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さやか「転校生ってベッドの上じゃ弱いんだね」
ほむら「すぅ…」
さやか「ベッドでゴロゴロしている内に寝てしまった」
さやか「…」ジー
さやか(ちょっとイタズラしてみようかな…)
ほむら「ン……」ゴロン
さやか「寝てる?」
ほむら「スー…」
さやか「寝てるね?」
ほむら「スー……ンー……」
さやか「それじゃ、ちょっとだけイタズラしちゃいますよー……ふぅ」
ほむら「んっ……」ピクン
さやか「おお、起きない。ぐっすり寝てますなぁ♪」
ほむら「スー……カナメサン……」
さやか「ん?」
ほむら「ウン……ワタシ、ツヨクナッタヨ……スー」
さやか「ほう……あたしの家に遊びに来ておいて、夢に出て来るのはまどかですかい転校生さんよ」
ほむら「イッショニガンバロウネ……カナメサン……」
さやか「これはどうやら、お仕置きが必要ですな……ふふふ」
さやか「まずは耳からだ……ふっ」
ほむら「んっ……」ピクン
さやか「ふふ、転校生、いや、ほむらはあたしの嫁になるのだー」ボソボソ
ほむら「ウン……カナメサン……」
さやか「ぐぬぬ……起こしてやろうか……」
ほむら「……」
さやか「このままじゃあたしが寝られない……と言うか、そろそろ帰らないともう夜なんですけど」
ほむら「………」
さやか「あたしの家に泊まるつもりですかい転校生は?」
ほむら「……何を独り言を言っているのかしら、美樹さやか?」
さやか「っ!?」ビクッ
ほむら「全く……」ムクッ
さやか「お、起きてたの転校生?いつから?」
ほむら「『あたしのベッドを云々』くらいからかしらね」
さやか「くっ……べ、別に今のは独り言じゃないし!転校生に話しかけてただけだし!」
ほむら「えっ?」
さやか「転校生はまどかの事、下の名前で呼び捨てじゃなかったっけ?」
ほむら「そっ、それはその……」
さやか「ほう……訳ありと見た」ニヤニヤ
ほむら「あ、あなたには関係ないわ」ファサッ
さやか「んー?あたしにそんな事言っていいのかな?」
ほむら「ゆ、夢を見ただけよ」
さやか「夢?」
ほむら「ええ。昔の夢を、ね……」
ほむら「い、いいでしょう別に」
さやか「まどかと昔会ったことあるとか?」
ほむら「そ、そう!そうなのよ!」
さやか「嘘は似合わないぞ転校生?」
ほむら「うるさいわね!とにかく、あなたには関係ないわ!」
さやか「そう、話す気はないんだ?」
ほむら「当然よ」
さやか「生意気な転校生は、こうだ!」トンッ
ほむら「あっ……」
トサッ
さやか「……」(お、思わず押し倒しちゃった……)
ほむら「……」
さやか「な、なんか言ってよ転校生」
ほむら「あ、あなたこそ……」
さやか「……転校生が、悪いんだよ?」
ほむら「……え?」
さやか「せっかく転校生と親睦を深めようと思って、こうして二人で遊んでたってのに……まどかの夢を見るんだもん」
ほむら「……自分の事を、見て欲しかった?」
さやか「そりゃ、ね。いくらなんでも、そりゃないでしょって感じ。ちょっと、嫉妬しちゃうよ」
さやか「……」ムスッ
ほむら「そんなにむくれないの。せっかく可愛い顔してるのに、台無しよ?」
さやか「か、可愛い顔って……」
ほむら「あら、褒められ慣れてないのかしら?」
さやか「え、ええい!うるさいうるさい!このまま転校生の体に覆いかぶさったっていいんだからね!」
ほむら「やれるものならやってみなさい」
さやか「ほう……言ったね?」
ほむら「え?」
さやか「食らえぃ!」ボスッ
ほむら「み、美樹さやか!?」アセアセ
さやか「んー……転校生の匂いがする……」スンスン
さやか「うはは、食らえ食らえ〜!」コチョコチョ
ほむら「や、やめっ……あぅっ!?」ビクッ
さやか「っ!」
ほむら「っ……な、何よ?」
さやか「い、いや、その……随分と艶めかしい反応を示したな、と」
ほむら「くっ……」
さやか「脇が弱いのですかな?」ツン
ほむら「うくっ!」ピクッ
さやか「転校生の弱点はっけ〜ん♪」ツンツン
ほむら「や、やめっ……!」ピクッ ピクッ
ほむら「な、何を……っ!」ピクッ
さやか「魔女と戦ってる時はなんかよくわかんないウチにドカーンバシューンって感じで倒しちゃうからさ、『あ〜強いな〜』って思うわけよ新米のあたしとしては」
ほむら「そんなことないわ、あなただって強いじゃない。契約したばかりで魔女を倒すなんて芸当、そうそう出来るものではないわ」
さやか「いや〜、あの時は無我夢中だったからねぇ」
ほむら「自分に自信が無い?」
さやか「まぁ……うん。正直、足を引っ張ってるんじゃないかなって思うことはあるよ」
さやか「マミさんとか、杏子とか、転校生とか。みんな、強いもん。あたし、なんかの役に立ててるのかなって、ね」
ほむら(……昔のわたしと、同じ、ね)
さやか「転校生?」
ほむら「マミが、前に言っていたわよ?『美樹さんの成長の早さが羨ましい』って」
さやか「マミさんが……?」
ほむら「マミから聞いた話だけれど、彼女の魔法少女としての初戦、力及ばずに撤退したと言っていた」
さやか「……ちょっと、想像出来ないな。マミさん、すごい強いし」
ほむら「それに、杏子だって。魔女を倒したはいいけれど、犠牲者ゼロとはいかなかったらしいわよ?」
さやか「そう、なんだ」
ほむら「わたしだって……今はかなり強くなったのかもしれないけれど、契約当時は一人で魔女なんてとても倒せなかった」
さやか「………」
さやか「……そう、かな」
ほむら「まだ、自信が持てない?」
さやか「う、うん」
ほむら「……なら、わたしがあなたに自信をつけさせてあげる」ギュッ
さやか「ちょっ、転校生!?」
ほむら「そうじゃないでしょう?」
さやか「い、いや、あの……」アセアセ
ほむら「わたしの事、嫌いかしら?」
さやか「そんなことは、ない、けど……」
ほむら「なら、今だけは、わたしだけを見なさい、さやか」
さやか「……ほむら」
さやか(目を閉じた……?)
ほむら「………」
さやか(こ、これはまさか………)
ほむら「…………」
さやか(き……キス…………??)
ほむら「……………」
さやか「あ、あの、ほむらさん……?」
ほむら「……なに?」
さやか「どうして目を閉じてらっしゃるのでしょうか……?」
ほむら「察しなさいよ、もう……」ズイッ
チュッ
ほむら「ふふ……」ニコッ
さやか「え、あ、えっと、そのあの……」
ほむら「意外だった?」
さやか「な、なんでこんなことを……?」
ほむら「………昔のわたしと、一緒だったから」
さやか「昔の、ほむらと?」
ほむら「ええ……放っておけないわ」
さやか「………」
ほむら「誰かに守ってもらって、自分で力を持つことが出来て、それでも自信を持つことが出来なくて……」
ほむら「わたしだって……自分に、自信なんて持ってないわ」
ほむら「たったひとつの約束も守れず、いつまでも彷徨って……それで、自信を持つことなんて、出来るわけないじゃない」
さやか「………」
ほむら「知ってる?わたし、今までたくさんあなたを……いえ、あなたたちを見捨てて来たの」
ほむら「今回はダメでも、次こそは。次がダメなら、そのまた次。そうして彷徨い続けて……とうとう、わたしはひとりぼっちになった」
ほむら「……あなたとの関係も、マミとの関係も、杏子との関係も……ついには、まどかとの関係まで、無くしそうになった」
さやか「あたしとの関係……って……」
ほむら「嫌われて当然よね……何度も見捨てて来たんですもの」
ほむら「………」
さやか「さっき、言ったばっかりじゃん。嫌いじゃない、って」
ほむら「さやか……」
さやか「ずいぶん、一途なんだね?たったひとつの約束を守る為に、だなんて」
ほむら「……」
さやか「その約束っていうのは、まどかとのこと、でしょ?」
ほむら「……どうして、あなたはそう、鋭いのかしらね。その鋭さが、たまに憎たらしくなるわ」
さやか「あっはは……これはもう、あたしの性分だからね。でも、なら、こんなところであたしとこんなことしてるわけには、いかないんじゃない?」
ほむら「え……?」
さやか「人に『自信を持て』なんて言っておいて、自分自身は自信がありませんって、なんだそれ、ってなるじゃん」
さやか「ひとりぼっちは寂しい、って、これは杏子からの受け売りだけどさ。ほむらだって、ずっと寂しい想い、してきたんじゃない?」
ほむら「っ……」
さやか「ほむらに足りないのは、『人に頼る気持ち』だと思うんだよね、あたし」
ほむら「だって……誰かを頼っても、結局最後にはみんな死んでしまう……それならいっそ、誰にも頼らずにいた方が楽じゃない」
さやか「一人で、何でも背負い込まない方がいいよ。そんな華奢な体でさ。無理してたら、すぐに潰れちゃうよ?」
ほむら「……」
さやか「大丈夫!ほむらの後ろには、あたしがいるから!もし、一人で背負いきれなくなったら、いつでも甘えてよ。それが、仲間……でしょ?」
さやか「あたしだけじゃない。ほむらのその話聞いたらさ、マミさんだって、杏子だって、ほむらの事支えてくれるよ」
さやか「ホントホント!振り返れば、仲間がいる。それってさ、素敵だと思わない?」
ほむら「わたしたち……仲間、って、言っていいの……?」
さやか「少なくとも、あたしは仲間だって思ってるよ?」
ほむら「さやかっ……!」ギュッ
さやか「っ……あはは、何さ。ホント、ベッドの上では弱いね、ほむらは」
ほむら「………っ」ギュゥゥ
さやか「泣きたいなら泣け泣け。さやかちゃんの寛大な胸を貸してやろうじゃないの」ナデナデ
ほむら「ありがとうっ……」
さやか「礼には及ばないよ。そうして弱さを見せることが出来るのも、強さのひとつだ、ってね」
さやか「落ち着いたかね、ほむら?」
ほむら「………ええ」
さやか「しっかし、あのクールな転校生が泣くなんてねぇ」ニヤニヤ
ほむら「き、今日のことは忘れなさい」
さやか「え〜♪でも、ほむら可愛かったぞ〜?」ニヤニヤ
ほむら「茶化さないでよ……」
さやか「あたしにキスしたことも、忘れろって?」
ほむら「そ、それはその……」
さやか「ん〜?はっきり言ってくれないとわかんないぞ〜?」
ほむら「それ、は、忘れなくてもいいわ」
さやか「えっ?」
ほむら「大切な、思い出として、お、覚えておきなさい」
ほむら「そ、そうよ。って、あなたはこれ以上を期待しているのかしら?」
さやか「んー、ほむら次第かな?」
ほむら「………」
さやか「でも、ほむらの気持ちはあたしには向いてないだろうから。これ以上は、期待できないかな、っていうのも、正直なとこ」
ほむら「そんなこと……」
さやか「無い、とは言いきれないでしょ?」
ほむら「……」
さやか「ほむらには、なにより大切な約束があるんでしょ?」
ほむら「そう……ね」
さやか「だったら!あたしの方にフラフラしてる暇は無いっ!がむしゃらに、突っ走るのみ!」
ほむら「………さやか……」
さやか「背中はあたしに任せろ、ってね。もし立ち止まることがあったら、その時は容赦なく背中を押すから、覚悟すること!いい?」
ほむら「ふふ……期待、させてもらうわ」
ほむら「………」
さやか「ほむら?どうしたの?」
ほむら「……いえ、なんでもないわ」
さやか「前に、言ったでしょ?立ち止まったら、容赦なく背中を押すって」
ほむら「………」
ふと、後ろを振り向く。
ぶっきらぼうに、お菓子を食べている杏子。
わたしとさやかの様子を、静かに見守るマミ。
そして、わたしの背中を守り続けてくれた、さやか。
さやか「ほら、ほむらは前だけを見る!後ろの心配はしなくっても、大丈夫だから!」
マミ「そうね。誰かに心配される程、わたしは素人ではないわよ?」
杏子「んなこと言って、ブルってんのがバレバレだぞ、マミ?」
マミ「そういう佐倉さんこそ」
マミ「どうしたのよ、急に?」
ほむら「ありがとう、杏子」
杏子「はん、なんだよ?ご機嫌でも取ろうってか?」
ほむら「ありがとう、さやか」
さやか「お礼は後!今は、見滝原を守る為に、ほむらの何より大切な約束を守る為に、戦わなかったら」
ほむら「ええ、もちろん」
この世界は……この世界なら、きっと。わたしに、奇跡を見せてくれる。
そう、信じさせてくれる何かがあった。
いや、何かじゃない。あの日、さやかの家に行ったのが、なによりの収穫だったに違いない。
「―――ハハ……アハハハ……―――」
響くのは、何度も聞いたあの笑い声。
その笑い声を聞くのも……もう、終わりだ。
杏子「おうよ!」
さやか「頑張ろう、みんな!頑張ろう、ほむら!」
ほむら「ええ……必ずっ!!」
何もかもが歪んでしまったと思っていたけれど。
そうじゃなかった。
歪んでいたのは、きっと、わたしの方だった。
ほむら(わたしは弱かった。そんなわたしを後押ししてくれたさやか。ありがとう)
ほむら(必ず……乗り越えて見せる。この夜を、乗り越える為に!!)
みんなが、ワルプルギスの夜へ向けて跳躍する。
それを追うようにして、わたしも跳んだ。
無くした未来を、掴む為に。
終わり
エロを書くつもりだったんだけど、妙にシリアスになってしまった
これで勘弁してください
イチャイチャも見たかったが
これはこれでよかった
Entry ⇒ 2012.05.29 | Category ⇒ まどかマギカSS | Comments (1) | Trackbacks (0)
杏子「ちょっとちょっと、何やってんのさ」さやか「魔女退治」
さやか「いや魔女退治だから」
杏子「だからアレ使い魔だし」
さやか「目的としては魔女退治だから」
杏子「結果的に使い魔退治だし」
さやか「いやいやいやそういうの無しでしょ」
杏子「は?」
さやか「使い魔だって危ないかもしれないじゃん」
杏子「は?」
さやか「使い魔だって危ないかもしれないじゃん」
杏子「いやそれおかしいだろ」
さやか「え?」
杏子「使い魔だったら危なくないかもしれないじゃん」
さやか「え?」
杏子「は?」
杏子「なにが」
さやか「使い魔でも危ないよ」
杏子「4、5人食わせりゃグリーフシード孕むじゃん」
さやか「じゃあ危ないじゃん」
杏子「は?」
さやか「え?」
杏子「危なくてもいいじゃん」
さやか「いやそれおかしいでしょ」
杏子「危なくてもいいじゃん」
さやか「魔女に襲われる人たちを見殺しにする気!?」
杏子「それちょっと違うじゃん」
さやか「いや違わないし」
杏子「違うし」
杏子「結構違うし」
さやか「どこが」
杏子「アレだよ」
さやか「アレってなによ」
杏子「ほら食物連鎖ってやつ」
さやか「いや食べ物じゃないし」
杏子「物の例えだよばーか」
まどか「・・・」
さやか「バカって言ったほうがバカだし」
杏子「そういうのうざいし」
さやか「はぁ?」
杏子「バカって言われてバカって言い返したほうがバカだし」
さやか「はぁ?」
/__/ ‘,
// ヽ ', 、
// ‘ ! ヽ …わかった この話はやめよう
/イ ', l ’
iヘヘ, l | ’
| nヘヘ _ | | l ハイ!! やめやめ
| l_| | | ゝ ̄`ヽ | |〈 ̄ノ
ゝソノノ `ー‐' l ! ¨/
n/7./7 ∧ j/ / iヽiヽn
|! |///7/:::ゝ r===オ | ! | |/~7
i~| | | ,' '/:::::::::::ゝ、 l_こ./ヾ.. nl l .||/
| | | | l {':j`i::::::::::::::::`ーr ' ||ー---{
| '" ̄ ̄iノ .l::::::::::::::::::::::∧ | ゝ ',
, 一 r‐‐l γ /、::::::::::::::::::::::::〉ー= ___ ヘ ヽ }
/ o |!:::::} / o` ー 、::::::::::::i o ,':::::::{`ヽ ヘ ノ
/ o ノ:::::∧ /ヽ o ヽ::::::::| o i::::::::ヽ、 / /
/ ノ::::::/ /::::::::ヽ o ヽ:::| o {::::::::::::::Υ /
さやか「なにそれ」
杏子「食物連鎖」
さやか「いや食べ物じゃないし」
杏子「は?」
さやか「いや食べ物じゃないし」
杏子「イラってきた」
まどか「・・・」
さやか「なんなの?」
杏子「ていうかさ」
杏子「まさかとは思うけど、人助けとか正義のために契約したわけじゃないよねぇ?」
さやか「そうですけど」
杏子「は?」
杏子「あっそう」
さやか「なにその反応冷たい」
杏子「いやバカだなーと思って」
さやか「バカって言ったほうがバカだし」
杏子「そういうのうざいし」
さやか「はぁ?」
杏子「どりゃあ!!!!」ザシュッ
さやか「いった!!!!!!!!」ブシュウ
さやか「ちょっといきなりなんなの?」
まどか「さやかちゃん大丈夫!?」
さやか「いやすごい痛いんですけど」
杏子「全治3か月だから」
さやか「いきなり斬りつけるってひどいじゃない」
杏子「ムカつくから」
さやか「カッとなって?」
杏子「うん」
さやか「やーい犯罪者」
杏子「は?」
杏子「うん」
さやか「ほら」
杏子「なにが」
さやか「犯罪者」
杏子「は?」
さやか「よく言うから」
杏子「うぜーチョーウゼー」
さやか「なんなの?」
杏子「だいたい口の利き方がなってないよねぇ」
さやか「口の利き方ってなに」
杏子「敬語とか」
杏子「は?」
さやか「敬語つかってほしいの?」
杏子「じゃ使えよ」
さやか「お犯罪者にございます」
杏子「は?」
ほむら「・・・」
まどか「あれ、ほむらちゃん?」
ほむら(来るタイミング盛大に間違えたわ・・・
というか話の進み遅すぎよ・・・)
さやか「先輩なの?」
杏子「そうだよ」
さやか「いやどっちが先かわかんないじゃん」
杏子「アタシの方が先だし」
さやか「わかんないじゃん」
杏子「聞いたからわかるし」
さやか「誰に?」
杏子「キュゥべえに」
さやか「そうなの?」
QB「そうだよ」
さやか「ちょっとショックだわ」
さやか「ごめん」
杏子「いいよ」
さやか「黙れぇっ!!」ダッ
杏子「いやそういうのダメでしょ」キィン
さやか「ごめん」ズバッ
杏子「いいよ」ガキィン
杏子「言って聞かせてわからねえ、殴ってもわからねえバカとなりゃあ
あとは殺しちゃうしかないよねぇ!」ジャラッ
さやか「いやもうちょっと対処法あるでしょ」
杏子「マジ?」
さやか「いや言ってみただけ」
杏子「だと思った」
さやか「ちょっとまどかにカッコつけてきます」スタスタ
まどか「さやかちゃん・・・?」
さやか「あたしは・・・負けない!」キリッ
まどか「・・・」
さやか「うん」
杏子「チャラチャラ踊ってんじゃねえよウスノロ!!」バッ
まどか「どうして魔女じゃないのに・・・味方同士で戦わなきゃならないの!?
ねぇ、止めさせてよキュゥべえ!」
QB「君でも普通に止められるよ」
まどか「えっ」
ほむら(状況が理解できないわ・・・)
杏子「これで終わりだよっ!!」ブンッ
さやか「え?」
杏子「え?」
さやか「なにが」
杏子「いや」
杏子「アンタの命っていうかこの闘いっていうか」
さやか「はっきりしなさいよ」
杏子「いやアレだよ」
さやか「アレってなによ」
杏子「どっちでもいいじゃん」
さやか「は?」
杏子「は?」
さやか「あたし優柔不断とか苦手なんで」
さやか「それって」
杏子「なに」
さやか「平和的解決もできるじゃん」
杏子「する気ないじゃん」
さやか「負けました」
杏子「はええよ」
さやか「だって死にたくないし」
杏子「それわかる」
さやか「でしょ」
杏子「まあアレだ」
杏子「てめぇ、何しやがった!」ギロッ
ほむら(キラーパス!?)
ほむら「え、あの・・・」
さやか「転校生・・・邪魔するなっ!!」バッ
ほむら「待って!邪魔なんてしてないわ!!」アセアセ
さやか「たしかに」
杏子「やーい早とちり」
さやか「はぁ?」
杏子「邪魔なんて?」
さやか「してなかった」
杏子「ほら」
さやか「なにが」
杏子「早とちり」
さやか「はぁ?」
さやか「いやそういうの無いから」
杏子「あるし」
さやか「ないから」
杏子「ないし」
杏子「あ、あるし」
さやか「今ミスったでしょ」
杏子「ミスってないし」
さやか「ほらやっぱりないんじゃん」
杏子「あるし!」
さやか「ムキになってる」
杏子「なってないし!」
杏子「やめろ!」ゴン
さやか「いたっ」バタン
まどか「さやかちゃん!?」
QB「大丈夫、気絶してるだけだ」
杏子「おいアンタ、一体誰の味方なんだ?」
ほむら「・・・」
杏子「聞いてないし」
ほむら「えっ?」
杏子「聞いてないし」
杏子「は?」
ほむら「えっ・・・」
杏子「なんでもない」
ほむら「・・・あなたはどっちなの?佐倉杏子」
杏子「は?」
ほむら「えっ・・・」
杏子「なんでもない」
ほむら「いやなんでもあるでしょ、どうして名前知ってるんだとか
どこかで会ったことあるのかとか・・・」
杏子「どこかで会ったことあるのか?」
ほむら「さあね」
杏子「聞き損じゃん」
ほむら「・・・ごめんなさい」
ほむら「・・・」
杏子「イラるわマジ」
ほむら「・・・」
杏子「・・・まるで手札が見えないとあっちゃ、今日は退いたほうがよさそうだな」
ほむら「賢明ね」
杏子「は?」
ほむら「えっ」
杏子「見せてくれないのかよ」
ほむら「まぁ・・・」
ほむら「いや、相手に戦略見せるのは・・・」
杏子「マジ引くわそういうの」
ほむら「ごめんなさい・・・」
杏子「疲れたから帰るわ」ダッ
ほむら「・・・」
ほむら「・・・あああああああああ!!!!」
まどか「ほむらちゃん!?」
ほむら「なんなのよ今の二人!?ふざけすぎでしょ!!
どうしてあんなに緊張感がないの!!??」
まどか「ほむらちゃん、落ち着いて!」
ほむら「はぁ、はぁ・・・ごめんなさい、ちょっと取り乱したわ」
ほむら「そ、そうなのね」
ほむら(美樹さやか、佐倉杏子・・・
二人とも、今回はおかしすぎるわ・・・)
ほむら(まどかも、なんてことはないわよね・・・?)
ほむら「そんな事より鹿目まどか、あなたはどこまで愚かなの?」
ほむら「あなたは魔法少女と関わり合いを持つべきじゃないと
さんざん言い聞かせたはずよ?」
まどか「ごめんなさい・・・」
ほむら「愚か者が相手なら、私は手段を選ばないわ」スタスタ
まどか「ほむらちゃん・・・」
ほむら(・・・とりあえず、まどかは普通なようね・・・安心したわ)
・
・
・
-ゲームセンター
杏子「よぉ、今度は何さ」タッタッ
ほむら「こ
杏子「プレイ中に話しかけるんじゃねえ!!!」
ほむら「えっ」
杏子「・・・」タタタン
ほむら「・・・」
杏子「で、何さ」
ほむら「この
杏子「待ってくれ、今結果出るから」
ほむら「・・・」
DDR「perfect!!
You are the first place!!」
杏子「で、何さ」
ほむら「この街
杏子「名前入力するから待ってくれ」タタタン
ほむら「・・・」
ほむら「この街をあなたに預けたい」
杏子「は?」
ほむら「え?」
杏子「市長なの?」
ほむら「え?」
杏子「市長なの?」
ほむら「違うけど・・・」
杏子「期待させんな」
ほむら「・・・」
美樹さやかでは務まらない・・・
それと、今後彼女には手出ししないで」
杏子「なんで?」
ほむら「なんでもよ」
杏子「いやそういうの無しだから」
ほむら「えっ」
杏子「そういうのムカつく」
ほむら「・・・」
杏子「あと次の曲始まるから話しかけんな」
ほむら「・・・」
ほむら「・・・2週間後、この街にワルプルギスの夜が来る」
杏子「!」ピクッ
ほむら(反応した!?)
ほむら「・・・秘密。そいつさえ倒せば私はこの街から出て行く。
あとはあなたの好きにすればいい」
杏子「ワルプルギスの夜ねぇ・・・
一人じゃあ厳しいが、二人ならなんとかなるかもな」
杏子「食うかい?」スッ
ほむら「なんでここだけ普通なのよ・・・」
杏子「は?」
ほむら「あっ・・・ごめんなさい、いただくわ」スッ
杏子「アタシのRockyに何しやがる!!」バッ
ほむら「え、だって食うかいって言って・・・」
杏子「アタシのRockyに何しやがる!!」バッ
ほむら「・・・」
・
・
・
-恭介宅
さやか(練習してるんだ・・・あたしの願い、役に立ったのかな・・・)ニコッ
杏子「おい」
さやか「あっ犯罪者!」
杏子「は?」
さやか「カッとなって?」
杏子「うん」
さやか「ほら」
杏子「なにが」
さやか「犯罪者」
杏子「うるせえ」
杏子「せっかく来たのに会いもしないで帰るのかい?
今日一日追いかけ回してたくせに」
さやか「なんで知ってるの」
杏子「追いかけ回したから」
さやか「ストーカー」
杏子「は?」
さやか「あんた」
杏子「は?」
さやか「犯罪者」
杏子「そういうのマジ無理だから」
杏子「この家の坊やなんだろ?契約した理由。
ったく、くだらねえ事にたった一度のチャンス使いやがって・・・
魔法ってのは自分だけの望みを叶えるためのもんだ。
他人の為に使ったってロクなことにはならない。
巴マミから教えてもらわなかったのかい?」
さやか「長い」
杏子「は?」
さやか「長いから聞いてない」
杏子「まあ一言で言うとアンタはバカ」
さやか「バカって言ったほうがバカだし」
杏子「そういうのうざいし」
さやか「はぁ?」
せっかく手に入れた魔法でさぁ、
今すぐ家に乗り込んで、坊やの手足を潰してやりな。
もう一度アンタ無しでは何も出来ない身体にしてやるんだ」
さやか「長い」
杏子「は?」
さやか「長いから聞いてない」
杏子「まあ一言で言うと坊やに重傷負わせろ」
さやか「お前だけは絶対に許さない・・・!!」ゴォッ
杏子「場所を移そうか」ニヤッ
さやか「え?」
杏子「え?」
さやか「え?」
さやか「なんで微妙に優しいの」
杏子「いやアレだから」
さやか「アレってなによ」
杏子「坊や危ないじゃん」
さやか「知ってる」
杏子「じゃあ場所移すじゃん」
さやか「なんで微妙に優しいの」
杏子「場所移すじゃん」ギロッ
さやか「はい」
・
・
・
杏子「ここなら遠慮はいらないよねぇ」
さやか「は?」
杏子「え?」
さやか「下に車とか通るよ」
杏子「遠慮いらないじゃん」
さやか「落ちたら危ないじゃん」
杏子「は?」
さやか「え?」
杏子「何するの」
さやか「殺し合い」
杏子「なら死んでも仕方ないじゃん」
さやか「だって死にたくないし」
杏子「それわかる」
杏子「まあアレだ」
杏子「場所を移そうか」
まどか「待って!さやかちゃ・・・いない」
ほむら「じゃああなたの仲・・・いない」
QB「・・・」
まどか「・・・」
ほむら「・・・」
QB「・・・」
まどか「帰ろっか」
ほむら「ええ」
・
・
-路地裏
杏子「ここなら遠慮はいらないよね」
さやか「は?」
杏子「え?」
さやか「飲み会帰りのおじさんとかいるよ」
杏子「遠慮いらないじゃん」
さやか「酒臭いじゃん」
杏子「は?」
さやか「え?」
まどか「待って、さやかちゃん!」
QB「どうにか間に合ったね」
ほむら(帰り道に偶然見つけただけだけど・・・)
さやか「邪魔しないで、まどかには関係ない話なんだから」
杏子「アタシらも関係ないじゃん」
さやか「え?」
杏子「酒の話」
さやか「そっちじゃないし」
杏子「え?」
さやか「え?」
杏子「逆に何の話」
さやか「ほらアレよアレ」
杏子「アレってなんだよ」
杏子「は?」
さやか「ほらアレ」
杏子「つまり一般人は関係ないって?」
さやか「それ」
杏子「たしかに」
さやか「まぁだから二人とも帰っていいよ」
ほむら「私は魔法少女よ!!!」
さやか「え?」
杏子「え?」
ほむら「え?」
杏子「え?」
さやか「え?」
ほむら「・・・」
ほむら「・・・」
ほむら「・・・美樹さやかには手を出すなって言ったはずよ」
まどか(強引に進めた・・・)
杏子「アタシじゃなくてあっちがふっかけてきたんだぜー?」
さやか「は?」
杏子「だってそうじゃん」
さやか「は?」
杏子「そうじゃん」
さやか「たしかに」
杏子「ふん」モグモグ
杏子「じゃあコイツを食い終わるまで待ってやる」カラッ
ほむら「じゅうぶn・・・もう食べ終わってるじゃない!!」
杏子「どりゃあ!!」ザシュッ
さやか「いった!!!!!!!!」ブシュウ
杏子「頭冷やせよ」
さやか「ちょっといきなりなんなの?」
まどか「さやかちゃん大丈夫!?」
さやか「いやすごい痛いんですけど」
杏子「全治3か月だから」
まどか「・・・」
仕方ないから、流れ的に私が美樹さやかのソウルジェムを投げるしかないわね)
ほむら「さやかちゃん、ゴメン!(裏声)」ビシュッ
さやか「あっ、転校生!何するのy・・・」バタッ
ほむら「まずいっ・・・」シュン
まどか「さ、さやかちゃん?どうしたの?」
QB「よりにもよって友達を放り投げるなんてどうにかしてるよ、ほむら
しかも自分で取りにいくなんて」
杏子「どういうことだよ・・・こいつ、死んでるじゃねえか!!」
さやか「いや死んでないし」
QB「えっ」
杏子「は?」
さやか「てか友達じゃないし」
まどか「・・・」
杏子「さやかちゃん、ゴメン!(裏声)」ビシュッ
さやか「あっ、あんた何するのy・・・」バタッ
杏子「どういうことだよ・・・こいつ、死んでるじゃねえか!!」
QB「よりにもよって友達を放り投げるなんてどうにかしてるよ、杏子」
杏子「友達じゃないし」
さやか「友達じゃないし」
QB「・・・」
杏子「生きてるし」
まどか「・・・」
杏子「ノリ」
さやか「軽すぎ」
杏子「まあな」
さやか「褒めてないし」
杏子「は?」
さやか「は?」
ほむら「はぁ、はぁ・・・」
ほむら「なんで2個もあるのよ・・・
ていうか2個投げてなんで普通に動いてるのよ・・・」
さやか「本物はこっちでした」パァァ
ほむら「もうなんなのよおおおお!!!!」
・
・
・
魔法少女が体をコントロールできるのはソウルジェムから半径100m圏内。
契約によって、私たちの体は外付けのハードウェアになってしまったのよ。
そいつが言うには、魔力の効率がいいから・・・らしいけど。
キュゥべえの役目は、私たちの魂を抜き取ってソウルジェムに変えることなのよ」
まどか「そんな・・・!!」
杏子「長い」
さやか「長い」
ほむら「・・・つまり、これが私たちの魂ってこと」
杏子「・・・それじゃアタシ達、ゾンビにされたようなもんじゃないか!!」
QB「むしろ便利だろう?心臓が破れても、ありったけの血を抜かれても
魔力で修理すればまた動くようになるんだから。
ソウルジェムさえ砕かれない限り、君たちは無敵だ。
弱点ばかりの人体よりも、戦いでは有利になるじゃないか」
さやか「一理ある」
QB「えっ」
杏子「確かに」
杏子「は?」
さやか「魔法少女?」
杏子「うん」
さやか「ほら」
杏子「なにが」
さやか「ゾンビ」
杏子「は?」
さやか「外付けだから」
杏子「あんたもだ」
さやか「確かに」
QB「・・・」
まどか「・・・」
ほむら「・・・」
・
・
-さやか宅
さやか「こんな身体になっちゃって、
あたしどんな顔して恭介に会えばいいのかな・・・」
杏子『いつまでもショボくれてんじゃねーぞボンクラ!!』
さやか「・・・ん」シャッ
杏子『ちょっと面貸しな、話がある』
さやか『めんどい』
杏子『は?』
杏子『長いから無理』
さやか『長いなら行かない』
杏子『じゃ長くない』
さやか『じゃ口頭で』
杏子『じゃ話さない』
さやか『それちょっと寂しい』
杏子『じゃ出てこい』
・
・
・
さやか「・・・あんたさ、後悔してるの?こんな身体にされちゃったこと」
杏子「アタシはね、まあいいかって思ってるんだ。
なんだかんだでこの力で好き勝手できてるワケだしね」
さやか「いや嘘でしょ」
杏子「は?」
さやか「実はショックでした的なアレでしょ」
杏子「違うし」
さやか「違わないし」
杏子「違わないのアンタだろ」
さやか「確かに」
杏子「そうさ、自業自得にしちゃえばいいんだよ。
自分の為だけに生きてれば、全部自分のせいだ。
他人を恨むこともないし後悔なんてあるわけない・・・」
さやか「いや嘘でしょ」
杏子「は?」
さやか「実は後悔しました的なアレでしょ」
杏子「違うし」
さやか「違わないし」
杏子「違わないのアンタだろ」
さやか「確かに」
杏子「ちょいと長い話になる。食うかい?」シュッ
さやか「・・・」スッ
杏子「よけんなよ」シュッ
さやか「・・・」スッ
杏子「おい」シュッ
さやか「・・・」スッ
杏子「・・・」シュッ
さやか「・・・」スッ
杏子「・・・」ブンッ
さやか「」ゴスッ
さやか「痛っ・・・」
杏子「・・・」
さやか「・・・」
さやか「・・・」
杏子「・・・ここはね、あたしの親父の
さやか「長い」
杏子「・・・」
さやか「・・・」
杏子「寝てろ」
さやか「zzz」
杏子「・・・ここはね、あたしの親父の教会だったんだ。
正直すぎて・・・優しすぎる人だった。
親父は、新しい世界には新しい信仰が必要だって言い始めて
ある時教義にないことまで信者に説教したのさ。
もちろん信者は離れていった。本部からも破門されたさ」
杏子「そうなりゃ、あとは底なしの貧乏生活だ。
あたし達は一家揃って食事すら満足に出来なくなっちまった。
親父は間違ったこと言ってないのに、誰も取り合ってくれないのが悔しかった・・・
リンゴ一つすら、妹に買ってあげられない自分が情けなかった・・・
だから、キュゥべえに頼んだのさ。親父の話をみんなが聞いてくれますようにって」
お金も貯まって、妹にだって何でも買ってあげられるようになった。
それであたしは魔法少女になった。最初は張り切ってたんだ。
親父の説法とあたしの魔女退治で、表と裏からこの世界を救うって・・・」
杏子「でも、ある時カラクリがバレちまった。
信者が魔法で集まったと知って、親父はブチ切れてさ。
あたしの事、人の心を惑わす魔女だって言った。
そのまま転落さ。親父は酒に溺れて頭もイカれて・・・
最後は家族で無理心中。あたし一人だけ残して」
杏子「他人のことを考えないで勝手に願いを叶えた結果がこれさ。
だからあたしは、自分の為だけに魔法を使うことを心に誓ったんだ。
奇跡を願えば、同じ量の絶望が撒き散らされる。
それで差し引き0になって、この世の中は成り立ってるんだ」
杏子「アンタもあたしも同じ間違いから始まったんだ。
アンタはこれ以上後悔する必要ないよ、対価として高すぎるモンを
支払っちまってるわけなんだからさ。
これからはその釣り銭を取り戻していきなよ」
さやか「zzz」
杏子「聞けよ」ブンッ
さやか「」ゴスッ
さやか「痛っ・・・」
さやか「長い」
杏子「まあ一言で言うと自分の為だけに生きろ」
さやか「・・・あたし、あんたのこと色々と誤解してた。
その点は謝るよ」
さやか「でもね・・・あたしは人の為に祈った事を後悔してない。
高すぎる物を支払ったとも思ってない」
杏子「いや嘘だろ」
さやか「は?」
杏子「実は後悔しました的なアレだろ」
さやか「違うし」
杏子「違わないし」
さやか「確かに」
杏子「バカ野郎!!」ブンッ
さやか「」ゴスッ
さやか「痛っ・・・」
さやか「今のなんで投げたの」
杏子「ノリ」
さやか「・・・」
さやか「それからさ、そのリンゴどうやって手に入れたの?」
杏子「盗んだ」
さやか「いや知ってるし」
杏子「は?」
さやか「知ってたし」
杏子「ならなんで聞くん」
さやか「いや盗んじゃダメでしょ」
杏子「は?」
さやか「盗んじゃダメでしょ」
杏子「いやそれおかしいだろ」
杏子「盗んだっていいかもしれないじゃん」
さやか「え?」
杏子「結構盗んだっていいかもしれないじゃん」
さやか「いやダメでしょ」
杏子「は?」
さやか「え?」
杏子「アタシ達は魔法少女なんだぞ!?他に同類なんていないんだぞ!?」
さやか「あたしは自分のやり方で戦い続けるよ。
それがあんたの邪魔になるならまた殺しにくればいい。
あたしは負けないしもう恨んだりもしないよ」スタスタ
杏子「でも実は」
さやか「は?」
杏子「でも実は」
さやか「まあちょっと恐かったりします」
・
・
-
さやか「仁美、話ってなに?」
仁美「私、ずっと前から上条君のことをお慕いしてましたの」
さやか「は?」
仁美「さやかさんと上条君は幼馴染でしたわね」
さやか「いやちょっと待って」
仁美「私、もう自分に嘘はつかないって決めたんですの」
さやか「いや嘘ついてるでしょ」
仁美「さやかさん、あなたはどうですか?
本当の気持ちと向き合えますか?」
さやか「それおかしいでしょ・・・」
仁美「私は抜け駆けも横取りもしたくありません。
ですから、一日だけお待ちしようと思います」
さやか「・・・」
さやか「でも実h
仁美「それまでに、後悔なさらぬよう決めてください。
上条君に気持ちを伝えるべきかどうか」
さやか「・・・」ブンッ
仁美「」ゴスッ
仁美「痛っ・・・」
さやか「・・・」
仁美「・・・」
・
・
さやか「・・・」
まどか「今日の魔女退治も、ついていっていいかな」
さやか「・・・まどか」
まどか「さやかちゃんに一人ぼっちになってほしくなくて・・・
だから・・・」
さやか「お一人様ご来店です」
まどか「えっ」
さやか「・・・なんであんた、そんなに優しいかな。
あたしにはそんな価値ないのに・・・」
まどか(今のすっごい気になる・・・)
さやか「・・・あたしね、今日後悔しそうになっちゃった。
あの時仁美を助けなければってほn
さやか「長い」
さやか「まぁ一言で言うと後悔してます」
まどか「・・・」
・
・
杏子「今日のアイツは魔女と戦ってる、無駄な狩りじゃないさ」
ほむら「意外だわ、そんな理由であなたが獲物を譲るなんて」
杏子「は?」
ほむら「え?」
杏子「全然譲ったとかじゃないし」
杏子「先越されたから見守っててやるだけだし」
杏子「全然さやかの為に残しておいたとかじゃないし」
ほむら「・・・」
杏子「あのバカ、手こずりやがって」
さやか「は?」
杏子「は?」
さやか「バカって言ったほうがバカだし」
杏子「バカって言われてバカって言い返す方がバカだし」
まどか「きゃあああぁぁ!!」
ほむら「まどか!!!」カチッ
さやか「バカって言われてバカって言い返されてバカって言い返す方がバカだし」
杏子「そういうのうざいし」
さやか「はぁ?」
杏子「とにかく見てらんねえっつうの」
さやか「見てたじゃん」
杏子「そういう意味じゃないし」
さやか「はぁ?」
杏子「見ててつまんねえって意味だし」
さやか「別に楽しませるものじゃないし」
杏子「は?」
さやか「は?」
ほむら「もう倒したわよ・・・」
杏子「・・・」
さやか「・・・」
まどか「・・・」
杏子「・・・」ブンッ
ほむら「・・・」スッ
さやか「邪魔しないで、一人でやれるわ・・・」
ほむら「いや、だからもう倒した・・・」
さやか「はあああああぁぁぁ!!!!」ダッ
残骸「」ドスゥッ
まどか「さやかちゃんっ!?」
ほむら「・・・」
さやか「あはは、本当だぁ。
その気になれば痛みなんて完全に消しちゃえるんだぁ・・・」グリグリィ
ほむら「・・・ダメージ受けてないじゃない!!」
さやか「は?」
杏子「は?」
まどか「は?」
ほむら「!?」ビクッ
さやか「いやそういうの無しでお願いします」
杏子「まじキツいわ」
まどか「ほむらちゃん、助けてくれてありがとうね」
ほむら(なに、今の・・・
一瞬まどかまで変になってなかった・・・?)
これなら負ける気がしないわ」
さやか「あげるよ。それが目当てだったんでしょう?」ブンッ
杏子「は?」
さやか「え?」
杏子「じゃあこれ目当てじゃなかったらどうするん」
さやか「どうもしないし」
杏子「いやおかしいだろ」
さやか「なにが」
杏子「いや魔女譲ったのに見返り無しておかしいだろ」
さやか「見返りそれじゃん」
杏子「じゃあこれ目当てじゃなかったらどうするん」
さやか「それ目当てでしょ」
杏子「確かに」
ほむら(グリーフシード、私が持ってるんだけど・・・)
さやか「何してんのまどか、帰るよ・・・!」フラッ
まどか「さやかちゃん、無理しないでつかまって・・・」
さやか「お縄」スッ
まどか「いや、手錠とかじゃなくて・・・」
杏子「あのバカ・・・」ギュッ
ほむら(だからグリーフシードは私が持ってるんだけど・・・)
・
・
ほむら「ワルプルギスの夜の出現予測はこの範囲。
いずれのパターンにも対応できる防衛線を張るためには
最低でも二カ所の霊脈をおさえる必要があるわ」
杏子「長い」
ほむら「・・・地図を見て。理解できたらそれでいいわ」
杏子「いや話じゃなくて今食ってる麺のこと」
ほむら「・・・」
杏子「その出現予測の根拠はなんだい」
ほむら「統計よ」
杏子「短い」
ほむら「・・・出現した位置の分布を調べて、それをもとに考えたのよ」
杏子「いや話じゃなくて今食ってる麺のこと」
ほむら「・・・」
杏子「信用しろとは言わないけどさ、もうちょっと手の内見せてくれないわけ?」
QB「それは是非僕からもお願いしたいね、暁美ほむら?」
杏子「・・・」
ほむら「・・・」
QB「・・・」
杏子「・・・」
ほむら「・・・」
QB「・・・」
杏子「・・・あっ」
杏子「どこから湧いて出やがったテメエ・・・」ジャキッ
ほむら(なんで今の言うのに時間かかったのよ・・・)
魔法を使うだけでなく彼女自身が呪いを生み始めた」
杏子「人をゴキブリみたいに言うんじゃねえ!!」
QB「言ったのは君が僕に対してじゃないか」
杏子「人をゴキブリみたいに言うんじゃねえ!!」
QB「・・・
このままだとワルプルギスの夜よりも先に
厄介なことがおこるかもしれない。
注意した方がいいよ」
杏子「人を厄介みたいに言うんじゃねえ!!」
QB「・・・」
杏子「人を厄介みたいに言うんじゃねえ!!」
ほむら「・・・消えなさい」
QB「うん・・・」
・
・
さやか「うああああああ!!!」ザシュッ
さやか「はぁ、はぁ・・・」ドサッ
ほむら「どうして分からないの?
余裕がないのなら魔女だけを狙って仕留めなきゃダメよ。
・・・使いなさい。ソウルジェムはもう限界のはずよ」
さやか「長い」
ほむら(本当に追いつめられてるのかしら、この子・・・)
ほむら「とにかく、それでソウルジェムを浄化しなさい」
さやか「いや話じゃなくてあたしの枝毛のこと」
ほむら「・・・」
ほむら「いい加減にして!もう他人を疑ってる場合じゃないでしょ!?
あなた、このままだと死ぬわよ!?」
さやか「・・・それでもいいさ」
ほむら「え?」
さやか「え?」
ほむら(しまった、あまりにも普通に話が進んだからびっくりしちゃったわ・・・
死にたくないし、とか言うと思ってたのに・・・)
ほむら「なんでもないわ」
さやか「あたしはあんた達とは違う魔法少女になるって決めたんだ。
だから誰かを見捨てたり利用もしない、見返りだっていらない。
それでもし魔女が殺せなくなった時は・・・あたしは用済みさ。
魔女に勝てないあたしなんてこの世界には要らないよ」
なのにどうして信じてくれないの?」
さやか「あんたが嘘つきだからよ」
ほむら「・・・!」
さやか「この前あたしがダメージ受けてないって嘘ついたじゃん」
ほむら「あれは本当よ!!!!!!!!」ゴスッ
さやか「は?」
ほむら(痛っ、壁殴っちゃったわ・・・)
さやか「あんた、何もかも諦めた目をしてる。
いつも空っぽの言葉を喋ってる。
本当はさ、あたしの為とか言いながら全然別のこと考えてるでしょ。
ごまかしきれるもんじゃないよ、そういうの」
ほむら「ええ、図星よ。
私はあなたを助けたいわけじゃない・・・
あなたが破滅していく姿をまどかに見せたくないだけ。
全てはあの子の為なのよ?」ゴォッ
さやか「え?」
ほむら「え?」
さやか「枝毛のこと考えてるのかと思った」
ほむら「誰があなたの枝毛のことなんか考えるのよ!!!!」
さやか「いやまどかの」
ほむら「まどかに枝毛がある・・・?気付かなかったわ・・・」ゴクリ
ほむら「まぁ・・・それはオイシイ情報として置いといて。
これ以上まどかを悲しませるくらいなら・・・
いっそこの場で私が殺してあげるわ、美樹さやか!!」ゴォォ
杏子「っ!!」ガシッ
ほむら「!?」
さやか「いや掴むほう間違ってるし」ジタバタ
杏子「マジか」ググッ
さやか「いや力入れると痛いし」ジタバタ
杏子「マジか」ググッ
さやか「いや折れそうだし」ジタバタ
杏子「ちょっと面白いかも」ブンブン
さやか「なにこれ」グルングルン
杏子「メリーゴーランド的な」ブンブン
さやか「一理ある」グルングルン
ほむら「・・・」
ほむら「いや、普通に使える・・・」
杏子「は?」ピタッ
さやか「は?」ピタッ
ほむら「もうイヤ・・・帰るわ・・・」グスン
杏子「・・・」
さやか「・・・」
さやか「もうちょっと早く回せる?」
杏子「わかった」ブンブン
・
・
・
女ってバカだからさぁ・・・」
ホストB「犬か何かだと思って躾けないとダメっすよね」
ホストA「油断するとすぐ籍入れたいだの言い出すからねー」
ホストB「捨てる時がホントウザいっすよねぇ・・・」
さやか「ねえ、その女の人の話もっと聞かせてよ」
ホストA「お嬢ちゃん中学生?夜更かしはよくないぞ」
さやか「その女の人、あんたのことが大事で
喜ばせたくて頑張ってたんでしょ?
なのに犬と同じなの?
ありがとうって言わないの?
役に立たなきゃ捨てちゃうの?」
ホストA「何コイツ・・・知り合い?」
ホストB「いや・・・」
さやか「ねえ、この世界って守る価値あるの?
あたし何のために戦ってたの?
教えてよ、今すぐあんたが教えてよ・・・」
さやか「でないとあたし、どうにかなっちゃうよ?」
・
・
杏子「やっと見つけた!」タタッ
杏子「アンタさぁ、いつまで強情張ってる気?」
さやか「・・・悪いね、手間かけさせちゃって」
杏子「な、なんだよ。らしくないじゃんかよ・・・」
さやか「うん、別にもうどうでもよくなっちゃったからね」
杏子「っ!?」ゾクッ
なにもかも、わけ分かんなくなっちゃった」
さやか「希望と絶望のバランスは差し引きゼロだって話、今ならよく解るよ」
さやか「確かにあたしは何人か救いもしたけど
その分心には恨みや妬みが溜まって」
さやか「一番大切な友達さえ傷つけて・・・」
さやか「誰かの幸せを祈ったぶん、他の誰かを呪わずにはいられない。
あたしたち魔法少女ってそういう仕組みだったんだね」
杏子「さ、さやか・・・」
さやか「あたしって、ほんとバカ」
杏子「え?」
杏子「いやバカって認めたからさ」
さやか「比喩だし」
杏子「そういうの無理だから」
さやか「は?」
杏子「てか長い」
さやか「まあ一言で言うと後悔してます的な」
杏子「あといきなりゾクッてきたの風邪っぽい」
さやか「バカは風邪ひかないし」
杏子「バカって言ったほうがバカだし」
さやか「そういうのうざいし」
杏子「は?」
さやか「バカって言われてバカって言い返したほうがバカだし」
ほむら「・・・」
ほむら「どういうこと・・・?
ちょっと、ソウルジェムを見せてくれる?」
さやか「エッチ」
杏子「スケッチ」
さやか「ワンタッチ」
ほむら「早くしなさい!」
さやか「ほい」ポイッ
ほむら「・・・」パシッ
ほむら「・・・ほとんど穢れてない?わけがわからないわ・・・」
QB「・・・そろそろかな」
さやか「はっ!?」パチッ
杏子「おっ!?」パチッ
QB「戻ったみたいだね」
ほむら「・・・説明しなさい」
QB「あぁ、この二人は魔女の口づけを受けていたのさ」
ほむら「え??」
QB「無駄話の魔女、性質は『冗長』。
この魔女に口づけを受けてしまった者は
話をわけのわからない方向に持っていき、長期化させる傾向にある」
ほむら「はぁ・・・」
ほむら「どうして教えてくれなかったのよ」
QB「聞かれなかったからさ。
それに、僕も最近やっと気付いたものでね」
ほむら「ソウルジェムがほとんど穢れてないのは?」
QB「魔女に操られていたから、二人とも無意識のうちに行動をしていたようなものだ。
魔力を使う以外に穢れが溜まる理由がないのさ。
ちゃんと浄化もしていたみたいだし」
ほむら「じゃあ、消耗が早いって言ったのは?
