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衣「咲が欲しい」
透華「…………は?」
衣「だから、咲が欲しいと言っているんだ」
一「咲って……清澄の大将の?」
衣「ほかに誰がいると言うんだ?」
純(ますますわからねぇ……)
透華「あ、ああ! 麻雀を一緒にやりたいということですわね!」
透華「衣のためならそれくらいお安い御用ですわ! 明日の放課後、すぐに清澄に使いのものを……」
衣「確かに再び卓上で矛を交えるのもいいが、衣が言っているのはそういうことじゃないぞ」
一「え……じゃあ一緒に遊びたいとか……」
衣「違う、衣は咲を伴侶としたいのだ」
透華「」
智紀(やっぱりそう言う意味……)
透華「……そ、そうですわよね」
透華「衣が初めて自分で作ったお友達ですもの」
透華「そろそろ『親友』にステップアップしてもいい頃ですわよね、オホホ……」
衣「とーかの国語の成績は良かったと記憶しているんだが、気のせいだったのか?」
一「えっと……具体的にはどういうことをしたいの……?」
衣「うむ、いろいろとしてみたいことはあるが、やはり情交は外すことができないな」
透華「」
一(ああ…………)
純(これはマズイ)
智紀(新鮮なネタが入荷した)
透華「……」
透華「申し訳ありませんが、私少々疲れているようでして……」
透華「どなたか通訳を頼めませんこと?」
純「いやぁ……そのまんまの意味だろ」
純「つまりあの嶺上使いとヤりた 透華「ハギヨシ」
ハギヨシ「はっ」ガシッ
純「いやっ!? ちょっと待て! 俺は聞かれたから答えただけだろ!」
純「俺は何も悪くな」バタンッ
透華「申し訳ありませんが、私少々疲れているようでして……」
透華「どなたか通訳を頼めませんこと?」
一(無かったことにされた……)
智紀(見た目的にはおねロリになるんだけど、実際はほぼ同い年というのが最高)
一「えっと、つまり……宮永さんともっともっと仲良くなりたい、ってことだよね?」
衣「確かに大きくずれてはいないが、ころ 透華「そうですわよね!」
透華「そう、そういうことでしたら、私は助力を惜しみませんわ!」
衣「おいとーか、人の話は最後ま 一「と、とにかくさ!」
一「仲良くなるにしても、まず段階を踏んでいくことが大切だと思うんだ」
一「だから、まずはそのために色々とやっていかなきゃいけないことがあるんじゃないかな」
衣「そうだな、確かに一理ある」
衣「なら衣はまず>>25」
① 咲とデートする
② ほかの人で練習する(名前も併記)
③ その他
衣「咲をデートに誘おうと思う」
透華「あら、遊ぶ約束をするんですのね?」
透華「なら、今電話をかけさせますわね。ハギヨシ」
ハギヨシ「こちらに」スッ
一(純くんはどうなったんだろ……)
透華「では明日、宮永さんをここ(衣屋敷)にお呼びするということで」
衣「いや、衣は咲と街へ出てデー 透華「あ、もしもし、夜分遅くに失礼します」
一(だめだ、完全に脳内フィルターが働いてる)
智紀「衣」チョンチョン
衣「ん? どうした」
智紀「後で街へ出かけられるように手を打ってあげる」ボソボソ
衣「本当か!」
智紀「声が大きい……」
智紀(こんな好機、みすみす逃すわけには行かない)
一(こっちはこっちで話を厄介な方へ……)
智紀「とにかく、私がデートスポットを纏めておいてあげるから」ボソボソ
智紀「明日はそれに沿って行動すれば、間違いなし」ボソボソ
衣「感謝するぞ」ボソボソ
一(ボクは……どうしよっか……)
透華「衣、明日の10時頃こちらへつくように手配しましたから、寝坊しないようになさいね」
衣「うむ、助かるぞ、とーか!」
智紀「じゃあ衣は早く寝るみたいだし、私も今夜はこれで」
透華「あら、もう行きますの? おやすみなさい」
一(透華に付いて衣と宮永さんがくっつかないようにするか)
一(ともきーと一緒に衣の応援をするか……)
>>37
妨害or応援
一(ボクだって透華のことが……好き、なわけだし)
一(女の子同士の恋愛だからって、衣の恋が実らないのは嫌だな)
一(それに、これを機に透華が衣離れしてくれるかもしれないし)
一「透華、ボクも今日は先に寝させてもらっていいかな?」
一「明日はしっかり準備をして、宮永さんをもてなさないといけないしね?」
透華「それもそうですわね……」
透華「では私も今日は休むことにしましょうか」
透華「ハギヨシ、では明日のことをよろしく頼みますわよ」
ハギヨシ「畏まりました、おやすみなさいませ」
――廊下――
一(しまった、もしかしたら萩原さんが直接宮永さんを迎えに行くかもしれない)
一(萩原さんは多分、透華の味方だ……)
一(どうしよう……一度宮永さんがここに来ちゃったら、きっともう透華の監視の目から離れられない)
智紀「そう、それが一番の問題」
一「」ビクッ
智紀「私たちに用意されてる手段は多くはない」
智紀「それでも、衣の恋は成就させてあげなくては……」ゴゴゴ
一(なんだろう……麻雀やってる時以上の、凄まじい気迫を感じる……)
一「そ、それはいいんだけど、どうしたら……」
智紀「>>60」
① ハギヨシ懐柔を試みる
② 衣を朝一で咲のところに送り届ける
智紀「透華の手が回る前に、衣を宮永さんのもとへ送り届けるしかない」
一「でも……ここから清澄周辺まで結構距離があるよ?」
智紀「心配いらない……二輪の免許を持っているし、ガレージにはサイドカー付きの愛車がある」
一(全然知らなかった……そしてイメージと全く合わない……)
智紀「一は寝る前に衣にこの話を」
智紀「私は準備を整える」
智紀「作戦決行は、明日の朝4時、裏門のところへ集合」
一「衣は起きられるのかなぁ……」
智紀「起きられなかったら、旅行カバンに詰めて持ってくればいい」
一(完全に誘拐犯だよ……)
~翌朝4時~
――裏門への道――
衣「むにゃむにゃ」スヤスヤ
一(予想通り起きられなかったから、リュックに入れて持ってきたけど……)
一(ってか流石に重い……純くんが手伝ってくれればよかったんだけど、部屋にいなかったし)
一(それにしても……無事にたどり着けるんだろうか……)
?「そこまでです」
一「!?」
純「どうかお引き返しください」
一「??? あれ? 純くん……だよね?」
一(え、どういうことこれ? なんか雰囲気が別人なんだけど)
純「衣様が不純同性交友に走らないように見張れとの、透華お嬢様からのお達しがありました」
一(マズイ……目が完全にイってる……)
一(ハギヨシ素敵滅法をくらったんだ、きっと……)
純「さぁ国広さん、今ならお咎めなしで済ますことができます……」
一(どうする……どうするボク!?)
>>80
① 洗脳の解除を試みる
② 智紀の助けが来るまで粘る
一(とりあえず衣を下ろそう……)ドサ
一「純くん……」
純「飽くまで抵抗する気ですか……」
純「不本意ではありますが……力ずくで取り押さえさせていただきます」
一(抵抗するにしても、肉体的にボクが不利なのは明らか……)
一(なら、何とかして純くんの洗脳を解く!)
一(でも、相手はあの萩原さんによって洗脳されている)
一(生半可な刺激じゃない……もっと本能に訴えかけるような衝撃を!)
純「参ります……」ダッ
一(来たっ!)
純「……」ガシッ
一(わざと掴ませると同時に……倒れながら相手の軸足を払うっ!)
純「!」グラッ
一(こちらに倒れ込んでくる純くん……目標は……)
一(唇!)チュゥ
純「!?」ドサッ
一・純「「んんっ……むぅ」」
一(ごめん透華……これも衣のためなんだ……)
一(純くん……元に戻って!)
智紀 「……」●REC
一「ぷはっ」
一「はぁ……はぁ……」
一「って、ともきー!?」
智紀「良い絵が撮れた」グッ
一「いやいやいやいつからいたの!?」
一(既にリュック(衣入り)背負ってるし!)
純「……いったいどういうおつもりですか?」
一(効いてなーい!)
智紀「ふんっ」ウィリイイィィィ!
純「!?」ドガァ!
一「ええぇーーー!?」
智紀「さあ、早く乗って。ハギヨシさんが来る前に」
一「ちょっとともきーバイオレンス過ぎない!?」
ブロロロロロロロロ……
衣「う~ん」スヤスヤ
智紀「宮永咲の家まであと30分ほど」
一(純くん、大丈夫かな……)
一「っていうかこれ、おまわりさんに見つかったら確実に捕まるよね?」
智紀「この時間のこの道路は、いつもの巡回ルートではないから、見つかる可能性は低い」
一(なんで知ってるんだろう)
一「でもさ、このままだと6時前には着いちゃうよ?」
一「宮永さんの準備も必要だと思うんだけど」
智紀「心配ない。>>100」
① 連絡は済んでいる
② 衣に夜這いさせる
智紀「衣に夜這いさせる」
一「ブッ!」
智紀「既成事実を作ってしまえば、透華も口出しできなくなる」
一「もうともきーがぶっ飛びすぎてて、何を言っていいのかわからないよ……」
一「ちょっとだけ後悔してきたかも……」
智紀「私に協力することを選んだ時点で、既にこちらの道に足を踏み入れてる」
智紀「もう、後戻りはできない」ニコッ
一(せ、背筋が……)ゾクッ
智紀「着いた」
智紀「衣、起きて」ユサユサ
衣「ぅうん? ……ここは」
智紀「宮永さんの家の傍。これから衣には夜這いをかけてもらう」
衣「咲の……いえ……」
衣「ハッ!」
衣「そうか! 今咲の家まできたところか!」
智紀「衣の獲物は目と鼻の先。気を引き締めて」
衣「食べ放題というわけだな! さすがともきだ!」
一(どんどん加速している……衣も受け入れちゃうんだ……)
一「夜這いってことは、どこかから侵入するんだよね?」
一「まさか玄関から入るわけにもいかないし……」
衣「こっちだ! こっちから咲の匂いがするぞ!」
智紀「夏場だから、網戸の状態」コソコソ
衣「咲だ! 咲が寝てるぞ!」コソコソ
智紀「じゃあ衣、今から持ち上げて部屋の中に入れる」
智紀「あとは好きなように楽しんできて」
智紀「あ、できればある程度イかせたあと、焦らしておねだりを引き出してくれると嬉しい」
智紀「あと、このバッグの中には秘密の道具が入ってるから、持っていくといい」ズシッ
衣「よくわからないが、とにかく咲を悦ばせればいいんだな」
智紀「そういうこと、じゃあいってらっしゃい」グイッ
衣「……」ソロリソロリ
智紀「一、これで中の様子を撮っておいて」スッ
一「え、ともきーはどこかに行くの?」
智紀「宮永さんのお父さんと“お話”してくる」
一「」
衣(気持ちよさそうに寝ている……)
衣(そっと布団に入って……)ゴソゴソ
衣(えへへ、あったかい……)
衣(……これから、咲と……)
衣(い、いざとなると、緊張するな……)
衣(ま、まずは接吻からするのがマナーなのだろうか)ドキドキ
衣(咲の唇……)ゴクリ
一(良かった……衣は純情だったみたい)
衣(咲……)
チュ
ジリリリリリリリリリリリ
衣・一「!?」
咲「うぅん……」ゴソゴソ
咲「朝……」ポチ
咲「ふあぁぁぁぁ……」ノビー
咲「……って、あれ?」
衣「えへ……」ニコッ
咲「衣……ちゃん?」
コンマ判定 >>135
00~79 「衣お姉さんだ!」
80~99 「えいっ!」(押し倒す)
衣「衣お姉さんだ! 私は咲より年上だぞ!」
咲「あはは、そ……そうだったね……」
咲「で、でもさ……仲のいい人は下の名前に“ちゃん”付けで呼んでるから」
咲「“衣ちゃん”じゃ、だめ……かな?」
衣「っ」キュゥゥン
衣「こ、ころもは別にそれならそれで……」モジモジ
咲「えへへ、でさ、衣ちゃん」
衣「うん?」
咲「な、なんでここに居るのかなぁ……って」オズオズ
衣・一「」
智紀「衣が咲さんが来るのを待ちきれなかったの」ガラッ
咲「!?」ビックゥ
衣「と、ともきー!」
咲「え、あれ? な……なにがどうなってるの?」
智紀「宮永さんのお父さんに入れてもらった」
智紀「お父さんは今“お休み”になられてる」
咲「そ、そうなんですか……」
一(ああ……純くんに次ぐ犠牲者が……)
衣「さ、咲! それより早くデートへ行こう!」
咲「え!? デートって……っていうか龍門渕さんの家に行くんじゃ……」
智紀「龍門渕家で急なパーティが開かれることになった」
智紀「だから、申し訳ないけど今日は街でブラブラすることになった」
咲「街でブラブラ……ですか」
衣「咲は衣とデートするのは……嫌か?」ウルウル
咲「そんなことないよ! ただ、なんか……その」
衣「?」
咲「寝起きのみっともないとこ見られて……恥ずかしくなってきたというか///」
衣・一(か、かわいい……)キュン
智紀(これは完全にネコの顔。やはりロリ×おねこそ至高)
咲「えっと……衣ちゃんたちは、朝ごはんは……?」
衣「まだ食べてないぞ?」
智紀「私はカロリーメイトが」
一(ボクはお腹減ったな……)
咲「その……ご飯食べていきます?」
>>150
① 衣「咲の手料理!」
② 智紀「(追手の危険が)どうせだから外食に」
智紀「せっかく外出するんだから、外で食べよう」
咲「え……でもわたしそんなに贅沢できるほどお金が……」
衣「心配するな! 衣に全部任せておけばいい!」
咲「でも……」
衣「好意を素直に受けるのも、礼儀のひとつだと思うが?」
咲「……うん、じゃあとりあえず朝ごはんは衣ちゃんに頼っちゃおうかな」
衣「わーい!」
一(ボクはどうなるんだろう……)
>>160~170
デートプラン募集
とりあえずハミレスに行こうか
咲「ハンバーグ、久々に食べた気がする」モグモグ
衣「タルタルうまうま」モグモグ
咲「それにしても、沢村さんは一緒じゃなくて良かったのかな」
衣「衣と咲のデートだからな! きっと気をつかってくれたに違いない!」
咲「あはは」
――外――
智紀「いい雰囲気。これなら今日中に合体も可能」ズルズル
一「なんでボクたちはカップ麺なの……」ズルズル
智紀「完全なる観測者に徹すること、それがこの道の常識」キリッ
一「えー」
咲「あ、衣ちゃん、人参も食べないとダメだよ?」
衣「こ、衣はお姉さんだから食べなくても平気なんだ」
咲「お姉さんなら、食べられると思うんだけどな……」
衣「む……うむむ」
咲「ほら、あーん」ヒョイ
衣「! あ、あーん」パク
咲「ほら、ちゃんと食べられた」
衣「うぅ……まずい……」
咲「そんなこと言っちゃダメだよ?」
衣「苦手なものは苦手なんだ……」
智紀「」ガタッ バシャ
一「あっづうううううぅぅ!?」
咲「美味しかったね」
衣「今度は人参の入っていないエビフライとハンバーグのセットを頼もう……」
咲「だめだよ、好き嫌いは体に悪いよ?」
衣「……次も、咲が食べさせてくれるなら……考えてやらんこともない」
咲「……ふふ、可愛いなぁ」ナデナデ
衣「な、こ、衣を子供扱いするなぁ……」
智紀「おかしい…… 「ソース付いてるよ→ペロッ」のコンボが無いだなんて……」
一(相当重症だよね、ともきー……)
まぁ若いからな
咲「次はどこに行こっか?」
衣「衣はどこでもいい……(っは、そういえばともきが「相手の趣味にあった場所を」と)」
衣「さ、咲は麻雀以外の趣味とかはあるのか?」
咲「うーん、読書は大好きだなぁ」
咲「麻雀部に入る前は、本ばっかり読んでたし」
衣「よし! では本屋に行こう!」
智紀「衣……その調子」
一(なんか、羨ましいな……)
――木間書店――
咲「あ、この本新刊出てたんだ!」
咲「これ、この前映画化されたやつだ! 時間がなくてチェックできなかったんだよね」
衣「……」
衣(咲が楽しそうなのはいいんだが、あんまりにも夢中になりすぎてて、ちょっとさみしいな……)
衣(ちょっとくらい構ってくれても……)トテトテ
咲「この作家さん、筆が遅いから、シリーズ終わるのかどうか心配なんだよね……」
一「あぁ、衣が……」
智紀「いや、待って欲しい。これはふたりの関係における最初の試練でありスパイスに(ry」
衣(思えば、最初は家に来る予定だったのに、無理やり連れ出してしまった)
衣(やはり、自分勝手すぎたのだろうか……)
衣(今まで透華が敷いてくれた軌道の上をただただ歩いてきただけだったから)
衣(こういった時にどうすればいいのかわからない……)
衣「はしゃぎすぎてしまったのか……」ボソッ
咲「こーろもちゃん!」ギュ
衣「わ! わ! さ、咲!?」
咲「ごめんね、本に夢中になっちゃって」
衣「べ、別に咲が楽しければ衣はそれで……」
咲「ダメだよ。だってこれは『二人のデート』なんでしょ?」
衣「……うんっ!」パアァ
智紀「ハァハァハァハァ」●REC
一(なんだかんだで上手くいってるなぁ)
衣「もういいのか?」
咲「うん、欲しい本はだいたい買えたしね」
衣「衣が買ってやると言ったのに……」
咲「そこまで衣ちゃんには頼れないよ」
咲「その代わり、ちょっと行きたいところがあるんだけど、着いてきてくれる?」
衣「? 衣は別に構わないが……」
咲「じゃあ、こっち行こっか」ギュッ
衣(あ、手……)カァ
智紀「衣はあの手を1週間は洗わない。断言する」
一(清と汚の対比が激しい……)
――アクセサリーショップ――
咲「ここだよ」
衣「うわぁ」キラキラ
衣「すごいぞ咲! こんなに煌びやかなところは初めて来たっ!」
咲「いろんな石を使ったアクセサリーがあるんだよ」
咲「宝石みたいに高いわけじゃないけど、どれもみんな綺麗でしょ?」
咲「うーん、どれがいいかなぁ……」
衣「この黒い石など、とても気品があって素晴らしいな!」
咲「衣ちゃん、ちょっといい?」
衣「ん?」クル
咲「うん、やっぱり衣ちゃんにピッタリ!」
咲「衣ちゃんは海底で和了るでしょ? だから月の形をしたネックレスが似合うと思って」
咲「やっぱり、すごく似合ってるよ」ニコッ
衣「あ……」パァァ
衣「な、なら、衣は咲にこれを買ってやるぞっ!」ビシッ
咲「え、このブーケの……って、高っ!」
衣「遠慮するな! 衣が海底なら咲は嶺上だろう?」
衣「そっちだけ受け取るのを拒むなどということは許されないぞ!」
咲「え、う……うん」
咲「じゃぁ……ありがたくもらっちゃおう、かな?」
衣「うむ、そうだぞ、素直なのが一番だ」
衣「あ、店員さーん! あのケースノナカノ……」
智紀「もう死んでもいい」ダラダラ
一(透華にあげるなら、やっぱり水をモチーフにしたものがいいよね……)
咲「二人でネックレス買っちゃったね♪」
衣「今日はずっとつけていなくちゃダメだぞ!」
咲「わかってるよ、ふふ」
咲「あ、あれ、あの人……」
>>207
①かじゅモモ
②部キャプ
③その他カプ
咲「部長と……風越の」
久「あら、咲じゃない」
美穂子「あ、確か……宮永さん、と天江さん?」
咲「は、はい……どうも」ペコッ
衣「お前たちは、どうしたんだ?」
久「見て分からない? 美穂子とデートしてるのよ」
美穂子「う、上埜さんっ!」
久「別に隠すことじゃないでしょう?」
衣「そうか、なら衣たちと一緒だな!」
久「あら、咲……あなたたちそういう関係だったの?」
咲「そういうというか……なんといいますか……」
衣「照れることはないぞ咲!」
咲「う、うん」
久「へぇ……」ニヤニヤ
久「そういえば、向こうにあるケーキ屋さん」
久「今二人で行ってきたんだけど、カップル割りやってるわよ」
久「2割引になるから助かっちゃった。あなたたちも行ってくれば?」
咲「え、部長はカップル割を?」
久「そうなんだけどね、美穂子が恥ずかしがっちゃってさ~」
美穂子「う、上埜さんがいきなりキスしてくるから……」
久「だって、カップルだって証明しなくちゃいけなかったじゃない」
咲「き、キス……」カァァ
衣(今朝寝ている隙にしたんだけどな……)
美穂子「そ、そんなにくっつかれると恥ずかしいです!」
咲「……」ポカーン
衣「よし、咲、一緒に行こう!」グイ
咲「あ、ちょ……」
――カフェ『赤い糸』――
衣「このケーキセット二人分、カップル割りで!」
咲「ちょ、こ、ころもちゃん!」
店員「畏まりました、では……」
衣「キスすればいいんだな!」
咲「え、ちょ、ちょっと待って衣ちゃん!」
店員「い、いえ、こちらは特に条件はございませんので」
咲・衣「「え?」」
衣「で、では衣たちがカップルだということはどうやって証明するのだ!?」
店員「自己申告で結構でございますが……」
咲(よかった)ホッ
衣(うう……せっかく大義名分を得たと思ったのに……)
店員「ではこちらのケーキセットを二つ、カップル割りでよろしいでしょうか?」
咲「あ、はい、お願いします」
店員「畏まりました、少々お待ちください」
智紀「」スッ
一「待って、どこに行く気」ガシッ
智紀「あの店員とお話(ry」
一(っていうか、竹井さん……ただキスしたかっただけだったんだ……)
衣「美味!」モグモグ
咲「ほんとに美味しいね、また今度みんなと来てみたいな」モグモグ
衣「……みんなと?」
衣「咲は、衣以外ともデートするのか?」ウルウル
咲「い、いや! そういうことじゃないよ!?」
咲「ただ、友達として他の人と来たいなぁって」アタフタ
衣「そうか! そういうことなら全く問題はないな!」
咲「はは……あ、衣ちゃん、クリーム付いてるよ」キュ ペロ
衣「む、そうか、すまないな」
智紀「キt 一「はい、大人しくしてようね」
咲「これからどうしよっか?」
咲「朝一番で行動し始めたから、もう一通り回っちゃったよね……」
衣「まだ、正午を少し回ったところだしな……」アフゥ
咲「衣ちゃん、もしかして眠いの?」
衣「むにゅう……そんなことは……あふぅ」
咲「時間ならたくさんあるわけだし、そこの公園でちょっとお昼寝していく?」
衣「む……そうだな……」フラフラ
咲「あ、ちょっと衣ちゃん! 危ないよ!」
咲「衣ちゃん、ここに横になっていいよ」ポンポン
衣「おお、咲が膝枕をしてくれるのか!」
衣「しかしそれだと咲が……」モジモジ
咲「私はさっき買った本を読んでるから平気」
咲「さ、遠慮しないで?」
衣「……では、好意に甘えるとしよう……」ゴロン
衣「咲……咲は楽しかったか……?」
咲「うん、すっごく楽しかったよ? 久しぶりに女子校生っぽいことができたかな」フフフ
衣「そうか……なら……よ、か……」
衣「……」スゥスゥ
咲「ふふふ」ナデナデ
智紀「完璧……ここまでの流れは完璧」ハァハァ
一(っていうか、これはボク達が暇だよね)
一行動安価
>>255
あかんwwwww
一(っていうか、ボクも眠たいよ……)ウツラウツラ
一「ねぇともきー、ボクもどこかでちょっと寝てきていい?」
智紀「向こうの方に個室の漫画喫茶がある」
智紀「私はここで観察してるから、そこで寝てくればいい」
一「わかったよ、何かあったら連絡してね」
一(さすがに疲れたよ……)
一「って、うわ!」
一(気づかなかったけど、透華から山ほど着信が)ブルブル
一(透華……怒ってるんだろうなぁ……)
一(っていうか、透華は衣に対して過保護すぎなんだよ!)プンプン
一(ボクだって……透華の家族……)ズキッ
一(そう、透華にとってボクは家族なんだよね)ズキズキ
一(透華……もっとボクのこと見てよ……)
一(今日の二人みたいに、もっと触れ合いたいよ……)
一(そ、それで最終的には……こ、衣みたいに情を……)カァァ
一(や、やっぱりボクは……抱かれたい……かも)
一(手錠とかで、その、拘束されたりして……)ジュン
一(はぁ……とうかぁ……)クチュ
**************************
一「……はっ!」ガバッ
一「そ、そっか、ボク……一人で……シて……」カァ
一「って、今何時!?」
一(良かった……まだ2時間くらいしか経ってないし、連絡も入ってない)
一(そろそろ戻ろっかな……)
ピカピカピカ
一(着信……透華…………じゃない、ともきー!?)
一「も、もしもし?」
智紀『まずい、ハギヨシさんがこちらに接近してる』
一「え? え? どうやって場所を……って、はっ!」
智紀『そう、ころたんレーダー……!』
智紀『衣はもう起きて、宮永さんと予約していたホテルへ向かった』
智紀『衣のGPSは私が受け取ったから、撹乱するために移動している』
智紀『これで当分は……ッチ』
一「と、ともきー?」
智紀『マズイ……完全に見つかった……』
一(あわわ……ど、どうしよう……)
ハギヨシ『沢村さん……衣様と宮永様はどちらに……』
智紀『素直に言うと思ってるんですか?』
智紀『まぁ、強いて言うなら……』
智紀『あなたの手の届かない、安全な場所にいますよ』ニヤッ
ハギヨシ『……あなたには前々から期待していたのですが……まさかこんな形で対立することになろうとは』
智紀『それはこっちのセリフ……』
智紀『どうしてあなたほどの人が、今回のような透華の指示に従っているのかわからない』
智紀『せっかく巡り会えた同士だと思っていたのに……』
智紀『失望した』
一(え、なにこれ、どういうこと?)
ハギヨシ『私は一人の百合男子である前に、龍門渕に仕える執事なのです……』
ハギヨシ『これは変えることのできない真実です』
ハギヨシ『それゆえに、透華お嬢様の命に従うことが自らの願望に優先するのは当然のこと』
一(何を言っているのかわからない……)
智紀『ならばこの場で雌雄を決するのみ』
智紀『衣と宮永さんの濃厚「ピーーーーーーーーーーー」を邪魔したいのならば』
智紀『まずは私を倒してからにして欲しい』
ハギヨシ『やはり、引く気は無いようですね……』
ハギヨシ『よろしい、ならば全力でお相手しましょう』
ハギヨシ『参ります……』
一(ど、どうしよう……僕は一体どうすれば……)
>>275
① 「付け入る隙はある……ともきーを助けて、ハギヨシさんと戦いに行こう!」
② 「悪いけどともきーの屍……超えさせてもらうよ!」
一(萩原さんの本当の願望が衣の恋愛成就にあるのなら)
一(付け入る隙はある! 行こう!)ダッ
――どこかの路地裏――
智紀「はぁ……はぁ……」
ハギヨシ「終わりですか……沢村さん……いや」
ハギヨシ「壁サークル『茶ッ婦愛(さっふぉー)』の筆頭作家「トモキー」さん?」
智紀(ま、まだ終わるわけにはいかない……)
智紀(なんとしても時間を稼いで……衣の想いを成就させなければ……)
一「ともきー!」
智紀「は、一……」
ハギヨシ「国広さん……」
一「萩原さん……」
ハギヨシ「姿が見えないと思っていましたが、やはりそちら側についていましたか……」
ハギヨシ「今ならまだ間に合います、どうか衣様と宮永様の向かった場所を教えてください」
一「萩原さん、なんであなたは自分の気持ちに嘘をつくんですか……?」
ハギヨシ「……執事が主のために己を殺すことは、当然のことだと思いますが」
一「……ウソですね、あなたの目にはいつもなんの迷いもない」
一「でも今その瞳は、かつて見たことがないくらい揺れ動いている」
一「それは、萩原さんが自分を殺しきれていない証拠にほかなりません!」
ハギヨシ「……」
コミケが開催するまでの場つなぎじゃない! 百合アニメが放映されるまでの時間稼ぎじゃない!
他の何者でもなく! 他の何物でもなく!
あなたの力で、百合ップルが誕生する瞬間を守るって誓ったんじゃないんですか!
ずっとずっと現実(リアル)で見たかったんでしょう! 同人誌みたいにアニメみたいに
命をかけて、襲いかかる現実から女の子たちを守る、百合男子になりたかったんでしょ!
だったらそれは全然終わってない!! 始まってすらいない!!
ちょっとぐらい長いプロローグで絶望しないでください!!
――手を伸ばせば届くんです。いい加減始めましょうよ、百合男子!」
ハギヨシ「私は……」
コンマ判定 >>285
00~79 「私は……間違っていたのかもしれません……」
80~99 「それでも、主の命は守らねばなりません……!」
ハギヨシ「私は……間違っていたのかもしれません……」
ハギヨシ「百合男子として……そして何よりも衣様にお仕えするものとして」
ハギヨシ「あのふたりの仲を、たとえ透華様に逆らってでも取り持つべきだった……」
一「大丈夫です……まだ間に合いますよ」
一「だって、萩原さんとボクたちは、分かり合えたじゃないですか……」
ハギヨシ「国広さん……」
ハギヨシ「……透華様を説得しに行ってきます。こちらのことはお任せ下さい」
智紀「ハギヨシさん……」
ハギヨシ「衣様のこと、よろしくお願いします」スタスタ
一「ハギヨシさん……」
智紀「私たちも行こう、そろそろスイートルームにディナーが運ばれてくる時間のはず」
智紀「万が一にでも撮り逃したら、今までの苦労が水の泡」
一(ともきー……)ガクッ
――スイートルーム――
衣「さぁ咲! 今宵は存分に楽しんでくれ!」
衣「あまり堅苦しくても咲に悪いと思ってな、ビュッフェ形式にしてもらった!」
咲「こ、こんなに豪華なもてなしをされるなんて思わなかったよ……」
衣「今日は二人の初デート記念日だ」
衣「出し惜しみなどしていられないからな」
智紀「良かった、上手くいっている」
一「わざわざ対面のホテルの部屋を取っておくとか、いったいどれだけ情熱をかけてるの?」
智紀「宮永さんの好物に睡眠薬を仕込んでもらっておいた」
智紀「このままいけば、すぐに昏睡レイプを収めることができる」ワクワク
一「最低だこの人」
~20分後~
咲「あ、れ……なんだか眠くなってきた……」
衣「大丈夫か、咲?」
咲「う、うん……ちょっとだけ休ませてもらってもいいかな……?」
衣「衣は一向に構わないぞ、ゆっくり休むといい」
咲「うん、ごめん……ね……」ドサッ
咲「……」スゥー
衣(こ、これがともきの言っていた「据え膳状態」か……)ゴクリ
衣(い、いっても良いん……だな?)オズオズ
智紀「そう、そこ、さあ一気に」●REC
一(ほんとに良いのかな、こんなやり方……)
衣(ま、まずはキスから……)
衣「ん……」
咲「……」パチッ
衣「……」
咲「……」
衣「……起きていたのか」
咲「うん……」
衣「ともきが『咲はすぐ寝るから』って」
咲(やっぱり盛られてたんだ……)
咲(原村さんに盛られまくって、耐性がついていたとは言えない……)
智紀「Bull shit !!」ガンッ!
一(良かった……)
衣「」ビクッ
咲「衣ちゃんは……その、私としたい……の?」
衣「咲は……嫌なのか?」
咲「……」
>>300
① 「その前に、まだ聞いてないことがあると思うんだけど?」
② 「……ごめん」
咲「その前に、まだ聞いてないことがあると思うんだけど?」
衣「え?」
咲「衣ちゃんは、どうして私と……したいと思ったの?」
衣「それは咲のことが……はっ!」
衣「さ、咲のことが好きだからだ! 衣は……咲のことが大好きなんだ!」
衣「ひとりぼっちだと思い込んで、月夜の帳に引き籠って、周りのものを傷つけることしかできなかった衣を」
衣「光の下に連れ出してくれた」
衣「だから衣は……咲のことが欲しい!!」
咲「えへ……面と向かってそう言われると、照れちゃうな……」
咲「……うん、私も衣ちゃんのことが大好きだよ」
咲「いいよ、衣ちゃん……来て?」
衣「咲……さきぃ!!」ガバッ
智紀「YEAAAAAAAAAA 一「はいそこまで」ゴキッ
智紀「」ダラーン
一「こっから先は、余計なギャラリー不要だよ」
一(衣……よかったね)
*************************
一(その後、衣は宮永さんの家に引っ越し、一緒に暮らし始めた)
一(透華はかなり渋っていたけど、ボクや萩原さんの説得と、衣と透華の距離が離れることを喜んだ透華のお父さんのおかげで、衣の願いはかなった)
一(衣は原村さんと激しい対立を繰り広げたみたいだけど、今は宮永さんと平穏に暮らしている)
一(それにしても、衣の恋が実って良かった……)
一「次はボクが頑張る番、かな?」
カンッ!
安価のおかげでハッピーエンドに持ってくることができた
衣系カプのSSがもっと増えますように
衣が幸せなのはとてもいいことだけど、とーかがなんか不憫
はじめちゃん頑張れ
咲さんかわいい!!
衣もかわいい!!
Entry ⇒ 2012.09.13 | Category ⇒ 咲-Saki-SS | Comments (0) | Trackbacks (0)
P「美希とイチャイチャ禁止令が出た」
P「何を?」
律子「デートがスキャンダルになったじゃないですか」
P「え」
律子「それにすら気付いてなかったんですか」
P「くそっ! 悪徳記者に尾行されてたのか!?」
律子「とにかく、これからは美希と場所をわきまえずにイチャイチャするのは禁止です」
P「……!!」
律子「そんな世界の終わりみたいな顔をしても駄目です」
P「律子は俺に死ねと!?」
律子「そんな大袈裟な」
美希「ハニー!」
だきっ
P「あんまりだよ……」ぎゅー
美希「どうしたの、ハニー?」すりすり
P「イチャイチャするの、禁止だって」
美希「……!!」
律子「それを止めなさいと言っているんです」
美希「そうなの!」
律子「まずは抱き合うのを止めなさい」
P「わかったよ…」
美希「はーい…」
P「あ、困った」
律子「はい?」
美希「磁石みたいに、くっついちゃったの」
律子「……」
P「それは困ったなぁ」
美希「ミキと一緒にいるの、困る?」
P「そんな訳ないだろ」なでなで
美希「えへへ…」
バシッ
P「いたっ!」
美希「あう…!」
律子「……だから、それを止めなさい」
律子「…?」
P「『イチャイチャ』の基準を決めようじゃないか」
律子「イチャイチャの基準ですか」
P「おはようとおやすみのキスはイチャイチャには含まれない」
律子「含まれます」
P「なんで!?」
美希「意義あり!」
美希「てへっ☆」
P「可愛いやつめ~」
美希「えへへ~」
律子「……とにかく、キスは駄目です」
P「なっ…!」
美希「そんな……」
律子「アイドルとプロデューサーがキスなんて論外です」
P「俺のライフワークを取り上げるなんて!」
美希「ミキ、寂しくて死んじゃうの!」
P「……は?」
美希「ちょっと何言ってるのかわからないの」
P「無視しろって言ってるようなもんだぞ!」
美希「ハニーに無視されたら…ミキ泣いちゃう」
P「こんな可愛い娘を泣かせる気か!?」
律子「……はぁ…」
P「まず朝にモーニングコール」
美希「一時間くらいおしゃべりするの」
P「事務所に着いたらおはようのキス」
美希「基本なの!」
P「その後は適当にくつろいで…」
美希「ハニーの膝の上は座り心地がいいの」
律子(頭痛くなってきた……)
美希「トーゼンだね!」
P「ね!」
P「そのあと、お疲れ様のキスをして」
美希「ハニーとちゅーすると疲れなんて消えちゃうの」
P「そして、俺の家に行って…」
美希「ハニーとハニーするの」
律子「……はい?」
P「美希とミキするんだ」
律子「訳がわからない」
美希「あーん、してるんだよ」
P「一緒にシャワーを浴びて」
美希「ハニーのハダカ…逞しいの」
P「家まで車で送って…」
美希「たまに車の中でハニーするの」
P「たまにミキしちゃう」
P「最後に、おやすみのキスをする」
美希「で、寝る前にハニーと電話でお話するの」
P「まあ、こんなもんかな」
律子「全部アウトです」
P「は?」
美希「それはおかしいと思うな!」
P「セーフしか無かっただろ!」
美希「そうなの!」
律子「え…私がおかしいんですか?」
P「うん」
美希「そうなの」
律子「健全?」
美希「そうなの」
律子「それなら…その、ミキとかハニーとかは何ですか?」
P「せ…」
律子「ストップ! ストーップ!!」
律子「それだけは絶対に駄目です!!」
P「えー」
美希「えー」
P「俺は男だ」
律子「え? あ、はい」
美希「ミキは女なの」
律子「そうね」
P「なら……なぁ?」
美希「ねー?」
律子「はぁ……もういいです」
P「律子の説得に成功したぞ!」
美希「やったね!」
P「それは駄目だ!」
美希「ミキ、それは良くないって思うな」
律子「何なんですか…もう」
美希「アイドルなの!」
律子「そうじゃないの!」
P「口調移った」
美希「あはっ」
律子「ぐっ……!」
律子「……」
律子(一度本気で殴っても許されるかしら…?)
P「アイドルである限り、美希との熱愛報道陣は避けたい」
律子「だったらイチャイチャしないで下さいよ」
美希「これはイチャイチャじゃなくてスキンシップなの」
P「パーフェクトコミュニケーション!」
律子(堂々巡りね……)
美希「ハニーとお家でハニーしないと」
P「そうだな」
P「いっぱいミキしような」
美希「うん!」
P「それじゃ、お疲れ様」
美希「なの」
バタン
律子「……」
律子「はぁ、ダーリンとダーリンしたいなぁ」
お前じゃねえ座ってろ
律子「…」
律子「貰い手なんていないわよ…」ぐすん
律子「ステキな出逢い、ないかなぁ?」
律子「今ならイチャイチャし放題ですよー……」
律子「はぁ…」
小鳥「イチャイチャし放題と聞いて!」
律子「わっ!?」
おわり
その時までさようなら
Entry ⇒ 2012.09.13 | Category ⇒ アイマスSS | Comments (1) | Trackbacks (0)
姫子「こん眺めは……」煌「ええ……すばらです」
煌(これこそ私たちが探し求めてきた桃源郷……)
姫子(世界の闇ば太ももという光が打ち消しちょるばい……)
煌(驚きの眩しさ……すばらです!)
哩「姫子!花田!部活の最中に何しとっと?」
姫子「ごめんなさい、ぶちょー」ゴンッ←雀卓に頭ぶつけた音
煌姫子「あいてっ!」
哩「お前ら……インハイ前に弛んどるんじゃなかと?」
仁美「」チュー
美子「………」
煌「いえいえ、そんなことないですよ?」
姫子「そうですよ、ぶちょー」
煌「そうですね……強いて言うなら広大な砂漠を潤すオアシスが」
姫子「荒廃した世界に降り立った天使がいたとです」
哩(頭ぶつけておかしくなったか?)
煌「すばらでしたね、姫子さん!」
姫子「うんっ!すばらだったよ花田!」
煌「あはは」
姫子「うふふ」
哩「お前ら……」プルプル
煌「はいっ!」
姫子「分かりました、ぶちょー!」
哩「雀卓の下さ一体何が……」モゾモゾ
美子「わわっ!哩ちゃん、お尻見えてる!」
仁美「」チュー
姫子「まったくもって!」
煌「これでは部活に集中出来ませんね……すばらくないことです」
姫子「ぶちょーばあげん目で見てしまうなんて……私、最低ばい」
煌「いいえ……すばらなものをすばらだと感じる姫子さんは何も間違ってませんよ」
姫子「花田ぁ……」
煌「姫子さん、私たちは同好の士ですよ?」
姫子「」ガシッ
煌「」ガシッ
煌「それはすばらですね。しかし、膝枕も捨てがたい」
姫子「もちっとしてて!」
煌「プルッとしてて!」
姫子「すべすべで!」
煌「すばらで!」
姫子「はぁ……ぶちょーの太ももが眩しすぎて生きるんが辛い」
煌「同感です」
煌「すばらです!」
哩「よしっ、再開すっとよ」
煌(しかしこの眺めはすばら……)モゾモゾ
姫子(眩しい……眩しすぎて目が~目がぁ~)モゾモゾ
哩「お前らぁ……」プルプル
仁美「」チュー
仁美「」チュー
美子「姫子ちゃんも煌ちゃんもインハイ前だから緊張してるのかな?」
哩「何とかしてやれればいいが……」ムムム
美子(哩ちゃんの太ももに夢中とはちょっと言いづらいかな……)
仁美「」チュー
煌「おおぅ……それはすばら!」
煌「私は部長が校舎裏で迷い猫を膝の上に乗せてたのを見ましたね」
姫子「なにそれ見たい!」
煌「情報を交換出来る友がいるというのはすばらなことです」
姫子「花田は私の最高の友達たい!」
煌「ふふっ」
姫子「うふふ」
姫子「うんっ!」
姫子「こんにちはー」
煌「皆さんお揃いですね!すばらです!」
哩「姫子、花田……」
姫子(ぶちょー……どげんしたとですかね?)
煌(ええ……何か様子がおかしいのは太ももを見れば一目瞭然です!)
仁美「」チュー
哩「うぅ……///」カァァ
煌(どうしたということでしょう……)
姫子(ぶちょーが頬ば染めとるばい)
煌(でも、太ももは紅潮してませんね)
哩「なぁ姫子、花田……私がお前たちにしてやれることはなかと?」モジモジ
煌姫子「……!?」
姫子(なかなかのなかなかばい……)
哩「あの……その……お前たちもインハイ前で緊張しとっと?最近、お前たちの様子がおかしいのは知っとる……なぁ、私が部長として何かしてやれることはなかと?」
煌(これは……棚からすばらというやつですね)
姫子「あのー何でもよかとでしょうかねぇ?」
哩「あぁ……私に出来ることなら」
姫子(花田ぁ……)グッ
煌(姫子さん!)グッ
哩「ひぅ……っ」ビクッ
煌「すばらです!」
哩「そ、そうか……すばらか」
煌「それではお言葉に甘えて……」
哩「………」ドキドキ
煌「そうですね……部長の膝の上に座りたいです」
哩「これでよかと?」
煌「えぇ、すばらですよ」
姫子(花田ん奴ぅ……羨ましか……)
煌(ふふ、姫子さんの言ってた通りすばらですね)
煌(座り心地のすばらな膝の上、耳に僅かばかりかかる部長の吐息、重力に逆らうよう私のお尻を弾く部長の太もも……)
煌(スカート越しでも分かる……この太ももの肌触りが!)
煌(すばらぁ~すばらぁ~)
哩「花田……これで満足したと?」
煌「部長、そちらを向いてもよろしいでしょうか?」
哩「……えっ!?」
煌(部長の顔も見れるこの姿勢……すばらです!)
姫子(ぐぬぬ……花田ん奴ぅ~ぶちょーの首に腕ば回しよって……調子乗ってぇ~)ギギギ
煌(ふふ、ちょっと伸ばせばキスも出来てしまいそうですね)
哩「……っ!?」ビクッ
姫子「ダメぇーーーっ!」ドンッ
煌「すばらっ!?」
姫子「ぶちょー!次は私の番ですね?」
煌「いたた……こんなのすばらくない……」
姫子「………」モジモジ
哩「姫子は何にすると?」
姫子「えっとぉ……その……」モジモジ
哩「ん?」
姫子「ぶちょーに膝枕してもらいたかとです!」
姫子「えへ、えへへ……」モゾモゾ
煌(みるみる姫子さんの顔が緩んでいきますね……すばらです!)
姫子(ぶちょーの太もも……もちもちっとしてて、やわっこくて、すべすべで……)
姫子(このまま蕩けてしまいたいです……)
姫子(花田が言ってた通りすばらだったと)
姫子「ぶちょー……頭なでなでしてもらってもよかとでしょうか?」
哩「こ、こうか?」ナデナデ
姫子「ふにゅー……」ゴロゴロ
煌「大変すばらでしたよ。部長!」
哩「そ、そうか……それはなによりだ」
煌「さぁ!今日も張り切って部活といきましょうか!」
姫子「やりましょー!」
哩「そうだな」
煌(でもこの眺めはホントすばら……)モゾモゾ
姫子(ふぉぉぉぉ……)モゾモゾ
哩「………」プルプル
煌「えぇ、すばらでした」
姫子「はぁ……またぶちょーにしてもらいたいよぅ」
煌「かつての偉い人はこう言いました」
姫子「……?」
煌「長期的自己実現で福楽は得られない。幸せは刹那の中にあり、と……しかし、永遠に生きる幸せの形があってもいいんじゃないでしょうか?」
姫子「どういうこと……?」
煌「写真に収めましょう。あの最高にキラキラでワクワクなすばらな光を!」
煌「でしょう?すばらでしょう?」
姫子「すっごくすばらだよそれ。でも、安物のカメラば使うんは……」
煌「えぇ、最高品質の……ハイエンドのカメラでなければあの太ももに相応しくない」
姫子「なら、結構な額が必要になるか……」
煌「私たちは麻雀部員、金がなければ雀荘にいけばいいじゃない」
姫子「それもそうだね」
煌「ツモ!すばらです!」
姫子「ふふ、こん調子ならすぐに目標額までいけそうだね」
煌「えぇ、すばらなことです」
「先生、お願いします!」
姫子(代打ちば連れてきたんか……)
煌(勝ちが過ぎたようですね……ここが勝負所です!)
咲「けど、私はレアだよ?」
咲「ツモ……嶺上開花四槓子四暗刻大四喜字一色」
煌「……は!?」
姫子「……は!?」
「一局スリーキルゥ……」
「こっちも商売なんでね……勝ちが過ぎるいけない子にはお仕置きしなきゃな」
煌「あ、あぁ……」ガタガタ
姫子「ぶ、ぶちょー……」ガタガタ
咲「………」
美子(短信を三回、長信を三回、短信を三回……これってもしかして……)
美子「哩ちゃん!姫子ちゃんと煌ちゃんが……」
哩「あぁ、分かってる。美子、仁美……ちょっとあいつらを迎えに行ってくる」
仁美「」チュー
美子「うんっ!」
哩「私、出番ぞ!」
いつも思うけどこのAAかわいすぎ
「さぁ、ちょめちょめして負け分払ってもらおうか」
姫子「ちょめちょめ……」カタカタ
煌「そんなのすばらくない……」カタカタ
咲「………」ピクッ
「どうかされました?先生」
哩「姫子!花田!」ガラッ
煌「すばらっ!」
哩「全く……心配ばかりかけて」ダキッ
煌「ごめんなさい……」
姫子「ぶちょー……」
哩「怪我はないな?良かった……」
「お、おいっ!」
哩「この子らを連れて帰りたいんだが、構わないな?」
「そいつは出来んな……そいつらの負け分をまだ貰ってない」
「アンタが代わりにちょめちょめしてくれんなら話は別だがな!」
「ふひひ……」
「それとも先生と戦って負け分をチャラにするかい?」
哩「いいだろう……この子らの為だ、誰であろうが相手になってやる!かかってこい!」
咲「ふふ……かかってこい、ね……」
「先生!」
咲「興が醒めちゃったよ……あなたの好きにしていいよ」
哩「……悪いな。姫子、花田帰るぞ」
「ちょっ、先生!?」
咲「うるさいなぁ……麻雀楽しませるよ?」
「ひ、ひぃっ……」ガタガタ
これが脅迫になるとは流石魔王
なんて恐ろしい言葉だ
煌「すばらぁ~」ヒーン
哩「もう二度とこんなバカな真似はするなよ?」
姫子「ぐすっ……ひっく……はい……」
煌「もうしませんの……」
哩「ホント……心配したんだからな……」
姫子「ぶちょー……」
哩「ホント良かった……大事なくて……」
姫子(もうぶちょーの太ももば写真に収めなくったっていい……だって、ここにあるんだから……)
哩「さ、美子も仁美も待ってる……帰るぞ」
煌姫子「……はいっ!」
槓!
すばらでした!
Entry ⇒ 2012.09.13 | Category ⇒ 咲-Saki-SS | Comments (0) | Trackbacks (0)
哩「グーチョキパーでーグーチョキパーでー何作ろー?何作ろー?」
(両手を頬にやって指を前に向ける)
哩「はーなーだー♪はーなーだー♪」
姫子「ぶちょーが壊れたー!?」
※方言がわからんですが許せる人のみどうぞ
姫子「そやけんぶちょー、私には頭おかしくなったようにしか見えんとです」
哩「そいは、お前が花田へのリスペクトが足りとらんから…」
姫子「花田へのリスペクト!?暑さでどうにかなったとですか!?」
哩「私は極めて正常よ」チョキチョキ
姫子「」
仁美「」チュー
姫子「あ、先輩」
哩「どうした、美子」
美子「当人が……」
煌「おはよーございまーすっ!」すばらっ
哩「」
煌「おや……」
哩「は、花田、こ、こいは訳ばあってな、決して馬鹿にしとうは……」チョキチョキ
哩「へ?」
姫子「は?」
仁美「」チュー
煌「よもや……よもや!私の敬愛する部長が私なんかの真似をして下さるとはっ!すばらです!感激ですっ!」
哩「花田……わかってくれたか……っ私の……私のリスペクトば……っ」ジーン
姫子「」
姫子「どうして花田が仕切りよるん……あいつ副部長でも無いやろ……」
哩「このムード作り、明るさ、やる気……よし、私は次期部長に花田ば推薦すっとよ」ガッツポ
姫子「」
姫子「どうしてそうなるとですか!あいつは麻雀トバんだけで腕前は素人に毛が生えた程度ですよ!?」
哩「部長に必要なんは、みなば引っ張ってけるかどうか……あいつは、そいば持っとる」
姫子「でも部長で麻雀が強くないのはおかしいとです!」
哩「やけど、実際そういうとこもある」
智美「へっきし!」
桃子「風邪っすか?」
佳織「智美ちゃん……大丈夫?」
智美「ワッハハ……こりゃあ誰かに噂されてるなあ……ゆみちんかな」ズルズル
智美「そういやゆみちん進路希望がうんたら言ってたなー」
桃子「たぶんそれっすよ」
佳織「智美ちゃんそっちは行かなきゃ大丈夫じゃないよ!」
睦月「うむ…」ウム
哩(うちもそうやし……な)
姫子「どうして、私じゃなかとですか……」
哩「……」
姫子「私……私っ、部長に憧れて……必死こいて麻雀頑張って……同じ学校受けて……っ」
哩「……」
姫子「そして今回、大将任されるまでなって。みんなの、部長の信頼をやっと勝ち取ったんやと思った……それなのに」
姫子「そいぎ……なんで簡単に花田の奴に部長任すとか言うとですか……っ!」
哩「姫子……すまん」
哩「完全なえこひいきよ」シレッ
姫子「何馬鹿なことすっぱり言い切りよるですかぁあこの人ぉ!!?」ガビーン
姫子「やけん私、諦めんとですよ。ぶちょーに認めて貰えるまで」ギリリ
哩(う~ん……認めてはいるんやけどね)
煌「部長~!一緒に打ちませんかっ」すばらっ
哩「おお……花田からご指名とは、光栄やね」
姫子「~~…………っ」メラメラ
煌「すば…らっ?」びくっ
煌(さ、殺気……ですか?)
哩「花田」
煌「はいっ」しゃきっ
哩「ちょっくらトイレに付き合え」
煌「えっ……そ、それってまさか」
哩「連れションよ」
煌「いやいやいやいや!言わなくてもわかりますって!」あわわわ
姫子「……」
哩「……花田、部活後予定空いとる?」ジャー
煌「ええ、まったくもってすっきりすっぽりですが」
哩「部長命令ぞ。私に付き合え」フキフキ
煌「すばらっ!?な、な、なにを……そんな、唐突にっ」
哩「嫌か?」
煌「いやいやいやいや!そうでは無いです確実に!ただ」
哩「ただ…何ね?」
煌「私なんぞに、その、務まる…かな、って」
哩「……」
煌「そんな私が、部長に釣り合うかどうかが」
ハナギュッ
煌「ひゃあ!?」
哩「まったく……お前は何ば聞いとったと」
煌「……」口ぱくぱく
哩「こいは部長命令ぞ。……ハナからお前に選択肢なんぞ無か」
煌「ぶ……部長……」
哩「少しの間、私にお前ば預けてくれんか」
煌「……嬉しいことです!」
哩・煌「「そんなすばらなことはない」」
煌「!」
哩「ぷっ」
煌「ふふ」
アハハハハハ……
アハハハハハ……
??「うう…っ」
煌「う、う~」てくてく
哩「どうした花田」テクテク
煌「や、やっぱり、すごく緊張してしまって」
哩「今からそんな調子じゃ、店まで保たんぞ?」
煌「はい~……」ぷしゅー
哩「」
哩(ダメやね……やっぱこいつ、掛け値なしで可愛いわ…)
煌「あ、この喫茶店」
哩「知っとう?」
煌「あ、ハイ。来たことはあると思います」
哩「なら、気負う必要ば無かね」
煌(ああ……部長と喫茶店。夢みたいですね)すばらっ
煌「あ、私アイスコーヒーで」
哩「砂糖とミルクは」
煌「え~と抜きで」
哩「……花田、お前甘いのダメやったっけ」
煌「いえ?そんなことはないですけど」
哩「そいじゃどうしてブラックにすっとよ?」
煌「え…と、その」
煌「砂糖とミルクを抜くと、10円安くなるので……」てへ
哩「……はぁ」
哩「お前は阿呆か」
煌「なっ」がーん
哩「そんな雀の涙みたいな値段で我慢してどうすっとよ……」
煌「でも、手持ちがややアレなもので…」
哩「……」イラッ
店員「はい」
哩「アイスコーヒーとクロワッサンば2つずつで」
店員「かしこまりましたー少々お待ちくださいませー」カタカタ ジャー
煌「ぶ、ぶぶ部長!私の話聞いてましたか」
哩「やかましい」ズビシ
煌「はうっ」
哩「私が出すけん……そんなら問題無かとよ」
煌「部長……」
哩「」イラッ
煌「誰かに出してもらうなら、し・か・も 好きな人なら尚更!会計を安くしなければ申し訳が……」
哩「花田っ!!」ガッ
煌「ひゃ、ひゃいっ!?」
哩「他の客の迷惑になるけん……先座っとれ……!」ゴゴゴゴ
煌「は、はいぃ」あわわわ
哩「……」カチャカチャ
煌「あ……あのぅ」ちらっ
哩「なんね」カタン
煌「ありがとう、ございます」ぺこ
哩「……もとより私のワガママに付き合ってもろうとる。礼ば言われる筋合い無かよ」
煌「いや、その、……なんて言いますか」
煌「すばら過ぎて、なんだか……ありがとうしか、出てこなくて。言葉が」
哩「……」
煌「えへへ、変ですよね」もじもじ
哩「いや」
哩「良かと……思う」
煌「……」もむもむ
哩「……」ゴクゴク
煌「……」ちゅー
仁美「」チュー
哩「!?」ビクッ
煌「? どうしました?」
哩「いや……気のせいやと思う……多分」
煌「?」
煌(加えてコーヒーのすっきりした喉ごし、絶妙に合わさった苦味と甘味、まろみとコク)
煌「すばらですね……!部長」
哩「ああ、すばら……しいな」ハッ
煌「!」
哩「……っ」ワタワタ
煌(部長っっすばらです~~っ!!)きゃっ
哩「はい(千円札)」
店員「千円お預かりします~」ガチャガチャチーン
煌「あ、あの」
店員「お釣りの方160円です」チャララ
哩「どうも」
店員「またのお越しを~」
煌「ぶ、部長」
哩「なんね」
煌「せめて私の分のコーヒー代、出させてくださいっ」
哩「くどい」
煌「でも」
哩「くどい!」クワッ
煌「ひゃわわっ」
煌「聞いてました!いや聞いてましたけども!このままじゃ私、申し訳がたたな……」
哩「そいじゃその分、支払ってもろうとすっとよ(ネクタイを掴み引き寄せる)」グイッ
煌「ふわあっ!?っん……!」びくっ
哩「…………(顔を寄せる)」
煌「ち、近い、ですよ、部長、あっ」
煌「」
??「」
煌「っん……んん……っ!」ふるふる
哩「っふ……これで、おあいこよ」
煌「……す……」
煌「すば……ら……っ!」うるうる
哩「な、泣くほど嫌やったと!?」
煌「ふぁ、ファースト……キス……(唇に手をやり)」
哩「えええッ!?そ、そいはもらい過ぎたッ」
煌「ふえぇ……すばら……すばら過ぎますよお……」ぽろぽろ
哩「花田……」
哩(嫌や無かってん良かと……泣いてるとこば、初めて見よった……ごめんな…花田)ギュッ
哩「な、なんね…?」
煌「…………」ふるふる
(涙を袖で拭う)
哩「……そ、その」アセアセ
煌「…………責任、取ってくださいねえっ!」ぱああっ
哩「」ズギューンッ
哩「花田ーッ!」ギュムム
煌「ぶっ、部長っ!く、くるし、でっ、すっ」
哩「愛しとるぞーッ!!」ギリギリギリギリ
煌「す……すば…………らっ」がくっ
煌「は、はい……部長は……?」
哩「……もう、落ち着きよった。恥ずかしか、話とよ」カアァ
煌(恥ずかしがる部長……すばらです)
リーン リーン
煌「虫の声、綺麗ですね」
哩「……ああ」
煌「星空も」
哩「…ああ」
煌(……この時が)
煌(このすばらな時間が、このまま一生続けばいい――――。)
煌「そう言えばこの道、電灯無かったですね」
哩「電灯……」
煌「電灯でんくそくらえで、ヒューズば先端に持ってくる」きりっ
哩「馬鹿にしよっと?」ガッ
煌「ごめんなさいごめんなさいっ」ひえー
哩「そう言や、聞いとったんやっけね……私と、姫子の話」
煌「…盗み聞きするつもりは無かったんですけどね」
哩「良かとよ。こちらの不注意ば原因やった……あれは、…お前だけには聞かれとう無かった」
哩「本当に済まんかった……」シュン
煌「何を仰いますか!私は逆に感謝までしてますよっ!」すばらっ
哩「感謝…?」
煌「先生のそのお考えがあったからこそ、私は代表に選ばれ…。全国の場に立てました。嬉しいことです」
哩「そいけん」
煌「良いんですよ。……私は、確かにみっともない結果しか残せませんでしたが」
煌「部長と……みんなと同じ舞台に立てたこと。本当に嬉しかった」
哩「…花田?」
煌「部長の手、暖かいですね」
哩「心が冷たいからな」
煌「そんなことはないです!」
哩「初めは」
哩「……初めは……この気持ち。ただの同情やと思ってた」
煌「同情でもありがたいですけどねえ」
哩「やけど、違っとった。お前ば気にかけて、目で追って、そっから、少しずつ惹かれよった」
煌「……」にこ
煌「……すばら」
哩「花田。いや……煌。今更かも知れんが……伝えさせて欲しかよ」
哩「……」フゥ
哩「……」スゥッ
哩「好きです。私と、付き合ってください」
煌「……」じ~ん
煌「あの、その」
哩「今度自分のことば卑下して我慢したら、キスじゃ済まさん」
煌「ひっ!?」
煌(逃げ道、塞がれちゃいましたね)
煌(でも)
哩「姫子?」
煌「あの方は、ほぼ間違いなく部長に心を寄せてます。……あの方の気持ちを、無碍には出来ないと思うんです」
哩「……」
煌「ねぇ部長……」
煌「鶴田さんは私より可愛くて麻雀も強くて、よっぽどすばらなしっかり者さんです。だから、私じゃなくても」
哩「煌」ダキッ
煌「はひっ!?」どきっ
哩「言っとったよな?自分ば卑下して我慢したら今度はキスじゃ済まさんと」
哩「問答無用」グイ
チュッ
煌(すっ……すばら~っ!セカンドキスも部長だなんて!ってあれ?)
煌(キスじゃ済まさんって言ってましたけど……キス、してますね)
クチュ
煌「んぅっ!?」
哩「ちゅ、ん、ちゅぷ」(煌の手を取り指を絡ませる)
煌(あ、あっ、あっ…、あたま、とけそ)
哩「ちゅぅ……っ」
煌(舌、舌が、すわれてっ、ふ、ふにゃあ…っ)
哩(煌……凄い蕩けた顔、しとる)
哩(たまらん……っ)
煌「はぁ……はぁ……っ」
哩(唾液の橋出来よる……エッロ……)
哩「…もしかして……誘っとった…?」
煌「ち……っちがいま…すよぉ……もおっ」かあぁ
哩(ああ)
哩(本当可愛いな、煌)ニヘ
煌「……わっかりました。もう、自分に嘘は付きません。他人も関係ありません」
哩「……ん。それでいい」ギュ
哩(本心からの結論なら、例え振られても構わん……それが煌の選びよった道ならば)
煌「私……花田煌は、本日、この時を以て」
ぎゅう
哩「!(手を……)」
煌「白水哩さんの隣に、立候補いたします!」びしっ
煌「さて、多数決を取りましょう。賛成の方は手を挙げて!」ばっ
哩「……」スッ
煌「…ありがとうございます」
煌「……では、過半数を超えましたので、これを可決としま」
??「反対ィィイッッ!!」
哩・煌「」
煌「あ……鶴田、さん…?」
姫子「花田の奴にぶちょー渡すくらいやったら、私、私ぐふっ」
美子「空気読みィ!」ズビシッッ
仁美「」ズズズ
哩「」
姫子「はい……」
哩「正直、見損なったとよ……お前が、ここまでデリカシーの無か奴やったとは」
姫子「返す言葉も無かとです……」
美子「まったく、私は止めよったのに」
哩「美子。お前も同罪ぞ」
美子「ええ!?」ガーン
哩「ええ!?や、なか!後輩の犯罪行為ば見逃す奴があるか!」
美子「止めよったんに~」
哩「結果止まっとらんから言っとる!大体お前は~……」ガミガミ
煌「あ……あはは~……どうしたら良いんでしょ、コレ……」
仁美「」ズズ
それカンッ!
哩「まったく、本当に空気ば読めん奴らよ」
姫子「ごめんなさいぶちょー…」
哩「もうええけどさ……」
煌「……」しゅん
哩「……煌」サッ
煌「部長…?」
哩「手。…繋いでくれんか」ワキワキ
煌「」ぱああっ
煌「はいっ、哩さん!」ぎゅううっ
もいっこ、カン!
煌「良いんじゃないでしょうかね~、昨日は…それはもう今まで生きてきた中でも大変すばらな1日でしたから!」すばらっ
哩「お前がそう言うてくれて、助かるとよ」ニコ
煌(すばら~っ!部長…いやさ、哩さんの笑顔いただきました~っ!)
姫子「私は諦めんとですよ…ぶちょー…!」メラメラ
美子「いや、もう手遅れやて」
仁美「」ゴクリ
嶺上開花、対々和、三槓子、ドラ6!
三倍満ですっ!
煌「ん~ふふ~♪早起き出来たし、天気も良いしっ!今日はとてもすばらですっ!」
煌「待ち合わせの時間まで、後二時間ですか……ん~っ待ちきれないっ!もどかしいっ!」
煌「いっそのこと、もう一時間くらい早く行って困らせちゃいましょうかね~」
煌「……でも、あのお人ならそれくらいの時間にでも、普通に待っててくれてそうですね」
煌「よし決まりっ!一時間早く着くように準備しましょうっ!」
煌「今日も特別すばらな日にしましょうね……哩さんっ」すばらっ!
四槓子
拙い文章ですが見てくださった方々ありがとうでした
哩煌は俺のジャスティス
おやすみなさい
Entry ⇒ 2012.09.13 | Category ⇒ 咲-Saki-SS | Comments (0) | Trackbacks (0)
美希「大好きはにぃ♪」
P「ドア越しだから見えないよ美希」
美希「じゃあ開けて欲しいって思うな?」
P「Pやだって思うな」
美希「えー、どうして?」
P「美希だって何故か自分ん家の前でふるふるフューチャー☆歌ってる変な人居たら入れないだろ?」
美希「うんっ」
P「ちょっと自分の立場で考えてごらん?」
P「朝変な歌声で目が覚めたら自分の住所を知らないはずの自分のファンが家の前に居るんだよ」
美希「さすがのミキでもこわいの…」
P「だよね?だから帰ろうね」
美希「ヤ!」
P「この娘はもうっ」
P「ごめんな見てやれなくて」
美希「見たらきっとハニーきゅんきゅんってすると思うな」
P「そうだな俺きゅんきゅんし過ぎて体調悪くなるかもな」
美希「見て見てハニー♪」ピンポーンピンポーンピンポーンピンポーン
P「こら美希インターホンを倍プッシュするな!」
美希「うんっはやくはやく~」
P「よおしじゃあPドアあけちゃうぞー」ガチャ
P「」バタン
美希「あれ、ハニーどうしちゃったのー?」
美希「うんっハニーの聞きたいこと何でも聞いて!」ガチャガチャガチャガチャガチャガチャ
P「なんでウェディングドレスなんだい美希」
美希「ハニーのためなの!」ガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャ
P「どうしよう会話のキャッチボールができない」
美希「ハニー開けて開けて」ガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャ
P「俺ん家の前で嬉しいのはわかるけどドアガチャはやめて」
美希「えっとね、ミキとハニーってらぶらぶでしょ?」
P「うん、ちがうね」
美希「だからもう一緒に暮らすしかないなーって思ったの!」
P「俺にわかるような説明じゃないよねそれ」
美希「愛なの!」
P「アイドルはどうするんだ?俺との約束は?」
美希「前も言ったよ?ミキ欲張りだから全部ほしいの!」
P「今じゃなくてもいいと思わないか?」
美希「今すぐなの、もう待てない♪約束したよね?キスをちょうだい♪」
P「ふるふるフューチャー☆で返事すんな」
P「そりゃ安アパートにウェディングドレスは浮くわ」
美希「はやく入れてほしいな」カリカリ
P「家帰るっていうのはどうだろう」
美希「お家ここなの」
P「親泣くぞ」
P「…」
美希「寒くなってきたの」
P「あーもう」ガチャ
美希「あ、ハニー♪」
P「上着羽織れ、貸してやるから」
美希「入れてくれないの?」
P「うん、チラッとスタンガンみたいなの見えたからやめた」
P「ああ、そういえばこの間持たせたな」
美希「ね、入れて?」
P「しゃーないな」ガチャ
美希「えへへ、またハニーの顔見れたの♪」
P「ついでにお前俺ん家入ったとして何するわけ?」
美希「ハニーの赤ちゃ「」バタン
美希「ハニー開けてほしいの」カリカリ
P「それを実践していいのはオトナの人だけなんだぞ?」
美希「そうなの?ミキのクラスの子何人か知ってるみたいだったよ?」
P「やな時代だよ」
美希「ミキね、他の人はゼッタイヤだけどハニーとだったらやってみたい!」
P「成人男性としてお断りします」
美希「ミキ、ハニーとやりたい!」
P「こーら、女の子が大声でやりたいやりたいって言わないの」
P「いまどこから『でも』がでてきたんだ」
美希「恥ずかしがってミキにつれない態度とるけど、ミキのこととっても大事にしてくれるところ♪」
P「まあな」
美希「だからハニーの赤ちゃん欲しいけど今日は我慢するね?」
P「今日は?」
P「え、何いきなり」
美希「おしえて欲しいの」
P「それ聞いたら帰ってくれるのか?」
美希「ハニーの愛を感じたら考えるの」
P「うーん」
P「人なつこい可愛らしい笑顔も(担当アイドルとして)魅力的だし、飽きやすいところもあるけど頑張ると決めたらとことんがんばるところも(担当アイドルとして)美点だな」
P「後は何ごともマイペースにこなせるところも(担当アイドルとして)感心するし、何より一途に俺なんかを想ってくれるところが(担当アイドルとして)好きだよ」
P「うん担当アイドルとしてね」
美希「はやくいっしょになろ?ハニー♪」
P「帰ってくれんだよね?」
美希「愛がふたりを引き寄せるの!」
P「いや帰ってくれんだよね?」
P「いたいいたいドアに挟まっていたい」
美希「ハニー、ハニー」
P「ちょっと引っ張んないでください」
美希「えへへちゅっちゅっ♪」
P「助けて大家さんウェディング姿のストーカーがキスしてきまちゅっちゅっちゅぱ」
美希「えっ、今のまだ準備運動だよ?」
P「おっさん殺しな娘っ子だよっ」
美希「本番はねー、もうちょっと暗くなってからなの!」
P「へえ、ドア開けないけどな」
美希「もうっハニーの照れ屋っ♪」
P「せやな」
P「はしゃぎすぎるから」
美希「ハニーおにぎりたべたい」
P「悪い子には作ってあげない」
美希「おにぎり…」
P「ああもう、ちょっと待ってろ」
美希「あ、ハニーのおにぎりの匂い」
P「ほら食え」
美希「えへへ…ミキね、ハニーのことやっぱり大好き♪」
P「調子いいやつだなぁ」
P「良かった良かったこれで帰れるな」
美希「うんっはやく入れてほしいの!」
P「お前の家はここじゃないの」
美希「えー、ここミキとハニーの家だよ?」
P「俺だけの家な、さあ本当に帰んないとみんな心配するぞ?」
P「俺には美希が何言ってるかわかんないよ」
美希「ハニー、そろそろ暗くなるからお家いれて?」
P「お前を家に入れたら俺の貞操終わりかなって思ってる」
美希「でも将来的にはしなきゃいけないんだよ?」
P「なんで俺ら子作り確定みたいな話になってんの?」
P「大変だじゃあはやく帰らないと!」
美希「すぅ…はにぃ」
P「美希、寝てるのか?」
美希「すぅすぅ」
P「風邪引くぞ~」
美希「はにぃ…はにぃ…」
P「はぁ…しゃーない」
美希「はにぃ…すぅすぅ」
P「やばいなこれは、起きたら俺終わるな」
美希「んんっ…」
P「ファンが見たら大変なことになるなこの図」
P「まあ抱き枕にされてる時点でかなり終わってるんですけどね」
P「ぐう」
美希「あれ、ハニー?」
美希「寝ちゃってるの?」
美希「はにぃ♪」ぷにぷに
美希「むー、起きないとつまんないよハニー」
美希「ハニーがおいしそうだから舐めてたの~!」
P「おえっ」
美希「むー、ミキそんなにばっちくないって思うな」
P「誰だって顔中舐め回されたらやだろ」
美希「ハニーにならいいよ」
P「うんお前はそういう子だったな」
P「十年後も俺が好きだったら考えておいてやるよ」
美希「えーっ今じゃだめなの?」
P「うんダメ」
美希「ミキ、絶対ハニーのことキライにならないよ?」
P「じゃあ待てるだろ」
美希「ドレス…着てきたのに」
P「…」
美希「ほんと…?」
P「うん、十年後が楽しみだ」
美希「えへへ、ハニーがそう言ってくれただけで満足なの!」
P「ほんと調子いいやつだなぁ、まあ今日は遅いから泊まってけよ」
美希「わあい!ハニー大好きなの~♪」
P「ははは、夜這い禁止な」
美希「えへへ楽しそう…ミキの夢かなぁ」
美希「あっダメだよ、パパは今寝てるの!」
美希「ハニーが何時の、どんな願望を見てるのか今のミキにはわからないけど」
美希「はやく戻ってきてねハニー」
「幸せな現実に」
何故か最後の台詞からホラー臭がwwww
乙
Entry ⇒ 2012.09.13 | Category ⇒ アイマスSS | Comments (0) | Trackbacks (0)
咲「部長と5秒以上見詰め合うのは危険だよね」
洋榎「……」
久「……」ジー
洋榎「……な、なんやねん」
久「いえ、別に何も?」
洋榎「なんもないんやったら見るなアホ……」
久「ふふ、ごめんなさい」ジー
久「なに?」ジー
洋榎「喧嘩売っとるやろ?」
久「そんなことないわよ。洋榎が可愛いから見ていたいだけ」
洋榎「なっ……」
久「ふふ、あなた以外とウブよね。そういうところのギャップも可愛い」
洋榎「お、お前もう帰れ! だいたいなんでウチの部屋にしれっとおんねん!」
久「だって暇なんだもん。合同合宿なんて夜はやることないんだもん」
洋榎「まあ確かにそやけども……」
洋榎「っ……だ、だから! 見つめてくんなアホっ!」
久「ただ見てるだけじゃない、どうしてそんなにも恥ずかしがるの」クスクス
洋榎「じろじろ見られて気悪くせえへんヤツなんてそうおるかい……」
久「私は別に気にしないわよ? どれだけ見つめられても」
洋榎「……ほう、言ったな? それじゃ睨めっこで勝負や! ウチが勝ったら自分の部屋に戻ること、ええな?」
久「あら、面白そうね。いいわよ」
久「ふふ、絶対に負けないからなんでもいいわよ」
洋榎「そこまで言われたからにはこっちも負ける訳にもいかんな……勝負や、久」
久(こんなくだらないことで本気になれる洋榎が素敵だわ)
久「で、睨めっこはもう始まってるってことでいいのよね?」ジー
洋榎「まあ、スタートの合図なんていちいち要らんしな」ジー
久「それもそうね。洋榎がどれくらいまで持つか楽しみだわ」
洋榎「こっちのセリフや」
洋榎(……ヤバい、めっちゃ気恥ずかしい)
久「……」ジー
洋榎(久が顔を背ける未来が想像出来んというか、早々に限界が来てる気がするというか……)
久「ふふ、ねえ洋榎。目を背けるのはアリなのかしら?」
洋榎「あ、アリや! 顔はちゃんと向けてるんやからな!」
久「りょーかい」ジー
久(この状態の洋榎を観察するのってすごく楽しいかも……)
洋榎(アカン……ウチが折れんかったら何十時間でもこの状況が続きそうな気がする……)
久「……」ジー
洋榎(てかなんやねんコイツ……なんでここまで堂々と出来るねん、意味分からん……)
久(気まずそうな様子で顔を赤くして、視線をうつむけさせて……可愛い)
久(このまま進展が無いのもあれだし、少しからかってみようかしら)
久「ねえ洋榎。あなた好きな人とかいる?」
洋榎「は、はぁぁ!? いい、いきなりなんやねん!?」
久「だから、好きな人いるの洋榎?」
久「うーん、前から気になってたし、特に理由はないけど」
久「それで、どうなの洋榎? 好きな人いるの? 付き合ってる人とかも」
洋榎「そんなもんおるかアホ!!」
久「そっか。それじゃあ私にも十分チャンスがあるってことね」
洋榎「……は?」
久「ま、別に洋榎に好きな人がいても関係ないといえば関係なかったんだけど」
洋榎「え……さ、さっきの、どういう……」
久「ところで。この勝負で洋榎が勝ったら私は自分の部屋に戻るわけだけど」
久「私が勝ったら洋榎は何をしてくれるのかしら?」
洋榎「っ……!?」
洋榎「……ウチはどこで寝るねん」
久「一緒に寝ればいいじゃない。きっと気持ちいいわよ?」
洋榎「ほ、ホンマなに考えとんねんお前……」
久「今は洋榎のことで頭がいっぱいだわ。本当に好きになっちゃったのかも」
洋榎「っ……冗談は休み休み言えアホ……」
洋榎「ふんっ……そう簡単に思い通りになってたまるか」
久「相変わらず目は合わせてくれないけど」
洋榎「……な、なあ久。たぶんこの勝負、決着つかんと思うねん」
久「そうかしら? 私的にはあともう一押しだど思うんだけど」
洋榎「そ、そんなことないわ! どない押されてもウチは揺るがん!」
洋榎「とにかく。終わらん勝負続けても時間の無駄や。ここは、その……引き分けで手を打たんか?」
久「ふむ。引き分けね。その場合私はどうなるのかしら?」
久「却下するわ」
洋榎「なんでやねん!」
久「だって今、明らかに私が優勢なのにそれじゃあ損だわ」
洋榎「うっ……じゃあどういう条件やったらええねん」
久「うーん、そうね……洋榎が私にキスしてくれたら引き分けでもいいわ」
洋榎「……却下やアホ」
久「それじゃあキチンと決着をつけましょうか」ニッコリ
洋榎(このまま勝負を続ければウチは負ける……負けて久と一緒に寝るんか、今キスして帰らせるか……一体どうすれば……)
久(ふふ、悩んでる悩んでる。楽しいわ♪)
洋榎(……負けるのはやっぱり嫌や。負けを認めるくらいやったら、引き分けにして適当な場所にキスして帰らせるのが一番……)
久「あ、そうそう。引き分けにするなら、キスはちゃんと唇にしてね?」
洋榎「はあ!?」
久「そりゃそうでしょ。だってキスだもん」
洋榎「お、お前頭おかしいんとちゃうか!? ウチら女同士やぞ!?」
久「むしろ女同士だから気軽だと思うんだけど、洋榎にとってはそうじゃないのかしら?」
洋榎「そそ、そんなわけあるか!」
久「なら問題ないわね」
久「ふふ、さすが洋榎。そうでなくっちゃ面白く無いわ」
洋榎「覚悟せえよ久……! もう目線そらしたり弱気吐いたりせんからな……!」
~数分後~
洋榎「……な、なあ久」
久「?」
洋榎「やっぱりさ……その……もう一度話し合って穏便に……」
久「目線そらしてるわよ? 洋榎」
久「私は楽しいから別にいいけど……洋榎が嫌ならギブアップすればいいんじゃないの?」
洋榎「……言い出しっぺやのに負け認めるなんて嫌や」
久(変な意地張って、子供みたいで可愛い)
久「えっと、洋榎は負けを認めたく無くて、でもこのまま長くゲームを続けるのも私の条件で引き分けにするのも嫌なのよね」
洋榎「せや」
久(ここまで虫の良いことってそう言えるものじゃないわね……)
久「それじゃあ……気持ちよく負けさせてあげるわ」
洋榎「へ?」
洋榎「きゃあ!?」
久(洋榎の上に覆い被さってっと)
洋榎「なっ、ななな……!?」
久「ねえ洋榎……キス、したことある……?」
洋榎「はぁ!?」
久「無いんだったら……私が初めての相手ね」
洋榎「ちょ……おまっ……」
洋榎「っ~~~!!」
久「はい、私の勝ち」
洋榎「……は?」
久「だってほら、私が顔近づけたとき、目をつむりながら顔を背けたじゃない」
久「だから私の勝ち」
洋榎「……」ポケー
久「ふふ、洋榎ってあんなにも可愛い顔も出来るのね。なんだか良いもの見ちゃった」
洋榎「ふざけんなぼけえええっ!!!」
久「うっ……」キーン
洋榎「もう帰れ!! 出てけ!! アホ! ボケ! 乙女心弄んで……このド外道っ!!」バシッバシッ
久「痛い、痛いっ。枕で叩かないで洋榎」
洋榎「やかましい!! 天誅やこの畜生!! 卑怯過ぎるやろ!!」
洋榎「それでもやっていいことと悪いことがあるやろ!」
洋榎「あ、あんな風に押し倒してキスするフリするなんて……!」
洋榎「このっ、ボケっ、アホっ!」バシッバシッ
久「ふふ、ごめんなさいってば……あっ、洋榎」
洋榎「はぁ、はぁ、はぁ……?」
久「顔、真っ赤よ?」
洋榎「っ~~~!?」
久「あはは、痛い痛い痛い」バシッバシッ
洋榎「はぁ、はぁ、はぁ……」
久「落ち着いた? 何か飲む?」
洋榎「なんもいらん! てか誰のせいやと思ってんねん……」
久「あんなに怒るとは思わなくて。もしかして洋榎ってそういうことまだしたことないの?」
洋榎「しょ、処女で悪いか! てか高校生なんやから当たり前やろ!!」
久「当たり前かどうかは分からないけど、キス一つであそこまで動揺されるとは思わなかったから」
洋榎「くっ……もうええ。次あんなふざけた真似したらどつき回すからな」
久「了解♪」
洋榎「はぁ、無駄な汗かいてもうた……風呂入ってくる」
久「お風呂?」キュピーン
久「はは、分かってるって。覗いたりしないから」
洋榎「当たり前や。……もし覗いたら半殺しやからな」
久「もう、怖いこと言わないでよ。……ところで、私ここに居てもいいの?」
洋榎「……まあ、手段は卑怯でも負けは負けやし。約束は守る」
久「さすが洋榎♪」
洋榎「その代わり! 変なことした瞬間退場! 寝るときは久は床! ええな?」
久「うーん、床かぁ……」
洋榎「……敷き布団くらい用意したるから」
久「心遣い嬉しいわ。一緒に寝れる方がもっと嬉しいけど」
洋榎「……アホ」
~浴室~
洋榎「はぁ……」
洋榎(にしても久が何をしたいのかまったく分からん……)
洋榎(なんかウチのこと好きみたいな雰囲気出したり、冗談でキスしようとしてきたり……)
洋榎(ウチをからかってるだけやったらあまりにタチ悪いな……)
洋榎(変なことするなと釘刺したものの、久のことやから信用ならん……)
洋榎(……早めにあがろ)
洋榎「……あれ。ウチの脱いだ服ない。てか用意したのもないし下着も……」
洋榎「ってなんやこのやたらデカイTシャツ……こんなもん誰が……」
洋榎「ま、まさか……」
久「はいはい。って洋榎、あなたちょっと口が悪すぎない? 女の子なんだからもっと慎みを持たないと」
洋榎「誰が慎み無くさせとんねん! ってそんなことより、ウチの着替えもろもろ持ってったのお前やろ!?」
久「ええ、そうよ」
洋榎「即答て……」
久「だって嘘ついても仕方ないし」
洋榎「……今やったらまだ許したる。だからウチの着替え持ってこい」
久「ふふ、やだ♪」
洋榎「」
久「もう、そんな怖い声出さないでよ。ちょっとしたイタズラだし、着替えもちゃんと部屋に置いてあるから」
久「それに、代わりの服ちゃんと用意してあるでしょ? 洋榎にピッタリだと思うの」
洋榎「……なんやねんこのアホみたいに大きいTシャツ。どっから持って来た」
久「宮守の姉帯さんから借りて来たの。洋榎に着せたら可愛いかなー、って思って」
洋榎「……」
久「ね、だから早く着替えて出て来てちょうだい」
洋榎「ふざけんなボケ!! こんなもん着れるわけないやろ!!」
洋榎「……久、悪いことは言わんから早くウチの服持ってこい。な? こんなことして誰が得するんや」
久「今、私はすごく楽しいわよ?」
洋榎「久ァ……! このことはしっかり覚えとけよ……! 絶対に許さんからな……!」
久「ふふ、洋榎の可愛い姿が見れるなら本望だわ」
洋榎「くっ……」
洋榎(このまま駄々こねてると、自分が着させるとか言い出しかねん)
洋榎(ここは一端これを着て、さっさと着替え回収するのが一番か……)
洋榎(うぅ、悔しい……! 久の思い通りに動くのが癪に触ってたまらん……!)
久「うふふ」
洋榎(……なんやねんこれ。ウチが来たらワンピース状態やん……微妙に丈短いし……)
洋榎(くそぉ……! おのれ久め……! 一発どつかな腹の虫がおさまらん……!)
洋榎「久!」
久「あ、やっと出て来た。……ふふ、やっぱりすごく似合ってる。丈は短そうだけど」
洋榎「ウチの着替え返せ……!」
久「そんなに怖い顔しないでよ。あ、一枚写メ撮っていい? すごく可愛いのにもったいないわ」パシャ
洋榎「りょ、了承得る前に撮るヤツがおるかアホ! 今すぐ消せ!」
久「あんまり動いたら下が見えちゃうわよ?」
洋榎「っ!?」
洋榎「くぅぅ……!」
久「ふふ、その顔も可愛いわ」
久「分かってるって。はい、これ」
洋榎「お、おぅ……?」
久「ごめんね、子供みたいなイタズラしちゃって。ちょっと魔が差しちゃっただけだから」
洋榎(えらいすんなり返すんやな……返して欲しかったら~しろ、とか言われると思ったんやけど……)
洋榎「ま、まだ許したわけやないからな! 着替えたあと一発どついたるから待っとけよ!」
久「……」
洋榎(着替えを持って、また浴室横の洗面所に戻ろうとしたそのとき)
久「……」ギュッ
洋榎「へ?」
洋榎(久に、後ろから抱きしめられた)
久「そんな無防備な背中、私に見せたらダメじゃない」
久「我慢出来なくなっちゃう……」
洋榎「ひ、久……? な、なにを言って……」
久「洋榎、とても良い匂い……肌も柔らかくて、温かくて……」
久「はは、どうしよう……私、自分が思ってるよりも洋榎のこと好きみたい」
洋榎「……は?」
久「洋榎……好き。大好き……」
久「洋榎の好きはどういう好き?」
洋榎「えっ……」
久「こういう好き?」
洋榎「っ!」
洋榎(く、首筋にキスっ……)
久「ん……」
洋榎「っ~~~!!」
洋榎「ひゃ!?」
久「洋榎……」スリスリ
洋榎「や、やめろアホ! 何考えてんねんお前!?」
久「洋榎のことを考えてる」チュッ
洋榎「やっ……」
久「私ね、人に好きになられることは今まで何度もあったけど……」
久「こんなにも人を好きになるのは初めてなの」
久「ねぇ、どうしよう洋榎……私、我慢出来ない……」
洋榎「ひ、久ぁ……!」
洋榎「ひっ……やっ、やめろボケ!!」
洋榎「ウチら女同士やぞ!? 頭のネジ飛んだか!?」
久「愛に性別なんて関係ないわ。……それに、ネジを飛ばしたのは洋榎だしね」
洋榎「しょ、正気か久……? こ、こんなことっ……」
久「洋榎は嫌?」
洋榎「あっ」
久「私にこういうことされるの」
久(むう、やっぱちょっと強引過ぎたかも……まだ理性が働いてるって感じね)
久(でも、分の悪い勝負だからこそ燃えるわ)
洋榎「久、もう離せって……今やったら許したるから……」
久「やだ……離れたくない……」
洋榎「お前なぁ……」
洋榎「……どないせえっちゅうねん……」
久「洋榎が私を受け入れてくれればいいわ」
洋榎「受け入れろ言われてもんなこと出来るわけないやろ……」
洋榎「久やからとかじゃなくて……」
久「私が女だから?」
洋榎「……」
久「じゃあ、私が男だったら洋榎は受け入れてくれたの?」
洋榎「……たぶん」
久「そっか……」
洋榎(久が、離れて……)
久「ごめんね、変なことしちゃって。もう帰るわ」
洋榎「え?」
洋榎「!」
久「あはは、ちょっと頭に血が上ちゃってたみたい」
久「今日のこと、忘れろなんて言えないけど……あんまり意識しすぎてくれないと助かるわ」
久「じゃあね」
洋榎「ま、待て!」
久「……なに?」
洋榎「……なんで泣いとんねん、お前……」
久「ふふ、らしくない? でも、私だって女の子だもん。悲しいときに涙は出るわ」
洋榎「っ……」
久「私でもこういうことで泣いちゃうんだな、って」
洋榎「……」
久「女の子を泣かせたことはたくさんあるけど、まさか自分が泣かされるなんてね……」
久「思ってたより、ずっと辛い……」
洋榎「久……」
久「どうしよう洋榎、涙、止まらな」
洋榎「お前それ嘘泣きやろ」
久「あ、ばれた?」
洋榎「……」
久「うーん、大阪の人は情に深いって聞いたんだけど、これもダメかぁ……」
洋榎「お前もう帰れや!!」
洋榎「ウチをそこらの女と一緒にすんなアホ……」
洋榎(わ、割とマジで騙されかけたけど……カマかけてみるもんやな……)
久「大体のお堅い子はこれで大丈夫だったんだけどなぁ」
洋榎「今までどない女遊びしてきたねん……はぁ。なんか気抜けたわ」
久「でも洋榎が好きって気持ちは本当よ?」
洋榎「はん、今まで何人の女にそう言ってきたのやら」
久「あはは……」
久(本当に手強い)
久「布団取りに行きましょうか」
洋榎「この期に及んでまだウチの部屋で寝ようとしとんのかお前は……」
久「もちろん。約束はちゃんと守ってくれると思ってるから」
洋榎「くっ……あんな勝負せんかったら突き返してるところやで……」
久「あは♪」
久(こういう妙に律儀なとこに付け入れそうね)
久「それじゃあ行きましょうか」
洋榎「の前にや」
久「?」
洋榎「このふざけた服の件について落とし前つけんとなぁ……」
久「あ、あはは……」
久(本当に手強いわー)
――――――
久「痛い……」
洋榎「自業自得や」
久「何も本気で殴らなくていいじゃない……たんこぶ出来たわ」
洋榎「ウチをからかった罰や。ふざけたこと言ってきた分もな」
久「洋榎が好きって言ったこと? 別にふざけてなんかないし、本気よ?」
洋榎「っ……! ホンマしれっと恥ずかしいこと言うなぁ、お前は……」
久「思ってることを口に出してるだけだわ。嘘も言ってないしね」
洋榎「嘘泣きはするようやけどな」
久「うるって来たのは本当よ? 私が男だったらなー、って思うと悲しくもなったし」
洋榎「……」
洋榎「……ええ性格しとるわ」
久「ふふ、洋榎もね。こんなにも恋愛で燃えてるのは生まれて初めてだわ」
洋榎「その情熱を是非とも麻雀に向けてくれ、頼むから……」
久「だって拒まれてる理由が私にあるならまだしも、女同士だからって理由なんかじゃねー」
久「すごく気持ちよくなれるのに」
洋榎「なっ……なに言うとんねんお前!?」
久「ふふ、洋榎にもいつか知ってもらいたいわ……」
久(あと数時間後くらいに)
洋榎「謹んで遠慮願うわ……」
―――――
洋榎「はぁ、酷い目にあったわ……」
久「まあ、私たち二人が一緒に敷き布団なんて探してればね」
洋榎「どうしてくれんねんホンマ……絹たちの前であんなこと言いよって……」
久「いやー、なんか面白そうだったから、つい」
洋榎「あの状況のどこが面白そうやねん! あんな血相変えた絹初めて見たわ……」
久「ふふ、洋榎ってやっぱりモテるのね。ますます手に入れたくなったわ」
洋榎「もうお前黙れ」
洋榎「おいコラ! なんで今の会話の流れで部屋の鍵締めんねんおかしいやろ!!」
久「だって誰か入ってきそうじゃない」
洋榎「誰か入ってきたら困るようなことをするつもりなんか? おぉ?」
久「まあまあ。さっきあんなことがあったし、私も怖いの。寝込みを襲われるようなことになると」
洋榎「寝込み襲われるようなこと抜かしたお前が悪いやろ……」
久「ま、洋榎なら守ってくれるって信じてるけど♪」
洋榎「はぁ……」
久「はーい」
洋榎「……ウチのベッドに上がってきた瞬間追い出すからな」
久「もう、そんな堅いこと言わないでよ」
洋榎「ってなんで早速あがってきとんねん!?」
久「だってこのベッド結構広めだし、二人でも十分寝れるわよ」
洋榎「なんのために敷き布団用意したか考えろアホ!」
久「私と洋榎の関係をアピールするため?」
洋榎「」
洋榎「お、おい久!」
久「何もしないってば。意識しすぎよ? 洋榎」
洋榎「信用出来るわけないやろ!」
久「もう、じゃあどうすればいいの?」
洋榎「大人しく下で寝ろ」
久「嫌」
洋榎「話進める気あんのかコラ!」
久「本当に何もしないから。信用出来ないなら私にこれ付けていいわ」
洋榎「? なんやねんこのふわふわしたの……」
久「手錠」
洋榎「……」
洋榎「てかウチに使う気で用意したやろ!?」
久「まあそうだけど」
洋榎「おい! ちょっとは否定しろや!」
久「だってこんなもの持ってるなんて明らかにやましい気持ちがあるってことじゃない。言い訳のしようがないわ」
洋榎「あ、あのなぁ……」
久「まあ別になんでもいいじゃない。とにかく、私がこれを付ければ洋榎に何も出来ないでしょ?」
久「何も出来ないなら一緒に寝てくれるでしょ?」
洋榎「どんだけウチと一緒に寝たいねん……」
久「こんなもの自分に付けろって言うくらいよ」
洋榎「はぁ……」
久「やた♪」
洋榎「久の考えることがホンマに分からんわ……」カチャカチャ
久「洋榎と一緒に寝たい、それだけしか考えてないわ」
洋榎「さいで……ってこれ結構頑丈やな……」
久「ふわふわのおかげで手首も痛くならないし、よく出来てると思うわ」
洋榎「てか本来何に使うねんこれ」
久「そりゃ、そういうことでしょ」
洋榎「そ、そういうことって……」
絹恵「お姉ちゃん!!」バァン
絹恵「そんなに女に騙されたらあか……ん……」
洋榎「」
久「♪」
洋榎「な、なんで……か、鍵は……」
久「えへへ」
洋榎(こ、コイツ……!!)
