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エルシィ「この人達みんな駆け魂が入ってますーー!!」夜空「ん?」
http://hayabusa.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1334988935/
エルシィ「本当にこの砂浜と海が結さんのものなんですかーー!?」
結「うん。まぁ、僕のじゃなくて五位堂の敷地だけどね」
ちひろ「さすがお金持ちはスケールが違う……」
歩美「そのおかげでこうやって2B-PENCILSの合宿が出来るんじゃない」
京「夏休みに海で合宿ってバンドっぽいよねー」
桂馬「おい、立ち止まるな。さっさと五位堂の別荘に案内してくれ」
エルシィ「もー、神にーさま。海ですよ! もっと楽しみましょうよ~~!!」
歩美「やっぱり桂木は連れて来なくてよかったんじゃない?」
ちひろ「確かにオタメガは関係ない。でもエリーがどうしてもって」
結「え? 二人ともあんなに頑張って男の子が好きそうな水着選んでたのに?」
歩美「ゆ、結ぃぃーー!!」
ちひろ「な、なに言ってんのさーー!!」
桂馬「別にお前達の合宿を邪魔するつもりはないよ」ピコピコ
歩美「それなら……」ちひろ「いいけど……」
エルシィ「あれ? 向こうの砂浜に誰かいますよ?」
結「本当だ。あれは―――」
小鷹「はぁはぁ、やっと着いた……」
幸村「あにき、荷物持ちお疲れ様です」
理科「あぁん、火照った身体に潮風が気持ちいいですぅ」
小鳩「海だーー!!」マリア「海だーー!!」
夜空「ほう、ここが肉の海か。想像していたのより気持ち悪くないな」
星奈「あんたねぇ、どんなのを想像して―――」
結「星奈!! 星奈じゃないか!!」
星奈「ご、五位堂!?」
歩美「へぇ、それならあの岬が境界線で別れてるんだ?」
結「そういうことだね。こっちは五位堂、向こうは柏崎の敷地なんだ」
星奈「―――ところで、五位堂。あんた達はなんで別荘に来てるのよ?」
ちひろ「私達はガールズバンドやってて舞高祭でライブやるのさ~」
京「その為の強化合宿なんだよねー」
夜空(ガールズバンド!? 文化祭でライブ!?)
小鷹「よ、夜空…?」
夜空(……リア充! 圧倒的リア充!! こいつ等は敵だ……!!)
エルシィ「ここで知り合えたのも何かの縁。皆さんよろしくお願いします~~!!」
ドロドロドロドロ!!!!
桂馬「!?」
エルシィ「!?」
桂馬「ま、まさか……」
エルシィ「に、にーさま大変です……」
桂馬「嫌だあああ!! 聞きたくない!!!!」
エルシィ「この人達みんな駆け魂が入ってますーーーー!!!!」
夜空「ん?」
桂馬「ああああぁぁぁぁーーーー!!!!」
星奈「な、なに、こいつ……。まぁいいわ。それじゃ五位堂、私達は行くから」
結「あぁ、僕達も荷物を置きに行こう」
桂馬「それじゃ駆け魂が入ってるのはそいつだけなのか?」
エルシィ「うぅ、すみません。駆け魂センサーが心のスキマをキャッチしただけでした」
桂馬「それでも全員に心のスキマがあるのか……。なんて残念な奴等なんだ……」
エルシィ「でも三日月夜空さんだけは本当に駆け魂が入ってますよ!!」
桂馬「―――」ガクッ
エルシィ「神にーさま?」
桂馬「……夏休みは毎日駆け魂狩り、家にいればハクアやノーラ、それにディアナ……」
桂馬「結の別荘なら誰にも邪魔されることなくギャルゲーが出来ると思ったらこれだ!!」
エルシィ「こんな所でも駆け魂に出会えるなんて運がイイですね!!」
桂馬「どこがだ!!」
エルシィ「さぁ、また駆け魂を捕まえて最高の夏休みにしましょう!!」
桂馬「はぁ、最悪な夏休みだよ……」
桂馬「それで、今回の相手のデータはあるのか?」
エルシィ「私はまだ何も調べてないですけど地獄のデータベースに少しだけありました!」
エルシィ「聖クロニカ学園高等部二年、三日月夜空さん」
桂馬「三日月、夜空、すごい名前だな。それに二年、僕達と同級生か」
エルシィ「それから今は隣人部という部活をしているそうです」
桂馬「隣人部? なんだそれは」
エルシィ「えーと、隣人部の主な活動は『友達を作ること』だそうです」
桂馬「……は?」
エルシィ「え、えと、友達を作ることって書いてありますよ」
桂馬「友達…? 奴等と友達になれば駆け魂は出て行くのか…?」
エルシィ「さ、さぁ…?」
桂馬「僕のギャルゲー理論で攻略すると友達ルートはバッドエンドだぞ!?」
ちひろ「あっ、エリーこんなところにいた! ほら着替えて行くよ」
エルシィ「ちひろさん、行くってどこにですか?」
ちひろ「もちろん海さ~~!!」
歩美「桂木も来たんだー」
ちひろ「オタメガも海で遊びたいのさー」
桂馬「おい、僕に絶対に海に来いって言った奴等は誰だ」
歩美「…………」
ちひろ「…………」
歩美「そ、それよりさ。桂木、私達に何か言うことあるんじゃない?」
ちひろ「そ、そうさー。こう、なんか、見た目とか」
桂馬「は……? あぁ、水着か。確かにギャルゲーで水着イベントは重要、だが」
桂馬「リアルの水着イベントなどに興味はない!!!!」
ドゴーン!! バシャバシャバシャ
桂馬「僕のPFPがああああああああああ!!!!」
『海だーーーーーーーーーー!!!!!!!』
桂馬「ん…?」
結「向こうの砂浜の星奈達だね」
エルシィ「あれは、何をしているんでしょう?」
ちひろ「海に向かって叫んでいる、としか」
歩美「説明のしようがない」
京「青春だねー」
結「そうだ、せっかくみんな同じ砂浜にいるんだ。みんなで一緒に遊ぼうよ!」
歩美「あ、いいかも。ビーチバレーの試合とかやろ!」
ちひろ「ちょっと怖そうだけど向こうにはイケメンもいた!」
京「ちひろ……」
桂馬(さっそく出会いイベントか。ここは重要だぞ)
星奈「五位堂、あんた変わったわね。さっきの男装といい、何かあったの?」
結「え? 別に、ただ自然にこうなっただけだよ」
幸村「パーティーで知り合った人に海で再会、素敵ですね」
理科「そ、それでセレブな二人の出会いはパーティーでら、ら、らんk」
夜空「おいっ!」バシッ
星奈「舞島で有名な所は五位堂と青山だけだからね。ちょっと覚えてただけよ」
桂馬(青山…? あぁ、美生か)
結「それで、どうかな?」
小鷹「いいんじゃないか? 人数は多い方が楽しいだろ?」
夜空「お、おい、小鷹。どういうつもりだ?」
小鷹「どうって、俺達は隣人部の活動で来てるんだ。友達を作るチャンスじゃないか」
夜空「そ、それは、そうだが……」
結「さて、自己紹介も済んだことだし、何をして―――」
星奈「ハァハァ……エルシィちゃん……ハァハァ……」
エルシィ「…? なんでしょう?」
星奈「一目見たときからカワイイと思ってたのよ! エルシィちゃんもふもふ羽衣モフモフさせてぇぇ!!」
エルシィ「星奈さんくっ付かないで下さい~~。どっちが喋っているのか分からなくなります~~」
小鷹「へ、へぇ、それじゃ小阪さん?は勉強も料理もギターも上手いんだ?」
ちひろ「そうなんですよ~~」クネクネ
京「おい」歩美「ないわー」
結「みんな好き勝手だなぁ。三日月さんのところも大変そうだね」
夜空(……なんだこいつ、馴れ馴れしいヤツだな……)
夜空「小鷹達はお前達と遊ぶようだが、私は違う。小鷹、私は部屋に戻っているぞ」
小鷹「お、おい、夜空! 夜空……」
夜空(……なんで私があんなリア充達と遊ばないといけないんだ……)
夜空(……小鷹もあんなバンドなんかやってる女と仲良くするとは……)
桂馬「ふぅ、やっとPFPに入った海水を拭き取れた」フキフキ
夜空「!?!?!? だ、誰だ!?」
桂馬「さっき自己紹介しただろ。桂木桂馬だ」
夜空「……なんでここにいる? ここは肉…、柏崎の別荘なんだが?」
桂馬「五位堂の別荘は結のボディガードが多くて、ゆっくりゲームも出来やしないよ」
夜空「そうか。だがそれとお前がここにいていい権利にはならないな」
桂馬「お前の読書の邪魔はしないよ。それともこの広いリビングに僕がいるだけで読書も出来ないというなら出て行くが」
夜空「……まぁいい。好きにしろ」
桂馬(あれだけ大勢の人間がいたら二人きりのイベントはそうそうない)
桂馬(ここで夜空との関係を他の奴等と違うモノにする。ここはどう攻めるか)
星奈「小鳩ちゃん! エルシィちゃん! 一緒にサンオイルの塗り合いしましょぉぉ!!」
小鳩「いやああああ!!」
エルシィ「あわわわ~~」
幸村「あにき、ビーチバレーといえど勝負は勝負、真の男たるもの勝ちたいです」
小鷹「あぁ、舞島と聖クロニカの対戦だからな。これは戦だ」
理科「小鷹先輩、ビーチボールを胸で受け止めたときに水着が脱げる確率はですね」
小鷹「おい」
マリア「ルールは知らないけどマリアもやるぞぉーー!!」
小鷹(……夜空、戻って来ないな。やっぱり追いかけたほうが良かったか……)
『やっぱり私一人は嫌です! みんなと、貴方と一緒にいたい!』
桂馬「フッ、分かっていたさ。さぁ行こう、僕達の楽園へ」ピコピコ
夜空(……凄く読書の邪魔なんだが……)
夜空「……おい、お前は友達のところへ行かなくていいのか?」
桂馬「友達…? あぁ、歩美達のことか。あいつ等はただのクラスメイト、妹のバンドメンバーだよ」
夜空「妹の付き添いで海まで来たのか? 随分シスコンなんだな」
桂馬(そいつも本当の妹じゃないんだが、というか悪魔だ、いや小悪魔、いやポンコツ小悪魔か)
桂馬「お前こそ部活の友達と遊ばなくていいのか?」
夜空「別にあいつ等は友達じゃない。同じ目的の為に一緒に行動しているだけだ」
桂馬(……目的、それが『友達を作ること』か……。色々矛盾している気がするが)
桂馬(やはり僕は、僕のギャルゲー理論でいく。友達ルートではなく、恋愛ルートだ!!)
理科「キマシ……」
星奈「ハァハァ……エルシィちゃんハァハァ……」ヌルヌル
エルシィ「あわわわ、変なところにサンオイル塗らないで下さい~~!!」
歩美「へぇー、でも本当に楠くん男なの?」
幸村「はい。わたくしは、真の男を目指す男です」
ちひろ「男なのに私達よりカワイイとは……」
京「でも男子なのになんで女子の水着?」
幸村「それは、夜空の姉御に『真の男は女装していても男らしさがにじみ出る』と聞いたので」
歩美ちひろ京(……全然にじみ出てない……)
結「いいじゃないか! 男の子が女の子の格好をしたって!」グイッ
幸村「結の姉御……。ありがとうございます」
結「かよわい男の子を守るのが、女の役目さ」
理科「キマシ……キマシタワー!!」ビクンビクン
結(……男の子なのに女の子の格好か。……帰ったらすぐに舞校の女子制服を注文しよう!!)
桂馬「!?!?!?」ガタッ
夜空「……どうした?」
桂馬「いや、なんだか寒気が……。ちょっと先の未来にとんでもない事が起こるような……」
夜空「……変なヤツだな」スタスタスタ
桂馬「おい、待て。どこに行くつもりだ?」
夜空「……買い出しだ。そろそろ晩ご飯の準備をしないといけない時間だからな」
桂馬「他のヤツらを待たなくていいのか? どうせ結のことだ、晩飯も一緒にとか―――」
夜空「あんなリア充達と一緒にいるつもりはない。私たちは私たちの合宿をするまでだ」
桂馬「そうか、なら僕も行こう」
夜空「はぁ!? お前は私の話を聞いてないのか!?」
桂馬「お前一人で部活全員の食料を持てるとは思えないな。まぁ僕のことはただの荷物持ちだと思えばいい」
夜空「自ら下僕になりたがるとは、お前はMなのか?」
桂馬「いいから行くぞ。―――他のヤツらが帰ってくる前にな」
桂馬(……ここは二人きりのイベントを維持する。買い出しイベント、ここはどう攻めるか)
星奈「買い出しに行くって書き置きがあったけど、夜空のヤツ帰りが遅いわね」
エルシィ「にーさまもいません! どうしましょ~~!?」
理科「これはもしかしたら……」
幸村「もしかしたら…?」
理科「夜空先輩と一緒の桂木さんが送り狼になって雑木林であんなことやこんなことにぃぃーー!!」
歩美「!?!?!?」ちひろ「!?!?!?」
ちひろ「……な、ないない。オタメガに限ってそんな度胸はない」
歩美「そ、そうそう。弁当を奪い合うオオカミにはなっても、女の子を襲う狼にはならない」
京「二つ名を持ってる人が言うと説得力あるねー」
理科「そうですか……。理科の推理だとこれ以外の答えはないんですが」
小鷹「おいおい……」
小鳩「あんちゃん……」
小鷹「小鳩……。そうだな、ちょっと俺が周りを見てくるよ」
桂馬「おい、本当にこっちでいいのか?」
夜空「う、うるさい! ちょっと待ってろ!」
夜空(……別荘にあった地図ではこっちのはずだが、土地勘のある肉を連れて来るべきだったか)
夜空(いや、あんなリア充達と仲良くしている肉を頼るなどありえん)
不良A「うはwwwwカワイイ女の子www見つけたwwww」
不良B「さすがリョー君wwww女の子探索レーダーはんぱないッスwwww」
不良C「あれww一人ッスかwwww」
夜空「………」スタスタスタ
不良A「ちょwwwスルーwwwww」
不良B「それはwwwwないwww」
桂馬(……ここでパセリ登場だと……!?)
桂馬「……ナンパとは、リアルの出会い方はこれだから困る」
不良A「ちょwwwwなにこいつwwwwww」
桂馬「キャラ設定も甘い、今時不良キャラはないな。二重人格で片方は優男、片方は精霊で暴走するぐらいしろ」
不良B「うはwwwwやっちゃっていいんすかwwwww」
夜空「止せ、相手は三人だ。ここは素通りして―――」グイッ
桂馬「夜空、後ろにいてくれ」
夜空「お前、なんで私の名前を……」
桂馬(フ、フフフ、フハハハハ!!)
桂馬(僕が夜空をかばう → 僕がパセリに殴られ気を失う → 通りすがりの警官がパセリを追い払う)
桂馬(夕日の浜辺で膝枕で僕を介抱する夜空!! 悩みを打ち明ける夜空!!)
桂馬(……完璧だ。僕のギャルゲー理論は完璧すぎる!! このままエンディングへ―――)
小鷹「お前ら、俺の知り合いになんか用か?」
不良ABC「なんだお前!?」
桂馬(……なんだお前!?)
夜空「小鷹!」
小鷹「俺の知り合いに用があるのかって聞いてんだよ」ギロリ
不良ABC「ヒィ…」
桂馬(……おいおい、まさかこの展開は……)
不良A「ちょっと道を聞こうとしただけッスよwwww」
不良B「思い出したんでいいッスwww」
不良C「それじゃ行きますわwwwwwwww」
小鷹「二人とも大丈夫か?」
夜空「小鷹、助かった」
桂馬(あ、あぁぁ……僕のギャルゲー理論が……)
小鷹(……あれ、これって桂木を助けたことになるのか?)
小鷹(これをきっかけに友達になれたりとか。よし、俺の初の男友達に!!)
桂馬「………」ギロリ
小鷹(めっちゃ睨まれてるぅぅーー!? なんでだーーーー!?)
夜空「結局、五位堂のバーベキューに参加することになるとは……」
小鷹「仕方ないだろ、時間も時間だったし、折角誘ってもらったんだしな」
マリア「肉だぁぁーー!!」小鳩「あぁぁーー!! それはうちの肉たい!!」
結「はい、三日月さん。お肉焼けたよ」
夜空「あ、あぁ……ん……う、美味いな」モグモグ
結「そう? それはよかった」
星奈「五位堂の言いなりだったあの結があんなに変わるとはね~」
桂馬「今は本人が好きでやってるんだ。いいんじゃないか」ピコピコ
星奈「ふーん……。アンタ、何か知ってそうね?」
桂馬(……星奈、声は似てるくせにポンコツとは違って鋭いのか……?)
エルシィ「うーー!! 今にーさま失礼なこと考えてました!!」
桂馬(……こういう所だけ鋭いんだよコイツは……)
星奈「まぁ、天才の私は何でもお見通しよ!!」
桂馬(……やっぱり勘違いか)
エルシィ「うーー!! 本当に神にーさまは凄いんですーー!!」
星奈「エルシィちゃんの言うことだから信じてあげたいけど……」
理科「さすがに桂木さんが『落とし神』というのはちょっと……」
夜空「どうした? 落とし神、何だそれは」
星奈「ええぇぇーー!? 夜空、落とし神知らないのぉぉーー!?」
理科「落とし神とは、ギャルゲー攻略の神とされている人物ですね」
夜空「……有名なゲーマーということか」
エルシィ「にーさまは本当に落とし神さまなんですーー!!」
星奈「発売当日に全てのヒロインを攻略する落とし神なんて、あんなのどうせチート技よ」
理科「そうですね。きっと落とし神はデバッグ会社の社員とか関係者でしょう」
エルシィ「うぅー……誰も信じてくれません……」
夜空「桂木、お前はその、落とし神なのか?」
桂馬「あぁ、僕は神だ。別に信じてもらえなくてもいいんだが」
夜空「それなら肉や理科の質問に全て答えられるな?」
桂馬「―――なるほど、そういうことか。いいだろう、神は逃げない!!」
星奈「そ、そんな……私より『きらスク』に詳しいヤツがいるなんて……」
理科「理科のギャルゲー知識を全て使ったのに……」
桂馬「まさかこの程度で、神である僕に挑むつもりだったのか?」
桂馬「今度はこちらから質問だ。星奈、質問傾向からしてギャルゲーをやり始めたのは最近だな」
星奈「そ、それは…!?」
桂馬「過去の名作をプレイしていないお前が、神に挑むなど……笑止!!!!」
星奈「くっ……。 ん? そ、それは、昨日発売したギャルゲー!?」
理科「それは開発陣がかなり難しく作ったのでヒロイン攻略には数週間かかると言われている新作です!!」
桂馬「………」ポチッ
『桂馬くん……。私、あなたが好きなの……!!』 シナリオ達成率100% CG達成率100%
星奈「こ、これが……」ヘナヘナ
理科「神の、力……」ビクンビクン
エルシィ「えへへ~~。どうです! スゴイでしょう! 私のにーさまはスゴイんですぅ!!」
桂馬「なんでお前が偉そうなんだよ」
夜空「フフ、無様だな肉!!(―――桂木桂馬、落とし神、なんなんだコイツは……)」
ちひろ「まさか温泉まであるとは、五位堂家さまさまですな」
歩美「夜空さん肌キレー!」
京「わー、本当だー。やっぱりモブとは違うよねー」
夜空「お、おい……。触る、な……。ちょ、やめ……」
エルシィ「星奈さん胸おっきいですぅーー!!」
小鳩「昼間のお返しじゃーー!!」バシャバシャ
星奈「ひゃーー!! もう、やったなーー☆」
理科「―――とか妄想しているんでしょう!! 小鷹先輩!! 桂木さん!!」
理科「さぁ、主人公スキルを使ってこの竹壁を壊すのですーー!!」
理科「それとも覗き穴から見てるんですか!? 見てるんですね!? きゃぁぁ!!」
結「いつもあんな感じ?」
夜空「あぁ……」
星奈「そうね……」
桂馬「おい、何か聞こえなかったか?」
小鷹「え? いや何も」
桂馬「そうか…」
桂馬「そういえば楠、ってなんだか主将を呼んでるみたいだな。幸村は?」
小鷹「幸村なら俺達の後に入るってさ。折角の露天風呂なんだから一緒に入ればいいのになぁ」
桂馬「―――まぁ、リアルは湯気が仕事したりしないからな」
小鷹「湯気…?」
桂馬(……駆け魂センサーは小鷹以外の隣人部に反応した。つまり幸村は……)
小鷹「それにしても風呂の中でもゲームやめないんだな」
桂馬「当然だ。僕の攻略を待っているヒロインがいる限り、僕がギャルゲーをやめることはない!!」
小鷹「お、おう……」
桂馬(……攻略初日はこんなものか)
桂馬(……明日からは夜空とイベントを重ねて好感度を上げる。合宿最終日までに攻略するんだ)
ちひろ「よーし、練習再開。……お?」
小鷹「へぇ、別荘の地下にこんなスタジオがあるなんて凄いな」
星奈「演奏するエルシィちゃんを見に来たわ!!」
夜空「私はリア充の練習風景なんか興味はないんだが、こいつ等が行きたいとうるさくてな」
マリア「マイクだぁぁーー!!」ダッ
ちひろ「あっ……」
マリア「んでっ!wwwwんでっ!wwwwんでっ!wwwww」
エルシィ「!?」 歩美「!?」
エルシィ「……にゃ~んでっwwwwwwww」
歩美「かまってwwwかまってwwww欲しいのwwwww」
エルシィ「イイ子じゃない時のwwwwワタシwwww」
歩美「カワイイとかってwwwwwありえな~いwwwww」
ちひろ「――――――歩美、エリー」
エルシィ「あわわわ、口が勝手に……。す、すみませーーーーん!!」
歩美「ご、ごめんごめん。真面目に練習するからさ」
ちひろ「昨日はあれだけ遊んだんだから今日は練習!!」
歩美「わ、分かってるって。さぁ、やろうか」
ちひろ「オッケー、それじゃ」
http://www.youtube.com/watch?v=LumWAyNp_D4
ちひろ「初めて恋をした記憶~~♪」
マリア「おぉー! ちひろの歌は元気が出るぞーー!!」
星奈「演奏するエルシィちゃんカワイイーーーー!!」
夜空「――――――初めて恋をした記憶、か」
夜空「お前は覚えてないのか、小鷹……」
小鷹「え? なんだって?」
夜空「―――なんでもない。用事を思い出した、先に別荘に帰ってるぞ」
小鷹「夜空…?」
桂馬(……あの二人……)
小鳩「……あんちゃん、ここの問題が分からんたい」
小鷹「え? や、やべぇ、ここは俺も苦手だった場所だ……」
夜空(……ん? あれは小鷹が宿題を教えているのか、それに桂木も?)
桂馬「こことそこ、途中から間違えてる。正しいルートはこっちだ」
小鷹「あぁ、そうか、なるほど。桂木は勉強も出来るんだな」
桂馬「隣のページでも同じような問題で間違えてるな。苦手ならここを重点的にやるといい」
小鷹「ちょっと見ただけでそんなことまで分かるのか!?」
小鳩「……ク、ククク、よくやったピエール。我が褒めてやるぞ」
桂馬「どういたしまして」スタスタスタ
小鳩「あっ……」グイッ
桂馬「ん?」ピコピコ
小鳩「あ……ぁ……ありがろん」
小鷹「あぁ、悪い。こいつ人見知りなんだよ」
桂馬「いや、別に気にしてないが(……ろん?)」
夜空(……そうか、桂木は成績いいのか。って私は何で隠れてるんだ……)
『バレバレ~バレンタイン~♪ バレバレ~バレンタイン~♪』
エルシィ「あぁーー!! かのんちゃんの新曲ですぅぅーー!!」
エルシィ「バレバレ~バレンタイン~♪」
桂馬「おい、なんだその黄色のサイリウムは……。前までそんなの持ってなかっただろ」
エルシィ「いつでもかのんちゃんを応援出来るようにと防衛隊の人にハッピープレゼントで貰いました!!」
星奈「アイドルの真似するエルシィちゃんもカワイイーー!!」
理科「そういえば中川かのんは舞島の学園に通ってるらしいですね。皆さん見たことあるんですか?」
歩美「え…と…」 ちひろ「見たことあるって言うか…」 京「同じクラスだったり…」
小鷹「中川かのんと同じクラスなのか!?」
夜空(……なっ!? アイドルが同じクラス!? どこまでリア充なんだコイツら!!)
星奈「……な、なによ。私たちの学園だって有名人ぐらいいるわよ」
幸村「なんと、初耳です」
星奈「数々の企業から商品開発の天才と言われてるこの志熊理科が!!」
理科「―――あのぉ、星奈先輩。トップアイドルと理科を比べられるのはちょっと……」
星奈「うっ……。うぅ、パパの学園だって凄いんだからぁぁーー!!」ダッ
エルシィ「神にーさまぁ! 花火やりましょうよーー!!」
星奈「神さまぁ!『きらスク』の花火イベントごっこやりましょう!!」
桂馬「だぁぁーー!! ステレオでカミサマカミサマ呼ぶんじゃねぇぇーー!!」
夜空「……なんだ桂木、お前は花火やらないのか?」
桂馬「夜空……。僕はリアルの花火なんて」
夜空「結構キレイだぞ?」バチバチ
桂馬「……まぁ、な」
夜空「フッ……」
歩美「あぁー、花火終わっちゃった」
ちひろ「ありゃ、こっちもだ」
歩美「ちひろー、新しいの取りに行こー」テクテク
ちひろ「―――あのさ、歩美ってオタメガのこと……」
歩美「ん? なに?」
ちひろ「い、いやー、なんでもないさー」
桂馬「…………」バチバチ
夜空「…………」バチバチ
桂馬「……なんで僕を花火に誘ったんだ?」
夜空「深い意味はない。この合宿でお前と二人になることが多かったからな、その流れだ」
桂馬(……そうなるように仕組んだのは僕なんだがな)
夜空「……私とお前は似ているのかもしれない」
桂馬「え?」
夜空「隣人部と舞校の奴等は随分仲良くなった。だが、私とお前はいつも一人だ」
桂馬「……他人と仲良くすることが出来ないのが似ている、か?」
夜空「フッ、酷い共通点だな。気を悪くしたか?」
桂馬「別に。事実だしな」
夜空「あぁ、そうか……。だから私はお前が気になっ――――――なんでもない」
桂馬(……夜空の好感度は上がってる。明日は合宿最終日、何かイベントが必要だな)
星奈「さぁエルシィちゃん、一緒にトナカイの数を数えて眠りましょう」
エルシィ「星奈さんの部屋は向こうですぅーー!! なんでここにいるんですかぁぁーー!!」
理科「………」ススス
ガチャ
小鷹「Zzz……Zzz……」
理科「やっと見つけましたよ。小鷹先輩、桂木さん」
理科「お二人のその逞しいモノで夜這いに来た理科を前から後ろから両方一緒に、ってあれ?」
理科「桂木さん……?」
理科「こんなところにいたんですか、桂木さん」
桂馬「理科か」
理科「夜の浜辺で海を見ながら黄昏るなんて、桂木さんは案外ロマンチストなんですね」
桂馬「別にそんなのじゃない」
理科「ここ最近ずっと夜空先輩と一緒にいるみたいですけど、何かあるんですか?」
桂馬「そうか? たまたまだろう」
理科「……夜空先輩を救うのは、小鷹先輩だと思ってました。まさかあなたのような人が現れるとは」
桂馬「……理科、お前は……」
理科「夜空先輩を助けてあげて下さい、落とし神様」
桂馬「………」
理科「さて! 理科は夜這いに失敗したので部屋に戻ります。それではオヤスミナサイです」
桂馬「……残念な奴らなのか、そうじゃないのか……」
歩美「いっぱい練習したし遊んだし、楽しかったよねーー」
桂馬(……そろそろ、か。エルシィ、頼むからバグるなよ……)
エルシィ「あのぉ、みなさーーん!!」
夜空「ん? なんだ?」
星奈「どうしたのエルシィちゃん!?」
エルシィ「今から皆さんでこの夏の最後の思い出作りとして、肝試しをしましょう!!」
理科「あぁー、いいですね。夏の定番行事です」
幸村「肝を試す。あにき、真の男になるため挑戦したいです」
小鷹「あぁ、いいんじゃないか。近くに雑木林があるし、そこら辺を一周するとか」
エルシィ「じ、実はですね。もう私ペアを作るクジを(羽衣で)作っておいたんです!!」
ちひろ「……なんかいつものエリーじゃないみたい」
エルシィ「そ、そんな事ないですよ~~!!」
桂馬(……思いっきり怪しまれてるじゃないか。まぁいい、僕と夜空がペアになれば後はこっちで)
エルシィ「ところで皆さん、肝試しってなにをするんですか????」
桂馬「――――――」
エルシィ「嫌ですぅぅーー!! 私行きませーーん!!」
星奈「ハァハァ、エルシィちゃんが肝試しやろうって言ったのよぉぉ!!」グイグイ
エルシィ「うぅ……」
星奈「大丈夫、エルシィちゃんは私にくっ付いていればいいから。さぁ行きましょう」
エルシィ「……星奈さんは、幽霊怖くないんですか?」
星奈「幽霊なんて、冥土のメイドである私たちの下僕みたいなものよ、全然怖くないわ」
エルシィ「今はメイドの鎌はないじゃないですか~~。ここにはホウキしかありませーーん!!」
星奈「それならホウキで天狼七星陣? せめてソフトテニスのラケットがあれば妄想でなんとかするのに」
エルシィ「ラケットもないですし、宇宙船で遊びに来たワケでもないですよ~~!!」
星奈「まぁ、幽霊なんて無能力者でもなんとかなるわよ。さぁ行きましょう!!」
エルシィ「うぅ……。にーさまぁぁ!! 助けて下さーーい!!」
桂馬「早く行け」
歩美「それじゃ行こうか、小鳩ちゃん」
小鳩「うん……」
歩美(……そういえば、中二病で黒のゴスロリ服で、この声……)
小鳩(……このお姉ちゃん、大会で優勝する陸上部のエースで、この声……)
歩美(どこかで……)
小鳩(会ったことが……)
マリア「ひょうか、じゃなかった。ちひろは友達なんだよ!!」
ちひろ「イン……さん、じゃなくて。ほら、マリアちゃん行くよ」
結「かよわい男の子を守る僕が先頭に」
幸村「いえいえ、真の男たるわたくしが」ガサッ
結「っっ!?」幸村「っっ!?」
桂馬「何をやってるんだアイツ等は……。そろそろ僕達の順番か、夜空」
夜空「あ、あぁ……(またコイツと二人になるとは……)」
夜空「ぞ、雑木林を一周する程度では、肝試しにはならなかったな」
桂馬「そうだな。そこ、危ないぞ。木の根が張ってる」ピコピコ
夜空「お前はゲームしながら何故分かる……」
桂馬(……肝試しに意味はない。ここは二人で歩いたことに意味がある)
桂馬(……これで夜空の夏の最後の思い出は、僕と一緒に過ごした事になる)
夜空「―――あれは、もうみんな帰ってきてるみたいだな」
桂馬(……よし、ここで僕が夜空に好意がある素振りを見せ、考える時間を与える)
桂馬(……夏の思い出に浸る夜空を、海に呼び出して告白、これで攻略だ!!)
歩美「もー、なにいきなり変なこと聞いてくるのよー」
ちひろ「そうそう、私たち友達に決まってるのにー」
小鷹「そ、そうだよな」
星奈「い、いやー、そうよねー」
夜空「―――――――――」
桂馬「……夜空?」
エルシィ「あぁー! にーさま、おかえりなさいですーー!!」タッタッタッ
桂馬「………」
エルシィ「あれ、夜空さんは?」
桂馬「雑木林の奥の方へ走って行ったよ」
エルシィ「えぇー!? は、早く追いかけましょう!!」
桂馬「待て、今ルートの確認中だ」
桂馬(……夜空、星奈、小鷹、隣人部、友達……)
桂馬「……行くぞ、エルシィ」
エルシィ「い、行くって、どこですか!?」
桂馬「―――ラストイベントだ」
桂馬「見えたぞ…… エンディングが!!」
エルシィ「あのクールな夜空さんが走り去ってしまうなんて、いったい何があったんでしょう……」スィー
桂馬「もしかしたら駆け魂の影響が出始めてるのかもな、そうなると厄介だぞ。ん?」タッタッタッ
[○○岬][危険][立入禁止]
桂馬「看板が倒されてる……。まさかこの先に行ったのか?」タッタッタッ
夜空「………」フラフラ
エルシィ「カミさまぁ!!」
桂馬「夜空……。エルシィ、隠れてろ」
エルシィ「は、はい!!」
桂馬「……夜空!!」
夜空「……なんだ、桂木か。私なんかを追って来たのか? お前は本当に変わったヤツだな」
桂馬(……私なんか? なるほど、夜空の周りに黒い靄が見える、駆け魂のレベルが上がったか)
桂馬「夜空、そっちは危ない。とりあえずこっちに―――」
夜空「ち、近寄るな!!」
桂馬「夜空……?」
夜空「……あんなに簡単に友達が出来るものか。いつか裏切る、ヤツらも学校の連中と一緒だ……」フラフラ
桂馬「おい、夜空!!」
夜空「そうだ、みんな裏切る、私を……。タカ…… タカも、私を忘れてる……!!」
桂馬(……タカ? そうか、小鷹のことか……)
夜空「お、お前だって、どうせ私のこと、なんて―――」ガラッ
桂馬「夜空っっ!!!!」
エルシィ(……カミさま大丈夫ですかーー!? すぐに羽衣で引っ張りあげますーー!!)
桂馬(……待てエルシィ。このままでいい)
桂馬(このまま僕と夜空が落ちないように羽衣で固定しててくれ)
エルシィ(で、でも……)
桂馬(……僕を、信じろ)
エルシィ(……私は悪魔ですけど、いつでも神様信じてます!!)
夜空「くっ、足をかける場所がない……」
桂馬「夜空……!! 大丈夫か!?」
夜空「もうダメか…… 桂木、手を放せ。このままだとお前まで落ちるぞ」
桂馬「放せるワケ、ないだろ」グググ
夜空「お前がいなくなると高原や小阪が悲しむぞ。私の場合は誰も悲しまん、私はクラスで空気だからな」
桂馬「………」
夜空「そういえば、お前は落とし神だったな。その名の通り、私を落とせばいいじゃないか」
桂馬「……そう、僕は神だ。でも、僕が好きなヒロインを落とすのは崖からじゃなくて恋愛だよ」グイッ
夜空「か、桂木…?」
桂馬「落とし神として、このイベントで好きな女の子を落とすワケにはいかないな」
夜空「す、すす、好きな、って……」
桂馬「さっき、夜空がいなくなっても誰も悲しまないと言ったな」
桂馬「……僕が悲しい。僕は、夜空にいなくなってほしくない」
夜空「桂木……」
桂馬「それに、夜空がいなくなって本当に誰も悲しまないと思ったのか?」
桂馬「星奈が、小鷹が、隣人部のヤツらが、歩美やちひろ達だってそうだ」
夜空「そ、それは……」
桂馬「耳をすませ、聞こえるだろ?」
「ヨゾラー」「アホヨゾラー」「アネゴー」「センパーイ」「ヨゾラー」「ヨゾラサーン」「ヨゾラサーン」
夜空「……あいつら……私を、探して……」
桂馬「―――さぁ、帰ろう。君がいなくなると悲しむ人達がいる場所へ」
桂馬「――――――隣人部へ」
桂馬「このまま進めば雑木林の道に出れるはずだ」
夜空「か、桂木、もういいだろ。手を、離してくれ」
桂馬「ん? あぁ、そうだな」
夜空「………」
桂馬「……?」
夜空「―――桂木、先ほど助けてもらった礼が、まだだったな」
桂馬「え?」クルッ
夜空「……ん////」
桂馬「!?!?!?!?」
エルシィ「で、出たああぁぁ~~~~!!!!」
エルシィ「駆け魂、勾留♪♪」
夜空「か、勘違いするなよ。私は落とされたんじゃない、自分からお前に落ちたんだ」
小鷹「よ、夜空!! 大丈夫か!?」
夜空「どうした? みんな揃ってなにしてる?」
理科「夜空先輩達が帰ってこないからみんなで探してたんですよーー!!」
幸村「あねご、心配しました」
夜空「あぁ、少し道に迷っただけだ。何も心配いらない」
小鷹「そ、そうか、それならよかった」
星奈「だから言ったでしょー? あーあー、心配して損したーー」
夜空「……みんな、すまなかったな。……肉、心配をかけた、すまん」
星奈「え……? え、ええぇぇーー!?」
夜空「どうした……?」
小鷹「よ、夜空が、星奈に、あ、謝った……」
星奈「ちょ、ちょっと夜空大丈夫!? 雑木林で何か変なモノ拾い食いしたんじゃないでしょうね!?」
夜空「そんなことするワケないだろう。こんな夜中にうるさい肉だな、少しは黙れ」
星奈「な、なんですってぇぇーー!?」
ちひろ「……あっ、オタメガーー!!」
歩美「やっと見つけた~~。桂木、なにやってんのよ」
桂馬「あぁ、道に迷った。なんでだろうな」ピコピコ
歩美ちひろ「「ゲームしながら歩いてるからよーー!!」」
歩美「結たちも探してるから早く戻ろーー」
ちひろ「まったく、心配させないでよ~~」
桂馬「……心配? お前たちが、僕を……?」
歩美「そりゃ心配ぐらいするでしょ。私たち、と、とと、友達なんだから」
桂馬「友達……? 僕たちが?」
歩美「そうよ?」
ちひろ「というか友達とも思ってないクラスメイトを合宿に誘うワケないさーー」
桂馬(――――――僕の、友達……――――――)
ガチャ
小鷹「おーい、この間の合宿の写真が出来たぞーー」
星奈「へぇー、見せて見せて」
小鳩「あんちゃん、これ……」 マリア「お兄ちゃん、これ……」
星奈「何よこれ、誰を撮ろうとしたの? 小鷹、あんた写真撮るの下手すぎ……」
幸村「誰も写ってない風景写真もあります。あにきは自然を愛する真の男ということですね」
小鷹「ちょ、待て待て!! そんなはずは…… あれ、確か上手く撮ったよな……」
理科「この集合写真なんてスカスカですね。まぁ、理科たちらしいといえばらしいですが」
夜空「……そうだな」
夜空(―――私たちは、この写真のようにまだ距離がある。今はそれでいい)
夜空(これからその距離をつめていこう、この隣人部で。そうだろ? けい――――――)
小鷹「……夜空?」
夜空(……私は、誰かの名前を……。気のせいか……?)
小鷹「どうした、もうみんな集まってるぞ」
夜空「分かった。――――――隣人部の活動を始める!!!!」
エルシィ「うーー……」ジー
桂馬「なんだ、駆け魂と睨めっこか? 新地獄にはそういう遊びがあるのか」
エルシィ「うーー!! 違いますぅ!!」
桂馬「ならなんだ、夜空の駆け魂に何かあるのか?」
エルシィ「夜空さんの心のスキマの反応は、かなり大きかったんですけど……」
エルシィ「出てきた駆け魂はこの小ささ…… どうしてでしょう~~?」
桂馬「あぁ、そのことか。いいんだよ、僕たちは駆け魂を出したんだ」
エルシィ「それは、そうですけど……」
桂馬「夜空の本当の心のスキマは、これから向こうのプレイヤーキャラが満たしていくよ」
エルシィ「プレイヤーキャラ?? 誰ですかそれ??」
桂馬「このバグ魔……」
エルシィ「夜空さん達、今頃なにしてますかね~~」
桂馬「知らないよ。また友達作りとかいうのをやってるんじゃないか」
エルシィ「わーー!! それは楽しそうですぅ!!」
桂馬「……部活までして友達作り、理解できないな。僕は友達いないけど、まったく気にしてないぞ」
エルシィ「あーー、またにーさまそんなこと言ってます~~」
エルシィ「それじゃ、にーさまは歩美さんやちひろさんも友達だと思ってないんですか?」
桂馬「…………訂正する」
桂馬「――――『僕は友達が少ない』……これならいいだろ?」
エルシィ「はい! それでは行きましょう、にーさまの攻略を待っているヒロインのもとへ!!」
桂馬「僕が攻略したいのはリアルじゃなくてゲームのヒロインなんだが……」
「神のみぞ知るセカイ」×「僕は友達が少ない」
『神のみぞ知る隣人部』
完
オマケ
ちひろ「さ、それじゃエンディングいきますか」ギュィーン
歩美「オッケー」 エルシィ「はい!!」 星奈「そうね」
夜空「……おい待て肉」
星奈「なによ夜空、私アンプの調整とかで忙しいんだけど」
夜空「なんでお前が2B-PENCILSの演奏に入ろうとしてるんだ」
星奈「誰かさんが攻略されてる間にエルシィちゃんからベース習ったのよ」
夜空「なん……だと……」
星奈「まぁ、私は天才だからすぐに覚えたわ!!」
夜空「ぐぬぬ……」
星奈「あれ?wwまさか夜空ww楽器の一つも演奏出来ないの?wwww」
夜空「……何を言ってる肉、私もエンディングの演奏に参加する予定だったぞ」
星奈「えっ……楽器は……?」
夜空「エアギターだ!!!!」
http://www.youtube.com/watch?v=kub2XaZfHBE
これで終わりになります。
ここまで読んで下さった方々、ありがとうございました。
支援レス保守レスとても嬉しかったです。
ちょっと休憩しました
アニメ版はがないの夜空には駆け魂が入っているようにしか見えなかった……
ですからこのSSを書きました
星奈のほうが人気高いのは分かってるんですけど、夜空が好きなんで
面白かった
面白かった
乙乙
俺は理科が好きだがな
スレタイ通り本当に隣人部全員同時攻略を書こうかと思ったのですが
凄い長編になりそうだったのでやめました
でもいつかそういうのも書いてみたいです
神のみ本編の同時攻略ネタが面白いので興味があります
それでは『神のみぞ知る隣人部』にお付き合い頂き、ありがとうございました!!
また次のSSでお会いしましょう
夜空可愛よね
並行攻略今度書いてくれよ 長くなるなら最悪ss速報いくとかあるしね
Entry ⇒ 2012.04.25 | Category ⇒ 僕は友達が少ないSS | Comments (1) | Trackbacks (0)
やよい「妊娠……?」
http://hayabusa.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1335069623/
やよい「昨日の晩、五人であかねちゃんちでお好み焼きパーティをして、残った分を持って帰ったから……朝、ぜーんぶ食べちゃお、って、思ったんだ、けど」
やよい「さ、三枚は流石に、食べすぎ、っかなぁ」
ちはる「もう、やよいったら朝から意地汚いわよー」
やよい「むーっ、ママなんて五枚も食べたのにぃ」
ちはる「ママは大人だからいーのよん♪あ、そういえばね、やよい?」
やよい「うーん、ぽんぽん痛い……なぁに?ママ」
ちはる「あなたが可愛がってた野良猫のみーちゃんね?子供が出来たみたいなのよー。ママ、昨日みかけちゃってー」
やよい「……妊娠?」
やよい「(ママの予想だと、三ヶ月くらいのおなかだった、って!)」
やよい「(ふふっ、たのしみー!みーちゃんってかわいい猫さんだから、きっと赤ちゃん猫さんもとっても可愛いよね!)」
やよい「(みーちゃんは、野良だけど……子供が生まれたら、私が守ってあげなきゃ!)」
やよい「(私だって……弱虫だけど!スーパーヒーローなんだもん!)」
やよい「(……ぽんぽん痛いけど)」
みゆき「あっ、あっかねちゃん!あそこにいるの、やよいちゃんだよー!」
あかね「お?ほんまやな……うん?なんや、足取り重ないか?やよいのやつ」
キャンディ「クルー?ありは、お腹押さえてあるいてるクルー?」
みゆき「んー?あかねちゃん、何か思いつくの?」
あかね「やよい、昨日のおこパの余り、ぎょーさんもってかえっとったやろ?それを今朝たらふく食べたんちゃうかー、っていう、あかねちゃんの名推理や!」
みゆき「あー、あかねちゃんが、やよいちゃんの拍手に合わせてコテを舞わせまくってた、あれねー」
あかね「い、言いなや、あの子人を乗せるの上手いねんほんま。さて、あかねちゃんがちーっといじってこよかなー」
みゆき「泣かせちゃダメだよー?」
あかね「ツッコミは勢いと鮮度が命や!かまへんかまへーん!おっはよーさんやーよいっ!」
みゆき「おはよ、やよいちゃん」
キャンディ「おはようクル」
あかね「ところでなんや、やよいー。もしかして、おめでたでっかー?……なんちゃっ」
やよい「えっ!?あかねちゃん知ってるの!?えへへー、三ヶ月なんだって!!」
あかね「……えっ」
みゆき「……えっ」
キャンディ「……えっ」
あかね「あ、いや、その、え?は、初耳も、初耳や、そりゃそうやけど……えっ!?」
やよい「だよね?でも、嬉しいことだからいっか!ね、みゆきちゃん!」
みゆき「えっ、あっ、う、うん!それはもうとっても、とってもウルトラハッピー!……な、こと、なんだろうけど、あの。や、やよいちゃん?」
やよい「?なぁに?」
あかね「あ、あんまボケんとちがうでー、やよい!フリと違うからな!?も、もっぺん聞くで!に、ににに、にん、妊娠、しとんのか!?」
やよい「?うん、そう言ってるよ、さっきから」
あかね「」
みゆき「」
キャンディ「あ、メルヘンランドさんですか。ちょっと緊急事態クル。え?まだそちらの存在を出せる状況じゃない?聞こえねーのか!!緊急事態クル!!!!!!!!!」
やよい「はわっ!?か、鐘鳴っちゃった!?い、急ごうよ二人とも!」
あかね「」
みゆき「」
やよい「ね、ねぇ!?もー、おいていっちゃうよ!?いいの?もー!先生に怒られてもしらないんだからー!」トテトテトテトテ
あかね「……はっ!や、やよいどういうことや!相手はどこのどいおらん!?」
みゆき「はっ!やよいちゃんあのそのえーっとそそそそういうのはねあのね!!!ま、まままだ子供だしあの私達にはコウノトリさんの……あ、あれ?」
キャンディ「っるせークル!責任者出せクル!!!人事課はパクトの人選信用して勧誘してんだぞ!こうなったのも開発の責任クル!!!!!!」
あかね「あ、あかん、キャンディもなんやよーわからんことわめいとる……これ、ど、どないしよ、みゆきぃ」
みゆき「あ、あかねちゃぁん……」
れいか「お二人は、確か間に合う時間に校門をくぐってらした、と思ったのですが……?」
あかね「あぁ、なお、れいか……それどころやないねん、ほんま、それどころちゃうんねんて」
みゆき「あ、あの、あのね……やよいちゃんが……」
なお「やよいちゃん?そういえば今朝はなんだか元気がなさそうだよね?」
れいか「そうね……今も、少し前にかがんで、お腹をおさえてらっしゃるし」
やよい「(うー、ぽんぽん痛い……でも、トイレに行くのは私のイメージがぁ)」
あかね「……あん、な?お、驚かんと聞いてや……や、無理な相談やろけど、なるべく声に出さんといてな?」
なお「なに?また、やよいちゃんが転校するー、とか。そういう話?」
みゆき「あの、あの、ね?やよいちゃん……こ、子供が、できたん……だって」
なお「うん?妹が出来た、ってこと?」
れいか「まぁ、それはお祝いしませんと……」
あかね「ちゃうねん!ちゃうねん!!!やよいのお腹に……!!!」
みゆき「あ、あかねちゃんしーーー!!しーーーーっ!!!!!」
なお「そ、そうだよ……それこそ、こないだみたいなことじゃ?」
あかね「……信じたないけどな。本人から、聞いた。それに、あないなことがあったのに、やよいも無駄に嘘なんやつかへんやろ」
みゆき「でも、でもね!やよいちゃん……嬉しそう、だったの」
なお「……」
れいか「……」
みゆき「だ、だから、私達は……すっごくびっくりしたし、なんで、って、思うけど……い、一緒に喜んであげられたらな、って……思うんだけどなぁ」
れいか「……なにはともあれ、やよいさんにお話を聞かないと、いけませんね」
やよい「(な、何か別のことを考えてそっちに集中しちゃおう!うん!えっと、スーパーヒーロー大戦は何故失敗したのか……)」
なお「なんだろう……家計簿かな」
あかね「なおとちゃう。や、でも、今後のなんや、予定とかそないなことやろか」
れいか「そうですね……どういう道を選ぶにせよ、いずれは学校を休むことになるでしょうから」
やよい「(うー、もう、限界!こうなったら……)ぴぴー?お外に猫さんがいるー!スケッチしてこよー!!」」
あかね「な、なんやいきなり独り言ゆうて、飛び出してったで」
みゆき「猫さんなんて、いるかなぁ?」
キャンディ「キャンディ猫さんじゃないクル……」
あかね「そういう話しとんとちゃう。なんや自分テンション低いな」
れいか「そうね、何を書いていたのか見てみましょう……これは」
なお「……『本番に向けての計画性の足りなさ、全体的に指導に欠け……望まない結末、失敗』これ、って」
れいか「やよいさん……あぁ、せめて円満な、ものであれば……」
みゆき「うーん?やっぱり猫なんて、いないよねー?」
あかね「そもそもやよいの席から窓の外なんて見えへんやろ……お?ゆうてたら、あれ……やよいちゃう?」
キャンディ「クルー?なんであんなところにいるクルー?」
みゆき「……体育館裏の、人気の無いトイレに、入っていっちゃったね」
あかね「……もしかして、あれやろか?つ、つわり、っちゅうの?」
あかね「……どない、しよか。これはもう、ほんまもほんまやで」
なお「そうだね……それに、二人には明るく言ったみたいだけど」
れいか「なにやら複雑な様子です……それはそう、ですよね。この歳で身ごもるなんて」
みゆき「……お昼休みに、みんなで聞こう。やよいちゃんが困ってるなら、私、放っておけない!」
あかね「もちろん、うちもや」
なお「私だって」
れいか「私達は6人でプリキュアですもの、ね」
キャンディ「クルー」
みゆき「そ、そうだね!ささっ、やよいちゃん座ってすわって!」
あかね「そないな日ぃあたるとこあかん!熱射病なったらどないすんねん!」
なお「はい、やよいちゃん。ハンカチ引いたから、こっちの影のとこに入りなよ?」
れいか「クッションの方がよければおっしゃってくださいね?家庭科室から持ってきますので」
やよい「えっ、えっ!?い、いーよそんな、なんでみんな今日はそんなにその過保護なの!?朝からずーっと、その調子だよ?」
やよい「?えっと、ありがとう?」
あかね「……あんな、やよい。勝手やけど……今朝、うちらに話してくれたこと。なおとれいかにも、教えてもーた。ごめん」
やよい「あ、そうなの?二人は全然知らないだろうし、興味もないだろうから、特に話すつもりはなかったんだけどね」
なお「!そんな薄情なこと、言わないでよ!!!やよいちゃん!!!」
やよい「!?!?」
なお「私とれいかだって!!やよいちゃんの身に起きたこと……!」
れいか「なお、落ち着いて。やよいさんも、きっと悩んでたのだから」
なお「あ……ご、ごめんね。私ってば」
やよい「う、うん。あの、私こそ……(そっか、なおちゃんは可愛いもの好きだもんね。子猫とかも好きなんだ、うんうん)」
れいか「……でしたら、本当に?その、妊娠を、なさって……?
やよい「うん!今朝分かったんだよー、びっくりしちゃったー」
あかね「う、うちらのが億倍びっくりしたっちゅーの……しっかしまぁ……い、いつのまにーやで、もー」
みゆき「あ、あのねやよいちゃん!お相手はえーっと、ど、どんな人なの!?そりゃ、やよいちゃんが選んだ相手なら、きっと素敵でウルトラ……」
やよい「え?うーん……わかんない、かなぁ。近所のオスと、とっかえひっかえだったいたい、だから。は、はわわ、ごめんね!ちょっと表現が……」
みゆき「」
あかね「」
なお「」
れいか「」
キャンディ「」
みゆき「……みんな」
あかね「……おう」
なお「うん」
れいか「えぇ」
キャンディ「クル」
みゆき「一回、深呼吸」
あかね「」スーーーーー
なお「」ハーーーーーーー
れいか「……大丈夫です、やよいさん。続けてください」
やよい「?よくわかんないけど、分かったよ」
やよい「うん、可愛くてモテモテだったから。あの近所じゃ若いメスも少なかったんだもん」
みゆき「そんな、そんな、ことって……」
なお「……やよいちゃん?それは、あれだよね?あの、自分から、じゃないんだ、よね……?」
やよい「うん?えーっと……あー、言われて見れば、そうかも。嫌々やってたこともあったみたい、あんまり覚えてないけど(そんなに見てないもん!本当だよ!!)」
れいか「……無理やり、ということですか?」
やよい「うん。とくに近所のボスみたいな子からは、何度もだったよー。大きくて力も強いから、最近じゃ抵抗もしてなかったみたい」
やよい「え?」
あかね「みゆき、やめぇy」
みゆき「どうして!私達に、言ってくれなかったの!?辛いよ、って!!助けて、って!!!どうして、言って、く、うぅ、ううううう……」
やよい「え?え?なんdわふっ!?み、みゆきちゃん!?なんで抱きついて、あの!?」
みゆき「ごめん、ごめんね、気づいてあげられなくて、ごめん、やよいちゃん、ごめんね」
あかね「……やよい、辛かったな」
なお「……もう大丈夫、私達がついてるよ」
れいか「これからは、一緒に悩みましょう。強がらなくとも、いいのですよ?」
ヒシッ
やよい「……」
やよい「……(みんな、そんなに猫さんの交尾見たかったのかなぁ)」
やよい「?それはもちろんだよ。えへへっ、早くみたいなー」
なお「……そうだね。家族が増えるって、幸せなことだよ」
れいか「応援しましょう、私達で何ができるかは、分かりませんが」
みゆき「うん!決めた!やよいちゃんのウルトラハッピーのために、みんなで頑張ろう!」
やよい「みんな……ありがとう。そうなの、正直私一人じゃどうしようか、ってこともあって……おうち、とか」
あかね「せやな、やよいの家は広いゆうても、いきなり家族が増えるんやからなぁ」
やよい「えっとね、なおちゃんちにひきとってもらうのはどう、かなぁとk」
なお「!?!?ほ、本気!?!?やよいちゃん!?」
やよい「……ダメ?」
なお「め、眼を潤ませてお願いしてもダメだよ!?ダメすぎるよ!?えっちょ、やっぱり本当は……?」
あかね「どーどーや、なお。やよいのボケやんか、なぁ?」
やよい「え、あー、そーなの!じょ、冗談でしたー!(なおちゃんってケチだなぁ)」
やよい「うん、だいたいそれくらいだろーって、ママが」
なお「うん?」
れいか「やよいさん、病院には……?」
やよい「あ、やっぱり行ったほうがいいのかぁ?」
あかね「そらそやろ!?腹ん中に子供いんねんで!?」
れいか「確かに近年、病院に通わない方が増えている、とは聞きましたが……出生率はかなり低くなってしまう、そうですよ?当然ですが」
あかね「っちゅーか、なんできづかへんかってん」
みゆき「もしかして、お父さんがいないから、恥ずかしかった、とか……?」
やよい「?」
なお「あ……大丈夫!私達が付き添うよ!どんな眼で見られても、やよいちゃんを守るから!」
やよい「一緒に来てくれるのは、嬉しいけど……うーん?そんなに珍しいこと、かなぁ」
れいか「低年齢化が進んでいるとはいえ、とても稀なことだと」
やよい「……(お嬢様育ちって大変だなぁ)」
なお「どうだっけ?性別が分かるのは確か……6ヶ月だったかな?けいたは股に挟んでたせいで、ギリギリまで女の子だと思われてたけど」
れいか「なおったら、妹が出来るってはしゃいでたのに、すっごく落ち込んでたものね」
あかね「そうなんかぁ。っちゅーことは、あと三月か」
みゆき「何人生まれるのかなー!」
あかね「何人てなぁ、みゆき?そら普通なら……」
やよい「あっ!それは分かるよ!5~8くらいじゃない?って、ママが!」
みゆき「」
あかね「」
なお「」
れいか「」
やよい「?」
あかね「あ、あっはは、じょ、冗談やろ、やよいー。な、なんやさっきからボケがその、ぶっとんでんなぁ?」
やよい「嘘じゃないよ?ママも、知り合いに聞いたら大体そのくらいよねー、って言ってたって!」
なお「……うち、大家族でもなんでもないね、それ」
れいか「もう一度、勉強しなおしかしら……」
やよい「?(それにしても、猫を数えるのに『何人』って。やっぱりみゆきちゃんはメルヘンだなぁ)」
やよい「!?な、なんの、ことっ!?私そんな、それにもうひねりdはわわわ!」
あかね「ここまできてそないな否定せんでもえぇ……んで、いつがえぇかな、病院行くんわ」
なお「なるべく、早いうちがいいよね。もう三ヶ月なら、色々と始まることも多いだろうし」
れいか「母に言って、腕のいいお医者様を紹介してもらいます。やよいさん?それでいいかしら?
やよい「え、あ、うん。お願いできるかな、私、そういうの詳しくなくって」
あかね「当たり前や、若いみそらで……やよい、ほんっっまに無理はしたらあかんで?うちらがついとる、な?どんなことでも、相談しーや?」
やよい「うん、あ、ありがと(おおげさだなぁ、あかねちゃん)」
狼「腹ぁ減ったなぁ」
鬼「しかたないオニー、マジョリーナがなんだか発明とやらをしているせいで、料理してくれないオニー」
狼「まーたなんかくだらねぇもの作ってんだろ、あのババアめ……お前なんか作れよ」
鬼「俺様がそんなことできるはずないオニ」
狼「そりゃそーだなわーるかったよウドの大木め、ちっ、そしたらまた、人間のとこにでも……」
魔女「待つんだわさ」
狼「あぁん?おぉ、ババアか。飯くれ、飯」
魔女「あんたは中学生男子かだわさ」
魔女「小物な台詞を言うんじゃないよ。あんたもたまには、ものすごく悪いことでもやってみればいいだわさ」
鬼「悪いこと?村に下りて、大暴れするオニー?」
狼「それはてめぇの元同僚だろうが……んだよ、飯前で出撃しろってかぁ?腹ぁ減ったら戦もできねぇ、っつぅだろうが」
魔女「現地調達すりゃぁいいだわさ」
鬼「オニ?」
魔女「あんた、前言ってたねぇ?子ヤギはとんでもなく美味しい、って」
狼「おぉ、とくに7匹いっぺんに食っちまったときゃあさいっこうだったぜぇ……おい、腹を減らす話題やめろ、何が言いてぇってんだろが、ババア」
狼「また人間界の雑誌ってやつかぁ?てめぇもいい加減、あっちへの熱を冷ましやがれ……えーっと?……産婦人科?」
魔女「人間の赤ん坊が生まれるところだわさー!」
狼「ほーぅ、そりゃぁいい……さいっこうに、上等な食材の宝庫じゃねぇか」
鬼「それに、ウルフルンが暴れて食いまくってやれば、バッドエナジーもわんさかオニ!」
狼「おぉよ、一石二鳥どころじゃねぇ、三鳥、いや、三頭かぁ子豚がよぉ!俺様超得だぜやっほぉおおう!」
鬼「俺様も行くオニー!」
ジョーカー「うっふふふぅん?偉大なる悪の三幹部のお一人、まっじょりぃなすわぁん?いつになく荒らぶってらっしゃいますねぇ~?」
魔女「人間をバッドエンド王国の住人にしちまう薬ができなくてイライラしてるんだわさって何をいわすんだわさ!あんたも手伝いな!!こないだの青っぱなの侘びもこめるんだわさー!」
ジョーカー「んっふふぅ、おおせのままに~~~♪」
あかね「この近所なんやって、れいかのおかんが紹介してくれたところ」
みゆき「そっか。だからやよいちゃん家の前で集合で、そこから歩きなんだね」
あかね「なんや、本当は迎えの車を出してもらいたかったのですが……とか、言いよどんどったなぁ」
みゆき「うーん?なんだろうね……あ、ついたついた。やよいちゃん家だー」
やよい「二人とも、おはよー。ほらみーちゃん、挨拶しようねぇー」
猫「」ナー
みゆき「?猫ちゃん?やよいちゃん、猫ちゃん飼ってたの?」
もし深夜帯放送ならこんな話もあったかもね
みゆき「うーん?そうだっけ?それで、どうしてその猫を?」
やよい「?どうして、って????」
あかね「あー、えぇえぇ、やよい!気にせんといて!みゆき、ちょーっとこっちきー」
みゆき「え?だって、あかねちゃんも不思議でしょー?これから病院行くのに、なんでケージに入れた猫を持ってるのか……」
あかね「みゆき、ちと勉強せなあかんで、ほんま。あれは、あれや。あにまるせらぴー、ゆうやつやで!」
みゆき「?あにまるせらぴー?」
キャンディ「なぁにそり、クル?」
みゆき「!動物さんに、そんな効果が!」
キャンディ「キャンディも、役立たずじゃなくなるクル!!!」
あかね「そーやー?せやから、猫のことは気にせんと。やよいを刺激しないことを第一に考えんといかん、っちゅうこっちゃ」
みゆき「うん、分かった!あっかねちゃんものしりー!」
あかね「ふふふっ、まかしときー!なんせうちは、やよいとその子ぉお守り隊やからなー!」
れいか「遅くなってしまい、申し訳ありません」
みゆき「あ、二人ともおは……えっ!?」
あかね「れ、れいか!?その頬どないしたんや!?あ、お、大声はいかん、大声は」
やよい「お、おっきな絆創膏だよぉー?というより、湿布?かな?」
なお「あー、やっぱり目立っちゃうよね……うちで張ってあげたんだけど、さぁ」」
れいか「……少し、祖父と喧嘩しました」
あかね「!?そ、それはやっぱ……やよいの、ことか?」
やよい「えっ」
れいか「……そのような騒動を持ち込む娘とは縁をきれ、と」
やよい「えっ(猫の妊娠ってそんなに重い話なの!?!?!?)」
なお「あのこわーいれいかのおじいちゃんに言い返すんだから、れいかも凄いよね」
あかね「そ、それはしらんけど……で、叩かれたんか」
れいか「優しいですが、厳しい人ですので。やりかえしましたけどね」
みゆき「そ、そう……え?」
なお「私がれいかの家に着いたときには、全身墨汁で漬されたおじいさんが、れいかのお兄さんの背中に隠れて丸くなってたよ」
あかね「こ、こっわ、おこてもうたれいかこっわぁ……」
やよい「……(私が拾った猫のせいで青木家がやばい)」
やよい「……ここ?」
あかね「そーやー。さ、やよい。堂々とし!うちらがおるから!」
キャンディ「キャンディも!プリキュアの子共はしっかり守るようにって人事課nよくわかんないけど守るクルーー!」
みゆき「うん!猫ちゃんもね!一緒だよ!」
なお「そういえばこの猫ちゃん、可愛いよね!名前はなんていうの?オスかな?」
れいか「みーちゃん、というようよ?みーちゃんさん?やよいさんを守ってくださっているのね?」
やよい「……」
やよい「……(何かが、何かがおかしい)」
みゆき「や、やっぱり、みんな見てくるね」
なお「堂々と、なんでしょ?しっかりしなよ、平気だから」
れいか「やよいさんは、この帽子被りましょうか」
やよい「えっ、あー、うん……なんd、いや、うん……」
やよい「(変、変だよ……私以外、誰も、動物さんのケージも、首輪も、持ってる人、いないよ)」
やよい「(動物の鳴き声も、どこからもしない、し……こ、ここって普通の病院だよね?あれ?)」
やよい「(な、なにより……このロビー、周りが妊婦さんだらけだよぉお!?!?どういうことなのぉおおお!?!?!?)」
鬼「元気が出るオニ!良い子はいねぇがぁー!」
狼「良い子も悪い子もねぇ!今日はとにかく食いまくることが目的だからぁなぁ!さぁて、まずはこいつだ」
狼「世界よ!最悪の結末、バッドエンドに染まれ!!」
狼「白紙の未来を黒く塗りつぶすのだ!!!」
れいか「!これは!」
あかね「な、なんやなんや、こないなときにー!」
なお「!周りの、妊婦さんが!!!」
「産むのが怖い」 「子供なんて」
「ほしく、なかtt」
みゆき「!!だめ!!やよいちゃん、聞いちゃダメ!!」
やよい「うぅ、マリッジブルーになっちゃってるんだねってえぇ!?みゆきちゃん、なんで私の耳ふさぐの!?わ、私は元気だよぉ!?」
あかね「なんやて!?くっ、こないな時に、二人いっぺんやなんて!」
狼「おぉ?なんだ、テメェらか」
鬼「またプリキュアオニ……うぅん?なんでお前たち、こんなところにいるオニ?」
なお「……やよいちゃん、大丈夫。みんなで守るから、やよいちゃんは下がっててね」
やよい「え、え?そんな、なんで?私も、変身……」
れいか「無理は禁物です。キャンディ?」
キャンディ「やよいのパクトは、やよいが安静にできるまで休止させることになったクルー。だからみんなに任せるクルー」
やよい「……えぇええええええ!?!?!?」
みゆき「そんなお母さんたちの想いを、辛くっても優しく迎えようとしてるやよいちゃんの強さを!」
みゆき「台無しになんて、させない!!」
みゆき「いくよ!みんな!」
プリキュア!スマイルチャージ!!
やよい「待ってよぉー!私も戦うもん!ヒーローは……もぉおお!なんでこうなったのー!?!?」
猫「」ナーー
サニー「太陽サンサン、熱血パワゥア!キュアサニェー!」
マーチ「勇気凛々、直球勝負!キュアマーーチッッ!」
ビューティ「深々と降り積もる、清き心。キュアビューティ!」
五つの光が導く未来!
輝け!スマイルプリキュア!
やよい「四つじゃん!今四つでしょ!五つって言うなら私も変身させてよぉおおお!!」
鬼「オニ!おかしいオニ!!なんでピースちゃんゴホン、ピースはピースにならんオニ!せっかくあんなに研究してきたオニーーーー!」
ビューティ「お黙りなさい!」
狼「」ビクッ
サニー「余計なお世話や!!さっさとかかってこんかいボケェ!」
マーチ「でも、やよいちゃんには指一本触れさせないよ!他の妊婦さんはもちろんだけどね!」
ビューティ「あなたたちには分からないわ。今のやよいさんの尊さ、大変さは!」
ハッピー「そうだよ……やよいちゃんは、やよいちゃんは、もう!!!」
ハッピー「やよいちゃんだけの、身体じゃないんだもん!」
やよい「……えっ」
狼「あぁん?」
鬼「」
サニー「ガキガキ言いなや!!!赤ちゃんや、赤ちゃん!!!お腹ん中の子供に悪い言葉聞かしな!発育におおきくかかわるんやでー!」
ハッピー「さっすがサニー、ものしり!」
マーチ「ビューティが教えたことまんまの、受け売りって感じだけどね。とにかく、あんたたちはやよいちゃんのお腹に悪いね、うん」
ビューティ「そうね、即刻かえっていただきましょう」
やよい「いや、あの、き、気合はよく、わかるし、いいことだと思うんだけど……みんな?みなさん?ちょっと話し合おう?ね?ちょっと、何かものすごく大きなすれ違いが発生してるから」
やよい「えっとあの、や、やっぱりここは、犬猫病院じゃ、ないんだ……」
サニー「当たり前や、あんたを診てもらうんに、なんで犬猫やねーん!ってな!最近のやよいはボケが大きくでとってえぇことや思うでー」
やよい「や、ボケボケなのは多分サニーたちの方で……」
マーチ「こいつらを片付けたら、次はやよいちゃんのことを傷つけたその『ボス』とやら、だね。筋を通してもらいにいこう」
やよい「みんな映画とかドラマの見すぎ。そんな人いないから。ねぇ、お願いだから聞いて。ねぇ、ねぇ!」
ビューティ「大丈夫です、やよいさん。いざとなったら祖父にもみ消させます」
やよい「なにそれ怖い」
鬼「」
狼「おい、おい?なにボーっとしてやがんだ、連中がもめてる今がアカンベェ出すタイミングだろうが、あちらさんもそのへんを……おい?」
鬼「」
狼「……ここにいる誰よりもバッドエナジー発してやがる、この馬鹿」
鬼「ピースちゃんが……俺たちの、ピースたんが」
狼「……はぁぁぁ」
ハッピー「さぁ、狼さんおとなしく……えっ?」
狼「この馬鹿はツンパの中に赤っ鼻をしまってやがるし、俺じゃそれを取り出せねぇ、ってか取り出したくねぇ。今日はやめだ、面倒くさくなったしな」
サニー「そないなこと、信じられるかい!あんたらのことや、そうやって油断をさせたろー、ゆうつもりなんやろ!」
狼「最近人間食ってねぇから、いきなり食うと腹がびっくりするかもしれねーし、もう面倒なんだっての」
猫「」ナー、ナー
狼「……ははぁん。面倒なのは、俺様よりそこのチビらしいけどなぁ」
マーチ「面倒、なんかじゃない!やよいちゃんは大変でも頑張る努力をしてる!」
狼「……なんつーか、お前ら、全員あれだ。とち狂ってるわ、うん」
ビューティ「どういう意味ですか?やよいさんの気持ちを馬鹿にするのなら、いますぐここで」
狼「やらねぇっつってんだろ。おーいチビ、じゃあな」
やよい「ひっ?」
狼「そこの、妊娠三ヶ月で初産だからせいぜい四匹くれぇ産むだろう、って言ってる、猫公によろしくなぁ」
やよい「」
サニー「……三ヶ月?」
マーチ「……やよい、ちゃん?」
ビューティ「……説明を、お願いできますか?」
やよい「……あ、あの、ね?その……」
やよい「……うん?」
やよい「いや勝手に勘違いしたのそっちでしょ!!!???」
あかね「通訳どーもや、キャンディ……せやったら、なんではよゆわんねん、もー」
やよい「だ、だってぇ。みんなもみーちゃんのお話してるんだとばっかり……ついさっき、気づいたんだもん」
みゆき「ほんとだー、よくみたらみーちゃん、お腹ぽっこりしてるね。ケージに入ってたから、分からなかったよー」
なお「うまーーい具合にすれ違ってたんだね、話が。もう、心配したんだよ?」
れいか「私達もよく聞いてなかったことが、騒動の原因ですし。ここは、責任の追及はやめましょう?」
やよい「うん、そうしようよ……でも、そっか。みんな、そんな勘違いをしてたのに……あんなに、真剣になってくれたんだね」
やよい「あー、真剣、というか、ね?面倒とか、れいかちゃんのおじいちゃんが言ったみたいに、離れていっちゃうんじゃないかな、普通は、ね?」
れいか「言いましたよ?私達にとって、やよいさんは大切な仲間だ、と」
なお「そうだよ。離れていく、なんて。お願いされてもいやだよね」
みゆき「うん、うん!それに、私もうやよいちゃんの赤ちゃんの名前まで考えてたのにー!むしろ今の方が残念だよぉ、はっぷっぷー!」
やよい「そ、そんなぁ……っふ、ふふ、はははははははははっ!」
あかね「なんやねんそれ、みゆ、っぷ、っははは、あっはははは!」
なお「っふふ、それじゃみーちゃんの子供にそれをつけてあげれば、いいんじゃないかな?」
れいか「ふふっ、みゆきさんが名付け親なら、とても幸せな子猫になりそうね」
みゆき「うん、うん!……えっへへ!勘違いでも、ウルトラハッピー!」
やよい「……ありがとう、みんな!」
なお「……やよいちゃん、誤解だったわけだから多分そこまで本気では怒らないとおもうけど……座禅3時間は、覚悟したほうがいいよ」
やよい「……えっ」
あかね「……せやな。あと、うちのおかんとかおとん……あー、町内会長さんとこにも、お祝いいらへんこつなったー、ゆわんと」
やよい「……えっ!?」
みゆき「あー、そういえばさっき、あかねちゃんが『やよいとその子ぉお守り隊や!』ってドヤ顔だったとき、ご近所さんがすっごいこっち見てたよ」
やよい「えぇぇえええええ!?そんな、そんなぁ」
やよい「こんなの、スーパーヒーローじゃないよぉおおおおおおおお!!!」
完
キャンディ「いやマジで勘弁してくださいクル、キャンディ悪くないクル、え?キャンディならすぐ猫に聞けたはずクルって?そりゃそうかmもう減俸される分さえ残ってないクルぅわああああああん!!」
今度こそ 完
毎度毎度プリキュアは百合キュアばっかやーおもとったら大間違いやで!
れいかはなおの嫁やけどな!じゃあの!
ABC朝日放送 日曜朝八時半
スマイルプリキュア!
大好評放送中!
関連グッズも続々発売中!!
Entry ⇒ 2012.04.25 | Category ⇒ プリキュアSS | Comments (0) | Trackbacks (0)
恒一「毎月誰かが・・・恋に落ちる?」 赤沢「ええ」
http://hayabusa.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1334379319/
勅使河原「まあ無理も無いよな。赤沢、説明してやって」
赤沢「今私達が把握してるのは、今のところゆかりと久保寺先生ね。他にも誰かいるかもしれない」
恒一「他にも?」
赤沢「3年3組の生徒、先生ならびにその親族までがこの呪いの対象となっているの」
恒一(呪い・・・なのかなぁ)
勅使河原「まったく、しっかりしてくださいよ対策係ぃ。全然止められてないじゃん」
赤沢「くっ・・・!確かに無能の謗りを受けても仕方が無いわ」
榊原「対策係って、その現象を止める必要はあるの?」
赤沢「私達はまだ中学3年生よ!受験も控えてるのに不純異性交遊なんてもってのほかだわ!」
勅使河原「くっくっくっ、まあこういうこった」
赤沢「異性とのお付き合いっていうのは成人を迎えてからでしょう!」
恒一「古風なんだね・・・」
恒一「桜木さんって、階段での事故の時の話?」
勅使河原「知ってるのか?」
恒一「テストが終わったあと廊下にいたら、桜木さんが出てきて急いで走っていったんだ」
赤沢「それで?」
恒一「階段の方で大きな音がしたから見に行ったんだけど、ある人に抱きかかえられて猛スピードで保健室に行っちゃった」
赤沢「ある人って言うのは誰?知ってる人?」
恒一「言っていいのかな・・・えーと、風見くん」
赤沢「!!」
勅使河原「ぶわっはっはっは!クラス委員同士たぁねぇ」
恒一「桜木さんの方は捻挫ですんだみたいでよかったね」
勅使河原「不幸中の幸いだな。だけどなんでそんなに急いでたんだ?」
恒一「両親の結婚記念日のプレゼントを買い忘れてたんだって」
赤沢「初耳ね。看護婦さんだったっけ」
榊原「うん、この前赤沢さん達に呼び出されたとき―――
恒一「見崎さんと仲良くするなって、どういうこ・・・あ、電話」
水野『もしもし、恒一くん?今大丈夫?』
恒一「水野さん?どうしたんですか?」
水野『この前借りた本読み終わったんだけど、今度取りにこれる?』
恒一「はい、わかりました。僕のほうはいつでも」
水野『そ・・・ね・・明日はひば・・・から、あさ・・・』
恒一「もしもし?電波悪いですよ?」
水野「あ・ごめ・・・今エレベ・・・あっ』
恒一「もしもし?」
『み、水・・さん!折り入・・・話があり・・・!』
水野『ご、ごめ、こうい・・・ん、ま、かけ直・・・」プツッ
恒一「お互い一目惚れで、読書好きって共通点もあったみたい」
勅使河原「水野のヤツ、何も言ってなかったよな」
赤沢「成人同士のお付き合いにとやかく言うつもりはないわ」
恒一「ところで、”いないもの”って何?」
赤沢「・・・」
勅使河原「あー、それはな」
ガチャ
勅使河原「お、噂をすれば。おーい見崎ー、こっち来いよー」
鳴「・・・」
赤沢「・・・」
恒一(なんか険悪なんだけど・・・)
恒一「それは、えっと・・・」
鳴「大丈夫、コンプレックスとか無いから」
勅使河原「ちょっと外してもらってもいいか?」
鳴「やめとく。ここじゃちょっと」
勅使河原「ん、まあいいや。義眼だって事は知ってるよな?」
恒一「う、うん」
鳴「大丈夫、コンプレックスとか無いから」
勅使河原「実はこの目にはな・・・ほら、見崎」
鳴「・・・見えるの」
恒一「・・・?」
鳴「見えるの。恋の色が」
恒一「は?」
恒一「どういう風に?」
鳴「こう、なんというか淡い光が・・・説明できない」
勅使河原「こんな特殊能力があるもんだから、3組はおろか他のクラスの女子からも相談受けてるんだぜ」
恒一「あー、だから休憩時間いつも教室にいないんだ・・・」
勅使河原「ここまできたら、なんで”いないもの”って呼ばれてるかわかるだろ?」
恒一「赤沢さんだね」
赤沢「不純異性交遊を助長するような人を認めるわけにはいかないでしょ!」
勅使河原「な? 表向きは”恋愛対象としてはいけない”って意味で通ってるけどな」
恒一「どうして?」
勅使河原「学校中の女子からの反発を食らいたいか?ってことさ」
鳴「恋愛もさせてもらえないなんて、不便な体質よね」
勅使河原「なーに、彼氏くらいすぐできるって」
久保寺「皆さんに、ご報告があります」
実はこの度、結婚することになりまして、教員を辞職することになりました。
先日母を亡くしてしまったのですが、その時に力を添えてくれたのが今の奥さんでしてね。
奥さんの実家を継いで、農業を営むことになりました。
いやはや、この年まで独身だったのは恥ずかしい限りですが・・・たはは」
生徒(久保寺先生が笑った・・・!)
久保寺「なおこのクラスの担任は三神先生となります」
鳴「嬉しそうだった」
勅使河原「高林も入院先で出逢いがあったりしてな」
恒一「高林くん、大丈夫なの?」
赤沢「入院期間は少し長くなるけど、命に別状はないそうよ」
恒一「そっか、よかった」
勅使河原「さて、俺らが知ってるのはこのくらいか」
鳴「あ」
鳴「そういえばこの前、3組の人から相談を受けたの」
赤沢「・・・」
勅使河原「いつものことじゃね?」
鳴「それが男子からだとしても?」
勅使河原「へえ、そりゃ珍しい。誰だ?」
鳴「言っていいのかな」
勅使河原「大丈夫大丈夫、冷やかすために聞いてるんじゃないから。な?対策係さん」
赤沢「・・・」
鳴「・・・うーん、勅使河原くん、耳貸して」
勅使河原「お?おお」
鳴「・・・・・・」
勅使河原「和久井ィ!?」
恒一・赤沢「えっ!?」
勅使河原「だ、だってよ、和久井ってあの和久井だぜ?あんな大人しいやつが・・・?」
恒一「でも温厚で優しそうだよね」
赤沢「相手は誰?」
鳴「・・・わからない。「やっぱりいいや」って言ってどこか行っちゃった」
赤沢「何故その目で確認しなかったの?」
鳴「興味だけで人の心を覗いたりしないから」
赤沢「くっ・・・」
勅使河原「はいはい二人ともそこまで。今日はこのくらいにしとこうぜ」
恒一「そういえば、金木さんと松井さんもすごく仲が良いけど」
勅使河原「ああ、ありゃ1年のときからだ。不可侵領域だよ」
赤沢「ど、同姓で恋愛とか・・・はしたない、はしたないわ・・・」
鳴「じゃ、私帰るから」
恒一(和久井くんか・・・そういえばあの時)
和久井「あ、綾野さん・・・どこか出かけるの?」
綾野「うん、本屋とか買い物とか。一緒に行く?なーんてねー」
和久井「いや、僕もう帰るところだから・・・」
綾野「よそよそしいなぁ。席が隣同士の仲じゃんかー」
和久井「あは、あはは・・・あっ、危ない!」ガバッ
綾野「え?きゃっ!」
ガシャーン!
綾野「・・・ひゃー・・・ビビった」
和久井「大丈夫?け、けがしてない?」
綾野「うん、大丈夫・・・ありがと」
恒一「今なんかすごい音が・・・わっ、ガラスが。って、綾野さんと和久井くん?」
綾野「・・・おー、こういっちゃん、奇遇ですなぁ~」
勅使河原「どした?」
恒一「ううん、なんでも。そういえばなんで僕も一瞬だけ”いないもの”にされたの?」
赤沢「牽制のつもりだったの」
恒一「牽制?」
赤沢「優しいし誰とでも仲良く接するし・・・まあ、男前な方じゃない?世間一般的に見て」
勅使河原「なら俺も認定されててもおかしくなかったってことか」
赤沢「ごめんなさい」
恒一「ううん、いいよ。そういう理由だったらあまり悪い気はしないっていうか」
勅使河原「なら俺も認定されててもおかしくなかったってことか」
赤沢「今日は帰りましょう。なにかあったら連絡よろしく」
恒一「うん、わかった」
勅使河原「なんで無視なの?」
恒一「桜木さん?どうしたの?」
桜木「じ、実は私・・・本当は榊原くんのことが・・・」
恒一「えっ!?えええ?いや、ちょっと・・・」
水野「私も好きよ!恒一くん!」
恒一「水野さん!?どこから!?」
水野「あなたが大学生、いやせめて高校生くらいだったら私は・・・!」
??「そうよ!若すぎるのよ!」
恒一「どなたですか!?」
??「はじめまして!久保寺紹二の妻です!」
風見「楽しそうだね榊原君。僕も混ざっていいかい?」
恒一「なんで!?」
恒一「・・・なんだよこの夢・・・」
恒一「わっ!・・・もしもし」
父「おお恒一、インド土産は何がいい?」
恒一「別になんでもいいよ」
父「じゃ、カルタ!」
恒一「・・・ジャカルタはインドネシアだよ。そんなことよりもさ、お母さんって昔、モテたりした?」
父「お?昔は父さんもモテてなぁ。学生達からよくラブレターを」
恒一「母さんの話をしてくれる?」
父「聞いたことは無いが、初恋の相手は学校の先生だったとか言っていたな」
恒一(この現象、やっぱり昔からあったのかな)
父「懐かしいなぁ。あれは付き合って2年目だったか、俺は理津子と」
恒一「その話はいいや。じゃあね」
勅使河原「お?もしかして鳴ちゃんとデートかぁ?赤沢がブチギレるぞぉ」
恒一「で?何の話?」
勅使河原「会って話がしたいんだ。一応クラスの話でもあるしな」
恒一「えーと・・・」
赤沢「恒一くん、こっちよ」
恒一「赤沢さん?」
赤沢「勅使河原に呼ばれてきたんでしょ。座ったら?」
恒一「あ、うん。じゃ隣に」
赤沢「どうぞ」
恒一「・・・」
赤沢「・・・」
恒一(隣に座るのとかは気にしないんだ・・・)
赤沢「はい、”友人”の榊原恒一くんです」
智香「あら、いつも優矢くんがお世話になってます。望月優矢の姉です。ご注文は」
赤沢「私と同じのを」
・
・
・
勅使河原「ごめんごめん、遅くなっちまった」
赤沢「・・・」 スッ
勅使河原「え?なんで移動すんの?」
赤沢「あんたと向かい合わせで座りたくないの」
勅使河原「俺、そんなに嫌われてる?」
赤沢「はっきり言われたい?」
勅使河原「いや・・・いいわ」
望月「うん、お姉さんに事情を話してみたんだ。夜見北出身で、3組の噂は知ってたみたい」
勅使河原「そしたら、智香さんからビックリ情報が出てきたんだ」
智香「常連さんで、松永克巳って人がいるんだけど、『松永さんの年は”ある年”だったのか』って聞いてみたの」
松永『あの年の現象は俺が止めたんだ。止めてやったのは後にも先にも俺だけだ!ざまーみろ!』
智香「ですって」
勅使河原「止めようとしてるのはここにもう一人いるけどな」
赤沢「松永という人が現象を止めた・・・そして手がかりをどこかに残した」
勅使河原「でも松永本人の手がかりがなぁ」
赤沢「恒一くん、あなたの身近に同級生がいなかった?」
恒一「あっ」
赤沢「ところで勅使河原、なんであんたは協力してくれるわけ?あんたには現象を止める理由は無いでしょ」
勅使河原「まあ、いつもつるんでる仲じゃん?たまには役に立ってやるよ」
勅使河原「おはよーっす」
望月「おはようございます」
恒一「何その荷物?」
勅使河原「色々とな」
赤沢「お待たせ」
杉浦「おはよう」
中尾「うえぇぇ・・・」
恒一「皆そろったね。・・・中尾くん、大丈夫?」
中尾「楽しみすぎて昨日ほとんど寝てない・・・」
恒一「無理しないで帰ったほうが・・・」
中尾「・・・何言ってんだ、杉浦の水着姿を見るまでは何があっても帰らねぇぞ・・・!」
赤沢「勅使河原は私の車ね」
勅使河原「おっ、おう!」
赤沢「じゃ、行きましょう」
望月「へへ、なんだか楽しみだね」
恒一(望月くん、女子ウケしそうなキャラだよなぁ)
赤沢車 助手席:勅使河原 後:中尾、杉浦
勅使河原「ブツブツ・・・ブツブツ・・・」
中尾「うーん、うーん」
杉浦「中尾、ほんとに大丈夫?」
中尾「うーん・・・じゃあ手を握ってくれ、なんて」
杉浦「手?はい。これでいいの?」 ギュッ
中尾「!! ありがとう。だいぶ良くなったよ」 ニッコリ
勅使河原「ブツブツ・・・ブツブツ・・・」
望月「中尾くん、そんなキャラだったっけ?」
勅使河原「あぢー」
玲子「松永君、急な出迎えで不在みたい」
恒一「時間あいちゃうね。どうしよっか」
勅使河原「よっし!泳ぐか!」
杉浦「夜見山から出てるし、変なことは起きないはずよ」
赤沢「そうね。夏休みなんだし、少しは羽を伸ばさないと」
玲子「せっかく海に来たんだしね」
中尾「行きましょう。海が俺を、いや、皆を待っています」
玲子「中尾くん、そんなキャラだったっけ?」
勅使河原「夏の海ー!」
中尾「俺の海ー!」
勅使河原・中尾「ヒャッホーーーー!!」
恒一「テンション高いなぁ・・・あれ?」
鳴(ヒトデ・・・ヒトデがいなかったらひとでなし・・・クス)
恒一「見崎?」
鳴「っ!・・・榊原、くん?」
恒一「偶然だね。別荘ってこの辺なの?」
鳴「うん」
恒一「そうなんだ。なんで顔赤いの?」
鳴「別に」
中尾「へっへー」
赤沢「やったわねー。ていっ」
中尾「おっと、どこ投げて・・・あ!」
杉浦「アタック!」 バシッ
中尾(杉浦のボールを顔面キャッチ・・・俺は幸せ者だ)
松永「玲子か?携帯に電話したのに。電池切れてないか?」
玲子「えっ?・・・ありゃ」
松永「相変わらずそそっかしいんだな」
玲子「よくここがわかったわね?」
松永「わかったも何も、ここがホテルから一番近い浜辺だからな」
玲子「そういうあなたも変わったわね。すっかりオッサン」
松永「うっせぇ。・・・14年ぶり、か。お互いもうすぐ30歳だ」
玲子「うっさい」
松永「・・・三神、か。まだ結婚してなかったんだな」
玲子「えーえーそうですよ。仕事も忙しいし、すっかり婚期を逃しちゃいましたよーだ」
松永「・・・そこも、お互い様ってか」
玲子「マツも独身なの?」
松永「まあ、な。未だに昔の記憶を引きずっちまってる」
玲子「昔って、なんかあったっけ?」
松永「・・・覚えてないのか?かーー、これだから女ってのは」
恒一「あっ、ボールが・・・」
中尾「まかせろー」
中尾「お、おう」
勅使河原「おいおい、いい所見せようとして失敗かぁ?」
中尾「優しいな・・・俺のことを気遣ってくれるなんて」
勅使河原「結果オーライか」
玲子「うーん・・・降参!15年近く前のことだもん、さすがに記憶がね」
松永「ったく、まあいい。覚えてないのならそれでもかまわん」
勅使河原「・・・杉浦、なんか変じゃね?・・・まさか、溺れてんじゃ」
杉浦「や、やばっ・・・足、足つっ・・・!ゴホッ」
赤沢「多佳子!今助けに・・・!」
中尾「俺が行く!!」
勅使河原「行け中尾!ここでいい所見せ付ければヒーローだぞ!」
中尾「まかせろぉぉぉぉぉぉぉぉおおおおおお!!!!!」
中尾「杉浦!捕まれ!」
勅使河原「お!戻ってきた!」
望月「よかった・・・」
赤沢「はぁ・・・もう」
杉浦「ゲホッ、ゲホッ」
赤沢「多佳子!心配かけないでよ!もう!」
杉浦「ご、ごめん・・・ゲホッ」
中尾「松永さん、救急車を呼んでください!」
杉浦「き、救急車?いや、いいよそこまでしなくても。大丈夫だから」
中尾「馬鹿野郎!杉浦の体にもしもの事があったらどうするんだ!俺も一緒に行くから!」
杉浦「な・・・中尾・・・」
赤沢「・・・・・・・・・・・・」 ガスッ ガスッ
鳴「私の砂山・・・」
勅使河原「教室?」
恒一「うん、松永さんが現象を止める方法を記した物が、教室のどこかにあるって」
勅使河原「うっし、早速赤沢に・・・」
恒一「待って、赤沢さんにはまだ教えたくないんだ」
勅使河原「なんで?」
恒一「赤沢さんさ、海に行った日からずっと機嫌が悪いんだ」
勅使河原「まあ、対策係だった杉浦と中尾があんなことになったらなぁ」
恒一「というわけだから、捜索は僕達だけで行おう」
望月「そうだね。できる限り少人数で」
勅使河原「何か見つかったら赤沢に報告するかぁ」
赤沢「話は全て聞かせてもらったわ!」
一同「のわぁ!!!」
赤沢「対策係を差し置いてなに作戦会議してるのよ。私も参加するわ」
恒一「赤沢さんは?」
勅使河原「集合時間を30分遅く伝えたんだ。俺らだけで話したいこともあるかもしれないしな」
綾野「あれ、テッシーにこういっちゃん。何してんの?」
恒一「綾野さん。まあちょっとね。部活?」
綾野「ううん、先生に報告があって。実は私、転校することになったんだ」
勅使河原「マジかよ!急な話だな。いつ?どこ?」
綾野「それが今日なんだよね。場所はそんなに遠くは無いんだけど」
勅使河原「そっか。しかし夏休み中に転校なんてな」
綾野「ほとんどの人は夏休み明けに報告になっちゃうね」
勅使河原「そうだな。俺らも夏休み中に誰かに会ったら伝えとくぜ」
綾野「お、助かるー!それじゃバイバイ!ちょくちょく遊びに来るからー!」
勅使河原「はぁ、クラスのムードメーカーがいなくなっちまうかぁ」
恒一(和久井くん・・・)
鳴「・・・」
恒一「見崎?なんでここに・・・?」
鳴「美術部員だから、たまにはと思って」
勅使河原「あいたー、こんな日に限ってか・・・」
望月「お待たせ・・・って見崎さん?なんでここに?」
鳴「あなたがそれを聞くの、変じゃない?」
赤沢「あら、皆もう来てたの」
勅使河原「げっ、赤沢もう来た・・・」
赤沢「げっ、とは何よ。早めに着いちゃったと思ったけどもう全員揃っ・・・なんであなたまで」
鳴「またこのメンツ。今からまた皆で海でも行きましょうか?なんてね」
赤沢「この・・・!」
勅使河原「はいそこまで、停戦協定ー。で、見崎は何してたんだ?」
鳴「同じ質問を4回もされるなんて始めてね。あなた達こそ何の用事なの?」
千曳「ん、君は確か三神先生の生徒だったね」
和久井「はい、3年3組の和久井と申します」
千曳「部活かい?」
和久井「いいえ、宿題でちょっと調べたいことがあって」
千曳「ほう、感心だね。そういえば綾野くんも同じクラスか」
和久井「あ、は、はい。そうです」
千曳「転校するという話はもう聞いているかい?」
和久井「えっ?」
千曳「やはりか、夏休み中だから報告もできなかったのだろう。部員が減ってしまうのは残念だ」
和久井「そ、そんな・・・」
千曳「30分ほど前かな、私と三神先生に挨拶を済ませて帰っていったよ」
和久井「・・・失礼しました!」
三神「ひっ、和久井くん?」
和久井「あや、綾野さんが・・・」
三神「綾野さんなら先ほど挨拶に見えたわ。今日中に出発してしまうみたいね」
和久井「今日・・・!」
三神「近いうちに皆に伝える予定だったけど、誰かに聞いたの?」
和久井「さっき、第二図書館で・・・」
三神「ああ、千曳先生、顧問だものね」
和久井「先生!住所はわかりますか!?」
三神「住所?住所録ならあるけど」
和久井「見せてください!・・・・・・ありがとうございました!」
三神「あ、和久井く・・・あらあら、うふふ」
勅使河原「しっ、赤沢に聞こえるぞ」
望月「あっ・・・あれって、夜見山の外だったのに、なんでああなったのかな」
恒一「中尾くん、『杉浦さんの水着を見るまでは帰らない』って言ってたよ」
望月「じゃあ中尾君の片思いだったんだ。でも杉浦さんはどうだったんだろうね」
勅使河原「んー、まあ助けてもらったあとにあんなセリフ言われたら、コロッと落ちちゃうんじゃねえの?」
恒一「現象の力が無くてもね」
勅使河原「あの風見が人一人抱きかかえたってえのも、それも現象の力が成せる技だったのかねぇ」
恒一「風見くん、力ないの?」
勅使河原「ないない。貧弱な体してんぜー?」
望月「火事場の馬鹿力ってやつかな」
勅使河原「人間、本気出しゃどうにかなるってか」
赤沢「男3人!何か見つかった?」
勅使河原「ひッ!ま、まだでーす」
勅使河原「さあな。入学当時はあんなんじゃなかったような気もするんだけど」
望月「空気悪いね。窓開けようか」 ガタガタッ
恒一「危ない!」
望月「え?うわぁっ!」 パリーン
恒一「望月くん、怪我はない?気をつけなきゃ」
望月「う、うん、大丈夫・・・ありがとう、榊原君」
赤沢「あ、あわわわわ・・・」
勅使河原「あん?」
赤沢「ダ、ダメよそういうのは絶対!だ、だだ男子同士とかそういうのは私だけじゃなく世間の目があわわわ」
勅使河原「お前さぁ・・・」
赤沢「へ?は・・・!お、お手洗いに行ってくるっ!」
鳴(あ、かわいい髪飾り・・・鏡、鏡ないかな鏡)
綾野「今日でこの家ともオサラバかぁ。ちょっとだけおセンチな気持ちになっちゃうな」
父「おーい彩ー、そろそろ出発するぞー」
綾野「あっ、はーい。・・・バイバイ、夜見北のみんな。そして夜見山!」
綾野「最後の戸締り、よし、と」
和久井「あ、綾野!・・・さん!」
綾野「ひぃっ! わ、和久井!どうしたの!つーか走って大丈夫なの?」
和久井「ぜぇ、ぜぇ・・・さ、さっき、学校で千曳、先生に、て、転校って、聞いて・・・」
綾野「・・・うん、急だったから報告できなかったんだ」
和久井「ぜぇ、ぜぇ・・・だから、その・・・うっ!ひぃー、ひぃー・・・!」
綾野「ちょ、ちょっと、大丈夫?無茶するから!吸入器は持ってる?」
和久井「はぁ、はぁ・・・死ぬかと思った」
綾野「まったく、なにやってんのよもー。どうしたの?そんな慌てて」
綾野「んー、月に1回は夜見山に遊びに来れるくらいの距離かな」
和久井「そっか。・・・あの、さ・・・これ」
綾野「何これ、電話番号?」
和久井「ぼ、僕の携帯の番号なんだけど・・・その、いらなかったら捨てていいから」
綾野「・・・・・・・・・」 ビリッ
和久井「あっ・・・」
綾野「ペン、持ってる?」
和久井「あ、うん、はい」
綾野「・・・よし、ありがと、これあげる」
和久井「・・・これって・・・」
綾野「あ、もう行かなきゃ!じゃーね!またいつか!」
和久井「うん・・・気をつけて!」
綾野「落ち着いたら電話するから、その番号登録しといてよねー!」
勅使河原「なんかあったか?」
恒一「これ、ロッカーの中に貼り付けてあった」
勅使河原「きたきたきたぁ!ビンゴ!」
赤沢「中身は何かしら?」
恒一「ちょっと待って・・・カセットテープだ」
望月「カセットテープか・・・放送室になら再生できるものがあるかも」
勅使河原「お、あったまいー!行くぞ、放送室!」
赤沢「あんた、意外とノリノリね」
勅使河原「え?いやー、まあ、お前の役に立ててるみたいだし?」
赤沢「見つけたのは恒一くん、放送室に行こうって言ったのは望月。あんたは何かした?」
勅使河原「えーと・・・ムードメーカー?」
赤沢「さ、放送室に行きましょう」
鳴(♪)
敦志「うん、ちょっと」
小椋「珍しいこともあるもんだね。どこ行くの?」
敦志「まあ、友達に会いに行く、みたいな」
小椋「へー、兄貴って友達いたんだ。知らなかった」
敦志「う、うっせ!掲示板で知り合った人たちと会うんだよ!」
小椋「掲示板って、インターネットの?」
敦志「おう。自慢じゃないがウェブ上では交友関係広いんだぞ」
小椋「ほんとに自慢になんないよそれ。女の人もいるの?」
敦志「わからん。ハンドルネームは女の名前だけど、実際は男って事もよくあるみたいだし」
小椋「へー。女の人だと良いね」
敦志「べ、別にそういうあれじゃねえんだよ。もう行くからな!」
小椋「行ってらっしゃーい。・・・いいなぁ」
でもニートやってたから友達いなくなるか
えー、はじめまして。3年3組の松永克巳だ。
これを聞いてるって事は、3年3組で起きる現象に頭を抱える変わり者の後輩達だと思う。
「毎月誰かが恋に落ちる」。俺のいた3年3組もこの現象が起きていたんだ。
クラスメイト同士だったり、兄弟だったり、はたまた親が再婚したりと様々だった。
そんな中、クラスの誰かが「合宿」なんてものを考えたんだ。
夏休み、クラスの皆で合宿所で1泊、親睦を深めようって計画だった。
クラスメイトはおろか、何故か担任まで乗り気でな、無論俺も賛成だった。
そして合宿当日、俺は同じ部活だったクラスメイトに思い切って告白したんだ。
「ごめんなさい!」だとよ。
なんでだよ!次々とアベックができていく中、なんで俺は断られるんだよ!
しかも告白のタイミングが悪かった。
合宿所に着いてすぐに告白しちまったたもんだから、残りの時間は地獄だった・・・。
○○ってやつがいてな、こいつは頭も顔もいいのに、女に興味がないっつういけすかないヤツだ。
××って女子はソフトボール部の部長をやってるんだ、容姿はいいんだが、こいつも男に縁がなさそうなヤツだった。
あまりにもムカついたんで、俺は、この二人が両思いだって噂を流してやったんだ。
勅使河原「ただの私怨じゃねえか・・・」
これも俺には地獄だったがな。
神社の帰り道、急に雨が降ってきてな、前を歩いていた○○だけが用意周到に傘を持ってきていた。
こういう所がいけすかないんだ。
そしたら、××が○○の傘に無遠慮に入ってきたんだ。
○○は嫌そうな顔をしていたが、××はお構いなし。俺は心の中でほくそ笑んでいた。
その時、階段で××が足を滑らせて転びそうになった。
「危ない!」って○○が手を出したら、××を○○が後ろから抱きしめるような格好になったんだ。
後日二人に聞いたら『雷に打たれたような衝撃だった』だってよ。
・・・あー、思い出しただけで腹立ってきた。もういいや、この話やめ。
現象?その二人がアベックになってから止まったっぽいよ。
だからクラスメイトの誰かが恋に落ちたら止まるんじゃねーの。はい終わり。
恒一「・・・」
勅使河原「・・・」
赤沢「・・・」
望月「・・・」
鳴「・・・」
赤沢「捨てましょ」
望月「一応解決策?は聞けたけど・・・」
恒一「合宿か。赤沢さん、どうする?」
赤沢「うーーーん・・・・・・悩むわ」
勅使河原「誰かが恋すれば終わり。毒をもって毒を制す、ってか」
赤沢「・・・わかった、合宿を行いましょう。希望者だけで」
勅使河原「うーし、じゃ今日はひとまず解散、詳細は明日にでも考えるか。電話するぜー」
恒一「ところで見崎、その髪飾りはどうしたの?」
鳴「気づいてないのかと思ってた」
恒一「いや、さすがに気づくよ、その大きさ」
鳴「さっき教室で見つけたの。似合う?」
恒一「あはは、うん、似合ってるよ」
ふぇぇ・・・大きくなったら私と結婚するって約束したのにぃ・・・なんで彼女なんかぁ!!
うぅ・・・もう男の人なんか信じない!
あいたっ。
あ、ごめんなさい!大丈夫ですか?
うん、平気。
・・・
・・・お兄さんのこと、大好きなんだね。
・・・!
?
ぎゃーーーーーーーーーー!!!!忘れて!今のは忘れてぇーーーーー!!!!
あ、ちょっと! ・・・?
赤沢「ハッ・・・いやぁぁぁ!自分こそ忘れなさいよあんな過去ぉぉ!!」
参加メンバー・男子:恒一、勅使河原、望月、風見、猿田、王子、和久井、中尾、前島、辻井
参加メンバー・女子:赤沢、見崎、小椋、桜木、杉浦、金木、松井、有田、柿沼、渡辺
引率:三神、千曳
勅使河原「ほー、結構人数いるじゃん」
三神「突然ですが、綾野さんが両親の仕事の都合で転校いたしました」
鳴「っ」
和久井「・・・」
三神「急な話だったので、クラスの皆に報告ができなくてごめんなさい、とのことです」
小椋「転校先でも演劇部があったらいいね」
赤沢「そうね」
勅使河原「なんで千曳先生も来たんだ?」
小椋「ヒマだったんだって」
勅使河原「なんだよそれ。まあどうでもいいや、集合写真撮ろうぜ!
勅使河原「参加者は男女10人づつか。こりゃちょうどいいな」
恒一「あのさ、一つ気付いたんだけど、いいかな?」
勅使河原「なんだ?」
恒一「参加者は20人で、不参加者は綾野さんを抜いて9人でしょ?」
勅使河原「ああ、それがどした?」
恒一「もし現象を止める対象者がその9人の中にいたとしたら、この合宿の意味って・・・」
勅使河原「・・・」
望月「・・・」
鳴「・・・」
勅使河原「・・・それ、絶対赤沢に言うなよ。多分気付いてない」
恒一「うん、皆も口を滑らせないようにね」
勅使河原「げっ、まさか気付いた?」
赤沢「この合宿はあくまでも現象を止める為なので、恋愛感情を持つというレベルを超えることは・・・」
桜木「風見くん、これおいしいよ」
風見「本当かい?じゃあ僕も」
杉浦「う、キュウリ苦手・・・中尾、あげる」
中尾「まかせろー」
金木「はい、あーん」
松井「あーん。はいお返し。あーんして」
鳴「恒一くん、頬にソースついてる」
恒一「え?本当だ。あはは」
赤沢(ああもう!クラス委員同士、対策係同士、女の子同士、そして元”いないもの”同士・・・!!)
勅使河原「まずいな・・・」
望月「まずいね・・・」
鳴「・・・」 ツンツン
和久井「ん?」
鳴(中庭に)
・
・
・
鳴「呼び出しちゃってごめんなさい」
和久井「どうしたの?」
鳴「綾野さん、転校しちゃったのね。知らなかった」
和久井「うん・・・でも、いいんだ」
鳴「思いは伝えられたの?」
和久井「・・・どうだろう。わからない」
鳴「後悔はない?」
和久井「うん」
前島「榊原君・・・!」
恒一「わっ!前島くん、どうしたの?震えてるけど」
前島「調理場には行かないほうがいい・・・管理人が・・・!」
恒一「管理人がどうかしたの?扉閉めてくるよ」
恒一「中から話し声が・・・?」 ソッ
峯子「はいあなた、あーんして」
謙作「うむ、お前の作る料理はいつもうまいなぁ。ますます惚れ直しちまった」
恒一「!!!」
前島「・・・な?」
恒一「・・・寒い・・・8月なのに体が寒い・・・!」
勅使河原「お前ら何やってんだ?」
恒一「勅使河原くんと望月くん・・・調理場の中で・・・管理人が・・・!」
和久井「あっ、眼帯・・・」
鳴「ある日をさかいに、和久井くんと綾野さんは繋がったの。すごくすごく薄くだけど」
和久井「薄く繋がる・・・?それって、いつの話?」
鳴「さあ、覚えてない」
和久井「・・・まあ、いいや。ありがとう。見崎さんに相談できてよかった」
鳴「お礼はいい。勝手に人の恋心を覗いちゃってるしね」
和久井「最後に・・・今って、繋がってる?」
鳴「・・・・・・残念、二人の距離が離れすぎててわからないわ」
和久井「ほんと、はぐらかすの上手だね」
鳴「ただいま」
恒一「み、見崎・・・!」
望月「お帰りなさい・・・!」
勅使河原「あぁー。見崎が天使に見える・・・!」
鳴「なんで震えてるの?」
望月「どこ行くの?」
勅使河原「このまま朝を迎えて神社に行っておしまいじゃ盛り上がらねえだろ。ちょっと考えがある」
望月「えぇー、今度は何する気なのさぁ」
勅使河原「たまにはそこのお二人さんも二人っきりにしてやらなきゃな」
鳴「・・・」
恒一「あ、あはは・・・お構いなく」
望月「もう・・・じゃ、行ってくるね」
恒一「さっき、どこ行ってたの?」
鳴「内緒」
鳴「ごめんなさい、記憶にない」
恒一「すごく悲しそうというか、寂しそうに俯いて歩いてたのを見かけたんだ」
鳴「そう。気がつかなかった」
恒一「・・・誰か、亡くなったの?」
鳴「ううん、生きてる。明るく、いつでも前向きに生きてる」
恒一「じゃあ、なんであんなに悲しそうだったの?」
鳴「・・・私にはね、双子の妹がいるの。藤岡未咲っていうね」
恒一「双子の妹?知らなかったよ。でも苗字が違うんだね」
鳴「かくかくしかじか」
恒一「そうだったんだ、そんな事情が・・・」
恒一「いいお姉さんだね」
鳴「患者の子と仲良くなったとか、誰がお見舞いに来てくれたとか、とても楽しそうに話すの」
恒一「へえ。いい話じゃない」
鳴「・・・未咲と別れたあと、気持ちが沈むの。どうして双子なのにこうも違うのか、って」
恒一「えっ?」
鳴「容姿はそっくり。でも未咲は天真爛漫。鳴は・・・まあ、こんな感じ。光と影みたい」
恒一「いや、見崎にだっていい所はたくさん・・・」
鳴「こんな事を考えてしまう自分にも失望するの。その真っ只中に恒一くんとすれ違ったのね」
恒一「見崎・・・」
鳴「大丈夫、私の事は私が一番わかってるし、未咲はとても大切な妹。それは変わらないから」
赤沢「・・・」
杉浦「やっぱ、怒ってる?」
赤沢「複雑なところ。・・・よりにもよって」
杉浦「だよね。泉美の理解者同士が、ってわけだし」
赤沢「・・・どうなのよ、中尾とは」
杉浦「あいつ、いい奴だよ。見た目に似合わず優しいところあるし」
赤沢「それはまあ、なんとなく知ってる」
杉浦「それに・・・命の恩人だし。一応」
赤沢「そこが複雑なのよ。助けたからこうなったわけだし、助けてなかったら・・・あれだし」
杉浦「泉美も何かがきっかけで変われたらいいのに」
赤沢「バッ・・・!わ、私は・・・無理!無理無理!絶対無理!」
勅使河原「よう」
杉浦「どうしたの?」
勅使河原「ちょっと話し合いがしたいんだけど、出てこれるか?」
杉浦「えー、もうそろそろシャワー入ろうと思ってたんだけど」
中尾「よっ、なんか知らんが俺も呼ばれた」
杉浦「待ってて、今行くから」
勅使河原「赤沢ー、ちょっと杉浦借りてくぜー」
赤沢「は?今度は何しでかす気よ」
勅使河原「担保として望月置いてくからよー」
望月「お、お邪魔します・・・」
赤沢「・・・何なのよ・・・つーか望月置いてかれてどうしたらいいのよ・・・」
望月「そ、そうだね(もう30分経ったよ・・・)」
勅使河原『えー、3年3組の皆様、聞こえてますでしょうか』
恒一「勅使河原くん?」
勅使河原『このまま朝を迎えるだけでは少々盛り上がりに欠けると思いませんか?』
赤沢「何を始める気よ・・・」
勅使河原『そこで特別企画!大肝試し大会を始めまーす!』
杉浦・中尾『わーー、ドンドンパフパフー』
赤沢「多佳子!?」
勅使河原「皆様、正面玄関前までお越しくださいませー」
赤沢「はぁ・・・」
勅使河原「はいそこ、あからさまにゲンナリしないでくださーい」
赤沢「で、何をするって?」
勅使河原「ルールは簡単、二人一組で5分ほどのルートを周ってくるだけだ」
赤沢「狙いは?」
勅使河原「ズバリ、男女の親密度アップ!現象を止めるために3人で必死に考えたんだぜぇ?」
小椋「面白そうじゃん!やろーやろー!」
王子「おう!賛成だ!」
賛成ー! 賛成ー!
勅使河原「さて、概ね賛成みたいだけどどうする?」
赤沢「はかったわね・・・この状況で反対なんて言えるわけ無いでしょ・・・!」
勅使河原「はい、では二人一組でペアを作ってくださーい」
赤沢(男女ペア、とは言ってなかったわね・・・。多佳子にしよう)
杉浦「泉美、ごめん!私・・・」
中尾「・・・わりぃな」
赤沢「なっ!ぐぬぬ・・・まあいいわ、由美・・・」
小椋「私、望月がいいー!」
有田「あっ、ずるい!私もー!」
渡辺「抜け駆けなしー!」
望月「え、えぇっ!?」
小椋・有田・渡辺「「「さあ、望月は誰がいい!?」」」
望月「えーと、えーと・・・み、三神先生!三神先生と行く!」
三神「え、私も参加者なの?」
望月「勅使河原くん!三神先生でもアリだよね!?」
勅使河原「うーむ・・・特別に許可する!」
千曳(ほう、一番波風の立たない選択ができるとは・・・)
渡辺「しょうがない、松子、一緒に行こっか」
有田「そうだね、どうせ遊びだし」
小椋「くそー・・・前島!あんたでいいわ!行くわよ!」
前島「えっ!ぼ、僕?」
赤沢「出遅れた・・・ゆかりは風見だろうし、金木さんは松井さんと・・・そうだ!恒一くんがいたわ!」
恒一「見崎、こういうの平気そうだよね」
鳴「怖くは無いけど、夜道で片目って歩きづらい」
恒一「手を繋げば大丈夫だよ」
赤沢「そうよね!見崎さんもいたわね!」
辻井「ほ、ほら、別に変な意味じゃないよ!?ただメガネキャラ同士っていうだけだから心配しないで、ね!?」
柿沼「は、はい、お願いします」
千曳「不参加だ。あいにくこういうのは不得手でね」
赤沢「意外です」
千曳「ほら、そこで手招きして待ってるのがいるぞ」
勅使河原「へへー、残り物にはなんとかがあるって言うじゃん?」
赤沢「裏がありそうね・・・」
勅使河原「和久井は本人の希望で、コースのどこかに隠れて脅かし役をやってくれるってよ」
和久井「頑張るよー」
勅使河原「じゃペアも決まった所で、行く順番をクジで決めまーす」
赤沢「なんで組み合わせはクジじゃないのよ」
勅使河原「まあまあ、決まったもんはしょうがねーだろ?」
杉浦(わざわざ悪役を買ってやったんだから、あとはあんた次第よ)
勅使河原(感謝感謝!)
風見「桜木さん、怖いのって平気?」
桜木「あまり得意じゃ・・・でも・・・」
風見「どうしたの?」
桜木「こ、こうやって二人で歩いてると、その・・・」
風見「?」
桜木「デ・・・デートみたい、ですよね・・・」
風見「!!」
桜木「・・・」
風見「「・・・」
和久井「わっ」
桜木「・・・」
風見「・・・」
和久井(気づかれなかった?)
松井「・・・怖い」
金木「大丈夫、私の手を握って」
松井「杏子の手、暖かい」
金木「ね?手を繋いでいれば怖くないわ。このまま行きましょう」
和久井「わーっ」
松井「ひっ・・・!」
金木「大丈夫、私が亜紀を守ってあげる。だから安心して」
松井「うん・・・頼りにする」
金木「さあ、行きましょう。もう目を開けても大丈夫」
松井「杏子・・・ありがとう」
金木「亜紀・・・」
和久井(やりづらいなぁ)
杉浦「さ、行きましょ。中尾が先導して」
中尾「おう・・・」
杉浦「『まかせろー』はどうしたのよ」
中尾「お、俺こういうのあまり得意じゃなくてよ・・・」
杉浦「何それ、発案者のくせに」
中尾「だってよ、自分も参加するとは思ってなかっ・・・」
和久井「わーっ」
中尾「にゃーっ!!」
杉浦「ぶふっ、あっはっはっはっ」
中尾「わ、笑うなよ!すっげぇ恥ずかしい!」
杉浦「だ、だって、にゃーっって、くくく・・・お腹痛い・・・最高、あんた最高だわ」
中尾「う・・・行くぞ!ほら!」
杉浦「あとでみんなにバラしちゃお。にゃーっ」
中尾「やめろ!やめてください!」
有田「おー、結構雰囲気出てるねー」
渡辺「へたなオバケ屋敷よりよっぽど恐怖感あるよ」
有田「そうそう、恐怖感といえばさ」
渡辺「何?」
有田「アメリカでは日本のホラーみたいな『何もない恐怖』って概念が薄いらしいよ」
渡辺「何それ、豆知識?」
有田「うん、こないだテレビでやってた」
和久井「わーっ」
有田「きゃーー!」
渡辺「きゃー!って、松子の声の方がビックリしたんだけど!」
有田「和久井!ちょっとやめてよバカ!びっくりすんじゃん!」
和久井「うん、そういう役だから」
渡辺「何かぶってるの?」
和久井「ゴミ袋」
三神「私でよかったの?」
望月「は、はい。よろしくお願いします」
三神「はい、じゃ行きましょ」
望月「うぅ~、こ、怖いよう」
三神「苦手?」
望月「僕こういうの全般が全然ダメで・・・」
和久井「わーっ」
望月「ひゃぁーーっ!!こ、このっ!このっ!」
和久井「いたっ、痛い痛い、僕だって」
望月「はっ・・・もぉ~、やめてよぉ~!」
三神(まずい、今キュンとしかけた。天然ジゴロになるわねこの子)
小椋「・・・」
前島「ご、ごめんね、僕なんかじゃきっとつまんないと思うけど」
小椋「なんであんたそんなにナヨナヨしてんのよ。剣道部でしょ!」
前島「それとコレは関係がないと思う・・・」
小椋「いいからシャキっとしてよ」
前島(望月くんも似たようなタイプだと思うんだけどなぁ)
和久井「わーっ」
前島「ひゃぁあーーっ!!出たぁ!た、助けてぇ!」
小椋「!!」
和久井「あはは、腰抜かした」
前島「・・・あぁ~、もう。かっこ悪いなぁ僕」
小椋「・・・」
前島「ごめんね小椋さん、こんな体たらくで」
小椋「ふむ・・・」
辻井「よ、よろしく!じゃあ手を繋ごうかっ!」
柿沼「えっ・・・」
辻井「ハッ!いや、変な意味じゃなくてね!?ほら、足場も悪いし、エスコートするのが紳士の嗜みだよね!」
柿沼「いや、あの・・・」
辻井「あ、僕が手汗かいてるのが気になる!?なるよね!今拭くからちょっと待ってね!」
柿沼「いや、そこに和久井くんが・・・」
和久井「なんかあったの?」
辻井「ギャピン !?」 ギューッ
柿沼「はう!」
辻井「な、なんだよ和久井くん!脅かし役が普通に声をかけないでくれたまえ!」 ギューッ
和久井「騒がしいから何かあったのかと思って。というか柿沼さんが」
辻井「へ?」 ギューッ
柿沼「は、はわわわ・・・」
辻井「あぁっ!か、柿沼さん!わざとじゃないんだよ!神に誓ってわざとじゃないんだよ!」
恒一「ほら、手、繋いで」
鳴「ありがとう」
恒一「思ったより明るいね。満月だからかな」
鳴「雨だったら何も見えないかも」
恒一「でも、和久井くんがどこかに隠れてると思ったら結構ドキドキだよ」
鳴「・・・ちょっと待って」 スッ
恒一「?」
鳴「・・・和久井くん、みっけ」
和久井「えっ?」
鳴「そこの木の所に立ってる」
恒一「どこ?全然見えないよ」
和久井「ずるいなー、それ」
鳴「ふふ」
和久井「そうでもないよ。リアクションが三者三様で。それに」
恒一「それに?」
和久井「他の人とペアを組んだら、怒られるかもしれないし」
恒一「誰に?」
鳴「あと2組よ、頑張って」
和久井「おー」
鳴「さ、行きましょ、恒一くん」
恒一「あ、うん・・・??」
鳴「・・・」 クルッ
和久井(さて、次はどこに隠れようかな)
鳴「・・・ふふ」
王子「・・・」
猿田「・・・」
王子「・・・」
猿田「・・・」
王子「・・・なあ」
猿田「んー」
王子「・・・泣いても、いいかな」
猿田「・・・ここなら誰にも見えんし誰にも聞こえんぞな」
王子「うえぇ・・・なんで合宿まで来てこんな目に・・・しくしく」
「オチ担当の宿命ぞな」
和久井(・・・出ていけない・・・)
綾野『やっほー、今電話大丈夫?』
和久井「あ、あやや綾野さん!う、うん、大丈夫だよ」
綾野『? 外にいるの?』
和久井「うん、今合宿のイベント中で、肝試しの脅かし役やってる」
綾野『あはは何それー。合宿か、由美にこの前聞いた。皆楽しんでる?』
和久井「うん、僕自身もわりと」
綾野『へー、いいなー。私も行きたかったなー』
和久井「ところで、どうしたの?」
綾野『ついさっきやっと荷物整理が終わったんだけど、終わった途端ドッと疲れちゃって』
和久井『お疲れ様」
綾野『ありがと。それで、和久井の声でも聞いて癒されようかなーって思って電話してみたんだ』
和久井「そ、そうなんだ」
綾野『あー、やっぱ和久井の声って癒される』
和久井「うん、みんな誘って」
綾野『・・・和久井一人で来て欲しいな』
和久井「えっ?」
綾野『和久井と・・・二人で会って話したいな・・・って』
和久井「え・・・え、そ、そ、え・・・」
綾野『・・・なーんて、元演劇部の演技力、恐れ入ったか!』
和久井「え・・・あ、あははは、すっかり騙されちゃった」
綾野『立て込んでるみたいだから、また近いうちに電話するね』
和久井「うん、わかったよ。それじゃ体に気をつけて」
綾野『うん・・・・・・あのさ』
和久井「何?」
綾野『さっきのさ、”演技”ではあるけど・・・”嘘”じゃないから・・・おやすみっ』 プツッ
和久井「・・・」 カッ
赤沢「はぁ・・・」
勅使河原「まあまあ、とりあえず行こうぜ」
赤沢「・・・」
勅使河原「・・・」
赤沢「・・・」
勅使河原「・・・俺のこと、そんなに嫌い?」
赤沢「大っ嫌い」
勅使河原「・・・そっか・・・」
赤沢「・・・」
勅使河原「・・・」
赤沢「・・・」
勅使河原「・・・」
赤沢「ちょ、ちょっと待ってよ!そのリアクションは反則でしょ!」
赤沢「なに普通に落ち込んでるのよ!いつものやりとりでしょ!別になんとも思ってないわよ!」
勅使河原「・・・はは、そうだそうだ。そうだったな」
赤沢「さっきまでのテンションはどうしたのよ」
勅使河原「・・・ちょっと、まじめな話がしたいんだ」
赤沢「何よ、あらたまって」
勅使河原「お前ってさ・・・東京の高校、受けるんだっけ」
赤沢「ええ、そのつもり。そろそろ準備にかからないと」
勅使河原「・・・俺もさ、そこ受験したら、どうなるかなって」
赤沢「は?正気?私ですら難関なのに、あんたが受けるっていうの?」
勅使河原「今から必死に取り組めばさ、どうにかなるかもしれないじゃん?」
赤沢「あんた、そんなに高い志をもった人間だったっけ?」
勅使河原「入学さえできれば、あとはどうとでもなる」
赤沢「無理無理。諦めて近所の高校にしときなさい」
勅使河原「・・・お前と一緒の高校に行きたい」
赤沢「ちょ・・・は?何よそれ・・・」
勅使河原「・・・俺、俺さ・・・俺、お、お前の・・・」
赤沢「! あんた、まさか・・・!」
和久井「シャアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!!!!!!!」
勅使河原「ぎゃーーー!?」
赤沢「きゃーーーーー!?」
赤沢「ちょ、何!?なんで追ってくるの!?誰よあれ!?」
勅使河原「し、知らねえよ!和久井しかいねえハズだぞ!?」
赤沢「こんな和久井知らないわよ!!」
ズサーーーーッ
赤沢「あ!転んだ!」
勅使河原「今だ!逃げるぞ!掴まれ!」
赤沢「あっ・・・」
和久井「・・・っ、あれ、僕なんでこんなところに・・・?」
勅使河原「ぜぇ・・・ぜぇ・・・」
赤沢「・・・もう、追ってきてないみたい」
勅使河原「何だったんだ?今の・・・」
赤沢「・・・ちょっと、何どさくさに紛れて手握ってんのよ」
勅使河原「あっ、わりい。ちょっとパニックになっちまった」
赤沢「・・・いいわよ、このままでも。行くわよ」
勅使河原「・・・」
赤沢「今だけはいいけど、皆の前では手を離し・・・どうしたの?何立ち止まって」
勅使河原「・・・好きだ!」
赤沢「っ・・・」
勅使河原「俺、お前のことが好きだ!」
赤沢「・・・ちょっと、そんな気はしてた」
勅使河原「気付かなかったと思うが、中尾と杉浦の協力てこうやって二人きりになるチャンスをもらえた」
赤沢「それは気付いてた」
勅使河原「赤沢、俺は本気でお前のことが好きだ」
赤沢「・・・・・・無理。私、どうしても自分の信念は曲げられない」
勅使河原「・・・いいんだ。今日を逃したらもう言えない気がしてた」
赤沢「・・・」
勅使河原「・・・俺の気持ちを伝えられただけで、俺は十分だ」
赤沢「あんた・・・」
勅使河原「でもよ、せめて、お前と同じ高校に行けたら・・・行けたらいいなって・・・」
赤沢「・・・なに泣いてんのよ」
勅使河原「わかんねぇ。わかんねぇけど・・・止まんねぇんだよ・・・」
赤沢「・・・言っとくけど、そうとう偏差値は高いわよ。今のあんたじゃ到底無理」
勅使河原「・・・知ってる」
赤沢「それこそ、風見クラスの成績が必要になるけど」
勅使河原「なら俺は風見を踏み台にする」
赤沢「酷いわね」
勅使河原「今は幼馴染なんてもんは関係ねえ。俺自身の問題だ」
赤沢「・・・本気で目指すつもり?」
勅使河原「当たり前だ」
赤沢「私、大学進学も視野に入れてるけど」
勅使河原「勅使河原直哉の本気を見せる時だ」
赤沢「受験失敗したら絶交だから」
勅使河原「なっ、それは・・・」
赤沢「弱気にならないでよ・・・」
勅使河原「・・・わかった。それくらいのリスクくらい受けて立ってやるよ!」
中尾「・・・おい!手つないでんぞ!」
杉浦「ちょ、泉美相手に?マジでやったの!?」
風見「あいつ、たまに出す本気はすごいんだよ」
鳴「・・・」 スッ
勅使河原「お?なんだよお前ら」
小椋「わー!テッシーおめでとー!」
勅使河原「は?」
中尾「勅使河原さん!赤沢さんをゲットした感想を一言お願いします!」
勅使河原「ちょ、ちょっと待て!なんだよいきなり!」
望月「・・・勅使河原くん、ハッキリここまで聞こえてたよ。『好きだ!』って」
勅使河原「はぁ!?・・・って、すぐそこだったのかよ!」
赤沢「・・・あ ん た ねぇー!絶対ワザとでしょ!そういう所が大っ嫌いなのよ!!」
やんや、やんやー!
鳴「・・・ふふ」
千曳「不参加だった代わりだよ」
勅使河原「イエー!千曳先生イエー!みんな、騒ぐぞー!」
桜木「わぁ・・・綺麗」
風見「うん・・・いや、君の・・・いや、うん」
松井「杏子、見て」
金木「綺麗。輝いてるよ、亜紀」
杉浦「結局答えは出さなかったみたいだけど、泉美もまんざらでもなさそうだったわね」
中尾「”新・対策係”は1日で解散か」
和久井「たーたーりーじゃー」
有田「きゃー助けてー!あはははは」
渡辺「あははは和久井テンション高いんだけどー!」
望月「何がですか?」
三神「ううん、なんでも。ちょっと昔をね」
小椋「あんた、演劇部にも入ってみない?」
前島「は?」
辻井「いや、ほんとごめんね?怒ってるよね?僕の自業自得だもんね?」
柿沼(うぅ、辻井君の顔、まともに見れないよぅ・・・)
辻井「その・・・訴えたりとかしないよね?」
恒一「見崎って、やっぱり線香花火とか好きなの?」
鳴「地味だからあんまり」
恒一「あ、そうなんだ」
王子「あはは・・・線香花火って、僕達の命の灯みたいだぁ」
猿田「落ちたぞな」
鳴「残念だけどそこまでは」
恒一「そうだよね。わかってたらここまでする必要も無かっただろうし」
赤沢「帰ったらさっそく書店に行くわよ。参考書を見繕ってあげる」
勅使河原「いいのか?お前だって色々あるんじゃ・・・」
赤沢「あんた、勉強の仕方知らないでしょ。ある程度は助力するわ」
勅使河原「・・・ありがとな」
鳴「当の本人はもうあまり気にしてないみたい」
恒一「見崎のその目であの二人を見たら、どう見える?」
鳴 「残念、花火がまぶしくてよくわからないわ」
恒一「残念、花火がまぶしくてよくわからないわ」
恒一「はは、当たった」
鳴「・・・意地悪」
智香「いらっしゃい。千曳先生、もういらしてるわよ」
千曳「なかなか洒落た店を知っているんだね」
恒一「望月くんのお姉さんが働いてるんです」
千曳「知っているよ。彼女も夜見北の学生だったからね」
智香「お久しぶりです先生。ご注文はお決まりですか?」
恒一「見崎、コーヒーは飲める?」
鳴「平気」
恒一「えーと、これだ、ハワイコナのエクストラファンシーを二つ」
智香「かしこまりました」
千曳「ほう、君はコーヒーには明るい方なのかい」
恒一「いえ、以前飲んでおいしかったので」
千曳「最高級品だ。当然だよ」
千曳「さて、合宿から1週間が経ったが、何か変化はあったかい」
恒一「それが、わからないんです。夏休み中なのもありますし」
千曳「そうか、そうだろうな」
恒一もっとこう、ハッキリと形になって現れるものならわかるのですが・・・」
鳴(・・・あつっ)
千曳「学校が始まってしばらく経つまではなんともいえない、か」
恒一「はい」
鳴(・・・火傷しちゃった)
恒一「でも、この現象ってなんなんでしょうか?いつから始まったものなのかも・・・」
千曳「・・・それはきっと26年前、私が夜見北の教師だった時の出来事がきっかけだと思う」
鳴(おいしい)
恒一「26年前・・・ですか」
まあそれはいい。ある女子生徒がいてね、眉目秀麗。成績も申し分ない生徒だ。
だが、無機質さが否めなくてね。笑顔一つ見せない子だったよ。
言われたことを完璧にこなす、一つのミスもなく。何を問いかけても完璧に受け答える。動揺を見せることもなく。
そんな彼女を、一度だけ皆の前で叱ったことがあった。
なに、些細なことだ。黒板を消し忘れた、とかその程度のね。
当時、私は熱血教師を地でいっていてね。
ミスのないことが当たり前だと思い込んでいたせいか、つい必要以上に叱責をしてしまった」
恒一「どうなったんですか?」
千曳「とても、嬉しそうだったよ」
恒一「えっ?」
鳴「その気持ち、少しわかります」
恒一「どういうこと?」
鳴「他の生徒と同じように接してもらえた事で、孤独ではなくなった」
千曳「見崎くんの言うとおりだ。彼女は今まで叱られたことがなかった、と風の噂で聞いたよ」
恒一「でも、それがこの現象とどういう繋がりが?」
千曳「・・・私は、その生徒に畏怖を覚え、敬遠するようになっていた」
鳴「足枷が外れた気持ちだったんでしょう」
千曳「当時の私にはその気持ちが理解できなかった。なぜ叱責したことで人間味を取り戻したのかと」
恒一「確かに、理解できなければ不気味かもしれません」
千曳「そして卒業式の日、生徒から貰った花束の中に、彼女からの手紙があった」
恒一「中にはなんと?」
千曳「お話したいことがあります。あとで校舎裏まで来て欲しい、と」
恒一「ラブレター、ですか」
千曳「・・・私は行かなかった。いや、行けなかった」
恒一「・・・怖かったんですね」
千曳「何を言われるのか、どのように接していいのかもわからなかった。色恋沙汰とは無縁だったのでね」
鳴「かわいそう」
千曳「いち教師でありながら一人の生徒の心すら悟れなかった。そんな無力な自分に失望し、教職を辞した」
恒一「今の3年3組のような感じですか?」
千曳「そうだ。私には何もいい話はなかったがね」
恒一「ということは、その生徒がこの現象のきっかけとなった人物、か」
鳴「・・・なるほど」
恒一「千曳先生、昔は男前だったんですね」
千曳「今は違うというのかい?」
恒一「あ、いえ、そういうわけじゃ・・・」
千曳「ははは、冗談だ。若い頃は夜見山のジョージ・シーガルだなんて言われて舞い上がっていたもんさ」
恒一「俳優ですか?」
鳴「ジェット・ローラー・コースターは見ました」
千曳「ほう、懐かしい・・・話も脱線したな」
鳴「・・・」
千曳「さて、私は私用があるんで先に失礼するよ。お代は出そう」
恒一「えっ、そんな、悪いですよ」
千曳「私の懺悔を聞いてくれたお礼だ。ではまた学校でな」
智香「ありがとうございました」
千曳「えーと、今は猪瀬くんか。素敵な店だね、また来るよ」
智香「お待ちしています」
鳴「・・・きっと、その生徒の果たせなかった願望がこの現象を呼んでいるのかも」
恒一「そうかもね」
恒一「何が?」
鳴「今年の現象を止める対象者が誰なのか」
恒一「えっ・・・えーと・・・」
鳴「わからない?千曳先生の話と、以前聞いた話を思い出せば答えは出るはず」
恒一「うーん・・・あっ・・・なるほどね」
鳴「ね?問題にもならないくらい簡単でしょ」
恒一「ちなみにその二人って、見崎の目にはどう映ってるの?」
鳴「残念、この場にいないからわからないわ。ふふ」
恒一「やっぱりね」
鳴「このあと、どうする?」
恒一「そうだ、病院に行ってみようか。未咲って子に会ってみたいな」
鳴「そうね、行きましょ。未咲も会いたがってたし」
fin
小椋「もっと!」
前島「あーーーーーーーーーーー」
小椋「お腹から!」
前島「あーーーーーーーーーーーーーーーー」
小椋「そう!いいよ!さすが剣道部!」
前島「・・・ほんとに入部するの?」
小椋「するの。私の目に狂いがなければ、あんたいい線いけるよ」
前島(とほほ、まだ夏休みだってのになんでこんな目に・・・)
小椋「彩が抜けた分もあるし、あんたには期待してるからね!へへっ」
前島(・・・でも、まあ、いいかな)
小椋「さ、練習するわよ。来月の発表会あんたも出るんだから」
前島「えっ?」
玲子「そうよね。着いて1時間足らずで告白だもの」
松永『ぶはっ!・・・お前、覚えてたんじゃねーか!』
玲子「ううん、思い出したの。死角になるように中庭の隅っこでさ、あの時のマツの顔ってば」
松永『やめろ!やめてくれ!古傷を抉るな!』
玲子「あはは・・・ねえマツ、近い内に、また会えないかな?あの頃の話で盛り上がりたい気分になってさ」
松永『・・・昔話をしたがるってのも、年をとった証拠だな』
玲子「ちょっと、それどういう意味よっ」
松永『お互い様ってことさ。えーと・・・来週の土曜なら空いてるかな』
玲子「どこかで落ち合う?」
松永『いや、お前ん家まで行くわ。住所変わってないだろ?』
玲子「変わってないけど・・・場所知ってるの?」
松永『そりゃ知ってるさ。好きだった女子の家の住所くらいはな』
玲子「なるほどね・・・うん、じゃあ待ってる」
風見「うーん、もう少し頑張れたかな」
桜木「十分だよ。私なんて10位だったし」
風見「今回は上位に3組が多いな。6位赤沢、7位柿沼、9位榊原、10位桜木さん」
桜木「本当だ、ベスト10に5人もいる」
風見「12位中島、15位辻井、16位佐藤、17位多々良、21位勅使・・・勅使河原?」
桜木「すごーい。勅使河原くん頑張ってたもんね」
風見「あいつ、前回から100位近く上がってる」
桜木「席替えのとき、一番前の席に立候補してたしね」
風見「・・・本気モードか。いつまで続くかな」
桜木「大丈夫だと思うよ。しばらくは」
水野「マジかよ!くぅ~、あいつは俺らの仲間だと思ってたのに・・・」
鳴「恒一くん、卒業したら東京に帰るの?」
恒一「そのつもりだったけど・・・父さんとも相談して、夜見山に残ることにしたんだ」
鳴「そうなんだ」
恒一「気に入ったんだ、ここ。父さんも『お前の行きたい所へ行け』って言ってくれたし」
鳴「どこ受験するの?」
恒一「見崎と同じ高校だよ」
鳴「・・・いいの?もっと上の高校だってあるのに」
恒一「部活が盛んな学校だって話だから、僕も部活に入ってみようかなって」
鳴「そうね。美術部もあるみたい」
恒一「それに、見崎もいる」
鳴「・・・何、突然」
恒一「『お前の行きたい所へ行け』っていうのはそういうことだ、っていう僕の解釈」
未咲「あっ、鳴。いらっしゃーい。私の方は順調だよ」
鳴「そう、よかった」
未咲「あれ、なんかいい事あった?なんか嬉しそう」
鳴「いえ、特に何も」
未咲「またまたー。鳴ってば結構表情に出てるよ」
鳴「さあ、どうかしらね」
未咲「それそれ。なんか隠してる時って、必ずそうやってはぐらかすの。自分じゃ気づかない?」
鳴「・・・ほんと?気をつけよう」
未咲「今日はね、いっくんもお見舞いに来る日なんだ。へへー」
鳴「ああ、入院中に仲良くなったっていう人だっけ。じゃあ私は早々にお暇するわ」
未咲「大丈夫だよ。鳴も知ってる人だから。あ、来たみたい」
高林「あっ」
鳴「えっ?」
和久井「わっ、雪だ。 久しぶりだね、綾野さん」
綾野「ブッブー、不正解ー」
和久井「え?あ、ああ・・・彩、ちゃん」
綾野「はい正解ー。次間違ったら罰ゲームだからね」
和久井「はは、厳しいや・・・そのコート、素敵だね」
綾野「でしょ?今日の為にわざわざ買ったんだから。似合う?」
和久井「うん、とても似合ってる。かわいいよ、彩ちゃん」
綾野「お、おお・・・即答ときたか・・・!」
和久井「合宿の時のお返し」
綾野「くそー、ちょっと会わないうちに成長しおったな。じゃ、行こっか。」
和久井「うん。こっちって雪すごいんだね。でも不思議とあまり寒くない」
綾野「雪が太陽光を反射するから、体感的に暖かく感じるんだって」
和久井「へぇー。夜見山じゃ見られない景色だよ」
綾野「でもやっぱ手は冷えるなー。手繋いでくれたら暖まるんだけどなー」
柿沼「あ、おはようございます」
辻井「あ、ああーおはよう柿沼さん、早いんだね?」
柿沼「はい。今日は日直ですから」
辻井「はは、そうか、偉いんだね。・・・」
柿沼「・・・」
辻井「・・・僕、邪魔だよね?いるだけで邪魔しちゃってる感じだよね?ちょっと散歩でもして」
柿沼「いえ、あの・・・いてください」
辻井「え、ええと・・・いいのかい?」
柿沼「辻井くんも・・・日直です」
辻井「そうだよね!だから僕も早く来たんだったね!忘れてたよ!ははは、はは・・・」
柿沼(変わった人だなぁ・・・)
望月「あ、久保寺先生!お久しぶりです!」
米村「おーい!久保寺先生来てるぞー!」
江藤「色黒になりましたねー」
藤巻「奥さんは来てないんですか?」
久保寺「私だけだよ。皆にも会わせてあげたかったんだが、人手が厳しくてね」
桜木「農家って、大変ですか?」
久保寺「とても大変だよ。全くの素人だからね。でも、都会じゃ味わえない充実感に満ちているよ」
風見「ご多忙の中、よくいらしてくれました」
久保寺「ははは、そりゃ来るさ。大事な日だからね」
勅使河原「おーーーっ!久保寺先生じゃーん!」
久保寺「相変わらず君は人一倍元気だね。よし、これで全員そろったか」
―――3年3組のみんな、卒業おめでとう―――
皆が幸せなSSが一番良い
中尾「なんで?」
杉浦「だって、高校生になったじゃん?イメチェンでもしてみようかなって。髪も伸ばしたりしてさ」
中尾「ならん」
杉浦「「は?」
中尾「杉浦は眼鏡あっての杉浦だ」
杉浦「・・・それって、眼鏡を外したら私じゃないってこと?ちょっとショックだな・・・」
中尾「ち、違う!俺は、その、今のお前でも十分素敵だってことを言いたくてだな・・・」
杉浦「・・・ぷっ、はいクサい台詞いただきましたー」
中尾「あっ!ハメやがった!」
杉浦「ほんとひっかかりやすいよねあんた。そういうところ好きだけどさ」
中尾「ぐ・・・まあ、榊原、見崎、和久井、前島、佐藤、小椋・・・高校でも変わり映えしないメンツだよなぁ」
杉浦「まあね。なんたって近いし。・・・あいつらも、うまくやってるかな」
よっ。サークル終わるの待ってたんだ。・・・ちょっと、来てもらってもいいか?
ここならいいか。誰もいないな。
顔、にやけ過ぎ。
だって、やっとこの日が来たかと思うとさ、その、嬉しくてよ・・・
・・・はぁ。あんたの執念には負けたわ。
本気を見せるって言っただろ?
