちょ、ちょっと待つんだ!アレイスター!!!」
アレイスター「うるさいぞクソアロハ」
土御門「てめ……いいから待て!どういうつもりだ!?お前が、学園都市の住人全員を駒のようにしか思ってなかったお前が!?どういう風の吹き回しなんだ!!!」
アレイスター「……おかしなことを聞く。人が人に好意を持つことが、なにか問題があるか?」
結標「好意……ねぇ。あなたの口から聞かされても、まったく現実味がないわ」
一方通行「……」
土御門「同感だ!一体、なにをたくらんでいる!?」
アレイスター「……ゴチャゴチャとうるさいな。……何を考えている、か。ふふふ」
土御門「!!(やはりなにか!!……まさかプランの進行を!?)」
アレイスター「……」
アレイスター「あ~、昨日、夢で。一方通行と友になればその、いいって。エイワスが」
土御門「……」
土御門「うそっぱちじゃねぇかにゃぁぁぁぁ!!!今考えてんだろぉぉぉ!!」ガンッガンッ (七天七刀の鞘でビーカーを殴る)
神裂「シリアスな空気返しなさい!ど素人が!ど素人が!!!」 ガシッガシッ (蹴り)
結標「……」ヒュンッヒュンッ (ビーカーにバブ投入)
アレイスター「ふふふ、血気盛んだな。結標はあとで殺す。絶対に死なす」ブクブクブクブクブク
一方通行「……」
土御門「なに?」
神裂「正気ですか?」
結標「相手はあのアレイスターよ?」ヒュンッヒュンッ
一方通行「やめろっつってんだろあいつ死ぬぞマジで」
アレイスター「むすブクブクブクじブクブクブクkrブクブクブク」
一方通行「おィ、統括理事長よォ。俺ァここ何日かで成長したつもりだ。他人の気持ちをおもんぱかる、ってところがな」
アレイスター「……そのようだな」
土御門「……(絶対嘘にゃー俺は殺されかけたにゃー)」正座中
神裂「……(そうですね。彼の言葉に、私は救われました)」正座中
結標「……」正座中+目隠し中
一方通行「だからよォ、最初の……ダチになりてェのが本当ってのは分かる。だがなァ、その理由がでたらめだってのも、知ってンだぞ俺は」
アレイスター「……」
土御門「……(ちょっと待てじゃあなんで俺達正座させられてんだにゃー)」
神裂「……(梅干もっと食べたいんですかね)」
結標「……(目隠しプレイってつまんないわね)」
一方通行「本当の理由、俺に言ってみろ。この、学園都市第一位の頭脳によォ」
アレイスター「……実は、な」
1ちょっとしたお茶目のつもりでした「……すまなかったな。冗談だ、冗談」
2ビーカー漬けの☆さんは……「美食倶楽部の料理が……食べたいんだ」
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一方通行「」
土御門「」
神裂「」
結標「」
アレイスター「……言いたいことは分かる。ビーカーから出られなくてもお前同次元に複数出現とかチートできるだろ、とか。そういうことを言いたげな目をしている……ふふふ」
アレイスター「もちろん可能さ。この部屋を、アレイスター20000体で埋め尽くすことできる。やったことないけど」
アレイスター「……だが、な。あそこの店、完全会員制だろう?」
アレイスター「……統括理事長の名で通ると思ってたよ。あたりまえだろ理事長だぞ偽装IDなんて使ってたまるか理事長だぞ」
アレイスター「……そうしたら」
~回想~
アレイスターβ「初見だ」
店員「ご足労いただき大変ありがとうございます。ですが、当倶楽部は会員制。会員のお客様かそのお連れ様。または会員のお客様からの推薦状がありませんと……せっかくなのですが、お引取りください』
アレイスターβ「ふふふ、私の正体を知っても、そのような態度がとれるのかな」
店員「……は?」
アレイスターβ「IDだ。見たまえ。私こそこの学園都市統括理事長、アレイスター=クロウリーその人なのだよ」
店員「……」
アレイスターβ「驚いているようだな。なに、咎めはしない。ここで一番いい席を……」
店員「アッハハハハハハハハハハ!!!」
アレイスターβ「?」
店員「お客さんwww統括理事長とかいう超都市伝説wwwwwマジにしちゃってんですかwwwww」
アレイスターβ「……え」
店員「あんなもんでたらめにきまってんじゃないですかwwwww超ウケますwwwwww」
アレイスターβ「あ……あれ?」
店員「私もねwwwwちょっと前に超暗部いましたよwwwwwけどwwwwンな人マジで見たことないですよwwwwwww」
アレイスターβ「」ワナワナワナ
店員「ブッハwwwwwなにも噂通りの格好しなくてもwwwwwww写メっていいですかwwwww浜面に送るんでwwwwww」
アレイスターβ「うわぁぁぁぁん」ダッ
店員「くかきけこくかきかかかーーーーwwwww噂の統括理事長wwwww泣きながら夜空を舞うwwwwww超ウケるwwwww」ピロリーンピロリーン
~回想終了~
アレイスター「……さぁ」
一方通行「」
土御門「」
神裂「」
結標「」
アレイスター「笑えよ」
一方通行「」
土御門「」
神裂「」
結標「」
アレイスター「笑ってくれ、たのむから……」
17600号「……不覚でした。空間移動能力者と合流するとは思わず、彼の足取りを追うことができなくなりました。申し訳ありません、と、ミサカ17600号は作戦本部にて頭を下げます」
番外個体「……それで、あのクッソッタレの第一位様は」ビキビキ
打ち止め「……見失う前、超絶ボディの露出狂と一緒だった上、あまつさえ背負われてたのね?ってミサカはミサカはあまりの怒りに怒髪天!!」ビキビキ
芳川「落ち着きなさい。アレイスターのところ、確かにそう言ったの?」
17600号「はい。上条当麻の同級生の金髪アロハが、さらしを胸に巻いた女にそう言っていました」
番外個体「ちょっとぉぉ!なんで露出狂が増えてんのよぉぉぉ!!!」ビキビキビキ
打ち止め「……おまいなにしてんの?なんでそんなんでスネーク名乗ってんの?って、ミサカはm……とりあえず後でお仕置きな」ビキビキビキ
