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高田純次「ふーん、ここが夜見北中? 中学生がいっぱいいるね」

元スレ:高田純次「ふーん、ここが夜見北中? 中学生がいっぱいいるね」
http://hayabusa.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1334847116/
1: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/04/19(木) 23:51:56.87 ID:nuR84H+h0

病院

風見「高田純次君、だよね? 僕は3組のクラス委員をやってる風見智彦。よろしく」

桜木「同じくクラス委員の桜木ゆかりです。こちらは……」

赤沢「対策係の赤沢泉美よ」

高田「僕はトム・クルーズっていうんだ。よろしくね」

桜木「……急な病気で入院してるって聞いて、皆から御見舞いに行こうって話になったんです。私達は代表として来ました」

高田「そうなんだ、花束まで持ってきてくれてありがとう。今度看護婦さんを口説くときに使うよ、それとも君に使おうかな?」

風見「……東京の私立高から来たんだってね。夜見山に来たのは、初めて? 住んだことはない?」

高田「君メガネ似合ってるね。僕がメガネドレッサー賞に推薦してあげるよ、何の縁もないけど」

桜木・赤沢・風見(なんだこいつ……)




4: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/04/19(木) 23:53:34.83 ID:ZPYW75gs0

正直言うと、この発想はなかった


8: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/04/19(木) 23:55:39.64 ID:nuR84H+h0

風見「これ、入院してる間のノート。よければ使って」

高田「助かるね〜、どれどれ……うわ、何書いてるのかわかんないや。レベル高いんだね君達の学校って」

風見「え?」

高田「あ、逆だった。ごめんごめん」

赤沢「……5月には学校に来れるんですってね。早く登校出来ることを願ってるわ、よろしく、純次君」スッ

高田「? こちらこそよろしく」ニギッ

風見・桜木「……」

赤沢「純次君、改めて訊くけど、夜見山に住んだことはない?」

高田「君みたいなおっぱい大きい子見ちゃったら絶対忘れないと思うから、たぶんないと思うよ」

赤沢「!?」バッ

高田「可愛い子ならたくさんいるから忘れちゃうんだけど、可愛くておっぱい大きい子は中々いないもん、ね?」

風見(こっち見るなよ……)

桜木(これは死者であってほしい……)


11: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/04/20(金) 00:02:25.56 ID:UorLJlsc0

夜 

高田「フフフ〜ン♪ っと、勝手に閉まらないでよ、困るな全く」

ガタッ ガー……

高田「フンフンフ〜ン♪ ん、おかしいな? 上りのエレベーターに乗ったはずなんだけど……」

見崎「……」

高田「おっと失礼。あれ、夜見北の制服じゃない。可愛いね、僕今度夜見北に転校するんだ。一緒に登下校しない?」

見崎「……」

高田「なんでまた地下二階なんかに?」

見崎「……待ってるから。かわいそうな私の半身がそこで」

高田「へえ、僕は屋上に行くんだ。可愛い看護婦さんが待っててくれれば良いんだけど、いないんだよね。残念」

見崎(変な人にからまれた……早く降りたい……)


12: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/04/20(金) 00:07:10.34 ID:UorLJlsc0

地下二階

ガチャン

高田「君、名前はなんていうの?」

見崎「……鳴、見崎鳴」

高田「鳴ちゃんか。良い名前じゃない、同じクラスだといいね」

見崎「……」スタスタ

高田「僕は高田純次。石田純一と間違えたらダメだよ? ま、同じくらいカッコいいから間違うのも無理はないけどさ」

見崎(絶対に同じクラスになんてなってほしくない)


14: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/04/20(金) 00:13:39.62 ID:UorLJlsc0

学校

久保寺「とにかく皆と仲良くしてください。何かあったら相談してくださいね。私なり、三神先生にでも」スタスタ

三神「よろしくね、高田君」

高田「4階はないんですね、この学校。やっぱり縁起が悪いから?」

三神「そ、そうでしょうね」

高田「ま、三学年しかないんだから3階しかないのが普通でしょうけどね」

久保寺(おかしなことを起こさないといいのですが……)

教室

高田「高田純次と言います。父の仕事の都合でこちらに来ることになりました。どうぞよろしく」

生徒「……」

高田「13歳から25歳までがストライクゾーンです。ただ、入院したことによって26歳にまで広がる可能性が出てきました」

高田「それでも三神先生が対象になるかはわかりませんけど」

三神「なっ!」

 クスクス ヘンナヤツダナ... ドストライクダロ、ナニイッテンダコイツ フェアジャナイネ


21: >>18の前にこれ挟んでくだしあ 2012/04/20(金) 00:25:31.60 ID:UorLJlsc0

久保寺「……では、高田君はあそこの席に」

高田「はーい」スタスタ

高田(あっ、鳴ちゃんだ)フリフリ

見崎「……」フイッ

高田(あれぇ? ……そうか、周期ってあるもんなあ)

見崎(最悪……)


18: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/04/20(金) 00:20:05.16 ID:UorLJlsc0

綾野「じゅんじっちゃんはどうしてヒゲなんか生やしてるの?」

高田「今度アメリカの大統領選に出ようと思うんだ。ヒゲを生やしたら大統領になれた人がいるくらいだしね」

綾野「あはは、何それー?」

勅使河原「東京からこんな田舎に来るってのも面倒なことになったよなあ」

高田「東京なんて大したことないよ。東京に行ったことないおじいちゃんが言ってた」

勅使河原「おいおい……」

望月「三神先生の家に御世話になってるんだってね」

高田「うん。ところで君は処女?」

望月「えっ!?」

勅使河原「気持ちはわからんでもないが、こいつは男だ」

高田「知ってるよ、それくらい」

望月「もう……」

綾野「じゅんじっちゃんってなんていうかテキトーだよねぇ」クスクス

風見・桜木(溶け込んでる……)


24: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/04/20(金) 00:33:42.87 ID:UorLJlsc0

高田(あれ、鳴ちゃんどっかに行っちゃったのか。うーん……あ、そういえば)

高田「このクラスにツインテールでおっぱい大きい子いるでしょ。あの子は今日どうしたの?」

勅使河原「赤沢か? あいつなら休みだよ。ていうかそんな呼び方本人の前ではやめろよ、気難しいヤツだから」

高田「じゃあなんて呼べばいいのかな、ジュリアン・ムーアに似てる子とか?」

勅使河原「そういう話じゃねえよ……ま、いいや、昼休みに校内案内してやろうか? 話したいこともまだまだあるしな」

高田「可愛い女の子もついでによろしく。あ、このクラスだけで間に合いそうだね」キョロキョロ

勅使河原「ははっ、東京に比べたらそうでもないだろ?」

高田「田舎の中学生はまだギリギリスレてないから処女が多いじゃん」

桜木(うわぁ……)

高田「じゃ、僕は授業始まる前にトイレにでも行ってこようかな」

勅使河原「すぐ戻ってこいよ」

高田(さてと、鳴ちゃんを待つか)


25: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/04/20(金) 00:39:01.37 ID:UorLJlsc0

数分後

高田(来ないなぁ、保健室にでも行ったのかなあ)

久保寺「高田君、授業が始まりますよ」

高田「ちょっと痔が悪化したので保健室に行ってきまーす」タッタッ

久保寺「は、はぁ?」


高田(とはいったものの保健室がどこにあるかなんてわかんないしなあ……うん、屋上に行って寝ようか)

屋上

見崎「……」

高田「あれ、鳴ちゃんもサボリ? 奇遇だね、どうせだからおじさんと日向ぼっこしない?」

見崎(嫌だ……)

高田「絵描いてるんだ。僕もゴッホは好きだよ。ゴッホしか知らないんだけど」

見崎「そういう適当な話し方、嫌い」

高田「昔オランダに行ったけど皆あんまり絵が上手くないんだよね、ゴッホはあんなに上手いのに」

見崎(いっそ現象で死んでもらいたい……)


28: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/04/20(金) 00:45:59.32 ID:UorLJlsc0

見崎「高田純次君、だっけ。クラスの皆からは何も聞いていない?」

高田「何を?」

見崎「……何も知らないのね。私には近寄らないほうが良い、話すのも、もうやめたほうがいい」

高田「えぇ、無理だよ。僕一日女の子と話さないだけで7時間しか眠れなくなっちゃうんだから」

見崎「……とにかくその内わかってくるから。じゃあね、た・か・だ・君」

高田「今の良いね、もう一回言ってくれない? Mっ気がくすぐられそうだよ、おじさんはSとMでいったらLだけど」

見崎(現象とか関係なく死んでもらいたい)


32: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/04/20(金) 00:55:02.74 ID:Yf8E8zOK0

いろいろ酷いwwwww


33: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/04/20(金) 00:56:13.35 ID:UorLJlsc0

数日後

高田(どうやら鳴ちゃんはクラスの皆に無視されているみたいだけど、その理由は鳴ちゃんをはじめ誰も教えてくれない)

高田(イジメられてるのか、でもそんな悪いヤツらには見えないし……)

赤沢「じゃあ夜見山には出生した時以来一度しか来てないのね?」

高田「そうだね、でもなんでまた?」

赤沢「あなたと一度会った気がするのよ、人違いの可能性も含めてはっきりさせておきたいの」

高田「そういえば子供の頃可愛い子と遊んでたな。結局おっぱい小さい子に育っちゃったんだけどね」

赤沢「……」ワナワナ

桜木「あ、赤沢さん、落ち着いて……」

見崎「……」スタスタ

高田(あ、鳴ちゃんだ)

高田「じゃ、僕ポケモン観たいからこれで」

赤沢「あ、ちょっと!」


38: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/04/20(金) 01:04:22.94 ID:UorLJlsc0

見崎「……」スタスタ

高田(家に行くのかな? ちょっとお邪魔させてもらおうか)

『夜見のたそがれの、うつろなる蒼き瞳の。』

高田「ごめんくださーい……暗いなぁ。店か何かやってるのかな?」

天根「いらっしゃい。おや、若い男の子とは珍しいね」

高田「お客自体珍しそうですけど」

天根「中学生かい? なら半額で……」

高田「お嬢さん暗いから見えないけど、綺麗な顔してますね」

天根「……ごゆっくり見てお行き」


42: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/04/20(金) 01:10:27.43 ID:UorLJlsc0

地下

高田(人形屋さんなのかぁ、悪い雰囲気じゃないねえ。でも絶対繁盛しないよ、するかもしれないけど)

高田(この人形なんか腕がもげちゃってるし、廃棄品ってやつか)

高田「ん、これって、鳴ちゃん……?」

見崎「なぜここにあなたがいるの?」

高田「あ、こっちにも鳴ちゃん」

見崎「……似てるって思う?」

高田「似てるけど出来はよくないよね。だって鳴ちゃんの可愛さが再現できてないもの」

見崎「そ、そういうこといわないでっ」

高田「そうか、人形が悪いんじゃないのか。鳴ちゃんが可愛すぎるんだねえ」

見崎(やっぱりこの人嫌い……)


46: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/04/20(金) 01:19:18.11 ID:UorLJlsc0

高田「ところでさ、鳴ちゃんはクラスの皆にイジメられてるの?」

見崎「……やっぱりそう思う?」

高田「そこのところ、はっきりさせてほしいな」

見崎「……」フイッ

高田「目を背けないでよ。これって僕自身にも関わる問題だからさ」ガシッ

見崎「っ!」

高田「僕はあんまり考えたくないんだよね、クラスの連中がそんなことをするヤツらだなんて」ジッ

高田「それに、鳴ちゃんほど可愛い子がこんな目にあってるだなんて見てて可哀想で仕方ないんだよ」

見崎(なんで今更真面目に……でもこの人の目は……)

見崎「イジメではないわ。それは信じて。クラスの皆のためにも」

高田「そう、ならいいんだ」パッ

見崎「……」フイッ


50: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/04/20(金) 01:25:05.96 ID:UorLJlsc0

ブー ブー ブー

高田「ん、電話か……もしもし? え、ユンゲラーがスプーンを曲げた? へえ凄いね」

高田「それならそろそろ飛行機も曲げられるんじゃないかな。うん、それじゃ」ピッ

高田「ま、今日はイジメがないってわかっただけでも安心したよ」

見崎「何にも知らないのね、高田君。教えてあげられるだけのことは、教えてもいいんだけど」

高田「そう? じゃあスリーサイズを教えてよ」

見崎「!」バッ

高田「ははは、冗談冗談」

見崎(やっぱり信じきれない……)


54: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/04/20(金) 01:31:15.38 ID:UorLJlsc0

高田(結局その後鳴ちゃんからは26年前の3年3組のことと、彼女の左目は義眼であるということを教えてもらった)

高田(クラスメートからは詳しいことは訊けず、そうこうする内に定期試験がやってきた)

生徒「……」カリカリ ケシケシ

高田(鳴ちゃんまた廊下に出ちゃったか)ガタッ

ガラッ

勅使河原(おいおい、もしかして……)

赤沢「……」ギリッ

久保寺(はぁ、どうせ彼のことだから……いや、全部埋まっている。それに回答も……?)

