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P「春香。そんな体じゃムリだって」春香「ケホケホ…、大丈夫です」
春香「だめですよ、せっかくのレギュラーなんですから……」
P「なにいってんだよ、風邪が酷くなったらどうするんだ?」
P「それに、共演者の人にも迷惑がかかるだろ?」
春香「そうですけど……、ケホケホ」
P「ほら、咳もでてるし」
春香「だ、大丈夫ですよ」
P「春香……」
P「わかった、お前がそういうなら俺は力尽くでもお前を止めてみせる」
P「 卍 解 」
春香「うっ…、ぐっ……!」
P「俺の卍解は解放と共に空間を作り出す」
P「そして、その空間に入り込んだものは、敵味方問わず」
春香「う、…あ、…ああ…!」
P「強烈な嘔吐感に襲われることになる」
春香「うげえええええええっ」
ビチャ、ビチャビチャビチャッ!!
春香「こ、これは……、私のゲロが人の形に!?」
P「俺の卍解は、人の吐瀉物を自在に操ることができる!」
春香「なん……だと」
P「さあ、ゲロ人間に抱きつかれるのがいやなら、おとなしく今日は休め」
春香「……わかりました」
春香「あ、ありがとうございます」
P「まあ、今日はゆっくりやすみなさい」
春香「はい……、ごめんなさい。意地はっちゃって」
P「気にするな、俺もゲロ吐かせてわるかったな」
春香「…いえ、かえってスッキリしちゃいました」
P「そっか、それはよかった」
P「もっぺん吐いてく?」
春香「いえ、いいです」
春香「はい」
P「安静にしてろよ」
春香「わかりました」
ギィィ
バタン
P「久々に卍解を使ったせいか、ちょっと疲れたな」
P「社長には卍解するなって言われてるし……」
小鳥「プロデューサーさん、卍解使ってませんよね?」
P「ま、まさか……」
小鳥「あなたの卍解は、アイドル達に深い精神的ダメージを与えるかもしれませんからね」
P「そ、そうですよ。アイドルに吐かせるなんて、できるわけないでしょう?」
小鳥「はい、プロデューサーさんはそんな人じゃないですよね」
P「は、はい」
P「なにがですか?」
小鳥「だって、卍解に至れる人って芸能界でもそういませんから」
P「あー、確かに」
P「まあ、俺は修行を重ねたので」
小鳥「もしかして、事務所の皆も卍解できたり」
P「まさか」
小鳥「わかりませんよ?もしかしたら隠しているだけかもしれませんし」
P「か、隠す必要があります?」
小鳥「目立ちたくない、とか」
P「目立ってなんぼですよ、アイドルは」
小鳥「まさか、できませんよ」
P「そうなんですか……」
小鳥「できたとしても、卍解しなくてもいい日々が続けばいいとおもいますし」
P「……そうですね」
小鳥「あ、お茶。飲みます?」
P「お願いします」
小鳥「はい。プロデューサーさんの「各自でやるように」という指示をちゃんと伝えておきましたよ」
P「ありがとうございます」
P「春香、よくなるといいですね」
小鳥「そうですねえ、元気なのが一番ですし」
P「せっかく、レギュラーの仕事ももらえましたし」
小鳥「代役はどうするんですか?」
P「伊織にたのんでおきましたよ」
小鳥「そうですか、なら安心ですね」
小鳥「そうですねえ……」
小鳥「あ、お菓子ありますよ?」
P「あ、食べます食べます」
小鳥「これ、結構高いんですよ」
P「へー、そうなんですか」
P「あ、……美味しい。値がはるだけはありますね」
小鳥「そうですねえ~……」
小鳥「……どうかしたんですか?」
P「いま、とてつもない霊圧を感じたような」
小鳥「気のせいじゃないんですか?」
P「だといいんですけど」
小鳥「きっと、みんなが帰ってきたんですよ」
P「でも、まだ早くないですか?」
小鳥「あら、本当ですね」
P「……どういうことだ」
P「霊圧がどんどん近づいてくる」
小鳥「私も感じます……」
P「この感じ、どこかで……」
P「これは、この霊圧は……」
ギィィ
冬馬「よお」
P「やっぱりお前だったのか、冬馬」
冬馬「きまってんだろ?お前達に宣戦布告しにきたのさ」
P「宣戦布告だと?……一体なにを……」
ドンッ!!
P「なん……だと」
小鳥「キャア!プロデューサーさん!?」
冬馬「とりあえず、まずは1人だな」
P「お前ら、何が目的だ……!」
冬馬「さあな、俺も上に従ってるだけしよ」
冬馬「まあ、安心しろよ。今日はこれで引き上げてやるからよ」
P「待て!……アイドルの皆には手を出させないぞ!」
冬馬「へえ、言うじゃねぇか」
冬馬「でもよ、そのボロボロの身体でどうするっていうんだ?」
P「へっ、まだ俺には卍解が残っている」
冬馬「そうか、なら教えといてやるよ」
冬馬「おれはまだ、刀剣解放をしていないぜ」
P「嘘……だろ?」
P「……い、いったか」
小鳥「だ、大丈夫ですか!?」
P「はい、それよりも……皆を集めてください」
P「仕事も、オールキャンセルで」
P「これは、765プロ始まって以来の事態ですよ」
小鳥「わ、わかりました!」
伊織「相当まずい状況みたいね」
美希「ミキ、不安なの……」
P「ああ、お前の気持ちわかる」
P「だけど、俺たちは戦わなくてはいけない」
雪歩「そんな……」
P「いいか、多勢に無勢になってもかまわない」
P「どんな手をつかってでも、961プロの連中を倒すんだ!」
伊織「ちょっと、社長もいないのにそんな勝手なことしてもいいの!?」
P「いいんだよ、別に」
伊織「別にってなによ、アンタちゃんと考えてるの!?」
千早「ちょっと、プロデューサーに口が過ぎるんじゃ……」
伊織「アンタは私に口が過ぎるわよ、千早」
千早「……!」
P「社長が不在のいま、戦力的にもこちらが完全に不利だ」
真「どういう事ですか?」
P「おそらくだが、ヤツらは相当の力を持つ」
P「冬馬にあったが、相当の霊圧だった。おそらく美輪さんに匹敵するだろう」
伊織「なんですって!?」
P「それともう一個。やつらは、おそらく卍解を超えるであろう力をもっているかもしれない」
千早「そんな……」
P「この戦いは相当に辛くなるだろう」
P「死ぬなよ?]
一同「はい!」
P「はい」
冬馬『よう、さっき振りだな』
P「……なんのようだ」
冬馬『今頃、作戦会議してんじゃねぇかなっておもってな』
P「…お察しの通りだけど」
冬馬『誰か1人、忘れてねぇか?』
P「…………!」
冬馬『具合悪いんだろ?……ちゃんと気遣ってやれよな』
P「わざわざそれをいいに電話してきたのか」
冬馬『ああ』
P「……」
冬馬『それじゃあ、また後でな』
ピッ ツーツーツーツー
千早「プロデューサー?」
P「春香がヤツらに狙われてるかもしれない……!」
真「えぇっ!?」
P「冬馬のやつ、春香が風邪でダウンしてることまでしってた」
貴音「……すでに、彼が近くにいるとみて間違いないでしょうね」
P「ああ……、助けにいかないと」
千早「プロデューサー、私がいきます」
P「任せていいのか?」
千早「はい」
P「……じゃあ、美希。お前もついていってやってくれ」
美希「はいなの!」
真「プロデューサー、浮かない顔ですね」
P「おそらく、ジュピターの残りの2人も、冬馬と同等の霊圧を持つはず」
P「ダウンしてる春香はもちろん、千早と美希でアイツらと戦うことになったら……」
やよい「だ、大丈夫ですよ、千早さんたちなら……」
P「だといいんだが」
伊織「ねえ、私たちも何かをするべきじゃないかしら?」
P「……いや、今は下手にうごくべきじゃない」
P「春香の無事を確認したら、あちらの出方を待つ」
春香「うん、ありがとう。ケホケホ」
美希「寝てなきゃダメだよ?」
春香「うん……、でも。事務所が大変だっていうのに」
美希「仕方ないの、春香はいま具合悪いんだから。ね、千早さん」
千早「そうね……」
千早(でも、春香が無事みたいでよかったわ)
美希「千早さん、どうしたの?」
千早「いえ」
千早(いま、とてつもない霊圧を感じたような)
春香「ケホ、ケホ……、ゲホゲホッ!」
美希「は、春香っ!?」
千早「大丈夫!?」
春香「だ、だいじょう……、ぶ」
千早「熱、測ったほうがいいんじゃないかしら」
千早「春香、はい、体温計」
春香「ありがとう、千早ちゃん……」
美希「千早さん、春香大丈夫かな?」
千早「ちょっと、心配ね」
千早「あ、私。プロデューサーに電話してくるわね?春香は大丈夫だったって」
美希「はーい」
美希「大丈夫なの、ハニーはそんなの気にしないから」
春香「美希……」
春香「ねえ、美希。ちょっと話があるんだけど、いいかな?」
美希「?」
P『そうか、でもヤツらの襲撃にはあってないようでよかった』
千早「はい、私もひとまずは安心───」
ドンッ!!
千早「!?」
P『千早、どうした?今の音は……』
千早「どうやら、前言撤回しなくてはいけないみたいですね」
ピッ ツーツーツ
千早(今は大変な時期。私達でなんとかしないと……)
千早「…………!」
千早「嘘……でしょう?」
美希「 」
春香「あれ、千早ちゃんもどってきたんだ?」
千早「春香、あなたもしかして……」
春香「……そう、私は961側」
千早「どうして、何故私達を裏切ったの!?」
春香「どうしてなんだろう…、教えてあげてもいいけど」
春香「どうで千早ちゃんはここで死ぬから、教える意味はないよね?」
千早「…………」
千早「膨らめ〝血覇矢〟」
千早「……春香、あなたがあちら側というのなら、容赦はしないわ」
春香「……それじゃ、いくよ。千早ちゃん!」
千早「ええ、いくわよ春香!」
春香(すこし、様子をみたほうがいいかな?)
千早「──なんて、貴女はいま思っているのでしょう、春香?」
春香「!?」
千早「……そして、それは大きな間違いよ春香」
千早「わたしのこの、血覇矢は鬼道系」
ガキィンッ
春香「こ、これは……!」
ボコッ、ボコボコボコッ!
千早「この血覇矢の鏃に傷つけられたものは、その傷口から霊子を注入され……」
ボコボコボコボコッ
千早「その部位が何倍にも膨れ上がる!」
千早「そのまま、膨らみ続けて最後には破裂する」
千早「それが貴女の最期よ、春香」
ボコッ、ボコボコボコォ!
美希「……ん、んぅ……」
千早「美希、目が覚めたのね!」
美希「……!千早さん、後ろ!」
ドンッ!!
千早「う、……か、はァっ!?」
春香「こんなの、……流れてきた霊子を傷口から出せばいいだけだよ?」
千早(そんな、春香にそんなことができたなんて)
千早(解放した様子はない、それどころか斬魄刀も持ってない……)
千早(そういえば、春香が斬魄刀をもっている姿を見たことないわ……!)
千早「……まさか、春香、貴女……」
春香「流石千早ちゃん。気づいたんだ?」
美希「え、え?何、どういう事なの?」
千早「おそらく春香は………」
千早「常に、卍解状態なの」
美希「嘘……でしょ?」
春香「……そこまで分かるだなんて、流石千早ちゃん!」
美希「千早さん……」
千早「美希、貴女は逃げて。この事をプロデューサーに伝えるの」
美希「で、でも!」
千早「いいから、早く!」
美希「……わかったの、千早さん。負けちゃイヤなの!」
千早「…………ええ」
千早「……ええ、むしろその方が好都合なの」
春香「……どういうこと?」
千早「あまり、人には見せたくないの」
春香「ダメだよ、千早ちゃん?そうやって、思わせぶりな大技があるように見せかけて」
春香「私を動揺させようったって、そうはいかない──」
千早「 卍 」
千早「 解 」
千早「ええ、何も変わらない。それが私の卍解」
春香「……どういうこと?」
春香「ただの見掛け倒しなら、容赦はしない!」
ドンッ!!
春香「………なっ、聞いていない?」
千早「だからいったでしょ?変わらないのが私の卍解だって」
春香「……?」
千早「つまり、時間の停滞。私には、卍解している間、決して時が流れない」
千早「傷も負わないし、成長もしないわ」
春香「そ、そんな卍解……!どうやって倒せば……!」
千早「逃がさないわよ、春香!」
春香「……またね、千早ちゃん」
千早「待ちなさい、春──」
千早「くっ……、瞬歩で逃げられてしまったわ」
伊織「……それにしても、春香が卍解を使えた、いいえ。使っていたなんて」
P「ああ、卍解の使い手が敵に回った以上。状況がより悪くなったな」
ズンッ……
P「この霊圧は……!」
真「外から、ですよね」
P「…………」
ガララッ
P「……冬馬、春香!」
真「空に、浮かんでいる……」
P「春香、元気そうじゃないか」
春香「えへへ、私の仮病どうでしたか?」
P「さあ?アカデミー賞はもらえるんじゃないのか?」
千早「貴方達、何が目的なの!?」
冬馬「さあな、俺たちは上の指示にしたがってるだけだよ」
冬馬「そうだよな?──高槻」
伊織「え……?やよい……?」
やよい「……」 ニヤッ
P「まさか、やよいまでそっち側だっていうのかよっ!?」
やよい「うっうー♪そうですよ、プロデューサー……」
冬馬「ああ、先にかえって黒井のおっさんに色々説明してるよ」
P「黒井社長がお前達のボスなのか?」
春香「プロデューサーさん、私とやよいがこちら側なのに」
春香「765プロに、私達のボスがいる……なんて疑わないんですね?」
貴音「オイ、どういうことですか?」
小鳥「……ふふっ」
P「小鳥さん……まさか、貴女が!?」
小鳥「高みを求めて」
P「地に堕ちましたか、小鳥さん」
小鳥「傲りが過ぎますよ、プロデューサーさん」
小鳥「最初から誰も天に立ってなんかいません」
小鳥「あなたも、私も、神様すらも」
小鳥「ですが、その耐え難い天の座の空白も終わります」
小鳥「これからは……」
小鳥「私が天に立つ」
千早(音無さんが、インカムを外した……!?)
小鳥「ごきげんよう」
P「ま、待ってください!小鳥さん、小鳥さん!」
伊織「まさか、やよいが…………」
真「ショックだよね、春香たちが裏切るだなんて……」
P「…………どうする、皆」
千早「どうするって……いわれても」
美希「決まってるの、負けてなんか、いられないよ!」
響「そうだよ、自分も舐められっぱなしはイヤだぞ!」
P「……そうか」
P「よし、ならば……!」
P「 9 6 1 プ ロ を ぶ っ 潰 す ! 」
P「なんだこれは、まるで迷宮じゃないか」
P「……手分けしていこう」
千早「……春香」
美希「千早さん……」
真「絶対、勝ちましょうねプロデューサー!」
P「おう!」
誰の卍解が命を刈り取る形をしてるの?
貴音「……まさか、こんな形で戦うことになるとは思ってもいませんでした」
貴音「やよい」
やよい「うっうー!私もですよ、貴音さん」
貴音「では……いざ!」
貴音「 卍 解 !」
やよい「うっうー♪じゃあ、みせてあげますね」
やよい「私の刀剣解放(レスレクシオン)を!」
やよい「───蓄えろ」
P「貴音の霊圧が……消えた?」
P「いや、それはおいておいて……!」
P「なんだ、この巨大な4つの霊圧は……!?」
P「……この建物に向かってきている、だと……!?」
やよい「貴音さんが弱いんじゃないくて、私が強いんです!」
貴音「 」
やよい「……さて、みんなのお手伝いにいこうかな?」
ドドドドドドドドド
やよい「!?」
やよい(……こ、この霊圧!)
あずさ「あらあら……、間に合わなかったかしら~?」
あずさ「貴音ちゃん、大丈夫?」
貴音「 」
あずさ「気絶しているみたいだけど、よかった。無事みたい」
やよい「うっうー!あずささんもすぐに気絶させてあげますよぅ!」
やよい「うぅ…!」
やよい(近づくだけで、霊圧に押しつぶされちゃう……)
やよい「で、でも!ききませんよ!」
ベチャァッ
やよい「私の刀剣解放、〝モヤシ〟は貧しくなればなるほど強くなる!」
ビリッ、ビリビリ
やよい「べろちょろを捨て、服も限度まで破った私は……!」
やよい「最硬の防御力と、最強の……」
ザンッ
やよい「ちから゛ッ」
ズズズズ……ズルッ ブシャァァアアア
やよい「そん……な…馬鹿……な」
あずさ「やよいちゃん?おイタしちゃだめよ?」
真「……これが、伊織の卍解……!?」
伊織「どうやら、やよいは負けたみたいね……、だったらこれを封じておく必要もないわ」
伊織「私の卍解は、相手のあらゆる力を封じるわ」
伊織「ごめんなさいね、真。あなたの斬魄刀も反応しないでしょう?」
真「ううん、ボクは大丈夫。それよりも……」
伊織「ええ、今はこの男を倒すことを考えないと」
北斗(ひとたび卍解されてしまえば、こちらが帰刃できなくなってしまうから……!)
北斗「これは、万事休すというヤツかな」
伊織「あら、随分と潔いのね?」
北斗「もともと俺は、女の子に手を上げるつもりはなかったからね」
伊織「そう、私には関係ないわ。あんたたちや小鳥がやよいを誑かしたから……!」
北斗「……冬馬、翔太」
北斗「チャオ☆」
ドンッ!!
千早「春香……」
美希「千早さん……」
千早「ごめんなさい、美希。渡しにやらせてほしいの」
美希「は……はいなの」
千早「いくわよ、春香」
千早「──卍解」
千早「あなたに勝ち目はないわ!」
春香「……それでも、千早ちゃんだって、今以上に強くはならない!」
千早「ええ、そうね」
千早「だけれど……、私の卍解はそれだけじゃないわ」
春香「!?」
千早「私の卍解は、ただ何も変わらない」
千早「そう、私は分からない。意味が分かるかしら?」
春香「わからないな、教えて千早ちゃん」
千早「……つまり、停滞した私の時間を」
千早「相手に流れさせることができるの」
春香「……なにぃっ!?」
春香「つまり、千早ちゃんに攻撃したら、私がダメージを受けるってこと?」
千早「ええ、そうよ」
春香「なるほど、完全に攻撃を封じたわけだね」
千早「だから、春香。今すぐ降参を──」
春香「…………」
千早「なに、春香」
春香「私の卍解の能力──おしえてなかったよね?」
千早「ええ」
春香「おしえてあげるよ、私の卍解は……」
春香「時間を逆回しにする」
千早「!?」
美希「なん……だと」
春香「右のリボンで自分の、左のリボンで相手の時間を逆回しにするんだよ?」
千早「……!」
春香「時間を流れなくする千早ちゃんの卍解」
春香「時間を逆に流れさせる私の卍解」
春香「どっちが勝つかな?」
千早「──やってみなさい、その勝敗が、即ちこの戦いの勝敗よ」
春香「…………」
千早「見事ね、春香」
千早「貴女の卍解で、私は時間を戻された」
千早「今の私は、卍解を使える前の私……」
春香「…………そうだね」
春香「それじゃ、千早ちゃん。このまま赤ちゃんより前に──」
美希「だめなの!」
春香「……美希。美希じゃ私には勝てないよ……」
美希「や、やってみなくちゃわからないの!」
美希「卍解!」
美希「……あれ、なんで?」
春香「美希も、卍解できるようになる前にもどってもらったんだよ?」
春香「始解で、卍解にかてるわけないじゃない……」
美希「やってみなくちゃ、わからないよ!」
美希「……握れ、〝鬼切〟」
春香「美希、残念だけど容赦なく潰すね」
美希(やっぱり、卍解は協力すぎるの……!)
美希(でも、きっとミキにも勝機はあるはずなの!)
ガキンッ
春香「美希ッ!全然きいてないよ!」
ギィインッ!
美希「キャァッ……!」
美希(考えるの、……何か、きっと突破口が……!)
美希(……あれ、そういえば)
美希「ミキね。気づいちゃの」
美希「その能力、多分。回数の制限があるでしょ」
春香「!」
春香「……ばれちゃった」
春香「そうだよ、これは一日三回が限度」
春香「千早ちゃんと、美希に一回ずつ」
春香「さっき、千早ちゃんを赤ちゃんにしようとしたのを中途半端にとめられて一回」
春香「時間を逆回しにすることはできなくなった」
春香「でも、それがなくても、私は負けないよ!」
春香「そうやって、がむしゃらに突っ込むだけじゃ……」
ガシッ
春香「!?」
春香「私の、リボン……を!?」
美希「右のリボンが、春香の時間を逆に回す……だったよね?」
美希「これで、終わりなの!」
春香「くっ」
春香「くそおおおおおおおおおおお!!」
P「次はお前だ、冬馬」
冬馬「おっと、その前にお客さんのようだぜ」
P「?」
亜美「兄ちゃん!」
真美「助太刀に参上したでござるで候!」
P「お、おまえら!……それに」
高木「待たせてしまったようだね」
P「社長……」
高木「彼は君に任せたよ、我々はこの先にいる巨悪を倒す」
P「は、……はい!」
P「ああ」
冬馬「じゃあ、いくぜ!」
冬馬「──飾れ〝フィギュア(Alice or Guilty)〟」
P「それがお前の、帰刃か」
冬馬「ああ、アンタも卍解してこいよ!」
P「いわれなくとも」
P「 卍 解 」
冬馬「いくぜ、かかってこいよ!」
P「……ああ!」
ザンッ!
ガキィン!
ズン!
P(流石に速い!付いていくのがやったとだぜ……!)
冬馬「どうした、それで本気かよっ!」
P「……くっ!」
P「おえええええええっ!」
ビシャ、ビチャチャ、ビチャチャチャビチャビチャ!
冬馬「……!?」
P「俺の卍解、みせてやる!」
ゲロ「う、うおおおおおおおおおっ!」
冬馬「これがアンタの卍解か……!」
ゲロ「うがあああああああっ!」
ビチャッ
冬馬「くっ、汚ぇ……!」
P「黒縄嘔吐明王」
冬馬「史上最悪と言われる卍解をお眼にかかれるなんてな……!」
冬馬「だが、それでも俺には勝てないぜ!」
ゲロ「うがあああああっ!」
冬馬「げっちゅぅ!」
ドンッ!!
P「な、……俺のゲロが飛び散った、だと!?」
P「……どうやら、そのようだな」
冬馬「おとなしく、負けをみとめたらどうだ?」
P「悪いがそれはできない」
冬馬「なんでだよ」
P「俺は負けてないからな」
P「みせてやるよ……俺の卍解の真の姿を」
冬馬「なん……だと」
冬馬「この空間すべてが、薄いゲロの膜につつまれているのか」
P「そのとおり。そして、少しでも動けば」
冬馬「な…、俺の体がゲロになっていくっ!?」
P「これが、俺の嘔吐丸──卍解名、黒縄嘔吐明王が最悪と言われる所以さ」
冬馬「なるほど……納得したぜ」
P「このゲロに包まれた以上、お前はゲロになって、俺の卍解の一部になるだけだ」
冬馬「……ちっ」
P「残念だったな、冬馬。俺の勝ちだ」
雪歩・響「 卍 解 」
───────
──
─
翔太「 」
雪歩「なんとか勝てた……」
響「でも、びっくりしたさー。……わめき散らすたびに強くなるんだから」
響「でも、自分の卍解の敵じゃないさー!」
律子「私こそ、まさか貴女たちが出てくるとは思わなかったわ」
律子「あずささんに次ぐ力をもっていて、社長から始解すら禁じられてるあなた達がね」
亜美「社長さんがね、非常事態だからっていって亜美たちも戦っていいって言ったんだ」
律子「あの社長が……?へえ、それほどまでに彼女を警戒していたなんて」
真美「律っちゃん」
律子「そうね、……おしゃべりしている余裕はないわね」
3人「 卍 解 」
亜美「そうだよ、これこそ亜美たちの卍解」
真美「この世にひとつしかない、2人でひとつの卍解だよ!」
律子「威力、硬度など、すべてが卍解二つ分に匹敵するといわれている」
律子「でも、それは並の卍解2つ分ということ!」
律子「私の卍解は、並じゃない!」
真美「いっけー!」
律子「着なさい、亜美、真美!」
ガキッ
律子「……どうやら、貴女たちの卍解は直接攻撃系のようね」
真美「そうだよ→」
亜美「律っちゃんのも、そうみたいだね?」
律子「ええ、純粋な打ち据えあい……それが勝敗を決めるわ!」
ガンッ
ズガガガガ
律子(さすがの強度……!このままでは……!)
ガッ
バキィイイッン
律子(!)
律子「私の卍解が…………!」
律子「折れた」
律子「どうやら、私の負けの様ね」
真美「ううん、真美たちも超あぶなかったよ」
律子「あなた達が、卍解を使いこなせるようになったら……」
律子「そのときは、もう私の手に負えないわ」
亜美「……」
律子「それよりも……そろそろね」
律子「彼らの戦いは」
小鳥「火種を煽る風 集いて惑うな我が指を見よ」
小鳥「光弾・八身・九条・天経・疾宝・大輪・灰色の砲塔」
小鳥「弓引く彼方 皎皎として消ゆ」
小鳥「破道の九十一 千手皎天汰炮 」
ズババババババババババ
社長「聞かないよ、小鳥君。そんなものはね」
社長「全力で、かかってきたまえ」
小鳥「それじゃあ、同時にいきましょうか」
卍
解
小鳥「さすがですね、社長!」
小鳥「私の卍解の全力と黒棺を3回もくらって、無事でいられるだなんて」
社長「これくらいでないと、皆にしめしがつかないからね」
小鳥「そうですか、でも」
小鳥「あなたは私に勝てない」
─────
──
─
社長「 」
小鳥「だから、言ったじゃないですか」
小鳥「とはいえ、人類でも最高クラスの霊圧をもつ社長もこの程度でしたし」
小鳥「──後の三人も、軽く倒せますよ。ね、プロデューサーさん?」
P「小鳥さん……!」
小鳥「そうそう、プロデューサーさんの卍解も厄介ですし」
小鳥「ここで倒してしまいましょうか」
P「それは俺のセリフですよ、小鳥さん」
P「俺は、貴女を倒すための力を得てきた」
P「最後のゲロ牙天衝を」
P「最後のゲロ牙天衝ってのは、俺自身がゲロになることです」
P「この技を使えば俺はプロデューサーの力の全てを失う」
P「最後ってのはそういう意味です」
小鳥(まさか 私は業界人とは別次元へと進化を遂げた事で)
小鳥(二次元の存在が三次元の存在に干渉できないように)
小鳥(自分から意図的にレベルを下げて干渉しない限り)
小鳥(業界人にも一般人にも私の霊圧を感じ取ることはできなくなった)
小鳥(まさか、まさか、彼は私よりも……更に上の次元に立っているというの?)
小鳥「馬鹿な!! そんなはずがないわ!プロデューサーごと気がこの私を超えるだなんて!」
小鳥「そんな事が──」
スッ
P「無ゲロ」
ビシャ、ビチャビチャビチャ
P「色々あったけど、なんとか日常にもどってこれたな」
千早「そうですね、代償は大きすぎましたが」
春香「だぁ、だぁ…」
P「春香は赤ん坊になったままだしな」
千早「……これも、仕方のないことなんでしょうか」
P「ああ、でも。社長ももうすぐで戻ってこられるみたいだし」
P「そうなったら、765プロ再始動だな」
千早「そうですね……」
P「そういや、千早」
千早「はい?」
P「なんで、お前の始解放自分に使わないの?」
ドンッ!!
真「プロデューサーの霊圧が……消えた?」
おわり
またこんなカンジの書いてみたい
それじゃ、おつかれさまでした
笑わせてもらったわ
よかったよ
Entry ⇒ 2012.09.24 | Category ⇒ アイマスSS | Comments (0) | Trackbacks (0)
なお「ダイエットで……」みゆき「ウルトラハッピー!」
なお「手を合わせて。はい、いただきます!」
けいた・ゆうた・こうた・はる・ひな「「「「「いただきまーす!」」」」」
なお「今日はみんなプールに行くんでしょ?バテちゃわないようにしっかり食べなねー」
はる「なおねーちゃんは、れいかねーちゃん達と?」
なお「うん。今日はみんなで宿題をやるよ……けいたー?あんたはちゃーんと計画的に宿題やってるの?」
けいた「なおねーちゃん、ご飯おかわり!!」
なお「ごまかすんじゃない!あとそれは自分でやりなさい」
ゆうた「なおねーちゃん、僕の魚けいたにーちゃんより小さーい!」
なお「同じだから。ねーちゃんが選んだのが信じらんないのー?もう、じゃあねーちゃんの食べな。こうた?骨は避けられる?」
こうた「んー!美味しい!」
なお「そ、良かった」
なお「? どうしたのひな。お骨刺さった?」
ひな「ううん。はるねえちゃんが、ご飯あんまり食べてないの」
はる「あっ、し、しーーっ!」
なお「……はーるー?」
はる「う、うぅ……だってぇ」
なお「だってじゃない!緑川家でお残しは許しません!!」
はる「だって今、ダイエットしてるんだもん……」
なお「……ダイエットぉ?」
けいた「色々我慢して痩せるやつだよ。俺のクラスの女子もそんなこと言ってたー」
なお「……あのねぇ、あんたまだ小学生でしょ?そんなこと気にするないじゃない」
はる「だって、だって!今日はお友達とプールに行くし、太ってたら……」
なお「一日抜いただけで変わるわけないじゃない。もー、大体ね、はる。はるのどこに痩せるだけのお肉があるの?」
はる「こ、ここんとことか!」
なお「細っこい腕出して何言ってるの、もう。お母ちゃんに怒られるよ……ゆうた、ご飯よそいに行く?ねーちゃんも食べるから」
ゆうた「あ、うん……」
けいた「……ねーちゃん、それ何杯目?」
なお「? 前もって置いてあった四杯をよそいなおすから、八杯になるね?」
はる「……」
ゆうた「……」
なお「?」
けいた「別に太っては見えないけどさ。ねーちゃんこそ、ダイエットするか悩むべきなんじゃないの?」
なお「けいた、あんただけ昼ごはん無しね」
けいた「あんまりだ!!!」
なお「大体、今は成長期なんだから。食べられるだけ食べないと、ほら。体の成長がね、うん。れいかもそう言ってた」
なお「……」
なお「……まぁたしかに朝から十二杯はちょっと多い、かな?とは思うけど」
なお「……この間のお泊り会でれいか以外のみんなに引かれたっけ」
なお「ま、まぁいいじゃない。それより、さっ!朝の洗濯を…………」
体重計
なお「……こういう時に限って、目に入るなぁ」
なお「た、試しに!別に理由なんてないけどね!」
なお「あ、あたしサッカー部のエースだし!体調管理はしっかりしてるから!」
なお「だから、その。ベストの体重だって、きちんと維持してるよ……」
なお「……」
ガタンッ!カタンッ、カタンカタンカタンカタン……
なお「……う、わ」
みゆき「明日はもう月曜日だよね。学校かぁー」
キャンディ「クルーゥ、つまんないクルー」
あかね「こないだまで夏休みをじゅーぶん満喫しとったやん。でもま、分かるで。日曜の昼過ぎると凹みだすわなー」
やよい「私は日曜朝九時のクラシックを聞くともう憂鬱だよ……」
れいか「? やよいさん、随分と高尚な趣味をお持ちですね?今度お付き合いしてもいいですか?」
やよい「あ、いや別にそういうわけじゃないんだけどね……あれ?なおちゃん?」
なお「……あ、えっ!?あぁ、うん。そうだね」
あかね「? なんやなお、うわの空やな」
やよい「? あ、もしかして宿題のこと?」
あかね「あー……うち、まだ全然英語やってへんわ」
みゆき「ねぇみんな!絵本の読み聞かせ大会しない!?」
あかね「現実から逃げんとちゃうぞ、全教科手付かずちゃんめコラ」
れいか「なお?計画的に進めないと、また夏休みのように泣きつくことになるわよ?」
なお「こ、今度は大丈夫だよ、多分。いや、宿題のことじゃないんだ……」
やよい「なおちゃんらしくないね」
みゆき「あ、分かった。なおちゃん、おなかすいたんでしょ?だからボーッとしちゃったんだよね」
キャンディ「クールゥ、キャンディもおなかすいたクルー」
れいか「ふふっ、なおは昔から、食いしん坊だものね?」
なお「あー……」
あかね「よっしゃ!今日も今日とてホットプレート持参のうちが!お好み焼き屋の看板娘の腕ふるったろーやないか!」
みゆき「わーい!あかねちゃんにっぽんいちー!」
あかね「褒めんといてー!青ノリくらいしか出ぇへんからー!」
なお「あー、あの。あたし……今日は、いいや。ははっ」
あかね「……はぁ?」
なお「だ、だから。今日はあたし、いいよ。お昼……食べなくて」
あかね「……」
なお「……あ、別にあかねのだから食べないとかじゃなくって、今日はその、いっかなーって」
あかね「どないしたんや、なお!?びょ、病気か!?」
なお「へ?」
みゆき「ど、どどどどどうしようなおちゃんがお昼抜きなんてそんなびょ、病院びょーいん救急車だよぉー!」
やよい「ゴーゴーファイブって何番だっけ!?」
れいか「お二人とも、落ち着いてください。不思議図書館には救急車はこれません。とにかくまずはなおを安静に寝かせることを迅速に急いでゆっくり的確にす早く対処しないといけません」
なお「ち、ちがっ、そんなんじゃないから!ただ……その。ダイエットしてる、だけだからぁ!」
なお「う、うん……」
あかね「……アホか」
やよい「あ、あかねちゃんバッサリ切捨てすぎー」
あかね「だってそうやろ。自分、どこに落とす肉があんねん」
なお「いや、実は今朝ね。体重計乗ったら……ベスト体重越えてたんだ」
れいか「あぁ、私が計算してあげた例の……だけど、なお?あれは参考程度であって」
なお「いやいやいや、れいか。あたし、一度決めたことは曲げたくないんだ!それに最近、なんとなく動きも鈍ってた気がする、うん」
あかね「あー、それは最近うちらはあんたのサッカーしとるとこ見とらんからなんともゆえへんけど」
あかね「みゆき、のっからんでえぇ。休みもてあましとるからって乗っからんでえぇ、あんたは宿題しぃ」
なお「うん!どうしても、前の体重に戻したいんだ!」
みゆき「ダイエットで……ウルトラハッピー?」
なお「そう!」
やよい「あー、あかねちゃん。これはもうダメかも」
れいか「みゆきさんの目が輝いてしまいましたね」
キャンディ「クルぅ、それよりキャンディはお好み焼き食べたいクルー」
あかね「あとでな……あーしょーもない」
みゆき「みんな!今日はなおちゃんのダイエット計画でウルトラハッピーに、けってぇーい!」
あかね「先輩に怒られるからそれやめーや」
なお「とりあえず、基本は運動だよね」
あかね「まー、動けば痩せるわな」
やよい「は、走るんだよね?えーっと、私遅いから、みんなの足手まといかも……」
れいか「ランニングですから平気ですよ、やよいさん」
みゆき「よーっし、気合だ気合だ気合だぁー!みんな、よーい、ドン!」
キャンディ「頑張るクルー!」
あかね「あ、待ちーやみゆき!そないな、最初から飛ばしよると……」
キャンディ「みーゆーきーぃ、歩いてたらダメクル~?」
あかね「……だからゆうたやん、そもそもみゆき体力無いし」
れいか「やよいさんは、このペースなら余裕そうですね?」
あかね「以外に体力はありよるからな、やよい」
やよい「うん!毎週日曜八時前はダンsなんでもない」
なお「っはぁ、ふう。み、みゆきちゃん大丈夫?っ、あたしいつもならこんなの、なんてことないはずなのに」
あかね「食ってへんからやろ、昼飯」
あかね「みゆきが早々にダウンしよったのでー、次はうちの案でいきますー」
みゆき「ウルトラハッピー!」モグモグ
キャンディ「クールぅ!」
やよい「ふふっ、二人ともさっきお昼食べたのにがっつきすぎー」
れいか「あかねさん?なおは頑として食べようとしませんし、ここで一体なにを……」
なお「そ、そうだよあかね!ここで食べちゃったらさっきの運動が無駄になる!」
あかね「あー、えぇねんえぇねん。なおには、うちの手伝いしてもらうから」
なお「へ?」
あかね「夏過ぎたーゆうても、厨房はあっついでー?覚悟しー?」
あかね「おっちゃんおーきに!なお、豚一枚やー!」
なお「分かった!生地を混ぜて、豚にk」
あかね「あーあーあー!キャベツはこないな太かったらあかん!やり直し!」
なお「えぇ!?一玉分切り終わったばっかりなのに!?」
あかね「うちの店で出す以上、うちのやり方にしたがってもらいますー!えぇからはよしー!」
なお「分かったよ、もう!直球勝負!!」ダンダンダンダンダンッ
やよい「い、忙しい時間になると本当に大変そうだね」
みゆき「うん、私達はお好み焼き食べてるだけで楽ちんだけどねー。なおちゃん、すっごい汗かいてるよ」
キャンディ「クルぅ、あかねはこりでなおを痩せさせようとしてるクルぅ?」
れいか「えぇ、確かに厨房での作業は大変です。ですけど、あかねさんの狙いは、ふふっ。他にあるみたいですよ?」
なお「(おなかすいたよぉ……)」グーーーーッ
あかね「(ふっふーん、なおもこんだけ美味そうな臭いに囲まれよったら、我慢できひんやろ)」
あかね「(今に『ダイエットやめたー!』ゆうて、うちのお好み焼き食べたがるに違いあらへん!)」
あかね「(よっしゃ、そろそろなお用のDXミックス玉つくったろかな。っと、その前にー)」
あかね「どーやー、なお。もー限界やないのん?」
なお「……そうだ、そうだね」
あかね「せやろ、せやろ。分こうたらあかねちゃん特製n」
なお「だから一口、一口くらい、いい、よね」ガシッ フラーッ
あかね「!?あ、あかん!!生地は生で飲んだらあかぁぁぁん!なおーーぉぉおおお!!!!!!」
みゆき「……」
キャンディ「ば、バットエナジーが少し見えた気がするクル」
やよい「……追い込められすぎー」
れいか「逆効果だったようですね……」
れいか「キャベツなら、ダイエットに最適な食材よ?だからたくさん食べましょう、なお?」
あかね「れ、れいかのとりなしでなんとかなったわ……すまん、失敗した」
やよい「ね、狙いは悪くなかったと思うよ、あかねちゃん」
なお「……虫になったみたいで、イヤだよぉ」シャクシャク、シャクシャク
れいか「なら、ダイエットをやめる?」
なお「……」シャクシャク、シャクシャク
みゆき「うーん、あんまり疲れないで運動できることってあるかなぁ……あ、そういえばやよいちゃん?」
やよい「うん?なぁに?」
みゆき「さっき、毎週えーっと、何かやってるって言ってなかった?」
あかね「まぁ、あんた軽く聞こえるようにゆうとった気ぃするけどな。うん」
みゆき「何をするのー?私も体力つけたいから、興味あるなぁー」
れいか「えぇ、是非ともお聞きしたいです、やよいさん。なおのためと思って」
なお「お願い、やよいちゃん」シャクシャク、シャクシャク
れいか「なお。人に物を頼むときは、食べる口をお休めなさい」
やよい「えー、えーっと……ほんと、たいしたことじゃ。ただ、その……」
やよい「ま、毎週その……テレビの前で、だ、ダンス、を……」
TV『行けゴー○ースターズ♪飛べ○ーバースターズ♪』
やよい「なおちゃん!もっと腰振って!そう!そうそう!!
なお「こ、こう!?えっと、あれ!?」
あかね「やよいんちに行ったら、なんや録画されていたものとものっそ動きのえぇダンスを見せられました」
みゆき「やよいちゃん楽しそー!」
れいか「ついていっているなおは大変そうですけどね」
キャンディ「クールぅ、クルぅ」
やよい「ちがうよ、こう!こう!ほら、司令官をみて!!あの黒りんのキレのある腰さばきを!」
なお「く、黒りん!?だれ!?!?」
やよい「黒りんは凄いんだよ!リアルでも万引き犯を捕まえてシャットダウンしちゃう特撮俳優の鑑なの!黒りんかっこいー!」
なお「わ、わかんないけど確かにかっこいい!よ、よし、こう、だね!」
なお「な、なんでいきなり似非フランス語なの……?」
やよい「これで覚えたよね、よーし、それじゃぁ」
なお「あ、うん。通しで踊って……」
やよい「今度はCD音源に合わせて踊るよ!大丈夫、同じ動きをすればいいから、全然大丈夫だよ!」
なお「」
あかね「あれを丸々一曲はきっついわぁ」
みゆき「TVサイズで大変そうだったのにねー」
れいか「そうですね、なおも運動は得意ですがきっと……」
やよい「? 何やってるのみんな? みんなで踊ろうよ!」
あかね「こ、こっちにまで飛び火したっ!?」
なお「ぜぇ、ぜぇ……」
あかね「も、もうあかん。もう無理や、やよい堪忍して」
れいか「っふぅ、っふぅ。ダンスというものは、授業でしかしたことがありませんでした……」
やよい「えへへ、みんなで楽しいことをすると、やっぱり何倍も何倍も楽しいねっ!ねっ、みゆきちゃん!」
みゆき「う、うん。うる、うるとら、はっぴーだよねぇー……」
あかね「今ほど遠い顔しとるけどな自分」
キャンディ「とーべー、バールカーンクルぅ」
あかね「ほんであんたは高見の見物か、うちらと一緒に頑張るんとちゃうかったんか」
なお「う、うん。大変だけど、うん。頑張れば結果は出るよ、絶対」
あかね「志はえぇねんけどな……情熱の向かうとこが違うやろ確実に」
れいか「なおが満足してないといきますと、次は何をしましょう」
あかね「そーやなぁ。せや、てっとりばやく、痩せとって綺麗な人に、話聞いてみたらえぇんとちゃう?」
みゆき「うちのお母さんがどうしたの、あかねちゃん?」
あかね「見上げた親子愛やなコラ、否定せんけども」
みゆき「っていうことなの、お母さん!」
育代「あらあら……お母さんなんかで、参考になるかしら?」
なお「とってもなります!うちのおかあちゃんも、みゆきちゃんのお母さんはとっても綺麗だねって言ってます!」
れいか「私のお母様もです」
やよい「ママも、みゆきちゃんちのママはモデルになってほしいくらい綺麗ね~、って言ってます」
育代「あらあら、とっても嬉しいわ。でも、うーん……おばさん、特に気をつけていることはないの」
なお「えぇ……でも、そんなに綺麗で痩せてるのに」
育代「あらあら、歳相応なのよ?服のせいね、きっと」
みゆき「えー、お母さん痩せてるじゃん!昨日もお風呂で……」
あかね「……みゆき、まだお母ちゃんと風呂入っとるん?」
みゆき「? うん、お父さんとm」
育代「み、みゆき!」
やよい「仲いいなぁー、羨ましい」
れいか「そうですね、微笑ましいわ」
あかね「……あれ、うちだけやろかツッコミたいの」
なお「あたしも流石にお父ちゃんとは入れないよ、みゆきちゃん」
みゆき「えー?あ、そーだお母さん!お母さん、スポーツしてたじゃない」
育代「?なぁに?」
みゆき「お父さんとー、夜中に二人でストレtt」
育代「みゆき!!!」
育代「あ、あらあらやだわ。大きな声を出しちゃって、ごめんなさい?」
やよい「?」
れいか「?」
あかね「……」
なお「……」
みゆき「なんで怒るの?この前だって、私が眠れなくってお部屋いったら汗だくで……」
育代「ちょ、みゆ、みゆきあのね!そのお話はね、えーっと……」
博司「たっだいまー!みゆきー、育代さーん!お父さん、早上がりなので帰ってきたよー!」
育代「……博司さん、丁度いいところに」
博司「へ?あれ、なんだか育代さん、怖いお顔を……」
育代「実演、見せてあげましょう?ね?」
博司「な、何の……?」
育代「ここで、グイーーッと限界まで前に倒すのよー?」
博司「育代さん痛い!痛い痛い痛い痛い僕のアキレスがピーンて!!ピーンて痛い痛い痛い!!」
育代「あなたのせいですからね、みゆきが寝るまで待ってっていつも言ってるのに……はい、グイーーッ♪」
みゆき「わぁー、こんなに大変なのをしてたんだー」
やよい「す、すっごく痛そうみゆきさんのパパさん。あとなんだか声に赤い鬼の化身の雰囲気がワクワクするよぉ」
れいか「ストレッチをすることにより血行が改善され、美しさが保たれる。そういうことでしょうか」
あかね「あー、なんやみんな、お取り込み中みたいやし……そろそろおいとましよかー?」
なお「みゆきちゃん、弟か妹が出来たら、色々教えてあげるからね」
みゆき「? うん、それってウルトラハッピーだね、えへへー!」
みゆき「うん、おまたせキャンディ!なおちゃん、参考になった?」
なお「え、あ、うーん……えっと、相手がいないとダメだし、ってあたし何言ってんだろ」
れいか「? わたしが手伝ってあげるわよ、なお?」
あかね「れいか、それ一部をものすごく刺激する発言やからやめて。ほんまやめて」
やよい「うーん、運動も、美容面もやりきったよね。なおちゃん、効果あった?」
なお「えーっと……おなかが減っただけかなぁ」
あかね「うちの店のキャベツ全部食い尽くしておいて自分」
れいか「と、なれば……最後は、精神面ね、なお?」
なお「せ、精神面……?」
みゆき「うん、おまたせキャンディ!なおちゃん、参考になった?」
なお「え、あ、うーん……えっと、相手がいないとダメだし、ってあたし何言ってんだろ」
れいか「? わたしが手伝ってあげるわよ、なお?」
あかね「れいか、それ一部をものすごく刺激する発言やからやめて。ほんまやめて」
やよい「うーん、運動も、美容面もやりきったよね。なおちゃん、効果あった?」
なお「えーっと……おなかが減っただけかなぁ」
あかね「うちの店のキャベツ全部食い尽くしておいて自分」
れいか「と、なれば……最後は、精神面ね、なお?」
なお「せ、精神面……?」
曾太郎「話は聞いた、緑川の娘よ」
なお「ご、ご無沙汰しております」
みゆき「なおちゃん、怖がってるね?」
れいか「昔から、私の家に来てよくお祖父様に怒られていましたから」
やよい「虫とかお化けに怯えてたのとはまた違う怖がりかたかも」
あかね「昔からゆうやろー?ほんまに怖いんわ地震雷、家事お祖父様やーちゅうこっちゃ」
キャンディ「きゃ、キャンディは怖くないクルぅ」
あかね「顔おかしなっとるで」
曾太郎「うむ。身体の節制にかけるその心意気やよし。君の年齢ではいささか早すぎるように思うが」
なお「そ、そうは行きません!決めたんです!」
曾太郎「左様、君ならばそう言うと思っていた。そこの座蒲にかけなさい」
なお「ざ、座禅、かぁ……」
曾太郎「……」
やよい「あ、あのかっこいい杖みたいなのはなに!?」
れいか「警策と言って、集中を欠いて姿勢が乱れた時分に肩を叩くためのものです」
みゆき「た、叩かれちゃうの!?」
あかね「ゆうても、そんな痛くないんやろ?新喜劇のまきざっぱみたいな」
キャンディ「きゃ、キャンディは怖くないクル」
あかね「せやから顔おかしいって」
曾太郎「……」
なお「―――っ」グゥ~~ッ
曾太郎「……」トントン パシィーーーン!!
なお「っっ!!」
みゆき「い、痛そう……」
あかね「なお、今絶対食べもんのこと考えよったな」
曾太郎「……」トントン、 パシィーーーン!!
なお「っ!!」
なお「――――っ」グゥ~~~~
曾太郎「……」トントン、 パシィーーーン!!
なお「っ、っ」グゥ~~~~
曾太郎「……」トントン、 パシィーーーン!!
あかね「考えすぎやろ」
なお「っ!おなか、すいたよぉ……」グゥ~~~~~~
あかね「ゆうてもうたし」
曾太郎「鍛え方が足りん」
なお「うぅ、精進、します……」グゥ~~
れいか「お疲れ様、なお。はい、これを」
なお「あ、うん……って、これ!ダメダメ、ダメだよ!虫みたいなのはいやだけど、キャベツ以外は!」
れいか「お母様に言って、豆腐を中心とした健康によいものを作ってもらったわ。なお、少しでも食べないと……」
なお「いいや、ダメだ!れいか、気持ちは嬉しいけど……」
曾太郎「緑川の娘よ。食べなさい、もう分かったはずだろう。育ち盛りの君に、そのような節制など……」
なお「っ、それじゃ、ダメなんです!あたしは、このままじゃ……れいか、ごめん。失礼します!」
れいか「あっ、待ってなお!どこに行くの!」
なお「やっぱりこういうのは、あたしの性にあわない!走ってくるよ!」
あかね「待ち、なお!……行ってもーた」
やよい「ど、どうしよう……?」
みゆき「追いかけよう……なおちゃんのために、って思ったけど……今のなおちゃん、全然ウルトラハッピーじゃ、ないもん!」
キャンディ「クル、クルぅ!苦しいことも、みんなで分け合うクルぅ!」
狼「ウ~ルルル~♪俺様ウルフルン~♪」
魔女「うーん、困っただわさぁ」
狼「あぁん?ババァ、なぁ~にこんなところで頭抱えてやがんだぁ?」
魔女「あっ、ウルフルン!丁度いいだわさ!今月の分のあんたの出撃ノルマ、あたしによこせだわさぁ!」
狼「はぁ?確かにテメェはもう今月分達成してるけどよぉ、どういう風の吹き回しだぁ?仕事熱心なのはかまわねぇが」
魔女「あと数回、どうしても今月中にバットエナジーを集めて!スーパーマジョリーナタイムを発現させる必要があんだわさ!」
狼「ってぇと、あのテメェが若返るあれかぁ?」
狼「中身ババァだから興味ねぇけどよ。何がしてぇんだよ?近いうちにシリアステコ入れはねぇはずだぞ?」
魔女「あの、お節介で面倒な、コーバンとかいうところにいる生意気な人間が!」
狼「おぉ。なんだ、悪いことでも企んで……」
魔女「今月で移動になるとかなんとか言いやがるんだわさ!!」
狼「……おう」
魔女「一度でも、婆さん扱いするあいつを見返してやるんだわさ!べ、別に最後の最後で振り向かせてやろうなんて思ってないんだからねだわさーーーー!!」
狼「吐き気するやめろ。まぁ、なんだ。上手くやれよ。ほれ、黒っぱな」
魔女「いただくよ!それじゃ行ってくるだわさー!」サッ!
狼「まったくどいつもこいつも、悪の幹部としてなさけねぇ。人間なんかに入れ込みやがって」
ジョーカー「うっふふぅん?うーるっふるんすわぁん?その割に、最近なぜだかキュアハッピーの資料ばかり眺めているようでっすがぁ~?」
狼「ぶっ飛ばすぞクソジョーカーきめぇ寄るな」
なお「っ、でも、でも。今のあたしは、あたしじゃないんだ。変わらなきゃ、うん」
なお「何よりこんなんじゃ、弟妹たちにしめしがつかない。よしっ、直球勝負!」
みゆき「なおちゃん、どこまで行っちゃったのかなぁ」
やよい「またこの河川敷に戻ってきちゃったね」
あかね「走るーゆうとったから、ここやと思ったんやけど」
れいか「なおは単純、いえ、素直なのでここに向かうと思います。どこへ……チアリーディング部のみなさんが、練習している姿しかありませんね」
みゆき「あー……最近練習、行ってないなぁ」
あかね「大丈夫や、誰もみゆきがチア部所属なんて覚えてへんから」
みゆき「酷いよ!?」
あかね「あんたの参加頻度には負けるわ」
魔女「ここで集めれば、スーパーマジョリーナタイムまであと一歩だわさ!」
魔女「さぁて……世界よ!最悪の結末!バッドエンドに染まるだわさ!!」
魔女「白紙の未来を、黒く塗りつぶすだわさぁー!!」
キャンディ「クル!?バッドエンド空間クルぅ!?」
みゆき「あっ、ち、チア部の……えーっと、みんなが!」
あかね「所属なのに覚えてへんやん……膝ついて、ボンボン投げ出してもーてるー!」
「もう応援なんてしたくない…」
「男の目線がキモイ…」「衣装かわいくない」
魔女「いーっひっひっひっひ!人間どもの発したバッドエナジーが、悪の皇帝ピエーロ様を、よみがえらせていくだわさぁー!!」
なお「み、みんな!これは……」
れいか「なお、やはり近くにいたのね。えぇ、バッドエンドの連中よ」
やよい「なんだか、気合が入ってる……?」
あかね「こっちも負けてられへんで!みんなを、助けな!」
みゆき「うん!いくよ、みんな!」
プリキュア、スマイルチャージ!
サニー「太陽サンサン、熱血パワゥァ!キュアサニェー!」
ピース「ぴかぴかぴかりん☆じゃん、けん、ぽん!キュアピース!」
マーチ「勇気凛々、直球勝負!キュアマーチッ!」
ビューティ「深々と降り積もる、清き心。キュアビューティ!」
五つの光が導く未来!
輝け!スマイルプリキュア!!
魔女「こいだわさ!黒っぱなの、ハイパーアカンベェ!」
ボンボン「」ギュワンッ
ハイパーアカンベェ「ハイパーアカンベェ~っ!!ベェー!!」バクッ!!
魔女「」
ハッピー「!マジョリーナが食べられた!」
サニー「この間のウルフルンの時と一緒や!きっと、あのアカンベェと……」
ハイパーアカンベェ「いーっひっひっひ!力が、力が溢れるだわさぁーーー!!」
ピース「!?ボンボンの先が、伸びてきたよぉ!?」
ビューティ「皆、避けるんです!はっ!!」
ハッピー「う、うん!っ!」
マーチ「分かった……っ!?」ガクッ
サニー「よっしゃ……マーチ!?」
マーチ「あっ……な、なんで。変身した、のに!力が!」
ハイパーアカンベェ「おやぁ?足でまといがいるみたいだなぇ!まずはオマエからだわさ、キュアマーチ!!」
マーチ「っ!!!!」
キャンディ「マーチぃ!!」
ハッピー「だ、大丈夫、マーチ!?」ギリギリッ
ピース「え、えっへへ。なんだかヒーローみたい、私!」ギリギリッ
ビューティ「サニー、マーチの、肩を!」ギリギリッ
サニー「おう!だからゆうたやろ、ちゃんと食べやーって!ほら、肩貸しぃ!」グイッ
マーチ「っ、ありがとう。ごめん、ごめんみんな……」
サニー「後や!キャンディに預けとるうちの鞄に、あんた用のお好み焼きあるから!それ食えば……」
マーチ「で、でも……」
サニー「まだゆう気かこの……」
ハイパーアカンベェ「いっひっひっひっひ!たった三人じゃ、ハイパーアカンベェの力は押さえられないだわさぁー!!」ブン!!
ハッピー「えっ、うわぁっ!?」
ピース「わわっ、きゃぁーー!」
ビューティ「っ!!」
マーチ「!?ハッピー!ピース!ビューティ!!!」
ハイパーアカンベェ「いーっひっひっひっひ!そうすればそのままスーパーマジョリーナタイムの始まりだわさぁー!!」
マーチ「す、スーパーマジョリーナタイム……あんたが若返る、あれ!?」
サニー「こないだマーチがゆうとったやつか……なんや、自分そないなアホなことのためにこんなことしよんのかコラァ!」
ハイパーアカンベェ「もちろんピエーロ様復活のついでだわさ!それに、くだらなくなんかない!!」
ハッピー「っ、そんな、そんなあなたの自分勝手のために、みんなをバッドエンドなんかにさせない」
ピース「そ、そうだよ。どうしてマジョリーナのために不幸にならなきゃいけないの!?」
ビューティ「どうしてあなたは、そのマジョリーナタイム、にこだわるのです?戦うのなれば、今で十分……」
ハイパーアカンベェ 「えぇいうるさいうるさい!あんたたち小娘には、わからんだわさ!」
ハイパーアカンベェ 「老いた自分の惨めさが!!!変わっちまったことの絶望が、理解できるはずなだわさーーー!」
マーチ「!!!」
ハイパーアカンベェ「あたしゃあねぇ!そりゃあ若い頃は美しかった!あんたたちちんいくりんなんかに負けないくらいねぇ!」
ハイパーアカンベェ「だがどうだい!今じゃあの狼の若造にさえババアと言われる始末だ!むかしゃ姐さんと言っていたのに!」
ハイパーアカンベェ「おまけにあいつは!生意気な人間風情にまで年寄り扱いされるとくる!そんなの、我慢できるかい!!!」
ハイパーアカンベェ「あたしゃこんな醜い姿なんかじゃない!もっともっと美しく、もっともっと強く、完璧な姿をしていたんだわさ!」
ハイパーアカンベェ「あんたたちにも、短い人生だろうが少しはあるだろうさね!あの時が良かった、こうすればよかった、ってねぇ!」
ハイパーアカンベェ「その時に戻れる手段を持つあたしが、そいつを求めて……何が悪いって言うんだわさぁああああああ!!!」
マーチ「……」
ハッピー「……可哀想だね、あなた」
ハイパーアカンベェ「!?!?」
マーチ「ハッピー……?」
ハッピー「学校なんてなかったし。ずっと大好きな絵本を読んでいられた。お母さんに一日中甘えていられた」
ハッピー「でも……でも!私は絶対に、今を後悔したりなんて、しない!」
ハッピー「私の今を否定したりなんてしない!!」
ハッピー「だって!あの時の私にないもの!今の私はいっぱいいっぱい、いーーーっぱい持ってる!」
ハッピー「あれからたくさん読んだ幸せな絵本!たくさん起きた楽しい事!たくさん出合った優しい人!」
ハッピー「あんまり幸せじゃなかった本!ちょびっとの悲しい事!仲良くなれないまま分かれちゃった人!」
ハッピー「あかねちゃん、やよいちゃん、なおちゃん、れいかちゃん、キャンディ!大事な、大事なお友達!」
ハッピー「全部が全部、私なの!今の私!あの時なかった、今の私だもん!」
ハッピー「私は、いつだって今がいっちばんウルトラハッピー!」
ハッピー「だから……あなたなんかに、絶対負けない!!」
マーチ「……」
マーチ「サニー……」
サニー「今のうちは、今一緒にいるみんなといられればそれでええ。昔のことなんて知るかい、あんたの考え押し付けんといて」
ピース「私、パパに会いたい。ずっとそう思ってた」
マーチ「ピース……」
ピース「でも、もういいの。パパは私の中にずっと一緒にいてくれる。私は私で、今を強く!前に進む!あの時に負けないパパの愛を、今の私だってずっともらってるんだから!」
ビューティ「歳を重ねて、徳を積んで。それでも尚あなたはあなたの『道』の尊さを分かっていないのですね」
マーチ「ビューティ……」
ビューティ「それまでの全てを、今この瞬間輝かせるために生きる。それが『道』というものです。自らも受け入れられないあなたは、みゆきさんの言う通り。可哀想だわ」
マーチ「……」
マーチ「あぁ、そっか」
ハイパーアカンベェ「小娘があたしに説教してるんじゃないよ!潰してやるだわさぁああああ!」
マーチ「太ってるのが何さ、体重が何さ……あたしは、あたしなんだ」
マーチ「いつもみんなに言ってるのに……お父ちゃんとお母ちゃん、それにお天道様に感謝してご飯を、って」
マーチ「あたしが一番、否定してたんだ。っはは、ほんと……お姉ちゃん失格だ」
サニー「気づけたんやし、えーんちゃう?」
キャンディ「クル!マーチ、お好み焼きクル!」
マーチ「うん……全ての食材に、感謝して!いただきますっ!」
サニー「なんや、うちは『マーチ待ってたしー!』とかゆえばえぇんか。それより早く食い終わってくれへん?残りの三人めっちゃ踏ん張ってあんたの見せ場まで持ちこたえとるから」
マーチ「おかわり!」
サニー「はよ行かんかい!!!」
ハッピー「あ、マーチ……ぷぷっ、青ノリ着いてるよー!」
ピース「あははっ!でも、マーチらしいかも」
ビューティ「本当に、待っていたわ。さぁ、マーチ」
マーチ「うん!こいつの相手は、あたしだ!ご飯を食べて元気100倍だよ!」
サニー「それ以上あかん、あんた勇気リンリンで既に容疑かかっとんのにそれはあかん」
ハイパーアカンベェ「あんたが相手ぇ!?はっ!あんた一人の浄化なんて効かんのに、何ができるだわさぁー!」
マーチ「今なら、いくらだって走れる!プリキュア!マーチ……ッ!!」
ハイパーアカンベェ「!?風の力を足に纏わせたまま、あたしの周りをグルグル走り始めただわさぁー!?こ、これ、は!?うひゃーだわさぁーーー!?!?!?」
ハッピー「わぁ、すごい!」
ピース「風の力といえば竜巻だよねっ!わかってるぅーなおちゃーーん!!」
ビューティ「動けなくなりましたね。流石よ、マーチ」
マーチ「上手くいくもんだね。さぁ、直球勝負にとどめといこう!」
ハイパーアカンベェ「う、動きを封じておいてなにが直球だわさ!くっそ、くっそぉだわさぁああああああ!」
ペガサスよ!私達に力を!!!
プリンセスサニー「プリンセスサニィー!」バーン
プリンセスピース「プリンセスピース!」キリッ
プリンセスマーチ「プリンセス」ヒュルヒュルジャキッ「マーチッッ!」
プリンセスビューティ「プリンセスビューティ!」バシィーン
プリキュア!プリンセスフォーム!!
プリンセスハッピー「開け、ロイヤルクロック!」
キャンディ「みんなの力をひとつにするクルぅ!ティン!」
プリンセスハッピー「とどけ!希望の光!」
はばたけ!光り輝く未来へ!!
プリキュア!ロイヤルレインボーバーストォオオオオオオオオ!!!
ハイパーアカンベェ「ちっくしょうだわさぁあああああああ……」
プリンセスハッピー「フッ……輝け!」
ハッピースマイル!!!
みゆき「なおちゃんも、元通りだし!ウルトラハッピーだね!」
なお「みんな、ごめんね……あたし、なんにも分かってなくて」
あかね「あー、えぇねんえぇねん。あんたなら回り道してもいつか気づくー思っとったし」
やよい「それに今日、なんだかんだで楽しんだもん!特にダンスとか!」
れいか「えぇ、信じてたわ、なお……だけど、これっきりにしてね?」
なお「うん……あたし、みんながいてくれて……良かった!」
みゆき「えへへ。なおちゃん、今が一番?」
なお「うん!ウルトラハッピーだよ、みゆきちゃん!ご飯がいくらでも、食べられそう!」グーッ
やよい「あ、なおちゃんおなか鳴ってるっ」
あかね「っはー、こうなったらなんや、今日はうちの店貸切で、お好み焼きパーティーしよかー!」
れいか「ふふっ、あかねさん。店じまいをする覚悟でないといけないわ?」
なお「……ありがとう、みんな!」
なお「はいっ、じゃあ手を合わせて」
けいた・ゆうた・こうた・はる・ひな「「「「「いただきまーす!」」」」」
なお「はいはい、めしあがれ」
けいた「なおねーちゃん、またそんなに食うの?」
なお「いいの。えーっとね、はる」
はる「うん」
なお「はるが気にする気持ちを、分かってあげられなくもないんだ。でもね、ちゃんと食べないと……」
はる「ううん、大丈夫。ひなとね、お話したの」
ひな「ちゃんと食べないと、なおねーちゃんみたいになれないから、はるねーちゃんたっくさんたべるんだって!ひなとお約束したー!」
なお「……そっか!偉いぞ、はる、ひな!」
こうた「こーたも!!」
なお「うん!みんな偉い偉い!」
けいた「……俺が一番食ってるもんねーだ!……ところでさ、なおねーちゃん?」
なお「なに?あ、また体重がどう、とか言ったら……」
けいた「ちが、ちがうよ!なおねーちゃんさぁ……」
けいた「背、去年から滅茶苦茶伸びたよね……いいなぁ。やっぱたくさん食べなきゃなぁ」
なお「……そっちぃぃいい!?!?」
完
魔女「……餞別だわさっ!『納豆ぎょうざ飴』をプレゼント・フォー・ユー、だわさ!」
警官「?マジョさん、僕の移動取りやめになったって話、しませんでしたか?」
魔女「!?う、嬉しくなんかないだわさ!!!あと、あたしゃマジョリーナだわさぁああああ!!!」
今度こそ、完
とりあえず、来週はポップ爆発せんかい!
じゃあの!
ABC朝日放送 日曜朝八時半
スマイルプリキュア!
大好評放送中!
関連グッズも続々発売中!!
乙
Entry ⇒ 2012.09.24 | Category ⇒ プリキュアSS | Comments (2) | Trackbacks (0)
P 「お絵描き予行演習をしよう」
また、アイドル達の絵の上手い下手は勝手なイメージで書いた物なので
公式設定があれば、それとはかけ離れた物になるかも知れませんので
気になる人はご遠慮ください
美希 「ん? ミキ達TVなら、もう結構出てるよ?」
P 「ふっふっふ 聞いて驚け!今回の番組は『ミュージックマスター』だ!」
亜美 「ええ!あのゴールデンの!?」
千早 「?」
春香 「千早ちゃん知らないの?司会も人気お笑いコンビがしてる超人気番組だよ!?」
千早 「私あまりTV見ないから…」
P 「今回は歌の枠と、全員参加のコーナーの枠が一つ貰えたんだ」
律子 「これで知名度がグーンと上がるのは間違い無しよ!」
雪歩 「すごいですぅ! さすがプロデューサーさんですぅ!」
やよい 「私 がんばりますー!」
P 「歌枠についてはあまり心配していないんだが、その後のコーナーの方が問題で…」
あずさ 「どういったコーナーなんですか?」
P 「ほら よくあるだろ?お題を与えてもらって絵を描くっていうコーナー」
真 「あ~ よくありますね、ヘタだと笑われちゃうかもですけど」
P 「ヘタならヘタで美味しいんだが、それも、その人のイメージによるからな」
真美 「真美は絵得意だよ!」
貴音 「わたくしはあまり得意では…」
伊織 「このスーパーアイドル伊織ちゃんなら何も心配いらないわよ?」
P 「本番でどんなお題が与えられるかは分からないが、今回はそうだな…」
響 「なんでもいいぞー 自分完璧だからな」
P 「うーん みんなが知ってるのがいいよな…動物の『象』でいこうか」
春香 「『象』ならたしかにみんな知ってますもんね、特徴もあるから描きやすいかも」
全員 「はい!」
P 「じゃあ、制限時間は10分にしておこうか」
P 「よーい はじめ!」
カキカキ ウーン コレハイガイト …
律子 「この子達の絵については、私達何も知りませんからちょっと楽しみですね」
P 「ヘタでも春香や亜美や真美、あと響なんかもいじられ役としてはいいんだけどな」
律子 「雪歩なんかは、『穴掘って埋まってますぅ』 なーんてことになりかねませんからね」
P 「うん あまりにひどい様だとイメージにかかわる子もいるから…」
P 「よし時間だ、みんな描けたか?」
全員 「はい!」
P 「じゃあそうだな、あずささんから見ていきましょうか」
あずさ 「全然面白みが無いかも知れないですけど…」
P 「それでも全然いいんですよ、あずささんからなのは、ちゃんと理由もありますから」
あずさ 「そうですか~? じゃあどうぞ」
P 「うん 長い鼻・大きな耳・太い足 完璧に象ですね、あずささんなら大丈夫だと思ってました」
あずさ 「一応特徴だけはちゃんと描いてあるつもりです~」
亜美 「でもTV的にはこれでいいの?兄ちゃん」
P 「ああ、こういうコーナーで全員が全員ヘタなら逆に面白くないんだ」
春香 「あ 分かりました振り幅ですね!」
P 「そうだ、さすが春香だな」
あずさ 「どういう事ですか?」
P 「こういう時はな、まず常識的な絵を見せておくと、ヘタな人がよりヘタに見えるんだ」
律子 「あずささんの絵なら完璧に前フリをこなせるますからね、言う事無しですよ」
あずさ 「じゃあ本番でも、早めに発表できるようにしますね~」
P 「はい、お願いします MCにも伝えておきますね」
やよい 「はい! ジャジャーン!」
千早 「高槻さんの象かわいい…」
あずさ 「あら~ やよいちゃんっぽくてかわいいわね~」
やよい 「私 兄弟がいーっぱいいて、みんなに描いてくれってよく頼まれるから絵は得意なんですー」
P 「うんうん やよいならどんなお題が与えられても大丈夫そうだな」
伊織 「多分 視聴者も『やよいは絵が上手だなあ』って言う事間違いなしね」
やよい 「えへへ 照れちゃいますー」
美希 「クレヨンで描いてるのがかわいいの」
千早 「プロデューサー、後でこの絵いただけます?」
P 「俺も心配しすぎたかな?この調子でみんなのも見せてもらおう」
P 「次はそうだな…春香 見せてくれるか?」
春香 「はい!」
全員 「…」
春香 「え?みんなどうしたの?結構上手く描けてると思うんだけど…」
美希 「春香はなんでも無難にこなせるアイドルだと思ったけど…」
貴音 「これは…」
亜美 「めちゃくちゃ甘く見て、ギリギリ象だね…」
真美 「子供が見たら泣いちゃうよ→!」
千早 「春香は絵がヘタなのね…」
春香 「ひどいよ 千早ちゃんまで!」
律子 「せめて色くらいはもう少しアイドルらしい色を選んで頂戴ね」
春香 「ほ 本番はもうちょっと真剣に描きますから!」
春香 「あとフォローのコメントで笑いとりますから!!」
響 「春香…アイドルとして、その発言はどうかとおもうぞ…」
P 「うん… まぁ、不安要素もあるけど春香なら何とかできるだろう」
亜美 「合点承知!」
真美 「ちょ→真剣に描いたから問題ないっしょ!」
P 「合作かと思ったけど別々に描いたんだな」
亜美・真美 「とくとみさらせーい!」
春香 「ちょっと!アウトアウト!」
雪歩 「だ 駄目だよ亜美ちゃん真美ちゃん!」
P 「こういう事があるから予行演習しておきたかったんだ…」
亜美・真美 「え?なんか問題あるの?」
律子 「今回の番組のスポンサーが任〇堂やポケ〇ンなら問題ないんだけどね…」
P 「スポンサーがライバル会社なら間違いなく2人のところはカットになるな」
亜美 「大人の事情なんてちらないよ!」
真美 「そうだよ真美たち一生懸命描いたのに!」
亜美 「ちぇ 折角上手に描けたのにー」
真美 「いざとなればモザイクいれたら大丈夫っしょー」
P 「それじゃ 意味ないだろ…」
美希 「……」ウトウト
P 「美希、眠そうだな」
貴音 「先ほど絵を描いている時からすでに眠そうでしたね」
真 「半分寝ながら描いてたけど、大丈夫なのかな?」
P 「じゃあ美希のを先に見るか」
美希 「どうぞなの~…」ウトウト
千早 「半分寝ながら描いていたのに、上手なのね」
真 「面倒くさがって色を塗ってないのが美希らしいや」
真美 「線がよろけてるし、変な所にに線が描いてあるけどミキミキやるなー」
P 「…」
律子 「どうしたんです?プロデューサー」
P 「気がつかないのか?、みんなちょっとこれを見てくれ」カキカキ
亜美 「うわー、何これ!『おにぎり』っていう文字が隠れてたよー!」
春香 「意識して描いたのか無意識なのかは分からないけどすごいですね…」
P 「多分、無意識だろうけど、変な所で天才が見え隠れするな」
貴音 「食欲や睡眠欲など、人間の欲望が良く顕れた素晴らしい絵ですね」
P 「そう手放しで褒められたもんじゃないだろうけど、すごい才能だな」
美希 「あふぅ…」
貴音 「わたしくし『書』であれば多少の心得があるのですが…」
律子 「あまり自信無さそうね」
貴音 「正直、春香の絵を除いて、みなより上手く描けている自信はありません…」
春香 「言い返したいけど言い返せない…」
.貴音 「ゆえに『書』を基本に描いてみました」
P 「よくわからないが見せてもらえるか?」
律子 「こ これって…」
貴音 「はい 『象』という『文字』の成り立ちから、わたくしなりの象を描いてみました」
亜美 「お姫ちん…」
真美 「ぶれないわぁ…」
P 「なんかある意味芸術的だけど、番組的には面白いかもだからOKだぞ貴音」
貴音 「面白い…ですか、わたくし真剣に描いたのですが…」
律子 「貴音のミステリアスな部分が見えていいんじゃないかしら?」
貴音 「そうですか、それなら良いのですが」
P (美希あたりにフォローを頼んでおこう…)
P 「気を取り直して次は誰に見せてもらおうかな…」
律子 「あら 真ずいぶん自信ありそうな顔してるわね」
真 「へっへーん ボク女の子らしい趣味にあこがれて、ちょっと絵とかも練習してたんです」
P 「へー じゃあ真、見せてくれるか?」
真 「いいですよー自信作です! どうぞ!」
伊織 「何よこれ!!」
真 「何って象だよ?」
やよい 「すっごく迫力がある象ですー」
P 「真… この乗ってる人は誰なんだ…?」
真 「南蛮兵ですよ、戦象に乗ってドカーン!バシーン!って」
響 「象がかわいそうだぞー」
全員 「「「「え!?」」」」
P 「おい響、まさか今の『象』と『ぞー』をかけたのか?」
響 「ぜ 全然ちがうぞ!自分がそんな寒いギャグいうわけないだろ!」
千早 「フフッ!…プフフ!」
響 「うがー!すべってなんかないぞ!」
P 「真は絵が上手いけど、もうちょっと著作権とか心配の無い絵にしてくれ…」
真 「カッコよく描けたんですけど、もうちょっと女の子らしい絵の方がよかったかな…」
雪歩 「でも真ちゃんっぽくて素敵かも ウフフ」
律子 「少し心配になってきましたね…」
P 「ま まぁ次は大丈夫だろ雪歩見せてくれるか?」
雪歩 「は はい!あまり上手じゃないですけど…どうぞ…」
春香 「わ!アイドルっぽいかわいい絵だ」
真 「すごいよ雪歩!、ボクもこんな風に描けば良かったんだね」
P 「雪歩…お前なら大丈夫だって俺は信じてたよ 」ホロリ
雪歩 「そ そんなことないですぅ」
律子 「ちょっと心配でしたが、雪歩は全然大丈夫ですね」
あずさ 「色づかいもかわいいですね~」
美希 「つっこみどころもないけど、雪歩の女の子っぽいイメージはグンとあがったの」
雪歩 「えへへ」
千早 「今の所アイドルの絵としては一番いいんじゃないかしら?」
やよい 「雪歩さんすごいですー!今度教えてもらっていいですかー?」
雪歩 「そんな褒められたら、私…恥ずかしくて…穴掘って埋まってますぅ!」
P 「どっちにしろ穴掘るんだな」
律子 「すごい真剣な顔して描いてたわね」
響 「うん 自分、象は飼ってないけど動物はみんな仲間だからな!」
P 「響はヘタでも大丈夫だな、むしろいじられ役のほうが、かわいいってイメージあるし」
春香 「ムキになって『自分、ヘタじゃないぞ!』とか言ってる姿が思い浮かぶかも アハハ」
響 「なんか、アイドルとしての方向性がわからなくなってきたぞ…」
響 「…なんか自信無くなってきたけど…はい」
全員 「!!!」
P 「ひ、響 お前めちゃくちゃ上手いじゃないか!」
律子 「ほんと…これ番組もてるくらいのレベルよね…」
真 「こ これ何も見ないで10分で描いたの?」
響 「自分いつも動物図鑑とか見てるし動物園もよくいくから動物ならなんとか…」
伊織 「…!」 ワナワナ
伊織 (このままじゃ 私の絵なんて普通すぎてTV的にもまずいことになるわね…)
伊織 (描き直して、もうちょっとディティールも加えてレベルを上げないと…!!)ペラッ カキカキカキカキ!!
亜美 「ん?」
真美 「あーいおりんズルしてるー!」
P 「コラ伊織、もう制限時間も過ぎてるから描き直しは駄目だぞ」
亜美 「兄ちゃんもああ言ってるし観念しろー いおりんー!」バッ
伊織 「あ!待って…まだ顔の途中だから!」
真美 「兄ちゃんパース!」
P 「別にヘタでも大丈夫だって、みんなにもフォロー頼んでおくし」
春香 「どうしたんですか?何かコメントをあげないとさすがに伊織もかわいそうですよ」
チラッ
春香 「…」///
やよい 「どうしたんですかー?みんな黙って」
P 「や やよいはみちゃ駄目だ!」
響 「いったいどんな絵なんだ?」バッ
P 「コ コラ響!駄目だって!」
バサッ
全員 「」///
やよい 「?」
真 「伊織、自分の描いた絵をよく見てごらんよ」///
伊織 「別になんてことな………いいいいい!!!!」
雪歩 「わ 私フォローのコメントなんて出来ないですぅ!」
P 「す すまん伊織こんな事になるなんて思っても…」
伊織 「ち ちがうのよ!これは何かの間違いなのよ!途中だったから!」
P 「う…うん 分かってるから みんな分かってるから」
伊織 「変態!ド変態!変態大人!!!!」ボカスカ
あずさ 「あらあら うふふふ」
伊織 「あれは象なのよ象、色塗ったら分かるんだから…」ブツブツ
千早 「あの…」
春香 「プロデューサーさん千早ちゃんのがまだ…」
P 「え? あ! すまん千早」
律子 「まぁ 忘れてしまうのもなんとなくわかりますけどね」
P 「そうなんだ、千早は歌とか芸術分野が得意っていうイメージがあって心配してなくてつい…」
千早 「かまいませんよ ウフフ、でも折角描いたので見てもらえますか?」
P 「ああ、もちろんだとも」
千早 「拙作ですがどうぞ」 テレテレ
美希 (一気に目が覚めたの!)
貴音 (面妖な!)
真 (とりあえず耳がない)
やよい (なんだか怖いですー…)
雪歩 (色が青すぎて何が何だか分からないですぅ)
響 (笑いながら血を吐いてるぞ…)
亜美 (サ サインまで書いてる!)
真美 (書かないほうがましなのに!)
春香 (千早ちゃん 私の絵さっきヘタって…)
伊織 (象だから象だから)ブツブツ
P 「ち 千早、これは一体…」
千早 「ちょっと個性を出して描いてみました」 フンスフンス
P 「はは…律子はどう思った?」
律子 「え ええ なんというか独創的な絵で…(ここで振るってプロデューサーひどいですよ!)」
千早 「みんな声も出ないみたいね、本番が楽しみだわ」
全員 「あは…あははは…」
P 「うん だからなんとなくでいいから、その人に合ったコメントを用意してあげておいてくれ」
伊織 「偉そうに言ってるけど、あんたの絵はどうなのよ」
春香 「うんうん プロデューサーさんの描く絵ってちょっと興味あるかも」
千早 「私の絵の後は見せにくいかもしれませんが、見せてもらえますか?」
P 「お 俺は関係ないだろ、番組に出るわけじゃないし」
亜美 「そんな事いってー、ほんとはめっちゃへたっぴなんじゃないの?」
P 「ムッ」
真美 「いるよねーへたっぴなのに評論だけは上手い人ー」
P 「ムカッ」
伊織 「ま どうせへっぽこプロデューサーの絵なんてたいしたことないわよ」
P カキカキカキカキ!!
おわり
SS初心者なので色々問題あったかもしれませんがまた頑張って書きたいと思います
おやすみなさい
乙
春香 千早 伊織 やよい 美希 貴音 自分で描いた
真 トレス
響 写真加工
亜美 真美 トレス後にモザイク処理
でした
こういうのも、イイネ!
絵心があるってすごいなぁ、尊敬する
Entry ⇒ 2012.09.24 | Category ⇒ アイマスSS | Comments (0) | Trackbacks (0)
洋榎「大阪デートや!」 初美「よろしくですよー」
洋榎「…………」
洋榎「…………ん」
洋榎「くぁ……あったま痛……」
洋榎「…………」
洋榎「寝とったんか……」
洋榎「…………」
洋榎「どこやここ」 キョロキョロ
洋榎「京橋か……?」
洋榎「……えーっと、何でこんな所で寝とったんやっけ?」
洋榎「えーっと……」
洋榎「確かウチ、大阪戻ってきたんやったな」
洋榎「結局団体戦はボロ負け、個人戦でもウチがちょっと惜しいとこまで行っただけで……」
洋榎「……」
洋榎「思い出したわ」
洋榎「絹達に爽やかーにバトンタッチするためにも、沈んだ空気どないかしたかったら……」
洋榎「お疲れさんパーティしようとしたんやった」
洋榎「そんでどうなったんやっけ……」
洋榎「……アカン、思い出されへん」
洋榎「……しかしまぁ、この頭の痛さといい、予想はつくわなぁ」
洋榎「どーせまた代行に見つかって、なんだかんだで飲まされて潰れたんやろ」
洋榎「これだから体育会系ノリ全盛期のオバハンはアカンわー」
洋榎「何がとりあえず生中やねん、こちとらまだ未成年やっちゅーねん」
洋榎「……絹達ちゃんと家帰ったんやろうな」
洋榎「昔代行が無理矢理飲ませた時の感じから行くと、恭子あたりはヤバイ気がすんねんけどなー」
洋榎「まぁ由子はクッソ強かったし、アイツが送ってくれとるやろ」
洋榎「……絹はちゃんと断れる子やけど、ウチがここに放置されたことを考えるとなぁ……」
洋榎「……酔って一見まともな絹にウチが預けられて、恭子と漫は由子と代行が送っていったってとこか」
洋榎「……」
洋榎「絹、一人で酔ったまま帰宅してたらええんやけど」
洋榎「アイツ乳でかいし美人やからなー」
洋榎「変な男にホテルにでも連れ込まれてたら……」
洋榎「…………」
洋榎「あ、あかん! 急いで帰らな!」
洋榎「ええっと、ICOCA、ICOCA……」
洋榎「あれ、無い……」
洋榎「ていうか、財布もなくない……?」
洋榎「……」 サーッ
洋榎「あわわわわ、どどどどないしたらええんや!?」
洋榎「お、おまわりさーーん!?」
初美「何を騒いでるんですかー?」
洋榎「うわあ、変態さん!?」
初美「失礼な人ですねー」
洋榎「ていうか自分よく見たら永水の副将やん」
洋榎「初音やっけ」
初美「違います、初美ですよー」
洋榎「ああ、そうやったな」
洋榎「初音がネギで初美がヌギ、よっしゃ覚えた」
初美「ほとんど初対面なのにえらい喧嘩の売りようですよー」
洋榎「わかっとらんなー」
洋榎「初対面やからこそ、フレンドリーに距離を詰めたろいう親切心やないか」
初美「詰めすぎて余裕でオーバーランですよー」
洋榎「つーかお前さん何しとるん」
初美「え」
初美「えと……その……」
初美「か、観光ですよー!」
洋榎「巫女服着て大阪旅行とかケッタイやなー」
初美「ははは……」
初美(ちょっとポカをやらかして、お仕置き兼ねて大阪まで自腹で来るはめになったとは言えないですよー……)
洋榎「あ、そや」
洋榎「金貸してくれへん?」
初美「え」
洋榎「いや、いきなりで申し訳ないんやけどね」
洋榎「ちょーっとまあ、大声じゃ言えない理由で財布盗られてもーて……」
洋榎「ウチ帰ったら帰すから、貸してくれたら助かるなーって……」
洋榎「……だめ?」
初美「……」
初美「うーん……」
初美「じゃあ、お礼に大阪観光案内でもしてくれたら貸してあげるですよー」
初美(どうせ大阪まで来たんだから楽しみ尽くしてやりますよー)
洋榎「いよっしゃ、決まりやな!」
洋榎「とりあえず腹ごなしにテキトーにコンビニで飯でもこうて電車乗ろかー」
初美「財布持ってない人間の言うセリフじゃないですよー」
洋榎「あ、やっぱり?」
初美「それに折角大阪まで来たんですから、たこ焼きとかが……」
洋榎「ちゅーてもこの辺美味いたこ焼き屋あったかなぁ」
初美「じゃあもうちょっと我慢を……」
洋榎「しゃーないなー」
洋榎「まぁよう考えたら思ったより腹減っとらんし、我慢したろ!」
初美「じゃあ何で言ったんですか……」
[京橋駅構内]
洋榎「さーて、うちに帰るついでに案内できる所は案内しようと思うんやけど」
初美「よろしくですよー」
洋榎「……とりあえずこれが都会名物自動改札機や」
初美「鹿児島にだって自動改札くらいありますよー!」
洋榎「え、そーなん」
洋榎「何か変なお面みたいなん持ち歩いとるし、児童ポルノな格好で居ても犯罪起こらんみたいやし」
洋榎「てっきり発展途上国みたいなトコかと」
初美「鹿児島の人に謝ってくださいー」
洋榎「あーいトゥイマテーン」
初美「……」 イラァ
[愛宕家近隣]
洋榎「ここがかの有名な、愛宕ハウスの最寄りコンビニでございまーす」
初美「これっぽっちも有名じゃないですよー」
洋榎「これから有名になるねん」
洋榎「あの有名美人雀士姉妹と有能監督という最強ファミリー愛用のコンビニとしてな!」
初美「さっさと財布取りに行きますよー」
洋榎「え、ツッコんでもくれへんの」
初美「そこまでする義務はないですよー」
洋榎「これだから関東人は」
初美「鹿児島は関東じゃないですよー……」
洋榎「はい、愛宕家ー!」
初美「……」
洋榎「何かコメントせーや!!」
初美「え、いや、だって……」
初美「人様の家を貶めるのって最低ですよー」
洋榎「貶す前提!?」 ガビーン
洋榎「何かあるやろ褒めるとこ!」
初美「う、うーん……」
初美「鹿児島は土地が安いからかもっと大きくて雰囲気ある民家がいっぱいありますから……」
洋榎「っかー、気に入らんわー!」
洋榎「グローバルスタンダードに考えーや!」
初美「日本のスタンダードは大阪じゃなくて東京ですよー」
洋榎「ああ!?」
洋榎「ちゅーわけでただいまーなんやけど……」
初美「?」
洋榎「…………」
洋榎「鍵まで盗られとる……」
初美「ちょ……」
洋榎「とりあえず誰かおるかも分からんしチャイム鳴らしてみるわ」 ピンポーン
初美「…………」
洋榎「…………」
初美「出ないのよー」
洋榎「ああクソ、出ろや!」 ピンポーンピンポンピンポンピンポピンポピンポポポポピンポーーーン
初美「おお、高橋名人ばりの16連射ですねー」
洋榎「おっかしいな……」
洋榎「今日休日やし絹は家におるはずやけど……」
初美「お出かけとかじゃないですかー?」
洋榎「せやったらええねんけど……」
洋榎「あのまま昨日帰ってきてへんっちゅー可能性もあるからな」
洋榎「ちょっと心配やわ」
初美「……ふーむ」
初美「窓から中を覗くとか……」
洋榎「せやな」
洋榎「庭から回りこむで」
初美「え、私もですか?」
洋榎「当たり前やろ、一人で家先残る気か」
初美「仮にも部外者の私がそこに行くのは色々と問題が……」
洋榎「ええから来いて!」
初美(うう……見つかったらもうどうにでもなれですよー!)