いいから早くして。・・・私だって恥ずかしいんだから。
お、おう・・・あー、あーー。オホン。
まずは、20歳の誕生日、おめでとう。
ありがとう。
・・・泉美さん。以前からずっと好きでした。俺と、付き合ってください。
- fin -
好きなキャラを推していたら和久井くん無双になったでござる
久々にSS書いたった。
真夏の車内に置いといたスニッカーズくらい甘くてベタベタしてるけど、たまにはいいよね。
なんちゅー譬えだwww
お疲れ様
イイエンディンクや
思い切りニヤニヤ出来たよ
Entry ⇒ 2012.04.25 | Category ⇒ AnotherSS | Comments (0) | Trackbacks (0)
幼馴染「…………」クイクイ
http://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/internet/14562/1333281719/
このSSはSS深夜VIPのSSです
幼馴染「おはよう、男」
男「それはいいが、せめて声をかけてくれ。無言で服の裾を引っ張られると、ちょっと驚く」
幼馴染「……ごめんなさい」シュン
男「ああいやいや、怒ってるわけじゃなくて。次から気をつけれくれればいいし、無理なら無理で別に構わないし」
幼馴染「分かった。頑張る」フンス
男「いや、別に頑張ることではない」
幼馴染「…………」シュン
男「そんなんで悲しそうにするな」ムニムニ
幼馴染「ほっへひっはははひへ(ほっぺ引っ張らないで)」
幼馴染「あくび。……寝不足?」
男「んー。なんとなくネットをぷらぷらとね」
幼馴染「テストも近いし、あんまり夜更かししたらダメだよ?」
男「そだな。お前と違ってそんな頭よくないからな、俺は。ちっとは勉強しないとなあ」
幼馴染「別に、私は頭よくないよ? 普通に授業を受けて、毎日ちょこっと復習してるだけ」
男「それができる奴を頭がいいっていうんだ」ナデナデ
幼馴染「……じゃ、私、頭いいんだ」
男「そゆこと」
幼馴染「…………」キラキラ
男「心なしか目が輝いてますね」
幼馴染「……頭がいいので」
男「なるほど」
男「あ、それはいいな。どうかこの頭の悪い子羊をお助けください」
幼馴染「ん。じゃあ、学校が終わったら私の部屋に集合。ね?」
男「了解。よろしくお願いします」
幼馴染「あ、ついでにご飯食べていく? おばさん、今日も遅いんでしょ?」
男「ん、まあ、そうなんだけど……いつもいつも世話になるのも悪いし、いいよ」
幼馴染「いいよ、気にしなくて。お父さんも男が来るの待ってるし」
男「嘘つけ。いっつもすげぇ威圧してくるじゃねえか、お前の親父さん」
幼馴染「……そかな? でも、言われてみれば、男がいる時は普段よりむーってしてるかも」
幼馴染「そんなことないよ? 男が来ない時、お父さんよく聞いてくるもん、男のこと」
男「ふーん。ま、いっか。じゃあ、今日は晩飯世話になるかな」
幼馴染「ん。……じゃ、頑張る」フンス
男「そんな気合を入れなくてもいいのに」
幼馴染「食べる人が増えると、料理人の血が騒ぐ」
男「誰が料理人だ、誰が」ムニムニ
幼馴染「ほっへひっはははひへ(ほっぺ引っ張らないで)」
男「着いた」
幼馴染「着いたね」
男「さて、今日も一日頑張るか」
幼馴染「……授業中に寝たらダメだよ?」
男「分かった、寝そうになってたら起こしてくれ」
幼馴染「席が離れてるから無理だよ」
男「残念だな」
幼馴染「うん」
男「ふああ……んー。やっぱりというか当然というか、今日も授業中に寝てしまった。どうして歴史の授業というのはああも眠くなるのだろうか」
幼馴染「おはよ。お昼だよ?」
男「ああ、そだな」
幼馴染「はい、お弁当」
男「いつもサンキュな」
幼馴染「んんん。料理好きだし」
男「それでも、サンキュな」ナデナデ
幼馴染「……ん」
幼馴染「いつもの中庭でいいと思う」
男「そだな。今日は暖かいし、丁度いいな」
幼馴染「花粉がわんさか、だけど」
男「お互い花粉症じゃなくて助かったな」
幼馴染「くしゃみしてる人、いっぱいいるもんね」
男「そだな」
男「おお。桜がすごいな」
幼馴染「一面桜の花びらだね」
男「うちの学校の唯一といっていいアピールポイントだな」
幼馴染「そんなことないよ。他にもいいところあるよ?」
男「例えば?」
幼馴染「……授業中に寝てても叱られない?」
男「以後気をつけます」
男「そだな。いただきます」
幼馴染「おあがりなさい」
男「ん、今日もうまそうだ」
幼馴染「…………」ドキドキ
男「んなじーっと見なくてもいいだろうに。どうせ今日もうまいに決まってるっての。味見したんだろ?」
幼馴染「したけど、絶対なんてことはないから。それに、もしまずくても男はおいしいって言うから。その嘘を暴くためにも、わずかな違和感も感じ取らないとダメだから」
男「どんだけ善人扱いされてんだ、俺は。まずけりゃまずいって言うぞ?」
幼馴染「はいはい」
男「コイツは……」
幼馴染「…………」ジーッ
男「あの、あまりじーっと見ないでいただけますか。緊張で箸が震える」
幼馴染「気にしないで」
男「無茶を言う。だが、幼馴染の願いだ、頑張って聞き入れよう」
幼馴染「…………」ジィーッ
男「……はぁ。あっ、あれはなんだ」ユビサシ
幼馴染「?」ユビノサキ キニナル
男「むしゃむしゃ」
幼馴染「あっ」
男「だいじょぶ。おいしい」
幼馴染「……騙された」シュン
男「やーいばーかばーか」ナデナデ
幼馴染「言動不一致」
男「あんまりじーっと見られると恥ずかしいんだよ」
幼馴染「そういうもの?」
男「そういうもの」
幼馴染「ふーん。それで、おいしい?」
男「おいしい」
幼馴染「……よかった」
男「そんな不安がることないのに。頭脳戦艦ガルなのに」
幼馴染「……がる?」
男「気にするな」
幼馴染「長年一緒にいるけど、いまだに男はよく分からないね」
男「ミステリアスで素敵だろう?」
幼馴染「……うん、今日もお弁当おいしい」
男「幼馴染のスルースキルが冴え渡る」
男「今日も食い終わるの遅いな。俺より弁当箱小さいのに」
幼馴染「しょうがないよ。女の子だもん」
男「涙が出ちゃう?」
幼馴染「これは分かった。アタックナンバーワンだ」エッヘン
男「当たり」ナデナデ
幼馴染「……えへへ」
幼馴染「授業中も寝てたのに」
男「社会の時間だけな。他の時間は起きてたぞ。偉かろう」
幼馴染「それが普通だよ。……あのね?」
男「ん?」
男「いいか? じゃ、頼む」
幼馴染「ん。じゃあ、ここに頭のっけて?」
男「ほい、っと」
幼馴染「ん。……どう? 硬くない?」
男「大丈夫、柔らかい」スリスリ
幼馴染「えっちだ」
男「そうなんだ」
幼馴染「えっちだえっちだ。……じゃ、チャイム鳴ったら起こすから、寝てていいよ」ナデナデ
男「分かった。んじゃ、ちょっと寝るわ。お休み、幼馴染」
幼馴染「お休み、男」ナデナデ
幼馴染「あ、起きた。……おはよ?」スリスリ
男「あー。おはよ、幼馴染」
幼馴染「まだ寝ぼけてる。まだチャイム鳴ってないけど、もうちょっとしたら鳴るから、早めに目を覚ました方がいいよ?」スリスリ
男「そだな、あとで顔洗ってくるよ。ところで」
幼馴染「ん?」スリスリ
男「なんでさっきから俺の顔を両手で包み込んですりすりしてんだ」
幼馴染「……? ……ああ。目、覚めるかな、って」スリスリ
男「なるほど」
幼馴染「覚めた?」スリスリ
男「まだ」
幼馴染「寝ぼすけさんだね」スリスリ
男「そうなんだ」
男「急いで教室に戻ろう、と思ったのに。なんでまだ中庭にいる」
幼馴染「戻る、とは言ってないから」チョコン
男「なるほど」
幼馴染「あ。弁当箱洗ってくれて、ありがとう」ペコリ
男「作ってもらってるし、これくらいはな。こんなので感謝されても困る」
幼馴染「ご飯作るくらいで、感謝されても困る」
男「卑怯な」
幼馴染「だから、毎日ご飯食べに来てもいいよ?」
男「いや、流石にそれはね。気を使う」
幼馴染「気にしないでいいのに」
幼馴染「ん」
男「ところで、次に時間なんだっけ?」
幼馴染「英語」
男「うわぁ」
幼馴染「苦手だよね、英語」
男「どうもね。なんかね。理解が及ばないね」
幼馴染「じゃ、今日の勉強会は英語にする?」
男「今から頭が痛くなってきた」
幼馴染「がんばれ、がんばれ」ナデナデ
男「頑張ります」
男「無理でした」プシュー
幼馴染「頭から湯気出てる」
男「疲れた。よもや俺に当たろうとは。酷いもんだったよ」
幼馴染「そだね。でも、男は苦手なりに頑張った。私には分かるよ?」ナデナデ
男「ありがたい話だ。慰めてもらったことだし、今日はテスト勉強頑張るか!」
幼馴染「ん。じゃあ、私も張り切って教える」フンス
男「いや、そんな張り切らなくていいです」
幼馴染「…………」ションボリ
男「や、もうさっきの授業で俺の体力は0なんですよ」
幼馴染「ちぇ」
幼馴染「男、帰ろ?」
男「ああ、そだな」
──通学路──
幼馴染「あ、そだ。スーパーに寄ってっていい?」
男「ああ。晩飯の材料か?」
幼馴染「うん。それと、他にも色々」
男「おっけ。荷物持ちは任せろ」
幼馴染「ん。期待してる。……あ」
男「ん?」
幼馴染「ねこ」
男「へ? ……あ、本当だ」
男「おい」
幼馴染「ねこーねこー」コイコイ
猫「ふしゃー」
男「すげー威嚇してるぞ」
幼馴染「かわいい」
男「……そうか?」
猫「ふしゃー」
猫「ふしゃー」
男「全然だな……ふむ。猫、ちょっと来い」
猫「ふしゃ……にゃ? にゃー」トコトコ
男「来た」ナデナデ
幼馴染「なんで。ずるい」
猫「にゃー」
幼馴染「私もなでたい」
男「よしよし」ナデナデ
幼馴染「なでられたい、じゃなくて」
男「なんだ」
猫「にゃー」
猫「にゃっ!?」
幼馴染「ん」ワキワキ
猫「にゃーっ、にゃーっ!」
幼馴染「……はぁ。はぁ。はぁ」ドキドキ
猫「にゃっ、にゃっ!? にゃー! にゃー!」ジタバタ
男「…………」パッ
幼馴染「あ」
猫「にゃーっ!」
幼馴染「……逃げた」
男「逃げたな」
男「ちょ、ま、待て! 泣くな! 違う、あんまりにも嫌がってたから、つい!」
幼馴染「……なでたかった」プルプル
男「次! 次があったら絶対になでさせてやるから! だから泣かないでお願い!」
幼馴染「……本当?」
男「本当、本当!」ナデナデ
幼馴染「……じゃ、約束」ユビキリゲンマン
男「あ、ああ。約束だ」ハリセンボンノマス
幼馴染「ん。……でも、なでたかった」
男「代わりに俺でもなでとけ」
幼馴染「ん」ナデナデ
男「どうだ?」
幼馴染「……それほど悪くない」ナデナデ
男「その感想は予想外だ」
男「おお、切り替え早いな」
幼馴染「約束したから。次はなでる。ねこなでる」フンス
男「そんな猫が好きなら、家で飼えばいいのに」
幼馴染「……お父さん、猫アレルギー」
男「あー。ままならないなあ」
幼馴染「ままならない」ションボリ
男「ま、元気出せ。次はちゃんとするから」ナデナデ
幼馴染「ん。ところで」
男「ん?」ナデナデ
居たところでこうはならない
だから俺たちはスレを開くのさ
的確すぎて泣いた
男「……シテナイヨ?」
幼馴染「もしねこの毛が私の頭についてたら、今日の勉強時間を倍にする」
男「つけましたごめんなさい勘弁してください」
幼馴染「……はぁ。男はしょうがないね?」
男「そうなんだ。しょうがないから許してくれ」
幼馴染「ん。しょうがないから許してあげる」
男「しょうがなくてよかった」
幼馴染「……しょうが、という言葉がゲシュタルト崩壊を」
男「しょうがないね」
幼馴染「ん、しょうがない。……そうだ、今日はしょうが焼きにしよう」
男「おお。あれおいしいよな」
幼馴染「ん。簡単だし、おいしいし。言うことなし」
男「今日の献立も決まったことだし、とっととスーパーに向かいますか」
幼馴染「ん」
幼馴染「かご」
男「俺が持つよ」
幼馴染「んんん」プルプル
男「いや、んんんじゃなくて」
幼馴染「これくらいへーき」
男「いや、俺が持つ。性別:雄としてここは譲れない」
幼馴染「めんどくさい……じゃ、こういうのは?」
男「なるほど、二人で持つ、と」
幼馴染「重さも分散されるし、ちょうどいい」
男「しかし……なんというか」
幼馴染「?」
男(新婚さんみたい、とは言えないな。恥ずかしくて)
男「や、なんでもない」
男「最近高いんじゃねえのか? よく知らないけど」
幼馴染「高い。キャベツが一玉248円。ありえない」プルプル
男「そんな震えるほど高いのか?」
幼馴染「例年より50円くらい高い。主婦には辛い」
男「学生だろ、お前は」フニフニ
幼馴染「台所を預かってるから。……ところで」
男「ん?」フニフニ
幼馴染「なんでまだ私のほっぺをふにふにしてるの?」
男「ん、ああ。なんか気持ちよくて」フニフニ
幼馴染「男はえっちだ」
男「そうなんだ」
幼馴染「えっちだえっちだ」
幼馴染「買う。……でも、少なめに」ヒョイヒョイ
男「高いもんな。あ、ピーマンは買わなくていいぞ? ほ、ほら、高いし?」
幼馴染「……子供?」
男「や、食べられるんだよ? ただ、あまりおいしくないなー……って、その、ね?」
幼馴染「…………」ヒョイヒョイ
男「あああああ」
幼馴染「男、ふぁいと」
男「ええい。くそ、頑張るさ」
幼馴染「ん、頑張れ。……んと、キャベツと、レタスと、それから……」
男「もやしだ。もやしパーティーをすべきだ。うっうー」
幼馴染「高い。もっと安い時があるから、今日はいい」
男「え、30円って高いのか?」
幼馴染「安い時は9円」
幼馴染「」ビクッ
男「にんじん あります よ?」
幼馴染「にんじん いらない よ」
男「はいはい。幼馴染、ふぁいと」ヒョイヒョイ
幼馴染「…………」ムスー
男「無理なら俺が食うから。な?」
幼馴染「……んじゃ最初から買わなきゃいいのに」ムスー
男「はいはい。怒るない」フニフニ
幼馴染「怒ってないもん」ムスー
男「分かりやすいな、おまいは」フニフニ
幼馴染「分かりやすくないもん。怒ってないもん」ムスー
幼馴染「…………」ソーッ
男「そこ。黙ってニンジンを戻すな」
幼馴染「戻してない」モドシモドシ
男「いや、せめて見つかったのなら手を止めろ」ソレヲモドシモドシ
幼馴染「…………」ムスー
男「はぁ……本当におまいはニンジン苦手な」
幼馴染「男だって、ピーマン苦手じゃん。子供みたい」
男「子供みたいな奴に子供と言われても痛くもかゆくもない」
男「ごめんなさい俺が悪かったですからどうか普通のご飯でお願いします」
幼馴染「男が私に勝てるわけがないんだよ」フンス
男「胃袋を人質に取られていると辛いゼ」
幼馴染「じゃあ、勝者の権利としてニンジンを破棄」モドシモドシ
男「しません」ソレヲモドシモドシ
幼馴染「……おいしくないのに」ムスー
幼馴染「…………」ペタペタ
男「いや、胸の肉の話はしてない」
幼馴染「……一向に大きくならない。呪い?」
男「知らん」
幼馴染「まあ、いっか」
男「いいのか」
幼馴染「ん。使うあてもないし」
男「使おうか?」
幼馴染「小さいよ?」
男「それくらいの大きさが好きなんだ」
幼馴染「そなんだ」
男「ああ」
幼馴染「……そなんだ」
幼馴染「豚肉、豚肉……あった。あ、半額。らっきー」ヒョイヒョイ
男「えらく大量に買うのな」
幼馴染「男がたくさん食べるだろうし。余れば冷凍すればいいし」
男「……ん、まあ、そうだな。……あのさ、食費」
幼馴染「いらない」キッパリ
男「せめて最後まで言わせてくれよ……」
幼馴染「ダメ。いらない。次言ったら怒る」
男「もう怒ってるじゃねえか」
幼馴染「だって、男は家族みたいなものなのに、食費入れるとか他人行儀なこと言うんだもん」ムスー
男「いや、でも厳密には違うのだから、金銭関係はしっかりしとかないといけないのでは」
幼馴染「…………」ムスー
男「……はい。そういうの気にせず飯を食らうぜ」
幼馴染「ん」
幼馴染「普通だよ」
男「さて。野菜買った、肉買った。とりあえず、今日買うのはこれくらいか?」
幼馴染「そだね。……あ」
男「ん?」
幼馴染「んんん」プルプル
男「何がだ。……ああ、なるほど」
幼馴染「んんん」プルプル
男「お菓子か。やっぱりお前も女の子なのな。どれ買うんだ?」ナデナデ
幼馴染「……いい?」
男「いいも何も、お前の財布だからな」
幼馴染「ん、んー……でもなあ。どうしてもってわけじゃないし、いらないよ」
幼馴染「買わないから、いい」
男「どれだ」
幼馴染「……ましまろ」
男「ん」ヒョイ
幼馴染「あ」
男「俺も偶然食いたくなったの」
幼馴染「……うそつき」
男「そうなんだ」
幼馴染「……それで、男が本当にほしいお菓子はどれ?」
男「や、俺は別に」
幼馴染「ダメ。私が食べたいの買ったんだから、男のも買わないと」
男「……えーと、じゃあ、……えっと、幼馴染が好きな菓子って」
幼馴染「今は男が食べたいお菓子を選ぶ番」
男「はぁ……。んじゃ、このせんべいを」
男「え、選んでない」
幼馴染「…………」ジーッ
男「ああもう、選んだけどそこそこ好きだからいいの!」
幼馴染「やれやれ」
男「……うさぎ?」
幼馴染「いっぱい買えた。……じゃ、男はこっち持って」
男「待て。一回両方寄こせ」
幼馴染「断る」
男「断るな。ほれ、貸せ」
幼馴染「…………」ムー
男「んーと……やっぱ軽い方持たせようとしたか。野郎には重いの持たせておけばいいんだよ」ヒョイ
幼馴染「……私の買い物に付きあわせたんだし」
男「知るか。ほれ、軽い方」
幼馴染「…………」ムー
男「ほら、怒ってないで帰るぞ」
幼馴染「……勉強、たくさんいじめてやる」
男「勘弁して」
幼馴染「冷蔵庫に入れたいから、一回うちに来て」
男「だよね」
──幼馴染宅──
親父「ん、帰ったか幼馴染……なんだ、隣のドラ息子も一緒か」
男「いや、そうでもない」
親父「いやいやいや、いるだろ! いま本人が返事したろ!」
幼馴染「んじゃ男、こっち来て?」
男「ん」
親父「ふん……幼馴染、気をつけろ。二人っきりになった途端、そこの馬鹿に襲われるかもしれないぞ」
男「父親の許可を得た」
親父「違うッ! ええい腹立つ、貴様には一生許可などやらんからなッ!」
幼馴染「お父さん、うるさいです」
親父「」
親父「お、落ち込んでなどおらんわッ! そもそも貴様に親父呼ばわりされる覚えはないッ!」
男「パパと呼べと? うわこのおっさん超気持ち悪い」
親父「んなこと頼んどらんッ! ああこの小僧本気で腹立つ! 死ねばいいのに!」
幼馴染「お父さん、冗談でも死ねとか言ったらダメです」
親父「え、あ、はい、ごめんなさい……」シュン
男「……ぷっ、くくっ」
親父「な、何を吹き出しているか! 言いたいことがあるならはっきり言え!」
男「娘に叱られてシュンとなってるいい年したおっさんが愉快で仕方がない。動画で保存して繰り返し見て笑いたい」
親父「はっきり言えとは言ったが多少はオブラートに包めッ! ええい、貴様など出ていけッ!」
幼馴染「お父さん」
親父「え、でもだって、こいつが……」
幼馴染「お父さん」ズイッ
親父「……わ、わし、ちょっと仕事があるの思い出したから仕事部屋にいるな! 怖くて逃げたとかじゃないからな!」ピュー
男「すげぇ、いい大人が娘の迫力に負けて逃げた」
男「いつもあんな感じだな、親父さん」
幼馴染「男がいない時は、普通なんだけどね。じゃ、野菜とか冷蔵庫に入れちゃおうか」
男「そだな」
男「完了ー」
幼馴染「ん。それじゃ、晩ご飯の下ごしらえしてるから、先に私の部屋に行ってて?」
男「いや、手伝うよ」
幼馴染「簡単だから、いいよ。先、行ってて?」
男「んー……そか。分かった」
男「というわけで、やって来たわけだが……相変わらず色気のない部屋だな。もっと部屋全体ショッキングピンクで染めりゃいいのに」
男「……いや、落ち着かなすぎだな。部屋を漁るのもなんだし、漫画でも読んでるか」
男「んーと……あった、ドロヘドロ。何巻まで読んだっけ?」
幼馴染「お待たせ。……あれ?」
男「くー……ぐー……」
幼馴染「寝てる」
男「zzz……」
幼馴染「勉強しないと、って言ったのに」
男「ぐー……ぐー……」
幼馴染「……ぐっすり寝てる」
男「zzz」
幼馴染「……ふああ。んー。なんか私まで眠くなってきちゃった」
幼馴染「でも、ベッド占領されちゃってるし」
幼馴染「……んー。ま、いっか。男だし」
幼馴染「くー……くー……」
男(なんで隣で幼馴染が寝てる)
幼馴染「ん……んや、んー……」
男(いや、それだけならまだいい。よくないが、まあいい。なんで俺に抱きついてんだ)
幼馴染「ん? んぅ? ……んー」
男(そのせいで一切身動きが取れない。あとなんかいい匂いがする。すげぇいい匂いがする)
幼馴染「ん……はふ。……ん♪」スリスリ
男「なんかすりすりしてきた!」
幼馴染「んぅ? ……んー。……ふああ。おはよ、男」
男「あ、ああ、おはよう」
幼馴染「んー。寝ちゃった」
男「いや、寝ちゃったじゃなくて。なんで俺に抱きついて寝てんだ」
幼馴染「ん? んー……男だし、いいかな、って」
男「いいかな、って……よくないだろ」
男「な、なんでって、そりゃその、男女七歳にして席を同じゅうせずというかなんというか、その」
幼馴染「男とだったら、別にいいと思うよ?」
男「え、ええと……そうなのか?」
幼馴染「男は、私と一緒に寝るの、嫌?」
男「まさか!」
幼馴染「ん。じゃ、別にいいじゃない」
男「……いいのか? いかん、なんかよく分からなくなってきた」
幼馴染「ふああ……。まだちょっと眠いな。もちょっと寝ていい?」
男「あ、いや、その……そうだ! ほら、勉強しないと」
幼馴染「んー……もちょっと寝てから。だめ?」コクビカシゲ
男「い……いいぃよ?」
幼馴染「ん」ダキツキ
男「な、なんで抱きつくのかな?」
男「そ、そっか。それなら仕方ないのか?」
幼馴染「ん。……なんでカクカクしてるの?」
男「そ、その、初期型のPSだから処理が遅いんだ」
幼馴染「人間だと思ってた」
男「俺もだ」
幼馴染「んふふ。……男にくっついてると、落ち着くね?」
男「俺は真逆だ」
幼馴染「一緒じゃない……」ムスー
男「そんなんで怒るな」ムニムニ
幼馴染「むー」
幼馴染「ん。……じゃ、私が寝るまで、なでていてね?」
男「ずっとですか」ナデナデ
幼馴染「なんか落ち着くの。なんでだろ」
男「俺の手から落ち着けビームが出てるからだ」
幼馴染「そっか。じゃ、そのビーム出しながらなでてね?」
男「しまった、選択肢を誤ったせいで幼馴染が寝るまでなでる羽目に」
幼馴染「がんばれ、がんばれ」スリスリ
男(なんかまた頬ずりされた。幼馴染の頬ずりマジヤバイ。超柔らかくって温かい。何これ死ぬる)
幼馴染「……ん。ん。……ね、男」
男「な、なんだ?」
幼馴染「……呼んだだけー」ニコッ
男(死ぬる。このままでは確実に死ぬる)
幼馴染「ん。ね、男」
男「ん?」
幼馴染「お休み」
男「……ああ、お休み」
男(幼馴染のお休みマジ可愛い。いかん、幸せすぎて顔がにやける)
男(時計を見ると時刻は8時を少し過ぎてる。腹も空いた。そろそろ幼馴染を起こさないと)
男(と思いつつなんとはなしに視線をドアの方に向けると、なんか鬼みたいな顔がドアの隙間からこっちを覗いてる)
男(一瞬叫びそうになったが、よく見たら幼馴染の親父だった。よかった)
男(いやよくない)
男(今の状況を確認してみよう。幼馴染と抱き合って寝てるところを、親父さんに見つかった。いかん、殺される)
幼馴染「……ん、んぅ」チュッ
親父「!!?」
男(そしてこの状況でさらに幼馴染が、無意識で、だろうが、俺の頬にキスをするというサプライズ油を火に投下。嬉しいけれど、こいつはマズイ)
親父「…………」ゴゴゴゴゴゴ
男(なんかドアの隙間の鬼が泣いてる気がする。そしてものすごい殺気も感じる。これは非常にヤクイ)
幼馴染「……ん。……ん、ふああああ。……あ、男だ」ギュー
親父「!!?」
男「あ、お、おはよう、幼馴染」
男「そ、そか。そ、それより、その、抱きつくのはどうかと思いますよ?」
男(見てるからドアの隙間から鬼が見てるから気づいて幼馴染!)
幼馴染「んー。もちょっとしたら完全に目覚ますから、もちょっと抱っこ」ギュギュー
男「そ、そうか。もう少ししたら離れるなら大丈夫だな」
男(ということだ親父さん、もう少しだけ我慢してください!)
幼馴染「……あと2時間くらい」
親父「長ぇよッ!」
男「あ」
幼馴染「……お父さん?」
親父「あ、いや……こほん。男くん、嫁入り前の幼馴染に、なんてことをしてくれたんだ」
男「あ、いや、これは、その」
親父「言い訳か? 情けないな」
男「覗いてた奴の台詞とは思えないけど……確かに情けないですね」
親父「お前は一言多いッ! ……こほん。とにかく、貴様はこの家に立ち入り禁止だ。早く出ていけ!」
親父「お前は黙ってろ!」
幼馴染「お父さん」ズイッ
親父「ひっ! で、でも、コイツがお前に酷いことしたし! そんなの許せないし!」
幼馴染「……男、私に何かしたの?」
男「へ? いや、何かと言われても、頭なでて抱っこしたくらい……か?」
親父「ほら! ほーら! 超エッチなことしてんじゃん! ばーかばーか! 死ね!」
男「親父さんを見てると、人間どんなにアレでも運が良ければ人の親になれると自信をもらえますね」
親父「人をアレとか言うなッ! 運だけじゃないし! ……と、とにかく、早く出ていけ!」
幼馴染「お父さん、それらの行為は私が男に頼みました。男は酷いことなんて何をしてません。それでも男に出て行けと言うなら、私も出ていきます」
男・親父「「えええええっ!?」」
男「いやちょっと待て幼馴染悪いのは俺なんだし何もお前まで出ていく必要ないだろ」
親父「そうだぞ幼馴染? 悪いのはそこの馬鹿だけなんだから、お前は今まで通りこの家にいたらいいんだよ?」
男「そうそう! それに、出ていくってどこへ行くつもりなんだよ」
幼馴染「当然、男の家」
親父「絶対ダメ! ダメのダメダメ! こんなのの家にいたら、一発でわしの大事な幼馴染ちゃんが妊娠しちゃう!」
男「うわ、このおっさん超きめぇ」
親父「てめぇ! ちゃんと援護射撃しろや!」
男「ああすいません、あまりに気持ち悪くて。じゃあ我慢して援護します」
親父「だから、お前はイチイチ一言多いんだよッ!」
男「こほん。……えっとな、幼馴染? ほら、年頃の男女が、その、一緒に住むとなると……ほら、色々問題があるから。な?」
親父「ほら! ほーら! こいつこんなエロい! こんなエロい奴と一緒に住むなんて馬鹿な考え捨てて、今まで通りパパと一緒にいよ? な?」
男「あ、親父さんちょっと耳塞いで超きめぇ上に馬鹿丸出し。そして一人称がパパ」
親父「早いッ! 塞ぐ時間を寄越せ! いいじゃん、パパ!」
男「まあいいんですけど、人には分相応というものがありますから」
親父「お前、『このおっさんまるで似合ってないのにパパとか言ってる(笑)』って暗に言ってるだろ!?」
男「直接言わないだけ偉いと思いませんか?」
親父「否定しろッ!」
男「う」
親父「あ?」
幼馴染「…………」
親父「ああいや違う今のナシ今のナシ! ノーカン! ノーカンだから!」
幼馴染「…………///」
親父「イヤァァァァァァァ!!! わしの幼馴染がこの馬鹿との新婚生活を想像して赤くなってるゥゥゥゥゥ!!!」
男「本来なら幼馴染の愛らしさに目が行く場面だが、親父さんの馬鹿さ加減がそれを邪魔している。親父さん、ちょっとだけ部屋から出ていってくれません?」
親父「酷ッ! 幼馴染、ちょっとコイツになんとか言ってやってくれ!」
幼馴染「……子供は何人くらい欲しい?///」
親父「イヤァァァァァァァァァ!!!!! わしの言葉で意識しちゃうどころかさらに先いって子作りの算段をするとこまでいってるゥゥゥゥゥ!!!!?」
幼馴染「……一緒に住んだら、たくさんできちゃいそうだね///」
親父「そっ、そんなのパパ絶対に許さんからね! そもそも一緒に暮らすことも許してないし! 結婚とか絶対の絶対に許さんし!」
幼馴染「……男の出禁を解除するなら、出て行きませんよ?」
親父「ぐ、む……し、しかし」
親父「分かった、分かったからこれ以上精神攻撃はやめてくれ! わしのHPはもう0よ!」
男「いい年なのに嬉々としてアニメの引用とかするんですね」
親父「もうこれ以上わしを責めるなあああああ!!! あと、お腹空いたからご飯作ってくれ娘! 本当はそれ言いに来たの!」
男「逃げた」
幼馴染「逃げたね」
男「やれやれ。いじめすぎだぞ、幼馴染」
幼馴染「……やっぱ男は見抜いてた?」
幼馴染「ん。ああすれば、お父さんは折れると思ったから」
男「折れるっつーか、へし折った感じだったな。しかし、世話をかけたな」ナデナデ
幼馴染「男とご飯食べられなくなるの、嫌だから」
男「そか。奇特な奴だな、お前は」ナデナデ
幼馴染「……それに」
男「?」
幼馴染「んんん。なんでもない」
男「そか。ま、いいや。じゃ、飯作るか」
幼馴染「ん。手伝ってくれる、男?」
男「任せろ」
一昔前の良きラブコメキャラを見てるようだ
幼馴染「今日のご飯はしょうが焼き」
親父「おお、美味そうだ。ただ、この食卓に異分子がいなけりゃもっと美味いに違いないのになあ」ジロリ
男「そう卑下しないでください、親父さん。誰も親父さんを邪魔者扱いなんてしてませんよ」
親父「なに都合よく解釈してんだよ! お前だよお前! 異分子さんはO・MA・E!」
幼馴染「いっぱい食べてね、男? 遠慮しておかわりしないとか、怒るからね?」
男「へーへー」
親父「あるェ? 何いい雰囲気作ってんの? 今はわしのターンじゃないの?」
幼馴染「食事の時に騒がないでください、お父さん」
親父「ご、ごめんなさい」
男「無様」
親父「てめェ! そういうことを言う時は普通聞こえないように言わね!? なんで真っ直ぐわしの目を見てはっきり言えるの!? 逆になんか嬉しいよ!」
男「いや、そんなM宣言されても困ります」
親父「してねーし! 野郎にそんな宣言しねーし! 幼馴染がわしを叩くとかならアリだけど!」
男「幼馴染、金槌ってこの家にあったっけ?」
幼馴染「お父さん、食事の時に騒がないでください」
親父「ご、ごめんなさい」
男「虫以下の学習能力」
親父「だから、なんでそういうことを人の目を見て言えんだよ!? ていうかさっきのは明らかにお前のせいだろーが!」
幼馴染「お父さん」
親父「す、すいません……」
男「虫未満の学習能力」
親父「とうとう虫に負けちゃったよ! どうしてくれんだよ! ていうかなんだよこの一連の流れ! 明らかにわしいじめだろ! 年長者は大事にしろよ!」
男「さくせん:おっさんだいじに」
幼馴染「ん。分かった」
親父「分からないで! いや大事にしてもらえるのは嬉しいけどトルネコと同じカテゴリに入れられるのはなんか辛い!」
男「大丈夫。一般兵は普通の鎧なのに、どういうことか一人だけピンク色の鎧に身を包んでるおっさんも同じカテゴリです」
親父「ピンクおっさん……? ライアンのことか……ライアンのことかーーーっ!!!」
男「ああ。幼馴染は料理上手だな」
幼馴染「普通だよ。……でも、嬉しいな?」
親父「あるェ? わしがスーパーおっさんになるところなのに見なくていいの? ていうか何いい雰囲気作ってるの? ここわしの家だよ? わしがせっせとお金稼いで建てた家だよ?」
幼馴染「お父さんも、しょうが焼き美味しいですか?」
親父「あ、おいしいおいしいー☆ミ」
男「…………」
親父「悲しそうな目でこっち見てないで、なんか言えよッ!」
男「道化」
親父「もうちょっと優しく! おっさんをもっとだいじに!」
親父「げふー。腹一杯だ。あ、男、そこのリモコン取って」
男「はい、どうぞ」
親父「さんくす。……あー、ドラマとニュースばっかだ。つまんね。ニコニコでも覗くか」
幼馴染「お父さん、締め切りが近いってこの前言ってたような」
男「嫌です」
親父「ちょっとは躊躇しろよ! 早く帰ればか! お前ばーか!」
幼馴染「お父さん」
親父「ひぃ」ピュー
幼馴染「まったく……お父さんは」
男「面白いな、親父さんは」
幼馴染「普段は冗談なんて全然言わないんだけど、男が来るとあんな感じになっちゃうの。はしゃいでるのかな?」
男「全力で嫌われてるようだし、それはないだろ」
幼馴染「そんなことないよ? お父さん、本当に嫌いな人は相手にしないもん」
男「そなのか。そうだとしたら嬉しいけどな。俺は親父さん、結構好きだから」
幼馴染「んふふ、あんなに悪く言ってるのに。でも、それ聞いたらきっと喜ぶよ、お父さん。悪態つきながら、だろうけど」
男「あー、なんか想像できるな」
幼馴染「んふふ。ね?」
幼馴染「そだね。……ごめんね、寝ちゃって?」
男「最初に寝てた俺のせいだろ。まあ、なんでお前まで一緒に寝ちゃうか理解に苦しむが」
幼馴染「だって、気持ちよさそうだったし」
男「だからって、普通一緒には寝ないだろ。俺はお前の将来が不安だよ」
幼馴染「どゆこと?」
男「いや、だから、普通どんなに親しくても野郎と一緒には寝ないだろ、って話」
幼馴染「ああ。男は特別だから、へーきなの」
男「」
男「そ、そ、そなのか。ま、まあ、それなら、その、いいけど」ギクシャク
幼馴染「? またカクカクしてるよ?」
男「そ、その、cpuが熱暴走してて」
幼馴染「古いPSは大変だね」ナデナデ
男「そ、そうなんだ」
親父「死ね! 死ーね!」(小声)
親父「うわ見つかった」ピュー
幼馴染「もう、お父さんは……」
男「一回自室に行ったけど、寂しくなってこっちに戻ってきてたんだな。ドアの隙間から覗いてたみたいだ」
幼馴染「ごめんね?」
男「お前が謝ることでもないだろうに」ナデナデ
幼馴染「えへへ……」
男「今日はもう遅いから、勉強はまた明日だな」
幼馴染「あ、そだね。……ごめんね?」
男「だから、何度も何度も謝るな」グニー
幼馴染「ほっへ、ほっへひっはははひへ(ほっぺ、ほっぺ引っ張らないで)」
男「まったく。じゃ、俺帰るな。親父さんによろしく言っといて」
幼馴染「あ、帰っちゃうんだ」ションボリ
男「あ、う、うん。いや、その、どうせまた明日会うだろ」
幼馴染「……うん、そだね。……えへへ。また明日ね、男」バイバイ
男「さっきバイバイってしてませんでしたっけ」
幼馴染「ん。でも、見送りたかったから」
男「見送るも何も、すぐ隣だろうに……」
幼馴染「そなんだけど。ダメ?」ションボリ
男「いや、ダメってことはないが……つか、そんなんで落ち込むな」ナデナデ
幼馴染「ん。それじゃ男、また明日ね?」バイバイ
男「んー。また明日」バイバイ
幼馴染「…………」バイバイ
男「……あの」
幼馴染「ん?」バイバイ
男「いつまで手を振っているのですか」
幼馴染「……男が家の中に入って、見えなくなるまで?」バイバイ
男「いいから。一回バイバイってしたら振らなくていいから」
幼馴染「……分かった」ションボリ
幼馴染「……えへへ。男は優しいね?」
男「勘弁しろよ……」
幼馴染「えへへへ。じゃあね、男」バイバイ
男「はいはい。じゃあな」バイバイ
──男宅──
男「はー……疲れた」
母「よっすよっす」
男「あ、母さん。帰ってたのか、おかえり」
母「ただーま。そしておかーり、我が息子よ」
男「ん、ただいま。飯は?」
母「食ってった」
男「そか。すぐに風呂の準備するから、ちょっと待っててくれ」
母「んー。でも、早くしないと缶タワーが完成しちゃうよ?」
男「タワーって……うわ、なんつー量の空き缶だ。どんだけ飲んでんだ」
男「未成年に勧めるな」
母「かったいねー。アタシが学生のころは、もう毎日のように呑んでたのに……アンタ、アタシの子じゃないねっ!」
男「そうだと嬉しいんだが、残念ながら子だよ。つーか、風呂入るならあんまり飲むな。溺れても知らねーぞ」
母「その時は、アンタが優しく介抱してね? 緊急時だし、おっぱい触ってもいいよ?」
男「マザコンじゃないんで触っても嬉しくねーよ」
母「結構でかいのに……あ、でもアンタちっちゃいのが好きだからダメか。お隣の幼馴染ちゃんみたいなのがいいんだよね?」
男「親殺しの時間だ」ヒョイヒョイヒョイ
母「待って待ってその缶まだ残ってるー! ごめんごめん、もうからかいませんから返してー!」
男「ったく……こんなんで優秀ってんだから世の中分かんねーな」
母「サーセンw」
男「ああ鬱陶しい。んじゃ、風呂洗ってくるからちょっと待っててくれな。いいか、あんま飲むなよ」
母「任せてっ!」プシュ
男「言ってるそばから新しい缶開けてんじゃねー!」
母「てへぺろ(・ω<)」
男「だー……無駄に疲れた」
男「宿題……まあいいや。明日幼馴染に見せてもらおう」
男「……いや、無理か。アイツそういうの厳しいからなあ。しゃーねえ、自分でやるか」
男「…………」ゴソゴソ
男「ない」
男「あー、そういや教科書類全部学校に置きっぱなしだったな……」
男「……今から行くのは超めんどくさい。結論:放棄」
男「よしっ! 寝ようっ!」
男「……んぐ、ぐー……」
???「…………」ガチャ
男「ぐー……ぐあー……」
???「……やっぱ寝てる。……朝だよ?」ユサユサ
男「ん? ……んあ」
???「もう遅い時間だよ? 遅刻しちゃうよ?」ユサユサ
???「……起きない。困ったな」ユサユサ
男「ん、……お、幼馴染……」
???「え?」
男「……ぐー、んぐー……」
幼馴染「……ね、寝言か。なんだ」
幼馴染「……男が見てる夢に、私が出てるの?」
幼馴染「…………」
幼馴染「…………あ、朝だよ。起きないと遅刻するよ///」ユサユサ
男「ん、んー……あ、んあ?」
幼馴染「あ、起きた。おはよ、男」
男「あ、ああ、おはよ、幼馴染。……なんで俺の部屋にいるの?」
幼馴染「……いつもの場所で待ってたけど、いつまでたっても来ないから」
男「そか。わざわざ悪いな。ふああ……」
幼馴染「おっきなあくび。ご飯用意してくるから、急いで着替えてね?」
幼馴染「ん? なぁに?」
男「なんで顔赤いんだ?」
幼馴染「……し、知らない///」プイッ
男「……?」
──居間──
男「着替えました」
幼馴染「ん。ご飯でいいよね?」
男「ああ。でも、飯食う時間あるか?」
幼馴染「朝ご飯は遅刻してでも食べなきゃダメ。はい、目玉焼き」
男「ん、サンキュ」
幼馴染「それと、海苔。インスタントだけど、味噌汁もあるよ」
男「おお、豪勢だな」
幼馴染「ホントは味噌汁はちゃんと作りたかったんだけど、ちょっと時間ないから。ごめんね?」
男「いやいや、十分すぎるくらいだって。じゃ、いただきまーす」
男「いやいや、ゆっくりはダメだろ。もう時間ねーんだし」
幼馴染「ダメ。急いで食べたら消化に悪い。遅刻してもいいから、ゆっくり。ね?」
男「俺だけならまだしも、お前まで巻き込むわけにはいかないっつーの」
幼馴染「…………」ムーッ
男「ああもう、分かった、分かったよ。ゆっくり食うよ。だから怒るなって」
幼馴染「分かればいいの。じゃ、いっぱい食べてね?」
男「朝からいっぱいは無理だよ」
幼馴染「がんばれ、がんばれ」
男「へーへー。適度に頑張るよ」
──通学路──
男「げふっ。うー、朝から食い過ぎた」
幼馴染「おかわりしたね。偉い偉い」ナデナデ
男「はいはい。んじゃ、急いで行くぞ」
幼馴染「ん。でも、小走りでいけば間に合うくらいの時間だから、そこまで急がなくてもいいよ?」
幼馴染「ん」
──公園──
男「おお。すごいな」
幼馴染「一面、桜吹雪だね。すごいね……」
男「これは、目を奪われるな。……あー、花見してーなー」
幼馴染「……する? お弁当、作るよ?」
男「マジか? じゃ、今度の休み、花見しよっか?」
幼馴染「ん。……お弁当、頑張る」フンス
男「いや、別にそこまで気合は入れなくても」
幼馴染「頑張る」フンス
男「……そ、そか。じゃ、よろしく頼むな」
幼馴染「ん」フンス
支援
いたとしても俺たちには惚れない
ので支援
男「ふぅ……どうにか間に合ったな」
幼馴染「ん。よかった」
男「全くだ。……あ、幼馴染、ちょっと動くな」
幼馴染「?」ピタッ
男「頭に桜の花びらがついてる」サッサ
幼馴染「…………」
男「……ん。おっけー」ナデナデ
幼馴染「……ありがと。男はどう?」
男「どうだろ? ちょっと見てくれ」
男「んー」
幼馴染「はい、とれたよ」ナデナデ
男「サンキュ。んで、なんでなでましたか」
幼馴染「男のマネ」
男「なるほど、なら仕方ないな」ナデナデ
幼馴染「ん。仕方ない」
幼馴染「男はさ、私の頭よくなでるよね」
男「ん、そうか?」
幼馴染「そうだよ」
男「んー、言われてみるとそうかもな。なんかお前をなでるの好きなんだよなあ。……あ、嫌だったか?」
幼馴染「んんん。んんん。んんん」プルプルプル
男「いや、そんな否定しなくても大丈夫だが……」
幼馴染「……怒った?」
男「怒るわけねーだろ」ナデナデ
幼馴染「……ん」コクコク
男「あ」
幼馴染「?」
男「……完っ全に宿題のこと忘れてた」
幼馴染「はぁ……ダメだよ? ちゃんとやらないと」
男「いや、やろうとはしたんだけど、そもそも教科書の類を持って帰ってなくて」
幼馴染「はぁ……」
男「とにかく、急いでやらないと」
幼馴染「宿題って、一時間目の数学の? じゃ、もう無理だよ」
男「なぜに」
幼馴染「だって」キーンコーンカーンコーン
教師「はいはい、授業を始めますよー」ガラッ
幼馴染「……ね?」
男「なるほど」
幼馴染「お疲れ様」ナデナデ
男「ああ、なでられた所から疲れがとれていく……」
幼馴染「じゃ、いっぱいなでないとね」ナデナデナデ
男「ふぃぃ……いや、よもや宿題しなかった罰で追加の宿題を出されるとは」
幼馴染「しょうがないよ」ナデナデ
男「まあな。さて、それじゃ交代だ」
幼馴染「え? 私は疲れてないよ?」
男「俺がなでたくなった」ナデナデ
幼馴染「なで男が現れた」
男「あー楽し」ナデナデ
幼馴染「……♪」
幼馴染「お昼だよ」トテトテ
男「そだな。今日も中庭で食うか」
幼馴染「ん」
──中庭──
男「ああ、今日もいい桜だな」
幼馴染「ん。はい、お弁当」
男「ん。いつもありがとな」
幼馴染「んんん。好きだから」
男「それでもな。他人の厚意にあぐらをかくのは恥ずかしいと思っているから、出来る限り感謝はしておきたいんだ」
幼馴染「……男のそういうとこ、好きだよ?」
男「かっこつけた甲斐があった」
幼馴染「騙された」
男「騙したった」ナデナデ
男「サンキュ。じゃ、いただきます」
幼馴染「ん。いただきます」
男「そして訪れる満足げふー。ごちそうさま」
幼馴染「ん。おいしかった?」
男「ああ。今日も大満足だ」
幼馴染「んふふ。そか。嬉しいな」
男「はぁ……あー、茶がうまい」
幼馴染「なんか、もうこれが花見みたいだね?」
男「あー、そだな」
幼馴染「でも、それとは別でちゃんと花見するよ? ……するよね?」クイクイ
男「するよ。だからそんな不安そうな顔するない」ナデナデ
幼馴染「ん。……へへへ?」
男「なんスか」
幼馴染「んんん。なんでもない」ニコニコ
幼馴染「んふふ。あのね、今日も膝枕、する?」
男「願ったり叶ったりだ」
幼馴染「ん。じゃ、ここに頭乗せて?」
男「ほいほい。よっと」
幼馴染「ん。じゃ、寝ていいよ? チャイムが鳴ったら、起こすから」
男「んー……それもいいが、今日はあんまり眠くないから、話でもしたい気分やも」
幼馴染「そう。じゃ、何の話しよっか?」
男「ふむ。そだな、お前のスペックの話でもするか」
幼馴染「すぺっく?」
男「そ。能力というか、性能というか。基本的に高くまとまってるよな」
幼馴染「そかな? 普通だよ?」
男「何言ってんだ。テストはいつも上位にいるし、運動だって……ああ、そういや以前いくつか運動部から勧誘されてたな」
幼馴染「ん。陸上部と、水泳部と、剣道部」
男「パーフェクトソルジャーですね」
男「俺のPSはカクカクしてすぐにフリーズするPSだからな。そっちのむせるPSとは格が違うよ」
幼馴染「んふふ」スリスリ
男「そういや、なんで部活入らないんだ? お前ほどの力があるなら、どこに入ろうが活躍できるだろうに」
幼馴染「だって、部活に入ったら家事する時間がなくなっちゃう」
男「あー……でも、もしどうしてもしたいなら俺がお前んちで家事やってもいいぞ? そりゃ最初は無理かもしれんが、教えてもらえりゃ頑張るし」
幼馴染「んんん。大丈夫。ありがと」
男「いや、うーん……」
幼馴染「それに、男と過ごす時間が減っちゃうから」
男「…………」
幼馴染「そんなの、嫌だから。だから、部活は入んないの」
男「……そ、そっか。そ、それはアレだな、仕方ないな」ギクシャク
幼馴染「またcpuが熱暴走してる。直れ直れ」スリスリ
男「その両手で俺の頬をすりすりする技は、逆に熱暴走が加速します」
幼馴染「残念」スリスリ
幼馴染「んふふ」
男「あ、そうだ。その、非常に自惚れ発言で死にたくなるが、俺と一緒に部活入りゃ悩みは解決するのでは?」
幼馴染「んんん。特に入りたい部活もないし、大丈夫だよ」
男「ただ俺のナルシストっぷりを振りまいただけで終わってしまった」
幼馴染「んふふ。ありがとね、男」スリスリ
男「世話になりっぱなしなんで、ほんの少しでも恩を返したいと思ったんだけどな。なかなかうまくいかないもんだ」
幼馴染「世話なんてしてないよ。私が好きでやってることなんだから」
男「それはそれ。まあ、将来に期待してくれ。どかーんと恩を返しますから」
幼馴染「ん。いっぱい期待するね?」
男「いっぱいは荷が重いなあ……」
幼馴染「男なら絶対大丈夫だよ。がんばれ、がんばれ」スリスリ
幼馴染「昔からずっと男のことを見てきた私の言うことだもん、間違いないよ。ね?」
男「そりゃ説得力があるな。じゃあ、のせられますか」
幼馴染「ん。もしダメだったら、私が養ってあげるね?」
男「ひどいヒモ宣言を見た」
幼馴染「んふふ」スリスリ
男「やれやれ。……ふああ。んー、なんか眠くなってきたな」
幼馴染「じゃ、寝る?」
男「そだな、悪いけど少し眠らせてもらうな。お休み、幼馴染」
幼馴染「ん。お休み、男」ナデナデ
幼馴染「……くぅ、くぅ」ナデナデ
男(どうやら幼馴染も寝てしまったようだ。だが、寝ている状態でどうして手が動いている。無意識か?)
幼馴染「……ん。……くぅ」ナデナデ
男(よく分からないけど、寝てる幼馴染も可愛いなあ。ちゅーしてえ)
幼馴染「……ん、んぅ。……あ、寝ちゃった」
男「おはよ」
幼馴染「あ、男が起きてる。……おはよ」ナデナデ
男「んむ。さて、そろそろ戻るか」
幼馴染「んと。……まだ時間あるから、大丈夫」
男「ん、そうか? でも、早めに戻った方が」
幼馴染「ん。……でも、もちょっとだけ」ナデ
男「……ま、そだな。急ぐ理由もないしな」
幼馴染「ん」スリスリ
男「はぁー。なんつーか、桃源郷って、こんな感じなのかな」
男「そうそう。空気はポカポカしてて、桜は舞ってて、お腹いっぱいで、幼馴染に膝枕されて。なんか、このまま死んでも後悔しない感じだ」
幼馴染「死んじゃダメ」ポカポカ
男「例えだ、例え。叩くな」
幼馴染「例えでも。死んじゃダメ」ポカポカ
男「いたいた。だから、叩くねい」
幼馴染「……死なない?」
男「最初から例えの話だっての。痛いの苦手だし、死ぬつもりなんかないよ」
幼馴染「……ん。……ダメだよ、死んだりしたら。怒るからね。いっぱい怒るからね。ご飯も作ってあげないし」
男「わーったよ。少なくとも、お前が死ぬまでは死なないよ」スリスリ
幼馴染「ん。……約束、だよ?」ユビキリゲンマン
男「了解了解うぐぅうぐぅ」ハリセンボンノマス
男「詳しいな……って、そっか、見たことあったか」
幼馴染「ん。前にね。一緒にアニメ見たよね」
男「そだったな……」
男(……そういえば、幼馴染のおばさん、小さい頃に病気で……)
男(……思い出させちゃったか。悪いことしたな)
幼馴染「……大丈夫だよ? 男がいるから。ね?」
男「お前、エスパーか」
幼馴染「男限定で、ね。顔見たら、何考えてるかなんとなく分かるの」
男「なんて厄介な」フニフニ
幼馴染「んふふ。ほっへひっはははひへ(ほっぺ引っ張らないで)」
幼馴染「ん。そだね」
男「弁当箱洗ってくるから先に」
幼馴染「んんん」プルプル
男「……戻らないよな。んじゃ、一緒に来るか?」
幼馴染「ん」コクコク
男「はー……暖かくなったとはいえ、水はまだ冷たいな」バシャバシャ
幼馴染「私が洗うよ?」
男「ダメ」
幼馴染「…………」ムーッ
男「お前飯作る人、俺洗う人。おっけー?」
幼馴染「……全部やるのに」ムスー
男「あんまり俺に楽を覚えさせるな。……はい、終わり」
幼馴染「お疲れ様。……わ、冷たいね、手」ムギュ
男「おいおい、俺の手握ったりしたらお前の手まで濡れるぞ」
男「いいよ、お前先使えよ」
幼馴染「はい、ハンカチ」
男「……本当、頑固だよな、お前」フキフキ
幼馴染「ん♪」
男「はい、拭き終わったよ。ありがとな」
幼馴染「んんん」フキフキ
男「じゃ、戻るか」
幼馴染「ん」
──教室──
男「そして教室に戻って授業を受けて放課後になったわけだが」
幼馴染「誰に説明してるの?」トコトコ
男「誰にだろう」
幼馴染「帰ろ?」
男「そだな」
男「そういや、明日休みだな」
幼馴染「そだね。それじゃ、花見、する?」
男「そだな。じゃ、悪いけど弁当頼むな」
幼馴染「ん。頑張る」フンス
男「そんな気合入れなくていいから。ほどほどで大丈夫だから」
幼馴染「ん」フンス
男「何も分かっちゃいねえ……」
幼馴染「んふふ。あ、そだ。今日もご飯食べていってね?」
男「いや、昨日も行ったし、今日はいいよ」
幼馴染「んんん」プルプル
男「いや、んんんじゃなくて」
幼馴染「……私の作るご飯、おいしくない?」
男「んなわけないだろ! 毎日だって食いたいくらいだ!」
幼馴染「…………」
幼馴染「…………///」
男「ち、違うぞ!? そ、そういう意味じゃなくてだな!?///」
幼馴染「う、うん、分かってる。ちょっと、びっくりしただけ///」
男「そ、そか。俺もびっくりした」
幼馴染「……でも、その、あの」
男「ん?」
幼馴染「……な、なんでもない///」
男「……そ、そうか///」
幼馴染「ん。そ、そう///」
男「……ええい、恥ずかしい///」
幼馴染「んふふ。……あ、あのね? もし嫌だったらいいんだけどね? ……ご、ごめん。やっぱいい」
男「ダメだ。ちゃんと言え。よほどでない限り断らないから」
幼馴染「よほどだもん」
男「訂正。なんでも聞く」
男「だーっ! 早くしないと俺からとんでもない提案するぞ!」
幼馴染「そ、そっちの方がいい。絶対そっちの方がいい。男のいうことなら、なんでも聞くもん」
男「ああもう、いいから言ってくれ。笑ったり馬鹿にしたりしないから」
幼馴染「…………。ホント?」
男「自身に誓って」
幼馴染「……ん。……じゃあ、あの、……て、手、繋いで、いい?///」
男「へ?」
幼馴染「……や、やっぱ、いい」ジワーッ
男「違う嫌とかじゃなくてびっくりしただけ! 泣くなッ!」ナデナデ
幼馴染「……ぐしゅ。泣いてないもん」
男「えらくもったいつけるから何を言うかと思えば。それくらい普通に言えばいいだろうに。昼間それ以上すごいことしたろ?」
幼馴染「だって、膝枕はよくするから。……それに、急にそんなこと言って、変だと思われたら悲しいし」
男「思わねーよ。ほら、繋ぐんだろ?」
幼馴染「……ん。いい?」
幼馴染「……ん。それじゃ」ギュ
男「…………」
幼馴染「…………」
男「……いかん。なんか照れる///」
幼馴染「……ん///」
男「と、とはいえこの程度で動揺するような男さんではないですよ?」
幼馴染「……あ、あの」
男「は、はいっ!?」
男「あ、ああ」
幼馴染「そ、それだけ」
男「そ、そか」
幼馴染「…………」
男「…………」ギュ
幼馴染「…………///」ギュー
男「…………///」ギュー
男(結局、あれから会話もなく、黙ったまま家に着いてしまった)
男(どうにもこうにも頬が熱くて仕方ねえ。幼馴染の方も、まあ、ちらっと見た感じ、似た感じみたいだ)
幼馴染「……着いちゃった、ね」
男「……そだな」
男(正直、手を離したくない。とはいえ、いつまでも家の前にいるわけにもいかないか)
幼馴染「……はぁ。じゃ、入ろ?」
男「……ああ、そだな」
──居間──
親父「おお、お帰り幼馴染。……と、邪魔者も一緒か」
男「しょうがないですよ、なんか知らないけどこの家に住んでるみたいだし。我慢するしかないです」
親父「だから、わしじゃねーっての! お前だっての! 昨日もやったよこのやり取り! なんか知らないってわしの家だから住んでるの! お前が邪魔者なんですぅー!」
幼馴染「それじゃ、部屋行こ?」クイクイ
男「ああ、そだな」
親父「あるェ? もう? パパともっとお喋りしよーよ? ねーねー」
親父「だから、ちょっとは小声で言うそぶりを見せるとか、せめてこっちをガン見しないとか、そういうおっさんに対する気遣いをもっと! more!」
幼馴染「じゃ、行こ、男?」クイクイ
男「ん、ああ、そだな」ナデナデ
親父「Ahーーーーーーーーーーーーーーーーッ!!! わしの幼馴染タンの頭をなでなでと! もう最近は触らせてもくれないのに! ずっり! ずっり! 超ずっり!」
男「ふむ。……幼馴染」
幼馴染「?」
男「えいっ」ナデナデ
親父「Ahーーーーーーーーーーーーーーーーッッ!!!!! また! まただよ! これみよがしになでなでと! こいつはメチャ許さんよなあ!?」
幼馴染「……は、はぅ///」
親父「しかも、しかもだ! あろうことかわしの幼馴染タンが頬を染めてうつむいちゃうとか! なにこの地獄絵図! 誰かわしを殺して! ころころしてェ!」
男「幼馴染、丈夫なロープとかあるかな?」
親父「あ、ごめんなさい冗談で言いました。殺さないでください」
男「違います、自殺用に使ってもらうだけですよ」
親父「何この『俺が手を下さないから経歴に傷がつかない。完全犯罪せーりーッ』って感じ。いやいや、他殺だろうが自殺だろうが死ぬつもりはじぇんじぇんないヨ? 死ぬの怖いもん」
男「ん?」
幼馴染「……も、もっかい、いい?」コクビカシゲ
親父「GYAAAAAAAAAAAAA!!!!!!!!!! はい死んだ、今わし確実に死ーんだ!!! もういーや、お前ら勝手にキャッキャウフフしてろばーか! あ、幼馴染には馬鹿って言ってないよ? そこの腹立つ馬鹿にしか言ってないよ? ばーかばーか! 死ね!」ダダダダダッ
男「逃げたな。ナイスアシストだ、幼馴染」
幼馴染「?」
男「天然か。一番怖いな」
幼馴染「あ、あの、なでなで……」オズオズ
男「え、あ、はい」ナデナデ
幼馴染「……♪」
幼馴染「あ、ご、ごめんね? 嫌だったら別に全然」
男「逆だ、逆。嬉しいの」ナデナデナデ
幼馴染「……えへへ。……なんかね、なんか……なんだろ。……前より、もっと一緒にいたいな、って感じがするの」
男「そ、そか。光栄だな///」ナデナデ
幼馴染「あっ、前も一緒にいたいなって思ってたんだよ? でも、それより、もっと、もっといっぱい近くに……そ、その……そのね?///」
男「……あ、う、うん。なんとなく分かるから大丈夫///」ナデナデ
幼馴染「……う、うん///」
男「ということが居間であって」
幼馴染「……え、えへへ」チョコン
男「現在、幼馴染の部屋において、あぐらをかく俺の膝の上に幼馴染が乗る、という仰天体験が始まっています」
幼馴染「だ、ダメかな? ダメだよね、ダメに決まってるもん。すぐにどくから」ワタワタ
男「許さん」ギュッ
幼馴染「あぅ……」
男「ほれ、諦めたらもっと俺にやってほしいことを言え。言いまくれ」
幼馴染「……なんでも、いい?」
男「ああ、なんでもなんでもオールオッケーだ」
幼馴染「じゃ、じゃあ、じゃあね?」
男「…………」
幼馴染「えへへ♪ えへへぇ♪」スリスリ
男「あー……あの?」
幼馴染「や、やめないもん。なんでもいいって言ったもん」スリスリスリ
男「いや、そんなこと言わないが、その」
幼馴染「……こ、こんな時くらいしか、できないもん」スリスリ
男「いや、そうじゃなくて、その、……恥ずかしいのですよ。流石にこう、向かい合わせで抱き合って、頬ずりってのは」
幼馴染「……が、がまん///」
男「なるほど」スリスリ
幼馴染「ひゃっ!?」
男「あ、失敬。俺も我慢できなくなっちゃったので」スリスリ
幼馴染「……男も、頬ずりしたかったの?」
男「頬ずりというか、なんというか、その、ああいかん思考がまとまらない」スリスリ
幼馴染「……えへへ。幸せ、だね?」スリスリ
幼馴染「このままね? 一年先も、十年先も、ずっとずっとこうして一緒だと嬉しいね?」スリスリ
男「それは勘違いしちゃう台詞だなあ」スリスリ
幼馴染「……し、しちゃうといい。……かも///」スリスリ
男「えっ」
幼馴染「…………///」
男「えー……っと」
幼馴染「……い、今のナシ。うそ。全部嘘」ジワーッ
男「……いや、そんな嘘はダメだ。許さん。訂正しろ」
幼馴染「……ち、違う。嘘。嘘だもん。調子乗っちゃっただけだもん。……男は、私みたいなちんちくりんより、もっと可愛くて、優しくて、素敵な子と一緒にならないとダメだもん」
男「知らん。俺はな、お前みたいなのがいいんだよ」
幼馴染「えっ?」
男「猫好きで、料理上手で、優しくて、可愛くて、いっつも俺のことを大事にしてくれる、そういうお前みたいなのがいいんだよ!」ギュッ
幼馴染「……うー。ばか」
男「なんだ、知らなかったのか?」
男「ある程度は自覚してるさな」ナデナデ
幼馴染「……ぐしゅ。……そんなこと言って。知らないよ? 私なんかより、もっともーっと素敵な人が現れて、男に告白しても、もう男の隣には私がいるよ? ……絶対に譲らないよ?」
男「お前より素敵な女性なんかいねーよ」ナデナデ
幼馴染「……ふん。ばか。大好き」チュッ
男「奇遇だな、俺も大好きなんだ」チュッ
……
…
──公園──
幼馴染「……晴れたね?」
男「そだな。はぁ……あー、いい日和りだ」
幼馴染「シート持ってきたから。そこに敷こ?」
男「ああ、分かった」
男「ん、完成」
幼馴染「ん。それじゃ……じゃじゃーん。お弁当だよ?」
男「おお、お重。頑張ったな」ナデナデ
幼馴染「えへへ。……か、彼女の、初仕事だもん///」
男「おお。俺の彼女は可愛くて料理がうまくて可愛くて可愛いなあ」ナデナデ
幼馴染「え、えへへ、えへへぇ……♪」
男「いかん、幼馴染の顔がどれんどれんだ。緩みすぎだろ」
幼馴染「だ、だって、男にあんなに褒められたら、誰でもああなっちゃうよ」ムー
幼馴染「……もう気づいてるよ?」
男「マジか」
幼馴染「ん。今日の朝も『隣の馬鹿息子は人の大事な大事な娘を奪っておいて、挨拶もろくにしに来ん!』って」
男「うわぁ……そのうち言うつもりだったが、なんで既にバレてるかな」
幼馴染「昨日の食卓の雰囲気で、悟ったみたい」
男「マジか。結構勘が鋭いんだな、親父さん」
幼馴染「ずっとニコニコしてたもん、男」
男「……なるほど、俺が馬鹿なだけだったか」
幼馴染「……あと、私もニコニコしてた、らしい」
幼馴染「……私の方が幸せだもん」ムー
男「何の勝負だ」ムニムニ
幼馴染「ふにー」
男「さて、それじゃ食うか!」
幼馴染「ん。……あのね、男?」
男「ん?」
幼馴染「……えへへ。これからも、隣にいさせてね?」
男「知らなかったのか? 俺の隣は昔からお前の指定席だぞ」
幼馴染「奇遇だね? ……私も、そうなんだよ?」
おわり
面白かった、末永くイチャコラしろ。
久々にいいまったりほっこり幼馴染SSだった
悲しくなった奴は仲間だ
ともあれ>>1乙!
>>156
奇遇だな俺もすげー死にたくなった
Entry ⇒ 2012.04.24 | Category ⇒ 幼馴染「」SS | Comments (0) | Trackbacks (0)
不良「俺たちが」秀才「事件を」オタク「解決しよう!」
http://hayabusa.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1335002963/
昼休み──
不良「あ~……メシ食ったら眠くなっちまった」ファ~
不良(五限は数学か……かったりーな)
不良「おい」
不良仲間A「あ?」
不良「俺、午後サボるわ」
不良仲間A「またサボりかよ。ホントどうしようもねぇな、オメェは」
不良仲間B「まぁコイツは授業出たって、なんも分からねぇからな!
ヒャハハハッ!」
不良「うっせぇ」
この学校の校舎裏には、知られざるサボりスポットがある。
絶妙な広さの空きスペースがあり、昼寝をするのに持ってこいなのである。
不良(まったく我ながら、いい場所を見つけたもんだぜ)スタスタ
不良(夏は涼しく、冬は暖かいんだよな~あそこは)スタスタ
しかし──
不良「!?」ビクッ
不良「な、なんだ、お前ら!?」
秀才「ん?」カリカリ
オタク「うん?」ヌリヌリ
不良(たしか同じ学年の他のクラスのヤツらだったよな……なんでここに……)
不良「お前らここで何してんだよ!」
秀才「勉強だけど」
オタク「ボク、フィギュアを作ってるんだ」
不良(ちっ、ジャマくせぇな。どかすか……)
秀才「なんだい?」
オタク「なにかな?」
不良「ここは俺の昼寝場所なんだ。お前ら、どけや」
秀才「イヤだ」
オタク「今いいところなんだよねぇ~」グフフッ
不良「…………」イラッ
不良「さっさとどかねえと、ブチ殺すぞ! あぁ!?」
不良「ンだと!?」
秀才「ただし」
秀才「ただでさえ少年犯罪に対する風当たりが強くなっている昨今、
君の処分も今までのような軽いものではすまないだろうね」
秀才「両親は悲しむだろうし、殺人者の親という汚名を着ることになるだろう。
その覚悟があるなら、殺してみるがいいさ」
不良「(よく分からねえけど、反論できねえ……!)うぐぐ……!」
不良「だったらそっちのテメェ! 作ってる人形壊されたくなかったら、どけや!」
オタク「ボクをナメてもらっては困る!」
不良「!?」
オタク「たとえフィギュアが壊されても、ボクの魂までは壊せない!
すぐ作り直してみせるさ!」キリッ
不良「(コイツ、なんてガンを飛ばしやがる……!)う、ぐぅ……!」
不良「今は授業中だろうが!」
オタク「今の発言、すごいブーメランだね! 釣り針デカすぎ!」グフッ
不良「(ブ、ブーメラン……?)俺は釣りなんかやったことねえよ!」
秀才「いいだろう、答えてあげよう」
秀才「ぼくにとってはね、学校の授業なんか出るだけ無駄なんだよ。
予備校でもっと難しいことをやっているからね」
秀才「ホントは授業なんか休んで受験勉強だけしていたいんだけどね。
さすがにそうもいかないから、時折ここで勉強してるんだよ」
不良「(くっ、ムカつくヤツ……)──で、お前は?」
オタク「ここでフィギュアやプラモ作ってると、捗るんだよねぇ~」グフフ
不良「え、お前らってツルんでるんじゃねえのか?」
秀才&オタク「全然」
勉強してたらオタク君が来たんだ」
オタク「ボクも、ここを知ってるのはボクだけだと思ってたんだよね。
そしたら、秀才君が勉強しててビックリしたよぉ~」
不良「…………」
不良「なるほど、つまりここを自分だけのスペースだと思ってた三人が
偶然にも今日ここに集まったってワケか」
秀才「そういうことだね」
秀才「君、バカっぽそうだけど、意外と頭いいんじゃないの?」
不良「うるせえ!」
オタク「仲間が増えて嬉しいよぉ~」グフフ
不良「仲間じゃねえ!」
不良「じゃあ俺はここで寝るけど、ジャマすんじゃねーぞ!
したらブン殴るからな!」
秀才「するわけないだろ。君こそ、イビキとかはやめてくれよ」
オタク「いい夢が見られるといいねぇ~」グフフ
不良「うるせえ!」
不良「…………」ゴロン
不良「…………」スースー
秀才(……あれだけわめいてたのに、寝息は静かなんだな)
オタク「じゃあボクらも作業を再開しようか」ヌリヌリ
秀才「そうだね」カキカキ
不良「ふあぁ~あ、よく寝た……」ムクッ
オタク「いい夢見れたかい?」ヌッ
不良「のわっ!?」ビクッ
オタク「おっと失敬」
秀才「さて、ぼくはそろそろ帰ろうかな。予備校があるんでね」
オタク「ボクも、仲間とアニメショップに寄りたいから帰るよぉ~」
不良「──ったく、てめぇらのせいでよく眠れなかったぜ」
秀才&オタク(嘘をつけ)
不良「もう二度とここで出会いたくないもんだな、ケッ」
秀才(それはこっちのセリフだよ)
オタク「また会う日を楽しみしてるよぉ~」
<校舎裏>
不良(昨日は午後に出会っちまったから、今日は午前中少しサボろう)スタスタ
不良(昨日の今日で、ヤツらもいないだろうし……)スタスタ
不良「!?」
秀才「また君か」カキカキ
オタク「やぁ~仲間よ!」グフッ
不良「なんでお前ら、またいるんだよ! せっかく午前中にしてやったのに!
あと仲間じゃねえし!」
秀才「君の都合なんか知らないよ」
オタク「ボクたちは引力で引かれあってるのかもねぇ~」グフフッ
不良(くっ、俺コイツら苦手だ……)
秀才「なんだい?」
不良「なんでお前ってそんなに一生懸命勉強してるワケ?
やっぱり政治家とかになって、日本を変えたいとか思ってんの?」
秀才「ぼくにそんな高尚な目的はないよ」
不良「えっ?(コショウ? え、料理の話?)」
秀才「勉強しとけばいい大学に入れる……。
いい大学に入ればそれだけ将来の選択も広がるだろ?」
秀才「なにか壮大な動機を期待してたところ悪いけど、そんなものだよ。
ぼくが勉強している理由なんて」
不良「ふうん」
秀才「逆に聞くけど、君はなんで不良をやってるんだ?
いつも教師に逆らってるし、この通り授業もサボるし、
たしかこの間も、他校の人と喧嘩をして停学になってたよね」
不良「俺、出来ちゃった婚で生まれたガキらしくてよ。
親父にもお袋にも『お前ができなきゃ』ってしょっちゅういわれててよ」
不良「とりあえずメシ食わせとけ、みたいな感じでろくに相手もしてくれなかった……」
不良「ンな時に色々俺を可愛がってくれた先輩がいてよ。
その人の真似をしてたら……こうなってた、って感じかな」
不良「っつっても、いつまでもこんなんじゃヤベェよなぁ……。
卒業した後のことなんか、なぁ~んも考えてねぇし……」
不良(──って、俺はなんでこんなことコイツらに話してんだ!)
秀才「なるほど。単なるバカというワケではなさそうだ」
不良「だろ? ……って結局バカにしてんじゃねえか!」
オタク「泣けるぅ~」グスッ
オタク「ボクが前ハマってたアニメのキャラにも、君みたいな境遇の子がいてさぁ~」グスッ
不良「アニメと一緒にすんな!」
秀才「えっ」
不良「えっ」
オタク「ボクはやっぱり将来的にはアニメ業界に進みたいと考えててね。
世界のオタク、っていわれるようなアニメを作りたいんだぁ~」グフフッ
秀才(まったく聞いてないのに語り始めた!)
不良(コイツ……ホント恐ろしいヤツだぜ!)
オタク「──とまぁ、こんなとこかなぁ」コフゥ
秀才(途中から自分の話じゃなく、ほとんどアニメの授業みたいになってたぞ。
しかもすごく分かりやすかったし……。
彼、もしかしてぼくより頭いいんじゃなかろうか……)
不良(悔しいけど、コイツの話聞いてたらちょっとアニメ見たくなっちまった)
オタク「お? 不良君、俺もアニメ見たいって顔してるねぇ~」
不良「し、してねぇよ!」
オタク「まぁまぁ、さっきボクがいった君っぽいキャラが出るアニメのDVD、
……あげるよ!」スッ
不良「あげるって……もらえるワケねーだろ! 高けぇだろ、コレ!」
オタク「いいから、いいから。ほらっ」グイッ
不良(くっ……!)
「すぐ売って金にしちまうからな!」
<不良の家>
不良(暇だ……)
不良「せっかくだから、さっきオタクがくれたアニメでも見るか……。
面白くなかったら、マジで売っちまおう」
テレビ『妹よ、愛してるぞぉ~!』
テレビ『なにぃ、ヤツは炎を操るというのか!?』
不良(くっだらねー……)
テレビ『アンタみたいなクソガキ、産まなきゃよかったよっ!』
テレビ『誰が産んでくれって頼んだよっ!』
不良(お、これが俺っぽいキャラってヤツか?)
不良「…………」ウルッ
不良(ゲ、俺なんでちょっと涙ぐんじまってんだ!?)
<学校>
不良(やべぇ、結局徹夜して全部見ちまった……。何やってんだ、俺……)
不良仲間A「オメェ、今日はずいぶん眠たそうじゃんか。
遅くまでシコってやがったのか?」
不良「ちげぇよ、アニ──」
不良仲間A「兄?」
不良「あ、兄貴と喧嘩しちまったんだよ」
不良仲間A「オメェ、兄貴なんかいたっけ?」
不良「いねぇよ!」
不良仲間A(ワケが分からん……)
不良「──ってワケで、眠いからサボるわ。じゃあな」
不良仲間A「お、おい……!」
不良「ちっ、今日は二人ともいねぇのか」
不良「よっしゃ、久々にここを独占できるぜ」
不良「…………」
不良「いっつもサボるワケにもいかねーしな」
不良「やっぱ今日はサボるのやーめたっと」スタスタ
二人との出会いは、不良の心に変化をもたらせていた。
ある時、不良と秀才は二人きりになった。
不良「いくらいい大学に入りたいっていってもよぉ……。
いつもいつもそうやって勉強してて、楽しいか?」
秀才「楽しいよ」
不良「やっぱり成績いいとチヤホヤされるからか?」
秀才「そんなワケがないだろう。やっぱり君は頭が悪いな」
不良「ンだとぉ!?」
秀才「勉強をすることで、今まで解けなかった問題が解ける。
読めなかった文章が読める。書けなかった文字が書ける……。
こう考えるとけっこう楽しいと思うけど、勉強って」
不良「そういわれると……たしかに面白そうだ……」
秀才(ずいぶん単純だな)
不良「もしよかったら……俺に勉強を教えてくれねーか?
授業聞いててもサッパリだしよ、俺の仲間バカばっかだし……」
不良「なぁ~んてな、冗談だよ冗談」
不良「俺みたいなバカの相手してると、お前までバカになっちまうよ」
秀才「別にいいよ」
不良「へ?」
秀才「ここで君と知り合って分かったけど、君はバカだけど単なるバカじゃない。
磨けば光るバカって感じがするからね。やる気があるんなら、教えるよ」
不良「マ、マジか!? ……でも、バカバカいいすぎ」
秀才「ゴメン」
不良「なんだよ?」
秀才「喧嘩のやり方を……教えてくれないか?」
不良「え、お前だれかブン殴りたいのか?」
秀才「ち、ちがうよ。自分とベクトルの違う生き方をしている人から
何かを教わるってのも悪くないなと思ってさ。
さっきもいっただろ? こういうことも勉強のうちさ」
不良「ふぅ~ん……。そんなんでいいなら、お安いご用だ」
またある時、不良はオタクと二人きりになった。
オタク「やぁ、久しぶりだねぇ~」
不良「お、おう」
オタク「こないだ渡したアニメ、見てくれたかい?」
不良「……一応な。あとで返すよ」
オタク「律儀だなぁ、君も。で、どうだった?」
不良「別に、フツーだったよ」
オタク「よかったぁ~」
オタク「で、ボクがいった通り、君に似たキャラが出てきたろう?」
喧嘩強い
オタク
最強じゃねーか
オタク「……え?」
不良「たしかに親が望んでない子で、全然可愛がってもらえず、
グレちまったヤツだったがよ」
不良「最終的にはきっちりスジ通して、仲間と一緒に化け物相手に大活躍して、
親とも和解しやがった」
不良「俺があんな風になれるワケねえよ……」
オタク「…………」
不良「おわっ!?」
オタク「君はあのキャラよりずっとスゴイよ! ボクが保証するよ!」
不良「…………」
不良「お前に保障されても嬉しくもなんともねえよ。むしろ不安になるくらいだ」
オタク「たしかにそうだ! 常識的に考えて!」グフフッ
不良「……ホント変なヤツだな、お前って」
不良仲間A「おう」
不良「あ?」
不良仲間A「オメェさ、最近変わったよな」
不良「なにも変わってねぇよ」
不良仲間A「いいや、変わった。なぁ?」
不良仲間B「お~たしかに変わったかもしれねえな」
不良「どこがだよ」
なんつうか、まともになったよな」
不良仲間B「停学喰らって、牙がなくなったんじゃねえのか?
ヒャハハハッ!」
不良「うるせぇ、ブン殴るぞ!」
不良仲間B「わ、悪かったよ」
不良「……ふん」
不良仲間A「──ん、アレは予備校じゃねえか」
不良(予備校……)
不良仲間A「知り合いのハナシじゃ、あそこすげぇ厳しいトコらしくてよ。
成績の良し悪しに応じて、露骨に対応が変わるらしいぜ」
不良仲間B「俺たちにゃ全く縁がないところだな」
不良「……なんか音が聞こえないか?」
ドスッ…… ドカッ…… ドゴッ……
ドカッ! ドゴッ! バキッ!
暗がりで、数人が一人に対して寄ってたかって暴力を振るっていた。
不良仲間A「おぉ、すげぇ」
不良仲間A「ガリ勉どももやるこたァやってんだな。ちょっと見直したぜ」
不良仲間B「受験勉強のストレス発散ってヤツだろ?
ああいうヤツらって手加減知らないっぽいから、俺らよりヤバイかもよ」
不良「どこにでもあるんだな、イジメってのは」
不良「…………」
不良「!」
予備校生B「こないだの校内模試でトップだったからっていい気になりやがって……」ハァハァ
秀才「なるほど、勉強で勝てないからって暴力ってワケかい……。
まぁ、そろそろこう来るだろうと思ってたけどね……」
秀才「こんなことしてる暇があったら、公式の一つでも覚えなよ。
そんなんだから、いつまでも上のクラスに上がれないんだよ」
予備校生A「うるさいっ!」
ドボォッ!
秀才「ごふっ!」
少なくとも学校じゃ、わりかし人気者だってのに……)
不良「俺、ちょっと行ってくる」
不良仲間A「はぁ? あんなのほっとけって」
不良仲間B「ヒャハハッ! 正義の味方ってか?」
不良「ちげぇよ、ガリ勉どもに本当の喧嘩ってヤツを拝ませてやるんだよ。
停学明けてから、すっかりご無沙汰だったしな」
不良仲間A「な~る、お前も鬼だねぇ。
ここらのワルでさえ、お前の相手にゃならないってのに」
不良「ふん」
不良(アイツにゃ勉強教えてもらってる借りがあるからな。
あのクソバカども、全員ブチのめしてやる!)
予備校生A「ふん、この人数相手に──」
バキィッ!
秀才の右ストレートが、キレイに顔面に入った。
予備校生A「ギャッ! ──ひぃぃっ!」
予備校生B「なんてことを!」
秀才「さぁ、次はだれが殴られたい……?」ゲホッ
予備校生A「うわぁぁぁっ!」ダッ
予備校生B「ま、待ってくれよぉっ!」ダッ
思わぬ反撃に面食らったのか、秀才を囲んでいた集団はあっさり逃げ出してしまった。
秀才「……げほっ、げほっ」
秀才(ふぅ、我ながらけっこういいパンチだったな。これも不良君のおかげ、か。
やれやれ、彼に借りができてしまったな)
不良(……やるじゃねーかよ、秀才。
ったく、勉強できる上に喧嘩もできるようになるとはな。ホント尊敬するぜ)
不良「やっぱやめた。よそ行こうぜ、よそ」クルッ
不良仲間A「なんだよ、つまんねーの」
不良仲間B「ガリ勉相手に無双するとこ見たかったのによ、ヒャハハッ!」
不良「やっぱ喧嘩は同じ不良(バカ)相手に限るってもんよ」
勉強仲間A(うわっ、不良だ。人間こうなったら終わりだよな~)
秀才「…………」
不良仲間A(ちっ、ガリ勉どもか。ビビった目でこっち見やがって)
不良「…………」
ちなみに、彼ら三人は校舎裏での交流を、仲間には秘密にしている。
しかし──
秀才「どうもありがとう」ボソッ
不良「こっちこそ」ボソッ
不良仲間B「え、今お前、あのガリ勉どもになんかいわなかったか?」
不良「さぁな」
勉強仲間B「秀才君、あの不良たちになにかつぶやかなかった?」
秀才「さぁね」
不良と秀才とオタク。三人の密かな交流は続いた。
オタク「これはねぇ~超オススメ!」
オタク「かっこいいヤンキーがいっぱい出てくるんだよ!」
不良「ふーん、よし貸してくれよ」
秀才「……アニメもいいけど、勉強もしなよ。二人とも」
オタク「あ、君にもお勧めのアニメがあるんだ!」グフフッ
オタク「大学受験をテーマにしたアニメなんだけどねぇ。
アニメなのにけっこうシビアで、泣けるんだよねぇ~」
秀才「わ、分かった、見てみるよ」
不良(さすがの秀才も、オタクのマイペースぶりには敵わないらしいな)
不良「なるほど……」
オタク「なるほどねぇ~」ニィッ
秀才「…………」
秀才「君たちは理解が早くて、教えがいがあるよ。
もし君らがぼくくらい勉強してたら、
多分ぼくより成績がよかったんじゃないかな……」
不良「…………」
不良「バ~カ、おまえなにいってんだよ」
不良「俺は勉強してなかったからバカ、おまえは勉強してたから頭いい。
勉強してた俺、なんてのはハナから存在しないんだよ。
──なぁ、オタク?」
オタク「うんうん、アニメにハマってないボクなんて考えられないね!」グフフッ
不良「どうしたんだ、らしくないじゃねぇか? 秀才」
秀才「こないだ、ぼくなんか及びもつかないくらい頭いい人を知っちゃってね。
少し自信を失いかけていたんだ」
不良「ふぅ~ん……」
不良「まぁ、分からんでもないな。
俺たちの世界にも、絶対手を出しちゃダメなヤツってのがいるからな」
オタク「うんうん、どこにでもいるんだよねぇ~スゴイ人って」
不良「上を見てもキリねぇし、下を見てもしょうがねぇ。
俺は俺って、気楽にやるのがイチバンだぜ」
秀才「フッ……まさか、君なんかに励まされるとはね」
不良「なんかは余計だろ、ボケ」
オタク「アニメだったらそういう強敵を倒せるようになるんだけどねぇ~」グフフッ
不良「現実はアニメのようにはいかねーんだよ、オタク」
<学校>
教師「えぇ~ここ最近、この地域の中高生をターゲットにした暴行事件が多発している。
警察も動いているようだが、まだ捕まっておらん」
教師「みんなも気をつけるようにな!」
ザワザワ…… ガヤガヤ……
不良仲間A「オメェじゃねえの? 犯人」
不良「ンなわけねーだろ、ぶっ飛ばすぞ」
不良仲間A「ったく俺らを狙ってくれりゃ、返り討ちにしてやるんだけどな。
だけど、ヤンキー連中にもけっこうやられたヤツがいるらしいぞ」
不良仲間B「ヒャハハッ! 犯人探しでもやってみっか?」
不良「くっだらねぇ……興味ねえや」
<学校>
不良「!?」
不良仲間A「よ、よう……」ボロッ
不良「ひでぇケガじゃねえか! どうしたんだよ!」
不良仲間A「昨日、バイト帰りの夜道によ、いきなり襲われて
ボッコボコにされちまった……」
不良「どんなヤツだったんだよ!?」
不良仲間A「だが、すげぇパンチとキックだった。
多分フツーにやっても、やられてただろう……ありゃ強いぜ」
不良「……カタキは絶対取ってやるぜ!」
不良仲間A「すまねぇ……が、ムチャすんなよ」
不良「ムチャしねえ不良なんかいねえよ」
不良(そういや今日、不良仲間Bが休んでるな……)
不良(まさか、アイツも──)
不良の予感は当たっていた。
不良仲間Bも、夜道で何者かに襲われ病院送りにされてしまっていた。
一番キライなんだ!)
不良(どこのどいつか知らねーが、ふざけやがって……!)ギリッ
不良(絶対許さねぇ!)
不良(俺がブチのめしてやる!)
それから数日間、不良は夜道を当てもなくさまよったが、
結局犯人と遭遇することはなかった。
<予備校>
講師「この地域で発生してる暴行事件に、ウチの生徒も巻き込まれています。
受験を控える大事な時期、くれぐれも気をつけるようにしましょう!」
秀才「…………」
秀才(手当たり次第、って感じだな)
<アニメショップ>
オタク「なんだってぇ!?」
オタク仲間A「あぁ、ひどいことするヤツがいたもんだよ。
散々殴られた上に、金とか全部奪われたんだってさ」
オタク仲間B「我々も気をつけましょうぞ」
オタク「うん……」
不良、秀才、オタク。
三人は、自然と校舎裏に集結していた。
ザッ
不良「よう」
ザッ
秀才「やぁ」
ザッ
オタク「久しぶり~」グフフッ
だが、俺一人じゃ犯人にはたどり着けない。お前らの力を借りてぇ」
秀才「ぼくの予備校もだいぶ被害に遭っているよ。
落ち着いて勉強するためにも、犯人の蛮行を放っとくわけにはいかないね」
オタク「ボクもさ。アニメ好きな仲間が何人かやられてしまったよ……。
絶対許せないよ、こんなの!」
不良「俺たちが」
秀才「事件を」
オタク「解決しよう!」
三人の志が一つとなった。
ついに
警察のパトロールすらかいくぐるようなヤツなんだぜ?
聞いた話じゃ、他校のヤンキーどもも餌食になってるらしい」
秀才「ああ、犯人はかなりの知能犯のハズだ。
しかも腕っぷしも強く、武器を使うこともあるらしい……」
オタク「ハイスペックだねぇ」
秀才「でも優秀な犯人だからこそ、
事件を起こす日時や場所に法則性を持たせている可能性が高い」
オタク「どうして?」
秀才「捜査している人たちを心の中であざ笑うためさ。
法則性に気づけば防げるのにバカじゃないの、ってね」
秀才「とりあえず、この町の地図が欲しいな。
今までの事件の情報を整理すれば、なにか分かるかもしれない」
不良「地図帳持ってくるか?」
秀才「地図帳にはこの町の地図はないよ。仕方ない、買って──」
オタク「よぉし、ボクに任せてくれよ!」
オタク「ネットに接続して、と……縮尺はこんなものでいいかな?」
秀才「う、うん」
オタク「よぉ~し、この辺の地図を印刷しちゃうよ、少し待っててねぇ~」カチャカチャ
不良(コイツ、こんなもん学校に持ってきてるのか……!)
秀才(う~む、恐ろしいほどの手際のよさだ)
まもなく地図が出てきた。
オタク「はい、オッケー」
秀才「ありがとう、オタク君。事件のことは先生に聞いてきたから、
地図に覚えてる限りの犯行場所と時間を埋めていこう」
不良「う~ん、法則性なんてないぜ? 日時も場所もバラバラだ」
オタク「うん、とにかく色んな場所でやってるってことは分かったけどねぇ~」
秀才「…………」
秀才「不良君」
不良「なんだ?」
それを警察や教師にいうかい?」
不良「アホな質問するなよ、いうワケねーだろ。んな情けないこと……。
俺のダチも転んだ、とかバレバレの嘘ついたみたいだし」
秀才「うん、つまりこの地図には重要な情報が欠けている。
君たちのような不良がやられた時の情報が……」
秀才「この地図は、あくまでぼくが先生から得た情報を書き込んだだけだから、
ボコボコにされたことを恥じるような人たちの被害情報は欠けているハズだ」
不良「あ、そうか!」
不良「ようし、この辺の不良の連絡先はだいたい知ってるからな。
すぐに聞いてやるよ」
不良「完璧じゃねーけど、不良どもの被害状況が分かったぜ」
秀才「……ありがとう。じゃあ、それを書き込んでみよう」
秀才は地図の中に、不良が得た情報を書き加えていく。
すると──
不良「あ……!」
オタク「おおお~っ! これはスゴイねぇ。
三日おきに、この町をグルグル回るように犯行場所を変えているよ!」
秀才「やはり法則性を持たせていたね。
おそらく犯人は、情報が欠けてしまうことも計算に入れてたんだろう。
恐ろしいヤツだよ、まったく」
秀才「次に事件を起こすのは、明日の夜だ。場所はこの辺りだ。
近くに大きい雑木林があるから、ここに連れ込む可能性が高い」
オタク「で、どうするんだい?」
不良「決まってんだろ。こんなクソヤロウは俺がこの手でブチのめす!
警察なんかに任せてられっかよ!」
秀才「あまり気は進まないけど、ぼくも手伝うよ。
君の強さを疑うワケじゃないけど、フォロー役がいた方がいいだろ?」
不良「なにぃ?」
オタク「ボクもやるよぉ~。なんだかワクワクしてきた」グフフッ
不良「……ちっ、お前ら足手まといになるなよな」
不良「わりぃ、遅れた」タタタッ
秀才「やれやれ、遅刻だ」
オタク「遅刻だよぉ~」コフゥ
不良「まぁ、多目に見てくれよ。で、オタク、お前なに持ってきてんだ」
オタク「エアガンと、犯人を捕まえるためのロープだよぉ~。
あと張り込み中は暇だろうから、漫画も数冊持ってきてあるよ」
不良「──ったく、しょうもないモン持ってきやがって……。
ま、俺だけでカタはつくと思うけどな」
秀才「この辺りだね……」ビクビク
オタク「どっからでも来い!」オドオド
不良「お前ら不自然すぎだぜ、犯人に警戒されたらオトリ捜査にならねーぞ」
すると──
青年「あの~君たち、向こうに可愛い女の子がいるんだけど、興味ない?」
あからさまに怪しい青年が現れた。
不良「うわ、怪しい……コイツが犯人か?」ボソッ
秀才「仲間かもしれないね。とにかく従ってみよう」ボソッ
オタク「ボクは二次元にしか興味ないなぁ~」
青年「へ?」
不良「なんでもない、なんでもない! スッゲー興味あるから、連れてってくれ!」
不良「おいおい、こんなところに女の子がいるのかよ?」
青年「変わり者の女の子でね。こういう中で楽しみたいんだってさ」
不良「ふぅ~ん」
オタク「野外プレイかぁ、マニアックだね!」グフフッ
しばらく歩くと、覆面をつけた男が立っていた。
青年「獲物を連れてきました!」
覆面「おう、ご苦労」
青年「こ、これで俺は見逃してもらえ──」
バキィッ!
覆面のハイキックで、青年は倒された。
オタク「うわぁっ!?」
秀才「なっ……!」
不良(なんて蹴りだ……! コイツ……とてつもなく強いぞ!)
覆面「さぁ~て、テメェら三人ともボコらせてもらうぜ。
なんも恨みはねぇが、俺っていわゆる暴力中毒者なもんだからさ」
覆面「人をボコるのが三度の飯より好きなんだよなァ、俺って」
秀才「なるほど……君が犯人か」
秀才「無関係な人を脅して誘い役にして、
人目につかないところに獲物をおびき寄せてから暴行を楽しむってワケか」
秀才「どんどん犯行が巧妙化しているようだね」
覆面「!?」
覆面「もしかしてお前ら、ここに来たのは偶然じゃないな?
犯行の法則性に気づいたってのか!?」
オタク「そうさ! ボクらが成敗してあげるから、覚悟するんだねぇ!
この悪党め!」キリッ
覆面「クックック、いいだろう」バッ
覆面の下には、ピアスまみれの凶悪な人相が潜んでいた。
DQN「ジャ~ン、イケメンだろ?」
秀才(なんて顔だ……いかにもワルって感じだ!)
オタク(ひぃぃぃぃっ!)
不良の世界に免疫のない二人が怯えるのも無理はなかった。
しかし、DQNに対してもっとも恐れを抱いていたのは不良だった。
不良(コイツ……もしかしてDQNじゃねえのか!?
やべぇ、コイツの噂は色々聞いてるが、俺なんかじゃとても敵わねぇ!)
不良(だが……喧嘩で勝てなくても逃げることはできるはず!)
不良「オイ、お前ら二人とも逃げ──」
DQN「お~い、一人で三人相手すんのはメンドイから、頼むわ」
不良「なっ!?」
キモオタ「ぐしゅしゅしゅ……こりゃあ面白そうな獲物でござるなぁ」ガサッ
不良(仲間がいたのか!? 俺たちと同じ三人組か……!)
秀才(彼は……エリート!?
勉強しなくとも一流大学に余裕で受かるといわれる彼が、なぜこんなことを!?)
オタク(おおっ、あれはキモオタ君だねぇ。
全国のオタクのカリスマ的存在にこんなところで会えるとはぁ~)グフフッ
DQN「コイツらけっこう頭がキレるぜ。
エリート、お前の作った法則性に警察より先に気づきやがった」
エリート「ふうん、凡人にしてはけっこうやるみたいだね。
ま、気づいたところで、この場をどうにかできなきゃ無意味だけどさ」
秀才「なるほど、君が裏で手を引いてたってワケかい。
どうりで、なかなか警察に尻尾をつかまれないワケだよ」
秀才「でも、顔を晒したのは失敗だったね。
ぼくらに警察に駆け込まれる前に、自首することを勧めるよ」
秀才「!?」
秀才「だ、だって、ぼくらは君らの顔を覚えたぞ!?」
エリート「おお、さすが凡人だ。なんて当たり前でつまらない答えなのだろうか。
──だったらさ、殺しちゃえばいいよね」
秀才「バカか!? 暴行するだけならともかく、殺したりしたら──」
エリート「うん、たしかにいくらぼくでも殺人の隠ぺいをするのは面倒だ。
でもさ、行方不明にするのは簡単なんだよ。
今、この一瞬でぼくは君らを行方不明にする方法を72通り思いついた」
エリート「一方の君たちは、特に策を持ち合わせているワケでもなさそうだ」
エリート「君の中途半端な知能指数と正義感が、死を招く結果になったワケだ。
悲しいねぇ……」
秀才「うぅっ……」ゾクッ
キモオタ「ぐしゅしゅっ、君のせこいエアガンで、小生の相手がどこまで務まるか、
楽しみでござるなぁ~」
キモオタ「ボクはアニメやゲームだけでなく、武器マニアでもあるのでござる」
キモオタ「小生の改造エアガンはアルミ缶くらいなら軽く貫通するでござるよぉ~。
ぐしゅしゅしゅ……」
オタク「いやぁ~こんな強敵と戦えるなんて光栄だよぉ!」
オタク「まるでアニメの主人公になったみたいだ!」グフフッ
オタク「──ねぇ、二人とも!」
オタク「ん、どうしたんだい? 二人とも」
不良「ダメだ……勝てねぇ……」
秀才「うん……これはもう、どうしようもない……」
オタク「どうしてだい?」
不良「あのDQNってヤツは、とんでもないワルなんだ……。
プロボクサーに勝ったとか、族をたった一人で潰したとか、
それこそアニメみてーな武勇伝をいくつも持ってやがる……」
不良「俺ら不良の世界にも、手を出しちゃいけないヤツってのがいる。
アイツはまさにそれだ。俺たちなんかが敵う相手じゃねえんだよ」
秀才「あっちのエリートもそうだ。
いつだったかぼくがいった“ぼくなんかじゃ及びもつかない人”ってのが
彼なんだよ……」
秀才「ぼくのせいだ……! まさか彼が犯人だったなんて予測もしなかった……」
DQN「ほぉ~分かってんじゃんか、ザコども。
なんなら生かしておいてやって、舎弟にしてやってもいいぜ?」
エリート「それが凡人にできる、一番賢い選択だね」
(いざという時、証拠をでっちあげて身代わりにもできるしね)
オタクが不良と秀才を叩いた。
秀才「うぐっ……!?」
不良「なにしやがんだ、テメェッ!」
オタク「戦いもせず、諦めるのかい?」
不良「あぁ!?」
オタク「自分たちより格上と戦うチャンス、しかも悪党から、逃げるのかい!?」
不良「……ざけんな! 現実はアニメみたいにいかねぇんだよ!
現実とアニメの区別もつかねえテメェにゃあ、分からねぇかもしれねえけどよ!」
不良「あぁ?」
オタク「アニメはあくまでアニメだよ。
アニメキャラがボクらより優れてるハズないだろう?」
オタク「だったら──」
オタク「ボクらにアニメキャラのようなことができないハズがないっ!」
不良&秀才「…………」
「ケッ、まさかお前に目を覚ましてもらえるとはな!」
不良「やってやるぜ、クソども! ダチのカタキ討ちだ!」ザッ
DQN「死ぬルートを選択したワケね。あっそ」ザッ
不良「おりゃあっ!」
バキッ!
不良は腕力があり、喧嘩のセンスもある。
彼の拳をまともに喰らって、立っていられた者はいなかった。
──ただし今日までの話であるが。
不良「!?」
DQN「いいパンチだ。……でもまぁ、二流ってとこだな」
ガキィッ!
DQNのヒジ打ちが、不良の頭にヒットした。
不良「ぐぁっ……!」
ぼくだって不良君から、喧嘩のやり方を習ったんだ! やれるハズだ!)
エリート「なんだ結局そうくるの? 凡人未満だねぇ、君たちは」
秀才「うるさいっ!」
ブオンッ!
不良から習ったパンチで、エリートの顔面を狙う。
が、あっさりかわされる。
エリート「君もそこそこ頭はキレるようだけど、ま、そこそこだね。
そこいくとぼくなんかホラ、なにやっても一流だからさ」
バキィッ!
エリートの右拳が、秀才の頬をえぐる。
エリート「DQN君ほどじゃないけど、ぼくもけっこう強いんだよ。
いやぁ、才能ってのは恐ろしいねえ」
秀才(くっ、くそぉ……!)
キモオタ「ぐしゅっ、しゅしゅしゅっ……!」
キモオタ「じゃあ小生たちも始めようか?」
ズパンッ!
キモオタの改造エアガンから飛び出したBB弾が、オタクの耳をかすめた。
まともに当たれば耳たぶをふっ飛ばしかねない迫力であった。
キモオタ「うひょぉ~! さすが小生、目に当たれば失明確定でござるな!」
オタク「うおあああっ!」ダッ
エアガンで応戦するかと思いきや、オタクはキモオタめがけて突っ込んだ。
キモオタ「おおっ、まさかの肉弾戦でござるか!?」
オタク(コイツはエアガンなしじゃ、大したことないはずだ。
早くコイツをやっつけて、二人に加勢しないとぉ~!)
キモオタ「うっとうしい……仕方ないでござるな」
ドスッ!
キモオタは隠し持っていたナイフを、オタクの腹に突き刺した。
オタク「うっ……!」
キモオタ「小生、ガンマンでありながらナイフ使いでもあるのでござる。
ぐしゅしゅしゅ……」
キモオタ「今時、肉弾戦なんて流行らないでござるよ。
やっぱり今の時代は、チート武器でズドン! でござる」
オタク「あぐぅぅぅ……!」ドサッ
不良「オタクゥゥゥッ!」
DQN「さすがキモオタ!」
DQN「将来は、海外に行って死の商人をやりたいとかいってるだけあるわ!
ちゅうちょなく刺しやがった、ギャハハハハッ!」
不良「ざっけんじゃねえ、ブッ殺す!」
バキッ! ドカッ! ドゴッ!
怒りに燃える不良が、DQN相手に盛り返す──が。
ドゴォッ!
DQNのボディブローが、不良の腹にめり込む。やはり地力の差は大きい。
不良「ぐお……っ!」
DQN「ザコが、調子に乗りやがって……。
安心しろよ、すぐにテメェも送ってやるからよ」
秀才「君らは……そんなに恵まれた才能を持っていて、
なぜこんな下らない事件を起こしたんだっ!?」
大声で怒鳴りつける秀才。
エリート「お、キレたふりして叫んで、助けを呼ぼうって作戦かい?
無駄だよ、ここら辺は人通りがないからね」
秀才(バレたか……! しかし早く助けを呼ばないとオタク君が死ぬ!
──いや、みんな殺される!)
エリート「まぁせっかくだ、答えてあげよう」
エリート「ぼくのような一流にはねえ、やっぱり周囲の期待も大きいんだ。
だから重圧から生じるストレスを解消するため……
彼らと組んで人狩りをするようになったのさ」
秀才「天才ならではの悩みってヤツかい?」
エリート「…………」プッ
エリート「アハハハハハハハハハッ!」
なんでカスどもの期待なんかを気にする必要がある?」
エリート「というか、ぼくは適当にやってても周囲の期待以上になっちゃうんだよね」
秀才「!」
エリート「ぼくが人狩りをやったのはね、ヒマだったからだよ。
それ以上でも、それ以下でもないさ」
エリート「ぼくって何でもできちゃうから、いっつも退屈しててねぇ」
エリート「そんな時、暴力の権化みたいなDQN君と、
エアガンとかナイフが大好きなキモオタ君に出会ったのさ」
エリート「彼らもまた、ぼくとはちがう分野でのエリート。
引かれ合うところがあったのかもしれないね」
エリート「ぼくが計画を立て、DQN君の暴力とキモオタ君の武器で、
次々とカスどもを無差別に病院送りにしてやったよ」
エリート「君らもどうやらタイプのちがう三人がそろったトリオのようだが、
まさにぼくらの下位互換って感じだね、アハハハハッ!」
秀才「……ぐっ!」
オタク「ボクらが君らの下位互換……? とんでもない思い上がりだねぇ~」グフフッ
腹をナイフで刺されたはずのオタクが、起き上がった。
キモオタ「おぅわっ! バカな……おぬし生きてたでござるか!?」
オタク(腹の中に漫画を隠し持っててよかったよ……。
ちょっとだけ刺さったけど……これくらいなら平気だ)
オタク「ボクはね、あのサボりスポットで二人に会えたことを感謝してるよ。
勉強教えてもらったり、アニメの話をしたり……楽しかった。
今だって殺されかけてるけど、一緒に戦えて嬉しい」
オタク「ボクらはれっきとした仲間なんだ!
それに引きかえ、君たちはただ人を傷つけたいだけの三人組だ!」
オタク「君たちなんかボクらの上位互換どころか、下位互換ですらない」
オタク「ただのどうしようもないダメ人間が、三人集まっただけじゃないかぁ~!」
エリート「ほう、ぼくに向かってそんな口を叩いたのは君が初めてだよ」ピクッ
キモオタ「ぐしゅしゅっ、小生を愚弄するとは……!」イラッ
オタクの言葉は三人の自尊心をひどく傷つけた。
秀才「────!」ハッ
秀才「二人とも、ぼくのところに集まってくれ!」
不良「……お、おう!」ダッ
オタク「分かったよ!」ダッ
秀才の号令で、三人が一ヶ所に固まる。
DQN「逃がすかよ、テメェらまとめて殺してやる!」ダッ
キモオタ「今度は首をサクッと切ってやるでござるよ!」ダッ
秀才「しゃがめっ!」
バッ!
秀才のところに集まった三人が一斉にしゃがむ。
すると、DQNの拳の前にはエリートがいた。
エリート「え?」
DQN「あっ」
ガツンッ!
エリート「ぶげぇっ……!」ドサッ
DQNのパンチで前歯を折られ、エリートが崩れ落ちた。
秀才(や、やった……マグレっぽいけど、うまくいった!)
DQN「ちぃっ、しまった……!」
しかし、DQNの次はナイフを振りかざしたキモオタが迫ってきた。
オタクがエアガンを放つ。
BB弾が、キモオタの右手にヒットした。
その拍子にナイフが投げ出され、DQNの頬をかすめた。
DQN「!」
DQN「いってぇ……」
抑え役のエリートが退場したこともあり、ついにDQNがキレた。
DQN「…………!」ブチブチッ
ドゴッ!
キモオタ「ぐげ──っ!」
DQNの中段蹴りが、キモオタを吹っ飛ばした。
DQN「テメェら、殺してやる、殺してやるぜ!
腹かっさばいて、内臓引きずりだしてやっからよォォォッ!」
目を血走らせ、DQNがキモオタのナイフを拾おうとする。
だがそこに、猛然とオタクと秀才が突っ込んだ。
秀才&オタク「うわあぁぁぁっ!」
ドガッ!
DQN「うごぉっ!?」
オタク「うひぃっ!」
秀才「ぐうっ!」
あっけなく振りほどかれる二人。
ここでDQNは次の行動をどうするか、一瞬悩んだ。
ナイフを拾うのが先か、あるいは二人にトドメを刺すのが先か。
だが──
不良「うおらあぁぁぁぁっ!!!」
DQN「!?」
DQNが行動を選択するよりも、不良が飛びかかるのが早かった。
ガゴォンッ!
全体重を乗せた捨て身の右ストレートが、DQNの顎を射抜いた。
いかにDQNといえど、無防備な状態でこの一撃に耐えられるはずもなく──
DQN「あぐぁ……っ」グラッ
ドザァッ……!
──白目をむき、ぶっ倒れた。
それに対してスペックの低さを補うチームワーク
王道で好きです
不良「よっしゃ、よっしゃあああっ!」
オタク「やったぁ~!」
秀才「……さてと、通報しようか」
不良「──ったく、相変わらずクールなヤツだな。もっと喜べよ」
オタク「そうだよ、ボクの頭の中でファンファーレが鳴ってるよ。
きっと経験値がいっぱい手に入ったよ」
オタク「レベルアップしまくってるよ、きっと」
秀才「やれやれ、君たちは相変わらずだな」
不良「いてて……勝つには勝ったが、全身殴られまくっちまったぜ。
お前らは大丈夫か?」
秀才「ぼくもあちこち殴られたけど、なんとか……」
オタク「ボクも刺されたけど、漫画のおかげで助かったよぉ~」
不良「ふぅ~……ま、よくやったよ、俺たち」
オタク「だからいったろう?
アニメキャラにできることが、ボクらにできないハズがないって」グフフッ
不良「ハハ、どうせならもう少しかっこよく勝ちたかったがな」
ぼくらは勝てなかっただろうね」
不良「オイオイ、らしくねーな。
そこはぼくの頭脳があればこそ、とかいっとけよ」
オタク「うんうん、秀才君のおかげで彼らの仲間割れを誘えたんだからねぇ~」
秀才「オタク君が彼らに“ダメ人間”っていった時、
彼らは自分がいわれたことについてだけ、怒っていた」
秀才「あれでピンときたんだ。彼らの間にチームワークも信頼関係もないって」
秀才「あの三人は本当に強かったよ」
秀才「ぼくらは個々の力では完全に負けていた……。
でもなんていうのかな、ぼくらの結束の力が彼らを上回ったんだ」
不良「……だな!」
オタク「そうだねぇ~!」グフフッ
不良&秀才&オタク「ハッハッハッハッハ……!」
連続暴行犯である、DQN、エリート、キモオタは捕まった。
彼ら三人はいずれも、各々の分野においてトップクラスの逸材であった。
本来なら、不良、秀才、オタクが束になっても敵う相手ではなかった。
しかし、勝ち目のなかった三つの力が、結束することで輝きを増し、
三つの才能の暴走を食い止めたのである。
<学校>
彼らは一躍ヒーローとなっていた。
不良仲間A「さすがだぜ、まさかあのDQNを倒すなんてよ!
これでお前の名前も一気に全国レベルになったんじゃねえか!?」
不良仲間B「ありがとよ~、俺のカタキを取ってくれて!
お前はバカだけど最強だよ、ヒャハハハッ!」
不良「バ~カ、俺だけの力じゃねえよ。
他の二人がいなかったら、まちがいなく俺は今頃あの世だったぜ」
不良仲間A「まっさか、お前があの秀才やオタクとつるんでたとはな。
今までああいうヤツらをバカにしてたが、ヤツらもやるもんだな」
不良仲間B「ああ、今回ばかりはまいったよ」
不良(まったくだぜ……。こうしていられるのも、あの二人のおかげだ……)
今回の件ですっかり公になってしまった。
しかし、彼らはそれに後ろめたさを感じることもなく、
人がいるところでも堂々とコミュニケーションを取るようになった。
彼らはそれぞれ不良であり、秀才であり、オタクであり続けたが、
生き方はちがえど彼らが結んだ友情はたしかなものであった。
やがて、彼らが校舎裏でサボることはなくなっていった……。
不良「ようオタク、こないだ借りたアニメ、面白かったぜ!
やっぱ俺はああいう単純な話のがいいな」
オタク「いや~気に入ってもらえてよかったよ!」
不良「秀才、お前のおかげで中間テスト全部平均点以上だったぜ。
いっつも赤点の常連だったってのによ!」
秀才「まぁ、ぼくの教え方がヘタじゃなかったことで、よかったよ。
君こそ、すごい飛び蹴りを教えてくれるって約束忘れてないだろ?」
不良「おう、任せとけ! ただし、使うんじゃねえぞ」
オタク「おっとボクにも教えてくれよぉ~」
彼ら三人はこの学校の名物トリオとして、末永く語り継がれることになったという──
~おわり~
面白かった
乙
普通に面白かった
Entry ⇒ 2012.04.24 | Category ⇒ その他 | Comments (0) | Trackbacks (0)
千早「私、みんなにニックネームを付けたいのだけれど」
http://hayabusa.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1335093322/
千早「私、本当はみんなともっと打ち解けたいのだけれど、社交性が無くて…」
真「そんなこと無いと思うけどなぁ」
千早「いえ。自分で良く分かっているの」
律子「それでニックネームを?」
千早「ええ。亜美や真美のようにみんなを可愛いニックネームで呼べば、もっと仲良くなれるんじゃないかって」
亜美「亜美たちが呼んでるのと同じじゃダメなの?"はるるん"とか"まこちん"って」
千早「真似はしたくないから」
真美「なるほどね→」
やよい「はい!可愛いニックネーム付けてくださいね、千早さん!」
千早「ええ、任せて。自分で言うのも何だけど、自信があるの」
美希「まずは誰のニックネームからなの?」
千早「そうね…やっぱり春香かしら?」
雪歩「えへへ。2人は親友だもんね」
春香「えへへ…じゃあ千早ちゃん、可愛いニックネーム付けてね!」
あずさ「うふふ。春香ちゃんのトレードマークよね~」
千早「はい。それから…よく転ぶわ」
貴音「それはにっくねーむと関係があるのでしょうか?」
千早「よく転ぶ、リボン…」
小鳥「あ、あの、千早ちゃん?」
千早「転ぶリボン…」
雪歩「嫌な予感がしますぅ…」
千早「すってんころりんリボン…」
春香「ち、千早ちゃん?
千早「"すってんリボン"なんてどうかしら?」
春香「えっ!?」
伊織(ヒドイわ…)
響(ヒドイぞ…)
真(ヒドイや…)
春香「え、えっと…」
千早「…」ジーッ
春香「か、可愛いと思うな!すっごく!」
千早「…良かった。じゃあ、これからは春香のことを"すってんリボン"って呼ぶわね」
春香「う、嬉しいよ千早ちゃん!」
千早「もちろんよ」
真「嫌な予感しかしないんだけど」ヒソヒソ
伊織「私に言わないでよ」ヒソヒソ
あずさ「お次は誰かしら~?」
千早「そうね…ニックネームを付けられた人に、次の人を指名して貰おうかしら?」
春香「私が指名すれば良いのかな?」
千早「ええ。お願い、すってんリボン」
春香「じゃ、じゃあ…やよいで」
やよい「私ですかぁ?」
響「ああ。それは分かるかも」
千早「そして高槻さんと言えば…もやし」
伊織「ものすごく短絡的ね、それ」
やよい「たしかにもやしは美味しいですけど…」
千早「高槻さんには○○ちゃんって付けたいから…」
真「まさか…」
千早「"もやしちゃん"?」
やよい「えっ!?」
律子「やよい」ヒソヒソ
響「ここは空気を読むべきだぞ」ヒソヒソ
やよい「う、うっうー!とっても可愛いですぅ!」
千早「良かった…あらためてよろしくね、もやしちゃん」
やよい「は、はい!こちらこそ!」
亜美「可愛いってなんだっけ?」ヒソヒソ
真美「真美、分かんなくなってきたよ…」ヒソヒソ
やよい「えっと…じゃあ、伊織ちゃんで」
伊織「まぁ、そうなるわよね…」
千早「水瀬さんか…おでこのことは触れたくないわね。本人も嫌がってるみたいだし」
美希「でこちゃん可愛いのになぁ」
伊織「でこちゃんゆーな!」
千早「水瀬さんの特徴は…ツンデレ、お嬢様、うさぎのぬいぐるみ、ピンク」
響「全く予想がつかないぞ…」
春香「なんかいかがわしいね…」
千早「気が散るから黙ってて、すってんリボン」
春香「ご、ごめんなさい」
千早「…"ピンク嬢"?」
伊織「えっ!?」
伊織「む、昔のポルノ女優」
真「伊織」ヒソヒソ
律子「こらえて」ヒソヒソ
伊織「ぐ…ま、まぁまぁ可愛い…んじゃない?」
千早「ありがとうピンク嬢」
伊織「むきーっ!」
春香「伊織、我慢だよ、我慢!」ヒソヒソ
千早「ではピンク嬢、次の人を指名してちょうだい」
真「ボ、ボク?」
千早「次は真か…」
真「お手柔らかに…」
千早「真は…とっても凛々しくてダンスが上手だわ。そしてイメージカラーは黒」
貴音「今回は何やらまともですね」
律子「楽観するのはまだ早いわ」
雪歩「嫌な流れですぅ…」
真「ボ、"ボク"っていうのは無視してもらっても…」
千早「凛…ボク…」
春香「考えてる考えてる…」
千早「"凛太郎"!」
真「えっ!?」
真「太郎…」
やよい「真さん」ヒソヒソ
伊織「ピンク嬢よりマシでしょ?」ヒソヒソ
千早「…」ジーッ
真「…とっても…可愛いです」
千早「良かった。ダンスマンと迷ったのだけれど」
真「り、凛太郎が良い!」
貴音「不憫な…」
真「じゃあ…雪歩で」
雪歩「ふわぁ!」
真「ごめん雪歩」
雪歩「き、気にしないで真ちゃん」
千早「萩原さんも小動物のイメージなのよね」
あずさ「あら~。○○ちゃん、になるのかしら~?」
雪歩「う、ううん、気にしないで千早ちゃん」
響「気にするべきだと思うぞ…」
千早「穴はホール…はっ!ホールを堀る!ふ、ふふふ…」プルプル
真「なんか1人でツボってるけど…」
やよい「大丈夫ですかぁ?」
千早「はぁ…もう大丈夫よ。ありがとうもやしちゃん」
やよい「う…」
伊織「やよいが引くって相当ね」
千早「萩原さんは…」
雪歩「は、はい!」
千早「"白子"ちゃん」
雪歩「えっ!?」
麻痺してるな
千早「それは"しらこ"。萩原さんは"しろこ"よ」
伊織「漢字にすると紛らわしいのよね」
亜美「でもけっこうマトモだね→」
雪歩「し、白子ちゃんですね?」
千早「ええ。気にいってもらえたかしら?」
雪歩「と、とっても…」
真美「アニメキャラにそんな名前いたような」
美希「気にしたら負けなの」
雪歩「う、うん、ありがとうすってんリボンちゃん」
千早「では白子ちゃん、指名をお願い」
雪歩「じゃあ…四条さんに」
貴音「わたくしの番ですか…」
千早「四条さんは古風でミステリアスなイメージ。それから月が好きみたいね」
律子「ここまでは悪くないのよね」
伊織「頭の中でどう変換すればああなるのかしら、まったく」
亜美「思考タイム入りました→」
千早「月と…麺」
真「なんでそっちに飛ぶんだよ…」
千早「月…麺…月麺…」
雪歩「はわわ…」
千早「"月麺着陸"!」
貴音「なんと!?」
律子「ひょっとして月面着陸とかけてる?」
千早「よく気付いたわね。さすがだわ、律子」
小鳥「ニックネームに"着陸"はちょっと…」
千早「そうでしょうか?」
響「なんか芸名みたいだぞ…」
貴音「わたくしは…あなたの意志を尊重いたします、如月千早」
伊織「どんだけ器デカいのよ…」
貴音「ふふ…何やら面映ゆいですね」
真美「お姫ちんもけっこう独特なセンスしてるからねぇ」ヒソヒソ
春香「本気で気にいってたりして」ヒソヒソ
千早「では次の指名をよろしく、月麺着陸」
貴音「はい。響、あたなの番ですよ?」
響「りょ、了解!」
響「う、うん…」
千早「動物…アニマル…アニ丸…
伊織「なんでそんな発想になるのよ…」
千早「沖縄…琉球…アニ丸」
春香「まさか…」
千早「"琉球アニ丸"…」
響「えっ!?」
真「いいな響、フルネームだよ」
千早「あら?凛太郎も名字が欲しかったのかしら?」
真「り、凛太郎で十分です!」
千早「そう、残念だわ。それで、どうかしら?琉球アニ丸は?」
響「う、うん!気に入ったさー!」
千早「自分で言うのも何だけど、自信作なの」
響「は、ははは…」
響「じゃあ…あずささん」
あずさ「あら~」
千早「あずささんの特徴は…くっ…」
春香「ち、千早ちゃん?」
伊織「なに勝手に凹んでるのよ」
あずさ「?」
千早「お姉さん、迷子、それから…くっ…」
やよい「千早さん辛そうですぅ…」
は?
あずさ「楽しみだわ~」
亜美「あずさお姉ちゃんも器広いからねぇ」
真「たいていのことなら許してくれそうだけど…」
千早「やはりあずささんには"○○さん"と付けるべきよね…」
響「そこはちゃんとするんだね…」
千早「紫…パープル…胸…くっ…」
律子「苦しんでる苦しんでる」
千早「パープル…胸…姉さん」
あずさ「あら~?」
千早「"プルプル姉さん"…」
あずさ「えっ!?」
こんなの考えてたら頭沸騰するだろwwww
あずさ「え、ええっとぉ…」
伊織「意味分かって無いわよね、あずさ」ヒソヒソ
雪歩「う、うん」ヒソヒソ
あずさ「か、可愛いと思うわ~。柔らかそうで」
千早「…良かった」
真「何ひとつ良くないよ…」
あずさ「そうねぇ…それじゃ、律子さんに」
律子「う…いよいよ私ですか」
千早「律子は…やっぱり眼鏡よね」
春香「そこは予想通りだね」ヒソヒソ
真美「問題はここからだよね」ヒソヒソ
真「思考タイム入ったね…」
千早「意外と可愛い物が好きだから、"○○ちゃん"って付けたいわ…」
響「お、それは予想外だぞ」
千早「機械…メカ…」
伊織「いま千早の頭の中はどうなってるのかしら…」
千早「眼鏡…メガネ…メカ…はっ!」
亜美「なんか閃いたみたいだねぇ」
千早「"メカネちゃん"!」
律子「えっ!?」
律子「え、えっと…」
やよい「メカネって言いにくいですぅ」ヒソヒソ
伊織「知らないわよそんなの」ヒソヒソ
律子「と、とっても良いんじゃないかしら!」
千早「ふふ…律子ならそう言ってくれると思ったわ」
貴音「何ゆえそう思ったのでしょう…」
律子「そ、それじゃあ…小鳥さんに」
小鳥「わ、私もですか?」
千早「当然です。765プロの仲間なんですから」
春香「仲間にすってんリボン…」
千早「音無さんにもやはり"○○さん"を付けるべきですよね…」
小鳥「お、お任せするわ」
雪歩「すでに悪い予感しかしないですぅ…」
千早「小鳥…ひよこ…」
律子「そういう風に連想するのね…」
千早「ひよこ…テンパりやすい…」
亜美「亜美、ワケがわからないよ…」
伊織「奇遇ね。私もよ」
千早「ひよこ…雛…テンパり…」
響「長考してるぞ…」
千早「"雛テンパさん"…」
小鳥「えっ!?」
千早「いえ、"雛テンパさん"よ」
亜美「亜美、やっぱりワケがわからないよ…」
伊織「残念ね。私もよ」
千早「いかがですか?」
小鳥「い、良いんじゃないかしら!」
千早「良かった…今回は苦労しました。やはり雛テンパさんは最年長者ですから、失礼に当たらないように」
響「そこまで気を回しておきながら、雛テンパ…」
小鳥「えっと…」
美希「あふぅ…」
小鳥「美希ちゃんは寝てるから…真美ちゃんに」
真美「とうとう来ちゃったね…」
春香「でも、亜美と真美に別々のニックネームを付けるのは難しそうだね」
千早「ええ…だけど頑張るわ、すってんリボン」
春香「う、うん、頑張って…」
真「言ってることはマトモなんだけどね…」
千早「真美…マミー…」
雪歩「いきなり飛んじゃったね…」
千早「マミー…マミー…」
響「マミーってミイラじゃなかったっけ…?」
千早「マミーポコ!」
真美「えっ!?」
千早「"マミーポコ"…とても可愛いと思うわ」
伊織「そりゃあ、名前の響きは可愛いけど…」
千早「どうかしら、真美?」
真美「う、うんとね→…」
真「真美」ヒソヒソ
律子「真美」ヒソヒソ
真美「ま、真美、ちょ→気に入っちゃったよ!」
千早「そう。良かったわ」
これはひどい
真美「じゃあ、亜美で」
亜美「だよね…」
千早「亜美…アミ…アミノ酸…」
亜美「えっ!?」
千早「さすがにそれは無いわよね…」
亜美「あ、危ないとこだった…」
真「セーフだね…」
律子「何やらいかつい方向に…」
千早「双海…アーミー」
真「名字付きなのかな…?」
千早「双子は考慮したくないから、"双"を外して…」
真美「は、外して?」
千早「"海アーミー"…」
亜美「えっ!?」
律子「"海アーミー"って言葉のリズムはいいんだけど…」
千早「アミノ酸の方が良いかしら?それともアミダくじ?」
亜美「あ、亜美、海アーミーがいい!」
千早「ふふ…亜美ならそう言うと思ったわ」
響「いや、亜美じゃなくても」
千早「何か言ったかしら、アニ丸?」
響「な、なんでもないさー!」
春香「すでに名字を省略してるし…」
あずさ「美希ちゃん?出番ですよ~?」
美希「あふぅ…美希の番?」
あずさ「そうよ~」
千早「ありがとうございます、プルプル姉さん」
あずさ「いえいえ~」
真「ボク、プルプル姉さんってけっこうツボなんだけど…」ヒソヒソ
律子「実は私も…」ヒソヒソ
伊織「すでに良くなる要素が無いわよね、それ…」
千早「寝る…ねる…」
雪歩「なんでひらがなに…」
千早「ねる…ねる…」
真美「ねるねる言いすぎだよ…」
千早「!それよ、マミーポコ!!!」
真美「へ?」
千早「"ねるねる寝るね"よ!」
美希「えっ!?」
 ̄ ̄ ̄二二ニ=-
'''''""" ̄ ̄
-=ニニニニ=-
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_<ヽ/>_ \ _>──- 、 , --──- 、
/´ \ ヽ / \ / -===@\
/ / / /| \ ヽ | / ′/ ||ヽ ヽ /:/:::i:::::::i:::::::i::::::::ヽ:::
| | /|/ i人|\∧ | | И ∧/ |ノ\|\ ヽ ヽ| |:||:::||::::::||::::::||::::::|::|:::|
ヽi ┃ ┃ヽ| | | ヽハ ┃ ┃ヽ|\L .~ハ ┃ ┃ヽ|八:〉
八 ヮ ,6)/ | (( _ノ{''' ゚~( ''' ,6) く 八 ヮ 6)::::〈
|.ヽ-r f´ ∧| `Z`ー/) f´ ヽ _ゝ 〉ノ:>__ <´:|:::::〉
|八0□と_) /´ ム ( ∪ く ヽ:¢\_ と_)∧/
し─、_|V´ Vし─、_|V´ ̄` し─、_|'"
琉球アニ丸 ねるねる寝るね 月麺着陸
┏━◎┏━┓ ┏□ ┏━┓┏┓ ┏━┓ ┏━━┓┏┳┓
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┗┛ ┗━┛┗━┛┗━━┛ ┗┛┗┛ ┗┛ ┗━━┛ ┗┛ ┗━┛
律子「駄菓子よね、確か」
千早「どう?"ねるねる寝るね"。寝れば寝るほど味が出るのよ?」
美希「えー。ミキ、もっと可愛い」
亜美「みきみきぃ」ヒソヒソ
伊織「ちょっとは耐えるってことを学びなさいよね」ヒソヒソ
美希「むー」
千早「気に入らなかったかしら?それなら"寝にぎり"という選択肢も」
美希「ね、ねるねる寝るねが良いと思うな、ミキ!」
すってんリボン「うん…」
凛太郎「まぁ、ね…」
マミーポコ「やよいっちはもやし業界からタイアップしそうだよね」
もやしちゃん「たいあっぷぅ?」
雛テンパさん「どうして私まで…」
メカネちゃん「仲間だからです」
琉球アニ丸「すぐに飽きてくれることを願うぞ…」
月麺着陸「わたくしはなかなか気に入っているのですが…」
海アーミー「お姫ちん…」
ピンク嬢「訴えたら勝てそうな気がするわ…」
白子ちゃん「ま、まぁまぁ伊織ちゃん…」
ねるねる寝るね「あふぅ…」
千早「そうそう。私のことは"ちぃちゃん"と呼んでもらえるかしら?」
一同「おいっ!!!」
お し ま い
ぴよちゃんが一番苦労した
読み返してきまーす
個人的には、すってんリボンと琉球アニ丸が好きだwww
Entry ⇒ 2012.04.24 | Category ⇒ アイマスSS | Comments (0) | Trackbacks (0)
まどか「ほむらちゃん、胸が小さくてもブラはしなきゃだめだよ?」
http://hayabusa.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1334308394/
ほむら「わざわざありがとうまどか」
まどか「うぇひひ、大切に使ってね」
ほむら「いける!」
ほむら「まどか、私って胸が小さいからブラしてないの」
まどか「え?ほむらちゃんもなの?わたしもなんだー」
ほむら「なん…だと…」
ほむら「そ、そう」
ほむら(まどかはノーブラ!)
まどか「そうだ!一緒に初ブラ買いに行こうよほむらちゃん!」
ほむら「!!」
まどか「さやかちゃんと一緒に行くのもなんだか恥ずかしいなって」
まどか「でもお互い初めてならって思ったんだけどだめかな?」
ほむら「えぇ、一緒に行きましょうまどか」
まどか「本当!よかったぁ」
まどか「ほむらちゃんが一緒なら安心だよ」
ほむら(今私頼られてる!)
ほむら「え?そ、それは…」
ほむら(まどブラが欲しかったとはいえないわ)
ほむら「は、初めてブラを買う上での注意点をまどかに聞いてみようと思って…」
ほむら「そう!まどかなら内緒にしてくれそうだしアドバイスが欲しかったのよ」
まどか「あ、そうなんだ…ごめんね役立てなくて」
ほむら「いいのよ、一緒に買いに行ってくれる人ができたことのほうが嬉しいわ」
まどか「うぇひひ、偶然に感謝だね」
ほむら「大丈夫よまどか、小さい人には小さいブラがきっとあるわ」
まどか「うぇひひ、ほむらちゃんと私はあんまり変わらないもんね!」
まどか「あ、ごめんねほむらちゃん、はしゃいじゃって」
ほむら「いいのよ、小さいのは事実だしまどかと一緒のほうが嬉しいわ」
まどか「うぇひひ、私もほむらちゃんと一緒でよかったよ」
ほむら(ダメよ、邪念にとらわれてはいけないわ)
ほむら(落ち着くのよ暁美ほむら)
まどか「あの……ほむらちゃん?」
ほむら「なにかしら」
まどか「えと……そんなに見つめられると恥ずかしいなって///」
ほむら「あ、ごめんなさいまどか///」
―――
まどか「いっぱいあるねー」
ほむら「えぇ、そうね」
まどか「でもサイズが大きな物ばっかりだね……」
ほむら(私のサイズがあるのは……)
ほむら「あっちの方に行ってみましょう」
まどか「うん!」
お客様、ちょっとこちらへ
ほむら「そうね、この辺から選びましょう」
ほむら(というかこの辺にしか私達が付けれるようなブラはないわ)
まどか「下着とセットなんだねー」
ほむら「そうね、持っている他の下着に合わせても問題がないといいのだけど」
まどか「うーん……」
まどか「あ、可愛い」
ほむら「一度試着してみた方がいいわ」
まどか「そうだね、うまく付けれるかな……」
ほむら「何事も経験よ」
まどか「じゃあちょっと試着してみるね」
ほむら(ブラの付け方がわからないまどかに助けを求められて二人で試着室へ)
ほむら(そこでブラについて私も初めてという設定なのでよくわからなくてまどかの胸を触ったりするのは自然!)
ほむら(さぁ、助けを求めなさいまどか)
「従業員のフリをするのはお控え下さい、お客様」
俺「お願いします///」
ほむら(まぁ付け方がわからないなんてことは普通ないわよね……)
ほむら「そう言われてもカーテンを開けないと見えないわまどか」
まどか「え、あ、そうだね……で、でも恥ずかしいなって」
ほむら「じゃあ私がカーテンから覗く感じでなら私しか見えないしいいかしら?」
まどか「うぇひひ、じゃあそれでお願いしてもいいかな?」
ほむら(まどか公認で覗きOKがきたわ!)
まどか「ど、どうかな?」
ほむら「とても似合っているわ」
まどか「本当!よかったぁ」
ほむら「ただ……」
まどか「?」
ほむら「せっかくのセットなのだから下の方もはいてみたらどうかしら?」
まどか「え、で、でも///」
ほむら「大丈夫よ、きっと似合うから……ね?」
まどか「じゃ、じゃあちょっと待ってね///」
ほむら(きたわぁ)
俺「はい///」
ほむら「……」ジィー
まどか「お、おかしい?」
ほむら(カメラに収めたい……)
ほむら「とても可愛いし似合っているわ」
まどか「な、なんだか下着姿は恥ずかしいな///」
ほむら「ところで他にもまどかに似合いそうなブラがあるのだけど着てみる?」
まどか「え?えっと……」
ほむら「絶対まどかに似合うと思うんだけど……あ、ごめんなさい、無理に着る必要はないのよ?」
まどか(ほむらちゃんが私のために探してくれたんだし)
まどか「じゃ、じゃあ着てみるね」
ほむら(着実に私の時代がきているわ)
ほむら「さっきのよりまどかの可愛らしさが出ていてとってもいいわ」
ほむら「この3つがまどかには似合っていると私は思うわ」
まどか「あ、ありがとうほむらちゃん///」
まどか「そ、そろそろほむらちゃんも試着して行かないとダメだね」
ほむら「え?あ、そうだったわね」
まどか「私のはほむらちゃんが見繕ってくれたからほむらちゃんのは私が見繕うね!」
ほむら(まどかが選んでくれた下着ってことはまどかの好みってことよね!)
ほむら「お願いするわ」
まどか「でも可愛い感じも似合いそうだし」
まどか「むしろほむらちゃんに似合わないものを探すほうが難しいのかな」
まどか「なんだかどんなものも着こなしちゃう感じがするし」
ほむら(私のために色々と探すまどか可愛い)
まどか「これかな」
ほむら(決まったみたいね)
まどか「ほむらちゃん、これを着てみて!」
ほむら「わかったわ」
ほむら「……あの、まどか?」
まどか「どうしたの?」
ほむら「き、着替え終わったら呼ぶから……その、ずっと覗かれていると恥ずかしいわ///」
まどか「あ、ご、ごめんね!」
まどか「じゃあ入るよー」
まどか「……」ジィー
ほむら「こうして見られると確かに恥ずかしいわね///」
まどか「すごいよほむらちゃん、とっても綺麗だよ!」
ほむら「本当?」
まどか「うん!見とれちゃったよ」
ほむら(嬉しいけどやっぱり恥ずかしいわね///)
まどか「えっと次はこっちを」
ほむら「え、えぇ///」
―――
まどか「うぇひひ、楽しかったね」
ほむら「そうね、それに目当ての物も買えたし」
ほむら(まどかがはいたけど買わなかったのとかも隠れて購入することに成功したし)
ほむら「ところでまどか」
まどか「何?」
ほむら「よかったら私の家に寄って行かない?」
ほむら「その、ブラの付け方が合っているか自信がないから見てもらいたいのよ」
ほむら(お手本をまどかにみせてもらうことでまどかの生着替えを見ることが可能になるはず!)
まどか「今日初ブラを買った私なんかでいいの?」
ほむら「それはお互い様でしょう?」
まどか「うぇひひ、私でいいならほむらちゃんのお家にお邪魔するね」
ほむら「ありがとうまどか」
まどか「お邪魔しまーす」
ほむら「いらっしゃいまどか」
まどか「なんだか一緒に来たのにそう言われると変な感じだね」
ほむら「ふふっそうね」
まどか「うぇひひ」
まどか「そうだね、早速ほむらちゃんの着替えを……えと、み、みせてね///」
ほむら(先に言われてしまった、お手本を見せてもらおうと思ってたのに……)
まどか「……」ジィー
ほむら「そ、そんなに見つめられると恥ずかしいわ///」
まどか「で、でも見てないと付け方見れないし///」
ほむら「そ、そうよね///」
まどか「やっぱり肌が白くて綺麗だなぁほむらちゃんって」
ほむら「///」
ほむら「じゃ、じゃあつけてみるから正しいか……み、見ていてね///」
ほむら(恥ずかしいけどこれを終えればお手本をみたいとゴネることでまどかの裸をみることができるはずよ)
ほむら(今は我慢よ、逃げ出したくなるような恥ずかしさを我慢するのよ私)
まどか「う、うん///」
まどか(ほむらちゃんがパンツ以外何もつけてない///)
まどか「多分だけど、いいんじゃないかな」
まどか「私もおんなじような感じでつけたよ」
ほむら「そ、そう///」
ほむら(まどかがおんなじように///)
まどか「う、うん///」
まどか(ほむらちゃんの顔が真っ赤で照れてるんだ、可愛いな///)
まどか「う、ううん、私も自分の付け方があってるって自信を持てたし///」
ほむら「ね、ねぇ」
まどか「な、何?」
ほむら「まどかが……その……ブラを付けるところを見せて欲しいんだけどダメかしら?」
まどか「え、そ、それって///」
ほむら「だ、ダメ?」
まどか「わ、わかったよほむらちゃん///」
ほむら(恥ずかしい思いをしたかいがあったわね///)
まどか「は、恥ずかしいね///」
ほむら「ごめんなさい、私のわがままで」
まどか「き、気にしないで///」
ほむら(まどかがパンツ以外何もつけてない///)
まどか「じゃ、じゃあブラをつけるね!」
ほむら「えぇ、お手本としてよく見させてもらうわね///」
まどか「う、うん///」
ほむら「……」ジィー
まどか「そ、その後にこうして、これでいいかな///」
ほむら「よ、よくわかったわありがとうまどか///」
まどか「うぇひひ、役立てたなら嬉しいな///」
まどか(恥ずかしくてほむらちゃんを見れないよ///)
まどか「どうしてブラがあるの!?」
ほむら「あ!」
まどか「も、もしかしてほむらちゃん、嘘ついてたの?」
ほむら「えっと、その……」
まどか「もしかしてブラをつけたほうがいいってことを教えてくれるために?」
ほむら「えっと……」
まどか「それに私が付け方が間違ってないかわざわざ気にしてくれたの?」
ほむら「その……」
まどか「私のためにそんなにしてくれたんだ……うぇひひ、ありがとうほむらちゃん!」
いい方に解釈してくれる
ほむら「だ、だだ、大好き!?」
まどか「うん!」ギュゥ
ほむら(まどかが私に抱きついて!?)
ほむら「ま、まどか!」
まどか「あ、ごめんね、はしゃいじゃって」
ほむら「私も大好きよ!」ギュゥ
まどか「///」
まどか「あ、えと///」
ほむら「その、今まで友達がいなくて、こんな私と友達になってくれたまどかが大好きで」
ほむら「ええとええと、まどかに大好きって言われて私も大好きって気持ちを伝えたくて」
ほむら「って何言ってるのかしらえっとえっと///」
まどか「うぇひひ///」
まどか「え?あ、本当だ!そろそろ帰らないと」
ほむら「送って行くわ」
まどか「う、ううん、今日はいいよ///」
ほむら「そ、そう///」
ほむら「突発的な事への対処力が足りないのは自覚していたのに……」
ピリリリリ
ほむら「まどかから電話……」
ほむら「もしもし」
まどか「もしもし、ごめんねほむらちゃん、こんな遅くに」
ほむら「どうかしたの?」
まどか「えと、今日はありがとう、また二人でお出かけしたり皆でもお出かけしようね」
ほむら「えぇ、いつでも付き合うわ!」
まどか「あとね、大好きって言ってくれてとっても嬉しかったよ///」
ほむら「私もあなたが大好きって言ってくれて嬉しかったわ///」
まどか「どうしてもほむらちゃんに、お礼だけ言いたくて電話したんだ」
ほむら「お礼をいうのは私の方なのに……あまり長電話をしては迷惑だし……それじゃあまた明日、おやすみまどか」
まどか「うぇひひ、おやすみなさい、大好きなほむらちゃん」
ほむら「も、もう///」
ほむら「あんなこと言われたら期待しちゃうじゃない///」
ほむら「……明日からもっと普通にまどかにアタックしてみようかな///」
―まどホーム―
まどか「うぇひひ///」
QB「まどか、君は買ってきた下着を抱きしめて何を笑っているんだい?」
まどか「み、見てたの!?」
QB「君が暁美ほむらに電話をしたあたりから見ていたよ」
まどか「な、なんで何も言ってくれなかったの!」
QB「電話中に話しかけてはいけないとマミに聞いていたからね」
まどか「もう……」
QB「暁美ほむらに関係する事でなにかいい事でもあったのかい?」
まどか「うぇひひ、内緒だよ」
終われ
マミさんやさやかちゃんや杏子ちゃんだしたかったけどもう眠いし許してくれ、まどほむは最高
あ、俺が起きた時にえっちぃことをしてるまどほむとかイチャラブしてるまどほむとか
このスレを乗っ取るなりスレを立てるなりで誰かが書いてくれてたらそれはとっても嬉しいなって
おやすみなさい
まだだ、まだ終わらんよ!
だがまだ足りん
まどか「おはよう、ほむらちゃん」
ほむら「あ、おはようまどか」
まどか「…///」
ほむら「…///」
まどか(どうしよう昨日テンションに任せてあんなこと言っちゃったけど)
まどか(なんか恥ずかしくて気まずいよ///)
まどか(何かしゃべらなきゃしゃべらなきゃ)
ほむら「あ、まd」
まどか「ほ、ほむらちゃん!」
ほむら「はひっ!」
まどか「あ、あのね!昨日はありがとう!今日さっそく履いてきたんだよ!ほら!」ピラッ
ほむら「ぶふッ!?」
さやか「何やってんだあいつら…」
仁美 「あ、朝っぱらからハレンチですわ…!」
ほむら(まどかがまどかがまどかが)
ほむら(どうしようどうしよう、きっと話題に困って無理しちゃってるんだ)
ほむら(何か話題を話題を話題を何かかにkんひ;;おpk)
まどか「あぅ、ご、ごめんね変なこt」
ほむら「ま、まどか!わ、わたしもまどかの選んでくれたパ、パンツ履いてきたの!」ピラッ
まどか「あ、ああ、ありがとうほむらちゃん!うれ嬉しいな!」
ほむら「~~~ッ!///」
まどか「~~~ッ!///」
さやか「一体なにが起きているというの…」ドンビキ
仁美 「キキキキキマシキマシマシマシマシマシヤサイマシマシ」アワアワ
ほむら「も、もちろんいいわ///」
まどほむ「…///」
まどか「さ、さやかちゃんたち来ないね!」
ほむら「そ、そうね!どうしたのかしら?」
さやか(出ていけるわけねーっ!)