呪いを生み始めたって言ったのはなんなのよ?」
QB「魔女の口づけの消耗が早いと言ったのさ。
それに、呪いを生み始めたというのは口づけの消耗の高速化に伴って
話を冗長化させる範囲が広くなったということさ」
ほむら「・・・」
杏子は、それよりも前に受けたみたいだね」
杏子「ん〜、なんだかよくわかんねえけど楽しかったな!」
さやか「確かにそうかも!あんたとはいいコンビになれそうだわ〜」
杏子「冗長コンビか?アリだな!」
さやか「もう一回口づけしてもらってくる?」
杏子「まっさか!もうこりごりだよ」アハハ
さやか「だよねぇ〜」アハハ
杏子「でも、最後らへん結構真面目じゃなかったか?」
QB「それはそうさ。効果が切れかけてたんだから」
さやか「なるほど〜」
ほむら「何自分達で勝手に納得してるのよ!!!!!!!!!!!」クワッ
ほむら「今すぐ謝りなさいよ!!!!!!!!!!!!」
杏子「えっ・・・どうするよ、さやか」
さやか「まぁ、色々迷惑かけちゃったわけだし謝っておこうよ」
杏子「そうだなぁ」
さやか「ごめんね、転校生」ペコッ
杏子「悪かったよ」ペコッ
ほむら「・・・はぁ、まあ許してあげるわ」
まどか「さやかちゃん・・・?」
さやか「あれ、まどか?」
まどか「さやかちゃん!どうしたの?ソウルジェムは?ねぇ、さやかちゃん!」ガバッ
さやか「いや、ここにあるけど・・・」
まどか「は?」
ほむら「っ!?」
まどか「だからそれはソウルジェムまがい的なアレでしょ」
さやか「アレって何よまどか〜」
まどか「この前のレプリカ的なアレでしょ」
さやか「・・・」
杏子「なぁさやか、これって・・・」
さやか「・・・っぽいね」
QB「どうやら、そうみたいだね」
まどか「本物がないと死んじゃうのに生きてるふしぎ」
杏子「イレギュラー、後は頼んだ。ラーメン食いに行こうぜさやか!」スタコラ
さやか「そうだね、転校生よろしく!んじゃ行きますか!」スタコラ
QB「僕は別の子を勧誘しに行くよ、治ったら教えてくれるかい」スタコラ
まどか「ほむらちゃんって実は枝毛体質だったりするアレでしょ」
ほむら「・・・いやああああああああああああああ!!!!!!!!!!」
おわり
マミさん出なくてすみませんでした
お付き合いいただきありがとうございました
長い
冗長なのは魔女の仕業ならしかたないね
その分オチの4人と一匹のノリが面白かったからすっきりしたわ
Entry ⇒ 2012.05.29 | Category ⇒ まどかマギカSS | Comments (0) | Trackbacks (0)
ほむら「まどプラス?」仁美「ええ」
仁美「私の趣味で、父の会社のプログラマーさんたちをお借りしてゲームを作りましたの」
仁美「是非とも暁美さんにプレイしていただきたいのですが」
ほむら「な、なんで私に?」
仁美「暁美さんならきっと楽しんでいただけるかと思ったので…」
ほむら「ちょっと、何を言っているかわからないのだけど…」
仁美「あら、お気にめしませんでした? でしたらさやかさんにお願いしようかしら」
ほむら「やります。やらせてください」
仁美「うふふ。こちらをご覧になって下さい」
ほむら「任●堂の最新携帯ゲーム機ね」
仁美「そのように見えますけど、若干仕様が違いますの」
ほむら「難しいことはいいから、早いところやってみたいわ」
仁美「わかりました。こちらです。何か分からないことがあれば電話で聞いてください」
ほむら「ちょっと待って。確認したいことがあるのだけど」
ほむら「まどプラスは恋愛シミュレーションゲームでいいのよね?」
仁美「はい」
ほむら「まどかが出てくるのよね?」
仁美「もちろんですわ」
ほむら(早速やってみようかしら)
ほむら(確かここのスイッチを入れればいいんだったわよね)
ロード中……
ほむら(あ、始まったわ)
まどか「初めまして、鹿目まどかっていいます」
ほむら「!?」
ピルルルピルルル(電話)
仁美「どうしたんですか?」
ほむら「こ、このまどか喋るわよ!?」
仁美「ええ、鹿目さんの声によく似た声優さんを探してお願いしました」
ほむら「映像も、まどかと見分けが付かないほどなんだけど!?」
仁美「あら、暁美さんにそう言っていただけるとは光栄ですわ。私も制作に関わっています。ぬかりはありませんわ」
ほむら(こんな精巧な作画、まどかソムリエの私だって書けないわ)
ほむら「って、待って、こんなもの売りに出したら、まどかが世の中の男たちの食い物にされるんじゃないの?」
仁美「ご安心を。私が趣味で作ったものですから、販売する気は毛頭ありませんわ」
ほむら「そ、そう。さすがにこれだけ似てたら犯罪よね」
仁美「鹿目さんには内緒ですわよ」
ほむら「わかったわ……」
まどか「うぇひひ、あなたのお名前を聞いてもいいですか?」ニコッ
ほむら(名前……これはどうやって入力するのかしら?)
ほむら「えっと……」
まどか「…えっとさん? 変わったお名前だね」
ほむら「!?」
ピルルルピルルル
仁美「なんでしょう?」
ほむら「このまどか、私の声が聞こえてるみたいなんだけど?」
仁美「ええ。ハードウェアに音声読み取り機能と、鹿目さんの思考を模したAIを搭載しておりますの。簡単な会話ぐらいならお手の物ですわ」
ほむら「どこまで高性能なのよ! 素晴らしいじゃない」
仁美「ご満足いただけて光栄ですわ」
ほむら「違うわ。わたしは暁美ほむら」
まどか「ほむらさん? ほむらさんって名前で間違いない?」
ほむら(ほむらさんて呼ばれるのはなんか新鮮ね)
ほむら「ええ。よろしくまどか」
まどか「うぇひひ。こっちこそよろしく」
ほむら(すごい。まるで本物と話してるみたい)
まどか「このゲームは私とほむらさんが仲良くなることが目的で、特にシナリオとかイベントは用意されてないんだよ」
まどか「こうやって家の中でのんびりお喋りを楽しむだけだけのものだけど……どうか飽きずにプレイしてね」
ほむら(よく見たら、背景はまどかの家にそっくりね)
ほむら「大丈夫よ。1000時間は軽く超えてみせるわ」
まどか「あと、製作者さんの意向で1日にプレイできる時間や、会える時間には制限があるんだって」
まどか「会える時間を大切にってことかな?」
ほむら(志筑さんなかなかにくいことするわね)ホムホム
まどか「まあそんな感じで、ほむらさんとまったりお話できたらいいな」ニコッ
ほむら(ああ…家でもまどかと一緒にいられるなんて幸せ)
ほむら「なにかしら?」
まどか「ほむらさんの年はいくつですか?」
ほむら「14よ」
まどか「うわぁ、私と同じだ。えへへ嬉しいな」
まどか「じゃあもう一つ」
まどか「ほむらさんは男の人ですか?」
ほむら「はい」
ほむら(その方がまどかと自然とイチャイチャできるものね)
まどか「………そっか、ほむらさんは男の人なんだ」///
まどか「なんだかちょっと緊張してきちゃったよ……」
ほむら(でもできれば後でやりなおして女の子の場合の反応も見てみたいわ)
ほむら(そういえば、このゲームどうやってセーブするのかしら)
仁美「必要ありませんわ」
ほむら「えっ!どういうことよ」
仁美「映像や膨大なデータ量がありますし、リアルタイム処理に対応していることで、専用のデータサーバを用意していますの」
仁美「常にプレイヤーの情報などはサーバにアップデートされていますのでセーブの必要はありませんわ」
ほむら「よくわからないけど、私が誤った情報をまどかに伝えた場合は、修正できないということ?」
仁美「それは大丈夫です。後から本人に伝えれば認識してもらえますわ」
ほむら「そう、よかった」ホッ
仁美(そしてそのデータは責任を持って私が管理させていただきますわ……)
仁美「暁美さんのことをもっと詳しく知りたい?」
まどか「うん。ほむらちゃんと、お付き合いすることになったんだけど」///
仁美(や、やっぱりお二人はできてらしたのですねぇえええ!!)
まどか「優しいんだけど、ほむらちゃんどっか一歩引いてるみたいで…」
仁美(ああ見えて意外と奥手ですのね。暁美さん)
まどか「もっとほむらちゃんのこと知れたらいいんだけど」
仁美「お任せ下さいっ!!」ドワッ
まどか「ひ、仁美ちゃん? 顔が近いよ?」
仁美「必ずや鹿目さんのお力になって見せますわ!」
〜現在 仁美専用サーバルーム〜
仁美(というわけで、私には暁美さんのプレイ状況がまるわかりですの)
仁美(これもお二人の輝かしい未来のため。決して私欲ではありませんことよ)
ほむら「ええ。お願いするわ」
まどか「男の子とお話する機会ってないから、何か変なこといっちゃっても許してね」
ほむら(なんでもこいよ、まどか)
仁美(どうやら暁美さんは性別を修正する気はないようですわね)
仁美(私としては、女性同士の方がよいのですが、これはこれで見応えがありそうですわ)
ほむら「ダーツとビリヤードを少々。夏には海にサーフィンに行くわ」
ほむら(少しでもまどかの好感度を上げておくわ)
仁美(下心が見え見えですわね、暁美さん)
仁美(でも、そんなに上手くいきませんことよ)
まどか「本当に?」
ほむら「……」
ほむら(どうしたのかしら。まどかの好感度が下がっているようにみえるのだけど?)
ピルルルピルルル(電話)
仁美「あざとい回答や、声の調子で嘘を判別されることがありますので」
ほむら「なんでそんな無駄に高度な技術積んでるのよ!」
…ああ、胸囲か
屋上
ほむら「本当は読書が趣味よ。漫画も読むけど、ファンタジー系の小説が好きだわ」
まどか「うぇひひ、やっぱり。なんだかインドアな感じがしてたから」
ほむら(そんなことまで分かるの?)
ほむら「まどかの趣味は?」
まどか「私も漫画が好きだな。あとはパパにお料理とか教わったり、ママとバトミントンしたり、弟と遊んだりとか」
ほむら「弟がいるのね」
まどか「うん。たっくんていうの。まだ3歳なんだ」
仁美(中々いい雰囲気ですわ)
ほむら(このゲーム素晴らしくよくできているわ)
ほむら「それで、まどかは週に何回するのかしら?」
まどか「へ? 何を」
ほむら「何をじゃないわ。あれよ。アレの回数を聞いているのよ」
まどか「ほむらくん、あれじゃわからないよ」
ほむら「アレはあれよっ!?」///
まどか「だから、あれってなぁに?」
仁美(暁美さん、そういう美しくない発言は感心しませんことよ)フフフ
ほむら(でもこれだけ詳細にまどかのデータが集まってるのだとしたら…)
ほむら「ねえまどか。まどかの初恋の話を聞かせてもらってもいいかしら?」
まどか「えっ……」////
仁美(なるほど。そこに気づきましたか。さすが暁美さん、抜け目がありませんわね)
まどか「ほ、ほむらくんの話も聞かせてくれるならいいよ」///
ほむら「いくらでも聞かせてあげるわ」
まどか「じ、じゃあ教えてあげるよ……」
……
まどか「っていう感じで、クールなんだけどすごく優しい同級生の子なの」///
ピルルルピルルル(電話)
ほむら「志筑さん、ちょっといいかしら」ウルウル
仁美「どうしたんですの、泣いているようですけど」
ほむら「このまどかの初恋の相手って、本人の記憶と一致するものなのかしら?」
仁美「いえ……そもそも鹿目さんの初恋の相手なんて本人ですら覚えているかわかりませんし…」
ほむら「そう……ゲームと言えどこんなに胸が熱くなるなんて思いもよらなかったわ」ウルル
仁美「よ、よかったですわね…」
仁美(泣くほど嬉しかったんですのね。思わず引いてしまいましたわ)
ほむら「今付き合っている子よ。円な瞳が愛らしくて、いくら見ていても飽きないわ。
正直彼女より可愛いものがこの世にあるとは思えないぐらいよ。
将来は静かな土地に家を構えて、二人でひっそりと暮らすの。できるだけ温かいところがいいわね」
まどか「そ、そうなんだ……」///
まどか「ふーん、ほむらくんは好きな人がいるんだね」ショボン
ほむら(まどかをガッカリさせてしまった)
ほむら「いえ、いないわ。全部嘘よ」
まどか「………」
仁美(いくらなんでも、それは無理がありますわ)
ほむら「そんな!今のは聞き流してちょうだい」
まどか「ふふ、別に構わないよ。私だってほむらくんの他に好きな人がいるんだもん」
ほむら「そ、それは……」///
ほむら(現実で私のことを思ってくれてるって設定なのかしら)
ほむら(ゲームでまどかとイチャイチャしたいのに、私にどうしろっていうのよ!)
まどか「ふふふ」
まどか「そろそろお時間だよ。それじゃあまたね、ほむらくん」
ほむら(え?せっかくいいところだったのに。思ったより短いものなのね)
ほむら「またね。まどか。また明日」
ほむら(明日が楽しみだわ)
仁美(明日も楽しみですわぁああああああああああ)
〜翌日 学校〜
ほむら「ありがとう。感動したわ。」
仁美「お役に立てて何よりですわ」
ほむら「でも、何故あなたがあそこまで高度なゲームを開発したか聞かせてもらえないかしら」
仁美「私、女性同士の禁断の恋に惹かれるところがありますの」
仁美「あなたたちお二人を見ていて、どうも歯がゆい思いをしていましたわ」
仁美「このゲームを通じて暁美さんが、鹿目さんに向けてもっと素直な気持ちで向き合えるようにと、私なりの思いを込めて作らせていただきました」
ほむら「志筑さん……」ニギッ
仁美「礼には及びませんわ」
仁美(本当、感謝する必要なんてどこにもございませんのよ……)
〜学校 放課後〜
まどか「ほむらちゃん今日は一緒に帰ろうよ」
ほむら「ええ。それじゃあ行きましょう」
ほむら(やっぱり実物が一番可愛いわね)ニヤニヤ
まどか「ほむらちゃんなんだか嬉しそう。いいことあったのかな?」
ほむら「志筑さんから面白いゲームを借りたの」
まどか「へえ、ほむらちゃんゲームなんてやるの?」
ほむら「いいえ、全然。でも彼女に強く勧められて。意外と面白いものよ」
まどか「じゃあ今度、ほむらちゃんのお家に遊びに行った時、やらせてもらってもいいかな」
ほむら「え? ええ…いいわよ」
ほむら(まどかが来る前に、何か別のゲームを買っておきましょうか)
………
まどか「じゃあ、また明日ね」
ほむら「ええ。また後で」ボソッ
ほむら(ゲームのおかげか、まどかと前より自然に話せるようになったわ)
ほむら(志筑さんに感謝しなくては)
〜 いっぽうそのころ 〜
仁美「今日もスタンバイ完了ですわあああああああああ」
まどか「うぇひひ、ほむらちゃんと距離が縮まったような気がするよ」
まどか「えっと、カメラのスイッチを入れて……このあたりで待機してればいいんだよね」
ピルルルピルルル(電話)
仁美「もしもし、鹿目さん?今日も準備は整いまして?」
まどか「うん。いつでもオッケーだよ」
仁美「そろそろ暁美さんが帰宅される頃ですわ」
まどか「うん。今日も頑張るよ」
仁美「念のためマイクテストを行なっておきましょう」
まどか(仁美ちゃんからゲームのこと紹介されたときは正直、こんなのよくないって思ったの)
まどか(ほむらちゃんを騙してるみたいで悪いなって)
まどか(けどもっともっとほむらちゃんのこと知りたい)
まどか(ほむらちゃんが私に望むことを、少しでも叶えてあげたい)
ほむら「ふふ。この時を待っていたわ」ニギッ
ロード中……
まどか「こんにちは、ほむらくん」ニコッ
ほむら「まどか…」ウットリ
まどか(ほむらちゃんのこと、ほむらくんて呼ぶの、未だに抵抗あるなぁ……)
まどか(ほむらちゃんが男の子を選んだときはびっくりしたけど…)
まどか(ゲームの中でも、恋人同士になりたかったってことなんだよね)///
ほむら「まどか、立ってもらってもいいかしら?」
まどか「立てばいいの?」
ほむら「ええ、そしてもう少し前に歩いてもらえると…」
まどか(ほむらちゃん何がしたいんだろ……)
まどか「って、まさか!」
ほむら(ちっ、後一歩だったのに)
まどか「ほむらくんの変態!!」///
ほむら(ああ、まどかの恥らう姿、可愛いわ……)
仁美「キャプチャー機能? もちろんありますわよ」
仁美「あと、画面内の鹿目さんにも攝られたことが分かる機能もつけておきました」
ほむら「ナイスよ。さらに恥らうまどかを見れそうね」
ほむら(早速使ってみるわ)
ピカッ!
まどか(わ、眩しい)
まどか「ちょ、ちょっとほむらくん!何とってるのかなっ!?」///
ほむら「ふふ、恥じらう貴女が可愛くてつい」
ピカッ! ピカッ!
まどか「も、もう…恥ずかしいから撮らないでっ!」///
仁美「あんまりやりすぎると、本人の好感度が著しく下がるので、ご注意下さい」
ほむら「わかったわ。後でお金払うから10枚ずつ焼きまししてちょうだい」
仁美「10枚もですの?」
ほむら「部屋に飾って眺めるの」
仁美「……まあ止めませんわよ」
まどか「ほむらくんは私と同じ年だから、中学生だよね。何があったのかな」
ほむら「昨日はなしてた恋人と仲良くなれた気がするの。それに今度うちに来る約束までしたわ」
まどか「うぇひひ、そっかぁ。おめでとう」
まどか(ほむらちゃんちに遊びにいくの楽しみだなぁ)
仁美(もちろんその時もあらゆる手段をこうじてサポートさせていただきますわぁ)ワクワク
ほむら「ど、どんなことって……それは」///
ほむら「げ、ゲームする約束したから、ゲームとか……」
まどか「ゲームだけ?」
ほむら「えっと、一緒に料理を作ったり…」
まどか「お料理作ったり?」
ほむら「一緒にごはんを食べたり」
まどか「ご飯を食べたり?」
ほむら「そ、そんなところよ……」///
まどか「それだけ?」
ほむら「///」カァ
仁美(鹿目さんの方も絶好調ですわ。これは面白いものが見れるかもしれません)ワクワク
まどか(うわぁ、私ゲームだからって調子乗っちゃったかな…)
ほむら「……」///
まどか(仁美ちゃんにも聞かれてるのになんてことを)///
ほむら「えっとね…」////
まどか(うわぁあああ、答えなくていいよ、ほむらちゃん!!)////
仁美(答えろですの)
ほむら「まだ私はそういうことをしないと決めているの」///
ほむら「だってまだ私達中学生だし……」
ほむら「それに……」
まどか「それに……?」
ほむら「……なんでもないわ」
まどか(ほむらちゃんが、変な事言わなくてよかった)ほっ
仁美(おいおいおいおいおいおいおいおいおいおいおいおい)
ほむら「まどかは、初デートにどこに行きたい?」
まどか「私? 私は好きな人と一緒にいられたら何処でもいいなぁ〜」
ほむら「安上がりね」
まどか「ダメかな?」
ほむら「いいと思うわ。でも、出来ればいいところに連れてってもらいなさい」
まどか「え…あ、うん…」
まどか(しまった、ほむらちゃん絶対無理するよ。これはデート当分先になっちゃうかも)
仁美(安心して下さい鹿目さん。この志筑仁美、どこまでもお二人を支援させていただきますわぁ!)
ほむら(家族…正直あまり面白い話できないわ。あ……でも……)
ほむら「父も母も、健在よ。実家はかなり遠く離れてるからあまり帰ってないの」
まどか「寂しくないの?」
ほむら「前の学校にいたときはそう思うこともあったけど、今は全然」
ほむら「気がついたらその子のことばかり考えているもの」
まどか「ほむらくん……」
仁美(いい! いいですわぁああああああああ〜!)
まどか「うぇひひ、私はほむらくんの彼女さんじゃないよ?」
ほむら「…そうだったわね。うっかりしてたわ。ごめんなさい」
まどか「うんう。それだけ楽しんでくれてるってことなんだよね。嬉しいよ」ニコニコ
ほむら「ふふ、本当は恋人にも言えないようなことでも、あなたになら言ってしまいそうだわ」
まどか「わ、私でよかったらほむらくんのお願い聞くよ」///
ほむら(き、きたわ〜〜〜〜、ちょっと暗い話作戦が効いたわね)
仁美(これは……まさk)ハァハァ
まどか(息が……なんか嫌な予感しかしないよ)
まどか「言っとくけど、の、覗いたらすぐにわかるんだからね!」///
スタスタスタ……
ほむら「もっと前に…」
まどか(カメラは私の顔の方を向いてるみたいだけど……)
まどか(これってもしかして……)
ブチュ
まどか「ほ、ほむらくん!何やってんの!?」///
ほむら(ハァ〜、私の唇が…まどかの顔を汚してしまったわ…)
仁美(本人にはできないことを、ゲームの鹿目さんなら平気でやって退けるんですのね)
仁美(さすが暁美さん、下種の極みですわっ!)
ほむら「だって、あなたがお願いを聞いてくれるって……」
まどか「節度ってものがあるよ!」
ピルルルピルルル(電話)
仁美「節度というものがどれぐらいに設定されているか、ですか?」
ほむら「例えば、下着を…」
仁美「そういうのはたいていNGですわ」
仁美「本人に直接したほうがよろしいとだけ言っておきますわ」
ほむら「……ちょっと聞いてみただけよ」///
まどか(もしかして……ほむらちゃん、ゲームの中の私を好きになっちゃったのかな?)
まどか(わたしなんてキスどころか、手をつないでもいないのに……)
まどか「……」
まどか「ほむらくん、今欲しいものとかってある?」
ほむら「まどかの脱ぎたてのパ……いえ。特にないわ」
まどか「………」
ほむら(志筑さんと下着の話をしてたからうっかりしてたわ)
ほむら「でも大丈夫。聞かれてなかったみたいだし。さすがにちゃんと言わないと認識できないみたいね」ボソッ
まどか(聞こえてたよ……)
ほむら(まどかが履いている靴下、今日履いていたものと同じだわ)
ほむら(裾の汚れぐらい、制服の丈、糸のほつれぐあい…完全に一致してる)
ほむら(まさかね…)
まどか「マ…ママ!?これは……」
ほむら「!?」
ザザ---ッ
ロード中……
ほむら(止まってしまった。ていうか今のまどかのお母さんよね?)
ピルルルピルルル(電話)
仁美「暁美さんから電話。これは……まずいですわぁ〜」
仁美「しばらく旅にでましょう」
仁美「そうですわ、それがいいですわぁ〜」
ほむら(出ない……)
ほむら「つまり………どういうこと?」
ほむら(まさかまどプラスのまどかが、本物のまどかだったなんて…)
ほむら(恥ずかしくて学校を休んでしまった)
ほむら(まどかに絶対変な奴だって思われた…)
ほむら(これも全部志筑さんのせいだわ)
ピンポーン
ほむら「誰かしら……」
ほむら「!?」
まどか「ほむらちゃん、居たら返事してちょうだい」
ほむら(わたしはいないわたしはいないわたしはいない)
まどか「ほむらく〜ん!」
ほむら「ああああああああ〜〜〜!」///
まどか「あ、なんだいるじゃん。開けてよ」
ほむら(しまった……)
ほむら「志筑さんとグルになって、私を謀るなんて驚いたわ」
まどか「ごめんね…ほむらちゃん」
ほむら「まどかは悪くないんでしょ。どうせ、話を持ちかけたのはあちらからではないの?」
まどか「それは違うよ。仁美ちゃんは私のお願いを聞いてくれただけ」
ほむら「まどか?」
まどか「私がほむらちゃんのこともっと知りたかったから…」
ほむら「まどか…」
ほむら「そ、それなりに」///
まどか「うぇひひ、私も楽しかったよ」
ほむら「怒ってないの?」
まどか「怒る?ああ、ちょっとエッチなこともされたけど、でもほむらちゃんとお話出来て楽しかったよ」
ほむら「私を弄んで楽しかったってこと?」ウルッ
まどか「ち、違うよ……本当はちょっと楽しんでたかもだけど、そんなつもりはなかったんだよ」
ほむら「うう…」
まどか「ごめん、本当ごめんねっ!」
ほむら「わかってるわ……まどかに悪気がなかったことぐらい」
まどか「え……ほむらちゃんの顔? 見えてなかったよ」
ほむら(よかった。あんなだらしない顔見られてたら、恥ずかしくて生きていけない…)
ほむら「そう…よかった」
まどか「ごめん…」
ほむら「私がいけないの。まどかに告白したのに、その後からあなたとうまく話せなくなってしまって」
まどか「ほむらちゃん…」
ほむら「タネを明かされると、こんなこともわからなかった自分が恥ずかしいけどね…」
まどか「もう仁美ちゃんのこと怒ってない?」
ほむら「そうね。あなたとお話してたら少しずつ許せる気がしてきたわ……」
まどか「うぇひひ、よかった」
ほむら(本物のまどかには敵うわないもの)
ほむら(それにもしあのまま入り浸ってたら、きっとわたしダメになっていたわ)
ほむら「なにかしら」
まどか「私はほむらちゃんの彼女なんだよね?」
ほむら「ええ。もちろん」
まどか「ゲームの中の私とどっちが良かった?」
ほむら「どっちって…?」
まどか「本物の私とゲームの私」
ほむら「そんなの本物のまどかに決まってるわ」
まどか「うぇひひ、そっか。よかった」ニコッ
ほむら(あのまま暴走してたら、どうなっていたかわからないけど)
ほむら「わ、忘れなさいっ!?」///
まどか「うぇひひ。そんなの忘れられないよ」
ほむら「お願いっ……」
まどか「ふふ……ダメ」
まどか「どんな思い出でも、ほむらちゃんとのものなら、忘れれたくないよ」
ほむら(まどか……)
まどか「だからね、ほむらちゃん」
まどか「私、どんなことがあってもほむらちゃんの側にいるよ」
まどか「だからほむらちゃんも私とずっといてね」
ほむら「いいの? まどかにあんなことをした私でも?」
まどか「ちょっとびっくりしたけどね」ニコッ
まどか「でも、ほむらちゃんにされて嫌なことはなかったよ」
まどか「さすがに下着まではあげられないけど」///
ほむら「………」サッ
まどか「ほ、ほむらちゃん、マンションから飛び降りようとするのはやめてっ!」ダキッ
まどか「うぇひひ。でも一つ気になってることがあるんだ」
ほむら「何かしら?この際、なんでも答えるわ」ウルル
まどか「ほむらちゃんが私に手を出さない理由」
まどか「中学生だからって後に、何か言いかけなかった?」
ほむら(ああ…そんなことあったわね)
まどか「うん。とっても嬉しかった」
ほむら「ありがとう。今だから言えるけれど、私はあなたが考えている以上のことをしたかったの」
まどか「え……っと、キスとか…かな?」///
ほむら「……そうね」
ほむら(自慰のことも知らないまどかにはそれが関の山よね)
ほむら(ふふ、でもキスまどかに私がキスしたいなんて言い出せたのはあの子のお陰ね)
ほむら「告白したとき、あなたは私がそんなことを考えていたなんて思わなかったでしょ?」
まどか「え……と。あの時はほむらちゃんが私のこと好きだって言ってくらたお陰で、舞い上がってて」///
ほむら(そうよね。わかってたわ。私の告白を受け入れてくれたあなたでも、それぐらい気持ちに差があることぐらい)
ほむら(それでもうれしかったんだよ。私の気持ちを受け入れてくれて)
ほむら「そんな単純だから、簡単に騙されちゃうのよね……馬鹿だわ、ほんと」
まどか「……?」
ほむら(またいつも通り、まどかの事を影から見守る日々が始まるのね)
ほむら「まどか。私とキスして」
まどか「……」
ほむら(ああ、こんなまどかの顔……見たくなかった)
ほむら「ごめんなさい……明日からまた、仲良くしてね」ニコッ
まどか「……」ニギッ
ほむら(まどか…?)
まどか「行かないで……」
まどか「私を置いて行かないで…」
まどか「きっとほむらちゃんは、その子のことが大好きで……」
まどか「守り切れないってわかってるのに、諦めないで……」
まどか「なのに……私のことは諦めちゃうの?」
まどか「私はずっと側にいるよ……ほむらちゃん」ニギッ
ほむら「まどかっ!!」ダキ
まどか「ずっとずっと一緒だからね」
その日、私は初めてまどかと口づけを交わした。
マンションの上の方からだろうか。
口づけを交わす余韻に浸りたい二人には喧しい以外のなにものでもない。
こちらに向かってくるあれは鳥だろうか?
――いや、そんな可愛いものではない。
もっと邪悪で、陰湿で、それでいてこの世で最も下種な恋のキューピットだ。
夕日に映える緑色の髪を風に靡かせ、ヘリコプターの出口にある手すりで体重を支えている。
その女はこう叫んだ
さあ皆さん、ご一緒に
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
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ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー」
おしまい
乙
乙
楽しかったよ
Entry ⇒ 2012.05.27 | Category ⇒ まどかマギカSS | Comments (0) | Trackbacks (0)
ブチャラティ「魔法少女まどか☆マギカ……?」
ブチャラティ「なんだそれは……?」
ミスタ「アニメだよ。アニメ。すげえ人気だっていうからよォ、俺たちも見といたほうがいいと思ってよォー」
ジョルノ「そういうわけでさっきDVD全巻借りてきたんです」
ミスタ「一緒に見ようぜ〜!ブチャラティ」
ブチャラティ「……タイトルからして気が進まないな」
ジョルノ「うわさによるとタイトルからは想像できないような内容だそうです。ギャングの僕らの視聴にも耐えうるアニメだと思いますよ」
ブチャラティ「……まぁ、退屈だから付き合ってやってもいいが」
ミスタ「それじゃさっそく1話見ようぜ〜」
『交わしたやっくそっく忘れないよ〜♪』
ブチャラティ「……ジョルノ、さっき言っていたことは本当なのか?このオープニングを見る限り日曜の朝にやっている幼女向けアニメのようだが」
ジョルノ「オープニングだけじゃ内容まではわかりませんよ。いいから静かに見ましょうよブチャラティ」
ミスタ「そうだぜブチャラティ〜」
ブチャラティ「……」
ブチャラティ「……ピンクが主人公でこの青と緑はその友達なのか?」
ジョルノ「そうです。ピンクの子が主人公の『鹿目まどか』で青がメインキャラの一人の『美樹さやか』ですね。緑は……なんなんでしょう」
ミスタ「海藻みてぇな髪の女だな。緑は」
ブチャラティ「……どうして全員ホームベースみたいな顔をしているんだ?」
ブチャラティ「……」
ジョルノ「どうしたんですブチャラティ?画面をボーっと見つめて?」
ブチャラティ「い、いや……その……こ、この黒髪の子の名前はなんだったかなジョルノ……?」ドキドキ
ジョルノ「暁美ほむらです」
ブチャラティ「暁美ほむら……か……」ドキドキ
ミスタ「な、なんだァーーッ!?この金髪はよォーーッ!?」ガタッ
ジョルノ「巴マミというキャラですね」
ミスタ「なんだこのおっぱいはよォーーッ!?こいつも中学生なのかァーーッ!?」
ジョルノ「そうです。まどかたちの先輩の見滝原中学校の3年生という設定ですね」
ミスタ「中学生でこの乳かよッ!すげぇ世の中になったもんだなオイ!」
ジョルノ「トリッシュも15歳にしてはエロい体だと思いますが」
『す、すごい……!』
ミスタ「な、なんだァーーーッ!?今の攻撃はァーーーッ!?ま、まさかこの金髪、スタンド使いかァーーーッ!?」
ブチャラティ「な、なんだとォーーーッ!?ジョ、ジョルノ!この金髪もスタンド使いなのかァーーッ!?」
ミスタ「そ、そうかッ!あのマスケット銃自体がスタンドなんだッ!それにしてもなんて数の銃を生み出しやがるんだ……!こんなスタンドは初めて見たぜ……!」
ジョルノ「スタンドじゃないです。魔法です。タイトルをもう一回読んでみてください」
『未来の後輩に、あんまり格好悪いとこ見せられないものね!』
ブチャラティ&ミスタ&ジョルノ「マミさんいっけェーーーッ!!」
『ティロ・フィナーレッ!』
ミスタ「マミさんかっけェーーーッ!そしておっぱいでけェーーーッ!」
ジョルノ「マミさんかっこいいですね!マミさん!」
ブチャラティ「ああ……(ほむほむが1番だが)マミさんもいいな……」
ミスタ「キャラは可愛いしマミさんはかっこいいしよォーーッ!最高だなぁオイ!」
ジョルノ「ええ。それにこのキュゥべえというマスコットキャラもどこか胡散臭いけど可愛らしいですね」
ブチャラティ(ほむほむ……ほむほむ……)
『本当に、これから私と一緒に戦ってくれるの?傍にいてくれるの?』
『参ったなぁ。まだまだちゃんと先輩ぶってなきゃいけないのになぁ。やっぱり私ダメな子だ……』
ミスタ「うぅ……マミさんよォ……よかったなぁ……!」ぽろぽろ
ジョルノ「マミさん、ひとりぼっちでずっと寂しかったんでしょうね……」ぽろぽろ
ブチャラティ「ああ……まどかならきっとマミさんの支えになってくれるだろう……」ぽろぽろ
ミスタ「おっしゃぁ!ジョルノッ!ブチャラティッ!マミさんを全力で応援しようぜェーーッ!」
ジョルノ「はい!」
ブチャラティ「ああ!」
ブチャラティ&ミスタ&ジョルノ「マミさんいっけぇぇぇーーッ!!」
『ティロ・フィナーレッ!』
ブチャラティ&ミスタ&ジョルノ「ティロ・フィナーレッ!!!」
『グシャアッ……』
ブチャラティ&ミスタ&ジョルノ「……え?」
ミスタ「お、おい……い、今のって……お、おい……!」ガタガタ
ブチャラティ「マ、マミさんが……!う、うそだ……!」ガタガタ
ジョルノ「な、なにかの見間違いじゃ……!マミさんがやられるわけが……!」ガタガタ
『目に焼き付けておきなさい。魔法少女になるって、そういうことよ』
『いーつかー君が瞳にともす愛の光が時を超えて〜♪』
ブチャラティ&ミスタ&ジョルノ「うわああああああああああ!!」
ブチャラティ「アリアリアリアリアリアリアリィーーー!」ズドドドドドッ
ブチャラティ「アリーヴェ・デルチッ!(さよならだ)」
ズッドォォンッ!
ジョルノ「ゴールド・エクスぺリエンスッ!ブチャラティがジッパーでバラバラにしたテレビの残骸をすべてゴキブリに変えるんだァーーーッ!」バッ
カサカサカサカサ……
ミスタ「ピストルズッ!配置に付けッ!ゴキブリを一匹残さず撃ち殺せェーーーーーーッ!!!」バッ
ダンッ! ダンッ! ダンッ! ダンッ!
――
ブチャラティ&ミスタ&ジョルノ「はぁはぁ……」
ミスタ「うぅ……うう……マミさん……ちなみにジョルノのゴキブリを撃っちまったからダメージが俺に跳ね返ってきたがスゴ味でなんとかなったぜ……!」ぽろぽろ
ジョルノ「僕が……僕があそこにいれば……!ゴールド・エクスペリエンスの能力でマミさんの顔を作ってマミさんを救うことが出来たかもしれない……!すみません……マミさん……!」ぽろぽろ
ブチャラティ「ジョルノ、自分を責めるんじゃない。俺もマミさんの死をまだ受け入れることができないが……彼女は立派に生き抜いた……俺は彼女の死を無駄にはしない……!」
ジョルノ「ブチャラティ……!」
ブチャラティ「ミスタ、4話だ……早く4話を見るぞ……!俺たちは……俺たちはもう立ち止まるわけにはいかないんだッ!」
ミスタ「わかったぜブチャラティ……最後まで見届けようぜ……彼女たちの物語をよォ!」
『さやかちゃん…その格好』
『ん?あーはっは、んーまあ何、心境の変化って言うのかな?』
ジョルノ「さやかちゃんが魔法少女に……!」
ミスタ「ジョルノよぉ……俺、うすうす思ってたんだけどよォ……キュゥべえの野郎って怪しくねえか?マミさんが死んでもまったく悲しんでる様子がなかったし……街から出て行ったと思ったらさやかと契約するために病院にいるしよォー……」
ブチャラティ「たしかに怪しいな……第1話でほむほむはキュゥべえを攻撃していたし……ほむほむは何か知っているのか……?」
ジョルノ「まだわかりませんね……」
ミスタ「まぁ、次行こうぜ。次」
ジョルノ(……さやかぁ……)
『ちょっとちょっと。何やってんのさ、アンタたち?』
ミスタ「こ、こいつはオープニングでちょろっと出てきた赤髪のキャラじゃねーかッ!口調は男っぽいがかわいいじゃねーかオイッ!」
ブチャラティ「槍が彼女の武器か……なかなか渋いチョイスだな」
ジョルノ「さやかちゃんがんばれッ!さやかちゃんがんばれッ!」
ミスタ「それにしても魔法少女同士で戦うなんてよォ……世知辛い世の中だな……」
『それには及ばないわ……』
ブチャラティ「ほ、ほむほむッ!君なら来てくれると信じていたぞッ!」
ミスタ「あ、終わった……早く次を見ようぜ」
ジョルノ(さやかちゃん……さやかちゃん……!)
『どういうことだオイ……コイツ死んでるじゃねぇかよッ!』
ブチャラティ&ミスタ&ジョルノ「な……!!」
ブチャラティ&ミスタ&ジョルノ「なんだとォォォーーーーーーーッ!?」
ジョルノ「そ、そんなッ!さやかちゃんが……!さやかちゃんが……!」ガタガタ
ミスタ「ど、どういうことだよッ!なにがなんだかわかんねぇよォーーーーッ!!」
『訳が分からないよ。どうして人間はそんなに魂の在処にこだわるんだい?』
ブチャラティ「キュゥべえ……!きさま……!そしてほむほむグッジョブ……!」
ゴゴゴゴゴ……
『仁美に恭介を取られちゃうよ……でも私、何も出来ない。だって私、もう死んでるもん。ゾンビだもん。こんな身体で抱き締めてなんて言えない。キスしてなんて言えないよ……!』
ジョルノ「さ、さやか……さやかぁぁぁぁ!」ぽろぽろ
ブチャラティ「さやかちゃん……」ぐすん
ミスタ「うおおおおおーーーッ!!あのワカメ女ぁぁぁッ!そして上条の野郎ッ!さやかちゃんの気持ちに気づいてやれよォーーーッ!このビチグソがァーーッ!」
『あはははッ!ホントだ。その気になれば痛みなんて…あはは。完全に消しちゃえるんだッ!』
ブチャラティ&ミスタ&ジョルノ「いやあああああああああああああああ!!!」
『バカだよあたし……何て事言ってんのよ……!もう救いようがないよ……!』
ジョルノ「さ、さやか……さやかぁぁぁぁ!!!うわあああああ!!!」ぽろぽろ
ミスタ「泣くなジョルノ!まだ希望はあるぜッ!きっと……きっと杏子ちゃんならなんとかしてくれる……!」
ブチャラティ「そうだジョルノ……杏子ちゃんを信じよう……!」
ジョルノ「う、うぅ……はい……」ぽろぽろ
ブチャラティ「それにしても……ソウルジェムの穢れがたまると一体なにが起こるんだ……?」
ジョルノ「うわあああああああああああ!!!や、やめるんだ!ほむらちゃあああんッ!」あたふた
ブチャラティ「や、やめろォーーーッ!ほむほむゥーーーッ!!早まってはダメだァーーーーッ!」
『オイ!さっさと逃げろッ!』
ミスタ「きょ、杏子ちゃんッ!さすがだぜッ!おまえならなんとかしてくれると信じていたぜェーーッ!俺はよォーーーッ!!」
ジョルノ「はぁはぁ……!さ、さやかぁ、さやかぁ……!」
『誰かの幸せを祈った分、他の誰かを呪わずにはいられない。私達魔法少女ってそう言う仕組みだったんだね……』
『あたしって、ほんとバカ』
ブチャラティ&ミスタ&ジョルノ「いやああああああああああああああ!!!」
ブチャラティ「ど、どういうことだ!?さやかちゃんが魔女に……!?」
ミスタ「そ、そうかッ!キュゥべえの野郎……最初っからこれが目的だったんだッ!魔法少女を魔女にするのがよォーーーッ!!」
ブチャラティ「な、なんだとォーーーッ!?ど、どうしてそんなことを……!」
ジョルノ「……」シーン……
ミスタ「な!?ジョルノの野郎、気絶してやがるッ!おい!しっかりしろッ!ジョルノォーーーッ!」ゆさゆさ
ゴールド・エクスペリエンス 再起不能
――
ジョルノ「うぅ……さやか……さやかぁ……!」ぽろぽろ
ブチャラティ「大丈夫かジョルノ……?」
ミスタ「あきらめるのは早いぜジョルノよォーーッ!きっと杏子ちゃんなら……杏子ちゃんならなんとかしてくれるッ!俺は杏子ちゃんを信じてるぜッ!」
ジョルノ「……そうだ……はい!そうですよね……きっと杏子ちゃんなら……!」
ブチャラティ「よし……9話を見るぞ2人とも……!覚悟はいいか!?」
ジョルノ「はい……!『覚悟』とはッ!暗闇の荒野にッ!!」
ミスタ「進むべき道を切り開く事だッ!第9話再生ッ!」ピッ
ゴゴゴゴゴ……
円環の理発動しちゃう
『まどか。いつか君は最高の魔法少女になり、そして最悪の魔女になるだろう』
『その時僕らはかつて無い程大量のエネルギーを手に入れるはずだ』
『この宇宙のために死んでくれる気になったらいつでも声をかけて。待ってるからね』
ミスタ「な、なんてこった……!キュゥべえの野郎はてめえらの都合だけでこの子たちを利用してやがったのか……!」
ブチャラティ「……吐き気をもよおす『邪悪』とはッ!なにも知らぬ無知なる者を利用する事だ……!!自分の利益だけのために利用する事だ……!」ガタッ
ミスタ「ブチャラティ!?ど、どうした突然!?」
ブチャラティ「なにも知らぬ『少女たち』を!!てめーだけの都合でッ!ゆるさねえッ!キュゥべえッ!てめーは彼女たちの心を『裏切った』ッ!うおおおおおおッ!!!」
ジョルノ「お、落ち着いてくださいブチャラティ!キュゥべえをぶちのめしたい気持ちは痛いほどわかりますッ!でも今は彼女たちを見守りましょう……」
ブチャラティ「あ、ああ……すまん……つい興奮してしまった……」
ジョルノ「がんばれッ!がんばってくれッ!杏子ちゃん!さやかちゃんを救ってくれぇぇぇッ!」
ミスタ「まどっちもがんばれッ!さやかちゃんに呼びかけ続けるんだッ!」
『その子を頼む。アタシのバカに付き合わせちまった……』
ブチャラティ&ミスタ&ジョルノ「え……?きょ、杏子……ちゃん……?」
『行きな……コイツはアタシが引き受ける』
ブチャラティ&ミスタ&ジョルノ「え……え……?」
『心配すんなよさやか。一人ぼっちは……寂しいもんな。いいよ、一緒にいてやるよ。さやか……』
ブチャラティ&ミスタ&ジョルノ「いやあああああああああああああ!!!」
――
ブチャラティ「な、なんてことだ……!」
ジョルノ「さやか……さやかぁぁぁ!!うわああああああ!!」ぽろぽろ
ミスタ「杏子ぉぉ……!ちくしょう!ちくしょぉぉぉ!マミさんもさやかちゃんも杏子ちゃんも……みんな死んじまった……!」ぽろぽろ
ブチャラティ「……次だ……第10話を見るんだ……!きっとまだ希望はある……!」
ブチャラティ(ほむほむなら……ほむほむならきっとなんとかしてくれる!)
『私、その……あんまり名前で呼ばれたことって、無くて……すごく、変な名前だし……』
ブチャラティ&ミスタ&ジョルノ「メガほむかわえぇぇぇぇーーーーッ!!」
ブチャラティ「な、なんだこの回は!?なぜほむほむがメガネで三つ編みなんだァーーッ!?しかも性格が全然違うじゃないかッ!」
『間一髪、ってところね!』
ミスタ「マ、マミさんだァーーッ!!また会うことができるとはよォ―――ッ!」
ジョルノ「はッ!?まどかが魔法少女になっている!?どういうことなんだ!?」
ブチャラティ「な、なにィーーーーッ!?こ、この時間軸でもさやかちゃんは魔女化しているだとォーーーッ!?」
ジョルノ「……」ぐったり
ミスタ「お、おいッ!ジョルノしっかりしろッ!そりゃあおまえの大好きなさやかちゃんがまたしても魔女化したんだッ!ショックを受けるのはわかるッ!でも俺たちは現実と向き合わなきゃいけねェーんだッ!!」ゆさゆさ
『ソウルジェムが魔女を産むなら、みんな死ぬしかないじゃないッ!』
『う、うぅ……嫌だぁぁ…もう嫌だよ、こんなの……!』
ミスタ「……」ぐったり
ブチャラティ「ミスタァーーーッ!しっかりしろォーーーッ!!!」ゆさゆさ
『交わしたやっくそく忘れないよ〜♪』
ブチャラティ&ミスタ&ジョルノ「……」
ブチャラティ「……そうか……魔法少女まどか☆マギカとはこういう物語だったのか……」
ジョルノ「第10話、よかったですね……」
ミスタ「ああ……鳥肌が立ったぜ……」
ジョルノは涙を流しつつもニヤニヤして、さやかと恭介のイベントを見るんだろうな
『12日より行方が分からなくなっていた市立見滝原中学校2年生の美樹さやかさんが本日未明、市内のホテルで遺体となって発見されました』
ジョルノ「さやか……さやかぁぁ!」ぽろぽろ
ミスタ「いきなりさやかちゃんの葬式シーンとは……」
ブチャラティ「へヴィだな……」
ミスタ「こいつがワルプルギスの夜かッ!」
ブチャラティ「がんばれッ!ほむほむがんばれッ!」
ジョルノ「行けッ!がんばってくれほむらちゃんッ!」
ゴゴゴゴゴ……
『繰り返せばそれだけまどかの因果が増える。私のやってきたことは結局……!』
ブチャラティ「そ、そんな……!ダメだほむほむ!あきらめたらそこで試合終了だ……頼む!あきらめないでくれほむほむゥーーーッ!!」
ジョルノ「ま、まずいッ!ほむらちゃんのソウルジェムが……!」
『もういい。もういいんだよ、ほむらちゃん』
『まどか……まさか!?』
『ほむらちゃん、ごめんね』
ブチャラティ&ミスタ&ジョルノ「まど……か……?」
『全ての魔女を、生まれる前に消し去りたい。全ての宇宙、過去と未来の全ての魔女を、この手で……!』
ブチャラティ「まど……か……?」
『私の願いは、全ての魔女を消し去ること……本当にそれが叶ったんだとしたら……!私だって、もう絶望する必要なんて……ない!!」
ミスタ「まど……か……?」
『全部わかったよ。いくつもの時間で、ほむらちゃんが、私のためにがんばってくれたこと、何もかも……』
ジョルノ「まど……か……?」
『ほむらちゃん、ありがとう……あなたは私の、最高の友達だったんだね!』
ブチャラティ&ミスタ&ジョルノ「まどかああああぁぁぁぁぁーーーーーーッ!!!」ぽろぽろぽろぽろ
『……それを、覚えてる。決して、忘れたりしない……だから私は、戦い続ける』
『交わしたやっくそく忘れないよ〜♪』
ブチャラティ「終わった……」ぽろぽろ
ジョルノ「……さやか……君はよくがんばった……円環の理でゆっくり休んでくれ……まどか……さやかを頼むよ……!」ぽろぽろ
ミスタ「ほむらちゃん……マミさん……杏子ちゃん……希望を捨てるんじゃあねえぞ……応援してるぜ……!」ぽろぽろ
ブチャラティ「最高だったな……」ぽろぽろ
ジョルノ「はい……」ぽろぽろ
ミスタ「ああ……なんだろうな。この感情は……」ぽろぽろ
トリッシュ「みんな!大変よ!世界中でマンガやアニメのキャラクターが実体化する事件が起きてるみたい!きっとこれもスタンドのしわざだわッ!」
ブチャラティ&ミスタ&ジョルノ「な……!?」
ブチャラティ&ミスタ&ジョルノ「なにィーーーーーッ!?」
ジョルノ「マンガやアニメのキャラクターが実体化……ということはッ!!」
ミスタ「ブチャラティ、ジョルノ!行くしかないぜ……!」
ブチャラティ「ああ……!」
ジョルノ「はい……!」
ブチャラティ&ジョルノ&ミスタ「いざ日本へッ!!」
トリッシュ「え、あ、あの……?」
―――
――
ワルプルギスの夜「きゃははははは!きゃははははは!」
ほむら「はぁはぁ……くッ!みんな、大丈夫!?」
マミ「はぁはぁ……さすが……ワルプルギスの夜ね……」
杏子「くッ……!なんてヤツだ……まったく攻撃が効いている気がしねぇ……」
さやか「はぁはぁ……強い……くそう……!」
まどか「みんな、がんばろう……!私たちならきっと勝てるよ……!だからあきらめないで……!」
まどか「マミさん……!」
マミ「行くわよッ!」スチャッ
ワルプルギスの夜「きゃはははは!きゃはははは!」
マミ「くらいなさい!ワルプルギスの夜……!半径20メートル、ティロ・フィナーレをォーーーーッ!!!」
ズドオオオオオオオンッ!!!
ワルプルギスの夜「きゃはははは!」ひょい
マミ「そ、そんな!?私の全力のティロ・フィナーレを避けるなんて!!」
ピストルズ「イイイイイイイ!アアアアアアアア!」ゲシィッ
ズドオオオオオンッ!! ズシャアアアッ!!
ワルプルギスの夜「きゃは!?」ボロッ……
マミ「え?ティロ・フィナーレの軌道が変わってワルプルギスの夜に命中した!?」
しゅたっ
ミスタ「マミさんよォーーーッ!会えてうれしいぜェーーッ!!あの魔女は俺たちにまかせなァーーッ!!」
マミ「だ、誰!?」
ブチャラティ「ピストルズでマミさんのティロ・フィナーレを操るとはな……」
ほむら「あ、あなたたちは……?」
ブチャラティ「ほむほむ……会えて光栄だ……俺たちは君たち魔法少女の味方……あいつは俺たちが倒す……!」
さやか「た、倒す!?あんたたちがワルプルギスを!?」
ジョルノ「さやかちゃん、僕たちを信じてください……!この物語を必ずハッピーエンドに導きます!行きますよッ!ブチャラティ!」ダッ
ブチャラティ「ああッ!」ダッ
ブチャラティ「行くぞッ!おまえの相手は俺たちだぜッ!」
ワルプルギスの夜「きゃははははッ!!」ブオンッ
ズドオオオオオオォォォォッ!!
