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入須「来たぞ、折木君」
引用元: http://hayabusa.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1348325441/
・古典部部室
奉太郎(千反田は図書館、里志は総務委員の会議、伊原は図書委員の仕事…)
奉太郎(三度目の奇跡だ。今日の奇跡を信じて、この問題を終わらせる)
奉太郎「こんにちは、先輩」
入須「あぁ」
奉太郎「お久しぶりですね」
入須「…そうだな、一週間ぶりだ」
奉太郎「はい」
入須「…早くないか?」
奉太郎「そうですか?」
入須「…まぁ、元々私から言い出したことだ。君が気にする必要は無いんだが」
奉太郎「えぇ」
入須「手紙で呼び出されたのは初めてだ」ガタッ
奉太郎(…先輩はいつも目の前に座るな)
奉太郎「俺も下駄箱に手紙を入れたのは初めてです」
入須「それで、これはどういう事だ?」パサッ
『本日放課後、古典部部室にて。 折木奉太郎』
奉太郎「そのままの意味ですよ」
入須「…と言われてもな」
奉太郎「部室なので、抹茶が無くて申し訳ないんですが」
入須「それは構わないが」
奉太郎「安心しました」
入須「…それで、なんだ?」
奉太郎「…実は、特に大した用事は無かったんですが」
入須「……帰る」スッ
奉太郎「冗談です」
入須「………」トスッ
奉太郎「…入須先輩、お話があります。聞いてもらえますか?」
入須「…あぁ」
奉太郎「……以前、先輩が俺に相談した事を覚えていますか?」
入須「さて、なんだったか」
奉太郎「恋の相談ですよ。先輩に好きな人がいると」
入須「……それは、忘れてくれ。終わった事だ」
奉太郎「…その次に先輩が俺に話した事は、覚えていますか?」
入須「…高校生活についてだ。主に、朝と放課後のな」
奉太郎「えぇ。そして休みの日に先輩の髪の話、文化祭で先輩が怒っていた理由の話」
入須「随分ピンポイントだな」
奉太郎「共通点があります」
入須「…一体なんだ?」
奉太郎「わかりませんか?」
入須「……あぁ」
奉太郎「…先輩、前に俺の事をこう言ってましたね。よく理解してくれて、特別だと」
入須「そうだな」
奉太郎「特別な事、それは人それぞれあります。勿論俺にも」
入須「君にとって特別な事?」
奉太郎「先輩、例えば自分の前を歩く人が居たとしたら、それはどの様な人でしょうか?」
入須「…急になんだ」
奉太郎「答えてください」
入須「……目上の人だろう。上司、先輩」
奉太郎「では、自分の後ろを歩く人は?」
入須「単純に逆にすれば、部下、後輩。目下の者だ」
奉太郎「それなら、隣は?」
入須「同期、同級生。対等な関係の者だ」
奉太郎「…では、その隣を歩く人が先輩の後ろに下がっていくとして、その理由はなんでしょうか?」
入須「…折木君、なぞなぞをする為に私を呼んだのか?」
奉太郎「先輩、答えてください」
入須「……わかった。そうだな…本質的に、立場が下なんじゃないか?」
奉太郎「と言うと」
入須「人を避けるにしろ狭い道を歩くにしろ、自分が動く事で相手を引き立たせている」
奉太郎「では逆に、前に出て行く場合の理由はなんでしょうか?」
入須「…自ら引き立つ為に動く。リーダーたる者、若しくは相手を守る為」
奉太郎「……ありがとうございます。参考になりました」
入須「意図を教えてはくれないのか?」
奉太郎「…先輩、今の話、俺は抜けている事があると思います」
入須「なんだ?」
奉太郎「隣を歩く人は同級生だけではありません。年上の友達や親、年下の知り合いや兄弟」
入須「…確かに」
奉太郎「そして、隣に歩く人が前に出る。 …導いているんじゃないでしょうか?」
入須「隣の者をか?」
奉太郎「えぇ、例えば、俺の様な何もできない省エネ人間をね」
入須「…君は何もできなくないよ」
奉太郎「…そう言って貰えると嬉しいです」
入須「本当だ」
奉太郎「……本題に入りましょうか、先輩」
入須「…待て」
奉太郎「はい」
入須「聞きたくない」
奉太郎「聞いてもらいます」
入須「嫌だ」
奉太郎「先輩」
入須「………」
奉太郎「…知る事の出来る者が、知らないフリをする事はできない」
入須「…どういうことだ?」
奉太郎「先輩、人の気も知らないで、勝手に結論を出すのは良くありませんよ」
入須「………」
奉太郎「………」
入須「……わかった、聞かせてくれ」
奉太郎「はい」
奉太郎(布石は打った。ここからだ…!)