仁美 「うふ、うふふふ、うふふふうふ」
さやか「ね、ねえ仁美、あいつらほっといて向こうの道から行こう…よ…?」
仁美 「ええ、そうですわ♪それがいいですわぁ♪」ニコオ
さやか(なんか仁美が怖い…!)
さやか「はぁ…はぁ…あっぶねえ…何とか間に合った…」ズサー
さやか(まどかと転校生は…やっぱ来てないか)
早乙女「美樹さん!HR始まってますよ!早く座りなさい!」
さやか「はっ、はいぃ!」
仁美 「~♪」スタスタ チャクセキ
さやか(って、何であたしばっか怒られてんの!?)ガビーン
――――――――
早乙女「千円札とは?英世ですか?漱石ですか?はい中沢くん!」ビシッ
中沢 「え、えーと…ど、どっちでもいいのではないかと…」
さやか(はあ…一体どうしたってんだあの二人は)ハア
さやか(そりゃまあ普段から睦まじい感じではあったけど…ん?)
(窓の外 校門前)
まどほむ「~~~」キャッキャ
さやか(手をつないで登校…だと…)
ほむら「うん…///」ギュ
まどか「今から教室に行ったら…怒られちゃうね」
ほむら「わ、私の具合が悪くなってまどかが介抱しててくれたことにすれば…」
まどか「でもそれだと逆に着くのが早すぎない?」
ほむら「…そう、かな…」
まどか「ねえ、ほむらちゃん」ギュ
ほむら「?」
まどか「一時間目だけ、さぼっちゃお?」
ほむら「…!」
まどか「中から行ったらばれちゃうね。裏口の非常階段から屋上に行こうよ」ヒッパリ
ほむら「あ、まどかっ…!」ヒッパラレ
ほむら(ああ…この感じ…)トテトテ
――クラスのみんなには、内緒だよっ!
ほむら(私があこがれた、かっこよくて自信に溢れてて、フリフリの衣装が似合う『鹿目さん』…)
ほむら(そうだ…私は)
ほむら(まどかを守ってリードするんじゃなくて…まどかにリードして欲しかったんだ)
まどか「風が気持ちいいねー」ノビー
ほむら「うん」
まどか「ほーむらちゃん」ギュッ
ほむら「!?」
まどか「どうしたの?何か元気なさそう」
ほむら「そう…かな?そんなこと、ないよ」
まどか「むー…」ジィー
ほむら「…///」
まどか「てぃひひ、ほむらちゃん可愛いなあ」
ほむら「な、何言ってるの///」
まどか「ほむらちゃんてさ」
まどか「いつもわたしを気にかけてくれて、守ってくれて、かっこいいなぁって思ってたけど」
まどか「何か今日は…雰囲気が違う気がするよ」
ほむら「そう…かな?」
まどか「しゃべり方もなんか…いつもと違う。わたしが逆に守ってあげたくなっちゃうな」
ほむら(きっと…昨日、どさくさに紛れて思いをぶちまけたことで)
ほむら(まどかの前では肩肘を張らなくなったからなんだろうな)
ほむら「うん…そうだね。これが、ほんとの私」
ほむら「私、かっこよくなんてないんだよ。余裕がなかっただけで…」
まどか「前に言ってた…ほむらちゃんが魔法少女になる前のこと?」
ほむら「そう。それでもしばらくは、まどかに守ってもらってばっかりだった。元気づけられてばっかりだった」
まどか「てぃひひ、嬉しいな。今のほむらちゃんがそんな顔を見せてくれるなんて」
まどか「すっごく穏やかで…ちょっと心配そうな」
ほむら「そ、そんな顔してた?」
まどか「不安?わたしが好きなのは、かっこいい方のほむらちゃんだけだったらって」
ほむら「そんなこと…」
ほむら(ないのかな…?どうなんだろう)
ほむら「あ…」
まどか「大丈夫だよ?今のほむらちゃん、すっごく可愛い。もっと好きになっちゃうくらい」
ほむら「…!///」カアア
まどか「そ、そんなに照れないでほしいな///」
ほむら「わ、私もね」
ほむら「今の、引っ張ってくれるまどかも大好きだよ」
ほむら「もちろんまどかのことならどんなまどかでも大好きだから」
まどか「てぃ、てぃひひひ///」
ほむら(勢いに任せて何言ってるの私はーっ!?)
ほむら「なあに?」
まどか「ほむらちゃんの『好き』って…どういう意味の『好き』…なのかな?」
ほむら「あわわわわわわ///」
まどか「そ、そういう意味だと思っちゃっていいのかな?///」
ほむら「あの、あの、その…」オタオタ
まどか「って、ほむらちゃんに先に言わせるのってズルいよね」
まどか「あのね、私がほむらちゃんに『好き』って言ったのはね…///」
ほむら「あぅあぅ!?」
ほむら「こ…?」
まどか「れん…」
ほむら「…///」
まどか「…///」
まどか「恋愛対象として好き!恋人として好き!大好きだよ!」
ほむら「ま、まどかぁ…!」ウルウル
ほむら「わ、私も…!」
ほむら「今までかっこつけて、守りたいとか大切な友達だとかごまかしてたけど…!」
ほむら「こここ、恋人としつきゃるの!」
ほむら「///」orz
まどか(大事なとこで噛むほむらちゃん可愛い!)
マミ (何これ…何これ)
誰か産業
キマ
シタ
ワー!
マミさん
は
見た
マミ (早く来すぎてちょっと屋上でひと休みしていつの間にか寝ちゃってたら)
マミ (何か鹿目さんと暁美さんがとんでもないことに)
マミ (決してぼっちとかそういう理由ではないのよ)
マミ (そこのあなた、聞いているんでしょう?分かってるのよ)
まどか「ほむらちゃん…」ギュ
ほむら「まどか…」ギュ
まどか「…」
ほむら「…」
まどか(どうしようどうしようどうしよう)
まどか(行けそうだから言っちゃってみたら両想いで嬉しくてほっとして)
まどか(こうして両手を握り合って見つめ合ってるけど)
まどか(やっぱりキス?そういう雰囲気だよね?そうなんだよね?)
まどか(行けそうだから言っちゃってみたら両想いで嬉しくてほっとして)
まどか(こうして両手を握り合って見つめ合ってるけど)
まどか(やっぱりキス?そういう雰囲気だよね?そうなんだよね?)
まどか(あわ、あわわわわわわ)
まどか(雰囲気に流されてすごいとこまで一気にいっちゃってるよ)
まどか(ほむらちゃんが真っ赤になって目をウルウルさせてるよかわいいよ)
まどか(も、もうここはわたしがリードするしか…ない、のかな)
まどか(むー!)
ほむら(近いよ顔が近いよかなめさんかなめさん)
ほむら(あ、何か決意したような顔になった)
ほむら(ああ、近い近い近い近づいてくる)
ほむら(ま、まどかぁーっ!)
チュ
QB 「ものすごいエネルギーの放出を検知したから来てみれば」
QB 「ほむまどからまどほむへの相転移…こんなものがあったのか」
QB 「希望から絶望への相転移の時に発生するエネルギーなんて目じゃないね」
QB 「しかもこれはまどほむからほむまどへ再び相転移するのも容易だ」
QB 「永久機関の発見と言って差し支えないだろう」
QB 「もう魔法少女システムは破棄だね」
QB 「これからはインキュベーターが総力を挙げて、二人をラブラブちゅっちゅさせるよ」
QB 「きゅっぷい!」
終わりだよ!
乙
Entry ⇒ 2012.04.24 | Category ⇒ まどかマギカSS | Comments (0) | Trackbacks (0)
京子「最近結衣が冷たい・・・」櫻子「最近向日葵が冷たい」
http://hayabusa.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1335014901/
櫻子「その・・・相談がありまして・・・」
京子「ん?どしたの?」
櫻子「あの・・・最近・・・向日葵が冷たくて・・・」
京子「ちっぱいちゃんもなの!?」
櫻子「え?もしかして!歳納先輩も!?」
京子「うん、そうなんだ・・・最近結衣が冷たくて」
櫻子「そんな船見先輩が・・・」
回想中♪--------------------
京子「・・・・ねぇ?」
結衣「ん?どうかした?」
京子「な、なんで、なんでなの!?結衣!!」ポロポロ
結衣「え?え?京子!どうかしたの!?」
京子「どうかしたの?じゃないよ!なんでなの!結衣!!」
結衣「しょうがないな、京子は・・・」ダキッ
京子「あ・・・ぅ//」
結衣「どうしたの?怖い夢でも見た?」
結衣「どうしたの?言ってごらん?」
京子「なんでお揃いじゃないの?」
結衣「・・・・・・・え?」
京子「毎日、おそろいのパジャマ着ようって約束したのに!なんで今日は違うパジャマなの!」
結衣「今日は雨で洗濯物が乾かなくてさ・・・」
京子「そんな言い訳聞きたくない!!」
結衣「むっ・・・さすがに我がままだぞ?京子」
結衣「え?」
京子「実家に帰らせて頂きます!!」
結衣「ちょっと待ってよ京子!」
京子「結衣の事なんて知らない!!」
結衣「き、京子ーーーー!!」
京子「ね?ひどいでしょ?」
櫻子「それはひどい!信じられません!!」
京子「でも、その後ちゃんと追ってきてくれて、最終的にコインランドリーの乾燥機で乾かしたんだー♪」
京子「あの時の結衣の必死な形相ったら・・・ふふふ//」
櫻子「仲直りできたんですね!」
京子「まぁ、結衣が悪かったんだけど、泣いて頼まれたらね」
京子「・・・で、ちっぱいちゃんの方は・・・」
回想中♪--------------------
向日葵「今日はクッキーを焼きましたわ♪」
櫻子「わーい♪クッキー♪」
櫻子「もぐし!うめぇ!!」
向日葵「まったく、『恋人になったら、毎日お菓子作って』って言われたときは、どうしようかと思いましたが」
向日葵「こんなに美味しく食べてくれるなら・・・幸せですわね//」
向日葵「どうかしましたの?」
櫻子「少ない・・・」
向日葵「へ?」
櫻子「いつもより、1枚少ない!!!」
向日葵「あっ・・・」
櫻子「どういうこと!?」バンバン
櫻子「むー」
向日葵「実は吉川さんに1枚差し上げまして・・・」
櫻子「私より先にちなつちゃんに!?」
向日葵「ちょっとだけ作り方を変えたから、櫻子に食べてもらう前に味見をして欲しくて」
櫻子「そんな言い訳聞きたくない!」
向日葵「え?」
櫻子「だって、1番最初に食べさせたのは、ちなつちゃんなんでしょ?私は2番・・・どうでもいいんだろ!?」
向日葵「そ、そんなわけないでしょ!我がまま言わないで!」
向日葵「え?」
櫻子「もう話しかけないでね、バイバイ」
向日葵「さ、櫻子ーーーーーー!!」
櫻子「まったく、向日葵は・・・」
京子「それ、浮気の可能性もあるかも・・・」
櫻子「え!?ひ、向日葵が!?」
櫻子「で、でもでもですね!向日葵泣いて謝って来たんですよ!」
櫻子「『今度から何があってもあなたが1番だから、別れないで!』って」
櫻子「しかもその後、アツいハグまで・・・えへへへ//」
京子「だったら、大丈夫かな?」
櫻子「ですよね//」
ちなつ「∵」
櫻子「正直私たち彼女にぞっこんで、他の事が見えないんだよね」
京子「彼女って//」
櫻子「あ・・・恋人同士とはいえ彼女って言葉・・・恥ずかしいですね//」
京子「ちっぱいちゃんったらー」
キャッキャキャッキャ♪
ちなつ「幼馴染なんか爆発しろーーーーー!!」ダダダダダ
京子「ち、ちなつちゃん!?」
櫻子「ちなつちゃん部室から出て行っちゃいましたね・・・」
京子「綾乃だー」
櫻子「お疲れ様です、杉浦先輩」
京子「何の用?」
綾乃「あっ、いつもの癖で間違ったわ・・・大室さん?お使い頼みたいんだけど」
櫻子「え?でも、もう少ししたら下校時間ですよ?」
綾乃「ああ、今日学校帰りに買って帰ってもらいたいの、月曜日に渡してくれればいいから」
櫻子「わかりました!」
綾乃「じゃあ、私生徒会室に戻るけど、忘れたら罰金バッキンガムなんだからね!」
櫻子「了解です」
櫻子「あっ、帰りに○○スーパーに寄っていいですか?杉浦先輩からプリンを頼まれてて・・・」
京子「いいよー」
西垣「爆発と聞いて」ガラガラ
松本「・・・・」
西垣「誰もいないな・・・おかしい絶対に『幼馴染なんか爆発しろー』って聞こえたはずなんだが・・・」
松本「・・・」
西垣「そうだな今回は私のミスだ、さぁ実験に戻るぞ松本」
松本「・・・」
西垣「やさしくしてねだと?ふっ、昨晩みたいにやさしくしてやるさ」
松本「・・・//」カァー
櫻子「いえいえ、私も向日葵にオムライス作ってもらいたいです」
京子「あっ、結衣だ!」
櫻子「・・・え?向日葵?」
京子「え?・・・・え?」
櫻子「何で・・・?向日葵が船見先輩と・・・?ひ、ひまわ」ムグッ
京子「ちょっと待って!様子を見よう!」
櫻子「」ムゴムゴ
櫻子「ぷはー、え?二人楽しそうに話をしてますよ!邪魔しないと!!」
京子「櫻子ちゃん黙って!」
京子「今、それどころじゃないでしょ?真面目にやって!」
櫻子「す、すいません」
櫻子「うぅぅ・・・」
京子「び、微妙に聞こえない・・・」
櫻子「・・・・」
京子「・・・・」
櫻子「なんか楽しそうですね」イライラ
京子「そうだね」イライラ
櫻子「向日葵が・・・船見先輩と二人で、船見先輩の家に・・・・」
京子「結衣ぃー」ポロポロ
櫻子「向日葵・・・信じてたのに・・・」ポロポロ
京子「私、もう帰る」グスグス
櫻子「うわぁぁん」ポロポロ
京子「・・・・」グスグス
京子「たぶん、何かの間違いだと思うけど・・・明日は学校休みだし・・・今から作戦会議しよ?ね?」
櫻子「・・・はい」グスグス
千歳「二人とも何かあったん?顔が酷い事になっとるで?」
京子「綾乃ーーー」ポロポロ
櫻子「杉浦先輩ー」ポロポロ
京子「結衣がーーー」
櫻子「向日葵がーー」
千歳「・・・全然考えられへんけどなー」
櫻子「・・・はい」
京子「うん、もしかしたら、ひまっちゃんが結衣にたまたま用事があっただけかもしれないけど・・・」
綾乃「でも、4時間たっても古谷さんは出てこなかったんでしょ?」
京子・櫻子「うわぁぁん」
千歳「綾乃ちゃん・・・」
綾乃「もう!2人とも泣き止みなさい!最近冷たかったって言ってるけど、具体的には?」
千歳「そうやな、なにか対策が練れるかもしれへんしな」
回想中♪--------------------
櫻子「アニメゆるゆり5巻借りてきたー!一緒に見よう♪」
向日葵「杉浦先輩たちの修学旅行の会ですわね?」
向日葵「私たち行ってませんし、ぜひ見てみましょう♪」
向日葵「あっ、カップケーキ作ったんですけど食べます?」
櫻子「食べる!向日葵のお菓子は全部食べる!」
向日葵「はいはい//」
向日葵「本当・・・楽しそうですわね♪」
櫻子「・・・ねぇ?//」スリスリ
向日葵「まったく仕方ありませんわね//」ナデナデ
櫻子「えへへへへ//」
向日葵「ふふふふふ//」
櫻子「あっ、お風呂シーン・・・露天風呂だ!」
向日葵「はぁ~気持ちよさそうですわね~、私も入りたいですわ~」
櫻子「!!」
櫻子「歳納先輩、洗いっこしようとしてる♪」
向日葵「わ、私もたまには洗いっことかしてみたいですわね//」チラッチラチラ
櫻子「・・・」
向日葵「え?」
櫻子「向日葵!お風呂シーンになってから、ガン見しすぎ!」
向日葵「はぁ!?ただTVを見ていただけじゃないですの!」
櫻子「しかも、アイキャッチは向日葵と池田先輩だし!」
向日葵「それを私に言われても・・・」
櫻子「洗いっこ?そんなに歳納先輩とやりたければ勝手にやってろ!帰る!」バタバタバタ
向日葵「さ、櫻子!?」
綾乃「・・・・え?」
京子「それはひどい・・・彼女の前で他の子ばかり見ているなんて・・・」
櫻子「ですよね!」
綾乃「え、えーと、古谷さんが冷たくなったって話じゃなかったかしら?」
櫻子「ナデナデする時間が減ったんです」
綾乃「へ?」
櫻子「ナデナデの時間が11分30秒だけだったんです!少なすぎると思いませんか!!!?」
綾乃「あ、はい」
櫻子「いつもなら、30分はナデナデしてくれるのに・・・お風呂シーンになったら急に手が止まって・・・」ションボリ
櫻子「え・・・ハッ!!・・・私が5巻を借りてきたばかりに・・・こんな事に!」
京子「ううん、ちっぱいちゃんは悪くないよ・・・すべては結衣の美貌のせいだよ」
櫻子「歳納先輩・・・ぎょめんなじゃい・・・」ポロポロ
京子「ううん、仕方ないよ・・・こればかりはね・・・結衣が魅力的なのがいけないんだ」
櫻子「わ、私に、魅力がないばかりに・・・うわぁぁぁん」
綾乃「わ、わかったから泣き止みなさい!!」
櫻子「うぅぅ・・は、はい」
綾乃「な、なんとなくわかってきた気がするわ」
千歳「せ、せやなー」
京子・櫻子「?」
京子「えーと、沢山あるから・・・」
綾乃「できるだけわかりやすいのでお願い」
千歳「あと、短いやつなー」
京子「うーん、じゃああの話を・・・・」
回想中♪--------------------
結衣「お帰り京子」
京子「ただいまー結衣ーー♪」
結衣「今からお風呂にする?ご飯にする?それとも・・・・えーとあのー・・・//」
京子「結衣がいいーー」ダキッ
結衣「まったく//・・・しょうがないなー京子は//」ギュウ
グーーーー
京子「おなかがすいた!ご飯!」
結衣「・・・・はぁ~」
結衣「うん、新メニュー・・・どうかな?」
京子「・・・・」パクパク
結衣「・・・」ドキドキ
京子「うん!美味しい!」
結衣「本当か・・・良かった」ホッ
京子「店で食べれるなら、1000円は出すね!」
結衣「具体的だな・・・まぁ、相場より高くて良かったけど」
京子「おぉー♪海老が大きい!美味しいよ♪結衣」パクパク
結衣「まったく//・・・美味しそうに食べてくれてありがとう」
京子「作ってくれてありがとう!」
結衣「うん//」
京子「ああ、あの人気のアイドルグループか・・・」
結衣「ここ、数ヶ月で一気に人気になったね」
京子「可愛い子が多いしねー、あと歌もうまいし」
結衣「うん、可愛い子が多いね・・・でも京子の方が可愛いよ?」
京子「うっ//」カァー
結衣「あっ、照れてる?」
京子「いきなりは反則!それに結衣の方が可愛いよ!!」
結衣「いいや、京子だね!」
京子「いーや、結衣だね!」
結衣「京子だって言ってるだろ?」
京子「むーーー結衣の意地悪!」
結衣「これだけは絶対譲れない!」
綾乃「・・・・へ?」
京子「あっ、話は終わりだよ」
綾乃「・・・・え?」
京子「へ?」
櫻子「それはひどい!」
綾乃「それはもういいから!!」
櫻子「え?」
京子「だって、いつもの結衣なら『しょうがないなー京子は』て言って、私の言うとおりにしてくれるのに!」むー
櫻子「ですよね!ですよね!」
綾乃「はぁ~」
京子「どう?やっぱり・・・結衣は私に愛想をつかしたのかな?」
櫻子「でもでも!私は最後まで向日葵のこと信じます!」
京子「私だって!ちっぱいちゃん!一緒に最後まで待とう!」
櫻子「歳納先輩!」ダキッ
京子・櫻子「え?」
綾乃「正座しないと罰金バッキンガムよ!!」
京子「仕方ないなー」
櫻子「うぅ・・・痺れました・・・」
京子「え?まだ2秒もたってないのに!?」ガビーン
綾乃「いいから聞く!!」バンバン
京子「あっ、はい」
綾乃「二人とも尽くされすぎよ!!」バーン
櫻子「恋人なんで当たり前です!私だって尽くしてますよ!」
京子「私だって!」
綾乃「・・・・例えば?」
櫻子「私は向日葵の手料理と手作りお菓子を、どんな用事があろうと1番目に食べてあげてますよ♪」
綾乃「それは、古谷さんが尽くしているというのよ」
櫻子「あれ?」ハテ
綾乃「もしね・・・もし、私が、歳納京子の、か、かかかか彼女だったら、絶対に許さない状況よ//」プイッ
千歳「綾乃ちゃんー?」ゴゴゴゴ
綾乃「ひぃ!?・・・・ち、千歳?」
綾乃「あっ、あの・・・千歳さんです。はい」
千歳「浮気は絶対に許さんよ?」ゴゴゴゴゴ
綾乃「そんなのするわけないでしょ!今のはただの例え!」
千歳「でも、妄想したんやろ?」
綾乃「えっと・・・想像はしたけど・・・」
千歳「うふふふ、綾乃ちゃんったら・・・・」ゴゴゴゴゴ
綾乃「してない!してない!絶対にしてないわ!本当よ!?安心アンコールワットよ!」
千歳「・・・・そか♪信じるとるからなー」
綾乃「ハハハ、信じてくれて安心したわ」
千歳「うふふふふ」
櫻子「知っているんですか!?歳納先輩!」
京子「尻餅渇風流(しりもちかつぷる)
それは平安時代から始まったとされている、尻にしかれるか否かを決める究極の戦い、
『尻相撲』が終了した後の状態、それが尻餅渇風流である。
始められた当初は、ただ「尻餅」(尻にしかれるだけ)と呼ばれていたが、
近代化により、尻にしかれるのは夫婦や恋仲のみになってしまった為、
「尻餅渇風流」(尻餅が時という風流により渇いてしまった)と呼ばれるようになった。
さらなる時の流れにより、平等化が唱えられ、近年では絶えて久しいが、
現在でも、世界のどこかで「尻相撲」が開かれ、切磋琢磨している者たちがいるという。
なお、今日使われている「尻餅カップル」という言葉は、
この尻餅渇風流を語源とするという説があるが、
これについては専門家の間でも意見が分かれており、定説を見ない。
(※参考文献 民明書房刊『ゆりゆらら』より)
京子「簡単に言うと、綾乃達って『生徒会尻餅カップル』で有名だよねー」
櫻子「お餅のカップル?」
綾乃「何を言ってるのよ!歳納京子と船見さんだって『勉強&運動No.1カップル』として有名じゃない!」
千歳「船見さんは足の速さクラス1位やからなー、歳納さんだってテストはだいたい1位やし~」
京子「いや、うん、そうなんだけどね//」テレテレ
櫻子「先輩方はいいなー・・・私達はそういうのないから・・・」
綾乃「いや、あなた達はね・・・」
京子「・・・うん」
綾乃・京子(入学当初からバカップルとして有名だし)
千歳(最初、付き合ってない事に驚いたわ~)
櫻子「?」
京子「ありがとう、綾乃・・・だいたいわかったよ」
櫻子「え?」
京子「ちょっと幸せすぎて・・・結衣に頼りっぱなしだった」
綾乃「うん」
櫻子「・・・・!!・・・・あぁ」
京子「やっぱり、恋人なら、頼りっぱなしはダメだよね?」
綾乃「そうよ・・・それに」
千歳「それに、恋人なら『もちつもたれつつ』や、頼るのもええけど、頼られるのも嬉しいんよ~」
京子「そうだね!千歳!」
櫻子「池田先輩!私が間違ってました!」
千歳「綾乃ちゃんの激しい罰金楽しみやわ//」
バチーン
千歳「やっぱり激しいわ・・・綾乃ちゃん//」
綾乃「やかましいッ//」
京子「え?激しい罰金の?」
綾乃「違うわよ!」
千歳「綾乃ちゃんの激しい罰金が、うちに・・・」ドバドバ
綾乃「って、千歳!?鼻血がどばドバイよ!」
京子「へぇ~、千歳の鼻血の対象が綾乃と千歳にねー」ニヤニヤ
綾乃「変な想像をしないで!ティッシュ!手伝って!」
櫻子「」フキフキ
千歳「ティッシュありがとな、大室さん」
櫻子「それより、提案って何ですか!?私はすぐ向日葵に会って謝りたいんです!」
綾乃「むっ、やる気ね・・・」
京子「ひまっちゃん愛されてるね~」
京子・櫻子「え?」
綾乃「2人は最近何かプレゼントした?」
京子「最近?」
櫻子「そもそも1度もありません!」
京子「・・・そういえば、付き合った1ヶ月記念とか・・・毎月何か貰ってる気が・・・」
櫻子「あっ、私も向日葵が毎週・・・付き合って○週記念って言ってご馳走してくれてる・・・」
綾乃「・・・・」
櫻子「明日は土曜日で学校休みだし、みんなで買いに行きましょう!」
京子「うん、ふふふふふ」
京子「結衣!!」
櫻子「向日葵!」
京子・櫻子「待っていろよ!!」メラメラメラ
綾乃「・・・まぁ、浮気は2人の勘違いっぽいけど」
千歳「二人がプレゼントしたら、気持ちも戻ってきてくれるんとちゃうんかなー?」
京子・櫻子「うおぉぉぉ!」
綾乃「聞いてないわね」
京子「結衣、今日は渡したいものがあります!
結衣「ん?なに?」
京子「ジャーン!プレゼント♪」
結衣「え?京子が!?」
京子「へへーん、頑張ったんだからね」
結衣「誕生日、覚えてくれてたんだ・・・嬉しいな・・・」
京子「あっ・・・・・」
結衣「?」
京子「いいから、空けてよー」
結衣「はいはい」
京子「ジェパンニが一晩でやってくれました」どやっ
結衣「・・・これ、京子と・・・私?」
京子「うん♪結衣?いつまでも一緒にいようね?」
結衣「・・・ありがとう、京子」ポロポロ
京子「え?結衣?泣いてるの?」
結衣「え?あれ?はは・・・おかしいな」グスグス
京子「結衣!」ダキッ
結衣「え?」
京子「結衣ごめんね!私、恋人失格だよ!」
結衣「そ、そんなことは」
京子「恋人になったばかりの頃は、私も料理手伝ったり掃除手伝ったり結衣の背中流したりしていたのに!」
結衣「・・・」
京子「それが、最近・・・結衣に頼りっきりでさ・・・気づいたよ、私いらないじゃんって」
結衣「そんなことない!私は京子が好きだから!好きだから!好きだから!」
京子「結衣・・・」
結衣「私に頼りっきり!?それがどうしたのさ、別にいいじゃないか、それが私と京子だろ?」
京子「ありがとう・・・結衣、でも、でも!私はそんなのを望んでいない・・・」
結衣「・・・え?」
京子「私は結衣が大好き!だから結衣に頼って欲しい!結衣に何かしてあげたい!!」
京子「結衣に頼りっぱなしの私は終わり!今日からは結衣に頼られて・・・・」
京子「そして、結衣に頼って!一緒に生きていきたい!」
京子「だから、改めてこんな私と恋人になってください!!」
京子「・・・うん」
結衣「悩みがあった時は一緒に悩むことっていう約束も忘れちゃって・・・」
京子「うん、ごめんね」
結衣「毎週末の夜は私の家に泊まりに来る約束なのに、昨日は来てくれなくて」
京子「うん・・・・ごめんね」
結衣「確かに私に頼りっぱなしの京子はダメだったな・・・」
結衣「最近は、約束も何も守ってくれなくて、私に文句言ってばかりだったね」
結衣「そうだね、そんな京子は私も近い将来・・・・・・」
結衣「嫌いになっていたと思う・・・」
結衣「でも・・・そんな私も問題があると思うんだ」
京子「え?」
結衣「だんだん、京子に頼られるだけの関係が好きになっていたのもある」
結衣「京子は私がいないと生きていけないんだ・・・って思い上がりもいい所だよね?」
京子「べ、べつにそんなことはないよ、結衣」
結衣「ううん、そんな事を思い出してね・・・だんだん・・・・」
結衣「・・・・・」
京子「結衣?」
結衣「だから、私の京子と仲良くやってるやつが許せない・・・」
結衣「最近は・・・・その・・・あかりですら・・・」
京子「あかりも・・・・そこまで思いつめさせていたなんて・・・」
京子「ごめんね、私のせいなんだよね?」
京子「同情ならいらないよ!私が悪いんでしょ!?
結衣「違う!!過去の京子が悪いんだ!!!」
京子「え?」
結衣「京子は生まれ変わるんだろ?」
結衣「私も一緒さ・・・ね?一緒に生まれ変わろう」
結衣「そして、またずっと一緒だ//」
結衣「京子!私もごめん!本当にごめん!!」
京子「ううん、私が悪かったんだ!本当にごめん!結衣!!」ポロポロ
結衣「ほら、泣くなよ・・・今日からは違うんだろ?」
京子「!!」
京子「そうだ!だから!そのプレゼントだったんだよ!」
結衣「二人のぬいぐるみ・・・ずっと一緒か・・・ふふ、嬉しいな//」
結衣「おいこら!」
京子「ちょっと!結衣にゃん?こ、怖いよーーー?」
結衣「・・・まったく誰が怒らせたと思ってんだよ」
京子「」ぐー
結衣「・・・夜ご飯作るか・・・」
京子「私も一緒に作るーーー」
結衣「正直足手まといだけど」
京子・結衣「2人で一緒にやった方が楽しいからね♪」
結衣「ん?」
京子「金曜日の夜さー、ひまっちゃんと・・・」
結衣「ああ、あれは・・・」
櫻子「歳納先輩は器用すぎ!あんなぬいぐるみ真似できない!」
向日葵「一体なんなんですの!?」
櫻子「向日葵!?いたの?」
向日葵「はぁ?あなたが遊びに来いって呼んだんでしょうが!?」
向日葵「・・・・で、いったいどうしましたの?」
向日葵「今まで毎週週末は一緒にいてくれたのに、昨日は一緒にいてくれませんでしたし・・・」
向日葵「私からのメールは5分以内に返信してくれていたのに、昨日は返信を頂けませんでしたし!」
向日葵「私に何か足りない所がありますの!?」
向日葵「あったら言って!すぐ直すから!」
向日葵「だから・・・・・嫌いにならないで・・・」ポロポロ
櫻子「向日葵!ごめんなさい」ゲザァ
向日葵「・・・・え?」
向日葵「・・・そうなんですのね」
櫻子「うん、そうなんだ・・・」
向日葵「私と別れたいと・・・」ポロポロ
櫻子「え?」
向日葵「私のこと飽きちゃったんですのね・・・昨日は歳納先輩と一緒にいたでしょ?」
櫻子「あっ」
向日葵「見たんですのよ!二人が・・・その楽しく買い物をしていた所を!!」
櫻子「ち、違う!違うの!向日葵、信じて!」
向日葵「何を信じろといいますの!?」
向日葵「どうせ歳納先輩とのデートが楽しかったから私の事なんか忘れていたんでしょう!?」
向日葵「はぁ?あれはあなたが『料理のレパトリーもっと増やしてよ・・・そうだ!船見先輩に教えてもらえば?』って言ったんでしょ!?」
櫻子「あ・・・そういえば・・・」
向日葵「ほら?私に言ったことすら忘れて・・・やっぱり私のことなんて・・・」
櫻子「こうなったら・・・こ、これでもくらえー」ベチーン
櫻子「・・・・・あ・・・・あの・・・・//」
向日葵「・・・・え?箱にリボンが・・・え?」
櫻子「・・・・そのプレゼント!!!」
向日葵「はい!????」
櫻子「うん♪」
向日葵「え?現実?」
櫻子「うんうん」
向日葵「私に?」
櫻子「当たり前だろ」
櫻子「違う違う」
向日葵「じゃあ、夢オチなんですのねーーーーー」
櫻子「いいから、早くあけろーーーーーー!!」
櫻子「うっ・・・そ、そんなに期待しないでね//」
向日葵「・・・・・・あ、空けますわよ・・・・」
櫻子「うん」
向日葵「ふぅー、櫻子からの付き合って始めてのプレゼント・・・ドキドキしますわね//」
櫻子「・・・もう!いいから、早くあけろーーーーーー!!」
向日葵「・・・・?」
櫻子「//」モジモジ
向日葵「え、えーと・・・櫻子?」
櫻子「ど、どうかな?向日葵のために頑張ったんだけど・・・//」
向日葵「・・・言いにくいんですが、あなた投げたでしょ?そのときに・・・」
櫻子「あーーーーーーーーーーー」
櫻子「うん、でもごめんね・・・」
向日葵「て、手作りなんでしょ?」
櫻子「うん」
向日葵「う、嬉しいに決まってますわ//」
櫻子「え?」
櫻子「向日葵?ぐちゃぐちゃだよ!?」
向日葵「おいしい!美味しいですわよ!櫻子!!」
櫻子「へ!?」
向日葵「初めてにしては上出来ですわ!」
櫻子「あ・・・ぅあ・・・」ポロポロ
向日葵「櫻子!?」
櫻子「ひまわりー」ダキッ
櫻子「作るの大変だったよー」ポロポロ
向日葵「そうなんですの・・・形はあれでしたが、美味しかったですわ」
櫻子「違うの!向日葵は毎日こんな大変な事をやってくれてた!それなのに私は!」
向日葵「・・・」
櫻子「向日葵は宿題もやって、私に勉強も教えてくれて、部屋の掃除もやってくれて」
櫻子「お菓子に、お昼の弁当も作ってくれて・・・」
向日葵「・・・」
櫻子「こんなに辛い事をずっとやってくれてたの!?どうして?どうして?」
向日葵「このバカ娘」チョップ
櫻子「いたっ!何するんだよ!!」
櫻子「楽しいというより・・・苦労した・・・大変だった」
向日葵「何に苦労したんですの?」
櫻子「・・・・・どんな風に作ったら、向日葵が喜んでくれるか?って所・・・・//」
向日葵「・・・私も同じですわ//・・・まぁ、大変でしたけどね」
櫻子「やっぱり、大変だったんだね」
向日葵「でも!」
向日葵「あなたの・・・・櫻子の」
向日葵「笑顔が見れるなら『大変?』そんなの吹っ飛びますわ!!」
向日葵「あなたは懲りずに毎日毎日お菓子ばかり食べてくれますわね」
櫻子「だって、向日葵の美味しいし」
向日葵「だからですのよ?櫻子のケーキを私が食べた時、櫻子は何か感じました?」
櫻子「私が作ったケーキを向日葵が食べてくれて?」
向日葵「ええ」
櫻子「スゲー嬉しかった♪」
櫻子「あ・・・えへへへへ//」スリスリ
向日葵「まったく甘えん坊ですのね?櫻子は//」
櫻子「なんか久しぶりに向日葵と共感できちゃった//」
向日葵「最近のあなたは自堕落でしたしね」
向日葵「まぁ、私も悪いんですが・・・櫻子の面倒を見ていて・・・その悪い気分じゃなかったですし//」
櫻子「いや、私が悪かったんだ・・・、私が美貌すぎるから・・・」
向日葵「・・・・・・・・・・」
櫻子「これからは私も頑張る!前みたいにおにぎりも作るし!」
向日葵「何か聞き捨てならない言葉が聞こえましたが・・・」
向日葵「まぁ?期待せずにまってますわ//」
向日葵「あっ・・・」
櫻子「うっ!」
櫻子「まじーーーーーーーーー!!」
櫻子「ナニコレ!?え?向日葵?まずいよ・・・」
向日葵「あー・・・・まぁ、櫻子の愛情が詰まってますし//」
向日葵「・・・はい」
櫻子「だからさ、今度、作り方教えてよね//
向日葵「ふぅ~・・・大変なのは目に見えてますが、頑張りますわ」
櫻子「そこは素直に照れておけよーーー」
■数ヵ月後
京子「飯ー風呂ー結衣ー」ダラダラ
櫻子「向日葵ーお菓子ーご飯ー宿題ー」ダラダラ
結衣「いい加減に」
向日葵「しなさーーーーい!!」
終わり
結衣「古谷さん・・・良かった・・・その顔はうまくいったみたいだね?」
向日葵「はい、そちらもうまくいったみたいで良かったです♪」
向日葵「それにしても杉浦先輩に相談して正解でしたね」
結衣「綾乃に相談した私達が受けたアドバイスは」
向日葵・結衣「あの2人にヤキモチを焼かせる事」
向日葵「ですから、2人で一緒に帰ったり」
結衣「私の家で一緒に遊んだり・・・」
向日葵「それが、ここまでうまくいくなんて・・・」
結衣「うん」
向日葵「杉浦先輩・・・」
結衣「綾乃・・・」
向日葵・結衣「ありがとう(ございました)」
ちなつ「まったくあの幼馴染カップルは・・・」
ちなつ「あっ、でもでもでもでも」
ちなつ「今の状況なら絶対に破局するはず!」
ちなつ「失恋した結衣先輩に声を掛ければ・・・・」
ちなつ「結衣先輩は私のもの!」
ちなつ「これは頑張るしかないわね!」ギラッ
あかり「∵」
ちなつ「あ、あかりちゃん!?」
ちなつ「腹黒くない!腹黒くないもん!」
綾乃「まったくあの4人は・・・うまくいったのかしら?」ソワソワ
千歳「ふふ、綾乃ちゃんは面倒見がええなー」
綾乃「あ、当たり前じゃない!生徒会副会長なんだから!」
千歳「綾乃ちゃんに惚れ直したわー」ダキッ
綾乃「ち、千歳!?//」
千歳「あ・や・の・ちゃん♪」フー
綾乃「きゃ//・・・ちょっと、耳に息を吹きかけないで//」
千歳「今は、うちに気を掛けて欲しいな~って思ったりしてるんやで?」
綾乃「何を言ってるのよ!わ、私はいつでもあなたが1番よ//」
千歳「うちバカやから、態度じゃないとわからへんのよ?」
綾乃「た、態度って・・・むっ」
千歳「//」チュー
千歳「うふふふ//」
綾乃「・・・・千歳?」
千歳「ん~?」
綾乃「」スゥ
綾乃「あなたのこと愛してるわーーーー!!!!」
綾乃「もう今夜は寝かさないんだからね//」ガバッ
千歳「え//」ボッ
千歳「うふふ、綾乃ちゃんにはかなわへんな~//」
綾乃「当たり前じゃない!生徒会副会長なんだからね!」
千歳「うちは綾乃ちゃんが恋人で幸せや//」
本当に終わり
結京ひまさくの絡むSSはやっぱり良いな
綾ちとも良かった
Entry ⇒ 2012.04.24 | Category ⇒ ゆるゆりSS | Comments (0) | Trackbacks (0)
紅莉栖「デレデレ助手化飲料……アシスタント・ペッパーよ!」
http://hayabusa.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1334916870/
紅莉栖「ふれてない! いたって正常!」
岡部「ガジェットの開発も放り出して……一体なんだそれは?」
紅莉栖「これを飲んでから最初に聞いた声……その主の命令に従うようになる薬よ」
紅莉栖「まるでどこかのかわいそ〜な『助手』さんみたいに」
岡部「フハハ(笑)。心当たりがない」
紅莉栖「くっ! ようやくこの鬱憤を晴らすときが来たわ」
紅莉栖「こほんっ」
紅莉栖「ひざまずきなさいっ」キリッ
ガクンッ!!
岡部「」
紅莉栖「ふふん」
岡部「まさかっ、先ほど飲んだドクペは……」
紅莉栖「そのまさかよ」
紅莉栖「通常のドクペと私の薬を……すりかえておいたのさ!」
岡部「くぉのぉっ……ぎっ、ぐ、本当にアシペとやらの効力で……!?」
岡部「助手ぅ、キサマなかなかにマッドな感じではないかぁっ……」
ガクンッ!!!!
岡部「あごぉおっ! あご打ったぞぉお!」バタバタ
紅莉栖「あっ、ごめんなさっ……こほん! く、口の聞き方には気をつけなさい?」
紅莉栖「今、『助手』であるのはアンタの方なんだからな?」フフン
岡部「ぐっ……」
岡部(自分が助手なのはすっかり馴染んだなコイツ)
紅莉栖「欲しかったらしばらく私の言うことを聞くこと」
岡部(毒って言った! いま毒って!)
紅莉栖「返事は?」
キィーン!
岡部「ぬぐっ!?」
岡部「……わ」
岡部「わかりました、です、はい」
紅莉栖「…………」ニヤニヤ
岡部「くぅうううううっ……!」
紅莉栖「さぁーて、これからどんな命令をしてやろうかしら?」
紅莉栖「日頃ぞんざいに扱われてる恨みをようやく晴らせるんだから〜?」ニヤニヤニヤニヤ
岡部(めっちゃニヤニヤしてる……)
紅莉栖「いっつも助手だのクリスティーナだのHENTAI厨二ネーミングだったし」
紅莉栖「ここはちゃんと矯正しておく必要があるわね」
岡部「…………」
紅莉栖「く……」
紅莉栖「クリス様と呼びなさい!」キィーン!
岡部「ふぬっ!? ……く」
岡部「クリス様……」
紅莉栖「…………」
岡部「…………」
紅莉栖「フ、ふぅーっはっはっは! いいザマね岡部! 人がゴミのようだわ!」ビシィッ
紅莉栖「…………」
紅莉栖「なんかしっくりこない……」
岡部(明らかに向いてないなコイツ)
間違いない
岡部「そんな薬を作っておいて、『こうさせたい』とかは考えてなかったのか?」
紅莉栖「か、考えてたわよぅっ! その、でもっ、考えてたのは一つだけで」
紅莉栖「でもその一つをいきなりやってもらうのは急すぎるしっ」
紅莉栖「こっちがどうにかなりそうだったしっ、だから、その前に準備がいるしっ」
紅莉栖「……とか、いろいろ考えてたら、頭がカオス状態に……」
岡部「なるほど。わからん」
紅莉栖「ううう、うるさい! あんたは黙って言うこと聞いてればいいのっ!」
岡部(あちらの方が余裕がないとはこれいかに)
紅莉栖「あぁんもう……アインシュタインに文句を言いたい気分……」
岡部「アインシュタインとばっちりだろ! かわいそうではないか!」
岡部(どの発言を『命令』とするかはアイツ自身が制御可能ということだな)
岡部(催眠術か何かの要領で何かやっているのだろうが、正確には何かわからん)
紅莉栖「わかった! わかったわ!」
岡部「…………」
紅莉栖「く、くりす」
紅莉栖「って、名前で……私を、」
紅莉栖「呼び、なさい……」
キィーン!
岡部「――――」
紅莉栖「…………」
紅莉栖「……へ?」
岡部「っぐ、だからっ……」
岡部「〜〜〜〜……」
岡部「紅莉栖……」
紅莉栖「…………」
紅莉栖「…………」
紅莉栖「………う、うん//////」
岡部「なぁっぐ! おい助手キサマ何をそんな照れる必要が!!」
紅莉栖「てれっ! 照れてなんかない、わよ……」
岡部(こんな、付き合って間もない恋人のような)
紅莉栖「て、照れるとか照れないとかじゃないわっ」
紅莉栖「ただ、普段慣れてない呼び方で呼ばれたから脳の認知に揺らぎが生じたっていうか」
紅莉栖「あまりにもありえない呼び方だったから言語野のエラーかもって!」
紅莉栖「だって……初めて、名前で……」
紅莉栖「…………//////」
岡部「だぁからニヤニヤしすぎなのだ!」
紅莉栖「してないっ!///」
岡部「照れてるだろう! どこからどう見ても! 助手の分際でぇっ!」
紅莉栖「なっ!?」
紅莉栖「私は助手じゃない、紅莉栖」
キィーン!
岡部「っぐ……紅莉栖」
紅莉栖「…………」
紅莉栖「岡部」
岡部「く、紅莉栖」
紅莉栖「……おかべ」
岡部「紅莉栖」
紅莉栖「お、おかべっ///」
岡部「紅莉栖!」
紅莉栖「な、何度も呼ぶなバカ!!///」ペチーン!
岡部「へぶぅッ!?」
紅莉栖「ご、ごめんなさい……うれしすぎ――じゃない、すごく腹が立って」
紅莉栖「別にっ、う、うれしかったわけじゃないんだからな?」
岡部「何がしたいんだお前は……」
紅莉栖「…………」
岡部「?」
紅莉栖「」スゥー
紅莉栖「」ハァー
岡部「……は?」
紅莉栖「…………」
紅莉栖「アー、わ、私ったら、急にスゴイコト、思いついちゃったわー?」
岡部「……」
紅莉栖「科学は常に、実践的であるべきだもの!」
岡部(ひどすぎる)
紅莉栖「仕方ない、科学なら仕方ないわ」
紅莉栖「……それで、なんだけど……」
紅莉栖「くりす……」
岡部「あん?」
紅莉栖「くりすが、」
紅莉栖「好きって」
紅莉栖「……い、言えばいいと思う……///」
岡部「――――」
キィーン!
紅莉栖「な、なによぅっ!? 何か文句でも!?」
紅莉栖「マッドサイエンティスト様は文句がございますか!?」
紅莉栖「罰ゲームっ、そうこれは罰ゲームなんだから!」
紅莉栖「心にもないこと言って悶絶して苦しめばいいのよ童貞乙!」
岡部「自分で言ってて悲しくならないのカッ――!?」
岡部「――……」
岡部「紅莉栖……」
紅莉栖「ふぇっ!?」
岡部「…………」
紅莉栖「…………」
岡部「好きだ」
紅莉栖「」
岡部「……お、おい?」
紅莉栖「」ビュゴォオッ!!
岡部「のぉわっ!?」
岡部(ものすごい勢いで向こうをむいたぞコイツ)
紅莉栖「……お」
紅莉栖「岡部、ちょっと」
紅莉栖「……向こうむいてろ」
キィーン!
岡部「ぬぐっ……」
紅莉栖「…………」ピョーン
紅莉栖「…………」ボフッ
岡部(クッション?)
紅莉栖「…………」ムギュ
紅莉栖「…………」
紅莉栖「…………」
紅莉栖「〜〜〜〜〜//////」ジタバタ
岡部(なんだっ? 何が起きているのだ!?)
紅莉栖「〜〜〜〜〜」ボフボフボフゴロゴロゴロ!!
岡部(尋常じゃないぞ!?)
紅莉栖「ふふ……」
紅莉栖「…………」
紅莉栖「えへへ……///」ムギューッ
岡部(薄気味悪い笑みが!)
紅莉栖「……モウ……シカタナインダカラ……///」ジタバタ
岡部(ボソボソ声までっ……、っ、命令が解けてきた!)
紅莉栖「なっ!? うっさいバカこっち見んな!!」ビュンッ
岡部「ぬがッ!?」ボフーン
岡部「……っつ、なんだ……クッション?」
岡部「って待て待て! 濡れッ……このクッションよだれだらけなのだが!」
紅莉栖「気のせいよ」
紅莉栖「…………」
紅莉栖「もしくは……あ、あんたのせい……///」ゴニョゴニョ
岡部「む?」
紅莉栖「っ、それより! あんたさっき、私のことが好きとかどうとかっ」
岡部「…………」
紅莉栖「……ほんと?」
岡部「お前が命じたんだろ!」
紅莉栖「そういうのって政治学的にも重要だと思うの!」
岡部(様子が変だな。今日の紅莉栖は)
紅莉栖「ん……」
紅莉栖「おかべ……」
岡部「……」
岡部(言えば……満足するのか?)
岡部(言ってしまうのは簡単だが)
ピッ
『紅莉栖……好きだ』
岡部「―――!?!?!?」
ピッ
『紅莉栖……好きだ』
紅莉栖「えへへ///」
岡部「ちょぉおおおっ!? お前まさっ……録音して!?」
紅莉栖「ぁっ、か、勘違いするな!? これはあんたの弱みをにぎるため!」
紅莉栖「これがあれば薬が切れても優位に立てると思ってっ、それ以外に理由なんか」ピッ
『紅莉栖……好きだ』
紅莉栖「はぅう///」
岡部「ぬんぐぐぐぐ……!」
岡部(コイツ、『いいこと思いついた』みたいなこと言っておきながらっ)
岡部(まるっきり計画的犯行ではないかっ!)
紅莉栖「そこぉっ! 口を慎みつつ『紅莉栖大好き』と!」キィーン!
岡部「紅莉栖大好きだ」
紅莉栖「はぅううう///」
岡部「ぬぉおおおおおおおおお!!///」
紅莉栖「……ほ、ほんとにすき?」
岡部「っ、」
岡部「ああ……好きだ」
紅莉栖「愛してる?」
岡部「……愛してる」
紅莉栖「…………」
岡部「…………」
岡部(……あれ? 今)
岡部(素だったのでは……?)
岡部「…………」
紅莉栖「〜〜〜っ/////////」ボンッ!!
岡部「なっ、ぬぁっ、今のはだな!!」
紅莉栖「おっ、おかおかっ、おか、べ……///」
岡部「そのっ……つまり」
紅莉栖「…………」
岡部「…………」
紅莉栖「……岡部」
岡部「っ」
紅莉栖「おかべぇ……っ」
岡部(上目づかいでこちらを〜〜〜!!)
岡部「こォっ、こーヒーを入れてこよう!」
紅莉栖「あっ……」
スタスタ…
コポコポ
紅莉栖「…………」
紅莉栖「…………」
紅莉栖「…………」
紅莉栖「……おかべの、ばか」
紅莉栖「…………」
岡部「……怒ってるのか?」
紅莉栖「怒ってないっ」
岡部(まあ……当然か)
岡部「ほらコーヒーだ」コトン
岡部(今のは明らかに俺が悪かったな)
岡部(だが仕方なかろう。急にあんな雰囲気になられては……)
岡部「…………」
紅莉栖「」チョコン
岡部「なぜそんなところで体育座りをしているのだ?」
紅莉栖「うるさい……やることなくなったのよぅ」
岡部(ネタ切れ早っ)
紅莉栖「っ!? だからといって終わりだなんて短絡的杉わろたっ!」ガタッ
岡部「では次は何だ」
紅莉栖「ふぇっ!? あ、えとっ……」
紅莉栖「そのっ……」
岡部「…………」
紅莉栖「ダンス!」
岡部「は?」
紅莉栖「私、ほらっ、今ものすっごく量子力的に観測しても退屈してるでしょ!?」
紅莉栖「だから岡部が楽しませるべきなのよ! はい論破!」
岡部「お前……論文とかは大丈夫なのか?」
紅莉栖「」ギロッ
岡部「なぜにらまれる……」
紅莉栖「だ、だめ?」
岡部「いや、別にそれくらいかまわんが」
紅莉栖「」グッ
岡部「ガッツポーズ……助手お前ガッツポーズて……」
紅莉栖「くりす!」
岡部「ただまあ、俺の運動神経のほどはお前も知っているだろう」
紅莉栖「無視しやがった……ふん、最初から期待なんてしてないから平気よ」
岡部「ぬぐっ、この、人が下手に出ていれば……」
紅莉栖「ダンス、はよ」キィーン!
岡部「…………」
岡部(なんとなく、ではあるが)
岡部(紅莉栖がなぜこんな態度に出ているのか……想像がついた)
岡部「しかしダンスといってもな……」バサッ
紅莉栖「――――!!」
岡部「安請け合いしたが何から手をつければ……」
紅莉栖「待ってストップ!!」キィーン!
岡部「んのわあっつ! 身体がちぎれるぅうっ」
紅莉栖「ダンス、したら」
岡部「なんだっ、早く言え!」
紅莉栖「疲れるでしょ?」
岡部「そうだなっ」
紅莉栖「汗かくわよね?」
岡部「そうだなっ」
紅莉栖「白衣……邪魔よね?」
岡部「……そうか?」
紅莉栖「白衣」キィーン!
岡部「……は?」
紅莉栖「いったん、ぬ、脱ぐべきよ」
岡部「でぇっ!?」バッサァッ!!
紅莉栖「私に預けてもいいんじゃないかしらっ?」
岡部「おぅふ!」パサッ
紅莉栖「はいご苦労さま」
紅莉栖「……岡部、ちょっと、向こうむいてろ」
岡部「この展開に俺は見覚えがあるぞ!?」
紅莉栖「向・い・て・ろ」キィーン!
岡部「だはぁっふ! どうする気だ、というかなんで奪った!?」
紅莉栖「こ、これは戦利品なんだから!」
岡部「ダンスは!?」
紅莉栖「もういいわありがとう」
岡部「グダグダではないかぁっ!」
紅莉栖「おかべの……」
紅莉栖「……はぅ///」
岡部「待て待て、何をしようと!?」
紅莉栖「……んっ///」
岡部「聞いているのか助手よ!!」
紅莉栖「くりふよ」
岡部「なんかくぐもって聞こえるのだが!?」
紅莉栖「ひのへいほ……」
紅莉栖「んぅう///」クンカクンカ
岡部「クソォっ、見えん! 踊るぞ俺は! お前に命令されずとも踊るからな!」
紅莉栖「……んぅ、おかべ///」モフモフ
岡部「この舞に世界の支配構造のすべてが表されているのだっ」
紅莉栖「おかべ……おかべっ……」
岡部「紅莉栖見ているか俺は見えていないがあああ!」
紅莉栖「うるさい、ストップ」キィーン!
岡部「ふんぬぐっ!?」グキッ
岡部「おとっ、とっ、とととぉおお?」ヨロヨロッ
紅莉栖「ちょっ、岡部?」
岡部「ととととぉーーとっ?」
紅莉栖「きゃぁっこっち来んなっ!」
岡部「どわぁあああああああああっ」
紅莉栖「きゃあーーーっ!!??」
ドンガラガッシャーン
紅莉栖「い、たた……」
岡部「……だ、大丈夫か」
紅莉栖「何なのよもう……急に荒ぶりだしたと思ったらっ」
岡部「お前のせいだろう! まったく、ロクなことがない……」
岡部「…………」
紅莉栖「…………」
岡部(お、押し倒しているだとぉおおおおおおおおおおおおおお)
紅莉栖「〜〜〜〜!!//////」ボンッ
岡部「あちょっ、ちょぉっと待ったっ! そうではなく! そうではないのだ!!」
紅莉栖「ななにゃにっ、なななななにゃ///」
岡部「勘違いするな! 繰り返す! そういうつもりではない!!」
紅莉栖「どういうつもりよこのHENTAI! はなっ、離しなさいよぅっ!」ジタバタ
紅莉栖「じっ、自分がコケにされたからって助手の私を襲う気!? 鬼畜なの!? 死ぬの!?」
岡部「落ち着け人の話をっ」
紅莉栖「どうせこのまま私を無理やりにって魂胆なんでしょ!? 本当にありがとうございました!」
岡部「意味合いが違って聞こえるのだが!」
紅莉栖「近場の女に欲望をぶつけちゃう男の人って! なにそれこわい! あーあー、私オワタ!」
岡部「くぅううこのアマぁあああ」
紅莉栖「お、岡部ぇっ、さっさと離れろぉっ」ジタバタ
岡部「っ、そうだ、命令しろ紅莉栖!」
――――――
――
紅莉栖「欲求不満なのね……このケダモノ」
岡部「次ふざけたことを言ったらここから追い出すぞ」
紅莉栖「何それ? マッドサイエンティストジョーク?」
紅莉栖「私のことがあまりにも恋しすぎて頭がおかしくなっちゃったのね」
岡部「…………」
紅莉栖「……なによっ」
岡部「夕食はまたピザか」
紅莉栖「……も、文句ある?」
紅莉栖「……やっぱり、飽きちゃった?」
岡部「まあ、こうも立て続けではな。食事の種類が限られるのはわかるが」
岡部「そろそろ和食あたりが恋しくなってくる」
紅莉栖「じゃあ、どこか外食とか」
岡部「お前がそれを許すならな」
紅莉栖「…………」
岡部「…………」
岡部(……潮時か)
岡部「紅莉栖……」
岡部「話がある」
紅莉栖「っ……!」
紅莉栖「いやっ、聞きたくない!」
岡部「…………」
紅莉栖「っ、ごめん……」
岡部「いや……」
紅莉栖「…………」
紅莉栖「おかべ」
紅莉栖「あーん、して……」
キィーン!
岡部「む……」
紅莉栖「んっ……」
紅莉栖「あむ……んむ……」
岡部「俺はもう飽きたと言っている」
紅莉栖「そっ……か」
紅莉栖「…………」
岡部「…………」
岡部(俺も、律儀に付き合ってやる必要はないのかもしれん……)
岡部(紅莉栖の命令を聞きたくなければ耳をふさげばいい)
岡部(おそらく物理的な効果範囲もあるだろうから、ここから逃げて遠ざかってもいい)
岡部(だが……)
紅莉栖「ま、また……ダンスでもしてもらおうかしら……」
紅莉栖「う……」
岡部(もうわかった。確信した)
岡部(ならばなおさら……言わねばなるまい)
岡部「話があるんだ」
紅莉栖「…………」
岡部「俺は……」
紅莉栖「っ」
岡部「俺は」
岡部「いつになったら……日本に帰れるんだ?」
岡部「もう十日だ」
紅莉栖「おかべっ」
岡部「このままこのホテルで養われていたら、ヒモになってしまう」
岡部「お前が研究室に行っているあいだ、俺は主夫になった気分だぞ」
紅莉栖「…………」
岡部「いや……今のは、聞き方がいやらしかったな」
岡部「何が何でも帰りたいのなら、お前を振り切って帰ればいいのだから」
岡部「俺はお前の願いを断れないのだ」
岡部「お前にいてくれと言われたら、渋面を作りながら応じてしまう」
岡部「内心では嬉々として、な」
紅莉栖「……っ」
岡部「頼みがあるとか、俺にしかできない用事があるとか」
岡部「そんなありえない我がままを並べ立てられても」
岡部「やすやすと受け入れてしまうくらいには、大馬鹿だ」
紅莉栖「…………」
岡部「……紅莉栖」
岡部「さみしい、のか?」
紅莉栖「っ」フルフル
岡部「……ぬぅ」
岡部「なあ……紅莉栖、お前もわかっていたはずだろう?」
岡部「俺たちの……その、恋愛は」
岡部「まあいわゆる、遠距離恋愛というやつだ」
岡部「日本とアメリカ……そうそう会えるわけではないし、長い時間を過ごせるわけでもない」
岡部「限りがある」
岡部「俺が告白し、お前が受け入れてくれたときから」
岡部「それはわかっていたはずだろう?」
紅莉栖「わかってるわよ」
岡部「ならっ……」
紅莉栖「でも、お生憎様。人間の脳ってそこまで合理的にできてるわけじゃないもの」
紅莉栖「わかってたって……求めちゃうのよ……」
岡部「あえて言うがな……」
岡部「お前らしくないぞ」
紅莉栖「っ、アンタだって……自分だけ必死で私に会いに来たくせにっ!」
紅莉栖「橋田もまゆりも差し置いて!」
岡部「まゆりは、今年受験だからな。模試があるらしい」
岡部「なにぶん急だったしな」
紅莉栖「アンタはっ、どうせ、さびしかったんでしょっ?」
岡部「当然だろう。恋人だ」
紅莉栖「ふぇっ……」
紅莉栖「……〜〜〜っ!!///」
紅莉栖「卑怯よ……こんなときだけ」
岡部「……自覚はしている」
岡部「だから、卑怯ついでに聞かせてくれ」
岡部「……何があった?」
紅莉栖「…………」
岡部「…………」
紅莉栖「はぁっ……」
紅莉栖「このあいだあった学会で、ちょっとトチっちゃってね」
紅莉栖「たまたま招待された学会で、私の専門外ではあったんだけど」
岡部「トチっ……た? お前がか?」
紅莉栖「意外だった?」
岡部「当たり前だっ、そんな……」
紅莉栖「…………」
岡部「……紅莉栖?」
紅莉栖「……」
紅莉栖「……タイムマシンは……作れるのよ」
紅莉栖「世界線は収束する」
岡部「お前、まさかっ……」
紅莉栖「アトラクタフィールドは分岐する」
紅莉栖「リーディング・シュタイナーは存在する」
紅莉栖「物理的タイムトラベルは……不可能なんかじゃない……」
岡部「…………」
紅莉栖「だって、命を懸けてまでタイムリープを繰り返した男が」
紅莉栖「タイムトラベルまでして私を救ってくれた人が、そばにいるんだもの……」
岡部「っ、そんな」
紅莉栖「…………」
岡部「俺から、聞いた話を……?」
紅莉栖「でも当然……論調は否定的だった」
紅莉栖「アンタを否定されたみたいで」
紅莉栖「悔しくって、ついカーッと血がのぼっちゃって」
岡部「俺を、しんじてっ」
岡部「信じて、くれていたのか……」
紅莉栖「何よ、皮肉?」
岡部「違うっ、そうではなく!」
紅莉栖「自分でもバカだと思うわ」
紅莉栖「熱くなって口を動かしながら、頭では冷静に『あー私なにやってんだろ』って」
紅莉栖「気づいたら……終わってた」
紅莉栖「ああいうとこって、閉鎖的な競争社会みたいなものだから、糾弾も激しかった」
紅莉栖「でも、そんな程度のマイナス、その気になればどうってことないんだけど」
紅莉栖「……初めてだったし、へこんじゃって」
紅莉栖「けっこう、つらくて」
岡部「紅莉栖……っ」
紅莉栖「真っ先に浮かんだのが、あんたの顔で」
紅莉栖「声が聞きたくて、ふれあいたくて」
紅莉栖「……キス、したくて」
岡部「…………」
紅莉栖「そうしたら、驚いた。すぐに飛んでくるんだもん」
紅莉栖「私にメロメロなのね……岡部ってば」
岡部「っ」
岡部「どうして……」
紅莉栖「…………」
岡部「何でそれを言ってくれなかった? 俺に教えてっ」
紅莉栖「言えるわけないでしょ!?」
紅莉栖「あんたは……そうやって、責任を感じちゃうじゃないっ……」
岡部「――!!」
紅莉栖「でも……結局、私もパパと同じ失敗を繰り返してっ……」
紅莉栖「それを、岡部に……」
紅莉栖「私のために苦しんで苦しんで苦しんだ岡部に言うだなんてっ……」
岡部「…………」
紅莉栖「でも………言っちゃった」
紅莉栖「ふふ、なんでだろ……全然論理的じゃない」
紅莉栖「ホント、どうしたんだろ。私らしくないわね……」
紅莉栖「私らしくないっ……!」
紅莉栖「挙句の果てに……こんな風にしてまで、道具を使ってまで、岡部を束縛してっ」
紅莉栖「自分の都合で、岡部のことも考えずにっ……!!」
紅莉栖「…………」
紅莉栖「ねえ……岡部」
紅莉栖「日本にかえって」
岡部「…………」
紅莉栖「わたしを……ひとりにして?」
岡部「それは、命令か?」
岡部「音が鳴らない。薬の効果が出ていない」
岡部「つくづく素直じゃないヤツめ」
紅莉栖「っ、茶化すなら出てってよ! もう帰って!!」
紅莉栖「自分でも自分がわからないわよ!! こんな自分見られたくないのに!!」
紅莉栖「甘えたくて……どうしようもなくてっ……」
紅莉栖「岡部……おかべっ……」
岡部「…………」
岡部「解毒剤を、渡せ」
紅莉栖「おかべ……?」
岡部「聞こえなかったのか」
紅莉栖「…………」
カチャカチャ
カチッ
紅莉栖「……っ」
岡部「確かに受け取った」
紅莉栖「岡部っ……!!」
岡部「安心しろ紅莉栖」
ドバァッ
岡部「俺はお前を見捨てたりなどしない」
岡部「絶対にだ」
紅莉栖「――……」
紅莉栖「なん、で……」
紅莉栖「どうしてっ」
岡部「…………」
紅莉栖「解毒剤を……捨てたの?」
岡部「こんなもの、なくなったのならまた作り直せばいい」
岡部「だが、今は要らない」
紅莉栖「え……」
岡部「すまなかったな……俺もいつものつまらん意地を張っていた」
岡部「そのせいでお前のことが見えていなかった」
岡部「もう迷いはしない」
岡部「今晩……今夜だけは、お前の言うことを何でも聞こう」
紅莉栖「おか、べ……」
岡部「また歩き出せるまで」
岡部「俺が惚れこんだ……いつだって冷静で、どんな状況でもシビれるほどに冴えている」
岡部「牧瀬紅莉栖に戻れるまで」
岡部「いくらでも甘えろ」
岡部「いくらでも我が儘を言え」
岡部「俺が全部受け止める。お前を支えてやる」
紅莉栖「………っ」
岡部「まゆりもダルもすぐに来る。アイツらだっているんだ」
岡部「だからもう……そんな風に泣くな」
岡部「泣くなら、命令してからにしろよ?」
紅莉栖「おかべっ、おかべぇっ……!!」
岡部「なんだ、紅莉栖?」
紅莉栖「おかべっ……」
紅莉栖「……胸っ……貸しなさいよっ……」
岡部「うむ。お安い御用だ」
紅莉栖「っ……ぐすっ、おかべ……」
岡部「…………」
紅莉栖「童貞が……かっこつけんなっ……」
岡部「うるさい処女。黙って抱かれていろっ」
岡部「先ほど言ったとおりだ。何でもねだるがいい」
岡部「当然、キスでも何でもだ」
紅莉栖「ぷっ……似合わないセリフね?」
岡部「茶化すなら出てってもらうぞっ、我が儘はそれだけか?」
紅莉栖「っ、そんなわけないじゃない……相変わらず短絡的なんだから!」
岡部「…………」
紅莉栖「ねえ……岡部」
紅莉栖「私を……もらって?」
おしまい
映画が動き出せばまた増えるのかな
支援してくれた方、読んでくれた方、ありがとうございました!
Entry ⇒ 2012.04.24 | Category ⇒ シュタインズゲートSS | Comments (0) | Trackbacks (0)
和「宮永さん、私のリー棒も受け取ってください」咲「う、うんっ!」
http://hayabusa.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1335050059/
早朝。和、起床。
和(今日はインターハイ県予選団体戦決勝だというのに……私はなんて夢を……!)
――――――数時間後・県予選会場・清澄控え室
咲「えっ!? 決勝の他校のオーダーが直前で変更になった? 部長、それ本当ですか?」
久「本当も何も、オーダー発表ならさっきされていたじゃない。見てなかったの?」
咲「すいません……おトイレに行っていて」
久「ま、うちはいつも通りだから、あなたと和は控え室で休んでいるといいわ。先は長いからね」
咲「わかりました。行こ、原村さん!」
和「は、はい/////」
和(まさか今朝のは正夢……! なんて、そんなことはないですよ……ね……?)
・アニメの出来がすばらだったので咲SSです。
・内容、喋り方、打ち筋、能力に違和感、矛盾あるかもですすいません。
・微妙に手牌描写がありますが、萬子:漢数字、筒子:○つき数字、索子:ローマ数字、字牌:漢字、赤:[]つき、となっております。
・公式の大会ルールがどうだったかは忘れてしまいましたが、このSSでは喰いタンあり、赤四枚(五、Ⅴ、⑤、⑤)、ダブロンあり、W役満なし、大明槓からの嶺上開花は責任払い、となっております。
・嫁のことはぜひ応援してあげてください。
世界の麻雀競技人口は一億人の大台を突破。
我が国日本でも、
大規模な全国大会が毎年開催され、
プロに直結する成績を残すべく、
高校麻雀部員達が覇を競っていた…………。
これは、
その頂点を目指す、
少女たちの――あったかもしれない――軌跡!!
<咲――その花は何度でも咲く――>
福路「いってらっしゃい」
池田「いってらっしゃいだしっ!」
**「はいっ!」
――――――龍門渕・控え室
透華「わかっていますわね? 今年もわたくしたちの優勝で決まりだと観客に見せ付けてくるのですわ!」
**「うん、任せてよ」
――――――鶴賀・控え室
かじゅ「頼んだぞ」
蒲原「ワハハ、ま、楽しんで打ってくるといいぞー」
**「はいっす」
先鋒戦前半
東:片岡優希(清澄) 南:国広一(龍門渕)
西:東横桃子(鶴賀) 北:吉留未春(風越)
タコス「(タコスうまうまだじぇー!)よろしくだじぇ」
一「(清澄の先鋒、また東場の起家か。ひとまず様子見ってところかな)よろしく」
モモ「(先輩……私、頑張るっすよ)よろしくっす」
みはるん「(立ち上がりは大事だよね。でも、さすがに先鋒は緊張するなぁ)よろしくお願いします」
『先鋒戦前半を開始します。対局者は席についてください』
タコス「じゃ……始めるじぇっ!!」
回される賽――しかし、神はサイコロを振らない。
全ては必然。この場にいる誰もが確信している――己の勝利。
それでも……勝者はただ一人。
インターハイ県予選団体戦決勝、その火蓋が今切って落とされる!!
先鋒戦――開始!!
互いに互いの出方を伺う張り詰めた空気……!
そんな中、最初に仕掛けたのはやはりこの人!!
東の風を味方につけ、天高く舞い上がる――一枚の凧!!
四巡目。
タコス「先制親リーだじぇっ!!」
一(早いな。一発が恐いし、ここは現物から落として回し打ちかな)タンッ
モモ()タンッ
みはるん(四巡目の親リー……こんなの読めないよ)タンッ
タコス「――来たじぇっ!! メンタンピン三色一発ツモドラ一、8000オール!!」
一(これはこれは…………)
みはるん(うわぁ……いきなり飛ばしてくるなぁ)
タコス(タコス力を無事チャージした私に敵はないじぇ! このままどこまでも突っ走るじょ!!)
清澄・片岡優希――早くも独走態勢っ!!
タ:124000 一:92000 モ:92000 み:92000
七巡目。
タコス「まだまだ行っくじぇー、リーチッ!!」スチャ
一(東場で爆発するタイプ……実際に対戦してみるとこんなに心が折られそうになる雀風はないよね……。ま、衣や透華ほどじゃないけど)タンッ
モモ()タンッ
みはるん(まるで華菜ちゃんを相手にしてるみたいだなぁ)タンッ
タコス「ほい来たじぇっ!! リーチ一発ツモドラ一赤一…………裏三!! またまた8000オールの一本場は8100オールだじぇ!!」
一(うわっ……またか。これは放っておくとさらに手が付けられなくなるタイプなのかな。ボクより純くんのほうが相性良さそうだよ)
モモ()
みはるん(先鋒戦が始まったと思ったら二連続の親倍一発ツモかぁ。困るなぁ。いくら東場に強いからって限度ってものがあると思うんだけど)
タ:148300 一:83900 モ:83900 み:83900
一巡目。
タコス「天和ならず……!! しょうがない――ダブルリーチで勘弁してやるじぇっ!!」タンッ
一「…………清澄、リー棒は?」
タコス「うおっ!? そうだったじぇ……」スチャ
一(ったく、西切りのダブリー。こんなのどうしろって言うのさ。……いや、こうするんだけど)タンッ
タコス(……う?)
モモ(………………)タンッ
タコス(こ、この流れはまさか……!)
みはるん(なるほどね……はい、これでおしまいっと)タンッ
卓上に並ぶ四つの西――四風連打、流局!!
タコス(で、でも……甘いじぇ。私の親はまだ終わってないっ!!)
タ:147300 一:83900 モ:83900 み:83900 供託:1000
一巡目。
タコス(配牌リャンシャンテンドラ三……流されたってなんだってことないじょ。タコス力は全然落ちてないじぇ!!)タンッ
一(さて、さっきはお茶を濁してみたものの、清澄が親なことに変わりはない。かと言ってボクには純くんみたいにうまく流れを操ることはできないしなぁ……)タンッ
モモ(…………)タンッ
みはるん「それ、ポンです」タンッ
三巡目。
モモ(…………)タンッ
みはるん「チー」タンッ
タコス「リーチだじぇっ!!」タンッ
みはるん「ポンです」タンッ
タコス(一発消されたじぇ……。ツモは……ならずだじぇ!)タンッ
みはるん「ポン」タンッ
タコス「じょ……?」タンッ
みはるん「ロンです。断ヤオ赤一。2000の三本場は2900です」
一(風越……。最高で四暗刻、少なくとも対々くらいは狙えたその手を序盤から崩して断ヤオ。
早和了りで清澄の親を流すため? 鳴いて場を荒らすのも目的だったのかな)
モモ()
みはるん(あぁあ……公式戦で裸単騎なんてしたの久しぶりかも。こんな打ち方をしていたら後で絶対コーチに怒られる。
でも、とりあえず清澄の親は流した。これ以上好きにはさせない)
タコス(思いっ切り警戒されてるじょ。強者は辛いじぇー!)
タ:143400 一:83900 モ:83900 み:88800
片岡はペースを乱され、テンパイ、リーチするも和了れず。
東二局親一。十一巡目、みはるんツモ。白のみ300・500。
タ:143100 一:83400 モ:83600 み:89900
東三局親モモ。九巡目、タコスリーチ。その巡、現物を切ったモモを一が直撃。断ヤオドラ二、3900。
タ:142100 一:88300 モ:79700 み:89900
東四局親みはるん。七巡目、みはるん、モモのヤミテンに放銃。平和一盃口、2000。
タ:142100 一:88300 モ:81700 み:87900
そして――南入……。
タコス(うぅ……タコス力が抜けていくじぇ……)タンッ
一(さて、ここからかな)タンッ
モモ()タンッ
みはるん(東場の借りはきっちり返す)タンッ
五巡目。
モモ()タンッ
みはるん「チー」タンッ
タコス(風越のメガネっ娘……また早和了りする気満々っぽいじぇ。でも、南場を早く回してくれるのはありがたいじょ)タンッ
みはるん「ロンです」パタパタパタッ
タコス(…………じょ?)
みはるん「中混一一通ドラ一赤一……12000」
タコス(これは……やばい気がするじぇ……)
一(風越が動き出した……じゃあ、ボクもそろそろ攻めようかな)
タ:130100 一:88300 モ:81700 み:99900
十一巡目。
一「リーチ」スッ
モモ()タンッ
みはるん(来ましたか……龍門渕)タンッ
タコス(うぅ……安牌ないじょ……仕方ない、とりあえずスジだじぇ……)タンッ
一「ロン。メンタン三色一発、12000だよ」
タコス「じょー…………」
タ:118100 一:100300 モ:81700 み:99900
一(清澄の……そうは言っても東場のリードは大きい。ここは連荘しないと……)
八巡目。
一「リーチ」スッ
モモ()タンッ
みはるん(強気ですね、龍門渕)タンッ
タコス(こ、今度は安牌あるじぇ!!)タンッ
モモ「それ、ロンっす。タンピン一盃口、3900の一本場は、4200っす」
タコス(そっちはノーマークだったじょ!?)
一(ちぇっ、さっきもその前もツモ切りだったからまだ張ってないと思ったんだけどな。
見たところ手替わりを待ってたわけでもなさそうだし……ボクの親リーを警戒してダマってたのかな)
みはるん(鶴賀の人……なんか影薄い……くせに自己主張の激しいおっぱい……!
それに比べて清澄と龍門渕は……ふん、勝った!!)
タ:113900 一:99300 モ:86900 み:99900
タコス「ノーテンだじぇ」
一「ノーテン」
みはるん「ノーテン」
モモ「テンパイ」
タ:112900 一:98300 モ:89900 み:98900
南三局一本場親モモ
十三巡目。
モモ()タンッ
みはるん「ロンです。三暗刻ドラ一赤一、8000は8300」
タ:112900 一:98300 モ:81600 み:107200
七巡目。
モモ「ツモっす。チャンタのみ、300・500。……これで前半戦終了っすね」
このとき、吉留と国広はふと違和感を覚える。
みはるん(あれ……? 鶴賀? いつの間に張ってたの……? というか、待ちに待った私のラス親をそんなゴミ手で……!)
一(鶴賀……そう言えば存在を忘れてたな。って……早和了りもいいけど、点差見えてないのかな。
いや、無名高だからって侮るわけではないけど……それとも何か他に意図が……?)
タコス(ふうー。なんとか南場を凌ぎ切ったじぇ……!)
タ:112600 一:98000 モ:82700 み:106700
誰もが片岡の派手な和了に魅入られ、次を期待する。
しかし、その裏で密かに進行していた一つの異常――。
龍門渕・国広、風越・吉留、両名とも片岡の制圧に気を取られ、まだその異常には気がつかない。
往々にして目に見える脅威などさして大きな脅威とはならない。
本当に恐ろしいのは……目に見えない脅威。
探知の網をすり抜けて、闇色の戦闘機が、間もなく空へ飛び立つ。
そこから先は――独壇場。
先鋒戦――真の戦いは……これから!!
先鋒戦前半終了
一位:タコス+12600(112600)
二位:みはるん+6700(106700)
三位:一-2000(98000)
四位:モモ-17300(82700)
タコス(前半後半……合計二回も東場が来るのは嬉しいじぇ!!)
一(なんだかんだでボクは前半原点割れ。トップの清澄とは14600点差。
単純に同じ戦略を取れば同じ結果が得られると仮定すれば、この半荘が終わる頃にはそれが29200点差に開いている。
それじゃダメだ。もっと別のやり方を考えなきゃ……どうする……?)
みはるん(また東場か……さっきは荒らしてみたけど、結局南場でその分を取り返せないと意味がない。
清澄は南場になると精細は欠くけど……オリるときはきっちりオリる。さすがにそうそう直撃を狙うことは難しい。
となれば……私のやるべきことは……)
モモ(………………)
五巡目。
タコス「ガンガン行くじぇっ!! リーチっ!!」スチャ
一「(早いっ!! 衣じゃないけど高そうで嫌な感じだよ。今のボクの手じゃたとえ打ち合いが出来たとしても分が悪い……。
仕方ない、とりあえず一発は消させてもらおうかな)……チー」タンッ
みはるん()タンッ
モモ()タンッ
タコス「じょーーーツモれずだじぇっ!!」タンッ
一(さて、もしかしてこのツモが清澄の当たり牌なのかな……っていうのはさすがに弱気過ぎるか。けど、これは一応抱えておこう)タンッ
九巡目。
一「ツモ。發ドラ一赤一、1300・2600」
一(まあ、こんなもんかな。基本は早く回して、期待値が高ければ打ち合い。安手でも極力ドラを使ったりして点数を上げる……。
芸がないような気もするけど、東場の清澄とまともにぶつかるのはリスクが高い。
衣や透華ほどではないにしろ、この人も常識が通用しないタイプみたいだし。……まあ、それでも勝つのはボクだけど)
みはるん(龍門渕……やっぱり清澄は警戒するんですね。さっきみたいに東場は早く流すつもりですか。さて……それに対して私はどうするか……)
タコス(うぅ……親が流されたじぇ……)
タ:109000 一:104200 モ:81400 み:105400
十二巡目。
タコス(こうなったら……ヤミでぶちかますじぇ……!)タンッ
一(あ、これは……またなんかヤバい感じ。でも、連荘したいから安手だけど突っ張ってみるか……?
いや、せっかくさっきツモったばかり。ここで無闇に点棒を減らすわけにはいかない)タンッ
みはるん(龍門渕、清澄にテンパイ気配が出た途端にオリですか。勝負できるような手ではなかったのかな……?
けど、親でそれはちょっと弱気過ぎますよね。ま、そっちがそういうスタンスならうちとしては大歓迎。去年の雪辱はばっちり果たしますよ)ツモッ
みはるん(清澄……さっきまでの清澄なら今のはリーチしていましたよね。学習したんですか……。
だけど、得意の東場でそんな小細工をするようになったあなたなんてもはや恐くない。私はもう東場でもオリません。
清澄……張りたかったらヤミで満貫でもハネ満でもテンパイすればいい……けど、私はそれの上を行く!!)
モモ()タンッ
タコス(うう……風越のそれ……惜しかったじぇ……!)タンッ
一(風越……そんな危険牌でリーチ……!? 相当高い手を張ってるのか……前半は四暗刻を捨ててまで場を荒らしてきたのに……)タンッ
みはるん(これくらいであっさり引いていたら名門風越でレギュラーは取れない。
清澄……東場の速攻タイプ。ほぼ毎局リーチする上に、満貫以上が当たり前の高火力……けど!!)タンッ
モモ()タンッ
こっちが引けば引くほど火力が上がっていって、あっという間に飛ばされる!)
タコス(うぅ……ツモれずだじぇ。風越のメガネっ娘……追っかけたいけどここでこのツモ切りは明らかに危険じぇ……。
仕方ないじょ、ここは一旦崩してチャンスを待つじぇ!)タンッ
一(清澄がオリた……! くっ……さっき崩してさえいなければ今のは鳴けてテンパイだった……!
安手だったけど風越のチャンスを潰すことくらいはできたかもしれなかったのにっ……!)タンッ
みはるん(そして……そんな華菜ちゃんからでもしたたかに直撃を取れるのがうちのキャプテンだ……!!
それに二人とも東場を過ぎれば危機が去るわけじゃない。南場になったってあの二人は止まらない……! 私は――そんな人たちとずっと卓を囲んできた!
このくらいの状況を切り抜けられないような力で勝ち取れるほど……名門風越のレギュラーは甘くない!!)ツモッ
みはるん「……ツモッ!! メンタンピン三色一盃口ツモ……裏二!! 4000・8000です!!」
一(風越……!)
タコス(じょー……)
みはるん(さあ、連荘してやるっ!!)
タ:105000 一:96200 モ:77400 み:121400
十巡目。
タコス「(さっきは引いてダメだったじょ……なら、押して押して押しまくるじぇっ!!)リーチ!」スチャ
一(んー。さっき崩したのが尾を引いてるのかな……? 思うように手が進まない。
いやいや、そんなの迷信だよね……落ち着けボク。冷静に、今できる最善のことを)タンッ
みはるん(清澄、押してくる気満々……。それでこそって感じですね。いいです。受けて立ちますよ!)
みはるん「リーチ!」スチャッ
風越・吉留、清澄・片岡に真っ向から立ち向かう、気合のリーチ。
普段のおっとりとした性格からは想像もつかないその強気な闘牌に、控え室で待機する部員たちの応援にも熱が入る。
しかし、風越キャプテン・福路美穂子だけは怪訝な表情でモニターを見つめていた。
福路(何か妙だわ……! 吉留さん……よくその場を見て……!!)
しかし、福路の願い、届かず。
「……いいんすか? それ……通らないっすよ」
沈黙は――破られた。
みはるん(鶴賀……? いたの? っていうか何を言ってるの……だってこれは清澄の現物……)
倒されるモモの手牌。霧が晴れるように明らかになる捨て牌と――リー棒。
モモ「ロンっす。リーチ一発チャンタドラ一……裏が乗って12000っす」
吉留――戦慄。
みはるん「なっ、リーチ!? しかも一発って……! あなた、ちゃんとリーチ宣言しましたか!?」
モモ「したっすよ」
みはるん「そ……んな……!?」
一(鶴賀……!? 今の和了りはなんだ……? 風越の言う通りだ……いつの間にリーチしてた……?)
タコス(じょー……?)
みはるん(鶴賀のおっぱい……どういうこと!?)
鶴賀・東横、ついに参戦!!
タ:104000 一:96200 モ:90400 み:109400
モモ(清澄のタコスさん、龍門渕の鎖さん、風越のメガネさん……。さすがに決勝の先鋒戦……みなさん強いっす……)タンッ
モモ(けど……もう手遅れっすよ。あなたたちの目に私は映らない。私のリーチはダマと同じ……私が当たり牌を切っても相手がフリテンになるだけ……)タンッ
モモ(ここからは……ステルスモモの独壇場っす!)タンッ
九巡目。
タコス「リーチだじぇ!」スチャ
モモ(清澄のタコスさん、前半と同じく東場は止まらないっすね。風越が勢いを呑んだようにも見えたっすけど、お構いなしっすか。
でも……もはや私には関係ないこと)ツモ
モモ(さて、張ったっすね。清澄は筒子の染め手が濃厚。ここでド真ん中無スジの五筒は明らかに危険牌……けど、だからなんなんすか。
私はもう……オリないっすよ)
モモ「……リーチっす……」スチャ
タコス(来い来い来いっ――)ツモッ
タコス「じょー! 赤いのっ! 私はお前をずっーと待ってたじぇ!! ツモ、一発! メンホン白赤一……裏は――乗らず! 残念、4000・8000だじぇ!!」
モモ(なあっ……!!)
一(ふう。東場の清澄……さすがに完全には抑えられなかったか)
モモ(清澄……!! 私の出した当たり牌を見逃した直後にツモってフリテン回避……!? しかもそこで赤五筒をツモってくるとかどんな化け物っすか……!?
私自身が放銃しなかったのは不幸中の幸いっすけど……結果的に清澄はツモと一発と赤一がついて出和了りなら満貫だった手が倍満……しかも私は親っかぶり……!)
モモ(いや……落ち着くっす。私のステルスが破られたわけではない。たまにはこんなこともある……それだけのことっす。
それに次からは南場……。清澄……! 私から持っていった点棒……利子つけて返してもらうっすよ!)
タコス「あれ? なんかリー棒も一本ついてきたじぇ! ラッキー!」
モモ()イラッ
一(え……!? 鶴賀……またリーチしてたのか。しかも清澄が当たり牌を見逃してる……? これはもうそういうことだって考えていいのかな……?
それにしても……今の清澄の見逃しはヒントだな。なるほど、捨て牌が見えなくても、ツモなら無関係に和了れる!)
みはるん(清澄……まさかツモれる自信があっての見逃し――ってことはないと思うけど。最後の最後にやってくれましたね。
それにしても鶴賀のおっぱいは一体なんなの?
姿は忌々しいおっぱいが目に入らなくなるからいいとして、捨て牌が見えなくなるなんて異常過ぎる……こんな打ち手は……風越にはいなかった……)
タ:121000 一:92200 モ:81400 み:105400
八巡目。
モモ「それ、ロンっす。メンホン南北。12000」
タコス「じょー!?」
一(また鶴賀の見えないリーチ……! しかもその捨て牌……第一打からしてあからさまな染め手!
捨て牌やリーチが見えないのを最大限に活用して手を高くしてくるなんて……やっぱりこの人……確信を持って消えているんだ……)
みはるん(鶴賀のおっぱい……! くっ……前半戦がやけに大人しかったのはこういうことだったんですか。なんて許しがたいおっぱい……!)
タ:109000 一:92200 モ:93400 み:105400
一(さて、テンパイしたはいいものの……鶴賀の動きがまるで見えない……どうしたもんかな)タンッ
流局。
一「テンパイ」
みはるん「ノーテン」
タコス「ノーテンだじぇ」
モモ「テンパイ」
一(うわ、鶴賀の……やっぱりリーチしてたのか。危ない危ない)
モモ(龍門渕の鎖さんのテンパイ……確か後半はずっとツモ切りだった。
ということは十五巡目で清澄を見逃したのはわざとってことっすか……私のステルスを警戒してる? ……厄介っすね)
みはるん(うわぁ……鶴賀のおっぱいまたいつの間にかリーチしてる……!?
困ったなぁ……清澄は爆発力があるだけだったから対処の仕様もあったけど……こんなおっぱい……どうやって戦えばいいの……?)
タコス(……なんだかよくわからないけど大変なことになってる気がするじぇ……)
タ:107500 一:93700 モ:93900 み:103900 供託:1000
一(鶴賀の……捨て牌が見えない。リーチには気付けない。
オマケにあっちが当たり牌を振り込んできてもこっちは必ず見逃す――今までの感じをまとめるとそんなところかな。
こんな相手は初めてだよ……でも、全国には同じくらい厄介な相手がゴロゴロいた。まさか新設の無名高にこんな隠し玉がいたとは思わなかったけど。
ただ、悪いね。去年のボクならいざ知らず、今年のボクには経験がある。そのくらいでは揺るがないよ)タンッ
一(さっきは清澄相手に弱気になって風越に出し抜かれた。清澄は南場になれば引っ込むからいいと思ってたけど……鶴賀はそうじゃない。
きっと最後まで見えないままだ。オマケに鶴賀はラス親……大人しくしていたら全部持っていかれる)タンッ
一(ただでさえボクは今最下位なんだから……これ以上離されるわけにはいかない……!)タンッ
一(捨て牌が見えない? リーチには気付けない? オマケにあっちが当たり牌を振り込んできてもこっちは必ず見逃す? だからなんだっていうんだ……!
衣と麻雀したときに比べれば全然恐くない。要するに清澄がやったみたいにやればいいんだ。相手より早くテンパイしてツモで和了る!
そんなの……これまでやってきたようにやればいいだけだ!!)タンッ
一「(来た、テンパイ。鶴賀がもう張っている可能性は十分にあるけど……いや、勝つためにはこれくらいのピンチで自分を曲げていちゃダメなんだ。
まっすぐに――正攻法なボクで行くっ!)……リーチ!」スチャ
みはるん(龍門渕のリーチ……! うぅ……ここは現物でオリたいけど……でも、鶴賀の当たり牌がまったく読めないし……く、通れっ!)タンッ
モモ(鎖さん……今度はリーチしてきたっすね。出和了りをするつもりがないのはさっきの見逃しで予想がつく。
ってことは私より早くツモれる自信があるってことっすか……。ただ、こっちも二巡前にリーチかけてるっすからね。
ツモしかできないあなたと、誰からでも和了れる私……どっちが早いか勝負っす!!)タンッ
十五巡目。
みはるん(お願い……通って……!)タンッ
モモ(くっ……出てこいっ!)タンッ
タコス(当たるんじゃないじょー!)タンッ
一(来いっ……!)ツモッ
一「ふぅ……ツモ。リーチツモドラ三赤一……! 6000オールの一本場は、6100オール」
モモ(鎖さん……!? 私の当たり牌を抱えての三面張……! 偶然とは言え、やってくれるじゃないっすか……)
一(おっと、やっぱり鶴賀もリーチしてたか……。けど、こうして和了ってしまえば問題はない!)
タコス(じょー!? 南場でのトップ転落は死亡フラグだじぇっ……!!)ウルウル
タ:101400 一:114000 モ:86800 み:97800
十三巡目。
一(と、さっきはうまくいったけど。
やっぱりツモのみで和了るのは無理があるな……この手牌でこの巡目まで来ちゃったら鶴賀の見えないリーチとは勝負にならない。ここは大人しくオリるか。
大丈夫……鶴賀はテンパイしているかもしれないけど、清澄に合わせておけばボクが鶴賀に振り込むことはない)タンッ
みはるん(うーん、張った。けど……鶴賀のおっぱい。何も見えない。どうしよう……いや、でもここは……!)
みはるん「通らば……リーチっ!」タンッ
モモ「通らないっす。メンタンピン……裏一……7700の二本場は8300っす」パタパタパタ
みはるん「……はい……」
モモ(これで三位……このまま全員ブチ抜くっす!)
一(風越の……もしかしてこういう相手には慣れてないのか?)
みはるん(ううう……また鶴賀のおっぱい……いつの間にリーチしてたんですか……?)
タコス(さっきから我最強に空気だじぇ!)
タ:101400 一:114000 モ:95100 み:89500
八巡目。
みはるん(ダメだ。目を凝らしても集中しても全然見えない……。こんなの本当に麻雀なの?
どうしよう……最後の親……ここで逆転したいのに、鶴賀の動きがどうしてもわからない。どうしたらいいの……私……どうしたら……!)タンッ
モモ(風越のメガネさん……最後の親だっていうのにかなり戸惑ってるみたいっすね……思うつぼっす)ツモッ
モモ「……リーチっす……」スチャ
モモ(本当は龍門渕から取りたいっすけど……鎖さんはさっきから清澄に合わせて打ってる。となると直撃は無理っぽいっすね。
ま、そっちがダメなら風越から点を奪えばいい。名門風越と差が開くならそれはそれで悪くないっす……)
九巡目。
みはるん(イーシャンテン……どうしよう、形は悪くない。けれど、どうしても振り込むイメージが頭から離れない。
捨て牌が見えないなんて……反則だよ……。ちょっと違うかもしれないけれど……もしかして去年の天江衣と対戦したときの華菜ちゃんはこんな感じだったのかな……?
華菜ちゃん……華菜ちゃんなら……こんなとき……どうする……?)
池田「ここは押せ押せだしっ!」
みはるん「押せ押せって……華菜ちゃんはこんな状況で親リーと勝負するの?」
池田「負けてるなら押しが当然だしっ!」
みはるん「私は……でも、ここは一旦オリて次のチャンスを待つのが正解だと思う。ここで勝負できるのなんて……それこそ華菜ちゃんかキャプテンくらいだよ」
池田「まあ、みはるんならそうかもね。けど、あたしはずうずうしいしっ! それに……もう負けるのは――絶対嫌だしっ!!」
みはるん「華菜ちゃん……」
――――――
華菜ちゃんは……やっぱりすごいよ……私と違って……)
出会ったことのない類の強敵に、弱気になる吉留。
『っていうか、みはるんくらい強いなら、もっとずうずうしくても全然いいと思うしっ!』
そんな吉留を励ますように、思い出の中の池田が笑う。
つられるように、吉留も微笑む。
みはるん(でも……そっか……! そうだよね……華菜ちゃん……! ありがとう!
不思議だな……華菜ちゃんのことを思い出したら鶴賀が急に恐くなくなったよ。うん、私いま……少しだけ華菜ちゃんの強さの秘密がわかった気がする!
ここは勝負っ! 私も華菜ちゃんみたいに強くなるんだっ!!)タンッ
モモ(一発ロンはならず……と、ツモもならずっすね。そうそう清澄のタコスさんみたいにはいかないっすか……。
それにしても……風越のメガネさん、今少し笑ったような……?)タンッ
タコス(全然テンパイできないじぇ……)タンッ
一(そろそろ鶴賀がリーチした頃かもな……)タンッ
みはるん(そうだよね……よくよく思い出せば、ヒントは龍門渕がいっぱい残してくれた。
見えないなら出和了りはしない。ただ相手より早くツモって、和了る。なんだ……!!
そう考えれば普通の麻雀だ。相手より早くテンパイして和了る。それを続けていけば……相手が誰だろうと勝てるっ!!)ツモッ
みはるん「通らば――リーチです」スチャ
モモ(残念……それは通しっすよ)タンッ
タコス(南場はつらいじぇ……!)タンッ
一(風越……持ち直したか?)タンッ
十八巡目。
みはるん「ツモです。リーチツモ三暗刻……裏三。6000オール」
モモ(ま……そんな……!? 龍門渕に続いて風越もっすか!!)
みはるん(どうですか、鶴賀のおっぱい!! あなたの好きにはさせません!)
一(鶴賀のリー棒を掻っ攫っての逆転トップ……。もう恐いのは鶴賀だけだと思っていたけど、さすがは名門風越。
まだ死んでないってわけか。面白い……望むところだっ!)
タコス(じょーーー!? 原点割れたじょーーー!!!)
タ:95400 一:108000 モ:88100 み:108500
モモ(去年の優勝校龍門渕、それに名門風越。考えが甘かったっすね……。
さすがは決勝……みなさん私の姿は完全に見えてないはずなのに……そう簡単には勝たせてくれないっす……。
いや、もちろん弱い相手だとは思っていなかったっすけど……完全なステルスモードに入ったっていうのにこの様……もしステルスがなかったらどうなっていたか……さすがに少し自信をなくしそうっす……)タンッ
モモ、前半の半荘を思い出す。消えることに専念していたとはいえ、他校の猛攻の前に一人沈み。
さらに後半、ステルスを最大活用して先制リーチをかけるも、結果的には清澄、龍門渕、風越の三校全てにツモ上がりを許してしまう。
現状はいくらか取り返したものの変わらずの最下位。ラス親とはいえ残り局数もあと僅か。ここで反撃できなければ、とんだ道化で終わってしまう。
小さく溜息をつくモモ。しかし、その心は折れない!
『私は君が欲しい!』
モモ(先輩……私を見つけてくれた先輩……!! こうしている今もモニター越しに先輩が私を見てくれている……!
だったら……弱気な姿なんて見せるわけにはいかないっすよね……! 先輩……私頑張るっすよ!
私は……私を見つけてくれた先輩のために……必ず逆転してみせるっす!! だから……先輩――見ていてください!!)タンッ
蒲原「モモのやつステルスモードなのに随分苦戦してるなー。いや、他の面子がそれだけ手強いってことかー」ワハハ
かじゅ「なに……モモなら心配は要らないさ。普通に打っても十分に逆転できる。
そもそも私があいつを麻雀部に誘おうと思ったときには、あんな特技があるなんて知らなかったしな」
蒲原「そうだったー、そうだったー」ワハハ
かじゅ「モモ……相手に不足はないぞ。思う存分打ってこい!」
――――――対局室
モモ(先輩……! 先輩の声が聞こえた気がするっす! 私……勝ちます。絶対勝って……全国に行くっす。そして……これからも先輩と一緒に麻雀をするっす!!)タンッ
モモ「ツモ、1300・2600の一本場は1400・2700」
オーラスに突入。風越・吉留と龍門渕・国広はモモのステルスを警戒するも、ステルスそのものを突破することはできず放銃。
モモ「ロンっす。5800」
モモ、まずは風越を直撃。
モモ「それ、ロンっす。7700の一本場は8000」
次いで龍門渕を撃ち落す。
一(鶴賀……さすがに粘るな……!)
みはるん(おっぱいのくせに……ツモってまくってやる!!)
モモ(まだまだ……!!)
タコス(南場だからなんだっていうんだじぇ……! 私は最後まで前に進んでやるじぇ!)
そして、モモ怒涛の三連続和了からの、南四局二本場親モモ。
タコス「やっとツモれたじぇ。リーチツモ……裏はなし。500・1000の二本場は700・1200だじょ!」
先鋒戦を終わらせたのは、この日南場での初和了りを決めたタコス。
一位:モモ+23500(106200)
二位:一-100(97900)
三位:みはるん-7400(99300)
四位:タコス-16000(96600)
名門風越と前回優勝校・龍門渕を押さえての、無名校・鶴賀・東横桃子の堂々たる一人浮き!
タコス(うう……後半はいいとこナシだったじぇ……)
一(ごめんね、みんな。負けちゃった……。けど、すごく楽しかったよ)
みはるん(鶴賀のおっぱい……この借りはいつか必ず返します!)
モモ(先輩……見ていてくれたっすか……!)
こうして先鋒戦は終了する。
いくらかの休憩を挟んで、次は次鋒戦となる。
次鋒戦前半
東・文堂星夏(風越) 南・染谷まこ(清澄)
西・井上純(龍門渕) 北・加治木ゆみ(鶴賀)
まこ「(最初はとりあえず様子見かのう……)よろしゅう」
文堂「(龍門渕の井上……不可解な鳴きに注意が必要。清澄は染め手が好みで、勢いに乗ると止まらなくなるタイプ。
鶴賀は……あまり情報がないが、これまでの試合結果を見る限り、実力的には鶴賀のナンバーワンと見ていい……油断は禁物だ)よろしくお願いします」
井上「(ったく国広くんのやつめ……見てろよ……速攻で取り返してやる)よろしくな」
かじゅ「(モモが取ったリード……ここで私が追いつかれるわけにはいかない)よろしく」
次鋒戦――開始!!
文堂(テンパイ……ヤミで11600。ここはリーチはしないほうがいいかな)タンッ
まこ(風越、さっそくテンパったんか?)タンッ
井上「(させねーよ)……チー」タンッ
かじゅ(龍門渕が鳴いたか……。井上純、妙な鳴きをすることの多い選手……となると、こうして今私がツモった三索は本来龍門渕がツモるはずだったもの……何か意味があるのかもな。一応持っておくか)タンッ
文堂(三・六索来い……! く、發か。ツモれず……まあ、チャンスはまだまだある……)スッ-
と、そのまま發をツモ切りしようとした文堂の手が止まる。
文堂(待て待て……! 龍門渕の井上が鳴いたら要注意だってキャプテンにあれほど言われたじゃないか……!! なら、ここで素直にツモ切りするのは危険かもしれない)タンッ
まこ(なんじゃ風越、テンパったと思ったんじゃが気のせいじゃったか?)タンッ
井上(風越……ツモ切りしてくると思ったんだがな。気付かれたか? しかし……ま、気付かれたところで流れが今オレに来ていることに変わりはない)ツモッ
井上「ツモだ。發ドラドラ、1300・2600」
文堂(さっきの發……切っていたら直撃だった)
まこ(おっと、そっちは見とらんかったのう)
かじゅ(ふむ……)
文:96700 ま:95300 井:103100 か:104900
八巡目。
まこ「(ほいじゃあ、最初の和了りは取られてしもうたが……リーチはわしがいただきじゃ。どれ、挨拶代わりじゃ!)……リーチ」スチャ
井上「ポン」タンッ
まこ(っと、龍門渕……さっきのといい変な鳴きしよってからに。そういや過去の牌譜もそんなんじゃったのう)
かじゅ「(このままだとまた龍門渕のツモるはずだった牌が私に来てしまう……なら、ちょっと試してみるか)……チー」タンッ
井上(ん、鶴賀がオレの手出しを鳴いただと……?)
かじゅ(さて。あとは風越がどう出るかだが……ここか?)タンッ
文堂「(鶴賀の手出し……鳴けばテンパイ。待ちも手広い。これで親リーを蹴る!)……ポンっ!」タンッ
まこ「ツモ。メンホンツモ……裏はなしじゃ。4000オール」
かじゅ(なるほど……ツモを回すとこういうことになるのか……)
井上(鶴賀の……今の鳴きはわざとだったのか……? よくわからねえ……何を考えている……?)
文堂(く、清澄……連荘はさせない……)
文:92700 ま:107300 井:99100 か:100900
十一巡目。
まこ「ほい、もう一発親リーじゃ!」タンッ
井上「(またかよ……連荘で調子付かれると厄介そうだな。潰しておくか)チ……」
かじゅ「ロンだ。七対子ドラドラ。6400の一本場は6700」
まこ(張っとったんか鶴賀……というか、なんじゃそのわけのわからん和了りは……!)
井上(鶴賀のやつ……さっきの鳴きといい……こいつはこいつで面倒臭そうだな。流れが見えにくい)
文堂(鶴賀……これでまだ和了ってないのは私だけか……次こそは……!)
かじゅ(さて、これでさっきの清澄の親満の分は取り返したな)
文:92700 ま:100600 井:99100 か:107600
十巡目。
文堂「(テンパイ……! 三面張の高め三色……龍門渕が親なのが恐いけど、ここで攻めないでいつ攻めるっ!!)リーチッ!」タンッ
まこ(おお、今度こそ高そうじゃ)タンッ
井上「チー」タンッ
かじゅ「…………チー」タンッ
井上(なっ……鶴賀……!?)
文堂「ツモですッ! メンタンピン三色ツモ、裏二。4000・8000!」
かじゅ(役ナシ確定の鳴きか……我ながら意味不明だ)
井上(倍満の親っかぶりかよ。風越の当たり牌……鳴かずに抱えていたほうがよかったか? いや、でも……それじゃオレが和了れねえしな。
……っていうか鶴賀のやつ、本当に何のつもりなのか全然わかんねえ。せっかく流れを変えてもこいつに乱されちまう……どうすりゃいい……?)
文:108700 ま:96600 井:91100 か:103600
六巡目。
かじゅ「リーチ……」スチャ
文堂(親リー……今のところトップはうち……振り込みは避けたい)タンッ
まこ(鶴賀のリーチ……さっきの和了りを考えると……ちょっと不気味じゃのう)タンッ
井上(鶴賀……よくわかんねえが……いい気になるなよ……!)タンッ
かじゅ(ん、リーチがかかったのに龍門渕が鳴かなかった……? この場は鳴かなくてもいい――ということなのだろうか……)ツモッ
井上(どうしたんだよ、鶴賀。和了りじゃないなら早く切れよ)ニヤッ
かじゅ(なるほど……鳴かなくていい場合もあるのだな。
流れ――というものがあるとして、鳴かないほうがむしろ自分に分があるときは大人しくそれに身を任せる。
へえ……一体どこまで見えているのか。本当に不可解だ。しかし……まあ、保険はかけておくものだな……)
井上(なああっ……!? オレの当たり牌を暗槓!? つーことはこいつ元々手の内にオレの当たり牌を三枚持ってやがったのか……?
リーチをかけてきたのは……もし鳴きでツモ順がズレてオレの当たり牌を掴まされても暗槓できるように……? くそっ、んなこと有り得てたまるか!)
かじゅ(嶺上はならず……ま、そりゃそうだ……)タンッ
流局。
かじゅ「テンパイ」
井上「ノーテン」
まこ「ノーテン」
文堂「ノーテン」
文:107700 ま:95600 井:90100 か:105600 供託:1000
十一巡目。
かじゅ(下手にリーチをかけると龍門渕が潰しに来る。かといって黙っていると……)タンッ
文堂「リーチです」スチャ
まこ「追っかけじゃあ」スチャ
かじゅ(……こうして他校が攻めてくる。困ったものだ)
井上(ちっ、鶴賀が気になるっつーのに風越と清澄が同時リーチかよ。
鶴賀の動きが読めねえこの状況でじたばたするとかえって傷が広がりそうだしな……仕方ねえ……ここは大人しく打っとくか……)タンッ
かじゅ「ポン」タンッ
井上(鶴賀……?)
文堂()タンッ
かじゅ「ロンだ。断ヤオドラドラ。5800の一本場は、6100」
井上(おいおい……そんなオレみたいなことしやがって……!)
文:100600 ま:94600 井:90100 か:114700
文堂(マズい……最初の和了りで龍門渕警戒かと思ったら……!)タンッ
まこ(んー、さっきからけっこういいの張っとるんじゃけどのう)タンッ
井上(このままじゃマズいってのに……鳴けねえ!)タンッ
かじゅ「ツモ。平和ツモ赤二。2600は2800オール」
文・ま・井(鶴賀が止まらない……!!)
かじゅ(さて、これで三本場。私にしては少々力が入り過ぎな気もするが……仕方ない。モモのあんな闘牌を見たあとでは……欲も出るというものだ)
文:97800 ま:91800 井:87300 か:123100
十六巡目。
かじゅ「チー」タンッ
文堂(これで鶴賀が三副露。染めているわけでもなければ、チャンタも断ヤオも三色もない。
一通は私が止めているから問題ないとして、他に可能性があるのは役牌……まだ河に一枚も出ていない東か)タンッ
次巡。
かじゅ()タンッ
文堂(え……ノータイムで東をツモ切り?
東を暗刻で持っているならカンをしてもよかった場面だと思うが……それともこの巡目、さっきのチーは役無しの形式テンパイ狙い?
なら……私もここはテンパイを崩さずにいくのが妥当か)タンッ
かじゅ「ロン。ダブ東ドラ一。5800の三本場は、6700」
文堂(東持ってたんですか!?)
かじゅ(ふう……これでさっきの風越の倍満分は取り返したか)
文:91100 ま:91800 井:87300 か:129800
六巡目。
文堂(鶴賀、さすがにもう張ってるなんてことはない……か?)タンッ
まこ(手はいいんじゃがなぁ。あと一歩で和了れん)タンッ
井上(ダメだ。変わらず流れが読めねえ。
普通に強いだけならまだやり様があるが……こいつはところどころで打ち方が不規則になる……カメレオンでも相手にしてるみたいだ)タンッ
かじゅ(おっと、また張ってしまった。これはあとで痛い目を見るかもな。リーチは……龍門渕が何かしてくるかもしれない……かけないほうがいいか)タンッ
まこ「ポン」タンッ
井上(清澄……? わざわざ自分から流れを悪くしにいって……なんのつもりだ?)タンッ
まこ「お、それもポンじゃ」タンッ
井上(オレが言えたことじゃねーが、わけわかんねー鳴きしやがって)タンッ
かじゅ(ふむ……)タンッ
まこ「それ、ロンじゃ。混一のみ。2000の四本場は、3200」
かじゅ(その手ならいくらでも高めを狙えただろうに。仕掛けてきたか……清澄)
文:91100 ま:95000 井:87300 か:126600
まこ、脱、眼鏡!!
まこ(さーて。やっとどんなもんか掴めてきたのう。とりあえず、風越と龍門渕は過去の牌譜通りっちゅう感じじゃな。まあまあ運が向いてくれば勝てなくはない相手じゃろ)タンッ
まこ(ただこの鶴賀の加治木とか言ったか……牌譜……この大会の分しかなかったからようわからんかったが……目の前にしてみると随分やりにくい相手じゃの。まるで久でも相手にしとるみたいじゃ)タンッ
まこ(久も鶴賀も……普段の打ち筋はデジタルじゃのに時々オカルトめいたことをし出す……どっちにも言えるんは、最終的にそれで勝てるっちゅうところかの)タンッ
まこ(鶴賀の……こういう静かで隙なく強いタイプにゃあ……下手に噛み付かんほうが身のためかもしれん。
ほうかと言って……このままやられっぱなしじゃ一年生どもに示しつかんからの)タンッ
まこ、先鋒戦が終わったあとの、タコスの涙を思い出す。
後輩がやられた分は――先輩が取り返さなければならない!!
まこ(ま、やるだけやってみるしかなさそうじゃ!!)タンッ
南一局親文堂、まずは風越・文堂から1000点の和了り。
まこ「ロンじゃ。チャンタのみ。1000」
文:90100 ま:96000 井:87300 か:126600
南二局親まこ、かじゅにテンパイ気配。その流れを乱そうと鳴いた井上の手出しを、まこが狙い撃つ。
まこ「ロン。断ヤオ赤一。3900」
文:90100 ま:99900 井:83400 か:126600
南二局親まこ一本場、今度も鳴きからのツモ和了り。
まこ「ツモ。東混一。2000は2100オールじゃ」
文:88000 ま:106200 井:81300 か:124500
井上「ロンだ。断ヤオドラ一赤一。3900は4500」
まこ(ま、そうそう楽はさせてくれんじゃろうな)
南三局親井上、連荘したい井上と積極的に仕掛けるまこの一騎打ちの様相。勝者はしかし、二人の鳴き合いの中で静かに手を進めていた、かじゅ。
かじゅ「ツモ。タンピン一盃口ツモ。1300・2600」
井上(ちっ……鶴賀の……!)
まこ(鶴賀……こりゃあ大変なのと当たってしまったのう)
南四局親かじゅ、配牌、ここまで攻めあぐねていた文堂に勝負手が入る。八巡目、文堂渾身のハネ満確定リーチ。
文堂(ここで……和了しなくては……!!)
しかし、井上の鳴きによって不発。文堂の一人テンパイによる流局で終了。なお、供託リー棒はこの半荘トップのかじゅの手に入ったものとする。
次鋒戦前半終了!!
一位:かじゅ+23500(129700)
二位:まこ+2800(99400)
三位:文堂-10600(88700)
四位:井上-15700(82200)
東:井上 南:文堂 西:まこ 北:かじゅ
東一局親井上
井上(ふう……休憩があってよかったぜ。おかげで落ち着けた。前半は鶴賀に踊らされてかなり焦っちまったな……ちっ、オレらしくもない。
しかし、鶴賀……このままタダで終われると思うなよ……)
まこ(鶴賀がラス親か……嫌な感じじゃのう。さっきは色々小細工してみたが……どれも決め手に欠ける。どうしたもんかのう……)
文堂(わかっていたことだけれど……決勝戦は今までの相手とは段違いだ……正直、私なんかじゃ歯が立たない……でも……でも……)
かじゅ(またラス親か。あまりいい予感はしないな。私はモモと違って後半になれば強くなるタイプというわけでもない。
鍍金がはがれる前に片を付けなければ……)
次鋒戦後半――開始!!
東一局親井上、かじゅの一人テンパイ、流局。
文:87700 ま:98400 井:81200 か:132700
東二局一本場親文堂、全員ノーテン、流局。
文:87700 ま:98400 井:81200 か:132700
東三局二本場親まこ、後半戦初の和了りは、前半戦から勢いに乗るかじゅのヤミテン。
かじゅ「ロン。七対子混老頭、6400は7000」
まこ(げっ……またそういう記憶にないことをしよってからに!)
かじゅ(なんとか和了れた……。このまま無事に済めばいいが……どうだろうか。
清澄と風越からはかなり警戒されているし……それに先程からやけに龍門渕が大人しい……何を企んでいる……?)
まこ(前半の鳴きの嵐が嘘のようじゃのう。
みんな龍門渕の井上を警戒しとるのかリーチがかからんし……そしてわしの手は悪過ぎじゃ……これじゃ和了るに和了れん……)
文:87700 ま:91400 井:81200 か:139700
そして、今局のかじゅの一見不可解な和了りを見て、次局ついに――風越・文堂が悪足掻く!!
文堂(キャプテン……! キャプテン……私は……!)タンッ
――――――回想・風越女子校内
福路「文堂さん、レギュラー入り、おめでとう」
文堂「ありがとうございますっ! 精一杯頑張ります!」
福路「大丈夫よ。あなたは強い。ここは運やまぐれでレギュラーになれるところじゃない――名門風越よ。
あなたはもっとあなたの強さに自信を持っていいと思うわ」
文堂「強さ……でも、キャプテンや池田先輩から見れば……私なんて全然……」
福路「そんなことないわよ。私や華菜や吉留さんと卓を囲んでも、文堂さんがトップのときもあったでしょう?」
文堂「いや……それはでも……先輩たちが打ち合っている中で最後にたまたま自分がツモれたとか……そんなのばかり。
練習試合を見たりしていても、やはりいざというときの先輩方には、私にない何かがあると思うんです!」
福路「それは……あるとしたら、経験かもしれないわね」
文堂「経験……ですか……?」
文堂「そんなの……五面張に決まってますよ。よほどの確信もなく……どうしてそんなわざわざ自ら悪い待ちにするようなことを……」
福路「そうね。私もそう思うわ。私も地獄単騎なんて滅多にしない。けれどね……」
文堂「けれど?」
福路「世の中にはね、ここだっていうとき、わざと自分から悪い待ちにして……しかもそれで結果的に勝ってしまう……そういう人もいるの」
文堂「そんな……漫画みたいなことが!?」
福路「あるのよ。にわかには信じられないかもしれないけど、そういう摩訶不思議な麻雀を打つ人が……実際に全国にも県にもたくさんいる。
その代表格が今度の県予選に出てくる龍門渕の天江衣……華菜でさえ去年は歯が立たなかった相手よ」
文堂「天江衣は……確かにそうですが……。それでも、キャプテン! 私は……それでも五面張を選びます。
そうやって――この風越でもレギュラーを取ったんです!」
福路「ふふふ、そうそう。それくらいの気迫が欲しいわね。文堂さんは素直で優しいから……それがあなたの強さであり、弱さでもあるわ。よく覚えておいてね」
文堂「は……はい!」
色んな人がいる。あくまでデジタルに徹する人、天江衣のように不思議な和了りを連発する人。
でも……大切なことはね、文堂さん。あなたがどれだけ勝ちたいと思っているかなの。
どれだけ勝てると信じているか……最後に笑うのは、そういう――強い信念と確かな誇りを持った人なのよ」
文堂「信念と誇り……ですか。なら……キャプテンの信念と誇りは……何ですか? もしよければ教えてください……」
福路「決まっているわ。私の信念は私がこの風越のキャプテンであるということ。そして私の誇りは……あなたたち……この風越の仲間よ」
文堂「……! キャプテンっ!!」
――――――
そう思う文堂の気持ちが届いたのか――九巡目、文堂テンパイ。
文堂(来た……これで一萬を切れば五面張。少し遠回りをしたような気もするけど……いつまでも黙ってはいられない。リーチだっ!)
と、いつもなら迷わず一萬を切って五面張に受けるところを、文堂の手が止まる。
『あなたがどれだけ勝ちたいと思っているかなの』
文堂の脳裏に、福路の言葉が蘇る。
文堂(私は勝ちたい……勝つための五面張……今まで私はそうやって打ってきて……名門風越でレギュラーを取った! ここだって、一萬切りが当然だ……!)
文堂(鶴賀の三年生……予選の牌譜を見る限りオーソドックスなタイプの打ち手だと思っていたけれど、さっきの七対子混老頭……あんなのがオーソドックス? 本当か……?
それから要注意人物、龍門渕の井上……この人こそまさにオカルトの塊みたいな人。鳴きで流れが変わるとか……そんなの迷信に決まってるのに。
それと清澄……前半戦、面前で進めていけばもっと高めを狙えた手を崩して……鶴賀の連荘を止めてみせた。そのあとも鳴きを自在に使って和了って……あの鶴賀の勢いの中でプラス和了り……)
文堂(私は……私はどうだろう……? 私は本当に……勝つための麻雀をしてきただろうか?
教科書通りに打って、練習通りに打って……それで私は勝って勝って……風越のレギュラーになって……それでどこか満足していたんじゃないか……?)
文堂(それじゃダメなんだ……! 今までと同じように打っても……この人たちにはまるで敵わない。さっきだって何もできないうちに半荘が終わってしまった……。
確かに私は手本や見本の通りに打っていたかもしれないけれど……それでも負けは負けでしかない……!!)
文堂(私は……私は一体誰を相手に麻雀をしていたんだ……!? いつも正確なコンピュータか? 有名なプロか? 厳しいコーチか? 風越の部員のみんなか……?
いや、違うっ!!
私が今勝たなくちゃいけない相手はそうじゃない! 龍門渕の井上純、鶴賀の加治木ゆみ、清澄の染谷まこ!!
考えるんだ……!! この場……この人たちの裏をかいて勝つために……私が今すべき最善のことを!!)
文堂(この感じ……ひょっとすると筒子――私の当たり牌は抱えられているかもしれないな……。
だとしたら、いくら五面張でも和了ることは難しい。それならいっそ一萬単騎のほうが……。地獄待ちになっちゃうけど、二萬や四萬が場にけっこう見えている。
少なくとも私なら、ドラを考慮に入れてもこの状況で一萬単騎の地獄待ちをしているなんてことは想像できない……。
そうだ……! 私がそれを想像できないのなら……どうして私がそんな待ちをしていると周りに読める……?
読めるはずがない。いつもの私なら……こんなことは絶対にしない! 実際……さっきまではしていなかった!)
文堂、願うことはただ一つ――己が勝利!!
文堂(いつも通りじゃ勝てないときもある。練習通りにやったってうまくいかないときもある。セオリー通りじゃ立ち行かなくなるときもある――それでも……私は勝ちたい……!!
私は……この人たちに勝つんだ!!)
文堂、一萬地獄単騎で受けるために八筒に手をかけ、かつてない心臓の高鳴りを抑えながら、静かに発声。
文堂「……リーチ」スチャ
かじゅ(風越のリーチ……清澄はひとまずオリ、龍門渕は鳴いてこない、か……さて)ツモッ
かじゅ(テンパイ……一萬を切ればヤミでも十分高めの手……)
かじゅは河を見る。
かじゅ(一萬……あるとしたら地獄単騎か。しかし、風越のこの選手……前半戦からそうだったが、リーチをしてくるときには必ず広い待ちの高い手で勝負してきた。
過去の牌譜も綺麗な手作りをしていたし……ドラを考慮に入れても……ここで彼女が地獄単騎とは考えにくい……)タンッ
かじゅ、打、一萬。
瞬間、文堂――開眼ッ!!
文堂「そ、それ、ロンッ! リーチ一発ドラドラ――」
裏ドラを捲る。裏ドラ表示牌は――九萬!
文堂「裏二!! い、12000っ!!」
かじゅ(……なんと……!?)
文堂(やった……!! 和了れたっ! 大丈夫だ……私はまだ戦える!! 私でも風越の……みんなの力になれるんだ!!)
風越・文堂、会心の一撃にて東場終了。南場へと移る。
文:99700 ま:91400 井:81200 か:127700
かじゅ(風越の……驚いた。過去の牌譜からも実際に打った感じからも全く予測できなかった……これは一本取られたな)タンッ
かじゅ(さすがは名門か……まさか対局中に強くなるとは。いい選手が揃っている。しかもこれで一年生か……来年のモモたちが対戦したとして……果たして勝てるだろうか……)タンッ
かじゅ(いや、今は来年のことなど考えまい……ただ、目の前の対局に集中しよう)タンッ
かじゅ(いかんいかん……少し気が昂ぶっているな。楽しい……モモや津山や妹尾もそうだが……人が目の前で成長するというのは見ていて嬉しいものだ)タンッ
かじゅ(風越の……しかし、いい後輩ならうちにもいる。鍛えればもっともっと強くなりそうなやつらがな……。私はあいつらを……全国の舞台で遊ばせてやりたい!)タンッ
十巡目。
かじゅ「ツモ……純全帯三色ドラ一。2000・3900」
かじゅ(これでプラスに戻した。勝つのは……うちだ……!)
文:97700 ま:89400 井:77300 か:135600
この局も途中までは静かに進行。十巡目を過ぎて、痺れを切らしたようにまこが鳴いて仕掛ける。しかし、不発。
まこ「テンパイ」
文堂「ノーテン」
井上「テンパイ」
かじゅ「ノーテン」
文:96200 ま:90900 井:78800 か:134100
南三局一本場親まこ
この局もまこ以外鳴かず。しかし、まこは形式テンパイすら取れず、流れる。
まこ「ノーテンじゃ」
文堂「ノーテン」
かじゅ「ノーテン」
井上「テンパイ」
文:95200 ま:89900 井:81800 か:133100
かじゅ(龍門渕……本当に大人しい。しかし、前局と前々局はテンパイしていた。
安手ではあったがリーチで裏を狙うこともできたろうに……なぜ動かなかった……?)
まこ(しまったのう……この半荘はまるでツキに見放されとる。このザマじゃ先輩の面目丸つぶれじゃて……)
文堂(鶴賀のラス親……連荘はさせない!)
三者三様の思惑を余所に――このオーラス……龍門渕・井上が静かに動き出す。
井上はこのときを待っていた。即ち、全ての流れが自分に来る、この瞬間を。
井上(このオレが半荘やって一度も鳴きもリーチもしなかったことなんてあったか……? いや、普通のやつでも半荘ずっと鳴かないなんてことはあまりない……)
井上(それもこれもこのときのためだ……! それが証拠にホラ……配牌時点でこの手牌……!)
井上(前半は他家の当たり牌を回すのに躍起になっちまったが――いや、いつもならそれで問題なくオレが和了れるんだけどよ――鶴賀がそれをさせてくれなかった。
せっかく人が流した当たり牌を本人のところまで運びやがって……絶対狙ってやがった……。たぶん、よくオレの牌譜を研究してたんだろ……感心するぜ)
井上(けど……わかってるか? 鶴賀……! お前はもう……今のオレから逃れることはできない……!!)
井上「……リーチだ」スチャ
かじゅ(龍門渕……この半荘で初めてのリーチ。絶対に何かある……一発で親っかぶりなどご免だからな……一応念を入れておくか……)
かじゅ「ポン」タンッ
かじゅ、井上のリーチ表示牌を強引に鳴き、井上の現物切り。回しながらの食いタンを目指す。
井上(いいのかよ、鶴賀。オレのを鳴いたら次にお前がツモるのは……)タンッ
文堂()タンッ
まこ(くぅ……鳴いて和了れるんならいくらでも鳴くんじゃが……)タンッ
かじゅ(このツモは……本来龍門渕が一発でツモるはずだったもの……これは――切れない)タンッ
静かな緊張感に包まれたまま、山牌が消費されていく。
そして、かじゅは自らの手牌の奇妙な仕上がりに、やっと井上の真の意図に気付く。
井上(今更気付いても遅いぜ、鶴賀っ!)タンッ
かじゅ(私がツモ順をズラしてから、私がツモったのは全て井上の手にいくはずだったもの……。
その中にはきっと井上の当たり牌も含まれているのだろう……だからあのときからずっとツモ切りはしなかったが……。
いや、違うな。ツモ切りをしなかったのはそれだけが理由じゃない……なぜなら……)
井上(鶴賀の手牌……なんとなく想像つくぜ。
なにせ、オレが今まで我慢に我慢を重ねて引き寄せたいい流れ――つまりオレのツモが……あのときから全部お前に入っているんだからな!
今頃お前の手は間違いなく満貫以上に仕上がってるだろうぜ。それをここに来て……ラス親で連荘したいはずのお前に……崩せるか?)
かじゅ(さっきからのこのバカみたいな引きの良さ……! 龍門渕……黙っていても十分に和了れただろうに!
わざわざ私を嵌めるために罠を張ったのか……私を……自分と勝負させるために……!)
井上(さあ……鶴賀、もうすぐ海底だぜ……お前はどう出る!!)
かじゅ(海底を目前にしてテンパイ……どう和了ってもハネ満。もし仮に海底ツモなんてことになったら……親倍か。
しかし、テンパイを取るために捨てざるを得ないのが――明らかに井上の危険牌。この状況を狙って作ったというのか……? 龍門渕……化け物め……!!)
かじゅ、長考。
かじゅ(落ち着け、私。私には今大きく分けて二つの選択肢がある。
一つは、ハネ満の手で井上と勝負する。その場合は、井上から直撃を受けて終了、私が勝って連荘、どちらも和了れずに流局して再び私の親、その他……の四パターン。
鶴賀のことを思えば……私がここで点を取らねば――蒲原はいいとして――津山や妹尾で他校を出し抜くのは厳しい。
そのためにはこの親でもっと稼ぐ必要がある……)
かじゅ(もう一つの選択肢は……勝負を諦めてオリる。幸い井上の現物はまだ手の内にある。テンパイを崩せば、残る巡目は海底のみ……逃げ切るのはたやすい。
そうなれば、ここで次鋒戦が終了し、あとは他のメンバーに託すことになる……)
かじゅ(さて……私はどうする……? 勝負か……オリか……!?)
『先輩っ! 私は勝って先輩と一緒に全国に行きたいっす!! 先輩ともっと一緒に麻雀をしていたいっす!』
かじゅ(あのとき……私はモモのその言葉に……答えられなかった)
そして、かじゅは、己の切るべき牌に手をかける。
かじゅ(ああ……私はやはり……卑怯者なのかもしれないな)
長考の末にかじゅが辿り着いた結論。
切ったのは……井上の現物。
かじゅは勝負を――オリた。
まこ「ろ、ロンじゃ! 一盃口のみ。1300の二本場は……1900!」
かじゅ「!?」
まこ(しもうたぁ! こんなことならさっき張ったときにリーチしとくんじゃった……!)
かじゅ(清澄の……ロンと言われた瞬間に心臓が止まるかと思ったぞ……)
井上(鶴賀……散々悩んだみたいだったが……しっかりオリたか。
絶対仕掛けてくると思ったのになぁ……中々どうして最後まで隙を見せなかった……心から完敗だぜ。けど……次はオレが勝つ!)
まこ(わしの修行不足じゃったのう。鶴賀の……こんなに色んな顔を持ってる打ち手はなかなかおらん……勉強させてもらったわ。ありがとうのう)
文堂(終わった……。キャプテン……見ていてくれましたか……? 私は……少しは強くなれましたか……? 少しはみんなの役に立てましたか……?
キャプテン……)パタッ
次鋒戦後半終了!!
一位:文堂+6500(95200)
二位:かじゅ+1500(131200)
三位:井上-1400(80800)
四位:まこ-6600(92800)
次鋒戦、結果は無名校鶴賀・加治木ゆみが他を押さえての圧倒的な一人勝ち! 前回優勝校・龍門渕は鶴賀に大きく引き離されての最下位。
果たして勝負の行方は!!
鶴賀は果たしてリードを守りきることができるのか……引き続き目が離せません!!』
中堅戦前半
東:竹井久(清澄) 南:天江衣(龍門渕)
西:妹尾佳織(鶴賀) 北:深堀純代(風越)
衣「よろしく」ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ
久「(出てきたわね……龍門渕の天江衣。全国区の魔物……私の力でどこまでやれるか……勝負よっ!)よろしく」
かおりん「(三つずつ……三つずつです! えっと……他に加治木先輩が言っていたのはなんでしたっけ……)よ、よろしくお願いします!」
深堀「(龍門渕の天江……私のやるべきことはこの点棒をできる限り守ってこの半荘二回を終わらせること。
飛ばされなければ……キャプテンと池田さんがなんとかしてくれる……!)……よろしくお願いします……」
中堅戦前半――開始!!
誰もが天江衣に注目する中、最初の和了りは、風越・深堀。
深堀「あ……ロンです。東混一……5200」
かおりん「はっ、はい!?」
久(鶴賀の子……あんな見え見えの染め手に普通振り込む?
先鋒と次鋒はかなり強い人だったけれど、新設校で部員が少ないらしいから……選手の力にはバラツキがあるのかしら)
衣(わーい衣の親番だー)
そうして……地獄が始まる。
久:92800 衣:80800 ド:100400 か:126000
衣()ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ
放たれる魔物の気配。久と深堀が震える。
久(うっわー……これはうちの咲より性質が悪そうね……!)
深堀(これが……池田さんの言っていた天江の力……耐える!)
数巡後。
かおりん()タンッ
衣「ポン」タンッ
久(天江の鳴き……? これはもしかして……)
深堀(噂の海底コースってやつか……止めなければ……)
しかし、久も深堀も成す術もなく、ただ見ていることしかできない。底無しの地獄が行き着く先は――魔の海底……。
衣「ツモ……海底撈月。ダブ東ドラドラ。4000オール」
久(あらあら、好き勝手暴れてくれるわね)
深堀(くっ……どうにかしないと……!)
久:88800 衣:92800 ド:96400 か:122000
深堀(天江の親を流さなければ……このまま嬲り殺される。どうにかして……)
かおりん()タンッ
深堀「チー!」タンッ
深堀(よし……これでイーシャンテン!)
久(風越……和了ることに気を取られているわね……危険だわ)タンッ
衣()タンッ
深堀「それ、ポン!」タンッ
久(ああ、もう……それを鳴いちゃったら……!)タンッ
深堀(これでテンパイっ! ……えっ……待て……私、今なんてことを……!)
久(これで天江が海底コース!)
深堀(しまった……!)
衣()ニヤッ
衣「……リーチ」スチャ
かおりん(んー、なんだかずっと手が進まないですね……)タンッ
深堀(くっ……テンパイしてるのに……最後の一枚が出てこない!)タンッ
久(天江……今のツモ切りリーチは……そういうことなのよね。お願い、誰かこれで鳴いて!)タンッ
深堀(それじゃない……!)
重く冷たい水底に溺れる三者。
その中で悠々と月を掴み取る魔物が一人。
それは神か悪魔か――。
衣「ツモ。リーチ一発ツモ断ヤオ海底撈月……裏三。8000は8100オール」
魔物・天江衣――降臨!!
久(ひゃー……天江衣……本当に信じられない打ち手ね……!
中堅戦が始まって早々、二度の海底ツモで最下位から一気に独走トップだった鶴賀を抜き去るなんて……これが全国区の魔物……!)
深堀(くそっ、まだだ……できることはあるはずだ!)
久:80700 衣:117100 ド:88300 か:113900
久(天江衣……この異常な海底ツモは明らかに狙ったもの。
となれば……咲が嶺上を連発するように、天江の能力は海底ツモだってことでいいのかしら……? いや……)タンッ
久(違う……天江の牌譜……むしろ出和了りのほうが多い。
他家の手をまとめて抑えつつの海底……その力を見せつけておいて……焦って和了ろうとする相手の不用意な一手を出和了り。そういうケースもあった……)タンッ
久(かと言って……天江の出和了りを警戒しながら手を作っていたのでは……結局はテンパイが間に合わず、天江が海底で和了って連荘……その無限連鎖。
なんていうか、本当に魔物って感じだわ)タンッ
久(でもね、天江衣。あなたが強ければ強いほど……この場がどうしようもなければないほど……私はわくわくしてくるのよねっ!
逆境が何? 相手が魔物だから何? そんなピンチこそ……私は望むところっ!)タンッ
普通に打つなら……ここは浮いている端っこを切って手広く構えるのが自然。それなら断ヤオもつくし、運がよければドラも乗る……。
ただ……私にとっての自然は……残念ながらそっちじゃないのよ!)……リーチ!」タンッ
衣(ん……? 清澄の……わざわざ自ら点を下げた? 振り込んで来ると思ったが……しかし、ならばこちらが先に和了るまで)タンッ
かおりん()タンッ
久「ロン! リーチ一発……裏二。8000は8600よ!」
かおりん「は、はいぃぃ!」
衣(……!? 衣の親が流された!! 清澄の悪待ち……それと……先程から妙な捨て方ばかりする鶴賀……小賢しいっ!!)
久(ふう……なんとか和了れたわ……。ただ、結果的に龍門渕を浮かせてしまった……。できればツモりたかったのだけれど。
ただ……今の感じだとツモは無理だったかもしれないわね。私が和了れたのは鶴賀の無警戒な振り込みのおかげって気がするわ。
天江の力に対抗するためには……私一人じゃダメ……他の協力が不可欠。ただ……どうもあの鶴賀の人の打ち筋が安定しないのよね……どうしたものかしら)
深堀(清澄……! 有難い。これで天江の親はひとまず終了だ)
衣(許さない! 衣は子供より親やるほうが好きなのに!!)
久:89300 衣:117100 ド:88300 か:105300
深堀(う、この感じは……)タンッ
久(あっちゃー……調子に乗って鶴賀のを鳴いちゃったのは失敗だったかな。でも、白のみだけどテンパイ……。
お願い、鶴賀でも風越でもいいから差し込んで……!)タンッ
十七巡目――海底を目前にして、天江衣、ツモってきた九筒を見もせずに河に叩きつけ、二度目の海底直前リーチ。
衣「……リーチ」スチャ
と、衣のリーチを受けて、鶴賀・妹尾、手が止まる。
衣「……どうした、鶴賀。鳴かないのなら早くツモれ」
かおりん「あ……えっと、その……すいません! ……ちょっと整理するので待ってください」アセアセ
久(鶴賀……?)
深堀(鶴賀……整理するって……なんて雀頭以外を一つずつ区切って数える必要が……)
このとき、鶴賀の異常にいち早く気付いたのは――魔物・天江衣。
衣(!? ……まさか……そんな……清澄ばかりまばっていたら……!?)
かおりん「あっ、よかった、ちゃんと揃ってる! ロン、です! えっと、なんだったっけ……これは……」パラパラパパラ
それは一・九・字牌だけで構成される、最も出易い役満の一つ。
かおりん「よくわからないけどとにかくすごいやつです!!」
深堀(親の役満……!)
久(信じられない……)
衣(………………!!)
かおりん「えっと……これ、何点でしょうか……?」
国士無双――親の役満は、48000点!!
久:89300 衣:69100 ド:88300 か:153300
蒲原「ワハハ。佳織のやつ、やってくれたなー」
睦月「佳織さん……いつの間に国士無双なんて覚えていたんですか? まだ役満は教えてなかったはずですが」
モモ「先輩、何か知ってますか?」
かじゅ「いや……妹尾が天江とぶつかると知ってな、私が念のためにと思って国士だけは教えておいたんだ」
睦月「なぜ……?」
かじゅ「天江の牌譜を研究したんだが……天江が連続和了をするとき、他家はイーシャンテンからずっと動けなくなる。
ぎりぎり他家と協力して鳴きが成立すればまだいいほう。たった一人で手を作るのはほぼ不可能な状態に陥るんだ。ただ……」
モモ「ただ……なんすか?」
初心者の妹尾が実力で全国トップクラスの力を持つ天江衣を下すのはどう贔屓目に見ても不可能だ。
だから妹尾には……なんだか手が進まないと思ったらとにかく一・九・字牌を一つずつ揃えろと言っておいた。
そのうちのどれかが雀頭になっていればとにかくすごいやつが和了れるから、とな。まさか本当に和了ってしまうとは思っていなかったが……」
蒲原「けど、和了っちゃたわけかー。しかも親の役満を天江に直撃とは。さすがは佳織だー!」
モモ「さすがは先輩っすねっ! ちなみに、他には天江対策で何か言ってあるんですか……?」
かじゅ「そうだな……あとは、どうしようもないくらい手が悪いときでも、七対子なら最速で七回ツモれば和了れると吹き込んでおいたくらいだが……」
蒲原「確かに。国士は十四回ツモらなくちゃいけないからなー」ワハハ
――――――
深堀(あれ……? 鳴けるぞ……手が進む)
久(さっきの役満直撃で天江衣の力が弱まった……? そんな可愛らしい性格だとは思えないけど……でも、今なら和了れる!)
かおりん()タンッ
深堀「ろ、ロンです! 断ヤオ赤二、3900の一本場は4200!」
久(風越……鶴賀の下家は鳴きやすそうで羨ましいわ)
久:89300 衣:69100 ド:92500 か:149100
天江()ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ
深堀(ぐ……手……手が進まない……)タンッ
久(うーん……天江衣……一回休んでさっきよりもさらに元気になった感じね。役満直撃も火に油だったかしら)タンッ
久(このまま黙っていれば天江は海底コースには乗らない。ただ、乗らないなら乗らないで、天江自ら強引に鳴いて自分に海底をもってくる……。
けど、現実として、どう見ても初心者の鶴賀が、マグレだかなんだかわからないけどあの天江衣を叩き落としたのは事実。
ここでこっちが引く理由はないわ……どうせ天江に海底を持っていかれるくらいなら……ここはちょっと無理してみましょうか!)
久手牌(二二四四[五]五六七七八九九西・ドラ九)
ここで、深堀が打、三萬
久「チー!」タンッ
久手牌(二四[五]五六七七八九九/二三四・ドラ九)
これを見た衣、打、七萬
久「ポンっ!」
久手牌(二四[五]五六八九九/七七七/二三四・ドラ九)
久(これで萬子の清一が見えてきた……さて、私はここで何を切る……?)
衣(その手で五萬……しかも赤? 清澄、何を考えている……?)
かおりん「そ、それポンです!」タンッ
衣(鶴賀……!? く、わかっているのか、その鳴きでは役無しのはず……反射的に赤ドラに飛びついたのか……?
まさか清澄はそれを狙って……!?)
深堀()タンッ
久(ツモ……はいはい最後の七萬。待ってました――さて、ここで二萬を切れば三面張の清一。高めで倍満……となれば、当然切るのはここよねっ!)タンッ
久手牌(二四五六八九九/七七七/二三四・ツモ七・ドラ九)
ここから、久、打、九萬。
衣(なっ……! 九萬切り? 清澄、倍満ほどになっただろう手をわざわざ安くして……なんのつもりだ……?)
かおりん「それもポンですっ!」
衣(この――初心者……!? また安易にドラを鳴いて……それじゃ役無しだというのがわからないのか!!)
久手牌(二四五六七八九/七七七/二三四・ツモ八・ドラ九)
久(おっと、ここで八萬……? その意味はなんなのかしらね……。よし……決めた。これでどう!)
久、打九萬。三萬カンチャン待ちテンパイ。
衣(清澄……!! くっ……なんてこと……)ツモッ
衣手牌(一二三三六ⅤⅥⅥⅦⅧ④[⑤]⑥・ツモ六)
衣(清澄の……まさかここまで狙っていたのか? これでは三萬が切れない……!
本来ならばさっさと捨てるはずだったものを……二度もツモ順を飛ばされたことで結果的に当たり牌を掴まされるなんて……! 悔しいが……ここはツモ切りか……)タンッ
久(ん、天江が睨んできてる? なんかよくわからないけど、うまくいったみたいね!)
このまま行けば海底牌をツモるのは天江衣。
二人の和了り牌はともに残り一枚の三萬!
久(こんなふざけたことして和了れなかったら……あとで和に何を言われるかわからないわね……!)
そして――海底の一歩手前、久、自らのラスヅモに手を伸ばす。
盲牌、久、微笑。
ツモ牌が宙に舞い上がる!