ジョルノ「ビルを飛ばしてきたッ!?」
ブチャラティ「大丈夫だジョルノッ!スティッキィー・フィンガーズッ!」バッ
ブチャラティ「ホムホムホムホムホムホムゥーーーーッ!!!」ズドドドドドドドッ
ブチャラティ「アケーミ・ホムラッ!!(ほむほむかわいいよほむほむ)」ドンッ
バラバラバラバラバラバラバラ……
ブチャラティ「ビルをジッパーでバラバラにしてやったッ!ジョルノッ!行けッ!」
ジョルノ「ゴールド・エクスペリエンスッ!」バッ
イタリア語ではこう言うのか・・・・・・
カサカサカサカサカサカサ……
ジョルノ「ゴールド・エクスペリエンスッ!ビルの残骸をすべてゴキブリにしたッ!」
ブーーーーーーーーンッ!!
まどか「な、なにあれ……!大小さまざまなゴキブリが大量にワルプルギスめがけて飛んで行ったよ……!」ガタガタ
杏子「き、気持ち悪ッ!」ガタガタ
ほむら「あぁ!ワルプルギスが火を吹いてゴキブリを焼き尽くしてしまったわ!」
ジョルノ「べネ!僕のゴールド・エクスペリエンスで生み出された生物への攻撃は……!」
ワルプルギスの夜「きゃは……は!?」ボロボロ……
マミ「ワルプルギスが黒焦げになっている……!?」
ジョルノ「そのまま自分への攻撃になるんだ……!!」
ミスタ「マミさんッ!今だ!ヤツは弱っているッ!トドメをッ!」
マミ「ええッ!」バッ
マミ「行くわよッ!ティロ・フィナーレェーーーーーッ!!!」
ズドオオオオオオオオンッ!!
ワルプルギスの夜「きゃ……は……!」ひょいっ
マミ「な!?そ、そんな……また避けられた……!」
マミ「え……?」
ミスタ「ピストルズッ!ティロ・フィナーレをワルプルギスの背中に叩き込んでやれェーーーーッ!!!」バッ
ピストルズ「ティィィィィィロ!フィナアアアアアアアアアレェェイッ!!」ゲシィッ
ズドオオオオオオンッ!!
ワルプルギスの夜「きゃは!?」
ワルプルギスの夜「……」シーン……
キラッ
ほむら「ワルプルギスが……消えた……!」
マミ「か、勝った……!やった!ワルプルギスに勝った!」
まどか「やったー!ばんざーい!」
さやか「誰だか知らないけどありがとう!あんたたち!」
杏子「すげえ攻撃だったな!あんたらも魔法少女なのか?」
ブチャラティ「いや……俺たちはギャングさ。こちらこそ君たちに出会うことが出来て本当によかった……うれしいよ」
QB「やれやれ。まさかワルプルギスを倒すとはね……」
ミスタ「!……て、てめーはッ!!」
ジョルノ「『吐き気をもよおす邪悪』ッ!キュゥべえ……いや、インキュベータァーーーーーッ!」
ブチャラティ「インキュベーターッ!てめーだけは絶対にゆるさねえッ!やってやれジョルノッ!」
ゴゴゴゴゴゴゴ……
まどか「え!?な、なんで!?」
ジョルノ「早くッ!」
まどか「え、えっと……はい……それッ!」しゅびっ
ズバァッ!
ジョルノ「ぐッ……!」
ドドドドドド……
ブチャラティ「『矢』はジョルノを『資格』がある者として選んだ……ジョルノのゴールド・エクスペリエンスは変貌を遂げる……!」
ゴゴゴゴゴゴゴ……
ジョルノ「ゴールド・エクスぺリエンス・レクイエム……!」
ジョルノ「無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄ァァァーーーーッ!!」ズドドドドドッ
ジョルノ「無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄ァァァーーーーッ!!」ズドドドドドッ
ジョルノ「WRYYYYYYYYYYYY!!!」ズドドドドドドッ
ジョルノ「無駄アアアアァァァァァァァーーーーッ!!!!」ズドォォォォッ
ズッシャアアアアッ!!
QB「ヤッダーバァアァァァァアアアアア!!」びゅーんっ
まどか「キュゥべえが遥か彼方に吹っ飛んだ!」
ジョルノ「ヤツはもうどこへも向かうことは出来ない……『死ぬ』という真実にさえたどり着くことは決してない……!」
ジョルノ「終わりましたね……」
ブチャラティ「ああ……終わったな。そうだ、今からみんなでピッツァでも食いにいこうか?」
杏子「ピッツァ!」ガタッ
ミスタ「おっしゃーッ!俺がおごるぜェーーッ!みんなついてきなッ!」
さやか「マジで!?やったぁ!」
マミ「ありがとうございます!」
まどか「わーい!ほむらちゃん、行こう!」
ほむら「ええ!まどか!」
わいわい! きゃっきゃ!
完
第5部完
Entry ⇒ 2012.05.26 | Category ⇒ まどかマギカSS | Comments (1) | Trackbacks (0)
さやか「ほむらの頭撫でてたらなついた」
ほむら「だから忠告したじゃない」
さやか「あ、転校生・・いたの?」
ほむら「いたわよ」
ほむら「愚かね・・美樹さやか、こうなることなんてわかりきっていたのに、ど」
さやか「あーうるさいうるさい!契約しちゃったもんは仕方ないでしょ!あんたなんてこうしてやる!」 なでなで
ほむら「え、ちょっ・・な、何するのよ!?」
さやか「うるさい!」 なでなで
ほむら「ちょ、ちょっと、やめてよ・・」
ほむら「やめなさいよ。髪が乱れるでしょう」
さやか「そう言うわりにはろくに抵抗もしないけど?」ナデナデ
ほむら「そんなこと……いいからやめなさいよ」
さやか「説得力が無いぞー」ナデナデ
ほむら「……」
さやか「ま、転校生が嫌がるならやめてあげましょうか」
ほむら「あ……」
さやか「あれ? もしかしてやめて欲しくなかった?」
ほむら「……そんなこと言ってないでしょ」
ほむら「別に撫でて欲しいわけじゃないわ」プイ
さやか「あ、そ。じゃ、あたしは帰ろっと――」
ほむら「……」ガシッ
さやか「……なんで転校生はあたしの腕を掴んでるのかな?」
ほむら「……」
さやか「ほら、あたしは帰るんだからさ。離してよ」
ほむら「……なで……て欲しぃ……」
さやか「んー? 聞こえないなぁ」
ほむら「……」
ほむら「……もう一回、撫でて……欲しい」
さやか「聞き取りづらいけど……ま、いっか」
ほむら「……」
さやか「いやー、しかしあの無愛想な転校生が撫でて欲しい、なんてねぇ」
ほむら「うるさいわね……言ったんだから、早くしてよ」
さやか「……こういう状況なんだから、もうちょっと愛想良くしてくれても良さそうなのに」
ほむら「……」プイ
さやか「……あんまり意地の悪い態度取ってると、あたしもだんだん意地が悪くなっていくよ?」
ほむら「……お願い」
さやか「にひひ」
ほむら「……」
さやか「そんな期待に満ちた目で見るなよー」
ほむら「……気のせいよ」
さやか「あれれー? 撫でて欲しいんじゃないのー?」
ほむら「…………」グヌヌ
さやか「ふっふっふ、まさかあの転校生に優位に立てる日が来るとは……」
ほむら「貴女、調子に乗りす……」
さやか「そこですかさず」ナデナデ
ほむら「……ふぁ」
さやか(効果はばつぐんだ!)
ほむら「……さあ、どうかしら」
さやか「……」ナデナデ
ほむら「……///」
さやか「……表情緩んでるよ」ナデナデ
ほむら「……」キリッ
さやか「……」ナデナデ
ほむら「……///」
さやか(これが萌えかー!? 萌えなのかー!?)
ほむら「か、勘違いしないで。私は……」
さやか「私は?」ナデナデ
ほむら「…………」
さやか「……どうしたの?」ナデナデ
ほむら「……なんでもないわ」
さやか「気になるじゃん」ナデナデ
ほむら「……なんでもないって言ってるでしょ……」グヌヌ
さやか(何も思いつかなかったんだろうなあ)
ほむら「……好きにすればいいじゃない」
さやか「んじゃ」ピタッ
ほむら「……」
さやか「なにかなー? そのおねだりするような目はー?」
ほむら「空気が読めない貴女に人の心が読めるとは思わないけど」ファサ
さやか「帰る」
ほむら「待って」
さやか「愛想は無いけど素直になったね」
ほむら「……」プイ
さやか「でもなー、さっき『もう一回』って言ったしなー」
ほむら「……何が望みなの?」
さやか「それだとあたしが悪者みたいじゃん……」
ほむら「人の弱みに付け込んでるんだから、間違いではないでしょ」
さやか「弱みって……これが?」ナデナデ
ほむら「///」
さやか(確かに撫でられるのにめちゃくちゃ弱いけど……)
ほむら「……」
さやか「うーん……なんか普段絶対やってくれないようなことを……」ナデナデ
ほむら「……やるわけないじゃない」
さやか「……ちょっとお姉ちゃんって言ってみて」ナデナデ
ほむら「……」
さやか「嫌ならいいんだけど」ピタッ
ほむら「……お、お姉ちゃん///」
さやか「お、おう」ナデナデ
さやか(やばいやばいやばい、なにこれなにこれなにこれ)
ほむら「……」
さやか「そういう態度取ったらどうなるかわかってるはずなのに」ピタッ
ほむら「……さやかお姉ちゃん、もっと……///」
さやか「素直になったねー。いい子いい子」ナデナデ
ほむら「……///」
さやか(しかしここまでキャラが変わるとは……)
ほむら「調子に乗るんじゃないわよ」
さやか「そんな幸せそうな顔で言われても……」ナデナデ
ほむら「これが幸せに見えるなんて、貴女目が腐ってるんじゃないの?」
さやか「その表情じゃ全然腹が立たないぞー」
ほむら「私はこんなことされたって、嬉しくもなんとも無いわよ」
さやか「……この表情じゃただの強がりにしか」ナデナデ
ほむら「強がってなんか……いないわ」
さやか(……)
ほむら「……当たり前でしょう」
さやか「じゃあ、何で撫でて欲しいなんて言ったの?」ナデナデ
ほむら「……貴女には関係ないでしょ」
さやか「……」ナデナデ
ほむら「……」
さやか「……お姉ちゃん」ナデナデ
ほむら「え?」
さやか「お姉ちゃん、って呼んでって言ったよね」ナデナデ
ほむら「……お姉ちゃん」
さやか「うん、それでいいよ」ナデナデ
ついつい油断して自分の秘密を漏らしちゃうとなお良い
ほむら「……そんなの……」
さやか「今日のことは忘れてあげるから。もちろん誰にも言わないよ」ナデナデ
ほむら「……本当に?」
さやか「……お姉ちゃんは嘘つかないよ」ナデナデ
ほむら「……さやかお姉ちゃん」
さやか「なに? ほむら」ナデナデ
ほむら「……信じてくれるかわからないけど……」
魔法少女のこと、時間遡行のこと、ほむらの体験してきた未来のこと
そのほとんどが衝撃なことだったけど
そんなことよりも
ほむらがあたしに心を開いてくれたことが
どうしようもなく嬉しくて
気がついたら、ほむらを抱きしめていた
ほむら「つらくなんて……私は自分がしたいように……」グスッ
さやか「いいんだよ、今日だけはあたしに甘えて」ナデナデ
ほむら「……つらかったんです。どんなにがんばっても、うまくいかなくて……」
さやか「うん」ナデナデ
ほむら「私の目の前で……何度もみなさんは命を……」
さやか「……そっか。それでほむらはあんな態度を取ってたんだね」ナデナデ
ほむら「もう誰にも頼らないって決めたのに……こんな……」
さやか「そんな寂しいこと言わないで。もう、あたしはほむらの味方だから」ナデナデ
ほむら「ありがとう……ございます」グスッ
ほむら「……私なんて……元々弱かった……ううん、今でも弱いんです」
さやか「……強いよ、ほむらは」ナデナデ
ほむら「そんなこと……」
さやか「あたしだったら途中で挫折しちゃってるよ」ナデナデ
ほむら「……美樹さんは」
さやか「お姉ちゃん」
ほむら「……さやかお姉ちゃんは、私なんかよりずっと……」
さやか「そうでもないよ。あたしだって、今日のことは結構堪えてたんだ」ナデナデ
ほむら「……魔法少女になったことを?」
さやか「……というか恭介のこと、かな」ナデナデ
ほむら「……そう、なんですか」
さやか「そ。だからさ、ほむらだけが弱いわけじゃないんだよ」ナデナデ
ほむら「……ありがとう、ございます」
さやか「こら。お姉ちゃんに敬語なんか使わないの」ナデナデ
ほむら「……ありがとう、お姉ちゃん」
さやか「どういたしまして、ほむら」ナデナデ
ほむら「……もう少し、こうしてていい?」ギュ
さやか「うん、ほむらの気がすむまで、こうしててあげるよ」ナデナデ
――
さやか「……気がすんだの?」
ほむら「うn……ええ」ファサ
さやか「あ、そのキャラに戻るんだ」
ほむら「私は元々こういう性格よ。勘違いしないで」
さやか「さんざん人の胸で甘えてたくせに……」
ほむら「き、今日のことは忘れてくれるんでしょ///
さやか「うん、明日になったら忘れるよ」
ほむら「……信用できないわ」
さやか「おいおい、仲間のことを信用できないなんて寂しいこと言うなよー」
ほむら「……仲間、ね」
さやか「それも無かったことにする?」
ほむら「……その必要はないわ」プイ
ほむら「な、何よその顔……///」
さやか「頭撫でて欲しいなんて言うとは」ニヤニヤ
ほむら「――っ///」
さやか「さらにさやかお姉ちゃん、なんて……」
ほむら「そ、それは貴女が言えって……!」
さやか「頭撫でて欲しくて言ったんだよね」
ほむら「そ、そうよ! 仕方なく……」
さやか「でもわりと素直にお姉ちゃんって呼んでくれてたよね」
ほむら「〜〜〜〜///」
ほむら「忘れなさい忘れなさい/// 明日と言わず今すぐ忘れなさい///」
さやか「ほら、あたしの制服にほむらの涙の後がくっきりと」
ほむら「し、しょうがないじゃない/// あの体勢じゃしょうがないじゃない///」
さやか「抱きしめた時もおとなしくしてたし、いつものキャラはなんなんだろうね」
ほむら「あ、あれは……///」
さやか「そうそう、あの敬語でしゃべる弱気なほむらが本当のほむらなんだよね?」
ほむら「知らない、知らない、そんな私知らないんだからぁっ///」ダダダダダ
さやか「あ、逃げた……」
あたしの心の中にそっとしまっておいた
本当はまどかやマミさんに話してしまいたかったけど
ほむらはそれを望んでいなかったから
その代わり、あたしが力になろう
あたしに心を開いてくれた、ほむらのために
あたしができる精いっぱいの力で
――
さやか「さし当たって思いついたのはこんなことなんだけどね。おはよー、ほむら」
ほむら「……わざわざ迎えに来たの?」
さやか「迎えに来ないと一緒に学校行けないじゃん」
ほむら「……必要ないわ」ファサ
さやか「で、まどかと仁美と4人で登校しようよ」
ほむら「人の話聞きなさいよ」
さやか「明日からは迎えに来なくてもちゃんと来るんだぞ」
ほむら「……はいはい」
さやか「そんな態度とってても嬉しいのはわかってるんだぞー」ウリウリ
ほむら「くっ……」
さやか「忘れようとがんばったけど覚えてた」
ほむら「勉強はすぐ忘れるのにね」
さやか「……私なんて……元々弱かった……」
ほむら「やめなさい///」
さやか「まあ、そんなわけで。とりあえず学校行こ」
ほむら「……遅刻したくないから行くけどね」
さやか「えらいえらい」ナデナデ
ほむら「……やめてよ///」
さやか「あ、昨日のことは忘れてあげるんだったね」ピタッ
ほむら「……」グヌヌ
ほむら「そんなこと、もう二度とないかもしれないわよ」
さやか「撫でて欲しいときはさやかお姉ちゃんって言うんだぞ」
ほむら「……二度と言うもんですか」
さやか「言わなかったら撫でてあげないからねー」
ほむら「……卑怯者」
さやか「……卑怯、かなあ」
ほむら「卑怯よ」
さやか「まあ、ほむらが言いたくないなら仕方ないね」
ほむら「……」ムー
まどか「おはよう、さやかちゃん。……と、ほむらちゃん?」
仁美「おはようございます、さやかさん。……と、暁美さんも」
ほむら「……おはよう」
さやか「もっと愛想良くしなよー」
ほむら「……」プイ
まどか「えーっと、どういうこと?」
さやか「ごめんね、うちのほむらがちゃんと挨拶もできなく――痛っ」
ほむら「貴女何口走ってるのよ!」
さやか「いや、つい。挨拶をちゃんとしてればこんなこともなかったのになー」
ほむら「……おはよう、鹿目まどか。志筑仁美」
まどか「うん、おはよ、ほむらちゃん」
仁美「おはようございます」
さやか「挨拶は大事だよね☆」
ほむら「……」
さやか「ほら、ほむら。ちゃんと呼んであげなさ――痛っ」
ほむら「……いい加減にしなさいよ……」
さやか「あんたこそちゃんとしなよ。……誤解されたまんまじゃつらいでしょ」
ほむら「……」
まどか「さやかちゃんとほむらちゃん、いつの間に仲良くなったんだろうね」ヒソヒソ
仁美「さあ……どちらかというと仲が悪かったはずなんですけど……」
まどか「えへへー」
仁美「では、私のことも仁美で構いませんわ」
ほむら「……ええ、仁美」
さやか「善哉善哉」
ほむら「……その表情、腹立つわ」
さやか「……あたしができることって、こういうことしかないからさ」
ほむら「?」
ほむら「ええ」
まどか「ねえ、さやかちゃん、昨日何かあったの?」
さやか「うーん、何か……あったかなー」ニヤニヤ
ほむら「……何もないわよ」
仁美「でも、確かさやかさんはほむらさんのことを転校生と……」
さやか「んー? そだっけー?」
まどか(やっぱり何かあったんだ……)
仁美(何かありましたのね……)
ほむら「ここまでやってくれたお礼はするからね……」
さやか「……うん、ちょっとやりすぎた気がしなくもないけど」
ほむら「悪いと思ってるなら……後で誰もいないときに頭撫でて……さやかお姉ちゃん///」ボソッ
さやか「……あっはっはー、人間素直が一番だよねー!」ナデナデ
ほむら「な! やめなさい/// なんで今……///」
まどか「……後でさやかちゃんの話、楽しみにしてるからねー」ウェヒヒ
仁美「キ、キ、キ、キマ、キマ……」
まどか「仁美ちゃん、落ち着いて!」
ほむら「何言ってるのよ/// こら、手をどかしなさい///」
さやか「あたしに命令は聞かないのだ。お願い、なら聞いてあげなくもない」ナデナデ
ほむら「だから、手をどかしてって……」
さやか「お願いするときには必要なものがあるでしょー?」
ほむら「……さやかお姉ちゃん、恥ずかしいからやめて……」ボソッ
さやか「うふふふ、あー、もう、ほむらは可愛いなぁ!」ナデナデ
ほむら「は、話が違うじゃない///」
まどか(なんかいいなぁ……私も混ぜて欲しいな……)
仁美(もう学校とかどうでもいいですわ)
ほむら「まどか!?」
仁美「私も混ぜていただきますわ」ナデナデ
ほむら「仁美まで!?」
さやか「もちろんさやかちゃんもだー!」ナデナデ
ほむら「おね……さやかも! もぅ、みんなしてなんなのよー///」
おしまい
支援ありがとうございました
ここのところほむさや多めで楽しい
まどほむ、ほむさや、ほむあん、さやあん、あんまみ……なんでもいいんだけど
良いナデナデだった
俺も撫でてくる
とても良い
なんやかんやでワルプル撃破してうっかりみんなの前でお姉ちゃん発言しちゃったりするとものすごく良い
杏子「ワルプルギスの夜が……消えた?」
マミ「やった……の?」
さやか「ど、どうなの、ほむら?」
ほむら「どうって……こんなこと始めてで……わからない」
マミ「キュゥべえ、いるんでしょう? ワルプルギスの夜は……」
QB「……驚いたね。まさか、ワルプルギスの夜を倒してしまうとは……」
さやか「それじゃあ……」
ほむら「本当に……私、やったの……? まどかを……救えたの……?」
QB「救うっていうのは良くわからないけど……君の視点からだとそういうことになるのかな」
杏子「やったな、ほむら!」
マミ「やったわね、暁美さん!」
さやか「やったね、ほむら!」ギュッ
ほむら「やっと……やっと……」ポロポロ
さやか「うん、うん。がんばったね、がんばったよ……グス」ナデナデ
ほむら「さやかお姉ちゃん……私、私ぃ……」ポロポロ
さやか「いっぱい泣いていいよ。ずっとこうしててあげるから」ナデナデ
杏子「……なあ、前から気になってたんだけど、そのお姉ちゃんってなんなんだ」
マミ「暁美さん、時々口にしてたわよね」
さやか「……ほむらがつらいときに、支えてあげるおまじない、かな」ナデナデ
あんまみ「?」
さやか「お、まどかも来たのか」
まどか「うん、急に嵐が晴れて……キュゥべえも大丈夫だって言ったから」
ほむら「まどかぁ……良かった……」
さやか「うん、ほむらががんばった結果だよ」ナデナデ
ほむら「ありがとう、さやかお姉ちゃん……」
まどか「……お姉ちゃん?」
杏子「まどかも知らないのか」
マミ「おまじないらしいわよ」
まどか「?」
さやか「んー、どうしようかなー。どうする? ほむら」
ほむら「……」ギュウ
さやか「……ま、これはあたしとほむらの秘密ってことで」
まどか「えー」
杏子「えー」
マミ「えー」
さやか「ね」
ほむら「……うん」
QB「君たちは最強の魔女を倒した後だって言うのに……まったく、わけがわからないよ」
おまけおしまい
ほむら「貴女はもっと自信を持っていいのよ」ナデナデ
メガほむ「そんな……同じ私でも……貴女みたいには……」
ほむら「なれるわ。強い思いがあれば、できないことなんてないわ」ナデナデ
メガほむ「強い……思い……?」
ほむら「まどかを守れる私になりたくて、私は強くなった。その思いは、貴女も同じでしょう」ナデナデ
メガほむ「……鹿目さんを……守れる……私……」
ほむら「ええ。守られるんじゃなくて、守れるように」ナデナデ
メガほむ「……なれるでしょうか……」
ほむら「私がなれたんだもの。貴女だって、必ず」ナデナデ
メガほむ「……ありがとうございます。……ふふ、自分にお礼って変ですね」
ほむら「……つらいことはいっぱいあるけど……がんばってね……私」ナデナデ
こうですか?
最高だった
乙
Entry ⇒ 2012.05.23 | Category ⇒ まどかマギカSS | Comments (0) | Trackbacks (0)
まどか「ほむらちゃんきもい…」
さやか「おいすー」
ほむら「お邪魔するわね」
マミ「今日は招待してくれてありがとう鹿目さん」
杏子「ごはん食べにきたぞ」
まどか「てぃひひ。さぁたがってあがって」
lノ ______________ ヽj わけわかんないよね
| ノl:::::|_V_ー-゙、::| --七'_´_ヾ__ ヽ l::::\ | 気持ち悪いよね
l/::::::|、::| /,;;c,゙ヽ V ´ /;;;c ヽ |::::::::::::::V
|::::::::| V 弋=,リ 弋=,リ l:::::::::::::::i:{ まどかにとっての私は
l:::::::::| ー― ー― .|:::::::::: i:l 出逢ってからまだ1ヶ月も経ってない
l:::::::::} u ' U r,-,! :i:| 転校生でしかないものね
l:::::::::ゝ、 r - ア u .人;;;| ::::ヽ
丶::::::::::`ヽ、 U `ー /;;;;;| :::\ だけど私は…
ヽ :::', ::::`≧-: ,,___ < |::::: :|:::::::ヽ :::::\ 私にとっての貴女は…
ヽ ::::ヽ :::::_.j─77Mヾ ̄ ̄ヽ:::l::::::::::ヽ::::::', ::::::::::::: : ヽ
,, - ''" ヽ::::::ヽ::|;;;;;;;;; //;;;;;;;;;ヽ;;;;;; ; ;ヽ ┬ ''´ヽ:::::ヽ ̄`ヽ :::::: :ヽ
/ ヽ::::::ヽ`丶.//;;;;;;;;;;;;;;ヾ-''"; ; ;,;l ヽ:::::', \ ::::::ヽ
z- 、 / lヽ:::::ヽ;.;.;.;.;.;.;{;,;,;,}; ; ; ; ; ; ; ; ; l .ヽ:::l \7⌒i
_ / ',ニミ、 |_ヽ:::ヽ_;ノ;;;;;大ー大─;;;;┬ ヽl ,, - '/
/ "7 / l ̄ヽ \ / / ヽ::ヽ/ /;;;;;;;;ヽ/ \;;;;;l l/' / l l- "´ヽ
/ / / .l ヽ \ / ''" \/;;;;;;;;/ヽ ヾl / l ゝ、_ノ| l- 、
わらた
まどか「ちょっとみんなに相談したいことがあって…」
ほむら「相談…?悩みでもあるのまどか?」
まどか「うん」
マミ「まぁ。私達に話して解決できることならなんでも話して鹿目さん」
まどか「はい。といっても信じてもらえるかどうか…」
杏子「ごはんは」
ほむら「その通りよ!まどかの言うことが間違ってるわけがない。まどかが言うのなら、明日地球が滅亡すると言われても信じられるわ」
さやか「ま、ままマジでか!やばいじゃんまどかぁ!?」
まどか「さすがにそこまでの話じゃないよ…」
マミ「とにかく話を聞いてみないことには…」
まどか「実は今日みんなを呼んだのはそれを実際に見て確認してほしいからなんです」
マミ「?」
まどか「まぁ今はそんなに気にしないでいてください。普段通りに過ごしてくれて構いません」
杏子「おなかすいた」
マミ「…お友達の家に遊びに来たときってなにをすればいいのかしら…?」
杏子「ごはんたべる」
まどか「そういえばなにしようかなぁ?」
さやか「考えてなかったのかよ!」
ほむら「勉強でもしましょうか」
まどさや「ことわる!」
ほむら「そ、そう…」
ほむら「ぷぷぷ。ざまぁないわね」
マミ「また美樹さんの負けね」
さやか「ぐぬぅぅぅ」
まどか「てぃひひ…あ、ちょっとおトイレに…」
さやか「いってらー」
杏子「おやつくれー」
マミ「はい、あーん」
杏子「あーん!」
ほむら「おかえりんこ、まどか」
まどか「…ただいま」
さやか「ぃよーし!次はさやかちゃんが勝つよぉ!」
ほむら「あ、ごめんなさい。私もお手洗いに」
さやか「んなぁーんだってぇー!このやる気はどこへぶつければいいんだぁー!」
マミ「溜めておけばいいわよ」
さやか「だね!さやかちゃんチャージ!」
杏子「マミ…」
マミ「はいはいおかわりね?」
まどか「…………」
さやか「へ?どうしたのまどか」
まどか「相談したいことあるから」
マミ「このタイミングで…?」
杏子(まだ夜ごはんの時間には程遠い…)
まどか「相談したいことは…ほむらちゃんのことなんです…」
さやか「ほう?」
まどか「わかんないよね。だから見てほしいの」
さやか「ちょ…今転校生が入ってるじゃんっ」
まどか「いいから」
さやか「うぅ…これじゃあたしが変態みたいじゃんか…」ジー
杏子(言いつつ覗くんだな)
ほむら「…………」
さやか「……どこもおかしいとこないよ?ただ便器に座ってるだけだし」
ほむら「……んはぁ…」フルフル
ほむら「まどかの温もりがまだ残っているわ…」
さやか「……!?」
ほむら「そこに私のおしりが座って…」
ほむら「おしりとおしりでお知り合いってわけね」
ほむら「って!お知り合いどころか友達じゃない!もう!」
ほむら「いえ、いずれは友達どころか…んふふふふ」
ほむら「あぁ!まどかの残り香!残り香!くんくん!くんくんくん!」
ほむら「まどかの残り香はピーチの香りなのね!さすがまどか!身体の中までピンク色!」
ほむら「すぅーはぁーすぅーはぁー!肺までまどかでいっぱい!私の中にまどかが入ってきてる!私の中もピンク色!」
ほむら「あはぁ!これで二人は一つになったのね!二人はキュアキュアなのねぇ!」
さやか「…………わぁ」
まどか「ね?」
まどか「これが私の悩みなの…」
マミ「み、美樹さん!私にも!私にも見せて!」ピョンピョン
さやか「わぁ…今度は便器に顔突っ込んだ…」
マミ「えぇ!?」
まどか「学校でもそうなの…私が使ったあとは必ずほむらちゃんがやってきて…」
さやか「わぁお…」
杏子「くってるときにトイレの話すんなよ」モチャモチャ
マミ「あ、こら!勝手に食べないの!」
さやか「あ、うん」
まどか「おかえりほむらちゃん」
マミ「おおおおかえりなさいまし!」
まどか(動揺しすぎだよマミさん…)
ほむら「?…なんか様子が変ね?なにかあったのかしら」
マミ「な!なな、なにもなかったっちゃ!」
まどか「あ、遊ぶのももう飽きちゃったねって話してたの」
さやか「つ、次はなにしよっかなってさぁー」
杏子「ごはんたべよう」
ほむら「そう…じゃあ授業の予習なんか…」
まどさや「いや!」
さやか「先生みたいなこと言うんじゃないよ」
ほむら「じゃあ…私いろいろゲーム持ってきてたのよ。やらない?」
さやか「お、準備いいじゃん転校生!」
ほむら「あなたに褒められても嬉しくないわね…」ゴソゴソ
マミ「盾に収納してたのね」
杏子(ごはんは入ってるのかな)
ほむら「あったあった。ツイスターゲームよ」
まどか「…………」
さやか「…確実にあれ目的だよね…」ボソ
ほむら「なにかいった?」
まどか「あはは…や、やろっか?」
さやか「で、でもこれって誰かがルーレット回さなきゃいけないんだよね?」
まどか「あ、じゃあ私がやるよ!」
杏子「いやあたしがやるよ!」
まどか「!?」
ほむら「そう。じゃお願いね」
杏子「まかせろ」
杏子(これならおやつ食べながらできるぞ)
マミ「なんだか楽しそうね!」
さやか「マミさんは無邪気でいらっしゃいますね」
ほむら「さ、始めましょうか。杏子!」
杏子「んー…赤に右手!」モチャモチャ
まどか「赤…赤…きゃっ!?」ビクッ
ほむら「あ、ごめんなさいまどか。間違って胸に触れてしまったわ」
まどか「…………」
まどか「ひやっ!」ビクッ
ほむら「ごめんなさい。うっかり足で太ももを撫で上げてしまったわ」
杏子「黄色に左手」モチャモチャ
まどか「ひゃうっ」ビクッ
ほむら「ごめんなさい。思わずうなじを摘まんでしまったわ」
杏子「だいだいに右足」モチャモチャ
まどか「ひん!」ビクッ
ほむら「ごめんなさい。望まずとも足でまどかのスカートをまくりあげてしまったわ」
杏子「桃色に顔面」モチャモチャ
まどか「きゃんっ!?」ビクッ
ほむら「ごめんなさい。謀らずともまどかのおしりに顔を埋めてしまったわ」フガフガ
ほむら「ふぅ…たまにはこういう身体を動かす遊びもいいものねまどか」
さやか「人間の動きじゃなかったね転校生…」
マミ「楽しかったー!またやりましょうね!」
まどか「もうやりません!」
マミ「え…そ、そう…」シュン
ほむら「あら…気に入らなかったかしら…?」
まどか(そ、そうだよ気づいて!)
ほむら「まどかは身体を動かすのは得意じゃなかったものね…気付けなくてごめんなさい」
まどか「え…あ、うん…」
まどか「え、まだ用意してるの!?」
ほむら「えぇ。まどかの喜ぶ顔が見たくてね」ニコッ
まどか「…………」
さやか(楽しんでるのは転校生のほうだよ…)
マミ「わくわく…」
さやか(ついでにマミさん…)
杏子「ごはんたべゲームしようぜ」
ほむら「次のは…これね。王様ゲーム」
まどか「あ、多分もう欲望を隠す気ないよこれ」
マミ「わぁ!私王様ゲームやるの初めてなの!」
さやか「普通の女子中学生はそれが普通だと思いますよマミさん」
ほむら「わりばしは準備してあるわ。さっそくやりましょう」
まどか「準備いいね…」
ほむら「そりゃね。今日まどかに色々やろうと…あ、間違えたわ」
ほむら「今日まどかと色々やろうと思って準備してきたんだから」
まどか(本音が…本音が今聞こえたよほむらちゃん…)
さやか「うん」ヒョイ
マミ「はい!」ヒョイ
まどか「…はい」ヒョイ
杏子「がぶ」ヒョイ
ほむら「王様だーれだ」
ほむら「あ、私だ」
まどか「やっぱり」
ほむら「まったくもう…いきなり王様だなんて困っちゃうわ」チラッチラッ
ほむら「なにをしようかしら…全然考えてなかったわ」チラッチラッ
まどか(わざとらしいよ!)
ほむら「じゃあ王様が二番の人のへそをペロペロする」
まどか「は、はい!?」
ほむら「へ?何故?」キョトン
まどか「や!や!なんできょとんとしてるのかな!へそをペロペロってどう考えても変態だよ!」
ほむら「そうかしら…?」
まどか「そうだよ!」
ほむら「…しかし考えてもみてまどか。変態というのはその人にとって異常な行動をとる人のこと」
ほむら「つまりへそをペロペロするのが当然のように考えている人にとってはその行動は変態ではないということに…」
さやか「…!なるほど!」
ほむら「ね?」
まどか「常識的に考えてよ!どう考えても変態だよ!」
さやか「へ?」
杏子「あ、一番あたし」
さやか「ちょ!ちょちょちょまってよまってちょうだい!そんなひどいことしちゃダメですよ!いや三番の人が誰だかわかりませんけどね!?かわいそうじゃないですかぁ!」
ほむら「じゃあ王様が二番の全身をペロペロ」
まどか「全身にランクアップしてるよ!?それはさすがにだめ!いや二番が誰かは全然わかんないけど!」
ほむら「じゃあ一番が三番をタコ殴りに」
さやか「ちょぉ!?タコ殴りってあんた!可憐なる女子中学生がそんな言葉使っちゃダメでしょぉ!?それに殴られるのは痛いでしょ!?泣いちゃうよ!?泣くよ!?いや三番が誰かはわかんないけどさ!」
杏子「うるせぇ!命乞いすんじゃねぇ!」バキッ
さやか「ぐっはぁぁっ!!」
マミ「…………」シュン
杏子「王様の命令だから仕方ない」
まどか「仕方ないよさやかちゃん」
マミ「いいなぁ…私も命令されたいなぁ…」
ほむら「じゃあ次いきましょうか」
ほむら「王様だーれだ」
ほむら「あ、また私」
まどか「…………」
マミ「また暁美さん!?すごいすごい!」
さやか(いやどう考えてもイカサマですよ…気付いてマミさん)
ほむら(まどかは…一番ね…)
まどか(…!よくみたらこのわりばし、傷がついてる)
まどか(この傷で見分けてたんだね…)
まどか「さやかちゃんさやかちゃん」ボソ
さやか「へ?なんだいまどか」ボソ
まどか「ちょっとわりばし交換して?」ボソ
さやか「いいけど…」ボソ
ほむら(うーん…さっきは私からペロペロしようとしたのがいけなかったのだから…)
ほむら(まどかのほうから私に何かをするような命令にすればいいのね!)
さやか「え、えぇぇぇぇぇ!?」
まどか「変態だよ!またしてもこっぴどい変態ぶりだよほむらちゃん!」
ほむら「……?」キョトン
まどか「いやだからきょとんとしないでよ!ほむらちゃんには一般常識が欠如してるよ!」
ほむら「…しかしまどか。そもそも常識とは何かしら?多数の人が犬は食べるものと言ったらそれが常識になるの?」
ほむら「私はね…まどか。常識というものは人それぞれでいいと思うの。他人なんかに流されない、その人だけの意思を尊重すべきなのだわ」
さやか「お、おぉ…なんだか凄いこと言ってる気がする…!」
まどか「さやかちゃんの頭だから複雑なことを考えられないんだ…洗脳されないでさやかちゃん!」
ほむら「それが正しいわ美樹さやか…!」
さやか「だから恥ずかしいけど頑張って転校生の耳たぶをはむはむするよ!」
ほむら「……は?なにを言ってるのこの子…頭は大丈夫?」
まどか「ほむらちゃんが命令したんでしょ…」
ほむら「え、私は一番の人を…」
さやか「一番はあたしだよ!」
ほむら「…ふ、ふざけるんじゃないわよ美樹さやか!人の耳たぶをはむはむするとかどういう神経してるの!?頭のネジが足りてないんじゃないの!?てかネジあるの!?」
さやか「えぇ……」
ほむら「恥を知りなさいこの変態!世間の常識というものを勉強してきなさい!!」
さやか「は、はい……」
さやか「なんか叱られちゃったよまどか…」
まどか「うーん…さやかちゃんもちょっと馬鹿だったね」
杏子「で?命令はどうなるんだ?」
ほむら「ん?…あぁ…二番が一番をフルボッコで…」
さやか「え」
杏子「おう、二番あたしだ」
さやか「ちょ、ちょいと待ちなさい!暴力はいけない!人を傷つけ、自分の心を傷つける…!そんな悲しみの連鎖を生み、誰が得をするというの…!?さぁ自分の心に聞いてみなさいな!」
杏子「うるせぇ!喚くな!」バキッ
さやか「ぎゃはぁぁぁぁ…」
マミ「…………また四番…」
まどか「うん。そうだね」
マミ「え…や、やめちゃうの…?」
ほむら「もう十分でしょ?」
マミ(私…なんにもやってないのに…)シュン
さやか「…………」
杏子「大丈夫か?あめちゃん食べるか?」
さやか「ありがと…」パクン
杏子「それなにあじ?拾ったやつなんだけど」
さやか「……たいやき味…」コロコロ
杏子「ちきしょうなんてこった!返せ!」
ほむら「まだまだ別のゲームがあるのだけど…」
まどか「もう遊ぶのは十分だね!」
ほむら「そう…」
マミ(まだまだみんなと遊びたいわ…)
杏子「うめー」コロコロ
さやか「うぅ…無理やりあめちゃん取られた…」
まどか「そろそろ夜ご飯食べよっか?」
杏子「きた!ごはん!たべる!」
マミ「頑張ります!」キリッ
さやか「まどかパパは?」
まどか「てぃひひ…今日はパパもママもタツヤもいないんだ。だから寂しくて…」
ほむら「そうだったの…なら私が寂しさを紛らわしてあげる…おいでまどか」
まどか「いや…遠慮しておくよ…」
杏子「ごはん出来るまで暇だな」
さやか「だね…なんかする?」
杏子「ロッキーくおう」
マミ「…………」トントントントン
まどか(…胸……?どこかな…?)
ほむら「抱き締めてあげる」
まどか「結構です」
マミ「…………」ジュージュー
さやか「ゲームといえばロッキーゲームなんてのがあったねー」
杏子「そんなのあんのか。やってみるか?」
さやか「そう?んじゃーロッキーのはしっこを二人でくわえてっと…」
杏子「あたしのロッキーだ!ポリポリポリポリ!」
さやか「ん!?んむぐー!?」
マミ「…………」グツグツ
まどか「え?なんですかマミさん?」
マミ「もし…暇なのなら…手伝ってくれると嬉しいなぁって…」
まどか「あ、ごめんなさい!」
さやか「ぷは…き、気づかなくてすいません!」
マミ「いえいいのよ!頼りにされてるのは嬉しいって思うから…」
まどか「頼りっきりでごめんなさい…」
さやか「あたしたち、マミさんに比べたら全然料理できないし…」
マミ「うふふ。料理は腕じゃなくて心よ。一緒に頑張れば大丈夫!」
まどさや「は、はい!」
さやか「これはこうだよ多分」
まどか「あ、そっか!ありがとう」
さやか「へへー」
ほむら「…なんだか見てて危なっかしいわね。あなたの切り方」
さやか「なにー?じゃあ転校生も見てるだけじゃなくて手伝えよ」
ほむら「私は…ほら。指示する係だから。役割分担はきっちりしないと」
さやか「ほう…い、いや!楽したいだけでしょ!騙しやがって!」
杏子「お、うまそう!がぶ!」
まどか「ダメだよ杏子ちゃん!めっ!」
マミ「…………」サクッサクッ
さやか「こっちもできたー!」
まどか「さやかちゃんの美味しそうだね!」
さやか「いやいや見た目はまどかのほうがいいよ!」
ほむら「そうね。まどかのほうが絶対美味しいわ」
杏子「食えりゃどっちでもいいじゃねぇか」
マミ「私もできたわ」
まどか「あ、さすがマミさん!」
さやか「出来が違うっすね!」
マミ「え、えへへ…」
まどか「でもさやかちゃんのも食べてみたいなぁ…」
さやか「褒めんな褒めんな!あたしはまどかのほうが食べたいよ!」
マミ「…………」
さやか「まどかも料理出来るじゃん」
まどか「私はパパのを真似ただけだよ。それよりさやかちゃんも手際よかったじゃない」
さやか「ま、まー…女の子ですからね…」
ほむら「え?」
さやか「おい、なんだその目は」
マミ「ふふふ……」
杏子「んー、でもやっぱ…」
杏子「マミのごはんが一番だな」
マミ「さ、佐倉さん…」
さやか「そりゃ料理でマミさんには敵わないよ」
まどか「だよー。マミさんのが一番美味しかったもの」
マミ「ありがとう…私、嬉しいわ…」
ほむら「いや、まどかが一番だし」
まどか(空気読もうほむらちゃん…)
マミ「え、いいの?」
ほむら「えぇ。料理のほうではあまり手伝えなかったし…」
さやか「助かるよ転校生ー!」
マミ「じゃあお願いするわね?暁美さん」
ほむら「えぇ、まかせて」
まどか(…………)
まどか「集合!集合!」
さやか「うん?どしたのまどか」
マミ「なにかあったのかしら?」
まどか「はい…台所を覗けばわかります」
さやか「まさか…」
ほむら「くんくん…きた!これはまどかの使用したお皿!」
ほむら「あぁペロペロ!ペロペロペロペロ!」
ほむら「んはぁ!まどかの体液が私の身体を駆け巡るっ!」
ほむら「あぁまどかがなめしゃぶったお箸!スプーン!」
ほむら「保管したい…!でも持ち帰るわけにはいかないから…」
ほむら「ペロペロペロペロペロペロ!はむはむはむはむんはむぅ!」
ほむら「あぁ…!あぁ!まどかとキッス!キッスしてるわ私!むっちゅぅぅぅぅぅ!!」
さやか「わぁ…」
まどか「はい…」
マミ「み、見えない!見えないわ!」ピョンピョン
だから変態になっても納得
まどか「私は…普通の友達でいたいだけなのに…」
マミ「な、なにがあったの?」
さやか「わぁお…まどかの箸を鼻の中にいれて匂い嗅いでるよ…」
マミ「えぇ!?」
さやか「あ、突っ込みすぎて苦しそうにしてる」
マミ「えぇ!?」
まどか「あれ?杏子ちゃんも台所にきた…ま、まさか…?」
杏子「よぉ」
ほむら「!?な、なにをしにきたの!?」
杏子「お前が今してたことは全部見てたよ」
ほむら「う…!」
杏子「…みんなには黙っててやるからよ、あたしのことも黙っててくれな」
ほむら「なんですって…?あなたはなにをしようというの?」
杏子「お前と同じことさ…」
ほむら「!」
杏子「あぁ…お前と同類さ」
ほむら(なんてこと…杏子も私と同じ淑女だったなんて…)
ほむら「…で?あなたは誰狙いなの…?」
杏子「全員に決まってるじゃねーか!」
ほむら「な!?」
杏子「それが…あたしの流儀だ!」
ほむら(お、大物…!)
ほむら「でもまどかだけはダメよ!?」
杏子「あぁ…あたしはお前より後から来た。そのくらいいいってことよ」
ほむら「そうね…!」
ほむあん「ペロペロペロペロペロペロペロペロ!」
ほむら(く…!美樹さやかや巴マミの皿だけでなく、私のまで…!?)
ほむら(杏子のやつ…いったいいつから私達をそういう目で…!)
ほむら(…あぁ…そんなに私を舐めないで杏子…!なんだかゾクゾクきてしまうじゃないの…!)
杏子(皿うめー!やっぱごはんたべたあとの皿はなめるもんだよなー)
杏子(しかしほむらの奴まで舐めにくるとは…こいつ意外といじきたねーな)
まどか「あ…杏子ちゃんまで変態だったなんて…」
さやか「杏子は転校生の変態仲間だったのか…」
マミ「え、なになに?どうしたの?」
杏子「皿…ぴっかぴかになったな」
ほむら「えぇ。あなたが手伝ってくれたおかげよ」
杏子「へっ…あたしはただ自分の本能に従ったまでよ」
ほむら「本能…ね。たしかに自分を抑えられなかったわ」
杏子「あたしたちは同じ穴のムジナってわけだ」
ほむら「ふふ…あなたとはいい同志になれそうね」
杏子「あぁ。あんたのこと、結構好きだぜ」
ほむら「…!」
ほむら(や、やっぱりそうなのね…)
ほむら「と、とりあえず…お友達から始めましょうか…」
杏子「ん?そうだな」
杏子(もうダチだと思ってたんだが…まぁいいや)
さやか「てことは杏子も女の子が好きだったってことになるね?」
まどか「そっか…ほむらちゃんもきっと女の子が好きなんだよね…だから私に色々してくるんだろうし…」
さやか「じゃあ杏子と転校生がくっつけばまどかの問題も解決するんじゃない?」
まどか「あ…そっか!ほむらちゃんの変態衝動の対象を杏子ちゃんにしちゃえばいいんだ!」
さやか「んで、杏子の変態衝動は転校生に向かわせると…」
まどか「変態が当たり前の人達なら変態行動されても当たり前のことなんだもんね!ほむらちゃんいわく!」
さやか「そうなるね」
まどか「よし!ならほむらちゃんと杏子ちゃんをくっつけちゃおう!」
さやか「おー!」
マミ「…おー?」
ほむら「あらありがとうまどか」
まどか「でも一人ずつ入ってたら時間かかっちゃうから二人ずつでいいかな?」
ほむら「え!?いいの!?」
まどか「う、うん…」ビクッ
ほむら「じゃ、じゃあ…まどかと一緒に…」
まどか「だから杏子ちゃんと一緒に先に入ってきて!」
ほむら「……え」
杏子「あたし達が先か。りょうかーい」
まどか(二人っきりで裸の付き合いをすればきっと変態の二人はちちくりあうはず…)
まどか(そこから愛が生まれるんだよ!)
杏子「皿洗ったから労ってくれてんじゃねぇの?」
ほむら「まどかと入りたかった…」
杏子「ま、いいじゃねぇか。一番風呂だぜ」
ほむら(…杏子のやつは内心嫉妬してたりとかしてるのかしら?)
ほむら(私のことが好きなのよね…)
ほむら(私も杏子のことは嫌いじゃない…むしろ魔法少女の中では一番距離が近い存在かもしれないわ)
ほむら(…でも…私にはまどかが…)
ほむら「」ジー
杏子「ん?なんだよ」
ほむら「…胸、意外とあるのね」
杏子「お前は意外とねーな」
ほむら「…………」ジー
杏子「さ、殺意のこもった目で見んなよ」
ほむら「…あなたは胸の小さな女の子は嫌い?」
杏子「はぁ?胸の大きさなんかで選ぶかよ。大事なのは中身だろ」
ほむら「…中身はもっと自信がないわ…」
杏子「なんで?」
ほむら「愛想はないし…無表情だし…」
杏子「いじきたねーしな」
ほむら「えっ…そうかしら…」
ほむら「…………」ブクブク
杏子「そっちはどうだ?あたしのこと」
ほむら「……嫌いでは、ないわ」
杏子「そうか。そりゃよかった」
杏子「あたしも愛想がないって点は同じだしあんたよりもいじきたねー」
杏子「でも嫌われちゃいなかった。そうなんだろ?」
ほむら「えぇ…それは本当」
杏子「ならあんたも自信持ちなよ。少なくともあたし達四人はあんたのこと嫌ってないから」
ほむら「……まどかも?」
杏子「おう」
ほむら「……」
杏子「な、なんだよいきなり…嬉しいけどさ」
ほむら「でも…私はどうすればいいのかしら…」
ほむら(杏子は私のことを好きでいてくれてる…まどかを諦めれば杏子と幸せになれるだろう)
ほむら(でも…やっぱり…本当に好きなのは…)
杏子「…あんたが何に悩んでるかまではわかんねーよ、あたしには」
杏子「でも悩んでるってことは選択肢があるってことなんだろ?」
杏子「なら自分の本当の気持ちの通りに選べ。じゃないと後悔するぜ」
ほむら「……杏子…」
杏子「だろ?」
ほむら「…そうね。ありがとう」
杏子「…………」
杏子「?」
ほむら「私が…本当に好きなのは…やっぱりまどかだから…!」
杏子「…………」
杏子「??」
ほむら「だから私、ちゃんとまどかにこの想いを伝えるわ!!」
杏子「…お、おう。頑張れよ…」
ほむら「あなたの気持ち…嬉しかったわ…」
杏子「…おう?」
ほむら「じゃあいってくる!まどかの元へ!」バシャッ
杏子「あ、おい!」
ほむら「まどかぁー!……」ペタペタ
杏子「…いっちまった」
まどか「わっ?ほむらちゃん!?」
ほむら「私…今までずっと言えなかったこと…伝えたいの!」
まどか「え…」
ほむら「言えなかったわ…言ったらあなたに嫌われるんじゃないかって思って…」
ほむら「毎朝あなたの家の前であなたが出てくるのを待ってこっそりあなたの後ろを歩いてきたこと。ブリッジしながら歩いてまどかのパンツを覗けないか何度も試したっけ…
その必死にパンツを覗こうとするあまりに情けない姿をあなたに見られそうになったらと思うと…その際どさにとても興奮していたわ」
ほむら「あなたのトイレの後はいつも私の天国だったこと。まどかのおしっこの音を聞くたびに私の鼓膜は喜びに震え、まどかのおしっこの匂いを嗅ぐたびに私の肺は幸せに満ち溢れた…
麻薬のような幸福感…私は一瞬で虜になってしまったわ」
ほむら「あなたの私物はすべてペロペロしたこと。縦笛も、体操服も、上履きも、外靴だって全部。まどかの匂い、まどかの体温、まどかの味、すべて私は知っているわ。
いずれはあなた自身をペロペロしたい…24時間年中無休でそう思ってた。へそ、うなじ、指の間、耳の裏、足の付け根、鎖骨、鼻面、脇の下…まどかのすべてを」
ほむら「そう…私はまどかのすべてが大好き!この気持ちだけは私の本当の気持ちなの!!」
まどか「色々言いたいことはあるけど…とりあえず服着ようよ…」
まどか「無理です。ごめんなさい」
ほむら「…………」
ほむら「…えぇ!?そんな馬鹿な!?」
まどか「いや…驚かないでよ…当たり前だよ…」
ほむら「まどか…わ、私のこと…き、嫌いだった…の…?」
まどか「…私は…」
まどか「ほむらちゃんきらい」
ほむら「……そん…な…」
まどか「…なわけがないよ」
ほむら「…え?」
まどか「ほむらちゃんは大切な友達だよ。私がほむらちゃんのこと嫌いになるなんてあり得ないよ」
ほむら「まどか…!」
まどか「よしよし。大丈夫だよほむらちゃん」
ほむら「まどかぁ…」
まどか「……ただ」
ほむら「え?」
まどか「ほむらちゃんきもい…」
ほむら「……よね…」
終わり
久しぶりに変態ほむほむで面白かった
面白かったよ
Entry ⇒ 2012.05.17 | Category ⇒ まどかマギカSS | Comments (0) | Trackbacks (0)
イチロー「魔法少女か・・・・・・」
早乙女「卵の焼き加減ごときで女の価値は……」
さやか「振られちゃったんだね……やっぱりって感じだけれど」
まどか「あはは……」
早乙女「ふう……さて、今日は皆さんに特別講師の先生を紹介します」
早乙女「どうぞ先生、入ってきてください」
イチロー「どうも、初めまして」
さやか「な、何で野球のユニフォームを着てるんだろ……?」
まどか「せ、先生……なんだよね?」
早乙女「じゃあ先生、自己紹介を」
イチロー「僕はイチロー、オフシーズンの短い間ですが体育の特別講師を務めます」
まどか(……どこかで活躍してる有名な人なのかな?)