奉太郎「…先日言ってましたね、昔の関係に戻るのは嫌だと」
入須「あぁ」
奉太郎「それは、俺と先輩の距離が離れてしまうからですか?」
入須「…そうだ」
奉太郎「なら、それはありえません」
入須「なぜだ。君は私に騙され、苦手意識を覚えたはずだ。そうなれば…」
奉太郎「先輩、俺はどうやら省エネはやめられません。そしてあなたは女帝と呼ばれている」
入須「…あぁ、変わらない」
奉太郎「それで良いんです。見方を変えましょう」
入須「見方を…?」
奉太郎「先輩は、隣に歩きながら俺を導いてくれていると」
入須「…私が、君を」
奉太郎「えぇ。先ほどの共通点の話ですが、あれは全て先輩の問いに俺が考え、答えを示した話です。正答は少ないですが」
入須「…なるほど、確かに」
奉太郎「最初は嫌でしたが、今はそこまで嫌ではありません。まぁ、余り多いと困りますけど」
入須「…そんなに言わないよ」
奉太郎「悪い気はしませんけどね」
入須「……だが、私はまた君を騙そうとするかもしれない。導くと嘘をついてな」
奉太郎「その時は、また先輩の真意を俺が解きます」
入須「………」
奉太郎「先輩、あなたは俺に道を示してくれた。そして、これからも変わらないでしょう」
入須「あぁ」
奉太郎「これがこの間の答えです。 …先輩は特別です。俺には、あなたが必要な理由がある」
入須「!」
奉太郎「俺達は二人で歩いていく。そして先輩は時々前に出て、俺を導いてください」
入須「…それなら君は、時々後ろに下がって私を見守ってくれるのか?」
奉太郎「そうですね、後ろに下がって、俯瞰で先輩の気持ちを理解しましょう」
入須「…そうか」
奉太郎「お互いが特別であれば、対等じゃないですか?」
入須「……そうかもしれない。だが、私は君を束縛してしまう。嫉妬心も強い。君はこんな女、嫌だろう?」
奉太郎「先輩、俺は先輩を信頼します。だから先輩も俺を信じてください」
入須「だが…」
奉太郎「………」
奉太郎(ここか…)
奉太郎(姉貴が言っていたな。わかっている事実を検討し、わからない事に上書きしろと)
奉太郎(姉貴…信じるからな。失敗したら、一生恨むぞ)
奉太郎「…あの時、俺の事を変わっていないと言いましたね、先輩」
入須「…あぁ」
奉太郎「そんな事はありません。変わっていますよ、俺は」
奉太郎(………)ドク…ドク…
奉太郎(胸が痛い…勇気を出せ、俺!)
奉太郎(…事実はある。全てを伝えるんだ、先輩に!)
入須「…折木君?」
奉太郎「俺は…俺は!」
奉太郎「入須先輩の事が、どうしようもなく好きになりました!」
入須「!!」
奉太郎「変わっていないなんて、言わせません」
入須「………」
奉太郎「………」ガタッ
入須「お、折木君
ギュッ
入須「!」
奉太郎「束縛してください。嫉妬してください。騙してください」
奉太郎「そのままの先輩で良いんです。俺は、そんな先輩が堪らなく好きなんですから」
入須「………」
奉太郎「………」
入須「………」ポロ…ポロ…
奉太郎「! 先輩…?」
入須「折木君…折木君…」
奉太郎「…泣かないで下さい、先輩」
入須「うるさい…」
奉太郎「…調子が戻ってきましたね?」
入須「……この一週間、とても辛かった。そして今、とても幸せだ」
奉太郎「はい」
入須「想いが込み上げて、止まらない…嬉しくて、悲しくて…」ポロ…ポロ…
奉太郎「はい」
入須「君がこんな…私を抱きしめるからだ。 …暖かくて、優しくて」
奉太郎「………」
入須「今、私も変わった。君の事が…大好きになったよ」
奉太郎「はい」
入須「こんな私でいいのか…?」
奉太郎「…先輩以外、いません」
入須「…嬉しい」ギュッ
奉太郎「………」ギュッ
入須「………」
奉太郎「……入須先輩」
入須「……折木君」
奉太郎「………」
入須「……ん」
奉太郎「………」チュッ
入須「んっ…」
奉太郎「……ふぅ」
入須「………」
奉太郎「………」
入須「……もう一度」
奉太郎「…おあずけです」