廊下

高田「鳴ちゃん、頭良いんだね。昨日もさっさと廊下に出ちゃってたし」

見崎「あなたのテストは大丈夫なの?」

高田「勉強よりも大事なことはあるよ。例えば……ん、なんだろう? ごめん、やっぱり勉強は大切かもしれないや」

見崎「……私はいいの。いない者だから。皆には、私のこと、見えてないから」

高田「……それって僕にはイジメにしか見えないんだけどな」

見崎「……」


56: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/04/20(金) 01:38:22.98 ID:UorLJlsc0

ガラッ

桜木「はっ、はっ」タッタッ

高田「ゆかりちゃん、どうしたの?」

桜木「あっ!? ……っ!」クルッ

高田「ゆかりちゃん、今日のパンツはピンクなんだね」

桜木「えっ!?」バッ

高田「当たりなんだ。今日は雨だから廊下も階段もよくすべるし、転んじゃ大変だよ。パンツは見えてもいいけどね」

桜木「っ!」ダッ

桜木(お母さんが事故に遭ったっていうのに、こんな……!)

桜木「あっ!?」ツルッ ガシッ

桜木(あ、危なかった、手すりにつかまったおかげで……ううん、高田君が注意してくれたおかげで……?)

桜木(……私が怪我したら本末転倒だ。きっと大丈夫。大丈夫……!)


57: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/04/20(金) 01:40:36.78 ID:Hd+wYTY00

回避した…だと…!


59: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/04/20(金) 01:46:23.49 ID:UorLJlsc0

高田「おうちの人に何かあったのかな?」

見崎「たぶん、始まったんだと思う。いや、もう始まってる……」

高田「……」

高田(後で訊いたところによると、ゆかりちゃんのお母さんが交通事故にあって病院に搬送されたのだという)

高田(検査の結果命に別条はなく怪我自体も1ヵ月ほどで治るものだそうだ)

高田(それから6月になったが、3年3組の噂のことはわかっていない)

高田「まあ、そういうわけで」

水野「ふうん、なかなかやっかいな話ね……」

高田「他にもやっかいなことはあるんですけどね。その鳴ちゃんでさえも何も話してくれない、ってこととか」

水野「へー、テキトー少年はその鳴ちゃんのことが好きなんだ?」

高田「好きですね、ええ。でも水野さんも好きですよ」

水野「えっ!」ガタッ

高田「僕はナースが好きなんですよ。ナース服をまとってお世話してくれるっていうのがいい。いっそナース服だけでもいい」

水野「……それって私は関係ないってことかな?」


60: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/04/20(金) 01:53:15.29 ID:UorLJlsc0

水野『こっちにもツテはあるから色々と調べておくよ』

高田(とはいえ、6月になったら詳しく教えてもらえるってことで約束してるんだけどね)

綾野「あれー? じゅんじっちゃんどうしたの?」

高田「おー彩ちゃん。そっちこそサボリかい? たまにハメ外すのはいいよね、たまにハメるのもいいけどさ」

綾野「ん、ん〜? ……ま、サボりはサボりだけどねえ、ちょっと観たい舞台があるもんでねえ」

高田「そっか、彩ちゃんは演劇部だったか。僕も演技はやりたいんだけどねえ」

綾野「じゃあ今からでも演劇部に入っちゃえばいいじゃん」

高田「僕の目指すところはハリウッドなんだよ」

綾野「またまたぁ」

高田「タイタニックのオーディションに行ったらすんごい俳優がいるもんで譲っちゃった。本気出したら僕が主役だったのにね」

綾野「あはは、ほんといっつも適当だよねー。頭どうなってるの?」

高田「覗いてみる? なんなら全部さらけ出しちゃってもいいよ?」プチプチ

綾野「ちょっと、なに服に手をかけてんのさっ」


61: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/04/20(金) 02:00:28.91 ID:UorLJlsc0

ガシャンッ

高田・綾野「!」

高田「おお、ガラスが粉々に……」

綾野「……こ、怖いねー、もしあそこにでも立ってたりしたら……」ガクガク

高田「大丈夫? 膝笑ってるけど」

綾野「え? あ、あぁうん……」ガクガク

高田「立って仕方ないっていうのならともかく、立ってるだけでもやっとってどんな状態だろうね」

綾野「なにいってるかわかんないよ……」

高田「彩ちゃんって鎖骨綺麗だねえ」

綾野「えっ、そうかな……ってどこみてんのさっ!?」

高田「ハナから見えるから見るのよ。隠れてても見ようと頑張るけどね」

綾野「もー、何言って……ああもう、なんかどうでもよくなっちゃった」

高田「それは隠すことがどうでもよくなったから見せてくれるってこと?」

綾野「そっちじゃない! ガラスのこと!」


63: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/04/20(金) 02:07:24.13 ID:UorLJlsc0

学校

勅使河原「すまん、ジュン。今月に教えるって言ったけど、やっぱあれ無しにしてくれ」

高田「ええ? 困るよぉ、てっしー」

赤沢「状況が変わったのよ」

勅使河原「そう、状況が変わったんだ」

高田「えぇ……まあ結婚の誓いが日々を重ねればないがしろにされる世の中だしねえ」ケロッ

赤沢「……」イラッ

勅使河原(お、おい落ちつけっ!)

高田(しょうがないなあ、たぶん学校の連中からは大したことは訊き出せないんだろう。今日は水野さんのとこにでも行くか)

高田「僕、これから病院に行かないといけないから。連絡よろしく」スタスタ

赤沢「ちょっ!? 待ちなさい!」

高田「僕痔だから座ってるだけでも辛いんだよねえ」スタスタ


65: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/04/20(金) 02:15:21.75 ID:UorLJlsc0

病院

水野「あれ、純次君じゃない。今日は検査なんてないはずだけど、どうしたの?」

高田「水野さんって何歳だったっけ、って気になったのよ」

水野「失礼な……本当の理由を教えなさい、どっちみち私の歳は教えないけど」

高田「いいよ、当ててみるから。26から35の間ですよね? 僕のストライクゾーンからは外れちゃう売れ残りの年代」

水野「まだハタチよ! ……って、はぁ……疲れるわ、君といると」

高田「僕は癒されますよ。ところで、やっぱり手がかりが見つからないものでして」

水野「あぁ、それならそうと最初からいいなさい。ちゃんと調べておいたんだから……」

ガタァンッ!

高田・水野「!」

「な、なんだ!?」「どうしたの、ねえ! ちょっと!」「え゛ぇ〜ん! びぇ〜ん!!」

水野「お、落ち着いてください! 今原因を確かめに参りますので、せめてお静かに……」

高田「あっちから音がしたねえ、いってみようか」

水野「あ、ちょっと!」


67: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/04/20(金) 02:18:58.42 ID:kDXqYhXg0

これ難しそうなのによく書いてるなー


69: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/04/20(金) 02:24:08.01 ID:UorLJlsc0

高田(調べてみるとエレベーターのワイヤーが老朽化していたために切れ、地下まで墜落したのだという)

高田(幸い乗客は誰もいなかったが、水野さんは病院の職員共々後始末に追われ、詳しい話は電話で訊くことになった。)

高田(どうやら鳴ちゃんは本当にいない者として扱われているらしい。そして夜見北の噂は事実だった)

高田「でもはっきり言って進展はないよねえ」

高田「てっしーが約束破って以来どこかクラスメートの態度もよそよそしいし……」

高田「田舎の集まりって厳しいらしいしなあ、東京でも大して変らないかもしれないけど」

高田「となるとこっそり待ち受けて帰り道で、ってことになるか……」

見崎「……」

高田「あ、鳴ちゃん。いっしょに帰らない? 何も奢ってあげられないけど。奢られるのは大好きなんだけどね」

見崎「勝手にすれば」

高田「それはどこまで許してもらえるの? あ、待ってよ」

高林「……やっぱり、フェアじゃないよね」

望月「仕方ないよ、僕達に降りかかってくることだってあるんだから……」

高林「でも……うっ!」

望月「高林君!?」


70: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/04/20(金) 02:26:31.47 ID:kDXqYhXg0

うまいこと現象を回避してるな
これは一体


73: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/04/20(金) 02:30:55.21 ID:UorLJlsc0

高田(高森君だったか高木君だったか、少なくとも高田ではないクラスメートが心臓の発作で倒れたらしい)

高田(すぐに保健室で処置して救急車で搬送した結果一命は取り留めたが、しばらく学校には来られないみたいだ)

高田(加えてあれから自分なりに色々と調べてみたところ、僕の母親も夜見北の生徒だったことを知った)

高田(うっすらながら、このクラスは死に近づいているクラスであることがわかってきた)

高田「うーん、とはいえそろそろ限界も見えてきたなあ、やっぱりクラスの皆の協力が……」

高田「あれ、だれもいないや。今日って休みだっけ。なら仕方ないよね、よし、水野さんのとこに……」

久保寺「今日は通常通り授業がありますよ、高田君」

高田「ところで先生はナースは白が良いと思います? ピンク? はたまた青?」

久保寺「……皆は美術室にいるはずです。それから、くれぐれもクラスの約束は守るように」

高田「この間約束を破られたばっかりなんですけどね。破るのは記録とアレだけで十分だと思うんだけど」

久保寺「……」スタスタ


75: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/04/20(金) 02:39:14.25 ID:UorLJlsc0

教室

高田「やぁ、おはよう。君肌黄色いね、日本人だから当然だけど」

和久井「! ……」

高田「あれ?」キョロキョロ

望月「!」フイッ

桜木(高田君……ごめんなさい)

綾野(まだ人は死んでないのに……)

赤沢「……」

廊下

高田「……てっしー」

勅使河原「……すまねえ」

高田「この間貸した『ちちまる子ちゃん』だけは返してね」

勅使河原「そんなもん借りてねえよ! あっ……くっ」クルッ

高田(ははーん……)


77: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/04/20(金) 02:45:52.30 ID:UorLJlsc0

屋上

高田「どうやら僕もいない者になっちゃったみたいだよ」

見崎「やっぱり……」

高田「まあ良いけどねえ、サボれるし痔に苦しむことはないし、それに鳴ちゃんと一緒にいられる」

見崎「適当なこと言ってても、耐えられるものじゃないと思うけど」

高田「いや、最後は本心だよ。ずっと一人だった鳴ちゃんの隣に、これで堂々といられることになる」

高田「ずっと半端なままだった気持ちに踏ん切りがつくわけだ。それに僕だって鳴ちゃんがいるなら、耐えられるよ。きっとね」

見崎「……」フイッ


84: IDが変わってるみたい 2012/04/20(金) 03:30:35.90 ID:iiiq099C0

見崎家

高田(それから鳴ちゃんは僕を家に招いて詳細を話してくれた。3年3組には代々伝わる災厄があるという)

高田(それは26年前に死んだ夜見山岬をきっかけとするもので、毎年クラスの生徒および親族が死ぬというものだった)

高田(おそらく僕の母親も犠牲者の一人だ。その対処法として、誰かをいない者として扱う一貫で、鳴ちゃんが選ばれた)

見崎「毎年机が増えてるんだって。有り体に言えば、死者の霊の分だけ増えてるってこと」

高田「諸々の記録も改竄されてわからない。で、それを修正するためにいない者が必要ってことか」

見崎「理不尽でしょう?」

高田「まあね。でもそれに簡単に負けたらその理不尽を肯定したことになる。徹底的に抗わないとね」

見崎「……あなた、どっちが本当の顔なの? 適当に振る舞ってる方なのか、今の顔なのか」

高田「どっちでもいいじゃない。目に腕に足に乳首に、人間二つ持ってるのが同然なんだから性格も二つないと」

見崎「……はぁ」


86: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/04/20(金) 03:37:09.01 ID:iiiq099C0

霧果「あら、お友達?」

高田「あら、お母様ですか? 鳴ちゃんと並べたいほどお綺麗だ。はじめまして、高田純次と申します」

霧果「これはご丁寧に。私は霧果、この子の母です」

高田「僕のストライクゾーンは30から40なんですよ、もしかしたらお母様も引っかかるかもしれません」

霧果「あら残念ね、私は18歳よ」

高田「あらぁ、これは一本取られた」

見崎「……高田君、そろそろ帰った方が良いんじゃない?」

高田「ん? 普通5時からが勝負どころでしょ、お母様なんかはもっと遅い時間でしょうけど」

霧果「ふふふ、鳴、送っていってあげなさい。高田君、鳴と仲良くしてくださいね」

高田「鳴ちゃんと仲良くすることでお母様とも仲良く出来るなら、それはそれは」

見崎「……高田君、行こう」


88: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/04/20(金) 03:46:11.20 ID:iiiq099C0