ほむら「…………」
ほむら(特別講師……こんな人、今までの時間軸には……!)
イチロー「良い所だ、生徒たちも活気にあふれている……ここなら僕自身のモチベーションも上がるな」
イチロー「……ん?あそこにいるのは確かクラスで見た……」
さやか「あ、イチロー先生」
まどか「先生も今帰りですか?」
イチロー「やあ、美樹さやかちゃん……それに鹿目まどかちゃん……で良かったかな?」
さやか「おっ!ちゃんと覚えてるんだー!先生やるじゃん!」
イチロー「そっちの君は……」
マミ「初めまして、巴マミです。鹿目さんたちと同じ見滝原中学の三年生ですね」
イチロー「僕はイチロー、メジャーリーガーだ」
マミ「め、メジャーリーガー?」
イチロー「冗談さ、これからしばらくこの中学校で教師をすることになってね、何かあった時はよろしく頼むよ」
マミ「こちらこそ……フフ、面白い人ですね」
イチロー「君といつも一緒にいるそれは何ていう生き物なんだい?」
まどか「え!?」
キュゥべえ「!」
マミ「い、イチロー先生……この子が見えるんですか?」
イチロー「……見えちゃいけないものなのかい?」
キュゥべえ「こんなことは初めてだよ」
イチロー「!」
マミ「……その様子だと、声もちゃんと聞こえてるみたいですね」
さやか「マミさん、一応ちゃんと説明しておいたほうが……」
マミ「そうね……あまり不用意にこういうことは話したくないけれど、キュゥべえが見えているのなら……」
マミ「ごめんなさい、急に連れ込んでしまって」
イチロー「構わないさ、生徒の話を聞くのも先生の役目だろう?」
イチロー「それに……僕個人としても気になることだからね」
マミ「キュゥべえ、いいわね?」
キュゥべえ「僕としては構わないけれど……どこまで話すかはマミに任せるよ」
マミ「そう、それじゃ……先生、今から話すこと……信じるかどうかはすべて任せますね」
イチロー「……?」
呪いを振りまく魔女のこと、それを倒す魔法少女のこと、そして魔法少女の力を与えるキュゥべえのこと……
マミは自らのソウルジェムを見せつつ、それらのことを端的に説明する。
イチローはそれらの話を黙して聞いていた。
イチロー「なるほど、にわかには信じがたい話だね」
マミ「でしょうね、私だってこんな話……いきなりされたらきっと信じない」
さやか「でもあたしたち、マミさんに命を救ってもらったんだ!」
まどか「それは嘘じゃないんです!」
イチロー「…………」
イチロー「……少し、君たちに頼みたいことがある」
マミ「…………?」
マミ「まさか、魔女の存在を自分の目で確認したいだなんて……」
イチロー「疑っているわけじゃないんだ。ただ、その魔女というのがどんなものかを見ておきたくてね」
まどか「け、結構先生って勇気あるんですね」
イチロー「基本的に僕は打てそうな球なら積極的に打ちに行くスタンスだからね」
さやか「いや、そのたとえはよくわからないけど……」
マミ「ところで美樹さん、そのバットは?」
さやか「い、いやぁ……一応武器になるものを持ってこようかと思って!」
マミ「イチロー先生も……さっきからずっと持ち歩いてるそれ、バットケースですよね」
イチロー「今日は帰ったら練習をするつもりだったからね、それに野球人たるものバットは常に持っておきたいんだ」
いったい何者なんだ…
さやか「いいですけど……」
差し出された二本のバットにマミが手を触れると、それらは形が変わり魔法具のように変化した。
さやか「うわっ!すげー!」
マミ「フフ、それなら少しは魔女にも対抗できるわ」
イチロー「…………」
イチロー「すまない、僕のバットはもとに戻してくれ」
マミ「え?」
イチロー「バットは僕にとってかけがえのない大切な物でね、それをこんな風に変えられちゃ困るんだ」
まどか「せ、先生……?」
さやか(よ、よくわからないけどめちゃくちゃ怒ってるよアレ……怒鳴ってないところが余計怖い……)
マミ「…………」
マミ「す、すいません……本当に」
イチロー「好意でやってくれたのにすまないね……」
マミ「こ、こちらこそ……あの、すぐに戻しますから」
マミ「さあ……お出ましね」
さやか「うっ……やっぱグロい……」
イチロー「…………」
イチロー(ふむ、なるほど……これが魔女か……)
まどか「…………」
まどか(なんで先生は少しも怖がってないんだろ……?)
マミ「さっさと片付けちゃいましょうか」
マミ「ふう……」
さやか「さっすがマミさん」
まどか「先生も信じてくれた?」
イチロー「確かに、これは信じざるを得ないね」
マミ「そして……もう一人、お出ましのようね」
ほむら「…………」
イチロー「彼女は……暁美ほむらちゃん、だったかな?」
イチロー「魔女の存在を知ってね、少し無理を言って実物を見学させてもらったんだ」
ほむら「魔女の存在を……?巴マミ、あなたまさか……」
マミ「誤解しないでほしいわね、彼にはキュゥべえが見えて声も聞こえてたわ」
マミ「選ばれた存在の彼だったら魔女の存在を知る権利があると思わない?」
ほむら(キュゥべえの姿が見えた……?どういうことなの……?)
マミ「一足遅かったわね、魔女はもういないわ……グリーフシードが必要ならあげるわよ?」
ほむら「結構よ、それはあなたの獲物。あなたが使いなさい」
マミ「そう、それがあなたの答えね……」
ほむら「……失礼するわ」
イチロー「なるほど、やはり彼女も魔法少女なんだね」
さやか「何なのあの転校生、何かとまどかとマミさんに突っかかってきてさ!」
マミ「競争相手って認識なんでしょうね、自分の取り分が減らされるのをよく思ってないのよ」
イチロー「…………なるほど」
まどか(……何だろ、先生の今の間は?)
マミ「とりあえず、これでさっきまで私が話したことが事実だって理解してもらえたかしら?」
イチロー「確かに、嘘じゃないみたいだね」
マミ「何かしら?」
イチロー「さっきの魔女、万が一の時は僕が倒してしまっても問題はないのかい?」
マミ「…………」
マミ「……ど、どういう意味かしら?」
イチロー「言ったままの意味さ」
マミ「冗談だと思うけれど……魔女との戦いは遊び半分で出来るものじゃないわ」
マミ「一般人の先生じゃ魔女と戦うことなんて不可能でしょうね」
マミ「だから……そんな馬鹿なことを考えるのは止めてくださいね」
イチロー「そういうわけにもいかない、僕は一応君たちの教師だからね」
イチロー「教え子を守るのは教師の務めじゃないのかい?」
マミ「…………」
マミ(何なの……この先生の自信は……?)
イチロー「…………」
イチロー(やれやれ、まさかオフシーズンでやって来た街がこんな状況だとは)
イチロー「……魔法少女、か」
ほむら「何を考えているのかしら?」
イチロー「ほむらちゃん、か。いや、この街では驚くことばかりでね」
ほむら「……あなたが何者なのかは掴めないし、なぜキュゥべえが見えるのかも分からないけれど」
ほむら「これ以上、この問題に首を突っ込まないことね」
イチロー「心配してくれているのかい?」
ほむら「勘違いしないで、私はこれ以上目の前で平穏な日常を奪われる人の様を見たくないだけ」
ほむら「あなたは何も知るべきじゃない、魔女のことも、魔法少女のことも……」
ほむら「……?」
イチロー「魔法少女になるにはあの白い生き物と契約をするらしいね」
イチロー「その際に何でも好きな願いを叶えてもらえると聞いたけれど……」
ほむら「…………」
イチロー「君は一体何を願ったのか、よければ聞かせてくれないか?」
ほむら「……あなたには関係のないことよ」
イチロー「ふむ、言いたくないんだったら構わないよ」
イチロー「ただ……困ったことがあればいつでも相談に来て欲しい」
イチロー「助けが必要になったら、僕は必ず君の力になる。約束だ」
ほむら「…………」
イチロー「さて、色々とやることは多そうだ……」
ピリリリリリッ!!
イチロー「電話……?もしもし?」
まどか『先生!マミさん、マミさんがどこにいるか知りませんか!?』
イチロー「どうしたんだい?落ち着いて状況を説明してくれないかな?」
まどか『病院に魔女の卵があって!その、生まれちゃうと大変なことになって!』
イチロー「……なるほど、大体のことは分かった。彼女には僕から連絡しておくよ」
まどか『お願いします!場所は……』
マミ「なるほど、確かに魔女の気配がするわね」
まどか「さやかちゃんとキュゥべえ……大丈夫かな……」
マミ『キュゥべえ聞こえる?そっちはどんな状況?』
キュゥべえ『まだ卵は孵化しそうにないけれど、あまり刺激を与えるのもよくないね』
マミ『そう……なら、魔力は控えめにしてそっちに向かうわ』
マミ「よし、じゃあ行きましょう」
まどか「はい!」
まどか「ほ、ほむらちゃん……!」
マミ「……何の用かしら?」
ほむら「ここにいる魔女は私が倒す、あなたたちは下がっていて」
マミ「そうもいかないわね、この先には美樹さんとキュゥべえが待っているんだもの」
ほむら「彼女たちのことは必ず守る、だから……」
マミ「悪いけれど、信用できないわね」
ほむら「!」
ほむら(体が……拘束され……!)
マミ「しばらくは大人しくしててもらうわ、魔女を倒したらその拘束は解いてあげる」
ほむら「待って!私の話を……!」
マミ「……行きましょう、鹿目さん」
まどか「は、はい……」
ほむら「くっ……!」
ほむら(結局、巴マミを止めることは出来なかった……もうこれじゃ……!)
イチロー「これはどうなってるんだ……なぜ君が縛られて……?」
ほむら「!」
イチロー「……まさか、仲間同士で喧嘩でもしたのかい?」
ほむら「あ、あなた……どうしてここに!」
イチロー「生徒が危険な目に遭うかもしれないんだ、黙っているわけにもいかないだろう?」
ほむら「……巴マミを止めて!このままじゃ彼女が命を落とす!」
イチロー「!」
ほむら「私の拘束を解くように彼女を説得して!私ならここの魔女とも戦える!」
イチロー「……分かった、彼女たちを止めればいいんだね?なら少し急ぐ必要があるかな」
ほむら「そう、頼ん……!?」
彼女が言葉を言い終わるまでの数瞬の間、イチローは既に走り去って姿を消していた。
まどか(に、人形……あれが魔女なのかな?)
マミ「さて……と、悪いけれど一気に決めさせてもらうわよ」
マミ「ティロ・フィナーレ!」
さやか「やった!さっすがマミさん!」
まどか「良かった……!」
まどか(私も……マミさんみたいに誰かを守れるようになれれば……!)
その場の全員が勝利を確信し、安堵の空気が流れる。
が、一瞬でその空気は激変した。
マミ「えっ……!?」
撃ち抜かれた子供の人形のような魔女の口から何かが飛び出てきた。
ピエロのように滑稽な顔をしたその何かは牙を剥き出しに巴マミへ襲いかかる。
彼女は何もできなかった。
そして次の瞬間には、一つの首が千切られていた。
さやか「なっ……!?」
キュゥべえ「…………!」
その場にいた何が起こったか分からなかった。
マミ「…………?」
巴マミ自身も含めて。
イチロー「――――間に合った」
マミの足元には千切られた魔女の首、そして
使い込まれた一つの白球が転がっていた。
レーザー
イチローが打つ高速ドライブ回転のライナーにはよくあること
イチロー「やあ、怪我がなくて何より」
さやか「な、何で先生がここに……っていうか今何したの!?」
イチロー「どうも危険な状況だったみたいだからね、ボールを投げ込んだんだ」
まどか「ぼ、ボールを……?」
イチロー「気を逸らすつもりで投げたんだけれど……まさか首が吹き飛ぶとは思わなかったよ」
意外と魔女は脆いね、彼は笑いながらそう言った。
(((( ;゚Д゚)))
イチロー「危ないところだったね。怪我はないかい?」
マミ「え、ええ……ありがとう……ございます」
イチロー「お礼は良いよ、ああ……ほむらちゃんからの伝言でね、拘束を解いてほしいらしいよ」
イチロー「自分ならあの魔女を倒せる、信じてほしい……ってね」
マミ「暁美さんが……?」
イチロー「彼女は嘘を言っているようではなかったから、彼女の言葉を聞いてあげてくれないかな?」
マミ「そ、そういうことなら……」
イチロー「さて……じゃあ僕はもう少しだけ、あの魔女とやらの相手をしようか」
イチロー「よし、行こうか」
肩をぐるぐると回し、そしてイチローは再びボールを投げ込んだ。
さやか「うわっ!?」
――爆風。
彼がボールをリリースする瞬間、爆風と呼ぶにふさわしい風が辺りに生じた。
少女たちが思わず目を瞑り、そして再び開いた時には
あの大きな魔女はすでに跡形もなく消え去っていた。
まどか「ほ、ほむらちゃん!」
マミ「暁美さん……」
ほむら「魔女はどうなったの?あなたが倒したわけじゃないんでしょう?」
マミ「……彼が、倒したわ」
ほむら「え……?」
さやか「イチロー先生が……魔女を倒したんだって」
ほむら「……冗談のつもりかしら?」
マミ「ごめんなさい、私は冗談が苦手なの……」
ほむら「…………!」
まどか「か、帰っちゃうんですか!?」
イチロー「悪いけれど練習があるんだ、毎日の積み重ねが重要でね」
イチロー「そういうわけでみんな、あんまり危ないことはしないよう気を付けて」
ほむら「待って……!」
イチロー「ん、何かあったかい?」
ほむら「あなたは……一体何者なの?」
イチロー「僕かい?僕は……」
――メジャーリーガーさ。
さも冗談のように、彼はそう言ってその場を後にした。
イチロー「…………」
イチロー(魔法少女……ソウルジェム……グリーフシード……そして魔女……か)
イチロー「妙な繋がりを感じるのは僕の気のせい……じゃなさそうだ」
イチロー(僕の予想が正しいなら……この一連の黒幕は)
イチロー「あのキュゥべえっていう生き物、なのかもしれないな」
イチロー「さやかちゃんか、君も屋上で気分転換かい?」
さやか「うん、ちょっと……色々と考えてて」
イチロー「僕が力になれることなら協力するけれど……」
さやか「……先生はさ、もし自分の夢が魔法みたいに叶っちゃうとしたらどうする?」
イチロー「…………」
さやか「それで、もしその魔法で誰か大切な人を助けられるとしたら……?」
イチロー「……それは、魔法少女の契約のことを言っているのかい?」
さやか「…………」
イチロー(やっぱり……そういうことなんだな)
さやか「本当に望んでいる人にはチャンスが回ってこなくて……不幸になってる人がたくさんいる」
イチロー「…………」
さやか「もし、あたしがそんな人の力になってあげられるなら……それって良いことでしょ?」
イチロー「……僕はそう思わないね」
さやか「え……?」
イチロー「もちろん、何もリスクがなく他人を助けることが出来るのなら僕は止めない」
イチロー「でも、君がやろうとしていることは代価があまりにも大きすぎる」
さやか「それでも!困ってる不幸な人を助けられるんだよ!?だったら……」
イチロー「不幸というのは未来への踏み台さ」
さやか「!」
イチロー「魔法なんて都合のいいものはこの世にはない、でも魔法みたいな奇跡は存在する」
イチロー「そしてその奇跡を起こせるのは最後まで諦めずに戦い抜く精神を持っている者だけなんだ」
さやか「…………」
イチロー「僕が言いたいことはこれだけだ、あとはさやかちゃんの意思に任せるよ」
イチロー「ただ、僕としては……君には絶対に何かを背負うようなことはしてほしくない」
さやか「…………」
さやか「……もう少しだけ、考えてみる」
さやか「恭介、CD……ここに置いとくね」
恭介「…………」
恭介「さやかは僕を虐めているのかい?」
さやか「え……?」
恭介「何で……指が動かなくなった僕にこんなものを聞かせるんだ!」
さやか「だ、大丈夫だよ!リハビリとかいろいろ頑張れば必ず……!」
恭介「治らないって言われたんだ……バイオリンはもう諦めろって……!」
さやか「!」
さやか「…………」
さやか「……諦めるの?」
恭介「…………?」
さやか「医者がもうダメだって言った、その一言で恭介はすべてを投げ捨てちゃうの?」
恭介「そうするしかないだろう!もう……魔法とか奇跡でも存在しない限り僕の指は……!」
さやか「あるよ」
恭介「え……?」
さやか「何でも都合よく願いを叶えてくれる魔法なんてこの世にはないのかもしれない……でも」
さやか「奇跡っていうのは本当にあるんだよ」
さやか「そして、奇跡を起こす人って言うのはみんな最後まで諦めなかった人なんだって!」
恭介「…………」
さやか(私だけじゃなく……恭介に向けても発していたんだよね)
さやか「今日は……もう帰るね」
恭介「さやか!」
さやか「…………?」
恭介「ごめん……ありがとう」
さやか「……お願いだからお礼なんか言わないで」
恭介「動け……動いてくれ……!」
恭介(諦めちゃいけないんだ……最後まで……必ず!)
コンコンッ!
恭介「こんな時間に誰だろ……どうぞ」
イチロー「こんばんは、上條くん……でよかったかな?」
恭介「えっと……すいません、あなたは?」
イチロー「僕はイチロー、メジャーリーガーだ」
恭介「め、メジャー……!?」
イチロー「冗談さ、君たちの学校の教師をやっててね……ちょっとお見舞いに来たんだ」
恭介「ああ、なるほど……」
恭介「……医者からは、もうバイオリンを弾くのは諦めろって言われました」
イチロー「……それで、君はどうするんだい?」
恭介「……幼馴染から言われたんです、『奇跡を起こせるのは最後まで諦めなかった人』だって」
恭介「だから……僕は諦めないです、必ずこの指を治しますよ」
イチロー「…………」
イチロー「少し、時間を貰ってもいいかな?」
イチロー「すまないね、病院を抜け出させてしまって」
恭介「いえ……でも、ここは?」
イチロー「ここは僕のトレーニング場さ」
恭介「トレーニング……?」
イチロー「今から数時間、君には僕と同じトレーニングメニューをこなしてもらう」
恭介「え!?」
イチロー「病院に掛かりっぱなしで体を動かせていないだろう?僕なりのリハビリさ」
イチロー「大丈夫、そんなにハードなトレーニングはやらないさ」
恭介「…………」
恭介(嫌な予感)
恭介(い、痛っ!もうこの時点できつい!)
イチロー「ランニング」
恭介(ら、ランニングってスピードじゃない!)
イチロー「スプリント」
恭介(…………)
・・・
恭介「…………」
イチロー「もう動けないかい?」
恭介「…………」
恭介(もう、話す気力もない……)
恭介「こ……これって?」
イチロー「特製のカレーライスだ、味は良いし栄養価も非常に高い」
恭介「ちょ、ちょっと量が多い気がするんですけど……」
イチロー「大丈夫だ、今の君なら食べられる」
恭介「は、はぁ……じゃあいただきます」
恭介「それは?」
イチロー「水だ、十リットルある」
恭介「……飲むんですか、それ」
イチロー「この水に四キロの果糖を混ぜる、吸収率はかなり高い」
恭介(どこかで見たような……)
イチロー「これにユンケルを一リットル加えて完成だ」
恭介「……本当に飲むんですよね?」
イチロー「君は最後まで諦めなかった、僕のトレーニングにも根を挙げなかった」
イチロー「そんな君だからこそ、『奇跡』が起こる」
そこへイチローのトレーニングによる更なる負担が加わり
人体最後のエネルギー貯蔵庫である肝臓のグリコーゲンすらも底をついた。
酷使に継ぐ酷使で破壊され尽くした少年の細胞達かれら}は復讐を誓っていた。
次なる酷使に対する復讐、そして……己の夢を実現させるための準備。
今後もし……同じ自体が起こったなら、必ずや独力で乗り越えてみせる!
人ならぬ神の創造り給うた肉体に誤り{ミス}はあり得ない!
今 少年の肉体に空前の超回復が起ころうとしていた。
奇跡も魔法もあるんだよッッッッ!!
イチロー「調子はどうだい?」
恭介「何だか、今ならどんな曲でも弾ける気がしてきましたよ」
イチロー「それはよかった……」
恭介「凄いですね、人体って」
イチロー「違う、凄いのは最後まで諦めることをしなかった君さ」
恭介「本当に……ありがとうございます、先生」
イチロー「お礼なら君の幼馴染に言うべきだよ」
恭介「……そうでしたね」
まどか「ひ、仁美ちゃん!何やってるの!」
仁美「あれは神聖な儀式……素晴らしいところへ旅立つために肉体から離れる儀式ですわ」
まどか「そんな……!」
まどか(仁美ちゃん、魔女のせいでおかしくなっちゃってる……私が止めなきゃ!)
仁美「邪魔はしちゃいけませんわ、鹿目さん」
まどか「や、やめて……仁美ちゃん!」
キュゥべえ『みんなを救いたいかい?まどかは力を付けてみんなを守りたいかい?』
まどか「キュゥべえ……?」
キュゥべえ『君ならこの状況でも必ず何とかできるよ、友達だけじゃない、多くの人を救うことができる』
キュゥべえ『まどか、君が勇気を出せば…君を含めた多くの人が救われるんだ』
まどか「…………」
まどか(今からでも私にできること…勇気を出して変われるのなら…… )
キュゥべえ『まどか…今こそ僕と契約して魔法少女になる時が来たんじゃないかな?』
マミ「大丈夫よ、鹿目さん」
まどか「!」
マミ「こういう魔女退治だったら私に任せて」
まどか「ま、マミさん!」
マミ「大丈夫、心配しないで……前みたいな失敗はもうしないわ。それに」
マミ「私の他にもう一人、ここに来ている人がいるんだから」
まどか「もう一人……?」
イチロー「どうやら……ギリギリ間に合ったみたいだね」
マミ「私が先生に連絡したの、魔女の口づけを受けてしまっている人が大勢いるようだったから……」
マミ「先生なら色々とサポートしてくれるでしょう?」
イチロー「僕のトレーニング場がここと近かったのは幸いだったね、連絡を受けてからすぐに来ることができたよ」
マミ「じゃあ……始めましょうか」
イチロー「そうだね、すぐにカタを付けよう」
まどか(しれっと普通にマミさんと一緒に戦ってる先生って実はすごいんじゃ……)
杏子「何よアレ、あんなヤツがいるなんて聞いてないんだけど」
キュゥべえ「僕だってつい最近存在を知ったんだ、君は知らなくて当然さ」
杏子「巴マミの奴が魔女に負けそうになってから調子が悪いって聞いたから来たってのに
杏子「アイツ……うざいな」
キュゥべえ「どうするつもりだい?」
杏子「邪魔なやつがいるなら……消しちゃえばいいんでしょ?」
杏子「何だよ、私が契約もしてないような男に負けるとでも思ってんのか?」
キュゥべえ「彼は今、マミと共に戦っている。彼を敵に回すのはすなわちマミとも戦うということさ」
杏子「確かにな……けど、今の魔女にビビりながら戦ってるアイツなら余裕だろ」
キュゥべえ「君は実戦経験の面ではマミよりも上だし、マミに勝てるだけの力もある」
キュゥべえ「でも、君の障害になるイレギュラーは一つだけじゃない」
杏子「イレギュラー……?」
キュゥべえ「暁美ほむらさ」
杏子「……知らねーな、そいつは魔法少女なんだよな?」
キュゥべえ「おそらく、ね」
杏子「おそらく?お前はそいつと契約したんだろ?」
キュゥべえ「そうとも言えるし…そうでないとも言えるってことさ」
キュゥべえ「この町を君の思うようにしたいのなら…その三人の存在は邪魔になるだろうね」
杏子「つまり…全員消しちゃえばいいんだろ?」
キュゥべえ「君にとってはそれが最善の策かもしれないね、でもマミまで敵に回すのかい?」
杏子「さあね……とりあえず暁美ほむらってのとあの男は射程に入れておくよ」
さやか「先生!恭介の指……動くようになったんだって!」
イチロー「ああ、聞いてるよ。さやかちゃんのおかげじゃないかな?」
さやか「いや、あたしは何も……」
イチロー「上條くんだったっけ、彼はさやかちゃんが励ましてくれたから頑張れたって言っていたよ」
さやか「あの、あたしは先生が言った言葉をそのまま言っただけで……」
イチロー「関係ないさ、君の言葉だからこそ彼に届いた……君は自分を誇っていい」
さやか「そ、そうかな?でも……そう言ってもらえると嬉しいよ……」
イチロー「魔女って言うのはずいぶんとあちこちにいるんだね」
マミ「ええ、魔女にはまだなってない使い魔も含めれば数えきれないわね」
マミ「これは……うん、魔女じゃない。使い魔ね」
イチロー「使い魔でも……害がないわけじゃないんだろう?」
マミ「もちろん……さあ、行きましょうか」
杏子「何で行くんだ、馬鹿じゃねーの?使い魔はグリーフシード持ってないだろ」
マミ「あなた……佐倉さん!」
イチロー「…………」
イチロー(彼女もまた、魔法少女……か)
杏子「お前が魔女にやられかけてから調子を落としてるって聞いてさ、ここを新しい狩場にしようと思ってね」
杏子「しっかし……魔女が怖いからって男の教師についてきてもらってるなんてな」
マミ「…………」
杏子「大体、アンタは何なんだ?魔法少女でもないくせに……遊び半分で首突っ込むんじゃねーよ」
イチロー「僕としては遊んでるつもりはないんだけれどね、これも教師の役目さ」
杏子「……うぜぇ、超うぜぇ!」
イチロー「!」
杏子(か、躱された?嘘だろ、この距離で!?)
イチロー「危ないな、すぐに乱闘を起こすのは僕としても感心しないね」
杏子「はっ……何か言いたいことがあるんなら力で言うんだな」
イチロー「……困ったな、これは」
杏子「来ないならこっちから……」
ほむら「……そこまでよ、佐倉杏子」
ほむら「…………」
杏子「そうか、分かったよ……アンタが暁美ほむらか」
ほむら「これ以上、この場で力を振るうのは私が許さないわ」
杏子「嫌だって言ったら?」
ほむら「…………無理やりにでもあなたを黙らせるわ」
杏子「!」
杏子(一瞬で後ろに……?)
イチロー「…………」
イチロー(今のは僕でも見えなかったな……これは速さの問題じゃない)
イチロー(まるで時間が止まっている間に彼女が移動したかのような……)
ほむら「もう一度聞くけれど、あなたはどうするのかしら?」
杏子「……止めた、アンタの手の内がまるで見えないんじゃね」
杏子「それに……思った以上に手強そうだ、アンタも……あの男も」
杏子「今日のところは降りさせてもらうよ」
ほむら「賢明ね……さあ、行きなさい」
イチロー「…………」
イチロー(佐倉杏子、か……)
ほむら「気にすることはないわ、ここでお互いを傷つけあっても何の得もないわ」
ほむら(唯一得をしそうなのは……キュゥべえ……!)
イチロー「さっきの彼女も魔法少女だったようだけれど……彼女とは親交がないのかい?」
マミ「私はあるにはあるけれど……もうずいぶんと長い間会っていなかったから……」
ほむら「私は……初めてよ、『さっきの』彼女と会うのは」
イチロー「ふむ……なるほどね」
イチロー(どうやら彼女からも話を聞く必要がありそうだな)
ほむら「何かしら」
マミ「その……色々とごめんなさい、今まであなたを敵視して……」
ほむら「…………」
マミ「あの時、あなたの忠告を聞いていれば私も命を危機にさらすこともなかったわ」
マミ「本当に……ごめんなさい」
ほむら「……一つ、あなたたちに話しておきたいことがあるの」
イチロー「?」
マミ「まさか……それ、本当なのかしら?」
ほむら「事実よ、間違いなく来るわ」
イチロー「そのワルプルギスの夜っていうのは……強いのかい?」
ほむら「単独の魔法少女じゃとても太刀打ちは出来ないわ、超大型の魔女よ」
ほむら「はっきり言って勝ち目はないわ、私でも、巴マミでも」
ほむら「……言うまでもなく、あなたでもね」
イチロー「…………」
ほむら「そう、だから佐倉杏子とはあまりもめ事を起こしたくはないの」
マミ「……鹿目さんたちの力を借りるのは?」
ほむら「それだけはダメよ、絶対に」
マミ「確かに私としても気が引けるけれど……でも、このままじゃ取り返しがつかないことになるわ」
マミ「鹿目さんや美樹さんなら魔法少女になれる素質がある、味方は多いほうが……」
ほむら「まどかを魔法少女にすることだけはどんなことがあっても絶対に許さないわ」
ほむら「もう二度と……そんなことを口にはしないで」
マミ「ご、ごめんなさい……」
杏子「で……一体あたしに何の用だ?」
イチロー「いや、少し話でもしようと思ってね」
杏子「……分かってんのか、あたしはアンタの敵なんだぞ?」
イチロー「認識の違いさ、僕は君を敵だとは思っていない」
杏子「……変な奴だな、ホントに。で、話ってのはなんだい?」
イチロー「君が魔法少女になった理由を聞かせてもらおうと思ってね」
杏子「…………」
イチロー「もちろん、言いたくないのなら別に無理に言わなくても構わないよ」
杏子「いや、いいさ。あたしにはもう過去のことなんだからさ」
まどか「さやかちゃん、本当に見たの?」
さやか「いたって!絶対アレは先生だったって!」
まどか「でも全然見当たらな……あっ、もしかしてあれかな!」
さやか「おっ!まどかやるじゃん!っと……誰だろ、あのポニーテールの女の子?」
まどか「うちの学校の生徒じゃない……よね」
さやか「面白そうだし……ちょっと隠れてどんな話してるか聞いてみようよ!」
まどか「だ、ダメだよ盗み聞きなんて……」
さやか「大丈夫大丈夫、そんな固いものじゃないって!」
まどか「いいのかな……」
イチロー「…………」
杏子「全部あたしの自業自得、他人のために魔法なんか使ったあたしが悪いのさ」
イチロー「それは……」
さやか「それは違うよ!」
杏子「!」
イチロー「さやか……ちゃん?」
杏子「何だ……アンタ……?」
さやか「ちょっとだけすれ違いが起きちゃっただけで……アンタは何も悪くない!」
杏子「悪いんだよ、すれ違いを起こすようなことをしたのもあたしだろ?」
杏子「誰だか知らないけど、何も分からないくせに口出しされたくねーな」
さやか「……分かるよ」
杏子「?」
さやか「あたしだって……アンタと同じことをしようとしてたんだから」
さやか「あたしね、ホントは魔法少女になる契約をするつもりでいたんだ」
さやか「……恭介の指を治すために」
杏子「!」
さやか「でも……あたしは結局それをしなかった。ううん、契約するのを止めてもらった」
さやか「あたしには、先生がいてくれた」
杏子「…………」
さやか「あたしたちの違いってそれだけだよ、先生みたいな人がそばにいたかどうか……」
さやか「それ以外、あたしたちって何も違わない……そうでしょ、杏子」
さやか「あたしたち、きっと友達になれるよ……そう思わない?」
まどか「そうだよ、杏子ちゃん……会ったばっかりだけど、私も仲良くなりたいな」
杏子「……意味わからねぇよ、ホントに……どいつもこいつもさ」
イチロー「時折、意味の分からないことをするのが人間っていう生き物なのさ」
杏子「……りんご」
まどか「え?」
杏子「りんごがあるんだ……」
杏子「食うかい?」
ほむら「…………」
マミ「…………」
イチロー「……というわけで、彼女も僕たちに協力してくれることになった」
杏子「ワルプルギスの夜が来るんだろ、だったら敵対してても仕方ないしな」
マミ「せ、先生……すごいんですね」
イチロー「?」
マミ「いや……あの、あれだけのことがつい最近あったのにもう佐倉さんを説得しちゃうなんて……」
イチロー「説得なんかしてないよ、僕はただ事情を説明しただけさ」
杏子「さやかやまどかもいることだしな、アイツらのためにも絶対倒さねーと」
ほむら「…………」
ほむら(どういうこと……この世界、いつも事態が好転するときには彼がいる……)
ほむら(巴マミが生き残ったのも、美樹さやかの契約回避も、佐倉杏子の説得も……)
ほむら(彼は……本当に何者なの……?)
ほむら「地図があるわ、大体この位置よ」
杏子「ずいぶんと正確だな、何か根拠でも?」
ほむら「統計的に考えて、と言っておくわ」
マミ「統計……?過去にこの街へワルプルギスが来たなんて聞いたことが……」
ほむら「…………」
杏子「なあ、あたしらはもう一蓮托生だろ?もうちょっとアンタも手札を見せてくれたっていいんじゃないか?」
イチロー「……ほむらちゃんは時間に関係する魔法が使えるのかな?」
ほむら「……その通りよ」
ほむら「もうここまで来たら黙っている必要もないわね……私は今まで何度もワルプルギスの夜と戦ってきたの」
ほむら「さっき言った統計っていうのは、つまりはそういうこと」
杏子「……何度も戦ってきて、勝ったことは?」
ほむら「……一度もないわ」
マミ「そんな……!」
杏子「……はっ、この世界のあたしらと前の世界の奴らを一緒にするなよ」
マミ「一つだけ、教えてほしいの」
ほむら「何かしら?」
マミ「あなたが繰り返してきた過去の世界、その中で……鹿目さんや美樹さんが契約をしたことは?」
ほむら「……あるわ」
マミ「あれだけの素質を秘めた鹿目さんの力を借りても……ワルプルギスは倒せなかったの?」
ほむら「…………」
ほむら「……それを説明するには魔法少女のこと、ソウルジェムのこと、キュゥべえのこと」
ほむら「それらすべてを説明しなきゃいけない」
杏子「魔法少女のこと……?ソウルジェム……?」
マミ「キュゥべえ……?」
イチロー「…………」
ほむら「これから話すことはすべて事実よ、決して取り乱さないで」
マミ「そんな……そんなのさすがに信じられないわ!」
マミ「魔法少女が魔女になるなんて……そんな!」
ほむら「事実よ」
杏子「で……このソウルジェムがあたしたちの魂だってのか」
マミ「私たちもいずれは魔女になるってことじゃない……!」
マミ「だったら……もうみんな死ぬしか……!」
イチロー「落ち着くんだ」
マミ「とてもじゃないけれど落ち着いていられる状況じゃ……!」
イチロー「魔法少女が魔女になるように……魔法少女から普通の人間に戻る方法も存在するかもしれない」
イチロー「どんなときでも、最後まで諦めちゃいけない」
杏子「ふざけやがる……あたしらを物みてーに扱いやがって……!」
イチロー「頑なに彼女を契約させまいとしていたのはそういうことだったんだね」
ほむら「……私から言えることはこれですべて、あとはあなたたちの判断に任せるわ」
ほむら「魔法少女の真実を知った今、戦うかどうかはあなたたち次第」
ほむら「どんな選択をしようと私はあなたたちを責めないし、無理を言うつもりもないわ」
杏子「あたしは戦うよ、このままキュゥべえの奴の思い通りにさせるのも気にくわねぇ」
マミ「私は……」
ほむら「巴マミ、迷っているのなら戦うべきではないわ」
マミ「……少し、考えさせて」
ほむら「そのことだけれど……あなたは戦うべきじゃないわ」
イチロー「……?」
ほむら「今度の魔女は格が違う、今までの魔女とは比べものにならない」
ほむら「通常の人間のあなたじゃ命がいくつあっても足りないわ」
イチロー「…………」
杏子「だな、ほむらの話が正しいならあたしたちは不死身に近い体みたいだし」
杏子「ワルプルギスを倒すのはあたしたちに任せな」
ほむら「!」
マミ「キュゥべえ……!」
杏子「今さらのこのこやってきて何のつもりだテメー」
キュゥべえ「ふむ……暁美ほむら、君が何か吹き込んだようだね」
ほむら「事実を述べただけよ」
マミ「キュゥべえ教えて……さっきの暁美さんの話、魔女と魔法少女の関係は……本当なの?」
キュゥべえ「どんな内容の話をしていたのかは知らないけれど、ほぼ事実のはずさ」
マミ「そんな……キュゥべえ、私たちをだましていたの!?」
キュゥべえ「聞かれなかったから話さなかっただけさ、必要最低限の情報は与えていただろう?」
マミ「そ、そんなのって……!」
キュゥべえ「怖いなぁ……僕はせっかく君たちに気を効かせてあげたのに」
イチロー「どういう意味かな?」
キュゥべえ「ワルプルギスの夜の襲来をまどかたちに教えてあげたのさ」
ほむら「!」
キュゥべえ「このままじゃ君たちに勝ち目がないことも、まどかが契約すれば勝てることも……すべてね」
ほむら「そ、そんな……!」
杏子「テメー……なんでそんな真似を!それじゃまどかの奴が!」
キュゥべえ「なぜ?僕としてもワルプルギスの夜は倒してほしいんだよ」
キュゥべえ「それに自分と契約した君たちが死ぬところなんて見たくはないんだ」
キュゥべえ「まどかさえ戦ってくれれば君たちがワルプルギスによって敗北することはなくなる」
キュゥべえ「そう、君たちを思っての行動さ」
ほむら「どこまで……どこまで白々しいことを……!!」
キュゥべえ「それと、イチローだったかな?君にはなかなか驚かされたよ」
キュゥべえ「魔法少女でもないのに魔女を倒したり……ずいぶんとイレギュラーなことをしてくれた」
イチロー「…………」
キュゥべえ「でも、今度ばかりは君でもどうにもならないよ。それほどワルプルギスの力は飛びぬけている」
イチロー「…………」
そしてイチローが本気を出した時ワルプルギスどころか地球が無事なのかの保証が一切無いことを
そしてワルプルギスと戦うときには…安定していると言うことに…
マミ「私も……戦うわ、私が戦って守れる人がいるなら……それに」
マミ「悔しいもの……何もできないまま、ただ待っているなんて!」
ほむら「……イチロー、私たちを信じて。必ずワルプルギスは倒すわ」
イチロー「…………」
ほむら「……イチロー?」
イチロー「……ん、ああごめん。ちょっと考え事をしててね」
杏子(な、何だ……すげー威圧感が……!)
イチロー「ホント癪に障ったからね、さっきの言葉は……」
ほむら「…………!」
イチロー「僕の人生の中でも指折りの屈辱的な言葉だったよ」
ほむら「…………」
ほむら(もう、戦っちゃいけないなんて言える雰囲気じゃない……!)
マミ(せ、先生に……こんな凄まじい威圧感があったなんて……!)
杏子(正直、敵じゃなくてホントに良かったな……)
杏子(てかあたし、最初にイチローと会ったときに攻撃なんか仕掛けてよく無事だったなな……)
ピンポーン
ほむら(こんな時間に客……?)
まどか「入っていいかな?」
ほむら「まどか……美樹さやか……!」
さやか「……もうすぐワルプルギスの夜っていうとてつもない魔女が来るんでしょ?」
ほむら「……ええ、具現化するだけで何千人もの被害者が出るわね」
まどか「じゃあ絶対に倒さなきゃね…でも、ほむらちゃん達だけじゃ倒せないかもしれないんでしょ?だったら……」
ほむら「私たちだけで十分よ」
まどか「!」
ほむら「私は今日に備えてたくさんの準備はしてきた、一人でも十分に撃退できるくらいに」
ほむら「巴マミや佐倉杏子も手を貸してくれている……負けるはずがないわ」
まどか「……何でだろう、私ほむらちゃんを信じたいのに…全然大丈夫だなんて思えない……!」
ほむら「……!」
さやか「ヤバいんでしょ……本当は」
ほむら「あなたを救いたい一心で…私は今までの時を繰り返してきた」
ほむら「あなたが死ぬところも…繰り返してきた回数と同じだけ見てきたのよ」
まどか「ほむらちゃん……?」
ほむら「ごめんね、何を言ってるのか全然わからないよね……でも、それでも……!」
ほむら「お願いだから…最後まで…あなたを私に守らせて……!」
まどか「…………」
さやか「何だよー!あたしはどうなってもいいのかよ!」
ほむら「当然、あなたも守るわ……美樹さやか」
さやか「固い呼び方は止めてよ、さやかでいいよ……ほむら。あたしたち、友達でしょ?」
ほむら「……そうね。友達、だものね……さやか」
「雷雲がとんでもない勢いで分裂と回転しています!明らかにスーパーセルの前兆です!」
「ただちに避難指示の発令を!!」
ほむら「来る……!」
杏子「とんでもねぇな……こうして対峙してみると」
マミ「それでも……勝たなきゃ大勢の人が犠牲になるわ」
ほむら「勝ちましょう、必ず……友達を守るためにも」
三人の少女が強大な魔女に立ち向かうべく降り立っているその場に
イチローの姿はなかった。
杏子「接近戦は任せな、しばらく動きを止めるくらいなら一人でもやれる!」
マミ「使い魔は私が何とかするわ」
ほむら「私は遠距離から攻撃するわ、合図をしたら二人ともワルプルギスから離れて」
マミ「了解よ、行きましょう。佐倉さん」
杏子「ああ!」
まどか「……ほむらちゃんたち、大丈夫かな」
さやか「わからない……でも、信じるしかないよ」
まどか「でも、スーパーセルがだんだん近づいてきているってことは……!」
さやか「……!」
まどか「さやかちゃん……私たち、本当にここにいていいのかな」
さやか「…………」
まどか「みんな戦ってるのに、私たちだって戦えるのに……!」
さやか「…………」
さやか「まどかはここに残ってて」
まどか「どこに行くの!?私も行くよ!」
さやか「ダメ!ほむらが言ってたでしょ!あの子は何があってもアンタを守りたいんだから!」
さやか「まどかだけは戦っちゃダメ……大丈夫、必ず私たちで何とかするから!」
まどか「さ、さやかちゃん……!」
マミ「使い魔ですらここまで……!!」
ほむら「これだけ攻撃を仕掛けて傷一つつけられないなんて……!」
ほむら(これ以上先に進ませるわけには……!)
杏子「逃げろほむら!ワルプルギスの攻撃が……!」
ほむら「しまっ……うあっ!!」
マミ「暁美さん!大丈……きゃあっ!」
杏子「ちっ……コイツ……ぐあっ!!」
『苦戦しているようだね、暁美ほむら』
ほむら「キュゥべえ……!」
『悪いことは言わない、まどかを契約させたらどうだい?』
ほむら「そんなこと……絶対に……!」
『まどかが契約したらまた世界をやり直すのかい?』
『君が繰り返してきた時間の中で循環した因果の係数はすべて鹿目まどかに繋がっている』
『君はこれ以上まどかを因果で縛ってより強力な魔女にするつもりかい?』
ほむら「…………!」
『そうそう、そういえば……さっき、一人の魔法少女が誕生したよ』
ほむら「!?」
『彼女は願ったよ……君たちと共に戦い、仲間を守れる力が欲しい……とね』
ほむら「そんな……嘘よ……!」
「嘘じゃないんだな、これが」
ほむら「えっ……?」
さやか「契約したのがまどかだと思った?残念!さやかちゃんでした!」
ほむら「さ、さやか……!?」
マミ「み、美樹さん!」
杏子「お前、何で……!」
杏子「馬鹿……知ってるだろ、魔法少女のことも魔女のことも……全部!」
さやか「……うん、知ってるよ」
杏子「だったら何で……!」
さやか「だって、もし杏子たちが負けたらあたしたちもみんな死んじゃうんでしょ?」
マミ「それは……そうだけれど……!」
さやか「それに、あたしたち友達じゃない。ね、ほむら」
ほむら「さやか……!」
力の差は歴然であり、一度は立て直した状況も即座に崩されていく。
杏子「ぐっ!」
さやか「ちょっとちょっと……強すぎでしょうよアンタ……ぐあっ!」
マミ「ティロ・フィナーレ!」
ワルプルギス『キャハハハハハ!』
マミ「そんな……少しのダメージも与えられないなんて……!」
ほむら「…………!」
ほむら(嘘よ……まどかを除く全員の魔法少女が集まっても……コイツに勝てないなんて)
ほむら(何度も戦っているのに……やれるだけのことは全部やっているのに……それでも……!)
ほむら(じゃあ、私のやってきたことは……全部無駄だったっていうの……?)
暁美ほむらはこの瞬間、絶望を味わう。同時に彼女のソウルジェムが黒く染められていった。
ほむら「…………」
絶望に打ちひしがれる中、彼女は思わずつぶやいた。
ほむら「……助けて」
――先生
イチロー「間に合ってよかった……」
ほむら「ど、どうして……あなたが……?」
イチロー「『どうして?』逆にどうしてそんなことを聞くんだい?」
ほむら「……?」
イチロー「相手が強ければ強いほど戦いを挑みたくなるのが勝負師だからさ」
イチロー「……それに、約束しただろう?」
ほむら「約束……?」
『助けが必要になったら、僕は必ず君の力になる。約束だ』
ほむら「ダメ……いくらあなたでも一人じゃアレは倒せない!」
イチロー「僕は一人じゃないよ、ほむらちゃん達だっているじゃないか」
イチロー「それに……『勝負師』は僕一人じゃない」
ほむら「え……?」
イチロー「ここに来るのが遅れたのも実は彼らと合流するのに時間がかかったからでね」
ほむら「か、彼ら……?」
イチロー「僕の、最高の仲間さ」
胸暑
室伏「ワルプルギスの夜……なるほど、確かになかなかに骨がありそうだ」
ある男は水着にジャージを身に纏い。
北島「それだけやりがいがある、越えられない壁じゃないさ」
ある男はボールを足で操り。
本田「仮に越えられん壁ならそん時はぶっ壊せばええわ、あのデカいのが俺の前に立つなら叩き落とすだけ」
ある男はラケットを手に握り。
錦織「不謹慎かもしれませんけど……いいですよね、自分の全力をぶつけられる相手がいるって」
ほむら「な……!?」
そして
澤「よくここまで戦ったね、でも……まだあなたのその足を止めるときじゃない」
ある女性は絶望する少女に優しく声を掛けた。
澤「苦しい時は私の背中を見なさい」
これは…!?
イチロー「言ったろう、僕と同じ勝負師たちさ」
マミ「勝負師って……この人たちって魔法少女でもなんでもないんじゃ……!」
室伏「大丈夫さ、僕たちの体は少しくらいのダメージで壊れるほどやわじゃない」
本田「それに少しくらいの怪我でウダウダ言ってられんやろ、どんなコンディションでも勝つだけや」
マミ「は、はぁ……」
イチロー「キュゥべえだったかな……今も僕たちの様子をどこかで見ているんだろう」
イチロー「残念だったけれど……君は一つ計り間違えてしまったんだ」
イチロー「人間の秘めている底力を」
さやか「ちょ、ちょっと!そんな不用意に近づいたら危な……」
室伏「建物が崩れてるな……最初はこのぐらいの瓦礫がちょうどいいか」
さやか「ちょうどいいって……ちょ、そんな大きいの持てるわけ……」
室伏「よっ」
さやか「…………」
室伏「さあ、久々のガロン・スローだ……!」
室伏「フンっ!!」
ワルプルギス「っ!」
室伏の放った瓦礫は凄まじい音とともにワルプルギスに炸裂し
その巨大な魔女を後退させた。
ほむら「……私、あれだけの武器で爆撃して傷一つつけられなかったのに」
マミ「もうあの人たちだけでいいんじゃないかしら?」
杏子「お前らさっきまでの緊張感どこいったんだ?あたしらも戦うんだよ!」
室伏「うん……まあ悪くはないか」
イチロー「流石だね」
室伏「君のレーザーに比べたらまだまださ」
本田「あのちょろちょろ飛んでる使い魔ってのが邪魔やな」
錦織「あ、落としましょうか?20球くらいなら正確に一度で打てますけど」
本田「問題ない、俺は真正面からぶち抜く」
錦織「じゃあ俺も……肩慣らしのサーブを……はっ!」バシュッ!!
本田「何枚壁があっても無回転で抜いたるわ……らあっ!!」ドゴッ!!
ワルプルギス「っ!!」
ほむら「…………」
マミ「……どうやったらサッカーボールとテニスボールであの威力が出るの?」
超人だけいればよかったんだよ
さやか「このために契約したのに役立たずのままじゃ終われないでしょ!」ガキィ!
錦織「最近の中学生は凄いな……でもスイングのスピードが少し遅い、もっと下半身を使えば威力が上がるよ」
さやか「は、はぁ……どうも……」
ワルプルギス「…………」
ほむら「…………?」
ほむら(笑い声がなくなった……?)