入須「…バカ」
奉太郎「これでも、恥ずかしいんですよ」
入須「気にしなくて良いよ」
奉太郎「俺が気にします」
入須「………」ギュッ
奉太郎「……先輩、好きです。この気持ちは、忘れません」
入須「…忘れたら、怒るからな」
奉太郎「手帳に書いておきますよ」
入須「ふふっ。あぁ、頼む」
奉太郎(…入須先輩、出会った当初はこんな関係になるとは思って居なかったが)
奉太郎(こんなにもかけがえのない人が出来て、俺も、幸せだ)
・10分後
入須「これで…正式に恋人同士、だな」
奉太郎「そうですね」
入須「お互いに好きだと確認しあったし」
奉太郎「えぇ」
入須「……キスもしたし」
奉太郎「…はい」
入須「君と将来どういう家族になるのか、今から楽しみだな」
奉太郎「……え?」
入須「折木君、私は婚前交渉は構わないけど、子供は結婚後だからな」
奉太郎「……結婚?」
入須「…君の為なら、痛みも我慢するよ」
奉太郎「ちょっと待ってください」
入須「…なんだ?」
奉太郎「……いや、急に話が飛躍したような気がするんですが」
入須「どこがだ?」
奉太郎「結婚って…」
入須「先ほどキスをしたじゃないか」
奉太郎「はい」
入須「結婚と言う事になるだろう?」
奉太郎「……いや、なんでですか。なる訳ないでしょう」
入須「何故だ、なるだろ?」
奉太郎「なりませんよ」
入須「なる」
奉太郎「なりません」
入須「………」
奉太郎「………」
入須「…まぁ、前提と言う事にしておくよ」
奉太郎「…もうそれでいいです」
入須「結婚はするけどな」
奉太郎「…もうなんでもいいです」
入須「そうか。まぁ、学生結婚は何かと大変だからな、すぐの話じゃないよ」
奉太郎「…はい」
入須「元気が無いぞ」
奉太郎「…疲れが一気に来ました」
入須「私の為に考えていてくれたんだな…ありがとう」
奉太郎「…これは五限の体育ですね。体が痛い」
入須「………」ペシッ
奉太郎「痛っ! 何するんですか…」
入須「君にはデリカシーが足りないな。それに鈍感だ」
奉太郎「酷い言われようですね」
入須「…そして、女に警戒心が足りない」
奉太郎「うっ…もう良いじゃないですか、それは」
入須「ヘラヘラしてた」
奉太郎「してませんよ。笑顔の練習です」
入須「なら、私にも見せてみろ」
奉太郎「…嫌です」
入須「あの女性に出来て、私には出来ないと」
奉太郎「…そういうわけじゃ
入須「なら見せてみろ」
奉太郎「………」
入須「早く」
奉太郎「………」ニコッ
入須「!」カーッ
奉太郎「…これでいいですか」プイッ
入須「あ、あぁ…」ドキドキ
奉太郎「……恥ずかしいんですから」
入須「…余り、やらなくていいよ」
奉太郎「…はぁ」
入須「目に毒だ…」
奉太郎「失礼な」
入須「年上の女性には絶対に見せない様にな」
奉太郎「…はぁ」
入須「わかったな?」
奉太郎「まぁ、はい」
入須「今日から君には首輪を付けさせてもらうからな」
奉太郎「……え?」
入須「しっかり面倒を見てやろう」
奉太郎「先輩、自由とは」
入須「有って無い様な物だ」
奉太郎「独裁者じゃないですか…」
入須「ふふっ、冗談だよ。 …監視はするが」
奉太郎「…先輩」
入須「しばらく我慢しろ。一週間分、君に甘えたい」
奉太郎「…仕方ないですね」
入須「ふふっ、楽しみだ」
奉太郎「それじゃ、そろそろ帰りましょうか」
入須「あぁ、腕を組んでな」
奉太郎「早速ですか」
入須「…私は容赦しないからな。覚悟しろよ」
奉太郎「…はい」
奉太郎(腕を組んで、隣同士で歩いていく…)
奉太郎(道に迷ったら、先輩が前に出て正しい道を探す。俺はその後ろで考えて、先輩に助言をする)
奉太郎(二人で協力して、この先を歩いていく)
奉太郎(隣同士、対等に…どこまでも…歩いていこう)
奉太郎(かけがえのない、特別な人と一緒に)
奉太郎「行きましょうか、冬実先輩」
入須「! あぁ…そうだな、奉太郎」
おまけ
奉太郎(……ん?)