末原「はぁ、はぁ……ちょっと待ちって絹ちゃん……」
末原「……」
洋榎「ち、違う。誤解や絹、恭子……こ、これは久が……」
絹恵「」
末原「ほどほどにしといてくださいね? この子連れ帰っときますんで、まあ、その……」
末原「ごゆっくり……」
洋榎「恭子ー!?」
久「ふふ、なんか誤解されちゃったわね」
洋榎「帰れ。今度こそ帰れ。もう絶対に許さん……!」
久「なんでそうなるのよ。鍵は洋榎が締めて欲しく無さそうだったから空けただけじゃない」
洋榎「嘘付け! 絶対にこうなるってこと計算してやったやろ!」
久「やあね、そんなこと出来るわけないじゃない」
久「さて、早く寝ましょう。明日のことは明日考えればいいわ」
洋榎「いけしゃあしゃあとそんなことを……! ウチの人望と信頼を返せボケ!!」
久「いいじゃない。18歳にもなって恋人の一人もいないほうが人望なくなるわよ?」
洋榎「やかましい!」
久「ほら、クールダウンして。興奮してちゃ寝れないわよ?」
洋榎「誰のせいやと思ってんねん……」
洋榎「はぁ……」
久「うふふ」
久「腕は使えなくでもキスくらいなら出来るわね」
洋榎「その状態で放り出したろか?」
久「ふふ、冗談よ」
洋榎「そもそもなんでウチと一緒に寝たいねん……」
久「好きな人と一緒にいたいと思う気持ちは普通でしょ?」
洋榎「……だからそういうこと言うのやめえ」
久「あぁ。焦れったいわ。洋榎が目の前にいるのに何も出来ないなんて」
洋榎「なんかされたら困るっちゅうに……」
洋榎「……」
久「……」スッ
洋榎「ひゃっ」
洋榎「お、おいコラっ……」
久「これくらい別にいいじゃない」
洋榎「よくあるかアホ。ひっついてくんな……」
久「せっかく一緒に寝てるんだからこれくらいさせてよ」
久「はぁ、洋榎良い匂い……手が使えたら間違いなく犯してるわ」
洋榎「……背筋さぶなるようなこと言わんとってくれ」
洋榎「……アホ言え。ウチにそんな趣味はない」
久「据え膳食わぬはなんとやらよ?」
洋榎「んな腹壊しそうな据え膳があってたまるか」
久「むぅ」
洋榎「はよ寝ろよ」
久(なんか悔しい)
久(でも……楽しいかも)
久「……」スリスリ
洋榎(今日はなんだかんだ振り回されっぱなしやったし、このまま気持ちよく夢の中に……)
久「……」クンクン
洋榎「……おい」
久「?」
洋榎「なにやっとんねん。てか顔近い」
久「頑張ればキス出来そうね。どうしましょう」
洋榎「はぁ。よっぽど寝る気ないらしいな……」
久「だってもっと洋榎と話したいもの」
洋榎「ホンマにそれだけか?」
久「さあ?」
久「私は洋榎と話してたら楽しいわ」
洋榎「さいですか」ハァ
洋榎(……ここまでまっすぐ好意向けられるってのも、初めてやな……)
洋榎「……なあ久。ウチのこと好きってホンマなんか?」
久「もちろん。愛してるわ」
洋榎「……その清々とした態度が胡散臭いねん」
洋榎「なんちゅうか、役者がドラマで臭いセリフ吐くような感じに似てるというか……」
久「つまり、洋榎は私の好きって気持ちが信じられないってこと?」
洋榎「……まあ。大体あっとる」
洋榎「どうしたって信用できん。そもそもウチと久は出会って数ヶ月も経ってないやろ?」
洋榎「そんな出会って間もないヤツに急に言い寄られてもやな……」
久「でもこうやって一緒に寝てくれるくらいには仲良くなれたじゃない」
洋榎「せやけどもやな……」
洋榎「……久、遊んでそうやし」
久「え」
洋榎「こう、星の数ほどの女を手込めにしてそうというか……ウチもその中の一人にされそうというか……」
久「風評被害だわ……」
洋榎「嘘付け!」
久「なんで嘘だと思うのよ……」
洋榎「恋愛経験ない割りには手慣れ過ぎとる。お前みたいな処女がおるか」
久(なかなか鋭い……)
久「た、確かに恋愛経験がないと言えば嘘になるわ」
洋榎「ほれ見ろ」
久「ただ、それは私を好きになっちゃう子の相手をしてるだけであって……」
洋榎「やっぱり遊んどるやんけこのスケコマシ!!」
久「うっ」
洋榎「何をどう勘違いしとるんか説明してみいアホ」
久「私は今まで言い寄られることはあっても、一度も自分から言い寄ったことはないわ」
久「つまり、私が本気で好きになったのは洋榎が初めてなの」
洋榎「なっ」ドキッ
久「こうやって自分からアタックするのも初めて。本当よ?」
洋榎(……た、確かに。恋愛経験はあるけど自分からアプローチすることはなかったから、こんなネジの飛んだことしてくるってのは納得がいくような……)
久「だからこう、言葉の重みはないかもしれないけど、私の好きって気持ちを蔑ろにされるのは……ちょっと悲しいわ」
洋榎「うっ……ご、ごめん」
洋榎「……」
洋榎(ってなんやこの空気……)
洋榎「え、えと、まあなんや。久がウチのこと好きなんは……信じる」
久「ホント? じゃあキスしましょう」
洋榎「なんでやねん! お前はサルか!!」
久「むぅ。洋榎はガードが固いのね……」
洋榎「最初から股開いとるような女どもと一緒にすんなアホ……」
洋榎「……アホ。分かったからはよ寝ろ……」
久「洋榎がぎゅって抱きしめてくれれば、ぐっすり眠れるような気がするんだけど」
洋榎「どんだけ厚かましいねん。一緒の布団で寝てるだけ感謝しろ」
久(一向にデレが来ない……)
久「はぁ。抱きしめてくれないならくっつく」
洋榎「……暑いからやめい」
久「やだ」
洋榎「なんでお前がヘソ曲げんねん……」
洋榎「はぁ……友人としては好きやでー」
久「恋愛対象としては?」
洋榎「……何度も言うようにウチにそういう趣味はないし持つ気もないわ」
久「あらら」
洋榎「……ただ、久とはこれからも良い友人であり続けたいとは思うかな」
久「嬉しいような悲しいような」
洋榎「そこは素直に喜んどき」
久「良い友人とならキスくらい……」
洋榎「放り出すぞ」
洋榎「今度はなんや……」
久「私、ご存知の通り洋榎が好きだから、その、あんまり一緒にいるといつか我慢出来なくなっちゃうと思うの」
洋榎「……己の身を守りたければ突き放せってか?」
久「まあ、つまりはそういうことよね」
久「……私も洋榎と一緒にいたいから自重するようには努めるけど、何かの拍子に爆発しちゃうかもしれないし。だから、その……」
洋榎「……アホ。くだらん心配すな」
久「え?」
洋榎「貞操奪われそうになったらこっちがボコボコにして目覚まさせたる」
久「洋榎……」
洋榎「だから。その……変なこと考えんな。一緒にいたいんやったら好きなだけ一緒におったらええやろ。ウチは絶対に拒んだりせえへんから」
久「……ふふ」
洋榎「な、なんやねん」
久「ありがとう、洋榎。愛してるわ」
洋榎「……だからそういうことゆーなって」
久「ふふ、そうね。私も今日はこれで満足だわ」
洋榎「今日はってなんやねんそれ……明日以降ももう満足せえ」
久「嫌よ。いつか絶対に洋榎とキスしてえっちするんだから」
洋榎「……こんだけ言ってもブレんのやな久は……」
久「待つのは馴れてるから。洋榎が私を受け入れてくれるようになるまでなんて、きっとすぐよ」
洋榎「きっとすぐ、ね……ウチは死ぬまでありえんように思えるわ……」
久「案外触れ合えば一瞬だったりするのよ? 恋に落ちるのって」ギュ
洋榎「……へ?」
洋榎「なっ……!!」
久「ふふ、やっと気付いた?」
洋榎「ひ、久お前っ……!?」
久「手錠の鍵について言及しなかったのが洋榎の最大のミスね」
久「ま、そのことを意識させないためにわざわざ部屋の鍵を開けておいたんだけど」
洋榎「や、やめろ! 離せボケ!!」
久「ふふ、洋榎は私が暴走したら止めてくれるのよね」
久「……止められなかった場合は、どうなるか知らないけど」
洋榎「ッ……!?」ゾクッ
久「ふふ、さっきの洋榎の言葉で爆発しちゃった」
洋榎「ふあっ……!?」
洋榎「や、やめろアホぉ!! 胸触るなぁ!!」
久「柔らかい……良い匂い……あぁ、洋榎、好き、大好き……」サワサワ
久「うなじも、とっても綺麗……」
洋榎「ひぁぁ……!!」ゾクゾク
久「んっ……ふふ、おいしい……」
久「っと」ガシ
洋榎「なっ!?」
久「酷いじゃない、殴ろうとするなんて」
洋榎「このっ……離せ……!!」
久「こんな悪いことしようとする手は……」
久「こうしないとね♪」カチャン
洋榎「!?」
久「さて、左手も頂こうかしら」
洋榎「こ、コイツ……!」
久「ごふ!? お、女の子に向かって本気で膝蹴り入れるなんてぇ……」
洋榎「はぁ、はぁ……! 貞操の危機やぞ!? 必死にもなるわ!!」
久「ごほっ、ごほっ……! うぅっ、いたい……」
洋榎「なっ」
洋榎「す、すまん。大丈夫か久……? さすがに感触良過ぎたと思ったんや……」
久「ごめんなさい……少し手を貸してくれたら嬉しいわ……」
洋榎「こ、こうか?」
久「そう、そんな風に」カチャン
洋榎「……おい」
久「ふふ、騙されやすい洋榎も好きよ?」
久「油断は禁物ってね。あとさっきの膝蹴りは本当に痛かったわ」
洋榎「これ外せやボケ! ご丁寧に後ろ手にかけおって!」
久「正直ここまで上手くいくとは思わなかったわ。洋榎が優しくて本当に良かった」
洋榎「くっ……!」ギリ
久「ふふ、その反抗的な目がたまらない……」
洋榎「ウチに指一本でも触れてみろ! 蹴り飛ばしたるからな!!」
久「蹴られるってことが分かってるなら、足くらい掴めるわよ?」
洋榎「なっ……こ、こっちくんな!!」
久「 むやみやたらに足を振り回したら疲れると思うんだけど…… 」
――――――
洋榎「はぁ、はぁ、はぁ……!」
久「……これで終わりね、洋榎」トンッ
洋榎「きゃっ……」ドサッ
久「呆気ない。どんな高い壁でも、頭と道具を使えばすぐに上れちゃうのね」
洋榎「や、やめろ久……この先はホンマに洒落にならん……今やったらまだ戻れる、だからっ……」
久「戻る、か……」
久「ただ戻っていつまでも前に進めないくらいなら、私はどこまででも前に進んでみたいわ」
洋榎「ひ、さ……」
久「こんなにも誰かを愛おしくなるなんて……こんな気持ち、初めて」
久「顔を近づけてすることなんて一つしかないと思うけど?」スッ
洋榎「や、やめっ……」
久「教えてあげるわ」
久「女同士でも気持ち良くなれるってこと」
洋榎「んっ……!?」
「んぁ、んんっ……」
――――――
「んっ……はぁ、はぁ……ぁ……」
久「……どう? 初めてのキスの感想は」
洋榎「くたばれ……このクソレズ……!」ギリッ
久「……ごめんね。洋榎。本当に、ごめん」
洋榎「……なんでやねん……」
洋榎「謝るくらいやったら……泣くくらいやったら……最初からすんなや!!」
久「……」
久「……」
洋榎「なんで久が辛そうな顔しとんねん……泣くのは普通ウチやろ……ホンマ、意味分からん……」
久「……キスしたときね、すごく切なくなったの」
久「洋榎の唇も体も、今は全部私のものなのに」
久「心だけは手に入らないんだなぁ、って」
洋榎「……なに当たり前のこと言うとんねん、アホ」
洋榎「ウチのもんは全部ウチのもんや。久になんかやらん」
久「ふふ、それでこそ私が好きになった洋榎だわ」
洋榎「……ウチに拒否権なんてないやろ」
久「それもそうね」スッ
洋榎「ん……」
「……んぁ……ん……」
久「……柔らかい」
洋榎「……」
久「ごめんね洋榎。もうすぐ終わるから、あと少しだけ……」
洋榎「……泣くのやめろ。涙が顔にかかって気持ち悪い……」
久「ふふ、こんな時でも口が悪いのね、洋榎は。でも優しい……」
洋榎「やかましい……」
――――――
久「……手錠、外すわね」
洋榎「……あぁ」
久「ありがとうね。なんか、私の我がままに付き合わせちゃって。これ以上は本当に何もしないから」
洋榎「当たり前や。……これ以上しようもんなら大声出して本気で暴れるわ」
久「キスしたときそれをしなかったってことは、少しは期待してもいいのかしら?」
洋榎「自惚れんな、アホ」
久「ふふ、頭と道具で手に入れられるものはむなしいだけね」
洋榎「……んなもん使わんと正々堂々かかってこい」
久「!」
洋榎「殴り飛ばしたるから」
久「ふっ……あはは。キスよりもそっちの方が満たされそうだわ」
洋榎「暑いし窮屈やからくっつくなて……てかこの期に及んで一緒に寝る気なんか……」
久「この期に及んで突き放しもせず逃げ出しもしない洋榎の方がよっぽどだと思うわ」
洋榎「うっ」
洋榎(ぐうの音も出んとはこのことか……)
久「おやすみなさい。今日は最高の一日だったわ」
洋榎「おやすみ。最低の一日やったわ」
久「また明日もよろしくね、洋榎」
――――――
洋榎「ん、んぅ……」
洋榎「ん?」
久「……」スゥスゥ
洋榎(なんで久がここに……あ、そういえば昨日一緒に……)
洋榎「はぁ……。気持ち良さそうに寝て、ずいぶんとええ身分やな」
洋榎「……」
洋榎「……」ナデナデ
久「んぅ……」
洋榎「……」
『―――案外触れ合えば一瞬だったりするのよ? 恋に落ちるのって』
洋榎「……」
久「……」
洋榎「……んなわけあるか、アホ」
終わり
途中で消えまくって保守させて申し訳なかったです
支援ありがとうございました
すばらだった
最高だった
Entry ⇒ 2012.09.12 | Category ⇒ 咲-Saki-SS | Comments (0) | Trackbacks (0)
伊織「あんた、自分にいくらまでなら出せる?」
伊織「だからあんたがいくらかって聞いてんの」
P「いくらって何だ」
伊織「値段」
P「値段?何の」
伊織「だからあんたのよ」
伊織「そう」
P「ちなみになんでそんなん聞くの」
伊織「買うために決まってるでしょ?」
P「ちょっと意味が分からない」
伊織「あんたが欲しいから買いたいって言ってんでしょ!」
伊織「言ってみなさいよ」
P「人の生命、プライスレス。買えるものは水瀬カードで」
P「人はねぇ、お金で買えない価値があるんだよ伊織?」
伊織「ふーん、で早く値段言いなさいよ。一億?二億?」
P「ねえ聞いてた俺の話?」
P「不満だらけですけど」
伊織「今の家より更に大きな居住空間を用意するわ」
P「確実に持て余すなそれ」
伊織「あんたは働かず、ただ遊んでればいい。これでどう?」
P「お前ん中の俺は喜々としてヒモになるような男なのか」
P「何でだよ」
伊織「あんたを独り占めするからに決まってるでしょ。にひひ、いい考えだわ」
P「俺のプロデューサー生活に生き甲斐持ってるんでお断りします」
伊織「それだけは無理ね」
P「じゃあ交渉決裂ね、はい終わり。はよ仕事行け」
P「え、ごめんきいてなかった」
伊織「あんたにだけなんだからね…?」
P「お前何ひとりで照れてんの?」
伊織「うっさいわね今あんたに誓いのキスするとこなんだから邪魔しないでよ!」
P「こいつ妄想結婚式してやがる…早く、早くなんとかしないと」
P「安心しろ俺はいつでもプライスレスだ」
伊織「なんだタダなの」
P「値段つけられないくらい高いの」
伊織「じゃあローン組むわ。あたしの人生全部使うっていうのはどう?」
P「あのさあ…」
伊織「あんたに値段が無いならあたしにだって値段ないんだから」
P「そういう問題じゃないよね」
伊織「ならどういう問題よ」
P「人を金で買おうってのがまずおかしいだろ」
伊織「どうしても欲しいんだから仕方ないじゃない」
伊織「まず好きなだけあんたに甘えるわ」
伊織「それであたしに甘えたいときは徹底的に甘やかすの」
伊織「あと一日中くっついてたいし、して欲しいときにチュッてさせる」
伊織「それからあんたの欲しいものも何だってあげて」
伊織「その代わりあんたはあたしとずっと一緒なのよ」
P「おえっ砂糖吐きそう」
P「なになに?一日イチャイチャは三十分おき、チュウは一分まで?」
伊織「そうっ♪」
P「いやドヤ顔されてもわからん」
伊織「はあ?あんたのためにイチャイチャの時間にインターバル作ってあげたんでしょ!?しっかりしなさいよ」
P「何で俺が悪いみたいになってるのか」
P「だろ?伊織もこんな男好きにならないようにな」
伊織「もう遅いしそういうとこもひっくるめて愛してるんじゃないバカなのプロデューサー?」
P「おかしいなあお前の言葉から愛を感じないよ」
伊織「なんですってぇ!」
P「ただのスイミン不足だな」
伊織「あんたのシャツが落ちてたら拾って帰るくらいなんだから!」
P「この失踪したシャツはお前が犯人か」
伊織「いっつもあんたの飲み終わりのペットボトル回収してるんだからっ!」
P「きたね」
伊織「もうあんたの家にカメラ隠すとこもないしっ!」
P「もうやだこの変態」
P「あんたがいい加減にしなさいよ」
伊織「なんであんたはあたしのものにならないわけ?」
P「自由恋愛って知ってる?」
伊織「知ってるわよバカにしないでよね!」
P「あ、知ってたんだ」
伊織「ただあんたが他の人間を見ないであたしの一番近くにいて」
伊織「いっぱいいっぱいラブラブして誰にも邪魔されないで」
伊織「あたしと赤ちゃんを作って家族みんなで静かに暮らしたいだけなのっ」
P「無茶いうなよ」
P「なぜ買われる前提なのか」
伊織「あ、赤ちゃんができるための…をしてくれる度に百万円のボーナスはどう?」
P「金のために中田氏とか世も末だな」
伊織「お金はあたしからの感謝の気持ちを表している記号に過ぎないわ。あたしたちには愛があるじゃない」
P「たちって伊織と誰を指してるんですかね」
伊織「何よ」
P「人を人が金で買う自体おかしいんだよ」
伊織「じゃあどうすればいいの?」
P「自力で俺を振り向かせる」
伊織「あんた振り向かないじゃない」
P「まだ伊織の頑張りが足りないからだな」
P「うん」
伊織「じゃあ逆は?」
P「うん?」
伊織「わたしがあんたにわたしを売る」
P「いりません」
伊織「あんたが払う必要ないわよ。買ってくれたら全財産あげるわ」
P「おや鍵が開いている」
P「伊織か」
伊織「お帰りなさい」
P「部屋が札束で埋まってますけど」
伊織「これお代ね」
P「マイナスいくらだよこれ」
伊織「さあ?わたしの全財産よ」
P「じゃあ出てこうか」
伊織「褒めてんのよ、いっぱいくっつけるじゃない」
P「いやです」
伊織「その要望は聞けないわ」
P「所有物に意見を言われる俺」
P「結局俺んちに泊まりやがった」
伊織「いいじゃない別に、これからの日常なんだから」
P「返品したいです」
伊織「無理」
P「お金払いますから」
伊織「ふうんそう、じゃあ倍額で返金しなさいね」
P「ごめんなさい無理です」
P「いや」
伊織「これじゃ家庭内別居じゃない」
P「お前の家庭内別居の基準は五分単位なのか」
伊織「いいから早く出てくっつかせて」
P「トイレくらいゆっくりさせて」
P「はい」
伊織「なんで怒ってるかわかるかしら」
P「全然わかりません」
伊織「あんたわたしに隠れてこんなとこに泊まってたのね」
P「そもそもお前と同居してないから隠れてるつもり無かったんだけどね」
伊織「早く帰るわよ」
P「ホテル代勿体無いからやだ」
P「いやです」
伊織「このホテルの持ち主の命令なんだけど」
P「仰る意味がよくわかりませんが」
伊織「買い取ったの、あんたが居たから」
P「あれ、家にある金は俺のなんだよね?」
伊織「あんたわたしのこと買ってないんでしょ?あれはまだわたしのお金よ」
P「ああ、そうか」
P「いいこと考えた。ここに伊織が住む、俺が家に帰る」
伊織「意味ないじゃないそれ」
P「仰る通りです」
伊織「早くオトナのキスしなさいよね」
P「仕方ないなぁ」
伊織「…楽しみにしてるんだけど」
伊織「ちょっと聞いてんの!」
伊織「あれ?またトイレ?」
伊織「なんだまた逃げたの」
P「家に鍵かけてるだけだし」
伊織「開けなさいよ、開けないと酷いわよ」
P「今度は家の鍵でも買うか?売らないけど」
伊織「ちょっと待ってなさい」
伊織「ただいま、大家の伊織ちゃんよ♪」がちゃ
P「」
P「えっ事務所」
伊織「何しに?」
P「何って仕事」
伊織「はあ?あんたの仕事はわたしとイチャイチャすることでしょ?」
P「ははっ大丈夫かお前」
P「めんどくさい大家だなあ」
伊織「今日の家賃払いなさいよ」
P「隣の人の家賃徴収してこい、きっと大喜びだぞ」
伊織「ここもうあんた以外住んでないわよ?」
P「え」
P「しゃーないな」
伊織「やっぱりあんたの膝の上は最高ね」
P「今日は一日中外出してたな?何やってた」
伊織「にひひ、ちょっとね」
P「ちょっとなんだよ」
P「よし、早く事務所に行って社会復帰しないと」
P「あれ?開かない」
伊織「それ、溶接されてるからもう開かないわよ?」
P「!?」
伊織「ああ、ご飯とかは大丈夫。ここの小窓から業者が入れてくれるから」
伊織「耐震防火防浸水改築済みよ」
P「逃げることは出来ないのね」
伊織「周りが廃墟になってもこのアパートだけ建ってるくらいの性能よ?これでダメなら諦めてちょうだい」
P「ハイテクな牢獄だね」
P「なんかもうどうでもいいや」
伊織「最初からそうすれば良かったのよ」
P「わかったわかった早く甘えろよ」
伊織「うんっ」
P「さよなら俺の人生」
Entry ⇒ 2012.09.12 | Category ⇒ アイマスSS | Comments (0) | Trackbacks (0)
ルルーシュ「ナナリーの望む世界には俺が邪魔だ」カレン「はい」
ルルーシュ「もう、いらないんだ。ゼロも、俺の戦いも―――」
ルルーシュ「俺は今までナナリーのためにやってきたというのに……」
カレン「やっぱりここに居たのね、ルルーシュ。私、あなたに―――。あっ!それ!」
ルルーシュ「リフレイン。カレンも知ってるだろ?懐かしい昔に返れる」
カレン「ふざけないで!!一度失敗したくらいで何よ!また作戦考えて、取り返せばいいじゃない!!いつもみたいに命令しなさいよ!ナイトメアに乗る?!それとも囮捜査!?なんだって聞いてやるわよ!!」
ルルーシュ「だったら、俺を慰めろ。女ならできることがあるだろ?」
カレン「……何をやればいいの?」
ルルーシュ「ゼロが……俺が実の妹のナナリーに否定されたんだぞ。わかるだろ?」
カレン「ごめん。全然、わからないんだけど。私がルルーシュの妹になればいいの?」
ルルーシュ「なんだ。わかっているじゃないか」
カレン「しっかりしろ!!ルルーシュ!!」パシンッ!!
カレン「今のあんたはゼロなのよ!?私たちに夢を見せた責任があるでしょ!?だったら、最後の最後まで騙してよ!今度こそ完璧にゼロを演じきってみせなさいよ!!」
ルルーシュ「……」
カレン「……」
ルルーシュ「……ナナリーは俺をぶったことはないし、そんな現実を突きつけるようなことも言わない」
カレン「そうなの?」
ルルーシュ「それに俺を呼ぶときはお兄様だった」
カレン「……ごめん」
ルルーシュ「もう一度だ」
カレン「しっかりしろ!!お兄様!!」パシンッ!!!
ルルーシュ「なんでぶつんだ!!!痛いだろうが!!」
カレン「あ、ごめん……つい……」
ルルーシュ「出来損ないの妹め……!!」
カレン「ちょっと!!私なりに頑張ってるんですけど!!」
カレン「そうだけど……」
ルルーシュ「なら、もっと妹らしく振舞ったらどうだ?ええ?」
カレン「いや、だって、私はお兄ちゃんって呼んでたし……相手はルルーシュだし……」
ルルーシュ「なら、カレンのやりやすいようにやってくれ」
カレン「じゃあ……」スッ
ルルーシュ「もうぶつなよ」
カレン「あ……。そっか」
ルルーシュ「全く」
カレン「しっかりして!!お兄ちゃん!!私がいるじゃない!!」
ルルーシュ「……」
カレン「……どう?」
ルルーシュ「いいから続けろ」
ルルーシュ「……」
カレン「私は……がんばっているお兄ちゃんが好き……」
ルルーシュ「そうだったのか」
カレン「だから、いつものお兄ちゃんに戻ってよ……お願い……」
ルルーシュ「……」
カレン「どう?」
ルルーシュ「一押し足りないな。そんなことで兄は奮起しない」
カレン「お兄ちゃん!!肩もんであげるよ!!」
ルルーシュ「別にこってない」
カレン「じゃあ、どうしろっていうのよ!!」
ルルーシュ「貴様!!兄に対して肩もみしかしなかったのか!!?」
カレン「うん」
ルルーシュ「これは呆れる。お前、本当に妹だったのか?」
ルルーシュ「もっとあるだろ。兄を喜ばすためにやっていたことを俺にやればいい」
カレン「肩揉みぐらいなんですけど」
ルルーシュ「いいや。もっとあったはずだ」
カレン「えー……?」
ルルーシュ「本当に思いつかないのか?」
カレン「バレンタインにチョコレートは手作りであげたことあるけど」
ルルーシュ「……ほう?」
カレン(反応した!)
ルルーシュ「では、チョコレートが手元にあるとして、俺に渡してくれ」
カレン「わかった」
カレン「―――お兄ちゃん、今日バレンタインだよね」
ルルーシュ「そういえばそうだったな」
カレン「はい。お兄ちゃん、ハッピーバレンタイン。―――こんな感じね」
ルルーシュ「……おい。本気で言っているのか?」
ルルーシュ「ナナリーはもっと恥ずかしそうに渡してくれていた」
カレン(知らないわよ)
ルルーシュ「お前のはお世話になった人に義理チョコを渡したようにしか見えない」
カレン「実際、義理だけど」
ルルーシュ「馬鹿者!!」
カレン「は、はい!すいません!!」
ルルーシュ「限りなく本命に近い義理だろうが」
カレン「なんで?」
ルルーシュ「なっ……?!」
カレン「妹って別にそこまでお兄ちゃんのこと想ってないっていうか……。勿論、家族としては好きだけど……」
ルルーシュ「もういい。リフレインを使う」
カレン「ダメダメ!!何言ってるのよ!!」
ルルーシュ「もう……俺には……これしかないんだ……放っておいてくれ……」
カレン(どうにかしないと……。でも、どうしたら……!!)
カレン「……!!」
ルルーシュ「そうなると……ゼロには戻れないな……」
カレン「お、お兄ちゃん!!」
ルルーシュ「どうした?」
カレン「私の……食べて……ほしい、な……なんて……えへへ」
ルルーシュ「カレン……」
カレン「お兄ちゃん、大好きだからね」
ルルーシュ「俺もだ」
カレン「……」
ルルーシュ「やればできるじゃないか、カレン。それが妹だ」
カレン「こんな妹いないって」
ルルーシュ「いるんだよ」
カレン「どこに?」
ルルーシュ「俺の近くにいたんだ……今はエリア11の総督だがな……」
ルルーシュ「カレン、もっと妹成分を俺にくれ」
カレン「どうやって?」
ルルーシュ「実の兄にしてきた妹的行動を俺に示せ。それで俺はゼロに戻ることができる」
カレン「ホントに?」
ルルーシュ「ああ」
カレン「んー……何かあったかなぁ……」
ルルーシュ「……」
カレン「あ、思い出した。じゃあ、向こうから始めましょうか」
ルルーシュ「何をするつもりだ?」
カレン「―――おにいちゃーん!!みてみて、テストで100点とったのー!!」テテテッ
ルルーシュ「……!」
カレン「ほめてっほめてっ」
ルルーシュ「お前、それ何歳の時の話だ」
カレン「9歳ぐらい」
カレン「お兄ちゃん、どうどう?すごいでしょー」
ルルーシュ「流石はカレンだな。偉いぞ」ナデナデ
カレン「えへへ」
ルルーシュ「……」ナデナデ
カレン「えへへ」
ルルーシュ「おい」
カレン「なに?」
ルルーシュ「俺がお前を癒してどうする?俺はお前に癒されたいんだぞ」
カレン「なんでよ?今ので癒されなかったの?」
ルルーシュ「……ナナリーはそういうこと言ってきたことがあまりなかったからな……扱いに困る」ナデナデ
カレン「大体、あってるけど」
ルルーシュ「そうか」
カレン「うん」
ロロ「兄さん!!僕の頭も撫でてよ!!」
カレン「そうなの?もう限界なんですけど」
ロロ「全然、ダメじゃないか。これじゃあ僕のほうが妹だよ。ね、兄さん?」
ルルーシュ「カレン、貴様ではやはり妹になれなかったな……。残念だが、俺は過去の妹に縋る他ない」
カレン「だから、リフレインはだめ!!やめて!!」
ルルーシュ「止めるな!!貴様に分かるのか!!最愛の妹に拒絶された兄の気持ちが!!!」
カレン「分からないけど」
ルルーシュ「妹失格だな!!」
カレン「だって、あとお兄ちゃんとの思い出って言ったら宿題みてもらったり、風邪引いたとき看病してくれたり、一緒にお風呂入ったり……」
ルルーシュ「おいおい。カレン……」
ロロ「はは。全然ダメじゃないか」
カレン「妹だもん。そんなのしか……
ルルーシュ「後半はゼロを目覚めさせるための大きな一歩になるだろ」
カレン「え?お風呂?それはちょっと、恥ずかしいし……」
カレン「何が?」
ルルーシュ「風呂なんて俺も気恥ずかしくて、たとえ誘われても俺から断る」
カレン「へー。そうなの?」
ルルーシュ「兄として当然のことだ」
カレン(なんだ。ちゃんとお兄ちゃんしてるんだ)
ロロ「流石は兄さん!!だから、僕と一緒にお風呂入ってくれないんだね!!納得したよ!!」
ルルーシュ「だが、風邪の看病は違う」
カレン「風邪?」
ルルーシュ「妹が病に倒れ、心配する兄。二人きりの寝室で兄は妹の安らかな寝顔を見る。兄が傍にいることで安心しているその顔に妹は愛しいと強く感じる」
カレン「そう……。まぁ、分からなくもないけど」
ルルーシュ「それだけではない。風邪を引けば汗をかく。しかし、シャワーは浴びないほうがいいから、タオルで汗をふく。着替えもさせないといけない。それは兄の役目だ」
カレン「それで?」
ルルーシュ「赤面しながらも兄に身を任せるしかない妹。……どうだ?」
カレン「だから、お兄ちゃんだから任せるんであって、そんな恋人に任せるみたいな気持ちにはならないんだけど」
カレン「すいません!!」
ルルーシュ「妹にとって兄とは最も近い異性だろうが!!意識しないわけがない!!!」
カレン「確かに意識はするけど、家族の裸なんて普通みたくないでしょ?ましてや妹のなんて……」
ロロ「違います!!普通は興奮します!!妹でも弟でも!!」
ルルーシュ「黙れ!!!」キュィィィン
ロロ「ァ……ぁ……」
ルルーシュ「いいか、カレン。妹だからこそ、兄に裸をみられたくない。そう思うはずだ!!!」
カレン「お兄ちゃんだって妹の裸は見たくないでしょ」
ルルーシュ「何故だ?」
カレン「見たいの?」
ルルーシュ「……いや。見たいとかそういうことではない。論点をすりかえるな」
カレン「変えてないけど」
ルルーシュ「とにかくカレン。看病をさせてくれ。兄としてな」
カレン「いいけど。脱がないわよ?」
ルルーシュ「カレン、大丈夫か?」
カレン「お兄ちゃん……。うん、もう平気……ごほっ……」
カレン(私、何やってるんだろう……。ゼロに戻ってきてもらうためとはいえ……)
ルルーシュ「ほら、無理はするな。カレン」
カレン「うん……」
ルルーシュ「汗、かいただろ?今、俺がふいて―――」
カレン「じ、自分でできるから!!もう私、高校生よ!?」
ルルーシュ「関係あるか。なんだ、俺に裸を見られるのが恥ずかしいのか?」
カレン「あ、当たり前でしょ」
ルルーシュ「おかしいな。昔は一緒にお風呂にだって入っていたじゃないか」
カレン「も、もう!いつの話してるの?!お兄ちゃん!!」
ルルーシュ「ははは」
カレン「……もういい?」
ルルーシュ「バカか。ここからだろう」
カレン「いいってば」
ルルーシュ「たまにはお兄ちゃんをさせてくれよ」
カレン「……じゃあ、いいけど……。変なところ触らないでね」
ルルーシュ「触ったら怒るか?」
カレン「当たり前!!このスケベ!!」
ルルーシュ「昔はよくお医者さんごっこもしたじゃないか」
カレン「ナナリーと?」
ルルーシュ「しなかったか?産婦人科とか」
カレン「しない!というかあんたナナリーになにさせてるのよ?!」
ルルーシュ「児戯だ。何を怒っている?」
カレン「あんたはお兄ちゃんじゃない!!」
ルルーシュ「なんだと?そうか義妹のほうが燃え上がるといいたいのか?」
カレン「そういう意味じゃないから!!兄としてはあんたはサイテーってこと!!ナナリーだってそういうあんたのことが嫌いだったんじゃないの!!」
ルルーシュ「……」
ルルーシュ「うっ……うぅぅ……」
カレン「え?」
ルルーシュ「もう……ぃぃ……リフレイン……を……使う……俺は……使ってやる……!!」
カレン「あ……えっと……」
ルルーシュ「妹に二度も……うらぎら……れた……うぅぅ……」
カレン「え……あの……そんなつもりは……」
ロロ「ァ……!!ァァ……!!!」
ルルーシュ「俺にはもう信じられる妹がいない……いないんだぁ……」
カレン「ご、ごめん!!お兄ちゃん!!私が悪かったから!!」
ルルーシュ「もういいんだ……俺は最低の兄だ……ああ、そうだ……自覚だってしていたさ……」
カレン「お兄ちゃん……ごめんね……酷いこといって……。本当は大好きだから……」
ルルーシュ「嘘をつくなぁ!!」
カレン「嘘じゃないってば!!」
ルルーシュ「もういい……もういいんだ……」
ルルーシュ「……っ」
カレン「そんな泣き言ばっかりなお兄ちゃんなんて本当に嫌いになるわよ!!いいの?!」
ルルーシュ「……ああ。兄を三度もぶつ妹なんて、俺はいらない」
カレン「そんな?!」
ルルーシュ「俺には妹が……いない……」
カレン「ここにいるでしょ。ほ、ほら、自慢の妹、カレン・ランペルージだよ、お兄ちゃんっ」
ルルーシュ「……」
カレン「えへっ」
ルルーシュ「ただの異性にしか見えない……うぅぅ……」
カレン「さっきまで妹だったのに……」
ルルーシュ「リフレインだな。これでゼロはいなくなる……終わりだ……ははっ……」
カレン「ちょっとまって!!まだ使わないで!!お願い!!私に考えがあるから!!だから、少しだけ時間をちょうだい!!」
ルルーシュ「……いいだろう」
カレン「はぁ……よかった……」
カレン「―――ってわけなの!!」
C.C.「大変だな」
カレン「協力してよ!あんたはルルーシュの共犯者でしょ?!」
C.C.「だからってなぁ……」
カレン「私だけじゃ限界なの。C.C.、あんたの力が必要なの!!」
C.C.「私に妹をやれと?笑わせるな」
カレン「C.C.!!」
C.C.「神楽耶に頼め」
カレン「無理に決まってるでしょ?!ルルーシュは今、仮面を外してるんだから!!」
C.C.「……」
カレン「C.C.……」
C.C.「いいのか?私ではあいつの求める妹にはなれないぞ、きっと」
カレン「二人の妹に挟まれたらきっとルルーシュは元気になると思う」
C.C.「そうかな……」
ルルーシュ「……」
カレン「お兄ちゃん。ただいま」
ルルーシュ「……おかえり」
C.C.「……よう」
ルルーシュ「C.C.か。なんだ?」
C.C.「にーにー。一緒にお家にかえろぉ」
ルルーシュ「……」
カレン「……」
ロロ「ぁぁぁ……」
C.C.「にぃにぃ、ねえってばぁ」
ルルーシュ「……寄るな、気持ち悪い」
C.C.「帰る」
カレン「ま、待って!!私はいいとおもった!!ホントホント!!」
C.C.「離せ。私は穴を掘ってそこに入る」
C.C.「じゃあ私にあった呼び方なんてあるのかな?あるなら言え。最初から言ってくれないと困るな」
カレン「そんな顔を真っ赤にされても……」
C.C.「黙れ」
カレン「C.C.は呼び捨てのほうが似合ってるかも」
C.C.「兄を呼び捨てにするのか?」
カレン「そうそう」
C.C.「アイツにとってそれは理想の妹か?」
カレン「わかんないけど。にーにーよりはいいと思う」
C.C.「……ルルーシュ」
ルルーシュ「なんだ?」
C.C.「早く立て。帰るぞ」
ルルーシュ「黙れ」
C.C.「分かった……。今日は私が手料理を振舞ってやる。美人の妹に作ってもらえるんだ、嬉しいだろ?」
ルルーシュ「……C.C.。妹のつもりか?」
ルルーシュ「ほう?」
カレン(反応した?!)
C.C.「ほら、美人で可愛い妹の料理にありつけるんだぞ?こんなところで油を売るな」
ルルーシュ「悪いが今は妹欠乏症でな。立ち上がれそうに無い」
C.C.「重病だな……」
カレン「ホントに」
ルルーシュ「リフレインという劇薬を投与しなくてはならないんだ……だから……」
C.C.「ルルーシュ……。昔のお前はそんなんじゃなかったよ」
ルルーシュ「C.C.……」
C.C.「いつも私のことを庇ってくれたルルーシュはどこにいったんだ?」
C.C.「クラスの男の子からいじめられているときに、助けにきてくれたあのヒーローはどこにいったんだ?!」
カレン(いじめられてたんだ)
ルルーシュ「お前……」
C.C.「ルルーシュ……お兄ちゃん……戻ってきてよ……」
C.C.「お兄ちゃん!!」
ルルーシュ「カレン!!」
カレン「はい!」
ルルーシュ「少しだけやる気が沸いてきた」
C.C.「まぁ、当然だな」
カレン「やった」
ルルーシュ「だが、まだ俺の心は空虚なままだ」
C.C.「一緒に風呂か」
カレン「それ、ダメだって」
C.C.「じゃあ……」
ロロ「ァァ……ィイ……!!」
ルルーシュ「ナナリー……」
カレン「C.C.!!ルルーシュとナナリーは日頃、どんなことしてたの?!」
C.C.「兄妹に注視したことなんてなかったからな。そういわれても……」
ルルーシュ『ナナリー』
ナナリー『愛しています』
ルルーシュ『俺もだよ』
ナナリー『では、おやすみのキスを……してもらえますか?』
ルルーシュ『構わないよ。ほら……』
ナナリー『ふふっ……』
C.C.「―――のようなことは何度か見たが」
カレン「キ、キス……?!」
C.C.「大変だなぁ。カレン?」
カレン「C.C.もするんでしょ?!」
C.C.「私は遠慮する。お前に譲るよ。役得だな」
カレン「そんな!?」
ルルーシュ「やはりリフレインしか……ないのかもな……」
C.C.「早くしないとあいつ、打ってしまうぞ?」
C.C.「ゼロに帰ってきて欲しくないのか?」
カレン「欲しいけど」
C.C.「なら、言って来い」
カレン「でも……!!」
C.C.「愛していると言ってから、おやすみのキスをしてって言うんだぞ?」
カレン「そんなこと!!」
C.C.「ほら、言って来い」
カレン「ちょっと?!」
ルルーシュ「打つか……」
C.C.「急げ。間に合わなくなるぞ」
カレン「あぁぁ!!もう!!―――お兄ちゃん!!」
ルルーシュ「ん?」
カレン「あ、愛してるー!!!!キスしておやすみなさいして!!!」
ルルーシュ「……どういうことだ?」
カレン「どういうこともなにも!!キスよ!!キス!!」
ルルーシュ「キスをせがむ妹か……」
C.C.「お前好みだろ?」
ルルーシュ「ふふ……ふふはは……ハハハハハ!!!!」
C.C.「何がおかしい?」
ルルーシュ「あれはナナリーだからこそだ」
C.C.「何?」
ルルーシュ「お前たちでは無理だな」
カレン「どういうことよ?」
C.C.「ナナリーのキスはそれほどのものだったということだろ」
カレン「はぁ?!」
ルルーシュ「ナナリーのキスに勝るキスなど真似できるわけがない。やめてくれ」
カレン「私のよりナナリーのほうが上手いってこと?」
ルルーシュ「そうだ」
ルルーシュ「なんだと?」
カレン「私のあなた、キスしたことある?」
ルルーシュ「いいや」
カレン「なら、分からないじゃない」
ルルーシュ「そうだな」
C.C.「ルルーシュ、次女がここまで言うんだ。比較のためにもキスさせてやれ」
ルルーシュ「そうだな。では、カレン」
カレン「……」
ルルーシュ「おやすみのキス……するか?」
カレン「上等」
C.C.「……」
ルルーシュ「じゃあ……」
カレン「……っ」
ロロ「アァァ……エ……ロ……!!」
カレン「お、にいちゃん……」
ルルーシュ「んー……」
カレン「―――しっかりしろ!!ルルーシュ!!!」パシンッ!!!
ルルーシュ「……?!」
C.C.「あーあ」
カレン「はぁ……はぁ……」
ルルーシュ「貴様……」
カレン「あ……。で、でも、私はナナリーより、キスは上手いから。それは、うん。絶対」
ルルーシュ「もういいよ。俺にはリフレイン・ランペルージという末の妹がいるからな」
カレン「ちょっと!?」
C.C.「余計なことをするからお兄ちゃんが殻に閉じこもったぞ。どう責任をとる?」
カレン「だって!!あんなのでキスしてもうれしくないでしょ?!」
C.C.「お前、唇も処女か」
カレン「違う!!お兄ちゃんとしたことあるから!!!」
ルルーシュ「勿論です、お兄様」
ルルーシュ「それは嬉しいな……頼むぞ……」
C.C.「なんだ、カレンの兄もルルーシュと同じシスコン坊やだったのか」
カレン「ちょっと!!変なこといわないで!!」
C.C.「したことあるんだろ?どっちからしたんだ?ん?」
カレン「そ、そんなの……言う必要ないでしょ……」
C.C.「なぁんだ。ブラコンとシスコンかぁ」
カレン「違うってば!!」
C.C.「キスしたくてしたんだろ?」
カレン「別にいいでしょ!!兄妹だし!!」
C.C.「兄妹だからキスしてもいいのか?」
カレン「そうよ」
C.C.「それで、お兄ちゃんに調教されたと?おやすみのキスぐらい挨拶みたいなものだもんな」
カレン「そ、そうね……」
ルルーシュ「ああ」
カレン「なに?」
ルルーシュ「カレン・ランペルージよ」
カレン「私は紅月カレンよ!!」
ルルーシュ「今は違うだろうが!!!」
カレン「は、はい!すいませんでした!!」
ルルーシュ「キスは挨拶という概念の持ち主だったのか?」
カレン「そ、そうですけど」
ルルーシュ「じゃあ、俺にもできるな。おやすみのキスという挨拶が」
カレン「いや……寝る前じゃないと……キスする意味がないから」
ルルーシュ「分かった。C.C.」
C.C.「なんだ?」
ルルーシュ「俺の枕になれ」
C.C.「寝るためか。いいだろう」
チラッ
どうぞどうぞ
C.C.「これでいいか?さあ、抱き枕にでもしろ」
ルルーシュ「カレンのキスを貰ったらな」
カレン「ルルーシュ……!!」
ルルーシュ「カレン、キスをしよう」
カレン「……」
ルルーシュ「これは兄妹愛だよ。カレン?何を怖がることがある?」
カレン「でも……」
ルルーシュ「さぁ……」
カレン「うぅ……」
ルルーシュ「ゼロに戻ってきて欲しいんだろ……?」
カレン「……っ」
ルルーシュ「カレン……」
カレン(ゼロのため……ゼロのため……ゼロのため……ゼロの……)
ロロ「……!!」キュィィン
ロロ「ァァ!!ゥゥ!!」
C.C.「なんだ?」
ロロ「ゥゥ!!ァァ!!!」
C.C.「なんだと?どうせなら私のほうがマシだと?しかし……」
ロロ「ィィ」
C.C.「断る」
ロロ「ァァ?」
C.C.「なんでもだ」
ロロ「ぁぁ……」
C.C.「貴様……!!この私を捕まえて生娘だと?呆れすぎて怒りの火が灯ったぞ」
ロロ「ぁぁ?」
C.C.「いいか?私は既にルルーシュとはキスを済ませている。何でもない。だからこそ、カレンに譲ったんだ」
ロロ「ハっ」
C.C.「ふっ……いいだろう。嘘じゃないことを証明してやる。ギアスを解け」
カレン(お母さん……私……今から……キスします……)
カレン(ナオトお兄ちゃんのほっぺにしかしたことないけど……ナナリーにだけは、なんか負けたくないの……だって……年下だし……)
カレン(なにより……あんな大人しそうな子よりも下手なんて設定は、カレン・シュタットフェルトにはないから……!!)
C.C.「おっそいな」
カレン「え?」
C.C.「もういいよ。私がする」
カレン「なんでよ?!」
C.C.「唇バージンは大事にとっておけ。生憎、私は売り切れた」
カレン「売り切れ?!」
C.C.「おやすみ、ルルーシュ」
ルルーシュ「C.C.……」
C.C.「目を閉じろ……」
カレン「まった!!妹はお姉ちゃんのあとでしょ?!」
C.C.「誰が妹だ誰が。お前が妹だろ」
C.C.「おま……!?」
カレン「だから、私のあと」
C.C.「残念だが、お前は永遠に私の後だ」
カレン「は?」
C.C.「なぁ?ルルーシュお兄ちゃん?」
ルルーシュ「え……あ……」
カレン「ちょっと、ルルーシュ。C.C.とキスしたことでもあるの?」
ルルーシュ「……妹だからな」
カレン「ああ、妹だから。兄妹じゃあ仕方ないわね」
ルルーシュ「そうだろう?フハハハ……」
カレン「ふざけるな!!いつしたんだ?!ルルーシュ!!!」
ルルーシュ「……っ」ビクッ
カレン「こっちの気もしらないで……!!」
ロロ(よし。揉め始めた。これで全部有耶無耶になる……)
ルルーシュ「まて、カレン。お前では荷が重い」
カレン「ふんっ。黒の騎士団なんて弾けさせてやるー」
ルルーシュ「カレン!!落ち着け!!」
カレン「これが落ち着いていられるか!!」
C.C.「カレン、女の嫉妬は醜いぞ?」
カレン「うるさい!!」
C.C.「って、どうしてお前と喧嘩しなければならない。胸部の脂肪以外は私の圧勝だというのに」
カレン「この言わせておけばぁ……!!」
ルルーシュ「まて、俺のファーストキスはそもそもナナリー……」
カレン「いつ?」
ルルーシュ「俺が10歳ぐらいのときか」
カレン「ノーカンね」
C.C.「同感だ」
ルルーシュ「まて、ではいつからカウントする?」
カレン「あらあら、C.C.さん?女の嫉妬は醜いでしょう」
C.C.「嫉妬ではない。客観的な意見だ」
カレン「嫉妬でしょう?妹に」
C.C.「ふん。万年、銅メダリストめ。いや、5位入賞かな?」
カレン「……ねえ、ルルーシュ?」
ルルーシュ「なんだ?」
カレン「C.C.とは何回、キスしたのよ?」
ルルーシュ「一回だけだが、それが?」
カレン「余裕ね!!」
ルルーシュ「何がだ?!」
カレン「今から3回連続でキスするから」
C.C.「そう来たか。まあ、お前にはそんな度胸なんてないだろうがな」
カレン「そうかしら?キスは挨拶だし」
C.C.(ちっ……こいつ、本当に慣れているのか……)
ルルーシュ「おい……カレン……」
カレン「今更、怖気づかないでよね」
ルルーシュ「違う。お前……手が振るえているぞ」
カレン「黙ってろ」
ルルーシュ「はい」
カレン(何よ。キスぐらい。お兄ちゃんに何回もしたんだから、なんともないわ)
カレン「いい、ルルーシュ?おはよう、ただいま、おやすみ。の三種類だからね。これぐらい妹だったらするでしょ?」
ルルーシュ「そこまでは……」
カレン「する」
ルルーシュ「ああ、するな」
カレン「よし」
C.C.「おいおい、ルルーシュ。私と一回しかしていないと言ったか?」
ルルーシュ「バカか。話をややこしくするな」
C.C.「お前とは……5回以上しているだろ?」
ルルーシュ「いっ?!」
C.C.「なぁ?」
ルルーシュ「いつだ……!!お前とは……!!」
C.C.「出会ったときに一回。行政特区日本のときに一回。ブラックリベリオンで一回。再会したときに勢いで3回。あ、6回だったな」
ルルーシュ「待て!!何故、そんな水増しをする!!」
カレン「全部、私が裏で大変な目にあっているときじゃない……!!」
C.C.「6回だろ?ルルーシュ?」
ルルーシュ「そんなにしていないだろ!!」
C.C.「少なくとも3回はした」
ルルーシュ「記憶違いだ!!」
C.C.「じゃあ、2回にまけておいてやる。とりあえず1回ではない」
ルルーシュ「何を言っている?」
C.C.「どうだ?場所も日も違うところで私は2回もキスをしてやった。お前はただ1回のうちに3度唇をくっつける作業をするだけろ?お前の負けだな」
カレン「このぉ……!!!」
カレン「ふっ……C.C.?舌は入れた?」
C.C.「なに?」
カレン「どーせ、小学生がするようなしょぼいキスでしょ?」
C.C.「遠吠えが心地いいな」
カレン「ルルーシュ?」
ルルーシュ「額から吹き出ている汗をどうにかしたらどうだ、カレン?」
カレン「そんなことより。妹なんだから、舌とか絡ませてキスしても不思議じゃないでしょ?」
ルルーシュ「なに?」
カレン「そうよね?」
ルルーシュ「そうだな」
カレン「そうなの?!」
ルルーシュ「何を驚いている?」
カレン「あ、ううん。別に。じゃあ、今からおはよう、いってっきます、ただいま、おやすみ、いただきます。のキスするから。あと、それぞれで場所を変えましょう」
C.C.(小娘が……小生意気な……。今のカレンならやりかねない……。どうする……)
カレン(まだなんかあるの……?!いい加減にしなさいよ!!これ以上は……!!)
ルルーシュ「確かにな……」
C.C.「えーと……そうそう、唇以外にもキスしたもんな」
カレン「はい?!」
ルルーシュ「おい」
C.C.「まぁ、妹だもんな。それぐらいはする」
カレン「どこにしたのよ?」
C.C.「あ、足の裏とか」
カレン「……どっちが?」
C.C.「もちろん、私がルルーシュにだよ。濃厚な足裏キスしてやった。気持ちよかったな?」
ルルーシュ「お前……」
カレン「ナナリーにそこまでさせたってこと?!」
ルルーシュ「させるわけないだろ!!」
C.C.「義妹に妹だからな。義兄の足の裏ぐらい口付けして当然だ」
C.C.(さあ、これ以上ハードルの上げようがない。これでカレンが私を舐めることもない。私はこういう小娘に舐められるのが嫌いだ)
ロロ(どうしてみんな、帰らないんだ!!)
カレン「わかった……。ルルーシュ」
ルルーシュ「カレン?!目の焦点があっていないぞ!!大丈夫か?!」
カレン「わ、私……お兄ちゃんの……胸にキスする……から……」
ルルーシュ「流石にナナリーもそこまではしないぞ!!」
カレン「私はするんだ!!義妹だから!!」
C.C.「お、おい。無茶するなよ」
カレン「足の裏?はっ。ダッサ」
C.C.「ふ、ふふふ……私はなぁ、カレン?太ももにキスしたこともある。というか、ほぼ股間だったな」
カレン「ぶふっ?!」
C.C.「どうだ?もう張り合うのはよせ、よせ。こっちも限界だ」
ルルーシュ「C.C.、お前……泣いているのか?」
C.C.「泣いてないぞ。何を言っている」
C.C.「バカか?そんなことできるわけ―――」
カレン「ほら、お兄ちゃん。脱いでよ。キスするから」
ルルーシュ「カレン!!いい加減に正気に戻れ!!何故、意地の張り合いになっている?!」
カレン「だって!!C.C.が2回もキスして、しかも足の裏とかこ、股間とか言うからぁ!!」
ルルーシュ「C.C.もだ!!あることないこというな!!」
C.C.「全部ある!!キスは2回、いや2.5回はした!!」
ルルーシュ「いつの話だ?!」
C.C.「神根島とバベルタワー、あと、今」
ルルーシュ「タワーのあれはカウントするのか?」
C.C.「おい」
ルルーシュ「だが、バベルタワーのこそノーカウントだろ?記憶を戻すための儀式だったのだろ、あれは」
C.C.「違うぞ」
ルルーシュ「じゃあ、どうしてキスをした」
C.C.「したかったからだ」
C.C.「ふふーん」ドヤッ
ルルーシュ「……そうか」
カレン「やっぱり2回はしたの?!」
ルルーシュ「そうなるな……」
カレン「しっかりしろ!!ルルーシュ!!!!」ドゴォ!!!!
ルルーシュ「ぐふぅ?!」
カレン「はぁ……はぁ……」
ロロ「……!!」
C.C.「ほら、どっちにしろお前は私に勝てない。全てにおいて出遅れている」
カレン「お兄ちゃん」
ルルーシュ「な、なんだ……?」
カレン「どうしたらゼロに戻ってくれるんだっけ?」
ルルーシュ「妹エネルギーが満タンになったらだ……」
カレン「じゃあ、今から満タンにするから。息とめて、目を瞑って」
カレン「いくわよ」
C.C.「おい!」
カレン「私の唇で上書きしてやるー」
C.C.「そんな言い方するな!!」
カレン「もう遅い!!」
ルルーシュ「カレン、震えているぞ。やめておけ」
カレン「ここまで来て、やめられるか!!」
ルルーシュ「そうだな。では、妹らしく。頼むぞ」
カレン(C.C.の2回分より濃厚で長いキスしたらいいんでしょ……。5秒……いや、10秒はしてやる!!)
C.C.(まずいな。カレン、目が据わっている……)
ルルーシュ(この妹たち……怖い……)
ロロ(兄さんの唇……もう……傷物だったのか……)ガクッ
カレン「おにいちゃん!!キスだぁ!!」
C.C.「残念なお知らせだ、私がキスすることに決まった。たった今なっ!」
C.C.「キスしていない歴0年の私に歯向かうのか?これだから唇処女は」
カレン「お兄ちゃんとしたっていったでしょうがぁ!!」
C.C.「あー、そうか。ブラコンだもんなぁ」
カレン「ブラコンじゃない!!」
C.C.「臆面も無くお兄ちゃんと言えるわけだ」
カレン「あんたのにぃにぃ~ってどこ産よ。気持ち悪っ」
C.C.「分かっていないなぁ。現実にいなさそうな妹のほうが男は喜ぶんだよ」
カレン「あーはいはい。どうせ妄想でしょ?」
C.C.「ふふふ……おいおい、お前、なんだその言い草は?」
カレン「あんたみたいな傲慢な女に靡く男なんていないでしょ?!あー、そうかぁ、お兄ちゃんはこの可愛くない妹に強引に不意打ちキスされたんでしょ?したくてしたんじゃないんでしょ?」
C.C.「強引じゃない合意の上だ!!失敬な!!」
ルルーシュ「……」
C.C.「否定しろ!!お兄ちゃん!!」
カレン「ほーら。強引なキスなんてしてないのと一緒。そんなのただの変態ね。何がキスしていない歴0年よ。あんたはただの唇素人じゃない」
C.C.「侮辱もここまでくると清清しいなぁ……!!」
カレン「この色魔」
C.C.「強引にキスの一つもできない小娘に言われたくないな!!」
カレン「無理やりに唇を奪いような賊が偉そうなこと言わないで!!」
C.C.「この……!!」
カレン「C.C.……!!」
ルルーシュ「―――もういい!!!!」
C.C.「ふん……」
カレン「す、すいません」ビクッ
ルルーシュ「ストレスで妹欠乏症が加速する」
C.C.「ハゲるのかな?」
ルルーシュ「ああ。その通りだ」
カレン「あの……」
ルルーシュ「見苦しいことはするな。俺の妹なんだろう、お前ら。ただお兄ちゃんと呼べばいいものでもないぞ」
カレン「あんたもでしょ」
ルルーシュ「そこまでいうなら、白黒つけろ。己が持つ妹の力でな」
C.C.「どうするのかな?」
ルルーシュ「俺が守ってあげたくなる妹を演じろ。そしてどちらがより妹らしいのか俺が審判を下す」
C.C.「面白い」
カレン「いいよ」
ルルーシュ「よし……。一発勝負だ。いいな?」
C.C.「望むところだ」
カレン「何をしたらいい?」
ルルーシュ「俺と過ごす休日を考えろ。より妹らしい考えだったほうを正妹にする」
C.C.(もらったな)
カレン(本当の妹だった私にとってはラッキー問題ね)
ロロ(声がでない!!僕にも参加資格はあるはずなのに!!!)
ルルーシュ(落ち着いたか。よかった)
カレン「ちょっと!!」
ルルーシュ「いいだろう」
カレン「なんで?!」
C.C.(これはアイディア勝負。先に仕掛けたほうが勝つ)
C.C.「おい、ルルーシュにぃ。明日は……暇か?」
ルルーシュ「ああ。特に予定は入っていないな」
カレン(寸劇にしないとダメだったのね……あぶなぁ)
C.C.「そ、そうか……。じゃあ、あの……映画でもどうだ?」
ルルーシュ「映画?見たいものでもあるのか?」
C.C.「ああ。悪いか?」
ルルーシュ「俺といって楽しいか?友達でも誘えばいいだろ?」
C.C.「いいだろ。私の勝手だ。映画のあとは喫茶店で映画の感想言い合って、それから、服を買う。もちろん、ルルーシュにぃのお金でな」
ルルーシュ「目的はそれか。困った妹だな全く」
C.C.「うるさいっ。―――とまあ、照れ隠しで最後に余計なことを言って断られたらどうしようと内心焦った妹を演出してみた。ルルーシュ好みだろ?」
ルルーシュ「悪くないな」
C.C.「だろ?」
ロロ(そんな?!)
カレン「……」
C.C.「お前では私を越えられない」
カレン「お兄ちゃーん」
ルルーシュ「どうした?」
カレン「今日、休日でしょ?暇なの?」
ルルーシュ「別に予定はないな」
カレン「ふーん。彼女いないもんね」
ルルーシュ「黙れ」
カレン「じゃあ、今日も私が1日恋人になってあげる。だから、テレビゲームでもしようか?」
ルルーシュ「こんな可愛くない恋人なんていらないな」
カレン「モテないお兄ちゃんのために恋人になってあげてるのに、文句いうな。―――はい。一時でもお兄ちゃんの恋人でいたい妹を演じてみた。どう?自信はあるけど」
カレン「それほどでも」
ロロ「ァァ!!」
ルルーシュ「どうした、ロロ?まだいたのか?」
ロロ「ゥゥゥ!!ゥゥ!!」
ルルーシュ「何を言っているのかさっぱり分からない」
ロロ「ァァ!!」
C.C.「人語で話せ」
ロロ「……ェ」
ルルーシュ「では、発表する」
カレン「……」
C.C.「……」
ルルーシュ「より妹らしく、そして妹エネルギーを補給してくれたのは―――」
ルルーシュ「カレン!!C.C.!!!両名だ!!!」バッ!!
カレン・C.C.「「え?」」
カレン「ちょっと!!白黒つけろって言っておいて引き分けって納得できないんですけど!!」
C.C.「そうだ。お前に相応しい妹を演じてやったんだぞ?まさか、この期に及んでまだナナリーが一等賞とか言わないだろうな?」
ルルーシュ「言わない。というより、ナナリーは実の妹だ。別格なんだよ」
カレン「じゃあ、尚更しっかりとジャッジしてよ!!」
ルルーシュ「そんなに妹になりたいのか?」
カレン「え?」
ルルーシュ「俺の妹になりたいのか?」
カレン「あれ、そういえばゼロに戻る決心してくれたらそれでいいんだっけ?」
ルルーシュ「そのはずだっただろ」
カレン「そうよね……」
C.C.「私としたことが目的を見失うとはな……」
ルルーシュ「嬉しかったよ、二人とも。可愛い妹を演じてくれて。まぁ、ナナリーには及ばないがな」
カレン「やっぱり比較するんじゃない!!」
C.C.「デリカシーのない男だな」
ルルーシュ「それに何より……」
カレン「ちょっと、C.C.!!なんでルルーシュと2回もキスしたの?」
C.C.「したかったからだ。何度も言わせるな。あと2.5回だからな」
カレン「じゃあ、私もしたくなったらしてもいいのね?」
C.C.「ああ。いいぞ。やれるならヤレ。そのかわり、私もやる」
カレン「みてないよね。いつか25回ぐらいやってやる」
C.C.「それはいい。楽しみにしておくか。結局0回で蹲って泣くお前の姿をな」
カレン「ふんっ!!」
ルルーシュ「守りたい義妹が傍に2人もできたからな……」
カレン「ねえ、ルルーシュ。とりあえず、復帰祝いにキスしてあげる」
ルルーシュ「カレン、唇が乾燥しているぞ?」
C.C.「はははははは」
カレン「笑うな!!」
ロロ(兄さん!!まってよ!!にぃぃさぁぁん!!!)
ゼロ「待たせたな!!諸君!!」
神楽耶「ゼロさまー!!おかえりなさいませー!!」
ゼロ「留守にして申し訳ない」
神楽耶「そんなことありませんわ」
藤堂「ゼロ。総督が何か会見を始めるようだ」
ゼロ「なんだと?」
ナナリー『―――行政特区日本を設立します。黒の騎士団……ゼロも参加してください。お願いします』
ゼロ「……!!」
カレン「ナナリーが行政特区を……」
C.C.「……」
玉城「どうせまた罠に決まってるぜ!!」
神楽耶「ゼロ様、どうされますか?」
ゼロ「すこし、休む……」
カレン「ゼロ!?」
神楽耶「ゼロ様?」テテテッ
ゼロ「神楽耶様……」
神楽耶「お元気ないようですわね。いつもの呪文、おかけしましょうか?」
ゼロ「お願いします」
神楽耶「がんばれっ、おにぃたまぁー!ふぁいっ、おー!!」
ゼロ「フハハハハハ!!!!よし!!行政特区日本に参加しよう!!奇跡を見せてやろう……百万の奇跡を!!!」
神楽耶「おにぃたまぁ!すてきぃー!!」ギュッ
ゼロ「ハーッハッハッハッハッハッハッハ!!!!!流石は神楽耶様!!私の妹エネルギーはすぐに充填されました!!」
神楽耶「よくわかりませんが、ゼロ様が元気になるのでしたら嬉しいですわ」
ゼロ「できれば、二人の時は……」
神楽耶「ごめんなさぃ、おにぃたまぁ……」
ゼロ「これが……妹……だ……!!」
カレン「フーン」
C.C.「そうか。あれだけ苦労しても神楽耶だと一言でいいのか。この差はなんだ?見た目かな、ルルーシュ?」
ゼロ「あ、こら!!C.C.!!何を言っている!!バカか!!」
カレン「ルルーシュ、どういうこと?何時間も妹演じた私たちはなんだったの?ねえ?」
C.C.「お前、私たちが恥も外聞も捨てて妹を演じていたのに気がつかなかったのか?」
ゼロ「まて……落ち着け……」
カレン「ねえ、神楽耶様なら一言で回復する理由……教えてくれない?」
C.C.「是非、知りたいな」
ゼロ「……」
神楽耶「ゼロ様……?あの、これは一体……?」
ゼロ「神楽耶様、私に戦う力を……ください……」
神楽耶「はいっ。―――おにぃたまぁ!まけないでぇー」
ゼロ「よぉーし!!!これで私は無て―――」
カレン「弾けろ!!!ブリタニアァァ!!!!」バキィ!!!!
ゼロ「がぁ?!」
神楽耶「ゼロ様の仮面が割れた……?!」
カレン「ロリコン」
C.C.「シスコン」
ゼロ「待て……誤解だ……。今のはそれほどショックではなくて……だな……」
神楽耶「ゼロ様ぁ!!」テテテッ
ゼロ「待て!!カレン!!C.C.!!」
神楽耶「あ……」
ゼロ「しまった……!!仮面が……!!」
神楽耶「ゼロ様。お怪我はありませんか?」
ルルーシュ「神楽耶様……。何も言われないのですか」
神楽耶「だって、ゼロ様はゼロ様ですもの。中身なんてどうでもいいですわ」
ルルーシュ「……」
神楽耶「あ、今は……私の兄ですわね。こんなにもかっこいい兄がいるなんて、私は幸せですわ。しかも、兄と夫婦なんて妹としては至れり尽くせりですし」
ルルーシュ「神楽耶様……あなたと言う人は……。好きです」
神楽耶「私もですわ」
ルルーシュ「カレン?!」
神楽耶「ルルーシュ様というのですか?」
ルルーシュ「ええ、そうです」
神楽耶「ルルにぃっておよびしても?」
ルルーシュ「神楽耶様の好きに呼んでください」
神楽耶「やったぁ」
C.C.「追ってきてくれるかと期待をしていたら、この有様だ。立て、ルルーシュ」グイッ
ルルーシュ「まて!円卓につこう。冷静になるんだ!武力では何も解決しない」
カレン「至って冷静ですけど」
ルルーシュ「嘘だ。青筋を立てているぞ」
C.C.「久々に血管が切れそうだよ。ルルーシュ?」
カレン「ゼロ。貴方のことは尊敬しているし、これから先もついていくつもりですが……。ルルーシュ、あんただけは許さない」
ルルーシュ「なに?!」
C.C.「行政特区に参加するんだってな。そこでやるか、おしおきを。なぁ、ゼロリコン?」
ナナリー「ゼロは来てくれるでしょうか」
スザク「来ます。必ず。わざわざゼロだけの国外追放という条件を出してきたのですから」
ナナリー「そうですね」
ざわざわ……
ナナリー「どうしたのですか?」
ローマイヤ「あれは?!」
ヴィンセント「……」ゴォォ
アーニャ「ナイトメア」
ジノ「まさか、攻撃する気じゃないだろうな?」
スザク「いや、それはないよ。ナイトメアのアームにゼロが乗っている」
ゼロ「……」
ナナリー「ゼロ……」
ゼロ「こんにちは」
ナナリー「は、はい。こんにちは」
スザク「おりてこい!!ゼロ!!」
ゼロ「……日本人とは、民族とは何だ?」
スザク「何?」
ゼロ「言語か、土地か、血の繋がりか」
スザク「違う。それは……心だ!」
ゼロ「私もそう思う。自覚、規範、矜持。つまり!!文化の根底たる心さえあれば、住む場所が異なろうと、それは日本人なのだ!!!」
スザク「……」
ゼロ「では、ナナリー総督。妹とは何でしょうか?」
ナナリー「はい?」
ゼロ「家族か、記号か、血の繋がりか」
ナナリー「違います。それは……愛です」
ゼロ「私もそう思う。愛情、矜持、禁断。つまり!!兄妹の根底たる愛さえあれば、血の繋がりが濃いくとも、それは妹なのだ!!!または兄!!!」
ナナリー「……はい」
スザク「何が言いたい?!」
スザク「ロリコンだ」
ゼロ「私はそうは思わない!!!」バッ!!!
スザク「……」
ゼロ「これも愛だ!!!愛情、矜持、禁断。つまり!!心の中に確固たる意志と自覚があれば少女を愛しても問題はない!!!」
ナナリー「それで?」
ゼロ「そう言う者たちもまた民族であることは変わりがない。どこに行こうとも生きていける!!!」
スザク「だが、迫害される!!」
ゼロ「そうだ!!少女を深く愛するが故に蔑まれる!!同じ民族から!!!まるでお前だけが異なる場所の住人だと言わんばかりに!!」
スザク「ゼロ……?」
ゼロ「しかし!!誰も知らぬ土地へ行けば、その者でも受け入れてくれる!!!何故なら自覚、規範、矜持があれば!!その土地でまた新たな民族になれるからだ!!!」
ナナリー「まさか……ゼロ……あなたは……」
ゼロ「そう!!私は!!!総督!!そしてアーニャ!!!」
アーニャ「なに?」
ゼロ「私は君たちのような少女しか愛せないのですよ!!!―――そう!!私の名はゼロリコン!!!!」バッ!!!
ジノ「別人か?!」
ゼロ「違うな。間違っているぞ。ゼロは記号に過ぎなかったが、ゼロリコンは私個人を表す名。固有の存在であることを示す名!!」
アーニャ「ゼロリコン……記憶にする価値なし」
ナナリー「ゼロリコンさん。貴方はここでそれを告白し、どうされるおつもりなのですか。今まで築きあげてきた全てが無くなってしまうほどの独白ですよ」
ゼロ「その通り。だから、条件を出したでしょう?」
スザク「え……。ま、まさか!!お前!!」
ゼロ「そう!!この発表!!私の正体を晒した以上、この場所には居られない!!!仮面をつけていても恥ずかしいからな!!!!」
ナナリー「国外追放にしてくれというのは、あなたを誰も知らない土地へ……行くと……?」
ゼロ「そうです」
スザク「なんで……どうして……」
ゼロ「悪魔を二匹、怒らせてしまった。どうやら私は禁忌に触れすぎたようだ」
ナナリー「どこへいくのですか?!」
ゼロ「分かりません。どこか遠くへ行きます。そう……心穏やかになれる場所を……」
スザク「ゼロォォ!!!お前は!!逃げるのか?!ゼロリコン!!!!」
スザク「じゃあ、逃げるな!!ロリコンであることに胸を張れ!!少女しか愛せない、だから逃げる?そんなことでユフィを殺した責任から逃れるな!!!!」
ゼロ「うるさい!!」
ナナリー「ゼロ……」
ゼロ「ナナリー総督」
ナナリー「早く、行ってください」
ゼロ「……」
アーニャ「少女の敵、ゼロリコン」
ゼロ「……」
ジノ「それだけの覚悟があるなら確かにどこに行っても生きて行けるな」
スザク「僕は必ず、お前を追い詰める……!!」
ゼロ「さらばだ。―――いくぞ」
ヴィンセント「……」
ナナリー「……ゼロリコン。さようなら。二度と顔を見せないでください」
ゼロ「―――ンナナリィィィ!!!!」
スザク「煙幕?!」
ジノ「なんだ、なんだ?!」
ゼロ「……」
ゼロ「……」
ゼロ「……」
スザク「これは……!?」
ナナリー「どうしたのですか?」
ゼロ「我々は!!ゼロリコン!!!」
ジノ「待て!!それは固有の名前なんだろ?!記号じゃないって言ってたぞ!!!」
ゼロ「よっしゃ!!国外追放されたぜー。いくぞー!!!」
ゼロ「「「おー!!!」」」
アーニャ「百万のゼロリコン……こわっ」パシャ
ナナリー「射殺しますか?」
スザク「それは……ダメです……総督……」
ゼロ「……」
玉城「おーい、ゼロリコーン。整備おわったぜー」
ゼロ「ああ」
扇「ロリコン。物資の補給だけど」
ゼロ「私が引き継ぐ」
藤堂「ゼロ」
ゼロ「藤堂」
藤堂「今度、天子様を見に行こう」
ゼロ「……」
カレン「いい演説だったわよ、ルルーシュ?」
ゼロ「そ、そうか」
C.C.「痺れたぞ?ゼロリコン」
ゼロ「……ああ」
カレン「少しは懲りた?反省しているなら、私はもうあなたを許しても……」
ゼロ「神楽耶さまぁ!」
神楽耶「お待ちしておりましたわっ♪」ギュッ
ゼロ「フハハハハハ!!!いやぁ、お待たせしてすいません」
神楽耶「しばらくはゆっくりできるのでしょう?」
ゼロ「ええ。神楽耶様とご一緒できます」
神楽耶「では、明日朱禁城に行きませんか?天子様がゼロ様に会いたいと」
ゼロ「天子様が?!」
藤堂「……!!」ガタッ!!!
南「やったぁ!!!」
ディートハルト「ふむ。明日の予定は全てキャンセルにしておきましょう……」
ラクシャータ「天子様かぁ。唾でもつけておこうかなぁ」
神楽耶「あの……そんなに大勢は……」
ゼロ「そうだぞ!!迷惑だろ!!!私と神楽耶様だけで謁見する!!!」
ディートハルト「ゼロ!!そんな!!どうかご慈悲を!!ゼロォ!!!」
ゼロ「そんなことあるわけがない」
カレン「もう一回、仮面粉砕してあげましょうか?」
ゼロ「ナナリーは一人で歩いている……。自らの理想に……」
C.C.「……」
ゼロ「ナナリーの望む世界には俺が邪魔だ」
カレン「はい」
C.C.「異議なし」
ゼロ「だが、それでも俺は―――」
神楽耶「ゼロ様ぁ。いえ、ルルにぃ。行きましょう?」
ゼロ「理想に生きるっ!!!」
カレン「―――弾けろ!!!ブリタニアァ!!!」バキィ
C.C.「―――私を失望させるなっ!!!」バキィ
神楽耶「ゼロ様ぁ!!!」
END
おまわりさんこいつら全員です
しかしギアスの世界ってロリとはっきり言えるロリは天子様だけなんだよな…
他の3人は全員15歳だし
世界はロリコンに優しくないのだよ
Entry ⇒ 2012.09.12 | Category ⇒ コードギアスSS | Comments (0) | Trackbacks (0)
尭深「今年もたくさん収穫できそう……」
照「これ、おいしそう……」
誠子「勝手にとったら尭深がかわいそうですって」
尭深「……」
照「ごっごめん」
尭深「……もう少しでハーベストタイムなので、その時におすそわけ……」
照「尭深……」ジーン
淡「いいなぁ……」
尭深「淡にも」
淡「やったー! たかみーだーい好きっ!」
誠子「……」
菫「……」
コソコソ……
菫「クソッ! 私も欲しいって言い出せなかったが、本当は欲しかったんだぞ!」
菫「よし、誰もいないな……」
菫「これは……葡萄か」ジュルリ…
菫「よし、これを頂いておこう……」
菫「貰うものを貰ったら撤退だ!」
コソコソ……
誠子「弘世先輩……」
・翌朝
尭深「葡萄が減ってる……」
淡「ホントだ……ひどーいっ!」
尭深「ぐすっ……」
菫「……」
誠子「弘世先輩」
菫「ドキッ!? ……なんだ、亦野か……」
誠子「尭深の葡萄、盗まれたらしいですね」
菫「……ああ、そうらしいな」
誠子「世の中には酷いことをする人もいるもんだ」
菫「あ、ああ……」
誠子「尭深、可愛そうに……。せっかく育てた葡萄を……。泣いてたなぁ」
菫「……」
誠子「先輩知ってますか? 今年台風が来ましたよね?」
菫「あ、ああ、そうだったかな」
誠子「尭深、その時何をしていたと思います?」
菫「さあな。台風だから部屋に閉じこもってコロッケでも食べていたんじゃないか?」
誠子「……葡萄が折れないように、一晩中シートをかけて固定してたんですよ」
菫「!!!」
菫「尭深……」
誠子「そのあとお見舞いに行ったんですけどね。尭深のやつ、笑ってましたよ」
菫「な、なんで?」
誠子「葡萄が無事でよかった……って」
菫「……」
誠子「そんだけです」
ザッザッザ……
菫「……」
菫「たかみ…………」ポロッ……
菫「尭深! すまない!」フカブカー
尭深「?」
菫「実は葡萄、盗んだの私なんだ!」
尭深「!?」
菫「照と淡が葡萄を貰えるって聞いて……羨ましくなって……それでわたしも……グスッ……でも言い出せなくて……」
キュッ
菫「……尭深?」
尭深「ハーベストタイムには、もっと美味しい葡萄をおすそわけします……」
菫「尭深……グスッ……すまない……うわぁぁ――――――――――――んっ!!!!!」
誠子「……やれやれ」
誠子「それにしても弘世先輩にもあんな一面があったんだなぁ……」シミジミ
タッタッタ…
尭深「――まって」
誠子「ん? 尭深?」
尭深「……はぁっ……はぁっ……追いついた……」
誠子「そんなに息を切らして、急用か?」
尭深「そうじゃないけど……お礼を言おうと思って……」
誠子「お礼? 礼を言われることなんてしたっけな?」
尭深「……それでもいい。ありがとう……」ペコリ
誠子「……やれやれ、礼を受け取っておけばいいんだな?」
尭深「うん……それに、ハーベストタイムも……」
誠子「ハーベストタイム? それって俺にも……」
尭深「うん、楽しみにしていて……」
誠子「それは確かに……楽しみ、だな!」
淡「おいしそーっ! 見てみてテル! これ! たかみーこれもいい?」
尭深「…」コクッ
照「じゃあ私はこの高いのを……っと」
菫「危ないぞ、私が取ってやる」
照「おっと、すまないな」
菫「尭深! このへんは全部収穫か?」
尭深「……うん、食べごろ」
誠子「美味しいぶどう酒ができそうだなぁ……」
尭深「だめ……」
誠子「……じゃあ葡萄ジュースで」
尭深「それなら、いい……」
尭深「私も手伝うから、みんなで一緒に食べよう……」
カンッ!
亦野さんかっけえ
Entry ⇒ 2012.09.12 | Category ⇒ 咲-Saki-SS | Comments (0) | Trackbacks (0)
小鳥「小鳥と雛」
小鳥「ふわぁ……休みだからって寝過ぎたかしら……」
小鳥「今日は何しようかなぁ……買い物に行こうか、家でゴロゴロしようか」
小鳥「……ゴロゴロしよう」
小鳥(なんか年々、外出する気力が衰えてる気がする……マズいわ)
小鳥「……とにかく陽の光を浴びましょう。脱・引きこもり!」
ガラガラ
小鳥(あら? ベランダに何か……)ヒョイ
小鳥「卵……?」
小鳥(親どころか、それらしき巣も見当たらない)
小鳥「うーん……傷も無くて無事みたいだし、ほっとくわけにもいかないわね……」
小鳥「」キョロキョロ
小鳥(親鳥さん、もしいたらごめんなさい!)
小鳥「……っていうかこれ、本当に本物の卵なのかしら?」
小鳥「それに、勝手に鳥って決めつけてたけど、蛇とかトカゲって可能性も……」
小鳥「うーん……」
響「それで、自分のとこに来たと」
小鳥「ごめんね、響ちゃん。他に頼れる人が居なくって……」
響「別にいいよ。今日、予定なかったし」
響「で、これなんだけど、雀の卵だと思うぞ」
小鳥「あ、やっぱり?」
響「これ、孵したいのか? …………見たところ、不可能じゃないけど難しいと思う」
小鳥「……できれば」
響「っていってもなぁ……さすがの自分も孵卵器は持ってないし、そもそも野鳥を拾ったときには鳥獣保護法で届け出が……でもこの際そんなこと言ってる場合じゃないかぁ……」ブツブツ
小鳥(な、なんか響ちゃんが賢く見える!)
小鳥「?」
響「すぐ戻るー。卵、冷やしちゃダメだぞ」
小鳥「わ、わかったわ」ギュッ
…………
響「お待たせ。はいこれ」
小鳥「? 何これ?」
響「即席の孵卵器。発泡スチロールに電気あんか入れただけだけどね」
小鳥「お、おお……」
小鳥(な、なんか響ちゃんが頼もしく見える!)
響「じゃあ、これから小鳥と小鳥のための『卵の孵し方講座』、始めるぞ」
小鳥「お願いします!」
響「まず、さっき渡した孵卵器で卵を温めるわけだけど、そのとき注意することは三つ……温度、湿度、酸素だ」
小鳥「ふむふむ」
響「温度は38度を保つように。湿度は適度、って感じなんだけど、それは発泡スチロールの中に水の入ったコップとか濡れタオルを入れておけば大丈夫だぞ」
響「あ、電気あんかが濡れて火事にならないように注意はしてね」
小鳥「はい!」メモメモ
響「で、温度と湿度を保つために蓋をするんだけど……そのとき空気穴を開けなきゃダメだぞ。卵も生き物だからな」
小鳥「……ごくり」
響「『転卵』っていって、2~3時間に一回は卵を転がしてあげないといけないんだ」
小鳥「2~3時間に一回……」
響「当然、夜も定期的に起きなきゃダメだぞ。……ピヨ子、できるか?」
響「まあ……今じゃ自動転卵機なんてものもあるけど……」
小鳥「大丈夫。やってみせるわ」
響「……なんか、やけに気合い入ってるんだな。そんなに孵したいのか?」
小鳥「うん、なんとなくだけど……ほっとけないから……」
響「うーん、2週間から3週間ってとこかな?」
小鳥「そう、じゃあやっぱり……もしかしたら……」
響「?」
小鳥「な、なんでもないわ。それじゃ、ありがとうね」
響「あ、うん。また何かあったらいつでも相談に乗るぞ! 自分、こんなときしかピヨ子の役に立てないからな」
小鳥「ひ、響ちゃーん! ちょっとあなた良い子すぎるわー!」グスッ
響「ほ、ほら、泣いてないで! 頑張るんだぞ!」
小鳥「うん! じゃあ、またね!」
ガチャ バタン
響「………」
響「ごめん、ピヨ子……自分、全然良い子なんかじゃないぞ……」
その夜
小鳥「さて、いっちょがんばりますか!」
小鳥「」ジー
卵「…………」
小鳥「……眺めてても仕方ないか。TVでも観ましょう」ピッ
小鳥「お、真ちゃんが出てる。そっか、今日放送日だったっけ」
観客『キャー! カッコイイー! マコトサマー!』
真『あ、あはは……どうも』
小鳥「また"こういう"番組なのね。プロデューサー、この後文句言われたんだろうなぁ」クスクス
小鳥「さてと……」カシュッ
小鳥「…………」
小鳥「何ビール開けてんの私ぃぃぃ!」
小鳥「……っぷはぁ!」
小鳥「…………何飲んでんの私ぃぃぃ!」
小鳥「落ち着くのよ小鳥。これしきで私の意志は揺るがない!」
…………
小鳥「」ウトウト
小鳥「はっ! ダメよ小鳥! 小鳥の命がかかってるの!」
小鳥「……でも、ちょっとだけ仮眠を」
小鳥「今は11時過ぎだから……1時くらいに起きれば……」
小鳥「だいじょ…ぶ……」
小鳥「すぅ……すぅ……」
小鳥「うーん……むにゃ……」
小鳥「……はっ! い、今何時!?」ガタガタッ
小鳥「……い、1時……」
小鳥「勝った……!」
小鳥「…………ぐぅ」
小鳥「って寝たら意味ないでしょぉぉぉ!」
翌日 765プロ
響「初日からそれじゃ、先が思いやられるぞ……はぁ」
小鳥「面目ない……」グッタリ
響「でもその様子だとちゃんと頑張ったみたいだな」
小鳥「はい、頑張りました……」
響「……ちょっと寝た方がいいんじゃないか?」
小鳥「はい、ちょっと寝た方がいいと思います……」
響(大丈夫かな……)
P「おはようございます」
響「はいさーい、プロデューサー」
P「おはよう、響。……? 音無さん、どうかしたのか?」
響「起こさないであげてくれ。死ぬほど疲れてる」
P「お、おう。何かあったのか?」
響「んー、育児疲れ……かな」
P「!?」
響「まあまだ生まれてすらいないけどね」
P「!!??」
小鳥「……ふぁっ!? し、しまった! がっつり寝ちゃった!」
小鳥「どどどどうしよう!」
P「おはようございます」
小鳥「お、おはようございます! 仕事中に大変失礼しました!」
P「いえ、疲れてるみたいだし、構いませんよ。……そうだ、響からこれを預かってます」
小鳥「? メモ?」
ーー9時と11時にコロコロしておきました。響
小鳥「」グスッ グスッ
P「な、何泣いてるんですか?」
小鳥「い、いえ……一家に一人響ちゃんの時代かと思って……」グスッ
P「?」
小鳥「?」ゴシゴシ
P「もし本当なら、産休とか頼んだ方がいいんじゃないですか?」ボソボソ
小鳥「……サンキュー?」
P「とにかく、今日の分の事務は終わらせておいたのでゆっくりしててください」
小鳥「早っ! まだお昼ですよ!?」
P「今後も無理は控えてくださいね? 手伝えることは極力手伝いますから」
小鳥「は、はい……」
小鳥(仕事と子育て(?)、両立してみせる!)
二日目
小鳥「おはようございます!」
やよい「小鳥さん、おはようございまーす!」
五日目
小鳥「おはようございます」
亜美真美「おっはよー、ピヨちゃん!」
十日目
小鳥「おはようございます……」
千早「おはようございます、音無さん。あの、顔色が………」
小鳥「おはよ……ございま……」フラフラ
響「みるみる弱っていってるじゃないか、ピヨ子……」
P「今更だが、育児どうこうっていうのは鳥の卵のことだったんだな。てっきり小鳥さんが妊娠したもんだと……」
響「相手もいないのに?」
P「それ以上いけない」
P(何人かに言いふらしちゃったことは黙っておこう)
小鳥「響ちゃん……プロデューサーさん……ごめんなさい。音無小鳥、そろそろ限界です……」
P「は、はい。ソファで横になっていいですよ」
小鳥「……」ドサッ
響「泥のように眠り始めたぞ……」
小鳥「ごめんね、響ちゃん……家まで泊まりに来てもらっちゃって」
響「乗りかかった船、ってやつだぞ」
小鳥「そういえば響ちゃんのペットたちは大丈夫なの?」
響「みんな大人しいし、餌の場所はハム蔵といぬ美が知ってるから大丈夫だよ」
小鳥「? ハム蔵といぬ美がみんなに餌をあげるってこと?」
響「うん。自分が留守の時はどっちかに頼んでるんだ」
小鳥(常々思ってたけど、響ちゃんのペットって何者なの? いやペットなんだけど)
響「だーめ! そんな元気なら自分来なくてよかったんじゃないか? っていうかこの前もお酒飲んで失敗しかけたんでしょ?」
小鳥「そんな殺生な!」
小鳥「休みの前! しかも明日は誕生日! そんな日に飲まずしていつ飲むの!?」
響「……ちょっとだけだぞ」
小鳥「ありがとうございます!」
響「言っとくけど、自分はジュースだからな」
小鳥「うーん……小鳥が一羽……小鳥が二羽……」ウトウト
響「なあ、自分がいるからって油断してないか?」
小鳥「それだけ響ちゃんのことを信頼してるのよ。言わせないで恥ずかしい」キリッ
響「うっ……ま、まあ、自分完璧だからな! もっと頼ってくれて構わないぞ!」
小鳥「……ちょろい」
響「聞こえてるぞ!」
小鳥「あ、日付変わった」
響「誕生日おめでとー、ピヨ子」
小鳥「……また一つ年を取ってしまった……」ズズズ...
響「暗くなり過ぎだろ! 今夜たるき亭で誕生会なんだから、そんな顔してたらみんな悲しむぞ?」
小鳥「♪誕生日を迎える度に 何を祝うのかずっと謎だった……」
響「いいから! そういうこと考えなくて!」
小鳥「♪見えなくなってしまったものは 二度と帰らないと知ったとき……」
響「続きを歌うな!」
響「……ね、ねえピヨ子」
小鳥「?」
響「実は自分、ピヨ子に謝らなくちゃいけないことが……」
小鳥「ん……?」ゴシゴシ
響「本当に今更なんだけど……って、聞いてる?」
小鳥「今、卵動かなかった?」
響「……見間違いじゃないのか?」
ピシッ
小鳥響「!?」
小鳥「何これ!? 生まれるの? 生まれそうなの!?」
響「う、嘘……そんなまさか……!」
シーン
小鳥「あ、あれ? 止まっちゃった?」
響「触っちゃダメだぞ! 今……きっと頑張ってるんだ……」
小鳥「かれこれ2時間経つわ……」
響「でも地道にだけど、殻は破ってるぞ……」
ピシピシッ
小鳥「よしっ! そこだ! いっけぇぇぇ!」
響「ピヨ子うるさい!」
パキッ
小鳥「で……」
響「出た……」
いいぞもっとやれ
いいからさっさと書けw
小鳥「な、鳴いた! 今鳴いたわ!」
響「まだ目も開いてないのに、早すぎないか……?」
小鳥「細かいことはいいのよ! 宴よ! 酒持ってこんかい!」グビグビ
響「うおぉぉい! 飲み過ぎだぞ!」
シーン
小鳥「ね、ねえ、鳴いたっきり動かないけど、大丈夫かしら?」
響「……ま、まだ触っちゃダメだ」
響「…………」
小鳥「ね、ねえ、響ちゃん……」
響「やっぱり……」
小鳥「え?」
響「……ごめん、ピヨ子。自分、ピヨ子に謝らなくちゃいけないんだ」
響「その前に……」スッ
小鳥「あ……」
響「この子、ちゃんと弔ってあげないと……」
小鳥「……響ちゃんは、わかってたの?」
響「……わかってたっていうと嘘になる」
響「あの子は生まれてくることもできないと思ってた」
小鳥「……」
響「卵、ベランダに落ちてたんでしょ? いや、 置かれてたのかな」
小鳥「置かれてた……?」
響「親鳥はね、『この卵はダメだ』って判断すると巣から離す習性があるんだ。大抵は巣からたたき落とすだけなんだけど、時々自分で遠くに運ぶ親鳥もいる」
響「仕方ないことなんだよ。ほっておけば、他の元気な子に悪い影響がでちゃうかもしれない」
響「現に自分が卵を見たときはもう……」
小鳥「……それが謝らなくちゃいけないこと、なの?」
響「うん……言い出せなくて、ごめん……」
小鳥「謝る事じゃないわ。むしろ響ちゃんには色々と感謝しなきゃいけないもの」
小鳥「……全然、そんなことないわ」
響「あの子、最期に鳴いたでしょ? それだってあり得ないことなんだ。卵から出てのどができあがるまで、少し時間がかかるはずなんだよ」
響「きっと、ありったけの力を振り絞って殻を破って……最期の力を振り絞って小鳥に伝えたんだ」
響「ありがとう、って」
小鳥「……きっと、そうなのね。響ちゃんがそういうなら」
小鳥「もう、何で響ちゃんが泣くのよ」
響「だって……」
小鳥「貴重な体験、させてもらったわ」
小鳥「誕生日おめでとう、雛。短い間だったけど、ありがとう」
響「……?」グスッ
小鳥「ふふっ、あの子につけようと思ってた名前。小鳥と雛でお揃いでしょ? ちょっと期待してたとはいえ、まさか誕生日までお揃いになるとはね」
響「良い、名前だな……ハム蔵と同じくらい」
小鳥「……微妙な褒め方ね」
響「き、聞こえてるからな!?」
一同「誕生日おめでとー!」パチパチパチ
小鳥「ありがとー!」
真美「それでピヨちゃん、今年何さ……」
小鳥「小川さーん、とりあえず生お願いしまーす!」
亜美(逃げた……)
真(逃げた……)
小鳥「ほ、ホントだ! 嬉しいなー!」
伊織(露骨に話題を逸らしたわね……)
小鳥「? あら、これは……」
小鳥(手編みの、鳥のぬいぐるみ……)チラッ
響「」ソワソワ
小鳥(……ありがとう、響ちゃん)ニコッ
響「!」パァァァ
P「お、おい。確かにそうだが、一応適度に頼むぞ……」
社長「まあまあ、無礼講といこうじゃないか。時に君……」
P「?」
社長「私は今日、財布を忘れてしまってね。いや失敗失敗!」
P「しゃ、社長ぉぉぉ!」
アハハハハ ガンバレプロデューサー!