イチロー(何か仕掛けて来るな……)
キュゥべえ『そうかな?最後には君が契約しなければならないと僕は思うよ』
まどか「その手には乗らないよ……」
キュゥべえ『分かっていないんだね、君たちは……舞台装置の魔女の本当の力を』
まどか「…………?」
キュゥべえ『今まで遊んでいたあの魔女を半端な攻撃で刺激してしまった』
キュゥべえ『そして今まさに本当の姿に戻ろうとしている』
ほむら「分からない……こんな、こんなこと今までなかった……」
マミ「上下が逆さまになろうとしてるの……?」
本田「…………」
イチロー「この威圧感……あまりいい予感はしないな」
室伏「いや、本格的にまずいかもしれない!急いで止めるべきだ」
本田「問題ない」
室伏「僕たちは無事でも町が吹き飛ぶぞ!」
本田「あそこ見てみ」
室伏「……あれは!」
本田「イタリアから『アイツ』が上がってきてる」
『なぜお前がそこにいる?』『なんだあの速さは!』『凄まじい体幹だ』
それらの言葉を一身に受けているのはワルプルギスの背後から激走してくる一人の日本人。
驚異的なスタミナ、スピード、跳躍力、フィジカル、コミュ力を備えた『日本男児』。
長友佑都が動物的直感から危機を察知し、イタリアから守備をするべく駆け戻り
ワルプルギスの夜に一対一を仕掛けていた。
長友「その攻撃……必ず俺がインターセプトする!」
本田「大丈夫だ、問題ない……アイツの身体能力なら」
長友「フッ!」
さやか「は、速っ!!ってかジャンプ高すぎじゃない!?」
長友は持ち前の跳躍力で魔女のいる場まで跳び上がると、限界まで鍛え上げられたその体幹とフィジカルを活かし
全力で体を寄せた。
ワルプルギス「…………!!」
ほむら「こ、攻撃を仕掛けるために裏返ろうとしていたワルプルギスが……!」
杏子「競り合いで押し負けて元の体勢に戻った!?」
さやか「あたし、契約する必要なかったんじゃない?」
多分
長友「疲れ?いや、全然。少しオーバーラップしただけだ」
本田「言うやないか……なら、守備のあとは反撃やろ」
室伏「もう肩慣らしは止めにしようか……本気で行く」
北島「ん、そろそろ俺も出番かな」
錦織「今日はストロークの調子がいいから……うん、何とかなりそうだ」
澤「この戦いを笑って終えられるようにしなきゃね」
イチロー「……君たちも、準備はいいかい」
杏子「最後くらいは決めなきゃな……!」
さやか「全力でいくよ!」
マミ「何としてでも撃ちぬくわ……!」
ほむら「……勝ちましょう、何としてでも!」
澤「緊張は?」
本田「サッカーで緊張したことはない、それに自信がなけりゃやってられないでしょ」
本田「俺は大きな将来しか見ていない、こんなとこで躓いてられんわ」
澤「そう、なら……その将来のためにもここで私たちがやらなきゃね」
錦織「見せてやりましょうよ、俺たちの本気を」
本田「……行くぞ」
その掛け声とともに
澤「はぁっ!」
女性の誇りを秘めた重いボールが
錦織「108式……エア……圭ッッッ!!」
若さと熱意の込められたボールが
本田「ラアアッッッ!!」
高みを目指す向上心が渦巻くボールが
一斉に放たれた。
さやか「こ、攻撃に吹き飛ばされて見えなくなった!?」
ほむら「い、イチロー!大丈夫なの!?」
イチロー「大丈夫さ、そのために彼を呼んだんだ」
マミ「彼?」
三人の一撃に吹き飛ばされたワルプルギスの夜の行く先は遥か太平洋。
そこに待ち受けるは
北島「……俺は飛んできたコイツを元のところへ押し返してやればいいわけか、しっかし」
北島は海面を叩いてビッグウェーブを起こし、その波に乗って泳ぎつつ
北島「泳ぐのって……やっぱ超気持ちいい!!」
ワルプルギスの夜へ全身で突っ込んだ。
イチロー「ん、みんな彼の周りから離れて……危ないよ」
室伏「ははは、大丈夫。パワーを分散させるようなことはしないさ」
さやか「そ、それ……ハンマー……ですよね?」
室伏「そう、吹き飛ばされて帰ってくる魔女をこれで迎撃する」
杏子「そ、そんなこと出来るのかよ!もし外したら……」
室伏「プレッシャーのかかる中で最高のパフォーマンスを魅せるのがアスリートの使命なんだ」
イチロー「全力だなぁ、室伏くん……じゃあ」
イチロー「僕も『外す』ことにしようか」
室伏「外すって……これまでずっとつけていた重りを?」
イチロー「歳を重ねるたびに重くしていていたけれど、まあたまに外すくらいはね」
マミ「そんなにたくさんの重りを付けてたんですか……!」
さやか「へー、先生の付けてた重り……って先生!?どんな重り付けてんの!?」
イチロー「ははは、重いから気を付けてね」
さやか「いや持てない!持ち上げられないっておかしいって!」
杏子「しかもそれ……イチローがたくさんつけてた重りのうちの一個だけだよな」
ほむら「……さやかが持ち上げることさえ出来ないレベルの重りを何個も体につけてたの?」
本田「バットのスイングの前のルーティンで肩に触れてたんはそういうことか」
イチロー「ああ、あれは重りの位置を調整しているんだ」
室伏は、一瞬息を止めたかと思うと次の瞬間には超高速でハンマーを振り回し始めた。
小さな竜巻とさえ呼べる風をその場の全員が感じる。
が、室伏の絶妙なパワーコントロールでその竜巻は制御され、その場にいる者への被害はなかった。
そして
室伏「ヌアアアアアアアアアッッッ!!!」
雄叫びと共に凄まじい破壊力の鉄球が空を飛ばされるワルプルギスに向かっていった。
錦織「見た感じ、もう瀕死ですね」
室伏「しかし当たりどころがあんまりよくなかったな……でも、いいお膳立てになった」
室伏「そういうわけで……後は君たちに任せた」
さやか「うっ……すごい緊張してきた……」
杏子「ていうかあんなの見せられた後にあたしらなんかが出しゃばっていいのかよ」
マミ「ここまでしてもらって倒せなかったら……!」
ほむら「…………」
イチロー「大丈夫、僕が付いている……さあ、全力をあの魔女にぶつけるんだ」
その少女は持てる全力で巨大な槍を生成し攻撃を仕掛け
さやか「もうやけでも何でもいいや!本気でやるだけだよね!」
その少女は持てる全力で神速の剣技で斬りつけ
マミ「全開で行くわ……ティロ・フィナーレ!!」
その少女は持てる全力で魔力の込められた弾を撃ちぬき
ほむら「これで……決着をつける!!」
その少女は持てる全力で時を操り、持ちうるすべての攻撃を出しつくし
そして
イチロー「行くぞ……ハァッッ!!」
神の男からは一筋の流星のごとき軌道でボールが投げられた。
そのボールはまさに――レーザービーム。
五人の全力を込めた一撃はワルプルギスの夜を完全に貫き、そして
その存在を跡形もなく消滅させた。
ああ、勝ったな・・・
ほむら「ワルプルギスの夜の気配は……もう……ない!」
マミ「じゃ、じゃあ……!」
杏子「……ったく、ホント手間かけさせれたな」
ほむら「あ……あ……!」
イチロー「やったんだ、ほむらちゃん」
ほむら「せ、先生……私……!」
イチロー「君はもう世界を繰り返す必要なんてない、君が進むべきなのは過去への扉じゃなく」
イチロー「希望にあふれている未来への扉さ」
ほむら「……い、イチロー……先生!」
室伏「いいじゃないか……あのぐらいの年の子はああして感情を表に出していたほうが可愛げがある」
本田「なあ、俺たちの蹴りでどこまであの魔女は飛んだ?」
北島「太平洋の真ん中辺りじゃなかったかな?」
本田「チッ、太平洋横断させるくらいの気持ちで蹴ったのに……まだ完全には復調してないな」
錦織「さすがにそれは無理じゃないですか?」
澤「とにかく、丸く収まって良かったわね」
イチロー「いや……まだ、完全には終わってない」
ほむら「……しまった、キュゥべえがまだ!」
イチロー「一応手は打ってあるけれどね」
ほむら「え?」
キュゥべえ『…………』
まどか「これで……もう全部終わったんだよね!」
キュゥべえ『残念だけれど、終わってはいないね……ワルプルギスの他にも多くの魔女は存在するんだ』
キュゥべえ『いずれワルプルギスの夜を越える魔女が現れないとどうして断言できるんだい?』
まどか「そ……それは……!」
羽生「そんなことをさせるわけにはいかないな」
羽生「そうだね……ただ、僕は彼らのように卓越した運動能力があるわけじゃないんだ」
羽生「だから……僕はこういう方面で力を貸そうと思ってね」
キュゥべえ『…………?』
羽生「……君が一番されたら困ることが僕たちにとっては一番の最善手になるわけだ」
羽生「読み切らせてもらおうか……どうすれば僕たちの望む最善の未来がやってくるのか」
キュゥべえ『…………!』
ほむら「ほ、本当に何者なの……あなたたちは?」
室伏「ん、どうやら待ち人が来たようだ」
羽生「遅くなってすまない……とりあえず、現状における最善手は見切れた」
さやか「見切ったって……どうやって……!」
羽生「少しあの生き物に言葉を投げかけただけさ」
羽生「その言葉に対する反応から数千ものの手順をたどって最善手を導く……難しいことじゃない」
マミ「どう聞いても難しいようにしか聞こえないのは私だけかしら?」
なんて素晴らしいことを思い付くんだお前は。さぁ書け。
羽生「……契約というのは、僕たち人間世界では双方が存在して初めて成立する」
ほむら「…………?」
羽生「それは魔法少女との契約においても同じことなんだ」
室伏「もう少し、具体的に説明してくれるとありがたいな」
羽生「願いを叶えてもらった代わりにインキュベーターと契約し、魔法少女となって戦い続ける」
羽生「その契約はインキュベーターの存在がこの世から消え去ってしまえば……」
本田「契約は破断……なるほどな、契約って言えばラツィオ行きたかったわ」
澤「それは今は関係ないでしょ」
ほむら「でも……以前、キュゥべえは魔法少女が普通の人間に戻るのは不可能だって……!」
羽生「それはそうだろうね、一人の人間にインキュベーターという種を撃ち滅ぼすことなんて出来はしないだろう?」
羽生「理論の上では可能であっても実質は不可能と言うわけさ」
さやか「じゃあ……その解決策も意味がないんじゃ……!」
イチロー「……本当にそう思うかい?」
さやか「…………?」
イチロー「こう言い換えてあげようか……『諦めるのかい?』ってね」
さやか「!」
イチロー「そしてその奇跡を起こせるのは最後まで諦めなかった者だけだって……」
さやか「あ……!」
イチロー「僕たちならやれる……最後まで諦めずに戦い抜き、不可能を可能にする……」
イチロー「それが、人間なんだから」
羽生「?」
キュゥべえ『確かに君たちなら僕という存在を消し去るくらいなら容易だよね』
キュゥべえ『でも、僕たちという種を消し去ることなんて出来はしないだろう?』
キュゥべえ『僕を潰したところで代替になる僕がやってくるか、別のインキュベーターがやってくるだけさ』
羽生「君は気づいていない……すでに王将は詰んでいることに」
キュゥべえ『…………?』
羽生「君が死んでも代わりの個体はいる……それはつまり、君とその他の個体がどこかでリンクしているということだろう?」
キュゥべえ『……まさか、そんなことが出来るわけが!』
羽生「そんなことが出来るわけがない、ここで生きることが出来るわけがない……」
羽生「将棋の世界でその思考に至ったものに勝ちはない……!」
キュゥべえ『…………』
イチロー「ああ、あとは何とかするよ」
本田「なるほど……この白いのを潰すだけでなく、上手いことやって全部まとめてぶっ倒せばええと」
室伏「そういうことだね……」
北島「こういう細かい作業はあまり得意じゃないな……」
錦織「僕たちの力を上手く全てのインキュベーターに伝えなきゃならないんですからね」
澤「難しいけれど、出来ないレベルじゃないわ」
ほむら「……私たちも、手伝いましょう」
マミ「え、ええ……!」
さやか「力になれればいいけれど……」
杏子「やれるだけのことはやっとくもんだ」
羽生を除く十人の力が捕まえられたキュゥべえに注がれるや、その力は瞬く間に全個体へと拡散し炸裂した。
一瞬にして、インキュベーターという種族はこの地球上から姿を消すこととなる。
そして
ほむら「さやか……いつの間に魔法少女の装備を解除したの?」
さやか「え?いや……あたしは何も……ていうかほむらだって!」
ほむら「あ……!」
マミ「これって……!」
杏子「ソウルジェムが……なくなってやがるぞ」
少女たちの魂はあるべき形へと戻ったのだった。
ほむら「まどか!」
まどか「良かった……みんな、無事で……本当に良かった!」
ほむら「まどか……まどかぁ!」
さやか「あーあー、二人とも大泣きしながら抱き合っちゃって……」
杏子「そういうさやかだって目が潤んでるだろ」
さやか「こ、これは汗だから!」
マミ「ま、まあまあ……」
室伏「…………さて。俺たちの役割はここまで、か」
イチロー「悪かったね、急に呼び出して」
北島「いや、力を出せて気持ち良かったよ」
イチロー「また……何かの機会があれば、よろしく頼むよ」
さやか「い、イチロー先生が帰る!?」
イチロー「急に球団から呼び出されてしまってね、もう明日には日本を立たなきゃいけない」
杏子「馬鹿……そんな急な話、聞いてねぇぞ!」
マミ「何とか……もう少し日本にいることはできないんですか?」
イチロー「それは無理だね、プロとして球団に迷惑をかけることはできないんだ」
まどか「そんな……!」
ほむら「まだ……私たちはあなたにほとんどお礼も出来てない……なのに!」
イチロー「お礼ならもう貰ってるさ」
ほむら「…………?」
イチロー「人の持つ可能性、若い君たちの才能、そして友との友情関係……この目で見せてもらったんだ」
イチロー「それだけで僕には十分すぎるほどの報酬だよ」
杏子「約束だぞ、絶対また一緒にリンゴ食うんだからな!」
さやか「今度は野球、一から教えてよ!なんだか恭介が野球に興味を持ちだしたみだいでさ」
まどか「待ってますからね、またイチロー先生と会う日を」
ほむら「約束よ……また必ず……!」
イチロー「ああ、約束だ」
ほむら「…………イチロー、最後に一つだけ聞かせて……あなた、本当は何者なの?」
イチロー「僕かい?僕は」
――メジャーリーガーさ。
彼は最後までストイックで、それでいて親しみのある雰囲気を纏ったまま私たちと別れた。
魔女も魔法少女も存在しなくなった世界で私たちは今を生きている。
そして、私たちは忘れることはないだろう。
私たちと共に戦ってくれた一人の先生のことを……
彼と再会する日を私たちは心待ちにしている……彼とはまたいずれ、必ず会えるはずだ。
何故かって?それは……
別れの直前、私は彼と『約束』をしたのだから。
『また必ず会う』と
その時が来るまで、彼はアメリカの球場で快音を響かせ続けていることだろう。
fin
イチローとか室伏とかがまどかたちと野球するサイドストーリーもちょっと考えたけど、眠いしもういいや
とりあえずこんなクソ長いのを読んでくれてありがとう。そして、みんなもう寝よう
乙
一気に読んでしまった
サイドストーリーにも期待したいけど、ひとまず乙
Entry ⇒ 2012.05.15 | Category ⇒ まどかマギカSS | Comments (6) | Trackbacks (0)
ほむら「考えてみたら私にまどかから好かれる要素がない…」
ほむら「まどかにとって私はただの転校生」
ほむら「まどかの親友の美樹さやかとは仲が悪く」
ほむら「まどかの先輩とは敵対」
ほむら「なんてこと」
杏子「あたしだって同じようなもんだ…さやかに好かれる要素がない」
杏子「いつも挑発的な言動」
杏子「おまけにさやかをボコっちゃうし」
杏子「しまいにはさやかの想い人をやっちゃえ発言…」
杏子「あたしってほんと馬鹿」
杏子「あたしもさやかと友達になりたい」
ほむら「杏子。力を貸してくれる?」
杏子「お前もな。お互い様ってことで」
ほむら「つまり、同士ってわけね 」ニヤリ
杏子「そういうことになるね」ニマリ
まどか「!?」
さやか「…キャラちがくない?」
ほむら「そうかしらー?うふふふ…」
ほむら(近づきがたい言動、表情禁止)
ほむら(美樹さやかと喧嘩禁止)
ほむら(とりあえずこんなとこかしらね…)
まどか(顔ひきつってる…)
さやか(なんか企んでるでしょ…)
ほむら「私も仲良しになりたいなー…なんて…」ヒクヒク
まどか「う、うーん」
さやか「…いや」
ほむら「……」
さやか「…作り笑いでしょ?それ」
ほむら「」ギックリ
さやか「なんつーかさ、本心隠すようなやつと友達になりたくないよ」
まどか「うん…ちょっと怪しいかな」
ほむら(ちくしょう。美樹さやかをぶん殴りたいわ)
杏子「よ、よう!」
さやか「…!」
まどか「あ…」
杏子「学校の帰りか?」
さやか「あんたには関係ないでしょ」
杏子「あ…一緒にゲーセンでもいかない?」
さやか「なんであんたと行かなきゃいけないのよ!」
杏子(うー…相当嫌われてんな…)
さやか「……」
杏子「だから一緒に遊びにいこうぜ!な?」
まどか「いい加減にしてよ!」
杏子「!?」ビクッ
まどか「これ以上さやかちゃんを苦しめないで!」
さやか「まどか…」
杏子(こっちにも嫌われてんのかよ…やべーな)
ほむら「成果は?」
杏子「なし」
ほむら「くぅ…まどかとちゃんと話したいのにいつも美樹さやかがくっついてくるわ」
杏子「こっちもさ…あのピンクのがやたらさやかにくっついてるし」
ほむら「ちょっと勘違いしないで頂戴。まどかがくっついてるんじゃなくて美樹さやかがくっついてるのよ」
杏子「どっちでもいいじゃねーか…二人が仲が良いのは誰が見たって同じだろ」
ほむら「くぅ…なぜまどかはあんなガサツそうな女と…!」
杏子「ただの嫉妬にしか聞こえねーな…むなしいぜ」
ほむら「むう…そうなりそうね」
杏子「はぁ…あたし、あのピンクみたいなうじうじしたのとは付き合いたくねーんだけどな」
ほむら「鹿目まどかよ。今度ピンクっていったら潰すわよ」
杏子(こいつ、大分ピンクのに入れ込んでんだな)
ほむら「美樹さやかと仲良く…ねぇ。生理的に無理だわ」
杏子「そう言わずに、お互いのためにさ。な?」
ほむら「……ふん」
まどか「パパ、いってきまーす!」
杏子(…きたか!)
杏子(学校で会えないあたしは早朝か放課後くらいしかアプローチできないからな)
杏子(ここはまずさやかよりも先にまどかと仲良くなっといたほうが良さそうだ)
杏子(ほむらのやつのこともフォローしてやれるかもしれない)
まどか「……!」
杏子「お、おっす!いい天気だな!」
まどか「……」プイン
杏子「あ、おい!」
まどか「…なんのようですか」
杏子「な、なんのようってそりゃ…」
杏子(あれ?そういえばこいつとあたしはなんの接点もねーじゃん!?)
杏子(こいつにしてみればあたしは見ず知らずのムカつく奴ってだけだ…そんなのが待ち伏せしてたって悪いイメージにしかならねー!?)
まどか「…さやかちゃんにしたみたいに、私にも暴力するんですか?」
杏子(うわぁぁぁ!あたしってただの暴力女ってイメージだったのかよ!そりゃ嫌われるって!)
まどか「でもさやかちゃんにはひどいことしたじゃないですか」
杏子「あれはだな…なんつーかさ…」
まどか「言い訳なんていいです!とにかくさやかちゃんにはもう近づかないでください!」
杏子「ま…まってくれって…悪かったよ」グイ
まどか「離して!」
杏子「いやまずあたしの話を…」
まどか「離してくれないと人呼んじゃうもん!」
杏子「……!」パッ
まどか「」パタタタ
杏子(逃げられた…)
ほむら(…きたわね)
さやか「ふんふふーん」テクテク
ほむら(さて、どのタイミングで話しかければいのかしら)
さやか「ふふふふーん」テクテク
ほむら(そもそもなにを話したらいいのかしら)
さやか「ふふふん…ん?」
ほむら(美樹さやかと言えば…やっぱりこの話題かしら)
さやか「おー!なんか綺麗なビー玉めっけー」
さやか「ぎゃっ!?転校生!?なんでここにいんの!?」
ほむら「ずっとあなたの後ろをついてきてたわ」
さやか「え…気味悪い…」
ほむら「……」ムカッ
ほむら(気味悪いってなによ!?こんな悪口よく面と向かって言えるわね!?神経疑うわ!)
ほむら(おっと…落ち着きなさい暁美ほむら。喧嘩してはだめ。今回は美樹さやかと友好的に世間話をしなくては…笑顔よ笑顔!)
さやか「…で?あたしになんか用なの?」
ほむら「ふふ…ねぇさやか?上条恭介とはどうなったのかしら?」ニヤリ
さやか「ほっとけ!!」ヒュンッ
ほむら「あだっ!」ゴン!
さやか「うっさい!転校生が変なこと聞いてくんのが悪いんだ!」
ほむら「なによ!こっちが下手に出てりゃいい気になって!大体あなたはこういうとこが無神経だから上条恭介も振り向かないのよ!」
さやか「なんだとー!なんでそんなことあんたに言われなきゃなんないんだこの馬鹿!」
ほむら「馬鹿はあなたよこの空前絶後の馬鹿!」
さやか「難しい言葉使うんじゃない!意味わかんないでしょ!」
ほむら「馬鹿!馬鹿!ばかばーか!」
ほむら「こっちの台詞よ!」
さやか「じゃあね!もうついてくんなよ!」
ほむら「んなわけないでしょ!?ちょっとは考えなさいよばーか!」
さやか「お前のがばーか!」タッタッタ
ほむら「…ち!やっといったか…朝から最悪な気分に…」
ほむら「…あれ?戻ってきた」
さやか「ビー玉返せ!まどかと遊ぶんだ!」
ほむら「あんたが投げてきたんでしょ!?ほら返すわよ!」ヒュンッ
さやか「あいだっ!?」ゴン!
ほむら「あら杏子…!そっちはどうだった…!?」イライラ
杏子「あたし…大分まどかに嫌われてるみたいだな…」
杏子「お前は?」
ほむら「もううんざりよ!私と美樹さやかは元々犬猿の仲!水と油!仲良くするなんてぜっったいに無理だわ!」
杏子「おま…さやかと仲良くするんじゃなかったのかよ?」
ほむら「む・り!」ノー!!
杏子「おいおい…さやかと仲悪いんじゃあまどかだって良いイメージ持たないだろ」
ほむら「ぐ…」
杏子「ホラホラ。まどかのためと思ってくーるだうーんくーるだうーん」
ほむら「ひー…ひー…ふぅー…」
さやか「まどかまどかー!ビー玉ビー玉!」
まどか「わービー玉だー…」
さやか「これで遊ぼう!」
まどか「懐かしいなー…」
ほむら「…………」ギリギリ
杏子『こちら杏子。そっちの様子はどうだ?オーバー』
ほむら『こちらほむら。まどかと馬鹿女は今も楽しく遊んでいる。私は机の陰からそっと恨めしそうに見ている…オーバー』
杏子『そ、そうか…なんかすまんかった』
杏子『あのさ、ちょうどあんたたちの通学路にたい焼き屋さんが来てるんだが帰る際にそこにさやか達を誘導してくれないか?』
ほむら『…たい焼き?』
杏子『だから一緒にたい焼き食えばお互い幸せな気持ちで素直に話し合えるだろ?な!』
ほむら『……』
杏子『てことであたしはたい焼き屋さんのおっちゃんをしばらくここに足止めする。そっちは任せたぞ』
ほむら『……了解したわ』
ほむら「うーん…どうやってつれてけばいいのかしら…」
さやか「ビー玉を…指でピーン!」ピーン!
仁美「いだっ!」ゴン!
まどか「仁美ちゃーん!」
さやか「またねー仁美ー!」
まどか「じゃあ帰ろっか!さやかちゃん」
さやか「うん。今日は久々に寄り道しちゃおっかー?」
ほむら「あ、あら奇遇ねー私いい店知ってるのよー」スマイル
さやか「あぁん?」
ほむら「ふふふ…」ニヤリ
さやか「」ビクッ
まどか(笑いかたが歪だよほむらちゃん…)
さやか「……どこに寄ってこーか?まどかー」
まどか「……え、えーとね」
ほむら「待ちなさいよっ!」
さやか「なんであたしたちに加わってくんのよ!?」
ほむら「わ、悪い!?私はまどかに話しかけただけなんだけど!?」
さやか「まどかは今あたしと帰るんだ!邪魔しないで!」
ほむら「あら見えないわー?美樹さやかの姿なんて全然見えないわー?」
さやか「こら!こっち向け!見えてんだろ!」
ほむら「どこからか馬鹿みたいな声が聞こえるけどしーらない!ねぇまどか!一緒に帰りましょ?」
まどか「えっと…」
さやか「おい!無視すんな転校生!まどかはあたしと帰るんだから!」
まどか「う、うーん」
さやか「さやかちゃんチョップ!」ビシッ
ほむら「いだぁっ!?ちょっと!?頭が割れるかと思ったじゃない!」
さやか「あれ?どこからか声がした〜?気のせいかな〜?」
ほむら「は!?私の脳天にチョップしといてすっとぼける気!?」
さやか「うーんなんかうるさいなぁ〜耳鳴りかな〜!ま、いいや!さっさといこ!まどか!」
まどか「うん……いいの?」チラッチラッ
さやか「いーからいーから!」テクテク
ほむら「ぐぅ…!おのれ美樹さやか…!この恨みは必ず晴らすわよ!絶対だから!」
さやか「でさーあたしはその時こういってやったんだよ」
まどか「うんうん」
さやか「あたしって馬鹿なんですからー!っつって」
まどか「それはそれは……あれ?看板?」
さやか「なになに…この先、マフィア潜伏のため立ち入り禁止…」
さやか「あははは!誰がこんないたずらを…」
チュン!
さやか「…………」
まどか「さ、さやかちゃん…今銃弾らしきものが…」ガタガタ
さやか「……よし!回り道して帰ろう!」クルリ
まどか「け、けけ警察に…」
ほむら「ふう。うまくごまかせたみたいね」
ほむら「美樹さやかの驚いた瞬間のアホ面も録画できたし、ネットにアップでもしときましょう」
さやか「あ、あははは…そんなの本当にいるわけないじゃーん…いたずらいたずら」ガクガクブルブルメソメソ
まどか「身体は正直なんだねさやかちゃん」
ほむら『うまくそちらに誘導したわ。そろそろたい焼き屋と接触するはずよ。オーバー』コソコソ
杏子『了解。こっちもうまくやるぜ。オーバー』
まどか「あ、ねぇさやかちゃん!あんなとこにたい焼き屋さんがあるよ!」
さやか「お、おー!せっかくだから寄っていこっか!」
まどか「うん!」
杏子(よし…作戦開始だ)
まどか「うーん美味しいなぁ…」ホクホク
さやか「たまに食べたくなるんだよねー…」ホクホク
まどか「こういうのって一個食べたらまた欲しくなっちゃわない?」
さやか「わかるわかる。ちょっと物足りなくなるんだよねー」
杏子「あー…芋買いすぎたー…」ウロウロ
まどか「……」
さやか「……」
杏子「いやーうっかり両手いっぱい芋買っちゃったよー…いやーうっかりしたー…」ウロウロ
杏子「どこかに食ってくれるやついねーかなー…いやーうっかりしたなー…」ウロウロ
杏子(食べ物あげれば好感度はかなりあがるだろ!あたしもお裾分けしてくれる八百屋のおばちゃん大好きだし!)
どこかに芋を余らせてる人いないかなー(チラッチラッ
さやか「……いやーあれはちょっと難しそうだったよねぇー」テクテク
杏子「芋いっぱいだー…うっかりしたなぁもうー…」ウロウロ
まどか「てぃひひ。私も自信ないや」テクテク
さやか「そうだ!まどかの家で一緒にやろうよ!」テクテク
杏子「芋ー…」
まどか「そうだね!さやかちゃんじゃちょっと頼りないけど」
さやか「なにおうー?まどかめー」コチョコチョ
まどか「きゃはは!くすぐったいよさやかちゃん」
杏子「まってよ!無視すんなよぉっ!」トタタタタ
杏子「芋貰ってくれよ!気付いてただろ!?」
まどか「…知らない人に食べ物もらっちゃだめってママが…」
杏子「あたしのこと知ってるだろ!?知り合いだろぉ!?」
まどか「知り合いっていうほど仲良くないし…」
杏子「うぅ…じゃ、じゃああたしと仲良しになってくれよ!」
まどか「いや!」プイン
杏子「!!」ガーン
まどか「さやかちゃん、いこ!」
さやか「お、おう…」
さやか(こんなはっきりものを言うまどか、初めて見たな…)
杏子「うぅぅ…」ウルウル
ほむら「よしよし」
杏子「やっぱまどかに嫌われてんだ…あたしなんかと仲良くしたくないって…」ウルウル
杏子「あーん!」ビエー
ほむら「よしよし」
杏子「ぐす…諦めないからなっ!絶対まどかと仲良しになってやるんだからなっ!」
ほむら(目的が変わっちゃってるわこの子)
まどか「手伝ってくれてありがとね!さやかちゃんばいばい!」
さやか「おー!またね!…………あり?」
まどか「どうしたの?」
さやか「玄関に芋の入った袋が…」
まどか「え」
まどか「…………」
杏子「おう!あたし佐倉杏子!まだ名乗ってなかったよな!」
まどか「…はぁ。私今から学校いくんだけど」
杏子「なら学校いくまでは隣いいよな?」
まどか「しつこいともっと嫌われちゃうよ?」
杏子「う…い、いや!仲良くなるまで一緒にいるんだ!」
まどか「…勝手にすれば」プイン
杏子「勝手にするっ!」フンヌ!
まどか「…………ふふふっ」
まどか「…………」
杏子(うぅ…あんまり楽しそうじゃないぞ…あたし面白い話とかできねーからなぁ…)ソワソワ
まどか「……お芋、食べたよ」
杏子「…え?」
まどか「…………ありがとね」ボソッ
杏子「あ、あぁアレか!き、気持ち悪かったよな…?あんなとこに芋置いて帰って…」
まどか「ううん。私と仲良くしたいって言葉、嘘じゃないってわかったの」
杏子「……!」
まどか「だから謝りたくて…ごめんね」
杏子「ま、まどか!」パァッ
まどか「か、勘違いしないでね!私は自分が悪かったとこを謝っただけ!」
まどか「杏子ちゃんと友達になるなんて言ってないんだからね!」
杏子「今!今名前呼んでくれたな!覚えてくれてありがとうまどか!」
まどか「も、もう!杏子ちゃんくっつかないでよ!急がなきゃ遅刻しちゃうんだから!」
杏子「ならあたしが連れてってやるぞ!背中にのれまどか!」
まどか「いや!」プイン
杏子「!」ガーン
ほむら(さて…今日も家の前まできたけど…なんできちゃったのかしら?)
ほむら(顔を会わせれば喧嘩ばかりで私たちの仲は一向に進展しないのに)
ほむら(はぁ…この時間をまどかに当てたいわ…)
さやか「…………」
さやか「」キョロキョロ
さやか「今日はいないのか…」ボソッ
ほむら「……!」
さやか「ま、そのほうがいいけどね…ふふふーん…」
まあ喧嘩のレベルにもよるが…
さやか「ぎゃあ!?あ、安心してたところに出てくんな!」ビクッ
ほむら「…相変わらずあなたはデリカシーがないわね…人をお化けかなんかと勘違いしてない?」
さやか「お化けのほうがうるさくない分マシだっての…」
ほむら「はぁ!?うるさくさせてんのはあなたが馬鹿だからでしょうが!」
さやか「いい加減馬鹿にすんな!馬鹿って言うほうが馬鹿だって知らないのか!」
ほむら「そんな馬鹿王国のルールなんて知りません〜!」
さやか「馬鹿王国なんてこの世にありません〜!このばーか!」
ほむら「あなたは嫌味も通じない程の馬鹿なのねこのばーか!」
ほむら「ちょ、ちょっと通学路を変えてみたのよ!悪い!?」
さやか「はぁ?なにそれ、学校にいくときまであんたの顔なんて見たくないんだけど?」
ほむら「ふん、それはこっちの台詞よ」
さやか「じゃあ明日から別の道通りなさいよ!」
ほむら「あなたの言う通りにするなんてプライドが許さないからお断り!」
さやか「なにぃっ!?」
ほむら「なによっ!?」
さやか「……ふん!ついてこないでよね!」テクテク
ほむら「私だってこっちの道なんだけど?」テクテク
さやか「真似すんな!」
ほむら「嫌なら帰れ!」
さやか「…………」
ほむら「…………」
杏子「ん?なんだこの音?」
まどか「さぁ…ってあれはさやかちゃんとほむらちゃん!?」
さやか「はぁ…はぁ…あ!まどかだ!」キキーッ
ほむら「まどか!」キキーッ
まどか「ど、どうしたの?そんなに走って…」
さやか「こ…こいつがっ…喧嘩うってきやがったから…!」ハーハー
ほむら「先に…学校についたほう…が…勝ちって…」ゼーゼー
杏子「なんつーか…お前ら馬鹿だな」
さやか「はぁ!?」
ほむら「なんですって!?」
さやほむ「こいつと一緒にすんな!」
さやほむ「…………」
杏子「ほら」
ほむら「そうよ!私よりも先にまどかと仲良くなるなんて許さないわよ杏子!?」
まどか「べ、別に仲良しなわけじゃ…!」
杏子「へっへん!さっきまどかと友達になったんだ!」
まどか「ちょ…」
さやか「くっ…あたしのまどかが…りんごちゃんなんかに盗られた…!」
杏子「杏子だ!」
ほむら「私のまどかが…こんなホームレス中学生なんかに…!」
杏子「ぶっ飛ばすぞ」
さやか「あたしのまどかだ」
ほむら「私のまどかよ」
さやか「まどかはあたしの嫁なのだ!!」
ほむら「私の嫁よ!!」
まどか「もう喧嘩しないの!めっ!」
なにいってんだよ主要メンバーは4人だろ
ほむら「さぁ美樹さやか。今日こそ決着をつけるわよ」
さやか「ふん…懲りないやつ。まどかに相応しいのはこのさやかちゃんだ!」
ほむら「今日の種目は購買の人気パンをいくつ買ってこれるかよ!」
さやか「今日のお昼ご飯ってことだね…望むところだ!」
杏子「まどかに関係なくね?」
まどか「あははは…まぁやらせといてあげようよ。楽しそうだし」
杏子「あいつらなんだかんだで仲良いよな。あたしとまどかも仲良しだけどな!」
まどか「ち、違うもん!杏子ちゃんが勝手に言ってるだけ!」プイン
杏子「へへ、まどかって嘘つくと顔が真っ赤になるんだよな」
まどか「ち、違うってば!ていうかなんで杏子ちゃんが学校にいるの!?」
杏子「楽しいんだから仕方ないだろ。うん」
ホラあの黄色い人だよ!
ショウさん?中沢?
ほら、まどマギ唯一の巨乳キャラで貴重だし
杏子(……なんか当初の予定と違うような…)
ほむら(…まぁこれはこれで楽しいし)
杏子(別にいっか!)
ほむら「まどかとは…これからゆっくり仲を深めていけばいいもの」
杏子「さやかともよく話すようになったし、スタートはこれからだよな!」
終わり
主要キャラ全員が仲良くできてよかったです
あ、仁美ちゃん忘れてました
おいぼっちさんのこと忘れるなよ
>>189
ああ、ごめん。ユウリ(偽物)の事忘れてた。ぼっちで巨乳だよね
みんな可愛いな
Entry ⇒ 2012.05.10 | Category ⇒ まどかマギカSS | Comments (0) | Trackbacks (0)
平沢進「まどか、キミの願いはエントロピーを凌駕した」
ほむら「巴マミ、そいつは誰?」
マミ「あら、貴女も魔法少女なら分かるでしょ?」
マミ「平沢進、通称師匠よ」
平沢進「ごきげんよう」
ほむら(知らねーよ)
マミ「彼女も貴方と契約して魔法少女になったんでしょう?」
平沢進「私はそんなこと覚えていない。キミも学校が終わったならとっとと帰りなさい」
ほむら「ぇえー…」
まどか「あれ?ほむらちゃん…」
ほむら「まどか…美樹さやか」
さやか「聞いたよ、あんたも魔法少女なんだって?マミさんに用があるの?」
ほむら「…魔法少女でない貴女に言う事ではないわ」ファサッ
さやか「むかっ…!」
まどか「駄目だよほむらちゃん、そんなピリピリしちゃ…」
マミ「貴方達、願い事は決まったの?」
まどか「それがまだ…」
さやか「1つって言われると難しくて…」
平沢進「勘違いしていないか?まだ私は契約するとは言っていない」
ほむら「えっ!?」
さやか「なんで転校生が吃驚してるのよ」
ほむら「…契約しないの?」
平沢進「するかしないかは私が最終的に決めます、端から端まで全員と契約する程私は要領よくはないので」
ほむら(いやそもそもコイツ誰?インキュベーターは…?)
平沢進(それよりTwitterの更新しておこう)
平沢進(うわ、またフォロワー増えてる。こいつら私を有名人か何かと誤った認識を抱いていないか)
マミ「まぁ立ち話もなんだしマンションにでも行きましょ?」
さやか「はーい!」
まどか「お邪魔します!」
平沢進「…部屋が狭くなる…」
平沢進「………」
ほむら「あ、あの」
マミ「?」
ほむら「私もいいかしら…?」
さやか「げぇっ、転校生もぉ?」
マミ「どうする?」
平沢進「来るならさっさと来なさい」
さやか「えー、転校生まで呼ぶんですかー?」
平沢進「えー、じゃない」
さやか「はーい」
ほむら「………」
ほむら(なにこの世界線…)
………
…
平沢進「適当に寛ぎなさい」
マミ「もう!まるで自分の家みたいに!」プンプン
平沢進「それも遠からず」
ほむら「早速聞きたいのだけれど、巴マミ」
マミ「?」
ほむら「貴女、キュゥべえって知ってる?」
マミ「………?お侍さんの名前かしら?」
ほむら「…いえ、なんでもないわ…ごめんなさい」
平沢進「キミ」
ほむら「は、はい!?」
平沢進「そのキュゥべえと言うのは、つまりインキュb」
まどか「あ、紅茶お代わりいいですか?」
マミ「うふふ、どうぞ」
平沢進「話の腰を折るんじゃありません」
さやか「まーまーいいじゃないですか、師匠!」
平沢進「………」
平沢進「後で落ち合いましょうか」
ほむら「そうね…」
……………
………
…
ブロロロォ〜……キィッ
ほむら「来たわね」
平沢進「突風のワゴン車で今この世についた」バタンッ
平沢進「子供はもう寝る時間ですよ」
ほむら「その必要はないわ」
平沢進「その歳でひねくれると第2のヒラサワになる可能性があるので、早急な対策を」
ほむら「…………」
ほむら「ま、まぁいいわ」
ほむら「貴方、一体何者?」
平沢進「……インキュベーター」
平沢進「奴のせいで私はこんな目に遭っている、全く忌々しい」
ほむら「知ってるの!?」
平沢進「降って沸いた災いみたいなものです」
平沢進「端的に言えば彼ら…もとい、SP-2の役割を私がこなしている」
ほむら「何故…?」
平沢進「彼らが絶滅に瀕しているので。このヒラサワがトパーズ18フォンツに保護しております」
平沢進「ホピ族の母と共に」
ほむら「…………??」
平沢進「はっきり言って私はやりたくない、ギターなんぞに触る事もなく日がな一日を過ごす私の貴重な時間を奪わないでほしい」
ほむら「なら何故やるの?」
平沢進「仕事は仕事なので」
ほむら「…………」
平沢進「話は以上?であればもう帰りなさい」
ほむら「お願いがあるの」
平沢進「?」
平沢進「………」
平沢進「私はそんなに親切ではない」
平沢進「尊重すべきは彼女らの意思」
平沢進「しかし1つ予言をしよう」
ほむら「予言?」
平沢進「鹿目まどか、彼女はいつかテラを抱く。胸に憩いと命を携えて」
ほむら「何を言ってるのよ、貴方は…」
平沢進「キミもいつか会える、宇宙の子らとして」
ほむら「…駄目ね、やっぱりインキュベーターと関わりがあるだけはあるわ」
ほむら「意味が分からない、とにかくまどかには関わらないで」ファサッ
平沢進「お帰りはあちらになります」
ほむら「公園の出口くらい分かるわよっ!!」
平沢進「失敬」
………
…
━次の日・放課後━
まどか「さやかちゃん、今日はマミさんのトコに行く?」
さやか「あー、あたし恭介のお見舞い行くから!」
まどか「うん、分かった!じゃあ病院までは一緒に行くよ、いいでしょ?」
さやか「わはは!かわいい奴め!勿論OKだー!」
ほむら「待ちなさい」
まどか「?ほむらちゃん……」
まどか「え?」
さやか「…ちょっと、何よいきなり…」
ほむら「魔法少女なんて、なるべきものではないわ」
ほむら「いずれ巴マミもそれを思い知る事になる」
まどか「ほむらちゃん…」
さやか「ふーんだ」
平沢進「東京のヒラサワです」
3人「!?」
平沢進「私です」
さやか「な、何しに来たんですか師匠!?」
平沢進「魔女の気配を感じたので、黄色を討伐に向かわせました」
平沢進「魔女が出現した場所が病院なので、一応顔馴染みがいるらしいキミらにも一報を」
まどか「行こう、さやかちゃん!」
ほむら「ま、待ちなさい!」
ザッ
ほむら「!?」
まどか「進おじさん、どいてください!」
さやか「師匠!病院に行きたいんです!通してください!」
平沢進「…………」
平沢進「かの病院にはテロートマトンで行こう」ズァッ
3人「!!?」
平沢進「続出するバグは助手のトラウマが原因であり、激励こそ最良のメンテナンスである」
ほむら「わけがわからないよ」
収録アルバム名が救済の技法だし、歌詞もまどかに合ってると思う
まどか「早そう!お、お邪魔します!!」
ほむら「…な…」
まどか「あ、ほむらちゃん…」
さやか「ほっときなよ、まどか!」
まどか「でも…!」
平沢進「…一緒に行きませんか?」
ほむら「!!」
さやか「な、師匠!?いいんですか、こんな奴…」
平沢進「時に奏でる用務員は不可解な行動をする、このヒラサワの悪い癖」
平沢進「さぁ。シティホスピタルまで、一緒に行きませんか?」
ほむら「………」
……………
………
…
マミ「くっ…すばしっこいわね!」
シャルロッテ「●●●●●●●●●」
マミ「そこ!」ドン!ドン!!
シャルロッテ「●●●●●●」
マミ「隙有りっ!」
マミ「ティロ・フィナーレ!!!」
ズドォォオンッ!!
マミ「よし!!」
シャルロッテ「●●●●●…」くぱぁ
マミ「………え?」
ドゴォオオオン!
シャルロッテ「●●●●●●●●●!?」
マミ「何か突っ込んできたー!!」
マミ「あ、あれは師匠のテロートマトン!?」
さやか「…酔った…」
まどか「ほむらちゃん、大丈夫……?」サスサスマドマド
ほむら「」ホムロロロロロ…
平沢進「どれ、1つ馬の骨を救ってやるか」バタン
シャルロッテ「●●●●●●●●●●●!!!」
平沢進「お菓子の魔女」
平沢進「これがキミの結界か」
シャルロッテ「●●●●●●●●●!」
平沢進「やかましい、解散だ!ばかものー!」
マミ「始まるわ!師匠の魔女退治が……!」
ほむら「うぷっ…、…え!?アイツが魔女退治するの!?」
マミ「まるで固有結界のように」ドヤッ
さやか「やっちゃえ師匠!」
まどか「進おじさーん!」
ほむら「わけがわからないよ」
シャルロッテ「●●●●●●●───!!」
平沢進「これが」
平沢進「テクノだ」
マミ「ヨングミラー!テチーター!!」
ほむら「!?」
術者/平沢進
世界タービン タービン
世界タービン タービン
朝の風は凄まじく
幾万もの声を消す
通り過ぎる人波に
遠い秘境の景色重ねても
見えぬ空の秘密よ
雨に灼けた往来で
キミよ夢に何を見る
(あーだいじょうぶよタービンが回るわ)
(あーだいじょうぶよタービンが回るわ)
キミの歌にめくるめく
古い無音の稲妻で
割れた壁に手を当てて
遥かキミを感じてた
海を渡る電光の
夢で焚いた火を囲んで待つ
聞こえぬ丘のリズムを
街を急ぐ警笛に
キミの歌もかすれて
(あーだいじょうぶよタービンが回るわ)
キミの歌にめくるめく
古い無音の稲妻で
世界タービン 世界タービン
世界タービン 世界タービン
朝の風は凄まじく
幾万もの声を消す
通り過ぎる人波に
遠い秘境の景色重ねても
見えぬ空の秘密よ
雨に灼けた往来で
キミよ夢に何を見る
(あーだいじょうぶよタービンが回るわ)
(あーだいじょうぶよタービンが回るわ)
世界タービン 世界タービン
世界タービン 世界タービン……
……………
………
…
ちゅどぉぉおん!
さやか「よっしゃあ!さすが師匠!!」
マミ「ふふ、美味しい所を持ってかれちゃったわ」
まどか「マミさんも進おじさんも素敵でした!」
まどか「皆はyoutubeで見てね!」メメタァ
平沢進「そもそもキミ達が戦いなさい」
ほむら「」
ほむら(な、なんなのあの魔女の結界に勝るとも劣らない摩訶不思議空間は…)
マミ「ありがとう、貴女も使う?」
ほむら「そ、その必要はないわ」
マミ「あらそう」
さやか「可愛くない奴ー」
まどか「ほむらちゃん、無理しない方が…」
平沢進「………」シュゥゥウウウ…
ほむら「あ、あれ?私のソウルジェム……あぁっ!?」
平沢進「グリーフシードで浄化しておきました」
平沢進「キミも浄化しておきなさい」
マミ「はいはい、分かってるわよ」
ほむら「何を勝手な事を!私は必要無いと言ったの!」
平沢進「失敬、しかし過ぎた事を言っても時間は還元されない」
ほむら「…………」
ほむら「まぁいいわ、それじゃ失礼するわね」タッタッタ
さやか「二度と来るなー!」
まどか「2人とも仲良くしなよ…」
マミ「そうね、彼女は敵対すると言うよりも素直に人の親切を受け入れられないだけなのかも」
平沢進「極めて気が合いそうで嫌な気分である」
………
…
━数日後・病院━
恭介「さやかは僕を苛めて楽しいの?」
さやか「え?」
恭介「僕の腕は治らないんだ!奇跡か魔法でもない限り!」
さやか「恭介…」
恭介「出ていってくれないか、もうCDだって聴きたくない!」
さやか「………」
さやか「あるよ」
恭介「……?」
さやか「奇跡も魔法も、あるんだよ」
さやか「……はぁ…」
平沢進「ろくでもない男だと言うと、キミの逆鱗に触れそうだ」
さやか「師匠…」
平沢進「しかしあれはろくでもない」
さやか「はは…あたしがバカだったんです、あんな…恭介の気持ちも理解しないで…」
平沢進「彼もキミの気持ちを理解していない」
平沢進「悲劇のヒロインを気取る前に自らの内心を彼に理解させなさい」
さやか「師匠…それって…」
平沢進「要約すると、魔法少女にならいつでも成れるのだからその前にできる事をしろと」
平沢進「私は意地が悪いので簡単に契約しません」
さやか「…分かりました、もう少し…考えてみます」
さやか「失礼します」タタタタ…
平沢進「あんな馬の骨に私らしからぬ助言、このヒラサワ一生の不覚」
平沢進「…まぁ、二度目なんですけどね」
平沢進(……それよりTwitterのフォロワー減らない、この有象無象達は私を平沢唯か何かと思っているのか、迷惑だ)カチカチ
ほむら「ヒラサワ…」
平沢進「ごきげんよう、DASToidよ歩行は快適か?」
ほむら「相変わらず意味がわからないわ」
平沢進「それほどでもない」
ほむら「誉めてない」
平沢進「…………」
ほむら「…何故美樹さやかと契約をしなかったの?今なら契約も容易い筈」
平沢進「間違えていないか?私は平沢進だ、インキュベーターじゃない」
平沢進「宇宙が滅ぶ云々など私にとっては何も関係無い。そんな使命感もない」
平沢進「いわゆる奴らとの熱意の差と言いますか」
ほむら「………」
平沢進「以上です、はい回れ右」
ほむら(…ヒラサワ)
ほむら「貴方は私の…私達人間の味方なの?」
平沢進「言った筈だ、私はそんな親切ではない」
平沢進「過度な期待はしないように」ザッ
ほむら「………」
ほむら「この世界なら…今度こそ…!」
………
…
さやか「………とは言ったものの」
さやか「あたしにできる事、かぁ…難しいなぁ…」
さやか「あたしバカだし……ん?」
さやか「教会…」
さやか「ちょっと話だけでも聞いてもらおうかな、一人で悩んでるよりいいかもだし」
━教会・懺悔の間━
さやか「………」ギィッ
「今日はどうしましたか?」
さやか「あれ?神父…様?」
「あー!ごめんなさい、今日は親父…じゃ、なくて!神父様は外出してまして、シスターである私が代わりに…」
「そ、そうですよね!いやー良かった良かった、んじゃあ話してみてくださいよ」
さやか(なんか敬語慣れしてない感じだなぁ…)
さやか「実は…あたしには好きな男の子がいます」
さやか「その子は完治不可能な怪我を負ってしまって、もう二度と楽器が弾けなくなってしまったそうで…」
さやか「あたし、なんとかしたくて…いや、方法はあるんです」
「と言うと?」
「!」
さやか「でも…魔法少女になる前に、ホントに自分には魔法少女になるしか道がないのか考えろ、成る前にできる事があるならやれと…魔法少女にしてくれるオジサマに言われまして…」
さやか「もう、どうしたらいいのか…いや、すみません。意味不明ですよね聞いてて…」
「ははっ」
さやか「あ、あはは…」
「平沢師匠、またそんな事言ってるのか」
さやか「え!?」
「………」ギィッ、バタン
さやか「え?え!?あ、あんたなんで知って…まさかあんた、魔法少女!?」
杏子「…に、ならなかった女さ」
さやか「え……?」
杏子「あたしもあんたと同じ事を平沢師匠に言われてね、魔法少女にならなかった」
杏子「結局どっちが最良の道なのかなんてわからないけど、あたしは今の選択に後悔はしてない」
杏子「…参考になるかどうか分からないけど、聞くかい?」
さやか「う、うん!」
……………
………
…
杏子「そんな時だよ、あたしが平沢師匠に会ったのは」
杏子「あたしは平沢師匠に『皆が親父の話を聞いてくれるようにしてほしい』って願ったんだ」
杏子「でも止められた、一度きっちり父親と向かい合いなさいってな」
さやか「それで…?」
杏子「言われた通り向かい合ったよ、見てる妹もおふくろも泣き喚くくらいの殴り合いさ」
杏子「…親父は荒れてたけど、それはホントに世界を大切に考えてたからって分かった」
杏子「親父も分かってくれた。どんなに世界を憂いたって、自分の家族に当たったり荒れたりするのは最低だって」
さやか「…大きい教会だよね」
杏子「苦労したんだぜ?あたしと妹が必死にビラ配りしてさ、ようやくここまで来たんだ」
杏子「魔法に頼るのはそりゃ簡単だよ、でも…それはやっぱり、選択肢の最後にしておくべきだとあたしも思う、今はね」
杏子「いい話ができたかな?」
さやか「うん、ありがとう。なんかスッキリしたよ」
さやか「あたしはさやか、美樹さやか!あんたは?」
杏子「杏子、佐倉杏子。宜しくな、さやか」スッ
神父「杏子、戻ったよ…おや?その子は?」
杏子「あ、コイツ?隣町から来たんだ!友達!」
さやか「は、初めまして!さやかです!」
神父「隣町から?わざわざ足を運んでくれて有り難うね。杏子!友達ならお前の方からも行ってあげなさい!」
杏子「今日友達になったんだから仕方無いじゃん、ねー?」
さやか「ねー?」
神父「ふふっ…全く」
さやか「じゃあ、あたし行くよ…明日、キッチリやってみる」
さやか「あたしが魔法少女にならなくてもできる事」
杏子「…じゃあさ、それを見届けに行っていいか?」
さやか「え?」
杏子「独りぼっちは寂しいもんな」
さやか「……ふふ、そだね!」
まどか「さやかちゃん、頑張って…!」
マミ「ちゃんと話をつけてきなさい」
さやか「はい!」
ほむら「……美樹さやか」
さやか「…転校生…」
ほむら「…が……」
ほむら「がん…がんばり、なさい…」ゴニョゴニョ
さやか「………」
さやか「おう!任せとけほむら!」
ほむら「!……美樹さん…ッ!」
平沢進「………」
さやか「…師匠」
平沢進「幸運を」
さやか「…………」グッ
………
…
まどか「大丈夫かなぁ、さやかちゃん」
ほむら「まどか…」
マミ「美樹さんなら平気よ、ねぇ?」
平沢進「多分大方問題ない、と言うか私が知るか」
杏子「へっ、内心心配で堪らないんじゃねーの?」
3人「!?」
平沢進「…これはヒラサワも吃驚」
マミ「美樹さんのお友達かしら?」
ほむら「杏子…」
杏子「よっ、さやかの友達か?」
マミ「貴女は?」
杏子「佐倉杏子、学生兼シスターさ!昨日さやかの奴があたしの教会に来て、昨日友達になった」
ほむら「え!?…じゃあ貴女…」
杏子「あぁ、あたしは魔法少女じゃないよ」
杏子「なー、師匠?」
平沢進「今更ながら、私の事を馴れ馴れしく呼ばないでもらいたい」
平沢進「平沢進というのは分かりにくくて不親切で憎たらしいんだ、キミらが期待しているような男じゃない」
杏子「相変わらずツンデレなオッサンだなぁ」
平沢進「ほっといてくれ」
………
…
さやか「恭介…いる?」
恭介「…なんだよ、また来たの?」
さやか「っ………」
さやか「あははは!もう来ないと思った?残念!さやかちゃんでした!」
恭介「もう誰とも会いたくないんだ、帰ってくれないかな」
さやか「恭、介……」
さやか(えぇい、逃げるな美樹さやか!!)