洋榎「よっと……ここからならリビングが……」
洋榎「お、絹や!」
洋榎「よかった……無事帰っとったんか……」
初美「無事帰った……?」
洋榎「ああ、いや、ちょっと昨日どんちゃん騒ぎしとったからな」
初美「……なるほど、どんちゃん騒ぎ」
洋榎「そうそう」
洋榎「まーそれで疲れとったんやろか」
洋榎「爆睡こいとるやないか」
初美「というか、疲れて眠ってしまったって言う感じですねー」
洋榎「せやなー疲れとるんやろうなー」
洋榎「いやもうホント疲労って怖いわーまるで泥酔したかのように眠ってまうねんなー!」
初美「何でそんな疲労を強調するんですかー?」
洋榎「え、いや別に」
洋榎「しっかしまぁ……」
洋榎「向こうが頭で横になっとるせいで……」
初美「太もも丸見えですねー」
洋榎「部屋着のハーフパンツが色気を醸し出しとるわ」
初美「ダボッとした衣服の隙間から秘部が見えそうですよー」
初美「ちょっと無防備すぎますねー」
洋榎「……」 ジトー
初美「?」
初美「何ですかその目はー?」
洋榎「いや、そのちまっこい背丈でも、棚の上にもの上げることはできるんやなと」
初美「?」
洋榎「あーしかしほんま絹はエロい体しとるな」
初美「呼吸する度にお胸が上下しているのが手に取るように分かりますよー」
洋榎「……おっぱいって、あないな動きするもんなん?」
初美「……私に聞いて分かると思ってるんですかー?」 ムー
洋榎「……すまん」
洋榎「あ、寝返りうった!!」
初美「うわ」
洋榎「ん?」
初美「今、動かした足の隙間から見えちゃいましたよー」
洋榎「な、おま、何見とんねん!」 ムキー
初美「ちょ、騒がないでくださいよー!」
洋榎「絹にセクハラかましていいのはウチだけや!」
初美「シスコンですかいい歳こいてー!」
洋榎「姉妹愛と言え!」
洋榎「……とりあえず絹に毛布かけたらなアカンな」
初美「……どうやって家に入るんですかー?」
洋榎「絹を起こすのも可哀想やしな」
洋榎「通常時はここに……」 ゴトッ
初美「植木鉢……?」
初美「その下に鍵でも入れてるんですかー」
初美「典型的ですけど、防犯的にはそれ大丈夫なんですかねー」
洋榎「鍵開けっぱで家留守にする九州人には言われたないわ」
洋榎「大体勘違いしてもろたら困る」
初美「へ?」
洋榎「ここに鍵なんてないで」
初美「じゃあ一体……」
洋榎「これはこうするためのもんや」 ヨッコラセ
初美「ストップ・ザ・投球モーション」
初美「何やってるですか!」
洋榎「何って、扉が開かへん絹起こせへんときたらもうガラス破るしか道ないやろ」
初美「そりゃそーかもしれませんけどもー!」
洋榎「大丈夫やって、セコムのシールはあれ貰いもんで別に入ってるわけとちゃうから」
初美「そもそも根本的な問題はそこじゃなくてですねー!」
初美「起こしたくないならガラス破壊音響かせちゃダメですよー!」
洋榎「……なるほど一理あるな」
初美「わかってもらえてよかったですよー」 ホッ
初美「とりあえず植木鉢は元に戻しておいてくださいよー」
洋榎「へいへーい」
初美「全くもう……派手に音がした場合、立ち位置的にヤバイのは私なんですからねー」
洋榎「ははは、せやなー」
洋榎「すまんかった……って、何かガムテープ貼ってるーーーー!?」 ガビーン
初美「セコムに入ってないなら、こうやって……と」 ヒュパッ
洋榎「躊躇なく怪しい棒で殴り抜いたーーーーーー!?」 ガビーン
初美「祈祷とかに使う道具はこういうことにも使えるのですよー」
洋榎「めちゃんこ罰当たりやな……」
初美「はい、これで音もなくガラスも散らばらず鍵を開けて入れますよー」
洋榎「え、あ、うん……」
洋榎(マジでガラス割りおった……オカンに見つかったら殺されてまう……)
洋榎「あ、上がるなら靴は脱いで――」
初美「そのへん抜かりはないですよー」
初美「こんなこともあろうかと持ってきていた手袋も装備してますしー」
洋榎「どんな事態を想定した大阪旅行やねん!」
初美「万が一妹さんが目を覚まして姿を見られても不審者扱いされて逮捕されないように――」
初美「結局さっき寄らされたファミマで貰った買い物袋に穴を開けてかぶれば完璧ですよー」 フフン
洋榎「不審者度マシマシやないか!」
洋榎「文字通り頭隠して尻隠さず状態やで!」
初美「通報されても特定されて逮捕されなきゃオーケーですよー」
洋榎「いやオーケーでも何でもないから!」
初美「おじゃましますよー」
洋榎「ほんで何で真っ先に上がっとんねん!!」
初美「まぁまぁ、ここまで完璧に変装したんですから、少しでも急いだ方が総合的には正解かなと」
洋榎「ガラス叩き割った時点でどう転んでも不正解に行き着く気がするんは気のせい?」
洋榎「さて、家に上がったはいいけど……」
初美「……妹さん、よく寝てますねー」
洋榎「風邪ひきそうやし、毛布かけたらな」
初美「その前に一揉みしたらダメですかねー」
洋榎「抜かり無いほど警戒するんやなかったっけ」
初美「……冗談ですよー」
洋榎「今にも舌打ちしそうなツラしとるぞオイ」
洋榎「大体絹の可愛さは胸やのうて、このサッカーで引き締まった足――」 ナデッ
絹恵「ん……」 モゾ
洋榎「!!」 ビクッ
初美「!!」 ビクゥッ
絹恵「おねえ……ちゃん……」
初美「お、おおお起きてしまったんですかー!?」
洋榎「いや、寝言みたいや……」
初美「驚かせないでくださいよー!」
絹恵「お姉ちゃん……大……好きだよ……」
洋榎「……絹……」
絹恵「置いて……いかないで……」
洋榎「絹……」
初美「涙……怖い夢でも見てるんですかねー」
絹恵「一人に……せんとって……」
洋榎「……大丈夫や、絹」
洋榎「ウチはいつでも絹と一緒やから」
洋榎「誰より絹を愛しとるし、いつだって絹のことを考えとるわ」 ギュッ
初美「……」
初美(何か……ちょっと胸が苦しいですよー……)
初美「妹さん、ちょっと落ち着きましたねー」
洋榎「あんまり悪夢見るようやったら起こそか思ったけど……」
初美「寝かせておいてあげた方がよさそうですねー」 ファサッ
洋榎「……毛布、とってきてくれたんか」
初美「ええ、毛布かけたいとか言うてましたのでー」
洋榎(それで躊躇なく人ン家の毛布引っ張り出せる所が凄いわ)
洋榎「……あ、そや」
初美「はいー?」
洋榎「ちーっとばっかし、シャワー浴びてきてもええやろか」
初美「え」
洋榎「……いやほら、路地裏みたいなとこで目覚めたし……」
洋榎「さすがにちょっとこのままってのは恥ずいやん?」
洋榎「思ったより臭くなっとらんけど、やっぱりほら、一応は今から観光地とか行くかもしれへんわけやし」
初美「ふむ……」
洋榎「それにほら、ウチって美人やから……」
初美「BEGIN?」
洋榎「美人や! 沖縄担当は銘苅やろ!!」
初美「すみません、あまりに結びつかない単語だったもので……」
洋榎「なんでやねん!」
洋榎「これでもウチは姫松のアイドルやねんで!」 ビシッ
初美「それで、美人だからなんだっていうんですかー?」
洋榎「今のセリフガン無視か!!」
洋榎「まぁほら、ウチ財布盗られたわけやん?」
初美「アホですねー」
洋榎「やかまし!」
洋榎「まぁとにかく、そのくらい爆睡こいてたわけや」
初美「間抜けですねー」
洋榎「黙らっしゃい!!」
洋榎「とにかく――その、なんつーか、痴漢とかにあっても気付かなかったと思うわけで」
初美「無防備ですねー年頃の娘なんだから気をつけましょうよー」
洋榎「お前には言われたないわ!!!」
洋榎「とりあえずそんなわけで、寝とる間に襲われとったかもしれんから……」
洋榎「シャワー浴びておきたいねん」
初美「妹さんみたいなムチムチドーンならともかく、その体を襲う人なんて……」
洋榎「こ、これでも結構男子からえっちな目で見られとるんやで?」
初美「痴漢冤罪だけは起こさないでくださいよー」
洋榎「誰が自意識過剰やねん!!」
洋榎「あーもう!」
洋榎「とにかく風呂に行くから!」
初美「股間が痛まないのなら、犯されてる心配はないと思うんですけどねー」
洋榎「髪とか肌とかに、その、なんや……」
洋榎「こすりつけられとるのかもしれへんやん」
初美(意外とナイーブなんですねー……)
洋榎「とりあえず入ってくるから!」
洋榎「冷蔵庫の中の茶でも飲んで適当にしとってや!」
洋榎「あ、絹をいじめるのだけはアカンで!」
洋榎「ほんなら!」 タッタッタッタッタッ
初美「……」
初美(さ、さすがにこの状況で適当にくつろぐっていうのは無茶ですよー)
初美「…………」
初美「薄い毛布にくるまった薄着の妹さんの肢体を見ながらシャワーの音を聞くってなかなかニッチなエロスがありますねー……」
初美「…………」
初美「お、落ち着かないですよー」
初美「妹さん、起きなければいいんですけど」
初美「…………」
初美「ていうか起きられたら完全に積みですよー……」
初美「…………」
初美「この場に居るのは限界ですよー」
初美「とはいえお風呂に行くわけにもいかないですし……」
初美「妹さんをいじめなければ何してもいいみたいですから、お部屋に避難させてもらいますー」
[洋榎の部屋]
初美「おじゃましまーすと」
初美「……ふむ、なかなか広いですねー」
初美「中学以降放置してたと思しき勉強机が2つ……」
初美「姉妹で1部屋ですかー」
初美「ベッドも2段ベッドですし、随分仲良しさんだったんですねー」
初美「私達もなかなか仲良しこよしですけど、この姉妹には負けそうですよー」
初美「何か二人で撮った写真とか妹さんの机に飾ってありますし……」
初美「……部屋も随分整理されてますねー」
初美「予想じゃもうちょっと物が散乱しているかと思ってましたけど」
初美「……妹さんが、頑張ったんでしょうねー」
初美「……」
初美「とりあえず妹さんが整理していなさそうな所をチェックしてみましょうかー」
初美「……」
初美「机の引き出しの一番下を全部開けて……と」 ゴトッ
初美「その下のスペースを探れば、ほら……!」
初美「大事そうな手帳~~!!」 ペカー
初美「多分日記か何かですよね~」
初美「……」
初美「まぁ妹さんをいじめる以外は特に禁止されてませんしねー」 パラパラ
『今日は恭子と由子とサンマをやった』
『いっぱい勝てた。楽しかった』
初美「夏休みの宿題として無理矢理書かされた小学生の絵日記並の内容ですよー……」
『今日の夕飯はコロッケだった。うまい』
初美「うわぁ」
『絹が告白されたらしい。どこのウマの骨とも分からん奴に絹をやれるかい!!』
初美「これはシスコンですねー」
『今日は官とく代行が来た』
初美「めちゃくちゃ書き直した痕跡があるうえに誤字と平仮名ですかー……」
『おっぱいが大きくなるための本を買う所を後輩の漫に見られた』
『あいつ気付かん振りしとったけど後ろ姿がプルプル笑いを必死にこらえるソレだった』
『むかつくから今度差し入れに振りまくったコーラ渡そうと思う』
初美「この人、わりと普通の人生なのに、日記読む限り毎日楽しそうなのよー」
『今日から全国大会』
『ウチが皆とたたかえる最後の夏』
『絶対に、勝ちたい』
『勝ってまた、全国4強に入りたい』
初美「……」
初美(ちょっと胸が痛みますねー)
初美「……」
初美(大会の記録……)
初美(見てると心が痛まないわけではないのに、目が離せない……)
初美(初戦突破の時の喜びや打ち上げのこと……)
初美(私達を破ったあとの姫松の人々のこと……)
初美(……そして、敗れた時のこと)
初美(その後の個人戦の感想も含めて……)
初美(自分も体験したことだけに、胸がズキズキと痛みますよー)
初美(……特に……)
初美(友達への、面と向かって放せない本音のページはいろんな意味で読むのがきつかったですよー)
『明日は、打ち上げをしようと思う』
『皆を驚かせてやるわ!』
『色々ジョークグッズも買ったし、楽しみやわ』
『……それか、最後やし、泣かせにいくべきやろうか』
初美「……」
『あいつらには、伝えたいことばがいっぱいある』
『ありがとうじゃ足りないほどの感謝の言葉や、好きだった所』
『思い出話に、アドバイス』
『きりがないことをどう伝えたらええんやろ』
初美「……ああ見えて、結構考えてたんですねー」
初美「……私も、逃げてばっかりいないで、いい加減姫様に遺す言葉を考えないとダメですねー」
『皆のことがごっつ好きやけど、伝えるのは照れくさいわ』
『黙ったまま卒業してもええ気はするねんけどなぁ』
『それかやっぱ言うべきやろか』
『普段のキャラにのっとって、おふざけ的に言うべきか』
『それとも、真面目に想いを伝えるか』
『どないしたらええんやろか』
初美「……」 パラ
初美(結局……どうしたんでしょうかねー)
初美(ちょっと気になるんですけど)
初美「……と、そろそろお風呂から上がってきそうですねー」
初美「この日記、さすがに適当に置くことは出来ないですよー」
初美「かといって、机の奥に眠らせて陽の目を見せないというのももったいないし……」
初美「えーっと」 キョロキョロ
初美「……よし」 ヨイショット
初美「とりあえず、共用っぽい本棚の辞書の横に挿しときましたよー」
初美「これで妹さんがいつか見つけてくれるでしょー」 ニコー
初美「やっぱりこういうのは、ご家族の方に発見されてなんぼですからねっ」 ウフフン
洋榎「あがったでー」 ペタシペタシ
初美「わわわっ、服着てくださいよー///!!」
洋榎「えー……自分がそれ言うてまう?」
初美「わ、私は服着てますしっ!」
洋榎「バスタオルだけのウチより肌面積多いやんけ」
初美「……そ、それより!」
初美「早く着替えて大阪観光行きましょう!!」
洋榎(話そらしおった……)
初美「お洋服はー」
洋榎「着たでー」
初美「カバンはー?」
洋榎「持ったー」
初美「それじゃあ、お金はー?」
洋榎「……盗られたからない」
初美「……貯金はー?」
洋榎「か、関西人は宵越しの銭は持たないから……」
初美「それこそ関東人だった気がしますよー」
初美「しょうがないですねー、ちょっとくらいなら奢りますよー」
洋榎「ほんまかー!?」 オメメキラキラ
初美「そのかわり行く所とかは決めさせてもらいますよー」
洋榎「そらもうお任せしまくりよ!」
初美「それじゃ、とりあえず行きましょうかー」 ガラガラ
洋榎「あ、また窓から出てくんや……」
初美「そりゃ窓から入ったんですから、窓から出ますよー」
洋榎「普通ドアから出てかへん?」
初美「入った所と出ていく所が異なっていて許されるのは食べ物くらいですよー」
洋榎「可愛い顔してさらっとシモネタ言いおって……」
[駅]
洋榎「とりあえず駅まで来たわけやけど……」
洋榎「どーこ行くかなぁ」
洋榎「何か行きたいトコでもあるかー?」
初美「それが決まっていたら一人でさっさと回ってるですよー」
洋榎「……まぁ、せやろな」
洋榎「とりあえず電車乗ってから考えるってのもありやな」
洋榎「デートの定番言うたら海遊館やけど……」
初美「……これってデートなんですかねー?」
洋榎「デートでええんちゃう?」
洋榎「ウチはケッコーアンタのこと気に入ったしな!」
初美「……まあ、じゃあデートってことでいいですよー」
洋榎「いしょっしゃ!」
洋榎「大阪デートや!」
初美「よろしくですよー」
洋榎「そういやこっちって泊まっていくん?」
初美「デート開始後いきなりホテルのお誘いとか最低ですよー」
洋榎「違うわ!」
洋榎「泊まってくんと日帰りとじゃプランの組み立て変わってくるやろ!!」
初美「てっきり泊めてくれるのかと思いましたよー」
洋榎「……まぁ、絹さえよければ泊めてやってもええんやけど」
洋榎「オカンが何て言うかやなー」
初美「そんなマジで考えられても困りますよー」
初美「……一応夜は予定があるから一緒にはいられないんですよー」
洋榎「そっかー残念やなー」
洋榎「ウチと居れんでお前も寂しいやろー」 ケラケラ
初美「むしろ夜は静かに過ごしたい派ですから清々ですよー」
洋榎「何やとォ!」
洋榎「まぁでも日帰りやったら海遊館はやめとこか」
洋榎「どうせ定番の道頓堀あたりは外せへんのやろ」
初美「そうですねー」
初美「折角なんで、大阪の中心地に行ってみたいですよー」
洋榎「中心地ねぇ」
初美「大阪の学生がよく行く街を気ままにブラブラしてみたいですー」
洋榎「ああ、そうか、鹿児島にはジャスコくらいしかブラブラするとこないもんな」
初美「鹿児島なめたらこの神事に使う有難い棒を根本まで挿しますよー?」
洋榎「どこに!?「」
洋榎「まぁ、せやったらとりあえずは難波方面やな」
初美「おお、聞いたことありますよー」
洋榎「道頓堀でブラブラ食べ歩いてもよし、なんばパークスあたりで買い物するもよし」
洋榎「日本橋にはオタロードとかいうのもあるみたいやし、なかなか楽しめるやろ」
洋榎「その後は歩いて心斎橋通って梅田まで出たらええか」
初美「梅田……って、確か大阪駅でしたよねー」
洋榎「まぁ、とりあえず同義と思っててもええんちゃう」
洋榎「とりあえず梅田ついたら美味いもんくってバイバイでええやろ」
洋榎「別の場所で用事あっても梅田からなら行きやすいやろうし」
洋榎「ほんまやったら新世界で串かつ食ったりしたかったんやけど、昼から串かつっちゅーのもアレやしな」
初美「じゃあ時間があったらってことにしておきますよー」
洋榎「せやなー」
洋榎「通天閣とか大阪城とか見たい場所あったら先言うてくれや」
初美「そのへんは今度姫様達と見に来たいから、今回は人の多い繁華街に行きたいですよー」
洋榎「おいおい、今からデートやっちゅーのに、他のオンナとのデートの話はNGやで」
[難波]
洋榎「ちゅーわけで、なーんばー!」 イエーイ
初美「おー、人がいっぱいですねー」
洋榎「せやろーすごいやろー!」
洋榎「ちなみにあっちに行くとビックカメラがあるねんで」
洋榎「あ、ビックカメラっちゅーのは家電量販店で……」
初美「そのくらい知ってますよー!」
洋榎「ああ、てっきり家電量販店すら知らんものかと」
初美「ビックカメラはないですけど、ヤマダ電機とかベスト電器はちゃんとあるですよー」
洋榎(ベストデンキってなんやろ……)
洋榎「んでどの出口から出る?」
初美「ほえ?」
洋榎「オタロードとかいうとこ行くんならあっち」
洋榎「ほんでもって道頓堀行くならあっち」
洋榎「買い物するんやったらあっちって感じやけど」
初美「うーん……」
初美(どこ行くのがいいのかさっぱりですよー)
初美(ここはオカルトに頼ることにしますよー)
初美(姫様達みたいに上手くは出来ないけど……)
初美(大阪の観光案内人を下ろして――と)
初美(どうしたらいいか教えて下さい!)
オタロードに行くか、道頓堀に行くか、買い物エリアに行くか
>>132
洋榎「ちゅーわけでここがオタロードや」
初美「おおー」
初美「おかしな格好の人って、意外といないものですねー」
洋榎「せやな、少なくともこの中で一番奇抜な衣装着とるのはお前や」
初美「そろそろブランチにしたいですよー」
洋榎「オタロード方面やったらバッファローカレーあたりがウチは好きやけど……」
洋榎「折角オタロードまで来たんやし、メイドカフェとやらに行ってみたいなぁ」
初美「たこ焼き食べたかったですよー」
洋榎「それやったら道頓堀に出なアカンかったわ」
初美「じゃあもうちょっと我慢しますー」
初美「大阪までせっかくきたし、お店に入らないで食べ歩きたいんですよー」
洋榎(大阪のイメージ食べ歩きしかないんやろか)
洋榎「ケバブごっつ食いにくくない?」
初美「2人で1つにして正解でしたねー、結構ボリュームありますよー」
ちゃちゃのん「…………」
洋榎「あれ?」
初美「どうかしたですかー?」
洋榎「いや、あいつ……」
初美「ん?」
洋榎「家老渡の奴やん」
初美「あー……?」
洋榎「ウチ、個人戦でも戦ったからよう覚えとるわ」
洋榎「確かささのんだかって自分を呼んでた気が」
初美(よう覚えとる言うたわりにうろ覚えですねー……)
ちゃちゃのん「……ふぅ」
初美「佐々ゴニョゴニョさん」
ちゃちゃのん「わひゃぁ!?」 ビクッ
洋榎「凄い声出したな……」
初美「あ、驚かせてごめんなさいですよー」
ちゃちゃのん「あれ……アンタ……」
洋榎「久しぶりやな!」
洋榎「浪速の雀姫愛宕洋榎とはウチのことやで!」 フッフフーン
ちゃちゃのん「永水の副大将の……!」
初美「はいーお互い戦ったことはないのでこれがはじめましてですねー」
洋榎「って無視か!!」
初美「日本橋でお買い物ですかー?」
洋榎「どうせエロっちい本なんやろー」
初美「ホモ本を買った可能性も捨て切れないですよー」
ちゃちゃのん「ち、ちがっ……///!」
ちゃちゃのん「そんなん購読しとらんよ……!」
洋榎「じゃあ何しとってんこんな店で」
初美「思いっきりオタショップから出てきましたよねー」
ちゃちゃのん「え、えと、その……」
ちゃちゃのん「ちゃちゃのん、アイドル人気があったから、その……」
ちゃちゃのん「水着写真集出すことになっとって、それのイベントの一環で……」
ちゃちゃのん「その、握手会とトークショーをしに……」 テレテレ
初美「はぁ……」
洋榎「チッ……」
ちゃちゃのん「何か心底面白くなさそうなリアクションされたーーーーーーー!?」 ガビーーーン
初美「よくこの時期にできましたねーそれ……」
洋榎「ボロッカスに負けた直後やっちゅーのになぁ」
ちゃちゃのん「……あんまりしょげとっても、何にもならんけぇ」
ちゃちゃのん「あんまり引きずっとっても、あの人に笑われそうやしな」
洋榎「……ほほう」 キュピーン
洋榎「何や、オトコでもできたんか!?」 ウリウリ
初美「ほほう両想いですかー? 片想いですかー?」 ウリウリ
ちゃちゃのん「ちょ、やめてよー恥ずかしいー!」 ウワーッ
ちゃちゃのん「あ、そ、そうじゃ!」
ちゃちゃのん「このあと暇かのう?」
洋榎「話変えおったな」
初美「確実に動揺してるですよー」
ちゃちゃのん「あ、あのさ、このあとちゃちゃのん麻雀に誘われとるけぇ!」
ちゃちゃのん「よ、よかったら一緒に……」
洋榎「麻雀かーええなー」
初美「残念ですけど辞退するですよー」
洋榎「ええ!? 何でや!!」
初美「……だって、一度打ち始めたら、絶対夜まで続けるじゃないですかー」 ヒソヒソ
洋榎「うっ……」
洋榎(否定できへん……)
初美「それにちょっとやらないといけないことがあるので……」
洋榎「まーまたの機会ってことやな」
ちゃちゃのん「それは残念じゃよー」
ちゃちゃのん「……それじゃ、また」 フリフリ
初美「はい、またねーですよー」 フリフリ
洋榎「おー、次会った時もボッコボコにしたるわー!」 ブンブン
洋榎「……」
洋榎「はー、打ちたかったわ」
初美「もー、大阪デートはどうしたんですかー」
洋榎「そうやけどぉ……」
初美「さすがの私でも、そこまで目移りされるとちょっと凹みますよー」
洋榎「う……す、すまん」
洋榎「でもちょっと気にならへん?」
初美「……そりゃまぁ、あの人お胸も私より大きいし、可愛らしい顔ですけど……」
洋榎「いやそーやのうて」
洋榎「アイツの対戦相手や」
初美「ふむ?」
洋榎「大阪のイベントでこっち来とって、こっちで対戦相手捕まえたんやろ?」
初美「……確かに気になりますねえ」
洋榎「もしそれが姫松か千里のメンツ、もしくは荒川憩ちゃうかったら……」
洋榎「そいつは腕をあのオンナに見込まれた猛者っちゅーことになるからな」
洋榎「来年の大阪の台風の目になるかもわからん奴の顔は拝んでおきたいやろ」
初美「……もう卒業してしまうのに、熱心ですねー」
洋榎「後輩たちは気になるもんやろ」
初美「ですねー」
初美「しかし……結構評価してるんですねーさっきの人」
初美「あの人が選んだってだけでそれなりの評価を下すようですけど」
洋榎「まぁウチほどではないけど、なかなかに強い奴やしな」
洋榎「アイドル人気っちゅーのが気に食わんけど」
初美「まぁ、アイドル人気なさそうですもんねー」
洋榎「誰が不人気や」
初美「誰がとは言ってませんよー」
洋榎「じゃあその哀れんだ目やめ」
洋榎「さて、アイツを軽く尾行しとるわけやけど」
洋榎「アイツ道頓堀までやってきおったな」
初美「たこ焼き屋さん並んでますねー」
洋榎「この辺は分母も多いしなあ」
洋榎「かといって銀だこは変化球やからいきなり食わせるんもなー」
初美「とりあえず私買ってくるから尾行お願いしていいですかー?」
洋榎「おお、まかしとき」
初美「オカルト使えばそっちの居場所ならわかるのでー」
洋榎「なにそれこわい」
初美「あ、勝手に声かけにいったりしないでくださいよー」
洋榎「わ、わかっとるわ!」
初美「絶対麻雀誘われてホイホイ行くタイプですしー」
洋榎「大丈夫やっちゅーねん!」
初美「途中で知らない人についてっちゃダメですよー」
洋榎「小学生か!!」
初美「電信柱は姿を隠すものであって、そこでおしっこしたらダメですよー」
洋榎「人扱いですらない!?」
初美「あと、迷子になったら早く戻って――」
洋榎「もうわかったから!」
洋榎「愛宕をなめるな!」 卍
初美「?」
洋榎「……」
洋榎「み、見失ったら困るからもう行くわー///!」 ドヒューン
初美「何だったんですかねーあのポーズ」
洋榎「えーっと、おったおった……」
洋榎「おーおー声かけられとる」
洋榎「この辺りは変なスカウトやナンパも多いから気を付けなあかんでー」
洋榎「っとと、あぶな」
洋榎「油断しとるとすぐぶつかりそうになるな」
洋榎「休日の難波で立ち止まるのはほんま困難やで……」
洋榎「――――!?」
洋榎「おいおい……」
洋榎「冗談やろ」
洋榎「どういうことやねん」
初美「おまたせですよー」
初美「たこ焼きうまうまですよー」
洋榎「……」
初美「どうしたですかー?」
洋榎「アレ見てみ」
洋榎「ごっついメンツになっとるで」
久「お待たせー」
久「ごめんねー、ちょっと後輩に頼まれてた服とか見てたら遅れちゃってさー」
胡桃「待ち合わせにはゆとりを持つ!」
胡桃「佐々野さんなんて、私より早い20分前にはいたんだから!」
ちゃちゃのん「他にやることなかったけぇ」
ちゃちゃのん「鹿倉さんも早かったのう」
胡桃「まぁ私は最初からこの辺で御飯食べてたからね!」
初美「……」
洋榎「なぁ」
初美「ダメです」
洋榎「いや、あのさ」
初美「お断りしますよー」
洋榎「一局だけ」
初美「絶対終わらないじゃないですか」
洋榎「そ、そんなことは……」
初美「勝つまでやるタイプですよねー?」
洋榎「か、勝つから、いきなり」
初美「勝てるとは限らないですよー」
洋榎「だ、大丈夫やって全員に勝ったことあるし!」
初美「勝ってもリベンジ宣言されたら受けて立っちゃうタイプじゃないですかー」
洋榎「そ、そうやけど……」
初美「おとなしくメンツを確認したんだから観光の続きしますよー」
初美「大体もうメンツは決まってるんじゃないですかー?」
洋榎「そうかもしれへんけども……」
洋榎「さっきウチらを誘ってくれたし、乱入大歓迎っちゅーことやろ」
初美「……そんなに乱入したいものですかねー」
洋榎「麻雀馬鹿ならあんだけのメンツが集まりゃそらワクワクもするで!」
初美「むー」
初美「そういえばはるるも笑ってたし、あのメンバーは確かにニコニコしたくなるかもしれませんけど……」
洋榎「せ、せやろー!」
洋榎「せやから――――」
初美「あ、もう一人誰か来ましたよー」
洋榎「誰や!?」
久「そういえば主催は?」
胡桃「まだみたい!」
ちゃちゃのん「あ、あそこ!」
胡桃「全力疾走して――あ、コケた」
ちゃちゃのん「痛そう……」
久「うーん、走る度にバインバイン揺れてるわね……」
ちゃちゃのん(……ちゃちゃのんもあのくらいあれば……) むにむに
胡桃(うわあ、往来で自分の胸揉んでる……!!)
漫「あ、あの……!」 タタタタタッ
漫「お、遅くなって……すんません……!」 ゼハーゼハー
漫「……ハヒー」 ゼヒューゼヒュー
ちゃちゃのん「あはは……お疲れ様じゃよー」
胡桃「もっとゆとりを持って行動する!」
漫「す……すんません……」 ゼハーゼヒー
ちゃちゃのん「と、とりあえず呼吸落ち着けて……」
久「そうそう、膝に手をついてそうしてると胸元がセクシーよ」
漫「ど……どこ見てはるんですか……」 ゼハー
胡桃「飲む?」 スッ
漫「あ、ありが――――」
胡桃「塗る制汗剤」
漫「いりませんよ!!」
胡桃「冗談」
胡桃「制汗スプレー、はい、使っていいよ」
漫「あ、ありがざっす……」 フヒー
久「そういえば、滝見さんは?」
漫「いや、なんか迷子になったってメールが来て……」
漫「とりあえず迎えに行って、ここ来る途中の雀荘の前で待機してもろてます」
胡桃「あー、それで遅れたんだ」
ちゃちゃのん「メールくれたらよかったのに」
漫「あ、そっか……」
漫「すんません、時間ギリギリで焦っちゃってて……」
久「いつでも冷静にいないとダメよー」
久「テンパるとろくなことがないんだから」
胡桃「それ貴女が言っちゃうんだ……!」
久「経験者だからこそのセリフよ」
洋榎「何であのメンツにスズが混じっとんねん」
初美「不思議な集まりですねー」
洋榎「ていうか、滝見って確かお前ンとこの……」
初美「ですねー」
初美「はるると一緒にこっちに来たんですけど……」
初美「はるるは用事があるって言ってたので……」
洋榎「はー……その用事っちゅーんがこれか」
洋榎「……」
洋榎「って何で全国ン時の中堅メンツ集めておいてウチだけハブやねん!」
洋榎「ウチが混ざらな片手落ちやろ!」
初美「お、落ち着いて下さいよー」
久「しかしまぁ、変わったメンツよねぇ」
胡桃「何だか団体戦が懐かしい」
ちゃちゃのん「ちゃちゃのんだけ1回戦負けってのが悲しいのう……」
漫「す、すんません……」
漫「私のワガママでお忙しいとこ集まって頂いて……」
久「いえいえー」
胡桃「いいリベンジの機会だと思っとくよ!」
ちゃちゃのん「それに丁度こっちには仕事も入っとったしのう」
洋榎「いやいやリベンジするんやったらやっぱりウチが混ざらなアカンやろ!!」
初美(もういっそこの橋から突き落としたら黙ってくれますかねー)
久「しかしまぁ、まっさか引退直後にこんな豪勢なメンツで卓を囲めるなんてね」
ちゃちゃのん「そっかー、そういえば今日のメンツで引退じゃないの上重さんだけじゃったかー」
漫「す、すみませんなんか……」
胡桃「いいんじゃないかなー」
胡桃「相手の強化を防いで自分を強化するのなら、引退した人を使うのが一番だしー」
漫「べ、べべべ別にそんな腹黒いことを考えていたわけじゃ……!」 アタフタ
久「あはは、まあ別にそういう思惑でもいいんだけどねー」
ちゃちゃのん「ちゃちゃのん達もまだ麻雀は続けていきたいし、強い相手との試合は大歓迎じゃ!」
久「それに、私の後輩達ならきっと連覇してくれるでしょうし!」
胡桃「いいなー、私も後輩欲しかったなー」
漫「あ、あはは……」
洋榎「……何やアイツ、強くなりたかったんか」
初美「見事に全国じゃ足引っ張ってましたしねー」
洋榎「そないな理由やったら、ウチらに相談したらええのに」
初美「人望ってやつですねー」
洋榎「……」 グリグリグリ
初美「あああああ無言の攻撃はマジギレっぽくて怖いですよ~~~!」 ウワーン
久「しかし、頑張るわねぇ」
漫「……そら、頑張りますよ」
漫「結局また、シードから弾かれてまいましたし」
漫「……もう、負けたないんです」
漫「強くなりたい……姫松を引っ張れるくらい……」
漫「エースになりたいんです」
漫「末原先輩や、真瀬先輩……」
漫「それに――主将……愛宕先輩のためにも」
漫「来年こそ、優勝旗を持ち帰りたいんです」
久「それでわざわざ、私達を相手にねぇ」
漫「愛宕先輩が戦った人達と戦えば、何か掴めるかな思いまして……」
久「もういない、あらゆる面での主柱であった主将みたいになりたい、か――」
胡桃「あそこまでマナ悪にはならないでいいからね!」
ちゃちゃのん「泣かせる話じゃよー」 ズビー
胡桃(うわ、涙もろっ!)
洋榎「…………」
初美「…………」
洋榎「…………」 スッ
初美「あ、どこ行くですかー」
洋榎「心斎橋にでも行くでー」
初美「……麻雀はもういいんですか?」
洋榎「秘密特訓したいんやったら、させたろやないの」
洋榎「こーいうんは気付かん振りして評価だけしてやるっちゅーのがオトコってもんや」
初美「オトコではないと思いますよー」
洋榎「まぁなんにせよ……しゃーないからここはスズの矜持を尊重したるわ」
洋榎「来年には、戦い甲斐ある雀士に育つとええねんけど」 スタスタ
初美「……」
初美「憧れて、成ろうとされて、照れてるんですかー?」
洋榎「ば、誰が照れんねん!!!」
初美「わかりやすいですよー」
[心斎橋]
洋榎「ちゅーわけで心斎橋や」
初美「ここは何があるんですかー?」
洋榎「んー……パルコとかあったんやけど……」
洋榎「今はまぁ、ライブハウスとかそーいうとこか」
洋榎「ああ、ジョジョバーとかがあったりもするんやで」
初美「ジョジョ?」
洋榎「……自分ジャンプとか読まんタイプか」
初美「週刊誌のですか?」
洋榎「ああ」
初美「週刊雑誌はモーニングとチャンピオンしか読んでないですよー」
洋榎(アカンどっちも読んどらん奴や……)
洋榎「どっか寄りたいとこあったら言ってやー」
初美「了解ですよー」
洋榎「とりあえずブラブラするでー」
初美「はーい」
洋榎「……」 ブラブラ
初美「……」 ブラブラ
洋榎(アカン会話なくなった!!)
初美(無言は無言で何か気まずいですよー!)
初美「あ、あの!」
洋榎「な、なんや」
初美「私、そういえば、>>205に行ってみたかったんですよー!!」
安価下
安価下
初美「USJに行ってみたいですよー!」
洋榎「うへぇ」
初美「何ですかそのリアクション」
洋榎「いや、ちーと遠いなあと思って……」
洋榎「ていうかUSJとか厨房の時行ったっきりやから案内はあんま出来へんで?」
初美「ちょちょーっと回るだけだから大丈夫ですよー」
初美「どうせディズニーと違って乗り物サクッと乗れますしー」
洋榎「なんちゅーことを」
[電車]
洋榎「とりあえずUSJで何乗るかやなぁ」
洋榎「ウチ、バックドラフトのとかジュラシックパークのとか……あとはジョーズとバックトゥザフューチャーのくらいしか分からんで」
洋榎「しかもまだあるのかすら不明やし」
初美「大阪人のくせにダメダメですよー」
洋榎「ひらパー派やねんからしゃーないやろ」
初美「ひらパー?」
洋榎「ひらかたパークっちゅーのがあんねん」
洋榎「ブラックマヨネーズがひらパー兄さんとかいって広告塔やってるんやで!」
初美「ぶらっくまよねーず……?」
洋榎「何や自分、お笑いとか見ん人か」
初美「笑点ならたまに見ますよー」
洋榎(花月あたりに行かんでよかった……)
初美「そういえば、USJってパレードとかあるんですかねー」
洋榎「あるにはあるでー」
初美「グッキー!とかいうやつですかー?」
洋榎「それ知らんわ」
洋榎「でも確か、ワンピースのプレミアムショーだか何かをやっとったような……」
洋榎「……さすがにワンピースくらいは分かるやろ?」
洋榎「あの超有名海賊漫画や」
初美「海賊漫画と言ったらフルアヘッドココですよー」
洋榎「……すまん、それ分からんわ」
[ユニバーサル・スタジオ・ジャパン]
洋榎「ちゅーわけで、来たでUSJ!」
初美「とりあえず日が暮れるまでブラブラするですよー」
洋榎「あ、あのクッソでっかい地球の前で写真撮るかー?」
初美「やめときますよー」
洋榎「そうかー?」
初美「時間が惜しいですからさっさと建物見て回りましょう」 マガオッ
洋榎「え、あ、うん」
洋榎(あ、あれ、もしかしてこいつテーマパークガチ勢……?)
初美「次はこのエリアに行きますよー」
洋榎「ま、まって……」
洋榎「ちょ、疲れたて……!」 ハァハァ
初美「もー」
初美「そんなことではディズニーランドは戦いぬけ無いですよー」
初美「如何に無駄なく効率的にアトラクションを乗れるかが鍵なんですよー」
初美「それによって建造物に裂ける時間も決まりますし」
初美「USJは初ですから、パレードの良スポットを陣取るには何時間前に並べばいいかもわからないんですからー!」
洋榎(帰りたい……)
洋榎「も、もっとこう……なんちゅーの?」
洋榎「スヌーピーやセサミストリートにきゃー可愛いとかいうてまったりのんびりしてみたり……」
洋榎「もしくはハリウッドエリアでうひょーかっこえー言うてブラブラしてみたりやな……」
初美「仕方ないですねー」
初美「一応そっちの意見も尊重してあげますよー」
洋榎「ほんまか!」
初美「じゃあ割りとのんびり待つ奴に乗りましょうか」
初美「ハリウッドとスヌーピーとかなら……多分ハリウッドとかの方がいいですよねー?」
洋榎「おう!」
洋榎「つってもハリウッドエリアって何あったっけなー」
洋榎「ジョーズやバックトゥザフューチャーとかは別エリアやったっけ?」
洋榎「ジュラシックパークとか結構おもろかったんやでー、最後の落下クッソ怖いねんけどな!」
初美「……あー……絶叫得意じゃないんですかー」
洋榎「べ、別に苦手やないで!」 アセアセ
初美「……ならいいんですけどー」
洋榎「しかしこの乗りもん初めて乗るわー」
初美「ああ、どうりで……」
洋榎「?」
洋榎「しかしハリウッド・ドリームとか、何かイッツアスモールワールドを思い出すネーミングやなー」
洋榎「見た目通りお子様ってか!」 ガハハ
洋榎「まぁでもたまにはのんびり児童向けに乗るっちゅーのもありやな!」
初美「……」 アワレミノメー
ハリウッド・ドリーム・ザ・ライドは、ユニバーサル・スタジオ・ジャパンのハリウッドエリアにある新感覚ジェットコースター。
ライドは、椅子に腰掛けると足が浮くように設計されていて体を支えるのは腰元の安全バーだけであるため、宙に浮いているような感覚が味わえる。それに加え、コースターにはマイナスGが味わえるポイントがあり、次の3つが挙げられる。
・キャメルバック: 意味は「らくだの背中」。「こぶ」と速度でマイナスGをつくる。メインゲートから見える大キャメルバックは迫力満点。
・ホースシュー: ユニバーサルシティ駅から見えるこの急カーブはこれ。大きく放り出されるようなカーブ。
・ダブルヘリックス:二重の螺旋状のコース。一気に上へとかけあがる。
(wikiより)
洋榎「うきゃああああああああああああああああああああああああああああああ!?」
初美「あー楽しかったー」
初美「やっぱり乗り物一発目は最強絶叫系に限りますよー!」
洋榎「……アカン……何かチカチカする……」
ゲロゲロゲロゲロゲロ
キャー、ハルチャーーーーン!!
初美「うわあ、あっちで同乗してたお姉さんが吐いてるですよー」
洋榎「ほ、報告せんといて……も、もらいゲロしそう……」
洋榎「アカン……胃液どころか鼻から臓物吹き出しそう……」 フラフラ
初美「右からですかー? 左からですかー?」
洋榎「よ、弱った人間にそういうこという……?」
初美「ホントに飛び出した事例なんてないから大丈夫ですよー」
洋榎「最初の事例になってまうかもしれへんやろ!」
洋榎「そうなったらどないすんねん!」
初美「んー……」
初美「通報したあと写メってツイートするとおもいますー」
洋榎「そういうことやなくて!」
洋榎「……そういうことだとしても最悪やんその行動!」
初美「ほら、随分元気になったじゃないですかー」
洋榎「まだフラフラやけどな……!」
洋榎「ど、どっかで休もうや……」
初美「じゃああっちで休むですよー」 タッタッタ
洋榎「もうどこでもいいから座りたいわ……」
洋榎「ん?」
初美「どうかしたですかー?」
洋榎「いや……」
洋榎「あそこに居るの……」
洋榎「由子やん」
初美「ああ、チームメイトの」
洋榎「何してんやろ……」
初美「デートじゃないですかねー」
洋榎「で!?」
初美「そりゃこの場所で、座ったテーブルに飲み物2つ置いてあったらそう考えるのが自然ですよー」
洋榎「……」
洋榎「あ、あそこで休もか」
初美「気になるですかー」
洋榎「そらな」
初美「でも、至近距離に行くとかリスキーなことしますねー」
洋榎「……」
洋榎「変装に使えそうなグッズ買ってくるのが一番ちゃうやろか」
初美「……はぁ」
初美「じゃあ買ってくるので、見つからないよう隠れていてくださいよー」
洋榎「おう、任せとけやー!」
初美「ただいまですよー」
洋榎「おーう、おかえり」
初美「はい、エルモのかぶりものですよー」
洋榎「……」
初美「あれ、気に入りませんでしたかー?」
洋榎「タグにペットヘッドって書いてあるんやけど」
初美「……」
洋榎「……」
初美「まあ、大差無いですよー」
洋榎「あるわ!」
初美「しーっ。気づかれますよー」
洋榎「う、うぐ……」
初美「それで、どんな感じですかー?」
洋榎「相手、まだ来ーへんわ」
洋榎「連れ待たすとか最低のオトコやな」
洋榎「相手次第じゃぶん殴ってでも由子を連れ戻すわ」
初美「……仲良しさんなんですねー」
洋榎「……マブダチやからな」
洋榎「ウチはアイツが好きやし、アイツが不幸になるくらいなら恨まれた方がマシや」
初美「……」
初美(ちょっと胸がいたいですよー) ズキン
洋榎「つーか由子のカッコ……」
初美「スーツ、なかなか似合ってますねー」
洋榎「浮きまくっとらへん?」
初美「まぁ、テーマパークじゃ珍しいですよねー」
洋榎「お、誰か来た!」 コソコソ
初美(結構ペットヘッド似合ってるのよー)
郁乃「おまたせ~~~」
洋榎「!?」
由子「ホントにえらい待たされたのよー」
洋榎「」 パクパク
初美「どうしたのよー?」
洋榎「……うや」
初美「へ?」
洋榎「監督代行や、あれ」 アタマカカエー
郁乃「いや~~~それにしてもその格好浮いとるわ~~~~~」
由子「着替えも許さず連れてきたのはそっちなのよー」
郁乃「だってぇ~~~~待つの嫌じゃな~~~~~い」
由子「遅刻した直後に言うセリフじゃないのよー……」
初美「……なんていうか、その……」
洋榎「すまんな、あんな恥ずかしい監督代行で」
郁乃「まあまあ、これでも気を使っとるんやから~~~」
由子「はぁ……」
郁乃「こう見えても、由子ちゃんのことは買っとるんよ~~~」
郁乃「そうじゃなかったら、元気づけるためにUSJになんて連れてこ~へんて~~~」
由子「代行……」
由子「世間一般に出会い頭に強制的人連れてくることは拉致って呼ぶと思うんですがー」
郁乃「細かいこと気にしたらアカンて~~」
郁乃「それに監督代行やのうて、監督って呼んでや~~」
由子(この人ホントめんどくさいのよー)
郁乃「それで、就職活動の方の調子はどう~?」
由子「いきなり嫌なことストレートに聞いてくるのよー……」
郁乃「まぁほら~~オブラートに包む方が傷つくことだってあるし~~~?」
郁乃「それにほら、教師としても進路状況は把握しておかなきゃいけないから~~~~」
由子「まぁ、やっぱりちょっと厳しいですよー」
由子「麻雀が強い所に行きたいってだけで、その仕事がやりたいわけじゃないですからねー」
由子「志望動機が弱いって怒られるのよー」
郁乃「あとその口調が足引っ張っとるんちゃうかな~~~」
郁乃「敬語めっためたや~~~ん」
由子「ホントにズバズバ言ってくるのよー……」
洋榎「……アイツ、進学せぇへんのかー」
初美「知らなかったんですかー?」
洋榎「アイツとはくっだらない話ばっかしとったからなー」
洋榎「まぁさすがに一緒の大学で、なんて思っとらんかったけども」
洋榎「恭子はウチとちごうて頭のいい大学一般入試やろうし、これで三人バラバラかぁ」
初美「……別れはいつか来るものですよー」
洋榎「……せやな」
洋榎「アイツに内定出たら祝ったらんとなぁ」
郁乃「もう進学したら~~~?」
由子「……」
由子「遠慮しておくのよー」
由子「恭子はやりたい仕事もあっていい大学に行くし……」
由子「主将――洋榎はこの前の全国でヒーローになったのよー」
由子「二人の友人に胸張って並べるよう、今はただ麻雀が打ちたいのよー」
郁乃「麻雀なら大学でやって打てるんに~~~」
由子「一刻も早くプロになって、洋榎に自慢したいのよー」
郁乃「意固地やな~~~~」
初美「……さっきの後輩の子といい、意外に慕われてるんですねー」
洋榎「意外って何やねん意外って」
郁乃「まぁ息抜きになったならよかったわ~~~」
郁乃「色々あったけど、引きずってもしゃ~なしやし~~~~」
由子「……」
由子「せめて奢って欲しかったのよー」
郁乃「しゃ~ないやん、安月給やも~~~ん」
洋榎「ひでえ……」
初美「でもどうやら、あの人ちゃんと進路考えてるみたいですねー」
洋榎「せやなぁ、見習わんと」
初美「あ、そろそろパレードの時間ですー」
初美「さ、行きますよ!」
洋榎「え、まだ行くん……?」
初美「あー楽しかったですよー!」
洋榎「いきいきしとんなー」
初美「そっちはグッタリしすぎですよー」
洋榎「……洋榎や」
初美「はい?」
洋榎「ウチの名前」
洋榎「まー知っとるやろうけど、一応、な」
洋榎「デートしとんのに、そっちとか言われとったら締まらへんやろ」
初美「……ですねー」
初美「でも、改めて名前を呼ぶのって照れますよー」
洋榎「……そんなん言われたら意識してまうやろ!」
洋榎「ホラ、サクッとシレッと普通に言うてまえ!」
初美「は、はい……えと……」
初美「披露宴!」
洋榎「何でそうなんねん!!」
洋榎「……ったく」
洋榎「ほら」 スッ
初美「ほえ?」
洋榎「こんだけ人がおったら、手を握りでもしとらんと、迷子になるかもしれへんやろ」
初美「……恥ずかしいからいいですよー」 プイッ
洋榎「まぁそう言わんと」
初美「……」
洋榎「……せいっ!」 ギュッ
初美「はわっ!?」
洋榎「ふふん、お子様やな!」
洋榎「大人のオンナは多少強引にでも願いを叶えるもんやでー!」 ニギニギ
初美「私達はまだ未成年ですよー!」
洋榎「……」 ニギニギ
初美「な、なんですかー」
洋榎「いや……手ェあったかいなー思て」
初美「そ、そうですかー?」 テレッ
洋榎「まー夏やと暑苦しいだけやし、手が冷たい人の方が心があったかい言うけどな!!」
初美「……乙女心の掴み切れない人ですよー」 ハァ
洋榎「……ついでにっと」 ギュッ
初美「えええ!?」
初美「ななな何を……」
洋榎「ん、ハグや」
洋榎「後ろからこうするん、絹以外にやるんはごっつ久々やなー」
初美「……」
初美「妹さんとはよくするんですねー」 ブスッ
洋榎「何ふてくされとんねん」 ウリウリ
初美「ふてくされてないですよー」 プクー
初美「ただシスコン気持ち悪いなって思っただけですー」
洋榎「はっはっは」
洋榎「なんとでもいえー! 姉妹愛最高やー!」
初美「……」 ムー
洋榎「まぁでも、絹へのハグとアンタへのハグは別モンやわ」
初美「ふぇ!?」
初美(そ、それは妹へのそれと……)
初美(す、好きな人へのそれの違い……とか///?)
洋榎「絹はこうしてハグしとったら腕にやらかい胸がぷよぷよ当たっとったしなー」
初美「……」
洋榎「……あ、もしかして胸無いん気にしとった?」
初美「……べーつにー」 ブッスー
洋榎「……」
洋榎「えい」 むにゅっ
初美「ひゃあ!?」
洋榎「うーん、ウチより胸平らで硬いな……」 ペタペタ
初美「ちょ、ま、何を――///!!」
洋榎「……いやほんま見事な直線で」
初美「ひ、人のこと言えないじゃないですかー!」
初美「背中に欠片も胸の感触ありませんよー!」
洋榎「何やとこらー!」 クニクニクニ
初美「ちょおおおおおおお!?」
初美「ば、服脱がせないでくださいよー!」
洋榎「勝手に脱げとるだけやろ!」 モミモミ
初美「さ、さすがにこれは恥ずかしいですー!」
洋榎「普段のカッコと変わらんやんけ!」 モミモミ
初美「ぜ、全然違……ひゃうっ///」
洋榎「ちょ、何変な声出し……」 モミモミ
初美「……んっ」 ピクッ
洋榎「…………」 モミモミ
初美「……ふうっ」 ユビカミッ
洋榎「…………」 ムラッ
洋榎(あ、あかん……何か冗談じゃすまんような感じが……)
洋榎「……な、何かごめん……」 スッ
初美「い、いえ……///」 ハー…ハー…
[電車]
洋榎「…………」
初美「…………」
洋榎(ごっつ気まずい……)
洋榎(ちょっと調子乗り過ぎてもうたかなぁ)
洋榎「……なぁ」
初美「……なんですかー」
洋榎「……悪かったな」
初美「……いえ」
洋榎「……ちょっと……甘えとったわ」
初美「……」
洋榎「人肌が恋しかったっちゅーのも否定出来へん理由ではあるけど」
洋榎「お前の華奢な体が心地よかったっちゅーのと、お前なら笑ってゆるしてくれるやろなんていう最低な思考が原因やな」
洋榎「……ほんま、ごめん」
初美「……」
初美「……初美ですよー」
洋榎「……?」
初美「最初に、覚えたって言ったじゃないですかー」
初美「……私は、“お前”じゃなくて“初美”ですよー」
洋榎「……すまんかったな、初耳」
初美「何でそうなるんですかー!」
洋榎「披露宴とか言うてくれた仕返しや」 クケケ
初美「むむー!」
憧「……」 ジトー
洋榎「っとと、騒ぎすぎるのはアカンな」
洋榎「人が見とるわ」
初美「そうですねー……」
初美「USJでも騒ぎすぎて痴態を見られちゃいましたし」
洋榎「わ、悪かったって」
[梅田]
洋榎「さて、梅田に帰ってきたわけやけど」
初美「……」
洋榎「……やらなアカンこと、あるんやろ?」
初美「……」
初美「……したく、ないですよー」
洋榎「……」
初美「……お別れ、したくないです」
初美「もうちょっとだけ」
初美「出来ればずっと」
初美「こうやって馬鹿やっていたいですよー」
洋榎「……」
洋榎「そないなこと言われてもなー」 ポリポリ
初美「……ですよねー」
初美「わかってますよー」
初美「私はもう18歳ですからねっ!」
初美「……ずっといっしょになんてこと、ありえないって分かってます」
初美「分かって……」
洋榎「……」
洋榎「なぁ」
初美「?」
洋榎「ほんなら、最後に――一緒に、どうや」 クイッ
初美「あれって――――」
洋榎「大阪名物、観覧車や!」
初美「お、おお~~~~!!」 キラキラ
洋榎「ユニバやランドにはないからなー王道なんに」
初美「の、乗りたいですー」
洋榎「おう、乗ろか~」
洋榎「……カップルで乗るもんなんやろうけどな、観覧車って」 ニカー
初美「……わ、私達もカップルに見えるんですかねー」 ポソ
洋榎「いやいいとこ姉妹ちゃう」
洋榎「あーでも絹みたいに妹は美人系やないと不自然かー」
洋榎「ほんなら美人教育実習生と生徒とか!?」 ガハハ
初美「……」 ドゴッ
洋榎「おおうみぞおち……」
初美「……ほら、行きますよー!」
洋榎「へーいへい」
洋榎「……」
洋榎(ほんま、げんきやなー)
洋榎(ほんで田舎もんや)
洋榎(……多分、知らんのやろうなぁ)
洋榎(大阪では有名やねんけどな、この観覧車)
洋榎「やっぱり向かい合うべきなんやろなぁ」
初美「……ですねー」
初美「……」 ゴウンゴウン
洋榎「……」 ゴウンゴウン
初美「……私、観覧車なんて初めてですよー」
洋榎「ウチも二人っきりで観覧車に乗るなんて絹と乗った以来やわ」
初美「……ほんっとシスコンですねー」
洋榎「ウチは愛する人はとことん愛す主義やねん!」 ガハハ
初美「……妬けますよ、ホント」
洋榎「……さて、名残惜しいけど」
洋榎「物事には終わりっちゅーもんがある」
初美「……」
洋榎「やること、あるんやろ」
洋榎「それが済んだら、ウチらはサヨナラや」
初美「……」
洋榎「……この観覧車な、乗ったらお別れするってことで有名なんやで」
初美「ええ?!」
洋榎「まぁそんなわけで、うちらは多分どう転んでもコイツの呪いでお別れや」
洋榎「……」
洋榎「せやから……」
洋榎「もういろんなもんかなぐり捨てて、ホントのこと、言ってまおうや」
洋榎「……」
初美「……」
洋榎「……なあ」
初美「……はいー」
洋榎「ウチもな、別にニブチンとはちゃうで」
洋榎「ニブチンやったら主将なんて務まらんしな」
初美「……そう、ですかー」
洋榎「……せやけどな」
洋榎「はっきりと、言葉にして言ってもらいたいねん」
洋榎「気になってしゃーないことの真相を知るんなら、本人の口から聞きたい」
初美「……」
洋榎「……ウチのことで、何か言いたいこと、あるんと違う?」
洋榎「なあ、窓の外ばっかみとらんと――ウチの目、ちゃんと見てや」
初美「……っ!」
初美「でも……」
洋榎「……」
洋榎「まあ確かに……言い難いことやろうなぁ」
洋榎「それを強要するんは確かにフェアやない、か」
初美「……」
洋榎「せやから、まずはウチが言うわ」
初美「えっ……」
洋榎「よーやくこっち向いてくれたな」 ニッ
洋榎「……やっぱ想いを伝えるなら、こうして面と向かわんとな」
初美「……」
洋榎「……いざとなると怖気づいてまうなあ」
洋榎「これじゃ皆に笑われてまうわ……」
洋榎「お姉ちゃんカッコ悪いーとか、意外とヘタレなんですねーとか」
洋榎「……頑張るのよーとか、常に自分の都合いいよう考えるのが持ち味でしょう、とか」
洋榎「きっと、笑いながら言われてまうわ」
洋榎「……せやから、言うわ」
洋榎「アイツらに、心配されるようじゃ終わりやしな!」
洋榎「漫も由子も、ウチに負けへんようにって、頑張っとったしなー」
初美「……」
洋榎「……」
洋榎「もうすぐ頂上や」
洋榎「……今日のこれがホンマモンのデートで……」
洋榎「カップルになれるんやったとしたら――」
洋榎「頂上行く前になっとくべきなんやろうなぁ」
洋榎「観覧車の天辺でキスとかちょっと憧れるしな!」
初美「……」
洋榎「……ツッコんではくれんのな」
洋榎「まぁええわ、もう言ったようなもんじゃないかってツッコまれてもぐだぐだやったしな」
洋榎「……ウチも結構勇気出して言うねんから、目、そらさんといてな」
洋榎「一目惚れとか、うそくさーと思うかもしれへんけど」
洋榎「それでも、一緒におったら落ち着いたっちゅーかなんちゅーか」
洋榎「楽しかったってのが大きいんかな?」
洋榎「ああでも顔も可愛らしいと思っとるけどな!」
初美「……要領を、全然得てませんよー」 グスッ
洋榎「自分こそ、目をうるませるの早いでー」 ケラケラ
洋榎「……ウチとしては、泣かんといてほしいんやけどなぁ」
洋榎「ずっと笑っとってほしい」
洋榎「……ウチ、な」
洋榎「初美。お前に惚れてもうたみたいや」
洋榎「大好きやで」
初美「う……うう……」
洋榎「ほら、泣かんといてや」
洋榎「……」
洋榎「返事、聞いてもええかな」
初美「……そんなの……わかってるはずじゃないですかぁ……」 グスッ
洋榎「それでもや」
洋榎「ワガママ、聞いてくれや」
洋榎「聞きたいんや、初美の口から」
初美「うう……」
初美「私だって、洋榎ちゃんのこと、好きですよぉ……!」
洋榎「……そっか」
洋榎「……アカンなぁ」
洋榎「こういう時は笑うもんやってウチが言うたはずなんに」
洋榎「ちょっと目元が滲んできたわ」 ゴシゴシ
初美「うう……」
初美「好きですよー……」 ヒック
初美「まともに話したばっかりなのに」 ヒック
初美「なのにどうしようもなく、好きになっちゃったんですよー……!」 エグッエグ
洋榎「はは、ホンマ嬉しいわ」
洋榎「……初美に会えて、ホンマによかったわ」
そう言った貴女の顔は、妙に穏やかで。
その表情には、達観と覚悟が滲み出ていて。
初美「酷い……人ですよー……」 ヒック
初美「こんなこと……言いたくなかったのにー……」 エグッ
大好きだって言わされて。
離れたくないと思わされて。
洋榎「……すまんな」
洋榎「ウチがもっとニブチンやったらよかったんやろうけどなぁ」 タハハ
それでもそれは叶わなくて。
全てを捨てて一緒に歩んでいきたくても、貴女はそれを許してくれないのだろう。
洋榎「……言ってくれ、初美」
だからせめて、愛しい人の最後の願いを叶えるために。
私自ら、引導を渡すために。
涙でぐちゃぐちゃになりながらも、言った。
初美「……洋榎ちゃんは……もう、亡くなってます……」
え?
初美「今の洋榎ちゃんは……幽霊、です……」
愛宕妹が置いていかないでと涙
ちゃちゃのんの全スルー
確かに伏線になってるのか…
永水は巫女だから交霊とかアリかも
洋榎「……あー、やっぱりかー」
洋榎「そら記憶もないわなぁ」
洋榎「……お疲れ会に向かうとこまでは記憶があるし、その途中で事故ったんかな」
初美「……そこまでは……分かりませんよー……」
初美「ただ……亡くなったことは、知っていましたよー……」
初美「その……私のミスで、成仏できるはずの洋榎ちゃんの魂を、降ろしてきてしまって……」
洋榎「それでウチを成仏させるため、大阪までやってきたと」
初美「……はい……」
初美「ごめんなさいですよー……」
初美「……嫌われても、文句は言えません……」
泣いていたら、いつの間にか貴女が傍に寄ってきていて。
私にだけは触れることが出来る手で、涙を拭って。
他のものは、私と洋榎ちゃんには動いて見えるだけでまるで動かないのに。
涙だけは、洋榎ちゃんにもしっかりと拭い取れて。
おかげで、洋榎ちゃんの表情がよく見えて。
洋榎「……」
初美「……!」
幽霊のはずなのに、あったかい感触が、唇に伝わってきて。
洋榎「……気にしんといてや」
洋榎「惚れたオンナの失敗くらい、許せんくって何が浪速の英雄や」 ニヒヒ
初美「洋榎ちゃん……」
洋榎「……それにな、ウチは幸せなんやで」
洋榎「観覧車の天辺でキスするなんてイベントを、最後に経験できたんやからな!」
初美「……私も……」
初美「洋榎ちゃんに会えて、幸せでしたよー」
初美「こんなカタチになっちゃったし……」
初美「別れがくるのが、辛いですけど……」
洋榎「……」
初美「それでも……」
初美「出会わなければよかったなんて言えないほど、洋榎ちゃんのこと、好きになっちゃいましたから」
洋榎「……あーあーまた鼻水垂れ流しちゃって」
洋榎「……それでもよーやく、また笑ってくれたなぁ」
初美「……だって、私は笑顔がチャームポイントですからー」
初美「最後まで……可愛いって思われたいんですよー……」 ズズッ
初美「……そういえば……」
洋榎「ん?」
初美「いつ、気付いたんですか?」
洋榎「……確信したのは、道頓堀でやな」
初美「……」
洋榎「あんとき、一回一人になったやろ?」
初美「はい」
洋榎「そんとき違和感あったねん」
洋榎「歩いてて、歩きにくさが尋常じゃない」
洋榎「まるで皆が、ウチのこと見えてへん風に歩いてきよる」
初美「……それで……」
洋榎「しまいには――あの宮守のちまっこいの、おったやろ」
洋榎「ちまっこすぎて見えとらんかったんやけどな、まぁ向こうもこっちを見えとらんわけで……」
洋榎「見えてへん同士で見事にぶつかって、そんでもって体をすり抜けられたら、誰でも気づくわ」
洋榎「漫の会話も、死んだウチの分まで頑張ろういうことやったとしたら、スジが通るしな」
洋榎「ウチが死んだと考えたら、他の皆の行動も納得いくねん」
洋榎「絹があんな寝言を言うとった意味も」
洋榎「ゆーこがプロになって自慢したいって言うた相手が、ウチ一人やったことも」
洋榎「あの監督代行が、元気づけなアカンと思ってUSJに連れていくほどゆーこが落ち込んどった理由も」
洋榎「……ああ、絹が疲れ果てて眠っとったのも、飲み過ぎやのうて、多分ウチが死んだことによる泣き疲れやな」
洋榎「それにゆーこの服装」
洋榎「初美はすかさずスーツっちゅーたけど、あれ、喪服として着とったんちゃうかな」
洋榎「多分ゆーこや、家におる絹は、今日の通夜に出るんやろ」
洋榎「仕事で来とった佐々野だけでなく、岩手や長野、鹿児島からわざわざ来てくれたのも、明日葬式があるからやろ」
洋榎「多分あんな吐きそうになったのにゲロすら吐かずにサクッと復活したんも、もう幽霊やったからやろ」
洋榎「コースターみたいに知らん人が隣に座ってきにくいもんをチョイスしたのも――」
洋榎「店員が人数分のグラスを運んでくる飲食店に入りたがらず屋台のたこ焼きにこだわったのも――」
洋榎「全部、ウチに自分が幽霊やってことを悟らせないためやったんやな」
初美「……なんでもお見通しなんですねー」
洋榎「惚れたオンナの気遣いくらい、気づかないようじゃ失格やからな」 ハハ
洋榎「あと、ウチからは普通に物が動いて見えとったけど、多分実際は何も動いてないんやろ」
初美「……はいー」
洋榎「まあ、そうやなかったら大混乱やろうしなぁ」
洋榎「でもそれで、インターホンあんな鳴らしても絹が起きなかったことにも説明がつく」
洋榎「初美がリスクを犯してまで窓を自ら叩き割ったり、毛布を引っ張りだしてきたことにもな」
洋榎「タオル一枚で風呂場から出てきた割に、すぐ水滴も廊下から消えてた時点でおかしいとは思っとったんやけどね」
洋榎「切符も実際には買ってないし、幽霊だから改札も通れてたっちゅーことか」
初美「はい……」
洋榎「あ、もしかして、改札通るときに違和感ないように、混雑した駅ばっかり選んどった?」
初美「……正解ですよー」
初美「何でもお見通しなんですねー」
洋榎「普通の幽霊やったら騙されとったんかもしれんけど、一緒にしてもろたら困る」
洋榎「格が違うわ!」 ドヤドヤ
初美「そういえば……」
初美「もう一個謝っておきますよー」
洋榎「何や?」
初美「日記、見ちゃいましたー」
洋榎「おまっ……!」
初美「……想いは、ちゃんと生きてる内に伝えないとダメですよー」
洋榎「ウチへの告白せんまま逃げようとしてた奴のセリフとちゃうな」 クスクス
初美「うう……否定出来ないですよー」
洋榎「……しゃーないやん、伝えたかってんけど、その前に事故ってもうたんやから」
洋榎「頭痛かったし、服は着てたのに財布も鍵も携帯すらも吹っ飛んでたことから見て――」
洋榎「持ち物吹き飛ぶ勢いで車にでもツッコまれたんやろうなぁ」
初美「ボケ冥利につきますかー?」
洋榎「せやなあ、初美のツッコミよりキレはよかったかもな!」
初美「むむ、そこまでいうならこの神事に使う有難い棒を突っ込んでもいいんですよー!」
洋榎「ひい、胎内から逝ってまうぅ!」
洋榎「まぁ、でも、初美のおかげで楽しい幽霊ライフやったで」
初美「……そのまま続けますかー?」
洋榎「冗談」
洋榎「それじゃヤバイから、わざわざ大阪くんだりまで来てくれたんやろ」
初美「……はい」
初美「そのままだと、地縛霊になってしまうですよー……」
洋榎「そらゴメンやな」
洋榎「佐々野の奴にされたように、会話してもらえへんことがずっと続くようになるわけやろ?」
洋榎「大阪人として、ボケ・ツッコミ出来へんとか考えられへんわー」
初美「……」
洋榎「……まもなく地上につくな」
洋榎「ジンクス通り、これで、うちらも、お別れになってまうな」
初美「……お別れ、したくないですよー」 ウルッ
洋榎「……なあ」
初美「はい……?」
洋榎「ウチの体、幽霊やけどあったかかったか?」
初美「……はい」
初美「私にだけは、生前と同じように感じることが出来るんですよー……」
洋榎「……そうか、ほんなら……」
洋榎「胸か手のひら、貸したるわ」
洋榎「胸はないけど初美のよりはぷにぷにやでー」
洋榎「手のひらは、何か雀力的なのがあって有り難そうやん?」
洋榎「……ああ、太もももありやろなー」
洋榎「ウチの太ももは気持ちええって絹が!」
初美「……そのどれも、多分妹さんのお下がりですよー」
洋榎「……ま、まあな」
初美「……それじゃ、嫌ですよー」
初美「まだ地上まで、もうちょっと時間ありますから――」
初美「妹さんですら触れたことない……洋榎ちゃんの一番大事なところをください……」
洋榎「……ええで」
洋榎「むしろこっちが、生きてる初美をキズモんにしてまうのが申し訳ないくらいや」
初美「……傷物には、なれませんよ」
初美「私に触れられても、傷つけることは出来ないんです」
初美「……傷跡を、遺すことは出来ないんですー」
初美「だからせめて……記憶に刻みつけてほしいですよー」
初美「洋榎ちゃんのこと、こんなに好きだったってことを」
初美「洋榎ちゃんが、私のことを、大好きだったってことを」
洋榎「そのかわり、約束してくれ」
初美「はい……?」
洋榎「ウチの分まで、ちゃんと生きたってくれ」
洋榎「後を追うとか、アホなこと考えんなや」
初美「……」
洋榎「確かに、うっかりウチを降ろしたとかいうのはアカンかったかもしれへんけどな」
洋榎「ウチほんまに恨んどらへんし」
洋榎「一人で寂しいとも思っとらん」
洋榎「むしろ後を追われる方がキッツいわ」
洋榎「……それに、そんなことになったら、それこそ成仏出来んで地縛霊になるで」
洋榎「……ただでさえ、絹達が心配で、成仏出来へんっちゅーに」
初美「……」
初美「それにも、気付いてたんですかー……」
洋榎「まぁな」
洋榎「アンタが死なないまでも姿をくらまそうとするくらい思いつめはじめたのは大体分かっとったわ」
洋榎「最初の頃の気楽さが、時間とともになくなってったしな」
初美「……私もまだまだですねー」
洋榎「成仏条件も、USJにゆーこがおって分かったわ」
洋榎「ウチは多分、姫松のメンバーが心残りで成仏出来へんのやろ」
初美「……はい」
初美「本当なら、そんな間もなく天界送りだったんですけど……」
初美「私のせいで、現世への未練を持ったまま降りてきてしまったので……」
洋榎「通りでやたらと絹や漫が気になっとったわけや」
洋榎「……行く先々にゆーこや漫がおったのも、狙っとったん?」
初美「……はい。それもちょっとしたオカルトですよー」
初美「漠然とした居場所しか分からなかったですけど」
洋榎「それでか」
洋榎「ウチが見えへんのバレんように麻雀参加は断固として拒否っとったのに、佐々野の後をつけることには賛同してくれたんは」
初美「……ごめんなさいですよー」
洋榎「……これで初美がちゃんと前向いてくれたら……」
洋榎「あとは恭子が前向いとるの確認したら、成仏かな」
洋榎「ホントは起きとる絹に会いたかってんけど……」
洋榎「ちゃんと見守っとるって伝えられたしな」
初美「……妹さんは、ちゃんと前を向けていますよー」
初美「二人のお部屋、日記を見た時入りましたけど……」
初美「ちゃんと、整理されてましたから」
洋榎「そっか……」
洋榎「ほんならよかったわ」
初美「……」 ギュッ
洋榎「ん?」
初美「嫉妬です。妹さんへの」
洋榎「……可愛いやつやな」
洋榎「ウチが世界で一番愛しとるのは、初美やで」
初美「……わかってても、ちょっと、嫉妬しちゃいますよー」
洋榎「……こういうことするの初めてやねんけどなー」
初美「わ、私だってそうですよー!」
洋榎「幽霊相手でも、体験したら巫女ってクビになるんかな」
初美「構いませんよー」
初美「私、大学こっちに決めましたしー」
洋榎「ほほう」
初美「大阪LOVERみたいに、大阪のおばちゃん目指しますよー」 フフ
洋榎「大阪どころか、もっと遠い遠距離恋愛になってまうけどな」
初美「いつか行くまで、浮気しないで待ってて欲しいですよー」
洋榎「浮気は甲斐性、ウチは初美が浮気してもええんやで」
初美「……浮気なんてしませんよーだ!」
洋榎「……ふふ」
洋榎「好きやで、初美」
初美「……私もですよー、洋榎ちゃん」
・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・
・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・
・ ・ ・ ・ ・ ・
・ ・ ・
洋榎「……地上、ついてもーたな」
初美「……はい」
洋榎「ほんなら、行こか」
初美「……行きたくないですけど……行きましょう」
初美「洋榎ちゃんに心配かけないためにも、私だって前を向けるって見せなくっちゃいけませんからね!」
[ファミリーマート愛宕家付近店]
洋榎「まっさかまたここ来るはめになるとはな」
初美「もはや観光地でも何でもないですからねー」
洋榎「調子こいて観覧車乗ったせいで、他回れへんかったなー」
初美「私は後悔してないですよー」
洋榎「……ウチもや」
初美「……あ、そろそろ来ますよー」
洋榎「よっしゃ、行こか」
初美「……」
洋榎「怖いか?」
初美「そりゃあ、そうですよ」
初美「お通夜に向かう途中で声をかけるんですし」
初美「私お通夜に呼ばれてないのに、ですよー?」
洋榎「しゃーないやん、恭子はウチの親友やし」
洋榎「それに……ウチの最初で最後のツレや」
洋榎「紹介、したいやない」
初美「まったく……変人扱いされたり、殴られるのは私なんですよー」
洋榎「はは、恭子はそんなオンナちゃうて」
初美「……だったらいいんですけどー」
洋榎「お、来た! 行くで!」
初美「は、はいい!」
恭子「ごめんな、わざわざ迎えに来てもろて」
絹恵「いえ……一人でいるよりいいですから」
絹恵「それよりすんません、早めに来てもろてしまって」
由子「何か窓が割られてたっていうし、一人にしたら心配だし気にしなくてもいいのよー」
絹恵「それに……少しでも早く、見てもらいたいものがあって」
漫「見てもらいたいもの……?」
恭子「それって……その手に持ってる日記か何かのこと……?」
初美「あのっ……!」 タッ
絹恵「わっ」
漫「あれ、確か永水の……」
由子「ああ、USJで一人騒いでた……」
初美「は、はじめましてですよー」
初美「私、その――」
初美「愛宕洋榎さんとお付き合いさせて頂いていた――」
初美「いえ、お付き合いさせて頂いている、薄墨初美というものですっ!!」
【そして】
順子「WEEKLY 麻雀 TODAYの西田です」
順子「この度は、念願の女流プロとなったわけですが――」
あれから数年が経った。
初美「……そうですねー」
初美「“降ろす”のをやめたせいで、随分遠回りをしたような気がしますー」
順子「おろ……?」
あの日、大好きな貴女と別れて。
私はオカルトを辞めた。
初美「ああ、いや――むしろ近道をやめ、ゆっくりと道を歩いたって方が正しいですかねー」
順子「はあ……」
それでも麻雀を続け、姫様達から大きく遅れること数年。
念願のプロ雀士になることができた。
順子「そ、そういえば、薄墨プロは常に日記帳のようなものを持ち歩いていますね」
順子「先にプロになった、対戦経験もある原村プロのぬいぐるみのようなものなんでしょうか」
初美「……そうかもしれないですねー」
初美「これ、宝物なんです」
貴女と過ごした最後の晩。
貴女の大事な人達と、初めてまともに言葉を交わしたあの日の晩。
……思うようにいかなくて、でも、認めて欲しくて一生懸命で。
そして、想いが通じた晩。
初美「大切な人の大切な人達に、認めて貰った大切な証」
私は、宝物を託された。
涙を浮かべ、それでも無理くり笑おうとした妹さんの手によって。
それは私に預けられた。
初美「これを持ち歩くことで、遠くにいる大切な人がそばに居てくれる」
初美「そんな気になって、つい持ち歩いちゃうんですよー」
順子「そ、それは熱愛発覚ということで……!?」
初美「……遠距離なんですけどねー」
遠い場所に居る大好きな人。
まだ当分、会いに行く事の出来ない人。
順子「こ、これ記事にしても……?」
初美「隠すことじゃないですし、ご自由にー!」
順子「こ、これはスクープだわ……!」
貴女は重いと言うかもしれない。
別の奴と幸せになりと言うかもしれない。
でも貴女より素敵な人が、出ないんだからしょうがない。
貴女のことを諦めて、幸せになれた佐々野さんが、羨ましくないわけじゃないけど。
それでもやっぱり、私の中では未だに貴女が一番だから。
だから貴女の意思を継ごう。
生きている皆にはせめて笑って欲しいと願っていた、貴女を尊重して生きよう。
常に巫山戯て皆を笑わせてくれた、貴女みたいに生きていこう。
初美「あ、すみません……そろそろ行かないといけない時間なんですよー」
順子「そ、それは噂のカレとデートで……!?」
そして、そうすることで。
私自身、心の底から笑っていよう。
あの人に、素敵だと言ってもらえた笑顔でいよう。
いつかあの世でまた会った時に、文句を言われたくないから。
初美「いえー……ちょっと違いますよー」
初美「大切な人の大切な人達と、大切な人にプロになったと報告しに」
順子「ほほう、そ、それで……そのあとは……?」
だから、笑う。
私は笑う。
貴女の分まで笑顔になって、貴女の分まで笑顔を生み出せるように。
初美「……多分、ご想像の通りですー」
初美「この宝物と一緒に――」
私は笑って、日記帳を掲げて見せた。
そしてあの日、貴女が見せたような笑顔で堂々と宣言する。
初美「大阪デートや!」
私の笑顔は、貴女の元に届いてますか――――――?
カン
すごかった
乙
面白かった
これは凄い
乙です
Entry ⇒ 2012.09.23 | Category ⇒ 咲-Saki-SS | Comments (0) | Trackbacks (0)
古澤頼子「華やかな世界に憧れて」
美術館
頼子(……落ちつく……)
頼子(順路は……こっちかな? えっと……あ)
頼子(……すごいな……この人の作品、本当に綺麗……)
頼子「……次は……えっと……」
頼子「……」
頼子「……?」
P「……」
頼子(……スーツの、人? こんな昼間に珍しいな・・…)
P「……?」
頼子(……あれ……? こっちを見てる……?)
頼子(え、あれ……こ、こっちに来てる……? なんで……!?)
P「あの、すみません」
頼子「は、はい……?」
P「出口って、どっちなんでしょうか……?」
頼子「……はい?」
P「実は、迷ってしまって……」
頼子「……あ……そこに、順路が……」
P「え? あ……ほ、本当だ……」
頼子「……気づかなかったんですか……?」
P「ははは……慣れてなくて……」
P「でも、来てよかった。いいものを見れましたし」
頼子「……」
P「仕事の関係でもらったんですけどね……うん。こういうのって、いいですね」
頼子「……例えば……」
P「はい?」
頼子「例えば、どれが気にいりました……?」
P「うーん……どれも、よかったんですけれど……あっちで見たのが……」
頼子「あっち……?」
P「はい、えーっと……なんて名前だったかな……? 割と素朴な雰囲気の……落ちついた感じで……」
頼子「……ひょっとして……ルソー、ですか……?」
P「あ、たぶんそれ……かな?」
頼子「……そうですか……」
頼子「……」
P「よく、こういうところに来るんですか?」
頼子「……えぇ、まぁ……」
P「じゃあ、詳しいんですか?」
頼子「……多少は……」
P「へぇ……あの、よければここの作品の解説とか、お願いできませんか?」
頼子「解説、ですか……?」
P「迷惑じゃなかったら、なんですけど。なんとなく良いものだってわかっても背景とかさっぱりで」
頼子「……わかり、ました……」
P「ありがとうございます……じゃあ、ちょっと進みましょう」
頼子「あ……順路、こっちです……」
P「あれ?」
P「はぁ……なんというか、その……」
頼子「……太った人、ばかりですけれど……」
P「あ、はい……理由とかあるんですか?」
頼子「……その、ふくよかさが幸せを表現している、とか……いろいろ……言われてはいます」
P「ふくよかさが、幸せ……あぁ、まぁ確かに……?」
頼子「……でも……」
P「……?」
頼子「……本人は……芸術家は、理由など知らずにある形にひきつけられるものだ、って……」
P「……なるほど」
頼子「……理由なんて、後付けでいいものだ、なんて……」
P「……」
頼子「……自分に、素直で……そういうのも……素敵かななんて……」
P「本当だ……あの、ありがとうございました」
頼子「いえ……私も、楽しかったです……」
P「あと、その……」
頼子「……?」
P「……」
頼子「……なんでしょう……?」
P「……アイドルに、興味はありませんか?」
頼子「……アイドル?」
P「はい。俺、プロデューサーをしているものなんです」
頼子「……」
頼子「……」
P「名刺です。これ……」
頼子「プロデュース……私を……」
P「はい」
頼子「……あなたが……?」
P「……俺じゃダメですか?」
頼子「いえ、そうじゃなくて……私は、アイドルなんて柄では……絵画や美術が好きなだけで……」
P「……そう、ですか? 俺は、すごく素敵だと思ったんです。考えるだけでも、どうか」
頼子「……なんで、ですか?」
P「えっと……なんででしょう。わからないけど、でも……」
頼子「わからない……?」
頼子「……ボテロ……?」
P「あ、いや。あなたが太いとかそういうのじゃなくて……彼がそういう作品ばかり作った理由を教えてくれたじゃないですか」
頼子「……確かに……言いましたけれど……」
P「理由なんて、後付けはできますけど。俺はあなたをプロデュースしたいんです」
頼子「……そう、ですか……」
P「ダメですか?」
頼子「……柄じゃ、ないです……」
P「……」
頼子「その……でも……アイドルって……華やかな世界なんでしょうね……」
P「そ、それは、もうもちろん! やるからにはトップにしてみせます!」
頼子「……うん。楽しそうだな……って。やってみたい、です」
P「ほ、本当ですか!?」
頼子「は、はい」
P「あ……なるほど。親御さんに……」
頼子「はい……」
P「……え?」
頼子「……はい?」
P「すみません、おいくつでしょう?」
頼子「……17歳、ですけれど……」
P「なんと」
頼子「どうしたんですか……?」
P「い、いや……落ちついた雰囲気だったからもう少し上だと思ってました……」
頼子「そう……ですか……ありがとう、ございます……」
頼子「あ……家は、少し。事務所までうかがいますから……」
P「そうですか……ん、メール? すみません、ちょっと」
頼子「はい……」
P「……げっ、杏のやつ……!? す、すみません! ちょっと失礼します!」
頼子「は、はぁ……」
P「その、よかったら今度ここまで。怪しい事務所とかじゃないですから! ホームページもみて確認してください!」
頼子「……いっちゃった……」
頼子「……名刺も……本物……?」
頼子「……」
頼子「とりあえず……帰ろうかな……」
頼子「……これ……」
頼子「お母さんは、あなたの自由にって……」
頼子「……うーん……」
頼子「パソコン……そうだ、ホームページ……」
頼子「……」カタカタ…
頼子「……ここ、かな……えっと……」
PC[あなたもアイドルに! シンデレラ・プロジェクト]
頼子「……シンデレラ……」
頼子「……綺麗……」
頼子「これも……素敵だな……」
頼子「……私も……なれる、のかな……?」
頼子「……」
頼子「なって、みたいな……こんな、風に……」
頼子「うん……」
頼子「がんばって、みよう……かな……」
頼子「……明日、空いてたっけ……? えっと……」
頼子「……うん。いって、みようかな」
頼子「……今日は……寝よう……」
頼子「……ここかな……?」
頼子「えっと……地図……」
頼子「……うん。間違って、ない」
頼子「ここの、中に……」
頼子「……」
??「ん? そこで何をやってるんだ?」
頼子「えっ……!?」
??「怪しいもの……ではないよな……」
頼子「え、えっと……私は……」
??「みなまでいうな……うちの助手が、スカウトしたんだろ?」
頼子「じょ、助手……?」
??「あぁ、すまない……申し遅れた」
晶葉「私の名前は池袋晶葉。21世紀が誇る大天才、発明家兼、アイドルだ!」
頼子「は……はい……?」
晶葉「ふむ……よければ、名を聞かせてほしい」
頼子「よ、頼子……古澤頼子です……」
晶葉「頼子か……うん。今日は面接かなにかかな?」
頼子「そうです……」
晶葉「だったらこっちだ。来てくれるか?」
頼子「は、はぁ……」
晶葉「なに、緊張することはないさ。安心してくれていい」
頼子「……?」
晶葉「私も最初はとても緊張していたが……気のいい人も多いんだ。大丈夫だぞ」
頼子「あ……はい。ありがとう、ございます……」
頼子「こ、ここ……?」
晶葉「あぁ、向こうから入るとレッスン待機中のアイドルに鉢合わせしてたかもしれないからね」
頼子「レッスン待機中って、例えば……?」
晶葉「あぁ、別にいじわるをするわけじゃないんだ。ただまぁ……初見で彼女たちと会うときっとすさまじいインパクトをうけるだろうから……」
頼子「……インパクト……双葉杏ちゃん、とか……?」
晶葉「あぁ、そんな感じだな……私も初めてこの事務所に来た時は……」
頼子「……?」
晶葉「いや、いい。これはこっちの話だからな……にょわーには気をつけてくれ」
頼子「にょ、にょわー?」
晶葉「彼女もすぐに、メジャーデビューするだろうが……うちの事務所の核弾頭だよ」
晶葉「いろんな意味で、な……あれには私も焦った。でも、いい奴なんだよ?」
頼子「……そう……」
晶葉「それじゃあ私はレッスンがあるから、このへんで。入ってまっすぐ行けば事務室が見えるはずだ」
頼子「……うん、わかった」
晶葉「健闘を祈るよ。願わくば、またアイドルとして一緒に仕事ができることを」
頼子「うん、それじゃあ……」
晶葉「あぁ、またな」タッタッタ…
頼子「……」
頼子「うん……よし、いくぞっ……」
「開いてますよ、どうぞー?」
頼子「……失礼します……」
ちひろ「……あら? えーっと……」
頼子「えっと……ここのプロデューサーさんに……」
ちひろ「あぁ、なるほど……はい、わかりました」
頼子「え、えっ……?」
ちひろ「シンデレラ・プロジェクト。全ての女性にアイドルとしての機会を……」
ちひろ「私達があなたに聞きたいのはひとつです」
頼子「……」
ちひろ「輝くステージに、立ちたいですか?」
頼子「は……はい!」
ちひろ「うん、いい返事ですね……いいですよ。えっと……」
頼子「頼子……古澤頼子です……」
頼子「ど、どうしたんですか……?」
ちひろ「プロデューサーさんの名簿に名前がない……?」
頼子「名簿、ですか……?」
ちひろ「えぇ、割と後先考えずに声をかけるから連絡しろって言ってるんですけれど……」
頼子「名前……あっ」
ちひろ「どうしました?」
頼子「私、名前……いってない……」
ちひろ「……はい?」
頼子「その……昨日、会ったんですけれど……」
ちひろ「あ、あぁ……なるほど。美術館で見つけた逸材さん、ですか……」
頼子「えっ……」
ちひろ「改めて、ようこそ。我がプロダクションへ!」
頼子「は、はい……よろしくお願いします……?」
ちひろ「あなたに働く意思があるのなら……レッスンを始めるための書類はここにあります」
頼子「……」
ちひろ「でも、すぐに決めて後悔なんてことはして欲しくない……どうですか? 今日は、見学でも」
頼子「見学……ですか……」
ちひろ「えぇ。レッスンしているアイドル達と……あと、ついでに。オンの時のプロデューサーさんを」
頼子「……オンの時って?」
ちひろ「いえ、きっとあなたがあったプロデューサーさんはどこか抜けてそうで方向音痴の頼りなさげな人だったはずなので……」
頼子(……確かに……?)
ちひろ「それ基準で考えると、痛い目みちゃうかもしれませんしね?」
頼子「……痛い目……ですか……?」
ちひろ「まぁ、こちらへどうぞ……ついてきてください」
ちひろ「レッスン室、です。今はプロデューサーさんが見てるはず……どうぞ?」
頼子「……」
P「きらり、ステップ遅れてる!」
きらり「にょ、にょわっ! りょーかいだにぃ!」タタンッ
P「卯月は逆にステップが早い、落ちつけ!」
卯月「は、はいっ、頑張りますっ!」タタタンッ
P「あと、杏は動け!」
杏「えー、めんどくさーい……」タン…トン…
P「いつまでたってもレッスン終わらないぞ? はい立ったー!」
杏「わかったわかったー、はぁーもー……」
ちひろ「すごい、でしょ?」
頼子「……はい……」
ちひろ「普段は結構ダメな人なんだけど……人を見る目はあるの」
頼子「……」
ちひろ「その人が、絶対間違いないっていった人材……こちらとしても、ぜひ働いてもらいたいんだけど」
頼子「……あれは、島村卯月ちゃんと……双葉杏ちゃんと……」
ちひろ「あぁ、彼女は……諸星きらりちゃん。身長182センチの大型アイドル……現在成長中らしいけれど」
頼子「せ、成長中……?」
ちひろ「精神的にも、物理的にも……ね。そろそろメジャーのオーディションにでる頃なの」
頼子「……すごいですね……」
ちひろ「本当にね……あと、トレーナーさんが見てる人たちがこっち……」
頼子「あ、はい……」
頼子「すごかったですけれど……その……」
ちひろ「……?」
頼子「……私、本当にあの人たちみたいになれるでしょうか……?」
ちひろ「それはもう。きっと」
頼子「……そこまで、信じられるんですか……?」
ちひろ「えぇ、あんな人ですけど……きっとね」
頼子「……そう、ですか……」
ちひろ「どうしますか?」
頼子「今日は、帰ります……ありがとう、ございました」
ちひろ「わかりました……送りましょうか?」
頼子「……大丈夫、ですから。 それじゃあ……」
頼子「あ……」
P「あ」
頼子「……プロデューサー、さん」
P「昨日の……結局名前聞けずじまいだった……見学でもしていきますか?」
頼子「……いえ、見させてもらいました……でも……」
P「……?」
頼子「私は……」
P「なんでしょう?」
頼子「……できると、思いますか……?」
P「……できるって、何が?」
頼子「私じゃ……無理かもって……」
P「……」
頼子「……ごめんなさい……昨日声をかけてくれて、嬉しかったです……」
P「待ってくれ」
頼子「……?」
P「本当に、できないと思ってる……のか?」
頼子「……あんな風に、表現したり……苦手で……」
P「……もったいない!」
頼子「え、あっ……」
P「ちょっとこっちへ。やってみればわかるから!」
頼子「プ、プロデューサーさ……」
P「あぁ、君ならきっと一流のアイドルになれるはずなんだ!」
頼子「……私が……」
P「そう。ちなみにここはダンスレッスンがメインだけど……ステップなんか踏んだりして」
頼子「ス、ステップ……」
P「できれば背筋も伸ばして、前を見て……」
頼子「前……? あ、鏡……」
P「自分で自分の動きが確認できるようにってことで用意してあるんだ」
頼子「私が……」
P「できると思うんだ、君なら……君だから」
頼子「……少しだけ、教えてください」
P「あ、あぁ! とりあえず簡単なステップだけ……こう……」
P「うん、そんな感じで……いい、やっぱりいいよ!」
頼子「……」トン、タッタン…
P「前を見てみるんだ」
頼子「……? あ……」トン、トントン…
頼子(私が……踊ってる……)
P「……簡単なステップだけど、動きにキレがあった。やっぱり逸材だ!」
頼子「……逸材……輝けるの……?」
P「……って、あ。 また熱くなって……すみませんでしたっ!」
頼子「……」
P「いや、レッスンになるとどうしてもいつもの口調が出てしまって……というか、帰ろうとしてるところを呼びとめて無理に……」
頼子「……プロデューサーさん」
P「な、なんですか?」
頼子「……敬語じゃなくても、大丈夫ですよ……?」
P「え、いや……その……」
P「……?」
頼子「……だって……同僚に、なるんですから……」
P「そ、それじゃあ……!」
頼子「私も……なれますか……? あの、輝く舞台の上の人たちみたいに……」
P「なれるとも! あぁ、させてみせる!」
頼子「……信じます……よろしくお願いします、プロデューサーさん」
P「よろしく……えっと……」
頼子「……頼子、です。古澤頼子……1日に、3回も自己紹介をするなんて初めて……」
P「は、はは……うん。よろしく、頼子!」
頼子「……はい」
――
頼子「……ふぅ……」
P「うん、いい感じだ……でも」
頼子「……なんですか……?」
P「背筋は伸ばした方が見栄えがいい、かな。背も高いんだし」
頼子「背……背は、きらりちゃんがいるから……」
P「いや、きらりは別格だよ……きっと見栄えがすると思うんだ。胸を張ってさ」
頼子「胸を……」
P「うん。前を、先を見るんだよ」
頼子「猫背になるの……癖だから。 ……少しずつがんばります……」
P「そうだな。アイドルになるんだもんな!」
――
―――
――
頼子「感情を表現……」
P「あぁ、頼子はせっかく美人なのにそのままじゃもったいないと思ってな」
頼子「……ありがとうございます」
P「うん、そうだな……まずは笑顔だ!」
頼子「笑顔ですね……えっと……」
頼子「こ……こうですか……?」ニィ…
P「お、おしい! なにか違う! これはこれでありだけど不敵な笑みだからな、それ」
頼子「え、えっ……」
P「こう……にこっ、みたいな……」
頼子「こ……こう……」ニコ…
P「そう、それだ。それだよ!」
――
―――
――
P「うーん……」
頼子「どうしたんですか……?」
P「いや、頼子のアイドル衣装の案が出てるんだけどさ」
頼子「衣装……!」
P「うん。そろそろデビューも見えてきたしな……それで、方向性がさ」
頼子「方向性……ですか……?」
P「そう、意外とミステリアスな雰囲気が似合うんじゃないかって思うんだ」
頼子「ミステリアス……? ミステリーはたまに読みますけど……」
P「いやいや、そうじゃなくて……」
頼子「えっ、あ……違いました?」
P「残念ながら……ん? 待てよ……ミステリーか……怪盗……ありかもしれないぞ!?」
頼子「え、えぇっ……?」
――
―――
―――
――
頼子「プロデューサーさん、私……」
P「うん、よかった……! 初めてのお仕事、成功だ!」
頼子「はい……私、うまくできてましたか?」
P「あぁ、最高だった! 怪盗衣装もはまってたぞ?」
頼子「本当に……? 嬉しい、です」
P「本当だとも……うん、ここからがんばっていこうな!」
頼子「……うん、がんばる……プロデューサーさん」
P「うん?」
頼子「私がアイドルだなんて……驚きですよね」
P「そうかなぁ?」
頼子「そうですよ……きっと、いろんな人がびっくりしました。でも、一番驚いてるのは私……」
P「そうか? 落ちついて見えたけどな……」
頼子「ふふ……ポーカーフェイスもこういう時には役立つの。プロデューサーさん、ありがとうございます」
――
―――
―――
――
―
頼子「……お月見、ですか?」
P「あぁ、だいぶ名前も売れてきたしどうかな? 団子を配るんだが……」
頼子「お団子……」
P「うちの事務所からは、頼子と……あと、晶葉を出そうと思ってるんだ」
頼子「晶葉さん?」
P「うん……あれ、同じレッスンだったことはあったっけ?」
頼子「いえ……事務所に初めて来たときに、少し」
P「へぇ……団子作り自体は晶葉のロボがあれば楽にいけるかなって思う」
頼子「……なるほど……」
P「え? あぁ、そりゃあロボ任せにはできないからな……」
頼子「なるほど……うん、わかった……」
P「うん?」
頼子「イベントまで……どれぐらいありますか……?」
P「そうだな……だいたい2週間、かな。十五夜にあわせてだから……」
頼子「……ありがとうございます。精いっぱい、がんばります」
P「うん、わかった! じゃあその方向で話を進めておくよ」
頼子(十五夜……お月見……下調べしないと)
頼子「フフ……楽しいな……」
――
P「ふぅ……んー。今日はもう上がるか……」
頼子「……あ、プロデューサーさん。お疲れ様です」
P「ん、頼子か。お疲れ……って何だ、その本?」
頼子「これですか……? お月見のイベントに呼んでいただくということで調べていたんです」
P「へぇ……流石は頼子だな。勉強熱心だ」
頼子「いえ……アイドルになってから、いろんなことに興味が尽きなくて……」
P「そうか……うん、いいじゃないか」
頼子「はい……知ってたことも、知らなかったことも。すごく輝いて見えるんですよ……」
P「それは、頼子も輝いてるからじゃないか? ……なんて、ちょっとクサいか」
頼子「……ふふっ、そうですね。あんまりプロデューサーさんにはあわないかも」
P「な、なんと」
頼子「あ、本ですか……?」
P「うん。教えてほしいな……普段、あまり読まないから」
頼子「そうなんですか……えっと、たとえば、お月見が元々中国の行事だった、とか……」
P「へぇ……そうだったのか」
頼子「でも、今の日本のお月見はだいぶ本家とは形も変わってるみたいですけど……」
P「例えば?」
頼子「例えば……プロデューサーさんは、十三夜ってご存知ですか?」
P「十三夜? 十五夜じゃなくてか?」
頼子「はい……十五夜と並ぶぐらい、いい月としてあげられていて……」
P「へぇ……」
頼子「どちらかしか見なかった場合、片月見といってあまりよろしくない、らしいです……」
P「なんと……知らなかったな。そりゃ見ないと」
P「うん? どうした?」
頼子「……十三夜も一緒に見ましょうね」
P「あぁ、いいとも。約束だな」
頼子「えぇ……期待してるから、きっと……」
P「確かに、楽しみだなぁ……その前に……」
頼子「えぇ、わかってます……お団子作りも勉強してますから」
P「……流石は頼子だな」
頼子「ふふっ……ありがとうございます」
P「よしっ、絶対に成功させるぞー!」
頼子「……はいっ」
晶葉「ん……おぉ、頼子!」
頼子「晶葉さん……お久しぶりです」
晶葉「……さんづけはよしてくれ。なんだかむずがゆいじゃないか」
頼子「でも……」
晶葉「あの時は、新人さんを先輩としてアドバイスする立場だったが……私達は対等だろう?」
頼子「……じゃあ、晶葉ちゃん?」
晶葉「……どうもむずがゆいが、まぁいいかな。私のロボは相変わらず完璧だ」
頼子「流石は晶葉さん……」
晶葉「また戻ってるじゃないか……」
頼子「あっ……つい」
晶葉「……まぁ、呼びやすいように呼んでくれればいいんだが……今度のお月見、楽しみだな」
頼子「……そうですね。とっても」
頼子「そんなに……?」
晶葉「ふふん、まぁ私の手にかかればこの程度簡単さ……だが」
頼子「……?」
晶葉「その、ロボが団子を作る機能はできたのにだな……何故か……」
頼子「……あ、ひょっとして……」
晶葉「おはずかしながら、私自身の手作り団子という奴がうまくできなくてだな……」
頼子「……ふふっ」
晶葉「わ、笑うなっ! 死活問題なんだぞ!? 私のファンだという殊勝な奴らには、その、それぐらいしてやりたいと思ったんだ!」
頼子「いいですよ……作りましょう、晶葉さん」
晶葉「いいのか……!? あ、ありがとう!」
頼子「本を読んだかいがあります……一緒に、少しずつ」
晶葉「あぁ、本番は近いぞ!」
――
晶葉「……ふぅ。ようやく私もうまく作れるようになったな」
頼子「上手です……うん、もう明日は本番ですけどこれならなんとか……」
晶葉「ははは……まさか私がここまでロボから離れると不器用だとは思わなかったよ。助かった、ありがとう」
頼子「いえいえ……」
晶葉「……ところで、頼子」
頼子「どうしたんですか……?」
晶葉「明日は、本番なわけだが……特別な団子を作ったりはしたのか?」
頼子「特別な……?」
晶葉「あぁ、ロマンチックに月に愛なんて誓ったり……なんてな」
頼子「……」
晶葉「……うちの助手、もとい……私達のプロデューサーだよ。どうなんだ?」
頼子「そんなの……ありませんよ?」
晶葉「ほう……」
頼子「気のせいです……それに」
晶葉「それに……なんだ?」
頼子「それに。月は移り気だから気持ちを誓ってはダメなんですよ?」ヒョイッ
晶葉「むぐっ……!?」
頼子「私もひとつ……あむっ」
晶葉「な、なにをするんだいきなり」
頼子「うん、美味しい……おませさんな口はふさいじゃいましょう、なんてね」
晶葉「……まったく。ポーカーフェイスもいいけれど、もっと素直に……むぐぅっ!?」
頼子「はい、もうひとつ……」
晶葉「も、もうっ……ふん。別に頼子が後悔しないのならそれでいいだろうがな……私はこれ以上は言わない」
頼子「……」
晶葉「一度、向き合ってみるのも悪くないんじゃないか?」
頼子「……考えてみますね」
―――
――
頼子(考える……考えてみたけれど、あまり眠れなかった……)
P「……頼子?」
頼子「あっ……プロデューサーさん……」
P「どうした、イベント中だぞ?」
頼子「……すみません……少し」
P「体調が悪いなら……休むか?」
頼子「いえ、平気です……私の、ファンの人達ですから……私が配らなきゃ……」
P「だが……」
頼子「……大丈夫。 顔を上げて、前を見て……そこに、ファンの人達がいれば……私は……」
P「……そうか。信じるぞ」
頼子「……はい」
ファン「うん、こちらこそ! いつも応援してるよ!」
頼子「はい……」
P「……もう、時間だな」
頼子「あ……終わり、ですか……?」
P「あぁ。お疲れ様、頼子」
頼子「ありがとうございます……あの、プロデューサーさん」
P「うん? どうした?」
頼子「……あとでお団子食べましょう。皆には秘密で……」
P「……おいおい」
頼子「あまっちゃったし、もったいないですよ……ね?」
P「うーん……じゃあ、お願いしようかな」
頼子「あ、はい……私達は……」
P「帰っていくファンの人達に、手でも振ってあげてくれ。最後までアイドルとしてな」
頼子「……わかりました」
P「片付けとかは、スタッフの人がやってくれるから大丈夫だぞ……それじゃ、あとで」
頼子「はい、あとで……」
頼子「……」
頼子「……いっちゃった……」
晶葉「やぁ、頼子。お疲れ」
頼子「あっ……晶葉さん。お疲れ様です」
晶葉「……頼子も、そんな顔をするんだな」
頼子「そんな顔……?」
晶葉「なに、プロデューサーがいってくるといって出てすぐ……寂しそうな顔をしていたぞ?」
頼子「……そんなはず、ありませんよ」
頼子「さらう……?」
晶葉「あぁ、頼子のステージ衣装のとおりに恋の怪盗になって……な」
頼子「……」
晶葉「……そんな複雑な表情しないでくれるないか」
頼子「あ、いえ……確かに、私のお仕事は皆の心を奪うこと……怪盗みたいかもしれないけど……」
晶葉「しれないけど、なんだ?」
頼子「……あっ」
晶葉「ふふん、自分の気持ちには素直になったほうがいいぞ? 私はファンの皆に手を振ってくる……廃棄分の団子も回収してこよう」
頼子「それじゃあ私は……」
晶葉「頼子はここにいて、プロデューサーを迎えればいいんだ……ようやく向き合えたんだからな。自分の気持ちと」
頼子「……」
晶葉「廃棄分はいっそファンにランダムでばらまいてこようか。あぁ、忙しくなりそうだ……いくぞお月見ウサちゃんロボ!」
ロボ「ガガピー!」
頼子(……向きあえた……気持ち……)
P「ただいま……お待たせ」
頼子「プロデューサーさん……お帰りなさい……」
P「……あれ? 晶葉とロボ達は……?」
頼子「……お団子の処理にいきました」
P「そうか……まじめだなぁ」
頼子「……その、プロデューサーさん」
P「うん? どうした」
頼子「お団子、食べますか?」
P「あ……そうだな。晶葉は戻ってこないけど先にちょっと食べちゃおうか」
頼子「……はい」
頼子「そうですか……よかった……」
P「……」
頼子「……」
P「あぁ……なんだか、いい風だな……」
頼子「……そうですね……とっても……」
フワッ…
頼子「……あ……」
頼子(――風が、草を揺らす音だけが大きく聞こえて……スタッフの人達の喧騒が、どんどん離れていって)
頼子(見上げた空は、あまりにも透き通って、遠くまで暗く、だけど輝いて見えて)
頼子(これが私の――)
頼子「あ……いえ……この月を見ていたら、いろんな気持ちが……」
P「月……? 確かに……そうだな、いろいろあったな……」
頼子「はい……なんだか……」
P「どうした?」
頼子「……いえ、何でもありません。ただ……」
頼子「……そう、ただ……月が……綺麗ですね……」
P「……あぁ……」
頼子(……今は……これが私の精一杯の勇気。自分の気持ち……)
頼子「……どうしたんですか……?」
P「死んでもいい、かな」
頼子「……!? えっ……」
P「……そういう意味だったのか?」
頼子「プロデューサーさん……知ってたんですか……?」
P「まぁ、その……頼子がよく本で調べものなんかもしてるから……ちょっとな」
頼子「……」
P「……ははは。照れくさいなぁ……それに、柄じゃなかった」
頼子「確かに……似合ってませんでしたけど……」
P「うぐっ……」
P「……あー。言ってみたかっただけだったりとか……」
頼子「違いますよ……わかった上で、言ったんですから……」
P「……」
頼子「……」
P「これって、告白なのかな?」
頼子「……私は、そのつもりでしたけれど……」
P「……あぁ。うん……なるほど、日本語訳をこうした理由がわかったかもしれない」
頼子「理由……ですか?」
P「あぁ……なんだか、さっきまでよりもずっと。綺麗に見えるんだ……月も、頼子も」
頼子「……ふふっ、やっぱり似合わない」
P「そう茶化さないでくれよ……」
P「うん……? どうした?」
頼子「これから先のことは、考えていますか……?」
P「……そう、だな……」
頼子「……」
P「アイドルとしての、頼子はまだまだ伸びる……俺は、それを応援したい」
頼子「そうですか……」
P「うん。俺はやっぱり、プロデューサーだから」
頼子「……わかりました。それなら私も、アイドルですから」
P「……いけるところまで、いってみたいんだ。ついてきてくれるか?」
頼子「えぇ……きっと、どこまでも」
おわり
月見でクるものがあって、吐きだしたかったんですけれど
なんとか書きたかった部分が書けて満足です
あと、モバマスSSが急激に増えてすごくうれしいです。みんなも書けばいいと思うの
Entry ⇒ 2012.09.23 | Category ⇒ アイマスSS | Comments (2) | Trackbacks (0)
入須「来たぞ、折木君」
・古典部部室
奉太郎(千反田は図書館、里志は総務委員の会議、伊原は図書委員の仕事…)
奉太郎(三度目の奇跡だ。今日の奇跡を信じて、この問題を終わらせる)
奉太郎「こんにちは、先輩」
入須「あぁ」
奉太郎「お久しぶりですね」
入須「…そうだな、一週間ぶりだ」
奉太郎「はい」
入須「…早くないか?」
奉太郎「そうですか?」
入須「…まぁ、元々私から言い出したことだ。君が気にする必要は無いんだが」
奉太郎「えぇ」
入須「手紙で呼び出されたのは初めてだ」ガタッ
奉太郎(…先輩はいつも目の前に座るな)
奉太郎「俺も下駄箱に手紙を入れたのは初めてです」
入須「それで、これはどういう事だ?」パサッ
『本日放課後、古典部部室にて。 折木奉太郎』
奉太郎「そのままの意味ですよ」
入須「…と言われてもな」
奉太郎「部室なので、抹茶が無くて申し訳ないんですが」
入須「それは構わないが」
奉太郎「安心しました」
入須「…それで、なんだ?」
奉太郎「…実は、特に大した用事は無かったんですが」
入須「……帰る」スッ
奉太郎「冗談です」
入須「………」トスッ
奉太郎「…入須先輩、お話があります。聞いてもらえますか?」
入須「…あぁ」
奉太郎「……以前、先輩が俺に相談した事を覚えていますか?」
入須「さて、なんだったか」
奉太郎「恋の相談ですよ。先輩に好きな人がいると」
入須「……それは、忘れてくれ。終わった事だ」
奉太郎「…その次に先輩が俺に話した事は、覚えていますか?」
入須「…高校生活についてだ。主に、朝と放課後のな」
奉太郎「えぇ。そして休みの日に先輩の髪の話、文化祭で先輩が怒っていた理由の話」
入須「随分ピンポイントだな」
奉太郎「共通点があります」
入須「…一体なんだ?」
奉太郎「わかりませんか?」
入須「……あぁ」
奉太郎「…先輩、前に俺の事をこう言ってましたね。よく理解してくれて、特別だと」
入須「そうだな」
奉太郎「特別な事、それは人それぞれあります。勿論俺にも」
入須「君にとって特別な事?」
奉太郎「先輩、例えば自分の前を歩く人が居たとしたら、それはどの様な人でしょうか?」
入須「…急になんだ」
奉太郎「答えてください」
入須「……目上の人だろう。上司、先輩」
奉太郎「では、自分の後ろを歩く人は?」
入須「単純に逆にすれば、部下、後輩。目下の者だ」
奉太郎「それなら、隣は?」
入須「同期、同級生。対等な関係の者だ」
奉太郎「…では、その隣を歩く人が先輩の後ろに下がっていくとして、その理由はなんでしょうか?」
入須「…折木君、なぞなぞをする為に私を呼んだのか?」
奉太郎「先輩、答えてください」
入須「……わかった。そうだな…本質的に、立場が下なんじゃないか?」
奉太郎「と言うと」
入須「人を避けるにしろ狭い道を歩くにしろ、自分が動く事で相手を引き立たせている」
奉太郎「では逆に、前に出て行く場合の理由はなんでしょうか?」
入須「…自ら引き立つ為に動く。リーダーたる者、若しくは相手を守る為」
奉太郎「……ありがとうございます。参考になりました」
入須「意図を教えてはくれないのか?」
奉太郎「…先輩、今の話、俺は抜けている事があると思います」
入須「なんだ?」
奉太郎「隣を歩く人は同級生だけではありません。年上の友達や親、年下の知り合いや兄弟」
入須「…確かに」
奉太郎「そして、隣に歩く人が前に出る。 …導いているんじゃないでしょうか?」
入須「隣の者をか?」
奉太郎「えぇ、例えば、俺の様な何もできない省エネ人間をね」
入須「…君は何もできなくないよ」
奉太郎「…そう言って貰えると嬉しいです」
入須「本当だ」
奉太郎「……本題に入りましょうか、先輩」
入須「…待て」
奉太郎「はい」
入須「聞きたくない」
奉太郎「聞いてもらいます」
入須「嫌だ」
奉太郎「先輩」
入須「………」
奉太郎「…知る事の出来る者が、知らないフリをする事はできない」
入須「…どういうことだ?」
奉太郎「先輩、人の気も知らないで、勝手に結論を出すのは良くありませんよ」
入須「………」
奉太郎「………」
入須「……わかった、聞かせてくれ」
奉太郎「はい」
奉太郎(布石は打った。ここからだ…!)