久、それを右手で掴み――そのまま卓上に叩き付け、手牌を倒す。
久「ツモ! 清一、2000・4000!!」
久(いける……! やり方次第では私もあなたに勝てる……まだまだ戦えるわ、天江衣!)
衣(清澄……!!)
久(ってまたまた……これは火に油どころの騒ぎじゃないわよ……イーシャンテンどころかリャンシャンテンにも持っていけないなんて。……風越、これは鳴ける?)タンッ
深堀(それじゃない……! しかし、清澄の……天江を抑えてくれるのは嬉しいが……できればもっと穏便にやってほしかったような……)
痛いほどにピリピリと冷えた空気。静かに進行していく場。一つの鳴きすら許さない衣の支配。
そしてやってくる――魔の十七巡目。
衣「リーチ……」スチャ
かおりん(またこんなところでリーチ……天江衣さん……まるで初心者みたい!!)タンッ
深堀(今回は鶴賀も鳴けるものを出してくれない……く、清澄!)タンッ
久(残念……もうこれしかないわ、風越)タンッ
深堀(ぐ……ダメだ……!)
衣、海底に手を伸ばし、月を掬う!
衣「リーチ一発ツモ、ダブ南ドラドラ海底撈月……裏三! 6000・12000!!」
久(ひゃあ……さっきの満貫で持ち直した分を一瞬でパーにされたわ。天江衣……本当に楽しませてくれるじゃない! 燃えるわっ!!)
深堀(天江……役満直撃からもう復帰した……ああ……逃げ出したい)
久:85300 衣:91100 ド:82500 か:141100
この局も配牌から衣の支配のすさまじさが伺える。
久(何よこれ……九種九牌ならぬ八種八牌かしら……これじゃ流せもしない。私も国士とか狙っちゃおうかな)タンッ
深堀(なんか……天江衣の力……どんどん強くなってないか……? ぐう……こんなの……私には荷が重いですよ……)タンッ
十五巡目、衣、鶴賀の打牌をポン。
これで衣は海底コース!
久(ここで連荘を許したら、たぶん今度こそ殺される……! 風越っ!)タンッ
深堀(清澄……ダメだ……。こんな……二人がかりでも止まらないなんて……!)
十七巡目、衣、打西。
かおりん「あっ……! それポ――なんでもないですっ!!」
深堀(鶴賀!!? 役無しでもいいから鳴けるなら鳴いてっ!!)
久(今……鳴けたの……? 天江の支配下にあるこの状況で……?)
衣(鶴賀……? 妙だ。さっきは役無しでも鳴きを入れていたのに……いや、あれはドラだったからか……?)
鶴賀・妹尾が自風でもドラでもない西をこの終局間際まで二枚抱えていたことの意味……。
そしてテンパイを崩さないためとは言え、自ら海底がズレるような打牌をしてしまったという……その計算の食い違いに……。
衣の西切り。直後の、妹尾のツモ。
かおりん「あ……ツモですっ!」パラパラパラパラ
深堀(え………………?)
久(は………………?)
衣(鶴賀……そんな……!!?)
かおりん「ツモ、七対子。役牌……はつかないんですよね。ドラはないので800・1600です!」
深堀(鶴賀……そんな……実戦では初めて見る……!)
久(確かに七対子ツモは800・1600。けど、鶴賀……あなたのそれは桁が違うわよ……)
衣(こんなの……こんなのは――衣の知っている麻雀ではないっ!!)
かおりん「えっ……どうしました?」
妹尾の手牌。確かに対子が七つ揃った、紛れもない七対子!
ただし……その全てが字牌であるとき、対子は煌く巨星となる!!
大七星――字一色七対子!!!
800・1600改め、8000・16000!!
鶴賀・妹尾、二度目の役満ッ!!
久:77300 衣:75100 ド:74500 か:173100
場合によっては大七星自体をW役満
字一色とあわせてT役満とするバケモノ役
全国区の魔物。
去年のインターハイの最多獲得点数記録保持者。
牌に愛された子――天照大神の一人――龍門渕の天江衣!
その後の南三局、南四局をきっちりと海底ハネ満ツモで締めくくり、その底知れぬ強さを見せ付け、中堅戦前半戦終了!!!
中堅戦前半終了
一位:かおりん+32900(164100)
二位:衣+18300(99100)
三位:久-21500(71300)
四位:深堀-29700(65500)
久(ふう……なんだか心臓に悪い半荘だったわね。
けど……全国大会で三校を同時にトバすなんて離れ業をやらかす天江衣と対戦して、半荘一回の失点が二万点と少しなら安いものなのかしら……。
にしてもあの鶴賀の子がなぁ……いや……彼女にはむしろ感謝すべきなのかもしれないけれど……完っ全に予測不能なのよね……困ったわ。
でも……私もこのままでは終われない。……後半は足掻いてみせる!)
深堀(さすがの天江衣……鶴賀と清澄がいなければどんなことになっていたか。残るは後半戦のみ……いや……しかし……この面子を相手に私は本当に耐え切れるのか……?)
衣(鶴賀の……こんな相手は初めてだ。まるっきりの素人……初心者、か。そう言えば衣は初心者と麻雀を打ったのはこれが初めて。
理解不能な手作り……捨て牌が不規則で計算が狂う……鳴きも無茶苦茶……。しかもなぜかテンパイ気配や手の高さが読めない……。
まさか……本人がテンパイや点数の高さを自覚していないから……?
原因はわからないが……とにかく……本当にこんな相手は初めてだ……。
衣がいつものようにやっても勝てない相手……か……)
かおりん(嘘……私、かかか、勝っちゃいました……!? あの天江衣さんに!?)
ここが決勝戦の折り返し!!
中堅戦後半へ――続く!!
久:71300 衣:99100 ド:65500 か:164100
東:深堀 南:衣 西:久 北:かおりん
東一局親深堀
俄然力を増してくる天江衣。夜が近いからだろうか――。
久(このままじゃ……またずるずると海底コースね)タンッ
深堀(天江の海底……親っかぶりは勘弁したいが……)タンッ
そして、一つの鳴きも入らないまま、十六巡目。
衣(いつも通りだ……力は充足している。それが証拠にあと二巡で衣が海底……既に手は出来上がっている。ハネ満は確実の好手……)タンッ
衣、打、ドラの九索。
かおりん「ポンですっ!」タンッ
いや、それよりも……! その鳴きではまた役無し……それどころかテンパイにもならないはず!!
衣を海底からズラすため……?
いや、鶴賀はそんなことをしない……そもそもどう鳴けば誰が海底になるのかすら理解していない初心者なのでは……!!)
深堀(有難い、鶴賀!)タンッ
衣(くっ……どうしたら……どうしたらいい……!?)タンッ
久(鶴賀の……天江を海底からズラしたのはいいけど……さっきの役満のこともある。まさか清老頭ってことは……いや、さすがにないか……?)タンッ
かおりん(ツモ……九索……。あ、これでテンパイできました!)タンッ
深堀(鶴賀の……ドラ三が見えているのは恐いが……しかし、このままなら天江に海底はいかない! 私の親はノーテンで流れてもいい……とにかく天江には和了らせない!)タンッ
衣(……こんな……バカな……衣が海底を和了れないなんて……!!?)タンッ
久(本来は天江に行くはずだった海底……それを鶴賀がツモる。下手すれば河底がありそうで恐いけれど……さて、どうなるか……!!)タンッ
かおりん「ツモです。海底ドラ四。2000・4000」
久(えぇ……! 天江を回避してもこれなわけ!? ただ……考えてみるとちょっと面白い現象かもしれないわね。今度咲と同卓したときは私も嶺上狙ってみようかしら)
深堀(……もう勘弁してくれ……)
衣(こ……衣の海底が盗られた――!?)
鶴賀の初心者・妹尾――後半戦でも止まらず!!
久:69300 衣:97100 ド:61500 か:172100
衣の支配の中で、その掌中に収まらない打牌を無作為に無意識に行う妹尾は、衣の天敵かもしれなかった。
深堀「チー!」タンッ
深堀、妹尾の捨て牌を拾い――テンパイ。
久「ポン」タンッ
久も妹尾の捨て牌によって手が進む――テンパイ。
衣「(鶴賀……! どうしてそこでそんな牌を切れる! 一体どんな打ち方をしていればそんなことが……!!)ポンッ――!」タンッ
衣、久から強引に鳴いて、自分を海底コースに乗せる。
久(しまった……また天江が海底……! けど、今度はテンパイしている……待ちは悪いけれど……むしろ悪いからこそ……和了ってみせる!)タンッ
かおりん()タンッ
深堀(清澄もテンパイしているのか……なら、天江の親を流すためにもここは清澄に振り込み……?
いや、でも、うちは今最下位で清澄も三位だ。うちと清澄で点のやり取りをして場を進めたのでは、それはそれで天江や鶴賀の思う壷……)タンッ
衣(烏合の衆がちょろちょろと……蹴散らすっ!)タンッ
十七巡目。衣、ツモる――山から引いてきたのは、北。
既に手は出来上がっている。自身の和了り牌でもない北。しかし、ここで衣の手が止まる。
衣(これを切って……次に海底をツモって連荘。清澄と風越はもう虫の息……ここまできてしまっては和了れまい……だが……!)
衣、対面の妹尾に目をやる。妹尾、衣の視線には気付かず、自分の手牌を見て何かを数えている。
衣(いつもなら……こんなところで迷ったりはしない。北を切って、海底を待って……和了る。そうやってずっと勝ってきた。今まで……それでなんの問題もなかった……。
だが……この状況はなんだ……!!?)
衣は自分から見えるヤオ九牌の数を数える。
一筒が残り二枚……その他は……一枚……どれもこれも最後の一枚が見えない。
そして衣の持つ北は唯一――衣から四枚見えている牌。
脳裏に過ぎるのは、前半戦でのあの和了り。
『よくわからないけどとにかくすごいやつです!!』
衣(鶴賀の……感覚を信じるなら、テンパイすらしていないように思える……が、果たしてこの相手を前にして……衣のこの感覚は正しいのだろうか……?
今までこれを信じて……信じるままに打ってきて……それで負けたことなどない……)
『お前のは麻雀を打ってるんじゃない。打たされてるんだ』
衣(こういうことなのか……?
感覚の通じない相手……感覚を乱す相手……衣の支配を受け流し、何の前触れも気配もなく役満を和了ってくる相手……そんな相手を前にして……衣は如何にせん!)
衣(いいだろう……感覚を信じるなら――ここは当然の北切り。次巡に海底をツモって連荘。今まではそうやって打ってきて、そうやって勝ってきた……!!)
衣、北を握る手が震えていることに気付く。
衣(なるほどな……確かに……それでは所詮感覚の傀儡に過ぎなかったというわけか……そうではなく……己の感覚を選択肢の一つとして戦う……。
そういう麻雀を……衣は……これからはしてもいいのかもしれない……)
衣、しばし逡巡するも、北切りを決意。
衣(だが……!! 今回はこれを選ぶ。鶴賀の気配は全くの無。そもそも振り込みすらしない! そして海底を和了って衣の勝ちだ!!)
衣、対面の妹尾を見据える。
妹尾、ふと気付いたように顔を上げ、衣を見返す。
衣「和了るか、鶴賀の」
かおりん「ご、ごめんなさい……ちょっと、今、確認してるところでして……」
鶴賀・妹尾、雀頭以外の手牌を一つ一つ区切り、指折り何かを数え上げる。
衣(衣は今までの自分と同じ打ち方を選んだ。でもこれで――この自分が敗衄するようなことがあるのなら……)
かおりん「お待たせしました……! ちゃんと揃ってました……ロンです……えっと」パタパタパタパタ
場に三枚見えていて、残り一枚しかなかった北。
それを和了れる役は、ルール上、一つしかない。
かおりん「えっと……とにかくすごいやつです!!」
鶴賀・妹尾、再びの国士無双。
子の役満は――32000点……。
久:69300 衣:65100 ド:61500 か:204100
その、妹尾の初心者丸出しの発言に、衣は意図せず微笑する。
衣「その役の名は国士無双――この世で最も強い者が和了るに相応しい役満だ……鶴賀の初心者、よく覚えておくがいい」
かおりん「は、はい! ありがとうございますっ!」
鶴賀・妹尾、煌く巨星――太陽のような笑顔。
その光は――孤独な月を照らし出す。
その熱は――深く冷たい海底に届く。
深海のように重苦しく暗かった先程までの場が嘘のように、暖かく、溶けていく。
衣「鶴賀、勝負はまだ終わったわけではない! 最後に勝つのは衣のほうだ!!」
かおりん「わ、私も頑張ります!」
久(あらあら、急に仲良くなったわね。微笑ましいことだわ)
深堀(!!? そうだ……! 確かに天江の言う通り……勝負はまだついてないじゃないか……!!
私は何を弱気になっていたんだ……! 無名校の鶴賀がここまでの活躍を見せたんだ……守るだけじゃない……ここからは私も勝ちに行く……!!)
ついに麻雀を打ち始めた魔物・天江衣。
幸か不幸か――中堅戦後半はまだ続く!
この局から、衣の支配は一見して薄らいだ。
六巡目。
久(どういうこと……? けど、張れるのは有難い!)タンッ
かおりん(が、頑張らなきゃ……!)タンッ
深堀(攻めるっ!)タンッ
衣「チー!」タンッ
久(天江……海底狙いでもない鳴き? 今度は何をするつもり……?)タンッ
かおりん(えっと……ここはこっちのほうがよさそうかな……?)タンッ
衣「ロン! 三暗刻東白、8000!」
かおりん「ひゃ、はいい!」
久(早いっ! 巡目が回ると鶴賀の手牌が読みにくくなるから、海底は狙わず速攻に切り替えたってこと!?)
深堀(天江衣……本当になんでもありか!!)
久:69300 衣:73100 ド:61500 か:196100
八巡目。
久(今回も例の力は感じない……天江、打ち合いをしようってことかしら……? いいわ、受けて立つ!)
深堀(来たっ! テンパイ、これで……やっと……!)――リーチ!」タンッ
天江「ポンッ!」タンッ
久(風越、それに天江も張ったか……私も張ったけど、いくらテンパイできるからってここでこれは出せないわ……)タンッ
かおりん(えっと……えっと……これかな?)タンッ
深・衣「ロンっ!!」
かおりん「ひ……はいぃ!!」
久(ダブロン!? うわっ……さっきのは出さなくて正解だったわね。
けど、鶴賀の人、わかってはいたけど本当に初心者なのね……でもなんというか……むしろ永遠にそのままのほうが強いのかも、この子の場合)
深堀、8000。天江、7700の和了りにて、東場終了!
久:69300 衣:80800 ド:69500 か:180400
深堀(ぐぬぬ……天江……衣……!)
久(本当に……気持ちいいくらいやりたい放題やってくれるわね……! この子は……!!)
衣、自然に進めば海底が舞い込んでくる南家になった途端、能力発動――イーシャンテン地獄。
じわじわと進んでいく場。
十七巡目、衣、ツモ切りリーチ。
久と深堀は鶴賀の妹尾に淡い期待を抱くが、今回の妹尾は動かず。
これで最後の希望も絶たれた。
衣「ツモ! リーチ一発ツモ海底裏一……2000・4000!」
久:67300 衣:88800 ド:65500 か:178400
久(テンパイ……天江、今度は海底狙いじゃないみたいね。さて、当然ここはリーチするとして……さっきのツモの意味を考えれば……私はここで切るべきなのは……これよね!)リーチ!」タンッ
衣「ロンッ! 断ヤオドラ一赤一、7700!」
久(なあ!? うわっ、その捨て牌でそこを単騎待ち!? 完璧に私の打ち筋を読んだってことじゃない……!!)
久:59600 衣:96500 ド:65500 か:178400
南二局一本場親衣
衣「ロン、南ドラ三。12000は12300!」
かおりん「はいぃぃ!」
久:59600 衣:108800 ド:65500 か:166100
南二局二本場親衣
衣「ツモッ! 断ヤオ海底撈月赤一。2000は2200オール」
かおりん(あわわわわ……!?)
深堀(この……!! 化け物め……!!!)
久(これで六連続和了……! 出和了りしたり海底したり……止まる気配がないわね!!)
久:57400 衣:115400 ド:63300 か:163900
十巡目。
久(テンパイ……。さっきは天江に完全に読まれていた……今更だけど、天江は海底牌だけじゃなく相手の手牌や手の高さまで見切っているわけ……?
単純に打ち合いならなんとかなると思ったけれど……そうでもなかったみたいね。場そのものを支配する力……ってとこかしら。
まあ、それならそれで……高度な支配だからこそ――鶴賀がそうだったように――抜け道はあるはず!)
久「リーチ」タンッ
衣(む、清澄……さすがに同じ手は食わないか……!)
かおりん(リーチ……! わわわ……ここ……?)タンッ
久「ロン。リーチ一発タンピン一盃口赤一……裏はなし。12000の三本場は、12900!」
久(しまったなあ……ちょっと気付くのが遅かったかしら。前半が始まったときからそうだったけれど……この場を制する鍵になるのは天江ではなかったんだわ。
鶴賀の初心者……この子をどう扱うかが……この場の突破口になる!)
深堀(清澄の和了り……そうか! 鶴賀を狙うことで結果的に天江を抑える……!! 無理に天江に挑む必要はないのか……!!
この場を切り抜けようと思うなら……そっちのほうが現実的!)
久:70300 衣:115400 ド:63300 か:151000
久(さあ、この親で稼ぐわよっ!!)タンッ
かおりん(み、みなさん強いです……! さっきから何もさせてもらえません!!)タンッ
久「ポンッ!」タンッ
久(考えろ……私! より早く、より高く和了るにはどうすればいいか!)
かおりん(えっと……えっと……)タンッ
深堀(まだできることはある……!)タンッ
久「ポン!」タンッ
久(さあ……来いっ!)
かおりん(うーん……ここ、ですかね……?)タンッ
久「ロン。發混一ドラ一、11600!」
かおりん(わわわっ……! なんか大変なことになっている気がしますっ!)
久(さて……これで私も十分あなたに手が届く。そう簡単には勝たせてあげないわよ、天江衣っ!!)
衣(清澄の……衣の力を理解していながらいささかも絶望の色が見られない……面白い!)
久:81900 衣:115400 ド:63300 か:139400
衣(己が無力さを思い知るがいい!)ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ
深堀(ぐぐ……! ここに来てまたか……!)
久(勝つためには容赦ないわね……それでこそ天江衣……倒し甲斐があるわ!)
十一巡目。
深堀(天江の鳴きが入って……このまま黙っていたらまた天江に海底を持っていかれる。それは……絶対に避ける!)
かおりん(んー。今更ですが……なんだか今日はたまに寒気がするときがありますね。ま、気のせいですよねっ!)タンッ
深堀(鶴賀の……これなら鳴ける……! しかし、これを鳴くとかえって手が悪くなってしまう……。
この巡目……天江が海底を和了るつもりなら、ここでズラしたところでまた天江が強引に鳴いてくることは十分にありうるが……。
しかし、どの道ここで鳴かなければ結果は見えている……ならば……!)
深堀「チー!」タンッ
衣(風越……清澄の真似事のようなことを。しかし、そんな安手、和了られたところで仔細なし!)タンッ
久(風越……やっぱり鶴賀の下家はやりやすそうね。ただ……今回は天江の上家で海底の親っかぶりがあるから、それを考えるとプラマイゼロかな)タンッ
衣(鶴賀……!? 無闇にカンをするなど初心者のやること……!!)
かおりん(うう……できるからついカンしてみたけど……全然手が進みませんでした……)タンッ
深堀「か……それ、カン!!」
衣(なっ、風越――そのカンは……!)
深堀(これは……鶴賀の捨て牌がカンドラで……今のカンで私のところにカンドラが四枚……!
食いタン赤一2000点の手が一気にハネ満まで跳ね上がった! しかも……嶺上牌で手が進んで――テンパイ!)タンッ
衣(くっ……風越の……掴まされたか……!)タンッ
久(天江がオリた……? よし、それならもう海底はない!)タンッ
かおりん(あっ! やった! これでイーシャンテンですっ!!)タンッ
深堀「そ、それロンです! 断ヤオ赤一ドラ四、12000の一本場は12300!!」
かおりん(ひゃわわわわわ……!!?)
久:81900 衣:115400 ド:75600 か:127100
中堅戦、オーラス。
初心者ながらも、加治木の教えた天江対策をしっかりと実行し、その期待以上の活躍を見せた、鶴賀・妹尾佳織。
時に悪待ちを駆使し、魔物・天江衣を相手に最初から最後まで臆することなく策を巡らし奮闘した、清澄部長・竹井久。
飛ばされなければ御の字――その方針に従い、結果としてここまで一度も天江から直撃を喰らうことなく凌ぎ切った、風越・深堀純代。
しかし、この中堅戦、最後を飾ったのはやはりこの人……。
龍門渕――魔物・天江衣!!
衣「ツモ……対々三暗刻赤一……海底撈月……! 3000・6000!!」
牌に愛された子――天江衣、この日八度目の海底撈月を鮮やかに和了り、中堅戦に幕を下ろす!!
でも、楽しかった……! 私ももっと頑張らなくちゃね!)
深堀(耐え切った……! 池田さん……キャプテン……あとはお願いします!!)
衣(勝った……。そうか……麻雀で勝つというのはこんなに嬉しいものだったのか。そして……負けるのはこれの逆……。
今まで……衣は随分とひどいことをしてきたのだろうな……)
かおりん(ひゃああああ……後半はすっごい負けちゃいました……!
これが全国レベルの麻雀ですか。加治木先輩の助言がなかったら今頃どうなっていたかわかりませんでしたね……。
けど、戦えてよかったです……! あっ、そうだ!)
かおりん「あ、あの、天江さん!」
衣「鶴賀の……。どうした?」
衣「!! お前は……衣とまた麻雀を打ってくれるというのか……?」
かおりん「はいっ!! もちろんです。こんな私でよかったら!!」
衣「鶴賀……!」パアアアア
久「あ、そのときは私も混ぜてよねー。あなたたちみたいな楽しい打ち手はなかなかいないもの」
衣「ぬ、清澄!」
深堀「じゃあその……面子が足りなかったら呼んでください」
衣「風越の!」
久・深・かおりん「あと、次は私が勝つから(勝ちますから)!!」
衣「は、はは……あはははははっ! 烏滸言をっ!! 有象無象の下等生物どもが調子に乗って……!!!
構わん、いくらでも勝ちに来るがいい――全員まとめてトバしてやるっ!!!」
中堅戦。天江衣の活躍で前回優勝校・龍門渕が暫定トップ!!! 鶴賀が僅差でそれに続き、名門風越と清澄が二校を追う展開となった!!
中堅戦後半終了!!
一位:天江衣+28300(127400)
二位:竹井久+7600(78900)
三位:深堀+7100(72600)
四位:妹尾-43000(121100)
このまま二校のどちらかが飛び出すのか、それとも清澄と風越の逆転はあるのか。勝負の明暗を分ける副将戦、間もなく開始です!』
池田「(天江衣に借りは返せず、か。
けど……それとこれとは今は関係ない。あたしは風越の副将としてここにいる……みんなが今までやられた分をまとめて取り返す!
そして……うちの逆転優勝だしっ!!)よろしく」
ともき「(風越のスコアラー池田華菜……去年は衣に完封されていたけれど、その実力は間違いなく県内トップクラス。
それに原村和……去年のインターミドルチャンピオン。透華の話ではあのネット最強の『のどっち』の正体でもあるとか……こちらも強敵と見たほうがいい。
それから鶴賀の……データはあまりないけれど、これまでの面子を考えるとこの人も一癖あるかもしれない……)……よろしく……」
睦月「(みんなが頑張ってプラスにしてくれた点棒……大切にしなきゃ……絶対に守ってみせる……!)よろしくお願いします!」
和「(相手が誰であろうと……関係ありません)よろしくお願いします……」
咲「原村さん……!!」バンッ
和(えっ!? み、宮永さん……! まだ眠っていたはずでは……!?)
咲「頑張って!!」
係員「こら、キミ。もう対局が始まるから……」
咲「あ、す、すいませんっ!」ダダダダダダ
和(み、宮永さんが見てる……///////!! か、勝ちますっ!!)
宮永咲――フラグ立直!!
副将戦前半……開始ッ!!
東:津山睦月(鶴賀) 南:池田華菜(風越)
西:原村和withエトペン(清澄) 北:沢村智紀(龍門渕)
東一局親睦月
副将戦前半、まずは鶴賀・睦月から先制のリーチが入る。
三巡後。
睦月「ツモです。リーチツモドラ一……。2000オール」
睦月(……精一杯……私なりにできることを……)
池:70600 と:125400 和:76900 む:127100
五巡目、和、特急券を獲得。
和「ポン」タンッ
ともき(『のどっち』が動き始めたか……?)タンッ
睦月(う、さすがにもう張ってるなんてことは……)タンッ
和「ロン。中ドラ一赤一、3900の一本場は、4200です」
睦月「はい……」
池:70600 と:125400 和:81100 む:122900
十一巡目。
ともき「ツモ……チャンタドラ二ツモ……2000・4000」
池:66600 と:133400 和:79100 む:120900
十巡目。
和「リーチ」スチャ
ともき(むむ……これは……)タンッ
睦月(現物、現物……っと)タンッ
池田()タンッ
和「ツモ。リーチ一発ツモ平和……裏はなし。2600オールです」
池:64000 と:130800 和:86900 む:118300
七巡目。
和「リーチ」スチャ
八巡目。
ともき「リーチ」スチャ
睦月(現物がないときは……生牌じゃない字牌から……!)タンッ
池田()タンッ
和(…………)タンッ
ともき(…………)タンッ
睦月(……字牌がなくなったら……次は……)タンッ
九巡後。
ともき・和「テンパイ」
睦月・池田「ノーテン」
流局。
池:62500 と:131300 和:87400 む:116800
静か過ぎる……。
天江衣・妹尾佳織の印象的な活躍があった大荒れの中堅戦。
その余韻がまだ残る中で始まった副将戦は、しかし、非常に淡々と穏やかに進行していた。
しかし、それは嵐の前の静けさ。
嵐を巻き起こすのは無論この人――。
去年の苦い経験を糧に……、
一年間の厳しい鍛錬を積み……、
汚名返上!
名誉挽回!!
絶対の雪辱を誓う彼女が!!
副将戦ここまで唯一沈黙を保っていた彼女が!!
そろそろ…………混ざるッ!!!!
名門風越のスコアラーにして押しも押されぬNo.2。
池田華菜――満を持して始動ッ!!
池田(どいつもこいつも……大人しいな。特に清澄のインターミドル……全然大した力を感じない。
元々力が外に出るタイプじゃないのかもしれないけど……それを抜きにしても……さっきからの気の抜けたような闘牌……まるで身が入ってないみたいだ。
これくらいの打ち手なら準決勝の相手のほうが強いくらいだったし)タンッ
池田(全中王者と言っても所詮中学レベルってことなのか? ま、決して弱いやつじゃないんだろうけど。
でも、こっちは去年の決勝から……ずっとあの天江衣を想定して……夢にまで出てくる天江の幻影と……戦って戦って……一年間……この日のために鍛えてきたんだ……!
正直……今のあたしにお前の相手なんて役は不足もいいところだし……!!)タンッ
池田(例えば……もしかして今お前は本調子じゃないのかもしれないけど……あたしは気が短いほうなんだ。
相手に合わせて力を出し惜しみするような失礼な真似はしないし……! 最初から最後まで……全力で叩き潰すっ!!)タンッ
池田(インターミドル……お前がどれだけ強いのかはまだ正確にはわからない……! けど……どんなにお前が強くたって……華菜ちゃんはもっと強いし……!!
見せてやる……高校の麻雀――名門風越の麻雀を……!)タンッ
和「リーチ」スチャ
池田「そいつは通らないし……ロン!」パラパラパラパラ
池田、手牌を倒す。それは本日三度目の――。
池田「国士無双……32000の二本場は、32600」
池田、和を睨むように見る。
和、しかし、眉一つ動かさない。
和「はい」カチャ
池田(って動揺なし!!? うわっ、なにこいつ超可愛くないしっ!! この……見てろよインターミドル……!! 南場に行く前にお前をトバして終わらせてやるしっ!!!)
池:97100 と:131300 和:54800 む:116800
七巡目。
池田「リーチだしっ!」スチャ
和()タンッ
ともき(……風越の池田……面倒な相手……)タンッ
睦月(現物がないときは……)タンッ
池田「それ、ロンだし! リーチ一発ドラ三……裏一、12000!」
睦月(うっ……!?)
池田(鶴賀、現物がないなら字牌から切ってくるんだろ? 見え見えだし。さて……これで鶴賀は撃ち落した……! 残るは……龍門渕、お前だけだしっ!!)
ともき(むむむ……)
池:109100 と:131300 和:54800 む:104800
七巡目。
ともき「(……風越……突き放す……)リーチ……」スチャ
睦月(こ、今度は現物がある……!!)タンッ
池田(と……ツモった。ツモのみ1100……)
池田、対面のともきを一瞥。そして、小さく首を振る。
池田(ダメだ……これを和了って流すだけじゃ……龍門渕は倒せない……まだ……まだだ!)タンッ
次巡。
池田(フリテンだけど……一盃口がついて2000……違う……もっと……!)タンッ
次々巡。
池田(ドラツモ……4000……違う……もっともっとだ……!!)タンッ
次々々巡。
池田(フリテン解消……! リーチをすれば……高めでハネ満……!!)
池田、再び卓を囲む面子を一瞥。
池田(見たところ清澄はオリ……鶴賀もオリか。まったく……どいつもこいつもわかってないな……!
そんな麻雀で勝てるほど……去年の優勝校・龍門渕は甘くないんだよ。そう……! うちが確実に勝つためには……まだ……これじゃ全然足りないしっ……!!!)タンッ
池田「リーチせずにはいられないな」ピッ
ともき(ここで追っかけ……どういうつもり……風越……?)
和()タンッ
ともき(く、ツモれず……)タンッ
睦月(一発には絶対に振り込まない……!)タンッ
池田(龍門渕……リーチをすればあたしが大人しく引き下がるとでも思ったか……? 二万点以上もリードがあればうちから逃げ切れると思ったか……?
もしそうだとしたら華菜ちゃん笑っちゃうな……! 去年……!! あの敗北!! あのときからあたしが!! どんな気持ちでこの日が来るのを待っていたか……!!
わからないとは言わせないっ!!!!)ツモッ
池田「ツモッ!! リーチ一発ツモ平和……純全三色一盃口……ドラ一――裏二……!! 数え役満――8000・16000!!」
ともき(ま……た……?)
和()
睦月(そ……そんな!?)
池田(これで逆転トップだし……!! 見たか龍門渕……! 今年こそ!! 今年こそ勝つのはうち……風越女子だっ!!)
池:142100 と:122300 和:46800 む:88800
十三巡目。
池田(おいおい……せっかく清澄をトバして終わらせようと思ってたのに……よりにもよって今くんなよ)
池田、ツモ牌を見て、溜息。
少し迷った後、手牌を倒す。
池田「四暗刻単騎ツモ……16000オール」
ともき(ま……そんな……風越……)
睦月(……ば……化け物……!!)
池田(これで八万点差……けど……まだダメだし。当たり前だけど勝負は終わるまでわからない……! この親で稼げるだけ稼いでやるしっ!!)
池:190100 と:106300 和:30800 む:72800
誰もが更なる池田の独走と、名門風越の復活を思い描いた――その刹那。
和(………………あれ?)カチャ
このとき!
ここにきて!
やっと! ついに!! とうとう!!!
彼女の頬が赤く染まる――ッ!!!
和(………………なんだかものすごく点棒が減っている気がします……!!)
池田の連続和了に……眠れる天使―― 完 全 覚 醒 !!!!
和(宮永さんに格好悪い姿は見せられません……すぐに取り返します!!)
『おはよう、のどっち!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!』
六巡目。
ともき「(風越……調子に乗っている……させない……)……リーチ」スチャ
睦月(くっ……どうしてそんなにすぐテンパイを……)タンッ
池田「(ふん、安牌ないけど、鳴いて回して和了ってやるし!!)チー」タンッ
和()ヒュッ
ともき(ツモならず……)タンッ
睦月(当たらないで……)タンッ
池田(押せ押せだしっ!)タンッ
和()ヒュッ
和()ヒュッ
十巡目。
和()ヒュッ
十一巡目。
和()ヒュッ
十二巡目。
和()ヒュッ
――――――
と・池「テンパイ」
睦・和「ノーテン」
目覚めた天使の第一戦!
それは見惚れるほどにパーフェクトな――オリッ!!
池:191600 と:106800 和:29300 む:71300 供託:1000
池田「リーチだしっ!!」スチャ
ともき「……リーチ」スチャ
睦月(二人同時……! 困った……仕方ない……これは対子だったけど……)タンッ
和「ポン」ヒュッ
發――特急券ッ!!
ともき(む……一発消された)タンッ
睦月(清澄に鳴かれた發……とりあえず、これは安牌!)タンッ
池田(ツモ…………れずだしっ!!)タンッ
和「ロン」パタッ
池田(!? 清澄……!!?)
和「發中混一ドラ一赤一。12000の二本場は12600です」
池田(おまっ……ええ!? なんでそんなに顔を赤くしてるんだし……!? 大丈夫かよ!? 病院行けよっ!!)
池:178000 と:105800 和:44900 む:71300
五巡目、和、肩慣らしのようにツモ、2100。
和「ツモ。平和ツモ、700オール」
池:177300 と:105100 和:47000 む:70600
南三局一本場親和
八巡目、和、ヤミテン、7700。
和「ロン。南ドラ二、7700は8000」
ともき(……清澄……さっきまでとは別人……これは要注意……)
池:177300 と:97100 和:55000 む:70600
南三局二本場親和
九巡目。
池田(清澄の……急に和了り出した。とうとう本領発揮ってわけか。なるほど……インターミドルの肩書きは伊達じゃなかったみたいだし。
っていうかこれだけ打てるのになんで最初からそうしなかったしっ!)タンッ
和「ロン。三色赤二、11600は12200」
池田(にゃっ!? それ前巡鶴賀が出してたしっ!! 直撃狙いって……にゃあああホント可愛くないし!!)
池:165100 と:97100 和:67200 む:70600
ともき「ノーテン」
睦月「テンパイ」
池田「ノーテンだし」
和「テンパイ」
流局。
池:163600 と:95600 和:68700 む:72100
南三局四本場親和
池田(ほい来た断ヤオドラ四赤三! ほぼ全てのドラは華菜ちゃんに集まるんだしっ!!)
池田「リーチだし!」タンッ
和「ロン。白のみ、2000は3200」
池田(にゃあああああああ!!?)
睦月(……清澄の連荘……このままじゃうちが……最下位……転落……!)
池:160400 と:95600 和:71900 む:72100
五巡目。
和「リーチ」ヒュッ
ともき(……清澄が立て直してきた……早い……手が追いつかない……)タンッ
睦月「(……や……安手でもいいから上がらなきゃ……)そ、それポン」タンッ
池田(ツモ……よし、張った張った……! タンピン三色ドラドラ……どう和了ってもハネ満!
さて、インターミドル。たぶん序盤で手替わりを待ってたんだろうけど、さっきからヤミテンで人を狙い撃ちにしてくれちゃって……今度は逆にこっちから狙い撃ってやるし。
華菜ちゃんをコケにしたことを後悔させてやるっ!!)
池田、平和に受けるための浮き牌を手に掴み、それを河へ。
『池田ァァ! おまえが倍満振り込んで風越の伝統に泥ォ塗ったの忘れたのかよ!』
瞬間、池田の頭が、真っ白になる。
気付けば、牌を握る手が震え、視界が滲んでいた。
涙を拭って、池田、深呼吸。
池田(……いや……この状況でこれが清澄の当たり牌かどうかなんて……キャプテンでもないのにわかるわけがないけどさ……)
池田、掴んだ牌を手に戻し、点棒を確認。
池田(160400点……これは……あたしの点棒じゃない。
みはるんが最善を尽くして、文堂が自分の殻を破って、深堀さんがあの天江衣から必死に守り切った……あたしたちのみんなの……大切な点棒……)
池田(あたしは何をやっているんだ……?
役満を和了ったくらいで……二位と六万点以上差があるからって……明らかに高めの親リー相手にたかだか子のハネ満で直撃狙い……?
はは……バカげてる。そうじゃないだろ池田華菜……! あたしはこの一年間何をしてきた? 思い出せ……! みんなと共に高め合って……あたしが何を得てきたのかを……!)
それから放たれた一打は、平和を崩す形での、四萬。
清澄の現物であり、且つ――。
睦月「ろ……ロンですっ! 白、赤一! 2000の五本場は……3500!!」
池田「はいよ……」カチャ
池田(そう言えば……去年のキャプテンがそうだったっけ……バカツキしてた龍門渕を他家を上手く使っての抑え込み……。
ま、自分から振り込んでおいて上手く使ってるも何もあったもんじゃないけど。
キャプテン……あたし……あのときのキャプテンと同じ学年なんですよ……? キャプテンはどう思いますか……?
今のあたしが……去年のキャプテンと戦ったら……どっちが勝つと思いますか……? なんて……そんなの! 決まってる!)
池田、人知れず微笑む。
池田(絶対絶対キャプテンだしっ!!)
何度数えても、増えもしないし、減りもしない。
和了れば増え、和了られれば減る――ただそれだけの長細いプラスチック。
しかし、そこにはきっと何かが宿っている。
この場についた者にしかわからない――何かが……。
池田(あたしの後にはキャプテンが控えている……! 役満はただのラッキーだった。
本番はこれから。あたしの仕事は確実にうちのリードのままでこの副将戦を終わらせること。無理して他家をトバそうなんて考えなくていい。
っていうか……うちの優勝を決めるのは……絶対にキャプテンであってほしいしっ!!)
池田、大きく息を吸い込んで、場に集中する。
池田(何度でも言ってやる……! 勝つのは……あたしたち風越だっ!!)
池:156900 と:95600 和:70900 む:76600
睦月は身体の震えが止まらなかった。
睦月(寒い……。私はどうしたら……どうしたらいいんだ……いや、それよりも……どうして私は……)タンッ
睦月(風越の池田華菜……半荘一回の間に役満を三回も和了ってみせる選手。
龍門渕の沢村智紀……前回優勝校の副将を任されるほどの力を持った実力派の選手。
清澄の原村和……去年のインターミドルチャンピオン……つまり、今年の高一で最も注目されているルーキー……対して、私はどうだ……?)タンッ
睦月(他家がリーチをしてきたら放銃が恐くてベタオリしかできない……。
ここまでで和了れたのはたったの二回……取った点数は一万点……あとは……いいように点を取られていく一方……反撃もできない……)タンッ
睦月(私だって……頑張ってきたつもりだった。勉強してきたつもりだった……。
私は加治木先輩や蒲原先輩みたいに強くないし……桃子みたいな不思議な力もない……佳織さんみたいな運もない……だから……私なりにできることはなんでもやった……!
足手まといにはなりたくなくて私は頑張ってきた……!!
そう……思っていたのに……!!)タンッ
睦月(また龍門渕のリーチ……私の手は……なんだこれ……? サンシャンテン……? ひどい……こんなの……オリるしかないじゃないか……)タンッ
池田(龍門渕……ただでは転ばないか……!)タンッ
和(リーチが来たということはそれがそうで……ブツブツ)ヒュッ
ともき(……一発こず……)タンッ
睦月(安牌……現物……よかった……三枚もある……これなら今回は放銃しなくて済むかな……)タンッ
池田「チーだし」タンッ
睦月(あ……。風越に鳴かせてしまった……これでテンパイか……?)
和(そのチーならあれがそうで……ブツブツ)ヒュッ
ともき(風越が張った……? く、先に和了る……)タンッ
睦月(どうしよう……風越の捨て牌……捨て牌なんて……見たって読めないよっ!!
現物以外信じられない……スジとか字牌とか……だって、さっきはそれを読まれて私は風越に振り込んだ……。どうすればいい……? 何を切れば……?
とりあえず……少なくともリーチしている龍門渕にだけは振り込まないように……)タンッ
ともき(清澄……オリてなかった……むむ)タンッ
睦月(清澄も……!? まさかテンパイ……三人同時に……? っていうか清澄……そんなにすぐ打牌を選べるってどういうことなの……?
私はこんなに毎回……考えて考えて打って……それでも振り込む。清澄はあんなに早く打って……なのにあんなに勝てる……。ダメだ……格が違う……)タンッ
池田(清澄も張った? どこで待ってる……?
いや、ここはオリよう……清澄に振り込む可能性が一番高いのはリーチしている龍門渕だし。それで前半が終わってくれるなら悪くない)タンッ
和(次にあれならその次は……ブツブツ)ヒュッ
ともき「ツモ……リーチツモ一盃口……裏一。3900オール」
睦月(3900オール……! はは……龍門渕……! 私の精一杯だった一万点を……たった一回のツモで取れる……!
これが……!! これがここでは普通なんだ……!!
これがこの人たちの普通なんだ……ははは……私みたいな弱いやつが……どうしてここにいるんだろう……場違いだったんだ……最初から……)
ともき(……どうにかラス親で原点復帰……まだまだ……)
睦月(もう……家に帰りたい……帰って眠りたい。麻雀なんて私には向いてないんだ。
きっと風越みたいに高い手をバンバン和了れて……清澄みたいに計算が速くて……龍門渕みたいに冷静で柔軟な……そういう選ばれた人がやる競技なんだ。
私みたいな凡人が……こんなところ――県大会の決勝……それも副将戦なんかに……人数合わせでも出るべきじゃなかったんだ……)タンッ
睦月(点棒……ひどいな……桃子と加治木先輩と佳織さんが強豪相手に勝ち取った分を……たった一回の私の半荘でこんな……あっという間に……取られて……!
どんな顔してみんなに会えるんだよ……! こんなことなら……いっそ誰か飛ばしてくれないかな……)タンッ
ともき「……リーチ」スチャ
睦月(また来た親リー……早過ぎるでしょ……。三人ともそうだけど……本当に同じ確率で手牌が配られているのかな……どうして私だけいつも遅いんだろう……。
あ……。そうか……。私が弱いから……か……)タンッ
池田(足掻いてくるな……龍門渕。まずは現物から……)タンッ
和(その捨て牌ではあれがああだったからここは……ブツブツ)ヒュッ
ともき(一発……ならず。この面子相手ではツモだけが頼りなのに……)タンッ
あはは……私……考える力もない……。言われたことしかできない……それじゃ……私がここでこうして打っている意味なんてあるの……?
コンピュータでもよかったんじゃないか……? いや、私よりきっとそっちのほうが勝率はあったかもな……)タンッ
池田(んーこれは無理だし。オリるし)タンッ
和(それのときはそうでそれから……ブツブツ)ヒュッ
ともき(……来い……くっ……)タンッ
睦月(えっと……字牌が尽きたら……スジの一・九だったっけ……)タンッ
池田(よし、オリるだけなら安牌いっぱいあるし!)タンッ
和(ここが入ったときはこうしてと……ブツブツ)ヒュッ
ともき「ツモ。リーピンツモ……裏は乗らず。1300は1400オール」
ともき(さっきから鶴賀も風越も清澄も手堅い……。ヤミで和了れるならそれでもいいんだけれど……点数が伸びないんじゃ風越までは手が届かない……。
それに……若干だけど、清澄は先制リーチを仕掛けたほうが大人しくなってくれる……勝負手が来るのなんて待っていられない。
ここは……意地でも連荘する)
睦月(龍門渕……二連続ツモ。いいなぁ……。やっぱり全国レベルにもなると引きが違うのかな……。ああ……連荘できたらきっと気持ちいいんだろうな……)
ともき(次が正念場の……二本場)
池:151600 と:111500 和:65600 む:71300
八巡目。
和「リーチ」ヒュッ
ともき「(清澄が来たか……ここは……しかし、引けない)……リーチ」タンッ
睦月(だああ、もうっ! 久しぶりにテンパイできそうだったのに……! 二人してリーチなんて……!
……ああ……いいや……そうか……ここで清澄に振ればこの場が終わる……なら……それもいいか……)タンッ
池田(うおっ、鶴賀も押し……!? これってまさかの華菜ちゃん大ピンチだし!)タンッ
和(この場合だと一発の確率はどれくらいでしょうか……ま、狙いませんけどそんなの……しかしリーチしたあとはあまり考えることがなくて楽ですね)ヒュッ
ともき(一発……こ……ない……)タンッ
睦月(あ……テンパイした……?
どうしよう……いっか……どうせ振って終わらせるつもりだったんだ……迷うことなんてないや……考えることもない……リーチしちゃえ……)
睦月「……リーチ……」スチャ
池田(三人同時!? うう……これは何を切っても振る気がする……! にゃあ、通れっ!)タンッ
睦月「あ、ロンです……えっと、リーチ一発白……裏三……12000は12600です……」
池田(にゃあー!? 三人同時リーチに対して安牌ゼロ……からの打牌がよりにもよって鶴賀に直撃!? リーチ白のみに一発と裏がついてハネ満とか……!!
絶対龍門渕のリーチのほうが安かったに違いなかったしっ! にゃーもーこんなの笑うしかないしっ!!)
睦月(えっ……?)
ともき(リー棒を持っていかれた……しかし、一時に比べれば風越も大分落ちた……まだ勝てる……)
和(……宮永さん……)
睦月(風越の……今……笑ってなかったか……?)
睦月、これまで堪えていたものが、半荘終了で気が緩んだところに、一気に溢れてくる。
睦月(風越の……!! そう言えばさっきも清澄の連荘のとき……私の安手に差し込んできた感じだった! じゃあ今の笑いは……そういうことなのか……?
私みたいな雑魚からならハネ満くらいはいつでも取り返せるって……そんな……そんな……!! じゃあ……清澄も!? 龍門渕も……!?
対局中に私があんなに悩んでいたのなんて……全部この人たちから見れば……!! ははは……バカみたい……!!
私なんて何をしたって何を和了ったってどこに振り込んだって……この人たちには関係ないんだ……! どうせ私が……弱い……から……!!)
睦月、弾けるように席を立って、零れそうになる涙を隠し、真っ赤な顔で叫ぶ。
睦月「も――もう麻雀やめるっ!!!」
睦月、そのまま駆け出して、対局室から逃げていく。
残された三人は、突然のことに、ただその後ろ姿を見つめることしかできなかった。
和、咲のことを考えたらもらい泣き。エトペンで顔を隠しながら、やはり逃げるように対局室を出る。
池田、椅子にもたれて睦月の出ていったほうを眺める。
池田「麻雀やめる……? ふん、このあたしから最後の最後でハネ満和了っといて勝ち逃げとか許さないしっ!」
ともき「誰かさんが役満和了って凹ますから……」
池田「いやいや、鶴賀の中堅じゃないけどあんなのただの偶然だし。いや、誰かさんのリーチを掻い潜っての数え役満は華菜ちゃんの貫禄勝ちだったけど。
というか、たった半荘一回の大負けで一々やめるなんて言うなよなぁ」
池田「ふふーん、負け惜しみにしか聞こえないしっ!! 悔しかったら役満和了ってみろしっ!!」
ともき「それは私のキャラじゃない……あと、まだ負けてない。後半戦がある……」
池田「そうだったな……。しかし、鶴賀の副将、後半までに回復できそうかな。自棄になった打牌はそれはそれで恐いけど……」
ともき「たぶん……きっとどこかの誰かさんが無意識に彼女を傷つけるようなことをしたのではないかと……。
きっと彼女は誰かさんのせいで心に一生残るような深い傷を……」
池田「ちょ、言いがかりだしっ!!」
副将戦前半終了
一位:池田+66400(139000)
二位:和-14300(64600)
三位:ともき-16900(110500)
四位:睦月-35200(85900)
睦月「すっ……すいませんでした!!!」ポロポロ
かじゅ「つ、津山……?」
蒲原「どうした……むっきー、何が起きた……?」
睦月「私……私なんて……副将戦を戦う器じゃなかったんです……! こんなに負けて……私、ごめんなさいっ!
私じゃ……みんなの迷惑にしか……! ならなくて……!」ポロポロ
モモ「む、むっきー先輩……」
妹尾「そ、そんなことないよ。さっきの私のほうが大失点だったよ!」
睦月「いや、もう失点の大小とか……そんな次元じゃないんです! 私……打っててわかったんです。あの人たち……ものすごく強い……!
先輩方と同じくらい……! そんな人たちから見れば……私なんか場にいてもいなくても同じ……!
私は……私には……みんなと一緒に戦えるような力なんてないんです……!
今からでもいい……誰かもっと強い人を代理に……私なんてこのチームにいないほうがいいんです……!!
ごめんなさいっ! 私はもう……何もかもが恐くて……これ以上……麻雀を打ちたくないんですっ!!」ポロポロ
モモ「むっきー先輩……」
妹尾「睦月さん……」
睦月「え……あ……あの……ごめんなさい……!」
蒲原「ワハハー。もっと他に言うことがあるだろー」
睦月「あの……本当に……みんなの頑張りを……守れなくて……」
加治木、見かねて睦月を抱き寄せ、先ほどの牌譜を睦月の目の前に突きつける。
かじゅ「あのな……結果をよく見ろ、津山」
睦月「……だから……私はマイナス35200点の断ラスで……」
蒲原「もー何を言っているんだねキミはー」
かじゅ「津山、お前が戦ってきた相手は誰だ。言ってみろ」
睦月「風越の池田華菜……龍門渕の沢村智紀……清澄の原村和……です」
あとは原村、知っていると思うが彼女は去年のインターミドルチャンピオン。今年の高校一年の中で最も注目されている選手の一人だ。
それがお前の戦ってきた相手だ。わかったな?」
睦月「はい……だから私なんかとは格が違うと……」
かじゅ「格? なんだそれは? 誰が測っている? 誰があいつらとお前で格が違うと言った? そいつを今すぐここに引っ張って来い!」
睦月「あの……」
蒲原「あのなーむっきー。ユミちんが言いたいのはこういうことなんだよ。むっきーはあの池田とあの沢村とあの原村と戦ってきた。
その結果が……これ。よーく見てみなってー」
睦月「だから見なくとも結果は私の負けで……」
かじゅ「違う。風越が139000点でトップ。次いで龍門渕が110500点。三位がうちで85900。
負けたのは明らかに最下位の清澄だ。なんと64600点だぞ。トップと七万点差だ。こんな点差は少なくとも私じゃひっくり返せない」
蒲原「対してうちはどうかなー? 二位の龍門渕とは24600点差。風越とは53100点差。龍門渕なら親満、風越なら親倍直撃ですぐ背後を取れる。
その程度の差しか開いてないんだよー」
かじゅ「蒲原の言う通りだ。お前はあの三人と戦って、十分勝負できる点差まで持ちこたえた。その結果を誰が責める。なぜ謝る。もっと胸を張れ。
お前がここに帰ってきて言うべき言葉は『ごめんなさい』じゃない。笑顔で『やってやりましたよ!』だ」
睦月「でも……」
お前が食らった直撃は原村と池田からの二回だけだ。
いいか、津山。お前の食らった直撃とお前が食らわせた直撃を比べれば、お前はほぼプラマイゼロなんだよ。それのどこが『ごめんなさい』なんだ」
睦月「でも……私が直撃を取れたのは……風越が清澄の連荘を止めるためにわざと振り込んできたからで……。
あと、最後のハネ満だって……あれは自暴自棄でリーチしたらたまたま……」
蒲原「ワハハ、わざと振り込んでくれたのかー? だったらそんな有難いことはないぞー? あと、たまたま取ったハネ満かー。
じゃあ、狙って取ったハネ満とそれって具体的にどこが違うんだー?」ワハハ
睦月「それは……でもっ!! そんなことを言ったら……結局……私は負けて……負けたんですよ! 私は!!」
かじゅ「負けたからなんだ。私以外はみんな負けたぞ。
モモは前半、消えないうちはやられ放題だったし、妹尾の後半なんか他の三人からいいように狙い撃ちされて大負けだぞ。だけどそれがどうした。
お前が負けたら鶴賀が負けるのか? はは、偉くなったもんだな、津山。私たちがまだいるというのにもう部長気取りか」
蒲原「そーそー。っていうかさー、むっきー。負けて逃げたらそれこそ勝ったやつの思うつぼじゃないか。いいかー? 負けたらバイプッシュ。勝つまでバイプッシュ。
逃げたりやめたりするのは勝ってからすればいいじゃないか。それなら絶対負けないんだぞー?」
睦月「私……」
確かにお前は私や蒲原より弱いかもしれない。でもな、私たちは五人で鶴賀なんだ。代えは利かない。代える気もない。
そして……全国で私たちが勝ち抜くためには……どうしてもお前が必要なんだ。
津山、何度でも言う。
私たちにはお前の力が必要だ。いてもいなくても変わらないなんてことは絶対にない。
だから……負けてもいい。それでお前が強くなってくれるなら……この副将戦は私たち鶴賀にとって値千金だ。
幸い相手はみな全国レベルの強者……こんなにいい実戦相手がそうそういるものか。教わってこい。盗めるものは盗んでこい。
あいつらがどうして強いのか――それを肌で感じて、お前の力にしてみせろ。
わかったか、津山。お前は鶴賀の立派な一員なんだ。そもそもお前がどんなにやめたいと言っても部長の蒲原が許可しない。
いいな、だから好きなだけ負けてこい」
睦月「……私……は……」
本人は今年天江にリベンジする気満々だったみたいだが、どうだろうな。今日の天江と池田……同じ卓を囲んだら案外池田がまたトバされて終わりそうな気がするぞ。
県内トップクラスのスコアラーなんて、所詮はそんなもんなんだよ。
それから清澄の原村だが……知っているか? 清澄の原村と片岡は同じ中学の出身……二人ともこうして県大会の決勝に出てくるほどの選手だ。
しかし、その原村と片岡擁する中学はな、団体戦ではなんと予選で早々に敗退しているんだ。原村は個人で全国優勝をしたに過ぎない。
そして、私たちが今やっているのは個人戦ではない。団体戦だ。みんなの気持ちを背負う団体戦の経験に関しては、原村とお前はどっこいどっこいくらいなんだよ。
蓋を開ければそんなものなのだ、インターミドルチャンピオンなど」
睦月「……先輩……」
誰だってそうだ。かく言う私だって、次鋒戦のオーラスでは卑怯にも井上との勝負をオリた。あの天江衣でさえ……妹尾に振り込んだときは手が震えていたぞ。
とんでもない力があろうが役満を和了ろうが……結局はみんな同じ人間なんだ。
大切なことはだな、津山。お前がどれだけ勝ちたいと思うかだ。
そして――お前がどれだけ自分を信じることができるかだ。
お前が信じるお前なら……私たちもそれを信じよう。お前を責めることはないし、お前の負けはみんなで泣いてやる。
だから安心して負けてこい。お前の全てをぶつけてこい。結果はみんなで受け止める。それがチーム――団体戦だ。わかったか?」
睦月「あ、の……私……」
かじゅ「まだわからんならとっておきで沢村の話をしてやるが……」
睦月「加治木……先輩……! その……大丈夫です。ありがとう……ございました」
蒲原「おっ! 勝てそうな気がしてきたか、むっきー?」
睦月「全くしません……今すぐ家に帰りたいくらい恐いです……でも……」
かじゅ「でも……なんだ?」
蒲原「おー! その意気だっ、むっきー!」
モモ「むっきー先輩!」
かおりん「睦月さんっ!」
かじゅ「うむ、じゃあそろそろ休憩が終わる。行ってこい、津山。大丈夫だ。たとえ十万点差がついても蒲原が取り返してくれるからな」
蒲原「ユミちん十万点はちょっと……」
睦月「わかりました!」
蒲原「ちょ、むっきー!?」
睦月「やるだけやってきますっ!!」タッタッタ
蒲原「おーいーせめて六万点差が限度ー……って行っちゃったなー」
かじゅ「まったく……手のかかる後輩どもだ」
モモ「えっ、『ども』って先輩!?」
蒲原「いいからいいから。ここからはむっきーのターンだよ。静かに見守っていようぜー」ワハハ
かおりん「そうだねっ!」
睦月「あ」
ともき「あ、鶴賀の……」
池田「帰ってきたな」
睦・池「あ……あの……」
睦月「……ああ、すいません。なん……でしょうか?」
池田「えっと……その、だし……」
睦月「?」
池田「華菜ちゃんさ! なんつーか昔っからこうずうずうしくてウザいところあるからさ……! その……何かムカってきたことがあっても気にすんなしっ!
たぶん本人に悪気はないしっ!! だから……華菜ちゃんのこととかどうもいいというか、麻雀とは全然関係ないっていうか……とにかく麻雀は続けろよ!
ここでお前にやめられて……鶴賀が棄権にでもなったらうちのキャプテンの活躍が見れないしっ!! わかったな!!?」
睦月「は……はい! こちらこそ……さっきは対局後だというのに変なことを言ってすいませんでした……」
池田「わ、わ、わかればいいんだしっ!!」
睦月「後半もよろしくお願いします。今度は……私も簡単にはやられません」
ともき「……しかし最後に勝つのは……私……」
池田「勝手に言ってろしーっ!!」
と、そこに和も戻ってくる。
和「……? 何か、皆さんで話していたんですか?」
池田「ああ? 後半は誰が勝つかって話だよ」
和「あ、それなら私ですよ」
池田「こ、の……一年……っ!!」
『後半戦間もなく開始します……対局者は席についてください』
和「なるほど。わかりました」
ともき「ちなみに私は西家」
睦月「私は南です」
池田「ふふ、お前ら今頃気付いたな……! 華菜ちゃん北家、ラス親だしっ!! ボコスカ連荘しまくって全員トバしてやるしっ!」
と・和「いいから席について(ください)」
睦月(喋ってみればよくわかる……。みんないい人たちなんだな……そして……みんな自分の勝ちを信じて戦っている……。
そんな人たちと卓を囲んでいたのに……大負けしたくらいで飛ばされてもいいなんて……さっきの私はなんて失礼だったんだろう……!
よし……後半戦こそはっ!!)
和「み、宮永さん……!」
咲「原村さん……」
和「そ、その……か、勝ちますよっ! つ、次は絶対!!」
咲「ええ……? 絶対……? でも、原村さん、いつも半荘一回くらいじゃ強い弱いは測れない、どんな人でも絶対に勝つなんてありえないって……」
和「それはそれです。いいんです。気持ちの問題ですから」
咲「はあ……」
和「確かに半荘一回だけなら、どんなに強い人だって大負けすることはあります。弱い人が和了りまくることだってあります……。けど、私はこうも思うんです」
咲「うん?」
いえ、思うだけです。勝ちたいときに絶対勝つなんて……そんなオカルトありえません……でも、そういうのを信じたいって気持ちを持つことは……いいのかもしれないと思ったんです」
咲「うん……そうだね……!」
和「これ……宮永さんを見ていて思ったんですよ……?」
咲「えっ!? あ、そ、そうなの!? なんか照れる……////」
和「あの……そういう赤面は……感染するのでやめてほしいのですが/////」
咲「はっ、原村さんだって……さっきの南二局からずっと赤い……よ」
和「あれは……! なんというか……いいじゃないですか、そっちのほうがうまく打てるんですから!」
咲「そ、そうだね!」
和「…………宮永さん……」
咲「な……何?」
和「次は――絶対勝ちます。勝って宮永さんに託します。たとえこれが一生に一度の……私の絶対に勝てる半荘だとしても……ここで使うのは全く惜しくありません。
だから……見ていてください!」
咲「う……うん/////」
和「じゃ、私は対局室に戻りますので……////」
宮永咲――二度目のフラグ立直!!
副将戦後半
東:和 南:睦月 西:ともき 北:池田
東一局親和
七巡目。
池田(さて、テンパイ。断トツの今はリーチしたくないけれど、しないと役ナシ……手替わりでどうにかなるわけでもない……ならここは当然!)
池田「リーチだし」スッ
和()ヒュッ
睦月(風越が先制リーチ。対してこちらは……手なりで進めてやっとイーシャンテン……清澄は……さすがにいきなり危険牌は切れないみたい。それはそうか。誰だって一発なんか食らいたくない……なら、私も……)タンッ
ともき(風越……さっきの終盤から大人しかったというのに自ら危険を冒して先制リーチ? ひょっとしてリーのみ……とか? ただ……こちらはそれ以下の手……勝負にならない)タンッ
池田(さっきから全員きっちりオリやがって……こういう相手はやりにくいしっ! でも、関係ないしっ! 華菜ちゃんツモるしっ……にゃ、ツモれず……!)タンッ
池田「テンパイ」
和「ノーテン」
ともき「ノーテン」
睦月「ノーテン」
ともき(風越……リーチしなければ役ナシのくせにドラ三赤一とか……ツモか裏が乗ればハネ満……後半でも勢いの衰えは期待できそうにない)
睦月(オリたぞ……最後まで! あのまま行っていれば放銃していたかもしれないけど、清澄も龍門渕もオリだったから安牌が増えて助かった。
私には捨て牌から風越の手を読むなんてことはできないけど……相手の点数を見切って押し引き判断とか無理だけど……そんなの……できないなら周りの人がどう対処しているか見て真似してみればいいんだ。
なんたってこの人たちは私よりずっと強いんだから!)
池:141000 と:109500 和:63600 む:84900 供託:1000
八巡目。
睦月(テンパイ。タンピンの三張面……高め三色の絶好形。ここは行くしかないよな……。三人の捨て牌……うう、さっぱりだ。
けど……恐いけど……この恐さは乗り越えないといけない恐さだ……! もしこれで当たったりしたらそのときはまた別のやり方を考える!)
睦月「リーチ……」スチャ
ともき()タンッ
池田()タンッ
和()ヒュッ
睦月(三人ともオリたか……? でも、この待ちでこの巡目なら十分ツモ和了りも期待できるはず……一発はならなかったけど)タンッ
睦月(げっ……清澄にドラポンさせてしまった……! オリたんじゃなかったのか……?)タンッ
ともき()タンッ
池田()タンッ
和「ツモ。中ドラ三、2000・3900の一本場は2100・4000」
睦月(うわぁ……清澄……フリテン覚悟で一発放銃を回避して、そこからドラ鳴きでツモ和了りに持っていくなんて……!
ただオリるだけじゃない……チャンスがあればフリテンでも和了りを目指す……そしてたぶん、うまくいかなかったらいかなかったできっちりオリ切るつもりだったんだろうな。
今の私には考えられない選択肢の幅……これが全中王者の麻雀……!)
池田(うわ、清澄の和了り……ちょっと格好いいしっ!)
池:138900 と:107400 和:73800 む:79900
副将戦、幾度もテンパイ・リーチするものの我慢を強いられてきたともき、ここに来て一発逆転の勝負手が入る!
ともき「(この点差……この相手……出し抜くためには……ここはリーチせずには済まされない)……リーチ」スチャ
ともきの手、三暗刻ドラ三、リャンメン待ち……ヤミの出和了りでも親満。リーチをかければ親ハネ確定。しかし……ともきはさらに上を目指す。
ともき(清澄のインターミドルは底知れない……風越は天井知らず……鶴賀からは二人ほどの脅威は感じないけれど、リーチにはしっかりオリてくるから出和了りは期待できない……)タンッ
ともき(私は……純のように何かが見えるわけではない。一のように小さい頃から麻雀に親しんで思い入れがあるわけでもない。衣や透華のように身の内に魔物を飼っているわけでもない……龍門渕で最も地味な打ち手……それが私……)タンッ
ともき(けれど……きっと勝ちたいと思う気持ちなら……私はみんなに引けを取らない。いや、ひょっとすると一番かもしれない……。
勝って当然の衣、性格の悪い純、目立つことが第一の透華、フェアプレイを好む一……四人にとって麻雀で勝つことはきっと結果でしかない……ただ、私は違う。
私にとって麻雀は……ゲームは……勝たなければ意味がない……)タンッ
そして何より……最後に私が勝つから……面白いんだ……)タンッ
ともき(透華に出会えて本当によかった。麻雀は楽しい。勝てるかどうかわからない相手と全力で戦って……それでも最後に私が勝つから楽しい。
勝てない麻雀なんてつまらない。泣きたくなるほど大嫌い……。
だから私は……誰が相手でも妥協なんてしない……できる限りデータを集めて……対策を練って……そして……絶対に勝つ……)ツモッ
ともき(来た……。普段ならここはスルーだけど……ここが勝負の分かれ目……絶対に決めて見せる……)
ともき「……カン」パタ
睦月(親リーの暗槓……!)
和(この決勝戦……そう言えば何度かあったカン。でも、最初に嶺上開花を決めるのは宮永さんであってほしい……! そんなオカルトありえませんけど……!!)
ともき(嶺上はならず……いや、それよりもカンドラが乗らなかったのが悔やまれる……けど……これで裏は増やした……暗刻の多いこの手なら……三倍満も決して夢ではない……)タンッ
池田(うにゃあああああああ!? ぐるぐる回し打ってたらここに来てカンドラモロノリッ! 美味し過ぎるしっ!!)タンッ
ともき(風越の池田……その顔はまさかカンドラが……く、本当に面倒なやつめ……)
ともき「あら……衣。今回はあまり遊んでこなかったのね……あんな早々に風越を飛ばすなんて……何か見たいテレビでもあった……?」
衣「否、衣はもっと遊んでいたかった。それなのに風越が……」
ともき「風越が……どうかした?」
衣「うむ……他の者はもう諦めていたようだったが、風越だけはちょこざいな悪あがきをしてきた。だからつい勢い余って飛ばしてしまった……不覚。
ぴったり0点にしてやるところだったものを……」
ともき「確か……風越の池田華菜……私たちと同じ一年……」
衣「ともき、心しておくがいい。風越のあいつはかなり面倒だ。
手がバカ正直過ぎて衣の敵ではないが……しかし、油断しているとどんな状況からでもこちらを喰いにくる」
ともき「たとえ点数がゼロになっても……?」
衣「そこまではさすがに皆目無見当。ただ……あれも一年というのなら、来年も再来年も……ずっとこの県にいるのだろう。
できれば今回で再起不能にしておきたかった」
ときも「いや、あの振り込みじゃしばらく牌を握れないと思うわ……あの子」
衣「それならば良し。しかし、あいつがまた衣たちの前に立ちはだかるときがあるとするならば……用心しておくがいい。
衣も……次があるなら本調子のときに叩き潰す」
ともき「へえ……風越の池田……ねえ……」
――――――
池田(ツモれず……! けど、これは龍門渕の安牌……次のツモに賭ける!)タンッ
ともき(衣……あなたはたぶん……たくさんのいい打ち手を摘み取ったのと同じくらい……たくさんのいい打ち手を育てたのかもしれない……私たち四人のように……)タンッ
池田(またツモれず……でも、これも龍門渕の安牌だからまだまだセーフ。早く次のツモ来いしっ!!)タンッ
ともき(このまま……流局か……? それとも風越か……? いや……私が……ここで和了ってやる……!)
池田(親リー蹴り飛ばしてやるしっ!!)
そして――十七巡目。
池田「ツモだし……断ヤオツモ赤一ドラ三……! 3000・6000!」
瞬間、ともき、思わず天を仰ぐ。
ともき(……やら……れた……。けど……私はまだ諦めたわけじゃない……。親はもう一度来る……それまでに立て直して……連荘でまくる……)
池田(ふう……マジ危なかったしっ!)
池:151900 と:100400 和:70800 む:76900
十巡目。
池田(さっきはなんとか打ち合いに勝ったけど……いや、これはどうだろう……)
池田の手牌、既に萬子のメンチンをテンパイ。赤と一盃口がついてどう和了っても倍満確定。
池田(また華菜ちゃん無双だと思ってたけど、どっちかっていうと夢想だったかもしれないしっ!)
池田のツモ。生牌の西。清澄の捨て牌を一瞥。三巡前にリーチしている。
池田(この西……不吉な臭いがプンプンするし。かといってこれを抱えて混一狙いにいったところで……)
龍門渕、二巡前にリーチ。捨て牌からして萬子の染め手が濃厚。互いに互いの当たり牌を抱えている可能性が大きい。
池田(前門の虎、後門の狼……か。なら、あたしは虎を選ぶ。前に進んでいたいから。どんな状況に置かれようと……天江衣に追いつくために……あたしはこれからも前に進み続ける!)
そして、池田、打、西。
和「ロン。リーチチートイ……裏二。8000です」
池田「はいよ……」チャ
ともき(……風越……私ではなく最下位の清澄に振り込むほうを選んだか……)
池田(清澄の……しれっと裏を乗せてくるとかやっぱ可愛くないしっ!!)
池:143900 と:99400 和:79800 む:76900
序盤、鶴賀・睦月からリーチが入る。しかし、全員オリ。
鶴賀「テンパイ」
和「ノーテン」
池田「ノーテン」
ともき「ノーテン」
流局。
池:142900 と:98400 和:78800 む:78900 供託:1000
南二局一本場親睦月
和「ツモです。メンホンツモ、2000・4000は2100・4100」
睦月(うう……また清澄の満貫ツモで親流された……!)
池田(清澄、さっきにも増して隙がなくなってるな。休憩中に何があったか知らないが……本当に前半序盤のあれはなんだったんだってくらいに無茶苦茶強いし。
インターミドルチャンピオン……原村和、か。天江衣に次いで個人的にぶっ倒したいやつランキング二位にしとくしっ!)
池:140800 と:96300 和:88100 む:74800
ともき「テンパイ」
和「ノーテン」
池田「ノーテン」
睦月「ノーテン」
ともき(……大丈夫……まだ反撃のチャンスはある……)
池:139800 と:99300 和:87100 む:73800
南三局一本場親ともき
ともき、前半同様、ラス親で粘りのツモ。
ともき「ツモ。リーチツモ赤一……2000オールは2100オール」
池:137700 と:105600 和:85000 む:71700
ともき、今度は鳴きを入れてテンパイ。
しかし、その次巡。
池田「ロンだし。ダブ南白赤一。8000は8600」
ともき(……しまっ……た……)
池田(逆転狙いで手が重くなったところを狙い撃ち……。天江衣……お前にはある意味感謝しないといけないのかもしれないな……。
去年あたしをトバしたこと……後悔してももう遅いしっ!!)
池:146300 と:97000 和:85000 む:71700
池田(この半荘トップは清澄……あたしは今のところ一応プラスか。ここに来てラス親が重く感じるな。
始まる前は連荘とか言ってたけど、別にここで清澄からトップを奪う必要はないのに……親っかぶりの危険が常に付きまとう……ウザ……)
この局、しかし、池田の思いとは裏腹にいい引きが続く。
池田(うわ……また一索……ヤオ九牌のドラが暗刻で固まったし。赤もこんなときにぞろぞろ集まってくんなし……!
お前らドラは有難いけどリーチしないと役にならないからヤミだと出和了りできないんだしっ!!)
それでも、ドラを抱えることで他家の打点が下がると積極的に考え、淡々と手を進めていく池田。
その――対面。
睦月(ツモ……これだと平和ツモ……1300。リーチしておけばよかったかなぁ。これを和了れば……その瞬間に副将戦終了。前半のオーラスだったら……ここで終わりにしてただろうな……)
睦月、卓上、そして卓を囲む面子を見回す。
睦月(結局ここまで私だけ焼き鳥……はは……先輩方はああ言ってくれたけど……負けていいなんて……やっぱり嫌だ……私が……私が嫌だ……!!
ここでツモ和了りをして終わるくらいなら……! 私だって……私だって……一矢報いるくらいのこと……してみせるっ!!)タンッ
睦月(なんだこの手……三色も十分見れるじゃないか……! リーチして……フリテンになっても清澄みたいにツモで引いてくればメンピン三色ツモ……満貫……!
いやいや……! とにかくまずは引くことだ。皮算用ならいくらでもできる……!!)
睦月、次巡、次々巡と的確な引き。
睦月(三色……本当についた。けど……これじゃフリテン……)タンッ
その次巡。睦月、再び和了り牌をツモる。
睦月(平和ツモ三色……5200……これなら和了ってもいい……かな……)
睦月、山牌を見る。まだ……ツモはあと五回残っている。
睦月(はは……! これ……あとで絶対後悔するパターンかも……!!)タンッ
睦月、二度目の和了り拒否。雀頭を崩す。
睦月(まだ河にはドラも赤も見えていない。誰かが抱えているのかもしれないけれど……山に残っていないなんてどうして断言できる……?
いや、それにドラではなくとも……単騎待ちならフリテンは解消。この手なら、ヤオ九牌が来ればチャンタか純全帯もつくし……十分高い……!)
次巡、睦月、ドラの一索を引き当てる。思わず、身震い。
睦月(これは……ダマでも純全帯三色ドラドラでハネ満。ツモれば倍満……リーチをかければ……出和了りでも倍満確定……どうする……!!)
それは決して悪いイメージであってはいけない。
できる限り――いいイメージ。
例えばそう、前半の風越・池田の数え役満のような……見ている者が震えるほどの――美しいイメージ。
睦月(私も……あんな風に……なれたら……!!)
睦月、ドラの一索で単騎待ち。不要牌を河に置き――曲げる!!
睦月「リーチですっ!!」スチャ
睦月のこのリーチ……観戦室から見れば、当たり牌を全て池田に抱えられている絶望的なリーチ。
しかし、このリーチによって、何もなければドラを抱えたままこの局を終わらせようとしていた池田の思考が――揺れる。
睦月のリーチに対し、先程はツモってきた睦月の現物をそのまま切った池田。今回ツモったのは、しかし、またも不吉の象徴・生牌の西。池田の手が止まる。
池田(西は対面の役牌……しかもまだ生きている。捨て牌を見てもチャンタ気配バリバリ……どうする……手を崩すか?
ただ、そうかと言って赤とくっついてる中張牌を切るのもな……清澄も龍門渕も鶴賀のリーチにツモ切りだったから張ってる可能性は十分にある。
はは、華菜ちゃんまたまた大ピンチ。さっきから高いのを張るか安牌ゼロ状態か……生か死か……極端な二択だし……)
池田、思考を進める。
池田(或いは……ドラの一索……。二索はあたしから四枚見えているから、当然あるのは単騎待ち。
この状況ではけっこうよくある待ちだ……ま、しているとしたら誰か一人ってことになるけど……)
池田の脳裏にまたあの言葉が浮かぶ。
『池田ァァ! おまえが倍満振り込んで風越の伝統に泥ォ塗ったの忘れたのかよ!』
振り込み――その苦々しさは、振り込んだ池田自身がよくわかっている。
だからこそ――今日まで池田は精一杯強くなるための努力をしてきた。きっと校内の誰よりも……或いは県内の誰よりも……。
池田、覚悟を決めて、打牌を選ぶ。
池田(いやいや……そうじゃなかった。あたしが強いか弱いかなんて今は関係ないんだ。忘れていたわけじゃない。あたしは……みんなと勝つために……ここに戻ってきた。
そのために……この点差この状況……あたしがすべきことは何か……? 和了らせない……振り込まない……そして……うちのトップで副将戦を終わらせる。
それがあたしのするべきことだ……ならここは……こうだろ……!)
池田、テンパイを崩しての、打、六萬。睦月の現物であり、清澄と龍門渕にはスジ。
ロンの声は――かからない!
池田(このまま無傷でオリ切って副将戦終了だしっ……!)
同巡、和、暗刻で抱えていた西を打つ。
池田、それを見て、つい溜息。
そして、淡々と山牌が消費されていき――。
睦月「テンパイ」
池田「ノーテン」
ともき「テンパイ」
和「ノーテン」
終局。なお、供託リー棒はこの半荘トップの和の手に入ったものとする。
ともき(……風越……完全にやられた……)
睦月(和了れなかったか……。はは……これは……やっぱり後悔するパターンだったな……)
池田(鶴賀はドラ単騎だったのか。危ない危ない。
華菜ちゃん……また課題が一つ……これからは他家が張ってもキャプテンくらいにばっちり読んでもっと上手にかわせるようになってやるしっ!)
副将戦後半――終了!!
副将戦後半
一位:和+19900(84500)
二位:池田+5800(144800)
三位:ともき-12000(98500)
四位:睦月-13700(72200)
対局終了後、池田、「これはきっとウザがられる」と思いつつも、つい睦月を呼び止める。
池田「おい、鶴賀の津山とか言ったな」
睦月「風越の……池田さん。なんでしょうか……?」
池田「あたしさ、本当は天江と戦いたくてここまで来たんだ。だから、今日の面子見てどこかがっかりしてた。
でも……今は違う。お前らと戦えてよかったって思ってる。あたしなんかまだまだだって……再確認できたし……すごく勉強になった。ありがとうな。
それと……最後のリーチ、華菜ちゃんの真似っこするのは十年早いけど……華菜ちゃんはああいうの嫌いじゃないしっ! 悔しかったら次は一発でツモってみろしっ!!」
睦月「……!! こ……こちらこそ……勉強させてもらいました……!!」
池田「うちが全国行くときは鶴賀も練習試合に付き合ってくれよな。そこでいっぱい対局するんだしっ!
あと、またいつか麻雀やめたくなったら今度は華菜ちゃんが相談に乗ってやってもいいしっ! じゃ、言いたいことはそれだけだしっ!」
睦月「はい……またよろしくお願いします……。あ、でも……」
池田「にゃ?」
睦月「こんな私が言うのもなんですが……全国に行くのは……私たち鶴賀です」
池田「にゃはっ! ずうずうしいにもほどがあるしっ!!」
睦月「いや、あなたにだけは言われたくありませんよ……」
睦月、帰還。出迎えるチームメイト。
かじゅ「津山、よく頑張ったな。いい闘牌だったぞ」
蒲原「むっきー、今度は誰にも振り込まなかったじゃないかー」
モモ「むっきー先輩、お疲れ様です!」
妹尾「最後のリーチ、すごく格好よかったよっ!」
笑顔の四人に迎えられた瞬間、睦月、対局室では絶対に泣くまいと堪えていた涙が、込み上げる。
睦月「私……私は……!! 私は負けました……!!」ポロポロ
かじゅ「うん。負けたな。ラスだっただけじゃない。鶴賀も最下位に転落だ」
睦月「はい……!! 私……すごく……負けたのが……みんなの力になれなかったことが……!! すごく悔しいです……!!」ポロポロ
蒲原「そうだなー。それは悔しいだろうさー。それで……むっきーはこれからどうするー?」
睦月「はい……!! もっと勝てるようになるまで!! いつかちゃんと勝つまで……!! 私……麻雀をもっと続けます……!! 私は!! もっと麻雀で勝ちたいんです!! だから……どうか……こんな私を鶴賀の一員のままで…………いさせてください……!!」ポロポロ
蒲原「そーだそーだー。それになー、むっきー。負けられるときに負けておかないとな、いつか勝ちたいときに勝てなくなるもんだ。
今回のむっきーはいい経験をしたんだよー」
睦月「はい……ありがとうございます……!」ポロポロ
かじゅ「ほら、津山。これで涙を拭け」
睦月「……ありがとう…………ございます……」
睦月、加治木からハンカチを受け取って、ソファに泣き崩れる。モモと妹尾、睦月を励ますように睦月の両隣に添う。
そして、そんな後輩たちの姿を立ったまま見ている加治木と、蒲原。
かじゅ「本当に……完膚なきまでにやってくれたものだ」
蒲原「まったくだー。うちの可愛い後輩を泣かせやがって頭くるよなー」
かじゅ「おい、蒲原。わかってるだろうな?」
蒲原「ああ……わかってる。ワハハ……」
ワハハ――そう言って笑うも……その顔はもはや笑っていない!
蒲原「撃ち落せばいいんだろう、風越を」
鶴賀・大将――蒲原智美……出陣!!
天江衣の記録を塗り替えて本日の前後半合計獲得点数ハイスコアを叩き出し、最下位だった風越を一気にトップまで押し上げた、池田華菜。
しかし、そんな誇るべき結果を持ち帰った池田を待っていたのは……。
久保「池田ァァァァ!! テメェさっきの闘牌……!! ありゃなんだァ!!」
池田「はいぃぃぃぃ!! す、すいません……!!」
久保「マグレで役満和了ったからって調子に乗りやがって……!! そういうところがまだまだ甘いって言ってんだよ池田ァァァァァ!!」
池田「はぃぃ…………!! すいません…………」
久保、しょげて縮こまる池田を睨みつつ、舌打ち。
久保「わかってんのかァ? 今のテメェじゃ天江とやっても勝てねえぞ。オーダーがズレてよかったな。なァ、池田ァァ!!」
池田「は……はい! さっきの中堅戦……天江も今年は更に強くなっていました……! あの天江に勝つのは今のあたしでは無理です……だから、コーチ……!!
あの……清澄の原村……あいつの牌譜があるなら全部見せてください……! あの打ち回しができれば……もっと天江に近づけるような気がするんです……!!」
久保「そうだなァ……テメェみたいなバカにつける薬なら原村の他にもいくらだってあるだろうよ……あとでまとめてやるからしっかり研究しとけ!!」
池田「は……はい!!」
テメェが天江レベルと打って勝てるようになんねえとうちが全国優勝するのは無理なんだよ。だからそのときまで死ぬ気で練習しろ!!
わかったかァ!! 池田ァァァ!!」
池田「は…………はい!!!」
池田(って……! コーチもう全国に行った気でいるしっ!? いや……! そりゃそうか……なんたってうちの大将は……!!)
久保「おい、福路。言ってみろ。風越の主将であり大将であるテメェの仕事はなんだ?」
福路「名門風越を優勝に導くことです」
久保「わかってんならいい。さっさと行って決めてこい。池田のバカがトップになった時点で方々に連絡して強化合宿の段取りを進めておいたからな。
負けたら承知しねえぞ!」
福路「はい、大丈夫です。絶対に……優勝するのは私たちです」
久保「はん。相変わらず返事だけは達者だな、テメェはよ!」
風越・大将――福路美穂子……開眼!!
ともき「……衣が去年風越をトバした反動がどうして私に……」
衣「オーダーがズレたのなら仕方あるまい。本当なら衣が返り討ちにしてくれるところだったのだが」
井上「風越のはそんなでもねえ感じしたけどな。清澄のほうがヤバそうだったぜ。ま、どっちみちオレなら勝てた」
ともき「うるさい……鶴賀相手に手も足もでなかったくせに」
井上「ばっ! あれはあれだよ……サシの勝負に拘らなければオレが勝ってた。…………っていうかお前ちょっと泣いてないか?」
ともき「……黙れ……オンナ男……」
井上「せめてオトコ女にしろよっ! つーかオレは背が高いだけで全然正常だろうが。お前みたいなネットオタクよりはよっぽど普通だ」
一「まあまあ二人とも喧嘩しないで……」
ともき「ああ……一……あなたも私たちと同じ……マイナス収支組……」
一「はぁ!? 何言ってるのともきー!? ボクのマイナスはあってないようなものでしょ!? 前後半合わせてたった2100点だよ!?」
井上「何を言ってんだ国広くん、大小なんて関係ねえよ」
一「もー! ええー? どうしてこの流れでボクが責められる感じになってるのさ。ねえ透華、聞いてよっ。ともきーと純くんがひどいんだ!」
一(え……? 透……華……?)
ともき(……これは……不完全な気もするけれど……)
井上(……まさか……県予選で見ることになるとは思ってなかったな……)
衣「とーか!! とーかが衣たちの大将だ。相手はなかなかどうして油断大敵! 思う存分暴れてくるがよかろうっ!!」
透華「そ、そんなことは言われなくてもわかっていますわ……それじゃあ……行ってきますわね……!」
一(と、透華……!!?)
龍門渕・大将――龍門渕透華……異変!!
久「とうとうここまで来たわね。気分はどう、咲?」
咲「ちょ、ちょっと緊張しています……」
タコス「咲ちゃん、対局前におトイレ行ったほうがいいじょー」
咲「そ、そうだね」
まこ「なんじゃ珍しく萎縮しとるのう。わりゃぁこと麻雀だけは生意気じゃと言うんに」
咲「いえ……ちゃんと気持ちは整っているんですけど……。なんだかさっきから寒気が止まらなくて……」
和「宮永さん、大丈夫ですか……?」
咲「う、うん。たぶん……気のせいだと思う……心配しないで。私、勝つよ。勝ってみんなと全国に行くんだもん」
久「じゃあ……私たちの分まで頼んだわよ、咲!」
タコス「全員トバしてしまえばいいじょー!」
まこ「お前さんのことは心配しとらんけえの。好きなように、楽しんで、思うように打ったらええ!」
和「宮永さん……! 頑張って……!!」
咲「はい……。行ってきます……!!」
清澄・大将――宮永咲……登場!!
東:福路「よろしくお願いします」
南:蒲原「お手柔らかにー」
西:透華「よろしくですわ……」
北:咲「よろしくお願い……します……!」
大将戦前半――開始!!
先鋒戦前半、東発速攻の清澄・片岡、開始早々二度の親倍ツモでリードを広げます。
各校、積極的に片岡を封じにかかりましたが、前半戦はそのまま片岡の逃げ切りで終わりました。
後半、三校から警戒された片岡、東場で思うように和了れず。
そんな中でまずは風越・吉留、次いで龍門渕・国広が頭一つ抜け出します。
しかしその後、それまでラスに甘んじていた鶴賀・東横が奇妙な和了りを連発。
結果は東横の見事な一人浮きとなりました。
しかし、東四局に入って抜け出したのが鶴賀・加治木。東横の稼いだリードを更に広げます。
中盤以降、清澄・染谷が加治木に抵抗するも、加治木がそれを振り切って終局。
またも無名校・鶴賀の一人勝ちとなりました。
後半、このまま加治木の独走かと思われましたが、東四局、風越・文堂が加治木を直撃。
止まらないように思われた加治木に待ったをかけます。
その後は各校決定打が出ず、膠着状態のまま終局を迎えました。
しかし、その直後、鶴賀・妹尾が天江に親の役満を直撃。
鶴賀・妹尾は南二局でも字一色七対子を和了ってみせ、他を大きく引き離し、トップでこの局を終えました。
後半、鶴賀・妹尾、東場開始早々に海底ツモ、二度目の国士無双とさらにリードを広げます。
しかし、妹尾の活躍もそこまででした。
まずは天江が妹尾に満貫を直撃してからの六連続和了。
以後、これまでの苦境を跳ね除けるように清澄・竹井と風越・深堀も鶴賀を直撃。
そんな大荒れの中堅戦でしたが、前後半を通してプラスで和了ったのは天江衣ただ一人。
龍門渕・天江、その強さを遺憾なく見せつける結果となりました。
そんな中、東三局二本場にて風越・池田がこの日三度目となる国士無双を清澄・原村に直撃。
池田はその後も立て続けに役満を和了り、副将戦開始時の点差を見事にひっくり返します。
終盤、清澄・原村の目覚しい活躍で風越のリードが多少削られたものの、大きく崩れることもなく、そのまま風越・池田が逃げ切って終局となりました。
後半、前半同様、風越・池田と清澄・原村の両選手が場を支配します。
龍門渕・沢村、鶴賀・津山、途中勝負を仕掛けるもその力及ばす、終局を迎えました。
また、この時点で風越・池田が本日の前後半合計獲得点数のハイスコアを記録。
名門風越の復活を見ている者に知らしめました。
トップが他を大きく突き放しての名門・風越女子、144800点。
次いで、ほぼ原点の前回優勝校・龍門渕、98500点。
その後ろに三位清澄、84500点。
四位鶴賀学園、72200点となりました。
清澄・宮永を除き、各校の部長がチームの命運を背負って顔を揃えた運命の一戦。
しかし、その前半はあまりに一方的な結果に終わりました。
場に唯一の一年生、清澄・宮永咲。
その圧倒的なまでの――完封負けです』
モモ「あっ、帰ってきました!!」
妹尾「わわ、どうやって迎えるのが一番いいかな!?」
鶴賀・大将、蒲原智美。大将戦前半……結果。
一位:蒲原+29800(102000)
鬼気迫る闘牌を見せ、トップ帰還。
蒲原「ワハハ。なんだかバカみたいにツイてなー。さっきは。こりゃ明日は槍が降るぞー」
控え室に戻ってきた蒲原。
出迎える鶴賀の面々。
睦月「蒲原先輩……」ポロポロ
蒲原「むっきー泣くなよー。まだ終わったわけじゃないぞー」
睦月「でも…………」ポロポロ
加治木、睦月の背中を優しく叩き、それから、蒲原の前に立つ。
かじゅ「…………」
蒲原「…………」
鶴賀三年、加治木、蒲原、両名しばし見つめ合う。
二人とも、そのまま無言で片手を頭の上に挙げて、その平手を――思いっきり叩き合う。
心地よいハイタッチの音が鶴賀の控え室に響く。
かじゅ「お前が大将で心からよかったと思うぞ、蒲原!」
蒲原「ワハハ。そいつは嬉しいなー、ユミちん!」
モ・妹・睦「うわああああああああああ!!!!」
直後、後輩にもみくちゃにされる加治木、蒲原。
どちらも、まんざらでもない笑顔だった。
久保「福路……テメェ」
福路「期待に副えず……申し訳ありませんでした……コーチ」
氷のように冷え切った空気。
部員一同、固唾を飲んで見守る。
池田、万が一久保が手を上げた場合、いつでも福路の前に身代わりで飛び出る構え。
久保「ふん……次は蹴散らせよ。いいな?」
福路「…………はい」
久保、そのまま携帯を持って控え室を去った。
風越・大将――福路美穂子。大将戦前半……結果。
三位:福路-7200(137600)
失点はしたものの、チームとしては十分に首位を保持。
みはるん「キャプテン……!」ウルウル
文堂「キャプテン……!」ポロポロ
深堀「キャプテン……!」ドムドム
部員一同、目には涙。
しかし、福路の目に涙はない。
後輩の敗北に涙を流しても。
自分の敗北には決して涙を見せまいという、キャプテンとしての――意地。
福路「ごめんなさい。リードを広げるつもりだったのに……削られてしまったわ。けれど……次は必ず勝ってみせる。勝って優勝する。
みんな一緒に……笑って表彰台に立ちましょうね」
部員全員「キャプテーーーーーン!!!!!!!」
一「あっ、透華!! 気がついた!?」
透華「あら……わたくし何を……ここは……? えっ? た、大将戦はどうなりましたの!!?」
井上「さっき前半が終わったとこだよ。で、前半が終わった直後にお前と清澄がぶっ倒れてな。今は休憩を延長してる。
あと三十分経っても二人の意識が戻らないようなら、後半は明日に延期だとさ」
透華「前半が終わったですって!? き、記憶にございませんわよっ!? そんな……わたくしはどうなりましたの?」
ともき「牌譜……見る?」
透華「ええ……」
衣「衣は見ていて楽しかったぞ、とーか!」
透華「………………こ、こんなの……こんなのわたくしじゃありませんわ!!」
龍門渕・大将、龍門渕透華。大将戦前半……結果。
二位:透華+14100(112600)
淡々とした和了りでトップ風越に迫る。
しかし、注目すべき彼女の功績は、恐らく記録には残らない。
牌譜から読み取ることは決してできない、冷たい気配。
それは、同卓した者にしか、感じられなかっただろう。
咲「…………ん……あ……」
和「宮永さん! 気がつきましたか!!」
咲「あ……私……? あれ……ここは?」
和「仮眠室です。宮永さん、対局が終わったあと、気を失って倒れたんです。龍門渕の人も倒れて……そちらはチームメイトが控え室に連れていきました。宮永さんは……こっちに」
咲「え……? どうして私は清澄の控え室に運ばれなかったの……?」
和「それは……みんながそのほうがいいって言ったので。起きたときにみんなの顔があったら……宮永さんが辛いかもって。
それで……私一人で付き添うことになったんです。お身体の具合は大丈夫ですか……?」
咲「身体はなんともないよ。心配かけてごめんね。でも……ああ……そっか。私……負けちゃったんだよね……」
清澄・大将、宮永咲。大将戦前半……その結果。
四位:咲-36700(47800)
和「宮永さん……」
咲「ごめんね、原村さん……私…………勝てなかったよ……」
和「み、宮永……さん……!!」
肩を落として、目を伏せる咲。そんな咲の姿を見て、和の目から、涙が零れる。
和「……宮永さん……! 宮永さん……! 宮永さん…………!!」ポロポロ
咲「え……どうして原村さんが泣いてるの……?」
和「だ、だって……宮永さんが……そんな顔するから……! そんな……負けが決まったみたいな……顔……!!」
咲「あ……ご、ごめん……!」
和「本当ですよ……!! たった一回の半荘を負けたくらいで……なにを弱気になっているんですか……!!」
和、ここぞとばかりに咲に抱きつく。
和、咲の顔に自分の顔を寄せて、涙ながらに訴える。
和「それでも……宮永さんなら……! 最後には勝ってくれるって……!! 私……信じて待っているんですから……!!
だから……そんな顔しないで……勝てなかったなんて……言わないでください……!! 宮永さんが負けて終わるなんて……そんなのありえませんよ……!!
そんな終わりはありえません!!」
咲、和から目を逸らして、照れるように、微笑む。
咲「私は……大丈夫だよ、原村さん。まだ……戦えるよ……」
和「宮永さん……?」
咲「ごめんね……そんなつもりじゃなかったんだけど……へ、変な顔しちゃって」
和「み、宮永さんの顔は変じゃありませんよ! とても綺麗ですっ!!」
咲「は、原村さん……//////?」
和「し……失言でした……///////」
咲「えっと、その、原村さん」
和「なんでしょうか……?」
咲「私は大丈夫だよ。だから……最後まで見ていて……約束だよ」
和「は……はい!!」
咲「私……次は絶対勝つよ。勝って、原村さんと全国に行くんだ」
和「わかりました……。ごめんなさい、私……勘違いして取り乱したりして」
和「信じて待っていて……いいんですね?」
咲「うん、もちろんだよ」
和「じゃあ……待っています。みんなと……あなたが勝って帰ってくるのを……!」
咲「うん……ありがとう」
さて、このとき実は影から二人を覗いていた三人。
タコス「うわああああ! のどちゃんヘタレだじぇ! どうしてあそこで押し倒さないんだじぇ!!」
久「いやいやここはこれでいいのよ……! わかってないわね……それは優勝してからのお楽しみ……!!」
まこ「二人とも、とんでもなく悪趣味じゃのう……」
その後、透華、咲の自己申告により、対局は再開することとなる。
透華「清澄、具合が悪いならわたくしは明日でも構いませんでしてよ?」
咲「いえ、大丈夫です。ご迷惑をおかけしてすいませんでした。そういう龍門渕さんのほうは……?」
透華「わたくしはこの通りなんともありませんわっ!」
咲「そうですか……よかった。万全じゃない人を倒すのは……なんだか悪いような気がしていたので……」
透華「あなた……今さらっととんでもなく失礼なことおっしゃいませんでした?」
咲「あ、いえ……」
蒲原「ワハハ、強気だねえ、ルーキー」
福路「でも、そういう宮永さんのほうこそ、本当に万全なの?」
咲「はい。もちろんです。具合が悪いときに勝てるようなみなさんじゃないことは前半でよくわかっていますから。
だから……心配も……手加減もしないでください。そうじゃないと……勝ったときに嬉しくありません」
蒲原「頼もしい一年生だなー」ワハハ
福路「いいでしょう。わかりました。あなたがそう言うのなら……後半も全力をもってお相手します」
透華「まったく、そんなの当然のことですわっ!」
咲「じゃあ……みなさん。大将戦後半も……よろしくお願いします」
大将戦後半
東:蒲原智美(鶴賀) 南:福路美穂子(風越)
西:宮永咲(清澄) 北:龍門渕透華(龍門渕)
東一局親蒲原
蒲原(さーて、泣いても笑ってもこれが最後の半荘かー。
トップ風越とは35600点差……さっきはなんだか調子の悪そうだった清澄から和了って稼いだけど……今回もそううまくいくかなー?)タンッ
福路(清澄の宮永さん……あの上埜さんが大将に持ってきた人。
前半は龍門渕の妙な気配に圧倒されていたような感じだったけれど……今回その龍門渕がいつもの雰囲気に戻った……となれば……この後半で宮永さんは絶対に何かをしてくる……。
これは……点差を考慮しても……一番の危険人物はやはり宮永さんかしらね……)タンッ
咲(見ていてね……原村さん!)タンッ
透華(先程はわたくしらしくない闘牌でしたわね……。そんなので勝っても全然嬉しくありませんわ! 今度こそわたくしらしく勝たせていただきますの!
わたくしはラス親……華麗にまくって終わらせてさしあげますわ!)タンッ
咲「カン」
透華(加槓……? ドラを増やすつもりでしょうか)
蒲原(有難い。ドラがなかったけど、これならカンドラか、リーチで裏ドラが乗るかもしれないなー)
福路(宮永さん……大将戦に入って初めてのカン。予選の牌譜を見る限り……ここは嫌な予感しかしない……ついに動き出すというわけね)パタッ
咲「ツモ。嶺上開花。400・700」
蒲原(えー……嶺上開花……? いやーまーそれはいいとしても清澄……最下位のくせに随分安い手で和了ったなー……さっぱり狙いがわからんぞー)
透華(清澄……何を考えていますの……?)
福路(やはり……嶺上開花。そしてその和了りの形……嶺上開花以外では役無し。点数はともかく……今の宮永さんのカン……明らかに嶺上開花を狙いにいったものと見ていいでしょう。
上埜さん、どうやらあなたはとんでもない人を見つけたみたいですね……)
十巡目。
咲「カン!」パタッ
透華(また……!?)
蒲原(今度は暗槓かー……まさかまた嶺上開花なんてことは……)
福路(生牌はしぼっていたんですが……暗槓ではどうしようもありません……)パタッ
咲、嶺上牌をツモり……テンパイ。
そして――。
咲「もいっこ、カン!」パタッ
透華(連槓……!?)
蒲原(おいおい清澄……)
福路(二連続……! これは……予選の牌譜にはなかったけれど……!)
咲「ツモ。嶺上開花。70符2飜……1200・2300」
嶺上の花……完全開花は――間近ッ!!
咲:54000 キャ:134900 と:111000 ワ:100100
福路(開始早々二連続の安和了り……まるで肩慣らしですね。そして……ここで宮永さんの親……これはそろそろ大きいのが来る……?)タンッ
咲()タンッ
透華(清澄の……いつか廊下ですれ違ったときに衣のような気配を感じましたが……まさか本当に……あなたも魔物を飼っているんですの……?)タンッ
蒲原(ここで清澄の親か……嫌な予感しかしないなー)タンッ
咲「ポン」タンッ
咲、蒲原の六筒をポン。
透華(六筒ポン……? よくわかりませんわね……単純に食いタンで親の連荘狙い……?)タンッ
蒲原(さて……清澄。何をしたいのかはよくわからないけど……こっちも張ったからなー。今更安手で回したことを後悔するなよー)タンッ
福路(鶴賀がテンパイしたようですね……直撃は避けたい。宮永さんは気になるけれど……見たところ宮永さんの手は張ってすらいない。
あまり神経質になり過ぎるのもよくないかしら……)タンッ
しかし、各校――或いは咲を一番の危険人物と警戒する福路すらも――咲の真価をまだはっきりとは理解していなかった。
もちろん、この点差、連続和了したとは言え、清澄が圧倒的劣勢なことに変わりはない。
だがそれも、後に嶺上使いとまで呼ばれるようになる宮永咲にとっては、無関係なのかもしれなかった。
対局の様子をモニター越しに見守っていた観客の中には、少なからず、そう感じた者もいただろう。
咲、ツモ――六筒。
咲「カン!」カンッ
透華(加槓……! またですの!?)
咲、嶺上牌を手の中へ。
イーシャンテンからのテンパイ。
そして、まだ手の内に残っている、槓材。
まさか――と誰もが思う。
そう……咲はここで止まらない――!!
蒲原(二連続……!! また嶺上開花……!?)
そのとき観客からははっきりと見えていた、三連続三度目の嶺上開花!!
しかし……咲はそれでも止まらない!!
その花は――何度でも咲く!!
咲「……もいっこ、カン!!」カカカンッ
福路(なっ……!? 三連続カン……!! 上埜さん……!!!)
嶺上開花和了拒否――からの――同巡三度目の槓!
喰いタン一飜――張ってすらいなかったその手が――たった一巡で華麗に変貌する!!
咲「ツモ……嶺上開花…………断ヤオ対々三暗刻三槓子……8000オール」
晒された手牌に、卓を囲む三人が、ようやく宮永咲の異常性を認識。
その存在の大きさに――身を震わせる。
福路(……やってくれましたね……!!)
透華(意味不明!? 意味不明ですわっ!!)
蒲原(いやーこれはなー……ユミちんならこの子どうするよー?)
清澄・宮永咲――完 全 開 花 !!!!
七巡目。
咲「カンッ!」カンッ
透華(来た……!)
蒲原(いやいや、また嶺上開花なんてそんなバカな……)
咲「もいっこカン!!」カカンッ
福路(いや……二連槓では嶺上開花はできないはず……だって宮永さんはまだ……)
咲「…………」タンッ
透華「えっ……?」
咲「切りました」
透華「ああ、いえ、わかっていますわよ……!」
透華(そうですわよね……そうそう嶺上開花なんて和了られたらたまりませんわ!)タンッ
蒲原(清澄のカン……今度は嶺上開花ではなかった……いやー、ワハハ。ホントわっけわっかんないなー。でも……まあ……それはそれとして……)タンッ
でも……宮永さんが自在にカンで手を進められるのだと仮定すれば……ここはテンパイを待ってから嶺上開花を狙うはず。
それなら親の連荘でまたチャンスが来るはずだったのに。なぜ……?)タンッ
福路、嶺上牌で手を進めてテンパイした咲の当たり牌をかわす、打、八筒。
その、瞬間。
蒲原「ワハハ。風越、それは通らないなー」パラパラパラ
福路(鶴賀……!? しまっ……警戒を怠ったわけではなかったけれど……!! そして……その手は……!)
蒲原「断ヤオドラ四。8000は8300」
福路(その捨て牌とその和了り……! 私の読みを逆手にとって……点が下がるのも構わず迷彩をかけていたなんて……!
しかも……宮永さんのカン……あれでドラ四が加わって……ただの断ヤオが満貫に……!!)
福路(え……ちょっと待って……! じゃあ宮永さん……まさかこれを見越してわざと嶺上開花を和了らずにカンのタイミングを早めたの……!?)
福路、その手牌。咲の大明槓を防ぐために生牌をしぼりつつ、さらに咲の暗槓をも警戒して、安手ながらも既に三面張テンパイ。
咲が槓材を揃える前に、早和了りで咲の親を終わらせようという手作り。
福路(宮永さん……自分の手では私の早和了りに追いつかないと判断して……カンで自分に注意を向けさせておいて私が鶴賀に放銃するように仕向けた……?
しかも……カンドラで鶴賀の手を高めることで結果的にトップであるうちの点を下げることにも成功している……。
宮永さん……嶺上開花を自由に和了るだけならまだどうにかなると思っていましたが……今のを故意にやってのけたというのなら……正直、恐ろしいです)
蒲原(うーん……一盃口がつかなくて満貫止まりに終わったのはさすが風越ってことなのかなー。
けど……ま、これで完全に射程距離。絶対に撃ち落してやるからな。待ってろよー、風越)ワハハ
咲:78000 キャ:118600 と:103000 ワ:100400
透華(まったく! ですわ! わたくしさっきから何もさせてもらえませんの! こんなの屈辱ですわ。
いえ、まあそれも仕方がないのかもしれませんわね。この面子、さすがのわたくしも苦戦必至ですわ。
しかし……清澄……どうやら衣と同じ魔物の類だと思ったほうがよさそうですわね。ただ……わたくし……こう見えて魔物退治は得意でしてよ……!
一体誰が……あの天江衣をこの舞台に引っ張ってきたと思ってますの……!)タンッ
透華(さて。さっきからヤミで張ってますのに全然出てきませんの。まあ待ちは広いですからそのうち出てくるとは思いますけれど……。でも……でもですわっ!!)
そのとき、透華のアホ毛、立つ。
透華(そんなんじゃ目立てませんの! 今頃ギャラリーの目は清澄の嶺上開花に釘付けに決まってますわ!! そしてきっと誰もがまた清澄の嶺上開花を期待しているに違いありませんの!
そんな中でヤミテンを和了っても……きっとわかってくれるのは一部の玄人だけ。清澄よりも目立って、なおかつわたくしが和了る……そのためには……!)ツモッ
透華、たった今ツモった一索と、先程咲が蒲原から鳴いた二索の明刻を一瞥、そして――。
透華(ぶちかましてやりますわっ!!)タンッ
透華「いらっしゃいまし! リーチですわっ!!」スチャ
蒲原(龍門渕……さっきとはまるで雰囲気が別人だけど……これはこれで厄介だなー)タンッ
福路(龍門渕……妙なところで妙なリーチをしてきましたね。
見たところ待ちの広い手のようだったから、てっきりヤミで和了りを待つのかと思っていましたけど……この数巡で一旦テンパイを崩してまで手替わりをした。
何か意図がある……?)タンッ
咲「カン!」カンッ
蒲原(また来た、清澄……!)
福路(宮永さんの加槓……。あ、そうか……! そういうことなのね……龍門渕……!!)
透華「その嶺上、取る必要ありませんわっ!!」
咲(え……!?)
透華「リーチ一発槍槓!! 7700ですわっ!!」
咲(えええー!?)
なんか変なことしてるような気はしてたけど……それ……高め三色の平和と断ヤオと三面張と――全部崩して私の加槓を狙ったってこと…………だよね。
そんな……びっくりだよ……! さっきの龍門渕さんは別として、普段の龍門渕さんは原村さんみたいな打ち手だって聞いてたのに……)
透華(やりました!! やってやりましたわっ!! どうですか、見ましたか!? わたくしのこの華麗な狙い撃ち!!!
清澄の嶺上開花を抑え込んでの一発和了りっ!! 絶対目立ってるに違いありませんわ!!)
透華「さあ、わたくしの連荘でしてよ!!」コロコロ
――――――龍門渕・控え室
一「透華……ボク心臓が飛び出るかと思ったよ」
衣「愉快痛快! 抱腹絶倒!!」
ともき「……目立つためだけに色々なものを捨てた……」
井上「いやまあ過程はどうあれ結果は最高だろ。あのまま待ってても透華の当たり牌は風越と鶴賀の手の中。黙ってたらテンパイ流局が積の山だった状況を覆したんだからよ」
福路(龍門渕……前半と比べても遜色のない強敵……見事な槍槓……)タンッ
福路(もちろん……わかっていたことです。この場の誰一人として……簡単に勝たせてくれるような相手ではない。
そう……魔物は清澄だけではない……鶴賀も……龍門渕も……この場に魔物は三人いる……! そう思って打たないといけませんね……)タンッ
福路(焦らずにいきましょう……私は名門風越のキャプテン……ここで負けることは許されない……!)タンッ
十巡目。
福路「ツモ。タンピン一盃口ツモドラ一……2000・4000は、2100・4100」
蒲原(この人は本当に隙がないなー)
透華(あー! わたくしの親が流されましたわっ!! わたくしは子供より親やるほうが好きなのに! ですわっ!!)
咲(うーん……なんかイマイチな感じだよー……)
咲:68200 キャ:126900 と:106600 ワ:98300
蒲原(風越……なんだかんだでこの大将戦一度もトップから転落していない。
っていうかさっきの直撃……よーく思い返してみると……あれが風越にとってこの大将戦初の放銃だったわけで……。
ぶっちゃけこの人のほうが清澄以上に信じ難い打ち手だよなー……。
となると……ここはツモ和了りに期待するしかないかー)タンッ
八巡目。
蒲原「ツモ。リーチ一盃口ツモ。2000オール」ワハハ
蒲原(これが最後の親……できる限りのことをやるしかないなー。最善を尽くして、そこにさっきくらいのバカツキが味方してくれれば……ここから風越をまくるのは決して不可能じゃないはず。
ただなー……あの清澄がなー……あの倍満以降大人しいのが……恐いっちゃ恐いけど……うーん。
ま、なんにせよ、まだまだここで終わらせるわけにはいかないよなー。
モモと……ユミちん……佳織に……むっきー……私はみんなと笑って終わりたい……。
みんな……最後まで見ててくれよ。
無理でもいい……無茶でもいい……絶対に勝って帰るからなー……)ワハハ
咲:66200 キャ:124900 と:104600 ワ:104300
五巡目。
福路「ツモです。白ドラ一、500・1000は600・1100」
蒲原(うわっ、風越早いなー……。親が流されたかー……)
福路(親の連荘などさせません!! このまま私が逃げ切ります……!!)
蒲原(逃げる気満々って感じだな……ワハハ……そうこなくっちゃなー……)
咲:65600 キャ:127200 と:104000 ワ:103200
咲(うーん……なんかおかしいよ……。力は十分な気がするんだけど……何か違う……。家族麻雀や合宿最終日での感じ……あれがまだ……)タンッ
『ここ……この割れ目が……割れ目がこすれて気持ちいいじょ……』
咲(あ――! 思い出した……!!)タンッ
透華(清澄……対局中になにをもぞもぞと……?)タンッ
蒲原(ん、清澄……どうした……?)タンッ
福路(宮永さん……?)タンッ
咲、おもむろに靴を――そして靴下を脱ぐ。
咲(……これだ!!)
咲、裸足ッ!! 魔王力を最大まで高めた! そして、裸足状態での最初のツモ!
既に嶺上開花の構えに入っていた咲、そのツモで暗槓が成立!!!
咲「カン!!」カンッ
清澄・大将宮永咲――ここで本日四度目の……!!
咲「ツモ。嶺上開花ツモ赤一……1300・2600です!!」
咲:70800 キャ:124600 と:102700 ワ:101900
福路(宮永さん……また安手の嶺上開花……それで私の親が流れたのはどちらかと言えば助かりましたが……ただ、これで終わるわけがありませんよね)タンッ
福路(東場……肩慣らしのような二連続和了からの親の倍満……。またそれを狙うつもりですか……? しかし、そう何度も何度も……同じ手は食いません……)タンッ
九巡目。
福路(さて……ここで六萬ツモですか。先程からカンチャンの四萬待ちでテンパイしている私はここで当然この六萬を残し、四・七萬のリャンメンに切り替えるために三萬を切ります。ただ……)
福路手牌(********三五六六六・ツモ六)
福路(宮永さん……恐らくはもうテンパイしている。見えている範囲では……恐らく二・四・五萬待ち)
咲手牌(*********三三三四)
福路(この三萬は宮永さんの当たり牌ではない。しかし……宮永さんならここで三萬を大明槓する可能性がある。大明槓のツモは責任払い。
本来当たり牌でもなんでもない三萬で……私が親の宮永さんから直撃を受けることになる。
リャンメン待ちを捨ててでもここは六萬打ちが正解かしら……。でも……ここでこの六萬が来た……このことに……何か意味があるような気もします……)
福路(そう言えば……中堅戦の天江衣。海底を連発する全国区の魔物。ただ……その天江がいるなかで……中堅戦一度だけ天江以外の人が海底を和了った。
鶴賀の妹尾さん。鳴いてツモ巡をずらし……そして……自分が天江に代わって海底。同じ魔物を相手にするのに……これはヒントかもしれません)
福路、前巡、前々巡のことを思い出し、さらに思考を進める。
福路(宮永さんはずっと手替わりしていない。宮永さんはかなり前からテンパイしていた。なのに……最下位にもかかわらずなぜかリーチをかけなかった。
その理由の一つは……リーチ後では大明槓ができないから。それと……もう一つ)
福路(宮永さんのその手では……リーチをすると大明槓だけでなく暗槓もできなくなる。それでは嶺上開花は和了れない。
結論として、宮永さんが今までリーチをしなかったのは、大明槓か暗槓のチャンスを待っていたからということになる。
つまり……よほどの確信を持って、嶺上開花を和了れると思っているわけね)
福路(天江衣に海底牌が見えるように……宮永さんには嶺上牌が見えているのかもしれない。
だとすれば……当然宮永さんは四萬を嶺上でツモって和了り。最初から二・五萬で和了るつもりなんてない。それならとっくにリーチをかけている。
きっと……宮永さんの眼には嶺上の四萬しか映ってないんだわ)
福路手牌(********三五六六六・ツモ六)
咲手牌(*********三三三四)
福路(四萬待ち、か。私と…………同じね……!!)
福路――仕掛けるッ!!
福路「カン!!」パラッ
咲(!?)
福路、嶺上牌に手を伸ばす――盲牌、瞬間、微笑!!
福路「ツモ――! 嶺上開花ツモ断ヤオドラ一。2000・4000!!」
福路、咲、交錯する視線――!!
咲(わ……私の嶺上が……盗られた……!!!?)
咲――動揺ッ!!
福路(さあ――これで突き放したわよっ!!)
福路――磐石ッ!!
咲:66800 キャ:132600 と:100700 ワ:99900
福路(ふふふ……驚いてる驚いてる。海底を和了られたときの天江もそうだったけれど……あなたたち魔物は自分の領域を侵されるのが一番応えるみたいね。
さて、宮永さん。これであなたのラス親はおしまいよ。龍門渕は当然連荘狙いでくるだろうけれど、そんなことは私がさせないわ。
最後にもう一度私が和了って終局。それでうちの優勝が決まる。宮永さん……上埜さんに大将を任された一年生……あの天江衣と同等の魔物。
けれど、わかっているわよね? 今の嶺上開花で私とあなたの点差は65800点。役満直撃でも私をまくることはできない。
それでも……あなたはここから逆転するつもり……? そんなことがもしできるとしたら……それはそれで……見てみたい気もするけれど……)
咲(こんなのってないよ……! 私の嶺上開花……!! 誰かに盗られたまま終わるなんて……そんなの絶対に嫌……!!)
福路(でも……ダメ! やっぱり優勝するのは……私たち風越よ!!)
咲(そうだよ……! これくらいで諦めるわけにはいかない……!! 嶺上の花は私だけのもの……何度だって咲かせてみせる!!
そして……私たちが優勝するんだ……!!)
福路(最後の一局……必ず……勝ってみせる!!)
咲(最後の一局……咲くのは……私!!)
果たして勝利の花は誰の元に咲くのか――!!
インターハイ県予選団体戦決勝……ついに最後の一局へ!!
咲:66800 キャ:132600 と:100700 ワ:99900
透華(この親で連荘……まくって優勝……!! 勝って目立ってやりますわっ!!)タンッ
蒲原(この点差……倍満直撃でもちょっぴり足りないかー。これは思っていたよりもきっついぞー。でも……みんなが見てるからなー。これくらいで諦めるわけにはいかないさー)タンッ
福路(勝つのは風越です……! ここで私が和了って……私たち風越が最強であることを証明します)タンッ
咲(……原村さんと約束したんだもん……私……絶対に勝つよ……)ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ
そして、場は静かに進行していく……。
――――――観戦室
「の、和先輩のお友達さんの手……すごいことになってます……!」
「いや……他の人たちの手もなんだかえらいことになっているような……」
「ねえ……これ……誰が勝つと思う……?」
「わからない……勝ってほしいところなら……決まってるけど」
十一巡目。
福路(ツモはならず。それにしても、ここで……一筒)
福路手牌(二二二四四五[五]六六七八九九・ツモ①・ドラ西)
福路(宮永さんの手……明らかに筒子の染め手。この一筒が宮永さんの当たり牌でもあるだろうし、大明槓の可能性もある)
福路、点差を確認。
福路(この状況……もし宮永さんから役満の直撃を受ければ……優勝は龍門渕……)
福路、小さく首を振る。
福路(いや……それはありえないわ。宮永さんはまだ私に勝つことを諦めていない。この状況で他校の優勝を決めるような和了りは絶対にしない。それは信じましょう。
この卓にいる全員が……まだ勝ちを諦めていない。となれば……)
福路(ここはこの一筒を切っても問題はない。逆に、例えばこの一筒を抱えたままテンパイするとして……そのために切らなくちゃいけなくなる九萬は……龍門渕の当たり牌。
宮永さんの動きには最大の注意が必要だけれど……現実的に、龍門渕に振り込むほうが遥かにリスクが高い)
透華手牌(一一七七八八九⑤⑥⑦ⅦⅧⅨ・ドラ西)
福路、打、一筒。
咲「カン!!」ボッ
福路(本当に来た……大明槓……!!)
透華(清澄……!?)
蒲原(清澄……何をする気だ……!!?)
咲手牌(②②②②③③③③④[⑤]/①①①①・嶺上ツモ④)
咲「もいっこ、カン!」ボボッ
咲手牌(③③③③④④[⑤]/①①①①/②②②②・嶺上ツモ④)
咲「もいっこ――カンッ!!」ボボボッ
咲手牌(④④④[⑤]/①①①①/②②②②/③③③③・嶺上ツモ⑤)
咲、嶺上開花和了。嶺上開花清一対々三暗刻三槓子赤一――数え役満!!!
咲、打、嶺上牌の五筒!!
福路、咲の打五筒を見て、ひとまず安堵の溜息。
しかし、直後に気付く!
魔物――宮永咲の真意に!!
福路(し――まった!! まさか……そんなことって……!! そういうことなの……!? 宮永さん……!!)
当然増える――ドラ!!
三枚捲られたカンドラ表示牌は――六萬、九萬、九索!!
即ち、七萬、一萬、一索が……ドラッ!!
透華手牌(一一七七八八九⑤⑥⑦ⅦⅧⅨ・ドラ西・一・七・Ⅰ)
透華、高めでも平和一盃口だった手に……ドラ四がつく!
もちろん……それはヤミでも十分な手。最低でも親満。ツモか一盃口がつけばハネ満。親で連荘が狙える現状なら、わざわざリーチをする必要などない。
透華(わかっていますわ……ヤミでも十分。ここを和了って、次にもう一度でも二度でも和了ればいいだけの話……)
透華(ツモ和了りができるのならそれで問題はありませんけれど……どの道ツモで和了れる運命にあるのなら……リーチがかかっているかいないかなんて無関係!!)
透華、山から牌をツモる。それは自分の当たり牌でも風越の当たり牌でもない牌。
透華……風越・福路を見据える。
透華(風越……あなた相手に連荘ができるなどと……わたくしそんな都合のよいことは考えていませんの!
それならば……このワンチャンス……!!
リーチでハネ満を確定させ、ツモではなく……あなたにハネ満を直撃する……! それならその瞬間に私たちの優勝ですわっ!!)
透華、ツモ牌を河に置き、曲げる!!
透華「――リーチですわっ!!」ゴッ
透華(不確定な未来などわたくしはアテにしませんの! 今……この今に逆転のチャンスが舞い込んできたのなら……! それを掴み取ってこそのわたくしですわ!!
風越……悪いですわね……!!
今年もまたわたくしたち龍門渕の優勝ですわよっ!!!)
蒲原(ワハハ……これは……笑うしかないなー)
蒲原手牌(三三三四五六七ⅠⅠⅠ西西西・ドラ西・一・七・Ⅰ)
蒲原(これなら三暗刻がつかなくても、リーチをかければリーチドラ七で倍満。それを風越に直撃すれば……龍門渕の出してくれたリー棒も合わせて逆転できるじゃないかー。
もしくは七萬を一発で引いてくれば……一発ツモ三暗刻ドラ一がさらに加わって数え役満……直撃じゃなくてもひっくり返るぞー)
蒲原、山から牌をツモる。それは自分の当たり牌でも風越の当たり牌でも龍門渕の当たり牌でもない牌。
蒲原「ワハハ。これは私もリーチするしかないなー」スチャ
蒲原(ついに捉えた……あとは撃ち落すだけ。見ていろー、風越)
しかし、風越・福路、この同時リーチに対する動揺は――皆無!
なぜならこのとき、
福路手牌(二二二四四[五]五六六七八九九)
透華手牌(一一七七八八九⑤⑥⑦ⅦⅧⅨ)
蒲原手牌(三三三四五六七ⅠⅠⅠ西西西)
ドラ表示牌は南・六・九・Ⅸ。
さらに河を合わせれば……。
福路(この状況……たぶん私と龍門渕と鶴賀の三人で当たり牌を持ち合っている。
完全な膠着状態……龍門渕と鶴賀はリーチをしてきたけれど、かえってリーチで二人の手が固まったから、私が手を崩さない限り二人が和了れる可能性はゼロに確定した。
このままツモ切りを続けていけば、三人テンパイで流局。親の連荘は嫌だけれど……そうそう逆転できるような高い手など作れないでしょう。今度こそ私が和了って、おしまいにします……)
福路の両眼から見れば、龍門渕と鶴賀の脅威はもはやないと言ってよかった。
しかし、そんな福路でも見切ることのできない――拭い切れない最後の不確定要素が、清澄・宮永咲!!
宮永さんのカンドラによって手が高くなった龍門渕と鶴賀……その二校から場に出された二本のリー棒……これで……これで宮永さんは私を射程に捉えた……この状況で宮永さんが私から役満を和了れば……ほんの200点差ですが……清澄の勝利……逆転が可能……!
本当に……魔物としか言いようがありません……!!)
福路、山から牌をツモる。
それを見て、福路、唇を噛む。
福路(これが……これがあなたの麻雀ですか……!? 清澄……宮永……咲…………!!!)
福路が掴んだツモ牌は、四筒。
咲手牌(④④④[⑤]/①①①①/②②②②/③③③③)ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ
福路(落ち着きましょう……私。一つずつ、私が今何を切るべきか……考えましょう……)
深呼吸をしてから、福路はその両眼で、卓上の全てを見る。
福路(これはダメ……これはダメ……これはダメ……これはダメ……これはダメ……これはダメ……これはダメ……これはダメ……これはダメ……これはダメ……これはダメ……これはダメ……これは……ダメ)
福路、端から順番に手牌の十三牌を、全て伏せる。
となれば、自動的に、消去法で、当然の打、四筒。
福路(これだけが……まだ一縷の望みがある牌。なら……ここはこれしかない……他に切る牌がないのだから……これしか……ない……)
福路、四筒を河に置こうとして、手が止まる。
福路(これしかない……か)
そして、福路、三人から見られないように、僅かに微笑む。
福路は未来の風越のことを思う。
福路(この状況……私がこのまま四筒を切って……もしそれで風越が負けるようなことがあったとして……それを見た子たちは……私の牌譜から何を感じるかしら……)
当然の、一打。自動的な、一打。消去法の、一打。
福路(私がここで四筒を切る……そのことに変わりはない。けれど……私のこの一打はきっといつまでも部の歴史に残る。
名門風越のキャプテンとして……県大会の決勝……大将戦後半……オーラス。その最後になるかもしれないこの一打。
それをいつか……私の……風越の後輩たちが見る。その子たちは……一体……そこから何を感じるかしら。
いいえ……違う。私は……その子たちに……何を伝えたいかしら……)
福路、点棒を確認。
福路(吉留さん、文堂さん、深堀さん、華菜……それに部員のみんなと……久保コーチ。みんなのおかげで私はここまで来ることができました……。本当にありがとう……。
私は最後まで……風越のキャプテンとして……名門風越の名に恥じない麻雀を打とうと思います。私は私の信念を貫きます。
そして……私は私の誇りに……たくさんの未来の後輩たちに……風越の素晴らしさを伝えたいと思います……!)
福路「宮永さん……あなた、ここで勝てると思っているのですか?」
咲、急に話しかけられて、戸惑いながらも、毅然と返事をする。
咲「はい。勝って、全国に行きます。みんなと約束しました。それに私には……全国で戦いたい人がいるんです」
福路「そうなの……。でも、あなたは全国がどういうところか……知っていますか?」
咲「い……いえ」
福路「私は……多少だけれど知っているつもりです。全国には――あそこには……今のあなたでは敵わないような人が……たくさんいます」
咲「は、はい……。それはなんとなくわかります。頑張ってもっと強くなって……そういう人たちにも勝てるようになりたいと思います」
福路「そっか……さすがですね、あなたくらい頼もしい一年生はそういないですよ」
咲「あ、ありがとうございます……」
福路「宮永さん……もし、あなたが全国に行くというのなら、そのときは……私たち風越も一緒につれていってほしいんです」
咲「え……? どういう……ことですか?」
福路「こういうことです」
福路、河に置いた四筒を、曲げる。
そして、点棒箱から千点棒を取り出し、宣言。
福路「リーチ……」チャ
咲「風越……さん……?」
福路「もしあなたが全国へ行くというのなら、このリー棒は私たち風越からの餞別です。受け取って……そして……失くさずにとっておいてください。
また来年……私ではない……私の後輩たちが……必ず取り返しにいきますから」
咲「風越……さん……!」
蒲原「ワハハ。風越、面白いことを言うなー。よーしそれなら清澄。ここでもしお前が勝ったら……うちのリー棒も持っていっていいぞー。
ちゃんと大事に取っておけよー。来年利子つけて返してもらうからなー」
咲「鶴賀さん……!!」
龍門渕「仕方ありませんわね、清澄! あなたが勝ったときはわたくしたちのリー棒も持っていってよろしくてよ。
ただ……鶴賀や風越と違ってわたくしたちは二年……この手で取り返しに行かせていただきますから覚悟しておいてくださいまし!!
うちの衣はそれはそれは恐ろしいですわよ……せいぜい腕を磨いて備えておくことですわねっ!」
咲「龍門渕さんも……!! はいっ!! ありがとうございます。私……私たち……絶対にみなさんの分まで……全国で勝ってきます……!!」
福路「宮永さん……もしかしてもう勝った気でいるんですか? 勝負はまだ終わってないのに」クスクス
蒲原「大した自信だなー。本当に面白いやつだよ、清澄」ワハハ
龍門渕「さあ、風越は牌を切りましたわよ。鳴くわけでもないなら早くツモってくださいまし。わたくしは気が短いのですわっ!」フフン
咲「みなさん……! はい……わかりました……! でも……やっぱり勝つのは清澄です!! 全国に行くのは――私たちです!!!」
ツモ……!
嶺上開花…………
…………四槓子……!!」
風越・福路、帰還。
池・み・文・深「キャプテン……!」ウルウルウル
福路「みんな……」
池・み・文・深「わああああああああああん!!!!」ボロボロボロ
部員全員、号泣して福路に抱きつく。
福路、ちょっと困り顔。
そこに、携帯を持った久保、登場。
久保の放つ覇気によって、部員たちは福路から引き離される。
そうして福路の前に立つ久保。福路、深々と頭を下げる。
福路「申し訳ありませんでした」
久保「頭を上げろ、福路。私はそんな台詞を聞きに来たわけじゃねえよ。ただ……最後のリーチ。ありゃなんだ。言ってみろ」
久保「テメェ……福路――!!」
久保、手を上げる! 池田、飛び出せず! 福路、覚悟は出来ている!
しかし、振り上げられた久保の手はそのままそっと福路の頭の上に置かれ――、
久保「……よくわかってんじゃねえか……」
久保、そう言って福路を自らの胸に抱き寄せる。
福路「!! は……はい……! ありがとうございます……コーチ……!!」ウルウル
福路、必死に涙を堪える。久保、そんな福路を見て、溜息。
久保「いいから……泣きたいなら泣けよ。キャプテンであるテメェの涙を受け止めるのは、監督である私の仕事だ」
福路「で……でも……! それではコーチのお召し物が汚れてしまいます……!!」ウルウル
久保「バカ野郎!!」
久保、福路の目を見つめる。
久保「テメェのその綺麗な瞳から零れた涙が……汚ねえわけねえだろうが!」
福路「コ……コーチ……!!!」ポロポロッ
池・み・文・深(コーチやっべええええええええええええ……!!!)
池田「は、はいぃぃ!!?」
久保「なに羨ましそうにこっち見てんだ池田ァァ!!」
池田「は、はい!! すいませんっ!!」
久保「そんなに羨ましいならテメェが来年風越を優勝させればいいだろうが池田ァァァ!!!」
池田「は、はい!! は……え……?」
久保「テメェが来年風越のキャプテンとして県予選決勝の大将戦で龍門渕の天江と清澄の宮永を同時にトバして優勝決めろっつってんだよ池田ァァァァァ!!!」
池田「は、はいいいい!!」
久保「そしたら観客席からこいつが泣きながらテメェに抱きつきにくるだろうがそれくらいわかれよ池田ァァァァァァ!!」
池田「わ……!! わかりましたっ……!!!! 来年こそ……!! 来年こそ絶対にうちが優勝して全国に行きます!!!!」
久保、微笑。
久保「今の言葉は忘れねえからな! そうと決まれば、テメェらァ!」
全員「はいぃぃ!!」
久保「ホテルを連泊できるようにしておいたから、今日は全員ゆっくり休みやがれ!!」
全員(今日のコーチマジやべええええええええええ!!!)
蒲原、帰還。
モモ「お疲れ様っす!!」
妹尾「お疲れ様!!」
蒲原「おお、モモに佳織。出迎えご苦労。いやーまいったまいった勝てなかったー。いやー本当にメンボクないー」
睦月「蒲原……先輩……!!」
蒲原「おー、むっきー。取り返せなかったよ。悪かったなー」
睦月「いえ……そんなことは……いいんです……!」
蒲原「そっかー。じゃあまー、むっきー。来年の鶴賀をよろしく頼んだぞー」
蒲原、そう言って睦月の肩に手を置く。
蒲原「今年はこうやって決勝まで来れたんだ。きっと来年は新入生がわんさか入ってくるからなー。自分だけじゃなく後輩もみっちり鍛えてやるんだぞー?
そんで来年……むっきーたちの全国応援に行くの、私もユミちんも楽しみにしてるからなー!」
睦月「はいっ! 先輩……! 私……頑張ります……!」
蒲原「おー。その意気があれば大丈夫そうだなー。なあ、ユミちん?」
加治木、小さく溜息をついて、無言で蒲原の元に歩み寄る。蒲原の首に腕を回す加治木。二人はそのまま控え室の外へと出て行く。
モ・妹・睦「え?」
かじゅ「あのなぁ、蒲原」
蒲原「なんだよー、ユミちん」
かじゅ「負けたときくらいは泣いてもいいんだぞ」
蒲原「さすがユミちんは男前だなー。モモじゃなくても惚れそうだー」
かじゅ「心配するな。みんなには黙っといてやるから」
加治木、強引に蒲原を抱き寄せる。
蒲原、諦めたように加治木の肩にもたれる。
加治木の肩は、震えていた。
蒲原と、同じように。
たった二人の三年生。
部の始まりからここまでを。
共に歩んできた仲間。
その二人の間に。
見栄や意地は――不要。
かじゅ「……なんだ……蒲原……」
蒲原「……負けちったよー……」
かじゅ「……そうだな……」
蒲原「……私たち……みんなで戦うのはこれで最後かー……」
かじゅ「……ああ…………そうだな……」
蒲原「……ワハハ……ワハハハ…………」
かじゅ「…………蒲原……何を……笑っている……」
蒲原「……おいおい……ユミちん…………これが……笑ってるように見えるのかー……?」
かじゅ「……わかってるだろ…………お前と同じだ…………今の私は何も見えん……」
蒲原「……ワハハ……だーよなー……ワハハハハハハ………………」
龍門渕透華、帰還。
井上「よう、帰ってきたな」
ともき「……お疲れ様……」
一「おかえり、透華」
衣「うむ。いい半荘であったな」
透華を暖かく迎える四人。透華、少し目が潤む。しかし、そこは龍門渕透華、笑顔で胸を張る。
透華「残念ながら優勝はできませんでしたわ!」
井上「おう、そうだな」
透華「これは来年リベンジするしかないですわね!」
ともき「うん……わかってる」
透華「それまでにまた強くなるんですわ!」
一「そうだね。またみんなで頑張ろう」
透華「そうと決まれば特訓! 特訓ですわ!!」
衣「ちょ、ちょっと待って……とーか……」
衣「来年……それが終わったら、そのあとはどうなるのだ……?」
不安げな表情で尋ねる衣。しかし、衣以外の四人は、微笑っている。
井上「お前は何を言ってんだよ、衣」
ともき「……そんなのわかりきったこと……」
一「もちろん決まってるよ。ね、透華」
透華「ええ。来年も再来年もそのあともみんな一緒ですわ!! わたくしたちはもうただの友達じゃない――家族みたいなものなのですわよ?
家族なら……これからもずっと一緒に決まってますわっ!!」
衣「か……ぞく……!」
衣、感極まって透華に飛びつく。一、井上、ともき、それを見守る。
衣「とーか……みんな――ありがとう……!!」
他家の出したリー棒を含めて65800点差をひっくり返し、大逆転。清澄高校の優勝を決めました。なお、大将戦並びに大会結果はごらんの通りです』
大将戦前半
一位:蒲原智美+29800(102000)
二位:龍門渕透華+14100(112600)
三位:福路美穂子-7200(137600)
四位:宮永咲-36700(47800)
大将戦後半
一位:宮永咲+54000(101800)
二位:蒲原智美-3100(98900)
三位:龍門渕透華-12900(99700)
四位:福路美穂子-38000(99600)
総合優勝
一位:清澄高校
二位:龍門渕高校
三位:風越女子高校
四位:鶴賀学園高等部
先鋒:東横桃子(鶴賀)
次鋒:加治木ゆみ(鶴賀)
中堅:天江衣(龍門渕)
副将:池田華菜(風越)
大将:蒲原智美(鶴賀)
半荘獲得点数上位
一位:池田華菜+66400点(副将戦前半)
二位:宮永咲+54000点(大将戦後半)
三位:妹尾佳織+32900点(中堅戦前半)
四位:蒲原智美+29800(大将戦前半)
五位:天江衣+28300点(中堅戦後半)
役満和了
・国士無双(妹尾佳織・池田華菜)
・字一色(妹尾佳織)
・四暗刻(池田華菜)
・数え(池田華菜)
・四槓子(宮永咲)
Most Valuable Player
宮永咲(清澄)
My Yome Player
竹井久(清澄)
竹井久(清澄)
おい
対局が終わっても、戦いの跡はまだ卓上に残っていた。
『嶺上に――咲くは五輪の――赤い花』
この決勝――後にその記事を書くことになった誰かが……そんな見出しを提案したとかしないとか。
その花を咲かせた当の本人は、しかし、眼下の花ではなく、対局室の高い天井を見上げて呆然としていた。
咲(……勝った……)ボー
和「宮永さん……!!」
咲「は、原村さん……!! みんなもっ!!」
タコス「咲ちゃんなかなか帰ってこないから迎えにきたじぇー」
まこ「お疲れ様じゃ。わりゃあ本当にようやってくれたのう」
久「それで、咲。どうだった、大将戦は?」
咲「大将戦は……すごく、楽しかったです……!」
久「そう。それはよかった」
和「あ……宮永さん、そのリー棒……」
久「またえらいものを受け取ってしまったわねえ」
咲「はい。でも……これで、全国で戦う理由が増えました!」
久「そうね。県の代表として精一杯戦いましょう」
咲「はいっ!」
和、リー棒を持つ咲の手を、両手で包む。
和「宮永さん、勝ってくれると信じてましたよ」
咲「ありがとう。私もね、最後の嶺上、絶対引けるって思ったよ」
和、咲、少し見つめ合って、同時に笑い出す。
和「そんなオカルトありえません」
咲「あ、それ言われると思った」
その後、清澄の五人は表彰式の前に一枚の写真を撮った。
そこに写っていたのは五輪の大花。
美しい――笑顔の花が――咲いていた。
<槓>
スレ立て代行さん、
支援・保守してくれたみなさん、
読んでくれたみなさん、
そのほかのみなさん、
そしてこんなに素敵なキャラを大量生産できる原作者さん、
ありがとうございました。
楽しんでいただけたら幸いです。
大将戦前半をカットしたのは、
・ご察しの通り点数調整(ただ個人的にはワハハにはあれくらいのポテンシャルがあると信じています)のためと、
・透華(冷たい)の打ち筋が原作にないから書けないのと、
・衣と透華(冷たい)以外の人間が咲さんと半荘を二回もやったら何点差あっても咲さんの勝ちになってしまいそうだったからです。
では、皆様よいゴールデンウィークを。
これだけ考えるのは大変な時間がかかっただろうな
麻雀やりたくなったがルールわかんねwww
よくそれでこんな長いの読んだなwwwwwww
作者も良い休みを
乙
Entry ⇒ 2012.04.23 | Category ⇒ 咲-Saki-SS | Comments (0) | Trackbacks (0)
恒一「いないものだしクラスメイトが処女かどうか確かめよう」
http://hayabusa.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1335075067/
| |/ノ二__‐──ァ ヽニニ二二二ヾ } ,'⌒ヽ
/⌒!| =彳o。ト ̄ヽ '´ !o_シ`ヾ | i/ ヽ !
! ハ!| ー─ ' i ! `' '' " ||ヽ l |
_______∧,、_| | /ヽ! | |ヽ i !_ ______
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄'`'` ̄ ヽ { | ! |ノ /  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
ヽ | _ ,、 ! , ′
\ ! '-゛ ‐ ゛ レ'
`! /
ヽ ゛  ̄  ̄ ` / |
|\ ー ─‐ , ′ !
33秒
はえーよ
早過ぎワロタwww
その速度でレス出来るって事はうんたらかんたら
勅使河原「‥‥‥‥!?」
Entry ⇒ 2012.04.23 | Category ⇒ AnotherSS | Comments (1) | Trackbacks (0)
カミーユ「クワトロ大尉が僕のお尻を触ってくる……」
http://hayabusa.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1334501493/
カミーユ 「っっっ!!そんな変態!修正してやるっ!」ブンッ
クワトロ 「」ピキーン
クワトロ「おっと危ない」サッ
カミーユ 「くそっ。腐ってもニュータイプか……!」
クワトロ 「ふはは。では、またな。カミーユ」スタスタ
カミーユ 「あのグラサン野郎め……!
カミーユ 「クワトロ大尉が僕のお尻を触ってくるようになったのは三日前のことだったな……」
食堂
ファ 「カミーユ!またブロッコリー残して!」
カミーユ 「うるさいな」
ファ「何よその態度!」
クワトロ 「好き嫌いはいかんな。カミーユ」サワサワ
カミーユ 「!!?」ビクビクッ
カミーユ (なんでいま尻を……)
クワトロ 「ブロッコリーはβ-カロテンやビタミンC、カルシウムや鉄などのミネラル、食物繊維も豊富だ」
クワトロ 「とても身体にいい野菜なのだぞ?」
ファ 「そうよ。クワトロ大尉の言うとおりよ!さ、お食べなさい!」
カミーユ「わ、わかったよ……」
カミーユ (ファからは今のは見えていなかったのか……?)