奉太郎「先輩、少しここに」コソコソ
入須「ん? あぁ…」
奉太郎「………」コソコソ
ガラッ
里志「うわっ!」
伊原「えぇっ!」
千反田「きゃあっ!」
奉太郎「………」
里志「…ばれたね」
伊原「だからやめようって言ったのに!」
千反田「あ、あの、その、これは…」
奉太郎「………」
里志「……逃げろっ!」
伊原「あ! ちょっと待ってよ!」
千反田「え? あ、待ってください! 私、気になりますーっ!」
奉太郎「………」
入須「…見られてたな」
奉太郎「その様ですね」
入須「…まぁ、私は見られていても構わないがな」
奉太郎「俺は嫌ですっ!」
エピローグ
奉太郎「おはようございます。先輩」
入須「おはよう。時間通りだな」
奉太郎「はい。それじゃ、行きましょう」
入須「あぁ」
奉太郎「……大分寒くなってきましたね」
入須「冬も近いからな」ギュッ
奉太郎「…暖かいですね、先輩」
入須「ふふっ、君もな」
奉太郎「昨日はお邪魔しました」
入須「あぁ、気にするな」
奉太郎「…予想通り先輩の父親には睨まれてしまいましたが」
入須「…それも気にするな。まぁ、なんとか説得しよう」
奉太郎「先輩が結婚を考えている、なんて言うからですよ」
入須「本心だ」
奉太郎「空気で死ぬかと思いました」
入須「…まぁ、ゆっくり行こう」
奉太郎「…そうですね」
入須「時間はある。君にも、私にも」
奉太郎「はい」
入須「いつか、二人で一番幸せになろう」
奉太郎「えぇ、必ず」
??「おおーい!」
奉太郎「…里志だ」
里志「奉太郎! 入須先輩!」
奉太郎「随分早いな」
入須「おはよう、福部君」
里志「おはようございます。奉太郎達の姿が見えたから追ってきたんだよ」
奉太郎「朝から元気だな、お前は」
里志「そりゃそうだよ! なんせ神高の女帝を落とした帝王、折木奉太郎とその女帝が腕を組んで歩いているんだからね」
入須「…そんな話になっているのか」
奉太郎「話半分に聞いておいてください」
里志「嘘じゃないよ、奉太郎」
奉太郎「……嘘だと言ってくれ」
里志「大体、こんな露骨にアピールすれば誰だって気づくさ」
入須「…奉太郎、堂々としろ」
奉太郎「ですが、先輩…」
入須「私は気にしない」
奉太郎「俺が気にするんですっ!」
里志「その内新聞部や放送部が来るかもね」
奉太郎「勘弁してくれ…」
里志「女帝、入須冬実を手に入れた帝王、果たしてどの様な人物かっ! ってね」
奉太郎「…お、俺の省エネ生活を返してください、先輩」
入須「…まぁ、頑張ってくれ」
奉太郎「先輩!」
入須「知らん」
里志「…まったく、諦めなよ、奉太郎」
奉太郎「………」ガクッ
入須「歩け」
奉太郎「……はい」
奉太郎(好きだけど…好きだけど…!)
奉太郎(別れようかな…)
入須「…今、何を考えていた?」
奉太郎「い、いえ、何も!」
おわり
1: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/09/22(土) 23:50:41.08 ID:6dgjJ0oT0
入須「もしもし、入須です」の続きです。
7: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/09/22(土) 23:54:03.71 ID:6dgjJ0oT0
・古典部部室
奉太郎(千反田は図書館、里志は総務委員の会議、伊原は図書委員の仕事…)
奉太郎(三度目の奇跡だ。今日の奇跡を信じて、この問題を終わらせる)
奉太郎「こんにちは、先輩」
入須「あぁ」
奉太郎「お久しぶりですね」
入須「…そうだな、一週間ぶりだ」
8: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/09/22(土) 23:56:02.37 ID:6dgjJ0oT0
奉太郎「はい」
入須「…早くないか?」
奉太郎「そうですか?」
入須「…まぁ、元々私から言い出したことだ。君が気にする必要は無いんだが」
奉太郎「えぇ」
入須「手紙で呼び出されたのは初めてだ」ガタッ
奉太郎(…先輩はいつも目の前に座るな)
10: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/09/22(土) 23:57:19.36 ID:6dgjJ0oT0
奉太郎「俺も下駄箱に手紙を入れたのは初めてです」
入須「それで、これはどういう事だ?」パサッ
『本日放課後、古典部部室にて。 折木奉太郎』
奉太郎「そのままの意味ですよ」
入須「…と言われてもな」
奉太郎「部室なので、抹茶が無くて申し訳ないんですが」
入須「それは構わないが」
奉太郎「安心しました」
11: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/09/22(土) 23:58:23.68 ID:6dgjJ0oT0
入須「…それで、なんだ?」
奉太郎「…実は、特に大した用事は無かったんですが」
入須「……帰る」スッ
奉太郎「冗談です」
入須「………」トスッ
奉太郎「…入須先輩、お話があります。聞いてもらえますか?」
入須「…あぁ」
14: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/09/23(日) 00:00:21.61 ID:gFVbbjMm0
奉太郎「……以前、先輩が俺に相談した事を覚えていますか?」
入須「さて、なんだったか」
奉太郎「恋の相談ですよ。先輩に好きな人がいると」
入須「……それは、忘れてくれ。終わった事だ」
奉太郎「…その次に先輩が俺に話した事は、覚えていますか?」
入須「…高校生活についてだ。主に、朝と放課後のな」
奉太郎「えぇ。そして休みの日に先輩の髪の話、文化祭で先輩が怒っていた理由の話」
入須「随分ピンポイントだな」
16: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/09/23(日) 00:01:58.25 ID:gFVbbjMm0