さやか「………」スゥッ
さやか「私ぃー!美樹さやかはぁー!!」
恭介「!?」
さやか「小さい頃からずっと!ずっと!!」
さやか「上条恭介君が大好きでしたっ!!Likeじゃなくて、Loveでした!」
恭介「なっ」
さやか「ヴァイオリンが弾けなくてもいい!」
さやか「辛い時は八つ当たりしてもいい!文句言ってもいい!」
さやか「でもっ……」
恭介「っ!!」
さやか「離れてくれなんて言わないで……!」ポロポロ…
恭介(…何をやってるんだ、僕は)
恭介(ヴァイオリンが弾けなくなって、自棄になって…)
恭介(…そのくせ、幼馴染まで傷付けて)
恭介(……これじゃ本当に最低じゃないか、上条恭介)
恭介「………」
さやか「あたし知ってるもん!グスッ、知っでる゙も゙ん゙……!」
さやか「貴方が好きなの…」
恭介「………」
恭介「駄目だ、さやか」
さやか「………え?」
恭介「今の僕に君の告白を受ける資格なんてない」
さやか「恭介…」
恭介「僕から言う」
さやか「え、ぇえ!?ちょ、心の準備が…」
恭介「さやかだけは、ずっと傍にいてくれた」
恭介「泣かせてごめん、もう泣かせない。僕の腕はもう楽器を奏でられないけど…」
恭介「僕も。…貴女を愛しています」
さやか「…きょ、すけぇ…」
さやか「恭介ぇ……!」ヘナッ
恭介「ごめんね、さやか…こんな弱い男で本当にごめん…」ナデナデ
さやか「いいよ、いい…そんなの関係ない…!好きだよ恭介…」
恭介「僕も…好きだよ、さやか」
……………
………
…
まどか「うわぁ!おめでとう、さやかちゃん!」
平沢進「どうする行き遅れ」
マミ「あ、貴方に言われたくないんですけど!?」
平沢進「道理ですね」
杏子「ほら見ろ、魔法も奇跡もいらねーじゃんかよ」
さやか「へへ、ホントにね」
杏子「…………」
杏子「よかったなぁ、さやか…」グスッ
さやか「ちょ、あんたが泣いてどうするあんたが!!」
まどか「進おじさん、助言ありがとうございました」
平沢進「やめなさい、私はそんなんじゃない」
平沢進「しかし天才ヴァイオリン奏者だった少年か」
平沢進(………)
平沢進「その子は作曲はできるのだろうか」
さやか「あー、たまに病室でやってましたよ」
平沢進(後でこのヒラサワもコンタクトを試みよう)
ほむら(美樹さんが自らの力で苦境を脱した)
ほむら(杏子が魔法少女でないのは手痛いところだけど…)
ほむら(巴先輩も生存、間違いなく世界は好転している…!)
まどか「………」
平沢進(…鹿目まどか)
平沢進(キミはやはりMOTHERなのか?)
………
…
ほむら「今なら言える」
マミ「え?」
ほむら「巴先輩、話があるの」
マミ「どうしたの?」
ほむら「…近々、この街にワルプルギスの夜が来る」
マミ「ワルプルギスの夜?」
マミ「………なに、それ」
ほむら「えっ」
マミ「えっ」
ほむら「ワルプルギスの夜よ!ワルプルギスの夜!舞台装置の魔女!」
マミ「舞台装置の魔女……あぁ!!」
マミ「あの最悪の魔女が来るのね…あの…」
マミ「『聖馬蹄形惑星の大詐欺師』が!」
ほむら「えっ」
マミ「えっ」
ほむら「なに、それ」
マミ「え?だから舞台装置の魔女でしょ?」
ほむら「ワルプルギスの夜よね?」
マミ「師匠からは聖馬蹄形惑星の大詐欺師って聞いたわよ?」
ほむら「」
ほむら(そう言えば…ワルプルギスの夜って名前はインキュベーターが言っていた通称よね)
ほむら(この世界に奴らは居なくて、つまりあの魔女の名前はヒラサワが付けるのであって)
ほむら(要するに)
ほむら「そうね、何とかの大詐欺師よ」
マミ「なぁんだやっぱり!」
マミ「そう、聖馬蹄形惑星の大詐欺師が遂にこの街に現れるのね…」
ほむら(なんかしっくり来ない…)
ほむら「統計よ、私はワr…大詐欺師を討伐できればそれでいい、アレを討伐できたら私はこの街を出ていくわ」
マミ「暁美さん…」
マミ「分かったわ、聖馬蹄形惑星の大詐欺師討伐…手伝いましょう」
ほむら「本当!?」
マミ「ただし条件がある」
マミ「大詐欺師を倒した後もこの街に残ってほしいの」
ほむら「…何故?貴女は最初私と敵対していた筈」
マミ「今は違うわ、最初はそうだった、でも今は違う。それじゃあ駄目かしら?」
ほむら「…私は貴女が思っているようないい子じゃないのよ」
マミ「あら、『私はそんな親切じゃない』?まるで師匠みたいね」
ほむら「い、一緒にしないで!」
マミ「うふふ」
マミ「条件、飲んでくれる?」
ほむら「………分かったわ」
……………
………
…
……………
………
…
まどか「…進おじさん、居ますか?」
平沢進「消えちゃいました」
まどか「いるんですね」
平沢進「合言葉は『消えちゃいました』」
まどか「…………」
平沢進「意外と冗談が通じないなキミは」
平沢進「何の用ですか?手短にお願いしたい」
まどか「魔女…これから凄く強い魔女が現れるんですよね?」
平沢進「知るか、何故そう思う」
まどか「………なんとなく。夢で…そんな夢を見て…」
平沢進「…………」
まどか「……!」
平沢進「その名も聖馬蹄形惑星の大詐欺師」
まどか「せい……え、何ですか?」
平沢進「聖馬蹄形惑星の大詐欺師」
まどか「…正直に答えてください、進おじさん」
まどか「マミさんとほむらちゃんだけで、その詐欺師さんに勝てるんですか?」
平沢進「まぁ、無理でしょう」
まどか「!!」
まどか「で、でも!進おじさんも助けてくれますよね!?」
平沢進「この奏でる用務員ヒラサワ、ひねくれ者の極地に居を構えるふへん者なので」
まどか「そんな…!」
平沢進「そもそも私は魔女の結界をPVで張り直す事しかできない」
平沢進「しかし大詐欺師は結界を持たない」
まどか「…結界で身を守る必要がない魔女…」
平沢進「御明察」
まどか「そんな…じゃあ、ほむらちゃん達は!?」
平沢進「明日の日は構わずに、憂鬱は沈めて」
まどか「現実逃避なんかしてる場合じゃありません!」
まどか「…………」
まどか「進おじさん、」
まどか「私を魔法少女にしてください」
平沢進「…………」
平沢進「それは難しい、暁美氏に止められている」
まどか「っ!?ほむらちゃんが?」
平沢進「やかましい、二度言わせるんじゃありません」
まどか「…………」
まどか(ほむらちゃん…どうして…)
平沢進「話は以上で?ならとっとと帰りなさい」
………
…
━数日後━
マミ「…とうとう来るのね」
ほむら「えぇ、もう後戻りはできないわ」
マミ「するもんですか!かわいい後輩を傷付ける訳にはいかないものね!」
ほむら「今度こそ……倒す!」
5
4
ほむら「ワルプルg…大詐欺師…もうなんでもいいわよ!」
2
1
大詐欺師「ッハァーイッハイ!ンヤハハイィエッ!ハッハァーアッフウゥッ!」
マミ「行くわよ!!」ガシャコッ
ほむら「時間停止!」ピタッ
ほむら「ミサイル点火ッ!」
ほむら「そして時は動き出す!」
ズドドドドドォオ……!!
マミ「ティロ・フィナーレ!-百式-!!」ズラァッ
ズガガガガガガッ!!
ドゴォォオン…!
大詐欺師「ッハァーイッハイ!ンヤハハイィエッ!ハッハァーアッフウゥッ!」
ほむら「くっ…」
マミ「効いてない…」
どごぉッ!!
マミ「ぐァッ………!!」
ほむら「巴先輩!」
マミ「大丈夫よ…でも…」
マミ「本体の大詐欺師への攻撃を…全て使い魔たちが庇っちゃうわ……!」
ほむら「一撃、使い魔ではなく直撃さえ与えれば……!」
使い魔地球ネコ「マァーーーーマァ」
使い魔地球ゾウ「マァーーーーマァ」
使い魔地球ドラ「マァーーーーマァ」
使い魔ポチ「マァーーーーマァ」
………
…
━避難場所━
さやか「マミさん、ほむら……!」
杏子「ちくしょう、あんなのに勝てるわけねぇじゃんか……!」
まどか「…………」
まどか(私は…)
まどか「進おじさん!どうして!どうして私を魔法少女にしてくれないの!?」
まどか「一緒に戦わせて!マミさんとほむらちゃんを助けたいの!!」
さやか「まどかっ……!」
杏子「おい平沢師匠よぉ!もう…選択の余地なんてねぇんだ!今は!」
平沢進「………」
平沢進「本当に願うのか、馬の骨の分際で」
まどか「…進おじさん……」
平沢進「………」
平沢進「そんな目で見るんじゃありません」
杏子「頼むよ、二人の助けになりたいんだ!」
さやか「恭介と恋人になれた、もうあたしは充分幸せ!だから…!」
まどか「私達も戦わせてよ!進おじさん!!」
平沢進「…まどか、キミの願いはエントロピーを凌駕した」
平沢進「だが叶えない」
まどか「…どうして……っ!!」
平沢進「馬の骨は合いの手でも叩いていなさい」ガタッ
杏子「おい…あんたまで行くのかよ…!」
まどか「進おじさん!!」
平沢進「アンコールはやりませんので悪しからず。アイドルじゃあるまいし」
〜〜〜
マミ「はぁ……はぁっ…ソウルジェムも…ちょっと限界かしら…」
ほむら「ふ…奇遇ね」
大詐欺師「ッハァーイッハイ!ンヤハハイィエッ!ハッハァーアッフウゥッ!」
ほむら「また…駄目なの……?」
マミ「………?」
ほむら「どうかした?」
マミ「…聞こえる、地を埋め尽くす程……」
ほむら「え?」
マミ「───恐怖のパレードが来る」
術者/平沢進
胸にエナジー ケミカルの泡立ち
ハイヤーや古タイヤや 血や肉の通りを行き
あれがリバティー ユートピアのパロディー
バイヤーやギガ・ムービーの 絢爛の並木は晴れ
マイナーな欝は戯言
バラ色は廉価
いわく幸せと知れ
持ちきれぬほど
瀕死のリテラシー メカニカルに殺す
売人や吊るワイヤーや ホルムアルデヒドの通り
乾くシナジー 合成スイートで湿し
高層のメガ神殿に 狂乱のファンドの雨
「蒙昧」の文字は書けねど
未来は廉価
なべて迷信と笑え
因果のストーリー
さあ 異臭を放ち来る
キミの影を喰い
恐怖のパレードが来る
キミの名の下に
廃人や売るダイアや 地に堕ちた道理の通り
あれがリバティー ユートピアのパロディー
頼みはSSRI さて流行りのテラスでハイホー
マイナーな説はたわごと
享楽は廉価
努々省みるな
手遅れゆえ
さあ 異臭を放ち来る
キミの影を喰い
恐怖のパレードが来る
キミの名の下に
さあ 地を埋めつくすほど
キミの影が産む
狂気のパレードが来る
キミの名の下に
……………
………
…
ほむら「ヒラサワ、貴方……!」
大詐欺師「チカテツハカタコンベ!?」
平沢進「仕方無い、馬の骨が苦しんでいるなら私が骨を拾ってやろう」
平沢進「地の手入れは庭師の役目、用務員の私は働き続けなければ」
地球ネコ「マァーーーーマ!」
ゴウッ!!
マミ「行かせない!!」シュルシュルッ
ほむら「ヒラサワ!大詐欺師をお願い!早く!!」
平沢進「おじさん使いの荒いもんである」
大詐欺師「…………」
平沢進「詐欺師は月下の馬小屋へ行け」
平沢進「私は考えていた、魔女を退治する方法ではない。魔法少女システムを根底から覆す技術を」
平沢進「成程、言い換えれば救済の技法を」
平沢進「そして出した答えは鹿目まどか氏だった」
ほむら「まどか…?」
平沢進「優しい子だ。私には眩しすぎて若干ありがた迷惑なくらいです、はい」
ほむら「ちょ」
マミ「酷いわね…」
平沢進「彼女の深い愛にこそ、救済の技法は在れり」
平沢進「彼女には人間として生きてもらう」
平沢進「しかし彼女の願いには、歌となり世界を駆けてもらおう」ズァアッ
マミ「シンセサイザー!?」
平沢進「Oh…MOTHER…」
願/鹿目まどか
叶/平沢進
夢が教える あの道をたどり
遠く帰ろう この世の果てまで
胸に宇宙を 遊ばせて歌えば
夜に生命の 波たてて応える
テラを抱く 母の声
千の日を超え 迎えた朝なのに
雨に凍える 姿を見るなんて
街が聞こえる 宇宙からMotherの
胸に憩いと 生命を携えて
春のように 海のように
Oh Mother…Oh Mother…
夢が教える あの道をたどり
遠く帰ろう キミを今日迎えに
胸にMotherの 呼び声は聞こえて
いつか会えると 宇宙の子らとして
春の日に 許されて
Oh Mother…Oh Mother…
……………
………
…
叶/平沢進
って、なんかいいな
キュゥべえ「………」
平沢進「目論見は成功したか?」
キュゥべえ「まさか、大きな誤算だよ」
平沢進「私のやる気のなさは知っていた筈」
キュゥべえ「まぁ、ね」
平沢進「鹿目まどか氏は魔女のいない世界を望み、私はそれを叶えた」
平沢進「魔女や魔法少女という概念のない世界に、宇宙は組み変わるだろう」
キュゥべえ「つまり、その概念に該当する僕は消滅するのか」
平沢進「無きにしもあらず」
平沢進「魔法少女という概念の枠組みに存在する暁美氏も巴氏も、そして己自身も燃やし尽くす願い」
キュゥべえ「しかし君は叶えてしまった、自分も消える事が目に見えているだろうに」
平沢進「まぁ、そこはそれ」
キュゥべえ「わけがわからないよ」
キュゥべえ「と言うと?」
平沢進「案外宇宙が改編され、魔法少女も魔女も無くなったら、私はアーティストにでもなっているのでは?と」
キュゥべえ「楽観的だね」
キュゥべえ「…さぁ、時間だ。全てが終わる」
平沢進「いや、次世界が始まる」
キュゥべえ「次に会う時はお互い『どんな再会』をするのだろうね」
平沢進「………」
キュゥべえ「………」
平沢進「まどか氏に宜しく」
キュゥべえ「善処するよ」
……………
………
…
『アニメ、魔法少女まどか☆マギカ!DVD&Blu-ray好評発売中!』
「今話題なんだろ、このアニメ」
「ステマで?」
「もうその話はやめてやれよwwww」
「キュゥべえムカつくわー」
「まどかちゃんまどまど」
「杏子ちゃんマジ聖女!」
「分かってねぇなぁ、さやかちゃんこそ…」
「いや、マミさんが…」
「ほむほむほむほむほむ……」
平沢進「…………」
平沢進(アニメねぇ…)スッ
『アニメ、魔法少女まどか☆マギカ!DVD&Blu-ray好評発売中!』
平沢進(アニメが紛らわしい名前にしたせいで、私自身はマイナーで売ってるのにとんだ痛手だ)
平沢進「………」
平沢進「アニメ自体は嫌いではありませんけどね」スタスタ
平沢進「魔法少女まどか☆マギカ、か……」パシッ
平沢進「………」
平沢進「…やめておこう、私はアニメに興味本意で近付くとろくな目に遭わない」モドシモドシ
平沢進「どうせ私以外の馬の骨が買い漁るさ」
──進おじさん
平沢進「?」
平沢進(……気のせいか)
平沢進「それよりライブの選曲をしなくては」
平沢進「……やれやれですね」
〈了〉
正直眠いんで無理矢理終わらせました、オチは直前で思い付いたよ眠気のテンションだなこりゃ
なんか滅茶苦茶な内容でなんじゃこりゃって感じでしょうが、また機会があれば別の作品で会いましょう
6月の師匠のライブ楽しみだぜヒャッホイ!!
楽しませてもらった
なかなかよかった
Entry ⇒ 2012.05.09 | Category ⇒ まどかマギカSS | Comments (4) | Trackbacks (0)
まどか「マミさんが簡単な英語しか喋れなくなっちゃった……」
まどか「うぅっ、マミさんどうしてこんなことに……」ブワッ
さやか「きっとあの魔女に食べられそうになったショックで……」ブワッ
ほむら「悲観しても仕方ないわ、体も頭もソウルジェムも無事なのがせめてもの幸いね」
マミ「Hey!」
マミ「Look!」サラサラ
マミ[大丈夫、筆談ならできるわ]
さやか「おぉ、希望が…!」
ほむら「そういえばテレパシーはどうなの?」
マミ『Hey!Listen!』
ほむら「駄目みたいね……」
マミ「Look!」サラサラ
マミ[とりあえず私は家に帰るわね……あなた達はどうするの?]
まどか「どうって、私も家に帰らないと家族が心配するし……」
さやか「じゃあとりあえず帰りますかねー」
マミ「Watch out!」
さやか「……今のどういう意味?」
ほむら「『気を付けて』、という感じの意味だったはずよ」
さやか「なる!暗い夜道にってことね!」
ほむら「というか、本人的には全然気にしてないのね」
マミ[自分でも情けないとは思うけど、今はありのままの事実を受け入れるしかないと思うの]
まどか(筆談なのに聞いて、ってなんか変なの……)
マミ[だから、私は今まで通りの生活をしていきたいと思ってるわ]
さやか「今まで通り……」
まどか「学校に…?」
ほむら「考え直した方がいいんじゃないかしら」
マミ「Hey!」サラサラ
マミ[心配しなくても私なら大丈夫だから]
まどか「はぁ……」
まどか(周りが大丈夫じゃないと思うんだけど……)
まどか「おはようさやかちゃん」
さやか「おっはよー…昨日は全然眠れなかったよ」
まどか「私も……マミさんが心配で」
仁美「お二人とも、おはようございます」
さやか「おっはよーさーん」
仁美「そういえば、さっき先輩の中で少し変わった方がいましたわ」
まどか「!それって、英語ばっかり喋ってた…?」
仁美「あら、ご存知ですの?どういう訳か筆談してましたけど、何かあったのでしょうか?」
さやか「早速かい……」
まどか「お、おはようございます」
さやか「おはようございます…あの、大丈夫ですか?」
マミ「Listen!」サラサラ
マミ[私は大丈夫よ。友達はちょっと戸惑ってるみたいだけど]
まどか(ちょっとで済んでるんだ)
女子1「マミィ、学校行ける?休んだ方が良くない?」
マミ「Listen!」サラサラ
マミ[平気よ、早く行きましょう]
女子2「そ、そっか…うん、なら、うん…いこっか、うん」
さやか(めっちゃ動揺してる)
マミ「Hello!」
まどか「あ、マミさん!今帰りですか?」
マミ「Look!」ペラッ
マミ[はい]
さやか「あっ、成程、簡単な質問はそうやって返すわけですね」
マミ[はい]ペラッ
ほむら「巴マミ、ちょっと話があるからついてきてもらえる?」
さやか「ちょ、転校生!今のマミさんを無理させんなっての」
ほむら「その逆よ美樹さやか、巴マミにはしばらく魔法少女は休業してもらいたいという話よ」
マミ「Hey!」サラサラ
マミ[詳しく聞かせて貰うわ]
マミ「Hey!Watch out!」サラサラ
マミ[ここならどんな話でも出来るでしょ?遠慮しないで]
ほむら「お邪魔します」
さやか「お邪魔しまーす」
まどか「さやかちゃん、私達も一緒にいていいのかな?」
さやか「いいのいいの、マミさんがいいって言ってくれたし…それに、転校生と二人きりッて何か危なそうだし」
ほむら「失礼ね、こうなった以上敵対する必要なんかないわ」
マミ「Hey!Listen!」サラサラ
マミ[大丈夫よ美樹さん、今の暁美さんからは殺気も敵対心も感じないから]
さやか「マミさんがそういうなら……悪いね、つい疑っちゃって」
ほむら「気にしないわ、慣れてるもの」ファサァ
マミ[それで、話って何かしら?]
ほむら「さっきも言った通り、あなたはしばらく休むべきだわ。その状態で魔法少女が続けられるの?」
マミ[でも、変身もできるし銃もリボンも出せるわ。戦うだけなら問題なくできるはずよ]サラサラ
ほむら「本当に…?」
マミ[はい]ペラッ
ほむら「ティロ・フィナーレが叫べなくても?」
マミ「!!」ビクッ
マミ「Hey!Hey!Hey!Hey!Hey!」ガタガタ
まどさや(動揺してる……そんなに大事なんだ……)
マミ[太丈夫に決まってるじゃない!]
まどか(字間違ってるよマミさん……)
ほむら「どうしてもやるつもり?ソウルジェムが濁りそうになったらグリーフシードは分けてあげるし、できるだけあなたの信念に基づいて行動するつもりよ」
マミ「Hey!Look!」カキカキ
マミ[そういう問題じゃないの。私は魔法少女として戦えるのに黙って見ていることなんてできないの]
さやか「マミさん…!」ジーン
まどか「素敵です…!」ジーン
ほむら「はぁ……分かったわ、なら私と一緒に行動してもらうけど構わないわね?今のあなたを一人にしたら助けも呼べないでしょう?」
マミ「!Hey!Listen!」
マミ[大歓迎よ暁美さん!ありがとう!!]
ほむら(これで良かったのかしらね)
まどか「QB!今までどこ行ってたの!マミさんが大変だったんだからね!!」
マミ「Hey!Look!」サラサラ
マミ[実はかくかくしかじかなのよ]
QB「……いや、かくかくしかじかとだけ書かれても訳が分からないよ」
マミ「Listen!」クスッ
マミ[なんてね!ちょっとやってみたかったのよ!]
まどか(マミさんなんでそんなに陽気でいられるんだろう……)
ほむら(なんとなくだけど、この巴マミなら絶望しそうにないわね……)
QB「なんてことだ……過去に精神を病んだ魔法少女は何人も見てきたことはあるけど、こんなケースは始めてだよ」
マミ「Hey!Listen!」カキカキ
マミ[私は大丈夫よQB!こんなことで魔法少女をやめたりしないからね!]
QB「あ、うん……それは助かるよ」
QB(やめて貰った方がありがたいんだけどなぁ)
ほむら(――とか考えてるんでしょうけど、そうはさせないわ)
マミ「Hey!Listen!」
マミ[紅茶?緑茶?コーヒー?ジュース?]スッ
さやか「それは選んでくれってことですか?」
マミ「Watch out!」ペラッ
マミ[はい]
まどか「いつの間に準備してたんですかそんなもの……」
ほむら「さて、共闘を初めて魔女の結界に入るわけだけど……」チラッ
マミ「Watch out!」
マミ[気を付けてね二人とも]
まどか「はい!」
さやか「了解っす!」
ほむら「どうしてあなた達まで着いてきてるのよ」
まどか「マミさんが心配で」
さやか「右に同じ」
ほむら「気持ちは分かるけど遊びじゃないのよ…今からでも遅くないわ、帰るべきよ」
マミ[暁美さんに賛成だわ。私のことは気にしないでって言ってるのに]
さやか「でも……」
ほむら「はっきり言って魔法少女なんて碌なものじゃないのよ……憧れているのなら考えを改めた方がいいわよ」
まどか「……お願いほむらちゃん!今日だけ!今日だけでいいから!」
マミ「Hey!Watch out!」
マミ[どうする暁美さん?私達二人ならなんとかなる可能性はあるけれど]
ほむら「……はぁ」ファサァ
ほむら「本当にこれで最後にするのならいいわよ」
さやか「サンキュー!流石ほむほむは話が分かる!」
ほむら「ほむっ!?」
まどか「あ、それいいね!」
ほむら「よくない、やめなさい」
ほむら「かなり入り組んだ結界みたいね」
マミ「Hey!Listen!」
ほむら「使い魔もそこそこ多くて鬱陶しいわ」バババババババ
マミ「Look!」
ほむら「なかなか辿り着けないわね」
マミ「Hey!Listen!」グスッ
ほむら「もう!さっきから何なのよ!!」
マミ「Hey!」スッ
マミ[さっきから呼んでるのにどうして振り向いてくれないの!?]
ほむら「あっ…ごめんなさい、ついイラついてて……」
マミ「Watch out!」
マミ[なかなか進めないのは分かるけど、落ち着いて?ね?]
ほむら「え、えぇ……」
さやか「だねー、なんかボタンみたいなのとかあるけどなんだろあれ?」
マミ「Hey!Look!」カキカキ
マミ[見てみんな!宝箱があるわよ!]
まどか「あ、ほんとだ!」
さやか「これは開けてみるしかないね!宝箱が開けてくれと囁いている!」ダッ
ほむら「待ちなさい!勝手に走ったら――」
ズシーン
使い魔達「へい!るっく!はろー!」
さやか「で、出たーー!」
ほむら「言わんこっちゃないわ」
ほむら「あっけないわね」ファサァ
マミ「Hey!Look!」スッ
マミ「見てみんな!宝箱があるわよ!」
まどか(使い回し……)
さやか「んふふ〜、どれどれ〜…お宝は何かな〜」
パカッ
テレレレ テレレレ テレレレ テレレレ テレレレテレレレテレレレ…
テーレーレレーン!
さやか「こ、これは…!」
さやか「パチンコだ……」ズーン
まどか「あからさまにテンション下げなくても……何かに使えるかもしれないよ?」
さやか「こんなもん何に使えってんだー!!」プンスカ
マミ[弾ならほら、これ使って良いわよ]スッ
さやか「魔法で出来た弾……でも何狙えばいいんですか」
まどか「うーん……あれ?ほむらちゃんは?」
ほむら「……」ガチャガチャ
まどか「ほむらちゃーん!そんなところでなにやってるのー?」
ほむら「扉が開かないのよ」
さやか「くっそーこんなんで狙えるところなんて……」グググッ
ヒュンッ パシッ
さやか「あの高いとこにあるボタンくらいだよ」
ゴゴゴゴゴゴ
ティロロロティロロローン
ほむら「……開いたわ」
マミ「Hey!Listen!」カキカキ
マミ[凄いわ美樹さん!お手柄よ!]
さやか「な、何がッすか?」
まどか「流石さやかちゃん!さやかちゃんならできるって信じてたよ!」
さやか「だから何が!?」
ほむら「……今回ばかりは褒めざるを得ないようね」
さやか「お、おう……なんだかよく分かんないけど、流石あたし」ビッ
ティロロロティロロローン
ほむら「攻略法は分かったからサクサク進めるわね」スタスタ
まどか「さやかちゃん頑張って!もうすぐだよ」
さやか「うぅっ、意外と狙うの難しいんだよね……右手がプルプルしてきたよ」
マミ「Watch out!」
マミ[気を付けて二人とも]
カキカキ
マミ[この先に魔女がいるみたいだわ]
まどか「ま、魔女が……」ゴクリ
ほむら「開けるわよ…!」
ゴゴゴゴゴゴゴゴゴ
ほむら「ようやくお出ましね」
〜虚栄芸魔女イザベル〜
イザベル「りっすんりっすんりっすんりっすんりっすんどっすんごっすんりっすんりっすんりっすん」
ほむら「さて、どうやって相手しようかしら」
マミ「Hey!Listen!」カキカキ
ほむら「何?」
マミ[虚栄芸魔女イザベル!自らを選ばれた存在であると疑わぬ魔女!有名な批評家を連れてきて!]
ほむら「は?」
まどか「突然どうしたんですかマミさん!?」
マミ「Look!」カキカキ
マミ[なぜだか分からないけれど弱点が見えるのよ!]
マミ「Look!」スッ
マミ[はい]
ほむら「なら、有名な批評家を用意すれば…!」
マミ[はい]スッ
ほむら「……どうやって連れてくるっていうのよ……」ガクッ
まどか「じゃあさやかちゃん!頑張って!」
さやか「よっしゃー!あたしが有名な批評家のふりをすれば――ってできるかーい!」ビシッ
ほむら「漫才やってる場合じゃないのよ!少しは危機感を持ちなさい!!」
マミ「Watch out!」スッ
マミ[気を付けて三人とも]
ゴシャーーン
ほむら「くっ……危なかったわ…普通に戦った方が早いじゃない!」
まどか「普通に戦い始めちゃった……」
さやか「マミさんのアドバイス全然意味なかったよね」
カチャン
ほむら(時間停止からの爆弾で…停止解除!)カチャン
ドガーーン
ほむら「これでどう?」
イザベル「へいへいへいへいへいへいへいへい」
ほむら「……」イラッ
ほむら「どういうわけか頑丈ね」
マミ「Hey!」
ほむら「うるさい!!!」
マミ「!……」シュン
ほむら「ハッ!ち、違うの!今のは魔女がヘイ!って言ったものだと思ったから」アセアセ
マミ[びっくりしたじゃない!もう!]プンプン
ほむら(おかしいわ、二人で戦うのがこんなに辛かったことなんて今まで一度もなかったのに……)
マミ「Listen!」
マミ[聞いて暁美さん!あの門みたいな本体の中央上部にボタンみたいなのが見えるでしょう?あれを狙うのよ!]
ほむら「あのボタンね……分かったわ、このバズーカで――」スッ
ドガーーン
ほむら「今度こそ…!」
イザベル「へいへいへいへいへいへいへいへい」
ほむら「……」イラッ
マミ「Hey!」
ほむら「……」イラッ
マミ「Watch out!」スッ
マミ[なんで?]
ほむら(いつの間にそんなもの書いてたのかしら)
さやか「おわぁっびっくりしたー!!いきなりテレパシー使わないでくださいよマミさん!」
マミ「Hey!」
さやか「なんだろ?何か言いたげだね」
マミ「Look!」スッ
マミ[聞いて暁美さん!あの門みたいな本体の中央上部にボタンみたいなのが見えるでしょう?あれを狙うのよ!]
さやか「…?あたし暁美さんじゃないけど、あそこをこれで狙えばいいのかな?」
まどか「多分そう言うことじゃない?」
さやか「ようし、持ってくれよ〜私の右腕…!」グググッ
ヒュンッ パシッ
イザベル「うぉっちゃあああぁぁぁあああぁぁぁぁぁぁああ」
マミ「Hey!」
ほむら「分かってるわ!今がチャンスね」
ドドドドドババババババドガーーーン
ボロ…ボロ…
マミ「Hey!」スッ
マミ[やったー!勝った―!]
ほむら「ふぅ……ようやく、ね」
まどか「倒したみたいだよ!」
さやか「ふっふーん!こりゃどう見てもあたしのおかげだね!来ちゃったかな、あたしの時代がっ!!」
さやか「はっはっはー、あたしに感謝した前ー」
マミ「Hey!Look!」
マミ[ありがとう]
ほむら「まさかそんなギミックがあったなんてね……」
ほむら(悔しいけど、一人だと危なかったかもしれないわね)
ほむら「……?」
まどか「どうかしたの?」
ほむら「おかしいわ、結界が消えないの…まさか!まだ魔女が生きてるの!?」
まどか「そんな!」
マミ「Hey!Look!」カキカキ
マミ[見て、グリーフシードがあるわ!かなり大きいけど]
さやか「ほんとだ、なんかめっちゃでかい」
まどか「心なしかハートみたいな形してるね」
テンテケテンテケテケテテーン
グリーフシードを手に入れた!
魔力の限界 1UP!
おまけに魔力全回復!
ほむら「……なにかしら、心なしか濁りが取れただけじゃなく魔力が増えた気がするわ」
マミ「Hey!」
マミ[私の分はありそうかしら?]
ほむら「多分使えるわ」スッ
テンテケテンテケテケテテーン
グリーフシードを手に入れた!
おまけに魔力全回復!
ほむら「でも結界はまだ消えないわね」
まどか「ねえ、あの青い光に入ったらどうかな?」
ほむら「ふむ……魔女はいないみたいだし、試してみる価値はあるわね」
ポワワワワーーン……
まどか「……戻ってきたみたいだね」
ほむら「今回はかなりイレギュラーな魔女だったわね」ファサァ
マミ「Hey!Look!」スラスラ
マミ[見て、QBよ!]
QB「どうやら魔女を倒したみたいだね。使用済みのグリーフシードはあるかい?」
ほむら「チッ…これよ」ドンッ
QB「えっ……なんだいこれは、本当にグリーフシードなのかい?確かにグリーフシードの魔力を感じはするけど――」
ほむら「さあ」
QB「いや、でも――」
ほむら「さあ」
QB「……」
ググググッ
QB「きゅっぷ、い……穢されちゃったよ……」ゲフゥ
ほむら「まさか入るとは思わなかったわ」
マミ[大丈夫QB?無理してない?]
QB「う、うん……多分……」フラフラ
ほむら「ほら、さっさと帰りなさい」シッシッ
QB「言われなくてもそうするよ……きゅっぷ、い」
ほむら「それより二人とも、次からは絶対ついてきちゃ駄目よ?」
まどか「そんなぁ」
さやか「誰のおかげで勝てたと思ってんの!」
ほむら「関係ないわ、約束だもの」ファサァ
まどさや「ぐぬぬ……」
さやか「へろーう!恭介元気してるー?」ガラッ
恭介「あぁ、さやかか……」
さやか「ほら見てよ、今日はレアものCDゲッツしてきたんだよ〜」
恭介「さやかは、僕をいじめてるのかい…?」
さやか「えっ……」
恭介「もう聞きたくないんだよ!弾けもしない音楽なんて!」
さやか「恭介……でも、腕が治ったら、きっと――」
恭介「治らないって言われたんだ……奇跡か、魔法でもない限り……」
さやか「……奇跡か、魔法……」
さやか「あれ以来魔法少女には関われてないけど、私が魔法少女になれば、治るのかな……」
さやか「でもマミさんによく考えろって言われたしなあ」
さやか「あぁもう!あたしは一体どうしたら!……あれ、仁美じゃん」
仁美「ひだり〜うえーした〜ひだり〜うえーした〜」
さやか「おーい、仁美何やってんのー?」
仁美「あらさやかさん、奇遇ですわね?わたくしこれからいい所に行くんですけど、一緒にいかがですか?」ニタァ
さやか「っ!仁美、あんたなんか変だよ?」
仁美「クスッ、そんなことありませんわよ」クスクス
さやか「でもなんか……!これは魔女の口付け!!なんてこったー!」
さやか「結局こんなところまでついて来てしまった」
さやか「マミさんに電話したんだけどHey!しか言われなかったし、多分伝わってないだろうなぁ」
さやか「最初っからまどかに連絡しとけばよかったよ」トホホ
仁美「さあ、天国に導きますわ〜」
さやか「どうすれば……そうだ!このパチンコで――」グググッ
ヒュンッ パシッ
仁美「きゃっ……さやかさん、どういうつもりですの?」ゴゴゴゴゴ
さやか「やばっ、逃げなきゃ殺られる!」ダッ
使い魔「るっくるっくるっく!」
さやか「こ、この!来るな!」ヒュンッ パシッ ヒュンッ パシッ
さやか「……あ、あれ、弾切れ!?」
使い魔「へい!りっすんりっすんりっすんりっすんいっすんじっすんりっすん」グイッ
さやか「ひっ…だ、誰かー!誰か助けて…!」
『さやかは僕をいじめてるのかい』
さやか「や、何……こんなの、見たくないよ」
『美樹さんがあの時助けてくれていれば私はHey!とかListen!とか以外も話せたのに』
さやか「そんなの知らないよ!」
『うわーん、さやかちゃんが私のオカリナ壊した〜』
さやか「それはちゃんと謝ったでしょまどか〜……」
さやか(あぁ、私ここで死んじゃうのかな……最後に恭介のバイオリン、聞きたかったな
……そういえば、まどかのオカリナもいい音出してたなぁ…何もかも皆懐かしいや)
<Hey!Watch out!
さやか「!この声はまさか…!」
まどか「さやかちゃん大丈夫!?」
ほむら「助けに来たわ」
さやか「まどか、マミさん、ほむらぁ…!」
ズズズズズズズ
〜憧憬箱魔女エリー〜
エリー「へいへいへーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーい」
マミ「Hey!」カキカキ
マミ[憧憬箱魔女エリー!筋金入りの引きこもりよ!太陽の光が苦手みたい!]
ほむら「それは世間一般の引きこもりの弱点じゃないの!?」
マミ「Listen!」サラサラ
マミ[そんなこと言われても……]
さやか「よーし!あたしが昼と夜を入れ替える呪文で――ってできるかーい!」ビシッ
ほむら「それはやらないと気が済まないの!?」
マミ「Watch out!」
ほむら「っ!」サッ
ズモモモモモ
ほむら「この魔女の攻撃、精神攻撃の類かしら……できれば早めにけりを付けたいわね」
マミ「Hey!Look!」バンバン
ほむら(マミが注意を惹きつけてる…今のうちに対策を考えないと……)コロン
ほむら「…?これは、オカリナ?どうしてこんなところに……」
まどか「あぁー!!それ私が子供の頃に使ってたオカリナ!」
さやか「なぬっ!?あの時のあれか!?」
ほむら「よく分からないけど、あの魔女が出したものかしらね」
さやか「ききき、気にしなくていいんじゃないかなぁ、うん……」タラタラ
まどか「懐かしいなあ、ちょっと吹いてみよっかな」
マミ「Hey!Listen!」
ほむら「そうよまどか、今はそんな場合じゃないわ」
まどか「てぃひひ、ちょっとだけちょっとだけ……」スッ
→↓↑〜→↓↑〜 トゥルトゥットゥトゥルルルン♪
パァァァァァァァ
ほむら「な、何……光が…?」
エリー「うぉっちゃあああああああああああああぁあああぁぁぁぁぁぁぁ」
マミ「Hey!Watch out!」
ほむら「なっ、弱っているですって!?よく分からないけど、攻撃させて貰うわ!」
ドドドドドドバババババババドッガーーーーン
マミ「Hey!」スッ
マミ[やったー!勝った―!]
ほむら「一体何が起きたというの……」
さやか「まどか、今の曲なんだっけ?」
まどか「えっと、確か『太陽の歌』ってタイトルだったと思うけど」
ほむら「それでどうして光が現れるのよ……どう見てもただのオカリナなのに」
マミ「Hey!Look!」スッ
マミ[見て、グリーフシードがあるわ!かなり大きいけど]
さやか「またあの大きいやつだね」
まどか「ハート型だね」
ほむら(分からない、どうして魔女が自分の弱点になるものを落としたのかもまどかがオカリナを吹くと光が現れたのかも……)
テンテケテンテケテケテテーン
グリーフシードを手に入れた!
魔力の限界 1UP!
おまけに魔力全回復!
ほむら「マミ、受け取りなさい」ポイッ
マミ「Hey!」ペラッ
マミ[ありがとう]
まどか「でも良かったぁ、大切にしてたオカリナが戻ってきて」
ほむら「まどか、ちょっとそれ見せてもらえる?」
まどか「これ?いいよ」ハイッ
ほむら(……やっぱり普通のオカリナにしか見えないわね)ジーッ
スッ
まどか「ちょっ、吹くの!?」
さやか「そこは断り入れろよ!」
ほむら「ハッ!ごめんなさい、ついうっかり……」
マミ[気を付けてね]クスクス
ほむら「……」
マミ「Hey!」カキカキ
マミ[何か言ってよ!不安になるじゃない!]
ほむら「とりあえずここに用はもう無いわね、帰りましょう」
マミ「Hey!Listen!He――」
ポワワワワーーーン……
シュアーーン
まどか「工場に戻ってきたね」
さやか「そうだ!仁美が倒れてるんだった!」
ほむら「大丈夫よ、警察に連絡しておけばなんとかしてくれると思うわ」
さやか「うぅ……ごめんよ仁美、今回はポリスメンに任せるよ」
さやか(昨日は色々あったけど、結局恭介の腕を治すには魔法少女になるしかないのかなー……)
まどか「さやかちゃん、何か悩みごと?」
さやか「やっぱ分かっちゃう…?」
まどか「そりゃ分かるよ……さやかちゃんが授業中に寝ないなんてよっぽどだもん」
さやか「我ながら怒るに怒れない」
まどか「いつでも相談してね?」
さやか「うん、ありがとね」
さやか(さーて、どうするべきなのかなぁ)
杏子「マミがおかしなことになったからって来てみれば、割と普通に生活してんじゃねえか」
杏子「何処が変なんだよ」
QB「簡単に言うと、五つくらいの英語しか話せなくなってしまったんだよ」
杏子「五つだけ?しかも英語?」
QB「そうだよ。今は筆談で人と会話しているのさ」
杏子「おぉ、ほんとだ、紙になんか必死こいて書いてるね……」
杏子「つーかイタリア語じゃないんだ?」
QB「僕に言われてもね」
杏子「チッ……謎の魔法少女もいるっていうし、ちょっくら様子見てくるかね」
マミ「Hey!」スッ
マミ[さようなら]
杏子「ようマミ」ザッ
マミ「Hello!」
杏子「おいおい、冗談だろ?マジで英語しか話せねーのかよ?」
マミ「Hello!Hey!Listen!」カキカキカキカキ
マミ[佐倉さんまた会えて嬉しいわ!どうして来てくれたの?どうしてそのことを知ってるの?]
杏子「落ち着け、そんな一辺に書かれても答えられねーよ」
マミ「Watch out!」スッ
マミ[うちに来る?]
杏子(その言葉はもう書いてあったのか)
杏子「あ、あぁ…そうさせてもらうよ」
杏子「……残念だな、話を聞く前にやることができたみたいだぞ」
マミ「Hey!Look!」カキカキ
杏子「この反応は魔女だな……魔女なら手加減しねえ、全力だ」
マミ「Hey!Listen!」
杏子「どうやらこいつを潰すのが先だな」
マミ「Hey!」
杏子「うるさいなあもうっ!」
マミ「!……」シュン
杏子「あっ…悪い、あんまりおんなじことばっかり言われるのってちょっとイラッと来るっていうか……」
マミ「……」グスッ
杏子「悪かったよ」
杏子「くそっ、やたら使い魔が多いな」ザシュッ
マミ「Look!」ペラッ
杏子「なんだこりゃ、向こう岸までの道がねーじゃねーか……」
マミ「Hey!Listen!」ポンポン
杏子「あん?どうかしたか?」
マミ「Look!」スッ
マミ[見てみんな!宝箱があるわよ!]
杏子「みんなって、あたし一人しかいないんだけどな……宝箱ってあれか?」
マミ「Watch out!」カキカキ
マミ[きっと向こう岸に渡るための何かがあるはずよ!取りに行きましょう!]
杏子「あれをか?別にいいけどさ」
杏子(マミのリボンで橋作れたりしねーのかな)
使い魔達「へい!るっく!はろー!」
杏子「けっ、上等だ…かかってきな!」
マミ「Watch out!」
杏子「……ところで、なんなんだ『おっちゃん!』って、それだけ日本語って変じゃないか?」
マミ「Listen!」カキカキ
マミ[そんなこと言ってないわよ!Watch outというのは、]
杏子「っとあぶねー!邪魔すんなこのぉッ!」ザシュッズバァ
マミ「……Look!」バシバシ
マミ[気を付けてという意味があるのよ!!]
杏子「あらよっとー!!」ズバババーン
杏子「ふぅ、楽勝楽勝……あっ、んで、おっちゃんって結局何なんだ?」
マミ「……」グスン
杏子「!?な、なんでだよ!?」
マミ[もういいから!早く開けましょう!]
杏子「なんなんだよ一体…まあいいさ、開けるぞ」
パカッ
テレレレ テレレレ テレレレ テレレレ テレレレテレレレテレレレ…
テーレーレレーン!
杏子「こ、これは…!」
杏子「……なんて言う代物なんだ?」
マミ「Hey!Listen!」サラサラ
マミ[恐らくフックショットというものよ。随分長く伸ばせるみたいがから、ロングフックショットとでも言うべきね]
杏子「フックショット…?どう使うんだ」ポチッ
ジャリーン カンッ
マミ「!?Watch out!」カキカキ
マミ[こっち向けないでよ危ないじゃない!!]
杏子「わ、悪い、こういうもんだとは思わなくて……」
マミ「Hey!Listen!」カキカキ
マミ[向こう岸の的みたいなのを狙ったらどうかしら?]
杏子「どれどれ……」ポチッ
ジャリーーン カチッ ギュイーーン
杏子「おわっ!?」ギュイーーン
マミ「Watch out!」ペラッ
マミ[大丈夫?]
杏子「なるほどな、こうやって渡るのか」
マミ「……」
杏子「……しまった、マミの奴置いて来ちまった」
シュルシュルシュルシュル
マミ「Hello!」
杏子「最初っからそうやってリボンの橋作ればよかったじゃねーかよ!」
〜自由銀魔女ギーゼラ〜
ギーゼラ「じつはときおかいっかいしかぷれーしたことないんですよねー」
マミ「Hey!」カキカキ
マミ[自由銀魔女ギーゼラ!高速移動をしてくるよ!タイヤをパンクさせちゃおう!]
杏子「えっ、なんだそりゃ」
マミ「Look!」サラサラ
マミ[なぜだか分からないけれど弱点が見えるのよ!]
杏子「今の説明が弱点!?もうちょっと具体的に書いてくれよ!」
ギーゼラ「とうじからなびぃのこえかわいいとおもってたよー」ブオォォォォォン
杏子「チッ…ちょこまかとうぜーな」
マミ[タイヤをパンクさせちゃおう!]
杏子「分かってるよ!だが、槍じゃなかなか狙い辛いんだよ…くそっ!」
マミ「Watch out!」バンバン
杏子(マミも援護してくれてるが全然当たりゃしねー……接近してもすぐ距離を取られちまう)
杏子(ん?待てよ、距離を取られても……)
杏子「こいつを使えば…!」ポチッ
ジャリーン ブシュゥゥゥ
ギーゼラ「みやもとさあああぁぁああぁぁああぁぁんんんん」
マミ「Hey!Watch out!」
杏子「チャンスってか!?ならぶち込ませて貰うぞっ!!」
ザシュゥゥゥゥゥゥゥ
マミ「Hey!」ペラッ
マミ[やったー!勝った―!]
杏子「やれやれだな…まさかこいつを使うことになるなんてな」
マミ「Hello!」カキカキ
マミ[ありがとう佐倉さん!あなたのおかげよ!]
杏子「ん……別に、あたしは魔女を倒しただけだからな」
杏子「それよりグリーフシードはどこだ?」キョロキョロ
マミ「Look!」スッ
マミ[あれよ]
杏子「……いやいやいや、いくらなんでも……いやいやいやいやいや」
テンテケテンテケテケテテーン
グリーフシードを手に入れた!
魔力の限界 1UP!
おまけに魔力全回復!
杏子「マジかよ……」
マミ「Hey!」ポイッ
杏子「うわっと……ど、どれどれ」ドキドキ
テンテケテンテケテケテテーン
グリーフシードを手に入れた!
おまけに魔力全回復!
杏子「すげぇ、ほんとにグリーフシードだったのかよ」
杏子「あれ、そういや結界が消えねーな」
マミ「Hey!Look!」
杏子「あの青い光に飛び込めってか?」
シュアーーン
杏子「外に出てきたし結界が消えた、か……しっかし変な魔女だったなぁ」
マミ「Listen!」ペラッ
マミ[それで、話って何かしら?]
杏子「ん?あぁ、そうだったな……いや、話っつうか、様子見に来ただけなんだけどさ」
マミ「Hey!」サラサラ
マミ[佐倉さん、もう一度一緒に戦うことはできないの?]
杏子「……今は何も言えねぇな…とりあえず、元気そうで安心したよ」
ほむら「あら、珍しい組み合わせね」
杏子「!誰だてめえ!!」チャキッ
マミ「Hey!Listen!」カキカキ
マミ[落ち着いて佐倉さん!暁美さんは魔法少女の友達なの!]
杏子「へぇ……こいつがあの謎の魔法少女さんってわけか」
杏子「!あたしの名前を……どっかで会ったことあったか…?」
ほむら「さあ、どうかしらね」
マミ「Hey!」ペラッ
マミ[どうかしたの?]
ほむら「魔女の気配を感じたから寄っただけよ…無事で何よりみたいだけど」
杏子「ふーん……残念ながらグリーフシードはもう使えねーぞ」
ほむら「いらないわよ、今は…それより……」
ほむら(魔法少女が三人揃った……まどか達はいないし、チャンスね)
ほむら「実は二人に話しておきたいことがあるの」
マミ「Hey!」
マミ[なに?]
ほむら「数日後、この街にワルプルギスの夜が来るわ」
マミ「Hey!」ペラッ
マミ[なんですって?]