高田「綺麗なお母さんだね。クレオパトラに似てるよ、見たことないけど」

見崎「それは見た目だけよ。本当は、あまり良いお母さんじゃない。放任主義って言うか、私にも手を掛けないし」

高田「……そっか。でも完璧にほっとかれるってわけでもないんだろう?」

見崎「完璧にはね。でも手料理とかは作ってくれないし、昔から話もほとんどしない」

見崎「それでいて、私の嫌いな携帯電話を持たせてまで管理下には置こうとする。よくわからないわ」

高田「僕には立ち入った話はできないけどね。でも他人のことなんて基本的にわからないものだよ」

高田「でも、その中でわからないなりにお母さんも答えを探そうとしてるんじゃないかな」

高田「鳴ちゃんも完全に拒絶はしてないみたいじゃない。これからわかってくるはずだよ」

高田「そんな風にこの間みのさんが相談に応えてたしさ」

見崎「……」

高田「僕にだってわからないことはいっぱいある。でも、わからないってことだけはわかってるね」

見崎「……ホント変な人」


93: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/04/20(金) 03:55:12.21 ID:iiiq099C0

教室

久保寺「一口に比喩といっても様々なものがあります。直喩、暗喩、換喩……」

高田(いない者でも授業は受けないと出席とかやばいしなあ、でも痔が辛いから立ってもいいかなあ)ガタッ

金木「!」ビクッ

高田(もしここで脱いだらどうなるんだろう? あんまり大きすぎて反応させちゃうかな?)スタスタ

江藤(後ろからのプレッシャーが……)

高田(逆にあ、大したことない……って思われるのがオチだったりして。それに脱いで笑いを取るのはもう古いか……)

高田「探し物はなんですか〜見つけにくいものですか〜♪」ボソッ

勅使河原(小声ながら歌うなよ!)

王子(でも結構いい声だ……)

高田「鞄の中も、机の中も、探したけーど見つからないのに♪ 探し物はなんですか〜見つけにくいものですか〜♪」ボソボソ

柿沼(歌詞知らない!?)

杉浦「……」イライラ

高田「鞄の中も、机の中も、探したけーど見つからないのに♪ うふっふー♪ うふっふー♪」ボソボソ

佐藤(メロディーだけは知ってるんだ……)


95: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/04/20(金) 04:00:47.69 ID:iiiq099C0

高田「まだまだ探す気ですか〜♪ それより僕と踊りませんかぁ♪」ボソボソ

川掘(歌詞知ってんのかよ!)

高田「夢の中へ、夢の中へ、行ってみたいと思いませんかっ……あれっ?」ボソボソ

辻井(メロディ間違えたな)

高田「……ふぅ」スタッ

勅使河原(なんだったんだ一体……)

赤沢(後ろで一体何が……)

高田(案外退屈しないな、これ)

見崎(夢の中へー……夢の中へー……)


97: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/04/20(金) 04:13:03.57 ID:iiiq099C0

屋上

高田「プレゼントくれて、どうもありがとう♪ 楽しんでくれて、どうもありがとう♪」

見崎「……」モグモグ

高田「手を振ってくれて、どうもありがとう♪ 気遣ってくれて、どうもありがとう♪」

見崎「最初のありがとうはいつも、その次は本当に」

高田「知ってるなら歌ってよ」

見崎「……」モグモグ

高田「サンドイッチだけだと健康に悪いよ。サンドイッチマンを見るのはやぶさかじゃないけどね」

見崎「……?」


99: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/04/20(金) 04:20:45.00 ID:iiiq099C0

三神家

高田(そうだ、僕の母親が夜見北の生徒だったってことは叔母さんが何か知ってるかもしれないな)

怜子「うん、私も3組だったわ。けれど、何故だかよく覚えていないの……」

高田「男にまつわる辛い思い出があるんですね。僕もわかりますよ。そっちのケはないけど」

怜子「……ごめんなさい、ちょっと頭が痛いの。この頃疲れてるし……」

レーちゃん「レーチャン、ゲンキダシテ、レーチャンドーシテドーシテ」

怜子「あぁうるさいっ! 私あの鳥嫌い……」

高田「新しい言葉でも覚えさせましょうか。ジュンジーセクシィ、ジュンジーアサカライイオトコ、スミマセンアサカライイオトコデ」

レーちゃん「レーチャン! レーチャン!」

高田「ダメだなこりゃ。イタリア語の方が覚えるのかな? グラッチェ、チャオ、ペニストテニスハニテル」

レーちゃん「ドーシテ! ドーシテ!」

高田「よく考えれば僕イタリア語話せなかったな」

怜子「……」ズキズキ


100: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/04/20(金) 04:29:56.97 ID:iiiq099C0

教室

高田(今日は何して遊ぼうかなぁ……)

ガラッ

久保寺「……」フラッ フラッ ドンッ

久保寺「みなさん、私はどうにかみなさんを3月に穏やかに卒業させてこようと頑張ってきました……」

久保寺「ですが、もう限界のようです……」

高田「いい包丁持ってますね、先生」ガサゴソ

久保寺「!?」

高田「神田川さんも使ってそうですね? 僕宝石しか鑑定できないからよくわからないけど」

風見「た、高田君! 先生から離れるんだ!」

高田「えっ?」

久保寺「返せぇっ!」

高田「おっと」ヒョイ


103: >>102あれはガチでリスペクトしてるっす 2012/04/20(金) 04:36:05.80 ID:iiiq099C0

綾野「い、いやぁぁぁ!!」ガタァン

桜木「み、みんな逃げてっ!」ガタッ

ガラッ

千曳「久保寺先生、やめるんだっ!」

高田「誰?」

風見「勅使河原! 先生を抑えよう!」ガシッ

勅使河原「お、おう!」ガシッ

久保寺「放せぇぇぇっ!!」ジタジタ

高田「あ、刃がちょっと欠けてる、やっぱり大したものじゃないんだ」

赤沢「……」


106: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/04/20(金) 04:44:34.46 ID:iiiq099C0

高田(久保寺先生は寝たきりになった母親の介護をしていた。そこに3組の災厄も重なって精神的に参っていたようだ)

高田(先生の母親は自宅で死体が見つかった。先生の手によるものだろう。そして先生はそっちの病院におくられたみたいだ)

屋上

勅使河原「そういうことでいない者の効果はなくなったから、お前はクラスに復帰ってわけだ」

高田「じゃあてっしーから『美少女戦士ブルセラムーン』を返してもらえるってわけだね」

見崎「……」ジト

勅使河原「借りてねえっての!」

ガチャッ

赤沢「……」ギロッ

高田「……」

赤沢「あなた達のせいよ」

高田「うん、わかってる」

勅使河原「お、おいおいちょっと待てよ!」


108: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/04/20(金) 04:51:25.57 ID:iiiq099C0

高田「事実久保寺先生のお母さんは亡くなったわけだしね」

勅使河原「それだったら俺らにだって……」

高田「もしかしたら僕の母親も災厄の犠牲になったのかもしれないんだしね。他人事じゃないよ」

見崎「……」

赤沢「勘違いしないで、別にあなたを責めようって魂胆はないわ。ただ、そういう目を向けられることは覚悟して、ってこと」

高田「つまり僕の注目度があがるってわけだね」

勅使河原「……あのなぁ」ハァ

見崎(もう慣れた)


110: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/04/20(金) 04:56:43.08 ID:iiiq099C0

赤沢「ともかく、この問題はクラス全体の問題よ。私が一番責任を引き受けるべき人間であることは間違いないけれど」

赤沢「無能の誹りを受けても仕方ないわ」

高田「うん、無能だね」

赤沢「なっ!?」

高田「まず鳴ちゃんみたいな可愛い子をいない者にしちゃダメだよ、僕みたいなのがくっついてきちゃうんだから」

見崎「……無能」

赤沢「……」プルプル

勅使河原「……」ハラハラ

高田「こんな風にすっきり言ったほうがいいよね、何事も」

見崎「……」コクコク

赤沢「勅使河原……あたしもう耐えられない……っ」

勅使河原「待て、おちつけぇっ!」ガシッ


172: IDがやっぱり変わってるや、もうどうでもいいよね 2012/04/20(金) 13:42:12.20 ID:g2WG9aig0

高田(担任は三神先生が引き継ぐことになった。久保寺先生の狂態を目の当たりにしたせいか、空席が出来ておかしくないようになった)

高田(三神先生によると八月に合宿を開くことになったそうだ。なんでも一度だけ災厄が止まった年があるらしい)

高田(伝えられる所では、合宿先にある神社にお参りをすれば災厄は止まるのではないか、とのことだ)

プルルル……プルルル……

高田「はいもしもし、高田純次です。すいません朝から良い男で」

勅使河原『おう、お前イノヤってわかるか? 望月の姉ちゃんがやってる喫茶店なんだけど』

高田「あぁイノヤね、あのおっぱいは小さいけどスタイルはよくて黒髪ロングの清楚な子がいるパブ」

勅使河原『黒髪ロングの子はいないけど茶髪のベッピンさんはいるぜ。ちょっと話したいことがあるんだ』

高田「今日は痔の調子が良いんだけど腰が痛いんだよなあ……なんでだと思う?」

勅使河原『なんだったら見崎も連れてこいよ。災厄に関することだからそれなりの人数は揃えたいんだ』

高田「どっちみち僕鳴ちゃんの電話番号知らないんだけどね」


177: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/04/20(金) 13:56:19.82 ID:g2WG9aig0

イノヤ

高田「へえ、東京とは違った風情がある店だね。僕の喫茶店番付のなかで3位には入るよ」

赤沢「1位と2位は? 今度連れて行ってもらいたいわね」

高田「あまり良い店がないから空白のままなんだよ。ていうか赤沢さんじゃない、どうしたの。てっしーは?」

赤沢「私も勅使河原に呼ばれたのよ、でもまだ来てないみたい」

高田「災厄に関することっていうんだからなんのことやらと思ったんだけど」

赤沢「そういえばあなた、私に対しては赤沢さん、よね」

高田「何が?」

赤沢「他の女の子に対しては名前じゃない、ゆかりとか、彩とか」

高田「ああ、それねえ。小学校四年生の時のクラスにイズミって子がいたんだよ」

赤沢「へえ、やっぱりどこかで……」

高田「特に可愛くもなかったし、これといって思い出もないんだけどね」

赤沢「……」


182: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/04/20(金) 14:07:59.41 ID:g2WG9aig0

智香「こんにちは、泉美ちゃんのお友達?」

赤沢「ええ、この間話した転校生の高田純次君です」

高田「はじめまして、高田純次と言います。純粋の純に、つぎ、と書きますね」

高田「純粋を失ってしまった次は変態になるしかないという証拠のような男です」

智香「……聞きしに勝る口達者な子ね」

赤沢「ええ……」

智香「私は望月智香、あなたの同級生の優矢の姉よ」

高田「なるほど、もっちーのあのルックスは姉譲りだったわけだ」

智香「ふふふ」

高田「ところでもっちーは女の子みたいな顔をしながらも男の子なわけですが、お姉さんもそうだったりするんですか?」

智香「……ご注文を」


187: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/04/20(金) 14:23:15.02 ID:g2WG9aig0

赤沢「私と同じもので」

高田「えっ? 口移ししてくれるの?」

赤沢「二杯よ!」ドンッ

智香「……かしこまりました、少々お待ちください」

高田「赤沢さんと同じもの飲めるだけでもうれしいけどさ、どんなものなの?」

赤沢「ハワイコナエクストラファンシー、一味どころか一度飲んだらやめられないコーヒーよ」

高田「河合美智子がエクスタシーでファンタジー? すごいコーヒーだね」

赤沢「ハワイ!コナ!エクストラ!ファンシー!」

高田「うるさいなあ、コーヒーにもうるさいのに声もでかいって救いようがないよ」


190: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/04/20(金) 14:31:43.35 ID:rAJYFe7R0 BE:1664736454-2BP(1912)

ワロタ


192: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/04/20(金) 14:36:29.23 ID:g2WG9aig0

智香「お待たせしました」カタッ

高田「ふーん、これがハワイコナ」クンクン

赤沢「いい香りでしょ。味も絶品よ」

高田「どれどれ」ズズッ

高田「おお、味が違う。さっき飲んできた水道水なんかとは段違いだよ」

赤沢「……」ビキビキ


195: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/04/20(金) 14:54:38.73 ID:g2WG9aig0

高田「まあまあ、コーヒーの味に造詣なんてまるでない僕でも段違いにおいしいってことはわかるよ」

赤沢「はあ……あなたといるだけでどっと疲れるわ」

高田「災厄のことなんだけどさ、死者をどうにかすればいいんじゃないか、って僕は薄々睨んでるんだよ」

赤沢「へえ……でも誰が死者だと?」

高田「それがわかったら苦労はないよなあ、実際に死んでもらったらわかるんだけど。そんで生き返ってもらってさ」

赤沢「……あなたが死者だったとしたら?」

高田「え?」

赤沢「あなた、死者かもしれないわよ?」

高田「幽霊になったら女湯覗き放題じゃん。なんでわざわざ蘇る必要あるの」

赤沢「……」ググッ

智香(泉美ちゃん、我慢しなくていいのよ)


197: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/04/20(金) 15:02:19.25 ID:g2WG9aig0

赤沢「……あなたは死者じゃないわ。出来れば死者であってほしかったんだけど」

高田「そうかぁ、触れないのはやだもんねえ。でも、なにを根拠に?」

赤沢「はい」スッ

高田「?」チュッ

赤沢「!?」バチィン!