17600号「ひぃっ!」
黄泉川「も~いい加減にするじゃん!二人とも!一万人友達を作るってきめた以上、女友達はいつか出来るってわかってたじゃないか」
番外個体「それとこれとは話が違うぅぅ!なぁんでもっとまともなのと仲良くなれないかなぁぁあのモヤシは!!!」
芳川「それは……あの子自身まともじゃないからとしか……」
17600号「同居人からのあまりの評価にミサカ17600号は軽くセロリに同情を感じえません」
番外個体「鬼太郎かあんたは」
17600号「オイ、キタロウ!!」
番外個体「あんたも父じゃなくて妹だろ」
芳川「仲が良いのは分かったから。彼はどこにいるの?すぐ近く?」
打ち止め「ん~~っとね!割とちかいような……」
ピンポ~~~ン
打ち止め「大当たりぃぃぃぃぃ!!ってミサカは玄関に向かって猛ダッシュ!!」
番外個体「あ!待ちなよおちび!!ミサカもいくぅぅぅ!」
黄泉川「犬猫みたいじゃん」ハッハッハ
芳川「尻尾はないけどね」クスクス
17600号「なにこいつらマジアットホーム。ミサカもこんなお家がほしい」グスン
番外個体「……どういうこと?」
神裂「あ!!その、どうもはじめまして!!!わたくしイギリス正教必要悪の教会に所属しております……あ!元は天草式十時凄教で女教皇の任を……」
ヒョコッ ペシッ
神裂「いたっ」
一方通行「落ち着け。どォもォ学園都市第一位一方通行でェす」
番外個体「いや知ってるし。私らが言いたいのはあなたがどうして背負われてるのかっていう……」
ヒョコッ
結標「大能力者で座標移動の結標淡希で~す」
番外個体「服装については十分突っ込む余地ありなんだけどちょっと下がってて。あのね、バッテリーが切れてるわけでもないのにどうしてあなたは……」
ヒョコッ
アレイスターβ「統括理事長のアレイスター=クロウリーだ」
番外個体「うん、あなたを流しちゃいけないのは凄く良く分かる。でもマジ黙っててミサカストレスに弱いのちょっと黙ってて。スー、ハーーーーー。よし。で、第一位さまはなぁぁんで女の人に背負われて……」
ヒョコッ
土御門「呼ばれて飛び出て土御門元春だn」
番外個体「黙れって言ってんでしょぉぉぉぉぉぉ!!!」バリバリバリバリバリ
土御門「なんで俺だけあbbbbbbbbbb」
黄泉川「ごめんな土御門。あの子もそこまで悪気があったわけじゃないんじゃん」
芳川「ただ、心配していたところに帰ってきたと思ったら、知らない女の人と一緒だったことが凄く嫌だったのよね。同じ場にいた打ち止めのも拾うからストレス倍増だし」
黄泉川「二人ともまだ子供じゃん。一方通行が誰と仲良くなっても最後には帰ってくる場所を邪魔されたくないんじゃんよ」
土御門「……じゃあ尚のこと、あの会話に入っていこうとするのは子供には進められないと思いますにゃー」
アレイスター「……きみも苦労したな。虚構の友、か。ふふふ。私もエイワスが本当にきてくれるまでは似たようなものだった……エイワスが洋ロリじゃなかった時は絶望しかけたよ」
一方通行「おォ。闇咲くンを最初見たときゃァ、ホント一歩間違えれば学園都市半壊レベルで暴れる寸前だったしなァ。でも、あの時があるおかげで、今の俺達があンだよなァ」
打ち止め「ミサカは!?ミサカは!?ミサカもあなたの役に立ってるのかな!?ってミサカはミサ……ふにゃ~~!頭撫でないでぇぇってミサk……」
神裂「そうですね。つらい修行時代、天草式のみんなから別れを告げる時。ななちゃんがいたおかげで……わたしはわたしであり続けることができました」
結標「そうよね。私もお医者さんに『ひょっとしてあなたの言う弟というのはすべてあなたの思い込みなのではないですか?』って言われて……それでようやく現実の男の子たちに目が向くようn」
番外個体「ちょろっとぉぉぉぉぉぉ!!!あなただけ毛色が違くないぃぃぃぃ!?おちびに悪影響を与える話はやめてほしいんですけどぉぉぉぉぉ!!!」
黄泉川「……あれは、なんなんじゃん。っていうか誰だ酒もちこんだの」
土御門「……互いにちょっとずれちまったやつらの集まり……いや」
土御門「傷のなめあい、の方が正しいかにゃー……」ハァ
黄泉川「……」ハァ
芳川「……(コーヒーの準備はしておこうかしら)」コポコポ
土御門「いやぁ…・・・遠慮しときますにゃー」
芳川「そう……あの子には少しでも友達を増やして欲しかったんだけどね」
土御門「……すまんぜよ。あいつとは友達といえる段階に至るには、少しばかり闇で関わりすぎちまったぜい。あ、嫌いとかじゃ全然ないんですにゃー。元同僚ってぇ位置が、俺とあいつにはちょうどいいんですたい。きっと」
黄泉川「そうか、じゃん」
芳川「仕方ない、わね。元同僚として、これからも接してあげて」
土御門「当然だ」
土御門「……」
土御門「……(俺のまいかラブも相当だけど、さすがにあれと一緒にはされたくないからにゃー)」
アレイスター「エイワスが~~天使の~~プラン~~~理事長の存在感~~~」
一方通行「闇咲~~~闇咲~~~~~三下シスター~~~~ダチ~~~一万人~~~」
打ち止め「その梅干は黄泉川が炊飯器で作ったんだよ!ってミサカはミサカは興味津々なおねえさんに教えてあげる!」
神裂「!?」
結標「なにかないの、第一位の恥ずかしい写真とか。子供の頃の」
番外個体「恥ずかしい歴史は絶賛製造中じゃんあんたたち……ってか本当の理由は絶対に後者の方でしょ」
結標「」スヤスヤ
番外個体「ぎゃは!ミサカを褒めてよね~暴走入りそうなこの人に酒飲ませまくって潰したんだからさ~~」バシッバシッ
一方通行「お前こそ大概飲みすぎだァ性悪。頼むなァ俺はこっち送るからよォ。第三学区のホテルでいいンだな?」
神裂「えぇ!?そんな、かまいませんから!」
土御門「なに言ってるにゃーねーちん。ねーちんがここからホテルに行こうとしたら、結局どこかの公園で野宿するはめになるに決まってるぜよ」