まどさや「なっ、なんだってぇー!!」
QB「なんてことだ……暁美ほむら、どうしてそのことを知っているんだ」
ほむら「……」
ほむら「……」
ほむら「……は?」
さやか「いや、あたしに聞かれても」
杏子「その前に誰だよお前ら」
さやか「こっちからしたらあんたの方が誰だよ、って感じなんだけど」
マミ「Hey!Listen!」カキカキ
マミ[あちついてみんな!今は喧嘩してる場会じゃないわ]
まどか(マミさんが久しぶりに動揺してる……相当ヤバいんだきっと)
QB「暁美ほむら、君が何者なのか俄然興味が湧いてきたよ」
ほむら「……ふぅ」
ほむら「落ち着くのよ私…手持ちのグリーフシードを数えて落ち着くのよ……」
ほむら「グリーフシードはソウルジェムが変化したものである魔女の証…!私に絶望を与えてくれる……」
ほむら「とにかく今成すべきことは…!この場をどうやって切り抜けるかということ…!」
ほむら「?」
まどか「グリーフシードは」
さやか「ソウルジェムが変化したものって、どういうこと?」
ほむら「なっ……どうしてそれを…!?」
杏子「その反応、マジなんだな?おいQBっ!!」ガシッ
QB「なんだい?」
杏子「てめぇ、あたしらを騙してたのか?ソウルジェムがグリーフシードに…つまり、魔法少女が魔女になるってのはどういうことだ!!!」
QB「どういうことも何も、その通りの意味だけどね」
さやか「あんた、そんな大事なこと言わずにあたしらに魔法少女になれって言ってたわけ!?」
QB「僕はちゃんと頼んでいたじゃないか、魔法少女になってくれって……どんなものかは説明を省略したけれど、聞かれなかったからね」
ほむら(まずいわ、自体がどんどん悪い方に転がっていく……一体、どうしてこんなことに……)
まどか「そんな……こんなの、あんまりだよ……」
マミ「……」
まどか「マミ、さん…?」
マミ「Hey!」
ギャーギャーギャーギャー
マミ「Hey!Listen!」
ギャーギャーギャーギャー
マミ「……」
ギャーギャーギャーギャー
マミ「Heeeeeeeeeeeeeyyyyyyyyyyyyyyyyyy!!!!!」
一同「っ!?」ビクッ
マミ「Listen!Watch out!Look!」
カキカキ カキカキ
マミ[ごちゃごちゃぐちゃぐちゃうるさいわよ!私だって叫びたいわよ!いろんな気持ちぶつけたいわよ!!]
マミ[でもそんなことはしない。ここで私が叫んだって何の解決にもならない、意味なんてない]
マミ[私達に今必要なことは何?QBに怒ることなの?違うでしょ?]
マミ[私達は魔法少女なの。今は何よりも、街の平和のことを考えなければならないの!]
マミ[ワルプルギスの夜を倒さなければならないのよ!]
マミ[今はそれだけに専念するべきなの。後のことは、また考えればいいじゃない]
マミ「Watch out!」
さやか「……言いたいことは分かりました…でも、やっぱり許せないですよコイツ!」
杏子「チッ…見滝原に来てから碌なことが起こらねえ……あたしはちょっと頭冷やしてくる」スタスタ
ほむら「杏子……」
マミ「……Listen!」サラサラ
マミ[とりあえず暁美さんに詳しい話を聞きたいわ]
ほむら「えぇ、分かったわ」
さやか「QB、あたしあんたに言いたいことあるんだけど」ググググッ
QB「何かな?どうしてパチンコで頭を掴まれて引っ張られてるのか分からないんだけど」
さやか「あたしの悩みどうしてくれんだこのやろぉーー!!!!」ヒュン
<ワケガワカラナイヨー キラーン
さやか「……乙女の純情返しやがれってんだ!」
まどか「さやかちゃん、落ち着いて……」
マミ「Hey!Listen!」サラサラ
マミ[美樹さん、ひょっとして魔法少女になりたいって思ってたの?]
さやか「……今だから言えますけど、結構傾いてましたよ」
まどか「さやかちゃん……」
さやか「……あたしも頭冷やしてくる」
まどか「一人で大丈夫…?」
さやか「気遣ってくれてありがとね…大丈夫だから」スタスタ
マミ「Hey!」カキカキ
マミ[色々整理できてないでしょうから、今は待ちましょう]
ほむら「そうね……それで、とりあえずワルプルギスについての話ならうちにきてくれる?その方が色々と捗るのだけれど」
マミ「Look!」スッ
マミ[勿論よ!]
ほむら(どういう場面を想定して書いておいたのかしらね)
まどか「あの、私も一緒に行ってもいいかな?」
ほむら「……えぇ、いいわよ」
さやか「……」コンコン
恭介「ん?さやかか……どうしたんだい、こんな時間に」
さやか「その、こないだはごめんね!無神経だったよね……」
恭介「あれは僕も言い過ぎたよ…ごめん、さやか」
さやか「うん、ありがと……」
恭介「?今日はやけに大人しいけど、何かあったの?」
さやか「ちょっとね……あたし、天秤にかけちゃった」
恭介「天秤?」
さやか「自分の命とね、すごく大切なものを」
恭介「命と大切なものって……一体どういうことなんだい?」
さやか「適当に歩いて頭冷やして考えたけど、やっぱりどうしても答えが出ないんだ」
恭介「……」
恭介「な、何それ?」
さやか「いやいや、何それって、どうみても指揮棒でしょ」
恭介「にしてはちょっと変わった形だね」
さやか「覚えてないのー!?昔あたしが振ってあげてたじゃんかー!」
恭介「あぁ、おもちゃのタクト」
さやか「おもちゃ言うなっての」
恭介「なんで今それを?」
さやか「いや、なんていうか……気分転換?みたいな……ごめん、無理だよね」
恭介「……ありがとうさやか、僕を励まそうとしてくれてるのは分かるから」
さやか「……」
さやか「えっ、でも、そんなことしたら恭介……」
恭介「いいんだよさやか……時間はかかるかもしれないけどいつかを信じることにするから」
さやか「恭介…!」ブワッ
さやか「〜〜〜っ!!」ゴシゴシ
さやか「よーし、さやかちゃんの華麗なるタクト捌きを見るがよいわー!」
↓→←↑〜
ゴゴゴゴゴゴゴゴ
恭介「な、何の音だ…?」
さやか「ん?」
ブワァァァァァァァァァァァ
さやか「たっ…竜巻どぁぁああああ!?!?」
恭介「さ、さやかぁぁぁあああ!!!!」
ヒュゥゥゥゥ……
恭介「……さ、さやかが竜巻に連れてかれた……僕は夢を見ているのか…?さやかのパンツがオレンジだったのも夢なのか?」
<……ぁぁぁぁああああああああ!!!!
さやか「ライチィィン!」バッシャーーン
ブクブク
さやか「ぶはぁつ!はぁ…はぁ……げほっげほっ……なんであたし竜巻に飛ばされたの?そしてここはどこ?」
さやか「何の変哲もなさそうな泉かな?」スクッ
さやか「ん?めっちゃ浅いなぁ、足がちょっとつくくらいじゃん」
さやか「……」
さやか「なんで生きてんのあたし!?」
さやか「…?なんだこれ?ホタル?」
ピルルルルルル
さやか「にしては羽も大きいし、光ってるのは丸っこい身体だけだし……」
さやか「ハッ!もしかして……」
さやか「使い魔!?ここは魔女の結界か!?」バッ
さやか「……」
さやか「なーんてね、んなわきゃないか!となるとこいつ何者なんだろう?」
ピルルルルルル
さやか「なんだかよく分かんないけど、連れて帰って学会に発表して大物になろう、そんで恭介の治療費に充てよう」
さやか「とりあえず鞄に詰めて帰ろうっと」ゴソゴソ
さやか「さてと……どうやって帰ればいいんだろう?」
ほむら「――というわけで、魔法少女の真実とワルプルギスの夜については分かったかしら」
まどか「ソウルジェムが魂だったなんて……」
ほむら「何か質問は?」
マミ「Hey!」ビシッ
ほむら「はい、巴マミ」ビッ
まどか(学校でもこんな感じだったんだろうなぁ)
マミ[どうしてそんなに詳しいのかしら?]
ほむら「いい質問ね、巴マミ」
まどか(ほむらちゃんも少しその気だし)
ほむら「答えは簡単よ……私は、未来から来たのだから」
ほむら「はい、巴マミ」ビッ
マミ[意味が良く分からないのでもう少し教えてもらえる?]
まどか(全く持ってその通りです、マミさん)
ほむら「いい学習意欲ね、巴マミ…あなた将来いいお嫁さんになれるわ」
まどか(学習意欲はあんまり関係ないと思うんだけど)
マミ「Watch out!Watch out!Watch out!」テレテレ
まどか(それは照れ隠しですか?照れ隠しになってるんですか?)
ほむら「初めに言っておくけれど、今から私が話すことは全て事実よ」
まどか「そのまま続けるんだね」
ほむら「まどか……特にあなたには、聞いていて欲しいの」
まどか「……ふぇ!?」
まどか「ほむらちゃぁん…!」ブワッ
マミ「Hey!Listen!」カキカキ
マミ[ごめんなさい暁美さん!私ったらよく知りもしないで聞いてしまって。本当にごめんなさい!]
ほむら「気にしないでください……また、こうして三人一緒になれただけで、私は嬉しいんですから」
まどか「分かったよほむらちゃん!私絶対魔法少女にはならないからね!」
ほむら「ありがとう、まどか…!」ダキッ
マミ「Look!」
マミ[とにかくまずはワルプルギスの夜を倒すことを考えましょう!魔法少女のことは、それからでも遅くはないはずよ]
ほむら「はい…ありがとうございます……」グスン
まどか「おはよう仁美ちゃん、さやかちゃんは?」
仁美「おはようございますまどかさん。さやかさんならまだ見てませんわ」
まどか「そっか……」
まどか(やっぱり、昨日のことで色々悩んでるのかな)
仁美「今日はお休みなのでしょうか?」
まどか「……かもね。先に行ってようよ」
まどか(さやかちゃん、悩み事なら何でも相談してね?必ずだからね……)
その頃さやかは――
さやか「……」
さやか「なんだってのよー……なんで出口がないのに入ってこれたのよぉ……」
さやか「お腹空いたぁ……」
ピルルルルル
さやか「わはぁ、体があったかーい…なんだかこいつらに触れると元気になる気がする……」
マミ「Hey!Listen!」スッ
マミ[魔女が現れたわ!]
ほむら「分かったけれど、よくそのカンペ他の人にばれなかったわね」
マミ「Look!」スッ
ほむら「結界の入り口……行くわよ」
杏子「おっと待ちな」
マミ「Hello!」
杏子「あれから色々考えたんだが……色々あってすっきりしたよ」
杏子「色々ややこしいことは抜きにして、一先ずワルプルギスの為に共闘してやるよ」
ほむら「彩り豊かのようね」
マミ「Hello!Hey!」サラサラ
マミ[ありがとう佐倉さん!]
杏子「へっ……たまにはこういうのも悪くないよな」
ほむら「やはり使い魔が多い気がするわ」ババババババ
マミ「Hey!Listen!」
杏子「しかもやたら入り組んだ地形だな」ザシュゥ
マミ「Look!」
ほむら「鬱陶しいわね」
マミ「Look!」
杏子「だな」
マミ「Look!」
ほむ杏「分かってるから少し静かに!」
マミ「……」シュン
杏子『なんつーか、これもお約束だな』
ほむら『戦闘中に同じ言葉連打で呼びかけられるのって結構ストレスになるのよね』
マミ『Hey!Listen!』
ほむら「分かったからやめて頂戴」
マミ[見てみんな!宝箱があるわよ!]
ほむら「これもお決まりね」
杏子「どれ、何が入ってるのか見に行ってみるか」
ズシーーン
使い魔達「しょうへいへーーい!!!」
杏子「邪魔だどけー!」ズバァッ
ほむら「戦場のパイナポーでも喰らいなさい!」ヒュッ ドカーーン
マミ「Hey!Watch out!」ババンバンババン
ほむら「さて、中身は何かしら」
パカッ
テレレレ テレレレ テレレレ テレレレ テレレレテレレレテレレレ…
テーレーレレーン!
ほむら「こ、これは…!」
ほむら「ブーメランね」
マミ[凄いわね!きっと魔女に辿り着くために必要になるはずだわ!]
杏子「前回みたいに無駄にならないことを祈ってるよ」
ほむら「杏子が持つ?」
杏子「いいよ、ほむらが持ってればいいだろ」
ほむら「あまり使うつもりはないのだけれど、せっかくだから頂こうかしら」
マミ「Hey!Listen!」サラサラ
マミ[私が使ってもいいのよ?]
ほむら「私が使うわ」
マミ「……Watch out!」ペラッ
マミ[気を付けてね]
ほむら(静かな悔しさが滲み出てるわね)
マミ「Hey!Look!」カキカキ
マミ[あそこを見て!きっとあの四本の蝋燭に火を点ければいいのよ!番号が書いてあるからきっと点ける順番ね]
杏子「でも火がないしなぁ」
ほむら「火ならあるわよ」サッ
杏子「マジシャンかお前は!」
マミ「Hey!Look!」カキカキ
ほむら「なるほど、その絵のようにブーメランに火を点けて、左端、右から2番目、左から2番目、右端の順番で火を灯すように投げろという訳ね」
杏子「流石に不可能だろ!?」
ボッ
ボッ
ボッ
ボッ
ティロロロティロロローン
ゴゴゴゴゴゴゴゴ
杏子「マジかよ!あれもうブーメランじゃねーだろ!!」
ほむら「無駄にぐねんぐねんしてたわね」パシッ
カラン
杏子「…?ちゃんと取ったのになんで落としたんだ?」
マミ「Hey!」ペラッ
マミ[熱かったかしら?]
ほむら「なんでそんな台詞用意してあるのよ!」
マミ「……」モジモジ
ほむら「……あぁ、あなたの家でお茶を飲んでるときを想定してたのね」
マミ「……」カァァ
杏子「どうやら魔女のおでましのようだな」
〜独善影魔女エルザマリア〜
エルザマリア「えんだあああああああああああああああああああ」
マミ「Hey!」カキカキ
マミ[独善影魔女エルザマリア!祈りの姿勢を崩さないよ!伸びてくる髪を一気に断ち切ろう!]
杏子「斬るんならまずはあたしが行くよっ!おらー!!」
マミ「Watch out!」
ほむら「気を付けて杏子!その魔女回復が早いわよ!」
杏子「チッ、鬱陶しい髪だな!」ズバババ
ガシッ
杏子「ぐっ…し、しまった……」
ほむら「唸れブーメラン!」ブンッ
ブチブチブチブチブチブチブチブチィィィ
エルザマリア「いやあああああああああああああああああああああ」
マミ「Hey!」
杏子「サンキュー、助かった!」
ほむら「今がチャンスよ、この手に掴まって!」
杏子「何!?」
カチャン
杏子「こいつは……時間停止?あんたの能力か?」
ほむら「マミは知っているわ…一緒に戦ってくれるのよね」
杏子「へへっ、そうこなくっちゃな…!」ニッ
ザシュズバァドドドドババババババドッカーーン
ボロ…ボロ…
マミ「…!Hey!」スッ
マミ[やったー!勝ったー!]
杏子「ふぅ……死ぬかと思った」
ほむら「相変わらず大きいグリーフシードね」
テンテケテンテケテケテテーン
グリーフシードを手に入れた!
魔力の限界 1UP!
おまけに魔力全回復!
ほむら「二人で別けられそう?」
杏子「微妙だがギリギリいけそうだ」
マミ「Hey!Listen!」
マミ[時間停止を使ったのね!流石暁美さんね!]
ほむら「どういたしまして…あなたのアドバイスのおかげでも一応あるけどね……さあ、戻りましょうか」
ポワワワワワーーン……
ほむら「流石に三人だと早いわね」
マミ「Hey!Hello!」
ほむら「あら、どうしてこんなところにいるの?美樹さやか」
杏子「こいつ昨日の……美樹さやかっていうのか」
さやか「おやおや、これはこれは……みなさんお揃いで……」ボロッ
マミ「Watch out!」サラサラ
マミ[どうしたの美樹さん!どうしてそんなにボロボロなの?]
さやか「ふへへ、実はですね――」
〜〜〜〜〜〜〜〜〜
さやか「どうしてこんなことに気が付かなかったんだ!!来るときタクト振ったんなら、帰りも振ればいいじゃない!」
さやか「こんなことに気付かないなんて、あたしってホント馬鹿!」
さやか「さっそく振っちゃいますよ〜!」
さやか「……どう振ればあの竜巻が出るんだろう……まあ、適当でいっか」
↑←→〜
ビョオオォォォォォォ
さやか「ぬわぁぁ!突風が吹いてきた!!!」
さやか「こ、これじゃなかったのかな…?」
さやか「ようし、次は――」
〜〜〜〜〜〜〜〜〜
ほむら「なんというか、苦労して生きてるのね」ホロリ
さやか「なんかニュアンスがおかしい気がするけど目を瞑っててあげよう」
杏子「じゃあなにか、ボロボロなのも竜巻のせいってことか?」
さやか「いや、これは着地失敗した時の傷だね」
杏子「ん?」
さやか「向こう着いたときは着地地点に変な生き物とか水があったおかげで助かったけど、今回はそういうの一切なかったからね」
さやか「普通に地面に激突した次第故」
杏子「なんというか、苦労して生きてるんだな」ホロリ
さやか「もう褒め言葉として受け取る以外ないよね」
杏子「あれ自己紹介まだだっけ?佐倉杏子だ、よろしくな」
さやか「あたし美樹さやか」
マミ「Hey!Look!」カキカキ
マミ[大丈夫?病院行かなくていいの?]
さやか「あぁ、病院なら行きますよ……実は凄いもの見つけちゃったんで」
ほむら「凄いもの?」
さやか「聞いて驚け見て驚け……この鞄にはなんと!不思議生物が入っているのですよ!」ジャジャーン
ほむら「…?」
杏子「なんも見当たらねえけど」
さやか「へ?」
ほむら「まず生き物を鞄に入れるっていう発想がおかしいと思うわ」
杏子「普通死ぬよな」
マミ「Look!Watch out!」サラサラ
マミ[美樹さん、本当に入れたの?よく探した?]
さやか「……」
さやか「終わった……せっかく……恭介の怪我、治せるかもしれなかったのに……」ズーン
ほむら「上条恭介の怪我を…?どういう意味よ」
さやか「ふへへへ、そんな馬鹿な……もう駄目だぁ…おしまいだぁ……」
杏子「めんどくせ―奴だな、しゃきっとしろ!」
さやか「あんたには分かんないよ!あたしがあれにどれだけ賭けてたのか!」
杏子「もう一回行きゃいいだろ!」
さやか「……あたしってホント馬鹿」
[はい] いいえ
杏子「待て待て待て、同じ轍を踏むつもりかてめーは!」
マミ「Hey!Listen!」カキカキ
マミ[佐倉さんの言う通りよ。ちょっと待っててね?]
ポンッ
マミ「Look!」サラサラ
マミ[魔法で作った瓶よ。これに入れてくるといいわ]
さやか「二つも……マミさん、ありがとうございます!ちょっくら行ってきますね!」
↓→←↑〜
ゴオオオォォォォォォ
さやか「ぎゃぁあやっぱりこの移動方法は慣れないよおぉぉぉぉぉ」
ビョォォォォォォォォォォ
杏子「想像以上に激しかったな」
ほむら「パンツ丸見えで飛んでいったけど大丈夫なのかしらね」
マミ「Watch out!Watch out!」フリフリ
ビョオオオオォォォォォォォォ
さやか「流石に着地ー!!!」シュタッ
さやか「ふっ…これがオリンピックなら10点満点確実な演技だったね……」
さやか「さてと、瓶に変な生き物も詰めてきたし、恭介に持ってってやろっと」
さやか(それにしても変なタクトだよなぁ……昔遊んでた時はこんなこと起こらなかったのに)
さやか(そういえばまどかのオカリナだって普通だった気もするけど、なんであんなことに…?)
さやか(昔何があったんだっけ……)
さやか「お待たせ!」ガラッ
恭介「!さやかっ!!無事だったのかい!」
さやか「おう、余裕余裕!」グッ
恭介「そうか、無事なら良かった……そしてあれが夢じゃなかったという確認もできてしまった……」
さやか「夢とは失敬な……あたしだって、ちょっと真面目に話してたんだからね」
恭介「そうだね…ごめんよ、それで、今日は何か用かい?」
さやか「いや、その、ちょっとチクッとしますよ〜的な感じで」
恭介「意味がよく分からないんだけど」
さやか「これこれ」ガサゴソ
恭介「っ!?なんなんだい、その光ってる瓶は!?」
さやか「ちょっと腕出して」
恭介「腕を?」
さやか「お願い」
恭介「……分かった、よく分からないけど信じてみるよ」
ピルルルルルル
恭介「僕の腕をどうするつもりなんだ…?」
ピルルルル…
恭介「消えた……」
さやか「……どう?」
恭介「どうって、別に何とも――っ!!!」
恭介「動く……こいつ、動くぞ!」
さやか「やった!大成功だ!」
恭介「ははっあはははは!!馴染むッ!実によく馴染むよぉッ!!!」
さやか「奇跡も魔法もあったんだー!」ダキッ
恭介「ありがとうさやか!何が何だか分からないけど、本当に奇跡だ!」
さやか「良かったよぉ…恭介ぇ」グスン
さやか「これで、昔みたいに演奏できるんだよね…?」グスグス
恭介「……あぁ、一緒にまた演奏しよう……さやかのめちゃくちゃな指揮にも、きっと合わせてみせるさ」
さやか(そうだ、確か昔――)
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
さやか「ふんふのふーん」ブンブン
恭介「もう、指揮するんなら真面目にやってよ!」
さやか「だった指揮とかよく分かんないし」
???「いいタクト捌きね……あなた、名前は?」
さやか「あたし?美樹さやか!」
???「そう、美樹さやか……少しそれ見せてもらえる?」
さやか「いいよー」スッ
???「……」
さやか「?」
???「ありがとう。でも、次使うときは気を付けなさい?不思議な魔法が掛かっているのだから」
さやか「?」
???「さようなら、美樹さやか……」
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
恭介「え、何が?」
さやか「恭介覚えてない!?昔二人で遊んでたら変な女の人が現れてタクト見ていったの!」
恭介「うーん…そんなことあったかなぁ……」
さやか「あの時のあいつだ……あいつが何かしたに違いない…!」
恭介「……その、それで、いつまでさやかは、その……」ゴニョゴニョ
さやか「へっ……っ!!」カァァ
さやか「ごめん恭介すぐ離れるマッハで離れる速攻で離れるからっ!!!」バッ
さやか(しまったぁ〜そういや昨日から風呂入ってない!あたしもしかして、終わった…!?)
恭介「い、いや、大丈夫だよ……」ドキドキ
恭介「……」
さやか「そ、そうだ医者呼ばなきゃね!せっかく治ったんだし、恭介のご両親にも電話しなきゃね!」
恭介「う、うん、そうだね!そうしよう!」
さやか「……ちょ、ちょっと行ってくる!」ダッ
恭介「あっ……行っちゃった……何のためのナースコールだと思ってるんだ」
恭介(それにしてもさやか……なんだか不思議な香りがしたな……)
上条恭介が自分の気持ちと性癖に気が付くのはまだずっと先のお話――
マミ「Hey!Watch out!」サラサラ
マミ[大丈夫鹿目さん?]
まどか「ありがとうございます…助かりましたぁ……」プルプル
ほむら「どこかで見たことあるような結界ね……懐かしいわ」
マミ「Hey!Listen!」サラサラ
マミ[空中に紐が張ってあるだけだなんて危ないわね。鹿目さんもどうしてこんなところに迷い込んじゃったのかしら]
まどか「面目ないです……」
ほむた「とりあえず足場を確保しながら進みましょう」
マミ「Hey!Listen!」
まどか「しかも足場も不安定……」グラグラ
マミ「Look!」
ほむら「何?」
マミ「Hey!Hey!Hey!」サラサラ
マミ[ありがとう暁美さん!こんなに早く気付いて貰えるなんて!]
ほむら「こうした方が実質ストレスないということに気が付いたのよ…それで、何かしら?」
マミ「Look!」スッ
マミ[見てみんな!宝箱があるわよ!]
まどか「やっぱり安定の宝箱だね」
使い魔「れっすんれっすんれっすんれっすんれっすんれっすん」
まどか「ひぃゃぁぁ揺らさないでよぉぉぉ」プルプル
ほむら「外道め…今すぐ始末してあげるわ」
ドドドドバババババドッカーーン
ほむら「当然の結果よ」
マミ「Look!」
まどか「じゃ、じゃあ私が……」
パカッ
テレレレ テレレレ テレレレ テレレレ テレレレテレレレテレレレ…
テーレーレレーン!
まどか「こ、これは…!」
まどか「弓矢だ!」
ほむら「いいわまどか…凄く似合ってるわよ」グッ
マミ「Hey!Listen!」サラサラ
マミ[弓矢の使い方は分かる?]
まどか「えぇっと、矢をつがえて引き絞って……」グググッ
ピュン
まどか「こんな感じですかね?」
ほむら「グーよグー、ディモールトグーよまどか」グッ
マミ「Watch out!」スッ
マミ[気を付けて進みましょう]
マミ[見て鹿目さん、あのロープを狙うのよ!そうすれば橋が降りてくるわ!]
まどか「私がですか…?マミさんがリボンでどうにかすれば……」
ほむら「言いたいことは分かるけど我慢してまどか…これが一番の近道だと考えるのよ」
まどか「う、うん……よーし」グググッ
ピュン スパッ
ズズズズズズ ドシーン
ティロロロティロロローン
まどか「なんか……カッコいいかも…!」
マミ「Hey!」サラサラ
マミ[流石鹿目さんだわ!とっても上手よ!]
まどか「えへへへ……」
ほむら「さあ、魔女が出たわよ」
〜傍観長魔女パトリシア〜
パトリシア「さるさんきええええええええええええ」
マミ「Hey!」カキカキ
マミ[傍観長魔女パトリシア!足みたいな手を使って足場を揺らしてくるわ!手から狙うのよ!]
ほむら「珍しくまともなアドバイスね…まどか、落とされないようにね!」ヒュッ
マミ「Hey!Look!」バンバンバン
ほむら「っ!」バババババババ
ユッサユッサユッサユッサ
まどか「いいぃぃややゃぁあああぁぁぁあ」ガクガクプルプル
ほむら「チチィ…やっぱりあの手に鋭いダメージを与えるには……まどか、掴まって!」ガシッ
カチャン
ほむら「今なら狙い放題よ、頼んだわ」
まどか「うん!」ググググッ
ピュン ビスッ
ピュン ビスッ
ほむら「停止解除」カチャン
パトリシア「うぉっちゃうううううぅぅぅうう」
マミ「Hey!Look!」ババババッ
マミ[スカートの中の目を狙うのよ!]
ほむら「えぇ!」
ほむら(目というよりは……だけど)
ドドドドドババババビスッドッカーーン
マミ「Hey!」スッ
マミ[やったー!勝ったー!]
まどか「はぁ…怖かったよぉ……」
ほむら「まどか、あなたさっき矢を撃たなかった?」
まどか「うん……私は魔法少女じゃないけど、こんな私でも少しでも役に立てたらいいなって」ティヒヒ
マミ「Hey!Listen!」カキカキ
マミ[ありがとう鹿目さん]
まどか「マミさん…絶対にワルプルギスを倒しましょう!」
マミ「Look!」ペラッ
マミ[勿論よ!]
テンテケテンテケテケテテーン
グリーフシードを手に入れた!
魔力の限界 1UP!
おまけに魔力全回復!
ほむら「どうぞ」ポイッ
マミ「Hey!」ペラッ
マミ[ありがとう]
テンテケテンテケテケテテーン
グリーフシードを手に入れた!
おまけに魔力全回復!
ほむら「さあ、戻りましょう」
ポワワワワーーン…
シュアァーーン
マミ[あなた達はこれからどうするの?]
まどか「私は家に帰りますよ、お遣いの途中だったんで」
ほむら「一人で大丈夫?」
まどか「平気だよ!すぐに帰れるから」スッ
ほむら「オカリナ…?」
A↑←〜→←→〜
シュァァァァァァン
ほむら「何!?まどかが光に包まれて…!」
シュン…
ほむら「……消えた!?」
マミ「Look!」サラサラ
マミ[何が起こったの!?]
まどか「ただいま〜」
知久「おかえり、遅かったね?オカリナを使えばすぐに帰って来られたんじゃないのかい?」
まどか「ちょっと寄り道してて…はいこれ、頼まれてたサカナだよ」
pipipi pipipi
まどか「電話だ……もしもし?ほむらちゃん?」
マミ『Hey!Listen!Hey!』
まどか「マミさん!?落ち着いて下さい!これ電話ですから!」
ほむら『まどか!?今どこにいるの!?』
まどか「あぁ、ほむらちゃん?今は私の家だよ」
ほむら『家ですって…?一体どういうことなの?』
まどか「あれ、そういえば説明してなかったっけ?」
ほむら『……今からまどかの家に行ってもいいかしら?』
まどか「うん、いいよ〜、また後でね」ピッ
さやか タクト・パチンコ
ほむら ブーメラン
あんこ フックショット
マミ…はナビィだからないのかね
まどか「いらっしゃ〜い」ガチャッ
まどか「あれ、さやかちゃんに杏子ちゃんも来てくれたんだ?」
杏子「ばったり出くわしてな」
さやか「あたしもそうだよ、まどかのオカリナの話は気になってたし丁度いいかなあって」
まどか「入って入って〜」
マミ「Hey!Listen!」カキカキ
マミ[その前に聞きたいんだけど、あの庭にあるマークは何なの?]
まどか「ちゃんとそのことについても話しますよ!」ティヒヒ
マミ「Hey!Look!」ズラッ
まどか「あ、ご丁寧に質問書いてきてくれたんですね……じゃあ、上から順番に」コホン
まどか「?、どうしてオカリナを吹いただけで家に帰ったのですか?」
まどか「あれは『森のメヌエット』っていう曲なんです。決まった場所にワープできるんですよ」
ほむら「ま、待って!もうそこから前提がおかしい気がするわ……」
さやか「普通オカリナを吹いただけでワープするなんておかしいでしょ!」
まどか「それは質問?だね、そのオカリナは何なんですか?」
まどか「このオカリナはね、特別なオカリナなの……」
まどか「先祖代々鹿目家に受け継がれてきた大切なオカリナ」
まどか「時のオカリナなの!」
まどか「ドゥユーアンダースターン?」
さやか「いや、流石にもうちょい詳しく」
まどか「このオカリナで特別な曲を弾くと、不思議な効果が得られるの」
ほむら「それが、ワープや光を呼び寄せたあれだったりするの?」
まどか「そうだよ…って言っても、私も最近までは知らなかったんだけどね」
ほむら「最近まで?」
まどか「こっちに来た頃さやかちゃんと遊んでた時壊れちゃったでしょ?」
さやか「ギクゥ!」
まどか「でもあんまり怒られなかったの…ママもパパも、本当はない方が良い、今は平和だからきっと大丈夫だって」
まどか「私はよく意味が分かってなかったけど、二人がそう言うから納得してた……でも」
マミ「Hey!」カキカキ
マミ[この間どういうわけか見つかった、という訳ね]
まどか「……はい」
まどか「これは、世界が悪の手に落ちようとした時に使うためのものだって……」
まどか「このオカリナの曲が世界を救うんだ、って」
さやか「曲が世界を…?」
まどか「その辺は二人も話でしか聞いたことないから、よく分からないみたいなんだけどね」
ほむら「そのオカリナにそんな秘密が……でもちょっと待って、確かそれって一度さやかに壊されたのよね?」
さやか「うっ…あんまり蒸し返さないでよ」
まどか「そうなの…だからママもパパも不思議がってたんだよね」
マミ「Hey!Listen!」カキカキ
マミ[他にも特別な曲があるってことなの?]
まどか「そうみたいですよ。まだ使ったことないんですけど、嵐を呼ぶ歌もあるとかなんとか……」
さやか「何それ凄い」
まどか「森のメヌエットであそこに帰ってこれるんだよ、なんであんなマークなのかはよく分かんないけど」
さやか「ふーん……どっかで見た覚えがあるんだけどなぁ、あのマーク……」
まどか「結局なんでオカリナが無事だったのかは分からず仕舞いなんだよねぇ」ハァ
ほむら「不思議なこともあるのね……」
マミ「Hey!Listen!」カキカキ
マミ[是非他の曲も聞いてみたいわ!]
まどか「そうですか?それじゃあどれにしようかなぁ……」
さやか「ところで、なんでさっきから静かなの?」
杏子「……いや、軽い気持ちでついてきたらとんでもない話が繰り広げられてたから……」
←↑→ ←↑→〜 トゥルルールールー
ほむら「……いい曲ね」
マミ「Hey!」カキカキ
マミ[何か変わったの?]
まどか「あぁ、多分今頃パパが大変なことになってるかと」
マミ「?」
知久「うわあぁああ!せっかく溜めたお風呂の水位が下がってるじゃないか!この時間はそれは吹かないでくれって言ってるのに……」
マミ[是非他の曲も聞いてみたいわ!]
まどか「うーん……じゃあ、さっき言ってた嵐の歌に挑戦してみますね!」
さやか「ヒュー!チャレンジャーだねまどか!」
ほむら(嵐の歌……)
A↓↑ーA↓↑ー トゥールトゥルルルルー
ビョォォォォオオ
まどか「あっ、風が吹いてきたよ!」
さやか「おぉ!凄い!これなら好きな時に暴風警報発令させて学校休める!!」
ほむら(嵐を呼ぶ……まさか…?)
ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ
マミ[みんな気を付けて!様子が変よ!]
ほむら「まさか、本当に…!」
〜無力装魔女ワルプルギス〜
ワルプルギス「うふふふふふふふふふあはははははははははは」
マミ「Hey!」カキカキ
マミ[無力装魔女ワルプルギス!弱点なんて分からないよ!!]
杏子「嘘だろオイ…まだ日は先じゃなかったのかよ!?」
ほむら「ワルプルギスは一般人には自然災害…嵐と認識されるの」
まどか「!ひょっとして私が…?」
ほむら「……恐らく」
まどか「そんな…私、なんてことを……」
マミ「Hey!Listen!」カキカキ
マミ[あなた達は避難してて!]
杏子「くそ、こうなったらやってやらぁ!」
さやか「これは絶望的にまずい……逃げようまどか!」
まどか「でもどうやって!?」
さやか「このタクトを使おう!これを使えばすぐに安全そうなところに……」ジーッ
さやか「こ……このマークか!!!!」
まどか「な、何が…?」
まどか「ほんとだ!でも、なんでさやかちゃんが…?」
実はかくかくしかじか〜
さやか「ってなわけ!」
まどか「その女の人が何かしたから?もうここにきて分かんないことだらけだよ……」
ドガーーン
まどさや「きゃぁっ!」
マミ「Hey!」バッ
マミ[二人とも早く逃げなさい!ここは危険よ!]
さやか「マミさんの言う通りだ…一先ず逃げるよ!」
↓→←↑〜
ビョオオォォォォォ
まどか「きゃっ!何この風!?」
さやか「安全地帯まで飛んでけぇっ!」
さやか「フーチィン!!!」シュタッ
まどか「ふみゅっ!」ベシャッ
さやか「ふっふっふー、やはり完璧な着地……これは世界が黙っちゃいないぞー」
まどか「……」ピクピク
さやか「あれ?でもこないだ来たところと違う気がする……泉がないし」
まどか「……」ピクピク
さやか「ん?泉がないということは、怪我が治らないんじゃ…?」
まどか「……」チーン
さやか「まどかぁあぁぁああああ!?!?」
さやか「そうだ!こないだマミさんに貰った瓶!行っ子は恭介に使ったけど念のためもう一個にも入れといたんだった!」
ガサゴソ
キュポン
ピルルルルルル
さやか「お願い変な生き物ちゃん!まどかを救って!」
ピルルルル…
まどか「……ん……さやかちゃん?」
さやか「良かったー!死んじゃったかと思ったよまどか!!」ダキッ
まどか「な、何の話…?それよりここどこなの?」
さやか「ここ!?ここはね!……どこだろう?」
さやか「おっかしいなぁ、前来た時はここじゃなかったのに」
まどか「あっ、このマーク、庭にあったのとおんなじだよ!」
さやか「ということは、鹿目家御用達の場所ってこと?」
まどか「……オカリナ」
さやか「ん?」
まどか「今吹かなきゃ駄目な気がする」スッ
さやか「吹くって、何の歌を…?」
まどか「世界が悪の手に堕ちようとした時に吹かなきゃならない曲……」
まどか「『時の歌』!」
→A〜↓ →A〜↓ トゥルルルールートゥルルールートゥルルー
ティロロロティロロローン
さやか「!扉が……」
まどか「開いたね」
コツーン コツーン
さやか「な、何あれ?」
まどか「台座がに剣が刺さってる…!」
???「よくぞ現れました……」
まどか「だ、誰!?」
ゴゴゴゴゴゴゴ
さやか「そんな……まどか…?」
まどか「ひょっとして、ご先祖様…?」
まど神「封印を解き放ち、再び時の神殿の扉を開けたのですね」
まどか「それが、私…?」
まど神「違います」
さやか「違うんかい!」ズコー
まど神「マスターソードを引く抜くことができるのは時の勇者のみ」
まどか「時の勇者…?」
まど神「時を超え、数多の時間を繰り返し、絶望を背負っても立ち上がり悪に向かうその者こそ、真の勇者」
まどか「時を超えたって、もしかして……」
まどか「ほむらちゃん…?」
さやか「なんだかよく分かんないけど、ほむらを連れてくればいいの?」
まどか「多分…うぅん、きっとそうだよ!」
さやか「よっしゃー、ドンと任せとけ!」ドンッ
↓→←↑〜
ゴォァオオオォォォォォ
さやか「ほむらんとこまで飛んでけぇっ!」
バビューン
ゴッ
さやか「あだぁっ!?」ベシャッ
まど神「時の神殿内は聖なる地……飛ぶのなら扉の外で」
さやか「先に言ってくれませんかねえ!?」
マミ「Hey!Watch out!」ドドドバババン
ほむら「くっ…準備不足だったとはいえこうも押されるなんて……」
杏子「あぶねっ!フックショット!」ポチッ
ジャリーーン ガシッ ギュイーーン スタッ
杏子「ふぅ、緊急会費成功だな…割といいなこれ」
マミ「Hey!Listen!」バッ
マミ[ティロ・フィナーレ!!!]
バシュゥーーン ドカーーン
マミ「Watch out!」
ほむら(そこまでして叫びたいの!?)
ワルプルギス「ひゃっはーせかいはしょうどくだー」
マミ「Hey!」バッ
マミ[どういうこと?]
ほむら「流石に頑丈ってことね……」
さやか「呼ばれて飛び出てさやかちゃん!何やら華麗に見〜〜〜参ッ!」ビッ
杏子「遊んでんなら帰れ!死にてえのか!」
さやか「ひ、酷い言われよう!?そんなことよりほむら!ちょっとあたしについてきて!」
さやか「よく分かんないけど、あいつ倒せるかもしれないの!」
ほむら「ッ!どういうこと!?」
さやか「いいからほら、ついて来て!まどかも待ってるから!!」
ほむら「……分かったわ。二人とも!ここ少しの間だけお願いしていいかしら?」
杏子「あいつをどうにかしてくれんなら安いもんだ!」
マミ「Hey!Listen!」ペラッ
マミ[ここは私に任せて、あなたは先に行って頂戴]
ほむら「またいつ使うのか分からない台詞を予め……まあいいわ、行きましょう」
さやか「オッケー!」
↓→←↑〜
ゴオオオォォオオオォ
[はい] いいえ
それをまどかが助けに行く続編があるんだろ
落ちてくる月を止める続編だろう
→ほむら「ムジュラの仮面?」
さやか「トトゥ!!」シュタッ
ほむら「……」シュタッ
さやか「なぬっ!?初めてのくせに華麗なる着地を!?」
ほむら「時間がないの、急いで」
さやか「こっちだよ」
タッタッタ
まどか「さやかちゃん!ほむらちゃんも!」
まど神「よくぞ真の勇者を連れてきてくれました」
ほむら「そんな…まどかが二人?」
まど神「時の勇者、暁美ほむらよ、今こそマスターソードを手に取り、悪を撃ち払うのです」
ほむら「これがあれば……ワルプルギスに…!」
キィィン
カチッ
キュイイーーン
ほむら「ん……」
――暁美ほむらよ、目覚めなさい
ほむら「ここは……何処…?」
まど神「ここは時の狭間……時間の干渉を受けない聖なる地」
ほむら「どうしてここに?二人はどこに行ったの?」
まど神「あなたはマスターソードを扱うにふさわしい働きをして貰います」
ほむら「どういうことよ!?」
まど神「あなたの時において、時のオカリナは破壊されてしまった…そしてあろうことか、風のタクトは存在すらしていなかった」
まど神「この意味が分かりますか?」
ほむら「……どういう意味?」
まど神「そう……風のタクトの『疾風の歌』なくしては」
ほむら「さやかが使った竜巻ね……」
まど神「そして時の神殿の封印を開ける鍵は、時のオカリナの奏でる『時の歌』のなのです」
ほむら「つまり、どちらかが欠けてしまっては二度とここに入ることはできない…ということね」
まど神「暁美ほむら、あなたにはその綻びを修復して貰います」
ほむら「……それをどうにかすれば、私はあの剣を扱える、ワルプルギスに勝てる、と」
まど神「悪を撃ち払うことができるかはあなた次第……」
ほむら「いいわ、なんでもやってやるわよ…どうすればいいの?」
まど神「それでは目を閉じなさい……再びその目を開いた時、あなたは自ずと答えを得るはずです……」
ほむら「……」
カチッ
キュイイーーン
ほむら「ん……ここはどこかしら……」
ほむら「眩しい……あら?」
ほむら(なんだか体がおかしいわ……目線がいつもと違うような……)
ほむら「っ!こ、これは…!体が成長しているの…!?」
――目を覚ましたのですね、暁美ほむら
ほむら「この声はまどか…のご先祖様だったかしら」
――その手にあるタクト……今はただのタクトですが、それは長い年月を経て風のタクトへと変化するのです
ほむら「……なるほどね、これを美樹さやかに渡してくればいいのね
――決して壊れることのないタクト……彼女に託して下さい……
ほむら「別に大人になる必要はなかったと思うけど、まあいいわ……さやかを探さないと」
ほむら(それにしてもこれが未来の私……ほ、本当に…?)ズーン
恭介「もう、指揮するんなら真面目にやってよ!」
ほむら(見つけたわ、あれが美樹さやかの子どもの頃……やっぱり子供って可愛いわね)
さやか「だって指揮とかよく分かんないし」
ほむら「いいタクト捌きね……あなた、名前は?」
さやか「あたし?美樹さやか!」
ほむら「そう、美樹さやか……少しそれ見せてもらえる?」
さやか「いいよー」スッ
ほむら「……」 カチャッ
ほむら(時間停止……このタクトと風のタクトを入れ替えさせて貰うわ……)カチャッ
さやか「?」
ほむら「ありがとう。でも、次使うときは気を付けなさい?不思議な魔法が掛かっているのだから」
さやか「?」
ほむら「さようなら、美樹さやか……」
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
キュイイーーン
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
ほむら「ん……次は……オカリナね」
――暁美ほむらよ、私の声が聞こえますか
ほむら「えぇ、良好よ」
――そのオカリナを本物の時のオカリナとすり替えてくるのです
ほむら「あら、壊れるのを阻止しなくていいの?」
――一度壊れることを防いだだけでは二度目はありません……本物を鹿目まどかに託すのは今ではないのです
ほむら「……分かったわ、任せなさい」
ほむら(どうして私が選ばれたのかなんとなく分かったわ)
ほむら(こんなこと、他の魔法少女にでもできるはずがないものね)
まどか「もう、さやかちゃんったら、いつまでもそんなことやってるから男の子に間違われちゃうんだよ?」
さやか「気にしない気にしない!私にはまどかというお嫁さんがいるんだもんねー!」ダキッ
まどか「きゃっ…もう、やめてってばぁ」ティヒヒ
ほむら(見つけたわ…仲睦まじく遊んでるように見えるけど、一体いつ壊れるのかしら)
さやか「そういえばそれなんなの?」
まどか「これ?ママが大事にしなさいって持たせてくれたオカリナだよ」
さやか「ふーん…ちょっと見せて」ヒョイッ
まどか「あぁっ…割れやすいんだから気を付けてね?」
さやか「ふーん…ほほぅ……あれ、このマーク、どっかで見たことあるような――」ツルッ
ほむら(今よッ!!)カチャッ
ほむら「これでよし……解除」カチャッ
カシャーン
さやか「あ」
まどか「あ」
さやか「……あ、あの」
まどか「うわーん、さやかちゃんが私のオカリナ壊した〜」ビエエーーン
さやか「ご、ごめんなさい!許してまどか!!本当にごめん!!」
まどか「ううぅぅぅうっ……ヒック……」グスン
ほむら(あぁ、慰めてあげたい…!でも、今出ていって『本物は無事よ!』、なんて言っても意味がない……ここは我慢我慢……)
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
キュイイーーン
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
ほむら「……ここは…魔女の結界の中ね」
――そうです、暁美ほむら
ほむら「なるほどね、あの時オカリナを転がしたのは魔女ではなくて私だったわけね」
――さあ、今こそ彼女に時のオカリナを託すのです
ほむら「任せて」
ほむら(マミが注意を惹きつけてる…今のうちに対策を考えないと……)コロン
ほむら「…?これは、オカリナ?どうしてこんなところに……」
まどか「あぁー!!それ私が子供の頃に使ってたオカリナ!」
さやか「なぬっ!?あの時のあれか!?」
ほむら「これでいいのよね?」
――ありがとう、あなたを真の勇者として正式に認めましょう
――さあ、瞳を閉じて……
――勇者のその手にマスターソードを……!
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
カチッ
キュイイーーン
まどか「ほむらちゃん大丈夫!?」
さやか「どうかした!?」
まど神「大丈夫ですよ、暁美ほむらはたった今、真の勇者として認められました」
ほむら「……これが、ワルプルギスを倒すことのできるマスターソード……」
まど神「鹿目まどか……」
まどか「はい?」
まど神「鹿目家の子孫として、あなたにもやらなければならないことがあります」
まどか「?それって……」
パァァァァァ
チャンララチャンララチャラララーン
まどか「光の矢……」
まど神「ごめんなさい、今の私にはその一本を作ることで精一杯なのです……」
さやか「つまり、チャンスは一度、だね」ゴクリ
まど神「さあ、時間がありません……すでに崩壊は始まっています」
ほむら「さやか、まどか……お願い、力を貸して」
まどか「勿論だよ!絶対に当てて見せるからね!」
さやか「さやかちゃんにできることと言えば精々タクシーぐらいなんだけど……後は任せたよ!」
ほむら「ありがとう……さあ、行きましょう!」
杏子「くっそ…流石に魔力がカツカツだっつうの……」
マミ「Hey!Watch out!」ペラッ
マミ[私に構わないで。あなたは逃げて]
杏子「なんだよ、ちょっと余裕そうじゃん……んじゃま、もう一踏ん張り――」
ビョオオオォォォォ
シュタッ
さやか「待たせたな!」
まどか「大丈夫!?」
ほむら「ここからは私達に任せてなさい」
マミ「Hello!Hello!Hey!」
杏子「ようやくか……タッチ交代、任せたぞ」
マミ「Watch out!」カキカキ
マミ[強力な黒い光の珠の様な物で攻撃してくるわ。あれは防御もできないし跳ね返せもしないの]
ほむら「……大丈夫よ、このマスターソード…退魔の剣なら」チャキッ
さやか「来たよ!」
まどか「ほむらちゃん!」
ほむら「はぁぁああぁぁぁ!!」ザシュン
杏子「うまいこと跳ね返しやがった!」
マミ「Watch out!」カキカキ
さやか「まだ来るよ!跳ね返した奴を跳ね返してきた!」
ほむら「繰り返す…何度でも、私は…!」ザシュン
ザシュン バシュン ザシュン バシュン ザシュン バシュン
ザシュン バシュ…
ワルプルギス「きええええええええええええいいいいいい」
ほむら「今よまどか!」
まどか「フィニトラ・フレティア!!!」ピュン
ズブッシャァーー
ほむら「マミさん!」
マミ「Hey!」バッ
マミ[ティロ・フィナーレ!!!]ボシュゥーン ドギャーン
杏子「あたしにも一撃やらせろ!」ドシャァッ
ほむら「杏子!」
杏子「心配すんな!フックショットですぐに脱出できる!」ギュイーーン
さやか「ラスト一発、さやかちゃんのパチンコ玉もおまけだよ!」グググッ ピュン バシッ
ほむら「さやか…!」
まどか「ほむらちゃん……とどめを!」
ほむら「えぇ」コクリ
ほむら「はあああぁぁぁぁぁぁぁぁあぁ!!!!!」
ズシャァァァァァァァァ
ワルプルギス「ぁぁああぁぁあぁああああああぁああああああああ!!!!!!!」
ほむら「な、何…?」
ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ
ワルプルギス「うわーははああははははははははは!!!!」
杏子「ワルプルギスが……」
さやか「逆様じゃなくなった……」
まどか「こんなことって……」
ほむら「そんな……もう、光の矢は残ってないのに……」
マミ「……」
杏子「!なんだこの声…?」
――希望はまだ残っていますよ
まどか「この声、ご先祖様!?」
――暁美ほむらよ、あなたの砂時計にはもう魔力は残っていないのですか?
ほむら「どういうことよ……諦めろというの?この時間軸も見捨てて!?」
――違います。砂時計の魔力はまだ残っているはずです
さやか「なんでそんなこと分かるんですか!」
――暁美ほむらの魔力は一か月前より増大しているのです
ほむら「私の魔力が増えた?何を言ってるの…?」
ほむら「……ハート型のグリーフシード」
――あのグリーフシードには魔力限界を増大する力が秘められていたのです
――あなたの魔力は尽きていない
――増大し、強力になったあなたの魔法で、再び光の矢を作り出すのです!