高田「手を差し出したらキスするのが礼儀でしょ」ヒリヒリ

赤沢「ここは日本よ!!」

赤沢「はぁ……今ちょっと触れられただけでもわかったけど、あなたの手は暖かいのよ。死者の手は、冷たいみたい」

高田「迷信っぽいけどなあ」

赤沢「それだけじゃない、あなたとは前に会ったことがある」

赤沢「この手……体が覚えてるのよ」

高田「前も言ったけど、君みたいな子とセックスしたら絶対に覚えてるはずなんだけどなあ」

バシィーン!


198: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/04/20(金) 15:03:25.12 ID:nJqpd+Sg0

これは殴っていいww


199: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/04/20(金) 15:10:42.19 ID:g2WG9aig0

望月「あ、もう来てたんだ」

勅使河原「おーっす……ってどうしたんだその顔」

高田「田んぼ道歩いてたら蚊に刺されちゃってさ、田舎ってこれだから大変だよね」ヒリヒリ

赤沢「……」ムスッ

勅使河原(おおよそわかる気がするけど、何も言わんでおこう……)

高田(てっしーによると、ここイノヤを訪れる客の中に夜見北の秘密を知っている人間がいるのだという)

高田(もっちーの姉がその人の勤務先だけでも掴めたとのことで、皆で話を訊きに行くことに決まった)


201: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/04/20(金) 15:18:38.41 ID:g2WG9aig0

高田「と、いうわけなんだ。鳴ちゃんもどう?」

見崎「私は行けないわ。家族て別荘に行くことになってるの」

高田「なんだぁ、今からでもそっちに鞍替えしようかなぁ」

見崎「大したものじゃないよ。お父さんが家族サービスの真似事をするだけの、つまんないお出かけ」

高田「てことは、お父さんがその気になればサービスの一貫として鳴ちゃんとお風呂に入ったりするの?」

見崎「しないっ」

高田「……ともあれそんな風な形でも、頑張ろうとはしてるんだろうね」

見崎「……」

高田「気が変わったらいつでもこっちにおいでよ。皆鳴ちゃんと本当は打ち解けようと思ってるんだからさ」

見崎「……うん」


203: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/04/20(金) 15:25:50.31 ID:g2WG9aig0

怜子「15年前に災厄を止めた? マツが?」

高田「本人がぶつくさ言ってたみたいですよ、信頼できるんじゃないかな。僕には及ばないだろうけど。何か覚えてます?」

怜子「……15年前に合宿に行ったことは覚えてるし、確かに何かがあったんでしょうけど……」

高田「流石に15年前ともなるとね、僕もほとんど覚えてませんよ。あ、生まれてもいないや」

高田(ん、てことは……)

怜子「ごめんなさい、つくづくふがいないわね」

高田「いえいえ。怜子さんはよく頑張っていらっしゃいますよ。朝からあんな濃い化粧してまで

怜子「……マツには私が話をつけてくる」

高田「無理はしないでくださいね。あんまり化粧しちゃうと、お肌がね」


206: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/04/20(金) 15:36:27.58 ID:g2WG9aig0

勅使河原「よーっす!」

高田「どしたのその荷物。中に女の子でも入ってるの?」

勅使河原「色々準備してきたからな」

望月「赤沢さん達はまだなんだね」

高田「お、なにやら大層な車が。ヘイタクシー!」

キキッ ガチャッ

赤沢「おまたせ」

高田「歌舞伎町まで千円で行けたりする?」イソイソ

ゲシッ


207: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/04/20(金) 15:50:02.86 ID:g2WG9aig0

杉浦「大丈夫かわからないのが二人に増えたわね」

高田「僕はピンピンしてるよ、PをBに代えても大丈夫なくらいにね」

中尾「うっぷ……」ゲッソリ

高田「君誰だっけ? 背中さすってあげようか?」

中尾「あぁすまねえ……」

高田「ほいじゃまあ、よっと!」バン! バン!

中尾「うぇっ! ゲロゲロォ」

高田「僕はハイヒール履いてる女の子にやられて嬉しかったんだけどなぁ」

杉浦「……緊張感がまるでないわね」


208: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/04/20(金) 16:01:40.79 ID:g2WG9aig0

高田「それにしてもハデに吐くねえ、彼女にでもフられた?」

中尾「いや、朝から調子が悪いんだ……転んで頭ぶつけたせいかな、でも皆で遊べるのなんてそうないし」

高田「思い出なんて今だけ生きてれば必要ないものだよ。休むか医者に行きなさい。呼んであげるから」ピッ

中尾「お、おい!」

高田「もしもし、お名前は? ミキちゃん、僕はニコラス・ケイジっていうんだ。歳は? 25? へぇもっと若く見えるよ」

高田「救急車って何番だっけ?」

杉浦「……」


209: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/04/20(金) 16:06:50.01 ID:g2WG9aig0

高田(名前……なんだっけ、木村でいいや。後で訊いたところによると浅村君は脳が出血していたらしい)

高田(朝転倒した際に頭を打ち付けたのが原因だそうで、すぐに処置したおかげが致命傷は避けられたみたいだ)

ブロロロロ……

怜子「ふぅ、これで夜見山を越えたわね」

望月「何事もなくてよかった……」

怜子「さってと……チンタラ右側走ってんじゃないわよっ」ガチャッ

ブゥーン!

望月「ひっ!」

高田「怜子さん?」

怜子「なに?」

高田「速い方が基本的には良いですよね、婚期とか」

怜子「……」ガチャッ ガチャッ

ブゥオオオッ!


213: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/04/20(金) 16:13:41.94 ID:g2WG9aig0

赤沢「人はみかけによらず、って感じね」

高田「赤沢ちゃんは見かけどおりって感じだけど」

赤沢「ふうん、私ってどんな風に見える?」

高田「何もかもデカいよね、胸も態度も声も。きっとあの時もデカい声を出す」

赤沢「……あんたねえ」

高田「んでも可愛いからいいんじゃない? だってブサイクでデカいなんてそれだけしか取りえがなくなっちゃうし」

高田「可愛いなら他に見るべき所も出てくるしね」

赤沢「褒められてるのかしら、それ。あまり嬉しくないわ」

高田「褒められて伸びる子っているけど、さわられて伸びる子の方が多いよね」


216: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/04/20(金) 16:18:34.35 ID:g2WG9aig0

赤沢「はぁ、でもなんだかんだいって災厄が最小限に抑えられてよかったわ。あなたが裏で色々とやっててくれたみたいだし」

高田「路地裏で女の子を連れてるおじさんがいたけど、他人のを見るのは楽しくないよね」

赤沢「そういう話じゃない! 感謝してるのよ。これだけはちゃんと伝えたかった」

高田「カンシャって一歩間違うと大変だよね。他にもサンポとかさ」

赤沢「……あなたって素直じゃないわね」

高田「うん、左に曲がってる。だから左肩がちょっと重い」

高田「赤沢ちゃんは両肩が重そうだよね」

赤沢「……」


217: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/04/20(金) 16:26:55.22 ID:g2WG9aig0



怜子「訊いてみたんだけど、今日は来てないみたい。後で来るって連絡があったんだけど……」

勅使河原「それまで時間があるよなあ、ってことでっ」

杉浦「夜見山の外なら災厄は及ばないしね」

高田「僕水着なんて持ってきてないんだけど」

怜子「買ってあげるわよ」

高田「モザイクがつきませんもんね」


219: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/04/20(金) 16:32:25.24 ID:g2WG9aig0

勅使河原「よっしゃー! 泳ぐぞー!」ダッ

赤沢「あ、ちょっと待ちなさい!」

高田「日本もヌーディストビーチを取り入れないかなあ……あれ?」

鳴(ヒトデ、ヒトデ♪)ツンツン

高田「鳴ちゃん、奇遇だね」

鳴「……高田君」

高田「その麦わら帽子、ワンピースの真似? ワンピースに麦わら帽子って本当に良い取り合わせだよね」

鳴「……」


223: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/04/20(金) 16:40:04.58 ID:g2WG9aig0

勅使河原「それっ」ボンッ

赤沢「きゃっ! やったわね……えいっ」ボンッ

勅使河原「どこに打ちあげて……」

杉浦「せーのっ」バシャアッ ビシッ

勅使河原「うげっ」ゲシッ 

赤沢「あははっ!」クスクス

高田「君上手いね、なんかスポーツでもやってるの?」

杉浦「ううん、別に」

高田「あ、やっぱり? そう見えるんだよ」

杉浦「嘘よ、本当はやってるわ」

高田「ん?」


225: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/04/20(金) 16:46:09.19 ID:g2WG9aig0

勅使河原「ジュン、望月、あのブイのところまで競争しようぜ!」

高田「いいよぉ、じゃあ拘束具を外して……」ゴソゴソ

望月「ぬ、脱がないでよっ」

高田「脱いだら遅くなるんだけどね。なぜかは想像に任せるよ」

赤沢「はぁ……」

杉浦「でも気が楽ね、高田君がいると」

赤沢「色んなことがどうでもよくなってくるわね。正直5月までは重苦しいことばっかりで滅入っちゃいそうだったんだけど」

杉浦「高田君のおかげもあって今のところ死者に限れば一人だけ、か。このまま行けばいいんだけど」

見崎「……」


227: よく考えればフラグ折ってるだけで直接助けてはいないね、でもいいんじゃない? 2012/04/20(金) 16:53:34.24 ID:g2WG9aig0

見崎「……」イソイソ

高田「お城でも作るの? 別荘、近くなんだね」イソイソ

見崎「うん」

高田「お父さんはどんな人?」

見崎「詳しくは知らない。ほとんど日本にいないから。家族と言っても、ほとんどつながっていない感じ」

高田「ふーん、年がら年中つながりっぱなしっていうのも辛いだろうけどね。痙攣しちゃうこともあるみたいだし」

高田「死者なんだけどさ、そいつをいない者にするっていうのはどうかな。淋しくて勝手に死んじゃうかもしれないじゃない」

見崎「ダメだと思う。もう始まってるから。今から帳尻を合わせても……あっ」サワッ

高田「四六時中つながってるっていうのも面倒だけどさ、たまには僕のことも頼ってよ」ギュッ

高田「大体暇だからさ、呼べばいつも来るよ。いつもはつながってないけど、肝心な所ではつながってる。そんな関係も良いと思わない?」

見崎「……」ギュッ

高田「おじさんは何より鳴ちゃんともっと深くつながりたいよ」

見崎「っ!」ザッザッ

高田「ちょっとぉ、足で踏みつぶさないでよ!」


230: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/04/20(金) 17:01:44.16 ID:g2WG9aig0

怜子「イノヤで何か言ったらしいけど……」

松永「らしいな。だけど正直良く覚えてないんだ……」

赤沢「合宿中に事故が起きたそうですね」

松永「ああ、そうだが、君は?」

赤沢「対策係の赤沢です」

高田「僕? この間木村拓哉に似てるって言われました、彼を6としたら僕が7ですね」

怜子「気にしないで、こういう子なの」

松永「……ともかく、合宿中に神社にお参りに行って、そこで事故が起きたんだが……」

見崎「伝えなきゃいけないことがあって何かを残した、と訊きましたが」

松永「ううん……」

高田(あのボートデザインいいなあ、赤沢ちゃんが寝そべってたら似合いそうだなあ)


234: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/04/20(金) 17:08:20.50 ID:g2WG9aig0

高田(結局松永さんから詳しいことは訊けず、学校の教室に何かを残した、という断片的な情報を手に入れただけだった)