クワトロ「……」
カミーユ 「あ、ええ……どうぞ」
クワトロ 「うむ。失礼する」
クワトロ 「ちょっと次の作戦について話しておきたくてな」
カミーユ 「あ、はい……」
カミーユ 「あれからだ……クワトロ大尉が頻繁に僕のお尻を触ってくるようになったのは」
カミーユ 「事あるごとに触ってくるんだ……いっそ次の出撃の時に後ろから撃ってやろうか」
カミーユ 「いや、だめだ。何を考えているんだ俺は……そうだ。誰かに相談してみよう」
エマの部屋前
カミーユ 「エマ中尉?いますか?」コンコン
エマ 「カミーユ?開いてるわよ。お入りなさい」
カミーユ 「失礼します」
エマ 「どうかしたの?」
カミーユ 「実は相談があって……」
エマ 「あら、いいわよ。なんでも相談なさい」
カミーユ 「ありがとうございます……正直僕だけで抱えるのは荷が重すぎて……このままじゃ彗星が見えそうなんです……」
エマ 「な、何かよくわからないけどとても重大みたいね……」
カミーユ 「というわけなんです」
エマ 「それは……ひどいわね……」
カミーユ 「もう僕どうしたら良いのか……」
エマ 「触られる前に逃げるとか出来ないの?」
カミーユ 「あの人やたら気配消すのが上手くて分からないんですよ」
エマ 「それはなんというか……気持ち悪いわね」
カミーユ 「ええ。ほんとうに気持ち悪いです」
カミーユ 「出来るものならやってますよ。殴ろうとすると避けられちゃうんです」
エマ 「腐ってもニュータイプか……」
カミーユ (僕と同じ事言ってる……)
エマ 「うーん。そもそもなんでカミーユのお尻を触るのかしら」
カミーユ 「それがわかったら苦労しませんよ」
エマ 「んー……えい」サワサワ
カミーユ 「ひゃっ!?なにすんです!」
エマ 「別段なんてことのない普通のお尻よねえ。触り心地はいいけど」
カミーユ 「エマ中尉までやめてください!」
カミーユ 「はあ……そういうもんですか」
エマ 「他の人にも相談してみたら?」
カミーユ 「うーん……わかりました。そうしてみます」
エマ 「力になれなくてごめんなさいね」
カミーユ 「いえ、いいんですよ。話せただけでも楽になりました」
エマ 「ならいいんだけど……」
カミーユ 「ありがとうございます。じゃあ失礼します」シュイーン
エマ 「ええ」
エマ 「……」
エマ 「クワ×カミ……」
エマ 「ありね」
カミーユ 「とりあえず男の人にもう一度相談してみるか」
カミーユ 「誰がいいかな……」
カミーユ 「よし。>>28さんに相談してみよう」
アムロの部屋
カミーユ 「アムロさん?カミーユです。今いいですか?」コンコン
アムロ 「カミーユか?いいよ。入ってくれ」
カミーユ 「失礼します」シュイーン
アムロ 「何か用か?」
カミーユ 「ちょっと相談がありまして」
アムロ 「相談?」
カミーユ 「はい。実は……かくかくしかじか」
アムロ 「は?」
カミーユ 「いや、僕も同じ事アムロさんに言われたらそうなりますけど、事実なんです。悩んでるんです」
アムロ 「それは……まぁなんというか……」
アムロ 「誰か他の人に相談はしてみたか?」
カミーユ 「エマ中尉に話してみました。でも、女だからわからないと言われまして」
アムロ 「男にだってわからんぞ……」
カミーユ 「ですよねー」
アムロ 「なにか心当たりはないのか?」
カミーユ 「全く無いです。というかクワトロ大尉にお尻を触られる原因なんて思いつかないですよ」
アムロ 「まあそうだろうな……」
カミーユ 「そういえばエマ中尉は話してる時一応困った顔をしつつもなんか嬉しそうだったんですけど、なんだったんですかね」
アムロ 「それは深く考えないほうがいいと思う」
アムロ 「ん?ああ。まあそれなりにな」
カミーユ 「クワトロ大尉って……実はホモだったりします?」
アムロ 「いや……そんな感じはしなかったが……」
アムロ 「せいぜいロリコンとシスコンの気があったくらいだな」
カミーユ 「それ、充分ヤバいんじゃないでしょうか」
アムロ 「とにかくホモではない。と思う」
カミーユ 「そうですか……」
アムロ 「なんにせよ俺にもなんと言ったらいいのか……」
アムロ 「あ、そうだ。>>40も呼んで一緒に考えてみようか」
カツ 「失礼しまーす。アムロさん、呼びました?」シュイーン
アムロ 「おお。実はカミーユのことでな」
カツ 「カミーユさん?なにかあったんですか?」
カミーユ 「実は……かくかくしかじか」
カミーユ 「というわけなんだ」
カツ 「はぁ……それは……え?」
アムロ 「まあそうなるよな」
カミーユ 「これ、真面目な話なんだ」
カミーユ 「やめてくれ気持ち悪い……」
カツ 「ちょっと触ってみてもいいですか?」スッ
カミーユ 「やめろ!」ドカァ!
カツ 「ぐぶへぁ!?」
アムロ 「カミーユ。落ち着け」
カミーユ 「す、すいません……今はお尻にちょっと神経質になっちゃってて……」
カツ 「殴ったね……!」
アムロ 「フン!」ドカァ!
カツ 「おぶぁ!?」
カミーユ 「アムロさん。落ち着いて下さい」
カミーユ 「気持ちはわかりますけど、落ち着いて下さい」
カツ 「ひどいや……」
ビー!ビー!
アムロ 「警報だ!ティターンズの奴らか!」
アムロ 「いくぞカミーユ!お前のケツの話は後回しだ!」ダッ
カミーユ 「は、はい!」ダッ
カツ 「ぼく、殴られただけだったな……」
アムロ 「……」タッタッタ
カツ 「あれ、アムロさんどうしたんですか。戻ってきて」
アムロ 「殴って何が悪いか!」ドカァ!
カツ 「はぶぉ!?」
アムロ 「殴られもせずに一人前になった奴がどこにいるものかー!」ダッ
カツ 「ひどい……」
ブライト 「遅いぞアムロ!何をしていた!」
アムロ 「ちょっとカミーユとケツの話をな。あとカツ殴ってた」
ブライト 「は?カミーユとケツを殴って……?なに?」
アムロ 「そんなことより状況は!?」
ブライト 「ん、ああ、そうだな」
ブライト 「ティターンズの奇襲だ。すぐに迎え撃ってもらうぞ」
アムロ 「もちろんだ。カミーユとクワトロ大尉は?」
ブライト 「二人共先にハンガーに向かった。お前もすぐ行ってくれ」
アムロ 「了解だ」
アムロ 「クワトロ大尉と二人か……カミーユ……大丈夫かな」
カミーユ 「はい!」
クワトロ 「まずは私が百式で出る。私の後についてこい」
カミーユ 「了解です」
クワトロ 「健闘を祈るぞ」サワサワ
カミーユ 「ひっ……」
カミーユ 「あなたは何やってんです!こんな時に!」
クワトロ 「これから戦闘なのに後ろを取られるとは。油断したなカミーユ。ふはは」
アムロ 「うわぁ……実際見ると引くわ……」
クワトロ 「む。アムロか」
アムロ 「クワトロ大尉……なんであなたはカミーユのケツを触るんだ?」
クワトロ 「ええい!そんなこと言っている場合か!出撃だ!」バッ
クワトロ 「クワトロ・バジーナ!百式!出る!」ビューン
アムロ 「行っちまった」
カミーユ 「くそ……本当にドサクサに紛れて撃ってやろうか……」
カミーユ 「あ、はい!」
カミーユ 「カミーユ・ビダン!出ます!」ビューン
ジェリド 「来たなZめ!今日こそ落としてやる!」
カミーユ 「」ピキーン
カミーユ 「この感覚……!ジェリド中尉か!」
ジェリド 「カミーユ!ライラの仇だ!」
ドーン ドーン
ジェリド 「はははは!どうした!動きが鈍いぞZァ!」
カミーユ 「く……!クワトロ大尉の事が頭にちらついて集中できない……!」
ジェリド 「後ろをとったぞ!このまま沈めてやる!」
カミーユ 「しまった!後ろを……!後ろ……後ろ……尻……!!」
カミーユ 「うわあああああ!!!!」
カミーユ 「やらせはしない……俺の尻は!やらせはしないぞー!」
ジェリド 「くそっ!なんだってんだ!落ちやがれ!」
カミーユ 「そこぉ!」
ジェリド 「しまった……!右足を!」
マウアー 「ジェリド!引き上げだ!」
ジェリド 「くそ……カミーユ!覚えてろよ!」
ビューン
カミーユ 「はあ……はあ……」
カミーユ 「敵が引いてゆく……」
アムロ 「カミーユ。聞こえるか」
カミーユ 「アムロさん……」
アムロ 「俺達も撤退だ。アーガマに戻るぞ」
カミーユ 「はい……」
カミーユ 「クワトロ大尉……」
クワトロ 「素晴らしい活躍だったな」サワサワ
カミーユ 「うああああ!!!」ドカァ!
クワトロ 「サボテンッ!?」ドサァ
アムロ 「カミーユ!落ち着け!」
カミーユ 「アムロさん離して下さい!こいつは……!こいつは生きていちゃいけない人間なんだー!」
アムロ 「気持ちはわかるが落ち着け!大尉!クワトロ大尉!大丈夫か!?」
クワトロ 「サボテンが花を付けてる……」
アムロ (うわぁ……重症だ……)
アムロ 「で、なに?尻を触られることによって後ろを取られても落とされないようにするトレーニング?」
クワトロ 「はい……」
ブライト 「大佐、トレーニングするのはいいが方法が……」
クワトロ 「私は大尉で」
アムロ 「正座を崩すな」
クワトロ 「はい」
アムロ 「シャア……お前ともあろう男がなんて情けない……」
アムロ 「おかげでカミーユがあのザマだ」
カミーユ 「大きい尻が点いたり消えたりしてる……あれは彗星かな……?いや、尻だな!尻はもっとバァーって動くもんな!」
アムロ 「貴様、よっぽど修正されたいみたいだな」
アムロ 「とにかくカミーユをなんとかしよう。ブライト、やってくれ」
ブライト 「うむ。精神修正パンチ!」ドカァ!
カミーユ 「アヌスッ!?」
カミーユ 「はっ!僕は一体何を……」
アムロ 「正気に戻ったようだな」
カミーユ 「アムロさん……ブライトキャプテンにクワトロ大尉……」
カミーユ (なんでクワトロ大尉は正座してるんだろう……)
カミーユ 「なんですか……そのトレーニング」
クワトロ 「アクシズにいる頃に思いついてな」
アムロ 「え、ってことは」
クワトロ 「うむ。ハマーンで試した」
ブライト 「うわぁ……」
アムロ 「で、結果は」
クワトロ 「ご存知のとおりだ」
アムロ 「ハマーンが歪んだのは貴様のせいか……」
クワトロ 「何を言う!私のトレーニングのおかげでハマーンは立派なパイロットになったではないか!」
アムロ 「正座を崩すな」
クワトロ 「はい」
ブライト 「さて、クワトロ変態大尉の処分について話すか」
クワトロ 「艦長、なにか余分な単語が付いているのだが」
アムロ 「正座を崩すな」
クワトロ 「はい」
アムロ 「こんなんでもな」
カミーユ 「じゃあお咎め無しですか……」
クワトロ 「やった」
アムロ 「貴様、真性のクズだな」
ブライト 「しかしお咎め無しというのもな……」
ブライト 「あ、そうだ。>>80をしてもらうか」
クワトロ 「え?」
アムロ 「どういうことだブライト」
ブライト 「ハマーンはクワトロ大尉のせいであんなふうになったのだろう?なら大尉に責任をもって元に戻してもらう」
クワトロ 「ちょ、待って」
アムロ 「なるほど……それなら、アクシズを取り込むこともできるかもしれないな」
カミーユ 「なんだか凄まじい流れになってきた……」
ブライト 「では早速クワトロ大尉にはアクシズに向かってもらう」
クワトロ 「え、それはほんとに勘弁してほし」
ブライト 「当て身」ドカッ
クワトロ 「ぐっ……」
ブライト 「よし。気絶した。アムロ、カミーユ。クワトロ大尉をアクシズに運んでくれ」
アムロ 「了解した」
カミーユ 「ブライトさんって何者なんだろう……」
ハマーン 「なんだ貴様らは……」
アムロ 「お届け物だ」ドサッ
ハマーン 「! シャアではないか!なぜここに?」
アムロ 「くれてやる。好きにするといい」
ハマーン 「す、好きに!?私がシャアをか!?」
カミーユ (すごい動揺してるあの人……)
アムロ 「ああ。じゃあシャアは置いていくぞ」
ハマーン 「ま、まぁ待て。せっかくアクシズまで来たんだ。茶の一杯でも出してやる。飲んでいけ」
アムロ 「」ピキーン
カミーユ 「」ピキーン
アムロ 「シャアと二人だと気まずいのか」
カミーユ 「気まずいんですね」
ハマーン 「そんな事はない!わきまえろ俗物が!」
カミーユ 「ええ、そうですね」
ハマーン 「そうするがよい」
アムロ 「とりあえずシャアを起こすか」
アムロ 「おい。シャア起きろ」
クワトロ 「いまの私はクワトロ・バジーナだ……シャアではない……」ボソボソ
アムロ 「ララァのこと、ハマーンにバラすぞ」ボソッ
シャア 「おはようございます」
シャア 「うむ……」
カミーユ 「アムロさん、この空間すごくザラザラします」
アムロ 「妙なプレッシャーが渦巻いているな」
ハマーン 「と、とにかく茶だ。おい!誰ぞおらぬか客人に茶を用意せい!」
シャア 「私はコーヒーが良いな」
ハマーン 「……」
カミーユ 「アムロさん。僕帰っていいですか。このままだとまた彗星が見えちゃいます」
アムロ 「我慢だカミーユ」
シャア 「そんな事を言ったのか」ボソボソ
アムロ 「『お前を調教しに来ました』なんて言えるわけ無いだろう」ボソボソ
カミーユ 「あー、あ、そうだ。クワトロ……じゃなかった。シャアさんがハマーンさんに謝りたいとかで……」
ハマーン 「なに?」
カミーユ 「ほら……」
シャア 「え?ん、ああ。そうだな。そんな感じだ」
ハマーン 「ほ、ほう。つまり私に謝罪を入れて、また私とともになりたいということだな?そうなんだな?シャア」
シャア 「え、いやそこまでは」
アムロ 「」ガンッ
シャア 「痛っ」
シャア 「蹴るなアムロ」ボソボソ
アムロ 「貴様というやつはどこまで情けないんだ」ボソボソ
ハマーン 「な、なんだ?」
シャア 「尻を触ってすまなかった」
ハマーン 「」
カミーユ 「」ガンッ
アムロ「」ガンッ
シャア 「痛い」
シャア 「なんなのだ貴様ら。両足を蹴るな」ボソボソ
カミーユ 「あなたは何やってんです!」ボソボソ
アムロ 「いきなりそんな事を言い出す奴があるか!」ボソボソ
シャア 「上手くいかないものだな……」
カミーユ 「まずいですよ!ハマーンの後ろに鬼が見える!」ボソボソ
アムロ 「昔ソロモンであんなのみたぞ……」ボソボソ
シャア 「非常に良くない状況だ」ボソボソ
アムロ 「シャア!まずは俺の言うとおりにしろ!」ボソボソ
シャア 「何をする気だアムロ」ボソボソ
アムロ 「いいから!」ボソボソ
ハマーン 「さっきからなにをコソコソやっている!」
シャア 「ハマーン」キリッ
ハマーン 「な、なんだ急に改まって……」
ハマーン 「な、なぜ私の手を握って、シャア、貴様……」
シャア 「ハマーン、今まですまなかった。もう私はどこにも行かん」
ハマーン 「シャア……」
カミーユ 「ばっちりですよ!」ボソボソ
アムロ 「うむ。大成功だな」ボソボソ
カミーユ 「流石女たらしのアムロさんですね」ボソボソ
アムロ 「おいこら」ボソボソ
ティターンズとシロッコはシャアとハマーンの石破ラブラブ天驚拳で蹴散らされたとさ
その後
エマ 「カミーユ、ちょっとちょっと」
カミーユ 「? なんですかエマさん」
エマ 「これね……大尉とのプレイに使って」スッ
カミーユ 「え?なんですこれ」
エマ 「いい?良くほぐすのよ。じゃないと切れちゃうから。じゃあね!キャー!」タッタッタ
カミーユ 「なんだったんだ……なんだこれ……」
カミーユ 「ワセリンと……コンドーム……」
第二部、カミーユ女装編に続いたり続かなかったり
終わり
初SSでした。付き合ってくれた人たちありがとう
適当でごめん
おつ
Entry ⇒ 2012.04.23 | Category ⇒ ガンダムSS | Comments (0) | Trackbacks (0)
恒一「久保寺先生が風邪をひいた?」
http://hayabusa.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1333545957/
恒一「どうやって?」
赤沢「千曳先生か三神先生から住所を聞き出せばいいのよ」
恒一「―で、誰が行くの?」
綾野「あ、あたし!!」ガタッ
小椋「あたしも!!」ガタッ
鳴「・・・私も、行きたい」
中尾「赤沢が行くなら俺も!!」
杉浦「中尾・・や泉美が行くなら私だって」
勅使河原「サカキの親友として行くしかねーだろ!」
望月「三神先生に住所聞いてこようか?」ワクワク
恒一「・・うーん・・・大人数だと迷惑じゃない?」
風見「―な、なら僕も」
小椋「行くのは私って行ってるでしょ!!」
綾野「あたしだよお!!」
赤沢「あのねぇ・・友達の家に行くんじゃないのよ」
綾野「なら泉美の隠れてつけてる日記帳の内容みんなにバラすよ?」ニヤ
赤沢「・・・・・」
【結果的にこうなりました】
恒一 鳴 赤沢 望月 勅使河原 桜木 風見 杉浦 中尾 綾野 小椋
望月「じゃあ僕は三神先生に久保寺先生の住所聞いてくるね!」ガラッ
恒一「・・三神先生よりも千曳先生に聞いた方が良くない?・・あ、行っちゃった」
赤沢「それじゃあ、今日1日は部活は休んでね。演劇部は欠席理由を千曳先生に言っておくから」
勅使河原「(一人だと恥ずかしいからっていう理由で連れてこられた・・)」
三神「はあ・・?別にいいけど、迷惑かけちゃダメよ」
―――
望月「久保寺先生の住所ゲット!」
恒一「そういえば、久保寺先生の家には祖母さんがいるんじゃなかったっけ」
鳴「・・この間、介護施設に預けた・・って言ってたような」
中尾「それはますますやべえじゃん!(赤沢にいいとこ見せないと!!)」
綾野「ちゃんと栄養取ってるのかなあ?(フフフ・・こういっちゃんに料理の腕前、見せてやるんだから)」
赤沢「それじゃ、家に帰ったら、5時に公園で待ち合わせね?(恒一君のために気合入れていかないと)」
中尾「ふう・・ちょっと早く来すぎたかな、ジュースでも買ってこよ・・・」トコトコ
おばあさん「ちょっとそこの少年や、道を聞きたいんだけどねぇ・・」
中尾「え?あ、ハイ」
―――
PM5:03
綾野「あれ、由美来てたの?」
小椋「ちょっと前にね」
杉浦「あ、もう来てた・・、中尾はまだなのね・・」
PM5:09
望月「やっほー」
勅使河原「よーっす」
風見「・・やぁ」
綾野「おーそーいー!!」
桜木「あ、もうみなさん来てたんですね」
勅使河原「あと来てねーのはサカキと見崎と赤沢と中尾かぁ」
小椋「泉美、来ないじゃん!」
杉浦「何かあったのかな」
望月「見崎さんと榊原君も、だね・・綾野さん住んでるところ近かったよね?すれ違ったりしてない?」
綾野「見かけなかったよぉ?」
・赤沢家
赤沢「リボンが決まらない・・!はやくしないと恒一君が来ちゃうよおっ!」
赤沢母「あれ、泉美どしたの?デート?」ニヤニヤ
赤沢「そ、そんなんじゃないってばあ!入ってこないでよ!///」
赤沢母「やっぱりこのワンピースだったら・・・あ、このピンクのリボンが一番似合うと思うけど?」
赤沢「うっうるさい!///いってきますっ!!//」
赤沢母「泉美ガンバー!」
鳴「・・いってきます」
ガチャッバタン
鳴「!」
鳴「さかき・・ばら、くん?」
恒一「や、やぁ・・」
鳴「ずっと・・家の前で待ってたの?」
恒一「うん。早く家を出すぎちゃってさ・・せっかくだからと思って」
鳴「別に、いいのに・・そんな事しなくても」
恒一「さ、行こうか。もう5時27分だよ」
鳴「みんな待ってるかな・・」
――
赤沢「ハァ・・ハァ・・!確か恒一君、この辺が通り道だったはずなんだけど・・!」
・・・・
赤沢「あ~~~もう!行っちゃったのかなあっハァッ、ハァ・・ゼェ・・ゼェ・・」
勅使河原「おっせーぞサカキィー!」
恒一「お待たせ。もうみんな来てたんだね、ゴメン」
鳴「遅れてごめんね・・」
・一方、見崎家
霧果「やけに鳴が気合入れて服選んでたけどなんだったのかしらねえ」ポリポリ
天根「鳴もお年頃だからねぇ」ズズーッ
霧果「あ、お茶追加しよっか?」
―――
杉浦「後は中尾と泉美だけなんだけど・・変ね」
小椋「うーん、このまま行っちゃう?」
綾野「別にいいんじゃない?」
恒一「それはダメだよ、もうちょっと待ってあげようよ」
杉浦「あたし、泉美のこと探してくる・・・」ダッ
恒一「あっ、杉浦さん!」
PM5:38
赤沢「や・・っとついた・・・って・・やっぱり恒一君来てた・・・ハァ・・ハァ・・・」
恒一「赤沢さんどうしたの?そんなに汗かいて」
赤沢「べ、べつになんでも・・ゼェゼェ・・それじゃ、全員居るみたいだし久保寺先生の家に行きましょうか・・」
望月「杉浦さん、さっき赤沢さんを探しに行っちゃったよ?」
赤沢「え"っ!ウソぉ・・もぉ・・ぜんぜん行けないじゃない!!あとちょっと待ってみましょ。」
PM5:45
赤沢「多佳子、どこまで行ったのよ!・・・もう行きましょ!」
恒一「携帯で連絡取れないかな?」
小椋「ちょっと連絡取ってみる」
プルルルルルル ・・・・ ツー ツー
綾野「・・ダメかぁ。」
風見「うん・・?誰か忘れてるような」
桜木「気のせいじゃないですかね?行きましょう。」
赤沢「多佳子が居ないってこと以外は別に何も変じゃないわよ?」
恒一「うん、行こうか」
鳴「・・・しゅっぱつ。」
―――
望月「夜見山市○×町5-22・・っと・・あ、あれかな?」
勅使河原「あれだあれ、電気ついてるぜ!」
恒一「皆静かに行こう、寝てるかもしれないしね」
綾野「何か差し入れ持ってきた方がよかったかな?」
小椋「あ、あたしおまんじゅう持ってきた」
望月「じゃ、ピンポン押すよ・・」
鳴「・・・」ワクワク
ピンポーン
―――・・
ガタッ
バタバタ・・・
恒一「何か音がする・・起きてるのかな?起こしちゃったかな?」
久保寺「・・・は...い"」 ガチャ
望月「うわあ!幽霊!!」
勅使河原「出たああああああ!!」
綾野「え、え、えっギャーー!!?」
恒一「うわ、びっくりした・・久保寺先生じゃん」
赤沢「んん"、コホン 久保寺先生、風邪ひいたって聞いたので・・クラスの皆でお見舞いに来ました」
久保寺「ぁー・・お見舞い、ですかァ・・」ゲッソリ
桜木「入ってもだいじょうぶですか?」
久保寺「―ですが・・みなさんに風邪をうつしてしま・・ふゴホッゴホッ」
風見「こんなこともあろうかと、マスクもって来ました」
久保寺「あぁ・・じゃ・・みなさんそれをつけて・・空気悪いですが・・どうぞ・・」
赤沢「なんか臭くない・・?マスクあって良かったわ」
綾野「んふっ・・おっさんのにお"い"・・」
鳴「・・・ゴミだらけ」
桜木「これは、掃除から始めた方がいいんじゃないですか?」
久保寺「あ・・あぁ・・今日はまともに食べてなくてェ・・・ゴホゴホ」
恒一「じゃあそれぞれ担当する事決めようよ」
綾野「あ!あたしこういっちゃんと料理するー♪」
赤沢「! それは私がすることよ!!あなたは小椋と買い出し!」
小椋「先生、これおまんじゅう。後で食べてくださいね」
風見「洗濯物が溜まってる・・」
勅使河原「これは俺と望月でなんとかなるんじゃねえ?」
望月「洗濯物はやっぱり女の子がやった方がいいと思うよ・・」
勅使河原「あれ?望月って・・」
望月「Σ ぼ、僕は男だよ!!」
料理:恒一&鳴&赤沢 「・・ぐぬぬ」
買出し&その他雑用:綾野&小椋 「・・・チッ」
洗濯:望月 「何で・・」
部屋の掃除:桜木&風見&勅使河原
――
恒一「じゃあ料理当番は何を作るか決めようか」
鳴「・・ワカメ」
赤沢「消化のいいものを食べさせた方がいいわね。たとえば―
鳴「ワカメ」
恒一「ワカメのお味噌汁?それは今見崎が食べたいものでしょ」
鳴「・・・」ぐうううう
恒一「後で見崎にも何か作るからそんな顔しないでよ・・」
赤沢「・・・、こっ恒一君!うどんとかどうかしら?お腹に優しいわよ」
鳴「冷蔵庫の中、何もない・・・」
赤沢「買い出しー!仕事よ!」
小椋「後で料理組に突撃ね!」
――
望月「先生のこのネクタイ・・中々いい柄だなぁ・・」
望月「三神先生はどんな服が似合うかなぁ」ニヤニヤ
――
勅使河原「おっエロ本見っけwww来いよ風見ww」
風見「・・・きk興味ない」
桜木「あ、あうう・・///勅使河原君、掃除ですよ掃除・・///」
――
赤沢「恒一君、買い出し組が帰るまで何をしておけばいいかしら?」
恒一「キッチンがすこし汚れてるから、綺麗にしておこうか」
赤沢「OK!見崎さんはトイレ掃除でもどうかしら?」ニヤ
鳴「この隙間、赤沢さんの腕だと入らない・・かも・・だから私も手伝う」
赤沢「」
恒一「ああ、ここは僕一人で十分だから、赤沢さんは見崎とコンロのほうを・・」
赤沢「あ、あぁ・・そう・・」ギリギリ
――
~ヨミヤママートー♪ ミンナガエガオニー♪
綾野「長ネギ・・はこれでいいか」
小椋「ネギ1本にも、いいもの悪いものがあるのよ。ネギは多分こっちの方が・・」
綾野「何でそんなに詳しいの?」
小椋「うちには兄貴がいるからね!熱出したときとか、たまに・・看病してあげてるから・・///」
――
赤沢「ちょっと見崎さん、ここぜんぜん綺麗になってないわよ?」フキフキ
見崎「・・・」
赤沢「あ、あれ」フキフキフキフキ
見崎「・・・」
赤沢「ッ何よこれ!落ちないじゃない!!」スポンジスパーンッ
桜木「あ あの 掃除・・」
ヒョイ
望月「人妻って?」
勅使河原「だァー!!どっから出てくんだよてめえ!!」
風見「人それぞれ好きなものもあるしね」
勅使河原「確かお前ってぽっちゃり系がムゴゴゴ!!ンーッ!!」
風見「バカはほっといて掃除しようか」
――
おばあさん「ん?あんだって?」
中尾「いやですから、ここを右に行けば看板があるはずなんです」
おばあさん「ありゃりゃりゃー!結婚したいだなんていやだねぇww若いねぇww」
中尾「そうじゃなくて」
杉浦「! ・・中尾・・おばあさんに道教えてる・・」
赤沢「見崎さん、この洗剤はひねるんじゃなくて引っ張るのよ、そんな事も分からないの?」
鳴「・・・」
赤沢「ん・・あら・・?ちょ、ちょっと何これ」グググググ
赤沢「・・?ワンタッチで開ける・・・!?あーもう!!ふざけんじゃないわよ!!」バシッ
鳴「・・・ふっ・・」プルプル
赤沢「何笑ってんのよ!!」
恒一「仲が良さそうで良かった」
――
綾野「あーやっと買い出し終わったぁー!」
小椋「トマトはね、丸くて、固くて、実が引き締まっているものを選ぶのよ
角ばっているものは中身がスカスカの可能性があるから・・それであともう1つは
――
桜木「・・・なんだかあの空間に居ずらいので先生の様子を・・」チラ
久保寺「zzz」
桜木「布団はねてます・・かけておいてあげなきゃ・・」ポフ
おばあさん「遠慮しないでいいのよ、ほらちゅーしてあげる、ちゅー」ブチュウウウウ
中尾「いやあああああああああ」
杉浦「中尾って・・そういう・・趣味が・・」
――
綾野「たっだいまー!」ガチャ
小椋「―で、手にとってずっしりと重いものは水分が詰まっていて果肉が緻密な証拠で
――
恒一「だいぶ片付いたなぁ・・あっちはどうかな」
赤沢「ここに水をたらしたのは見崎さん、あなたよ!!」
見崎「私はここで水は触ってない・・自分でやったんじゃないの?」
赤沢「あなたがやったの、私見てたわよ!だからあなたが拭きなさい!」
見崎「自分から向かって右側でしか水は使ってない・・こっちは赤沢さんが綺麗にしてたはず」
赤沢「きぃーっ!!じゃあ恒一君に言いつけるから!見崎さんは自分のしたミスを他人に―」
恒一「あ、なんか水たれてるね」フキフキ
赤沢「」
綾野「もっちーどしたの?手伝おっか?」
小椋「ヘタはピンとしていて緑色のものを選ぶの。ヘタの周りがひび割れているものは避けた方がいいよ
――
勅使河原「桜木に好きだって言っちゃえよーガサガサ
おっ、女子高生モノあるじゃん」
風見「だいたい今はそんな事言ってる場合じゃないし・・・勅使河原、さっきから掃除してないよね」
――
恒一「お湯が沸いたら麺入れていいよ」
鳴「うん」
恒一「赤沢さんはネギとかまぼこ切ってて」
赤沢「え、ええ・・(実は包丁は苦手なのに・・・)」
鳴「・・おなかすいた・・」ぐううう
――
桜木「先生、一応熱計ったほうがいいですよ」
久保寺「うう~ん・・そうですねェ・・」
恒一「見崎、お湯沸いてるって!!」プシュー
赤沢「長ネギが目にしみる・・うぁーん!」ザクザクザクザク
恒一「赤沢さん、長ネギはみじん切りじゃなくて輪切り!!」
――
望月「乾燥機があってよかった~・・制服はこのままでいっか・・」
小椋「代わりの服無いの?久保寺先生の服は・・入らないかなぁ」
綾野「あ、このTシャツどう?なんか首のとこ黄ばんでるけど」
望月「えっ」
――
桜木「37.7ですか・・もうすぐ榊原君達がご飯食べさせてくれますよ、それまで安静にしててくださいね」
久保寺「あぁ・・ありがとう・・・ございますゥ・・・」
赤沢「さすが恒一君・・いい旦那さんになれるわね」
恒一「えへへ、ありがとう」
見崎「いい匂い・・、食べもの・・うどん、だけ?」
恒一「うーん・・鮭を買ってきてもらったからそれでもいいか」
――
勅使河原「久保寺先生の卒業文集あるぜww」
勅使河原「"大きくなったら学校の先生になりたい・・"だってよ」
風見「教え子になれた僕らは幸せ・・かもだね」
桜木「あ、掃除進んでますかー?」
――
小椋「私もね、家でこうやって洗濯たたんだりしてるんだよ」
綾野「由美って結構家庭的だよね、意外」
望月「僕も三神先生に褒められるようにならなきゃ・・・///」ドヴァ
綾野「うわぁ!また鼻血!もっちー寝てなよもう!」
恒一「赤沢さん!大丈夫?すぐに冷やさないと・・」グイッ
赤沢「こ、恒一く・・///」
鳴「冷凍庫にアイスノン、あった・・」ピトッ
赤沢「うあ!!冷ァッ!!なにすんのよ!!!」
恒一「それは久保寺先生に届けた方が・・」
――
おばあさん「ウチの孫もねぇ、ちょうど君くらいの容姿で」
中尾「ハ ハイ...」
杉浦「中尾は熟女好き・・・中尾は熟女好き・・・」ワナワナ
――
PM8:12
久保寺「ふむ・・・おいしい・・です・・榊原君はほんとうに料理が上手なんですね・・」ズルズル
久保寺「・・・・・」ブワッ
恒一「久保寺先生!?ど、どこか痛いんですか!?」
久保寺「いえ・・私も・・もっとしっかりしないと・・ですね・・」
風見「漫画しか読んでなかったじゃないか」
桜木「色々と押入れの中に押し込んじゃいましたけどね・・」
望月「あ、勅使河原君達だ」
綾野「ちょーどいいや!洗濯物たたむの手伝ってよー!」
小椋「兄貴・・今頃何してるかな」
―――
恒一「それじゃあ、後は僕達がやっておくので・・久保寺先生は寝ててください」
久保寺「ありがとうございます、君達もあまり遅くならないように・・」
赤沢「恒一君はやっぱりやさしいわ・・いい旦那さんに・・ムフッ///」
鳴「・・・」
赤沢「何?私の顔に何かついてる?」
鳴「目と鼻と口」
赤沢「・・・あ、っそう・・(怒)」
望月「そうだね、っていうか部屋がすっごく綺麗になってる」
小椋「おまんじゅう食べていこーよ!」
綾野「まんじゅう?どこにも無いけど」
小椋「えっ」
鳴「・・・」モグモグ
赤沢「・・・」ムシャムシャ
小椋「これはどういう・・?」
恒一「和菓子好きな女の子っていいよねって言った途端こんな事に・・・」
――
桜木「洗い物は毎日やってますー。自分が食べたものは自分で洗うのが桜木家の決まりなんですよっ」バシャバシャ
風見「へー・・・桜木さん家行ってみたいなぁ・・・」ボソ
桜木「」ガシャン!
風見「あ、ごごごめん今僕何かマズいこと言ったよね」
勅使河原「」ニヤニヤ
望月「勅使河原君、帰る準備しようよー」
杉浦「中尾」
中尾「す、杉浦・・!どうしてここに!」
杉浦「別に・・なんとなく」
中尾「赤沢達は!?もう帰ったのか!?」
中尾「なんだよなんとか言えよぉ 赤沢は
杉浦「うっせえ!!熟女ババアのとこでも行ってろ!!!」ダダダダッ
中尾「ちょっ杉浦ァー!!!ここどこだよぉ!!」
―――
赤沢「恒一君、暗いからおくってよ」
恒一「え?赤沢さん達は小椋さんと帰ればいいじゃない?」
赤沢「女の子2人が夜道を歩くのよ!?危ないでしょ!!」
鳴「じゃあ私は帰るから・・じゃーね、」モグモグ
恒一「あっ見崎 ちょっと待って・・」
赤沢「こ う い ち く ん」グイッ
小椋「私・・先に帰ってるね!」
赤沢「彩は大丈夫よ、結構強いから」アハハ
綾野「それどーゆー意味!あたしも行く!ふんっ!!」
「ーーーい・・」
「おーーーーい!!!」
恒一「あ・・あれは・・中尾君!!」
赤沢「はぁ!?」
中尾「やっと見つけたあああー!!うええええん赤沢あー!!」
赤沢「気持ち悪いから近寄らないでよッ!」ドゴッ
中尾「まかsrッ!!」
恒一「あ、綾野さん・・中尾君がいるって事は大丈夫じゃない?」
綾野「へ?」
恒一「ほら、同じ古池町だし」
綾野「」
中尾「綾野・・今日俺さ・・」
綾野「・・・」スタスタスタスタ
中尾「なんか言えよ・・・おい・・今日大変だったんだぜ・・」
綾野「・・・・きゃーー!!変質者ー!!」ダダダダダ
中尾「ゑっ」
――
望月「じゃあ僕と桜木さんはこっち方面だから」
勅使河原「つっても途中まで夕見ヶ丘と道一緒だろ?望月」
桜木「今日は楽しかったですね~」
勅使河原「先生の意外な性癖が発見できたな!」
風見「話題がそれしかないのか・・・」
恒一「・・・」トコトコ
赤沢「・・・」テクテク
恒一「・・・あのさぁ」
赤沢「ふにゃ!?」ビクッ
恒一「ふにゃ?」
赤沢「なっなんでもないのよなんでもない・・///(びっくりして変な声出ちゃったじゃない・・)」
恒一「あ、それで今日さ・・何であんなに疲れてたの?来た時」
赤沢「えっ・・そ、それは・・///(恒一君の家まで行ってたなんて言えない・・)」
赤沢「・・ちょっと部屋の掃除してたら遅れちゃったのよ・・」
恒一「そうなんだ」
赤沢「・・・あ、あのね・・恒一君」
赤沢「恒一君の理想のお嫁さんってどんな感じ・・?///」
恒一「ははは、突然何言い出すの?」
赤沢「い、いいから」
恒一「うーん・・そうだなぁ」
赤沢「赤沢さんみたいな人かな」
赤沢「えっ・・それって・・ほんと?///」
赤沢「うん・・だから赤沢さん・・じゃなくて泉美!!結婚しよう!!」
赤沢「なんちゃってきゃーっ///」
恒一「あかざわ・・さん?」
赤沢「ハッ・・・ごめんなさい・・つ、つぢきを・・///」
恒一「(噛んだ・・)あ、えっと僕の理想のお嫁さんだっけ」
勅使河原「結構元気っぽかったし大丈夫だろ!」
望月「久保寺先生が来なかったら、担任は三神先生になるのかなぁ・・・///」
勅使河原「まーた始まったよ・・」
桜木「風見君・・さっきの話なんですけど」
風見「さっきの話?」
桜木「私の家に・・とか」
風見「!」
桜木「あ、ややややっぱりなんでもないですっ!!冗談ですっ!///」
勅使河原「じゃー俺らこっちだから、またな」
望月「うん、じゃあね勅使河原君、風見君」
望月「桜木さん、顔赤いけど大丈夫?」
――
勅使河原「あのー風見さん?・・おーい」
風見「・・・・」
――
恒一「僕の理想のお嫁さんはやっぱり・・僕の事をずっと好きでいてくれる人かな」
赤沢「!」
恒一「僕もその人の事・・多分ずっと好きだから・・」
赤沢「(ふにゃぁあああ~~~!!////ななななななにこれ!!遠まわしにこ、告白!?////)」
恒一「あかざわ・・さん?」
赤沢「はぁー・・・すぅーーはぁ・・・・・コホン 恒一君!///」
赤沢「あのね・・わ わたし――
恒一「あ!あれ杉浦さん?」
赤沢「え」
杉浦「・・・」
恒一「どうしたの?こんなところで」
杉浦「ん・・・ふぇ・・うわぁぁぁんいずみぃぃぃ!」
赤沢「ちょ、多佳子・・今日何かあったの!?」
杉浦「うひっぐひっぐぅえぇええなかおおおがぁあ」
赤沢「なんだかよくわかんないけど・・恒一君、わたし多佳子をおくってくから・・
家、すぐそこだし・・今日はありがとうね」
恒一「あ、うん」
恒一「(何か言いかけたみたいだけど何だろう・・まぁ、いいか)」
小椋「たっだいまー・・」ガチャ
シーン
小椋「まだ・・仕事かな」
小椋「兄貴、いる?」コンコン
・・・・・ トントン
小椋「えへ・・あのさ、今日何か食べたいものある?」
・・・・・
小椋「兄貴の好きなオムライス!今からでいいなら・・ご飯にしよ?」
・・・・・
小椋「おなかすいてない?」
・・・・・
小椋「ま・・いっか、じゃあ準備するから!」パタタタ
小椋兄「―・・さんきゅーな」
キーンコーンカーンコーン・・
ガラッ
久保寺「みなさんおはようございます」
恒一「あっ」
鳴「先生・・」
望月「もう大丈夫なんですね」
勅使河原「おっ、待ってましたーッ!」
久保寺「ええ・・昨日は榊原君達のおかげで十分に休む事が出来ました」
赤沢「ふん・・」
杉浦「・・・」
綾野「昨日はなんか不完全燃焼だったけどまぁいっかー」
小椋「・・・(えへへ、兄貴が笑ってくれた)」
中尾「まだキスの後が消えない・・死にたい・・」ブツブツ
昨日お見舞いにも来てくれた桜木さんが今日は高熱で欠席だそうです・・」
――――――
―――――
―――
風見「さ、皆でお見舞いに行こうか」
赤沢「ゆかりはお母さんもいるし大丈夫じゃ」
望月「昼の間は働いてるんじゃないのかな?」
勅使河原「じゃあ桜木の住所を先生に聞きに行くかあ!」
小椋「私は今日はパスね」
綾野「へ?なんでさ」
小椋「・・・特別な日だから!」ニコッ
杉浦「(中尾の)・・ばーかっ」
中尾「入れ歯の臭い・・臭い・・」ブツブツ
恒一「・・またお見舞い、だね」
鳴「・・だね?」
■終わり
乙
Entry ⇒ 2012.04.23 | Category ⇒ AnotherSS | Comments (0) | Trackbacks (0)
杏「ん、ここは一体……?765プロ?」
http://hayabusa.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1334921569/
杏「(CDが発売したからって外回りで宣伝だなんて……そんなのプロデューサーだけで行けばいいじゃないか!私のスタミナはもう限界だぞ!)」
杏「うう~もうダメ、もう一歩も動けない……こりゃスタミナドリンクでも回復しない……多分」ヘタリ
杏「んん……にしてもここはどこなんだ、本当に……あとお腹もすいた……」ぎゅるる……
杏「お食事処……たるき亭?お腹も減ったけど…お金も無い。上に書いてるのは……765プロ?どっかのプロダクションかな……なんでもいいけどアメなめたい」
杏「ああ~~~早く誰か私にお金を!CDを買った人はいないのか!!」
春香「あの~……大丈夫、ですか?」
春香「あ、えっと、私は天海春香といいます。あなたはもしかして……双葉杏さん?」
杏「私の名前を知っているのですか!?もしやCD買ってくれました!?」バッ!
春香「わっ!ほんとに双葉さんなの!?すごい!はい!買いましたよ~!」パァァァ
杏「おお……ありがとう、ありがとう!私の夢の印税生活へ惜しみない投資をありがとう!」
杏「私のことは杏でいいぞ!見た感じ、歳も近いだろうし!敬語もいらない!」
春香「(み、見た感じ……?)」
春香「じゃ、じゃあ~……杏、ちゃん!」
杏「私も春香って呼ぶ!春香!」
春香「ところで杏ちゃんはこんな所で何してたの?」
杏「そ、その事で実は……もうここからうg」ぐぎゅるぅぅ~~……
杏「……ご覧のとおり、お腹も減ってもうここから一歩も動け……ない」ペタリ
春香「あはは……良かったら、どこかご飯でも食べにいかない?私もお昼ごはんまだだし」
杏「食べたいけど……あと、1ミリも動けない……もうだめだ……おしまいだぁ……」バタン
春香「わーっ!と、とりあえず事務所に!」
春香「あ、起きた?ここ、私が働いてる事務所!いきなり倒れちゃったからびっくりしちゃって」
杏「おお……それはありがとう。ん?765プロ……?」
春香「そう、765プロ!」
杏「ってことは、春香もアイドルなのか!!」
春香「そうだよ~!天海春香、トップアイドル目指してます!なんてね!えへへ」
春香「ここに来る前に杏ちゃんのCD買った所なんだよ~!まさか買ってすぐ本人に会えるなんて思わなかった!ねぇ、握手していい?」
杏「もちろん、私のCDを買ったからその権利はある!」ぐっ
春香「あ、お腹減ってるんだったね。そこのお菓子で良かったら食べて!」
杏「お、おお~~!ありがとう!春香は杏の命の恩人です!」はむっ
春香「あはは……大げさだよー」
杏「んむ……むぐ……うまい!なんだこれは!!」パァァァ
春香「おいしいよね!それを食べると、すごい元気が出るんだ~」
杏「今ならソロでLIVEバトルができるといっても過言じゃないぞ!!あっでもやっぱりめんどくさい」
春香「そういえば、杏ちゃんはここらへんに何しにきてたの?」
杏「ああ、そうそう。実は……」
ガチャッ
美希「あ、春香~!ただいまなの!」
真「ん?そっちの人は……」
春香「あっ!みんな~!おかえり~!」
杏「おお(見たことある顔ぶれな気がしないでもない……)」
真「双葉杏さん、であってるよね?」
杏「双葉杏、一昨日CD発売しました!『あんずのうた』買ってね!」ドヤッ
真「ちょうどよかった!今さっき杏さんを捜してるって人に会って」
杏「んん?救世主、来た!?」
真「渋谷さ~ん!」ガチャッ
凛「杏、こんな所にいたの…… あっごめんなさい、お邪魔します」
杏「おお~、久しぶり」
凛「あ、はい……そういうあなたは、天海春香さん!?」
美希「凛に会えるなんてラッキーだったの!そしたら、なんだか人を捜してたみたいで」
凛「杏……いきなりはぐれたからプロデューサーびっくりしてたんだよ?」
杏「そ、そう……(実はちょっとした気持ちで逃げただなんて今更言えない)」
杏「で、でも!杏はもう働いたからな!もう活動なんてしないぞ!印税で生きる!」
凛「とりあえず一度戻らないと、その印税もプロデューサーのものになっちゃうかもよ?」
杏「はぅっ!それはまずい!」ドタッ
凛「私も、765プロの人たちに会えてすごい嬉しいです」
美希「凛のあの歌、ミキも聴いたの!」
凛「あ、ありがとう……ございます」
杏「春香は凛のCDも買ったの?」
凛「あ、アンタ……呼び捨てでなんて」
春香「あはは、気にしないで!私の事は春香でいいよ~!」
凛「そ、そうですか?え、えと……じゃあ 春香、さん」
春香「さんもいらないよ~!私も、凛ちゃんって呼んでいい?」
凛「は、はい……」ドキドキ
凛「杏、ちょっと失礼すぎるよ!」
凛「(いい?この人たちは今アイドル最前線で活躍してる方たちなのよ)」ボソボソ
凛「(特に天海春香は、ちょっと前はバランスのとれた超ステータスで『鬼春香』なんて呼ばれていたし……)」ボソボソ
杏「なにそれつよそう」
真「あはは……春香も、双葉さんと会ったのはさっき?」
春香「うん!765プロの入り口近くで倒れてる杏ちゃんを見つけて~」
杏「自由!とてもいい言葉!じゃあ戻らなくてもいいかな!ふへへ」
凛「今日がんばったら明日と明後日は休みにしてもいいってプロデューサー言ってたかも」
杏「マジで!?じゃあちゃんと帰ります!……もうちょっと休憩してから」
真「そっちのプロデューサー、双葉さんの扱いを心得てるね……」
美希「もう帰っちゃうの?ミキ、凛ともっとお話したいの!」
真「美希は渋谷さんの事、気に入っちゃったみたいだね」
凛「は、はい……」
杏「ほほう?憧れのメンツに出会って、柄にも無く照れてるんですか?」
凛「う……///」
美希「凛、かわいいの~!」
ガチャリ
貴音「ただいま戻りました……あら?そちらの方は」
杏「(す、すごいオーラ……間違いなく、この人はお嬢様!イコール、お金を持っている!)」
貴音「一昨日、新曲を発売した……渋谷凛 双葉杏 両名ですね。存じております」
凛「覚えていただいて、光栄です」
杏「私のCD買ってくれた?ねえ買ってくれた?」
貴音「二枚ずつ、確保しておきました」
凛「!?」
貴音「ふふ、普段より安めの価格設定によりセット購入を促進させる……そちらには大変利口な策士がいるようですね」
凛「あ、ありがとうございます……」
杏「あのプロデューサーにそんなほめられるほどの手腕があるとは思えないなあ」
凛「帰ったら言うよ、それ」
杏「待って!私の収入がいくらかカットされるかもしれない!やめて!」
杏「やはりプロデューサーの差か……それに比べこっちは、ケータイとPCを常にいじってばかりで……」
凛「なんて失礼な事を聞いてるの……その辺にしときなよ。それにこっちのプロデューサーもちゃんと走り回ってるよ」
杏「私に与えるのは何か得体の知れない特製のドリンクばっかだよ!?杏を金稼ぎの道具としか見てないんじゃない!?」
凛「まあ、私もよく飲むけどね……アレ」
凛「あの星井美希さんが同い年だなんて、すごいです……私なんてまだまだで」
美希「凛~…… 春香を呼び捨てにするなら、ミキも呼び捨てにしてくれなきゃヤなの!」
凛「で、でもそんな」
美希「りーんー!そのお堅い性格をそろそろ崩してあげるの!」ガバッ
凛「きゃあっ、そ、ちょっと、そこは」
凛「ちょ、ちょっと何を」ムズムズ
美希「名前で呼ぶまでやめないの~♪」コチョコチョ
凛「ひゃっ!そ、そこは……やめ、あっん///」
凛「あっ、あっ……も、わかっ、わかったから、やめて美希!」
美希「ふふっ!やっと呼んでくれたの!」
凛「はぁ、はぁ……(あのテレビにも出てる星井美希が、こんな人だったなんて)」
杏「何かに目覚めそう?」
凛「ごほん……そ、そそのかさないで」
春香「本当だ、女の子を連れてる?」
ガチャッ
P「おお、みんな。おつかれ」
春香「お疲れ様ですー!後ろの方たちは……あ!」
楓「みなさん……こんにちは」
かな子「はじめまして~おじゃまします」
莉嘉「おはー☆失礼しまーす!」
春香「プロデューサーさん!これは一体……?」
P「ああ、さっきそこで彼女たちに会ってさ。向こうのプロデューサーもいたんだけど、ちょっと用事で離れてる」
P「彼女たちが765プロのみんなと話がしたいって事だから、近場だし来てもらったんだ」
真「そうだったんですかー!わー、昨日新曲発売したモバプロの面々が勢揃いじゃないですか!」
かな子「わ、私なんて本当に、なんで今回CDのお話が来たのか今でも夢じゃないかって……」
春香「みんなのCD聞いたよー!すごいいい歌ばっかりで、感動しちゃった!」
杏「そうだろうそうだろう」
かな子「ああーっ!このお菓子、あの有名なクッキー屋さんの!?」
P「ああ、小鳥さんが買ってきてくれたものだな」
かな子「わ、私、これすごい好きなんです!」キラキラ
美希「食べてもいいの!」
かな子「ほっほんとですか!それじゃ、いただきま~す……」ハムッ
かな子「……ん~~っ!おいしいふぇす~~~!!」ニコニコ
春香「良い笑顔だね~」
凛「お菓子の話題には目がないんですよ」
莉嘉「終わった後はほぼ確実に泣いてるよね!」
かな子「あぁ!あれはそのぉ……うう……思い出したら恥ずかしい……////」
莉嘉「でも、この柔らかいお腹はかな子だけの武器だよーっ!」
ふにっ
かな子「ひゃぁあっ!な、なな!やめてよぉ莉嘉ちゃ~んっ!!」
莉嘉「うははは!みんなも触っていいですよ~!!」ふにふにゅ
かな子「やぁめっ…てぇ~///」
貴音「愛されているのですね」
凛「いいように遊ばれてる気も……」
真「それだけ喜んでもらったら買ってきた小鳥さんも嬉しがるね」
楓「その、小鳥さんという方は?(かわいい名前……)」
春香「いつも765プロの事務を担当してくれて……私たちを全面的にサポートしてくれる、とても良い人です!」
莉嘉「ふ~ん……トレーナーさんとかプロデューサーみたいな感じかな」
美希「裏方さんにはもったいないプロポーションなの!」
真「言われてみればそうだよね~」
凛「確かに、こっちのトレーナーさんと似通ってるね」
楓「私も……あの人のお着替えシーンを見てしまったので知っています」
かな子「トレーナーさんをプロデュースしたい!って意見をどここから聞いたことあります」
凛「実は、もともとアイドルだったとか?」
杏「そうだったらすごいなあ、よくあんなめんどくさい事やってられるよ……私には絶対にムリ!」
美希「なんだか話を聞いてたら、律子の方が似てると思うの」
ガチャッ
千早「お疲れ様です」
春香「千早ちゃん!今あのモバプロのみんなが来てるよ!」
千早「ええっ? すごい……みなさん、はじめまして。如月千早です」
楓「この方が、『歌姫』……」
莉嘉「………」じーっ
千早「……?ど、どうしました?」
杏「何をブツブツと」
美希「千早の胸を見て言ってるの……」
千早「なっ!」バッ
莉嘉「ま、いいや!アタシまだJCだしね!よろしくおねがいしまーす♪」
春香「あ、あはは……」
千早「なんだか何も言われてないのに負けた気がする……」
貴音「高垣楓……私より背丈が上なのですね」
楓「いえ、貴音さんの方こそ……ほとんど同じぐらい、でしょうか」
春香「近くで見たらすごーい!楓さん、背が高いんですね!スレンダーでカッコいい~」
楓「高いんですね……背が、高いね、貴音……」ブツブツ
春香「えっ?」
楓「いえ……今のはいまいちでした。忘れてください」
春香「????」
……
………
凛「もうこんな時間。そろそろこっちのプロデューサーが来るかな……」
杏「うーん、やっぱり正直帰りたくないかも……ここの雰囲気も悪くない……」ぐだぐだ
かな子「だ、ダメだよ~杏ちゃん!」
プルルルルル
P「はい、もしもし……ええ、はい。わかりました」
P「そっちのプロデューサーさん、すぐそこまで来てるらしい。そろそろお別れの時間かな」
美希「え~!もうお別れなの?」
春香「うん!絶対いこうね!」
真「お互いのプロダクションがそんなに遠く離れてないのもわかったし、会おうと思えばいつでも会えますね!」
貴音「楓……いつか機会があれば、こちらもらぁめん巡りの旅に参りましょう」
楓「旅だなんて、発想がイケメンですね……ラーメンだけに」
凛「千早さん、あなたの強い歌声、どういった練習から出せるものか……興味があるんです。また、色々と教えてください」
千早「私でよければ……」
莉嘉「同じ年代として、あの双子にも会いたかったけど……それはまたでいっか!」
杏「私はなんだか眠くなってきた……」
~~~~~~~~~~~~
モバP「あ、お疲れ様です、どうも」
P「いえ、こちらこそ今日はどうも」
杏「出迎えご苦労。さあ!杏はもうここから一歩も動けない!おぶっていくことを許可しますよプロデューサーさん!」ドヤッ
モバP「あっ、杏、お前なあ……!まあ、それも今日は許してやらんこともない」
凛「何か、いいことでもあったの?」
モバP「そ、それがだな……おち、落ち着いて聞いてくれ!おと、おとと、おとととい発売したみんなのCDについてだだが……」
莉嘉「プロデューサーくん慌てすぎ~!」
かな子「ど、どうしたんですか?まさか、私のCDだけ全く手に取られてないとか……」
モバP「全員まとめて、オリコンデイリートップ10入りしたぞ!!」
かな子「わ、私達のCDが……?」
楓「まとめて?」
莉嘉「トップ10に?」
杏「きたぁあああ!!!!どやっ!!!どやっ!!!こんなもんや!!」ドヤッキリッ
P「おめでとうございます。プロデューサーとしても、こんなに嬉しいことは無いですね」
モバP「ありがとうございます!しかも杏……お前に至ってはトップ3入りしてたぞ!」
杏「マジで!?」
楓「(驚いた時のドラえもんみたいな顔になってる…)」
r "
マジで!? \ _
r-''ニl::::/,ニ二 ーー-- __
.,/: :// o l !/ /o l.}: : : : : : :`:ヽ 、
/:,.-ーl { ゙-"ノノl l. ゙ ‐゙ノノ,,,_: : : : : : : : : :ヽ、
ゝ、,,ヽ /;;;;;;;;;;リ゙‐'ー=" _゛ =、: : : : : : : :ヽ、
/ _________`゙ `'-- ヾ_____--⌒ `-: : : : : : : :
...-''"│ ∧ .ヽ. ________ / ____ ---‐‐‐ーー \: : : : :
! / .ヽ ゙,ゝ、 / ________rー''" ̄''ー、 `、: : :
.l./ V `'''ー-、__/__r-‐''"゛  ̄ ̄ \ ゙l: : :
l .,.. -、、 _ ‐''''''''-、 l !: :
| / .| .! `'、 | l: :
l | .l,,ノ | ! !: :
/ '゙‐'''''ヽ、 .,,,.. -''''''''^^'''-、/ l !: :
r―- ..__l___ `´ l / /: :
\ `゙^''''''―- ..______/_/ /: : :
杏「きた……夢の印税生活……まっしぐら……じゅるり」
凛「杏が違う世界へトリップしちゃった……」
モバP「まあ何だ、凛も杏も楓さんも莉嘉もかな子もおめでとう!今日は俺のおごりでパーっと行くか!」
「「「わーーーい!」」」
杏「ふふ……これが杏の実力よ。その気になれば世界進出、ハリウッドへだっていけちゃうね」
凛「それって映画のジャンルじゃない」
かな子「わー、私、バイキングとか行きたいなー……楓さんは何食べたいです?」
楓「らぁめんとかで適当に、よしなに」
莉嘉「あのお嬢様のうつってるよ……!」
モバP「そうだな……特に杏、ちょっとこっちへ来てくれ」
杏「ん?何かな?今ならな~んでも聞いちゃうかもしれないこともないよ?」
杏「ふふふ……もっとほめてくれてもいいんだよ?言っとくけど全力出せば1位も可能だと思う杏だお?」
モバP「そこでだ、俺からプレゼントを用意したんだ」
杏「マジですか!気が利くぅ!!プロデューサーさんかっくい~!」
モバP「さあ、この箱をあけてくれ」キリッ
杏「えへへ……なになに?」グッ
モバP「スタミナドリンクだ」
杏「 」
モバP「ふふっ、俺の後ろにある箱全てに同じものが入ってある。全て杏のものだぞ」ドヤ
杏「 」
モバP「いやぁ……辛かったな。今までよくがんばったが、これからが本番だぞ、杏!俺と一緒にがんばろう」キリッ
杏「あ…がが……」
モバP「杏のCDの売上、昨日と今日の分のおおよその収入も計算して全て替えてあるぞ!あと、今までの杏の分の頑張りや、俺からの感謝の意も込めてエナドリもあるかr
杏「ふ……ふざけるなぁぁああああああああ!!!111」
おわり
あんずのうたはみんなで歌うのに最適やで
印税入ったらためらわず引退するキャラだから仕方ないな
モバマスのキャラはかわいいよな
Entry ⇒ 2012.04.23 | Category ⇒ アイマスSS | Comments (0) | Trackbacks (0)
綾乃「と、歳納京子が誘い受けのレズビッチだって噂が流れてるわ!」
http://hayabusa.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1335013619/
綾乃「ええ、残念だけど本当なのよ……」
結衣「そ、そっか……京子は知ってるのかな、その噂」
綾乃「……まだ知らないと思うけど、知ったら落ち込むわよね」
結衣「そうだな……」
京子「おっはよー!」ガラッ
結衣「きょ、京子、おはよ」
綾乃「と、歳納京子、おはよう」
京子「どったの、2人とも、変な顔しちゃって」
京子「んー?」
綾乃「あの、例の噂の事は知ってる?」
京子「例の?……あー、私がレズビッチだって言う、あれ?」
綾乃「し、知ってたのね、歳納京子……」
結衣「あ、あのさ、私達は京子がそう言うのじゃないって知ってるから、あの、あんまり気にしない方が……」
京子「いやあ、参っちゃうよね、やっぱりそういうのって滲み出ちゃうもんなんだ///」
綾乃「……え」
結衣「え……」
結衣「お、おい、京子、お前」
綾乃「ほ、本当にレズビッチなの!?歳納京子!?」
京子「うん、まあレズビッチだと言っても過言ではないと思うよ?」
結衣「……!」
綾乃「……!」
ザワザワ
綾乃(はっ!しまった、つい大きな声で話題にしちゃった!)
結衣(クラスの皆の目が私達に……)
モブB「ちょっとビックリ~」ボソボソ
モブC「ちょ、京子さんこっち見てるわよっ」ボソボソ
京子「……」ニコ
モブA「うわ、笑いかけられちゃった、どうする?誘われちゃったらどうする?」
モブB「わ、私は別にとしのんなら良いかなって、ほら、としのん、可愛いし///」
モブA「え、あ、あなたそうだったの!?」
モブC「じ、実は私も、あの、京子さんってほら無邪気だし、清潔感あるし、別にいいかなって///」
モブA「え、え、じゃあ私だって!」
結衣「……という事があったんだよ」
ちなつ「きょ、京子先輩、レズビッチだったんですか?」
京子「うん!」
ちなつ(く、屈託なく応えよった……)
あかり「……」
京子「ん、どったのあかり?」
あかり「あ、いや、あの……京子ちゃん、レズビッチってなあに?」
京子「えー、あかり知らないの?レズビッチって言うのは……」
結衣「お、おい、京子、あかりに変な事を教えるなよ!」
京子「ロシア風の美人って言う意味なんだよ」
結衣「え……」
ちなつ「……え」
京子「えへへ///」
結衣「きょ、京子?」
京子「ん?結衣もレズビッチであるこの私に何か質問あるの?」
結衣「レズビッチは……あの、ロシア風美人って言う意味じゃないぞ?」
京子「は?」
結衣「レズビッチって言うのは、その……」
ちなつ「『女の子となら誰とでも気軽に性的関係を結んじゃう子』って意味ですよ、京子先輩」
京子「……え」
あかり「え……」
京子「え、だ、だって、ほらロシアでは○○ビッチって名前が良くあるじゃん!」
京子「それに前にネットで美人さんがたくさん載ってるサイトを見たことあるんだけど、その項目が『レズ』だったもん!」
結衣「な、なんてサイトを見てるんだよ京子///」
ちなつ「……まあ、京子先輩の勘違いは置いておくとして……教室で公言しちゃったのはまずかったかもしれませんね……」
ちなつ「多分、今頃凄い勢いで噂が回ってると思いますよ?」
京子「う、ううっ、ねえ、結衣、本当に『女の子となら誰とでも気軽に性的関係を結んじゃう子』って意味なの?」
結衣「うん」
京子「うああああ、わたし、みんなにそんな目で見られてたのかあ」ゴロンゴロン
あかり「きょ、京子ちゃん、落ち着いて……」
結衣「きょ、京子、そんなに落ち込まないでよ……大丈夫、人のうわさも40日って言うしさ」
京子「……うん」ムクッ
結衣「1カ月と少し、大人しくしておけばきっとみんなだって……」
京子「……み、みんな、忘れてくれるかな?」
結衣「うん……だから、ほら、そんなに落ち込まないで」ナデナデ
京子「うう……あ、ありがと、ゆいぃ」ウルッ
結衣「……!」
結衣(うう、涙目になった京子、可愛い……まるで『抱きしめてください』って言ってるみたいな顔だ……)
結衣(けど駄目だ、京子の噂が消えるまでは私も我慢しないと……!)
~2-5教室~
京子「うう、教室入るの、嫌だなあ」プルプル
結衣「京子、こんな所で立ち止まってても仕方ないだろ、ほら、私がついてるからさ」
京子「う、うん……あ、あの、結衣?」
結衣「ん?」
京子「手、繋いで、いいかな……?」ウルッ
結衣「きょ、京子……」
結衣(京子が上目づかいで懇願してくれてる……凄く可愛い)
結衣(こんな京子のお願いを断るなんてできないよね……)
結衣「も、もう、しょうがないなあ、京子は///」ギュ
京子「あ、ありがと、結衣」パァ
結衣「い、何時もの事だよ……ほら、教室はいるぞ///」
京子「うん!」
結衣(あれ、わたし、何か忘れてるような)
ザワザワ
モブA「ちょ、歳納さんと船見さん、手を繋いで教室に」ボソボソ
モブB「やっぱり、朝からえっちな事してたのかな///」ボソボソ
モブC「昨日のは冗談かなとも思ったけど、これは本当にガチなのかもっ」ボソボソ
結衣(し、しまった、京子の可愛さのあまり、例の噂の事忘れてた!)
京子「ゆ、ゆいぃ……」ギュ
結衣「……京子、放して」パシッ
京子「ふえ……?」
結衣「子供じゃないんだから、一人で机まで行けるでしょ」
京子「ゆい……?」ウルッ
結衣「……!」
結衣「私は先に机に行くから」スタスタ
京子「あ、あ、待ってよ、ゆいぃっ」タタタッ
結衣(ごめんね、京子、噂が消えるまでだから、ごめんね……)
綾乃「と、歳納京子、船見さん、おはよう」
結衣「おはよ、綾乃」
京子「あ、あやのぉ」ウルッ
綾乃「……!」
綾乃(誘い受けのレズビッチな歳納京子が私を涙目で見てる……)
綾乃(……え、こ、これって、も、もしかして、わたし、誘われてる!?)
綾乃(私誘われてるの!?歳納京子に誘われてるの!?)
京子「……」ウルウル
綾乃「ま、まって、駄目よ歳納京子!こ、こんな所で、そんな///」
京子「ふえ?」
綾乃「け、けど、歳納京子がどうしてもっていうなら、あの、放課後……ね?///」
京子(そ、そっか、こんな所で変な話題出したら火に油だもんね、放課後にじっくり話を聞いてくれるって事かな)
京子(あやの、優しいなあ……)ウルッ
綾乃「……!」
綾乃(うあ、歳納京子、潤んだ瞳で私を見てくれてるっ)
綾乃(こ、これって誘われてるのよね、私を求めてくれてるのよねっ)
綾乃(放課後、歳納京子と、歳納京子とっ///)カーッ
京子「ゆ、結衣?あの、一緒にご飯を……」
結衣「ごめん、私、ちょっと用事があるから……」スッ
京子「あ……」
結衣(ごめんよ、京子、ごめんよ……)
京子「……綾乃と千歳も生徒会室に行っちゃったし……」
京子「今日は一人でご飯か……」
ザワザワザワ
京子(……何だかみんなが私のことを話題にしてる気がする)キョロキョロ
京子(わ、私をレズビッチだって目で見てる気がする……)プルプル
京子(うう、居心地が悪いよ……別のところでお昼休み過ごそっと……)トテテ
モブA「い、今、教室から出ていく歳納さんとちょっと目があったわっ」
モブB「ちょっと怯えたような目線だったけど、あれって誘い受けなのかな、私たち、としのんに誘われたのかなっ」
モブC「ちょ、ちょっと気になるし、わ、私たちも行ってみようよ!」
いいぞどんどんやれ
京子「ふう……落ち着くなあ」ユッタリ
京子「ご飯も食べちゃったし、午後の授業が始まるまで寝てよっと……」ゴロリ
京子「……」
京子「……」zzz
………
……
…
としのん、寝てるね
京子「う、ううーん……」ゴロンッ
と、としのん、スカートめくれちゃってるよぉ……
……こ、これは誘ってるんじゃないかな
うん、そうだよね、歳納さん誘ってるよね
としのん誘ってるのかあ……
京子(マシュマロかな……)ハムッ
京子(ちょっと濡れてるし、マシュマロじゃないや、フルーツっぽい)ペロペロ
京子(んー、何か体がくすぐったいよお、だれ、体くすぐってるの)
京子(眠いんだから、邪魔しないでよぉ)ゴロン
京子(あ、何か柔らかい物が腕の中に)
京子(何か抱き心地いいな……)ギューッ
京子(抱き枕かな、そうだ、抱き枕だよ、いい匂いするし)スリスリ
京子(だれ、髪触ってるの……まあ髪はいいか、触られるの好きだし)
京子(何かちょっと、寒いなあ、体がスースーする……)
ヘックチッ
京子(あれ、何かに包まれてあったかくなった)
京子(あったかいし、いい匂いだし、きもちいいな……)スリスリ
京子(ちょっとくすぐったいけど、それくらい我慢しよっと……)zzz
ピピピピピピ
京子「ふあ……」
京子「ん、んん……良く寝た……何か気持ちいい夢見てたなあ」ノビーッ
モブA「お、おはよう、歳納さん///」
京子「あれ、モブ子ちゃん達、どったのこんな所で」キョトン
モブB「あ、あはは、としのんがやってる部活、ちょっと見学しようかなって///」
京子「あ、そだったの?起こしてくれれば良かったのに~」
モブC「い、いや、京子さんすごく気持ちよさそうに寝てたし、その、起こすの可哀そうかなって///」
京子(あ、そ、そうだ、この子達、私のことどう思ってるんだろ)
京子(レズビッチだと思って気持ち悪がってるんじゃ……)
京子「あ、あの……私たち、ともだち、でしょ?」ミアゲ
モブABC「「「!!!!」」」ドキーン
モブB「けど、けどセックスって言うほどの事はしてないし、撫でてあげて一緒に横になっただけだし///」ボソボソ
モブC「き、キスしてたでしょあんた///」ボソボソ
モブB「そ、そういうあなただって、としのんに抱きしめられてたじゃん///」ボソボソ
京子「……と、友達、だよね?」ウルッ
モブB「う、うん、勿論友達だよ!としのんと私たちは友達だよ///」
モブAC「「うんうん!」」
京子「そ、そっか……うん、ありがと!」ニコ
モブABC「「「うあ……」」」キュン
京子(わたし一人で怖がって……何だか恥ずかしいな)
京子(よし、もう気なしないようにしようっと!)
京子「じゃあ、今日はもう教室にかえろっか?授業始まっちゃうよ~!」
モブA「そ、そうね、歳納さん、今日はもう///」
モブB「えへへ、なんだかとしのんとグーっと親しくなれてうれしいよ///」
モブC「京子さん、腕組んで行こうよ///」
京子「おう!」
綾乃(よ、横になってる歳納京子をクラスの子達が弄り回してたっ///)
綾乃(やっぱり、やっぱり歳納京子って、冗談とかじゃなくて本当にレズビッチだったのね……)
綾乃(と、歳納京子が、レズビッチ……)
綾乃「……」ムラムラ
綾乃「だ、駄目よ!そんな、誰にでも体を許すなんて!」
綾乃「生徒会副会長であるこの私が、あの、矯正してあげないとっ///」
京子「あーやの!」
綾乃「と、歳納京子……」
京子「あのねっ、わたしねっ!」
綾乃「……こ、ここじゃなんだから、生徒会室に行きましょう///」
京子「えー、綾乃、気にしすぎだよ?ここでいいじゃん」
綾乃「え……」
京子「私、判ったんだ、クラスのみんなはそんなに気にしないって」
綾乃「え、え、ええー!?」
京子「だから、あの件はもう置いておいて……今日の放課後は楽しいことしようよ!」
綾乃「た、楽しい事///」
綾乃(楽しい事って、えっちな事よね///)
綾乃(教室でえっちな事をしてもみんな気にしないくらいクラスの子達は歳納京子とえっちな事をしまくってるっていうの!?)
京子「ん?なに?」
綾乃「あ、貴女が気にしなくても私が気にするのっ///」
綾乃「お願いだから、あの、生徒会室で、ね?///」
京子「綾乃は真面目だなあ」
綾乃「い、いいからいらっしゃいっ!」
京子「はい!」
京子「おおー!プリンあるじゃん!綾乃プリン食べてもいい!?」
綾乃「……い、いいわよ」
京子「ありがと!綾乃大好き♪」
綾乃「……」
京子「どったの、綾乃」
綾乃「あの……歳納京子、そういう事を誰にでも言うのは、あまり感心しないわ」
京子「え……?」
京子(綾乃、何を言ってるんだろ……あ、プリンの事かな)
京子「私は子供のころから興味持ってたよ?大好きだったし」
綾乃「なっ///」
京子「特に口に含んだ時の感触とかが好きかなあ」
綾乃「と、歳納京子……」
京子「綾乃も、好きでしょ?」
綾乃「……!」
京子「もしかして、私に遠慮して、我慢してるの?」
綾乃(歳納京子が、身を乗り出して、近づいて、こんなに露骨に私を誘って……)
京子「遠慮とかしなくていいんだよ?」
綾乃(プリンを食べてるからかしら、歳納京子の唇、凄くぷるぷるしてる……)
綾乃(すごく、すごくおいしそう……)
京子「食べさせてあげよっか?」
綾乃「……!」
京子「綾乃、ほら、おくちをあけて?」
綾乃(と、としのう、きょうこっ///)
京子「ね?」
綾乃(あ、だめ、もう我慢できないっ///)
チュッ
綾乃「……んっ……ちゅっ……」チュッチュッ
京子「あ、あやっ……んっ」
綾乃「…………ちゅっ………んちゅ」チュッチュッ
京子「や、やあっ……んあっ……」
綾乃(歳納京子の唇、柔らかい……)
京子「……!」ビクッ
綾乃(歳納京子の口の中、凄く美味しい……美味しい……)ペロッペロッ
京子「んっ……んぐっ……///」
綾乃「……ぷはっ」
京子「はあ……はぁ……あ、あやの、な、なんで……」ウルッ
綾乃「……歳納京子、首に……」
京子「ふえ……」
綾乃「キスマーク、ついてるわ……」
京子「あ、あやの?」
綾乃「そう、さっきのクラスメイト達にキスマークつけてもらったのね……」
京子「な、なに言ってるの、どうして、こんなこと……」オロオロ
綾乃「としのうきょうこ……」ガッ
京子「え……」
綾乃「……んっ」チューッ
京子「んんっ///」
京子「やっ、首がくすぐったいよ綾乃っ///」
綾乃「ここにも、ここにもあるわ、キスマーク、全部、全部私が上書きしてあげる、としのうきょうこっ」チュッチュッ
京子「あ、あやの、ほんとにどうしちゃったのっ///」ブンブンッ
綾乃「だって、だって歳納京子が私を誘うから、わたしだって我慢しようとしたのにっ」
京子「ふえ、わ、わたし、誘ってなんてっ///」
綾乃「としのうきょうこっ!」ギュッギュッチュー
京子「あふん///」
京子(い、いっぱい気持ち良くて、あたまがまっしろになって、なにもかんがえられないよぉ……)
京子「あ、あや、の……」
綾乃「と、としのうきょうこ、だいすき、だいすきなのっ」ギュゥッ
京子「ふえ?」
綾乃「ずっと、ずっとだいすきだったのっいちねんのころから、ずっと!ずっとこうしたくて、けど我慢してっ」
京子「あやの……」
京子(わたし、全然気づいてあげられなかった……)
京子(あやのがこんな事しちゃうくらい思いつめてたのに……)
京子(私の、鈍感……)
京子(えっちなことされちゃうのは、恥ずかしいけど……)
京子(……こんな私なんかのことを好きでいてくれるのなら、恥ずかしいのくらい、我慢しよう……)
………
……
…
京子「……」ポーッ
綾乃「あ、あの、歳納京子、だいじょうぶ?」
京子「あ、う、うん、だいじょうぶ……きもちよくて、ちょっとボーっとしちゃってた……」
綾乃「……そ、そう、気持ち良くなってて、くれたのね……良かった」ホッ
京子(あやの、わたしに気持ち良くなってほしくて、がんばってたんだ……)
京子(何だか嬉しいな……)
京子(優しくて可愛い綾乃は好きだけど、これって恋愛感情なのかな……)
京子(……色々あり過ぎて、気持ちが、整理できないや……)
京子(こんな精神状態じゃ、綾乃にちゃんと返事なんてできないよ……)
綾乃(と、歳納京子の身体、凄く柔らかくて、いい匂いで……ついつい貪るように味わっちゃった……)
綾乃(いけないのは、わかってるけど、くせになっちゃいそう……)
綾乃「は、はいっ!」ビクッ
京子「えっと……さっきのこと、だけど……」
綾乃「え?」
綾乃(さっきの事って、あの、えっちな事かしら……)
綾乃「そ、そうなの、いっぱいいっぱいなの……」ショボン
綾乃(そうよね、歳納京子、クラスの子たちにも人気あるみたいだし……私の相手なんてもうできないわよね……)
綾乃(い、いやいや、違うわよ!残念がってる場合じゃなくて!)
綾乃(今回は勢いでえっちな事しちゃったけど、私は本来、風紀を守る立場なんだからっ……)
京子「また、今度二人っきりになれた時に……でいいかな?」モジモジ
綾乃「……!」ドキーンッ
京子「そ、そっか……ありがと、綾乃は、やっぱり優しいね」ニコ
綾乃「///」キュンキュン
綾乃(こ、こんな可愛い歳納京子がレズビッチだなんて……)ドキドキ
綾乃(けど、けど私をいっぱい愛を注いであげれば、いつかは私だけを見てくれるようになるかも……)ドキドキ
綾乃(そ、そのときまで、がんばろう!)ドキドキ
京子「じゃ!あやの!生徒会頑張ってね~♪」ブンブン
綾乃「あ、ありがと、歳納京子、頑張るわ!」ブンブン
京子「モブ子ちゃん達も部活頑張ってね~♪」ブンブン
モブA「歳納さんも、娯楽部頑張って下さいっ///」ブンブン
モブB「としのーん!あいしてるー!」ブンブン
モブC「京子さーん♪」ブンブンブン
京子「えへへ、今日一日で、みんなといっぱい親しくなっちゃった♪」
京子「よーそろー!」ガラッ
ちなつ「こんにちわ、京子先輩」
あかり「京子ちゃん、こんにちわぁ」
京子「あ、あれ、結衣は?」
ちなつ「結衣先輩は用事があるって言って帰られましたよ?」
京子「そ、そっか……」ガックリ
京子(結局、今日は結衣と殆ど一緒に居られなかった……)
京子(何か、凄く辛い……)ショボン
ちなつ(結衣先輩の様子もちょっとおかしかったし……)
ちなつ(放置しておいたら娯楽部の空気がおかしくなりそう……それはやだな)
ちなつ(……しかたない、今日くらいは、京子先輩に優しくしてあげよっか)
京子「……」ショボン
ちなつ「……京子先輩、ちょっとこっち来てください」
京子「ふえ?」
ちなつ「はやく」
京子「は、はい!」
ちなつ「……」スッ
京子「><」ビクッ
ちなつ「……」ギュッ
京子「え……」
京子(え、あ、あれ、わたし、ちなつちゃんに抱っこされて……)
ちなつ「大丈夫ですよ、京子先輩」ナデナデ
京子「あっ……」
ちなつ「結衣先輩やあかりちゃんや……そ、それと、まあ、ついでに私も」
ちなつ「京子先輩がレズビッチじゃないって、ちゃーんと判ってるんですから」
京子「ち、ちなつちゃん……」ポー
ちなつ「ね?」
京子「う、うん、ありがと、ちなつちゃん、すき」
ちなつ「……す、好きは余計ですって」プイッ
ちなつ「うっ……」
ちなつ(間近で見ると京子先輩可愛いなあ……)
ちなつ(いい匂いがするし……)
京子「ちなつちゃん、今日は優しいよね……」
ちなつ「今日だけ、今日だけですよ、もう……」ナデナデ
京子「うん、今日だけでもうれしい!」
あかり「……」ジーッ
あかり(京子ちゃんも嬉しそうにそれを受け入れてる)
あかり(これって、性的関係なのかな、えっちな関係なのかな……)
あかり(京子ちゃんって、わりと誰にでも抱きついて行くし……)
あかり(もしかして、京子ちゃん、本当にレズビッチなんじゃ……)
あかり(……けど)
ちなつ「ちょ、それ以上やったら怒りますよ!京子先輩!」ガー
京子「もー、ケチー!」
あかり(京子ちゃんが楽しそうにしてるから、別に悪い事じゃないよね)
あかり(悪い事じゃ、無いよね……)
京子「いつもミラクル~♪」
あかり「京子ちゃん、ごきげんだねぇ」
京子「うん!ちなつちゃんにすごーく優しくして貰ったしね!」
京子「それだけじゃなくてね、クラスの子達ともね、今まで以上に仲良くなれたの!」
あかり「そっかぁ……」
京子「あんな噂が流れて一時はどうなる事かと思ったけど」
京子「やっぱり、みんなは本当の私をちゃーんと見てくれてるんだなって、そう思うと嬉しくって!」
あかり「……うん、京子ちゃんが元気になって、あかりも嬉しい!」
京子「そっかそっか!あかりも喜んでくれるかぁー!」ナデナデー
あかり「あっ///」
京子「ん?あかり、どったの?顔が赤いよ?」スッ
あかり「え、な、なんでもないよ、京子ちゃんっ///」プイッ
あかり(うう、どうしたんだろ、前に京子ちゃんになでなでして貰った時は、嬉しかったけどこんなにドキドキはしなかったのに///)
あかり(京子ちゃんがレズビッチだって判ったから、かな……)
あかり(駄目だよ、そんな事で京子ちゃんへの反応変えちゃ、そんなのは悪い子だよ……)
京子(うーん、あかりも、何か悩み事があるのかな……)
京子(あかりは、誰かに弱音を吐くような子じゃないからな……)
京子(幼馴染である私が、ちゃんとあかりの悩みを引きだして受け止めてあげないと!)
あかり「な、なに、京子ちゃん」
京子「あかりはね、もっと我儘で居てもいいと思うんだ」
あかり「わがままでも……いい……」
京子「うん、私も、結衣も、ちなつさちゃんもさ、あかりの悩みなら何でも受け止めるから」
あかり「京子ちゃん……」
京子「だから、もっと正直になって?」
あかり「……!」ドキッ
あかり(けど、けどそんなの、悪いことだし……)
京子(あかり、迷ってる……もう一息で、悩み事を告白してくれるかな……)
京子(よし、さっきはちなつちゃんから抱っこして貰ったから、今度は私が……!)
京子「あーかーりっ」ギュッ
あかり「……!」ビクッ
あかり「きょ、京子ちゃん、だめだよぉ、すりすりしちゃ……」
京子「どうして?」
あかり「だって、お風呂入ってないし……きたないよ……」
京子「汚くなんて、ないよ」
あかり「そ、そんなことないよ、だって今日、体育があったし……」
京子「……もしあかりに、汚い部分があったとしても、私は、それをちゃんと受け止められるから」
あかり「きょうこちゃん……」
京子「だから、ね?」ギュッ
あかり「……う、うん」ポー
京子「ほら、正直に……」ナデナデ
あかり「正直に……」ポー
京子「あかりの、なやみごとを、解放して……?」
あかり「……うん」ポー
あかり「……あのね、あかりね」ポー
あかり「あかりね……」スーッ
京子「あかり?」
チューッ
京子「……ふあ!?」
あかり「……あのね、さっきレズビッチな京子ちゃんとちなつちゃんがひっついてるのを見て」
あかり「あかりも京子ちゃんとくっつきたいなって思っちゃってたの……」
京子「あ、あかり、かお、ちかいよ……///」
あかり「いけないことだって、思ってたの……だって、あかりと京子ちゃんは、幼馴染だし……」
京子「あ、あかり……///」
あかり「けど、けど京子ちゃんが全部受け止めてくれるなら……あかりは、あかりは……」グイッ
京子「あっ……」
チュッチュッ
京子(幼馴染で、何時も私を元気づけてくれて、子供っぽくて可愛いあかりが///)
あかり「……ぷはっ」
京子「ぷはっ……///」
あかり「……」
京子「う、うう///」
あかり「……京子ちゃん、公園、いこっか……」
京子「え、ちょ、あ、あかり、ひっぱらないでっ……」フラフラ
京子「ふえ?」
あかり「ほら、あかり達が遊んでた頃と全然変わってないよ、この公園!」ニコ
京子「う、うん、そうだね……」
京子(あれ、あかり、何時もと一緒のあかりだ……)
京子(さっきのキスは、なんだったのかな……)
京子「……」
あかり「わーい♪」トテトテ
京子(あ、そっか、友達のキスだ、親愛のキスだ、ちなつちゃんがあかりちゃんにやってた、あれだ)
京子(そんな想像を一瞬でもしちゃってた自分が恥ずかしい///)
あかり「京子ちゃん?」
京子「うわわっ!?」
あかり「え、ど、どうしたの京子ちゃん?」
京子「あ、あはは、何でも無いよ、あかり///」
あかり「もう、変な京子ちゃん!」クスクス
京子「あ……」
京子(あかり、笑ってくれた)
京子(良く判らないけど、悩み事は解消できたのかな?)
京子(私の言葉が役に立ったのならいいんだけど……)
あかり「京子ちゃん!ブランコ乗ろー!」
京子「……うん!」
京子「あかり、楽しかった?」
あかり「うん!」ニコ
京子「そっか……良かった……」
あかり「……こうやって、遊具であそんでると、小さい頃の事を思い出すよねぇ」
京子「うん……」
あかり「あの頃の京子ちゃんは、凄く泣き虫だったよね」クスクス
京子「うん、良くあかりに慰めて貰ってたねえ……」
あかり「……京子ちゃん」スッ
京子「あかり……?」
あかり「あかりね、多分、あの頃から……」
京子「あ、あかり……どうしたの……」ドキドキ
あかり「欲しいって、思ってたんだと思うの……」
京子「ほ、欲しいって……なにを?」ドキドキ
あかり「かよわくて、なきむしで、とっても小さい、可愛い子を……」
あかり「あかりの物にしちゃいたいって……思ってたの」
京子「え、え、そ、それって……」ドキドキ
あかり「京子ちゃんの事だよ……」グイッ
京子「……!」ドキーンッ
あかり「小さい頃の京子ちゃんに戻ってほしかったから……」
京子「小さい頃の、私に……?」
あかり「そう……さっきは、中学生になった京子ちゃんの唇を貰えたから……」
あかり「こんどは、小さい頃の京子ちゃんの唇が欲しいなって……」
京子「え、そ、そんなの……無理だよ……?」
あかり「大丈夫だよ……魔法の言葉を使えば、それが出来るから……」
京子「まほうのことば……」
京子「え……?」
あかり「それが魔法の言葉だから……ね?」
京子「あ、あかり、ちゃん……?」
あかり「……きょうこちゃん」
京子「……あかり、ちゃん」
あかり「きょうこ、ちゃん」チュッ
京子「あっ///」
あかり「ほら、きょうこちゃん、もっと、もっとあかりを呼んで……」チュッ
京子「ふぁっ、あ、あかり、ちゃん……///」
あかり「きょうこちゃん……だいすき」チュッ
あかり「大丈夫だよ、きょうこちゃんに汚いところなんて、無いから……」チュッ
京子「ひゃんっ///」ビクッ
あかり「もしきょうこちゃんに、汚い部分があったとしても、あかりは、それをちゃんと受け止められるから……」チュッ
京子「あ、あかりちゃん……あかりちゃんっ///」フルフル
あかり「ほら、きょうこちゃん、小さい頃のきょうこちゃんに、もどったでしょ?」
京子「……!」
あかり「……泣かなくても、大丈夫、京子ちゃんの心が小さい頃のきょうこちゃんに戻っても」
あかり「ちゃんとあかりが守ってあげるから、ね?」チュッ
京子「ほ、ほんと?」
あかり「うん」ニコ
京子「あ、ありがとう、あかりちゃん///」
あかり「そのかわり、ね?もう少し、おいしゃさんごっこ、続けよ?」
京子「あっ……んっ……お、おいしゃさん、んあっ、ごっこ……?」
あかり「そう、おいしゃさんごっこ……」チュッ
京子「う、うん、わたし、おいしゃさんごっこ、する///」
あかり「本当に、京子ちゃんは良い子だよねえ……」ペロッ
京子「ひゃんっ///」
その日、京子とあかりは自宅に帰らず、ずっと公園で過ごした
時は流れて、一ヶ月後……
結衣「そろそろ、いいよね、京子がレズビッチだっていう噂も薄まってるはずだし」
結衣「……正直、私も京子断ちの禁断症状で手の震えが出てきてる状態だし……」プルプル
結衣「多分、京子も似たような感じのはず……」
結衣「久しぶりに声をかけてあげたら、京子、凄く喜ぶだろうなあ……」
結衣「そ、そうしたら、今日は前みたいに私の部屋に泊めてあげて……」
結衣「あ、熱い夜を……、うふふふ///」
結衣「……と、駄目だ駄目だ、こんな事を表に出してたらまた京子に変なうわさが建っちゃう」
結衣「京子は、私が守ってあげないとね……」
結衣「きょおこ~、久しぶりに私の部屋に泊りに……」ガラッ
モブA「歳納さん、今日も可愛い声聞かせて……」サワサワ
モブB「としのん、としのん……」スリスリ
モブC「京子さぁんっ」ギューッ
京子「んんっ、やっ、だ、だめだって、そ、そんなとこっ///」
あかり「京子ちゃん、こんなに顔を真っ赤にして……」チュッ
綾乃「歳納京子の髪、何時も綺麗……」クンクン
京子「ふあっ、せ、せめて、順番に、ね、お願いっ///」
ちなつ「……」ウズウズ
京子「ち、ちなつちゃん、た、たすけてっ///」
ちなつ「も、もう!しょうがないですね!今回だけですよっ///」
京子「え、え、ちなつちゃん、どうして靴下脱がすの?」
ちなつ「え、京子先輩暑いから最後に残った靴下を脱ぎたいんじゃないんですか?」
京子「ち、ちがっ///」
結衣「京子がレズビッチになった!」
眠いから完
乙りん
まぁ乙
お前らレズやら誘い受けやらに興奮しやがって乙
Entry ⇒ 2012.04.23 | Category ⇒ ゆるゆりSS | Comments (0) | Trackbacks (0)
恒一「クラスメイトがお漏らしする現象!?」
http://hayabusa.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1333811357/
赤沢「26年前、この夜見山北中学校3年3組でお漏らしをした生徒がいたの」
恒一「は?」
赤沢「でもね、お漏らしした生徒のクラスメイト達が次々にこう言ったの」
赤沢「『彼はお漏らしなどしていない』ってね」
恒一「逆に辛いことだったと思うよ」
赤沢「その年を境に3組には不思議な現象が起きるようになったの」
恒一「まさかそれが…」
赤沢「えぇ…お漏らし現象よ」
赤沢「毎月何人かの生徒と家族がお漏らしをすることになるの」
恒一「家族もお漏らしを!?」
赤沢「ほらこの前ゆかりのお母さんが…」
恒一「ああ…そうだったね」
勅使河原「テスト中に…いきなりだったな」
先生『桜木!お前のお母さんが道路でお漏らしをしたそうだ!』
赤沢「それに驚いてゆかりも…お漏らしを…」
勅使河原「水野のお姉さんもそうだ」
勅使河原「気の毒にも…仕事中だったそうだ…」
恒一「ナース×お漏らしはかなりマニアックだったよね」
赤沢「無くもないわ」
赤沢「私たちはそのための対策係なのよ!」
勅使河原「裏ではパンパーズって呼ばれてるんだぜ」ヒソヒソ
恒一(酷いクラスだ…)
恒一「具体的に対策って何をするの?」
赤沢「それは…前もって1人の生徒をお漏らしした者として扱うのよ」
赤沢「こうすることによって現象を抑えることが出来るかもしれないの」
鳴「それが私…」ゴゴゴゴゴ
恒一(本当に酷いクラスだ…)
勅使河原「き、気持ちは分かるぜ」
鳴「あなたたちに何が分かるって言うの?」
鳴「お漏らしてもいないのにお漏らし扱いされる気分が」
鳴「役に徹しないといけないから否定も出来ないし…」
鳴「苦悶の日々だったわ」
恒一「可哀想に…」
恒一「見崎はお漏らした者として扱われていたんだろ?」
鳴「あ?」
勅使河原「おちつけ」
恒一「でも…現象は起こってしまっているじゃないか」
勅使河原「それはだなサカキ、お前の責任でもあるんだ」
恒一「え?何で?」
勅使河原「お前、見崎をお漏らし扱いしなかっただろ」
鳴「実際にしてないのにっ…!」
勅使河原「全部が全部じゃないが…まあお前のせいだ、サカキ」
恒一「転校してそうそう出来ることじゃないだろ!」
赤沢「確かに事前に言わなかった私たちも悪いわね」
赤沢「ごめんなさい恒一くん」
恒一「謝るのはそれ以外もあるでしょ?」
赤沢「?」
恒一「その後に僕をお漏らしした者にしたことだよ!」バン!
赤沢「恒一くんが見崎さんをお漏らしした者として扱わなかったから…」
恒一「だからってあんまりだよ!」
恒一「転校してきて日も浅いうちにお漏らし野郎ってからかわれたんだよ!」
恒一「どこぞの対策係のミスのせいでね!」
赤沢「わ、私だって色々考えたのよ!」
赤沢「見崎さんが恒一君の前でワザとお漏らしするの」
赤沢「そうしたら恒一君は見崎さんをお漏らしした女として扱わざるをえないでしょ?」
鳴「ふざけんなこのパンパーズ」
赤沢「何だと!」
鳴「頭下げられてお漏らしする女子中学生がいると思うの?」
勅使河原「ごもっともだ」
赤沢「な、何よこのお漏らし女!」キッ
鳴「お漏らししていない言ってるじゃない…」ゴゴゴゴゴ
風見「大変だー!高林が漏らしたぞー!」
勅使河原「あらら…出番だぞ対策係」
赤沢「分かったわよ!掃除すればいいんでしょ掃除すれば!」
見崎「今日もご苦労様です^^」
恒一「見崎が…笑ってる…」
恒一「見崎の別荘も近かったため彼女も交えてワイワイ遊びました」
恒一「現象から解放された俺たちは存分に海を満喫しました」
恒一「ですが事件は起こってしまったのです…」
中尾「まかせろー」
~~~
千曳「つまり中尾くんは流されたビーチボールを取りに行ったところで…漏らしたと…」
恒一「そうです先生…呪いは、現象は夜見山でしか起こらないんじゃないのですか!?」
勅使河原「こんな…こんなのってありかよ」
千曳「いや…そうでもないかもしれん」
赤沢「どういうことですか?」
千曳「これを見てくれ」
鳴「中尾君のズボン?」
恒一「それがどうしたのですか先生?」
勅使河原「いや、よく見ろサカキ…」
望月「股間の部分が濡れている…?」
千曳「そうだ。中尾君は夜見山ですでにお漏らしをしたのだ!」
恒一「尿意に引き込まれたのは夜見山の中で、ってことか…」
千曳「中尾君のお母さんから裏も取れている」
赤沢「あの野郎!漏らしたズボンで私の車に座りやがって!」
恒一「ではなぜ海でもお漏らしを?」
千曳「おそらく生理的なものだろう」
中尾「…もうやめて」
恒一「ガラスが割れたりロッカーが倒れたりして驚いたが誰一人としてお漏らしはしなかった」
恒一「そしてついにテープを見つけたんだ…」
~~~
勅使河原「そ、それじゃあ流すぞ」
望月「う、うん」
カチッ
松永『あーあー聞こえるかな?』
松永『俺はここのOBの松永って者だ』
松永『アドバイスと俺の懺悔のために録音することにした…』
松永『同じように現象に苦しんでる未来の後輩にこれを遺したいと思う』
恒一「…」ゴクリ
松永『もう大丈夫だ、って思ってたんだ』
松永『でもそんな簡単に解放されなかった…』
松永『さっきまで調子良かったのに、急にクラスの浜口がもよおしやがった…』
松永『バカなやつでさ。用意周到に尿瓶を持ってたんだ』
勅使河原「何言ってんだこいつ」
鳴「尿瓶…4月の半ばごろ私の机の上に置かれた物…」ブツブツ
望月(ごめんね見崎さん…置いたの僕なんだ)
松永『それでもう、その場はパニックだ』
恒一「懺悔って言うより暴露のような…」
勅使河原「浜口に恨みでもあんのか?」
松永『そのトラブルでさ、星川って女子も漏らしちまった』
松永『星川って女子は結構かわいくて勝ち気な性格なんだ…』
松永『そ、そいつが顔を真っ赤に染めて失禁するんだぜ?』
松永『見るなー!見るなー!って!』
勅使河原「本当何言ってんだこいつ」
鳴「最低ね」
松永『で、肝心なのはこの後だ…』
恒一「!」
鳴「めもめも…」ゴソゴソ
勅使河原「!マズい誰か来たぞ!」
~~~
恒一「結論から言うと…僕たちはテープの続きを聞けなかった」
恒一「勅使河原がテープを破いてしまったからね」
恒一「テープの修理は望月に頼んで僕たちは旧校舎を出た」
恒一「でも僕たちの知らない所で現象は連鎖的に起こっていたんだ…」
綾野「!」ビクッ
赤沢「ちょっと!声が大きいわよ!」
杉浦「両親と車で夜見山から引越をする途中、落石事故で渋滞に巻込まれたらしいの」
杉浦「そのまま我慢出来ずに3人とも…」
鳴「車の中は想像したくないわね」
恒一「か、かわいそうに…」チラッ
綾野(こういっちゃんがこっちを見てる…)カアァ
赤沢「それだけじゃないわ」
赤沢「お漏らしというかその…二次災害というか」
恒一「二次災害?」
杉浦「良くは分からないんだけど小椋さんはペットボトルがどうとか…」
恒一「ペットボトル…?」
鳴「どういう意味かしら?」
望月「…」
勅使河原「何かが変わりそうな気がするぜ」
鳴「良くも悪くも…ね」
恒一「テープは?」
望月「持ってきた」
赤沢(最近あの4人…仲いいわね)ショボン
勅使河原「じゃあ…再生するぞ」
恒一「…」コクッ
勅使河原「…」カチッ
永松『…が顔を真っ赤に染めて失禁するんだぜ?』
鳴「おい」
望月「めんご」
勅使河原「ふざけんなよな…」ポチ
永松『で、肝心なのはこの後だ…』
松永『そこで俺××って奴と言い争いになって』
恒一「!」
松永『掴み合いの喧嘩になったんだ』
松永『それで…それで』
勅使河原「…」ゴクリ
松永『その途中で…あいつトイレに行きたいって言ったんだ』
望月「は?」
松永『普段の俺ならもちろん行かせたさ』
松永『でも…喧嘩してて興奮していたんだろうな』
松永『あいつがトイレに行こうとするのを…俺は邪魔したんだ』
鳴「…」
松永『そしたらあいつ急に動きがおかしくなって』
松永『盛大にお漏らししちまった』
松永『俺は…怖くなって逃げ出したんだ』
恒一(なんで!?)
松永『その夜は眠れなかった…』
松永『誰かがお漏らしの跡を見つけて大騒ぎになるんじゃないかって』
松永『××が俺を責めるかもしれないって…』
勅使河原「責められてもしょうがないだろ」
松永『それで俺、確かめに行ったんだよ』
松永『××のお漏らしの跡がある森の中へ』
松永『そしたら無かったんだよ!お漏らしの跡が』
松永『シミも!匂いも!何もかも!』
鳴「うわ…」
松永『俺はすっかり混乱してしまって…』
松永『聞いてみたんだ、周りのみんなに』
松永『××のお漏らしの跡はどうしたのかなって』
恒一「混乱しすぎだろ」
松永『すると…みんながみんな変な顔をするんだよ』
松永『そんな奴知らないって…』
松永『俺は昨日の引け目もあってか××をフォローしたんだ』
松永『漏らしただけでそこまで言うなよ!って』
松永『でもみんな演技とかじゃなくて…本当に知らないようで…』
松永『そこでやっと気付いたんだ』
松永『昨日漏らしたあいつが…』
松永『今年クラスに紛れ込んでいたもう一人なんだって』
恒一「そんな…」
松永『だからここで告白することにしたんだ』
松永『合宿から2週間、××のお漏らしと深く関わった俺はまだ覚えている』
勅使河原「主因だろーが」
松永『でもそれも一時的なものだと思う』
松永『そして…現象を止める方法を伝えよう』
望月「嫌な予感しかしない」
恒一「…」
松永『死者にお漏らしをさせろ』
勅使河原「…」
松永『死者にお漏らしをさせるんだ!』
望月「…」
松永『それが始まってしまった現象を止める方法だ!』
鳴「無理ゲー」
ふう
勅使河原「仮に、紛れ込んでいた奴を見つけたとしよう」
勅使河原「そいつに…お漏らしをしろって言うのか?」
恒一「間違いなくバッシングを受けるね」
望月(榊原君なら大丈夫だと思うけど…)
鳴「とりあえず今は…ご飯に行きましょ」
恒一「結構おいしいね」
勅使河原「みんなで食べるってのもいいもんだな」
鳴「うん」
赤沢「ちょっといいでしょうか、三神先生?」
三神「え?ええ…」
赤沢「この際ですから言っておきたいことがあるんです」
赤沢「5月から度重なる不幸があって…」
赤沢「先月は久保寺先生まであんなことになってしまって…」
中尾「先生のお漏らしはキツいものがあったな…」
風見「僕なんてほとんどかかったからね」
赤沢「まず対策係としていくつかの不手際があったことをお詫びします」ペコ
ザワ…ザワ…
赤沢「あなたにも責任があると思うの」
鳴「…」ムッ
恒一「どうして…」
赤沢「…」
赤沢「見崎さんが決まり通りお漏らしした人として役割を真っ当したら…」
赤沢「誰も漏らさなかったはず」
勅使河原「ちょっと待った、そいつは不可抗力っつーかさ」
勅使河原「そもそも女子の見崎にお漏らし役ってのはあまりにも酷じゃ…」
赤沢「そうかしら?」
赤沢「見崎さんが榊原君の前でお漏らしした人を徹底していればこんなことにはならなかったわ」
勅使河原「だ、だったらどうしろって?」
赤沢「…」
赤沢「お漏らしを」
恒一「いやいや」
赤沢「だからこの場で謝罪の意をこめてお漏らしを…」ニヤ
鳴(ぐぬぬ…)
鳴「…」
鳴「…不毛ね」
鳴「して意味がある?」
恒一「見崎…しなくていいよ」
恒一「お漏らしなんて」
鳴「…」
鳴「…」スタッ
恒一「違う!」
望月「やめてよ!」
勅使河原「意味ねーよ!」バンッ!
鳴「…」ニヤリ
勅使河原「それより肝心なのは誰が死者n」
望月「て、勅使河原君それは!」
風見「お、おい和久井大丈夫か!?」
和久井「ハァー…ハァー」ジョロロロ…
恒一「そんな…和久井くん…」
赤沢(何であなたが!?見崎さんがお漏らしするはずだったのにっ!)
鳴「パンパ…対策係さん?^^」
赤沢「今から行くわよ!」
恒一「大変な夕食会だった…」
鳴「榊原くんさっきはありがとう」
恒一「ああ…いいよ僕だけじゃなくて望月だって勅使河原だって」
鳴「あなたがいなかったら私、みんなの前で辱めを…」
恒一「そ、そうだね」
鳴「後で来てくれる?」
恒一「え?」
鳴「私の部屋…同室の子はいないから」
恒一(何でそんなこと言うの!?)
鳴「見せたいものがあるの」
恒一「…」
恒一「見届けるよ…見崎の…現象を」
鳴「?」
恒一「見崎曰くこの義眼で見た人の、死の色?が分かるらしい」
恒一「見せつけお漏らしはどうしたの?って聞いたら凄い顔で軽蔑された」
恒一「見崎に謝っていたら奴が来たんだ」
~~~
勅使河原「サカキ!」
恒一「!」
勅使河原「俺!やっちまったかも!」
勅使河原「お、お2人さんに質問!風見智彦ってやつを知ってるか!?」
恒一「はあ?」
勅使河原「だから聞いてんだよ!知ってるか風見智彦!?」
恒一「知ってるも何もクラス委員長だろ」
恒一「桜木さんがお漏らしした時に生き生きしていた…」
鳴「…」
鳴「まさか勅使河原君…」
勅使河原「風見をお漏らしさせちまった…」
恒一「…」
鳴「…」
勅使河原「そしたらさ、ガキのころに俺と色々やったことを忘れたって…」
恒一「それで…?」
勅使河原「覚悟決めて問いつめたんだよ」
勅使河原「お前がクラスに紛れ込んだ死者なんだろって」
勅使河原「そしたらあいつ…怒りだして」
勅使河原「取っ組み合いの喧嘩になっちまった」
鳴「…」
勅使河原「それでみんな助かるんだって」
恒一「まさか…」
鳴「漏らさせた…?」
勅使河原「…」
勅使河原「股間を…こう、キュッと…」
恒一「うぅ…」モジモジ
勅使河原「はっきり…お漏らしさせようとは…」
鳴「いやいや」
勅使河原「俺、怖くなってここまで逃げてきたんだ…」
勅使河原「なぁサカキ…俺、間違えたのかなあ…?」
鳴「人として大きく間違えているわ」
恒一「…間違えた、いや漏らしてないのかも」
勅使河原「…は?」
恒一「股間を捻られただけで漏らすとは限らないだろ?」
勅使河原「あ…あぁぁぁぁ!」
勅使河原「あ、ああ…」
鳴「…私も行くの?」
前島「大変だー!火事だー!食堂で火事だー!」ガチャ
恒一「前島君!?」
勅使河原「どうしたんだそのズボン…濡れてるぞ」
前島「…」
前島「火を見るとオネショするって言うだろ」
鳴「苦しいわね」
カジダー!! キャーコナイデー!
勅使河原「あの格好で…無茶しやがって」
恒一「とにかく僕たちは風見君のところに…」
杉浦「…」ガチャ
恒一「今度は杉浦さん?どうしたの?」
鳴「…?」
杉浦「…死者にお漏らしを!」ガバ!
鳴「え?ちょ…」
恒一「見崎!危ない!」ダッ!!
杉浦「邪魔するなぁ!」ゲシッ!!!
恒一「くぁwせdrftgyふじこlp」キーン
鳴「さ、榊原君!?」
勅使河原「た、耐えるんだサカキ!楽しかったことを思い出せ!」
勅使河原「助かった…何でか知らないけど逃げてくれた」
恒一「せ…背中…さ…すって…」
鳴「…」スリスリ
鳴「杉浦さん…どうしてテープの内容を知っているんだろう」
勅使河原「確かに…テープを持っている望月の所に行ってくる」
恒一「か…かざ…風見君…も…ね…」
勅使河原「お、おう。お前も無理すんなよ」
鳴(そんなに痛いのかな?)
勅使河原「あいつどこ行ったんだろ」
望月「勅使河原君!杉浦さんにテープを取られた!」タタタ
勅使河原「なに!?」
ピンポンパンポ~ン
杉浦『対策係よりみなさまにお知らせがあります…』
杉浦『これから流すテープは15年前災厄が止まった年に残されたテープです…』
恒一「な!?」
松永『死者にお漏らしをさせるんだ!』
松永『それが始まってしまった現象を止める方法だ!』
杉浦『事実15年前災厄は途中で止まりました』
杉浦『そして今年の死者は…見崎鳴です』
杉浦『ですから…漏らせー!』
恒一「ち、違う!」
ガチャ!!
小椋「兄貴のかたきぃー!!」
吹いた
恒一「小椋さん!?」
小椋「おらあぁぁあああぁ!!」
恒一「怖っ!でも…ごめん!」ゲシ!!
小椋「うぼっ!?」
鳴(腹蹴り…容赦ない)
小椋「うぅぅ…痛いよぅ…」
恒一「ご、ごめん小椋さん」
小椋「うぅぅ…えぇ!?」チョロロロロ…
小椋「恒一くん見ないでぇ…」チョロロロ…
鳴「…」
小椋「見崎ぃ!何見てんだよ!」チョロ…チョロ
恒一「本当にごめんね小椋さん…僕…なんてことを…」
小椋「いいんだよ恒一くん…これも…現象なんだよ」
恒一「…」
恒一(それにしても…き、黄色い)
鳴「オグラー、あなた疲れてるのよ」
小椋「!ぶ、ぶっ殺す!」
恒一「綾野さん!」
綾野「由美、大丈夫…ではなさそうね」
小椋「彩…私もうだめだよ…」
綾野「バカなこと言ってないで立ちなさい」
綾野「こういっちゃん、見崎さん。ここは私にまかせて」
綾野「詳しくは知らないけどやるべきことがあるんでしょ?」
恒一「綾野さん小椋さん…ごめん」タタタ
鳴「…」タタタ
小椋「…」
綾野「仲…いいね、あの2人」
小椋「…」
小椋「…私も今から頑張ればまだ…」
綾野「お漏らし見られたんだから相当頑張らないとね」
小椋「…プラスに働かないかな?」
綾野「こういっちゃんに限ってそれはないでしょ…」
恒一「そういえば見崎、まだ死者の名前を聞いてなかったね」
鳴「…」
恒一「死者は…誰なんだい?」
鳴「…」
鳴「それは…」
杉浦「あなたよね?見崎鳴」ブォン!
鳴「!?」
恒一「!またまた危ない!」バッ!
恒一「うっ」ドサ
杉浦「大丈夫…さっきと違って急所じゃないわ」
杉浦「あんたは泉美のお気に入りだからねぇ!」
鳴「…あぶな」スッ
杉浦「うわっ!」ドテッ
杉浦「なんでこんな所にホースが…」
恒一「ううぅ…痛い…」
杉浦「あ、あれ?足に絡まって…」
恒一「…?」
杉浦「あ…」ジョロロロロロ…
恒一「何でだよ!?」
恒一「本当…何なんだろね…」
杉浦「止まりなさいよっ!」チョロロロ…
恒一「…」
恒一「…あー何か拭くものいるね。持ってこようか」
中尾「まかせろ」
鳴「中尾…くん?」
中尾「…榊原、ここは俺にまかせてくれないか?」
中尾「お前は赤沢さんを…みんなを守ってくれ」
恒一「分かったよ…中尾くん。行くぞ見崎!」タタタ
鳴「…」タタタ
中尾「…さてと」
杉浦「何よ…同情のつもり?」
杉浦「さっさと泉美の所にでも行きなさいよ」
中尾「バカヤロウ、お漏らしした奴をほっておけるか」
中尾「何たって俺は対策係だからな」
鳴「火事の匂いに混じって変な匂いがする」
恒一「それはおしっ…いや何でも無い」
松井「恒一くん助けて!杏子が!風見くんが!」
恒一「松井さん!?どうしたの?」
松井「風見くんが…杏子を」
風見「…」キュッ
松井「ひゃん!」ジョロロロロ…
鳴「!?」
恒一「な!?か、風見くん!」
恒一「お、覚えてるよ!何てことを!」
松井(むしろ…忘れて欲しい…)ジョロロロロ…
風見「やっぱり違ったか…杉浦さんは見崎さんだって言ってたけど」
風見「僕はね…君が死者だと思うん、だ!」キュア!!
恒一「うわ!?」ガシッ!
風見「勅使河原に漏らされかけて気付いたんだ」
風見「死者が漏らさないと…自分が漏らすって…」ギュウウウウウ
恒一「くうぅぅぅぅぅぅぅ!だからってこんなこと…!」
風見「うるさい!お前が転校してこなければゆかりは漏らさなくて済んだんだ!」
鳴「喜んでたくせに」
赤沢「ばかね」キュウォン!!
風見「…ぁ」ジョロロロロロロ!!
風見「…ぅ…ぁ…」ジョジョジョジョ
恒一「赤沢さん…」
赤沢「さて…見崎さん」
鳴「…」
赤沢「パンツに別れを言いな!」キュウォン!!
鳴「!」サッ
赤沢「待て!逃げるな見崎!」タタタ
鳴「来るなパンパース」タタタ
赤沢「あたし知ってんのよ!あんたがそのあだ名を広めたって!!」タタタ
鳴「漏らしたもの扱いされた恨みよ」タタタ
赤沢「うるさい!オラァ!」ガバッ
鳴「痛い…」ゴン!
恒一「馬乗り!?見崎!!」
赤沢「これで終わりよ…恒一くんの前で盛大に漏らしなさい!」
鳴「うぅ…」
ピカッ!!
恒一「近くで大きな雷が落ちた」
恒一「幸いガラスが割れるなどといったケガをしそうな事故は起きなかった」
恒一「しかし…雷に驚いたのか…はたまた現象の類いなのか…」
恒一「赤沢さんがお漏らしをしてしまった」
恒一「放尿中の赤沢さんは他の子のように泣いたり喚いたりはせず…」
恒一「ただ…黙って僕の目を見つめ続けた」
恒一「その目には怒りも恥じらいも無く…ただありのままの自分を受け入れて欲しかったのだと思う」
恒一「僕は赤沢さんの心の強さを、見崎は赤沢さんの尿を受け止めた」
恒一「何だって!?死者は怜子さん!?」
鳴「………そうよ」ズ-ン
恒一「そんな…僕はどうすれば」
鳴「………とにかく………行きましょ」
恒一「…うん…あまり近づかないでね」
鳴「…」
~~~
鳴「…ここよ」
恒一「怜子さん…」
三神「恒一くん…助けて…」
恒一「ごめんなさい…怜子さん…」
恒一(15年前…僕を産んだ時…景気よくお漏らししたお母さんの妹…)
恒一(両親そろって海外に行って一人ぼっちの僕を面倒みてくれた怜子さん…)
恒一(僕が…あの世に返すのか?)
恒一(僕がお漏らしをさせて…)
恒一(…)
恒一「あれ?どうやって?」
鳴「どうしたの?あまり長引かせるのもその…悪いと思う」
恒一「いや…あの…どうやってお漏らしさせればいいの?」
鳴「…風見くんや赤沢さんみたいに…こう…キュッ…って」
恒一「えぇ…キツいよ…無理だよ」
鳴「優しいのね…榊原くん」
恒一「いやいやそうじゃなくてさ…一緒に住んでたから何か…」
恒一「…」
恒一(望月呼ぶか…)
恒一「怜子さんのことを覚えているのは僅かな人数だが…いずれみんな忘れるだろう」
恒一「あと、クラスでのわだかまりは徐々に無くなりつつある」
恒一「あの見崎と赤沢さんでさえ最近は衝突しなくなった」
恒一「小椋さんも随分大人しくなった」
恒一「ただどうしてもペットボトルのお茶が飲めなくなったみたい」
恒一「中尾くんと杉浦さんはゴールイン間近との噂」
恒一「中学生で下の世話をした男女はまずいないだろうしね」
恒一「もちろん、寝る前にはトイレに行くけどね」
恒一「…」
恒一「あそこの遊園地行ってみようか」
鳴「え?」
恒一「あの観覧車…乗ろうよ」
鳴「あれには乗らない…」
鳴「だって」
鳴「トイレに行けなくなるもの」
おわり
乙
面白かった
俺も寝る前はトイレを心がけるわ
乙
Entry ⇒ 2012.04.22 | Category ⇒ AnotherSS | Comments (0) | Trackbacks (0)
まどか「か、上条くん激しすぎ」アンッアンッ ほむら「」
http://hayabusa.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1334748896/
上条「…まどか、おはよう」
まどか「…恭介、昨夜はちゃんと宿題やったの?」
上条「うん、さやかが見てくれたんだよ」
まどか「そっか、入院してる間にもずいぶん進んじゃったから、わからないことあったら相談してね」
上条「それを言うならかな… まどかだって、今日あてられる日でしょ? 用意しとかないと」
まどか「そうだね。忘れてたよ」
まどか(う~ん……)
上条(んんんんん……)
まどか&上条(やりづらい……)
さやか「どうだった? 復帰初日の学校は」
上条「授業についていけるか心配だけど、まぁ何とかなりそう…かな」
まどか「みんな上条くんが戻ってくるの、楽しみにしてたんだよ」
上条「それでいきなり退院したからビックリした人も多かったみたいね」
さやか「恭介、小学校の頃もケガして林間学校来られなかったよね」
上条「ああ、あったなあ…」
まどか「…そうだったっけ?」
まどか「……? いたも何も……」
上条「うん… そうだよね」
さやか「な、何よあんたたち…」
まどか「わたしと上条くんって、小学校同じだったの?」
上条「ぼくも知らなかったよ…」
まどか「だって、わたしはさやかちゃんの親友で、幼馴染みだよね?」
さやか「そうだね」
上条「ぼくだってさやかの幼馴染みだよね」
まどか「だから異性として見られなかったんだよね」
さやか「余計なこと言わないでいいの」
上条「さやか、おかしいと思わない? ぼくと鹿目さん、二人とも幼馴染み設定なのに」
まどか「原作で全然接点なかったなんて……」
上条「少し幼馴染みらしくしてみようか」
さやか「ちょっと何言ってるわかんないです」
まどか「……幼馴染みって何するの?」
上条「下の名前で呼んだり、かなぁ」
まどか「……きょ… きょうすけぇ」
上条「…まどか……」プルプル
さやか「キツかったらやめればいいのに」
上条「当然じゃないか。 …幼馴染みなんだから」
まどか「なんか… 急にそうなっても、突然パパがお兄ちゃん連れて来た、みたいな…」
さやか「いるの!?」
まどか「いないよ! たとえだよ、たとえね」
上条「確かにそうだなぁ。さやかとのことなら思い出せるのに」
まどか「わたしもだよ……」
上条「でも僕たちは幼馴染みなんだよね?」
まどか「そうだよ! ……設定上はね」
さやか「正直に飽きたって言いなよ」
上条「僕というものがありながら、よその子に手を出すなんて…」
さやか「人聞き悪いな!」
上条「まぁタッチの差でぼくの方が幼馴染みらしいとはいえ」
まどか「……え、なに? 聞こえないんだけど」
まどか「…わ、わたしだっていいよ!」
上条「でも>>18と>>25には鹿目さんが後から来たって書いてあるじゃないか」
まどか「だけどその分付き合いが深いの!」
上条「だってさやかは、うっかりすると僕の家に来て『ただいま~!』とか言っちゃうんだよ」
まどか「それを言うなら、うちに来て晩ご飯作ってくこともあるよ!」
まどか「しかも気がついたらお風呂洗ってたりしてくれるよ」
上条「なん…… だと……」
まどか「ああ、でも上条くんはそこまでできないよね!」
上条「さやかと最後に一緒に入ったのは、たしか小学校の…」
上条「ねぇさやか、夏休みに二家族合同で旅行したのは五年生だっけ?」
男子生徒「!!」 ざわ……
さやか「マテコラ」
まどか「ごめんその話ちょっと変態っぽいからいいや」
上条「……うん」
上条「あれ? 鹿目さん、さやかを探してた回であげてもらえなかったよね?」
さやか「あの時はお母さんもてんやわんやしてて…」
まどか「そうだよ! 普段はちゃんとあがらせてもらってるよ!」
まどか「ウチはこたつがないから、冬になるとさやかちゃんの家へコタツ入りに行ったりするしね」
上条「さやかと?」
まどか「うん」
上条 小声「…におわない?」
まどか 「……ちょろっと」
上条「長いとそうなっちゃうよね」
まどか「この間なんて、マミさんにプレゼントするケーキ一緒に作る約束だったのに」
まどか「私のこと放っといて、ずっとパパと昔のアニメの話しで盛り上がってたんだよ」
上条「ああ… たまにそういうことするよね、さやかは」
まどか「それだけ馴染んでる証拠だけどね」
上条「…ぐぬぬ」
まどか「……ごめん中沢くん、ちょっと来て」
中沢「どしたの?」
まどか「上条くんがこう言ってるんだけど、それってショックなの?」
まどか「わたしそういうのよく知らないから、わからなくって」
中沢「何作ってたの?」
上条「PGの∀ガンダム… お年玉で買ったやつね」
中沢「美樹ちゃん酷いよ!」
まどか「作っといてくれたなら、良かったじゃない!」
中沢「うん、だけどさ……」
上条「ああそうだよ! だってさやかは僕に優しいからね!」
まどか(…しまった……!)
さやか「もういい加減にしときなさい!」
中沢「あいつらケンカなの? 何を争ってんの?」
ほむら「私に聞かないでよ」
上条「昔はさやかも可愛かったのになぁ… オモチャのカンヅメがぼくとお揃いじゃないって泣いたり」
まどか「さやかちゃんは今でも純真だよ! …いい年して」
さやか「まだやってたのかよ」
ほむら「微妙に主旨がズレて来てるわね」
杏子「お~い、さやかぁ~!」ブンブン
さやか「お、杏子だ」
上条「誰あれ!?」
まどか「最近できたお友達の、あんこちゃんだよ」
さやか「よしよし、後でとってあげよう」
杏子「ぅわ~い ん?」
杏子「うわ男だ」
さやか「あんた会うの初めてだったよね。幼馴染みの恭介だよ」
さやか「恭介、この子が杏子ね」
上条「どうも初めまして。僕がさやかの…」
杏子「うわ男だ」
上条「」ビキビキ
まどか「上条くん、プリクラとか撮ったことないでしょ? 記念に撮ってこうよ」
上条「いいよ! 機種もいろいろあるんだ… どれがいいんだろ?」
まどか「ティヒヒヒ、わたしのお気に入りはねぇ」
上条「ん、ちょっと待った… むこう見て」
まどか「?」チラッ
杏子「うっわ惜しい! これもう一回やれば取れんじゃないの?」
さやか「ここでやめるのも後味悪いし、やっとくか…」
上条(落とせ落とせ落とせ……)フンンヌ
まどか(取れませんように、取れませんように……)
杏子「」ジーーッ
ガコン
杏子「とれた! ありがとうさやか!」
さやか「フッ その分体で払ってもらうぞ~!」
キャッキャウフフ ヤメロヨー! コヤツメハハハ
上条「」ビキビキビキ
まどか「上条くん… わたしたち、けっこう気が合うよね」
上条「ああ…」
まどか「今きっと、同じ気持ちだよね!」
上条「殺るか!」
まどか「うん!」
上条「その前に、さやかのこと考えながらお風呂入って来る!」
まどか「じゃわたしも~」
まどか「だけどさ、上条くん… 女の子の体洗うの手慣れてなかった?」
上条「……そ、そうかい」
まどか「さやかちゃんより上手かったよ」
ほむら「お風呂入ってたの? 私は!?」
まどか「だってほむらちゃん、お風呂でおしっこするんだもん……」
上条「汚いなぁ」
まどか「いやそんなことでスレタイ回収しなくていいから」
上条「暁美さんがどうとか以前に、あの不衛生な赤毛をどうやってさやかから引き離すかをだね
まどか「ごめん、引き離すのはちょっと無理っぽい」
上条「なんだと」
まどか「上条くんが入院してる間に、何度か試したんだよ」
さやか「あんた、お菓子はよくとれるのに、その他はからっきしだよね」
杏子「違うよ。ここのゲーセン、お菓子はやけに取りやすい設定なんだって。さやかもやってみなよ」
さやか「なんでだろうね?」
店員「…またあの子来てますよ」
店長「そんなこともあろうかと、お菓子の台は調整済みだよ」
店員「なんでいつもあの子に甘いんスか?」
店長「あの子、風見野にある教会の子なのね。とったお菓子を日曜学校で小さい子に配ってるんだ…」
店員「いい子じゃないスか……」
女子生徒「ごめんね、こんな時間まで付き合ってもらっちゃって」
マミ「いいのよ、委員会の用事だもの。仕方ないわ」
マミ「でも今度はもうちょっと早く終わらせようね!」
マミ(帰ったら一旦着替えて、そのまま魔女探しに行っちゃいますか)
ドドドドドドドドドド
マミ(晩ご飯はどこか外で… あら?)
上条「金髪に縦ロール! それと適度に健康的な体格!」
上条「うおおおおお! マミさんですね! 巴マミさんですよね!!」ガッシ
マミ「え、ええ… そうだけど、あなたは?」
女子生徒(巴さん、変わったお友達がいるんだ… やっぱり)
上条「いやぁ、戻って来たかいがありました! あなたなら佐倉杏子の弱点を知ってるっていうからつい」
マミ「…誰に聞いたのよ?」
マミ「うん。また明日ね」バイバイ
女子生徒(二年生…? あの子も巴さんと一緒にマンガとか描いてるのかな…?)
女子生徒(今度さりげなく聞いてみよう)
まどか「すいません、上条くんったら興奮しちゃって」
上条「早速ヤツを制御下におくテクニックを伝授いただければと」
マミ「その前に、確認していいかしら」
上条「何なりと」
マミ「あなたたち、どうしてそんなに佐倉さんを邪魔者扱いするのかしら?」
上条「さやかについた悪い虫を払うのは僕の役目ですからね」
まどか「何言ってるんですか! このままじゃさやかちゃんとられちゃいますよ!」
上条「はい」
マミ「それと鹿目さんも、前から薄々そうじゃないかなって思ってたのだけど……」
まどか「なんですか?」
マミ「あなたたち、美樹さんのことが好きなのかしら…?」
まどか&上条「……」
まどか「マミさん、いつもわたしをそんな人だと思ってたんですか?」
マミ(違うの?)
上条「だってさやかですよ! きょうだいみたいなものなんです」
まどか「女の子同士でそうなっちゃうのなんて、ほむらちゃんの好きなマンガの中だけですよ」
上条「まったく、恋愛経験少ない人って、すぐそっちの方向に考えちゃうんだから」
まどか「体つきだけじゃなくて、頭までゆるくなっちゃったんですね」
まどか(…そこまでは言わない方がいいかな)
マミ「……聞こえてるけど」
マミ「何ならとられちゃっても」
上条「何を言い出すかと思えば…」
まどか「マミさん、さやかちゃんをその程度にしか思ってなかったんですか?」
マミ(またかい……)
上条「だってさやかですよ! ここでどこの馬の骨とも知れない不潔女にとられるくらいならいっそ」
まどか「上条くん、それもアリなの!?」
上条「……いや、冷静に考えたらないわ……」
マミ「どっちなのよ」
QB「それが君の願いだね?」
上条「おわあぁ! ナニコレ!? ねこ?」
まどか「上条くん…」
マミ「QBが見えるの!?」
上条「見えるも何も、普通にいるじゃないすか……」
まどか「男の子でも魔法少女になれるの?」
QB「なれるよ。魔法少女は、『魔法』を使う『少女』という意味ではないからね」
まどか「へぇ~、じゃあどういう」
QB「それより上条恭介、君の願いもどうやら杏子を止める事みたいだね」
上条「なんでぼくの名前知ってるのよ? まあ、そうだけど…」
QB「残念だけど、それは叶えてあげられないな」
上条(叶えてあげるだのあげないだの、ねこのくせに偉そうな…)イラッ
QB「正確に言うなら、叶える必要がない、ということになるかな」
QB「長年、地球人の持つ感情を研究してきたぼくの目はごまかせない」
上条(ナニ言ってんだこのねこ……?)
QB「君とさやかの関係はもう疑う余地がないよ」
QB「君はさやかと目が合えば逸らすのに、またすぐさやかを見ているね」
まどか「それって、もしかして」
マミ「もしかして…?」
QB「好きってことさ」
マミ「やっぱり好きなんじゃないの?」
まどか「マミさんまで… そんな訳ないのに…… え、ないよね?」
マミ「余計な感情がない分、QBの分析は信頼性あると思うの」
上条「ん~…」
まどか「もしそうだったら、わたしも応援するよ!」
上条「正直いって、『彼女ができました!』って、さっきの赤毛みたいに」
上条「さやかと堂々とイチャイチャする自分が想像できない… っていうか、したくないんだけど」
まどか「毎日のように行ってたもんね…」
上条「確かに、頻繁に来すぎてイヤになったこととか、追い返した日もあるけど」
マミ(あら…? ホントに好きじゃないかも……?)
上条「それでも耐え… いや、持ちこたえてきたんだし」
上条「ぼくがさやかを好き、というのも、もしかしたらあるかもしれない……!」
上条「だとしたら十数年越しの新発見だ……」
まどか「おめでとう、上条くん!」
上条「いや、まだ決まった訳じゃないよ!」
上条「…でも、帰ってゆっくり考えてみる事にするよ」
マミ「落ち着いたら、また新しい発見があるかもしれないものね」
上条「ええ、どうもありがとうございました! もう遅いのに、おかしな話しちゃって……」
マミ「その分、あとでゆっくり顛末を聞かせてもらおうかしら」
上条「さやか、ねぇ……」
上条「さやかとデートとかするの……?」ウーン
上条「それであれかい? ディズニーランドとか行く? いや、行ったことあるけどさ」
上条「あのヴェネチアみたいなゴンドラ乗って、一緒に願い事したり」
上条「別れ際にキスとか……? いや、したことあるけど… 小学校の頃に」
上条「ただいま~ あれ? さやかの靴かなこれ?」
さやか「おかえり! 今日はドコ行ってたのよ?」
上条「学校に戻ってたんだよ。さやかはあれからどうしたの?」
さやか「買い物して来たよ。今日おばさんたちいないから、晩ご飯作りに行くって言ってたじゃない」
上条「ごめん忘れてた」
グツグツグツ
上条「カレーするの?」
さやか「うん、手洗って来てね」
さやか「お~し、いい感じになってきたかな。恭介、お皿出して!」
上条「は~い」
カチャカチャ
上条「味見していい?」
さやか「どうぞ」
上条「では……」
さやか「どうかな?」
上条「うん、やっぱりカレーはさやかの作ってくれるのが一番だよ」
上条「これ食べられるんだから、退院して良かった」
さやか「やだもぅ、どうしたのよ急に?」
上条「プロポーズ」
さやか「…っ?」
上条「の、つもり」
おしまい
まさか最後まで書けるとは思わなかった…
道半ばな感じがするが
乙
仮に付き合ったとしてもあんこちゃんさやかから離れなそうだがなww
乙であった
Entry ⇒ 2012.04.22 | Category ⇒ まどかマギカSS | Comments (5) | Trackbacks (0)
千早「優かわいいよ優」
http://hayabusa.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1334926099/
千早「優かわいいー。」ギュー
優「お姉ちゃん…苦しいよ。離して…」
千早「やだ。離さないもん。」
優「えい!」コチョコチョ
千早「きゃー!」
優「今だ!にげろー!」
千早「こら!待ちなさい!」
優「待たないよー。」
千早「ッ!!優!危ない!車が来てる!!」
優「えっ」
車に轢かれそうになった優を抱えて、反対側の歩道に向かって転がりこんだ
「怪我はないか?」
優「う、うん……」
「そうか。良かった。もう道路に飛び出すんじゃないぞ。」
優「ありがとう。お兄ちゃん。」
千早「優!大丈夫?」
優「うん……でも、怖かった……」
千早「あれ?優を助けてくれた人は?」
優「もう行っちゃったみたい。」
優「お姉ちゃん。朝だよ起きて。」
千早「…………」
優「まだ寝てるのかな?」
千早「隙あり!」ガバ
優「わ」
千早「捕まえたわ」
優「離してよお姉ちゃん!」 ジタバタ
千早「やだ。優可愛いから離したくない」
千早「少しくらい平気よ。」
優「ダメだって!!」バタバタ
千早「こら、暴れないの。」
ドン!!
千早「…………」
優「隣から壁ドンされたね……」
千早「そうね。近所迷惑になるし、そろそろやめようかしら。」
優「へー。いい人だったらいいね。」
千早「そうね。前のプロデューサーはアイドルにセクハラしすぎてクビになったし、今回のプロデューサーはまともな人がいいわ。」
優「セクハラって……お姉ちゃん大丈夫だったの?」
千早「ええ大丈夫よ。」
千早(巨乳アイドルを狙ってセクハラしてたから……くっ)
千早「あ、もうこんな時間。そろそろ事務所に行かないと。」
優「いってらっしゃい。」
春香「千早ちゃんおはよう。」
千早「まだ春香しか来てないようね。」
春香「うん。そんなことより、聞いてよ千早ちゃん。」
千早「どうしたの?」
春香「今朝、事務所に来る途中道路で転んじゃったの。」
千早「それは大変ね。」
春香「起き上がっている間に信号が変わって危うく車に轢かれそうになったよ。」
千早「軽く言ってるけど結構危ないわね。」
春香「本当に危なかったよ。通りすがりの人に助けてもらわなかったら今頃轢かれてたよ。」
社長「あーコホン。彼が今日から君たちのプロデューサーだ。」
P「初めまして。」
千早(この人前にどこかで会ったような……あ!!)
千早 春香「あー!あなたはあの時の!」
社長「おや?既に知り合いだった者がいるようだが……」
P「あー。そこのリボン付けている子なら、今朝会いました。」
春香「はい。この人は今朝車に轢かれそうになった私を助けてくれたんです。あの時はありがとうございました。」
P「いや、礼には及ばないよ。それより怪我がなくて良かった。」
P「でも、そこの髪の長い子は……ごめん思い出せそうにない。」
P「んー。」
千早「ほら、車に轢かれそうになっていた時に…」
P「そんなこと言われても、俺3日に1度くらいのペースで車に轢かれそうな人を助けてるし。」
千早「えっ」
社長「実は私も3日前に彼に助けられたのだよ。」
P「その縁でプロデューサーにさせて頂いたという経緯があるのさ。」
P「あー段々思い出してきたぞ。なんか、姉のセクハラから逃げようとして道路に飛び出した子を助けたような……」
千早「あれはセクハラじゃなくてスキンシップです!!!」
律子「セクハラする人は決まってそう言うのよ。」
あずさ「前のプロデューサーも同じ言い訳してましたよね~。」
P「如月さんの現場までの送り迎えと監督か。」
千早「千早でいいですよ。」
P「ん?そうか。よろしくな千早。」
千早「はい。」
P「そういえば、弟さんは元気なのか?」
千早「はい、お陰様で。」
P「それは良かった。」
千早「今は弟と二人暮らしをしています。」
P「それは弟さんの貞操が危ないんじゃ……」
千早「危なくないです。むしろ、私が監視してないとどこかの泥棒猫に奪われる心配があります。」
P「なにそれこわい」
P「こら、事務所の車を叩くんじゃない。」
P「でも、それだけモテているなら彼女の一人くらいいても……」
千早「ありえません。」
P「えー」
千早「実際、今まで告白されてきても全部断っているそうです。きっと私のためです。」
千早「ちなみに私も告白されたことありますけど、優のために断ってます。」
P(この子怖い)
千早「はい。」
P(それにしても、お笑い番組の収録か……)
千早「ずっとこの番組に出るの楽しみにしてたんです!」
P(見た目はクールそうだったのにお笑いが好きとか意外……でもないか。千早と話してみると結構盛り上がったし……殆ど弟に関する話題だったけど)
千早「いませんよ。」
芸人「またまたー。そんなこと言っても本当はいるんやろ?」
千早「本当にいませんよ。でも、弟とは結構仲がいいんですよ。」
芸人「ほいきたー!アイドルの言う弟は彼氏のことに決まってる。彼氏って単語を弟に摩り替えただけちゃうかと。」
千早「違いますよ。本当に仲がいいんですよ。この前だって――」
P(千早に限っては本当に弟のことしか言わないから困る。)
千早(家で優が待ってるって考えると……早く帰りたい帰りたい帰りたい帰りたい)
P「はい、Pです。今収録が終わりました。え?今日はもう遅いから直帰でいい?わかりました。はい、失礼します。」
P「千早。今日の仕事はこれで終わりだ。」
千早「まあ、なんでもいいですけれど。」
千早(っし!!来た!!これで優に会える!!!)
P「事務所に車を返しにいくついでに家まで送っていくよ。」
千早「ありがとうございます。」
千早「本当はアイドルよりも歌手になりたかったんです。でも……」
千早「優がテレビに映っているアイドルの衣装を見て、お姉ちゃんが着たらもっと似合うのにって言ってくれて……フフフフ」
千早「歌も歌えるし、アイドル衣装で優を悩殺できるアイドルになりたいと思ったんです!」
P(行動理由の殆どが弟絡みじゃねーか!)
千早「あ、ここが私の家です。」
P「よし、それじゃお疲れ。また明日な。」
千早「待ってください。折角だから家に寄っていきませんか?」
P「what!?」
P「あ、ああ。そういうことね。別に構わないけど。」
P(初日からアイドルに手を出してクビコースに入るかと思って焦った……)
千早「ただいまー。」
優「おかえりお姉ちゃん!!」
P「ど、どうもお邪魔しまーす。」
優「あ、どうも。」
優(誰だこの人。まさかお姉ちゃんに彼氏?いや、そんなはずない。お姉ちゃんは僕のものだ。誰にも渡さない。)
P(な、なんか殺気を感じる。)
優「そうなんだ。弟の優です。姉がお世話になっております。」
優(なんだ彼氏じゃないのか……あれ?冷静に見るとこの人どこかで……)
優「あ!!あの時の!!!」
千早「気づいたの?」
優「僕を助けてくれた人だ……」
P「ハハハ。まさかまた会う日が来るとは思わなかったよ。」
P「そろそろ帰らないとな…」
優「え?もう帰るんですか?また来てください。」
優「お姉ちゃんの彼氏にならない限りは歓迎しますから…」ボソ
P(優君もシスコンだな……)
P「おはようございます。」
小鳥「おはようございます。昨日はどうでしたか?」
P「まずまずです。まだ不慣れで大変でしたよ。」
小鳥「そうですか。頑張ってください。」
P「はい。あ、そういえば、昨日千早の弟に会ってきました。」
小鳥「千早ちゃんの弟ですか!!!いやあ、優君いいですよね。」
P「は?」
小鳥「こう抱きしめたくなるくらい可愛いっていうか、お姉さんが色々イケナイこととか教えたくなるような魅力があるんですよ!」
千早「……」ゴゴゴゴゴゴ
P「ヒイ!千早いつからそこに?」
千早「優は私のもの……」ギチギチ
小鳥「ピヨー……千早ちゃんヘッドロックやめてー」
P「それ以上いけない」
千早「ごめんなさい。つい、頭に血が上って……」
美希「小鳥も懲りないの。この前も結婚相手には千早さんの弟みたいなタイプがいいって言ってヘッドロックかけられてたの。」
小鳥「あれは物の例えです。本当に手を出すわけがないじゃないですか。そもそも年齢差が……ウッ」
美希「自爆したの。」
P(休憩がてらちょっと過去のライブのDVDでも見るか。)
――
P「うーん……」
春香「どうしたんですか?プロデューサーさん。」
P「ああ。ちょっと、過去のライブ映像見て気づいたことがあったんだ。」
春香「気づいたこと?」
P「千早の表情の違いだよ。こっちのDVDだと心から笑って歌っているような気がするけど、逆にこのDVDだとそうじゃない。なんていうか、何か笑顔の裏に不安を抱えているような……」
春香「言われてみれば……確かにそうですね。千早ちゃんいつも笑って歌ってるけど、そこまで細かく見たことはなかったです。」
P「また弟……」
律子「ライブに弟が来ていると張り切っていつも以上の力が出るんですよね。逆にいないと緊張で少し固くなってしまうですよ。」
P「なるほど。」
春香「確かに優君はいつも千早ちゃんのライブに来ているのに、この日は来れなかった。」
律子「でも、よく気づきましたね。結構プロデューサーとしての才能があるのかも。」
P「いや、そんな大袈裟な…」
・某日
千早「うぅ…緊張してきた。」
P「そんな緊張しなくてもいい。いつも通りにしていれば絶対に上手くいく。」
千早「は、はい!」
P(本番前で緊張しているな。よし、あの手を使うか。)
千早「あ、携帯が鳴ってる。もしもし」
優「お姉ちゃん?」
千早「優!」
優「これから本番だよね。がんばって。」
千早「どうしてそれを……」
優「プロデューサーさんからメールで教えてもらった。緊張しているから励ましてやれだってさ。」
千早「そうなの。お姉ちゃん頑張るからね!」
P(でも、ここまで効果があるなら、もう優君が千早のプロデューサーやった方がいいんじゃね?)
P「ありがとう優君。お陰で助かったよ。」
優「いえ、大したことはしていません。それにお姉ちゃんのためなら僕は何だってできますからね。」
P「そういえば、優君は将来何になりたいとかってあるの?」
優「僕は、お笑い芸人になりたいです。」
P「えっ」
優「その……なんというか……小さいころ、僕のギャグでお姉ちゃんがよく笑ってくれたから、それで芸人を目指したいって」
P「そのルックスで芸人目指すなんてもったいないような。」
優「でも、お姉ちゃんはいつも僕のギャグで大爆笑しているし、才能あると思うんです!」
P(そもそも千早の笑いの沸点は相当低いらしいし、参考にならないと思う。)
P「まあ、いいけど。」
優「相方はこの子です。」ドン
P「そのまな板で作った人形は何?」
優「まな板ちゃん人形です。彼女の他にも洗濯板ちゃん人形もいますが、今回はお休みです。」
P「どことなく、雰囲気が千早に似ているのは?」
優「気のせいです。」
優「なんだい?まな板ちゃん。」
優「この前、曲がり角を曲がったら男の子とぶつかったの。(裏声)」
優「そうなんだ。怪我はなかった?」
優「うん。大丈夫よ。それよりも、私ぶつかった男の子が結構好みのタイプだったの。それでさっきから心臓がドキドキしっぱなしよ。(裏声)」
優「それはまな板の恋だね。」
優「どうもありがとうございました。」
P(終わった!?)
P「はは…まな板の鯉と恋をかけているのね。」
優「その通りです。結構自信作なんだけどどうですか?」
P(反応に困る……)
P(中性的な美少年だし、しっかり者の弟キャラだし、千早の弟だけあって声もいいし……)
P(優君がうちの事務所でアイドルになってくれれば、職場でも千早と一緒にいられて千早のテンションも上がり続けるし……)
P(あれ?もしかして千早と姉弟ユニットとか結成したら売れるんじゃね?)