奉太郎「共通点があります」
入須「…一体なんだ?」
奉太郎「わかりませんか?」
入須「……あぁ」
奉太郎「…先輩、前に俺の事をこう言ってましたね。よく理解してくれて、特別だと」
入須「そうだな」
17: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/09/23(日) 00:03:15.12 ID:gFVbbjMm0
奉太郎「特別な事、それは人それぞれあります。勿論俺にも」
入須「君にとって特別な事?」
奉太郎「先輩、例えば自分の前を歩く人が居たとしたら、それはどの様な人でしょうか?」
入須「…急になんだ」
奉太郎「答えてください」
入須「……目上の人だろう。上司、先輩」
18: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/09/23(日) 00:04:48.07 ID:gFVbbjMm0
奉太郎「では、自分の後ろを歩く人は?」
入須「単純に逆にすれば、部下、後輩。目下の者だ」
奉太郎「それなら、隣は?」
入須「同期、同級生。対等な関係の者だ」
奉太郎「…では、その隣を歩く人が先輩の後ろに下がっていくとして、その理由はなんでしょうか?」
入須「…折木君、なぞなぞをする為に私を呼んだのか?」
奉太郎「先輩、答えてください」
20: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/09/23(日) 00:05:58.36 ID:gFVbbjMm0
入須「……わかった。そうだな…本質的に、立場が下なんじゃないか?」
奉太郎「と言うと」
入須「人を避けるにしろ狭い道を歩くにしろ、自分が動く事で相手を引き立たせている」
奉太郎「では逆に、前に出て行く場合の理由はなんでしょうか?」
入須「…自ら引き立つ為に動く。リーダーたる者、若しくは相手を守る為」
奉太郎「……ありがとうございます。参考になりました」
21: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/09/23(日) 00:07:42.10 ID:gFVbbjMm0
入須「意図を教えてはくれないのか?」
奉太郎「…先輩、今の話、俺は抜けている事があると思います」
入須「なんだ?」
奉太郎「隣を歩く人は同級生だけではありません。年上の友達や親、年下の知り合いや兄弟」
入須「…確かに」
奉太郎「そして、隣に歩く人が前に出る。 …導いているんじゃないでしょうか?」
入須「隣の者をか?」
22: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/09/23(日) 00:09:50.92 ID:gFVbbjMm0
奉太郎「えぇ、例えば、俺の様な何もできない省エネ人間をね」
入須「…君は何もできなくないよ」
奉太郎「…そう言って貰えると嬉しいです」
入須「本当だ」
奉太郎「……本題に入りましょうか、先輩」
入須「…待て」
23: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/09/23(日) 00:11:10.69 ID:gFVbbjMm0
奉太郎「はい」
入須「聞きたくない」
奉太郎「聞いてもらいます」
入須「嫌だ」
奉太郎「先輩」
入須「………」
24: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/09/23(日) 00:12:57.65 ID:gFVbbjMm0
奉太郎「…知る事の出来る者が、知らないフリをする事はできない」
入須「…どういうことだ?」
奉太郎「先輩、人の気も知らないで、勝手に結論を出すのは良くありませんよ」
入須「………」
奉太郎「………」
入須「……わかった、聞かせてくれ」
奉太郎「はい」
奉太郎(布石は打った。ここからだ…!)
26: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/09/23(日) 00:15:07.15 ID:gFVbbjMm0
奉太郎「…先日言ってましたね、昔の関係に戻るのは嫌だと」
入須「あぁ」
奉太郎「それは、俺と先輩の距離が離れてしまうからですか?」
入須「…そうだ」
奉太郎「なら、それはありえません」
入須「なぜだ。君は私に騙され、苦手意識を覚えたはずだ。そうなれば…」
奉太郎「先輩、俺はどうやら省エネはやめられません。そしてあなたは女帝と呼ばれている」
27: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/09/23(日) 00:16:42.12 ID:gFVbbjMm0
入須「…あぁ、変わらない」
奉太郎「それで良いんです。見方を変えましょう」
入須「見方を…?」
奉太郎「先輩は、隣に歩きながら俺を導いてくれていると」
入須「…私が、君を」
奉太郎「えぇ。先ほどの共通点の話ですが、あれは全て先輩の問いに俺が考え、答えを示した話です。正答は少ないですが」
入須「…なるほど、確かに」
28: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/09/23(日) 00:18:06.38 ID:gFVbbjMm0
奉太郎「最初は嫌でしたが、今はそこまで嫌ではありません。まぁ、余り多いと困りますけど」
入須「…そんなに言わないよ」
奉太郎「悪い気はしませんけどね」
入須「……だが、私はまた君を騙そうとするかもしれない。導くと嘘をついてな」
奉太郎「その時は、また先輩の真意を俺が解きます」
入須「………」
29: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/09/23(日) 00:20:00.04 ID:gFVbbjMm0