神裂「だ、黙りなさい!そんな、私は……くっ!!いいじゃないですか野宿!それにわたしにはななちゃんがいます!!!」
アレイスター「(強がりっぽく聞こえるが結局は『刀があります!!』だから、『確かに!!』と言えてしまうな)」
一方通行「だァめだ。お前がなンと言おうが送ってくかンな」
神裂「そ……そうですか」
土御門「お……」ニヤニヤ
番外個体「……なぁんかその人に優しくない第一位。気持ち悪いんですけど」
一方通行「馬鹿言え」
番外個体「もしかしてぇぇ!送り狼ってぇやつかなぁぁぁ!!ぎゃっは!おねーさんこのもやしが襲ってきたら股間蹴り上げちゃっていいからね!どうせたいしたことないもんだしさぁぁ!」
神裂「こ、こかん!?そんな真似、いやいやいや受け入れるというわけでは決してですね……」
一方通行「なァに言ってやがる。お前ほんと飲みすぎだ。先寝てろよォ」
番外個体「……なにさ。噛み付く気もないって。俺は大人ですアピールですか」ブッスー
アレイスター「……」ニヤニヤ
土御門「……」ニヤニヤ
神裂「……」
一方通行「……」
一方通行「……(カッキーロイヤルホテルが拝めるぜェ!!!)」ワクワク
一方通行「おう。俺のほうこそな。今は替えの杖あるからこうしてっけど、今日の大半はお前に背負われてたらしいしよォ」スタスタ カツカツ
神裂「いえいえ、それは私が……その、あの時折ってしまったのが悪いですから」
一方通行「そうなァ……お、見ろよ。あそこだなァ俺達が殺りあったのは」
神裂「……警備員がいますね」
一方通行「かかか!さっさと消えて帰っちまったが、アレイスターとダチになってよかったよなァ。俺もお前もお咎めなし!だァ。こいつらは事件迷宮入りで始末書倍増、ご苦労なこって」
神裂「そうですね。私も、アレイスターとこうなれるとは……まぁ私達も半日前まで殺しあっていたわけで、ここはその現場なのですが」
一方通行「くかかかか!縁ってのはどう働くかわっかンねェなァ!結標があそこまで喋れるやつとは思わなかったしよォ……」
一方通行「なンか俺が持ってた木原くン印のアルバムばっか見てたけど」
神裂「……(あれは彼女じゃなくても見てしまいますよ。なんですかウサギの着ぐるみって)」
一方通行「あァ、そうかい」
神裂「ただ……あそこまで話したのは、あなたが初めてでしたから。ななちゃんと同じくらい私の弱気を知り、慰めていただいた。だから、そう思ったんですよ」
一方通行「……へっ、ななちゃんは喋りやがンのかよ」カカカ
神裂「考えてみたら、あれから私は……そこそこ女性の知り合いはできましたが、男の方とは、ここまで話す仲になったのも初めてです」
一方通行「おォ」
神裂「で、ですので……あ、一方通行!!」
一方通行「なんだァ?」
神裂「わたくし神裂火織と!!!と、友達になってください!!!!!」
一方通行「……」
神裂「あ……駄目、ですかね」
一方通行「……ハッ、なァにを今更(マジかァァァァァ!?)」
一方通行「そんなことわざわざ言わなくても、あの二人だって俺だって、理解してンぜ?(この見た目に反して清純な女が!?)」
一方通行「俺たちゃ、とっくの昔にダチだろうがよ!!(ちょいエロメールで俺を困らせてたかおりさん三十八歳だってのかよォォォォォォ!?)」
神裂「」パァァァァ
番外個体「言わずもがな、この白もやし=虚弱体質=糞ヘタレはその後あのおねえさんにまたまた抱きしめられ」ハァ
黄泉川「気絶して、送りに行ったのにまた背負われて連れてきてもらったあげく」ハァ
17600号「お酒が入ってしまって女史二人は運転できないため、このミサカがお見送りしたのでした、とミサカ17600号は功績を称えられお泊り&朝食同席の許可をいただいていることに感謝しつつ報告を終えます」
芳川「あなたワンパターン過ぎよいいかげんにしなさい」
一方通行「るせェ!おいクソガキ、もうちょい右だ右」
打ち止め「凄い痣だねぇ~ってミサカはミサカはあなたの背中にシップをはるお手伝い!」
番外個体「まったくあなたってさぁ、せっかくのラブコメでも全っ然締まらないよね。ユルユルガバガバだよ思考回路が……」
一方通行「口が悪いできそこないはちょっと黙っててくださァァい、二日酔いの頭シェイクされたいンですかァ?」
番外個体「上っ等だよ白モヤシ。ぎゃは!じつはおねーさん襲っただけじゃないのかその粗末なもんひん剥いて確かめてみましょぉかぁ!!!」
黄泉川「番外個体がかまってもらえて嬉しそうじゃん」ズズズ
17600号「キレデレというやつでしょうか」ハフハフ
番外個体「そこ二人も黙るぅ!」
一方通行「あァるせェな。ったく」
一方通行「昨日は、酷ェ一日だったぜ」ハァ
一方通行「美食倶楽部かァ?おい、店員の再教育しとけ。超超うるせェやつだとよ」
一方通行「おォ……いや悪かった。今日はそンなみみしいこと言いたくて電話したンじゃねェ」
一方通行「予約だ。3……いや、やっぱ5人。とにかく量用意しとけェ一人が化け物みたいに喰うからよォ」
一方通行「夜8時だ。おォ、頼むな」
一方通行「……よし、これで……がっ!!」
一方通行「なンだ!?目がチカチカする……頭の中になにか……映し出され……」
20××/ ○/○○ 6:50
From:do-not-for-get.i-am-toukatsu-rijicho.@under.Line
Sub:
携帯を持っていないのでな……君のチョーカーを介してこれを送る
昨日はステキな出会いに感謝しているよ
これほどのことは幾十年ぶりだろうか キミのおかげだ
学園都市外に行きたい時は気軽に声をかけるといい。すぐに許可を出そう
それでは 会食も大変楽しみにしている
統括理事長 アレイスター・クロウリー
一方通行「怖ェことしてンじゃねェェェ!!!そしてアドレスらしきものが長ェェェェ!!」
一方通行「明日は先に携帯選びにいくかンなァァァァ!!!」
登録番号:011
分類:親友
アレイ☆
登録完了!