優「え?アイドル?僕がなりたいのは芸人…」
P「いいか?よく聞くんだ。厳しい芸能界で、現状のまま優君が芸人としてやっていけるとは正直思えない。」
優「そうですか…」
P「なぜなら、優君には芸人向きのキャラじゃないからインパクトが足りない。何か他の芸人にないようなものが飛びぬけてないと生き残れる世界じゃない。」
P「そこでだ。もし、元トップアイドルの芸人がいたら話題になると思わないか?」
優「元トップアイドルの芸人?そういうのもあるのか!」
P「そうだ。そうすれば最初からキャラで目立てる。だから、一度アイドルを経由してから芸人目指す方がいいと思う。」
優「確かに…プロデューサーさんの言う通りだと思います。」
P「だから、俺と一緒に一度トップアイドルを目指さないか?」
優「断る理由なんてありません。元はプロデューサーさんに助けてもらった命ですから、この命はプロデューサーさんと共に歩むために使います。」
P(なんとか説得できたか。)
千早(仕事でも優と一緒にいられるなんて……いけない。鼻血が出そう。)
小鳥(間近で見るとやっぱりかっこいい。でもうっかり手を出したら千早ちゃんに制裁されちゃいます…)
律子「千早。わかってると思うけど、仕事では優君を甘やかさないようにね。」
千早「わ、わかってるわよ。」
雪歩「お、男の人……」
真「大丈夫だよ雪歩。千早とのユニットが主体だから雪歩とはそんなに絡む機会はないと思う…多分」
P「順調に力を付けていってます。歌唱力は姉の千早にはまだ劣りますが、素質はありますので本人の努力次第では千早を超える可能性があります。」
社長「やっぱりか。私の目に狂いはなかった。キミが優君を連れてきた時はティンティンと来たからな。」
P「下ネタですか…」
社長「いや、そうじゃないよ。通常は1ティンなのに優君には2ティン感じるような何かがあったんだよ。」
P「はあ…」
社長「秋月涼君に会った時も同じようにティンティンきたな。」
P「やっぱり下ネタじゃないか(憤怒)」
優「どうしたのお姉ちゃん?」
千早「何でもないわ。ただ優のそばにいたいだけ。」
優「そっか。よしよし。」
小鳥(うぜえ…事務所にいるバカップルがうぜええええええ!!!あー壁とか殴りてえええええ!!!)
律子「ほら、そこ人前でイチャつかない。」
千早 優「はーい。」
小鳥(律子さんGJ)
律子「そういうあんたもプロデューサーから離れなさい。」
美希「嫌なの。」
P「マジで離れてくれ…仕事にならない。」
真「いつの間に美希はプロデューサーに懐いたんだ?」
美希「プロデューサーが車に轢かれそうになっているミキを…」
真「またそのネタ!?」
律子「あずささんが道に迷うのとプロデューサーが他人の交通事故に遭遇するのも日常茶飯事なのよ。」
春香「だったら、私もプロデューサーに助けられてますからイチャついてもいいと思います!」
美希「春香はダメなの!」
千早「…………」チラッ
優「そんな目で見なくても別に僕は助けられたからってプロデューサーに抱きついたりしないよ。」
伊織「仲が良いのを通り越して病気よ。兄弟間でイチャつくなんてありえない。」
千早「高槻さんも弟に抱きついてみるといいわ。きっと喜んでくれるわ。」
やよい「うっうー!わかりました!今日帰ったら長介に抱きついてみます!」
伊織「やめなさいよ!」
優「抱きつく時は少し力を弱めてあげてね。お姉ちゃんは毎回全力で抱きついてくるから結構苦しい…」
千早「優が可愛すぎるのがいけないのよ。」
優「受けないんですか?」
P「いや…内容が内容なだけにな……」
千早「どんな内容なんですか?」
P「3人の女の子の中に1人だけ女装した男の子を入れて、誰が男なのかを当てるクイズだ。」
千早「なんですかそれ…」
P「3人のメンバーを送りこむ必要があるんだけど…まあ、1人は確定だな。」
優「へー女装かー……って、この事務所にいる男は僕だけじゃないか!」
P「受けるかどうかは優の意思次第ってことだな。」
千早「優の女装……いけない、鼻血が……」
P「他は……正答率を下げるためには真が確定か。後は胸が大きいアイドルは使えないから……」チラッ
千早「くっ」
優「お姉ちゃんが出るなら出ます。」
P「決断早いな。」
優「別にお姉ちゃんと一緒がいいとかそんなんじゃなくて、姉弟ユニットとして売り出していくためには共演の機会を逃しちゃいけないと思っただけです。」
千早(ツンデレ!?ツンデレなのね…おいしすぎるわ)ジュルリ
P「楽屋に入ったら指定された衣装に着替えるんだぞ。」
真「はい。」
優「…………はい」モジモジ
千早「優の着替えは私が手伝うわ!」
P「着替え部屋は男女別となっております。」
千早「くっ」
P「俺は男だから優の着替えに立ち会うけどな。」
千早「じゃあ、このビデオカメラに優の着替えシーンを……」
P「犯罪はお断りします。」
千早(見ることが敵わないならせめて聞き耳を立てるまで!)
優「本当にこれに着替えるんですか?」
P「そうだ。」
優「し、下着まで……」
千早(下着!?下着ってことは、優の××××が!!)
千早「んあー(歓喜)!!!」
ドン!
千早(ここでプロデューサーからの壁ドン…少し大きな声を出しすぎたようね。)
優「…な、なんか変な感じがする。」
千早「んあー(興奮)!!!!!」
P(こうして見ると誰が男か本当にわからないな。優は女装アイドルとしてもいけそうだな。)
司会「この3人の中に1人だけ女装した男性が混ざっております。」
観客「えー!!」
司会「今回のクイズは誰が男なのかを当てるクイズですねー。」
司会「それでは自己紹介をして頂きましょうか。まずは1番の子からお願いします。」
優「き、如月優です…」
司会「緊張しているのかな?可愛いねー。」
優「いえ…そんな。ありがとうございます。」
司会「はい。では続いては2番の子お願いします。」
千早「如月千早です。」
司会「ほう。彼女も如月って苗字ですか。偶然か、はたまた血縁関係があるのか。それは後で明らかになるでしょう。」
司会「では、3番お願いします。」
真「まっこまこりーん。菊地真でーす。よろしくお願いしまーす。」
司会「元気がいいですねー。」
回答者(1番は流石に女だろう……2番も名前からして女か……?男でもありえないことはないが……。消去法で考えれば3番……?いや、そんな安易な考えでは掬われる……!足元を……!)
司会(ククク……!悩むがいいさ…!イケメン王子とまな板に隠れた中性的な美少年っ……!これだけのメンツが揃っていれば当てるのはほぼ不可能っ……!)
司会「では、お答えを……!」
回答者「さ、3番だ!」
司会「なぜそう思いますか?」
回答者(んなこと聞くんじゃねえ……!勘に決まってんだろ……!しゃあねえ適当に答えるか)
回答者「3番が一番女っぽいって思ったからだ。こういうのは一番ありえなそうなのが案外正解だったりするから……」
回答者(こう言っておけばもし外れても3番の子に対して失礼じゃないだろう……!)
司会「なるほど逆転の発想ですか……が、不正解です……!」
回答者「なんだと……」ぐにゃ~
観客「えー!見えなーい!」
司会「1番の如月優君は2番の如月千早さんの弟ですね。実はこの2人は」
真「ねえ、聞きました?今、ボクのことを女っぽいだって!やーりぃ!」
司会「元気なのはいいけど、司会が喋ってるときはお静かに願います。」
真「す、すみません。」
観客「アハハハハハ」
司会「えーこの2人は姉弟でユニットを組んでいるんですよ。」
観客「へー」
優「は、はい!まだ結成したばかりですがよろしくお願いします!」
観客「かわいいー!」
千早(観客席のメスブタ共め!私の優に色目使ってんじゃないわよ!!)
P「お疲れ。」
真「最初にこの仕事が来た時は正直ちょっと嫌だって思ってましたけど来て良かったです!」
P「最初に3番って言い出した時は冷や冷やしたけど、回答者の機転に助けられたな…」
千早「女装した優が可愛すぎて生きるのが辛い。今度優に着せるために女物を服を買ってこようかしら」
P「自分は着ないのかよ!」
真美「兄ちゃんが散歩にいくの」
亜美「じゃあ、亜美たちは事務所に引きこもってるね」
P「なんでだよ。」
真美「だって兄ちゃんが散歩にでかけると交通事故に遭う確率が…」
P「人を死神みたいな扱いしやがって…」
亜美「だって、はるるんとミキミキも被害にあってるし」
P「むしろ助けたのに酷い言われようだ…」
雪歩「あ、プロデューサー。」
P(ん?あの車様子がおかしい。赤信号なのに減速する気配がない。)
P「雪歩!危ない!」
雪歩「えっ…きゃあ!!車が」
P(く…間に合わないか?一か八か突進だ!)
雪歩「きゃっ」
Pの突進で雪歩は車に轢かれずに済んだ。
P(な、なんとか助かった。)
チンピラ「てめーらジャマなんだよ!チンタラ道路を歩いてんじゃねえ!」
P「なんだと!信号無視したのはそっちだろ!」
チンピラ「あ?てめー俺を舐めてんの…か………」
P(何だ?様子がおかしい…)
チンピラ「すいやせんでした!!!」
P(雪歩に向かって土下座しただと……)
雪歩「だ、大丈夫ですぅ。」
チンピラ「良かった……本当に良かった。こ、このことは、どうかお父様には……」
雪歩「別に言いつけるつもりはありませんよ。」
チンピラ「あ、ありがとうございます。では、失礼します。」
雪歩「プロデューサー?さっきのことは何も見てませんよね?聞いてませんよね?」
P「え?」
雪歩「何も見てませんよね?そもそも事故なんてありませんでしたよね?ね?」
P「ハ、ハイ。確かに事故なんてありませんでした。」
P(なんだろうこの感覚は。社会の暗部が見えそうだったよ。)
千早「まあなんでもいいですけれど。」
優「僕たちを呼び出した用件はなんですか?」
P「ああ、実は2人に地方のライブイベントに出てくれないかって要請があったんだ。」
千早「2人だけですか?優と2人っきりですか!?」
P「765プロからは2人だけだ。でも、他の事務所からもイベントに参加するアイドルはいる。」
優「ってことは、僕たちとそのアイドルで対決するようなものですか?」
P「まあ、そうなるだろうな。地方のイベントとはいえ、ここで手を抜くわけにはいかない。他の事務所に大きく負けるようなことがあれば、今後の仕事に支障が出る可能性だってある。」
千早「大丈夫です。私と優の愛の力があれば負けません。」
P「そうか。俺も全力でサポートさせてもらうぞ。」
P「こだまプロの新幹少女だ。事務所も大きな力を持ってるし、強敵だぞ。」
P「後もう1組出る予定のグループがあるんだが…これは当日まで明かさないらしく、俺にも何のグループが伝わってないんだ。」
千早「誰が来ても同じことよ。私と優以上にラブラブなユニットなんているはずがないわ。」
P(確かに愛の重さだけで言ったら千早に勝てるやつなんていないな。)
優「僕ライブやるの初めてだけど大丈夫かな……」
千早「優の初めての相手は私なのね。」ニヤニヤ
優「ユニットの話だよね?」
千早「別の初めても奪ってもいいのよ。」
優「お姉ちゃんだったら…」
ひかり「あなたたちが噂の姉弟ユニット?」
千早「何?誰ですか?邪魔しないでくれます?」
ひかり「…………」イラッ
優「新幹少女さんですよね?」
ひかり「そうよ。」
つばめ「あたし達と同じステージに立つ相手の様子を見にきたの。」
のぞみ「弱小765プロだからどうせ大したことなさそうだけど」チラッ
のぞみ「!!!!」メトメガアウー
優「あの…どうかしましたか?」
のぞみ「な、なんでもないです!(裏声)」
千早「<●><●>」
優「あ…はい。」
ひかり「のぞみ!?あんた何やってんの!」
つばめ「そうだよ。男の子と手を握っているところを誰かに見られたらスキャンダルにされるよ。」
千早「……ったな」
のぞみ「え?」
千早「優の手を握ったなあああ!!!んあー!!!!」
のぞみ「ヒイイイイ!!!」
優「ちょっとお姉ちゃん。よその事務所にアイドルに手を出すのはまずいって!」
千早「んあー!!!んあー!!!」ジタバタ
P「この声は千早……って何やってんだ!!!」
こだまP「全く。おたくの事務所のアイドルはどうなってるの?」
P「すみません。」
こだまP「幸い怪我がなかったからいいものの大事なライブ前にアイドルに襲いかかろうとするなんて。」
P「本当に申し訳ありませんでした。千早、お前も謝れ。」
千早「くっ…すみませんでした。」
こだまP「ウチの大事な商品が傷ついたら責任問題だからね?アイドルの教育くらいちゃんとして欲しいよ全く。」
千早「プロデューサー。すみません。私のせいで……」
P「そんなに落ち込むな。千早が優のことで暴走する可能性があったのに目を離していた俺も悪い。」
千早「プロデューサーは悪くないです。悪いのは全部……」
千早「あの女狐……!」ギリッ
P(千早はブレないなぁ!!!)
優「そういえば、あののぞみって人に手を握られた時にこっそり紙を渡されてたな…」
優「携帯の番号とアドレスだ。」
千早「それこっちに頂戴……」
優「はい。」
千早「んあー!!!」ビリビリ
千早「絶対に負けない絶対に負けない絶対に負けない絶対に負けない…………」ブツブツ
P「闘志が感じられるのはいいことだけど、ちょっと怖いです。」
優「これがいつものお姉ちゃんです。」
P「平然としていられる優もすげー!」
ひかり「みんなー。今日は来てくれてありがとー。」
観客「わああああ!!」
つばめ「一生懸命がんばるので応援して下さいねー。てへ☆」
観客「うおおおおおお!!!」
のぞみ「それじゃあいっくよー!」
千早「んあー(憤怒)」
P「そこ、ステージ裏で変な声出さない。観客に声聞こえたらどうするんだよ。」
P(闘志に燃えている千早はともかく、優は萎縮してないといいけど……)チラッ
優「凄い……こんな近くでステージに立つアイドルを見れるなんて。」
優「僕ももうすぐあの舞台に立てるんだ。」
P「緊張しているのか?」
優「正直言うと少しだけ緊張してます。でも、早くステージに立ちたいって気持ちの方が強いです。」
P(心配なさそうだな。)
P「そろそろ出番だな。よし、全力でぶつかってこい!」
千早 優「はい!」
優「今日はお越しいただきありがとうございます!」
観客「今日は女装じゃねえの?掘らせろー!」
千早「思う存分楽しんでいって下さいね。」
観客「え?両方胸ないぞ。どっちが姉なんだ?」
P(観客が全然自重しない…大丈夫かな…)
優「実は僕、交通事故に遭いそうになったことがあるんですよ。」
P(なんかトークが始まった!?)
優「その時、助けてくれた人がいて、なんとその人が今の僕たちのプロデューサーなんです!」
観客「マジかよ!」
優「それにしても、交通事故って怖いですよね。僕も車が近くにくるまで気づきませんでしたし。」
優「車がくるまで。」
千早「ブフォ!!ちょwww車がくるまでってwwww」
観客「アハハ…」
P(優ドヤ顔。千早爆笑。会場半笑い。俺冷や汗。)
P(千早と優のライブは新幹少女に負けないくらいに盛り上がった。)
P(正直、新幹少女に太刀打ちできるかどうか不安だったけど俺の不安は杞憂に終ったようだ。)
P(尤も最初のトークのせいでこちらが判定負けしている感は否めないが……)
優「プロデューサー!僕のトークどうでしたか!?」
P「ライブが終って一番最初に言うことはそれか!」
千早「最高でしたよね。優のあのギャグは……プフ…車がくるまでwwww」
P「下手したら命を落としていたかもしれない状況なのにギャグにする前向きさは凄いと思います。」
P(後、残っている演目は当日までシークレット扱いされている枠だけだ…一体誰が出るんだ?)
観客「キャアアアアア!!」
P「黄色い歓声だと……。」
北斗「チャオ☆」
観客「鬼ヶ島羅刹ー!こっち向いてー!」
冬馬「ヶしか合ってねぇじゃねぇか!」
翔太「冬馬君また名前間違えられてるwwww」
観客「アハハハハハ」
P「あ、あれは961プロのジュピター!シークレット枠はジュピターだったのか!」
P(ボーカルもダンスもこちらより圧倒的に上回る現実を叩きつけられた。)
優「負けた……」
優「僕よりトークが盛り上がってたじゃないか(嫉妬)」
P「そっちかよ!!」
優「だって、僕芸人を目指しているんですよ!」
P(そういえばそうだったな。)
優「ファンに名前を間違えられて爆笑されるなんて……そんな勝手にネタが向こうからやってくるなんて汚いですよ!」
P「優の最終目標は芸人だとしても、まず最初はトップアイドルにならなきゃ始まらないだろ?そのためには、ジュピターよりファンを獲得しなければならないことはわかるな?」
優「はい。そっちも悔しかったです。」
優「もっと歌もダンスも上手くなりたい。次こそは絶対ジュピターに負けたくないです。」
P「よし、その意気だ!」
冬馬「おい、おっさん。何で俺達がこんな地方の小規模のライブに出ないといけないんだ。」
黒井「不満か?」
冬馬「当たり前だろ!俺達はもっとでかいことをしたいんだよ!」
黒井「折角、主催者に無理言って枠を作ってもらったんだがな。」
黒井(これで、客に対するこのライブの印象は完全にジュピター一色に染まった。765プロのアイドルなんて誰の記憶にも残らない。)
黒井(売り出し中の状況でこの打撃は痛いだろ?高木ィ!!)
黒井「フハハハハハ!!!」
冬馬「なんだ急に笑い出して気持ちわりいな。」
ひかり「ちょっと!どういうことよ!」
つばめ「あたし達が完全に当て馬みたいじゃない!」
こだまP「いや、このことは私も知らなかった……」
千早「自分達の実力不足を棚に上げてプロデューサーに当たるなんて新幹少女も案外大したことないわね。」
ひかり「はぁ!!あんただってジュピターに負けてたじゃないの!」
千早「少なくても私はプロデューサーのせいにしたりしないわ。どんな状況でも誰が相手でも勝つつもりで挑まなかったらトップアイドルになんてなれない。」
ひかり「ぐぬぬ…」
千早「私達はもっとレッスンを積んで必ずジュピターにリベンジする。」
千早「もちろん。貴女たちにも負けるつもりはないわ。」
ひかり「い、言うじゃない。私達だって負けないから!」
優「えっと…最初から最後まで喧嘩ばかりだなんて…なんかすみません。」
つばめ「あたし達も悪いところはあったし、気にしないで。」
ひかり「弟は常識人みたいね。姉と違って。姉と違って。」
千早「何で2回言うの!それに貴女には言われたくないわ!」
のぞみ「優さま……」ウズウズ
のぞみ(優さまに近づきたいけど、もし近づいたら妖怪ぬり壁が襲ってくるジレンマ。)
千早「<●><●>」
のぞみ(明らかにこっち見てる……)ガクブル
「765プロのプロデューサーさんですね?」
P「そうですが…貴方は?」
黒P「私は961プロ所属ジュピターのプロデューサーです。」
P「ジュピターの?あ、初めまして。」
黒P「今日のライブは大盛り上がりでしたね。」
P「そうですね。ジュピターに全部持っていかれた感じはありますが。」
黒P「実はジュピターの参戦は765プロを潰すための作戦だとしたら?」
P「え?」
黒P「売り出し中のアイドルに不意打ちで人気アイドルをぶつける。そうすれば、売り出し中のアイドルが明らかに負けますよね?」
黒P「最初からジュピターが来ることがわかっていれば、ジュピター目当てで来たファンにも売り出し中のアイドルを認知させることができる効果もある。」
黒P「でも、今回はシークレットだからそういった効果も望めない。」
黒P「明らかに悪意があるは思いませんか?」
黒P「さぁ?黒井社長の考えていることは私にもわかりません。でも、私が765プロ潰しに加担する理由はあります。」
黒P「復讐ですよ。私をクビにした765プロに対する……」
P「まさか、貴方はアイドルにセクハラしてクビになった人じゃ…」
黒P「あれはスキンシップです!」
黒P「とにかく、潰されたくなかったら大人しくしていることですね。」
黒P「目ざとく行動しようとするとアイドル人生を終らせることになりますよ?」
P「悪いけど俺は961に屈するつもりはありません。どんな手を使ってこようとも絶対に勝ってみせます。」
黒P「そうですか。残念です。私は巨乳信仰ですから、貧乳と男には容赦しませんよ。例えば、あの姉弟ユニット……」
P「千早と優には手出しさせない!」
黒P「流石若いだけあって熱いですね。……おっと、そろそろ私は失礼させて頂きます。」
P(961プロ……絶対に負けるもんか。)
社長「そうか。彼は961に拾われていたんだ。」
P「はい。そして、今は俺達の敵です。」
社長「彼は優秀なプロデューサーだった。才能はあったが、セクハラする癖があるのがアイドルと接するプロデューサーとして致命的な弱点だった。」
P「ジュピターは男性アイドルだから弱点を克服してますね。」
律子「千早のライブでの表情変化に一番最初に気づいたのもあのプロデューサーだったわ。」
P「優がいると表情が変化するやつか。あれは律子が気づいたわけじゃなかったんだ。」
律子「ええ。私にプロデューサーとしての心得を教えてくれたのもあの人だったわ……その分セクハラされましたが。」
律子「セクハラすることを除けばいい人でしたからね。」
P「俺は過去のあの人を知らないから何とも言えません。」
P「とにかく765プロのアイドルは俺が全員守ってみせます。」
社長「うむ。心強いな。」
P「もちろん。律子もな。」
律子「わ、私もですか!?」
P「ああ。プロデューサーとはいえ、女の人なんだ。標的にされる可能性はないとは言い切れない。」
律子「そうですね。何かあった時は期待させて貰いますよ。プロデューサー殿。」
黒P「私にいい考えがあります。」
黒井「ほう。いい考えとは?」
黒P「如月優を引き抜くんです。千早の原動力の殆どは優と言っても過言ではありません。」
黒P「優を失えば千早のテンションは負のスパイラルに陥り、2度とアイドルとしてステージに立てることはできなくなるでしょう。」
黒井「なかなか面白い考えだな。元765の人間だからこそ分かる弱点を突く作戦か。だが、問題はどうやって優を引き抜くかだが?」
黒P「それは……これから考えます。」
黒井「チッ。」
黒P「申し訳ありません。優は私がクビになった後に入ってきたので、弱点とかの情報が殆どなくて……」
黒井「まあいい。引き抜く方法は私が考えるから、貴様は引き抜いた後の如月優をどう使うか考えてろ。折角引き抜くんだからジュピターにも劣らぬアイドルに仕立て上げなければな!」
黒P「わ、わかりました。」
店主「もう勘弁してください。材料がなくなってしまいます。」
貴音「そうですか……それでは致し方ありませんね。お会計お願いします。」
貴音(少し物足りませんね。また別のお店でらぁめんを……)
貴音「……!なにやつ!」
車「Booooo」
貴音「止まりなさい!ここは歩道です!」
貴音(止まる気配はないようですね。)
P「でぇあ!!」
貴音「あなた様……!」
貴音「しかし、ここは歩行者が優先される歩道というものです。避けるなら車の方が……」
P「もし車が貴音を避けなかったらどうするんだ!怪我じゃ済まないんだぞ!」
貴音「歩道なのに歩行者優先ではないことも考えられるのですか?」
P「運転手が全員善良な人間とは限らないだろ。」
貴音「なるほど。その考えには至りませんでした。」
P「貴音はどこか抜けているんだよな。」
運転手「もしもし、黒井社長ですか?すみません。四条貴音を轢き損ねました。」
黒井「まあ良い。轢かれそうになった事実だけでも十分牽制になる。では次の標的を狙いにいけ。」
運転手「かしこまりました。」
黒井「いくらあのプロデューサーが交通事故からアイドルを守ったところで、間髪入れずに連続で轢こうとすれば流石に対応できまい。」
黒井「人間の足では車には追いつけないからな!」
響「いぬ美ー!道路側に出たら危ないぞー!」
いぬ美「がるるるる」
響「どうしたんだ?いぬ美?」
運転手「ターゲット発見。」
響「え?ちょ!どうして車がこっちに突っ込んでくるのさー!」
運転手「死ねぇぇぇ!!」
警察「そこの車止まりなさい!」
運転手「げ、パトカー!?まずい!こんなやつに構ってる暇はない!さっさと逃げなければ。」
P「響ー!大丈夫か?」
響「プ、プロデューサー…怖かったぞ。ぐす…」
P「偶然近くにパトカーが通りかかったんだ。貴音を轢きそうになった車のことを話したら、その車を追跡しようって話になってな。」
P「それにしても、ウチのアイドルたちが同じ車に連続で狙われるなんて…明らかな故意犯だな。」
P(961の仕業か?でも、プロデューサーの方は巨乳信仰だから貴音と響を狙うわけがない。だとしたら、黒井社長の差し金か。)
真美「やっぱり兄ちゃんはなにか持ってますな→」
P「君らどうしても俺のせいにしたいの?」
響「本当に怖かったんだぞ!プロデューサーがいなかったら自分は今頃……」
貴音「わたくしもあなた様に助けられました。」
優(もし、事故が961の仕業なら……名指しで指定された僕やお姉ちゃんはあんなものじゃ済まないんじゃ……)
P「優?どうかしたのか?」
優「いえ、なんでもありません。」
P「そうか。悩みがあったらいつでも言えよ?俺に出来る範囲なら何でも協力するからさ。」
優「誰ですか?」
黒井「私は961プロの社長の黒井という者だ。」
優「961プロが何の用だ!」
黒井「そんな喧嘩腰でこられても困るな。嫌われる覚えはないんだが?」
優「四条さんや我那覇さんを襲ったんじゃないのか?」
黒井「何を証拠に言っているんだ?」
優「証拠はないけど……」
黒井「まあいい。本題に入ろう。私は君の才能を高く評価している。その才能を活かすために961プロに移籍しないか?」
優「断る!」
黒井「姉がどうなってもいいのか?」
優「お姉ちゃんを人質にとるつもりか?」
黒井「そんなつもりはない。ただ、如月千早の身にいつ交通事故じゃ済まないようなことが起きるか心配しているだけだ。」
優「くっ」
優「961プロに移籍すればお姉ちゃんには手を出さないんだろうな?」
黒井「それは君の心がけ次第だ。」
優「…………」
黒井「先に言っておくが、961プロにいる間はこちらが用意した宿泊施設で暮らしてもらう。当然、如月千早がいる家には帰れると思うな。」
優「そ、それは無理!」
黒井「そろそろ姉離れをしたらどうだ?」
優「…………」
黒井「さあ早く決断したまえ。私はこれでも忙しいんだ。」
優「僕は…………」
千早(優遅いな……もう帰ってきてもいい頃だと思うのだけれど。)
千早(優に電話しても繋がらないし、プロデューサーに電話してみよう。)
P「もしもし。どうした千早?」
千早「優がまだ帰ってきてませんけど、知りませんか?」
P「え?まだ帰ってないのか?もうとっくに帰したはずだぞ。」
千早「そんな……」
P「優の携帯にも電話してみたか?」
千早「はい。でも、全然繋がりません。」
P「まさか……俺は今から優を探す。」
千早「私も…」
P「千早は家にいろ!もし、961の仕業なら千早が狙われる可能性がある。」
千早「でも…」
P「心配するな。俺が必ず優を見つけるから。」
千早「はい。わかりました。優をお願いします。」
優「あ!」
黒井「どうした?」
優「今プロデューサーの声が…」
P「優!見つけたぞ!」
優「プロデューサー!」
黒井「遅かったな。高木の犬め。」
P「黒井社長!優をどうするつもりだ!」
黒井「自社のアイドルをどうしようと私の勝手だろ?」
P「自社のアイドル?どういうことだ?優は765プロの…」
優「ごめんなさい。プロデューサー。僕、961プロに移籍することになりました。」
P「な……」
黒井「そういうことだ。わかったら、さっさと事務所に戻って社長にこのことを報告するんだな。」
P「すまない……俺の力じゃどうすることも出来なかった。」
社長「優君自らが選んだ道だ。こうなってしまった以上は仕方ない。」
千早「そ、そんな優が………」
春香「千早ちゃん。大丈夫だよきっと。優君も何か考えがあって……」
千早「ごめん春香……しばらく独りにして……」
美希「千早さん可哀想なの。」
律子「千早はもうダメね……ただでさえ、優の移籍は辛いことなのに、よりによって移籍先が敵対している961プロだなんて。」
貴音「如月千早のめんたるでは、如月優と戦うことは適わないでしょう。」
やよい「優さんは家にも帰ってないですし、家族と離れ離れは寂しいです。」
雪歩「優君は男の人で怖かったけど、いなくなるとやっぱり寂しいですぅ」
真「ボクは961と戦うよ。それしか優君を取り戻す方法はないと思う。」
真美「全面戦争ってやつですな→」
亜美「765プロを怒らせるとどうなるのか思い知らせる必要がありますな→」
律子「言っておくけど遊びでやるんじゃないんだからね。」
律子「やるからには、こっちが961をぶっ潰す気でやらないと!」
美希「律子も結構ノリ気なの。」
律子「律子さんでしょ!」
優「…………」
冬馬「てめえシカトかよ!」
黒P「やめろ冬馬。彼は私達の新しい仲間だ。」
冬馬「どういうことだよ。」
黒P「黒井社長が引き抜いてきたんだ。お前達の後輩になるかな。」
冬馬「だったら、尚更先輩にはちゃんと挨拶しやがれ。」
優「どうも、天ヶ崎竜馬さん」
冬馬「ちょっとずつ間違えてんじゃねぇ!」
冬馬「チッなんだ演技だったのか。紛らわしいな。」
黒P「ちなみに私は名前間違えるところまでは指示していない。」
冬馬「ってことは、アドリブか。やるじゃねえか。」
優「普通に間違えただけですよ。ピピン板橋さん。」
冬馬「って、文字の数しか合ってねぇじゃねーか!大体、どこから来てるんだ、その名前は!?」
千早「今まで迷惑かけてごめんなさい。こんな時だからこそ、私がしっかりしないといけないのに。」
P「気にすることはない。それより大丈夫か?今日の番組の収録の共演者に……」
千早「優がいますね。」
P「優は961に入ってから印象が変わったというか……悪役に撤している感じがするんだ。」
P[千早相手にも悪役を演じるようなことがあるかも知れない。それでも耐えられるか?」
千早「…………大丈夫です。優と向き合ってみます。」
P「そうか。無理はするなよ。」
千早「はい。」
ひかり「はーい。よろしくおねがいしまーす。」
司会者「続いて如月千早さん。」
千早「よろしくお願いします。」
司会者「最後に如月優さん。」
優「……………」
司会者「あの何か一言。」
優「んあー(挑発)」
司会者「…………だそうです。」
ひかり「私はボイスレコーダーに自分の歌声撮って聴いて、改善点があるかを探してますね。」
ひかり「ボイスレコーダーもいつも持っているんですよ。」
司会者「なるほど。」
千早「私は毎日腹筋を1000回してます。」
司会者「多すぎでしょwwwそこまでやるとかえって逆効果な気もしますが」
優「基本的に口パクなんでボイストレーニングはしてないっすわ」
司会者「それテレビで言っちゃダメでしょwwwwww」
ひかり(え?嘘でしょ?あの時のライブでは汗だくになりながらも本気で歌ってたのに。)
千早「嘘よ!優はそんなこと言わない!」
司会者「…………」ポカーン
優「……!」
優「い、い……いつまで姉貴面してんだよ……」
千早「!!!」
優「もうあんたとは住む家も事務所も違う!もう関係ないだろ…」
P(な…まさか優がそんなこと言うなんて……)
黒P(いいぞ優。千早の精神をアイドルとして再起不能まで叩き込むんだ!)
千早「くっ」
黒P(よし。ここでもっとキツい罵声を浴びせるようにカンペを出して……)
優「あーあ。なんか白けちまった。もう帰るわ。」
司会者「え…ちょっと!」
黒P(お、おい!私はそんな指示出してないぞ!)
千早「ぁ……」
千早(声が出ない……)
P「千早!大丈夫か?」
黒P(お、千早に十分ダメージが通ってるな。いいぞ。優を悪役として育て上げたのは、千早と優が共演した時に、優が千早に罵声を浴びせても不自然じゃなくするためだったのさ。)
黒P(これで千早潰しは完了だ。早速、黒井社長に連絡をしないと。)
司会者「どうすんだよこれ…放送事故レベルじゃねえか。」
優「…………」
ひかり「どうしてあんなこと言ったの?あんなに仲が良かった姉弟だったのに。」
優「……って…」
ひかり「え?」
優「僕だってお姉ちゃんにあんなこと言いたくなかった!!!」
ひかり「なにそれどういうこと?」
優「今なら黒井社長とプロデューサーがいないから言うけど、僕は事務所に脅されているんだ。移籍したのも脅されたから。」
ひかり「脅されてるって…」
優「僕が事務所の言うことに逆らうとお姉ちゃんの身に危険が及ぶ。現に、黒井社長は交通事故に見せかけて他のアイドルに危害を加えようとしてたし。」
ひかり「そういうことだったのね。」
優「でも、僕はお姉ちゃんを守るどころか傷つけてしまった。僕はどうすればいいんだ。」
P(やっと千早の活動が再開できると思ったのに、振り出しに戻るどころかマイナスからのスタートだな。)
律子「もうすぐ定例ライブですね。」
P「ああ。」
律子「千早は出られますかね?」
P「わからない。携帯も繋がらないし、家を訪ねても居留守を使われる。」
ひかり「すみません。如月千早さんはいますか?」
P「君は新幹少女の……悪いけど千早は最近事務所にすら来てないんです。」
ひかり「そうですか…」
P「何かご用ですか?」
ひかり「いえ、なんでもありません。失礼しました。」
律子「なんだったんでしょうね。」
P「さあ?」
春香「プロデューサーさーん…わあ!」 ドンガラガシャーン
春香「いてて…転んで壁にぶつかっちゃいました。テヘ。」
千早「…………」
春香「ああ!これ壁じゃなくて千早ちゃんだった!プロデューサーさん!千早ちゃん来ましたよ!」
P「何本当か?」
千早「…………」
P「その様子だとまだ声を出せないみたいだな。」
千早「…………」コクリ
P「ステージに立つのは無理そうだな……」
コンコン
「入るよー」
千早「…………」
ひかり「やっと会えた。あんたにこれ届けるためにずっと探し回ったんだから。」
千早(ボイスレコーダー?)
ひかり「それ、再生してみて。」
千早「…………」
『お姉ちゃん…』
千早「!!!」
『あの時はひどいこと言ってごめんね。僕も本当はお姉ちゃんにあんなこと言いたくなかったんだ。』
千早「こ……れ……は……?」
ひかり「いつもボイスレコーダー持ち歩いてるって言ったでしょ?あの後、あんたの弟を追いかけて声を録音したの。」
『だから、ひかりさんにボイスレコーダーを借りて声を録音してお姉ちゃんに僕の声を届けてもらうことにしたんだ』
『僕が言うことを聞かないとお姉ちゃんに危害を加えるって黒井社長に脅された』
『961プロに移籍したのも、悪役に撤してお姉ちゃんにひどいこと言ったのも全部脅されてやったことなんだ』
『脅されたやったこととはいえ、本当にごめん。僕はお姉ちゃんを嫌いになったりなんかしないよ』
『大好きだよ。お姉ちゃん』
千早「…………」ポチッ
『大好きだよ。お姉ちゃん』
千早「…………」ポチ
『大好きだよ。お姉ちゃん』
千早「…………」ポチポチポチポチ
ひかり「ちょっと連打はやめて!壊れる!」
ひかり「!!」ビク
千早「復活ッ!」
ひかり「ま、まあこれで私の役割終ったし帰るわ。」
千早「待って!そのボイスレコーダー売って!!」
ひかり「なんで?」
千早「優の声が録音されているからに決まってるでしょ!!」
ひかり「無茶言わないでよ。これには私の声も入ってるの。」
千早「大丈夫。それは消すから。」
ひかり「えー」
ひかり「言ったでしょ?あんた達には負けないって。今のあんただと勝ち負け以前に勝負にすらならないからよ。」
ひかり「このライブ絶対成功させなさい。そのくらいじゃないと張り合いがないわ。頑張ってね千早。」
千早「わかったわ。ありがとう。ひかり。」
春香「千早ちゃん!」
伊織「あんた声出せるようになったの?」
千早「ええ。優の愛が私の魂を再び呼び覚ましてくれたわ。」
律子「また訳のわからないことを…」
貴音「そのようなことがあったのですか。」
響「貴音は今ので通じたのか!?」
やよい「よくわからないけど復活おめでとうございます。うっうー!」
P「千早。大丈夫なのか?」
千早「今まで迷惑かけてごめんなさい。でも私はもう大丈夫です。」
P「ステージに立てるか?」
千早「はい!!」
千早(私は961プロなんかに屈しない!その姿を見せ付ければ優はきっと帰ってくる!)
P「よし、そろそろ開演の時間だ!いくぞ、みんな!」
『ハイ!!』
黒P「………はい。」
黒井「如月千早も完全復活したようだが?」
黒P「…………」
黒井「なーにが如月千早の弱点だ!貴様の作戦は失敗しているではないか!」
黒P「申し訳…」
黒井「この作戦は打ち止め!如月優は961プロから脱退させるし、貴様はクビだ!」
黒P「そ、そんな!見捨てないで下さい社長!」
黒井「私はもう貴様の社長ではないわ!」
優「お姉ちゃんもかわいいよ。」
千早「もう言ったな~この!この!」
ドン!
社長「音無君!事務所の壁を殴るはやめたまえ!」
小鳥「じゃあ、壁殴り代行頼んでください(血涙)」
P「なんか前よりイチャつき度が上がってる気がするんだけど。」
律子「もう何も言う気はおきない…」
美希「じゃあ、ミキはハニーとイチャつくね!」
律子「あんたはダメ!それに、いつの間にプロデューサー殿のことをハニーって…」
美希「ふぇー律子…さんのいじわる~」
終わり
Entry ⇒ 2012.04.22 | Category ⇒ アイマスSS | Comments (0) | Trackbacks (0)
やすな「やすニャ短編3本だよ!」ソーニャ「4本だ、バカ」
http://hayabusa.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1334326075/
サワッディカーップ!私、折部やすな!実はソーニャちゃんの恋人!
色々あってめでたく結ばれたわけなんだけど、ソーニャちゃんにはある癖があって…困ってるんです!
やすな「ソーニャちゃーん!」
ソーニャ「おう」
やすな「おはよ!」
ソーニャ「おはよう」
やすな「もうー元気ないなぁ…朝なんだからシャキッとしなきゃ!」
ソーニャ「朝からうるさいなお前は…」
やすな「そんなこと言ってーそんな私が好きなくせに!」ウリウリ
ソーニャ「うっ…」カァッ
やすな「照れてる!かっわいー!」ギュッ
ソーニャ「ば、ばか!くっつくな!」
ソーニャ「バカかお前は!こんな道端でなに考えてるんだ!」
やすな「えー…じゃあ一回ぎゅってしてくれたら離してあげる」
ソーニャ「……………」
ぎゅっ
やすな「あ…えへへ…」
ソーニャ(か、かわいい…)キュンッ
やすな「ソーニャちゃーん…」ギュッ
ソーニャ(かわいいかわいいかわいいかわいいかわいいかわいいかわいいかわいいかわいいかわいい)ギュウウウウウウウウウウウッ
やすな「あああああああああ!!!痛い!痛いよソーニャちゃん!」
ソーニャ「で、でもお前が可愛いからっ…!」ハァッハァッハァッハァッ
ぎゅうううううううううううううううううう!!!!!!!
やすな「離して!死んじゃう!死んじゃうううううううう!!!!」ジタバタ
ソーニャ「し、死ぬ?死ぬのか?私に殺されるのか?私のこの手でお前を殺せるのか!?いいのか!?いいだろ!?いいよな!?好きだぞやすな!それはもう殺したいぐらいに好きだ!!!愛してる!!!!!」ハァハァハァハァハァハァ
やすな「しまった!逆に興奮させちゃっ…あああああああああああああああ!!!!!!!」
やすな(こうなったらあの魔法の呪文を…!)
やすな「ソーニャちゃん!離さないと嫌いになるよ!!!」
ソーニャ「!」パッ
やすな「うっ!げほっ!けほっ!っ…はぁっはぁっ………ふぅ…」
ソーニャ「あ…す、すまん私また…」
やすな「………ソーニャちゃん」ジトッ
ソーニャ「う…」
やすな「めっ!」
ソーニャ「…」シュン
そう、ソーニャちゃんの癖とは…
好きって気持ちが高ぶると、相手を殺したくなっちゃうらしいのです。
ソーニャ(いくつも命があれば何回でもやすなを…)ジュルッ
やすな「……今変なこと考えなかった?」
ソーニャ「い!いや!?」ビクッ
やすな「ふぅん…?」ジー
ソーニャ(くっくそ!バカのくせに“女の感”だけは鋭い…)キョドキョド
やすな「ま、いっか」
ソーニャ(やっぱりバカはバカだな)フゥ
やすな「でもさーソーニャちゃん私でよかったね」
ソーニャ「なにがだ?」
やすな「私丈夫だから平気だけど普通の子だったらさっきので死んでるよ」
ソーニャ「ふーん(いいんだか悪いんだか…)」
ソーニャ「!」キュンッ
ソーニャ「や、やす…!」チャキッ
やすな「めっ!」
ソーニャ「!」ピタッ
やすな「嫌いになるよ」
ソーニャ「………分かってるよ」シュン
やすな(やだかわいい)キュン
ソーニャ「病気みたいな言い方するな」
やすな「好きな人殺したいなんて病気だよ…」
ソーニャ(正論っぽいがこいつに言われるとすげー腹立つ!)
やすな「そもそもなんでそんな歪んだ愛情持つようになっちゃったの?」
ソーニャ「私に聞かれても知らん」
やすな「ソーニャちゃんのことなんだからソーニャちゃんに聞かなきゃ誰に聞くのさ!」
ソーニャ「そう言われてもなぁ…」
やすな「分かった!殺し屋なんてやってるからいけないんだよ!だからそんな歪んだ子になっちゃったんだ」
ソーニャ「誰が歪んでるって!?」
やすな「ごめんなさい!」
ソーニャ「まったく…」
やすな「ねぇー殺し屋やめようよー」
ソーニャ「簡単に言うな。辞める=死だ」
やすな「じゃ、じゃあ組織の人間全員殺してから…」
やすな「そんなぁ…」
ソーニャ「私が殺し屋なのが嫌なのか?」
やすな「嫌だよ!普通嫌だよ!」
ソーニャ「でもビンのフタ開けるのに栓抜きいらないし、殺したい奴いたら殺せるし、便利だろう?」
やすな「そんな便利さいらないよ!」
ソーニャ「なにがそんなに嫌なんだ?」
やすな「ソーニャちゃんが誰かを傷つけることも嫌だけどソーニャちゃんが危ない目にあったりしたらやなんだもん…」
ソーニャ「やすっ…!」キュンッ
やすな「めっ!」
ソーニャ「………」シュン
ソーニャ「パン買ってくる」
やすな「あ、待ってソーニャちゃん」
ソーニャ「?」
やすな「はいこれお弁当!」
ソーニャ「え…わ、私に?」
やすな「うん!お母さんに頼んで作ってもらった!」
ソーニャ「そ、そうか…」ジーン
やすな「ごめんね、本当は私が作ったのあげたかったんだけどあんまり料理したことないから…」
やすな「料理勉強して上手になったらソーニャちゃんに私の手作りのお弁当毎日作ってきてあげるね!」
ソーニャ「やすな…」ジィィィーン
ソーニャ(………殺したい)ウズウズ
やすな「さ、食べよ!」
ソーニャ「あっ」
やすな「え?」
やすな「なに?なんかあるの?」
ソーニャ「いや、髪が赤と黒色したおさげの奴がいた気がしたんだけど気のせいだった」
やすな「髪が赤と黒ー?変なの!」ケラケラ
やすな「じゃ、たべよっか!いただきまー…す?」
ソーニャ「………」ソワソワ
やすな「………ソーニャちゃん」
ソーニャ「な、なんだ?」
やすな「お弁当になにか入れたでしょ」
ソーニャ「……しらない」
やすな「じゃあなんでタコさんウィンナーが紫なの!?おかしいよ!」
ソーニャ「それは…その…だから…」キョドキョド
やすな「…ソーニャちゃん」
ソーニャ「……なんだ?」
ソーニャ「う…」シュン
やすな「もー!食べ物無駄にしたらだめでしょお!?」
ソーニャ「す、すまん……じゃあこれ…」
やすな「だめ!それは私がソーニャちゃんにあげたんだから!」
ソーニャ「じゃあ購買で何か買ってくるよ…何がいい?」
やすな「やきそばパンとメロンパン。あとトマト牛乳も!」
ソーニャ「分かった…」トボトボ
ソーニャ「すまん…」モグモグ
やすな「ね、それでお弁当作るとしたらなにがいい?」
やすな「あ、パンがいい?ソーニャちゃんいつもパンだもんね。サンドウィッチとか?」
ソーニャ「…お前が作るならなんでもいい」
やすな「なんでもいいが一番困るってお母さんがいつも言ってる!」
ソーニャ「でも…お前が作ってくれるなら何でも嬉しいし…」
やすな「ソーニャちゃん…」キュン
ソーニャ「たとえ毒入りでも私は食べる」
やすな「ソーニャちゃんじゃないんだからそんなことしないよ!」
ソーニャ「んー……やきそばパン」
やすな「いつも食べてるじゃん…でもやきそばパンなら私にもできそう!」
ソーニャ「おぉ」
やすな「ペヤ○グ作ってパンに挟めばいいだけだもんね!」
ソーニャ「待て」
やすな「え?あ、U○O派?それとも一平○ゃん?それともニューフェイスのジャ○ジャン?」
ソーニャ(………なんでこんなにバカなのに殺せないんだろう)
ソーニャ「行儀悪いぞ」
やすな「んもぉー!堅いこと言わないの!誰だってお腹いっぱいになったらぽんぽんするんだから!ソーニャちゃん女の子に幻想抱きすぎなんじゃないの~?」
ソーニャ「私も女なんだが」
やすな「ふぁ…食べたら眠くなっちゃった…」
ソーニャ「まんまガキだな…」
やすな「とゆーわけでお休み」
ソーニャ「おい、もう授業始まるぞ」
やすな「だって眠いんだもん…ノートよろし…く…」
ソーニャ「あ、コラ……ったく」
やすな「…」スースー
ソーニャ(寝付き良すぎだろ…)クスッ
やすな「…」スースー
ソーニャ「………」
ソーニャ(な、なんて可愛い寝顔してやがるんだこいつは…!)キュンッ
ソーニャ(殺したい!)ブルブル
ソーニャ(いやっだめだ!そんなことしたらやすなに嫌われ…)
やすな「んん……ソーニャちゃぁん…」ムニャムニャ
ソーニャ「!?」キューンッ
ソーニャ(だっ…だめだ!もう我慢できない…!)ハァーッハァーッ
やすな「むにゃ…」ムニャムニャ
ソーニャ「愛してる!愛してるぞ!やすなあああああああああ!!!!」チャキッ
やすな「めっ」
ソーニャ「!!!!??」ビクゥッ
やすな「めっ…」
ソーニャ「う…」シュン
やすな「めっ……め……めんつゆ…あぎりさん秘伝のめんつゆ…飲んじゃだめだよソーニャちゃん…」ムニャムニャ
ソーニャ「寝言かよ!っていうか飲まねぇよ!」
ザワザワ
「折部さんに向かって言ってたわ!」
ヒソヒソ
「百合ですね~」
ギリギリ
ソーニャ「うっ…!」カァッ
ソーニャ「うわあああああああああああ!!!」ダッ
やすな「………んー…?ソーニャちゃん…?」ムクッ
やすな「ソーニャちゃんなんで早退しちゃったの?それも私が寝てる間に!」キィッ
ソーニャ「い、色々あったんだよ…(くそっ…!明日からどんな顔して教室にいけばいいんだ!)」
やすな「ふーん?あ、ねぇねぇ!クレープ食べに行こうよ!」
ソーニャ「またか…好きだな」
やすな「ソーニャちゃんのが好きだけどねー」
ソーニャ「っ…」キュンッ
やすな「いこっ!」グイッ
ソーニャ「ば、ばか!あんなこと言ったあとすぐに手なんか握って…!……ほ、本当は私に殺されたがって…?」
やすな「ないよ」
ソーニャ「………」
やすな「めーっ」
ソーニャ「…」シュン
やすな「さーいこいこ!」グイグイ
ソーニャ(2、3、5、7、11、13、17、19、23、29…)
やすな「私はちみつクレープ!ソーニャちゃんは?」
ソーニャ(739、743、751、757…)
やすな「ソーニャちゃん!」
ソーニャ「!」ハッ
やすな「何味がいい?」
ソーニャ「あ…お、同じので」
やすな「はちみつクレープ二つください!」
クレープ屋のおっちゃん「あいよー」
ソーニャ「…」ハムハム
やすな「ソーニャちゃんのも一口ちょーだい!」
ソーニャ「同じ味だろ」
やすな「チッ…気付かれた」
ソーニャ「お前じゃないんだから気付く」ハムハム
やすな「どういう意味?」
ソーニャ「そういう意味」ハムハム
やすな「???」
ソーニャ(バカだな)ハムハム
やすな「むー…いいもーん!私のもあげないんだから!」ハムハムハムハム
ソーニャ「いらん」
やすな「でも間接ちゅーできるよ?」
ソーニャ「…」ピクッ
ソーニャ「………」ソワソワソワソワ
やすな「へっへーん!残念でした!もう食べちゃったもんねー!」
ソーニャ「あ…」
やすな「え?」
ソーニャ「………」シュン
やすな「も、もしかして本当にしたかった?」
ソーニャ「……べつに」プイッ
やすな「え、えっと………間接じゃなくて…いいなら…」カァッ
ソーニャ「……いいのか?」
やすな「う、うん…」ドキドキ
ソーニャ「じゃあ…」ソッ
やすな「っ…」ギュッ
ちゅ
やすな(うわ…ソーニャちゃんの唇あったかい…やわらかいし…なんか甘い味が…)ドキドキ
やすな「!?」
やすな(ソ、ソーニャちゃんのべろが私の中に!)アワワ
ソーニャ「ちゅ……ん……っ…」
やすな「んっ…んっ………っふ…」
やすな(……きもちいい)トロン…
ソーニャ(…………………)
がぶっ!
やすな「!?」
ソーニャ(やすなやすなやすなやすなやすなやすなやすなやすなやすなやすなやすなやすなやすなやすなやすなやすなやすなやすなやすなやすなやすなやすな…!!!)
ソーニャ(やすなの唇やわらかいやすなの口の中あったかいやすなの舌エロいやすなの唾液おいしい一生やすなの唾液だけ飲んで生きていたい可愛い可愛い可愛い可愛い可愛い可愛い可愛い可愛い可愛い可愛い!!!!!!)ハァハァハァハァハァハァ
やすな「いひゃい!!!ホーニャひゃんいひゃい!!!!!!!」バシバシ
ソーニャ(このエロ可愛い舌噛み切ればやすなは死んで私だけのものになるし噛み切ったらしばらく口の中でもごもごさせてから飲み込もうそしたらまたやすなにキスして血だらけになった口の中の血と唾液がなくなるまで飲み干してそしたら一旦家に連れて帰って…)ハァハァハァハァハァハァ
やすな(な、なんかすごくおぞましい予感が…!!!!)
ドンッ
ソーニャ「わっ!?」
やすな「うわ…口の中血の味がする…」グスッ
ソーニャ(………)ポワーン
やすな「ソーニャちゃん…」キッ
ソーニャ「…」ハッ
やすな「めっ!!!!!!」
ソーニャ「う…」シュン
やすな「もー!!!!危なっかしくてソーニャちゃんとなんかちゅーできないよ!!!!!」
ソーニャ「え…」
やすな「ちゅーしたかったら早急にその癖治して!はい!今すぐ!」
ソーニャ「無茶言うなよ…」
やすな「治るまでちゅーしないよ!」
ソーニャ「…」シュン
ソーニャ「………」シューン
やすな「だっ…だまされない!だまされないぞぅ!」
やすな「その癖治すまで本当にちゅーしないからね!ほっ本当だからね!」
ソーニャ「………じゃあ」
やすな「え?」
ソーニャ「…抱きしめてもいいか」
やすな「い、いいけど…」キュン
ソーニャ「やすな…」ギュッ
やすな(う…)ギシッ
やすな(ソーニャちゃんから来られると恥ずかしい…)カァッ
やすな(ちゅーのときもそうだったけど恥ずかしがり屋なのに…こういうとき肉食系に戻るんだ…)
やすな(……………ん?肉食系?)
やすな「あああああああああ!!!忘れてた!!!!危険なのはちゅうだけじゃあいだだだだだだだだだ!!!!!!」
やすな(これ…完全に捕食だ…!!!!)
ソーニャ(やすなやすなやすなやすなやすなやすなやすなやすなやすなやすなやすなやすなやすな)ハァハァハァハァハァハァ
やすな「くっ…食われ…あいたあああああああああああああああああ!!!!!!」
ぎゅうううううううううううううううううう!!!!!!!
やすな「めっ!ソーニャちゃんめっ!めっ!めえええええええええええええええええええええええええ!!!!!!!!!!」
女の人「まほうのじゅもんむらさきるぺや○ぐへんたいばかっぷる」
あと3本。
ソーニャ「また別の組織の人間か…?」ペラッ
【女子きです。付き合ってください】
ソーニャ「なんだ恋文か。名前は…書いてない。内容もそうだが頭の悪そうな字だな」ポイッ
ソーニャ「ん?また手紙が…」
【昨日書き忘れちゃった。放科後空き教室まで来てくだい】
ソーニャ「またこいつか…誤字脱字が更に頭の悪さを強調してるな」ポイッ
やすな「あー!ソーニャちゃんゴミ捨てたー!」
ソーニャ「(そしてまた頭の悪い奴が寄ってきた…)チッ」
やすな「舌打ちしたってダメだめだよ!怖くないよ!ゴミはゴミ箱に!」ビシッ
ソーニャ「そのゴミは私の下駄箱に入ってたんだよ」
やすな「え…イジメ?ぷっー!プロの殺し屋のくせに学校でイジメられるなんて!」ゲラゲラ
ソーニャ「お前も苛めてやろうか?」チャキッ
やすな「あ…ごめんなさいごめんなさい…!イジメ、カッコワルイ!」
ソーニャ「………ふん」パッ
やすな「ふぅ…」ホッ
ソーニャ「お前のなかであぎりの印象どうなってるんだよ…」
ソーニャ「というか、私の下駄箱に入ってたときはゴミじゃなかったんだ。私の手に渡ったときにゴミになった」
やすな「へ???なにそれ、なぞなぞ?」
ソーニャ「違う」
やすな「もー!なに?分かんないよ!」
ソーニャ「ゴミ見てみれば分かる」
やすな「えー?そんなこと言って私にゴミ捨てさせる気じゃ…」カサッ
やすな「………これラブレターじゃん!」
ソーニャ「そうだな」
やすな「信じらんない…ラブレターをゴミだなんて…このひとでなしー!」
ソーニャ「あぁ?」チャキッ
やすな「あ…ごめんなさいごめんなさい…イジメ、カッコワルイ!」
ソーニャ「………ふんっ!」パカッ
やすな「あいたっ!」
ソーニャ「軽くしてやっただろ」
やすな「そっちもだけど…ラブレター捨てるなんて酷い!」
ソーニャ「私はそんなものに興味はない」
やすな「なにそれ、カッコいいと思ってんの?」
ソーニャ「ふんっ!!!」ボカッ
やすな「あひぃっ!」
やすな「痛い…っていうかそれ!」
ソーニャ「あん?」
やすな「それだよ、それ!その暴力キャラが知れ渡ってからソーニャちゃんにラブレター書く人いなくなったのに、それでも書いてきたってことはこの人よっぽどソーニャちゃんが好…!」
ソーニャ「誰が暴力キャラだって!?」ガシッ
やすな「ほら!現に今いたいけな少女を羽交い絞めにしいたああああああああああ!!!!」
ソーニャ「………」ギリギリギリギリ
やすな「ごめんなさいごめんなさいごめんなさい!!!」ジタバタ
ソーニャ「………ふんっ」パッ
やすな「そんなんだから最初は見た目だけに騙されてラブレター書いてた人もいなくなったんだよ!」
ソーニャ「…」イラァッ
やすな「落ち着いて。落ち着いてソーニャちゃん。どうどう…」
ソーニャ「………まぁいい」
やすな「ほっ…」
ソーニャ「私としてはそんなのいなくなって清々してる。毎朝毎朝下駄箱のゴミ掃除される身にもなってみろ。いい迷惑だ」
やすな「くそぅくそぅ!ちょーっとモテるからっていい気になって!くそぅ!」
ソーニャ「いい気になってない。むしろ不快だ」
やすな「敵に回したね!今の発言で全国のモテない紳士淑女達を一斉に敵に回したよ!」
ソーニャ「お前筆頭にか?」
やすな「なっ…!やっぱりいい気なってる!」
ソーニャ「なってない」
やすな「ふ、ふぅーんだ!私だってモテるんだからね!」
ソーニャ「ほう」
ソーニャ「あるのか?」
やすな「……あ、あるよ?」キョドキョド
ソーニャ「いつ?」
やすな「き、昨日…?」ドギマギ
ソーニャ「誰に?」
やすな「と、通りすがりのイケメンに…?」ソワソワ
ソーニャ「見せてみろ」
やすな「だっ!だめだよ!私はソーニャちゃんみたいに人の気持ちをゴミ扱いする人間じゃないんだからそんなことできません!」
ソーニャ「ふぅーーーーん」ジトー
やすな「う…」
やすな「うそですごめんなさい!」ガバッ
ソーニャ「まぁ分かってたけど。お前なんかにラブレター書く奴いるわけないからな」
やすな「くそぅ!くそぅ!」
ソーニャ「先教室行くぞ」スタスタ
やすな「あっ待ってよソーニャちゃん!」タタッ
ソーニャ「あ?」
やすな「手紙!ちゃんとお返事しなきゃ!」
ソーニャ「しらん」
やすな「最後かもしれないよ!?いくら可愛いからってその性格じゃもう誰も寄ってこな…」
ソーニャ「ふんんんんっ!!!」バキッ
やすな「いーーーー!!!?」
やすな「うぅっ…絶対寄ってこない…」
ソーニャ「まだ言うか!?」
やすな「だってそうだもん!もうその人が最後の人だよ!」
ソーニャ「それならそれでいい」
やすな「いいのぉ~?一生一人だよ?最期は一人虚しくアパートで孤独死して家族も身よりも、友達もいないソーニャちゃんは死んでから3ヵ月後とかに大家さんに発見されるんだよ~?」
ソーニャ「構わん」
やすな(あれ?殴ってくるかと思ったのに…)
やすな「………」
ソーニャ「なんだよ?」
やすな「どーん!」ドンッ
ソーニャ「んなっ!?」
やすな「どーん!どーん!!どぉーん!!!」ドンドンドンッ
ソーニャ「やめろうっとおしい!急になんだ!?」
やすな「どー!」
ソーニャ「うるさいドーン!!!!」バキッ
やすな「フォリシッ!」バタッ
ソーニャ「なんなんだお前は!?」
やすな「…」ムクッ
やすな「はい、ラブレター」
やすな「だって返事出すとき手紙もいるでしょ?」
ソーニャ「いらん。返事も出さん」
やすな「なーんーでーよー!」ジタバタ
ソーニャ「お前しつこいぞ。……まさかこれ、お前が?」
やすな「は?私がソーニャちゃんにラブレター?自意識過剰なんじゃない?」
ソーニャ「…」イラァッ
ソーニャ「ふんっっっっ!!!」バキッ
やすな「あぁーん!!!」
【今日こそ来てください。来るまで待ってます。来なかったら明日もラブレター出します。】
ソーニャ「チッ…またこいつか」
ソーニャ(字の汚さは相変わらずだが今日は誤字脱字ないな…)
ソーニャ「………しょうがない」
ソーニャ(明日もゴミ箱にされちゃたまらんからな)
ソーニャ(恋文に見せかけた敵かもしれないから一応気をつけなければ…)ササッ
ソーニャ「…」ソーッ
ガラッ!
ソーニャ「ハッ!」ゴロゴロ
ソーニャ「…」スタッ キョロキョロ
やすな「あ、来た!」
ソーニャ「お・ま・え・かぁ!!!!」ガシッ
やすな「あっ!痛い!痛いよソーニャちゃ…ああああああああ!!ごめんなさいごめんなさいごめんなさい!!!!」
ソーニャ「懲りもせずアホなこと繰り返しやがって!!!!」ギリギリギリギリギリギリ
ソーニャ「どーせ浮かれて喜ぶ私を見たかったんだろうが、残念だったな!私はそんなもんに現を抜かしたりしない!!!!」ギリギリギリギリギリ
やすな「分かった!分かったから放してええええええええええ!!!!!!」
ソーニャ「もうしないか?」
やすな「しない!しないですぅ!!!」
ソーニャ「………ふん」パッ
ソーニャ「次はないからな!」
やすな「はい…」グッタリ
ソーニャ「ったく…」
やすな「………」
やすな「べつに、からかおうとしたわけじゃないんだけどな…」ポソッ
ソーニャ「あぁ!?なんか言ったか!?」
やすな「言ってません!ごめんなさい!」
ソーニャ「ふんっ。もう帰るぞ」
やすな「あっ待ってよぉ」ガバッ
ソーニャ「早くしろ」スタスタ
やすな「待っててばー!ソーニャちゃーん!」タタタッ
ほんとのきもちはひみつだよ。
あと2本。ちょいシリアス入るから書き方変わるよ。
いつも行くクレープ屋で3割引セールがやっているらしく、今日はバカが帰りを急かした。一人で行け、と言う私の声なんかではバカの制止にはならない。
結局は行ってやったのだが、そのおかげで私は教室に忘れ物をした。バカやすなが帰り支度してる間にちょっかいかけてくるから…。
忘れ物に気付いたのはやすなと別れた後で、学校は既に遠くなっていた。ここまで来てしまったら家に帰ったほうが近いのだが、忘れ物がよりによって携帯電話なのがまずかった。
あの電話は組織から支給されたもので、着信の殆どが依頼電話だ。即ち、あれを携帯していないと組織と連絡が取れない。
もし急ぎの仕事ならば他の奴が私の代わりをすることになるだろう。同じ組織の人間とは言え私を蹴落とそうとしている奴もいる。仕事中の自分のミスならともかく、電話を忘れたぐらいで評価がさがるのはごめんだ。
そういうわけで、私は今こうして学校にいる。
まだちらほらと部活の生徒が残っているが、そろそろ空も暗くなる時間。おそらく教室には誰もいないだろう。…と、思っていたのだが。
「折部ってうざくね?」
気配を消し、こっそりと中を覗く。
中には女生徒が二人。多分、私とやすなのクラスメイトだ。
これからご出勤でもするのか、女子高生とは思えない二人の女は派手に塗られた化粧の上からまた更に化粧を塗りたくる。
名前は…なんだったか。
いや、思い出せるわけがない。興味のない奴の名前なんか私は最初から知らない。
「えーそう?」
「うるさいじゃん」
「あー確かに」
「あとあの能天気な顔もムカつく」
「あー!ちょっと分かるー」
「でしょ?」
ケラケラと楽しそうに笑う馬鹿二人。今私が教室に入ったらこいつらはどんな顔をするだろう。
「あっくんって彼氏だっけー?」
「そうだよ。っていうか覚えとけよ」
「ごめーん」
「あっくんさ、ヤバい友達多いんだよね」
「へぇー」
「だからあっくんに頼めば折部のあの能天気な顔見なくて済むかも」
「どうすんのー?」
「んー…ヤっちゃうとか?」
「えーウケるー」
また、二人楽しそうにケラケラと笑う。自分達が言ってる内容、理解しているのだろうか。
「マジで言うのー?」
「だってうざいんだもん。動画とか撮ってネットで流そうか?」
「それ超ウケるー!」
吐き気が、した。
「おい」
「「え?」」
緊急で開かれた全校集会。
「もう既に知っているかもしれませんが、○日に△組の××さんと□□さんが亡くなりました」
「自殺だったようです」
ザワッ。
「本当だったんだ」
「いがーい」
「そんな感じに見えないのにね」
「うっ…うぅっ…」
「二人で自殺ってどういうこと?一緒に死んだってこと?」
「たまたま同じ日っていうのは…」
ザワザワザワザワ。
皆それぞれ思うように喋っていく。その様子は身近で起こった非日常を楽しんでいるようにも見えた。泣いている者も何人かいたが、それすらも友達が死んでしまった可哀相な自分を楽しんでいるようだ。
校長のしゃがれた声が体育館に響き渡る。
「年頃のみなさんのことですから様々な悩みがあると思います。しかしそんな時は一人で悩まず周りの人に相談してください。また、友達からそのような相談を受けたら前向きな方法で力になってあげてください」
ヒソヒソ。
「やっぱり二人で死んだんだ」
「仲よかったみたいだから」
「でもさぁ…」
ヒソヒソヒソヒソヒソヒソヒソ…。
そんな中。やすなは誰の話題にも入らず一人窓辺で空を見上げていた。
無言で近づき、隣に立つ。
「…ソーニャちゃん」
空を見上げながらやすなが私に話しかける。
「なんだ」
「空が、きれいだね」
「……あぁ」
「真っ青だ」
「あぁ」
「きれいだねぇ」
「あぁ」
轟きが耳にはっきりと届くぐらい、風が強い。
一緒に帰ろう、と誘うあいつを一人で帰し、あいつがきれいだと言った空を見上げる。
青い空。白い雲。ありがちな、風景。
近いようで遠く。遠いようで、近く。
手を伸ばせば届きそうな雲。
雲を取ってやったらあいつ、喜ぶかな。わたあめみたいってはしゃぐかな。
でもきっと雲なんか甘くないぞ。
軽々しく飛び交う噂や戯言。哀れむ振り。嘘の涙。
人間が俗物だと言うことがよく分かる。
でもあいつはきっと不器用で。純粋で。素直で。
ヒソヒソと噂話も楽しめない。悲しんでいます、とアピールもできない。ただ静かにそれに触れないように。そんなことしかできない。
あいつは、バカだ。
噂話も。哀れむ振りも。涙も。そんなものは午前中でとっくに終了して、皆各々の日常を取り戻していると言うのに。あいつだけはただのクラスメートが死んだくらいでまだ落ち込んでいる。
それも…自分がどう思われていたのかも知らずに。
そもそも交流すらなかったはずだ。あいつと奴らが話しているのを私は見たことがない。
なのに。
あんな奴らのせいであいつが能天気な顔を見せないことが腹立たしい。
考え込んでいたから、気付かなかったのか。それとも気配を消していたのか。
「あぎり」
「はい~」
振り返るまでもない。気配で誰がいるのかぐらい分かる。
それと…。
「…なんだ?」
何か言いたそうにじっとこちらを見つめているのも、分かる。
「………いいえ~」
「うそつけ」
「うそじゃありませんよ。私はあなたがどんな理由で“そんなこと”をしても咎める気も、その資格もありませんからね」
「…嫌な奴だな」
あぎりの思うところはなんとなく予想できる。
私達はプロで、殺人鬼じゃない。世間から見たら変わりはないだろうが、それでも。この仕事に誇りをもっている。
私もあぎりも、依頼以外では“そんなことを”したことがない。少なくとも私は…なかった。
手順も、後処理の仕方も、仕事と何も変わらない。相手に対して罪悪感も感じていない。
けれど…。
あいつを、言い訳にしてしまったことが辛い。
「そういえばやすなさんはどうしてますか~?」
「………本当、嫌な奴だ」
ごめんな、やすな。
でも私にはこんな特技しかないから。
こんなことでしかお前を守ることができないんだ。
ごめんな。
次ラスト。
ボンジュール!私、折部やすな!もしかすると高校生!
ソーニャちゃんとの帰宅途中で忘れ物に気付いて、今取りに戻ってます。
もっちろんソーニャちゃんも一緒!
…………なんてことはなく。一緒に行ってって言ったのに、知らん。私は帰る。…だって!冷たい!
私も忘れたのがお財布じゃなきゃわざわざ取りに戻らなかったのに。ソーニャちゃんと一緒に帰りたかったなぁ…。
でもダメ!今日はお財布に入ってる13円でチョコ買うんだもん!13円って言ったらチョコ買ってもお釣りが来る!わぉ!リッチ!お小遣い日までまだ10日以上あるけど先のことなんか気にしないもん!
何味買おっかなーっ!いちご豆腐?アボカドバター?きなこ抹茶?ふぅー!迷っちゃう!
これから口の中で踊り散らされる幸せを想像するだけで私はもうるんるん。ちょっとした鼻歌交じりで人気のなくなった学校の廊下をスキップスキップ!
「…あれ?」
多分もう誰もいないだろうなーと思ってた私の目的地である教室から話声が聞こえてきた。誰だろう。部活やってた人が今から帰るところかな?
「ソーニャってうざくね?」
………えっ?
しかもそれが…。
「うざいっていうか感じ悪いよねー」
ソーニャちゃん…のこと。
「話しかけても別に、とかしか言わないし」
「口調もなんか上から目線じゃない?」
「分かるー。あたしお前とか言われたんだけど」
「はぁ?なにそれ」
中にいる二人は私とソーニャちゃんのクラスメイト。同じクラスだから話したことはあるけど、学校にお化粧をしてくる子たちで、冬に唇が乾燥したときだけリップクリームを塗るぐらいの私とはなんていうか色々違う子達。
「あーそれあるわ。絶対自分のこと可愛いとか思ってる」
「外人だから日本で目立つだけのことだよね」
「実際大したことないよね」
「てかソーニャが金パ許されてあたしたちが金パすると怒られるのが納得いかないんだけど」
「ソーニャのは天然だからいいんだ、だって。うざすぎ!日本にいるんだから黒髪に染めてこいよ!」
「きゃはははは!それ!そうすべき!」
「でしょ!?絶対そうだし!」
ゲラゲラゲラゲラ!
まるでお笑い番組でも見て笑ってるみたいに、おかしそうに、楽しそうに響く笑い声。
人の笑い声でこんなに嫌な気持ちになるなんて、私は知らなかった。
「「え?」」
教室のドアを思い切りスライドさせ、私は叫ぶように怒鳴っていた。
「ソーニャちゃんはとってもいい子だよ!!!」
「はぁ?」
「あたし達の話聞いてたの?」
「聞こえてきたの!」
聞きたくなんかなかったのに。
「ていうかあんたいつも殴られたり、うざがられたりしてるじゃん。なんで庇う訳?」
「あれはソーニャちゃん流の照れ隠しだよ!文句言いながらも、うざがりながらも、私のやることにちゃんと付き合ってくれるもん!」
「殴るのもちゃんと加減してくれるよ!入院しない程度に!」
「いやそれ加減してるって言わないし」
うっ…まさかここで突っ込まれるとは…。
「照れ屋さんだから素直になれないだけで本当はとっても優しいんだから!」
「さっき感じ悪いって言ってたけど、ソーニャちゃんは恥ずかしがり屋でちょっぴり人見知りだからぶっきら棒になっちゃってるだけだよ!」
「口調は…ちょっとキツいけど…でも人を本当に傷つけることは言わないよ!言ったとしても相手を傷つけたって知ったらちゃんと謝るよ!」
「それにソーニャちゃんは本当に可愛いもん!外人さんだからってだけじゃなくて!」
「中身だって可愛いところいっぱいあるんだよ!」
「動物がダメだったり、ゴキ○リが嫌いだったり、おばけが怖かったり!あと実はクレープとか好きで甘いもんなんか興味ないぜってカッコつけてるけどご飯食べるときなんかよりずっと早く完食しちゃうんだから!」
「こんなに可愛いのに自分の可愛さを鼻にかけるようなこと、ソーニャちゃんはしないよ!だってソーニャちゃん自分が可愛いの気付いてないんだもん!外人さんってだけじゃなくて本当に可愛いのに!!」
「あ、あと髪も!サラサラで綺麗な金の糸みたいな髪も!あれを黒く染めちゃうなんてもったいないよ!ダメ!それに染めたりなんかしたら痛んじゃう!」
一人でぶぁーっと喋りつくす。今思ったけどなんだか自慢気になっちゃってたかな?でもこれできっと…。
「……誰の話してんの?ってぐらいピンとこないんだけど」
「えっ…」
「思った!誰の話?みたいな!」
「ね。あんたの妄想?」
「だからあんたの話と結びつかないって言ってんの。優しい?照れ屋?ありえねー!」
ゲラゲラゲラゲラ!
やめて。その笑い声。やめて……。
「そっちが…」
「は?」
「そっちが勝手にソーニャちゃんのこと感じ悪い奴だ、嫌な奴だって決め付けてるから態度悪く見えるんだよ!!」
「そんなんじゃソーニャちゃんだって仲良くしようって思えるわけないじゃん!」
「自分達が相手を認めようとしてないだけなのにソーニャちゃんを勝手に嫌わないで!!!」
「はぁ?」
「なに?私たちが悪いって言いたいの?」
「そうだよ!」
「ソーニャといつも一緒にいるからうざいのうつったんじゃない?」
「ソーニャちゃんはうざくない!!!」
「あーもう行こうよ。うるさい」
「だね。マジでうざすぎ」
「あっ待って!」
「うざいもん同士仲良くしてろ、バーカ」
「きゃははははははは!」
スタスタスタスタ。
「あっ…」
「…………あぅ」
昨日のことが気になって、ずっとそのことを考えてる。あの二人は昨日のことなんかなかったみたいに今日もゲラゲラゲラゲラ。なにで笑ってるのかは、分からない。
でもその笑い声を聞くたびに、またソーニャちゃんの悪口を言ってるんじゃないか、って嫌な気持ちになる。
「…なんだ、大人しいな?腹でも壊したのか?」
教室で一人空を見上げてる私の隣にそっと来て、ソーニャちゃんが声をかけてくれた。
ほら、ソーニャちゃんはこんなに優しい。
普段口が悪くても。突っ込みが激しくても。ちょっと、意地悪でも。
私の元気がないのを気にして、心配してくれる。
どうして分かってあげないんだろう…。
鼻がツンとして。ジワって涙が滲んで。耳が熱くなる。
「なっ!?なんだ!?」
泣きそうな私に焦り、狼狽えるソーニャちゃん。
「ごめんね…」
「はぁ?」
ソーニャちゃんの照れ屋なところ。恥ずかしがり屋なところ。とっても可愛いところ。すごく、優しいところ。
それをちゃんと教えてあげられなくて…。
「ごめんね…ソーニャちゃん」
素数調べたのバレて吹いた。
キルミー前期で一番好きだったから二期オナシャス!!!!!!
俺が見た中で最高でした!!
おつかれした!!
すごく良かった
またかいてくれ
素晴らしいよ
Entry ⇒ 2012.04.22 | Category ⇒ キルミーベイベーSS | Comments (0) | Trackbacks (0)
結衣「ゾンビが居るから部屋の外に出ちゃ駄目だ」
http://hayabusa.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1334820381/
結衣「京子?目を覚ました?」
京子「あ、あれ、結衣、ここは……」
結衣「ここは私の家だよ」
京子「あれ、今日、結衣の家に泊りに来てたっけ……」
結衣「……なに言ってるの、京子」
京子「あ、もうこんな時間じゃん、早く学校行かないと」
結衣「……京子」
京子「ほへ、どうしたの、結衣、真剣な顔で」
結衣「……ショックのあまり、記憶を失っちゃったんだね」
結衣「あのね、京子、部屋の外はもうゾンビだらけなんだ、外には出れないよ」
結衣「そう、ゾンビ」
京子「……」
結衣「……」
京子「あははは、結衣ってば、冗談ばっかり!」
結衣「……うん、冗談なら良かったんだけどね」
ドンドンドンッ!
京子「うわっ!」
ドンドンドンッ!
京子「あ、あの、結衣?誰かが玄関の扉叩いてるんだけど……」
結衣「……うん、あれはね」
結衣「あかりとちなつちゃんだよ」
結衣「……駄目だよ、京子、二人は」
結衣「もうゾンビだから」
京子「……え?」
結衣「あかりも、ちなつちゃんも、綾乃も、千歳も、千鶴も、大室さんも、古谷さんも、会長さんも、西垣先生も」
結衣「みんな、みぃーんな、ゾンビになっちゃったんだ」
京子「み、みんな?」
結衣「うん……だから、ね、京子は私の部屋から出ちゃ駄目」
結衣「出たら、ゾンビに襲われちゃうから」
結衣「あ、京子、お腹空いてる?」
京子「う、うん、何かずっとご飯食べてないみたいな感じ」
結衣「じゃ、ご飯にしようか、缶詰とかは大量に集めてあるから、何カ月かはこれで持つと思う」ガタガタ
京子(……結衣の言ってる事、本当なのかな)
京子(皆がゾンビになっちゃったにしては、反応が淡泊だけど……)
結衣「はい、京子、鯖の缶詰」
京子「あ、ありがと、結衣」
結衣「……」
京子「……」モグモグ
結衣「……」
京子「……結衣は食べないの?」
結衣「あ、うん、私はさっき食べたしね」
京子「そっか……」モグモグ
京子「……あの、結衣、窓が板で塞いであるのはどうして?」
結衣「……私の部屋は三階だからゾンビが直接窓から入ってくる事は無いけど」
結衣「私達の姿や声が外に漏れるとゾンビ達が集まってきちゃうからね」
結衣「その予防策……京子も、窓開けちゃ駄目だよ」
京子「ふーん……」モク゚モグ
結衣「……テレビは、もうずっと映らないよ」
結衣「きっと、テレビ局もゾンビに襲われたんだと思う……」
京子「……え」
結衣「自衛隊とかもね、もう活動してないんじゃないかな」
京子「じ、自衛隊も?」
結衣「あ、けど大丈夫だよ、京子、この部屋に居たら安全だから」
結衣「私が、絶対に京子を守ってあげるから」
結衣「……あかりや、綾乃達には、絶対に渡さない」
京子「結衣……」
京子「う、うん……」
京子(……自衛隊やテレビ局までやられたなんて、ちょっと信じられないよ……)
京子(そ、そうだ、結衣が台所に行ってるこの隙に……)ピッ
TV「ザーーーーーーッ」
京子「……テレビ、本当に何も映らないや」
京子(あれ、けど電気は来てるんだよね)
京子(結衣が台所で水を使ってるみたいだし、水道も生きてる?)
京子(自衛隊がやられるような事態なのに、ライフラインだけ生きてるなんて、そんなことあるのかな)
京子「は、はいっ!」ピッ
結衣「テレビ、見てたの?何も映らないって言ったのに」
京子「あ、う、うん、何時もの癖でさ、あははは」
結衣「もう、しょうがないなあ、京子は」クスッ
京子「あれ、結衣、手に持ってるのって……」
結衣「うん、ラムレーズン、京子好きだろ?」スッ
京子「あ、ありがと、結衣……」
京子(……食事は缶詰なのに、ラムレーズンは置いてあるんだ)
京子(結衣を疑うのはいやだけど、何か不自然だよ……)
京子(本当に、ゾンビなんて居るのかなあ)
京子「……お風呂?」
結衣「あはは、お風呂に入れたらいいんだけどね、そんなに沢山お水を使うと無くなっちゃうだろうから」
結衣「最近はずっと濡れタオルと石鹸で身体を拭くだけだったよ」
京子「そ、そっか……」
結衣「というわけで、京子、服脱いで」
京子「……え?」
京子「い、いや、あの、それくらい自分でするよ///」
結衣「もう、今さら何を照れてるんだよ、ほら、脱いで脱いで」ギューッ
京子「ちょ、服ひっぱらないでって///」
結衣「暴れちゃ駄目だよ、京子、服が破れちゃったら勿体ないだろ?」
京子「だ、だめ、駄目だってっ!」
シュルシュル
京子「はぁ……はぁ……結衣に無理やり裸にされて体中触られた///」
結衣「変な言い方しないで、身体綺麗にしてあげただけじゃない」
京子「う、うう、酷いよ結衣……」
結衣「……京子、これからずっと二人で過ごすんだし、こういうのに慣れないとこの先生き残れないよ?」
京子「この先……ずっと?」
結衣「うん、ずっと」
京子「……」
京子「……」
結衣「……」
京子「結衣、暇だよ」
結衣「……そうだね」
京子「外の様子見てきていい?」
結衣「駄目」
京子「いいじゃん、ちょっと気になるしさ」
結衣「駄目」
京子「……じゃあいいよ、一人で見に行くから」
結衣「京子!」
京子「……!」ビクッ
京子「ゆ、結衣、痛いよ、そんなに掴まないでよっ」
結衣「私は、京子を失いたくないんだ、だから、お願い、外にはいかないで……!」グイッ
京子「わ、判った、行かないよ、結衣、ここにいるから……!」
結衣「ほ、ほんと?」
京子「う、うん、だから手を離して、苦しい……」
結衣「……そ、そうか、判ってくれれば、いいんだよ」パッ
京子「……」ホッ
結衣「ごめんね、京子、乱暴にして……」
結衣「けど、私は京子の事が心配で……」
結衣「大丈夫、京子は、京子は私が守るから、大丈夫……」ブツブツ
京子「結衣……」
結衣「……そろそろ、寝ようか、京子」
京子「うん……」
結衣「じゃ、布団敷くね……」
京子(あれから何度か外の様子を見ようとしたけど、結衣に止められて見れなかった)
京子(本当に、ゾンビなんているのかな)
京子(本当に、あかりたちはゾンビになっちゃったのかな)
京子(全部、全部結衣の妄想なんじゃ……)
京子「ん……?」
結衣「そっちの布団に行ってもいい……?」
京子「……うん、いいよ」
結衣「ありがと……」ゴソゴソ
京子「……」
結衣「きょうこ、あったかい……」
京子「……うん、結衣もあったかいよ」
結衣「うん……」プルプル
京子(結衣、凄く怯えてる)
京子(こんな結衣は初めてだな……)
京子「なに、結衣」
結衣「きょうこは、ずっと私と一緒に居てくれるよね……」
京子「……うん、ずっと一緒だよ」
結衣「……そっか」ホッ」
京子「……」
京子(本当にゾンビが居るのかどうかはわからない)
京子(けど、こんな状態の結衣を放ってはおけないかな……)
……
…
京子(あれから数日たった)
京子(朝起きて、缶詰を食べて、ラムレーズンを貰って、身体を拭いて、寄り添いあって過ごして、夜になったら寝る)
京子(そんな生活を続けている)
京子(時々、誰かがドアが激しく叩くけど、それ以外に異変は無い、平凡な生活)
京子(不思議なのは、ラムレーズンが無くならない事)
京子(結衣が時々夜中に外に出てるようだから、その時に調達してるのかな……)
京子(そんな疑問を抱いてる時、私は偶然、ある物を発見した)
京子「何か他に食べ物ないかな……」ゴソゴソ
京子(お、冷蔵庫の底に何か……)
京子「……あれ」
京子「これ、私の携帯……」
京子(てっきり、無くなったもんだと思ってたけど……何でこんな所に)
京子(ひょっとして、結衣が隠してたのかな……)
京子(電源は……入る)
京子(っていうか、アンテナも立ってる!)
京子(この部屋の電話はつながらないけど、もしかしたら携帯なら誰かにつながるかも……!)
京子(よ、よし、今のうちに……あれ、良く見ると着信履歴が……)
京子(一番最近のは、綾乃から……日付は)
京子「……昨日だ」
京子「あ、綾乃、生きてるんじゃん!やっぱり生きてるんじゃん!」
京子(あ、綾乃に電話をっ……!)ピッピッピッ
トゥルルルー
京子(綾乃!綾乃綾乃!)
カチャッ
結衣「ふー……あれ、京子、何やってるの?」
京子「いや、別に何でも無いよ、結衣」スッ
結衣「あ、お腹空いたの?じゃ、そろそろご飯にしようか」
京子「うん、今日のご飯は何?」
結衣「今日は京子の好物のミートスパ缶詰だよ」
京子「わあい!またか!」
京子(綾乃が出る前に切っちゃった……)
京子(けど、着信が残ってたら綾乃も気づいてくれるよね)
京子(なら、きっと向こうから連絡してくれるはず……)
ドンドンドンッ
京子「……!」ビクッ
結衣「また玄関の扉叩いてる……気にする必要ないよ、京子、またあかりとちなつちゃんだろうからさ」
京子「う、うん……」
京子(綾乃がゾンビになってたっていうのは、嘘だった……)
京子(という事は、この扉を叩いてるのだって、あかりとちなつちゃんのゾンビじゃないんじゃ……)
ドンドンドンッ
京子「……結衣、何時も、ありがとうね」
結衣「え?」
ドンドンドンッ
京子「こんな状況になる前からそうだったんだけどさ、わたし、いっぱい結衣のお世話になってた」
結衣「……そんなの、気にする必要ないよ」
京子「結衣……」
結衣「私が好きで京子の世話やいてたんだしね」
ドンドンドンッ
京子「……うん、それでも、やっぱりお礼は言いたいかなって」
京子「ありがとう、結衣」
結衣「京子……」
京子「だからね、結衣には本当の事を言ってほしいの」
結衣「え……?」
京子「本当は、ゾンビなんて居ないんでしょ?」
結衣「……!」
京子「本当は、私をここに留めておくために、ゾンビが出たって嘘ついてるだけ、なんだよね?」
結衣「そ、そんなことない……!ゾ、ゾンビは本当に居るんだ!」
京子「……あかりや、綾乃達もゾンビになっちゃったの?」
結衣「そ、そうだよ!みんな!みんなゾンビに!」
京子「嘘」
結衣「……!」
京子「あの携帯の中に、綾乃の着信、残ってたもん」
結衣「そ、それは……」
京子「日付は昨日……結衣が言ってる通り、綾乃がゾンビになってるなら、着信なんて残ってるはずないよね?」
結衣「……」
京子「……結衣、本当の事を言って?」
結衣「京子、私は……」
京子「……私は、ゾンビなんていなくても、結衣と一緒に居たいと思ってるよ?」
結衣「きょう……こ……」
ドンドンドンッ
京子「……お願い、結衣、私を信じて」
ドンドンドンッ
京子「結衣!」
結衣「ひ、一晩休んだらさ、きっと冷静になれると思うから、ね?今日はもう寝よう?」
京子「……」
ドンドンドンッ
京子「結衣が正直に言わないなら……」
結衣「え……?」
京子「今ここで、結衣が言ってる事が嘘だって証明してあげる!」タッ
ドンドンドンッ
結衣「京子!?」
京子「はーい!今開けまーす!」カチャッ
結衣「だ、駄目!京子!玄関の扉開けたら……!」
あかり「……」フラッ
ちなつ「……」フラッ
京子(ほら、ゾンビなんかじゃない、普通のあかりとちなつちゃんじゃん)
京子「結衣ー、あかりとちなつちゃん来てくれたよー!」
結衣「京子!離れて!」
京子「もう、結衣ったら往生際が悪いなあ……あかり、ちなつちゃん、こんにちわ」
あかり「……」フラフラ
ちなつ「……」フラフラ
京子「あー、ひょっとして何日も学校休んでたから心配して来てくれたの?」
あかり「……」
ちなつ「……」
京子「ちょっと説明するのはややこしいけど……私と結衣は元気だから、心配しないで?」
京子「うわっ!」バタンッ
京子「いたたた……結衣、突然ひっぱらないでよ、こけちゃったじゃ……」
ピチャクチャ
京子「あ、あれ、ゆ……い……?」
結衣「……っ!」
あかり「……」クチャクチャ
ちなつ「……」クチャクチャ
京子「あ、あかりとちなつちゃんが、結衣に噛みついて……」
結衣「きょ、きょうこ……逃げて……」
京子「あかり、ちなつちゃん、だ、駄目だよ……」
あかり「……」ガリッ
京子「ゆ、ゆいを食べちゃ、駄目だよ……」
ちなつ「……」ブチブチッ
結衣「……京子!」
京子「ゆ、ゆい、わたし、わたし……」
結衣「おねがい、きょうこだけでも、生き残って……」ガクッ
京子「ゆいっ……!」
あかり「……」クチャクチャ
ちなつ「……」クチャクチャ
結衣「……」ビクンッビクンビクンッ
京子「や、やめて、やめて二人とも……」
あかり「……」ブチブチッ
ちなつ「……」ガリガリ
京子(ふ、二人を止めないと、結衣の身体が無くなっちゃう……)
京子(そ、そうだ修学旅行で買った木刀が部屋の隅に……!)
京子(こ、これで結衣を助けないと……!)
京子「う、うわああああああっ!」ブンッ
あかり「……」ギロッ
京子「あ、あかり、止めてよ、結衣を食べないでよぉ……」ウルッ
あかり「……」フラッ
京子「う、うわ、こっち来たぁっ……」ビクッ
京子(ど、どうしよう、何処に逃げたら……そ、そうだ、窓の外……!)
京子(た、確か窓の外のベランダに災害避難用の縄梯子があったはず……!)
京子(そ、それを使って下まで逃げれば……!)
ガラッ
京子「ひ、開いた……!」タッ
京子「あ、あとは木刀でつっかえ棒をして窓があかないようにして……」ガシッ
あかり「……ウゥゥゥゥ」バンバンッ
京子「こ、これであかり達はベランダに出て来れない……」
あかり「ウゥゥ……」ポツン
ちなつ「……」ペチャクチャ
結衣「……」
京子(結衣……)
京子(ごめんね、信じてあげられなくて、ごめんね……)グスンッ
京子「太陽がまぶしい……」
京子「街の様子は……」
京子「……え」
そこに広がっていたのは
私が予想した以上の風景だった
家屋から出ている黒い煙
街中を歩いている歩く死体達
まるで地獄からあふれ出したかのような光景
生前の面影が残っていない死体も多いなかで
私は見つけてしまった
彼女の姿を
京子「あ、綾乃……?」
ベランダに立つ私の姿を彼女も見つけたらしい
こちらを向いて歩いてくる
唸り声をあげて歩いてくる
それに引き寄せられるかのように他の死体達も
私が居るマンションに向けて
集まって来始めた
京子「窓を開けちゃ駄目」
京子「外に出ちゃ駄目」
京子「あかりも、綾乃も、みんな、みんなゾンビになっちゃったって……」
京子「やっぱり、全部、本当だったんだ……」
京子「あ、あはは、もう、逃げられない……」
京子「ベランダにいる私の姿を目指してゾンビ達が集まってきてるから」
京子「縄梯子で下りる事も出来ない」
京子「部屋の中にはあかり達が居るから、部屋に戻る事も出来ない」
京子「もう、もう……私には行く所が……」グスンッ
京子(ベランダの隅に、ダンボールがある)
京子(ちょうど私が入れるくらいのダンポール……)
きょうこ「そうだ、かくれんぼをしよう」
きょうこ「あかりたちに、みつからないように、かくれないとね」
きょうこ「わたし、かくれんぼだけは、とくいだから」
きょうこ「……」ガサゴソ
きょうこ「これでよし……」
きょうこ「わたしのからだは、ちいさいから」
きょうこ「こうやって、だんぼーるのなかで、まるまっていたら」
きょうこ「だれにもみつからないよね」
きょうこ「あかりにも、ゆいにも、だれにも」
きょうこ「だから、だいじょうぶ」
きょうこ「だいじょうぷ」
「だいじょうぶ」
「だいじょうぶ」
「だいじょうぶ」
「だいじょうぶ」
パリンッ
「あ、まどがわられた」
「けど、だいじょうぶ」
「こうしていれば、きっとこわいものには見つからないよ」
「だいじょうぶ」
ヒタ
ヒタ
ヒタ
「なにかがちかづいてくる」
「どうしてこんなに胸がどきどきするんだろう」
「こんな音がしてたら見つかっちゃうよ」
「もっと、もっとしずかに」
「もっとちいさく、ちいさく」
「いぬさんくらいになりたい」
「ありさんくらいになりたい」
「そうすれば、だいじょうぶだから」
「……あ、けいたいの音だ」
「わたし、ばかだな、けいたいの音、けしわすれてた」
バコンッ
「だんぼーるが、とられた」
「……みつかっちゃったね」
「あかり」
「ちなつちゃん」
「ゆい」
「……じゃあ、つぎは、私が鬼かな」
『歳納先輩』
「はぁい?」
京子「え?」
バッコンッ
京子「う、うわっ!?」
櫻子「ふう……ごめんね、あかりちゃん、ちなつちゃん」
京子「あ……あれ、さくらこ、ちゃん……?」
櫻子「探しましたよ、歳納先輩!ベランダに出てくれてなければ見逃す所でした!」
櫻子「昨日、杉浦先輩の携帯に着信が残ってたんで、探しに来たんですよ」
京子「綾乃の……?」
櫻子「はい、杉浦先輩はもうお亡くなりになってますけど……携帯だけ、お借りしてたんです」
櫻子「他に生き残った人達は居ないかな―って電話しまくってたんですけど、誰からも応答なくて困ってたんですけどね」
向日葵「櫻子!急がないと奴らが来ますわ!」
櫻子「判ってるよー!うっさいなあ!」
京子「……」
京子(あかりと、ちなつちゃん、櫻子ちゃんのバットで頭叩かれて動かなくなっちゃった……)
京子「え……」
櫻子「現状はくそったれな状況ですけど」
櫻子「そんな世界で、まだ、生き続けたいですか?」
京子「あ……」
京子(あかりや、ちなつちゃんや、綾乃まで死んじゃってて)
京子(私を守ってくれていた結衣まで、犠牲にして……)
京子(私は、これからもこんな世界で生き続けるの……?)
『わたし、これからもずっと結衣と一緒に居たいと思ってる』
京子「私は、私は……」
『おねがい、きょうこだけでも、生き残って……』
京子「私は、それでも……生きたい、生き残りたいよっさくらこちゃんっ……」ヒック
櫻子「……そうですか」スッ
京子「……うんっ」グスン
櫻子「じゃあ、私達が連れて行ってあげます」
京子「ど、何処へ?」ヒック
櫻子「楽園へ!」
~車内~
櫻子「ひゅー、ギリギリだったねえ、あと1分遅れてたらゾンビ達に囲まれてたよ」
向日葵「貴女がノロノロしてるからでしょう……」
櫻子「だって、船見先輩の家、缶詰がいっぱい置いてあったんだもーん、今後の事を考えると必要でしょ?」
向日葵「まったく……」
京子「……生き残ったのは、これだけ?」
西垣「うむ、今まで学校に立て篭もってたんだがな、そろそろ限界なのでこの車で突破してきた所だ」
りせ「……」コクコク
京子「そっか……」
京子(埋葬する時間もなかったから、結衣の死体はあのままだ)
京子(ごめんね、結衣……)
京子(ごめん……)
向日葵「歳納先輩……?大丈夫ですの?」
京子「あ、うん、ごめん……私は、大丈夫だから」ゴシゴシ
西垣「……」
りせ「……」
向日葵「……櫻子、歳納先輩にあんな与太話をしたんですの?」
櫻子「与太話じゃないよーだ!ゾンビが居ない南の島は本当にあるんだって!」
京子「南の島……?」
向日葵「はい、ラジオで時々流れて来るんです、南のほうにゾンビが居ない楽園のような島があるって」
西垣「まあ、南の島が何処にあるかは知らんが、ぶっちゃけ町から脱出するくらいのガソリンしか残ってないんだがな」
櫻子「まあ、行ける所まで行きましょうよ!」
京子「……そうだね」
「生ける所まで、行ってみよう」
「それが生き残った者たちの使命だ」
完
乙乙
乙
Entry ⇒ 2012.04.22 | Category ⇒ ゆるゆりSS | Comments (1) | Trackbacks (0)
姉「じゃ、風呂でも入ってくれば?」男「そうするよ、おやすみ」 2
http://hayabusa.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1334814587/
前→姉「じゃ、風呂でも入ってくれば?」男「そうするよ、おやすみ」 1
眼鏡「……?」
……
…………
男「えー?付きあってないって……え、え?この前のホテルの時……」
姉「そ、そんなん言うてないもん、知らんもん」
姉(つ、付き合うとかそんなん、形の話で、気持ちとかそういうんが)
姉(大事なんであって、言葉にせんでも分かるっちゅーかつながっとるっちゅうか)
姉(そう言うん大事やし、付き合うとか言うたらなんや嘘くさなるし……)ブツブツ
男「酷い……また弄ばれた……」
姉「弄んでないで……遊んどるだけやっちゅうに」
姉(あぅ……また強がりいうてもうた……い、いや強がりとかやのうて)
姉(……こ、こんなん、いうのが距離の近さの証っちゅうか……えーっと)
本来ならもう終わったものだし
姉「ま、まぁ、お陰で突っ込みのタイミングようなってきとるで、な、な」
男「慰められるとなんか、逆に落ち込んじゃいます」
姉「ややこしいなぁ」
姉(優ししたらあかんて……うちどないしたらええんよ……)
男「小柄ちゃん……」
姉「あかんあかん、学生や、しかも中学生や」
男「……中学生……なら……大学生じゃないから大丈夫だよね……」
姉「おい」バシッ
姉(なんやヤバい方向に舵切れてきたで……こやつ)
ソー
黒髪「ふんふん……長い間の微妙な関係で一歩踏み込めない、と」カリカリカリ
黒髪「確かに意識のある状態ではまだ二人はヤッちゃってないわけで」
黒髪「これはまだ揉めそうですな。うしっ……ネタがぐいぐいたまるっ」カリカリ
黒髪「男さんは、まだフリー、と」カリカリ
黒髪「しかし、5号室覗けるこの穴、誰があけたんだろう?」ジロジロ
……
小(……うう……この前以来、気まずくて、男さんと姉さんを避けちゃってる)
小(あのテンションなんだったんだろう……)
小(でも……ほんとにあったよね……帰ってから暫く……痛かったし……)
小(大人……になったのかなぁ……)
くちゅ
小(……いけない……また……触っちゃ……う……んっ……)
ちゃぽん
金髪(入ってこねーかなー?)
金髪(んー、のぼせて倒れてたら私も介抱されちゃうかなぁ……)
金髪(それで………………もうちょっと浸かってよう……)ブクブク
……
眼鏡「遅い……」
眼鏡(無いと思うんだが……まさかね)
眼鏡(……彼女も……やはり男性の方が……)
眼鏡(くそっ……ただ、生えているだけじゃないか……)
眼鏡(……でも、年上だったんだよね……彼……年上……か)
金髪「……」
金髪(あれー?なんかくらくなって……ほふぇ……)
くて
……
眼鏡(遅すぎる……)
眼鏡(一応見てくるか……)
……
眼鏡「……お、おい金髪っ」
金髪「ふにゃ」
眼鏡「兎に角、早くあがらせないと……」
眼鏡「緊急事態だ、君の部屋までこのまま連れて行くぞ」
眼鏡(連れてきたはいいが……さっきから金髪のうわ言が……)
眼鏡(気になる……)
眼鏡(白い肌が紅色に染まって湯気を出して……)
眼鏡(気はついたものの……すぐに寝ると裸で寝息を立て始めて……)
眼鏡(一体何故こんなに長湯を)
金髪「……先生……むにゃ……」
眼鏡(先生とは誰なんだ……)
金髪「……もっと……触って……そこ……ん……」
眼鏡(どんな夢を見ているのか)
金髪「……おーきいねー……ふふふ……」
眼鏡(姉さん、男さん、そして作家の黒髪さん)
眼鏡(金髪が『大きい』と表現するものは何か?)
眼鏡(身長か、胸か……陰茎か……)
眼鏡(金髪は誰よりも胸が大きい、そこで胸ではないと分かる)
眼鏡(では身長か?金髪よりも明らかに大きいのは黒髪さんと男さん)
眼鏡(……この二人のどちらか?)
金髪「……ぷるぷる……してる……」ニヤニヤ
眼鏡(身長はぷるぷるしていない……はぁ……やはり……)
金髪「……い……れ……て……」
眼鏡(彼か……)
眼鏡(聞いても答えないのだろうな……)
眼鏡(しかし……浴室で金髪が何を待ちのぼせたのかは判った……)
眼鏡(……)
眼鏡(くっ……浴室で……関係を持っていたのか……)
眼鏡(気づかなかったっ……)
金髪「……入ってる……あったかいよぉ……」
眼鏡(……くそっ、くそっ、拘束しないと言いながらなんだこの悔しさは)
眼鏡(……男さんと……話を付けなくては……)
がちゃり
眼鏡「話があります」
男「え、え?僕?」
男(きゅ、急にどうしたんだろ。すごい勢いで)
眼鏡「上がらせてもらいます」
眼鏡「金髪の話です」
男(な、なんだろ?女の子同士の悩みを相談されても困っちゃうんだけど……)
男(答えもエロゲベースになっちゃうよ?)
眼鏡「単刀直入に聞きます」
眼鏡「先生は金髪と関係を持ちましたか?」
男「え?」
男(ま、まさかあのあとも金髪さんに抜いてもらってるとか思われてる)
男(ご、誤解だよー!!)
男(1回切りで済ませたいよ、あんな恥ずかしいこと……ぅぅ)
眼鏡「!」
眼鏡(……っく……1回だけ……だけと軽く言うが……)
眼鏡(…………まさか……本当に……していたなんて……)
眼鏡(自信が……ボロボロに崩れていく……な)
眼鏡(確かに男さんは良い人だ……性別を別にすればボクだって今では好きだ)
眼鏡(大学の教官でもありしっかりと生活基盤を持っている……)
眼鏡(ボクじゃ……ダメなのかい?金髪……)
眼鏡(でも、男さんは……金髪とボクの関係を知りながら……)
眼鏡(許せない……このままじゃ済ませられない)
男「ほんとにあの時の事は僕も申し訳ないと思ってるんです」
男(自分の恋人が……風呂場で男の人のちんこ握らされて出されて……)
男(そんなのやっぱやだよね……)
眼鏡「申し訳ないと思ったら、どうしてしてしまったんですか」
男「あ、してしまったというか何というか……」
男「やっぱ男なんで……どうしようも無くて……」
眼鏡「どうしようも無い……そうなんですか」
眼鏡(やはり男なんて性欲の塊なんだ……金髪が誘ったかもしれないが)
眼鏡(結局、穴があれば挿れる……それだけのいきものなんだ……)
眼鏡(だから……これは復讐だ)
眼鏡「金髪にはできてボクにはできないんですか?」
眼鏡「どうしようもならなくなるんじゃないんですか?」
しゅるしゅる
眼鏡「……男さんの好きな女の子の裸ですよ?」
男「え、そんそんな」キョロキョロ
眼鏡「ボクには魅力がありませんか?」
男「い、いや、か、可愛くて……綺麗です……よ」チラチラ
眼鏡「では、ボクともできますよね?」
ぐいっ
男「な、何を?」
眼鏡「セックス」チュッ
眼鏡(これは復讐だ……金髪への)
黒髪「おほほほほほぅ……こいつぁ……参った」カリカリカリ
黒髪「く、スケブが足りねえっ」ダッ
がらっ
黒髪(男さん、ネタが豊富すぎて、私、1日、押入れから出れませんよっ)
黒髪「えーっと新しい……スケスケブ……」
黒髪「あ。あと、呼んであげなきゃっ」ダダダダ
男「ちょーーーーっとまったぁっ」
男「よくわかりません」
男(キスされた?え?なんで?)
眼鏡「……簡単なことです」
ぷちぷち
ぱさ
男(あ、あ、ブラジャーまで外しちゃった……)
男(くそっ、目が、目が離せない……秘境な……いや卑怯なっ)
眼鏡「ボクに触って……」グイ
男「!」
男(手を胸に引っ張られて……柔らか……い……)
男(なんだこのマシュマロメロンのような感触……)
眼鏡「愉しんでくださればいいんです」ニコ
眼鏡「先生……これはお仕置きなんです……」フフフ
眼鏡(金髪への、ね)
男「え、え、え」
男(どうしてこれが僕へのお仕置きになるのかわからないけど)
男(眼鏡さんを不快にさせてしまったのは事実だよね……)
男(……せめて……気の済むまで……じっとしていよう)
男(そ、そりゃ、まぁ、こんなお仕置きなら嬉しいやってか)
男(現金なものでさっきから勃起が収まらないんだけど……)
男(金髪さん、姉さん、小柄ちゃんごめんなさい……こんな僕)
男(眼鏡さんに押されて倒れるように布団に寝かされてしまった)
男(上から伸し掛かる眼鏡さんのおっぱいが重力で引っ張られて)
男(洋なしのようにプランプランとしてる)
眼鏡「先生……先生は……大きな胸は嫌いですか?」
男「……」
眼鏡「小柄のような小さな胸が好きなんですか?」
男「……」
ぷにゅ
眼鏡「ホントは大きな胸が好きなんですよね?」
男(はい……)
眼鏡「……知ってます……」
眼鏡「ここが教えてくれます……」サワ
男「オゥフ」
ぐ……
男(眼鏡さんが口の端に笑みを浮かべながらゆっくり顔を近づけて来て……)
ちゅ……ぱ
男(ん、舌がいきなり口に差し入れられてきたあああ、あばばば)
眼鏡「……ん」
男(……ゆっくり、口を離して……口と口の間に糸引いちゃってる)
眼鏡「……ふふ、ふふふ……」
男(笑いながら眼鏡さんが僕の服のボタンを外していく……)
眼鏡「ボクの方だったか……」
男(少し震える手で、でも手際よく外していく)
男(シャツがめくれると見えた肌に眼鏡さんの舌が……ちろちろと……)
そして、戦いの末に両者は砕けちり26の真の紋章となり、世界を創った
男「ご、ごめん、今日は汗をかいちゃってって」
眼鏡「これが……先生の本当の味……お風呂で流す前の味」
眼鏡(さっき唇をあわせて男さんの中に入った時に気がついた)
眼鏡(ボクは……男さんに嫉妬してたんじゃない……)
眼鏡(……ボクは金髪に嫉妬してたんだ……)
眼鏡(お仕置きなんかじゃない……他ならぬボクが……)
眼鏡(ただ、男さんに惹かれていたのか……)
眼鏡(金髪も男さんも欲しがるなんて欲が深い女だ……ボクは……)
男(何が起こってるのか未だに理解できないけれど)
男(眼鏡の隙間から見える眼鏡さんの裸眼の視線がとても淫靡に見えて)
男(じっとされるがままになりたい気分が広がってる)
小「……ん……はぁはぁ……んん」
がちゃり
小「……ぇ?」
黒髪「小柄ちゃん小柄ちゃん、ちょっと……ってわーお」キラキラ
さっ
小「な、なんででちょ、う」カァー
小(あわわ、一人でいじくってるの見られちゃった……)
小(とっさにスカートは下ろしたけど……パンティが足首にかかったままだよぉ)
黒髪「ま、まぁまぁ、ちょっと来てみてよ、うちの部屋に」
小「今からですか?」
黒髪「そうそう今すぐっ、早く」グイッ
小「わ、っとっと」
小(あ、パンティが脱げて部屋の奥に飛んじゃって……わ、引きずられるー)
ずるする
小「あ、あの黒髪さん……一体何を……」
黒髪「さっきしてた事はまた後でインタビューさせてもらいたいんだけど」
黒髪「今はそれよりもっと凄いことがね」キラキラ
小(な、なんか目が輝いてるような)
がちゃ
黒髪「ほら、ちょっとそこの押し入れ入ってみてみて」
小(あれ?先客……金髪さん?……押し入れから足が出てる)
小(……わっ、ほんとに作家さんの部屋だ……あれが作画したりする台かな?)
小(何も知らないで設計用の台って言われたらそう信じちゃうけど……)
黒髪「ほらっ」
ごそごし
小(金髪さんの横にモゾモゾと潜り込んでみる)
小(あれ?明かりが押し入れの壁から……こっちって……5号室!?)
小(…………穴が……二人がかりだと見難くて……え?眼鏡さん!?)
黒髪「見た?」キラキラ
黒髪「凄いことなっちゃってるでしょ」
小「何で……眼鏡さん?」
金髪「……」ジー
小(金髪さんは金髪さんで切なそうに穴を見つめたままで)
黒髪「いやぁ、まさか眼鏡から迫っていくとは意外だったよ」
黒髪「勉強になるよね」カリカリカリ
男「うん」
眼鏡「触って、舐めて、吸ってくれてますか?」
男(上半身は全部脱がされちゃった……)
男(下半身も臍のあたりを舐められているときにズボンを脱がされて)
男(パンツ一枚だ……眼鏡さんもパンティ一枚だ……)
男(ボーイッシュな見た目と裏腹に、薄くてふりふりのピンクのパンティで)
男(そのギャップと目の前で動く度にたぷんたぷんと揺れるおっぱいで)
男(僕の性欲はこれ以上ないくらい沸騰しちゃってて……正直恥ずかしい)
男(パンツの中でビクンビクン動いて染みを作ってるちんこも……)
男(パンツの上から軽く甘噛みしてくる眼鏡さん……コレが本当の眼鏡さん?)
男(何か何がどうダメかよくわかんなくなってきた……だって気持ちいいんだもん)
ポポポポローン
眼鏡「あはっ、凄く元気になっちゃって」ツン
男「あふ」
眼鏡「へー……これが金髪の……」
眼鏡「……気持ち良かったんですか?先生?」チラ
男「うん」
男(質問の意図を考える余裕がもうないや……)
男(え?)
ぽよん
男(顔の前に雪見だいふくが降ってきた)
男(いちご付き)
男(何も考えずに、いちごを口に含み転がす)
眼鏡「きゃぅっ」むにゅ
眼鏡「ごめんなさい力が抜けちゃって」
男(雪見だいふくが顔に降り積もっても僕は幸せなだけ)
男(いちごを一生懸命食べるだけ)
ぺろぺろころころ
男(だいふくも口に押し込まれてくる)むにょ
眼鏡「はぁはぁ……何これ……信じられない……」
男(僕のギンギンに張ったちんこが体を捻る眼鏡さんにあたる)
男(パンティ越しに湿った所をツンツンっと突っついたりして)
眼鏡「ふぐぅ……」
男(その度にその瞬間だけ……ボクっ子じゃなくて普通の女の子の声をだす)
男(とても愉しくなってきた、はは)
男「うん」ツン
眼鏡「ふにゅぅ……」
男「もごもご」ぺろり
男(その度、顔には凶悪なだいふくが押し付けられる)
眼鏡「ひんっ……」
男(心持ち眼鏡さんがぐったりして体を預け気味になっている)
男(僕がパンティをついても、ふにゅとか、あんとか可愛い声をあげるだけで)
男(僕の胸のあたりに紅い頬を当ててふぅふぅと息を吹きかけてる)
男「あのぅ、普段もですけど今の眼鏡さんも凄く可愛いです」
眼鏡「っ……ぅぐぅ……///」
男(声を出そうとしたけど力が入らなかった感じだ)
男(ああ、ダメ男だ……眼鏡さんに挿れたくなってきてる……僕)
男(……パンティ越しで突くので我慢しよう……)つんっ
男「あ」
男(ちょっと強く突いちゃったかも)
眼鏡「ふにゅっく……あん……あの……ボク……」
男「……ご、ごめん」
眼鏡「よく分からないから……お願いします……せんせい」ギュ
眼鏡(あ、ボクの処女はこの人にあげるものなんだ……)
眼鏡(だって……抱かれているだけでこんなにお腹が熱くなって……)
眼鏡(次から次に溢れて来て……そしてほっとする)
眼鏡(そんなの知らない……でも……1度きりなら……せめて……)
眼鏡(あぅ……また……パンティ越しに……)
にゅん
眼鏡(ん……ぁぅ……嘘……パンティが奥に押し込まれてる)
にゅ
眼鏡(あぅっ……パンティが……男さんの形に中に残ってる……)
にゅず
眼鏡(あ……ずれて……横から)
みゅずん
眼鏡「あぐっ」
眼鏡(濡れてクタクタになったパンティの横から男さんが入り込んできたっ)
眼鏡(重いっ、そして熱いっ、何かが差し込まれてる、痛いの!?わかんない)
男(安全日だからとかそんなの関係ないんだよね)
男(男としてダメだよね、職も失っちゃう!?)
男(抜かなきゃっ)ぐい
眼鏡「だ……め……」
男「でも……抜かないと……」
眼鏡「ふふ……これから抜くんでしょ?」
男「あ、いやそうじゃなくて……生ですし」
眼鏡「だ・か・ら?」
男「もう我慢汁でちゃってます危ないです」
眼鏡「出しちゃえば楽になるのに」チュ
男(どういう気だぁぁ、妊娠→発覚→失職のコンボ狙ってんの?)
で、このエロゲはいつ発売されるのですか?
小「何……と」
小(入った……しかも……ゴム無しで……酷い……卑怯っ)
小(私だって、生では挿れてもらってないのにっ)ムー
金髪「……」ツー
小(え?金髪さんの目から……涙が……)
金髪「……悔しい……」
小(そうだよね……眼鏡さんを男さんに)
金髪「……気持ちよさそう……」
小(そうそう気持よくさせられ……あれ?)
金髪「……私も挿れてもらってないのに……」
小(え?)
黒髪「いい台詞いただきましたっ、男さんモテモテですゾ、うひひひ」カリカリカリ
小(え、えええええええええええ)
黒髪(押入れを二人が占拠してるから直接見れない……うううう)
黒髪(押し入れから飛び出す可愛いおしりが2つ……)
黒髪(そう言えば、こっちの反応も観察しないとね)
ぺろん
黒髪(あれ?……んー、何で?小柄ちゃん……のスカート捲ったらパンティがない)
黒髪(どっかに飛んでった?蒸発した?そもそも無かった?)
黒髪(べっとべとじゃない……はちみつが股からこぼれたように太ももに流れを作ってる)
黒髪(というか、全然気づいてないの?)
黒髪(金髪ちゃんの方は……っと……)
ぺろん
黒髪(こっちはパンティ履いてるね……べとべとなのは一緒だけど)
黒髪(恋人をNTRても……いや恋人の浮気かもしれないけど)
黒髪(そういうのを見ても濡れちゃうのね、ふんふん)カリカリカリカリ
黒髪(よく集中してること……)スルッ
黒髪(全部脱がすまで、まーったく気が付かないなんて)
黒髪(陰唇の外観も勉強になるわ、二人共よくスケッチしとかなきゃ)カキカキカキ
……
小(あれ?何かお尻が涼しい?)
小(ふへっ……え?黒髪さん?指?……え、触ってる?)
小(ど、どしよう……え、え、え、えーと……今は隣の部屋が大事!)
小(気持ちいいだけだからそのままにしておこう)
……
黒髪(思わず触っちゃったけど、反応しないもんね?)
黒髪(研究、研究♪)くにくに
小「うきゅっ」キュッ
黒髪(流石にぶるっと反応があったか、でもジッと穴の向こうを見たままね)
黒髪(構わず調べさせてもらいますゾ、フヒヒヒ)ペロペロ
黒髪(こりゃ愉しい)ペロリン
黒髪(気分がいいし、私も脱いじゃえ)
ごそごそ
黒髪「クロスアウッ」ばっ
黒髪刑事が洋服(コンバットスーツ)を
かなぐり捨てる(クロスアウト)時間は
わずか、0.005秒に過ぎない!
では、クロスアウト過程をもう一度見てみよう。
黒髪:ブラウスのボタンに右手を掛ける
黒髪:スカートのフックに左手を掛ける
黒髪:ブラウスのボタンを高速で外しつつ
黒髪:スカートのフックを外してスカートを剥ぎ取る
黒髪:パンティに左手を掛けおろしつつブラウスを剥ぎ取る
黒髪:ブラウスを剥ぐ勢いでブラジャーのフックを外し
黒髪:パンティとブラジャーを脱ぎ捨てる
黒髪:パンティとブラジャーとスカートとブラウスが光速を突破
黒髪:洋服(コンバットスーツ)がエーテルの海に消え去る
金髪「ぅんっ……」ヌチョリ
黒髪(こっちの方が小柄ちゃんより粘度が高いなぁ、ふむふむメモメモ)カリカリカリ
黒髪(でも、指に吸い付いて来るみたいになってる)ニュローリ
黒髪(自分のとも比べてみないとね……)クニクニ
黒髪(この前は気がついたら真っ白になって暴走しちゃってたから……)
黒髪(ふむふむ……私のが一番粘度が低そうだなぁ)クニュ
黒髪(味はどれどれ……)ペロペロ
金髪「ひゃんっ」ギュウ
黒髪(塩気が強い……って、そういや金髪ちゃんは便所から引っ張ってきたっけ)
黒髪(ごめんごめん……でもまぁ悪くないよ、うん)ペロリ
黒髪(二人共綺麗なだなぁ……うい奴らめっ、このこのぅ)クニュクニュ
金髪・小「……ふみゃっ」
眼鏡「動いてもいいんだよ……」
男「動いたら出ちゃうので動けません……抜いてください」
眼鏡「あは、だーめ、体に力入んないや……さっきのズーッンってので」
眼鏡「全身に電気がビリビリって走っちゃったんだよね」
眼鏡「あ、決して不快じゃないよ……むしろ、そう快感だった」
眼鏡「先生は、今、気持よくないのかな?」
男「恥ずかしながらとても気持ちよくて困ってます」
男「上から下りてもらえないですか」
男「このままだと僕中で出しちゃいます……」
眼鏡「ボクはこのままじっとしていたいんだ」
眼鏡「……とっても気持ちが良くてね……じわじわと幸せなんだ」
男「僕も気持ちはいいんですがそれではマズイというか」
にゅろ
男「あ、待って待ってまって……」
眼鏡「ちょっと動いただけだよ……ボクが気持ちいい範囲で」
男「僕もそうなんです、だからやばいんです」
眼鏡「そうですね、これが終わってしまうのはボクも寂しい」
眼鏡「暫くこのまま甘えさせてください……先生」ピト
男(うー、先生って呼ばれる度に罪悪感が……)
眼鏡(先生って呼ぶ度に、胸に幸せが満ちてくる……)
眼鏡(もしかして、ボクって……教師萌?)
眼鏡(女子高で先生先生と騒いてる子たちを馬鹿に出来ないや……)フフ
男(あ、眼鏡さん笑ってる可愛い)
小「まだですね……しばらく感触を愉しんでるんでしょう」
金髪「詳しいね小柄ちゃん……そっか……経験したことあるんだもんね」
小「……ペースが違う感じですけど……ゆったりして……」
小「私も1度切りなのでよくわかってないです」
金髪「あれ?あの後、抱いてもらえてないの」
小「軽く、避けられてるような一歩引かれてるような……」
金髪「そっか、姉さんとくっついちゃったんだもんね」
小「……私、まだ諦めてません……諦めるきれません」
金髪「いいね、その姿勢。お姉さん応援しちゃうよ」
黒髪「……行けるかもしれませんよ、それ」クチュ
黒髪「だって男さんって今フリーだから」クチュクチュ
黒髪「姉さんが男さんとは付きあってないと、男さんに向かって」
黒髪「明言してました。今朝方」クチュピチャ
金髪「チャンスじゃん、小柄ちゃん」
黒髪「そしてあなたもね、金髪ちゃん」クチュ
金髪「え……違う違う、違いますって……まさかあはははは」
小「……金髪さんも……男さんが……?」
小「そう言えば、さっきの呟き……」
金髪「え?何か言ってた?」アセアセ
黒髪「挿れて欲しいとの旨発言してましたね」チュクチュク
金髪「いいい、言ってない言ってない、男の人なんて……なんて……」
黒髪「興味がないなんて嘘です」
黒髪「眼鏡さんと付きあっててもずっと気になってましたよね?」チュク
小「好きが二つあったって不思議じゃないですよ」
小「私、男さんが好きですが……姉さんも好きです……まぁ先輩として」
小「素直になれない気持ちはよく分かりますから……」
金髪「うう……」
黒髪「いつから、気になってたんですか?」クニニュク
金髪「……この前のホテルの時から……」
金髪「小柄ちゃんに優しそうにしてる姿を見て……ちょっと」
金髪「その後、お風呂に一緒になろうとしたりしたけど……」
金髪「かわされ続けちゃって……だからただの一方通行で……」
黒髪「金髪ちゃん……可愛い……」
小「あの、黒髪さんさっきから盛んに私達の……その……」
小「あそこをいじくってますけど……その……」モジモジ
小「いえ……どちらかと言えば気持よくて……困ってます」
黒髪「どうして?」
小「黒髪さんが女の人だからです」
黒髪「私は別に構わないわよ?」チュクチュク
小「……恥ずかしいんです……その……気持ちよくなるのが」モゾ
黒髪「凄く興味深いんだもの、是非触らせて欲しいわ」ペチョ
金髪「……眼鏡が気持よくて私が気持よくなっちゃダメな訳ないもん」
金髪「黒髪さん……黒髪さんのも触らせて……いえ、舐めさせてください」
金髪「小柄ちゃんのも……ちょっと興味があるの……」
小「え?!」
金髪「キスしていい?」
たのむ
金髪「……素敵な肌……」チュッ
小「……んぐぐぐっ……」
黒髪「おお、二人共分泌量が増えたっ」チュプチュプ
小(後ろから黒髪さんに弄られて、唇から金髪さんが侵入してきて……)
小(視線の先には男さんがゆっくり腰を動かして眼鏡さんをビクンビクンさせてる)
小(全てがごちゃごちゃになって全身がしびれちゃう……)ビク
小(力抜けちゃう……)クテン
黒髪「二人共出ておいで」クイクイ
黒髪「もっと全身観察させてちょうだいっ」ペロリ
小(黒髪さんにされるがままになっちゃおう……)
小(きっと気持ちいいんだ……)
金髪「黒髪さんっ」チュ
黒髪「んぐ……」
金髪「素敵な唇……柔らかいです……おいしい」
小(ど、どうしよう二人が始めちゃった)
小(私も何だか物足りない……疼いちゃう……熱い……)
金髪「……小柄ちゃん、おいで」ニコ
小(……えへ……呼んでもらえた……)
黒髪「こんな攻め方がっ、勉強になりますっ」カリカリカリカリ
小(凄い、金髪さんと裸でもつれながら黒髪さんメモも取ってる……)アハハ
金髪「ここに足を開いて……座って」
小(……どんなことされちゃうんだろう……)
眼鏡「……ぁ……ふ……ぃっ……ふぇ……」
男(うっとりという様子で目を閉じた眼鏡さんは)
男(すっかり体重を僕に預けて、口からたまに声とも付かない喘ぎを出してる)
男(ほとんど動いていないのに気持ちよさが全然収まらなくて)
男(一触即発の状態になっている)
男(眼鏡さんの幸せそうな表情で僕も幸せな気分になっている)
男(気を抜くと、そのまま射精してしまいそうだ……)
男(そのことを口にするたび眼鏡さんから『いいのに』と言われてる)
男(いいのかなぁ……)
がちゃ
姉「よう、男…………なっ、なっ、なっ何してんねええん」
どぴゅ
びくんびくん
男(あばばばばば、姉さんが訪ねてきた衝撃で出ちゃった)
男(腰が誰かのもののようにビクンビクン跳ねてしまう)ビクッ
眼鏡「姉さん……ごめんなさい……でも、凄く気持ちがいいです」
姉「な、な、なんで眼鏡と、あんたま、ま、まさか無理やり、けだものおおおお」
眼鏡「違います……襲ったのは私です」
眼鏡「私の理由で……男さんを襲いました」
眼鏡「だからごめんなさい」
男「……どうせ僕は姉さんと付き合ってるわけじゃないけどね」フゥ
姉「うううううううう、ぐるるるるるる」
姉「あ、で、でも、でも、学生に手を出しちゃダメええええ」
眼鏡「ごめんなさい、それも私が手を出してしまいましたので」
姉「うううう……男のあほおおおおおおおぉ」ダダダダッ
男「責任の一旦は確実に僕にもあります、はい」
眼鏡「でも、とても気持ちがよかったです……初めてにしては上出来でした」
眼鏡「ボク、女の子では金髪が一番ですけど男さんは……」
眼鏡「男の人の中で一番ですね」
眼鏡「ボクとしては男さんと金髪と仲良くしたい」
眼鏡「どうしたらいいんでしょう……」
男「去年までは縁がなかった悩みが多すぎて頭がパニックです」ハァァ
眼鏡「ボク、気がついた気持ちを金髪に正直に伝えてみます」
ガク
眼鏡「あは、まだ腰抜けてます……」
眼鏡「しばらく……まだしばらくこうさせてください……先生……」
小(……あ、また、軽く……イっちゃった……)
小(あぅ……金髪さん……どうして私の気持ちいいとこが分かるんだろう)
金髪「……ここ?」クチュ
小「……ぁっ」ビクッ
黒髪「……ぁ……ああああああああ、ぅ……ふ」ビクビク
金髪「黒髪さんは本当に敏感ですね、ふふふ」
黒髪「気持よすぎるよぉ……」ギュッ
金髪「指がしっかり挟まれちゃいますよ」
黒髪「くーん……」
小「……金髪のここ……綺麗……」ペロペロ
金髪「えへへ、あんまり見せびらかせないのが残念だよね」
眼鏡「……よし、いけそうです」
ぐい
ふら……
男「大丈夫?」がしっ
眼鏡「はい、そうだ……先生……お風呂入りませんか?」
男「そうだね、だいぶべたついちゃったし」
男(姉さんどこ行っちゃったんだろ……)
眼鏡「では、私準備してきます」
男「……え?一緒に?」
眼鏡「もちろんですが……」ハテ?
男(まぁ、賢者さんも居ることだしもう大丈夫かな……)
金髪「小柄ちゃん……何その舌……だ、だめそれ以上だめだって」
小「ここですか?ここなんですか?金髪ひゃん」ペロペロクチュクチュ
金髪「ぁんっ……ああんっ……だめ……でちゃう……いっちゃう……あん」ビクッ
ぷしゅっ
小「わっ」ピチャ
黒髪「はぁはぁ……お、おぉおおおお、こここれは潮吹きっ」カキカキカキ
黒髪「金髪ちゃんいい、さいこうっ、もうちょいっ」カキカキカキ
ぷしゅ……
金髪「……ううぅ……だめだって……言ったのに……」ポー
黒髪「……っと、スケッチひとまず終了っ、ねぇお風呂はいろう?」
がらがら
男・眼鏡「あ」
金髪・黒髪・小「あ」
金髪「狭いねー、男さん」
男(……う、う、分けて入ればいいのに全員入っちゃった)ブクブク
眼鏡「何とか入る位だね……」
小「は、早く洗いますね」
黒髪「うひゃー、あ、ごめん小柄ちゃん」ぷにゅ
男(洗い場も狭い)
男(眼鏡が金髪に気を使ったのか、浴槽には僕、金髪さん、眼鏡さんが)
男(洗い場は、黒髪さん、小柄ちゃん)
男(さっきから真正面が金髪さんの顔で、うっかりするとキスでもしてしまいそう)
男(そして問答無用で、その巨乳が僕の胸に押し付けられている)
男(背中からは、眼鏡さんが胸を僕に押し当てている)
男(……もう満足したはずだったんじゃないのかいマイサン?)
男(たまに金髪さんのお腹に当たっちゃってるんだよね)
男(前のノリだとすぐに騒ぎ立てると思ったのに……)
男(ちらっと見た後、顔を逸らして……なんと頬を染めてる)
男(お湯は湯あたりしないようにぬるめに調整したから……)
男(どうしちゃったんだろう、この変化……眼鏡さんの変化と関係が?)
眼鏡「金髪……ボクは君に言いたいことがあるんだ」
男(きた)
眼鏡「もしかしたら、ボクと男さんが風呂に入っているのを見て」
眼鏡「気づいたかもしれないけど……」
金髪「知ってる……見てたもん」
男「え?」
小「あ、私も見ました」
黒髪「私、よく見えませんでした……」ショボン
金髪「私も言わせて」
眼鏡「なんだい?」
金髪「私も男さんとセックスしたい」
眼鏡「え?……なんだって?」
眼鏡「もう、しちゃった後じゃ……」
金髪「どうして?処女なのに?」
男(なんか誤解があったような……それがなかったらこうなってなかった?)
金髪「でも、もう、これで……んうっ」
にゅぷり
金髪「ごめんなさい……男さん」
男(金髪が腹に当てていた僕のちんこを体をずらして)
男(一気に自分のあそこに導いてきた……)
男(びっくりする間もなく僕は金髪さんとつながっている)
金髪「……痛い……」
眼鏡「そ、そりゃそうだよ、いきなりだなんて」
金髪「いきなりじゃないわ……お風呂に入った時から……」
金髪「ずっと挿れたくて挿れたくて……んぁ……仕方なかったもの」
金髪「濡れてたの……ふっぁ」
男(顔が近い)
ちゅ……
男(おっぱいが二人の引力で押しつぶされて鏡餅のように広がってる)
小「それなりに……」
眼鏡「痛気持ちいい、って感じだからな」
黒髪「へー」
黒髪「でも、お風呂だと粘液が流れてしまって余計に痛いかもしれないですよ」
金髪「そ、そうなの?」
黒髪「って、聞いたことがあります」
男「浴槽の外に持ち上げるよ」ぐい
金髪「ん……ぐぅ……はぁはぁ……」
黒髪「うわぁ……一気に根本まで入っちゃってますね」
金髪「うぅぅぅ……ぐす……」ジワッ
金髪「ごめんなさいは私の方です……男さんも痛いですよね」
男「あは、僕は主に……その出しすぎで痛いです」
黒髪「そうなんですか?」
男「何でかは知らないけど……何度も出すとおしりとの間あたりが痛く……」
黒髪「そう言えば、粘液の分泌を促進する方法があるんですが……試します」
金髪「はい」
男「はい」
黒髪「では、男さん……ちょっと……ごにょごにょごにょ」
金髪「?」
男「それ……僕がですか?」
男「……金髪さん……可愛いです……好きです……」チュ
黒髪「ほら……」
小「何故ですか」
眼鏡「性的に、嬉しいこと気持ちいことがあれば濡れる、そういうこと」
黒髪「つまり、好きって言われて金髪さんが気持ちいいってことです」
黒髪「だって……」
金髪「……言っちゃダメえす……」
男(何だかめまいがするよ……何があったんだよ僕に……)
眼鏡「金髪は男が大好きだ、と」
金髪「うぐ……でも……眼鏡ちゃんも大好きなんだよぉ」
金髪「どっちも嘘じゃないんだもん」
眼鏡「ふぅ……先週なら怒ってたかもしれないけど……」
眼鏡「今のボクには自分のことのように理解できるよ……金髪」ンデナデ
ちゅ
ちゅちゅちゅ
男(キスまみれになってるよ)
男(それと同時に、挿れたあそこがキュッキュとしまってくる)
男(刺激されると動きたくなるのが男であって……)
男(僕からも金髪さんに激しくキスを求めていった)
男(周りはどうなっているのかすっかり忘れちゃって)
男(金髪さんが大きな声をあげるのも構わずズンズン腰を動かしてしまった)
金髪「あんあん……う……ぁん……はぁ……んっ……ふぁ……」
金髪「き、もち……いいいいああぁい……すごっく……あ。あ、ああああ」
金髪「だめ、だめ、だめでちゃうでちゃうでちゃう……ああああふぁああ」
男「僕も……でちゃ……うっ」ずん
びゅっく
男(腰が熱い……)
金髪「……でちゃ……た……おしっ……こ」
男(おしっこか……)
男(お風呂でよかった)
男(存分に漏らしちゃえばいいんじゃないかな)
金髪「……ん」ブルッ
男「出終わった?」
金髪「……///」コクン
黒髪「……はー」
黒髪「ブラヴォー!!!金髪ちゃん、男さん最高です……良い物見れました!」
黒髪「これで冬のネタまで完ぺき……ふふふふふふ」ニヤリ
トントン
小「ねえ、黒髪さん……」
黒髪「ん?」
小「今、下宿で処女なの黒髪さんだけになっちゃいましたね」
黒髪「え、うそ……」
眼鏡「本当です」
黒髪「人の心配してる場合じゃなかった!」
黒髪「男さん!あなたを先生と見込んでお願いが!!」
男(変な予感しかしません)
黒髪「この黒髪めも、ちゃちゃーっと女にしてください」
黒髪「経験にまさる知識なしというのが座右の銘」
黒髪「もう、あなたのちんこを挿れてもらわないと納得行きません」
黒髪「お願いします」ジー
金髪「勃起が収まらないうちに……ん……ね……ぁんっ」ニュポ
男「で、でも……もう……」
黒髪「できればバック……後背位でお願いします」クルッ
黒髪「その……まだですよねバックって……」
男「……バリエーションで決定するなんて……」
黒髪「あと……顔見られると恥ずかしいです……から」ポッ
男(あれ?……まだ戦う気かいマイサン?……)
男(確かに黒髪さんほどの美少女から誘われるなんて)
男(この先の人生ないかもしれないもんな……)
男(無理をおして入りたい気持ち……分かっちゃうよ……)
小「……」ゴクリ
黒髪「待ってください……あの2つ告白させてください」
黒髪「一つは……私、多分処女膜がありません……」
黒髪「色んな自慰をやりすぎてしまって……その……ぷっちょで……」
黒髪「ですので、思い切りお願いします」
黒髪「それから二つ目……」
黒髪「私、男さんが好きです……ざっくばらんに言うと」
黒髪「見ていると話しているといつもムラムラします」
黒髪「最近の自慰は男さんを思ってしています」
黒髪「だから今……凄く……ドキドキしてます」
黒髪「無茶苦茶にしてください……それと……」
黒髪「私を抱いた後は……姉さんを大事にしてあげてください」
黒髪「姉さん……男さんが大好きなんです」
黒髪「男さんが越してくる前から従弟の話を嬉しそうにしてました」
黒髪「側で聞いている私が好きになってしまうくらいにね」
金髪「知らなかった……」
黒髪「あなた達が入る前からだからね」
黒髪「姉さんの男さんに対する愛情は、よくわかってます」
黒髪「自分のことだと照れて反発しちゃうみたいだけど」
黒髪「大事に大事にしてあげてください」
黒髪「私、男さんの事を話す、姉さんも大好きなんです」
男「……はい」
ずぅん
男(軽く言ってるのに何だか凄く気持ちが入って突いちゃった)
男(って、おい!なんじゃああああああーーーー)
男(黒髪さんのおまんまんの気持ちよさ)
男(とろけてしまいそう……熱い熱い……)
男(そして、前からとは違う引っ掛かりが……)
男(……膜がないにしても、ここまで変わるものなのか?)
黒髪「……ぁ……」キュ
男(大きく声をだすんじゃなくて肩を震わせて声を殺している)
男(ぷるぷる震える背中がまた愛おしく綺麗だ)
男「きもち……いい」
黒髪「……うれし……ぃ///」
男(今日これだけ射精してなかったら一瞬で終わってた)
男(そして何より……全然避妊できてねえっす)
男(もうヤケクソだ、できちゃってたら全員僕のお嫁さんになってもらう)
男(子沢山で人生楽しむぞ)
にゅっちょにゅっちゅ
黒髪「……ん……ん……」
男(黒髪さんの声とは裏腹に中は暴れていると言っていい)
男(絡みつき、しまって、また緩んで飲み込んでという動きを)
男(次々としてくる……凄い……こんなに……)
男「はぁ……はぁ……」
男(ちんこに余裕が全然ない……でも、心地いい……)
男(挿れて出す動きの度に、射精の衝動が頂点に近づいて引き返す)
男(いつの挿入で出してもおかしくない気持ちよさが続いている)
にゅっちょっちょ
男(あ)
どく
黒髪「……あ……」ビクッ
どくどくどく……どぴゅ……
男「……はぁはぁ……」
黒髪「これが……射精……ですか…………凄く熱くて……」
黒髪「どうしてこんなに幸せなきもちになるんですか?」ニコ
小(私だけゴム付き……)ショボン
小(いつか生で射精してもらうんだから……)
ばたん
男「……帰ってたんだ、姉さん」
姉「ちょっと屋根の様子見てただけや」
男(姉さん……布団に座り込んでる)
男(目に涙の筋が見える)
男「あのさ……さっき」
姉「知らん」
男「ごめんなさい……って……うーん、言わない」
姉「あほ」
男「僕、でも姉さん傷つけたかな……何も知らないで」
男「姉さんが言葉で言ってくれないからって……不安になってた」
男「でも、沢山、姉さんから好きの態度受け取ってたよね」
男「姉さんも僕が好きだよね、ずーっと」
男「姉さんが言わないんだから、僕が言うことにするよ」
男「違ってたら否定してくれたらいいからね」
姉「そんなん言うな」
姉「言葉にしたら嘘くさなるやろ……」
姉「お前なんか好きちゃうわ」ガシッ
男「うん」
姉「……おかえり」
おしまい
……
姉「あ、今日は朝まで寝かせへんからな」
男「え?」
姉「満足するまでおわらんで」
男「え?」
えええええええ
おしまい!
乙
最高だった
ほんとうにありがとうございました
Entry ⇒ 2012.04.22 | Category ⇒ 兄弟姉妹「」SS | Comments (0) | Trackbacks (0)
姉「じゃ、風呂でも入ってくれば?」男「そうするよ、おやすみ」 1
http://hayabusa.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1334814587/
男「あ、あれ?……え?ご、ごめんなさい……?」
金髪女「……さっさと入ってよ、冷めるでしょ」
男「えーっとごめんなさい……入ってたんですね、時間とかで分けたりとか」
男(姉さんちゃんと言っといてよ……)
金髪「そんな面倒なことしてるわけないじゃん、新入生?」
男「あ、新入生というか……5号室に入って来ました男です」
金髪「2号室の金髪だよ、よろしくぅっ」
男(全然普通なんだけど……こういうもんなの?)