奉太郎「…先日言ってましたね、昔の関係に戻るのは嫌だと」
入須「あぁ」
奉太郎「それは、俺と先輩の距離が離れてしまうからですか?」
入須「…そうだ」
奉太郎「なら、それはありえません」
入須「なぜだ。君は私に騙され、苦手意識を覚えたはずだ。そうなれば…」
奉太郎「先輩、俺はどうやら省エネはやめられません。そしてあなたは女帝と呼ばれている」
入須「…あぁ、変わらない」
奉太郎「それで良いんです。見方を変えましょう」
入須「見方を…?」
奉太郎「先輩は、隣に歩きながら俺を導いてくれていると」
入須「…私が、君を」
奉太郎「えぇ。先ほどの共通点の話ですが、あれは全て先輩の問いに俺が考え、答えを示した話です。正答は少ないですが」
入須「…なるほど、確かに」
奉太郎「最初は嫌でしたが、今はそこまで嫌ではありません。まぁ、余り多いと困りますけど」
入須「…そんなに言わないよ」
奉太郎「悪い気はしませんけどね」
入須「……だが、私はまた君を騙そうとするかもしれない。導くと嘘をついてな」
奉太郎「その時は、また先輩の真意を俺が解きます」
入須「………」
奉太郎「先輩、あなたは俺に道を示してくれた。そして、これからも変わらないでしょう」
入須「あぁ」
奉太郎「これがこの間の答えです。 …先輩は特別です。俺には、あなたが必要な理由がある」
入須「!」
奉太郎「俺達は二人で歩いていく。そして先輩は時々前に出て、俺を導いてください」
入須「…それなら君は、時々後ろに下がって私を見守ってくれるのか?」
奉太郎「そうですね、後ろに下がって、俯瞰で先輩の気持ちを理解しましょう」
入須「…そうか」
奉太郎「お互いが特別であれば、対等じゃないですか?」
入須「……そうかもしれない。だが、私は君を束縛してしまう。嫉妬心も強い。君はこんな女、嫌だろう?」
奉太郎「先輩、俺は先輩を信頼します。だから先輩も俺を信じてください」
入須「だが…」
奉太郎「………」
奉太郎(ここか…)
奉太郎(姉貴が言っていたな。わかっている事実を検討し、わからない事に上書きしろと)
奉太郎(姉貴…信じるからな。失敗したら、一生恨むぞ)
奉太郎「…あの時、俺の事を変わっていないと言いましたね、先輩」
入須「…あぁ」
奉太郎「そんな事はありません。変わっていますよ、俺は」
奉太郎(………)ドク…ドク…
奉太郎(胸が痛い…勇気を出せ、俺!)
奉太郎(…事実はある。全てを伝えるんだ、先輩に!)
入須「…折木君?」
奉太郎「俺は…俺は!」
奉太郎「入須先輩の事が、どうしようもなく好きになりました!」
入須「!!」
奉太郎「変わっていないなんて、言わせません」
入須「………」
奉太郎「………」ガタッ
入須「お、折木君
ギュッ
入須「!」
奉太郎「束縛してください。嫉妬してください。騙してください」
奉太郎「そのままの先輩で良いんです。俺は、そんな先輩が堪らなく好きなんですから」
入須「………」
奉太郎「………」
入須「………」ポロ…ポロ…
奉太郎「! 先輩…?」
入須「折木君…折木君…」
奉太郎「…泣かないで下さい、先輩」
入須「うるさい…」
奉太郎「…調子が戻ってきましたね?」
入須「……この一週間、とても辛かった。そして今、とても幸せだ」
奉太郎「はい」
入須「想いが込み上げて、止まらない…嬉しくて、悲しくて…」ポロ…ポロ…
奉太郎「はい」
入須「君がこんな…私を抱きしめるからだ。 …暖かくて、優しくて」
奉太郎「………」
入須「今、私も変わった。君の事が…大好きになったよ」
奉太郎「はい」
入須「こんな私でいいのか…?」
奉太郎「…先輩以外、いません」
入須「…嬉しい」ギュッ
奉太郎「………」ギュッ
入須「………」
奉太郎「……入須先輩」
入須「……折木君」
奉太郎「………」
入須「……ん」
奉太郎「………」チュッ
入須「んっ…」
奉太郎「……ふぅ」
入須「………」
奉太郎「………」
入須「……もう一度」
奉太郎「…おあずけです」
入須「…バカ」
奉太郎「これでも、恥ずかしいんですよ」
入須「気にしなくて良いよ」
奉太郎「俺が気にします」
入須「………」ギュッ
奉太郎「……先輩、好きです。この気持ちは、忘れません」
入須「…忘れたら、怒るからな」
奉太郎「手帳に書いておきますよ」
入須「ふふっ。あぁ、頼む」
奉太郎(…入須先輩、出会った当初はこんな関係になるとは思って居なかったが)
奉太郎(こんなにもかけがえのない人が出来て、俺も、幸せだ)
・10分後
入須「これで…正式に恋人同士、だな」
奉太郎「そうですね」
入須「お互いに好きだと確認しあったし」
奉太郎「えぇ」
入須「……キスもしたし」
奉太郎「…はい」
入須「君と将来どういう家族になるのか、今から楽しみだな」
奉太郎「……え?」
入須「折木君、私は婚前交渉は構わないけど、子供は結婚後だからな」
奉太郎「……結婚?」
入須「…君の為なら、痛みも我慢するよ」
奉太郎「ちょっと待ってください」
入須「…なんだ?」
奉太郎「……いや、急に話が飛躍したような気がするんですが」
入須「どこがだ?」
奉太郎「結婚って…」
入須「先ほどキスをしたじゃないか」
奉太郎「はい」
入須「結婚と言う事になるだろう?」
奉太郎「……いや、なんでですか。なる訳ないでしょう」
入須「何故だ、なるだろ?」
奉太郎「なりませんよ」
入須「なる」
奉太郎「なりません」
入須「………」
奉太郎「………」
入須「…まぁ、前提と言う事にしておくよ」
奉太郎「…もうそれでいいです」
入須「結婚はするけどな」
奉太郎「…もうなんでもいいです」
入須「そうか。まぁ、学生結婚は何かと大変だからな、すぐの話じゃないよ」
奉太郎「…はい」
入須「元気が無いぞ」
奉太郎「…疲れが一気に来ました」
入須「私の為に考えていてくれたんだな…ありがとう」
奉太郎「…これは五限の体育ですね。体が痛い」
入須「………」ペシッ
奉太郎「痛っ! 何するんですか…」
入須「君にはデリカシーが足りないな。それに鈍感だ」
奉太郎「酷い言われようですね」
入須「…そして、女に警戒心が足りない」
奉太郎「うっ…もう良いじゃないですか、それは」
入須「ヘラヘラしてた」
奉太郎「してませんよ。笑顔の練習です」
入須「なら、私にも見せてみろ」
奉太郎「…嫌です」
入須「あの女性に出来て、私には出来ないと」
奉太郎「…そういうわけじゃ
入須「なら見せてみろ」
奉太郎「………」
入須「早く」
奉太郎「………」ニコッ
入須「!」カーッ
奉太郎「…これでいいですか」プイッ
入須「あ、あぁ…」ドキドキ
奉太郎「……恥ずかしいんですから」
入須「…余り、やらなくていいよ」
奉太郎「…はぁ」
入須「目に毒だ…」
奉太郎「失礼な」
入須「年上の女性には絶対に見せない様にな」
奉太郎「…はぁ」
入須「わかったな?」
奉太郎「まぁ、はい」
入須「今日から君には首輪を付けさせてもらうからな」
奉太郎「……え?」
入須「しっかり面倒を見てやろう」
奉太郎「先輩、自由とは」
入須「有って無い様な物だ」
奉太郎「独裁者じゃないですか…」
入須「ふふっ、冗談だよ。 …監視はするが」
奉太郎「…先輩」
入須「しばらく我慢しろ。一週間分、君に甘えたい」
奉太郎「…仕方ないですね」
入須「ふふっ、楽しみだ」
奉太郎「それじゃ、そろそろ帰りましょうか」
入須「あぁ、腕を組んでな」
奉太郎「早速ですか」
入須「…私は容赦しないからな。覚悟しろよ」
奉太郎「…はい」
奉太郎(腕を組んで、隣同士で歩いていく…)
奉太郎(道に迷ったら、先輩が前に出て正しい道を探す。俺はその後ろで考えて、先輩に助言をする)
奉太郎(二人で協力して、この先を歩いていく)
奉太郎(隣同士、対等に…どこまでも…歩いていこう)
奉太郎(かけがえのない、特別な人と一緒に)
奉太郎「行きましょうか、冬実先輩」
入須「! あぁ…そうだな、奉太郎」
おまけ
奉太郎(……ん?)
奉太郎「先輩、少しここに」コソコソ
入須「ん? あぁ…」
奉太郎「………」コソコソ
ガラッ
里志「うわっ!」
伊原「えぇっ!」
千反田「きゃあっ!」
奉太郎「………」
里志「…ばれたね」
伊原「だからやめようって言ったのに!」
千反田「あ、あの、その、これは…」
奉太郎「………」
里志「……逃げろっ!」
伊原「あ! ちょっと待ってよ!」
千反田「え? あ、待ってください! 私、気になりますーっ!」
奉太郎「………」
入須「…見られてたな」
奉太郎「その様ですね」
入須「…まぁ、私は見られていても構わないがな」
奉太郎「俺は嫌ですっ!」
エピローグ
奉太郎「おはようございます。先輩」
入須「おはよう。時間通りだな」
奉太郎「はい。それじゃ、行きましょう」
入須「あぁ」
奉太郎「……大分寒くなってきましたね」
入須「冬も近いからな」ギュッ
奉太郎「…暖かいですね、先輩」
入須「ふふっ、君もな」
奉太郎「昨日はお邪魔しました」
入須「あぁ、気にするな」
奉太郎「…予想通り先輩の父親には睨まれてしまいましたが」
入須「…それも気にするな。まぁ、なんとか説得しよう」
奉太郎「先輩が結婚を考えている、なんて言うからですよ」
入須「本心だ」
奉太郎「空気で死ぬかと思いました」
入須「…まぁ、ゆっくり行こう」
奉太郎「…そうですね」
入須「時間はある。君にも、私にも」
奉太郎「はい」
入須「いつか、二人で一番幸せになろう」
奉太郎「えぇ、必ず」
??「おおーい!」
奉太郎「…里志だ」
里志「奉太郎! 入須先輩!」
奉太郎「随分早いな」
入須「おはよう、福部君」
里志「おはようございます。奉太郎達の姿が見えたから追ってきたんだよ」
奉太郎「朝から元気だな、お前は」
里志「そりゃそうだよ! なんせ神高の女帝を落とした帝王、折木奉太郎とその女帝が腕を組んで歩いているんだからね」
入須「…そんな話になっているのか」
奉太郎「話半分に聞いておいてください」
里志「嘘じゃないよ、奉太郎」
奉太郎「……嘘だと言ってくれ」
里志「大体、こんな露骨にアピールすれば誰だって気づくさ」
入須「…奉太郎、堂々としろ」
奉太郎「ですが、先輩…」
入須「私は気にしない」
奉太郎「俺が気にするんですっ!」
里志「その内新聞部や放送部が来るかもね」
奉太郎「勘弁してくれ…」
里志「女帝、入須冬実を手に入れた帝王、果たしてどの様な人物かっ! ってね」
奉太郎「…お、俺の省エネ生活を返してください、先輩」
入須「…まぁ、頑張ってくれ」
奉太郎「先輩!」
入須「知らん」
里志「…まったく、諦めなよ、奉太郎」
奉太郎「………」ガクッ
入須「歩け」
奉太郎「……はい」
奉太郎(好きだけど…好きだけど…!)
奉太郎(別れようかな…)
入須「…今、何を考えていた?」
奉太郎「い、いえ、何も!」
おわり
これで、とりあえずこのSSシリーズは終わりです。
入須先輩に惚れて自家発電として書いたSSでしたが、
色々な方にお読みいただきまして、ありがとうございました。
それでは、また次の機会がありましたら、宜しくお願いします。
いりすたそ~
Entry ⇒ 2012.09.23 | Category ⇒ 氷菓SS | Comments (2) | Trackbacks (0)
紬「まろやか?」
少女の名前は秋山澪。彼女は吸血鬼でした。
吸血鬼は人の生き血を吸って生きていきます。
しかし、澪は人見知りで恥ずかしがり屋だったので、その勇気がありませんでした。
このままでは駄目だと考えた澪の両親は、彼女一人を残して館から出て行きました。
吸血しなければならない状況を作り、澪に一人前の吸血鬼になってもらうためです。
しかし澪はなかなか家をでる勇気が持てず、すっかり衰弱してしまいました。
一人の少女が館を訪れたのは、その頃のことです。
紬「森に花を摘みにきたのはいいけど、迷っちゃったみたい」
紬「ここはどこかしら」
紬「あら、あんなところにお家があるわ。ちょっとお邪魔してみましょう」
紬「あれ、鍵が空いてる」
紬は扉を開け、館に入りました。
澪はそれに気づいていたのですが、怖くて自分の部屋に閉じこもっていました。
紬「誰もいないのかしら‥…ひょっとして空き家かしら。ちょっと探検してみましょう」
紬は次々と部屋を巡り、ついには澪の部屋の前に辿り着きました。
紬「あれ、この部屋から人の気配を感じる」
澪「‥‥」
紬「この布団‥‥あやしい」
紬はベッドの上の布団が膨らんでいることに気づきました。
誰かが隠れていると確信した紬の顔には、悪い笑顔が浮かんでいました。
紬「わっ!!!」バッ
澪「うおおおおあああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!!!!」
紬「キャッ」
澪「食べてもきっと美味しくないぞ」
びっくりした澪は自分が食べられてしまうと思い込んでしまいました。
布団で頭部を守りながらガクガクと震えています。
紬「驚かしてごめんなさい。食べたりしないから出てきて」
澪「‥‥ほんとう?」
紬「本当」
澪「‥‥嘘だっ! そうやって安心させた後、パクリと食べちゃうんだ」
紬「どうしたら、信じてくれる?」
澪「‥‥」
澪は少し考え、布団の下から紬の顔を覗き込みました。
紬はとても綺麗な金色の髪をしていました。
やわらかく輝く髪を見て、異国のお姫様みたいだな、と澪は思いました。
澪「‥‥きれい」
紬「えっ」
澪「その髪、さわってもいい?」
紬はためらいながらも承諾しました。
すると澪は布団から出てきて、恐る恐る紬の髪を触りました。
澪「やわらかくてすべすべだ」
紬「くすっぐったい//」
澪「きれいな、髪」
紬「あなたの髪も、とってもきれい」
澪「//」
紬「触ってもいい?」
澪「うん」
紬はやさしく澪の髪を撫でました。
澪は気持ちよさそうに目を細めます。
紬「でもお肌はちょっと荒れてるみたい」
澪「‥‥っ」
荒れた肌を見られるのが嫌だったのです。
紬「ごめんなさい。無神経なこと言ってしまって」
澪「いいんだ。仕方のないことだから」
紬「ひょっとして、アトピーか何かの病気?」
澪「ううん。違うんだ」
紬「家から石鹸をもってきてあげる。とってもお肌がすべすべになるの」
澪「違うんだ。私は吸血鬼なんだ」
紬「吸血鬼?」
澪「うん」
紬「‥‥」
紬は少し考えてからこう言いました。
紬「それじゃあ、私の血、吸う?」
澪「へっ」
紬「私の血を吸ったら、お肌きれいになるんでしょ?」
澪「いいの?」
紬「うん」
澪は紬の首筋を見つめました。
両親が帰ってこない以上、いずれ血を吸う必要があります。
紬の首筋はとてもやわらかそうで、その中にある血もとても美味しそうだと澪は感じました。
澪「本当にいいの?」
紬「うん」
紬「‥‥っ」
小さな牙を紬の首筋に突き立て、血を吸い始めました。
澪は血の味を楽しみながら、顔に触れる紬の髪の感触を楽しみました。
数十秒ほどの食事の後、澪は口を離しました。
澪「まろやかー」
紬「まろやか?」
澪「うん」
紬「あっ、肌が綺麗になってる」
澪「‥‥本当だ」
紬「吸血鬼って凄い!」
澪「//」
澪「ちょっと力が強いんだ」
紬「他には?」
澪「怪我の治りもちょっと早いんだ」
紬「凄いっ!」
澪「//」
紬「ねぇ、私とお友達になってくれないかな?」
澪「‥‥いいの?」
紬「うん!」
澪「ことぶきつむぎ‥‥?」
紬「うん。親しい人はムギって呼ぶわ」
澪「琴吹さんでいいかな」
紬「うん」
澪「私は、秋山澪」
澪「親しい人は‥‥澪って呼ぶ」
紬「澪?」
澪「うん?」
紬「うーん。あっ、ひょっとして澪ちゃんは桜が丘の生徒?」
澪「えっ、なんで知ってるんだ?」
澪「琴吹さんも桜ヶ丘に通ってるの?」
紬「うん。あっ、それじゃあ、りっちゃ‥‥田井中律さんも知ってるよね?」
澪「もちろん知ってるよ。たった一人の友だちだから」
紬「りっちゃんから一度だけ澪ちゃんのこと聞いたことあるわ」
澪「律‥‥」
田井中律は狼少女でした。
吸血鬼が栄養を吸収できるのは人間の血からだけなので、律の血を吸っても意味がありません。
だから、最近は律が来ても居留守を使っていました。
カサカサの肌を見られるのが嫌だからです。
澪「えっと‥‥」
紬「学校楽しいよ。そうだ澪ちゃん、軽音部に入らない?」
澪「軽音部?」
紬「うんっ! 軽音部。りっちゃんがメンバー集めてやろうって。後一人足りないんだけど」
澪「琴吹さんもメンバーなの?」
紬「うんっ!」
澪「全部で何人なの?」
紬「今のところ3人だよ」
澪「律と琴吹さんと‥‥あと一人か」
紬「唯ちゃんって言うの」
澪「唯ちゃん?」
澪「紅茶?」
紬「うん。いつも練習前にティータイムをやってるの」
澪「いいなぁ‥‥」
紬「澪ちゃんもおいでよ」
澪「だけど‥‥」
澪は迷いました。
軽音部は楽しそうです。
しかし外界との関わりを断って久しい澪は、なかなか踏ん切りを付けることができませんでした。
紬「迷ってるんだ?」
澪「‥‥うん。最近人に会ってないから、怖いんだ」
紬「そうなんだ‥‥」
澪「‥‥」
澪「‥‥?」
紬「明日学校にきてみない? 私がずっと一緒にいるから」
澪「いいの?」
紬「うん。だってお友達だもん」
澪「‥‥あっ、ごめん」
紬「えっ」
澪「さっき律のことたった一人の友だちって言ってごめん。琴吹さんとも友達になったのに」
紬「‥‥澪ちゃんって繊細なんだね」
澪「うん、そうなんだ」
紬「ふふっ」
澪「笑うなんて酷い‥‥」
紬「ごめんなさい。澪ちゃんがあまりに可愛かったから」
澪「//」
次の日の朝早く、紬は澪の家に迎えに行きました。
紬「澪ちゃん、いきましょ」
澪「本当に大丈夫かな?」
紬「大丈夫だって、ねっ」
紬は澪の手をとりました。
澪「あっ‥…やわらかい」
紬「澪ちゃんの手もやわらかい。それにとってもすべすべ」
澪「//」
紬「さぁ、行きましょ」
澪「‥‥うん」
久しぶりのおいしい空気を澪はいっぱい吸い込みました。
紬はそれをニコニコ見つめました。愛しそうに。
しばらく歩くと、通学路に出ました。
律「おーい! ムギ‥‥と澪!?」
澪「り、りつ」
紬「りっちゃんおはよう」
律「なぁ、どうして澪が‥‥」
紬「実は‥‥」
紬と澪は律に昨日のことを話しました。
澪はちょっとだけ居心地が悪そうにしています。
律「そんなことがあったのかー」
澪「うん」
律「でも、なんで今まで私に会ってくれなかったんだ?」
澪「い、言いたくない」
澪「嫌なものは嫌だ!」
紬「メッ! りっちゃん!!!」
律「うおっ!」
紬「女の子は色々あるんだから、りっちゃんは追求しちゃ駄目よ!」
律「まぁムギがそう言うなら‥‥」
紬「わかってくれればいいの」
律「‥‥ん?」
紬の言葉は、自分のことを女の子扱いしていないのでは、と律は思いましたが。
紬がそのような皮肉をいう訳がない、と思い、文句は言いませんでした。
律「あぁ」スタスタ
紬「‥‥りっちゃん、一人で歩いていっちゃ駄目」
律「えっ」
紬「りっちゃんは澪ちゃんのもう片方の手を握ってあげて」
澪「えっ?」
意外な提案に面食らってしまった律でしたが、
それはそれで面白そうだと思い、紬の言葉に従いました。
律「澪の手暖かいな」ギュ
澪「ううっ、これは恥ずかしいよ」
紬「そう?」
澪「あれって?」
紬「CIAに捕獲されたエイリアンの図のことね!」
律「そう、それ!」
澪「お、おまえら‥‥」ピキピキ
律「澪が」
紬「怒ったー」
二人は手を解き、澪を置いて走り出しました。
澪は怒ったフリをして二人を追いました。
学校はもうすぐそこです。
その中の一人が近寄ってきました。そうです、平沢唯です。
唯「ムギちゃん、りっちゃん、その子は?」
紬「新しい軽音部員よ?」
澪「へっ」
唯「へぇ?そうなんだ?。ふーむ」
唯はじっと澪のことを見つめました。
澪は少し居心地が悪そうにしています。
唯「えいっ」
澪「きゃっ」
突然唯は澪に飛びつきました。
唯「なかなか良い抱き心地ですな?」
紬「ふむふむ」
澪「は、はなれてくれ」バシ
唯「あっ‥‥」
澪は走って教室から出て行ってしまいました。
紬はそれを追いかけます。
紬「澪ちゃん、大丈夫?」
澪「あぁ、うん。あの唯って子、誰にでもあぁなのか?」
紬「唯ちゃんが抱きつくのは、気に入った子だけよ」
澪「‥‥私は気に入られたってことか」
紬「いや?」
澪「嫌じゃやないけど、いきなり抱き付かれるのは困る」
紬「そうね。じゃあ唯ちゃんに言っておくから」
澪「えっ、それはいいよ」
紬「そう? じゃあ言わないでおくね」
澪「あぁ」
休み時間も、トイレに行くときも、ずっと一緒でした。
やがて放課後になり、四人は部室に集まりました。
唯「澪ちゃんも楽器やるの?」
澪「あぁ、私はベースを弾くんだ」
唯「ベース! 凄い!!」
澪「//」
紬「唯ちゃんはね、ギタリストなの」
澪「へぇ?平沢さんギター弾けるんだ」
唯「えへへ?」
澪「琴吹さんは何をやるの?」
紬「私はこれ」
澪「キーボードか」
澪「律はドラムだろ。知ってるよ」
律「そ、そうだな」シュン
唯「ねぇ、せっかく四人揃ったんだから、合わせてみようよ」
紬「そうね、やってみましょ」
律「あぁ、そうだな」
澪「‥‥できるかな」
澪は不安そうな顔をしましたが、紬と律に押されて演奏しました。
四人で合わせるのは初めてでしたが、演奏はとても楽しく明るいものでした。
演奏しながら澪は、学校に来てよかったと思いました。
唯「うんうん。すっごくうまかった」
澪「//」
唯「それにひきかえ、ねぇ」
律「な、なんでこっちを見るんだ」
唯「りっちゃんってさ、部長さんなのに下手だよね」
律「ひ、酷い‥‥」シュン
澪「まぁまぁ律。これからだって」
律「うぅ‥‥」
律が落ち込んでいると、ティーセットを持った紬がやってきました。
紬「お茶をいれるわー」
唯「お菓子もあるの?」
紬「えぇ、今日はロールケーキよ!」
紬「ふふふ、澪ちゃんも好きなんだ」
澪「うん」
紬「それは良かった」
紬はお茶の準備を始めました。
受け皿を並べ、カップを置き、皿を並べ、ティースプーンとフォークをセットする。
紅茶をカップに注ぎ、ロールケーキを切り分けて、皿に盛り付ける。
その一連の流れはとてもゆったりとしていましたが、全く無駄のないものでした。
いつの間にか澪は紬に見蕩れていました。
澪「きれい‥‥」
唯「澪ちゃん?」
澪「‥‥ううん、なんでもない」
紬「どうぞ、澪ちゃん」
澪「‥‥」ゴク
紬「どう?」
澪「美味しい‥‥」
紬「おかわりもあるから、どんどん飲んでね」
澪「あぁ」ゴク
唯「ムギちゃん、ムギちゃん。私にも早く」
紬「ええ、唯ちゃん。今いれるわ」
ティータイムは終始和やかでした。
美味しいお茶と美味しいお菓子、楽しそうに過ごす3人。
澪は軽音部にきて本当に良かったとひしひしと感じました。
澪「律‥‥?」
律「こうなったら練習あるのみだ!!」
唯「さっきの演奏気にしてたんだ」
紬「おっ、りっちゃんやるきね?」
律「あぁ、これからドラムマニアやりに行くぞ」
紬「えっと‥‥」
唯「ムギちゃんは知らないんだ。ゲームのことだよ。ドラムを叩くゲーム」
律「あぁ。ドンドンドコドンってリズムに合わせて叩くんだぞ」
紬「面白そう!!」
律「じゃあ今日の部活はこれくらいにして、みんなで行こうぜー」
唯・紬「おー」
澪「‥‥」
紬「澪ちゃん?」
澪「‥‥私はいい」
澪「私は行きたくない」
律「そんな事言わずにさー。澪も行こうぜ」
澪「ごめん律。久しぶりに外に出たから疲れてるんだ」
澪「私はいいから琴吹さんと平沢さんと3人で行っておいでよ」
律「うーん」
紬「‥‥私も澪ちゃんと一緒に帰るわ」
律「それじゃあムギ頼むよ」
澪「いいよ。琴吹さんも楽しんできなよ」
紬「だけど‥‥」
澪「ドラムマニアに興味津々だったじゃないか」
紬「‥‥」
澪「それじゃあ、私は帰るよ。さよなら」
もちろん四人で遊ぶのが嫌だったわけではありません。
澪はゲームセンターに行くのが嫌だったのです。
人が沢山いる場所、しかも素行の良くない人がたむろしている場所。
澪にはまだそんなところに行く勇気がありませんでした。
澪「はぁ‥‥」
澪「なんだか妙な空気にしてしまったな」
澪「でも軽音部は楽しかった」
澪「うん。明日から頑張ろう」
澪は長い独り身生活のせいで、独り言がくせになっていました。
傍から見たら、ただのかわいい妙な人です。
そんな澪の後を追いかける少女がいました。そう、紬です。
紬「澪ちゃん!!」
紬「約束したから」
澪「約束?」
紬「私がずっといっしょにいるって、約束したから」
澪「でも、もう放課後だよ」
紬「家に帰るまでが学校です!」
澪「‥‥ぷっ」
紬「澪ちゃん?」
澪「琴吹さんって真面目な顔して面白いこと言うんだね」クスクス
紬「//」
紬「うんっ!」
二人は歩き出しました。
ゆっくりと、一歩一歩しっかりと。
夕焼けで赤く染まった街を通り過ぎ、少し暗くなった森を抜けて、澪の家に着きました。
澪「上がっていってよ。お茶ぐらい出すから」
紬「うん」
澪「琴吹さんはそこら辺に座ってて、今用意するから」
紬「うん」
ソファに座った紬は辺りを見回しました。
すると一枚の写真が目に入りました。そこには幼い澪と律が写っていました。
紬「ありがとう。ねぇ、あの写真」
澪「あっ、あれか」
紬「うん。小さい頃の澪ちゃんとりっちゃんだよね」
澪「あぁ、そうだよ」
紬「ふたりともかわいいわ?」
澪「そうかな? 今とそんなに変わらないと思うけど」
紬「うふふふ」
澪「ねぇ、琴吹さん」
紬「なぁに?」
澪「私はこれから上手くやっていけると思う?」
紬「不安?」
紬「澪ちゃんは人が沢山いるところに行くのが嫌だったんだね」
澪「‥‥! 気づいてたんだ」
紬「うん」
澪「琴吹さんは凄いな。それにひきかえ律のやつは」
紬「りっちゃんも気づいてたと思うけど」
澪「えっ」
紬「澪ちゃんが人ごみ苦手だって知ってるから」
紬「だからこそ、ゲームセンターに連れて行こうとしたんだと思う」
澪「‥‥そうなのか」
紬「うん。りっちゃんなりの気遣いじゃないかな」
紬「澪ちゃん?」
澪「いやさ。律にも琴吹さんにもこんなに気遣われて、情けないなって」
紬「そんなことないと思うけど。ベースだってとっても上手だったし」
澪「あぁ、ベースは独りで練習してたから‥‥」
紬「ねぇ、澪ちゃん」
澪「なんだ?」
紬「少しずつ慣れていけばいいと思うの。一歩ずつ」
澪「そうかな?」
紬「うん。私はそう思う」
澪「‥‥」
紬「私ね、今とっても楽しいの」
紬「うん。たまたま訪れた家を探検したら、お姫様みたいな綺麗な女の子が出てきて‥‥」
紬「私と友達になってくれて‥‥」
紬「その子は同じ学校の子で‥‥」
紬「軽音部で一緒に演奏して‥‥」
紬「こうやって、一緒にお喋りして‥‥」
紬「本当に、とってもとっても楽しいの!!」
澪「琴吹さん‥‥」
紬「澪ちゃんは楽しくない?」
澪「突然人が家に入ってきたときはどうなるかと思ったけどさ‥‥」
澪「やってきたのはお姫様みたいに綺麗な女の子で‥‥」
澪「その子は同じ学校の子で‥‥」
澪「とっても優しくて面白い子で‥‥」
澪「血はすっごくまろやかで‥‥」
澪「あっ」
話しているうちに、澪は紬の血の味を思い出してしまいました。
視線は紬の首筋に釘付けです。
澪「‥‥ごめん」
紬「吸う?」
澪「いいの?」
紬「えぇ」
紬「‥‥」
澪「まろやかー」
紬「やっぱりまろやかなんだ」
澪「うん。とってもまろやかで、包み込まれるような優しい味」
紬「//」
澪「//」
澪「同じ事?」
紬「お姫様みたいだって」
澪「だってとっても綺麗な髪で、綺麗な瞳だから」
紬「眉毛は太いよ」
澪「それもかわいいと思う」
紬「//」
紬は澪にほめられて真っ赤になってしまいました。
容姿を褒めてもらったことは何度もありましたが、
眉毛まで褒めてもらったのは初めてだったのです。
紬「そんなことない!!!」
澪「わっ」
紬「髪の毛は艶のある綺麗な黒だし、瞳もぱっちりしてるし」
紬「ちょっと病弱そうだし、おしとやかだし」
紬「お姫様そのものよ!!」
澪「//」
力説されて、澪も頬を真っ赤に染めました。
紬の言葉は力強く、1点の嘘偽りもないことは明らかです。
澪は照れくさそうに言いました。
紬「そういう澪ちゃんのほうこそ」
紬も照れくさそうに言いました。
澪「ねぇ、琴吹さん」
紬「なぁに?」
澪「ムギって呼んでいいかな?」
紬「うん。よろこんで!」
澪「これからよろしく、ムギ姫」
紬「あらあら、そんな呼び方したらりっちゃんが嫉妬するわよ」
澪「律が? ないない。律はお姫様って柄じゃないから」
澪「‥‥ぷっ」
紬「澪ちゃん?」
澪「やっぱりムギってときどき面白いことを言うね」
紬「もう‥‥だけど、それなら私にもチャンスがあるのかな」
澪「なんのこと?」
紬「うふふ、なんでもないわ」
澪「教えてよ」
紬「秘密」
二人の関係はまだ始まったばかり。
紬の秘密が明かされるのは、もっと後のお話。
彼女たちにはまだまだ時間があるのです。
めでたしめでたし?
おしまいっ!
>>70
かわいい
Entry ⇒ 2012.09.23 | Category ⇒ けいおん!SS | Comments (0) | Trackbacks (0)
結衣「もっと女の子らしく」
結衣「……」ペラッ
結衣「あ、このお料理美味しそう……」
京子「良く言えばボーイッシュ、悪く言えばガサツというかさ」
京子「言葉遣いも男の子みたいだし、……まぁそれがいいっていう子もいるんだけど」
京子「ごらく部の面々に比べて女の子らしさが無いんだよなぁ……」
結衣「京子、今夜はこのロールキャベツでいいかな?」
京子「ろ、ロールキャベツ……!」ジュル
結衣「はいはい、あまり興奮しないの……おすわり」
京子「へっへっ……くぅ~ん」ペタッ
結衣「ぷ、プライドは無いのか京子には……」ナデナデ
結衣「でもさ、初めて作る料理だから失敗するかもしれないよ?」
京子「ううん、結衣の腕ならレシピ通りやれば事故は起きないって」
京子「いつも結衣のご飯を食べてきた私が保証するよん」ニコッ
結衣「……あ、ありがと」
結衣「じゃあ今日のおかずはロールキャベツにしてっと……」メモメモ
結衣「待てよ……」ピタッ
結衣「主食をご飯にするとちょっと組み合わせとしてどうなんだろう?」
京子「えっ、私は別に問題ないと思うけど」
京子「ご飯+ロールキャベツ、だけでいいじゃん」
結衣「うーん……」
京子「ノンノン、……気にし過ぎ、それだけでも十分ご馳走だよ」
京子「ポイントなのは結衣の手料理ってことで、それだけで嬉しい……」
京子「はっ!?……な、なーんちゃって」アセアセ
結衣「へっ?どうしたのそんなに慌てちゃって」
京子「な、なんでもない、それより今日の晩ご飯はどうするの?」
結衣「えっと……」
京子「おぉ……」
結衣「失敗したらゴメンな、先に謝っておく」
結衣「京子とはいえ不味いのを食べさせると思うとちょっと気が引けるな……」
京子「京子とはいえ、ってちょっと失礼じゃないの?」ジッ
結衣「あはは……」
京子「ま、期待して待ってますよ結衣シェフのお料理」ニコッ
結衣「……もう、プレッシャーかけるなよ」
結衣「あのさ、さっきのってどういう意味なの」
京子「うん?」
結衣「わ、私が行き遅れるってハッキリ言ったよなお前……」ジトッ
京子「あぁ……」
結衣「行き遅れるって、……つまりおばさんになるまで独身ってこと?」
京子「ま、まぁそういうこと……」
結衣「むっ……」
結衣「……」ジトッ
京子「いやんっ、そんなジト目で見つめちゃダメよ」
結衣「割りとズボラなところがある京子にそんなこと言われるとは……」
京子「わ、わたしってズボラなの!?」
結衣「自覚無かったんかい」
結衣「ご、ごめん、ズボラって言うのは少し言い過ぎた……」
京子「……」スッ
結衣「どうしたの急に立ち上がって?」
京子「今日はただ遊びに来ただけだっていうのに……」
京子「私服はちゃんとよそ行きの可愛いの選んだぞ!!」ズイッ
結衣「そうだね、そのシャツとネクタイの組み合わせ可愛いな」
京子「へっ!?……あ、ありがと」
京子「うっ……と、とにかくだ!」
京子「ジャージでもいいのに、可愛くおめかしをしてきた幼なじみにズボラとは……」ムスッ
結衣「だから悪かったって、ごめんな京子」
結衣「ズボラって言うより慌てん坊かな、……ちょいちょい」
京子「ん、ゴミでも付いてる?」ススッ
結衣「ネクタイ曲がってる、せっかくオシャレしたんだから……」クイッ
京子「あっ……」
京子「ふへへ……」
結衣「惚けた顔してどうしちゃったの?」
京子「はっ!?な、なんでもない!」
結衣「寝ぐせも付いてるし、……そのまま座ってて、櫛持ってくるから」
京子「う、うん……」
結衣「京子の髪思ったよりサラサラ、手櫛でもいいくらい」
京子「思ったより、は余計」
結衣「まぁまぁ、素直に褒めるのも照れくさいしさ……」スッ
結衣「私の髪じゃとてもこうはいかないな、……あー、羨ましい」
京子「嘘つけー、確認のためにもあとで結衣にもやってあげる」
結衣「……じゃ、じゃあお風呂上りにでも」スッス
京子「らじゃっ♪」
京子「んー……♪」
京子(なんか落ち着くなぁ、髪をとかしてもらってるだけなのに……)
京子(結衣の匂いがふわっと頭に広がって、……えへへ)トサッ
結衣「っと、……こっちに寄りかかったら重いんですけど」
京子「いいじゃんいいじゃん、減るもんじゃないし!」
結衣「た、体力が減る」スッスッ
京子「その答えじゃダメ、重いけど我慢してね」
結衣「もう、しょうがないな……」
京子「ご、ごくろーであった結衣君」
京子「……」トサッ
結衣「だ、だから寄りかかるなって、終わったからそっち行ってもいいよ」
京子「んー……もう少しこのまま」
結衣「……少しだけだからな」
京子「えへへ」
結衣「あのさ、自分でも薄々気づいてたんだ」
京子「えっ?」
結衣「さっきの話だよ、私が行き遅れるってやつ」
結衣「……私にはあかりみたいな誰からも好かれる可愛さは無いし」
結衣「……それこそちなつちゃんみたいな女の子らしさも無い」
結衣「……」ギュッ
京子「んっ……ゆ、結衣……」
結衣「京子みたいに誰とでもすぐ打ち解ける明るさも無いからさ」
京子「ぐえっ、ゆ、結衣苦しいよ~」
結衣「お母さんにも言われたんだ、もっと女の子らしくしなさいって……」
京子「えっ……?」
結衣「可愛いとか女の子らしさとは無縁だもん、自覚はしてるけど」
結衣「……してるけど、ちょっと泣きそう」
京子「あ、あの、私そういうつもりで言ったわけじゃ……!」
結衣「いいよ隠さなくて、……京子なりに心配してくれたんでしょ」
結衣「まだ気は早いと思うけどなんか怖くなってきた」
結衣「自分もテレビの婚活女子みたいになるのかな……」グスッ
京子「あ、あのね、だから私と……」
結衣「うん?」
京子「わたっ、わた……わた、わたわたわた……」カァー
京子「わ……私と練習してみないかな、なーんて……」
結衣「練習?」
京子「だ、だからね、結衣はこのままじゃ婚活女子になっちゃうから……」
京子「三十路で独り身の寂しい婚活女子になっちゃうからね」モジモジ
結衣「くっ……血も涙も無いな、京子は」グスッ
結衣「いつもならツッコミ入れてるけど、自覚があるから言い返せない……」
京子「……」ジッ
結衣「な、なんだよ、この距離で見つめてくるなって」
京子「わ、私と練習がてら一日新婚ごっこ、しよう!」
結衣「……」
京子「……」カァー
結衣「ごめん、意味がよく分からない」
京子「だ、だから、新婚ごっこをすれば、結衣の女子力が上がって……」
京子「もしかしたら貰い手が見つかる、……かも」
結衣「京子……」ジッ
京子「……あ、あはは、なーんて」
結衣「そこまで私のこと心配してくれたんだ、……ありがとう」ギュッ
京子「うひゃあ!?」
京子「ちょ、ちょっとどうしちゃったの結衣!?」
京子「いつもならこんな冗談ツッコミ入れて終わりでしょ!」アセアセ
結衣「……冗談で言ったの?」
京子「うっ……そ、そんなワケないじゃん!」
結衣「でしょ、私のこと心配してくれたんだよな」
京子「……う、うん」
結衣「いつもはおちゃらけてるけど、やっぱり根は優しいままだ……」ギュッ
結衣「昔からずーっと変わってないな、……ありがとう京子」
京子「っ……うぁぁぁぁ……」カァー
京子「と、とりあえず、一回離れようか!?」
結衣「……っと、ご、ゴメン!」パッ
京子「あ、いや、別にいいけど……」
結衣「京子の久しぶりの優しさでちょっと思考回路が……」ホロリ
京子「むっ……、久しぶりの優しさってなんだよ~!」
結衣「ははは、悪い悪い」
京子「……お、おう」
結衣「ん、ちょっと食器の洗い物してくるからダラダラしてて」
結衣「……」トテトテ
京子(うぅぅ、結衣ってば相当日和ってるなぁ……)
京子(いつもなら怒りの鉄拳が飛んでくるのに、……割りとノリノリじゃん)
京子(やっぱり気にしてるのかなぁ、ちょっとボーイッシュってことを)
京子(……だとしたら悪いこと言っちゃたな、あとで謝らないと)
京子(で、でも、……今日一日新婚ごっこ、えへへ……)モジモジ
京子「しょうがないよ、私だって宿題は溜めちゃうし」ニヘラ
結衣「それで結局、宿題見せて~、だもんな」
京子「……えへへ」
結衣「……」クスッ
結衣「でも、こんなんじゃいいお嫁さんとはとても言えないよな」
京子「そ、そんなことないって!」
結衣「京子……、無理して褒めなくてもいいよ」
結衣「うわっ、ちょ、ちょっと引っ張るなって」
京子「ほらこの鏡で見てみなよ、結衣のエプロン姿様になってるよ?」
結衣「……うそ」
京子「ううん、可愛いって、……私が保証する」ニコッ
結衣「さっきからそればっかり……」
結衣「でもありがとう、……お世辞でも嬉しい」
京子「お、おぉう……デレ期?」
結衣「……うっさい」
京子「……」ズーン
結衣「うっ、……そこまで露骨に嫌そうな顔されても」
京子「だって、せっかくの新婚ごっこなのに、……離れ離れなんて」ポッ
結衣「買い物行かなきゃパスタがただの素面になるけど」
京子「!?」
結衣「買ってきて欲しいものはメモにしたから、お金も入ってるよ」
結衣「……お願いね、……あ、あなた」
京子「は、はい……」カァー
結衣「う……ぁぁぁ……、さ、さっさと行ってくれ、お願いだから!!」
結衣「京子がいない間にお風呂の準備もしておこう……」キュッキュ
結衣「ちょっと休憩……」
結衣「よし、京子がいない間にロールキャベツを作っておこう」ゴソゴソ
結衣「キャベツの葉っぱをたっぷりのお湯で茹でて、こっちでスープを……」イソイソ
結衣(うーん、……どうやったらいいお嫁さんになれるんだろう)
結衣(やっぱり笑顔か?パートナーを癒す笑顔?)
結衣(……)ニコッ
結衣(うっ……慣れないことはするもんじゃないな)
結衣(新婚といったらよくマンガで見る、お帰りなさいあなた~、がある……)
結衣(やってみようかな、どうせ私にお嫁スキルなんて無いんだし)
結衣(笑顔もぎこちない、女の子らしさもないし)ハァ
結衣(しかし、それを京子相手に……)
結衣(京子相手に……)モンモン
グツグツグツグツグツグツ
結衣「う、うわぁあっつ!吹きこぼれた!!」カチッ
京子「ベーコンと生クリームってことはカルボナーラかな?」ガサッ
京子「……」グゥー
京子「お腹の虫は正直だなぁ、あはは……」
京子「たっだいまー、あなたの京子がいま帰ったわよ……」ガチャッ
結衣「……」
京子「結衣どうしたん、そんなとこに突っ立って?」
結衣「あ、いや、その……」モジモジ
京子「うんっ、ただいま!」
京子「いきなり尻に敷かれるとは、だいたい想像出来たけど」
結衣「……」
結衣「ご、ご飯にする?お風呂にする?」
京子「へっ……」
結衣「……そ、それともわたし?」
京子「……」
結衣「……」
京子「お風呂で」
結衣「はい」
結衣「座布団、あった……」ポフ
結衣「……」ギュッ
結衣『……そ、それともわたし?』
結衣「ぁぁぁぁぁぁぁぁ……」カァー
結衣「うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」ジタバタ
結衣「ああああああああああああああああああ!!!」バタバタ
結衣「……」カチャカチャ
京子「おっ、やっぱりカルボナーラだね!」
京子「……」グゥー
京子「あはは、もうお腹ペコペコだ~晩ご飯にしよう!」
結衣「……」ジッ
京子「なぁに?」
結衣「べ、べつに、なんでもない」
京子「結衣ぃ、このパスタすっげー美味い!明日も作ってくれ!!」
結衣「そんなもんでいいならいつでも作るよ」
結衣「あ、パスタ少なかったら私の少し分けるけど……」
京子「んーん」フルフル
京子「確かにちょっと少なめかなぁと思ったけど、お腹に溜まるもんだね」
結衣「生クリーム入ってるからね」
結衣「胃もたれするかもと思って、パスタは2人で1.5人前の分量にしておいたんだ」
結衣「パートナーの栄養管理もお嫁さんの仕事だしな……」モグモグ
京子「……えへへ」
結衣「……ごめん」
京子「えっ?」
結衣「案の定ロールキャベツ失敗しちゃってさ……」
結衣「あーあ、キャベツが破けてお肉と分離しちゃってるし」モグモグ
京子「でも美味しいじゃん、十分立派なロールキャベツだよ」
結衣「……そ、そうかな」
結衣「まぁどっちにしろ京子にはしばらく作られない、一人のときに練習しておく」
京子「むむっ!」
結衣「でも、形がいびつなのを出すわけにもいかないだろ」
京子「……じゃあ次は私も手伝うから、ロールキャベツ作るの」モグモグ
結衣「えっ?」
京子「2人で一緒に作って、2人で一緒に食べよ?」
京子「……わ、私はもっと結衣の手料理食べたいもん」
京子「だからそんな形が変だとか気にしなくていいから――」
結衣「デレ期?」
京子「な゛っ!?」
結衣「でもいい心がけだよ、働かざる者食うべからずって言うし」
京子「なっ……ふんっ、もう知るか」モグモグ
結衣「あー……あの、ほ、ほんとはとっても嬉しかったよ」
結衣「冗談でもそんなこと言われてもリアクションに困るというか……」
京子「……本音だからね、さっきのは」
結衣「……」
京子「へへへ、結衣ってば、ほほ緩んでるし顔真っ赤じゃん」ニコッ
結衣「っ、ゲホッゲホッ!!」
京子「あれ、もう食べちゃったの!?」
結衣「いいよ急がなくても、喉に詰まっちゃうから」
京子「……」モグモグ
京子「んぐっ、じゃあ洗い物は私に任せて、お風呂行っておいで」
結衣「えぇ、京子にできるかな……」
京子「大丈夫、割ってもちゃんと片付けておくから」ニコッ
結衣「……割るの前提かよ」
京子「結衣、流しながらでいいから耳貸して欲しいんだけど」
結衣「うん?」
京子「ほんと大した話じゃないから」
結衣「まぁ大方食後のラムレーズンとかだろ、いつもの場所にある――」
京子「あの時、ご飯でもなくお風呂でもなく……」
京子「結衣を食べたいって言ったらどうなってたの?」
結衣「ぶっ!!」
京子「あ、いやその……」
京子「結衣って冗談とか言わない人だから、ビックリしてついスルーしちゃって……」
結衣「……けっこう、本気だった」
京子「えっ?」
結衣「私には何もないから……」
結衣「ああやって行動するしか無かった、……でも結局はギャグにしかならない」
結衣「はぁ……、空回りしてばっかりだ」テクテク
結衣「お風呂行ってくるから、お皿よろしくね……」バタン
京子「あっ、結衣……」
結衣「あれ、居間に電気が付いてない」ガラッ
結衣「京子、電気も付けないで何してるの……」
京子「……」ガバッ
結衣「うわっ!?」
京子「……」ギュッ
結衣「……とりあえず電気付けるよ、何も見えないから」
京子「だ、だめ、……電気付けないで、顔見られたくない」ギュッ
結衣「……ん、じゃあこのままでいい」
京子「……ありがと」ギュッ
結衣「く、苦しい」
結衣「とりあえず一回離れない?」
京子「……やだ」
結衣「……へ、変な匂いとかしないよね私」
京子「……」ギュッ
京子「いい匂い、ずーっとこうしていたいくらい」
結衣「……そっか、良かった」
京子「結衣、ゴメンね……」
京子「今日結衣に酷いこと言って傷つけちゃったよね」
京子「結衣?」ギュッ
結衣「はっ!……ね、寝てないよ、ちょっとウトウトしただけ」
京子「もう!ちゃんと起きてて、少し話したいから」
結衣「いいよ、付き合ってあげる」
京子「結衣には可愛いとこたくさんあるのに、悪いところなんて無いのに」ギュッ
京子「……ちょ、ちょっとにぶちんなところがあるけど」
京子「それなのに私は――」
結衣「もういよ京子、ちょっと落ち着いて」
京子「で、でも……結衣……」グスッ
結衣「もちろん」ギュッ
京子「あいだだだだだだ、く、くるしっ!」
結衣「私がこうなったのって全部京子のせいなのに……」
結衣「それをやれ女っ気がないだの、ガサツだの……」
結衣「挙句の果てに三十路まで独り身?」
結衣「コイツ、だんだん腹が立ってきた……」ギュギュッ
京子「あいたたた……だ、だって、こうすれば結衣と!!」
京子「……結衣と新婚ごっこ出来ると思ったから」
結衣「……」
京子「……ご、ごめんなちゃい」
結衣「それでついつい毒を吐いた、ってこと?」
京子「わ、私だって本心にもないことを言うのは辛かったんだよ……」
結衣「京子の毒で私のプライドはボロボロなんですけど」
京子「……だ、だから本心じゃ」
結衣「……それでも、京子に言われるのは傷つくよ」
結衣「他の誰に言われるより、ずーっと心が痛いんだ」
京子「ゆ、結衣……!」
京子「ゆ、結衣、ゴメンね、ごめんなさい……」
結衣「ううんっ、き、気にしなくていい、……私は平気だから」
京子「泣かないで、結衣、……結衣」グスッ
京子「わ、私が責任持って、お嫁さんに貰ってあげるから、泣かないで!!!」
結衣「……」カチッ
京子「ま、眩しい、急に電気つけないで!!」
結衣「なに?」
京子「な、泣いてないじゃん!!嘘泣きかよさっきのは!?」
結衣「あれくらいで泣くわけないだろ、京子じゃあるまいし」
京子「な゛っ……」グスッ
結衣「ぷっ……、くふふふ……」ピクピク
京子「もおおおおおおおお!!結衣の馬鹿、アホ!!!」ポカッポカ
結衣「いたたたた、く、クッションで叩くなって!」
結衣「これでおあいこ、チャラってことでいいよね」
京子「こ、こっち見るなバカ……」
結衣「ひどい言われようだな、あはは……」
結衣「ふぅ……」
結衣「あのさ、私はこのままでいいんだよね?」
結衣「おかしくなんかないよな、それだけは聞きたい」
京子「おかしくなんかない、ずっとこのままでいてほしい」
京子「……他の人はどう思ってるか分かんないけど」
京子「私はいまの結衣が一番好き、……た、たぶん」プイッ
結衣「……」クスッ
京子「んっ……、女の子と女の子なのに?」
結衣「別にいいんじゃない、変だとは思わないけど」
京子「そっか、……えへへ」ギュッ
京子「じゃあ中学卒業するまで売れ残っててね?」
結衣「中学卒業で売れ残り扱いか……」
京子「男の子とか女の子に言い寄られても絶対断ること!」
結衣「ん、ずーっと待ってるからな」
京子「おやすみ~……」
京子「ね、ねえ結衣、……素直に言っちゃえば?」
結衣「お前もな」
京子「いや、だから私のこと恋愛的に好きでしょ?」
結衣「京子こそ私のこと好きでたまらないだろ」
京子「さ、さぁ~どうかな」
結衣「じゃ、じゃあ私もどうかなぁ」
結京「……はぁ」
京子(ほんと甲斐性なしだなぁ結衣は……)
結衣(ほんと甲斐性なしだな京子は……)
おしまい
結京良かったよぉ
大したことはなかったな、にやけすぎて頬が痛いが
いいものを見た
Entry ⇒ 2012.09.23 | Category ⇒ ゆるゆりSS | Comments (0) | Trackbacks (0)
洋榎「愛宕家名物、お姫様抱っこや!」
「すんませーん、こっちまでボール蹴って貰えへんかー?」
絹恵「ええよー、ほないっくでー」
絹恵「……!!」キュピーン
ピューン!
「すげー!」
洋榎「ってそれ飛ばし過ぎちゃうかー?」
絹恵「……」
洋榎「ん? どうしたんや絹」
絹恵「足首くじいてもた……」ズキズキ
洋榎「なんやて!?」
絹恵「やっぱりブランクあるんはきついわー」
洋榎「ていうか大丈夫なんか?」
絹恵「軽い捻挫程度ちゃうかなーとは思うんやけど……」ズキン
絹恵「あはは、ちょっと歩くんはきつそうや」
洋榎「しゃあないな。じゃあ、アレを出すしかあらへんな……」
絹恵「あれって、まさかアレですか!?」
洋榎「そうや、愛宕家名物お姫様抱っこや!」
絹恵「出たー! 夢見る乙女の定番!」
洋榎「ほな、いきまっせー」
洋榎「……ぐぬぬ」ヨロヨロ
絹恵「うん、やっぱり無理やと思うわ」
洋榎「そんな事は……あらへんで……」ヨロヨロ
絹恵「その気持ちでだけで十分やわ。でも現実みいな」
絹恵「このままやったら二人とも怪我するわ。ウチはお姉ちゃんに怪我してほしないもん」
洋榎「むむむ、しゃあない。おんぶで我慢するか……」
絹恵「うん、それが妥当なトコやわ。ほなお願いな」
洋榎(それにしても、絹の太ももめっちゃムチムチやったわ……)
洋榎(サッカー部の頃は引き締まった健康的な美脚やったけど今はちょうどええ感じや)
洋榎(膝枕とかしてもろたら気持ち良さそうやなー)
絹恵(お姉ちゃん! おんぶするんはえーねんけどなんでお尻のとこ持つんよ!?)
絹恵(こういう時って普通膝から抱えるもんなんちゃうん!?)
絹恵(し、しかもなんか位置取りが上手くいってへんのかちょくちょく動くし……)ソワソワ
洋榎「……」
洋榎(やってもた……なんか流れでお尻から抱えてもたわ……)
洋榎(このタイミングで言い出すんも気まずいからこのまま行くしかないんやけど)
洋榎(……やーらかいなぁ。マシュマロみたいやわ)
絹恵「……う、うんんっ。家まで頑張ってやー」
洋榎「……」スタスタスタ
洋榎(おおう……動くたびに絹のおもちが形を変えてウチの背中をつっついてきよるで……)
洋榎(まさに侵略すること山のごとしやな!)ドヤ
洋榎(…‥うん、アホな事でも考えとかんとやっとられんわ)ドキドキ
絹恵「……」
絹恵(お姉ちゃんの背中でウチのおもちがぎゅーって押しつぶされてる……)
絹恵(なんか手で揉まれたりするんとは違う、その時々で違う角度から背中に)
絹恵「ひゃぅっ」
洋榎「ど、どないしたんや!?」
絹恵「な、なんもないよっ」
絹恵(先っぽこすれた……ムズムズする……)
洋榎「お、おう。何でも言ってみい」スタスタスタ
絹恵「この体勢ちょっとバランス悪いから、もっとこー……抱きつく感じでもええ?」
洋榎「お、おう……?」
洋榎(くっついたり離れたりするさっきまでの方が落ち着かんかったし……)
洋榎(こっちの方がまだマシかもしれへんな)
洋榎「ま、まぁええと思うで? てかなんで今までそうせーへんかったんか不思議なくらいやわ」
絹恵「う、うん。せやな」
絹恵(あんまり密着するんもどうかと思っとったからやねんけどな。この方がええわ)
洋榎(耐えろ耐えるんやでウチ。家まではもうちょいや)ドキドキ
絹恵「……」
絹恵(体押し付けたら今度はお姉ちゃんの首筋がこんなに近く……)
絹恵(お姉ちゃん、髪束ねてポニーテールにしてるからうなじが……)
絹恵(うなじを見ると興奮するって人はいっぱいおるみたいやけど)
絹恵(今日になってその人達の気持ちが初めて分かったわ。なんかこのラインが色っぽいわ)
絹恵(ってウチ何考えてんねん! そんなん、そんなんサカリの付いたワンちゃんみたいやん!)
絹恵(…でも、ちょっとくらいなら)スーハー
洋榎「おおぅ!? ちょ、絹、鼻息荒いで!?」
絹恵「ご、ごめん!」
洋榎(うああああ、首筋に息が掛かるんてめっちゃモゾモゾするわ!)
絹恵(やっぱりバレてもた……うわー超恥ずかしい)
絹恵「……」
洋榎(アカン、なんかめっちゃ気まずいで。流れを変えるための話題作りをせな……)
洋榎「そ、そういえば愛宕家名物のお姫様抱っこっていつから言い出したんやっけ」
絹恵「え? 確かウチらが小学生の頃に見とったアニメを見てあれやってみよって言い出したんが最初ちゃう?」
洋榎「そうやったっけ? 絹がオトンにやって貰ったんやなかったっけ?」
絹恵「そんな事もあった気がするわ。オトンと言えば、酔っ払ったノリでオカンにもやった時はおもろかったわ」
洋榎「ああアレな! 普段スパルタの鬼みたいなオカンが珍しく顔真っ赤にして慌てとったんが傑作やったわ!」
絹恵「そんでオトンが『あかん、無理。このオバハン重い』とか言ってもてオカンマジギレ」
洋榎「あはははは! いくら酔っ払っとった言うても自分の嫁さんにオバハンて!!」
洋榎「せやな、愛宕家はホンマに笑いに絶えんおもろい一家やで」
絹恵「うん、愛宕家は最高や」
洋榎・絹恵「せやろーさすがやろー」
絹恵「……ぷっ」
洋榎「真似すんなや! って突っ込みたいトコやけどタイミングばっちりやから許したるわ」
洋榎「ほら着いたで」
絹恵「ん、ありがとなお姉ちゃん」
洋榎「これくらいならお茶の子さいさいんこさいん……たんじぇんと!」
絹恵「あ、お姉ちゃん今一瞬迷ったやろ」
洋榎「そ、そんなわけあるかい! オチ付けようと思ってなんか無いか考えただけや!」
絹恵「うん、なんとか部屋までは行けそう」
洋榎「部屋まで手伝ったろか?」
絹恵「別にええよ。もうあんまり痛くないし」
絹恵「後で湿布でも貼っといたらすぐ治ると思うわ」
洋榎「そっかー。体は大事にせなアカンでー」
絹恵「うん、ありがと。治ったらまたジョギングでも始めようかなー」
洋榎「そ、それはアカン」
絹恵「え?」
洋榎「あ。ああいや、ええんちゃうかな!」
洋榎(あの太もものムチムチが無くなるんが勿体無いなんて言えるわけあらへんからな……)
洋榎(まあ引き締まった健康的な太ももは太ももで気持ちえーかもしれへんな)
洋榎(……今度、膝枕お願いしてみよう)
竜華「一人で何言うてんの?」
カン!
ぶっちゃけうなじくんかくんかをさせてみたかっただけだし。
つーわけで用事あるんでそろそろ出かけます。
短いSSでしたが読んでくれてありがとうございました。
咲日和の愛宕姉妹は可愛すぎるよな
Entry ⇒ 2012.09.22 | Category ⇒ 咲-Saki-SS | Comments (0) | Trackbacks (0)
凛「う、うちに帰ったらいっぱいしてあげるから今は、ね?」P「…」
P「すまない、気になりだすと止まらなくてな」
凛「…分かった、私が最初に言ったことだからね」
P「ありがとう!」
凛「だけど恥ずかしいからちょっと部屋移るよ」
P「…んっ」
凛「気持ちいい?」
P「…ふぅ、凛は耳掻きが上手だな」
P「はいはい」ゴロン
凛「……」
凛「大きいのがあるね、ちょっと我慢出来る?」
P「……おいおいそこまで子供じゃないよ」
凛「ふふ、じゃあ取るよ」
P「……ふぁ…んんっ」
凛「……声も我慢出来る?」
P「それは無理」
凛(やっぱり毎日走り回っているからかな?)
凛(……うちのハナコみたい)
凛「ふふっ」
P「どうかしたか?」
凛「ううん、なんでも」
P「……思い出し笑い?」
凛「……違うよ、というか失礼だよ」
P「悪い悪い、珍しく笑うから気になってな」
凛「……聞きたい?」
P「もちろん」
凛「どうして?」
P「……さっきの凄く可愛いかったからな」
凛「……そ、そう?ありがと」
P「どうした、いきなり顔を背けて?」
凛(卑怯だよ、カウンターなんて)
凛「……プロデューサーちょっと目を瞑ってて、一分くらいでいいよ」
P「よく分からんが、分かった」
凛「……ふぅ」
P「……」
凛「……」チラ
P「……」
凛(今の内に落ち着かせないと)
凛(そうそう、あのとき急に来たから私まだ風呂上がりだったんだ)
凛(……)
凛(まずいまずい、また顔赤くなってきちゃった)
凛「プロデューサー、もう一分延長で」
P「」
凛「……プロデューサー?」
P「」スースー
凛「…たまにはいいよ…ね」
P「」スースー
凛「…ふぁ……私もちょっとだけ…眠たくなって…きちゃっ……た」
凛「」くぅくぅ
P「」スースー
ちひろ「おかしいですね、こっちの部屋に…は……」ガチャ
ちひろ「…まぁ」
凛「」くぅくぅ
P「」スースー
ちひろ(……夫婦みたい)
ちひろ「コホン」
ちひろ(……この後、迎えにいってもらいたかった娘がいたんですが、今回ばかりは特別ですよ?プロデューサーさん!)
乙
まったりしててよかった
Entry ⇒ 2012.09.22 | Category ⇒ アイマスSS | Comments (0) | Trackbacks (0)
C.C.「童貞坊やめ」ルルーシュ「…………は?」
ルルーシュ「…………なんだと?」
C.C.「女が迫ってくると断れないのが童貞の特徴だもんなぁ」
ルルーシュ「……」
C.C.「図星をつかれて何も言えないのか、童貞」
ルルーシュ「……違うな。間違っているぞ」
C.C.「なんだと?」
ルルーシュ「あのあと済ませたからな。シャーリーと」
C.C.「なに!?」ガタッ
ルルーシュ「フハハハ」
ルルーシュ「強がりだと?俺から溢れ出る自信が見て取れないというのか?」
C.C.「童貞はな、童貞と言われると否定するものだ」
ルルーシュ「おやおや。これは異なことを。俺は童貞ではないから否定しただけだが?」
C.C.「証拠でもあるのか?ないだろ?」
ルルーシュ「証拠だと?」
C.C.「ほら、見ろ。何も出てこないじゃないか。お前は童貞で決まりだな」
ルルーシュ「ならば、シャーリーに確認を取るか?」
C.C.「その小娘と口裏を合わせているんだろ。そんなものなんの証拠にもならん」
ルルーシュ「何故、認めようとしない!!」
C.C.「お前からは童貞の臭いしかしないからだ」
ルルーシュ「違う!!もう俺は!!!」
C.C.「しつこい奴だ。現実を見ろ」
C.C.「私はもう寝る。おやすみ、童貞坊や」
ルルーシュ「いいだろう。そのときの写真がある」
C.C.「写真……?」
ルルーシュ「シャーリーが思い出にと携帯電話のカメラで撮ったんだ。事後だがな」
C.C.「捏造写真か。見る価値はないな」
ルルーシュ「ほら、見てみろ」
C.C.「見ない」
ルルーシュ「これを見ろ!!」
C.C.「うるさいっ!!」
ルルーシュ「貴様ぁ……!!」
C.C.「そんなもの、なんの証拠にもならない。お前は童貞。チェリーボーイだ。私が言うのだから間違いない」
ルルーシュ「ちぃ……強情な女め……」
C.C.「ふん」
C.C.「……」
ルルーシュ「さぁ、言え」
C.C.「……じゃあ、どこで済ませた?」
ルルーシュ「待ち合わせ場所の近くにあったホテルだ。最初はシャーリーの服を乾かす目的で入った」
C.C.「それで?」
ルルーシュ「そこで……。まぁ、そこは言う必要はないか」
C.C.「童貞だから言えないんだろ。嘘じゃないか」
ルルーシュ「……そういう雰囲気になってしまったんだ」
C.C.「雰囲気?雰囲気だと?笑わせる」
ルルーシュ「なに?」
C.C.「それなりに勇気が必要な行為なのに、雰囲気で済ませる?バカを言うな。そんなことあるわけないだろ。これだから童貞は……」
ルルーシュ「お前、処女か」
C.C.「違うぞ?失礼な奴だな、お前」
C.C.「いい機会だから教えてやろう。私も元はギアス能力者だったんだよ」
ルルーシュ「そうなのか」
C.C.「誰からも愛される力を私は持っていた。いいか?愛されるギアスだ。この意味が分かるな?」
ルルーシュ「相手の心を操るのか」
C.C.「そうとも。愛されるということはだ、それなりのことも済ませている。歴戦の女戦士だぞ、私はな。数多の男が私の体の上を風のように過ぎ去っていったんだよ」
ルルーシュ「……」
C.C.「坊やでは絶対に手が届かない位置に私はいる。人生の大先輩だ。その私に向かって……清き乙女だと?侮蔑するにしてももう少しマシなことをいえないのか?」
ルルーシュ「……」
C.C.「これだから、童貞坊やは困る。私は寝る」
ルルーシュ「愛されるギアスか……。それはどのように愛されるんだ?」
C.C.「……」
ルルーシュ「愛され方も色々だと思うがな」
C.C.「何がいいたい?」
C.C.「そうだな」
ルルーシュ「となれば、愛されるギアスは心酔、いや崇拝に近い形で愛されていたんじゃないのか?」
C.C.「……!」
ルルーシュ「深く愛しすぎると行き着く先は、リリジョンだ」
C.C.「いうな」
ルルーシュ「お前、愛されすぎてそういう行為など誰にもしてもらえなかったんじゃないか?」
C.C.「ちがう……」
ルルーシュ「ただ供物を与えられ、崇められ、傍に居てもらえるだけで幸せと言われていたんじゃないのか?」
C.C.「違う!!結婚も迫られたことだってある!!憶測で語るな!!童貞め!!」
ルルーシュ「証拠はあるのか。貴様が幾多の男を受け入れたという確固たる証が!!!」
C.C.「……」
ルルーシュ「ふん。どうやら、無いようだな」
C.C.「ちがう……わたしは……」
ルルーシュ「魔女ではなく処女だったとはな。フハハハハハ!!!」
ルルーシュ「では、提示してくれ。お前が魅力あふれる女だったということモノを!!」
C.C.「あるわけないだろ」
ルルーシュ「フハハハハ。ならば、俺の勝ちだな」
C.C.「勝ちってなんだ?」
ルルーシュ「経験の差だ」
C.C.「うぐっ……」
ルルーシュ「人生の先輩が色々と教えてやろうか?」
C.C.「……」
ルルーシュ「あーっはっはっはっはっはっは!!!」
C.C.「分かった。呼べ」
ルルーシュ「……なに?」
C.C.「シャーリーとかいう小娘を呼べ。確かめる」
ルルーシュ「……おいおい、勝負はついただろ」
C.C.「いいから呼べ。早く」
C.C.「知るか。早くしろ、ほら」
ルルーシュ「ふざけるな!!貴様の我侭にシャーリーを巻き込むんじゃない!!!」
C.C.「なんだと?」
ルルーシュ「未経験者は部屋の片隅で丸くなっていればいいんだよ」
C.C.「ああ。丸くなってやる。だから、シャーリーをここに呼べ」
ルルーシュ「認めるんだな?」
C.C.「ああ、そうとも。私はC.C.、処女だ。誰からも愛され過ぎた女だ。これで満足か?」
ルルーシュ「あ、ああ……」
C.C.「さぁ、シャーリーを呼べ。女同士じゃないと聞きづらいこともあるからなぁ」
ルルーシュ「長年生きてきて、何を今更恥じることがある」
C.C.「生娘が相手を童貞と罵っていた。そして生娘であることが発覚した。本人の気持ちになれないのか?」
ルルーシュ「お前……今、恥ずかしがっているのか?」
C.C.「かなりな」
C.C.「黙れ。早くしろ。あとピザもな」
ルルーシュ「……もう寝るぞ」
C.C.「聞こえないのか。私はシャーリーを呼べと言っているんだぞ?」
ルルーシュ「だから、迷惑だろ」
C.C.「電話だけでもいい。かけろ」
ルルーシュ「貴様のことをどう説明するつもりだ!!」
C.C.「妹ってことにしておく」
ルルーシュ「ナナリーに扮する気か?!ふざけるな!!」
C.C.「バレない自信はある。根拠はない」
ルルーシュ「できない。この話は終わりだ」
C.C.「貴様、私に赤っ恥をかかせて終わりにするのか?」
ルルーシュ「貴様が悪いんだろ」
C.C.「分かった。もうお前には頼まない」
ルルーシュ「……」
ルルーシュ「おい。いつまで部屋の隅にいるつもりだ。ベッドを使え」
C.C.「丸くなれとお前はいった」
ルルーシュ「何を拗ねている」
C.C.「考え事をしているだけだ」
ルルーシュ「……もういい。勝手にしろ」
C.C.「するとも。私はC.C.だからな」
ルルーシュ「ちっ……」
C.C.「……」
ルルーシュ「灯り、消すぞ」
C.C.「好きにしろ」
ルルーシュ「全く……」パチンッ
C.C.(こうなったら……)
シャーリー「……」スタスタ
C.C.「……とまれ」
シャーリー「わぁ?!誰ですか?!」
C.C.「私のことはどうでもいい」
シャーリー(見たことないなぁ……。うちの制服着てるし、アッシュフォードの生徒なんだろうけど……)
C.C.「単刀直入に訊く。お前、最近、経験したか」
シャーリー「はい?」
C.C.「いいから答えろ」
シャーリー「なんの経験ですか?」
C.C.「女が経験すると言ったらアレしかないだろ」
シャーリー「……」
C.C.「どうなんだ」
シャーリー「ど、どうしてそんなこと初対面の貴方にいわないとダメなの?」
C.C.「ということは、経験済みか?」
C.C.「待て。逃がさん」
シャーリー「ちょっと……なに?」
C.C.「答えろ」
シャーリー「ああもう!!貴方には関係ないでしょ!!いきなりなによ!?」
C.C.「貴様の所為でこっちは大恥をかいたんだ!!それぐらい言え!!」
シャーリー「大恥ってなに?!私は関係ないでしょ?!」
C.C.「あるな!!大いにある!!お前が諸悪の根源だ!!」
シャーリー「なんでよ?!」
C.C.「このアバズレ!!」
シャーリー「はぁ!?」
カレン「シャーリー?なにやってるの?」
リヴァル「授業始まるぜ」
シャーリー「あ、二人ともたすけてー」
C.C.「話は終わっていないぞ」
C.C.(カレンか……!!)
カレン(C.C.じゃない……!!なにやってるのよ?!)
C.C.(黙っていろ)
カレン(どうしよう……ゼロに言ったほうがいいかな……)
リヴァル「その子、誰?」
シャーリー「知らない人なの」
C.C.「私はお前をとても知っている」
シャーリー「どういう意味?」
C.C.「で、どうなんだ。したのか、してないのか」
シャーリー「何でも知らないじゃない」
C.C.「揚げ足をとるな。質問に答えればいいんだ、小娘」
シャーリー「小娘って同い年ぐらいでしょ」
C.C.「一緒にするな。積み上げてきた経験には雲泥の差がある」
シャーリー「わけわかんないんですけど」
リヴァル「二人とも落ち着けよ。何の話なんだ?」
C.C.「シャーリーが経験者がどうかって話だ」
シャーリー「だから、なんの経験なんですか?!」
リヴァル「経験って……ズバリ、男でしょ」
シャーリー「おとこぉ?!」
C.C.「そうだ。お前、中々見所があるな。今度、可愛がってやってもいいぞ?」
リヴァル「マジで?!」
C.C.「さあ、シャーリー。答えろ」
シャーリー「尚更、言えません!!」
C.C.「人数もか?」
シャーリー「あなたはどうなんですか?!」
C.C.「……ざっと、1000人かな」
リヴァル「すげー……」
シャーリー「同じ女として……ひく……」
シャーリー「……ひ、ひとりです」
リヴァル「えぇ!?」
C.C.「ひ、ひとり……だと……?」
シャーリー「それが普通でしょ?!」
リヴァル「まぁ、うん……。で、ルルーシュとはどこで?」
シャーリー「なんでルルが出てくるの?!」
C.C.「ルルーシュ以外に一人いるのか?!」
シャーリー「はぇ?!」
リヴァル「シャーリー……ルルーシュが聞いたらショック受けるぞ……」
シャーリー「いや……あの……」
C.C.「ふふ……なんだ……ただの浮気性な女だったのか」
シャーリー「1000人も相手にした貴方がいうことじゃないでしょ?!」
C.C.「一人の男も愛せないお前がいうな」
カレン「それで……ええ……そうなんです。え?はい、それはもう……私はゼロのこと……その……す、好きですけど……」モジモジ
シャーリー「なっ……!?」
C.C.「お前なんか地獄に落ちろー」タタタッ
シャーリー「あ!ちょっと!!待ちなさいよ!!」
リヴァル「行っちゃったな」
シャーリー「……」
カレン「あれ?さっきの子は?」
リヴァル「向こうに行ったけど」
カレン「そう……」
シャーリー「カレンの知り合い?なら、失礼なこと言わないでって言っておいてほしいんだけど……」
カレン「ああ、うん。言っておいてあげる」
シャーリー「何が目的だったんだろう」
リヴァル「ルルーシュのこと狙ってる子じゃねーの?」
シャーリー「それはありえるけど……」
カレン(ゼロに一番信頼しているって言われた……今日はよく眠れそう……)
シャーリー「あ、ルル……」
リヴァル「ルルーシュさんよぉ、すげー可愛い子が今、いたんだけどぉ」
ルルーシュ「何か言っていたのか?」
シャーリー「経験がどうのこうのって……。よくわかんないけど」
ルルーシュ「なんて答えた?」
シャーリー「そんなの言えるわけないでしょ?!」
ルルーシュ「そうか」
シャーリー「そうかって……」
リヴァル「いいよなー、ルルーシュは。色んな女から想いを寄せられて」
ルルーシュ「気苦労しかないって」
リヴァル「ちくしょう……強者の余裕かよ……」
シャーリー「あ、それよりも早く教室にいこ。授業始まるし」
ルルーシュ「ああ、そうだな」
カレン「ふふ……ぜろぉ……」
C.C.「くそ……あんな小娘に……小娘にすら……私は負けるのか……経験で……」
C.C.「ふざけるな……。こっちはなぁ……多くの王族や政治家にだって傍にいてほしいって言われたんだぞ……」
C.C.「私以外にそんな女がどこにいるというんだ……まったく……小娘は何もわかっていない……」
C.C.「これだからすぐに体を許すような……やつは……」
C.C.「うぅぅ……」
咲世子「C.C.さん?」
C.C.「ん?」
咲世子「ここに居られましたか。ルルーシュ様から探して欲しいと言われまして」
C.C.「そうか」
咲世子「何かあったのですか?」
C.C.「……お前は経験があるのか?」
咲世子「はい?」
C.C.「男に抱かれたことはあるのか?」
咲世子「男性にですか……」
咲世子「ありませんね。恥ずかしながら。仕事一筋だったもので」
C.C.「そうなのか?」
咲世子「はい。それが何か?」
C.C.「現状から脱したいと思ったことはないか?」
咲世子「いえ。特に私はルルーシュ様のお傍に居られたらそれで幸せですので」
C.C.「……そうなのか。お前にとってルルーシュはそれだけの存在なのか」
咲世子「ええ」
C.C.「私は脱したい」
咲世子「そうなのですか」
C.C.「時々、色々なものが頭を巡る。想像もする。五感を働かせることもある」
咲世子「C.C.さん……」
C.C.「どうしたらいいかな……」
咲世子「襲ってしまっては如何ですか?」
C.C.「無理やりは好かない。合意の上でないとなんか、気持ち悪いだろ」
C.C.「……一人だけな。条件付きだが」
咲世子「では、そのかたに言ってしまえばいいじゃないですか」
C.C.「何をだ?」
咲世子「私を抱いてくれー!!!と」
C.C.「言えるか!!」
咲世子「それほどの仲ではないと?」
C.C.「私のプライドの問題だ」
咲世子「では、その気にさせれば問題はないわけですね」
C.C.「その気?」
咲世子「ええ。相手から求めてくるなら、C.C.さんもそれを受け入れるわけですから」
C.C.「まあ、そうだな」
咲世子「では、その方法を伝授してさしあげます」
C.C.「お前も未経験者だろ?偉そうになにを……」
咲世子「誘惑の心得はあります。ベッドに入る前に事は済むので男性に抱かれたことはないだけです」
ナナリー「お兄様、お帰りなさい」
ルルーシュ「ただいま、ナナリー」
ナナリー「お兄様、ちょっといいですか」
ルルーシュ「どうした?」
ナナリー「少し服が乱れているような気がして……」
ルルーシュ「どれどれ……」
ナナリー「どうですか?」
ルルーシュ「いや、大丈夫だ」
ナナリー「そうですか。ありがとうございます、お兄様」
ルルーシュ「気にするな」
C.C.「帰ってきたのか、坊や」
ルルーシュ「なんだ、居たのか」
ナナリー「……」
C.C.「それにしてもこの部屋は暑いな……。服でも脱ごうかな……」チラッ
C.C.「……」
ナナリー「お兄様?」
ルルーシュ「俺とシャーリーの関係を探っていたのか?」
C.C.「上着から脱ぐか」チラッ
ルルーシュ「質問には答えないか。まぁいい。お前の自由だからな」
ナナリー「何かあったのですか?」
ルルーシュ「ナナリーの気にすることじゃない」
ナナリー「はぁ……」
C.C.「下も脱ぐかな。これは出血大サービスだなぁ、まったく」チラッ
ルルーシュ「ナナリー、夕食はなにがいい?」
ナナリー「お兄様のお作りになるものでしたら、なんでも」
ルルーシュ「それが一番困るんだけどな」
ナナリー「ふふっ」
C.C.「ぬぐぞー、本気だからなー」
咲世子「どうでしたか?」
C.C.「まるで効果がなかった。そればかりか他の女のことばかりだ」
咲世子「そうですか……」
C.C.「このままでは終われない。どうにかしろ」
咲世子「そうですね。あからさまな誘惑には屈しない人物には、さりげないスキンシップなんてどうでしょうか?」
C.C.「さりげないスキンシップだと?」
咲世子「ええ。何気なく手に触れたり、肩に触れたりするのです」
C.C.「……」メモメモ
咲世子「そうすることで相手は自然と好意を持ってくれるものですから」
C.C.「本当か。それで向こうから来るのか」
咲世子「来ます」
C.C.「分かった」
咲世子「ご武運を」
C.C.「さりげないスキンシップ……さりげない……」
ナナリー「ありがとうございます」
ルルーシュ「熱いから気をつけてな」
ナナリー「えっと……」オロオロ
ルルーシュ「ここだよ」ギュッ
ナナリー「あ……。ありがとうございます」
ルルーシュ「全く」
ナナリー「私にはお兄様がいないとダメですね」
ルルーシュ「そうだな」
ナナリー「もう、お兄様ったら。ふふっ」
ルルーシュ「ははは」
C.C.「ルルーシュ」
ルルーシュ「なんだ?」
C.C.「手を握ってやろうか」
ルルーシュ「気持ち悪いことをするな」
ルルーシュ「必要ない」
ナナリー「お兄様、フォークは……」
ルルーシュ「ここにある」ギュッ
ナナリー「ありがとうございます」
C.C.「……」ススッ
ルルーシュ「なんだ?」
C.C.「私はこう見えて手相占いが得意なんだ」
ルルーシュ「手相だと?」
C.C.「見てやろう」
ルルーシュ「結構だ」
ナナリー「お兄様、見てもらえばいいではありませんか」
ルルーシュ「いいんだよ。どうせ嘘だからな」
C.C.「ええい!!触らせろ!!!」ギュッ
ルルーシュ「離れろ!!!」
咲世子「ダメだったのですか?」
C.C.「ああ……」
咲世子「……」
C.C.「もうどうしていいのかわからない……」
咲世子「C.C.さん、元気を出してください」
C.C.「このまま一生……花弁を散らすことの無い可憐な花のままでいるんだろうな……」
咲世子「そう悲観しないほうが」
C.C.「はぁ……」
咲世子「分かりました。では、最終手段です」
C.C.「最終手段だと?」
咲世子「ええ。これで篭絡されなかった殿方はおりません」
C.C.「聞かせろ」
咲世子「紙とペンをご用意ください」
C.C.「よし」
C.C.「ああ」
咲世子「では、日本の言葉を紙に書きます」
C.C.「日本の?」
咲世子「はい。それでどのような男も……確実に落ちます」
C.C.「それは本当か?妖しいモノだな」
咲世子「効果は絶大ですよ」
C.C.「で、なんと書けばいい?」
咲世子「貴方の」
C.C.「あな、たの……」カキカキ
咲世子「肉」
C.C.「に、く……」
咲世子「便器です」
C.C.「便器、です……これでいいのか?」
咲世子「その紙を胸に貼り付けて意中の男性の前に言ってみてください。言葉を理解してもらえば、間違いなく向こうから迫ってきますから」
ルルーシュ「ナナリー?何をしているんだ?」
ナナリー「えっと……秘密です」
ルルーシュ「俺に秘密か。寂しいな」
ナナリー「ごめんなさい。でも、もう終わりましたから。あとはプリントアウトするだけです」
ルルーシュ「そうか」
ナナリー「はい」
C.C.「ルルーシュ」
ルルーシュ「なんだ。さっきから落ち着きのない奴だな。―――何を貼り付けている?」
C.C.「読めるか?」
ルルーシュ「貴方の……にく……便器……です?」
C.C.「そうだ」
ルルーシュ「どういう意味だ」
C.C.「調べてみろ」
ルルーシュ「ちっ……。はいはい」
C.C.「ナナリー?」
ナナリー「お兄様ぁ」
ルルーシュ「なんだナナリーまで同じものを貼り付けて……。なんだそれは?」
ナナリー「咲世子さんから教えてもらったおまじないです」
ルルーシュ「咲世子さんから?」
C.C.「ナナリー?!お前も……?!」
ナナリー「なにか?」
ルルーシュ「なんのおまじないなんだ?」
ナナリー「秘密です」
ルルーシュ「また秘密か」
ナナリー「ふふっ。調べたら分かりますから」
ルルーシュ「そうか。なら調べてみるか」
C.C.(まずい……。言葉の意味だけでなく、もし男性を振り向かせる方法なんてことがバレたら……!!)
C.C.(またルルーシュに弱みを握られる……!!)
C.C.「ま、まて!!」ガシッ
ルルーシュ「なんだ、離せ」
C.C.「いや、離すわけにはいかなくなった」
ルルーシュ「なんだと?お前が言葉の意味を調べろと言ったんだろうが」
C.C.「そうだが、状況が変わった。調べるな」
ルルーシュ「いいから離せ」
C.C.「できないな」
ルルーシュ「C.C.……!!」
C.C.「……」
ナナリー「お兄様……」
ルルーシュ「分かった。調べないから、腕を離してくれ」
C.C.「分かってくれたか、坊や」パッ
ルルーシュ「―――フハハハハ!!!今だ!!!」カタカタカタカタカタ
C.C.「ルルーシュ!!!」
C.C.(終わったな……。もうここには居られない……)
ナナリー「お兄様、分かったのですね」
ルルーシュ「ナナリー。その紙は貼り付けるものではない。取れ」
ナナリー「でも……」
ルルーシュ「取るんだ!!」バッ!!!
ナナリー「あ……」
C.C.(さようなら、ルルーシュ)コソコソ
ルルーシュ「C.C.。お前はこっちだ」グイッ
C.C.「なんだ?何を怒っている?」
ルルーシュ「こい」
C.C.「私は悪く無いぞ。全部、咲世子だ。咲世子の入れ知恵だ」
ルルーシュ「いいからこい」
C.C.「やめろ。怒られるのは嫌だ」
ナナリー「……」
ルルーシュ「この紙に書いてある文字。どういう意味なのか、分かっているのか?」
C.C.「意味は知らない」
ルルーシュ「……やはり処女だな。お前は」
C.C.「お前だって知らなかったのだろ」
ルルーシュ「……知らないこともある。生きていくうえでは必要のない言葉だ」
C.C.「ふん」
ルルーシュ「これ、簡単に言えば「私を抱いてください」ってことだぞ」
C.C.「……」
ルルーシュ「……」
C.C.「……」ビリビリ
ルルーシュ「今更破いても遅い。どういうつもりで胸に貼り付けた?」
C.C.「深い意味はない。気にするな」キリッ
ルルーシュ「……」
C.C.「分かったよ。部屋の隅で丸くなる。それでいいな?」
C.C.「なるだろ。私が口を噤んでいればな」
ルルーシュ「ならないな」
C.C.「いーや、なるな」
ルルーシュ「……」
C.C.「部屋の隅で丸くなった。もう私に構うな。触れるな」
ルルーシュ「お前、何を拗ねている?」
C.C.「拗ねてなどない。私はC.C.だぞ?」
ルルーシュ「今日のお前の行動を考えればすぐに分かるがな」
C.C.「ほう?シスコン坊やが?言ってみろ。大ハズレに決まっている」
ルルーシュ「シャーリーのことだろ」
C.C.「……」
ルルーシュ「当たりか」
C.C.「いや、ハズレだ。間抜け。顔を洗って出直して来い」
ルルーシュ「こいつ……」
C.C.「違うな。ぜんっぜん、違う。まるで関係がない。どうしてそこに行き着いたのか理解できない」
ルルーシュ「そんな事実などないと言ったら?」
C.C.「……え?」
ルルーシュ「お前に童貞と言われて、つい口から出た嘘だったと言ったらお前はどうする?」
C.C.「嘘……なのか……?」
ルルーシュ「仮の話だ」
C.C.「どっちだ?嘘なのか?嘘なんだな?」
ルルーシュ「……」
C.C.「だろうと思ったよ。私は初めから分かっていた」
ルルーシュ「待て」
C.C.「何かな、万年チェリー坊や?」
ルルーシュ「急に態度がでかくなったな。貴様、自分の立場がわかっているのか?」
C.C.「どういう意味かな?」
ルルーシュ「お前は俺に向かって抱いてくださいと願ったんだぞ?」
ルルーシュ「バカか」グイッ
C.C.「なっ?!」
ルルーシュ「それがお前の願いなんだろ?」
C.C.「やめろ……」
ルルーシュ「怖気づいたか?」
C.C.「……無理やりは……嫌だ……」
ルルーシュ「くっ……」
C.C.「……」
ルルーシュ「もういい。寝る」
C.C.「なんだ、やめるのか」
ルルーシュ「ふん……」
C.C.「童貞の限界か。つまらんな」
ルルーシュ「貴様っ!!」
C.C.「な、なんだ。やるか?!」
スザク「膣内から変えていけばいいのに」
スザァク!
ルルーシュゥ!