イノヤ

勅使河原「教室に、か」

高田「そうみたいだね。15年前というと、おそらく旧校舎なんじゃないかな」

勅使河原「ふぅん……それじゃ皆で旧校舎に探索といくか。夏休みだし、人はいないし」

高田「そういえば昔学校で肝試しやったことがあるんだよ。驚かす側に回ってね」

勅使河原「へえ、このクラスでも……って縁起でもねえな」

高田「結構倒れてくれたよ。バッと出てバッとやってさ、僕のカッコよさにびっくりしちゃったんだろうね」

望月(本当だとしたら余程変なことしたんだろうな……)


236: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/04/20(金) 17:14:00.95 ID:g2WG9aig0

勅使河原「じゃあ望月の部活が終わる昼間ってことで」

望月「いくら旧校舎でも見回りは来るからね、手際はしっかりとしないと」

高田「よくよく考えるとそんなの穴場じゃない。誰かと誰かがイチャイチャしてたりしたらどうしよう?」

勅使河原「撮ればいいんじゃねえの、儲かるかもしれねえし」

高田「クラスメイトに似てる子だけでも気が引けるのにクラスメイトそのものはなあ」

勅使河原「でもクラスメイトとやるのは最高なんだよな」

望月(勅使河原君が染まり始めてる……)


255: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/04/20(金) 18:57:32.09 ID:g2WG9aig0

プルルルル……

勅使河原「おう、ジュン。寝坊でもしたのか」

高田『永沢君の家を燃やしたのは誰か考えてたら夜ふかししちゃったんだ。藤木説が本命だけど、野口さんも捨てがたいね』

勅使河原「案外まる子の可能性もあるぞ。それはともかく、まだ望月の部活も終わってないからいいんだけどさ」

高田『そうなの? じゃゆっくりと行くよ。発情期のネコの交尾でも見ながらね』

勅使河原「おう、それじゃあな」ブツッ

綾野「あ、てっしーじゃん。帰宅部のエースがなんでまた?」

勅使河原「ん? ああ、いやあ、その、なぁ」

綾野「まだまだだねー、じゅんじっちゃんだったらうまいこと切り返す所だろうね、そこ」クスクス

勅使河原「あいつなぁ、想像つかねえよな」

小椋「想像してもろくなことにならなそう……」


258: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/04/20(金) 19:05:47.61 ID:g2WG9aig0

高田「フンフフーン♪」

高田「おっ、ショベルカーじゃん。僕も昔はパイロットになろうとしたもんだ」

作業員「ん? なんだいボウズ」

高田「このショベルカーって会社のもの? 大きいね、ちなみにお兄さんのはどれくらいまで大きくなるの?」

作業員「じゅう……って何言わすんだよ!」

高田「ははは、ちょっと乗せてもらってもいい? 一度ショベルカーって乗ってみたかったのよ」ガチャッ

作業員「お、おい!」

高田「ん、ちょっとこれ動いて……」ズズッ

作業員「あぶねえっ! ……はぁ、サイドブレーキ忘れてたのか」

高田「よかったじゃない、誰かの家に突っ込んだりしなくて。それじゃ僕はこれで」タッタッ

作業員「お、おい、待てガキ!」


260: メニアたん ◆4gABeQik2sno 2012/04/20(金) 19:10:57.75 ID:vbGSHKVo0

いやよく見ろよ


261: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/04/20(金) 19:12:07.46 ID:CudY8AYM0

やだ…そんなに見ないで///


264: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/04/20(金) 19:16:32.50 ID:g2WG9aig0

サァーッ……

綾野「じゃあ、あっちにいったら連絡するね」

小椋「うん、またいつか、ね……」

タッタッ

二人「?」

高田「雨降ってきちゃったよぉ、濡れて透けるのは女の子だけで十分だっていうのにさぁ」

綾野「じゅんじっちゃん、どうしたの?」

高田「おっ、ちょうどいいところに女の子が……ってベスト着ちゃダメじゃないのよ」

綾野「もうっ、ホントスケベなんだから」

小椋「うへぇ……」


266: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/04/20(金) 19:26:08.67 ID:g2WG9aig0

高田「この辺に雨宿り出来るところない? なんだったら三人で遊びに行こうよ」

小椋「あー……」チラッ

綾野「……いいね、行こうっ。ゲームセンター近くにあるしさ」

小椋「えっ?」

綾野「あっ、そういえばてっしーがじゅんじっちゃんのこと待ってるって言ってたよ、ほんとにどうしたの?」

高田「ん〜、夏休みの部活に精を出す皆の姿を見て僕達も精を出そうかって話になったんだよ」

綾野「へぇ〜感心だねえ」

小椋(うわぁ……)

高田「ま、そんなわけだからさ、別に行っても行かなくてもいいのよね。どっち行くの?」

綾野「うん、こっちだよ」

小椋「私はパス……」


267: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/04/20(金) 19:32:04.83 ID:g2WG9aig0

高田「……よっ!」カツンッ

カァンッ コロコロ…… ガタッガタッ

綾野「うわぁ、すごいねナインボール全部入っちゃった」

高田「玉を入れちゃホントはだめなんだけどね」キュッキュッ

綾野「? 入れなきゃだめじゃないの?」

高田「棒を突くってのは同じなんだけど」

綾野「じゅんじっちゃんってたまにわからないこと言うね」

高田「たまだけにたまーにね」


269: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/04/20(金) 19:39:43.58 ID:g2WG9aig0

綾野「そういえばさ、じゅんじっちゃんは見崎ちゃんのことが好きなの?」

高田「好きだよぉ、でも彩ちゃんのことも好きだね」カァンッ

綾野「……そっかぁ、私にもチャンスはあったってことかぁ」

高田「日本の外には一夫多妻制の国があるみたいだよ。イスラムとか。ところでイスラムってどこにあるんだろうね?」キュッキュッ

綾野「んー、エッチなところがなければ即決したんだけどなあ」

高田「たとえ鳴ちゃんが僕になびいた上で彩ちゃんに言い寄られても僕は二人とも愛せる自信があるよ? もっと女の子が増えてもね」

綾野「えっ、あっちはまだ振り向いてないの?」

高田「そうっぽいんだよなあ」

綾野「……こんな風に浮気性だから信用してもらえてないんじゃないの?」

高田「でも仕方ないんだよなあ、だって僕の魅力がそうさせるんだから。その責任はちゃんと取らないと」


270: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/04/20(金) 19:48:05.37 ID:g2WG9aig0

綾野「……私にはもう関係ない話だけどね、転校しちゃうし」

高田「あらぁ……というとやっぱり」

綾野「仕事の都合、っていうのが本当のはずなんだけど、日が経つにつれて、やっぱり怖いからなんじゃないかな、って思う」

綾野「裏切り者に見えちゃうよね。みんな、怖いはずなのに」

高田「なんでまた、それが普通だよ。逃げられる理不尽はちゃんと逃げたほうがいい」

高田「それに、裏切り者なんていうヤツがいたら僕がやっつけちゃうよ」

綾野「……じゅんじっちゃんは転校生なのに、どうしてさっさと逃げなかったの?」

高田「君みたいな可愛い女の子がいるからだね」

綾野「……はぁ、なに訊いてもちゃんと答えてくれないんだろうな」


276: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/04/20(金) 19:55:21.38 ID:g2WG9aig0

ブーブーブー

高田「やぁてっしー。犬の交尾ってすごいね、出した時に大きくなったのが丸わかりだったよ」

勅使河原『軽く二、三発くらいは行けるようになりたいよなあ、で、なにやってんだ』

高田「彩ちゃんとデート」

勅使河原『はぁ……まあいいや、望月も来たし、見崎にも会ったんだ。先行ってるからな』

高田「鳴ちゃんもいるの? 先に言ってよぉ」

ブツッ ツーツーツー……

高田「てことで行かなくちゃならないみたいだよ」

綾野「うん、なんかすっきりした。ありがとう、じゅんじっちゃん。またいつか」

高田「そう、ならよかった。すっきりするのは大事だよ。こっちからも連絡するからね、それじゃ」タッタッ

綾野「……ふぅ」

高田「あ、どこに引っ越すの? それわかんないと連絡のしようがないよねえ」

綾野「由美とか泉美は知ってるから、訊いてあげてよ」


280: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/04/20(金) 20:07:17.25 ID:g2WG9aig0

旧校舎

高田「ごめーん、遅くなっちゃって。でも遅れて来るから主役の証だよね」

勅使河原「わけわかんないこと言ってないで一緒に探せ―」

見崎「空気が悪いわね、窓をあけましょう」

高田「こらこら危ない」ヒョイッ ムニッ

見崎「!?」

ガシャ-ンッ!

望月「わっ!?」

勅使河原「な、なんだぁっ!?」


282: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/04/20(金) 20:13:49.47 ID:g2WG9aig0

高田「相当老朽化してるみたいだねえ、他の所も気をつけないと。鳴ちゃん平気?」

見崎「高田君、その、胸……」

高田「え? あぁ、これ胸なんだ。やけに柔らかいあばらだなあと思ったよ」ムニムニ

勅使河原「お前失礼だな……乳首でわかるはずだろうよ」

高田「ん? あぁホントだ。ごめんごめん」サワサワ

見崎「……」ピクピク

望月(あの見崎さんが感情を露わに……)


283: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/04/20(金) 20:17:29.97 ID:g2WG9aig0

勅使河原「お、掃除用具入れの中に何か……」ズキズキ

高田「でかしたてっしー」ヒリヒリ

見崎「……」ムスッ

望月(二人のみならずなんで僕まで見崎さんの言いなりに……)

ビリッ ビリッ

勅使河原「なんだこれ、カセットテープ?」

高田「ガムテープの中にカセットテープって、僕でも言わないよ、そんなダジャレ」

勅使河原「とにかく再生してみないとな。どこに行けば……」

見崎「放送室があるわ、そこに行けばラジカセもあるはず」

望月「じゃあ行こうか」


285: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/04/20(金) 20:21:55.25 ID:g2WG9aig0

勅使河原「よし、それじゃ再生するぞ……」

ガチャッ ジィー……

松永『俺は今年、確かに人を殺した。これからするのは罪の告白』

松永『それから、3年3組の災厄を止めるために、後輩に託すアドバイスだ』

松永『俺たちは合宿に行って、ボロボロの神社を掃除した上でお参りをして御利益を得ようとした』

一同「……」

高田「……」

松永『その帰り道、いきなり雨が降り出して来たんだ。雷も鳴って、全員必死で逃げた』

松永『その中に傘なんか差してるやつがいてさ、いうまでもなく、雷に打たれて、死んだ』

松永『そのショックだったんだろうな、逃げてる途中で女子が滑落しちまって、翌日死体が発見された』

松永『で、大事なのはこれからなんだ。俺の記憶によればそこで三人死んだはずなんだが、死体は二つしか見つからなかったんだ』

勅使河原「……」ゴクリ

高田「ぐぅ、かぁっ……」スヤスヤ

見崎「寝ないで」ビシッ


286: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/04/20(金) 20:26:21.38 ID:g2WG9aig0

高田「だって三人も聴いてるんだから寝たってかまわないじゃない」ヒソヒソ

見崎「ダメ、ちゃんと聴くの」ヒソヒソ

望月「緊張感って言葉がつくづく似合わないね……」ヒソヒソ

高田「他人の話に興味がないんだよ。自分のことで手一杯なのになんで他人に興味がわくんだか」

勅使河原「ん……?」

カツカツ

勅使河原「やべえ、隠れろっ!」ガチャッ

望月「わっ!」

見崎「!」サッ


287: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/04/20(金) 20:31:37.63 ID:g2WG9aig0

ガチャッ

高田「あらぁどうも」

教師「お前、3組の高田だったか。なんでこんなところにいるんだ」

高田「女の子とかくれんぼしてるんですよ。ご褒美も込みでね。先生も一緒に探しませんか? まさにワリカンというやつです」

教師「ふざけたことを言ってないで、用事がないならさっさと帰れ」

高田「はぁい」スタスタ

ガチャッ

一同「……」

教師『まったく、三神先生の甥だというのに……』

高田『甥だったら結婚できるんでしたっけ?』

勅使河原「た、助かった、のか?」

望月「よくわかんないけど、そうみたいだね」

見崎「……ほんとよくわかんない」ハァ


289: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/04/20(金) 20:37:09.99 ID:g2WG9aig0

勅使河原「……で、テープは滅茶苦茶になったわけだが」

見崎「わかめ」

望月「うーん……これくらいなら、直せると思うよ」

高田「それはすごいねぇ」

望月「い、いつのまに!?」ビクッ

高田「それよりこの間外国人に会ってさ、興味本位にレットイットビー! って声かけちゃったんだよ。意味はわからないんだけど」

見崎「……」ハァ


292: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/04/20(金) 20:44:48.11 ID:g2WG9aig0