小鳥「あはは……ん?」
あずさ「? どうしたんですか、小鳥さん?」
小鳥「いえ、プレゼントは非常にありがたいんですが……」
小鳥「このマタニティーグッズの山は何の冗談ですか?」
一同「えっ」
終わり
一日遅れでごめんねピヨちゃん
いい響も見れたし、すごくよかったー
ひびきんが完璧可愛くて良かった
響が動物博士になったけど、まあ多少はね
Entry ⇒ 2012.09.12 | Category ⇒ アイマスSS | Comments (0) | Trackbacks (0)
C.C.「ルルーシュ。 お前、死んだらしいぞ」
C.C.「ルルーシュ! 起きろ、大ニュースだ!」
ルル「朝から騒々しいぞ…。 もう少し眠らせろ」
C.C.「二度寝する前に話を聞いておけ、損はさせないつもりだ」
ルル「どうせお前の事だから『ピザ激安』とかいうCMでも見たんだろう…」
C.C.「違う。 全く、お前は私を何と思っているんだ?」
ルル「ピザ食いNEET魔女」
C.C.「ほぅ、お前のカードを破産させるくらいピザを食ってやろうか?」
ルル「一体どんな脅しだ……」
ルル(……そして、俺はいつの間に見知らぬ部屋のベッドで眠っていたんだ)
ルル「そこまでお前が執着するニュースとは珍しいな。
いいだろう、話してみろ」
C.C.「ルルーシュ。 お前、死んだみたいだぞ」
ルル「何……だと……!?」
C.C.「先日の昼過ぎとの事らしい」
ルル「いったい誰が殺した?」
C.C.「先の大戦で死んだと思われていたゼロに、だ」
ルル「死因は?」
C.C.「胸を剣で一突き。 出血多量によるショック死だと報道されていた」
ルル「ほぅ…一突きで仕留めたのか。 ゼロは相当の腕利きだな」
C.C.「ああ、それはもう色々な奴からお墨付きな程度にはな」
C.C.「解放軍と市民により即救助された」
ルル「黒の騎士団の面々は?」
C.C.「同上だ」
ルル「今日の朝食は?」
C.C.「フレンチトースト。私が作ったんだぞ」
ルル「味の方は?」
C.C.「味見などするか。目分量に決まっているだろう」
ルル「…ちなみにシュナイゼルはどうなった?」
C.C.「助けられた恩義が云々で、ゼロに忠義を誓う声明を昨晩のうちに発表した」
ルル「それで、俺は誰だ」
C.C.「ルルーシュだ」
ルル「そうか…殺されたのは誰だったか?」
C.C.「ルルーシュだな」
ルル「とんでもない事件が起こったものだな」
C.C.「ああ、お前が寝ていた間に世間はとんでもない事態になっているぞ」
C.C.「ああ。予想以上にお前が乗ってくれて大満足だ」
ルル「いつの間にかゼロ・レクイエムを俺はやり遂げていたのか」
C.C.「お見事だったぞ」
ルル「お前から賞賛を貰えたとなれば、相当なものだったのだろう」
C.C.「……ん?」
C.C.「ルルーシュ、お前」
ルル「なんだ」
C.C.「ゼロ・レクイエムの事を覚えていないのか?」
ルル「……」
C.C.「一応確認しておくが、どういった理由でここにいるのか理解しているか?」
ルル「…大体の予想はつくが確証が持てない」
C.C.「覚えてないのか? お前、刺されてからずっと眠っていたんだぞ」
ルル「言われてみれば先日の記憶が曖昧だな」
C.C.「ちなみに、どの辺りまで覚えている?」
ルル「ほとんど覚えていない。
うろ覚えながら、ナナリーと少しだけ喋った…気がするだけだ」
C.C.「そうか。 会話は出来たか?」
ルル「…ああ。 記憶や感覚は曖昧だが、何かしら会話を交わせたと思う」
しかしてゼロ・レクイエムを含めた全ての事象が
本当にあったことならば、一つ大きな問題があるのだが」
C.C.「お前が抱える問題なぞお見通しだ」
ルル「ほぅ、やけに自信ありげだな」
C.C.「当たり前だろう? 私はC.C.だからな」
C.C.「ズバリ空腹だな。待ってろ、今すぐ朝食持ってきてやる」
ルル「……大ハズレもいいところだ」
C.C.「私にかかれば簡単な事だ」
ルル「ところで、C.C.。キッチンに置いてある失敗作の山だが」
C.C.「それは後で私が食べる分だからな。 決して失敗作なワケじゃないぞ」
ルル「よく言ったものだな…」
C.C.「ふん」
ルル「お前には勿体無いくらいの量だ。俺が全部食うから後で持ってこい」
C.C.「だ、だからアレは私が食べる分だと…!」
ルル「いいから持ってこい」
C.C.「あ、アレは本来私の分だが、お前がそういうなら持ってきてやろう」
ルル「そういう事にしておいてやろう」
C.C.「…美味しくなくても知らないからな」
ルル「お前が作ったんだろう? 不味いのか?」
C.C.「そんなワケないだろう。 しっかり味わって食えよ」
ルル「せいぜい期待させてもらおう」
C.C.「……腹、壊すなよ」
ルル「おい、C.C.」
C.C.「なんだ」
ルル「昼はいらん」
C.C.「…完食したのか」
落ち着いた頃にでも俺の質問に答えてもらうぞ」
C.C.「却下だ。私は忙しい」
ルル「ゲーム機をTVへ繋ぐ作業を忙しいというのか、お前は」
C.C.「重労働だぞ?」
ルル「こんな事が重労働なら、数千万人単位で過労死する輩が出るぞ」
C.C.「いいじゃないか。
どうだ、折角の機会だから一緒にゲームでもするか?」
ルル「馬鹿を言え。俺にそんな時間が…」
C.C.「時間が?」
ルル「……時間が、あるのか?」
C.C.「ああ、あるんだぞ。 心からゆっくり休める時間が」
こういうのには慣れていないが、お前がそう言うなら付き合おう」
C.C.「ふん、今日の童貞ボーヤは素直だな」
ルル「ただ、何事も慢性的に遊ぶのでは面白くない」
C.C.「私は楽しいぞ?」
ルル「俺が面白くないんだ。
…ちょっとした賭けでもしながら遊んでみるか」
C.C.「内容次第だな」
ルル「なに、簡単なことだ。
俺が勝てばお前に質問、お前が勝てば俺に命令。
シンプル故に分かりやすいだろう?」
C.C.「おい、ルルーシュ」
ルル「なんだ?」
C.C.「お前に対する命令は何でもいいのか?」
ルル「内容次第だな」
C.C.「おやおや、いきなり保守的とはらしくないな。
要するにお前は負けなければいいんだ。
最初から『内容次第』と逃げているようでは男がすたるぞ?」
ルル「自分の事を棚に上げておいてよく言えるな…」
C.C.「私はか弱い女だからな。 よって先ほどの理屈は私にはまかり通らん」
ルル「…まぁいい。言い出したのは俺からだからな、その条件で受けてたとう」
ルル「C.C.、俺にチェスで敵うと思っているのか?」
C.C.「聞きたい事があるのだろう?」
ルル「……ふん」
Win:ルルーシュ
ルル「当然ながら俺の勝ちだ」
C.C.「…ここまでコテンパンにされると若干腹が立つな」
ルル「…拗ねるな」
ルル「まずは一つ。俺の疑問の基盤となる質問だ」
C.C.「言ってみろ」
ルル「『ゼロ・レクイエムは予定の通り成功したのか?』」
C.C.「その質問にはYesと答えよう。
完璧だった。本当に、一部の狂いもなく、完璧に達成された」
ルル「……そうか」
ルル「まだ題目はチェスでいいのか?」
C.C.「ああ、それでいい」
Win:ルルーシュ
C.C.「………」
ルル「不貞腐れるな、さっきよりも10分長く対局出来たじゃないか」
C.C.「…バレバレだ。もっと分かりにくい手の抜き方をしろ」
ルル「…善処する」
C.C.「いいだろう」
ルル「『今俺たちが居る場所、ココはどこだ?』」
C.C.「確かに記憶の曖昧なお前にとっては重要な質問だな。
ここはジェレミアの隠遁地となる予定のミカン畑。そこの宿舎だ」
ルル「また随分と立派な宿舎だな」
C.C.「皇帝時代のお前から貰った給与の半分で土地と家を買ったそうだ。
随分と優遇してくれて感謝がうんたら、とアイツは言っていたぞ」
ルル「…そうか」
C.C.「外を見てみろ。見事なオレンジ農園だろう。
アレは全部ジェレミアが栽培しているらしい」
ルル「今さらながら自分の業の深さを噛み締めているよ」
C.C.「気にするな、アイツは忠義の名とかで結構受け入れているぞ」
ルル「俺の勝ちは揺るがないが良いのか?」
C.C.「その鼻をへし折ることに快感を覚えるのが私だ」
ルル「面白い、やってみろ」
Win:ルルーシュ
C.C.「………!」
ルル「大人気なかったのは謝罪するから涙ぐむな」
C.C.「ふん、上等だ。何でもこい」
ルル「『何故ここには俺とお前しかいない?』」
C.C.「簡単な事だ。ジェレミアとアーニャが農作業に出て留守にしているからだ」
ルル「…ナイトオブラウンズが何故ここにいるんだ」
C.C.「色々あってジェレミアが養うことになったようでな。
この話は長くなるから、次の機会にでもゆっくり話してやる」
ルル「ふん、何でも来い。負けるつもりは毛頭無いがな」
C.C.「では、このゲームで高得点を取った方が勝ちとしよう」
ルル「次に選んだジャンルは『ガンシューティング』か。
この程度の題目なら楽勝だろう」
C.C.(…負けっぱなしは性に合わんからな。目にもの見せてやる)
ルル「今から始めるゲームのタイトルは何なんだ?」
C.C.「デスクリムゾン、だ」
Win:C.C.
ルル「おい、何だこれは」
C.C.「何がだ?」
ルル「何が? なにもかもに決まっているだろう!?
だいたい何だ、このコンバット越前とやらは!
コードネームに本名の一部を使う馬鹿がいるか!!」
C.C.「落ち着け、そんな熱くなるな」
ルル「他にも設定やらゲームの当たり判定やら、不満な部分を上げたらキリが無い…!」
C.C.「クソゲーたる所以がそこだからな」
ルル「それに、何よりも」
C.C.「ん?」
ルル「なんでお前は平然とエンディングまで辿り着いてるんだ!?」
C.C.「ふふん。当たり前だ、私を誰だと思っている?」
ルル「くそぅ…無駄に勝ち誇るその顔が腹立たしい……!」
ルル「仕方ない。ルールはルールだからな」
C.C.「『コーヒー淹れてこい』」
ルル「人を小間使いと思っていないか、お前」
C.C.「黙れ敗者。とっとと私のために精魂込めてコーヒー作れ」
ルル「くっ、い、淹れてくるから待っていろ! すぐに再戦だ!」
C.C.「おい、ルルーシュ」
ルル「何だ!?」
C.C.「間違っても睡眠薬入れて、私に変なことしようとするなよ?」
ルル「…手が滑って下剤が投与されたら悪かったと先に謝っておくよ」
C.C.「ほぅ、やるじゃないか。及第点を与えれる程度には美味いぞ」
ルル「褒められても嬉しくないのが不思議だな」
C.C.「変なものは入れてないだろうな?」
ルル「お前はまず俺に対する猜疑心を脱ぎ払うことを善処しろ」
C.C.「ゲームは先ほどと一緒で構わないな?」
ルル「構わないわけないだろう。さっさと別のゲームに切り替えろ」
C.C.「ふん、文句ばかりは一丁前だな」
ルル「その台詞はどの口が言うんだ」
C.C.「じゃあ、シューティングでのスコアアタックはどうだ?」
ルル「ほぅ、パターン構築が主となるタイプか。俺は構わんぞ」
C.C.「ジャンルは縦スクロールSTGでいいな」
ルル「いいだろう。
ところで、何というタイトルのゲームなんだ?」
C.C.「怒首領蜂・大往生だ」
Win:C.C.
ルル「ス、スコア差が圧倒的すぎるぞ…」
C.C.「なんだ、張り合いの無い奴め」
ルル「C.C.、貴様…このゲーム、やり込んでいるなっ!」
C.C.「答える必要は無い」
ルル「年寄りは大変だな」
C.C.「喧しい。 私はまだピチピチだ」
ルル「その表現がすでに…いや、なんでもない」
C.C.「うむ、今から横になるんで黙って手を動かせ」
ルル「はいはい…」
ルル「ん?」
C.C.「変なところ触るなよ」
ルル「触らん」
C.C.「絶対だぞ」
ルル「触らん」
C.C.「手がすべったとか無しだからな」
ルル「触らんと言っているだろう」
C.C.「…真顔で返答されると、それはそれで腹が立つな」
ルル「…一体なんなんだ」
ルル「パズル系ならば有り難いんだが」
C.C.「却下。 お前に分がありすぎてアンフェアだ」
ルル「だとすればお前に何か案はあるのか?」
C.C.「そうだな、日本を列車で徘徊しながらモノを買い続けるゲームはどうだ?」
ルル「その言い回しだとモノポリーを連想するな」
C.C.「大体あっている。 桃太郎電鉄というタイトルのようだ」
ルル「またしても初めてプレイするゲームか。
C.C.、ちなみにお前これをどの程度やりこんでいるんだ?」
C.C「一人で閻魔を3人相手どって余裕で勝てる程度だ」
ルル(基準がいまいちよく分からんが、大したことはなさそうだな…)
C.C.「さて、これはプレイ年数が選べるが何年くらいで戦ってみるか?」
ルル「適度に遊べる程度で頼む」
C.C.「了解した。 では10年くらいで遊ぶか」
Win:C.C.
ルル「くっ……惜敗か…!」
C.C.「ルルーシュ、お前の敗因は一つ。
機動力を疎かにして農林物件ばかりを買い漁ってしまったことだ」
ルル「ふん、次の機会には見返してやるからな」
C.C.「せいぜい楽しみにしておこう」
罰ゲームの題目が浮かんでこないな」
ルル「ではいいじゃないか、パス1で」
C.C.「却下だ。 せっかくならこの権限を十二分に使わせてもらおう」
ルル「ん?」
C.C.「二度も繰り返さんぞ」
ルル「いや、しっかり聞こえてはいたんだが」
C.C.「だったら早くしろ」
ルル「そんな事でいいのか?」
C.C.「充分だ」
ルル「手の内側に画鋲とか仕込んでいないだろうな」
C.C.「なんだその絶妙に陰険な手法の嫌がらせは」
ルル「…欲の少ない奴だな」
C.C.「…いや、私にとっては欲張りなくらいだよ」
ルル「C.C.、ちょっと待て。
こんなに長時間ゲームをやったことが無い身としては、流石に疲れたぞ」
C.C.「なんだ、もうへばったのか。 だらしない奴め。
私なんて某RPGでは天鱗を求めて丸二日ポータブルを手放さなかったぞ」
ルル「見事なまでに廃人じゃないか」
C.C.「そのくらい私の持つ気概を見習ってみろ」
ルル「ああ、反面教師としてな…」
ルル「ちょっと待て、まだあと一つだけ聞きたいことがある。
最後に一戦だけやるぞ」
C.C.「ほう? 題目は?」
ルル「シンプル・イズ・ベスト。 ジャンケンだ」
ルル「奇遇だな。 俺もグーを出すつもりだ」
C.C.「それでは引き分けてしまうだろう」
ルル「だったらお前が変えればいい」
C.C.「却下だ。 お前に言われてホイホイ意見を変えるのはプライドが許さん」
ルル「じゃあ俺がパーを出せば万事解決だな」
C.C.「ま、まぁそういう事になるな」
ルル「もういいな? それではいくぞ」
ルル「ジャンケン!」
ルル&C.C.「ポン!」
ルル:グー
C.C.:チョキ
Win:ルルーシュ
C.C.「ふ、不覚……」
ルル「C.C.、一つだけコツを教えておいてやる。
この手のゲームで心理戦に勝つには、まず引き分けを狙っていくことだ」
で、お前が私に聞いておきたいことは何だ?」
ルル「最後に一つ、大事な質問をする。正直に答えてくれ」
C.C.「いいだろう」
本当にゼロ・レクイエムは終わったんだろう」
C.C.「ああ、お前達は見事にやり遂げている」
ルル「そうなると、大きな矛盾が一つだけ生じるんだ」
C.C.「…言ってみろ」
ルル「C.C.、『俺は何故こうして生きている?』」
C.C.「……」
C.C.「…どこかの物好きがコードを与えたからだ。
お前に死んでほしくないと願った愚か者が、そうしたんだ」
ルル「Cの世界だったか」
C.C.「ああ、そこでは過去に死した人と会話も出来る」
ルル「その為には自分も死人になっているのが条件だがな」
C.C.「お前、そこで会いたい人や謝りたい人がいるんだろう?」
ルル「……ああ」
C.C.「私がコードを与えたことにより、しばらくそこへ行けなくなったわけだ」
ルル「……」
ルル「なんだ?」
C.C.「…私を恨んでくれて構わないんだぞ」
ルル「……」
C.C.「お前は全ての罪を抱える覚悟でスザクに殺されることを望んだ。
しかして、私の勝手なエゴでお前はこうして生きている」
ルル「……」
C.C.「言うなれば、お前の誇りに泥を塗ったようなものだ」
ルル「……」
ルル「……」
C.C.「だから一向に恨んでくれて構わない。
そうされるだけの理由が私にはあるし、お前にはそうする権利がある」
ルル「……」
C.C.「お前が望むのならば、何でもしよう。
私はただ…お前に死とは別の救いを見つけてほしかったんだ」
ルル「…なんでもする、だと」
C.C.「…そこだけを抜粋するか貴様」
C.C.「あ、ああ! なんでも聞いてやろう」
ルル「C.C.、それでは…」
C.C.(な、何をこいつは願うのだろうか…)
ルル「ならば、C.C.」
ルル「俺と一緒に来い」
C.C.「……は?」
だからこそ、自由な時間が出来たら俺は旅がしてみたくてな」
C.C.「まるで仕事に疲れたOLの発想じゃないか」
ルル「五月蝿いぞ。
で、だ。 やはり旅をしようにも一人だと退屈しそうでな。
お供のような奴が一人は欲しかったんだ」
C.C.「…そこで私に白羽の矢が立ったわけだ」
ルル「感謝はすれど恨むことなど何も無い」
C.C.「いいのか?」
ルル「Cの世界にはいつでも行ける。 この現状も縁と受け取ろう」
C.C.「確かに言った」
ルル「二言は?」
C.C.「無い」
ルル「だとすれば話は早い。
俺をこういった現状においたお前への責任は、それが一番ベストな形だろう」
ルル「この後に及んで質問か。 まぁいい、何だ?」
C.C.「そ、その…私なんかで、いいのか?」
ルル「愚問だな。 お前がいいんだ」
C.C.「そうか。 そこまではっきり言うのは清々しいな」
ルル「ふん、今さら体裁を取り繕ってどうする。
忘れたか? 俺とお前は…」
C.C.「共犯者だから、か…」
C.C.「ふふん、それなら確かに遠慮は要らんな」
C.C.「ああ、シャルルの王位を継承したその瞬間にな」
ルル「そして、ルルーシュ・ヴィ・ブリタニアも死んだ」
C.C.「ああ、華奢な男が持つには重過ぎる大罪を背負ってな」
ルル「だが、俺は生きている」
C.C.「ああ、…生きている。 お前は、こうして生きている」
ルル「とりあえずは、この優しい世界で余生を楽しむとしよう」
~とあるのどかな農道にて~
女「……」
男「……」
女「ギアスという名の王の力は、人を孤独にする」
男「……」
女「ふふっ。 少しだけ違っていたな」
男「……」
女「なぁ、ルルーシュ」
男「……ふん」
―END―
C.C.かわいかった
Entry ⇒ 2012.09.12 | Category ⇒ コードギアスSS | Comments (1) | Trackbacks (0)
デスガイド「右手に見えますのは精気を吸う骨の塔…キャァッ!?」
TOUR BUS「いや…ちょ、落石があったのか車輪が乗り上げちゃった」
デスガイド「えぇー!?どうするんですか!こんな所で!」
デスガイド「来るべき10月の為に、こうして1人寂しく日本語ガイドの練習してたのに…」
TOUR BUS「ゴメン、俺まだ日本じゃ出ないからモチベーション上がらなくて…」
デスガイド「ちょ、初耳なんですけど!」
TOUR BUS「いや…言ったら怒るじゃん?」
デスガイド「当たり前じゃないですかー!どうするんですか!こんな所で立ち往生なんて…」
TOUR BUS「住人に説明するしかないんじゃないかな」
場所:アンデットワールド
TOUR BUS「そうだね、アンデッドじゃなくてアンデットだね」
デスガイド「誤植ネタは結構です!…アンデットって…正直、あんまりいい印象ないんですけど…」
TOUR BUS「なんで?」
デスガイド「いや、なんか頭悪そうだし…見境無く襲って来て食べられそうな…」
TOUR BUS「あー、確かにそういうイメージあるわ」
TOUR BUS「でも此処にはそいつらしかいないぞ?」
デスガイド「うぅ…石をどかせるのにどれくらいかかりそうですか?」
TOUR BUS「まぁどんなに頑張っても丸1日はかかっちゃうかな」
デスガイド「オウフ…」
TOUR BUS「おいおい、ATK1000が笑わせてくれるよwwww」
デスガイド「アナタもATK1000じゃないですか!棚上げしないでください!」
デ・ザード「?もし、そこの」
デスガイド「うひゃい!?」
デ・ザード「この辺りは地盤が弱くなっている、あまり長時間居ない方がいい」
デスガイド(ひ、ひぃい…!アンデット族の……あれ?)
デスガイド「アンデットじゃ…ない?」
デ・ザード「ふむ、私は確かに魔法使い族だが…仕えるべき君主は不死王唯1人と定めている」
デ・ザード「どうだね、一先ず安全な場所に移動しないだろうか」
デスガイド「は、はぁ…」
リッチー「ほう、それは災難であったな」
デスガイド(め、メッチャ使われた…あんな高い塔を歩かせる奴があるか…!!)
デスガイド「実はバスが巨石に乗り上げてしまってどうにもこうにも動けず…」
リッチー「ふむ、それは災難であったな…」
デ・ザード「如何でしょう、動けるようになるまで此処で暫し休んでもらっては」
デスガイド「はいぃ!?いえいえ結構です!そんな悪いですから!」
リッチー「む、遠慮する事はないのだぞ?」
デスガイド「え、遠慮じゃありませんし!!」
リッチーロード「王よ、彼女は男達だらけの空間で泊まる事に身を感じているのでは?」
リッチー「おぉ、成程!!」ポン
リッチー「安心するがよい、此処にいる男共は皆枯れておる!」ハッハッハッハ
デ・ザード「枯れ果てすぎて骨でありますからな」
リッチー「ウワッハッハッハッハッハッハ!」バンバン
デスガイド(な、何が面白いんでしょう…!)
パンプキング「ほっ、愛しの妻が居る男が言ってくれるのう」
ワイトキング「ふ、私は妻一筋の男ですゆえ」
キング☆スカル「でもデスガイドちゃんよぉ、こんな骨の家なんざ行きたくねぇよな?」
ワイトキング「骨の塔とて骨でありましょう!」ガタン
蘇生ハ・デス「それだけではない、お前の住居は蜘蛛の巣が張っておろう」
ワイトキング「…何か問題がありましょうか?」
蘇生ハ・デス「汚いわ!!掃除をしろ掃除を!!」
パンプキング「じゃからこうして骨の塔に集まっとるワケじゃからのう」
リッチー「おいお前達!種族違いの客人がいる前で麻雀を続ける無礼はやめよ!」
パンプキング「自分がハコって抜けたからと言って何を当たりちらしとるんじゃwww」
リッチー「むっぎぃー!!」
デスガイド「……あ、あのー…私TOUR BUSの中で寝泊りしますから…」
リッチー「いや待たれよ、客人を追い出したとあってはアンデット王族としての沽券に関わる!」
キング☆スカル「じゃあアレだ、吸血鬼連中の家はどうだ?ヴァンパイア・レディは女だろ?」
パンプキング「屋敷も清潔にじゃしのう」
ワイトキング「こちらを見るのは止めて頂きたいゴースト王!」
蘇生ハ・デス「どうかな…?ヴァンパイア・レディはバイセクシャルと聞いた事があるが」
キング☆スカル「ハハwwじゃあデスガイドちゃん食われっちまうなァ!」
デスガイド「く、食われる!?」ビクゥ
キング☆スカル「おうよ、食われちまうぜぇ?怖ぇだろ?ケッケッケッケ!」
リッチー「スピード王よ!悪戯に客人を怖がらせるでないわ!」
デスガイド「あわわわ…」
蘇生ハ・デス「…あ」
蘇生ハ・デス「ゾンビ・マスターに預けるのはどうだ?」
リッチー「あー…アレも確かに女子であったな」
ワイトキング「忘れておられたのですか…」
リッチー「覚えておるわッ!!」
パンプキング「嘘じゃよ、絶対嘘。嘘ダメ、絶対」
リッチー「ちと記憶から飛んでいただけに過ぎぬ!!」
ワイトキング「ゴホンッ、しかし…ですなぁ…」チラッ
デスガイド「………?」
蘇生ハ・デス「育ちも良さそうで礼儀正しいこの娘を」
キング☆スカル「あの悪ガキに預けるってのか…?」
リッチー「一番住んでいる場所は無難であろう…」
キング☆スカル「…まぁ…」
デ・ザード「委細承知」ザッ
リッチー「というワケじゃ、これからお主にはゾンマスの所へ行ってもらう」
デスガイド「えぇ!?ちょっと!別に私は…」
リッチー「安心するがよい、皆気のいい連中ばかりでな」ニコッ
リッチーロード「ニコッとしておりますが、骨ゆえ分かりませぬぞ」
リッチー「おぉ!そうであった!!」ハッハッハッハッハ
デスガイド(だから全然笑いのツボが分からない…!!)
……………
………
…
ゾンマス「クソ面倒臭ぇ…」
龍骨鬼「何言ってんだよ…超役得じゃねーか!!女の子泊められるなんて!!」
ゾンマス「俺にはなーんの得もねぇよボケ!!」
龍骨鬼「俺に言われても困るって言うかー、不死王に言ってほしいって言うかー」
ゾンマス「その間の抜けた喋り方やめろクソッタレ!!」ゲシッ
龍骨鬼「あーもちょっと右、右の後頭部お願いしまーす」
ゾンマス「ッ…このこの!バカ!バーカ!バァーッカ!!」ドガドガドガッ
龍骨鬼「あーATK1800の頭皮マッサージ気持ちいいわー…」
ゾンマス(疲れた……)ハァハァ…
デスガイド「あ、あの…」
ゾンマス「あ゙?」
龍骨鬼(ウホッ!いい悪魔…)
デスガイド「やっぱり…迷惑ですよね…?」
ゾンマス「…………チッ」ボリボリ
ゾンマス「いいよ、別に。狭いけど文句言うんじゃねぇぞ…」
デスガイド「はい?」
ゾンマス「…いや、乗れよ。コイツの上に」クイクイッ
龍骨鬼「そうそう、俺の背中に股を開いて跨r」ドムッ
ゾンマス「それ以上喋るんじゃねぇこのクソ強姦野郎!!」
龍骨鬼「もごっふ!上唇を引っ張るな上唇を!!」
デスガイド「あのー…ほ、本当に乗るんですか?」
ゾンマス「早くしろっつってんだろボケ!!」
デスガイド「ひ、ひぃっ……!」ビクゥ
ゾンマス「……。その代わり、頭は俺の特等席だからお前その後ろな」
デスガイド「は、はい…」イソイソ
龍骨鬼(ふぁっふぁー!!役得役得!!!)
龍骨鬼「よォ、馬頭鬼」
ゾンマス「よォ馬頭鬼」ニタニタ
馬頭鬼「おぉ…お前らホントにセットだよな」
ゾンマス「いやいや、今日はトリオなんだぜ?ほら、出て来いよ」グイッ
デスガイド「ど、どうも…」
馬頭鬼「」
馬頭鬼「惚れた」
ゾンマス「ぶっふwwwww」
馬頭鬼「あ、新しいアンデットの方ですか!どうもっす!俺、馬頭鬼って言います!!」ズザザッ
デスガイド「ど、どうもです…デスガイドです、あと…悪魔族です」
馬頭鬼「!!?こ、効果は!効果はアンデットと関係ありますか!?」
デスガイド「ないです…」
馬頭鬼「」
ゾンマス「ひゃっひゃっひゃっひゃwwwは、腹痛ぇwwww」
龍骨鬼「ヴァンパイア・レディとかワイト夫人とかゾンマスがいるじゃん」
馬頭鬼「誰一人として『おにゃのこ』って感じがしねーよ!!」
ゾンマス「別にまんま『女の子』が来たってテメェにゃ靡かねぇっつーの」ケラケラ
馬頭鬼「分からないだろぉ!分からないだろぉー!!」
デスガイド「あの…よく分かりませんけど…頑張って下さいね!」
馬頭鬼「LP4000 → LP0」トゥトゥトゥトゥトゥ…ティトゥン
ゾンマス「うっは!オメェ結構えげつねぇなァ、ガイドちゃんよォ」ニヤニヤ
デスガイド「え、えぇ!?」オロオロ
龍骨鬼「お前らどっちもド悪党だよ…ホレ、お前の家着いたぞ」
ゾンマス「おーう、ご苦労ご苦労」
デスガイド「は、はい…」ヨイショヨイショ
龍骨鬼「なぁなぁ、俺も入っていい?」
ゾンマス「はぁ?テメェ入れたらますます家が狭くなっちまうじゃねぇかよ」
龍骨鬼「いいじゃねーかよ、別に減るモンじゃねぇだろ?」
ゾンマス「減りはしねぇが狭くなるンだよ、馬鹿が!」
デスガイド「あの…そう喧嘩しないで…!」
ゾンマス「別に喧嘩じゃねぇよ、いつもこんなモンだ」
龍骨鬼「そうだな、いつもこんなモンだな」
デスガイド(やっぱりアンデット族怖いです…)
ゾンマス「まぁ来いって、寝床くらいは用意できっからよ」ガチャ
………
…
馬頭鬼「…はぁ、デスガイドちゃん…可愛かったなぁ…」トボトボ
馬頭鬼「龍骨鬼の野郎…あんな可愛い子を背中に乗せやがって……!!」
茫漠の死者「誰が可愛い子だって?」
馬頭鬼「うおぁあッ!?な、なんだよ茫漠かよ…」
茫漠の死者「なぁなぁ、誰が可愛い女の子だって?」
馬頭鬼「うっせーなぁ…悪魔族の可愛い子が来てるんだよ」
茫漠の死者「マジかよ、どうして?」
馬頭鬼「知らねぇけど…今はゾンマスの家に居るんじゃねぇか?」
茫漠の死者「へぇ…見に行ってみようかなー、マジで可愛いの?」
馬頭鬼「マジで可愛いよ、マジで」
死霊「…聞いちゃったぜェ…?」
馬頭鬼「うおっ!?魂を削る死霊!」
死霊「俺が広めに広めてやるぜェ!!」シュバッ
茫漠の死者「うわ、面倒な奴に聞かれたな…」
馬頭鬼「お、おい待て!!どうして居るのかも分からねぇんだぞ!!」
死霊「居る事、それ自体が重要じゃねぇか!なぁ兄弟!」
馬頭鬼「兄弟じゃねーよ!!ふざけんな!俺が疑われるんだぞ!?」
茫漠の死者「疑われるも何もお前が言い出したんじゃねぇか」
馬頭鬼「そりゃそうだけど!!」
死霊「諦めろ!兄弟ィ!!」シュババババッ
馬頭鬼「だから兄弟じゃねーっつってんだろぉぉお!!」
……………
………
…
ゾンマス「けっ、殺風景なだけだぜ」
デスガイド「え?…そ、そうでしょうか…」
ゾンマス「つーかその敬語を止めろ、俺ァ慣れてねーんだよ、その敬語ってのに」
デスガイド「そ、それは…申し訳ありません…」
ゾンマス「やめろっつってんだろ!分からねぇのか!!」
デスガイド「ひっ…」ビクリ
ゾンマス「…………」
ゾンマス「…チッ、悪かった!悪かったよ…!」
デスガイド「あの…やっぱり迷惑ですよね?」
ゾンマス「………」チラッ
デスガイド「………?」
ゾンマス「そんな事ねぇって。…今から予備の布団持ってくるからよ」
ゾンマス「…………」ガサゴソ
ゾンマス「…………」ガサゴソ
ゾンマス「…可愛いなァ、あの子…」
ゾンマス「女の子っぽい恰好してっからかな?いや、でも顔立ちもかなり…」
ゾンマス「……髪の毛もサラサラだったな…」
ゾンマス「じゃあ俺は?…服装も素っ気無ぇ、髪の毛は整えてねぇし」
ゾンマス「…そもそもバリバリに硬いしなー、髪の毛…」
ゾンマス「…………」ハァ
デスガイド「あのー、準備手伝いますか?」ヒョコ
ゾンマス「ひゅい!!?テ、テメェ急に入って来るんじゃねぇよ!!」
デスガイド「ひぃ!すみませんすみません!!」
ゾンマス「敬語やめろォ!!」
デスガイド「すみませーん!!」
デスガイド「でも…」
ゾンマス「俺は他人の家に行ったらなーんにもしねぇぜ?客として当然のように振舞う」ケケケ
ゾンマス「だからテメェもそれでいいんだよ、分かったかタコ」
デスガイド「ううぅ…タコかボケかどっちかにしてください…」
ゾンマス「んじゃボケタコだ、1つンなったろ」
デスガイド「まとまっただけじゃないですか!!」
ゾンマス「にひひひひひひ!!…ん?」
デスガイド「どうしました?」
ゾンマス「…なんか…地鳴りが聞こえねぇか?」
デスガイド「へ?」
ゴブゾン「可愛い女の子は何処だぁー!!」
黒騎士「ゾンマスちゃんの家に居るって話っすよゴブリン・ゾンビ先輩!でもゾンマスちゃんもかわいっすよね!!」
ゴブゾン「おうよ闇竜の黒騎士!ただしゾンマスは性格が最悪だ!!」
黒騎士「えぇー!そこがいいんじゃないっすか!!」
再生ミイラ「逞しすぎるよお前!!」
不乱健(女……!女………!!)
黒騎士(つーかコイツ、誰っすかね…)
~・~・~
ゾンマス「うわぁなんか来るよなんか来る、アホな男共が」
デスガイド「ひえぇ…」
デスガイド「ゾンマスさん!あんな量一度に相手できませんよ!!」
ゾンマス「え……?1人なら大丈夫なの…?」
デスガイド「え、えぇ…1人くらいならあしらえるかと…」
ゾンマス「あ、あぁ!そういう事な!!」
ゾンマス(やべぇやべぇ、実はヤり手なのかと思っちまった…俺の馬鹿…)
デスガイド「?」
ゾンマス「しゃーねぇなァ…追い出すか…おい、そこの本棚からそれ取ってくれ」
デスガイド「?これですか?」
ゾンマス「あぁそっちじゃねぇよ、その右だ」
デスガイド「これですか?お、重っ……!なんですかこの本…!」
ゾンマス「んー…」
ゾンマス「生者の書だ」
デスガイド「えぇー…」
ゾンマス「んん…アロロロ ホロロウ アロロ ロロカロア…ア、アールニーロ…アルル エリ…」
デスガイド「なんか最後人名じゃありませんでしたか!?」
ゾンマス「エロイムエッサイム!!」ズアァアッ
デスガイド「きゃぁああー!?」
~・~・~
黒騎士「な、なんすかアレ!!」
ゴブゾン「うぐぉお!?」
絶望「突如として闇より出だしました」ズモオォオオ
再生ミイラ「ぜ、絶望さんだァー!!」
リターン・ゾンビ「俺達が100回死んでも勝てやしねぇ!!」
絶望「ダメだよー、こっちに来ちゃダメ…ん?」
不乱健「……通せ…!!」ゴゴゴゴゴゴゴゴ…
絶望(参ったねぇ…あの不乱健って子、僕のATKとDEFどちらでも太刀打ちできないじゃないか)
絶望「でもねー、僕もゾンビ・マスターちゃんに生者の書で呼ばれた手前後には引けないんだよね……!!」ゴォォオッ
不乱健「俺、女の子、会う…!!お前、倒す……俺も、引けない………!!」ズオォォオオッ
ドゴォォォォオオオ…ン……!!
絶望「…グフッ……!!」ズッシャァア
ゴブゾン「ぜ、絶望先生が!!」
再生ミイラ「押し負けた!?」
不乱健「ウォォオオオオオオオッ!!!」ダッダッダッダッダ
ゾンマス「う、うわ!来ちまった!!」
デスガイド「ひぃいい!!?」
不乱健「デ、デスガイド!俺と!付き合っt」
デスガイド「無理です」
不乱健「」
ゾンマス(あ、前より食い下がらなくなってやがる)
デスガイド「えぇー…」
再生ミイラ「お、俺からもお願いします!こいつゾンマスにもガガガ・ガールにも振られて傷心なんです!」
デスガイド「えぇ!?そ、そうなんですか…?」
ゾンマス「………あー、どうだったろ…」視線ソラシ
ゴブゾン「女の子と仲良くなるって不乱健じゃなくフランケン・シュタインからのこいつの夢なんです!」
ピラタ「俺からも頼むよ!ゾンマス、ほらお前も!!」
ゾンマス「んな!?なンで俺が巻き込まれてんだ!勝手にドガドガ家の中入ってきやがって!」
ワイト「アタシからもお願いです、こいつに希望を持たせてやってくだせぇ!」
王族親衛隊「デスガイド殿!どうか不乱健氏にお慈悲を!!」
デスガイド「え、えぇー……じゃあ、お友達から…」
下級アンデット「うおおおぉぉぉおぉおおおおー!!」
不乱健「お、おお…おおぉぉおお…!!」
さまようミイラ「俺も居るぜ!」シュバッ
ピラタ「何処彷徨ってたんだよお前」
不乱健「お、お前ら…優しい…!」グスッ
ゴブゾン「なに言ってんだ不乱!水臭いぜ!…で」
デスガイド「え?」
ゴブゾン「こいつと友達になっておいて俺等とは友達にならないって事はないんでしょ?」
デスガイド「え?え??」
黒騎士「あー、そうっすね、そりゃそうっすね!マジっすね!!」
再生ミイラ「あるわー、そういうのってあるわー」
デスガイド「え、ええええ!?」
さまようミイラ「じゃあそういうワケっどへ!?」ゲフゥッ
ゾンマス「そこまでにしとけテメェ等……」ゴゴゴゴゴゴゴ
下級アンデ「ひぃ!?」
黒騎士「いやゾンマスちゃんも下級アンデットじゃないすか!」
ゾンマス「俺はいいンだよ俺は!!」ドゲシッ
黒騎士「ご褒美キマシタワっす!!」ドゴホォ
ゾンマス「つーか別に永住するワケじゃねぇんだよデスガイドは!!さぁ帰れ帰れ馬鹿共!」
ゴブゾン「ちぇー、折角可愛い女の子がアンデットワールドに来ると思ったのになぁ」
ゾンマス「来るのはペインペインターだ、せいぜい嘆けアホ」
ハーヤレヤレ
帰リニファミレス寄ロウゼ
暑イワー、プールトカ行キテェー
ゾンマス「はぁ…行ったか…」
デスガイド「…あ、嵐みたいな人達ですね…」
ゾンマス「そうかァ?あんなモンだろ」
デスガイド(アンデット族はやっぱり過激なんですね…)
ゾンマス「……でもオメェ、マジで可愛いよなぁ…」
デスガイド「え?」
デスガイド「可愛いと…思いますよ?」
ゾンマス「へっ、バーカバーカ」
デスガイド「んな、なんでですか!本当の事を言ったのに!!」
ゾンマス「俺はそういうんじゃねーんだよ」
デスガイド「じゃあどういうのなんですか!」
ゾンマス(…どういうのなんだろ…)
ゾンマス「とにかく、布団敷いたから夕飯にしようぜ、なぁ?」
デスガイド「むー…」
ゾンマス「そんなムクれんじゃねぇよボケ、色々話しようぜ?」
ゾンマス「なんせテメェはガイドらしいからなァ、さぞかし旅して回ってんだろォ?」
………
…
レディ「というワケで、ゾンマスちゃんの家に行きましょぉ?」
ロード「…何が『というワケ』なのかね、レディ」
レディ「嫌だわぁ、天下のヴァンパイア・ロード様がそんな事もお分かりにならないの?」
ロード「その妻のヴァンパイア・レディが堂々と浮気をしようとしているのだが」
レディ「浮気じゃないわよぉ、私は決して浮ついた気持ちで女の子を手篭めにしたりしないもの」キリッ
ロード「キリッではないよ、キリッでは」
レディ「いいじゃなぁい、ケチな旦那様ねぇ」
ロード「普通だと思うがね」
銀ゾンビ「てか普通に屋敷の外に出ないでくだせぇ…」
ロード「おや…青眼の銀ゾンビ、居たのかね」
レディ「夫婦のいちゃこらを出歯亀はよくないわねぇ」クスクス
銀ゾンビ「それなら見えない所でやってくだせぇや!!」
レディ「貴方だってご存知でしょう?」
ロード「海外では随分と暴れたという話は聞き及んでいるよ。だが我々アンデットとは無縁な力だ」
レディ「そんな事無いわよぉ、今は誰がどんな悪用方法を考えるか分からないんだから」
ロード「…その辺りの話はプレーヤーにお任せするとするよ」
銀ゾンビ「あっしらOCG組には関係のねぇ話ですからね…」
レディ「ねぇねぇ、会いに行きましょうよぉ」
ロード「明日にはバスの調子も良くなるだろう。その時の見送りで顔を合わせればいいのだよ」
レディ「もう!本当ケチね!」ムスゥ
ロード「そんな顔をしてもダメだ」スッ
レディ「あんっ…もう、顔が近いわよ…」
銀ゾンビ「あーもー部屋ん中でやってくだせぇよ…」
黒い貴族「盛んですなカース・オブ・ヴァンパイア殿」
カース「そうですなぁノーブル・ド・ノワール殿」
銀ゾンビ(ほら見られてるし)
………
…
ゾンマス「へぇ、暗黒界って場所があんのか」
デスガイド「はい、皆さん顔は怖いんですが凄くいい人達なんですよ」
デスガイド「ジェノサイド・キング・サーモンの卵を取りに行くのに全員が力を合わせて…」
ゾンマス「卵でかよwwww」
デスガイド「サーモンを討ち取れる暗黒界の方は極少数らしいのです…」
デスガイド「特に狩人のブラウさんって方と仲良くなりまして…えへへ!」
ゾンマス「んだよ、惚れてんのかァ?」ケケケケ
デスガイド「そ、そういうんじゃありません!!」
ゾンマス「あーそーでーすかー」
デスガイド「もう!ゾンマスさん!!」
ゾンマス「へぇー」
デスガイド「魔轟神という方々らしいのですが…あまりにも紛争が絶えないので、近々停戦協定を結ぶとか」
ゾンマス「どこも大変だなァ、オイ」
デスガイド「アンデットの方々は争いは…?」
ゾンマス「別に何もねぇよ、俺達はただ生き返って馬鹿やっての繰り返しだからな」
ゾンマス「そりゃ戦う時もあるが…別に死んだりしねぇから真面目にやらねーしよ、ケケ」
デスガイド「ほへー…」
ゾンマス「昔はハ・デスのおっさんは敵勢力だったみてぇだけど…」
ゾンマス「裏切りにあって、アンデット側に着いたんだよ」
デスガイド「あれ?裏切ったのってもしかして深淵の冥王さんですか?」
ゾンマス「知ってるのか?」
デスガイド「えぇ、あの人とも割りと仲がいいので…」
デスガイド「え、えぇえ!?」
ゾンマス「『受けよ我が新たなる奥義!デストラクト・ポーション!』とかなんとか言ってやがったぜ」
デスガイド「い、嫌ですよ!そんなの喰らいたくありません!」
ゾンマス「じゃあ黙ってた方が無難だ。………」
ゾンマス「でも俺が言っちまうかもしれねぇなぁ、ひゃっひゃっひゃww」
デスガイド「ゾ、ゾンマスさーん!!」
ゾンマス「ひっひっひっひっひ…!オメェからかい甲斐あるよ、俺が保証してやんよ」
デスガイド「ひ、酷いですー!!」
ゾンマス「知ってるぜェ?ケケケケケケ!!」
ゾンマス「!…………」
デスガイド「…ゾ、ゾンマスさん?」
ゾンマス(女扱い…された時…アレは…)
ゾンマス「嫌だったなぁ…」
デスガイド「え?な、何がですか?」
ゾンマス「俺は別に女らしくなりたいとも思ってねぇし、女扱いがいいとも思ってねぇよ」
ゾンマス「ただ馬鹿共と一緒に馬鹿がやれりゃそれでいい、分かるか?」
デスガイド「…うーん……」
デスガイド「確かにそれは本心っぽいですけど…」
ゾンマス「本心に決まってんだろ、バーカバーカ!」
デスガイド「『服装も素っ気無ぇ、髪の毛は整えてねぇし…そもそもバリバリに硬いしなー、髪の毛…』」
デスガイド「と言って落ち込んでいたのも本心ですよね?」
ゾンマス「ブフッ!!!」
デスガイド「んぎゃぁ!お米飛ばさないでくださいお米!!」
ゾンマス「つーか言ってねぇし!捏造すんじゃねぇクソッタレ!!」
デスガイド「ちょ、苦しいです苦しいです!あと『いつ聞いてた』と言った後に『言ってない』は無理があります!」
ゾンマス「あっ」
ゾンマス「と、とにかく俺は知らねぇよ!!」
デスガイド「具体的に言うとお布団を用意していt」
ゾンマス「あーあー!聞こえねぇー!なんも聞こえやしねー!!」
デスガイド「恥ずかしい事じゃないですよ?」
ゾンマス「俺にとっちゃあ裸を見られる以上に恥ずかしい事なんだよボケ悪魔!!」
デスガイド「そうなんですか?じゃあ、裸見せてくださいよ」ガシッ
ゾンマス「え?ちょ、…いやいや嘘嘘、冗談だからちょっと待ってマジでごめんマジで…!」
デスガイド(思った通り…)
デスガイド(ATK1800ですがDEFが0の為…)
デスガイド(ゾンマスさん、押しにめっちゃ弱いです…!)
ゾンマス「オメェ馬鹿か!?食われてたまるか!つーか見ても楽しくねぇよ!胸そんなでかくねぇし!!」
デスガイド「胸、ですか…」
デスガイド「ふふ」ドヤァ
ゾンマス「てんめぇええ……!!」プルプル
デスガイド「でかくないって言うより、ほぼ無いですよね?」
ゾンマス「あるわボケェ!!A寄りのBだよ文句あるかクソッタレ!!」
デスガイド「うはぁ可愛らしい☆」
ゾンマス「ッ~~~~~!!テメェでてけ!寝床没収!もう知らねぇ!!」
デスガイド「嫌ですよーっと!」
ゾンマス「くォのッ…クソ女ァァア……!!」
~・~・~
ロード「楽しそうにやっているではないかね」
レディ「…………」カシャカシャカシャカシャカシャカシャ
ロード「もう写真を撮るのはやめたまえよ…」
デスガイド「ねぇゾンマスさん」
ゾンマス「ん?なんだ?」
デスガイド「本当に私の髪の毛がサラサラで羨ましかったんですかー?」
ゾンマス「うっせうっせ!バーカ!!」
ゾンマス「……そうだよ」
デスガイド「…ふっふっふっふ…」
ゾンマス「テメェ何がおかしいんだコラ…!」
デスガイド「そうやってふとした時に見せる女の子っぽい所で、きっと他のアンデットさんはメロメロですよ!」ガバチョ
ゾンマス「はぁ?馬鹿を言うな…って、くっつくな暑ィ!!まだまだ夜中も猛暑だよクソッタレー…!!」
……………
………
…
よ く じ つ 。
デスガイド「スースー…スースー…」
ゾンマス「んん~…ッ!シャワーでも浴びて寝汗流すか……」
デスガイド「では私も」ススッ
ゾンマス「ギャァアッ!?テ、テメェ起きてたのかよ!!」
デスガイド「シャワー浴びるんですよね?私も寝汗かいちゃいました」
ゾンマス「一緒に入るワケねぇだろ!!このボケ悪魔!!」
デスガイド「あれあれ?いいんですか?そういう事言うとサラサラへの憧れを皆さんにバラしますよ?」
ゾンマス「テメェ…最初は俺等アンデットにビビってたくせになんだその態度の変わり様は…」
デスガイド「慣れというやつですね!」
ゾンマス「クソ迷惑だぜバッキャロウ…」ゲンナリ
デスガイド「同性同士で恥ずかしがる事なんてありませんよー?」
ゾンマス「ある!少なくとも俺ァあるんだよ!」
―ガラガラッ
龍骨鬼「オーッス、ガイドちゃんはおるかねー?」
ゾンマス「助かったぜ龍骨鬼…後でフォーチュンレディの里行こうな…」
龍骨鬼「うわっほーいマジで!?とりあえずおはよう!!」
龍骨鬼「まぁそれはともかくとして!TOUR BUSが乗り上げた岩の撤去終わったらしいぞ!」
デスガイド「え、ホントですか!?」
龍骨鬼「うん、マジマジ。いつでも出発できるってよ」
デスガイド「うーん…」チラッ
デスガイド「もう一泊しちゃおっかなー」
ゾンマス「帰れ!」
デスガイド「酷いですゾンマスさん…昨日はあんなに抱き合って…」
龍骨鬼「え?」
ゾンマス「誤解を生む言い方すんじゃねぇ!」
ゾンマス「テメェも鼻の下伸ばしてんじゃねぇよコラァ!!」ドガスッ
龍骨鬼「痛くありませーんwwwww」
ゾンマス「あぁあああああ昨日ッからイライラが全然取れやしねぇえ…!!」
ゾンマス「悪魔族だったテメェを呪うがいいぜ」
デスガイド「いや、別に呪いはしないですが…およ?」
龍骨鬼「おー、総出でお見送りか」
黒騎士「どうっすか!どうっすか真紅眼の不死竜さん!マジかわいくねっすか!?」
不死竜「だから俺は人型じゃ欲情しねーんだって。なぁバーサーク・デッド?」
バーサーク「俺に言うんじゃねぇよ」
ワイトメア「おやおや、あれは確かにお美しい方ですな」
レディ「デスガイドちゃーん!初めましてー!」ブンブン
ロード(此方は一方的に会いに行っているがね…)
デス・ラクーダ「ブルルゥン」
ネクロフェイス「バーブー!バブバブー!」
酒呑童子「おーよしよし…」
デスガイド「1日振りです!いつでも発進できますか?」
TOUR BUS「大丈夫そうだね、全速前進ってやつさ!」
デスガイド「そうですか…では、気を取り直して行きましょう!」
デスガイド「ゾンマスさん…改めて本当に有り難う御座いました」
ゾンマス「んな…何を畏まってやがんだいきなり…」
デスガイド「…顔、赤くなってますよ?お礼言われなれてないんですか?」
ゾンマス「う、うるっせェ!!バカボケ!タコ!!」
ゾンマス「……………」
ゾンマス「……またな」
デスガイド「はい!精気を吸う骨の塔は観光名所ですから!ガイドコースですしまたきっと会えますよ!」
デスガイド「その時はまた泊めてくださいね!」
ゾンマス「嫌だよバーカ」
デスガイド「いつでもどうぞ、という意味で受け取っておきまっす!」
ゾンマス「ざっけんな!!」ギャーギャー
龍骨鬼「元気でなーデスガイドちゃーん!」
不乱健「俺、ずっと友達…!」
ゴブゾン「ゾンマスとどんな会話したか教えろー!!」
馬頭鬼「後でゾンマスの弱点とか教えてくれー!!」
ゾンマス「黙れー!!」
デスガイド「それでは皆さん!!」
デスガイド「またお会いするその時まで!!」
ブロロロロロォォォー…
龍骨鬼「…行っちまったなー…」
ゾンマス「…………」
ゾンマス「…ありがと、楽しかったよ…」
……………
………
…
クリッター「アンデットって怖い場所ってイメージがあるんですけど」ハイハーイ
デスガイド「そんな事はありませんよ、暗黒界の方々も怖いと一般的に言われていますが、そうでないでしょう?」
ダーク・リゾネーター「それはそうだけど、頭悪そうじゃないかー?」
デスガイド「それも偏見です、皆さんホントにいい人達ばかりですし…」
デスガイド「私も沢山の友人がおります!!」
フレア・リゾネーター「え、そうなんですか?」
デスガイド「はい、それはもう!…あっと…、」
デスガイド「さぁ、右手を御覧くださーい!」
デスガイド「右手に見えますのは精気を吸う骨の塔…キャァッ!?」
ドガンッ!!
クリッター「うわぁ!?な、なになに!?」
TOUR BUS「いやーゴメンゴメン…なんかまた乗り上げちゃったみたい…」
デスガイド「えぇー!?」
ダーク・リゾネーター「なんだなんだ?」ゾロゾロ
フレア・リゾネーター「どーしたんだぁ?」ゾロゾロ
……………
………
…
ゾンマス「…………」
デスガイド「お久し振りです」ニヒッ
ゾンマス「…………」バタン
デスガイド「あぁ!ちょっと!酷いですゾンマスさん!開けてくださーい!」
デスガイド「私だけわざわざ他の観光客とは別に「ゾンマスさんの家でお願いします」って言ったんですよー!」ガチャガチャ
ゾンマス「ざーけーんーなーよーもーう!!」
デスガイド「…クスン、さすがにアンデットワールドで野宿する勇気はありません…」さめざめ
デスガイド「お腹空いたよぅ…」
デスガイド「…………」チラッチラッ
―ガチャリッ
ゾンマス「…入れよクソッタレ……」バリバリ
デスガイド「!」
デスガイド「では!お邪魔しますゾンマスちゃん!」
ゾンマス「『ちゃん』付けするんじゃねェッ!!」
-・-・-
デスガイド「右手に見えますのは精気を吸う骨の塔…キャァッ!?」
おしまい。
無限ループってこわくね
Entry ⇒ 2012.09.11 | Category ⇒ 遊戯王SS | Comments (1) | Trackbacks (0)
皇帝「ど、ど、ど、ど、童貞ちゃうわ!」
皇帝「ど、ど、ど、ど、童貞ちゃうわ!」
側近「どうしたんですか、いきなり」
皇帝「今、俺に向かって、童貞といっただろう!」
側近「童貞ではなく、皇帝陛下と申し上げたんですよ」
皇帝「あ、そうだったのか……すまんな」
側近「いえいえ」
側近「でも皇帝陛下って──」
側近「童貞ですよね」
皇帝「童貞っていった方が童貞なんだぞっ!」
側近「残念ながら、私はもう捨てました」
側近「妻も子もいますからね」
皇帝「ぐぬぬ……」
側近「まあまあ、落ち着いて下さい」
側近「陛下は先代である父君がご病気で退位されて即位されましたから、まだお若い」
側近「お世継ぎのことを考える時期もないですし、焦ることはありませんよ」
皇帝「父を含め、歴代皇帝は成人する前に童貞を捨ててきたと聞く」
皇帝「──が、俺はすでに成人の儀式をしたが未だに童貞だ」
皇帝「このままではマズイ」
皇帝「今のうちに捨てておかないと、ズルズルいってしまう気がするのだ」
側近「ならばせっかく皇帝の座にあるのです」
側近「権力を行使して、女性を城に呼び寄せてはどうです?」
側近「例えば隣国の王は、正妻や側室など、幾人もの女性と交わってますよ」
側近「なぜです?」
皇帝「こちらから女性を呼び寄せたら、俺がリードしなければならないだろう」
皇帝「未経験である俺に、そんな大役を果たせるハズがない!」
側近「だったら──」
側近「ボク童貞なんで手取り足取り教えて下さい、っていえばいいじゃないですか」
側近「なにせ国で一番偉いんですから、きっと優しく教えてくれますよ」
皇帝「ダメだ!」
皇帝「そんなの……みっともなさすぎる!」
側近「いいソープを紹介しますよ」
皇帝「ダメだっ!」
側近「どうしてです?」
皇帝「なにしろ、一生に一度のことだ」
皇帝「できればプロは避けたい……!」
側近「強いこだわりがあるんですね」
皇帝「うむ……」
皇帝「最近読んだ恋愛小説にこういうのがあった」
皇帝「ある国の王子が、身分を隠して町を歩き回るのだ」
皇帝「そこで王子は町民である美少女と出会う」
皇帝「身分のちがい、城内の権力闘争、さらには迫りくる敵国──」
皇帝「さまざまな試練が二人を襲うが」
皇帝「二人はみごと結ばれ、幸せになるという内容だ」
側近「その小説がどうかしたのですか?」
皇帝「まだ分からんのか?」
皇帝「俺は──ああいうのがやりたいんだよっ!!!」
側近(だいぶこじらせてるな、この人……)
側近「もしかしたら、小説のようないい出会いに恵まれるかもしれませんよ」
側近(ま、ないと思うけど)
皇帝「おお、ナイスアイディアだ!」
皇帝「よぉし……」
皇帝「さっそく召使に命じて、庶民っぽい服を集めさせるか」
女召使「よいしょ、よいしょ」
女召使「町で買ってきた服をお持ちしましたです!」ドサッ
女召使「ご命令通り、なるべく庶民的な服を選びました!」
皇帝「うむ、ご苦労」
女召使「しっかし、皇帝陛下ともあろう方がこんな服をどうするんですか?」
皇帝「着て、城下を歩いてくる」
女召使「なんのために?」
皇帝「童貞を……捨てるためだ!」
女召使「ほうほう」
皇帝「──どうだ?」
女召使「おぉ~似合ってますよ! かっこいいです!」
皇帝「うむ、そうか」ニヤッ
皇帝「よし、では出かけるとするか」
女召使「陛下、一言だけ」
皇帝「なんだ?」
女召使「陛下は立派な方です。童貞がどうとか、あまり気にすることないですよ」
皇帝「嬉しい言葉だが、そうもいかぬ」
皇帝「皇帝が童貞では格好がつかないからな」
皇帝「では行ってくる」ザッ
女召使「頑張って下さい!」
皇帝(ふ~む、見慣れているハズなのに、庶民として来ると雰囲気がちがうな)
皇帝(せっかく変装しているのだ)
皇帝(童貞を捨てる前に、俺が民にどう思われているか聞いてみるか)
皇帝「おい、そこの」
町民「ん、なんだよ」
皇帝「数年前、この国の皇帝が代替わりしただろう」
町民「ああ、したな」
皇帝「どう?」
町民「皇帝なのにえらぶってないし、政治もしっかりやってるし」
町民「先代が倒れられた時はどうなるか心配だったけど、あの方なら大丈夫だろ」
皇帝「ハハハ、照れるな」
町民「いや、別にアンタは褒めてないよ」
皇帝「あ、そういえば、そうだったな」
皇帝(ほっ、評判がいいみたいでよかった……)
町民「ただ──」
町民「童貞なのが玉にキズだけどな!」
皇帝「え!?」
町民「なんだよ」
皇帝「な、なんで皇帝が童貞……と知ってるのだ?」
町民「なんでって、常識じゃん」
皇帝「え!?」
町民「城下じゃ、だいぶ広まってるよ」
皇帝「え、え!?」
町民「というか、城下じゃ知らない奴はいないんじゃないかな」
皇帝「え、え、え!?」
町民「下手すりゃ子供だって知ってるかも……」
皇帝「え~~~~~っ!?」
女「皇帝はすばらしい方よ、童貞だけど」
老婆「陛下はええ男じゃなぁ、童貞じゃがのう! ひょっひょっひょ!」
中年「皇帝陛下? 童貞だが、いい君主だと思うぜ」
旅人「色んな国を見てきたが、彼はまちがいなく名君だね。童貞ではあるけどね」
幼女「陛下はえらくって、かっこよくって、チェリーなんだよ」
主婦「皇帝陛下っていい人だけど、雰囲気が童貞っぽいわよねえ」
少年「俺も大きくなったら、皇帝みたいな“どうてい”になるんだ!」
オカマ「皇帝陛下っていい男よねえ、童貞らしいし狙っちゃおうかしら」
皇帝「──どういうことだ、これは!?」
側近「今この国は平和ですし、こういう醜聞が流布しやすいのでしょうね」
側近「まあいくら隠しても、皇帝が童貞なのは事実ですし」
側近「君主としては評価されてるようですし、よかったじゃないですか」
皇帝「よくない!」
側近「民が君主に親近感を持つというのはいいことですよ」
皇帝「親近感ってレベルじゃないぞ!」
皇帝「くっそぉ~……! どうしてこうなったんだ……!」
皇帝「俺を童貞呼ばわりする者は、いっそ罰してやろうか」
側近「皇帝侮辱罪、でですか?」
皇帝「いや、国家機密漏洩罪でだ」
側近「もう国家機密でもなんでもないですよね」
皇帝「うわぁ~~~~~っ!」
皇帝「性質やら業績やらを反映して“~帝”と名を冠せられるだろう」
側近「お父上である先代は、慈悲深い方ですので“慈帝”」
側近「先々代は農業に力を入れたので“農帝”といった具合ですね」
皇帝「うむ、それで少し思ったんだが」
皇帝「もしかしてこのままいくと、俺は“童帝”にされてしまうのでは……」
側近「童帝……ぷっ」
皇帝「笑うな!」
側近「いいじゃないですか、絶対歴史に残りますよ……ぷぷっ」
側近「ぷぷっ、ぶっ! ど、童帝……ぶふっ! ふふふっ!」
皇帝「笑うなぁぁぁ!」
皇帝「はぁ……」
女召使「どうでしたか?」
女召使「童貞、捨てられましたか?」
皇帝「いや……色々あってな。結局捨てられなかった」
女召使「そうですか……」
皇帝「だが、俺は諦めてはいない! いつか必ず……捨ててみせる!」
女召使「さっすが陛下です!」
皇帝「ありがとう」
皇帝「もし捨てられたら、真っ先にお前に伝えるからな」
女召使「はい!」
皇帝(こうなったら、あんまり気が進まないが父上に相談してみるか……)
皇帝「父上」
先代「どうしたのじゃ、童貞息子」
皇帝「うぐっ」ピクッ
皇帝「いきなりそれですか、あなたのどこが慈悲深いのか理解に苦しみます」
先代「事実をありのままにいってやるのも、慈悲というものじゃよ」
先代「ほっほっほ」
皇帝「くっ……」
皇帝「まあいいです。ここに来たのは他でもありません」
皇帝「どうすれば童貞を捨てられるか、相談に来たのです」
先代「お前、まァ~だ初体験は素人がいいとか、ドラマチックに捨てたいとか」
先代「無謀極まりないワガママをいっておるのか」
皇帝「当然でしょう! 一生に一度のことなのですから!」
先代「う~む、まあそうじゃな」
先代「ドラマチックに童貞を捨てたいのなら、やはり押しの一手じゃな」
先代「お前は優秀だが、ガンガン押すというタイプではないからのう」
皇帝「ガンガン押していく……」
皇帝「つまり男らしさに欠けている、ということですか」
先代「う~ん、まあそういうことになるんかのう」
皇帝「……なるほど」
皇帝「父上、アドバイス感謝いたします!」
軍団長「側近殿」
側近「これは軍団長殿、どうかしましたか?」
軍団長「先ほど皇帝陛下が、甲冑を借りに来られたのですよ」
側近「甲冑を……?」
軍団長「なんでも“男らしさの象徴といえば甲冑だ”などとおっしゃられて……」
軍団長「もちろんお貸ししましたが、なにかご存じないでしょうか?」
側近「いや、私はなにも──」
兵士「軍団長!」
軍団長「どうした!?」
兵士「城下町で不審者を捕えたので、報告に参りました!」
兵士「はい、甲冑を着込んで“だれか俺の童貞をもらってくれ”と連呼しておりました」
兵士「幸い、町民に危害を加える様子はなく──というか無視されてました」
兵士「かなり抵抗しましたが、兵数人がかりでなんとか取り押さえました」
軍団長「うむ、ご苦労だったな」
軍団長「新手の変態というやつか。まったく困ったものだ」
側近(まさか……)
皇帝「ハハハ、すまんな」
側近「…………」ギロッ
皇帝「……すみませんでした」
皇帝「男らしく童貞を捨てようと思いまして……」
皇帝「考えに考えた結果、あのような行動に出た次第でして……」
側近「町民に正体がバレてたら大変でしたよ!」
側近「あ~……ったく!」
側近「当分は、童貞がどうとかは忘れて下さい!」
側近「真面目にやっていれば、あなたはまちがいなく良き君主となれるのですから!」
皇帝「はい……」
皇帝「はぁ……」
女召使「陛下、どうしました?」
皇帝「いや、童貞を捨てたい一心で、とんだバカをやってしまってな……」
皇帝「死にたい……」
女召使「なっ、なにをいってるんです!」
皇帝「いや、わりと本気だ」
皇帝「今回の件は、いいきっかけだったかもしれないな」
皇帝「玉座にふんぞり返って、この国の未来に想いをめぐらせていると」
皇帝「たまになにもかもどうでもよくなるんだ」
皇帝「国も、民も、部下も、自分自身さえも──」
皇帝「なにもかも捨ててしまいたくなるんだ」
女召使「じゃあまず、あたしが先に死にます」
皇帝「は?」
女召使「うぅ……っ!」ググ…
皇帝(自分で自分の首を!?)
女召使「うえぇ……」グググ…
皇帝「おい……なにをしているんだ! やめろっ!!!」
皇帝「バカ! なにを考えてるんだ!」
女召使「す、すみません……」
女召使「でも……陛下が本気で全てを捨てるというのなら」
女召使「無能ではありますが、召使であるあたしが第一号になるべきかと……」
皇帝「…………」
皇帝「すまんっ!」ギュッ
女召使「ちょ、陛下!?」
皇帝「俺は間抜けだった」ギュゥゥ…
皇帝「たかだか童貞を捨てられぬくらいで、全てを捨てるなどと!」
皇帝「童貞さえ捨ててないのに、全てを捨てるというのもバカげた話だ」
皇帝「俺は生きる!」
皇帝「生きて必ずや童貞を捨ててやる!」
皇帝「そしてこんな最低男に命を賭けてくれたお前には──」
皇帝「全権を賭して、俺が必ず最高の男をあてがってやる!」ギュゥゥ…
女召使「へ、陛下……」
女召使(ちょっと苦しいけど、気持ちいい……です……)
皇帝「この制度は煩雑すぎる。もう少し簡略化すべきだろう」
皇帝「地方都市からの報告が滞っているな。一度自ら視察してみるか……?」
皇帝「あの地域は慢性的な水不足だ。用水路の開発を急がせろ」
皇帝「盗賊団の動きがだいぶ掴めた。軍団長に討伐隊を組織させろ」
皇帝「なにっ、隣国の王子が結婚しただと!? お、俺より年下なのに……くそっ!」
~
側近「陛下、近頃は今までにもまして政務に励んでおられますな」
皇帝「まあな」
側近「あの事件なら、もう気にすることはありませんよ」
皇帝「ああ、分かっている」
皇帝(──というか、暇をしているとあの事件を思い出してしまうからな)
皇帝(それに……仕事をバリバリやってると部下の能力が見えてくる)
皇帝(女召使をめとるにふさわしい男を、俺が見極めてやる!)
<帝国城>
側近「皇帝陛下、大変です!」
皇帝「どうした?」
側近「地方都市で、反乱が起こった模様です!」
皇帝「反乱……!?」
皇帝「たしかあそこには、行政官を派遣していたな」
側近「はい、行政官のいる役場を徒党を組んだ住民が襲撃したとのことです」
側近「幸い、行政官は手勢とともに逃れてきたため無事でしたが──」
皇帝「……分かった。とにかく、行政官に話を聞いてみるとしよう」
皇帝「反乱が起こったと聞いたが、状況を説明してもらえるか?」
行政官「ははっ!」
行政官「ヤツらは三日前の夜、役所に襲撃をかけてきたのでございます」
行政官「むろん警備もいたのですが、反乱軍の勢いに押されてしまいました」
行政官「しかし、どうにか私と手勢は脱出に成功いたしました」
行政官「現在も、ヤツらは役所にたてこもっているものと考えられます」
皇帝「うむ……」
側近「なんということだ……!」
行政官「私はいわば皇帝陛下の手足として、地方都市に派遣されたのです」
行政官「これは明らかな反逆行為でございます!」
行政官「大至急! 討伐軍の編成をお願いしたい!」
皇帝「反乱軍とやらの主張は?」
行政官「え? な、なぜそんなことを──」
皇帝「反乱軍とて、まさか暇だから反乱を起こしたのではあるまい」
皇帝「なにか理由があるはずだろう」
行政官「……皇帝を倒すだの、自分たちが国を変えるだのと叫んでおりました」
皇帝「…………」
側近「おのれ……!」
皇帝「側近の意見は?」
側近「地方都市の情勢は堅調だと報告が入っております」
側近「反逆に至る要因があるとは考えにくい」
側近「まして皇帝陛下を打倒するなどと、口にするだけでも許せぬ暴挙!」
側近「私も行政官と同様、彼らを反逆者として処理すべきと考えます」
皇帝「うむ」
側近「ただちに軍を派遣して討伐すべきでしょう」
側近「これを許せば、陛下の威厳は失墜し、国が乱れます」
側近「陛下の温和な気質は理解しておりますが、ここは心を鬼にするべきかと」
皇帝「…………」
皇帝「側近、軍団長に命じて討伐軍を組織させろ」
皇帝「明日中には出動させるように」
側近「はっ!」
行政官「おおっ……! ありがとうございます!」
軍団長「──これは陛下の温厚なる性質につけこんだ、悪質な反乱である!」
軍団長「役所にたてこもる賊どもを、我が軍の誇りにかけて叩き潰すのだ!」
ワアァァァァァ……!
~
側近「頼むぞ」
側近「陛下に落ち度があるならともかく、同情の余地などまったくない!」
行政官「側近様のおっしゃるとおりでございます」
行政官「どうか手心など加えぬよう、お願いいたします」
軍団長「無論です」
女召使「城内は地方都市の反乱の話題で持ちきりですよ」
女召使「どうしてこんなことになっちゃったんですかねぇ……」
皇帝「心配するな」
皇帝「明日には軍が出動する。軍団長らがすぐに解決してくれるだろう」
女召使「……そうですね!」
女召使「では、失礼します。おやすみなさい!」スタスタ
皇帝「おやすみ」
皇帝「…………」
<帝国城>
側近(さて、昼には討伐軍を出動させねばならん)
側近(皇帝陛下からも、兵たちを鼓舞してもらわないとな)
側近「…………」キョロキョロ
側近(そういえば、今日は朝から陛下の姿が見えないな……)キョロキョロ
召使「側近様」
側近「なんだ?」
召使「側近様宛に封書が届いております」
側近「おお、ありがとう」
側近(郵便を介した形跡もない)ビリッ
側近(ということは、直接城の郵便受けに手紙を入れたということか)
側近(だれだ、こんなことをするのは……)ガサガサ…
側近「どれどれ……」
『側近へ ちょっと反乱軍のところに行ってくる。 皇帝より』
側近「ふうん……」
側近「…………」プツン
側近「なにをやってやがるんだ、あの童貞はァ!!!」
パカラッ パカラッ
皇帝「──今頃、側近のヤツ激怒してるだろうな」
女召使「本当ですよ、まったく!」
皇帝「……で、なんでお前がついてくるんだ」
女召使「だってあたしの仕事は皇帝陛下のお世話をすることですから!」
皇帝「はぁ……」
皇帝(反乱軍、か)
皇帝(行政官の話だけだと、どうにも腑に落ちない点が多すぎる)
皇帝(もしそれが分かれば、和解も可能かもしれん)
皇帝(側近を始めとした重臣たちはみな、激怒していたから)
皇帝(俺から和解案など出しても、“甘い”といわれてしまうだろう)
皇帝(それに──)
皇帝(地方都市では、俺の童貞は知られていない)
皇帝(反乱軍にも女はいるはず)
皇帝(正体を隠して現地に出向き、うまい具合に解決した後──正体を明かす)
皇帝(惚れられて、抱いて、童貞卒業!)
皇帝(イケる!)
皇帝(これは……ドラマチックに童貞を捨てるラストチャンスなんだ!)
女召使「へーいーか」
皇帝「!?」ビクッ
女召使「こんな夜遅くに、ど~こに行くんです?」
皇帝「ちょ、ちょっと地方都市までな」
女召使「ほうほう」
女召使「じゃあ、あたしも行きます」
皇帝「は!?」
女召使「あそこは遠いですし、道も険しいですよ」
女召使「絶対あたしが必要になりますって!」
皇帝「……分かった、ついてくるがいい」
女召使「ありがとうございますっ!」
パカラッ パカラッ
皇帝「そういえば、久しく馬には乗っていなかったな」
皇帝「しっかり俺につかまっているのだぞ」
女召使「はいっ!」ギュッ
皇帝(背中に胸が……! これはいかん!)
女召使「皇帝陛下の背中、おっきいですね!」
皇帝(俺のナニもおっきくなっている……!)
パカラッ パカラッ
皇帝の独走が、側近を通じて重臣たちに伝えられる。
軍団長「なんですと!?」
行政官「皇帝陛下がお一人で!?」
ドヨドヨ……
側近「召使も連れてはいるだろうが……護衛にはならん。マズイことになった」
行政官(ま、マズすぎる……!)
行政官「……軍団長殿!」
軍団長「なんでしょうか」
行政官「私にも、緊急時には兵の指揮権がございます」
行政官「先行部隊として、100騎ほどお貸し下さい!」
側近「たしかに行政官の方が、地方都市への道は詳しい」
側近「陛下が反乱軍と接触するまでに、追いつけるかもしれん」
側近「行政官の先行を認めよう」
側近「反乱軍の討伐より、陛下の確保を優先的に頼む」
行政官「ありがとうございます!」
行政官(よし!)
皇帝(しまった……!)
皇帝(時間を考えずめいっぱい飛ばしてきたから、寝る場所とメシのこと忘れていた)
皇帝(仕方あるまい、今夜はメシ抜きで寝るか……)グーキュルル…
女召使「陛下! 陛下!」タタタッ
女召使「木の実と野草とキノコを採ってきました!」
皇帝「お、おい……なんかマズそうだが食えるのか?」
女召使「大丈夫です!」
女召使「調理しますんで、ちょっと待ってて下さいね」
火をおこし、木の実を砕き、野草をちぎり、キノコを裂く。
皇帝(す、すごいな……)
女召使「ありがとうございます!」
皇帝「……しかし、お前にこんなサバイバル能力があるとは意外だったぞ」
皇帝「連れてきて正解だった」
女召使「あたしが住んでた村は貧しかったですから」
女召使「あ、でも、先代様や陛下のおかげでだいぶ豊かになったんですよ!」
皇帝「……ありがとう」
皇帝「お前のいうとおり、この国にはまだまだ貧しい地方がある」
皇帝「地方都市もそうだが、俺が行ったことすらない土地も多い」
皇帝「こうやって馬でも飛ばさねば、通行すらままならんからな」
皇帝「今回の反乱も、きっとそういうところが起因しているはずだ」
皇帝「できれば平和的に解決したいものだが……」
女召使「陛下……」
女召使「おやすみなさい!」
皇帝(草で作った布団か……。こういうのも新鮮だな)ガサ…
女召使「すぅ……すぅ……」
皇帝(可愛い寝顔をしてるな……)
皇帝(コイツ、こんなに可愛かったのか……)
皇帝(──っていかんいかん!)
皇帝「ぐぅ……」
……
………
先代皇帝「どうじゃ、息子は」
側近「非常に優秀で、次々に知識を吸収していきますよ」
側近「ただ……皇后様が亡くなられてから、精神的に塞いでいるようで……」
側近「特に女性には心を開かなくなってしまい……」
先代皇帝「ふむぅ……」
先代皇帝「やむをえん部分もあるが、アイツはいずれ上に立つ身」
先代皇帝「このままではいかんな」
先代皇帝「そういえば、この前城で雇われたいといってた女の子がいたと聞いたが」
側近「はい」
先代皇帝「その子に、息子の世話係になってもらうというのはどうじゃ」
少女召使「今日から太子の召使になりました」
少女召使「よろしくお願いします!」
皇太子「ふん」
皇太子(新しい召使が来たと思ったら、俺よりも子供じゃないか)
皇太子(父上はなにを考えてるんだ)
皇太子「いいか、俺は女が嫌いだ」
皇太子「なぜなら母上より、すばらしい女などいないからだ」
皇太子「徹底的にイジメ抜いてやるから、覚悟しろよ」ギロッ
少女召使「はいっ!」
皇太子(はいっ、って……アタマ大丈夫かコイツ)
……
…
皇帝「……ん」
皇帝(朝か……)
皇帝(ずいぶんと懐かしい夢を見たな)
女召使「むにゃ……」ゴロン
皇帝「オイ、起きろ。討伐軍に追いつかれてしまう」ユサユサ
女召使「は、はい!」
女召使「うわっ、よだれが! す、すみません!」ジュル…
皇帝「いや、お前はそれでいいんだ」
女召使「へ?」
皇帝「なんでもない」
パカラッ パカラッ
皇帝「どうどう」
皇帝「この辺は、まったく道が整備されていないな」
皇帝「城下と地方都市を行き来する人が少ないのも無理はない」
皇帝「しかしこの分なら、今日中にはたどり着けそうだ」
女召使「着いたらどうします?」
皇帝「一般人を装って、役所に向かう」
皇帝「いったい地方都市でなにが起きているのか、たしかめねばならん」
<地方都市>
皇帝「なんだこれは……」
女召使「なんというか……静かな町ですね」
皇帝(……活気がまるでない)
皇帝(まだ日も高いというのに、どこを見ても暗く沈んでいる)
皇帝(本当にここは城下町と同じ国なのか……!?)
皇帝(最新の報告では地方都市の財政は順調だと聞いていた)
皇帝(税収も特に落ちているということはなかった)
皇帝(これはいったいどういうことだ……!?)
女召使「陛下……お顔が真っ青ですけど……大丈夫ですか?」
皇帝「え、ああ、大丈夫だ。ちょっと驚いただけだ」
皇帝「気を取り直して、役所に向かおう」
<役所>
女召使「あのぉ~」
農民「なんだ、おめえたちは!?」
皇帝「皇帝だ」
農民「皇帝!?」
女召使「陛下!」ボソッ
皇帝「い、いや……童貞だ」
農民「なんだ童貞だべか、ビックリしただよ」
皇帝「ここに地方都市の住民が立てこもっていると聞いてな」
皇帝「俺たちも協力したいと思い、やってきたんだ」
農民「そりゃあ、ありがたいことだ」
農民「どうぞ入ってくれい」
ワイワイガヤガヤ……
女僧侶「どうぞ、こちらですわ」
皇帝(おお、やはり女がいた! 童貞喪失も夢ではなくなってきたな!)
皇帝(……というか)チラッ
皇帝(反乱軍と聞いてたから多少は身構えていたのだが)
皇帝(軍というか、本当にそこらの住民が集まっただけって感じだな)
リーダー「アンタは国中を旅している童貞とのことだが……」
リーダー「なんのためにここにやってきたんだ?」
皇帝「一童貞として、今回の反乱に興味があってな」
リーダー「反乱? なんのことだ?」
皇帝「ここの行政官が、すでに皇帝に報告している」
皇帝「地方都市の住民が結集して、帝国に対して反乱を起こしたと」
リーダー「な、なんだって!?」
ザワザワ……
リーダー「本当なのか、それは!?」
皇帝「ああ、まちがいない」
皇帝(俺が皇帝だしな)
リーダー「くそっ、なんてことだ!」
女商人「まんまとやられたわね」
女商人「あの行政官に……!」
皇帝(おお、またもや女!)
皇帝「いったいなにがあったのか説明してくれないか?」
リーダー「童貞に話したところで、今さらどうにもならないが……」
リーダー「いいだろう、話してやろう」
リーダー「やってくる人間なんてほとんどいない」
女商人「だからこそ、前の皇帝はここに行政官を派遣したのよ」
女商人「手の届かないところをきちんと統治できるようにってことで」
農民「最初はよかったんだがよ……」
農民「だんだんと、アイツは王様みたいに振る舞うようになったんだべ」
女僧侶「苛烈な重税をかけ、地方都市の税として国に納めた後──」
女僧侶「残りを全て自分の懐に入れるようになったのですわ……」
リーダー「いわゆるピンハネだな」
リーダー「他にも陸の孤島なのをいいことに、やりたい放題だ」
リーダー「おかげで、ここ数年で地方都市はあっという間に干からびてしまった」
女召使「そ、そんな……」
皇帝「…………」
リーダー「バレるわけがない」
リーダー「地方都市の住民はこの土地を出られないよう監視されていたし」
リーダー「ヤツの部下もみんな甘い汁を吸っていた」
リーダー「首都のヤツらも行政官を信頼しているのか、ここに来ることはなかった」
リーダー「我慢の限界に達したボクらは、役所に襲撃をかけたんだ」
リーダー「警備の兵はいるし、行政官も剣の使い手だから、用心して夜中にね」
リーダー「もちろん、役人を殺せば大問題だ。ハナから殺すつもりなどなかった」
リーダー「拘束して、帝国城に連れていくつもりだった」
リーダー「するとヤツは涙を流し──」
リーダー「“全てを皇帝に話してくるから許してくれ”“それまで役所を預ける”」
リーダー「──といった」
リーダー「ヤツが善政を敷いていた時期も知ってる我々は」
リーダー「その言葉を信用したんだが──」
皇帝「行政官はまんまとお前らを反乱軍にしたというワケだ」
女召使「なんだか……思ってたのとだいぶちがいますけど……」
女召使「どうしますか、陛下……?」
皇帝「決まってるだろう」
皇帝「住民と行政官の言い分がこうも食い違う以上、どちらかが嘘をついている」
皇帝「住民と行政官、両方を裁判の場に出して正式に裁く」
皇帝「……十中八九、嘘をついてるのは行政官の方だろうがな」
皇帝「来て正解だった」
皇帝(俺の目論み通り、どうやら平和的解決ができそうだ)
皇帝(そして解決したら正体を明かし、童貞を──)
すると──
農民「た、大変だべ!」
リーダー「軍が!?」
女商人「私たちを反乱軍として叩き潰すつもりね……!」
女僧侶「そ、そんな……」
ガヤガヤ……
役所のそばには、帝国軍が迫っていた。
女召使「兵隊がいっぱい来てますね……」
女召使「でもへっちゃらですよね! なんたって、ここには陛下がいますから!」
皇帝「…………」
皇帝「いや、これはマズイかもしれんな」
女召使「え?」
行政官「役所に立てこもるヤツらは、皆殺しにするのです!」
行政官「後から本隊を率いてくる軍団長殿の手を煩わせてはなりません!」
新兵A「はいっ!」
新兵B「はいっ!」
新兵C「しかし、皇帝陛下の捜索はいかがいたしましょう?」
行政官「…………」
行政官「どうやら知らぬうちに、追い抜いてしまったようですね」
行政官「今は陛下のことは忘れ、反乱軍の駆除に集中するのです!」
行政官「君たちのような新兵に活躍の場を与えてやるのですから、存分に働きなさい!」
新兵C「はいっ!」
皇帝「……それに新兵ばかりだ。多分、俺の顔なんか知らないだろう」
女召使「えっ!? ってことは──」
皇帝「行政官は、ここの住民もろとも俺を殺すつもりのようだ」
皇帝「殺した後は、それを住民の仕業だとなすりつければいい」
皇帝「そうなればもう、自分の不正が明るみに出ることはない」
女召使「ど、どうしましょう……!」オロオロ
女召使「こっちには戦えそうな人なんて、ほとんどいないのに……!」
皇帝(まもなく攻撃が始まるだろう)
皇帝(死んでたまるか……)
皇帝(──童貞のままで!)
リーダー(まちがいなくヤツらはボクたちを皆殺しにするつもりだ!)
リーダー(こんなことになるなんて……! どうすれば……! あああ……!)
皇帝「おい、リーダー」
リーダー「な、なんだ!?」
皇帝「帝国軍は到着したばかりで、攻撃開始までもう少し時間があるはず」
皇帝「今のうちに仲間に、窓や扉を障害物で塞ぐよう、指示してくれ」
皇帝「あとは大量の砂と、狩猟用の網を持ってこさせてくれ!」
リーダー「そんなことをして、どうなる!?」
皇帝「籠城する」
リーダー「籠城!? こっちは素人集団だ、勝負にならない!」
皇帝「向こうも新兵ばかりだ! 死にたくなければ、さっさとしろ!」
リーダー(通りすがりの童貞のくせして偉そうに……!)
リーダー(だが、なぜだろう……なんだか逆らえない雰囲気がある)
リーダー「わ、分かった……! やってみよう……!」
新兵B「オイ、あまり緊張するなよ! しくじるぞ!」ドキドキ
新兵A「お前こそ!」ドキドキ
行政官(経験を積ませるという名目で連れてきたが、やはり頼りないですね)
行政官(しかし、反乱軍はろくな武器も持たない素人の寄せ集め)
行政官(……十分皆殺しにできる)
行政官(もうあの中にいるかもしれない、皇帝ごとね!)
行政官「よし、準備のできた者から入り口から突入するのです!」
行政官「一人も逃がしてはなりませんよ!」
新兵A「このドア、ビクともしないぞ!」
新兵B「こっちの窓もだ!」
新兵C「出入り口が全て封鎖されてる!」
行政官「…………」
行政官(籠城か……! てっきり逃げまどうものとばかり……)
行政官(私をあっさり逃したヤツらに、こんな知恵や度胸があるとも思えませんね)
行政官(やはり、中には皇帝がいる!)
行政官(マズイ……後続の軍団長の部隊が到着するまでに)
行政官(なんとしても皇帝を殺さなければ……!)
リーダー「ふぅ、間一髪だったな」
皇帝「この役所は頑丈だ。ヤツらの装備では壁を破壊することはできない」
皇帝「しばらくは持つだろう」
女商人「でも、私らが袋のネズミってことにはかわりないわよ!」
農民「んだんだ」
皇帝「任せろ。俺は攻めるのは苦手だが、守りには長けている」
リーダー(さすが童貞)
女召使(陛下……かっこいいです!)
新兵A「かなり封鎖が固いぞ!」
新兵B「攻城戦の演習はまだ受けてないしなあ……」
新兵C「これは軍団長の部隊を待った方がいいんじゃ……」
行政官(なにをグズグズしている……!)
行政官「一点突破です!」
行政官「どこか封鎖が脆いところを見つけて、そこに全員で突撃するのです!」
新兵A「な、なるほど!」
新兵B「よし、手分けして弱い部分を見つけよう!」
新兵C「おう!」
皇帝「色んな入り口からなだれ込まれるのが一番マズイ」
皇帝「だからここはあえて──」
皇帝「侵入させる」
皇帝「一ヶ所手薄な入り口を作っておけば、帝国軍はそこから入ってくるハズだ」
~
ガンッ! ガンッ! ガンッ!
農民「よぉ~し、こっちから開けてやるべ!」
新兵A「うわっ、急に開いた!? お、押すな──!」
ドドドドドッ!
バサァッ!
「うわぁっ!」 「ひぃ~っ!」 「お、押すなぁっ!」
大量の砂と、手製の網で、帝国軍の一団が一網打尽となった。
新兵B「行政官様、先に入った20名が捕らわれました!」
行政官「くっ……なにをやってるのです!」
新兵B「や、やはり軍団長の本隊を待つべき──」
ズバッ!
新兵B「ぐわあああぁっ! いだいぃぃぃぃぃっ!」
行政官「…………」イライラ
行政官「キサマら! 死んでも中になだれ込め!」
行政官「私に斬られたくなければな!」
農民「な、なんだべ!?」
女商人「出鼻をくじいたと思ったのに!」
女僧侶「さっきより、すごい勢いですわよ!」
リーダー「みんな、用意した砂や網で応戦するんだ!」
ワアァァァァァ……!
皇帝(行政官め!)
皇帝「リーダー、ここは任せる! なんとか死守してくれ!」
リーダー「童貞、アンタはどこへ行くんだ!?」
皇帝「別の出入口から外へ出る!」
皇帝「帝国軍の後ろにいる、行政官をなんとかする!」ダッ
リーダー「わ、分かった! 童貞、アンタに全て託す!」
女召使(陛下……!)
行政官(よしよし、あれならば時間の問題だ)
行政官(反乱軍と皇帝を殺せば、私の不正はどうにでもごまかせる!)
行政官(皇帝は反乱軍に殺されたことにすればいい!)
だが──
ザシャッ!
行政官「だ、だれだ!?」
皇帝「行政官……」
行政官「こ、皇帝陛下!? なぜこんなところに!?」
皇帝「俺はもう、全てを知っている」
皇帝「あの兵たちは俺の命令は聞くまい。すぐに攻撃をやめさせろ」
行政官「私が地方都市で重税をかけて、私腹を肥やしていたことも」
行政官「哀れな住民を反乱軍に仕立てたことも」
行政官「挙げ句、それを隠ぺいするために陛下のお命を奪おうとしたことも──」
皇帝「……認めるのだな?」
行政官「ふふ、ふふふ……」
行政官「それらは全て嘘なのでございますよ」
皇帝「!」
行政官「今役所に立てこもっているのは反乱軍であり、あなたは偽皇帝です」
行政官「なぜなら本物の皇帝は反乱軍の手で死んでいるのですから……」
行政官「私はこの剣で、偽皇帝を成敗しなければなりません」ジャキッ
皇帝「この地方都市の惨状は、全て俺の責任だ」
皇帝「生きて責任を取るためにも、この剣で我が身を守らねばなるまい!」チャキッ
行政官が皇帝めがけて斬りかかる。
キィンッ!
ガキンッ!
キンッ!
行政官(なんという堅い守りだ!)
皇帝(俺の剣は攻めはヘタクソだが、守りは一級品と評された)
皇帝(このままじっくり守って、チャンスが来るのを待つ!)
行政官(くそぉぉぉっ!)
行政官(どう斬りかかっても、全てガードされてしまう!)
行政官(なんとかして、皇帝から攻撃させなければ──)
行政官(攻撃させる……怒らせる……挑発……)
行政官(ウワサによると皇帝は──)
行政官「く、くくく……くくっ」
行政官「すばらしい守りですね」
行政官「さすがに未だに童貞を守っておられるだけのことはあります」
皇帝(うぐっ……)
皇帝「ふ、ふん、それがどうし──」
行政官「なんでもマザコンが過ぎて、女に興味が持てなくなっていたとか」
行政官「なんなら墓でも掘り返して、母親で童貞を捨てたらどうです?」
皇帝「きっ……」
皇帝が怒りの剣を振るう、が──
スカッ
皇帝「あっ」
行政官「さすが童貞、攻めはヘタのようで」
皇帝「し、しまっ──」
ザシュッ!
行政官「む!?」
皇帝「あ……っ!」
女召使「へ、へいか……」
皇帝「お前、どうしてここに!?」
女召使「あたしは……しごとは、へいかの、おせわを……」
女召使「すること、ですから……」ガクッ
皇帝「お、俺なんかをかばって……」
行政官「ちいっ……だが次の一撃で──」ジャキッ
皇帝「…………」
行政官「!」ビクッ
少女召使「全然! あたしの仕事は陛下のお世話をすることですから!」
皇太子「やっぱりどこかおかしいよ、お前」
~
皇太子「母上ほどじゃないが……お前も少しはいい女だな」
少女召使「今なにかいいました?」
皇太子「い、いや……なんでもない」
~
皇太子「……俺は皇帝になんかなりたくないっ!」
少女召使「じゃあ、あたしが太子に変装しますから、そのスキに城から逃げて下さい!」
皇太子「え!? いやいやいや、そんなことできるワケないだろ! 冗談だ!」
少女召使「冗談だったんですか……でも」
少女召使「もし本当に逃げたくなったら、あたしはいつでも協力しますよ」
皇太子「…………」
皇帝(俺は今でも女嫌いだっただろうし、皇帝であることを放棄していたかもしれない)
皇帝(……ありがとう)
皇帝(俺がしっかりしていれば──)
皇帝(行政官をここまでのさらばらせることもなかったし)
皇帝(住民たちを戦わせることもなかったし)
皇帝(お前をこんな目にあわせることもなかった……!)
皇帝が行政官を睨みつける。
行政官(怒っている、怒っている……好都合だ!)
行政官(さあ攻撃してこい! 次の一撃で決めてやる!)
行政官「!?」ビクッ
皇帝「我は第10代帝国皇帝である!!!」
皇帝「この我に、刃を向けるとはなにごとか!!!」
行政官「は……はうっ!」
行政官(な、なんだこの迫力は……)ガタガタ
行政官(ここで皇帝を斬らねば私は破滅する)
行政官(破滅すると分かっているのに──)
行政官(コイツ、いやこの方を斬る? で、できるワケがない……)ガタガタ
行政官(刃を向けることすら……でき、ない……!)
行政官「ひ……」
行政官「ひぃぃぃぃぃっ!」ガバッ
新兵A「俺は皇帝の顔も声も知らないが……分かる」
新兵B「うぅっ……お、俺もだ……!」
新兵C「あのお方は、皇帝陛下だ!」
農民「あの人は皇帝だべ! たとえ皇帝じゃなくても皇帝だべ!」
女商人「うん……間違いないわよ」
女僧侶「驚きですわ……」
リーダー(とても信じられないが──)
リーダー(あれほどの迫力を見せつけられては、信じざるを得ないな)
リーダー(童貞は……皇帝だった!)
……
…
皇帝(あれからすぐ軍団長の後続部隊が駆けつけ──)
皇帝(地方都市の惨状は全て明るみに出た)
皇帝(行政官は部下共々捕縛され、裁判にかけられている)
皇帝(そして俺は──)
皇帝(二度とこういうことが起きぬよう、交通網を発達させることを決意した)
皇帝(この帝国内から、孤立した町や村をなくすために……)
皇帝(モテ期到来である)
皇帝(人生に一度あるとかないとかいわれるモテ期が、ついにやって来たのだ)
皇帝(俺は積極的に各地方を視察するようになったが)
皇帝(行く先々で、女性から声援を送られる)
皇帝(悪い気はしない)
皇帝(むしろいい気分だ)
皇帝(童帝まっしぐらだった俺が、ついにスポットライトが浴びる時がきたのだ)
皇帝(だが、立場が変わって分かることもある)
おれたちを裏切りやがったか
側近「いよいよ今日ですね」
先代「うむ」
側近「皇帝陛下は本当にご立派になられました」
側近「あの事件で、多くのものを得たようです」
先代「そうだな、アイツにならばこの国を任せられる」
先代「じゃが、失ったものもある」
先代「いや……今日これから失うというべきか……」
皇帝「──職場復帰、おめでとう」
皇帝「すでに見舞いの時に伝えたが……」
皇帝「今日ここで俺の童貞を奪って欲しい」
皇帝「お前を傷つけられ、モテ期を経て、俺はようやく気づいた」
皇帝「俺はお前をずっと抱きたかったのだ」
女召使「陛下……」
女召使「あ、あたしなんかで……よかったら……」
女召使「よろしく、お願い……します……」カァァ…
皇帝「よ、よし……」ゴクッ
皇帝(あ、焦るな……俺は皇帝だ)ドクンドクン
皇帝(あの行政官たちを威厳だけで屈服させたのだ、自信を持て!)ドクンドクン
女召使「あっ……」ドサッ
皇帝(次は……服を脱がさねば)
皇帝(胸のボタンを……)ムギュッ
女召使「痛っ!」
皇帝「げっ!」
女召使「へ、陛下……もっと優しくして、ね……?」
皇帝「ご、ごめんっ!」ゴクッ
皇帝「えぇ~と、えぇ~と……」キョドキョド
皇帝(い、いかん! 早くも、どうすればいいのか分からなくなった……!)