C.C.「ふぅー……」
ルルーシュ「するつもりも無いくせに、粋がるな」
C.C.「何をいう。その言葉、そのままお前に返す」
ルルーシュ「やはりシャーリーのほうが可愛げがあっていいな」
C.C.「なら、あの小娘とやることやればいいだろ」
ルルーシュ「それもそうだな。今から呼び出すか」
C.C.「ああ、でもあいつ、ルルーシュ以外の男とすることしているらしいけどな」
ルルーシュ「シャーリーの交友関係は熟知している。特定の男性などいない」
C.C.「……」
ルルーシュ「残念だったな」
C.C.「だが、奴は男と経験をしたと言っていたが」
ルルーシュ「俺とキスしたことを言ったんだろ」
C.C.「じゃあ、シャーリーは呼ぶな。危険だぞ」
ルルーシュ「お前よりは何倍も安全だ」
ルルーシュ「さて……」
ピリリリ
C.C.「誰からだ」
ルルーシュ「カレンだな……。―――私だ」
カレン『あ、ゼロ。今日はこちらにこないのですか?』
ルルーシュ「ああ。色々あったからな……」
カレン『そうですか』
C.C.「……」
ルルーシュ「何か緊急の用でもあるのか?」
カレン『い、いえ……あの……ゼロ?』
ルルーシュ「どうした?」
カレン『あの……私は……ゼロのこと……す、好きですから』
ルルーシュ「私もカレンのことは信頼している。できることなら、ずっと傍にいてほしい」
カレン『ゼロぉ……はいっ!!紅月カレンはこの身を色んな意味でゼロに捧げます!!』
カレン『でへへ……』
C.C.「ぜろぉ、まだぁ?C.C.、がまんできなぁい」
ルルーシュ「!?」
カレン『え……ゼロ……?』
ルルーシュ「おい!!」
C.C.「もうこんなになってるのにぃ」
カレン『あ、ごめんなさい……。それじゃあ……』
ルルーシュ「まて!!カレン!!」
C.C.「ふふっ……あはははは」
ルルーシュ「貴様!!何の真似だ!!」
C.C.「ただの悪戯だ」
ルルーシュ「ふざけるな!!カレンに何らかの悪影響が出たらどうする?!」
C.C.「この程度で動揺してしまうなら遅かれ早かれ戦死する」
ルルーシュ「おまえはぁ……」
ルルーシュ「その根拠はなんだ……。全く」
C.C.「さてと、そろそろ寝ようかな」
ルルーシュ「お前!!」
C.C.「男は床で寝ろ」
ルルーシュ「どこまで身勝手なんだ……お前は……」
C.C.「求められて唇を重ねるような軟派な男が言うと滑稽だな」
ルルーシュ「お前はどうなんだ?」
C.C.「私は求められたからと言って、それに応じたりはしない。見た目ほど尻は軽くないからな」
ルルーシュ「ほう……?」
C.C.「私はC.C.だからな。特に小僧の頼みなんて―――」
ルルーシュ「C.C.……」
C.C.「お……」
ルルーシュ「……」
C.C.「まて……歯を磨いてからだ……」
C.C.「なに……?」
ルルーシュ「そのような奴にとやかく言われる筋合いはないな」
C.C.「この……」
ルルーシュ「こんな女に罵声を浴びせられたであろうシャーリーが不憫でならない」
C.C.「歯を磨けばいいと言っている」
ルルーシュ「磨いているうちに断る理由を考えるんだろ?」
C.C.「そ、そこまで嫌じゃないが」
ルルーシュ「そ、そうか」
C.C.「……やはり、今日は部屋の隅で丸くなっておく」
ルルーシュ「もういいから、ベッドで寝ろ。お前みたいな女が部屋の隅にいると怖いからな」
C.C.「じゃあ、男は床で寝ろ」
ルルーシュ「はいはい」
C.C.「おやすみ」
ルルーシュ「ああ」
C.C.「……」コソコソ
ルルーシュ「なんだ?」
C.C.「私は寝相が悪いからな」
ルルーシュ「わざわざ床にいる俺の隣まで来るほどか。とんでもないな」
C.C.「今日は特別寝相が悪くてな。私も困っている」
ルルーシュ「お前の傍で寝ることになる男は大変だな」
C.C.「だろうな。同情するよ」
ルルーシュ「貴様に同情されても何一つ嬉しく無いな」
C.C.「お前に同情したわけじゃないがな」
ルルーシュ「俺以外の誰がお前の傍に居られるというんだ?」
C.C.「それはこっちに台詞だな」
ルルーシュ「寝言も多いし。最低の女だ」
C.C.「お前こそ歯軋りが酷いな。最悪の男だ」
ルルーシュ「魔女が……」
ルルーシュ「ん……」
C.C.「すぅ……すぅ……」
ルルーシュ「顔を洗うか……」
咲世子「おはようございます、ルルーシュ様」
ルルーシュ「おはよう」
咲世子「おや?」
ルルーシュ「あ、これは……」
咲世子「どうやら、おまじないの効果が出たようですね」
ルルーシュ「おまじないって……」
ナナリー「咲世子さん!!私は効果が出ませんでした!!」
咲世子「そんなことは……。では、この藁人形を使ったお呪いを試してましょうか」
ナナリー「はい」
ルルーシュ「咲世子さん。ナナリーにおかしなことを吹き込むのはやめてください」
咲世子「も、申し訳ありませんでした……」
カレン「はぁ……」
シャーリー「カレン?どうしたの?元気ないみたいだけど」
カレン「べつにぃ……」
リヴァル「ふられたのかぁ?」
カレン「あ?」
リヴァル「うわ……マジで?」
カレン「そんなじゃないわ……」
ミレイ「そんなんじゃないって顔じゃないわねー」
カレン「放っておいて下さい……」
スザク「カレン……」
ルルーシュ(昨日の電話の影響か……)
ナナリー「カレンさん、あの……」
カレン「なぁに?」
ナナリー「何があったのか聞かせてください。お力になれなくても、お話しを聞くことはできますから」
ルルーシュ「いや。会えていないな」
シャーリー「もう、なんだったのかな。あの子!!」
リヴァル「でも、シャーリーさ。ルルーシュ以外に思いを寄せている男なんているのか?」
シャーリー「え?!いや、いないよ……って、何いってるのかな?!」
スザク「ルルーシュ、シャーリーはルルーシュのことが好きらしいよ」
ルルーシュ「そ、そうだったのか……」
シャーリー「わぁぁああああ!!!!!」
ミレイ「間接的こくはくぅ」
シャーリー「なんでそんなこというのぉ!!!」
スザク「こういうことは早いほうが」
シャーリー「自分で言うから!!!」
スザク「じゃあ、今言ったらどうかな」
ルルーシュ「……」
シャーリー「いえるわけないでしょぉ!!!」
ミレイ「よしよし」
スザク「あれ……泣かせてしまった……」
リヴァル「よくやったよ。スザク」
スザク「そうかな?シャーリーが前進できたなら、僕も嬉しいよ」
ルルーシュ「全く……」
ニーナ「ふふっ」
カレン「へー、そうなんだ」
ナナリー「是非、試してください」
カレン「ありがとう、ナナリー。元気でてきたよ」
ナナリー「いえ」
シャーリー「うぅぅぅ……」
ナナリー「シャーリーさん」
シャーリー「なに……?」
ナナリー「元気の出るおまじない、教えてあげますから。涙を拭いてください」
ゼロ「色々すまなかったな」
扇「いや。ゼロの用事は済んだのか?」
ゼロ「ああ、問題はない」
扇「ならいいんだ」
ゼロ「さてと」
カレン「ゼロー!!」タタタッ
ゼロ「カレ―――」
扇「カ、カレン?!何を貼り付けて!?」
カレン「魔法の言葉だって聞いて……。ゼロ……ドキドキしますか?」
ゼロ「あ、ああ……」
カレン「よかった……」
玉城「なんだ、カレン!?ゼロ専用の便器になったのか?!」
カレン「うん」
ゼロ「肯定するな!!お前はその言葉の意味がわかっていないのか?!」
ゼロ「それは……抱かれてもいいという合図なんだぞ……」
カレン「そうみたいですね」
ゼロ「なに?」
カレン「ゼロ。C.C.のようにはいかないかもしれませんが、私も精一杯がんばりますから」
ゼロ「カレン!!私は!!」
カレン「ゼロの親衛隊ですから!!私!!」
ゼロ「が……!?」
扇「ゼロ」
ゼロ「なんだ?」
扇「カレンを幸せにしてやってくれ」
ゼロ「何を言っている?!」
カレン「ゼロ……リードしてくれると嬉しいです」
ゼロ(そんなことできるわけがない……!!ここは……戦術的撤退だ!!)ダダダッ
カレン「あ!!ゼロー!!!」
ルルーシュ(昨日は酷い目にあったな……。カレンめ。わかってやるなんて、なんと性質の悪い……。今後も注意しておかなくては……)
シャーリー「あ、ルルー」
ルルーシュ「シャーリー。おは―――」
シャーリー「この胸に貼った紙?これ、ナナちゃんから教えてもらったの。元気の出るおまじない」
ルルーシュ「シャーリー……」
シャーリー「どうしたの?」
スザク「シャーリー!?」
シャーリー「スザクくん、どうかした?」
スザク「……君は男なら誰でもいいっていうのか!!!」
シャーリー「え?」
ルルーシュ「スザク!!よせ!!」
スザク「一途だと思っていたのに!!君は最低だ!!まるっきり痴女じゃないか!!!」
シャーリー「ち……」
ルルーシュ「スザク!!もういい!!やめろ!!」
シャーリー「ごめっ……なさい……私……しらなくて……」
スザク「知らなかったじゃ済まされない!!僕は君のことを思っていっているんだ!!!」
シャーリー「はい……」
ルルーシュ「スザク、もういいだろ。シャーリーも反省している」
スザク「でも……」
ルルーシュ「今後は気をつければいいだけだ、シャーリー」
シャーリー「ルル……」
スザク「シャーリー、もうこんなことしちゃいけない」
シャーリー「うん……もうしない……こんなこと……恥ずかしいもん……」
スザク「よし。なら、いいんだ」
ナナリー「……」
ナナリー「次のおまじないを試しましょうか……」
ナナリー「ふふっ」ウィィン
ルルーシュ「酷い一日だった。カレンもシャーリーも……。困ったものだ」
C.C.「満更でもなかったんだろ?童貞坊やめ」
ルルーシュ「……は?」
C.C.「なんだ?」
ルルーシュ「魔処女がよく言う」
C.C.「お前……!!」
ルルーシュ「なんだ?」
C.C.「……な、なら、お前が私を魔女にすればいいだろ?」
ルルーシュ「ごめんだな」
C.C.「なに!?」
ルルーシュ「お前は図に乗って、今以上に可愛くなくなりそうだからな。暫くは様子をみる」
C.C.「ふざけるな!!もうお前以外にいないんだからな!!」
ルルーシュ「……そうか。なら、考えてみてもいい」
C.C.「……部屋の隅で丸くなるから……契約する覚悟ができたら、こい……」
おしまい
CCが可愛い
CCが可愛い
Entry ⇒ 2012.09.22 | Category ⇒ コードギアスSS | Comments (0) | Trackbacks (0)
聖「……みずき、もう少し真剣に練習しろ」
聖「……」パスッ ヒュッ
みずき「やっぱり、いざ先輩達がいなくなると……」パスッ ヒュッ
聖「そんなことを言うものじゃない」パスッ
みずき「分かってるけどさぁ」
聖「気持ちは分からないではないが、練習に身が入っていないこととは話は別だ」
みずき「むー」
聖「……はっきり言うが、今の状態だと手塚の方がエースに相応しいぞ」
みずき「そーかもね……はぁ……」
聖(なんとかならんかな……)
※みずき サボりぐせ取得
練習後
みずき「おつかれー」
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手塚「組み合わせ次第じゃ両方と戦わないといけない……ウチの地区は何かおかしい」
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手塚 B(70) B(75) 146km スライダー3 カーブ3 フォーク2 安定感4
みずき A(85) C(60) 139km オリジナル5 スクリュー3 対ピンチ2 ケガしにくさ4 タイムリーエラー ムラッ気 人気者
こんな感じ
大正義恋々高校^p^
聖「加藤先生……すいません、私がもっとしっかりしていれば」
円谷「そういうことは言わないの!」
手塚「そうそう、橘のことはチーム全体で考えていこう。先輩達が抜けて何か物足りないのは、みんな一緒なんだから」
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加藤「ふふふ、どうやら心配することはなさそうね。近い内に『彼』もやってくるし……」
聖「『彼』?何のことですか?」
加藤「すぐに分かるわよ。さて、ミーティングを始めましょう?」
「「「???」」」
※円谷・手塚 チームプレイ○
円谷 CDBCBB 弾道2 送球○ 盗塁4 走塁4 守備職人 サブポジ○ チームプレイ○
くらい。大正義恋々ry
数日後 教室
みずき(最近練習出来てないなぁ。自分でサボってるんだから当たり前だけど)
みずき「……先輩達が部に居た頃は、毎日毎日楽しかったのに……」
キーンコーンカーンコーン
みずき(……いっそ授業もサボっちゃおうかしら)
教師「えー、HRを始める前に連絡がある」
みずき(あーあ、ほんとに何か面白いことでも起きないかなぁ)
教師「今日からこのクラスに転校生がやって来る。みんな仲良くな」
みずき(転校生ねぇ。私が漫画の主人公なら、ここで『あー!!?』とか言って立ち上がったりするんだろうな。ま、あり得ないけど)
教師「君、さっそく自己紹介を」
??「はい」
みずき「あー!!?」ガタッガタン
教師「どうした橘?」
??「……」
みずき「アンタ……友沢!?」
友沢「……漫画のキャラか、お前は」
教師「野球部に入部希望らしいし、ちょうど席も空いてるから橘の隣な」
みずき「な゛ー?!」
みずき「……ちょっと」
友沢「何だ」
みずき「屋上まで着いてきなさい」
友沢「……やれやれ」
クラスメートA「あれ、告白か何か?」ヒソヒソ
クラスメートB「何かただならぬ関係みたいだしな、朝の反応的に」ヒソヒソ
クラスメートC「勝気な美少女とクールっぽいイケメン……YESだね!」ヒソヒソ
クラスメートD「小生のみずきタソを返せー!」
友沢「……周りの反応はどうにかならんのか」
みずき「……あきらめなさい。私は慣れた」
※みずき・友沢 精神ポイントが下がった……
友沢「……で?」
みずき「で?じゃないわよ!何でアンタが転校してくるわけ?!」
友沢「……」
みずき「……だんまりとはね。カッコつけてるつもりかしら」
友沢「……そう受け取ったなら、それでもいい」
みずき「ふん、そういうすかした態度が気に食わないのよ」
友沢「勝手に言ってろ」
みずき「……でも、本当にどういうこと?帝王のアンタがライバル校に転校して、当然のように野球部志望だなんて」
みずき「何よ?」
友沢「お前、最近サボっているらしいが、今日は来い」
みずき「なっ……よ、余計なお世話よ!ていうか何でアンタがそのことを知ってるワケ?!」
友沢「……本当にサボってたのか。意外だな」
みずき「……色々あんのよ、乙女にはね」
友沢「乙女ね……ま、俺がここに居る理由も含めて、部活に顔を出せば分かると思うぞ。じゃあな」
みずき「むむ……わけわかんない……」
みずき(なんだか友沢に説得されたみたいで癪だけど、結局大会には出たいし勝ちたいのは間違いないのよね)
みずき「サボりも潮時、か。先輩達が居なくて物足りないのは変わんないけど」
聖「それでも練習に顔を出さないよりはずっとマシだな」
みずき「聖……その、ごめんなさい」
聖「いいさ」
手塚「先輩達が居なくなってつまんないっていうのはみんな一緒さ」
円谷「でもそこは俺達自身で、これから何とかしていこうぜ」
みずき「あんた達まで……うん。それもそうね。いつまでも後ろ向いてても始まらないわ」
※みずき サボりぐせ 解消
友沢「……」
加藤「すでに知っている人も多いと思うけど、今日から野球部に新たな仲間が加わります」
部員A「あれって帝王の……」
部員B「だよなぁ」
加藤「さすがの知名度ってところかしらね……亮君、改めて自己紹介を」
友沢「今日から入部する友沢亮です。ポジションはショート」
みずき「は?!」
友沢「よろしくお願い……」
みずき「待ちなさい!何でアンタがピッチャー希望じゃないのよ?!」
友沢「……」
加藤「それについては私から言わせて貰うわ。そこら辺は、彼がウチの高校に来た理由でもあるから」
聖「というと?」
加藤「……数ヶ月前、妹から相談を持ちかけられたの。『ある優秀な野球少年』の体について、ね」
友沢「……」
手塚「確か監督の妹さんって……」
円谷「近くの総合病院の看護婦さんでしたっけ」
加藤「そう。妹……京子と私は同じ先生の元でスポーツ医学を学んでいたのだけれど、得意分野が少し違うの」
聖「なるほど。その『ある優秀な野球少年』の検査を妹さんから頼まれた、ということですか」
加藤「そういうこと。まぁ、私達の先生にお願いしてもよかったんだけど、多少過激なことも辞さない性格の人で……
まぁそれは置いておきましょう。最終的に施設だけ借りて、私が精密検査を行ったわけ」
みずき「……検査の結果は?」
加藤「限りなく黒に近いグレー、という所ね。少なくとも、医学を志す者として看過出来るような状態では無かったわ。
その子が身を置いている環境が、過酷な練習と熾烈な競争を是とする帝王野球部だからこそ、
尚のこと放っておくことが出来なかった。それ程に稀有な才能の持ち主なのよ」
聖「つまり、その野球少年というのは」
友沢「……特に肘がボロボロでな。決め球のスライダーが、もうまともに投げられないらしい」
みずき「……アンタ、ってわけね……」
加藤「現状の帝王の練習及びシステムだと、どうしても亮君の選手生命に危険が及んでしまう。
そこで私は、帝王の監督や私の先生、そして亮君本人と、何度も話し合った末に、彼の転入を提案したの。
ウチなら設備の整った総合病院にも近いし、メニューの調整なんかも柔軟に対応出来るからね」
円谷「……よく帝王側も本人も納得しましたね。悪い言い方だけど、戦力の引き抜きみたいなもんだし」
手塚「練習環境が変わるのもリスクだと思うんですけど」
友沢「……実際そこら辺は悩んだけど、プロ入りする前に体を壊しちゃ人生計画がパーだからな」
聖「ビッグマウスはほどほどにな……と言うべきところだが、友沢ならまぁ間違いなくプロからオファーが来るだろうな」
加藤「現3年のパワプロ君や早川さん、あかつきの猪狩君、帝王の山口君に引けを取らない注目度であるのは間違いないわ。
そこら辺も考慮しているからこそ、帝王の監督もこちらの提案を受け入れてくれたのよ。
『戦力的に大きな打撃にはなるが、野球界の為と思えば致し方ない』ってね。『覚悟するように』っても言われたけれど」
手塚「『覚悟しておくように』って……当たったらラフプレーとかしてきたり?」
友沢「ラフプレーはさすがに無いだろうが、執拗にマークされるのは間違いないだろうな。
お前たちには正直申し訳ないと思うけれど、その分実際のプレーで貢献していくつもりだ」
聖「ふむ……ショート希望ということなら、ちょうど不足していたポジションだし、
戦力的には大幅なパワーアップということになりそうだな。問題は体の方だが……」
友沢「転入手続きのゴタゴタの間に体は休ませておいた。加藤先生からの指導は勿論、
京子さんにもリハビリの面倒を見てもらったから、今すぐにでも動きたい所さ。
……しかし意外だな。守備に定評のある恋々でショートが不足だなんて」
円谷「これでようやく本職セカンドに戻れそうだなぁ。正直助かるよ、俺一人だったし」
友沢「……一人?しかもサブポジション?何かの間違いじゃないのかそれ」
手塚「しょーがないんだよね、そこら辺の事情は」
聖「……聖域(JK)」
友沢「……?」
聖「……みずき?」
みずき「ごめん、やっぱり今日は私練習パスするよ」
聖「は?」
みずき「加藤先生、ごめんなさい、後でサボってた分まで罰は受けますから、今日は……」
加藤「うーん……ま、分かったわ。覚悟しておきなさい」
みずき「ありがとうございます……友沢、みんな、ごめん。お先」
手塚「あれれ、一目散だ」
円谷「せっかく久しぶりに来たのに……」
聖「……本人がああ言ったんだ。明日からは問題なく来るだろう」
聖(それにしては、複雑な表情をしていたけれど)
加藤「……亮君、やっぱり今日の練習禁止」
友沢「えっ?!久しぶりだから特別に動いていいって……」
加藤「あぁ、えっと……野球の練習は、ってこと。監督としてウォーミングアップを命じます」
友沢「はぁ、まぁ、動けるならいいですけど……」
友沢「校門出て左に10分ってとこでしたっけ……アップにも物足りない気がしますけど」
加藤「また故障寸前まで行きたいのかしら?」
友沢「うっ……りょ、了解しました」
加藤「素直でよろしい。他のみんなも、しっかり準備運動とアフターケアを怠らないように!」
友沢出発後
聖「……加藤先生」
加藤「何かしら?」
聖「神社はランニングコース外のはずですけど、どうして友沢君に?」
加藤「……勘よ」
聖「は?」
加藤「六道さんにも、その内分かるわよ。ふふ」
聖「???」
みずき「……何でアンタがここに来るのよ。帰るにしても家は反対方向でしょ」
友沢「今日は軽いアップまでって言われたんだ。神社まで走って来いだと」
みずき「ふーん」
友沢「……お前こそ、どうしてここに居るんだ。お前の帰る方向だって逆だろう」
みずき「別に……なんとなく、よ」
友沢「……」
みずき「……」
「なぁ」「ねぇ」
友沢「……何だ?先に言えよ」
友沢「質問によるな」
みずき「アンタ、隠し事してない?こっちに来た理由、あれだけだと思えないんだけど」
友沢「……さすがに腐れ縁ってわけか」
みずき「不本意だけどね。その……家族のこととか、そこら辺について、何も言ってなかったし」
友沢「それは別に隠そうとは思わないし、かといってひけらかして同情を誘うつもりもない」
みずき「でも……」
友沢「……屋上でお前に転入の理由を話さなかったのは、お前が俺の家の事情をある程度察しているからだ。
他の部員に前もって話したりされたら、俺がやりづらくなるだけだしな」
みずき「そんなデリカシーの無い事しないわよ?!」
友沢「どうだか。お前、お節介だし」
友沢「……まぁ、バッサリと言うとだな。母さんの看病と弟たちの面倒見るのとバイトとの兼ね合い……」
みずき「はぁ?!アンタ、あれだけ私が言っておきながらまだバイト増やすつもりなの!?いい加減に……」
友沢「耳元で怒鳴るなよ!?しかも逆だ逆。バイトはこれから減らせるんだ」
みずき「そうなの?」
友沢「理香さん達の先生が『出世払いでいいデース』って言って、母さんの治療費とか俺の検査費用を負担してくれたんだよ。
おかげで無理にバイト増やしたりする必要も無くなったんだ」
みずき「うさんくさっ?!」
友沢「そう言いたくなる気持ちも分かるが、実際大助かりさ。母さんも京子さんの勤務してる近くの病院で診てもらえることになったんだ。
帝王だと電車を使わざるを得なかったけど、ここなら自転車で十分だし、翔太たちの学校も近い。
壊れる寸前だった体も、何とか持ち直させてくれたし、いいこと尽くめで怖いくらいだよ」
友沢「……まぁ、な。少なくとも、スライダーを試合で放ることはもう無いだろう」
みずき「……そっか……ごめん、嫌なことまた聞いちゃって」
友沢「……気にするな。これでも、自分の中では一応けじめをつけたつもりだし」
みずき「……」
友沢「……お前の質問には答えたんだから、今度はこっちの番だ」
みずき「……いいわよ」
友沢「どうして今日もサボった?最初は普通にやる気みたいだったが」
友沢「……分かった、約束する」
みずき「……そもそも最近何でサボってたか、アンタは分かるかしら?」
友沢「理香さんから少し聞いていたくらいだったから、理由までは」
みずき「……さっきもちょっと思ったんだけど、理香さんって名前呼びなのね」
友沢「?話に関係あるのか?」
みずき「……無いわね。続けましょう。私が練習をサボりがちになったのは……
先輩たちが部活に来なくなったから。間違いなくこれが理由ね」
みずき「そうね。年末までは来てくれてたんだけど」
友沢「なんだ、むしろよく来てくれてたくらいじゃないか」
みずき「うん。他の先輩達も、何人かはちょくちょく顔を見せてくれたわ。今でもたまに来る人は来るし」
友沢「ならそれで」
みずき「よくないのよ、私にとっては」
友沢「……先輩たちが現役だった頃がよかったというわけか」
みずき「……暇を見つけては遊ぶくせに、ヘッドスライディングだけ気合入れてたダメガネは嫌いじゃなかった。
みんなの人気者で、おどおどしてる雅先輩をからかうのが日課だった。
簡単そうに私のボールを受けるパワプロ先輩を尊敬してたし、ちょっとだけあの才能が妬ましかった。
パワプロ先輩とのキャッチボールを心底楽しそうにやってたあおい先輩が大好きだった。」
みずき「でも、分かりきってたことだけど、それは部のみんなが思ってることで……
私だけいつまでも甘ったれてるなんていうのも、おかしな話。だから、それはもう解決したの」
友沢「じゃあなんで今日は休むんだ?」
みずき「うー……アンタが原因っていうか、えっと」
友沢「俺?」
みずき「アンタは何も悪くないんだけどね。私が勝手に、色々考えてて……」
友沢「……」
みずき「アンタは私のこと意識したこと無かったかもしれないけど、私はアンタをずっと
ライバルだと思ってたっていうか……あぁっもう、恥ずっ!恥ずい!」
友沢「ふむ」
何か、その、変な気持ちになっちゃってさ。すごく辛くて、やるせなくて……
自分のことじゃないのに、何言ってんだろうね、私。わ、笑いたければ笑いなさいよ」
友沢「……まさか。笑ったりなんてしないさ。最初に約束したし」
みずき「うぅ、そういえばそうだったわ……」
友沢「……それから、俺もお前はライバルだと思ってるよ」
みずき「そう、なの?」
友沢「あぁ。お前の周りが凄過ぎて、俺のことなんてシニアで争っただけ、もう過去の人間扱いだろうと思ってた」
みずき「……あんだけ投げ合っておいて『だけ』とか過去の人だなんて思ってるわけ無いでしょうに……
今でも思い出すわよ……ほら、去年だって練習試合でさ……」
矢部(どんな状況でやんすかこれ)
矢部(神社の軒下にコツコツ貯めてきたエロ本を回収しようと思って来てみれば、
みずきちゃんとどこかで見たことのあるイケメンが楽しそうにお喋りしているでやんす。
明らかに不純異性交遊でやんす。不潔でやんす。爆発しろでやんす)
矢部(これはあえて空気を読まないで参上して、雰囲気をぶち壊してやるでやんす。
そしてみずきちゃんからゴミカスを見るような視線を受けてそれを今夜のオカズにするでやんす。
名づけてAKY721作戦でやんす。完璧でやんす!)
矢部「デュフフ……コポォでやんす……」
チョンチョン
矢部「なんでやんす?今取り込み中でやんす」クルッ
ゲドー君「」ギョギョー
矢部「」
友沢「それでその時山口先輩がさ……」
みずき「えー?!あの人そんな人だったんだ……意外」
加藤「コラコラ亮君!」
友沢「げ!理香さん?!すっ、すいません!サボりじゃなくて、ええと……」
加藤「その呼び方は診療中だけよ?全く、遅いから心配して来てみれば……青春真っ只中って所かしら?」
みずき「そ、そんなんじゃないですよ!」
加藤「……ま、いいわ。どうせ亮君用のメニューは明日から始めるわけだし」
加藤「ええ。体に出来るだけ負担をかけない特訓、っていう矛盾したオーダーで組むのは中々骨が折れたけどね」
友沢「う……すいません、ありがとうございます」
加藤「そ・こ・で!橘さん!」
みずき「はい?」
加藤「度重なる部活の無断欠席……いくら私が野球に関しては素人監督とはいえ、
到底見過ごせるものじゃないわ。このままじゃ、懸命に練習に励んでいる他の子達に示しが付きません」
みずき「うぅ……すいません、ごめんなさい」
加藤「謝って帳消しにならないのは分かっているでしょう?チームのエース格とはいえ、それ相応の罰を受けてもらいます」
みずき「はい……私に出来ることなら、何でも」
加藤「いい覚悟ね。非常によろしい。では、あなたには罰として……」
加藤「亮君のトレーニングパートナーを命じます!」
友沢「えっ」
加藤「亮君の要望に応えて、『通常練習後』『可能な限り長時間』の特別メニューを組んでおいたから、
亮君と一緒にこれを年度が変わるまでの間、きっちりみっちりしっぽりこなしなさい」
みずき「ええええええええ!?れ、練習後に長時間って、体を痛めつけるだけじゃないですか?!」
加藤「さっき言ったわよ?『体に出来るだけ負担をかけない特訓』って。
一見矛盾したオーダーでも、ダイジョーブ医学にかかればどうってことないわ。
それに、あなた達二人の経過を観察して、随時メニューは調整していくから安心しなさい」
友沢「まぁ、り……加藤先生が組んでくれるんだから、間違いは無いだろう。
理由はどうあれ、サボってたお前が悪いっていう面もあるし、あきらめろ」
加藤「あら、亮君と食べればいいじゃないの。ふ・た・り・で♪」
みずき「だっ、な、ななな」
友沢「……すまん、甘いのはそこまで得意じゃない」
みずき「何でそこでまともな反応なのよ?!」
加藤「これは監督命令です!……あ、首尾がよければ来年度の部のメニューに組み込む予定だから、
そこら辺もよろしくね。ある意味責任重大よ?」
みずき「もういやー!?」
※みずき 負け運
みずき「ふぇぇ……また増えてるぅ……」
友沢「元々俺のリハビリも兼ねてるんだ、メニューが段々きつくなるのは仕方ない」
みずき「そうはいっても今日のは増えすぎよ!ウェイトの時間が2倍近いじゃないの!?」
友沢「……ま、女のお前にはきびしーかもなー」(棒読み)
みずき「むぎぎぎぎぎ……しゃーどんとこいオラー?!」
友沢(相変わらず誘導しやすいなこいつ)
みずき「なんて言うと思った?!もうその手には乗せられないわよ!?」
友沢「ちっ」
みずき「舌打ち禁止!……あーもう!あんなにサボるんじゃなかったー!!」
友沢「自業自得、だな」
みずき「むきー!!」
みずき「誰がこんな奴と!」
友沢「……理香さん、こいつの言うとおり、実際今日のメニューは増えすぎな気がしないでもないんですけれど」
加藤「もう、名前で呼ぶのは二人の時……診察の時だけって言ってるじゃないの」
友沢「あ、すいませんつい……」
みずき「……」ビキビキ
加藤「うふふ……まぁともかく、確かにそろそろ根を上げる頃だとは思ってたわ。
最近の橘さんは基礎練習を疎かにしがちだから……まだパワプロ君たちが現役だった頃は、どんな練習も熱心だったんだけど」
みずき「……あおい先輩分が足りない……」
友沢「うわぁ……」
みずき「……冗談よ。真に受けないでよね」
これなら基礎練習よりはモチベーションが上がるんじゃない?そうね、例えば……スライダー系のボールとか」
みずき「!」
友沢「!」
加藤「亮君にも手伝ってもらいなさい。彼のスライダーは、間違いなくプロレベルだった。
きっと良いアドバイスをしてくれるはずよ。勿論、亮君には投げさせないけど」
みずき「ちょっと待って下さい!それだと友沢が……」
加藤「……もう亮君は、野手として第二の野球人生を始めたと言っても過言じゃない。
でもこの程度でうじうじする様なら、プロになんてなれないでしょうし、なったとしても活躍は厳しいでしょう。
投手としての自分を冷静に振り返ることが出来るかどうか、それが一つの分岐点だと私は考えるわ。どうかしら、亮君?」
友沢「……」
みずき「友沢……」
加藤「……ええ、いいわ」
友沢「……ちょっと走ってきます。すぐ戻るんで……あぁ、橘は休んでてくれ」
みずき「ちょっ、待ちなさ……加藤先生、私も!」
加藤「はいはい、どうぞいってらっしゃい」
みずき「ついでにウェイト免除で!」
加藤「それは却下ね」
みずき「あう」
※みずき 寸前×
神社
みずき「はぁ、はぁ……やっぱりここよね……はぁ」
友沢「橘……」
みずき「やっぱジョグで流せばよかった……はぁ、はぁ、とんだピエロだわ……」
友沢「どうして、ここだと?」
みずき「……簡単よ。アンタが野球馬鹿だから」
友沢「……何だそりゃ」
みずき「この神社、どうしてかは知らないけどみんな練習場にしてるのよね。
パワプロ先輩も、あおい先輩も、雅先輩も、手塚も円谷も聖も……
もちろん私もね。ほら、野球馬鹿ばっかり。だからアンタもここに来るって寸法よ」
友沢「……」
みずき「まぁ、実際当てずっぽうって言えばそうなんだけどさ。私の目に狂いが無かったってことね」
みずき「……誰でもそんな気分になる時はあるんじゃないかしら」
友沢「この前『けじめはつけた』とか言ったのにこのザマは無いだろう」
みずき「私はそうは思わないわ。逆に、平気な顔して『分かりました、さぁスライダーの特訓だ』
とか言われてたら、アンタのことぶん殴ってたかも」
友沢「む……」
みずき「……アンタがピッチャーやってる姿、私はよく覚えてるわ。
いつも強気でグイグイ攻めてて……変な言い方だけど、ちょっと癪に障るような、
憎たらしいアンタらしくて、でも気持ちがボールに乗ってて、清々しかった。
こいつは本当に楽しくて投げてるって、そんな風に見えて、嫌いじゃなかったの」
友沢「……お前」
みずき「あんなに全力で投げてたアンタが、そう簡単にピッチャーをあきらめられるわけ無い。
その証拠に、気持ちの整理をもう一度したいから、アンタはここに来た。違う?」
友沢「………………違わない、な」
友沢「ふ……何でもお前に見通されてるみたいで、ちょっとむかつくが」
みずき「気にしてやってる分だけ感謝しなさいよ、全く」
友沢「はは、そうかもな……お前の言う通り、俺、ピッチャーやってるのは好きだったよ。
それなりに自信もあったし、この腕一本で家族を食わせていくんだって思ってた。
それがもう投げられないなんて、悪い冗談だと思いたかったさ。
野球が続けられるって分かった後も、自分がピッチャーだった時のことを、
何とか忘れようとするばっかりで、ちゃんと向き合おうとしなかった」
みずき「……まだ逃げる?」
友沢「まさか。里香さんの言う通り、ここで立ち止まってたらプロでやっていけるわけが無い。
それに、今の俺にはパートナーがいるんだ。そいつには貸しを作ったり、
迷惑かけたくない。なんてったって、後が怖そうだからな」
みずき「よく言うわよ」
友沢「……俺のピッチング、褒めてくれてありがとうな」ニコッ
みずき「?!べ、別に褒めてなんかないし!?嫌いじゃないってだけで……あ、アンタのことも別に」
友沢「は?なんでそういう話になるんだ?」
みずき「ぐっ……な、なんでもないわ!ふん!」
友沢「???」
友沢(復活) 弾道3 ABBABC AH PH サブポジ○ ポーカーフェイス
またまた数日後、スライダーの特訓中……
みずき「えいっ」ククッ
スコーン
みずき「ふぅ……少しは様になってきたかしら」
友沢「そうだな、そろそろ本格的に実戦に近い練習をしてもいいんじゃないか。
次からは聖に残ってもらって、ボールを受けてもらおう」
みずき「……アンタ、いつから聖のこと呼び捨てにしてるの」
友沢「え?いや、昨日話してたら『名前で良い』って本人がな。
……それがどうかしたか、橘?」
みずき「……ふーーーんだ。何でもありませんよー……えい」クッ
スコーン
みずき「えっ、ちょっ……」
友沢「前も言ったと思うけどお前は腕の振りが甘いんだよ。もっとこう手首まで使って……」
みずき「う、うん……」
みずき(近い近い近い!?)
友沢「……あれ、もしかしてサイドだからもっと重心低い方がいいのか……?
腰をもっとこうして……いやでもこれだとちょっと負担が……」
みずき「……ッ!……ッ!」
みずき(真剣過ぎて何も言えないじゃない……!えっち!スケベ!!変態!!!)
※みずき 低め○
……いつもこんな感じなら、少しは可愛げが出るだろうに)
友沢(……首、白くて細いな……ていうか、体全体細いんだな、やっぱり女の子か)
友沢(……せっけんの良い匂い……)
友沢(……あ)
友沢「ま、まぁこんな感じのフォームでいいんじゃないか!うん」パッ
みずき「えっ?!あ、ああ。うん、分かったわ。さ、サンキュー」
友沢「お、おう」
みずき「こほん……気を取り直して……えいっ!」グググッ
スコーン
友沢「?!」
みずき「……凄い変化したわね今」
※みずき スライダー系オリジナル変化球取得 クロスファイヤー取得
友沢 弾道が上がった! ポーカーフェイス消去
帰り道
みずき「疲れたー!!」
友沢「お疲れ」
みずき「今日は大収穫ね。あんなに曲がるスライダーをマスターするなんて、さすが私」
友沢「確かにあれには驚いたな」
みずき「……でも投げ過ぎでかなり疲れちゃった。早いとこ帰って休もうっと」
友沢「迎えでも頼んだらどうだ?」
みずき「……それだとアンタが一人になっちゃうじゃないの」
友沢「……もしかして、今までそれで律儀に一緒に帰ってくれてたのか、お前」
みずき「ふん。感謝しなさいよね」
友沢「何故無駄に偉そうなんだ……」
友沢「二人乗りは危険だろ、もう真っ暗だし」
みずき「男がそんな細かいこと気にしないの!」
友沢「あっ!コラ!俺も疲れてるんだからそんないきなり……うおっ!!」フラフラ
みずき「あはははは!楽しいわねこれ!」
友沢「……ったく……バランスとるの難しいんだから、しっかりつかまってろ」
みずき「私みたいな美少女に抱きつかれてる気分はどうかしら?」
友沢「言ってろ」
みずき「ふふふ」
※みずき 積極打法 積極走塁
みずき「……いきなり何よ、かしこまっちゃって」
友沢「こっちに来てから、お前に助けられてばっかりだなと思ってさ」
みずき「……私が好きでやってるんだからいいの。アンタとの特別メニューも、
なんだかんだで結構楽しいし、練習不足も解消出来たし。結果オーライってやつよ」
友沢「……そういうもんか」
みずき「……」
友沢「……」
みずき「……ねぇ」
友沢「あっ!」キキー
みずき「わぷ?!……いったぁ……ちょっと!止まるなら合図とか……」
友沢「す、すまん……でも、ほら!上見てみろ!」
みずき「はぁ?……あっ!!流れ星!」
壁が足りん
みずき「迎えを頼んでたら見られなかったわね、これは。正に結果オーライだわ」
友沢「珍しいこともあるもんだ……」
みずき「……流れ星……!そうだ!」
友沢「どうした?」
みずき「今日のすっごい曲がるスライダーの名前が決まったわ」
友沢「は?いや名前ってお前子供じゃないんだから」
みずき「名付けて『シューティングスター』よ!」
友沢「……中二?」
みずき「うるさい!」
特訓の成果によりみずきと友沢がパワーアップしました
みずき A(85) C(65) 140km クレッセントムーン5 スクリュー3 シューティングスター4 負け運 対ピンチ2 ケガしにくさ5 タイムリーエラー 寸前× ムラッ気 低め○ ノビ4 キレ4 クロスファイヤー
人気者 積極打法 積極走塁
友沢 弾道4 AABABB ケガしにくさ4 AH PH 送球○ サブポジ○
(二人とも厨キャラじゃ)いかんのか?
その後みずきちゃんと友沢の仲が進展したりしなかったり
ゲドー君に連れ去られた矢部君がシーズン前半だけ超強化されたりされなかったり
パワプロ君が新人(笑)として大正義化したり
恋々が甲子園優勝したりしなかったり
とりあえず終わりです
読んでくれた人ありがとー
厨キャラ最高や!!
女性でこの能力は恐ろしすぎる…
面白かった
気が向いたらまた書いてくれ~
乙
Entry ⇒ 2012.09.22 | Category ⇒ 版権物SS | Comments (2) | Trackbacks (0)
#
練習後
聖「おい、この後はミーティングが……」
バタン
聖「……はぁ」
円谷「えーっと……ドンマイ?」
手塚「橘の奴……大丈夫かなぁ」
聖「まだ大会には時間があるが……このままではな」
円谷「去年の夏は帝王とあかつきが潰し合ってくれたからよかったけどねー」
手塚「組み合わせ次第じゃ両方と戦わないといけない……ウチの地区は何かおかしい」
聖「文句を言っても始まらん。とにかく、手塚とみずきの両看板が仕上がらないことには、万全とは言えん」
手塚 B(70) B(75) 146km スライダー3 カーブ3 フォーク2 安定感4
みずき A(85) C(60) 139km オリジナル5 スクリュー3 対ピンチ2 ケガしにくさ4 タイムリーエラー ムラッ気 人気者
こんな感じ
大正義恋々高校^p^
聖「加藤先生……すいません、私がもっとしっかりしていれば」
円谷「そういうことは言わないの!」
手塚「そうそう、橘のことはチーム全体で考えていこう。先輩達が抜けて何か物足りないのは、みんな一緒なんだから」
聖「お前達……すまない」
加藤「ふふふ、どうやら心配することはなさそうね。近い内に『彼』もやってくるし……」
聖「『彼』?何のことですか?」
加藤「すぐに分かるわよ。さて、ミーティングを始めましょう?」
「「「???」」」
※円谷・手塚 チームプレイ○
円谷 CDBCBB 弾道2 送球○ 盗塁4 走塁4 守備職人 サブポジ○ チームプレイ○
くらい。大正義恋々ry
数日後 教室
みずき(最近練習出来てないなぁ。自分でサボってるんだから当たり前だけど)
みずき「……先輩達が部に居た頃は、毎日毎日楽しかったのに……」
キーンコーンカーンコーン
みずき(……いっそ授業もサボっちゃおうかしら)
教師「えー、HRを始める前に連絡がある」
みずき(あーあ、ほんとに何か面白いことでも起きないかなぁ)
教師「今日からこのクラスに転校生がやって来る。みんな仲良くな」
みずき(転校生ねぇ。私が漫画の主人公なら、ここで『あー!!?』とか言って立ち上がったりするんだろうな。ま、あり得ないけど)
教師「君、さっそく自己紹介を」
??「はい」
みずき「あー!!?」ガタッガタン
教師「どうした橘?」
??「……」
みずき「アンタ……友沢!?」
友沢「……漫画のキャラか、お前は」
教師「野球部に入部希望らしいし、ちょうど席も空いてるから橘の隣な」
みずき「な゛ー?!」
みずき「……ちょっと」
友沢「何だ」
みずき「屋上まで着いてきなさい」
友沢「……やれやれ」
クラスメートA「あれ、告白か何か?」ヒソヒソ
クラスメートB「何かただならぬ関係みたいだしな、朝の反応的に」ヒソヒソ
クラスメートC「勝気な美少女とクールっぽいイケメン……YESだね!」ヒソヒソ
クラスメートD「小生のみずきタソを返せー!」
友沢「……周りの反応はどうにかならんのか」
みずき「……あきらめなさい。私は慣れた」
※みずき・友沢 精神ポイントが下がった……
友沢「……で?」
みずき「で?じゃないわよ!何でアンタが転校してくるわけ?!」
友沢「……」
みずき「……だんまりとはね。カッコつけてるつもりかしら」
友沢「……そう受け取ったなら、それでもいい」
みずき「ふん、そういうすかした態度が気に食わないのよ」
友沢「勝手に言ってろ」
みずき「……でも、本当にどういうこと?帝王のアンタがライバル校に転校して、当然のように野球部志望だなんて」
みずき「何よ?」
友沢「お前、最近サボっているらしいが、今日は来い」
みずき「なっ……よ、余計なお世話よ!ていうか何でアンタがそのことを知ってるワケ?!」
友沢「……本当にサボってたのか。意外だな」
みずき「……色々あんのよ、乙女にはね」
友沢「乙女ね……ま、俺がここに居る理由も含めて、部活に顔を出せば分かると思うぞ。じゃあな」
みずき「むむ……わけわかんない……」
みずき(なんだか友沢に説得されたみたいで癪だけど、結局大会には出たいし勝ちたいのは間違いないのよね)
みずき「サボりも潮時、か。先輩達が居なくて物足りないのは変わんないけど」
聖「それでも練習に顔を出さないよりはずっとマシだな」
みずき「聖……その、ごめんなさい」
聖「いいさ」
手塚「先輩達が居なくなってつまんないっていうのはみんな一緒さ」
円谷「でもそこは俺達自身で、これから何とかしていこうぜ」
みずき「あんた達まで……うん。それもそうね。いつまでも後ろ向いてても始まらないわ」
※みずき サボりぐせ 解消
友沢「……」
加藤「すでに知っている人も多いと思うけど、今日から野球部に新たな仲間が加わります」
部員A「あれって帝王の……」
部員B「だよなぁ」
加藤「さすがの知名度ってところかしらね……亮君、改めて自己紹介を」
友沢「今日から入部する友沢亮です。ポジションはショート」
みずき「は?!」
友沢「よろしくお願い……」
みずき「待ちなさい!何でアンタがピッチャー希望じゃないのよ?!」
友沢「……」
加藤「それについては私から言わせて貰うわ。そこら辺は、彼がウチの高校に来た理由でもあるから」
聖「というと?」
加藤「……数ヶ月前、妹から相談を持ちかけられたの。『ある優秀な野球少年』の体について、ね」
友沢「……」
手塚「確か監督の妹さんって……」
円谷「近くの総合病院の看護婦さんでしたっけ」
加藤「そう。妹……京子と私は同じ先生の元でスポーツ医学を学んでいたのだけれど、得意分野が少し違うの」
聖「なるほど。その『ある優秀な野球少年』の検査を妹さんから頼まれた、ということですか」
加藤「そういうこと。まぁ、私達の先生にお願いしてもよかったんだけど、多少過激なことも辞さない性格の人で……
まぁそれは置いておきましょう。最終的に施設だけ借りて、私が精密検査を行ったわけ」
みずき「……検査の結果は?」
加藤「限りなく黒に近いグレー、という所ね。少なくとも、医学を志す者として看過出来るような状態では無かったわ。
その子が身を置いている環境が、過酷な練習と熾烈な競争を是とする帝王野球部だからこそ、
尚のこと放っておくことが出来なかった。それ程に稀有な才能の持ち主なのよ」
聖「つまり、その野球少年というのは」
友沢「……特に肘がボロボロでな。決め球のスライダーが、もうまともに投げられないらしい」
みずき「……アンタ、ってわけね……」
加藤「現状の帝王の練習及びシステムだと、どうしても亮君の選手生命に危険が及んでしまう。
そこで私は、帝王の監督や私の先生、そして亮君本人と、何度も話し合った末に、彼の転入を提案したの。
ウチなら設備の整った総合病院にも近いし、メニューの調整なんかも柔軟に対応出来るからね」
円谷「……よく帝王側も本人も納得しましたね。悪い言い方だけど、戦力の引き抜きみたいなもんだし」
手塚「練習環境が変わるのもリスクだと思うんですけど」
友沢「……実際そこら辺は悩んだけど、プロ入りする前に体を壊しちゃ人生計画がパーだからな」
聖「ビッグマウスはほどほどにな……と言うべきところだが、友沢ならまぁ間違いなくプロからオファーが来るだろうな」
加藤「現3年のパワプロ君や早川さん、あかつきの猪狩君、帝王の山口君に引けを取らない注目度であるのは間違いないわ。
そこら辺も考慮しているからこそ、帝王の監督もこちらの提案を受け入れてくれたのよ。
『戦力的に大きな打撃にはなるが、野球界の為と思えば致し方ない』ってね。『覚悟するように』っても言われたけれど」
手塚「『覚悟しておくように』って……当たったらラフプレーとかしてきたり?」
友沢「ラフプレーはさすがに無いだろうが、執拗にマークされるのは間違いないだろうな。
お前たちには正直申し訳ないと思うけれど、その分実際のプレーで貢献していくつもりだ」
聖「ふむ……ショート希望ということなら、ちょうど不足していたポジションだし、
戦力的には大幅なパワーアップということになりそうだな。問題は体の方だが……」
友沢「転入手続きのゴタゴタの間に体は休ませておいた。加藤先生からの指導は勿論、
京子さんにもリハビリの面倒を見てもらったから、今すぐにでも動きたい所さ。
……しかし意外だな。守備に定評のある恋々でショートが不足だなんて」
円谷「これでようやく本職セカンドに戻れそうだなぁ。正直助かるよ、俺一人だったし」
友沢「……一人?しかもサブポジション?何かの間違いじゃないのかそれ」
手塚「しょーがないんだよね、そこら辺の事情は」
聖「……聖域(JK)」
友沢「……?」
聖「……みずき?」
みずき「ごめん、やっぱり今日は私練習パスするよ」
聖「は?」
みずき「加藤先生、ごめんなさい、後でサボってた分まで罰は受けますから、今日は……」
加藤「うーん……ま、分かったわ。覚悟しておきなさい」
みずき「ありがとうございます……友沢、みんな、ごめん。お先」
手塚「あれれ、一目散だ」
円谷「せっかく久しぶりに来たのに……」
聖「……本人がああ言ったんだ。明日からは問題なく来るだろう」
聖(それにしては、複雑な表情をしていたけれど)
加藤「……亮君、やっぱり今日の練習禁止」
友沢「えっ?!久しぶりだから特別に動いていいって……」
加藤「あぁ、えっと……野球の練習は、ってこと。監督としてウォーミングアップを命じます」
友沢「はぁ、まぁ、動けるならいいですけど……」
友沢「校門出て左に10分ってとこでしたっけ……アップにも物足りない気がしますけど」
加藤「また故障寸前まで行きたいのかしら?」
友沢「うっ……りょ、了解しました」
加藤「素直でよろしい。他のみんなも、しっかり準備運動とアフターケアを怠らないように!」
友沢出発後
聖「……加藤先生」
加藤「何かしら?」
聖「神社はランニングコース外のはずですけど、どうして友沢君に?」
加藤「……勘よ」
聖「は?」
加藤「六道さんにも、その内分かるわよ。ふふ」
聖「???」
みずき「……何でアンタがここに来るのよ。帰るにしても家は反対方向でしょ」
友沢「今日は軽いアップまでって言われたんだ。神社まで走って来いだと」
みずき「ふーん」
友沢「……お前こそ、どうしてここに居るんだ。お前の帰る方向だって逆だろう」
みずき「別に……なんとなく、よ」
友沢「……」
みずき「……」
「なぁ」「ねぇ」
友沢「……何だ?先に言えよ」
友沢「質問によるな」
みずき「アンタ、隠し事してない?こっちに来た理由、あれだけだと思えないんだけど」
友沢「……さすがに腐れ縁ってわけか」
みずき「不本意だけどね。その……家族のこととか、そこら辺について、何も言ってなかったし」
友沢「それは別に隠そうとは思わないし、かといってひけらかして同情を誘うつもりもない」
みずき「でも……」
友沢「……屋上でお前に転入の理由を話さなかったのは、お前が俺の家の事情をある程度察しているからだ。
他の部員に前もって話したりされたら、俺がやりづらくなるだけだしな」
みずき「そんなデリカシーの無い事しないわよ?!」
友沢「どうだか。お前、お節介だし」
友沢「……まぁ、バッサリと言うとだな。母さんの看病と弟たちの面倒見るのとバイトとの兼ね合い……」
みずき「はぁ?!アンタ、あれだけ私が言っておきながらまだバイト増やすつもりなの!?いい加減に……」
友沢「耳元で怒鳴るなよ!?しかも逆だ逆。バイトはこれから減らせるんだ」
みずき「そうなの?」
友沢「理香さん達の先生が『出世払いでいいデース』って言って、母さんの治療費とか俺の検査費用を負担してくれたんだよ。
おかげで無理にバイト増やしたりする必要も無くなったんだ」
みずき「うさんくさっ?!」
友沢「そう言いたくなる気持ちも分かるが、実際大助かりさ。母さんも京子さんの勤務してる近くの病院で診てもらえることになったんだ。
帝王だと電車を使わざるを得なかったけど、ここなら自転車で十分だし、翔太たちの学校も近い。
壊れる寸前だった体も、何とか持ち直させてくれたし、いいこと尽くめで怖いくらいだよ」
友沢「……まぁ、な。少なくとも、スライダーを試合で放ることはもう無いだろう」
みずき「……そっか……ごめん、嫌なことまた聞いちゃって」
友沢「……気にするな。これでも、自分の中では一応けじめをつけたつもりだし」
みずき「……」
友沢「……お前の質問には答えたんだから、今度はこっちの番だ」
みずき「……いいわよ」
友沢「どうして今日もサボった?最初は普通にやる気みたいだったが」
友沢「……分かった、約束する」
みずき「……そもそも最近何でサボってたか、アンタは分かるかしら?」
友沢「理香さんから少し聞いていたくらいだったから、理由までは」
みずき「……さっきもちょっと思ったんだけど、理香さんって名前呼びなのね」
友沢「?話に関係あるのか?」
みずき「……無いわね。続けましょう。私が練習をサボりがちになったのは……
先輩たちが部活に来なくなったから。間違いなくこれが理由ね」
みずき「そうね。年末までは来てくれてたんだけど」
友沢「なんだ、むしろよく来てくれてたくらいじゃないか」
みずき「うん。他の先輩達も、何人かはちょくちょく顔を見せてくれたわ。今でもたまに来る人は来るし」
友沢「ならそれで」
みずき「よくないのよ、私にとっては」
友沢「……先輩たちが現役だった頃がよかったというわけか」
みずき「……暇を見つけては遊ぶくせに、ヘッドスライディングだけ気合入れてたダメガネは嫌いじゃなかった。
みんなの人気者で、おどおどしてる雅先輩をからかうのが日課だった。
簡単そうに私のボールを受けるパワプロ先輩を尊敬してたし、ちょっとだけあの才能が妬ましかった。
パワプロ先輩とのキャッチボールを心底楽しそうにやってたあおい先輩が大好きだった。」
みずき「でも、分かりきってたことだけど、それは部のみんなが思ってることで……
私だけいつまでも甘ったれてるなんていうのも、おかしな話。だから、それはもう解決したの」
友沢「じゃあなんで今日は休むんだ?」
みずき「うー……アンタが原因っていうか、えっと」
友沢「俺?」
みずき「アンタは何も悪くないんだけどね。私が勝手に、色々考えてて……」
友沢「……」
みずき「アンタは私のこと意識したこと無かったかもしれないけど、私はアンタをずっと
ライバルだと思ってたっていうか……あぁっもう、恥ずっ!恥ずい!」
友沢「ふむ」
何か、その、変な気持ちになっちゃってさ。すごく辛くて、やるせなくて……
自分のことじゃないのに、何言ってんだろうね、私。わ、笑いたければ笑いなさいよ」
友沢「……まさか。笑ったりなんてしないさ。最初に約束したし」
みずき「うぅ、そういえばそうだったわ……」
友沢「……それから、俺もお前はライバルだと思ってるよ」
みずき「そう、なの?」
友沢「あぁ。お前の周りが凄過ぎて、俺のことなんてシニアで争っただけ、もう過去の人間扱いだろうと思ってた」
みずき「……あんだけ投げ合っておいて『だけ』とか過去の人だなんて思ってるわけ無いでしょうに……
今でも思い出すわよ……ほら、去年だって練習試合でさ……」
矢部(どんな状況でやんすかこれ)
矢部(神社の軒下にコツコツ貯めてきたエロ本を回収しようと思って来てみれば、
みずきちゃんとどこかで見たことのあるイケメンが楽しそうにお喋りしているでやんす。
明らかに不純異性交遊でやんす。不潔でやんす。爆発しろでやんす)
矢部(これはあえて空気を読まないで参上して、雰囲気をぶち壊してやるでやんす。
そしてみずきちゃんからゴミカスを見るような視線を受けてそれを今夜のオカズにするでやんす。
名づけてAKY721作戦でやんす。完璧でやんす!)
矢部「デュフフ……コポォでやんす……」
チョンチョン
矢部「なんでやんす?今取り込み中でやんす」クルッ
ゲドー君「」ギョギョー
矢部「」
友沢「それでその時山口先輩がさ……」
みずき「えー?!あの人そんな人だったんだ……意外」
加藤「コラコラ亮君!」
友沢「げ!理香さん?!すっ、すいません!サボりじゃなくて、ええと……」
加藤「その呼び方は診療中だけよ?全く、遅いから心配して来てみれば……青春真っ只中って所かしら?」
みずき「そ、そんなんじゃないですよ!」
加藤「……ま、いいわ。どうせ亮君用のメニューは明日から始めるわけだし」
加藤「ええ。体に出来るだけ負担をかけない特訓、っていう矛盾したオーダーで組むのは中々骨が折れたけどね」
友沢「う……すいません、ありがとうございます」
加藤「そ・こ・で!橘さん!」
みずき「はい?」
加藤「度重なる部活の無断欠席……いくら私が野球に関しては素人監督とはいえ、
到底見過ごせるものじゃないわ。このままじゃ、懸命に練習に励んでいる他の子達に示しが付きません」
みずき「うぅ……すいません、ごめんなさい」
加藤「謝って帳消しにならないのは分かっているでしょう?チームのエース格とはいえ、それ相応の罰を受けてもらいます」
みずき「はい……私に出来ることなら、何でも」
加藤「いい覚悟ね。非常によろしい。では、あなたには罰として……」
加藤「亮君のトレーニングパートナーを命じます!」
友沢「えっ」
加藤「亮君の要望に応えて、『通常練習後』『可能な限り長時間』の特別メニューを組んでおいたから、
亮君と一緒にこれを年度が変わるまでの間、きっちりみっちりしっぽりこなしなさい」
みずき「ええええええええ!?れ、練習後に長時間って、体を痛めつけるだけじゃないですか?!」
加藤「さっき言ったわよ?『体に出来るだけ負担をかけない特訓』って。
一見矛盾したオーダーでも、ダイジョーブ医学にかかればどうってことないわ。
それに、あなた達二人の経過を観察して、随時メニューは調整していくから安心しなさい」
友沢「まぁ、り……加藤先生が組んでくれるんだから、間違いは無いだろう。
理由はどうあれ、サボってたお前が悪いっていう面もあるし、あきらめろ」
加藤「あら、亮君と食べればいいじゃないの。ふ・た・り・で♪」
みずき「だっ、な、ななな」
友沢「……すまん、甘いのはそこまで得意じゃない」
みずき「何でそこでまともな反応なのよ?!」
加藤「これは監督命令です!……あ、首尾がよければ来年度の部のメニューに組み込む予定だから、
そこら辺もよろしくね。ある意味責任重大よ?」
みずき「もういやー!?」
※みずき 負け運
みずき「ふぇぇ……また増えてるぅ……」
友沢「元々俺のリハビリも兼ねてるんだ、メニューが段々きつくなるのは仕方ない」
みずき「そうはいっても今日のは増えすぎよ!ウェイトの時間が2倍近いじゃないの!?」
友沢「……ま、女のお前にはきびしーかもなー」(棒読み)
みずき「むぎぎぎぎぎ……しゃーどんとこいオラー?!」
友沢(相変わらず誘導しやすいなこいつ)
みずき「なんて言うと思った?!もうその手には乗せられないわよ!?」
友沢「ちっ」
みずき「舌打ち禁止!……あーもう!あんなにサボるんじゃなかったー!!」
友沢「自業自得、だな」
みずき「むきー!!」
みずき「誰がこんな奴と!」
友沢「……理香さん、こいつの言うとおり、実際今日のメニューは増えすぎな気がしないでもないんですけれど」
加藤「もう、名前で呼ぶのは二人の時……診察の時だけって言ってるじゃないの」
友沢「あ、すいませんつい……」
みずき「……」ビキビキ
加藤「うふふ……まぁともかく、確かにそろそろ根を上げる頃だとは思ってたわ。
最近の橘さんは基礎練習を疎かにしがちだから……まだパワプロ君たちが現役だった頃は、どんな練習も熱心だったんだけど」
みずき「……あおい先輩分が足りない……」
友沢「うわぁ……」
みずき「……冗談よ。真に受けないでよね」
これなら基礎練習よりはモチベーションが上がるんじゃない?そうね、例えば……スライダー系のボールとか」
みずき「!」
友沢「!」
加藤「亮君にも手伝ってもらいなさい。彼のスライダーは、間違いなくプロレベルだった。
きっと良いアドバイスをしてくれるはずよ。勿論、亮君には投げさせないけど」
みずき「ちょっと待って下さい!それだと友沢が……」
加藤「……もう亮君は、野手として第二の野球人生を始めたと言っても過言じゃない。
でもこの程度でうじうじする様なら、プロになんてなれないでしょうし、なったとしても活躍は厳しいでしょう。
投手としての自分を冷静に振り返ることが出来るかどうか、それが一つの分岐点だと私は考えるわ。どうかしら、亮君?」
友沢「……」
みずき「友沢……」
加藤「……ええ、いいわ」
友沢「……ちょっと走ってきます。すぐ戻るんで……あぁ、橘は休んでてくれ」
みずき「ちょっ、待ちなさ……加藤先生、私も!」
加藤「はいはい、どうぞいってらっしゃい」
みずき「ついでにウェイト免除で!」
加藤「それは却下ね」
みずき「あう」
※みずき 寸前×
神社
みずき「はぁ、はぁ……やっぱりここよね……はぁ」
友沢「橘……」
みずき「やっぱジョグで流せばよかった……はぁ、はぁ、とんだピエロだわ……」
友沢「どうして、ここだと?」
みずき「……簡単よ。アンタが野球馬鹿だから」
友沢「……何だそりゃ」
みずき「この神社、どうしてかは知らないけどみんな練習場にしてるのよね。
パワプロ先輩も、あおい先輩も、雅先輩も、手塚も円谷も聖も……
もちろん私もね。ほら、野球馬鹿ばっかり。だからアンタもここに来るって寸法よ」
友沢「……」
みずき「まぁ、実際当てずっぽうって言えばそうなんだけどさ。私の目に狂いが無かったってことね」
みずき「……誰でもそんな気分になる時はあるんじゃないかしら」
友沢「この前『けじめはつけた』とか言ったのにこのザマは無いだろう」
みずき「私はそうは思わないわ。逆に、平気な顔して『分かりました、さぁスライダーの特訓だ』
とか言われてたら、アンタのことぶん殴ってたかも」
友沢「む……」
みずき「……アンタがピッチャーやってる姿、私はよく覚えてるわ。
いつも強気でグイグイ攻めてて……変な言い方だけど、ちょっと癪に障るような、
憎たらしいアンタらしくて、でも気持ちがボールに乗ってて、清々しかった。
こいつは本当に楽しくて投げてるって、そんな風に見えて、嫌いじゃなかったの」
友沢「……お前」
みずき「あんなに全力で投げてたアンタが、そう簡単にピッチャーをあきらめられるわけ無い。
その証拠に、気持ちの整理をもう一度したいから、アンタはここに来た。違う?」
友沢「………………違わない、な」
友沢「ふ……何でもお前に見通されてるみたいで、ちょっとむかつくが」
みずき「気にしてやってる分だけ感謝しなさいよ、全く」
友沢「はは、そうかもな……お前の言う通り、俺、ピッチャーやってるのは好きだったよ。
それなりに自信もあったし、この腕一本で家族を食わせていくんだって思ってた。
それがもう投げられないなんて、悪い冗談だと思いたかったさ。
野球が続けられるって分かった後も、自分がピッチャーだった時のことを、
何とか忘れようとするばっかりで、ちゃんと向き合おうとしなかった」
みずき「……まだ逃げる?」
友沢「まさか。里香さんの言う通り、ここで立ち止まってたらプロでやっていけるわけが無い。
それに、今の俺にはパートナーがいるんだ。そいつには貸しを作ったり、
迷惑かけたくない。なんてったって、後が怖そうだからな」
みずき「よく言うわよ」
友沢「……俺のピッチング、褒めてくれてありがとうな」ニコッ
みずき「?!べ、別に褒めてなんかないし!?嫌いじゃないってだけで……あ、アンタのことも別に」
友沢「は?なんでそういう話になるんだ?」
みずき「ぐっ……な、なんでもないわ!ふん!」
友沢「???」
友沢(復活) 弾道3 ABBABC AH PH サブポジ○ ポーカーフェイス
またまた数日後、スライダーの特訓中……
みずき「えいっ」ククッ
スコーン
みずき「ふぅ……少しは様になってきたかしら」
友沢「そうだな、そろそろ本格的に実戦に近い練習をしてもいいんじゃないか。
次からは聖に残ってもらって、ボールを受けてもらおう」
みずき「……アンタ、いつから聖のこと呼び捨てにしてるの」
友沢「え?いや、昨日話してたら『名前で良い』って本人がな。
……それがどうかしたか、橘?」
みずき「……ふーーーんだ。何でもありませんよー……えい」クッ
スコーン
みずき「えっ、ちょっ……」
友沢「前も言ったと思うけどお前は腕の振りが甘いんだよ。もっとこう手首まで使って……」
みずき「う、うん……」
みずき(近い近い近い!?)
友沢「……あれ、もしかしてサイドだからもっと重心低い方がいいのか……?
腰をもっとこうして……いやでもこれだとちょっと負担が……」
みずき「……ッ!……ッ!」
みずき(真剣過ぎて何も言えないじゃない……!えっち!スケベ!!変態!!!)
※みずき 低め○
……いつもこんな感じなら、少しは可愛げが出るだろうに)
友沢(……首、白くて細いな……ていうか、体全体細いんだな、やっぱり女の子か)
友沢(……せっけんの良い匂い……)
友沢(……あ)
友沢「ま、まぁこんな感じのフォームでいいんじゃないか!うん」パッ
みずき「えっ?!あ、ああ。うん、分かったわ。さ、サンキュー」
友沢「お、おう」
みずき「こほん……気を取り直して……えいっ!」グググッ
スコーン
友沢「?!」
みずき「……凄い変化したわね今」
※みずき スライダー系オリジナル変化球取得 クロスファイヤー取得
友沢 弾道が上がった! ポーカーフェイス消去
帰り道
みずき「疲れたー!!」
友沢「お疲れ」
みずき「今日は大収穫ね。あんなに曲がるスライダーをマスターするなんて、さすが私」
友沢「確かにあれには驚いたな」
みずき「……でも投げ過ぎでかなり疲れちゃった。早いとこ帰って休もうっと」
友沢「迎えでも頼んだらどうだ?」
みずき「……それだとアンタが一人になっちゃうじゃないの」
友沢「……もしかして、今までそれで律儀に一緒に帰ってくれてたのか、お前」
みずき「ふん。感謝しなさいよね」
友沢「何故無駄に偉そうなんだ……」
友沢「二人乗りは危険だろ、もう真っ暗だし」
みずき「男がそんな細かいこと気にしないの!」
友沢「あっ!コラ!俺も疲れてるんだからそんないきなり……うおっ!!」フラフラ
みずき「あはははは!楽しいわねこれ!」
友沢「……ったく……バランスとるの難しいんだから、しっかりつかまってろ」
みずき「私みたいな美少女に抱きつかれてる気分はどうかしら?」
友沢「言ってろ」
みずき「ふふふ」
※みずき 積極打法 積極走塁
みずき「……いきなり何よ、かしこまっちゃって」
友沢「こっちに来てから、お前に助けられてばっかりだなと思ってさ」
みずき「……私が好きでやってるんだからいいの。アンタとの特別メニューも、
なんだかんだで結構楽しいし、練習不足も解消出来たし。結果オーライってやつよ」
友沢「……そういうもんか」
みずき「……」
友沢「……」
みずき「……ねぇ」
友沢「あっ!」キキー
みずき「わぷ?!……いったぁ……ちょっと!止まるなら合図とか……」
友沢「す、すまん……でも、ほら!上見てみろ!」
みずき「はぁ?……あっ!!流れ星!」
壁が足りん
みずき「迎えを頼んでたら見られなかったわね、これは。正に結果オーライだわ」
友沢「珍しいこともあるもんだ……」
みずき「……流れ星……!そうだ!」
友沢「どうした?」
みずき「今日のすっごい曲がるスライダーの名前が決まったわ」
友沢「は?いや名前ってお前子供じゃないんだから」
みずき「名付けて『シューティングスター』よ!」
友沢「……中二?」
みずき「うるさい!」
特訓の成果によりみずきと友沢がパワーアップしました
みずき A(85) C(65) 140km クレッセントムーン5 スクリュー3 シューティングスター4 負け運 対ピンチ2 ケガしにくさ5 タイムリーエラー 寸前× ムラッ気 低め○ ノビ4 キレ4 クロスファイヤー
人気者 積極打法 積極走塁
友沢 弾道4 AABABB ケガしにくさ4 AH PH 送球○ サブポジ○
(二人とも厨キャラじゃ)いかんのか?
その後みずきちゃんと友沢の仲が進展したりしなかったり
ゲドー君に連れ去られた矢部君がシーズン前半だけ超強化されたりされなかったり
パワプロ君が新人(笑)として大正義化したり
恋々が甲子園優勝したりしなかったり
とりあえず終わりです
読んでくれた人ありがとー
厨キャラ最高や!!
女性でこの能力は恐ろしすぎる…
面白かった
気が向いたらまた書いてくれ~
乙
Entry ⇒ 2012.09.22 | Category ⇒ その他 | Comments (0) | Trackbacks (0)
岡部「ん?どうしたバイト戦士よ」鈴羽「べっ別に…なんでもないよ」
鈴羽「うん、分かってるよ。もう少ししたら戻るつもり」
岡部「うん、そうしたほうがいいだろう。こっちもミスターブラウンに難癖付けられたらかなわんからな」
鈴羽「あはは、店長ならやりそーだね。……ところで、他の人たちは?橋田至とか椎名まゆりとか……牧瀬紅莉栖、とかさ」
岡部「うむ、ダルならメイクイーン+ニャン2でイベントがあるらしいから今日は来ないぞ」
鈴羽「ふーん、じゃあ椎名まゆりの方は?」
岡部「何を言っている。メイクイーン+ニャン2でイベントがあると言っただろう。まゆりもメイドとして参加しているに決まっているだろうが」
鈴羽「あーそっか。そうだよねー、あはは」
岡部「助手は……分からんな。あいつは来る日もあれば来ない日もあるからな。まったく…助手の本分というのが分かっていないから困るのだ」
鈴羽「そうなんだ……」
岡部「で、それがどうかしたのか?」
鈴羽「そっか…じゃあ、今日はこのまましばらくは岡部倫太郎と二人きり……か」ボソ
岡部「…?何か言ったかバイト戦士よ」
鈴羽「えっ!?別にっ!?それにしてもあっついなぁ~…」
鈴羽(…よし、これは……チャンス、かな)
鈴羽「まー、そうなんだけどねー。暇じゃん」
岡部「ここにいても暇な気がするが」
鈴羽「こうやって話をしてるだけマシってもんだよ」
岡部「ほう……この鳳凰院凶真の素晴らしい伝説を聞きたいのか…いいだ」
鈴羽「あー、いやそういうんじゃなくて」
岡部「ろう…って何っ!?」
鈴羽「岡部倫太郎ってさ、結構面白いし。そういうのじゃなくてさー何かほら…もっと違うの聞かせてよ」
岡部「…?言っている意味が分からん」
岡部「なっ何!?何だそれは!!そんなデマ情報何処から拾ってきたのだ!」
鈴羽「ネット」
岡部「…フゥー……、バイト戦士よ。貴様はどうやら騙され易い体質のようだな」
鈴羽「え?何でさ」
岡部「ネット情報というのは誤情報や、機関によって都合よく捏造された情報がごーろごーろ転がっているのだ」
鈴羽「えー!!マジで!?」
岡部「ああ、マジだ。よって、俺はその機関による妨害も掻い潜ってきた猛者でもあるのだ」
鈴羽「へー。やっぱり岡部倫太郎ってすごいんだねー」
岡部「フン!!当たり前だろう!!俺は狂気のマーッドサイエンティスト、鳳凰院凶真だからな!!フゥーハハハ!!」
鈴羽「へー…じゃあ、やっぱり岡部倫太郎は常人とは違うってことなんだよね」
岡部「クックック…当たり前だ、俺をそこ等辺の凡人と一緒にするな。俺は過去をも操る時空の使者…」
鈴羽「じゃあ、あたしも…普通の人間じゃないんだよね…」
岡部「何…?」
岡部「…タイムトラベラーとでも言いたいのか?」
鈴羽「まあねー」
岡部「ふ…フゥーハハハ!!!それはいい!!狂気のマッドサイエンティストとタイムトラベラー!!現代人では到底理解不可能だ!!」
岡部「ククク……コレなら貴様と俺で世界を混沌の世界に陥れることが出来るではないか!!」
鈴羽「むー…信じてないなー」
岡部「ふん、なら証拠を見せてみるがいい」
鈴羽「じゃー岡部倫太郎が見せてよ。自分が狂気のマッドサイエンティストってとこをさ」
岡部「ほう…?いいのか?別に構わないが……貴様、コレを見たらもう俺の恐ろしさに身も心も震え上がり…二度と普通の生活を送れる事がなくなってしまうが…本当にいいのだな?」
鈴羽「うん、いーよ」
岡部「む…」
鈴羽「さーさー、はやくー」
岡部「むむ……」
鈴羽「ねーねー?まだー?」
岡部「むむむ………」
鈴羽「うんうん、そう来ると思ったよ。岡部倫太郎はそういう人だもんね」
岡部「何…?」
鈴羽「岡部倫太郎ってさー…押しに弱いタイプでしょ?流されやすそーだし」
岡部「なっなにを!?そんなわけあるか!!」
鈴羽「そーお?じゃあ、こんなことしても全然動じないんだよねー」
岡部「なっ!?何故近づいてくるのだ!!さっきは暑いとか言っていただろう!!」
鈴羽「あっついね~…そんな白衣着てて暑くないの?」グイ
岡部「うおっ!?顔を近づけるなっ!!そっそれに白衣は科学者にとっての正装であってだな!?」
鈴羽「脱いじゃいなよ…汗、掻いてるよ?」
岡部「ぬおお!?まっ待て!バイト戦士よ!!こっこれは一体何のまねだ!!」
鈴羽「んー?岡部倫太郎の好きな実験…だよ?」
岡部「実験…?」
鈴羽「岡部倫太郎が押しに強いのか、弱いのか…その実験」グイ
岡部「おおう!?」
鈴羽「鈴羽」
岡部「へ?」
鈴羽「鈴羽って呼んだら、考えてあげてもいーよ」
岡部「す……鈴羽。少し、離れてくれ。この状態は…その、危険だ」
鈴羽「うーん……やーめた」ダキッ
岡部「うぉぉおい!?何故抱きつくのだ!?名前で呼んだら離れると言ったではないかっ!?」
鈴羽「えー?言ってないよー?考えるとは言ったけど…。で、考えてみて…やっぱやめた!」
岡部「なっ…!?きっ貴様……この俺を騙すとは…って何でうぉ!?」ドサッ
鈴羽「岡部倫太郎って外出てない割には結構身体しっかりしてるねー意外」
岡部「何処を触って…待て!?これ以上は駄目だ……」
鈴羽「……ふーん、じゃあこのままだね」
岡部「何だと…!?」
鈴羽「岡部倫太郎があたしを否定したいなら…あたしを引っぺがせばいいよ。でも…そうしたら、あたしはもう…」
鈴羽「……あたしはもう、岡部倫太郎とこうやって接する事出来なくなっちゃうよ…?」
鈴羽「あはは、まだ30分も経ってないよ?もう根を上げたの?」
岡部「……この状態を他のラボメンに見られるのは不味い」
鈴羽「そう?あたしは全然構わないなー…。それに今日はいつものメンバー来ないんでしょ?いいじゃん」
岡部「……まぁ、そうだが」
鈴羽「汗が…君に垂れちゃってるけど……仕方ないよね。この体制じゃ」
岡部「お前が…どけばいい話だ」
鈴羽「あたしは絶対に動かないよ。君が…行動すればいい。あたしを退かすか…受け入れるか。…岡部倫太郎に、決めてほしい」
岡部「ぐ……どうして、どうしてこうなった…。世界線が変わったからなのか…。これも、運命石の扉の選択だと言うのか」ブツブツ
鈴羽「………」
鈴羽(……結構しぶといな。体力は無いほうだと思ったけど……、岡部倫太郎は…どういう選択をするんだろう)
鈴羽(岡部倫太郎…君は、あたしに優しくしすぎなんだよ…。本当は、こんなことしてちゃ駄目なんだけど……気持ちは抑えられないから…)
鈴羽(君が、あたしを突き放すなら……あたしはもう、思い残す事はないよ……自分の使命のために、もうここに未練はなくなる)
鈴羽(……それにしても、今日は一段と暑いな…。どうしてだろう)
鈴羽「暑そうだね……ハァハァ」
岡部「お前も辛そうではないか…」
鈴羽「君がさっさと決めてくれればこんな辛い思いしなくていいのになー」
岡部「うぐ……」
鈴羽「ねぇ……君に抱き付いちゃっていいかな?流石にこの暑さで上の体勢はキツイ」
岡部「……好きにしろ」
鈴羽「うわ……顔にベッチャリと汗が……」
岡部「当たり前だ…こんな密着体勢のままではこうなる」
鈴羽「これじゃあ、どっちの汗かわかんないね」
岡部「………」
鈴羽「………」
鈴羽(ここまでしても、駄目…か。やっぱりあたしなんかじゃ…いや、それともアトラクターフィールドによる世界線の収束…)
鈴羽(未来から来たあたしはこの時代のオカリンおじさんとそういう仲になったら…パラドックスが発生する…のかな。やっぱり、この恋は実らないの…かな)
鈴羽(でも…駄目だと分かっても…。それでも…。あたしは…あたしは…)
鈴羽「……え?」
岡部「お前は…俺にどうしてほしいのだ?」
鈴羽「それ、聞いちゃうんだ…?卑怯じゃない?それって」
岡部「俺は…狂気のマッドサイエンティストだ。…卑怯な事だろうが、平気でするのだ」
鈴羽「はは、なるほど……。それがさっきの証明なんだ……そっかー…」
岡部「俺は……中途半端な気持ちでそういう行為をする気はない」
鈴羽「……うん。そうだね、君はそういう人だったもんね」
鈴羽「椎名まゆり?」
岡部「あいつは……幼馴染で……大切な人間で……人質だ。それ以上でも以下でもない」
鈴羽「……奇妙な関係だね。……じゃあ、牧瀬…紅莉栖?」
岡部「あいつは…助手だ」
鈴羽「え…と…あっ!!じゃあまさか漆原るか!?まさか岡部倫太郎がそっちの人だったとは……」
岡部「なっ!?かっ勘違いするなっ!?俺は同性愛者ではない!!」
鈴羽「……じゃあ、あたしじゃ…駄目な、理由は…何?」
鈴羽「え?」
岡部「俺は、お前をその……ほら、あーゆうの…ああ、察しろ!!そういうのをお前とするのは吝かでもないと言っている!!」
鈴羽「そっそう……じゃあ、何で」
岡部「俺は…お前が大事なラボメンであり、仲間であることなのは言えるのだ。だが…お前とその、恋人…というのはどうなのかと…な」
鈴羽「………ふ」
鈴羽「なんだよもー!!それ、煮え切らないなーあはは」
岡部「なっ!!俺としてもどうかと思うが一応真剣に考えたのだぞ!?笑うな!」
鈴羽(……なーんだ、何悩んでるんだろうあたし。岡部倫太郎はそういう人だって分かってたのに…。今更何を怖気付いちゃったんだろう)
岡部「…?おい、鈴羽。いつまで笑っているのだ」
鈴羽(…うん、運命は自分の手で変える。どうしようもないんならこんな過去に飛んだりしないしね……よしっ!)
鈴羽「ねえ、岡部倫太郎」
岡部「む?な…なんだ?」
鈴羽「もう、待つのやめたよ……君は、私がそうしたいから…私のものにする!!岡部倫太郎!かくごー!!」
岡部「へっ!?何っ!?ちょっ待っ鈴羽!!」
鈴羽「安心してよ岡部倫太郎。あたしもこういうの初めてだから…さ」
岡部「ぬおっ!!脱ぐなっ!」
鈴羽「えー?もしかして着衣プレイってやつ?あたしとしては暑いし裸でしたいんだけどなー」
岡部「だー!!だーかーら!訳が分からんぞ!!何故その…するのが決定になっているのだ!!」
鈴羽「はー?それこそおかしいよ?この状況だよー?わけ分かんないのはそっちだよー」
岡部「だっだからといって…!!」
鈴羽「もう観念しなよ?岡部倫太郎、諦めは肝心だよー?」
岡部「う……そっそうだ!Dメール!!アレを使って」
鈴羽「逃がさないっよ!!」ドス
岡部「ぬわっ!!」
鈴羽「さぁーって。どう?結構鍛えてるし、スタイルには自身あるんだー」
岡部「お…おお」
鈴羽「あはは。そんなにジロジロ見ちゃってさー興味深々じゃん」
岡部「なっ!!そっそれはだなっ!?きっ機関が俺に精神攻撃をだなっ!?」
岡部「は?なっ何を」
鈴羽「じゃー今度は君の身体に快楽攻撃をーなんちゃって」
岡部「何を言って…うぉおお!!脱がすな!!」
鈴羽「…おお、何かごっちゃごっちゃ言ってた割にはやる気満々じゃん」
岡部「これは生理現象だっ!?俺の意思では」
鈴羽「少し…慣らすね?初めては痛いって言うし」
岡部「俺の話をまずは…むぐっ」
鈴羽「むぅ…んちゅ……」
鈴羽「ん…ちゅ…ぷは!とりあえずキスから…だよね!」
岡部「おおう……」
鈴羽「さぁーって次は下」
岡部「ちょ…そこは待っ…はうん」
鈴羽「はむ…じゅぷ…じゅ…」
岡部「まっ…バイト戦士よ…ちょっとまっ!!!」ガリ
岡部「──ッ!!おまっ!!噛むなよ!!不能なったらどうする!?」
鈴羽「しーらない!名前で呼ばない岡部倫太郎……いや…倫太郎がいけないんだよーだ」
岡部「……分かった鈴羽。もう、ここまでされて引くことは出来ん」
鈴羽「……やっと、覚悟…決まった?」
岡部「…ああ、こんな場所で悪いが。さっきキスされて…いやな気分には…寧ろ良かった。俺は…お前に惹かれていたのかも…しれんしな」
岡部「まぁ…一時の迷いかもしれないことも否めないが」
鈴羽「あっはっは。ひっどーい、そんな曖昧な気持ちなんだ」
岡部「なっ!!しっ仕方ないだろう!?お前が半ば強引にしてきたのだ!!そんな状態でも文句を言うとは」
鈴羽「あーはいはい、じゃー続き、続き」
鈴羽(なーんだ、案外脈アリだったわけだ…これはイケる!)
鈴羽「ふふ、もうあたしの方は準備万端だけど……一応、触っとく?」
岡部「なにっ!?」
鈴羽「そりゃーほら、あたしのココとか…さ、胸とかも。一応触っといた方が得じゃん?」
岡部「……お前が言うのか?それ…」
鈴羽「あっ、でもSEXはするからね?今のはあくまで前戯のことだから」
岡部「いや、流石に覚悟は決まっているさ…」
鈴羽「あーゴメン、そういえばそうだったね」
岡部「まぁ、この鳳凰院凶真が責められっぱなしというのも癪だしな、お返しをしてやろう!」ガバッ
鈴羽「うわぁ!」
岡部「クククまずは胸をいたぶってやろう……」
鈴羽「うっ…んぅ……はぁっ…」
鈴羽「あっ…うっ…そこ…ああっ!」
岡部「うむ、見事に固くなるものだな…」
鈴羽「かっ…観察…んっ…するようなのやめっ!あっ」
岡部「鈴羽…気持ちいいか?」
鈴羽「う…ん…りんたろ…が触ってるとこ…熱くなって…じわって…あう!…キ…」
岡部「ん?」
鈴羽「キ…キス…して?」
鈴羽「キス…キスぅ…」
岡部「ふ……そうか、そうかキスしてほしいか!!」
鈴羽「はぁうっ!!しっ…してよぉ…いじわるしないで」
岡部「フーッハハハ!!だが断!?」
鈴羽「んむっ……むちゅ…んっ……じゅる」
岡部「むぐ…ん…」
鈴羽「むぅ……んっ!?」
鈴羽「ぷは…あっ!そこ…はっ!」
岡部「ふ…無理やり奪うとはな…流石戦士といったところか…だが、下が無防備だぞ?」
鈴羽「はぁっ!あっ!あぅ……不意打ちはっ…」
岡部「にしても…すごい事になっているぞ」
鈴羽「そりゃ…好きな人にこんな嬉しい事されてるんだ…当たり前だよ」
岡部「──ッ!」ドキン
鈴羽「んぃっ!?いっいきなりはげっし…んあっ!!」
岡部「さあ、なんでだろうな」
鈴羽「あっ…う…ちょっちょっと待って倫太郎っ!!少し緩めっ!!ひぃっ!」
岡部「もっと激しくしてほしいのだな?」
鈴羽「んぐっ…くっそぉ…ニヤニヤしやがってぇ……んぅっ!?」
岡部「いや、そういう感じてる顔が可愛いと…思って…だな」
鈴羽「─ッ!?そっそんなっ…今そんなの…卑怯…んぁっ!!イッ─」
鈴羽「──ッ!──~~─~ッ!!!」ビクビク
岡部「うぉぉ……」
鈴羽「─…はぁ……はぁ」
岡部「……イッた…のか?」
鈴羽「……見事に、ね。…なんかくやしいな~」
岡部「ふ…この俺の妙技に掛かればお前なんぞ…ぉお!?」
鈴羽「じゃあ…次はあたしの番だね」
鈴羽「はぁ…はぁ…じゃあ、いくよ…」
岡部「ぅぉぉ……」
鈴羽「ん……ぐ……はぁ……」
岡部「大丈夫か…?汗が尋常じゃないが……」
鈴羽「暑いんだよ……心も……身体も……でも、それ以上に嬉しいから、この瞬間が…嬉しいから…全然ヘーキ」
岡部「そう…か」
鈴羽「ははっ……流石に異物感がすごいね……でも、不思議とそんなに痛みはないかな……」
岡部「血が出ているが……」
鈴羽「そりゃ…膜破れてるんだから…血はでるよ…でも、もっと…んぅ」
岡部「ぬおお!こっこれは…っ」
鈴羽「……どぉ?気持ち……いい?」
岡部「すごく……締め付けられて……こんなの初めてだ…」
鈴羽「よかった……気持ちいいんだよ…ね?…あたしは、もう少し…時間掛かるか…な」
岡部「まぁ、行為自体が初めてだから……な」
鈴羽「はは。……じゃあ、動く……ね」
岡部「ぐっ……ん…これは……やばい…」
鈴羽「はぁ……ふぅっ…すごく、気持ちよさそうな……顔、してる。うれっしいよ……あたしで感じてくれて」
岡部「そういうお前も……なんだか顔が変わってきたようだ…が」
鈴羽「はぁ……んっ…ぁっ!何だか……気持ちよく…なって…きっ…あっ!」
鈴羽「んぐぁ!!…このっ…あたしが…リードするって…あっ!下からつかない…ひっ!?」
岡部「男が寝たままマグロなのもどうかと…思って…な」
鈴羽「あぅ…やるね……倫太郎…はぁはぁ……んぁっ…あぅっ…このぉ…」
岡部「鈴羽……気持ちいいぞ……ぐっ」
鈴羽「キッキス……した…い…んぁあっ!」
岡部「意外だ…な。お前がそんなにキス魔だったとは……」
鈴羽「うっるさい……なぁっ……あたしだって……自分で驚いてるっ…んっ…くらいだっ…ぁっ…よぉ」
岡部「ふっ…そうか…うぐっ…急に締め付けがっ…んむっ」
鈴羽「むちゅ…んちゅ……じゅるる…ちゅ…れろ…ちゅ」
岡部「んむっ…ちゅ…れろ…じゅる…」
岡部「ぐ…鈴羽…もう……」
鈴羽「はぁ、待って…あたしももう少しだか・・・らぁっ!」
岡部「はぁ…ヤバイ、どいてくれっ……このままじゃ」
鈴羽「な…何言ってんの…?この状態…動くわけ…ない、じゃん」
岡部「はぁ!?ちょ…」
鈴羽「既成事実上等……!さぁ…っ…あたしの中に…んぅ…全部、吐き出し……なよっ!」
岡部「んおお……出っ」
鈴羽「んっ…あっ…──ッ──~~ッ!!!」
鈴羽「はぁ……はぁ……熱っ……この感じ……すごっ…い……」
岡部「はぁ……はぁ……」
鈴羽「……出しちゃった…ね」
岡部「ああああ……やってしまった……」
鈴羽「あはは。……じゃあ、もう何発出しても変わらないよねー?」
岡部「…………は?」
鈴羽「あはは。流石に5回連続はキツかったかなー」
岡部「おま……精気を……いや、生気を吸い取られた気分だ……」
鈴羽「あははー。じゃーシャワー借りるよーん」
岡部「ああ……もう、好きにしてくれ」
サァァァ
鈴羽「……ふぅ。……まだ、お腹…熱いや」
鈴羽(……やばいなぁ………この感じ。離れたくない…なぁ)
鈴羽(でも、……それでも、あたしは…やらなくちゃいけない……未来のために…倫太郎と…幸せになれる未来のために)
鈴羽「……グス」
鈴羽(……さて、行こうかな。……そう、あたしは信じたい。倫太郎を)
鈴羽「ふー…上がったよー?次、倫太郎入っていいよー」
岡部「ああ、そうする」
鈴羽「……さて、準備、…しようかな」
鈴羽「その状態で屋上だもんねー……雨でも降ってくれたらいいのにさー…ホントに…何で、降らないかな…グス」
鈴羽「あー、でも…雨なんて降っちゃったら…コレ…壊れちゃうかもだし…な」
鈴羽「あーやば!これ以上ここいたら溶ける!!それに…」
鈴羽(倫太郎の…こと…行けなくなっちゃうし…)
鈴羽「さてと…って熱っ!?うわっ!あっつ!!そういえばこれ……この直射日光に当たってたら迂闊に触れない…参ったなぁ」
岡部「……はぁはぁ」
鈴羽「…………」
岡部「……はぁはぁ」
鈴羽「……あーあ、来ちゃったか……まぁ、そうだよね…」
岡部「…その人工衛星……お前」
鈴羽「……お昼ごろさ、倫太郎…あたしがタイムトラベラーって証拠見せろって言ってたよね」
岡部「じゃあ…これ…やはり」
鈴羽「うん、察しの通り。…タイムマシン。未来の2036年からあたしが乗ってきたもの」
鈴羽「……倫太郎も証明してくれたもんね。……これでフェアになったかな?凶器のマッドサイエンティストとタイムトラベラーだよ」
鈴羽「ううん、逆。過去に行くんだ」
岡部「何?何故だ…?」
鈴羽「はは。君が必要になるものを君に届けるためだよ」
岡部「…?何だそれは」
鈴羽「……IBN5100」
岡部「な…に!?」
鈴羽「あたしは過去に行ってIBN5100を手に入れる…そして今の君にそれを届けるんだ」
岡部「そうな……のか?」
鈴羽「うん、そのためにあたしは行かないといけないんだ」
岡部「そう…か。それじゃあ、引き止める…訳にはいかんな」
鈴羽「うん、ありがとう。倫太郎」
岡部「……ああ」
鈴羽「………」
岡部「…………」
鈴羽「…あははー……ちょっとねー。熱くてさー…触れなくて」
岡部「……はぁ?何なのだそれは……フッ」
鈴羽「あー!!馬鹿にしたなー!!!いくら倫太郎でもそれは酷い!」
岡部「フフ……まぁ、なんだ。少し、話でもするか?…そこの日陰で、太陽が落ちるまで…な」
鈴羽「………うん」
岡部「で、お前が過去に戻ったらラボにIBN5100がいきなり出現するのか?」
鈴羽「さぁ…?流石にそれはわかんないよ…過去が変わるかもどうかも分からない」
岡部「…だがそれでは…」
鈴羽「でも、大丈夫だよ。多分……明確な理由はないけど」
岡部「むぅ……」
鈴羽「にしても暑いねー……ホント」
岡部「何…夏なんだから仕方あるまい」
鈴羽「特に今日は……一段と暑かったよ」
鈴羽「うん……まぁ、感銘とかは受けないけど」
岡部「まぁ、綺麗と思うくらいだがな」
鈴羽「まー…毎日見てるしね」
岡部「……そろそろ、か」
鈴羽「うん、普通に暑いけど…もう触れないほどでもないと思うよ」
岡部「うむ……達者でな」
鈴羽「……ねぇ、倫太郎」
岡部「どうした、鈴羽」
鈴羽「倫太郎は……あたしのこと、好き?」
岡部「む……」
鈴羽「あたしは、倫太郎のこと……大好きだよ。誰よりも…愛してるよ」
鈴羽「君は…?君は、あたしのこと……どうなのかなーって」
岡部「俺は……」
岡部「俺は、鈴羽のことが好きだ。勿論…な」
岡部「まぁ、ラボメンとして……好きだ」
鈴羽「……そっか」
岡部「……そして、それと同時に……一人の女性として愛してもいる」
鈴羽「!!!」
岡部「大好きだぞ、鈴羽」
鈴羽「………」グス
岡部「おっおい!?何故泣く!?」
鈴羽「嬉しくて…さー。まさか、君から…そんな言葉が聞けるとは思わなくて…駄目もとでも言って見るべきだね」
岡部「鈴羽……」
鈴羽「ねぇ、抱きしめて。強く、強く。君の温もりを…あたしの温もりを……お互い忘れないように…さ」
岡部「……」ギュ
鈴羽「……あー、あとキスしてよ。やっぱこれだけじゃ物足りない」
岡部「我侭な奴だな」
鈴羽「それくらいいーじゃんか……お願いだよ、倫太郎」
鈴羽「んぐ……ちゅ」
岡部「………」
鈴羽「………」
鈴羽「………ありがと、倫太郎。あたしもう大丈夫だよ」
岡部「そう……か」
鈴羽「ねぇ……一つ約束しない?」
岡部「ん?何だ?……言ってみろ」
鈴羽「あたしのこと……忘れないでね。あたし、絶対成功させて…君を迎えに行くから」
岡部「フ……タイムマシンで…か?」
鈴羽「もちろん。あたしタイムトラベラーだしねー」
岡部「ならば、お前も俺のことを忘れるなよ?勿論、未来のお前もだ」
鈴羽「あはは、何それー?無茶言うなー」
岡部「対等条件だ」
鈴羽「ははは。上等、絶対に忘れてやるもんかー」
外見しだいで50までいけるぞ俺は。特に、漫画版の40鈴羽は普通に美人1
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鈴羽「あー…それねー…あたしも考えたけど……タイムパラドックスが起こりそうだし…止めた。君に危険が起こったらやだし」
岡部「それではお前だって!」
鈴羽「あたしはいーんだ。未来で生まれるのが確定してるんだし、未来が変われば問題なし」
岡部「では……記憶が」
鈴羽「そこはさー…、ほら?愛の力?ってやつとかでなんとかなるんじゃないかなー」
岡部「何なのだその科学的根拠のまったくないスイーツ(笑)な回答は」
鈴羽「んー…でも、そういうことでしょ?あたしは意地でも君の事は覚えておくよ。前世?の記憶で未来のあたしにも記憶をーって…何か自分で何言ってるのかわかんないや」
岡部「うむ、まったくわからん」
鈴羽「ほらっ!そこで愛の力ーってやつだよ。それで全部丸く収まるわけだし」
岡部「フッ……まったくその通りだな」
鈴羽「「あははー。やっぱり君といると楽しいなぁー倫太郎」
岡部「そうか、ならよかったよ」
鈴羽「よーし、そろそろ未来の君とのランデヴーのために頑張ってこようかなーと」
岡部「ああ、頑張って来い。それと、その言葉は古いぞ?鈴羽」
岡部「ああ」
鈴羽「………」
岡部「ん?どうした鈴羽」
鈴羽「べっつにー…なんでもないよーん♪」
鈴羽「じゃあ、行ってきます」
岡部「ああ、行ってらっしゃい」
鈴羽(……さぁ、行こう。輝かしい未来のために…)
ゴゴゴゴ……スゥゥ
岡部「タイムマシンが……消えていく」
岡部(だが、ビックリしたものだ……しかし、鈴羽のことだ……大丈夫だろう)
岡部(俺は……鈴羽のために出来る事をしよう……)
岡部(タイムマシンが……完全に消えた……か)
岡部(……──ッ!?こっこの感じは……!?)