イノヤ

『今日の午後3時頃から落石により一時通行止めになっていた……』

勅使河原「え? 綾野が転校?」モグモグ

高田「みたいだね。今日には出発するんだってさ」モグモグ

望月「でも今日は市外に出る道路が……あ、もう通行止め解除されたのか。となると、もう行っちゃったんだろうね」

見崎「……」モグモグ

勅使河原「合宿も、そんなに人が来ないかもな」

高田「お姉さんこのナポリタンおいしいね、きっと本場イタリアと同じ味なんだろうね」モグモグ

智香「ナポリタンは日本独自の料理よ」


293: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/04/20(金) 20:48:58.54 ID:g2WG9aig0

赤沢「おにい……おにいのバカァーッ!」グスグス

カーン

高田「いったっ! 十円ハゲできちゃったらどうすんのよ」

赤沢「あっ、ご、ごめんなさ……わっわっ」フラッ

ドサッ

赤沢「い、いたぁ……」ジワッ

高田「大丈夫? あら、可愛いじゃない。可愛い子の涙は確かに綺麗だけど、たたき売りしちゃダメだよ」スッ

赤沢「うっ……」ギュッ

高田「理由があるんだろうけどさ、おじさんに話してみない? 楽になるよ」

赤沢「……その、大事な人が亡くなって……」パッパッ

高田「なんだ、僕と同じじゃない」

赤沢「えっ?」


295: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/04/20(金) 20:55:02.77 ID:g2WG9aig0

赤沢「あ、あなたも……?」

高田「うん。そういえばこっちの郷土料理っておいしいね、そばつまんこ、っていうんだっけ? 危うい名前だよねえ」

高田「でもおいしかった。ペロリと平らげちゃったよ、ペロリと」

赤沢「……そんな大事な人じゃ、なかったんですか」

高田「ううん、大事な人だったよ。僕は母親が早くに亡くなってね。遠くからではあるけど、いつも気にかけてくれる人だった」

赤沢「……じゃあ、なんで」

高田「最初は泣いたよ。結構泣いた。でも数日経っても実感がなくてさ」

高田「よくわからないんだよね、大事な人が亡くなったってどういうことか。だからいつも通りやってみるのよ」

高田「そこからなんか違う所が出てこないかなーって思ってるんだけど、さっぱりだね」

高田「死って思った以上に素っ気ないんだね、女の子だってもっと愛想良いよ」


296: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/04/20(金) 21:03:46.42 ID:g2WG9aig0

赤沢「はぁ……大変なんですね、あなたも……」

高田「うん、大変だよ」

赤沢「顔はそう見えないんですけどね。でも、いつも通りにするって、そういうことなのか……」

高田「生きてる方がしみったれて死に近づいちゃったら意味ないもんねえ」

赤沢「……そもそも誰かが死んだって本当ですか?」

高田「誰かを亡くした時、人は嘘をつきたがるみたいだよ」

赤沢「なにそれ……」クスッ

 ・
 ・
 ・

赤沢「……夢?」


299: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/04/20(金) 21:11:18.13 ID:g2WG9aig0

合宿所

勅使河原「望月、あれ持ってきたか?」

望月「うん、ばっちりだよ」

高田「僕も持ってきたよ、0.05ミリの薄々」

勅使河原「よし……やっぱり欠席者はいるねえ」キョロキョロ

望月「高林君も中尾君もまだ来れないみたいだしね……せっかくの臨時行事だったんだけど」

見崎「しかたないわ。事情が事情だもの」

高田「自慢するわけじゃないけどこのベルトイタリア製なんだ。自慢するわけじゃないんだけど」

有田「へ、へえ、すごいね」

前島「……メイドインイタリアって書いてる、カタカナで」

勅使河原「……正直大丈夫な気しかしないんだけどなあ」

望月「あはは……」


301: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/04/20(金) 21:16:52.19 ID:g2WG9aig0

勅使河原「それじゃー写真撮るかぁ、皆並べ」

高田「カッコよく撮ってよぉ」

勅使河原「元がカッコよすぎるから写真なんかじゃ再現できやしねえよ」

高田「んっふっふ」

桜木(扱い慣れてきたなあ……)

勅使河原「おーい、望月もっと寄れっ。ジュンはくっつきすぎた! 見崎が困ってる」

勅使河原「だからって杉浦にくっついてどうすんだよ! ……よぉし、ハイチーズ!」パシャッ

望月「じゃあ今度は僕が……」


304: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/04/20(金) 21:19:46.20 ID:PE0v5zps0

てっしーの適応能力


305: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/04/20(金) 21:25:08.63 ID:g2WG9aig0

勅使河原「よしと、じゃあ早速聴こうか」

望月「そうだね」

赤沢「……」ジッ

見崎「……出来るだけ他の人に聴かれない場所で聴きましょう」

高田「赤沢さん、そのリボン僕の好みだよ。気をつけてね」

赤沢「なっ!?」

高田「こんな豪勢なお屋敷に泊って、っていうのはなかなかのシチュエーションだと思うけどね」

赤沢「あんたには前からいっておきたかったんだけどね、そんな不潔なこと言ってると……」

小椋「……泉美」

赤沢「ふんっ!」クルッ


307: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/04/20(金) 21:31:44.41 ID:g2WG9aig0

ガチャッ ジィー……

松永『やっとの思いで下山したんだが、その時、それが起きた。(ブツッ)っていう奴と、掴みあいのケンカになったんだ』

松永『それで、気がついた時にはあいつが動かなくなって、木の枝に刺さって死んでいた』

松永『落雷や滑落の件もあったし、警察も来たけど、俺は何も言えなかった。怖かったんだ。ただ……』

松永『死体は見つからなかった。そもそもあいつの話なんてまるで出なかった。あいつのことを訊いてみても、誰だよそれ、って言われるだけだった』

松永『そこで俺は気付いた。あいつが死者だったんだ、って。でも、人を殺した事実に変わりはない。だからここで告白しようと思った』

松永『俺はまだ(ブツッ)のことを覚えているけれど、まもなく忘れてしまうかもしれない』

松永『どうやったら災厄を止められるか。いいか、死者を死に返せ。死者を死に返すんだ。それが災厄を止める方法だ』

一同「……」

高田「あ、終わった?」

見崎「……また寝てたの?」

高田「ううん、JAPって「ジュンジ・あいからわず・プリティ」のことかなあ、って思ってた」


308: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/04/20(金) 21:37:36.96 ID:g2WG9aig0

高田「でもおおよそはわかってるよ。厄介なことになったね」

望月「死者って、他の人と見分けがつかないんだよね……」

見崎「仮にもう一人がわかったとしても、殺せる?」

高田「無理だね、鳴ちゃんの体で悩殺できるわけがない」

見崎「……」ゲシッ ゲシッ

高田「いたいいたい」

勅使河原「……とにかく、その時は覚悟しなくちゃいけないんだろうな」

望月「もっとも、見分けられてからの話だけどね」


311: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/04/20(金) 21:49:40.24 ID:g2WG9aig0

食堂

カチャ カチャ……

赤沢「ちょっと良いでしょうか、先生? この際ですから、言っておきたいことがあるんです」

三神「……どうぞ」

赤沢「まず、最低限に抑えられているとはいえ、5月から度重なる不幸が起こっているのは事実です」

赤沢「対策係として、いくつかの不手際をお詫びします」

高田「やいムノウー」

赤沢「こ、こいつっ!」

杉浦「落ち着いてっ!」

高田「そうそう、落ち着いて。そもそもこれって誰かのせいにしたってしょうがないじゃない。僕のせいじゃないから言えるんだけどさ」

赤沢「ぐっ……」プルプル

高田「第一今無能って口走ってみたけどさ、雰囲気が悪くなるだけだよね。不毛だよ、中学生だけに」

高田「あっ、生えてる子もいるか」

小椋「……?」


314: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/04/20(金) 21:57:58.82 ID:g2WG9aig0

高田「それに赤沢ちゃんは頑張ってるじゃない。大したもんだよ、久保寺先生のお母さんは亡くなったけどさ」

高田「でも過去に比べたら差は歴然としている。赤沢ちゃんがなにをしてるのかは、よくわかんないけど」

赤沢「あ、あのねえっ! ここではっきりさせておくけど、あなたのその態度で現象がおこった可能性だって否定できないのよ!」

勅使河原「落ちつけ、言い争ったってこいつには勝てねえ」

赤沢「フーッ、フーッ……」

望月「待ってよ、高田君のおかげでクラスの雰囲気が良くなっている面もあるじゃないか!」

桜木「そうです! 皆が危なくなっても助けてくれました」

高田「いざ事実を言われちゃうと照れちゃうな。事実なんだけどね」

赤沢「ぐぬぬ……っ」


318: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/04/20(金) 22:06:07.47 ID:g2WG9aig0

ドシャァッ

一同「!?」

和久井「ハァーッ、ゼェッハァッ……」

風見「和久井、大丈夫か!?」

千曳「ぜんそくか、吸入器……カラかっ!」

高田「僕だってぜんそくはなんとも出来ないね」

千曳「救急車を!」

管理人「それが、先日から電話の調子が悪くて……」

千曳「……携帯も駄目か」

勅使河原「みんなの携帯も軒並みダメみたいだな、くそっ」

高田「みんなで手をつなげば交信できるんじゃない? どこにつながるかは保証できないけど」


319: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/04/20(金) 22:12:02.60 ID:g2WG9aig0

ザァーッ……

千曳「それでは、皆のことをお願いします」

三神「わかりました」

ブゥーン……

高田「大丈夫ですか?」

三神「……きっと大丈夫よ」

高田「それもありますけど、三神先生が」

三神「……気にしないで、それよりも皆のことが」

高田「こんな雨では、お化粧が……」

三神「……」


321: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/04/20(金) 22:23:01.46 ID:g2WG9aig0

見崎「高田君、私の部屋に来てくれない? もちろん、そういう話じゃないから」

高田「てことはああいう話?」

見崎「……高田君のことを信じたうえで聞いてほしいことがあるの。死者を見分ける方法が、あるかもしれない」

高田「……よし、わかった」

見崎の部屋

見崎「この左目、前も見せたけど……」

高田「綺麗だね、絶対に鑑定できないほど綺麗な目だ。僕は義眼の鑑定なんて出来ないけど」

見崎「夜見山岬が写ってる写真、これを左目で見るとね、死の色が見えるの。他の人にはみえない、独特な色」

高田「……」

見崎「簡単に言えば、これを使って死者を見れば、間違いなく判別出来る」

高田「それをいままで隠していたのは、鳴ちゃんの優しさ、なのかな」

見崎「……信じてもらえないだろう、っていうのもあるわ。でも今は違う。高田君がいる」

見崎「高田君はおちゃらけているけれど、誰かを疑ったことはない」

見崎「私がいない者になった時も、私だけでなくクラスメイト全員のことを思いやってくれていた」

高田「買いかぶられたものだね、んふふ」


325: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/04/20(金) 22:36:29.24 ID:g2WG9aig0

見崎「それからね、他にも話したいことがあるの。それは、私の双子の妹の、藤岡未咲のこと」

高田(鳴ちゃんの話では、元々彼女は双子として生まれたが、母親の妹の霧果さんに子供がいなかったから養子になったのだという)

高田(妹の未咲ちゃんとの交流は保たれていたが、今年の4月、未咲ちゃんの死によって絶たれた)

見崎「本当は信じたくなかったわ、理不尽な現象なんかのせいで、未咲が死ぬなんて」

見崎「でも、目を背けていたってしょうがない。真っ向から立ち向かって、ここで決着をつけてみせる」

高田「よく言った。それでこそ女だ……うん、さてと、その死者っていうのは、この合宿に来てるんだよね?」

見崎「それは……」

ガタァン!