金髪「だから寒いって、早くドア閉めてくれー」
男「あ、はい」
金髪「……何にも聞いてないの?」
金髪「風呂が共同だって」
男「いや、聞いてましたけど……共同っても男女は……」
金髪「男女共同なんだけど」
男「え?いやそういう場合って、普通混浴って言うんじゃ」
金髪「さぁ?家主がそう言ってんだし」わしゃわしゃ
男「あ、あの浴槽浸かっていいですか」
金髪「いいけど、ちんこちゃんと洗っとくんだよ」
男「は、はい」
じゃばじゃば
ざぷ…………ふぅ
男「あ、あの、よくあるんですか?」
金髪「何が?」
男「そ、その男女が一緒に入ることって……」
男「すみません、よく知らずに入っちゃって」
金髪「ん、まぁ、久々にいいもの見せてもらったし気にしない気にしない」
男(いいもんって)
金髪「……ちんこだよ、ちんこ、立派なのつけてるじゃん」
男(見られてた)
金髪「あんたもこっちの見たっしょ?ま、おあいこってことで」ぷるるん
男「は、はぁ」
金髪「何、気の抜けた反応。あんた、貧乳好きなの?」
男「いや、そんなことはないです」
金髪「そりゃよかった」さぱぁ
金髪「よし、じゃ新入りってことで、ちょいっと背中頼むよ」
金髪「先輩の背中流して頂戴って言ってるんだけど」
男「その……ちょっと難しいというか……」
金髪「難しいもくそもないじゃん、ちょっとタオル泡立てて」
金髪「擦るだけなんだから。ちょっとくらいなら手が滑っても許すゾ」
男「すみません、浴槽からでれません……」
金髪「ん……ああ、勃ってるだけじゃん」
男「の、覗きこまないでくださいよ」
金髪「いや、このカラダ見せて勃ってなかったらむしろ落ち込むし」
男「……」
金髪「ま、とにかく頼んだよっ」とんとん
男「で、では、洗わせて頂きます」ソロソロ
ごし……ごし
金髪「もっと勢い良くやってくれると気持ちいいんだけど」
男「ふぅ……では……いきますよ」
ごしごしごしごし
金髪「お、お、お、お、いいねえ」ぷるんぷるん
男(揺れてる……胸がたぷんたぷんと揺れてる)
金髪「その辺りちょっと強めによろしく」
男「はい」
男(ぶっきらぼうだけど、体格は小さい人だな)
男「あ」
金髪「お、おおぅ……やるねえほんとにタッチしてくるとは」
男「ご、ごめんなさい……わざとじゃなくて」
金髪「いいっていいって減らない減らない」
金髪「代わりにあんたのちんこでも触らせてもらっちゃおうか?」ハハ
男「は、はい?」
金髪「よっ」ぷらん
男「おふ」
男(マジで袋触ってきた)
金髪「あんた、バッキバキに勃ってんじゃん」
金髪「女に免疫ないんだねー」
金髪「この下宿で大丈夫?」
男「え?」
金髪「他の住人も全員女の子だよ」
男「え?え?」
金髪「まぁ、そんなこと聞いてるはずないよね」
男「初耳です……」
金髪「まぁ……頑張れ若人よ……」ヒヒヒ
金髪「女嫌いってわけでもないみたいだし」ニヤニヤ
男「今日のこと黙っておいてもらえませんか」
金髪「何?一緒に風呂入ったこと?おっぱい見て勃起したこと?」
金髪「いやぁ、無理でしょ、あたし口軽いし」
男「ダメですか……」
金髪「別に知られて恥ずかしいもんでもないっしょ?」
金髪「新入りは立派なもんつけてたって言っとくよ」
男「あ、あああ……」
金髪「じゃ、そろそろ流して?浸かるから」
男「流します」ざぱー
金髪「いいねえ、後輩ができるって」
ざぷん
金髪「洗い場空いたし、ささ、どうぞどうぞ」
金髪「今更隠したって、勃ってるもんはどうしようもないんだぞー」
男「じゃあ見ないでもらえませんか?」
金髪「そんな勿体無い~」
男「うぅ……」
金髪「抜きたい?」
男「……他の部屋の人も金髪さんみたいに下品な人ばかりなんですか……」シクシク
金髪「言うに事欠いて、下品って……まぁ、皆、奥手なんじゃ?」
金髪「あんた好みの連中かもね」
金髪「ま、胸が一番でかいのはあたしだけどな」
金髪「その割に、なに、それ?スカイツリー好きとか?」ハハハハ
男「お、大人の女の人とお風呂なんて入ったことがないからです」
金髪「この胸見て興奮してるんでしょ?ほれほれ」
男「……そうだと思います」ごしごし
金髪「そういや、そのタオル……あたしの体洗ったままじゃね?」
男「……」
金髪「うひゃー、あたしの柔肌に触れたタオルだよ」
男「……気持ち悪いとかなら一度洗いますけど」
金髪「いーよ、いーよ、泡が勿体無い、この下宿選ぶくらいだから金ないんでしょ?」
男「じゃ、このまま使います」
男「嫌です」
金髪「けちー、先輩が見たいって言ってんだけど」
男「そういうのはもっと親しい人に頼んでください」
金髪「いやいやいや、こんなの頼める奴、後輩以外いないよー」
男「後輩なら頼めるってどういう理屈ですか」
金髪「いや、あたしも先輩には色々頼まれてたから」
男「……無理ですよ」
金髪「じゃ、手伝うし」ひょい
男「あ」
ぴゅ
男「……」
金髪「怒った?」
男「少し」
金髪「気持よくなかった?」
男「……」
金髪「よくわかんなかった?」
男「……」
金髪「やっぱ怒ってる?」
男「はい」
金髪「ごめんごめん、皆には早いってこと内緒にしてあーげーる」
金髪「……えー」
男「金髪さん、やりすぎです……」
金髪「ごめんねー……えーっと、お、おっぱい触ってもいいよ」
男「いいです」
金髪「あ、抜いた後だから……」タハハ
男「もう、いいです」
金髪「ごめんごめん、ちょっと珍しくて面白かったんだってー」
男「分かりました。でも、もうやめてください」
金髪「その……ピクピクして苦しそうだし……」にぎ
男「あぅ」
金髪「全部出したほうがいいんだって聞いたことが……」にゅるにゅる
男「あ、やめ、て……く、ださい」
金髪「こうすりゃいいんだよね」にゅろにゅろ
金髪「へー、これって……随分、ネバネバな感じなんだ……」
男「感触、知らなかっ……たんです……か?」
金髪「い、いや、他の奴に比べてってことだよ、他よりネバってるって意味っ」
男「……」
金髪「気持ちいいの?」しゅるにゅる
金髪「そうか」にゅるにゅる
にゅるにゅるうるるるるうっ
男「う」
金髪「また出たっ」ウハ
にゅっぽにゅっぽ
男「お」
ぴゅる、ぴゅる……る……
男「打ち止め……っす」
金髪「あ、そうなの」
金髪「…………ふーん……」
金髪「ちょい待ち」ペロ
男「……うわっ」
金髪「しょっぺ」
ざー
男「……」ざー
金髪「……」
男「……」
金髪「先……上がるね」ざぱー
金髪「またーねー」
がらがらがら
男(下宿で変な人さっきの人くらいだよね……)
男(オナニーしかしたことなかった僕が……女の人にしごかれて)
男(射精するなんて……思い出しただけで全然収まらない……)
男「そういや、どんな人が住んでるんだろう」
男「挨拶行った時だれも居なかったもんな」
がらがらがら
眼鏡女「誰?」
男「あ、あ、5号室に越してきた男です」
眼鏡「1号室の眼鏡だよ、よろしく」
男「す、すみません」
眼鏡「終わったらちゃんと流して欲しいね」
男「……はい」
男(ちゃんと流したつもりだったのに……はぁ、初日から風呂で抜く奴って思われた)
ざぱ……
ちゃぽ
眼鏡「……まだしている途中だったかい?」
男「あ、いえ、その、これはもう終わったのでもうすぐ収まります」
男(うぉぃぃ、早く収まれマイサンっ)
眼鏡「ふぅ……」
男(この子、全然見えてないんじゃ……湯気で真っ白だし)チラチラ
男「僕が入るまで……誰も男の人は居なかったんですか?」
眼鏡「そうだな、ボクの知る限りは居ないかなぁ……昔は居たんだろうね」
男「その割には……男の人が風呂にいても……皆さん平気ですね」
眼鏡「皆さん?」
男「あ、さ、さっきまで金髪さんが……」
眼鏡「あ、ああ、それで」
男「い、いや、誤解です、別に金髪さんと……ごにょごにょ……したわけではなく」
眼鏡「そうか、まぁ、流石にセックスしていたら声で気づくか」
男「あ……皆さん、そのようにあけすけといいますかなんといいますか」
眼鏡「たまに家主と入るからな」
眼鏡「日頃安い家賃で助かってるから背中を流したりしている」
眼鏡「家主は君のように勃起はしないけど」
男「すみません」
眼鏡「襲わんでくれ、これでボクも処女なんだ」
男「襲いません」
眼鏡「助かるよ」
男「……ふぅ」ざぱー
男「あ、あのー」
眼鏡「あ、洗い場空いたかい」ざー
男「ど、どうぞ」
男「あの、背中を流したりとかは要りますか?」
眼鏡「いや、間に合っているよ」
眼鏡「そのようないきり立ったものを背中に当てられてもどうしていいか困るし」
男「あ、そんな意味ではなく……」
眼鏡「気遣いだけもらっておくということで」
男(大きくはないけど形の良いおっぱいだなぁ)
男(くそ、また上がれなくなるぞ)
男(毛は薄目だなぁ……丸見えだよ……)
男(端正な顔つきだから嫌味じゃなくて似合ってるけどね)
眼鏡「……」わしゃわしゃわしゃ
男(眼鏡かけたまま洗ってるよ……眼鏡痛むのになぁ)
男(お、流石に収まってきた……かな?)
男「じゃあ、お先に上がります」ざばー
眼鏡「ん」
がらがらがら
男(このペースで行けば早く着替えないと次の人がきちゃうよ)
男(抜いて賢者になった今となっては早く部屋に帰りたいっ)
男(とんでもない下宿に来てしまった)
男(しかもどうも誤解されてるみたいだし……)
男(まぁ、しばらくすれば分かるか)
トントン
女「夜分恐れ入ります」
男「あ、は、はい」
ガチャ
男「はい、何でしょう」
黒髪女「あの、金髪さんから新しい方が入られたと伺って挨拶にきました」
男「いえいえ、すみません、こちらから伺わなくては行けないところを」
黒髪「4号室の黒髪と申します、よろしくお願いします」
男(スラっとした体格に長いストレートの黒髪……清楚な香り……)
ごそごそ
男「つまらない物ですが、引越しのご挨拶に」
黒髪「まぁ、お気づかいなく……」
男「男と申します」
黒髪「珍しいですね、この付近で男の方が下宿されるなんて」
男「はぁ、そうらしいですね、金髪さんにも言われました」
男「越してくるまで全然知らなくて……」
黒髪「何かあれば隣まで言ってくださいね」
男「はい、よろしくお願いします」
男「いやぁ……そんな安心できるような男じゃないですよ」
黒髪「では、夜も遅いのでこれで失礼します」
男「わざわざ有り難うございました」ぺこり
がちゃん
男(何だか隣は普通の人でよかったなぁ)
男(黒髪さんもお風呂入るのかな……)
男(……なんだろう……あの人はエロいこと想像できないや)
男(……マイサンも落ち着いてきたことだし寝るか……)
zzzzz
ちゅんちゅん
トントン
トントン
男(ん?)
女「……ません」
男「おわっ、すみません」
がちゃ
男「はい、なんでしょう」
小柄女「……あのぅ……朝からすみません……」
男「あ、もしかして3号室の方ですか」
小「……はぃ……」
男「昨日越してきました男です、挨拶が遅れて申し訳ないです」
男(道理で昨日は誰も居ないはずだ)
小「男さんも、一緒の……新入生なんですね……よ、よろしくお願いします」
男「あ、いや……」
小「あ……すみません、先輩なんですか!……てっきり昨日って聞いて」
小「私ったら……すみませんすみません……あのこれ挨拶に……」
小「よ、よろしくお願い致します……」タタタタ
男(挨拶の品を渡して顔を赤らめて行ってしまった……)
男(僕の挨拶の品を渡す間もなく……)
男(しかし新入生?……中学生かと思う体型だったけど……)
男(あの子と風呂一緒になったら入っただけで犯罪者だろ……)
1号室:眼鏡。余り動じないタイプ。標準体型。2年以上と推測。
2号室:金髪。金髪だが日本人だと思う。巨乳。性に積極的?2年以上と推測。
3号室:小柄。中学生とも思える容姿と体型。内気なのかな?1年生。
4号室:黒髪。凄く普通のお姉さんタイプ。清楚系。2年以上と推測。
5号室:俺。五代くんではない。
6号室:未確認
男(6号室は特に確認するまでもない……)
男(というのも、ここを紹介してくれた姉さんだからだ)
男(昨夜は、酒盛りに付き合わされて潰れてたから)
男(今日は二日酔いだろう……)
男(週末だけど、学生の前で教員がそんな姿晒すってどうなんだろう)
男「ちょっと……様子見ておくか、午後に家電見てもらう約束だし」
トントン
男「姉さん……大丈夫?」
「……」
男「入るよ?」
かちゃり
男「う、酒くせえ」
姉「zzzz……ひくっ……お、よぅ、おはー」
男「二日酔いじゃねぇ……これはまだ酔っぱらいだ」
男「姉さん姉さん……いつまで飲んでたんだよ」
姉「……zzz……5じ……ぃ……」
男「一人で?」
姉「寝てたら……えーっと、金髪が来てな……朝まで飲み直し」
姉「お前、あいつの手でドッピューって出したんやって」
男「……」
姉「いやぁ、生々しい描写やったなぁ……酒が進んだっちゅーの」
男「誰かに伝わるのは諦めてたけど……早すぎだろ」
姉「おい、男っ、姉さんにも成長確認させんかーい、うひひひ」
ごそごそ
男「いいからそろそろ起きてよ……ちょ」
姉「ちんこ見たら起きるぅー」
ずいっ
男「ちょっと、やめて、や、やめて」
ポポロンッ
男「はいはい、10年以上前でしょうそれ」
姉「そうか、覚えとるか……よしよし、可愛いちんこめ」
姉「今度は姉さんも楽しませてくれよな」
男「ちょ、ちょ」
姉「おいおい、金髪は抱けても姉さんは抱けへんってのかー」
姉「お姉ちゃんと結婚するーって言うとったやろー」
男「昨日何話したああああ、金髪さん抱いたとか……そんなの噂でも流さないでよ」
姉「えー、金髪ちゃんの目を見とったら絶対ヤッた目しとったで?」
男「酔っぱらいの目が信用できるかっ」
がたっ
小「え……」
小「し、しちゅれいしましたー」ペコリ
タタタタタタ
男「ズボンもパンツも脱がされて……姉さんと向い合ってる様子を見てあの反応」
男「絶対誤解されてる」
姉「あはははははは、……で、あの子誰なん?」
男「笑い事じゃないって……3号室に越してきた小柄さんだって」
姉「中学生かと思った」
姉「手出すなよロリコン」
男「人をロリコン呼ばわりして……って、あの子、大学生でしょ」
姉「でも、見た目中学生やん」
姉「……ってことは、おぉ……合法ロリってやつか」
姉「仕方なぃわな、男にかて嗜好があるんやもんな……」
男「おーい」
姉「でも、姉さんも忘れんときやー、あんたにツバつけとるんやでー」
男「はいはい」
姉「出かけるの午後やったな?もう一眠りするわ」
男「また起こしに来るよ」
トントン
姉「おう、入りぃ」
ガチャ
男「……お、おぅ」
姉「ん、どないした?」
男「いや、姉さんも出かけるときはちゃんと化粧するんだなって」
男(正直、朝とのギャップでドキッとした)
姉「ん、ん?惚れ直したかぁ?」ぐりぐり
男「いててて、そういうとこは姉さんのままなんだよな」
姉「ほほぅ、するとやっぱりこの装いにくらくらーっと来とるわけな」
男「まぁ、可愛いんじゃない」
姉「さ、さんきゅ……まっすぐ来ると思わんかったし……何か照れるわ」クラクラー
男(絶対僕で遊んでるよなぁ)
男「自分でいうセリフじゃないですよ、それ」
男「落とした僕のこと何度も振っておいて」
姉「あははは、だから言うてたやん、大人になったらなって、今ならオールオッケーやで」
男「幼い僕の心はふかーく傷ついたんです」フン
姉「学生のくせにませとんのがあーかーんーのー」
男「真剣だったんですからね」
姉「まぁまぁまぁ、それは私もふかーく反省しとるから……」
男「まぁ、いいです、じゃあ出かけましょうか」
姉「おう、ついてこーい」
男「姉さん……今、どういうこと教えてるんだっけ」
姉「ん、量子力学IIとIII。教授がめんどくさいってこっちに全部投げてきてんのよ」
男(な、なんか難しそうな……って、姉さん……もしかして凄い人?)
姉「去年まではテストの採点だけやったのに……」
姉「助教が教える科目かっちゅーの」
男「……僕大丈夫かな」
姉「あははは、大丈夫大丈夫、うちは物理科やけど、男は情報やろ?」
姉「全然違うって、うちなんて教授が未だにFORTRAN信者で困るし」
男「そうなんだ」
姉「しかしまぁ、立派になったなぁ、パソコンエロゲにしか使ってへんと思ってたわ」
男「酷い……」
男(でも動機がそこだったのは否定出来ないのかも……)
男「こ、ここが……聖地秋葉原」
姉「はい、ちゃっちゃと行くでー、今日は家電やからな」
男「あ、ちょ、ちょっとあのメイドさんからチラシを……」
ずるずるずる
姉「もー、隣に可愛い女の子おんのに目移りしてどうすんの」
男「別腹でんがな」
げしっ
姉「似非やめいっ」
男「何か今日、素面なのに、き、きつい……」
男(……んん?……あ、あれ?あそこ歩いてるの黒髪さ……ん……じゃないか?)
姉「ん?なんで黒髪がここにおんねん、会ったばかりで早速妄想出しとんかいな」
姉「ほんま、エロい頭しとるなぁ」コツン
男(錯覚か……まぁ妄想ならもっと凄いことさせてるはずなんだけどな……)
姉「黒髪の趣味は、古典文学研究だぞ工学部のくせに」
姉「古典文学と秋葉原ってどうつながんねん」
姉「もしおったら……」ニヤリ
姉「それこそエロゲやな……どないして落とすんやろなぁ」ニヤニヤ
男「はぁ、僕が黒髪さん落としても姉さんはいいんですね」
姉「そんなん妨害するに決まっとるやーん、私の男やでー」
男「く、妨害だけは嬉々としてきそうだ」
男「しません」
姉「ええー、男が私以外とセックスなんてしたら寂しいやーん」
男(くそ、この罠にかかって何度告白させられて何度振られたかっ)
男(悔しいことに、それでも姉さんが諦めきれない僕の負けなんだけど!)
男(こうなったら童貞くらいは別の子で卒業してやる……)
男(くらいに思っとかないと……一生童貞のまま終わりそうだしな……)
男(僕以外の告白も全部断ってるらしいし……まさか……レズ……?)
男(にしても、男の僕に下ネタで絡んでくるし……うーん、わかんない)
男(……でも最後には絶対姉さんから僕に告白させてやる)ブツブツ
姉「おい、何ぶつぶつ入ってしもてんねん」
男(下宿の皆さんには悪いですけど……全員姉さんを嫉妬させる道具にさせてもらいます)
姉「何にやにやしてんねんって、気持ち悪いやろ」
男「いつつつ」
姉「それ、またいつもの黒い妄想始めてたんやろ、黒髪含めて全員落としてやる、とか」
男「……う」
姉「当たりかいな、ほんまそういうとこ何とかしたほうがええで」
姉「妄想だけやったらええけど、下宿の子に手出して泣かしたら許さんで?」
姉「一応、、お目付け役みたいな立場やし」
姉「手出すんやったら姉さんだけにしときや」
男「え……じゃ、じゃあ、姉さん僕と付き合ってください」
姉「あかんあかん、そんな簡単に攻略できるわけないやろ、セーブ地点からやり直せ」
男(くそ、また騙されて振られた……)
男「あ、あの……それは」
姉「ほな、冷蔵庫はコレ買おか、兄ちゃんこれなんぼになるん?」
……
男「あ、ちょっと姉さん」
姉「あれとセットで買うから、5万にしときって」
……
男「掃除機……」
姉「あの下宿で、掃除機はウルサイから要らん、と。ほな次」
……
男「え?」
姉「要るコレ?電動オナホ」
姉「ふーん、動いてんのん見てみたいんやけどな」
男(く、使わせて、しかも見る気か)
……
姉「なぁ、PS3買うといてーな」
男「自分の財布から出してください」
姉「えー、一緒にやろ、な?」
男「設置場所が姉さんの部屋になりそうなので結構です」
姉「けち、そんなんじゃ黒髪落ちんぞ」
男「関係ありません」
姉「ふぅ……これで大体買い終わっただろ」
男「ねぇ、何か洗濯機ちょっと大きくないですか?」
姉「そら、私のも洗濯してもらうんやから大きくないとあかんやろ」
男「……まさか冷蔵庫も」
姉「ビール沢山入らんと困るやろ?」
男「姉さんがね」
姉「大は小を兼ねるっていうやん」
男「姉さん稼いでるんだから自分で買えばいいのに」
姉「えー、隣の部屋にある方が便利やん」
男「飲んだ片付けは自分でしてくださいね」
姉「よし、部屋で飲んでもええってお墨付き出た、と」
男(プライベートが侵食される予感……はぁ)
黒髪「うふふふ……新作新作……わーぉ、今回も際どい構図たまんないっす」
黒髪友「あんたそれ全部行くの」
黒髪「仕方ないじゃない……全部いいんだもん」
黒友「ホントお兄ちゃんモノ好きだねあんた」
黒髪「リアルに居ないからこそあこがれるのですぞ」
姉「えー、めんどくさーい」
男「ええい、元はと言えば姉さんが誤解のもとを作ったんでしょうが」
男「姉さんが説明しないと誤解が解けないでしょう」
姉「別にええやん、それくらい……ちょっと軟派な人なんやなぁ、くらいやって」
男「あの反応、絶対違うと思います」
トントン
小「はーい?」
男「すみません、男ですけど……ちょっとお話が……」
小「は、はいっ」
男「あ、姉も居ます……6号室の」
小「……あのぅ……何でしょう」
男(部屋着だったのか、ラフなTシャツと短パン……ホントに中学生なんじゃ)
姉「……小柄ちゃんはホントは何歳なの?」
小「え、18ですけど…………」
小「……よく、子供料金と間違ってないか指摘されることがあります……わかってます」
小「あ、姉さんは……男さんの……」
男「あ、この人、僕の従姉なんだよね」
小「え、じゃあ、従兄弟同士でお付き合いを」
男「いやいやいや、あれは姉さんの悪戯でね……よくからかわれてるんだよ」
男「何か誤解されてそうだったから姉さんから説明を」
男「ちょ、そういう意味じゃないって」
小「……は、はい、分かりました」
姉「お、こいつ狙ってんの?」
小「あ、あ、いえ、その、お二人の関係がわかりましたという意味で」
姉「男、振られたみたいやぞ」
男「まだ始まってもない恋を無理やり失恋させられただけです」
男「ほんとごめんね、小柄ちゃん……朝はびっくりさせちゃって」
小「すみません、こちらも挨拶もちゃんとできずに……」
小「改めまして姉さん、今度越してきました小柄です」
小「理学部の物理です……」
男「え」
姉「お、ほぅ……新学期楽しみにしとるからね~、じゃまたねー」
男「え、え」
ずるずる
小「……姉さんってどこの学部の先輩なんだろう?」
……
男「ちょ、ちょ、何で身分隠してんの」
姉「えー、だって面白いやーん」
姉「何か他に基準あったっけ?」
男「何言っても言い負かされるからそれでいいです」
姉「なんじゃいな、おいっ、こっちは構えとったのに」
バタン
金髪「あれ、姉さん出かけてたんですか……それに男」
姉「そや、金髪、今日もうちの部屋来て飲もうや……こいつ肴に」
男「嫌です」
姉「却下」
姉「眼鏡も呼んどいて」
姉「来そうやったら呼んどいて、こいつと3号室の新歓パーティーってことで」
金髪「了解」
姉「ほな、今から酒買い出しにいってくるわ、男ついてきーや」
男「へいへい……」
……
姉「さてさて、皆さんよくお集まりになりました」
姉「私、本下宿お目付け役、姉でございまーす」
姉「……拍手拍手」
パチパチ
姉「その歓迎を兼ねてパーティーを開催させていただきましたっ」
パチ……パチ
金髪「姉さん、長い長い」
姉「お目付け役の有難い話ちゃんときかんかいっ」
男「姉さん……もう、さっきから飲んで出来上ちゃってるんです……」
眼鏡「乾杯」
かんぱーい、カツンっ
姉「おぉぃっ」ビシッ
姉「早いがなっ眼鏡」
眼鏡「もっと飲んでもいいんじゃないかな?」
姉「すまん、年度末と頭は忙しいんや」
金髪「先生も大変ですねぇ」
小「えっ?」
姉「えへへへ」
小「姉さん……って先生なんですか?」
姉「じゃじゃーん、実はそうでしたぁ、どう?どう?学生に見えた?」
小「ええ、私てっきり先輩の方だとばかり」
姉「まあ先輩でもあるけどな、私の専攻物理」
小「は、はい頑張ります……」
金髪「まぁ、あんたも逆に学生に見えんけどな」
小「……はぁ……もう慣れました」
黒髪「可愛らしくていいと思いますよ、年をとって見えるよりいいじゃないですか」
男「み、皆さん、何年生なんですか?」
金髪「おぅおぅ、女性に年齢尋ねるってどういう教育されてきたの?」
男「え?……いやそういう意味じゃ……」
眼鏡「ボクは2年……年齢は19歳。別に隠しちゃいない」
黒髪「4年です。学部は経済学部。年齢は……秘密ってことに」ニコリ
男(え、ストレートじゃないのかな……)
金髪「あたしは2年。年齢は20歳。1浪だよ」
姉「えっとぅ、あたしは~1年?年齢は18歳ですっ」キャピ
姉「ふんっ」どふっ
男「あがっ……」
黒髪「そう言えば、男さんと姉さんって親しげですけど……」
小「何でもお二人従兄弟同士だそうですよ」
眼鏡「ふーん」
黒髪「あら、そうなんですか」
金髪「昨日聞いてビックリしたって、まさか風呂で……」
男「ちょちょちょちょちょおおおおおおおっとまったあああああ」
姉「黙らせる」がしっ
男「もごもごもご!!!!」
金髪「あまりにね、股間が苦しそうだから楽にしてあげたいなぁって」
金髪「ちょいって触ってあげたらね……」チラチラ
小「……」ゴクリ
金髪「ほんと一瞬、一瞬でね、どっぱーってそりゃ凄い勢いで噴出」
金髪「もうこれでもかーってくらい、ドクドク出しまくるわけ」
黒髪「……///」
眼鏡「ボクが入った時もまだ勃起してたぞ」
金髪「で、そんな話、姉さんにしたら従弟だっていうでしょ」
金髪「びっくりしたよねー」
小「あ、あの、よく飲み込めないんですけどそもそもどうして一緒にお風呂に……」
姉「あらら、また説明ちゃんとしてへんかったんかいな」
姉「あのね、ここのお風呂って共同でしょ、男女別とちゃうから」
小「うそっ……」
姉「時間で分けるのも不経済やからね」
黒髪「無駄が無くて素晴らしい仕組みだよね」
小「……ぇええええー……黒髪さんは立派な体ですけど……私とか……」
姉「なんとタイミングが良かったら裸の男を堪能できるチャンスっ」
姉「お申込みは今すぐ!」
男「あのー……」
男「僕、なるべく皆さんと時間ずらすように気をつけますので……」
姉「おい、お前それでも男か?エロゲならこれで1本できる美味しい状況だぞ」
男「気まずいでしょっ、さっきの金髪さんの話みたいなのとかっ」
姉「何を今更、なぁ?」
眼鏡「まぁ、生理現象だから仕方ないかと」
眼鏡「ただ、ボクにはかけないで貰えるかい?それでいいよ」
姉「おいおい、オナネタにするまでは許すって許可でたぞ男っ、よかったなぁ」
金髪「何か食べさせてくれたら、また抜いてあげてもいいかなぁ……」ニヤニヤ
男「姉さん……何か話が変な方向に向かってます」
黒髪「お、男さんが嫌がってるんですから」
黒髪「私もお風呂の時間ずらすように気をつけます」
男「へ」
姉「黒髪、こいつ今明らかに残念そうな顔したで」
男(く、目ざとい)
男(僕だってちょっと気になる位には健康な男なんだよー)
黒髪「……///」
男(くぅっ、頬を染めた黒髪さん綺麗で可愛いなぁ)
姉「小柄ちゃん、襲われちゃうかもしれないからお風呂は気をつけてね」
小「……え、えぇっ」ビク
男「襲いませんって」
姉「襲わないから一緒にお風呂入ってって言っとるな、うん」
男「いやあの、そうじゃなく」
眼鏡「ロリコン」
小「ち、違いますって、あのちゃんと大人ですから」
姉「しかし、大人かどうかはジャッジが必要!」
姉「男より先に私と一緒にはーいーろー」
小「は、はい」
もぞもぞ
姉「……うん」
男「おわっ」
姉「何や、しっかり勃っとるやん、そらまあしゃあないわなぁ」
男「僕が変態って印象しかつかないじゃないですか」
姉「えー、そうやん、でも姉さんそんな変態男も結構好きやでぇ」
男「もう騙されません」
小「やっぱり」
男「やっぱりじゃないですよ、この人、僕をその気にさせて」
男「僕がその気になって告白したら断るって遊びしてるんですよ」
男「何回ひっかかったか」
姉「……隣に男が越してきてテンション上って調子乗っちゃっただけなんやもん」
姉「男はうちのこと嫌いなん?」ウルウル
男「いや別に嫌いじゃないけど」
姉「じゃあ、好き?」ウルウル
男「まぁ、好きだけども」
姉「ふふーん、そうなんや、へー、私にまだ惚れてんねやぁ」グフフ
金髪「男、また振られた?」
男「くっそぉおおおお」
眼鏡「哀れだな」
小「……男さんって姉さんが好きなんですね」
金髪「そうみたい」
黒髪「気を落とさないでね、きっと良い人が居ますよ」
男(それって自分じゃないって遠回しの拒絶じゃ……)
姉「皆、同情してくれてんぞ、優しいなぁおい」バンバン
男「くぅ……」
男「無理ですって……全員に言って回られるんでしょ、どうせ……」
金髪「黙っとくオプションももう1食つけてくれたら考えるんだけどな」
男「……」
眼鏡「真剣に悩んでるな」
男「……うぅぅ……もうどうにでもしてください……イメージボロボロだぁ」
姉「ええやん、後から正体バレて失望されるよりは」
姉「男子っちゅうのは多かれ少なかれエロい訳やんか?」
姉「そやから男がちょっと人よりエロいっちゅうのも個性のうちやって」
小「そう言えば、男さんてどこの学科なんですか?」
姉「のエロゲ専攻」ボソ
男「違います」
金髪「まぁまぁ、今更エロゲくらいでは……」
金髪「昨日の風呂の方がよっぽど強烈だよ?」
黒髪「エロゲ……って、男の人って皆やるものなんですか」
眼鏡「珍しい人が食いついてきたね」
眼鏡「ボクの経験から言えば、ほぼ全員やるみたいだよ」
黒髪「そうなんですか……」へ~
男「強い断定ですけど、多分全員ではないと……」
眼鏡「少なくともボクの付き合った相手は今まで全員やっていたよ」
小「へー」
眼鏡「25人」
男「え?」
眼鏡「ボクが付き合ったことのある人数としては多すぎるかな?」
男「い、いや」
男(ボクっ子大人気じゃんっ)
姉「多すぎるー、断固多すぎるー、先生にも分けんかーい」ブーブー
姉「あ、告白されて3分後には振ってたとかはノーカウントやで」
眼鏡「肉体関係は無いけど、お互いの家に行くくらいの交際はしていたよ」
黒髪「え、25人で、しょ……」
男(黒髪さん……今処女って言おうとして止めたよね)
男(意外に食いついてるなぁ、ムッツリ系なのかな)
眼鏡「結婚すると決めた相手以外には許す気にはなれませんでしたから」
金髪「眼鏡えらーい、よしよし」ナデナデ
金髪「小柄ちゃんも初めてを許す相手には気をつけるんだよ」
小「は、はいっ」
男(まぁ、当たり前だろうけど小柄ちゃんも処女か……)
男(ほんとハーレムエロゲみたいになってきたよ)
姉「黒髪も気を付けや……あんたムッツリっぽいから」
姉「興味だけで流されそうやし」
黒髪「そ、そ、そ、そんな……十分気をつけますよ」アタフタ
男(ふむ、黒髪さんはムッツリで処女確定、と)
男「そ、そこは掴まない……で」
姉「あんたがずっと勃たせたままなんが悪いんやろ」
姉「女の子に囲まれて勃起させとるってエロいこと考えとるに決まっとる」
男「そ、そんなぁ」
男(当たっちゃいるんだけど……)
小「……」ジー
男(あぁ、小柄ちゃんに見つめられて更に固くなる……僕ロリコンですか?)
金髪「そういや、前にチラッと聞いた姉さんの初めてってどんな感じだったです?」
男(え?)
金髪「話してる途中に姉さん寝ちゃったじゃないですか」
姉「え、え、アレはいいって、無理やりみたいな感じだったし」
姉「ま、まぁ、悪くは思ってなかったっちゅうか、えへへへ」カァァ
男(え、いつ、だれと……え、えぇっ)
眼鏡「男……ショック受けすぎ」
姉「別にそいつとは付き合ったりとかしてないし……1回だけだし……ね」
金髪「ヤリ逃げじゃないっすか、酷い奴がいますね」
姉「いや、相手は悪くないんちゃうかなぁ、私が悪いんだって……」
黒髪「一途ですね……姉さん……ちょっといいと思います」
男(処女厨じゃないけど……何か頭がクラクラする……)
ドサッ
男「つ、つかれた……」
男(悔しい……姉さんの初めてが……知らない奴に無理やりだなんて)
男(くそっ、くそっ、俺の童貞……姉さんに残してたんだぞ……)
男(ま、まぁ、卒業するあては無かったけども、だ)
男(嫌われてる訳じゃないから一縷の望みを持ってたのに……)
男(はぁ、ネタでもいいからって姉さんに童貞もらってもらおうかなぁ)
男(歓迎会の後半は覚えてない……18で酒が飲めない小柄ちゃんに)
男(ひたすら慰められていたような気もする……)
男(ロリコンじゃないけど小柄ちゃんは可愛くて優しくていいよね……はぁ)
……
zzzz
んがっ
男(あれ?いつの間にか寝てたか……)
男(布団に涙の跡ついてるよ……うわぁ……自分がキモい……)
男(んー、この時間なら大丈夫……かな?……風呂に行こう)
……
がらがら
男「よかった……誰もいない」
男「ついさっき、からかわれたばかりで一緒に入るとか気まずすぎるよ」
男「そりゃ、嬉しいけども……こっちも見られちゃう訳で」
男「下心バレルのダメージでかい……って、もう大ダメージ食らってるか……」
ざぶん
男「酔いが覚めて思い返したら……」
1号室:眼鏡。処女
2号室:金髪。不明
3号室:小柄。処女
4号室:黒髪。処女
5号室:僕。処女///
6号室:従姉。非処女
男「か……エロゲなら金髪も処女だよなぁ……」
男「姉さんだけ非処女……か……姉さんもいい年だもんな……」
男「そりゃ僕の知らない姉さんも沢山あるか……」
男「分かってるけど……ちくしょー、NTR属性ないんだぞぉぉ……」
男「本気で凹む……」
がらがら
小「あ、どなたか入ってますよね、すみません小柄です」
小「ちょっとコンタクト外してるんで見えないんですよ」
男「す、すみません、入ってます」
小「え、男……さん……わ、きゃ……」ギュ
男(体を隠したけど、見ちゃいました……)
男(若干非合法の匂いがするロリ体型だと思います……)
男(胸はちょっと膨らんでるだけで……あ、でも乳首はしっかり大人だった)
男(下は下で……毛が……無い……少年漫画だから描いてないとかじゃない)
男(薄くはあるのかもしれないけど湯気ではっきりわからないよ)
男(というところを一瞬で見てしまった……)
ざー
ざぽんっ
男(え?一緒の浴槽に入って来た)
小「ご、ごめんなさい……狭いですよね……」
小「恥ずかしくて……お湯に入っちゃいました……」
男「み、見てないから」
小「ホントですか?」
男「いや、完全に見てないわけじゃないけど見ないようにしたから……」
男(嘘っす)
小「……夜中だから人居ないと油断してました……」ポッ
男「僕も油断してたよ……」
小「もともと、ずーっと眼鏡だったんですけど……大学入るとき」
小「思い切ってコンタクトにしてみたんです」
小「大人っぽく見えるかなぁって」
小「でも、コンタクト無いと全然見えなくって……」
小「これくらい近づかないと男さんってわかんないんです」グイ
男(……うぉっ!)
小「ご、ごめんなさい……急に近づいて……」
男「ドキドキしちゃったよ……あはは」
小「私まだ眼鏡じゃない自分の顔に慣れてなくて……」
小「変じゃないですか……この顔?……見られるの恥ずかしいんです」
小「と?」
男「小柄ちゃんて凄く可愛い顔だと思うよ、僕の主観だけど」
小「わ、え、あ、ありがとうございます……そんなに褒められたの初めてです……///」
男「眼鏡でも可愛いとは思うけどなぁ」
男(多分眼鏡の方が可愛いと思うぞ、主観的にはねっ)
小「ほ、褒めすぎですっ、男さんは姉さん一筋なんじゃないんですかっ」
男「あはは……何回も振られてるんだよねぇ……」
男「はぐらかされて酒の肴にされて……」
小「男さん、格好良いとは言いきれないかもしれませんけど何だか……えーっと」
俺も入居希望で空待ちなんだけど
男(ははは、安全パイ扱いだわ、これ)
小「絶対、姉さんも振り向く日が来ますよ」
男「そんな事言ってー、ダメだったら、小柄ちゃん僕を引き取ってよー」
小「え……」
男「あ、ご、ごめんなさい、ちょっと調子乗りました……」
小「いえ、そんな事言われたことがなくて……あのー私で良ければ」
男(あれ?凄くいい子……?)
小「で、でも、友達からで、あの、あういうことは……」
小「……よ、よく知り合ってから……姉さんも言ってたように」ポッ
男(そこまで想像広げるなんて……僕より気が早いよっ)
男「今でも友達にはなれると思うよ、これからよろしくね」
小「そうですね、よろしくです」ペコリ
男「……えーっと、そろそろさ……体洗うのにあがりたいんだけど」
小「そ、そっち向いてます」クルッ
ざぱー
男「ありがとう」
小「は、はいっ」カクカク
男(ぎこちなくなっちゃってる……申し訳ないなぁ)
男(とは言え……こんな準備万端な凶器見せられないもんなぁ)ハハッ
男「手早く洗います」
小「ご、ごゆっくり」カクカク
男「……」わしゃわしゃわしゃ
小「……」
男「……」わしゃわしゃわしゃ
男(な、なんだかプレッシャー…………?)
小「……」チラ
男(小柄ちゃん……こっち盗み見てる……?)
男(男の裸なんて見る機会ないもんね……興味くらいあるか)
男(気づかないフリしといて上げよう)
男「……あと頭洗って終わりですんで」ごしごしごし
小「……はい」チラチラチラ
男(見られてると思うと収まりがつかない……)
男(視線的に……股間に注目されてる気がする)
男(そしてそう思うことで更にフィードバックが……はは、ロリコンだぜ俺)
男「……」わさわさわさわさ
小「……」
ざーざー
男「ふぅ、洗い終わりました、交代しましょうか?」
小「……」
小「……」ポー
男「小柄ちゃん、小柄ちゃん」
小「……」ポ~
男「やべぇ、湯あたりか!」
男「どど、どうしよう、とりあえず、あげなきゃ」
よいせっ
ずるずる
男「脱衣所の床なら冷たくて……おーい、小柄ちゃん」
小「……ふー……ふー……」
男(涼しくしないとダメだよな)
ばっさばっさ
男(バスタオルで扇いでみたけどこれでいいのかな?)
男(よ、よかった気がついたぁ……)
男「湯にあたったみたいだよ……じっとしてて、あ、水々……」
男(洗面所のこっぷで水汲んで、と、とと)
じゃー……こぽこぽこぽ
男「は、はい」
小「ありがとうございます……あ、体に力が入らなくて」コクコク
男(はっ、気がついたら、真っ裸で小柄ちゃんの肩を抱いて起こして)
男(水を飲ませてる態勢……に)
男(うぉ……俯瞰で全部見えまくりっ)
男(お腹は息に合わせて上下してて……その下は……ツルンとした恥丘から)
男(股の間にかけてくっきりとした割れ目が……)
小「ちょっと……恥ずかしいです……///」
男「あ、ごごごごめん……見ちゃって」
小「あ、いえ、仕方ないですよ……助かりました」チラ
男(あ、そういえば僕も裸だった……そして)
小「……ご、ごめんなさい……私もジロジロ見ちゃって」カァ
男「ごめんなさい……変なの見せちゃって」
小「私みたいな子供っぽい体でも反応するんですね……」テヘ
男「僕、ロリコンなのかなぁ……はぁ」
男「こ、これからドンドン変わっていくよ」
男「それに小柄ちゃんは可愛いから関係ないよ……体型なんて」
男(あー、上手くフォローできてねー)
男「え、えーっと、そういう体型の人のほうがいいって男もいるだそうし」
男(さらにドツボに、ああああああ)
小「ロ、ロリコンですか……」ビクッ
男「あー、ごめん、何言ってんだか……」
小「沢山食べて、大きくなります……今まで全然大きくなってないけど……」
男「ぼ、僕は、ロリコンじゃないけど小柄ちゃん見たいな女の子好きだよ」
男「何だか、ほっとして落ち着く感じがするから」
男「うぁ……ほんとごめん、全然落ち着いてないや」
男「ええと、あー、これは僕が……小柄ちゃんの体に対して」
男「大人の女の人という色気を感じて興奮してるから……なんだけどね」
男「つ、つまり、小柄ちゃんの体に欲情してるんだよ」
男(そ、そういうことだから僕ロリコンじゃないよね?)
小「……ご、ごめんなさい、ちょっと私気持ちの整理が」アタフタ
男(うぅ……何か激しく間違って伝わったかも……)
男「あ、いや、大丈夫……いくらなんでも弱ってる女の子に襲いかかったりしないから」
小「そ、そうですね、すみません」
男「な、何というか……ちゃんと大人の雰囲気は持っているよってことで」
小「はい、ちょっと自信出ました」クス
男「でも、眼鏡を掛けるときっともっと魅力的だと思うよ」
男「男はね、眼鏡に知性を感じるんだ。つまり大人っぽく素敵に見えるんだよ」エヘン
小「男さん、眼鏡萌えですか?」
男「う……ちょっとね」
小「今度見せますよ、眼鏡かけたところ」アハハ
小「だいぶ調子が戻って来ました」
男「大丈夫?」
小「……んー、恥ずかしいついでに、甘えちゃっていいですか」
男「いいよ」
男(ん?)
小「……手足が怠くてよく力が入らないんですよね……まだ……」
男(そ、そんな……僕の理性が持つのか……)
小「えっと……」チラチラ
男「申し訳ないです、ちょっとシチュエーションに反応を」
小「……ふふ、素敵のバロメーターなんですよね、男さんの」
男「そ、そんな感じです……はい」
男「じゃ、先に体を拭くね……扇いでだいぶ乾いてるけど」
小「お願いします……」
ごしごし
ふきふき
そして散った
そして跳ねた
そして溶けた
そして喰った
男「朝に見られた姉さんとの光景って、まさにこういう感じだったんだよね」
小「あぁ……今ならすごく納得できました、ふふふ」
男「じゃ、足に通していくよ」ずりずり
小「……はい」
小「ぅぅ……やっぱりちょっと恥ずかしいです……」
男「ごめん、どうしても視線が向いちゃって」
小「頭がボーっとして感覚鈍ってますから今ならきっと平気です」
男(そりゃ、割れ目の先がどうなってるか気になるだろ……)
男(パンティで隠すのが勿体無い……でも……ああ、隠れちゃった)ずりっ
男「前から胸に乗せて?……」
ぱさっ
小「//////」
男(下半身見てる時より赤くなってる)
小「……小さいですよね///」
男「人それぞれだと思うから……え、っと……ちょっと背中に手を回すね」
ぷ、ちっ
男(止まった?……後は肩紐を……と)
ぴとっぴと
小「ありがとうございます」
男「これは頭からすっと被せればいいの?」
小「はい」
よいしょっ
男(バンザイをしてワンピースを通してる姿はやっぱり何だか子供のようで)
男(複雑な気分になる……)
男(でも……下着……普通に大人っぽいのを着けてるんだよね)
小「……本当にありがとうございます、助かりました」ペコリ
小「少し休んでから部屋に帰りますので、男さんお風呂浸かってください」
男「ちょっとまだしんどいようだね」
さささっ
男「蒸着っ!」
小「?」
男「ささ、部屋まで行きましょう姫」ググッ
小「え、え、え」
……
どすっ
男「と、布団は暑いだろうから掛けないでおくね」
小「部屋までわざわざすみません」ペコリ
男「だって、だいぶ調子悪かったみたいだし」
小「もう大丈夫だと思います、このまま寝ちゃいます」
男「添い寝は要る?」
小「大丈夫っ、それは、いいです、おやすみなさい」フフ
男「はいはい、じゃ、おやすみなさい」
バタン
小(……恥ずかしかったぁ……全部見られちゃった……)
小(でも、それほど気分は悪くない……ホントに恋でもしちゃったんだろか)
小(それともお風呂でのぼせすぎてぼーっとしてるだけ?)
小(良い人なんだろなぁ……)
ばたん
男(耐えたあああああああああああああ)
男「よしっ」ガッ
男(中学生みたいな小柄ちゃんにあんなにムラムラきちゃうなんて)
男(ロリコンって……そろそろ認めないとダメかなぁ……)
男(でも、中学生みたいってので罪悪感が出るね)
男(手を出すのは犯罪っぽいや……)
男(子供っぽい喘ぎ声想像して勃起しちゃう僕……やっぱアウト……かな)
男(はぁ、自制に疲れたぁ……)
男(寝よう……)
黒髪(風呂に向かおうとして凄いものを見てしまった)
黒髪(ぐったりとした小柄ちゃんを男が抱えて小柄ちゃんの部屋へ……)
黒髪(しかも二人共風呂上りのような……)
推測1.
男と小柄は付き合っている。一緒に風呂に入った。
推測2.
風呂場で男が小柄を襲った。
推測3.
……思いつかない。
黒髪(推測1の場合……風呂上りに小柄が抱えられていた理由が思いつかない)
黒髪(ま、まさか小柄ちゃん、襲われて今頃……ど、ど、どうしよう)
黒髪(そ、そうだ、と、とりあえず)
黒髪(……このネタでネーム書いてみよう)
かりかりかりかりかり
黒髪(お、意外と行ける……えーっと……)
黒髪(でもって、追加設定、男が小柄の生き別れの兄だったと……)
黒髪(無理やり手篭めにされた小柄ちゃんが涙を流しながら男の首筋をみると)
黒髪(小さい頃に別れた兄と同じ痣が……よしよし……)
黒髪(男の方はというと……宴会で彼女が妹だと目星をつけていた)
黒髪(それでもって風呂場でその証拠の痣を……痣ばっかだと変だな)
黒髪(ほくろを確認したことにしよう……場所はお尻だな)
黒髪(妹だと確認した上で襲いかかった、と)
黒髪(ずっと妹が好きだったんだな、うん)
黒髪(妹も兄だとわかって、実は嬉しい。相思相愛だった、と)
黒髪(二人が生き別れた理由、それは相思相愛の二人が肉体関係に)
黒髪(及ぼうとしたところを見つかって引き裂かれてしまったからだね)
黒髪(場面、現代に戻ってきて……二人キスをしてハッピーエンド、と)
かりかりかりかり
黒髪「いいねぇ」
黒髪(あ、でもそうなると、姉さんとの関係が不自然になっちゃうなぁ)
黒髪(うーん、よし、姉さんは男が養子に出された先の従姉としておこう)
黒髪(妹と別れた心の隙間を埋めてくれたのが姉さんなんだね)
黒髪(でも、小柄ちゃんへの思いは断ち切れない)
黒髪(それを知る姉さんは自身の思いを抑えて、男の告白を断り続ける)
黒髪「名作できたよ、これこれ、夏はコレで決まりだね」
眼鏡「……男が気になるのか?」
金髪「え、何?妬いてんの?」
眼鏡「そういうわけじゃない」プイ
金髪「あー、妬いてるじゃん。可愛いなぁ、眼鏡は」チュ
眼鏡「違うって、金髪は……可愛いんだからもっと気をつけないと」プク
金髪「……もし男に襲われたら眼鏡が助けに来てくれるもーん」ヘヘヘヘ
眼鏡「男の人の方がいいか?」
金髪「よくわかんないや、あんたと居るほうが落ち着くし……」
金髪「それに気持ちいい……」スリスリ
眼鏡「それはボクもだ」モミモミ
金髪「……えへ……眼鏡の手……あったかい……んっ」
眼鏡「金髪っ……好きだっ」ガバッ
金髪「だーい好きだよ、眼鏡っ」ギュッ
姉「ぐがー」
ぶっ
姉「んー……」
ぶりぶり
……
トントン
男「おはよー、姉さん起きてる?」
男「開けるよー」
ガチャ
男「ん?」
男「え?」クンクン
姉「……や、やぁ、おはよう男くん、まずそこを閉め給え」
姉「あはは、やってしもたわ。寝糞」
男「まだやってたんだ……」
姉「酒のんで寝たらたまにやってしまうんよねぇ」
男「社会人になってんだからもう大丈夫だと思ってたよ」
姉「あっはは、姉さんにも抜けてるとこあるって」
姉「ほら、愛嬌あいきょう」
男「どうですかね、今読んでる人、一気に引いたかもしれませんよ」
姉「なーに、文章やったら臭わんから大丈夫やって」
姉「一人で寝てるトコ書いたら勢いで書いちゃったらしいよ」
姉「書いてる奴もリアルじゃ絶対無理って言ってっから」
男「当たり前です」
姉「面目ない」スルスル
男「落とさないでくださいよ」
姉「兎の糞、2個くらいなんやし大丈夫やって」
男「姉さんのうんこってほんと変ですよね」
姉「……小さい頃からずーっとこんなんやし……変ちゃうもん」ブーブー
男「じゃ、洗ってきま……」
ガチャ
金髪「おはよーっ…………///す」
金髪「し、失礼」
バタン
姉「しかも今度はスカトロか……今度はこっちも困るがな」
男「ちゃんと説明してくださいよ……じゃ行ってきます」
……
じゃぶじゃぶ
男(昔、姉さんちに泊りに行ったり、姉さんがうちに泊まりに来てたけど)
男(しょっちゅう、姉さんはおねしょや、寝糞をしてた……締まりなさすぎ)
男(その後始末、いっつも手伝わされてたんだよね)
男(好きな人のだからそんなに嫌じゃなかったけど……)
男(変な属性付かなくてよかったよ……マジで)
男(プリプリと兎の糞を生み出されたときは心臓止まるかと思ったっけ)
男(あれ、なんだかんだで誤魔化せたけど姉さんにバレたら半殺しだな……)
眼鏡「おはよう……」
男「あ、おはようございます」
眼鏡「特殊な性癖でも構わないが、清潔には気をつけてもらいたいね」
男「そ、その件は、後で姉さんが説明に行きます……」
男(あっという間に拡散してる……とほほ)
小「あれ、朝から洗濯ですか?」
男「あ、おはよう、気分はどう?」
小「お陰様で、すっかりいいです……///」
男(昨日のことを思い出したのかちょっと照れ顔になってる)
小「き、昨日のお礼……いつかします……では」スタタタ
男(小柄ちゃんは去っていった……あれ?これフラグ立ってね?)
男(……本格的にロリコンに転向しようかな僕……はぁ……)
男(小柄ちゃんも、付き合ってるうちに成長してくるよね……)
男(幼い体格と、大人の体格両方の魅力が楽しめ……)
男(ロリコンに転向すれば今のママがベストになるのか)
男(実際、昨日は体が反応したけど……幼さに反応したのか)
男(そうじゃないとこに反応したのかわかんないし……)
男(はぁ……ここらで姉さんを諦めるとかしないとダメなのかなぁ)
ガチャ
男「洗ってきたよー、どこに干す……って」
男「おいっ」
姉「さんきゅー」クルッ
男(ね、ね、姉さんがパンツを履かずに四つん這いの状態で)
男(押し入れを覗き込んでいる)
男(つまり、おまんまんが僕から丸見え状態で……)
男(ごくり……)
男(こ、こんなに明るいとこでマジマジと見たことって……)
男(初めてで……目が吸い寄せられ……うぉぉぉっ)
男(姉さんは前側には毛が生えて割れ目を隠してるけど……)
男(広げられた割れ目の周りには全然毛がなくて……)
男(桃色の唇が僕に笑みを見せてるように……可愛い)
姉「……ん?あ、こらー、すけべー、覗きこむなやー」
男「こ、これくらい褒美で見せてもらってバチあたんないでしょ」
姉「ちょ、ちょー、興奮しすぎ」ケタケタ
男「し、仕方ねーじゃん、そんなはっきり見たことないんだから」
男(ああ、でも姉さんのここにちんこ突っ込んだ男が居るんだよな)
男(くそっくそっ、悔しすぎる……よく言われてるようにくすんで無くて)
男(すごく綺麗な桃色に紅がかかったようないろ……微かに湿って?)
姉「あんまみすぎたら穴あくでー…………って、うわっあいてもたがな」
姉「はい、おしまーい」すっ
男「ちぇ」
姉「正直やなぁ」アッハハ
姉「しゃーない、今日は一日ノーパンや」
男「え?」
姉「可愛い姉さんのまんまんが見えんように男しっかりガード頼むで」
……
ふわっ
男(風が吹くたびにこっちがドキドキしてしまう)
男(なのに、姉さんはひざ上のスカートを……)
男(見せたいのかって言いたいです!)
男(姉さん曰く、丈が短いほうが風に煽られにくいそうな)
男(エスカレータに乗ったら姉さんの後ろでがっちりガード)
男(階段も後ろからピッタリつけて登る)
男(知らない人から見たら痴漢に見えるかも……)
男(姉さんのためにガードしてるのに……)
男(まぁ姉さんのあそこを見せたくないってのもあるけどさぁ)
男(買い残しの為に秋葉原に今日も出てきたものの……ついた時点で)
男(もうクタクタ……神経使いすぎた……)
男「ね、姉さん……ついたらお茶しましょう」
姉「そやな、今日はそんなに沢山買わんし」
ウィーン
店員「おかえりなさいませご主人さまー」
姉「二人」
男「あの、姉さん?」
姉「あれ?メイド喫茶来たことないん?」
男「はい、初体験です」
姉「ふーん、まぁ、書いてる人も行ったことないらしいけどな」
男「じゃあ、描写は適当ですね、普通の喫茶店として休みましょう」
店員「ミックスジュースお待ち、そちらはブレンドコーヒーね」
男「普通の喫茶店になったね」
姉「あ、黒髪……」
男「え、見間違いでしょ、昨日姉さんが」
姉「ほら、あそこ」
男「あ、確かに……あの髪の長さは……黒髪さんですね」
姉「ここまで歩いて来てしもたんかな?」
男「あ、確かに古い本入ってそうな袋持ってますね」
男「でも、何か……あの引っ張ってるカートが黒髪さんらしくないですね」
姉「そんなに一気に本買うとかいう話聞いたこと無いけどなぁ」
姉「にやり」
男(それ口でいうセリフじゃないです)
姉「ついてくよ、男」ガタ
男「え、え、さっき座ったトコじゃないですかぁ」
姉「後でまとめて座ったらええねん、会計済ませて出てきーや」バタバタ
男「……姉さんのおごりじゃないんだ……」
小「あれ?……あの二人……男さんと姉さん?」
小「デートかしら……」
小(あれ?私、どうしてこっそり後つけ始めちゃったんだろ……)
小(男さんと姉さんが上手く行ってるならそれでいいじゃない……)
……
金髪「えへへ、デートなんて久しぶりじゃん」
眼鏡「そうだな」
金髪「どういう風の吹き回し~、昨日はすっごく激しかったし」
眼鏡「たまたまボクがそういう気分の日だったんだよ」
眼鏡「君が危なっかしく見えるだけだよ」
金髪「そんなに拘束したいんだったら……帰りにホテル寄っても一度……」
眼鏡「拘束だなんて……ボクは君が好きだけど……」
眼鏡「君が誰を好きになるかまでは決める権利は持ってないよ」
金髪「あらら、昨日、あんなに激しく『君はボクのもの』って囁やいてたのに」
眼鏡「……恥ずかしいから、それはちょっと……」
金髪「紳士なフリして野獣なトコも、眼鏡の好きなとこなんだぞ、と」スリスリ
眼鏡「あ……あれ?小柄……」
金髪「え?突然なになに?そんなテレてごまかさなく……あららホントだね」
金髪「よし、あたしらもつけよう」サササッ
眼鏡「え、それは趣味が悪いって、金髪」
金髪「じゃあ、あんた一人で帰ってて、何か面白そうだから一人で……」
眼鏡「はぁ……やれやれ……ついていきますよお嬢さん」
姉「お、喫茶店入ってったぞ……はよきーな」
男「もういいじゃないですか、きっと休憩する喫茶店探してたんですよ」
姉「人生、そんなありきたりの結論でええんか、ん、あかんやろ?」
男「人生持ちださなくてもいいじゃないですか」
姉「そんな真っ直ぐの返ししかできんから振られてばかりなんやぞ」
男「僕、そんな理由で振られてたんですか……」
姉「あ、ええからええから、入るで」
男「え?」
カランカラン
小「こそこそと、喫茶店に入って行きましたね」
小「別に普通のデートなんだから堂々と歩けばいいのに」
小「手もつながないで余所余所しい……私なら絶対つなぐのに……」ブツブツ
小(よし、私も喫茶店入ろう……)グッ
小(今日はメガネだし、地味なブラウスにハーフパンツ)
小(どこから見てもパソコンを見に来た中学生女子にっ…………うぅぅ)
小(自虐はもうやめよう……)
カランカラン
金髪「こっそり喫茶店に……別に変な店とかじゃないのに何で?」
眼鏡「ボクには前の二人組を追っているように見えたぞ」
金髪「え、なになに、あの子探偵ごっこしてるんだ」
眼鏡「どうもその二人も知り合いのような……」
金髪「……いくよっ」
眼鏡「はいはい、もうどこまでもついていきますって」
カランカラン
姉「黒髪……が……男と……ショックやわ……」
男「そりゃ、黒髪さん素敵ですから彼氏くらい居ますよ」
男(ちょっとショックだけど……)
姉「しかも、あんな年上の男と……あれ絶対不倫やで……」
男(姉さんの後ろの席の子、さっきからチラチラこっち見てるけど)
男(姉さんの声、抑えててもうるさいかな?……)
男(君みたいに小さい子がひとりで喫茶店なんて秋葉原って感じだけど)
男(怯えないでね……ごめんなさい)
男(……しかし可愛い眼鏡っ娘がいるとは……いいとこだ……秋葉原)
男(小柄ちゃん位の年格好だけど可愛く見えてるのは歳のせいじゃ)
男(……無いとは言い切れなくなってきてます……このところ……)
男「お金持ってたら何であんな下宿住んでるんですか、誤解ですよ」
姉「……っく、お目付け役としてなんとかせんと……」
男「お金って決まった訳じゃないですし……恋愛は自由ですって」
姉「よし、ビシッっと言ってくるわ、うちの学生たぶらかすなって」ガタ
男「え?」
ツカツカツカ
小「……う、見過ぎたかも……男さんにこっち注目されてる……」
小(しかも、男さんと姉さんつけてきたら、何故か黒髪さんも店内の別の席に……)
小(二人は黒髪さんに見つからないように尾行してたみたい)
小(確かに何だか怪しげなカップルだもんね……黒髪さん何の話してるんだろ)
小(荷物もたくさん持ってるし……でも、会話は弾んでるっぽいなぁ)
小(それにひきかえ、男さんと姉さんは黒髪さんに注目しっぱなしで)
小(折角のデートなんだから二人の会話を楽しめばいいのに……)
小(姉さんが男さんを引っ張り回してるだけかしら……)
小(あ、あ、姉さんが黒髪さんの席に……わ、わ、なんか怒ってる?)
小(……男さんも出てきて……)
小(何か揉め事……?)
小(……あれ?外に出るのかな……4人連れ立って……)
小(よし、ついていこう……)
小(や、やばくなったら大きな声出して助けを呼んだりできますもんね)
ゴソゴソ
……
小(……二人ずつで話ながら歩いて行ってますね)
小(仲はよさそうだったけど黒髪さんのカップルは少し距離があるみたい?)
小(むしろ男さんと姉さんが何か二人でコソコソと話を……)
小(黒髪さん達にどっかに連れて行かれてるんだろうか)
小(……え……そっちの方って……ホテル街……)
小(……いつの間にか姉さんが男さんの腕を掴んで寄り添ってる)
小(え、え、もしかしてこの四人って……そんな破廉恥な……///)
小(男さんも満更じゃない表情……むむむ……)
小(いつか私も当てれるくらい成長を……い、いつかね)
小(豆乳毎日飲んでるんだもんいつか大きくなるんだから……)
小(あれ?……黒髪さんの彼氏さん?が一人で帰るの?)
小(手を振って……)
小(……行っちゃった??)
小(三人は……え、えええええ、ラブホテルに……嘘ぅ……)
トントン
?「君、こんなところで何をしているんだい?学校はどこ?」
小「ふぇっ」ビクッ
眼鏡「何見てるんだい?」
小「び、びっくりしたぁ……金髪さんと眼鏡さんじゃないですか」
小(いつから?!)
金髪「男がきになるんだね?振られたハズの姉さんとラブホなんて」
小「……いえ、そ、そういう訳じゃ……」
金髪「まぁまぁ、いいんだってそういうのは新入生の頃はあるもんだって」
金髪「一番初めに知り合った相手がよく見えちゃうんだな」
小「……ですから……違いますって」
眼鏡「追うなら早くしないと」
がしっ
金髪「行くよ、追ってんでしょ」
小「……わ、わわたた」
ずるずるずるー
……
眼鏡「……最上階の端の部屋だね……」
小「……高い部屋ですよね」
金髪「じゃあ早速乗り込みましょうか」
眼鏡「ボクは反対なんだけどなぁ……」
金髪「グズグズしてたら、マズいタイミングになるかもよ」
小「……あのあの……」
小「……いえ、特に……何となくなんです……たまたま街角で見つけたので」
金髪「あたしらも、そうだって、じゃいくよ」
小「え、えええ、でもでも、お邪魔だったら……」
金髪「3Pするならするで別に構わないから、ごめんって言って退散するだけ」
小「さ、さ……さん……」
眼鏡「P……プレイの意味だね」
金髪「そこまで知らないならホントに中学生でしょ」
小「……し、知ってますけど……」
金髪「兎に角、気になるからあたしは行く」ズンズンズン
コンコン
姉「え?何で?……ラブホって誰か訪ねてくるようなもんなん?」
男「し、知りませんよ……」
黒髪「無いと思うんですけど……何か緊急事態なんでしょうか……」
黒髪「は、はい……どなたですか?」
?「すみません、部屋のタオルをお取り替えさせていただきたいのですが」
黒髪「あ、はいはい?……」
ガチャ
金髪「どもー、こんちゃー」
眼鏡「こんにちは」
小「……ど、どうも」
男・黒髪・姉「え?」
男(ラブホに5人の女の子と居るという事実だけが頭でグルグルしてる)
男(そりゃ、もう、ただ話をしに来ただけのはずなので)
男(変なことにならないはずなんだけど……)
男(生理現象だよね……全力で勃起してるのも)
小「……私もです」
黒髪「どうして皆さんここへ?」
姉「黒髪を追って」
男「姉さんに引きずられて……」
小「……姉さんと男さんについてきて……その後、金髪さんと眼鏡さんに連れられて」
金髪「皆が楽しそうなコトしてるから追いかけてきて」
眼鏡「金髪に付き合っただけ」
黒髪「えーっと……やはり私が一番の原因みたいですね……すみません」
姉「で?何?何見せてくれんの?」
黒髪「えーっと、皆さんに見せないとダメですかね」
金髪「だめーっ、ここまで来て追い返されるなんて」
黒髪「ふぅ……」
黒髪「実は……喫茶店で会ってた人は編集さんなんです」
金髪「なにそれ?」
黒髪「原稿の打ち合わせや校正したりして本にしてくれる人です」
姉「ああ、それで印刷がどうとか言ってたんや……」
黒髪「最近、原稿を頼まれていまして……それのネームができたので」
黒髪「今日、外に出るついでに見てもらうことになってたんです」
黒髪「はぁ、まぁ一応……駆け出しですけど……まぁ……」
小「……す、凄いじゃないですか……」
小「有名人と知り合いになれるなんて……初めてです」
黒髪「い、いやぁ……そんな有名でも……」
金髪「ね、ね、どんなの書いてるのー、やっぱ小難しい奴?」
黒髪「……」
男「んー、ネームって言うからには漫画なんですよね」
金髪「え、漫画家なの?へー、人って見かけによらないじゃん」
金髪「ね、ね、どこに載るの?雑誌は?」
黒髪「……うぅ、げ、月刊メグストア……っていう」
男「え、それって……」
男「はい……その、たまに……読ませて頂いているといいますかお世話に……」
姉「へー、どんなの描いてんの?」
黒髪「えーっと」
眼鏡「エロ漫画……ですね?」
黒髪「……はぃ……」コクリ
小「ほぇー…………」
姉「ええええええええええええええ」
金髪「うっそ、マジ、黒髪さんがエロ?全然イメージ違うんだけどー」
黒髪「……ぅぅ……消えちゃいたいです……」
姉「え、えーっと……あのさっきの人と、エ、エロ漫画の打ち合わせしてたの」
黒髪「はい……でも、喫茶店だと恥ずかしいのでいつも原稿とかアドバイス貰うのに」
黒髪「このホテル利用させてもらってたんです……人の目気にしないですみますし」
黒髪「でも、編集さん……とても紳士でそういうことはなさいません」
金髪「男なんて、ちんこで生きてるんだから、いつ襲われてもおかしくないって」
金髪「ほら、男見て。……ね?今もフルボッキよ」
男「あははは……ラブホなんて初めてでなもんで……」
黒髪「そうなんでしょうか……」
黒髪「男の人の心理がよくわからないので……」
黒髪「最近、よくその……そういう場面の……」
金髪「ヤッちゃうとこ?」
黒髪「……はぃ……描写にダメ出しされるんです……」
姉「知らんと描いてたん?」
黒髪「はい……実体験もないんで、全部恥ずかしい妄想で……」
技術指導とかもしちゃったわー
ちょっと署まで来い(AA略
姉「あんた、それ、この部屋で相談って、そいつ下心ありまくりやん」
姉「経験つまないとって言われて、襲われんで」
黒髪「でも、そういう話しましたけど別に襲われてませんよ……」
男「信頼させてから次回でいただこうって狙いとか」
金髪「でも、そういうの続けてたらいつか手出されるって」
黒髪「でも……」
眼鏡「……ふーん、嫌じゃない、と」
黒髪「……///」
金髪「さっきから、この子、真っ赤になって爆発しそうなんだけど……」
小「……ぁぅぁぅ……」
黒髪「……はい」
姉「まぁ、好きならええんやけど……自分を安売りせんようにな」
黒髪「ええ……」
姉「何でそんな状況で暗いねん」
黒髪「だって、作品がダメなままだったらいつか見捨てられます……きっと」
金髪「そんなの簡単じゃん、色々知りたいから抱いてくださいって言えば」
黒髪「編集さんは真面目なのできっと断ると思います……そして担当も変わって……」
金髪「そんなものかなぁ」
黒髪「あの、もう恥ずかしいついでなので皆さんに相談します」
黒髪「ネームを見てもらえないでしょうか」
姉「かまへんで、見せて見せて」ウキウキ
小「//////」
男(小柄ちゃんが倒れてしまいそうだ……目が泳いでる)
男(そりゃそうだ……僕とセックスする描写があるんだから)
男(僕も目を合わせられないよ)
姉「……はは、凄いなこれ」
男(姉さんも動揺してるな……)
金髪「過激なこと描いてんだね、まさか身内がネタになってるとは……」
眼鏡「ボクの想像を超えてたよ、これは……」
黒髪「す、すみません……夜中に小柄ちゃんを運ぶ男さんを見て暴走しちゃって」
姉「え?何それ」
小「お風呂で湯あたりした私を男さんが部屋まで運んでくださったんです」
黒髪「これをどうしたらそれらしくなると思いますか?」
男「僕はダメだよ……だって経験豊富じゃない……というか経験ゼロだもの」
眼鏡「童貞ね」
男「世間ではそう言います」
姉「あ、あたしのはその全然参考にならへんから……」モジモジ
小「私も……全く経験が無いです……」
眼鏡「つまり処女と……ちなみにボクも処女だよ……金髪もね」
金髪「ちょっと勝手に言わないで……」
男「え?」
姉「またまたぁ、嘘やんなぁ」
男「え?」
姉「は?」
黒髪「え、え、え、え」キョロキョロ
小「ど、どういうことなんですか」
眼鏡「こういうこと」ガシッ
ぷちゅぅぅ
姉「うぅおおおおおおおー」
小「きゃあああああああぁああああ」
男「ま、まじでええええええええ」
黒髪「百合っ……!」グッ
じゃねーよwwwww
眼鏡「ちょうどいいカミングアウトの機会だったと思わない?」
眼鏡「まぁ、そういう訳でボクらは男女関係には詳しくないかな」
男「……あんなに慣れてそうだったのに」
金髪「別に男に興味がなかったわけじゃないんだから」
金髪「今、好きな相手が女の子ってだけで」モジモジ
眼鏡「ボクもそうだよ、まぁ、男と付きあって散々懲りたからでもあるけど」
眼鏡「金髪は奥手だから、誰かと付き合うのもボクが初めてだよ」
小「ちょっと意外です……」
黒髪「あの、そっち方面もいつか描きたいのでまた聞いていいですか」
金髪「ちょ、ちょっと……え……」
男(ゴクリ)
金髪「男も居るんだけどー」
眼鏡「いいじゃないか、お風呂で見せてるんだし」
眼鏡「それに彼が風呂場で射精したことを皆に話して楽しんでたろう?」
眼鏡「それくらいお返ししなきゃ」
金髪「え、え、そん、そんなの恥ずかしい」
男(あれ?眼鏡さんのリードだと金髪さんが凄く可愛らしく見える)
小(ゴクリ)
眼鏡「どこに?」
姉「こ、こ……?」
小「私、子供じゃありません、大丈夫です。人並みに興味もあります。」
小「見せてください、金髪さん、眼鏡さん」
姉「男っ!あんたはええんかいなっ…………って愚問やったか……」
男「姉さんどこ見て判断しました?」
姉「ち、ちんこ」
男「……まぁ……見てみたいかなあっていうのは正直なとこですけどね」
金髪「あ、あたしらだけじゃやっぱ恥ずかしいって」
金髪「黒髪の話もそれが知りたい訳だろ?」
男「え、え?勝手に話を」
黒髪「確かにそれが見られれば助かります」ジー
男(あれ?何か黒髪さんの目、現実を見てる目じゃないような)
黒髪「お願いします」
姉「いやいや、あかんでしょ、法律で捕まりますって、こんなロリ」
男「いやいやそういうとこじゃなく小柄ちゃん置いてきぼりだし」
金髪「小柄ちゃんも男ならいいんじゃないの?」
金髪「男見てる目……絶対……怪しいし」
小「えっ、うそ……え」カァァァ
男(僕いつからそんなモテるようになったんっすか)
金髪「な?……んぁ……ちょっと眼鏡……早い……んんん」
男(うわぁ……眼鏡さんと金髪さん始まっちゃった……)
男(なんてエッチなキスをするんだ……)
眼鏡「柔らかい唇、いいね」
金髪「……ん……む……」ちゅるちゅぷ
黒髪「凄い、凄いです」
小「……」ギュ
男(うぉ、いつの間にか小柄ちゃんが僕の腕を握ってる……)
小「私……もう大人です……男さんなら……許していいと思います」
姉「その、昨日の今日あったとこでってのは……どないかなーって」
小「でも、ずっと前から知り合ってる姉さんは男さんに許してないじゃないですか」
小「時間って関係ないと思います……」
小「だから……」
ちゅ
小「男さん……抱いてもらえませんか……もし、男さんが良ければ……」
男(姉さん……)
姉「……ええんちゃう…の」フン
黒髪「いいですね、男さん、少し姉さんに気を残した感じ……バッチリだと思います」
男(く、据え膳食わぬはって格言、使う日が来るとは思わなかった)
男「小柄ちゃん……」
ちゅう……
男(目を閉じて身を預けて来たよ……マジか……)
男(……唯一の心配はホントに犯罪じゃないよね、という所……)
男「ど、どうしたらいいかよくわかんないんだけど」
小「男さんのしたいことをしてください……多分……私も気持ちいいです」
男「わかった」
男(欲望に任せてみよう)
男「ベ、ベッド借ります」
金髪「いーよ……あはっ……ん……とうとうする……んっだ……」
男(眼鏡さん、いつの間にか金髪さんを脱がしてキスしまくってる)
男(小柄ちゃん肩を掴んだらやっぱりちょっと震えてる)
小「男さん……手が震えてますよ……」ニコ
男(小柄ちゃんをそっと寝かせて……き、キスをしてみよう)
男(あ、小柄ちゃんが目を閉じた……)
ちゅ
小(……恥ずかしい……目が開けられない……)
小(男さんの手首が胸に当たってる……ああ、小さいって思うよぉ)
男「眼鏡可愛いね……ほ、ほんとだよ」
小「ふふ、ほんとに眼鏡萌えなんですね」
男「まぁ、そうだよね……」
姉「むー」ジー
黒髪「……」カリカリカリ
男(黒髪さんは何か熱心に書いてる、姉さんは不機嫌……一人手持ち無沙汰だもんな)
小「私ね……気づいてます……」コソ
男「な、何、小さくて聞こえない」
小「男さんが今でも姉さんのコトしか見てないの……」コソ
小「でも、今はいいです……これから暫くの時間、私だけを見てくれたら」コソ
小「それくらいはいいですよね」チュ
男「……ごめんね」チュ
小(正直な人だなぁ……ますます好きになっちゃうじゃない)
男(……小柄ちゃん中学生だなんて全然思えない……凄く色気あるよ)
男(おっぱいは確かにまだ小さ……発展途上で毛も薄目だけど……)
男(君の魅力はそういうとことじゃないだと思う……)
小「///」ギュ
男(服のボタンを外そう)ポチポト
小「……」チュ
男(外してる僕に小柄ちゃんが目をつぶったまま自分からキスをしてくる)
小「……///」ジッ
男(上気した頬、目を開いて僕の服を脱がし始めた……)
男(脱がしっこをしてる)
ちゅ
男(合間に小鳥のするようなキスを繰り返す)
小(……ボーっとしてくる……そしてお腹がとても熱い……)
小(凄く濡れちゃってるかも……うう、見られちゃうの恥ずかしいな)
ぶちん
小「……ふふ」
男(僕と同じ事思い出して笑ったのかな……)
小(湯あたりして……よかったかも……)
……
黒髪「……さん」
トントン
姉「ん?」
黒髪「姉さん……お願いがあるんです」ジ
姉(う、何か変な予感)
黒髪「どうも見ているだけではわからなくて」
姉「ええー、うそー」
姉(……都合よく……どうしてベッドがキングサイズなのよ)
姉(そうか、ホテルでいい部屋だから……か)
姉(やっぱり、あの編集、絶対黒髪狙って部屋取ってる……)
黒髪「お願いします」
姉「あー」
黒髪「お願いし……」
姉「わかったわかった」
姉(これは断れない目だ……)
黒髪「え?私、姉さん好きですけど」
姉「えええええーっ?……えー?」
黒髪「恋愛感情じゃないと思いますけど……姉さん大好きです」ニコ
姉「そ、そうやな、黒髪が好きなん編集やもんな」
黒髪「では、お願いします……」
ぺろり
姉(うぉ、いきなりスカートまくられたっ)
黒髪「姉さん……どうしてパンティ履いていないんですか?」
姉「しまった」
黒髪「あれ?しかも、もう凄ーく凄く、濡れちゃってますよ」
姉「……え、え、えっへへ……ノーパンって興奮しちゃうよね」ポリポリ
小(え?……いつの間にか黒髪さんと姉さんも服を脱ぎ出して……)
男(ん、小柄ちゃん何を?……うぇ?姉さんと黒髪さん??)
小「……全員、始めちゃいましたね……」ちゅっちゅ
男「そうだね」ちゅぱちゅぱ
男(おっぱいを吸うのが凄く楽しくなっている)
男(確かに、これは中学生サイズ……でも触るたび、吸うたびの小柄ちゃんの反応が)
小「……んっ……ふぁ……」
男(どう聞いても大人……ズボンで股間が痛い)
かちゃかちゃ
男(心の声が聞こえたように……小柄ちゃんが僕のズボンを脱がし始めた)
かちゃ
男(僕も小柄ちゃんのズボンを……)
男(……パンティも昨日履かせたものだね……え……これ染み?)
男(小柄ちゃんのズボンの股の所がしっとりと湿っている)ヌチョ
男(そして……脱がせる時、ズボンとパンティの間で糸が……)
小「恥ずかしいよ……」
男(ほんとに顔を真赤に……声も消え入りそう……)
男(でも、男としてはこんなに濡れてくれて凄く嬉しい)
男「びちょびちょだね」
小「……うぅー……気持ちいいんです……すっごく」
男(二人共、パンツだけになった)
眼鏡「これ使いな」ポイッ
男「ど、ども」
男(金髪さんと69の態勢でいじくりあいながら枕元にあったゴムを投げてくれた)
男(た、助かったぁ、眼鏡さんイケメンだよー)
金髪「……ちゅぱちゅぱ」
男(金髪さん熱心に眼鏡さんの足の付根を舐めてる……)
小「よそ見はダメです」プクー
ちゅ
小「……今は……私だけの……ん……気持ちいい……」
男(も、もう、我慢出来ない、パンティも脱がしちゃおう)ハァハァ
小「あ……」ビクッ
男「いい?」
小「……///」コクリ
男(手が汗ばんでる……)
男「え?」
男(小柄ちゃんが僕のパンツを脱がせようとしてる……)ポロン
男(出た……小柄ちゃんの足にペタペタ当たってる……先走りで糸引いてる)
男(小柄ちゃんのパンティも……うわぁ……すっごいベトベトだ……糸というか雫が)
小(濡れすぎだよ私……うぅぅ)
男(足首まで下ろして……引き……抜いた……これで小柄ちゃんは全裸……)
男(胸の下付近で手を回して……でも隠さないで見せてくれてる……)
男(そして水飴をこぼしたような股の割れ目……)
男(湯気がないところで見たら薄っすらと産毛がある感じなんだなぁ)
男(でも僕の好みは薄い毛だから、凄く可愛く見える)
男(幼いとも言える……けど……子供はこんなにベトベトにならないよ)
男(全裸だけど眼鏡はつけたまま)
男(何だか僕の理想のようだ)
男(小柄ちゃん?……え?ゴムを……つけてくれようとしてる)
小(え、こ、これどっちが表?表……がこっちだからこうかぶせて……)
つるん
小「……触っちゃいました」エヘヘ
男(恥ずかしそうにペロリと舌を出したのがドキッとした)
小「……あ、え、そのぅ……男さんの好きなように……」ジー
ちゅ
男(真剣な眼差しに惹きつけられてキスをして……)
男(キスしながら、水飴のなかに入れる場所を探して当ててみる)
ぺちゃぺちゃり
小「……っつ……ぁ……ぅ」
男(反応が少し違う場所が……ここ?)グイ
小「……」グッ
男(小柄ちゃんが唇を噛んで耐えている)
男「いくね」
ぐいにゅっ
男(目から涙が滲んできた)
小「……こ、これは嬉しいからです……嬉し泣きです」ニコリ
小(痛いのもあるけど……ほんとに嬉しいからだもんね)
小(男さんが私の中に……入ってきてる……大きくて熱くて……優しい)
男「じっとしてるね」
小「……大丈夫です……男さんの気持ちいい動かし方をしてもらえれば」
男(とは言っても……そもそもあっという間に終わってしまいそうで)
男(そうなるとそれは恥ずかしいし)
男(いずれにせよ……僕は今)
男「童貞卒業しちゃったよ」アハハハ
小「処女卒業しちゃいましたっ」チュ
小「……ありがとうございます」チュチュチュ
にゅる
男(全体が包み込まれてる……これは……ヤバイ)
男「あ……何かもうヤバイ……」
小「気持ちいいからですか?」
男「うん」
小「だったら凄く幸せです……もっと気持ちよくなってください」
にゅるにゅる
小「……ぅ……んぁ……っく……ふぅ……ふぅ……あぁぁ」ガシッ
にゅっぽみゅっぽ
にゅっぽ
にゅるん
小「……出ちゃいまっ……ーすっ」
にゅ、にゅにゅにゅにゅにゅ
小「あ、あ、あ、あ、あ、あぁ、ああああ」
にゅにゅにゅ
男(段々、気持ちが乗ってきた出る出るだすぞっ)
でゅぷっ
でゅしゅっ
小「……ぁうう……」ビクン
じゅぷ
小「……ぁん……」ビク
男「はぁはぁ……」
小「……出たの……わかっちゃいます……ね」エヘ
小「……私も……ちょっとイっちゃいました」
男「え」
小「?」
男「いや、えっと勝手な印象だけど小柄ちゃんが」
男「イくとか言うイメージなかったもんだから」
小「私だって大人なんですからね」ニコリ
男「そうだね」チュ
小「……とてもこのままで居たいんですけど抜かないとダメなんですよね?」
男「だよね……」ジュルッ
小「……ちょっと寂しくなりました……」
男「……」ナデナデ
小「……ありがとうございます……初めてが男さんで本当によかったです……」ギュッ
男(気がついたら僕達の行為は金髪さんと眼鏡さんに凝視されてた)
男(でも、そんなことより……黒髪さんと姉さんが大変なことに……)
男(貝合わせっていうのかな?股同士をあわせて盛んにこすり合わせて)
男(お互い……あんあん声を上げまくりながらずーっと続けてる)
眼鏡「凄いな」
金髪「ほんとにこの二人初めて?」
小「……息ぴったりですね」
男「どっちも気持ちよさそう」
男「男と違って終わらないから羨ましいよ」
姉「……あう……ん……はぁ……はぁ……いい、いいっ」
黒髪「んん……ぅぅ……くぅ……ふぁぁあっ……あ、あ、あ」
姉「っ……あ、あ、あああああああぁああああああ……」
姉「んっあ……」ビクビクン
姉「はぁはぁはぁ……」
黒髪「はぁ……はぁ……え、え?皆さん、え?終わったんですか」
金髪「うん、さっきから二人をずーっと観察してた」
姉「ふぇ?え、ええええ、あ、あれ、みんな……終わってる」
男「熱中しすぎじゃないですか、姉さん」
姉「え、え、え……うううう、ノーマルだと思っとったのに」
黒髪「何か……目覚めちゃいました……女の子同士でも気持ちいいんですね」ウフフ
姉「おい、編集はどないしたっ」アセアセ
黒髪「それは恋ですよ……でも性欲的には女の子もいいかなぁって」ジー
姉「ふぇ?」
黒髪「はい」
姉「……ええええええええ」
男「ノリノリだったくせにぃ」
男「この場で、男とも女ともヤッちゃったのって姉さんだけですよ」
眼鏡「確かに」
姉「え、男……小柄ちゃんと……ヤッちゃったん?」ショボン
小「……お借りしました姉さん」
小「男さん……また……機会ありますか?」チラッ
男(え?)
姉「待て待て、ヤッちゃうだけやのうて付き合うなんてもっとよう考えて……」
小「よく考えてますよ……男さん優しいし格好いいし体の相性もいいし……」
姉「え、え、え」オロオロ
男「姉さんは僕を男としてみて好きになってくれない見たいだし……」
姉「え、えぇ?」
金髪「ふふ」ニヤニヤ
姉「ダメダメだめあかんって、許可できへんよ、学生に手を出しちゃダメー」
姉「男はあたしで我慢しときってっ……な、な、付きあったるから」
男「姉さんは僕が好きじゃないのに小柄ちゃんを守るために僕と付き合うって?」
姉「しゃ、しゃーないがな、小柄ちゃんの為やし」
男「でも、好きじゃないのにそれは姉さんにも悪いし」
小「……私は別に守ってもらわなくても大丈夫です」
黒髪「あ、姉さんは、本当は男さんが好きなんですか?」
金髪「あーもー、ちょっと突っ込み早いよ、黒髪さん」
金髪「それは姉さんの口から聞かないと」
男「もしかして姉さんも、僕のこと好きなんですか?」
眼鏡「素直になるべきだとボクは思うけどね」
姉「……ちょっとは」
小「私は大好きです」
姉「待って待って、あたしも好きやって……ずっと好きやったんやから……」
男「へ?ずっと?」
金髪「そりゃそうでしょ、こりゃ見たトコ、結構長い恋煩いっぽいし」
金髪「好きって言ってくれて、きついこと言っても慕ってくれるから」
金髪「遊ばれてたんでしょ」
金髪「今回はかなり本気のライバルできちゃったみたいだし?ね?」
小「まだ、諦めてませんよ、今のところは姉さんに譲ったとしても」
姉「あかんって……もぅ」
金髪「今日は姉さんの負けかな……」
金髪「グズグズしてて男の童貞取られちゃったみたいだし」
姉「……それはなぁ……そんなことないんやでぇ……」ニヒヒ
男「ん?」
小「……?」
黒髪「ほぅほぅ……そこ詳しく」カキカキカキ
姉「あんな……あたしの初めての体験って……男相手やねん」
男「ちょちょちょ、知らないですよ、勝手なことを」
姉「まぁ、男、気うしなっとったし……飲みつけん酒飲んでもて」
姉「高2の正月、うちで集まったやん」
男「そ、そうだけど」
姉「で、ピール飲まされて倒れたやろ?」
男「確かに……まさか……な」
姉「そんときな、ちょーっと魔が差してな……その無理やり……」
姉「男寝たままで、ビンビンに勃ったままやったし……寝顔可愛くてな」テレテレ
姉「こっそりっちゅうか痛かったからあんま動けんかったけど」
姉「しっかり血出てたし、男が急にビクビクって中出しするから」
姉「ビビってすぐ服着せて知らん顔しとってん」
男「うーわー」
男「あのとき夢精したんだと思ってた……」
姉「童貞なくしとったんやで」イシシ
小「……犯罪です……そ、その年齢の子に、しかも無理やりなんて」
姉「そやかて、男、あたしが好きやてずっと言うてくれてたし……///」
小「悔しいです……うぅ……卑怯なぁ……」
黒髪「小柄ちゃんには悪いけど、これは行けるいい、いいよ」カリカリカリ
金髪「まぁ、素直に吐き出したところで今日はよしとしましょう」
眼鏡「そういえば、ボク、ちょっと気になっていることがあるんだけど」
姉「ん?」
眼鏡「学生に手を出しちゃダメって……姉さんは言ってたけど……」
眼鏡「学生って小柄ちゃんのコトだよね」
眼鏡「男さんって」
姉「え?言ってたでしょ?情報学科の……」
眼鏡「……教員なんですね」
男「今度、情報学科で助教やることになっている男です、よろしく」
金髪「え?年上?」
黒髪「うぉおおおお、更に設定追加ぁあ」カリカリカリ
小「……先生?」
男「学科は別だけどそうだね」
姉「小柄ちゃんほどちゃうけど男もよう幼く見られるよなぁ」
男「はははは」
小「……あわわわわ、先生とエッチをしてしまって……ど、どうすれば」
男「ホントは慌てないとダメなのは僕なんだけど……」
小「……それは困ります……」
小(…………今度は二人きりでこっそり……)ジー
姉「あー、もー、あかんって初めてだけやって……もう男渡さんから」
男「な、何かストレートで照れちゃうよ」
姉「うはっ」
黒髪「禁断の三角関係……教師と女学生……きたきたきたー、次号のネタまでっ」カリカリカリ
姉「黒髪、次あった時でも編集押し倒してみ、好きなんやろ」
男「また僕のような被害者を出すつもりだ……」
姉「被害?……なんかあった?」
男「僕の貞操が……」
男「……結果的には何か可愛かったので許しますけど……」
男「覚えてないのが悔しいので……僕の記憶が被害です」
姉「んー、ほな、黒髪……押し倒すときは意識のあるうちにな」
黒髪「はい、頑張りますっ」
男「そこかよっ」ビシ
姉「ええで、その突っ込み、それやそれ」
おしまい
物足りない気もするが乙
面白かった
けど乙
続き→姉「じゃ、風呂でも入ってくれば?」男「そうするよ、おやすみ」 2
Entry ⇒ 2012.04.22 | Category ⇒ 男女「」SS | Comments (0) | Trackbacks (0)
ほむら「まさか転校生と体が入れ替わるなんて……」
http://hayabusa.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1334139838/
さやか「それはこっちのセリフよ、美樹さやか。なんでよりによってあなたなんかと……」
まどか「あれ?ほむらちゃんにさやかちゃん?」
ほむら「ま、まどか!それにキュゥべえも……!」
さやか(しまった、こんな時に……!)
QB「珍しいね、君たちが一緒に居るなんて」
さやか『その必要はないわ。魔法少女絡みの問題にまどかを巻き込むわけにはいかない。だから今は……』
さやか「あー、うん。ちょっと先生に頼まれた用事があってさ。ね、転校生?」
ほむら「え?」
さやか『何をしているの。早く私のフリをしなさい』
ほむら「そういうことよ。用がないのならさっさと消えなさい、鹿目まどか。
私はあなたみたいに暇じゃないの。気軽に話しかけないでちょうだい」
まどか「えっ……?」
さやか『ちょ、ちょっと!あなた何をしているの!?まどかにあんな酷いことを言うなんて!』
ほむら『えっ!?だ、だってあんた、いっつもあんな感じじゃん……』
さやか『それはあなたとキュゥべえに対してだけよ!』
ほむら『えぇー……』
ほむら「え?あ、えーっと……」
さやか「ち、違うのまどか聞いて!」
QB「……おかしいな。ほむら、君はまどかに対してそれなりに好意を持って接していなかったかい。
よく2人で遊んでいたようだったし、てっきり仲が良いと思っていたんだけど。
それは僕の勘違いだったかな?
それともまどかは何か君に対して怒らせるようなことでもしたのかい?」
その、たまたまちょっと虫の居所が悪かったっていうか……」
まどか「さやかちゃん、そんなに一生懸命ほむらちゃんのこと庇って……。
2人とも、いつの間にかとっても仲良しになってたんだね」
QB「それは良いことだけど……。
それよりも僕は、まどかとほむらとの関係の悪化の理由を知りたいよ」
まどか「もう良いよキュゥべえ、行こう?ごめんね、ほむらちゃん、さやかちゃん。邪魔しちゃって」
さやか「あっ、ま、待って!まどかぁ……!」
ほむら「…………」
さやか「美樹さやか……!」
ほむら「えーっと、あははは……。そ、そんなことより、どうやって元に戻るか考え……」
さやか「今はとてもじゃないけどあなたと一緒に居る気分になんてなれないわ!
しばらく1人にしてちょうだい!あなたもゆっくり頭を冷やして反省することね!」
ほむら「……頭を冷やすのはどっちだよ……」
とてもじゃないけど、私1人の手に負える問題じゃない。魔法少女の誰かに相談を……。
となれば、やっぱり……巴マミね)
ピーンポーン
ガチャ
さやか「こんにちは……」
マミ「あ……さや、美樹さん……」
さやか「いえ、あの……折り入って相談したいことが……」
マミ「えっ、えっと……ごめんなさい!今ちょっと立て込んでて……また今度にしてもらえる……?」
さやか「えっ?で、でも……」
マミ「ご、ごめんなさい!」バタン
さやか「あっ……」
マミ「…………」
マミ「くそっ、なんつータイミングだよ……」
マミ(目が覚めたらマミの部屋に居て、しかもマミの体になっていただと……?
ってことは今、あたしの体はどうなってんだ?)
マミ「……嫌な予感しかしねえ……」
一方その頃
杏子「……夢じゃない……わよね?何がどうなってるの……?」
そうでなくても、少なくとも私の体に私の精神がないことは間違いない……)
杏子「と、とにかく、早く家に戻った方が良さそうね……!えーっと、ここから家の方向は……あ」
ほむら「げっ……」
杏子(なんてこと、こんな時に……!
どうしよう、事情を話してしまった方が良いかしら……)
杏子「え、えーっとその……」
ほむら「こ、こんなところで何をしているのかしら、あんこ」
杏子「あ、あんこ?」
ほむら(しまったあああああああ)
杏子「えっと、あー、あたしはその、散歩だよ散歩」
ほむら(あ、あれ?『あんこ』にツッコまれない……。
もしかして普段からあだ名で呼ぶような仲なの!?)
杏子(あっ……、『あんこ』に動揺して打ち明けるタイミング逃しちゃった……。
それにしても『あんこ』だなんて……。
佐倉さん、暁美さんにあだ名で呼ばれるほど仲が良かったのね)
杏子(いけない……佐倉さんが暁美さんのことを何て呼んでるかなんて知らないわ……!)
杏子「えっと、ほむ、ほむ……」
ほむら「ほ、ほむほむ?」
杏子「え!?あ、いや、その……」
ほむら「わ、私は……そう。私も散歩よ。散歩。本当に奇遇ね」
杏子(『ほむほむ』で通った……!?)
ほむら「そ、それじゃあ、私はそろそろ帰るわね。夕飯の支度もあるし。さよなら、あんこ」
杏子「お、おう。じゃあな、ほむほむ」
ほむら&杏子(……まさか2人がそんなに仲が良かったなんて……)
私の体に居る誰かと……たぶん佐倉さんだろうけど、話し合う必要があるわ。
それから他のみんなに打ち明けるかどうかを決めましょう。
確か、この商店街を抜ければもうすぐ家が見え……)
オヤジ「ごらぁ!見つけたぞこの泥棒娘!」ガシッ
杏子「えっ!?」
オヤジ「ウチの商品ごっそり持って逃げやがって!裏に来てもらおうか!」
杏子(さ、佐倉さん!?あなたなんてことを……!)
オヤジ「昨日ウチの商品が大量に盗まれたって言ったろ?こいつが犯人だよ」
おばさん「えぇ!?こんな女の子がかい!?」
杏子「え、えっと、その……」
オヤジ「それで、どうしてくれるんだ?えぇ?」
杏子「ご、ごめんなさい……ぐすっ……ごめんなさぃ……」
オヤジ「……泣いて謝れば済む問題じゃあ……」
おばさん「ねぇ……理由くらい聞いてあげても良いんじゃないかい?
ただの普通の子どもがあんなにたくさんの商品盗むかねぇ……」
オヤジ「ん……まぁ、それもそうか。なぁ嬢ちゃん。
何か理由があるってんなら、聞くだけ聞いてやっても良いぞ」
杏子「えぅっ……えっと、実は……」
オヤジ「なん……だと……」
杏子「し、信じて、くれるんですか……?」
オヤジ「嘘ついてるかどうかなんざぁ、目ぇ見りゃわかる。大変だったな譲ちゃん。
だがなぁ、泥棒はいけねぇよ泥棒は」
杏子「ご、ごめんなさい……」
オヤジ「次からは、欲しいもんは一言いってから持ってきな!」
杏子「えっ……?」
おばさん「そうだよ!お譲ちゃんみたいな頑張ってる子、応援するしかないからね!」
杏子「そんな……で、でも」
オヤジ「良いから良いから。昨日の分も、金はいらねぇよ。
とにかくそういうわけだ。これからはウチをどんどん頼ってくれ!」
杏子「は、はい……ありがとうございます……!」
おばさん「じゃあね!気をつけて帰りな!」
杏子(なんだかすごいことになっちゃった……。
と、とにかく!帰ったら佐倉さんにお説教しなくちゃ……!)
ガチャ
マミ「……ッ!?」
杏子「……こんにちは」
マミ「マ……マミ……?」
杏子「やっぱり、佐倉さんね。あがらせてもらうわよ、私の家だし」
杏子「残念ながら……」
マミ「くそっ……。キュゥべえのやつもテレパシー通じねぇし、何がなんだかさっぱりわからねぇ」
杏子「ところで、ちょっと言っておきたいことがあるんだけど」
マミ「ん?なんだよ」
杏子「実はさっきね……かくかくしかじかで……」
マミ「はぁ!?なんだそりゃ!ていうかあんた、あたしの過去喋っちまったのかよ!?」
マミ「ふん……。魔法の力をどう使おうと、あたしの勝手だろ」
杏子「……とにかく、体が元に戻ったらまたきちんと謝りに行くのよ。お金も持ってね」
マミ「なんでだよ?そいつら、昨日の分の金は払わなくて良いって言ったんだろ?
だったら良いじゃねえか」
杏子「良いわけないでしょう?私のお金持って行って良いから」
マミ「なんだよ、ったく……めんどくせぇな」
杏子「そんなこと言わないの。大体あなたは前から……」
マミ「あぁあぁわかったよ!持ってくって!
持ってくから、とにかく今はそんなことで揉めてる場合じゃねえだろ!?
さっさとこれからのことについて話し合おうぜ!」
杏子「……えぇ、そうね」
マミ「……なんであたしが学校なんか」
マミ(わざわざ教室や席まで教えてくれちゃってさ。
サボっちまえば良いじゃねぇか……。ほんと、変なところで真面目だよなあいつ)
マミ「…………」
マミ(しっかし……ずっと席に座ってるのに、1人も声をかけてこねえな。
あいつ、友達いないのか……?)
マミ(結局、丸一日誰とも会話しなかったな……ま、あたしも慣れてるから別に良いんだけどさ)
マミ「さて、帰るか……ん?」
女生徒1「ちょっと、巴さーん」
女生徒2「何勝手に帰ろうとしちゃってるの?」
マミ「えっ?あー、何か約束があった、かしら……?」
女生徒3「へー?ふーん。約束破るんだー」
女生徒1「あたしたちの掃除当番、今週ずっと代わるって約束だったでしょ?」
女生徒1「……あのさぁ。理由なんかどうでも良いじゃん」
女生徒2「何?何か文句でもあるの?」
女生徒3「……なんかさっきからこいつ生意気じゃない?」
女生徒1「だね。ちょっとお仕置きしちゃおっかw」
マミ(ふーん……なるほどね、マミのやつ……。今までそんな素振り見せたことなかったじゃんかよ)
でなきゃ本気でお仕置きしちゃうよー、なんてねw」
マミ「えっと、ごめんなさい。私、今週はちょっと忙しいから。それじゃ、また」
女生徒1「……はぁ?」
女生徒2「あんた何言ってんの?そんなこと許されると思ってんの?」
女生徒3「ねぇ、こいつ本当にやっちゃおうよマジで」
女生徒1「……だね。ねぇ巴さん、今からちょっとトイレ行こうか」
マミ「……あーなんだよ、ったくめんどくせぇ。用足したいんなら勝手にやってろっつーの」
女生徒2「おい!あんま調子乗ってんじゃねえよこの……!」
マミ「おっと」ドスッ
女生徒2「ぅぐ!?」
女生徒3「うぁっ……!ちょ、ちょっとあんた、何すんのよ!」
マミ「あーあー、急に殴りかかってくるからつい手が出ちまったじゃねぇか」
女生徒3「ふ、ふざけんな……ぁがっ!?」
マミ「学習しなよ、馬鹿だねぇほんと。
ま、いじめなんてコスい真似するような連中が頭良いなんて思っちゃいないけどさ」
マミ「ん?あんたはちょっとは賢いみたいだね。で、どうする?まだやるかい?
それとも、今までいじめてた奴にボコられましたってなさけなくチクりに行く?」
女生徒1「う……そ、その……」
マミ「あたしはこれ以上めんどくさくするのは申し訳ないし、今日はもう帰るよ。
ま、これに懲りたらもう『巴マミ』に手を出さないことだね。それじゃ」
女生徒1「…………」
マミ(……や、やっちまった……)
杏子「あ、おかえりなさい、佐倉さん……あ、あの……」
マミ「ん?」
杏子「学校、どうだった……?」
マミ「べ、別にー?普通だよ普通!」
杏子「その、ごめんなさい!私、忘れてて……」
マミ「あー!それより腹減ったー!マミ、何かメシ作ってくれよ、メシ!」
マミ「な、何がー?別になーんもなかったぜ?何もなさすぎてつまらないくらいだよ!」
杏子「本当に……?本当に何もなかった?何もされなかった?」
マミ「本当だって!それより早くメシ作ってくれよ!ケーキでも良いぜ?」
杏子「そう……良かった、佐倉さんが無事で……」
マミ「ん?何か言ったか?」
杏子「ううん、なんでもない!待っててね、今準備するわね!」
マミ(……あっぶねー……。
学校であんな事件起こしたなんて知られたら、また説教食らうに決まってるからな)
女生徒A「さやか、なんか昨日からよく暁美さんと一緒に居るよね」
さやか「えっ?そ、そうかなぁ?」
女生徒B「確かに!前までは結構、暁美さんのこと苦手って言ってなかった?
何考えてるか分からないとか、暗いとか、いけすかないとか」
さやか(美樹さやか……そんなことを言っていたのね。覚えておきましょう)
さやか「そ、そうだっけ?いやー、あはは、でもそんなことないよ。
まぁ見た目はそうかもしれないけど話してみると案外、って感じかな」
女生徒A「そうなんだ。あ、だったらさ!今日暁美さんも誘ってみんなで喫茶店行こうよ!」
さやか「え?」
さやか「いや、でも……」
女生徒A「あ、もちろん鹿目さんや志筑さんも一緒で良いよ!大勢の方が楽しいし!」
さやか「いや、そうじゃなくて……」
女生徒B「そうと決まれば早速……暁美さーん!」
ほむら「えっ?」
さやか(あなたたち人の話を聞きなさいよ……!)
女生徒B「あのね、今日の放課後、一緒に喫茶店に行かない?」
ほむら「!」
女生徒A「ちょうどさ、新メニューですっごく美味しそうなスイーツが出たじゃない?ね、一緒に行こっ?」
ほむら「良いねぇ!あたしもさ、あの新メニュー食べたいと思ってたんだ!」
さやか「!?」
ほむら「あ」
ほむら(し、しまったぁああああ)
さやか(美樹さやかって、ほんと馬鹿)
女生徒B「もしかして暁美さん、結構甘いもの好きだったりする?」
ほむら「へっ?あ、えぇ、そうね。甘いものは大好きよ」
女生徒B「やっぱり!そりゃーテンション上がっちゃうよねー!」
女生徒A「へー、暁美さんって、なんとなくブラックコーヒーとか
飲んでそうなイメージあったからちょっと意外かも!」
ほむら「え、えぇ……」
さやか『美樹さやか』
ほむら『……ま、まー良いじゃん!なんとかごまかせたみたいだしさ!』
さやか『…………』
ほむら『ごめんなさい……』
さやか『次はないと思いなさいよ』
女生徒A「結局、鹿目さんも志筑さんも駄目だったの?」
さやか「うん……仁美はピアノ、まどかは何か用事があるんだってさ」
女生徒B「そっか……あ、来たよ!注文した新作スイーツ!」
ほむら(よっ!待ってましたぁ!)
さやか『美樹さやか』
ほむら『わかってるって!今必至に表情抑えてるんだから話しかけないでよ!』
さやか「いただきまーす!」
ほむら「いただきます」
女生徒A「ん~、おいし~!」
女生徒B「これはヒット作だね!間違いない!……あれ?さやか?」
さやか「え……?何?どうかした?」
女生徒B「なんかあんまり嬉しくなさそうだけど……あんまり口に合わなかった?」
さやか「え、えぇー!?そ、そんなことないよぉー!?すっごく美味しい!うん、大満足!」
女生徒A「あはは、なんかさやかより暁美さんの方がすごく喜んでるみたいだよ?
ほら見て、この幸せそうな顔!」
ほむら(ウンまぁあ~い!!あーもう超おいしー!何これ!超幸せー!)
さやか「…………」
ほむら「……?」
さやか『いったい何度忠告させるの?どこまであなたは愚かなの』
ほむら『ウェ!?ちゃ、ちゃんと大人しく黙々と食べてたじゃん!』
女生徒A「いやー、まさか暁美さんのあんな満面の笑みが見られるなんて、誘った甲斐があったよ!」
ほむら「へっ?」
女生徒B「本当に甘いもの好きなんだね、暁美さん!
また今度誘うね!今度はもっと大勢で来よう!ねっ、さやか?」
さやか「あー、うん、そうだね、もし暁美さんが忙しくなければ、の話だけど」
ほむら「え?あの……か、考えておくわ……」
女生徒B「またここ来ようね!ばいばーい!」
さやか「うん、ばいばい」
ほむら「さようなら」
さやか「…………美樹さやか、話があるわ」
ほむら「な、なに?さっきのことはもう何度も謝ったでしょ……?」
ほむら「…………」
さやか「話と言うのは今後のことについてよ。今日の夜中、話し合いをしましょう」
ほむら「あ、あぁそっか……。良いよ、どこでやる?」
さやか「私の家。あなたの両親が寝静まったら行くから待っていて。
……用件はそれだけ。それじゃ、また後で」
ほむら「お、おぉ……切り替え早いなぁ」
ほむら「うーん……転校生、早く来ないかなぁ。
この部屋に1人って、なんか落ち着かないんだよねー……」
ピーンポーン
ほむら「お、やっと来た」
さやか「上がるわよ」
ほむら「はい、どうぞ」
さやか「ところで……こっそり後をつけてくるなんてどういうつもりよ、キュゥべえ」
さやか「隠れてないで、姿を現したら?」
QB「…………気付いていたんだね」
さやか「ついさっきね。それで?何の用?」
QB「……それはこっちが訊きたいな。こんな夜中にこっそり会うなんて、何をしているんだい?」
さやか「…………」
さやか『駄目よ。そんなことをすれば、それをダシにまどかに契約を迫るに決まっているわ』
ほむら『じゃあどうすれば……』
さやか『今は適当にあしらって追い返すしかないわね』
QB「……どうしたんだい2人とも黙り込んで。理由を教えて欲しいんだけど」
ほむら「その必要はないわ。あなたには関係ない。用がないのならさっさと消えなさい」
さやか「そうだよ、邪魔だから早く帰ってよ」
今日のこれも何かそのことと関係あるのかな?」
さやか「しつこいなぁ。早く帰れって言ってるでしょ?」
QB「それとも、ほむら。君とまどかとの関係の悪化と何か関係があるのかい?
そもそもどうしてそんなにまどかと仲が悪くなってしまったんだ?
あんなに仲が良かったのにおかしいじゃないか。まどかは君に何かしてしまったのかな?」
ほむら「やけに食い下がるわね……。何もしてないわ。だから、早く帰りなさい」
QB「本当に何もしていないのかい?何か隠しているのなら教えて欲しいな」
ほむら「だから、何もしてないって言ってるでしょ……」
本当は何かしてるんじゃないのかな。
もし何かしたんだったら教えて欲しいんだけど……。
それとも、君は……単純にまどかのことが嫌いになってしまったのかい……?」
ほむら「しつこいわね……!えぇそうよ、嫌いになったのよ。私はまどかが嫌いになったの。
これで満足かしら?わかったなら、さっさと帰ってちょうだい」
QB「そ、そう、なんだ……」
さやか「……?」
QB「でも、何も理由がないのに嫌いになるなんて、そんなの……」
ほむら「何?何か嫌いになるのにいちいち理由が必要なの?嫌いだから嫌い。
暁美ほむらは、鹿目まどかのことが嫌い。それで良いでしょう?何度も言わせないで」
QB「そ……そんなのってないよ!あんまりだよ!」
QB「どうして……?あんなに仲良しだったのに、ほむらちゃんのこと、大好きだったのに……」
ほむら「……『ほむらちゃん』……?」
QB「あ……ご、ごめん。なんでもないよ……。そうか、わかった……。
ほむらちゃ、ほむらは……まどかのことが、単純に嫌いに……なっちゃったんだね……。
それじゃあ、僕はこれで……」
さやか「……まどか……?」
QB「え……?」
さやか「まどか、まどかなの……!?」
QB「な……何を言ってるんだい、さやか。僕はまどかなんかじゃないよ……?」
さやか「キュゥべえ……答えて。暁美ほむらが持っているメガネの縁とリボンの色は、何色?」
QB「急に、何を言い出すんだい?」
ほむら(メガネとリボン……?転校生、そんなの付けてたっけ?)
さやか「答えて。あなたなら答えられるはず」
QB「そうだね……確か、メガネは赤で、リボンは紫だったはずだよ」
さやか「……暁美ほむらがメガネとリボンを見せた相手は、鹿目まどかだけよ。2人で遊んだ時にね」
さやか「どうしてあなたが、それを知っているの?」
QB「え、えっと……それは……」
さやか「やっぱり、まどかなんでしょ!?ねぇ、そうでしょ!?」
QB「う……ぅん……。ごめんね、隠してて……」
ほむら「ま、まどかぁ!?キュゥべえが!?」
QB「でも、メガネもリボンも、私にしか見せたことなかったなんて……、あれ?
でも……じゃあなんでさやかちゃんが……」
さやか「言ったでしょう?メガネもリボンも、見せたことがあるのは、あなただけよ、まどか」
QB「も、もしかして……ほむらちゃん……!?」
ほむら「ふぇっ!?あ、あはははは……キュゥべえを追い返そうとしたんだよ……。
だけどその分、心には焦りや苛立ちが溜まって……。
一番大切な友達さえ傷付けて……あたしって、ほんと馬鹿」
さやか「たとえキュゥべえを追い返すための口から出まかせだったとしても、まどかを傷付けた罪は重いわ……!」
QB「もう良い……もう良いんだよ、ほむらちゃん」
さやか「まどか……」
QB「ほむらちゃんがわたしのこと嫌いになってないってわかっただけで、それだけで十分幸せ。
やっぱりほむらちゃんは、わたしの、最高の友達だったんだね……」
さやか「まどかぁ……」
まどか「やれやれ、まさか僕たちだけじゃなくて君たちにまで異常が起こっていたとはね」
さやか「キュゥべえ……!」
まどか「そうだよ。今は僕とまどかの体が入れ替わってしまっている。
そして、それは君たちも同じみたいだね。暁美ほむら、美樹さやか」
QB「ごめんね、キュゥべえ。勝手なことしちゃって……」
まどか「構わないよ。結果として、協力者が増えた形になったからね。
ただこうなると、自体は思っていたよりも大きいかもしれない」
ほむら「と言うと?」
まどか「巴マミと佐倉杏子だよ。現に、見滝原の魔法少女のうち半数が巻き込まれているんだ。
彼女たちに何も変化がないと考えるのは楽観的過ぎると思わないかい?」
さやか「そうね。都合の良いことに明日は学校が休みだから、明日巴マミの家に行きましょう」
ピーンポーン
ガチャ
マミ「……なっ!?ど、どうしたの、みんな?
今日お茶会の約束でもあったかしら……?」
さやか「いえ、ちょっとお話があって……」
ほむら「上がらせてもらいますね!」
マミ「あ、ちょ、ちょっと!?」
杏子「どうしたの?佐倉さ……えっ?」
ほむら「あ」
杏子「な、何か用か?ほむほむ……それにみんなも」
さやか「……ほむほむ……?」
ほむら「あー……あはは……」
杏子「えっ?なんだ知らねーのか?あたしとこいつは、すっげー仲良いんだぜ!なぁ、ほむほむ?」
ほむら「あー、えっと、マミさん?」
杏子「え?」
マミ「え?」
ほむら「もしかして、マミさんと杏子、体入れ替わっちゃったりしてません?」
まどか「うーん、この飴まずいなぁ。捨てちゃおう」
マミ「おい、食い物を粗末にするんじゃねえ!」
ほむら「やっぱり」
マミ「あ」
杏子「キュ、キュゥべえ!見てないで何か……!」
QB「ちょ、マ、マミさん!やめ、揺さぶらないでください!私キュゥべえじゃ……!」
マミ「どういうことだおい……」
マミ「まじかよ……」
杏子「私達だけじゃなかったのね……」
さやか「それにしても……」
杏子「?」
さやか「『ほむほむ』はないと思うわ、巴マミ」
杏子「ちっ、違うのアレは……!」
マミ「『あたしとこいつはすっげー仲良いんだぜ?なぁほむほむ?』wwww」
杏子「や、やめてぇ!」
QB「み、みんなやめてあげてよ!マミさんが可哀想だよ!あんまりだよ!」
ほむら「ごめんなさいマミさん……あたしのせいでマミさんに恥ずかしい思いを……」
杏子「ううん……良いの、ありがとう。でもフォローされると余計に恥ずかしい……」
さやか「黙りなさい。それ以上言うと葬るわよ」
マミ「ほむほむだけに?」
さやか「…………」チャキ
マミ「け、拳銃!?どこから!?」
杏子「やめて暁美さん!それ私の体!」
さやか「……まぁ良いわ。そんなことより、今後のことについて話し合いましょう」
ほむら「お、おぉ……切り替え早いな」
マミ「やっぱそうか……」
QB「だ、だったら、早くみんなで……!」
杏子「そうね、この人数なら逃げられることもないでしょう」
さやか「えぇ、確実に仕留められるわ」
まどか「そうと決まれば早速その魔女を探しに行こう」
杏子「えぇ、間違いないわ」
ほむら「な、なんだか嫌な雰囲気の結界ですね……」
マミ「へっ、なんだよさやか、ビビってんのか?」
ほむら「び、ビビってなんか……
って、マミさんの顔に文句なんか言い辛いから挑発とかやめてよね!」
杏子「もう、2人ともケンカしないの」
ほむら「うるさいなぁ!ほっといてよ!」
杏子「ッ!」ビクッ
ほむら「あ、すいません、マミさん……」
杏子「う、ううん……気にしないで」
さやか「大丈夫よ、まどか。あなたは私が守るわ」
QB「ほむらちゃん……!」
まどか「ふーん、たとえ外見が変化しても君のまどかに対する態度は変わらないんだね。
やっぱり人類にとって魂は重要なものらしい」
さやか「当然よ。だからたとえあなたがまどかの外見をしていようとも、あなたはただのインキュベーター……」
まどか「酷いよほむらちゃん!そんな言い方ってないよ!
私はほむらちゃんのこと、とっても大切に思ってるのに!」
さやか「くっ……卑怯なマネを……!でも惑わされないわよ……!」
まどか「へぇ。やるじゃないか」
QB「……みんな大丈夫かなぁ」
ほむら「あ、そっか。変身っ……と。あ、服はちゃんとあたしの奴だ。
でもなんか……ちょっとブカブカかなぁ。
……ちょっと転校生、あんたそれスカート短すぎじゃない?」
さやか「……スカートだけじゃないわ。あなたもだけど、色々とサイズの変更が必要なようね……」キツキツ
マミ「いででででで!!おい、マミ!あんたの胸どうなってんだよこれ!」ギチギチ
杏子「やだ、私は胸元がちょっとブカブカ……」
マミ「ぶっ殺すぞ!」
QB「み、みんな大変そうだね」
魔女「ケケケケケ……」
さやか「ついに姿を現したわね……」
ほむら「うわぁ……こりゃ一段とグロいなぁ」
杏子「悪いけど、一気に決めさせてもらうわよ!」
マミ「覚悟しやがれ!っよし!武器はちゃんと槍だな!っと、うわっ!」
QB「き、杏子ちゃん!?どうしたの!?」
マミ「ってぇ……。こ、攻撃しようとしたら槍が胸にひっかかりやがった……」
まどか「これは思った以上に大変そうだね」
ほむら「ぅおりゃあ!んもー!また外した!」
マミ「あぁもう!邪魔くせぇ胸だな!」
さやか「文句を言う暇があったら戦いに専念してちょうだい」ドゥン!
魔女「グギャァ!」
ほむら「あんたは良いよね!時間停止があるからさ!」
さやか「私だって慣れないのは同じよ。いつもならこんな魔女、私1人でもとっくに倒してる……!」
魔女「ギャァ!」
マミ「よっしゃ!やっと当たった!へん!どうやらちょっとずつ慣れてきたみてぇだな!」
杏子「私だって!」ドゥン!
ほむら「隙あり!どおりゃあ!」ズバッ
さやか「ようやくみんな慣れてきたようね……」
QB「す、すごい!これなら勝てるね!」
まどか「うん。かなり攻撃が当たり始めた。これなら倒すのも時間の問題……」
魔女「ケェエエエェエエエエエエエ!」
さやか「なっ……!」
杏子「何、この光……!」
マミ「嘘……こんなのってないよ!あんまりだよ!」
まどか「ちょっとぉ!こんなのアリ!?」
ほむら「体が軽い……こんな気持ちで戦うなんて初めて……」
杏子「巴マミ。あとで覚えていなさい」
さやか「わけがわからないよ」
まどか「そんなのん気なこと言ってる場合じゃないでしょ!?」
杏子「もうこうなったら、これ以上入れ替えが起きる前に片を付けるしかなさそうね」
QB「けど、そんなことできんのか!?ようやくマミの体にも慣れたってのに……!」
ほむら「でも、やるしかないわね……!」
・
・
・
QB「そこだ、行けぇ!マミ!」
ほむら「任せて!ハァア!!」
魔女「ケェエエエエエエエェエエエェエエ!」
杏子「この光……また……!」
さやか「そんな……あれでも駄目なんて、みんな死ぬしかないじゃない!」
杏子「ちょ、ちょっと!多分マミさん!早まらないでください!」
マミ「まずいな、これじゃあ全滅の可能性も出てきた。この魔女は強すぎる」
ほむら「いやだぁ……もういやだよ、こんなの……」
QB「くっ……この体じゃ、戦うこともできない……!」
QB(……待てよ、契約……?そうだ、この手があった……!)
でも、この手はある意味博打……しかも、試すにはチャンスを待たないと……)
杏子「こ、このぉお!もうこうなったらやるしかない!おりゃあああ!!」
魔女「!ケェエェエエエエェエエエ!」
マミ「気を付けて、また来るよ!」
QB(っ!早速来た!お願い!チャンスを……!)
QB(入れ替わってない……!私は入れ替わらなかった!他のみんなは……!?)
マミ「って!また入れ替わりぃ!?もう勘弁してよ……」
杏子「もう駄目よ……おしまいよ……」
ほむら「お、おい!マミ……だよな?しっかりしろよ!豆腐すぎんだろ!」
さやか「ひどすぎるよ……こんなの絶対おかしいよ……」
まどか「参ったな、魂の移動はかなり精神を消耗するらしい。このままじゃ本当に全滅だ」
QB(幸運だわ……いきなりチャンスが来るなんて!これを逃すわけにはいかない!)
まどか「ん?君は……ほむらだね。突然どうしたんだい?」
QB「契約、するわよ……」
まどか「契約?おかしなことを言うね。君はもう僕と契約しているじゃないか。同じ人間と二度契約を結ぶことは不可能だ」
QB「私はあなたの意思を訊いているの。あなたは、私と契約したくないの?」
まどか「したいかしたくないかで言えばしたいさ。もちろん、可能なら、の話だけどね」
QB「そう……。ちなみに私が今願うとすれば『この魔女を倒し、みんなを元通りにする』かしらね」
まどか「そうか。僕にとっても今の状況はあまり好ましくない。それは僕もぜひ叶えたい望みだね」
QB「そう……契約は成立ね」
魔女「グ……ギャアアアアアアアアアアアアア!!」シュゥゥゥゥ……
まどか「魔女が……消えていく……!?まさか……!」
ほむら「……えぇ、そのまさかよ」
マミ「もう死ぬしか……あら?」
さやか「も、元に戻ってる!」
杏子「それに、魔女も消えた!どうなってんだ……」
まどか「終わったの……?全部、終わったの……?」
まどか「う、うん……」
ほむら「ソウルジェムは……持ってる……?」
まどか「え?ソウルジェム?誰の?」
ほむら「良いから、探してみて!」
まどか「え、っと……。ううん、持ってないけど……」
ほむら「……良かった……!」
QB「暁美ほむら……ずいぶん強引な手を使ってきたね」
ほむら「あなたは確かに『契約したい』と言った。そしてあなた自身の望みも口にした。
それだけで契約するには十分。
少なくとも、真実を隠して契約を結び続けてきたあなたには非難される筋合いはないと思うけど。
あなたたちのやり口と大して変わらないでしょう?」
QB「やれやれ……。しかし、さっき確かに『鹿目まどか』は契約を結んだはずだよね。
なのに彼女はソウルジェムを持ってないということはやっぱり……ここにあるコレが、そうなんだね?」
ほむら「えぇ、そういうこと。契約を結んだのはまどかじゃなくて、あなた。
ソウルジェムに変えられたのはあなたの魂よ、キュゥべえ」
けれど僕たちには感情がない。だから、たとえ魔女化しようとも感情エネルギーを生み出さない。
なんて無意味な存在なんだ。やれやれ……こんなことをして、君は満足なのかな」
ほむら「えぇ、満足よ。まどかだけじゃない、みんなを救うことができたもの」
QB「今この場だけで魔女を倒そうとも、所詮はその場しのぎだ。いずれ彼女たちも魔女に……」
杏子「お、おい!ソウルジェムがないぞ!あたしのソウルジェムどこいった!?」
マミ「わ、私のソウルジェムも!どこにもないわ!」
さやか「えぇ!?あたしのもだよ!そんな、早く見つけないと……!」
ほむら「その必要はないわ」
QB「……まさか……!」
QB「暁美ほむら……君はなんてことを」
マミ「え……?な、何を言って……」
杏子「ど、どういうことだ?何が起こってる?」
QB「詳しい説明は省くけど、たった今、契約によりある願いが遂げられたんだ。
その願いとは、『この魔女を倒し、みんなを元通りにする』こと。
この『元通り』というのが、体の入れ替わりのみを指しているわけじゃなかったということさ」
さやか「つ、つまり……魔法少女から普通の人間に、『元通り』になったってこと?」
さやか「で、でもそれじゃ、この町の平和は……」
マミ「そうだわ、私たち魔法少女が、この町の人たちを魔女の手から守らないと……」
ほむら「それには及ばないわ。なぜなら……この町はこれから、魔法小動物キュゥべえが守るからよ」
杏子「ま、魔法小動物ぅ!?」
まどか「きゅ、キュゥべえ、そうなの?じゃあ契約したのって……」
QB「訂正するほど間違ってはいないね。もうこうなった以上、やむを得ない」
ほむら「そういうわけだから。魔法小動物キュゥべえ☆マギカの始まりよ」
QB「わけがわからないよ」
杏子「あーあ……ったく、めんどくせえな」
杏子(なんで金は払わなくて良いって言われたのにわざわざ……と、ここだったよな、確か)
杏子「おーい……すいませーん」
オヤジ「あ、すいやせん、もう店閉めちまいますんで……お?
なんだ、嬢ちゃんじゃねえか!どうした?早速何か要り様かい?」
杏子「えっ?あー、いや、……こないだの、金を……」
オヤジ「なにぃ!?払わなくて良いって言っただろうに!」
杏子(ほら見ろマミめ……)
杏子「え!?い、良いよ、そんなの……!」
オヤジ「遠慮はいらねぇよ!おーい!もうメシ出来てるよなぁ!?」
おばさん「なんだい、あんた。そんなに急かさなくても……おや、あの時のお嬢ちゃん!」
杏子「ど、ども……」
オヤジ「今、嬢ちゃんもここでメシ食わないかって話になってんだよ」
おばさん「あら、良いじゃないか!お嬢ちゃん、食べて行くだろ?」
杏子「えーっと……じゃ、じゃあ……」
オヤジ「良い食べっぷりだねぇ!」
杏子「そんじゃあたし、もう行くよ。ごちそうさま」
おばさん「あら、そうかい?またいつでもおいで!」
杏子「え?ま、また来て良いの……?」
オヤジ「おう!遠慮すんな!毎日でも良いぞ!いや、むしろ毎日きやがれ!」
おばさん「ちょっと、お嬢ちゃんの都合も考えなよ、ねえ?」
杏子「っはは……ありがとう」
杏子(なんつーかさ……マミ、さんきゅ)
マミ「……はぁ」
マミ(今から掃除、か……。本当は私じゃないのになぁ……。
でも、反抗するとまた……駄目だなぁ、私。弱い子だ)
女生徒1「と、巴さん……!?」
マミ「っ!な、何……?私、何も……」
女生徒1「い、良いって良いって!当番はあたしなんだから!
だから、ね?もう帰っても良いよ?大丈夫だから!」
マミ「えっ……?で、でも……そ、そう言えば、あとの2人は……」
女生徒1「……帰っちゃったよ」
マミ「え……?」
巴さん、かっこいいな、なんて思っちゃったんだ……。
ご、ごめんね!今まであんなに酷いことしといて!勝手だっていうのは分かってる!
でも、そしたら急に、今までの自分がかっこ悪く見えてきて……馬鹿だよね、あたし」
マミ「…………」
女生徒1「って、そのことをあの2人に言ったら、付き合いやめるって言われちゃった」
マミ「……!」
女生徒1「……うん、そういうわけなの。だから、ね!
掃除はあたしがやっとくから、巴さんは大丈夫、もう帰っちゃって……」
マミ「私も手伝うわ」
マミ「1人で掃除なんて、大変でしょう?」
女生徒1「な、なんで……」
マミ「さっきあなた、言ってくれた。『今まで酷いことしてごめん』って。
それだけで私、すごく嬉しい。謝ってくれさえすれば、それで良いの」
女生徒1「巴、さん……」
マミ「ね?だから、早く2人で掃除終わらせちゃいましょう?」
女生徒1「う……うん!」
マミ(昨日……佐倉さん、何をしたのかしら……。でも、良いわ。ありがとう、佐倉さん。
何があったかなんて、関係ない。だって私、もう1人ぼっちじゃないもの!)
仁美「それにしても、暁美さんって意外と面白い方ですのね。私、もっと怖い方かと思っていましたわ」
さやか「面白い?ほむらがぁ?どこがよ?ただの暗いだけの」
ほむら「その口を今すぐ縫い付けられなければ黙りなさい。
それとも、舌ごと顎を吹き飛ばされる方が良いかしら」
さやか「おぉう……こえぇよ……」
女生徒A「ほらね!この毒舌というか、さやかイジりがめちゃくちゃ面白いでしょー!」
女生徒B「第一印象とはちょっと違うけど完全にキャラ立ちしてるよねーほんと!クール毒舌キャラ!」
まどか「えー、そうかなぁ?ほむらちゃん、2人で遊ぶ時はもっと……」
ほむら「ま、まどか……!」
女生徒B「何か弱みでも握ってるのかなー?」
まどか「ち、違うよぉ。優しいだけだよ!ね、ほむらちゃん?」
ほむら「まどかぁ……」
女生徒A「むむー?なにやら、2人の間にはただならぬ関係を感じますなー」
仁美「い、いけませんわ!それは禁断の恋の形ですのよー!」
ほむら「黙りなさい」
さやか「Oh……」
女生徒AB「あははははは!」
さやか『ねぇ、ほむら』
ほむら『……何かしら』
さやか『こういうのもさ、悪くないでしょ?』
ほむら『……そうね。同意しておくわ』
ほむら(……ありがとう)
QB「……グリーフシードは落とさない……ハズレだね。やれやれ」
おしまい
付き合ってくれた人ありがとう
お疲れ
魔法小動物キュゥべえちゃんは俺が大事にします
乙
乙でした
Entry ⇒ 2012.04.21 | Category ⇒ まどかマギカSS | Comments (0) | Trackbacks (0)
しんのすけ「フシギなちからが、そなわったゾ!」
http://hayabusa.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1333724696/
風間君がオラに手を差し伸べた。西日が強く差し込み、焦点を合わせるのに時間がかかる。黒い陽炎のようにぼやけた風間君は、徐々にクリアになって歯を覗かせた。ため息交じりに笑った。
カザマ「みんな待ってるんだからさ」
いつもの公園では変わらぬ顔ぶれが揃っていた。
五人ともスーツで、背丈も子供のころとはえらい違いだ。
それもそうだ。あの時から、20年近く経ったのだから。
幼いころからの赤毛は長くのび、キューティクルが幾層にも重なっていて美しい。昼間は結っていたのだろう、軽くウェーブがかかっている。
艶やかな前髪からのぞく細い眼はひどく魅力的で、マサオ君がさきほどからちらちらと盗み見ているのが分かった。
オラが小さく笑うと、ネネちゃんは、しんちゃんは変わらないわね、と付け足し笑った。
マサオ「ほんとだよ。むかしっから、遅刻ばっかしてたよな」
そうは言ったものの、マサオ君も笑っていた。
耳まで隠すミディアムヘアは、オニギリ頭の面影もない。あの頃からいちばん変わったのは、彼なのかもしれない。
褐色の肌色は健康的で、顔つきから自身が満ち溢れ、そこここにこぼれおちていた。真っ赤なネクタイも、その表われか。
ボーちゃんは相変わらず、というわけでもない。
以前にも増して無口になったが、それは美徳だ。沈黙は金である。
そんなことよりも、口数に比例するように身長が伸びた。180はゆうに超え、それでいて手足は細い。
スタイリッシュなストライプスーツを身につけ、煙草をくゆらせている。
カザマ「さて、やっとそろったな」
リーダーは今も昔も彼だ。
スーツの胸元には老若男女問わず知っている大企業のバッチがまぶしい。
地味なスーツだが、ブランド物のカフスボタンや靴のセンスはほのかな色気を振りまいている。いやらしくない程度に薫る香水も、きっと高級品なのだろう。
すっきりとした短髪はみていて気持ちがよかった。
オラが思いついたようにこぼすと、八つの目はいっせいにこちらを向いた。
マサオ「……懐かしいな」
カザマ「……ああ」
禁句を口にしたようだ。オラたちは、あの日愛する防衛隊を解散したのだった。
ネネ「……懐かしいね」
ネネちゃんが宝物を扱うように、繰り返した。
たしか、オラの家の二階で集まったのだと思う。
夜も更け、マサオ君が船をこぎ出したころボーちゃんが言った。「星が見たい」。
ネネちゃんは目を輝かせて賛成し、カザマ君の声も珍しく上ずっていた。
上気した頬のまま、ネネちゃんはマサオ君を起こし、オラたち五人は裏山に向かった。
たしかオラが高いところの方が見やすいゾ、だとかなんとか言ったのだと思う。
昔から、振り回して迷惑をかけてばかりだ。そして、今も。
想像していたよりも空はかすみ、薄められた夜空に星はまばらだった。
それでも、そのころのオラたちにとって、世界はあまりにも広かった。遠かった。
マサオ君が泣きだしたのを機に、帰ることにした。
家に誰もいないとなって両親を心配させるのは気が引けたし、純粋に、みんな怖くなっていたのかもしれない。早足で山を下った。
その途中だった。ボーちゃんが指さす先に流れ星が瞬いたのだ。
ネネちゃんは喜び、マサオ君は泣きやんだ。カザマ君は「おかしいな」と屁理屈を並べようとしていたものの、そんな時間もなかったのだ。
光の玉は徐々に大きくなり、マサオ君がまた泣き出す前にオラたちの前に落ちた。
オラたち五人は気を失い、五人がいっせいに目が覚めたのは、新聞記事に見出しが躍った翌日の事だった。
『K市で園児五人の変死体が発見される』
たぶん、うれし泣きだった。
父ちゃんの伸びた髭が痛かったのを覚えている。後でみんなに訊いたら、どの家もそんなふうな反応だったらしい。
そうやって、オラたちは蘇った。
医療ミス、という言葉で片付けられるまでに一週間ほどかかり、その間は連日オラたちのニュースで持ちきりだった。
あのとき、父ちゃんと母ちゃんがマスコミを怒鳴りつけていなかったら、オラはぐれたりひきこもっていたりしてしまっていたかもしれない。
父ちゃん母ちゃんには、本当に頭が下がる。
あと、ワイドショーでまつざか先生が自慢げにオラたちのことを話していたのも忘れていない。
かくして大変な目にあったオラたちだが、再び集まるともっと大変なことになった。
みんながフシギなちからを手に入れていたのだ。
それを本能的に恐れたオラたちは、それを五人の秘密にし、かすかべ防衛隊を解散することにした。
子供ながらにも、危険な力だとはわかっていたのだ。
そして時は流れ、五人が五人就職し生活を持つようになった。
ネネちゃんに至っては、結婚もしている。
今日まで定期的に集まってはいたが、それはあくまで旧友としてだ。
いつの間にか防衛隊という言葉自体避けられ、タブーに近いものとなっていた。
そして――
カザマ君がベンチに愛ちゃんの屋敷の見取り図を広げ、説明を始めた。
マサオ「フェイクっつーと?」
ネネ「どこか別の場所に隠れてるってこと?」
カザマ「そうなんだけど、そうじゃない」
カザマ君はニヒルにわらってみせた。
そして、見取り図の中心を人差し指でトントンと叩き、言った。
カザマ「地下だ」
カザマ「昔の地図と比較したら、屋敷の下には防空壕があった。こんな辺鄙な土地に大企業の令嬢が引越してきたのがそもそもきな臭い。それに、屋敷の前の尋常じゃない警備はこの町に必要ない」淡々と言葉を並べた。
ネネ「愛ちゃんは無事かしら」
ネネちゃんが憂いを帯びた顔で言う。
ボー「無事でいてくれないと、困る」
ボーちゃんが口を開いた。渋みのかかった低音はどこかに懐かしさが残っていた。
残ったみんなが顔を合わせ、頷いた。
マサオ「しんちゃんのためにも」
ネネ「愛ちゃんのためにも」
しんのすけ・ボー「かすかべ防衛隊」
オラとボーちゃんの声が重なった。
みんな「ファイヤー!」
樽のような腕を前に組み、サングラスをかけている。夜なのにうっとおしい奴らだ。
少し離れた場所でそれを確認し、ため息をついた。
マサオ「俺が行くよ」
マサオ君が先陣を切って二人の前に向かった。
右手を水平に挙げ、手のひらで拳銃をかたちどった。
二人の屈強な男は、警戒の濃い色を帯びさせ、組んでいた腕をほどいた。
だが、遅かった。
マサオ君は突き出した手を軽く握り、はじいて音を鳴らした。
途端、片方の男が悲鳴を上げる。
うろたえる、片割れ。マサオは続けざまに反対の指もならす。
パチン
音に呼応するように、もう一人の男も悲鳴をあげた。
足もとから炎が立ち上っているのだ。
――パイロキネシス
念発火能力だ。
二人の男はもがきながらも無線機のようなものを操作しようとする。
マサオは指揮者のように、両手を広げ、ならした。
二つの無線機が音を立てて爆発した。
後にはススのようなものが散るのみで、それもすぐに夜の闇に紛れてしまった。
隠れていたネネちゃんは悪戯っぽく口角をあげ「その能力がないマサオ君は、今頃フリーターとかやってると思うわ」と言った。みんなが小さく笑った。
隠れていた場所に戻ってきたマサオ君は、笑っているみんなをみて首をかしげた。
刑務所の出入り口のように厳重なそれは、当然だが施錠されていた。
ずい、と一歩前に出たのはボーちゃんだ。
ボーちゃんは目をつむり、両手をひろげて突き出した。
すると、地鳴りにも近い音が局地的に起こり、どっしりとした鉄の壁がかたかたと震え始めた。
施錠が解除される音が何度も聞こえる。
そして、手を触れることなくドアは開かれた。
――サイコキネシス
念動力能力だ。
そう言ったボーちゃんの後にみんなが続く。
いちばん前はオラの定位置だったんだけどなあ。
カザマ「ちょっと待って!」
カザマ君が声をはりあげ、みんなが足を止めた。
ネネ「どうしたの?」
ネネちゃんの問いを黙殺し、カザマ君は地に手をつけた。
マサオ君のつばをのむ音が、やけに大きく聞こえる。
カザマ「ボーちゃん!」
ボーちゃんはすぐさまカザマ君のもとに駆け寄り、何度か頷くとすぐに両手を広げて念を込めた。
すると、近くの茂みからなになやら音がした。
しばらく待つと、赤いレーザーを発する機械が転がりでた。
即座にマサオ君がそれを焼いた。
おそらく、センサーを発する警報装置の類だろう。
彼は、地面の意志を、いわゆる残留思念といったものを読み取ったのだ。
――サイコメトリー
接触分析能力だ。
カザマ「こっちだ!」
カザマ君は正門を避け、裏庭にみんなを導いた。
オラ、いいとこ無しだゾ……。
噴水はこんこんとわき上がる水を湛え、花は話しあったかのように一斉に咲いている。
しんのすけ「夜なのに、不気味だゾ……」
カザマ君はオラの言葉も無視し、地に手をついた。
しばらくすると、マサオ君に目配せをする。
マサオ君は頷き、指を鳴らした。
噴水のわきの一帯が燃え上がり、四角く切り取られたコンクリートの出入り口を露わにした。
ボーちゃんが四角いパネル状の入り口を持ち挙げ、中を覗くと暗闇に梯子がおりていた。
ところどころに苔が群生しているようで、どうにも足もとが不安定だ。
しばらく待って、目を暗闇に慣れさせることにした。
しばらくして、景色がしっかりとした輪郭を持つようになった。
前を歩いていたカザマ君とマサオ君は壁伝いに歩き始めた。
突然、いちばん後ろを歩いていたネネちゃんが言った。
「カザマ君、あと二歩。マサオ君、あと五歩」
二人は足を止めて、ネネちゃんを振り返った。
ネネちゃんは子供のように笑っていた。
もちろん、ウサギのぬいぐるみだ。
ボーちゃんに向けてそれを放ると、二匹のウサギはふわふわと宙に浮いた。
目測でカザマ君の二歩先とマサオ君の五歩先までウサギを飛ばし、それぞれ落とした。
がこん!!!
派手な音と共に地面にぽっかりと穴が開いた。
マサオ君が発火で照らすと、一瞬だけ底が覗けた。
いや、底など無かった。奈落に程近い落とし穴だったのだ。
ウサギの落ちた音は聞こえずじまいだった。
ネネちゃんはくすくすと上品に笑った。
カザマ君とマサオ君は顔を合わせて苦笑した。
――プレコグニション
予知能力だ。
マサオ君の一瞬のあかりで再び真っ暗になってしまったオラたちは、
しばらくその場にとどまって、目を慣らしてから歩をすすめた。
カザマ君が用心深くドアノブを引くと、拍子抜けするほど簡単にドアは開いた。
想像以上の光量に、みんなは目を閉じた。
そして、ゆっくりと目を開けるとそこは広い部屋になっていた。
豪奢な家具が並び、暖炉まで設けられている。
部屋の真ん中で、ロッキングチェアに座る二人の背中が見えた。
一人はティーカップを片手にゆらゆらと揺れ、
もう一人は、ピクリともしていなかった。
揺れていたロッキングチェアが止まり、やつれた女性が振り向いた。
愛「あら、誰でしたっけ、あなた?」
マサオ「僕だよ、僕。マサオだよ」
愛「……?」
愛「ああ、ああ、あのオニギリ頭」
口もとに手を置いて笑う愛ちゃん。
カザマ君とネネちゃんは笑わなかった。
愛「と言うことは、隣の二人はネネちゃんとカザマ君ね」
二人は無言でうなずいた。
愛ちゃんは、まあそんなこといいけど、と言わんばかりにカップに口をつけた。
マサオ君の震える肩を、名前も挙がらないボーちゃんが叩いた。
カザマ君もネネちゃんも黙り込んでいる。
愛「ほら、しん様も挨拶なさったら?」
「懐かしい顔ぶれよ」と笑いながらもう一つのチェアを引き、こちらに向けた。
屋敷に入って来た『四人』は顔をそむけた。
しんのすけの腐乱死体から。
死ぬ直前に、四人に連絡したんだ。
――テレパシー
超感覚的知覚
オラのちからで、みんなに言ったのすっかり忘れてたゾ。
最初にカザマ君が差し伸べてくれたのはオラの遺影で、
四人たす遺影の五人で集まったんだ。
だからびみょうに会話が成り立ってなかったんだな!
もー、むねがどきどきしてたゾ!
愛ちゃんは訊いてもいないのに語り始めた。
愛「ほんとに、変わらず素敵でしたわ」
だから、この部屋に閉じ込めたの。
私だけのものにしたかったの。
もちろんご家族から捜索願もだされてたみたいだけど、
一ヶ月もしたら警察は捜査を辞め、自殺ってことになったわ。
お金って素敵よね。
どうして貴方達がここを知ったのかわ分からないけれど、
つい三日くらい前までは、身体は腐っても息はあったのよ?