女召使「ふふ、今夜は長くなりそうですね……」
皇帝「そ、そうですね……」ゴクッ
………
……
…
歴史書にはこう記されている。
【10代皇帝(大陸暦619~702 在位:636~702)】
9代皇帝“慈帝”の長子。
若くして帝位を継いだ後、自身の世話係だった女性を皇后に迎える。
政治、産業、外交とあらゆる場面で優れた手腕を発揮した。
特に地方官吏の腐敗を目の当たりにした経験から、国内の交通網の発達に力を注いだ。
この時代、いくつもの道路が整備され、帝国領内が一つになるきっかけを作った。
まさしく国が大きく発展する道を築き上げたといっても過言ではない。
彼がいなければ、今日の帝国の隆盛はなかったかもしれない。
死後、10代皇帝はその功績を称えられ“道帝”の名を冠せられた。
<おわり>
最後までどうていか
そうきたか
いいオチだ
Entry ⇒ 2012.09.11 | Category ⇒ その他 | Comments (2) | Trackbacks (0)
京太郎「『全国麻雀大会身体検査のスタッフを募集中』……?」
京太郎「(牌の持ち込み等の不正防止のためには必要なんだろうけど……)」
京太郎「(バイト代は……安っ! でも大会の裏側ってちょっと興味あるな)」
京太郎「(よし、応募してみるか)」
「あ、ありがとうございましたっ////」
京太郎「ふぅ……、身体検査も楽じゃないなぁ……」
京太郎「次の人どうぞ~」
咲「お、お願いします………って、え?」
京太郎「おお、次は咲だったか」
咲「きょ、京ちゃん!? どうしてここに!?」
京太郎「どうしてって……身体検査のスタッフだよ」
咲「そ、そんな冷静に……」
咲「もしかして……(京ちゃんに裸見られちゃうのぉ!?)」
京太郎「それじゃあ咲」
京太郎「服、脱ごうか」
咲「 」
京太郎「うん、異常なし。 もう行っていいぞ」
咲「あ……ありがとうございました……////」
京太郎「……咲の奴、随分息荒かったな。 緊張してたのかな?」
京太郎「まぁいいや。 次の人、どうぞ~」
和「お願いします……って須賀くん!?」
京太郎「咲がいるだもん、和もいるか。 やぁ」
和「そ……そんな……どうして…///」
京太郎「スタッフのバイトだよ。 それよりほらここ座って」
和「で……でも私……男の人に裸なんて……初めてで……///」
京太郎「そうかぁ……それじゃぁ」
京太郎「和の初体験は俺が貰っちゃおうか」
和「 」
和「……うぅ……///」
京太郎「どうかしたか? 診た限りじゃ至って健康極まりない綺麗な体だったけど……」
和「っ、!? は、恥ずかしいこと言わないでください……////」
京太郎「……また胸でかくなってる気がするなぁ。 ホント、可能性は無限大だぜ」
京太郎「次の人どうぞ~」
優希「へい! よろしく頼むじぇ!……おおっ!?」
京太郎「おっす。 相変わらず元気だなお前は」
優希「京太郎……私に会いたくてこんなトコロにまで……」
京太郎「はーい、腕伸ばしましょうねー」
優希「コラァ! レディに向かって何たる扱い!」
京太郎「漫才してる暇は無いんだよ。 ほらさっさとするぞ」
京太郎「夫婦漫才ならいつでもしてやるから」
優希「……えっ!?」
優希「……あぅ……///」
京太郎「?」
京太郎「……検査中は随分しおらしかったな……。優希も人並みの恥じらいはあるってことか」
京太郎「次の人どうぞ~」
久「よろしくおねがいしまーす……ってあらま」
京太郎「部長。 その節はどうも」
久「……須賀くん……。 いくら健全な高校生だからと言ってこんな所にまで……」
京太郎「人を犯罪予備軍みたいに言わないでくださいよ」
久「どうせバイトでしょうけど……。 ふふ、私の体に見蕩れても知らないわよ?」
京太郎「そりゃあ、難しいなぁ」
久「えっ?」
京太郎「だって部長、俺好みなスタイルなんですもん」
久「 」
久「……須賀くんって意外と……」
京太郎「えっ?」
久「……いや、なんでもないわ……ええ、なんでもないもの……」
京太郎「……部長がモゴモゴしてるなんて珍しい。なにかあったのかな?
京太郎「……まあいいや、次の人どうぞ~」
まこ「おう、頼むわ…………ぁあああ!?」
京太郎「まこ先輩っ、声大きいですよっ」
まこ「わ、わりゃぁ……なにしとんじゃ……ああぁ…///」
京太郎「見ての通り、身体検査係員ですけど」
まこ「い、いけしゃあしゃあと……」
京太郎「ほら、時間もありませんし」
京太郎「まこ先輩の体、俺に見せてください」
まこ「うぇえええええ!?」
まこ「お……おおぅ……おうおうおう……」
京太郎「先輩、そっちは入り口です」
京太郎「目が定かじゃなかったな……。 一応先生呼んどくか」
京太郎「さてと。 少し休憩するか」
____________________________
____________________________
咲「きょ……京ちゃんに……見られちゃった……////」
和「……もう、お嫁に行けません……////」
優希「……夫婦……私と……アイツが……///」
久「……なんか随分と呆けてるわねぇ……。 あら、まこ。 お帰り……」
まこ「ぶ、ぶぶ、部長ぉ……いい、今帰ったわ……あわわわ……」
久「………」
久「……こりゃぁ、面白くなってきたわね……!」
『龍門渕高校の生徒は、速やかに身体検査場に集まってください』
純「おーい、オレらの番だぞー」
透華「やっとですね……。待ちくたびれるかと思いましたわ!」
一「ここに来て15分も経ってないよ。 全く、透華は短期なんだから…」
純「おめーら忘れもんは無いかー?」
智紀「……」コクコク
一「まるでお父さん見たいだね、ジュンくん」
純「うるせーオレは女だよ」
純「……って、衣の奴は?」
透華「もう先に行きましたわよ?」
純「……」
一「身体検査なんて衣には初めてだろうしね、待ちきれなかったんでしょ」
透華「衣のことですから心配ないでしょう……。 それじゃあ行きましょう?」
智紀「……」コク
テテテ
ピョン
衣「衣だ! 気楽に頼むぞ!」
京太郎「おお、龍門渕の。……何故俺の膝の上に?」
衣「わからん! ……だが差し支えなければこのままで頼みたい」
京太郎「……」
京太郎「まあいいか」
衣「~♪」
衣「むっ。 人を見附で判断するのは好かんぞ。 こう見えても衣はおとななのだ!」
京太郎「……」
衣「なんだ? 衣の顔に何かついてるか?」
京太郎「……いや、なんでもないです。 それじゃあ服を脱いでください」
衣「うむ、頼んだ」バッ
京太郎「……?なぜ万歳を?」
衣「ん? 万歳は脱がせやすくする為にするものだとハギヨシから聞いたぞ?」
京太郎「あ、俺が脱がすのか。 んじゃ、失礼しますね」
衣「んっ……。 どうだっ?」
京太郎「ええ、とても脱がせ易かったです。 ありがとうございました」
衣「えへへ。 衣、偉いか?」
京太郎「偉い偉い」ナデナデ
衣「ふぁっ……」
衣「……えへへー////」
衣「はーい! ありがとうきょーたろー!」バイバイ
京太郎「またねー」バイバイ
京太郎「……やっぱどう見ても年上には見えねえなぁ」
京太郎「撫でられると喜ぶ所とか歳相応だと思うし……」
京太郎「……世の中広いんだな……」
衣「とーかー」テテテ
透華「おかえりなさい、衣。 ちゃんと検査は受けられましたか?」
衣「うん! とっても優しく、暖かかった!」
透華「ふふ、そうですか。 ……うん?」
衣「えへへ……///」
純「失礼するぜー」
京太郎「おー、おっきいなぁ」
純「うっ……結構気にしてんだよそれ……」
京太郎「ああ、すいませんでした。それじゃ衣服はそこに置いてくださいね」
純「おうっ」
京太郎「……はい、いいですよ。異常はどこにもありません」
京太郎「至って健康な体です」
純「おう、サンキュッ」
京太郎「とてもスレンダーで綺麗な体ですね」
純「うええっ!?」
京太郎「……まあ、これは個人的な意見ですけどね」
純「あ……、ああ……」ドキドキ
一「おかえり。…? ちょっと顔が赤いよ? 熱でもあるの?」
純「い、いや。 別にどこも異常はなかったよ……」
純「無かったんだけど……」
一「?」
純「(……男に裸見せるなんて全然気にならないことだと思ってたのに……)」
純「(今思うとむちゃくちゃハズい……!!)」ドキドキ
純「ぅうあああああああああ!!」
透華「ど、どうしたのでしょう……?」
智紀「」オロオロ
京太郎「ホント、世界は広いなぁ」
京太郎「……次の人どうぞ~」
智紀「おねがいします……」ペコリ
京太郎「はい、衣服はこちらにおねがいしますね」
智紀「はい……」
京太郎「……」
智紀「……ん……」ヌギヌギ
京太郎「……」
智紀「……っしょ」
ブルンッ
京太郎「!?」
智紀「……」
京太郎「………」ジー
智紀「……あの…」
京太郎「……………」ジー
智紀「そんなに……見つめられると……」
京太郎「………………」ジー
智紀「……////」
京太郎「……あ、これでおしまいです。 出口はそちらです」
智紀「あ……ありがとうございました……」ペコリ
京太郎「いえいえ。こちらこそ、どうも」
智紀「ぁぅ……////」
智紀「えっと………」
智紀「(………)」
~~~~~~~~
京太郎「……」ジー
智紀「……////」
~~~~~~~~
智紀「っ! ////」フルフル
一「……? よ、よくわかんないけど大丈夫そうだね……」
智紀「はぃ………////」
京太郎「ふぅ……」
京太郎「…………世界は広い」
京太郎「………故に可能性は無限だ」
京太郎「我々はそれを只々暖かく見守ろうと思う」
一「珍しい呼ばれ方されたよ……、よろしく」
京太郎「はい、こちらこそ。 衣服はそちらに……」
一「……?」
京太郎「……」ジー
一「な、なにさ……」
京太郎「……あー」
京太郎「このままでいいか」
一「!?」
透華「は、はじめ!? 一体どうしたのですか!? まさか命に関わる病気でも……!」
一「そ、それは無かったけど………無かったけどぉ……!」
透華「では一体…?」
一「………うぅ……///」
透華「……?」
一「うきゃぁあああ! ////」ダッ
透華「は、はじめェ!?」
一「男の人って……! 男の人って……! ////」
一「う……うわああああああ/////」
京太郎「……」
京太郎「むしろよく今まで恥ずかしいと思わなかったもんだな……」
一『ちょっと! 脱がなくていいってどういうことさ!』
京太郎『? いや、だって……その服……』
一『…? この服がどこか変かい?』
京太郎『……ちょっとこちらに近づいて貰えますか?』
一『……?』
京太郎『……いやね? ちょうど俺からの目線だと』
京太郎『見えてるんですよ、ポッチ』
一『……』
京太郎『……』
一『……』
一『 あ!! 』
京太郎『はい』
この世界の異常に気づいたら消されるぞ
京太郎「…次の人どうぞ~」
透華「よ、よろしくお願いしますわ」
京太郎「はい。 脱いだ衣服はそちらに置いてくださいね」
透華「……」モジモジ
京太郎「……どうかされましたか?」
透華「…わたくし、生まれてこの方異性に裸を見せる経験が浅くて……」
透華「少々……恥ずかしいですの……////」
透華「ですから、至らぬ点があるかもしれません……」
京太郎「……おぉ」
透華「その……ですので……」
透華「不束者ですが……よろしくお願いします……わ……////」
京太郎「……」
京太郎「(……え?)」
京太郎「その……ただの身体検査なわけなんだし……」
透華「あ……そ、そうですわね! わたくしったら……全く……!」
京太郎「は、ははっ……」
透華「ほ、ほほほっ……」
「…………」
「…………」
京太郎「……それじゃあ」
透華「!」ビクッ
京太郎「脱がせますね?」
透華「……」
透華「はい……////」
透華「あ、ありがとうございました……」
京太郎「……」
透華「……そ、それでは…」
京太郎「 龍門渕さん 」
透華「っ、……なんですの?」
京太郎「とてもお綺麗なお体でした」
透華「 」
京太郎「出る所は出て、引っ込むところは引っ込む。 全くのムダのないパフォーム」
京太郎「その指一本一本まで丁寧に磨き上げられたかのようで、肌の肌理細やかさも素晴らしい」
京太郎「まさしく、『透き通るような華やかさ』がありました」
透華「 」
京太郎「……」
京太郎「……お大事に……」
京太郎「……休憩するか」
_____________
_____________
透華「 」
ハギヨシ「お疲れ様ですお嬢様。 検査の結果はどうでしたか?」
透華「 」
ハギヨシ「……透華お嬢様?」
純「うおおおおお!! オレってやつはぁあああ!!」
智紀「ぅぅ…………////」
一「皆……皆今まで僕のこと……そんな目で……!」
ハギヨシ「こ……これは一体……!?」
衣「また検査したいなぁ~……。 そしたらまた、撫でてくれるかな……」
ハギヨシ「……どうやら原因は検査にあるようですね……ならば」
ハギヨシ「 私も受けるべきですね 」
-カンッ!-
その嶺上牌取る必要なし!
上がったらどっかの高校書く
希望があるならどうぞ
京太郎「大丈夫ですよ、脱いでる間は俺が温めますから」
『永水女子高校の生徒は、速やかに身体検査場に集まってください』
霞「あら、私達の番ね」
巴「身体検査なんて久しぶりね~」
初美「きっと今年は大きくなってる!! ……気がします……」
春「……無駄な足掻き……」
初美「うわー!! なんでそういうこと言うんですかー!!」
小蒔「ま、まあまあ、そのくらいにして……。 そろそろ行きましょう?」
初美「うっ……、はーい……」
霞「ところで小蒔ちゃん、前より大きくなってるわよね?」
小蒔「あう……。 で、でも霞ちゃんほどじゃないし……」
霞「大丈夫、まだまだ大きくなるわよっ。 きっと」
初美「……泣きたいです……」
巴「……今は同情するわ……」
京太郎「わざわざ遠いところから来たんだ、しっかり検査しないとな」
京太郎「……最初の人どうぞ~」
初美「よろしくおねがいしま~す」
京太郎「 」
初美「? どうかしましたか~?」
京太郎「…あ、いや。 随分露出の多い巫女服だな、っと」
初美「あー、係員さんエッチですね~! 私の体に見とれちゃいましたか~?」
京太郎「(誰でもそう思うと思うけど……ここは無難に……)」
京太郎「ははっ。 まぁ、そういうことで」
初美「えっ……えええええっ!?」
京太郎「…えっ?」
京太郎「え? あ、はい……。とっても可愛いと思いますよ?」
初美「……そ、そんなっ! そんなこと言われたの……生まれて初めてぇ……////」
京太郎「(……もしかして、選択間違えた?)」
初美「うわぁ! うわぁ! どうしよう! すっごい嬉しいです……////」
京太郎「そ……それじゃあ、始めましょうか、検査」
初美「あっ! そ、そうでしたっ!」
初美「(生まれて初めて私に可愛いって言ってくれた……)」
初美「(この人になら……全部……)」
初美「それじゃ……私の全てを見てください!! ///」バッ
京太郎「うおっ!? 下まで脱がなくていいんですよ!!?」
初美「あ、ありがとうございましたー! とっても嬉しかったですよー!」
京太郎「は……はは……」
巴「おかえりハッちゃん。 どうだった?」
初美「えへ……えへへー……/// 知りたいですかー!? 知りたいですかー!?」
巴「あ、ごめん。 やっぱいいです」
初美「えへへ……可愛いって……可愛いってー!! キャー!!」
春「……どうしたんでしょう」
巴「……さぁ?」
京太郎「外見を見て一瞬デジャヴかなと思ったらそんなことなかった」
京太郎「もっと恐ろしい、3年生とは思えないあの言動と行動……」
京太郎「世界って……広い……」
京太郎「……つ、次の人どうぞ~」
春「よろしくおねがいします」
京太郎「こちらこそ。 脱いだ衣服はこちらにお願いします」
春「はい」
京太郎「(良かった……普通っぽい人だ)」
京太郎「……」
春「……」ゴソゴソ
京太郎「……」
春「……」ポリポリ
京太郎「すいません、その黒糖も置いてください」
春「 」ポロッ
春「……ありがとうございました」
京太郎「どういたしまして。 出口はそちらになります」
春「……」 つ【黒糖】
京太郎「あ、貰っていいんですか?」
春「……」コクリ
京太郎「いただきます。 ……あ、美味い」
春「……」ニコリ
春「……バイバイ」
初美「おかえりはるる! どうだったですかー?」
春「特には……」
春「……ふふっ」
巴「! 春が笑ってる…!」
初美「お……おっぱい大きくなったのかな……?」
京太郎「……美味いなこれ」ポリポリ
京太郎「次の人どうぞ~」
巴「し、失礼しまーす……」
京太郎「強張らずに、そこにどうぞ」
巴「は、はい……。 うぅ……緊張する……」
京太郎「リラックス、リラックス」
巴「あ、メガネ外したほうがいいですか!?」
京太郎「……」ははっ」
京太郎「(すっごいマトモな人だ!)」
京太郎「(良かった! 本当に良かった!)」
巴「あ……ありがとうございました……」
京太郎「……まだ緊張してたんすか……」
巴「な、慣れないことだもの……しょうが無いでしょっ。男の子に裸見せるなんて……」
巴「(しかもこの子結構好みだし……!)」
小蒔「あ、おかえりなさい巴さん」
霞「悪いところは見つからなかった?」
巴「特にはありませんでしたよ。 ……ただ……」
巴「(私好みってことは……この二人の好みでもあるのよねぇ……)」
巴「……無事を祈るわ…」
小蒔・霞「?」
京太郎「っ、……なんだ? 寒気が……」
京太郎「まぁいいや……。 残り二人っ」
「あ、失礼します……」
タプンッ
京太郎「おもち!!」
小蒔「ふえ!?」
京太郎「……すいません、少し取り乱しました」
小蒔「い、いえ。 気にしないでください……こちらこそ驚いちゃって……」
京太郎「いえいえ、こっちこそ急に叫んだりして……」
小蒔「そんな…、私こそへんな声出しちゃって……」
京太郎「……」
小蒔「……」
京太郎「(……埒があかない)」
小蒔「あ、あのぅ……それなんですが……」
京太郎「はい?」
小蒔「私の巫女服……どうも着付けが悪かったのか中々胸元が開けなくて……」
小蒔「できれば……手伝ってくれませんか?」
京太郎「oh...」
京太郎「ここですか?」
小蒔「は、はい……。 力一杯開いてください……」
京太郎「……」
京太郎「(巫女さんの胸襟に両手突っ込んで広げようとする俺)」
京太郎「(傍から見たらどんなもんだろうか……)」
グイッ
小蒔「んあんっ!」
京太郎「あ! どこか痛かったですか!?」
小蒔「だ……大丈夫です……ですから…」
小蒔「もっと……強く……お願いします……」ハァハァ
京太郎「わ……わかりましたっ」
グイッ
小蒔「ふぁんっ! んあああっ!」
小蒔「そ……そうですっ……もう少しで……」ハァハァ
小蒔「イヤンッ……はあんっ!……そこっ……いいですぅ……!」ハァハァ
京太郎「………」
京太郎「(なんでこの人息荒いの)」
京太郎「あ……開いて来ましたか…!?」
小蒔「はいっ! ……だからもっと強くお願いしますぅ……!」ギュム
京太郎「んぐっ……!」
京太郎「(抱きつかれた? え、なんだこの感触、スゲェ)」ムギュムギュ
小蒔「ふぁあ! そんなにしたら……ああっ……あああああ!!」
ギチギチ ギチッ!
小蒔「イっちゃいますぅううううううう!!!」
ドプルンッ
「その時見えたのは今でも鮮明に覚えている」
「人間にあるはずのない、『何か』が」
「俺の目の前で、神代さんの前で」
「これでもかというほど」
「 暴れていた 」
小蒔「あ…気付かれましたか?」
京太郎「俺は……。 あ、そうだ! 胸元!」
小蒔「安心してください! 京太郎さんのお陰で……ほらっ」
ドプルンッ
小蒔「ね?」
京太郎「うわ、強烈」
巴「霞さん……。 今、姫様が……」
霞「ええ……一瞬だけど、『寝た』みたいね……」
初美「中でいったい何が……」
春「……」ゴクリ....
小蒔「は……はい。 ありがとう……ございました……////」スッ
小蒔「……あの、京太郎さん!」
京太郎「は、はい?」
小蒔「……今日あったこと、私絶対に忘れません……っ///」
京太郎「……」
小蒔「……で、ではっ」トテテ
小蒔「か、霞ちゃん!」
霞「あらあら、はしゃいじゃって。 なにかイイコトでもあったの?」
小蒔「はい! 私、絶対忘れません!」
小蒔「えへ……えへへ……////」
巴「……一応お祓いしましょうか」
初美「そうですね。 なんか乗り移ってそうですし」
京太郎「……」
京太郎「そうだ、トイレ行こう。」
京太郎「……ふぅ。 次で最後だ」
京太郎「次の人どうぞ~」
霞「は~い」
ドドタプンッ
京太郎「 」
京太郎「 」
京太郎「 」
京太郎「嘘だろおい」
霞「(この子……私のドストライクだわ……)」
霞「ふふっ……」
霞「(得意分野、いかせてもらおうかしら)」
霞「係員さん? 巫女服、脱いでもよろしいですか?」
京太郎「えっ。 あ、ああ。 どうぞどうぞ……お願いしますっ」
霞「(わたわたしちゃってる……可愛いっ)」
霞「んっ……んんっ…」ググッ...
霞「ふぅっ」グイッ
※効果音はイメージにお任せします
京太郎「あ……ああ……」
霞「さて……係員さん……」
霞「しっかり検査、してくださいね?」
霞「ふふ……うふふふ……」ツヤツヤ
京太郎「お、お疲れ様でした……お出口はそちらからです……」
霞「ありがとうございましたっ。 ……とっても有意義でしたわ……ふふっ」
京太郎「(検査に有意義もなにも無いと思うけど……)」
霞「ああ、そうでした。 係員さん」
京太郎「は、はい」
霞「私達永水女子の巫女は皆伝統ある決まりごとを守ってまして」
霞「その決まりの1つにこんなものがあるんです」
「異性に裸を見せた場合、その者を生涯の伴侶としなければならない」
京太郎「 」
京太郎「え?」
霞「ふふふ……それは周りを見ても言えるかしら?」
京太郎「え……、うわっ」
初美「えへへー……京太郎さーん、一生一緒ですよー」
春「毎日黒糖、食べさせてあげる……」
巴「ま、まあ? 決まりごとだもの、しょうが無いじゃない?」
小蒔「私、将来の夢はいいお嫁さんになって旦那様の側にいることなんです……///」
小蒔「今、ようやくその夢が叶うと思うと……嬉しくて嬉しくて……////」
京太郎「……」
霞「……そういうわけで、がんばってね?」
「 私達の旦那様っ 」
-カンッ!-
それじゃあ寝る。おやすみ
読んでくれてありがとう
スレ立てするか、似たようなスレあったら乗っ取るか
改めて、支援してくれてありがとう
おうおつかれ
Entry ⇒ 2012.09.11 | Category ⇒ 咲-Saki-SS | Comments (0) | Trackbacks (0)
ともこ「恋人の先輩がヘタレで困ってる?」 ちなつ「……」
ちなつ「結衣せんぱ~い、それにしてもホントに暑いですねぇ……」
結衣「ふふ、暑さにうだるネコみたいだ、……確かに9月だっていうのにこの残暑だもんね」
結衣「そうだ、確かいいものがカバンに……」ゴソゴソ
ちなつ「……♪」ピトッ
結衣「……あのちなつちゃん、暑いのにどうしてくっつくのかな」
ちなつ「暑いからこそ、ですよ」ニコッ
結衣「あ、暑いのに引っ付いちゃうの?」
ちなつ「はいっ!」
結衣「へぇ~だから涼しくなるんだね、……ちなつちゃんって博識、すごいなぁ」
ちなつ「えへへ、だから低下しすぎないように私がセンパイを暖めてですね……」スリスリ
結衣「だ、大丈夫だよ、暑くてちょっと汗ばんでるくらいだから!!」
ちなつ「もう、今さら気にするよう仲でもないのに……」
結衣「それはそうだけど、でもやっぱり外であまりイチャイチャするのは……」モジモジ
ちなつ「むぅ、……私のことキライですか?」
結衣「えっ!?」
ちなつ「えへへ、やだもうセンパイったら……」モジモジ
結衣「そうだちなつちゃん、私扇子持ってるんだよ、扇いであげるね」パタパタ
ちなつ「なっ……もう、どうしてそこで折れちゃうんですか!!」
ちなつ「だいす、まで言ったなら、きを言って下さいよ~……」
結衣「……だ、だって二人きりならともかくこんな街中でなんて……」カァー
ちなつ「むむむむむ」
結衣「あ、あのちなつちゃん、やっぱり怒ってるよね……」パタパタ
ちなつ「いいえ、怒ってるわけでは、……扇子とっても涼しいです、ありがとうございます」ニコッ
結衣「そっか……良かった、ちなつちゃんが喜んでくれて」
ちなつ「次は私がセンパイを扇ぎますね、楽にしてて下さい」
結衣「わっ、ありがとう、ほんと暑くて汗かいちゃったんだ」
ちなつ「……へぇ」
ちなつ「結衣先輩、涼しいですか?」パタパタ
結衣「うん、ありがとちなつちゃん……」
結衣(わ、わたしの腰に手を回して、その手で扇ぐって、……密着しすぎだって……)カァー
結衣(うぅぅぅ、変な匂いしてないかな、汗の臭いとか)
結衣(大丈夫だよね、そんな嫌な顔もしてないしきっと大丈夫……)
ちなつ「んっ……センパイいい匂いです、頭の中に広がっていきます……」
ちなつ「ちょっと制服のワンピース汗ばんでる、でもこの匂い大好き―――」
結衣「やっぱりだめええええええええええええ!!」ズイッ
結衣「絶対にダメ、ほんともう駄目だから……!!」フルフル
ちなつ「結衣先輩の匂い私大好きですよ、石鹸のいい香りがふわ~っとして」ニコニコ
結衣「えっ……ほ、ほんと?」
ちなつ「はいっ、……好きな人の匂いを嗅ぎたくなるのは、当然だと思うけど」
結衣「好きな人だなんて、そ、そんなこと……」モジモジ
ちなつ「だからおあずけなんて言わないで、もっとください!」
結衣「だ、ダメだよ、……おあずけ」
ちなつ「くぅ~ん……」グスッ
ちなつ(うぅぅ、なんかちょっと距離感を感じちゃうな、もっとすりすりしたいのに)
ちなつ「あ、ニホンミツバチさんがスズメバチをどうやって倒すか知ってますか」
結衣「ず、ずいぶんと唐突な話だね」
結衣「……でも、ミツバチみたいな小さい子がスズメバチを倒せるのかなぁ」
ちなつ「ふふ、まずは何十何百というミツバチがぐわ~っとくっ付くんです!」
結衣「ふむふむ、とりあえずスズメバチを囲むんだね」
結衣「でもそれからどうするんだろう、プスプスと針で刺すんだろうか」ウーン
ちなつ「いいえ、そのまますりすりしてるだけで倒せちゃうんですよ」
結衣「えっ、ほんとに?」
ちなつ「ミツバチさんがすりすりして、どんどん敵の体温を上げるんです」ススッ
結衣「あぁ、なるほど!」
ちなつ「やがて耐えられなくなったスズメバチは哀れにも……」ピトッ
結衣「あの、近いよ、近いですちなつちゃん」
ちなつ「前置きはここまで、今のお話を実践にしてみましょうか」ニコッ
ちなつ「私がミツバチさんみたいにセンパイにくっ付くんです、うふふ……」
結衣「き、気持ちは嬉しいけど、それだと私死んじゃうよね!?」ズイッ
ちなつ「んんっ、……もう、ほんと甲斐性なしなんだから……」
ちなつ「ん~、ちょっと本屋さんに行きたいですね」
結衣「あ、いいね、私も新刊探したかったんだ、一緒に行こうか」
ちなつ「……センパイ、私の手空いてますよ?」ニコッ
結衣「えっ!?」ドキッ
ちなつ「誰か素敵な人が私の手を繋いでくれないかなぁ、ふふふ」
ちなつ「黒髪で、とってもかっこ良くて、なのにお料理が上手で家庭的で……」チラッ
結衣「……」モジモジ
ちなつ「……」ドキドキ
結衣(私だって、ちなつちゃんと手を繋いで歩きたい)
結衣(チャンスを貰ってるのに、いつも勇気が出せないんだ)
結衣(いまも足がすくんで、胸がドキドキして、倒れちゃいそうなくらい……)
結衣(あ……もし手を繋いで手汗をかいてたらどうしよう、そんなの嫌われちゃうよ)モンモン
結衣「うぅぅぅ……」
ちなつ「良かったら、わたしと……?」
結衣「ちなつちゃん、良かったらわたしと本屋へ行きませんか!?」
ちなつ「はいっ、もちろんです!」
結衣「そ、それじゃあ、行こうかっ」テクテク
ちなつ「……え」
ちなつ「け、結局手は繋いでくれないんですか!?」タタタッ
結衣「だって、手汗とかかいてちなつちゃんに嫌な思いさせたくないから……」
ちなつ「……はぁ」
ちなつ「ふむ、ふむふむ、ブライダルフェア……」ペラッ
ちなつ「……!」
ちなつ「ふふ、いいなぁこんな素敵な教会でセンパイと」ポワーン
ちなつ「やっぱり海外の教会がいいな、……えへへ、ちょっと話が飛びすぎか」
ちなつ「でも、センパイは手も繋いでくれなかった……」グスッ
ちなつ「……あれだけ拒まれるってことは、私嫌われちゃったのかな」
ちなつ「うっ、やだよそんなの……」ジワッ
結衣「わっ、このお料理美味しそう……ふふ」
ちなつ「結衣先輩、なんの本を読んでるんですか?」ヒョコッ
結衣「あっ、ちなつちゃん、これはレシピ本だよ」
ちなつ「なるほど……ふふ、センパイらしいですね」
結衣「ちなつちゃん、目元赤く腫れてるけど大丈夫……?」
ちなつ「ん、大丈夫ですよ、ちょっと目にゴミが入っちゃって、えへへ」
結衣「そっか、なにかあったかと思った……」ホッ
ちなつ「結衣先輩、そんな鼻歌まで歌ってごきげんって感じ」
ちなつ「そっか、腕を磨けば自分で美味しいもの食べられますもんね」クスッ
結衣「ううん違うよ、そういう理由じゃなくて……」
ちなつ「?」
結衣「あの、その……」モジモジ
結衣「美味しいものを作れたら、ちなつちゃんも喜んでくれるかな、と思って……」
結衣「あ、あまり器用じゃないから、レシピは少ないけど……たくさん練習してちなつちゃんに」
ちなつ「……」
結衣「……ちなつちゃん?」
ちなつ「はっ!!や、やだ私ったら、ちょっと白昼夢でした」アセアセ
結衣「ううん気にしないで、大したことは言ってないから」
結衣「それじゃレジ行ってくるからここで待っててね」タタタッ
ちなつ「……」
ちなつ「顔火照ってる、熱い……またドキッとさせられちゃった……」
ちなつ「全部センパイのせいですよ、……ばか」
ちなつ「いいお買い物できましたね、良かった良かった」
結衣「あ、……ゴメンね付き合わせる形になって、埋め合わせはいつかするからね」
ちなつ「いいえとんでもない、元々は私が本屋に行きたいって言ったんですし」
ちなつ「……それに、センパイの側にいられて私は幸せです」ニコッ
結衣「う、うん……ありがと……」
ちなつ(顔真っ赤にしちゃった、……格好良かったり可愛かったり忙しい人)クスッ
ちなつ「センパイのレシピ本の手料理楽しみにしてます!」
結衣「うん、頑張って練習しておくからね」
ちなつ「結衣先輩……」ジッ
結衣「……うっ」
結衣「じゃ、じゃあまたね、さよならちなつちゃん!!」タタタッ
ちなつ「あっ……はぁ、さすがにお別れのちゅ~は無理だったか、残念」
・・
・
ちなつ「ってことが今日あったの……」
ともこ「ず、ずいぶんと長い回想だったね、お疲れ様」
ちなつ「それでね、恋愛経験豊富なお姉ちゃんにアドバイスをと」ニコッ
ともこ「えっ!?」
ちなつ「結衣先輩のことは大好きだよ、でもこのまま押せ押せでいいのかなって……」
ちなつ「もしかしたらおしとやかな子が好きなのかもしれないし、……はぁ」
ともこ「ふーん……」
ともこ(私恋人なんて出来たことないのに、妹に先を行かれちゃったのね……)
ちなつ「そうなの!……ほんと、ここまでひどいとは思わなかった」
ちなつ「目と目を合わせて話すときですら、ちょっと頬が赤くなっちゃうんだよ?」
ともこ「……」ギクッ
ちなつ「ましてやボディタッチなんかがあった日には、やかんみたいに顔から湯気が……」
ともこ「……」ギクッ
ちなつ「お姉ちゃんは、そんなことないよね?」
ともこ「えっ!?」
ともこ「百合道ってなに!?百戦錬磨!?」アセアセ
ちなつ「ふふふ、もう謙遜しちゃって、女の子は取っ替え引っ替えで遊んでたんでしょ?」
ちなつ「……それはもう経験豊富なんだろうなぁ」ポワーン
ともこ「……」
ともこ(なにがどうしてそんなに話が膨らんだのかしら、そんなこと全然無いのに……)シクシク
ともこ(でも、その子の気持ちが分かる気がするなぁ)
ともこ(私もあかねさんの前だと、上手く喋られなかったり、触れただけで顔が赤くなったり……)ポッ
ともこ(……あぁ、私も、同じヘタレなのね)
ちなつ「うん、結衣先輩っていうの、素敵な名前だよねぇ……」
ともこ「ふむふむ、じゃあいつもちなつが結衣ちゃんをドキドキさせてるんだね」
ちなつ「……でも、不意にキュンとさせてくれるの」ポッ
ちなつ「例えば今日寄った本屋さんでね、レシピ本を見ながらこう言ったんだよ!」
結衣『私がキミのお嫁さんになるから、お料理くらいはできないとね』ニコッ
結衣『ハネムーンは熱海の温泉なんてどうかな、……夜は寝かせないからね』
ちなつ「えへへ……もう困っちゃうなぁ……」
ともこ「あ、あれ、さっきの回想と言ってること違うよ!?」
ともこ「ハネムーンが熱海って、……まぁちなつが行きたいならいいけど」
ともこ「今までの話をまとめると……」
ともこ「ドキッとさせるようなことは言ってくれるけど、行動となるとへたれる、ってこと?」
ちなつ「……」コクコク
ちなつ「つ、付き合って一ヶ月も経つのに、自分から手も繋いでくれないの」
ちなつ「おねーちゃんっ……わ、わたし嫌われちゃったのかな……こんなの、辛いよ」グスッ
ともこ「ちなつ……」
ちなつ「……ほ、ほんと?」
ともこ「可愛い妹が辛い顔をしてるのは、お姉ちゃんから見てて悲しいな」
ちなつ「……ゴメンね、いらない心配かけちゃって」ギュッ
ともこ「ふふふ、いいのよ、小さいころはよくこうして甘えてきたじゃない」
ともこ「うーん、でもどうしたものかしら」
ともこ「何かシンパシーを感じるのよね結衣ちゃんからは……」ムムム
ちなつ「……」グスッ
ちなつ「えっ……で、でも」
ともこ「私ね、結衣ちゃんの気持ちが痛いほど分かるの」
ともこ「……きっと向こうも苦しんでると思うんだ、ウジウジしてる自分が嫌でね」
ちなつ「っ……ゆ、結衣先輩は、悪くないもん……」ジワッ
ともこ「そうだよ誰も悪くない、……だから2人の仲が上手く行くようにちょっとアドバイスをね」ニコッ
ちなつ「……えへへ」クシクシ
ちなつ「女の子を1000人切りした真の恋愛無双のお姉ちゃんだもんね、お願いしちゃおうかな」
ともこ「……」
ちなつ「手はず通り、結衣先輩は今日このお家に来ます」
ともこ「……」ドキドキ
ちなつ「大丈夫だよ、お姉ちゃんが一回お話ししたいってメールで伝えてるから」
ともこ「あ、そうなんだ、それならちょっと安心かも」
ともこ「ふふん、お姉ちゃんに全部任せて、妹を悲しませるヘタレちゃんにビシッとだね……」
ちなつ「あぁもう、あまり強く言ったらダメだよ……?」
ともこ「こほんっ、とにかく結衣ちゃんが来たらここのリビングまで案内してあげて」ニコッ
ちなつ「う、うん……ほんとに大丈夫かなぁ」
<ピンポーン
ちなつ「あ!結衣先輩だねきっと、それじゃここまで案内してくるから!」タタッ
ともこ「……はぁ」
ともこ「まいったな、恋愛経験ゼロの私がアドバイスするなんて……」
ともこ「というか、ちなつの中でかなり神格化されてるような」
ともこ「ま、話を聞く限りじゃ相当うぶでへたれのようだし、大丈夫よねきっと」
ともこ「ちなつの恋人、どういう子なんだろう……」ドキドキ
ともこ「……」ドキドキ
ともこ「うぅぅぅ……結衣ちゃんの写真くらい見ておくべきだったかな」
ガチャッ
ともこ「!」ビクッ
ちなつ「こっちですよ~、あ、そこ段差なってるんで気をつけて下さいね」スリスリ ベタベタ
結衣「ち、ちなつちゃん、腕に胸当たってるよ……」カァー
ちなつ「えへへ……センパイの匂い大好き……♪」
ともこ(あぁ、なんかもう完全に尻に敷かれてるね、すでに顔真っ赤だし)
とも結衣「あ……」
結衣「は、初めましてお姉さん、結衣です、船見結衣といいます」ペコペコ
結衣「本日はお日柄も良く、お家にお招きいただいて大変嬉しく……」
ともこ「あはは、とりあえず一旦落ち着こうね結衣ちゃん」
ともこ「……」チラッ
ちなつ「あ、うん、それじゃあ結衣先輩ごゆっくり」ニコッ
ガチャッ バタン
ともこ「落ち着いたみたいだね、……改めまして姉のともこです」ペコッ
ともこ「今日はごめんなさいね結衣ちゃん、少しお話ししたいことがあって」
結衣「いえ、私も一度ちなつちゃんのお姉さんに会ってみたかったんで」
ともこ「ふふ、ちなつからは話は聞いてるよ、……素敵な恋人さんなんだってね」
結衣「そ、そんなこと、ないです……」モジモジ
ともこ(あらあら、前評判通りの恥ずかしがり屋さん、顔真っ赤にしちゃった)クスッ
ともこ(キリッとした見た目なんだけど、……ギャップがあって可愛いと思うけどな)
ともこ(いま流行りの草食系って感じかな、安心安心♪)
ともこ「うんうん、仲が良くて何よりです」
結衣「……でも本当にちなつちゃんにそっくりなんですね」
ともこ「ふふ、おてんばなところが似てるなんて言うのかな?」
結衣「いえいえ、もっとこう……」ジッ
結衣「お姉さんもお人形さんみたいに可愛らしいところとか」
ともこ「そ、そう……かしら、えへへ」
結衣「はい、……あとは透き通るな綺麗な瞳、吸い込まれてしまいそうなくらい」ニコッ
ともこ「なっ!?」
結衣「髪だってそう、……流れるように美しくて羨ましいです」
ともこ「……あ、ありがと、えへへ」
結衣「あれ、お姉さん顔が少し赤いですね、熱でもあるんですか?」ピトッ
ともこ「ふぎゃっ!?」
結衣「……私のおでこより少し熱いくらいかな、でも無理しないで下さいね」ナデナデ
結衣「お姉さんとてもいい匂いです、大人の人って感じで」
ともこ「あ、あ、あ、あ、あ、あ……」ブルブル
ともこ「アナタの一体なにがどうへたれだって言うのよっ!?」グスッ
結衣「えぇっ!?」
ともこ「どうもこうもないわよ……」キッ
ともこ「初対面のお姉さんにおでことおでこくっ付けて何がヘタレよ!!」
ともこ「そ、それからその場慣れしたような女の子の褒め方!!」
結衣「……本当のことを言ったまでです、嘘偽りなんかありません」ニコッ
ともこ「うっ……ま、またそういうこと言う!」
ともこ「絶対ウソよ、結衣ちゃんがヘタレだったら私はどうなるのよ!?」
結衣「と、とりあえず一旦落ち着いて下さい、ね?」ポンポン
ともこ「うぅぅぅ……」
結衣「いえいえ、……こういうところもちなつちゃんソックリかな」クスッ
結衣「それで、今日お話したいってことは何でしょうか?」
ともこ「うーん……ちょっと頭を整理してるから待ってね」
ともこ「ちなつ曰く結衣ちゃんは手も繋げない、大好きも言えない草食系……」
ともこ「……」チラッ
結衣「あの、私何かしましたか……」
ともこ「じゃあさっきのはなに……?」
結衣「……」
ともこ「実はね、ちなつから相談されたの、……恋人の先輩がヘタレで困ってる、って」
結衣「えっ……」
ともこ「付き合って一ヶ月が経つらしいね、それでも結衣ちゃんはさ……」
ともこ「見つめ合うと素直にお喋りできない、手も繋ぐことだってままならない」
ともこ「ボディタッチがあった日には顔真っ赤……」
結衣「ヘタレ……ヘタレ……ちなつちゃんに、ヘタレ……」ブツブツ
ともこ「うっ……な、なんか禍々しいオーラが」
結衣「……いえ、もう自覚してますから」
結衣「どうしようもないヘタレだって、手も繋げない甲斐性なしだって……」シクシク
ともこ「あれ、でもさっきは私のこと口説きに来てたよね?」
結衣「ご、誤解されるようなこと言わないで下さい!」
ともこ「私に大胆に迫れるんだから、ちなつにだって……」
結衣「あー……恋愛感情が欠片も無いんで、たぶんさらっと出来るんです」
結衣「ち、ちなつちゃんのことは大好きなんで……恥ずかしいです」モジモジ
ともこ「あ、そ……」
結衣「だ、だから口説いてなんて……」
ともこ「はい、ちなつの生写真」ピラッ
結衣「ち、ちなつちゃん……」カァー
ともこ「まいったなぁ、これは解決のしようがないような……」
ともこ「あのかっこ良さをちなつに対して出せるようになればいいんだけど」
ともこ「うーん……て、結衣ちゃん?」
結衣「うっ……う、私だって……好きって言いたいのに……」グスッ
ともこ「うんうん……」
結衣「そ、それでも、ちなつちゃんの前になると、上手く出来なくて」
結衣「うっ……それが、情けなくて、……そんな、自分が嫌で」グスッ
結衣「っ……うぅぅぅぅ……ひっ……」ポロポロ
ともこ「ちなつのことが本当に大好きなんだね、……大丈夫だよ、私も同じ」ナデナデ
結衣「……え?」
結衣「……」クシクシ
ともこ「ダメだよ手で擦ったら、綺麗な顔に跡がついちゃうから」ニコッ
ともこ「はい、このハンカチ使ってね」
結衣「っ、すみません、……なんかさっきと逆転しちゃいましたね」クスッ
ともこ「わ、私だってお姉さんだもの、かっこいいセリフの一つも言うわ」
結衣「……ふふ、ありがとうございます」
結衣「……はい」
結衣「最初会ったときは、ちなつちゃんにおでこにチューとか出来たんです」
ともこ「……はい?」
結衣「えっと、七夕で彼女が短冊にこう書いてたんです」
ちなつ『結衣先輩とキスができますように』
ともこ「……」
結衣「だから、そのお願いを叶えるために路上でチューしたんです……」カァー
ともこ「……それで今は手も繋げない、と」
結衣「でも毎日アタックしてくれるうちに、少しずつちなつちゃんのこと……」
ともこ「うん、大体の事情は分かったよ」
ともこ「いまはあの子のことが好きで好きでしょうがないんだよね」ニコッ
結衣「っ……」
結衣「……実はわたしひとり暮らしをしてて」
ともこ「へぇ、そうなんだ!」
結衣「寝る時間になると、毎日毎日心配して電話してくれるんです」
結衣「ご飯食べましたか、カギはちゃんとかけましたか~とか」クスッ
ともこ(結衣ちゃんとっても嬉しそう……ふふ)
ともこ「声が小さいかな、……大丈夫、誰も聞いてないから平気だよ」ニコッ
結衣「えっと……」モジモジ
結衣「い、いつも私のことを想ってくれるちなつちゃんが、大好きです!!」
ともこ「うんうん、よく言ってくれたね結衣ちゃん」
ちなつ「えへへ、やだもう……」カァー
結衣「あ、あれ、どうして、ちなつちゃんが……」
結衣「ううん、そんな謝らないで……」
ちなつ「えへへ、結衣先輩手を貸してもらえますか?」
結衣「えっ、うん……」スッ
ちなつ「少しずつでいいんです、まだまだ先は長いんですもん」ギュッ
結衣「ちなつちゃんに手を握られて……うぅぅ」
ちなつ「あ、やっぱり恥ずかしいですか?」
結衣「は、恥ずかしいけど、……でも落ち着くんだ、不思議な感じ」
ちなつ「……ふふ」
結衣「……」
ちなつ「何をするのもかっこ良くて、おとぎ話に出てくる王子様みたいな感じで」
ちなつ「……付き合ってくれるっ言ったとき本当に嬉しかったんです」
ちなつ「だって、あの憧れの人とそういう関係になれるんですもん」ニコニコ
結衣「……幻滅しちゃったよね」
ちなつ「ふふ、まぁ蓋を開けたらこんな王子様でしたもんね」
ちなつ「……それでも嫌いになるなんてあり得ませんよ」ギュッ
結衣「ちなつちゃん……」
ちなつ「こうやって手を触れ合うのも、目を見て見つめ合うのも」ギュッ
結衣「……うん」
ちなつ「センパイから私の手を引いて歩いてくれること、待ってますからね」
ちなつ「焦らなくても私はあなたを嫌いになったりしません、……ずーっと側にいますから」ニコッ
結衣「……ありがとう、ちなつちゃん」
ともこ「あっついあっつい……」パタパタ
結衣「お姉さん、本当にお世話になりました」ペコッ
ともこ「いえいえ、結局は大したことできなかったもん」
ともこ「それより良かったらまた遊びに来てね」ニコッ
結衣「……はい!」
ちなつ「今日はどこへ行きましょうか、……あ、となり町で映画なんてどうです?」
結衣「映画かぁいいねそれ、とりあえず駅に行こうか」
結衣「……」
結衣「ご、ゴメンね……電車の時間、近いから」ギュッ
ちなつ「あっ……えへへ、駅までちゃんと私の手引っ張って下さいね」
結衣「……うん」ニコッ
ともこ「そうよ、結衣ちゃんだって頑張ったじゃない……ファイトファイト……」
ともこ「……」ピッポッパ
ともこ『もしもしあかねさんですか、はいそうですともこです』
ともこ『……ご、ごめんなさい急に電話しちゃって、ちょっと伝えたいことが』
ともこ『あの、もし日曜日が空いていたら……その』
ともこ『わ、私とデーt ……いや、遊びに行きませんか!?』
おわり
ともあか編も書いていいのよチラッチラッ
これはいいものだ……
Entry ⇒ 2012.09.11 | Category ⇒ ゆるゆりSS | Comments (0) | Trackbacks (0)
折木「千反田が事あるごとに腕に抱き着いてくる」
千反田「おーれっきさんっ」キュッ
折木「…なんだ」
千反田「今日はとてもいい天気ですねっ」
折木「そうだな」
千反田「ここのところいっつもいいお天気ですねっ」
折木「…そうだな」
千反田「ふふふっ」スリスリ
折木「実は俺は今読書をしているんだ」
千反田「はい、そのようですね!」ギュー
折木「…この体勢は読書には向かないと思わないか?」
千反田「私のことはお気になさらず、どうぞ続けてください!」ニギニギ
折木「腕をニギニギされると落ち着かないんだが…」
千反田「すみません…」スリスリ
折木「顔をこすりつけるのもやめなさい」
千反田「折木さんはいつも片手で本を支えて同じ手でページをめくっています!
折木「…よく見てらっしゃるこって」
千反田「ふふっ、つまり読書の間は片手が自由…ですよね」
折木「…まあ…そうなんだが…」
千反田「ふふふっ」ギュッ
折木「……………」ペラッ
千反田「……………」
千反田「………………」ポスッポスッ ←頭を肩近くにぶつけている
千反田「………………」スリスリ ←顔を二の腕にこすりつけている
千反田「…………………………」 ←ちょうどいいポジションが見つかったらしい
折木「」パタン
千反田「まだ章の途中ですよ?」
折木「いや、いいんだ」
千反田「そうですか…」ニギニギ
折木「さて、千反田」
千反田「ふぁい…」
折木「そこに座りなさい」
千反田「もう椅子に座ってます…」
折木「…じゃあそのままでいいが、一先ず腕を離せ」
千反田「いやです」
折木「……………………」
千反田「いやです」
折木「ここは学校だ」
千反田「はい」
折木「さらにここは部室だ」
千反田「そのようですね」
折木「そして俺達は男女だ」
千反田「よかったです」
折木「ん?」
千反田「私、女でよかったです…こんな心地好さを味わえたのですから…」スリスリ
折木「……いや…そうじゃない…そうじゃないんだ千反田…」
折木「…とりあえず腕から離れてくれ、もう下校時間だ」
千反田「もうそんな時間でしたか…」
折木「(やっと自由になった…)」プラプラ
千反田「では折木さん、戸締まりをして帰りましょうか」
折木「ああ…」
千反田「ではまた明日、折木さん」
折木「…ああ」
折木「…部室から出るといつもと同じなんだよな…」
折木「…ただいま」
折木「日に日に千反田の距離が狭まっている」
折木「…まあ普段からして接近しすぎというのはあったんだが」
折木「先週辺りから部室での定位置が変わりだしてだな」
折木「三日前ついに距離がなくなってしまったわけだ」
折木「その日は肩に頭を乗っける程度だったんだが」
折木「今日は一度も腕を離して貰えなかった」
折木「明日はどうなると思う…里志よ」
福部「ゴメンちょっと近所の犬がうるさいから切るね」
供恵「最近弟が女の匂いをさせて帰ってきます…お姉ちゃんは悲しいですなう…」カタカタ
次の日
千反田「んっふっふー♪」ギュゥゥゥゥゥ
折木「…ご機嫌だな」
千反田「とてもとてもいい気持ちですっ」
折木「…さいで」ペラッ
千反田「んふふー♪」スンスン
摩耶花「ねぇ待って待って待って待って、ちょっと待って」
摩耶花「なんでちーちゃんは折木に後ろから抱き着いてるの?首に手回して、ねぇ」
折木「久しぶり部室に来たところでいい質問だ伊原」
千反田「摩耶花さんはしちゃダメですよ?」ギュゥゥゥ
折木「っ、おい、首絞まってる」
千反田「あっ…すみませ……んぅ……」スリスリ
摩耶花「幻覚じゃないのね…えー…なにこれ……」
千反田「んー♪」スリスリ
折木「まぁ入口なんぞに突っ立ってないで座ったらどうだ」
摩耶花「…言われなくても座るわよ…」
摩耶花「…………………」
折木「……………」ペラッ
千反田「……………」ゴロゴロ
摩耶花「…………………)」
折木「(まさか今日は後ろに回り込んでくるとは…)」
折木「(はっきりいってこの体勢は今までで一番まずい…)」
折木「(明言はしないがとにかく柔らかい)」
折木「(しかもポジション確保の為にしょっちゅう動いては押し付けてこすりつけてくる)」
折木「(全身に力が入らん…)」
摩耶花「えと…ふくちゃんね、今日も来れないって」
千反田「そうですか…」
摩耶花「うん…」
折木「…………………」ペラッ
千反田「……………………」ネジネジ ←襟足の毛をいじって遊んでいる
摩耶花「………………」
摩耶花「えと…じゃあ私…漫研に顔出してくるねっ!」
折木「(逃げられた…)」
千反田「はぁ…♪」 ←首筋の匂いを堪能している
折木「…立ちっぱなしで疲れないか」
千反田「へっちゃらです」
折木「椅子に座ったらどうだ」
千反田「それでは首に上手く手を回せません!」
折木「…さいで」
千反田「です♪」ギュッギュッ
千反田「…折木さん、今日体育はありましたか?」スンスン
折木「いや、今日はずっと室内にいたが…まさか匂うか?」
千反田「…ということはこれは、100%折木さんの香りなんですね…」
折木「お前は何を言ってるんだ…」
千反田「はあぁ…」ポフポフ ←髪に口と鼻を埋めている
千反田「♪」スーハースーハー
折木「(読書ができん…)」
千反田「…………」
千反田「えいっ」ハムッ
折木「んうぃ!??」
千反田「んむぅー…」ハムハム ←耳をはむはむしている
折木「っ!千反田!それ止め!!くっ、ぁ!?」ゾクゾクゾク
折木「っくぁ…ほんと…ゃめ…ぁぃぁぁ」ゾクゾクプルプル
千反田「おれきさん…ここがお好きなんですね……」ハムハム
折木「っ…………………ッ!!」ビクン
折木「っぅだぁ!!!」バッ
千反田「ひゃっ!」
折木「いい加減にしろ!悪ふざけにも限度があ…………」
千反田「………お、おれき………さん……」
折木「(とにかく逃れつもりで体を後ろに向けたのだが…)」
折木「(千反田が手を回したままだったから…その…)」
折木「(手を回したまま顔が向かい合って…)」
折木「(この体勢は…)」
折木「…………………」
千反田「…………………」
折木「……」
折木「……………」
千反田「……ん………」
折木「……柔らかいな」
千反田「…折木さんもです……」
折木「…………」
千反田「…………はぁ…」ギュゥゥゥゥゥ
折木「立ってるの辛いだろ、座れ」
千反田「では…失礼しますね」
折木「…俺は椅子じゃな…」
千反田「んもう…これくらいいいじゃないですかもう」ギュッ
折木「……それもそうだな」ギュッ
翌日
摩耶花「」
里志「」
千反田「おーれっきさんっ」チュゥゥ
折木「んむっ…………ぷは………ちょっとは休まないか……んむ!……」
千反田「……はぁ……!もう!おれきさんかわいい!もっとします!んー♪」チュッチュッチュッ
折木「(もうどうにでもなれ…)」
終われ
後のスレはもう好きにやってください
ほうたるかわいい!
おうかけよ
奉太郎「…わかった、わかったから…」
摩耶花「……」
摩耶花「(ちーちゃん…あんな近づいちゃって…)」
奉太郎「それは…~であるからして…」
える「なるほど、さすが折木さんっ」
摩耶花「(……)」
摩耶花「(…いいな)」
里志「やぁ、遅れてごめん」
奉太郎「遅いぞ、里志」
奉太郎「ん…」
摩耶花「……」ブツブツ
奉太郎「どうした伊原」
摩耶花「へ…」
奉太郎「さっきから俺の顔ばかり見て」
摩耶花「え…!?えと…その…」
奉太郎「?」
奉太郎「まぁいい、図書室行くぞ」
摩耶花「う、うん…」
奉太郎「えと…」
摩耶花「……」
摩耶花「あ…これ」
摩耶花「(この前読んだ、推理小説だ…なかなか面白かったのよね)」
奉太郎「…何見てるんだ?」
奉太郎「これは面白いよな」
摩耶花「あ…折木も?私もこの間読んだの、これ」
摩耶花「けどラストがよくわからなくて…」
摩耶花「(あれ…?もしかして…)」
摩耶花「(気になりますチャンス…?!)」
摩耶花「あっ…ぅ…」
摩耶花「(ここを逃したら…だめっ!)」
摩耶花「(誰も見てないよね…)」キョロキョロ
摩耶花「おっ、折木!」
奉太郎「うおっ」ビクッ
摩耶花「この小説のことなんだけど…」
奉太郎「どうした?」
摩耶花「結局、ラストで主人公は何を思ったの…?」ドキドキ
摩耶花「わ、私も…」
ギュ
奉太郎「え」
摩耶花「……」
摩耶花「……???」
摩耶花「(何してるの私…/?//)」
奉太郎「伊原…、落ち着け」
摩耶花「(勢い余って…抱き着いちゃった…///)」
奉太郎「離してくれるか…誰か来たらまずいだろ」
摩耶花「いや…」
摩耶花「教えてくれるまで離さないんだから…」
奉太郎「(久しぶりのデレ)」
摩耶花「(もっ…もうやけくそよ!)」ドキドキ
摩耶花「…本当?」
奉太郎「えぇと、ラストの主人公の心境だったか…」
摩耶花「う、うんっ」
奉太郎「この時、主人公は…」
摩耶花「ふむふむ…♪」
奉太郎「…と、こんな感じに解釈している」
摩耶花「…ありがと、やっぱり折木はすごいのね」
奉太郎「褒めても何も出ないぞ」
摩耶花「ま、待って…!じゃあここは?」
摩耶花「ここの中盤なんだけどさっ」
奉太郎「ん…」
奉太郎「文集見てからにしよう、ほら」
摩耶花「むぅ…」ムスッ
摩耶花「……」キョロキョロ
ギュッー
奉太郎「ぬ」
摩耶花「き、気になるからっ…」
摩耶花「…教えて?」
奉太郎「(伊原に何が起きた)」
摩耶花「うんうんっ」
奉太郎「(嬉しそうだなー)」
奉太郎「おっと…こんな時間か」
摩耶花「……」
奉太郎「そろそろ戻らなきゃだ、急ぐぞ」
摩耶花「……」キョロキョロ
奉太郎「?」
摩耶花「折木、変な事するけど…いい?」
奉太郎「…なんだ」
摩耶花「んっ」パッ
摩耶花「んー!」
奉太郎「な、なんだよ」
摩耶花「ぎゅーって…ね…折木から」
奉太郎「」
奉太郎「(伊原のツンはどこにいった)」
奉太郎「落ち着け、今日のお前はおかしい」
摩耶花「おかしくないわよ」
奉太郎「なんだって…抱き着いてきたんだ?」
摩耶花「そ、それは…そにょ…」
奉太郎「言ってみろ、言ったら抱きしめる」
摩耶花「…ずるいっ」
奉太郎「ふふ…」
摩耶花「…から」
奉太郎「え?」
摩耶花「ちーちゃんと楽しそうで…羨ましかったから…//」
奉太郎「(嫉妬たそ~)」
奉太郎「わ…わかったよ」
ギュッ
奉太郎「こうでいいのか…」
摩耶花「うん…///」ギュ
摩耶花「もっと強く…」
奉太郎「ほら」ギュム
摩耶花「…ふふっ、」
摩耶花「じゃあ、部室に戻りましょ♪」
奉太郎「おう」
おしまい
誰かイリス先輩編よろしくお願いします
でも俺はやっぱえるたそが好きたそ~
Entry ⇒ 2012.09.11 | Category ⇒ 氷菓SS | Comments (0) | Trackbacks (0)
ルルーシュ「時間を持て余すのに理由が必要か?」
かといってネタがあるわけでもないので
適当にお題をください
C.C.「ルルーシュ、お前最近疲れているのか?」
ルル「何を言うかと思えば…一体何を根拠にそんな事をのたまった?」
C.C.「先日の夜更け過ぎの事だが、私が所用でお前の部屋の前を通ったときの事なんだが」
ルル「何故お前はそんな時間に俺の部屋の前を通ったんだ」
C.C.「野暮なことは気にするな。器の小さい男だな」
ルル「事と次第によっては、俺の貞操にも心配が及ぶからな。念のために聞いただけだ」
C.C.「ふん。私が童貞坊やに色欲を抱くとでも考えていたのか? 全く以って浅はかな思考だ」
ルル「ほぅ、では改めて聞こう。 なぜお前は俺の部屋の前を通ったんだ?」
C.C.「…そ、それはだな」
ルル「口ごもるのは疚しさがお前の中に潜んでいるからではないのか?」
C.C.「そ、その……せ、生理現象だ。 …あまり言わせるな」
ルル「…俺の配慮が足りなかったな。すまない」
C.C.「こ、この事はまた後々謝罪してもらうからな。
それで本題に戻るぞ。 私がお前の部屋の前を通った際に、部屋の中から音が漏れてきていた。
その音に耳を澄まして聞いてみたら…」
肥後「じゃあ俺が」
寺門「じゃあ俺が」
ルル「それでは俺も!」
上島「じゃ、じゃあ俺が!」
肥後「どうぞどうぞ!」
寺門「どうぞどうぞ!」
ルル「どうぞどうぞ!」
C.C.「テレビのバラエティ番組に向かって、楽しそうにツッコミをしているお前の声が聞こえてきたんだ」
C.C.「……なぁ、ルルーシュ。 もし疲れているのなら、少しくらい胸を貸すぞ?」
ルル「……哀れんだ目で俺を見つめてくるな」
C.C.(今日も今日とて、私はルルーシュの代理か)
C.C.(あいつからは「あまり喋らず、堂々としていればいい」とだけ聞いたが…)
C.C.(…思った以上に暇だな)
カレン「あ、ルルーシュ! いい所にいるじゃない!」
C.C.「!?」
C.C.「おい、カレン。私は…」
C.C.(いや待てよ、これはひょっとしたら最高の暇つぶしが出来るんじゃないか…!?)
C.C.「その意見は却下する」
カレン「え!? ちょ、なんで」
C.C.「カレン。お前は確かに私の正体を知っている。
しかして周りに多数の人がいるなかで、部下が組織のトップに敬語を使っていないのは少々問題ではないのか?」
C.C.(まぁ、玉木の阿呆の事はこの際置いておこう…)
カレン「そ、そうでした。申し訳ありません!」
C.C.「さて、カレン。お前は私に何か聞きたい事があって来たのではないか?」
C.C.「そういう事ではないだろう、お前が私に聞きたいというのは」
カレン「へ?」
C.C.「例えば…そうだな。
『休日は一体何をして過ごしているのか』、『好きな女のタイプは何なのか』
もしくは…『今現在、意中の相手はいるのか』」
カレン「な、え、ちょ、え、ええ!?」
C.C.「お前が真に聞きたいのは、そういう事ではないのか?」
カレン「ル、ルルーシュ!
アンタさっき自分で公私混同はダメみたいな風に言っておきながら、それってモロ私情みたいな感じじゃない!」
C.C.「声を荒げるな。 そしてここは騎士団内だ。私に同じ事を反芻させたいのか?」
カレン「グッ…も、申し訳ありません……」
ゼロ「…さて、私に聞きたい事とはなんだ?」
カレン「ですから、先ほども申し上げたとおりに次回の作戦についての事を」
ゼロ「カレン…こうして私が機会をあげているんだ。
お前の様子を見ていて分かる。作戦などという公的なもの以外で聞いてみたいことがあったのだろう?」
カレン「そ、それは…その……」
ゼロ「私はいつもお前を見ている。 お前のことはよく知っているつもりだ」
カレン「ルルーシュが…私を、ずっと見てくれている……?」
ゼロ「ああ、私はお前をずっと見ている。 見守っている」
カレン「そ、それじゃあ一つだけ聞かせてください、ゼロ…」
ゼロ「ぶっふぅwwwwwwwwwww」
カレン「ゼ、ゼロ!?」
ゼロ「…すまない。 少々咳き込んでしまっただけだ、気にするな」
C.C.(いかん、これは面白い。 面白すぎるぞカレン…。
ここまでウブな反応を見せてくれるとは流石の私も想定の範囲外だった…!)
ゼロ「ああ、大事無い」
カレン「さっきから肩が震えているんだけれど、そんなに体調が悪いの?」
ゼロ「持病みたいなものだ、気にするな」
カレン「声まで震えちゃって…」
ゼロ「笑いを、いや、お前が素直になってくれた事への喜びを噛み締めているだけだ」
カレン「は、はい!」
ゼロ「私が恋仲となりたい人間がいるのか、という話だったな」
カレン「……はい」
ゼロ「それはだな」
ゼロ「カレン、君自身だ」
カレン「…………へ?」
ゼロ「君だ。私はそう言っているんだ」
カレン「………!?」
ゼロ「ほら、こんなに顔を真っ赤にして」
カレン「て、照れているからに決まってるじゃない!」
ゼロ「目まで涙ぐんでしまって、一体どうしたというんだ?」
カレン「…嬉しいからに決まっているじゃない。 …馬鹿」
C.C.(ダメだwwwww腹筋がwwwwwよじれそうだwwwww)
ゼロ「カレン、大事な話がある。 あとで俺の部屋に来い」
カレン「えっ…部屋って、もしかして…」
ゼロ「少々の覚悟はしてくるんだな。 多少は荒いかも知れないが、優しくしてやる」
カレン「は、はい!! …ちょっとくらい荒っぽくても、私は一向に構いません」
ゼロ「ぶっふぅwwwwwww」
カレン「ゼ、ゼロ!?」
ゼロ「いや、すまない。またしても咳き込んでしまった。 どうにも体調が芳しくないようだ。
先に部屋へ戻ることにしよう」
ゼロ「また後で、カレン」
カレン「うん…ルルーシュ……」
ルル「ご苦労だ、C.C.」
C.C.「そっちの方こそご苦労な事だ。
学生とゼロを両立する二足の草鞋は大変だろう」
ルル「お前の口から労いの言葉が出るとは珍しいな」
C.C.「なに、非常に面白いものが見れたしな。
今日の私はご機嫌なんだ」
ルル「どんなことがあったのかは知らないが、それは良かったな」
C.C.「それに、これからもっと面白そうなことが起こりそうだからな」
ルル「何の事だ?」
C.C.「こちらの話だ、気にするな。
私は一足早くアッシュフォードへと戻っておく」
ルル「ああ、分かった」
C.C.「なぁ、ルルーシュ」
ルル「どうした?」
C.C.「私たちは、共犯者だよな?」
ルル「今更分かりきったことを。 当たり前だろう」
C.C.「そうか……w」
ルル「おい、なんだその含み笑いは」
C.C.「気にするな」
ルル「全く、変な女だ」
ゼロ(真)「さて、着替えも終わって作戦プランの準備も万端だ」
ゼロ「今日も絶好の騎士団日和になりそうだな」
コンコン
ゼロ「誰だ?」
カレン「ゼロ、私です。 紅月カレンです」
ゼロ「カレンか。 構わない、入れ」
カレン「…失礼します」
カレン「何が、ですか?」
ゼロ「少々胸元が開きすぎている。
騎士団の規律の面もあるから、あまり着崩すような真似はするな」
カレン「そ、それはだって、アンタが部屋に呼ぶから…ちょっとくらい、大胆になっても…」
ゼロ「俺がお前をいつ部屋に呼んだというんだ?」
カレン「!?」
ゼロ「何を言う、俺はついさっき着いたばかりだぞ」
カレン「だ、だってアンタ私にこ、こく、こくこくは…!」
ゼロ「刻刻破?中華連邦の新しいKMFの名前なのか、それは」
カレン「し、しらばっくれて…! アンタ、男として最低よ!!」
ゼロ「カレン、深呼吸をして少し待て。未だに状況がつかめていないんだが」
カレン「わ、私に好きって言ったじゃない!!」
ゼロ「落ち着け、カレン」
カレン「優しくしてやるっていうから…凄く、恥ずかしかったのに…」
ゼロ(一体どうなっているんだ、コレは…!?)
ルル(俺が騎士団本部に来る前までに何らかのトラブルがあったと見て間違いない)
ルル(ならば俺に出来ることは)
ルル(『つい今しがた到着したばかり』で、『先刻までゼロの代理をC.C.に任せていた』ことを
カレンに説明し、この妙なちぐはぐ感を取り払うことが先決!)
ルル(この問題を解決するための条件提示はクリア…!)
ゼロ「カレン、まず落ち着いて俺の話を聞くんd……」
カレン「馬鹿ああああああああああああああああああああああ!!」
グシャ
ゼロ「」
~その頃、アッシュフォード~
C.C.「全く、今日は本当に面白かった…これならば、ゼロを演じるというのも悪いものではないな」
-end-
C.C.「なぁ、ルルーシュ。ピザが食べたい。出前を取ってくれ」
ルル「……」
C.C.「おい、聞いてるのか」
ルル「……」
C.C.「おい、ルルーシュ」
ルル「……そういえば読みかけの本があったな」
C.C.「おい、無視するな」
C.C.「なんだ、つれないじゃないか」
ルル「……」
C.C.「いつもは『ピザを取る余力があるならば、そのカロリーを別の事に消費しろ』と
口やかましく言っているじゃないか」
ルル「……」
C.C.「『合衆国ニッポン!』というネーミングとポージングを考えてやった恩義をお前は忘れたのか?」
ルル「存外早く読み終えてしまったな。音楽でも聴くか」
C.C.「ルルーシュ、馬耳東風というやつか。 こうなったら意地でもお前に相手させてやる」
ルル「~~♪」
C.C.「そこの音程外れているぞ、音痴」
ルル「……」
C.C.「ほら、そうして人に突っ込まれたらすぐ歌うのを止める。
男らしく初志貫徹で最後まで歌いきれ」
ルル「……」
C.C.「ボリュームを上げて対抗か。 だが私はその分だけ声を荒げて喋るぞ」
ルル「……」
C.C.「全く、ボリュームを上げるなら上げるで最大まで上げてみろ。
どうせ自分の耳が持たなくなったから妥協をして中途半端な大きさで留めているんだろう?」
ルル「……」
ルル「……」
C.C.「ほら、そうやって露骨に飛ばす。
いくら私が美声だからと言って、そこまで照れることないじゃないか」
ルル「……」
C.C.「なぁ、ルルーシュ」
ルル「……」
C.C.「相手をしろ」
ルル「……」
C.C.「…淋しいじゃないか」
C.C.「…!」
ルル「…どうかと聞いている」
C.C.「分かった、善処しよう」
ルル「…ふん、まぁお前の口からその言葉が聞けただけでも及第点と言ったところか」
C.C.「私だって伊達に長生きしていない。 妥協くらいは知っているさ」
C.C.「ただな、あんなそっけない態度だけはとってくれるな。 …私は存外、傷つきやすいんだぞ」
ルル「…すまなかった」
そんなに私はお前にかまけず、ピザばかり食べていたか?」
ルル「なに、簡単な理由だ。 C.C.、これを読んでみろ」
C.C.「ん? これはお前が途中で読んでいた本じゃないか」
C.C.「なになに…『人を追い詰める51の方法』?」
ルル「ゼロとして行動するなら、交渉術や行動心理学に詳しくなくてはいけないからな。
その実験として少々試してみただけだ」
C.C.「……」
ルル「ん?」
C.C.「……」
ルル「おい、C.C.。なぜ急にそっぽを向く」
C.C.「……」
ルル「C.C.、聞いているのか?」
C.C.「……」
ルル「…これが、因果応報というやつか」
-end-
ジェレミア「私ですか?」
C.C.「お前しかいないこの空間で、私はお前以外の誰に話しかければいいんだ?」
ジェレミア「それは失礼いたしました」
C.C.「で、さっきの質問の回答は?」
ジェレミア「そうですね…ルルーシュ様のお傍で働けるのであれば、それ以外で思う事は特に…」
C.C.「なんだ、ごくごくつまらない忠義だな」
ジェレミア「どのように捉えられようとも、私にはそれだけが己が全てですから」
ジェレミア「ですが…もしも本当に成すべき事が終わったのであれば…」
C.C.「…本当に欲が無いんだな」
ジェレミア「現状で精一杯なだけですよ」
C.C.「オレンジ農園でもやってみるか?」
ジェレミア「それも良いですね、我が忠義の農園とは素晴らしい」
ジェレミア「そこで馬や牛など放牧して、ちょっとした牧場を経営するのも…いいですね」
C.C.「ふん、せいぜい夢想を楽しんでいろ。 そういうのどかな夢は、嫌いじゃない」
ジェレミア「…ありがとうございます。 おかげで、私のやりたいことが少しだけ見えたような気がします」
ジェレミア・ゴットバルト
後の牧場王(マキバオー)と呼ばれる男の起源は、このような些細な会話から成るのであった
C.C.「おい、ルルーシュ」
ルル「…今何時だと思っている?」
C.C.「知ったことか。 そんな事よりも頼みがある」
ルル「俺の睡眠時間をたった一言で片付けるとはいい度胸じゃないか」
C.C.「あまり気にするな」
ルル「まぁ、目が覚めてしまったのはもう過ぎた話だ。 一体なんの用だ?」
C.C.「私の下着がどこかへ行った」
ルル「それは一般的に『無くした』というんだ」
C.C.「お前、どこにあるのか知らないか?」
ルル「俺が知るわけないだろう」
ルル「お前が俺にどんな意見を求めているのか理解しかねるんだが」
C.C.「さぁ、出せ」
ルル「何をだ」
C.C.「ここまで言っても分からないか」
ルル「正確には『分かりたくない』という心情をお前は汲み取ってくれないのか」
C.C.「ルルーシュ、お前…私のパンツ盗んだだろう」
C.C.「白羽の矢が立つとしたらお前しかいないだろう」
ルル「……根拠はどうなる?」
C.C.「なに、簡単な事だ」
C.C.「考えても見たら、情欲の盛んな坊やとずっと同じ部屋で過ごしているんだ」
ルル「お前が勝手にここに住み着いただけだろう」
C.C.「若い力に任せて押し倒されていても何ら不思議も無かった」
C.C.「いわば私は日頃から己が身の危険と隣り合わせだったわけだ」
ルル「ついに痴呆が始まったのか。長生きの弊害は怖いな」
C.C.「だがお前はそうしなかった、何故か分かるな?」
ルル「同意を求めるな。 分からん、知らん」
C.C.「お前は私の使用品で己の欲を発散していたからだ。 …違うか!?」
ルル「勝ち誇った顔でこっちを見るな。 違うに決まっているだろう」
ルル「…夜遅くに起こされて、何を言われるかと思えばいきなり犯罪者扱いか。
もしも俺が犯人ではなかったら、それなりの責任は取ってもらえるんだろうな?」
C.C.「責任もクソもあるか。 お前が犯人、事件解決。 あとは尋問を残すだけじゃないか」
ルル「どれだけ傍若無人なんだお前」
C.C.「で、被告。 どこに私のパンツを隠した?」
ルル「…全ての事柄に俺が異論を唱える前に、一つだけ」
C.C.「意見を許そう」
ルル「もしも俺が犯人ではなかったら、お前は一体どうやって責任を取るつもりだ?」
C.C.「有りえない事を大前提に置くんだな、お前」
ルル「言っておくが俺はこの容疑を全力で晴らしに行くからな…」
C.C.「ふん、その時は私の豊満な乳房をお前の好きにさせようじゃないか」
この程度だったらいくらでも許可しよう」
ルル「…さも俺がその事柄を望んでいる風に語るな」
C.C.「で、どうする?」
ルル「ふん、最初からお前に報酬などといったものは何も期待はしていない。
お前が屈服するのにはこういった責任払いが必要だと思っただけだ」
ルル「いいだろう、結ぶぞ! その契約!」
C.C.「ふん、そんなに強気でいいのか?
私はお前の行動を随時監視するから、少しでも証拠を隠滅するような素振りを見せたら
その時点でアウトだからな」
ルル「一向に構わない。 俺はシロだからな」
C.C.「ほぅ…強気だな」
コンコン
C.C.「ん? こんな時間に一体誰だ?」
C.C.「なんだ、咲世子か。 一体どうしたというのだ?」
咲世子「いえいえ、こんな夜更けに外まで聞こえるような声で話されていたから何事かと思いまして…。
あ、そういえばC.C.様。 ちょうどいい所に!」
C.C.「ん?」
咲世子「C.C.様のお着替え一式、誠に勝手ながら洗濯しておきました。
私めの部屋に置いてあるので、また後ほど持って参ります」
C.C.「……」
ルル「……」
C.C.「…一つ聞きたい。 そこに淡いピンクの下着はあるか?」
咲世子「ええ、ありますとも。 大胆な下着を持っていて、正直洗っていてドキドキものでした」
C.C.「……そうか、ありがとう」
ルル「…弁明は?」
C.C.「…ない」
ルル「…何か言うべきことは?」
C.C.「…み、見つかって一安心だな」
ルル「……」
C.C.「…悪かった。 今回の件に関しては全面的に非を認めよう」
ルル「全く…まぁ、見つかって良かったな。 俺はもう眠いから寝るぞ」
C.C.「…ルルーシュ」
ルル「なんだ? まだ何か言い足りない部分でもあるのか?」
C.C.「…責任払いの件、覚えているか?」
C.C.「ほ、ほら! もしもお前が犯人じゃなかったら」
ルル「覚えていない。 そしてこれ以上は聞く気にならん」
C.C.「わ、私はその要求を呑んでも一向に構わないぞ?」
ルル「俺自身がその願いを叶える気がない」
C.C.「…童貞坊や」
ルル「勝手に言っていろ」
C.C.「今回ばかりは流石に反省しなくてはならないからな。
今日くらいは一緒に眠ってやるぞ。 お坊ちゃんは人肌淋しいんだろ?」
ルル「…勝手にしろ」
ルル「勝手にしろ、とは言ったが」
C.C.「…zzz…zzz」
ルル「本当に勝手に人のベッドに入ってくるとは」
C.C.「…zzz…zzz」
ルル「そのくせ俺よりも早く眠りに就くとは…まるで猫だな」
C.C.「…zzz…zzz」
ルル「まぁ、眠っているなら仕方ない。起こして怒鳴るほどの元気も俺にはもう無い」
C.C.「…zzz…zzz」
ルル「…おやすみ、C.C.」
C.C.「…おやすみ、ルルーシュ」
C.C.「さて、被告人」
ルル「……」
C.C.「『目が覚めたら、おっぱいを枕代わりにしていた』。反論は?」
ルル「…ない」
C.C.「あまつさえ、谷間に涎を零して熟睡していた。 異論は?」
ルル「…ない」
C.C.「全く、人がほんの少々気を許して一緒に眠った結果がコレだ。
やはり貴様は色欲まみれの童貞坊やだな」
ルル「…お前の寝相の悪さが主な原因だろうが」
ルル「…反論の余地は、ない」
C.C.「ふふん、お前、今後一週間は廊下で寝ろ。
このままじゃあ次は本当に下着を盗まれるどころじゃないかも知れんからなぁ」
ルル「…今朝の件は不可抗力だと何度言ったらいいんだ?」
C.C.「異論は許さんぞ、ルルーシュ」
ルル「…魔女め」
-end-
ナナリー「私は、目が見えません」
C.C.「ああ、知っている」
ナナリー「私にとっては音こそが世界の色のようなものです」
C.C.「なるほどな」
ナナリー「ですから、C.C.さん。私を罵倒してください」
C.C.「…なんともまぁ吹っ飛んだ発想だな、愚かしいにも程があるぞ」
ナナリー「ああ…貴方の声でなじられるとこんなにもゾクゾクするだなんて…」
C.C.「おい、一体どういうつもりでそっちの気質に目覚めたんだ」
ナナリー「なんて冷酷な声…まるで家畜を哀れむような声のようです…」
C.C.「お前に数多の言葉を浴びせたいのは山々だが、その前に質問をいくつかさせろ」
ナナリー「はい、C.C.様」
C.C.「様をつけるな」
ナナリー「では、お姉さま」
C.C.「…この際だ。 多少の妥協は止むを得まい」
お前をそういう風にさせたのは、一体誰が原因なんだ?」
ナナリー「…事の発端はお兄様の部屋から聞こえてくる声でした」
C.C.「あいつの部屋から?」
ナナリー「その声の主は、お兄様をスラング寸前の数多の言葉でねじ伏せておりました。
それはそれはもう、ひどい言葉で」
C.C.「……」
ナナリー「それを聞いているうちに、なんというかこう胸がキュンキュンしてしまって。
気がついたら私はずっとその声の主に耳をすませていました」
C.C.「その声の主というのは…?」
ナナリー「お姉さま、貴方です」
C.C.「可愛いお前が愚かしいマゾに目覚めてしまったのは、私が原因だったというわけか…」
ナナリー「ああっ…!!」
C.C.「ええぃ、いちいち反応するな!」
ナナリー「ずっとお兄様の部屋に聞き耳を立てて、今まで過ごしてきました。
ですが、それももう限界です」
ナナリー「お姉さまに弄ってもらいたい…言葉攻めというのを体感したい…」
ナナリー「そんな私の気持ち、お姉さまに分かりますか?」
C.C.「分からない。 分かりたくない。 その気持ちを私は分かっちゃいけない」
ナナリー「そう! そんな冷たい声をもっと聞きたいから!
私は貴方にこうやって告白したんです!!」
C.C.「落ち着け、ナナリー。 そんなお前をどう扱うべきなのか私には分からないよ」
ナナリー「分からなくていいんです! 貴方の感じるまま、赴くままに私をなじればいいんです!」
ナナリー「さぁ! さぁ! さぁ! お姉さま!!」
C.C.「やめろ…車椅子なのにそんな勢いで迫ってくるな…!」
ガバッ
C.C.「はぁっ…はぁっ…!」
C.C.「夢、だったのか…」
ルル「おい、C.C.。 うなされていたぞ、大丈夫か?」
C.C.「あ、ああ。ルルーシュか。
いや、存外ひどい夢を見ただけだ」
ルル「ほぅ、お前がうなされるとは相当の悪夢だったのか」
C.C.「ああ、それはもうひどい夢だった」
ルル「寝汗まで掻いているじゃないか」
C.C.「そこまでうなされていたのか、私は…」
ルル「興味本位で訪ねるが、一体どんな夢だったんだ?」
C.C.「…お前に教えるには少々酷すぎる内容だったよ」
-end-
見初めたのは、入学式。
困ったように微笑む彼を遠目から見て、私は一目で恋に落ちた。
整った顔立ち、気品すら感じる佇まい、そして誰にでも優しい平等な態度。
瞬く間に彼は学園の人気者となっていた。
ライバルも当然ながら多かったけれど、皆に好かれる彼を私は少しだけ誇らしくも感じていた。
おかしいよね、そんなに見知った仲ってわけじゃないのに。
生徒会の副会長という事で何かと多忙な彼を手伝いたい。
そして何よりも、もっと彼の身近にいたい。
そんな率直な気持ちが私を動かす。
気がつけば、私は生徒会の一員として働くようになっていた。
ルル、と呼べるような仲になれた。
向こうも私を下の名前で呼んでくれるようになった。
そんな些細な事が凄く嬉しくて、知らず知らずに涙ぐんでいる私に気づく。
すぐに涙腺が緩んでしまうのは情けないけれど、嬉しさだけは隠せない。
本当に幸せな日々だった。
そんな日々が大好きで。
そんな彼が大好きだった。
でも、心のどこかで私は思っていた。
この恋は実らない、と。
彼に引け目を感じているわけでもない。
ただ、漠然とそう感じていた。
諦めればいい。
彼は素敵だけれど、世間を見ればきっともっと素敵な人がいるだろう。
諦めれば、きっと楽になる。
でも、それでも。
私は彼が好きだった。
私は静かに彼を思うことにした。
数多の女の子から告白をされても、一向に付き合う素振りを見せない彼。
思い切って訪ねたことがある。
「ねぇ、ルルってばなんで付き合わないの? 告白されたのに勿体ないよー!」
そう言った私の心は、少しだけギチリと痛む。
そんな彼は困ったように私に返事を返してくれる。
「好きな人が、いるから」
やっぱり、叶わない。
どこの誰に彼が恋をしているのか分からない。
ただ、それが自分じゃないのが凄く切なかった。
ふと、私の体が温かさに包まれるのを感じた。
「泣かないでくれ、シャーリー」
次に紡がれた言葉は
「好きなのは、君なんだ」
彼は本当に困ったような顔をして、私に告げる。
「君が泣いているのを見るのは、少し困る」
まるで、陳腐な三文小説のようだった。
粗末で些事な夢を…私は見ていた。
死ぬな、死ぬなと声を枯らして私に訴えている。
もしかして、夢で見たような彼の困った顔。
今の私がしている表情なのかな。
結局、この恋は実らなかった。
でも、こうして大好きな人の傍で終わるのも、少しだけロマンチックなのかもね。
幸いの名残に。
貴方と共に過ごせた思い出を。
ほんの少しだけ、書き換えて。
私の幸せな物語は幕を閉じる。
-end-
ルル「今日の任務もなんとか無事に終えることが出来た、か」
C.C.「ルルーシュ、おかえり」
ルル「ああ、ただいま…。 おい、C.C.」
C.C.「ん? どうした?」
ルル「いつの間にワインを持ち込んだ?」
C.C.「ついさっきだ。 ラクシャータが余ったんでお裾分けだとさ」
ルル「あまり飲みすぎるなよ。 明日の任務に差し支えない程度にしておけ」
C.C.「いちいち口やかましい奴だ。 美味しい酒もお前の小言で不味くなる」
ルル「好きに言っていろ。
俺はもう眠るから、遅くまで飲みすぎるなよ」
C.C.「おいおい、ルルーシュ。もう眠るのか?」
ルル「ああ。 それがどうかしたか?」
C.C.「つれない奴だな。 こうして折角の美酒があるんだ。一杯付き合え」
C.C.「貴様の脳細胞なぞ私の知ったことか。
それとも何か? 私の酒など飲めないとでも言うつもりか?」
ルル「まるで性質の悪い酔っ払いの絡み酒だな」
C.C.「ふん…やはりお坊ちゃまには酒の味覚など分からないだろうな」
ルル「なんだと?」
C.C.「ブリタニアの軍事圧力や中華連邦との交渉には飲まれない男も
たかだか酒程度のものに飲まれてしまうのが怖いのか、と言ったんだ」
ルル「つまらない冗談を言うじゃないか、C.C.」
C.C.「ほぅ、これを冗談と捉えることの出来るお前の脳はさぞ幸せなんだろうなぁ」
ルル「面白い。 俺が酒ごときに飲まれるわけがないだろう。
C.C.、余ったグラスを貸せ。 少しくらいなら付き合ってやる」
C.C.(本当に乗りやすい男だな、こいつは…)
C.C.「上質な白ワインだからな。 喉にすぅっと入ってくるのが分かるだろう」
ルル「風味だけではなく、澄んだ高原を彷彿とさせるような味わい深さも素晴らしい」
C.C.「あまり語るな。 ボロが出るぞ」
ルル「…少し黙っていろ」
C.C.「しかしまぁ、なんだ。 お前の飲みっぷりから見ると、本当にイケる口っぽいな」
ルル「…俺を誰だと思っているんだ?」
C.C.「まぁ、あまり飲みすぎるなよ。 明日の任務に差し支えない程度にしておけ」
ルル「また随分と遅く返答する鸚鵡返しだな。 俺が先ほど言った台詞と同じじゃないか」
C.C.「お前は皮肉だったんだろうが、私はお前の身を案じて言ったまでだ」
ルル「心配は無用だ。 己のセーブを俺が欠かすわけないだろう」
C.C.「どうした?」
ルル「お前、よく見たら…綺麗だな」
C.C.「ふん、何を言うかと思えば…何?」
ルル「綺麗だ。 そう言ったんだ」
C.C.「お、おいルルーシュ。 いきなり顔を近づけるな」
ルル「琥珀色の瞳、切れ長な目、整った鼻筋…綺麗だ…」
C.C.「目が据わった状態で褒められても、そ、そんなに嬉しくないぞ」
ルル「深緑の髪もよく似合っている…このまま、お前を抱きしめたい…」
C.C.「ルルーシュ。 もう寝たほうがいい。それも早急に」
ルル「なぁ…C.C.。お前は俺のことを一体どう思っているんだ?」
C.C.「共犯者。 それ以上でも以下でもない」
ルル「…本当は?」
C.C.「そ、それは…」
C.C.(そ、そんなに真面目な顔で見つめられると…)
ルル「お前は、俺を、どう…思って……」
C.C.「ほ、本当はだな! 私は結構お前の事を…」
ルル「い…るん……だ……zzz……」
C.C.「ルルーシュ?」
ルル「…zzz…zzz」
C.C.「酔いつぶれて…眠ってしまったのか?」
C.C.「電光石火で酔っ払って、光の速さで混乱を招いて、何も知らない無垢な顔で眠るとは。
なんともまぁ酒癖の悪いやつだ」
C.C.「私は、けっこうお前の事が」
C.C.「――――」
C.C.「…私も少し酔っているな。 もう眠るとするか」
C.C.「おい、ルルーシュ」
ルル「今の俺に話しかけるな」
C.C.「もうすぐ出かける時間だぞ」
ルル「揺さぶるな。 頼む、今回ばかりは切に頼む」
C.C.「『明日の任務に差し支えない程度にしておけ』」
ルル「アゴをしゃくれさせて言うな。その件に関しては不問にしておく」
C.C.「私が問いただしたいくらいだぞ」
ルル「…頭が、割れるように痛む」
C.C.「良かったな。 それが世間一般で言うところの二日酔いだ」
ルル「…俺は金輪際、アルコールは摂取しない。 絶対に」
C.C.「固い決意をしているところですまんが、本格的に出かける時間だぞ」
ルル「…今日のゼロはお前に任せる」
C.C.「ダメだ。 中華連邦で大事な会議だろう。 お前が行かずに誰が行く」
ルル「…昨日の記憶も無い。 今日の気分は最悪。
…全く以って厄日だ」
C.C.「よほど参っているな」
ルル「ナナリー…今、そっちに行くからな…」
C.C.「自分の妹を勝手に故人にするな」
C.C.「まったく、今回だけだぞ…。
ルルーシュ、こっちへ来い」
ルル「何をする気だ? 迎え酒という拷問は受け付けんぞ」
C.C.「膝枕だ」
ルル「は?」
C.C.「…私の気が変わらないうちに来い」
C.C.「それは重畳だ。意外と頭重いなお前、治ったら早くどいてくれ」
ルル「言われずとも、すぐ、どいてやるさ」
C.C.「それは良かった」
C.C.(しかして、昨日の勢いがあった男らしさはどこへやら、だな)
C.C.(こうしているとまるで、…いや、柄にも無いことを考えてしまった)
C.C.(まぁ…もう少しだけこのままでも、罰は当たらんだろう)
ルル「おい、C.C.」
C.C.「なんだ?」
ルル「お前、なんで頬が赤いんだ?」
C.C.「…私もきっと二日酔いだからさ」
-end-
ルル(これは一体、どうなっているんだ)
C.C.「…zzz…zzz」
ルル(俺が、C.C.に抱きしめられながら眠っている、だと?)
C.C.「…zzz…zzz」
ルル(しかも頭にむにゅむにゅした感触を感じる)
ルル(何故かは分からんが、由々しき事態だ)
ルル(腕を振りほどいてこいつを地面に蹴り倒す。
その拍子でC.C.は飛び起きて、寝惚けながら自分の床に帰っていく)
ルル(これで条件はクリア。完璧なプランじゃないか)
ルル(では早速、思考から行動へシフトを切り替えよう)
ルル「ふんっ!」
C.C.「…zzz…zzz」
ルル「ふんんっ!」
C.C.「…zzz…zzz」
ルル「こ、この馬鹿力め…一寸たりともほどけないとは……!」
ルル(プランB『北風と太陽』を考察するまでだ)
ルル(とは言ったものの…まったく身動きできないのは困ったな)
ルル(とりあえず、ずっと固定されて辛くなってきたから
頭の位置だけでもずらしてみよう)
ゴソゴソ
ルル(どうにももにゅもにゅした感覚があるな。
もう少し上に軸をずらしてみるか…)
ゴソゴソ
C.C.「んっ…ふぅ、ん……」
ルル(おい、妙な声を出すな)
ルル(このままではC.C.が目覚めるよりも早く、俺が永久の眠りに就いてしまう)
ルル(だが、この状態で起こされたらコイツに何を言われるか分かったものではない)
ルル(考えろ、こういった土壇場でこそ思考を止めてはいけない)
C.C.「…んうぅん、チーズ君…んふふ…」
ルル(こいつまさか、チーズ君と俺を勘違いしているのか!?
というか今までこんな馬鹿力でぬいぐるみを抱きしめていたのか…)
ルル(こうなったら、強硬手段に出るしかない)
ルル(死に物狂いでもがいて脱出。たった一つの冴えたやり方とはよく言ったものだ)
ルル「ふんぬぅぅぅぅぅぅぅぅ!」
モゾモゾ
ルル「ぷはぁ!!」
ルル「ようやく脱出、できた…か…」
C.C.「…おい、ルルーシュ」
ルル「…おはよう、C.C.」
C.C.「これは一体、どういう状況だ? 理解可能な説明を私は求めるぞ?」
C.C.「お前が息を荒げて私に馬乗りになっている。 これで充分か」
ルル「及第点だ。では、どういった状況でこうなっているか、これも理解できるな?」
C.C.「……変態め」
ルル「やはり誤解を解くのが最優先事項のようだな」
C.C.「そんなのは私のベッドの中に決まっているだろう」
ルル「では、お前は今どこにいる?」
C.C.「…何故に私はお前のベッドで組み伏せられたようになっている?」
ルル「そこまでは合格だ。 お前はもしかして、昨晩トイレか何かで部屋を出なかったか?」
C.C.「喉が渇いたから、水を飲みに起きたのはうっすらと覚えている」
ルル「そこからの記憶は?」
C.C.「…曖昧だ」
ルル「なるほど、ではそこからは俺が説明しよう」
C.C.「…お前まさか、私の飲んだ水に睡眠薬でも投入したんじゃないだろうな」
ルル「…お前はまず俺への懐疑心を捨てることから始めよう」
C.C.「この私がか? そんなこと有り得るはずが無いだろう」
ルル「前科持ちが何を言う。 続けるぞ。
そして俺の眠っているベッドへと間違って潜り込み、俺をチーズ君と勘違いする」
C.C.「お前とチーズ君を? 馬鹿を言うな。可愛さに雲泥の違いがありすぎるだろう」
ルル「…あくまで俺のは予測だ。
そしてお前は俺が寝ているのをいいことに、抱き枕代わりに俺を抱きしめた」
C.C.「…道理で妙に寝苦しいと思ったら、私はお前を抱きしめていたのか」
ルル「熟睡していた奴が寝苦しいとのたまうとは戯言にも程があるぞ…」
C.C.「…それで、いつまでお前は私に馬乗りになっているつもりなんだ」
ルル「…すまない」
C.C.「まぁ、大方理解はした。
お前の推理も一理あるだろう。これは両者痛み分けといったところだな」
ルル「…俺は危うく本当に死に掛けていたんだが」
C.C.「細かいことは気にするな」
ルル「どうした? まだ何か問題点でもあったのか?」
C.C.「お前は私に抱き枕代わりにされていたのだろう?」
ルル「…まぁ、一概にそう言えなくは無い立場にはあった」
C.C.「という事は、だ。
お前また私の胸を勝手にまさぐったな?」
ルル「天地神明に誓おう。 断じて無いと」
C.C.「しかしてお前くらいの歳が持ちうる腕力があれば、私の腕くらいすぐに振りほどけるだろう」
ルル「……」
C.C.「それなのに、あえてそれを行なわなかった。
お前、私の胸に埋もれている感触を甘んじて受けていたのか?」
ルル「ただの誤解だ。 それで証明終了でいいだろう」
C.C.「あやしいぞ、お前…」
ルル「胸を両手で隠すのはやめろ」
C.C.「……変態」
ルル「誤解だと言っているだろう!」
C.C.「それでは納得のいく説明をしてもらおうじゃないか。
『なぜお前は私の胸に抱かれたままだったのか?』」
ルル「……答えは簡単だ」
C.C.「是非とも聞かせてもらおう」
ルル「……振りほどけなかった。 それだけだ」
ルル「なんだ」
C.C.「私はこれでも一応女だぞ?」
ルル「ああ、分かっている」
C.C.「自慢じゃないが、非力だぞ」
ルル「……」
C.C.「お前、何気に物凄く格好悪いことをカミングアウトしていないか」
ルル「それで俺の疑いが晴れるならばそれでいい」
C.C.「さもやり遂げた風な体裁を取り繕っているところ申し訳ないが、未だに信じられんぞ」
ルル「…事実なのは仕方ない」
C.C.「まぁ、いい。こんな事であまり言い合うのも疲れる。 今日の所は私が折れてやろう」
ルル「折れるも何も、お前が元凶であり原因だろうが…」
ルル「…なんだ」
C.C.「もう少し雰囲気とムードというのを覚えて来い。
状況と場合によっては、考えてやらないこともないぞ」
ルル「…寝言は眠りながら言うものだ」
~後日~
咲世子「レディー、ゴッ!」
パタン
ルル「くっ、また…負けた。 これで12連敗、だと!?」
C.C.「…腕相撲で男性に勝ったのは、長い間生きているが初めての経験だぞ。
本当に貧弱だったのか、お前」
ルル「今日はたまたま調子が悪いだけだ」
C.C.「…まずは筋肉をつけることから始めてみような」
-end-
ニーナ「一人えっち、一人でやれば、怖くない」
ニーナ「…ちょっと語呂が悪すぎるかな」
ニーナ「一人でも えっちと呼ぶのが たまらない」
ニーナ「…うん、今日の一句はコレね」
ニーナ「何とはなしに感じる言葉だけれど、『えっち』を平仮名で表記することや
最後の結びに『たまらない』と付けることで
背徳感がグッと深まっている気がするわ!」
ニーナのオナニー(を題目とした川柳の)講座
ルル(今日も良き騎士団日和だ。 皆は活動に勤しんでいるだろうか?)