勅使河原「ジュンッ! 俺、やっちまったかもしれねえ!」

高田「赤沢ちゃんを?」

勅使河原「あぁ……それならどれだけ良かったことか……」

見崎「……」


327: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/04/20(金) 22:44:46.21 ID:g2WG9aig0

高田「落ち着いて話してごらん、赤沢ちゃんは処女だったの? そうじゃなかったの?」

勅使河原「この手にあの大きくてやわらかそうなおっぱいの感触がぁ……」

見崎「バカ言ってないで早く事情を」

勅使河原「あ、あぁ……その前に、お前ら、風見智彦って知ってるか? メガネをかけて、クラス委員の」

高田「誰だっけ?」

勅使河原「俺、風見と言いあいになって、それでもしかしたら死者じゃないか、って思って……」

勅使河原「ただ、不可抗力だったんだ、あいつが二階から落ちていったのは。じゃないと、俺も……」

高田「なるほど、弁護士の役作りにはうってつけの場面だね。じゃ、六法を枕にしてみようか」

見崎「落ち着いて、この高さなら死なない可能性のほうが高い。たぶん、突き落してから確認もしなかったんでしょう?」

勅使河原「あ、あぁ、そういえば……」

高田「ちゃんと確認しないとダメじゃない、穴開けられてないかとか」

見崎「とにかく風見君の許に」

勅使河原「ああ……」


334: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/04/20(金) 23:11:16.21 ID:g2WG9aig0

中央階段

高田「んー、風見君がいなくなっちゃったから探すって言っても、僕にそんな義理はないんだよねえ」

高田「ん、調理室の扉がすこし開いてる」

高田「行ってみよ……」ガシッ

前島「逃げろ、高田っ……」

高田「誰? うわ、なにつけてんのさ、ケチャップ爆発させちゃった?」

前島「行くな、そこは、だめだっ……」

高田「あ、これ血か……無理はしないで、ここで休んでなさい」

高田「それに行くなって言われたら行っちゃうよ。オープン・ザ・セサミ!」

ガタッ ゴオォォォ……

高田「……マンモスの丸焼きでも食べさしてくれるのかな?」

管理人夫「」

高田「あれは……いわずもがな、か」


339: >>337そっちの方が面白いじゃない 2012/04/20(金) 23:15:13.76 ID:g2WG9aig0

勅使河原「ジュン、どうし……うわ、なんだこりゃあ!?」

高田「消防に連絡はつかないんだよね。とにかく外に出るのが先決だろう」

高田「それと前島君が倒れてるんだ、てっしーは彼の処置を。僕は皆にこれを伝えてくる」

勅使河原「わ、わかった」

赤沢「どうしたの、高田君?」

高田「お、赤沢ちゃん」

赤沢「多佳子がいないの、部屋中が血だらけになって……それに、火事?」

高田「落ち着いて、泉美ちゃん。状況を整理しよう。管理人の奥さんが夫を殺して火をつけたみたいだ」

高田「おそらく多佳子ちゃんは彼女にやられたのだろう、でも、いないってことはどこかにいるはずだ」

高田「今は皆を速やかに外に出すことだ。ここはもうじき全焼してしまう」

赤沢「う、うんっ」


340: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/04/20(金) 23:16:02.55 ID:nJqpd+Sg0

やだ…この純次かっこいい///


342: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/04/20(金) 23:18:37.71 ID:bohZ7Ry00

純次って何であんなに面白いの


345: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/04/20(金) 23:23:14.37 ID:g2WG9aig0

望月の部屋

ガチャッ

望月「!」

高田「もっちー、調理室で火事が起きた。早く逃げよう」

望月「え、ええっ!?」

高田「とにかく外に」

望月「ひ、非常口は、こっちに……」

管理人妻「……」ギラッ

高田「やれやれ、今度は殺陣の稽古か」


349: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/04/20(金) 23:29:26.36 ID:g2WG9aig0

管理人妻「うらぁっ!」ブゥン!

高田「滅茶苦茶な太刀筋だなっ、見破るのがかえって難しいよっ」ヒョイッ

高田「でもー? 後ろがお留守になってたりしないかなぁ〜?」

望月「うわあああっ!」ドンッ

管理人妻「ぐあっ!?」ドサッ

高田「よくやったもっちー! 女の子を殴れるなんてそれでこそ女の子だよぉ」

望月「なこと言ってないで早く手伝ってっ」ギシギシ

高田「亀甲縛り? 背面合掌縛り? おじさんどっちも出来ちゃうよ?」

管理人妻「あ゛あぁぁぁ!!!」ジタジタ


350: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/04/20(金) 23:37:15.68 ID:g2WG9aig0

二階廊下

桜木「粗方伝え終わりました、けれど風見君が……」

高田「多佳子ちゃんもいないみたいだね」

杉浦「私はここにいるよ?」フラァ

赤沢「多佳子! 生きてたのね、よかった……」

杉浦「泉美を置いて死ねないわよ……」ニヤァ

見崎「! 離れてっ!」

杉浦「ちっ」キラッ

赤沢「多佳子、あんた、何持って……」

杉浦「言ったでしょ? そこにいる見崎さんが死者なんだって……死者を死に返せば、災厄は止まるって……」

杉浦「死者を死にぃ!」ブゥン!

見崎「!」

高田「おじさん落ち着かせる方法は知らないんだよなあ、興奮させる方法はいっぱい知ってるんだけど」ググッ

杉浦「!(こいつ素手で……っ)」ギギッ


353: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/04/20(金) 23:46:30.52 ID:g2WG9aig0

高田「泉美ちゃんのおっぱいにばっかり目が行ってたけど、君も良いおっぱいしてるね。A、B、C? 全部経験してる?」

杉浦「ふざけるなぁっ!」ドゴッ

高田「ぐっ! 足は踏みつけるだけにしてよ……」

杉浦「このぉっ!」ブゥンッ

高田「おっと!」ガシッ

杉浦「離せぇ!」ジタジタ

高田「こんな形で女の子に抱きつく時が来ようとは……皆逃げてっ!」

赤沢「た、多佳子……」タジ、タジ

杉浦「ぐっ、ぬぁぁ!」

高田「ぐっ、なんて馬鹿力だっ」ドサッ

杉浦「お前との決着はあとでつけてやる……泉美、後ろの子もちゃんと始末してあげるからね……」ダッ

赤沢「どうして、こんな……」

高田「……今は多佳子ちゃんを追おう」


357: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/04/20(金) 23:50:56.79 ID:g2WG9aig0

高田「死者を死に、ってことは……」

赤沢「……望月君からテープを聴かせてもらったわ。それに多佳子の記憶だと、小学生の頃眼帯をしていない見崎さんを見たことがあるらしいの」

高田「それは誤解だね。もっとも、今の彼女が聞き入れてくれるかはわからないけれど」

杉浦『3年3組のみなさん、こんばんは。まずはこちらをお聞きください』

赤沢「多佳子!?」

高田「『思い出のアルバム』をよろしく。あれはいつ聴いてもジーンと来ちゃうんだ」

松永『いいか? 死者を、死に返せ。そうすれば災厄は止まる』

高田「あんなコとーこんなコとーあったでしょうー♪」

杉浦『私の記憶では小学生の頃の見崎さんは眼帯を付けていなかったはずです。

杉浦『けれど、彼女の言う所ではもっと幼い頃に眼帯をつけはじめたのだそうで。これはどういうことでしょう?』

赤沢「多佳子……!」ダッ

高田「鳴ちゃん、逃げたほうがよさそうだ」

見崎「……うん」

杉浦『殺せえぇぇぇぇっ!!』


359: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/04/20(金) 23:58:24.89 ID:g2WG9aig0

高田「こっちだ、鳴ちゃん」

見崎「……!」

川掘・辻井「……」

有田・柿沼「……」

一同「死者を死に!!」

三神「やめなさい! 生徒同士で殺しあうなんて、そんな……」

高田「映画化すれば売れそうですけどね、でも僕もそれに出演したいので死ぬのは勘弁だ」

辻井「邪魔するなぁ!」ブゥン

三神「あっ……!」フラァ

ドサッ

高田「!」ダッ

辻井「!(は、はや……)」

ドゴォッ!

高田「安心しなさい、峰打ちだよ」


361: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/04/21(土) 00:01:39.16 ID:rqB8FKcJ0

何者だよwwww


362: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/04/21(土) 00:04:08.74 ID:tNAqLZvX0

純次△


364: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/04/21(土) 00:04:19.15 ID:47YfEUvJ0

川掘「拳に峰も何もあるかよっ!」ブゥン!

高田「このっ」ケリッ

川掘「つあっ!?」コケッ

高田「三神先生……鳴ちゃん、こっちだ!」

見崎「っ!」ダッ

小椋「死者を死にィ!」ギラッ

高田「うわっ、女の子が僕のために刃を? 出来れば状況を変えてほしいところだなぁ」

小椋「おらぁ!」ブンッ

高田「やむなしっ」ダキッ

小椋「わっ! はなせ変態! この、こんな抱きつかれるみたいなっ!」ジタジタ

高田「え、この感触背中じゃないの?」

小椋「殺す! 殺すっ!」ジタバタ

見崎「……」タッタッ


384: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/04/21(土) 01:00:22.48 ID:sGFCOgO60

小椋「汚されちゃったよぉ……」メソメソ

渡辺「げ、元気出して……」

踊り場

高田「いったい何の話をしてたのかわかんなくなってきたな……」

見崎「いざ話を逸らされると案外弱いのね」

高田「反らすのは得意なんだけどねえ」

杉浦「それ、一生反らせないようにしてあげようか」グサッ

高田「! 危なかった、ゴムの束が守ってくれた……やり手だね、多佳子ちゃん」

杉浦「くそっ!」キーンッ!

高田「ふぐぅっ!? だめだよ、そこは舐められると格別なんだけど……」ジィーン

杉浦「あんたは後で殺してあげる……見崎さんの死に様を見せたうえでね」

見崎「くっ……」ジリッ


386: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/04/21(土) 01:06:42.87 ID:sGFCOgO60

杉浦「しねえぇぇ!!」

勅使河原「よせ杉浦っ!」ドンッ

杉浦「あぐっ!?」ドサッ

高田「てっしぃ〜久しぶりぃ〜」

勅使河原「お前ばっかりにいいカッコはさせないぜっ」グッ

杉浦「くそぉ……」ググッ

高田「多佳子ちゃんは背面合掌縛り似合いそうだよねえ」

見崎「風見君は?」

勅使河原「見つからねえ。今千曳先生が戻ってきて前島とかを保護してるんだけど、来なかった。たぶん外にはいないんだろう」

勅使河原「ただ、火がロビーにも回り始めた。長居はできねえな」

見崎「……」ダッ

高田「鳴ちゃん? どこ行くのさ?」

見崎「ついてきちゃ駄目……私がやらないといけないから」

高田「つきたいんだけどなあ」


387: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/04/21(土) 01:13:35.69 ID:sGFCOgO60

高田「見失っちゃった……まずいな」

金木「こっちよ!」

松井「まって、杏ちゃん!」

高田「あの二人は……あぁ、禁断の花園か」

高田「ん?」

風見「……」フラァ

高田「えーっと、よくわかんないけどてっしーが探してる人」

勅使河原「風見!」

風見「勅使河原……ひどいじゃないか、僕を突き落としたりして」

勅使河原「あれは悪かった、話は後だ、今はここから出よう!」

風見「杉浦さんのアナウンス、聴いたよ。でも死者は見崎さんじゃない……そこにいるそいつだ」

高田「?」キョロキョロ


389: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/04/21(土) 01:19:51.00 ID:sGFCOgO60

風見「お前だよ、高田ぁ!」ギラッ

高田「ここの人たち刃物好きだね、でも刺すのが好きだったら金物屋も雇ってくれないよ?」ヒョイッ

勅使河原「やめろ、風見……ッ!」ガシッ

風見「離してくれ勅使河原、こいつを殺せば全て終わるんだ……!」

勅使河原「お前は見た目の割に冷静じゃなくなることがあったけど、ここまで狂うことはなかったはずだぜ……」

風見「そんなの関係ない、こんな状況でまともにいられる方がおかしいんだ。だからこいつが……」

赤沢「純次君は死者なんかじゃないわ……」

高田「泉美ちゃん」

千曳「! 君達なにをしているんだ! 早く逃げなさい!」

高田「火事だっていうのに人多すぎだよぉ」


391: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/04/21(土) 01:30:16.33 ID:sGFCOgO60

高田「てっしー、風見君は任せた。君ならきっと仲直り出来るはずだ」

勅使河原「わかった、見崎を無事に連れ戻してこいよ」

風見「高田ぁッ!」

赤沢「待てっ!」ダッ

千曳「やめなさいっ!」ガシッ

赤沢「くっ! 窮地から逃げた臆病者が今更何を……渦中で苦しむ人間の心がわかってたまるか!」

千曳「確かに私は逃げた。だが今ここで苦しむ人々だけは助けられるからこそ口を出す」

高田「赤沢さん、鳴ちゃんは死者なんかじゃない。それは信じてよ」

赤沢「信用しろっていうの……あなたみたいな適当な人間を……」

高田「僕を信じるんじゃない。鳴ちゃんを信じてほしい。あの子は、今重い責任を背負ってるんだ。僕はそれを助けないといけない」

高田「お願いだ、泉美ちゃん」

赤沢(あれっ、これって……)


395: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/04/21(土) 01:38:38.71 ID:sGFCOgO60