岡部「ぐ……うぅ……」
岡部(なら、世界線が移動した……のか)
岡部(なら……ラボには…)
岡部「誰かいるか!?」
まゆり「あーオカリーン!トゥットゥルー」
ダル「こんな時間まで何処行ってたん?」
岡部「そっそれより!IBN5100は!!」
ダル「そっそれならココにあるけど…」
岡部「……そうか」
岡部(これがココにあるということは……鈴羽は無事に……よかった)
ダル「あーそういえばオカリン。店長からなんか手紙預かったお。オカリン宛に」
岡部「何…?ミスターブラウンが?俺宛に手紙だと?」
ダル「いや、差出人は……阿万音鈴羽って人だけどさ」
岡部「何!?鈴羽からだと!?」
ダル「え?何?オカリン知り合いなん?」
ダル「うっうん」
岡部「……枚数は一枚だけか」
岡部「何々………何だこれは」
まゆり「オカリンどうしたのー?」ヒョイ
岡部「ちょっこら!!まゆり返すのだ!!」
まゆり「えーっと…『あたしの倫太郎へ、9月1日午後6時ラジ館屋上。愛してる』だってー!うわぁ!これラブレターだよぉー」
紅莉栖「ブフゥーー」
ダル「うわっ!!牧瀬氏コーヒー汚い!!そしてオカリンリア充氏ね!!!」
紅莉栖「……何……だと?」
まゆり「うわぁ…よかったねぇ~オカリン」
岡部「……あ、ああ」
岡部(一体どういうことだ?今日は……8月15日……このまま何事も起きなければいいが)
岡部「少し、ミスターブラウンと話してくる」
ダル「オカリンが……ちくしょー!!なんであんな厨ニ病がぁぁぁ」
岡部「まず、阿万音鈴羽というバイトは雇ってませんか?」
天王寺「はぁ?何寝ぼけた事言ってんだ?鈴羽さんが何で俺の店のバイトになんだよ」
岡部「鈴羽……さん?」
天王寺「つーか、おめぇ鈴羽さんと知り合いだったのかよ」
岡部「え、ええ。まぁ」
天王寺「まーだが、ビックリしたなぁー当時鈴羽さんに2010年にお前にこれ渡せって言ってきたときはどういうことかって思ったけどよ」
天王寺「まさか、本当に渡すときが来るとはな!まったく未来予知ってレベルじゃねーよな」
岡部「そっそうですか…」
天王寺「まぁ、この手紙渡してきたときの鈴羽さんはちょっとキモかったな……終始ニヤニヤしてて、なんというか…まぁキモかったな」
萌郁「あの……」
天王寺「おお、来たかバイト!!」
岡部「何…!?今なんと言ったのだ?ミスターブラウン」
天王寺「ああ?バイトのことか?」
岡部「指圧師が……バイト?……この寂れたブラウン管工房の…?」
岡部「いっいや……そうだ!!それよりその阿万音鈴羽さんは今何処に?」
天王寺「……なんだお前知らねえのか?」
岡部「……え?」
天王寺「そうか、しらねえみてえだな……まあ、いいか別に」
岡部「なっ何かあったんですか!?」
天王寺「んーなんていうかよー……失踪したんだよ」
岡部「……失踪?」
天王寺「失踪…っていうかよ。消えた…って方が正しいかもな」
岡部「……は?」
天王寺「まー、そうなるわな。俺だってそうだった。でも、たしかに鈴羽さんは消えたんだ」
天王寺「俺に手紙を渡した丁度1年ぐらい経ったときくらいかな…出かけてくるって行ったっきり帰ってこなかった」
岡部「…それは何処に行くって言ってたんですか?」
天王寺「あー…えっと確か……ラジ館だったっけな」
岡部「……そうか、そういうことか。フ……ミスターブラウン、情報提供感謝する」
岡部(とはいえ、何故タイムマシンが来たのかもよく分からんが…あの時リーディングシュタイナーが発動したという事はそういうことなのかもしれない)
岡部(それに前の世界線と違って鈴羽の扱いは変わっていた……って待て、ということはあの時の鈴羽はいなくなっていて…俺…童貞…なんじゃないか?)
岡部(だっだがしかし…あの時の感覚はまだ残ってるし……心だけ卒業?…いや、意味分からん…何なのだこのあられもないどうしようもない感覚は)
岡部(まぁ…とりあえずのところはいいだのだろうこれで…このまま……何も起きなければいいが……)
岡部「ふぅ……とりあえず知的飲料で、喉を潤すか」
まゆり「オッカリーン!ラブレターのえーっと阿万音さん?ってどういう人?今度紹介してね~」
ダル「リア充氏ね」
紅莉栖「何だコレ何打コレんだんだこれ……どうしてこうなったどうしてこうなったどうしてこうなった」ブツブツ
岡部(……何だこのカオスな空間は)
こうして何事もなく日にちは過ぎていって……9月1日を迎えた。
ダル「うお!もう9月か……こうして僕の夏休みもまた無駄に過ごしていくのか鬱だ」
紅莉栖「ああ、リア充さっさと死ね。あ、違った行くならさっさと逝けよ厨ニ」
岡部「クリスティーナ……」
岡部(まぁ、行くがな)
岡部「午後5時58分か」
岡部(本当にココに来るんだろうか……というかタイムマシンに乗ってくるってことだよな?いや…よく分からんが)
ゴウゥン……シュゥゥ……
ダル「おおお!!ホントにタイムマシンキター!!」
まゆり「わー!粉みたいのがキラキラしてて綺麗ー」
紅莉栖「あーはいはい、タイムマシンね。もうどうでもいいわ、人生が」
岡部「………ふむ」
岡部(あの時のは違って随分綺麗なものだな……未来はちゃんと変わってくれたのだろうか)
ガシュウン……
鈴羽「ぷあぁ!ふー…」
鈴羽「あ!!倫太郎!!!逢いたかったよー!」ダキッ
岡部「うわぁ!!」
まゆり「わぁ!」
ダル「うは!なんて裏山!!オカリンに嫉妬!!」
紅莉栖「空って青いなー……私はそんな空に浮かぶ雲になりたい」
鈴羽「逢いたかったー!逢いたかったよー!!」
岡部「なっ!!お前何故容姿が全然変わってないのだ!?てっきりもう随分な年だと…」
鈴羽「あー!ひっどーい!!あたしはまだ19歳だよー!まだ成人すら迎えてないよ!!」
岡部「どっどういうことなんだ!?」
鈴羽「んふー。まぁ、いろいろあってさー!でも、倫太郎に逢えてよかったー!!んー」
岡部「んなっ!?」
鈴羽「むちゅ……ん」
まゆり「わーお!大胆!!」
紅莉栖「私は空を浮かぶ雲なの……ふわふわ、何も考えずふわふわ」
鈴羽「あーそうだね、えーっとね。どこから話そうかなー」
岡部「あ、ああ」
鈴羽「そして、過去に行った鈴羽は記憶データをある機械にコピーしたの」
岡部「待て、機械とは何だ?」
鈴羽「さぁ?未来の君がなんか過去に伝言を送ったとかなんとか」
岡部「Dメール…か?」
鈴羽「それでーあたしは、生まれてから15歳くらいになってその記憶を移植したんだよねー」
岡部「なっ!では、記憶が上書きされてしまうのでは」
鈴羽「あー、そんなことないよー?上書き保存じゃないからさ」
鈴羽「まぁ、記憶を移植する前から倫太郎の事好きだったけど……未来の君、かっこいいんだもん」
岡部「そっそうか……。いや、待てよ?それなら過去に行った鈴羽と未来の鈴羽…2人存在するのではないか?」
鈴羽「あー…多分今のこの時代ならまだあたしはいるだろうねー…多分、イギリス辺りかなー?今は」
岡部「イッイギリス!?」
岡部「では…どうなるのだ?」
鈴羽「あたしが生まれた瞬間に消えたんじゃない?」
岡部「…は?」
鈴羽「いやさ、それがさーあたしが生まれる3年前くらいから記憶消えててそこまでしか記憶なくって」
岡部「何かややこしいな」
鈴羽「何か詳しい事はお父さんとか…全然教えてくれなかったからよくわかんないけど」ジロ
ダル「え?何で僕睨みつけられてるん?」
まゆり「きっとエッチな目で見てたからだよ~」
ダル「そっそんなことないもん!紳士的に子どもを愛でるような優しい目で見てたもん!!」
まゆり「そこがもうアウトだよ?ダル君」
岡部「ともかく、今は鈴羽は二人いるということか…」
鈴羽「そうだねー。倫太郎に逢いに行きたかったんだけどねー」
岡部「?逢いに来ればよかったじゃないか」
鈴羽「はー…そういうところは治らないんだね…乙女心を察してよ」
鈴羽「そりゃ、好きな男にいきなりオバサンになった姿なんて見せたくないじゃん」
岡部「あ、そうか」
鈴羽「ともかく、今この世界にいるもう一人のあたしがどうなったのかは今のあたしじゃ分かんないんだよね…」
岡部「そうか……」
鈴羽「まーそういうパラドックスを無くすためにもあたしが来たんだけどねー」
岡部「…?どういうことだ?」
鈴羽「あのさ、このタイムマシンって世界線における影響を受けないんだよねー流石あたしの倫太郎とお父さんだよ!こんなもの作るなんて」
鈴羽「つまりさー、あたし…言ったよね?迎えに来るって」
岡部「あ、ああ…確かに言っていたが」
鈴羽「その応えにうん。って言ってくれたよね」
岡部「あ、ああ」
鈴羽「あはは!なら話は早いや。あたしと一緒に2036年に来てよ!」
岡部「なっ何!?」
鈴羽「あのさー、コレに倫太郎が乗って未来に帰れば…未来に本来いた、おじさん倫太郎はどうなると思う?」
岡部「……今、タイムマシンで未来に行ったら…消えるんじゃないのか?」
鈴羽「そ、消える」
岡部「だっだが!!俺は未来でこれを作ったりしてるだろう!?矛盾が発生しまくるぞ!!」
鈴羽「まー未来に行ったら多分、このタイムマシンは未来に着いた瞬間消えるかも」
岡部「なっなら!!」
鈴羽「まーでも、これ倫太郎のいう…リーディングシュタイナー?って能力があるから大丈夫なんじゃない?」
岡部「だっだがな…」
鈴羽「ああああ!!もう!!つーかさ、こんなの健全でホントはどうでもいいんだ」
岡部「はぁ?」
鈴羽「あたしは…倫太郎と…一緒にいたいだけなの!!もうごちゃごちゃ言わずに来てよ!!」
岡部「おーい!!何を言うのか!?」
鈴羽「迎えに来たんだよ?もういいじゃん、未来は平和だったよー?ラボメンみんなぜーんぶ元気にしてるし」
岡部「…!!」
紅莉栖「今、確実に言えることは…この女が岡部を未来に連れ去ろうとしてるのよ」
まゆり「えー?それって何か悪いの?」
紅莉栖「このタイムマシンは未来への片道切符…つまり、岡部が行ったら少なくとも私達は2036年まで岡部と一緒にいられなくなる」
まゆり「えー?それはやだよー…まゆしぃ寂しいなぁ」
岡部「……」
鈴羽「……まぁ、行ってる事は間違ってない。…やっぱり倫太郎に決断してもらうしかないね」
岡部「……」
鈴羽「あたしと一緒に未来に行ってあたしと愛し合うか、それともココに残って今までの日常を過ごすか」
岡部「……俺がお前と行ったら世界線が変わるんじゃないか?」
鈴羽「……まず、間違いなく」
岡部「変わったら、平和かどうか分からないんじゃないか?」
鈴羽「……うん」
岡部「行かなかったら……お前の言うとおり平和な…ラボメンが全員平和で元気にいられる世界が続くんじゃないのか?」
鈴羽「…………いや、違うよ」
鈴羽「うん、私以外は……ね」
岡部「………」
鈴羽「だから、決めてよ。あたしを選ぶか、その他を選ぶか」
岡部「……分かった」
鈴羽「………」
まゆり「ねぇ、オカリン」
岡部「……まゆり?」
まゆり「オカリンはその阿万音さんのこと……大好きなんだよね」
岡部「………ああ」
鈴羽「……ッ」
まゆり「……うん、だったら着いてった方がいいんじゃないかな」
岡部「何……?だが、しかし」
まゆり「やっぱり、好きな人同士は一緒にいるべきだよ」
岡部「まゆり……」
岡部「……当たり前だ」
まゆり「……うん、なら行ったほうがいいと思うな。まゆしぃはホントのこと言うと少し寂しいけど…それでも」
岡部「………」
まゆり「…でも、行かないのならそれはオカリンが決めたならそれでもいいよ。オカリンがしたいようにしたらいいと思うな」
鈴羽「……」
岡部「………俺、鈴羽に着いて行く」
鈴羽「!!!」
鈴羽「……本当に?」
岡部「……ああ、俺は鈴羽…お前と一緒にいたい」
鈴羽「倫太郎……りんたろー!!」ダキ
岡部「鈴羽…」
鈴羽「好き好き!!りんたろー!大好き!!」
紅莉栖「もうどうにでもなーれ」
ダル「牧瀬氏に……敬礼っ!!」
間違いない
数年後にタイムマシンつくってオカリン奪いにいくよ
数年後にタイムマシンつくって鈴羽刺すよ
まゆり「えーっと…次は2036年だから…20年後かな?あー…まゆしぃそれじゃあもう36歳だよー…おばちゃんだねぇ」
岡部「ははは。どんなに年をとってもまゆりはまゆりだ」
まゆり「えっへへーそれじゃあオカリン……またね」
ダル「くっそー!なんか駆け落ちみたいですげー!!オカリン…お前のことは忘れない」
紅莉栖「ふー、生きてる意味って何だろう。それを研究しよう。そうだな、20年ぐらい研究しよう、そうしよう」
岡部「ああ、俺が不在の間…ラボを頼むぞ。…20年後に、また会おう」
シュゥゥゥゥン
まゆり「…行っちゃったねぇ」
ダル「……ん?待てよ?オカリンが戦線離脱したってことはラボメンで男って僕だけじゃね?ウッヒョーーイ!!オカリーンgj!!」
紅莉栖「なっなに?岡部…?クリスティーナ…お前はホントに可愛いな…。なっ可愛いとかっ!!本当の事だ…紅莉栖。岡部……」
岡部「む…狭いな…それはどういうことだ?」
鈴羽「この選択をして」
岡部「ふ……さっきまでの威勢はどうした?何故そんなことを言う」
鈴羽「……無理言っちゃったかなーって」
岡部「何を今更。…それに俺はこの選択をとったことに後悔なぞ微塵も感じていない」
鈴羽「…え?」
岡部「大好きなお前とずっと一緒にいられる。それだけで十分だ」
鈴羽「…倫太郎……ありがとう。…そして、愛してるよ。ずーっとさ」
岡部「フ……鈴羽よ……俺もずっとお前の事を愛していくさ、どんなことがあろうとも…な」
鈴羽「クス……そうだねー」
岡部「うむ」
鈴羽「これも、運命石の扉の選択ってやつかな?」
岡部「フ…そうだな。そして、この選択は俺達自身の選択でもあるわけだ…」
鈴羽「うん、これからもずっと末永く……一緒にいてね。これが運命石の扉の選択なんだからさ」
おわり
良かった
未来の助手がろくでもないことしかしない気がする
面白かった
Entry ⇒ 2012.09.21 | Category ⇒ シュタインズゲートSS | Comments (1) | Trackbacks (0)
照「渋谷のお茶を勝手に飲んだら無視されるようになった」
菫「はぁ・・・」
淡「テルー、それはやばいよ」ニコニコ
照「菫、ため息ばかりついてると幸せ逃すよ?」
照「あと、大星はトイレ掃除一週間ね」
淡「なんで!?」
照「私の不幸で飯が美味いみたいな態度が許せない」
照「ひどくない。相応の罰。嫌なら渋谷と仲直りする方法の案を出して」
淡「まずはその性格を直s」
照「あ?」
淡「・・・」
菫「まぁ、そんなことより」
淡(そんなこと・・・)ガーン
菫「照、お前、本当にお茶を飲んだだけか?」
照「…? どういうこと?」キョトン
照「…? 私は勝手にプリンを食べられたら先輩だろうが家族だろうが無視するけど」
菫「・・・バカと渋谷を一緒にするな」
照「ひどい」グスッ
淡(ぷぷぷ、テルざまぁああああ)
照「大星、トイレ掃除一週間追加ね」
淡「なんで!?」
照「なんとなくイラッときた」
菫「それで? 本当に心当たりないのか、照」
照「……分からない。 私は勝手にお茶を飲んだことが原因だと思ってるけど」
菫「はぁ・・・とりあえずは根本的原因を知ることが仲直りの一番の近道だろう」
淡「スミレママの言う通りだよ、テル」
菫「大星、トイレ掃除一ヶ月追加だ」ピキピキ
淡「え!?」
照「!?」
照「む、無理」
菫「照、渋谷と仲直りしたくないのか?」
照「・・・」
菫「だったら私の言う通りに行動しろ。それに何も今すぐに仲直りをしにいけとは言ってないぞ」
照「・・・」
菫「現状の確認をするだけだからな、いいから行ってこい」ゲシゲシ
照「い、痛い、やめて菫、蹴らないで、わ、わかったから!行ってくるから背中蹴らないで」
淡「ぷっ」
照「・・・」ズーン
照(し、渋谷に完全に嫌われてる・・・)
淡「・・・」ズーン
淡(ト、トイレ掃除がまた増えた)
菫「で? どうだったんだ、照」
照「・・・」グスッ
淡「・・・」ショボーン
菫(この様子じゃ相当嫌われてることが分かったみたいだな、ってかなんで大星まで落ち込んでるんだ?)
菫「?」
照「私の顔を見た瞬間に逃げるように去っていった。 それも顔を真っ赤にするほど怒ってた」
菫「それは・・・」
淡(・・・ん?)
菫「相当怒ってるな・・・ やっぱりお前お茶以外にも何かしただろ」
淡(え? いやいや! え?)
淡(まぁ、察するにタカミは間接キスが恥ずかしかったんだろうね。相変わらず乙女だなぁ、タカミーは)
照「どうすればいいと思う、菫」
菫「とりあえず謝意を込めて新しいお茶を何本か買っておくべきだな」
照「わ、分かった」
淡「・・・」
淡(・・・面白そうだからこのままでいっか)ニコニコ
菫「そうだな、後は」
ガチャ
尭深「お、遅くなりました・・・」ウツムキ
誠子「失礼します。すいません、宮永先輩、弘世先輩。遅くなりました」キリッ
照「・・・菫、この話はまた後で」コソコソ
菫「分かってる」コソコソ
菫「遅れてきた罰は大星と一緒にトイレ掃除だ」キリッ
淡「・・・」
淡(こいつら)
尭深「ご、ごめんなさい! 弘世先輩にみ、みゃーながせんぱっ///」
尭深(あうっ)
淡(かわいい)
照(かわいい)
菫(かわいい)
誠子「誠に申し訳ありません、御両人。 比度の失態、我が白糸台に勝利を齎すことで償いましょう」キリッ
淡「お前誰だよ」
誠子「大星よ、如何にお前が強かろうが所詮は年下、口の聞き方には気をつけろ」
尭深「せ、誠子、暴力はダメだよ!」あたふた
照「・・・」じーー
照(…私以外には普通に接するんだ)むすっ
菫「どうした、照」
照「いや、なんでもない。そろそろ練習を始める。菫、相手して」ゴゴゴゴゴゴゴ
照「・・・今日はここまでにする」ギュインギュイン
菫「そうだな、時間も時間だし今日はここまでだな」
尭深「ふぅ・・・疲れた」ゴキュゴキュ
誠子「牌が重い」
淡「・・・ズルイ」ボソッ
照「…? なにが?」
淡「勝ち逃げはズルイよ、テル!」
照「・・・」
淡「もう一回やr」
照「大星。これ以上、駄々をこねるようならトイレ掃除を増やすよ」
淡「!?」
尭深「だ、大丈夫だよ、淡ちゃん! 次はきっと勝てるよ」なでなで
照「!?」ガーン
淡「うぅ、タカミー」チラッ
照「ぐっ」ギリッ
淡(ふっ)ニヤリ
照「なっ!!」
菫「…? どうしたんだ、照」
照「・・・なんでもない」ギリッ
照(大星ェ)
尭深「う、うん! お先に失礼しま」
菫「ちょっと待った」
誠子「…弘世先輩?」
尭深「…?」
照「・・・菫?」
淡「・・・」
淡(はぁ・・・トイレ掃除めんどくさいなぁ)
誠子「あ」
尭深「・・・」
尭深(…忘れてた)
菫「まぁ、今からトイレ掃除は大変だろう。忘れたくなる気持ちも分かる。」
菫「そこで、だ。私から提案がある」
誠子「…?」
尭深「…?」
菫「今日は大星、二年生のどちらか一人、私がトイレ掃除をしよう」
誠子「え? いいんですか、弘世先輩」
菫「後輩だけに罰を押し付ける真似はしない」
照(私は早く帰りたい)
尭深「え?」
誠子「ということで悪いけど、尭深。先に帰ってて」
尭深「私がトイレ掃除をやるから誠子が先に帰ってもいいんだよ?」
誠子「いや、今日は私がやるよ」
尭深「・・・分かった」
菫「決まったな」
菫「―――ということで照、きちんと仲直りしとけよ」ボソッ
照「!?」
尭深「えっ!? そ、それは」
照「・・・」
照(やっぱり…)
誠子「尭深、ちょっと耳貸して」
尭深「な、なに?」
誠子「――――」ゴニョゴニョ
尭深「ッ!! む、無理だよ、そんなの////」カァアア
誠子「ふっ、まぁ、頑張れ」なでなで
照「……」ギリリッ
尭深「ッ!?//// そ、それじゃあ弘世先輩、お先に失礼します! 誠子と淡ちゃんもじゃーね」
照(また無視された・・・)
菫「ああ、渋谷、また明日な」
誠子「・・・」
ガチャ、バタン
菫「ん? どうしたんだ、亦野」
誠子「…弘世先輩。大星がいません」
菫「・・・」
菫(大星ェ!)
尭深「……」テクテク
照「……」テルテル
尭深「……」
照「……」チラッ
尭深「……」チラッ
照(あ、目があった、けどすぐそらされた・・・)
尭深「……////」カァアア
照(な、なにを話していいのか分からない……)ズーン
尭深「……」ウツムキ
照「…」イラッ
照「はぁ・・・また無視?」ボソッ
尭深「っ!?」はっ
照「渋谷、私の何が気に入らないの?」
尭深「ち、ちがっ」
照「違う? なら何で無視をするの? 私のことが嫌いだから無視するんだよね?」ぷるぷる
照(―――そう、か。無視されるのってこんなに辛いものだったんだね、咲)
照「昨日の放課後? お茶のことで怒ってるの」
尭深「ち、違います! 宮永先輩、あれは私の飲みかけだったんですよ?////」
照「…? 飲みかけだと何かまずいの?」キョトン
尭深「え? だ、だからあれは私が口をつけて飲んでたものなんですよ?」
照「…?…?」
尭深「あ、う、も、もういいです」
尭深「・・・別に怒ってません」ぷいっ
照「・・・」なでなで
尭深「ひゃう」ビクン
尭深「み、宮永先輩?」
照「いや、こうすると年下の女の子は落ちるって菫が」なでなで
尭深「・・・」
尭深「宮永先輩は私のことを落としたいんですか?」ジトー
照「え?」
尭深「ど、どうなんですか?」
照「わ」
尭深「わ?」
照「分からない」
尭深「・・・」ジトーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
照「い、いや、やっぱり落としたいかもしれない」
尭深「・・・」
照「え?」
尭深「わ、私が宮永先輩を落とします!////」カァアア
照「っ!?」ドキッ
照(それは年上の女の子が年下の女の子にするからこそ効果があるものだって菫が嘆いてたんだけど・・・今言うのは無粋かな)ドキドキ
照「・・・それは本気?」ドキドキ
尭深「ほ、本気です!////」カァアア
尭深「ひゃう、み、宮永先輩? これは、その、そういう意味で捉えても」
照「いいよ」ダキッ
尭深「宮永先輩…」ギュッ
照「渋谷…」なでなで
尭深「・・・尭深って呼んでください」ギュウ
照「尭深…」
ギュッ
―電柱の影―
?「・・・」カシャカシャ
?「あは、これをサキに見せたらどうなるかな? あはははは、サキの反応が楽しみだなぁ」ニコニコ
カシャカシャ
―カン―
?「もしもし、サキー生きてる?」
咲『ねェ、淡ちゃん。この写真なに?』
淡「あはははは、どう? キレーに撮れてるでしょ? テルとタカミの姿」
咲『へェ、タカミって言うんだこの女』ギリッ
―その頃―
尭深「っ!?」ゾクゾク
照「尭深、どうしたの?」なでなで
尭深「ふぁあ、な、なんでもないです」ごろごろ
―今度こそカン―
ガチャ
淡「おっはよー」
菫「・・・」ギロリ
誠子「・・・」ギロリ
淡「え? あー、い、嫌だなぁ、そんなに見つめられると照れちゃう」
菫「大星、辞世の句を読め」チャキ
誠子「貴様は我が怒りに触れた」ボキッ
淡「どうもすいませんでしたぁああああああああ」ゲザァ
菫&誠子「「天誅!!」」
ドゴォオオーー!!
照「尭深・・・」ギュッ
尭深「照先輩・・・」ギュッ
いちゃいちゃ
二人ともちょーかわいかったよー
長時間お疲れ様なのよー
Entry ⇒ 2012.09.21 | Category ⇒ 咲-Saki-SS | Comments (0) | Trackbacks (0)
結衣「ちなつちゃんとキスの練習をしたって?」 あかり「それは…」
結衣「自分でもびっくりするほど落ち着いているよ……」コォー
あかり「そういう落ち着くじゃなくって……」
あかり「やっぱりそういうのはす、好きな人同士でするものだよ」
結衣「あかりは私のこと好きじゃないの?」
あかり「好きだけど……」
あかり「こういうのはちゃんとしたいし」ボソ
結衣「え、なに?」
あかり「いきなりき、きすはレベルが高いと思うな」
あかり(これでひとまずはぐらかせるはず)
結衣「いやだ」
結衣「私はもうすでにそのレベルまで達している」
あかり「」
あかり「そんなレベルであかりに挑もうなんてあまあまだよ!」
結衣「……これでも?」グイッ
ギュ
あかり「ひゃ// ゆ、結衣ちゃん!?」
あかり「ま、まだだよ// あかりのヒットポイントは全然減っていないんだから!」
結衣「私はずっとまえからあかりのことが好きでした」
結衣「本当はあかりともっと遊んだりしゃべったりしたかったけど、みんなの前だと少し恥ずかしかったから……」
結衣「あかり……愛してます」
あかり「///」
あかり「あ、あかりも結衣ちゃんのこと好きです」
あかり「大好きです」
結衣「……エッチ?」
あかり「違うよもう!!」バシ
結衣「いたっ」
あかり「ん……」チュ
結衣「……」
あかり「」パッ
あかり「結衣ちゃん大好き」
結衣(…今まで意識なんかそんなにしてなかったけど、恋人となると妙に緊張するな…)
結衣(部屋の掃除はした、あかりに見せられないものは隠した)
結衣(オムライスを作るための材料も買ってあるし、ジュースもお菓子もある)
結衣(…問題、ないよな。うん)
結衣(後はあかりが来るのを待つだけだ…!)
結衣(…それにしても早すぎたかな。まだ朝の7時だし)
結衣「…暇だ。ゲームでもして時間を潰すしかないか…」
…
結衣「む!この!!くっ、意外と難しいなこれ…」カチャカチャ
結衣「後このステージさえクリアできれば…!!」カチャカチャ
ピンポーン
結衣「今いいところなんだ、後に…」
ピンポーン
結衣「…仕方ない、諦めるか」
結衣「…ん?もう11時になったのか。11時…って、あかり!!」
あかり「うーん…携帯に電話を…」
ドタドタドタドタ ガチャ
結衣「あかり!ごめん!!」
あかり「わぁ!?び、吃驚したよぉ…」
結衣「ちょっと暇つぶしにゲームやってたら…」
あかり「そんなに熱中してたの?」
結衣「ちょっとね…さ、入ってあかり」
あかり(…そうだ、ちょっと結衣ちゃんをいじっちゃってみようっと)
あかり「…ふ、ふーん。結衣ちゃんは、あかりよりもゲームが大事なんだぁ…」
あかり(慌ててる結衣ちゃん可愛いなぁ)
結衣「そ、その、えーっとだな…ちょっと、あかりが家に来るからって、緊張しちゃって、その」
あかり「その?」
結衣「…凄い早く起きちゃって、7時に用意が終わって、11時まで時間を潰そうとゲームをしてたら…」
あかり「こうなったというわけ?」
結衣「ご、ごめん…」
あかり「…クスッ 結衣ちゃん、あかり、別に怒ってないよぉ」
結衣「え?」
あかり「ちょっといじってみたかっただけだから、大丈夫だよぉ」
結衣「……へぇ。そうやってあかりは私の心を弄ぶんだ」
結衣「いいもーんだ。今日はあかりの大好きなオムライス作ってあげないよーだ」
あかり「えええ!?そ、そんなぁ…あかり、結衣ちゃんのオムライス楽しみにしてたのに…」
結衣「あ、あかりが、私にさっきの謝罪という事でキスしてくれたら許してあげようかなー」チラッチラッ
あかり「えぇ!?こ、ここで?」
結衣「別にしなくてもいいよーだオムライス作らないだけだしー」
あかり「…キスで、いいの?」
結衣「え、え?」
あかり「…結衣ちゃん」
結衣「あ、あかり…ん…」チュ
結衣「…え、あ、う、うん、その、えっと……」カオマッカ
あかり「…ゆ、結衣ちゃん?」
結衣「…あーえっと、その、アレだ。抱きしめたい」
あかり「ゆ、結衣ちゃ…きゃ!」
結衣「…」ギュゥ
あかり「ゆ、結衣ちゃん?」
結衣「…まさか、本当にするとは思ってなかったから吃驚した」
結衣「…そっか。じゃあキスはしたくなかった?」
あかり「う…ぁ…そ、そんなの、したくなかったらしてないよぉ…」
結衣「…やっぱり、あかりは可愛いな」ギュ
あかり「あぅ…そ、その、結衣ちゃん…抱きしめられるのも嬉しいけど…」
結衣「…どうしたの?」
あかり「その、他の人が…見てる…から…」
アツイワネー
ワタシモアンナセイシュンオクリタカッタワー
ユイアカキマシタワー!!
結衣「…」
あかり「は、恥ずかしいから部屋に入れてほしいなーって…」
結衣「そ…そうだな」
結衣(…暫く隣の部屋のおばちゃんとかにからかわれそうだ…)
結衣(…まぁ、相手があかりだから…いいかな、うん)
結衣「あかりが来るから、気合入れて掃除したんだ」
あかり「そうなんだぁ…結衣ちゃん、ありがとう!」ニコッ
結衣「本当あかりの笑顔は殺人的」
あかり「え、ええ!?」
結衣「ハッ…私は何を…」
あかり「そ、その、そんな事言われると恥ずかしいよぉ…」モジモジ
結衣「マジあかり天使」
あかり「結衣ちゃん!?」
あかり「材料は揃ってるの?」
結衣「うん。あかりが来る前に揃えておいたよ」
あかり「そっかぁ…」
結衣「…?残念そうだけど、どうかした?」
あかり「結衣ちゃんと一緒にお買い物に行きたかったなぁって思っただけだよぉ」
結衣(…私のバカ…なんでこんな重要なイベントを見逃してたんだ…!!)
結衣(せっかくあかりと新婚夫婦みたいに買い物できるチャンスがあったというのに…!!)
結衣(二人で食材を選びながらキャッキャウフフしてそして『あかり、これが欲しいなぁ』とか言われたかった…!!」
あかり「あ、あの、結衣…ちゃん?」
結衣「そして私は『もう、仕方ないなぁ…あかりは特別だから買ってあげる』とかそんなことを言ったりして…」
あかり「結衣ちゃん口から妄想が出てるよぉ!?」
結衣「!?」
あかり「あ、あの…結衣ちゃん?」
結衣(きっと引かれたよなぁ…うぅ…大事な時に私は何をしてるんだ…)
あかり「…そ、その、結衣ちゃん」
結衣「…何?」
あかり「えっとね、その、さっきの結衣ちゃんの口に出したの…嬉しかったよ」
結衣「え、ど、どうして?」
あかり「だって、それだけ結衣ちゃんは、あかりの事を思ってくれてるって事だよねぇ」
あかり「だから、純粋に嬉しかったよ、結衣ちゃん!」
結衣(…あかりは、本当に優しいよな)
結衣(…だから、好きになったんだけど…さ、ふふ)
結衣「…ありがと、あかり。それじゃ、気合入れなおして作ろうか」
あかり「うん!」
あかり「卵かき混ぜたよぉ」
結衣「ん、それじゃ焼いていこうか」
あかり「入れるよぉ…それ」ジュー
結衣「後は焦がさないようにうまくやって…っと」
あかり「…結衣ちゃんって、どうしてそんなに上手く出来るの?」
結衣「うーん…慣れかな、やっぱり。料理は慣れないとやっぱりうまく作れないよ」
あかり「そうなんだぁ…ねぇ、結衣ちゃん」
結衣「ん?」
あかり「今度、あかりにお料理教えて欲しいんだけど…良いかなぁ?」
結衣「もちろん良いよ。じゃあ今度、オムライスの作り方を教えるね」
あかり「わぁい!…あ、ゆ、結衣ちゃん…卵が…」
結衣「し、しまった!」
あかり「…本当に焦げてない方食べていいの?」
結衣「流石に焦がしちゃった方をあかりに食べさせるわけにはいかないしな」
あかり「でも…」
結衣「…じゃあ、今度。あかりが私にオムライス作って欲しいかな」
あかり「うん、いいよぉ!練習しておかないと…」
結衣「さ、冷めちゃうから食べよう。いただきます」
あかり「いただきます」
結衣「…焦げててもそれなりに美味しいな」
あかり「…気になるから、ちょっと頂戴、結衣ちゃん」
結衣「いいよ、はい、あーん」
あかり「あーん…モグモグ…うん、結構大丈夫だねぇ」
結衣(…あれ。素でやったけど…これって…)
あかり(…あ。間接キスだし恋人みたいな…)
あかり「う、うん!美味しいよ!!」
結衣(…キスまでした仲なのに…)
あかり(なんで恥ずかしくなっちゃうんだろう…)
結衣「…」
あかり「…」
結衣「あ、あのさ あかり「あ、あのね」
結あか「「あ…」」
結衣「…なんで緊張なんかしてるんだろうな、私たち」フフッ
あかり「…うん、おかしいよねぇ」クスクス
結衣「食べたら、次は何がしたい?」
あかり「うーん…まだ決まってないよぉ」
結衣「そっか…まぁ、家でのんびりするのもいいかもしれないけど…」
あかり「…うん。そうしようよぉ、結衣ちゃん」
結衣「分かったよ、あかり」
結衣「それじゃ、片付けてくるね。あかりは休んでて」
あかり「うん…ふぁぁ…」
結衣「…眠い?」
あかり「うん…お腹いっぱいになったからかなぁ…ちょっと眠たい…」
結衣「…そうだ。あかり、膝枕してあげる」
あかり「いいの?」
結衣「もちろん」
あかり「それじゃあ…お言葉に甘えるよぉ…」
結衣「…ふふ、あかりは、可愛いよな、本当」
あかり「うぅ…結衣ちゃんったらぁ…」
あかり「ぁ…」
結衣「…夢じゃないかなって、今でも思うときがあるんだ」ナデナデ
あかり「…えいっ」ギュ
結衣「いて!?あ、あかり?」
あかり「…夢じゃないでしょ?勝手に、夢にされたら困るよぉ」
結衣「…あかり」
あかり「だって、あかりも結衣ちゃんと恋人になれてすっごい嬉しいもん」
あかり「だから、夢じゃないかな、なんて思ったら駄目だよ、結衣ちゃん」
結衣「…そうだな、確かにあかりの言う通りだな」
結衣「ん?」
あかり「…あかりが寝る前に、キスして欲しいなぁ」
あかり「夢じゃないかなって言った罰として…ね?」
結衣「…あかり、それは罰にならないよ」
結衣「…だって、私もあかりにキス、したかったから…さ」
あかり「あ…結衣ちゃん…んん…」チュ
結衣「……ん、ふぅ。満足した?」
あかり「…うん」
結衣「…それじゃ、おやすみ、あかり」
あかり「うん…おやすみ、結衣ちゃん…」
結衣「…本当、幸せ者だな、私は」ナデナデ
あかり「ん…」
結衣「…ずっとずっと、好きだった」
結衣「…やっと気持ちを伝えられて、恋人になって…」
結衣「…願わくは、ずっとこのまま、あかりと一緒に…」
結衣「…いや、ずっと一緒にいる。もう、そう決めた」
あかり「んぅ…ゆい、ちゃーん…」
結衣「…ふふ。どんな夢を見てるのかな、あかりは…」
結衣「……あかり、これからも、ずっと好きだよ…」
チュ
あかり(ぁ…もう、寝てる時にキスするなんて…)
あかり(…今は、寝たふりで誤魔化しちゃったけど、あかりも…)
あかり(…あかりも、結衣ちゃんの事…大好きだよ)
明日というか今日もやらんとならないことがあるからねおっさん…
本当はもう少し書きたかったけど、今回はこれで勘弁してください
また書いてね
Entry ⇒ 2012.09.21 | Category ⇒ ゆるゆりSS | Comments (0) | Trackbacks (0)
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Entry ⇒ 2012.09.21 | Category ⇒ その他 | Comments (0) | Trackbacks (0)
伊織「わわわ私はオタクじゃないわよ!!!」
小鳥「またですか?」
律子「ちょっといないと思ったら、また食玩ですか……」
P「そう。あと一種類でコンプリートだからね」
P「今日は10個買っちゃった」
P「さーて、来い来い!」ガサガサ
P「来たー!!もえPレアー!!」
小鳥「良かったですね」
律子「勤務時間中ですよ?!」
P「俺今休憩時間中だし、スマホで書き込むからいいじゃん」
律子「そういうことではなくてですね……」
律子「はあ……もう勝手にしてください」
雪歩「オタクですぅ……」
真美「アレはまっき症状ですなー」
亜美「亜美達、ゆーかいされてかんきんされるかもー!」
春香「そ、そこまで言わなくても……」
春香「うーん、でも、ああいうのはもう少し大人しくやって欲しいかも……」
千早「仕事さえやってくれれば私は別にどうでもいいけれど」
やよい「……」
やよい「……伊織ちゃん、あれ見て……」
伊織「……!!」
真「またなんだよ……」
春香「オタクかあ。ちょっと嫌だなあ」
やよい「伊織ちゃん?」
真「おお、ハッキリ言ったね」
伊織「と、当然でしょ?事務所にオタクがいるなんてキモくて仕方ないわー!!」
伊織「だ、誰かハッキリ言ってやった方がいいかもね!」
そう。クレヨンしんちゃんの劇中劇ま・ほー少女もえPから取った
が、クレしんキャラは出ません
小鳥「ハイ、765プロです……、ハイ、少々お待ちくださいませ」
小鳥「プロデューサーさん、旭日テレビの~さんです」
P「あー、はいはい。どうもっす」
P「ちわーっす。俺です」
P「ええ、はい」
P「……」
P「へっへっへ。マジっすか?」
律子(仕事は何とかやってるし……)
P「例のもえPイベント、関係者席、ええ、2人ですね?」
P「マジ感謝っす!」
P「ええ、じゃあ今度また夜を徹して、もえPトークしますか!!」
P「へっへっへ。お疲れっす」ガチャ
P「え?前からお願いしてたもえPイベントに俺も行けるって連絡が……」
律子「真面目に仕事しろー!!このバカー!!」
伊織「イベント……」ゴクリ
やよい「……?」
伊織「ここじゃあ言い難いから、顔貸しなさいよ」
P「おう、いいよ」
―屋上―
P「何?告白?」
伊織「バカ言ってんじゃないわよ!」
P「あ、魔法少女もえP?」
伊織「……そうよ」
伊織「キモいって言われてるわよ……ちょっと控えなさいよ」
P「まあ実際キモいしなあ」
伊織「自覚あるのね……」
P「何?話それだけ?わざわざ済まないな」
伊織「2人分席あるって言ってたけど、誰かと行くわけ?」
P「あー、まだ誰と行くか決めてるわけじゃないんだけど」
P「ああいう業界も誰かに見せてやりたいし」
P「亜美、真美のどっちかかなー」
伊織「りょ、両方あんたのことキモいって言ってたわよ」
P「あ、何か具体的に名前が出ると凹むな」
伊織「べ、別に行きたいわけじゃないんだからね。あくまでも仕方なく……」
P「ふーん」
P「じゃあお願いしようかな」
伊織「か、感謝しなさいよ!!」
真「ホントだよ」
伊織「え?」
春香「これで少しは控えてくれるといいんだけどね」
やよい「……」
伊織「……」
伊織「にひひひひひ……」
やよい「……伊織ちゃん……」
小鳥「あら?プロデューサーさん、片づけるんですか?」
P「さっき怒られまして」
律子「これに懲りたら、もう机の上食玩だらけにしちゃダメですよ」
P「伊織ー、そろそろ行くぞー」
伊織「はひっ」
P「そんなに緊張するなって」
真美「いおりんなんか変なのー!今日はどんな仕事なの?」
P「ん?んー、イベント視察」
亜美「へー、よっぽどすごいイベントなんだねー?」
伊織「ととと当然よ!!こんな機会滅多にないんだから!!」
P「じゃあ俺、ディレクターさんに挨拶してくるから」
伊織「はいはい、別に戻ってこなくていいわよ」
伊織「にひひひ……とうとうここまで来たのね……」
P「……」
『もえもえピピピ、もえピピピ!』
ウォオオオオオオオ!!
伊織「キャー!!」
伊織(ああ、もえPの声優さんの声をこんなに近くで聞けるのね……)
P(伊織、俺が戻ってるのにも全然気づかないな)
伊織「ふう……」
P「あ、いたいた」
伊織「あ、あんたどこにいたのよ?イベント終わっちゃったじゃない」
P「いや、すぐ隣にいたぞ?」
P「終わる直前にまた挨拶に行ったんだけど」
伊織「え?そ、そうなの……?私も挨拶に行った方がいいかしら……?」
伊織「そ、そう?」
P「もう、もえPの大大大ファンだって伝えたから」
伊織「は、はあ?な、何言っちゃってるのかしら?
わ、私がこんな子供向けアニメのファンなんてありえないでしょ?」
P「俺の目の前でキャーキャー騒いでたの誰だっけ?」
P「俺がいたのにも気づかずに」
伊織「……」
P「ファンなんだろ?」
伊織「…………ハイ…………」
伊織「……ちょっと」
P「……例の話か」
律子「何か……プロデューサーが大人しくなったのはいいけど……」
小鳥「ちょっと様子が変ですね……」
P「ああ、鍋食べてたな!」
伊織「鍋を食べるだけで一回分の放送を使うなんて、何て斬新なのかしら!」
P「鍋を食べるもえPもかわいかったな!」
伊織「もえPは最早天使ね……」うっとり
P「もえPマジ天使」
P「ああ、ウエハースがおまけに付いてくるやつね」
伊織「それよ!もえPノーマルのステッキ付、あんたダブってない?」
P「ああ、2個あるよ。欲しいのか?」
伊織「……」
P「欲しいって言ったらあげるけど?」
伊織「……欲しい…です……」
P「よーし」
真「この前ガツンと言ったのが逆に良かったのかな?」
あずさ「ガツン?」
春香「そうなんですよ。伊織が言ったから、オタク趣味を事務所では控えてるみたいです」
貴音「なるほど……私にはよくわかりませんが……」
響「プロデューサーキモかったからなー」
やよい「……」
やよい「おはようございまーす!!」
かすみ「お、おはようございます……」
小鳥「あ、かすみちゃん。話は聞いてるわ」
やよい「ごめんなさい。どうしても今日は遅くなっちゃうのに、家には誰も……」
律子「いいのよ。ゆっくりしていってね?」
P「じゃあやよい、行こうか」
やよい「はいっ!」
小鳥「じゃあ、そこでくつろいでてね」
小鳥「って言っても、一人じゃ退屈よね……」
小鳥「そうだ!プロデューサーさんの食玩がこの辺に……」
小鳥「あったあった」
小鳥「かすみちゃん?こういうの好きかしら?」
かすみ「あ、もえP!」
小鳥「これ好きに使っていいからね?」
かすみ「いいんですか?やったあ!」
伊織「ただいまー。あら……?」
かすみ「あ、お邪魔してますー」
伊織「あ、今日って言ってたわね。大変ね……」
小鳥「伊織ちゃん、30分くらい留守番お願いできる?
どうしても郵便局へ行く用事が出来ちゃって……」
伊織「いいわよ」
小鳥「お願いね?じゃ、いってきまーす」
伊織「……!!」
伊織「……あの……それ……」
かすみ「もえPですか?」
伊織「もえP……好きなの……?」
かすみ「はいっ!」
かすみ「毎週見てるんだけど……お菓子とか買えなくて……」
伊織「……」ゴクリ
伊織「ちょっと、お話しましょ?」
……
P「ただいまーっす」
やよい「……あれ?かすみ?」
かすみ「それでー、あの魔法でピピピって野菜に変わるのがー」
伊織「最高ね!!」
伊織「あ、でも、おさるの格好のもえPもかわいいわよねー」
かすみ「あ、うん。今日は楽しかったですー!」
伊織「わ、私もよ」
P(む……)
かすみ「うん。すごく楽しかったよ」
やよい「……かすみ……」
やよい「あんまりプロデューサーとか伊織ちゃんに近づいたら駄目だよ?」
かすみ「えー、どうしてー?」
やよい「どうしても!!」
かすみ「……」
やよい「返事は?」
かすみ「うん……」
P「伊織、今日は凄いの借りてきたぞ」
伊織「な、何よ?」
P「ほーれ」
伊織「これ……」
P「もえPなりきり変身セット」
伊織「でもアレ普通に売ってるでしょ?別に借りてこなくても……」
伊織「……!!」
P「着てみる?」
伊織「……」
伊織「……着てみる……」
伊織「と、当然でしょ?」
P「もえPとはまた違った魅力が……」
伊織「そんなにジロジロ見られると恥ずかしいじゃない……」
P「写真……撮ってやろうか?」
伊織「……え?」
伊織「……かわいく撮りなさいよ……」
P「ほーら、ステッキ振り上げてー」
伊織「こうかしら?」
P「はい、笑顔笑顔!おっ、いいよー」パシャ
やよい「……何してるんですか……」
やよい「その格好……」
伊織「こ、これは違うの!」
やよい「やっぱり伊織ちゃん、プロデューサーとおなじオタクで変態さんだったんだね」
伊織「やよい、待って!」
やよい「うっうー、私に触らないで下さい」
やよい「あと、かすみにも近づかないで」
P「……」
P(やっぱり事務所でやるのはまずかったか)
我那覇乙
ゾだけじゃねーかwww
やよい「うっうー、プロデューサーもお仕事以外では私に話しかけないで下さいー」
P「まあ、俺のことはいいけど、伊織は許してやってくれよ」
P「俺が無理やり頼んだんだからさ」
やよい「……嘘。伊織ちゃん、とっても楽しそうにしてました」
やよい「私といるときだってあんなに楽しそうな顔みたことないのに……」
P(ふむ……)
やよい「だって……将来犯罪者になるから近づいちゃいけないって……みんな言ってます!!」
やよい「小さい女の子が見るようなアニメが好きなんて、おかしいです」
P「やよい」
やよい「……」
P「別に伊織は、小さい女の子が見るようなアニメが好きなわけじゃないと思うぞ」
P「たまたま、魔法少女もえPという作品が好きになったんだ」
P「ああ、そうだな。しかし」
P「やっぱり見てもいないのに批判しちゃ、いけないなあ」
やよい「え?」
P「さあ、こっち来い」
やよい「ええー!!!」
やよい「もえもえピピピですー!!」
伊織「……あんた、何やったのよ?」
P「いや、DVD全部見せただけ」
伊織「賭けに出たわね……」
P「やよいは絶対ああいうの好きだと思って」
P(それに……きっとやよいは寂しかったんだよ。自分の知らないものにハマる伊織が)
伊織「いえ、むしろ昨日グッズを全部捨ててしまおうかと……」
P「そういえば凄いクマだな、大丈夫か?」
伊織「でも駄目だった……。私には捨てられない……。でもやよいも捨てられない……」
P「おーい」
伊織「あの、私……」
やよい「ごめんなさい!!」
伊織「え?」
やよい「私、昨日はひどいこと言っちゃって……」
やよい「それが好きなんだよね?!伊織ちゃん!!」
伊織「え?え、ええ……」
P(DVD見ながら適当にでっち上げた話だけど信じて良かった……)
伊織(ちょっとアホっぽくてお金にはしっかりしてるところがやよいに似てるからなんて言えない)
やよい「なんですかー?」
P「食玩あげるから、かすみちゃんと一緒に遊びなさい」
やよい「え?いいんですかー?」
P「ああ」
P「俺も仲間が増えて嬉しいし」
やよい「あ、ありがとうございますー!!かすみも喜びますー!!」
やよい「もちろん!もえPの話一杯しようね!」
伊織「やよい……!!」
P「良かった良かった」
P「これで俺も許されたな」
やよい「あ、プロデューサーはかすみに近づかないで下さいねー」
小鳥「プロデューサーさん、電話ですー。旭日テレビの」
P「あ、ハイハイ」
P「お電話代わりましたー」
「あ、Pちゃん?俺俺」
P「ちゅーっす!どうもっす」
「例のアレ、いけそうだよ」
「でね、実は姉妹っていう設定になりそうなんだ」
「一人はこの間イベント来てた伊織ちゃんでいいとして」
「もう一人、誰か良い子いない?」
P「へっへっへ、そりゃもう、良い子がいますよ。高槻やよいって言いまして……」
―魔法少女もえP 劇場版―
―謎の中学生魔法少女姉妹の正体とは?―
―来春公開!!!―
終わり
後悔はしていない
あとクレヨンしんちゃん見てて思いついたので
もえPはそのまま使った
つづきはよ
読んでくれた皆さんありがとう
Entry ⇒ 2012.09.21 | Category ⇒ アイマスSS | Comments (0) | Trackbacks (0)
P「婚活パーティに行ったら音無さんがいた」
P「…え?」
P「音無さん、どうしてここに…」
小鳥「社長の勧めで…プロデューサーさんは?」
P「俺も社長に……」
小鳥「……」
P「……」
小鳥「はい…」
P「ところで、いい出会いはありましたか?」
小鳥「うーん…しっくりこないと言うか」
P「そうなんですか」
P「実は俺も…」
小鳥「ひどいですね」
P「曰く、年収は最低でも一千万は欲しいようです」
小鳥「私がお話してた男の人は、自分の年収の話しかしませんでしたね」
P「お金が全てなんでしょうね」
つまり成立するわけがない
最近は600万位に相場が下がったらしいが、まだまだ厳しいだろう…
P「ええ、同感です」
小鳥「ふふっ、気が合いますね」
P「そうですね」
小鳥(プロデューサーさん……か)
P(音無さん…か)
小鳥(意識したこと、なかったな)
P(意識したこと無かったなぁ)
偽者だ
ピヨちゃんなら、社長からPが婚活に行く事を聞き出して偶然を装って参加するとかするだろ
妄想さえナントカすれば高スペックだぞ
30近くまで一度も言い寄られたこともないなんて相当じゃないですかー
小鳥「え?」
P「その…ここは空気があまり良くないので」
小鳥「……そうですね」
小鳥「私で良ければ、ぜひ」
P「決まりですね。 では行きましょうか」
小鳥「はい」
小鳥「プロデューサーさんに、お任せします」
P「むむ、プレッシャーですね」
キョロキョロ
P「あ、ここはどうです?」
小鳥「良さそうな雰囲気ですね…ここにしましょうか」
P「はい」
…
P「なかなか洒落てますね」
小鳥「私、場違いかなぁ…」
P「いやいや、音無さんは綺麗ですから」
小鳥「…なんだかむず痒いですね」
P「それに…たまには背伸びしても罰は当たりませんよ」
小鳥「それもそうですね」
小鳥「はい」
P「俺と音無さんの婚活パーティ二次会に」
小鳥「乾杯」
チン
P「……美味しい」
小鳥「ほんと、美味しい」
小鳥「少子化の原因を目の当たりにしましたね」
P「まあ、思いがけない出会いがありましたが」
小鳥「ふふっ、本当ですね」
P「……」
P「音無さん」
小鳥「はい?」
小鳥「…え?」
P「…あ! そういう意味ではなく…」
P「たまに、こうして二人で…」
小鳥「はい、喜んで」
P「え?」
P「あ、そっちか…」
小鳥「はい?」
P「いえ、何も!」
P「少し席を外しますね…!」
小鳥「はい」
スタスタ
小鳥「なんだ…告白かと思っちゃった」
小鳥「マスター、アースクエイクを…」
マスター「はい」
マスター(告白だったのになぁ…)
小鳥「あ、どうも」
クイッ
小鳥「…ふぅ」
P(大人の雰囲気ムンムンで近寄り難い…)
小鳥「あ、おかえりなさい」
P「あ…はい」
マスター「はい」
P(…にしても)
小鳥「……ふぅ」
P「音無さん、なんだか妖艶だなぁ」
小鳥「え?」
P「あ!」
小鳥「なんだか顔があつい…」パタパタ
マスター「どうぞ」
P「ど、どうも」
マスター「仲睦まじいようですね」
P「…!?」
小鳥「…!!?」
マスター(微笑ましいなぁ)
P「ふ…」
小鳥「夫婦…」
P「そんな…俺じゃ音無さんと釣り…」
小鳥「…小鳥です」
P「はい?」
小鳥「名前で、呼んでくれますか?」
P「こ、小鳥さん…?」
小鳥「はいっ」
P「小鳥さん」
小鳥「……もう一回」
P「小鳥さん」
小鳥「ん~っ、えへへ」
P「…そろそろ出ますか?」
小鳥「はいっ」
P「すいません、お会計を」
小鳥「そんな、悪いです」
マスター「お代は結構ですよ」
P「え?」
マスター「今夜は私の奢りです」
マスター「但し、次からはしっかり頂きますから」
小鳥「マスター…」
P「マスター…」
マスター「また二人で来てくださいね」
…
小鳥「素敵なマスターでしたね」
P「また行きましょうね」
小鳥「はい、また連れて行って下さい」
P「任せて下さい」
小鳥「約束ですよ?」
P「家まで送りましょうか?」
小鳥「…いえ、気持ちだけ受け取っておきます」
P「そうですか…ではまた明日」
小鳥「はい、おやすみなさい」
P「おやすみなさい、小鳥さん」
P(断られちゃった…がっつき過ぎたか?)
小鳥(断っちゃった……私のバカ)
高木「どうだったかね? 婚活パーティは?」
P「パーティ自体は…イマイチ」
高木「ふむ…では君たちは」
小鳥「申し訳ないですが…」
P「こっそり抜け出して小鳥さんと二人で飲み直しました」
高木「……どうやら音無君とかなり親しくなれたようだね」
P「え?」
高木「呼称が」
P「あっ!」
P「し、式って…!」
小鳥「まだ早いですよ!」
高木「まだ?」
小鳥「うっ……」
春香「式…?小鳥さんとプロデューサーさんが結婚?」
春香「お祝いしないと!」
小鳥「まんまと罠に嵌められたんですね」
ガチャ
パンパンパン
P「うぉわ!?」
小鳥「きゃあ!?」
春香「ご結婚、おめでとうございます!」
P「!?」
小鳥「!?」
P「いや…」
春香「黙ってるなんて、水くさいですよっ!」
小鳥「春香ちゃん…?」
春香「あ、あと皆に知らせておきました!」
P「……」
小鳥「……」
春香(盛大にお祝いしてあげないとね!)
P(あかん)
小鳥(もう引き返せないパターンに入った…)
小鳥「はい?」
P「いっそ結婚しちゃいますか?」
小鳥「ふふっ……そうですね」
P「では、改めて…」
P「結婚して下さい、小鳥さん」
小鳥「はいっ、喜んで!」
ぶっちゃけスレタイしか考えて無かった
もうちょい練ってから書けば良かったと反省してる
Entry ⇒ 2012.09.21 | Category ⇒ アイマスSS | Comments (2) | Trackbacks (0)
岡部「鈴ワン・・・だと・・・?」 鈴羽「わんわん♪」
【深夜、未来ガジェット研究所】
岡部「ふむふむ…・・」 カタカタカタ…
─────────────────────────────
【猫飼ってる奴に聞きたいのだが… 】
[1]鳳凰院凶真[sage]2010/08/14(土) ID:???
猫の喜ぶ撫で方を教えてくれないか?
[2]名無し[sage]2010/08/14(土) 10:05:43 ID:???
>>2get
[3]名無し[sage]2010/08/14(土) 10:05:43 ID:???
ぬこと聞いてキマスタ
[4]黒の絶対零度[sage]2010/08/14(土) 10:06:00 ID:???
まず毛を逆なでてはいけません。。
毛の向きに沿ってやさしくナデナデしてあげてください。
─────────────────────────────
岡部「ふむ、毛の向きの沿って…」 ナデナデ
???「ひゃう!? お、岡部…////」
岡部「なになに…『背中をなでる時は、背骨に触れないように』か…」 サスリサスリ
???「やあ! せ、背中…そんな風にされたら、くすぐったいよお…////」
岡部「次は『アゴと首周りを指先でやさしく』だな…少し顔をあげろよ。」 クイ、コチョコチョ
???「あ…あ…おかべ…おかべぇ…////」 トロン…
岡部「効果は抜群だ。 この黒の絶対零度とやら、かなりの猫スキーと見た。
む? 『眉間を指でグリグリしてやるのも効果的』だと…よし!」 グリグリ
???「痛っ! ちょ、お、岡部!? それは痛い! やめるニャーーー!!」
ドンガラガッシャーーン!
岡部「ぐええーーー!? なぁにをするのだ、クリスティーニャ!!
せっかくご主人様が膝の上で愛でてやってるというのに!」
紅莉栖「う、うるさい! バカ! やりすぎだ!////」 ニャーン♪
紅莉栖「だいたい、@ちゃんねるの片手間に撫でられても嬉しくないんだから!」
岡部「む? 気持ちよくなかったのか?」
紅莉栖「グリグリ以外はすごくよかったけど…//// って、そういう問題じゃない!
私はあんたにご主人様としての自覚を持てと言ってるの!
もっとこう…私を第一に優先して行動するニャ!!」
岡部「だ~~まれ!! ただでさえ貴様に貴重な@ちゃんタイムを妨害されているのだ!
そっちこそ少しは主の立場を考えろ!!」
紅莉栖「岡部、@ちゃんなんかしてないで、私と遊びなさい。」
岡部「ちょっと待ってろ。 今いい所なのだ。」
紅莉栖「む! ふにゃーーーー!!」 カタカタカタ!
岡部「あーーーー!?」
─────────────────────────────
[20]鳳凰院凶真[sage]2010/08/14(土) ID:???
イf簿jp;あlがんgろあ;あp:んgら:nばお;なpん¥:あ
[21]名無し[sage]2010/08/14(土) ID:???
ちょwwwなんぞwwww
[22]名無し[sage]2010/08/14(土) ID:???
包茎院どうしたwwwww
[23]鳳凰院凶真[sage]2010/08/14(土) ID:???
すまない、猫がやった。
[24]名無し[sage]2010/08/14(土) ID:???
ぬこじゃしょうがない
[25]黒の絶対零度[sage]2010/08/14(土) ID:???
ぬこの画像うp!
─────────────────────────────
~【以上、回想終了】~
岡部「お前のおかげで、既に@ちゃんでは『鳳凰院=ぬこ』でネタにされてるんだぞ!
主の名誉に傷付けて、貴様はそれでも使い魔か!?」
紅莉栖「使い魔じゃなくて猫だと言っとろーが! ほら、くやしかったらコレでご主人様らしい事をしなさい!」
岡部「む? これはヘアブラシか?」
紅莉栖「そ、それで私をけ、毛づくろいしろ!////」
岡部「」
シュッシュ シャーシャー
紅莉栖「にゃふ~♪」
岡部「気持ちいいか?」
紅莉栖「ま、まあまあだニャ!////」
岡部「うむ、しかしお前の髪の毛はサラサラで手触りがいいな。
これなら俺がブラッシングする必要なんかないんじゃないか?」
紅莉栖「そ、そんな事ないわよ! これはご主人様の義務なんだから!////」
岡部「そうか…」
紅莉栖「そうよ。」 ピコピコ! フリフリ!
岡部「…・なあ、前から気になってたんだが、その猫耳と尻尾はどうなってるんだ?
手を触れてないのに、勝手にピコピコ、フリフリ動いてるぞ?」
紅莉栖「ああ、これは装着者の脳波を読み取って動くように私が改造して…って、
私は猫なんだから耳と尻尾を動かせるのは当たり前じゃない!」
岡部(才能の無駄遣いすぎるぞ、紅莉栖…・・)
岡部「しかし、夜のクリスティーニャとの生活を始めて、もう一週間か…」
紅莉栖「ふふん! こんな可愛い猫ちゃんがあんた見たいな厨ニ病の
ペットになってやったんだから感謝しなさいよね!」 ピコピコ! ピーン!
岡部「ああ、そうだな…」
紅莉栖「へ?」
岡部「毎晩、お前が夜のラボに居てくれるようになってよかった。
以前は夜になると、一人っきりだった…・・ありがとうな。」
紅莉栖「ふぇ!? そ、そんな…私はただ…岡部の傍にいたかったから…////」 モジモジ
岡部「………」 スウ…
紅莉栖「? 岡部?」
岡部「ひっかかったな、クリスティーーーニャ!! 捕まえたーーー!」 ガシィ!!
紅莉栖「きゃああ!? な、何するの岡部!?」
岡部「無駄だ。 こうがっちりと俺の腕の中に囚われては脱出できまい!
ククク、この鳳凰院凶真が、使い魔の数々の無礼をこのまま許すと思ったか?」
紅莉栖「な、何をする気!?」
岡部「罪には罰に決まっておろう? お前の大嫌いなあれさ…」
紅莉栖「ま、まさか…」 カタカタ…
岡部「そう…」
ゴロン!
岡部「『もふもふの刑』どぅわーーーー!!」
紅莉栖「いやあああーーー!!」
紅莉栖「やだやだ! 『もふもふ』はやだよぉ! お願い、岡部!」
岡部「ファーッハッハッハ! お前は本当にもふもふが嫌いだなあ!!
そんなにあれが不快なのか? んー?」
紅莉栖「…良すぎるからイヤなんだよぉ…////」 ボソ…
岡部「ん? 今なんて言った?」
紅莉栖「な、なんでもない!!//// とにかくアレはやめてよ!
アレされると私、頭の中が真っ白になって、変になっちゃうの!」
岡部「なるほど…それは大変だな…」
岡部「だが断る!!」
紅莉栖「な、なにぃ!?」
岡部「という訳で、もふもふさせろぉぉーーーーーー!!」
モフモフモフモフモフモフモフモフモフモフモフモフモフモフモフモフモフモフモフモフモフモフモフモフ!!
紅莉栖「ニャああああーーーーーー!!!!」
- - -- ── ────────────────── ── -- - -
- - -- ── ──────────── ── -- - -
- - -- ─ ── ─ -- - -
- - - - -
チュンチュン
チュンチュン
紅莉栖「ん…はあ…・朝?」
岡部「ぐ~…」
紅莉栖「岡部…? あれ、私、あのまま寝ちゃったんだ!
いけない、他の皆が来る前に着替えて、ホテルに戻らなきゃ!」
岡部「ん~…クリスティーニャ…」 ムニャ・・
ギュウゥゥ…
紅莉栖「きゃ!? お、岡部! だ、駄目だよ、放して…////」 ゴソゴソ
【シャワールーム】
シャアアアーーーー…・
紅莉栖「ふう…気持ちいい…」
きゅん♪
紅莉栖「う! ま、まだお腹の奥が疼いてる…岡部にもふもふされたから…////」
「あんなに何度も、何度も…激しくするからだよ…岡部のバカ…////」
「本当に…エッチなんだから…////」
※【彼女はもふもふされただけです。】
シュル…キュ…・
紅莉栖「よし、着替え完了。 クリスティーニャから牧瀬紅莉栖にへんし~ん!ってね。」
岡部「ぐ~ぐ~ふご…・」
紅莉栖「おのれ…気持ちよさそうに寝やがって!」 ツンツン!(頬を突っつく)
岡部「ん~~…」
紅莉栖「ゆ、昨夜は私をあんなにメチャクチャにしたくせに…本当に憎ったらしいんだから!!////」 ツンツン!
岡部「ふへへ~…くりす~…」 ムニャムニャ
紅莉栖「まったく…また後でね、愛しいご主人様♪」 チュッ…
カン カン カン(階段を降りる)
紅莉栖「くう~~、朝日が沁みる~~! …ん?」
シャアアーーー! キキィーーー!
???「とうちゃ~~く! あれ?」
紅莉栖「阿万音さん…・」
鈴羽「牧瀬紅莉栖…・」
紅莉栖(ちっ…せっかくいい気分だったのに、嫌な娘に会っちゃった…)
紅莉栖「あら、おはよう阿万音さん。 今日は早いのね。」
鈴羽「心にもない挨拶はしなくていいよ、牧瀬紅莉栖。
君の考えてる事は顔に出てるから。」
紅莉栖「あら、あなたがそんなに空気の読める娘だったなんて意外だわ。」
鈴羽「そりゃあ、私は君以上に、君の本性を知ってるからね。」
紅莉栖「うふふふ…・・」 ゴゴゴゴゴ…!
鈴羽「あはははは…・」 ドドドドド…!
鈴羽「ねえ今、岡部倫太郎のラボから出てきたの…?」
紅莉栖「…・そうよ、昨夜は研究で遅くなったからここに泊まらせてもらったの。 それが何か?」
鈴羽「べっつに~…ただ、あんまり我がままを言って、彼に迷惑をかけないで欲しいな。」 ムス!
紅莉栖(この反応…やっぱりこの娘も岡部のことを…) ギリ…!
紅莉栖「ふふふ…」
鈴羽「!?」
紅莉栖「それなら阿万音さん、お願いなんだけど、今日は岡部を起こしたりせずに
ゆっくり眠らせてあげて欲しいのよ。」
鈴羽「な、何で?」
紅莉栖「彼…昨夜は私の為にいっぱい頑張ってくれたから…疲れてるのよ…・」 クスクス!
鈴羽「そ、それってどういう意味さ!?(何…この牧瀬紅莉栖の勝ち誇った顔は!?)」
紅莉栖「じゃあ、私は一度ホテルに戻るから。 またね、『ただのラボメン』の阿万音さん♪」 スタスタ
鈴羽「あ、ちょっと…何だよ、もう!」
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【時は流れ、お昼ごろの未来ガジェット研究所】
ドン! ドン! ドン!
岡部「む!? 誰だ、ラボのドアを乱暴にノックしおって!?」
まゆり「はーい、どちらさまー?」 ガチャ
ブラウン「おーーかーーべーー!!」
岡部「ひぃ!? Mrブラウン!?」
ブラウン「おう、岡部…ちょいと家捜しさせてもらうぜ!」
岡部「や、家捜し?」
ダル「ちょ!! オタクの部屋を探索とか、マジ勘弁!!」
ブラウン「岡部…俺に何か隠し事をしてねえだろうな…?」
岡部「か、隠し事!? ふ…この鳳凰院凶真は常に周囲に陰謀を張り巡らしているのだ!
無論、あなたの周りにもなMrブラウン! 今さら気付いても、もう遅…」
ブラウン「お前最近、ここで猫を飼ってるだろ?」
岡部「ぶほおおおーーー!?」 ビチャァ!!
まゆり「オカリン!?」
ダル「ドクターペッパー噴いた!?」
ブラウン「その反応は図星だな!!」
ブラウン「近所から苦情がきてるんだよ!
『夜中になると、このビルから猫の鳴き声がしてうるせえ』ってな!
おう、部屋貸す時言ったよなぁ、ペット禁止だって!」
ダル「ぬこ…だと…!?」
まゆり「えー! オカリン、猫さん飼ってるの!?
いいなーいいなー、まゆしぃーにも抱っこさせてー♪」
岡部「(クリスティーニャの声がでかすぎたか!?) ご、誤解だ、Mrブラウン!
おおお、俺は断じて猫科動物など飼ってはいない!!」
ブラウン「ほー、だったら部屋の中を調べてもかまわねえな! 上がらせてもらうぜ!」
ガサゴソ、ガサゴソ
ブラウン「ぬう~~! ガラクタがあるだけで、動物を飼ってる痕跡すらねえ!」
岡部「ご、ご理解いただけたでしょうか…?」
ブラウン「まだだ! お、そこの棚なんて猫を隠すのにちょうどよさそうじゃねえか!」 ガラ!
ダル「ちょ! そこは!!」
ブラウン「何だ、この本? 『ロリきゅ~ぶ』…!? 橋田ぁ…テメェ、綯をこうゆう目で!!」
ダル「違うお!! 僕はYESロリータNOタッチの精神を…ぎゃあああーーーー!!」
まゆり「オカリン、猫さんは本当にいないの? まゆしぃ、猫さんと遊びたかったなあ…」
岡部(問題ない…俺が飼ってるのはクリスティーニャだ…何の問題もないはず!)
チリンチリーーン…
ブラウン「!! おい今、鈴の音が聞こえたぞ! 猫の首輪だな!」
岡部「う…!!」
まゆり「あ、この音は…」
チリーン チリーン
ブラウン「外からか…だんだんこっちに近づいてくるぜ!」
ダル「ち、ちがうお…これは…」
チリーン チリーン
ブラウン「ドアの前…そこだーーーー!!」 ガチャ!
紅莉栖「きゃあ!? 店長さん! どうしたの?」
ブラウン「ま、牧瀬?」
まゆり「紅莉栖ちゃん! トゥトゥルー☆」
紅莉栖「ちょっと、これは何の騒ぎ?」
ブラウン「おい、牧瀬! お前、猫を隠したろ! どこだ!」
紅莉栖「な、何の事ですか?」
ブラウン「恍けるな! 今まで鈴の音が!!」
紅莉栖「それってこれのことですか?」 チリーン
ブラウン「へ…首輪…?」
ブラウン「何でお前が鈴の首輪なんてつけてんだよ!?」
紅莉栖「これは、こういうチョーカーです。」
まゆり「それのおかげでねー、最近は鈴の音が聞こえたら紅莉栖ちゃんが来たってすぐ分かるのです!」
ブラウン「くううーーー! 紛らわしいモンつけやがって!」
岡部「も、もうご理解いただけたでしょうか…?」
ブラウン「ぬう…今日のところは引き下がる!! 覚えてやがれ!!」 バン!
岡部「あーーーー怖かったーーーー!!」
紅莉栖「一体なんだったの…?」
まゆり「あのねーカクカクシカジカー。」
紅莉栖「!!!! そ、それは不思議ねー///」
まゆり「紅莉栖ちゃん、顔が真っ赤だよ?」
紅莉栖「あ、暑さのせいよ!」
ダル「やっぱりブラウン氏にも、そのチョーカーは首輪にしか見えなかったお。
つまり、牧瀬氏は首輪プレイの真っ最中という認識は正義!」
紅莉栖「橋田のHENTAI! これはそんな下品なものじゃないの!(これは私と岡部の絆なんだから!)」
岡部「あー…こほん! と、とにかく俺達の何かしらの行動がMrブラウンに誤解を与えたのは確かだ。
なのでーそのー…しばらくは、誤解を招きそうな行為は慎もうと…考える訳で…」 チラ…
紅莉栖「……」
ダル「そうは言ったって、何が間違ってぬこを飼ってるってことになるん?」
まゆり「あっ! ひょっとしてまゆしぃのうーぱ人形が夜な夜な、鳴き声を上げて…」
ダル「あるあ…ねーよ! 呪いの人形かよ!?」
岡部「おい、やめろ! 呪いとか言うな! 想像しちゃうだろ!」
紅莉栖「怖いの?」
岡部「ファーーッハッハッハ! この鳳凰院凶真が怪談ごときに…」
紅莉栖「ねえ、まゆり。 私の大学に、『首切りジャック』っていう怪談があってね…」
岡部「やめて!!」
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【深夜、未来ガジェット研究所】
岡部「ふう、皆は帰ったか…今日のことでクリスティーニャも来ないだろうし、久しぶりに静かな夜だ。」
岡部「……」 チラ
うーぱ人形「」
岡部「落ち着け、鳳凰院凶真…うーぱの呪いなぞ、あの場のでまかせだ…・
鳴き声の正体はクリスティーニャなのだから…」
うーぱ人形「」
岡部(くっ…! なんだかコイツの目の模様が血の涙に見えてきたぞ…!)
岡部「そういえば、助手が…」
紅莉栖『窓の外を見ると、ナイフを握った首切りジャックが・・・』
岡部「────ッッッ!!」 シャー!(カーテンを閉める)
し~~~~ん…・
岡部「うう…夜のラボってこんなに静かだったのか…
最近はクリスティーニャが騒がしかったから忘れていた…」」
し~~~~ん…・
岡部「……・・」
し~~~~ん…・
岡部「…・ぐす…・」
し~~~~ん…・
岡部「クリスティーニャ…・」
バーーーーン!!
岡部「ひぃ!?」
紅莉栖「お化けだと思った? 残念! クリスティーニャでした!」 ニャ~ン♪
岡部「ク…クリスティーーニャーー! お、驚かせるな!!」
紅莉栖「ゴメンね、怖かった? 泣いちゃった?」
岡部「う…怖くないし…泣いてない!」 グス…
紅莉栖「なら、私は帰った方がいいかニャ?」
岡部「い、いや…せっかく来たのだしゆっくりしていけ…」 ギュ…
紅莉栖(計画通りwwww つかやべぇ! 岡部が可愛すぎ萌え死ぬwwwww////)
紅莉栖「うふふ、もう私と距離を置こうなんて考えちゃダメよ。
さあ、今夜は店長さんに怒られないように静かに遊びましょうね。」
岡部「うん…」
紅莉栖「でも静かな遊びって何があるかな…?」
岡部「そうだな…」
岡部「では、お散歩なんてどうだ?」
紅莉栖「ニャ?」
【深夜の通り】
岡部「いくら秋葉原といえど、この時間ではほとんど人がいないな。」
紅莉栖「う…うう…」 ビクビク ギュウ…
岡部「どぉした、クリスティーニャ? そんなにピッタリくっつかれては歩きにくいではないかぁ?」
紅莉栖「お、岡部ぇ…やっぱり帰ろうよ…ぐす…怖いニャぁ…////」
岡部「クックック…何が怖いのだ?」
紅莉栖「だって…もし、この姿を岡部以外に見られたら…」
岡部「何を言っている? お前が人間に見えるのは俺だけなのだろう?」
紅莉栖「ううう…・!!」
【深夜の公園】
岡部「ふむ、小動物共でにぎやかな公園も夜は静かなものだ。」
紅莉栖「うう…ひぐ…」 ビクビク
岡部「クリスティーニャ、あんまりメソメソしていると置いていくぞ?」
紅莉栖「やだやだぁ!! 一人にしないで、岡部ぇ!!」 ポロポロ…
岡部(ククク…俺を怪談でビビらせた罰だ!)
岡部「む? 前から人が来るな。」
紅莉栖「ええ!?」
通行人A「でさー…・」
通行人B「まじwww」
紅莉栖「ほ、本当に来てる!! どうしよう!? どうしよう!?」 アタフタ!
岡部「ほら、俺の白衣の中に入れ。」 ファサ… ※(着ている白衣を広げる。)
紅莉栖「は、白衣の!?////」
岡部「早く!」
通行人A「─────。」 スタスタ
通行人B「~~~~~wwww」 スタスタ
岡部「……」 ※(紅莉栖を白衣で包むように抱きしめてる)
紅莉栖(お、岡部が私を守ってくれてる…////)
岡部「あいつらは行ったぞ、クリスティーニャ。」 ファサ…
紅莉栖「う、うん…////」 ギュウ・・・
岡部「そんなにしがみ付かなくても、もう大丈夫だ…怖かったか?」
紅莉栖「うん…でも、岡部がいてくれたから平気…////」
岡部「そ、そうか…(な、何だその俺を頼りきった瞳は? ドキドキしてしまうではないか!////)」
紅莉栖「岡部ってさ…イジワルだけど…優しいよね…」
岡部「な!? は、ハーーハッハ! どどどど、どうしたのだ、我が使い魔よ!?
こここ、この鳳凰院凶真が優しいなどと…」
紅莉栖「そうやって…あなたが、私を優しくイジメるから…
私はどんどんあなたから離れられなくなっちゃうんだよ…」
岡部「ク、クリスティーニャ…」 ドキドキ
紅莉栖「岡部…」
ブォン! ズダーーーーーン!!
岡部「………?」
紅莉栖「……・??」
岡部「ク、クリスティーニャ…今、俺達の顔の間を何かがかすめなかったか…?」 チラ…
紅莉栖「そ、そうね…何か…刃物のようなものが…」 チラ…
ビーーーーン! ※(近くの木に深々と突き刺さるナイフ)
岡・栗 「「 ひいいいいーーーー!? 」」
???「あーん、外したー! この時代の生活で腕が堕落しちゃったかな?」
岡部「バ…バイト戦士ーーーー!!??」
鈴羽「やっほー、岡部倫太郎ー♪」
鈴羽「おやおや? 発情した雌猫かと思ったら…?」
紅莉栖「あ…あ…・」 カタカタ
鈴羽「随分と愛らしい格好をしてるね、牧瀬紅莉栖wwwww」 プークスクス!
紅莉栖「にゃあああああーーーーーー!! 見るなーーーー!!!/////」
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【数十分後、未来ガジェット研究所】
鈴羽「ふ~~~ん、一週間も前からこんな事をね~~…・」 ジロリ
岡部(くっ…視線が痛い!)
鈴羽「私は店長に、今夜ラボを見張ってるよう指令を受けてたんだ。
岡部倫太郎が猫を無断で飼っていないか調査するためにね。」
岡部「う…それではまさか…」
鈴羽「君が、あの格好の牧瀬紅莉栖を連れて、外に出てきた時は驚いたなあ。
放心して、声をかけるタイミングを逃しちゃったよ。」
岡部「ううう…・!////」
鈴羽「それでしかたなく尾行したら、君達がやたらベタベタしてるんだもん!
イライラして、思わずナイフ投げちゃった♪」
岡部「『壁殴っちまった』みたいなノリで言うな!」
鈴羽「まあまあ、ちゃんと外したんだしいいじゃん。 ねー牧瀬紅莉栖~?」
紅莉栖「ま、牧瀬紅莉栖って誰ニャ~? クリスティーニャは猫だから分からないニャ~?」 コソコソ
鈴羽「ねえ、彼女さっきから君の後ろに隠れて、何を言ってるの?」
岡部「これ以上、お前に顔を見られたくないのだろう…
意地でも、『クリスティーニャ≠牧瀬紅莉栖』を貫く気だ…」
鈴羽「ふ~~ん…・」
紅莉栖「に…ニャ~ン…・」 ダラダラ(滝汗)
鈴羽「牧瀬紅莉栖のペチャパイ。」 ボソ
紅莉栖「貴様ぁぁーーーー!! 人の身体的欠点をつく悪口は最も悪質な…」
鈴羽「やっほー牧瀬紅莉栖♪」 ニコニコ
紅莉栖「~~~~~っっっ!!??/////」 カアァ~!
岡部「あ~…それでバイト戦士よ。 このことはMrブラウンには…というか
誰にも言わないで欲しいのだが…・」
鈴羽「え~~? せっかく牧瀬紅莉栖をおちょくるネタができたのに…」
紅莉栖「貴様の脳味噌、解剖したろか!?」
岡部「俺達は、動物を飼っていたのではないのだから、Mrブラウンとの契約は違反しないはずだ!
も、もしもこのことをバラしたら、我が魔眼がお前を記憶を強制的に…・」
鈴羽「はいはい、冗談だよ。 店長には上手く誤魔化しとくし、誰にも言わない。
牧瀬紅莉栖のせいで、岡部倫太郎まで笑い者になるのは耐えられないもん。」
紅莉栖「だ、だから私は牧瀬紅莉栖じゃないと言っとろーが!!」
岡部「そうか…恩に着るぞ、鈴羽。」
鈴羽「さて…それじゃあ、私は帰るよ。」
岡部「フハハー! ではこの鳳凰院凶真、自らが送っていってやろう!
クリスティーニャも来るか?」
紅莉栖「留守番してるニャ!!」 プイ!
【深夜の通り】
鈴羽「くふふふ…・!」
岡部「むう…まだ笑ってるのか?」
鈴羽「ごめん、あんな牧瀬紅莉栖の姿を見るとは思わなかったからw
君も彼女に付き合わされて大変だねー。」
岡部「ファーーッハッハッハ! 俺にとってこの世界の森羅万象全てが児戯!
助手風情の遊びに付き合うなぞ造作もないこと!」
鈴羽「おお! さすが岡部倫太郎!」
岡部「ヌアーハッハッハ!! もっと褒め称えるがいい!」
鈴羽「…・ねえ、岡部倫太郎?」
岡部「ん?」
鈴羽「君はさ…ああいう格好をした女の子が好きなの…?」
岡部「ぶほぉ!? 馬鹿を言うな! ダルじゃあるまいし!」
鈴羽「じゃあ…ああいう格好をした牧瀬紅莉栖が好きなの…?」
岡部「んげほぉ!!??////」
岡部「違う!! お、俺はラボの長としてラボメンのクリスティーナの相手をしてやってるだけだ!
そうだバイト戦士よ! お前も俺に頼みたい事があれば何でも言ってみろ!
この鳳凰院凶真がたちどころに叶えてやろう!!」
鈴羽「へえ…それって、君は私を牧瀬紅莉栖と同じくらい大切に思ってるってこと?」
岡部「そうだ!! 俺の前では、クリスティーナもバイト戦士も等しく小者!
俺こそが唯一絶対の存在だのだーーーー!!」
鈴羽「…嘘つき…」 ボソ
岡部「ん? 何か言ったか?」
鈴羽「ん~? 何でもないよ♪」
鈴羽「もうここまででいいよ。 見送ってくれてありがと!」
岡部「む? 一人で大丈夫か?」
鈴羽「大丈夫! 何せ私は戦士だからね!
早く帰ってあげないと、クリスティーニャが癇癪起こすよw」
岡部「う…そうだな…では、気をつけて帰れ」
鈴羽「そうそう、頼みごとは何か考えておくから。」
岡部「金貸せ系のお願いはなしだぞーーー!!」
鈴羽「あははーー! じゃあねーー!」 シャアーー
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【翌日、昼間の未来ガジェット研究所】
チリンチリーン
岡部「む、この鈴の音は助手だな。」
ガチャ
紅莉栖「ハロー」
まゆり「あ、紅莉栖ちゃんトゥットゥルー☆」
ダル「ねえ、牧瀬氏、最近ラボに来るのが遅いけど、何かあるん?」
まゆり「目にもクマができてるね~、まゆしぃは心配なのです…」
紅莉栖「ええと…向こうの研究とかレポートとか、いろいろとね。」
岡部(夜遅くまでクリスティーニャになってるからだろ…)
鈴羽「やっほー皆ー! お邪魔するよー!」
紅莉栖「!!」
岡部「!!」
まゆり「スズさん! トゥットゥルー☆」
ダル「阿万音氏、どうしたん?」
鈴羽「ちょっとね~♪」
岡部(おい、まさかバラしたりしないよな!? 違うよな、鈴羽!?) ダクダク(滝汗)
紅莉栖(言ったら殺す!言ったら殺す!言ったら殺す!言ったら殺す!) ギン!(眼光)
鈴羽「うふふ…実は橋田至にちょっとお願いがね。」
ダル「え? 僕に? 何?」
鈴羽「ここじゃちょっと…外で、二人きりで話したいな。」
ダル「マジ!? 何この話の流れ!? ひょっとしてフラグ立ってる!?」
まゆり「それはないと思うのです♪」
ダル「ですよねー。」
鈴羽「という訳で、ちょっと橋田至を借りるよ。」
ダル「僕はまだいいと言ってないのに!? 阿万音氏、恐ろしい子!」
岡部「バ、バイト戦士! くれぐれも昨夜の事は…!」 ボソボソ
鈴羽「大丈夫だよ、言わないって約束したでしょ?」 ボソボソ
ダル「二人で顔を近づけてボソボソと…これはリア充の香り!?」
岡部「うるさい! さっさと行って来い!」
紅莉栖(もしバレたら橋田もろとも…) ブツブツ
まゆり(紅莉栖ちゃんから強い殺気を感じるのです! 筋肉がうずいちゃうなー♪)
【ブラウン管工房の店先】
鈴羽「実は君に相談したい事があるんだ。」
ダル「なん…だと…? 美少女からの相談事キターーー!!
これ完全に阿万音氏ルートに入ったよね!?」
鈴羽「えっと、何を言ってるかよく分からないけど…相談ごとってのはさ…」
鈴羽「私に…その…ゴニョゴニョ…なお店を案内して欲しいんだよね…////」
ダル「な…・なんだってーー!!」
ダル「何で阿万音氏がそんなお店を!?」
鈴羽「え~とその~…まあ、いろいろあって…///」
ダル「そうは言っても、僕も忙しいからな~(積んだエロゲの処理とか)」
鈴羽「そんな事、言わずにさ! お店だけ教えられても、私じゃ何を買えばいいか分かんないんだ…
ね? お願いだよ、橋田至~…・私を助けると思って!」 ウワメヅカイ
ダル「はうう!!??」 ズキューーン☆
ダル(何だお、この感じ!? 『萌え』とも違う…『恋』とも違う…この暖かい感情は!?
阿万音氏におねだりされたら、何でも言う事聞いてあげたくなったちゃうぅぅーー!) ビクン!ビクン!
鈴羽「どうしたの、橋田至?」
ダル「何でもないお! よーし! 僕、なんでも買ってあげちゃうおーー!」
鈴羽「本当! わーい、ありがとう橋田至ー♪」
ダル「フヒヒヒヒヒwwww」
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【その日の深夜、未来ガジェット研究所】
岡部「今日は結局、ダルとバイト戦士の奴、帰ってこなかったな。」
紅莉栖「むー…岡部は阿万音さんの事がそんなに気になるのかニャ?」 ニャ~ン♪
岡部「当然だろう。 奴は大事なラボメンの一人だからな。」
紅莉栖「はむ!」 ガブ!
岡部「痛てて!! 指を噛むな!」
紅莉栖「今夜はね…岡部の体中に私の歯形をつけてあげる…
その傷が疼くたびに私の事を思い出すようにしてあげる…」 ペロ…
岡部「や、やめろ! クリスティーニャ!」
紅莉栖「大丈夫…服の下に隠れるようにつけるから…はむ!」 ガリ!
岡部「ふあぁ!////」
紅莉栖「あれ~? 今、気持ちよさそうな声が出たね? ひょっとして岡部、噛まれて感じちゃってる?」 クスクス…
岡部「ち…違う…俺は…////」
紅莉栖「ふふふ…感じさせてあげるよ…岡部…
あの女の事なんか、脳内から消し去ってあげる…!」
???「ちょっと待ったーーーー!!」
.
バーーーーーーーン
???「やっほーーーー!!」
岡部「え?」
紅莉栖「ふぇ?」
???「岡部倫太郎! こんばんわーーーん!!」
岡部「なななな!?」
紅莉栖「あ…あ…阿万音さん!?」
鈴羽「わんわんわーーーん♪」 ピコピコ! フリフリ!
紅莉栖「ああああ、阿万音さん!?」
岡部「バイト戦士!? なんだ、その格好は!?」
鈴羽「えへへー、似合う? メイドさんだよー! 橋田至と専門のお店で買ったんだ!
何とかってアニメのキャラのコスなんだって。
鈴羽「スカート短いし、胸の谷間も見えちゃってて恥ずかしいけど…////」
紅莉栖「何であなたが猫耳メイドに!?」
鈴羽「チッ!チッ!チ! よく見てよ、この耳と尻尾を!」
岡部「む…クリスティーニャの物より、毛がフサフサしてる。
それにこのクルンと短く、丸まった尻尾はまさか…」
鈴羽「そう、これは犬耳、犬尻尾!! 私は迷子の野良犬、鈴ワンだワン♪」
紅莉栖「な、何よそれ! 人間なのに犬とか馬鹿なの!? 死ぬの!?」
鈴羽「君がそれを言うの、牧瀬紅莉栖? いや、今はクリスティーニャか。」
岡部「バイト戦士! 一体何のつもりだ!?」
鈴羽「違う、違う、鈴ワンだってば!」
岡部「もう、何が何だか分からない…」
鈴羽「あはは! 簡単な事だよ!」
鈴羽「岡部倫太郎は、私の願いを何でも聞いてくれるんだよね?」
岡部「あ、ああ…金を貸して系以外ならな。」
鈴羽「ならお願いなんだけど…私を…その…」
鈴羽「岡部倫太郎の犬にしてください!!」
岡部「」
紅莉栖「んな…・!?」
鈴羽「だ、駄目かな?////」
紅莉栖「駄目!ダメ!だめ! ぜーーったいだめーーー!! そんなの許さないんだからーー!」
鈴羽「クリスティーニャには聞いてないよ。 これは岡部倫太郎が決めることだよ。」
紅莉栖「あり得ないわよね、岡部!? あんたにはもう私がいるんだから!!」
岡部「もしもし…ああ、俺だ…今、機関からの攻撃を受けている!…・
未だかつてないほどの精神攻撃だ…さすがの俺も、今回はダメかもしれん…」
紅莉栖・鈴羽 「「 現実逃避、禁止!! 」」
岡部「あー、えーと…バイト戦士よ!」
鈴羽「鈴ワン!!」 ガルル!
岡部「す…鈴ワンよ…」
鈴羽「わんわん♪」
岡部「き、貴様…何故、俺の犬などになりたいのだ…?」
鈴羽「君に可愛がって欲しいからだよ!」 キリ!
岡部「な、何だそれは!?」
紅莉栖「ダメーー! 岡部に可愛がられるのは私だけなのーー!!」
岡部「ク、クリスティーニャは少し黙ってろ!////」
鈴羽「や、やっぱり…ダメ…?」
岡部「まあ、その…・」
鈴羽「そ、そうだよね! こんな素性の知れない変な犬なんて嫌だよね!
ご…ごめんね…ぐす…変なこと言っちゃって…もう二度と…ひっく…君の前には…」 ポロポロ…
岡部「い!? いやいやいや!! そんな事はないぞ! この鳳凰院凶真が貴様の主となってやろう!!」
鈴羽「あっそう♪ わーい、やったワーン!」 ケロリ
岡部(は、嵌められたああーーーー!!)
紅莉栖「おーーーかーーーべーーーー!!」
岡部「ク、クリスティーニャ!? す、すまん! だが今のはしょうがないだろう!?」
紅莉栖「うるさい! うるさい! このHENTAI!! その根性を引っ掻き直してやるーーー!」 グワ!
岡部「ひいぃぃーー!!」
鈴羽「おっと!!」 ガシ!
紅莉栖「ふぇ?」 グルン!
ポーーイ! ドスン!
紅莉栖「ふみゃーーー!?」
鈴羽「ごめんね~、ご主人様をお守りするのが犬の役目だから♪
岡部「クリスティーーニャーー!?」
岡部「す、鈴ワン!? 今、クリスティーニャが宙を舞ったぞ!?」
鈴羽「大丈夫。 ちゃんと怪我しないように手加減したし、落ちたのだってソファーの上だろ?」
紅莉栖「うううう…・許さーーーーーん!」 キシャーー!
岡部「よ、よせ! お前が太刀打ちできる相手じゃない!」
鈴羽「そーそー、猫が犬に勝てるかっていうの。」
紅莉栖「ぬぐぐぐ…!!」
岡部「ええい、お前ら喧嘩はやめろ!」
鈴羽「ねえ、岡部倫太郎。 そんな乱暴な猫はほっといて私と遊ぼうよ!」 ギュウ! ムニムニ
岡部「うひゃあ!? こら、鈴ワン! む、胸が当たってるぞ!?////」
鈴羽「やだなぁ、当ててるんだよ。」 ムニュムニュ
岡部「ぬおおお~~!?////」
紅莉栖「岡部から離れろ、この発情犬! ほら、岡部! おっぱいなら私のがあるからこっちに来なさい!」 グリグリ
岡部「クリスティーニャ、肋骨を擦り付けるな。 痛いぞ。」
紅莉栖「キシャーー!」 ガリガリ!
岡部「ぎゃーーーー! 顔を引っ掻くな!」
鈴羽「大変! 顔に引っ掻き傷が! じっとしてて!」 グイ!
岡部「な、何をする、すz…・」
鈴羽「ん…」
ペロン…
岡部「ひやあ!?」
鈴羽「ん…ぴちゃ…ちゅう…・」
ペロ ペロ ペロ ペロ ペロ
岡部「うは…ひあぁ!? す、鈴ワン…!?」
鈴羽「ちゅぱ…どう? まだ痛む?」
岡部「お、お前、今、俺の顔を…!?」
鈴羽「だって…傷が痛そうだったか…い、いやだった…?」
岡部「いや…おかげで痛みは消えたが、俺の顔など舐めては汚いだろ?」
鈴羽「そんな事ないよ! ご主人様の顔を舐めさせてもらうのは犬にとって最高のご褒美だよ!
き、君が許してくれるなら、もっとペロペロしたいな…////」
岡部「鈴ワン…////」
紅莉栖「ぐぬぬ…」
鈴羽「ふふ…怖い猫さんが睨んでるから、この辺にしとこっか?
よーし! それじゃあ、さらに私の忠犬っぷりを見せちゃおうかな!
岡部倫太郎、何か私に命令してみて!」
岡部「命令?」
鈴羽「何でもいいよー 私は、我侭な猫とは違って、ご主人様に服従するワンちゃんだからねー。」
岡部「ふ、服従…////!?」
紅莉栖「岡部のHENTAI!!]
岡部「へ、変な想像をするな、ヴァージンキャット!
鈴羽「ほら、はやくー♪」
岡部「え、えーと…『お手?』」
鈴羽「わん♪」 ポフ!
岡部「…・いや、本当にするなよ!」
鈴羽「君が命令したんじゃないか。」
岡部「じゃあ…・『おまわり』?」
鈴羽「わんわん♪」 クルクル!
岡部「ぬお!? ストップ!! スカートが広がってパンツが…////」
鈴羽「『チンチン』もしようか?」 くぱぁ…(チンチンのポーズ)
岡部「ぶほぉ!?(鼻血) 女の子がそんな下品なポーズをするな!」
紅莉栖「ぐす…岡部ぇ…私もパンツあるよ…だから私を見てよぉ…」 ピラ!
岡部「おぶほぉ!?(鼻血) 涙目でスカートをたくし上げるな、クリスティーニャ!」
鈴羽「ね?ね? 私、ちゃんと言う事聞くでしょ?」
岡部「聞きすぎるくらいだ!」
鈴羽「えへへー♪ 私、偉いかな?」
岡部「ああ、偉い偉い…・」
鈴羽「 ジー…・ 」 キラキラ!
岡部「ん?(何か期待に満ちた目で俺を見ている?)」
鈴羽「 ジーーーーー…・ 」 ワクワク!
岡部「どうした、鈴ワン?」
鈴羽「あのさ! 言う事を聞いた、賢いワンちゃんにしてあげることがあるでしょ?」
岡部「え? えーと…ドクペでも飲むか?」
鈴羽「ちがーーーう!! 『なでなで』だよ!!」
岡部「『なでなで』だとぉ!?」
鈴羽「ご主人様は、ワンちゃんに『えらいぞー』『いい子いい子ー』ってをなでなでしなきゃいけないの!