一方通行「……よし、昨日の侘びもこめて今度はこっちからかンざきに……」
ピリリリリッ
一方通行「思った矢先かよ。あいつホント義理堅いな」
一方通行「……考えてみりゃ、あれは俺から喧嘩ふっかけてねェか?いや、闇咲くン時もか?あれ?」
一方通行「……なのによォ」
20××/ ○/○○ 7:10
From:Salvere000@○○○
Sub:
おはようございます。お体大丈夫ですか?
明日の夕餉も大変楽しみにしてます。お誘いありがとうございました
……メールというものはやっぱり慣れません。
筆で書いたものがもっと早く届く方法が、学園都市にあればいいのですが
あの、電話機能はばっちりなんです 必要を迫られましたから
なので……たまに電話をかけてもかまわないでしょうか!?
無理は言いません!あなたも、友達作りで忙しいでしょう
お返事、お待ちしています
それでは
p.s 今日はあの子の所へいくので、よろしく伝えておきますね
一方通行「……」
一方通行「……ケッ」
一方通行「ほンっとお人よしだぜ、どいつもこいつもよォ」
ピッ
ピッピッ
プルプルプルプル……
登録番号:012
分類:親友
かンざきかおり
登録完了!
芳川「なに?まさか結婚とかは勘弁してよね式で暴れてやるわよ」
一方通行「僻みすぎだろ。違ェよ。ってかどこにンな相手がいるってンだ」
芳川「いやいやいいから。あなたにそういうの誰も求めてないから。食飽気味だから」
一方通行「黙れ。話続けるぞ」
芳川「……今更そこに突っ込むのね」
一方通行「るせェ。でな、なァンで一万人かってことも考えたンだが……それって、妹達もありってことなンかァ?」
芳川「えぇ、もちろんよ。あなたが彼女達を個々として扱っているというなら、それはもちろんカウントするは」
一方通行「ったりめェだろ。よし、じゃァ打ち止めに……」
芳川「そう、その場合打ち止めの管理者権限を使って説得に入ればいい。世界中を回るのは大変だからね」
一方通行「まァアレイスターに頼めば音速旅客機貸してくれンだけどな。一昨日もジンギスカン食いてェっつゥから……」
芳川「でもね、ちょっと問題があって……今現在、妹達の感情決定権は打ち止めにないのよ、これが」
一方通行「はァ!?なンだそりゃ!?」
一方通行「……クソが。じゃァなにか?妹達には今、俺とはダチになるっていう感情の許可が出てねェ、そういうことか?無茶苦茶だな大丈夫か?」
芳川「……平気よ。みんなそう言っている」
一方通行「……深くは聞いてやンねェよ。でェ?今その権限とやらは誰が持ってんだァ?海外の個体なら色々と準備しねェとなァ」
芳川「……」
一方通行「あァ?どォしたよ」
芳川「……ごめんね」
一方通行「いや謝ンな怖ェよなンなンですかァ!?」
芳川「最も人格形成が進んでいて、最も自我があり、データ的には良識的、ある種の特殊個体と言えるような。そんな個体」
一方通行「ほォ。妹達もそこまで進ンのかよ。それで、誰だよ。何号だ」
芳川「……」
芳川「20000号」
一方通行「うそだァァァァァァァァァァァァァ!!!!!!!!!」
芳川「いや私達だって絶対嘘だと思ったわよ。替え玉使ったとか、データ改ざんしたとか。最終的に強制自白剤まで使ったのよ」
一方通行「さすがに酷くね?」
芳川「でも本当なのよ……まぁ生粋の犯罪者には嘘発見器も意味が無いっていうらしいけど」
芳川「とにかく、妹達と友達になりたいのなら。20000号を説得しないとだめよ」
一方通行「マジかよ……おい!打ち止め!!」
打ち止め「え!?ミサカ入っていいの!?ってミサカはミサカは自室から居間への扉からヒョッコリ顔を覗かせてみる!」
一方通行「当たり前だろ、なに言ってンだ?」
打ち止め「いやぁ、こういう時の前フリはあなたと芳川だけのお仕事なのかなぁって思ってたから、って、ミサカはミサカは締め前に出られてとってもとっても満足気な顔をしてみたり!」ワーイ
打ち止め「うん!そうだよ!」
一方通行「……はァ。そンじゃァちょっと」
ピッピッピッ
プルp
ガチャッッ
20000号『セぇぇぇぇぇロリたぁぁぁぁぁん!?!?!?どどどどどういうことかなセロリたんの方からお電話なんて漏れまじ濡れちゃいそうだよ漏れだけに受け家けけけけけけけけけけケケケケケケケケケケけけけとミサカは大興奮のあまりセロリたんの生写真にあつい口付けをおとします』
打ち止め「」
芳川「」
一方通行「おい芳川これをふまえてさっきの台詞もっかい言ってみろ誰のどこが良識的なンだよこら芳川こら」
一方通行「おォ、その通りだ。てめェ今どこいンだよ。ちょっと会って話を……」
20000号『逢引!?逢引なのセロリたん!!マジかーーー!遂に漏れの時代がきたぜんにゃろぉぉぉ!!とミサカは超リアル・アクセラ人形(上下はだけ済み 裸にあらず)を抱きしめます』
一方通行「いつ作ったァァァァァ!?」
20000号『先々月かな~妹達にもかなりはけてミサカ一時ウハウハヌレヌレでした!とミサカは暗にもうその金使い切ったから返せねぇよとセロリたんにお伝えします』
一方通行「どいつだ畜生ォォォォォ!!てめ、ほンっっっとに無茶苦茶だなくそがァァァァァァァァ!!!!!」
打ち止め「……」(持ってる)
芳川「……」(流通担当)
芳川「おかしいわねぇ……いや、素行はもちろん分かってたけど」
打ち止め「MNWでもいつもあんな感じでBAN常連者だよ!って、ミサカはミサカは下位個体の性癖にため息をもらしてみたり」ハァ
一方通行「あいつの居場所は今分かンのかァ?」
打ち止め「……」フリフリ