高田『お互い大変だけどさ、頑張って行こうよ。死を必要以上に重く受け止めないで、今をしっかり見据えながら』スッ

赤沢『……うん』ギュッ

高田『僕は東京に戻っちゃうけどさ、君ならきっと一人でも立ち直れるよ。誰かのために泣けるってことは、それだけ思いが強いことだものね』

高田『きっとそのおっぱいもまだふくらむだろうし』

赤沢『!?』バッ





赤沢「……あなた、本当に私と昔会ったことない?」

高田「そこまで言うなら会ったのかもね。でも、もうどうでもいいでしょ。過去がどうとか、そんなことに証拠を求めるなんて」

高田「大切なのは今ここにあることを信じることさ」

赤沢「……そう」クタッ

千曳「高田君、くれぐれも無事で戻ってくるんだよ」

高田「わかってますって」


396: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/04/21(土) 01:45:21.43 ID:sGFCOgO60

高田「鳴ちゃん、一体どこに……」

高田「携帯……海に行く前に番号教えてもらってよかったな。こんな形で使うことになろうとは……感動的だなあ」

プルルル……プルルル……

高田「……じらされるのも僕は好きだよ、鳴ちゃん」

プルルル……プルルル……ガチャッ

見崎『もしもし、高田君?』

高田「見なくてもわかるよ、可愛い顔してるんだよね、鳴ちゃん?」

見崎『……』

高田「いったいどこに?」

見崎『高田君は、来ないほうが良い。きっと後悔することになるから』

高田「僕に過去と未来はないんだ、今しかないんだよね。だから大丈夫だと思うよ」

見崎『……その冗談が本当でも、きっと悲しむことになるから』

ブツッ


400: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/04/21(土) 01:51:46.10 ID:sGFCOgO60

高田「……」

中庭

ゴオッ! ボウボウ……

高田「……鳴ちゃん」

見崎「高田君、来ちゃダメって言ったのに」カラカラ

高田「おおむね理解は出来たよ」

怜子「た、高田君……助けてっ……」

高田「三神……いえ、怜子さん。あなたが……」

見崎「ずっと引っかかってたの。三神先生を見てると、目に浮かんでくる光景がある。男の人と女の人がもつれあう姿」

見崎「川に落ちていく女の人、それをうすら笑いすら浮かべて見やっている男の人」

見崎「もっとも、証拠はない。そんな事件があったっていうことも、消えちゃっているみたい」

見崎「けれど、この目は確かに知っているの。信じて、高田君」

怜子「そんなこと信じられるわけがないじゃないっ、高田君……!」


403: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/04/21(土) 01:58:50.13 ID:sGFCOgO60

高田「鳴ちゃん、君は十分自分と向き合えた。ここからは僕の仕事だ」

見崎「……」グッ

高田「そのツルハシを僕に渡してくれ。もしそれを振りおろしてしまったら、君が苦しむ」

高田「何より、僕は君のことを、信じたうえで恨んでしまうかもしれない」

見崎「……」スッ

高田「……」グッ

怜子「やめて、お願い……」ジッ

ゴオォォォ……


405: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/04/21(土) 02:02:05.60 ID:sGFCOgO60

高田「三神先生、そして怜子さん。僕はすこし前に、大事な人を失った」

高田「今思いだせたよ。その死を受け止めきれないまま、僕はずっと適当に生きてきた」

高田「そして忘れてしまった時も、喉につかえるものがありながら、この性格のせいでなおざりにしてきた」

高田「でも、今は確かに思い出せている。そしてこの今と向き合わなければいけない」

高田「やっぱりしっかりと責任は取らないといけないみたいだ」グッ

怜子「っ!」

高田「ごめん、怜子さん。ちゃんとした形で、今までこの言葉を言えなくて」グアッ

ガシャァンッ!

高田「……さよなら」ブンッ


411: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/04/21(土) 02:08:44.17 ID:sGFCOgO60

見崎(合宿所は全焼したものの、死者は管理人の夫だけで済んだ。もちろん、奥さんは警察によって連行された)

見崎(生徒による傷害も取り上げられるべきだったのだろうけれど、署の職員に元3組の人がいたおかげで取り調べだけで済んだ)

見崎(現象の効果はすさまじく、死に深くかかわった私と高田君以外はみんな三神先生にまつわることを全て忘れてしまった)

見崎(写真も、名簿も。思慕を寄せていたらしい望月君だって、例外ではない)

見崎(災厄を止めたことだけはハッキリしているので、高田君はちょっとしたヒーローとして扱われている)

見崎(もっともあの夜の記憶は残っているから、いまだ距離を置いている生徒も何人かいるのだけど)

高田「ゆかりちゃん風でスカートめくれたんだって? スカート履いてて良かったねえ」

桜木「もうっ、何言ってるんですかっ!」

高田「いっそスカート履かなければいいんじゃない? パンツだけになっちゃうけど」

勅使河原「ははっ、そりゃいいや。わざわざ抑える必要もなくなるしなぁ」

高田「アレの日なんかは注意が必要だけどね」

望月「まったく……」

見崎(高田君は、教室ではあの夜のことをうかがわせる顔は見せていない)


413: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/04/21(土) 02:14:17.45 ID:sGFCOgO60

高田「おお! 誰だっけ?」

前島「前島だよ」

高田「知ってるよ。怪我はもういいの?」

前島「ああ、傷口はまだうずくけどな」

有田「よかったわね。そういえば、杉浦さんはどうだった?」

和久井「風見君も……」

前島「怪我は両方治ってるらしいけど……色々とあるみたいでな」

高田「今度僕がナース服で御見舞いにいこうかな」

王子「きっついなぁ……」

勅使河原「じゃあ望月ならどうだ?」

柿沼「それは個人的にも見てみたい……」ジロリ

望月「え!? なんでみんな見てるのさっ!」


418: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/04/21(土) 02:19:38.13 ID:sGFCOgO60

小椋「と、届かない……」

高田「ほら、どうぞ」ヒョイッ ムニッ

小椋「う、うわっ!? どこ触ってんのよ!?」

高田「胸だけど? いくらなんでもわかるよぉ」

小椋「ていうかあんたが取ればいい話でしょ!」ドキドキ

多々良「高田君って、黙ってればカッコいいのにね……」

藤巻「え、あんた頭おかしくなった?」

江藤「いやあ、まあ顔は良いと思うよ。でもそんな感情を抱くこと自体……」

多々良「えっ? えっ?」


422: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/04/21(土) 02:25:49.58 ID:sGFCOgO60

綾野『やっほー、元気してる? じゅんじっちゃん』

高田「常に元気で困っちゃって困っちゃって。収めてほしいところだな」

綾野『あはは、またわけわかんないこと言ってる』クスクス

高田「そっちはどう? ボーイフレンドは? ま、僕以上にカッコいい人なんてそうそういないだろうけど」

綾野『じゅんじっちゃんくらいの人は中々ねー、カッコいいけど面白い人ならいるんだけど』

高田「ええ、なにそれぇ、僕はどっちにも該当しないと?」

綾野『えへへっ』


425: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/04/21(土) 02:31:41.79 ID:sGFCOgO60

赤沢「……」ジロッ

高田「赤沢さんお赤飯でも食べた?」

赤沢「……誰のせいでこんなに怒る必要があるのかしら」ビッショリ

高田「Eカップある人はTシャツに水ぶっかけて着なきゃ駄目だよ」

赤沢「……」ワナワナ

中尾「……高田、殴られるなら俺も混ぜてくれ」

高田「そう? じゃあ代わりによろしく」スタスタ

赤沢「待てこらテキトーヤロー!」

桜木「あ、赤沢さん、せめて長袖着てっ」

見崎「……」


428: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/04/21(土) 02:38:33.73 ID:sGFCOgO60

墓地

高田「……」

見崎「今日も、いるんだ」

高田「忘れないようにね」

見崎「どう? やっぱり後悔してない?」

高田「全部わかってるつもりでやったからね。その辺のことは全く。けれど、なんだろうな、思い出すたび悲しくなる」

高田「泣けはしないんだよね。でも処理しきれない途方もない感情があるんだ」

高田「僕には母親がいないからさ、ちょっとした母親代わりを得た期間だったわけだよ、怜子さんと過ごした時間って」

高田「だけどそれが、あんな酷い形で終わることになるなんて、とか、良い所を探しても、それもやがて忘れていくんだろうな、とか」

高田「死んだこと自体は、自分で始末をつけたわけだから納得してるんだけど」

高田「怜子さんが生きていた時間は上手く処理できないまま残ってる。そして処理できないものがやがて消えていく」

高田「それはそれですっきりするんだろうけど、それを想像しただけでも、悲しい」

見崎「……」

高田「しゃべりすぎだね、僕。しゃべってないと寝ちゃうタイプだからさ」


432: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/04/21(土) 02:47:57.85 ID:sGFCOgO60

見崎「思い出も今思い出すことしか出来ないから今進行していることだって、言ってた人がいるの」

高田「へえ、誰?」

見崎「忘れた」

高田「あらら」

見崎「でも、そんな風に今を送りながら折り合いをつけていく余地が与えられているはずなのに、それさえ出来ないのは……」

高田「……」

見崎「泣きたい時は、泣けば良いと思うわ」

高田「僕はハリウッドを目指してるんだ、涙くらいコントロール出来ないと駄目だよ、うん」

見崎「適当の適は適材適所の適でもあるわ。今は涙を流すのに適当な時じゃないの?」

高田「あらら、一本取られた」

高田「……でも涙が出てこないからやっぱり泣かない」

見崎「……そう」


434: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/04/21(土) 02:54:25.30 ID:sGFCOgO60

 ・
 ・
 ・
 ・
 ・

「僕の中学校の頃に可愛くておっぱいの大きい子がいたのよ、モテモテでさ」

「僕も好きだった、けれどそっけなくあしらわれてね、でも今僕が独身ならきっと付き合ってくれると思うよ」

「向こうも60で可愛くなくなってるだろうしおっぱいも萎びれてるだろうけど」

「あはは、ひどーい」

 ハハハハハ……

「おっぱいの大きい子はおっぱいしか覚えてないでしょ? 可愛い子は顔しか覚えてない」

「その二つがそろってやっと僕は人間のことを覚えるのよ」

「えー、じゃあ私は顔だけー?」

「えっと、ごめん、見たことない顔だね」

 ハハハハハ……


436: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/04/21(土) 02:59:45.83 ID:sGFCOgO60

「お疲れ様です」

「御苦労さま。ファンレターか、これくらいの女の子持ってきてくれればいいのにねえ」

「これだけはファンレターじゃないのね。ん、この名前……」

『天も地もすっかり春のよそおいをこらしてきましたが、ますますご健勝のことと存じます』

『高田君が一年だけ夜見山の地にお住まいになり、卒業して東京にお戻りになって以来、五十年の月日が流れました』

『芳しくない思い出もあるとはいえ、きっと忘れられない思い出も多いかと存じますが、いかがでしょうか』

『この春も夜見山北中学から多くの卒業生が送り出されました。もちろん、あの三組からも、です』

『今年の卒業生は三十五名、進級した当初揃った全員が無事卒業したそうです。いつしかあの災厄は、無くなったと聞きました』

『こんな話題を持ち出したのは、このたび同窓会を開催することをご報告いたしますためです。開催日は高田君の転校してきた五月と決まりました』

『近頃は大変ご活躍になっているので、ご多忙かとは存じます。ですが、皆が高田君のことを心待ちにしています』

『長々とした文章をご覧に入れてお時間をとってしまうのも心苦しいので、筆を擱きます。良い返事をお待ちしております』

『三年三組卒業生 見崎鳴』

「ねえ、スケジュール見せてくれる? あ、開いてるね。この日ちょっと東京出るよ」

「ちょっとね、それじゃここだけは何も入れないで。よろしく」

 END


449: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/04/21(土) 03:07:18.11 ID:sGFCOgO60

もうなんつーか、みんなジュンジーのおかげで書けたようなもんです
ネタから展開から、考えるのも一苦労でしたけど、参考のためにコントや名言集をちょこっと見るだけでも笑えたことは楽しいひと時でした
ここまで付き合ってくれた方々、ありがとうございました。それから高田純次様、これからもがんばってください


439: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/04/21(土) 03:01:21.83 ID:kE+i1++H0

乙でした


443: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/04/21(土) 03:03:30.85 ID:qdUCrF2V0

おつ!
おもしろかった!


452: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/04/21(土) 03:08:21.21 ID:T3ms1/S+0


良かった


466: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/04/21(土) 04:48:39.11 ID:kVXQCs7a0

一気に年月が過ぎて切ない乙
あかざーさんはセーフだったのか


475: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/04/21(土) 08:13:38.23 ID:czezeGDlO


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