紅莉栖「だめ! 岡部になでなでされていいのは私だけなの!!」
鈴羽「だらかそれを決めるのはご主人様だって。 ほら、やってやってやって~~!」 ジタバタ
岡部「くっ・・分かった! や、やるから騒ぐな!」
紅莉栖「そんな…!!」
岡部「え、偉いぞ鈴ワン~…いい子いい子~…」
なでなでなで…・
鈴羽「わふ…・♪////」 パタパタ!
岡部「鈴ワンの髪の毛は、ポヤポヤして気持ちいいな…触っていると心が安らぐ…」
鈴羽「わーい、岡部倫太郎に褒められたー♪」 ブンブン!
岡部「お前の犬耳と尻尾も本物みたいに動くんだな…」
鈴羽「私の感情どおりに動くよう、橋田至が作ってくれたの! 『やっぱ獣耳は動いてこそっしょ!』って!」
岡部「尻尾を振るってことは嬉しいのか、鈴ワン?」
鈴羽「うん、ご主人様に褒められる事は、犬のしふくだからね!」
岡部(私服?…ああ、至福か。)
鈴羽「ねえ、もっとなでてもらってもいいかな…?////」
ミレニアム・ハンド
岡部「ふ…よかろう。 我が『至福千年の手』をとくと味わえい!」
鈴羽「わー! ありがとう! それじゃあ…・」
ゴロン!
鈴羽「今度は私の体を撫でてくれるかな…?」
岡部「ぶーーーー!?」
紅莉栖「…・・」 プルプル…
岡部「鈴ワン!? ど、どうして急に仰向けに!?」
鈴羽「だから~、今度は私の体を君に撫でて欲しいんだよ~」
岡部「ななななな!?」
鈴羽「頭だけじゃ物足りないよぉ…私の全てでご主人様を感じたいの…////」
岡部「いやいやいやいや!」
鈴羽「自分で言うのも何だけど…結構、さわり心地がいいと思うよ? 私の体。////」
岡部「ぬおおおーーーーー!?」
岡部(た、確かにクリスティーニャより、全体的に肉付きが良くて女らしい肉体…って俺は何を考えている!)
鈴羽「ほらほら、遠慮することないって! 私は君の犬なんだよ、君のものなんだよ?
つまりこのおっぱいやお尻も君が好きに触っていいんだよ~♪」 タユン!
岡部「や、やめんか! この発情犬!」
鈴羽「あれ~? 岡部倫太郎って意外と臆病なんだね?」
岡部「な、何だと!?」
鈴羽「だってそうじゃん。 自分の飼い犬の体に触れるのもビビるなんて。
狂気のマッドサイエンティストが呆れちゃうなー。」
岡部「べ、別にビビってなどおらん!」
鈴羽「強がらなくていいよ、震えてるクセに。」 クス
岡部「な…なめるなよ、犬風情がーーー!! この鳳凰院凶真の実力、見せてくれるわーー!」
グワッ!!
モニュン♪
鈴羽「きゃうん!?////」
岡部「あ…・!?」
岡部「あ…あ…」
鈴羽「ん…////」
モニュモニュモニュ…
鈴羽「はう! い、いきなり…そんな強く…・だめぇ…!////」
岡部(思わず胸をわし掴みにしてしまったぁぁぁ----!!) ギュウウ!
鈴羽「ふあぁぁ!?////」 ビクン!ビクン!
岡部「しまった!? 驚いてさらに強く握ってしまった!」
紅莉栖「」
鈴羽「お…岡部倫太郎…・////」 トロン…
岡部「す、すまん、鈴ワン…その…」
鈴羽「あ、謝らないで…私は全然、嫌じゃないよ…////」
岡部「す、鈴ワン…////」
紅莉栖「もういや!!!」
岡部「!?」
岡部「ど、どうした? クリスt」
紅莉栖「何よ! 何よ! 岡部ったら鈴ワンばっかり構って!!
そんな後から来た奴より、私を可愛がりなさいよ!!」
岡部「お、落ち着け、クリスティーニャ!」
鈴羽「ペットのジェラシーかい? みっともないよ。」
紅莉栖「何ですって!?」
鈴羽「君が岡部倫太郎に遊んでもらえないのは、魅力がないからでしょ?」
紅莉栖「うう…うううう…・!!!」
岡部「ク、クリs」
紅莉栖「岡部の馬鹿ぁ!! 大っ嫌い!!」 ダッ! バーン!
岡部「ま、待て、クリスティーニャ…紅莉栖ぅぅぅぅーーーーーーー!!!!」
- - -- ── ────────────────── ── -- - -
- - -- ── ──────────── ── -- - -
- - -- ─ ── ─ -- - -
- - - - -
【深夜、秋葉原の通り】
紅莉栖「ぐす…おかべのばかぁ…ひぐ…!」 トボトボ…
「ううう…・わたしより、すずわんのほうが…いいんだぁ…!」
「おかべ…おかべぇ…・」 グスグス…
???「あっれーwwwwちょっwww何アレwwww?」
紅莉栖「ふぇ…?」
DQN1「彼女wwwwその格好なにwwww?」
DQN2「すっげwwwwさすがアキバwwww夜中でもモエ~かよwwww!」
紅莉栖「あ! いえ、これは…その…!////」
(しまったぁ!! 勢いで飛び出しちゃって、周囲を気にしてなかった!)
DQN1「つかwwww彼女エロすぎじゃねwwwwスカート短すぎwwwwパンツちらちら見えてるしwwww」
DQN2「これ誘ってるっしょwwwww誘ってるっしょwwwww」
紅莉栖「ち、違います!」
やめてください
DQN1「これ首輪?wwwwwひょっとしてSMプレイ?wwwww」 ヒョイ
紅莉栖「!! 駄目! これに触らないで!」 バシ!
DQN1「痛ってwwwwこいつ俺の手叩きやがったwwwwカッチーーーン☆ときたわwwww」
DQN2「どうする?wwwww犯っちゃう?wwwww犯っちゃう?wwwww」
紅莉栖(こ、こいつら、なんかヤバイ! 逃げないと!)
DQN3「おっと逃がさねーよ…」 ガシ!
紅莉栖「きゃあ!」
DQN1「あっwwwwDQN3先輩wwwwチョリーーッスwwww」
紅莉栖「何するの!? 放して!」
DQN3「今日はきめぇオタクを狩りに来てたんだが、いい獲物がいなくてイラついてたんだよ…
クックック…もう帰ろうと思ってたトコに、こんな上玉が飛び込んでくるとはなあ…」
DQN1「先輩wwww犯っちゃいます?wwww犯っちゃいます?wwww」
DQN2「犯りましょうよwwww俺、さっきからチ○コ勃っちゃてるもんwwwww」
紅莉栖「い、いやぁ! 誰か助け…」
DQN3「騒ぐんじゃねえ! おい、口に布詰めろ!」
DQN1「チョリーーッスwwww」
紅莉栖「む…むぐぅ…!!」 ジタバタ!
DQN2「よっしゃwwwwそこの路地裏に連れ込もうぜwwww」
DQN3「おう、最初は俺が挿れっからな!」 カチャカチャ…ポロン!
DQN1「(先輩、チ○コちっちぇwwww) 俺2番目でお願いしマースwwww」
紅莉栖「んんーーー!!(やだ! やだぁ!! 助けて! 助けて岡部ぇ!!)」
???「わん、わん、わわーん♪ 迷子の子猫ちゃんはここですかー?」
紅莉栖「むぐ!?」
DQN3「だ、誰だ!?」
鈴羽「やっほークリスティーニャ。」
紅莉栖「むーー!」
DQN3「ああん? なんだコイツは!?」
DQN1「ちょwwwww増えたwwwww」
DQN2「犬耳とかwwwwwつかオッパイでけぇwwww」
1cmって すげー!
鈴羽「あー、君達、君達? 悪いけどその娘を返してくれるかな?
私は別にどうでもいいんだけど、私のご主人様が悲しむんだよ。」
DQN1「ごwwww主wwww人wwww様wwwwとwwwwかwwww」
DQN2「オッパイでけぇwwwwオッパイでけぇwwww」
DQN3「この女のお友達かぁ!? ちょうどいい、3人に1人じゃ物足りなねえ!
おい、あの犬女もこっちに連れて来い!」
紅莉栖「んーー!(ダメ! 逃げて!)」
鈴羽「…あのさ、私は今、最高に機嫌が悪いんだよね…早く消えないと噛み殺すよ…?」
ぶっちゃけ、作り手の悪意を感じるほどにw
DQN1「機嫌悪いのwwwwwアノ日?wwww大丈夫、俺らがハッピーにしてあげるwwww」
DQN2「オッパイでけえwwwwオッパイでけぇwwwww揉ませろwwwww」 ズイ!(手を伸ばす)
鈴羽「はあ…・・」
ゴキン!
DQN2「ギャあああああーーーーーー!!!!!」
DQN1「え?」
鈴羽「大げさだなあ…腕の骨、へし折ったくらいで…」
DQN1「てめえええーーーーよくも俺のマブダチをおおおーーー!!」
鈴羽「うざい…」 ブン!
ボクシャ!!
DQN1「ごべぇ!?」
鈴羽「あ、ごめん。 アゴ砕いちゃった。」
紅莉栖「むむ!(す、すごい!)」
DQN3「ひいいいーー! お前ナニモンだよ!?」
鈴羽「私? 私は忠犬、鈴ワンだわん♪」
DQN3「ふ…ふざけやがって! ぶっ殺してやんよ!」 ジャキーン!
紅莉栖「ふぐ!?(ナイフ!?)」
鈴羽「やめなよ、刃物なんて出されたら手加減できないよ?」
DQN3「オラーーーー!!」 ヒュ!
鈴羽「よっと。」
ズドン! グシャア!
DQN3「あ…・」
鈴羽「男って大変だねー、こんな柔らかくて脆い急所がぶら下がってて♪」
紅莉栖「はひゅ…!?(き…金…蹴り…!?////)」
DQN3「アッーーーーーーーーーーー!!!!!」
鈴羽「はい、おっわりー。 立てる、クリスティーニャ?」
紅莉栖「ん…ぺっ! ごほごほ! うん…ねえ、アレって…?」
DQN3「」 ビクン! ビクン!
鈴羽「うん、蹴り潰しちゃった♪ まあ、死にはしないでしょ。」
紅莉栖「同情したくないけど、同情しちゃうわ…」
鈴羽「ところで~助けてもらったお礼はないのかな?」
紅莉栖「…・ありがとう、おかげで助かったわ。」
鈴羽「どういたしまして。 あんまり感情が篭ってない気がするけど、気にしないであげるよ~」
紅莉栖「……それじゃあ。」 スタスタ
鈴羽「ちょっと、どこに行くの? そっちはラボとは反対方向だよ?」
紅莉栖「あなたには関係ないでしょ!」
鈴羽「君の行き先なんて興味ないけど、岡部倫太郎が君を探してるんだよね。」
紅莉栖「だったら、あなたが行って慰めてあげればいいでしょ!!」
鈴羽「…・聞こえなかった? 彼は君を探してるの。」
紅莉栖「関係ない! あいつは私より、あんたがお気に入りなんだから!」
鈴羽「それ…本気で言ってるの…?」
紅莉栖「そうよ! だからもう私に関わらないで! これ以上、私を惨めにしないでよ!!」
パチンッ!
紅莉栖「痛ぅっ!?」
鈴羽「……」
紅莉栖「何すんのよ!?」
鈴羽「勝手な事…言うなよ…」
紅莉栖「え…?」
鈴羽「彼の気持ちも知らないで勝手な事を言うな!!」
紅莉栖「ッ!?」 ビクッ!
鈴羽「岡部倫太郎の奴さ…君が出て行った時、すぐに後を追って飛び出したんだよ…
でも慌てていたから、階段でつまづいて転がり落ちて…それで足を挫いて…」
紅莉栖「えっ!?」
鈴羽「でも彼、足が痛むのも構わずに、君の後を追いかけてさ…
私が『動いちゃダメ!』『手当てしなきゃ!』って言っても聞かないで…
君を見失った後も…必死に君の名前を呼んで、足を引き釣りながら走り回って…」
紅莉栖「そんな…」
ヘタリンじゃなかったんだ…
鈴羽「彼ね…私の肩を掴んで、必死に頼むんだよ…
『紅莉栖を探してくれ! 俺はあいつに謝らなければ…!』ってね…」
鈴羽「悔しかったなぁ…・なんで君なんかが、彼にこんなに愛されてるんだろうって…!
分かる?…『ただのラボメン』の私とは訳が違うんだよ…?」 ギリ…!
鈴羽「当然だよね…私は君みたいに綺麗じゃない…女の子らしくないもん…
オシャレなんか何も知らない…私が知ってるのは、人の殴り方…銃の撃ち方…ナイフの使い方…
どうやれば好きな人が私を見てくれるかなんて…全然分かんない!!」
鈴羽「分かんないから…彼に一番好かれてる…君の真似をするしかないじゃないか!!」
紅莉栖「阿万音さん…」
鈴羽「やめて! 何も言わないで! 今は全部言わせて!」
紅莉栖「…・・」
鈴羽「それで…その結果がこれだよ…私が来たせいで彼に怪我をさせて…
君を危険にさらして…私、最低だよ…惨めなのは私の方だよ…」
鈴羽「ぐす…はあ~…悪かったね、迷惑をかけちゃって…
岡部倫太郎はこの先の道にいるはずだよ。 ほれ、行ってあげな。」
紅莉栖「阿万音さん…あなたは…?」
鈴羽「さっき君も言ってたよね…これ以上、私を惨めにしないで…」
紅莉栖「う…」
鈴羽「ほれほれ、早くしな。 さもないとお尻に噛み付いてでも行かせるよ?」 (「・ω・)「ガオー
紅莉栖「ごめんなさい…」 ダッ!
鈴羽「ふふふ…私って馬鹿だね…父さん…」
【人通りのない道】
岡部「紅莉栖ーー! どこだ、紅莉栖!
くそ…せめて両足が動けば…どこに行ったんだ、紅莉栖…」 ズルズル
チリンチリーーン…
岡部「この鈴の音は!?」
紅莉栖「岡部!」 タッタッタ!
岡部「紅莉栖!? 紅莉栖ーーー!!」
ガシっ!!
岡部「よかった…紅莉栖…!」 ギュウ…!
紅莉栖「ごめんね…岡部…ごめんね…私のせいで、こんなにボロボロになって…」 ギュウウ…
岡部「すまなかった、紅莉栖…お前を悲しませて…俺はご主人様失格だ…」
紅莉栖「ううん…私が岡部を信じなかったのが悪いの…」
岡部「俺を許してくれるのか…?」
紅莉栖「許すなんて…私こそ、これからも岡部の猫でいていいの…?」
岡部「もちろんだ。 紅莉栖は俺の猫だ…俺だけの使い魔だ…だからどこにも行くな…」
紅莉栖「うん! 私も岡部のそばを二度と離れない!!」
???「…・・」
岡部(はっ!…あそこの影から見ているのは…!?)
???「……」 スゥ…
岡部「待て!! 鈴羽!」
鈴羽「!?」 ビクゥ!
岡部「どこに行く気だ、鈴羽! まさかこのまま、いなくなるつもりじゃないだろうな!?」
鈴羽「……」
岡部「お前、紅莉栖を探してる時ずっと申し訳なさそうにしてたからな…
ほら、そんな所にいないで、こっちにおいで。」
鈴羽「駄目だよ…私はそこに行く資格なんてない…私は君に必要ないもん…」
岡部「バカヤロウーーー!!」
鈴羽「わふ!?」 ビク!
岡部「資格がどうとか…必要がどうとか…そんなのは飼い主の俺が決めることだ!
お前は言った筈だぞ! 犬はご主人様の命令に服従すると!
俺はお前がいなくなるなど認めない!! お前も俺のそばにいろ!」
鈴羽「でも…でも…私…」
紅莉栖「鈴ワン! 岡部の命令よ! 早くこっちに来なさい!」
鈴羽「牧瀬紅莉栖…?」
紅莉栖「私達は岡部のペットよ。 ペットの役目は…ご主人様の望みを叶えることでしょ?」
鈴羽「~~~~っっ!! うん!!」 ダッ!
鈴羽「岡部倫太郎!!」 ギュウ!
岡部「鈴羽…」 ギュウ…
鈴羽「私、岡部倫太郎の一番になれなくてもいい…
二番目でも三番目でもいい…だから君のそばにいさせて…!」
紅莉栖「岡部! ご主人様として、ちゃんと私達を愛しなさいよね!」
岡部「ファーーハッハッハ! 誰に物を言っている!? 俺は狂気のマッドサイエンティスト、鳳凰院凶真!
使い魔達の世話は責任を持ってやり抜こうではないか!!」
岡部「さあ、紅莉栖! 鈴羽!」
紅莉栖・鈴羽 「「 違う!! 」」
紅莉栖「私はクリスティーニャで!」
鈴羽「私は鈴ワンだわん♪」
岡部「そうだったな。 クリスティーニャ、鈴ワン! 帰ろう…俺達のラボへ!!」
- - -- ── ────────────────── ── -- - -
- - -- ── ──────────── ── -- - -
- - -- ─ ── ─ -- - -
- - - - -
【数日後の昼、未来ガジェット研究所】
ドン! ドン! ドン!
岡部「む!? 誰だ、ラボのドアを乱暴にノックしおって!?」
まゆり「はーい、どちらさまー?」 ガチャ
ブラウン「おーーかーーべーー!!」
岡部「ひぃ!? Mrブラウン!?」
ブラウン「おう、岡部…ちょいと家捜しさせてもらうぜ!」
岡部「や、家捜し?」
ダル「おい! この展開、前に見たことあるぞ!」
紅莉栖「今度は何事なの、店長さん?」
ブラウン「どうしたもこうしたもねえ! またご近所から苦情が来たんだよ!
最近、夜中になると猫に加え、犬の鳴き声までするようになったってな!」
岡・栗「「 んぼほぉ!? 」」 ブシャアア!
まゆり「オカリン!? 紅莉栖ちゃん!?」
ダル「二人してドクペ吹いた!?」
ブラウン「おらぁ吐け!? 猫と犬っころはどこにいる!?」
岡部「ご、誤解だ、Mrブラウン!!」
鈴羽「そーだよ、店長。 何もいないって私が報告したじゃん。」
岡部「あっ! 鈴羽!」
ブラウン「うるせえ! 現に苦情が来てるんだよ! お前がいい加減な報告するからだぞ!」
鈴羽「でもこのラボには動物の毛一本落ちてないよ?
その苦情を言ってきた人が何か勘違いしてるんじゃないの?」
ブラウン「ぬ~~…・ん? バイト、お前その首輪は何だ?」
鈴羽「首輪じゃなくてチョーカーだよ。 私だってオシャレくらいするんだよ。」
ブラウン「牧瀬の奴といい、最近はそういうのが流行ってるのか?
若けー奴らのファッションはさっぱりわからねえ…」
岡部「そ、そーなのですよ、Mrブラウン~…」
紅莉栖「おほほほ…・」
ダル(あれ? 何故だろう…今、オカリンにガチの殺意が湧いたお…)
岡部(くっ…やはり声が漏れていたか…お前らが大声出すからだぞ!) ヒソヒソ…
紅莉栖(な、何言ってるの! あんたが…その…激しくするからじゃない!////) ヒソヒソ…
鈴羽(そうだよ! あの『もふもふの刑』が悪いんだ!
あれをされると理性が飛んで、声を抑えられないんだよ!////) ヒソヒソ…
まゆり「む~、オカリンが何かまゆしぃに隠し事をしてるのです!」 ムキムキ
ブラウン「岡部ぇ…何を隠してやがる…!」 ボキボキ!
ダル「オカリン、ラジ館の屋上に行こうぜ…何故か分からないけど、キレちまったよ…!」 ゴゴゴゴ…
岡部「いや…これは…その…!!」
紅莉栖「ふふふ…岡部…」
鈴羽「岡部倫太郎…」
「「 今夜も私達を可愛がってね♪ 」」
【おわり】
最後までお付き合いいただき本当にありがとうございました。
乙
Entry ⇒ 2012.09.20 | Category ⇒ シュタインズゲートSS | Comments (0) | Trackbacks (0)
岡部「なぜ泣いているのだ?」
クリア後の話なのでネタバレ注意です
紅莉栖「し、シュタインズゲート?何ですかそれ」
岡部「…気にする必要はない」
紅莉栖「はぁ…あ、あの、これから時間あります?助けてくれたお礼がしたいのですが…」
岡部「礼はいい」
紅莉栖「でも」
岡部「…いいんだ」
紅莉栖「…」
紅莉栖「…ここで話しても仕方ないですね」
紅莉栖「とりあえずどこか落ち着いて話せる所に行きませんか?聞きたいこともありますし」
岡部「わ、分かった」
紅莉栖「この街にもこんなカフェがあったんですね」
岡部「…」
紅莉栖「さて、色々聞きたいんですけど改めまして」
紅莉栖「本当に、本当にありがとうございました」
岡部「…無事でよかった」
岡部「…本当に」
紅莉栖「…ラジオ会館でも貴方は私を知っているようだった」
紅莉栖「どうして、助けられたんですか?」
紅莉栖「あんな誰も来ないような部屋で、武器まで持って」
岡部「それは…」
岡部「…言えない」
岡部(だが俺は、それでもあんな記憶を紅莉栖に思い出させたく無い)
岡部(俺が紅莉栖を…)
紅莉栖「…そうですか」
岡部「…意外だな、もっと問い詰めてくるものだと思ったが」
紅莉栖「そりゃあ気になりますよ、本当は」
紅莉栖「命の恩人である貴方が言いたくないのなら、無理に聞く訳にもいかないでしょう?」
岡部「済まない、これだけは話す訳にはいかないのでな」
紅莉栖「…どうして」
岡部「ん?」
紅莉栖「どうして泣いているんですか?」
岡部「…え」ポロポロ
紅莉栖「ふふっ、目。真っ赤ですよ、おかしな人」
岡部「なっ、…ふ、フゥーハハハハハ!!貴様、先程までしおらしかったのにとうとう本当の正体を現したな、セレセブめ!」
紅莉栖「セレセブ違う!!」
紅莉栖「…あれっ?」
岡部「!!」
紅莉栖「何だろう、やっぱり何か忘れているような…」
岡部「な、何でもない、忘れろ」
岡部(前の記憶を取り戻しつつあるのは嬉しい)
岡部(だが、やはりあんな辛い記憶は思い出させたく無い…)
岡部(紅莉栖は無事で、目の前にいる)
岡部(それで十分ではないか…)
ダル「オカリンもすっかり厨二病抜けちゃったなー、違和感すげぇお」
岡部「もうそんな歳でもないからな」
紅莉栖「厨二病ってあのフゥーハハハって叫びながら痛いキャラ演じる奴?」
まゆり「えっへへー、オカリンはオカリンだけどねぇ、実はマッド
岡部「まゆり、言わなくていい。あと紅莉栖も痛いとか言うな!」
岡部「それに…もうまゆりも、人質卒業だしな」
まゆり「んー?」
岡部(…それもあるが)
岡部(厨二を演じる事で思い出されても困るからな)
岡部(ラボに行きたがる紅莉栖に冷や冷やしたが、記憶は戻っていないようで安心した)
岡部「こんな所に呼び出してどうした?紅莉栖」
紅莉栖「あ、あのね、その…」
紅莉栖「あ、あんたとの付き合いも長いでしょ?だから、えっと、えーっと、んんー…」モジモジ
岡部「おーい、なんだその変な踊りは」
紅莉栖「ちゃかすな岡部のバカッ!」
岡部「き、今日は暑いから早くして欲しいのだが」
紅莉栖「ああもうムードのない男ねっ!!…あ、あんたが」
紅莉栖「あんたが好きなのよ!!もうどうしようもなくっ!」
岡部「!!!」
紅莉栖「だ、黙ってないでなんとか言いなさいよっ!」
岡部「…」
岡部(俺に幸せになる資格が…あるのか?)
岡部(見殺しにし、自分の手で殺しておいて)
岡部(俺に…)
岡部(だが…)
岡部「…紅莉栖」
紅莉栖「はっ、はひっ!!」
岡部「お前から言わせて済まなかったな」
岡部「紅莉栖、好きだ」
紅莉栖「っ、!!」
岡部(今目の前にいる紅莉栖を悲しませたくは…ない)
紅莉栖「…ぉ、ぉかべ」
紅莉栖「ちゅ、ちゅうとか、して、しても、いいんだからな?」
紅莉栖「ぁぁもう何言っちゃってんだろ私、もう恥ずかしい…」ブツブツ
岡部「紅莉栖、すまない…」
岡部「それだけは…それだけは出来ないんだ…」
紅莉栖「え…」
岡部「いや、違う、もちろんお前とき、キスはしたいに決まっている」
紅莉栖「…もしかして口臭気にしてたり?」
岡部「ち、違う!…兎に角だ。俺は、お前とキスは出来ない。…駄目か?」
紅莉栖「う、ううん、岡部がそういうんだったら仕方ないかなっ、て…」
岡部「紅莉栖…」ギュッ
紅莉栖「ひゃっ///」
紅莉栖「…い、今ので許す」
岡部「…ありがとう」
紅莉栖「ん、むぅ…もう朝?」
岡部「zzz」
紅莉栖「倫太郎は…まだ寝てるか」
紅莉栖「…可愛い顔しちゃって」
紅莉栖「…」
紅莉栖(倫太郎は未だにキス、してくれない)
紅莉栖(別に平気、だけど)
紅莉栖「やっぱり寂しいや…」
紅莉栖「…ごめんね、一回だけ、約束事破らせて」
紅莉栖「倫太郎…」チュッ
岡部「ん…朝か」
紅莉栖「遅いわよ、休みだからっていつまでも寝てないで朝ご飯食べちゃってー」
岡部「分かったー」
紅莉栖「気を付けなさいよー」
岡部「あぁ、分かった」
紅莉栖「行ってらっしゃい」
紅莉栖「…」
紅莉栖「おかべ…」
紅莉栖「お帰りなさい…」
岡部「…どうした?浮かない顔をして」
紅莉栖「…私ね、全部…全部思い出しちゃったの」
岡部「!?」
紅莉栖「倫太郎が…倫太郎が、まゆりや私を救う為にどれだけ頑張ったか」
紅莉栖「それに…倫太郎が、私が刺された記憶を思い出さないようにしてくれていたのも」
岡部「紅莉栖…」
紅莉栖「今まで、本当に辛かったね、本当にごめんね、 本当にありがとう」
紅莉栖「本当に…」ボロボロ
岡部「だっ、大丈夫かっ!?」
紅莉栖「わ、私はっ、平気、それより」
紅莉栖「全部、話してくれる…?」
岡部「あぁ…」
紅莉栖「そうだったの…未来の倫太郎がDメールで…」
岡部「今まで黙っていて悪かった」
紅莉栖「私を思っての事だったんでしょ?いいのよ」
紅莉栖「倫太郎…本当にありがとう。今まで、お疲れ様」
岡部「おいおい、これで終わりみたいな事を言わないでくれ」
紅莉栖(…)
岡部「それで、この流れだからいう訳ではないんだが」
岡部「そ、そろそろ、結婚、しないか…?」
紅莉栖「あなたー、ご飯よー」
倫太郎「お、今日も美味そうだな」
倫太郎「初めの頃の紅莉栖のご飯はとても食べられたものでは無かったのにな」
紅莉栖「もう、あの頃の話はしないでくれる?」
倫太郎「別に今が上手なのだから問題なかろう?」
倫太郎「…紅莉栖、なんか元気が無いな」
紅莉栖「え?そ、そんなことないわよ!ほら、さっさと食べちゃって!」
紅莉栖(もし万が一、私の仮説が当たったら…)
紅莉栖(私は…どうすれば…)
紅莉栖「…」
倫太郎「紅莉栖、本当に大丈夫か?」
紅莉栖「あ、ちょっとボーッとしちゃっただけよ、大丈夫!」
倫太郎「無理するなよ、今日の食器は俺が洗っておくから休んでいろ」
紅莉栖「…うん」
紅莉栖「ふぅ…」
紅莉栖(…確率としては低いし、心配する必要はないわよね)
紅莉栖(ないわよね…)
紅莉栖「あなた」
倫太郎「ん、どうした?」
紅莉栖「愛してるわ」
倫太郎「ブッ!!い、いきなりどうした?」
紅莉栖「…あなたは?」
倫太郎「も、もちろん愛してるに決まっているだろう」
倫太郎「お前を世界で一番愛してるのはこの俺だ」
紅莉栖「ありがとう、その気持ち、忘れないでね」
倫太郎「ふっ、忘れるものか」
紅莉栖「…ありがとう」
紅莉栖「すみません、じゃあうちの子お願いしますね」
紅莉栖「いい?門限までには帰ってくるのよ?」
子供「はーい!」
紅莉栖「ただいまーっ、あなたー、お昼食べたー?そうめん買ってきたけどー」
倫太郎「…」
紅莉栖「…あなた?」
倫太郎「ここは…」
岡部「ここはっ!?世界は!?」
岡部「…紅莉栖…?」
岡部「紅莉栖なのか!?」
岡部「本当に、本当にっ、!!本当に紅莉栖なのか!?」
岡部「よかったっ、よかったっ…」
岡部「紅莉栖っ、もう、何処へも行かないでくれ…っ、!!」
紅莉栖「…」
岡部「…紅莉栖?」
岡部「なぜ泣いているのだ?」
END
もし執念オカリンがリーディングシュタイナー発動したら的なのが思い浮かんだので書きましたんこぶ
あああああその発想はあった
乙
リーディングシュタイナー発動しまくってるから
なんらかの精神病に見えるよなw
>>44乙おもしろかった
実際は他人が見てリーディングシュタイナー発動してるのは2000年の時の一回と
最後のシュタインズ・ゲートに突入したときの1回だけじゃないの?
ほかの世界線はなかったことになるんだし
乙
Entry ⇒ 2012.09.20 | Category ⇒ シュタインズゲートSS | Comments (0) | Trackbacks (0)
ルルーシュ「貴様ぁ!!童貞ではなかったのか?!」スザク「違う!」
ルルーシュ「ほら、また同じところで間違えているぞ」
スザク「あ、ほんとだ」
ルルーシュ「全く。ま、そのほうが教え甲斐があるけどな」
スザク「そうかな?ありがとう」
ルルーシュ「皮肉だ」
スザク「……なぁ、ルルーシュ」
ルルーシュ「どうした?」
スザク「こんなこといきなり訊くのはおかしいって分かってるんだけど……」
ルルーシュ「どうした?なんでも言ってくれ」
スザク「じゃあ、その……女性とするときって……どうしてる?」
ルルーシュ「……え?」
ルルーシュ「……」
ルルーシュ(なんだ。この質問は。どういう意図がある……?)
ルルーシュ(いや、まだ答えをだすには早計だ。じっくりと話を聞こう)
ルルーシュ「スザク、それはどういう意味だ?」
スザク「えっと、実はこの前……ユーフェミア様に―――」
ルルーシュ「……!!」ガタッ
ルルーシュ(ユフィ!?ユフィだと?!)
ルルーシュ(ど、どういうことだ……!?)
ルルーシュ「……」
スザク「つ、続けていいかな?」
ルルーシュ「あ、ああ……」
ルルーシュ(こ、こいつ……!!俺よりも先に大人の階段を上ったというのか……!!スザク……!!)ギリッ
ユフィ『スザク。私のことが好きならできますね?』
ルルーシュ「そういわれたのか……?ユフィに……?」
スザク「……うん」
ルルーシュ「そ、それで?」
スザク「僕、そんな経験が一切なかったから……どうしていいかわからなかったんだ」
ルルーシュ「そうなのか」
ルルーシュ(ふっ。なんだ。驚かせて。まだスザクはチェリーボーイのままか)
スザク「そういうと、ユーフェミア様が―――」
ユフィ『ふふ。だろうと思った。じゃあ、私がスザクをリードしてあげますね』
スザク「そ、それで……全てを委ねてしまっ―――」
ルルーシュ「ふざけるなぁ!!!!」
スザク「……!?」ビクッ
スザク「ルルーシュ、待ってくれ。初めは僕もちゃんといった。身分が違いすぎますって」
ルルーシュ「それで……?」
スザク「でも……」
ユフィ『この部屋にはユフィとスザクという男女しかおりません』
スザク「そういったんだ」
ルルーシュ「それだけの……それだけの理由か……!?」
スザク「仕方なかったんだ!!そうじゃないとユフィは騎士を剥奪するって」
ルルーシュ「ええい!!!見損なったぞスザク!!」
スザク「……どうしてそこまで必死になるんだ?」
ルルーシュ「え」
スザク「友達にあまりこういうことはいいたくないけど……」
ルルーシュ「な、なんだ?」
スザク「ルルーシュは経験したことがないのか?」
ルルーシュ「……!?」ガタッ
ルルーシュ「……」ギリッ
ルルーシュ(落ち着け……!!こんなことでスザクに失望されては……!!)
ルルーシュ「あっはっはっはっは!!!!」
スザク「どうした?」
ルルーシュ「待て待て。スザク、間違っているぞ」
スザク「なに……?」
ルルーシュ「お前、ここに編入してきてから何を見てきた?」
スザク「どういうことだ?」
ルルーシュ「俺は……モテる!!!」
スザク「……確かに」
ルルーシュ「365日、女に困ることなどない。そんな俺を捕まえて経験がないだと……?」
ルルーシュ「そんなことがあるわけないだろ!!!」
スザク「そうか。流石はルルーシュ。そうでないと」
ルルーシュ「ふっ。女の扱いなんてチェスよりも簡単だ」
ルルーシュ「なんだ……?」
ルルーシュ(この話の流れなら、恐らく情事のときのテクニックかなにかだろう)
ルルーシュ(くっくっく……ネットや本で得た知識ならある。これなら……勝てる!!)
スザク「……実は下手だって言われた」
ルルーシュ「……下手?」
スザク「もっと勉強してきてほしいって言われたんだ。どうしたらいい?」
ルルーシュ(なんだ。最も愚かな質問を選んだな、スザク)
ルルーシュ「そんなものネットで―――」
スザク「ちなみにもうネットでは調べたし、本もみた。だけど、いまいち分からなくて」
ルルーシュ「なんだと?」
スザク「僕ってほら、体で覚えるほうが得意だから」
ルルーシュ(なんだ……なにを言ってる……?)
スザク「だから、ルルーシュが実演してくれると助かるんだけど」
ルルーシュ「じつ……えん……?」
ルルーシュ「まてまて!!!貴様!!何を言っている!?」
スザク「え?ニーナや生徒会長のほうがよかったかい?」
ルルーシュ「そうじゃない!!」
スザク「ナナリーはちょっと……」
ルルーシュ「きさまぁ!!」
スザク「も、もしかして……僕か……それは……あの……いくら友達でも……」ポッ
ルルーシュ「照れるな!!気持ち悪い!!!」
スザク「とにかく、僕に実際しているところを見せてほしいんだ」
ルルーシュ「……見せるって……」
スザク「慣れているんだろ?」
ルルーシュ「いや……」
ルルーシュ(まずい……まずいことになった……!!)
ルルーシュ(どうする……どうすれば……!!!)
スザク「……」ワクワク
スザク「見ることはできるけど、どうにも激しすぎる。あれではきっとユフィは痛がってしまいそうで」
ルルーシュ(確かに。スザクに加減などできるわけがない)
ルルーシュ(考えろ……考えるんだ。この場を上手く切り抜けるためには……!!)
ルルーシュ「―――まて。そもそも、人に見せるようなものではないだろう」
スザク「ちゃんと気配を消して隠れてるから」
ルルーシュ「だから、いくら親友でもそんなところを見られたくは無いんだ」
スザク「相手がシャーリーでもかい?」
ルルーシュ「当然だ!!というか、相手どうこうの話ではないぞ」
スザク「そうなのか」
ルルーシュ「お前がユフィと経験を重ねていけば言いだけの話だろう」
スザク「勿論、それも考えた。だけど……」
ルルーシュ「なにか問題でもあるのか?」
スザク「その日の帰り……コーネリア総督に呼び出されたんだ」
ルルーシュ(コーネリアに……?)
スザク「そう涙目で言われて」
ルルーシュ(今度、ユフィに会ったとき、自室に隠しカメラがないか調べておくように言っておくか)
ルルーシュ「分かった。つまり、ユフィとはもう練習ができないってことか」
スザク「そうなんだ。ユフィがコーネリア総督に僕としたことを話さないとも限らないし」
ルルーシュ「……」
スザク「頼む、ルルーシュ。僕とユフィのために見せてくれないか」
ルルーシュ「しかしな……」
スザク「ダメか?」
ルルーシュ「だから、人に見せるものじゃ―――」
スザク「そうか。やっぱりルルーシュも経験が……」
ルルーシュ「あると言っているだろ!!見せることじゃないってだけだ!!」
スザク「でも、そこまで強く拒絶するってことは教えられないってことじゃないのか?」
ルルーシュ「ちがう!!!俺はどんな女でも満足させられる技量をもっている!!」
スザク「すごい!じゃあ、見せてくれないか!?」
スザク「……♪」ワクワク
ルルーシュ(ダメだ。こいつ、俺が実演するまで諦める気配がない……!!)
スザク「……ルルーシュ?」
ルルーシュ(……まてよ?そうか。見せれば、それで満足するというなら……!!!)
ルルーシュ「よし、わかった。だが、自室ならまだしもここで実演するとなると、女を誘うのが手間だ」
スザク「じゃあ、すぐにはできないっていうのか」
ルルーシュ「ああ」
スザク「いつなら?」
ルルーシュ「明日なら」
スザク「明日か。分かった」
ルルーシュ「じゃあ、明日の放課後にここにこい。お前はそうだな……段ボールを用意しておくから、その中から観察でもしていろ」
スザク「ルルーシュ。でも、見ているだけじゃ……」
ルルーシュ「手順の全てを紙に書いておいてやる。それを見ながら、俺の実演を鑑賞していろ」
スザク「助かるよ、ルルーシュ。ありがとう」
ルルーシュ(さて……明日の茶番に付き合ってくれそうな女を見つけるか)
ルルーシュ(生徒会長は……却下。恐らく、面白おかしく噂を流すだろうし、それ以前に門前払いだ)
ルルーシュ(ニーナ……。いや、ニーナはどこか潔癖症のようなところもある。誘ってものってはこないだろう)
ルルーシュ(シャーリー……もダメだ。嫌われてしまう)
ルルーシュ(となると……カレン……。ダメだ。奴は黒の騎士団。俺が今後、奴を変に意識してしまうかもしれない)
ルルーシュ「……」
C.C.「何をしているんだ?」
ルルーシュ「……ふっ。なんだ。いい人材が―――」
C.C.「ん?」
ルルーシュ(C.C.なんて論外だ!!くそ!!)
C.C.「変なやつ……」
ルルーシュ「ダメだ……。相手が……」
ナナリー「お兄様、どうかされましたか?」
ルルーシュ「ナナリー……」
ルルーシュ(ナナリーか……。ナナリーなら快諾してくれる可能性が高い)
ルルーシュ(だが……しかし……)
ナナリー「お兄様?」
ルルーシュ「え?」
ナナリー「あの……何か困っているのですか?」
ルルーシュ「いや、なんでも……」
ナナリー「もし私にできることなら、なんでも言ってくださいね」
ルルーシュ「……」
ルルーシュ(ナナリーか……。スザクからはナナリーの顔が見えないようにすれば……)
ルルーシュ「ナナリー、ちょっといいかな」
ナナリー「はい、なんでしょう?」
ルルーシュ「明日の放課後、生徒会室に来てくれないか?」
ナナリー「はい。なにかあるのですか?」
ルルーシュ「……そこでナナリーを抱きたい」
ナナリー「抱く……?」
ルルーシュ「ああ。だめかな?」
C.C.「……」
ナナリー「ここでもいいですよ?ぎゅってしてください」
ルルーシュ「いや、明日の生徒会室で抱きたいんだ」
ナナリー「そうなのですか……」
C.C.「おい!!!」
ルルーシュ「黙っていろ」
C.C.「貴様……何を言っている……!!」
ナナリー「分かりました。じゃあ、明日の放課後に生徒会室で」
ルルーシュ「ああ。待っていてくれ」
ナナリー「お兄様に抱いて貰えるなんて楽しみです」
ルルーシュ「ふふ……そうか」
C.C.「ルルーシュ……お前……」
C.C.「おい。犯罪者」
ルルーシュ「お前に言われたくないな」
C.C.「ナナリーを抱くとはどういう了見だ」
ルルーシュ「そのままの意味だよ」
C.C.「目が不自由な妹によくもまぁ、そんな卑劣なことができるな」
ルルーシュ「俺は女に不自由していない」
C.C.「は?」
ルルーシュ「それを証明する必要があるんだ」
C.C.「ふーん。そこで妹を選出する貴様の思考回路は理解できないな」
ルルーシュ「適任者がナナリーしかいなかった。それだけだ」
C.C.「お前、かなり女に不自由しているんだな」
ルルーシュ「あとはプレイの手順を紙に記し、それをスザクに読ませつつ、俺が事に及べば……ふふふ……」
ルルーシュ「あーっはっはっはっは!!!勝てる……!!勝てるぞ!!!」
C.C.「……お前の負けだよ。坊や」
C.C.「お前の鬼畜プランか?」
ルルーシュ「ああ。これをナナリーに読ませる」
C.C.「読ませる?」
ルルーシュ「俺の台本は完璧だ」
C.C.「台本とはなんだ?ナナリーを嬲るシナリオか?」
ルルーシュ「何をいう。俺はナナリーに手を出すことなく、抱いてやるんだよ」
C.C.「……意味がわからないな」
ルルーシュ「このボイスレコーダーに録音するのさ」
C.C.「ナナリーの喘ぎ声か」
ルルーシュ「それだけじゃない。情事中の会話もだ」
C.C.「……」
ルルーシュ「既に俺の肉声は録音してある。聞くか?」
C.C.「100%気持ち悪いだろうから遠慮しておく」
ルルーシュ「そうか。自信作なんだがな」
ナナリー「……お兄様?」
ルルーシュ「起こしちゃったか」
ナナリー「いいえ。なんだか今日は寝付けなくて」
ルルーシュ「どうかしたのか?」
ナナリー「明日、お兄様に抱いてもらえると思うと……少しドキドキしてしまって」
ルルーシュ「そうか……。ところでナナリーに読んでほしいものがあるんだけど」
ナナリー「なんでしょうか?」
ルルーシュ「できるだけ感情を込めて読んでくれ。点字処理はしてあるから」
ナナリー「はい。分かりました」
ルルーシュ(レコーダー、オン)カチッ
ナナリー「―――お兄様……今日はここでなにをするんですか?」
ナナリー「え?服を?どうしてですか?」
ナナリー「だ、だからって……少し恥ずかしいです……お兄様……」
ルルーシュ「……」
ナナリー「わ、たしたち……兄妹なの、に……ぃ……んっ……」
ナナリー「そこは……きた、ない……です……」
ルルーシュ「……」
ナナリー「ひっ……んっ……もう……あ……おにいさま……いく、のです、か……?」
ルルーシュ「……」ギリッ
ナナリー「わ、わたしも……もぅ……ふぁ……」
ルルーシュ「やめろぉ!!!!」
ナナリー「え?」
ルルーシュ「もうやめてくれ……こんなナナリー……見たくない……」
ナナリー「あ、あの……お兄様……?」オロオロ
ルルーシュ「悪い。今夜のことは忘れてくれ、ナナリー」
ナナリー「あの、このお話は……」
ルルーシュ「俺が考えた演劇の台本だったんだけど。ちょっと、失敗した。ごめん、ナナリー」
ナナリー「いいえ。お兄様の脚本、素晴らしかったです。まるで登場人物が私とお兄様みたいでしたし、二人はすごく愛し合っているようでしたから」
ルルーシュ「はぁ……」
C.C.「どうした?妹の陵辱は諦めたのか?」
ルルーシュ「初めからナナリーを抱くなんて無理だったんだ……」
C.C.「……よかったよ。まだ良心が残っているようで」
ルルーシュ「だが、まずい。このままでは……俺は……」
C.C.「シャーリーに電話してみろ。喜んで食いついてくれると思うが」
ルルーシュ「……」
C.C.「カレンでもいいんじゃないか」
ルルーシュ「……」ジーッ
C.C.「なんだ?」
ルルーシュ「……」
C.C.「読まないぞ?私は読まないからな」
ルルーシュ「台本はここにある」
C.C.「読まないと言っている!!聞こえないのか!?」
ルルーシュ「ん……朝か」
ルルーシュ「C.C.?できたか?」
C.C.「……ほ、ほら」ポイッ
ルルーシュ「どれどれ?」カチッ
『あっ……あっ……ルル……シュ……そうだ……いいぞ……奥を……犯してくれ……あっ……』
ルルーシュ「……上出来だ」
C.C.「全く。つまらないことに使うな……」
ルルーシュ「よし。これで前提条件は全てクリアだ」
C.C.「……」
ルルーシュ「あとは放課後を待つばかりか……くくくく……」
C.C.「で、何時ごろに生徒会室にいけばいいんだ……?」
ルルーシュ「何を言っている。スザクがいるのに出歩こうとするな。部屋にいろ」
C.C.「な……!?」
ルルーシュ「あとは……スザクが入れるだけの段ボールを用意しておけば……完璧だ」
ミレイ「え?ここを貸切にしてほしい?」
ルルーシュ「はい、30分ほどでいいんで」
ミレイ「それはいいけど、なんでまた?」
ルルーシュ「少し……」
ミレイ「ふーん」
シャーリー「ルル、何かあるの?」
ルルーシュ「別にいいだろ」
リヴァル「おいおい、ちゃんと言ってくれなきゃ、貸せるわけないだろー?」
ミレイ「……もしかして……誰かと二人っきりになりたいとか?」
シャーリー「……!!!」
カレン「……」ピクッ
ルルーシュ「……まぁ、そんなところです」
ミレイ「そういうことなら貸しましょう!!ええ、貸してあげる!!」
ルルーシュ「変な噂を流したり、詮索は無しでお願いしますよ?」
ミレイ「さぁ、ルルーシュくんのお相手はだーれだ?」
リヴァル「やっぱ、気になりますよねー」
シャーリー「……だれ……だれなの……」ソワソワ
カレン「……」ジーッ
リヴァル「あっれ?てっきりシャーリーかカレンだと思ってたんだけど」
カレン「な、なんであたしが!!」
ミレイ「しっ。誰かきた」
リヴァル「え……?」
スザク「……」スタスタ
スザク「……」ガラッ
ミレイ「おーっと!!!まさかのダークホース!!!」
カレン「なにぃぃ!?!?」
シャーリー「……う……そ……」
スザク「ルルーシュ」
ルルーシュ「来たか。そこの中に入っていろ。もうすぐ、俺の相手も来る」
スザク「分かった。期待させてもらう」
ルルーシュ「ふ。その中を汚すなよ?」
スザク「うん」
ルルーシュ「……」
ルルーシュ(よし。あとはナナリーを待ち、このボイスレコーダーを再生させるだけだな)
ルルーシュ(イレギュラーさえなければ……予定通りに終わるはずだ)
ルルーシュ「……」
ルルーシュ(しかし、ナナリーが来たときどうするか)
ルルーシュ(事情とか説明できないしな……)
ルルーシュ(ま、ナナリーなら下手な言い訳をする必要もないな。くくく……)
ミレイ「さぁ、同志諸君。これは由々しき事態である」
リヴァル「あの二人、妙に仲がいいと思ったら……マジかぁ……俺も狙われてたのかなぁ……」
シャーリー「だから……だから……私の気持ちにも……!!!」
カレン「……なんとか、見れないかな……?」モジモジ
ミレイ「やっぱり、乙女としては美男子の秘め事って気になるわよねー?」
リヴァル「マジですか?」
シャーリー「そんな……そんなこと……ルルが……ルルがぁ……」
カレン「……」コソコソ
ミレイ「ドアの隙間から見れる?」
カレン「この位置だと……よく……」
ナナリー「あの」
シャーリー「きゃぁ?!」
ナナリー「なにをされているのですか?」
ミレイ「なんでもない!!なんでもなわよー?!」
ミレイ「ニーナまで!?」
ニーナ「ちょっと中に」
ミレイ「今はだめ!!」
ナナリー「え?どうしてですか?」
シャーリー「今はダメなの!ほんとに!!」
リヴァル「ああ。きっと大変なことになってる」
カレン「……」コソコソ
ナナリー「でも、お兄様に来るように言われてて」
ミレイ「え?!」
カレン「……それって」
ミレイ「……なるほど。私たちは勘違いをしていたのかも」
シャーリー「どういうことですか?」
ミレイ「これはきっと三人プレイなのよ」
カレン「……え?」
ミレイ「それがどうしたっていうの?」
シャーリー「え?いや……」
リヴァル「それはないですって!!」
カレン「スザク……!!」
ニーナ「え?え?」
ミレイ「……どうする?通す?」
シャーリー「そんなことできませんよ!!!」
ミレイ「そうよね」
ナナリー「あの……通してもらえませんか?」
ミレイ「だめだめ。流石の私も看過できないから」
ナナリー「でも、お兄様との約束が……」
カレン「あたしがいってきます」
ミレイ「そう?ちゃんと叱ってこれる?」
カレン「やってみます」
ガラッ
ルルーシュ「来たか」
スザク(来た……)
カレン「ルルーシュ!!」
ルルーシュ「……!!」
スザク(カレンか。なるほど)
ルルーシュ(な、何故……カレンが……入って来る……?)
カレン「話があるんだけど」
ルルーシュ(ここでカレンを追い出せば、スザクに悪い方向で誤解される……)
ルルーシュ(仕方ない。カレンで乗り切るか……!!)
カレン「あれ?スザクは?」
ルルーシュ「カレン。そこに座ってくれ」
カレン「なんで?」
ルルーシュ「いいから」
ルルーシュ「カレン。じっとしていろ」
カレン「な、なんで……?」
ルルーシュ「いいから……」
カレン「ちょっと……」
ルルーシュ(まずは抱きしめないとな。スザクの位置からはそれぐらいのことは見えているだろうし)
カレン「ルルーシュ、あのさ。流石に妹に手を出すってないと思うんだけど―――」
ルルーシュ「……」ギュッ
カレン「なっ?!」
スザク(おぉ……)
カレン「こ、こらぁ!!なにを―――」
ルルーシュ「(黙れ。静かにしていろ)」
カレン「(な、なに?何がしたいの……?)」
ルルーシュ「(いいから黙っていろ。頼む。あとでなんでも奢ってやる)」
カレン「(い、いやあの……離して……くれると……あの……)」
カレン「あ……あの……」
ルルーシュ(よし。再生だ)カチッ
『さぁ、服を脱ごうか』
カレン「ふ―――」
ルルーシュ「(静かにしろ)」グッ
カレン「むぐ……?!」
『ああ、よし。服を―――』
ルルーシュ「……!!」ピッ
スザク(あれ?別の女性の声……?)
ルルーシュ(しまった!!C.C.の声は特徴的すぎる!!)
ルルーシュ(やつめ。声色ぐらい変えろ……!!)
カレン「(あの……いつまで……抱きしめてるの……?)」
ルルーシュ(くっ……なんとかして……カレンに台詞を……そうだ)
ルルーシュ「(カレン、このイヤホンをつけろ)」
ルルーシュ「(ダメだ。いいから、つけろ)」
カレン「(はいはい……)」
ルルーシュ「(よし。そこから聞こえてくる台詞を声に出せ)」
カレン「え……?」
ルルーシュ「聞こえなかったのか?服を脱げといったんだ」
カレン「えっと……ああ、よし……服を脱げばいいのね……?」
ルルーシュ「ああ。そうだ」
カレン「で、でも……恥ずかしいんだけど……」
ルルーシュ「構うことはない。ここには俺とお前しかいないのだからな」
カレン「そ、それも……そうね。わ、わかった脱ぐよ……」
ルルーシュ「ああ。早くしろ」
カレン「……」スルッ
ルルーシュ「本当に脱ぐな!!!!」
カレン「え?」
ルルーシュ(しまった……!!つい……!!)
カレン「え?脱ぐんじゃないの?」
ルルーシュ「あ、いや、脱げ。上着だけでいいからな」
カレン「そのつもりだったけど」
ルルーシュ「そうか」
ルルーシュ(ふー……俺もまだまだだな。これぐらいのアクシデントで動揺してしまうとは)
カレン「……脱いだよ」
ルルーシュ「ふふ。いい胸じゃないか」
カレン「どこみてるのよ!!」
ルルーシュ「おい!!そんな台詞はない!!」
カレン「はぁ!?」
ルルーシュ「(聞こえてくる台詞を言えばいいんだ!!)」
カレン「(私のち、ち、く……び……はいい色でしょ、とか……言えないからっ)」
ルルーシュ「(それでも言うんだ!!俺を助けると思って!!)」
カレン「あ、あた、し……のちくび……いい、色でしょ……」
ルルーシュ「ああ。素晴らしいな。吸い付きたいぐらいだ」
カレン「……」プルプル
ルルーシュ「(どうした。早く続きを―――)」
カレン「……っ!!」
パシンッ!
ルルーシュ「……え」
カレン「こんなこといえるかー!!!!!」ダダダッ
ルルーシュ「まて!!カレン!!」
ルルーシュ(ぐぅぅ……!!くそ、カレンでは荷が重かったか……!!)
ルルーシュ(スザクは……!!)
ルルーシュ(出てこないな。まだ、静観しているのか)
ルルーシュ(ならば、今すぐ追いかければ……!!)
ルルーシュ「カレン!!待ってくれ!!」
ミレイ「あ、出てきた」
カレン「うぅ……ぐすっ……」ポロポロ
リヴァル「泣いてるじゃん!?」
シャーリー「カレン、何かあったの!?」
カレン「クリ……とか……もう……いやぁ……」ポロポロ
ニーナ「な、なにが……」
ナナリー「えっと……」
ルルーシュ「カレン!!―――はっ?!」
ミレイ「はぁい」
ルルーシュ「会長……ここでなにを?」
ミレイ「それよりどうしてカレンがないてるのかなぁ?」
ルルーシュ「そ、それは……」
ナナリー「お兄様、何かお話があるのでは?」
ルルーシュ「ナナリー!!来ていたのか!!助かる!!」
ルルーシュ「な、なんですか?」
ミレイ「女の子を泣かせるようなことしておいて、妹を連れ込むとか流石にないかなー?」
ルルーシュ「しかし、時間がないんです!!」
ミレイ「でも」
ナナリー「あの、私は別に―――」
シャーリー「ルル!!ダメでしょ!!なにしてたか知らないけど、こんなこと……ダメ!!」
ルルーシュ「シャーリー……」
ルルーシュ(ちっ……。どうする……。この状況でナナリーを連れ込むにはリスクが高すぎる)
ルルーシュ(ならば―――選択肢は3つ)
ルルーシュ(その中で無難なのは……!!!)
ルルーシュ「こい、シャーリー!!」ガシッ
シャーリー「え?!」
ルルーシュ「お前にしか頼めないかもしれないんだ!!」
シャーリー「わ、わたし……?」
リヴァル「うん。願ったり叶ったりってやつだな」
シャーリー「で、でも……一体……なにを……?」
ルルーシュ「中で説明する。とにかくきてくれ」
シャーリー「う、うん……」
ルルーシュ(シャーリーなら、合わせてくれるかもしれない)
ルルーシュ(シャーリーに賭ける……!!)
シャーリー(なんだろう……もしかして……カレンでも泣いちゃうような……恥ずかしいことを……?)
シャーリー(そんな……そんなこと……どうして……)
シャーリー(で、でも……それがいけないことってルルに分かってもらわないと!!)
シャーリー(私が……体を張って……!!)
ガラッ
ルルーシュ「よし、シャーリー、実は―――」
スザク「ルルーシュ。ちょっといいかな」
ルルーシュ「……スザク!?」
スザク「あれ?カレンはどうしたの?」
ルルーシュ「お前……なんで……!!」
スザク「気になることがあるんだ」
ルルーシュ「気になることだと……?」
スザク「ああ。えっと……」
シャーリー「え?え?」
ルルーシュ(なんだ……なにをするつもりだ、スザク!!)
スザク「ルルーシュ、初めに抱きしめただろ?」
ルルーシュ「ああ」
スザク「それって、こういう風にかい?」ギュッ
シャーリー「!??!!?!」
ルルーシュ「ばか!!そうじゃない!!こう、優しくだ!!」ギュッ
スザク「そうか。やっぱり、加減が難しいな」
シャーリ「ひっ……」ウルウル
シャーリー「ルル……違うよね……」
ルルーシュ「どうした?」
シャーリー「ルル……わたし……信じてるから……」
ルルーシュ「おい!シャーリー!!」
シャーリー「だれにもいわないからっ!!」ダダッ
ルルーシュ「シャーリー!!」
スザク「あれ?」
ルルーシュ「バカか!!どうしてでてきた!!」
スザク「いや、どうしても確認したくて」
ルルーシュ「見られたくはない行為といっただろうが!!」
スザク「ごめん」
ルルーシュ「いいから、隠れていろ!!質問は終わったあとに聞いてやる!!」
スザク「わかったよ」
ルルーシュ(ええい。スザクが天然であったことを計算にいれていなかった……!!まずい、まずいぞ……!!)
シャーリー「うぅ……ルルが……ルルがぁ……」ポロポロ
カレン「ひどい……ひどいよぉ……」ポロポロ
ミレイ「な、なにがあったの?」
シャーリー「……いえません」
カレン「いえない……です……」
リヴァル「な、なんだ……?」
ルルーシュ「シャーリー!!」
ミレイ「ちょっと!!本当になにしたの!?」
ルルーシュ「え?いや、何も……」
リヴァル「ルルーシュ……お前……」
ナナリー「お兄様?」
ルルーシュ(くそ……やはり、当初の予定通り……)
ルルーシュ「ナナリー!!」ガシッ
ナナリー「は、はい」ビクッ
リヴァル「まてよ!!ルルーシュ!!友達やめるぞ!!」
ニーナ「それだけはだめぇ!!」
ルルーシュ「しかし、もう15分もないんです!!」
ミレイ「……いいわ。私がいく」
ルルーシュ「なに……?」
ニーナ「ミレイちゃん!!」
ナナリー「ですから、私は別に……むしろ、二人きりになりた―――」
ミレイ「ダメよ。ナナリーちゃん。ここは私に任せて」
ナナリー「いえ……」
ミレイ「さ、行きましょう」
ルルーシュ「は、はい……」
ルルーシュ(予想外だが会長ならなんとかなるかもしれない)
ルルーシュ(終わったあとが大変そうだが……火消しとかが)
ルルーシュ「スザク?」
ミレイ「ええ」
ルルーシュ(まさか、シャーリーが喋ったのか?)
ルルーシュ「スザクならさっきのどさくさに紛れて出て行きましたけど」
ミレイ「そう、なの?」
ルルーシュ「はい」
ミレイ「全然、気がつかなかった……」
ルルーシュ「じゃあ……」
ミレイ「え……」
ルルーシュ「……」ギュッ
ミレイ「……」
ルルーシュ「(会長、このイヤホンをつけてください)」
ミレイ(なるほど……。あの二人が泣くわけね……)
ミレイ「(イヤホンね。はいはい)」
ミレイ「(どうしてそんな―――)」
『あっ……!!いいっ!!もっとだ!!もっと、つけ……くっ!!んっ……!!』
ミレイ「……!!!」
ルルーシュ「(さぁ……感情をこめて)」
ミレイ「(え……いや……これって……)」
ルルーシュ「(早く)」
ミレイ「……」
ルルーシュ「(会長?)」
ミレイ「おち……ん……ぽ…………」プルプル
ルルーシュ「え?まずは服をって台詞から―――」
ミレイ「なかにだしてぇ!!!」
ルルーシュ「何をいっているんだ!!あなたはぁ!!!」
ミレイ「貴方が言えっていったんでしょ!!」ウルウル
ルルーシュ「その台詞はもっと先ですよ!!」
ルルーシュ「会長……!!」
ミレイ「うわぁぁん」ダダダッ
ルルーシュ「どういうことだ……」
ルルーシュ(そうか!!再生しっぱなしだったからか……!!)
ルルーシュ(止めておかないと……)ピッ
ルルーシュ(くそ……もうタイムリミットが迫っている……)
ルルーシュ(このままでは俺のプライドが……!!)
スザク「―――ルルーシュ、あのさ」
ルルーシュ「お前は黙っていろ、スザク!!」
スザク「いや……少しおかしくないか?」
ルルーシュ「おかしくない!!」
スザク「そうか」
ルルーシュ(時間的に次が最後だ……)
ルルーシュ(慎重に選ばなくては……!!)
カレン「うっく……ぐすっ……」
シャーリー「ルル……ルル……」
ミレイ「こんな汚れた女じゃ……はぁ……」
リヴァル「どうしたんですかぁ?!ねぇ!?」
ニーナ「ミレイちゃんまで……」
ナナリー「……」
ガラッ
ルルーシュ「……」
リヴァル「おい!!ルルーシュ!!おまえ、なにしたんだよぉ!!!」
ルルーシュ「説明している時間はない。―――ナナリー!!」
ナナリー「はい」
ルルーシュ「こい」
ナナリー「今、行きます。お兄様」
リヴァル「ふざけんな!!もうお前は友達でもなんでもないからなぁ!!!」
ナナリー「お兄様……」
スザク(え……この声……)
ルルーシュ「じゃあ、いくよ」
ナナリー「はい……優しくだいてください」
ルルーシュ「ああ……」ギュッ
ナナリー「お兄様の優しさが……伝わってきます……」ギュッ
ルルーシュ「(ナナリー、イヤホンをつけて)」
ナナリー「(はい)」
ルルーシュ「(聞こえてくる台詞を声に出してくれ)」
ナナリー「(わかりました)」
スザク(間違いない……ナナリーだ……!!)
スザク(ルルーシュ……君は……!!)
スザク「……」ギリッ
ナナリー「わかりました」
ルルーシュ「いい乳首だな。吸い付きたくなる」
ナナリー「やだ……恥ずかしいです……」
ルルーシュ「ふん。隠すな。今からそのピンクを黒くそめてやる」
ナナリー「そ、そんな……」
ルルーシュ「だが、まずは……その唇から……」
ナナリー「あ……だめ……」
ルルーシュ(よし。第一条件はクリア―――)
スザク「―――やめろぉぉぉぉ!!!!!」
ルルーシュ「?!」
ナナリー「え?スザクさん?」
スザク「ルルーシュ!!!見下げ果てたぞ!!!」
ルルーシュ「スザク……!!何故、邪魔をする!!!」
スザク「君がモテるのはわかった!!だけど……ナナリーにまで手をだすなんて!!君は、屑だ!!」
スザク「どうしてだ……どうしてそんなことができるんだ!!君は間違っている!!」
ルルーシュ「なんだと?」
スザク「君はナナリーを大事にしてきたんだろ?どうしてそんな性の捌け口にできるんだ!!」
ナナリー「せいの……?」
ルルーシュ「何を言い出すかと思えば……。これはお前のためにやっていることだ」
スザク「ナナリーを巻き込むな」
ルルーシュ「ナナリーは快諾してくれた。教えられる立場であるお前が口出しするな!!」
スザク「嘘だ!!ナナリーは騙されている!!」
ナナリー「え?え?」
ルルーシュ「スザク、いい加減にしろよ……。それもこれもお前のためだろうが……!!!」
スザク「僕はそこまで頼んでいない」
ルルーシュ「おのれ……一度、経験したからと調子にのるなよ……!!」
スザク「なんだ、それ。まるで自分は経験していないような言い草だな」
ルルーシュ「なっ……!!」
ルルーシュ(まずい……口がすべった……)
ルルーシュ(ナナリーの前で俺が童貞だとバレたら……!!)
スザク「やっぱり。初めからおかしいと思っていたんだ。この資料もよくわからないし」
ルルーシュ「やめろ……言うな……」
スザク「ルルーシュ、君は……」
ルルーシュ「スザァァク!!!!」
スザク「……!!」
ルルーシュ「いいだろう。俺は妹に手を出した。それは認めてやる」
ナナリー「お兄様、手を出していたのですか?」
ルルーシュ「だが、お前もこともあろうにユーフェミア副総督の純潔を奪ったのだぞ?」
スザク「そ、それは……」
ルルーシュ「俺は身内に手を出したにすぎない!!だが、貴様はどうだ!!」
ルルーシュ「騎士に任命され、浮かれ、求められるままにお前はユフィを穢したんだぞ!!」
スザク「ルルゥゥゥシュ!!!」
ちょっと待て
ナナリー「あの……お兄様……」オロオロ
ルルーシュ「俺の勝ちは目に見えているがな」
スザク「ぐっ……」
ルルーシュ「ふ……ふふふ……スザク、その一回が仇になったな」
スザク「ああ、そうだ。僕は罪を犯した。だけど、僕はその責任を取る」
ルルーシュ「な、なに……!?」
スザク「将来、ナイトオブラウンズになって、僕はユフィと結婚できるぐらいまで上り詰めてみせる!!」
ルルーシュ「くっ……」
スザク「ルルーシュ、君は妹を穢した責任、どう取るつもりだ?」
ルルーシュ「!?」
スザク「いつかナナリーにも想い人ができるだろう。だが、そのときこそ兄という存在が疎ましくなる!!」
ルルーシュ「やめろ……」
スザク「君とナナリーは結婚できない。それでもナナリーは想い人の前で重い十字架を背負いながら、隠しながら、生きていくしか無いんだぞ!!!」
ルルーシュ「だまれぇぇ!!!」
ルルーシュ「ふふふ……スザク……立派な心がけだな……」
スザク「それが騎士の務めだから」
ルルーシュ「はは……そうか……お前は……いいな……」
ルルーシュ「なら、どうすればいい!!俺は……俺は……ナナリーを愛しているんだぞ!!!」
ナナリー「あ、あの……そんなはっきりと……」
スザク「……ルルーシュ。君なら、責任の取り方がわかるはずだ」
ルルーシュ「なに……?」
スザク「……」
ルルーシュ「……だめだ!!だめだ!!そんなこと……!!」
スザク「ルルーシュ」
ルルーシュ(俺が……この俺が……憎み続けた皇帝になれというのか……スザク……!!)
スザク「……」
ルルーシュ「……」ギリッ
ナナリー「お兄様……私も大好きです……愛してます」オロオロ
スザク「ルルーシュ」
ルルーシュ「そうだな……なるほど……それもいい」
スザク「どうする?」
ルルーシュ「ナナリー?」
ナナリー「は、はい」
ルルーシュ「俺は……ナナリーと結婚したい」
ナナリー「え……」
ルルーシュ「そのために俺は修羅の道を選ぶ」
ナナリー「お、お兄様……やめてください……あの、私、どこかの養子になりますから、そうすれば結婚も穏便に……」
ルルーシュ「ナナリー、時間はかかるけど……必ず……」
ナナリー「えっと……あの、結婚しなくても一緒に住んでいるだけで……」オロオロ
スザク「心は決まったんだな」
ルルーシュ「ああ」
ナナリー「お兄様、今夜から一緒のベッドで寝てください……それぐらいで私は満足ですから……」
本気で暴君になって世界を征服する
ルルーシュ「俺もようやく決心がついた」
スザク「そうか」
ナナリー「あの……」
スザク「だけど……いいのか、ルルーシュ?」
ルルーシュ「なにがだ?」
スザク「経験がないまま、ナナリーとしたらきっと―――」
ルルーシュ「スザク!!きさまぁ!!!!」
スザク「あ、ごめん」
ナナリー「え?」
ルルーシュ「ナ、ナナリー!!違うんだ!!俺はもうスゴイ慣れている!!きっと、ナナリーも喜んでくれると思う!!」
ナナリー「お兄様……?そんなに……?」
スザク「でも、ダメだよ。ルルーシュ。キスぐらいは済ませておかないと」
ルルーシュ「……なに?」
スザク「まだなんだろ。キス」
ルルーシュ(ふざけるな。いくらなんでもキスは……!!)
スザク「ああ。この資料、キス以外のことがすごく多かったし、ルルーシュはキスもしたことないんだろうなって」
ルルーシュ「ま、まて……お前……ユフィとは何をした……?」
スザク「え?何ってキスだけど」
ルルーシュ「……」
ナナリー「え?スザクさんユフィ姉さまとキスしたんですか?」
スザク「あ、う、うん……」
ナナリー「すごいすごい。お兄様なんて週に1回しかしてくれなくて」
スザク「え……?」
ルルーシュ「スザク……」
スザク「な、なんだい?」
ルルーシュ「ふははははは!!!!!お前……まだ童貞だったのかぁ!!」
スザク「何を言っている。きちんとした。へたくそといわれたけど」
ルルーシュ「……」
ルルーシュ(そうだ……。そもそも監視カメラまで置いている部屋で、事に及ぼうとすれば……)
ルルーシュ(あのコーネリアが座視しているわけがない……!!)
ルルーシュ(自慢のナイトメアで愚息と共に串刺しにするはずだ)
ルルーシュ「スザク……もう一度、聞こう。お前、ユフィと何をした?」
スザク「キスだ」
ルルーシュ「……つまり童貞だな」
スザク「童貞じゃない。きちんと済ませた」
ルルーシュ「貴様ぁ!!童貞ではなかったのか?!」
スザク「違う!僕はユフィとキスをした!!」
ナナリー「……っ」
ルルーシュ「ふふふふ……あーっはっはっはっは!!!」
スザク「ど、どうした?」
ルルーシュ「お前……それで童貞を卒業できるなら、俺は7年前にナナリーで卒業していることになる!!」
スザク「ルルーシュ……何を言っているのかわかっているのか?!」
ルルーシュ「当たり前だろう」
ナナリー「お兄様……」
スザク「ルルーシュ……僕は……」
ルルーシュ「お前、ずっとブリタニア軍にいて殆ど勉強はできてなかったそうだな」
スザク「基礎ぐらいは」
ルルーシュ「保健体育は必須じゃなかったのか」
スザク「そうだ」
ルルーシュ「スザク。童貞の意味をきちんとユフィに聞いて来い。話はそれからだ」
スザク「え?」
ルルーシュ「お前には色々と早かったようだ。俺が悪かったよ」
スザク「そ、そうか……うん……よくわからないけど、ユフィに聞いてみる」
ルルーシュ「それがいい」
スザク「あ……もうこんな時間か。そろそろ仕事だ。それじゃあ」
ルルーシュ「ああ。がんばってこい」
ルルーシュ「全く。はた迷惑な奴だよ」
ナナリー「それよりお兄様?」
ルルーシュ「なんだい?」
ナナリー「お兄様って―――」
ガラッ
ルルーシュ「ん?」
カレン「ルルーシュ……」
シャーリー「……」
ミレイ「そっか……ルルーシュくんって……ふーん……」ニヤニヤ
リヴァル「ルルーシュ。お前は親友だよ……うんうん……」
ルルーシュ「なんだ……!!なんのことだ……!!」
ニーナ「ふふ……ちょっとかわいいかも」
シャーリー「じゃあ、あの……私のバージンって……ルルに……?」
ルルーシュ「は?」
※
※
※
・イケメン
・秀才
・理事長と懇意な一家の御曹司(学園上の立場)
・生徒会副会長
・話してみると情に厚い
学生としてのルルはありえないぐらいのハイスペック
スザク「失礼いたします!!」
ユフィ「スザク!どうしたのですか?今日も来てくれるなんて」テテテッ
スザク「あの……ユーフェミア様」
ユフィ「この部屋ではユフィでいいっていってるのに」
スザク「あ、ごめん。ユフィ」
ユフィ「それでなんですか?あ、もしかして……キスの……」モジモジ
スザク「あの……僕は恥ずかしいことにキスをすれば童貞ではなくなるものだと思っていたんだ」
ユフィ「まぁ」
スザク「でも、今日、友人にそれは違うと窘められて」
ユフィ「そうなのですか」
スザク「では、どうしたら……いいのかと……」
ユフィ「しりたい?」
スザク「で、できれば」
ユフィ「ふふ、わかりました。では、こちらに」
ユフィ「私もこういうことは初めてなんですけど―――」
ガンガンガン!!!!
スザク「!?」
ユフィ「だ、だれですか!?」
スザク「まさか……下がってユフィ」
ユフィ「でも……!!」
スザク「僕が確認するよ」
ユフィ「気をつけてね」
スザク「……」ピッ
ウィィィン……
コーネリア「……おのれ……イレヴン……!!」
スザク「コーネリア総督……!?」
ユフィ「えっ!!」
コーネリア「……ユフィのかたきぃぃぃ!!!!スザァァク!!!」
+涙目
ルルーシュ「全く。今日は酷い1日だった」
C.C.「お疲れ、坊や」
ルルーシュ「スザクはキスで童貞を捨てられたと思っていたようだ」
C.C.「ちゃんと説明したのか?」
ルルーシュ「ユフィに聞いておけといっておいた」
C.C.「そうか。では、今日ぐらい童貞くんから非童貞に格上げだな」
ルルーシュ「まさか。それは無理だ」
C.C.「何故だ?」
ルルーシュ「ユフィにはコーネリアという守護者がいるからな」
C.C.「そうだったな」
ルルーシュ「スザクがユフィを愛する限り、あいつは童貞など捨てられない」
C.C.「そういう坊やは童貞を誰に捧げるんだ?」
ルルーシュ「俺は童貞じゃない!!」
C.C.「嘘はいいよ。私に読ませたえっちぃ台詞で貴様が童貞であることは明白だ」
C.C.「エッチな本やゲームから抜粋したような喘ぎ声しかないのだから、すぐにわかるさ」
ルルーシュ「そ、そんなハッタリに……!!」
C.C.「もうナナリーにも筒抜けだぞ?」
ルルーシュ「そ、そんなわけ……!!」
C.C.「聞いてきたらどうだ?まぁ、生徒会の連中も気を遣って言わないようにしていたんだろうけど」
ルルーシュ「そんな……ナナリーが……?」
ルルーシュ「まて、そもそもナナリーは童貞とかそんな言葉を知らないはず……」
C.C.「女っていうのはな、男の知らないところで成長する生き物なんだよ」
ルルーシュ「くっ……」
ルルーシュ「ナナリー!!」ダダダッ
C.C.「アホめ」
C.C.「……童貞ぐらい……私が奪ってやるのに……」
ルルーシュ「ナナリー!!」
ナナリー「あ、お兄様」
ルルーシュ「ナナリー……あの……」
ナナリー「なんでしょう?」
ルルーシュ「……」
ルルーシュ(聞けるわけ無い……そんなこと……)
ナナリー「……お兄様?」
ルルーシュ「なんだい?」
ナナリー「私、お兄様のこと愛しています」
ルルーシュ「ナナリー……」
ナナリー「私の身も心もお兄様と共にあります」
ルルーシュ「……」
ナナリー「だから……お兄様はずっと私の傍にいてください……お願いします……」
ルルーシュ「勿論だ。どこにもいくものか」
ルルーシュ「ん?」
ナナリー「お兄様って童貞なのですか?」
ルルーシュ「!?」
ナナリー「お兄様?お兄様?」
ルルーシュ(まずい……俺は……ナナリーにだけは嘘をつけない……!!)
ルルーシュ(どうしたら……どうしたら……!!!)
ナナリー「ありがとうございます」
ルルーシュ「え……」
ナナリー「お兄様、私とのために大切にしてくれていたのでしょう?」
ルルーシュ「……」
ナナリー「私はそれがとても嬉しいです。お兄様にそこまで愛されて……幸せ……」
ルルーシュ「ナナリー……」ギュッ
ナナリー「お兄様……」ギュッ
ルルーシュ「ナナリー……愛している……俺はお前を絶対に守る……そして……結婚する……!!」
咲世子「ナナリーさ―――え!?」
ナナリー「すぅ……すぅ……」
ルルーシュ「ん……ナナリー……」
咲世子「なぜ……一緒に寝て……」
C.C.「大丈夫だ。一線はこえていない」
咲世子「そうですか。残念です」
C.C.「……え?」
咲世子「それではもう少し幸せな時間を……」
C.C.「……」
C.C.「ルルーシュめ……お前が一緒じゃないと、ベッドが冷たいんだからな……まったく」
ナナリー「おに……さまぁ……」
ルルーシュ「ななりぃ……だいすきぃ……だ……」
C.C.「……」イラッ
C.C.「いいかげんにおっきろー!!」
ナナリー「お兄様、お茶を入れました」
ルルーシュ「ありがとう」ナデナデ
ナナリー「えへへ」
リヴァル「あの……ご兄妹の様子、おかしくありません?」
ミレイ「まぁ、どうだろうね。これは思わぬ方向からライバル登場ってやつね」
シャーリー「ね、ねえルル、今度の日よう―――」
ナナリー「……」ジーッ
ルルーシュ「なに?」
シャーリー「……ううん、なんでもない」
ナナリー「……」ニコッ
カレン「ルルーシュ、あのね―――」
ナナリー「……」ジーッ
カレン「やっぱり、なんでもない……」
ルルーシュ「なんだ、変なやつらだな」
ルルーシュ「そんなこと言ってませんでしたけど」
リヴァル「じゃあ、あれだ……腰でも砕けて……」
ミレイ「ふけつー」
リヴァル「あ、いや、すいません……」
ルルーシュ「でも、確かにどうしたんだろう」
ナナリー「電話とかできないんですか?」
ルルーシュ「かけてみたけど、繋がらないんだ」
ナナリー「そうですか。心配ですね」
シャーリー(も、もう一度……!!)
シャーリー「あのっ―――」
ナナリー「……」キッ
シャーリー「……っ」ビクッ
ルルーシュ「なんだよ?」
シャーリー「と、といれ……」
コーネリア「ユフィはなぁ!!!ユフィはなぁ!!!」ドゴォ
スザク「ごほっ?!」
コーネリア「ユフィはわたしだけの可愛いいもうとなんだぁぁ!!!!」ドゴォ
スザク「がはっ?!」
コーネリア「それを……それをお前は!!おまえはぁぁぁぁぁ!!!!!」ウルウル
ギルバート「おやめください!!死んでしまいます!!」
コーネリア「うるさい!!!ユフィの騎士はわたしがする!!!こんなイレヴンにまかせておけるかぁぁぁ!!!」ポロポロ
ギルバート「お気を確かに!!」
コーネリア「ユフィの純潔をかえせぇぇぇ!!!!」ポロポロ
スザク「……」
スザク(ごめん……ユフィ……)
スザク(ぼくじゃ……むり……だ……)
コーネリア「かえせぇ!!ユフィをぁぁぁおおお!!!!」
ギルバートなんちゃらギルフォードじゃなかったっけ
良く覚えてないや
ギルバート・G・P・ギル フォードだった
ちょっとROMってる
ルルーシュ「……ダメだ。スザクと連絡がつかないな」
ナナリー「お兄様っ」
ルルーシュ「どうした?」
ナナリー「ぎゅってしてくれませんか……?」
ルルーシュ「なんだ。急に甘えん坊になったな」
ナナリー「ご、ごめんなさい……。そんなつもりは……」
ルルーシュ「いいよ」ギュッ
ナナリー「あ……」
ルルーシュ「ナナリー……愛してる……」
ナナリー「私もです……お兄様……」
ナナリー(お兄様の純潔は誰にも渡しません……誰にも……)
ルルーシュ「ナナリー……」スリスリ
ナナリー「ふふ……お兄様……♪」
C.C.「……魔女め」
おしまい
ナナリー小悪魔
腹筋が破壊された
乙だ
Entry ⇒ 2012.09.20 | Category ⇒ コードギアスSS | Comments (0) | Trackbacks (0)
伏羲「のう、そこのお主」 折木「」
伏羲「のう、そこの眠そうな目をしたお主だ」
折木「………」
折木(ありのまま起こったことを話そう)
折木(学校の帰りに妙なヤツに絡まれた)
伏羲「分かっておるのだろう?無視するでない!」
折木(見た目の割に爺くさい話し方……何だあの格好?)
折木(怪しすぎる………)
伏羲「のう!」
折木(………見なかったことにしよう)スタスタ
伏羲「待てと言っておるだろうがボケ!」ビシュッ
ビュオォォォウッ!!
折木「…………っ!」ビクッ
ハラッ
折木(……髪が一房持って行かれた)
折木(つむじ風……?いや、『かまいたち』か?)
伏羲「すこーし頼みたいことがあるのだが、協力してくれんかのう?」シレッ
折木「…………」
どこか桃を売っているところを教えてくれぬか?」
折木「今時旅の者って………」
伏羲「まぁそう言うな!どうだ、案内してくれんかのう?それ相応の礼はさせてもらうぞ?」
折木(…………正直死ぬほど面倒だ。だが………)
折木(ここで嫌だと言っても恐らくコイツはどこまでもついて来るだろう)
折木「…………はぁ。分かったよ」
折木「そんなんじゃない。面倒事はさっさと片付けたいだけだ。
………『やらなくてはいけないことは手短に』、だ」
伏羲「何だそれは?」
折木「何でもない。行くぞ」
折木「………福部里志」
伏羲「言っておくがわしに偽名は通用せんぞ」
折木「……………………折木奉太郎」
伏羲「やはり偽名だったか」
折木「!!」
伏羲「かっかっか。青いのう」ケケケ
伏羲「奉太郎、か。わしは………あー、望とでも呼んでくれ」
…………
…………………
…………………………
折木「…………」スタスタ
伏羲「うーん、のどかなところだのう。西岐を思い出す」
伏羲「田舎も捨てたものではないぞ?こういうところで日がな一日寝てくらせたら最高だのう」
折木「…………まぁ、それについては否定しない」
伏羲「おお、お主話が分かるな」
折木「俺も、やらなくていいことならやりたくないからな」
伏羲「ふむ?」
伏羲「………若いくせに、老子のようなことを言うガキだのう」ボソッ
折木「何か言ったか?」
伏羲「いや、何でもないぞ?」
折木「……もうすぐ商店街だから、桃ならそこの八百屋に売ってるだろ」
伏羲「おおそうか!この国の桃は最高だからのう!いやー楽しみ楽しみ!」
折木(……………この国?)
折木(本当に何なんだ………?)
…………
…………………
…………………………
折木「……………」
伏羲「うーん美味い!!やはり白○は最高だのう!」モシャモシャ
折木「……………」
伏羲「品種改良もここまでくるとは、人の知恵も侮れぬものだ」モッシャモッシャ
伏羲「ん?おお奉太郎、お主もどうだ?一つくらいなら分けてやるぞ?」
折木「それは俺が買った桃だ」
伏羲「むぅ、細かい奴め」
折木「いや細かくない………はぁ。もういい」
伏羲「む?」
伏羲「うむうむ。物わかりのいい人間は嫌いではないぞ。食べ物を恵んでくれる人間はもっと好きだがな」モシャモシャ
折木「そんなんじゃない。ただ疲れるのが嫌いなだけだ」
伏羲「ふむ……さっきもそんなことを言っておったのう?」
折木「そう。『やらなくてもいいことならやらない、やらなくてはいけないことは手短に』
『省エネ』が俺のモットーだからな」
伏羲「本当に老子のようなことを……いや、ナマケという意味では老子の方が上か」
折木「老子?道家の老子か?」
伏羲「何!?お主知っておるのか!?」
折木「いや、高校生なら誰でも知ってるだろ。世界史や倫理の教科書に載ってるからな」
伏羲「何ですと!?ちょ、ちょっと見してみ!」
折木「はぁ………?ええと………あった。ほら」ゴソゴソ
伏羲「ふおおおお本当に載っておる………」シゲシゲ
折木「…………?」
折木(まるで知り合いみたいな口ぶりだな……まさかな)
伏羲「許せーーーーん!!!」
グシャッ
折木「あ」
伏羲「あ」
伏羲「す、すまぬっ!……ついカッとなって」
折木「…………………はぁ。まぁ、1ページや2ページ破れたくらいなら平気か」
伏羲「まぁ待て!そのくらいわしが何とかしてやる!」
折木「弁償ってことか?桃一個買えないヤツが何を……」
伏羲「まあ見ておれ!
むむむむ……………ハッ!!」
ビカッ
折木「っ…………!」
マッサラァァァァァ……
折木「…………本当に直ってる。新品みたいだ」
伏羲「だから言ったであろう?」フフン
折木「望、アンタ一体………」
伏羲「これで桃の礼はチャラだな。それでは奉太郎、達者でのう」テクテク
折木「ちょっと待て」ガシッ
伏羲「グエッ!?」
伏羲「ググッ……疲れるのはイヤと言っておったクセに細かいヤツだ……」ギリギリ
折木「だいたいどうやったんだ?どういうトリックなんだ」
伏羲「わ、分かった………分かったからフードを掴むのはやめてくれ………」ギリギリ
…………
…………………
…………………………
折木「それで?さっきのは一体何なんだ?」
伏羲「一体も全体も、破れた本を元通りにしただけだ」
折木「そんなことできるわけないだろ」
伏羲「フフーン、そう思うであろう?」
折木「は?」
伏羲「実はな奉太郎。
……………わしは道士なのだ」
折木「……………道士?」
無理もない。今時人間界に来る道士はおらんからのう」
折木「…………それで結局何だ、道士って」
伏羲「うん?まぁ、お主らの馴染みのある言葉で言うと『仙人』ということになるな」
折木「はぁ?仙人?」
伏羲「正式には、わしは弟子を取っておらんので道士と名乗っておる」
折木「………………」シラーッ
伏羲「むっ、その眼、信じておらぬな?」
懐から破れた俺の教科書が出てきた方がまだ納得できる」
伏羲「やーれやれやれ。若いくせに頭が固いのー」フイー
折木「む」
伏羲「よっしゃ。そこまで言うのなら証拠を見せてやろう」スクッ
折木「証拠?」
伏羲「うむ。………これが何か分かるか?」スッ
折木「さっきアンタがしこたま食べた桃の種だろ」
伏羲「うむ。美味かったぞ」
伏羲「それをそこの土に埋めよ」
折木「はぁ?」
伏羲「ホレ、スコップだ」キコキコキコーン
折木「何処から出した」
伏羲「いいからさっさと掘って埋めるのだ。『やるべきことは手短に』、であろう?」ニヨニヨ
折木「」イラァ
ザックザック
ポイポイ
ペタペタ
折木「…………これでいいのか」
伏羲「上出来だ。これに……」ゴソゴソ
折木「………まだ何か出てくるのか」
伏羲「コレを使うのだっ!」テレレッテレー
折木「…………それは?」
伏羲「桃の成長に効くハゲの薬だ!」
折木(どう見てもリ○ップだが)
伏羲「じぇいっ!」ピチョピチョ
シーン……………
折木「………何も起きないが」
ムクッ
折木「ん?」
伏羲「」ニヤッ
ムクムクムクッ
折木「嘘だろ……」
ムクムクムクズドドドドドドォーーーーーー!!
折木「い、一瞬で実がなった……」
伏羲「はーーーーっはっはっはっは!!!」
伏羲「見たか奉太郎!これがわしの力よ!」カッカッカ
折木「い、いや、ひょっとしたらその薬に仕掛けが…」
伏羲「疑り深いヤツだのー。……ならば周りを見るがよい」
折木「周り?」キョロキョロ
主婦「………丁目のスーパーで卵が……」
学生「……マジで?どんだけーww………」
老人「………今日こそは須藤さんから一局……」
折木「………だれもこっちに気づいてない…」
……そういう空間を作った」
折木「望……アンタまさか本当に……」
伏羲「やーっと信じたのか?」
折木「…………これだけ証拠を見せられたら、な」
…………………
…………………………
伏羲「さて、ようやくお主が信じたところで商談に移ろうかのう」
折木「商談?」
伏羲「桃の礼だ。お主の望みを言うてみい」
折木「俺の……望み?」
伏羲「たいていのことなら叶えてやるぞ?ホレホレ、言うてみい」ホレホレ
折木「望み………」
あ、思春期ならば女かのう?」
折木「アンタ、仙人とか言ってた割に世俗の臭いが半端じゃないな」
伏羲「わしは昔からそうでのう!修行を面倒くさがって居眠りばかりしておった」
折木「……………」
伏羲「それよりも早よう望みを言うてみよ」
折木(……………)
折木「……………………ない」
伏羲「む?」
折木「俺に望みなんて、ない」
折木「…………べつに聖人君子を気どってるわけじゃない」
伏羲「ふうむ」
折木「分からないんだ………本当に、自分が何がほしいのか。何がしたいのか」
伏羲「……………」
伏羲「………わしの知り合いにも、『究極のナマケ』を開発した極度の面倒くさがりがおるが」
折木「そんなものに興味はない。ただ、『不必要なこと』が煩わしいだけだ。
そうやって俺は、必要最低限のことを、必要最低限の労力でこなしてきた」
伏羲「それが、さっき言うておった『省エネ』ということだな?」
折木「ああ、だけど………」
全てを『やらなくてもいいこと』と『やらなくてはいけないこと』に分けていくうちに…………」
折木「俺は、『やりたいこと』が分からなくなってしまったんだ」
伏羲「…………プッ」
折木「!?」
伏羲「あーーーーーーーーーーっはっはっはっはっはっはっはっは!!!」ゲラゲラ
折木「お、おい」
伏羲「こ、行動原理…やりたいこととか…ブフッ!!プーップップップップ!」クスクス
折木「」
伏羲「ブッ!バァーッハッハッハッハッハッハッハッハッハ!!」ゲラゲラ
伏羲「ハハハハハハハハハハハッ!!!」
…………
…………………
…………………………
伏羲「あー笑った笑った。このわしを笑い死にさせる気か奉太郎」プププッ
折木「…………」
伏羲「年の割に達観しておると思っておったが。なかなかどうして、青臭いことを言うではないか、
え?奉太郎」
伏羲「違う違う逆だ。お主が余りに月並みなことを言うのでのう」
折木「月並み?」
伏羲「おのれのアイデンティティに悩む思春期が月並みでなくて何だというのだ?」
折木「!」
伏羲「お主に限らず、お主ぐらいの歳の子どもは皆そういった悩みを抱えておるものよ。
程度の差はあれど、な」
折木「…………」
そう言ってきたのは『悟りに近づきたい』と言っておった坊主を除けば随分と久しぶりだのう」ウーン
折木「…………これ以上何もないなら、俺はこれで」
伏羲「おおそうだ!お主、わしと一緒に来ぬか?」
折木「…………は?」
折木「」
伏羲「長いこと一人で旅をしてきたが退屈でのう。そろそろ道連れがほしいと思うておったのだ。
お主はどうやら、気が合いそうだからのう」
折木「それが、俺に何の得があるんだ?仙人にでもしてくれるのか?」
伏羲「いや、悪いがそれは無理だ。仙人になるには生まれつきの『素質』が必要なのでな。
まぁ、占いくらいなら教えてやれるがのう」
伏羲「そのかわり、浮世の煩わしさからは解放されるぞ?」
折木「!!!」
伏羲「さっき自分で言うておったではないか。『面倒は嫌いだ』、
『やらなくてもいいことはやりたくない』と」
折木「それは…………そうだが」
伏羲「それらぜーーーーんぶから解放されるのだ。割と最高の気分だぞ?」
折木「…………………」
伏羲「要するにお主、人と関わるのが疲れるのであろう?
ならば社会のしがらみから抜け出してしまうのが手っ取り早いと思わぬか?」
伏羲「親、友達、学校…………全部鬱陶しいのであろう?
ならばそんなものは捨ててしまえばよいのではないか?」
伏羲「おおそうだ、そういう世捨て人が集う集落にも心当たりがある」
折木「…………世捨て人が、集落?」
伏羲「個を消す仮面付きの、だがのう」
折木「……………」
伏羲「お主の言うそこでの『やらなくてはいけないこと』とは、自分の食うものを育てることだけだ」
伏羲「最高の省エネ生活だと思うのだがのう」
伏羲「さぁ、どうする?」
折木(どうする………)
折木(そもそもこんな荒唐無稽な話を信用してもいいのか?新手の詐欺か何かじゃないのか?)
折木(……………いや、無駄だな。既に十分すぎるほどの証拠を見せられた)
折木(そもそも詐欺ならもっと単純に金を巻き上げようとするはずだ)
折木(俗世を捨てる………俺が?)
折木(それが…………俺の望み?)
折木(全部、『やらなくてもよく』なる……)
折木(……………そうだ)
折木(俺はずっとそれを望んでいたじゃないか)
折木(世捨て人?上等じゃないか)
折木(もとから『感情が死んでいる』と言われて久しいこの俺だ)
折木(いい機会だ。この際全部捨ててしまおうじゃないか)
折木(それで俺の省エネは完成する!)
折木(そうだ、それが俺の………………)
―――――私、気になります!折木さん!
折木「!!!!」
伏羲「……………今、お主の胸に思い浮かんだものは何だ?」
折木「あ………」
伏羲「誰の顔だった?」
折木「それは…………」
伏羲「まぁよい。のう奉太郎。人というのはな、そう簡単に何かを捨てることなど出来んのだ」
折木「…………」
時にはおとし、そのたびに傷つきながらまた背負いこむ」
伏羲「闘いの中にあってもそうだ」
折木「闘い?」
伏羲「頭の中の自分が言うのだ。
『賢くなれ。面倒なものは切り捨てろ。そうすれば勝てる』とのう」
折木「……………」
伏羲「だが、捨てられんのだ」
折木「!」
わしの心が、魂魄が、『それ』を捨てたくないと聞かんのだ」
折木「…………俺には分からんが、それが、アンタの『やるべきこと』だったんじゃないのか?」
伏羲「そうだ……と言いたいが、違うな。単なるわしのわがままだ」
折木「わがまま?」
伏羲「そう。『誰も死ななければいい』『わしがまもればいい』、という、傲慢で自己中心的な願いだ」
折木「…………」
傲慢で何が悪い、とな」
折木「?」
伏羲「自分の大切なものを背負いこんで何が悪いのだ。守りたいものを守って何が悪いのだ」
伏羲「それを決めるのは他の誰でもない、自分自身ではないか」
伏羲「それに口出しできるほどお前は偉いのか!………そう言ってやったことがある」
折木「…………何の話だ?」
伏羲「おお、何でもない。話がそれてしまったのう」
折木「傲慢な……願い………」
伏羲「む?どうした奉太郎?」
折木「いや、別に……」
伏羲「………奉太郎」
折木「何だ?」
伏羲「悩むことをやめてはならぬぞ」
折木「…………どういうことだ?」
悩むことから逃げてはならんのだ」
伏羲「悩んで悩んで悩み抜いて、最後に自分の中に残ったものを、大切にするがよい」
折木「悩み抜く………」
伏羲「そうだ。大切なものは自分で決めるのだ」
伏羲「それが、お主の『導』となる」
伏羲「………説教くさくなってしまったかのう」
折木「………なぁ、望」
伏羲「何だ、奉太郎」
折木「さっきも言ったけど、俺は面倒ごとが嫌いだ」
伏羲「うむ」
折木「そんな俺にも見つけられるだろうか。
抱え込みたいものが。大切な―――『道導』が」
伏羲「………知らんわそんなもん」
折木「は!?」
伏羲「だーかーらー、何度も言うておるではないか。お主のことはお主しか決められんと」
折木「おい、じゃあ今までの話は…」
伏羲「現にお主はさっき自分で決めたではないか。
『行かん』、とな」
折木「…………あ」
折木「自分の心……ねぇ」
伏羲「…………顔がニヤけておるぞ、ムッツリめ」
折木「なっ!?」
伏羲「カカカっ。ダアホめ、男子高校生の考えておることなどお見通しだ」カカカ
折木「ぐっ」
伏羲「初めて会ったときからそのスカした態度が若干気に入らんかったのだ。
いーい気味だのう!」
伏羲「何だ、かかってこんのか?」ホレホレ
折木「……言っただろ、疲れるのは嫌いなんだ」
伏羲「………まあよい。それも『選択』だ。
…………さて、と。そろそろ行くかのう」
折木「えっ?」
伏羲「つかの間のよい退屈しのぎになった。感謝するぞ、奉太郎」
折木「そうか……今度は何処に行くんだ」
伏羲「もともと行くあてのないぶらり旅だからのう……
そうだ、美味いもののあるところに心当たりはないか。ナマグサ以外がよいのだが」
折木「………リンゴなら、隣の県の名産だが」
伏羲「リンゴか!たまにはそれもよいな。桃も最近飽き気味だしのう」
折木「桃…………あっ」
伏羲「あっ」
伏羲「ち、馳走になったのう!美味かったぞ!ではさらばだ!!」ダッシュ!