さすが、私のしん様だわ。
恍惚とした表情の愛ちゃんは、お金って素敵ねとまたうわごとのように言った。
マサオ「うん、もっとはやく連絡すれば良かったのにな」
ネネ「そうね」
マサオ「しかも、久しぶりにしんちゃんの声がしたと思ったら」
カザマ「ああ、助けてくれとか、そんなんじゃなかったよな」
ネネ「なんであんなこと、最期に言ったのかしらね」
マサオ「そんなこと、わかってるっつのな」
カザマ「ああ、まったくだ」
ネネ「当り前よ」
ボー「当然」
――「かすかべ防衛隊は、永遠に不滅だゾ!」
愛ちゃんが「ナカムラ」と言うと、貫禄のあるスーツ姿の初老の男がどこからともなく現れた。
ナカムラは手際よくしんのすけを担ぎあげ、ずっしりとした本棚を側面から押した。
裏にあった隠し扉に愛ちゃんとしんのすけを担いだナカムラが滑りこむと、
扉はすぐに閉まり、四人は取り残されてしまった。
すべては一瞬の出来事だった。
カザマ「やられた」
ネネ「予知はできてたんだけど、ちょっと、ショックで」
マサオ「……あれを見たら、しかたねーよ」
カザマ君が隠し扉を押したり引いたりしてみるがびくともしない。
部屋には、敗戦の色が濃く落ちていた。
マサオ「言ったん出て、作戦の練り直しか」
ネネ「そうね。いったん引きましょう」
三人が苦しそうな顔でいると、ボーちゃんが口を開いた。
ボー「待てない」
三人がボーちゃんを見た。
ボー「待ってなんか、いられない!」
マサオ「でも、ここは行き止まりじゃ
ボー「あの執事が現れた入口があるはず!」
顔を合わせ、無言でうなずく、四人。
カザマ君はすぐさま地に手をあてた。
そして、四人は迷うことなくその中に飛び込んだ。
四つん這いになってやっと一人通れるくらいの通路をすすむと、
一般的な教室程度のひらけた場所に出た。
そこでは、みるからに頑丈そうな鉄製の鎧を身にまとった男が仁王立ちで立っていた。
男「ようこそ愛様の級友」
男は続けた。
男「ジャンプ漫画みたいな展開は嫌いかい?」
支援
男の先にはまた扉があった。
逆にいえば扉は二つしかない。後は、密閉された鉄の立方体だ。
男「あらかじめ言っておくと、この先には愛様がいるよ」
マサオ君以外の三人は走り出す姿勢を取っていた。
男「いや、先の先の先の先かな」
男が笑ったのと、マサオ君が指を鳴らしたのは同時だった。
男の目の前が発火し、咄嗟に男は目をつむる。
その隙に、三人は駆け出し次のドアへと進むことが出来たのだ。
男「まあね」
男は兜のようなものをかぶった。
鎧というよりは、西洋の甲冑に近いのかもしれない。
とにかく、男は完全に外界から遮断された。
男「この素材はね、燃えないんだよ、どんなに高温でもね」
男はククク、とマンガみたいに笑いながら言った。
男「門番も浮かばれるってもんだ」
マサオ君はやれやれと言わんばかりにネクタイを緩めた。
男「ここで死んでも、誰も気付かないんだよね」
いやらしい笑い方をする男だ。
マサオ「しんちゃん、俺はもう泣き虫じゃねえよ!」
マサオは手に力を込めた。
無機質な立方体だ。そして、やはり男が仁王立ちしていた。
男「……」
ネネ「!」
カザマ「ネネちゃん? どうした?」
ネネ「……この人、視えない」
男はジーパンに白シャツといった軽装だったが、
瞳は海のように深く、まったく思考が読み取れそうになかった。
ボー「じゃあ、ここは僕が行く」
カザマ「ああ、頼むぞボーちゃん」
ボーちゃんが一歩前に出ると、男は首を振ってネネちゃんを指さした。
ネネ「……ご指名はいっちゃったみたい」
カザマ「でも」
ネネ「さっきのマサオ君を見たでしょ。あれは一人ずつ分散させるのが目的なのよ」
カザマ「……視えないんだろ?」
ネネ「話し合ってる間に、しんちゃんは遠くにいっちゃう!!」
ボー「……行こう!」
カザマ「……」
カザマ「……ちゃんと追いついてくれよな」
ネネ「当然よ」
軽装の男はつかつかとネネちゃんに歩み寄ると、ニタリと笑った。
ネネちゃんは演技がかった声色で言う。
ネネ「ご指名ありがとうございまーす」
男が飛びかかった。
ネネ「リアルおままごとに、こんな設定なかったんだけどなあ」
ネネちゃんは男の拳を寸前で避けた。
ネネ「まあ、いいわ」
胸元からウサギのぬいぐるみを取り出す。
ネネ「レパートリーが増えるわね、しんちゃん」
今度の男は岩のような巨体だった。
腰に巻いた布以外はなにも身に着けておらず、鼻息荒く座っている。
立ってしまうと、部屋に入りきらないのだ。
カザマ「……どうやってこの部屋に入ったんだよ」
ボーちゃんは目をつむり力を入れてみたが、男はピクリとも動かない。
ボー「この部屋は、僕の担当みたい」
カザマ「……持ちあがらないの?」
ボー「うん。本気出せば少しは浮くと思う。でも、それだけ」
カザマ「……」
ボー「わかってるよね」
カザマ君は無言で走り出した。
次の扉へ向かって一直線に。
それは暴力の塊のような一撃で、扉はひしゃげ、つぶれてしまった。
男は大きな口をゆっくりと開き、かたことで言った
男「オレ、タタカワナイ」
ボー「……」
男「デモ、オマエ、イカセナイ」
ボーちゃんは煙草に火をつけ、ため息と一緒に紫煙を吐いた。
二口吸って、煙草を地面に落とし、踏み消す。
ボー「しんちゃん……」
男が興奮からか鼻息を荒げ、言った。
男「オレト、ガシ、シロ」
ボー「すぐ行くよ」
最後であろう部屋に待っていたのは、他でもないしんのすけだった。
正確にいえば、『しんのすけだったモノ』。
つぎはぎだらけの着ぐるみ。
いや、着ぐるみだなんてそんな可愛いものではない。
あちこちからどす黒い液体が滴り、腐敗臭があたり一面に漂う。
現実味のなさが、それがしんのすけであることをかえって主張していた。
しんのすけの皮を剥ぎ、それを被っているのは。
愛「待ちくたびれましたわ」
カザマ君は再び嘔吐した。
そして、涙もぬぐった。
カザマ「愛ちゃん!!!」
愛ちゃんはしんのすけの生皮をかぶり、
腕を、足を、胸を、頭を、腹を、性器を、
はじからはじまで執拗に撫で始めた。
もっとも、皮をかぶっている状態なので、
しんのすけ自身がしんのすけをまさぐっているように見えるのだが。
あいちゃんはしん様しん様、と、とりつかれた様に繰り返した。
くねくねとダンスでも踊るように身もだえる『しんのすけだったモノ』。
カザマ君はめまいで倒れそうになっていた。
カザマ君は抵抗する気力も失せ、その場に立ち尽くしていた。
触れるほどの距離まで二人は接近した。
そして遂に、カザマ君の手に『しんのすけだったモノ』が触れてしまった。
その瞬間、カザマ君の能力が発動した。
しんのすけの残留思念が流れ込んできたのだ。
ふと気付くと、目の前には本物のしんのすけがいた。
間違いない。それは、しんのすけだった。
しんのすけ「よっ! カザマ君! おひさしブリブリ!」
しんのすけ「おーっとすとっぷ! これ以上きちゃだめだぞ」
カザマ「助けに来たぞ! はやく戻ってこい!」
しんのすけ「うーん、それは無理なお願いだぞー」
カザマ「なんでだよ!?」
しんのすけ「オラ、死んでるぞー」
カザマ「……なんでヘラヘラ笑えるんだよ……」
しんのすけ「いやー、照れますなー」
カザマ「……」
しんのすけ「おー、知ってるぞ! お助けに来てくれたの、ずっと見てたぞ!」
カザマ「マサオ君も来てくれたよ」
しんのすけ「マサオ君はオニギリ頭で、泣き虫さんだからなあ」
カザマ「ああ、子供のころはそうだったよな」
しんのすけ「頼りないゾー」
カザマ「……いいや」
しんのすけ「うん、嘘だゾ」
カザマ「……ああ」
しんのすけ「すっごく頼れる、強い男だゾ!」
マサオは指をパチンと鳴らすと、甲冑の男は口から血を吐いて倒れた。
もっとも鉄の継ぎ目から血がこぼれただけで、口から吐いたかどうかは分からないが。
間もなく、甲冑の中がパチパチと燃え、音を立てて崩れ落ちた。
耐火甲冑は、確かに良くできた代物だった。
いっさい燃え溶けることなく、中身だけを焼き尽くしたのだから。
マサオ「脳味噌カラッカラで、中身を燃やしずらかったよ」
マサオ「……」
マサオ「……しんちゃんなら、どうやってやっつけたかなあ」
マサオ「……」
マサオ「……しんちゃん」
やはり、彼は今でも泣き虫だった。
しんのすけ「おままごとはもうごめんだゾー」
カザマ「色っぽくなったよ」
しんのすけ「考えられないゾー」
カザマ「それで、今も戦ってるよ」
しんのすけ「それはかんたんに想像できるなあ」
カザマ「……勝つところも?」
しんのすけ「当然だゾ!」
とっさにぬいぐるみを避けようとした男は、飛んできた蹴りに反応が間に合わなかった。
軽装の男が倒れる。が、すぐに起き上った。
ネネ「女になぐられるなんて、みっともないわねえ」
ネネちゃんは立ちあがった男にすぐ罵声を浴びせた。
男「……蹴られただけだ」
ネネ「一緒でしょー。あー、みっともない」
男「……」
ネネ「ウサギさんにびっくりしちゃったんでちゅかねー」
男「……」
ネネちゃんの役者のようなわざとらしい喋り方に、男は苛立っていた。
瞳の深さも、もはやうかがえない。
ネネちゃんはまた、悪戯っぽく笑った。
なぜなら、もう男の動きが『予知』できるようになっていたのだから。
ネネちゃんは男が飛び込んで繰る場所に拳を向けて――
しんのすけ「おー! ボーちゃんはボーちゃんのままだゾー!」
カザマ「僕たちの中で、いちばんカッコよくなったよ」
カザマ「背も伸びて、スタイルも良くなって」
しんのすけ「カザマ君はわかってないなー」
カザマ「……?」
しんのすけ「むかしっから、ボーちゃんがいちばんカッコよかったゾ!」
カザマ「……」
カザマ「そうだな」
そんなことを考えながら、ボーちゃんは座っていた。
巨体の男の口と鼻を念動力でふさいでから、もうすぐ5分になる。
はじめはじたばたともがいていた男も、腹をくくったようだ。
充血した目をつむって、その時を待っている。
それからさらに5分後、男は泡を吹いて肩から崩れ落ちた。
ボーちゃんは立ち上がり、ひしゃげたドアを念力でひっぺがした。
ドアを剥がすと崩れたコンクリートの欠片がうずたかく積まれ、道をふさいでいた。
ボーちゃんはそれをひとつひとつ丁寧にのける。
途中、めずらしい形の欠片を見つけた。
ボー「しんちゃんは、なんて言うかな」
ボー「……」
ボーちゃんは欠片をポケットにしまい、作業に戻った。
カザマ「……行くなよ!!」
しんのすけ「もー、カザマ君はさびしがり屋さんだなあ」
カザマ「しんのすけ……」
しんのすけ「お助けに来てくれて、ありがとうだゾ」
カザマ「……やめろよ」
しんのすけ「最後に、お願いがあるぞ」
カザマ「……なんだよ」
カザマ「なんだって言ってくれ」
カザマ「ちゃんと守るよ!」
カザマ「だから!!」
しんのすけ「それはね……」
カザマ「行かないでくれえ!!!」
しんのすけ「――――
不気味に踊りまわる『しんのすけだったモノ』。
呪詛のように親友の名前をつぶやく女性。
そして、しんのすけの願い。
カザマ君の頭は割れてしまいそうだった。
愛「ああ、はやくしん様と二人きりになりたいですわ」
愛「もう見せびらかすのは十分ね」
愛「行きましょ、しん様!」
カザマ「待てよ!」
愛「ナカムラ」
ナカムラ「はっ!」
一足でカザマの胸元に飛び込んだ執事は、
カザマに向かって体重の乗った右手を放った。
おそるおそる目を開けると、拳を振り上げたまま執事は静止していた。
ボー「おまたせ」
カザマ「ボーちゃん!!」
安心してか、腰が抜け、その場に座り込んでしまったカザマ君の上をぬいぐるみが通過した。
ネネ「間に合ったかしら?」
カザマ「ネネちゃん!!」
そして、ぬいぐるみが静止してる執事の顔の前で燃えた。
マサオ「なさけねーなあ」
カザマ「マサオくん!!」
愛ちゃん「よくも……」
『しんのすけだったモノ』を被った愛ちゃんに、カザマを除く三人は息をのんだ。
カザマ君は三人を落ち着かせるように、冷静な声で言った。
カザマ「しんのすけから、最期の願いをあずかってきた」
カザマ君は平静を取り戻していた。
それはもちろん、ほかの三人のおかげであった。
すぐさまさっきの事を三人に話す。
三人は初めこそ渋い顔をしたものの「しんちゃんらしいや」
と言い合って、笑顔になった。
愛ちゃんと対峙する四人。
迷いはなかった。
愛ちゃんはしん様しん様と叫びながら、身体を小刻みに震わせている。
マサオ君が震える手でしんのすけの皮を手に取る。
震えてはいたが、もう、泣いてはいなかった。
ネネちゃんは愛ちゃんの前に立ち、「謝りなさい」と言った。
愛ちゃんは聞こえていないのか、愛する男の名前を繰り返し続けた。
カザマ君は言った。
僕らは嫌だ。君を今すぐ消してやりた。
でも、しんのすけの願いだ。
それに付き合うとするよ。
カザマ君は同意を取るように他の三人を見まわす。
三人とも、力づよく頷いた。
大きく息を吸って、言った。
カザマ「愛ちゃん、君を、許すよ」
震えを止めるように自分自身の体を抱いた。それでも震えは止まらなかった。
ぱくぱくと口を動かし、開かれた目は忙しなく動き回っている。
カザマ「行こう」
そう言って、『五人』は来た道をゆっくりと戻り始めた。
マサオ「愛ちゃん、置いてくの?」
カザマ「連絡が無くなったら、絶対に誰か迎えにくるよ」
ネネ「それもそうね」
カザマは部屋を出るとき、愛ちゃんの口から、
ごめんなさい、と聞こえたような気がした。
でも、振り返らなかった。
もうすぐ夜が明ける。
話し合った末、今日のことは黙っていることにした。
もうしんのすけが戻ることはないのだし、彼の言う
「愛ちゃんを許してやってほしいゾ」というのは
おそらくそう言うことなんだと思う。
そもそも、僕たちの超能力を説明できないしね。
しんのすけの皮はマサオ君が焼いた。
さすがに泣いていたけれど。それは四人とも一緒だ。
わんわん泣いて、今日の疲れも一緒に流した。
疲れも、悲しみも、思い出も。
もちろん、四人だけで。
しんのすけの遺影を再び家からお借りした。
さすがにちょっと不審に思われたかもしれないけれど、
みさえさんとひろしさんはやつれた顔で笑っていた。
「いつまでも友達でいてくれてありがとう」
二人は本当にタフだ。
遺影に手を伸ばし、しんのすけに向けて言った。
カザマ「ほら、しんのすけ、早く行くぞ」
* * *
風間君がオラに手を差し伸べた。
西日が強く差し込み、焦点を合わせるのに時間がかかる。
黒い陽炎のようにぼやけた風間君は、徐々にクリアになって歯を覗かせた。
ため息交じりに笑った。
カザマ「みんな待ってるんだからさ」
しんのすけ「ほっほーい!」
(おわり)
乙
お疲れ
Entry ⇒ 2012.04.21 | Category ⇒ 版権物SS | Comments (0) | Trackbacks (0)
見崎「鳴たんマジ天使……リピート、アフターミー」榊原「え?」
http://hayabusa.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1334899598/
見崎「……もっと」ゾクッ
榊原「え?」
見崎「あと五回」
榊原「えっと……鳴たんマジ天使、鳴たんマジ天使、鳴たんマジ天使
鳴たんマジ天使、鳴たんマジ天使……あはは、なんだかこれ、恥ずかしいね――」
見崎「ハァッ!!」
榊原「!?」
その時目の前の少女の右目が大きく、そして蒼く輝いた。
見崎「妄執から生まれた邪教の輩よ!在るべき死へと還れ!!」
彼女がそう叫ぶと何処からか悲鳴が聞こえた。それは何処か物惜しそうで、それでいて、救済されたかのような……。
見崎「今、全ての死は死に還った。榊原君、貴方のおかげよ」そう言うと彼女は誰にでもなく高らかに宣言した。
見崎「夜見山スクールライフ、始まります」
義眼はすごい。僕はそう思った。
見崎「Anotherからホラーとスプラッタが浄化された。つまりこういうこと」
桜木「大変!お母さん無事見たいだけど心配だからお見舞いに行かなきゃ!ってきゃっ!階段で躓いちゃった!」ガッ
榊原「うおっと!?だ、大丈夫……?えっと、桜木さん?」ガシッ
桜木「さ、榊原君……///」
榊原「気を付けてね?」
桜木「は、はい///ご、ご迷惑をおかけして、申し訳ありません///それじゃぁわ、私は急いでおりますので、ま、また明日っ///」ピュゥー
榊原「ふぅ……案外桜木さんもそそっかしいところがあるんだね。それで見崎、どういうこと?」
見崎「……気を付けて……もう、始まっているかもしれない……」
勅使河原「おうサカキ、おっす。って、相変わらず二人で登校か?羨ましいぜ」
望月「本当に二人は仲が良いよね」
榊原「あっ、ははっ」
見崎「……」
榊原「(見崎がいつもどういうわけか家の前に居るから成り行きで一緒なだけなんだけど)」
榊原「え、あっ、やっ?」
榊原「(そんな悲しい目で見ないでよ見崎……)」
榊原「迷惑……なんかじゃないよ?見崎と一緒にいるの、結構気に入ったから、さ?」
勅使河原「おー!朝っぱらから見せつけてくれんなー!」
望月「榊原君って、おとなしそうな顔して結構やり手なんだね」
榊原「ちょっ、二人とも!そんなんじゃないから!」
見崎「……榊原君は、結構大胆……」
榊原「見崎!?」
ガラッ
「おはよう、みんな!」
勅使河原「おっす」
望月「おはよう」
見崎「……赤沢さん」
赤沢「ええ!今日も爽やかな朝ね!みんな、とっても輝いているわよ!」
赤沢「今日は夕日に向かって走ろうかしら!?ねぇ、良い考えだと思わない!?」
杉浦「疲れるだけよ」
赤沢「何言ってるの!そうして流された汗と涙で歴史は刻まれてきたのよ!?私達の中学校生活はこれで最後なんだから、目一杯楽しまないと!!」
綾野「良いこと言った!」
勅使河原「俺たちもかよ!?」
望月「赤沢さんは相変わらずだね」
杉浦「勝手にやってなさい」
綾野「おーっ!」
見崎「……」オー
榊原「……」
榊原「何かが違う……そんな気がするんだ」
見崎「……彼女の事ね」
榊原「うん……」
見崎「……私も、正直驚いている」
榊原「……この世界が見崎の鳴たんエンジェリックパワーによって浄化され、
それまで根付いていた災厄を禍根から燃やし尽くした、というのは教えてもらったけど……」
見崎「……これは私にも想定外……私の知る赤沢泉美さんは、あんな熱血じゃない……」
榊原「の、割に楽しんでいたよね……?」
見崎「きっと、バタフライエフェクト……私が災厄が始まってから、その過程で死んだ全ての人たちの死を無かったことに
したから、このような現象が起こったのだと思う」
榊原「なるほどね。たとえば、現象のある世界で通り魔によって殺された人は、現象の無い世界では、現象によって失われた何かしらの干渉を受けることによって
現象の無い世界では生存して生活している、ということか」
何かしらの差異が生じている。
私たち二人は修正に立ち会ったから、他の人たちとは別のステージから世界を見下ろしているがために違和感が起きている……」
榊原「……一度だけ会った赤沢さんは、もうちょっと棘のある人だったけど……でも、まぁ、そう考えると良かったってことなのかな?赤沢さんはあの現象の所為で何かを
失っていたのを取り戻して、あんな元気な姿になった、ってことはさ」
見崎「……榊原君」
榊原「でも……それなら今までの赤沢さんは――」
見崎「ハァッ!!」
榊原「!?」
その時目の前の見崎の目が大きく、蒼く輝いた。
「――ん……おにぃ……朝……?って、そうだお兄は――ぐすっ、ぐすっ――って寒!?」バッ
見崎「彼女も幸せにならなければいけない」見崎はそう言うと、全裸でむせび泣く赤沢さんにそっとブレザーを掛けた。
赤沢「見崎さ――どうして私裸なの!?えっ、あっ、いや、恒一君!?ちょっ、見ないでぇ!!」
義眼はすごい。僕は体育座りになって改めてそう思った。
赤沢「つまりどういうことなのよぉ!?なんであそこに私がいるの!?なんで夕日に向かって走っているの!?」
見崎「くっ……!」ガクッ
榊原「見崎!?」
赤沢「ちょっ、見崎さん!?大丈夫!?」
見崎「少し無理をし過ぎたみたい……」
榊原「大丈夫かい、見崎?立てる?」
見崎「……うん――くっ……!」
榊原「無理をしないでよ、見崎。仕方ない、ちょっと大人しくしていてね」ヒョイッ
見崎「あっ……」
赤沢「……あっ」
見崎「お、重くない……?」
榊原「全然?すごく軽いよ」
赤沢「……お姫様だっこ、良いなぁ……」
赤沢「も、もぅ///なんで私裸なのよぉ……」
見崎「ごめんなさい……」
赤沢「べ、別に見崎さんを責めているわけじゃ!」
榊原「そうだよ見崎。君が気負う事じゃないと思う。……とりあえず、僕の家に行こう。ここから一番近いしね。
そこで怜子さんの服を何着か借りよう。爺ちゃんと婆ちゃんは町内旅行で留守だし、怜子さんも最近残業続きだから
時間も十分にあるしね」
赤沢「こ、恒一君の家……///お、お邪魔じゃないかしら?」
榊原「だから、それは気にしなくていいよ。連れ込んで、何かしようってわけじゃないから、安心してね?」
赤沢「何かって、もぅ!!恒一君のスケベ///」ポカッ
榊原「いたっ!いや、だから、安心してってことで!」
赤沢「バカ///知らない///」
見崎「お邪魔します……」
赤沢「お、お邪魔します……///」
赤沢「俄かには、信じがたいわね」
榊原「でもそれが事実なんだ。僕たちが呼んでおいてなんだけれど、この世界では赤沢さんの方がイレギュラーだってことを、あらかじめ分かっていてほしい」
赤沢「現象のない世界の夜見山……そんな、此処に住む誰もが望むものを、見崎さんがたった一人で手に入れるなんて……」
見崎「……それは違う。これは、私と榊原君の力。……初めての、二人の共同作業」
赤沢「!?な、なんですって!?あ、あなたたちいいい一体、何をしたの!?」
榊原「な、何もしてないよ!ただ、ちょっと恥ずかしい呪文を唱えさせられただけで!」
赤沢「何よ、言ってみなさい!!」
榊原「め、鳴たん……マジ天使……」
赤沢「」
見崎「仕方がなかったの」
赤沢「そんなことができるなら初めから言ってよ!」
見崎「ごめんなさい、でも仕方がなかったの。――あのとき病院で、偶然榊原君に出会ったときに
確信したから……」
見崎「この人となら、出来るって」
榊原「ちょっ、見崎……なんだよその言い方///」
赤沢「~~!!いちゃついてんじゃないわよ!」
榊原「そんな!?僕は別に!!」
赤沢「……貴方達の勝手な都合で、現象が無くなったのは百歩譲って……いや、お礼を言いたいくらい感謝しているけれど……
でも、どうして私まで!?」
榊原「えっと、それは」
見崎「榊原君が、赤沢さんが幸せにならないと駄目だって」
赤沢「私?私なら幸せなんでしょう、この世界で――」
見崎「違う。貴方」
赤沢「……私?」
榊原「……僕の知っている赤沢さんは、赤沢さんじゃなかったから……だからどうしても、赤沢さんには
幸せになってほしいと思ったんだ」
赤沢「恒一君……」
榊原「……ごめん。僕らの、いや、僕の勝手な都合で君を呼び寄せてしまって……だけど、それなりの覚悟はしている。――赤沢さん。
君は、僕が幸せにするよ」ジッ
赤沢「……!?こ、ここここここ、こういちきゅん……!?」
赤沢「(そんな真剣な瞳で私の事を……し、ししししかも、それ、プロポーズじゃないっ!!)」
赤沢「きゅ、きゅぅ……」バタンッ
榊原「え、ちょっ、赤沢さん!?」
見崎「榊原君」
榊原「どうしよう見崎、赤沢さんが……!」
見崎「貴方……天然ジゴロ?」
榊原「へっ?」
見崎「彼女の家には彼女ではない赤沢泉美がいるから、連れ帰せはしない」
榊原「そうなると、事情に精通している僕の家か見崎の家だよね」
見崎「私の家はとりあえず交渉してみる。……榊原君の家に置いておくのは危険だから」
榊原「まぁ、もしそうなってくれると僕としてもありがたいな。年頃の女の子、それもこれだけの美人となんて
緊張するし、爺ちゃん婆ちゃんはともかく、怜子さんの説得は大変そうだし……もしもの時は、なんとかするけど」
見崎「……榊原君は、赤沢さんが好き?」
榊原「えっ、いや、まだそんな会ってから日も経ってないからなんとも……」
榊原「ちょっと!?なんて質問をしているんだ見崎!!」
見崎「……冗談」
榊原「冗談にしたって……心臓に悪いよ」
見崎「……罰」ボソッ
榊原「え?」
見崎「……なんでもない」
榊原「気になるよ、何さ?」
見崎「……今日は私も泊まるから。二人っきりじゃ、何が起こるか分からないからね」
見崎「一度、家に帰って、それから戻ってくるから。また後で」スタスタ
榊原「うん……」
榊原「……うん?」
赤沢「……zzz」
榊原「……赤沢さん、ぐっすり寝ているな……ごめんね、僕の我が侭に付き合せちゃって……
ちゃんと、責任は取るから」ナデ
赤沢「んっ……zzz」
榊原「ふふっ。寝ている赤沢さんって、案外可愛いなぁ」
榊原「さてと。今日はお客さんも居ることだし、少し頑張って料理を作ろうかな!」
榊原「~♪」
赤沢「……zzz」
赤沢「……zz」
赤沢「……z」
赤沢「……」
赤沢「……うぅ……」ボンッ
久々のss、楽しかったよ。付き合ってくれてありがとう
いまいちキャラの口調が分からなくてどうにも進行が遅れてすまない
来月の給料でたらAnotherの勉強します
それじゃまた此処ではない何処かで
できればもっと続けて欲しかったが
Entry ⇒ 2012.04.21 | Category ⇒ AnotherSS | Comments (0) | Trackbacks (0)
美希「ハニーの日記」
http://hayabusa.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1333281650/
春もうららかなこの季節。
一人目の担当アイドルである天海春香のプロデュースが一段落した。
結局Bランクという、惜しいところで任期が来てしまったのが悔やまれる。
春香はアイドルを続けるらしい。
一年という長いようで短かった時間を思い返すと、いろいろと思うこともあった。
ありがたいことに社長は俺との契約を続行してくれるとのことだったので、
次の担当アイドルからはこのノートに観察日記を付けていこうと思う。
次の次のアイドルやそれ以降のアイドル、はたまた関係者各位の趣味趣向を漏れなく記載すれば、
今後の役に立つだろうとおもったからだ。
じゃあ、明日の新しいアイドル(候補生)との会合に備えて、今日は寝るか。
明日からが楽しみだ。
この子が俺の新しい担当アイドルだった。
ウェーブのかかった長い金髪に、歳相応のかわいらしい顔がとても魅力的な子だ。
ただ、どうも礼儀を知らないようだ。
会って早々に、そこの人呼ばわりをされてしまった。
何とも前途多難なことだ。というか社長が話してるときに寝てんじゃねーよ。
というか社長も怒れよ。
あぁ、春香が恋しい。
俺の星井美希の第一印象は、
生意気ボディの礼儀知らずだった。
星井美希のプロデュースを頑張ろうと、気合を入れて出社した。
だが待てど暮らせど、美希が来ない。
当初予定していた時間から1時間程過ぎていた。
もしかして、事故か? 何て一人焦っていたら、美希がひょっこりと顔を出した。
美希に何かあったのかを聞くと、
「寝坊したの」
だそうだ。
俺の胃がやばいことになる気がしてきた。
まぁ、いい。初日だし今回は見逃してやろう。
美希に今度から遅刻するときは連絡しろと、注意だけですませた。
「はーい。わかったの。そこの人」
あくびの後の気の抜けた返事だった。
ていうかそこの人じゃねーよ。プロデューサーと呼べと、これまた注意した。
どうも先行きが不安で。
俺は自分の教育方針を見誤りそうな気がした。
これを見返す、何年後かの俺よ。先に謝っておく。
アイドルたるもの歌えることが大前提と、俺は思っているので、
とりあえず、美希の歌唱力を確認したかった。
するとどうだ。美希のやつ言うに事欠いて
「や」と一蹴しやがった。
どうやら、今日はダンスがしたいらしい。候補生のくせに。
今日は怒らない日と決めてしまっていたので、仕方なく美希にダンスをやらせてみた。
曲は春香の「I Want」
あれ、ダンスうまくね?
というか歌ってるし、それに春香より歌上手く(線で消されている)
今日のレッスンの収穫は、踊るのが好きみたいということだった。
どうもカッコいいのもイケるらしい。
これも今日の収穫。
社長が、あの子は原石だとか言っていた。
磨けば光りそうなのは確かみたいだが、いかんせんなめられている気がしてならない。
明日からはびしっと決めてやろう。
今日は寝る。
今日は営業に行ってきた。
音楽家や音響のお得意さんに、星井美希の売り込み挨拶をするつもりだったのだが。
案の定、遅刻しやがった。
しかも2時間。
さすがにこれはいかんだろと、美希をしかりつけたら
少し泣きそうになりながら、謝った。
さすがに謝れないほど、ゆとりではないらしい。よかった。
今日の収穫。
泣き目だったから、顔を洗ってこさせにいってる間に、社長に怒られた。
何故だ。
顔見知りが多いから緊張しなくていいぞって言ったら、
「緊張なんかしないよ」
と、何で緊張しなきゃいけないのって顔をしてたのが印象的だった。
見栄を張ってるわけでもなかった。これは大物なのか大バカなのか。
音響家さんたちとの挨拶はつつがなく終了。する訳がなかった。
美希のやつ、どでかいミキサーに興味を持ったと思ったら、ミキサーのつまみを引っこ抜きやがった。
それだけに飽き足らず、最近テレビでよく見る、新幹線少女(だっけ?)がレコーディングしているのを発見すると、
「生で聴きたい!」といって、スタジオに突撃しやがった。
俺は、関係各位に謝り倒して腰が痛くなった。
それに、君のとこのアイドルはホント面白いねーと、美希のことも覚えてもらえそうだった。
怪我の功名だよ。ほんと。
美希を注意すると、
「うるさいのー。別に美希悪くないもん」と悪びれた様子がなかった。
こいつは・・・・・・。
事務所でお説教すると、また社長の過保護で怒られそうなので、車の中でお説教してたら
やっぱり寝てやがった。
それと、これは悪いニュースで新幹線少女がいる事務所(こだまプロだった気がする)に、目を付けられてしまったみたいだ。(そりゃそうだよ)
事務所に帰ってから調べてみたんだが、ここの事務所は中堅どころで芸能界でもそこそこ幅が利くらしい。
これはやばいなー。
まぁ、くよくよしたって仕方ないからな。今日はもう寝る。
これまでの星井美希の失態を数えると憂鬱になりそうだ。
ただ、最近わかったことなのだが、どうやら美希は春香にあこがれているらしい。(ダンスも歌も春香の持ち歌ばかりを練習するからな)
それに、俺が春香のプロデュースをしていたと知ると、俺へのまなざしにちょっとだけ尊敬が含まれるようになった気がする。
それと、その日を境に俺への呼称が「そこの人」から「プロデューサー」に変わった。
だけど、基本的には面倒くさがりなのは変わらなかった。
これは、春香に協力してもらって、美希を更正させるしかないな。
これも最近知ったんだが、イチゴのババロアとおにぎりが大好きみたいだから、それを使って美希を釣ってやろうと思う。
結局春香の真似をするだけじゃ、アイドルとしては大成しないだろうしな。
近々アイドル活動の登竜門である「The Debut」が開催される。
どうにかしてこのオーディションに出してやりたい。
いつまでもアイドル候補生じゃ、モチベーションも上がらないだろうしな。
このオーディションで華やかなデビューをさせてやりたいもんだ。
さて、寝るか。
この間、書いた美希に他の曲をやらせてみようという計画を実行した。
結果だけで言うと、度肝を抜かれた。
レッスン時に、今日頑張ったらイチゴババロアの入ったおにぎりをくれてやろうと言ったら、
美希の目の色が変わった。(というかおにぎりにババロアってどうなんだろうか)
美希に我が765プロの楽曲である「THE IDOLM@STER」を躍せてみた。
トレーナーが美希の前で、一通りの流れを教える目的でダンスを踊ると、美希はすぐさま踊り始めた。
美希は荒削りながらも、「THE IDOLM@STER」を一回で踊りきりやがった。
当の美希は、
「結構簡単だね。あはっ☆」と笑っていた。
おいおい。これはひょっとするとものすごい子なんじゃないのか。
美希にもうすぐあるオーディションに参加しないかと持ちかけてみた。
すると美希は「めんどくさいから、や」と拒否してきた。
「そんなことより、約束のおにぎり! ちょうだい!」と。
ここで機嫌を損ねるのもアレなので、言うとおりにおにぎりとババロアを買ってやった。
俺の財布から一葉が消えた。
毎回、エサで釣ってると俺の財布が死んでしまうしなー。
ま、いいか。
そんなことは明日から考えよう。
オーディションは裏で進めて、当日バーンとやらせるのも最終手段としてとっておこう。
よし。美希の可能性を見ることが出来たし、やる気が出てきたぞ!
今日は寝る!
美希のオーディション参加の意欲を向上させるために、デビュー曲を作ることにした。(というか逃げ道を塞いでるだけ)
これで美希もやる気を出してくれるだろう!
美希にデビュー曲はどんなのが良いかと聞いてみると
「太陽のジェラシー!」と間髪入れずに言った。
ダメに決まってんだろ。
美希にケチと言われながらも、デビュー曲は可愛らしいものにするとこで落とした。
ちなみに美希のアイドル像は決まっていたりする。
美希のデビュー曲デモが完成した。
タイトルは「ふるふるフューチャー」ってこっぱずかしい名前のラブソングナンバー。
歌詞を見ても、口から砂糖がでそうなくらい甘ったるい。
まぁ、俺の想定だと最初の美希は可愛らしければ可愛らしいほど良い。
これを美希に聞かせてみたら
「カワイイの! ミキこの曲気に入っちゃたな。あはっ☆」とのことだった。
ご満悦のようだったが、「でも、ここの歌詞はミキ的にはちょっとなしかな」
どうやら「教えてダーリン 未来は何色?」の「ダーリン」が気に入らなかったらしい。
「ここ、ぜったい【ハニー】の方がカワイイの。プロデューサーもそう思うよね?」
と、聞かれたから、いいんじゃなかって答えておいた。
美希のアイドル像
・デビュー曲をカワイイのにする
・アイドルとしてそこそこ知名度が出たら、カッコいい曲に方向転換
・カッコいい美希を定着させる
⇒バカ売れ
わろた
前々から春香に合わせろとせっつかれていたので、スケジュールを見て、美希と春香を会わせてみた。
いったいどんな粗相を起こすかと不安ではあったが、思いのほか美希と春香は意気投合していた。
まぁ、歳も近いしこんなもんなのか。
ただ、春香と美希のジュースを買いに行って、戻ってきたら先ほどの和気あいあいとしたムードがなくなっていた。
何があったんだろうか。
先に出て行った春香を美希はにらんでるし。春香は春香で不適な笑みを浮かべてるし。
春香に聞いても美希に聞いても教えてくれなかった。
なんだなんだ? 年頃の娘さんはよくわからんな。
デビュー曲の練習を始めてから、美希に変化が出てきた。
遅刻がかなり減ってきたし、レッスンにもきちんと取り組むようになってきた。(というかそれが普通なんだよな)
そして何より大きな変化は、オーディションを受けたいと言い出したことだろうか。
前まで、どんな手を使っても「や」の一点張りだった美希がどういった心境の変化だろうか。
いや、俺としても事務所的にも嬉しいのに変わりは無いんだけど。
まぁ、美希がやる気を出してくれたんだったらそれでいいか。
そういえば、春香がメールなんでくれないんですかって怒ってたな。
可愛いやつめ。
春も終わりに差し掛かって、雨のにおいが近づいてきた気がする。
学生諸君は新学年になってから初めてのテストがあるみたいだ。
我が765プロの学生諸君も例に漏れず、事務所でテスト勉強に躍起になっている。
うーうーうなってるやよいの勉強をみてやった。
そういえば美希はテスト、大丈夫なんだろうか。
大丈夫じゃない気がするんだが。
大体の子のテストが帰ってきたらしい。
やよいは、教えたかいあって良い点数が取れたみたいだ。
伊織に頭をなでてもらってるやよいがとても可愛くて(線で消されている)
美希は当然のように、赤点をもらってきやがった。
そのことで、美希の姉にこっぴどくしかられたらしい。
今度から俺がテスト勉強を見てやると言ったら、
「ありがと」って照れながら言った。
なにこれ可愛い。
オーディションに向けて本格的なレッスンを開始した。
今日はボーカルレッスンをして、美希の声を調整する。
美希のセンスの良さは、前のダンスの時で知っていたし、歌も春香の歌の時に聴いていたから心配していなかったのだが、
「ふるふるフューチャー」を歌わせるとどうもぎこちない。
というかロボットみたいな抑揚のない状態だった。
なんでだ。
急遽予定を変更して、歌詞レッスンに切り替えた。
美希の歌についてトレーナーさんとうんうん言いながら考えていて、ひとつの仮定が出た。
・美希は春香の曲しか歌ってない(というか聴いていない)
・春香への憧れから、曲の情念を感じ取り、歌っていた
・今回の「ふるふるフューチャー」は一切春香が関与していない
つまり、美希の表現力はそこまで優れていない状態だということだった。
あながち間違ってない気がする。
予定を変更して、明日から表現力レッスンを行うことにするか。
美希の表現力を補うために、表現力レッスンと歌詞レッスンを並行して行うことにする。
表現力レッスンで美希の引き出しを増やし、歌詞レッスンでこの歌詞が伝えたいことは何かを考えさせる目論見だ。
美希自身、歌って踊りたいみたいだが、ここは我慢してもらった。
というか美希がわがままを言ってるときに、春香の名前を出すと言うことを聞くようになっていた。
なにこれ、春香バッジ最強じゃねーか。わるいみきはいうことをきいた!
美希に足りないものを伝えるときに渾身の一撃を放ってみた。
「お前に足りないものは、それは~ 情熱思想理念頭脳気品優雅さ勤勉さ!そしてェなによりも、表現力が足りない!!」
「なにそれ」
通じなかった。
今日は美希と二人で歌詞レッスンをしていた。
首をかしげながら歌詞に自分なりの注釈を入れていく美希が娘の(線で消されている)
妹のように感じた。
「ねぇ、ここってどういう意味なの?」美希が指差したところは「いっぱい ねぇ たくさんしてあげる」だった。
なんでこんなピンポイントの箇所だけ聞いて来るんだよ。
わざとか。
と思っていたら違うみたいで。美希は純粋だなぁ。
今日は予定を変更してから、初めてのボーカルレッスンを行った。
歌詞の意味を一言一言考えて歌ってみろ、と専門家ぶって美希に言ってやると。
素直に「はいなの」と返事してくれた。
最近、美希と良好な関係が築けている気がする。
美希が歌って俺とトレーナーはまた驚かされた。
甘ったるいだけと思っていた、「ふるふるフューチャー」が少し切なく聞こえた。
歌い終わった後に一番驚いていたのは美希のようだった。
美希自身、前の自分の「ふるふるフューチャー」に何の疑問も持っていなかったみたいだが、
歌に感情を乗せることがどれだけ、歌を変化させるのかを知ることができたみたいだ。
レッスン終了後に美希が唐突に
「ありがとプロデューサー! 実はすごい人なんだね!」と褒めてくれた。
美希の笑顔がまぶしかった。
美希はボーカルレッスンの出来の良さに気を良くしたみたいで、一層、表現力レッスンに打ち込んでいた。
「ふるふるフューチャー」を自分の解釈でどんどんアレンジしていた。
今日の「ふるふるフューチャー」は、少し思い込みの激しい女の子が勘違いから男の子に迫るという内容らしい。
・・・・・・ヤンデレ?
今まで、結構な数のアレンジを聞いてきて、美希は経験豊富で恋愛上手だと思っていたが、そうではないらしい。
休憩中の美希曰く「だって学校の男の子ってソーショクケーばっかりだもん」とのこと。
「それに・・・・・・」といった後に、さっさとレッスンに戻りやがった。
それに、なんだよ気になるじゃないか
「ふるふるフューチャー」もだいぶ形になってきたので、今日はレコーディングに行った。(前回美希が粗相を起こしたところだ)
この前の美希の破天荒な行動を覚えてる方が多いようで、大半のスタッフが美希を覚えていてくれたみたいだ。
美希ははじめてのレコーディングに少し戸惑っていて、やつも人の子かとか思っていたら、春香が現れた。
どうやら隣のブースでレコーディングしていたらしい。
美希がいることを聞いて、応援に駆けつけてくれたそうだ。やっぱり春香はいい子だなぁ。
春香が来てからというもの、美希は鬼気せまる勢いで、レコーディングを行っていき(そんな曲じゃないのに)、
当初予定していた時間よりも早くに収録が完了した。
美希はスタジオからブースから出てくると、「春香は?」と聞いた。
お前の歌を聞いて満足そうに帰ったぞ、と伝える。
美希はどこか悔しそうにしていた。
とうとう明日は「The Debut」のオーディションだ。
あのレコーディング以来、美希はいつにも増して、レッスンに取り組んでいた。
憧れの春香に見てもらうためなのだろう。
みるみる完成度が上がっていく美希を、傍らでずっと見ていた俺としては、感慨深いものがあるな。
いや、それは明日のオーディションに合格してからにしよう。
それに、このオーディションに合格して初めて、アイドルとしてのスタートラインに立つんだからな。
まだまだ先は長い。
美希にはさんざん振り回されたが、明日どういう形であれ、一区切りが付くんだ。
明日に備えて今日は寝る!
今日はオーディションに行ってきた。
美希はいつもどおり、緊張もあまりしていないようで一安心だ。
春香とともに何回もお世話になったTV局へ到着すると、例のごとく突風が吹き、美希のスカートを捲り上げた。
思わぬ眼福にまじまじと美希のライムグリーン(線で消されている)
美希に「突風アイドルー。なんちて」というと、ごみでも見るような目で見られた。
素直に謝ると、ぷりぷり怒りながらも許してくれたので良しとしよう。
美希も女の子なんだなーと改めて感じた。
初めてのオーディション受験者が多いのだろう、室内はとてもぴりぴりしていた。
美希は余裕の表情を浮かべて更衣室に向かった。俺は美希の勝利を確信した。
ジャージに着替えた美希が姿をあらわした直後に、審査員が控え室へ入ってきた。
俺の知っている審査員の人で、春香のデビュー時も彼女が審査をしていたはずだ。
オーディションの流れとルールを事細かに説明していく。
美希も真剣な表情で審査員を見ていた。
ここ一番でしっかりできる子なんだなと感心した。
最後に審査員は恒例の一言を美希にお願いした。(俺の顔が見えたからかもしれない)
「美希、余裕で合格すると思うな」
自信満々すぎて、審査員が顔を引きつらさせていたのが印象的だった。
「あれ? 美希なんか変なこと言った?」
本人は気づいていないようで、仕方なく美希のビックマウスっぷりを教えてやった。
すると、「美希、ウソついてないよ。この中だったら美希負けないって思うな」
周りから視線が痛い。
馬鹿やろー! 余計なことを言うんじゃない!
一気に空気の悪くなった控え室で、針のむしろ状態で出番を待つこと数十分。
ついに美希の番が回ってきた。
舞台袖で美希に、俺たちは一心同体だ! と声をかけるも
「イッシンドータイってなに?」と返された。
今度から国語の勉強も教えようと思う。
ただ、美希の余裕の表情が崩れていたのが気になった。
少し声が上ずっている。なんだ、やっぱり緊張してるんじゃないか。
照明が落とされて、音楽が流れると美希はいつも通りのように歌っていた。
歌いだしたら緊張がなくなったんだろうか。
美希の歌にダンス以外の審査員は、首を縦に振っていた。(そんなダンサブルなナンバーじゃないしな)
それすなわち、美希の表現力が万人に受け入れられる可能性があるということだ。
曲が終わると、美希は頭を下げて舞台袖に戻ってきて、俺に詰め掛けた。
「何で春香がいるの?」と。
春香が来ているらしい。
だから美希は、歌う前に緊張していたのか。
美希にとっても春香に見てもらえることは嬉しいことだろう。
どうも腑に落ちていない美希に、歌の出来は良かったぞと声をかけるも、
「そんなんじゃないの」と冷たく返された。
控え室に戻って、審査員の発表を待っていると、春香が入ってきた。
春香が今回の発表者らしい。
春香は俺の視線に気づくと、あぞとくもウインクしてきた。
可愛いやつめ。
美希の機嫌は晴れない。
美希は・・・・・・。
合格した。
詳しい点数はわからないが、少なくとも一位ではあるらしい。
春香は美希を連れて、番組の収録に向かった。
俺も春香の後を追って、スタジオへ行く。
美希は、ステージ衣装を着て、初めての舞台に立った。
スポットライトを浴びて笑う美希は、とてもキラキラしていてまるでお姫様に見えた。
今日この日から、美希はアイドルとしてのスタートラインに立つことが出来た。
明日からはもっとびしばししごいていこう。
これだからプロデュースはやめられない。
今日はもう寝る!
今日は本当に寝ます。
スレはまた立て直しますのでよろしくお願いします。
楽しみにしてる
Entry ⇒ 2012.04.21 | Category ⇒ アイマスSS | Comments (0) | Trackbacks (0)
ほむら「シュワッチ!」
http://hayabusa.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1334672915/
杏子「なんだよいきなり」
ほむら「魔法少女よりウルトラマンになりたかったわ」
まどか「えー」
マミ「というよりマンじゃないわよね・・・」
ほむら「マンなら皆にもあるじゃない」
マミ「黙りなさい」
まどか「ほむらちゃん最近になって見るようになったんだよ!」
杏子「その年齢でウルトラマンかよ・・・」
ほむら「特撮なんか子供の見るものと思っていたけど意外と奥が深かったわ」
杏子「え、いや皆はみてねーだろ」
まどか「わたしはメビウスとかコスモスが好きだよ」
杏子「見てんのかよ!?」
ほむら「やさしいあなたらしいわ素敵よまどか」
マミ「私はエースかタロウね」
杏子「マミもかよ!」
ほむら「二人ともあなたに似ているから?」
ほむら「体系とか首が飛んでったり必殺技を叫んだりとか色々似てるものね」
マミ「ティロ・ヴァーチカルでも撃ってやろうか」
杏子(皆見てんのかよ・・・どうしよう・・・レオしかみたことねぇ
杏子「遅せーぞ!さやか」
さやか「ごめんごめんところで何の話してたの?」
まどか「ウルトラマンだよ!」
さやか「えっウルトラマン?」
杏子「聞いてくれよこいつらこの歳にもなってウルトラマンだぜ?笑っちまうよな」
さやか「・・・・」
杏子「さやか?」
さやか「アグルーー!!!」
杏子「さやかーー!!」
まどか「さやかちゃん色だー」
さやか「そう!青トラマンはさやかちゃん色!つまりコスモスもヒカリもアグルもあたしの嫁になるのだー」
杏子(青いウルトラマンなんているんだ知らなかった・・・)
まどか「最初は敵対してたけど後半は名コンビだもんね~」
ほむら(青はトラブルメーカーなのも似ているわね)
ほむら「でも性格は逆よね」
まどか「たしかにツンデレは杏子ちゃんだよね」
杏子「誰がツンデレだコラ」
さやか「なるほど・・・つまり杏子もあたしの嫁になるのだー」
杏子「何言ってんだバカ///」
(今度ガイア見てみるか・・・)
マミ「あら?ノッてきたわね佐倉さん」
杏子「そういう訳じゃねえよアタシはレオぐらいしか知らないからさ光線技あんまり知らないんだよ」
ほむら「レオとは中々硬派ね」
まどか「杏子ちゃんらしいよね~」
マミ「やっぱりストリウム光線かメタリウム光線よね」
まどか「コズミューム光線とかメビュームシュートもかっこいいですよ」
さやか「フォトンクラッシャーも捨てがたいね」
ほむら「合体技一択ね」
マミ「あら?ノッてきたわね佐倉さん」
杏子「そういう訳じゃねえよアタシはレオぐらいしか知らないからさ光線技あんまり知らないんだよ」
ほむら「レオとは中々硬派ね」
まどか「杏子ちゃんらしいよね~」
マミ「やっぱりストリウム光線かメタリウム光線よね」
まどか「コズミューム光線とかメビュームシュートもかっこいいですよ」
さやか「フォトンクラッシャーも捨てがたいね」
ほむら「合体技一択ね」
まどか「合体技といえばスペースQだよ!」
さやか「バーストストリームだってかっこいいぞー」
ほむら「そんなことより私はまどかと合体したいわ」
杏子「自分から言い出したのに何いってんだこいつ」
杏子「よっしゃ!さやかウ、ウルトラダブルフラッシャーだ!!///」
さやか「それはちょっと・・・」
まどか「お、おう」
ほむら「あなたはどこまで愚かなの」
杏子「ちくしょおお!!」
(マミがすげえ期待した目で見てるけど無視しとこう・・・)
まどか「わたしの好きなのはナックル星人、ムルチ、ゼットンかな」
マミ「トラウマ怪獣ばかりね」
ほむら「あら?巴マミあなたはやっぱりエンマーゴかしら」
マミ「てめえ喧嘩売ってんのか」
さやか「あはは言うね~転校生」
ほむら「美樹さやかといえばホーかしらね」
さやか「てめえ喧嘩売ってんのか」
杏子(シルバーブルーメとノーバはマジで怖かったな・・・)
さやか「ぎりぎりまで頑張って~♪ぎりぎりまで踏ん張って~♪」
杏子「宇宙にきらめくエメラルド~♪」
まどか「悲しみなんかない世界愛を諦めたくない♪」
ほむら「誰よりもなによりも」
まどか「え?ほむらちゃん?」
ほむら「君だけを守りたい」
まどか「ほむらちゃん////」
マミ「平成だったらtake me higherや英雄とかもいいわよね」
さやか「beat on dream onはガチ」
杏子「えっあいつらスルーする流れなのこれ?」
ほむさやまどマミ「「そっその声はっ・・・!!」」
QB「やあ」
ほむら「出たわね契約淫獣インキュベーター!!」
杏子「怪獣みたいな肩書きだな」
QB「せめて超獣にしてほしいな」
QB「酷い言われ様だねところでこの様子からウルトラマンの話をしていたのかい?」
まどか「キュゥべぇウルトラマン知ってるの!?」
QB「もちろん知っているよ」
さやか「あんたテレビなんか見てんの?感情ないのに?」
QB「何か勘違いをしているみたいだけど彼らは架空の存在じゃないよ」
ほむさやまどマミ杏子「は?」
マミ「ホ、ホントなの?」
まどか「そんなの絶対おかしいよ・・・」
杏子「マジかよ・・・」
さやか「奇跡も魔法もあるしウルトラの星もあるのかな・・・」
QB「僕が嘘を言うはずないじゃないか」
QB「一回だけあるね」
さやか「なんで行ったのさ?」
QB「いや彼らとも契約できないかと思って」
ほむら「たいした度胸ね」
杏子「まず少女じゃねーだろ」
光の国
QB「僕と契約して魔法少女になってよ!」
ダブルモヒカン「二万年早いぜ!!」
QB「僕と契約しtダブルモヒカン「ブゥラックホールが吹き荒れるぜ!」
QB「ぼkダブルモヒカン「俺のビッグバンは・・・もう止められないぜぇっ!!」
QB「わけがわからないよ」
まどか「そんなことがあったんだ・・・」
さやか「そいつ色々ヤバイわね・・・」
QB「まあ帰りに嫌がらせで孵化直前のグリーフシードばら撒いたんだんだけどね」
杏子「何してんだよ」
QB「大丈夫も何も片手で握りつぶしちゃうんだもん」
ほむら「そういえば大きさに差がありすぎたわね・・・」
マミ「契約する意味ないわよね・・・」
QB「たくさんいるよ僕の母星も一度怪獣に襲われてね」
ほむら「ざまあww」
さやか「どんな奴だったのよ」
QB「名前は知らないけど真っ黒で角が生えたカミキリムシのような姿だったよ」
マミ「それって・・・」
さやか「キュゥべえもとんでもない奴に襲われたね」
母星
QB「君は何者だい?言葉は解かるかい?」
???「ピポポポポ」
QB「まあいいやとりあえず契y
ボワッ!!(一兆度)
QB「」
QB2「いきなり何すr
QB2「」
QB3「酷いじゃn
QB3「」
QB2314「」
ほむら「そのまま滅んでいればよかったのに」
まどか「いつかウルトラマン達にあってみたいな~」
QB「僕と契約すれば簡単に会えるよ」
ほむら「黙りなさい」パンッ!
QB「」
QB2「マジでやめてくれもうストックが少ないんだ」
QB(マズイな・・・皆は魔女化しないし鹿目まどかとも契約できそうにない)
QB(どうしよう・・・)
QB(ん?変だな母星との通信が切れた)
QB(一旦帰るか・・・)
全QB「」
QB「なっ・・・全滅しているだと・・・」
QB「いったい誰が・・・はっ!」
ハイパー???「ピポポポポ・・・・ゼェットォン・・・・」
QB「こんなのってないよ」
おわり
さっぱり終わったな
Entry ⇒ 2012.04.21 | Category ⇒ まどかマギカSS | Comments (0) | Trackbacks (0)
士郎「誰だよ!!和式便所で誤爆したのは!?」凛「」ビクッ
http://hayabusa.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1334751515/
士郎「ふんふーん」ガチャ
士郎「……!?」
士郎(おいおい……。誰だよ……)
士郎「……掃除しなきゃ」
士郎「……」ゴシゴシ
士郎(ここのトイレを使うのは、ライダーかセイバーだよな……)
士郎「……誤爆しておいてそのままにするなんて、考えにくいけど」
士郎「はぁ……」
凛「あ……士郎?」
士郎「遠坂」
凛「……」モジモジ
士郎「あ、悪い。離れのほうに行ってくれ」
凛「え?」
士郎「トイレ、使うんだろ?今、掃除中だから」
凛「え……あ、そ、そうなの……?」
士郎「なんだ?」
凛「な、なんでも、ないわ。ありがとう」
士郎「うん……?」
士郎「どうしたんだ?」
桜「離れのほうのおトイレ、しばらく使えません」
士郎「なんでさ?」
桜「ウォシュレットが出っ放しになっていて……」
士郎「なに?」
桜「ものすごい水浸しになってました」
士郎「誰だよ、そんな悪戯したやつ……」
凛「……」モジモジ
士郎「向こうは桜と遠坂、あとは……」
桜「藤村先生がたまに使いますね……」
士郎「藤ねえか……。ちょっと叱ってくる」
桜「私も行きます」
凛「あ……」
テレビ『なんでやねん!!』
大河「あははは~!!この人、バカだぁ!!」
セイバー「……」モグモグ
ガラッ!!
士郎「藤ねえ、ちょっといいか?」
大河「んえ?」
士郎「なんでウォシュレットを出っ放しさせてるんだよ」
桜「おかげでお掃除が大変なんですけど」
大河「なになに?何の話?」
士郎「離れのトイレだよ」
大河「知らない知らない。なんのこと?」
士郎「本当か?」
大河「しんじてよぉ!私、士郎に迷惑なんてかけたことないでしょ?!」
桜「今日、離れのトイレはお使いになられました?」
大河「今日はまだ一度もお手洗いにいってないけど」
士郎「そうなのか」
凛「……」コソコソ
セイバー「リン」
凛「な、なに!?」ビクッ
セイバー「この菓子は美味ですよ?どうぞ」
凛「うん……」
セイバー「どうやらタイガが悪戯をしたようですね」
凛「……」
セイバー「本人は否定していますが、シロウにばれるのも時間の問題でしょう」
凛「そ、そう……」
桜「わ、私じゃありませんよ!!」
士郎「……」チラッ
凛「……」モグモグ
士郎「遠坂?」
凛「……なに?」
士郎「ウォシュレット……」
凛「……」
士郎「……」
凛「違うから。私じゃないから」
士郎「だよな。じゃあ、故障でもしたんだろ」
桜「なら、しばらくは使わないほうがいいかもしれませんね」
士郎「掃除がてらちょっと見てくる」
桜「はい」
凛「……」
士郎「ちゃんと動くな」
士郎「故障じゃないのか?」
士郎「うーん」
ライダー「シロウ?よろしいでしょうか?」
士郎「ライダー?」
ライダー「えと……」
士郎「どうした?」
ライダー「お手洗いを……」
士郎「あ、悪い。でも、どうしてこっちに?」
ライダー「セイバーが使用していましたので」
士郎「そうか」
ライダー「……あの、出て行ってもらえると助かるのですが」
士郎「ご、ごめん!!」ダダッ
ライダー「ふふ……」
士郎「みんな、ちょっといいか?」
セイバー「なんでしょうか?」
凛「……」
桜「はい」
士郎「離れのほうのトイレだけど、念のためしばらく使わないようにしてくれ」
桜「わかりました」
セイバー「はい」
ライダー「ええ」
凛(使えないの……?)
士郎「どうしてもっていうときだけにしておいてくれるとありがたい。また故障したら大変だから」
桜「まぁ、今までに戻るだけですし」
セイバー「私は滅多に使いませんから」
凛(これから和式でしなきゃいけないの……?)
桜「はい?」
凛「和式に抵抗ないの?」
桜「……姉さんやセイバーさんがここに住むまでは、ずっとこちらのお手洗いを使ってましたから」
凛「そ、そう……」
桜「はい。ですので、別に抵抗はありません」
凛「ふーん」
桜「姉さんは抵抗があるんですか?」
凛「なんか疲れない?あとポジションがよくわからないっていうか」
桜「そうですか?私は姉さんやセイバーさんがここに住むまでは、ずっと使用していましたのでよくわかりません」
凛「そう」
桜「そんなに嫌なら姉さんは自宅のほうで済ませてきたらどうでしょうか?」
凛「だって、こっちにいるときのほうが多いし」
桜「そうですか」
凛「まぁ、慣れてないからね」
セイバー「私も初めてするときは困りましたから、仕方ありませんね」
凛「困ったの?どういうふうに?」
セイバー「不安になります。この位置で大丈夫なのかどうか」
凛「そ、そうよね」
ライダー「私も少々不便を感じるときがあります」
凛「そうなの?」
ライダー「そのまま屈んでしまうと、髪が床についてしまうので」
凛「やっぱり大変よね」
ライダー「はい。まぁ、慣れましたが」
凛「ここはあれよ。洋式にするべきね」
桜「姉さん?和式がそんなに苦手なんですか?」
凛「いや!!ほら、みんなの意見を聞いたらそうしたほうがいいかなって思っただけよ!!」
桜「……」
士郎「ん?」
凛「あのね……和式はやめて洋式にしない?」
士郎「なんでさ?」
凛「なんでって……ほら、ライダーとかセイバーも嫌だって言ってるし」
士郎「そんな話聞いたことないぞ?」
凛「言ってるの!!」
士郎「……」
凛「……」
士郎「ダメだ。いくらかかると思ってるんだ」
凛「なによ!!それぐらいの資産はあるでしょ!?」
士郎「遠坂?なにをそんなに必死になってるんだ?」
凛「そ、それは……」
士郎「……?」
凛「なんでもないわよ!!」
士郎「……トイレ」スタスタ
士郎「……」
ジャー
士郎(誰か入ってたのか)
ガチャ
セイバー「……おや、シロウ。どうぞ」
士郎「セイバー、もう寝るのか?」
セイバー「そうですね。そろそろ床につきます」
士郎「わかった。おやすみ」
セイバー「はい」
士郎「さてと……」ガチャ
士郎(セイバーはやっぱり綺麗に使ってくれてるな……)
士郎(あの誤爆……誰だ……?)
士郎「洗い物、終わり」
ライダー「シロウ?まだ寝ないのですか?」
士郎「ライダーか。何か飲む?」
ライダー「お茶で構いません」
士郎「よし」
ライダー「遅くまで家事をするとは……」
士郎「これが俺の仕事だからな。―――はい」
ライダー「ありがとうございます」
士郎「そうだ、ライダー。遠坂から聞いたんだけど、和式トイレに不満があるのか?」
ライダー「え?」
士郎「どうなんだ?」
ライダー「いえ。特にありません」
士郎「ほんとか?」
ライダー「まぁ……髪の毛が床につかないように気にするのは、少し煩わしいですが……」
ライダー「いえ。私の時代に比べれば大変快適です」
士郎「え?」
ライダー「なんですか?」
士郎「ライダーって女神みたいなもんだろ?トイレなんて……」
ライダー「デリカシーに欠けますよ、シロウ?」
士郎「わ、悪い」
ライダー「……私の時代では下水技術はそれなりに発達していました」
士郎「たしか。汚物処理場が川に直結してたんだっけ?」
ライダー「はい。まぁ、高層の建物に住んでいる者はそれを一階まで持っていかなくてはならなかったのですが」
ライダー「そのため、ずぼらな人間のせいで町中に糞便が撒き散らされていたこともあります」
士郎「うわぁ」
ライダー「そのときのことを思えば、現代の技術に注文をつけることなどできません」
士郎「じゃあ、ライダーも何かにしたあと、それを持って処理場まで行ってたのか?」
ライダー「……は、はい……そうで、すが……それを……聞いてどうするのですか……?」
ライダー「もう……知りませんっ」
士郎「ライダー?」
ライダー「おやすみなさい」
士郎「う、うん」
士郎「……ライダー、変だったな」
士郎(ともあれ、ライダーも別段不便に思ってるところはないみたいだ)
士郎(和式のままでいいか)
士郎「さて、俺も寝るか」
士郎(でも、トイレを汚したらちゃんと掃除してほしいな……)
士郎(次に使う人が困るし……)
ジャー
桜「……はぁ」
士郎「桜、おはよう」
桜「あ、先輩」
士郎「どうした?元気ないな」
桜「え?!い、いや、別に!!」
士郎「どうしたんだ?体の調子でも悪いのか?」
桜「せ、先輩が気にすることでは……」
士郎「桜!!なにいってるんだ!!なにかあるなら言ってくれ!!」
桜「え……いや……ですから……ん……」
士郎「桜……言ってくれなきゃ、わからないだろ」
桜「だ、だから……べ……ん……」
士郎「桜、なんでも言ってくれ。すぐに薬を持ってくるから。腹痛か?」
桜「べん、ぴ……なんで……先輩が気にしても……」カァァ
桜「失礼します!!」ダダッ
士郎「桜……」
セイバー「シロウ?」
士郎「おはよう、セイバー」
セイバー「手洗いを利用してもよろしいですか?」
士郎「あ、ああ」
セイバー「お先に失礼します」ガチャ
士郎「桜……言ってくれればよかったのに……」
セイバー『あの……シロウ?』
士郎「どうした?紙がなくなったのか?」
セイバー『できれば扉から離れていてくれると……』
士郎「あ、ごめん!!そうだよな!!どうかしてた!!」
セイバー『申し訳ありません』
士郎(はぁ……何やってんだ、俺。しっかりしないと、セイバーに嫌われる……)
凛「ねえ、士郎?」
士郎「ん?」
凛「洋式トイレの件はどうなったの?」
士郎「え?いや、しないぞ」
凛「どうしてよ?」
士郎「ライダーも特に不満はないっていってたぞ」
凛「それは士郎に気を遣ってるのよ」
士郎「そうなのか……?」
セイバー「シロウ、屋敷内の巡回が終わりました」
士郎「ごくろうさま、セイバー。ごはんにするか」
セイバー「はい」
凛「セイバー、いいところに!!ちょっと、セイバーからも言ってよ」
セイバー「何をですか?」
凛「洋式のほうがいいわよね?ね?」
凛「そんなぁ」
士郎「遠坂、ご飯の時間にそんな話をするな」
凛「でも、これは結構大事なことだと思うのよ!!」
士郎「ごはんを食べ終わってからにしような」
セイバー「リン。私が不便に思わないのは、現代の水洗技術がとても進歩しているからです」
凛「えー?」
セイバー「いいですか?私の時代では道に糞尿がそのまま放り投げられるなんて当然でした」
士郎「……」
セイバー「また、貴族であっても草むらで用を足すこともありましたし、貴婦人が着用していた傘のように広がるスカートはそのために開発されたような―――」
士郎「セイバー」
セイバー「はい」
士郎「ご飯抜きな」
セイバー「な、なんですか?!」
凛「そういえば、セイバーってその時代、どうやって処理してたの?」
セイバー「専用の容器に排泄していました」
凛「それはどうやって処理してたの?」
セイバー「きちんと処理場で処理されていたと思います」
凛「なんか窓から捨ててるイメージがあるんだけど」
セイバー「処理する者がいい加減だったのならば、その可能性もあるでしょうね」
凛「そっか……。それと比較したら、和式なんて苦じゃないのね」
セイバー「はい。私専用のものはそれなりに大きなモノでしたが、下人になると矮小なモノを使用していたようです」
凛「ふーん。はみ出たりしなかったの?」
セイバー「実は……なんどか……」
士郎「おい!!」
凛「な、なに!?」
士郎「ここでそんな話をするな!!」
セイバー「も、もうしわけ、ありません……」
凛「ごめんね、セイバー?朝ごはん、食べ損なっちゃったみたいで」
セイバー「一食ぐらい平気です」グゥ~
凛「フランスパンならあるけど」
セイバー「……頂きます」
凛(にしても、セイバーもライダーも自分の時代と比べてるから今のままでもいいんでしょうね……)
凛「このままじゃあ……」
セイバー「リン?どうしてそこまで洋式に拘るのですか?」
凛「だって、ほら……使いにくいの!!現代っ子としては!!」
セイバー「そうなのですか?」
凛「そうよ。なんか難しいのよ」
セイバー「でしたら、イリヤスフィールもここへ来るたびに不便に感じていたのかもしれませんね」
凛「イリヤ?」
セイバー「はい」
凛(そうだ!イリヤがいるじゃない!!士郎はイリヤに甘いから……味方にできれば……)
凛「……」トゥルルル
セラ『―――はい?』
凛「えっと、イリヤはいる?」
セラ『ご用件は?』
凛「話があるの」
セラ『少々お待ちください』
イリヤ『―――もっしもーし』
凛「イリヤ?ちょっと今から士郎のところにこれる?」
イリヤ『いいけど、なにかあるの?』
凛「話したい事があるのよ」
イリヤ『リンがこっちにきたらいいじゃない』
凛「あんたのところは居心地が悪いのよ!!」
イリヤ『ま、いいけどー。シロウにあえるしー』
凛「じゃあ、よろしくね」
イリヤ「きたよー」
凛「こっちこっち」
イリヤ「シロウは?」
凛「買い物。イリヤが来るって言ったらおやつ買ってくるって」
イリヤ「別にいいのに。私を抱きしめてくれるだけで」
凛「ところでイリヤ。この家で用を足すとき、和式のほう使ってるでしょ?」
イリヤ「リン?淑女としてそう言う話は慎んだほうがいいわよ?」
凛「大事なことなの!!」
イリヤ「……使ってるけど、それがなに?」
凛「不便に感じてるわよね?ね?」
イリヤ「そうね。すごく不安になるわ。寒いときは冷えちゃうし」
凛「そうよね?なんていうか、汚れる気がしない?服とか」
イリヤ「いいえ。そんな心配はないわ。和式で済ませるときは全部脱いじゃうから」
凛「え……」
凛「そうなの……。じゃあ、洋式なら全部脱いでないのね?」
イリヤ「服は脱ぐわ。下着はつけたままで大丈夫だけど」
凛「まぁいいわ。とにかく和式よりも洋式のほうがいいわよね?」
イリヤ「うーん……」
凛「いちいち、下着まで脱ぐとか面倒でしょ?」
イリヤ「でも、体勢でいえば和式のほうが事後処理しやすいとは思うけど」
凛「えー?!」
イリヤ「うん」
凛「でもでも、困らない?その……位置とか……」
イリヤ「あー、そうね。はみ出ちゃうかもって毎回―――ってリン!!私になんてこといわせるのよ!!」
凛「大事なことなのよぉ!!」
イリヤ「別に私は和式でも気にしないし。それともリンはなにか和式に苦い思い出でもあるの?」
凛「な、ないわよ!!!」
イリヤ「ならいいじゃない、現状維持で」
イリヤ「シロウはまだかな……」
ガラッ
桜「あれ?姉さん、イリヤさんも」
イリヤ「お邪魔してるわよ」
桜「どうも。そーだ。イリヤさん、おやついりますか?」
イリヤ「なになに?」
桜「先輩が作ってくれたヨーグルトなんですけど。そろそろ出来上がってると思いますので」
イリヤ「シロウの?!たべるたべる!!」
桜「姉さんもどうですか?」
凛「いいけど。なんでヨーグルトなんてあいつが作ってんの?」
桜「い、いいじゃないですか!!それは別に!!」
凛「あいつ、お腹の調子でも悪いのかしら……?」
桜「あはは……」
イリヤ「サクラ、早くもってきて」
桜「……美味しいですね」
凛「まぁまぁね」
ガラッ
士郎「ただいま」
イリヤ「しろー!!!」ギュッ
士郎「なんだ、イリヤ。もう来てたのか」
イリヤ「うん!」
桜「先輩。ヨーグルト頂いてます」
士郎「ちゃんとできてたか?」
桜「はい。おいしいです」
イリヤ「ほら、シロウ?あーん」
士郎「イリヤ……」
イリヤ「あーん!」
士郎「はいはい……」
士郎「ぶっ!?」
桜「先輩!!あーん!!」
士郎「ちょっと待て、桜!!」
凛「ほら、食べさせてあげるわよ」
士郎「そんなにいらないって!!」
イリヤ「私が舐めたスプーンでしか、シロウは食べないんだもんねー?」
士郎「変な言い方するな!!」
凛「……!!」
桜「……」ギリッ
士郎「イリヤ、今日は泊まっていくか?」
イリヤ「勿論よ。庭にバーサーカーもいるから」
士郎「そうなのか」
セイバー「―――シロウ!!!バーサーカーが庭で草むしりを!!!」ガラッ
凛「気づくの遅いわよ、セイバー?」
士郎「これは桜のために作ったんだけど……」
セイバー「サクラだけ贔屓ですか。そうですか」ムスッ
士郎「そういうことじゃ……」
桜「先輩、いいじゃないですか」
士郎「桜がいいなら」
桜「それじゃあ、私の為に先輩が作ってくれたヨーグルトを今、お持ちしますね?」
セイバー「お願いします」
桜「はい」
士郎「はぁ……」
イリヤ「ねえねえ、どうしてヨーグルトとサクラのために作ってあげたの?」
士郎「それは桜がべん―――」
桜「先輩!!」
士郎「え?」
凛「デリカシーのないやつ……」
士郎「桜、ちょっと」
桜「はい?晩御飯の下拵えですか?」
士郎「桜のために食物繊維が多めの食材を選んできた」
桜「先輩……」
士郎「結構辛いんだろ?」
桜「うれしいです……せんぱい……」
士郎「じゃあ、どうするか」
桜「そうですね。グアムとか……」
士郎「え?」
桜「フランスとか……」
凛「ごちそうさま」
セイバー「シロウ!!おかわり!!」
イリヤ「しろー!!おやつー!!」
士郎「おかわりはないぞ、セイバー。おやつはそれで終わりだ、イリヤ」
士郎「夜10時のおやつにしような」
イリヤ「ぶー」
セイバー「シロウ、私には?」
士郎「ちゃんとあるから」
凛「それじゃあ、部屋に戻ってるわ」
士郎「わかった」
桜「先輩、オーストラリアでもいいですけど……」
士郎「桜?なんの話だよ?」
セイバー「おやつが楽しみですね、イリヤ?」
イリヤ「うん」
士郎「桜、手伝ってくれ」
桜「はぁい」
大河「しろー?なんか豆類おおくね?」
士郎「文句があるなら食わなくていいぞ?」
桜「……」パクパク
イリヤ「むむ……」プルプル
セイバー「イリヤ?」
イリヤ「お箸で豆をつまむの難しい……」プルプル
セイバー「そうですか?」ヒョイヒョイ
イリヤ「くやしぃ……!!」ポロッ
ライダー「……」モグモグ
士郎「ライダー、美味しいか?」
ライダー「ええ。問題ありません」
イリヤ「しろー!!フォークとナイフ!!」
士郎「はいはい」
凛(無駄にお通じがよくなりそう……)
イリヤ「シロウ、お風呂」
士郎「もう準備できてるから、入ってきていいぞ」ゴシゴシ
イリヤ「シロウがいれてー?」
士郎「そうしたいのは山々だけど、洗い物が―――」
凛「……」ギロッ
桜「……」ギロッ
士郎「えっと、セイバーに入れてもらってくれ」
イリヤ「仕方ないわね……。セイバー!!」
セイバー「はい」
イリヤ「私とお風呂にいきましょう」
セイバー「わかりました」
ライダー「シロウ、洗い物お手伝いしましょうか?」
士郎「いいからいいから。ゆっくりしててくれ」
大河「ふわぁぁ」
士郎「藤ねえ、そろそろ帰らなくていいのか?」
大河「桜ちゃんは泊まっていくの?」
桜「はい」
大河「んじゃ、一人寂しくかえりますかぁ」
士郎「送っていこうか?」
大河「いいっていいって。―――あ」
士郎「どうした?」
大河「でも、ちょっと士郎と離れるのが恋しくなってきちゃった」
士郎「え……」
大河「だから、トイレに私の匂いを染み込ませてから帰る」トコトコ
士郎「普通にいけよ!!」
イリヤ「しろー。おやつー」
セイバー「おやつを」
士郎「はいはい」
桜「姉さん、お風呂空きましたよ?」
凛「おっけー」
士郎「はい、二人とも」
イリヤ「わーい」
セイバー「頂きます」
士郎(ちょっとトイレ……)スタスタ
桜「あ、先輩。今、ライダーが」
士郎「え?そうなのか?」
桜「はい」
士郎「ま、いいか」
士郎(そろそろいいか)スクッ
イリヤ「よっと」スクッ
士郎「ん?イリヤ、どこいくんだ?」
イリヤ「シロウ?レディに対して失礼よ?」
セイバー「イリヤは催したみたいです」
士郎「そうか」
イリヤ「もう!!セイバー!!」
セイバー「え?」
イリヤ「あ、シロウ……先に行きたい?」
士郎「ううん。イリヤが先でいいぞ」
イリヤ「ありがとう。―――私のすぐあとに入っていいからね、シロウ?」
士郎「わかった」
イリヤ「ちょっと!!そこは恥ずかしがってくれないと私が恥ずかしいんだけど!!」
士郎「え……?そうなのか、悪い」
セイバー「おかえりなさい」
イリヤ「ただいま」
士郎「じゃあ、俺も―――」
イリヤ「シロウ!!」
士郎「え?」
イリヤ「あと10分……いいえ、30分は待って」
士郎「なんで?」
イリヤ「なんでも!!」
士郎「いやでも……」
イリヤ「……」
士郎「はぁ……わかった」
イリヤ「よし」
士郎「どうして……」
桜「ふわぁぁ……ねむくなっちゃった……」
イリヤ「それじゃあ、そろそろ寝るわ」
セイバー「一緒に行きましょう」
イリヤ「うん」
士郎「おやすみ、イリヤ。セイバー」
セイバー「おやすみなさい」
士郎「さて……トイレにいくか。そろそろ限界だ」
士郎「……」スタスタ
士郎「……」ガチャッガチャッ
士郎(あれ?開かない)
桜『はいってます』
士郎「桜か」
桜『先輩!?きゃー!!!きゃー!!!』
ジャー!!!!
士郎「もう出るのか?」
桜『先輩!!あの!!もう少しかかります!!』
士郎「そうか」
桜『すいませ―――』
ジャー!!!
士郎(なんで何回も流すんだ……?)
士郎「仕方ないな……離れのトイレを使うか」
士郎(ついでにもう一度、トイレの様子も見ておくか)
士郎(桜も遠坂もこっちまでくるの大変だろうし)
士郎「……」スタスタ
士郎「……ふぅ」
ジャー
士郎「問題はないみたいだな……」
士郎「よし……明日から離れのトイレは解禁にしておくか」
士郎「……」スタスタ
士郎(寝る前に筋トレでもするか)
士郎(道場に……)
凛「うぅ……」
士郎「遠坂?どうした?」
凛「ちょっとお腹が……」
士郎「大丈夫か?」
凛「うん……」ヨロヨロ
士郎「……」
士郎(あ、言っとけばよかったな。もう離れのトイレ使ってもいいって)
士郎「ふっ!ふっ!!」
セイバー「士郎」
士郎「セイバー?どうした?」
セイバー「あの……手洗いに行こうと思ったのですが……」
士郎「え?」
セイバー「申し訳ありません。こちらにきてもらえますか?」
士郎「わかった」
セイバー「……」スタスタ
士郎(なんだ……?)
セイバー「中を」
士郎「……」ガチャッ
士郎「―――セイバー?」
セイバー「わ、私ではありません!!」
士郎「とりあえず掃除しないとな」
セイバー「お任せしてもよろしいでしょうか……」
士郎「ああ。手洗いなら離れのほうを使ってくれ」
セイバー「わかりました」
士郎(盛大に誤爆してるな……)
士郎(はぁ……どうして……)
凛「し、士郎……!!」
士郎「遠坂。悪い、ちょっと掃除するから」
凛「えっと……」
士郎「何だ、掃除用具もってきてくれたのか。ありがとう、遠坂」
凛「……」
士郎「こんなの見るほうも気持ち悪いのに」
凛「……」
士郎「遠坂?どうした?」
凛「え?なに?」
士郎「いや、黙ってるから」
凛「べ、べつに……いいでしょ……」
士郎「誰がこんなことを……」ゴシゴシ
凛「わ、わたしがやるわよ……士郎……」
士郎「いいよ。遠坂にこんな汚れ仕事させるわけにはいかないだろ?」
凛「だけど……」
士郎「今度から張り紙でも貼っとくか」
凛「うぅ……」
士郎「ライダー」
ライダー「このような夜更けに清掃なんて……」
士郎「それが―――」
凛「士郎!!」
士郎「な、なんだよ?」
凛「(あんた以外は女しかいないのよ?!それわかってる?!)」
士郎「(わかってるけど)」
凛「(なら、こんな惨状を広げられた恥ずかしいでしょ!?)」
士郎「(そうか……)」
ライダー「シロウ?」
士郎「いや、ちょっと汚れが気になって」
ライダー「確かに水回りは清潔にこしたことはありませんね」
凛「はぁ……」
凛(もういや……死にたい……)
桜「セイバーさん?」
セイバー「サクラ」
桜「どうしてそこのおトイレから……?」
セイバー「それが向こうのトイレは凄惨な事態に」
桜「ど、どういうことですか?」
セイバー「誰かが汚物を撒き散らしていました」
桜「え!?」
セイバー「今、シロウが清掃を行っています」
桜「そんな……」
セイバー「どうしたらあのようなことができるのか……」
桜「セイバーさんの前って誰が入ってました?」
セイバー「分かりません」
桜「そうですか……」
桜「私が使ったときは綺麗でした」
セイバー「ということは、タイガではありませんね」
桜「ライダーも違います」
セイバー「ちょっと待ってください。そうなるとイリヤスフィールも違うことになります」
桜「まさか……先輩……?」
セイバー「シロウは道場にいました」
桜「そんな……ということは……」
セイバー「一人しかいませんね」
桜「……」
セイバー「離れのトイレは使用できるようになりました。リンが間違いを犯すことはないでしょう」
桜「セイバーさん……」
セイバー「はい?」
桜「どうして、その掃除を先輩が……?普通は姉さんが……するべきですよね?」
セイバー「私がシロウを呼びにいってしまったのが悪いのです。リンだってそのまま逃走したわけではないでしょう」
凛「……」ソワソワ
士郎「なんだよ、遠坂?俺が掃除してるの、そんなに珍しいか?」
凛「そういうわけじゃ……。……ありがとう」
ジャー!!
士郎「これでいいな。遠坂、トイレ使うか?」
凛「いい……」
士郎「そうか。そうそう。離れのトイレだけど―――」
桜「姉さん」
凛「桜……!?」
桜「ちょっと」
凛「え……」
桜「お話があります」
凛「さくら……あの……」
桜「私の部屋でゆっくりと話しましょう」
桜「トイレを汚したの、姉さんなんですか?」
凛「……」
桜「姉さん?」
凛「ち、ちがう」
桜「……」
凛「私は汚してない」
桜「でも、おかしいですね。私が入ったときは綺麗でしたよ?」
凛「……っ」
桜「姉さん?」
凛(やばい……このままじゃ……私……)
桜「答えてください、姉さん」
凛「うぅ……」プルプル
セイバー「シロウ、サクラは?」
士郎「遠坂を連れて部屋に」
セイバー「むむ……」
イリヤ「ふわぁ……どうかしたの?」
士郎「イリヤ」
ライダー「何の騒ぎですか?」
士郎「それが桜が遠坂を連れていって。少し様子が変なんだ」
イリヤ「なにかあったの?」
セイバー(リンの尊厳を守るために何もいわないほうがいいのでしょうか……)
ライダー「トイレが汚れていた件に関係があるのですね?」
士郎「た、多分」
イリヤ「トイレが汚れてた?」
セイバー「はい」
イリヤ「ふーん……」
凛「だ、だから、私じゃないって……!!」
桜「最後にあのトイレを使用したのは姉さんです。姉さん以外に汚せる人なんて―――」
ガチャ
イリヤ「―――サクラ、ちょっとまって」
桜「イリヤさん!?」
凛「え……?」
イリヤ「セイバーから話は聞いたわ。確かに最後に入ったのはリンね」
セイバー「申し訳ありません」
桜「だから―――」
イリヤ「でも、サクラという可能性だってあるわ」
桜「え?!?」
凛「……!?」
ライダー「イリヤスフィール……一体なにを……?」
桜「ちょっと待ってください!!どうしてそうなるんですか!?」
桜「そのときは綺麗でした!!」
イリヤ「それを証明する映像でもある?」
桜「……な、ないですけど」
イリヤ「リンに罪を擦り付けるために、こういうことを……」
セイバー「サクラ……」
ライダー「サクラはそのようなことをしません!!」
凛「あの……」
桜「和式トイレは使い慣れてます!!そんなミスをすることなんてありえません!!」
イリヤ「今日、シロウが口を滑らせていたけど。貴女、便秘だったんでしょ?」
桜「そ、それがなにか……?」
イリヤ「急に便意を催して、慌てたんじゃないの?」
桜「何がいいたいんですか……!!」
イリヤ「離れからは遠い。慌てていた貴女だからこそ的を外してしまった。とも考えられる」
桜「なっ……!?」
桜「確かに少しびっくりしましたけど!!」
イリヤ「認めるのね?」
桜「そんなの憶測じゃないですか!!」
セイバー「そうです。それだけで犯人扱いには」
イリヤ「そう。もう一人、容疑者はいるわ」
ライダー「え?」
桜「もう一人……?」
イリヤ「ライダー」
ライダー「わ、わたしですか?!」
イリヤ「ライダーが事前にミスを犯していた。後続のサクラはライダーのミスを庇うために、リンに罪を……」
ライダー「ひどい!!ど、どうしてそのような考え方ができるのですか!?」
セイバー「そういえば、ライダーは不便を感じていたようですね」
ライダー「セイバー!!!あなたは……!!」
凛「あの……みんな……」オロオロ
イリヤ「それが?」
桜「ライダーがミスを犯しているならイリヤさんが目撃していないとおかしいじゃないですか!!」
イリヤ「私は離れのトイレを使ったの。それだけの話」
セイバー「そういえば時間がかかっていましたね」
イリヤ「でしょ?」
桜「それなら先輩に30分後に行けなんて言わないはずです」
イリヤ「シロウが離れのトイレを使うかもしれないからよ」
桜「先輩は離れのトイレの使用をまだ禁じていましたから、それはありえません!!」
イリヤ「……私もライダーの失敗を見逃していた。それならどう?」
桜「そんな証言をコロコロ変えて、信じるとでも……!!」
イリヤ「どちらにしても私には疑いが降りかからないから関係ないけどね」
セイバー「イリヤスフィールそうはいきません」
イリヤ「なんですって?!」
セイバー「イリヤスフィールが的を外し、そのあとに入ったサクラがリンに罪をなすりつけようと考えたかもしれませんから」
イリヤ「なるほど。そういう考え方もできるのね」
ライダー「……」
桜「……まって。結局、私が悪者になっちゃうじゃないですか?!」
イリヤ「そうよ?今頃、気がついたの?」
桜「え……?」
イリヤ「リンを犯人にするには、まず貴女がトイレに入った段階で綺麗だったことを証明しないといけない」
桜「な……?!」
イリヤ「だけど、それはもうできない」
桜「うっ……」
イリヤ「だから、トイレを汚したのは誰かなんて、永遠に分からないの」
桜「……」
イリヤ「シロウが掃除してくれたんだから、いいじゃない」
セイバー「それもそうですね。考えてみれば、こんなことで言い争うなど幼稚です」
凛「……えっと……」オロオロ
イリヤ「まだ、何か?」
ライダー「私まで疑われるのは……」
イリヤ「ならタイガの所為にしましょう。ライダー、私、サクラがみんなスルーして、サクラは何故かリンの所為にしようとしたでいいじゃない」
桜「もうやめてください!!」
イリヤ「それにサクラのあとにセイバーが入った可能性もあるし」
セイバー「……そこを突かれると反証できませんね」
イリヤ「でしょ?」
桜「でも、セイバーさんは離れのトイレに……」
イリヤ「サクラはセイバーが用を足すところを直に見たの?トイレに入ったところか、出てきたところを見たに過ぎないんでしょ?」
桜「確かに……」
イリヤ「ほら、リンだけを悪者にするのはだめよ」
桜「そうですね。ごめんなさい、姉さん」
凛「あ、いいのよ……別に……」
イリヤ「さ、もう寝ましょう。疲れたわ」
凛「イリヤ……?」ガチャ
イリヤ「なにかしら?」
凛「あの……」
イリヤ「ん?」
凛「ありが―――」
イリヤ「それ、リンが認めるってことになっちゃうけど、いいの?」
凛「え……」
イリヤ「私は誰の弁護もしてない。みんなに可能性があるって説明をしただけ」
凛「イリヤ……」
イリヤ「だから、貴女が私に言う台詞はお礼じゃなくて『よくも私を疑ったわね!死ね!』じゃないかしら?」
凛「……よくも疑ってくれたわね。絶対に許さないんだから!!明日、町中を引きずり回してあげる!!覚悟しなさい!!」
イリヤ「できるかしら?私、そんなにケーキみたいに甘くないけど?」
凛「うん!!胃袋破裂させてやるわよ!!―――おやすみ!!!」
イリヤ「おやすみ、リン」
凛「イリヤー、早くー」
イリヤ「はいはい」
士郎「どっかいくのか?」
イリヤ「ちょっと、ね」
凛「こいつを引き摺り回してくる」
士郎「おいおい」
イリヤ「ほら、行きましょう」
凛「はいはい」
士郎「……いってらっしゃい」
セイバー「シロウ」
士郎「どうした?」
セイバー「ライダーがトイレから出てこなくて困っているのですか」
士郎「何かあったのか?」
セイバー「分かりません」
凛「ケーキバイキングをやってるのは、ここだけね」
イリヤ「わーい!!」
凛「全くもう……」
カレン「おや?」
凛「カレンじゃない。どうかしたの?」
カレン「今日は慰安旅行に」
凛「慰安って」
ランサー「安上がりな慰安旅行だな、おい」
ギル「まぁまぁ、マスターの奢りですし」
凛「へー」
イリヤ「ちょっとー!!はやくしてよねー!!」
凛「はいはい!!」
カレン「ご一緒にどうですか?先輩?」
凛「別にいいけど?」
ギル「どれも安そうなケーキですねー」
ランサー「じゃあ、食うなよ」
カレン「それで、どうして貴女とアインツベルンがここに?」
凛「ま、家庭内事情ってやつよ」
カレン「そうですか。どのような珍事があったのか是非とも聞きたいですね」
凛「食事中に言うことじゃないわよ」
カレン「そうですか」
凛「……ちょっと化粧室に」
カレン「はい。」
凛「ふんふーん」
カレン「和式ですよ?」
凛「え?」
カレン「ここのレストラン、和式ですよ?」
凛「……」
士郎「ライダー!!どうしたんだ!!もう1時間も篭ってるじゃないか?!」ドンドン
ライダー『しろぉ……』
士郎「ライダー……」
ライダー『私はここから出ることができません……』
士郎「紙か!?紙が無いのか?!」
ライダー『シロウ……もう……だめです……』
士郎「どうしたんだ?!」
ライダー『あぁ……!!どうして!!どうして!!!』
ジャー!!!
士郎「ライダー……?」
ライダー『流れない……流れない……!!あぁぁ!!!』
士郎「……」
ライダー『何故……何故……何故……何故……』
士郎「ライダー……」
凛「……」バンッ!!
イリヤ「おかえり、凛」
凛「立って。イリヤ」
イリヤ「え?」
ランサー「どうしたんだ?」
カレン「どちらへ?」
凛「カレン……あんたが仕組んだんでしょ?!!」
ギル「トイレ~」
凛「なっ!?」
カレン「ふふ……」
凛「イリヤ!!逃げるわよ!!」
イリヤ「ちょっと、どうして?」
凛「だって―――」
ギル「うわー。トイレがすっごい、よごれてる~これはたいへんだー」
凛「……!!」
カレン「朝方、貴女が予約したのを英雄王から聞きまして。少し、細工を」
イリヤ「え?え?」
凛「あんたが和式だって言ったときに気づくべきだった……」
カレン「さて……流れないトイレってどうですか?」
凛「何が目的よ……」
カレン「ふふ……」
凛「何が目的なのよ!!」
カレン「そうですね。貴女の持つ財の10%でも私に譲っていただければ」
凛「ぐっ……!!殆どないっていうのに……!!」
カレン「こちらもなにかと財政難なので」
凛「……」ウルウル
イリヤ「リン……」
凛「もう……いや……」ポロポロ
凛「はぁ……」ヨロヨロ
イリヤ「あの……」
凛「ちょっとトイレに行ってくるわ」
イリヤ「うん……」
凛「……」ヨロヨロ
凛(なんでこんなことに……なんで……)
凛「……」ガチャ
ムワッ……
凛「……」
凛「……流しなさいよ」
凛「ちゃんと流しなさいよぉ!!!!」
凛「あぁぁぁぁ!!!!」
士郎「―――遠坂!!いま、そっちは使えないんだ!!」
凛「和式なんてもう見たくもない!!!ガンド!!ガンド!!ガンド!!!ガンド!!!!」ドンドンドン!!!
バシャ……
士郎「遠坂……」
凛「……」ビチャビチャ
士郎「………………くさっ」
凛「しろー!!!洋式にしてぇ!!!」ギュゥゥ
士郎「うわぁぁ!!!」
凛「もう和式はこりごりよぉ……」
士郎「わかった!!わかったから!!!」
凛「ほんと?ほんとにほんと?」ギュゥゥ
士郎「する!!洋式にする!!もうここはつぶれたし!!だから離れろ!!!」
凛「ありがとう!!!」ギュゥゥ
士郎「あぁぁ―――!!!」
凛「やったぁ……♪」
士郎「ようやく、トイレが復活したな」
セイバー「新しい場所はやはりいいですね」
ライダー「ええ」
凛「完成したのね」
桜「よかったです」
士郎「遠坂。初めては遠坂に譲ってやるよ」
凛「え?でも……」
士郎「遠坂が洋式にしろっていうからしたんだ。遠坂がまず使ってくれ」
凛「うん……」
ガチャン
凛「よっと」
凛「……んっ……」
凛「ふぅ……やっぱり新品はいいわね。隅々までピカピカじゃない」ピッ
凛「あれ?なんか押しちゃ―――ぎゃぁああああああああああああああ!!!!!」
凛「セイバー!!水が……!!水がぁ……!!」ビチャビチャ
ライダー「リン!!はやくウォシュレットを止めてください!!」
凛「とまってー!!とまってー!!」ビチャビチャ
桜「その前にちゃんとショーツを……」
凛「もういやぁー!!!」
セイバー「くっ!!」ピッ
凛「―――とまった」
セイバー「リン……」
凛「……あの」
桜「床が……水浸し……」
ライダー「シロウ?どうしますか?」
士郎「……遠坂。もう俺の家でトイレ使うな」
凛「……もうトイレ、使わない……」
おしまい。
乙
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マリオ「また誘拐されたのかあのビッチ・・・」
http://hayabusa.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1334541309/
マリオ「・・・なんで?」
キノピオ「え?どういう意味ですか・・・」
マリオ「聞いたまんまだよ、俺ただの配管工だぜ?てかお前ら城の警備何してたの?」
キノピオ「え・・それは急にクッパが来たので・・・・それにいつもマリオさんが行ってくれるから・・・」
マリオ「はぁ?」
キノピオ「だ、だったら・・・」
マリオ「最初に助け出した時は嬉しかったよ、国の危機を救いお姫様を助けられたからな」
キノピオ「そ、そうですよ!マリオさんはこの国一の英雄ですよ!!!」
マリオ「・・・・本当にそう思っているのか?」
キノピオ「そ・・・それは一部の心ない方々が・・・」
マリオ「お前ら最初から解ってたんだよな、ステージに置いてあるブロック等が・・・」
キノピオ「あ、あの・・・」
マリオ「この国の住民が魔法で変えられた姿だと・・・解っていてあえて黙ってたんだよな・・・・!!!!!」
マリオ「今はこんなもんだが帰国した時は酷かったんだぜ」
マリオ「感謝の言葉の変わりに罵声を浴びせられ、花束の変わりに石を投げられ・・」
マリオ「家に帰れば大量の暴言が書かれていた・・・マリオペイントってレベルじゃねーぞ・・」
マリオ「その時お前ら城で何やってた?お祝い?姫と祝杯?舐めてるのかよ・・・」
キノピオ「それは・・」
わろた
公式?
公式
魂を解放するために、どんどん壊しましょう!
冷静に考えたらかなり酷いこと言っているな
ルイージ「兄さん・・・誰か・・・来たの・・・う・・」
マリオ「ルイージ!起き上がったら駄目だ!寝ていろ・・」
ルイージ「はは・・ごめんね・・・大人しく寝てるよ・・・」
ゴソ・・
マリオ「・・・見ての通りだ。ルイージはもう限界なんだよ・・何でかは解るよな・・・?」
キノピオ「・・・・はい・・」
マリオ「・・・あのキノコは何だったんだよ・・」
マリオ「力が増す?ああ増したな!不自然に筋肉が盛り上がり体格が変わるほどにな!」
マリオ「フラワーも凄かったな!人間の手から火が出る!それの熱さは全く感じない」
マリオ「スターは凄まじいよな!どんな敵に体当たりしても痛くも痒くもなかったぜ!!!!」
マリオ「・・何のリスクもなしにそんな状態になるって美味すぎる話だと思ったんだよ・・・」
キノピオ「・・・」
キノピオ「そ、それは予想外の・・」
マリオ「予想外?知ってただろ?最初から!全部!!!!!!」
マリオ「おかしいと思ったぜ・・・こんな便利なもの、城の兵士たちが使うのを拒否していたんだからな・・」
キノピオ「じゃ、じゃあ素のままで結構ですので・・あの・・そうだ!ヨッシーがいるじゃないですか!彼となら・・・」
マリオ「本気で言っているのか・・・?」
一回死んでも生き返るとかおぞましい
キノピオ「え・・・」
マリオ「散々敵を食い、産卵し、割られ、挙句ジャンプ台にされ谷底に落とされる・・」
マリオ「あいつら笑ってたよ、「こんなの何でもないです!世界を救ってください!」ってな・・」
マリオ「大丈夫なわけなかったんだ・・気づいていたのに見て見ぬふりをした・・俺は・・最低だった・・」
キノピオ「か、彼らも本望だったはずです!自らその道を選んだんですから・・・だから・・・」
マリオ「・・・お前ちょっと黙れ・・・」
ジャンプ台にしたりサンシャインでイタズラに水につけたりしてごめんな
マリオ「そもそも何で俺なんだよ・・配管工だぞ・・加齢臭がするオッサンだぞ・・・」
マリオ「国の有事の際にどうにかするのがお前らだろ!税金納めてる俺が何で行かなきゃいけねーんだよ!!!!!」
マリオ「・・・知ってるぜ・・姫助け出して帰国した時にお前らが何をしてたのか・・」
キノピオ「・・・・」
マリオ「城に国中の女を集めてたよな・・クッパに貢いで自分達だけでも助けてもらおうとしてたよな・・・!!」
キノピオ「そ・・・それは・・・誤解ですよ・・・」
マリオ「俺は頭の中が真っ白になったよ・・」
マリオ「そっから先、お前らに頼まれて何か色々やった気がしたがうっすら覚えてるぞ・・」
マリオ「配管工に病原菌退治させたりクッキー焼かせたり散々舐めたマネしてくれたよな・・」
キノピオ「ち、違いますよ!国の英雄マリオさんに色々な依頼が来ていただけで僕らはそんな・・・」
マリオ「ところで道中俺が貯めたコインどうなった?」
キノピオ「え・・・」
キノピオ「そ、それはマリオさんの延命に必要な重要アイテムに変えさせて頂いたので・・」
マリオ「重要アイテム・・・?まさかこの緑とかありえない色のキノコを言ってるんじゃないよな・・?」
キノピオ「・・・・」
マリオ「俺ら兄弟が戦っていた間の手当、今の状況言ってみろよ・・・」
キノピオ「・・・えと・・・傷病手当金と・・・えと・・・」
マリオ「それだけだろうが・・・」
マリオ「「マリオさんまだまだ働けるでしょw」とか鼻で笑われたんだぞ!!!!!」
キノピオ「い・・いやー、マリオさん若々しいしまだまだ戦えると思・・」
マリオ「ふざけるな!!!!!!!!!!!!!」
ガシッ!
キノピオ「ヒィ!!!!!」
キノピオ「ガハッ!!」
マリオ「ほら!よく見ろよ!ルイージの体を!呼吸器を外したら3分と生きていられない体だ!!!」
キノピオ「そ、それはクッパの手下から受けた傷で我々は・・」
マリオ「殆どがお前らがよこしたアイテムの副作用だよ・・・・!!!!!」
ルイージ「に・・兄さん・・乱暴は駄目だよ・・・ごめん・・・・僕のせいで・・・僕は大丈夫だから・・・」
キノピオ「ほ、ほらご本人も大丈夫だと言って・・」
ガスッ!!!!
キノピオ「ゲハッ!!!」
マリオ「黙れよ・・・」
キノピオ「へ?」
マリオ「何も知らないと思うなよ、お前らが姫を隣国の王へ妻として送り出そうとしていたことを・・」
キノピオ「そ、そうですよ!隣国の王と姫は仲睦まじく愛し合っていたので我々で後押しを・・・」
マリオ「巨大な軍事勢力で制圧されるのを恐れての生贄だろ?この国は吸収され植民地化だ」
キノピオ「・・・・・それがなんですか、民の命を護るためにしかたないでしょう!」
マリオ「ほー、お前ら城の役職どもが隣国で重要ポストを得るのも民のためか?」
キノピオ「!?」
キノピオ「・・・チッ・・」
マリオ「軍を解体し兵器を全て放棄する事も入ってたよな・・」
マリオ「元々軍事力なんて全くないこの国で兵器扱いされているとしたら・・・」
キノピオ「・・・・」
マリオ「俺たちだ」
キノピオ「・・あの糞亀・・・・」
マリオ「あの女、クッパと相思相愛だったらしいな・・」
マリオ「簡単に誘拐されるはずだ、自分から望んでついていってるんだからな」
マリオ「俺が毎回救い出しても頬へのキス一つ、何かおかしいとは思ってたぜ・・・はは・・」
マリオ「で、お前らは隣国への生贄を連れ戻すと同時に兵器を消耗させて壊そうとしていたわけだ・・」
キノピオ「・・・・」
キノピオ「・・・・別にいいじゃないですか」
マリオ「あ?」
キノピオ「ただの配管工が!大冒険を味わい!国の英雄となる!それのどこが不満なんですか!!!」
キノピオ「我が国の民の為に死んでください」
マリオ「それが本音か・・・」
マリオ「いいぜ・・・死んでやるよ」
キノピオ「え?」
マリオ「ああ・・・ただし・・・・」
ドンッ
キノピオ「・・・なんですかその箱」
マリオ「俺は配管工だからな、この国の下水道は全て通ったことがあるんだよ・・・」
マリオ「そしてジャンプで壊せない物なんか無いぞ・・・!!!!!」
パカッ
ピカッ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!
キノピオ「な、何ですかその量のスターは!!!」
マリオ「マンマ・ミーア!!!!!!!!!!!!!!!!!」
キノピオ「うおおおおおおおおおお!!!!」
ドガアアアアアアアアアアアアアアア!!!!!!!!!!!!!!
キノピオ「く、あいつ土管の中に!!??何をしている!!!!」
マリオ「ヤッフー!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」
ドドガガガガガガガガガ!!!!!!!!!!!!!!
キノピオ「やめろ!城が!!!!街がああああああああああ!!!」
グラッ
キノピオ「!!!て、天井が・・・ヒ、ヒギャアアアアアアアアアアアアア!!!!!!!!」
グシャッ
マリオ「ルイージ・・・すまない・・・・」
ボガアアアアアアアアアアアアアアア!!!!!!!!
マリオ「ヨッシー・・・償いはするよ・・・・」
バガガガガ!!!!!!!!!!
マリオ「クッパ・・・・後は頼む・・・あんな女でも俺は・・・・」
…!!!・・・・・・・・!!!・・・!!
‥・・・・!!!・・・!!!!
・・・・・
・・・
クッパ「姫よ・・・・主の国が滅びたらしい・・・」
ピーチ「え・・そ、そんな・・・」
クッパ「主を捧げようと企んでおった連中は皆死んだとの事だ・・」
ピーチ「一体なんで・・・隣国が攻めてきたのですか・・・」
クッパ「わからん・・・だが、何があろうとお前だけは守る。絶対にだ・・」
ピーチ「クッパ・・・」
-END-
…
ヨッシー「昔、世界中で争いが起こっての・・・ワシらも一度滅亡しかけたんじゃ・・・」
ヨッシー「仲間達がの、最後の力で子を産み・・息絶えた・・・・」
ヨッシー「世界も殆ど滅びてしまったが、お前たちにこの島を残すことができたわい・・」
ヨッシー「今度聞かせてやろう、昔爺ちゃんが一緒に戦った人の事を・・・」
ダダダッ
子ヨッシー「じいちゃん!なんか空から見たこと無い生き物が落ちてきた!これなに?」
赤ん坊「オギャー!オギャー!マンマミーア!」
-HappyEND-
Entry ⇒ 2012.04.20 | Category ⇒ 版権物SS | Comments (0) | Trackbacks (0)
イリヤ「キリツグ、かたぐるまっ!」切嗣「ああ、分かったよ」
http://hayabusa.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1334574975/
イリヤ「わーい!たかい、たかーい!!」キャッキャッ
切嗣「しっかり掴まっておくんだよ、イリヤ?」
イリヤ「うん!!」ギュゥゥ
切嗣「こらこら。前が見えない」
イリヤ「いけー!キリツグガーZ!!」
切嗣「ははは。よーし、発進だ」
イリヤ「いけいけー!!いっちゃえー!!」
セイバー「……」
セイバー「アイリスフィール」
アイリ「どうしたの?」
セイバー「かたぐるまをしてください」
アイリ「……無理無理」
アイリ「分かってて聞いたの?」
セイバー「いえ、あるいはと思ったのですが」
アイリ「そんなの無理よ。キリツグに頼んでみたら?」
セイバー「しかし、やってくれるでしょうか?」
アイリ「私から頼んでみましょうか?」
セイバー「お願いします」
アイリ「キリツグー、ちょっとー」トコトコ
切嗣「ん?どうしたんだい?」
イリヤ「あ、お母様。やっほー」
アイリ「あのね、セイバーが肩車をしてほしいって言ってるんだけど」
切嗣「どうして?」
アイリ「さぁ?」
セイバー「どうでした?」
アイリ「理由がないとダメだって」
セイバー「理由ですか……」
アイリ「どうして肩車をしてほしいの?」
セイバー「王になる前の話です……」
アイリ「長くなる?」
セイバー「いえ」
アイリ「じゃあ、どうぞ」
セイバー「私にも肩車をしてくれる人がいたのです。童心が擡げたといいますか」
アイリ「ホームシックなのね?」
セイバー「そういうことではありませんが」
アイリ「じゃ、伝えてくるわ」トコトコ
セイバー「お願いします」
切嗣「なんだった?」
アイリ「童心に戻りたいって」
切嗣「そんな理由じゃ無理だ」
アイリ「でも……」
切嗣「断っておいてくれ」
アイリ「あ、キリツグ」
イリヤ「つぎの目的地へ、いそげ!!キリツグガーZ!!」
切嗣「よし」
アイリ「……」
セイバー「アイリスフィール……?」トテトテ
アイリ「セイバー……。ごめんなさい」
セイバー「いえ。分かっていたことですから」
アイリ「セイバー……」
セイバー「……はぁ……」
アイリ「……セイバー!!」
セイバー「はい?」
アイリ「さぁ!!乗って!!」
セイバー「アイリスフィール?!」
アイリ「私だって、一児の母よ!!強いの!!」
セイバー「しかし、アイリスフィールでは危険が……!!」
アイリ「大丈夫よ、セイバー。私を信じて」
セイバー「アイリスフィール……」
アイリ「早く。アイリガーロボは待ってくれないわよ」
セイバー「私のために……」ウルウル
セイバー「―――では、失礼します」
アイリ「ふっ……!!」ググッ
セイバー「おぉ!!高いです!!」
アイリ「うっ……ぐぉ……!!」ヨロヨロ
セイバー「さー!!行くのです!!アイリガーロボ!!彼の聖地、アヴァロンへ!!」キャッキャッ
アイリ「きっ……ぁ……!!」ヨロヨロ
セイバー「アイリガーロボ!!全速前進!!」ペチペチ
アイリ「あ゛……!!」ヨロヨロ
セイバー「やはり高いというのはいいことです。視野が広がる!!」
アイリ「も……ぉ……だ……め―――」バタッ
セイバー「おぉ!?―――アイリスフィール!!」
アイリ「はぁ……はぁ……」
セイバー「だ、だいじょうぶですか!!アイリスフィール!!」オロオロ
アイリ「ご、ごめんなさい……セイバー……私では……あな、たの願い……を……」
セイバー「アイリスフィール!!しっかりしてください!!」
アイリ「ご、めん……ね……」
セイバー「アイリスフィール!!」
イリヤ「お母様……」ウルウル
アイリ「大丈夫よ……イリヤ。そんな顔しないで」
イリヤ「お母様……」
切嗣「アイリ……僕は……」
アイリ「キリツグ、セイバーを責めないで。私が全部悪いの」
切嗣「だけど……」
アイリ「キリツグ……お願い……。一度でいい。10秒でもいいから、セイバーを肩車してあげて」
切嗣「……」
アイリ「おねがい……」
切嗣「少し、考えるよ」
アイリ「うん……」
切嗣(アイリのことだ。僕が肩車をしなかったら、また自分でセイバーを担ごうとするだろう……)
切嗣(仕方ないか……)
切嗣(とはいえ、セイバーの体重がよくわからい)
切嗣(華奢な体とはいえ、アイリが無残な姿になるぐらいだ。大人が支えるには厳しいのかもしれない)
切嗣(セイバーの体重はどれぐらいなんだ……?)
舞弥「……」スタスタ
切嗣「ん?舞弥?」
舞弥「どうも。どうかされましたか?」
切嗣「その手に持っているのは?」
舞弥「握るだけで体重と体脂肪率が分かる機械です。通販で注文し、本日届きました」
切嗣「……」
舞弥「……あの、私の体重は……」ゴニョゴニョ
切嗣「貸してくれ」
舞弥「え?はい、構いませんが」
切嗣「助かる」
切嗣(あまりにも度が過ぎていれば事情を話して、諦めてもらうか)
セイバー「……」ポヤ~
切嗣(いた。暇そうだな)
切嗣(よし……)スタスタ
セイバー「……ん?」
切嗣「……」スタスタ
セイバー「キリツグ、どうしたのですか?」
切嗣「……」スタスタ
セイバー「……むぅ。もういいです。無視にはなれました」
切嗣(しまった……。今更、口を利くなんて……無理だ……)
切嗣(なんて声をかければ……)
切嗣(くっ……。ここにきて、自分の行いに後悔するとは……)
切嗣「……」チラッ
セイバー「……」ポヤ~
切嗣「……よし」
切嗣「……」スタスタ
セイバー「……ん?」
切嗣(目が合った……)
セイバー「キリツグ?何か用ですか?」
切嗣「……」スタスタ
セイバー「なんですか……もぅ……」
切嗣(僕はどうして通り過ぎてしまうんだ……!!)
切嗣(セイバー、体重を調べさせてくれ。これだけなのに!!)
切嗣「……」チラッ
セイバー「……ふぅ……」
切嗣(どうしたら……。舞弥に頼んでみるか……?)
切嗣(だが……大した理由でもないのに、舞弥に頼むのは……恥ずかしいな……)
切嗣(このままでは埒があかないな)
切嗣「……」
切嗣「そうだ。手紙だ」
切嗣(紙に書き、伝えればいいだけじゃないか)
切嗣「えっと……確か……」ゴソゴソ
切嗣「よし……」
切嗣「えっと……なんて書こうか……」
切嗣(セイバーへ。君の体が知りたいので、部屋まで来てください)
切嗣「……こんなものだろう」
切嗣(あとはこの紙を舞弥に託せば……)
切嗣(意外と簡単だったな)
セイバー「肩車……」
舞弥「セイバー」
セイバー「はい?なんでしょうか?」
舞弥「切嗣からです」スッ
セイバー「え?なんですか、これは?」
舞弥「手紙でしょう。伝えたいことが書かれているみたいです」
セイバー「……?」ペラッ
舞弥「……」ソーッ
セイバーへ。君の体が知りたいので、部屋まで来てください。 切嗣
セイバー「体……?」
舞弥「……!?!?」
セイバー「どうしたのですか?」
舞弥「あ、あの……それ……は……!!」
セイバー「体……?体重でも知りたいのでしょうか?」
セイバー「え?」
舞弥「い、いいですか?」ヒソヒソ
セイバー「はい、なんでしょうか?」
舞弥「切嗣は恐らく……貴女を側室にしようとしているのです」
セイバー「しかし、キリツグにはアイリスフィールが」
舞弥「きっと、マダムを裏切るための予行練習でしょう」
セイバー「なんですか、それは?」
舞弥「私ではその役を担えなった……」
セイバー「とりあえずキリツグに会いにいけば―――」
舞弥「ちょっと、まってください」ガシッ
セイバー「なんですか?」
舞弥「切嗣の愛人になる覚悟があるのですか?」
セイバー「キリツグはずっと私を無視していたのですよ?好意など欠片も持ち合わせていないはずです」
セイバー「おぉ……」
舞弥「いいですか?男性とは本当に好きな人の前では素直になれないものなのです」
セイバー「……」
舞弥「話したくても、話せない。見詰め合うだけで、言葉が喉に詰まってしまうものなのです」
セイバー「そうですか」
舞弥「貴女もそういう経験あるでしょう?」
セイバー「ありません」
舞弥「と、ともかく、良く考えたほうがいいでしょうね」
セイバー「確かにキリツグが私を側室に招こうとしているのなら、これは由々しき事態かもしれませんね」
舞弥「良く考えましょう。すぐに答えを出していい問題ではありません」
セイバー「分かりました。この聖杯戦争の行方を担う事態かもしれませんね」
舞弥「ええ。一歩間違えば内部崩壊してしまうかもしれません」
セイバー「むぅ……」
切嗣(いた……。様子を見に来てみれば、まだ窓辺で佇んでいたのか)ソーッ
切嗣(手紙、読んでいないのか?)
セイバー「……」ペラッ
切嗣(いや、持っているな)
セイバー(私に気がある……?あのキリツグが……?)
セイバー「……」
セイバー(ならば、私の答えは……)
セイバー「……」カキカキ
切嗣(何か書いているな……なんだろう……?)
セイバー「よし」
切嗣(まずい、こっちにくる)ササッ
セイバー(この手紙をキリツグに……)トテトテ
トントン
切嗣「……」
セイバー『キリツグ?私です』
切嗣(きたか……!!)ガタッ
切嗣(よし。この体重計を……)
セイバー『手紙を書きました。扉の隙間から渡します。一読してもらえますか?』
切嗣「え……?」
セイバー『それでは』
切嗣「……手紙だと?」
切嗣「……」ペラッ
切つぐへ。貴方の想いは大変嬉しく思いますが、お断りさせていただきます。 セイバーより。
切嗣「……」
切嗣(そんな……!!これでは、アイリとの約束が……!!なんとかしないと……!!)
セイバー「肩車……はぁ……」
舞弥「セイバー、あの件は?」
セイバー「お断りさせていただきました」
舞弥「え……?」
セイバー「私はサーヴァント。いつか消える身。キリツグは本妻と愛人を失うことになります」
舞弥「それは……」
セイバー「それにアイリスフィールを裏切るのだけは、嫌ですから」
舞弥「しかし、切嗣を裏切ることに」
セイバー「私はマスターを裏切るつもりなどありません。この度の不敬は、我が剣をもって償わせていただきます」
舞弥「そうですか……」
セイバー「……」
舞弥「それでは」
セイバー「はい」
セイバー「はぁ……肩車……アイリスフィール……もう一度、してくれないでしょうか……」
アイリ「ん……?」
アイリ「ふわぁ……良く寝た」
イリヤ「すぅ……すぅ……」
アイリ「ふふ……」
トントン
アイリ「はい?」
セイバー「アイリスフィール?お体は……?」ガチャ
アイリ「もう大丈夫よ。心配かけてごめんなさい」
セイバー「いえ。元はといえば私の……」
アイリ「いいえ。違うわ」
セイバー「アイリスフィール……」
アイリ「セイバー……」
セイバー「……あの、もう一度肩車していただけませんか?」
アイリ「……ごめんなさい。もうギックリ腰にはなりたいないの」
アイリ「あれ?キリツグは?」
セイバー「キリツグ、ですか?」
アイリ「うん。肩車してもらったんじゃないの?」
セイバー「いいえ」
アイリ「うそ……」
セイバー「キリツグからはこのような手紙をもらっただけです」スッ
アイリ「……なに?」ペラッ
セイバー「私の体を知りたいと」
アイリ「……」
セイバー「アイリスフィール?」
アイリ「……セイバー」
セイバー「はい」
アイリ「キリツグ、呼んできてきれない……?」
セイバー「分かりました」
切嗣「はぁ……もう少し、誠意を込めたほうがいいということか……?」
切嗣「……」カキカキ
切嗣「……これでいいか」
トントン
切嗣「……」
セイバー『キリツグ、私です』
切嗣(丁度よかった)スタスタ
切嗣(手紙を渡そう)スッ
セイバー『あの……この手紙は?』
切嗣「……」
セイバー『なるほど。わかりました』
切嗣(よし。体重計を……)
セイバー『……』スタスタ
切嗣(なに……?立ち去ったのか……?)
セイバー「アイリスフィール」
アイリ「セイバー?キリツグは?」
セイバー「これを」スッ
アイリ「手紙……?」ペラッ
セイバーへ。君の体を隈なく調べたい。僕の部屋に来てください。お願いします。 切嗣
セイバー「キリツグはなんと?」
アイリ「……うっ……うぅ……」ウルウル
セイバー「え……?」
アイリ「うぅ……そんな……どうしてぇ……」ポロポロ
セイバー「ア、アイリスフィール?その手紙にはなんと?キリツグはあなたに何を伝えようとしたのですか?」
アイリ「ひとりにして……」ポロポロ
セイバー「わ、わかりました。イリヤスフィールも連れて行きましょうか?」
イリヤ「すぅ……すぅ……」
アイリ「イリヤはいい。セイバーが出て行って……」
セイバー「はぁ……もう肩車は諦めるしかないのでしょうか……」
切嗣(また佇んでいるな……)
切嗣(このまま待っていてはいつまでたっても、話が進みそうにないな)
切嗣(仕方ない……ここは……)
舞弥「あ、切嗣。探しました」
切嗣「ん?」
舞弥「あの体重計なのですが……」
切嗣「舞弥、頼みたいことがあるんだ」
舞弥「えっ……?」
切嗣「こんなことを言うのは……本当に恥ずかしいんだけど……」
舞弥「なんでも聞きます、切嗣」
切嗣「これを……」スッ
舞弥「体重計……?」
切嗣「セイバーに握らせてくれ」
舞弥(まあ、いいですけど)
舞弥「セイバー」
セイバー「はい?」
舞弥「これを握ってください」
セイバー「なんですか、これは?」
舞弥「体重計です」
セイバー「ほう?」
舞弥「ここを握れば画面に貴方の体重が表示されます」
セイバー「わかりました」グッ
ピピッ
セイバー「出ました」
舞弥「えっと……42キロ……ですね」
セイバー「これがなにか?」
舞弥「いえ。意味は私もよくわかりません」
切嗣「どうだった?」
舞弥「42キロでした」
切嗣「42キロか……」
切嗣(くそ……なんとかなりそうな体重だな……)
舞弥「あのぉ……これは一体?」
切嗣「気にしなくていい」
舞弥「まさか……健康状態を……?」
切嗣(さて……体重が分かってしまえば、あとは肩車をするだけか)
切嗣(したくないな……。でも、アイリとの約束だ……やらないと……)
舞弥(切嗣……セイバーの身体情報を調べて、側室に相応しいか吟味を……)
舞弥(そんなにセイバーが……)
切嗣(また手紙を書くか……?いや、今度ばかりは直接言ったほうがいいな)
舞弥(私ではダメなのね……)ウルウル
切嗣「……」
切嗣『セイバー!肩車してあげよう!』
セイバー『わーい!ありがとうございますぅ!』
切嗣『10秒だけだからなー』
セイバー『了解しましたー』キャッキャッ
切嗣(―――と、なればいいが)
切嗣(とにかくまずは声をかけないとな)
切嗣「……よし」
切嗣「……」スタスタ
アイリ「キリツグ」
切嗣「アイリ……?体はもういいのかい?」
アイリ「話が……あるの……」
切嗣「あ、ああ……」
切嗣「アイリ?」
アイリ「ねえ……キリツグ?」
切嗣「なんだい?」
アイリ「私、とっても幸せ。貴方と出会えて、イリヤが生まれて……」
切嗣「僕だ」
アイリ「聖杯戦争という運命からは逃れられないけれど、それでも私はもう申し訳ないほどに幸福を与えてもらったと思ってたわ」
切嗣「アイリ……」
アイリ「―――これを見るまでは」バンッ!!
切嗣「え……?」
アイリ「……」
切嗣「何を言っているんだい?」
アイリ「セイバーのこと……好きになったの?」
切嗣「なにを……?」
アイリ「もしかして、セイバーを無視しているのって好きだから?そのことを私に気取られたくなかったからなの?!キリツグ!!?」
アイリ「体を調べたいってなに?!」
切嗣「文字通りだけど……」
アイリ「文字通り?!文字通りっていったぁ?!」
切嗣「アイリ、落ち着いてくれ……」オロオロ
アイリ「落ち着けないわ!!」
切嗣「体に障るから……」アセアセ
アイリ「貴方が他の女性に好かれているのは別にいいって思ってた」
切嗣「アイリ……」
アイリ「それは貴方が私を心から愛しているって感じてたから!!」
切嗣「その気持ちに偽りはないよ」
アイリ「こんなの書いてるくせに!!!」バンッ!!
切嗣「だから、これは……」
アイリ「ひどい……ひどいわ……キリツグ……」ポロポロ
切嗣「アイリ……泣かないでくれ……」オロオロ
切嗣「……」オロオロ
アイリ「きりつぐにすてられたぁー……おじいさまにいいつけるぅー……」ポロポロ
切嗣「それは困る……」
アイリ「うぅ……」
切嗣「誤解だ、アイリ」
アイリ「ぐすっ……ごかいぃ?」
切嗣「これはセイバーの体重が知りたかっただけなんだ」
アイリ「体重……?」
切嗣「今後のことを考えて、知っておいて損はなかったから」
アイリ「……それだけなの?」
切嗣「僕が信じられないのかい?」
アイリ「……」ジーッ
切嗣「……」
アイリ「…………わかったわ。キリツグを信じます」
アイリ「……でも、もうこんな紛らわしいことしないで。お願い」
切嗣「ああ。誓うよ」
アイリ「キリツグ……♪」ギュッ
切嗣(よかった……なんとか誤解はとけたな)
アイリ「キリツグ……愛してます」
切嗣「僕もだよ」
アイリ「……♪」ギュゥゥ
切嗣(そうだ。このままアイリとの約束を果たそう。そうすれば確固たる信頼も得られるだろう)
切嗣「アイリ、ちょっと協力してほしいことがあるんだ」
アイリ「なに?」
切嗣「こっちだ」
アイリ「うん」
セイバー「ふぅ……」
切嗣(いたいた)
アイリ「キリツグ?セイバーがどうかしたの?」
切嗣「アイリ、ちょっとセイバーと話をしてきてくれ」
アイリ「セイバーと?」
切嗣「ああ」
切嗣(僕が直接セイバーに「肩車をしてやる」とはいえない)
アイリ「いってくるわね」トコトコ
切嗣(セイバーも直接言われたら警戒してしまうだろうし。そうなればまた話が進まなくなる)
切嗣(やはり後ろから一気に畳み掛けるしかないな)グッ
アイリ「セイバー」トコトコ
セイバー「アイリスフィール、どうしました?」
アイリ「いい天気ねー」
セイバー「そうですね」
セイバー「いいえ。まだです」
アイリ「そうなの」
セイバー「はい」
アイリ「でも、きっとキリツグのことだからすぐにやってくれるはずよ」
セイバー「正直……キリツグにはあまり……」
アイリ「ねえ、セイバー?」
セイバー「はい?」
アイリ「さっきはごめんなさい。貴方に失礼なことを……」
セイバー「気にしていません」
アイリ「セイバー……」
セイバー「出て行けといわれたぐらいで、私はなんとも思いませんから」
アイリ「ほんとに?怒ってない?」
セイバー「怒っていません」
アイリ「ふふ……うそ。ちょっと怒ってるわ」
アイリ「ほら、怒ってる」
セイバー「アイリスフィール!」
アイリ「ふふ……」
セイバー「全く……」
切嗣(よし……今だ……)
切嗣「Time alter―――double accel!!」ババッ
切嗣(このまま一気にセイバーの股下に!!)
アイリ「もう。怒らないでよ」
セイバー「怒っていません」クルッ
ドガッ!!
セイバー「っ!?」ドタッ
アイリ「!?」
切嗣(しまった……勢いが強すぎたか……!!)
セイバー「いたた……。キリツグ?私の股間に顔をうずめて、なんのつもりですか?」
アイリ「……」
セイバー「キリツグ、廊下は走ってはいけません。危険です」
切嗣「……」
アイリ「……」ジーッ
切嗣「アイリ……」
アイリ「もうしらないっ!!」
切嗣「アイリ!!」
アイリ「怪我しても治癒なんてしてあげないっ!!」
切嗣「アイリ、誤解だ!!」
アイリ「うえぇーん!!!!」ダダダッ!!!
切嗣「あぁ……アイリ……どうして……僕は君との約束を……」
セイバー「キリツグ?何かあったのですか?」
切嗣「……アイリっ!!」ダダッ
セイバー「また無視ですか……全く……」
切嗣「アイリ!!」ドンドン
舞弥「切嗣?どうかしたのですか?」
切嗣「舞弥。ちょうどよかった。今、困っているんだ」
舞弥「まさか……敵?」キリッ
切嗣「アイリをこの部屋から出したいんだ」
舞弥「そのうち出てくるのでは?」
切嗣「今すぐ会いたいんだ」
舞弥「本当に仲がいいのですね……はぁ……」
切嗣「こういうときはどうしたら……」
舞弥「なにか怒らせるようなことでも?」
切嗣「すこし……」
舞弥「そういうときは、これです」スッ
切嗣「便箋?」
舞弥「ラブレターに限ります」
アイリ「もう……キリツグ、きらいっ」
イリヤ「お母様ー、どうして膝抱えてるの?」
アイリ「いい?イリヤ?」
イリヤ「ん?」
アイリ「将来、気になる人ができたら、ちゃんと貴方だけを愛してくれる人を選ぶのよ?」
イリヤ「うん」
アイリ「みんなを幸せにするだとか、周囲の女の子に優しくしようとする男だけは選んじゃダメだからね」
イリヤ「どうして?」
アイリ「愛情を私だけに注いでくれない……から……」ウルウル
イリヤ「お母様……」ナデナデ
アイリ「うぅ……ぐすっ……」
トントン
アイリ「……はぃ?」
舞弥『切嗣からの手紙です。読んでください。扉の隙間から通します』
イリヤ「はーい」トテトテ
アイリ(今更なに……?)
イリヤ「はい、お母様」
アイリ「ありがとう」
イリヤ「だれからー?」
アイリ「キリツグからね……」
イリヤ「しんあいなる、アイリへ。って読むの?」
アイリ「偉いわね」ナデナデ
イリヤ「えへへ」
アイリ(ラブレター……?)
アイリ「……」ペラッ
アイリへ。何を書いていいか僕にはわからない。でも、初めにこれだけは言っておきたい。
アイリ「……キリツグ……」
イリヤ「あいしてる、だって。お母様、よかったね」
切嗣(あれで誤解がとけるとは思えない……)
切嗣(はぁ……初めから……素直になっておけば……)
セイバー「……」ボケ~
切嗣「舞弥」
舞弥「はい?」
切嗣「セイバーにこれを渡してきてくれ」
舞弥「分かりました」
切嗣(これでいい……)
舞弥「セイバー、切嗣からの手紙です」
セイバー「え?なんでしょうか……?」ペラッ
舞弥「……」ソーッ
僕に乗りたいか?返事は舞弥に伝えてくれ。
セイバー「……?」
舞弥「のる……!?」
舞弥(乗る……?乗る……セイバーが切嗣に乗る?切嗣はセイバーに乗られる……。セイバーが切嗣にライドオン……?)
セイバー(アイリに言われて、ずっと気にしていたのでしょうか……)
舞弥(えー?やっぱり……切嗣は……セイバーのことを……?)オロオロ
セイバー「……」チラッ
切嗣「……!!」ササッ
切嗣(気づかれたか……?)
セイバー(ここは乗っておかないと、キリツグが不憫ですね)
舞弥(いいな……私も乗りたい……思うままに……)
セイバー「あの」
舞弥「は、はい」
セイバー「キリツグに伝えてください。乗ります、と」
舞弥「ほ、ほんとうですか……?」
セイバー「はい。このままではキリツグが少し可哀相なので」
舞弥(可哀相……?それって……ご無沙汰ってこと……?)
切嗣「どうだった?」
舞弥「イエス……だそうです」
切嗣「そうか。では……」
舞弥「い、今からですか?」
切嗣「10秒で済む」
舞弥「はやっ?!」
切嗣「え?」
舞弥「あ、いえ……切嗣はそんなに……その……早いのですか……?」
切嗣「セイバーは10秒でいい」
舞弥(セイバーはそんなすごいテクニックを……?)
切嗣「行って来るよ」スタスタ
舞弥「……」
舞弥(どうしよう……この角から少し覗き込めば見える……。もうすぐセイバーと切嗣が……始めてしまう……)ドキドキ
舞弥(覗いてはだめ……覗いては……)ドキドキ
セイバー「―――」
切嗣「―――」
舞弥(会話をしている感じではない……)
舞弥(10秒で済ませるなんて……どんなことに……?)
アイリ「わっ」
舞弥「きゃぁ!?」
アイリ「あ、あら。ごめんなさい。そんなに驚くなんて……」
舞弥「あ、いえ……」
アイリ「どうかしたの?」
舞弥(まずい……!!こんな現場を見たら……内部崩壊しかねない……!!)
アイリ「キリツグ、しらない?」
舞弥「知りません!!」オロオロ
アイリ「この先にいないの?」
舞弥「いません!!」
アイリ「セイバーの声」
舞弥(物を取り出したか……!!つまり、カウントダウンが始まった……!!)
アイリ「キリツグも一緒かしらー?」
舞弥(10秒で行為は完了する。事後処理にもそれほど時間をかけないはずだから……おおよそ20秒間、ここで食い止めれば、大丈夫!!)
アイリ「私もラブレター書いたの。キリツグに渡したくて」
舞弥(ラブレター!!チャンス!!)
舞弥「あの。私が推敲します。見せてください」
アイリ「推敲?」
舞弥(ふっ。推敲するなら余裕で5分は稼げる)
アイリ「そんな必要ないと思うけど……はい」スッ
舞弥「ありがとうございます」ペラッ
切つぐ。私もだーいすきっ! あいり
舞弥(隙がなかった……)
アイリ「どうかしら。ラブレターなんてあまり書いたことないから……」モジモジ
アイリ「もういい?」
舞弥「あ、えっと……もっと、こう、想いを込めてみてはどうでしょうか?」アセアセ
アイリ「でも、私は書いてみて思ったけど、書くより口で伝えたほうが得意みたいで」
舞弥「な、なるほど」
アイリ「だから、とりあえずこのラブレターを渡してから、私の想いを伝えようとおもって……ダメかしら?」
舞弥「い、いいんじゃないでしょうか……」
アイリ「よかったぁ」
舞弥(あと5秒が長い……!!)
アイリ「それじゃあキリツグに渡してくるわね」トコトコ
舞弥「まだ早いかもしれませ―――!!」
アイリ「キリツ―――」サッ
舞弥「……あの……」
アイリ「……やっぱり、あとにしましょう」
舞弥(あぁ……見てしまったんですね……!!!やっぱり、15秒じゃ無理だった……!!)ガクッ
舞弥(まだ……している……どこが10秒ですか……もう30秒以上になりますよ……)
アイリ「……」トコトコ
舞弥(ああ……もう聖杯戦争には勝てない……)
アイリ(セイバーもキリツグも楽しそうだった……邪魔しちゃ悪いわね……)トコトコ
舞弥「……」
セイバー『きりつぐー!!もっと!!』
舞弥(強請っている……!?)
セイバー『もう終わりですか?』
舞弥「……」ソーッ
セイバー「ありがとうございました。これで心の憂いを晴らすことができました」
切嗣「……」スタスタ
セイバー「キリツグ、感謝します。貴方にも人の心があったのですね」
舞弥(約1分の情事……どんなことを……)
舞弥「あの……」
セイバー「どうかされましたか?」
舞弥「あの……どんなことを?」
セイバー「え?肩車です」
舞弥「肩車?!」
セイバー「はい。とても気持ちがよかったです」
舞弥(わざわざ肩車をして……切嗣はセイバーのを……?)
舞弥(なんという体位。初めてしたとは思えない)
セイバー「それがなにか?」
舞弥「切嗣とはいつも?」
セイバー「いえ。今回が初めてです。イリヤスフィールにはいつもしていましたが」
舞弥「えぇ!?ど、どこで……!?」
セイバー「中庭で、ですが」
舞弥「そんな……切嗣が……」フラッ
切嗣(機嫌は直っているだろうか……)
切嗣「……」スタスタ
切嗣「……」
切嗣「よし」
切嗣「アイリ?いるか?」トントン
アイリ『いるわよ』
切嗣「入ってもいいかい?」
アイリ『下、見て』
切嗣「え……?これは……手紙?」ペラッ
切嗣「ふっ……アイリ、僕も大好きだ」
ガチャ
アイリ「―――キリツグー!!私も大好きよ!!愛してるから!!」ギュゥゥ
切嗣「アイリ……」
アイリ「貴方のラブレター読んだわ。素敵だった。嬉しくて……すこーしだけ、泣いちゃった」
アイリ「セイバーとは肩車したかっただけなのね。さっき、見ちゃったの」
切嗣「ああ。アイリとの約束だったから」
アイリ「もう。最初から言ってくれればよかったのに」
切嗣「恥ずかしくて……」
アイリ「ふふ……そういうところ、可愛い」
切嗣「やめてくれ」
アイリ「キリツグ……今日は、ごめんなさい……」
切嗣「僕のほうこそ」
アイリ「あの……だから……今日は……」モジモジ
切嗣「まだ病み上がりなんだ、寝ていたほうがいい」
アイリ「キリツグぅ……」
切嗣「それじゃあ、おやすみ」
アイリ「はい……」
切嗣(部屋に戻って今後の行動予定を練るか……)
切嗣「……」カキカキ
トントン
切嗣「舞弥か?」
セイバー『私です』
切嗣「……」
セイバー『あの……手紙を……』
切嗣「……」カキカキ
セイバー『扉のところに置いておきます。読まずに捨ててもらってもかまいません。それでは』
切嗣「……」スクッ
切嗣(一体なんだ……?)ペラッ
切つぐへ。肩車をしていただき、本当に感謝しています。重くはなかったでしょうか?
切嗣「……」
今後の戦いに支障が出るようでしたら、言ってください。マッサージぐらいならできるかもしれません。
切嗣(アイリがいるからそのような事態にはならないけど……)
切嗣「……」ペラッ
また機会があれば肩車してください。貴方の肩車は良いものでした。
切嗣「ふっ……」
それと舞やが肩車をしてほしいと言っていました。そちらのほうもできればよろしくお願いします。セイバーより。
切嗣「舞弥が……?」
切嗣「……意外と可愛いところもあるんだな」
切嗣「……」
切嗣「よし」
切嗣「明日にでも聞いてみるか」
切嗣「……」カキカキ
切嗣(舞弥も童心に返りたいときがあるのかもしれないな……)
舞弥(切嗣の見る目が変わってしまう……)
舞弥「……子どものままがよかった」
切嗣「舞弥?」
舞弥「なっ!?」
切嗣「どうした?」
舞弥「い、いえ」
切嗣「それじゃあ、乗るかい?」
舞弥「え……?!」
切嗣「僕に乗りたいんだろ?」
舞弥「き、きりつぐ……」カァァ
切嗣「ここで、乗るか?」
舞弥「ここで?!」
切嗣「それとも外のほうがいいかい?」
舞弥(部屋じゃだめなのですかぁ……!?)
舞弥「なっ?!」
切嗣「おはよう、アイリ」
アイリ「内緒の話?」
舞弥「いや!!ちが―――!!」
切嗣「舞弥が僕に跨りたいらしい」
アイリ「まぁ……」
舞弥「き、きりつぐぅ!!」
アイリ「ふふ……キリツグ?」
舞弥「あの!!これは何かの間違いで―――」
アイリ「腰には気をつけてね?」
切嗣「ありがとう。ま、アイリがいるからそっちの心配はいらないけど」
アイリ「ほどほどにしてね」
舞弥(え……まさか……お許しが……?)
切嗣「舞弥?どうする?嫌なら無理にとはいわないけど」
切嗣「……」
舞弥「の、のせて……」
切嗣「よし。ここでするかい?」
舞弥「えっと……そ、外で……」
切嗣「外か」
舞弥「じ、実は興味は……あったんです……外でするの……」モジモジ
切嗣「それじゃあ行こう」
舞弥「は、はい……!!」
舞弥(まさか……外で……)
舞弥(ドキドキする……)
切嗣「……」
舞弥(でも、切嗣となら……恥ずかしくない……)
切嗣「晴れていてよかった」
舞弥「雨でも別に……」
アイリ「キリツグー」
舞弥「え?」
イリヤ「わーい」
セイバー「……」
舞弥「ど、どうして……!?」
アイリ「ごめんなさい。イリヤがどうしても混ぜてほしいって」
舞弥「なっ!?」
切嗣「イリヤ、あとででいいかい?」
イリヤ「うん!みてるー」
切嗣「いい子だ」ナデナデ
舞弥(まさか……そんな……!!夫人だけでなくご息女の前で……!!こんな羞恥プレイきいたことが……!!)ゾクゾク
切嗣「舞弥?震えてるな?どうしたんだい?」
切嗣「もしかして、初めてか?」
舞弥「は、はい……こんなの……経験したことが……」
切嗣「大丈夫。僕を信じて」
舞弥「切嗣……優しく……してください……ゆっくりと……」
切嗣「わかったよ」
舞弥「あの……目は閉じててもいいですか……?」
切嗣「いいよ」
舞弥(あぁ……切嗣……もう私は……)
切嗣「よっ……」
舞弥(普通の行為では満足できない体になって―――)
切嗣「ほっ」ググッ
舞弥「んっ……いきなりそんなところか―――えぇ!?」
切嗣「どうだい、舞弥?眺めはいいか?」
舞弥「き、きりつぐ!!これなんですか!?どういうことですかっ!?」オロオロ
舞弥「だ、だれが……!!」
切嗣「少しあるくか」
舞弥「あぁ!!切嗣!!待ってください!!揺れます!!」ギュゥゥ
切嗣「そうやって掴まっていれば大丈夫さ」
舞弥「おぉ……!?」
アイリ「ふふ……」
イリヤ「きりつぐー、はやくかわってよー!!」
切嗣「もう少しまってくれ」
舞弥「あぁ……」カァァ
舞弥(色んな意味ではずかしぃぃ……)ウルウル
切嗣「舞弥?楽しくないのか?」
舞弥「……うぅ……たのしぃ……ですぅ……」ポロポロ
切嗣「泣くほど楽しいのか。じゃあ、もう少しだけ」タタタッ
舞弥「とまって!!もういい!!もういいです!!これ以上醜態をさらすわけにはぁ!!」
イリヤ「いけー!!グレートキリツグガー!!」キャッキャッ
切嗣「よーし」
舞弥「……はぁ」
セイバー「元気ないですね?肩車、お気に召しませんでしたか?」
舞弥「そういうわけでは……」
アイリ「こうしていると聖杯のことなんて忘れたくなるわね」
セイバー「アイリスフィール」
舞弥「……」
アイリ「あ、ごめんなさい。今のは失言だったわ」
セイバー「いえ。私もキリツグに肩車してもらったときは騎士として恥ずべきことですか、自身の宿命を忘れることができました」
アイリ「ふふ……そう。いいことか悪いことかはわからないわね」
セイバー「本来なら誰かに罰を受けねばならないでしょうね」
アイリ「真面目ね、騎士王さんは」
セイバー「私はサーヴァント。戦うためにここにいます」
イリヤ「きゃー!!きゃー!!」
セイバー「……でも、悪くない。むしろ良い。そう思えました」
アイリ「貴女も?」
舞弥「え!?」
セイバー「どうでした?楽しかったでしょう?」
舞弥「ま、まぁ……はい」
アイリ「よーし!」
セイバー「アイリスフィール?」
アイリ「キリツグー!!私も肩車してー!!」テテテッ
切嗣「アイリ、走るとあぶな―――」
アイリ「きゃ!?」ズデンッ
切嗣「アイリ!?」
アイリ「いたた……。お鼻、ぶつけた……」
セイバー「大丈夫ですか?!」
アイリ「へーき、へーき。それより、肩車っ!」
切嗣「わかった。イリヤ、いいかい?」
イリヤ「うん!」
切嗣「じゃあ、ほら」
アイリ「よっと」
切嗣「じゃあ、いくよ?」
アイリ「ヨーソロー♪」
セイバー「ふっ……」
舞弥(また機会があれば肩車してもらおう……)
切嗣「よっ……」グッ
ゴキィ……
セイバー「ん?」
アイリ「キリツグ?」
切嗣「あ゛……ぁ……」プルプル
アイリ「アイアイ?」
セイバー「キリツグ、すごい油汗ですよ?」
舞弥「どうかしたのですか?」
切嗣「ぉ……ォ……ァ……ャ……」プルプル
アイリ「どうしたの?」ユサユサ
切嗣「ァ゛ァ゛ァァァァ―――!!!!」
セイバー「バーサーカー化してしまいましたね」
舞弥「もしや……マダムの体重が重くて……腰に異常が……?」
アイリ「わ、私は重くないわ!!ねえ!!キリツグ!!?」
切嗣「ほっ……ぉ……」
アイリ「そんな……!!私が……重かったから……そんなぁ……」ウルウル
切嗣(アイリ……早く……助けて……く……れ……も、ぅ……)
イリヤ「キリツグ、大丈夫?ここが痛いの?」ペチン
切嗣「ぽぅ!!!」
切嗣「……」
アイリ「し、しばらく安静にしていれば大丈夫だから」
舞弥(もう肩車は頼めそうにないですね……残念)
セイバー「申し訳ありません。元はといえば私が……」
アイリ「セイバーのせいじゃないわ。気にしないで」
切嗣「……」
セイバー「いえ。ここは私が責任を取ります」
アイリ「え?」
セイバー「キリツグ。マッサージならできるかもしれません」ワキワキ
切嗣「……やめ……!!!」
セイバー「それでは」グッ
ベキィ……!!!
切嗣「―――!!!!」
―――この日以降、僕に肩車を求める声は止んだ。
END
セイバーがトドメを刺したか
面白かった
乙でした
乙
Entry ⇒ 2012.04.20 | Category ⇒ FateSS | Comments (0) | Trackbacks (0)