奉太郎「先輩、あなたは俺に道を示してくれた。そして、これからも変わらないでしょう」
入須「あぁ」
奉太郎「これがこの間の答えです。 …先輩は特別です。俺には、あなたが必要な理由がある」
入須「!」
奉太郎「俺達は二人で歩いていく。そして先輩は時々前に出て、俺を導いてください」
入須「…それなら君は、時々後ろに下がって私を見守ってくれるのか?」
奉太郎「そうですね、後ろに下がって、俯瞰で先輩の気持ちを理解しましょう」
30: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/09/23(日) 00:21:50.36 ID:gFVbbjMm0
入須「…そうか」
奉太郎「お互いが特別であれば、対等じゃないですか?」
入須「……そうかもしれない。だが、私は君を束縛してしまう。嫉妬心も強い。君はこんな女、嫌だろう?」
奉太郎「先輩、俺は先輩を信頼します。だから先輩も俺を信じてください」
入須「だが…」
奉太郎「………」
奉太郎(ここか…)
31: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/09/23(日) 00:24:11.19 ID:gFVbbjMm0
奉太郎(姉貴が言っていたな。わかっている事実を検討し、わからない事に上書きしろと)
奉太郎(姉貴…信じるからな。失敗したら、一生恨むぞ)
奉太郎「…あの時、俺の事を変わっていないと言いましたね、先輩」
入須「…あぁ」
奉太郎「そんな事はありません。変わっていますよ、俺は」
奉太郎(………)ドク…ドク…
奉太郎(胸が痛い…勇気を出せ、俺!)
奉太郎(…事実はある。全てを伝えるんだ、先輩に!)
34: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/09/23(日) 00:25:49.26 ID:gFVbbjMm0
入須「…折木君?」
奉太郎「俺は…俺は!」
奉太郎「入須先輩の事が、どうしようもなく好きになりました!」
入須「!!」
奉太郎「変わっていないなんて、言わせません」
入須「………」
36: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/09/23(日) 00:28:15.41 ID:gFVbbjMm0
奉太郎「………」ガタッ
入須「お、折木君
ギュッ
入須「!」
奉太郎「束縛してください。嫉妬してください。騙してください」
奉太郎「そのままの先輩で良いんです。俺は、そんな先輩が堪らなく好きなんですから」
37: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/09/23(日) 00:31:04.02 ID:gFVbbjMm0
入須「………」
奉太郎「………」
入須「………」ポロ…ポロ…
奉太郎「! 先輩…?」
入須「折木君…折木君…」
奉太郎「…泣かないで下さい、先輩」
入須「うるさい…」
39: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/09/23(日) 00:32:40.28 ID:gFVbbjMm0
奉太郎「…調子が戻ってきましたね?」
入須「……この一週間、とても辛かった。そして今、とても幸せだ」
奉太郎「はい」
入須「想いが込み上げて、止まらない…嬉しくて、悲しくて…」ポロ…ポロ…
奉太郎「はい」
入須「君がこんな…私を抱きしめるからだ。 …暖かくて、優しくて」
奉太郎「………」
40: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/09/23(日) 00:34:06.66 ID:gFVbbjMm0
入須「今、私も変わった。君の事が…大好きになったよ」
奉太郎「はい」
入須「こんな私でいいのか…?」
奉太郎「…先輩以外、いません」
入須「…嬉しい」ギュッ
奉太郎「………」ギュッ
41: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/09/23(日) 00:35:21.06 ID:gFVbbjMm0
入須「………」
奉太郎「……入須先輩」
入須「……折木君」
奉太郎「………」
入須「……ん」
奉太郎「………」チュッ
入須「んっ…」
奉太郎「……ふぅ」
入須「………」
43: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/09/23(日) 00:36:30.92 ID:gFVbbjMm0
奉太郎「………」
入須「……もう一度」
奉太郎「…おあずけです」
入須「…バカ」
奉太郎「これでも、恥ずかしいんですよ」
入須「気にしなくて良いよ」
奉太郎「俺が気にします」
入須「………」ギュッ
45: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/09/23(日) 00:37:22.23 ID:gFVbbjMm0
奉太郎「……先輩、好きです。この気持ちは、忘れません」
入須「…忘れたら、怒るからな」
奉太郎「手帳に書いておきますよ」
入須「ふふっ。あぁ、頼む」
奉太郎(…入須先輩、出会った当初はこんな関係になるとは思って居なかったが)
奉太郎(こんなにもかけがえのない人が出来て、俺も、幸せだ)
46: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/09/23(日) 00:38:30.12 ID:gFVbbjMm0
・10分後
入須「これで…正式に恋人同士、だな」
奉太郎「そうですね」
入須「お互いに好きだと確認しあったし」
奉太郎「えぇ」
入須「……キスもしたし」
奉太郎「…はい」
50: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/09/23(日) 00:40:07.07 ID:gFVbbjMm0