玉城「でよ~、ゼロの奴ってさ!」
ルル(食堂から話し声が聞こえてくるな。
どんな話をしているのだろう?
趣味が悪いのは承知しているが、少々聞き耳を立ててみるか)
玉城「『黒の騎士団』ってーの? このネーミングセンスどうにかなんねぇかなwww」
ルル「!?」
玉城「だってよ、皆も内心ではそう思ってるんじゃね?
今までゼロに対してツッコミを入れる奴がいなかったから、暗黙の了解みたいになってっけどよ」」
朝比奈「いやまぁ、実は俺もゼロのセンスはどうかと思っていたんだが」
玉城「だろ!? しかもこのご時勢にマスク被ってポージング決めるんだぜ!
ゼロを初めてみたときなんかさ、俺が厨房の頃に脳内で思い描いた姿が現実になっちまったかと思って
内心では結構慌てちまったよ」
千葉「なにアンタ、あんなの妄想してたわけ?」
玉城「うっせ! 今はもう過ぎた話だからぶっちゃけてんだよ!」
ルル「……」
玉城「ちょ、待てって。 そんなに熱くなるなよぅ」
カレン「一種の不敬罪よ。 そういう軽率な発言が士気に関わっているのを忘れないで!」
ルル(おお、カレン…やはりお前は俺の右腕だ……)
藤堂「では紅月くん。 一つ問うが、君はゼロのセンスについてどう思っている?」
カレン「…えっ!?」
ルル(…えっ!?)
玉城(まさかの藤堂サマからの発言だよ)
千葉(戦闘にしか関心がないと思っていたけれど、藤堂さんも思う節が多少なりともあったのね)
扇 (予想だにしない所からの突っ込みだったな。
見てみろ、意見を求められた本人はしどろもどろになっているぞ)
藤堂「日和見な意見は今この場で求められることではない。
君が、君の本心が、一体どういう風に思っているのか私は訊ねたいんだ」
朝比奈(藤堂さん、目が真剣そのものだ…)
千葉(よっぽど突っ込みたかったのね、ゼロのセンスに関して)
カレン「わ、私はその」
藤堂「簡単な話だ。 『君が』、『どう』、『思っているか』。
それをこの場で言うだけだ」
カレン「しょ、正直…あのセンスは無いかな~、なんて」
玉城「ほれ見ろ。 やっぱりカレンも俺たちと同じ気持ちじゃねぇか!」
カレン「わ、私はKMF用のスーツがちょっとセクハラみたいって思っただけで…!」
ルル(……四面楚歌、とはきっとこのような状況の事なんだな)
扇 「あれはラクシャータ博士が名付けたんじゃないのか?」
千葉「なんでも、ゼロ直々のデザインと名前だったって機工関連の人から聞いたけれど?
まぁそれをノリノリで作っちゃうあの人もあの人ね」
藤堂「巷で聞いた話だか、ゼロは自分のKMFにチェス盤を持ち込んでいるらしいが」
カレン「また随分と狭い巷ですね…」
玉城「それじゃあアレか、ゼロは『俺がこの戦場を支配してますよ~』って感じでKMFの中でチェス動かしてるのか!?」
朝比奈「…噂に聞く『邪気眼』というのを患ってそうだな、俺たちのリーダーは」
ルル(…今日はもう帰ろう。…しばらく外にも出ないでおこう)
ルル「……」
C.C.「帰ってきたと同時に何を言うかと思えば、『しばらく騎士団には顔を出さない』だと?
お前はどこの駄々っ子だ」
ルル「……」
C.C.「どうした? いつもの覇気が全然ないじゃないか。
なにか騎士団で嫌なことでもあったのか?」
ルル「…母さんみたいなことを聞いてくるんだな」
C.C.「喧しい。 ただでさえモヤシっ子極まりないお前が陰鬱になったら、この部屋にキノコが生えるかと心配してしまう。
お前がそんな風に落ち込んでいる原因をさっさと話してみろ」
ルル「なぁ、C.C.…」
C.C.「なんだ?」
ルル「俺のセンスは、どこかおかしいのか…?」
ルル「……」
C.C.「変じゃないに決まっているだろう」
ルル「…本当か?」
C.C.「お前と私の関係性はなんだ? 共犯者だろう。
もしも万が一お前が辱めを受けても、私とお前で半分こだ」
ルル「C.C.…」
C.C.「恥ずべきことなど何も無い。 堂々としていろ。
その方がお前らしい」
ルル「…つまらないことで迷惑かけたな、礼を言う」
C.C.「なに、構わない」
C.C.「だから早く部屋から出てこいよ。 騎士団がお前を待っているんだからな」
ルル「…ああ!」
C.C.「さて、と」
トゥルルル…トゥルルル…ガチャ
カレン「はい、こちら紅月」
C.C.「私だ」
カレン「電話先でのその傲岸不遜さ…もしかして、C.C.?」
C.C.「この美声を聞いて私以外に何を連想するんだ、お前は」
カレン「はいはい。で、用件は?」
C.C.「ルルーシュが引きこもった」
カレン「はぁ!?」
C.C.「どうにも騎士団本部に行ってから様子がおかしい。 お前、何か心当たりは無いか?」
カレン「心当たり、と言われてもねぇ…」
C.C.「どんな些細な事でも構わん、教えろ」
カレン「今日ルルーシュのやつ何故か顔見せなくてさ。
あいつに出す分のお茶菓子を私が食べちゃったくらい、かな」
C.C.「些細な事すぎる。死ね」
カレン「そ、そんな事を言われても思い当たる節が無いから仕方ないでしょう!」
カレン「あ、そうだ。強いて言うなら、今日はゼロのセンスについて少しだけ喋った事があったわ」
C.C.「…聞かせろ」
C.C.「肯定的な意見はその場で出たか?」
カレン「…残念だけど、否定派で満場一致だったわね」
C.C.「ドアはどうだ? 開いていたか?」
カレン「さぁ、そこまでは流石に気にしていなかったから」
C.C.「そうか…」
カレン「でもあそこの扉って薄いから、声だけ聞こえていたかもね……あっ!」
C.C.「気づいたか。 ルルーシュはどうやらそれを聞いていた可能性が高い。
明日の騎士団本部には私が何としてでも行かせるから、お前は根回しをして随所でゼロを褒めちぎれ」
カレン「で、でもまだ確定と言ったわけじゃないでしょ?」
C.C.「不確定でも構わん。 やれることをやるだけだ」
カレン「…了解。 私にも責任はあるからね、今回はアンタのプランに乗ってあげる」
C.C.「戦果を期待するぞ、じゃあな」
プツッ…ツー…ツー…
C.C.「これじゃあ、まるで保護者の気分だな」
C.C.「おい、ルルーシュ。今日は大事な定例議会だろう」
ルル「案ずるな、今日はしっかりと騎士団に顔を出してくる」
C.C.「そうか、それは良かった」
ルル「…? なにか良かったことでもあったのか?」
C.C.「いいや、こっちの話だ」
ゼロ「諸君、おはよう」
玉城「よぅ、ゼロ! 今日も頑張ろうぜ!」
扇 「おはよう。 お前ありきの騎士団だ、今日も一つ気合を入れてやろう」
カレン「ゼロ! おはようございます!!」
ゼロ「なんだ、今日はやたらと張り切っているな」
玉城「そりゃお前ぇ、昨日休んでたろ?
どうにも気合が乗んなかったから、その分のフラストレーションを今日ぶつけてるだけよ!」
ゼロ「フラストレーションの使い方はさておき、感心だな。 その調子で頑張れ」
ルル(なんだ…やはり俺の考えすぎだったのか…)
玉城(おい、カレン! 本当にこんな感じでいいのかよ!?)
扇 (ゼロが疲れているみたいだから、皆で励ましてみよう、か。 なかなか良い案だと俺は思うぞ)
カレン(あ、ありがとうございます!)
カレン(ルルーシュ、これで以前のように元気になってくれるかな?)
ゼロ「む? どうした、言ってみろ」
藤堂「常日頃から思っていたのだが、昨日の事もあったので良い機会だから伝えておこうと思う」
ゼロ「ほぅ、それはなんだ」
藤堂「貴殿のセンスは少々妙ちくりんではなかろうか」
ゼロ「…えっ!?」
カレン「…えっ!?」
カレン(空気読みなさいよ奇跡のM字ハゲぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!)
~その頃~
C.C.「ふふ、これでルルーシュも多少は騎士団で過ごしやすくなるだろう。
内助の功、というやつか? やるじゃないか、私…!」
-end-
カレン(もしかして、と思ってたけどやっぱり…)
カレン(また、サイズが一つ上がっちゃってる…)
カレン(もうこんなに大きくならなくてもいいのになぁ…)
カレン(どうしようかな、またKMFのスーツがピチピチになっちゃうのかな…)
C.C.「そっと耳をすま~して~♪ 遠いとおい音楽~~♪」
カレン(あれは、C.C.? i-Podなんていつの間に持ってたんだろう?)
カレン(…駄目で元々、当たって砕けろ! イチかバチか、相談してみようかな)
C.C.「~♪ ~~♪」
カレン「ねぇっつってるでしょ! 聞こえないの!!」
C.C.「…喧しい女だ。 がさつな声はレディに程遠いぞ」
カレン「はいはい、申し訳ありませんでした」
C.C.「で、用件はなんだ? 見てのとおり私は忙しい身でな」
カレン「ただ音楽聴いてるだけで忙しかったら、音楽家なんて過労死するわよ…」
C.C.「断る」
カレン「…せめて内容くらい聞いてくれてもいいんじゃない?」
C.C.「なんとなく面倒そうな気がしたからな。
こういう時の私のカンは頼りになるから信用しているんだ」
カレン「そんなに難しい話じゃないからさ、お願い! この通り!」
C.C.「ほぅ、お前がゼロ以外に頭を下げるとは珍しいな。
とりあえず話だけでも聞いてやる」
カレン「ほ、ホント!?」
C.C.「私の気が変わらないうち、というのが条件だ。ほら、とっとと話せ」
カレン「こ、ここじゃアレだから場所を移さない?」
C.C.「…仕方ない、ゼロの個室でも借りておくか」
C.C.「胸を…小さくしたい?」
カレン「う、うん」
C.C.「顔を真っ赤してまで悩むことなのか?
確かに肩は凝るが、女として生まれたからには立派な武器になるじゃないか」
カレン「アンタにとってはいいかも知れないけれどね、KMFに乗るときや走る際に凄く邪魔なの。
そ、それに男の人からどことなくエッチな目で見られている気がして…」
C.C.「まぁ十中八九、やましさ満載の目で見られているだろうな」
カレン「真顔でそういう事を言うな!」
カレン「うん、そんな感じ」
C.C.「お前はきっと無意識のうちに多くの敵を作るタイプかも知れんな」
カレン「…なんの話?」
C.C.「こっちの話だ」
C.C.「さて、本題に入ろう」
カレン「う、うん」
C.C.「まず最初に結論から言おう。 胸を小さくする方法はある」
カレン「ほ、本当に!?」
C.C.「嫌味だったら殺す。 嫌味じゃなければ数万歩譲って許してやる」
カレン「えっ、何が!?」
C.C.「無自覚でアレか…お前本当に長生きできるか心配になってきたぞ」
カレン「私の今後はいいのよ、それよりも胸を小さくする方法って何?」
C.C.「予想以上に刹那主義だな、お前」
カレン「過去は振り返らず、未来は省みずよ」
C.C.「名言風に言わなくてもいい。
さて、カレン。 この方法を教える前に一つだけ訊ねておきたいことがある」
カレン「え、ええ…民間療法的なことくらいなら、学友との話でちょっとだけ耳にしたような…」
C.C.「その方法は一体どのような事柄だった」
カレン「い、異性から、胸を…さ、触ってもらうことって聞いた…けれど…」
C.C.「ふむ、正解だ」
カレン「で、でもそれがどうかしたの?」
C.C.「いいか、カレン。 逆転の発想だ」
カレン「逆転の発想?」
では一体どのようにすれば胸は小さくなるか」
カレン「……そ、それは!?」
C.C.「その答えは非常に簡単、シンプルなものだ。
すなわち、『大きくなる事と全くの逆説的なことを行なえば小さくなる』」
カレン「そ、それってつまり…」
C.C.「そう、『同姓から胸を揉んでもらう』こと。 それが胸を小さくする秘訣だ」
C.C.「理解できたか?」
カレン「ええ、バッチリよ…でも」
C.C.「どうした?」
カレン「C.C.、アンタなんで妙に笑いを堪えているの?」
C.C.「持病だ、気にするな」
C.C.「で、どうする?
このまま帰って一人で胸について悶々と悩んでおくのか?
それとも私に揉んでもらって、胸を小さくしようと努力してみるのか?」
カレン「わ、私は…」
カレン「お、お願い、します……」
C.C.「ぶっふぅwwwwwwwwwwww」
C.C.「すまない、盛大にくしゃみをしてしまっただけだ。気にするな」
カレン「な、ならいいんだけど…」
C.C.(おいおい…あんな出鱈目、本当に信じてしまったぞコイツ…)
C.C.(溺れる者は藁をも掴むというのを私は今この目で見ているんだな)
C.C.(暇つぶしを兼ねて簡単に請け負ってみたら、存外面白いことになってきた…)
C.C.(よし、乗りかかった船だ。
ここは一つ盛大に揉んでやって、さらにサイズを一つ上げてやろうじゃないか)
カレン「わ、分かった…」
C.C.「前から優しく揉んでほしいか?
それとも、後ろから激しく揉んでほしいか?」
カレン「そ、そんなこと聞かないでよ…馬鹿……」
C.C.(いかん、楽しくなってきた)
C.C.「じゃあ、揉むぞ。今度こそ、しっかりと」
カレン「は…はい……」
ガチャ
ルル「おい、C.C.。
あれほど俺の部屋の施錠はしっかりしておけ…と……」
C.C.「………」
カレン「………」
ルル「………」
C.C.「おい、ルルーシュ。 そんな気の使い方など私は求めていないぞ」
カレン「C.C.……まだ、なの?」
C.C.「カレン、目を開けろ。 いいから目蓋を開けて私と共に弁明しろ」
カレン「で、でも…揉んでもらうの初めてだから、目を開けたままだと恥ずかしいし…」
C.C.「やめろカレン、そんな奇跡の一言なぞ私は聞きたくない」
ルル「お前たちがそういう関係というのは重々理解した」
C.C.「いや待てルルーシュ、お前はまだ何一つとして理解していない」
C.C.「強いて言うなら、お前の右腕的なポジションにいる阿呆を咎めてもらいたいのだが」
ルル「だがな、流石に公私混同はあまり感心しないな。
メリハリをつければ、好きなタイミングで逢瀬を重ねてくれ」
カレン「C.C.…じらさないで、早く……」
C.C.「カレン、お前は目と共に耳まで閉じているのか?
絶妙なテノールボイスが聞こえてきているだろう」
ガチャ
C.C.「……一人で勘違いしたまま出ていってしまった」
カレン「……」
C.C.「災禍の中心は我関せずで目を閉じたままだし…これはまた面倒なことになった…」
C.C.「ひとまずこの場を治めるためには…」
C.C.「現実逃避の意味合いを兼ねて、カレンの乳房でも揉んでおくか」
-end-
真相は闇の中
ルル「なぁ、C.C.」
C.C.「どうした、ルルーシュ」
ルル「最近お前の嗜好は変わったのか?」
C.C.「私は別に普段どおりと思うのだがな。どうしてまたそんな事を聞く?」
ルル「まず、ピザを過剰摂取しなくなった」
C.C.「お前が前々から注意していた事だろう。改善されて良かったじゃないか」
ルル「…その代わりに、やたらと果汁や柑橘系、梅干などの酸っぱいものを食すようになったな」
C.C.「最近やたらと食べたくなるんだ、放っておけ」
ルル「…C.C.、お前妙に洗面所へ行く機会も増えたよな?」
C.C.「美容と健康に気をつけるため、まず鏡で自分をチェックするのは常識だろう」
ルル(「お前、妊娠しているのか」という、僅か数秒で言い終わるフレーズが切り出せない…!)
ルル(こんなときに相談できそうなのはヤツしかいない…)
ルル「C.C.。少しスザクと話したいことが出来たんで、家を留守にする」
C.C.「おぉ、いってらっしゃいだ。旦那様」
ルル「旦那…様…?」
C.C.「どうした? いつもの冗談を真剣なリアクションで返されると流石に戸惑うぞ」
ルル「あ、ああ。もちろん冗談というのは分かっていたよ…行ってくるぞ」
ルル「ちょっと考え事をしていただけだ」
スザク「ふーん、あまり無理しないようにね」
ルル「なぁ、スザク。一つ訊ねたいことがある」
スザク「なに?」
ルル「C.C.の事なんだが、最近あいつ変わったと思わないか?」
スザク「C.C.が? うーん、別に変わった兆候とか無かったけれど」
ルル「そうか、だとすれば俺の気のせいだったな」
スザク「なに?妊娠でもしたの?」
ルル「お前は何故そんな風にサラリと聞きづらい事を口に出せるんだ…」
なんか妙に酸っぱいもの食べまくってるし…」
ルル「そういう兆候があったのを分かっていて、何故一度俺を泳がせたんだ…?」
スザク「いやだって、ルルーシュならそのくらいの変化に気づいているだろうと思って」
ルル「そうか…お前もやはりそう思うのか…」
スザク「ねぇ、ルルーシュ」
ルル「…なんだ?」
スザク「心当たりとかあるの?」
スザク「さすがは童帝だね」
ルル「…いや、もう何も言うまい」
スザク「だとすればおかしいね。
C.C.は君の部屋で寝泊りしているんだろう?
ここ数ヶ月で彼女が一人で外泊したことや、見知らぬ男性と一緒にいたことは?」
ルル「四六時中ずっとあいつは傍にいるが、そういった素振りは全く無かった」
スザク「…ほら、もう君が原因としか考えられないじゃないか」
スザク「言い切れる?」
ルル「…前に一度、酒で酔って記憶を無くしたことがある」
スザク「わぁ、そりゃまた意外だ。君でもそんなことがあるんだね」
ルル「だがあの時は膝枕だけだったし、互いに衣類に乱れは無かった」
スザク「…衣類に乱れが無いから、事を致していない。
発想的には間違いなくサクランボのそれだね」
ルル「…五月蝿いぞ」
そろそろ覚悟を決めるべきだ」
ルル「……」
スザク「皇帝になるのが先か、父親になるのが先か。
たったそれだけの些事じゃないか」
ルル「それを些事と言い切るお前の器こそが皇帝に相応しい気がしてきたぞ」
スザク「思い切って聞いてみてごらん。
C.C.に『俺がお前の父親なのか』って」
ルル「だから何で俺が父親ということ前提で話を進めているんだ」
ルル(やはりここは聞くべきだろう。 『妊娠しているのか』、と)
ルル「ただいま」
C.C.「おかりなさい」
ルル「…何故ニヤニヤしている」
C.C.「ふん、なんでもない」
C.C.「ただ…」
ルル「ただ?」
C.C.「家庭を持つのはこんな気分か、と妄想していただけだ」
ルル「!?」
C.C.「どうした?」
ルル「お、お前…もしかして、赤ちゃんが」
C.C.「赤ちゃんが?」
ルル「…いるのか?」
C.C.「…みんなには秘密だぞ、パパ」
ルル「ほぅわああああああああああああああああああああああああ!!」
ぁぁぁぁぁぁあぁぁぁぁあああああああああ………!!
ルル「…ハッ!」
C.C.「…また随分とうなされていたな、ルルーシュ」
C.C.「全く失礼なやつだ。寝言で『C.C.が…C.C.が…』とやたら私の名を連呼していたが
そんなにも素敵な夢を見ていたのか?」
ルル「いや、今世紀の歴史に刻まれていてもおかしくはない程度の悪夢だった」
C.C.「いったいどんな夢を見たんだ、お前」
C.C.「ところでな、ルルーシュ」
ルル「ん? なんだ?」
C.C.「なんか突然、酸っぱいものが食べたくなったぞ」
-end-
C.C.「ルルーシュ、この『あいぽっど』にまた何か曲を入れてくれ」
ルル「この前色々と曲を入れてやっただろうに…」
C.C.「私は変化を常に求めているんだ」
ルル「お前の都合など俺の知る由では無いんだが」
C.C.「もう一つ意味を含めるならば、こう何というんだろうか。
眠気を吹き飛ばす意味合いを兼ねて音楽でも聴きたい気分だからだな」
ルル「…眠いのなら休んだらどうだ?」
C.C.「ごちゃごちゃ五月蝿い男だ。 いいからとっとと適当なお薦め楽曲でも提示しろ」
C.C.「あまりにも疾走感が強すぎるのは却下だぞ」
ルル「全く、ワガママな注文ばかりを…」
ルル「それじゃあこういうのはどうだ?」
http://www.youtube.com/watch?v=vS6wzjpCvec&feature=channel
C.C.「ほぅ、なかなかどうして良い曲調じゃないか。
何よりもPVが凝っていて面白いな」
ルル「お気に召したのなら重畳だ。
どうだ、目は覚めたか?」
C.C.「ああ、しばらくはこれを永続的にリピートしてみるよ
楽曲の提供感謝だ、ルルーシュ」
ルル「…どういたしまして」
C.C.「おい、ルルーシュ」
ルル「悪いが今少々手が離せない。用件なら後に…」
C.C.「お前はまた珍しい風船を持っているんだな」
ルル「…それが何か分かって言っているのか?」
C.C.「避妊具だろう。知っている」
ルル「どこでそれを手に入れた?」
C.C.「お前の机の一番下の引き出しだ。
こんなもの、コソコソとせずに堂々と置いておけばいいものを」
ルル「生憎だが俺にも最低限の羞恥心くらいある」
C.C.「なんだ? お前まさか童貞なのに『万が一』を思って常備しているのか?
だとすればとんだお笑い種だな。 無用の長物じゃないか」
ルル「…そんなリアクションをされるのが分かりきっていたから隠しておいたというのに」
C.C.「なに、ちょっと黙って見ていろ。 これをこうして、こうやってだな」
キュッキュッ…キュッキュッ……
C.C.「出来た。 見ろ、プードルだ」
ルル「…これはまた無駄に見事だな」
C.C.「さらにココをこういう風に捻って、こうやって形を整えると…」
キュッキュッ…キュッキュッ……
C.C.「ほら、ヒトデ」
ルル「実に見事な一芸じゃないか。
…よりにもよって避妊具で作るのもお前らしいというか、何と言うか」
ルル「それは?」
C.C.「この一連の話、なんとオチが無い」
ルル「……付き合った俺の時間を返してくれ」
-end-
な話を待ってる
C.C.「秘儀ぃ! 雪崩式フランケンシュタイナー」
ルル「…最近お前はプロレスにハマっているんだな。それはすぐさま理解できた。
…だが、人様に向かって出会い頭に技をかけるのは理解しかねるんだが」
C.C.「あ、あの、ご主人様?」
ルル「…おい、C.C.」
C.C.「ひっ!? は、はい!」
ルル「自分で捨てたバナナの皮に引っかかって、自分で踏んで、勝手に転んで、
見事に頭を強打して、尚且つ綺麗に記憶を無くす。
いったいどんなギアスを使えば、そんな奇跡の芸当が可能なんだ?」
C.C.「も、申し訳ありません…。
わ、私は気がついたらこちらの素敵なお屋敷で横になっていたことくらいしか覚えていないので…」
ルル「…どうにも弱気なお前を見ると調子が狂うな」
記憶が戻ってくるまでゆっくりくつろいでいろ」
C.C.「は、はい! ありがとうございます、ルルーシュ様」
~ルルの部屋にて~
C.C.「……」
ルル「……」
C.C.「……」
ルル「……」
ルル(なんだ、この妙な気まずさは…)
C.C.「は、はい! お呼びでしょうか、ご主人様!」
ルル「…まずはそのご主人様、というのを止めてもらえたら有り難い」
C.C.「ぜ、善処します」
ルル「…何をそんなにソワソワしているんだ? 落ち着かないか?」
C.C.「い、いえ! 決してそういうわけではありません」
ルル「そうは言っても、現にこうして忙しなくお前は体を揺すっているんだが…」
そ、その、今こうしておきながらも後でひどい事をされるんじゃないかって、こ、怖くて…」
ルル「…C.C.」
C.C.「は、はい!」
ルル「…今日は俺の部屋でゆっくり休め。 俺は別の部屋で眠るから気にするな。
鍵の施錠もしっかりしておくんだぞ」
C.C.「……?」
ルル「そうだったな、過去のお前はひどく脆弱な…ただの女性だった」
C.C.「ご主人様…?」
ルル「お前が過去に受けてきたようなひどい目に合わせるつもりはない。誓おう。
…お前が俺を怖いというなら、せめて眠るときくらいお前の前から姿を消してやる」
ルル「俺とお前は共犯者だ。
記憶を忘れているお前に言うことではないかも知れないが、
上も下もない関係性なんだ」
C.C.「…意味合いは理解しかねますが、ご主人様のお心遣い、痛み入ります」
ルル「気にするな。ただの気まぐれだ。
…それより、なにか食べてみたいものはあるか?」
C.C.「わ、私はその食べかけのバナナで宜しければ…頂きたいです…」
ルル「もっと良いものを頼んでもいいんだぞ」
C.C.「い、いいえ! 私にとっては非常に高価なものです、バナナ…」
ルル「そうか、まぁお前がそれでいいというのなら別段構わないんだが」
ルル「ふふ、そこまで嬉しそうにバナナを食べる人は初めてみたぞ」
C.C.「も、申し訳ありません!
ルル「謝ることではない、気にするな」
C.C.「は、はい!」
C.C.「ご、ご主人様! この皮は一体どこへ捨てれば良いのでしょうか?」
ルル「ああ、それはそっちのゴミ箱にでも…」
C.C.「は、はい!」
ルル「…つくづく奇跡の女だな、お前」
C.C.「なんだ、お前のその奇抜なものを見る目は?
…それよりやたらと後頭部が痛い。 ルルーシュ、氷嚢を作って来い」
ルル(自分で捨てに行ったバナナの皮に引っかかって、自分で踏んで、勝手に転んで、
見事に頭を強打して、狙い済ましたかのように記憶を取り戻すとは…)
ルル「なぁ、C.C.。老婆心だと分かってはいるが、一つだけ伝えさせてくれ」
C.C.「喧しい、私は今たんこぶを治すのに必死なんだ。あっちに行ってろ」
ルル 「…お前、しばらく氷の上や滑りやすい床の上は歩かないほうがいいぞ」
-end-
シャーリー「あ、ロロくーん!」
ロロ「ああ、シャーリーさん」
シャーリー「なに? ロロくんも買い物?」
ロロ「はい。 兄さんが今日夕食を作るんですが、その材料が足りなくて買出しに…」
シャーリー「ふーん…ねぇ、そのお買い物、私も手伝ってあげる!」
ロロ「え、ええ!? 大丈夫ですよ、ご迷惑もかけちゃうでしょうし…」
シャーリー「ほら、可愛い後輩に先輩風を吹かせちゃいたい気持ちも分かってよ~」
ロロ「あ、は、はぁ…」
シャーリー「それで、ルルって今日は何を作る予定なの?」
ロロ「えっと、確か『ビーフストロガノフ』って言ってたような」
シャーリー「ロ、ロシア料理を休日に作ってるの?」
ロロ「兄さんはああいった家事全般を好きでこなしている節がありますから…」
シャーリー「やっぱりロロ君のお兄さんは凄いなぁ。
私も料理には自信あるけれど、ルルほど上手に作れるのは到底無理っぽいもん」
ロロ「そ、そうですか? へへ…」
ロロ「シャーリーさん?」
シャーリー「好きな人に気持ち一つ伝えるどころか、自分の事で手一杯。
器用な人が周りに沢山いるから、つい私と照らし合わせちゃって…。
不器用な自分がちょっとだけ嫌になっちゃう…」
ロロ「シャーリーさん…」
シャーリー「っ、なんてね! せっかく私たちが二人で何かしてるのって珍しいのに、なんか湿っぽくしちゃってゴメンね!」
ロロ「そ、そういうのは、気にしなくてもいいと思います」
シャーリー「えっ?」
シャーリーさんは優しいです。 それだけで、僕は充分にいいと、思い、ます…」
ロロ「ご、ごめんなさい。 なんか偉そうなことを言っちゃって」
シャーリー「ロロ君……」
シャーリー「ううん、教えてくれてありがとう。
最近そういうので悩んでいたけど、ちょっぴり元気になっちゃった」
ロロ「よ、良かった…です」
ロロ「ぼ、僕は別にそんなんじゃ…」
シャーリー「私もロロ君みたいな弟、欲しかったなぁ。 なんてね!」
ロロ「え、ええっ!?」
シャーリー「ほら、ロロ君。 買い物の続きに回ろう!」
ロロ「あ、ちょ、いきなり手を引っ張らないでください…」
ロロ「今日は付き合ってもらってありがとうございました」
シャーリー「全然気にしないで。今日はロロ君とゆっくり話せて楽しかった」
ロロ「ぼ、僕も、です…」
シャーリー「気づいたらもう結構な時間帯かぁ。
私はそろそろ家に帰るね」
ロロ「はい、お気をつけて」
シャーリー「じゃあね、ロロ君」
ロロ「はい、失礼します」
ロロ「…楽しかったなぁ。 兄さん以外の人と喋るのも、楽しいんだな」
ロロ「…僕に姉なんていないし、別にこれからも必要じゃないけど」
ロロ「…あの人みたいな姉さんだったら、ちょっとだけ欲しかったりする、かな」
-end-
実況者
打ったぁ!大きな放物線を描いて、打球はそのまま…ホームラン! サヨナラホームランです!!
『シンジュクブラックナイツ』今期悲願の優勝、優勝です!
『ブリテンラウンドテーブルス』を相手に見事な勝利を飾ったこのチーム…その立役者である人、
ルルーシュ・ランペルージさんにヒーローインタビューを!
レポーター「優勝おめでとうございます、ルルーシュ選手」
ルル「ありがとうございます」
レポ「最後のサヨナラホームラン、あれを打ったときの感想を宜しければお聞かせください」
ルル「球の縫い目まで見えるほどの極限の集中力、羽のように軽々と触れた理想的なスウィングフォーム。
どれも全てが噛みあっていたからこそ打てたホームランだと思います」
ルル「応援してくださったファン、関係者の皆々様、チームメイト、そして何よりも妻と妹に伝えたいです」
レポ「ありがとうございました! 以上、ルルーシュ選手へのヒーローインタビューでした!」
玉城「やったぜ、(背番号)ゼロー!」
カレン「ルルーシュ、よくやってくれたわね…最高よ!」
藤堂「奇跡の藤堂と呼ばれている私だが、今日のホームランこそ真の奇跡だった」
扇 「よし、みんなで(背番号)ゼロを胴上げだ!」
わーっしょい! ワーッショイ! わーっしょい! ワーッショイ!
わーっしょい! …ッショイ! ……ょい!
わー…い! ワー…ョ…イ! ……
……
ルル「…zzz…ワーッショイ…ふふ、そんなに褒めるな…ワーッショイ……」
ルル「…ショイ。 わーっしょい、フフ、わーっしょい…」
C.C.「なんて幸せそうな顔で寝ているんだ、こいつ」
C.C.「おい、起きろ。 お前の寝言が五月蝿くてこっちは目が覚めてしまったぞ」
ルル「…ん。 んん?
…途中で明晰夢と気づいてはいたが、やはり夢だったか」
C.C.「また随分と楽しそうな夢を見ていたようだな」
ルル「ああ、内容は言えないが最高の夢だった」
C.C.「『球の縫い目まで見えるほどの極限の集中力、羽のように軽々と触れた理想的なスウィングフォーム』」
ルル「……!?」
あろうことか実況者っぽい内容の事まで全部寝言で喋ってたぞ」
ルル「お前、まさか…俺がなんの夢を見たのか気づいているのか?」
C.C.「先日一緒に行ったバッティングセンターで、一球もボールに触れることすら出来なかったのがそんなに悔しかったのか?」
ルル「……」
C.C.「最遅の80㌔のピッチングマシーンで空振り三振を取られるのは滑稽な光景だったぞ」
ルル「…俺が見た夢はハドロン砲をブリタニアに叩き込む夢だ。
ホームランというのは見事に命中したという意味、フォームに関してはブレのないガウェインの機体を表していただけだ」
C.C.「…寝起きにも関わらず、よくそんな屁理屈が口からぽんぽん生まれてくるものだ」
ルル「ふん、実に清々しい夢だった。 往年の夢であるブリタニアを壊すことが出来たのだからな」
C.C.「ところでルルーシュ」
ルル「なんだ?」
C.C.「夢の途中で言っていた、『誰に喜びを伝えたいのか』の件だが」
ルル「知らん、俺はもう忘れた」
C.C.「妹、というのはナナリーの事で間違いないだろう。
しかして『妻』というのは一体誰を指していたんだ? んんぅ?」
ルル「夢というのは徐々に曖昧になっていくものだからな
いちいち全ての夢を覚えていては脳のキャパシティの無駄遣いだ」
C.C.「あれは誰だったんだ? ん、正直に言ってみろ?」
ルル「違う、いや、知らん」
C.C.「シャーリーとかいう女か?」
ルル「覚えてない」
C.C.「ユフィ皇女か?」
ルル「忘れた」
C.C.「スザクか?」
ルル「断じて無い」
C.C.「もしや、私か?」
ルル「……」
C.C.「なぁ、どうなんだ?」
ルル「……」
C.C.「おい…何故そこで閉口する」
ルル「……」
C.C.「ふ、ふん! どうせ図星なんだろう?
すぐに近くの女にほだされおって…全く、これだから童貞坊やは」
ルル「……」
C.C.「恋慕している女が夢に出るなぞ女々しい事この上ない。
どうせ夢だから、みたいな感じで淫らなことでも私にやってしまっているんじゃないのか?」
ルル「……もう一回俺は寝る」
C.C.「せめて何か言い返してこい。
張り合いの無い奴だな、肩透かしも甚だしい」
ルル「……おやすみ、もう俺は何も知らん、分からん」
C.C.「…私だけ妙に気恥ずかしくなってきたじゃないか」
-end-
少々出かけてくることになってしまった件
落とすも良し、残すも良しの判断は皆々様に任せます
消化できなかった多くのリクエストは悔やまれますが
またこのような機会があった際は宜しくお願い致します
お付き合い頂き、誠にありがとうございました
表情が緩みっぱなしだった
面白かった
(米474 訂正しました)
Entry ⇒ 2012.09.10 | Category ⇒ コードギアスSS | Comments (1) | Trackbacks (0)
美希「突撃!ハニーの晩ごはん!」
P「なのじゃないが」
P「なにかあったのかと思ってヒヤヒヤしたんだぞ?」
美希「……」
P「まさか、本当になにかあったのか?」
美希「……実はね、最近ちょっと悩み事があるんだ」
P「そうか」
P「きっと力になってみせるよ。よかったら話してみてくれ」キリッ
美希「……最近、」
P「うん」
P「」
美希「ねえハニー? 寂しさ、埋・め・て?」チラッ
P「……こいつ」ビシッ
美希「あうっ! い、痛い!」
P「大人をあんまりからかうな」
P「まったく心配して損した……」
美希「ご、ごめんなさい……」シュン
P「……はぁ」
美希「……うう」
P「ああ、もう」
P「分かった、分かった。あがってけ、あがってけよ」
美希「えっ」
美希「 い、いいの!?」
P「ただし出した物に文句をいったら即追い出す」
美希「それでもいいの! わーい! ハニーのお家!」
P「……素直なんだか素直じゃないんだか」
美希「意外と綺麗なんだね」
P「物が少ないんだよ。最近は家より事務所の方に長くいるし」
美希「へえー……」
P「あんまり眺めないでくれ。なんだかすごく恥ずかしい」
美希「だってすごく嬉しいんだもん! ハニーのお家にお邪魔するのって、ミキが初めてでしょ?」
P「まあ、そうかな」
美希「えへへ」
P「……」
P「はい。今日の我が家の晩ごはん」
美希「……冷凍ピラフにインスタントのスープ」
P「仕方ないだろ、なんの材料もないんだから」
美希「わー、おいしそうなのー(棒)」
P「大いに結構」
P「あんまりひっつくなよ。食いづらいじゃないか」
美希「他の誰もいないから、気にする必要ないと思うな」
P「そういう問題じゃなくて……」
美希「それにひとつのお皿を突つくんだから近づいちゃうのは自然なことなの!」
美希「~♪」パクパク
P「うまそうに食べてるけど、それ冷凍食品だからな?」
美希「ハニーと一緒に食べればこそなの」
P「……あ、そう」パクパク
美希「ハニーったら照れてるの?」
P「どうした? 最後の一口とにらめっこして」
美希「これを食べたら、晩ごはんは終わり」
美希「そしたら、もう帰らないといけなくなるの……」
美希「むむ~……」
P「……」
P「……」パク
美希「あー!?」
美希「ひ、ひどいよ……」
美希「久しぶりにハニーとたくさんお話できると思ったのに……」
P「……あー、ピラフ半人前は物足りないなー!」
P「どっかに食べ直しに行こうかなー!」
美希「!」
美希「ミ、ミキも行く!」
765プロ 事務所
亜美「じゃあミキミキは兄ちゃんの家でごはん食べたの?」
美希「そのあとお出かけにも連れてってくれたの! すごく楽しかったよ」
真「プロデューサーの部屋かあ。なんだか汚そう」ハハハ
美希「そんなことなかったよ! むしろ綺麗な方なの」
春香「へ、へぇ〜」
アイドル達(……羨ましい)
P宅 玄関前
P「あれ? 千早?」
千早「プロデューサー……」
P「俺の家の前でどうしたんだ?」
千早「えっと、それは……」
千早「……」ゴクリ
P「?」
千早「と、突撃! ハニーの晩ごはんっ!」ガ-
千早「ですっ!」
P「」
千早「……」
千早「!?」
P「エフッ、エフッ」
P「アハハハハハハハハ!!!」
千早「な、なんですかそのバカ笑いは」
P「いや、だってさ、千早がハニーって……似合わなすぎ」プ-クスクス
千早「が、頑張ったんです! 笑わないでください!」
P「悪かった、悪かった」
P「にしても、なんで美希みたいな真似を? 流行ってるのか?」
千早「……///」
P「えっ」
P「……マジか」
千早「い、いけませんか!?」
千早「ちょっと前まではレッスンに付きっきりだったのに、最近は他の子とばっかりで……」
千早「私、嫌われたんじゃないかと……」
P「そんなわけないだろう」
P「レッスンに顔を出さないのは、千早を信頼してるからであって」
千早「……本当は私の口うるさいのが面倒になったんじゃないんですか?」
P「……」
千早「……」
千早「……」ジー
P「さて千早! お腹も空いただろう! 俺が作ってやるから、ゆっくりしていきなさい!」
千早「……ふふっ。お邪魔します」
P「千早は普段料理とかは?」
千早「毎日してます。最近は創作料理にも……」
P「嘘はいけない」
千早「ごめんなさい」シュン
P「ははは、まあゆっくりしててくれ」
千早「……はい」
P(あんまり凝った料理でなくてもいいよな)
P(……ひき肉買っておいてよかった)
千早「なにを作るんですか?」
P「うわっ!? 急に後ろに立つな!」
千早「ごめんなさい。どうしても落ち着かなくて」
P「んー……」
千早「……」ジ-ッ
P「……一緒に作ろうか」
千早「はい!」
P「じゃあ玉ねぎを切ってくれ」
千早「はい!」
P「いい笑顔だけど使い方はこうな」ピトッ
千早「は、はい……///」
765プロ 事務所
やよい「千早さんはプロデューサーと一緒にごはんを作って食べたんですかー」
千早「ええ、包丁の使い方を教えてもらったわ」
小鳥「プロデューサーさんの料理ねえ……」
千早「とても美味しかったですよ?」
千早「メニューがハンバーグっていうのは、子ども扱いされてるみたいで癪でしたけど……」
真美「へ、へぇ〜」
アイドル達(羨ましい)
あずさ「突撃! ハニーの晩ごは~ん」
あずさ「ハニーって呼ぶの、なんだか照れますね」
P「……あの、あずささん」
あずさ「はい。なんですか? ……ハニー?」
P「……ここ、スーパーです」
あずさ「あらあら」
あずさ「なんででしょう? 美希ちゃんに地図を書いてもらったはずなのに……」
P「地図って……。まさかあずささんまでウチにくる気だったんですか?」
あずさ「はい~。なんだかみんなの話を聞いてたら羨ましくなっちゃって……」
P「うーん……」
あずさ「ダメ、ですか……?」ウルウル
P「ぐっ……」
あずさ「プロデューサーさんに晩ごはん食べてもらいたくて、もう材料も買っちゃったのに……」ガサッ
P「ぐぬぬぬぬ……」
P宅
あずさ「お邪魔しま〜す」
P(俺って甘いよなあ……)
あずさ「じゃあお料理してるので、待っててくださいね?」
あずさ「ハニー♪」ボソッ
P「」ズキュ-ン
あずさ「そ~らに♪ そびえる♪ くろがねのしろ~♪」
P(台所から見えるあずささんの後姿……)
P(……いかんいかん)
あずさ「はい、召し上がれ」
P「い、いただきます」
P(随分と本格的だなあ)
P「ん、うまい」
あずさ「本当ですか? 嬉しいです」
P「いや本当、俺なんかが作るより何倍もうまいです」ガツガツ
あずさ「あらあらうふふ」
あずさ「おかわりもありますよ?」
P「……」
あずさ「プロデューサーさん?」
P「いいですね、こういうの。すごく癒されます」ニコッ
あずさ「」ズキュ-ン
765プロ 事務所
伊織「じゃああずさはあいつに手料理をふるまったわけ?」
あずさ「何度もおかわりしてくれるからうれしかったわ~」
亜美「材料も一緒に買ったの?」
あずさ「そうよ~。ひとつの袋を二人で持つのって、なんだか手を繋いでるみたいでちょっと恥ずかしかったけど///」
律子「へ、へぇ~」
アイドル達(羨ましい……)
P宅
P「今日は誰もこないみたいだな……」
貴音「そのようですね」
P「今日はひさしぶりにゆっくり飯を食えそうだ……」
貴音「皆と食事を共にするのが嫌なのですか?」
P「いやあ、みんなと食べるのも楽しくて好きだぞ?」
P「けど、こう連続するとなあ」
貴音「そうでしたか……。どうやら都合が悪い時に訪ねてしまったようですね」
貴音「……」
貴音「日を改めたほうがよろしかったですか?」
P「いや、もう俺はなにも言わないよ……」
貴音「そうですか、では遠慮なく……」
貴音「突撃!はにいの晩ごはん!」
貴音「……」
P「さーて今日はなにを食べようかな……」
貴音「なにか反応がないと寂しいのですが……」
P「うーん。冷蔵庫にはなんにもないしなあ。冷食も切らしてる」
貴音「あなた様ー?」
P「出前か外食かなあ」
貴音(お困りのご様子……)
貴音「!」
P「ん?」
P「!?」
P(何時の間にテーブルに岡持が……)
貴音「味噌に醤油に、豚骨、しお、なんでもござれです」ガバッ
P「……余った分は?」
貴音「わたくしがいただきます」ニコッ
P「……ズズッ」
貴音「……ズズズッ」
P「まさかの月見ラーメンか……」
貴音「趣があってよろしいではございませんか」
P「うーん……」
貴音「ズズズッ……」
P「ま、いっか。……ズズイッ」
貴音「……」
貴音「ズッズッ、ズズズズッ」
(訳・月が綺麗ですね、あなた様)
P「貴音うるさい」
貴音「……いけずです」
765プロ 事務所
響「貴音はプロデューサーと一緒にラーメンを食べたのかー」
貴音「月見らあめんです。楽しい一夜になりました」
雪歩「月見ラーメンですか……。と、とっても素敵です」
貴音「そうでしょう、そうでしょう」
アイドル達(あんまり羨ましくない……)
貴音「なんと面妖な……」
ちょっと風呂入ってきます
どうか保守を!
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>>+2
某スーパー
P「うーん、肉は我慢かなあ」
P「でも野菜ばっかりといのも味気ない……」
P(肉、野菜、肉、野菜)
P(うーん、ダメだなにも思いつかない)
P「……お? 特売?」
『特売!もやし』
P(なるほど、もやし。そういうのもあるのか……)
P「ってラスト一袋か。早足で急ごう」
ガッ!
P「おっ?」
やよい「はわっ」
P「やよいかあ、奇遇じゃないか」
やよい「うっうー!プロデューサー! こんばんは!」
P「こんばんは」
やよい「プロデューサーもお買い物ですか?」
P「そう。晩御飯のね」
P「このもやしを買えば事足りるんだけど……」
やよい「ううー……」
P「うーん。まさかやよいと取り合いになる日が来るとは」
P「うーん、困ったな」
やよい「ご、ごめんなさい……」
やよい「プロデューサーには普段からお世話になってるから、このもやしは譲ります!」
P「ん、いいのか?」
やよい「はい……!」
P「……」ジッ
やよい「……うっう」
P「……やっぱ今日は豆腐の気分かな」
やよい「えっ」
P「もやしはやっぱりやよいが持っていってくれよ」
やよい「あ、ありがとうございます!」
P(その日の晩ご飯は野菜丼でした)
後日
765プロ 事務所
P(うう、徹夜明けの朝はつらい)
やよい「プロデューサー? なんだか顔色が……」
P(アイドルに心配させるわけにもいかないよなあ)
P「HAHAHA、なんともないよ。ちょっと夜中までモバマスをやっていてね」ハハハ
やよい「……」
やよい(プロデューサーが栄養失調になっちゃった!)
やよい(やっぱり、あのとき私がもやしを持って行っちゃったから……)
現場 撮影終了後
やよい「うっうー! お疲れさまでしたー!」
P「やよい、もう遅いし俺が送っていくよ」
やよい「本当ですか!? ありがとうございます!」
・・・
高槻家宅 前
P「はい、到着」
やよい「……」
P「やよい? やーよーいー?」
やよい「……zzz」
P「寝ちゃってるよ。寝顔もかわいいなあ!」
やよい「……///」
P(軽いなあ)
P「……ドアが開けられん。おーい、長介くん? いるk」
やよい「……」ギュ
P「やよい、起きてたのか」
やよい「プロデューサー……」
P「?」
戸「ガラッ」
長介「突撃!」
かすみ「高槻家のばんごはん!」
P「うおお!?」
やよい「プロデューサー、普通に誘ってもきっと遠慮するから……」
長介「聞いたよ兄ちゃん。もやし不足でフラフラって」
P(もやし不足って……)
かすみ「だから今日はみんなで食べようって、お姉ちゃんが」
P「そうか……」
P「ありがとうな!やよい!」
やよい「はいっ!」
長介「ところでいつまで抱っこしてるの?」
やよい「はわっ/// お、下ろしてくださいプロデューサー!」
P「あ、暴れないで!」
765プロ 事務所
春香「じゃあやよいの家でプロデューサーさんとお食事したんだ」
やよい「はいっ! もやしパーティ特別版です!」
響「プロデューサーはやよいの兄弟たちとは仲良くなれたの?」
やよい「みんな仲良しです! なんだか家族が一人増えたみたいでした!」
伊織「へ、へぇ~」
アイドル達(羨ましい……)
>>+2
P宅
雪歩「とつ、とつと突撃! ははははハニーの晩ごはん!」
P「……いらっしゃい」
雪歩「お、オジャマします……」カチコチ
P(手と足が同時に動いてるよこの子)
・・・
P[まあ、晩ご飯には早いし少しゆっくりしていってくれ」
雪歩「は、はい!」
P「……」
雪歩「……」
雪歩「き、綺麗な部屋ですね!」
P「物がないからなあ」
雪歩「……」
P「……」
P「そうだな。風が涼しくて良い日だった」
P「雪歩は海で撮影だったよな。大丈夫だった?」
雪歩「あ、はい。私はなんとも……」
P「それはよかった」
雪歩「……」
P「……」
P「ああ、スポーツ女王決定戦か。真の一人勝ちだったなあ」
雪歩「真ちゃん、格好よかったです」ポワー
P「本人からすれば複雑な心境だろうな」
雪歩「……」
P「……」
P「……どっこいしょ」ガタッ
雪歩「」ビクッ
雪歩(あ、プロデューサー……)
雪歩(うう、私の話がつまらないから、きっと退屈しちゃったんだ……)
雪歩「うう……」ションボリ
コトッ
雪歩「お茶?」
P「いやあすまん。出すのが遅れた……。折角のお客さんなのにな」
雪歩「い、いただきます……」ズズッ
雪歩「ほわあ……」ホワー
P「あはは、変な顔」
雪歩「えっ、そ、そんなこと言わないで下さいっ!」
雪歩「うう、恥ずかしい……///」
雪歩「……」ズズッ
雪歩(また会話が……)
雪歩(でもなんだろう。さっきまでとはちょっと違う)
雪歩「……ふふ」
P「どうかした?」
雪歩「なんでも無いです。ところで今日は良い天気でしたね」
P「それさっきも話したじゃん……」
雪歩「ふふ、そうでした」ニコ
千早「じゃあ、萩原さんはお茶の後に晩ご飯を?」
雪歩「はい。あんまりお話できませんでしたけど……」
貴音「まるで長年連れ添ってきた夫婦の日常のようですね」
雪歩「ふっ、夫婦……/// そ、そんな私はまだそこまで」
響「へ、へえ~」
アイドル達(羨ましい……)
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>>+2
響「うう、今度は自分の番か……」
響「自分も何か作って食べさせてあげたいけど、何を作っていこうかな?」
響「うう、どうしよう……」
P(……)
響「うがー! なにも決まらないよー!」
響「どうしようどうしよう……」オロオロ
P(あっ、このままじゃなくなこの子)
P(……)
\あー! カレーが食べたいなー!/
響「!?」
響「……カレー? 良いこと聞いちゃった!」
響「よし!プロデューサーをおどかしちゃうぞ!」
響「若い命がまっかにもえ~て~♪」
ピンポーン
P「はーい」
響「突撃! ハニーの晩ごはん!」
P「おっ、珍しく正攻法だな」
響「見てみてプロデューサー! 自分、ゴーヤカレーを作ってきたんだ!」ナベッ
P「おお! 本当か!? 丁度食べたい所だったんだ!」
響「自分、完璧だからね! プロデューサーの事ならなんでもわかっちゃうんだ!」
P「ははは、さすが響だなあ」ナデナデ
響「んっ……、えへへ///」
P「うーん、これはうまい」ガツガツ
響「プロデューサー、がっつきすぎだぞ!」
P「いやあ、ほんと。思った以上に美味しくて」
響「料理も完璧だもん! ……えへへ」
響「そんなにはまったなら、たまに作りに来てあげよっか?」
P「ほんとか? 冗談抜きでお願いしようかな」
響「うん! 任せてよにぃに!」
P「?」
響「あっ」
響「い、今の忘れて……///」
響「わ、忘れてってば!」
響「意地悪するやつにはカレー作ってあげないぞ!」
P「生意気言う奴には食後のゴージャスプリンはやれないな」
響「あっ! ずるい!」
P「ほーれほれ、欲しかったら奪ってみろ」
響「うがー! 持ち上げないでよー!」ピョンピョン
P「あはははは!」
765プロ 事務所
美希「じゃあ響はハニーにカレーを作ってあげたんだ」
響「うん! 毎週金曜はカレーの日だって!」
あずさ「最近の響ちゃん、なんだか元気いっぱいね」
響「それはにぃn、プロデューサーがちょっかいを出してくるから!」
真「へ、へぇ~」
アイドル達(羨ましい……)
>>+2
春香(ついに来ました私の出番!)
春香(今日という日のために色々計画してきたんだもん。他の子には負けられない!)
・・・
P宅
春香「というわけで」
春香「突撃! ハニーの晩ごはーん!」
ガチャ
春香「焦げ臭っ!?」
P「……よう、春香か」
P「いやあ、最近みんな俺の家に食べにくるだろ?」
P「作ってもらってばっかりで悪いし、お返しにお菓子でもと思って……」
春香「それで盛大に失敗しちゃったんですね? うわくっさ!」
P「……そんなに?」
春香「そんなにです! とにかく掃除しましょう!掃除!」
P「あ、ああ」
数時間後
春香「な、なんとか片付きましたね……」
P「すまん春香……」
春香「いいんですよ! 普段お世話になってるお返しです!」
P「晩ごはん、いまから作ったら遅くなっちゃうな……」
春香「い、いいんですってば! 元々急に押しかけてきたんですし」
春香「気にしないでください、また来ればいいんです」
P「ははは、それもそうかな」
P「ん? ビニール袋? 玄関にあんなのあったかな……」
春香「あ、あれはなんでもn」
P「うわっ、すごい量の食材が……」
P「もしかして春香、今日のために……」
春香「な、なんで気が付くんですかあ」
春香「どうせ今から作っても遅くなるし、もう持って帰りますよ」
P「で、でもなあ」
春香「い、いいんですよ。たまたまこういう日だったんです」
春香「……」グスッ
春香「それじゃあ、私帰りますね……」
P「ま、待って春香!」ガシ
春香「!」
P「料理、していってくれないか? 今日はまた失敗しそうで」
春香「でも、いまからじゃ遅くなっちゃいます……」
P「じゃあ、泊まっていけばいい」
春香「えっ」
春香「お泊まりかあ……」
春香「プロデューサーさん! 私頑張っちゃいますね!」
P「お? おう、応援してる」
春香「わっほい!」
P(なんだ? 急に元気になった……)
765プロ 事務所
千早「……」
春香「のヮの」
律子「……」
春香「のヮの」
雪歩「……へぇ~」
アイドル達(羨ましい)
>>+2
765プロ 事務所
律子「プロデューサー殿ぉ? なんだか最近楽しそうですねぇ?」
P「な、な~んのことかなあぁ? ボクさっぱりわからないよぉ~」
律子「とぼけなさんなっ! いい加減マスコミにばれますよ!」
P「そうは言うけど、あいつらが勝手に押しかけてくるのはどうしようもないだろう!」
律子「へえ、勝手に押しかけてくる」
P「律子?」
律子「つまり誰も来ないように見張っていればいい、という訳ですね!」
P宅
律子「……」フンス
P「あのー、律子さん? 玄関で仁王立ちしてないで、お茶でも……」
律子「結構です! 私はアイドル達を見張りに来たのであって……」
美希「ハニー! 一緒にごはn」
律子「ああ?」ギヌロ
美希「げえっ、律子!!」
美希「おじゃましましたー!」
律子「このようにアイドル達を見張りに来たのであって、遊びに来たわけではないんです!」
律子「ですから、おもてなしは結構です」
P「う、うーん……」
数時間後
律子「美希が3回、雪歩と千早が1回、あずささんが2回……」
律子(危険だわ……!)
律子「これもプロデューサーが甘いから……!」
天使律子『説教!説教!説教!』
悪魔律子『説教!説教!説教!』
律子「よろしい、ならば説教よ」
P「……zzz」
律子「寝てる」
律子(これは、ご飯の用意? 必要ないって言ったのに……)
律子(もう冷め切ってる……)
律子「……プロデューサー? プロデューサー、起きてください」
P「んあ、律子?」
律子「……ごはん、食べましょうか」
P「……! ああ!」パァァ
P「律子がどうしてもっていうなら、教えてもいいんだぞ」
律子「結構です。自分で覚えますから」
P「つれないの」
P「……ちょっと熊狩ってくる」
律子「普通にトイレで良いですよ」
・・・
律子「長いわね。まさか本当に熊狩ってるんじゃないわよね……?」
律子「……なんだか喉乾いちゃった」
律子「冷蔵庫の缶ジュース、貰っても大丈夫よね?」
プシッ
律子「……」
P「律子?」
律子「あ、ぷろりゅうさあ!」
律子「どこいってたんですかもお~」ベタベタ
律子「ほらほら~、ごはんちゃんと食べないと」グイグイ
P「律子? ああコイツ酔ってる!」
律子「んえ?」ヘベレケー
律子「くぉらぷろるうさ! そこに正座!」
P「は、はい!」
P(酔っぱらいこえー!)
律子「いいですか! ぷろりゅうたあとして、アイドル家にあげるなんて信じられません!」
P「いや、だからあれはアイドル達が勝手に」
律子「うるさい!」ベシーン
P「ああ!」ビターン
律子「大体あなたはいつもいつも誰にもかれにも優しくしてぇ」ノッシノッシ
P「の、乗るな! 乗らないで律子!」
P「も、もちろん」
律子「ほんとに?」ズズイッ
P「誓って」
律子「……」
P「……」
律子「……」ニヘラ
P「えっ?」
P「あの、ちょ、既成事実とかマジかんべn」
律子「んふふ、独り占め……」ギュゥ
P「ふわあ……」
律子「……zzz」
765プロ 事務所
やよい「起きたら記憶が飛んでいた? 大変ですー! 律子さんが病気に……!」
律子「あ、あんまり大きい声で言わないで……///」
真美「えっと……///」
律子「で、でも! 服に乱れはなかったから! きっとなんともないわ!」
律子「……きっと」
あずさ「へ、へぇ~」
アイドル達(羨ましい……)
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>>+2
伊織「突撃! ハニーの晩ごはん!」
伊織「うーん」
伊織「突撃! アンタの晩ごはん!」
伊織「嫌な気分にさせちゃうわね」
伊織「うう、どうすれば自然なの……?」
P宅
『…! ……!』
『…・! ……!!』
P「?」
P「なんだ? 外がやかましいな」
P「どなたですか?」
ガチャ
伊織「突撃!あなたの晩ごはん!」ニコッ
P「」ズキューン
伊織「あ、ああ!? い、今の無し! 今の練習!」
伊織「違うのよ! 本当はもっと!」
P「もっと?」
伊織「う、ううう……。いいからやり直し!」
P「お、おう」
ドア「バタン」
P「どなた?」
伊織「と、突撃!ハニーの晩ごはんっ!」ガー
伊織「スーパーアイドルの伊織ちゃんがいっしょに食べてあげるんだから、泣いて喜びなさい!」
P「うん」ニコニコ
伊織「あー! もう! さっきのは無しって言ったじゃない!」
P(テロだ)
伊織「で? 今日のメニューはなんなのよ」ソワソワ
P「おう、今日の晩ごはんはな」
伊織「……」ワクワク
P「俺お手製の!」
伊織「……」ゴクリ
P「焼き魚定食だっ!」
伊織「おおっ!」
P「……」
伊織「……ケホン」
伊織「ま、まあ妥当ね。庶民らしくて良いんじゃない?」
P「へえ」ニヤニヤ
伊織「な、なによ!」
伊織「へえ、どんな?」
P「魚の身をほぐして、おろし大根と混ぜて、そこに醤油をたらし」
P「あつあつの白米にのせてパクリ!」
伊織「!」
伊織「さっそくやってみましょう!」イソイソ
P「……」
伊織「む、むう……」イソイソ
P「……」
伊織「できない……」グスッ
P「……」
伊織「……」チラッ
P「……」
伊織「お、お願い、手伝って……?」
P「」ズキューン
P「おう! 任せろ! どんどん任せろ!」
P「はいできた」
伊織「これに大根おろしと醤油を……」
P「あとはごはんにのせて……」
P「はいあーん!」
伊織「あーん」
伊織「ちょっと、なにさせてるのよ!」
P「えー、だって伊織、箸の使い方下手なんだもん」
伊織「たまたま魚がほぐせなかっただけよ! 箸くらい使えるわ!」
P「ふーん。はいあーん!」
伊織「あーん」
伊織「おいしい!」テーレッテレー
伊織「だから何させてるのよ!」ムキー
P「まあ落ち着きなって」パクパク
伊織「あ、それ私の分でしょ! 食べちゃダメ!」
P「ごめんごめん。はいあーん!」
伊織「あーん」
765プロ 事務所
真「それで、プロデューサーに最後まで食べさせてもらったんだ?」
伊織「……///」
真美「でも、それって食べづらいんじゃないの→?」
伊織「そんなこと無いわ! 一口の量もちゃんと考えててくれて……」
亜美「へぇ→」
アイドル達(羨ましい……)
次
>>+2
あと申し訳ないけど時間がないから双海姉妹はセットで扱う
真美「突撃!」
亜美「ハニ→の晩ごはん!」
亜美真美「「イエ→イ!」」
P「近所迷惑になるから、あまり騒がないように」
「「はーい」」
P(子供が相手ならハンバーグで決まりだな)
P「出来てからのお楽しみ」
真美「じゃあ期待しても良いって事だよね」
P「そうだな。任せてくれ」
亜美「真美は何が食べたい?」
真美「ビーフガノンドロフ!」
亜美「シャレオツですな→」
真美「まさかハンバーグなんて子供騙しに釣られる歳でもないっしょ!」
P「う」
亜美「きっとハンバーグにしても、中にチーズが入ってたり→」
真美「ひと味違った創作ハンバーグだったり→」
「「楽しみだね! 兄ちゃん!」」
P「」グサグサ
P(こ、こいつら……)
P「ちょっと買い出し行ってくる! 留守番頼んだぞ!」
「「は、はーい」」
亜美「やりすぎた?」
真美「……かもね」
P「はいどうだ! カリオストロ風ミートボールスパゲティ!」
P「子供が一度は夢見る食べ物だろ!」
亜美「おおー……」
真美「すごいよ兄ちゃん」
P「どや」
亜美「すごいけど」
P「?」
真美「ちょっと時代が古いかなあ……?」
P「え、ええ……」
真美「うんうん。兄ちゃんの精魂が詰まった料理……」
P(それは精魂……あってるか)
真美「おれぁ、泣きそうだぜ……」
亜美「とっつぁん……」
P「小芝居はいいから、はよ食えはよ」
「「いただきまーす」」
P「……」
P(なんだ、美味しそうに食ってくれるじゃないか)ホッコリ
765プロ 事務所
貴音「では、三人で仲良く食事を?」
亜美「うん! ごはんの後にお菓子も作ってくれたんだ!」
春香「お菓子かあ」
真美「ゲームもいっぱいやったしね! また遊びにいきたい!」
雪歩「へぇ~」
アイドル達(微笑ましい……)
真(うう、男の人の家って緊張するなあ)
真(でも、ボクはボクらしく……!)
真「突撃! ハニーの晩ごはんっ!」バーン!
P「うおっ」ビクッ
P「ドアを勢いよく開けすぎだ! 真!」
真「あはは、ごめんなさい」
P「ああ、そろそろ真がくる頃だと思ってさ」
真「ホントですか? すごいですねプロデューサー!」
P(毎日ソワソワしながらオフの日確認してたら誰にでもわかるよ)
真「ホントですか? じゃあオジャマします!」
・・・
真(プロデューサー、なにを作ってくれるのかな?)
真「まっかなぷーらずまいま♪ ガレキのつちにたつ~♪」
P「はいお待たせ、ふわふわオムライス」
真「わっ、すごい!」
真「って、この形……」
P「ああ。真が熱心に読んでた雑誌についてた店のを真似してみた」
P「写真ほど上手く行かなかったけど……」
真「……」フルフル
P「真?」
真「プロデューサー! ありがとう! 大好き!」
P「お、おう」
P「も、文字? そうだなあ……」カキカキ
真「!」
P「どう?」
真「……えへへ。ありがとう、プロデューサー!」
真「接写!」パシャ
真「ボクも一緒に!」パシャ
真「ほらほらプロデューサーも!」
真「接写!」パシャ
P「接写!」
765プロ 事務所
真「ほら見てくださいよ! これが一番良く撮れてて!」
小鳥「あー、うん。すごいわねえ……」
真「ちゃんと聞いてます? なんだかみんなも生返事なんですよ!」
真「これってひどくないですか?」
小鳥(十回も同じ話を聞かされたら流石に答えるわ……)
小鳥「ところで、オムライスにはなんて書いてもらったの?」
真「えっ!?」
真「それは……その……///」
小鳥(恨めしい……)
後日
高木「なにやら、最近面白いことをしているそうだね?」ゴゴゴゴゴゴゴゴゴ……
P「は、はい。ほんと、スイマセン」
高木「まったく君という奴は」ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ……
P(やばい、これは『チャオ☆』られる。確実に)
高木「なんで私に言わないんだ! こんなに面白い企画に混ぜないなんて信じられん!」
P「は、はあ!?」
高木「罰としてだな、君にはこの企画を請け負ってもらうよ」スッ
P「は、はあ……」
高木「『突撃!アイドルの晩ごはん!』なんてのはどうだ?」
おわり
さすがに時間がかかりすぎた
余裕があれば社長とか小鳥さんも書きたかった
支援保守してくれた人に感謝
ピヨ子……
Entry ⇒ 2012.09.10 | Category ⇒ アイマスSS | Comments (1) | Trackbacks (0)
ホータロー「最近の千反田が、はしたないように思える」
ホータロー「おい、そこなる千反田」
千反田「はい、なんでしょうか、折木さん」
ホータロー「あのだな、最近のお前についてなんだが」
千反田「何かわたしがしましたでしょうか?」
ホータロー「そのな、最近のお前が、少々はしたなく思えるのだが」
ホータロー「いや、そういう意味ではないんだ」
千反田「では、どういう意味でしょう?」
千反田「端金、端女といいますし、あまり快い言葉ではないと思いますが…」
ホータロー「いや、そういう感じの意味ではないんだが…」
ホータロー「てんで的外れ、という訳でもないんだろうが」
ホータロー(なんだろう、言葉にして伝えると情けないような気がしてくる)
ホータロー「そのな、なんだろう」
千反田「はい」
ホータロー「語弊があるかもしれないが、外国語に直すとセクシャルに過ぎるというか」
ホータロー「…なんというか、そういう感じだ」
ホータロー(うまく伝わったろうか?)
千反田「つまりは、慎みが足りないと。そういうことですね、折木さん」
ホータロー「ああ」
ホータロー(なんだか一言で綺麗にまとめられてしまうと、負けた気持ちになるな)
千反田「よかった、間違っていませんでした」
千反田「ですが、わたしそんなに慎み深くないでしょうか?」
千反田「折木さんがおっしゃるなら、多分理由はあるのでしょうけど」
千反田「あいにく、全くと言っていいほど自覚がありませんので」
ホータロー「なんというか、お前は警戒心が足りないというか」
千反田「そうでもありませんよ」
ホータロー「そうなのか?」
千反田「ええ」
千反田「はい」
ホータロー「もう少しで、その、なんだ。胸元が見えそうだったぞ」
千反田「そうだったかもしれません」
ホータロー「ほら、警戒心が足りてないだろ?」
千反田「警戒心を緩める相手を選んでいるからです」
千反田「さすがにわたしも、どこでもああではないですよ、折木さん」
千反田「ええ」
千反田「これで納得していただけたでしょうか、折木さん」
ホータロー「…だが、」
千反田「はい」
ホータロー「千反田。お前、自転車通学だろう」
千反田「そうですが」
千反田「ええ。確かに、そうしています」
ホータロー
千反田「ええ。確かに、そうしています」
ホータロー「その時に、時々、稀になんだが」
千反田「何があるのでしょう」
ホータロー「そのだな、スカートがはためいて」
千反田「下着が見えたと?」
ホータロー「いや!! まだパンツが見えたことはないぞ!!1」
ホータロー「…少なくとも俺は、だが」
千反田「わたしも、下着を衆目に晒すのは恥ずかしいですから避けたいですが」
千反田「今のところはそのようなことがないのでしたら」
ホータロー「だけど、結構ふとももの奥まで見えてるぞ」
千反田「よく見てますね」
ホータロー「…たまたまだ」
千反田「ええ。実際、見えていないのでしたら、特に必要を感じませんから」
ホータロー「…そうか」
千反田「はい」
ホータロー「お前が言うなら仕方ないな」
千反田「ええ」
ホータロー「…」
ホータロー「なんだ」
千反田「わたし、少々ですね気にかかることが」
ホータロー「いつものあれか」
千反田「ええ、私気になります! です」
ホータロー「今回はどうしたんだ」
ホータロー「俺も、まあ、今は暇だから付き合ってやる」
千反田「では、お付き合いお願いします」
ホータロー「…おう」
千反田「と言っても、今回のことは状況説明が不要かもしれません」
ホータロー「どういうことだ」
千反田「今まさにここで起きたことだからです」
ホータロー「そうか」
ホータロー「あのな、千反田。そんな言い方をされても、察しの良くない俺にはわからん」
ホータロー「もっとわかりやすく言ってくれ」
千反田「わたしが慎み深くしないことに対して不満を感じているのか、ということです」
ホータロー「…ほう」
千反田「不満を感じていらっしゃることは認めてくださるのですね」
ホータロー「同意はできんが、お前が確信めいて言うからな」
ホータロー「そういう部分はあるんだろう」
千反田「では、不満であるのは前提ということで、お話を進めましょう」
千反田「今まで折木さんは、極力他人と関わることを避けていらっしゃったと聞いてます」
千反田「現在の折木さんしか存じないわたしは、それは多分に言いすぎだとは思うのですが」
ホータロー「そうでもないと思うがな」
千反田「いけません、脱線してしまいました」
千反田「他人に何かを強制したり、何かを要求する方ではない、というのは間違いないと思います」
千反田「であるのにもかかわらず、なぜ折木さんはわたしにあんなことを仰ったのでしょうか」
千反田「それも、常にないほどの執心であったように思います」
ホータロー「なるほどな」
ホータロー「なあ、千反田」
千反田「なんでしょうか、折木さん」
千反田「と、おっしゃいますと」
ホータロー「これは間違いなく、『尋問』という単語で表されるものだ」
千反田「そうですね」
ホータロー「何故こんなことをするんだ」
千反田「今の、この話が終わりましたらお答えします」
千反田「ともかくは、わたしの疑問を晴らさせてください」
ホータロー「なあ、千反田」
ホータロー「お前にも、見当はついているだろう」
千反田「ええ。…いいえ、何のことでしょう」
ホータロー「俺の情けない姿を見て楽しむ気か」
千反田「あいにく、わたしは、そういう被虐的趣味は持ち合わせていません」
ホータロー「あのな、千反田」
ホータロー「俺は誰かが、お前の下着を見ることに対して嫌悪感があったんだろう」
千反田「そうなのですか」
ホータロー「ああ」
千反田「普段は感情を露わにしない折木さんがわざわざおっしゃたということは」
千反田「なかなか耐え切れないことである、というように思いますが」
千反田「ではなぜ、簡単にわたしへの慎み深くしろという要望を取り下げられたのですか?」
ホータロー「言えるような関係でもないからな」
千反田「そうですか」
千反田「では、その資格を得てしまえばよろしいのではないでしょうか」
千反田「…」
ホータロー「なあ、千反田」
ホータロー「それはつまり」
千反田「なんでしょう」
ホータロー「…」
ホータロー「ひとつ意見を聞きたいのだが」
千反田「なんでしょう」
ホータロー「二人の、そうだな男女がいるとして」
ホータロー「その二人がお互いを好ましく思っている場合、」
ホータロー「二人が恋仲になるのは普通のことだと思うか?」
千反田「どうでしょう」
ホータロー「…そうか」
千反田「そういう場合に、先に思いを伝えるのは男性であるべきだと」
千反田「わたしはそう思います」
ホータロー「…」
ホータロー「なあ、千反田、そのだな、」
千反田「…はい」
ホータロー「俺のか…
ガラガラドッガラシャーン
里志「ヤー、ホータロー!千反田さん!!遅れてごめんね!!」
千反田「…」
ホータロー「…」
里志「あれ、僕なにかしちゃった…?」
ホータロー「…いや、何でもない。気にするな」
千反田「では、そろそろ分かれ道ですので、失礼します」
里志「じゃあね千反田さん」
ホータロー「じゃあな」
千反田「ええっと、よいっしょっと」
里志「あれ、千反田さん、自転車の押しがけ乗りやめたの?」
千反田「ええ、やめました」
里志「へえ、そうなんだ」
千反田「はい。故あって、です」
千反田「では、折木さん、福部さん。また明日」
里志「なんで千反田さん、押しがけやめたんだろうね」
ホータロー「さあな」
里志「あ、ホータロー何か知ってるなー」
ホータロー「知らない」
里志「ずるいぞ、ホータロー」
ホータロー「さあな、お前には関係の無い話だ」
――end――
ホータロー「なあ、千反田」
千反田「なんでしょうか、折木さん」
ホータロー「お前は、フェミニズムとか、行き過ぎた男女同権運動とか」
ホータロー「そういうものに傾倒するタイプには思えないのだが」
千反田「ええ、おそらくそう思います」
千反田「それはですね、折木さん」
千反田「自分から想いを伝えるのは、やっぱり恥ずかしいじゃないですか」
ホータロー「…」
ホータロー「それだけか?」
千反田「ええ」
ホータロー「そうか」
千反田「でも、良いじゃないですか。両想いだったんですから」
今度こそおしまい
小説みたいな掛け合いで好きだった。よかったよ
Entry ⇒ 2012.09.10 | Category ⇒ 氷菓SS | Comments (1) | Trackbacks (0)
千早「天使が泊まりにやってきた」
小鳥「千早ちゃん、ずいぶんご機嫌じゃない。何かあったの?」
千早「……そう見えましたか?」
小鳥「ええ、とっても」
千早「実は……今日、春香がうちに泊まりに来るんです。それで柄にもなくテンションが上がってしまって……」
小鳥「ふふっ……友達と一緒に過ごすのは楽しいでしょ?」
千早「そうですね……以前までの私には考えられません。本当に、765プロにいてよかったと思えます」
千早「何がですか?」
小鳥「ほら、千早ちゃんって大人っぽいって言うか、ちょっと達観したところがあったでしょ?」
千早「それは……そうかもしれません。家庭環境のことがあったので……今となっては言い訳にしかなりませんけれど」
小鳥「そんな千早ちゃんが毎日のように笑顔を見せるようになったのは、やっぱり春香ちゃんのおかげかしら?」
千早「……はい。春香には本当にお世話になりっぱなしです。今日も料理を教えてもらう予定で……」
千早「そ、そうでしょうか?」
小鳥「ええ!今のうちに楽しんでおかないと損よ? 年月なんてあっという間に過ぎちゃうものなんだから……」
千早「……肝に銘じておきます」
ガチャッ
P「ただいま帰りましたー!!」
春香「ただいまですっ♪」
春香「千早ちゃん、お待たせ!」
千早「大丈夫よ。私もさっき収録から帰ってきたところだから」
春香「ちょっと待っててね。すぐに支度するから!」
千早「ええ」
P「春香から聞いたよ。今日はお泊まりなんだって? 春香、ずっとはしゃいでたぞ」
千早「そうなんです。そんなにはしゃいで……私の家には何もないのに」
P「ははは、千早と一緒にいられるのが嬉しいんだろ。千早は嬉しくないのか?」
P「冗談だよ。楽しみだって顔に書いてあるからな!」
千早「もうっ! プロデューサーはいじわるです……」
P「あっ、それなんか貴音みたいだな」
小鳥「はるちは! はるちは!」
P「音無さんは黙っててください」
P「ああ。歌のことはあんまり的確なアドバイスはできないかもしれないかもしれないけど……」
千早「天使って、存在すると思いますか?」
P「……は?」
千早「お願いします。答えてください」
P「何かの問題か? ……すまん、ヒントをくれ」
P「千早、さっきから言ってる意味がよく──」
春香「千早ちゃん! お待たせ!」
千早「ええ。それじゃあ行きましょうか」
P「お、おい千早! さっきの答えは……」
千早「ふふっ……すぐにわかると思います。それじゃあお疲れ様でした」
春香「お疲れ様でしたっ! プロデューサーさん、小鳥さん!明日もがんばりましょうねっ♪」ニコッ
バタン
P「……天使系アイドル…アリかな……」
小鳥「アリだと思います」
千早「ふふっ、プロデューサーもドジなところあるわね」
春香「ホントにそうだよ~……私がメガネを観付けなかったらどうなってたか……」
千早「でも、ドジなところは春香の方が上だけど」
春香「えーっ!? ひどいよ千早ちゃ~ん!!」
千早「ふふっ……でもそこが春香の魅力なんだけれどね」
春香「はぅっ! そ、そんなこと言われたら恥ずかしいよぉ……」
千早「(可愛い……)」
モブB「いやいや、小早川瑞樹でしょ。あの猫被った感じがたまらないよ」
モブC「アイドルはよく知らないけど、秋月涼って子が可愛いと思った(小並感)」
春香「それでね──」
千早「そうね──」
モブA「ん? おい、あの子は確か……」
モブB「765プロの天海春香と如月千早、だね」
春香「?」チラッ
モブC「こっちに気付いた。はっきりわかんだね」
春香「♪」ニコッ
モブABC「」ズギュゥゥゥン
春香「んー? アイドルの話をしてたみたいだから、私のことも知ってくれてるかと思って……」
モブA「ふるえるぞハート! 燃えつきるほどヒート!!」ズギャァァァン
モブB「…天使を見た……」ドキドキ
モブC「やべぇよ……やべぇよ……」
数ヶ月後、この三人が春香のファンクラブに入会し、ライブ時に最前列でバルログ持ちをして迷惑がられることになる
千早「食べるのだけじゃなくて教えてもらわなきゃいけないのだけれど……。とりあえず定番料理がいいわね」
春香「うーん……だったらカレーかな? 家庭によって味が違う定番中の定番だよ!」
千早「だとすると、私が天海家の味を受け継ぐことになるのね」
春香「そうだね~。どうせだから千早ちゃんのお嫁さんになろうかな? な~んてっ」
千早「私はそれでも全然構わないけれど」
春香「えっ」
千早「えっ」
千早「へぇ、ルウを何個か買うのね」
春香「うん。ブレンドするとおいしいんだよ! 千早ちゃんは甘い方がいいかな?」
千早「辛いものでも平気だけど……あまり辛いものは苦手ね。喉に負担がかかってしまうから」
春香「あ、そうだね。じゃあ辛口はやめて中辛を……」
『あれ?春香と千早?』
春香「勇者ヒビキューン!!」
響「必殺!! ヒビデバビデビィーーーム!!」
春香「うわー! やられたー!」
響「ってちがーう!! それは自分が声を当てたアニメの話! 自分は我那覇響だぞ!」
千早「我那覇さん、ノリがいいのね……それにしても響がヒビデバビデビーム……ぷふっ……!」
響「うぎゃーっ! 笑うな~!! プロデューサーが決めてくれた名前なんだぞ!?」
千早「ごめんなさい、ついおかしくって……」
貴音「私もおりますよ」
春香「あっ、貴音さん! 二人でお買い物ですか?」
貴音「はい。今日は響の家に泊まりなので」
春香「奇遇ですね! 私も千早ちゃんの家にお泊まりなんです!」
貴音「なんと、そうだったのですね」
千早「そういえば我那覇さんの家はこの近くだったわね。前にいぬ美を追い掛けてるのを見たわ」
響「うぅ……なんでそういうのばっかり覚えてるかなあ……」
響「貴音が食べたいって言うから、とびっきりの沖縄料理をごちそうするつもりなんだ! まあ和食中心かな?」
春香「和食かあ……羨ましいなあ。私、和食のレパートリーが少なくて……」
響「そうなの? 自分、和食が得意だから今度教えてあげよっか?」
春香「ホント? ありがとう響ちゃん! じゃあ今度お願いするね!」
響「うんっ! その代わり…ってわけじゃないけど、またケーキ作りとか教えて欲しいなあ……」
春香「それくらいならお安い御用だよ! 春香さんにまかせなさいっ!」ドンッ
響「ホントに大丈夫かな……」
春香「え~っ!? ひどいよ響ちゃ~ん!!」
千早「そうね。春香も我那覇さんも楽しそう」
貴音「それは千早も、でしょう?」
千早「ふふっ……四条さんこそ」
貴音「……はい。そうですね……」
千早「……?どこか思い詰めた顔をしているようだけど……どうかしたの?」
貴音「いえ、何でもありません。大したことではありませんので……」
春香「手なんか繋いじゃって仲いいなあ~」ニヤニヤ
響「そ、そういうわけじゃないぞ! これは貴音がふらふらしないようにしてるだけだからね!?」
春香「はいはい♪」
貴音「…………♪」ニヘラ
千早「……なるほど、今わかったわ。四条さん、あなた……」
貴音「千早、それ以上はとっぷしーくれっとでお願いします」
千早「……そうね、ごめんなさい。じゃあ、また」
春香「二人とも、またね!」
響「ばいばーい! おやすみー!」
ギュッ
千早「は、春香!?」
春香「えへへ、響ちゃんたちに対抗だよ! 向こうが手を繋ぐなら私たちは腕を組んじゃおう!」
千早「……春香。ここはスーパーの中よ」
春香「……あっ…」カァッ
千早「もうっ……」
千早「そうね……シンプルな方が作り方がわかりやすいからそっちの方がいいかしら」
春香「じゃあビーフカレーなんてどうかな? これが一番メジャーだと思うよ」
千早「ならそうしようかしら。春香は食べたいものとかあるの?」
春香「その……お菓子を……」
千早「却下」
春香「なんで!?」
千早「アイドルだってことを忘れてるでしょ……」
千早「ありえないわ。太って体系が崩れてしまってもいいの?」
春香「ちょっとぐらいなら大丈夫だよ! そんなに食べるわけじゃないし! ねっ?」
千早「……仕方ないわね…少しだけよ?」
春香「やったー!! ありがとう千早ちゃん! 大好きっ!」ニパッ
千早「調子がいいんだから……(かわいい……)」
春香「なーにー?」
千早「私、少しだけって言ったわよね?」
春香「こんなの少しだけだよ~。事務所のみんなで食べるとすぐなくなっちゃうもん!」
千早「……ファミリーパックのお菓子が5つ。これで少しだと言うの?」
春香「うんっ」
千早「返してきなさいっ!!」
春香「ふぇ~ん! 千早ちゃんが怒ったぁ~!!」
春香「まあまあ、これもお泊まりの醍醐味ってやつだよ!」
千早「でもお菓子はほどほどにね」
春香「はぁ~い……」シュン
千早「ふぅ……。さあ、着いたわ」
春香「ただいま~!!」
千早「ここは私の家なのだけれど」
春香「まあまあ! 堅いこと言わずに、ねっ?」
春香「遅くなっちゃったり朝早いお仕事がある時はお世話になってるもんね。今日は違うけど」
千早「そうね。そういえば今日泊まりに来た理由、聞いてなかったわね。どうして?」
春香「千早ちゃんと一緒にいたい気分だったから! ……なんてのはダメかな?」
千早「本当の理由は?」
春香「本当の理由も何も、それだよ? 千早ちゃんとゆっくりまったりしたかったから!」ニパッ
千早「……それよ……その天使の笑顔はGulltyだわ……」
春香「えっ?」
千早「い、いえ、なんでもない!」
千早「そうね。もういい時間だし」
春香「晩ご飯作ろっか?」
千早「ちょっと待ってくれる? ブラームスの楽譜が一ページ見付からないの」
春香「ぶー……どうせ私なんて楽譜以下の女ですよーだ!」
千早「拗ねた顔も可愛いわね」
春香「ふぇっ!?」
千早「あ、楽譜も見付かったわ。それじゃあ準備しましょうか」
春香「う、うん……」
千早「まな板……くっ……」ペタペタ
春香「? 千早ちゃん、どうしたの?」
千早「な、なんでもないわ」
春香「そう? 千早ちゃん、野菜の切り方はわかる?」
千早「ええ。こうよね?」ゴトッ
春香「千早ちゃん、それ違う! それじゃ大き過ぎだよ!!」
春香「それは小学校の話! ちゃんと作るならもっとしっかりしないと! あ、小さ過ぎてもダメだからね。野菜が全部溶けちゃうから」
千早「…カレーって簡単だと思ってたけど、思ったより面倒なのね……」
春香「慣れたら簡単なんだけどね。れじゃあ次はお鍋を用意して……」
千早「ここでカレールウを入れるのね」
春香「違うよ! ルウは一番最後だからね!?」
千早「そ、そう……」
千早「ええ」
春香「次に野菜を入れる……あれ? 千早ちゃん、玉ねぎは?」
千早「皮は剥いたけれど、切り方がわからなくて……」
春香「あちゃ~……」
千早「ごめんなさい……足を引っ張ってしまって……」
千早「でも……」
春香「ほらほら、そんな顔してたら幸せが逃げちゃうよ?」
千早「幸せって逃げるものなのかしら?」
春香「逃げるよ? 『こんなところにいられるか! 俺はもう帰る!!』とか言って」
千早「それは少し違うような気がする」
春香「それからこうやって切っていくの」サクサク
千早「へぇ……すごくわかりやすいかも」
春香「お母さんの受け売りだけどね。あとはお肉と一緒に炒めて……」
千早「わかったわ! ここでルウを入れて一緒に炒めるのね!?」
春香「千早ちゃん、小学校の時キャンプで作ったんだよね?」
千早「私はにんじんを切る係だったから……」
春香「ごめん、私が悪かったよ」
春香「ルウはまだだよ?」
千早「も、もうわかったわよ!」
春香「まず野菜の硬さを確認して、あく取りもちゃんとしないと」
千早「これは取った方がいいの?」
春香「うん。生臭さの元になるからね」
千早「なるほど……覚えておかないと」
千早「ルウね!? ルウを入れるのね!?」ワクワク
春香「何が千早ちゃんをそんなにワクワクさせるんだろう……」
千早「いいから早く!」
春香「う、うん」
ぽちゃん
春香「あとは焦げ付かないように、弱火でじっくり暖めながらかき混ぜるだけだよ!」
千早「いい匂いがする……」クンクン
春香「(千早ちゃんかわいい……)」
春香「単に混ぜたらおいしいからだよ! 家庭によって味が違うのはこれもあるんじゃないかな?」
春香「例えば甘味が欲しかったらバーモント、辛味が欲しかったらジャワカレーって感じにね!」
千早「春香の使ったのはバーモントカレー甘口、こくまろ中辛、ジャワカレー中辛ね」
春香「ちょっとスパイスが入ったのがいいかなって思って。バーモントはリンゴとハチミツのパワーで一味加えるのにいいんだよ!」
千早「少しずつ使ったせいで余ってしまったけれど……」
春香「大丈夫だよ! ちゃんと封をしておけばまた使えるから!」
春香「うーん、もうちょっとかな? あ、そうそう千早ちゃん、知ってる? カレーとシチューって作り方がほとんど同じなんだよ!」
千早「そうなの? 言われてみれば、具材もよく似てるような気がする」
春香「クリームシチューの場合、カレールウをクリームシチューのルウに変えて、あとは牛乳を加えるだけで出来上がり!」
千早「つまりカレーの作り方を覚えてしまえば、クリームシチューもビーフシチューも自由自在……!!」
春香「ビーフシチューはちょっと難しいかも……本格的にしようとすると赤ワインとか使うからねー」
千早「そ、そう……料理は奥が深いのね……」
千早「やっと完成したのね! カレーの作り方もメモして覚えておかないと……」
春香「それじゃあ食べようよ! いっただっきまーす♪」
千早「いただきます」
春香「はむっ……うん! おいしいね、千早ちゃん!」
千早「ええ。成功してよかったわ」
春香「これなら二回ぐらいおかわりしちゃうかも!」
千早「樽ドル……」
春香「や、やっぱり一回だけにしておこうかな!」
千早「おかわりはするのね」
千早「ごちそうさまでした。おいしくて私もおかわりしちゃったわ……」
春香「えへへ、これでおあいこだね♪」
千早「そういう問題?」
春香「だって千早ちゃんといっしょで嬉しいんだもん!」
千早「……わ、私も、春香といっしょで……その、嬉しい……かもしれないわ……」
春香「ホント? ありがとう、千早ちゃん!」ニコッ
千早「(この笑顔に弱いのよね……)」
春香「えっ? もしかして今日もやるの……?」
千早「日課だもの。日課は続けないと意味がないでしょう?」
春香「そ、そうだけど……ホントにやるの?」
千早「当然よ。日課だもの」
春香「わ、わかったよぉ……じゃあ準備するね?」
千早「ええ。じゃあ春香……動くわよ?」
春香「あんまり激しくはダメだよ?」
千早「ふっ……! んっ……!」
春香「あっ、ダメ! ずれちゃう……!」
千早「まだ……始めたばっかりよ…! しっかりして!」
春香「だ、だからダメ! このままだと……ああっ!!」
春香「はい……」
千早「もう少ししっかり持ってくれる?」
春香「だって千早ちゃんが激し過ぎるから……」
千早「もう……ノルマまでまだまだ残ってるのに……」
春香「どう考えても多過ぎだよ! 腹筋250回だなんて!!」
千早「そうかしら?」
春香「絶対多い! 私は間違ってないよ!!」
春香「お、お疲れ様……。私の方が疲れた気がするよ……」
千早「春香はトレーニングパートナーには向いていないのかしら……」
春香「あぅっ……。ごめんなさい……もっと精進します……」
千早「冗談よ。付き合ってくれてありがとう、春香」ニコッ
春香「千早ちゃんの笑顔……!これだけでカレーをあと二杯は食べれそう!!」
千早「やめなさい」
千早「もうこんな時間……時間が経つのが早く感じてしまうわね」
春香「そうだね~。それじゃあ千早ちゃん、入ろう?」
千早「何故ナチュラルに一緒に入ろうとしてるの?」
春香「え? だっていつも一緒に入ってるでしょ?」
千早「確かにそうだけれど……やっぱり恥ずかしいと言うか……」
春香「えーいっ♪」バサッ
千早「きゃっ!? な、何するの春香!?」
千早「もうわかったから! 一緒に入るからホックを外そうとするのはやめて!!」
春香「えへへ~♪ じゃあ千早ちゃん、準備できたら入ってきてね! 私は湯加減見ておくから!」
千早「え、ええ。後でね」
バタンッ
千早「はぁ……」
千早「まったく、変なところばっかり強引なんだから……」
千早「……どうせ拒否権はないんでしょう? それにしても……」
春香「?」プルンッ
千早「本当に羨ましいわね……胸は大きいし……」
春香「そ、そうかな? 別に普通だと思うけど……」
千早「ムダ毛が一切無いし……」
春香「こ、これは結構気にしてるんだけどなあ……みんな生えてて私だけずっと生えたことないし……」
千早「(天使にムダ毛は生えないということかしら)」
千早「いいことなんて全然無いわよ? 水着グラビアの時は処理しなきゃいけないし」
春香「む~……それも私には経験出来ないことだから羨ましいなあ……」ジーッ
千早「は、春香? 女同士とはいえ、あまり見られると恥ずかしいのだけれど……」
春香「……!」ティン!