芳川「ネットワークから切ったのね。あの子がいる研究所は第七学区よ」
一方通行「もう研究所にはいねェな……なンか手がかりはねェものか」
打ち止め「あ!ハーイハーイ!って、ミサカはミサカは手を挙げて名案が浮かんだことを誇示してみる!!!」
一方通行「はァい、そこのちびガキ」
打ち止め「あのねあのね!」
打ち止め「お姉さまに頼んでみようよ!って、ミサカはm」
一方通行「却下だバカやろう」
打ち止め「即答速攻大否定!?」
打ち止め「でも!でも!電磁波のレーダーにかけてならお姉さまはあなたより正確に……」
一方通行「黙れクソガキ。この話は終いだ」
打ち止め「うぅっ……だって、いつまでたってもあなたとお姉さまが……」
芳川「そもそも一方通行が避けてるんだけどね」
一方通行「……」
芳川「一方通行。私が言ったこと覚えているかしら?」
一方通行「……向き合うことがどう、とかか」
芳川「そうよ。この前言ったのは、自分と違う人とも、ってことだけど……」
芳川「相手が苦手だ、とか。嫌われるんじゃないか、とか。拒絶されるのを怖がっていたら、いつまでたっても前へ進めないわよ」
一方通行「……」
芳川「あなたはもちろんだけど……じつは、その相手だってね」
一方通行「……」
芳川「でも、あなたはもうそれに挑むだけの覚悟がある。私はそう信じていたのだけど」
一方通行「……」
芳川「甘かった……かな?」
一方通行「……」
一方通行「芳川ァァァァァ!」ダキッ
芳川「ふふ、お泣きなさ……あなたほんと細いわねむかつくわ」
打ち止め「ミサカも同じようなことが言いたかったんだけど!どうして!って、ミサカはミサカは不平等さに腹を立ててみたりぃぃぃぃ!!」キィィィィ!
ガチャッ
番外個体「ちょっとぉぉぉぉ!!何か知らないけどおちびがむかつくようなことしてんじゃ……って第一位が芳川にチョークスリーパーされてるぅぅぅぅぅぅぅ!?!?!?」
ギチギチギチ
芳川「なん……なのよこの細さ……同じもの食べてるでしょ」
ギチギチギチ
一方通行「運動量の……差だろ……糞ニート……グフッ」
一方通行「番外個体が止めに入ってなかったら折れてたぞこれ……あのガキはなんだ、のこったのこったって、それ相撲だろォがよ」
一方通行「お詫びにって、腕のいい探偵社紹介してくれたけどよォ……どうなンだこのネーミング」
一方通行「……腹ァくくっかァ」
1覚悟を決めて御坂美琴のところへ「常盤台女子寮、ここだな……ってェ、女子寮前にいるあの花畑は……」
2やっぱりあいたくねェ。探偵社へ「……世紀末探偵公社HAMAZURA!!……間違ってるし」
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佐天「うっへぇ、相変わらず立派だよねぇ常盤台の寮は。ね、初春!」
初春「ですね!佐天さん!私なんだかテンションが上がってきました!今日はあくまでも元気の無い御坂さんを励ますためのホームパーティーなのに!だめですよね!!だめですよね!!!」ワクワク
佐天「へぇ、テンションが上がってるの~どうりで私がさっきから初春のスカートの裾を持ち上げてることに気づかないわけだぁ」
初春「のっへぇぇぇ!?な、なにしてるんですかぁぁぁ佐天さん!佐天さん!」ポカポカ
佐天「あっはははははー!初春のくせにロングスカートとは生意気さ~」
初春「もう!こんなところ誰かに見られてたらどうす……」
一方通行「……」
佐天「どうしたの初h……あ、あはははは」
一方通行「……よう、花畑風紀委員」
初春「グスッ……こんにちは、アホ毛ちゃんの保護者さん……グスッ」
佐天「ごめん!ごめん初春!しかも知り合い!?ほんとごめん!!」
一方通行「……なにか弁明したほうがいいかァ?」
初春「いい……グシュ……です。惨めなだけです……」
佐天「ごめぇぇぇぇん!謝るからぁぁぁぁ!」
一方通行「随分前だが世話になったなァ。達者にしてたかよ」
初春「はい……グスッ。アホ毛ちゃんは元気ですか?」
佐天「う~いはる~。私をおいて話進めないでよ~こっち向いてよ~~」
初春「知りません!もう!グスッ」
佐天「怒った顔も可愛いけどさ~ごめんってば。あ!そうだティ……」
一方通行「おいこらメスガキ。この花畑が怒るのももっともだぞ……おら、ポケットティッシュだ。使いやがれ」
初春「あ……ありがとうございます」
佐天「(先を越された!!)」
一方通行「そちらこそなンなンですか往来でスカートめくりって。流行ってンですかァ?」
佐天「うぐっ……」
初春「……(キ○ィちゃんのティッシュだ)」チーン
佐天「そ、そうですよ!!!」
一方通行「はァ?」
初春「……(アホ毛ちゃんに持たされてるのかな。微笑ましいなぁ)」チーーン
佐天「今の女子中学生の間ではですねぇ!スカートめくりが大流行なんです!!」
一方通行「……はァ」
初春「……(あ、突っ込まれなかった。佐天さん後に引けないですね)」チーーーン
佐天「だから、えと、その、初春はまだ慣れていないので!流行に乗り遅れないよう、私が教えてあげていてですね!!!」
一方通行「……」
初春「……(これはひどい)」チーーーーン
佐天「なんて!……その……」
一方通行「……」
1一方通行「マジか」初春「ふぇぇ!?」佐天「!!」
2一方通行「頭沸いてンですかァこのクソ痴女」佐天「な…!!」初春「い、言いすぎですよ!」
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1
初春「ふぇぇ!?」
佐天「!!」