入須「君と将来どういう家族になるのか、今から楽しみだな」
奉太郎「……え?」
入須「折木君、私は婚前交渉は構わないけど、子供は結婚後だからな」
奉太郎「……結婚?」
入須「…君の為なら、痛みも我慢するよ」
奉太郎「ちょっと待ってください」
51: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/09/23(日) 00:41:35.74 ID:gFVbbjMm0
入須「…なんだ?」
奉太郎「……いや、急に話が飛躍したような気がするんですが」
入須「どこがだ?」
奉太郎「結婚って…」
入須「先ほどキスをしたじゃないか」
奉太郎「はい」
52: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/09/23(日) 00:42:30.46 ID:gFVbbjMm0
入須「結婚と言う事になるだろう?」
奉太郎「……いや、なんでですか。なる訳ないでしょう」
入須「何故だ、なるだろ?」
奉太郎「なりませんよ」
入須「なる」
奉太郎「なりません」
55: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/09/23(日) 00:43:21.28 ID:gFVbbjMm0
入須「………」
奉太郎「………」
入須「…まぁ、前提と言う事にしておくよ」
奉太郎「…もうそれでいいです」
入須「結婚はするけどな」
奉太郎「…もうなんでもいいです」
56: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/09/23(日) 00:44:28.00 ID:gFVbbjMm0
入須「そうか。まぁ、学生結婚は何かと大変だからな、すぐの話じゃないよ」
奉太郎「…はい」
入須「元気が無いぞ」
奉太郎「…疲れが一気に来ました」
入須「私の為に考えていてくれたんだな…ありがとう」
奉太郎「…これは五限の体育ですね。体が痛い」
57: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/09/23(日) 00:45:18.13 ID:gFVbbjMm0
入須「………」ペシッ
奉太郎「痛っ! 何するんですか…」
入須「君にはデリカシーが足りないな。それに鈍感だ」
奉太郎「酷い言われようですね」
入須「…そして、女に警戒心が足りない」
奉太郎「うっ…もう良いじゃないですか、それは」
59: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/09/23(日) 00:46:20.82 ID:gFVbbjMm0
入須「ヘラヘラしてた」
奉太郎「してませんよ。笑顔の練習です」
入須「なら、私にも見せてみろ」
奉太郎「…嫌です」
入須「あの女性に出来て、私には出来ないと」
奉太郎「…そういうわけじゃ
入須「なら見せてみろ」
60: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/09/23(日) 00:47:14.28 ID:gFVbbjMm0
奉太郎「………」
入須「早く」
奉太郎「………」ニコッ
入須「!」カーッ
奉太郎「…これでいいですか」プイッ
入須「あ、あぁ…」ドキドキ
62: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/09/23(日) 00:48:20.65 ID:gFVbbjMm0
奉太郎「……恥ずかしいんですから」
入須「…余り、やらなくていいよ」
奉太郎「…はぁ」
入須「目に毒だ…」
奉太郎「失礼な」
入須「年上の女性には絶対に見せない様にな」
64: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/09/23(日) 00:49:16.07 ID:gFVbbjMm0
奉太郎「…はぁ」
入須「わかったな?」
奉太郎「まぁ、はい」
入須「今日から君には首輪を付けさせてもらうからな」
奉太郎「……え?」
入須「しっかり面倒を見てやろう」
65: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/09/23(日) 00:49:56.57 ID:gFVbbjMm0
奉太郎「先輩、自由とは」
入須「有って無い様な物だ」
奉太郎「独裁者じゃないですか…」
入須「ふふっ、冗談だよ。 …監視はするが」
奉太郎「…先輩」
入須「しばらく我慢しろ。一週間分、君に甘えたい」
奉太郎「…仕方ないですね」
66: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/09/23(日) 00:50:49.13 ID:gFVbbjMm0
入須「ふふっ、楽しみだ」
奉太郎「それじゃ、そろそろ帰りましょうか」
入須「あぁ、腕を組んでな」
奉太郎「早速ですか」
入須「…私は容赦しないからな。覚悟しろよ」
奉太郎「…はい」
68: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/09/23(日) 00:51:39.56 ID:gFVbbjMm0
奉太郎(腕を組んで、隣同士で歩いていく…)
奉太郎(道に迷ったら、先輩が前に出て正しい道を探す。俺はその後ろで考えて、先輩に助言をする)
奉太郎(二人で協力して、この先を歩いていく)
奉太郎(隣同士、対等に…どこまでも…歩いていこう)
奉太郎(かけがえのない、特別な人と一緒に)
奉太郎「行きましょうか、冬実先輩」
入須「! あぁ…そうだな、奉太郎」
69: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/09/23(日) 00:52:31.90 ID:gFVbbjMm0
おまけ
奉太郎(……ん?)