春香「いいこと思いついた!」
千早「……春香? まさかとは思うけれど……」
春香「ふっふっふ……そのまさかだよ、ち・は・や・ちゃんっ♪」
千早「」
千早「……スースーする……」ツルーン
春香「これで水着グラビアもバッチリだよっ♪」
千早「夏はもう終わりなのだけれど……」
春香「(のヮの;)」
千早「……さようなら……私の毛……」
千早「おそろいなんかじゃないわ……」
春香「えっ?」
千早「……おそろいにしたいのなら、この胸を少し寄越しなさい!!」ガシッ
春香「ちっ、千早ちゃん!?」
千早「なるほど……生だとここまで柔らかいのね」モミモミ
春香「ゃんっ! だ、ダメ! 直接だといろいろ……んんっ!」
春香「あ……ぅ……よ、よかったあ……もうちょっとで……」
千早「春香には立派な胸がある。私には揉めるほどもない……」
千早「もうこれは運命だと思って放っておくしかないのね……」
春香「ほっとけない」
千早「……え?」
春香「ほっとけないよ!」ムギュッ
千早「ひゃっ!? は、春香!?」
千早「や……な、なにを……」
春香「ちゃんと揉めたよ、千早ちゃんのおっぱい」モミモミ
千早「あっ……揉めるほどはあったのね……」
春香「そうだよ! もっと自信持って!」モミモミ
千早「自信……確かに一番必要なことかもしれないわね」
春香「うんうん! その意気だよ!」モミモミ
春香「なにー?」モミモミ
千早「……どうしてずっと揉んでいるのかしら?」
春香「豊胸マッサージ……なんちゃって……」モミモミ
千早「やめて」
春香「はい……」モミッ
千早「あら、懐かしいわね」
春香「えへへ、千早ちゃんは覚えてる?」
千早「もちろん、忘れるわけがないじゃない。初めての大型ライブで、私たちがデュオ組んで初めてステージで歌ったこの曲を……」
春香「『My Best Friend』……歌詞とはちょっと意味合いが違ってくるけど、私たちも親友だもんね!」
千早「ありがとう、春香。あの時はまだまだ無名で、あまり会場を盛り上げることは出来なかったけれど……次の機会があれば必ず──」
春香「湧かせてみせる、よねっ!」
千早「ええ……必ず!」
千早「…服を着てもスースーする……」
春香「あとはパジャマパーティだよ、千早ちゃん!」
千早「その前に歯磨きを忘れちゃ駄目よ」
春香「はーい!」
千早「(この赤いコップと赤い歯ブラシもすっかり馴染んでしまったわね)」
千早「……ふふっ♪」
春香「どうしたの?」
千早「なんでもない」
千早「ねぇ春香。本当に布団を買うつもりはないの?」
春香「え? なんで?」
千早「余裕が無いわけじゃないでしょう? お泊まりも多いことだし、私の布団一つだけじゃ不便だと思うのだけれど」
春香「一緒に寝るからいらないよ~。それとも千早ちゃんは……私と一緒に寝るの、イヤ?」
千早「嫌なわけないじゃない。春香のことは好きよ」
春香「えへへ……私も千早ちゃんだーいすきっ♪」ガバッ
千早「ちょっ、ちょっと春香!?」
千早「肌が暖かい人は心が冷たいらしいわよ」
春香「じゃあ私はどうかな?」
千早「暖かいわね」
春香「それじゃあ私も心が冷たいのかな……」
千早「いいえ、はっきりしたわ。そんなものは迷信だって。春香は本当に優しい人……いいえ、天使のように思えるもの」
春香「じゃあ千早ちゃんもいっしょだよ。千早ちゃんも心があったかい人だもん」ギュッ
千早「……そうだといいわね」ギュッ
千早「何?」
春香「──したくなっちゃった……。してもいい?」
千早「……ほっぺだけならね」
春香「唇は? 女の子同士だからノーカンってダメかな?」
千早「かまわない……と言いたいところだけど、やっぱりやめておきましょう。そういうのは大事にしないと」
春香「ん……そうだね。あんまり軽々しくするようなものじゃないかも」
千早「……言ってみて」
春香「大好き、千早ちゃん」
千早「私も大好きよ、春香」
チュッ
春香「おやすみ、千早ちゃん」
千早「ええ。おやすみ、春香」
おわり
春香「おっはよーございまーす!」
千早「おはようございます」
小鳥「あら、二人ともおはよう。ゆうべはお楽しみだった?」
千早「お、音無さん! いきなり何を──」
春香「はい! 大満足でしたっ!!」
小鳥「キマシタワー!!」
千早「は、春香ぁっ!」
春香「だって満足だったことには変わらないんだもんっ♪」
春香「えへへ……」ペロッ
千早「(あざとい……けどかわいい……)」
ガチャッ
貴音「おはようございます!」
響「はいさーい……」
春香「二人ともおはよう!」
千早「…? なんだかいつもの二人とテンションが逆のような……」
千早「え? わ、わかったわ」
響「春香……ちょっといい? 相談があるんだけど……」
春香「う、うん。わかったよ」
千早「そ、そうなの?」
貴音「はい。寝顔が大変可愛らしく、もう我慢がなりませんでした……」
千早「確かに我那覇さんは可愛いわね……」
貴音「あれから一睡も出来ず、未だ興奮が覚めません。何故だか響も機嫌が悪くて……」
貴音「ああ! 私はどうすれば良いのでしょうか!?」
千早「そうね……とりあえず私に言えることは──」
春香「えぇっ!? た、貴音さんも大胆だね……」
響「貴音、寝ぼけてたのかな……自分にキスした後そのまま寝ちゃって……」
春香「……ホントに寝ぼけてたとは思えないんだけど……」
響「結局あれから全然寝れなくて……貴音が起きてきてもまともに顔も見れないままなんだ……」
響「ねぇ春香……自分はどうすればいいの? 教えてよ!」
春香「ええっと……そうだね……とりあえず私が思ったことは──」
春香「──もう付き合っちゃえばいいんじゃないかな」
小鳥「今日のお前が言うなスレはここですか?」
おわり☆
どうすればもっと天使っぷりを前面に押し出して書けるのかわかりません
いつのまに765プロはこんなに百合百合してしまったのか・・・けしからん、もっとやれ!
はるちは正義
Entry ⇒ 2012.09.10 | Category ⇒ アイマスSS | Comments (0) | Trackbacks (0)
向日葵「船見先輩!料理勝負ですわ!」
・・
・・・
・・・・
櫻子「あ!船見せんぱ~い!」
結衣「やあ、櫻子ちゃん」
向日葵(櫻子ちゃん.............!?)
櫻子「買い物帰りですか!これで何作るんですか!?」ギラギラ
結衣「んっと.........今日は肉じゃかを作ろうと思って」
櫻子「うゎ~.........お呼ばれしてもいいですか!!??」
結衣「うん、今日は京子もいないし、おいでよ。あ、古谷さんも一緒だったんだね。これからお昼一緒にどうかな?」
向日葵「あ.........」
向日葵「その、ご一緒したいのですが、楓のご飯も作らなくてはなりませんし、、、今日は、これで」ペコリ
結衣「そっか、残念だね。じゃあいつかまた」
・・・
・・
・
向日葵(これ以上櫻子を野放しにしておけば、ますます............)
向日葵(名前で呼び合う仲だったなんて.............)
向日葵(こうなれば、船見先輩より美味しい料理を作らなくてはなりませんわ)
向日葵(料理勝負.........挑んでみますわ!)
ピピピピピピピピピ.............
櫻子「ぅ...........ん...........」ゴシゴシ
トントントントン.......
櫻子「おはよ........花子」
花子「『おはよ』じゃないし!今日は撫子姉ちゃん朝練だから朝ごはんの当番櫻子だし!」
櫻子「!?....し、しまった~!!急いd
花子「今日はもういいし!ひま姉が来てくれたから.........」
櫻子「あれ?.......なんで向日葵がうちに?」
向日葵「今日は早く登校して宿題やるんじゃなかったんですの?迎えに来てみれば.........」ハァ.......
櫻子「」
花子「ひま姉にちゃんと感謝するし」
向日葵(櫻子を船見先輩から引き戻すためにも.........)
放課後 娯楽部室にて
向日葵(少し恥ずかしいですが........)
スパーン
向日葵「たのもー!」
一同「!?」
櫻子「ん?向日葵?」
向日葵「」
京子「なになに?おっぱいちゃん、ついに入部希望?」wktk
向日葵「ち、ちがいますわ......!それより何で櫻子がここにいますの?HR終わってすぐいなくなったと思えば........」
櫻子「えー、いいじゃん。今日は生徒会の仕事無いんだし」ブー
向日葵「と、とにかく!今日は.........その..........ふ、船見先輩!」
結衣「.....な、何かな?」
向日葵「今度、船見先輩と料理対決を申し込みに参りました」
櫻子「なになに~?なんか面白そう!!」
結衣「対決?......ま、まぁ、やってもいいけど、いきなりどうしたのかな?」
向日葵「さ、最近船見先輩のお宅に櫻子が入り浸ってるようで...........ほ、保護者として迷惑かと.....」
向日葵「そう、保護者として、ですわ!」
櫻子「ムッ......なんだとー!?この櫻子様がおっぱい魔人の娘になったことはない!!」
向日葵「あなたは黙ってなさい!」
向日葵「ですから、明日の放課後、家庭科室で船見先輩より上手に料理を作ります。それで櫻子を引き取りますわ!」
京子「よかろう!その勝負受けてt ゴツン
結衣「..........わかった.........意志は固そうだね.......いいよ。じゃあ、明日、同じメニューのものを作って
櫻子ちゃんに食べ比べをしてもらう..........。これでどうかな?」
向日葵「望むところ、ですわ!.........櫻子。何か食べたいものはありますの?」
櫻子「えっとね~.............私、麻婆豆腐が食べたい!!」
向日葵「よろしいですわ」
向日葵(麻婆豆腐.......あまり作ったことはありませんが.........今日帰ってから練習すれば............)
向日葵(いよいよですわね.........)
向日葵(昨日は少し失敗もしましたけど、材料も揃えましたし、これで櫻子を............!!)
櫻子「おい、向日葵!勝算あるの?相手はあの船見先輩だよ?」
向日葵「大丈夫ですわ!」(元はといえば、あなたが.........)
ガラッ
櫻子「って何?この審査員席!あかりちゃんたちはともかく、何で姉ちゃんと花子まで?!」
撫子・花子「呼ばれたのよ(し)」
京子「(エッヘン!)」
向日葵・櫻子「」
一同「イエ~イ」8888
京子「娯楽部VS生徒会でもある今勝負.........料理に秀でている2人ですが、はたして勝つのはどっち?」
京子「それではいってみよう~、今日のお題、麻婆豆腐!!料理開始!!」
ゴゥワーン
京子「さて、麻婆豆腐といっても、星の数ほどのレシピがあると聞いていますが.........」
京子「ではまずおっぱい選手!今日はどのような料理を作っていくおつもりですか?」
向日葵「えっと、本格四川のしびれるような麻婆豆腐を目指します」
向日葵(おっぱいちゃんって........っていうか、そこどいていただけるとありがたいのですか........)
京子「え~、両陣営ともまず始めたのはにんにくのすりおろしのようですが」
京子「結衣選手はどのような麻婆豆腐を作るつもりですか?」ズイッ
結衣「だれでも手軽に作れるおいしい麻婆豆腐を...........ってそこ邪魔だからどけ」
京子「」
京子「今は何をしているところなのでしょうか」
向日葵「合わせ調味料を作っているところですわ。先ほどのおろしにんにくとテンメンジャン 、醤油、紹興酒を混ぜていますの」
京子「なるほど。ところでこちらの濁った液体はなんなのでしょうか......」ピト
京子「あっぢー!!!!」 ゴン!!
結衣「勝手にさわるな!」
京子「えっと、結衣選手側には2つの鍋が用意されているわけですが.........」
京子「先ほどのチキンスープと、まだ火にかけられていない中華鍋.........。それに対しておっぱい選手には3つの鍋が」
京子「おっぱい選手は豆腐を湯通ししているようですね.........おっ、両陣営とも合わせ調味料が完成したようです!いよいよ
本格的に料理が始まります!!」
向日葵(船見先輩は豆腐を湯通ししなかったようですわね.........紹興酒の代わりに普通のお酒で代用していましたし........)
向日葵(この勝負、いただきましたわ........!!)
向日葵「ここにピーシェン豆板醤とラー油、朝天椒、豆鼓を混ぜ合わせますのよ」
京子「ん~..........なにやら聞きなれない材料を多く使っているようですが、どんな味のものが出来上がるのでしょうか。楽しみです!」
向日葵(言えない.........昨日金沢にまで材料を買いに出向いたなんて、言えない.........)
京子「一方、結衣選手。ネギを切り終わり、ひき肉の炒め作業に入ったようです」
京子「こちらに先ほどの合わせ調味料を入れ.........」
京子「赤いやつ............えっと..........」
結衣「豆板醤」
京子「を入れました!」
結衣「慣れない実況すんな!」
京子「一つ目の合わせ調味料を入れ~の」
京子「二つ目の合わせ調味料を入れ.......」
京子「......................よく炒める!」
向日葵(歳納先輩、すこし黙ってくれないかしら(困惑))
京子「さて、両陣営とも今、白濁えk...........じゃなかった、チキンスープを入れました!」
京子「ここで結衣選手は胡椒を入れましたが、一方おっぱい選手、ここでなにやら見慣れない野菜?を追加!」
京子「おっぱい選手、これは何でしょうか?」
向日葵「これは蒜苗といって一見ネギのようですが、これを入れるとにらに似た風味を出しますの」
京子「なんだかついていけなくなってきた司会の京子です、ハイ」
京子「両陣営とも、今度こそ白濁液」
結衣・向日葵「水溶き片栗粉だ(ですわ)!」
京子「を入れました。鍋の中の料理にもとろみがつき、いよいよ麻婆豆腐が姿を現しました!」
京子「結衣選手はここでラー油とネギのみじん切り加えて、皿に盛りつけました!」
京子「結衣選手、麻婆豆腐完成で~す!」
京子「いっぽう、おっぱい選手、最後の仕上げに何かを加えましたが............」
京子「多分、聞いても分からないのでスルーで」
結衣「おいこら」
京子「そして軽く全体を混ぜた後、盛り皿に移して、完成で~す!」
※向日葵が最後に加えたのは花椒油という香味油です
審査中
・
・
・
・
京子「ウップ........食い過ぎたぜ.......」ふぅ
京子「さて、みなさん試食が済んだようなので一通り感想を聞いてみましょう!」
あかり「どっちもおいしくて点数をつけるのが難しくて困っちゃいます!」
ちなつ「結衣先輩の手料理が私の中に♥ つまり私と結衣先輩は(ry
花子「ひま姉のは美味しかったけど花子には辛すぎたし」
撫子「船見さんの方、シンプルな味付けで美味しかったわ。あとでレシピを教えてちょうだい」
櫻子「あれ、どっちがどっちのだっけ?」
京子「さて、それでは各審査員一人一人にはそれぞれ3点の持ち点が与えられています。これを両選手に
分配し、その合計点で勝敗がきまります!」
京子「さて、それでは得点の発表に移りましょう!」
京子「結衣VSおっぱいちゃん!勝利の栄光はどちらの手に?」
デデン
結衣 - 向日葵
10 - 5
向日葵「あれだけ材料をそろえて、練習もしましたのに..............」グスッ
京子「では両者、コメンt ゲシッ
結衣「古谷さん、私も古谷さんの麻婆豆腐、少し食べて見たんだ」
結衣「すごくおいしかったよ。東京に行ったときに入った本格四川の店にも劣らないと思ったくらいに」
結衣「だけど、私たちは別にプロを目指すわけじゃないし、普通の人にはあんまり違いなんて分からないんだよね」
結衣「私なんかは、みんなに気軽に食べてもらいたい。それで喜んでもらえると一番うれしい」
向日葵「.........」
暇な時間を見つけては、船見先輩のお宅にお邪魔しては料理研究に没頭した。
櫻子も、私のレパートリーが増えるたびに喜んでくれた。
いつかは良いお嫁さんになれるかしら。
おわり。
結衣のレシピ
ひき肉、ねぎ、豆腐、豆板醤、ラー油、胡椒、水溶き片栗粉、チキンスープの素
合わせ調味料(テンメンジャン、おろしにんにく、醤油、酒)
向日葵のレシピ
ひき肉、ねぎ、豆腐、豆板醤、蒜苗、花椒油、水溶き片栗粉、チキンスープの素
合わせ調味料1(テンメンジャン、醤油、紹興酒、胡椒)
合わせ調味料2(ピェーシェン豆板醤、朝天椒、ラー油)
参考:陳建一が提案する大人の厨房
今度ごちそうしてください
よろしく
Entry ⇒ 2012.09.10 | Category ⇒ ゆるゆりSS | Comments (0) | Trackbacks (0)
ルルーシュ「さて、床で寝るか」
ルル「床で寝る、と言ったんだ」
C.C.「今まではソファで寝ていたじゃないか」
ルル「『男は床で寝ろ』と言ったのはお前だろう」
C.C.「確かにそうだが……」
ルル「……俺はようやく手に入れた」
ルル「この――布団という名の寝具をな!」
ルル「お前には関係ないだろう」
C.C.「……ふん、それもそうだな」
ルル「ククク……太陽の光を浴びてふかふかになっているな……!」
C.C.「ほう? 少し触らs」
ルル「断る」
C.C.「……」
C.C.「私にそんな趣味は無い」
ルル「俺にもそんな趣味は無い。だから、触らせるわけにはいかない」
C.C.「……まあいい」
ルル「フハハハッ……これが太陽の香りというやつか……!」
C.C.「太陽の? どれ、少しだk」
ルル「断る」
C.C.「……」
C.C.「させるわけがないだろう」
ルル「俺も同じだ」
C.C.「……まあ、いい」
ルル「お前はベッドで、俺は床で布団で」
ルル「――これこそ、お前の望んでいたものだろう?」
C.C.「……さあな」
C.C.「ふむ、前にも使ったことがあるのか」
ルル「まあな。その時の素晴らしい寝心地は今でも鮮明に思い出せる」
C.C.「……そんなに布団とは良いものなのか?」
ルル「ベッドも素晴らしい。だが、布団はそれとは違った良さがあるのは確かだ」
C.C.「……なあ」
ルル「断る」
C.C.「……」
いそいそ
ルル「……ククク、我ながら完璧なレイアウトだ」
ルル「この地点は、周辺にテーブルも配置されている」
ルル「さらに、トイレへ至る経路には障害物が無いのも良い」
C.C.「……」
ルル「――作戦の第一ステージはクリアー」
いそいそ
ルル「第二ステージは敷布団にシーツをかける作業……」
ルル「……だが、この作業は慎重にやらなければならない」
C.C.「ほう、何故だ?」
ルル「シーツがピシッとかけられていないと、
寝返りをうった時にシーツがめくれていってしまう恐れがある……!」
C.C.「ふむ」
C.C.「足側から? 頭側からではダメなのか?」
ルル「愚問だな」
ルル「最初に布団に寝転がった時、
布団と完全に密着していなかったシーツがフワリとする感触が楽しめん」
C.C.「……よくわからないな」
ルル「わからないならそれで良い。お前はベッドで寝るんだからな」
C.C.「……」
ルル「これより、シーツの足側を固定する作業にうつる」
いそいそ
ルル「……!」
C.C.「……なあ、ルr」
ルル「っ! 話しかけるな!」
C.C.「……」
ルル「……!」
いそいそ
ルル「――続いてフェーズ2へ」
C.C.「次はどうするんだ?」
ルル「フェーズ2では、頭側のシーツを固定する」
C.C.「……なんだ、またチマチマした作業か」
ルル「違うなC.C.。その考えは間違っているぞ」
C.C.「何?」
ルル「頭側のシーツをかけるのに求められるのは、慎重さでなく――大胆さだ」
ルル「見ていればわかる」
すっ…
C.C.「? シーツの端を握って何を――」
ルル「ふんっ!」
フワアッ……!
C.C.「おおっ……!」
ルル「空気を取り込むように、シーツを大きく展開させ左翼、右翼から一気に攻める」
ルル「フェーズ2終了……第二ステージもクリアーされた」
C.C.「? 何かあったのか」
ルル「……この作業は、俺の手に負えるものではない」
ルル「掛け布団は柔らかく繊細だ」
ルル「俺自身が手を下せば、取り込んだ太陽の匂いを逃がしてしまう」
C.C.「ふふっ、それで?」
ルル「――掛け布団にシーツを被せるのは、咲世子にやって貰った」
C.C.「……」
C.C.「あと必要なのは……枕か」
ルル「その通り。さすがC.C.、俺の共犯者だ」
C.C.「まあな」
C.C.「それで? 枕はどこにある?」
ルル「慌てるな。この日のために特注のものを取り寄せてある」
C.C.「……本気、らしいな」
C.C.「届くとは……この斑鳩にか?」
ルル「それ以外のどこに届けるというんだ」
C.C.「しかし、ここは……」
ルル「ジェレミアの俺への忠誠は本物だからな」
C.C.「……」
C.C.「オレンジ便、か」
C.C.「待ちきれないのか」
ルル「当然だ」
C.C.「……」
ルル「C.C.、言っておくが……勝手に布団に入るなよ?」
C.C.「……」
C.C.「ふん……私はC.C.だぞ? 床なんぞで寝られるか」
C.C.「……太陽の匂い、か」
C.C.「……」
C.C.「ふかふかの敷布団……フワリとするシーツ……」
C.C.「……」
もそもそっ…
C.C.「――おや? 私の進路に邪魔な寝具が置かれているなぁ」
C.C.「この私の邪魔になるような敷き方をするとは……」
C.C.「やれやれ、これは躾が必要なようだな」
C.C.「しかし、どうやって今回のお仕置きをしたものか」
C.C.「……」
C.C.「――あぁ、この布団で一番に眠れないというのは良いお仕置きになるなぁ」
C.C.「私が、そんなお前に罰を与えるのは当然――」
コンコン
C.C.「!?」
C.C.「まさか……もう戻ってきたというのか……?」
『……紅月カレン、偵察任務より戻りました』
C.C.「……なんだ、カレンか」
パシュン!
C.C.「偵察任務、ご苦労だったな」
カレン「なんでアンタが偉そうなのよ」
C.C.「なに、アイツが居ないからその分の労いの言葉を代弁したんだ」
カレン「誰もそんなの頼んでないわよ!」
カレン「――って、何やってたの……?」
C.C.「ん?……ああ」
C.C.「まあ、な」
カレン「へー! それが布団なんだ! 本当に床に敷くのねぇ!」
C.C.「? お前は布団を見た事が無いのか?」
カレン「ええ」
カレン「私の家……住んでた所は、全部ベッドだったし」
C.C.「ふむ」
C.C.「……何?」
カレン「ちょっとだけ! ねっ、良いでしょ?」
C.C.「……」
C.C.「駄目だな」
カレン「? どうしてよ」
C.C.「この布団には――最初に私が寝転がるからだ」
カレン「……はぁっ?」
C.C.「この布団は私の行く手を阻むように敷かれている」
カレン「それがどうしたってのよ?」
C.C.「やれやれ……ルルーシュは、この布団に最初に寝転がるのを楽しみにしているんだ」
カレン「……それで?」
C.C.「私の邪魔をしたルルーシュにお仕置きするため、私が最初に寝転がる」
カレン「……悪いけど、話を聞いて余計訳がわからなくなったわ」
C.C.「そうだ」
カレン「もしかして、C.C.も布団に寝転がってみたかったりするの?」
C.C.「ああ」
C.C.「……」
C.C.「い、いや、違う! あくまでもお仕置きのためだ!」
カレン「……ふーん」
C.C.「!? どうしてそうなる……!?」
カレン「だって、ルルーシュが一番最初に寝られなければ良いんでしょ?」
C.C.「それは……」
カレン「――って事で、お邪魔しま~す……っと」
C.C.「まっ、待――」
パシュン
C.C.・カレン「……」
ルル「ククク……! これで存分に楽しめ――」
ルル「――おい、何をしているんだお前達!?」
C.C.「その、だな……」
ルル「……とりあえず、カレンは偵察任務ご苦労だった」
カレン「え、えぇ……」
ルル「――そしてC.C.」
C.C.「……」
ルル「お前は、俺が敷いた布団に何をするつもりだった?」
ルル「……」
カレン「――ちょっと! なんか物凄く怒ってるわよ!?」ヒソヒソッ
C.C.「敷き方にも相当こだわっていたからな……」ヒソヒソッ
ルル「C.C.」
C.C.「なっ、なんだ」
ルル「『男は床で寝ろ』……お前は、そう言ったはずだ」
ルル「だが、まさかとは思うが――その布団で寝ようとしていたのか?」
C.C.・カレン「……」
ルル「本当か?」
C.C.「勿論だ」
ルル「ならば、何故布団の近くに居た」
C.C.「それは……」
C.C.「……」
C.C.「カレンが、お前の敷いた布団に寝転がろうとしていたからな」
カレン「へっ?」
C.C.「私は、それを止めようとしていたんだ」
カレン「……はあっ!?」
C.C.「事実だろう?」
カレン「それはそうだけど、でm」
ルル「――カレン」
カレン「!? なっ、何……?」
ルル「お前は、俺が敷いた布団に、寝転がろうとしたのか?」
カレン「う……あ……」
カレン「……」
カレン「……はい……」
カレン「……」
ルル「やはり、お前にも日本人の血が流れているという事か」
カレン「……えっ?」
ルル「日本人は布団を使用してきた民族だ」
ルル「その血を引くお前が、布団で寝たいと思っても不思議じゃあない」
カレン「許して……くれるの……?」
ルル「当たり前だろう」
カレン「! 良かったぁ……!」
カレン「うん、仕方無いわよね」
ルル「だが――代わりを用意する事を約束しよう」
C.C.「代わり? どういう事だ?」
ルル「お前には関係ないだろう」
C.C.「……」
ルル「カレン、お前の分の布団も斑鳩に取り寄せよう」
カレン「やった! ルルーシュ、アンタも気が利くじゃない!」
C.C.「……」
斑鳩に居る騎士団の人数分布団を取り寄せるべきか……?」
カレン「それ、本気?」
C.C.「……ふん! とんだ無駄遣いだな」
ルル「本気だとも。布団一組で騎士団の人間が
精神的に落ち着けるのなら安いものだ」
カレン「……へー、色々考えてるのね」
C.C.「おい、今私を無視しなかったか?」
ルル「まあな」
C.C.「っ!……おやおや、いい度胸じゃないか」
C.C.「……まさか、今も無視したのか……!?」
ルル「格納庫を使って催しをするのも良いかもしれないな」
カレン「催しって……何が出来るの? 布団があるだけで」
ルル「カレン。俺が今手に持っているものが何かわかるか?」
カレン「それは……枕?」
ルル「そうだ」
ルル「――枕投げだよ、カレン」
ルル「ああ」
ルル「枕投げとは……敷き詰められた布団の上で、
枕を投げ合って戯れるというお遊びみたいなものだ」
カレン「結構面白そうじゃない! 枕なら、当たっても痛くないだろうし」
ルル「ふざけあうのが目的だからな」
カレン「これなら、全員参加で楽しめそうよね」
ルル「床で寝ない人間は参加出来ないが、な」
C.C.「……」
ルル「そうだな」
ルル「……さて、そろそろ寝る時間だ」
カレン「そうね。それじゃ、今日は存分にその布団を楽しんで!」
ルル「ありがとう……って、なんだかお礼を言うのは変だな」
カレン「あはは、本当にね」
カレン「――それでは、失礼します!」
―パシュン
C.C.「……」
ルル「C.C.、もう電気を消すからベッドに戻ったほうが良いぞ」
C.C.「……ふふっ、本当にひどい奴だな、お前は」
ルル「いきなり何を……」
C.C.「ルルーシュ」
C.C.「――ここまでされて、私が素直にお前を布団で寝かせると思うか?」
ルル「!?」
C.C.「私も布団というものに興味が沸いた」
ルル「!? おい、まさか……!?」
C.C.「丁寧に布団を敷いてくれてありがとうとでも言っておこうか」
ルル「ルルーシュ・ヴィ・ブリタニアが命じる!」
ルル「――布団に近寄るなッ!」キュィィン!
C.C.「ふふっ、私にギアスは効かんぞ」
C.C.「どれ、掛け布団のさわり心地は、と」
…ふわっ
C.C.「おおっ、さすが咲世子だな。フワフワだ」
ルル「お願いだ……やめてくれ……!」キュィィン!
C.C.「んー……これが太陽の香り、か」
ルル「ぐ、おおおっ……!」
ルル(C.C.……! この魔女めええっ……!)
C.C.「チーズくんを置いて……あとは――」
ルル「まさか……」
C.C.「――ルルーシュ、布団で寝るために取り寄せた、
その枕をこっちに寄越せ」
ルル「断るっ! これは、選びに選んで決めt」
C.C.「何? 聞こえんな」
ルル「……受け取れ」
C.C.「ふふっ! 素直が一番だぞ、ルルーシュ」
ルル「……お前が言うな」
C.C.「ルルーシュ、私は確かに『男は床で寝ろ』と言った」
C.C.「だが、私は好きな所で寝る」
C.C.「だから、床――この布団では私が寝る」
C.C.「依存は無いな?」
ルル「だったら……俺はどこで寝ろと言うんだ……!」
C.C.「私は布団で寝るから、ベッドを使っても構わないぞ」
ルル「……」
ルル「何?」
C.C.「当たり前だろう。元々お前のベッドだぞ?」
ルル「……」
C.C.「ベッドを余らせておくのも無駄だからな」
ルル「……」
ルル(俺が……ベッドで寝る? 寝られる、のか……?)
ありがたく思えよ、ルルーシュ」
ルル「ベッドで……寝て……良い……」
C.C.「……ルルーシュ?」
ルル「……ハハ……ハ」
C.C.「おい、何を笑っt」
ルル「ハハハハハッ! やった! やったぞ!」
ルル「ベッドでッ! 他のどこでもない、ベッドで寝られるんだ!」
C.C.「……」
C.C.「……喜びすぎだろう」
C.C.「あ、ああ……」
ルル「っ……!」
ルル「長かった……! お前に『男は床で寝ろ』と言われて以来、
一度もベッドでは寝ていなかった……!」
ルル「寝転がっても、目をつぶるだけ……!
安らぎなど当然無い、睡魔との闘いの場所だったベッドが!」
ルル「――安らぎの場所、ベッド!」
ルル「今ここに、ベッドが俺にとって安らげる場所に戻った事を宣言する!」
C.C.「……」
C.C.「……そこまで喜ばれると、逆にベッドで寝かせたくなくなるな」
ルル「!? もう寝るぞ、C.C.!」キュィィン!
C.C.「私にギアスは効かないと言ってるだろう」
ルル「ベッドで寝かせてくれ……お願いだ……お願いします……!」
C.C.「……ふん」
C.C.「なら、電気を消せ。布団からではスイッチが遠い」
ルル「!」
C.C.「待て、布団に入る」
ルル「ええい、グズグズするな!」
C.C.「はいはい」
もそもそっ!
C.C.「……おお、シーツがフワリとなった」
C.C.「ふふっ、布団は中々快適じゃないか」
カチッ
C.C.「おい、電気を消す前に一言くらいh」
ルル「はあっ!」
―ボフンッ!
C.C.「? 何だ、今の音は……?」
ルル「特に、このゼロのために用意されたベッドは格別だ!」
ルル「この寝心地の良さは、他のどんな寝具でも出せないだろう!」
ルル「愛しているよ……ベッド……!」
C.C.「……」
C.C.「……確かに、そのベッドの方が寝心地が良いな」
ルル「……う~ん……ナナリー……むにゃむにゃ……」
C.C.「もう寝たのか……!?」
布団がやけに冷たくなってきたな」
C.C.「……それに、枕投げとやらも冷静になってみれば面倒そうだ」
C.C.「……」
もそもそっ…
C.C.「……」
もぞもぞっ…
C.C.「……ああ、やっぱりこっちのベッドの方が良いな」
C.C.「……寝言がうるさい」
ぐいぐいっ!
…ボトッ!
ルル「おぐうっ!?」
ルル「ぐおお……何故……ベッドは簡単には落ちない大きさのはず……!?」
C.C.「悪いが、このベッドは一人用だ」
C.C.「男は床で寝ろ」
おわり
おやすみ
乙
Entry ⇒ 2012.09.10 | Category ⇒ コードギアスSS | Comments (0) | Trackbacks (0)
春香「私、将来的にプロデューサーさんに嫁ぐじゃないですか」
春香「今のうちに子供の名前とか決めといた方がいいと思うんですよ」
P「え?ごめんよく聞こえない」
春香「そういえばプロデューサーさんは何人欲しいんですか?」
P「え?ごめんちょっと意味分からない」
P「なあ分かったから扉から手、放してくれないか」
春香「一人の子に愛情たっぷりあげたいじゃないですか?」
P「うんわかるわかる」
春香「ですよね」
P「分かったから南京錠切ろうとしないでくれる?」
P「誰だよハルヒコ」
春香「女の子だったら春音とかどうでしょう」
P「ああ、きっと春香に似た可愛らしい女の子になると思うよ」
春香「ありがとうございます、きっと春彦はプロデューサーに似た優しい子になりますよ」
P「大丈夫春香の子が他人の俺に似るはずないから安心してくれ」
春香「あはは何言ってるんですかプロデューサーさん」
P「なんだい春香」
春香「お義父さんお義母さんに挨拶したいんでそろそろ実家の場所を教えて欲しいんですけど」
P「そうか春香は両親と別居しているのか偉い偉い」
春香「よくわからないですけどありがとうございます」
P「どういたしまして、だから掴んだ手を放してくれないか」
P「ああ、手が温かいやつは心が冷たいらしいぞ」
春香「その冷たい心を春の日差しが溶かすんですか?」
P「お前はいったい何をいっているんだ」
春香「すいませんプロデューサーさんこの手」
P「なんだどうした春香」
春香「我慢できないんで舐めていいですか」
春香「後2センチくらいだったんですけど」
P「そろそろ閉めていいかドア」
春香「開けてくれるんですか?」
P「開けるにしても一回閉めなきゃならんだろうに」
春香「ああ、確かに」
P「じゃあ閉めるから」
春香「はい」
春香「プロデューサーさんもう十分経ちますよ」
春香「プロデューサーさん嘘はいけないですよ嘘は」
春香「プロデューサーさん近所迷惑になりますよ」
春香「プロデューサーさん寝ちゃったんですかプロデューサーさん」
春香「あ、プロデューサーさん南京錠まだ付いてますよ」
P「確かに付いているかもしれない、けれど心は繋がっている。そう思わないか?」
春香「じゃあ後は身体が繋がるだけですね」
P「待っていま警備呼んでるから」
春香「警備さんに見られてないと興奮しない性癖でも?」
春香「そうですか?」
P「ああ、離れていても誰かと繋がっている。それはとても素晴らしい事だ」
春香「まるで私とプロデューサーさんみたいですね」
P「ああ、春香とファンたちに似ているな。だから電話を返してくれ」
P「そうかもしれないな」
春香「好きな子ほど苛めちゃうみたいな」
P「イヤなことをイヤと言わないとかな」
春香「その天の邪鬼な心を春の日差しが暖かく包み込むんですよね」
P「ごめん春香のたとえ話は難しくて俺には理解できない」
春香「本当ですか」
P「ああ、いつも元気で前向きで」
春香「照れちゃいますね」
P「どんな苦難にも諦めず立ち向かう度胸も春香の美点だ」
春香「えへへ」
P「だからその前向きさを俺の家のドアを打ち破る事でなく是非ファンたちに全力で注いであげてほしい」
春香「はいどうぞ」
P「その話は明日事務所でしよう」
春香「私はその話をつい昨日聞きましたよプロデューサーさん」
P「だが今度は約束を守ると言ったら?」
春香「プロデューサーさんの『今度』は一昨日の筈だったんですけど」
P「どんな子だい」
春香「ちょっとドジで」
P「うんうん」
春香「だけど頑張りやで」
P「かわいいかわいい」
春香「リボンがトレードマーク」
P「あーちょっとご遠慮願うわぁ」
P「うーんそうだなぁ、ドアを壊さない子かな」
春香「ドアを壊さなければ誰でもいいんですか」
P「で、ちょっとおとなしめな感じで」
春香「ふんふん」
P「可憐で清楚っぽい子」
春香「わかりました。可憐で清楚な大人しいドアを破壊しない春香さんですね」
P「もうそれでいいや」
春香「スリーサイズは知ってるじゃないですか」
P「大丈夫興味ないから」
春香「どうぞどうぞ」
P「春香は好きなタイプとかないのか?年上の情けない感じの世話焼き男以外で」
春香「うーん、プロデューサーさんですかね」
春香「おはようございます」
P「天気がいいな」
春香「暑いですね~」
P「ああ、空調入れようかな」
春香「あーいいですね」
P「いいだろ?なあ春香」
春香「はい?」
P「窓ガラスの鍵付近にガムテープ貼ってるのはなんでだい」
P「ドアから入るのをやめたら窓にガムテープ貼る理由になるのか」
春香「あ、これは破片が散らないようにするんですよ」
P「ごめんちょっと意味がわからない」
春香「いやだからそのまま割ったら破片飛ぶじゃないですか」
P「わかったから金鎚しまえよ」
P「なんだい春香」
春香「今日の服気合い入ってると思いませんか」
P「うんとても可愛らしいな」
春香「学校の友達にも彼の家に行くって自慢してきちゃいました」
P「へえ、彼氏が待ってるから早く行っておやり」
P「まあ待て」
春香「はい、どうしたんですか」
P「言葉が悪かった、恋人の待つ家に行くんだろう?」
春香「はい」
P「そこに行ってあげなさい」
春香「もちろんですっ」
P「まあ待て」
春香「はい」
P「ガラスは、割るな」
P「俺は涼しいよ、きっと今春香の家も涼しいだろうなぁ」
春香「それはつまりプロデューサーさんの家が私の将来的な家であることを掛けた言葉遊びですか?」
P「違うよ、言葉どおりだよ」
春香「言葉通りここはお前の家だよということですね」
P「お願いだから帰ってくださいお願いしますお願いします」
P「春香はやればできる子だなぁ」
春香「よいしょ」
P「だから割るなって言ったよね俺」
春香「あ、ガムテープ回収するんで待っててくださいね」
P「俺がやっとくから春香は家にお帰り」
春香「ではお言葉に甘えまして、ただいまプロデューサーさん」
P「日本語って難しいなぁ」
春香「はい、どうしましたプロデューサーさん?」
P「俺出掛けたいな」
春香「デートですか?」
P「うんひとりで」
春香「じゃあお夕飯作って待ってますね」
P「大丈夫お前が帰るまでネカフェで暮らすから」
春香「ネットカフェに2人きりって狭いけど肌の密着具合すごそうですねっ」
P「うんだから俺の上からどいてもらっていいかな」
P「俺に身の危険が迫ってるからだよ」
春香「つまり男はオオカミだってプロデューサーさんが教えてくれる流れですか?」
P「俺が今オオカミに襲われてるんだけどな」
春香「オオカミいませんけど」
P「見回すなオオカミ」
春香「あっ私かぁ」
春香「どんなことですか?」
P「春香がマウント解除するじゃん?」
春香「それで今度はプロデューサーさんが上に?」
P「俺が立ち上がるじゃん?」
春香「ああ、立位」
P「でネカフェに行く」
春香「なんでプロデューサーさんは執拗にネットカフェプレイを推奨するんですか」
春香「どうぞどうぞ」
P「シャレになんないから口開けんのやめてくんない?」
春香「じゃあ私もトイレに一緒に入っていいですか?」
P「いやです」
春香「じゃあ」
P「だから口開けんのやめて」
春香「プロデューサーさん春香さんトイレですよ春香さんトイレ」
春香「はい」
P「降参だ、一緒にトイレ行こう」
春香「行きましょう、私が拭いてあげますね」
P「春香、男の子は拭かないんだぜ」
春香「あ、そうなんですか。残念だなぁ」
P「恥ずかしいから心の準備がしたい。まず春香から入って」
春香「わかりました」
春香「お返事ないですけど大丈夫ですか?」
春香「プロデューサーさん、録画の準備できましたけど」
春香「プロデューサーさーん?」
春香「あれ、もう家にいない」
春香「こんにちはプロデューサーさん」
P「偶然だな、こんなところで会うなんて」
春香「プロデューサーさんカプセルホテルでしたかったんですか?」
P「うんカプセルホテルで誰にも邪魔されずゆっくりしたい」
春香「鍵くれないと入れないんですけど」
P「入れる気ないけど」
春香「焦らしプレイしたいんですか?」
P「そうそう」
春香「じゃあ準備しながら待ってますね」
P「なんだい春香」
春香「下のカウンターで閉め出されたって言ったんですよ」
P「へえ」
春香「けど合い鍵貸してくれませんでした」
P「そりゃ当たり前だろうに」
春香「でもここのホテルの鍵って家のより開けやすくて良かったです」
春香「あれまた居ない。窓から出てったのかな」
春香「お帰りなさい」
P「行ってきます」
春香「まあまあ」
P「なんでセーフハウスの場所まで知ってんだ」
春香「いや嫁としては知っておかないといざという時大変じゃないですか」
P「おかしいな俺独身だけど」
春香「そういうと思って婚姻届持ってきたんですけど判子がないんですよー」
P「持ってて良かった印鑑全種」
P「ああ、確かに」
春香「これが指についてるだけで判子になっちゃうんですよ?」
P「びっくりだよな」
春香「素敵ですよね」
P「ああ、だから俺の親指を放してくれないか」
春香「動くと削げちゃいますよプロデューサーさん」
P「わかった、なら刃物をしまおう」
P「ああ、さっきから腕相撲状態だもんな」
春香「あとちょっとなんですけど」
P「あとちょっとだな、俺の親指が婚姻届につくまで」
春香「じゃあ一気に行っちゃいましょう1、2、3ヴァイッって感じで」
P「いいねそれ今度歌に使おう」
春香「でもプロデューサーさん全力で抵抗するんですね」
P「ん?こらだましたな何もないぞ」
春香「えいっ」
P「おっとあぶない、騙されるところだった」
春香「いやだなあ、あそこに2人の未来が見えただけですよ」
P「暗闇でしたけど」
春香「見えないところに愛があるってことですよ」
春香「そろそろやめないかという話ならお断りします」
P「いや、俺はもうだめだだから最後にお願いを聞いてほしい」
春香「いいですよ、最後と言わず何度でも」
P「渾身ののヮのをみせてくれないか」
春香「いいですよ」
春香「のヮの」
春香「あれ?婚姻届がない」
P「さあどこだ」
春香「あはは、もうっ子供みたいなんですから♪」
P「この部屋のどこかにあるぞー探してみよう」
春香「うーんどこかなぁ」
春香「プロデューサーさんヒント…あれ?」
P「ヒントは破きました」
春香「あーあ」
P「じゃあ諦めて帰るってのはどうだ?」
春香「それはできないですよー」
P「だよねーでも婚姻届ないからなんもできないよねー」
春香「じゃあ二枚目を出しましょう」
P「」
P「いやな夢だったな」
P「窓を強化ガラスにしよう、うん」
P「さて仕事に行くかな」
P「行ってきます」
「いってらっしゃい」
おしまい
えっ
Entry ⇒ 2012.09.09 | Category ⇒ アイマスSS | Comments (0) | Trackbacks (0)
咲「お、お風呂? 一緒に!?」 照「……」コクッ
父「給湯器が壊れたみたいで、お湯の温度が保てないんだ。だから温かいうちに…」
咲「あっ、だからお父さんとお母さんも一緒に……」
父「そういう事だ。今日はかなり汗かいたから、入らないのは無理だろ? だからパパっと二人一緒に入っちゃってくれ。」
咲「い、一緒に…」
照「……」グイッ
咲「!」
咲「お、お姉ちゃん!? (引っ張られて…)」ズルズル
照「……」クルッ
咲「ほ、本当に一緒に入るの……?」アセアセ
照「……」コクッ
咲「なっ……」
照「……」ズルズル
咲「……」ズルズル
咲(全国大会が終わって、夏休み中は長野にずっといるって言って、一緒に住むようになって……)
咲(最初はやっぱり色々照れ臭くて、それでも徐々に慣れて来たんだけど……)
咲(さすがにお風呂一緒は恥ずかしいよぉ……)アセアセ
咲(脱衣所まで来ちゃったけど……)
照「……」スーッ
咲「! (お、お姉ちゃん、普通に脱ぎ始めちゃったよぉ!)アセアセ
咲「お、お姉ちゃん!」
照「……」クルッ
咲「ほ、本当に一緒に入るの?」
照「……」
咲「……」ドキドキ
照「……一緒にお風呂に入った事なんか、数え切れない程あるでしょ」
咲「! ま、まぁ、そうだけどさ……それは小さい頃だから……」ドキドキ
照「……何年経っても、姉妹は姉妹。恥ずかしがるような相手じゃない」
咲「そ、そうだけどさぁ……」
照「……」スーッ
咲(あぁ……どんどん脱いでくよぉ……)アセアセ
咲(お姉ちゃんの方が見られないよぉ……)アセアセ
ガラガラガラ
照「先に入ってるから」
咲「? 咲に牌っ照?」
照「……」
照「……私が先にお風呂に入るから」
咲「あ、そ、そういう事か……(私ってば、まだ全国大会の事で頭の中が……)……う、うん!」
ガラガラガラ ピシャッ
咲「……」
咲(ど、どうしよう……私も脱いで、入るべきなのかな……)
咲「……」
咲(スリガラス越しに、髪洗ってるのが見える)
咲(とりあえず、お姉ちゃんが体まで洗い終わって湯船に入るのを待った方が良いよね)
ワシャワシャ
咲「……」
シャーッ
咲(リンスを流したみたいだね)
咲(これで体を洗ったら、とりあえず湯船に入るだろうから……)
照「咲」
咲「!」
照「咲」
咲「ど、どうしたの?」アセアセ
照「早く」
照「それじゃあ遅い」
咲「お、遅い?」
照「背中を流して欲しい」
咲「!」
照「早く」
咲「え、そ、そんな……」アセアセアセアセ
照「給湯器がいつまで持つかもわからない」
咲「そ、そうだけど……」
照「体を洗い合って、一緒に流してしまった方が効率的」
咲「!」
照「早く」
咲「う、うん……(ど、どうしよう……)」アセアセ
咲(とりあえず……脱いだけど……)
照「早く」
咲「!」
咲「う、うん」
咲(お姉ちゃんが先にタオル持って入ったみたいだから……)
咲(温泉とかみたいに隠す事も出来ないよぉ……)アセアセ
照「咲」
咲「!」
咲「う、うん。今行くよ」
咲「……」ゴクッ
咲(……し、姉妹だもんね。は、恥ずかしがるのがおかしいんだよね)
ガラガラガラ
照「……」
咲「……」カァッ
咲(さ、さすがに思いっ切り見ちゃうと照れるよ……)アセアセ
咲(お姉ちゃん、脱ぐとこんなにスラッとしてるんだ……)
咲(胸は……やっぱり血は争えないね……)
照「……」
照「これで」スッ
咲「う、うん」カシッ
照「背中、お願い」
咲「う、うん」
咲「う、うん」
照「……」
咲(お、お姉ちゃんの……背中……)
咲「じゃあ、いくよ」スッ
照「……」
咲「……」ゴシゴシ
照「……」
咲「……」ゴシゴシ
照「……」
咲(なんか……)ゴシゴシ
照「……」
照「……」
咲(あれだけ遠くて……)ゴシゴシ
照「……」
咲「大きな存在だった……お姉ちゃんの……)ゴシゴシ
照「……」
咲(背中が……)ゴシゴシ
照「……」
咲(いざ目の前にしてみると……)ゴシゴシ
照「……」
咲(こんなに小さいなんて……)ゴシゴシ
照「……」
咲(なんか、可愛いな)ゴシゴシ
照「……」
咲「お姉ちゃんさ」ゴシゴシ
照「!」
照「な、なんだ」
咲「……」ゴシゴシ
照「……?」
咲「……なんでもないよ。えへへ」ゴシゴシ
照「……無駄な口を利かせないで」
咲「姉妹なんだから良いじゃん」ニコニコ
照「……」
照「……」コクッ
咲「じゃあ、次はお姉ちゃんが私の背中を洗ってくれる番だね」スッ
照「あ、あぁ」
咲「よ……っと」ストッ
咲「じゃあ、お願いね」
照「……」スッ
咲「……」
照「……」ゴシゴシ
咲「今日は私もいっぱい汗かいちゃったよぉー」
照「……」ゴシゴシ
咲「……」
照「……」ゴシゴシ
咲「……お姉ちゃんってさ」
照「!」ゴシゴシ
照「……な、なに」ゴシゴシ
咲「意外と、小さいんだね。えへへ」
照「!」ゴシゴシ
咲「……とか言って、気を悪くしないでね」
咲「背比べしてたのなんか、もうずっと昔の事だからさ」
照「……!」ゴシゴシ
咲「お姉ちゃんは私よりずっと大きいっていうイメージのままで……」
照「……」ゴシゴシ
咲「色々あって……そのままそのイメージがどんどん大きくなってたんだけど……」
照「……」ゴシゴシ
咲「今、背中流してみてら、意外と小さくてさ」
照「……」ゴシゴシ
咲「なんか可愛いなって。えへへ」
照「!」
咲「とか言って、ごめんね」
照「……」ゴシゴシ
咲「妹が姉に小さくて可愛いなんて言っちゃダメだよね」ポリポリ
照「……」ゴシゴシ
咲「……」
照「……さ、咲は」ゴシゴシ
咲「! うん?」
照「その……」ゴシゴシ
咲「うん?」
照「いつの間にか……こんなに大きくなってたんだ」ゴシゴシ
咲「うん! 私ももう高校生だからね」ニコッ
咲「……」
照「……終わった」ピタッ
咲「お、ありがとう」
ノドカッ ノドカッ ノドカッ
咲・照「「!」」
咲「給湯機が変な音出してるねぇ」
照「……多分もう、あのラインまで溜まってる湯しか出ない」
咲「そっかぁ。結構少ないね……」
照「だから、他の箇所も洗って、全部一緒に流した方が良い」
咲「そうだね」
照「じゃあ私から…」
咲「じゃあ他の所も、洗い合いっこしよっか」ニコッ
照「!」
咲「?」
照「なにを……」アセアセ
咲「いや、その、変な意味じゃないよ? (あれ……ちょっと甘えたかっただけなんだけど……変な誤解されちゃったかな……)」アセアセ
照「じゃあどういう……」
咲「いや、その、だから……」
照「……」
咲「ほ、他の所もお互いに洗い合いっこするっていう……」
照「……」
咲「あ、あれ……そのまんまだね……(私、うっかり変な提案しちゃってたんだ……)」
照「……」
咲「ご、ごめん。なんでもないよぉ」アセアセ
照「……」
照「……とりあえず、もう一回座って」
咲「す、座ったよ?」
照「……もう少し、前に」
咲「前に? 浅くって事?」
照「このバスチェアー大きいから、背中合わせで二人で座れる」
咲「! あ、そういう事かぁ」
咲「……」ススッ
咲「これで良いかな?」
照「……」コクッ
照「……」ストン
咲・照「「……」」背中ピトッ
咲・照「「……」」カァッ
咲「そ、そうだね」ドキドキ
照「……」クシュクシュ アワアワ
咲「……」クシュクシュ アワアワ
照「……」ゴシゴシ
咲「……」ゴシゴシ
照「……」
咲(お互いに……見てる方は真逆だけど……)
照「……」
咲(生身の背中全体が触れ合ってるってなんか、緊張するなぁ)ドキドキ
照「……」
咲「!」
照「……」
咲(背中越しに、お姉ちゃんの鼓動も伝わってくる……)
照「……」ゴシゴシ
咲「なんか嬉しいよ」
照「!」
照「嬉しい?」
咲「うん」コクッ
照「なにが……」
咲「こうやって、小さい頃みたいに出来てさ」
照「!」
咲「あのさ」
照「う、うん?」
咲「なんで全国大会で、お姉ちゃんの高校の大将さんに勝てたかって言うとね」
照「……」
照「……」
咲「そのー……」
照「……」
咲「清澄のみんなの応援があったからなんだよ」
照「そう」
咲「うん」
照「良いチームメイトに恵まれたな」
咲「うん!」
照「……」ゴシゴシ
咲「……」ゴシゴシ
咲(……っていうのは大前提で)
咲(本当はなにより……あの試合に勝てば……)
咲(なんか……小さい頃みたいに戻れる気がしたからなんだよね)
照「……」
咲(来てからもすごくぎこちなかったけど……)
照「……」
咲「ふぅー」
照「……」
咲「ねぇ、お姉ちゃん (やっと……)」
照「……?」
咲「なんでもないよ。えへへ (やっと、大きな大きな枷が取れた気がするよぉ)」
照「……」ツネッ
咲「痛っ」
照「……こっちも」
咲「じゃあ流そっか」
照「……」
照「いや、髪も洗ってしまった方が良い」
咲「髪も?」
照「咲はまだ洗ってないだろ」
咲「まぁそうだけどぉ……」
照「多分思ってる以上に残りの湯は少ない。これで体を流すのに使って、髪を洗う分が無くなったら困るだろ」
咲「それもそうだね。……じゃあお姉ちゃんだけでも流して、先に湯船に…」
照「それじゃ意味無いだろ」
咲「そ、そうだけど……なんか待ってて貰うのが……」
照「私が洗う」
咲「え?」
照「……」コクッ
咲「な、なんか悪いよぉ」アセアセ
照「ショートだから、パパッと終わらせる」
咲「そ、そっかぁ」
照「……」シャンプー プシュッ
照「……」クチュクチュ
照「……」ペタッ
咲「……」
照「……」ワシャワシャ
咲「……」
照「……」ワシャワシャ
咲(な、なんか……これはこれで……すごく照れるなぁ……)カァッ
咲「……」テレテレ
照「……」ワシャワシャ
咲「……」テレテレ
照「……」右腕シューーー
咲「!?」
照「……」右腕シューー
咲「お、お姉ちゃん!?」
照「……」コークスクリュー洗髪 ワシャワシャワシャワシャ
咲「お、お姉ちゃん!!」
咲「お姉ちゃん痛いよぉ!」オロオロ
照「この方が効率が良い」ワシャワシャワシャワシャ
咲「い、痛いってばぁ!」オロオロ
照「……そうか」ピタッ
咲「もう!」クルッ
照「……」
咲「……」ジトーッ
照「……」
咲「……」プクーッ
照「……ぷっ」
咲「!」
照「ぷはっ……あっはははは」
咲「!!」
照「あっはは」
咲「もう~」
照「……ふぅ」
咲「でも、良かった」
照「よ、良かった?」
咲「お姉ちゃん、人変わっちゃったのかと思ってたよ」
照「!」
照「……!」カァッ
照「そ、それは……た、ただの……よ、よくある思春期の変化であってゴニョゴニョ」アセアセ
咲「ふぅん」ジトーッ
照「……」アセアセ
咲「でも、なんか、やっとしっかり言える気がするよ」
照「しっかり言える……?」
照「……?」
咲「……」スッ
照「……?」
ギュッ
咲「お姉ちゃん、おかえり」ギューッ
照「!」
咲「……ずっと待ってたんだよ」グスッ
照「……!」
咲「……」ギューッ
照「……」
照「ただいま」ポンポン
咲「……!」
すばらしい
パッ
咲・照「「……」」カァッ
咲(よ、よく考えてみたら、なにしてるんだろう私達……)ドキドキ
照「……」ドキドキ
咲(は、裸で抱き合うなんて……)ドキドキ
照「……」ドキドキ
咲(お姉ちゃんも顔真っ赤になってるし)
照「……」ドキドキ
咲(とりあえず……)
咲「……」クルッ
咲「お、お姉ちゃん、洗髪の続きだよぉ!」
照「! あ、あぁ」
咲「さっきの奥義的なのはダメだよ」
照「わ、わかってる」
咲「……」
照「……」ワシャワシャ
咲「あ、あのさ」
照「な、なに」ワシャワシャ
咲「一つ思ったんだけどさ」
照「あぁ」ワシャワシャ
咲「お湯、給湯器の中のが無くなっても、洗面器あるんだから湯船の使えば良いんだよね」
照「」
咲「それともう一つ」
照「……な、なに」
咲「さっき、あの距離まで体を近づけ合ったのに、お互いに胸が当たらないってすごく深刻だよね……」
照「……」
終
おつおつ
Entry ⇒ 2012.09.09 | Category ⇒ 咲-Saki-SS | Comments (0) | Trackbacks (0)
明彦「おいラビリス、何を持ってる?…なに?けいおん?」
明彦「なんだそれは」
ラビリス「色んな女の子が軽音部ゆう所で演奏しはったり、お茶したりするアニメなんよ」
ラビリス「アイギスからおもろいから見てやって勧められてな」
ラビリス「実際に見てみたら意外にハマってもーて、続きは無いか聞きに行くとこなんや」
明彦「そうか、引き留めて悪かったな」
ラビリス「もう行ってええ?」
明彦「ああ」じ~…
ラビリス「…」
ラビリス「…真田はん、興味あるん?」
明彦「…いや」
明彦「物珍しかっただけだ」
ラビリス「そないなこと言わへんで見てみたらどや?」
ラビリス「このアニメはたくさん女の子いるんやけど」
ラビリス「あずにゃん言うんが一番可愛いんよ!」
明彦「興味ない」
ラビリス「(さっきは物珍しいとか言うとった癖に…)」
ラビリス「ほんなら仕方あらへんな、無理には勧めへんよ」
ラビリス「なんとなく真田はんはこの手のは苦手そうやし」
明彦「!」
ラビリス「あずにゃん可愛い」
明彦「違う、その次だ!」
ラビリス「真田はんはこの手のは苦手そうやなって」
明彦「冗談じゃない!」
明彦「この俺が苦手なものがアイツ以外にいてたまるか!」
ラビリス「アイツ?」
明彦「…そのアニメDVDを貸してくれ、見事勝利してみせる」
明彦「見終わったらアイギスには俺から返しておく」
ラビリス「そういうことならええよ、ほい」
明彦「礼を言う」
カッ!
明彦「!?」
明彦「なんだ!?急に目の前が眩しく…!!」
明彦「(DVDが光っているのか!?)」
ラビリス「~」
明彦「なんだ?何を言っているラビリス!」
明彦「グッ…光が強く…!」
明彦「…」
明彦「う…!」
明彦「ここは…?一体何が起こった…?」
明彦「…」
明彦「…人の気配がしないな」
明彦「罠か何かで何処かに飛ばされたのか?」
明彦「考えられるのはラビリスの持っていたDVDだが…」
明彦「ラビリスに罠を仕掛けられる程、俺が恨まれてるとは思えん」
明彦「…ふむ」
?「もしもーし」
明彦「ッ!?誰だ!!」
明彦「(俺が気配を感じられなかっただと?)」
?「後ろから大変失礼しました」
?「私、名乗るほどの者では無いと申します」
明彦「…?」
?「貴方をこの世界へはお呼びしましたのは、何を隠そう私でございます」
明彦「何者だ」
?「ですから名乗るほどの者では無いと」
明彦「(…俺をおちょくっているのか?)」
明彦「…なぜ俺をここに連れてきた」
?「…貴方はかつて、『命の答え』を導き出したあのお方と共に戦って来られた」
?「そのような強者が不意に右も左も分からない別世界へと旅だったとしたら…」
?「私、興味フラフラでございます」
明彦「…フラフラ?」
?「はて、ムラムラ?…メラメラ?」
明彦「…」
?「とにかくそういう訳でございます」
?「悩むなよ、行けば分かるさでございます」すっ
明彦「!」
明彦「(落とし穴だと!?)」
?「さよな~らでございま~す」
明彦「一体何だと言うんだあああああ……!?」ひゅ~
明彦「…」
「…い」
「…んせい」
明彦「…」
「…だせんせい」
明彦「(うん…声?)」
さわ子「真田先生!」
明彦「!」がばっ
明彦「…ここは?」キョロキョロ
さわ子「寝ぼけてらっしゃるんですか?もうすぐ最初のHRでしょう?」
明彦「(なぜかスーツを着せられている…)」
明彦「(それに…こいつは今、真田『先生』と言ったか?)」
明彦「(教育実習…真田先生…)」
明彦「!」
?『右も左も分からない別世界へと旅だったとしたら~』
明彦「…まさか」
さわ子「何がまさかなんですか?そろそろ行きますよ」
明彦「行く?」
さわ子「教室へでしょう!?ほら、行きますよ!」ぐいぐい
明彦「ま、待て!引っ張るな!」
明彦「まだ状況が色々…!」
明彦「(…まだ不明瞭な部分が多すぎるが)」
明彦「(どうやら俺は教育実習の先生としてここに実習しに来たことになっているらしい)」
さわ子「では紹介するわね」
さわ子「今日から三ヶ月間、教育実習としてこのクラスの副担任を勤める真田明彦先生です」
さわ子「イケメンだからって、手を出したりしないよーに」
律「それはむしろさわちゃん自身に言うべきだと思いまーす!」
さわ子「(あ?)」ギロッ
律「じ、冗談です」
唯「かっこいいね~」
澪「(なんかチラチラ傷跡が見えて怖い…)」
紬「わいるど系?って言うのかしら」
明彦「(あ、ああ)」
明彦「あー…なぜか教育実習をすることになった真田明彦だ」
明彦「正直、何がなんだか分からないんだが…」
律「?」
明彦「やるからには全力でやらせてもらう」
明彦「これから宜しく」
唯「宜しくお願いしまーす!」ぱちぱち
澪「(なんだか変な挨拶だったな)」ぱちぱち
紬「わ~」ぱちぱち
明彦「(…普通いきなり任せるか?)」
さわ子「(まだ書いてない書類が残ってるのよ)」
さわ子「(頑張って副担任!)」
がらっ
明彦「おい!」
律「…」にやにや
唯「?」
澪「…」じ~
紬「…」キラキラ
明彦「…えっとだな」
明彦「(しかし授業と言ってもな…)」
明彦「(一応教えられるだけの学力はあるから問題無いと言えば無いが)」
律「さなちゃーん?」
明彦「…さなちゃん?」
律「真田先生だからさなちゃん!」
澪「さわちゃんと似て紛らわしいからやめろ」
紬「良いと思うけどなぁ」
明彦「(早速なめられているな…)」
明彦「(…よし!)」
明彦「言っておくが生半可な気持ちではついて来れないからな」
唯「(ど、どれだけ難しい勉強なのかな…)」
律「(意外に頭固いタイプだったかー?面倒臭いな)」
澪「(気合い入れて頑張るぞ)」
紬「(どんとこいです!)」
明彦「まずは制服を脱げ」
澪「は?」
澪「ななななな…」
紬「(今時、ストレートな人もいたものね~)」
律「セッ、セクハラ教師!?」
明彦「?何を言っている」
明彦「脱いだらジャージに着替えろ」
明彦「グラウンド50周だ」
律「なーんだ、てっきりあんなことやこんなことをさせるのかと…」
律「って、グラウンド50周!?」
明彦「まずは体づくりからだ」
澪「唯が現実逃避を…」
紬「キツそうね…」
明彦「これが俺なりの授業だ」
明彦「考えるな、感じろ」
律「どこのカンフースターだよ…」
明彦「…」
律「…」
澪「…」
唯「…あのぅ」
紬「着替えたいのですけど…」
明彦「あっ、そうか」
唯「だ、駄目だもう…はっ…はしれなっ…」よろよろ
澪「頑張れ唯、まだ2周しかしてないぞ」たったっ
律「これをあと48回繰り返すのか…やばっ、泣きそう」たったっ
紬「あとでお茶をいれるから頑張りましょう?」たったっ
明彦「平沢…だったか?」たったっ
唯「さ、さなちゃん?」よろよろ
明彦「体力が無さすぎる、普段から運動する習慣を身につけろ」たったっ
明彦「特に足腰が弱いからそこを重点的にな」たったっ
唯「む、無理…」よろよろ
明彦「やる前から諦めてどうする、いいか…」たったっ
澪「どうした?」たったっ
律「これ何の授業だ?」たったっ
澪「…体育?」たったっ
律「体育ってより訓練だよ」たったっ
律「しかもいつの間にかさなちゃん上半身裸だし」たったっ
澪「(引っかき傷だらけだ…!)」ぷるぷる
明彦「あとたったの40周だ、きびきび走れ」たったっ
唯「」よろよろ
律「足痛い!腰痛い!もう体全部痛い!」
澪「走らされて終わりかと思ったら、今度はうさぎ飛びで30周だもんな…」
紬「だれか助けて!唯ちゃんが息をしていないの!」
唯「」
律「お前は頑張った…頑張ったぞ唯…!」
澪「もう良いから。それよりお弁当を食べよう?」
唯「お弁当!」がばっ
紬「生き返った!」
律「もー、食い意地張ってんだから」
律「訳が分からん」
明彦「~♪」
紬「あ、真田先生…」
澪「一人でご飯食べるのかな」
唯「一緒に食べようって誘おうか?」
律「だな、そして授業内容の改善を求めよう」
明彦「ん?田井中か。どうした?」
紬「一緒にご飯を食べませんか?」
唯「真田先生のお話も聞きたいです!ね、澪ちゃん!」
澪「へっ?う、うん…」
明彦「構わないが…何も面白い話は出来ないぞ?」
唯「大丈夫だよ~それにね」
律「さなちゃんにちょ~っと言いたいことがございますことよ?」
明彦「?」
律「あの地獄のような運動には一体なんの…って」
律「…何飲んでるの?」
明彦「プロテインだ」ごくごく
明彦「トレーニングの後にはこれが無いと始まらん」
律「今トレーニングって言ったよ、言質取ったよコレ、授業じゃなかったよアレ」
澪「(プロテインとご飯並べて食べる人初めて見た…)」
紬「(いったいどんな味なのかしら…)」うずうず
明彦「…ん?」
紬「良いんですか!?」
明彦「ああ、たくさん常備してるからな。別に構わん」
明彦「ほら」さっ
紬「い、いただきます!」ごくっ
紬「!」
紬「なんだか不思議な味…それに力が湧くような感じがします!」むぎゅん!
明彦「ははっ、プロテインに速効性は無いぞ」
明彦「運動の後にプロテイン、これを続けていくことが大切だ」
紬(タルカジャ)「なるほど!」
澪「…なんでそんなに体を鍛えてるんですか?」
明彦「…」
明彦「…昔、己の弱さを嫌というほど痛感したことがあってな」
明彦「それからだ、己を律して鍛え始めたのは」
明彦「これ以上はここで言うようなことじゃない」
澪「そうなんですか…」
澪「(今、ちょっとだけ悲しそうな顔した…)」
唯律「「軽音!!」」
明彦「…けいおん?」
明彦「(どこかで聞いたな…)」
明彦「(!確かラビリスから借りようとしたDVDのタイトルがそれだったか)」
紬(タルカジャ)「私達全員、軽音部に入ってるんです」
明彦「(というか…ここにいる4人は皆、DVDのパッケージに描かれている奴らじゃないか?)」
唯「あ、ここにはいないけどもう一人部員がいてね…」
?『右も左も分からない別世界へ~』
明彦「(その別世界というのはもしや、あのアニメの世界ということか?)」
明彦「フッ…」がたっ
紬(タルカジャ)「どうかしましたか?」
明彦「思いがけず、楽しめそうじゃないか」
明彦「(こんな体験、そう出来るものじゃない)」
律「急に何を言って…」
明彦「そろそろ午後の授業だ、食べ終えたら体育館に集合しろ」すたすた
律「あ、ちょっと!」
澪「…授業の改善、頼みそびれたな」
律「しまった…!しかも体育館に集合ということは…!」
唯「お腹痛いから保険室行ってくるね!」だっ
紬(タルカジャ)「頑張ろうね、唯ちゃん!」がしっ
澪「もう動けないよ…」くたっ
紬「私、バーベルって始めて上げた~」キラキラ
律「うちの学校にバーベルがあったことにまず驚きだよ…」
唯「う、腕が…がくっ」
明彦「全く、この程度で根をあげるとはな」
律「さなちゃんの基準がおかしいよ!なんでバーベルなんだよ!」
明彦「倉庫にあったからだ」
律「微妙に答えになってないよ!」
紬「汗もかいたし、部室でお茶にしましょう?」
澪「今回ばかりは賛成だ…」
紬「真田先生も一緒にどうですか?」
唯「さ、さなちゃんにあずにゃん紹介してあげるね…」
律「唯…もう良い!もう良いだろぉ!」
澪「さっさと行くぞ…」
紬「行きましょうか」
明彦「ああ」
がらっ
唯「あずにゃ~ん!」
梓「あ、皆さんお疲れさまで……す」
梓「…後ろの人、誰ですか?」
明彦「真田明彦だ、教育実習の先生ということになっている」
梓「(…なっている?)」
梓「な、中野梓です。2年生です」
明彦「そうか、宜しくな」
明彦「…」
梓「あの…なにか?」
明彦「気にするな」
梓「はぁ…」
唯「あずにゃん、今日はさなちゃんと一緒にお茶会をするんだよ!」
梓「おちゃか…練習は…?」
澪「私もしたいのはやまやまなんだけどな…」
律「多分、今日はね…」
唯「ギー太が」
澪「エリザベスが」
律「スティックが」
唯澪律「「「持てない」」」
梓「?」
梓「なるほど、そういうことですか」
唯「さなちゃんひどいよね!」
唯「おかげで足が棒だよ~」
明彦「あれぐらいこなせないでどうする、敵は待ってくれないぞ」
律「敵って誰だよ」
紬「敵…それは自分よりっちゃん!」
明彦「フッ…琴吹、良く分かってるじゃないか」
紬「真田先生…!」
梓「なんですかコレ」
澪「さぁ…」
梓「…ところで一回だけでも合わせてみませんか?」
梓「さすがにお茶飲んで終わりはまずいですよ色々…」
律「そうかー?」
梓「そうですよ。学園祭も控えてるんですから」
澪「…そうだな、ここは頑張って練習するか」
紬「そうしましょう!」
唯「どれ演奏する?」
梓「ふでペンとかどうですか?」
澪「それにしようか」
明彦「(ほう、演奏か)」
律「まぁ良いや、行くぞ?ワン、ツー…」カッカッ
♪
唯「~♪」
澪「~♪」
梓「」♪
紬「」♪
律「」♪
♪
明彦「これは…」
澪「~かなり本気よ☆」
律「…うえー…腕いてー」
唯「どうだったさなちゃん?」
明彦「ふむ、率直に言わせてもらえば…」
明彦「あまり上手くないな」
明彦「腕がついていけて無いのが素人目にも分かったぞ」
律「誰のせいだ誰の」
明彦「だが…」
紬「?」
明彦「お前達の心が良く伝わった良い演奏だった」
明彦「グッジョブだ」
明彦「素直に言ったまでだ」
明彦「きっとお前達はまだまだ伸びる」
明彦「日々の鍛錬を怠らなければ…だがな」
梓「日々の鍛錬…」ちらっ
律「な、なんであたしを見んだよ」
律「いつもお茶ばっかりなのはあたしだけのせいじゃないだろー!」
律「みんなだ、これはみんなが悪い」
唯「そう、誰かが悪い訳じゃないよ。時代が悪いんだよ」
澪「お前ら…」
律「~」
梓「~!」
明彦「さて、俺はもう帰るぞ」
紬「もっとゆっくりしていっても…」
明彦「いや、この時間はロードワークが日課なんでな」
澪「じゃあ、また明日ですね」
明彦「またな」
がらっ
明彦「走りがてら、町の地形を確認するか」
明彦「どうせしばらくは戻れそうに無いからな」
明彦「…」
明彦「そういえば…俺の帰る家はどこだ?」
明彦「まぁ根無し草は今に始まったことじゃないが…」
カッ!
明彦「!?」
明彦「またあの時の光か…!!」
明彦「またお前か」
?「またお前でございます」
?「今回お呼び立てしましたのは貴方の身の回りについてでございます」
?「約三ヶ月の間、けいおん!世界で円滑にお過ごしになっていただく為に」
?「貴方の住居を町のはずれにご用意させていただきました」
明彦「ずいぶん気前の良いことだな」
?「これも私の探求の為です」
?「もちろんでございます」
?「本題はここから…貴方がけいおん!世界にいることによる影響についてです」
明彦「影響?」
?「本来貴方はけいおん!とは何も関係の無い人」
?「ですが、貴方が私の手によりけいおん!世界へ来たことで…」
?「けいおん!世界に少し変化が見られたようでございます」
?「ナイショでございます」
明彦「…」
明彦「やはり貴様は信用ならんな、何が目的だ」
?「ですから、私の興味の為にと」
明彦「戯言は聞き飽きた…カエサル!」カッ!
バチィッ!!!
?「お手出しは厳禁でございます」
明彦「(無傷だと…)」
明彦「…」
?「先ほども申し上げた通り、これは単純な興味」
?「…人の可能性を私はこの目で見たいのです」
明彦「…」
明彦「…フゥ」
明彦「毒気を抜かれた…どうにも食えん奴だお前は」
?「お褒めの言葉と受け取っておきましょう」
?「お戻りいただきましょう」
明彦「勝手な奴だ」
?「…我が主にも良く言われたものです」すっ
カッ!
明彦「…」
明彦「人の可能性を見る…か」
明彦「ずいぶん上からの物言いだったな」
?『貴方はかつて、『命の答え』を導き出したあの方と共に戦って来られた』
明彦「…命の答え」
明彦「(奴は俺に一体何をさせたいのか…)」
明彦「…」
明彦「有里、お前ならどうしただろうな…」
さわ子「…という訳で、もうすぐ京都へ修学旅行です」
さわ子「現地では節度ある行動を心がけるようにね」
明彦「まぁ高校生にもなれば無いとは思うが」
明彦「迷子にでもなったら、目も当てられんからな」
唯「さすがにそれは無いよさなちゃん」ふんす
律「そーそー」
澪「(不安だ…)」
紬「うふふ」
さわ子「はい、おしゃべりしない」
さわ子「周る順番とか良く考えておくようにね」
紬「京都ってどんな所なのかしら?」
明彦「俺は一度行ったことがあるが…」
明彦「古い建物ばかりのイメージがあるが実際はそんなことは無い」
明彦「どちらかといえば都会よりの楽しむには良い街だ」
唯「ふーん、さなちゃんは京都行ったことあるのかぁ…」
明彦「ちょうど、お前達と同じ年の頃にな」
明彦「あの時は散々な目に…」
律「散々?」
澪「(遠い目だ…)」
明彦「とにかく、さっきも山中先生が言ったが回る順番はしっかり考えておけ」
明彦「そう時間は多くないからな、効率良く回らんと間に合わないぞ」
律「かといってギチギチにスケジュール詰め込むのもなぁ」
澪「じゃあ、どこから見ていく?」
紬「はい!やっぱり金閣寺は外せないと思うの!」
唯「だよね!」
律「あたしはさー…」
さわ子「真田先生、ちょっと…」
明彦「ん?」
さわ子「このプリント、あの子達に渡してくれない?」
さわ子「さっきみんなに渡すの忘れちゃってね」
明彦「そうですか」
さわ子「じゃ、他の子達にも探してプリント渡して来ますから」すたすた
明彦「全く…」チラッ
明彦「今度の修学旅行についてのプリントか」
明彦「!」
明彦「月光館学園との合同修学旅行だと?」
明彦「まさか…」
律「唯ー!写真取ろうぜ写真!」
澪「こら、車内で騒ぐな」
唯「ムギちゃんお菓子食べる?」
紬「食べる~」あーん
澪「あまりお菓子ばかり食べ過ぎるなよ、唯」
唯「大丈夫だよ~」
律「あれ?」
紬「どうかした?りっちゃん」
澪「やっぱり紛らわしいなそのあだ名…」
澪「でも本当だ、真田先生がいない」
澪「別の車両にいるのかな?」
律「でも隣は月高の車両だしな…」
紬「あれ、りっちゃん知らないの?真田先生は月高に在学してたのよ?」
律「そうなの?」
紬「この前、真田先生から聞いたの」
律「なんだ、じゃあ知り合いにでも会いに行ったのかな」
紬「多分ね」
律「何が?」
唯「急に縁もゆかりも無い知らない高校と合同旅行なんてさ」
澪「良く考えたらそうだな…色々唐突な気がする」
律「考えすぎじゃないの?」
紬「そうよ唯ちゃん」
唯「そうかな~」どさっ
唯「あ、お菓子落としちゃった」
澪「大丈夫か?ほら拾って」
唯「てへへ」
律「うそ!どれどれ…」
律「本当だ!綺麗だなー!」
唯「私も見たい!」どさっ
澪「わ!また落としたぞ唯!」
紬「写真取りましょうか!」
律「よっし、ほらみんな集まって!」ぐいぐい
澪「ちょ、律!」
唯「わわっ」
紬「はい、チーズ!」パシャ
律「だって、富士山をバックに撮れなくなっちゃったら勿体無いじゃん」
澪「(帰りに撮れば良いだろ…)」
律「そう怒った顔するなよ澪ー、外の景色でも見て落ち着こうぜ?」
律「高い空、雄大な自然、綺麗な富士山、走るさなちゃん…」
律「ってさなちゃん!?」がばっ
澪「え!?」
紬「う、嘘!?」
昼 新幹線の外 線路沿い
明彦「ふっ…ふっ…ふっ…」たたたっ
明彦「良し、全員いるな」
律「あ、あの、さなちゃん?」
明彦「なんだ?」
律「ど、どうやってこちらへ…?」
明彦「走ってだが」
律「やっぱりアレはさなちゃんか!」
澪「嘘だろ…」
明彦「なかなか良いトレーニングにはなったな」
唯「アレがトレーニング…」
明彦「帰りも走る予定だが、なんなら付き合うか?」
律「結構です!」
紬「綺麗ね~」
澪「凄いな…ピカピカだ」
唯「アレって本当に金で出来てるのかな?…じゃなくて、出来てるん?」
律「出来てる!…やで?」
明彦「なぜ急に訛るんだ」
唯「あ、こっちで抹茶が飲めるみたいだよ!あの苦いやつだよね?」
律「お菓子付きだってさ、飲んでく?」
澪「なんだかいつもと変わらないな…」
紬「でも楽しいじゃない?」
澪「…まぁ」
明彦「プロテインは…さすがに無いか」
律「このプロテインジャンキー!」
明彦「ここが北野天満宮だ」
律「ここって…有名なの?」
唯「さぁ…」
明彦「あそこに牛の像があるだろ?アレを撫でると頭が良くなるそうだ」
澪「へぇ~」
紬「真田先生、詳しいんですね~」
明彦「ま、一度来たしな」
澪「一枚写真撮ろうっと」
明彦「…」
明彦「…平沢、田井中、撫でに行かなくて良いのか?」
唯律「「どういう意味やねん!」」
唯「わー…高いねー!」
澪「良い景色だな…」
明彦「絶景かなって奴だ」
律「あー!あたしが言おうと思ってたのに!」
紬「ねぇ、あっちでお猿さんにエサをあげられるみたいなんだけど…」うずうず
律「行ってみるかー」たたたっ
澪「あ、待ってよ律!」たたたっ
唯「やっほー!」
山彦「っほー…」
明彦「…」
明彦「この落ち着きの無さは伊織以上だな…」
明彦「(こんなにのんびりしたのはどれくらいぶりだろうな)」
明彦「…」
明彦「…駄目だ、体が鈍って仕方が無い」
明彦「お前達、そろそろホテルに行くぞ。ダッシュで…」
明彦「…」
明彦「…いない?」
律「迷った」
澪「どーするんだよぉ…」
紬「さすがに真田先生に黙って帰ったのはまずかったかな…」
唯「でもあのままいたら『ホテルまでダッシュで帰るぞー』とか言いそうだったし…」
律「うんうん」
澪「もしかしてここで私は死ぬのか?そうなのか?」
紬「落ち着いて澪ちゃん」
律「なんとかなるって」
律「ほら、きっとこっちだ」すたすた
律「迷った」
紬「…思いっきり道を間違えちゃったみたい」
唯「人がいっぱいだ…」
澪「(なんか怖そうな人がたくさんいる…!)」ぷるぷる
律「あたしらどっから来たっけな…」
唯「本格的に暗くなって来たね…」
DQN A「ねーねー君達どこから来たの?」
DQN B「ここらへんじゃ見ない制服だね」
律「(うわ、面倒臭いのが…)」
澪「り、りつぅ…」ぎゅっ
DQN B「楽しい所いっぱい知ってるよ?」へらへら
律「…なれなれしいんだよ、行くぞみんな」
DQN A「何その言い方、傷ついちゃったなー…」
DQN B「良いから来いってんだよ、こんな所に女の子がいるってことはそういうことだろ?」
紬「い、嫌です!」
澪「(そ、そういうことって…)」
DQN B「ほら来いよ!」ぐいっ
澪「きゃっ!」
唯「澪ちゃん!」
湊「やめなよ」すっ
湊「君達みたいな奴は心底どうでもいい」
DQN B「なんなん…ちにゃ!」
湊「ホントどうでもいい」
律「つ、強い…」
紬「あっという間…」
唯「いちげきだ…!」
澪「はわわ…」
湊「…怪我は無い?」
澪「う、うん。ありがとう」
澪「あの…君は?」
湊「有里湊、月高の2年生」
湊「その制服…桜高でしょ?今回の合同旅行の」
律「お、おう」
湊「…ホテルまでの帰り道…知らない?」
紬「実は私達も迷子なの…」
唯「困ったね…」
湊「そっか…」しゅん
明彦「ったく、アイツら…ホテルにも戻っていないとは…」たったっ
明彦「どこをほっつき歩いているんだ!」たったっ
ケンカ強い
料理上手い
コネ多い
話すだけでモテる
文武両道
ワイルド使える
ついでに顔もいいんだよな
話すだけでモテるは選ぶ選択肢にもよるし微妙だが
律「!な、なぁ!アレさなちゃんじゃないか!?」
澪「本当!?」
唯「ほんとだ!おーい!さなちゃーん!」
明彦「…いた!お前達!」たったっ
湊「知り合い?」
紬「私達の先生をやってるの。教育実習だけどね」
明彦「ぜぇ…ぜぇ…ようやく見つけたぞ…この馬鹿共」
律「ご、ごめんなさい…」
明彦「…心配を掛けさせるな」
唯「ごめんなさい…」
明彦「無事に見つかったから良かったものの…」
明彦「こんな所をウロウロするものじゃない」
澪「実はその…道に迷っちゃって…」
紬「変な人に絡まれちゃって怖かった…」
明彦「変な…?おい、何かされたのか!?」
唯「ううん、すんでのトコで有里君が助けてくれたんだ」
明彦「…有里?」
湊「どうも」ぺこっ
明彦「!」
湊「え?」
明彦「お前の為にどれだけみんなが…!」
湊「…あの、初めましてですよね?」
明彦「…何?」
明彦「(この気だるそうな雰囲気、力強い眼、どうみても有里だが…)」
律「さなちゃん、こいつ知ってるの?」
湊「??」
明彦「…いや、俺の勘違いだったようだ」
明彦「(…どういうことだ)」
順平「お、いーたいた有里クン。こんなトコで何をやってるのかね?」
ゆかり「勝手にふらつかないでよね、探しちゃったじゃない」
湊「あっ、ゆかり」
唯「有里君のお友達?」
湊「うん」
明彦「(伊織に…岳羽…!?)」
明彦「(だが姿は昔のままだ…)」
ゆかり「…誰?その人達」
湊「桜高の人だよ、さっき知り合った」
順平「お前はホント、良いトコだけ持ってくのな!」
順平「消えたと思ったらこんな可愛い娘達とお知り合いになってるとかさ!」
順平「そのスカした余裕…あれだなムカつき侍だな」
ゆかり「馬鹿じゃないの」
澪「あ、あの…」
澪「そろそろホテルに戻らないか…?」
紬「わっ、もうこんな時間…」
唯「だね、さなちゃんもいるから帰れるし!」
明彦「…」
律「さなちゃん?」
明彦「…ああ、山中先生が心配しているしな」
湊「一緒に帰りましょうか」
明彦「(有里、伊織、岳羽…皆、当時の特別課外活動部の時の姿をしていた…)」
明彦「(…それに俺と面識があるようには見えなかった)」
明彦「(まぁ、この『ナリ』では分からないのも無理は無いかもしれんが)」
明彦「(どういうことだ?奴の話が正しければここはけいおん!とやらの世界のはず)」
明彦「(なぜアイツらがここへいる…)」
?『ですが貴方が私の手によりけいおん!世界へ来たことで…』
?『けいおん!世界に少し変化が見られたようでございます』
明彦「(これがその『変化』とやらか…?)」
明彦「…これが『変化』なのであれば、この世界は別の世界の俺達が進んだ可能性…ということか?」
明彦「…」
明彦「…駄目だ。パラレルだのなんだのと考えてると頭がこんがらがってくる」
明彦「風呂にでも入って気分転換するか」
綾時「ねぇ順平君」
順平「なんだい綾時クン」
綾時「もし僕達が露天風呂に入ってる時に入浴時間が男子から女子に変わっても」
綾時「それは不幸な事故だよね?」
順平「もちろん事故に決まってるじゃないか綾時クン」
湊「…」
明彦(過去)「おい…お前達、何を企んでる」
順平「企むなんて滅相も無い!」
綾時「ただお風呂に入ってるだけですよ」
綾時「いえいえ!偶然ですよ偶然!ねぇ湊君」
湊「どうでもいい」
順平「大体、時間が変わった瞬間に入ろうなんて女子がいるわ…」
がらっ
順平「えっ嘘っ?ホントに来た?」
湊「!」
明彦「ん?お前達は…」
明彦「その名で呼ぶな」
綾時「知ってる人?」
湊「桜高の先生」
順平「あ、さっきは挨拶しないでスンマセンでした」
順平「俺、伊織順平っス!」
綾時「望月綾時です。女子校の先生なんて羨ましいなぁ…」
明彦(過去)「真田明彦です」
明彦「(なんだか変な気分だな…)」
明彦(過去)「先生のお名前は?」
明彦「…面倒だからさなちゃんで良い」
明彦「(…この場で堂々と名乗れるか、ややこしいことこの上無い)」
綾時「こんな時間に露天風呂ということは、先生も事故狙いですか?」
明彦「…事故?」
明彦(過去)「やはりお前達はそんなことを…!」
順平「わー馬鹿馬鹿、綾時!正直に言っちゃ駄目でしょ!」
綾時「ここまで来たらみんな共犯だよ」
明彦「(この展開…覚えがあるぞ)」
湊「どうでもいい」
明彦(過去)「下らん、俺は上がるぞ」
がらっ
風花「走ると危ないよりっちゃん」
美鶴「そうか、それで軽音部に?」
澪「そうなんです」
美鶴「いつか君達の演奏を聞きたいものだな」
ゆかり「すごーい…お嬢様なんだ」
紬「そうかしら?」
唯「アイギスちゃんってお風呂大丈夫なの?」
アイギス「耐水性の気持ちに切り替えたので問題無いであります」
順平「(ホントに来たよ。アレ?やばくない?)」
綾時「可愛いからオッケーさ!おー…」
順平「ばっ、馬鹿!しー!」
綾時「むがもご」
明彦(過去)「おい、どうするんだ」
湊「どうで」
順平「もよくないから!マズイから!」
風花「今、声がしたような…」
明彦「とりあえず岩場の裏に隠れるぞ!」
順平「どうすんだよコレ、マジやべーよ」
綾時「なんでさ?目的は達成でしょ」
順平「桐条センパイがいるとは思わなかったんだよ!」
綾時「…そんなにマズイの?」
明彦 明彦(過去)「「処刑だな」」
湊「どんな?」
明彦 明彦(過去)「「とても口には出せん」」
綾時「シンクロしてる…」
順平「良いか、うまいことやり過ごす方法考えんぞ」
湊「!」
綾時「じゃん!どっちが本物の湊君でしょーか!って攪乱するの」
明彦「まとめて処刑されて終わりだな」
順平「…時間を勘違いしたフリして素直に出てくか?」
明彦(過去)「揃いも揃って勘違いしたなんて言い訳が通ると思うか?」
順平「そっスよね…」
湊「僕の溢れる魅力で僕だけ許してもらう」
順平「自分だけ助かる気か!あとホントに出来そうだからやめて」
綾時「…どうしたものかなー」
美鶴「…何をしている」
律「誰かいるのかー?…って」
唯「さなちゃん?」
風花澪「「ひゃあっ!?///」」ばしゃっ
ゆかり「ちょ、ちょっとアンタら…!」
紬「まぁまぁまぁまぁまぁ」
美鶴「しょ…」
美鶴「処刑するーッ!!!///」カッ
アイギス「短いお付き合いでした」
明彦「(人は同じ過ちを繰り返す生き物というが…)」
明彦「(これではあまりに情けない…)」
明彦「(しかし、とっさに回避出来て良かった)」
明彦「(さすがに2回目だからな)」
明彦「だが…」
湊綾時順平明彦(過去)「「「「…」」」」カッチーン
明彦「どう溶かしたものやら…」
律「さっきはびっくりしたな…」
紬「先生達がお風呂場にいたのにも驚いたけど…」
澪「…一番驚いたのは美鶴さんだな」
唯「ぺんてしれあ?って叫んだ瞬間に有里君達が凍っちゃうなんてね!」
律「なんかの魔法だったりして」
紬「不思議ね~」
澪「(はっ!美鶴さんはもしかして…魔女!?)」
美鶴(魔女)『お~ほっほっほっ!』
澪「(ぷっ…)」
美鶴「」イライラ
風花「桐条センパイ?」
唯「全然そうは見えないよね」
紬「うん、なんというか…ちゃんとあの子の『心』を感じた」
澪「私も思った。アイギスちゃんは普通の人間と何も変わらない気がする」
律「うんうん」
唯「ねぇ、明日、アイギスちゃん達も誘ってお土産買いに行こうよ!」
律「お、ソレ良いな!」
紬「楽しそうね!」キラキラ
澪「なら今日は早く寝て、明日に備えようか」
律「あーい」もぞもぞ
カチッ
律「…」
唯「…」
澪「…」
紬「…」
律「…プロテイン」ぼそっ
澪「…」
唯「…ぷっ」
紬「…くすっ」
唯「…」
澪「…」
紬「…」
律「プロッ…ティーン」ぼそっ
澪「…」
唯「…ぷくくっ!」
紬「…~!」ばんばん!
澪「(…馬鹿軍団か)」
…
律「なんか一泊二日って短すぎるよな」
ゆかり「意外に楽しかったし、もうちょっといたかったね」
風花「お土産どうしようかな…」
唯「この八橋美味しそうだね!」
順平「どうもこんにちは、伊織順平です…」
綾時「女の子が目を合わせてくれません…」
明彦(過去)「とばっちりだ俺は…」
湊「♪」シャカシャカ
明彦「…問題にならないだけマシと思うしかない」
紬「何か形として残るものが良いんじゃないかしら」
澪「んー…形か…」
アイギス「コロマルさんにはこのドッグフードぶぶ漬け味を買っていくであります」
風花「それは暗に出てけってことになるからやめた方が…」
アイギス「ぶぶ漬けにはそんな意味が…なるほどなー」
美鶴「…」キョロキョロ
律「どうしたの?」
美鶴「いや、こういう所にはあまり来たことが無くて…」
綾時「僕も混じろうとしたら澪ちゃんに汚いものを見るような目で見られたよ…嬉しかったけど」
順平「お前アブノーマルだな…」
明彦(過去)「…美鶴のあんな顔を見たのは人生で2度目だ」
明彦「…」
明彦「(土産か…俺も何か買っていくか)」
順平「ありゃ?そういや湊は?」
湊「生八橋の方が良いと思う」
風花「湊君もそう思う?」
ゆかり「天田君にだし、ここはベタで良いんじゃない?」
湊「それはどうでもいい」
唯「しどい!」
美鶴「な、なぁ有里。これはなんだ?」
湊「それはですね…」
順平「なんでアイツは混じれてんの?」
綾時「良いなー…ホント良いなー」
明彦「(そういえば、有里はそういう奴だったな)」
明彦「(不思議な魅力に溢れて…リーダーシップも兼ね備えた見所のある…な)」
明彦「…」
さわ子「そろそろ時間よー、桜高生も月高生も所定の位置に集合しなさーい」
律「みーお、時間だってさ」
澪「もう?」
ゆかり「そうみたいね」
美鶴「名残惜しいがお別れだな」
紬「ほんの少しだけど、一緒に過ごせてとても楽しかったです」
美鶴「フッ…それはこちらもだ」
風花「みなさんと友達になれて嬉しかったです!」
唯「私も嬉しかったよ!」
アイギス「一生忘れないであります」
律「いや、今生の別れみたいに言われても…」
順平「なんか…サンザンだったな」
明彦(過去)「全く…誰のせいだと」
明彦(過去)「…だがまぁ…面白い人と出会えて良かったとは思う」チラッ
順平「だな。ってか、さなちゃんがいなかったら俺達一生冷凍保存されたままだったしな」
綾時「あはは!それは言えてるね!」
明彦(過去)「笑い事じゃない!」
明彦「有里」
湊「はい?」
明彦「…」
明彦「『もう一度』お前と出会えて良かった」
湊「…」きょとん
湊「…」
湊「…それは良かったですね」
明彦「フッ…」
明彦「またいつか…な」
湊「ええ…またいつか」
>真田明彦は『永劫』のアルカナを手に入れた
だだだだだっ
澪「えっ?ちょ、ちょっと待って!」
唯「お、お土産が重い…」ふらふら
律「買いすぎだ!」
紬「私が持ってあげるから急ぎましょう!」
だだだだだっ
湊「(昨日から思ってたけど、なんだか初めて会った気がしないな)」
湊「けどまぁ…」
湊「どうでもいいか」
明彦「…ではこれで授業を終える、各自気を付けて帰るように」
「ありがとうございましたー」
明彦「ああ」
明彦「(…今日で二ヶ月か。俺もずいぶん教師が板についたものだ)」
明彦「(意外に向いているのかもな)」
唯「りっちゃん、澪ちゃん、ムギちゃん、部室行こう?」
紬「今日はね、澪ちゃんの好きなガトーショコラを持ってきたの!」
澪「…ごめんムギ、今日は帰る」
律「あたしも、じゃーな」
がらっ
がらっ
唯「…二人ともどうしたのかな」
紬「喧嘩かしら…?」
がらっ
梓「澪センパイいますか?」
唯「あっ、あずにゃんだ!」
紬「澪ちゃんなら帰っちゃったみたい」
唯「あとりっちゃんもね」
梓「お二人同時に部活休みなんて珍しいですね…喧嘩ですか?」
唯「うーん…多分」
…
真次郎『この筋肉馬鹿が!何度言えば分かりやがる!』
真次郎『人のラーメンにプロテイン入れんじゃねぇ!』
明彦『お前の体が弱いから、心配して入れたんだ!』
明彦『強い肉体を持てばそれだけでどんな病気にもかから…』
真次郎『余計な世話だ!』
明彦『なんだと!?』
真次郎『大体テメェは…ゴホッゴホッ!』
明彦『それみたことか』
真次郎『るせぇ!』
…
明彦「今となっては良い思い出だな」
紬「そうね…」
唯「ガトーショコラ食べてからね!」
梓「もう…唯センパイったら」
唯「じゃあ、あずにゃんはいらない?」
梓「…食べます///」
紬「ふふふっ」
明彦「(アイツらは大丈夫そうだな)」
明彦「(問題は秋山と田井中か)」
すたすた
明彦「…これでしばらくはプロテインに困らないな」がさがさ
明彦「ここには安いスーパーがあって助かった」
明彦「向こうはどこも物価が高くてかなわん」
明彦「~♪」
明彦「…ん?」
明彦「あそこにいるのは…秋山か?」
澪「…はぁ」
明彦「ため息とはらしくないな」
澪「!真田先生…」
明彦「夕暮れの川辺で体育座りなんてドラマでしか見たこと無いぞ」
澪「…///」ふしゅ~
明彦「何か悩みか?」
澪「…別に悩みなんて」
明彦「それとも田井中と喧嘩でもしたか」
澪「!」
澪「私が悪いんだ…」
澪「私が律にひどいこと言ったから…」
明彦「…良ければ聞いてやる」
澪「…」
澪「…うん」
…
律『ん?新曲?』
澪『学園祭も近いからな、色々書いてるんだ』
律『…なーんか澪らしくない歌詞だな』
律『ちょっと無いかなー』
澪『なんだよソレ…』
律『…』
律『…っていうかさ』
律『最後だからってそんな気張らなくても良いんじゃない?』
律『いつも通りで良いじゃん』
澪『あのな、私達に次の学園祭は無いんだぞ?』
澪『しっかり考えなきゃ駄目だろ』
律『…』
澪『最後の学園祭を良い思い出にしたいとは思わないのか?』
律『…思わない訳じゃない』
律『…でも』
澪『でも…なんだよ』
律『今はそーゆーの考えたくない』
澪『…本当にやる気が無いとは思わなかった』イライラ
澪『…なんでお前みたいなのが部長をやってるんだ』
律『…』
律『帰る』ぽろっ…
がちゃ ばたん!