一方通行「そりゃァ悪かったな……どうも俺ァ流行に疎くてよォ。ンなこと全然知りもしねェで余計なことを……」
初春「ちょ!ちょっと待ってください!!」
佐天「わかってもらえました!?」
一方通行「おォ。侘びといっちゃなンだがよ、俺も協力してやらァ」
初春「な!なんでですか!?なんでそんな話に……」
佐天「あの、流石にそれはですね」アセアセ
一方通行「なァに、遠慮すンなよ」
一方通行「流行ってンだから自分がめくられても文句ァねェンだよなァ?メスガキ?」
佐天「……え」
流石打ち止めと番外個体の保護者だ
初春「びっくりしました……真剣な顔で言うんですもん、もう!」
一方通行「ケッ、ガキの穴なンて見たくねェっての……おい、メスガキ」
佐天「はいっ!なんですか!?」
一方通行「ダチってのはなァ、何でもしていい免罪符じゃねェンだよ」
佐天「……」
一方通行「そりゃァ、少しからかうくらいならかまいやしねェさ。そのくらいで壊れるようならはなっからダチになンてならねェものなァ」
初春「……」
一方通行「でもなァ、やりすぎは駄目だ。あまつさえ、お前は一度開き直っただろ。謝罪もおざなりなもンだった。こいつならそれくらいで許してくれるだろうなァってのが見え隠れする、最っっ低のな」
初春「あの、流石にそれは言いすぎじゃ……」
一方通行「黙ってろ花畑。お前、こいつとダチじゃなくなってもいいンかよ」
初春「……」
佐天「……」
一方通行「お前が今はそこまで気に触ってねェのも分かる。だけどなァ、ヘラヘラしてる相手を許してるつもりでも、積み重なって完全は消えねェンだよ」
一方通行「だからな、どンな些細なことでも相手を傷つけたら。キッパリ謝る。いいわけしない。それをするまでこっちも許さない」
一方通行「そうじゃねェとよォ……ダチがダチでなくなるなンて、悲しいこと、言うんじゃねェ」
初春「さてんさぁぁぁぁぁん!!!」
佐天「ういはるぅぅぅぅぅぅ!!!!」
ヒシッ
佐天「ごめんね、ごめんね初春!わたし、わたし…!」
初春「……いいんです。今度はちゃんと謝れましたね、佐天さん」
佐天「!!ういはるぅぅぅぅ!!!」ウワァァァァン
初春「ずっと友達ですよ、佐天さん」ヨシヨシ
佐天「うあぁぁぁぁん!!!!」ビーーーーーー
一方通行「……ヘッ」
一方通行「……」
一方通行「(あっぶねェ!!まじあっぶねェ!!!!!)」ドキドキドキ
一方通行「(なンか今、色んな人から総罵倒されるところだった!!そんな気がする!!!)」ドキドキドキ
一方通行「(あれで罵ってたらよォ……メスガキどころか花畑も怒って帰っちまうとこだったんじゃね!?)」ドキドキドキ
一方通行「(外出てこンだけで命狙われかねねェとこだったぜ)」ドキドキドキ
一方通行「(ありがとう!学園都市第一位の頭脳!まじありがとう!!)」ドキドキドキ
一方通行「いや、そォいうのいいンでマジで。こっちも一杯一杯なンで」
佐天「いえ、言わせてください!あなたがいなかったら、きっと私達いつか大変なことになってました!!」
初春「そうです!それに私!あなたに助けてもらったのは二度目で……あの時も含めてお礼くらいは!!なにか、ありませんか!したいこととか!!!されたこととか!!!」
一方通行「卑猥じゃないですかァァァ!?ちょっと女子中学生のイメージ壊すのやめてくださいただでさえギリギリなのにやめてくださァァい!!」
初春「え……あ!ち、違います!か、肩をもむとか!!そそそそ、そういうのであって!!!!」
佐天「……あれあれ~、初春顔が赤いぞ~~」ニヤニヤ
初春「佐天さんも!もう!まじめモードはもう終いですか!!??」
佐天「お兄さん、どうします?うちの初春なぁんでもしてくれるし、させてあげるらしいですよ~?」
一方通行「あァ……あのよォ」
佐天「なんです!なんです!?」
初春「あ、あ」
一方通行「できればでいいンが、メアドと番号を……」
佐天「そんなことでいいんですか?なぁんだ。でも、もちろんですよ!ね!初春!」
初春「え、あ、はい!!というか、こちらこそ是非とも連絡先を!!!風紀委員的にも!!!!」
一方通行「あンがとよ……あァ、それと」
佐天「はい?」
初春「……」ドキドキ
一方通行「凄っっげェ疲れたから、缶コーヒーを頼む」ハァァァァ
佐天「良かったねぇ、初春。あの人が前に言ってた命を救ってくれた人だったんだね」
初春「はい……印象的ですから、よく覚えてました」ガチャガチャ
一方通行「……」店の外で待機中
佐天「たしかに。おまけにイケメンじゃん!ちょっと細すぎだけど」
初春「でも、凄い能力者なんですよ。そうじゃなきゃ私もアホ毛ちゃんも今頃どうなってたか……」
佐天「ほんと!?く~、完璧じゃないの!初春もいい物件みつけたねぇ!」バシバシ
初春「そ、そんな。痛いです痛いです佐天さん!」
佐天「ほんとラッキーだよ……ただ」
佐天「あの服はない。絶対にない」
初春「……そう、ですかね」
一方通行「……」なぜかイラッ
佐天「あれとペアルックで初春がやってくるなんて日がきたら、私は初春と縁を切るかもしれん」
初春「そこまで!?」
一方通行「……」さらにイラッ
初春「そうですね、私達手ぶらですしなぜか」
佐天「なぜかって、初春がテンション上がっちゃって、バスから降りてすぐ常盤台寮に猛ダッシュしたんじゃん」
初春「うぐっ……あ、み、見てください佐天さん!今話題の『世紀末探偵公社HAMAZURA!!』が雑誌に載ってますよ!!」
佐天「あ、ほんとだ……あれ?これって、『HAMADURA』じゃないの?」