奉太郎「先輩、少しここに」コソコソ
入須「ん? あぁ…」
奉太郎「………」コソコソ
ガラッ
里志「うわっ!」
伊原「えぇっ!」
千反田「きゃあっ!」
71: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/09/23(日) 00:53:27.31 ID:gFVbbjMm0
奉太郎「………」
里志「…ばれたね」
伊原「だからやめようって言ったのに!」
千反田「あ、あの、その、これは…」
奉太郎「………」
里志「……逃げろっ!」
伊原「あ! ちょっと待ってよ!」
千反田「え? あ、待ってください! 私、気になりますーっ!」
73: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/09/23(日) 00:54:23.92 ID:gFVbbjMm0
奉太郎「………」
入須「…見られてたな」
奉太郎「その様ですね」
入須「…まぁ、私は見られていても構わないがな」
奉太郎「俺は嫌ですっ!」
75: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/09/23(日) 00:55:14.84 ID:gFVbbjMm0
エピローグ
奉太郎「おはようございます。先輩」
入須「おはよう。時間通りだな」
奉太郎「はい。それじゃ、行きましょう」
入須「あぁ」
奉太郎「……大分寒くなってきましたね」
入須「冬も近いからな」ギュッ
77: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/09/23(日) 00:56:15.74 ID:gFVbbjMm0
奉太郎「…暖かいですね、先輩」
入須「ふふっ、君もな」
奉太郎「昨日はお邪魔しました」
入須「あぁ、気にするな」
奉太郎「…予想通り先輩の父親には睨まれてしまいましたが」
入須「…それも気にするな。まぁ、なんとか説得しよう」
78: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/09/23(日) 00:57:07.48 ID:gFVbbjMm0
奉太郎「先輩が結婚を考えている、なんて言うからですよ」
入須「本心だ」
奉太郎「空気で死ぬかと思いました」
入須「…まぁ、ゆっくり行こう」
奉太郎「…そうですね」
入須「時間はある。君にも、私にも」
奉太郎「はい」
79: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/09/23(日) 00:58:04.32 ID:gFVbbjMm0
入須「いつか、二人で一番幸せになろう」
奉太郎「えぇ、必ず」
??「おおーい!」
奉太郎「…里志だ」
里志「奉太郎! 入須先輩!」
奉太郎「随分早いな」
82: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/09/23(日) 00:59:01.00 ID:gFVbbjMm0
入須「おはよう、福部君」
里志「おはようございます。奉太郎達の姿が見えたから追ってきたんだよ」
奉太郎「朝から元気だな、お前は」
里志「そりゃそうだよ! なんせ神高の女帝を落とした帝王、折木奉太郎とその女帝が腕を組んで歩いているんだからね」
入須「…そんな話になっているのか」
奉太郎「話半分に聞いておいてください」
83: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/09/23(日) 00:59:42.81 ID:gFVbbjMm0
里志「嘘じゃないよ、奉太郎」
奉太郎「……嘘だと言ってくれ」
里志「大体、こんな露骨にアピールすれば誰だって気づくさ」
入須「…奉太郎、堂々としろ」
奉太郎「ですが、先輩…」
入須「私は気にしない」
奉太郎「俺が気にするんですっ!」
84: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/09/23(日) 01:00:29.09 ID:gFVbbjMm0
里志「その内新聞部や放送部が来るかもね」
奉太郎「勘弁してくれ…」
里志「女帝、入須冬実を手に入れた帝王、果たしてどの様な人物かっ! ってね」
奉太郎「…お、俺の省エネ生活を返してください、先輩」
入須「…まぁ、頑張ってくれ」
奉太郎「先輩!」
入須「知らん」
里志「…まったく、諦めなよ、奉太郎」
86: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/09/23(日) 01:01:29.97 ID:gFVbbjMm0
奉太郎「………」ガクッ
入須「歩け」
奉太郎「……はい」
奉太郎(好きだけど…好きだけど…!)
奉太郎(別れようかな…)
入須「…今、何を考えていた?」
奉太郎「い、いえ、何も!」
おわり
91: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/09/23(日) 01:04:48.22 ID:gFVbbjMm0
以上です。支援してくださった方、ありがとうございました。
これで、とりあえずこのSSシリーズは終わりです。
入須先輩に惚れて自家発電として書いたSSでしたが、
色々な方にお読みいただきまして、ありがとうございました。
それでは、また次の機会がありましたら、宜しくお願いします。
これで、とりあえずこのSSシリーズは終わりです。
入須先輩に惚れて自家発電として書いたSSでしたが、
色々な方にお読みいただきまして、ありがとうございました。
それでは、また次の機会がありましたら、宜しくお願いします。
87: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/09/23(日) 01:03:57.84 ID:uel8quKE0
乙!
90: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/09/23(日) 01:04:45.51 ID:EepXh+Qi0
乙!
いりすたそ~
いりすたそ~
この記事へのコメント
まさかほうたるが年上キラーだったとは
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- あ - 2012年09月24日 06:30:47
おもしろかった
乙でした