澪『おい、律!』
澪『…泣いてた?』
…
明彦「田井中に酷いことを言って後悔している…か」
澪「なんであんなこと言っちゃったんだろ…」
澪「あの時の私は歌詞が上手く書けなくて、それでイライラして…」
澪「律にあたっちゃって…」
明彦「ずっと友達だったからこそ、遠慮無く言い過ぎたんだな」
澪「…私は律のやる気の無い姿が許せなかったんだ」
澪「どうして最後くらい真面目にやってくれないんだろうって…」
澪「でも今は…それ以上に自分が許せない…」
明彦「…」
明彦「お前は少し急ぎ過ぎただけだ」
澪「…」
澪「でも私は…り、律に…」ぽろっ
澪「あ、あんなひど、い、こと言って…」ぽろぽろ
明彦「…」
明彦「だから自分を責めるな」
明彦「それでは何も解決せん」
明彦「…まずは自分を許してやれ」
明彦「お前は充分、反省したはずだ」
明彦「今、自分を許さなければ」
明彦「これから誰も許せなくなるぞ」
澪「!」
明彦「己の弱さと向き合え」
明彦「お前なら大丈夫だ」
澪「…」
明彦「…俺が言えるのは…まぁ、これくらいだ」
澪「…もう一度律と笑いあえるかな」
明彦「当然だ」
明彦「お前達は『友達』なんだからな」
明彦「…で良い」
澪「え?」
明彦「…さ、さなちゃんで良いと言っているんだ」
明彦「もうこの方がしっくり来る」
澪「…」ポカーン
澪「…ふふっ」
明彦「な、何がおかしい!///」
澪「話を聞いてくれてありがとう、さなちゃん」
澪「凄く気が楽になった」
明彦「…そうか」
澪「今日はもう帰ります、それで…明日ちゃんと律に謝ってくる」
明彦「きっと元に戻れるさ」
澪「…うん!」
澪「じゃあ…また明日ね、さなちゃん」
明彦「気を付けて帰れよ」
たったったっ…
明彦「…」
明彦「…どんなちっぽけな悩みも、一人で抱えたら重すぎるに決まってる」
明彦「田井中を大切にしてやれよ、秋山」
がらっ
明彦「秋山はいるか?」
梓「澪センパイならさっき職員室に行きましたよ?」
梓「さわ子先生に呼ばれたみたいです」
明彦「そうか、入れ違いになったみたいだな」
梓「ここで待ってればそのうち戻ってくると思います」
明彦「なら待たせてもらうか」
梓「あ、掛けてください」さっ
明彦「む、すまないな」すっ
梓「…」
明彦「…」
梓「(ち、沈黙が気まずいですね…)」
梓「(良く考えたらそんなに話したこと無いですし…)」
梓「?」
明彦「…」すっ
梓「(ス、スーツの内ポケットからプロテイン!?)」
明彦「…」ごくごく
梓「(プロテインをあんなに美味しそうに飲む人初めてみました…)」
明彦「…」
明彦「飲むか?」
梓「い、いえ…」
明彦「そうか」ごくごく
梓「…」
明彦「ふう」
梓「(なんか一仕事終えたみたいな顔をしていますね…)」
梓「へ?」
明彦「学園祭だ」
明彦「今のメンバーでやれる最後のライブなんだろう?」
梓「ああ…」
梓「そうですね…」
明彦「寂しいか?」
梓「寂しくないと言えば嘘になります」
梓「でも、センパイ達の思い出は心に残ってますから」
明彦「そうか」
梓「そういえば真田先生は…」
明彦「さなちゃんだ」
梓「へ?」
明彦「さなちゃんだ」
明彦「そうだ」
梓「その後はどうするんですか?」
明彦「分からん。正直ノープランだ」
明彦「ただ…俺がどんな道に進むとしても、ここで教鞭を取ったことは忘れん」
明彦「…ここは良い学校だ」
明彦「皆が心から笑いあえる、良い学校だ」
梓「…」
梓「…私もそう思います」
梓「みんなと出会わせてくれた…」
梓「そして大切なセンパイ達と出会わせてくれた良い学校です!」
明彦「良い顔をしているな、中野」
明彦「俺の授業を受けさせてやれないのが残念だ」
梓「それは遠慮しておきます」
梓「先生の授業は勉強も運動もハードだって、センパイ達から聞かされてますから」くすっ
明彦「何がハードだ」
明彦「せいぜい100キロ行軍したり、飛んでくる硬球を避けたりするだけだぞ」
梓「ハードなんてものじゃなかった!」
明彦「これでもレベルは落としているぞ」
梓「大丈夫なんですか?…教育委員会的に」
明彦「立ち塞がるなら倒すだけだ」
がらっ
純「あ、いたいた梓」
純「お願い!テスト範囲教えて!」
梓「範囲って…今更?」
純「この通り!」
梓「もー…」
梓「あの…もう少しお話したかったんですけど…」
明彦「俺のことなら気にするな、行ってこい」
梓「すみません…では」
梓「ほら行くよ」
純「ありがと梓ー!」ぎゅっ
梓「ちょ、ちょっと!」
がらっ たったったっ…
がらっ
明彦「うん?忘れ物か?」
律「お、さなちゃん」
明彦「田井中だったか」
律「なにやってんの?」
明彦「プロテインを飲みつつ、秋山を待っている所だ」
律「澪か…」
律「やっぱ、今日は帰…」
明彦「待て」
律「なに?」
明彦「秋山と喧嘩したそうだな」
律「…」
明彦「ことのあらましは大体聞いている」
明彦「ちゃんと反省はしている、だから許してや…」
律「違う」
律「…そんなことは気にしてない」
明彦「…?」
律「…」
律「…寂しかったんだ」
明彦「…」
律「あの時、澪が言った言葉…」
澪『あのな、私達に次の学園祭は無いんだぞ?』
澪『最後の学園祭を良い思い出にしたいとは思わないのか?』
律「ああ…もうすぐ終わっちゃうんだなって」
律「そう思ったら…なんか澪の顔が見辛くて…」
明彦「ふむ」
明彦「意外にナイーブなんだな」
律「…あたしだって乙女なんだぞー」
明彦「想像もつかんな」
律「…さなちゃん、女の子の扱い方が分かってないなぁ」
明彦「…余計な世話だ」
明彦「…」
明彦「田井中、終わりは嫌いか?」
律「…嫌い」
明彦「俺も嫌いだ」
明彦「月高にいた頃は何度、この時間が永遠ならばと思ったことか」
律「…何度も?」
明彦「ああ、あの時は毎日が辛くも楽しくてな」
明彦「…終わりや別れがあることなど考えもしなかった」
律「…」
明彦「受け入れられなければこの先ずっと辛いままだぞ」
律「…」
律「…そんなの寂しいよ」
律「…寂しい」
明彦「…」
明彦「全く…そんな顔をするな」
明彦「良いか」
明彦「終わるということは、また始まりが来るということだ」
明彦「人は後ろを見ていては前に進めん」
明彦「また新しい軽音部がスタートするんだ」
明彦「お前は後ろを見たままで良いのか?皆は新しい一歩を踏みだそうとしているぞ」
律「…」
律「…あたしも…新しい軽音部にいたい」
明彦「なら前を向け!」
明彦「そして『今』と『未来』だけを見据えて歩くんだ」
明彦「『過去』にしがみつくにはお前は早すぎるだろう」
律「『今』と…『未来』…」
明彦「皆、お前の大切な仲間で友達だろ」
律「…うん」
明彦「ならばいつか離れることがあっても大丈夫だ」
明彦「お前達の絆だけは何があろうと終わらない」
律「あたし達の絆だけは終わらない…」
明彦「…ほら、噂をすればなんとやらだ」
がらっ
澪「さなちゃんに…律?」
律「澪…」
明彦「(ちゃんと仲直りしてこい、俺は走り込みに行く)」
律「(さなちゃん…励ましてくれてありがとな)」
明彦「(お節介な説教をしただけだ)」すたすた
がらっ
明彦「今日は気持ち良くトレーニング出来そうだ」
明彦「さて、走りに行くか!」
たたたっ
明彦「…しまった、秋山に用があって待ってたんだった」
明彦「…」
明彦「まぁ、どうでもいいか」
たたたっ…
明彦「ふわぁ…ぁ」むくっ
明彦「…今日は休日か」
明彦「今日のトレーニングは基本だけやって後は体を休めよう」
明彦「たまにはこんな日も良いだろう」
明彦「まずは腹筋1000回を3セットだ」
…
明彦「ふぅ…こんな所か」
明彦「ん?もう昼を回っているのか」
明彦「…」ぐ~
明彦「牛丼でも食べに行くか」
すたすた
明彦「今日は暖かいな」
明彦「これならもう少しトレーニングしても良かったか?」
明彦「…」
明彦「…今日の俺は独り言が多いな」
明彦「(アイツらの声を聞かないと少し寂しいのかもしれん)」
明彦「…」
明彦「…む?」
明彦「見た顔があそこにいるな」
明彦「あれは…琴吹か」
紬「あっ、さなちゃん!」
明彦「買い物か?」
紬「ええ、お散歩しながら買い食いしてたの~」
明彦「ほう、面白そうなことをやってるじゃないか」
紬「さなちゃんは?」
明彦「昼飯に牛丼を食べに行く所だ」
紬「…牛丼!?」キラキラ
明彦「あ、ああ」
紬「私、牛丼って食べたこと無いの…」
明彦「…なに?」
明彦「食べたことが無いだと?」
明彦「あんな美味いものを知らないとはもったいない…」
明彦「ついて来い琴吹、その眼をもっと輝かせてやる」
紬「はい!」キラキラ
…
店員「お待たせ致しました、牛丼の並と大盛りです」
店員「ごゆっくりどうぞ」
紬「これが牛丼…!」
明彦「好みで卵やネギ、紅しょうがを乗せると美味いぞ」もぐもぐ
紬「色んなバリエーションがあるんだ…」
紬「で、ではいただきます!」ぱく
紬「…」ぷるぷる
紬「美味しい~!」キラキラ
明彦「当然だ」
明彦「(牛丼一つでここまで嬉しそうな子は初めてだ)」
紬「お肉と玉葱の相性が素晴らしいわ~」キラキラ
明彦「ふー…美味かった」
紬「ごちそうさまでした!」
明彦「先に出ていろ、会計を済ませてくる」
紬「あ、私の分の代金を…」がさごそ
明彦「いい、要らん気を使うな。それにここは安い」ぺらっ
紬「…さなちゃん、この伝票に書かれてる代金…ゼロが一個足りないと思うんだけど」
明彦「それが普通だ」
紬「あんなに美味しいのに…採算取れるのかしら?」
明彦「…」
明彦「(この世間知らずさは美鶴を思い出させるな…)」
紬「?」
紬「牛丼、ありがとうございました~」ぺこっ
明彦「こちらも楽しい時間だった」
紬「さなちゃんやみんなといると知らないことばかりでとっても楽しいです!」
明彦「見るもの全てが新鮮というのも羨ましいものだ」
紬「ふふっ、今度はさなちゃんに私がごちそうしてあげますね」
明彦「良いのか?俺は結構食うぞ」トントン
紬「どんとこいです!」むぎゅーん!
明彦「はっはっ、楽しみにさせてもらう」
紬「それにしても本当に美味しかったわぁ~」
紬「お土産とかで持って帰れないかしら?」
明彦「夜食に食べようとテイクアウトしていたんだが、お前にやろう」
紬「これは?」
明彦「さっき食べた牛丼だ」
紬「えっ…でも…良いんですか?」うずうず
明彦「あまりに美味しそうに食べていたからな」
明彦「お前に食べられるなら、この牛丼も本望だろう」
紬「さなちゃん…」キラキラ
紬「抱きしめて良かですか!?」ばっ
明彦「なっ!やめろ!誰かに見られでもしたら、要らん誤解が…」
唯「君を見てるといつもハートどきどき~♪」とてとて
唯「あれ?ムギちゃんとさなちゃん?」
紬「あ、唯ちゃん」
唯「!」
唯「…」
唯「ははぁ~ん、そういうことですな?」
明彦「おい…」
唯「禁断の恋でしょ!」
唯「まさかムギちゃんとさなちゃんがねぇ~」にやにや
明彦「な、ち、違う!…琴吹も何か言」
紬「///」
明彦「なぜ頬を赤らめる!?」
唯「なーんだ、そうだったんだ」
明彦「全く…琴吹が要らん真似をするからだ」
紬「うふふ、つい~」
唯「ところで二人は何をしてたの?」
紬「さなちゃんと一緒に牛丼を食べてたの~」
唯「えー良いなー」
明彦「平沢には別の機会に奢ってやるさ」
唯「やっぱり良いや~太っちゃいそうだし」
明彦「おい」
紬「あ…もうこんな時間」
紬「ごめんなさい、私もう帰りますね」
明彦「どこまでだ?途中まで送ってやる」
紬「ううん、迎えが来ますから~。でもありがとうさなちゃん」
紬「それじゃあね!」たたっ
明彦「気を付けろよ」
紬「またね~」
たたたっ…
唯「…」
明彦「…」
唯「あっ、私買い物に来てたんだった!」
唯「急がないと!またね、さなちゃん!」たったっ
明彦「お前も気を付けろよ」
唯「はーい」たったっ
明彦「…」
明彦「帰って寝るか」
明彦「うん?戻ってきた?」
唯「ねぇさなちゃん」
明彦「どうした」
唯「私、何を買いに来てたんだっけ?」
明彦「なぜそれを俺に聞く」
唯「知ってるかなぁって」
明彦「なぜ余所の家の買い物事情を俺が把握していなきゃならないんだ」
唯「だよねぇ」
明彦「…」
唯「むー…」
明彦「…家の人に連絡してみたらどうだ」
唯「それだよ、さなちゃん!」
唯「えーっと…」
唯「あれ?」
唯「…ケータイ家に忘れちゃった」
明彦「お前は本当、どこか抜けているというか…」
唯「えへへ///」
明彦「褒めてないぞ」
明彦「…とにかく、そういうことなら一度家に戻るしか無いな」
唯「うーん…面倒だなぁ」
明彦「自分で撒いた種だろう」
唯「うぐっ!」
たたたっ…
?「~ん!」
唯「むむ?この声は…」
唯「あ、憂だ!」
明彦「妹か?」
唯「うん!憂って言うんだよ!」
憂「はぁ…はぁ…駄目だよお姉ちゃん」
憂「財布も携帯も買い物メモも全部忘れちゃうんだもん…」
唯「これはうっかり侍でした」
明彦「伊織かお前は…」
憂「…お姉ちゃん、この人は?」
唯「真田明彦先生!略してさなちゃん先生だよ!」
明彦「教育実習生だがな」
憂「先生のことはお姉ちゃんからお話だけは良く聞いてます!」
明彦「ほう、どんな話だ?」
憂「えーっと…」
憂「なんにでもプロテインをかけるプロテイン依存症の先生って!」
唯「わわわ!う、憂!」あわあわ
明彦「…」
明彦「(俺はそんなにプロテインのイメージがあるか?)」
唯「も、もう良いよ憂!」
憂「そう?」
明彦「(強かだな)」
憂「そうそう、はい忘れ物」
憂「ちゃんと気を付けなきゃ、めっ!だよ?」
唯「えへへ、面目無い~」
明彦「(どちらが姉なのやら)」
唯「えっと、何を買うんだっけ…」ぺらっ
唯「そーだそーだ、お鍋の材料を買うんだった!」
明彦「鍋か…久しく食べてないな」
憂「なら、先生も一緒に食べませんか?」
明彦「…良いのか?なんだか催促したみたいで悪いが」
唯「さなちゃんなら全然おっけーだよ!」
憂「先生のお話、聞いてみたいです」
明彦「なら、ご相伴に預からせてもらおうか」
唯「じゃあ買う材料増やさないとね!」ふんす
憂「私は戻って、お出汁の準備してくるね」
明彦「俺も何か持っていくとするか」
憂「楽しみにしてます!」
唯「プロテインは駄目だよ、さなちゃん」
明彦「…」
明彦「(エスパーか平沢は…)」
唯「まずは鳥肉でしょ?それに白菜にしらたきにチョコレート!」
明彦「おい」
唯「ギャグだよさなちゃん」
明彦「お前なら本当にやりかねない」
唯「さなちゃんの中の私はどんななのさ…」
…
唯『わたあめのベッドでごろごろしたいな~』
唯『おひさ~までて~♪』
唯『あははは~うふふふ~』
…
明彦「こんなの」
唯「…私、そんなに頭の中ふわふわ時間してないからね?」
明彦「新発売のプロテインだと!?」
明彦「これは箱買いだな」
唯「またプロテイン?本当に好きだよねぇ…じゃんきーみたい」
明彦「ジャンキー…お前の中の俺はどんなイメージなんだ」
…
明彦『足りない!足りないぞぉ!俺に足りない物、それは!』
明彦『情熱思想理念頭脳気品優雅さ勤勉さ!そしてなによりも!』
明彦『プロテインが足りないぃ!』
…
唯「こんなの」
明彦「…お前、今期の評定オール『2』な」
唯「職権乱用!?というか実習生が成績つけるの!?さわちゃんは何やってるのさ!?」
唯「ただいま~憂~」
明彦「お邪魔します」
ぱたぱた
憂「お姉ちゃんお帰り~!真田先生こんばんわ~!」
唯「頼まれた材料買ってきたよ!」
憂「ありがとうお姉ちゃん!」
明彦「すぐアイスコーナーに向かおうとするから大変だったぞ」
唯「さなちゃんだって精肉コーナーから離れなかったじゃん」ぶー
憂「あはは、楽しかったみたいですね」
憂「立ち話もなんですから、どうぞ上がって下さい」すっ
明彦「ありがとう」
明彦「(出来た子だな)」
唯「あーい」
憂「~♪…あれ?」
憂「お姉ちゃん、塩は?」
唯「え?入ってない?」
憂「どこにも無いよ?」がさごそ
明彦「買い忘れたみたいだな」
唯「お隣のお婆ちゃんから借りようか?」
憂「お姉ちゃん聞いてないの?お婆ちゃん、2、3日の間旅行に行くって言ってたよ?」
唯「そうだっけ?」
憂「どうしよう…コンビニだと高いしな…」
明彦「…」チラッ
>新発売 プロテイン 塩味 疲れた体に塩分を!
明彦「(これはアレか、そういうことなのか)」
唯「まさか本当にプロテイン鍋になるなんてね…」
明彦「…こればかりは俺も本当にする気は無かったんだが」
憂「あ、案外、美味しいかもですよ?あはは…」
ぐつぐつ
唯「…食べる?」
憂「…食べようか」
明彦「食べ物を無駄にしたらバチがあたるしな…」
ぐつぐつ
唯憂明彦「「「…いただきます!」」」
明彦「意外に…」むしゃむしゃ
憂「美味しい…!」もぐもぐ
唯(タルカジャ)「これは予想外だよ!」
明彦(タルカジャ)「何か力が漲る気がするな」
唯(タルカジャ)「ねー!」
唯(タルカジャ)「プロテインって凄いんだね!」
憂(ヒートライザ)「びっくりだねお姉ちゃん!」
唯「もう食べられない…けぷ」
明彦「なかなかに美味かったな」
憂「お姉ちゃんお腹いっぱい?デザートのアイスどうする?」
唯「食べる!」しゅたっ
明彦「腹一杯なんじゃ無かったのか?」
唯「アイスは別腹です!」ふんす
憂「じゃあ持ってくるね」とてとて
明彦「…本当に良い子だな憂ちゃんは」
唯「自慢の妹だからね」
明彦「…」
唯「さなちゃん?」
明彦「憂ちゃんにばかり頼らず、少しは自分で頑張れよ?」
明彦「なんでも任せっきりじゃ駄目だ」
唯「…憂は優しいからつい、甘えちゃうんだよねぇ」
明彦「人は知らん所で傷ついたりするものだ」
明彦「憂ちゃんが傷ついた時はお前がしっかり甘えさせてやらなければならん」
明彦「それが『お姉ちゃん』の役目だ」
唯「…」
唯「私に出来るかな…」
明彦「自信が無いか?」
唯「…ちょっとね」
唯「私、おっちょこちょいだし…忘れっぽいし…」
明彦「強くなればそれは自信につながる」
唯「でも私、運動も苦手だし…」
明彦「なにも鍛えるだけが強くなる方法じゃない」
明彦「まずは自分の力でなんでもやってみろ」
明彦「憂ちゃんに任せていたことを少しずつ自分でやってみるんだ」
唯「自分で…」
明彦「たとえ失敗したって良い、経験に勝るものは他に無いからな」
明彦「まぁ、要約すれば」
明彦「妹を守れるくらいに強くなれ!…ってことだ」
明彦「失ってから大切さに気付くのは馬鹿のやることだ」
明彦「…お前はそんな馬鹿になるな」
唯「さなちゃん…」
とてとて
憂「お姉ちゃん、アイス持ってき…」
唯「…」
憂「お姉ちゃん?」
憂「え?もっとゆっくりしていっても…」
明彦「気持ちは有り難いが、この時間はいつもロードワークをしているんだ」
明彦「それに今俺は邪魔だろうからな」
憂「そうですか…」
明彦「美味しい食事を有り難う」
明彦「それじゃあな、唯、憂」
すたすた
憂「また来て下さいね~!」
伊織ですら恋と命を天秤にかけるような場面を経験してるし
憂「楽しい人だったねお姉ちゃん!」
憂「本当に先生になって欲しいくらいだよ~」
唯「…」
憂「あ、アイス溶けちゃうよお姉ちゃん」
憂「早く食べないと…」
ぎゅっ
唯「憂!」
憂「へ!?お、お姉ちゃん!?///」
唯「私…憂を守れるくらい強くなるからね!」
唯「絶対に強くなるからね!」
明彦「全く…ガラでも無いことを俺はペラペラと…」
明彦「人に説教出来るほど偉い訳でも無いのにな」
明彦「でもな、これできっとアイツは変わる」
明彦「俺と同じ目に合うことは無いだろうさ」
明彦「…」
明彦「ああ、そうだな…お前の言うとおりだよシンジ」
明彦「格好悪いな俺は…」
…
律「学園祭まであと2週間ちょっとか」
澪「気合い入れて練習しないとな!」
梓「気合いと言えば、最近の唯センパイは凄く練習熱心ですよね」
紬「うん、気迫を感じるっていうか…ちょっと人が変わったって言うか…」
唯「~♪」ギュイギュイギュイーン!
律「なんとなく方向性を間違えてる気もするけどな」
澪「唯も頑張ってるんだよ」
梓「(凄いな…)」
紬「唯ちゃん格好良い~」
紬「寂しくなるわね…」
澪「授業はいつも厳しかったけど、終わるとなると名残惜しいよな」
梓「私は話した回数は少ないですけど、とても生徒思いな先生なのは知ってます」
梓「出来るならこのまま本物の先生になって欲しいです」
律「そうだなー…さなちゃんが本当に先生になったら楽しいよなー」
澪「なぁ、最後の日に何かさなちゃんにプレゼントしてあげたくないか?」
紬「プレゼント?」
澪「うん、三ヶ月間ありがとうございましたって」
紬「賛成~!」
澪「じゃあ、何をあげたら喜ぶか考えようか」
梓「…パッとすぐに思いつくのはプロテインですね」
律「梓もか、あたしもだ」
紬「でも最後の日にプロテインってどうなのかしら」
澪「考えたらシュールだな」
律「ならトレーニング器具とか?」
澪「そういうのって結構するんじゃないのか?」
紬「それにさなちゃんってその手のは大体持ってそう」
梓「ですね」
澪「困ったな」
梓「どうしましょうか」
紬「むー…」
唯「…歌にしよう!」しゅばっ
澪「歌?」
唯「私達は軽音部なんだよ?」
唯「なら歌しか無いよ!」
梓「歌ですか…」
唯「歌にしてさなちゃんに届けよう!」
澪「おお…!」
律「ゆ、唯が唯してない!」
梓「唯センパイに賛成します!」
紬「私も!」
唯「決まりだね!」
唯「実は私、もう歌詞を考えてるんだ」
唯「だからムギちゃんに音をつけて欲しいんだけど…」
律「マジで?歌詞見せて見せて!」
唯「ちょっと待ってね…」がさごそ
唯「はい」ぺらっ
澪「どれどれ…」
梓「…これ、本当に唯センパイが?」
律「ゆ、唯がまたもや唯してないだと…?」
紬「すごーい…」
唯「えへへ///」
律「うんうん、凄いぞ唯」
紬「絶対にぴったりのメロディ考えてくるね唯ちゃん!」
梓「素敵な歌詞だと思います!」
唯「ほ、褒めすぎだよぉ」
唯「ただ、さなちゃんのことを思って書いたらそうなっただけだよ」
律「…良し!桜高軽音部、放課後ティータイムは
この歌をさなちゃんにプレゼントすることをここに宣言します!」
唯梓澪紬「「「「おー!」」」」
明彦「…」カリカリ
明彦「…」ぺらっ
明彦「…」カリカリ
すたすた
さわ子「真田先生」
明彦「…む、山中先生?」
さわ子「あ、邪魔だったかしら」
明彦「いえ、一段落着いた所です」
さわ子「あらそう?」
さわ子「…もうすぐ実習期間が終了するけど、三ヶ月間どうだったかしら?」
明彦「…最初は本当に戸惑いましたが、とても楽しかったですよ」
明彦「ここで過ごした思い出はきっと一生忘れられない」
明彦「…特にあの5人はな」
さわ子「軽音部のみんなね?」
明彦「ええ」
明彦「…」
明彦「(…もうすぐ別れ…か)」
明彦「(唐突にこの世界に飛ばされ…)」
明彦「(アイツらと出会い…)」
明彦「(俺が心のどこかで望んでいたかもしれない普通の日常を過ごして…)」
明彦「(そうだ、有里ととも会ったな)」
明彦「(あの有里は俺が知っている有里では無かったが…)」
明彦「(それでも再び出会えたことに感謝したい)」
明彦「フッ…らしくないぞ俺」
さわ子「…真田先生?」
明彦「…おっと」
さわ子「思い出に浸ってた?」
明彦「まさか、そんな訳が無い」
明彦「(そうだ、まだ振り返るには早すぎる)」
明彦「(俺は最後までアイツらの先生でいなければな)」
律「うわ、凄い人の数だな!」
澪「今まで一番多いんじゃないか…?」
唯「それでこそがやりがいがあるよ!」ふんす
梓「そうですね!」
紬「(なんだか、たくましい唯ちゃんも素敵ね)」
すたすた
明彦「お前達、準備は出来てるのか?」
律「お、さなちゃん」
唯「バッチリ!」ぐっ
明彦「絶対に成功させろよ!」
澪「はい!」
律「おうよ!」
梓「はいです!」
紬「任せて!」
唯「大丈夫だよ!」
明彦「良い返事だ」
明彦「…もう出番みたいだな」
明彦「客席で見ててやるからキッチリ決めてこい」
唯「うん!」
明彦「それじゃ、またな」すたすた
律「…」
律「みんな、絶対に成功させるぞ!」
唯梓澪紬「「「「おうよー!!!」」」」
唯「それじゃあまずは一曲目、ふわふわ時間!」
♪
明彦「…」
明彦「相変わらず楽しそうに演奏するな、アイツらは」
明彦「学園祭を部活の延長線上かなにかと思っているんじゃないか?」
明彦「将来、大物になったりしてな」
「じゅーぶん急いでるわよ!」
「わ、私…もう走れません」
「私につかまるであります」
「ぼ、僕ももう駄目みたい…」
「全く、体力が無いなお前は」
「急ぐぞ!」
「どうでも…はよくないか」
明彦「?…どこかで聞いた声だな」
だだだっ
順平「よっしゃ!なんとか間にあったみたいだぜ?」
綾時「わぁー!みんなおめかしして綺麗だねぇ」
湊「こんにちは」
明彦「お前達!どうしてここに…」
風花「実はりっちゃんから連絡をもらったんです」
風花「私達最後の学園祭ライブを見に来て欲しいって」
ゆかり「それで急いで飛んできたんです」
明彦(過去)「本当はもっと早く着くはずでしたが、伊織が電車の時間を間違えてな…」
順平「あれはホントにうっかり侍」
美鶴「しかし間に合って良かった」
美鶴「こんな素晴らしい演奏を聞き逃しては悔やんでも悔やみきれない」
アイギス「私は機械の身ではありますが…」
アイギス「今ここに感動している自分がいるであります」
明彦「…ああ、良い歌だ」
湊「そうですね」
綾時「僕的にはあのツインテールの子が良いと思うんだけど」
湊「どうでもいい」
綾時「またそれぇ?便利な言葉だよね」
順平「俺はやっぱり澪ちゃんかな~」
順平「真田サンは?」
明彦(過去)「…強いていうなら唯だ」
綾時「おお…攻めますね!」
明彦「みんな可愛いに決まってるだろう」ぼそっ
綾時「え?」
明彦「…」
アイギス「ふでペンFUFU~♪が頭から離れないであります」
美鶴「彼女達の歌はキャッチーで親しみやすいな」
美鶴「まさにブリリアントだ」
明彦「ああ、それがアイツらの持ち味だからな」
明彦「大した奴らだ」
風花「あっ」
風花「次が最後の曲みたいですよ?」
唯「この歌はね、今日でお別れするある人の為に作ったんだ」
唯「その人はね、いっつも無茶なことさせたり、プロテインばっかり飲んでるけど」
唯「誰かが悩んでたら励ましてくれたり…」
唯「誰かが困ってたらそっと手を差し伸べて…」
唯「とっても面倒見が良い人なんだ」
唯「私達はその人と過ごした日々を絶対に忘れません!」
唯「別れは悲しいけれど…きっとその別れがまた新たな出会いをくれると信じて」
唯「この歌を歌います」
唯「『キミの記憶』」
唯「眩しく 輝く ひと時みんなと一緒だった♪」
澪「かけがえのない 時と知らずに 私は過ごしていた♪」
律「今はただ大切に偲ぶよう♪」
梓「I fill unblessed feeling…♪」
唯「キミはね 確かに あの時 私のそばにいた♪」
紬「いつだって いつだって いつだって すぐ横で笑っていた♪」
澪「失くしても 取り戻す キミを♪」
梓「I've never leave you…♪」
♪…
明彦「…」
湊「…」
湊「泣いてる?」
明彦「泣いてない!」
順平「おーおー肩震わせちゃって」
明彦「うるさい!」
風花「とっても素敵な曲…」
ゆかり「先生はとても想われてるんですね」
唯「そしてさなちゃん!!!」
唯梓律澪紬「「「「「三ヶ月間楽しかったです!!!」」」」」
唯梓律澪紬「「「「「ありがとう!!!」」」」」
わああああああああああ!!!
明彦「…」
明彦「全く…本当に全く…」
明彦「アイツらは…」
順平「そっスね」
明彦(過去)「彼らだけで話したいこともあるだろうしな」
綾時「ねぇ、どこ見に行こうか?」
風花「そうですかね… 」
湊「…」
湊?「真田先輩も手に入れたんですね…絆を」
湊?「…答えを」
湊?「…」
湊?「ふふっ」
湊「でもまぁ」
湊「どうでもいいか」
すたすた
明彦「…」
律「来ると思ったぜ、さなちゃん」
澪「私達のステージ、どうだったかな」
明彦「…」
明彦「あー…その、なんだ」
明彦「…グッジョブだ」
明彦「それと…」
明彦「歌、有り難うな」
唯「私達からのプレゼントだよ、さなちゃん」
紬「喜んでもらえたみたいで良かった~」
梓「練習した甲斐、ありましたね」
律「!」
律「おんや~?さなちゃん、おめめが真っ赤ですわよん?」
紬「…感動しちゃった?」
明彦「ええい、泣いてない!」
明彦「この俺がそう簡単に泣いてたまるか!」
律「背を向けながらその台詞いっても説得力ゼロだぞー」
澪「ふふ、さなちゃんも泣くんだぁ…」ぽろっ
梓「あっ…」
唯「澪ちゃん、もらい泣きしてるよ?」
澪「へ?うそ!」ごしごし
明彦「…」
梓「!」
梓「はっ、はい?」
明彦「…これからお前は一人で軽音部に残ることになるが」
明彦「きっと新たな出会いがお前を持ってる」
明彦「そしてその出会いはお前に光をくれるはずだ」
明彦「それを願ってこれをやる」すっ
梓「あ、ありがとうございます…キーホルダー?」
明彦「京都に言った時に、ちょっとな」
>真田明彦は『杯』のアルカナを手に入れた
>『ブ』
律「お、おぅ」
明彦「以前も言ったが、終わりは新たな始まりのスタートだ」
明彦「そしてお前はそのスタートラインに立ち始めた」
明彦「その道の先がお前に取って幸せに続いてることを願って…これをやる」すっ
律「…なんか照れくさいな」
律「ありがとう」
>真田明彦は『剣』のアルカナを手に入れた
>『ョ』『ブ』
澪「はい!」
明彦「どんなに辛く、苦しいことがあろうと」
明彦「それを一緒に分かちあってくれる友がいれば不安など無いに等しい」
明彦「そんな友をお前は4人も持っている」
明彦「…大切にしろ。…ほら」すっ
澪「ありがとう、さなちゃん」
澪「なぁ、このキーホルダーってもしかして…」
>真田明彦は『杖』のアルカナを手に入れた
>『ジ』『ョ』『ブ』
紬「はいっ!」
明彦「…お前はいつも笑顔だったな」
明彦「なんでもない様なことで笑ったり…感動したり…」
明彦「その笑顔は自らのみならず、誰かをも幸せに出来る笑顔だ」
明彦「その笑顔が絶えることが無いように…ほれ」すっ
紬「大切にします…とっても嬉しい…!」
>真田明彦は『金貨』のアルカナを手に入れた
>『ッ』『ジ』『ョ』『ブ』
唯「…はい!」
明彦「良い眼をするようになったな」
明彦「お前はこれからどこまでも強くなるだろう」
明彦「だが強くなると言ってもそれは物理的な強さという意味ではない」
明彦「…何があっても折れない意志が、だ」
明彦「限りある全てを大切にして生きろ」すっ
唯「えへへ…私達がプレゼントしたはずなのに、私達までプレゼントもらっちゃった」
>真田明彦は『愚者』のアルカナを手に入れた
>『グ』『ッ』『ジ』『ョ』『ブ』
明彦「5人が揃うことで初めて意味を成す」
明彦「お前達の絆だけは…終わらないことを心より願う」
唯「…ありがとう」
唯「ありがとう、さなちゃん!」
澪「せ、せんせぇ~」ぽろぽろ
律「み、澪!顔が凄いことになってるぞ!ほらティッシュ!」
梓「5人が揃って…初めて意味を…」
紬「さなちゃんって意外にロマンチストなんですね」
明彦「フッ、抜かせ」
澪「ど、どこへ…?」ぐしゅっ
律「これから部室で、さなちゃんの送別会をやる予定になってるんだぞ?」
紬「美味しいケーキを焼いてきたの!」
梓「メインが欠席してどうするんですか」
唯「そーだよ、さなちゃん」
明彦「なに、少し走ってくるだけだ」
明彦「きっと戻る」
たったったっ…
唯「さなちゃん!」
唯「…」
唯「いつか…」
唯「いつか絶対戻ってきてね!」
唯「約束だよ!」
明彦「平沢…」
明彦「…」
明彦「当然だ」b
たったったっ…
唯「…」
唯「…ぐすっ…ずず…」
明彦「…」
明彦「良い時間だった。まるで夢のようだ」
明彦「…だが夢ならばいつか覚めなければならん」
明彦「過去や夢に捕らわれたままでは一歩も前に進めない」
明彦「…だから振り返るのはこれが最初で最後だ」
くるっ
明彦「この三ヶ月、楽しかったぞ」
明彦「…放課後ティータイム」
カッ!
唯「…」
すたすた
澪「唯?」
唯「!」ぐしぐし
唯「なに?澪ちゃん」
澪「いや、さなちゃんを追っかけたきり戻ってこないからさ…」
澪「みんな心配してるぞ」
唯「そっか…ごめん」
澪「ううん…それよりさ、さなちゃんが戻ってくる前にまたなにかサプライズをやりたいんだ」
澪「唯も一緒に考えてくれないか?」
唯「…」
唯「…うん!戻ってきたらびっくりさせないとね!」
明彦「…」
?「お見事でございます」
?「三ヶ月という短い期間ながらも、貴方は6つのアルカナを覚醒致しました」
?「『永劫』『剣』『金貨』『杯』『杖』…そして『愚者』」
?「貴方からは十二分に人の可能性を見せていただきました、感謝致します」
明彦「…」
明彦「…幾つ絆を得たかは問題ではない」
明彦「大切なのは…どう絆を紡いだか、だ」
明彦「それが分からないようじゃ、お前もたいしたことない」
?「私、少々ショックでございます…」しゅん
明彦「芝居はよせ、そんなキャラでも無いだろう」
?「それもそうでした」
?「…しかし、本当に興味深い結果でございました」
?「特にこの『永劫』のアルカナ…」
?「このアルカナの持ち主があの方とは…少々、いえ、大変驚きでございます」
明彦「…」
?「なぜこのアルカナなのか…そしてなぜこのアルカナが貴方に芽生えたのか…」
?「興味が尽きません」
明彦「ただ一つ言えるのは…」
明彦「ヤツはどこかの誰かとは同じ道を辿らなかった」
?「…それは貴方がけいおん!世界に来た影響で…ということでしょうか?」
明彦「知らんな」
?「…むぅ、そうでございますか」
明彦「…さて、もう良いか?」
?「貴方を元の世界にお戻し致しましょう」
明彦「勝手に人をモルモットにするのはもう止すんだな」
?「…そこは反省でございます」
?「先ほども我が主にたっぷり絞られたばかりでございます」
明彦「…」
明彦「だが…まぁ」
明彦「悪くはなかった」フッ
?「それはなによりでござ」
明彦「良いから早く帰せ」
?「…」ぷー
?「…それでは、またいつか遠い日にお会い致しましょう」
カッ!
「~ん!」
「~田はん!」
明彦「…」
ラビリス「真田はん!」
明彦「!」
ラビリス「急に黙りはってどないしたんよ?」
ラビリス「びっくりしたわ…」
明彦「帰ったのか…」
ラビリス「…なんやの?帰った?」
明彦「…いや」
明彦「ちょっと目眩がしただけだ」
明彦「問題ない、少しその辺を走れば直る」
たったっ…
ラビリス「あ、ちょい待ちぃ!」
ラビリス「けいおん!のDVD借りて見るんやあらへんのー?!」
明彦「…」ぴたっ
明彦「(けいおん!か)」
明彦「いや、DVDはもういい」
明彦「けいおん!ならもうこの眼で『見てきた』からな」
ラビリス「…?」
明彦「じゃあな」
たったったっ…
ラビリス「…」
ラビリス「…変な真田はん」
明彦「(…決めたぞ俺は)」
明彦「(やはり俺は警察官の道を目指す)」
明彦「(教師の道も悪くは無かったが…)」
明彦「(俺は自分の力を誰かの笑顔を守る為に使いたい)」
明彦「(中野のようにひたむきで…)」
明彦「(田井中のように快活で…)」
明彦「(秋山のように綺麗で…)」
明彦「(琴吹のように朗らかで…)」
明彦「(平沢のように純真な笑顔を守る為に)」
明彦「(俺はもっと強くなる!強くならなければならん!)」
明彦「(でなければ俺はアイツらと胸を張って再会出来ない)」
明彦「…」
明彦「フッ…面白くなってきたじゃないか」
明彦「どこまでも付き合ってもらうぞ、カエサル!」
だだだだだだだ…
>真田明彦は『軽音』のアルカナを手に入れた
>そして…
>真田明彦は『放課後』のアルカナを手に入れた
これで本当におしまひ
ブリリアント!すばらしい!
Entry ⇒ 2012.09.09 | Category ⇒ ペルソナSS | Comments (0) | Trackbacks (0)
P「ハム蔵が死んで一ヶ月か……」
律子「そう、ですねぇ……。少しずつ、元の明るさを取り戻してきているようにも見えますが……」
P「……が?」
律子「やはりまだどこか無理をしているというか……なんとなく、空元気を装っているように見えますね……」
P「そう……だよな……」
ジャンガリアンとか小型種だと2、3年
ガチャッ
響「はいさーい!」
P「お、おう。おはよう、響」
律子「お……おはよう」
響「? どうしたんだ? 二人とも。なんか話してたの?」
P「べ、別になんでもないぞ。なあ律子?」
律子「え、ええ」
響「ふーん。ならいいけどさ」
響「ん? ああ、駅前のお店で目に入ったから買っちゃった。可愛いでしょ?」
――そう言って、ハムスターのぬいぐるみを見せつける響。
――大きさは、両手で抱きしめるのにちょうどいいくらいである。
P「あ、ああ……」
律子「か、可愛いわね」
響「でしょ~? まあハム蔵ほどじゃないけどね! えへへ」
P「…………!」
律子「響……」
響「あ、もうレッスン行かなきゃ! それじゃまた後でね! プロデューサー、律子!」
P「あ、ああ。頑張ってな!」
P「…………」
P「…………はぁ……」
P「うん……。これまで全然、そういうのに興味なかったのにな……」
律子「どういうつもりなのかしら……。いくらぬいぐるみやらを集めても、ハム蔵はもう帰ってこないって……分かってるはずなのに」
千早「……埋め合わせを、しているつもりなのかもしれないわ」
P「千早」
――部屋の奥から千早が出てきた。その後ろには春香と貴音もいる。
律子「埋め合わせ、って?」
千早「たとえるなら……穴の開いたバケツに、必死に水を注ぎ続けているような……そんな感じじゃないかしら」
春香「……バケツ?」
千早「ええ。でもいくら水を注いでも、バケツに水が満ちることはない。ただ注ぐ端から、こぼれ落ちていくだけ……」
貴音「…………」
律子「…………」
千早「でも他にどうしていいか分からない。ただ、何かをしていなければ自分を保てなくなる……そんな状態なんだと思うわ」
貴音「…………」
千早「……一度失った大切なものは、もう二度と元には戻らない……。そのことを、我那覇さん自身も、本当は分かっていると……思うから」
P「……千早……」
春香「……千早ちゃん……」
春香「……そう、ですね……。今の私達が、響ちゃんにしてあげられることなんて、何も……」
貴音「…………」
P「……貴音。お前はどう思う?」
貴音「? わたくし……ですか?」
P「ああ。何でもいい。何でもいいから……今の響に、俺達がしてやれること……何か、思いつかないか?」
貴音「そう……ですね……」
律子「貴音……」
千早「四条さん……」
貴音「……分かりました」
P「! 貴音」
春香「貴音さん」
貴音「わたくしにどこまでできるか分かりませんが……やれるだけのことはやってみましょう」
P「貴音……ありがとう」
貴音「いえ……。ただわたくしも……」
P「?」
貴音「……早く、響の“本当の”笑顔が見たいですから」
P「貴音……」
春香「貴音さん……」
響「ハム蔵……」
――響はテーブルの上に置いてある、今日買ったばかりのハムスターのぬいぐるみを手で弄んでいる。
響「………………」
響「……うぅっ……」
響「……なんで、死んじゃったんだよぉ……」
響「……だから、もう、先に……」
響「…………」
響「……うぇええええ」
響「……えぐっ、ぐすっ、ひっく……」
響「ハム蔵……帰ってきてよぉ……」
響「自分は、自分は、ハム蔵がいないと……」
響「……うぇええええええ」
ピンポーン
響「! だ……誰?」
響「…………」 ゴシゴシ
響「…………」 スタスタ
響「…………」 チラッ
――玄関ドアの覗き穴から外を覗く響。するとそこには、ハムスターのお面を付けた人物が立っていた。
響「うっひゃあ!?」
響「だ……誰?」
???「…………」
響「貴音……か?」
――その上背、お面からはみ出している銀髪は四条高音に他ならなかった。
貴音「…………」
響「貴音……何やってるんだ」
貴音「…………」
響「そんな、お面なんか付けて……」
貴音「……上がらせて頂いても、よろしいでしょうか」
響「……いいけど」 ガチャッ
響「……お茶、入れるね」
貴音「お構いなく」
響(貴音のやつ……何考えてるんだ……)
響「……はい」 コトッ
貴音「ありがとうございます」
響「…………」
貴音「…………」
響「…………」
貴音「…………」
響「……ねぇ、貴音」
貴音「はい?」
響「……それ、取ったら?」
貴音「…………」
響「…………」
響「なんでさ」
貴音「今日から私は……“四条はむ音”と名乗ります」
響「……はあ?」
はむ音「…………」
響「……いや、いや」
はむ音「…………」
響「自分ちょっと意味が分からないぞ」
はむ音「安心して下さい、響」
響「安心できる要素が微塵も無いぞ」
響「そ、それがどうしたの」
はむ音「……何故ですか?」
響「えっ……」
はむ音「これまで響は、そのようなぬいぐるみなどを買うことはほとんどありませんでした」
響「…………」
はむ音「それがここ一ヶ月ほどで、こんなに……」
――改めて響の部屋を見回すはむ音。テーブルの上にベッドの上、さらにはテレビ台の上などにも、そこかしこにハムスターのぬいぐるみやグッズが所狭しと置かれている。
響「……べ、別にいいでしょ。自分が自分のお金で何を買ったって。……貴音には、関係ないじゃないか」
はむ音「…………」
はむ音「…………」
響「…………」
はむ音「……ハム蔵の代わりを、求めているのでしょう」
響「!?」
はむ音「…………」
響「…………」
はむ音「……違いますか?」
響「…………」
はむ音「…………」
響「……それこそ貴音には、何の関係も――」
はむ音「あります」
響「えっ」
はむ音「…………」
響「…………」
はむ音「何故なら私は……四条はむ音ですから」
響「……いや、だから意味が分からないぞ……」
響「…………」
はむ音「響はハム蔵が亡くなってからというもの……毎日のように、はむすたぁのぬいぐるみやすとらっぷなどを買い集めていました」
響「…………」
はむ音「それはまさしく、ハム蔵の代わり、代役をそれらに求めていたからにほかなりません」
響「…………」
はむ音「……しかしもう、そんなことをする必要は無いのです」
響「……え?」
はむ音「これからは……私が、四条はむ音が、ハム蔵の代役を務めます」
響「…………は?」
はむ音「誠心誠意、務めさせて頂きますので……宜しくお願いしますね、響」
響「何言ってるんだぞ、貴音……」
はむ音「貴音ではありません。はむ音とお呼び下さい」
響「…………」
はむ音「おっと。この喋り方はハム蔵らしくありませんでしたね」
響「…………」
はむ音「可能な限り、喋り方もハム蔵を模したものに致したいと思います」
響「…………」
はむ音「たとえばこんな感じに。……ぢゅーい? ぢゅいぢゅいぢゅい?」
響「…………ッ……」
はむ音「ぢゅーい? ぢゅいぢゅいぢゅい?」
響「…………」
はむ音「ぢゅぢゅ? ぢゅ~い」
響「…………めろ」
響「……やめろ……」
はむ音「ぢゅ~い? ぢゅぢゅ……」
響「やめろって言ってるんさ!」
はむ音「…………」
響「…………」
はむ音「…………」
響「……貴音が、自分の事、心配してくれてるのは嬉しいけど……」
はむ音「…………」
響「……こんな事されても、嬉しくないよ……」
はむ音「…………」
はむ音「…………」
響「自分、確かに、ハム蔵が死んで、すごく悲しくて……」
はむ音「…………」
響「……それ以来ずっと、心のどこかで、ハム蔵の代わりになるものを、探し求めていたのかもしれないけど……」
はむ音「…………」
響「……でも、それに貴音がなるのは……すごく……嫌だ」
はむ音「…………」
響「……貴音は、貴音だ。ハム蔵の……代わりなんかじゃない!」
はむ音「当たり前でしょう!」
響「!?」
響「……貴音……」
貴音「…………」
響「…………」
貴音「……響」
響「……何?」
貴音「……お水を、一杯頂けませんか」
響「……蒸れてたんだね、中……」
貴音「ええ……申し訳ありません」
貴音「……いいですか、響」
響「……うん」
貴音「響はさっき言いましたね。わたくしはハム蔵の代わりなどではない、と」
響「……うん」
貴音「その通りです。わたくしは四条貴音。たとえわたくしが面を付けても声色を操っても、ハム蔵の代わりなどにはなれません」
響「……じゃあ、なんであんなことを……」
貴音「……それは……響に、気付いてもらいたかったからです」
響「……何を?」
貴音「……なんぴとも、ハム蔵の代わりなどにはなりえない、ということを」
響「…………」
貴音「……ですがまあ、このことは……響は既に、分かっていたかもしれませんね」
響「…………」
響「もう、一つ……?」
貴音「ええ」
響「何なの? それって……」
貴音「それは……そもそも、ハム蔵の代わりなどを探し求める必要はない、ということです」
響「…………?」
響「……う、うん……」
貴音「そんなことはありません」
響「……?」
貴音「ハム蔵は……ただらぁめん屋に出かけただけです」
響「…………え?」
響「……い、いやいや」
貴音「……響。あなたは、友人……いえ、この場合は“家族”でしょうか……。いずれにせよ、そういった者がらぁめん屋に出かけた……ただそれだけのことで、いちいち悲しがったり、落ち込んだりするのですか?」
響「……それは……」
貴音「……いいですか? 響」
響「…………」
貴音「死ぬことは……終わることではありません」
響「…………」
貴音「……確かにハム蔵の肉体は朽ち、その愛らしい姿を直接目で見ることはできなくなってしまったかもしれません」
響「…………」
響「…………」
貴音「つまり、響がハム蔵のことを忘れず覚えている限り……ハム蔵は今までと何ら変わりなく、響と共に在るのです」
響「…………」
貴音「……ただハム蔵は、ちょっとお腹が空いたので、らぁめん屋に出かけてしまった……」
響「…………」
貴音「ただ……それだけのことなのですよ」
貴音「…………」
響「……貴音」
貴音「……はい」
響「……たとえが下手過ぎ」
貴音「うぐっ」
響「……ハム蔵は、ラーメンなんか食べないし」
貴音「……そ、それでしたら、ひまわりの種ということに……」
貴音「…………」
響「……貴音」
貴音「……はい」
響「……自分、ハム蔵のこと、死ぬまで……いや、死んだって……忘れないぞ」
貴音「……はい」
響「……ずっと覚えてて、いつかまた会えたら、そのときは……」
貴音「……そのときは?」
響「……自分を置いて出かけた罰として……たらふくラーメン奢らせてやる」
貴音「……ふふっ。ならそのときは……わたくしも、ご相伴に預かることと致しましょう」
貴音「……ふふふ」
響「…………」
貴音「…………」
響「…………」
貴音「…………」
響「……ねぇ、貴音」
貴音「……はい」
響「……ちょっとだけでいいんだけどさ」
貴音「……はい」
響「……ぎゅってして」
貴音「……はい」 ギュッ
貴音「…………」
響「……ねぇ、貴音」
貴音「……はい」
響「……ちょっとだけでいいんだけどさ」
貴音「……はい」
響「……頭、なでて」
貴音「……はい」 ナデナデ
貴音「…………」
響「……ねぇ、貴音」
貴音「……はい」
響「……ちょっとだけでいいんだけどさ」
貴音「……はい」
響「……泣かせてもらっても、いい?」
貴音「…………」
響「…………」
響「………う」
貴音「…………」
響「………うぇ……」
貴音「…………」
響「うぇええええええええ」
貴音「……よしよし」
響「うぇええええええええ」
貴音「……よく頑張りましたね、響」
響「うぇええええええええ」
響「……すん、ぐすっ……うん……」
貴音「……よしよし」 ポンポン
響「…………」
貴音「…………」
響「…………」
貴音「…………」
響「……ねぇ、貴音」
貴音「……はい」
響「……ちょっとだけでいいんだけどさ」
貴音「……はい」
響「……このままでいさせて」
貴音「……ちょっとだけと言わず……いつまででも」
響「…………ありがと、貴音……ぐすっ」
貴音「……ふふっ」
P「貴音……上手くやってくれたんだろうか。特に連絡無かったけど……」
律子「もうそろそろ来ると思うんですけどね……響も」
春香「……やっぱり今、私達が響ちゃんにできることって言ったら、これまでと同じように接していってあげること……くらいだよね」
千早「そうね……こればかりは、本人が壁を乗り越えない限り、どうにも―――」
ガチャッ
響「はいさーい!」
貴音「おはようございます」
P「お、おお……おはよう響、貴音。二人とも一緒だったんだな……って何だ響、その大きな荷物は?」
響「えへへ~、これ、皆にあげるさー!」
P「こ、これって……」
律子「響が最近買い集めてた……」
春香「ひ、響ちゃん? これ……私達がもらっていいの?」
響「うん、いいのいいの!」
千早「我那覇さん……」
P「響、お前……」
響「……ふふっ。もう、いいんだ」
P「もう……いい?」
響「うん。だって、自分には……ハム蔵がいるから!」
P「! 響……」
春香「響ちゃん……」
響「……ま、今は“らぁめん屋”に行ってるから、ここにはいないけどねっ!」
P「? ……“らぁめん屋”?」
律子「? どういうこと?」
貴音「ええ」
P「??」
響「っと、いっけない! 自分、今日は朝一でボーカルレッスンだった! 早く行かないと! じゃあ皆、また後でねー!」
P「あ、おい響! ……って、もう行っちまった」
千早「……ええ、私達がよく知ってる……いつもの我那覇さんだったわ」
律子「正直、何が何だか分からないけど……ともあれこれで一件落着、ってことなのかしら?」
貴音「…………」
P「……貴音」
貴音「はい?」
P「……ありがとうな」
貴音「…………」 フルフル
貴音「わたくしは、ただ……もう一度、響の“本当の”笑顔が見たかった……ただ、それだけのことです」
P「……そうか」
貴音「……はい」
響「はいさーい! 我那覇響到着しましたー!」
レッスン指導「あら、今日はやけに元気が良いわね。何か良いことでもあったの?」
響「えへへー、それはないしょです!」
レッスン指導「あらあら。ま、いいわ。それじゃあ今日も厳しくいくから、覚悟してなさいよ」
響「はーい! 自分、一生懸命頑張りますから、よろしくお願いしまーす!」
響(……えへへ。これからも自分の事、ちゃんと見ててよね……ハム蔵!)
了
感動した!
よかった。シュールさといい話さのバランスが特に
Entry ⇒ 2012.09.09 | Category ⇒ アイマスSS | Comments (0) | Trackbacks (0)
横井「関くん駄目だよ!そんなことしたら流石にばれちゃうよ!」
横井「だ、駄目だってば!!」
関「…?」シコシコシコ
横井(なんでそこで不思議そうな顔を…!!)
関「…!」シコシコシコ
横井「…?」
関「…」ジー
横井「な、なんでこっち見てるの…」
関「…」シコシコシコシコ
横井(も、もしかしてオカズにされてる!?)
関「…」シコシコシコシコシコ
横井「うぅ…関くんやめて…」ポロポロ
関「…!!」シコシコシコシコシコシコシコシコシコシコ
横井「いやああぁ!!」
関「!?」ガタッ
横井「あっ、い、いえなんでもないです…」
先生「はぁ…最近たるんでるんじゃないか?」
横井「す、スミマセンスミマセン…」ペコペコ
関「…!!」
関「…!!」シコシコシコシコシコシコシコシコシコシコ
横井(うわぁ…)
関「…」シコシコシコ
横井(そうだ!)
横井「…」ガバッ
関「!?」
横井(教科書で顔を隠しちゃえば…!!)
横井(フフ…手が止まったようね関くん…!)
関「…ッ!」
横井(…)スッ
関「…ッ!!」
横井(…)スッ
横井(無駄よ関くん…!)
横井(顔を隠しちゃえば、その場所からじゃ私の顔は絶対に見えない!!)
関「…ッ!!」ブルブル
関「!」
横井「?」
関「…!!」ガタッガタン
横井「!?」
横井(い、椅子の上に立った!?)
関「…!!」シコシコシコシコシコシコシコシコシコシコ
横井(ひ、ひいい!!駄目だよ関くん教室から丸見えだよおぉ!!)
横井(あ、ああっ!しまった…出しちゃった!!)
関「…」ガタッ
関「フーッ…」
横井(くそう…やりきった顔して…なんだかくやしい!)
関「………」
関「…!?」ガタッ
横井「…?」
前田「…」ベットリ
横井(前田君の背中に大量のザーメンが!?)
関「…!?」
横井「うわぁ…ばれたら怒られるよ関くん…」
関「…!?…!?」オロオロ
横井(まぁ…いい薬かも…)
関「…!」
横井(…?何か閃いたのかな…?)
関「…」ゴソゴソ
関「…!」ジャキン
横井「そ、それは…!?」
関「…」シュッシュッ
横井(臭いはごまかせるかもしれないけど…)
関「…」シュッシュッシュッ
横井(あ、緑茶の香りが…)
関「…」シュシュシュシュシュシュシュシュシュ
横井「関くんかけすぎ!かけすぎだってば!」
関「…?」シュシュシュシュシュシュシュシュシュ
横井(あぁ…前田君の背中がびしゃびしゃに…)
幸い、前田君が鈍かったおかげで関くんが授業中にオナニーしていたことはばれませんでした。
~おわり~
横井「やだなぁ…走るの苦手だし…」
横井「でも流石にマラソンなら関くんも授業をサボるにサボれないよね…」
関「…」
横井「はぁ…はぁ…」
横井「あ、あと何週だろう…」
関「…ハァハァ」
横井(あ、関くんが後ろから迫ってきた…)
横井(関くんも真面目に走ってるみたい…)ホッ
横井(あぁ…駄目だ、関君に抜かれちゃう…)
関「…ハァハァ」ジー
横井「はぁ…はぁ…ん?」
関「…ハァハァ」シコシコシコ
横井「うわあぁぁ!!抜いてる!?」
関「…ハァハァ」シコシコシコ
横井(う、うぅ…またオカズにされる…)
横井(少しペースをあげて引き離さないと…!)
横井「はぁ…はぁっ…」プルンプルン
関「…!?」
関「…ハァハァハァハァ」シコシコシコシコシコシコシコシコシコ
横井「ひっ!?ペースが上がってる!?」
横井(うぅ…並走されてる…)
横井(しかも走りながらオナニーなんて…流石に器用すぎるよ関くん…)
関「…ハァハァ」シコシコシコシコシコ
横井(もっと…もっとペースをあげないと…)
横井「よし…はぁっ…はぁっ…」
関「…!」シコシコ
横井「はぁ…はぁっ…はぁっ…はぁっ…んっ…」
関「…!!」シコシコシコシコシコシコシコシコシコ
横井「なっ…なんでぇっ?…はぁ…はぁっ…」
横井「ひっ…はぁっはぁっ…んくっ…ふっ…はぁ…っ!」
関「…!!…!!」シコシコシコシコシコシコシコシコシコ
横井(だ、駄目だ…これ以上ペース上げられない…)
横井「はぁっはぁっ…もうっ…無理ぃ…」
関「…?」シコシコシコシコシコ
横井「もう…駄目ぇ…関くん、私…はぁっ…限界…っだから…」
関「!?」シコ
横井「おねがいっ…もうっ…ゆるしてっ…せきくんっ…」
関「…!?」
横井「あっ」
関「…」
横井「…」
横井「い、今だっ!!」ダッ
関「!?」オロオロ
先生「すごいな横井、去年よりかなり良いタイムだぞ」
横井「はぁはぁ…そ、そうですか…ありがとうございます…」
横井(あれ…何が目的だったんだっけ…)
先生「おらー関ー!手ぇ抜かないで走れー!」
関「…!?」
結局関くんは余計な体力を使ったおかげで学年ワースト3位になっていました。
~おわり~
Entry ⇒ 2012.09.09 | Category ⇒ 版権物SS | Comments (2) | Trackbacks (0)
紅莉栖「何度タイムリープしたって岡部を寝取られる……」
8月13日 夕方
タイムリープマシン完成祝の宴会のための買い出しから帰った私は、ラボの開発室にいた。
椅子に座り眺める──世界を揺るがすかもしれない、このタイムリープマシンを。
しかし宴会まで時間が空いたのと、連日の徹夜続きもありついウトウトしてしまい──。
紅莉栖「んん……ん……」
紅莉栖「おか……べぇ……あんた……」
紅莉栖「……急に仲間がどうとか……支離滅裂……むにゃ」
紅莉栖「……ふへへ、おかべぇ……」
紅莉栖「ふぇ……」
紅莉栖「あ、あれ、私……」
紅莉栖(寝てたのかな。やだ、私ったら……こんなところでだらしない……)
紅莉栖(もし見られてたら一生の不覚──)
アッ ンッ ンッ ンッ
紅莉栖「……?」
開発室から、そっとリビングを覗いてみる──
岡部「はぁっ……ふぅっ……」
「あっ……あんっ……んんっ……おかっ……いいっ……」
紅莉栖(ちょ!)
紅莉栖(な、なによこれ……お、岡部が……岡部が!)
岡部「うぐっ……ふっ……はっ」
女と重なり合っている。
紅莉栖(じゃ、じゃ、じゃない!) ギュウウ
紅莉栖(いったたたたたた!)
紅莉栖(ゆ、夢……じゃない……)
紅莉栖(おかべ……さっき……私のこと大切……って……いい雰囲気になって……あれ、私なんで……ふぇ……) ジワッ
紅莉栖(おかっ……、おかべぇぇ……うぅ……)
紅莉栖(なんでっ……わ、私だっておかべのことっ……)
紅莉栖(そ、そりゃいきなり求められたら断ったかもしれないけどどど、でもっ、でもぉ……)
紅莉栖(こんなの、あんまりよ……)
岡部「くっ……うぐっ……!」
紅莉栖(……落ち着け、カームダウッ、牧瀬紅莉栖)
紅莉栖(これは夢じゃない、現実。そして岡部は女とファックしている、紛れもない事実)
紅莉栖(顔はよく見えなかったけど……あれは多分>>13さん……よね)
1.まゆり
2.萌郁
3.ルカ子
4.フェイリス
5.鈴羽
選んでオナシャス
1~5以外の安価はstにする
紅莉栖(私は開発室でうたた寝していたと思ったらいつのまにか『岡部とまゆりがミッショナリースタイルで繋がっていた』)
紅莉栖(な…何を言ってるのか分からないとは思うけど、私も何なのか分からなかった)
紅莉栖(頭がどうにかなりそうだった……)
紅莉栖(夢だとか、妄想だとか、そんなチャチなもんじゃあ断じてない)
紅莉栖(もっと恐ろしいものの片鱗を味わったわ……)
パンッパンッパンッ
アッ……ンンッ……アッ
オカッ……オカリッ……
紅莉栖「……」
チラッ
木製の机の上で静かに佇むタイムリープマシン。
これを使えば──
紅莉栖(岡部は渡さない……絶対にだ)
紅莉栖「跳べよぉぉぉぉっ!」
けれど8月13日、私は世界の構造と残酷さを知ることとなる──
皮肉にも、私が完成させたタイムリープマシンの力を使うことで。
紅莉栖「何度タイムリープしたって岡部を寝取られる……」
紅莉栖「うぅっ……」
紅莉栖「……はぁっ……はぁっ……」
岡部「おい、どうした助手よ……、まさか機関からの定時連絡に問題でもあったか?」
岡部「それとも……・そんなに階段がきつかったのか? ん? この貧弱実験大好きっ娘め!」
紅莉栖(……ここは……ラボの前? 確か私はラボの開発室で岡部とまゆりの……)
紅莉栖(そしてタイムリープマシンを起動して……)
岡部「お、おい……クリスティーナ?」
紅莉栖「い、今何時!?」
岡部「え? あ……17時くらいだが……」
紅莉栖「17時……」
紅莉栖(私の記憶では19時くらいだったはず……と言うことは)
紅莉栖(携帯携帯……今は8月13日の17時……うん、合ってる)
紅莉栖(成功したんだわ、タイムリープ)
紅莉栖「おっ……おかべっ!」
岡部「んん? なんだ? 言いたいことがあるのなら聞いてやらんこともないが」
紅莉栖「……え、えっと……」
紅莉栖(ど、どうしよう、跳んだはいいけどほぼノープランだった……)
紅莉栖(あわわわ……考えて! 考えるのよ天才脳科学者!)
紅莉栖「……と、とりあえずラボに入りましょ?」 ニコッ
岡部「お、おう……?」
紅莉栖「……」
岡部「……」
紅莉栖(き、気まずい……)
岡部「おい、何か話が……あるのではないか?」
紅莉栖「ええ!? う、うん、そ、そうなんだけど……」
紅莉栖(ど、ど、どどうしたらいいの!?)
紅莉栖(まゆりとファックしないで! なんてお願いできるはずもないし……)
紅莉栖(ああああ! 恋愛経験0で過ごしてきた過去の私を殴りたい……助走付けて殴りたい……)
紅莉栖(……ウェ、ウェイウェイウェイ!)
紅莉栖(大丈夫、例え岡部とまゆりがそういう雰囲気になったとしても、ここに私がいれば何の問題もないはず)
紅莉栖(私がいる目の前でファックできるのならやってみなさい!)
紅莉栖「あ、や、やっぱり話すほどのことでも……なかったかなーって……」
岡部「……?」
紅莉栖「ふぇっ!? な、なんでよ! もうすぐ宴会じゃない!」
岡部「まゆりを迎えに行ってくる、少々帰りが遅いのが気になっていたのでな」
紅莉栖「ちょ!」
紅莉栖(今行かせたらそのままラボじゃなくてラブホでズッコンしかねない! だめよ、ここは絶対行かせちゃダメ!)
岡部「では少しの間留守を任せ──」
紅莉栖「おかべぇっ!!」 ダキッ
岡部「ぬわあぁっ!?」 ゴシャ
紅莉栖「あ……」
岡部「……お、おのれザゾォンビ……この鳳凰院凶真の足を引っ張って転倒させるとはぁぁ!」
紅莉栖「せ、説明ゼリフ……乙」
紅莉栖「だ、だからごめんって……」
岡部「もういい、行ってくる」
紅莉栖「ちょ!」
バタン
紅莉栖「あ……う……」
紅莉栖(ど、ど、どうしよう、このままじゃ私の岡部が……おかべがぁっ……」
紅莉栖「……」
紅莉栖「こうなったら」
ピッピッピ
To:まゆり
Sub:コスプレについて話がある件
本文:マシン完成の時も思ってたんだけど、ちょっとコスプレに興味が湧いてきたっていうか
別に今すぐ着たいって訳じゃないんだけどね?
よかったら話聞かせてもらえないかなーなんて
とりあえず連絡もらえないかしら?
まゆり「クリスちゃん……ど、どうしてこんなことするのかなぁ……?」
紅莉栖「ごめんなさいまゆり、少しの間大人しくしてもらえるかしら」
まゆり「コスしたいってのは、嘘だったの?」
紅莉栖「……」
まゆり「何か、しゃべってよ……ねぇ……」
紅莉栖「今は何も話せない……全て終わったら、埋め合わせはするから……」
私はコスプレの話に食いついてきたまゆりをホテルに連れ込み、ロープ縛り上げて身動きを取れないようにした。
親友(笑)
今の私はきっとものすごく醜いだろう。
途中まゆりから身が凍るほどのプレッシャーを感じたので海馬に電極をぶっ刺しておいた。
命に別条はない、多分。
ロープが千切れていたがすんでのところで間に合ったらしい。
恐ろしい子!
ガチャ
紅莉栖「はろー……」
シーン
紅莉栖「あれ、まだ戻ってないのかな……」
紅莉栖(時刻は18時……岡部ったらどこほっつき歩いてるのかしら)
ピッピッピ
To:岡部
Sub:
本文:早く帰って来なさいよ
まゆりなら気分が悪いから、今日は遠慮しとくって言ってたわよ
ピッ
紅莉栖「ごめん、ごめんねまゆり!」
紅莉栖「でも私は……! 岡部のことがっ……!」
────
───
──
紅莉栖「……ふへへ、おかべぇ……」
紅莉栖「ふぇ……、あ、あれ、私……」
紅莉栖(また寝てたのかな。やだ、私ったら……こんなところでだらしない……)
紅莉栖(よ、涎垂れてるし……。あ、岡部! 岡部に見られてないでしょうね!?)
紅莉栖(もし見られてたら一生の不覚──)
アッ ンッ ンッ ンッ
紅莉栖「……?」
開発室から、そっとリビングを覗いてみる──
岡部「はぁっ……ぐぅっ……」
萌郁「あぁっ……んんっ……おかべくっ……いいっ……」
紅莉栖「」
ここから岡部の表情をうかがい知ることはできなかったが──
眉を八の字にさせながら切なげに喘ぐ桐生さん。
ウーマン・オン・トップ、激しく揺れる二つのメロン。
今にもはち切れそうなくらい激しく上下する。
ズッチュッ ズッチュ
萌郁「どう……? おかっ……べく……」
岡部「うぐっ……はげし──あまり動くとっ……」
萌郁「おかべくん……すき……んっ……」
岡部「んむっ……」
チュル チュッ
ズチュッ チュッ
岡部と桐生さんの結合部を目視することはできなかった──
が、水気を帯びたその音から、二人の繋がりあった部分は熱く燃え上がっていることが容易に想像できた。
なんなのよ……。
なんなのよぉっ……。
紅莉栖「跳べよぉぉぉぉっ!」
岡部「うっ!」
萌郁「あっ……」
~ホテル~
まゆり「ク、クリスちゃん?」
萌郁「……IBN5100は……どこ?」
紅莉栖「ごめんなさい、あなた達二人には大人しくしてもらうわ」
ブスッ ブスッ
まゆり「」
萌郁「」
紅莉栖「今度はうたた寝しないうたた寝しないうたた寝しないうたた寝しない」
紅莉栖「うぅ、でも眠い……」
紅莉栖「おかべぇ……早く戻って……きて……」
────
───
──
ガチャ
岡部「む、紅莉栖か、一人か?」
紅莉栖「あ、お、岡部!」
岡部「突然だがお前に言うことがある、紅莉栖、俺はお前が好きだ!」
紅莉栖「ふぇっ!?」
岡部「お前はどう思っている?」
紅莉栖「私も──!」
紅莉栖「……ふへへ、おかべぇ……」
紅莉栖「ふぇ……、あ、あれ、私……」
紅莉栖(ま、また寝てた!? ど、どうして!?)
紅莉栖(うっ……ってまた涎垂れてるし……。あ、岡部! 岡部は!?)
アッ ンッ ンッ ンッ
紅莉栖「──!」
開発室から、そっとリビングを覗いてみる──
岡部「はぁっ……ふぅっ……」
るか「あっ……あんっ……んんっ……おかべさっ……いいっ……」
紅莉栖「」
いわゆる背面駅弁。
岡部はいわゆる……アナルファック──後ろの孔を使用──していた。
少し距離があるが、ここからでも結合部がはっきり確認することができる。
岡部「うぐっ……うぅっ!! きつっ……」
るか「はっ……うぅっ、おか…………んんっ」
そびえ立つ肉の塔が天を仰ぐたび、漆原さんの後門が強引にこじ開けられていく。
漆原さんは悩ましげな声をあげ、前門からは綺羅びやかな蜜が滴り落ちていた。
るか「あっ……あぁっ……」
岡部「ルカ子っ……ぉおっ……」
紅莉栖(何? 何が起きてるの?)
紅莉栖(いくら漆原さんが岡部のことを想っているとはいえ、こんなのあまりにも不自然すぎる……)
紅莉栖(……もっと考える時間が欲しい……この不可解な現象の解を得るために……)
るか「おかっ……おかべさんっ……す、すきですっ…‥! も、もっとはげしっ……んっ……」
岡部「ぐぅっ……うぅっ……おぉぁっ……」
紅莉栖「」 イラッ
紅莉栖「跳べよぉぉぉぉっ!」
岡部「うっ!」
るか「あぁっ……!」
紅莉栖「……ここは」
紅莉栖(開発室……未完成のタイムリープマシン……時刻は10時)
紅莉栖「……今回も成功のようね」
紅莉栖(さて、考える時間がほしいわ……、さっさとタイムリープマシンを完成させて──)
紅莉栖「はっ──」
紅莉栖(……だめ、私……また失敗してもタイムリープマシンさえあればやり直せる、そう思考してた)
紅莉栖(……いつしか岡部と誰かが重なり合っていても驚かなくなっている……)
紅莉栖「でも、一応完成はさせておかないとね」 カチャカチャ
岡部・ダル・まゆり「?」
────
───
──
紅莉栖(もちろん宴会は明日へと延期。今や私のラボでの権限は岡部なんかよりずっと上だものね)
紅莉栖(……これで岡部からラボメンガールズを遠ざけることができた……)
紅莉栖(橋田には後でお礼言わないとね)
紅莉栖(これで岡部は私と……)
紅莉栖「うふ、うふふっ……」
しかしこの時の私は、世界の構造、どんなにタイムリープしていても結果は収束する──
その事を理解していなかった。
────
───
──
フェイリス「んっ……んっ……んぁっ……きょうっ……おかべさんっ……だめっ……そんなにっ」
紅莉栖「」
気づけば私は、今日4度目のうたた寝。
その後開発室から岡部と猫がファックしているのを目撃する。
橋田のやつ、しくじったみたいね。
大方メイクイーンにでも行ったんだろうけど……。
それじゃあ意味が無いじゃない!
ちなみに、今回のプレイはドギースタイル。メイド服は着たまま。
四つん這いになったフェイリスさんを岡部が背後から突きまくる。メイド服は着たままで。
その度にフェイリスさんの顔と猫耳が快楽に歪む。メイド服は着たままだけど。
ふむん、これが着エロというものか……。
参考にしよう──。
フェイリス「あっ……おかっ……いま……いまは……るみっ……ほって……あんっ」
岡部「うぐぁぁぁっ!!」 パパンパンパパンパン
留美穂「あっあぁっ……はげしっ……いっ……」
あらやだ、涎なんて垂らしちゃって。
全く犬みた──あ、猫か。
って──
くだらないこと考えてる場合じゃない。
岡部「うぅぅっ!」
岡部(の童貞)は私が守る。
紅莉栖「跳べよぉぉっ!」
岡部「うっ!」
留未穂「ぁっんんっ……」
紅莉栖「……」
紅莉栖(今は……8月11日の19時……)
紅莉栖(タイムリープの限界である二日間しか考える時間はない)
紅莉栖(いや、岡部が犯される前に飛べば時間は無限……)
紅莉栖(だめ、こんな考えじゃダメよ、今までは成功してるとはいつ失敗するとも限らない)
紅莉栖(早く……早く解を導き出さなきゃ)
───
──
おかしい、どう動こうとも結果は変わらない。
ある程度の過程は変化する……。
しかし、最終的に岡部と私以外の誰かがラボでファックするという結果に落ち着く。
これじゃまるで運命論じゃない……。
岡部「あぁぁっ!!」 パンッパンッ
鈴羽「んっ……あっ……おかべっ……りんたっ……」
……ラボで岡部倫太郎と誰かがファックしたという結果、そしてそれを目撃した牧瀬紅莉栖。
この結果は変わらないということなのかしら?
だとしたら岡部は世界に犯されてることになる
抗えぬ運命……。
そんなの認めない、運命論なんて私は支持しない。
鈴羽「あっ……もっと! 奥までっ……ぇっ……」
考えろ、考えるのよ牧瀬紅莉栖。
どうしたら岡部を救うことができるの?
……喉が渇いたわね。
シャー
鈴羽「ま、牧瀬……紅莉栖っ!?」
岡部「うっうっ……!」 パンッパンッ
トコトコ ガチャ バタン キュポッ ゴキュ
紅莉栖「続けて、どうぞ」
鈴羽「……っ!?」
中途半端にめくれ上がったジャージに押さえつけられているものの、二つの膨らみが切なげに揺れる。
スパッツは履いたまま──
と言うことは局部の部分だけ破って、ということだろうか。
岡部「すずっ……鈴羽ぁっ……!」 パンッパンッ パパンッ
鈴羽「き、君はっ……んっ……一体……」
どうやら岡部には私のことが目に映らないらしい。
岡部「うぐうぅぅうぁぁっ!」 パンパンパンパン
鈴羽「あっ……ちょ、おかべりんたっ……やめっ……ぁぁっ……」
だけど、快楽に身を委ねていると言うよりは──
岡部「あぁぁぁぁっ!」 ズッチュ パン チュ パンパンパン
鈴羽「あんっ、ちょっと、激しすぎっ……る……って!」
岡部「ぐうぅうぅぅっ」 パンッパンッ
苦しんでいる──ように感じた。
前回のファックを目撃してからからだろうか。
もしかして弱みでも握られているんじゃ……?
いや、今は理由はどうでもいい、岡部を……岡部を守る方法を考えるのよ。
ただただ思考を──
パンパンパン
もしかして──
パンパンッ
あの時のあれ。
そして数日前のHENTAI行為。
極めつけにはリーディングシュタイナー。
パンパカパーン
その時……! 圧倒的閃きっ……!!
牧瀬紅莉栖に電流走る……!
岡部の童貞を。
すでに起きたことの結果を変えられないとしても、この方法ならば。
まずタイムリープ、その後……あの娘とコンタクトをとり、その後──
待ってて岡部、絶対、助けるから……。
あんたを、助けるから……。
紅莉栖「跳べよ」
岡部「うっ」
鈴羽「ぁんっ」
前編 『変態少女のメランコリィ』 END
8月13日 夕方
俺はタイムリープマシンの開発評議会のための買い出しを終え、ラボでゆっくりしていた。
紅莉栖はタイムリープマシンの最終チェックがしたいといい、開発室に篭りっぱなしだ。
俺はというとソファに腰を掛け、評議会までの空いた時間を持て余していた。
岡部「うーむ……暇だな……クリスティーナでもからかうか」
シャー
岡部「……」 チラッ
紅莉栖「むにゃむにゃ……おかべぇ……」
岡部(!? な、なんだ……? 寝てるのか……?)
岡部(……バカ者め、夏とはいえ風邪を引いても知らんぞフゥーハハハ!)
岡部(どれ、タオルケットでもかけ──)
紅莉栖「ばか……おかべ……」
岡部「……」 イラッ
岡部(ドクペでも飲むか)
ゴキュ
岡部(う……しかし、紅莉栖の寝顔……ちょ、ちょっとドキっとした)
ガチャ
岡部「おわうっ! まゆりではないか、脅かすな」
まゆり「んー? どうしたのー?」
岡部「い、いや、なんでもない……ちょっと機関による精神攻撃のせいで動悸が、な……」
まゆり「……顔赤いよー?」
岡部「え? そ、そうか?」
まゆり「風邪かなー?」 ピトッ
岡部「や、やややめんかっ」
まゆり「もー、お熱がちゃんと計れないよぉ~」
岡部「この狂気のマッドサイエンティスト鳳凰院凶真! 風邪などに倒れるわけがなかろうっ!」
岡部「うっ……、そ、それはだな」
まゆり「えっへへ」
岡部「……まゆり?」
まゆり「あの時は、オカリンが死んじゃうんじゃないかって、すっごく心配だったんだよー?」
岡部「そ、そんな……大げさな……」
まゆり「まゆしぃはとっても心配なのです」
岡部「え?」
まゆり「オカリンのリーディングシュークリーム? の時と、昔熱出した時……おんなじなんだもん……」
まゆり「急に目の前がぐにゃぐにゃしてきて、立っていられなくなって~、って……」
岡部(……リーディングシュタイナーのことか)
岡部「まゆり……」
まゆり「えっへへ、ごめんね? 急に……こんな話しちゃって。せっかくのかいはつひょーぎかい、なのにねっ」
岡部「心配するな、俺はどこにもいかん」
岡部「だからお前もずっと俺のそばに──」
岡部「……っ」
まゆり「ふえっ?」
岡部「い、いや、なんでもない……」
まゆり「ねえオカリンオカリン、覚えてる?」
岡部「何を──んっ」
チュッ
まゆり「えへへ……」
岡部「おまっ……いきなり、な、何をっ……」
岡部「え? あ、あぁ……」
まゆり「ね、ねえオカリン」
岡部「お、おう!?」
まゆり「まゆしぃたち……もう……大人……でいいんだよ……ね?」
岡部「え!? ど、ど、どどうでしょう!?」
まゆり「まゆしぃはそろそろ……大人の階段……登りたいなー……って、思ってるんだぁ」
なにいいいい!?
まゆり「ね……い、いいよね? オカリン……」
今にも消えそうな声で呟くと、まゆりは顔を近づけてくる。
まゆり「んっ……」
岡部「──!」
先ほどの小鳥が啄むようなキスとは違い、今度は恐る恐る舌を絡ませてきた。
まゆりの細い喉から漏れる吐息、今まで経験したことのない感触。
全身の毛穴が開き、体温が上昇するのを感じ取る。
同時に、下半身にも灼熱の欲望が溢れ出す。
岡部「んんっ……」
まゆり「オカリ……」
まゆり「……えへへ」
岡部「まゆ……」
まゆり「ずっと、オカリンと……こうしたいなー……って思ってたんだぁ」
まゆり「でもね? オカリンはクリスちゃんと……」
まゆり「だからまゆしぃは……もう──」
そう、開発には今、紅莉栖が──
だが、もはや抑えることはできなかった。
ギュウウッ
まゆり「え!? えー!?」
我慢できるはずがないじゃないか!
俺はただの学生で、ただの男だ。
今度は俺からまゆりの唇を求めた。
唇、舌、歯茎とあらゆる箇所を貪り、耳、首へと目標を変える。
まゆり「オカッ……んんっ……はっ……んっ」
並行してまゆりのふくよかな乳房も揉みしだくと、豊満な胸とに対して小さな躰が一瞬引きつった。
まゆり「あっ……ぅっ……」
悩ましげに声を濡らすまゆりが愛おしすぎて──
俺はまゆりの下腹部の下へ指先を這わせる。
すでにまゆりの運命石の扉は、淫らにぬたついていた。
岡部「……だめか?」
まゆり「……で、でもこれ以上は……」
岡部「もう、抑えられないんだ……」
まゆり「オ、オカリーン……」
この時の俺は残念ながら冷静ではなかった。
一時の欲望に溺れるということが、いかなる破滅を招くのか、あの時の教えてやりたい。
岡部「あ……あぁ」
床に仰向けになっているまゆり。
そのまゆりを見下ろす。
自己主張の乏しい肉芽──
もはや運命石の扉は、俺の魔剣を受け入れる準備ができていた。
例えるなら宇宙。
キラリと濡れ輝く星たち。
その中でもひときわ大きく、そして煌めく太陽にそっと触れてみる。
まゆり「やっ……だ……だめぇ……」
岡部「……」
この圧倒的征服感。
今まで大事に大事にしてきた幼馴染。
冒涜──
思わず滅茶苦茶にしたくなる。
実戦はじめてにも関わらず、脈打つ我が魔剣は桃色からどす黒く変色していた。
岡部「……いくぞ」
まゆり「う…………うん」
機は熟した。
ずっと閉ざされてきた秘部に、孤独の観測者をあてがう。
まゆり「ひぅっ……」
濡れた感触が絡みつく。
思わず身を震わせるが、もう立ち止まれない。もう迷いはない。
ずぶずぶと埋まっていく魔剣ミストルティン。
まゆり「ぁ……ぅ……」
岡部「うくっ……」
今、俺は運命石の扉へと到達したのだ。
動けなかった。
僅かな振動でも果ててしまいそうだったからではなく──
甘美な快楽を一秒でも長く味わっていたからでもなく──
ただただ思考が延々と引き伸ばされていた──
まゆり「ぅっ……おかり……ん」
岡部「……」
まゆり「……い」
まゆり「いいよ……動いても……」
まゆり「まゆしぃなら……大丈夫……だから」
岡部「……あ……ぁぁ」
───
──
まゆり「はぅっ……ぅっ……ん」
岡部「ふっ……! はっ……!」
まゆり「んんっ……」
運命石の扉に到達してから、どれほどの時間が過ぎただろうか。
随分長い時間を過ごしてきたようにも、一瞬のことだったようにも感じる。
岡部「まゆ……りっ……」 ニチュッ
まゆり「んっ……ぁっ」 チュッ
岡部「はぁっ……ふぅっ……」 ズッチュ
まゆり「あっ……あんっ……んんっ……おかっ……いいっ……」
岡部「くっ……うぐっ……このままではっ!」
まゆり「いいよ……このままっ……」
岡部「はぁっ……はっ……」
「跳べよぉぉぉぉっ!」
岡部・まゆり「!?」
岡部「うっ!」 ドピュルルル
グニャアアアア
……どういうことだ?
俺が送ったのはDメールではなく精子だ。
まさかそれで世界線が変動したとでも?
いや、それより紅莉栖だ、紅莉栖の声が聞こえた。
もしかしてあいつ、タイムリープを?
となると紅莉栖がタイムリープしたことにより世界線が変わるような行動──
その結果俺のリーディングシュタイナーが発動したといったところか。
体の火照りは依然として収まっていなかったが、思考は冴え渡っている気がした。
「おか……あんっ!」
岡部「おいまゆり、い、今はそれどこじゃ──」
萌郁「んっ……あっぁっ……」
目を疑った。
いつの間にか俺は床に仰向けになっており、萌郁が俺に跨り身を捩らせている。
な、なぜだ、俺はなぜ萌郁と!?
まさか世界線が変わったから!?
い、いや、それより……も、だ。
さっきイッたばかりなのに我が魔剣がまた血に飢えている。
いや、”また”ではない、恐らく俺は”まだ”イッてないのだ。
だが脳はイッたと認識している……。
その記憶の齟齬が俺を苦しめることになる──
岡部「う、うぐっ……」
萌郁「岡部く……?」
岡部「うぁぁぁ!」
脳はイッたと認識しているはずなのに下半身は脈動を留まることを知らない。
まずい、なんだかおかしい。
萌郁「あっぁっ……すごっ……んんっ」
萌郁が腰を激しく上下させてるところに、さらに捻りを加え、魔剣の刺激を高める。
早く、早く魔剣に溜まった邪を──
「跳べよぉぉぉぉっ!」
岡部・萌郁「!?」
岡部「うっ!」 ドピュルルル
グニャアアアア
うぐっ……。
恐る恐る目を開く──
そこには黒髪、ルカ子──
俺はルカ子の両の膝の裏に腕を通し、華奢な体躯を持ち上げ、腰を跳ね付かせていた。
なんだよこれ。
さらに、またも世界線が変わったせいで脳と体の状態の齟齬が発生している。
脳からの快楽物質の放出は次第に抑えられていくものの、依然として俺の下半身は膨張を続けており、ルカ子の蜜壷に包まれている。
──正確には後門だったのだが、今の俺は知る由もないし、今後も知ることはなかった。
るか「き、きて、おかべさっ……」
相変わらずキュンと来る。
だが男だ。
いや、今は女だ。
くっ……前代未聞前人未到の境地……!
脳はすでに果てている。だが躰は欲しがることをやめない!
頭では分かっていても、躰がそれを受け入れようとしない!
るか「ふぁぁっ! だ、だめぇぇぇ……」
「跳べよぉぉぉぉっ!」
岡部・るか「!?」
岡部「うっ!」 ドピュルルル
グニャアアアア
艶かしい躰を貪りつつ、脳は必死に抑制をかけようとした。
しかし躰は……俺の躰ではなくなったかのように律動する。
パンッパンッ
岡部「うぅうぅっっっぐぐぅっ!」
留美穂「にゃっ……うっ……あんっ……奥にぃっきて……るっ……」 パンパン
苦しい、すべて出し切りたい、注ぎ込みたい。
視界は真っ白になり脳髄は常に電流が迸っている。
もはや目の前の躰が誰のものかなど関係無かった。
留美穂「あぅううぅっ!」
紅莉栖「跳べよぉぉっ!」
岡部「うっ!」
留未穂「ぁっんんっ……」
グニャアアア
世界が俺を犯そうとしている。
いや、この場合俺が世界を犯しているのか?
……そんなことはどうでもいい。
全部俺のせいだ。
俺が迂闊に運命石の扉を開いたせいだ。
そこに首を突っ込んだせいだ。
あのときの俺に言ってやりたい。
迂闊なことをするなと。
軽率なことをするなと。
見てみぬフリをするなと。
もっと注意をはらえと。
一時の欲望に溺れてしまっては破滅を招くということを!
壊れる、壊れてしまう。
依然として俺の脳は錯覚を起こし快楽物質、脳内麻薬をぶちまけている。
このままでは廃人も同然、いやそのほうがまだましかもしれなかった。
パンッパンッ
もはや抑制することが出来ない。
もはや自分の躰ではなかった。
これではまるで猿じゃないか……。
なんだろう、灼熱の蜜に溺れている岡部倫太郎──
それを上から冷えた目で見ている俺、そんな感覚。
パンパン
鈴羽「牧瀬……紅莉栖っ!?」
紅莉栖「続けて、どうぞ」
今はこの数億もの岡部倫太郎を放出したい。
そのために腰をくねらせ続ける。
白濁のワルツを踊り続ける。
岡部「すずっ……鈴羽ぁっ……!」 パンッパンッ パパンッ
鈴羽「あんっ、ちょっと、激しすぎっ……る……って!」
岡部「ぐうぅうぅぅっ」 パンッパンッ
紅莉栖「跳べよ」
鈴羽「!?」
岡部「うっ!」 ドピュルルル
ながい。
こんどはとてもながい。
俺は琥珀色の海を泳ぎ続けていた、全裸で。
すごくぐにゃぐにゃしてる。
目を閉じて流れに身を委ねる、全裸で。
とてもきもちがいい。
次第に世界は元の形へと収束する。
あ……。
俺は……。
うぐっ……
長いリーディングシュタイナーだった
だが今の俺の躰はそんなことお構いなしだった
今すぐに出し切りたい
俺を受け入れて欲しい
しかし俺の目の前には誰もいなかった
ど、どういうことだ?
岡部「紅莉栖!?」
紅莉栖「あんた一体……」
岡部「く、紅莉栖、助けてくれ……」
紅莉栖「ふぇっ!? は、初めて名前を……って今はそんなことどうでもいい!」
紅莉栖「あ、あんた……」
紅莉栖「あんたたち一体……ナニを……!」
岡部「はっ!?」
後ろを覗いてみる。
るか「はぁっはぁっ!!」 パンパンッ
岡部「」
まさか──
観測した途端、俺の運命石の扉は”異物”を認識し出した。
るか「お、おかべっ、おかべさぁん!」 パンッパンッ
待て、ルカ子はさっき女だったはず──
と言うことはさっきのやたらと長かったリーディングシュタイナーは……
紅莉栖のタイムリープ+ルカ子のDメール打ち消し……!?
いや、そんなことはどうでもいい。
男だとか、女だとかそんなことはどうでもよかった。
今はただこの苦しみを──
紅莉栖「あ、あわわわわ!」
岡部「くっ、紅莉栖っ……!」
岡部「俺はお前のことがっ……」
岡部「すっ──」
岡部「だっ──」
そこで俺の脳は限界を迎えた。
その後、夢の中でルカ子に何度も何度も突かれながら──
紅莉栖にだいしゅきホールドを食らい──
俺自身も幾度と無く、その細身の体を貪り尽くした。
その喧騒の外で、屈強そうな男たちが、とち狂ったダルやまゆりにゲルバナにされていた。
が、そんなことはどうでもいい。
シュタインズゲートは開かれたのだから。
後編 『再生と狂気のマッドサイエンティスト』 END
乙
乙乙
クリスが過去に戻っていろいろやったから現代のオカリンからしたらちびっと世界線が変わってるんじゃない?