初春「え……あ、本当だ。こっちは『Z』ですね、どうなんでしょ」
佐天「どうって、日本語的には『つ』に濁点だから『D』じゃないのかなぁ?」
初春「う~ん、ちょっとまってください!インターネットの掲示板で調べます!!」
キュイーンカチャカチャ チーーーン
初春「分かりました。英語では『Z』と『D』の発音はかなり違いがあるので分けないといけませんけど、日本語の『づ』と『ず』は完全に一緒なので、ぶっちゃけどっちでもいいみたいです」
佐天「へぇ~」
初春「ただ、一般的な認識には依存します。浜面の面はおそらく『づら』。『つ』に濁音で『DU』というのが日本語の一般認識なので、おそらくですが浜面のローマ字表記は『HAMADURA』が正しいかもですね!新約でもおそらくそうでした!」
佐天「わかりにくいね!!こりゃみんな間違っちゃうよ!!」
初春「そうですね!みんなも気をつけてタイプしましょう!!確かめもせずにネタにすると、後からあっぱる嵌めになりますよ!!」
佐天「は~~~~~い!」
初春先生の日本語講座 完
Entry ⇒ 2011.12.24 | Category ⇒ 禁書目録SS | Comments (0) | Trackbacks (0)
暦「クリスマス?」神原「うむ、クリ〇〇スだ」
http://engawa.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1324652256/
神原「これは失礼、阿良々木先輩が馴染みやすいよう配慮をしたのだ」
暦「余計な配慮をするんじゃねぇ!意味がわからねーよ!」
神原「ちなみに○に入るのはスマだぞ阿良々木先輩」
暦「ん、ああ、わかってるよ最初に僕が言っているだろ」
暦「神原、僕の耳がおかしかったのなら謝るが今取り除いたってところおかしくなかったか?」
神原「おお!さすがは阿良々木先輩だ、目の付け所が違うな」
ひたぎ「さっきから二人で何を盛り上がっているのかしら」
神原「これはこれは私の親愛なる戦場ヶ原先輩」
ひたぎ「あなたのではないは神原。私は阿良々木くんのものよ」
ひたぎ「その私の阿良々木くんと何を盛り上がっていたのかしら」
神原「ああ、阿良々木先輩は絶えず女性の陰部に目をつけているという衝撃的事実を耳にしてしまったところだ」
暦「!!ちょっと待て神原なんだその説め、そんな目で僕を見るな戦場ヶ原!誤解だ」
ひたぎ「そう、゙私゙の阿良々木くんは私の可愛い後輩に今まさにセクハラをしていたのね」
ひたぎ「あら、なぜかしら」
神原「私には何も盛り上げることはできないからな、絶えず盛り上がっていたのは阿良々木先輩のナニだ!」
暦「てめ、神原こら」
ひたぎ「阿良々木くん」
暦「ん、なんだよ戦場ヶ原」
ひたぎ「別れましょう」
暦「な、なんでそうなるんだよ!早く訂正しろ神原」
暦「微妙にうまいこと言ってんじゃねえ!」
神原「戦場ヶ原先輩、阿良々木先輩、おまえら」
暦「なんだよ」
戦場ヶ原「何かしら」
神原「今年もクリ〇〇スイブが来たぞ」
神原「そうだな!そしてそれに見合うロマンチックな女の子になれたと自負しているぞ」
暦「さっきまでの会話にロマンチックのカケラもねぇよ!」
神原「阿良々木先輩どうしたのだそんなに息を阿良々げて」
神原「失望したぞ阿良々木先輩。いや、この場合は絶望したというべきなのか」
暦「それは最近流行りの中の人繋がりでイジるって手法なのか」
神原「ホントに阿良々木先輩は物分かりが良くて助かるな。文字通り一字一句ネタに気付いてくれるのだな」
神原「しかし私的には息を阿良々げるの流れから噛みまみたに繋げたかったのだ。いや、ロマンチック繋がりで神まみたか」
暦「人様のネタを丸々引用してるんじゃねえよ!第一あれは音にしてもわかるがおまえのそれはわからない」
神原「心配は無用だぞ阿良々木先輩。シャフトはわかりにくいところは文字で表現するプロだからな」
暦「それに神原、勘違いしているようだがこれはアニメには絶対にならないぞ」
神原「何を言ってるのだ阿良々木先輩、私は知っているのだぞ」
暦「ん、何をだよ」
神原「もうすぐ私達がアニメに再登場するのだ」
暦「また恐ろしく旬なネタに走るな…だが神原これは同人ものなんだ」
暦(読者の何人がここに戦場ヶ原が一緒にいることを覚えているのかは怪しいところだが)
暦「残念だがそういうストーリーはこの先に待ち受けていない」
神原「せっかくの性夜が近いというのに…些か残念ではあるが仕方ないな」
暦「おまえこれをアニメにしたいってわりに活字ネタしか使わないのな」
暦「…は?」
神原「おお、すまない印刷物と陰部を噛んでしまった!」
暦「…わざとだろ」
神原「見破られてしまったか。阿良々木先輩は何でも知っているのだな」
神原「私は一筋縄ではいかないのが売りだぞ!一筋、縄…うむ、凄くエロいな」
暦「上級者すぎてついていけないぞ」
神原「そうなのか?てっきり阿良々木先輩は縄で一筋を作る妄想をして盛り上がるのかと思ったが」
暦「あ、>>1の勃ったら書くって伏線なのか?」
神原「無論だ!」
暦「おまえにツッコミどころがありすぎて今までツッコめなかったんだよ」
神原「私のツッコミどころ!おぉ、凄まじいエロさを感じる一文だな」
暦「神原、おまえ今日陰部の話しかしてないんじゃないか?」
神原「何を言っているのだ、今日はクリスマス陰部だぞ」
神原「それも無論だ!」
神原「クリ〇〇ス陰部素敵な言葉だとは思わないか阿良々木先輩!」
暦「少なくともロマンチックではない」