折木「待てこのっ」
伏羲「疾っ!!!」ビシュッ
ギュオォォォォォゥゥッ!!!
『じゃあな奉太郎!達者でな!!』
折木「くっ、待て!望!」
『ん?ああ、まだちゃんと名乗っておらんかったな!』
折木「何だって!?」
『わしの名は太公望!』
『またの名を伏羲!!始まりの人が一人である!!!』
ギュオォォォォォ…………ッ
折木「消えた………」
折木「何だったんだアイツは…………」
折木「夢……じゃないよな。目の前に桃の木があるし」
伏羲『自分の大切なものを背負いこんで何が悪いのだ。守りたいものを守って何が悪いのだ』
伏羲『悩んで悩んで悩み抜いて、最後に自分の中に残ったものを、大切にするがよい』
伏羲『それが、お主の『導』となる』
折木「導……か…」
「折木さん?こんなところでどうされたのですか?」
折木「!」
える「何かあったのですか?」
折木「ち、千反田………」
折木「え、あぁ、これか?………さぁ、もとから生えてただけだと思うが」
える「いいえ、昨日ここを通った時にこんな立派な木はありませんでした」
折木「そうか………お前が言うんなら間違いないんだろうな」
える「ええ、間違いありません!」
折木「そうか………」
える「ひょっとして、何か御存じなんですか?」
折木「!」ギクッ
える「やっぱり御存じなんですね?」
折木「あのな、千反d(ry」
える「どうして一夜でこんなに大きな木が生えたのですか?」
折木(一夜どころか一瞬だけどな)
える「一体ここで何があったのですか!?」
える「私、気になります!」
折木「……………ハァ」
…………
…………………
…………………………
―――――夜
折木「…………疲れた」ドサッ
折木(下校早々ヘンなのに捕まるわ、千反田には見つかるわ)
折木(千反田は何とか誤魔化してきたが……)
折木(………なぁ、望)
折木(俺の選択は、本当に正しかったのか?)
折木(これからも面倒ごとを背負い続ける、この選択が………)
折木「……………違うな。
『正しさ』なんて何の意味もない」
折木(正しいかどうかよりも、俺自身が選んだこと自体に意味がある。
その選択の積み重ねが、俺の『導』になる、ってことか…………)
バサッ
折木(本当に新品同然だな……それでいて、俺の名前や書き込みはそのまま……ん?)
折木「ここだけ折り目がついてるぞ……?」
パサッ
折木「……………」
折木「やれやれ、口ではああ言ってたくせに」
折木「負けず嫌いにもほどがあるだろ」クスッ
ポイッ
バサッ
~~~~~こうして周の軍師・呂尚(太公望)の活躍で…………
わしの名前は呂望だ!間違えるな↑
おしまい
今日引越しの準備しなきゃなのに何やってんだ……
じゃあの。
>>111
こ・・・これが・・・現実逃避・・・ッ!
Entry ⇒ 2012.09.20 | Category ⇒ 氷菓SS | Comments (1) | Trackbacks (0)
小鳥遊「765プロ?」相馬「うん」
相馬「うわ、佐藤君なんで詳しいの?俺ちょっと引いちゃうよ」
佐藤「殴るぞ」
ドカッ
相馬「そういいながらフライパンで殴るのやめない……?」
小鳥遊「それで、相馬さん。その765プロがどうかしたんですか?」
相馬「あれ、心配してくれないんだ……」
佐藤「いいから、さっさと言えよ」
相馬「それがね、そこの社長さんとちょっとした知り合いなんだけど」
相馬「色々あって、そこを手伝うことになったんだ」
小鳥遊「へー」
相馬「小鳥遊君が」
小鳥遊「え」
小鳥遊「ちょっと、待ってくださいよ!」
小鳥遊「どうして俺が手伝うことになってるんですか!?」
相馬「いいじゃない、社会勉強の一環だよ」
佐藤「よかったな、小鳥遊」
相馬「あ、佐藤君もだよ?」
佐藤「…………小鳥遊、そろそろ相馬を痛い目にあわせるべきだよな」
小鳥遊「そうですね……」
相馬「あれ、2人とも眼が怖いよ!?」
佐藤「自業自得だろうが」
相馬「……でも、俺を蹴ったからにはこの話受けてもらうよ!」
佐藤「この話は蹴らせんとでもいうつもりか」
相馬「うわっ、寒」
佐藤「…………」
小鳥遊「佐藤さん、話進みませんし堪えてください」
佐藤「……で、どういうことなんだよ」
相馬「だから、そこの社長さんと知り合いでね」
相馬「色々大変みたいだから、俺の知り合いをお貸ししますよってなったんだ」
佐藤「だとさ」
小鳥遊「……気がすすみませんよ、正直」
相馬「俺が貸すのは一応プロデューサーとしての人材なんだけど」
相馬「別に、新しいアイドルを派遣してもいいんだよ?」
小鳥遊「え……」
相馬「背の高くて胸の大きいアイドルって結構需要あるんだよね」
小鳥遊「や、やります!プロデューサー、やらせてください」
相馬「うんうん、いやー、ありがとう。助かるよ」
相馬「佐藤君ももちろんやってくれるよね?」
佐藤「やらん」
相馬「ああ、佐藤君は轟さんの人生をプロデュースしたいんだもんね」
佐藤「殺すぞ」
相馬「た、小鳥遊君!佐藤君が怖い!」
佐藤「わかったよ、やりゃぁいいんだろ、やりゃぁ」
相馬「……でも」
相馬「佐藤君だと、アイドルの皆怖がっちゃうかなあ?」
小鳥遊「っていうか、相馬さんはやらないんですか?」
相馬「うん?やるよー、人をやる気にさせるのは得意だしね」
佐藤「お前アイドルまで脅す気か」
社長「いやぁ、相馬君。本当に助かるよ」
相馬「いえいえ」
佐藤「これがアイドルのプロフィールか」
ペラ
小鳥遊「…………すいません、やっぱりお断りしていいですか?」
社長「どうかしたのかね?」
小鳥遊「だってこの事務所」
小鳥遊「年増しかいないじゃないですか!」
社長「 」
佐藤「すまん、コイツはそういう病気なんだ」
相馬「手をだす心配はないっていうことですから」
社長「相馬君がそういうのなら……」
小鳥遊「……それじゃ、俺は帰りますね」
相馬「あ。小鳥遊君、帰るんなら彼女よんできてほしいなー」
小鳥遊「……」
佐藤「小鳥遊、諦めろ」
小鳥遊「佐藤さん、何で相馬さんと友達なんですか?」
佐藤「やめてくれ、そんなものになった覚えはねえよ」
相馬「2人とも、あんまりじゃない?」
社長「ああ、今はレッスンを受けていてね」
相馬「トップアイドルになるためにがんばってるんだよー?」
小鳥遊「あの、せめて先輩をつれてきちゃダメですか?」
佐藤「お前と種島がいなくなったらフロア崩壊すんだろうが」
相馬「松本さんはともかく、伊波さんがね」
小鳥遊「わかりました……」
相馬「大丈夫だよ、一番下が13歳なんだよ?一年くらいいいじゃない」
小鳥遊「一年だろうが年増は年増ですよ」
小鳥遊「12歳過ぎたら年増。ただし先輩は除く」
佐藤「小鳥遊、やっぱりお前はどこかおかしいな」
相馬「この人がここの社長の高木さん」
社長「よろしく頼むよ」
相馬「で、あっちに居るのが事務員の音無さんだよ」
小鳥「音無小鳥です、これからよろしくお願いします」
小鳥遊「……」
相馬「ことりちゃーん」
小鳥遊「……やめてください」
小鳥「ピヨ?」
佐藤「……佐藤潤。よろしく」
小鳥遊「小鳥遊宗太です、よろしくお願いします」
佐藤「なあ、高木のおっさん」
社長「?」
佐藤「本当にコイツに任せていいのか」
相馬「佐藤君、それどういう意味?」
佐藤「そのまんまの意味だけど」
相馬「酷っ…。ねえ、小鳥遊君。佐藤君が冷たい」
小鳥遊「正直、俺も色々不安ですね」
相馬「えー……」
小鳥(………これはいけるわね) ピヨ
相馬「そりゃあ、プロデュースだよ」
佐藤「だからそれをどうすればいいのか聞いてんだろうが」
相馬「それは佐藤君に任せるよ」
相馬「あ、指示に従わない子が居たら教えてね?」
相馬「交渉するから」
佐藤「相馬、日本語は正しく使え」
相馬「あ、ほら戻ってきたよ?」
佐藤「えーっと、天海春香だっけか」
小鳥遊「そのようですね」
春香「あれ?……えーっと」
相馬「あ、俺たち今日からここのプロデューサーになったんだ」
春香「あ、そうなんですか?よろしくお願いします!」
佐藤「なんだよ、来るって事伝えてなかったのか?」
相馬「いやあ、ちょっと忘れちゃってて」
佐藤「わざとだな、お前」
相馬「まさか、いきなり知らない人がいておどろくアイドルの写真をとって売ろうなんて思ってないよ?」
佐藤「お前帰れ」
小鳥遊「そうですね、その方が管理もしやすいですし」
佐藤「俺はなんでもいいから、適当に決めといてくれ」
相馬「じゃあ、佐藤君には萩原さんを担当してもらおうかな?」
小鳥遊「どういう人なんですか?」
相馬「ちょっと男の人がニガテなだけだよー?」
佐藤「は?」
春香(あんな怖そうな人が雪歩について大丈夫かな……?)
佐藤「本当かよ」
相馬「うん。あ、でもね」
小鳥遊「何かあるんですか?」
相馬「何かあると穴掘って埋まっちゃうくせがあるんだ」
佐藤「なんだそれ?」
相馬「穴があったら埋まりたいっていうじゃない。それを本当にやっちゃうんだ」
佐藤「ここも変態しかないってわけか」
小鳥遊「……うわぁ」
春香「わ、私は普通ですよ?」
相馬「天海さんは普通すぎてね」
佐藤「なるほど、無個性か」
小鳥遊「いいじゃないですか、変態よりは」
相馬「変態よりはね」
春香(素直に喜べない)
小鳥遊「まあ、別にかまいませんけど」
春香「な、なんでそんな不服そうな顔するの?」
佐藤「ああ、悪いな。こいつは病気なんだ」
春香「……ロリコンなんですか?」
相馬「だったらよかったんだけどねー」
小鳥遊「相馬さん、せめてこの双海姉妹をお願いします、年増でも我慢しますから」
相馬「あ、だめだよー。亜美ちゃんはもう別のプロデューサーがついてるからね」
小鳥遊「そ、そんな!」
佐藤「まだいたのか、プロデューサー」
相馬「うん、秋月さんっていうんだ」
小鳥遊「……じゃ、片方だけでも」
相馬「真美ちゃんは俺が担当するからね」
小鳥遊「相馬さん……」
相馬「そうだね、誰か担当したい子はいる?」
小鳥遊「……いませんよ、年増ばかりじゃないですか!」
相馬「じゃあ、小鳥遊君。四条さんお願いするね」
相馬「別のプロデューサーがついていない子の中で、一番年上なんだよ」
佐藤「へえ」
相馬「あとは菊地さんかな?この三人をお願い」
佐藤「……見事に年上からもってきてるな」
小鳥遊「そんな……!」
佐藤「小鳥遊、仕事と思えばいいだろ?店長はともかく、轟となら普通に話せてんだろ」
相馬「あれー、八千代って言わないんだ」
ゲシッ
相馬「佐藤君、暴力はいけないよ」
佐藤「そうか、なら黙ってろ」
小鳥遊「……そうですね、仕事として割り切れば」
相馬「でも、種島さんっていうオアシスないんだよね」
小鳥遊「やっぱ俺帰ります」
佐藤「相馬、おまえいい加減にしろよ?」
相馬「大丈夫、ちゃんと奥の手があるから」
佐藤「奥の手?」
小鳥遊「あ、……はい」
春香「あの、よろしくお願いします……」
小鳥遊「そんなにかしこまらなくてもいいですよ」
小鳥遊「おれ、年下ですし」
春香「じゃあ、よろしくね小鳥遊君」
小鳥遊「よろしくお願いします、天海さん」
ピロ~ン♪
小鳥遊「相馬さん、なんですか今の音」
相馬「別に?携帯で写真とって誰かに送ろうなんてしてないよ?」
佐藤「相馬、それは天海のアイドル生命に関わるからやめろ」
相馬「わかってる、わかってる」
相馬「おれが真美ちゃんと星井さんと我那覇さん」
相馬「佐藤君が、萩原さんと高槻さんと如月さん」
相馬「で、小鳥遊くんが天海さん、四条さん、菊地さん」
相馬「こんなカンジでどう?」
佐藤「いいんじゃねーの?」
小鳥遊「わかりました……」
相馬「あとは、それぞれ担当のアイドルと会って自己紹介しないとね」
小鳥遊「そういえば、他の皆はどうしたんですか?」
春香「そろそろ来ると思うけど……」
相馬「じゃあ、さっき言ったメンバーでチーム分けして散らばっておいてくれないかな?」
相馬「あ、水瀬さんと三浦さんと亜美ちゃんはこっちに来るようにして言ってくれない?」
春香「あ、はい。わかりました」
相馬「そうだよ、これからよろしくね?」
相馬「彼女は水瀬伊織さん。あの水瀬グループのご令嬢なんだよ?」
佐藤「相馬、おまえ恐ろしいこと考えてねえだろうな」
相馬「まさか、流石の俺もそこまではしないよ」
小鳥遊(いや、先輩は特例中の特例)
小鳥遊「……だめだな」
亜美「!?」
亜美「亜美、いますっごく失礼なこと言われた」
佐藤「そいつは病気なんだ、気にするな」
あずさ「あらあら…だったらお医者さんにいった方が~」
伊織「そういう病気じゃないでしょ、それ」
伊織「ねえ、ロリコンが女の子がいっぱいいる所にいて大丈夫なの?手とか出さないでよ?」
小鳥遊「黙れ年増」
伊織「 」
佐藤「だめだ、種島がいないせいでイライラしてやがる」
相馬「昔は伊波さんにはこんなカンジだったよね」
佐藤「なあ、本当に小鳥遊に年長組任せていいのか?」
相馬「いーの、いーの」
佐藤「ちょっと待て、コイツらのプロデューサーは?秋月とかいったか」
伊織「律子なら、いないわよ?」
佐藤「どこにいったんだよ」
相馬「まだお仕事中だよ、スタジオで色々打ち合わせだって」
佐藤「なんで知ってるんだ」
伊織「……ねえ、こいつらちょっとヤバいわよ?」
亜美「うん、亜美ちょっと身の危険感じるよー」
佐藤「俺をコイツらと一緒にしないでくれ」
相馬「佐藤君、君もこっち側」
小鳥遊「〝も〟って、まるで俺まで変態みたいじゃないですか!」
佐藤「お前はれっきとした変態だろうが」
あずさ「あらー、みんな仲良しさんねぇ」
佐藤「はいはい」
小鳥遊「まあ、やるからにはちゃんとやりますよ」
相馬「それじゃ、一旦解散ね」
小鳥遊「佐藤さん、がんばってくださいね」
佐藤「お前もな。」
雪歩「……」
やよい「……」
千早「……」
佐藤「なぁ」
雪歩「 」 ビクッ
佐藤「……ちっ」
千早「あの、プロデューサー。あまり雪歩を威圧するのはやめてくれませんか?」
佐藤「してねーよ、誤解だ」
やよい「うっうー…、プロデューサー、ちょっと怖いです」
佐藤(どんだけ人相悪いんだ、俺)
佐藤「俺のことは普通に佐藤でいい。プロデューサーってガラじゃねーし」
千早「わ、わかりました」
佐藤「……如月」
千早「は、はい!」
佐藤「とりあえず、お前をリーダーにしようと思うんだけど、いいか」
千早「はい、大丈夫です……」
佐藤「あと、萩原」
雪歩「は、はいっ!?」
佐藤「……色々やりづらいから、慣れてくれ」
雪歩「努力しますぅ……」
やよい「プロデューサー、ユニット名はどうするんですか?」
佐藤「……」
佐藤(考えるの面倒だな)
佐藤「お前らでなんかないか?」
千早「何か、と言われましても……」
やよい「そういわれると、思いつかないです……」
佐藤「萩原、お前は?」
雪歩「ごめんなさい…、浮かびません……」
雪歩「穴でも掘って……」
佐藤「埋まるな。つか掘るな」
プルルルル
佐藤「はい」
相馬『八千代LOVEとかどうかな?』
ピッ
佐藤「ナムコエンジェルでいいんじゃないのか?」
千早「そんな安直な……」
佐藤「じゃあ、765天使」
雪歩(書き方わかっただけ……)
美希「プロデューサー、ミキたちのユニット名どうするの?」
相馬「うーん、そうだね」
相馬「ことりちゃん同盟とか色々あるんだけどね」
真美「なんでピヨちゃんが出てくるの→?」
相馬「ああ、俺の知り合いにもことりちゃんっているんだよ」
響「おー、そういう偶然ってあるんだ」
相馬「写真見せてあげたいんだけど、勝手にみせると怒られちゃうんだよね」
相馬「あ、そうそう。我那覇さん、ちょっとお願いがあるんだけどいいかな?」
響「?」
美希「ねえねえ、それでユニット名はー?」
相馬「そうだね、……クイーン&プリンセスとか?」
相馬(うわー、ちょっと気持ち悪いかな、俺)
真「ボクより年下のプロデューサーだなんて、なんか不思議だなあ」
貴音「そうですね…。あの、プロデューサー」
小鳥遊「小鳥遊でいいですよ」
貴音「では、小鳥遊殿……、私たちのユニット名はどうしましょう?」
小鳥遊「うーん、……名前だけでもちっちゃくて可愛くしたいな」
春香「た、小鳥遊君。名前だけって……」
小鳥遊「ちっちゃい、ちっちゃい……、子犬、…アリ、ミジンコ……」
小鳥遊「ミジンコ、かわいいなあ……」
貴音「この方で本当に大丈夫なのでしょうか……」
真「ボクも不安になってきた」
春香「ね、ねえ。小鳥遊君。ほら、もうちょっとおっきくてもいいんじゃない?」
小鳥遊「……ありんこですか?」
春香(ダメだ、この人)
小鳥遊「かわいいもの…」
小鳥遊(……先輩?)
小鳥遊(いや、先輩の名前を彼女達につけるわけにはいかない)
小鳥遊「……ちっちゃい女の子。これでいきましょう」
小鳥遊「名前だけでも、ちっちゃくいてください」
春香「小鳥遊君、それは色々と危ないよ!?」
貴音「私たちにはあわないのでは……?」
真「……女の子かぁ、いいかも」
春香「真、正気……?」
小鳥遊「いいんですよ、人生的にはイブニングのクセにモーニングだとか言ってるのもいますし」
佐藤「お前ら、普段どういうレッスンしてんだ?」
千早「そうですね、ボーカルや、ダンス、ビジュアルです」
佐藤「なるほど……」
雪歩「あの、佐藤……さん?」
佐藤「なんだよ」
雪歩「その、私……」
佐藤「……どうした」
雪歩「いえ、なんでもありません……」
千早「あの、佐藤さん。彼女は男の人がちょっとニガテなので」
佐藤「……じゃあ、女なら大丈夫ってか」
やよい「え」
千早「ぶっ…」
雪歩「……?」
佐藤「いや、俺の知り合いにも男がニガテなヤツがいてな」
佐藤「俺は女だと暗示をかけていたから、こうやって女言葉をつかったりしたんだが」
千早「…そ、そ、そう、なんで、すか……ふふっ」
やよい「つまり、佐藤さんを女の人だと思えばいいんですね?」
佐藤「そういうこった、それで解決するってもんでもないだろうがな」
佐藤「けどな、萩原。つまりは気の持ちようだ」
佐藤「別に、男嫌いだとか、そういうのを気にして過ごす必要はねーと思うぞ」
佐藤(流石に、伊波レベルだと気にするべきだが)
雪歩「は…、はい」
雪歩「なんだか、少し楽になりました」
佐藤「そうか、よかった」
やよい「佐藤さんって、下の名前潤でしたよね?」
佐藤「そうだけど」
やよい「潤子さん」
佐藤「……っ!」
やよい「きゃーっ、髪引っ張らないでくださいー!」
佐藤「それと、如月」
千早「は……、はい…っ」
佐藤「笑いすぎだ」
千早「すみま……ぶふっっ!」
佐藤「どうした?」
千早「その、下の名前でよんでいただけませんか?」
千早「その方が、此方もやりやすいですし」
佐藤「確かに、あんまり余所余所しくても辺に気をつかうだけだな」
プルルルル
相馬『じゃあ、佐藤君も潤くんって』
ブチッ
佐藤「お前らも、それでいいのか?」
雪歩「はい、よろしくお願いします」
やよい「うぅ…、ポニーテールになっちゃった……」
千早(ポニーテールの高槻さん、可愛い!)
佐藤「そうか…、じゃあ改めて。千早、雪歩、やよい、よろしくな」
小鳥遊「あ、佐藤さん、お疲れ様です」
佐藤「……そっちはどうだ?」
小鳥遊「うーん、ちょっと波長があわないみたいで、大変そうです」
佐藤(まあ、コイツと波長のあうアイドルってイロモノすぎるからな)
小鳥遊「佐藤さんはどうです?」
佐藤「そこそこ。」
小鳥遊「相馬さんはどうなんでしょうね?」
佐藤「さあな、考えたくねえ」
響「もしバラされたらおしまいだよ……」
真美「……真美、いい子にしよう」
相馬「それじゃあ、みんな。がんばろうね」
佐藤「……小鳥遊」
小鳥遊「はい」
佐藤「何があっても担当を相馬に近づけるなよ」
小鳥遊「もちろんです」
佐藤「へえ、やよいには兄弟がいるのか」
やよい「はい、妹1人と弟4人です」
佐藤「随分と多いな」
相馬「ちなみに、こんな子たちだよー」
佐藤「相馬、やよいに近づくな」
相馬「えぇえ、酷くない?」
佐藤「……つか、なんで写真もってんだよ」
やよい「うぅ、……不気味です」
相馬「ちなみに、名前は……」
佐藤「やめろ、ホント気持ち悪ぃ」
やよい「佐藤さん、美容師でもやってたんですか?」
佐藤「いや、バイト先に種島っていうちっちゃいヤツがいてな。」
佐藤「ちっちゃいそいつの髪を弄ったりしてたんだが、気づいたらこうなってた」
相馬「その割には、最初から結構なスキルもってたよね」
やよい「うっうー、すごいです佐藤さん」
やよい「ハイ、ターッチ!」
佐藤「……」
パシーン
相馬「プッ」
佐藤「……相馬、お前ほんとに殴るぞ」
小鳥(佐藤さんみたいなちょっとヤンキーっぽくて怖い人が実は優しいいい人で)
小鳥(やよいちゃんみたいな子になつかれて、なんだかんだでいい感じになる)
小鳥(でもそういう関係にならずに、仲のいいお兄ちゃんと妹みたいなカンジの関係)
小鳥(いいわね……)ゴクリ
相馬「うん、佐藤君って結構ああいう子になつかれたりするんだよね」
小鳥「そうなんですか……。…ピヨッ!?」
相馬「どうかした、音無さん?」
小鳥「あの、今、心を……」
相馬「それはおいといて、佐藤くんって好きな人いるんだよ?」
小鳥「……ちょっと詳しく教えてください」
相馬「轟さんっていってね」
佐藤「……相馬」
相馬「あれ、佐藤君、どうしたの…痛いっ!」
佐藤「なんだよ」
小鳥「相馬さんから大体の話は聞きました」
小鳥「がんばってください!」
佐藤「……」 イラッ
やよい「佐藤さん……?」
佐藤「いや、なんでもない」 イライラ
佐藤(このイライラ、どうにかしないと死ぬな俺)
千早「おはようございます……」
佐藤(……流石に胸ネタはだめか)
千早「おはよう、高…つき、さ…」
千早「この髪は、佐藤さんが?」
佐藤「ん、そーだけど」
千早「天才ですか、佐藤さんは」
佐藤「は?」
千早「タダでさえ可愛い高槻さんを、より可愛くしている……」
佐藤「……まあ、気にいったならそれでいいけどよ」
千早「あ、小鳥遊君……」
やよい「小鳥遊さん、おはようございますー」
小鳥遊「如月さん、高槻さん、おはようございます」
小鳥遊「……佐藤さん」
佐藤「なんだよ」
小鳥遊「……高槻さんは、なんかありなような気がします」
佐藤「……お前がいうとヘンな意味に聞こえるんだよ」
小鳥遊「高槻さん、……一度撫でてみても?」
やよい「 」
相馬「そりゃ、いきなりいえばね」
佐藤「お前、ほんとに捕まるぞ」
小鳥遊「どうしてですか、可愛いものを愛でて何がだめなんですか?」
小鳥遊「もちろん、犯罪になるようなことはしませんよ!」
千早「どうかしら、最近は触るだけでも騒ぐ人はいるし……」
小鳥遊「それは、確かにそうですけど」
相馬「とりあえず、小鳥遊君。君は気持ち悪いね」
佐藤「まったくだ」
小鳥遊「俺は変態でもロリコンでもないですよ!」
小鳥遊「俺はただ、ちっちゃくて可愛いものがすきなんです」
千早「ちっちゃい……」
佐藤(露骨に反応したな、今)
真美「はーい」
響「でも、宗太ってなんでああなんだ?」
相馬「家庭の事情だよ」
美希「小さいものが好きになっちゃう事情?」
真美「あ、巨人に囲まれて過ごしてきたとか?」
相馬「だいたいあってるかなあ」
相馬「あ、我那覇さん。頼んだあれ、どう?」
響「あ、連れてきたよ。ハム蔵。でも、どうするの?」
相馬「こうでもしないと、小鳥遊君やる気ださないから」
真「ねえ、相馬さんって何者なの?」
春香「さあ……?」
貴音「ですが、これで彼もやる気をだしてくれるそうですね」
小鳥遊「ええ、ハム蔵を愛でれるなら、なんとかやれますよ!」
春香「それはよかった」
真「ねえ、小鳥遊君。今日はどうする?」
小鳥遊「そうですね、今日はダンスレッスンでもしましょうか」
小鳥遊「俺はその間、ハム蔵と戯れていますので!」
真「ちゃんと響に返さないとだめだよー」
小鳥遊「……はーい」
春香「なんでそんないやそうなのっ!?」
貴音「これは、……面妖な」
佐藤「お前達でやりたいことはあるか?」
千早「そうですね……」
雪歩「あの、……やっぱり、早く色々な人に知ってもらいたいので営業にいきたいです……」
佐藤「……なるほど」
雪歩「ご、ごめんなさい……」
佐藤「なんで謝るんだよ」
雪歩「余計なこと、言っちゃったかなと思って」
佐藤「そんなわけないだろ…、別に卑屈にならなくてもいいだろ?」
佐藤「じゃあ、営業にするけど。やよいと千早もいいか?」
千早「はい、もちろんです」
やよい「うっうー、今日もがんばります!」
雪歩「さとーさん……」
佐藤「みんなお前の意見に賛成してんだろ、自信もってもいいんじゃねーの?」
雪歩「……はい、ありがとうございます」
佐藤(まさか営業でもどってくることになるとはな)
佐藤(山田にはあいたくないな、山田にだけは)
佐藤「……そういや、北海道にくるのは初めてか?」
千早「そうですね、やっぱり本州での活動がおおかったので」
やよい「うっうー、おもったより寒くないんですね」
佐藤「今は冬じゃないしな」
雪歩「佐藤さんは北海道の出身なんですよね?」
佐藤「まあな、相馬に連れられてこっちまできたんだが……」
山田「ややっ、あれは……佐藤さん」
山田「佐藤さーん!」
佐藤「いくぞ」
千早「え、でも、呼んでますよ?」
佐藤「いいんだよ、あれは」
山田「いなくなったと思えば、女の子をつれてるなんて」
山田「山田、これは八千代さんに報告するべきだと思います」
プルルル
山田「はい」
相馬『山田さん?佐藤くんのこと誰にもいっちゃだめだよ』
山田「相馬さん、どうして山田のことわかるんですか?」
山田「もしかして、佐藤さん山田のこと」
相馬『好きじゃないし、妹にもしないよ』
ブチ
山田「……」 やまやま
佐藤(まずったな、山田を口止めしとくべきだった)
プルルル
相馬『佐藤君?山田さんの口止めならしておいたよ』
佐藤「今更だが、お前ホントなんなんだよ」
相馬『秘密だよー』
佐藤「で、お前は今なにしてんだよ」
相馬『首都エリアでオーディションうけて、うかったよ』
佐藤「そうか、そいつはよかったな。オメデトウ、とあいつらに言っといてくれ」
相馬『佐藤君のところには負けないからね!』
佐藤「なに対抗意識燃やしてんだよ」
相馬『もし俺がかったら、轟さんに告白──』
ブチ
佐藤(そもそも勝利条件なんだよ)
佐藤「まだ時間あるな、飯食いにいくか?」
やよい「うっうー、行きます~!」
千早「ですが、あちらにいけばお弁当がでるのでは?」
佐藤「確かにそうだが、あんなもんどこで食ってもだいたい一緒のメニューだろ」
佐藤「どうせなら、北海道ならではってモン食っていけよ」
佐藤「どうせ、営業おわったらすぐ帰らなきゃいけないしな」
雪歩「で、でも……私達の分のお弁当用意してくれてるかもしれませんし」
佐藤「まあ、なんとかなんだろ。多分。」
千早「……そうですね、ならそうしましょうか」
佐藤(つーか、ここ足立の店じゃねーか)
雪歩「よく考えると、北海道ならではって頭に浮かばなくて……」
千早「確かに、海の幸なんかはあるのですが。そういったものは東京でも食べられますし」
佐藤「ジンギスカンとかスープカレーとか、色々あるだろ」
やよい「でも、なんだかんだで普通の料理食べちゃうんですよね」
佐藤「まあ、俺もあっちに出てもそういうの食いたいなんて思わなかったしな」
村主「ご注文はおきまりでしょうか?」
佐藤「適当に選べ、おごってやっから」
雪歩「えぇっ、いいんですか?」
佐藤「気にすんな」
村主「あの、すみません」
佐藤「なんだよ」
村主「お客様の上に座られるのは…、困ってるようですし」
佐藤「おい、アンタ何が見えてんだ」
佐藤(早く来い、世界の最終回)
千早「あの、佐藤さん?」
佐藤「ん」
やよい「どうしたしたんですか?」
佐藤「いや、なんでもない……」
雪歩「ちょっと、顔色わるいです……」
佐藤「……大丈夫だよ。ほら、料理とどいたぞ」
やよい「うっうー、おいしそうです~」
千早「いただきます」
雪歩「いただきます……」
佐藤(よかった、北海道に変態が集合してるわけじゃないみたいだ)
千早「あの、佐藤さんは食べないんですか?」
佐藤「別に、腹へってねーしな」
プルルル
相馬『分かってる、別におごるから自分は食べないってわけじゃないよね♪』
ブチ
佐藤(ホントうぜえ……)
佐藤(携帯番号変えるか……いや、意味ねえな)
千早「はい、ごちそうさまです」
雪歩「ごちそうさまでした」
やよい「ごちそうさまです~!」
佐藤「それじゃ、そろそろ行くか」
佐藤(……時間ももうちょっとあるが、速めにいったほうがいいな)
佐藤「今日の営業はTV出演だ」
佐藤「トーク番組なんだが、他にも有名なアイドルがいるようだし
佐藤「ちょっと話振られるくらいだろうな」
千早「それでも、私達は全力を尽くします」
佐藤「そうだな、たとえ編集できられようが製作陣や出演者の目にはうつるわけだし」
佐藤「何気ないひとことが気に入られるかもしれん」
雪歩「わたし、がんばります」
やよい「うっうー!私もがんばります!」
佐藤「よし、それじゃ……」
D「あの、765プロの方ですか?」
佐藤「そうだけど」
D「実は……」
D「はい…、予定していたアイドルが到着できないみたいで」
佐藤「……で、どうすんだよ?」
D「その、彼女達には一曲歌をうたってもらうつもりだったんですが」
佐藤「こいつらに歌わせてくれってわけか」
D「はい」
佐藤「なるほどな……、千早、どうだ?」
千早「……やらせてください」
やよい「これはチャンスですよ、佐藤さん!」
佐藤「……雪歩は」
雪歩「私も、やりたいです!」
佐藤「そんなわけだ、コイツらでよかったら代打にしてくれ」
D「助かります!」
佐藤「だからといって浮かれんな」
佐藤「こんなチャンス、そうないからな」
千早「はい!」
雪歩「がんばります!」
やよい「うっうー!!」
佐藤「よし、じゃあそろそろ本番だ、がんばれよ」
やよい「あ、その前に……ハイ、ターッチ!」
佐藤「……」
パシーン
千早「あ、佐藤さん。私もいいですか?」
雪歩「あの、私も」
佐藤「……ほら、来いよ」
パシーン パシーン
佐藤「それじゃ、行って来い」
小鳥遊「へえ、みんな凄いじゃないですか」
春香「ちゃんとチャンスをものにできたんだね」
千早「これも全部、佐藤さんのおかげだわ」
相馬「北海道じゃ、ちょっとしたブレイクみたいだよ」
小鳥遊「……そういえば、このビデオは?」
相馬「ああ、向こうにいる知り合いに頼んで送ってもらったんだよ」
小鳥遊「先輩ですか」
相馬「違うよー」
美希「ミキね、ちょっとお仕事多くて頭いたくなったことあったんだけど」
美希「その時、佐藤さんがお薬くれたんだ。「水で飲めよ」って」
小鳥遊「佐藤さんの薬には俺もよくお世話になってますよ」
春香「小鳥遊君も、頭いたくなったりするの?」
小鳥遊「そりゃあ、しょっちゅうありましたよ」
相馬「佐藤君はね、顔もいいし優しいからオススメだよ!」
相馬「ただまあ、ヘタレなのがたまにキズだけどね!」
ゲシッ
佐藤「……」
相馬「佐藤くぅん……、割と足癖わるいね」
佐藤「そうか」
小鳥遊「天海さん、菊地さんこれからもっとがんばりましょう。今ここにはいませんが、四条さんも」
春香「え、…あ、うん!」
真「よーし、ボク燃えてきたぞー!」
佐藤「相馬、お前少しスケジュール詰めすぎなんじゃないのか?」
相馬「みたいだね…、でもおかげで出来る仕事も増えてきたんだよ」
美希「ミキ、がんばった甲斐あったの」
佐藤「まあ、あんまムリはさせんなよ」
相馬「うん、大丈夫だよ」
真美「おおっ!」
響「やったぞ、自分たちがんばったからな~」
美希「これでミキたち、もっと有名になれるね」
相馬「うん。がんばってもっと有名になって、佐藤君に勝とうね!」
美希「さとーさんに?」
真美「シュガーに勝ってどうするの?」
相馬「ひ・み・つ♪まあ、佐藤君にはもう言ってるんだけどね?」
佐藤「……ん、あんたは」
律子「竜宮小町のプロデューサーの秋月律子です」
佐藤「アンタがそうなのか……」
律子「どうかされましたか?」
佐藤「いや。他のヤツらと歳かわらねぇんだなって思って」
律子「それは佐藤さんもじゃないですか」
佐藤「……確かに、それもそうか」
律子「聞きましたよ、千早たちを担当してらっしゃるそうですね」
佐藤「確か、アンタはあの水瀬伊織の担当だっけ?」
律子「ええ」
佐藤「何がだ?」
律子「だって、雪歩は男の人ニガテなところがあるし」
律子「千早は少し、気難しいところがあるのに。それをちゃんと指導できてますし」
佐藤「たいしたことじゃねーよ、雪歩を悪化させたのが知り合いにいるだけだ」
佐藤「千早だって、話せば普通に分かるヤツだしな」
律子「……それより、相馬さんです」
律子「彼、尋常じゃないスピードで美希たちを成長させてるんですよ」
佐藤「まあ、アイツらしいといえばらしいか」
佐藤「真美たちも弱み握られてるようだし、そりゃ死ぬ気でがんばるだろうな」
律子「ええ、相馬さん社長を含めた全員の弱みを握ってるみたいなんです」
佐藤「いや、どうせなら業界人のそういうネタ掌握してんじゃねーの」
律子「何者なんですか、彼」
佐藤「知らん、つか知りたくないな」
佐藤「もちろん、相馬には負けん」
律子「そうですか……」
佐藤「もちろん、アンタにもな」
律子「ええ、受けて立ちますよ」
佐藤「ま、小鳥遊は小鳥遊でそれなりにやるし」
佐藤「この先どうなるかは、わからないがな」
律子「そうですね……」
佐藤「まあ、別ユニットだから、この先荒らそうこともなるだろうけど」
佐藤「同じ事務所なんだから、あまりアイツら同士でいがみ合わないようにしねえとな」
律子「事務所の空気わるくなっちゃいますもんね」
佐藤(環境整えてやんのも俺の仕事の内か)
プルルルル
佐藤「はい」
八千代『あ、佐藤くん?』
佐藤「とどっ……、なんだよ、八千代」
八千代『佐藤くんたち、そっちでがんばってるかなぁって思って』
佐藤「それなりに。そっちはどーだ」
八千代『うん。まひるちゃんも、麻耶ちゃんもがんばってくれてるわ』
八千代『陽平さんや美月さんも手伝ってくれてるし、なずなちゃんも着てくれるし』
佐藤「アイツらも来てんのかよ、小鳥遊の妹はともかく」
佐藤(いや、小鳥遊妹も小学生だから普通にアウトだが)
佐藤「まあ、そっちは大丈夫そうだな。……じゃ、切るぞ」
八千代『あ、佐藤くん。その……がんばってね?』
佐藤「………………………………………おう」
佐藤「…………相馬、お前だな」
相馬「ち、違う、俺じゃないよ!」
佐藤「そうか、疑って悪かったな」
佐藤「でもそのニヤけた面がムカつく」
ゲシッ
相馬「あぁっ、痛いっ!佐藤君酷い!」
春香(いい加減こりないのかな、あの人)
佐藤「どうした」
やよい「何かあったんですか?」
佐藤「どうしてだ?」
やよい「髪を弄る動きが軽やかだから……」
佐藤「ああ、色々な鬱憤をぶつけてきたからな」
やよい「え」
─────
───
相馬「佐藤君、ちょっと暴力的だよね……イタタタ」
春香「確実に相馬さんが悪いと思います……」
小鳥遊「相馬さん、いい加減にしないとそのうち死ぬんじゃ」
相馬「いや、伊波さんに殴られたときよりは全然マシだから……」
小鳥遊「まあ、鉄砲とミサイル比べるようなものですからねえ、なんだかんだで佐藤さん手加減してますし」
相馬「こ、これで……?」
小鳥遊「そうですね、天海さんたちにも気を配ってくれてますし」
天海「いい人だよね、佐藤さんって」
小鳥遊「いい人ですよね」
相馬「いい人どまり……プッ」
小鳥遊「相馬さん、いい加減にしたほうが」
相馬「冗談冗談。それより、小鳥遊くんたちの方はどう?」
小鳥遊「ええ、レッスンもこなしてますし。そろそろオーディションやフェスもやってみようかと」
相馬「そうなんだ、これからが厳しいところだよ?」
小鳥遊「そうですね……、でもスタジオにいけば」
春香「スタジオにいけば?」
小鳥遊「子役に会えるかもしれない!!」
春香「あ、あ……うんっ、そうだね、よかったね小鳥遊君!」
佐藤「ん」
佐藤(確か、我那覇のペットのハムスターだっけか、今は小鳥遊と一緒にいるみたいだが)
佐藤「小鳥遊とはぐれたのか」
ハム蔵「ヂュイ」
佐藤「……」
ヒョイ
ハム蔵「ヂュ?」
佐藤「……とりあえず、小鳥遊のところに連れて行くか」
小鳥遊「あ、ハム蔵!」
ハム蔵「ヂュッ」
小鳥遊「お前は本当に可愛いなぁ~……」
ハム蔵「ヂュゥゥゥゥゥゥ!!」
佐藤「おい、あれいやがってねーか」
相馬「小鳥遊君の力が及ばないこともあるんだね」
春香「完全に拒絶されてますね、あれ」
佐藤「……ま、とりあえず今の飼い主の所にはつれてこれたな」
春香「そ、そんなピンポントにはないんじゃないかな?」
相馬「あるよー」
春香「あるの!?」
小鳥遊「さすが相馬さん、それじゃあ今日はそれにでましょう!」
春香「えっ、う、うん!」
佐藤「俺は今日はオーディションにでも出るか」
相馬「あ、じゃあ俺もそうしよっと。ねえ、同じ番組のにでない?」
佐藤「はあ?なんでだよ。わざわざ同じ事務所で枠とりあわなくてもいいだろ」
相馬「ほら、だから。何枠かあるところ。同じ事務所からでると、事務所自体の知名度もあがるからね」
佐藤「なるほどな……」
相馬「あ、これは勝負には関係ないからね?」
佐藤「はいはい」
佐藤「できれば、トップで枠をとってスタッフにアピールしたいところだが」
佐藤「あまり高望みして力はいりすぎてもだめだからな」
佐藤「今回は5枠らしいから、最低5位になればいい」
佐藤「まあ、6位は6位で印象与えられるかもしれんが、本番にでれなきゃ意味ねーしな」
千早「でも、佐藤さん。やるからには、やはり上を目指した方が」
佐藤「……まあ、それはベストだな。あと、相馬のところにはまけるな」
やよい「美希さんたちも同じオーディションを?」
佐藤「どうもそうらしい。アイツにはアイツの計算があるんだろうよ」
雪歩「なんだか、不安です……」
佐藤「まあ、流石のアレも事務所内で食い合おうとは思わんだろ。心配するな」
佐藤「……つーわけだ」
スッ……
千早「……?」
佐藤「やよい、いつもの行くぞ」
やよい「あ、……ハーイ、タッチ!」
パシーン
千早「では、私も」
雪歩「私もやります!」
パシーン
パシーン
佐藤「……よし、それじゃいくか」
佐藤「それじゃ、がんばってこいよ」
千早「はい!」
千早「それじゃ、佐藤さんいってきます」
タッタッタッタ
佐藤「……」
シュボッ
佐藤「──ふう」
相馬「あれ、佐藤くん」
佐藤「相馬か」
相馬「如月さんたち、どう?」
佐藤「さあな。でも、やれるんじゃねーの?」
相馬「自信たっぷりだね?」
佐藤「……自信っつーか、……信頼?」
相馬「ブッ、似合わな───って、佐藤くん、痛いよ、痛いっ!」
相馬「フェスだって、それなりに盛り上がったみたいだよ」
佐藤「そいつはよかったな」
相馬「あとは俺と佐藤君だけだね~」
佐藤「……そうだな」
相馬「佐藤君、ホントにいけるとおもってる?」
佐藤「ま、それも仕事だからな」
相馬「へ~え」
佐藤「──相馬」
相馬「ん?」
佐藤「お前には負けん、もちろん小鳥遊にも秋月にも」
相馬「佐藤君、けっこうのめり込んでるよね」
相馬「ちゃんと、帰ってきたときにいってあげなきゃだめだよ?」
相馬「おめでとうって」
佐藤「……受かってくるの前提か?」
相馬「だって、受かるんだよね?」
佐藤「……だろうな」
相馬「佐藤君はもうちょっと素直にならないとだめだよ、そんなじゃ轟さんも……」
佐藤「殺すぞ」
相馬「ちょ、佐藤くん!?こんなところで暴れちゃだめだって、あ、ちょっと、痛いっ、痛いよ!」
千早「佐藤さん、私達受かりまし……た」
美希「相馬さーん、ミキたちも受かったの、1位は千早さんたちにとられちゃったけど…あれ、相馬さん?」
響「あちゃー、相馬さんまた佐藤さんに何かいったんだ……」
やよい「うっうー!佐藤さん、やりましたよ!」
雪歩「わたしたち、がんばりました!」
佐藤「そうか、本番もがんばれよ。あと、星井達も」
美希「はいなの!」
響「自分、今回はすごくがんばったぞー」
真美「あーあ、真美もシュガーだったらよかったかも」
相馬「真美ちゃん、そんなこと言ってないで助けてくれない?っていうかみんな俺無視してない!?」
佐藤「まあ、お前ら6人ともよくやったな、おめでとう」
千早「ありがとうございます、佐藤さんのおかげですよ」
佐藤「いや、お前らの実力だろ」
相馬「ちょっと、何いい話にしようとしてるの!?佐藤君、やばいって、離してよ!」
佐藤「相馬、うるせえ」
相馬「さ、佐藤君……、俺たちって友達だよね?」
佐藤「さあな」
佐藤「なあ、相馬」
相馬「何、佐藤君」
佐藤「いや、アイドルって浮世絵離れしてると思ってたけど」
佐藤「案外普通なんだな、帯刀してねーし」
相馬「そうだね」
佐藤「────さて、次のスケジュールかんがえねえとな」
響「宗太ー、ハム蔵しらない?」
小鳥遊「ここにいますよ」
ハム蔵「ヂュッ!」
響「ありがとう、いるならいいんだ」
春香「小鳥遊君、小鳥遊君!」
小鳥遊「はい?」
春香「昨日のフェスの反響すごいみたい!」
小鳥遊「ええっ!そうなんですか?すごいじゃないですか」
貴音「これも、小鳥遊殿の指導のおかげかと」
真「うんうん、レッスンとかいろいろ支持してくれたしね」
小鳥遊「いやあ、そうでもないですよ」
小鳥遊「ちょっと、そういう躾はなれてるんですよ」
相馬「小鳥遊くーん、女の人を犬扱いするのやめようね」
小鳥遊「ご、誤解を招くいいかたしないでください!」
佐藤「今日はボーカルレッスンでもするか」
千早「ボーカルレッスンですね、わかりました」
雪歩「今日も一日、よろしくおねがいします」
やよい「うっうー!今日もがんばります!」
佐藤「よし、じゃあ行くか」
3人「はい!」
佐藤(────ま、やるしかねえだろ)
<あ、佐藤くん。その……がんばってね>
佐藤「…………」
やよい「さとーさん?」
千早「どうかされたんですか?」
雪歩「顔が赤いです……」
佐藤「な、なんでもない。いくぞ」
終わり
呼んでくれて乙、支援、レス、ありがとう
佐藤さんばっかになって、とくに小鳥遊空気だし、竜宮も出番なかったし
また、いつかそのうち続きを書くかもしれんので、そのときは宜しく。
というわけで、おやすみなさい。
そしておはようございます。
Entry ⇒ 2012.09.19 | Category ⇒ アイマスSS | Comments (1) | Trackbacks (0)
春香「千早ちゃんが頭を打った?」
春香「撮影の機材が倒れてきて頭に当たった、って、一歩間違えたら一大事だよね」
春香「プロデューサーさんがお医者さんに聞いた話では、意識はしっかりしてるから2、3日様子を見るだけでいいらしいけど……」
春香「千早ちゃん退屈してるかもしれないし、お見舞いで元気付けてあげないとね!」
春香「クッキーばっちり、笑顔もばっちり! 天海春香、いっきまーす!」
春香「千早ちゃん、春香です! 入っていーい?」
小鳥『あ、春香ちゃん……』
春香「その声は、小鳥さんですか? 小鳥さんも来てたんですね!」
小鳥『春香ちゃん。あの、ちょっと待ってくれるかしら?』
春香「え? はい、いいですけど……」
ガラガラ
小鳥「お待たせ。……春香ちゃんも、お見舞い、かしら?」
小鳥「いえ……。でも。今の千早ちゃんに会うのなら、覚悟をしておいた方がいいかもしれないわ」
春香「!? まさか、千早ちゃんに何か!?」
小鳥「う、ううん。そういうわけではないの。でも……」
春香「一体どういうことなんですか!?」
小鳥「……会えば、分かると思うわ」
春香「っ! 千早ちゃん!」ダッ
千早「え……はる……」
春香「千早ちゃん! ……なんだ、元気そうじゃない」ホッ
千早「…………」
春香「小鳥さんがおどかすから、何かあったのかと思っちゃった。今日は春香さんがお見舞いに来ましたよー♪」
千早「お見舞い……?」
春香「そ、お見舞い! 私特製のクッキーもあるよ!」
千早「……」ガタガタ
春香「千早ちゃん?」
千早「……」ガタガタガタガタ
春香「ちょ、ちょっと! 千早ちゃん! どうしたの?」
千早「は、春香様が私のような下賎の者のお見舞いに来られる必要なんてありません! 早くご自分の仕事に戻られてください!」
春香「」
千早「決して、決して春香様のご好意が気に入らないというわけではありません! 私のようなものに時間を割かれることが勿体無いと言っているのであって、その」
春香「千早ちゃん! 千早ちゃんってば!」
千早「春香様に比べれば塵芥のような存在の私を気にかけていただけるのは光栄ですが、それでは他の物への示しが」
春香「千早ちゃん、ほんとにどうしちゃったの……?」
春香「小鳥さん!」
小鳥「ごめんね、春香ちゃん。黙ってて」
春香「いえ、それはいいんですけど……」
小鳥「……」
春香「あの、なるほど、ってどういう意味ですか? 千早ちゃんはどうしちゃったんですか!?」
小鳥「私にも詳しいことは分からないの。ただ、昨日からちょっとだけ様子がおかしいみたいで……」
春香「……ということは、小鳥さんにもこんな感じだったんですか?」
小鳥「いいえ。私のときはもっと大人しい、こんな感じだったわ」
コンコン
小鳥『音無です。千早ちゃん、入るわね』
千早『どうぞ』
ガラガラ
小鳥『こんにちは、千早ちゃん。体調はどう?』
千早『ほとんど問題ありません。ちょっとぶつかったくらいで、プロデューサーが騒ぎすぎなんですよ、全く』
小鳥『あら、駄目よそんなこと言っちゃあ。プロデューサー、千早ちゃんのことものすごく心配してたんだから』
千早『そ、そうなんですか』
小鳥『そうよ。それに、最近の千早ちゃんは働きすぎなくらいだったから。ちょうどいい休みになったと思えばいいんじゃない?』
千早『でも、みなさんに迷惑をかけてしまったのは申し訳ないです……。音無さんだって、休みでしょうにわざわざお見舞いまで』
小鳥『あ、それは大丈夫。私今日休みじゃないもの』
千早『……え?』
小鳥『今日は社長も律子さんも事務所にいるし。休みは休みでも、ちょっと長めのお昼休みかしらねー♪』
小鳥『ええ、そうよ?』
千早『仕事が残っているのにここに来たんですか?』
小鳥『そ、そういうことになるわね……』
千早『何をやっているんですか。私のことなんかどうでもいいから、早く事務所に戻ってください』
千早『ただでさえ、事務所にいてもパソコンを触ったり、妄想してばかりでサボりがちなのに』
小鳥『』
千早『ということは、自覚はあったんですね。それはまだ救いがあります』
小鳥『なんか、今日の千早ちゃんは厳しいわ……』
千早『だいたい、誰も指摘しなかったのがおかしいんですよ』
小鳥『そ、そこまで言わなくても……』
千早『全く。ただでさえ人手不足なのに、堂々とサボりなんて』
小鳥『ち、千早ちゃん、今日はどうかしたの?』
千早『どうもしていません。早く事務所に戻ってください』
小鳥『私、何か怒らせるようなこと言っちゃったかしら……?』
千早『怒ってなんかいません。単に、いつも思っていることを言っているだけです』
小鳥『そんな……』
小鳥「他の人から話を聞くまで、私、本気で千早ちゃんに嫌われちゃったかと思っちゃったもの……」
春香「他の人、ってことは他のみんなにもおかしな対応をしているんですか?」
小鳥「詳しい話を聞いたわけじゃないけど、そうみたい。真ちゃんなんて、『王子様が迎えに来てくれて嬉しい』なんて言われたらしいわよ」
春香「……何と言うか、いろんな意味で悲しいですね」
小鳥「そして、千早ちゃんは自分が変なことをしているとは思っていないみたいなのよねー……」
コンコン
美希「美希なの! 千早さん、入っていーい?」
千早「どうぞ」
小鳥「!」
春香「美希が来ちゃいましたね。小鳥さん、どうします?」
小鳥「ここは少し様子を見ましょうか。美希ちゃんにはどんな対応をするのか気になるし」
美希「千早さん、お見舞いに来たの! あ、春香と小鳥もいたんだね」
小鳥「う、うん。千早ちゃんと春香ちゃんとお喋りしてたのよ」
千早「は、春香様とお喋りなんて滅相もございません」
春香「それはもういいから! 美希、千早ちゃんとお話してあげて?」
美希「? 分かったの。変な2人」
美希「千早さん、具合はどーなの? 頭を怪我したって聞いたから、ミキ心配したんだよ?」
千早「ありがとう美希。怪我と言っても大したことはないの。2、3日で退院できるみたい」
美希「それは良かったの!」
千早「美希は今日、もう帰りなの?」
美希「うん! 今日はボーカルのレッスンとグラビアの撮影をしてきたのー!」
春香「今のところ普通の会話ですね」ヒソヒソ
小鳥「そうね。でも私のようなこともあるし……」ヒソヒソ
春香「もう少し様子を見ましょうか」ヒソヒソ
美希「ミキ最近ボーカルレッスンを中心に頑張ってるんだけど、まだまだ千早さんは遠いの。早く千早さんみたいになれるよう、もっともっと頑張りたいな!」
千早「あら、嬉しいことを言ってくれるのね。そんな美希にはこうしてあげる」ワシャワシャ
美希「わひゃっ!? ち、千早さん、髪わしゃわしゃしちゃ嫌なのー!」
春香「!」
小鳥「!」
千早「あらごめんなさい。美希が可愛かったものだからつい」
美希「もー。千早さんがこんなことするって、珍しいなって思うな」
美希「でも、ちょっとお姉ちゃんみたいで嬉しかったの♪」
美希「あはっ、カンペキだったよ! カメラマンの人もスタッフの人も、ミキに釘付けだったもん」
千早「そう……。それは良い事だわ」
千早「でも美希、撮影のときも気をつけるのよ。美希くらい魅力的だと、どこでよからぬ輩が狙ってるか分からないのだから」
美希「えー? スタッフさん、みんないい人だよ?」
千早「それでも! 気をつけて気をつけすぎるということは無いわ。美希に何かあったら、心配だもの」
美希「そんなに心配しなくても、大丈夫なのー♪」
千早「駄目よ!!」
美希「!」ビクッ
千早「何かあってからでは、遅いのよ。もしあなたに何かあったら、私……」
美希「ち、千早さん。今日はどうしたの? 何か不安なことでもあるの?」
千早「どうもしないわ。私はただ、美希が心配なだけ」
千早「私は、私を慕ってくれる美希のことが大好きだから。心配くらいしたっていいでしょう?」
美希「も、もちろんいいけど……?」オロオロ
美希「!」
美希「千早さん、ミキちょっと春香が呼んでるから出てくるの!」
千早「! そ、そう、春香様が。急いで行って来るといいわ」
美希「はーい」スタスタ
美希(様……?)
春香「変は変、だけど……」
小鳥「何か、私達とは違ったわね」
美希「2人にはあんな感じじゃなかったの?」
小鳥「うう、それはそれは冷たくあたられたものだわ……」
春香「うーん、どういうことなんだろう……?」
小鳥「!」
小鳥「春香ちゃん。私、ぴーんときちゃったわ」
春香「小鳥さん、何か思いついたんですか?」
春香「それはなんとなく想像がつきますけど……。一体、千早ちゃんはどうなってるんです?」
小鳥「ずばり。今の千早ちゃんは『好感度が逆転している』んじゃないかしら!」
春香「それって……。普段仲の良い人ほど冷たくなって、あまり仲良くない人に優しくなるってことですか?」
小鳥「ええ。春香ちゃんに対する態度が一番様変わりが激しかったでしょう? そこから考えてみたのだけれど……」
春香「なるほど! 小鳥さんとも普段親しくしているから、あんな態度になっちゃったってわけですね!」
美希「それって、美希は普段あんまりよく思われてないってことなの……?」
春香&小鳥「あ」
春香「い、いやきっとそんなことないよ! 別の理由があるかもしれないじゃない!」
小鳥「そうよ美希ちゃん! 今のはほら、例えばの話だから!」
美希「でも春香や小鳥のときと全然違うっていうのは本当なんでしょ!?」
春香「まあ、それはそうだけど……」
美希「きっといつもうるさい美希のこと、鬱陶しく思ってたに違いないの……」ズーン
コンコン
律子「千早、起きてる? お見舞いに来たわよ」
千早「起きてるわ」
小鳥「ほら美希ちゃん、今度は律子さんが来たわ! 結論を出すのは律子さんを見てからでも遅くないと思うわよ!」
春香「そ、そうだよ! ほら、ちょっと落ち着いて聞いてみよう!」
美希「分かったの……」
律子「お邪魔するわよ……っと。あれ、春香に美希に、小鳥さん?」
春香「律子さん、こんにちは」
小鳥「どうやらお見舞いのタイミングが被っちゃったみたいですね」
美希「み、ミキたちはもう充分お話したから、今度は律子が千早さんとお話してあげてほしいの!」
律子「そうなの? じゃあ、そうしようかしら」
春香&小鳥&美希「」グッ
千早「わざわざありがとう、律子」
律子「わざわざってほどでもないわよ。具合はどうなの?」
千早「特に気になるところはないわ。入院も、万が一があってはいけないからというだけみたい」
律子「そう。それなら良かったわ」
春香「とりあえずは」ヒソヒソ
小鳥「いつも通りみたいに」ヒソヒソ
美希「見えるの」ヒソヒソ
律子「ああこれ? 実は来週の休みに突然仕事が入っちゃってね。今日振り替えで午後休をもらったのよ」
千早「え……?」
律子「まあ、だからこそ千早のお見舞いに来れたんだけどね」
千早「だ、駄目よ律子!」
律子「へ?」
春香「!」
小鳥「!」
美希「!」
律子「!?」
千早「それに、来週のお休みが無くなったということは次の休みまですごく間が空くということだわ。しっかり身体を休めないと駄目じゃない!」
律子「……ありがとう、千早。あなたがそんな風に思って居てくれたなんて、とても嬉しいわ」
律子「でもね。別にあなたのお見舞いは負担になっているわけじゃあ」
千早「それでもよ! あなたは765プロの、竜宮小町のプロデューサーなの」
千早「竜宮のメンバーならともかく、私なんかのためにコンディションを崩すようなことがあってはいけないわ」
律子「ちょっと千早、話を……」
律子「ど、どうしたのよ千早。今日はなんだか変じゃない?」
千早「私のことはいいから。ただでさえ律子は、普段から頑張りすぎなのよ。こんなときくらい心配させてもらっても、いいでしょう?」
千早「765プロのプロデューサーとして、だけではなくて。大切な1人の友人として、心配なのよ、律子」
律子「……」
小鳥「」チョイチョイ
律子「あ……っと。ちょっと小鳥さんが呼んでるから、席を外してもいいかしら?」
千早「? ええ。行ってらっしゃい」
美希「とりあえず美希は、ほっとしてるの」
小鳥「確かに、律子さんは美希ちゃんに近いものがあったわねえ」
律子「美希に近い? ……何か、知っているんですか?」
春香「はい。……と言っても、詳しいことは分からないんですけど……」
律子「いいわ。聞かせてちょうだい」
小鳥「実はですね……」
かくかくしかじか
小鳥「私はそんなことはないと思うんですけれど……」
春香「私もそう思います。となると、相手に関係なくおかしな態度を取っちゃうのかな?」
美希「ミキだって千早さんに嫌われているわけないの!」
律子「でもこのままじゃあ、仕事に差し障りますね。私や美希のようなときならともかく、春香や小鳥さんに対する態度を外で取られたら……」
美希「イメージ崩壊、じゃあすまないレベルなの」
小鳥「これが一過性のものならいいのだけれど……」
律子「万が一ずっとこのままだとしたら、せめてどういう状況なのかくらい判明させないといけませんね」
P「千早―。俺だ。入っていいか?」
千早「……どうぞ」
全員「!」
美希「ま、まずいの! ハニーが来たの!」ワタワタ
小鳥「無いとは思うけど、もし『好感度が逆転する』っていうのが本当だったら」
春香「一体千早ちゃんがどんな態度を取るのか……。うう、想像もしたくないよお」
律子「春香のときであれなら、とてつもない光景になるでしょうね。……包丁とか無いわよね、この病室」
美希「縁起でもないこと言わないでほしいの!」
律子「……まあ、この仮定が当たっていれば、の話だけれど」
ガラガラ
P「お見舞いに来たぞー、ってあれ? 美希?」
美希「こ、こんにちはなのハニー。ハニーもお見舞い?」ニコー
P「ああ、そうなんだが……。すまん美希、そんな風に両手を広げていられると通れないんだが」
春香「あ、あはは。プロデューサーさん。ちょっと千早ちゃんは話し疲れちゃったみたいなので、また今度にしませんか?」
P「なに、そうなのか? 一目様子を見ておきたかったんだが……。もしかして寝ていたりするのか?」
春香「そう、そうなんです! 千早ちゃん今寝てるから、お話できませんよ!」
P「でもさっき、返事が聞こえたよなあ」
春香「」
美希「だ、駄目なの! 今日は千早さんに合わせるわけにはいかないの!」
P「……なんでそこまで俺を避けようとするんだよ。俺、なんか悪いことしたか?」
美希「そ、それはしてないけど……。でも駄目なの! 今千早さんにあったらハニーが死んじゃうのー!」
P「あはは、死ぬなんて大袈裟な。いいからそこを通さないと……」
美希「と、通さないと……?」
P「こうだっ!」ワキワキ
美希「あははははっ!! だ、だめ、くすぐるのはあはははっ!」
P「隙ありっ!」
美希「あー! ハニーーーーー!」
小鳥「仕方ないわ、美希ちゃん。静かに見守りましょう」
律子「そうですね。新しいサンプルが取れるかもしれないですし」
春香「何かあったらみんなで止めよう、ね?」
美希「うう……。何も無いことを祈るの……」
千早「……」
P「どこも悪いところはないか? 何せ頭の怪我だからな。些細なことでも何かあったら、ちゃんと言ってくれよ?」
千早「…………です」
P「……千早?」
春香(あれ?)
小鳥(これは)
律子(もしかして)
美希(もしかすると……?)
千早「き、来てくれて嬉しいです、ぷろでゅーさー……」カァァ
はるぴよりつみき(好感度メーターが振り切れてらっしゃるーーーー!!?)
千早「」コクコク
P「春香たちもみんなお見舞いに来てくれたみたいだし、少しでも早く退院できるといいな」
千早「」コクコク
P「……どうしてだんまりなんだ千早? まさか、声が出ないなんてことは……」
千早「そ、そんなことはないです……」
P「それならいいんだが」
P「ああ、もしかしてガールズトークの邪魔でもしてしまったか? それなら俺はお邪魔だから、そろそろ退散すると」スッ
キュッ
千早「……もうちょっと」
P「?」
千早「もうちょっと、傍にいてください……」カァ
P「あ、ああ。それは構わないけど」
小鳥(立ち上がりかけたところを、裾つかみ……。アリね)
美希「おかしいの! 好感度が逆になってるんじゃなかったの!?」
小鳥「うーん、プラスが強すぎてマイナス反転しなかったのかしら……? それとも実は千早ちゃんはプロデューサーさんが嫌い……?」
春香&美希「それは絶対にありえ(ません!)(ないの!)」
律子「いいえ、違うと思います。なんとなく、分かりましたよ」
美希「! 律子、それほんとなの!?」
律子「みーきー?」キッ
美希「あうう、律子、さん……」
春香「それで、どういうことなんですか? 聞かせてほしいです」
小鳥「私も気になります……」
律子「と言っても、そんなに難しいことではなくて」
美希「すとっぱー?」
律子「ええ。単に普段言ってみたいと思っていることを遠慮なく口に出している、というか」
春香「……と言いますと?」
律子「一番分かりやすいのは、小鳥さんでしょうか」
小鳥「へ?」
律子「小鳥さんのサボり癖、私はそこまで気にしていなかったですけど、真面目な千早のことだからきっといつか注意したくてたまらなかったんだと思いますよ」クス
小鳥「な、なるほど……。反省します」ズーン
美希「ち、千早さんはミキのこと嫌いになったわけじゃないんだよね?」
律子「ええ、むしろ逆だと思うわ」
美希「逆?」
律子「千早にしてみれば、自分を慕ってくれる美希のことが可愛くてしょうがないんでしょう」
律子「妹みたいに思えるがゆえに、ついつい心配になってしまったんだと思うわよ」
美希「妹みたい、かあ……。えへへ、確かにさっきの千早さんは、お姉ちゃんみたいだったの!」
春香「あ、あの。それでいくと私は……」オズ
春香「はい……。まさか普段からあんな態度を取りたいと思っているわけ、ないですよね?」
律子「あの、この間出演した映画で、意外と春香には悪役が似合うって話をしたばかりじゃない?」
春香「は、はい。そうですけど……」
律子「きっとそのときから、こうやって春香をからかってみたかったんじゃない?」
春香「からかう、ですか?」
律子「そう。千早は冗談とかが得意なタイプではないから、なかなか言い出す機会がなかったんでしょうけどね」
春香「な、なるほどお……」ホッ
律子「ただそうすると、私の理由は分からないのだけど……」
小鳥「きっと千早さんは、普段から働きづめな律子さんにはいつか歯止めをかけてあげたいと思っていたんですよ」
美希「うん、千早さんよく言ってるの! 『私に手伝えることはないのかしら……』って」
春香「そうですよ! 私と電話するときも、よく律子さんの話題が出るんですよ?」
律子「そ、そう。千早がそんなことを……」
美希「さっきの話もミキ聞いてたよ! 『大切な1人の友人』だもんね!」
春香「千早ちゃんにあそこまで言わせるなんて、私親友として嫉妬しちゃうなあ」
律子「そ、そうね。私にとっても千早は大切な友人だから……。すごく嬉しいわ」
春香「そうですね。千早ちゃん……。ほんとはこれまでもっと、言いたいことがあったんだろうなあ」
美希「今の千早さん、とっても幸せそーなの」
P「…………」
千早「…………」コテン
P「何だ、寄りかかってきて。眠たいのか?」
千早「…………ぁ」
P「どうした?」
千早「……」フルフル
千早「少しこのままでも、いいですか?」
P「まあ、別に構わないけど。仕事あるから、寝ちゃわないでくれよ」
千早「はい」
千早「……」
千早「…………♪」キュ
小鳥「そうね。お邪魔しないうちに退散しましょう」
美希「『お姉ちゃん』に免じて、今日はハニーを貸しておいてあげるの!」
律子「まあ、滅多にない機会でしょうからね。たまにはいいですか」
春香「そろそろと、気付かれないよーに……、ってうわぁ!」コケッ
☆のワの☆ ゴツン!! ☆のワの☆
律子「ちょ、春香!」
P「お、おい春香!」
小鳥「よ、よりによって千早ちゃんの方向に……」
春香「あいたたた……。ち、千早ちゃん! 大丈夫!?」
千早「う、痛……。春香ったら、もう……。気をつけてよ?」
律子「!」
春香「千早ちゃん、今私のこと、なんて!?」
千早「え、春香、だけど……。何かおかしかったかしら?」
小鳥「これは……」
美希「元に戻ったの!」
春香「うん、春香だよ! 千早ちゃん、千早ちゃん!」
律子「はあ、人騒がせな……。まあこれで一件落着、ね」
小鳥「もう一回頭を打ったのが良かったのかしら?」
律子「みたいですね」
美希「そうなの! ハニーがいない間、大変だったの!」
春香「もう千早ちゃんにちゃんと喋ってもらえないかと思っちゃいましたぁ……」グシグシ
P「そっか、それなら良かったな。じゃあそろそろ、俺も帰るとするか」
ガシッ
千早「……」
P「? どうした、千早?」
P「ん、んむっ!!?」
春香「!?」
美希「!?」
律子「!?」
小鳥「!?」
千早「ふふ」
千早「だい、すきです。プロデューサー♪」
おわり
千早「プロデューサーは、まだ帰っちゃやだゾ♪」
一同「……え?」
的な終わりだったのは秘密
うん、千早と美希、律子の絡みが書きたかっただけなんだすまない
自己満やったけど少しでも楽しんでもらえたなら幸い
では。
ちーちゃんかわいかった
他のみんなだとどうなってたのか気になるぜ
Entry ⇒ 2012.09.19 | Category ⇒ アイマスSS | Comments (0) | Trackbacks (0)
冬馬「お前がジュピターの4人目!?」
響「あぁ……」
冬馬「ふん、気合いが足りねえぜ」
響「こんなのただの遊びでしょ!?」
冬馬「……お」
トゥルルルル バンッ! オメデトー!
冬馬「ゲッチュー!どうだ見たか765プロ!」
響「……フン」プイッ
ジジジジ パタッ
冬馬「……」
翔太「良かったね、冬馬君」
亜美「良かったね、あまとうー」
冬馬「あまとうって呼ぶな!」
貴音「……」パクッパクッ
ジジジジ パタッ
冬馬「北斗と翔太の野郎は俺に押し付けるし」
冬馬「流石にこれを部屋に飾るのもなぁ……」
冬馬「かと言って捨てるのも何かもったいねえな」
冬馬「……」
冬馬「まあ、んな気にしなくても良いか」
??「……」ズーン
冬馬「……?」
??「……」
冬馬「……」
??「……」
冬馬「あ……ありのまま今起こった事を話すぜ!」
冬馬「朝起きたら顔が寿司になってるパンツ一丁の男が俺の部屋にいた」
冬馬「というわけでまだ夢の中みてえだから二度寝するか」
??「……」
冬馬「夢だけど夢じゃ無かった!」
ピポパポ
冬馬「も、もしもし警察ですか!?今俺の部屋に寿司のコスプレした変態が……!」
冬馬「え?寝ぼけてなんかないっすよ!!だって今もそこに!」
冬馬「あれ……?いない」
冬馬「い、いやいたんですよ!マジで!」
ツーツー
冬馬「……切られた」
冬馬「見間違えなんかじゃ……ないよな?」
翔太「どうしたの、冬馬君。変な顔して」
冬馬「いや、朝から妙な事が起こって」
北斗「妙な事?」
冬馬「……どうせ言っても信じてくれねえだろ」
翔太「まあまあ、話だけでも」
冬馬「朝起きたら部屋に寿司のコスプレした変態がいた」
北斗「そろそろ黒井社長が来る時間だね」
翔太「あっ、本当だ。重大発表ってなんだろうね」
冬馬「ほれみろ、スルーしやがって」
翔太「はーい」
冬馬(俺そんなの聞いてねえけど)
黒井「ジュピターの4人目が決まった。今日から早速レッスンに入る」
北斗「4人目ですか……社長も思い切った事を」
黒井「765プロを完全に叩き潰すためだ。入れ」
ガチャッ
??「……」
冬馬「お前がジュピターの4人目!?」
冬馬「いや、だっておかしいだろ!まず顔が寿司だし!」
冬馬「てかこいつさっき言ってた変態だぜ!!警察突きださねーと!」
黒井「名前はすし吉だ。精々可愛がってやるんだな、それでは失礼する」
冬馬「お、おっさん!おかしいだろ!」
北斗「よろしく、随分と個性的だね。またジュピターに深みが出たよ」
冬馬「個性的ってレベルじゃねーぞ!」
翔太「冬馬君は色々うるさいけど、気にしないでね」
すし吉「……」コクッ
冬馬「俺がおかしいのか!?」
すし吉「……」
翔太「なんとなく考えてる事は分かるから大丈夫だよ」
冬馬「分からねーよ!!大体歌とかどうすんだよ!?」
北斗「まあ、歌の時は声出せるよね?」
すし吉「……」
冬馬「……何か無理っぽそうだぜ」
北斗「とりあえずボイスレッスンに行ってみようか?」
すし吉「……」コクッ
冬馬「マジかよ」
北斗「うん、良い声だね」
冬馬「おい、俺には何も聞こえなかったぞ」
翔太「ただ、やっぱりまだまだ技術不足だね。荒い所がたくさんあるし」
冬馬「お前ら心の声でも聞こえてんのか?」
すし吉「……」
北斗「いや、落ち込まなくて大丈夫だよ。これから練習していけばいくらでも上達するから」
冬馬「……」
冬馬「こいつダンスもダメダメじゃねーか」
翔太「うーん、まず基礎の身体能力が足りないって感じ」
すし吉「……」
北斗「ははは、俺も最初はそのぐらいだったよ。焦らず、ね」
冬馬「いや、北斗でもこれよりは格段にマシだったぞ……」
すし吉「……」
翔太「でも次のライブまでに間に合うかなぁ?」
すし吉「……」
冬馬(どうあがいても無理な気がする)
北斗「汗だくだな、はいタオル」
すし吉「……」
翔太「冬馬君と違ってすし吉君はすぐにお礼が言える素直で良い人だね」
冬馬「あー、そうですか」
すし吉「……」フキフキ
冬馬(何か……お酢の匂いがする……)
北斗「ああ、じゃあまた」
冬馬「おう」
すし吉「……」
冬馬「何でてめえと2人で帰らなきゃなんねえんだよ!?家何処だよ!?」
すし吉「……」
冬馬「黙ってちゃ分かんねえっつーの!!てかお前今日俺の部屋にいたよな!?」
すし吉「……」
冬馬「だー!!何で皆こいつを素直に受け入れてるんだ!!」
すし吉「……」
冬馬「言っとくけど、次俺の家に入ったら絶対通報するからな!いいな!?」
すし吉「……」
冬馬(何なんだよこいつはあああああああああ!!)
北斗「う~ん、ちょっと違うな。トレーナーさんの言った通りもう少しお腹を使って」
翔太「そうそう、こうグッて力を入れて。後テンポもちょっとずれてたかも」
冬馬(相変わらず何も聞こえねえ)
すし吉「……」
翔太「冬馬君はアドバイスしてあげなよ」
冬馬「いや……別に俺は……特に……」
北斗「いつも俺たちに言うのにすし吉には出来ないのかい?」
冬馬「出来るわけねーだろ!!」
すし吉「……」モタモタ
すし吉「……」ステン
冬馬(これはひどい)
北斗「……う、うーん」
翔太「あ、トレーナーさんに説教されてる」
冬馬「そりゃそうだろ……」
すし吉「……」
冬馬「……言っとくが俺はお前をジュピターのメンバーって認めてねえからな」
すし吉「……」
冬馬「はっきり言って今のお前がいても邪魔になるだけだ」
すし吉「……」
冬馬「言いたい事は言った。じゃあな」
すし吉「……」
北斗「ほら、そこもっと声張って」
冬馬(よく分からねえけど、ちょっとは上達もしてるみたいだ)
すし吉「……」クルクル コテッ
翔太「あっ、惜しい!もうちょいだったのに」
冬馬(でも……やっぱこれじゃ無理だな)
すし吉「!」
冬馬(妥当な判断だな、こいつには悪いが)
黒井「理由は分かっているな?」
すし吉「……」
黒井「以上だ、残りの者も気を抜かぬよう今まで通り全力でやれ」
翔太「はい」
北斗「分かっています」
冬馬「当然だぜ」
すし吉「……」
翔太「あっ……」
北斗「やっぱりショックだったんだろうね、俺探してくるよ」ダッ
翔太「僕も!」ダッ
冬馬(ったくあいつらは世話焼きだな。俺は知らねえ)
冬馬「……まだ戻って来ねえのか」
冬馬「……」
冬馬「ちっ……何で俺が」
すし吉「……」
冬馬「……で、逃げだすのはお前の勝手だけどそれで良いのか?」
すし吉「……」
冬馬「俺はお前が辞めようと関係ない。トップアイドルになるだけだ」
すし吉「……」
冬馬「ただお前のアイドルへの情熱はその程度の物だったのかと思ってよ」
すし吉「……」
冬馬「本気になれねえなら、最初からやるんじゃねえ!」
すし吉「!」
すし吉「……」
冬馬「もっと死ぬほど練習して俺やおっさんに認められたいと思わねえのか?」
すし吉「……」
冬馬「とにかく、俺は本気でトップアイドル目指すやつ意外と組む気は無い。お前はどうなんだ」
すし吉「……」コクッ
冬馬「……ならこんな所でコソコソしてる場合じゃねえだろ。ほら立てよ」
翔太「相変わらずあっついねー!」
冬馬「なっ……!?」
北斗「口ではあんな事言ってても……もしかして冬馬そっちの趣味が……」
冬馬「どうしてそうなるんだよ!!てかこいつ未だに人間かどうかも分からねえし!」
翔太「リハの通りやれば大丈夫大丈夫」
すし吉「……」
冬馬「……お前は目に焼き付けておくんだな。俺達のステージを!」
すし吉「……」コクッ
ピギャアアアアアアアアアアアアアア
冬馬(見とけよ……すし吉。これが俺達のライブだ!)
北斗「おっ、今の良いよ!凄く良い!高音もしっかり出てた!」
冬馬「相変わらず何も聞こえねえが少しはマシになったみたいだな」
翔太「素直に褒めたら良いのに」
すし吉「……」スッスッ クルッ
冬馬「おお!やるじゃねえか!」
翔太「今のとこ、完璧だったよ!」
北斗「参ったな……追い抜かれちゃいそうだ」
すし吉「……」テレテレ
翔太「あ、賛成!」
北斗「確かこの近くに隠れた名店みたいなのがあるらしいよ」
すし吉「……」
冬馬(そういえばこいつと飯食うの初めてだな)
北斗「おっ、確かここだ」
翔太「人も並んで無いしラッキー」
ガラガラ
貴音「……」ズルズル
北斗「あ、貴音ちゃんだ」
翔太「こんにちは、貴音さん!貴音さんもこの近くで撮影?」
貴音「いえ、ただ久しぶりにこの店のらぁめんを食べようと。……その方は?」
すし吉「……」
北斗「ああ、すし吉って言うんだ。ジュピターの新メンバーだよ」
貴音「そうですか……なるほど」
冬馬「あっさり納得するのかよ。あ、向こうの席みたいだぜ」
北斗「それじゃ、また今度ゆっくり話そうね。チャオ☆」
貴音「……」ジー
すし吉「……」
北斗「うん、噂通り」
翔太「来て正解だったよ!流石北斗君!」
すし吉「……」
冬馬(そういやこいつがどうやって飯食うか見てなかった……)
貴音「……」
翔太「……何かさっきから貴音さんこっち見てない?」
北斗「本当だ、一体どうしたんだ……あ、帰るみたいだよ」
冬馬(見る理由ってこいつ以外にねえだろ、どう考えても)
すし吉「……」
すし吉「……」
冬馬「まあ、お前の歌声はよく分かんねーけど」
すし吉「……」
貴音「こんばんは」ヌッ
冬馬「うおっ!?な、何だ急に!?」
貴音「いえ、……ただ」チラッ
すし吉「……」
冬馬「ああ、こいつはただのジュピター4人目だ。俺も色々言いたい事はあるがもう何も言わない事にした」
すし吉「……」
貴音「……!分かりました。それでは失礼します」スッ
冬馬「えっ!?……な、何だったんだ……」
すし吉「……」
すし吉「……」スッサッ
冬馬(この分なら次のライブでこいつも……)
すし吉「!!」バタッ
冬馬「……!お、おい!?」
北斗「今、体が完全に硬直してたような……」
すし吉「……」
翔太「あ、大丈夫なんだ……もう心配させないでよ」
冬馬(今のは……これまでのミスとは何か違う……)
すし吉「!」
黒井「良いか、醜態をさらしてはならんぞ!初の4人で行うステージだからな。以上」
ガチャッ
すし吉「……」ポロポロ
冬馬「……泣いてんのか?」
翔太「本当にこのライブに全てを賭けてたから嬉しいんだって」
北斗「ははっ、ライブの度に泣かれたんじゃ困るよ」
冬馬「全くだぜ。おら、泣くのはライブが終わってからにしな」
冬馬「あんま日も残ってねえんだ。最高のパフォーマンスを見せるために練習だ!」
すし吉「……」ゴシゴシ コクッ
冬馬「何だ、緊張してんのか?」
すし吉「……」
北斗「大丈夫、俺たちが保証するよ。今のすし吉なら皆も認めてくれる」
翔太「うんうん!きっと大歓迎だと思うな!」
すし吉「……」
冬馬「ほら、自信持てよ!行くぜ!ファンが待ってるぞ!」ポンッ
すし吉「……」コクッ
ピギャアアアアアアアアアアアアアア
すし吉「……」タッタッタッ
ワァァァァァァァァ
すし吉「……」
北斗「ははっ、やっぱり少し緊張してるみたいだね」
翔太「今、自己紹介したとおり名前はすし吉って言うんだ。皆応援してあげてね」
スシキチイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイ
すし吉「……」ポロポロ
冬馬「泣くなよ!皆に笑顔を見せないとダメだろ?」
ガンバッテエエエエエエエエエエエエ
すし吉「……」ゴシゴシ
北斗「うん、歌えるんだね。それじゃいくよ!俺達4人の最初の曲は……」
翔太「やっぱりAlice or Guilty!!」
すし吉「……」グスッ
北斗「ほら、泣くな。エンジェルちゃん達も喜んでたよ?」
翔太「デビューでこれだけ最高のライブ経験出来るなんてこの幸せ者!」
冬馬「これもお前があの時諦めなかったからだな」
すし吉「……」
冬馬「……あのさ、最初お前の事得体のしれない奴だと思ってた」
すし吉「……」
冬馬「それでちょっと冷たくしちまったかもしれねえ。悪かったな」
すし吉「……」
冬馬「もちろん今はそんなことないぜ。ジュピターに欠かせないやつだと思ってる」
すし吉「……」
冬馬「まあ、色々合ったけどこれからもよろしくな」ガシッ
すし吉「……」
冬馬「……ん?」
すし吉「……」パタッ
冬馬「おい、またかよ。大丈夫か?」
すし吉「……」
冬馬「こんなところで寝ると風邪引くぜ。疲れたのかもしれねえが家で寝ろよ」
すし吉「……」スッ
冬馬「じゃあな、また明日」
北斗「すし吉?何だそれ?」
冬馬「おいおい、何とぼけてんだよ。寿司顔のすし吉」
翔太「何言ってるの?頭おかしくなった?」
冬馬「お前らの方こそどうしたんだよ!昨日も一緒にライブしただろ!?」
北斗「昨日のライブは俺達3人でやったじゃないか」
冬馬「ふざけんなよ!あいつもあんなに一生懸命やってたじゃねえか!」
翔太「え、これギャグなんだよね……?」
冬馬「……」
翔太「あ、冬馬君が変なんだよ。なんかすし吉がどうのって」
冬馬「おっさん!ジュピター4人目のすし吉だ!あんたならとぼけないよな!?」
黒井「……ジュピターは3人のユニットだ。増やすつもりなど毛頭ない」
冬馬「は、はぁ!?」
北斗「昨日のライブで疲れすぎておかしくなったのか?」
冬馬「……じゃ、じゃあ!昨日のライブの映像見せてくれよ!あるんだろ!?」
キミヲミウシナウ ギルティ
冬馬「そ、そんな……3人……」
黒井「いつまで寝ぼけておる!!下らんジョークばかり言いおって時間を無駄にしたわ!」
冬馬(ど、どうなってやがる……すし吉がいなかった事に……)
ガチャッ
北斗「お、おい冬馬!」
翔太「黒ちゃん、どうしよう……」
黒井「……この症状が続くなら病院に連れていくしかあるまい」
冬馬「……いねえ」ハァハァ
冬馬「あれ……すし吉って……」
冬馬「……」
冬馬「……忘れてんじゃねえ!俺は絶対忘れねえぞ!」ダダッ
貴音「すし吉を探しているのですか?」
冬馬「……お前、すし吉の事覚えているのか?」
貴音「ついてきてください」スタスタ
冬馬「お、おい」
冬馬「ここって……前に来た寿司屋じゃねえか」
貴音「あなたは……ここですし吉と出会った。違いますか?」
冬馬「いや……俺がすし吉に最初に出会ったのは部屋……」
貴音「いえ、それより少し前です」
冬馬「……」
冬馬「……!そういえばあいつの顔は……あの時当たった景品と……同じ……?」
冬馬「す、すし吉!何でここに……」
貴音「すし吉はもう帰らなければなりません。在るべき場所に」
冬馬「な、何だよそれ……」
貴音「出会った日にあなたはすし吉を巻き動かしました。しかしいずれ動きが止まる」
貴音「その時とはすなわち、すし吉の体が動かなくなる時となります」
冬馬「ま、まさか……もうライブ前後の時はすし吉の体は……」
すし吉「……」
貴音「もう限界だったようですね。ライブを無事終えれた事も運が良かったとしか」
冬馬「な、何で俺に言わねえんだよ!!」
すし吉「……」
貴音「……もう時間です」
冬馬「え?」
貴音「この者は元々この星の者ではありません。すし吉が消えた時私たちもこの事に関する記憶を失うでしょう」
冬馬「な、何だよ……それ……意味分かんねえよ……」
すし吉「……」
冬馬「おい、何とか言えよ!!俺達ジュピターだろ!?まだトップアイドルになってねえじゃねえか!」
すし吉「……」ポロポロ
冬馬「すし吉……馬鹿野郎!!」
すし吉「……」スゥー
冬馬「あっ……」
すし吉『ばいばい』
冬馬「……へっ、やっと……お前の声聞けたな……」
貴音「……」
冬馬「ああ、それか。何か捨てらんねえんだよな」
北斗「フィギュア集めもここまで来るとすごいな」
冬馬「だからそれはコレクション対象じゃねえよ!」
翔太「もう巻いても動かないし、何だかなぁ」
冬馬「……懐かしい気分になるんだよ。分かんねえけど」
北斗「懐かしい……俺も何故かそんな気になるよ」
翔太「……へぇ、僕だけじゃ無かったんだ。そういえば名前なんだっけ、これ」
冬馬「おいおい、忘れんなよ。すし吉だろ」
完!!
Entry ⇒ 2012.09.19 | Category ⇒ アイマスSS | Comments (0) | Trackbacks (0)
尭深「菫お姉様…///」菫「は、離れろ!」
菫「そ、そうか?」タジタジ
尭深「…いつものように頭をなでてはくれないんですか?」ショボン
菫「そうだったな、すまない」ナデナデ
尭深「はぅ…///」ポワーン…
照「そうだね」
菫「満足したか?」ナデナデ
尭深「もう…少しだけ///」
菫「仕方のないやつだ」ナデナデ
尭深「お姉様ぁ///」ダキッ
照「あたしもよく知らないんだ…菫に聞いてみたら?」
淡「そうしてみるよ!」
菫「は、離れろ!暑苦しい」
尭深「お姉様…今日もいいにおい…///」クンクン
淡「…あれが終わったら」
照「それがいいね」
菫「はぁ…やっと離れた…」ハァ
淡「ねぇ菫~、聞きたいことがあるんだけど…いい?」
菫「なんだ?」
淡「なんで菫とタカミってそんなに仲いいの?」
菫「…私もよく覚えてないんだが、一年ほど前の話になる…」
~~~~~~~~
一年前
-校門前-
尭深(今日からこの白糸台高校に通うのか…緊張するなあ…)
尭深(私引っ込み思案だし…いじめられたりしないよね…)
菫「そこの…眼鏡の人」
尭深「えっ…わ、私?」ビクッ
尭深(こ、怖そうな人だよー…カ、カツアゲとか?)
菫「このハンカチ君のかな?そこに落ちてたよ。ほら」
尭深「え…あっ本当だ。ありがとうございます…」
菫「見慣れない顔だな…もしかして新入生か?」
尭深「は、はいそうです…」
尭深「し、渋谷尭深…です」
菫「ふむ、いい名前だな」
尭深「そ、そうですか?ありがとうございます///」ポッ
尭深「あ…///」ドキッ
菫「…これでよしっと」チョイチョイ
尭深「…………///」ドキドキ
菫「どうしたんだ?えっと…渋谷さん?」
尭深「な、なんでも…ないです///」ドキドキ
尭深(はじめはちょっと怖かったけど…いい人みたいだし…)チラッ
菫「?」
尭深(よく見れば端正な顔立ちで、髪も長くてよく手入れされてるみたい)ドキドキ
尭深(スタイルも抜群で…私みたいなちんちくりんとは雲泥の差だよ~…)
尭深「お姉様…」ポツリ
菫「ん?」
菫「なんだ、てっきりお姉様と呼ばれるかと思ってヒヤヒヤしたよ」ハハハ
尭深「呼んじゃ…いけませんか?」
菫「いや、好きなように呼んでくれてかまわない」
菫「別にいいけど…意外と恥ずかしいな、その呼び名は」ハハハ
尭深「ありがとうございます!菫お姉様、大好き~!」ダキッ
菫「へ?だ、抱きつくな!み、みんな見てるから!恥ずかしいから!///」アタフタ
~~~~~~~~~
菫「…ということだ」
淡「…よくわかんなかったから一言でまとめてください」
菫「渋谷が私に一目惚れした、とでもいえばいいか?」
淡「ありがと、菫」
菫「…一応言っておくが私はノーマルだからな」
菫「簡単に言えばな」ハァ
尭深「なかなか思いが伝わらなくて…///」ハァ
菫「うわっ!?いたのか渋谷」ドキッ
尭深「お姉様の側にいたいんです…いけませんか?」
菫「…まぁいい、話をしたらなんだか喉が乾いてきたな…渋谷、お茶いれてくれるか?」
尭深「はい、ただいまお持ちします」トトト…
尭深「急須にお湯入れて~♪」トポトポ
尭深「抽出して~♪」ジー
尭深「湯飲みに注いで~♪」トポトポ
尭深「菫お姉様の湯飲みに秘密の粉を入れて~♪」サラサラ
尭深「お待たせしました///」
菫「ちょっと待て」
尭深「さ、さあ…なんのことでしょうか」
菫「なんだ?」ギロッ
尭深「あぁ…菫お姉様の突き刺さるような視線、気持ちいいよぉ…///」
菫「逆効果か…」ハァ
尭深「本当ですか!?あの粉は惚れ薬なんです///」
菫「そんなものどこで手に入れたんだ…」ハァ
尭深「オカルト研の友達が調合してくれたんです」
淡「うちの学校オカルト研なんてあったんだ…」
照「オカルトなんてありえないのにな」
尭深「え…!?せ、せめて一口だけでも…」
菫「いいから入れ直してこい」
尭深「材料集め大変だったのに…巫女さんの母乳とか、いろいろと大変だったのに…」グスン
淡「菫、大変だね」
菫「まったくだ」
霞さんこいつです
真っ先に霞さんを連想したお前もギルティ
放課後
菫「…さて、部活も終わったし帰るか」
照「いっしょに帰ろ」
淡「テルー、あたしもいっしょに帰りたい~」
尭深「菫お姉様…」
菫「渋谷もいっしょに帰ろう」
尭深「はい!///」
~~~~~~~
淡「ねーねー、どっか寄ってこうよ~」トコトコ
照「そうしたいけど…」トコトコ
菫「…雨、降りそうだな」トコトコ
尭深「そう…ですね…」トコトコ
照「傘持ってないし…今日はどこにも寄らずに帰ろうよ、淡」トコトコ
淡「ちぇ~、つまんないのー」トコトコ
~~~~~~~~
淡「じゃあね~、菫とタカミ~」フリフリ
菫「ああ、雨が降る前に帰れよ」
尭深「お疲れ様でした///」ペコリ
~~~~~~~
尭深「……」テクテク
菫「…なあ渋谷」ピタッ
尭深「は、はいっ!!」ビクッ
菫「いつものみたいに手を繋がなくていいのか?」
尭深「あ…そ、そうでしたね。手を繋いでいいですか?」
菫「…構わない」ギュッ
尭深「え…?」トコトコ
菫「いつものお前なら薬を使うなんてことはしない」トコトコ
尭深「……」トコトコ
菫「…なにかあるなら聞かせてくれないか?」トコトコ
尭深「それは…」トコトコ
菫「ん…?雨が…」
ザー…ザー…
菫「うわっ!いきなり本降りか!?走れ渋谷、すぐ近くが私の家だ!」タタタ…
尭深「は、はい!」タタタ…
~~~~~~
バタン
菫「ふぅ、あまり濡れなくてよかった…渋谷はどうだ?」ハァ…ハァ…
尭深「だ、大丈夫…です…」ハァ…ハァ…
菫「すぐにやむとは思えないし…少し休んでいくといい」フゥ
尭深「は、はい…お邪魔します…///」
菫「こっちが私の部屋だ」トコトコ
尭深「ここが菫お姉様の部屋…」キョロキョロ
菫「そう言えば部屋に来たのは初めてだったな」
尭深「お姉様のにおいがいっぱい…///」クンカクンカ
菫「あまりじろじろ見るな、恥ずかしい」
尭深「はぅ…///」ドキドキ
尭深「はい…」
菫「なにかお前の中で心境の変化でもあったのか?」
尭深「………」ゴクリッ…
菫「黙ってたらわからない」
尭深「もう……」
菫「……」
尭深「もう……抑えられないんです…」ウルッ…
菫「どういう…」
菫「えっ…うわっ!?」ドサッ
尭深「……」ウルウル
菫「し、渋谷!!」
菫(押し倒されたっ…!?だ、だが体格差があるから簡単に返せるな…)
菫「渋谷…」
菫(渋谷のこんな真剣な目…はじめて見た)
菫「わかったよ渋谷…少しだけだぞ」
尭深「…はい///」
菫「……」
尭深「私のことを嫌いになるんじゃないかって」
尭深「もっと…お姉様を好きな気持ちを隠して…貴女に嫌われないようにしようとした」
尭深「でも!」
尭深「抑えれば抑えるほど…どんどん溢れて止まらなくなって…」
尭深「それで思い余って今日は薬を使おうとして…おかしいですよね、私」グスン
尭深「そして今は押し倒したりして…最低ですよね」ウルウル
尭深「…貴女をもうこれ以上傷つけたくないから…そして私を嫌いになってほしくないから…」ゴシゴシ
尭深「私の気持ちを…貴女への愛の告白します」ニコッ
尭深「これは私なりのケジメ…なんです」
菫「ケジメ?」
尭深「私の中の貴女への気持ちを一刀両断にしてください」ニコッ
菫「…わかった」
尭深「すぅ…はぁ……そう言えばいままで告白したことはなかったですね///」グスッ
菫「…そうだな」
菫「…すまないがその想いに応えてはあげられない」
尭深「ありがとう…ございます…」ウルウル
尭深「菫おねえ…ううん、菫先輩。少し胸を借りても…いいですか?」グスッ
菫「…ああ」ギュッ
尭深「うわぁぁぁん!!」ポロポロ
菫「渋谷…ごめん…」ギュウ…
~~~~~~
尭深「はい…菫先輩」グスン
菫「私は最低な先輩だな…」
菫「お前をこんなになるまで追い込んでしまった…」
尭深「………」
菫「…でもお前のことは嫌いになったりはしないからな」
尭深「その言葉だけで…嬉しいです///」
菫「だから…これからもよろしく頼むよ、尭深」ニッコリ
尭深「!?は…はい、菫先輩///」
~~~~~~
翌日
尭深「あ、菫先輩こんにちは」
菫「尭深、昨日はすまなかった」
尭深「いえ…なんだか気持ちが楽になりました」
菫「そうか…それはよかった」ナデナデ
尭深「……///」ニッコリ
淡「…ねぇテル。なんだかあの二人昨日より仲良くなってない?」
照「そう?呼び名が変わったみたいだけど…なにかあったのかな?」
カン
菫「離れろ、鬱陶しい」
尭深「……」イライラ
~~~~~~~~~
泉「あれ、お姉様どこいったんだろう…」
尭深「菫先輩ならこっちに…」
泉「ホンマに?ありがと」
尭深「ついてきて…」ニヤリ
尭深「ぽっと出のあなたが菫先輩をお姉様なんて呼べると思ってるの?」バシッ(鞭装備)
泉「う……うぁ……」ギロッ(口枷、手枷装備)
尭深「あら、まだ反抗的な目が出来るんだ…いつまで持つか楽しみね…」
尭深「ねぇあなた、ロウソクと麻縄、どっちがいい?」
泉「……ふがー!」モゾモゾ
尭深「そう、どっちも欲しいんだ…欲張りさんね…」ニヤニヤ
泉「」
~~~~~~~~~
菫「だ、だからお姉様と呼ぶなと…」
泉「あれ…お姉様は…尭深様はいないみたいですね…失礼しました」
菫「…へ?」
カン
渋谷さんを泣かせたことは自分でもひどいことしたなと思ってます
渋谷さんごめんなさい
Entry ⇒ 2012.09.19 | Category ⇒ 咲-Saki-SS | Comments (0) | Trackbacks (0)
P「伊織に好きな人が出来たらしい」
律子「おかしい……と言うと?」
P「遠くを見つめて溜息をつく事が多い」
律子「ふむ…それはきっと」
P「きっと?」
律子「好きな人でも出来たんじゃないですか?」
P「」
P「伊織に好きな人が……」
律子「そんなに動揺しなくても」
P「これが動揺せずにいられるか!!」
律子「そもそも憶測ですから」
律子「真偽は定かではありませんよ」
P「なんだ良かった」
P「さすが律子だ! 頼りになる!」
律子「はいはい」
P「じゃあ俺は営業に行ってくるよ」
律子「お気をつけて」
P「おーう」
伊織「最近、アイツの様子がおかしいの」
律子「アイツ? ……ああ、プロデューサーの?」
伊織「ん…」
律子「おかしいって…?」
伊織「遠くを見つめて溜息なんかついて…」
律子「……」
伊織「」
伊織「あわわわわ」
伊織「アイツに好きな人が……」
律子(デジャヴ?)