タイムリープで世界線~については
>>135
です、ちょっぴり補足すると
原作ルカ子ENDでルカ子タイムリープ→ほんのすこしだけ過去が変わってオカリンRS発動、ってあったので
タイムリープでもRS起こるくらいの変動は起こせるのではないかな、と
見てくれた人ありがとう
まゆしぃはごめんね
Entry ⇒ 2012.09.09 | Category ⇒ シュタインズゲートSS | Comments (0) | Trackbacks (0)
神楽耶「日本人女性は下着なんて身につけませんわ」ゼロ「ほう?」
神楽耶「ゼロ様、お一人ですか?」
ゼロ「ええ。他の者は所用で出払っています」
神楽耶「では、私と二人きりですわね」
ゼロ「そうなりますね」
神楽耶「ゼロさまー♪」ギュッ
ゼロ「神楽耶様、お戯れを……」
神楽耶「いいではありませんか。夫婦水入らずでゆっくりできる時間は貴重ですもの」
ゼロ「……神楽耶様。あまりそのような格好ではしゃぐのは遠慮してください。その……見えそうで……」
神楽耶「見える?見えるって何がですの?」
ゼロ「下着です。そのような短いスカートでは……」
神楽耶「ゼロ様、知りませんの?日本人女性は下着なんて身につけませんわ」
ゼロ「ほう?」
ゼロ「ですが、最も守らなければならないものが露出してしまうことになってしまいますが」
神楽耶「無論、見せてもいいものではありません。醜く汚らわしい部位ですから」
ゼロ「神楽耶様のソレは宝玉のように輝いていると思いますが」
神楽耶「まぁ、お上手ですのね。でも、見せるものではありませんわね」
ゼロ「確かにそうですが、ならもっと布地の多いものを着るべきではないのですか」
神楽耶「暑いですから、長時間の着用はちょっと……」
ゼロ「しかし」
神楽耶「それにスカートって割と中が見えませんのよ?―――このように回っても」クルッ
ゼロ「……」
神楽耶「ほら、汚らわしい部分は見えませんでしょ?」
ゼロ「そのようですね。スカートとは中々に罪深い衣類であることを私は知りました」
神楽耶「もしや、ゼロ様は妻の素肌を他の殿方に見せたくないという考えでしたか?」
神楽耶「古風な考えのゼロ様も素敵ですわ」
ゼロ「古風ですか?」
神楽耶「でも、そうですわね。夫の身からすれば当然のこと。私の配慮が欠けていましたわ」
ゼロ「いえ。そんなことは」
神楽耶「では、早速着替えて―――」
ゼロ「待ってください」
神楽耶「はい?」
ゼロ「私と二人っきりのときはそのままでも構いません。神楽耶様に窮屈な服を着せるつもりは毛頭ありませんから」
神楽耶「ゼロ様ぁ……」
ゼロ「それにしても日本人女性は下着を身に付けないなどという文化があることを初めて知りました。何か理由でもあるのですか?」
神楽耶「さぁ?物心ついたときから、何もつけるなって言われて育てられましたから」
ゼロ「なるほど。それが常識になっているのですね。では、胸も?」
神楽耶「胸はスポーツブラをつけていますわ」
神楽耶「ほらほら」ヌギヌギ
ゼロ「脱がなくて結構です!!」
神楽耶「あら、そうですの?」
ゼロ「しかし、何故上だけ……?」
神楽耶「こすれる痛みに耐え切れなくて……。あ、これは内密にしておいてくださいね」
ゼロ「こすれる?何がですか?」
神楽耶「え……それは……」
ゼロ「なんですか?」
神楽耶「乳頭が……」
ゼロ「あ、ああ……なるほど……。申し訳ありません……神楽耶様……」
神楽耶「い、いえ……」
ゼロ「……」
神楽耶「……」
神楽耶「そのほうがいいですか?」
ゼロ「いらぬ危険を回避できますし」
神楽耶「それはつまり、殿方に見せてしまう危険性ですか?」
ゼロ「神楽耶様も嫌でしょう」
神楽耶「勿論ですわ。夫以外に見せるなんて考えただけでも虫唾が走りますわ」
ゼロ「そうでしょう。なら、ショーツを身に付けてください」
神楽耶「ですが、持っていませんわ」
ゼロ「女性団員から一枚ずつ拝借するのは?」
神楽耶「そんな。ダメですわ。下着も立派な衣類ですもの。嫌がる人もいるはずです」
ゼロ「そうですか……」
神楽耶「そうだっ。ゼロ様のそのマントで私を包んでくださればいいのでは?」
ゼロ「包む?どういうことでしょうか?」
ゼロ「ええ」
神楽耶「で……私がゼロ様の前に立って……」
ゼロ「なるほど。マントで神楽耶様を……隠すわけですね」バッ!!!
神楽耶『これで私はゼロ様に守られていて、露出はゼロです。あ、私もゼロになりましたね!!』
ゼロ「神楽耶様が発言する場合はどうするおつもりですか?」
神楽耶『それは……』
神楽耶「―――こうやって、顔だけ出して発言しますわ」ヒョコッ
ゼロ「それで?」
神楽耶「発言が終われば―――」バッ
神楽耶『再びゼロ様の中へ』
ゼロ「……」
神楽耶『私もゼロになれましたー』
ゼロ(意外と神楽耶様って頭悪いのか……。特に問題はないが)
神楽耶『ゼロ様と心身一体となれるなら、多少の暑さは我慢できますわ』
ゼロ「そうですか」
神楽耶「これからはできるだけこうしていてもいいでしょうか?」ヒョコッ
ゼロ「二人の時はいいでしょう?」
神楽耶「そうですわね。とてもいいアイディアですわー。これでいきましょう。ゼロ様!!」
ゼロ「それは構いませんが、私は常に貴方といることはできませんよ?」
神楽耶「そうですね」
ゼロ「やはり下着を……」
神楽耶「買いに行くしかありませんわね」
ゼロ「神楽耶様が出歩くのは危険です。誰かに買いに行かせましょう」
神楽耶「ちょっと待ってください、ゼロ様。できれば、自分で選びたいのですが……」
ゼロ「自分で……?」
神楽耶「ダメですか?」
神楽耶「ゼロ様に下着を選んで欲しいです」
ゼロ「なっ……?!」
神楽耶「ゼロ様の好みに合わせたものでないと、私は下着を身に付けたくありませんわ」
ゼロ「神楽耶様、ご冗談もほどほどに」
神楽耶「冗談ではありません」
ゼロ「……!」
神楽耶「お願いします」
ゼロ「ですが、私が堂々と街中を歩くわけにはいきませんし」
神楽耶「では、私は目隠しをします。それならゼロ様も安心して……」
ゼロ「目隠ししては下着選びが出来ないでしょう」
神楽耶「あ……」
ゼロ「神楽耶様。我侭は……」
神楽耶「そうですわ。ゼロ様が私のために下着を―――」
ゼロ「そこまでしなければいけないのなら、下着は穿かなくても結構です」
ゼロ「そもそも下着を身に付ける文化がないのに、無理に穿くのも可笑しな話だ。郷に従えとはいえ、全くの異文化を取り入れるのにはそれなりに時間もいるでしょう」
神楽耶「どういうことですか?」
ゼロ「下着を購入したとしても、穿き忘れたり、脱いだことを忘れたりされては却って危険ですからね」
ゼロ「新しい下着を手にした神楽耶様は恐らく、嬉々として私に着用した姿を見せてくれるでしょう」
神楽耶「当然ですわ」
ゼロ「ですが、習慣がなかった神楽耶様がショーツを穿き忘れる場合もあるかと思います。スカートを捲った先に桃源郷の光景があれば、大問題になる」
神楽耶「大問題ですか?」
ゼロ「ええ」
神楽耶「吐き気を催すとか?」
ゼロ「理性を保っていられるか、わかりません」
神楽耶「……」
ゼロ「……」
神楽耶「ゼロ様、私のソレは決していいものでは……」
ゼロ「その判断は私がしますよ」
ゼロ「ええ」
神楽耶「うーん……」
ゼロ「じゃあ、早速……」
神楽耶「でも、ゼロ様。下着は殿方にとって注目する衣類であることは違いないのでしょう?」
ゼロ「まぁ、そうですね」
神楽耶「ならば、ゼロ様も私が着衣した姿を望んでおられると?」
ゼロ「望んでいないといえば嘘になります」
神楽耶「でしたら、尚のこと私は下着を着ませんと」
ゼロ「神楽耶様。その場合、下着があることをいいことに他者への謁見を容易に許すのですか?」
神楽耶「衣類は別に見えてしまっても問題はないのでは?」
ゼロ「……神楽耶様。何を言っているのですか?」
神楽耶「え……」
ゼロ「なるほど。だから、先ほど恥じることなくプラを見せたわけですね。乳頭を言うのは恥ずかしそうにしていたのに……」
神楽耶「下着とは見せてはいけないものだったのですか?」
神楽耶「そんな……。身に付ければつけるほど、守るものが多くなるなんて……」
ゼロ「やはり、神楽耶様にショーツは少し早いのかもしれませんね……」
神楽耶「そのようですね」
ゼロ「神楽耶様、今でも私にならばそのスカートを捲り上げることができるのですよね?」
神楽耶「ゼロ様が望むのであれば、できますわ」
ゼロ「……では……」
神楽耶「ゼロ様、ではどのような訓練をこなせば私でも下着を利用できるようになるのでしょうか?」
ゼロ「そうですね……。やはり一度は着用してみないことには……」
神楽耶「堂々巡りになってしまいますわ……」
ゼロ「今からカレンを呼びましょうか?」
神楽耶「いえ、借りるのは気が引けますわ」
ゼロ「なら、包帯を使ってみますか?」
神楽耶「包帯?」
ゼロ「包帯を巻き、簡易ショーツを作るのですよ」
ゼロ「お手伝いしましょう」
神楽耶「大丈夫ですわ」
ゼロ「いえいえ。手伝いますよ」
神楽耶「旦那様に汚穢を触らせるようなこと、妻としてさせるわけにはいきませんから」
ゼロ「神楽耶様のは清浄なるものでしょう。聖水の香りすらするほどの」
神楽耶「ゼロ様の賛美は嬉しいですが、そんなことありませんわ」
ゼロ「だから、それは私が決めると……」
神楽耶「とりあえず、包帯は……」
ゼロ「ここにあります」
神楽耶「ありがとうございます」
ゼロ「……」
神楽耶「では、お手洗いに行ってきますわね」
ゼロ「ここで巻けばいいでしょう」
神楽耶「それだとゼロ様の目を穢してしまうことになります」
神楽耶「え……」
ゼロ「そう……人には引き返せないほどに……だから……何も問題はない!!」
神楽耶「ゼロ様……そこまで私のことを……?」
ゼロ「当然です」
神楽耶「ゼロ様……私、嬉しいですわ……」
ゼロ「では、包帯を巻きましょうか……フフフ……」
神楽耶「では……」スッ
ゼロ(来たか!!目の部分をあけておく!!!)
ゼロ「……」カシャッ!!!
カレン「―――ゼロ、ただいま戻り……」
神楽耶「あら?」
ゼロ「カレン……?!」
カレン「……な、なにやってるんですか……?ゼ、ゼロ……?神楽耶様に何を……?」
ゼロ「こ、これは……日本の文化を知るために協力してもらっていただけだ……」
神楽耶「そうですわ。ゼロ様は私が下着を着用しないのを憂いてくださって」
カレン「……」
ゼロ「そうだ。この場面だけみれば、私が神楽耶様のスカートの中を見ようとしているようにしか見えないだろう。だが、その背景には様々な要因が絡み合った結果だったのだ」
ゼロ「カレン、分かるな?」
カレン「分かりません」
ゼロ「ええい!!分かれ!!」
カレン「というか、神楽耶様って下着穿いてないんですか?!」
神楽耶「ええ。日本人ですもの」
カレン「え……?」
ゼロ「日本人女性はショーツをつけないのだろう?」
カレン「いや、何を言っているんですか?」
ゼロ「なんだと?」
カレン「江戸時代じゃないんですから、下着は普通に身に付けます」
ゼロ「なにぃ!?」
カレン「神楽耶様が特殊な環境で育った所為じゃないんですか?」
ゼロ「ならば、証拠を提示してもらおう」
カレン「証拠?」
ゼロ「そうだ。どのような下着をみにつけている?」
カレン「言えません……」
ゼロ「つまり、穿いていないということか」
カレン「ち、違います!!」
ゼロ「では、頼むぞ?」
カレン「あ、赤い……ショーツです……」
ゼロ「違うな。間違っているぞ。カレン。私は提示しろといった。証拠を出してもらわないと困る」
カレン「え!?」
神楽耶「この場で脱いでみせろってことですわね」
ゼロ「ええ。その通りです」
カレン「そ、そんなことできません!!!」
カレン「この場で脱ぐっていうのができないだけです!!」
ゼロ「なら、脱いで持ってくることはできるのか」
カレン「え」
ゼロ「頼むぞ」
神楽耶「お願いしますね」
カレン「……は、はい……少し、待っていてください……」
ゼロ「さて、神楽耶様。先ほどの続きとまいりましょうか」
神楽耶「ええ」スッ
ゼロ「……」カシャッ!!!!
神楽耶「よいしょ……よいしょ……」
ゼロ(ちぃ……!!肝心なところが見えない……!!おのれスカートめ!!その分厚い装甲が恨めしい!!)
神楽耶「―――できましたわ!!」チラッ
ゼロ「……気分は如何ですか?」ホッコリ
神楽耶「そうですわね……。少し落ち着きませんわ」
神楽耶「これが下着の感覚。下腹部が締め付けられているようであまり気分のいいものではありませんわね」
ゼロ「なるほど。まあ、慣れない内は仕方ないでしょう」
神楽耶「そうですね」
ゼロ「しかし……ただの包帯でも、こうもショーツになるとは」ピラッ
神楽耶「私に似合うでしょうか?」
ゼロ「そうですね……」ジーッ
神楽耶「それとも自重したほうが……」
ゼロ「……」ジーッ
神楽耶「ゼロ様……」モジモジ
ゼロ「恥ずかしいですか?」
神楽耶「割と……」
ゼロ「それは下着を装着した自分を恥じているのですか?それとも見られているから?」
神楽耶「わかりませんが……。きっとゼロ様に凝視されているからだと思いますわ」
ゼロ「そうですか。それは喜ばしい限り」ジーッ
ゼロ「そうですね」
神楽耶「うーん……それはそれで嫌ですわ」
ゼロ「何故?」
神楽耶「だって、ゼロ様と密着できるのですからぁ……」
ゼロ「ならば、私が傍にいられないときはショーツを着用し、私がいるときは神楽耶様もゼロになればいい」
神楽耶「はい!そうしますわ!」
ゼロ「では、今はその武装も必要はないということですね。取りますか?」
神楽耶「はい。そうします」
ゼロ「……」カシャッ!!!
神楽耶「あ、あら……?えーと……?」モゾモゾ
ゼロ「どうしましたか?」
神楽耶「申し訳ありません、ゼロ様。固く結びすぎてしまったようで、できれば解いてもらいますか?結び目は後ろにありますから」
ゼロ「わかりました。その任、引き受けます」
神楽耶「お願いしますわ」ピラッ
神楽耶「ダメですか?」
ゼロ「少し待ってください……」
神楽耶「はい。では、その間に……」バッ!!!
ゼロ「神楽耶様。私の懐に隠れるのはいいですが、息苦しくありませんか?」
神楽耶『平気ですわ。ゼロ様の匂いが……癖になりそうなほどですし……』
ゼロ「そうですか」
神楽耶『私の名はゼロー』
神楽耶「なんて、似合いませんか?」ヒョコッ
ゼロ「それはともかく、神楽耶様。懐に入られていては包帯を解くことができないのですが」
神楽耶「気合でなんとかしてください」
ゼロ「気合ですが。ふふ、わかりました」ググッ
神楽耶「あん……。もう、ゼロ様?どこをおさわりに―――」
カレン「ゼロ……」
ゼロ「カレンか。持ってきたのか?」
ゼロ「は?」
神楽耶「なんのことでしょう?」
カレン「……」
ゼロ「何故、神楽耶様がマントに包まり顔だけをだしているのか、か?」
カレン「ええ。そうですけど」
ゼロ「……それは」
神楽耶「露出をゼロにするためですわ」
カレン「別に二人羽織みたくする必要はありませんよね?!」
神楽耶「二人羽織とは違いますわ。私が顔を出しているだけですから」
カレン「はい?」
ゼロ「それより、下着を―――」
カレン「そのマントの中で神楽耶様に何をしているのですか!?ゼロ!!!」
ゼロ「何って……あ」
神楽耶「あ……ゼロ様、ありがとうございました……」
ゼロ「ふぅ……少し手こずりましたが」
カレン「て、てこずり……?」
神楽耶「いえ。流石はゼロ様ですわ。手際がよろしいこと」
カレン「て、てぎわ……?」
ゼロ「どうした、カレン?」
神楽耶「カレンさん?」
カレン「ああ、いや……そうですよね……お二人は夫婦ですから……それぐらいは……」
ゼロ「では、カレン。証拠の下着を」
カレン「これです!!」ポイッ!!
ゼロ「む」ペチョ
カレン「記念にあげます!!それでは!!」
神楽耶「カレンさん……?」
ゼロ「確かに赤いショーツだな」
神楽耶「ゼロ様、カレンさんの様子がおかしくありませんでしたか?」
カレン「だからって、あんなところで盛らないでほしいけど……」
ゼロ「誰が盛っているだと?」
カレン「ゼロ?!」
ゼロ「どうした、カレン?」
カレン「神楽耶様はいいんですか?」
神楽耶『「―――呼びましたか?」ヒョコッ
カレン「うわぁ?!」
神楽耶「何か?」
カレン「何をしているんですか……」
神楽耶「露出は厳禁だとゼロ様に言われたので。こうしてゼロ様に包まれています」
カレン「ああ、そうですか……」
神楽耶「カレンさん?」
カレン「神楽耶様、その……文句じゃないんですけど……そういうことはあまりしないほうが……」
神楽耶「でも、こうしていないと露出が多くなってしまうので……」
神楽耶「私とゼロ様は将来を誓った関係ですし、別に時も場所も場合も考慮するべきときはありませんわ」
カレン「なっ……」
ゼロ「ところでカレン。先ほどのショーツだが」
カレン「なんですか?」
ゼロ「本当に穿いていたのだな」
カレン「当たり前です」
神楽耶「日本人なのに?」
カレン「関係ないですから。なんなら千葉さんや井上さんにも訊いてみてくださいよ!!」
ゼロ「ふむ……。神楽耶様、どうしますか?」
神楽耶「そうですわね……。カレンさんのショーツを穿いてみましたが、やはり下半身がムズムズしてしまって……」
ゼロ「長時間は穿けないと?」
神楽耶「ええ」
カレン「恥ずかしくないんですか!?」
神楽耶「見せることはありませんわ。私は痴女ではありませんし」
神楽耶「あら、確かに」
カレン「いや、あんな場所で情事を行っている二人のほうが……」
ゼロ「何を言っている」
カレン「今だって、そのマントの中で何をしているか……」
神楽耶「別に何もしていませんが」バッ!!
カレン「きゃぁ!?!」
神楽耶「ほら」
カレン「うぅ……」チラッ
神楽耶「信じてもらえたでしょうか?」
カレン「え、ええ……」
ゼロ「一体、どうしてそのような勘違いができるのか」
カレン「だって、神楽耶様は穿いてないし、ゼロもなんだか挙動不審でしたし」
神楽耶「ゼロ様が挙動不審なのはいつものことですわ」
カレン「あ、そういえば」
カレン「とにかく、神楽耶様は下着をつけてください」
神楽耶「でも、涼しいですのよ?」
神楽耶「ほら」ピラッ
カレン「わぁ!?」
ゼロ「……!」カシャッ!!!
神楽耶「どうすですか?」
カレン「いや、神楽耶様。女性の前なら問題ないと思ってませんか?」
神楽耶『でも、こうしてゼロ様の中に居れば問題なんてありませんわ!!!』
カレン「何の解決にもなってないですって」
ゼロ(見えなかった……!!)
カレン「神楽耶様、穿きましょう?ね?」
神楽耶『ムズムズするのでやめておきますわ』
カレン「ゼロから出てきてください!!」
神楽耶「はい」ヒョコッ
ゼロ「別に問題点は見当たらないが」
カレン「今のうちに下着を癖付けておかないと、神楽耶様が何かの拍子に露出させてしまったらどうするんですか?!」
ゼロ「万全の対策を練る」
カレン「公の場で事故があってからではおそいんですよ?」
ゼロ「そもそも公の場でスカートが捲りあがる事故など起こるはずがないだろう」
神楽耶『ゼロ様の言うとおりですわね。それにゼロ様に包まれて私もゼロになっていれば……」
カレン「その姿で演説とかするつもりですか?!」
神楽耶「いけませんか?」
カレン「ゼロが可笑しな人に見えちゃいますよ!!」
神楽耶「可笑しな人とは?」
カレン「えっと……幼い人に興味があるみたいな……」
神楽耶「これでも私は14歳ですわ。もう立派な大人の女ですわ。ね?ゼロ様?」
ゼロ「それはみてみないことには、なんとも言えませんね」
カレン「みるってなにを?!」
ゼロ「神楽耶様?」
神楽耶『みてください……ゼロ様……』
ゼロ「なに……?」
カレン「なにやってるんですかぁ!!!」バッ!!!
神楽耶「勝手に開けないでください!」
カレン「もう!!神楽耶様はダメ!!ゼロ禁止!!」
神楽耶「どうして?!」
ゼロ「おい、カレン」
カレン「神楽耶様は下着を克服するまでゼロ化するのはやめてください。困るのは神楽耶様なんですよ?!」バッ
神楽耶「そうはいっても……」
カレン『それまで私が神楽耶様の居場所を守ります!!』
ゼロ「おい、カレン。苦しくないのか?」
カレン「いえ。全く」ヒョコッ
神楽耶「でも、どうすれば克服できるのですか?穿けばムズムズして脱ぎたくなりますし……。我慢など難しいですわ」
ゼロ「無理をさせて神楽耶様の玉の肌が荒れてしまったとき、責任をとれるのか?」
カレン「え……」
ゼロ「真っ赤になった神楽耶様のお尻を想像してみろ。藤堂あたりがみたら発狂するぞ」
カレン「別の意味で発狂しそうですね」
神楽耶「どうしたらいいでしょう」
ゼロ「カレン。神楽耶様は特別な人だ。別に穿かなくても……」
カレン「ダメです」
神楽耶「でも……」
カレン「神楽耶様は間違っていますから」
ゼロ「カレンは露出することを危惧しているのだろう?」
カレン「そうです」
ゼロ「それは私も同じだ。如何なるときも晒されてしまう可能性は一般人より高い」
カレン「ええ」
ゼロ「穿かなくても隠す方法はないのか?」
ゼロ「貼る?」
神楽耶「シールか何かをですか?」
カレン「え、ええ。でも、オススメは……」
ゼロ「よし、ではこのガムテープを使ってください」サッ
神楽耶「分かりましたわ!!」
カレン「本気でやるんですか?!」
神楽耶「はい」ペタッ
カレン「私は止めましたから」
神楽耶「―――これでよし」
カレン「あーあ……」
ゼロ「違和感はありますか?」
神楽耶「いえ、それほど……」
ゼロ「解決ですか」
神楽耶「ですね」
神楽耶「剥がせばいいだけですわ」
カレン「じゃあ、剥がしてみてください」
神楽耶「ええ」ベリッ
神楽耶「……?!!?」
ゼロ「神楽耶様?!」
神楽耶「ぃぁぃ……」プルプル
カレン「言ったのに」
神楽耶「こういう危険性は先に言ってくれないと困りますわ!!」
カレン「だから止めたんです!!」
ゼロ「ガムテープでもダメか……」
神楽耶「では、もう演説を行う際は私のこの辺にモザイクをかけてください」
ゼロ「ディートハルトに頼んでおきましょう」
カレン「余計卑猥になりますよ!?」
神楽耶「これもダメ、あれもダメ。では、一体どうしろというのですか?!」
神楽耶「ですから、それができないからこうして悩んでいるのですわ。どうして布を穿かなければならないのか、疑問ですわね」
カレン「あの……」
ゼロ「そうか。確かにそうですね。神楽耶様」
神楽耶「え?」
ゼロ「布に拘る必要などどこにもありませんよ」
神楽耶「どういうことですか?」
ゼロ「少しお時間をいただけますか?」
神楽耶「はい。勿論ですわ」
ゼロ「行くぞ」
カレン『はいっ!』
ゼロ「……歩きにくいな」
カレン「私じゃ、ダメですか?」ヒョコッ
ゼロ「別に構わないが」
カレン『私はゼロと共に進みます』
ゼロ「神楽耶様、できました」
神楽耶「なにがですか?」
カレン「―――ゼロの仮面パンツです」ヒョコッ
神楽耶「まぁ!!素敵っ!!」
ゼロ「穿き方はオムツ形式を採用しています。このスイッチを押すと」ピッ
神楽耶「面の一部が開きましたわ」
ゼロ「用を足すときに利用してください」
神楽耶「ゼロ様……私のためにこんなものを……嬉しいですわ」
ゼロ「素材は私の仮面と全く同じです。私が貴方の股間にいると思ってくれて構いません」
神楽耶「これほど心強いものはありませんわ」カチャカチャ
カレン「でも、これ。不意に見えたときとか驚きますね」
ゼロ「見えることなどない。大丈夫だ」
神楽耶「穿けましたわ」
カレン「スカートの上からでもわかるほど、仮面パンツが主張している……」
ゼロ「気に入ってくれたようで嬉しいですよ」
神楽耶「いえ」
藤堂「今、帰った」
扇「ゼロ。例の件は予定通りに行えるぞ」
ゼロ「そうか。ご苦労だったな」
玉城「いやー、出張も楽じゃねえなぁ」
井上「ずっと寝ていたくせに」
千葉「玉城は本当に使えないな」
玉城「なんだとぉ?!」
神楽耶「みなさん、おかえりなさい」
藤堂「神楽耶様……?」
神楽耶「はい?」
扇「あの……。失礼ですけど、その、スカートの下はどうなって……?」
神楽耶「これですか?―――こうなっていますわ」バッ!!
扇「な……」
千葉「……」
井上「……」
玉城「ゼロだ!!ゼロが神楽耶様に寄生してやがる!!」
神楽耶「どうですか?この素晴らしい仮面パンツは」
カレン「どーですかね?」
ゼロ「ふっ。この神楽耶様専用の下着は―――」
藤堂「ゼロよ」
ゼロ「なんだ?」
藤堂「あのな」
神楽耶「あ、ご心配なく。ここを押すと……面が開くんですのよ……」ピッ
千葉「井上!!神楽耶様を保護しろ!!!」
井上「了解!!」
神楽耶「え?何をするんですの!?離して下さい!!!」
井上「分かっています!!」
神楽耶「やめてください!!ゼロさまぁー!!!」
ゼロ「何をしている!!やめろ!!」
藤堂「ゼロ。聞け」
ゼロ「なんだ……」
カレン「やっぱり、ダメでしたか?あれは……」
藤堂「……」
カレン「ゼロ、お邪魔します!!」バッ
ゼロ「カレン!!おい!!」
カレン『応援してます!!』
ゼロ「ちぃ……」
藤堂「ゼロよ」
ゼロ「なんだ。神楽耶様には仮面が必要だと思った。だから、あれを与えた。それだけのことだ。文句でもあるのか?」
藤堂「お前は根本的に間違っている。何も分かっていない」
藤堂「そうだ」
ゼロ「聞かせてもらおうか、藤堂。私は何を違えたのか」
藤堂「―――日本人は下着などはかん!!!」
ゼロ「?!」
カレン「えぇぇ!?」ヒョコッ
藤堂「厳密には締める」
ゼロ「しめる……?」
千葉「神楽耶様にはまだ早いんだ」
井上「男性は小さなときから、女性は成人してから締めるんです」
扇「ゼロ。すまない。日本人じゃないから、説明しておくべきだったな」
ゼロ「締めるとはなんだ……?穿くのではないのか?」
藤堂「ああ」
ゼロ「では、何を締めると言うんだ?」
藤堂「日本人なら褌に決まっている」
玉城「しらねーのか?ああ、無理もねーか」
ゼロ「どういうのだ?」
藤堂「こういうのだ!!」バッ!!!
カレン「きゃぁ!!」ササッ!!
ゼロ「藤堂!!」
藤堂「これが、日本人の生き様だ」
カレン『藤堂さん!!急に脱がないでください!!』
ゼロ「その白い布を成人したら神楽耶様もつけると?」
藤堂「そうだ」
ゼロ「そうだったのか。やはり、日本人に下着を穿くという文化はなかったのか……。私はいらぬことをしてしまったな」
扇「いや。説明できなかった俺たちも悪い」
ゼロ「だが、どうして下着をつけないのだ?」
藤堂「知らない」
ゼロ「そうか」
千葉「これは不要です。神楽耶様」
神楽耶「ですが、私の召し物ではゼロ様が不安になると」
千葉「正装では足を全て隠すほど裾の長いものが選ばれています」
神楽耶「しかし、いつも正装でいるわけにもいきませんし」
千葉「だからといって、キョウト六家の盟主自らが伝統を排斥するような行為は……」
神楽耶「……」
井上「とりあえず。この仮面パンツは顔に付けておくべきです。間違っても下半身につけてはいけません」
神楽耶「はい」カチャカチャ
千葉「紅月。どうして教えてやらなかった」
カレン「えっと……それは……」ヒョコッ
扇「そういえばナオトは褌じゃなくてボクサーパンツだったな」
カレン「え、ええ……」
ゼロ「そうか……カレンはハーフだからか?母親がその伝統を伝えなかったのではないか?シュタットフェルト家に行くなら、そちらの流儀に合わせなくてはならないからな」
カレン「お母さん……」
千葉「スイッチを押さなくては」
神楽耶「ああ、そうですわね」カチッ
神楽耶「あ、ちょっと見えました」カシャ
井上「にしても、この下着。高性能ですね」
千葉「脱がなくてもいいのは素晴らしいとおもうが、褌もずらすだけでいいからな」
井上「たしかに。甲乙付けがたいですね」
神楽耶「今、私はゼロ様に包まれているのですわ……」
ゼロ「結局のところ、神楽耶様が何も身に付けていないことはお前たちは承知していたのか」
藤堂「そうなるな」
ゼロ「私が空回りしただけだったか……」
藤堂「ゼロ。だからといって、安易な考えで神楽耶様の秘境へは足を踏み入れるな。二度と朝日が拝めなくなるぞ」
ゼロ「十分に留意しておく」
カレン「じゃあ、私も今日から脱ぎます」
扇「カレン。無理をすることはないぞ」
玉城「そうか……」
カレン「やらしい目でみないでよね」
玉城「んだとぉ?!」
神楽耶「ゼロ様ー」
ゼロ「神楽耶様。申し訳ありませんでした」
神楽耶「いえ。このような素敵な仮面を私のために作ってくださったことがなによりも嬉しいですわ」
ゼロ「そうですか」
神楽耶「でも、これ。息苦しいですわね」
ゼロ「仮面ではなくて下着ですからね」
神楽耶「蒸れますわ」
ゼロ「取った方がいいですよ」
神楽耶「でも、ゼロ様に包まれていたいのですが……」
ゼロ「どうぞ、こちらへ。カレンとの約束ももう意味はありませんし」
神楽耶「ゼロさま……。今、行きますわ!」
神楽耶『ありますわー』
ゼロ「これからが大事だ。共に進もう」
扇「ああ」
玉城「まかせてくれ!!」
藤堂「褌を締めなおして望む次第だ」
千葉「任せてくれ」
井上「がんばります」
カレン「紅月カレン!!今日から真・日本人としてがんばります!!」
ゼロ「よし!!」
神楽耶「みなさんー、はりきっていきましょー」ヒョコッ
玉城「扇ー、メシいこうぜー」
扇「そうだな」
カレン「ちょっとスースーするけど、やれる!ゼロと紅蓮弐式が居れば!!」
ゼロ「……頼むぞ」
ゼロ「なんですか」
神楽耶「あのとき見れていませんよね?」
ゼロ「何をでしょうか?」
神楽耶「私がどれだけ大人なのかを」
ゼロ「確かに」
神楽耶「見ますか?」
ゼロ「……」
神楽耶「ゼロ様になら……」
ゼロ「いえ。遠慮しておきます」
神楽耶「ゼロ様……」
ゼロ「自分の意志で垣間見るからこそ、価値があると思うのです」
神楽耶「分かりましたわ。では、ゼロ様が見たくなったらいつでも声を……」
ゼロ「では、早速」ペラッ
神楽耶「あ……」
神楽耶「……」
ゼロ「なるほど」
神楽耶「ゼロ様……あの……」
ゼロ「神楽耶様。はっきりと言いましょう」
神楽耶「はい」
ゼロ「まだまだですね。安心しました」
神楽耶「えぇ?!そんなはずは……!!」ペラッ
神楽耶「……どうして……」
ゼロ「さあ、神楽耶様。こちらへ」
神楽耶「ゼロ様。うっすらとはあったのです」
ゼロ「……」ナデナデ
神楽耶「信じてください!!本当に少しだけあったのです!!何故か綺麗になくなって……」
ゼロ「……」ナデナデ
神楽耶「はぁ……どうして……これでは。恥をかいただけ……」
神楽耶「そうですか?」
ゼロ「ええ。少なくとも私にはとても魅力的に見える」
神楽耶「ですが。肉体的に劣っている限り、私としては絶対的な自信が持てませんわ」
ゼロ「私が言っているのに?」
神楽耶「……え」
ゼロ「少しショックですね。まさか神楽耶様に私の言の葉が届かないとは」
神楽耶「あ、いえ……そういうわけでは……!!」
ゼロ「褌を締めるまで大人ではないからと諦観する貴方でもないはず。外見的、儀式的なことでそのような線引きをなさるおつもりですか」
神楽耶「……いいえ。違いますわ。私はゼロ様に認められたときこそ、大人になったと実感するのです」
ゼロ「そのほうが貴方らしい」
神楽耶「ゼロ様。まだ私には至らないところはごまんとあります」
ゼロ「……」ペラッ
神楽耶「ですが、できることをして行きますわ。自分で決めた愛する貴方のために」
ゼロ「ええ。頑張ってください」
ゼロ「これは失礼しました」
神楽耶「もう……」
ゼロ「表面的な成長はまだまだのようですが、その強く大きな心をもっているのは神楽耶様ぐらいですよ」ペラッ
神楽耶「では、ゼロ様公認の妻でよろしいのですね?!」
ゼロ「……そうですね。それはまた別です」
神楽耶「ゼロ様ー!!ひどいですわー!!」
ゼロ「フフフ……」
神楽耶「じゃあ、もっと見ていいですから」
ゼロ「迫ってくる者になど興味はない!!」ペラッ
神楽耶「そんな……!!」
C.C.「……」
C.C.「とりあえず剃ってくるかな」トコトコ
END
良い意味で酷かったYO!
Entry ⇒ 2012.09.08 | Category ⇒ コードギアスSS | Comments (0) | Trackbacks (0)
C.C.「ルルーシュに200の質問?」
ルルーシュ・ランペルージをもっと知りたい!
クイズ、『ルルーシュの200の事!』
眉目秀麗で才色兼備、生徒会副会長、しかしてちょっとキツめのシスコンでもある。
その程度しか分からないルルーシュの事。
今日は彼について様々な事柄を学んでみる素敵な機会でございます。
C.C. 「いや、それだけ分かっていれば充分だろう」
カレン「今さらって感じは確かに否めないわね」
C.C. 「そもそもMCはアイツを褒めすぎだ。
童貞モヤシのグラスハート中二患者にどれだけ気を使っているんだか」
カレン「アンタはもっと相手に気を使うことくらい覚えなさいよ」
スザク「まぁまぁ、二人共。
まだ始まったばかりなのにいがみ合わなくてもいいんじゃないかな?」
正解数を競ってもらおうという趣旨で御座います。
正解数が一番多い人は、このクイズ終了後にルルーシュと握手できる特典が!
C.C.「いらん」
…とにかく!
彼に200の質問を問いかけますので、皆さんはその回答を予想して当ててください。
回答者にこちら側の声や姿は一切見えておりませんので、吹っ掛けは無意味です。
※本来のプロフィールとは異なる点も出てくるとは思いますが悪しからず
僕がルルーシュについて一番詳しい時期って幼少期くらいだし」
カレン「私なんてまだ知り合って一年も経ってないからね」
C.C. 「知り合った期間はカレンと変わらないが、一緒に住んでいる点で私は少し有利か」
カレン「まぁアイツの事は私生活以外なら答えれそうな気がするけれど」
スザク「え!? カレンってそんなにルルーシュのこと調べてるの!?」
カレン「いや、そういう意味じゃないんだけど」
スザク「いつもは従順なフリをして、そんな強かさを隠していたとは…。
案外この企画のダークホースは君かも知れないね…」
カレン「誤解よ、誤解!」
C.C. 「…何を言ってるんだ、お前らは」
準備は宜しいですか?
C.C. 「さっさとしろ。私は早く帰って撮り溜めしていたアニメを見たいんだ」
カレン「アンタいい歳こいてまだアニメとか見ているの?」
C.C. 「む、お前はアニメを馬鹿にするのか?」
カレン「いや、馬鹿にしているワケじゃないけれどさぁ…もっと何か無いの?
体動かしなさいよ、体。アニメなんかよりずっと健康にいいわよ」
C.C. 「ふん、胸が脂肪ではなく筋肉で出来ている輩はこれだから…。
貴様も今私が撮り溜めている『あずきちゃん』を見れば考えも変わるだろう。
見に来るときはピザの差し入れを忘れるなよ」
カレン「ふ~ん、まぁ気が向いたら伺わせてもらうわ」
スザク「…いつ始めても大丈夫です」
ルルーシュの好きな食べ物は?
スザク「ベタな所から始まったね」
カレン「小手調べってヤツ?」
C.C.「スタートラインとしては無難だな。こんなの即答してやろう」
C.C. :ピザ
カレン:パスタ
スザク:白米
スザク「ああ、言えてるね。極端に偏食、もしくは好き嫌い皆無かって感じ」
C.C. 「フン、この問題は簡単だな。一択だ。」
カレン「えらく自信満々な態度だけれど、それ単純にアンタの好物なだけじゃないの」
C.C. 「失礼な奴だな。私の好きなモノはルルーシュも好きに決まっているだろう」
カレン「そんな言い分初めて聞いたわ…」
スザク「この問題は当たっている自信があるよ」
C.C. 「ほぅ?」
スザク「ルルーシュが小さい頃によく食べてたからね!」
C.C. 「それは居候先の食生活が日本食だっただけだろう…」
【回答】
ルル「……カレーうどん」
C.C. :×
カレン:×
スザク:×
スザク「さすがにコレは予想できないね」
カレン「ゼロの仮面を被ってるとき、急に食べたくなったらどうするのかしら?」
スザク「そりゃあ…我慢するんじゃない?」
カレン「なるほどね」
スザク「もしくは…ホラ、あの仮面って目の部分がスライドする仕組みじゃん?
実はアレを秘かに口の部分にも搭載しててさ……」
C.C. 「なるほど、皆の目を盗みつつあの格好でカレーうどんを啜っているのか」
三人「…………」
カレン「今の間は何よwwwwwwwwwwwww」
スザク「だってwwwwwカレンも想像したんでしょwwwwww」
カレン「ルルーシュがwwwwあの格好でうどんとかwwwwもうやめてよwwwwwww」
C.C. 「全く……お前らは本当に、馬鹿だな……w」
ルルーシュの好きな映画は?
C.C. 「アイツの趣味嗜好よりも、ピザ○ットの新作ピザを教えろ」
カレン「んなこと教えられても誰が得するのよ」
C.C. 「お前、その発言は全国4300万人のピ○ハッターを敵に回したも同然だぞ」
スザク「それだけの人数がいたら100万のキセキどころの騒ぎじゃないね」
C.C. :ぼくらのウォーゲーム
カレン:ショーシャンクの空に
スザク:VERSUS
C.C.「おいスザク、なんだその映画は」
スザク「え、知らないの?」
カレン「私も初めて聞いたわよ」
スザク「B級映画の最高傑作だよ。
前にルルーシュと二人でDVD見た時、彼にバカ受けでさ」
C.C. 「ふむ、ルルーシュを唸らせる映画か。少しだけ興味深いな」
カレン「レンタルショップでタイトル見かけたら借りてみるわ」
ルル 「……サマーウォーズ」
C.C. :×
カレン:×
スザク:×
スザク「まさかのサブカル路線だった」
カレン「アイツの性格なら『アマデウスに決まっているだろう』とか
妙にカッコつけて言いそうと思ったんだけれど」
C.C. 「ほぅ、私の発想自体は良かったのか、少し掴めて来たな」
スザク「掴んだところで得るものは握手くらいだけどね」
ルルーシュは何フェチ?
C.C. 「これは予想がつく。この問題はボーナスだな」
カレン「私にはサッパリ……」
スザク「う~ん、ルルーシュならこう答えそうな気が」
C.C. :尻
カレン:髪
スザク:足
スザク「また見事にバラバラだね」
カレン「こんなの統一する方が難しいわよ」
C.C. 「ふん、お前らまだまだだな。私の一人勝ちじゃないか」
スザク「とりあえず答えを見てみようか。
もしかしたら思いもよらないフェチだったりするかも知れないね」
ルル「今まで考えた事も無かったな。
ナナリー、はフェチには入らないか…強いて言うなら、髪だ」
C.C. :×
カレン:○
スザク:×
カレン「あれ、当たっちゃった」
スザク「C.C.。君の回答が自信満々だった理由を訊ねてもいいかい?」
C.C. 「な、何となくアイツが私の尻をちょくちょく眺めてくるから…」
スザク「へぇ、ルルーシュもしっかり男の子だったんだね」
カレン「ルルーシュはむっつりすけべ、か。…覚えておこう」
回答者の部屋
ルル「……なんか謂れのないことを話されているような気がするぞ」
C.C. 「ここまで正解はカレンの1つだけ。そろそろ正解しておきたいところだが」
カレン「まだイマイチ彼の中身が把握できないのよねぇ」
スザク「う~ん、次の問題で傾向を探る必要ありそうだなぁ」
C.C. 「内面にメスを入れる質問ならいいが、
今の様子だとありふれた質問の確率の方が高そうだぞ」
カレン「とりあえず今は無難に答えていくのが得策ね」
最近もっともストレスを感じた瞬間は?
C.C. :冷蔵庫に置いていたプリンを食べられた
カレン:同居人が言うことを聞かない
スザク:ナナリー用に取っておいたプリンをC.C.から食べられた
C.C. 「おい、なんでお前がその事を知っている?」
スザク「学食で僕とリヴァルに愚痴ってたよ。
『ナナリーに食べさせるはずだったプリンを食われた。
《プリンとヨーグルトとお前のハートは頂いた》と
ご丁寧にキャッツカードらしきものを冷蔵庫に貼ってな』って。」
カレン「C.C.、アンタ…」
C.C. 「仕方ないだろう。あいつが私に構ってくれないのが原因だ」
ルル「……些細なことで申し訳ないが、ナナリーの為に取っていたプリンを
どこぞのNEET魔女に勝手に食されたときだ。
ナナリーの喜ぶ顔を思い浮かべて丹念に作っていたはずなのに、
そこで待っていたのはこの仕打ち。
…ピザの香りを纏う女のどや顔が思い浮かんで仕方ない瞬間だった」
C.C. :○
カレン:×
スザク:○
カレン「うわぁ、苦虫を噛み潰す表情ってあんな感じなのかもね」
C.C. 「……」
スザク「C.C.、これは多分あとで謝ったほうがいい」
C.C. 「…善処する」
ルルーシュの初恋は何歳?
C.C. :8歳
カレン:7歳
スザク:10歳
C.C.「これは正直、勘で答えるしかないな」
カレン「なんとなくこの答えにしちゃったけれど、マセガキっぽいからもっと早かったりして」
スザク「ぶっちゃけルルーシュの初恋って結構興味あるんだよね。どんな回答だろう?」
ルル「……7歳だ。」
Q:ちなみに、相手は?
ルル「黙秘権を行使する。絶対に喋らんぞ」
C.C. :×
カレン:○
スザク:×
スザク「思っていた以上に早かったなぁ」
C.C.「ほぅ、そのくらいの年齢で初恋とは早いな」
カレン「え、けっこう妥当な年頃じゃない?」
C.C.「そんなものか」
スザク「…そうなると、C.C.の初恋ってルルーシュより遅かったみたいだね。
ぶっちゃけ初恋って何歳なの?」
カレン「ていうか何世紀前?」
C.C.「カレン、それは宣戦布告と捉えてもいいんだな?」
最近「ああ、やっちゃった」と後悔したことは?
C.C. 「『ああ、やっちゃった』が服を着て歩いているような男が
小さな後悔をするのだろうか?」
カレン「本人が『ああ、やっちゃった』と思っていない辺りが無自覚の悪意よね」
スザク「これはまた難しい問題だなぁ…」
C.C. :冷蔵庫にプリンを置いてしまった
カレン:寝坊
スザク:仮面のはずし方を忘れてテンパった
スザク「C.C.…君のその正当化は良くないと思う」
C.C. 「煩い、食べられたくなかったら名前でも書いておくべきだ」
カレン「あんたどんだけジャイアン気質なのよ…」
ルル「……冷蔵庫に自信作のプリンを入れていた事だ。
次からは強固な金庫にでもしまっておくべきだと猛省した」
C.C. :○
カレン:×
スザク:×
C.C. 「まさかの正解と来た」
スザク「金庫にプリン入れたら冷やせないよね」
カレン「論点ちょっとズレてるわよ。
ていうか、プリン食われたのをアイツどんだけ根に持ってるのよ」
ルルーシュの嫌いな味は?
C.C. :アボガド
カレン:苦いもの
スザク:ねっとりした味、納豆とか
C.C.「味覚の好みは分からん」
カレン「まぁ世間一般で不味いと思われるもの書くのが定石でしょ」
スザク「ちなみに答えはどんな感じなんだろう?」
ルル「土の味だな。アレを忘れる事は到底無いだろう」
C.C. :×
カレン:×
スザク:×
スザク「へぇ、変な味を嫌うんだね」
C.C. 「………即答だったな」
カレン「………ええ、即答だったわね」
スザク「土を舐めるほど飢えていたのか、それとも転んだ拍子に口に入っちゃったのかな?」
C.C. 「………」
カレン「………」
スザク「あ、もしかして! 小さい頃にナナリーが作った泥ダンゴ食べちゃったとか!?
ルルーシュも肝心なところが少し足りてないなぁwwww」
カレン「………」
C.C. 「……お前に少し足りないのは空気を読むスキルというのは分かったよ」
もっともリラックスできる瞬間は?
C.C. :私と一緒にいるとき
カレン:森林浴
スザク:紅茶を飲みつつ音楽鑑賞
カレン「C.C.、アンタ自分の回答反芻できる?」
C.C. 「余裕だが?」
スザク「いや、ホント大したものだと思うよ」
ルル「ナナr……紅茶でも飲みながら、好きな音楽を聴いているときだな。
そうすることで心休まる平穏な時間を満喫できる」
C.C. :×
カレン:×
スザク:○
カレン「凄いわね。紅茶だけじゃなく音楽鑑賞まで当てるなんて」
スザク「まぁ、友達だからね。ナナリーとの時間かって二択ではあったけれど」
C.C. 「どうせ飲んでいる紅茶はリプトンで、聞いてる曲は『およげタイ焼きくん』だろ」
カレン「あんた何でちょっと不貞腐れているのよ」
C.C. 「……」
もしも次に生まれ変わるなら何になりたい?
C.C. 「久々にサービス問題か」
カレン「まぁ、この答えなら外さないんじゃない」
C.C. :自分
カレン:もう一回自分
スザク:また自分に生まれ変わる
スザク「これは簡単だったね」
カレン「この答え以外に思い浮かばないわ」
C.C. 「アイツが自分大好きっ子というのは皆分かっていたのか」
ルル「再び俺に生まれ変わりたいな」
C.C. :○
カレン:○
スザク:○
C.C. 「なんで『してやったり』な顔で答えてるんだあの馬鹿は」
スザク「うわぁ…なんか当たっても達成感が全く感じられないなぁ」
カレン「今まで一度だって達成感のある回答なんてあった?」
スザク「………。」
スザク「そういえば立て続けに200問とか疲れるよね。休憩とか無いのかな?」
C.C. 「…おいそこ、上手く誤魔化せたとでも思ってるのか」
『ミャンマー』を噛まずに早口で何回言える?
C.C.「……なんだこの質問は」
カレン「不毛なのは今に始まった事じゃないでしょ?」
スザク「あ、これ結構難しい。ちょっと二人とも目標10回くらいで実際にやってみて」
C.C.「フン、くだらん…。
ミャンマー、ミャンマー、ミャンマー、ミャンマー、ミャンマー、
ミャンマー、ミャンマー、ミャンミャー、ニャンミャー……!?」
カレン「後半ネコみたいになってたわよ」
C.C.「そういうなら、試しにお前もやってみろ」
カレン「こんなの楽勝よ。
ミャンマー、ミャンマー、ミャンマー、ミャンマー、ミャンマー、
ミャンミャー、ミャンミャー……!?」
スザク「ね、ちょっと難しいでしょ!」
C.C.「そこで何故お前が勝ち誇るんだ」
C.C. :7回
カレン:6回
スザク:11回
カレン「これは5回からが鬼門だと思うわ」
C.C.「同感だ。粘って7回くらいが妥当だろう」
スザク「僕はルルーシュって意外と早口得意そうだから賭けてみたよ」
ルル「ミャンマー、ミャンマー、ミャンマー、ミャンマー、ミャンマー、
ミャンマー、ミャンマー、ミャンマー、ミャンマー、ミャンマー、
ミャンマー、ミャンマー、ミャンマー、ミャンマー、ミャンみゃー………」
C.C. :×
カレン:×
スザク:×
C.C.「ルルーシュの癖に意外と粘ったな」
カレン「まさかあそこまで口が廻るのは想定外だったわ」
スザク「う~ん、結構頑張ってたねぇ」
カレン「指揮官ってやっぱりあれくらいスラスラ喋れるものなのかな?」
C.C. 「さぁな。そんなの私の与り知るところではない」
スザク「うわぁ、会話までなんか不毛になってきてる…」
カレン「深夜のファミレスで喋っている若者の話くらい身の無い話ね……」
中間結果の発表です。
C.C. :14問正解
カレン:9問正解
スザク:12問正解
このようになっております。
カレン「意外ね、アンタ結構いいペースで当ててるじゃない」
C.C. 「ふん、当然だ」
スザク「ようやく折り返しかぁ…
まだまだ逆転の芽は皆にあるみたいだし、この点差でも油断できないな」
カレン「でもスザク…もし仮に優勝しても賞品って握手だけなのよ?」
スザク「それ思い出して、今自分でも驚くほどモチベーション下がったよ」
C.C. 「とりあえず休憩させろ、休憩。
心身共にこんなに疲労するとは思わなかったから、せめて主催者は茶くらい出せ」
カレン「私も休憩に一票。 インターバルくらい挟んでみましょうよ」
カレン「……なんか腹立つなぁ」
C.C. 「ふん、まぁいい。
ようやく半分だ、さっさと終わらせて私にアニメを見させろ」
腕立て伏せ、何回できる?
C.C. :0回
カレン:0回
スザク:0回
C.C.「お前らという奴は…いくらなんでも0回は無いだろう」
カレン「そんな事言ってるアンタも同じ答えじゃない」
C.C.「私のは博打だ」
カレン「私も正直コレは無いと思うけれど、まぁギャンブルもたまにはね」
スザク「え、僕ホントにこの答えだと思って書いたけど?」
実際にやってもらった。
ルル「ふっ、くっ………ふんっ………! ふぅ、ふううううううう!」
スザク「うわぁ…」
カレン「これは、なんというか……」
C.C. 「骨粗鬆症でも患っているのか、こいつは」
ルル「きょ、今日はどうにも体調不良でな。今日のところだけは0回だ!」
C.C. :○
カレン:○
スザク:○
C.C.「なぁ」
スザク「どうしたの?」
C.C.「なんでアイツ、最後にどや顔で〆たんだ?」
ナナリーに彼氏ができたと報告されました。
そのとき、どんな返答をする?
C.C. 「あのシスコンには酷な質問だな」
カレン「でもいつかナナリーにも彼氏とか出来るんだろうし…どんな返答するんだろう」
スザク「過激じゃなければいいんだけどね」
C.C. :名前を聞いて身辺調査
カレン:「おめでとう」とかで素直に祝福
スザク:心筋梗塞で死ぬ
カレン「これ意外とスザクの答えが一番近いような気がして怖いわね…」
ルル「名前と住所、そして外見の特徴を聞く。
あとは二度と日の光が当たらない場所まで俺が導いてやるだけだ」
C.C. :×
カレン:×
スザク:×
C.C. 「おい、私のは正解じゃないのか?」
MC :完全一致で正解ですので、残念ながら不正解でございます
カレン「いやでも、結構イイ線いってたじゃない」
スザク「さすがにショック死は無いか…それを聞いて安心したよ」
C.C. 「まぁ正直、実際一番ありえそうなのがスザクの回答だと思うわけだが」
カレンの好きなところは?
カレン「……ふぇっっ!?」
C.C. 「これはまた斬新な切り口の質問だな」
カレン「え、ちょっと、何これ」
スザク「普段ルルーシュが君をどう見ているのか分かる質問でもあるね」
カレン「こ、これちょっと答えづらいんだけど…」
C.C. :従順、犬っぽい
カレン:気配り上手
スザク:胸
カレン「おいそこの天然パーマ表に出ろ」
ルル「むn……ゼ、ゼロに従順なところだな。犬っぽいのも良い」
C.C. :○
カレン:×
スザク:×
C.C. 「ほら、正解だ。流石は私といった所か」
カレン「べ、別にアンタじゃなくて従順なのはゼロにだけなんだから!」
スザク「うわ、とってつけたようなツンデレの台詞」
カレン「うっさい!」
スザク「次は僕か」
カレン「簡単そうに見せかけて、なかなか悩むわね」
C.C. 「どうせ筋肉とか上腕二等筋とか乳酸的なとこだろう」
カレン「あとは背筋とか腹筋とかのたくましさじゃない?」
スザク「なんで筋肉のみを抜粋してくるかな」
C.C. 「スザク、人は自分に無いものを欲しがる業深き生き物だ。
あいつに無くてお前にあるもの、それは何か分かるか?」
スザク「き……筋肉……!」
C.C. 「そういうことだ」
カレン「どういうことよ」
では、回答の方をオープン!
C.C. :友達でいてくれる
カレン:友達なところ
スザク:筋肉
C.C. 「まさか真っ正直に受け止めるとは思わなかったぞ」
カレン「本当に筋肉って書いちゃうなんて…」
スザク「は、嵌められたのか、僕は……」
ルル「友達だ、それだけで充分だ」
C.C. :○
カレン:○
スザク:×
C.C. 「スザク、何か言うことはあるか?」
スザク「乳デカお化けに尻垂れババァ」
C.C.&カレン(小学生の悪口か……)
C.C.の嫌いなところは?
C.C.「おい、この問題だけ他と毛並みが違うんだが?」
カレン「これはまた答えるのが難しいなぁ」
スザク「僕らの答案=普段C.C.に対して思ってる事 みたいになりそうだからね」
カレン「勘ぐられない程度に上手に答える必要があるわね」
C.C.「…お前らの回答を見るのが少々怖くなってきたんだが」
C.C. :ちょっと寝すぎるところ
カレン:自分のカードで勝手にピザを買うところ
スザク:尻丸出しの格好でベッドに転がってるところ
ルル「………アイツには小言をよく言うが、嫌いな点など無いな。」
C.C. :×
カレン:×
スザク:×
C.C.「………」
カレン「ねぇ、C.C.」
C.C.「…なんだ」
カレン「そのはにかんだ顔、なんか可愛くてムカつくんだけど」
C.C.「別にはにかんでなんかいないぞ」
スザク「素直じゃないなぁ。予想外の回答で嬉しかったんでしょ?」
C.C.「……五月蝿いぞ」
ルルーシュが最近ハマっている事は?
C.C. :半身浴
カレン:書庫の整理
スザク:筋トレ
カレン「うわぁ、もう心底どうでもいいわねこの質問」
スザク「まぁまぁ。ようやく終わりも少しだけ見えてきたから頑張ろうよ」
C.C.「ほらMC、さっさと回答を発表しろ」
ルル「……半身浴。 エッセンシャルオイルを何滴が浴槽に入れるのがいい」
C.C. :○
カレン:×
スザク:×
C.C.「寝たら忘れる知識が一つ蓄えられたな」
カレン「それって蓄えたって言えるの?」
スザク「知っても損得の無い知識か、まぁいいんじゃない。
僕も今日寝たら多分忘れていると思うけれど」
ルルーシュの一番得意な真似は?
C.C.「これは正解の自信があるぞ」
カレン「アイツの物真似とか想像できないんだけど…」
スザク「う~ん、多分これかなぁ?」
C.C. :ナナリーの声っぽく「お兄様」
カレン:寝起きのC.C.
スザク:ナナリーの声真似
カレン「なんか二人とも答えが似通ってるように見えるんだけど」
スザク「いや、なんか学校の空き教室でこっそり真似してるの見た事あるし」
C.C.「私は部屋の自室でポージングしながら真似してるのを見たぞ」
カレン「それはまた壮絶なものを見てしまったのね」
ルル「ナナリーの声を真似るのは結構得意だ」
Q:では、実際にやってもらいましょう。
ルル「……ウォ、ウォニイサマー!!」
C.C. :○
カレン:×
スザク:○
カレン「ちょっとwwwwww何アレwwwwwwwwいかつい声wwwwww」
スザク「クオリティが前に見たときよりも下がっていたね」
C.C. 「おそらく若干の照れが入ってしまったんだろう。声にキレが無い」
スザク「それは言えてるね。前はもっとこう、語尾の声の伸びが良かった気がする」
C.C. 「それに顔も似せようとしていなかった。
次に見るときはもっと万全の状態で見せてほしいものだ」
スザク「うん、次に期待だね」
カレン「やめてよwwwww 真面目に論議しないでwwwwwwwwwwww」
ついつい見てしまうテレビ番組は?
スザク「ルルーシュがテレビ見ている印象ってあんまりないなぁ」
C.C.「これは何となく予想はつくな」
カレン「まぁ無難にこの辺りでしょ」
C.C. :ニュース
カレン:ニュース
スザク:水曜どうでしょう?
ルル「つい、か。それならsakusakuだな。
ニュース見ながらよくザッピングしている」
C.C. :×
カレン:×
スザク:×
C.C.「言われてみれば、アイツはよくニュース中にザッピングしていたな。
そうか、sakusakuか。一緒にテレビ見ているのにすっかり失念していた」
カレン「また絶妙にローカルなところをついてくるわね」
スザク「…初めて聞いた番組なんだけど」
カレン「そう? 私は残り50問すら多いと思うんだけれど」
スザク「ここまで来れば後は気力だね」
C.C. 「ほら、MC。さっさと問題を出せ」
50メートル走を計測するとゴールまで何秒かかる?
C.C.「流石に足まで遅くはないだろう」
スザク「いやぁ、さっきの様子だと分からないよ?」
カレン「運動音痴は足も遅い、これって結構鉄則よね」
C.C. :6秒
カレン:8秒
スザク:7秒
カレン「結構バラバラの答えになってるわね」
C.C.「これだと三人のうち誰かは当たっているだろう」
スザク「そうだね~。みんな無難なラインを攻めてる感じだし」
実際にやってもらった
C.C. 「しかし、ルルーシュも不平不満を漏らさずよく頑張るものだ。
ナナリーの命でも開催者に握られてるのか?」
カレン「確かにここまで素直なアイツって気味悪さすら感じるわね」
MC:位置について、よーい、ドン!
ルル「!?」 ズベシャッ
カレン「ちょwwwwww顔面からこけてるわよアイツwwwwwwwwww」
C.C.「また思いっきり体を張ったネタを仕込んできたな…」
スザク「いや見てよ、涙ぐんでる。あれきっと本気だよ」
カレン「あははははははははwwwwwwwww ・・・・・えっ?」
C.C.「…………」
計測時間:12秒48
C.C. :×
カレン:×
スザク:×
C.C.「………」
スザク「………この記録ってドラえもんより遅いんじゃないのかな」
カレン「………つ、次! 次に行きましょう!!」
C.C.・カレン・スザクの中で
一晩みっちり抱いてもいいと思うのは?
C.C.「おい、なんだこの質問は」
カレン「何よこれ! セ、セクハラじゃない!!」
スザク「驚くほど分かりやすい本命・対抗馬・大穴の図になってるね」
C.C. :C.C.様
カレン:C.C.
スザク:カレン
カレン「アンタ…その自信はホントに一体どこから湧いてくるのよ?
頭沸いてんの? フットーしちゃいそうなの?」
C.C.「失敬なヤツだ。これは私以外に考えられないだろう?」
ルル「…………………………カレン」
C.C. :×
カレン:×
スザク:○
カレン「ちょっとおおおおおおおおおおおお!!」
スザク「うわぁ…これきっと苦渋の決断だったろうね」
C.C.「……」
スザク「笑えばいいと思うよ」
カレン「苦笑いが精一杯よ」
C.C.「……」
カレン「まぁ、横で頭を突っ伏している人がいるんだけれどさ。
触らぬ神に祟り無しの扱いでいいの?」
スザク「アレは相当恥ずかしいだろうね。
抱かれたい人で自分を指した上に回答を外すなんて常人じゃ出来ないよ。
僕なら片眉を剃ってしばらく山に篭るね」
C.C.「……」
カレン「……! ちょっと、C.C.! その手に持ってる剃刀はどっから持ってきたの!!」
C.C.「………もう私に残された選択肢はコレしかないんだ」
スザク「早まっちゃ駄目だよ! 片眉を剃るなんて恐ろしい発想は止めるんだ!」
カレン「アンタどの口がそんな事ほざいてんのよ!
いいから早くC.C.を止めるの手伝ってってば!!」
ルル「その…なんというか、初々しさがあるような気がしてだな」
カレン「いやああああああああああああ!!」
スザク「おっと、さすがの僕も真顔でこんなの言われたらフォローできないよ」
カレン「ちょっと、どうすんの! ホントにあいつの顔見れなくなってきたじゃない!」
C.C. 「…おい、MC.『C.C.を選ばなかった理由』を聞け」
MC :残念ながら回答者の方々の個人的質問にはお答えできません
C.C. 「くっ…!」
C.C.・カレン・スザクの中で
抱かれてもいいと思うのは?
カレン「え、なにこれきもちわるい」
スザク「嫌な予感しかしないんだけどなぁ…」
C.C.「流石にこれはサービス問題だろう」
C.C. :スザク
カレン:スザク
スザク:僕だったら嫌だなぁ
ルル「……………………………C.C.」
C.C. :×
カレン:×
スザク:×
C.C. 「……ん?」
スザク「いや、流石にこれは僕も予想外だったよ」
カレン「wwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwww」
C.C.「おいカレン、笑いすぎだ」
カレン「だって・・・だって、アンタ!女の子でコレに選ばれるとかwwwwww」
C.C.「…おい、MC! 選んだ理由を貧弱シスコン坊やに聞いてみろ!」
Q:ちなみに、なぜ彼女を選んだのですか?
ルル「……優しくしてくれそうだから、だな」
カレン「きwwwwwもwwちwwっわるいwwwwwwwwwwwwwww」
スザク「ねぇ、C.C.」
C.C.「慰めの言葉以外で頼む」
スザク「それを封じられたら、僕にはかける言葉が見つからないや」
C.C.「…そっとしておいてくれ」
ルルーシュが女性を見て最初にチェックする部分は?
C.C. :髪
カレン:髪
スザク:目
C.C.「まぁ、初めの方で答えたフェチ回答から推測するにコレだろう」
スザク「なるほどなぁ。前の答えを参考にするアイデアは失念していたよ」
ルル「……体全体だな。スタイルの良し悪しは否が応にも目に入るだろう」
C.C. :×
カレン:×
スザク:×
C.C.「そう来たか」
カレン「普通の回答すぎるわね」
スザク「確かに妙な肩透かし感を覚えたのは否定できないね」
C.C.・カレン・スザクの中で
一番エッチだと思うのは?
C.C.「おいやめろ、この手の質問は傷しか負わないぞ」
スザク「正確には答えに選ばれた人しか傷負わないけれどね」
C.C. :カレン
カレン:C.C.
スザク:C.C.
C.C.「…まぁ、いいだろう。問題はあの馬鹿の回答の方だ」
ルル「何となくだが、カレンだな。耳年増っぽい印象がある」
C.C. :○
カレン:×
スザク:×
カレン「むっつりスケベに言われたくは無いわね」
C.C.「おお、なんか久々に正解したような気がするぞ」
スザク「何気にひどい事言われてるけど、どうなの?」
カレン「まぁいいかって許容してるわ」
C.C.・カレン・スザクの中で
一緒にいて一番疲れるのは?
C.C. :カレン
カレン:スザク
スザク:C.C.
スザク「これはまた綺麗に分かれたね」
C.C. 「スザク、私とあいつは一緒に住んでいるんだぞ?
そんなワケあるはずないだろう」
スザク「いやぁ、分からないよ?
どこの家庭でも何かしらの我慢とかしてると思うし、
そう考えるとルルーシュも例外じゃないんじゃない?」
C.C. 「な、なんだその妙な説得力は!」
ルル「…スザク、かな。活発さと空気を壊すあの勢いに稀についていけなくなる」
C.C. :×
カレン:○
スザク:×
スザク「やっぱりね」
C.C. 「あれだけ語っておいて何が『やっぱりね』だ」
カレン「何気に正解しちゃったけれど、まぁ妥当な答えじゃないの」
C.C. 「空気の読めない男は確かに一緒にいて面倒なところもあるからな」
スザク「え、僕いつも空気凄く読んでいるつもりだよ?」
カレン「その発言がすでにエアーリーディング出来ていないんだけれど…」
C.C.・カレン・スザクの中で
一番世話になっているなぁと思うのは?
カレン「ようやくあと20問ね…」
スザク「ねぇ、これ終わったら皆で適当にご飯食べようよ」
C.C. 「悪くない案だな。当然、発案者である男のお前が奢ってくれるんだろう?」
スザク「え、折半に決まってるじゃん」
カレン「アンタ……」
C.C. 「この企画が終わったら直帰する事が今決まったな」
答えの方を出してくれると非常にありがたいんですが…
C.C. 「今すぐ出すつもりだから、そう焦るな」
C.C. :カレン
カレン:スザク
スザク:カレン
スザク「ここは鉄板だろうね」
C.C. 「本来なら私と答えるつもりだが、まぁ順当に当てにいった結果がこれだな」
カレン「な、なんかそう言われると照れちゃうわね…」
ルル「C.C.だ。世話も確かにしているが、それ以上に支えてもらっているからな」
C.C. :×
カレン:×
スザク:×
C.C. 「そ、即答か」
カレン「うわ。 C.C.、アンタ顔真っ赤」
スザク「見ているこっちが恥ずかしくなるね」
ルル「それと、お前にも随分世話になっているな」
MC:あらあら、何の話でございましょうか?
ルル「いつも感謝しているよ、咲世子」
MC:今日の私は謎のMCでございます、いったい何の事やら?
ですが、有り難きお言葉です。今宵の夕飯は期待しておいてください。
C.C. 「ああ、このMCの声はどこかで聞いたことあると思っていたら」
カレン「ルルーシュの家の使用人だったのね」
スザク「なんというか、こう、聞いててクセになりそうな声質してるね。このMCの人」
カレンに一度だけ何でも言うことを聞かせられるなら、何と願う?
C.C. 「これは十中八九、エッチな事だな」
スザク「C.C.もそう思う?」
C.C. 「当たり前だ。
抱きたい女に選んだ奴にこのシチュ、男ならエロいことしないワケないだろう」
スザク「さすがはC.C.。男心を分かっているね、伊達に歳くってないわけだ!」
C.C. 「やはりお前は一言多すぎる」
カレン「あのねぇ、そんなの言われたら当事者はどうすりゃいいのよ!」
C.C. 「黙ってエロいことしてやれ」
スザク「笑いながら乳を見せればいいと思うよ」
カレン「アンタらって奴は…」
C.C. :セ【自主規制】
カレン:マッサージ
スザク:バ【自主規制】
カレン「あんたら何とんでもないこと書いてんのよ!」
スザク「ああ、C.C.そっちかぁ。」
C.C. 「お前もいい線いってると思うぞ。
私も正直コレかお前の答えの二択だったからな」
カレン「お願い…ルルーシュだけはまともであって頂戴……」
ルル「もっと、こう、淑やかになってほしいと願うだろう」
C.C. :×
カレン:×
スザク:×
スザク「なんだ」
C.C. 「つまらん奴め」
カレン「アンタら、もうすぐ終わるからってはっちゃけて来たわね…」
スザクに一度だけ何でも言うことを聞かせられるなら、何と願う?
C.C. :空気読め
カレン:空気読め
スザク:重い荷物を運べ
スザク「えっ」
C.C. 「一択だな」
カレン「ええ、一択しかなかったわ」
ルル「もっと落ち着いた行動をとるように、だな」
Q:理由は?
ルル「空気を読むようにとも思ったが、そもそも最初から無いスキルに期待は出来ない。
だとすれば空気の読まなさを緩和する事が可能な行動をさせるのが一番だ」
C.C. :×
カレン:×
スザク:×
C.C. 「ほぅ、至極真っ当な回答だな」
カレン「なんか今日初めてルルーシュらしいところを見たような気がする」
スザク「何気にひどい扱いだなぁ…」
C.C.に一度だけ何でも言うことを聞かせられるなら、何と願う?
C.C. :膝枕してくれ
カレン:働け
スザク:膝枕しろ
C.C. 「なんか無駄なシンクロを垣間見た気がしたんだが」
カレン「凄いわね、こんな答えが被ることもあるの」
スザク「カレン、君の意見もなかなか辛辣だね」
カレン「私の意見は一般論よ」
C.C. 「まぁ、あいつは何気に甘えたがりだからな。
体裁を取り繕わない場であれば、こんな事を頼みそうなものだが」
ルル「h…いや、働け。コレだな。
食っちゃ寝の生活でピザばかり食べて太らないのが不思議で仕方ない」
C.C. :×
カレン:○
スザク:×
C.C. 「ふふん、私は魔女っ子だからな。
食べた分の脂肪は愛に変わって皆に降り注ぐに決まっているだろう」
スザク「またパンチ効いたきっつい台詞を誇らしげに言うねぇ」
ルルーシュは童貞?
スザク「簡単だね」
カレン「こんなの楽勝じゃない」
C.C.「ふん、この質問はどうせなら序盤に持ってこい」
C.C. :ノーコメント
カレン:童貞
スザク:童貞
ルル「それは、その……ノーコメントだ」
C.C. :○
カレン:×
スザク:×
スザク「ほら、童貞だ」
カレン「コメント無いのになんで決め付けてるのよ、まぁ童貞だろうけれど」
C.C.「体裁を気にする実にアイツらしい回答だった」
最後に、ルルーシュから回答者の一人にメッセージがあるようです。
いったい誰が選抜されたのかを答えてください。
C.C. 「ようやくラスト、か」
カレン「早く帰ってお風呂に入りたいなぁ」
スザク「僕はゆっくり寝転がりたいな。同じ姿勢だったから腰が痛くてさ」
では、ファイナル回答! オープン!
C.C. :「私」
カレン:「私」
スザク:「僕」
カレン「やっぱり自分を選ぶわよね」
スザク「最後くらい何か労いの一言あるかも知れないからね」
C.C. 「さて、最後は一体誰に声がかかるのかな?」
ルル「C.C.。お前を選ぶことにしよう」
C.C. :○
カレン:×
スザク:×
C.C. 「わ、私か…」
カレン「いざって時になんで照れてんのよ」
スザク「さぁ、ルルーシュはどんなメッセージを送るのかな」
C.C. 「ラ、ラブコールとかだったら、ちょっと…困るぞ……」
カレン「万が一にもないだろうから安心しなさい」
ルル 「C.C.…」
C.C. 「な、なんだ! よ、用事があるならさっさと話せ」
ルル 「しっかり聞いてくれ」
C.C. 「改めて話すようなこと、なのか?」
ルル 「伝えたいことがあるんだ…」
C.C. 「は、はぃ……」
ルル 「プリンの恨み、俺はしばらく忘れないからな…」
C.C. 「は、はい! ・・・・・・ん?」
以上を持ちまして、200の質問を終わります!
C.C. 「え、おい、ちょっと待て。さっきの歯切れ悪すぎるだろう」
カレン「もういいわよ、別に歯切れの良し悪しはさぁ。
帰ってのんびりできるならそれでいいわ」
スザク「いやぁ、ホント長丁場だったねぇ。
予想以上に拘束時間が長くて驚いたよ」
では、全200問のうちに御三方は一体どれだけ正解できたのか!
結果発表です!!
【1位】C.C. :31問正解
【2位】スザク:26問正解
【3位】カレン:23問正解
カレン「まぁ、納得の正解率だったからね」
スザク「う~ん、悔しいなぁ」
C.C. 「ちなみにお前ら。 これで1位になったら何が貰えるのか覚えているか?」
カレン「何だっけ? もう後半あたりから記憶も曖昧よ」
スザク「僕も覚えてないなぁ。
あんまり頑張ろうとは思えない賞品だったのは間違いないと思うんだけれど」
『ルルーシュ様との握手権』を差し上げちゃいますー!
おめでとー! おめでとーございまーす!!
スザク「……お疲れ様」
カレン「……あ、お疲れ。私も先に上がるわね」
C.C. 「おいお前ら。ここまで一緒に戦った仲間だろう?
せっかくなら最後まで付き合え」
スザク「また別の企画があったら呼んでね、お先に失礼」
カレン「今度ピザ持ってアンタの部屋行くわ。
その時にでも詳細聞かせてね。私がそれを覚えてたらの話だけれど」
C.C. 「本当に帰ってしまった…薄情者ばかりだな……」
MC :では、C.C.様が同じ立場だったらどうされてました?
C.C. 「直帰に決まっているだろう。愚問だな」
C.C. 「そうか……うん、愚問だったな。」
C.C.「入るぞ」
ルル「開いている、勝手に入れ」
ガチャッ
ルル「ほぅ、お前だったか」
C.C.「意外か?」
ルル「いや、別に。お前かスザクのどちらかとは思っていたが、お前の方だったか」
C.C.「ふん、簡単な質問ばかりで飽き飽きしていたぞ」
ルル「そこまで言うなら正解率も相当なものだろう?
どの程度まで答えることができたんだ?」
C.C.「145問正解だ。余裕の楽勝だ」
ルル「…いや、流石にもっとバレない嘘をつくことくらい頑張ってほしいぞ」
C.C.「ああ」
ルル「あえて聞こう。 …本当に欲しいか?」
C.C.「いらん」
ルル「即答か」
C.C.「まぁ、お前も長時間ご苦労だったな」
ルル「大した事は無い。普段の騎士団に関する業務に比べればバカンスみたいなものだ」
…なんだ? 労ってくれているのか?」
C.C.「そんなワケあるか。ただの気まぐれで聞いただけだ」
今日の私はたまたまギアスにかかり易い体質になっていてだな」
ルル「一回しか効かないギアスにかかり易いも難いも無いと思うが」
C.C.「そういう体裁、というやつだ。
もしかしたら、今日頑張ったお前に何か一つだけ言うことを聞いてやるやも知れんぞ?」
ルル「……ふん」
C.C.「またとない機会だ、『働け』以外なら請け負ってやってもいいぞ?」
ルル「……それだったら、そうだな。俺は」
ルル「五月蝿いぞC.C.!ギアスが効いているのなら黙って現状を維持しろ!」
C.C.「…はいはい」
C.C.「なぁ、ルルーシュ」
ルル「なんだ?」
C.C.「プリン食べたこと、すまなかったな。今度弁償するよ」
ルル「…俺も言いすぎた。つまらない事で怒ってすまない」
C.C.「そうか、これでおあいこだな。私は謝り、お前は許した。万々歳だ」
ルル「お前…なんて奴だ」
C.C.「当然だろう? 私はC.C.だからな」
ルル「…なんだ?」
C.C.「201番目の質問だ」
ルル「…答えてやろう」
C.C.「私の膝枕、どんな感想だ?」
ルル「…ふん」
ルル「お前の膝枕の感想はな、―――――」
C.C.「……恥ずかしい奴め」
―終―
以前二月の半ばにスレを立て、そこで番外編として書いたものなので
季節外れのネタは広い心で受け取っていただけると幸いです。
ルル「おい、C.C.」
C.C.「なんだルルーシュ。深刻な顔をして」
ルル「俺にチョコレートをくれないか」
C.C.「……は?」
ルル「ついに耳まで遠くなったか。
繰り返す。 俺にチョコレートをくれないか」
C.C.「私の鼓膜は変わらず好調だ。
ただ幻聴が聞こえたかと思って呆気に取られていただけだ」
ルル「ほぅ、一体どのような幻聴が聞こえたというのだ?」
C.C.「お前がチョコがどうこう言っていたんだが、
流石に私も日頃の激務で疲れているのかな」
ルル「まさにそういう事をお前に頼んだんだが。
それとお前の生活を激務というのなら、
ナマケモノだってまともに木にぶら下がるだろうに」
C.C.「その問いに答える前に、こちらから一つ聞いてもいいか?」
ルル「質問を質問で返すのは愚か者の所業だぞ、C.C.」
C.C.「じゃあやらん」
ルル「……いいだろう、何が聞きたい?」
C.C.「なぜお前は突然チョコを欲しがったのだ?」
ルル「ふん、簡単なことだ」
ルル「バレンタインにチョコを貰えなかったからに決まっているだろう!」
ルル「ああ、知っているとも。 Feb.19 だ」
C.C.「…バレンタイン・デイ・アフター・トゥモローとか言って
冗談交じりにチョコを催促できる期日すら過ぎているんだが」
ルル「そんなのは些事だ。
俺がチョコを貰っていない2月14日など、ただの製菓会社の祭りの日なだけだ」
C.C.「世間一般ではそれをバレンタインと呼んでいるワケなんだが」
ルル「五月蝿いぞ、C.C.!
返答を聞こう…くれるのか、くれないのか!? どっちなんだ!」
C.C.「…お前、今年のバレンタインは何をして過ごしていたんだっけか?」
ルル「生憎今年は休日だったんでな。学校へと行く機会も無かったので、女学生からのチョコは無かった。
しかもゼロとしての仕事がその日に限って激務で、ほぼ丸一日仮面を被って過ごしていた」
C.C.「…カレンからのチョコは?」
ルル「中華連邦で紅蓮のパイロット訓練がどうこうとの事で、イレブンには居なかったぞ」
ルル「…普段の俺なら、バレンタインなどに気を取られている場合ではないと律するさ。
…だが、毎年のこの時期を思い出してみると、いつもナナリーからのチョコが貰えたんだ。
…今年はナナリーからチョコが貰えない。」
ルル「そう思うと無償にチョコが欲しくなったんだ」
C.C.「お前がそう感じたのはいつの日だ?」
ルル「2月15日だ」
C.C.「後の祭りじゃないか」
ルル「そうして悶々と過ごしていると、もうバレンタインから一週間が経過しそうになっているじゃないか」
C.C.「まぁ今日の段階で既に5日も過ぎているからな」
ルル「だが、こんな話を今更他のヤツに話すことは出来ない!
ましてや性別が♀に分類される者に話すことが出来ようか!?」
C.C.「……私も一応、生物学上では女に分類されるわけなんだが」
ルル「そこは俺とお前の仲だろう、C.C.?」
C.C.「私とお前の仲、だと?」
C.C.(馬鹿者、こんな言葉でドキドキさせるんじゃない…!)
ルル「俺とお前は共犯者だろう?」
C.C.「…ん?」
C.C.「ま、まぁそういう事になるのか」
ルル「その片割れがこんなにもチョコの事で心が張り裂けそうになっている」
C.C.「見ていて非常に見苦しくもあるが」
ルル「そんな時、お前は俺に何が出来る!?
最善の策はチョコを渡すというたった一つの冴えた方法に凝縮されているだろう!?」
C.C.「もうバレンタインから5日も過ぎているが、貰っても嬉しいものなのか?」
ルル「ああ、俺にとってはチョコを貰うまでがバレンタインだからな」
C.C.「家に帰るまでが遠足、みたいに言うな」
ルル「なんだ?」
C.C.「今は黒の騎士団本部にいるから仕方ないとして。
お前、ちゃんと家に帰って机の中とかチェックしたのか?」
ルル「何を馬鹿な事を。
そもそも机の中なんて、小物を確認するときくらいしか見る事はないからな」
C.C.「…確かにお前の机の中は整理されていて綺麗なものだったな」
ルル「…どうしてお前が俺の机の中の有様を知っている」
C.C.「わ、私はC.C.だからな。 共犯者であるお前の事など知っていて当然だろう?」
ルル「お前…覗いたな?」
C.C.「いいや、覗いていないぞ」
ルル「おい、露骨に目を逸らすな!」
ルルーシュ、家に帰ったら机の中身くらい確認してみろ。何かいいことあるかも知れないぞ」
ルル「……何の話か分かりらないぞ。
そんな事よりもC.C.。再度問おう!
くれるのか、くれないのか。 さぁ、どっちを選ぶんだ?」
C.C.「わ、私はだな」
ルル「ルルーシュ・ヴィ・ブリタニアが命ずる! チョコをくれ!!」 キィン! ひ
C.C.「私にギアスは効かんと言っているだろう。
…ん?」
C.C.「…なぁ、ルルーシュ」
ルル「どうした?」
C.C.「お前、ギアスで誰かにチョコを貰えば良かったんじゃないか?」
一人に一度しか効かないギアスだぞ?
そんな要求ごときで使うのは愚の骨頂ではないか」
C.C.「…私には躊躇いなくギアスを使った奴がよく言うものだ」
ルル「C.C.。もうこれ以上は繰り返さない。
チョコをくれるのか、くれないのか!!
はっきりしてもらおうか!」
C.C.「今日のお前が醸し出す元気の動力源を知りたいよ…」
ルル「どうしてもチョコが欲しい。 それだけが俺のアンビリカルケーブルだ」
C.C.「ハァ…あのなぁ、ルルーシュ。 私はもうお前にチョコを渡していr…」
C.C.(ん、待てよ…?)
C.C.(中身は虚弱貧弱シスコンもやしっ子だが、生憎外見はそこら辺の男に比べて良い方だ)
C.C.(チョコを貰っていないわけがない…)
C.C.(なのに、何故こうも執拗にチョコレートをねだるのか?)
C.C.(しかも、時期を完全に外したこのタイミングで)
C.C.(もしかすると…)
C.C.「る、ルルーシュ」
ルル「なんだ?」
C.C.「お、お前はそんなに私からチョコを手渡ししてほしかったのか…?」
ルル「別にそういうわけでは…」
C.C.「ふふん、私のような才色兼備の女性が近くにいてチョコを貰えなかったのがショックだったか?
全く、これだから色づいたお坊ちゃんは対処に困る」
ルル「いきなりモジモジし始めたお前の方が、どう見ても対処に困ると思うんだが」
C.C.「誰からも貰えなかったからと言って一番手頃な相手に頼るとは嘆かわしいなぁ。
まぁ、寛容な私だからこそ聞いてやった頼みだと思え」
ルル「いや、だから別にそこまでお前に求めているワケでは…」
C.C.「じ、時期は外してしまったのは仕方ない。 お前も何かと忙しい身なのは重々承知している。
今回…だけ、だぞ」
ルル「はぁ・・・もういい…って、何!?」
C.C.「こ、今回だけチョコをあげてもいいと言ったんだ」
ルル「本当か、C.C.!」
C.C.「ああ」
ルル「『冗談だ』とかは無しだぞ?」
C.C.「ああ」
ルル「チロルチョコとかではなく、ちゃんとラッピングされているものだぞ?」
C.C.「ああ」
ルル「『実はすでに私の胃袋に入っているから、息だけでも嗅いでおけ』とかもだぞ?」
C.C.「そこまでサディストではない」
ルル「本当の本当なんだな!?」
C.C.「ええい、そんなに反芻されたら恥ずかしくなるだろうが!」
C.C.「え?」
ルル「まさか今持ち合わせていないとでもいうのか?」
C.C.「そ、それはそうだ。
そもそもバレンタインを過ぎてからチョコを催促されるなんて思ってもなかったからな」
ルル「では、今すぐには渡すことは出来ない、と」
C.C.「まぁそういう事になる」
ルル「……チッ」
C.C.「おい、舌打ちはやめろ。 …地味に傷つくから」
この胸に宿るモヤモヤとした何かを晴らす為には、現状で早急に甘味を食す必要がある」
ルル「それなのにチョコを持ち合わせていないなんて…お前は本当に共犯者として失格だ!
もう姿や形は問わん! お前の年齢から考えて羊羹とかでも構わないから!」
C.C.「あぁもう、駄々っ子か貴様!
しかもなんで私の年齢から羊羹を想像した! レディに対して失礼すぎるだろ!」
ルル「喧しいぞ年齢不詳!」
C.C.「兎に角…家まで待っていろ、私が送る最高級のチョコが用意してあるから」
ルル「待てん!」
C.C.「くそぅ、なんでこういう時に限って押しが強いんだ、お前!」
C.C.「…そんなに元気の有り余るお前を見るのは久しぶりだな
こんな形で見る羽目になるとは予想だにしなかったが」
カレン「ちょっと、五月蝿いわよアンタたち!
外までしっかり音漏れるくらい何をしてんのよ!!」
ルル&C.C「!?」
ルル「なんだ、カレンか」
カレン「なんだとは随分な言い方ね。私じゃ何か問題でもあったの?」
ルル「まぁいい。とりあえず何も言わずチョコをくれ」
カレン「………は?」
C.C.「実はだな、カレン。この馬鹿は今頃バレンタインを…」
ルル「ああ、大好きだ。
俺の大好きな甘味類をお前から貰うと、今日はより美味しく感じるだろう」
カレン「え、ちょ、何!? ど、どうしちゃったの!?」
ルル「俺たち黒の騎士団に穏やかに流るる日々など、今は有り得ない。
だからこそ、味覚から心を幸せにする甘味が俺は恋しいんだ。
その形で一番求めているのがチョコレートなだけだ」
カレン「へ、へぇ…」
ルル「そこに、信頼と信愛を兼ねる者からの贈り物でチョコレートを貰ってみろ。
その幸せはミカン畑3ha分は容易いだろう」
カレン「その幸せの計算法はイマイチ理解しかねるけど……って、信愛!?」
ルル「カレン…お前(からチョコ)が欲しい…」
カレン「ふ、ふえぇぇぇぇえ!?」
C.C.「ルルーシュ、一番大事な部分をなぜ省略した?」
今更「バレンタインだからチョコくれ」なんて頼みごとが出来るわけないだろう!!)
C.C.(お前…あれほど私に食いついて頼んだ癖に、今頃体裁を取り繕うとかどういう事だ)
ルル(頼めたのはお前だからに決まっているだろう、常識的に考えて)
C.C.(私はお前の常識が汲み取れないよ…)
ルル(いいか、ここで正直に言ってみろ!
「え~、ルルーシュってバレンタインにチョコ一つも貰ってないんだ」とか
「結局顔ばかりじゃ男のステータスには足り得ないのね」とか言われて、
俺の鉄の心はボロボロになってしまうだろうが!)
C.C.(それはまた随分と錆び付いた鉄の心だな。
…お前のカレンに対する信頼性とやらは、あまり高くは無いことだけは分かったよ)
カレン(…何をヒソヒソと話してるんだろう?)
…ルルーシュから?)
カレン「ルルーシュから告白ぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅ!?」
ルル「突然どうした? そんな大声を上げて」
…ルルーシュから?)
カレン「ルルーシュから告白ぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅ!?」
ルル「突然どうした? そんな大声を上げて」
ルル「彼女…何の話だ?」
カレン「ふぇっ?」
ルル「それよりも、顔の赤さと動悸の荒さがとんでもない事になっているぞ」
カレン「こ、これはアンタが!!」
ルル「俺が?」
カレン「…もういい! 知らない、馬鹿!」
ルル(よく分からないが罵倒されてしまった…)
C.C.(自業自得というものだよ、坊や)
カレン…お前は私にチョコを渡せるほどの逸材か?」
C.C.「また随分と大層な言い方だな」
カレン「チョコ? あ、ああ…そういう話をしてたわね。
丁度良いタイミングだったし、そこで待ってなさい、ルルーシュ」
C.C.(何っ!? アイツ、いつの間にチョコを用意していたんだ!?)
ルル「おお! 本当かカレン!
流石は俺の右腕だ、信じていたぞ!!」 ガバッ
カレン「キャッ! きゅ、急に抱きつくな変態!!」 ガスッ!!
カレン「す、すぐ戻ってくるから待ってて」
ルル「………」
C.C.「…戻ってくるまでに息を吹き返すかどうかが問題だな」
カレン「はい、アンタの求めてる物ってコレでいいの?」
ルル「お、おお…これはゴ○ィバの高級チョコじゃないか!」
カレン「紅蓮の修繕が終わって、さっきまで開発陣の慣らし運転に付き合っていてね。
ラクシャータさんから『今日の報酬よ』って貰ってたの。
封を開けずに部屋の冷蔵庫で保存してて良かったわ」
ルル「おお……おおぅ……おおおぅ……」
カレン(…まさかチョコ一つで泣かれるとは思わなかったわ)
カレン「それじゃあ、私はこの辺で失礼するわね。 まだ用事が残っているし。
アンタ達もくだらない事でいちいち大声出さないように」
ルル「ああ、善処する」
ルル「ありがとう、カレン」
カレン「…どういたしまして」
ルル(部屋を出る際、あいつの顔が林檎みたいに真っ赤だったな。
流石に日頃の訓練とかで疲れているのか? …今度休みでも取ってやるか)
C.C.「……」
ルル「流石はカレン。 俺の要望には完璧な形で答えてくれる」
C.C.「……」
ルル「それに比べて…」
C.C.「わ、私はちゃんとお前の机にだな…」
ルル「ハァ…やはりピザしか脳の無い人間は、スイーツにもタバスコをかけたりするんだろうな…」
C.C.「そんなワケあるか。 ピザはピザでしっかり楽しんで食べてる…って、そうではなくてだな、ルルーシュ」
ルル「なんだ?」
C.C.「おいやめろ、その哀れみすら含んだ目で私を見つめるのは」
ルル「ん? 一体何がだ?」 モクモグ
C.C.「もう食べてるとか手が早いな」
ルル「いやぁ…愛の篭ったチョコは美味しいな。
『チョコやるやる詐欺』でエアチョコを食べる必要性もないからな」
C.C.「エアチョコならまさにフンワリ軽い味がするだろうな」
ルル「やかましい。座布団取るぞ」
C.C.「だからだな、ルルーシュ。
ほら、屋敷に行ったら美味しいチョコがお前の部屋で待っているぞ」
ルル「もう俺はこのゴディ○で充分満足なんだが?」
C.C.「…私からのチョコはもう必要ないのか?」
ルル「ああ、もう俺は胃も心もしっかり満たされたからな」
身の翻しは見事なものだ」
ルル「馬耳東風だ。俺にとっては目の前のチョコこそ全て」
C.C.「そ、それなら…!」
C.C.「わ、私とカレンのどちらから貰った方が嬉しかったんだ?」
ルル「お前…一体何を聞いているんだ?」
C.C.「…なんでもない。
もう眠る。 お前の任務が終わったら起こせ」
ルル「おい、C.C.」
C.C.「ふん」
ルル(…不貞寝か)
C.C.「……zzz」
ルル「まぁ、チョコはこうして手に入ったわけだ」
C.C.「……zzz」
ルル「でも、強いて言えば」
C.C.「……zzz」
ルル「…お前から貰えたら嬉しかったのかも知れない」
C.C.「……」
ルル「…ふん、冗談だ。 さて、任務に戻るとするか」
C.C.「……zzz」
C.C.「…む、いかん。本当に眠っていた」
ルル「今しがた全てのデスクワークも片付いた。 屋敷に帰るぞ」
C.C.「…ああ、分かった」
ルル「あんまり寝起きに目を掻くな。 近視になるぞ」
C.C.「…お母さんか、お前は」
ルル「むしろ介護士の心境なんだがな」
C.C.「………」ゲシッ
ルル「……なぜ内モモを狙って蹴ってくる?」
C.C.「ふん、ダメージ蓄積で疲労骨折しろ」
ルル「全く…さぁ、久しぶりに屋敷へ帰るとするか」
ルル「何故だ?」
C.C.「気分だ」
ルル「そうか…あまり散らかすなよ」
C.C.「分かっている」
ルル「それじゃあ、また明日迎えにくる」
C.C.「ああ、分かった」
ルル「…おやすみ、C.C.」
C.C.「…おやすみ、ルルーシュ」
ルル「なんだ?」
C.C.「屋敷に帰ったら、お前の机の中を調べておけ。損は無い」
ルル「…? まぁ分かった。眠る前に調べておこう」
C.C.「さて、今度こそ用無しだ。 さっさとドア閉めて帰れ」
ルル「本当に傍若無人だな、お前」
C.C.「当然だろう? 私はC.C.だからな」
ルル「さて、自室に帰ってきたのはいいが」
ルル「俺の机には一体何があるんだろうか」
ルル「…流石にびっくり箱みたいなイタズラは仕込まれていないだろう」
ルル「一応、気だけは張っておこう」
ガタンッ
ルル「ん…? 仄かに甘い香りがする」
ルル「それに、箱?」
ルル「メッセージカードまで付いているじゃないか」
ルル「どれどれ、何と書いてあるんだ?」
どうせ誰からもチョコ貰えていないんだろう?
美人からのチョコだ。有り難く思え。
C.C.
ルル「あいつ…」
C.C.「全く…こういうところには非常に鈍感だな、あの童貞坊や」
―終―
支援や感想など非常に励みになりました。感謝感謝。
またの機会に会いましょう
強いていうならなんかあっさり終わりすぎな気もしたがw
~エピローグ~
ラクシャータ「ねぇ、カレ~ン」
カレン「あ、はい」
ラク 「以前あげたチョコ、食べた?」
カレン「いえ、まだ食べていません」
カレン(本当はあげちゃったんだけど…)
ラク 「あら、良かった~。 どうやら間に合ったようね」
カレン「へ? 何の話ですか?」
ラク 「アレね~、消費期限を大幅に過ぎちゃってるから絶対食べちゃダメよ」
カレン「…どのくらい期限を過ぎてるんですか?」
ラク 「そうね~、少なくとも一年近く前の物らしいから…」
カレン「そんな危なっかしいものを人に渡さないでください!」
C.C.「生チョコってどの程度までなら賞味期限が持つんだ?」
C.C.「まぁチョコだし、少なくとも一週間くらい大丈夫だろ」
C.C.「フフ…ルルーシュのやつ、きっと今頃飛び跳ねて喜んでいるんだろうな…」
C.C.「明日の朝には『C.C.…お前はやはり俺にとって必要な女だ…!』なんて言ったりしてな」
C.C.「…おっといかん、顔がニヤけてしまうな」
C.C.「…さぁ、早く迎えに来い。ルルーシュ」
ルル 「ほわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」
咲世子「ルルーシュ様、おトイレからそろそろ出て貰えると有り難いんですが。
もうかれこれ一時間は篭りっぱなしですよ~。 お掃除させてくださ~い」
ルル(チョコなんて……金輪際、絶対に口にしないからな!!)
―劇終―
やっぱC.C.だな
>>1乙
Entry ⇒ 2012.09.08 | Category ⇒ コードギアスSS | Comments (0) | Trackbacks (0)