神原「こうなるとホワイトクリスマスとは何がホワイトなのかという話をしなければならないな」
暦「雪以外のなにものでもねーよ!」
暦「サンタクロースはサンタクロースで元々サンタクロースだろ、違うのか?」
神原「セクハラだな阿良々木先輩」
暦「おまえに訴えられても僕は確実に負けないぞ」
神原「だがどうだろうか、法廷でも絶えず盛り上がっている男子というのはそれだけでも有罪だと思うが」
暦「僕をそんな気持ち悪いキャラクターに仕立てあげようとしてんじゃねぇよ」
暦「ん?なんだそれ」
神原「阿良々木先輩だ」
暦「はぁ?」
神原「おまえ゙も゙ってことはあの真っ白い顔はホワイトだったのだな」
暦「公式に怒られるような発言は良くない!」
神原「しかしマガジンの作品では性器魔Ⅱ先輩の声で危ないことをかなりネタにしているではないか!」
神原「ところでこの話のタイトルなんだが」
暦「直前の話をやめるにしてももっと自然に区切ってくれよ」
神原「これはすまなかったな」
暦「で、なんだ?」
神原「いや、毎回エピソードごとに〇物語とかあったと思うのだが」
暦「あれか、おこがましくもあれをこの話にもつけるのか?」
神原「もう阿良々木先輩は物分かりの良さが神の域だな!神繋がりの私達はさながらアダムとイヴか」
神原「お褒めに与って恐縮だぞ阿良々木先輩」
神原「私達がアダムとイヴならまずはし損じることなく子孫を残さなければいけないな」
暦「訂正する。おまえにはやはりロマンチックの微塵も感じられない」
神原「む、ろまんという言葉も私的にはアウトだな」
暦「それはスルーしていいのか?」
神原「無論だ!」
神原「吾輩は猫である。名前はまだない」
暦「名前は確かにないが猫なのは羽川だけで十分だ」
神原「注文の多い阿良々木先輩だな」
暦「神原、今のうちに言っておくがいくら頑張ってもおまえは文学少女にはなれないぞ」
神原「そうだな…私は体育会系だからな…ホワイト長門さんのようにはなれないのだな」
神原「私達のホワイトの認識も行き違ってしまったな」
暦「だからうまいこと言ってんじゃねーよ」
神原「阿良々木先輩、うまいことと言うがそれは自画自賛ではないのか?」
暦「気にするな神原」
神原「クリスマスだというのにツリーにするなとは少々酷ではないか?」
神原「気違いか」
暦「木違いだ」
神原「阿良々木先輩が言うのであればそうなのだろうな」
暦「おい、なんでちょっと落ち込んでるんだよ」
神原「あぁ、大丈夫だ!では話を戻そうか」
神原「では偽物語というのはどうだろうか!これなら同人物だとわかるのではないか!?」
暦「数日後に始まるアニメを全否定だよ」
神原「そうか…ではイヒ物語ではどうだろう」
暦「どこの国の作品だよ!」
神原「注文が多いのだな」
暦「僕のせいではない!」
暦「恐ろしいほどタイトル詐欺だな」
神原「キャッチコピーは100パーセント煩悩で書かれたSSです」
暦「僕は生まれて初めてクリスマスと元旦が一緒の日であったらいいと思ったよ」
神原「それは興味深いな」
暦「いや、除夜の鐘を聞いて煩悩がなくなっていればこんな酷い物語は誕生しなかったからな」
暦「どういうことだよ」
神原「゙神゙の゙原゙点クリスマスにおける神といえばイエス・キリストだな」
神原「そして私はイブにこの物語を作り出した」
暦「…おい」
神原「つまりこの物語は聖書…失礼、性書になるのだと思う」
暦「おまえ以上にクリスマス関連の言葉を下ネタに変換した奴はこの夜にいないだろうな」
暦「そうか良かったな」
神原「楽しいひと時を過ごさせてくれた阿良々木先輩は私のサンタクロースだな!勘違いされては困るが松任谷由実さんの恋人がサンタクロースとはなんの関係もないぞ!」
暦「わかってるよ…というかそこまで考えなかったよ」
神原「サンタクロースでありツッコミに苦労した阿良々木先輩を労(ねぎら)ってこの物語のサブタイトルは暦クロースに決定だな!」
暦「暦ヴァンプ依頼だな…って同人で二回目のサブタイ登場かよ!公式で出たかったよ!!」
神原「サンタクロースにお願いしてみてはいかがなものか阿良々木先輩」
暦「考えておくよ」
暦「まあな」
羽川「この話私に教えるだけでもセクハラとして成り立つけど…」
暦「冷たいこと言うなよ羽川」
羽川「ふふ。ところで後日談は?今回のオチ。連休明けだし当然もうあるんでしょ?」
暦「まあな」
羽川「当たり前でしょ。リスペクトして書かせていただいてるのだから」
暦「そうだな…」
暦「今回のオチはまあくだらないよ。神原が自称゙神゙の゙原゙点だったのに対して戦場ヶ原は僕の中で゙戦場゙の゙原゙始…だったんだよ」
羽川「原始…始まり?」
暦「あのあと戦場ヶ原がいつの間にか帰ってることに気付いてさ、あいつの自宅に行ってみたら玄関が開いたと同時に文房具が僕の全身を襲ってきたよ」
羽川「あ、談議には仏教を説いて聞かせるって意味があるから今回の話には使えないかな」
暦「おまえは何でも知ってるな」
羽川「何でもは知らないわよ、知ってることだけ。じゃあ戦場ヶ原さんと喧嘩しちゃったんだ」
暦「まあな…一応初詣に一緒に行く約束をしたところで落ち着いてくれてオチがついたよ」
羽川「本当にお疲れ様阿良々木くん」
暦「ありがとな羽川」
雪物語~暦クロース~ END
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雨宮ゆうむ様のイラストを使用させて頂きました。
Entry ⇒ 2011.12.23 | Category ⇒ このブログについて | Comments (0)