伊織「どこの誰なの!? ねぇ!!」
伊織「そ、そうよね!」
律子「そうよ」
伊織「でも…本当にそうかも知れないし…」
伊織「それとなく聞いてみてくれない?」
律子(えー…)
律子「はいはい」
…
P「はぁ……伊織…」
律子(声に出てる…)
律子「プロデューサー?」
P「うひゃあ!?」ビクッ
律子「そんなに驚かなくても…」
P「どどどうした?」
P「…?」
律子「伊織の事が好きでしょう?」
P「…は?」
P「え、ちょ……なっ…!」
律子「……もう結構です」
律子「今の反応で概ねわかりました」
律子(さて、伊織は…)
伊織「はぁ…プロデューサー…」
律子(もう聞くのも面倒な気がする…)
律子「ねえ、伊織」
伊織「ひゃあ!」ビクッ
伊織「ななな何よ!?」
伊織「…は?」
伊織「え、ちょ……なっ…!」
律子「もういいわ…」
律子(反応まで同じ…)
律子(もう結婚しちゃえばいいのに)
律子「好きな人がいるみたいです」
P「」
P「ど、どこの馬の骨だ!」
律子「鈍感で、頼りなさそうで、実は頼りになる、眼鏡をかけた人です」
P「断言しよう、ロクな奴じゃない!」
律子「たった今私もそう思いました」
律子「間違いなく好きな人がいるわ」
伊織「」
伊織「ど、どこのどいつよ!」
律子「強がりで、素直になれなくて、甘えたがりな人ね」
伊織「そんな面倒臭そうな奴、やめたほうがいいわよ!」
律子「頭痛くなってきた…」
P「え」
律子「好きなんでしょう?」
P「いやいやいや……プロポーズだなんて」
P「アイドルとプロデューサーだぞ?」
律子「その辺の常識はありましたか」
P「遠くから愛でるだけで満足なんだ」
律子「へえ…」
伊織「え」
律子「好きでしょう?」
伊織「いやいやいや……プロポーズだなんて」
伊織「アイドルとプロデューサーよ?」
律子「その辺の認識も一緒か」
伊織「それに、遠くから見つめてるだけで…幸せだし……」
律子「…もどかしい」
P「え、どんな?」
律子「……というのを」
P「いやいやいや!! 無理だって!」
律子「頑張ってー」
P「何でそんなに投げやり!?」
律子「気のせいです」
伊織「え、どうして?」
律子「必要な書類があるのよ」
伊織「ふぅん…わかったわ」
律子「じゃあ、また明日」
伊織「ええ」
律子「これで良し…と」
伊織「何だったの…?」
P「あの、伊織?」
伊織「ひゃい!?」ビクッ
P「ひょう!?」ビクッ
伊織「どど、どうしたの?」
P「あ、あああの! この書類にサインと印鑑を!」
律子(二人ともぎこちない…)
小鳥(なんか初々しいですね)
P「しゅきです!」
律子(噛んだ)
小鳥(噛んだ)
伊織「……え?」
P「」
P「もうアレだ、死にたい」
伊織「…っ!!」
律子(通じた…)
小鳥(伊織ちゃんも噛んだのでは?)
律子(そうかも…)
P「好きだ!!伊織!」
伊織「私も、だいすき!」
P「いいや、俺の方が好きだぁ!」
伊織「なによ! 私の方が!」
~以下ループ~
律子「はい」
小鳥「二人は何回『好き』と言ったでしょうか」
律子「数えたくないです」
小鳥「同感です」
伊織「好き…」
P「俺も、好きだ…」
律子「まだやってる」
小鳥「放っておきましょう」
おつ
Entry ⇒ 2012.09.19 | Category ⇒ アイマスSS | Comments (0) | Trackbacks (0)
ルルーシュ「どうして日本人はムダ毛を処理しないんだ?」
ルルーシュ「ムダ毛というか、まあ…いわゆる下の毛のことだが」
スザク「あぁ…確かに日本人は下の毛を剃る人は少ないと思う」
ルルーシュ「どうしてなんだ?」
スザク「文化的なことだから僕に聞かれても困るけど…
じゃあ、逆に聞くけど、どうして剃る必要があるのさ?」
ルルーシュ「衛生的な面が強いだろうな。
言ってしまえば、不潔なイメージがある」
スザク「なるほどね」
ルルーシュ「言われてみればそうだな…食品の衛生管理はもちろん、
入浴文化も古来から一般市民に浸透していたと聞いている」
スザク「うん。下の毛を処理しないことで心配されるインキンや毛じらみの類は
普段から清潔にしておけば問題は無いだろうし、衛生的な理由で毛を剃る必要は無かったんだよ」
ルルーシュ「なるほどな…しかし、だからこその疑問も生じる」
スザク「どういうこと?」
ルルーシュ「日本人の綺麗好きなイメージと、下の毛の不潔なイメージのギャップだ。
こんなに綺麗好きな日本人が、なぜ下の毛は処理しないのだろう?と」
スザク「そういうことか…」
ルルーシュ「ブリタニアを含む、下の毛を処理する文化があるような先進諸国から見ると
ある種異様な光景だろうな」
ルルーシュ「あぁもちろん、つるんつるんだ。こっちのほうが涼しいしな」
スザク「そっかぁ…そういうメリットもあるんだ?」
ルルーシュ「夏場は過ごしやすいぞ。
スザク、お前はまったくの未処理なのか?」
スザク「うん。ジャングルだよ」
スザク「うーん、考えてみるよ…リヴァルはどうなの?」
リヴァル「もっちろん剃ってるさ!男の身だしなみだろ?」
スザク「身だしなみ…そうか、ブリタニアではそのレベルで浸透しているのか…」
ルルーシュ「そうだな。そもそも生やしておく理由がない」
スザク「あ、シャーリーはどうなの?」
シャーリー「!?」
ルルーシュ「スザアアァァク!!」ガタッ
ルルーシュ「スザク!考えて物を言え!!」
スザク「え?」
シャーリ「い、いいよルル…」
ルルーシュ「シャーリーは水泳部だぞ!!」
スザク「あっ」
シャーリー「!?」
ルルーシュ「未処理だとはみ出るだろうが!!」
シャーリー「ルル!?」
ルルーシュ「なぁ?シャーリー?」ポン
シャーリー「や、やめてよルル!やめてよぉ!!」
スザク「そ、そうだね…ごめん、シャーリー」ペコ
シャーリー「あ、あやまられても困るんだけど!」
ルルーシュ「あぁ、こういう場合は国籍など関係ないだろうな」
シャーリー「うぅ…」
ルルーシュ「なぁ?シャーリー?」ポン
シャーリー「なんで私に振るの!?」
スザク「ごめんね、シャーリー」
シャーリー「うぅ…もういい…もういいです…」
スザク「あ、会長はどうですか?」
ミレイ「!?」
ルルーシュ「スザアアァァク!!」ガタッ
リヴァル「スザアアァァク!!」グッ
ルルーシュ「会長は落ちぶれたアッシュフォード家とはいえセレブだぞ!
剃っていないわけがないだろうが!!」
スザク「そっ…そうだね、すいません、会長」
ミレイ「さっきから聞いてたけど…コレって答えなきゃ駄目なの…?」
シャーリー「私も恥かいたんですから!会長も答えてください!」
ミレイ「え、えぇー…シャーリーは自動的に答えが出ちゃってたじゃない…」
ルルーシュ「どうなんですか会長!答えられないんですか!?」
スザク「答えられないって事は…まさかジャングル!?」
ルルーシュ「何!?まさか、下の毛まで落ちぶれてしまったんですか会長!!」
スザク「僕と同じジャングルなんですか会長!!」
リヴァル「お、俺は…!例えジャングルでもッ…会長!!」
ミレイ「じ、ジャングルじゃないわよぉ!!少し残してあるだけよ!!」
リヴァル「残す!!」グッ
スザク「…どういうことだいルルーシュ!?」
ルルーシュ「それは恐らくファッション的な意味があるんだ、スザク」
スザク「ファッション…!?そうなんですか会長!!」
ミレイ「う、うん…すこーし残しておいたほうが、オシャレかなって…」
シャーリー「流石かいちょー!かわいいです!」
ミレイ(男子の前で何言ってるんだろう私…)
ルルーシュ「そうとも。例え見せる相手が居なくとも、
隅々まで気を使うのが身だしなみというものだ」
スザク「あ、ニーナ!」
ニーナ「ひっ!ジャングル!近寄らないでください!!」
スザク「ひどい!!」
ミレイ「ニーナもちゃんと剃ってるわよ!!」
ニーナ「ミレイちゃああぁぁん!?」
ミレイ「死なばもろともよ!!」
スザク「あ、カレンはどうなの?」
カレン「!?」
ルルーシュ「…ほう?」
カレン「え!?」
ルルーシュ「いや…諸々の事情で個人的に興味があるだけだ、カレンお嬢様?」
シャーリー「!?」
カレン「えっ!?こ、個人的って…い、いやっ…ちょ…」
スザク「どうなんだいカレン?」
カレン「うえぇっ!?」
ミレイ「?…そりゃお嬢様だもの、ちゃーんと処理してるわよね?」
シャーリー「い、いやわかんないかも!病弱だからジャングルかも!!」
カレン「ちょ…シャーリー!?」
ルルーシュ「なるほどな…病弱ならジャングルなのも仕方がないか」
スザク「そういうものかもね」
カレン「う、うわぁぁ!!ちゃ、ちゃんとしてる!してるわよ!!」
カレン「アハハ…も、もちろんよ…」
ルルーシュ「まぁ、そういうことにしておくか…」
カレン「…」
ガチャ
ナナリー「こんにちは、みなさん」
シャーリー「あ、ナナちゃん」
スザク「ナナリー」ガタッ
ルルーシュ「スザアアアアアアァァァック!!」ガッシャアァ
スザク「ぐっ!?」ガターン
ナナリー「!?」
スザク「うん」
ルルーシュ「まだ生えてないに決まってるだろうが!!」
スザク「うん、そうだね。ごめん、ルルーシュ…」
ルルーシュ「分かればいいんだ…いきなり殴ったりしてすまなかった…」
スザク「いや、僕こそ咄嗟に殴り返してごめん…」
ナナリー「…け、喧嘩はだめですよお兄様…!いったい何のお話を…?」
スザク「下の毛の話だよ」
ナナリー「!?」
ルルーシュ「あぁ、ナナリーにはまだちょっと早いかなハハハ」
ナナリー「えっ」
ルルーシュ「えっ」
ナナリー「…」
ルルーシュ「…」
ルルーシュ「咲世子さん!」
咲世子「はい」
ナナリー「!?」
咲世子「はい」
ナナリー「お、お兄様!咲世子さん!!」
ルルーシュ「…」
咲世子「はい」
ルルーシュ「…ッ!!」ガクッ
ナナリー「お兄様!?」
ルルーシュ「咲世子さん…夕飯はお赤飯でお願いします」
咲世子「かしこまりました」
ナナリー「咲世子さん!?」
ルルーシュ「ちなみに咲世子さんは?」
咲世子「整えております」
スザク「そっかー」
ルルーシュ「流石は咲世子さん、抜かりないですね」
ナナリー「咲世子さん!?咲世子さん!!」
ルルーシュ(だが…いくつか疑問は残る)
ルルーシュ(カレン…紅月カレン…本当に剃っているのか?)
ルルーシュ(あれほどブリタニアに憎悪を抱く奴のことだ…
周囲に会話をあわせただけの可能性がある)
ルルーシュ(それに、なぜ日本人は処理しないのかという部分は解決していない)
ルルーシュ(これは、もっと多くのサンプルから情報を集める必要があるな…)
C.C.「なんださっきから難しい顔をして…辛気臭い。ピザがまずくなる」
ルルーシュ「…」
C.C.「どうした人の顔をじっと見て…さては私に惚れたか?」
ルルーシュ「…お前はジャングルだろうな」
C.C.「!?」
ゼロ「…というわけで、今日の議題は下の毛についてだ」
ディートハルト「ほほう…ブリタニア人の私から見ても、なかなか興味深い問題ですな?」
ラクシャータ「ちなみに私はちゃんと処理してるわよぉ?」
藤堂「ふむ…流石は月下の開発者といったところか…」
千葉「…藤堂さん!?」
扇「…」
扇(そういえば千草も不思議がってたな…)
カレン「…」ブルブルブル
カレン(まさか…ルルーシュ…?い、いやでも…)
C.C.「…」スッ
C.C.「くだらん…私は帰るぞ」
カレン「ちょ、ちょっとC.C.…」
ゼロ「放っておけカレン。C.C.はジャングルだ。髪も緑だし」
C.C.「!?」
カレン「そ、そうですか…」チラッ
C.C.「ち、違う!!」
扇「だがゼロが言うんだ。間違いはないだろう」
ディートハルト「実際にジャングルを散策したであろうゼロの証言です。信憑性は高いでしょうね」
C.C.「散策などされてない!ちゃんと伐採している!!」
藤堂「…」
ゼロ「聞こう」
藤堂「先ほどから聞いていると、ゼロはジャングルに否定的ようだが」
ゼロ「あぁ、事実、私は下の毛に関してはその存在自体が不要と考えている」
藤堂「…聞き捨てならんな」
ゼロ「…ほう?」
千葉「と、藤堂さん…」
笑っちまったわ
が、実際は自身が清潔にしていれば問題は無い。これは理解できるはずだ」
ゼロ「あぁそうだ。だがイメージへ反抗するのであれば、
元を断ってしまえば済む話ではないのか?
いつ爆発するか分からないものを、わざわざ未処理のまま残す必要は無いはずだ」
ディートハルト「確かに。もともと不要なものですし、いっそのこと剃ってしまえばメリットも多い。
そうまでしてジャングルを残すのは…やはりブリタニアに属するつもりは無いという
意思の表れでしょうか?」
藤堂「…それもある」
カレン「えぇ…あるんだ…」
ゼロ「どういうことだ?」
藤堂「…神楽耶様」
神楽耶「はい?」
藤堂「失礼ながら、神楽耶様は既に生えておられますね?」
扇「!?」
ディートハルト「!!」
ゼロ「藤堂!!貴様!!」
藤堂「…神楽耶様」
ゼロ「愚かな…神楽耶様が生えているなど」
神楽耶「もちろん生えてますわ」
ゼロ「かっ…!?」ガターン
団員の事をもっと知るのも、重要な戦略の一つだろうが!!
むしろ生えていないほうがおかしいのだ」
神楽耶「えぇ、わたくしはもう子供も生める年齢ですもの」
ゼロ「し、しかし…いや、だからといって…そうだ、処理のほうは…!」
神楽耶「しておりません。原生林です」
藤堂「だそうだ」
ゼロ「うおおおぉぉう!?」ガタッガッシャアァァ
カレン「ゼロ!?」
藤堂「無論、下の毛の重要性について貴殿に理解してもらう。ゼロ、想像してみてくれ。
この、一見幼げで発育の遅い神楽耶様が、その衣の下…
下半身は十分過ぎるほどの発育を遂げている黒い茂みが広がっている、その様を…」
ゼロ「…」
ゼロ「……」
ゼロ「………ふむ」
神楽耶「…ゼロ様がお嫌でしたら、すぐにでも処理いたしますけれど…///」
ゼロ「いえ………アリかもしれないな」
藤堂「さすがはゼロ。理解が早くて助かる」
ゼロ「うむ」
カレン「私!?」
藤堂「紅月といえば、その紅蓮にも似た燃える様な赤毛を生やしている…」
ゼロ「ふむ…」
カレン「い、いや!剃ってます!剃ってます私!!」
藤堂「と思いがちだが、実際のところは同年齢の女子よりもいささか毛が薄いことを気にしている」
ゼロ「…!!」
カレン「は!?」
その実、下の毛が薄いことが悩みなのだ。
ゼロ「そうか…そういうことかカレン!!」
カレン「い、いや…なんで…そんなっ…こと、な、悩んでないですよははは…!?」
藤堂「そのコンプレックスのおかげで、学園では級友達との着替えも満足にままならぬ…
自分の身体は、どこかおかしいのだろうか?と…」
ゼロ「なるほど…誰かに相談しようにも、デリケートな話だ。
一人で抱え込んで悩んでしまっているわけだな?」
藤堂「そういうことだ」
カレン「なっ…え、え!?」
ゼロ「うむ…どうやら、この黒の騎士団…いや日本においては下の毛は必要不可欠だと感じる」
藤堂「ゼロ…」
ゼロ「感謝するぞ藤堂!」バサァ
藤堂「フ…例には及ばぬさ…」
ガッシ
カレン(い、いやああぁぁ!いやあああぁぁぁぁ!!)ガタガタガタ
井上「え!?あ、えー…いや、生やしっ放しじゃ無いけど…」
ゼロ「うむ、整える程度にしておけ。ミニスカで色気たっぷりお姉さんタイプのお前は少し濃い目が望ましい」
井上「りょ、りょうかい…」
ラクシャータ「えぇ~?じゃあ私も生やさなきゃ駄目?」
ゼロ「いや…インド系エロ女医の貴様は現状維持で構わない」
ラクシャータ「うふ。りょうか~い」
ゼロ「千葉!!」
千葉「は、う、え…!」
ゼロ「千葉、お前はどうなのだ」
千葉「え、えぇ…もちろん私m
藤堂「千葉は私が命じて剃らせている」
ゼロ「…なんだと!?」
千葉「とうどうさあああぁぁん!?」
藤堂「何が別だというのだ。すべては下の毛という存在があっての事だ」
ゼロ「何…!?」
千葉「と、藤堂さん!い、いやあn」
藤堂「年齢的に、存在すべきものが存在しない。そのギャップ、違和感、羞恥。
それを見据えての私の決断だ」
ゼロ「なん…なんという…藤堂!奇跡の藤堂!!」
藤堂「フ…奇跡、か…私にはもったいない言葉だ」
カレン「千葉さん…///」チラ
千葉「い、いや違うんだ紅月、これは違うんだ紅月!」
藤堂「まぁ、流石に本人は嫌がったが初回は私自らg
千葉「っ!?わああああああぁぁ!!わああああああああああああぁぁ!!!」
ディートハルト「えぇ、良い情報が集まりましたよフフフ」
扇「ゼロ、男連中は…」
ゼロ「男の下の毛の話など知らん。好き放題に生やしておけ」
扇「あ、あぁ…」
玉城「あ、俺ついこないだ剃ったぜ?」
ゼロ「玉城…私の話を聞いていなかったのか…?」
玉城「まぁ聞けって!!ゲットーの行きつけの店の嬢ちゃんから聞いたんだけどよ!!」
カレン「さいってー…」
玉城「剃っちまった方がでっかく見えるんだってよ!いやーそれ聞いてから俺はよう…」
扇「…」
藤堂「…」
仙波「…」
卜部「…」
朝比奈「…」
藤堂「私もだ」ガタ
ゼロ「うむ、分かっている。では、本日はこれにて解散とする」
C.C.「まったく…かわいいな男というのは…」
ガタガタガタ
千葉「藤堂さん」
藤堂「千葉か、すまないが急用が」
千葉「藤堂さんは、私が」ガッシ
藤堂「…!?」
カレン「…」
ゼロ「カレンか、どうした?」
カレン「あの…私、剃っちゃったんですけど…昨日…無くても変わんないと思って…」
ゼロ「そうか…そうだったか…」
カレン「で、でも!ゼロが望むのであれば…また生やします!!必要があれば濃くします!!」
ゼロ「ふ…どうだろうな?」
カレン「…え!?」
ゼロ「カレン…君の下の毛の有無には、私はこだわるつもりは無い…」
カレン「あ、あの…それはどういう…?」
ゼロ「下の毛…その存在が大元にある限り、な…
話はここまでだ!カレン!今後も私のために悩み、尽くせ!」
カレン「え、え!?い、いやあのっ!は、はいぃ!!///」
C.C.「まったく…馬鹿ばかりだな」
ゼロ「黙れ密林」
カレン「熱帯雨林は黙ってて」
C.C.「あまぞんじゃない!!湿度もそんなに高くないぞ!!」
・
・
スザク「…」
ユフィ「…?どうしたのですかスザク?」
スザク「ユーフェミア皇女殿下…」
ユフィ「ふふ、今は二人きりです。友人として接してくれて構いません」
スザク「う、うん…ユフィ…」
ユフィ「それで、なんだか暗い顔をしてますけど…?」
スザク「うん…下の毛の話なんだけど」
ユフィ「!?」
スザク「うん…ですから皇女殿下、やはり私のようなジャングルが騎士になるなど…」
ユフィ「それは違います、スザク」
スザク「…え?」
ユフィ「あなたのジャングルは、日本人の証、誇りなのでしょう?」
スザク「え?いえ…別n
ユフィ「そうであるならば、そのジャングルに恥ずべきことなど何も無いではありませんか。
そして、自身が日本人であることを誇ってください。
そんなあなたに、私のジャングル騎士になってもらいたいのですから!」
スザク「え、あ、はい…イエス、ユアハイネス…」
カレン「おう!!」
扇「出た!コーネリアだ!白兜も側面からそっちに行った!」
ゼロ「出たなジャングル!コーネリアもジャングルに決まっている!!」
カレン「ゼロ!ジャングルは私が抑えます!!」
ゼロ「どっちのジャングルだ!?」
カレン「白ジャングルです!!」
ゼロ「任せるぞ!!」
カレン「はい!!!!」
扇「俺らは自信がついたんだよ!」
玉城「おう!これならブリキの連中にも負けるわけがねえんだよ!!」
扇「千草も大喜びだ!!」
スザク「どういう…ッ!?」
カレン「死ね!ジャングルウウウゥゥ!!」ガッシャアァ
スザク「…ぐっ!?赤い機体…目に見えて動きが違う!?」
カレン「私はもう悩まない!このうっすら草原が私だ!!」
カレン「縮れろおおぉぉ!!」
スザク「も、もう縮れて…うわあああぁぁッ!!」ドゴー
ゼロ「来たかコーネリア!!いや、ジャングル!!」
コーネリア「ジャングル!?」
ゼロ「コーネリア!!女としてあるよりもまずよりも軍人然とした貴様のことだ…下の毛の処理など怠っているのだろう!?」
コーネリア「なんだいきなり!?」
ダールトン「殿下!?」
ギルフォード「こ、コーネリア殿下!?ジャングルなのですか!?」ガクガクガク
コーネリア「ギルフォード!?機体がひどく揺れているぞ!?」
ダールトン「すごい縦揺れだ…!!」
ギルフォード「ダールトン将軍…!!いやしかし…しかし想像が、想像が容易でそれが逆にぐあああぁぁ!!」ドゴー
コーネリア「自爆!?というかジャングルではない!!失礼なぁ!!」
ゼロ「ふはは!ジャングルではないと?では今ここで証拠を見せてもらおうか?」
コーネリア「できるわけあるか!!」
ギルフォード「ひ、姫さ…ザザッまっ…ザァッ…モニターザッ…越しでザー
かまザッザー…いませんからザザー…か、確認ザザザ…」
コーネリア「通信がまったく途切れていないぞギルフォード!?」
ギルフォード「そんなザーことないでザザーすザー」
ゼロ「ふはははは!!!ふはははははは!!!!」
コーネリア「お、おのおぉれええぇゼロオオオォォ!!」
『馬鹿な…!!ジャングルだろうが無かろうが貴様なんぞに見せるか!!』
『ではザーわたしがザーザー姫様のザージャングルフィーバーを確認しますのでザッザー』
『ジャングル!!では!!ない!!!!』
『はじけろジャングル!!』
『くそ…!!まさかコーネリア総督もジャングル…いったっ!いたたたた毛が!巻きこんでる!?』
『いまだぁ!!』ドゴー
『いたたたたいたたたいいぃ!やめてぇ!』ブチブチ
オペ「総督のジャングル疑惑に全軍に混乱が生じております!!」
ユフィ「そんな…こんな根も葉もない話で…!!」
ユフィ「…仕方ありません!」
ユフィ「全軍に…いえ、黒の騎士団にも繋がるようにオープンチャンネルを開いてください!!」
・
・
・
スザク「ユーフェミ…いた、いたた」
カレン「なんだ…?」
・
・
・
ゼロ「ユーフェミアか?フ、今更どんな言葉を吐いたところで…」
コーネリア「…ユフィ、ま、まさか…」
ゼロ「…?」
ユフィ『ユーフェミア・リ・ブリタニアが宣言致します!!
エリア11総督、コーネリア・リ・ブリタニアは…』
コーネリア「!?…ユフィ!!ユーフェミア!!や、やめろおおぉぉ!!!」
ゼロ「…!?まずい!!ディートハルト!聞こえるか!今すぐ全配信を…」
ユフィ『下の毛は一切生えておりません!!天然無毛です!!』
カレン「…!?」
スザク「…!?…いっ!?いたっ!いたったったったぁ!!」ブチブチブチ
ディートハルト「…!?…しまったぁッ!!その手があったか!!」
ゼロ「なんっ…だと…!?くそっ…やられたっ!…おのれコーネリアアァァ!!」
コーネリア「あああああああ!!ゆふいいぃぃぃ!!いやああぁぁぁ!!」
ギルフォード「オール!ハイル!ブリタァーニア!!」ガクガクガクガク
ユフィ『あと行政特区日本の設立を宣言致します!!』
ユフィ「…ゼロは、来て下さるでしょうか?ねぇ、お姉さま?」
コーネリア「うん…そうだね…」
ユフィ「お姉さま…申し訳ありません、私が…あの時…」
コーネリア「うん…もういいよユフィ…うん…」
ユフィ「お姉さま…」
ギルフォード「オール!ハイル!ブリタァーニア!!」
スザク「オール!ハイル!ブリタァーニア!!」
キィーン
ユフィ「あ!あのナイトメアは!!」
ゼロ「…ガウェインでの来場、ご無礼お許しください。皇女殿下」
コーネリア「うん…べつにいいし…」
ゼロ「…」スポ
スザク「…やはり」
ユフィ「ルルーシュ!」
ルルーシュ「…久しぶり、ユフィ」
コーネリア「…」
ルルーシュ「姉上…お久しぶりです」
コーネリア「あぁ…ルル…久しぶり…」
ルルーシュ「はい。ですが、私が演じるゼロも今日限りです」
コーネリア「…?」
ルルーシュ「この仮面は、私よりあなたこそがふさわしい…」スポ
ゼロ「え…?」
ルルーシュ「下の毛ゼロの…コーネリア、あなたこそが!!」
ゼロ「え…」
ルルーシュ「これが!ブリタニアと日本の新しい形であると!!」
ユフィ「そう…下の毛ゼロ…いえ、ムダ毛ゼロのエリア11総督、コーネリア・リ・ブリタニアの元!」
ユフィ「本日、行政特区日本の設立が、今このとき誕生いたします!!」
うおおおおおおおおおおおおおおおぉぉ!!
ゼロ「…う、うっ…やめて…」グスッ
ギルフォード「オール!ハイル!コーネリア!!」
スザク「オール!ハイル!コーネリア!!」
オール!ハイル!コーネリア!!
オール!ハイル!コーネリア!!
オール!ハイル!コーネリア!!
スザク「ルルーシュ…いや、これからが始まりだよ」
ルルーシュ「フ…そうだな…」
スザク「ルルーシュ、僕、剃ったよ」
ルルーシュ「そうか…俺は少し生やした」
スザク「そっか…ふふ、毛の巻き込みには気をつけてね?」
ルルーシュ「そうだな、ハハハ…」
スザク「下の毛は違うけど…僕たちは」
ルルーシュ「あぁ…スザク、俺たちは、親友だ」
スザク「…あぁ!」
ガッシ
ゼロ「…うぅ、ひっく…ぐすっ」
コードギアス~無毛皇女コーネリア・リ・ブリタニアの軌跡~
おわり
深夜になんて酷いものを見せてくれたのだ
少し、剃ってみるか
Entry ⇒ 2012.09.18 | Category ⇒ コードギアスSS | Comments (0) | Trackbacks (0)
ルルーシュ「俺を慰めろ」カレン「よしよし、良く頑張ったね」
カレン「満足した?もう一度ゼロを演じてよ。ナナリーを取り戻すんでしょ?!リフレインなんかに逃げないで!」
ルルーシュ「違うな。間違っているぞ」
カレン「何が?」
ルルーシュ「女ならできることがあるだろ?」
カレン「……わかった。なら、アジトに戻ってきてよ。私の自室でするから」
ルルーシュ「え?」
カレン「え?」
カレン「ここでって、できるわけないでしょ」
ルルーシュ「何を言っている」
カレン「ルルーシュこそ」
ルルーシュ「いいから、ここでするんだ」
カレン「そんな無理だって。外なのに」
ルルーシュ「関係ない」
カレン「どうしても外じゃないとダメ?」
ルルーシュ「いや……。今、アジトに戻りたくないだけだ。ナナリーのことでどうしていいかわからないからな」
カレン「ルルーシュ……。じゃあ、こうしよう」
ルルーシュ「なんだ?」
カレン「近くのホテルに行きましょう。そこでするから」
ルルーシュ「ホテルだと……?」
ルルーシュ「いや……。そこまでは求めてない」
カレン「えー?」
ルルーシュ「お前は恥ずかしくないのか?」
カレン「慰めて欲しいんでしょ?」
ルルーシュ「……別に」
カレン「どっちなの?」
ルルーシュ「いや、冗談で言っただけで……」
カレン「なら、ゼロとして戻ってきてくれるわけね?」
ルルーシュ「それも……まだ、決心がつかない……」
カレン「ルルーシュ……」
ルルーシュ「悪いがカレン。一人にしてくれ……」
カレン「なによ!!いつもみたいに作戦練ればいいだけじゃない!!私を駒として使えばいいでしょ?!スパイでもなんでもするから!!」
ルルーシュ「……」
カレン「最後までゼロを演じきってみせなさいよ!!」
カレン「そうね……。これ以上、期待するのは馬鹿みたいだもんね」
ルルーシュ「……」
カレン「さようなら」
ルルーシュ「……」
ルルーシュ(俺は……)
ロロ「兄さん」
ルルーシュ「ロロか。そういえばお前は俺の監視役だったな。忘れていたよ」
ロロ「やめればいい」
ルルーシュ「……」
ロロ「辛いなら、ゼロの仮面を脱げばいい。僕は……僕だけはずっと兄さんの傍にいるから……」
ルルーシュ「ロロ……」
カレン「待て!!」バッ!!
ルルーシュ「え?」
カレン「私の名はゼロ!!世界を壊し、創造する男だ!!ふははは!!―――どう、思い出した?どれだけ自分がかっこよかったのかを」
カレン「アンタは……ロロだっけ」
ロロ「兄さんは今、辛い思いをしているんです。よくそんな非道なことができますね」
カレン「私はルルーシュにどれだけゼロってキャラが素晴らしかったのか客観的に見て欲しくて……」
ロロ「ただ迷惑なだけです!!」
カレン「そんな……」
ルルーシュ「カレン」
カレン「ルルーシュ。ゼロはかっこよかったよ」
ルルーシュ「お前にとっては……だろう?」
カレン「違う!!」
ルルーシュ「下手な慰めはよせ」
ロロ「さ、行こう。兄さん」
カレン「待って!!ルルーシュ!!戻ってきてよ!!」
カレン「どういうこと?」
ロロ「兄さんを慰めるのは僕の役目です」
カレン「あんたにできるわけないでしょ」
ロロ「できます。僕は弟ですから」
ルルーシュ「……」
カレン「ルルーシュ!!ゼロの仮面は誰がつけるのよ!?あんた以外にあれは付けられないのに!!」
ルルーシュ「ゼロは……もう……」
カレン「ルルーシュ……本気なの……?」
ロロ「もういいじゃない。ゼロが死ねばエリア11は平和になる僕たちも幸せに暮らせるんだ」
カレン「そんなの……」
ルルーシュ「じゃあ……」
カレン「ルルーシュ!!ホテルに行きましょう!!そこで慰めてあげるから!!もう一度、ゼロに!!」
ロロ「何を言っているんだ!?僕がそんなこと許すわけないでしょう?!」
カレン「あんたは黙っててよ!!」
ロロ「兄さんを慰めるのは僕の役目です。女の貴方には何もできない」
カレン「は?」
ロロ「僕が優しく……兄さんを慰めるから……ね?兄さん?」
ルルーシュ「……」
カレン「ルルーシュ……妹より弟がいいの?」
ルルーシュ「いや……そういうことは……」
ロロ「兄さん!!女のほうがいいの!?」
カレン「ルルーシュ!!そうなの?!」
ルルーシュ「いいから、一人にしてくれ……」
ロロ「じゃあ、僕が兄さんの傍にいるよ」
カレン「ゼロの側近は私なの。邪魔しないで」
ロロ「あなたは……」
ルルーシュ「片方に絞れということじゃなくてだな……」
カレン「できないって言ってるでしょ?」
ロロ「女々しい人ですね」
カレン「なっ……!!」
ルルーシュ(ナナリーは今頃、どうしているのか……)
ロロ「そもそも貴方、どうやって兄さんを慰めるつもりなんですか?」
カレン「どうって、勿論手料理を振舞ったり、お風呂で背中を流したり、マッサージをしてあげたりするんだけど」
ルルーシュ「……」
ロロ「あははは」
カレン「何がおかしいのよ?!」
ロロ「発想が幼稚ですね」
カレン「なんだって?!」
ロロ「そんなことで兄さんが癒されるとでも思っているの!?」
カレン「うんっ!!!」
ルルーシュ(カレン……)
ルルーシュ「え……」
カレン「そうなの?」
ルルーシュ「俺が思っていたのとは……違うな……」
カレン「ああ、そっか。大丈夫だから、安心して」
ルルーシュ「何がだ?」
カレン「ご飯のときは食べさせてあげるから。ちょっと……恥ずかしいけど……」
ルルーシュ「……」
ロロ「女々しいのに加えて卑しいとは……。救いがありませんね」
カレン「そういうアンタはどう慰めるつもりなの?」
ロロ「僕ですか?僕は貴方の違って、兄さんが喜ぶことをしてあげるつもりです」
カレン「喜ぶこと?」
ロロ「一緒に寝ます。勿論、僕は全裸になって」
ルルーシュ「……」
カレン「一緒に寝る……それも裸で……?」
ルルーシュ「どうして……そうなる……」
カレン「裸で寝ると……癒されるの……?」
ロロ「少なくとも兄さんは悦びます」
ルルーシュ「おい」
ロロ「兄さん。さあ、帰ろう。僕が何でもしてあげるから」
ルルーシュ「……」
カレン「ま、待って!!」
ルルーシュ「カレン?」
ロロ「しつこいですよ」
カレン「水着までならいいから!!」
ルルーシュ「……」
カレン「水着で一緒に寝る!!それでどう!?」
ロロ「話になりませんね」
カレン「アッシュフォード学園指定の水着しか手元にないけど、それじゃあダメ?」
カレン「水着で料理も作るし、マッサージもしてあげる!!」
ルルーシュ「……」
ロロ「いい加減にしてください。まだ、分からないのですか?」
カレン「何が……」
ロロ「兄さんは別に裸が見たいわけじゃないんです」
カレン「え……」
ロロ「僕の裸だから、癒されるんです」
カレン「どういうこと?!」
ロロ「女性の醜い体なんて目の毒です」
カレン「これでも……スタイルには少し……自信あるけど……」
ロロ「関係ありませんよ。ね?兄さん?」
ルルーシュ「……」
カレン「何がダメ?胸が足りないとか……?」
ルルーシュ「いや……」
カレン「そんなことやってみないとわからないでしょ!?」
ロロ「分かりますよ」
カレン「どうして……」
ロロ「僕は兄さんと何度も一緒にお風呂に入っています」
カレン「そ、それが……?」
ロロ「そのとき、兄さんはいつも僕の体を凝視していますから」
カレン「どうして凝視するの?」
ロロ「少し考えれば分かるでしょう?―――兄さんは僕の体を狙っているということが」
カレン「それって……」
ロロ「兄さんは僕が好きなんです。好きな人と一緒に寝る。それ以上の癒しはないと思いますけどね。しかも、全裸ですし」
カレン「ルルーシュ……そうなの……?」
ルルーシュ「いや、ロロの勘違いだ」
ロロ「兄さん、照れなくてもいいのに」
カレン「このままじゃ……負ける……。私が負けたら……ゼロは戻ってこなくなる……」
ルルーシュ「待て。俺にそんな趣味はない」
ロロ「気にしなくてもいいんだ。僕たちは本当の兄弟じゃないし……」
ルルーシュ「あのな……」
カレン「わ、わかった!!」
ロロ「もう、なんですか?」
カレン「し、下着姿でご飯作る!それなら!!癒されるでしょ?!」
ルルーシュ「……」
ロロ「ただの痴女に成り下がりましたね」
カレン「そ、そんなつもりは……!!」
ロロ「兄さん。相手にするだけ無駄だから、行こう」
カレン「なら、体操服!!」
ロロ「黙れ」
カレン「水着の上から体操服を着るっていうのはダメ!?」
ロロ「この雌犬……!!兄さんを誑かすな……!!」
ルルーシュ「……」
ロロ「無理ですってば。女の貴方では」
カレン「女だからって甘く見るな。私にだって出来ることはあるって、ルルーシュは言ったんだ」
ロロ「兄さん、そうなの?」
ルルーシュ「あ、ああ……」
カレン「女ならできることがあるだろって言ったから……私は、できることを探すだけだ」
ロロ「……でも、僕には逆立ちしたって敵いませんよ?」
カレン「ど、どうして……」
ロロ「何度も言っているでしょう?僕は男の子で貴方は女。差は歴然としています」
カレン「でも、慰めるのに男も女も関係ないと思うけど」
ロロ「じゃあ、貴方は子猫や子犬が傍に来て慰めてくれるのと、ゴキブリが傍に来て慰めてくれるのに差は無いというのですか?」
カレン「そんなの極端すぎる!!」
ロロ「兄さんにとってみれば、それぐらいの差だと言っているんです」
ルルーシュ「ロロ……やめろ……」
ロロ「あれって?」
カレン「耳」
ルルーシュ「耳だと?」
カレン「猫の耳。ほら、前ミレイ会長にもらったやつがあるから」
ルルーシュ「……」
ロロ「ここまで浅ましいと尊敬すらしますよ」
カレン「え?じゃあ、犬のほうがいい?」
ロロ「何を言っているんですか?」
カレン「だって、このままの私が害虫っていうなら、子犬や子猫に近づくしかない」
カレン「近づくためには……まずは形からがいいと思うし……」
ロロ「安直な考えですね……。兄さん、もう行こう。今日こそは僕の貞操を―――」
ルルーシュ「カレン」
カレン「な、なに?」
ルルーシュ「尻尾はあるのか?」
ルルーシュ「犬の尻尾だ」
カレン「えっと……用意しないとダメだけど」
ルルーシュ「そうか。ミレイ会長に頼んでみよう。犬のアクセサリー一式ぐらい持っているだろう」
ロロ「兄さん!!何を言っているの?!」
ルルーシュ「なんだ、ロロ。まだ居たのか」
ロロ「兄さん、この女に騙されているんだよ?!わからないの?!」
ルルーシュ「カレン」
カレン「は、はい」
ルルーシュ「犬の耳と尻尾をつけて、水着の上から体操服の上着だけを着用する。間違いないか?」
カレン「う、うん……」
ルルーシュ「そして手料理を作り、食べさせてくれる。そのあとは風呂で背中を流し、マッサージもする。そうだな?」
カレン「うんっ」
ルルーシュ「よし」
ロロ「兄さん!!よし、じゃないよ!!何言ってるの!?」
ルルーシュ「ああ。なる。最高の癒しだ」
カレン「もう一度……ゼロになってくれるの?」
ルルーシュ「そこまでの忠義を見せられては、やらないわけにはいかないな」
カレン「やった!!」
ルルーシュ「ただし!!カレンの対応次第では俺は機嫌を損ねるかもしれない。そうなったときは俺はゼロに戻れないだろうな」
カレン「そんな……!!」
ルルーシュ「お前の奉仕に全てが掛かっている。期待している」
カレン「わかった。可愛い犬になってみせる」
ルルーシュ「よし」
ロロ「兄さん!!」
ルルーシュ「消えろ」
ロロ「僕ならもっと犬になれるよ」
ルルーシュ「……」
ロロ「耳は勿論、尻尾はあそこに直接差し込むから。リアリティを出す為にね」
ロロ「こんな万年発情している雌犬なんかより、僕のほうがいいと思うけど?」
カレン「だ、だれが発情してるって?!変なこといわないで!!」
ロロ「それに僕は今からでも犬になれるよ?」
ルルーシュ「どういうことだ?」
ロロ「くぅ~ん」
ルルーシュ「……」
ロロ「わんっ!わんっ!」
カレン「わ、私だって!!」
ルルーシュ「待て、カレン」
カレン「え……」
ロロ(ふっ……勝った……)
ルルーシュ「ロロ。中々の犬っぷりだな。気に入ったぞ」
ロロ「ありがとう、兄さん」
カレン「待ってよ!!ルルーシュ!!私も犬になるから!!私の犬っぷりを見てから判断して!!お願い!!」
ロロ「くぅ~ん」
カレン「わんわんわんわんわんわん!!!!」
ロロ「うるさい雌犬だね、兄さん?」
ルルーシュ「さて、ロロ。お前がどこまで犬なのかテストをしたい」
ロロ「いいよ。なんでも言って」
ルルーシュ「このコインを遠くに投げる。それを拾って来い」
ロロ「簡単だよ」
ルルーシュ「じゃあ行くぞ。―――さぁ!!探して来い!!!」
ロロ「うんっ!!」ダダダッ
カレン「わ、私もぉ!!!」
ルルーシュ「カレン!!」
カレン「私も犬になるからぁ!!」
ルルーシュ「行くぞ」
カレン「え……どこに?」
カレン「お邪魔します」
ルルーシュ「今はゆっくりしていろ。咲世子さん」
咲世子「はい。なんでしょうか?」
ルルーシュ「用意してほしいものがあるんですが」
咲世子「なんなりと」
ルルーシュ「このメモに書かれているものを揃えてきてもらえますか。ミレイ会長に言えばすぐに手に入るはずなんで」
咲世子「犬耳、犬の尻尾、首輪、肉球グローブ……」
ルルーシュ「頼みました」
咲世子「これは2セット必要ですか?」
ルルーシュ「いいや。1セットでいいです」
咲世子「そうですか」
ルルーシュ「なるべく早く頼みます」
カレン「……」
ルルーシュ「今、飲み物でも出そう」
ルルーシュ「どうした?」
カレン「え……あ……なんか、緊張してきて……」
ルルーシュ「お前から言い出したことだろうが」
カレン「そ、そうだけど」
ルルーシュ「早く着替えてこい」
カレン「うん……あ、ルルーシュ?」
ルルーシュ「なんだ?」
カレン「お風呂借りてもいい?」
ルルーシュ「なぜだ?」
カレン「ほら……えっと……水着になるからには……色々……」
ルルーシュ「色々なんだ?」
カレン「だから……処理……とか……」
ルルーシュ「なんの処理だ?」
カレン「ああ!!もう!!なんで察してくれないのよ!?」
カレン「うん……じゃあ、行って来ます」
ルルーシュ「行ってらっしゃい」
ルルーシュ「……」
ピリリリ
ルルーシュ「はい?」
ロロ『兄さん!!今、どこにいるの?!』
ルルーシュ「……」
ロロ『コインみつけたよ!!わんわ―――』
ルルーシュ「……」ピッ
咲世子「ルルーシュ様」
ルルーシュ「早かったですね、咲世―――」
咲世子「ワン」
ルルーシュ「何をしている……?」
咲世子「こういうプレイではないのですか?首輪が少し息苦しいですが、我慢できないほとではありません」
咲世子「はい?私では犬になれませんか?」
ルルーシュ「俺は咲世子さんにそういうことを求めてない」
咲世子「くぅん」
ルルーシュ「外してください」
咲世子「しかし」
ルルーシュ「なんですか?」
咲世子「私の忠誠心を示すいい機会だと思ったのですが」
ルルーシュ「わかった。分かりました。咲世子さんは猫のほうでお願いします」
咲世子「猫ですか」
ルルーシュ「ええ」
咲世子「わかりました」
ルルーシュ(咲世子め……どこまで天然なんだ……!!)
咲世子「では、猫セットを拝借してきます」
ルルーシュ「お願いします」
ルルーシュ「そうか。では、これを付けろ」
カレン「うん」
ルルーシュ「……」
カレン「どうだワン?なんちゃって……」
ルルーシュ「こっちにこい」
カレン「なに?」
ルルーシュ「……」ナデナデ
カレン「あの……ルルーシュ?」
ルルーシュ「では、まずは料理を作ってもらおうか」
カレン「わかった」
ルルーシュ「違うだろ?」
カレン「え?」
ルルーシュ「語尾にワンをつけろ」
カレン「わ、わかった、ワン……」
ルルーシュ「……違うな」
カレン「え?」
ルルーシュ「ご主人様だろ」
カレン「……ご、ご主人様。タマゴはどこだワン?」
ルルーシュ「左のほうにないか?」
カレン「あ。あった」
ルルーシュ「で、何をつくる?」
カレン「日本食。ごはんと焼き魚とお味噌汁と卵焼き」
ルルーシュ「……」
カレン「それしかできなくて……ごめん、ワン」
ルルーシュ「いや……構わない」
カレン「ありがとう」
ルルーシュ「ふははは」
咲世子「ルルーシュ様、ただいま戻りましたニャァ」
咲世子「ルルーシュ様のご奉仕するニャン」
ルルーシュ「咲世子さん」
咲世子「ニャン?」
ルルーシュ「楽しいですか?」
咲世子「ええ、とっても」
ルルーシュ「なら、いいんですが。俺は強要していませんからね?」
咲世子「勿論ですニャア」
カレン「ルルーシュ……じゃなくて、ご主人様。ごはんはすこし固いほうがいい?それとも柔らかいほうがいい?」
ルルーシュ「そういうのはよくわからない。お前に任せる」
カレン「文句言わないでよ?」
カレン「ワ、ワン」
ルルーシュ「とにかく作れ」
カレン「うんっ」
ルルーシュ(味付けなどどうでもいい。問題は食べるときなんだよ、カレン……!!)
ルルーシュ「ええ」
咲世子「では、私も作りますニャァ」
ルルーシュ「いい。座っていてください」
咲世子「どうしてですかニャ?」
ルルーシュ「咲世子さんは今回、関係ないからです」
咲世子「ニャァ……ルルーシュ様、ニャンでそんなことをいうのですか?」
ルルーシュ「……」
咲世子「私の仕事を奪わないでくださいニャ」
ルルーシュ(ちぃ……面倒だな……咲世子め……)
ルルーシュ(そうだ)
ルルーシュ「……」ゴソゴソ
咲世子「ルルーシュさま?」
ルルーシュ「ほーら、ねこじゃらしだ」
咲世子「おぉ……」
咲世子「ニャニャニャニャ!!」
ルルーシュ(これで時間を潰すか)
ピリリリ
ルルーシュ「はい?」
ヴィレッタ『ルルーシュ……か?』
ルルーシュ「どうしました?」
ヴィレッタ『今、どこにいる?』
ルルーシュ「……」
ヴィレッタ『答えろ』
ルルーシュ(ロロが居るな……ならば……)
ルルーシュ「自分の部屋ですよ」
ヴィレッタ『そうか、わかった』
ルルーシュ「……」
カレン「ご主人様、できたワン」
カレン「なに?」
ルルーシュ「この場を離れるぞ」
カレン「ど、どうして?折角、作ったのに」
ルルーシュ「弁当箱につめろ」
カレン「そんなの見た目が悪くなるよ!」
ルルーシュ「いいから」
カレン「わ、わかったワン……」
ルルーシュ(少し予定よりは早いが、このタイミングで実行するか……くくく……)
咲世子「ルルーシュ様、どうかされたのですかニャ?」
ルルーシュ「ええ。ちょっとしたトラブルです。ところで咲世子さん」
咲世子「なんでしょうかニャ」
ルルーシュ「お願い事があります」
咲世子「なんなりと」
カレン「ちょっと、ルルーシュ!?」
ルルーシュ「ご主人様、だろ?」
カレン「いやいや!!それより、外はダメだって!!」
ルルーシュ「散歩が嫌いな犬とは珍しいな」
カレン「いや。だって私は……!!」
ルルーシュ「早く四つん這いになって歩け!!」
カレン「待って!!みんな見てるし!!」
ルルーシュ「誰もお前を紅月カレンとは思わない。安心しろ」
カレン「でも!!」
ルルーシュ「お前が犬になると言ったんだろうが!!」
カレン「家の中だけだと思ってたのに!!」
ルルーシュ「俺は箱入り娘として育てるつもりはない!!」
カレン「くぅ~ん……」
ルルーシュ「泣いても無駄だ」
「新しい部活じゃない?」
カレン(死にたい……)
ルルーシュ「さてと、カレン」
カレン「ワ、ワン」
ルルーシュ「食事にするか」
カレン「ワン」
ルルーシュ「……」
カレン「どうぞ」
ルルーシュ「食べさせてくれるのだろう?」
カレン「は、はい、あーん」
ルルーシュ「あー……」
シャーリー「カレン?」
カレン「げ……」
ルルーシュ「シャーリー?!どうしてここにいる?!」
どうして居ないと思ったw
ルルーシュ(くそ……この時間帯なら遭遇する可能性は低いと思ったのに……!!やはりロロの所為で予定が繰り上がったからか!!)
カレン「シャーリー……やばっ」
シャーリー「カレンでしょ?」
カレン「ワンワン?」
シャーリー「ワンワンじゃなくて」
カレン「ワォーン?」
シャーリー「ルル、どういうこと?!」
ルルーシュ「可愛いだろ?シュタットフェルトっていう犬種だ。とても頭がよく、人間以上の筋力を有している」
カレン「ワン!」
シャーリー「……」
カレン「ハッハッハッ」
シャーリー「ふざけないで!!」
カレン「キャンッ!?」
カレン「……くぅん」
シャーリー「こんなとこで犬の真似なんてして……」
ルルーシュ「まて、シャーリー。これは……」
シャーリー「ルルも!カレンのこと知ってるなら教えてくれてもいいじゃない!!」
ルルーシュ(ちぃ……ならば……)
ルルーシュ「言えるわけないだろう」
シャーリー「え?」
ルルーシュ「カレンはブラックリベリオンのときに、頭を強く打ってな、人間であることを忘れたんだ」
シャーリー「また、そういう嘘を吐く」
ルルーシュ「本当だ」
シャーリー「はいはい」
ルルーシュ「本当だからな」
シャーリー「……嘘だよね?カレン?
カレン「ワンワンワンワン」
カレン「ワン」
シャーリー「……嘘でしょ?」
カレン「ワンワン」
ルルーシュ「おて」
カレン「ワンッ」ポンッ
ルルーシュ「よしよし」
カレン「くぅ~ん」
シャーリー「……」
ルルーシュ「シャーリー、悲しいことだが……事実だ」
カレン(ごめん……シャーリー……そういうことにしておいて)
シャーリー「カレン……ちょっと待ってて!!」ダダダッ
ルルーシュ「シャーリー!!」
カレン「どうしたんだろう?」
ルルーシュ「まあ、いい。ランチの続きと行こうか、カレン」
ルルーシュ「……」モグモグ
カレン「どう?」
ルルーシュ「美味しいよ、カレン」
カレン「よかった……」
ルルーシュ「ふははは」
カレン「で、あの……ルルーシュ……ご主人様を慰めること、できた?」
ルルーシュ「まだまだだ」
カレン「そうなの?」
ルルーシュ「膝枕でもしてもらおうか」
カレン「どうしてよ?!」
ルルーシュ「お前は犬だろ?やれ」
カレン「……」
ルルーシュ「なら、ゼロには戻らない。次のゼロは誰になるのか、楽しみだな」
カレン「そんなこと言わないで……。はい、どうぞ」
カレン「……」
「なにあれ~」
「ルルーシュくんの恋人かな?すごいコスプレしてるけど」
「でも、膝枕してあげてる。いいな~。私もルルーシュくんに膝枕してあげたーい」
カレン(誰か私を輻射波動で殺して……)
ルルーシュ「カレン」
カレン「な、なに?」
ルルーシュ「お前の足。意外と柔らかいな。もうすこし筋肉質で寝心地が悪いと思っていたが」
カレン「そりゃどーも」
ルルーシュ「……」
カレン「変なところ触らないでよ?」
ルルーシュ「上を見上げれば、視界の半分はお前の胸だな」
カレン「変なとこを見るなぁ!!」
シャーリー「カレーン!!!おまたせー!!!」タタタッ
シャーリー「って、ルル!!何してるの!?」
ルルーシュ「大型犬を枕がわりにすること、あるだろ?」
シャーリー「ああ、うん。あるある!!ゴールデンレトリバーの大人しい子とかに体預けたくなるもんね!!」
ルルーシュ「それと一緒だ」
シャーリー「そっか」
カレン「ワンワン」
ルルーシュ「それより、どうした?」
シャーリー「あ、これこれ。カレンにつけてあげようと思って」
ルルーシュ「なんだそれは?」
シャーリー「知らない?バウリンガルってやつ」
ルルーシュ「犬の鳴き声を感知して文章を表示されるやつか」
シャーリー「きっとカレンも何か言いたいことがあると思うの」
カレン(えー……どうしよう……)
シャーリー「よし、できた。カレン、私のこと覚えてる?」
カレン「ワ、ワワンワン!!」
シャーリー「……」
『息、くせーんだよ』
シャーリー「カレン……そんな……私、ちゃんと食後に歯磨きしてるのに……」
カレン「ワンワン!!」
『しゃべりかけんな、ハゲ』
ルルーシュ「随分と口が悪いな」
カレン「ワンワン!!!ワンワン!!」
『もっと遊んで~♪』
シャーリー「やっぱり……ルルは特別なんだ……」
ルルーシュ「シャーリー……」
シャーリー「私のことは……覚えてないんだ……」
カレン「ワ、ワンワンワンワン!!」
『さようなら』
ロロ「兄さん!!コイン持ってきたよ!!」
ロロ「兄さん……?兄さんどこ?」
ルルーシュ「ロロ、おかえり」
ロロ「兄さん……」
ルルーシュ「これでお前は立派な忠犬だ」
ロロ「わんわんっ」
ルルーシュ「おいで。可愛がってやろう」
ロロ「兄さん、その頭のネコミミはなに?」
ルルーシュ「これか?これはお前の声が良く聞こえるようにするためだ」
ロロ「その尻尾は?」
ルルーシュ「尻尾でバランスを取っている」
ロロ「……首輪は?」
ルルーシュ「知らないのか?首輪がトレンドなんだぞ?」
ロロ(こいつ……咲世子だ!!)
ルルーシュ「どこに行くんだ、ロロ」
ロロ「咲世子だろ?」
ルルーシュ「何を言っている?」
ロロ「バレてるから」
ルルーシュ「一体なんの―――」
ロロ「……」キュィィィン
ルルーシュ「―――」
ロロ「変装しているんだろ……!!」バッ
咲世子「―――は?!」
ロロ「やっぱり」
咲世子「ばれてしまったニャ」
ロロ「もう少しで僕の純潔を咲世子に捧げるところだったよ」
咲世子「私の純潔はルルーシュ様のために取ってありますので、どう足掻いてもそれは実現しません」
ロロ「咲世子のくせに……!!」
咲世子「さぁ……それは私の口からは言えません」
ロロ「探しにいくか。きっと遠くには行ってないだろうし」
咲世子「させません」
ロロ「咲世子。どいて」
咲世子「できません」
ロロ「なら強引に―――」
咲世子「待ってください!!」
ロロ「……」キュィィィン
咲世子「―――」
ロロ「急ごう。あの雌犬が兄さんを襲ってしまう前に……」タタタッ
咲世子「―――しまった。追わないと!!」
咲世子「ルルーシュ様に叱られてしまう……!!」タタタッ
咲世子(それも悪くないですけど……)
『ファックユー』
シャーリー「カレン……」ウルウル
ルルーシュ「シャーリー、カレンはもう過去のことを忘れているだけじゃない。人間であることも忘れている」
シャーリー「そうだね……」
カレン「ワンワン!!ワンワン!!」
『アハハハハハハ!!!無様!!!』
シャーリー「……」
ルルーシュ「カレン……」
カレン「……違う!!こんなの嘘!!!」
シャーリー「え!?」
ルルーシュ「カレン!!」
カレン「しまった……つい……」
シャーリー「やっぱり……カレン、嘘だった―――」
ロロ「兄さん!!無事だったんだね!!」
シャーリー「あ、ロロくんだ」
ロロ「早くその雌豚から離れて、兄さん。そいつは危険だよ」
ルルーシュ(咲世子め……何をしている!!)
シャーリー「ロロくん、どうしたの?」
ロロ(兄さんを誘惑する者がもう一人……兄さんのために……消しておかないと)
ルルーシュ(ロロめ……何をする気だ……!!)
ロロ「……」
シャーリー「……ルル?」
ルルーシュ「なんだ?」
シャーリー「もしかして喧嘩?」
ルルーシュ「まあ、そんなところだ」
シャーリー「なら、ここは私に任せて。ルルはカレンを連れて生徒会室にでも行ってて」
ルルーシュ「シャーリー、なにを……」
シャーリー「今はロロくんと顔を合わせたくないんでしょ?なら、今は逃げるべきだよ」
シャーリー「あとでちゃんと聞かせてね、カレンのこと。約束だからね」
ルルーシュ「シャーリー……」
カレン「シャーリー!!待って!!!」
シャーリー「ロロくん。丁度よかった。あのね、手伝って欲しいことがあるんだけど、お願いしてもいいかな?」
ロロ「……」
ルルーシュ(どうする……このまま……だが、ロロが何を考えているかわからない以上、シャーリーを一人にさせるのは……!!)
カレン「ご主人様、どうするの?」
ルルーシュ「……」
シャーリー「ロロくん、もう聞いてるの?」
ロロ「……あなたも、兄さんを狙っているんでしょ?」
シャーリー「え?」
ロロ「……」キュィィィン
シャーリー「―――」
ロロ「まずは一人目」
ロロ「……はい?」
ヴェレッタ『やめろ。無闇に殺すな』
ロロ「この女は危険です。だから、消す。なんの問題があるんですか?」
ヴィレッタ『やめろ!!』
ロロ「ここで消しておくべきだ……!!!」
シャーリー「―――」
「―――まちニャさい!!」
ロロ「誰だ!?」
咲世子「篠崎流37代目、篠崎咲世子だニャ!!」
ロロ「屋根のところに。でも、あそこからじゃ何も―――」
咲世子「はっ!!」シュッ
ロロ「!!」バッ
咲世子「避けましたか」
ロロ「これは……ナイフ?」
ルルーシュ「―――はっ!」
ロロ「しまった……ギアスが……」
咲世子「とうっ!」
ロロ「咲世子……邪魔ばかりして……!!」
咲世子「ルルーシュ様!!カレンさんとシャーリーさんを連れて逃げてくださいニャ!!」
カレン「え?何が起こったの!?」
シャーリー「なに?え?咲世子さん?どうしたんですか、そのネコミミと尻尾」
ルルーシュ(ちぃ!!やはり、ロロがシャーリーに何か危害を加えようとしたのか……!!)
ルルーシュ「咲世子さん、ここは任せます!!」
咲世子「がってん承知しました!」
ロロ「兄さん!!」
咲世子「貴方の相手は私ですよ?」
ロロ「咲世子ぉ……!!」
咲世子「猫のように舞い、猫のように刺す」キリッ
咲世子「あなたのギアスはルルーシュ様から聞いています」
ロロ「……」
咲世子「近接戦闘になれば不利でしょうね」
ロロ「なら、諦めるんだ」
咲世子「そうはいきません。―――それでは失礼します!!」ボォン
ロロ「煙幕!?くそ!!咲世子!!どこだ!!」
咲世子「ここです」
ロロ「!?」
咲世子「ふっ!!」ドゴォ!!!
ロロ「ごっ?!」
咲世子「よし」
ロロ「くっ……そ……にい……さ……」
咲世子「さてと、粗大ゴミの日はいつでしたでしょうか……」
シャーリー「―――じゃあ、カレンが犬になってたのって……変装のつもりだったの?」
ルルーシュ「そう。どうしてももう一度、学園を見たいと言ってきてな。でも、今カレンは指名手配中だろ?」
カレン「犬の格好をすればきっとバレないって言うから……演じてみたワン」
シャーリー「なんで犬……?」
ルルーシュ「遊び心だ」
シャーリー「もう。別にそんなコソコソしなくていいじゃない」
カレン「え……?」
シャーリー「指名手配になってもいつでも学園にきてよ、カレン。勿論、難しいことだってわかってるけど……それでも……カレンにはここに居てほしいの」
カレン「どうして……」
シャーリー「だって友達じゃない」
カレン「シャーリー……」
シャーリー「下手な嘘はやめてよ……悲しくなるじゃない……」
カレン「うん……ごめんね……シャーリー……」
シャーリー「ううん。元気なカレンを見れてよかった……」
カレン「そうね」
シャーリー「もう行っちゃうの!?」
カレン「のんびりしているわけにもいかないから」
シャーリー「……ねえ」
カレン「なに?」
シャーリー「その格好可愛いね。ルルの趣味?」
ルルーシュ「違う」
シャーリー「カレン?」
カレン「まー……えーと……そう、なるかな……」
シャーリー「そうなんだ……。カレンはまだ黒の騎士団で活動を続けるの?」
カレン「うん」
シャーリー「やめてって言っても……ダメなんだよね?」
カレン「ごめん。こればっかりは無理」
ルルーシュ「シャーリー……」
ルルーシュ「どうした?」
咲世子「このゴミはどうしますか?」
ルルーシュ「そうだな……」
シャーリー「ねえ、カレン。私のお願いを聞いてくれない?」
カレン「なに?なんでも言って」
シャーリー「その格好のまま黒の騎士団として活動して」
カレン「……は?」
シャーリー「いつもね、思ってたの。黒の騎士団にいるカレンは別人なんじゃないかって。私たちのことなんてとっくに忘れたんじゃないかって」
カレン「そんなわけ―――」
シャーリー「でも、カレンはいつものカレンだった。だから、これからは遠くに居ても私の知っているカレンってことを確認する方法が欲しいの」
カレン「それとこの犬のままでいることがどう繋がるの?」
シャーリー「その姿を見れば私のことをきちんと覚えてるんだって、一発で分かるし」
カレン「電話してよ!!」
シャーリー「しても出ないじゃない!!」
ルルーシュ「頼んだ」
咲世子「はい」
シャーリー「耳と尻尾はしておいてね」
カレン「いやよ!!」
シャーリー「してったらして!!」
カレン「絶対にいや!!」
ルルーシュ「どうした?」
シャーリー「ルル!聞いてよ。カレンにこの格好のまま黒の騎士団で活躍して欲しいってお願いしてるんだけど」
ルルーシュ「なに?」
カレン「ダメでしょ!?こんなふざけた格好じゃあ!!」
ルルーシュ「……やればいい。可愛い指名手配書が出来上がるぞ?」
カレン「はぁ?!」
ルルーシュ「じゃあ、そろそろ行くか」
カレン「待って!!ねえ、どうして?!」
ルルーシュ「お前、何の為にその格好になった?」
カレン「え……それはルルーシュを慰めるため……に……だけど?」
ルルーシュ「俺はこれからナナリーと戦わなければならない。その精神的ストレスを鑑みれば、カレンはずっとその格好で俺に仕えるべきじゃないか?」
カレン「いや……」
ルルーシュ「まさか、お前。一回慰めて終わりにしようとしていたわけじゃないだろうな?」
カレン「え……それは……あの……」
ルルーシュ「なら、ゼロには戻らない。俺は普通の学生に戻ろう」
カレン「それ、困るんだけど」
ルルーシュ「なら、お前に残された選択肢は2つ」
ルルーシュ「俺を諦め、新たなゼロを探すか。犬のコスプレをしたまま紅蓮で戦場を駆けるか」
カレン「……」
ルルーシュ「あと、戦闘後のマッサージ等の奉仕もお前に一任する」
カレン「くぅ~ん……」
ルルーシュ「甘えるな!!」
ゼロ「私は帰ってきた!!!」
扇「ゼロ!!」
玉城「俺は信じてたぜ!!ゼロ!!」
ゼロ「ふははは」
藤堂「ところでゼロ」
ゼロ「なんだ?」
藤堂「隣にいる紅月くんは……?」
ゼロ「ああ。紹介しよう。私のカレンだ」
カレン「ワン」
扇「……」
玉城「……」
藤堂「……」
カレン「……くぅ~ん」
ゼロ「恥ずかしいか?だろうな。ふははははは」
C.C.「よく出来ているな」
カレン「触らないで」
扇「いいのか、カレン。そんな交換条件」
カレン「ゼロのためだもの」
C.C.「忠義か」
カレン「……」
玉城「でもよぉ、びっくりしたぜ。ゼロが「私のカレンだ」とか言っちまうからなぁ!!神楽耶様はどうなるんだってんだよ。だはははは」
カレン「あのねえ!!」フリフリ
C.C.「照れるな、照れるな。言葉で隠しても尻尾は嬉しそうに動いているぞ?」
カレン「これは勝手に動くようになってるの!!」
玉城「だははははは!!!神楽耶様はふられちまったなぁ!!」
神楽耶「……」
扇「玉城!!」
玉城「え……あ……」
神楽耶「カレンさん」
カレン「違います!!誤解です!!これは……あのー……そう!!私がえっと……黒の騎士団の犬隊長に任命されて……!!」
C.C.「なんだそれは?」
神楽耶「その犬の耳と尾はゼロ様にご寵愛を受けたという証なのですか?」
カレン「いえ!!犬畜生ってことです!!侮蔑ですよ!!ホント!!」
C.C.「神楽耶、どうした?」
神楽耶「ゼロさまー!!私も犬にしてください!!」タタタッ
カレン「……」
扇「おいおい……」
玉城「あれか?もしかしてゼロって女をペットみたいに扱ってるのか?」
C.C.「そんなに器用な男じゃないさ。なぁ?」
カレン「私に聞かないで!!」
C.C.「さてと……。私も席を外そうかな」
カレン「C.C.まで……」
藤堂「ああ」
神楽耶「ゼロさまー!!」
ゼロ「これは神楽耶様、どうされました?」
神楽耶「私にも耳を!!尾を!!ゼロ様の愛の証をくださいな!!」
ゼロ「お戯れを」
神楽耶「カレンさんには与えて新妻には渡さないのは不公平ですわ。平等な愛を配ってくださらないと」
ゼロ「……」
藤堂「ゼロ」
ゼロ「いや……あの……」
藤堂「私の部屋に来い」
ゼロ「なに?」
藤堂「神楽耶様もご一緒に」
神楽耶「はい」
ゼロ「藤堂。何を考えている?」
千葉「ふんふーん」
藤堂「―――千葉」
千葉「あ、藤堂さん。今日はこのウサギの耳をお借りしま―――」
ゼロ「ほう……藤堂。色々なグッズで溢れているな」
神楽耶「ネコ耳ですわ」
千葉「ゼロ!!なに用か?!」バッ
ゼロ「千葉。既に話は聞いている。藤堂好みのアニマルコスプレをしているらしいな。こっそりと」
千葉「藤堂さぁん!!どうして言っちゃうんですかぁ!!!」
藤堂「ゼロもアニマルコスプレの同志だ。何も恥じることはない」
ゼロ「して、私をここに呼んだわけは?」
藤堂「紅月くんはゼロにとって大切な側近だ。その証としてあの犬耳を与えたのだろう?忠犬という称号として」
ゼロ「……」
藤堂「しかし、それでは紅月くんだけが組織内で浮いてしまう。もう少し同じ人種を増やすべきだろう」
ゼロ「それで神楽耶様にコスプレをさせるというのか?」
藤堂「……そうだ」
ゼロ「いいのか?」
藤堂「ゼロ……日本は古くから『可愛いは正義』という信念がある」
ゼロ「なんだと?!」
藤堂「可愛いに越したことはない、ということだ」
ゼロ「……神楽耶様」
神楽耶「なんですかブヒー」
藤堂「豚の鼻と耳……意外といける」
ゼロ「可愛いは正義か……。なるほどな。黒の騎士団は正義の味方。言い換えれば可愛いモノの味方か」
藤堂「そういうことだ」
ゼロ「ならば、神楽耶様を可愛くしなければな。神楽耶様は象徴となる存在だ」
藤堂「ああ、無論だ」
神楽耶「次は……」
ゼロ「神楽耶様!!このペンギンスーツを着るべきだ!!いや、きてください!!」
神楽耶「よっ、ほっ」ヨチヨチ
カレン「神楽耶さまぁ?!どうしたんですか!?」
神楽耶「カレンさんっ。どうですか、ペンギンですよ」
カレン「え!?」
神楽耶「ゼロ様から賜りましたの。これでカレンさんと一緒ですね」
カレン「いや……暑くないですか?」
神楽耶「ラクシャータさんが改良してくれて、エナジーフィラーで稼動するクーラーが内蔵されていますので。若干寒いくらいです」
神楽耶「でも、ペンギンですからいいですよね」
カレン「はぁ……」
神楽耶「それではこれから会議がありますので、失礼します」ヨチヨチ
カレン「……」
C.C.「カレン、カレン。私はトラになってみたぞ」
カレン「え……」
C.C.「がぉー。なんてな」
ワロタ
カレン「ゼロ!!」
ゼロ「どうした。騒々しいな」
カレン「どういうこと……?」
ゼロ「え?」
カレン「私が犬になって貴方を慰める役じゃなかったの?!」
ゼロ「そうだが?」
カレン「でも、みんな動物になっちゃってるし!!ラクシャータさんなんてシャチホコになってたし!!」
ゼロ「いつも寝ているから、ああいうタイプのコスプレがよかったそうだ」
カレン「私だけの特権じゃ……」
ゼロ「カレン……違うな。間違っているぞ」
カレン「え?」
ゼロ「ただのカモフラージュだ。お前だけが特別な格好をしていては、エースだということを敵に知らせてしまうだろ?」
カレン「ああ……なるほど」
ゼロ「納得できたか?」
カレン「くぅ~ん……♪」
ゼロ「おて」
カレン「ワン」
ゼロ「おかわり」
カレン「ワンワン」
ゼロ「伏せ」
カレン「わふっ」バッ
ゼロ「ふははははは」
カレン「癒された!?」
ゼロ「ああ」
カレン「やった」
ピリリリ
ゼロ「私だ」
咲世子『ルルーシュ様、申し訳ありません。不燃ごみが消えてしまいました』
咲世子『今、必死に行方を追っているのですが……』
ゼロ「シャーリーは?!」
咲世子『ヴィレッタ様が監視をしています。今のところ、特に……』
ゼロ「どうして逃がした?」
咲世子『一瞬の隙を突かれてしまいまして……』
ゼロ「分かった。今からそちらに戻る」
咲世子『私も全力で捜索を続けます』
ゼロ「頼むぞ」
咲世子『お任せくださいニャリン』
ゼロ「……ロロめ……執念深い奴……!!」
カレン「学園に戻るなら私も」
ゼロ「ダメだ。もしものときがあったらどうする?」
カレン「シャーリーを……友達を助けたいって思うのはダメなのこと?」
ゼロ「……いいだろう、こい!!」
藤堂「ゼロはまだかパオン?」
扇「そうだな……少し遅いな」
ラクシャータ「はやくはじめたらいいじゃないシャチホコ」
神楽耶「まあまあ。多忙なお方ですからペンペン」
玉城「ペンギンってペンペンって鳴くのかよウッキー」
ラクシャータ「じゃあ、シャチホコはなんて鳴くのさ?」
ディートハルト「正直、私がカバなのは如何なものですカバ?」
扇「……」
ゼロ『皆のもの』
扇「ゼロ!!早くきてくれ!!頭がおかしくなりそうだ!!」
ゼロ『急用ができた。すぐに戻るが、会議は先に始めておいてくれ』
藤堂「了解パオン」
ゼロ『すまない』
神楽耶「ゼロさまーご武運をペンペン」
C.C.「全く、こんな下らないことに借り出されるとはな」
ルルーシュ「お前の力は必要だ。ロロのギアスは白兵戦においては無類の強さだからな」
カレン「シャーリーが危ないなら、早く身柄を」
ピリリリ
ルルーシュ「ヴィレッタか?」
ヴィレッタ『ロロはまだ見つからない』
ルルーシュ「学園を出た形跡は?」
ヴィレッタ『確証はないがまだ学園内に潜伏しているはずだ』
ルルーシュ「そうか……」
ルルーシュ(ロロの狙いはシャーリーだ……それは間違いない……では、どこに……)
カレン「手分けして探す?」
ルルーシュ「よし、カレンとC.C.は常に一緒にいろ」
C.C.「わかったよ」
カレン「うん」
C.C.「匂いで追えるのか」
カレン「くんくん……くんくん……」
C.C.「……」
カレン「ダメだ……他の匂いと混じってて探せないよ」
C.C.「余裕なのはいいことだ―――」
パァン!!
C.C.「ぐぁっ?!」
カレン「C.C.?!」
ロロ「油断しましたね?」
カレン「ロロ?!」
ロロ「安心してください。まだ殺しはしませんから」
カレン「ちょっと……何する気……?」
C.C.「逃げろ……カレン……こいつの狙いは……」
ロロ「無駄です」キュィィィン
ルルーシュ「ヴィレッタ、監視は―――な!?」
ヴィレッタ「ぐぅ……」
ルルーシュ「どうした!?」
ヴィレッタ「はぁ……はぁ……すまない……ロロが……急に襲ってきて……」
ルルーシュ「傷は浅い。喋るな」
ヴィレッタ「私のことはいい……あいつはカレンを……」
ルルーシュ「なに?」
ヴィレッタ「あいつはカレンとシャーリーを狙っている……」
ルルーシュ「バカな……どうして……!!」
ヴィレッタ「早く……いけ……」
ルルーシュ「ちぃ!!C.C.!!応答しろ!!」
C.C.『ルルーシュか……』
ルルーシュ「カレンは無事か?!」
C.C.『すまない……守れなかったよ……』
咲世子『こちら篠崎咲世子ニャ』
ルルーシュ「状況を報告しろ!!」
咲世子『ただいま、教室の天井に張り付いてシャーリーさんを監視しております』
ルルーシュ「バカ!!それでは近すぎる!!!ロロのギアスに巻き込まれるぞ!!!」
『―――』
ルルーシュ「咲世子!!おい!!咲世子!!」
『―――兄さん?』
ルルーシュ「ロロ……!!」
『今から兄さんを惑わせる危険人物を殺すけど……見に来る?』
ルルーシュ「ロロ。やめろ」
『個人的には見に来て欲しいんだ、兄さんに。だって……この二人に兄さんが僕を選ぶ瞬間を見せ付けたいんだよ』
ルルーシュ「……」
『屋上で待ってるね、にいさんっ』
ルルーシュ「くそぉ……!!」
C.C.「ルルーシュか」
ルルーシュ「大丈夫か?」
C.C.「誰に言ってる?」
ルルーシュ「そうだったな……。動けるか?」
C.C.「すぐには無理だな」
ルルーシュ「わかった……」
C.C.「気をつけろ……」
ルルーシュ「誰に言ってる?」
C.C.「ふふっ……そうだったな……」
ルルーシュ「ロロ……まっていろ!!」
C.C.「……首尾は?」
ヴィレッタ『要請はしておいたが……大丈夫なのか?』
C.C.「保険は大事だろ」
ヴィレッタ『どうなってもしらないからな』
シャーリー「なんで……こんなことするの……?」
カレン「シャーリーは関係ないでしょ!!」
ロロ「関係あるから……こうして捕まえたんですよ」
シャーリー「ロロくん!!やめよ……こんなこと……」
ロロ「では、シャーリーさんから落ちてもらいましょうか?」
シャーリー「ひっ……」
ルルーシュ「やめろ」
ロロ「兄さん……」
シャーリー「ルル!!」
カレン「ワンワン!!」
ロロ「兄さん。聞かせてよ。そしてこの二人に僕たちがどれだけ仲がいいか、教えてあげよう。そして絶望の中で二人を殺すから」
ルルーシュ「……そうだな」
カレン「ルルーシュ!!」
シャーリー「なんのこと?!わけがわかないよ!!!」
ロロ「……」キュィィィン
咲世子「―――」
ロロ「何度も同じ手は通じませんよ」パァン!!
咲世子「―――ぐっ?!」
ルルーシュ「―――咲世子!!」
ロロ「兄さん……ほら……僕は兄さんのこと大好きだよ」
ルルーシュ「シャーリー!!!」
シャーリー「は、はい!!」
ルルーシュ「自分を動物に例えるとなんだ?」
シャーリー「え……え……えーと……シマリス」
ルルーシュ「カレン。お前は?」
カレン「犬」
ルルーシュ「犬種は?」
カレン「パピヨン」
ルルーシュ「咲世子さん、自分を動物に例えると?」
咲世子「猫です」
ルルーシュ「種類は?」
咲世子「ハバナです」
ルルーシュ「いいな。実に癒される」
ロロ「……」
ルルーシュ「ロロ、お前は?」
ロロ「犬だよ。見て分かるでしょ?」
ルルーシュ「犬種は?」
ロロ「チワワかな」
ルルーシュ「違うな。間違っているぞ」
ロロ「え……?」
ルルーシュ「目的のためには手段を選ばない獰猛さ。残忍さ。そのように愛らしい動物など連想できはしない」
ルルーシュ「お前は……醜い雑種だ」
ルルーシュ「お前の後ろには可愛いリスと犬と猫がいる。俺はその三匹を選ぶ」
ロロ「雑種だって可愛いよ!!兄さん!!」
ルルーシュ「お前という雑種は醜悪だ」
ロロ「……!!」
ルルーシュ「もう我慢の限界なんだよ……ロロ」
ロロ「なにを……」
ルルーシュ「兄弟ごっこはもううんざりだといったんだよ!!」
ロロ「にいさん……!!!」
ルルーシュ「終わりにしよう……ロロ……」
ロロ「なら……この二人には……死んでもらうしかないね……」
シャーリー「ロロくん!?やめて!!」
ロロ「この三人がいるから兄さんは僕を選んでくれない……なら……消すしかない……」
カレン「ちょっと!!」
咲世子「……このっ!!」ダダッ
咲世子「はっ!!」ボゥン!
ロロ「また煙幕……そんなもの!!」キュィィン!!!
ロロ「煙幕が晴れたところを狙えば……あれ……いない?!」
ロロ「そんな、どこに!?」
咲世子「王手です、ロロさま」シュッ
ロロ「はっ!?いつの間に、あんなところに―――」
ロロ「うあぁああ!?」
ルルーシュ「―――咲世子の投擲が当たったか」
咲世子「貴方とルルーシュ様が話している間に距離を取っていました。先ほどのは身代わりです」
ロロ「そんな……」
ルルーシュ「教室で咲世子の息の根を止めておくべきだったな」
ロロ「くっ……うぅ……」
咲世子「ルルーシュ様!!下がってください!!」
ルルーシュ「ロロ!!もう諦めろ!!!」
モルドレッド『そこまで』ゴォォ
ロロ「ナイトメア!?」
ルルーシュ「なんだと!?」
咲世子「あれは……」
スザク「ロロ!!何をしている!!」
ジノ「これは……」
ルルーシュ「スザク……」
スザク「ルルーシュ、怪我は?」
ルルーシュ「大丈夫だ」
ロロ「この人数でも……!!」
スザク「アーニャ!!」
アーニャ『オールレンジ・ボマー』バシュ
スザク「違う!!そうじゃない!!!それだと学園にも被害が!!!」
アーニャ『ごめんなさい、間違えた。逃げて、みなさん』
カレン「ワンワン!!」
スザク「くそぉ!!」ダダダッ!!!
咲世子「助太刀しますニャリン!!」ダダダッ
ジノ「ランペルージ卿!!こっちだ!!」
ルルーシュ「カレン!!シャーリー!!!」
ロロ「兄さん!!」
ドォォォン!!!!
アーニャ『スザク、生きてる?』
スザク「な、なんとかね……。カレン、大丈夫か?」
カレン「無事なのが……不思議……だワン」
スザク「ワン?」
カレン「って、なに?!捕まえにきたの!?」
スザク「そうしたいところだけど、今回は違うんだ」
カレン「え……」
シャーリー「なんとか……」
ジノ「アーニャ、誰が砲撃しろといった。不審な行動をとれば威嚇射撃をしろといっただろ」
アーニャ『反省はしてる。後悔はしてない。ルルーシュは無事?』
ルルーシュ「あ、ああ……」
アーニャ『そう』
ロロ「くっ……」
スザク「ロロ、立つんだ」
ロロ「……!」
スザク「何をしたか分かっているのか?」
ロロ「……」
ルルーシュ「スザク、どういうことだ?」
スザク「悪いが連行する」
ルルーシュ「まて」
スザク「……」
スザク「……」
ルルーシュ「少し喧嘩をしていただけだ。なのになんだ、この騒ぎは。説明してもらおうか」
スザク「それは……」
ルルーシュ「少し言い合いになっていただけだんだぞ?」
スザク「ルルーシュ……」
ロロ「兄さん……僕を庇ってくれるの……?」
ルルーシュ「どうしても連れて行くのか?」
スザク「ああ」
ルルーシュ「なら、仕方ないな」
ロロ「え!?」
ルルーシュ「連れて行ってくれ」
スザク「協力感謝する」
ロロ「兄さん!!どうして?!」
ルルーシュ「いや、当然だろう。何を甘えたことを言ってる」
ヴィレッタ『ありがとうございます。ロロはこちらで引き取ります』
スザク「今回の一件は明らかに越権行為です。再教育をお願いします」
ヴィレッタ『了解』
スザク「こっちだ」
ロロ「……」
ジノ「でも、こいつ本当にあの二人を恫喝したのか?そうは見えないけど」
スザク「確かな情報だよ」
アーニャ『ルルーシュ、バイバイ』
ルルーシュ「ああ」
カレン「どうして捕まえないの……?」
スザク「色々と事情があってね」
カレン「ここで捕まえなかったこと、後悔させてあげる」
スザク「後悔はしないよ」
ルルーシュ(ヴィレッタの差し金か。これでシャーリーに危害が及ぶ可能性は低くなったか……)
シャーリー「うん……平気……」
咲世子「ルルーシュ様、そろそろ」
ルルーシュ「そうだな」
カレン「それじゃあね、シャーリー」
シャーリー「う、うん」
ルルーシュ「シャーリー、念のため保健室まで行こう」
シャーリー「い、いいよぉ」
ルルーシュ「いいから」
シャーリー「うん……」
咲世子(さて、私は引き続き諜報活動を)
ルルーシュ「咲世子さん」
咲世子「ニャんでしょうか?」
ルルーシュ「あとでまた連絡します」
咲世子「かしこまりました」
ロロ「……」
スザク「もう二度とこういうことがないように」
ヴィレッタ「はっ」
ロロ「くそ……兄さん……」
スザク「それから……カレン・シュタットフェルトの件ですが、間違いないのですか?」
ヴィレッタ「ええ……今、黒の騎士団では改革が行われているようです」
スザク「それが……」
ヴィレッタ「アニマル化です」
スザク「……なんの意味が?」
ヴィレッタ「さぁ……。ナナリー総督が随分、そのことを気にしていると聞きましたが」
スザク「ええ。先日、カレンが犬になったと報告をしたら『全力で泳がしてください』って」
ヴィレッタ「何かお考えがあるのでしょうか?」
スザク「きっとあると思う。でも、黒の騎士団の狙いは一体……」
ヴィレッタ「……」
ゼロ(とりあえずロロの件は片付いた……あとは……)
神楽耶「ゼロさまー」ヨチヨチ
ゼロ「どうしました。神楽耶様?」
神楽耶「中華連邦との話も済みましたわ」
ゼロ「そうですか」
神楽耶「この格好だと外交もすんなりいけますわ」ヨチヨチ
ゼロ「……」
C.C.「がぉー」タタタッ
千葉「きゃー!!」
ゼロ「さてと……」ピッ
カレン「ゼロ!扇さんがまだ動物を決めかねているようなのですけど」
ゼロ「ゴリラでいい」
カレン「はいっ」
ゼロ「さぁ……そろそろ仕掛けるか……ナナリー……」
ナナリー「カレンはやはり犬になっていたのですか?」
スザク「はい。ワンと言っていましたから。間違いないです。尻尾も耳もありました」
ナナリー「確かですね?」
スザク「はい。自分が直接確認したので」
ナナリー「わかりました」
スザク「……あの、これにはなにか意味が?」
ナナリー「黒の騎士団に向けて放送を行います」
スザク「え?」
ナナリー「特区日本の参加を要請します」
スザク「総督……」
ナナリー「お願いします」
スザク「イエス、ユア・ハイネス」
ナナリー「……」
ナナリー「……犬……猫もいるかしら……」
モニター『ゼロ。そして黒の騎士団へお願いがあります。特区日本へ参加してください』
藤堂「ゼロ。どうするパオン」
ゼロ「藤ゾウはどうみる?」
藤堂「罠だろうな」
玉城「ああ!!俺もそう思う!!ウッキャー」
ゼロ「……」
ゼロ(まさかナナリーから仕掛けてくるとはな。だが、好都合だ)
カレン「ゼロ……」
ゼロ「私に考えがある」
C.C.「どうするがぉ?」
ゼロ「奇跡を起こす」
神楽耶「では、中華連邦と連絡をとりましょう」ヨチヨチ
ゼロ「ええ、お願いします」
ゼロ(ふははははは!!!ナナリー……俺たちを甘く見るなよ……!!以前の黒の騎士団とは思うな……!!)
ナナリー「参加を表明するのですね?!」
ゼロ『ええ。ただし、条件があります。私を見逃してほしい』
スザク「国外追放ということか」
ゼロ『ああ』
アーニャ「卑怯」
ジノ「そんなことが許されると思っているのか!?」
ゼロ『だが、決して悪い話ではない』
ナナリー「……」
ゼロ『私を追放するだけで、恒久の平和が約束される』
スザク「しかし、またお前がテロを起こす危険性も!!」
ナナリー「わかりました。その条件を呑みましょう」
スザク「総督!!しかし!!」
ナナリー「私の言うことを聞いてください」
スザク「は、はい……」
ナナリー「きっと、ゼロは……特区日本に集まった者たちをゼロにしてしまうつもりでしょう」
ジノ「ど、どういうことですか?」
ナナリー「私達はゼロを国外追放するという条件を呑みました。なら、日本人のみなさんをゼロに扮装させてしまえば」
アーニャ「全員、国外追放」
スザク「総督!!それに気づきながらどうして条件を呑んだのですか!?」
ナナリー「私が掴んだ情報によると、蓬莱島と呼ばれる場所に新たな国が誕生するようです」
ジノ「え……」
ナナリー「そこに何ができるのか……見てみたくありませんか?」
スザク「ナナリー……」
アーニャ「何ができるの?」
ナナリー「わかりません。できたら、是非教えてくださいね。私では見ることができませんから」
アーニャ「うん」
ジノ「おいおい、いいのか?」
スザク「総督が決めたことだから……」
ゼロ『ありがとう!ブリタニアの諸君。寛大なるご処置、痛み入る!』
ナナリー「……」
スザク「ゼロ……」
ゼロ『枢木スザクよ。日本人とは、民族とはなんだ?』
スザク「何?」
ゼロ『言語か?土地か?血のつながりか?』
スザク「違う!それは心だ!!」
ゼロ『私もそう思う』
スザク(ゼロ……何が言いたい……何が狙いだ……!!)
ナナリー「ゼロ」
ゼロ『なんですか?』
ナナリー「100万人をゼロにするのですね?」
ゼロ『な……!?』
ナナリー「どうぞ。スモークなどの目くらましは不要です。着替えるなら着替えて、新天地へ向かってください」
ナナリー「もうすぐ中華連邦の船も来るのでしょう?」
ゼロ『分かっていながら……条件を呑んだのか……?』
ナナリー「はい」
ゼロ『何故……』
ナナリー「蓬莱島で始めるものに興味があるからです」
ゼロ『貴方は……』
カレン「バレてるよ。どうする?」
扇「着替えるか?」
藤堂「こうなると気恥ずかしいな」
ナナリー「一応、着替えていただかないと、こちらとしても捕まえないといけなくなるで……」
ゼロ『よ、よし……皆の者、ゼロになれ』
ジノ「本当に着替え始めた」
ナナリー「100万人分の衣装はどうやって作ったのですか?大変だったと思いますけど」
ゼロ『黙れ』
スザク「行ってしまった」
ジノ「総督、これでよかったのですか?」
ナナリー「猫はいましたか?」
アーニャ「迎えにきた船に猫っぽいのがいた」
ナナリー「よかったぁ」
スザク「あの……一体、なにが……?」
ナナリー「私の掴んだ情報だと、蓬莱島は夢の島になるそうです」
アーニャ「なにそれ」
ナナリー「ワクワクしますね、アーニャさん」
アーニャ「ワクワクする」
ナナリー「一緒に行きましょうね」
アーニャ「うん。行く」
ジノ「スザクぅ……」
スザク「……」
ゼロ「遂にきたな。少々恥をかいたが、まあ結果的には成功したわけだから……よしとしよう」
C.C.「ゼロ。早速、作業に取り掛かるのか?」
ゼロ「当然だ。二ヵ月後のオープン。それが中華連邦の天子様との約束だからな」
神楽耶「私もお手伝いしますわ」ヨチヨチ
カレン「ラクシャータさん。紅蓮に犬耳と尻尾つけてください」
ラクシャータ「今やってるよ」
藤堂「よし、千葉。フードコートの設営だ」
千葉「分かりましたピョン」
ゼロ「……」
C.C.「落ち込んでいるのか?」
ゼロ「ナナリーに……作戦を全て読まれていたからな……」
カレン「ゼロ!!私が癒します!!」
カレン「ワンワンワンワンワン!!!!」
ゼロ「……」
ルルーシュ「はぁ……」
咲世子「お疲れのようですね」
ルルーシュ「咲世子さん……」
咲世子「嫌です、ルルーシュ様。二人のときは……」
ルルーシュ「咲世子」
咲世子「ふふ……」
ルルーシュ「咲世子……これからも俺のために尽くしてくれるか?」
咲世子「勿論です……ルルーシュ様」
ルルーシュ「ありがとう」
咲世子「いえ」
ルルーシュ「ところで、可燃ゴミはどうした?」
咲世子「きちんと持ってきました」
ルルーシュ「そうか。奴にもこの夢の島ではキリキリ働いてもらわないとなぁ……」
咲世子「オープンが楽しみですね」
天子「えー、本日はいいお天気に恵まれて、うれしいです」
星刻「……」カシャカシャ
天子「蓬莱島『わくわく動物ランド』が無事にオープンしたことを……」
星刻「嬉しく思います」
天子「嬉しく思います」
天子「私は真っ先にパンダを見に行きたいです。そのあとは星刻と一緒に観覧車に乗ったりしたいです」
星刻「ぐはっ?!」
天子「では、オープン!!」
パチパチパチ
ゼロ「見事な挨拶でした」
天子「いや、そんな」
ゼロ「ゆっくりお楽しみください」
天子「はい」
星刻「行きましょう、天子様」
星刻「ゼロ」
ゼロ「何かな?」
星刻「この島の作った目的だが……」
ゼロ「初めは軍事拠点にするつもりだったが、まあ、ある出来事がきっかけて考えかたが変わった」
ゼロ「ここでは皆が動物と化し、夢を売る。そうすることでここを観光地にする」
ゼロ「我々は経済力で世界を掌握することにした」
星刻「できるのか?」
ゼロ「可愛いは正義だからな。武力で正義を翳すより健全だろう?」
星刻「まあ……な」
天子「しんくー!!ペンギンさん!!」
星刻「本当ですね」
神楽耶「天子さまー」ヨチヨチ
天子「かぐやー!!」
ゼロ「黒の騎士団は数ヶ月間、動物のきぐるみをきてマスコット特有の愛らしい動きもマスターしている。数千体規模のマスコットが闊歩する夢の国だ」
C.C.「がぉーん」
ナナリー「……」
アーニャ「すごい」カシャカシャ
スザク「ここが可愛いモノならなんでも合法化する国か」
ジノ「なんか異様だな……」
咲世子「にゃんにゃーん」
ナナリー「にゃー」
咲世子「む」
ナナリー「にゃー……」
咲世子「なー」
ナナリー「わぁ……握手してください」
咲世子「いいですよ」ギュッ
ナナリー「あ、咲世子さん。咲世子さんが猫なのですか?」
咲世子「ええ。そうです。篠崎・キャット・咲世子とは私のことです」
ルルーシュ「カレン」
カレン「なに?」
ルルーシュ「お前には感謝している。お前がいなければここまで来ることはできなかっただろう」
カレン「そんなことないとおもうけど……」
ルルーシュ「これからも俺の犬でいてくれるか?」
カレン「……うん」
ルルーシュ「ありがとう。―――おい、ここ汚れているぞ?」
ロロ「はい」ゴシゴシ
ルルーシュ「しっかりな。お前には期待しているからこそ、ここに呼んだのだから」
ロロ「うんっ!!」
ルルーシュ(お前は一生、ここで拭き掃除をしてもらうぞ!!)
ルルーシュ(ボロ雑巾になるまで酷使してやる!!ロロ!!!)
ロロ(兄さんのために頑張らないと!!)ゴシゴシ
おわり
カレンかわいかったよ
Entry ⇒ 2012.09.18 | Category ⇒ コードギアスSS | Comments (0) | Trackbacks (0)