ほむら「私が、光の矢を…?そんなの、やったことないのに……」
――不可能を可能にしなければ絶望に立ち向かうなど困難です
――彼女を見なさい……彼女もまた、特別なグリーフシードを手にした者
マミ「……っ」
まどか「マミさん…?」
――絶望に立ち向かうその姿勢こそ、真の勇者ではないのですか
マミ「――し……もう」
マミ「私、もう逃げない!一緒に戦う!!」
マミ「みんなごめんなさい……本当は魔力が増えたあの時から、声は出せていたはずなの」
マミ「自分でも分かっていたわ……」
マミ「でもできなかった……怖くて仕方なかったのよ……魔女に、絶望に立ち向かうことが」
マミ「最後まで弱虫の私だと思ってた、ずっとこのままでもいいとも思ってた……」
マミ「でも違うの!ここで諦めて何もかも終わらせるのは、そんなの、私が望んだ魔法少女じゃないもの!」
マミ「だから負けないわ……この手に勇気を込めて……」パァァァ
マミ「私、もう何も怖くない」
ほむら「は、はい!」
まどか「こうですか!」
マミ「光の矢を撃ったことのある鹿目さんはとにかくイメージして!暁美さんはとにかく作るのよ、何が何でも!私がサポートするから思いっきりね!!」
ほむら「い、いきます…!」パアァァァァ
まどか「イメージ…イメージ……」
ワルプルギス「ぬっっふぁあああああああああああああああんんんんん!!!!」
ガキーーン
杏子「人が努力してるところに…水差してんじゃねえ!!」
↑←→〜
ブワアアァァァァァ
さやか「精一杯の向かい風……こっちに来れるもんなら来てみろってんだ!」
マミ「暁美さん!」
ほむら「くっ……お願い…!!」
パアァァァァァァァ
マミ「あとは鹿目さん、隙ができたらお願いね?」
まどか「はい!でも、隙なんていつ……」
マミ「あら、知らなかった?隙は作るものなのよ」
マミ「はぁっ!」シュルシュルパシッ
ワルプルギス「のああああああああああああ」
マミ「ティロ・フィナーレ!!!」
ボシュゥーン ドギャーーン
ワルプルギス「があははははははあああ」
マミ「今よ!」
まどか「フィニトラ・フレティア!!!」
ピュン ズブッシャーー
さやか「ほむら!」
杏子「頼んだぞ!」
マミ「暁美さん!」
ほむら「……ワルプルギスの夜」
ほむら「これで……終わりよっ!!」
ザンッ
キィン
ワルプルギス「おのれ…かなめ!おのれ…まほうしょうじょども!おのれ…あけみほむら!」
ワルプルギス「ぐうあああああああああああああああ」
杏子「終わったんだな、これで」
まどか「お疲れ様、ほむらちゃん」
ほむら「……うっ…うぅっ……私…やったんだ……」グスッ
杏子「ばっきゃろー、辛気臭い顔すんなよ!あたしらであのワルプルギスを倒したんだぞ!」
さやか「そうだよもっと喜べ喜べー!あははは!!」
ほむら「うん…うん……う、うううぅぅうううぅうぅ」
まどか「よしよし、よく頑張ったねほむらちゃん」ナデナデ
マミ「……」
マミ「良かった、終わった…のね……」ドサッ
マミ「ふぅ……」
杏子「流石に疲れが出たか?……っ!おいマミソウルジェムが!!」
まどか「あんなに濁って…!?」
ほむら「そんな…!」
QB「やれやれ、そんなのは当たり前じゃないか」
まどか「Q、QB!今までどこ行ってたの!?」
QB「全く、君達ったら僕の存在を忘れて好き勝手いしてくれちゃって…あやうく僕まで僕の存在を忘れるところだったよ」
ほむら「でも、マミさんは絶望していないのに……いえ、そうか…魔力が……」
QB「最後の最後まであれだけの魔法を使ったんだ。魔力なんかとっくに残ってないだろうね」
QB「無駄な足掻きだ」
?
ほむら「!?」ガクッ
?
ほむら「そんな、足が……」
まどか「ほむらちゃん!」
?
杏子「貸せっ!」
?
杏子「マミィぃぃぃぃ!!!」ダッ
QB「ゲームオーバーだ」
まどか「……QB」
QB「どうしたん――っ!?」
ほむら「あなたは人間を侮り過ぎているわ……」
QB「馬鹿な…確かに時間制限が!」
杏子「ギリギリまで諦めなきゃ、人間ってのは時にはすげえことできるんだよ」
QB「あり得ない……どうしてマミはまだ魔法少女のままなんだ!」
さやか「あたしがグリーフシードをほむらから奪って、パチンコで頭のソウルジェムを狙ったの…残り1秒の時点でね……」
QB「まさか、そんなギリギリであんな小さい的を狙えるなんて……」
さやか「やれやれだよ」
QB「……まあ、せいぜい君達の寿命が延びたにすぎないだけさ。将来的には大差のないことだ」
――勇者暁美ほむらよ
ほむら「あら、まどかのご先祖様」
――鹿目まどか
まどか「私?」
――そして巴マミ
マミ「私ですか?」
――時の神殿に来て下さい……それで全て終わるでしょう
さやか「なんだか分かんないけど、私の出番かな?」
杏子「おい、あたしも連れてってくれよ!一回も行ったことないんだし」
さやか「いいのかな……まいっか」
ゴオオォォォォォォ シュタッ
杏子「へぇー、ここがその時の神殿……」
――ここから先は三人で歩んできて下さい
まどか「どういうことだろうね?」
マミ「とにかく、今は行くしかないわね」
ほむら「そうですね」
さやか「お土産よろしくー」
コツーンコツーン
まど神「暁美ほむらよ、マスターソードを台座へ」
ほむら「……はい」
キィン
まど神「……さて、鹿目まどかよ。あなたはこの紋章の意味を御存じですか?」
まどか「この三角形のですか?聞いたことないです」
まど神「では、話すことにしましょう――」
――女神達はグンマーのどこかに髪の力を持つトライフォースを隠しました
――一つは勇気、一つは知恵、一つは力
――トライフォースには手にした者の願いを叶える力を持っています
――心正しき者が願えばグンマーは善き世界に
――心悪しき者が願えばグンマーは悪き世界に
――古よりこの地に時の神殿を建て、心正しき者の現れるその時までトライフォースを守り続けてきたのです
まどか「心を……」スッ
ほむら「手を……」スッ
マミ「私達の……」スッ
パアアァァァァ
まど神「……聞くまでもありませんでしたね」
まど神「心正しき者たちよ」
まど神「三つのトライフォースを各々が所持する選ばれし者たちよ」
まど神「あなた達の願い事は何ですか?」
ほむら「私達の」
マミ「願い事」
まどか「私達の、願いは……――」
ほむら(今までのループなら今日がワルプルギスの襲来日だった……)
ほむら(でももうそんな脅威に怯える必要はない……素晴らしい日々を手に入れたのだから)
まどか「おはようほむらちゃん!」
さやか「はよーっす」
仁美「おはようございます」
ほむら「おはよう」
ほむら「っ!……ごめんなさい、先に行ってて貰える?忘れ物をしたみたい」
ほむら『いつものよ』
まどか「あぁ……うん、分かった、先に行ってるね」
さやか「気を付けてねー」
ほむら「……全く、朝から忙しいことね」
ほむら「おはようございます…魔獣は?」
マミ「半分くらい減ったわ」
ほむら「そう、なら――」
杏子「あたしの獲物も残ってるってわけだ」ニッ
マミ「佐倉さん!あなたは風見野担当でしょ?そっちは任せたわって言ったじゃない」
杏子「しょうがねえだろ、通りかかっちまったんだから」
ほむら「ッ!」グググッ
ピュン ブシュッ
杏子「弓の扱いも慣れたもんだな」
ほむら「流石に体が覚えてきたわ」ピュン ブシュッ
ほむら(でも、この世から絶望が消えることはない……新たに出現したのは魔獣だった)
ほむら(あの時の願いは、みんな一緒だったのだろうか?)
ほむら(きっとそうに違いない……)
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
まどか「私達の、願いは……――」
パアアァァァァァ
まどか「へ、な、何?」
まど神「三つのトライフォースをその手に宿す者たちよ、願いを聞き入れましょう」
まど神「これより世界は革変の時を刻むでしょう……その中であなた達が何をするべきなのか」
まど神「それはあなた達次第です」
マミ「暁美さん……」フルフル
ほむら「……」
まど神「光有るところ闇有り……世の理は変わることなく、同じ悲劇を繰り返していくでしょう」
まど神「その円く環る理の中で、あなた達にせめてもの幸福があらんことを……」
カッ
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
ほむら「思ったより早く片付いたわね」
杏子「ちぇっ、あたしの分ほとんど残してねーでやんの」
マミ「まあまあいいじゃない…グリーフルピーも手に入ったんだし」
杏子「魔力回復できるのは変わんねーけど、一回当たりの量がな……それでも前よりはマシだけどな」
ほむら「全く持って同感ね」
マミ「佐倉さん!さぼっちゃ駄目よ!」
杏子「あたしだっていつまでもガキじゃねーよ…じゃあな」スタスタ
ほむら「忙しい子ね」
マミ「QB、いるんでしょう?」
QB「そりゃあいるさ、グリーフルピーは手に入ったかい?」
マミ「どうぞ」ポイッ
QB「きゅっぷい……危ない危ない、落としたらもったいないじゃないか。もうこれでしか宇宙の延命は望めないんだから」
ほむら「しっしっ」
QB「やれやれ、インキュベーターはクールに去るよ……またルピーが溜まったら呼んでほしいな」トコトコ
ほむら「いつまで経ってもつかめない奴ね」
ほむら「心配しなくても忘れ物を取りに帰る口実を作ってあるわ。少しくらい遅れても問題は――」
マミ「Hey!」
ほむら「!」ビクッ
マミ「そんなこといってさぼり癖が付いたら大変よ!忘れ物はなかったことにして早く行きましょう」
ほむら「……分かってます、マミさん」ボソッ
マミ「何!?今久しぶりに名前で呼んでくれた!?」
ほむら「何でもないですよ、早く行きましょう巴マミ」
マミ「待ってよ暁美さん!絶対言ったわよね!?」
ほむら(これが私の日常……日々平和、何も問題なし)
マミ「Hey!Listen!」
完
まど神「ようするにこういうことだよ、分かりにくくてごめんね」
まどか(力×三分の一、知恵×三分の一、勇気×三分の一)
ほむら(同上)
マミ(同上)
まど神「それと三人の願い事はこういう世界になって欲しい的な感じのことだよ、アバウトにいえば」
知っての通り、ナビィとマミさんの中の人ネタだよ
そんだけでこんなことになるなんて思わなかったけど
時のオカリナ公式攻略ビデオを聞いて癒されてこよう
乙乙
乙乙!!
可愛すぎた
Entry ⇒ 2012.05.08 | Category ⇒ まどかマギカSS | Comments (0) | Trackbacks (0)
杏子「勇気……出せよ」
「杏子…ちゃ…」
教会の中、二人だけの空間。
わたしの鼓動が、ちょっとずつ早まってきてる。
「へへ、想像通りだ」
抱きしめられるってだけでこんなにどきどきするなんて。
言葉が、続かない。
今日は人数が揃わず杏子ちゃんと二人で教会を掃除していた時のこと。
杏子ちゃんが、掃除の最中ぽつりと口にしたことから始まった。
「まどかって姉貴だっけか?」
「うん、そうだよ。タツヤっていう弟がいるの」
「ああ、そうだったな。でも…」
「でも?」
「どうしても姉貴には見えないんだよなぁ」
けらけらと笑う杏子ちゃんに、ついむっとしちゃう。
わたしだって、ちゃんとお姉ちゃんやってるもん。
「ひどいよぉー」
「はは、悪い悪い」
「うん、分かる。 何やってもわたしが悪いー、って言われちゃって」
「はは、あたしといっしょだ」
それからはお姉ちゃんならではの苦労話。
以外にも共通の悩みがあって、それがおかしくて時々笑い合って。
でもお話の最後になるにつれて、杏子ちゃんの口数が減っていくのを感じた。
「モモ…か」
懐かしむようにその言葉を口にして、目をつぶる。
「杏子ちゃん…」
「あ、いや、いいんだ。もう過ぎたことなんだから」
一瞬弱気な顔を見せた杏子ちゃんだったけど、またすぐに戻ってた。
箱を開けて、袋を開けて。いつもの調子で、箱を差し出して。
「ほら、食うかい?」
「うん、ありがと」
差し出されたロッキーを食べながら、わたしはいろんなことを考えた。
ほんとは寂しいのかな、とかつらいのかな、とかとか。
ついつい考えるのに夢中になってたらしく、わたしは無意識に杏子ちゃんを見つめていた。
「…まどかが何を考えてるのか、今ならわかるぜ」
不意に呟く杏子ちゃん。
ええっ。そんなに顔に出てたのかな。
…やっぱり、そうだよね。
優しい杏子ちゃんだもん。寂しくないわけがないよね。
「でも今は、みんながいる」
「まどかが、さやかが、マミが、ほむらが」
「だから心配はいらないよ、へへっ」
改めて強い子だなって、思った。
わたしは、もしタツヤが、パパとママがいなくなったらなんて考えるのも嫌なのに。
やっぱり、強い。
「強いね、杏子ちゃん」
つい口にしちゃう。
でも杏子ちゃんの顔は、また曇ってしまう。
「え…?」
「確かにあたしは強く生きてきたつもりだ。でも実際は人に迷惑かけて、傷つけて…」
「そうやって何人も犠牲にして辛うじて生きてきたんだ、ちっとも強くねえ」
「あぅぅ…」
「強くなんか…ない。そうすることでしか生きていけない、弱い奴さ…」
バン、って拳を壁に叩きつける音。
沈黙ができて、気まずくなってしまう。
「…それでも」
「あん?」
「それでも、強いよ…」
「ううん、違うよ」
「確かに杏子ちゃんのやってきたことはいけないこと…だと思う」
「分かってんじゃん」
「でもその代わり、杏子ちゃんはわたしたちをいっぱい助けてくれた…!」
ワルプルギス退治。その後の見滝原の魔女退治。
わたしの護衛も、いやいやいいながらも欠かさずやってくれた杏子ちゃん。
弱い人間だったら、そんなことやってくれない。
「…それは…すべてあたしのためだ、あたしの意志だ、勝手だ」
「意志がある人は、弱くなんかないと思うよ」
「…そうか」
「優しいんだな、まどか」
「わ、わたしは思ったことを言っただけだよ」
急に褒められちゃって、ちょっとびっくり。
「ま、あたしは何を言われようが強いとは思いたくないけど、でもな…」
「まどかがそう言ってくれんなら、強い人間になってみっか」
立ち上がってわたしに近づく。
わたしよりちょっと大きい杏子ちゃんが、わたしを見下ろす。
「へ、ど、どうしたの」
「あたしに物を言うとは…まどかも隅に置けねぇなあ」
わしゃわしゃっと髪を撫でられる。
いたずらをするさやかちゃんとそっくりな、やわらかい笑顔で。
「きゃっ、もーやめてよぉ」
「う…よく言われる」
「ははは、あたしの妹みたいだ」
「モモちゃんに?」
「ああ、こんなでかくはなかったけどな」
「それでもあったかくて、やわかくて…」
それだけ言うと、また黙っちゃう杏子ちゃん。
また昔を懐かしむような、そんな目をしていた。
「なぁ…抱きしめてみてもいいか?」
「ええっ!?」
「嫌…か?」
「嫌、じゃないけど…」
「うし、決定」
「……もぉ」
ぎゅっとする力が強くなって、だんだんと身体が密着していく。
女の子に抱かれるのって、不思議とどきどきしちゃう。
ほむらちゃんの時もそう、さやかちゃんの時もそう。
言葉がうまく続かなくなっちゃう。
わたし、照れ屋さんなのかな…
「よしよし、杏子お姉ちゃんですよーってか」
「わたしだってまどかお姉ちゃんだもん…」
一分くらいの抱擁の後、離れた杏子ちゃんがまた髪を撫でる。
あったかい手が心地よいな。
「うし、掃除再開すっか!」
「うんっ!」
杏子ちゃん、これからもよろしくね――
終わり
ちなみに一番好きなのはまどほむです
久々によいまどあんを見た
Entry ⇒ 2012.05.07 | Category ⇒ まどかマギカSS | Comments (0) | Trackbacks (0)
まどか「メガネ、とってみよっか」
ほむら(それだけでとても嬉しかった、今まで友達らしい友達はいなかったし
仲良くなっても、みんなすぐに退院してしまったから)
ほむら(鹿目さん、ねえ鹿目さん……どうしてかな)
ほむら(友達じゃ、足りないの……)
女生徒「じゃねーまどっちー」
まどか「うん、またねー」
トテトテ
まどか「えへ、一緒にかえろ」
ほむら「うん……///」
ほむら(鹿目さん……)
まどか「うん? どうしたの? 見つめちゃいやだよ、へへ」
ほむら「あっ……」フルフル
マミ「なるほど」
さやか「なるほど」
ほむら「……」ビクン
マミ「鹿目さんとはとっても仲良しで」
さやか「でも友達のままじゃ辛抱たまらんと言うわけですな?」
ほむら「は、はぃ……」
マミ「それで私達に」
さやか「恋のアドバイスをしてほしいと!」
ほむら「……っ///」
さやか「ってか隣で見てたから、ほむらのまどかを見る目がなんかヤバイなーって思ってたんだけどさ」
マミ「要するに同性愛、でいいのかしら」
さやか「うわ、マミさんズバッと申し上げますね」
マミ「……こういうのは本人の意思が大切なの、暁美さんがどこまで覚悟を持っているか」
ほむら「わ、私は……っ」
ほむら「鹿目さんともっと仲良く……」
さやか「あー、なーんかズバッと来ないなぁ」
マミ「暁美さん、同性愛ってとてもデリケートなものなの
私もそういう人達は知っているけど、上手く付き合えてるカップルはとても稀なのよ」
ほむら「……っ」
マミ「男女の恋愛よりもハードルは高いのよ、それはわかってるわね?」
さやか「へえー、やっぱ同性愛って難しいんだ」
マミ「当たり前じゃない、中には嫌がる人もいるのだし……」
ほむら「えっ……」ブワッ
マミ「って、まだ鹿目さんがそうと決まったわけじゃないのよ?
泣かない泣かない、ね?」
ほむら「……はぃぃ」
さやか「なんつーか、まずほむらの引っ込み思案過ぎる性格をどうにかしないとダメなんじゃないすかー?」
ほむら「え……?」
さやか「てゆか、ほむらさ、まどかに名前で呼んでって言われてるのに、今も苗字呼びしてるでしょ?
まずは名前で呼ばなきゃ!」
マミ「そうね、私が見ても鹿目さんからの一方通行に見えるもの」
ほむら「一方通行……ですか?」
マミ「そうよ?
仲良くしたいと思ってるのは鹿目さんで、あなたは壁を作っているように見えるわ
もしかしたら鹿目さんには嫌がっているように見えてるかも」
ほむら「そんなっ……私、すっごく嬉しくて、その……」
さやか「なら伝えなきゃ! あいつ鈍感だから言わなきゃわかんないって」
マミ「よぉし、さっそく名前を呼ぶところから前進しましょう」
さやか「てか、なんで苗字で呼んでんの?」
ほむら「そ、それは……その、恥ずかしくて」
マミ「ふふ、かわいい理由ね
でもそれだと進めないわ」
さやか「それじゃさ! あたしをまどかだと思って呼ぶとかっ!」
ほむら「……っ///」
さやか「ほれほれ」
ほむら「ま……まど、まど、ま……鹿目さん」
マミ「んー」
さやか「ほ・む・ら・ちゃん!」
ほむら「ひゃいっ」
さやか「まどかって言ってみ!」
ほむら「……まどか///」モジモジ
マミ「暁美さんって、羨ましいくらいピュアねぇ
名前を呼ぶだけなのに、まるで告白でもしようかってくらいの恥ずかしがりようだもの」
さやか「見てるこっちが恥ずかしくなりそうっすね」
ほむら「……っ///」
マミ「美樹さん、普段の二人はどんな感じなの?」
さやか「そうですねー……」
マミ「あら、いい感じじゃない」
さやか「いやそれが、どれもまどかが無理矢理連れ回してるように見えるんですよね」
マミ「あー……」
さやか「ほむらは照れてついてってる感じっすね」
マミ「だ、そうよ」
ほむら「……私、連れ回されてないです、鹿目さんと……///」
マミ「はいはい、わかってるから意地にならなくていいわ」
さやか「あたしより仲良さそうなんだけどなぁー」
マミ「そうやって遊んだときに、鹿目さんには何か伝えてる?」
ほむら「え……その、嬉しいよ、とか……また遊びたいなって……」
マミ「ふふふ
なら、暁美さんが少しずつ近寄るだけで、あとは鹿目さんがなんとかしてくれそうね」
さやか「あ、確かに、ほむらのことになると強気だし」
マミ「じゃあ、そうね
暁美さんの宿題は、明日は鹿目さんを『まどか』って呼ぶことにするわ
それができたらまたいらっしゃい」
し、失礼します……っ」
バタン
マミ「いい子ね」
さやか「……で?」
マミ「あら、その悪そうな顔は何かしら? 美樹さやかさん?」
さやか「もちろん、放っておくわけにゃあいきませんでしょう?」
マミ「うっふふふふ!
当然、こんな面白いことって、そうそうないじゃないっ!」
さやか「いやぁ〜〜他人の恋路ほど愉快なもんはありませんなぁぁ」
マミ「親友の恋をデバガメしようだなんてぇ……あなたも悪ねぇ」
さやか「そういうマミさんこそ、ぬぅっふっふ!」
マミ「もうっ♪」バシン
さやか「いでぇっ! マミさん、張り手、痛いっす……」
まどか「おはようほむらちゃん」
ほむら「お、おはよう……ま、鹿目さん」
まどか「えへへ、待たせちゃったかな」
ほむら「ううん、来たところ」
まどか「よかったっ、行こ行こっ」
さやか「旦那、目標が動きやしたぜ」
マミ「来たわね……行きなさい美樹さやか、そしてラブ・アシストをするのよ」
さやか「なんすか……その、ラブ・アシストって」
マミ「こ、恋のひと押しってやつよ///」
さやか(なぜ横文字にしたのかわからん……)
さやか「んじゃサポートしてきやす」
マミ「失敗のないようにね……報告を楽しみにしているわ」
さやか「旦那こそバレないように頼みますぜ、へっへっへ」
まどか「さやかちゃんおはよー」
ほむら「おはよう」
さやか「なんだなんだぁ? 今日はいつにもましてラブラブですなぁ?」
ほむら「えっ……///」
まどか「からかわないでよぅー、ほむらちゃんが困ってるでしょ?」
ほむら「ん……///」
さやか(いいぞいいぞ、朝からテンションバリバリにしてムンムンさせてやる!)
さやか「そういやさ、ほむらってまどかに話があるんじゃなかったっけ、もう話したの?」
ほむら「へ、えっ!?」
まどか「なになに、私でよかったらなんでも聞くよ?」
ほむら「え、えっ……///」
さやか「あれぇ〜? まだ言ってないのぉ〜? ほらほら言っちゃいなよぉ、ほむらちゃぁん?」
ほむら「っ……私、忘れ物っ……!」ダッ
さやか(なにぃ! 逃げんなよばかー!)
いいぞもっとやれ
ごめんねさやかちゃん! 私もついていくから!」
さやか「え、あ、うん……」
さやか(あれっ、計算と違うけど、なんかうまくいってる?)
ヒュー コツン
さやか「いてっ! 誰だよ小石投げたの」
マミ「……」ツカツカ
マミ「この、おばかっ」ベズン
さやか「いでぇ!」
マミ「追い込んじゃダメでしょっ、相手はあの暁美さんなのよっ」
さやか「で、でもぉ〜あたしのキャラ的にああいうやり方しか思いつかなかったんですよぉー」
マミ「もう……でもこれはこれで良い展開なのかしら」
さやか「でしょでしょっ?」
マミ「とにかく、私達のラブ・アシストはここまでね
あとは暁美さんのラブに任せるしかないわ」
さやか「気に入ったんすか……その言葉」
マミ「そうね、それじゃまた後で」
さやか「へーい」
仁美「あら? 今日はさやかさんお一人ですの?」
さやか「仁美こそ遅いじゃん、寝坊かー?」
仁美「ふふ、そんなところですわ
まどかさんとほむらさんはまだですの?」
さやか「いや、忘れ物取りに行ってんだよね」
仁美「あら……お二人とも?」
さやか「ん、やー……」
仁美「?」
ほむら「え……か、鹿目さん」
まどか「はぁっ、はぁ……ほむらちゃん、どうしたの?」
ほむら「そ、その……忘れ物、取りに」
まどか「ほんとに?」
ほむら「ほ……ほんとっ」
まどか「手、つないでいい?」
ほむら「えっ……うん」
まどか「……嘘でしょ」ニギニギ
ほむら「……っ///」
まどか「ごめんね、さやかちゃんって調子いいから」
まどか「でもほむらちゃんもほむらちゃん、言い難いことは言わなくていいんだよ?
内緒話だったら二人のときにすればいいんだし」
ほむら「…………ごめんなさい」メソ
まどか「……ううん、怒ってないよ
行こ、遅刻しちゃう」
まどか「私ね、ほむらちゃんのことならなんでもわかっちゃうんだ」
ほむら「え……」
まどか「ほむらちゃんが困っていたらすぐ助けられるように
神様が魔法をくれたの」
ほむら「……っ///」
まどか「なんてね、嘘」
まどか「ほむらちゃん、家に帰るときはいつも向こうの通りを使うでしょ?
こっちは横断歩道ないから」
まどか「だから忘れ物は言い訳だなってわかったの」
ほむら「あ……そ、そっか」
まどか「えへへ、ちょっとカッコつけちゃいました」
まどか「ってそんなこと言ってる場合じゃなかった! ほむらちゃん走らなきゃ間に合わない!」
ほむら「わっ……!」
ほむら(本当は、ちょっとだけ)
ほむら(そんな魔法を期待してしまったのでした……)
仁美「ビックリしましたわ、お二人がチャイムギリギリに走ってくるなんて思いませんでしたから」
さやか「ああ、うん」
さやか(うへぇ、罪悪感)
ほむら「ご、ごめんなさい」
まどか「仕方ないよ、私だってよく忘れ物しちゃうし」
仁美「ですが、どうしてまどかさんまで取りに戻りましたの?」
まどか「えへへ、なんでだろ、わかんない」
ほむら「……///」
仁美(なんでしょう、この出来上がってる感は)
さやか(もうこいつら夫婦でいいじゃん)
ほむら「っ! ま、まだ……」ヒソヒソ
さやか「ったくもー、今から話を盛り上げるから、どさくさに紛れて呼んじゃいなよ
一度呼べば抵抗もなくなるからさ」ヒソヒソ
ほむら「ええっ……そんな、いきなりは」ヒソヒソ
さやか「あ、それでさ〜まどっち?」
まどか「ま、まどっち?」
さやか「あれ! まどかってみんなからそう呼ばれてんじゃん」
仁美「クラスの方は男女隔て無くそのように呼ばれてますわね」
まどか「かわいいとは思うけど……でも、なんで『っち』ってつけるんだろう」
仁美「あら、それはきっとたまごっちの影響ですわ」
まどか「あっ、知ってる! ママが持ってた!」
仁美「あの頃からそのようなニックネームの付け方が幅広く使われるようになったのかも知れませんわ」
まどか「そうなんだ〜」
さやか(ぐぬぬぬ! 仁美め、話題をそらしよるっ!)
さやか「それでさそれでさ、まどっち?」
さやか「そう? じゃーまどか」
まどか「うん」
さやか「まどかまどか」
まどか「う、うん」
さやか「まどかまどかまどか」
まどか「ばかにしてる?」
さやか「ほ、ほら、ほむらも!」ヒソヒソ
ほむら「ま……ぁ、ぁ……か、鹿目さん」
さやか(ズコーッ!)
まどか「ほむらちゃんもー、まどかって呼んでよぅ」
仁美「あら、ほむらさんは名前で呼んでいませんの?
てっきり、もっと深い仲かと思っていましたのに」
ほむら「へっ……そ、そんな、まだ転校したばかりで」
仁美「ふふふ、そういえばそうでしたわね
まどかさんととても仲良くされてましたから、なんだかずっと前からお友達のように感じていましたわ」
仁美「ええ、とても」
まどか「ふ、二人共やめてよぅ///」
さやか「おいこら、チャンスだぞ、今やらなきゃ誰がやるっ」ヒソヒソ
ほむら「……」
さやか「おーい」ヒソヒソ
ほむら「わ、私! その……先に行ってます」ダッ
さやか「え、おいっ」
まどか「わわ、ほむらちゃんっ!」
まどか「さやかちゃん!」
さやか「ひゅぃっ!」
仁美「ほむらさんと何をコソコソしていましたの?」
まどか「ほむらちゃんに変なことさせようとしてたでしょ
さやかちゃんも今日はテンションおかしいし、私わかるんだよっ?」
仁美(あら、ほむらさんのことになると本気度が変わりますのね……ぽっ)
ほむら(友達を名前で呼ぶのは初めてだもの)
ほむら(この気持ちを誤魔化したくない……鹿目さんには、ちゃんと受け取ってほしい)
ほむら(でも……言うの、怖い)
『男女の恋愛よりもハードルは高いのよ、それはわかってるわね?』
ほむら(怖いよぅ…………)
まどか「見つけた」 手ギュ
ほむら「ひゃっ!」
まどか「一人でどっか行くの禁止だよぅ」
ほむら「鹿目さんっ」
まどか「さやかちゃんってね、悪い子じゃないんだよ
ちょっと調子がいいとこあるから、面白がって色々しちゃうんだ」
まどか「だから許してあげてほしいな」
まどか「怒ってる……?」
ほむら「ぅ、ううん……」
そういうときは、私もつれてって?」
ほむら「で、でも、迷惑じゃ……」
まどか「迷惑って思う仲ならここにいません」
ほむら「はぃ……」
まどか「ねえほむらちゃん」
まどか「鹿目さんっていうの、そろそろやめてほしいなって思う」
ほむら「え……」
まどか「そろそろね、ほむらちゃんからも仲良ししてもらわないと
私寂しいかも……」
ほむら「そんな、私は嬉しい……こうして一緒にいてくれるだけで私は」
まどか「えへ、だからね、それを形にしてほしいなって思うんだ
私だって、本当は迷惑かもって不安なんだよ?」
ほむら「……そう、だよね」
まどか「うん……私もほむらちゃんとおんなじ」
ほむら(私の勇気で……あなたが幸せになれるなら)
まどか「うん」ニギニギ
ほむら「……まどか」
まどか「うん……ほむらちゃん」
ほむら「……っ///」
まどか「あ、目そらしたー」
ほむら「はぅ……///」
まどか「えへへっ、嬉しいな」
ほむら「ごめんね……名前で呼ぶの、慣れてなくて……」
まどか「恥ずかしがり屋さんなんだから、こっちまでドキドキしちゃった」
まどか「ほむらちゃんって、あんまり笑ったりしないでしょ
いつも寂しそうで……だから不安だったんだ」
まどか「嫌がられてるんじゃないかって」
まどか「でも、ちゃんと仲良くなれてよかった、これからもっともっとよろしくねっ」
ほむら「こちらこそ///」
まどか「また照れてる、えへへっ」
さやか「んん〜! 今日も終わった終わったぁ」
まどか「さやかちゃん、おじさんっぽい……」
さやか「勉学の疲れってね、んじゃ帰りますか〜」
ほむら「うん……」
仁美「あらいけない、さやかさんとお買い物する予定でしたわ」
さやか「はえ!?」
仁美「いけませんわ、お店がしまってしまいます」
さやか「ええ!? んな約束したっけ」
仁美「これはいけません、私達はお先に失礼しますわ、おほほ」
さやか「うおぅ!? 仁美、あーた力持ちね」
まどか「行っちゃった……言ってくれたら付き合ったのに」
ほむら「変な二人」
まどか「あははっ、もしかしたら気を遣ってるのかも?」
ほむら「えっ……///」
ほむら「え……あの、その」
まどか「ごめんごめん、冗談」
まどか「ごめんね、ちょっと嫌になっちゃった?」
ほむら「そんなことない、よ?」
まどか「そう? じゃあさ、折角だし二人で寄り道しよ?」
ほむら「ま……まど……まどかが、よければ」
まどか「決まりっ、じゃぁ帰ろっ」
ほむら「うんっ」
ほむら(今も、手をひくのはまどかで、私は後を追いかけてる)
ほむら(今はそれでいい)
ほむら(いつか、今度は私があなたの手をひけたら)
ほむら(そんな夢を見て、甘いひとときに揺られるのでした)
マミ「して、良好かね」
さやか「それはとても……ついにほむらは名前で呼ぶようになりやした」
マミ「ほう……」
さやか「それもなかなか良いムードでありやした」
マミ「結構」
マミ「では次は……休日デートであるな」
さやか「な……! しかし艦長、それはまだ荷が重いのでは」
マミ「私には時間がないのだよ、なにせ受験があるのだから」
さやか「い、いきなりリアルな話になりましたね……」
マミ「もう、変なつっこみしないでよ、雰囲気作ってたのにぃ」
さやか「作ってたんすか……」
鹿目さんはふわふわしてるから、それでも応じてくれるでしょうけど」
さやか「そりゃそうっすよ、やっぱり順序っていうか、下心は隠してもらわないと興ざめっすよ」
マミ「でもあの二人は女の子同士なのよ」
さやか「な、なるほど!」
マミ「これはただのお出かけ、デートではない」
さやか「なるほど!!」
マミ「暁美さんはそうは思わないでしょうけどね、ふふ」
さやか「な、何を考えておいでで……」
マミ「なぁに、私はあの二人に幸せになってもらいたいだけ」
さやか「本音は?」
マミ「困ってる暁美さんが見たーい♪」
さやか「ふふふ、話がわかる人だ、お付き合いしやすぜ」
マミ「良い良い、では次のオペレーションの準備よ」
さやか「そう思いやして、既に刺客を送り込んでおります」
マミ「うふふ……部下に恵まれて幸せだわ」
さやマミの手を逃れたほむらを待っていたのは、また百合だった。
デバガメの影に見え隠れする痴情と波乱。
見滝原が生み出した百合の街。
魔女と魔法少女、希望と絶望とをコンクリートミキサーにかけてブチまけた
ここは惑星まどマギの木間市。
次回「困惑」。
来週もほむらと百合に付き合ってもらう。
まどか「見滝原タワー?」
さやか「そうそう、ペアチケットもらったんだけどさぁ、恭介の奴出れないじゃん?
だからまどかにあげる!」
まどか「いいの? 入場券高かったよね」
さやか「いいのいいの! あたしはどーせ相手いないんだし」
まどか「私だっていないよ」
さやか「ほむらがいるじゃん」
まどか「そ、そういう意味ならいるけど」
さやか「ん? そういう意味って?」
まどか「え……ぅ、秘密っ
じゃあ、これもらっちゃうね」
さやか「うんうんっ、ほむらによろしくね」
まどか「ありがとーっ」
まどか「ていうわけなんだ」
ほむら「見滝原タワー、行ったことない……」
まどか「ほんとっ? じゃあ行こっ! 日曜日行こうよーっ」ピョンピョン
ほむら「う、うんっ///」
まどか「えへへ、今まで入院してた分、い〜っぱい遊ぼうねっ」
ほむら「……っ///」
まどか「もう、なんで照れるの?」
ほむら「う、嬉しくて」
まどか「えへ……私まで照れちゃうよ?」
ほむら「っっ///」
まどか「帰ろぉ、日が暮れちゃう」
ほむら「うん……」トテトテ
マミ「ええ聞きましたわ奥さん」
さやか「これは」
マミ「これは」
さやか「行くしか!」
マミ「ないわね!」
巴部屋
マミ「まさか、美樹さんが先を考えてチケットを用意しているなんて思わなかったわ」
さやか「いやぁ、これも親友二人の為ですから」
マミ「そうよね、二人の為よね」
さやか「そうですとも」
マミ「二人の為に、ちゃんとフォローしないとね」
さやか「そうですとも、断じてデバガメではありません」
マミ「当然、これは二人を見守るラブ・アシストッ」
さやか(それは違うだろ……)
ほむら(どうしよう……っ)
ほむら(舞い上がって……約束しちゃったけど……わたし、わたし……)
ほむら(は、はじめての、デート……っ!)
ほむら(まどかとデート……あぁあぁぁぁぁ)ワタワタワタワタワタ
ほむら(な、何着ていこう……)
クローゼットガラッ
ほむら(……かわいいのない)
ほむら(うぅぅぅーー……)
巴部屋
さやか「なるほど」
マミ「なるほど」
ほむら「……えと、その」
マミ「つまりデートの基本を!」
さやか「学びたいと言うわけか!」
マミ(ないわ)キッパリ
さやか(ど、どうするんすか! あたしだって人に助言できる立場じゃないってのに)
マミ(まぁ任せなさい)
マミ「まず暁美さん、あなたと鹿目さんは女の子同士よ」
ほむら「そ、そう……ですよね」
マミ「だから一般的に見ればこれはデートとは言わない」
ほむら「……」シュン
マミ「落ち込むことかしら、逆に考えれば肩肘をはらなくて済むんじゃないかしら」
さやか「おお……!」
マミ「女の子同士が休日にお出かけ、そんなのよくあることよ
そこに着ていく服だとか、デートのやり方だとか、そんなものは必要ないわ」
マミ「ありのまま、普段通りのあなたでいいじゃない!」
さやか「そ、それっぽいことを言っているように聞こえる……!」
マミ「そこ、うるさい」
ほむら「誠意、とか……見せたくて」
マミ(何よ、随分と言えるようになってきたじゃない)
マミ「そこまで考えてるのなら話は早いわ」
マミ「暁美さんは鹿目さんを楽しませたいの? それとも器量のあるところを見せたいの?」
ほむら「え……」
マミ「ごめんなさいね、ちょっと聞こえが悪いけど、大事なことなの」
マミ「あなたが戦略的に考えてるならアドバイスの方向性も変わるのよ」
ほむら「私は……まどかに、楽しんでほしい
いつも私のことばかり考えてもらってるから、恩返ししたい、です」
マミ「そう、なら……何も考えなくていいわ
ありのまま、あなたがしたいと思うようになさい、それが一番のアドバイス」
ほむら「で、でも……」
マミ「ふふ、それだけじゃ不安でしょうから、洋服選びは付き合ってあげるわ
美樹さん!」
さやか「あいあいさ! ピッポッパ」
トゥルルル トゥルルル
仁美「お待ちしてました」
マミ「良い部下、良い人脈……そしてこの私の頭脳、組織に必要な三拍子が整ったわ」
さやか(自分で言ったよこの人……)
さやか「悪いね仁美」
仁美「いいえっ、他でもないほむらさんの為ですもの」
ほむら「もしかして、ここって……」
仁美「はい、うちが所持してるデパートです」
さやか「おっかねっもちー」
仁美「ですので、自分のものだと思って自由に見て回ってください
お値段もお気になさらないでください、お友達になった記念とでも思ってくださいな」
ほむら「え、あの」
さやか「だからー、仁美が服買ってくれるって言ってんの、ほらさっさと選ぶ!」
マミ「ふふ、任せて、私が完ッ璧なコーディネートを伝授してあげるわ」
さやか「そりゃデパートだもん」
マミ「はーい暁美さん、動かないで
うーん……明るい色は難しいわね」
仁美「そうですわねぇ、ほむらさんは落ち着いた色合いがいいかも知れませんわ」
さやか「てなるとゴシック系?」
マミ「それならこれ! 試着してみてっ」
ほむら「え、そのっ」
仁美「物は試しといいますわ、着てみればご自分の印象も終わりますのよ」
さやか「ほうら仁美も言ってんだからさっさと着替えるっ!」
シャー
ほむら「……///」
マミ「う、うーん?」
さやか「いやまぁ」
仁美「巴先輩が着るのであれば素敵だと思いますけど……」
仁美「まず服のボリュームですわ
体格が大きく見えてしまいますから、ほむらさんの小顔とバランスが取れていませんの」
マミ「な、なるほど……」
仁美「それと胸元、このラインがゆったりしていると大人らしさや女性らしさを印象づけますけど
中学生が着るといささか不釣り合いですわ」
マミ(グサッ……私のファッションセンスが、否定された……ッ!)
マミ(この波動、ピーコと同類!)
さやか「マミさんの霊圧が……!」
マミ「って、おばかなコントやってる場合じゃないわよね」
さやか(切り替わり早っ!)
マミ「そうねぇ、ならゴスロリ方面?」
仁美「そこまで思い切ることもないかと思いますけど
ほむらさんの黒髪を引き立てるなら、少女的な着こなしが良いかも知れませんわ」
さやか「それならこれ! これ着てみよう!」
ほむら(ちょっと、楽しい……)
ほむら「っ……///」
仁美「ブラウスはレースで上品さ、高級さを演出して
暗めのチェックのスカートは足りない色合いを補っていますわね」
さやか「そこもいいんだけどさ、足元見てよ、足元!」
マミ「ニーソックスに黒のシューズね
これは当たりだわ」
仁美「ほむらさん、ちょっと髪を触りますわね」
ほむら「きゃ///」
仁美「ほら、三つ編みをツインテールにすれば」
さやか「お、おおーー……」
マミ「これは……」
仁美「さやかさんお手柄ですわ、良い組み合わせですわね」
ほむら「か、鏡……」トテトテ
ほむら「わ……///」
仁美「どうです? 少しスカートが短い気もしますけど」
さやか「やば、値札見てないや」
仁美「おいくらでも平気ですわよ」
マミ「暁美さん、それに決めるの?
私はとってもいいと思う、お忍びのお姫様みたいよ」
ほむら「っ///」
さやか「やっば……これ男子が見たら惚れるわ」
ほむら「あのっ……これ、に……します」
仁美「はい、はい、ではこれで」
さやか「旦那、仁美のやつ……現ナマで払ってやすぜ!」
マミ「諭吉が! 諭吉!」
さやか「庶民の敵め……!」
ほむら「志筑さん……ちゃんと、返すね」
仁美「やめてください、プレゼントはプレゼントです
お返しは義務ではなく好意でしてくださいな」
ほむら「……ぐすっ」
仁美「あ、あらあら」
ほむら「ありがとう……っ」
仁美「確かに私はお金使いが普通ではありませんけど
気持ちとしては普通のお友達がプレゼントを送るのと同じですわよ」
ほむら「ううん……私、プレゼントされるの、嬉しくて」
さやか(ずっと入院してたんだもんな……)
仁美「素直で、綺麗な感性をお持ちですのね」
仁美「あなたに愛される殿方は、きっと誰よりも幸せなのでしょう」
仁美「あ、殿方ではないかも?」
ほむら「!?」
仁美「ふふふ♪」
まどか「あっ、ほむら……ちゃん?」
ほむら「お、おまたせ」
まどか「わ、わっ……」
ほむら「……っ///」
まどか「髪、かわいい、服もかわいいっ」
ほむら「う、うん」
まどか「どうしよう、私すっごく普段着だよぅ」
ほむら「まどかも、かわいい、よ……」
まどか「も、も〜〜っ///」
まどか「えへへ、ほむらちゃんがオシャレするなんて
もしかして今日期待してる?」
ほむら「し、してる……」
まどか「わぁ、私がんばらなきゃ」
ほむら「えと、私は……まどかと一緒ならそれだけで」
まどか「おだてても何も出ないよ〜?」
ほむら「ありがとぅ」
まどか「ここすっごいんだよ、高いし色んなお店あるし」
ほむら「まどか、詳しいんだね」
マミ「動いたわ」
さやか「行きやすか」
マミ「ええ、遅れないようにね」
さやか「だそうだ、行くぞ新人っ」
仁美「おほほ」
まどか「あのね、私さいしょに行きたいとこあるんだ」
ほむら「うん、連れてって……///」
マミ「あれは……プラネタリウム?」
仁美「開幕プラネタリウムとは……レベルが高いですわ」
まどか「私ね、タワーに来たら絶対ここに来るんだよ」
ほむら「星、好きなの?」
まどか「どっちかっていうと神話が好きなのかな
どのお話もちょっと切なくて、子供の頃から気に入ってるんだ」
ほむら「ん……」
投影開始
『――彼女の願いは決して叶う事はないのです
その願いこそ、彼との永遠の別れを約束していたのです
それを哀れに思った神々は二人の間にある時間の流れを断ち切り
夜空に浮かべ、いつでも会えるように――』
まどか「……ん」ウルウル
ほむら(まどか……泣いてるの?)
ほむら(……何か、してあげたい、したいけど……何をすれば)
ほむら(まどかはこういうとき、いつも手を握ってくれた……勇気を出すの……っ)
ほむら(えいっ……) 手ギュ
まどか「あ……えへ」ニギニギ
まどか「えへへ……手、つないじゃった」
ほむら「い、嫌だった?」
まどか「ううんっ、ほむらちゃんからしてもらうの初めてだったから嬉しかったよ?」
ほむら「よかった……」
まどか「ほむらちゃん優しいねっ」
ほむら(その優しさも、あなたが教えてくれたのよ……)
さやか「な、なんかめっちゃくちゃ良いムードっすね」
仁美「素晴らしい、素晴らしいですわ」
マミ「ああんもうっ、ごちそうさまっ」
まどか「ほむらちゃん、おなかすいた?」
ほむら「うん、私はいつでも食べれるよ」
まどか「じゃあさ、甘いの好き?
おいしいケーキ屋さんがあるんだよっ」
ほむら「そこも、連れて行ってほしい……」ワクワク
さやか(さっき店のグループ名に志筑って入ってたけど、きっと気のせいだ……)
マミ「すみません、ガトーショコラとミルフィーユ、ミルフィーユはこっちのイチゴの」
さやか(マミさーん!!?)
まどか「あ、きた」
まどか「えへへっ、ホットケーキぃー♪」
ほむら(まどか、かわいい……///)
まどか「わぁ、ほむらちゃんのアップルパイもいいなぁっ
シナモン香ばしい〜」
ほむら「食べる?」
まどか「うんうんっ、交換しよっ」
ほむら「うん……っ///」
マミ「はぐはぐはぐ」
さやか(この人は……栄養がぜんぶ胸に行く人種って、実在したんだなぁ)
まどか「えー」
ほむら「……?」
まどか「食べさせてくれないの?」
ほむら「えっ……///」
ほむら「ほ、ほんとに……?」
まどか「えへへ、してみたかったんだ……」
ほむら「……っ///」
まどか「待ってる……///」
ほむら「……はぃ」
まどか「あむ……ん、おいひい///」
仁美「あ、あの二人」
さやか「やりよった」
マミ「あれは……食べさせあいに見せかけた、間接キッス……!」
仁美「まどかさんは天然ですからね」
さやか(お前が言うのか――!!)
まどか「ほむらちゃん、あーん」
ほむら「えっ、えっ……///」
まどか「私もしたいよぅ」
ほむら「っっ///」
まどか「えへ、顔真っ赤だ」
ほむら「まどかぁ……」
まどか「ほむらちゃんおねがい♪」
ほむら「……ぁ、ぁーん……」
ほむら「はむ……ん、ん」
まどか「んふふふ///」
ほむら(こ、これ、もしかして、間接キスなんじゃ……///)
ほむら「まどか」
まどか「なあに?」
ほむら「う、動かないで」
ひょい
まどか「あれっ、ついてた? やだ、恥ずかしいよぅ///」
ほむら「ふふ、とっちゃった」
ほむら(……って! どうしよう! 何も考えないで指でとっちゃったけど……っっ!!)
ほむら(ってててて!! 私、まどかのほっぺに……さわ、さわって……!)
ほむら(どうしようどうしようどうしようっっ……///)
まどか「はむ」
ほむら「っ!?」
ほむら(ま、まどか……それ、私の指……///)
まどか「生クリームもおいしいんだよね、えへへっ///」
ほむら「はぅ……///」
さやか「……ま」
マミ「んぐんぐ、すみませんパフェを」
さやか(おいぃ!!?)
まどか「ごっごめんね! やだった?」
ほむら「う、ううんっ、びっくりした」
まどか「えっへへ」
まどか「恥ずかしくなってきちゃったな……///」
ほむら「うん……///」
タワー2F
まどか「ほむらちゃんおいしかった?」
ほむら「うん、ちゃんとしたパイは初めて食べたかも……」
まどか「よかったぁ」
ほむら「……っ///」
ほむら「え?」
まどか「えへへ、展望台いこ」
ほむら「うん、いいよ」
さやか「ああもう、マミさんが食べてる間に見失ったじゃないですかぁ」
仁美「まぁまぁ、もう夕暮れ時ですわ、ここから先は野暮というもの」
マミ「仕方ないじゃない、おいしいんだもの」
さやか「よく太らないっすね」
マミ「不思議よね」
さやか(自分で言ったよこの人!!)
仁美「さて、私は門限がありますので、そろそろ」
さやか「あ、うん、今日はありがとね仁美」
マミ「志筑さん、またよろしくお願いするわ」
仁美「ええ、またご一緒させてくださいな、それでは失礼します」
マミ「……やめておきましょう
覗き見るのも勿体無いくらい、あの二人は素敵だもの」
さやか「んーよくわからないけど、もうあたしらがフォローする必要もなさそうですしねー」
さやか「……帰りますか」
マミ「そうね、今日は満足したもの」
さやか「主に胃袋的にっすか」
展望台
ほむら「まどか、いつまで目隠ししてるの……?」
まどか「まだだよー」
ほむら(んん……まどかの身体がくっついてて……///)
ほむら(何も見えないから、余計に変なことを考えてしまう……)
まどか「もうちょっとかな」
ほむら(ずっとこのままがいい……)
ほむら「わ……わ、これ……」
ほむら(夕焼けに町が染まってる……影がゆっくりと動いてて、不思議……)
ほむら(まどか……素敵だよ、こんなに不思議な景色、初めて見る)
まどか「えへへ」
ほむら「すごい……」
ほむら(ど、どうしよう、言葉が出てこないよ、本でたくさん言葉を学んだのに)
まどか「ほむらちゃんにも、この景色が大切な思い出になってくれたらいいなって、そう思うんだ」
ほむら「私は……まどかと一緒なら、どんなときだって……」
まどか「へへ、それ反則……うれしいけど」
ほむら「ん……///」
ほむら「うん、一番の思い出になりそう……」
まどか「……うん///」
まどか「……初めはね、困ってるほむらちゃんを助けたかったんだ
そのうち入院してたほむらちゃんに、色んな楽しいことを教えたいなって思うようになったの」
まどか「今は、もっとほむらちゃんと仲良くなりたいって思う……
一番の友達になって、何年たっても一緒にいたいなって……」
まどか「あははは……気が早いよね」
ほむら「ううん……すごく、うれしい……ぐすっ」
まどか「泣かないで……」ナデナデ
まどか「私ね、今ならほむらちゃんのことたくさんわかるんだ
今のは、嬉しい困り顔」
ほむら「……っ///」
まどか「それはね、照れてる困り顔」
ほむら「まどか……」
まどか「ほむらちゃん……目、とじて」
ほむら「え……うん」
まどか「……ん」 ほっぺちゅ
ほむら「っ!!?」
ほむら「ま、まどか……あのっ」
まどか「言わないで」
まどか「自分でもよくわかんないんだ……私の気持ち」
まどか「ほむらちゃんのこと、大好きだよ
でも、この好きがどういう好きなのか、よくわからないんだ」
ほむら「……」
まどか「困らせちゃうよね……」
ほむら「……まどか」
まどか「ほむらちゃんが優しいの知ってるから、私はそれに甘えちゃうんだ……
どんなにしたって嫌って言わないから……こんなこともしちゃってる」
ほむら「私は……ほんとに、嬉しいから」
まどか「やっぱり、優しい……」ギュ
ほむら「…………」
百合とデバガメ、志筑家、さやか、マミ、インキュベーター。
入り乱れる人波を縫って、二人を乗せた運命のコースターが飛び交う。
見滝原に咲き乱れる、百合に守られた塔は何。
ちっぽけな胸に抱かれた甘美なる恋愛劇。
その時、ほむらは叫んだ。
まどか!と。
次回「真実」。
いよいよキャスティング完了。
まどか『あ、あのね……ほむらちゃんが嫌だったら、今日のことは忘れてっ
私、怖いんだ……もしね、明日から仲良く出来なくなったらって思ったら、怖くて
もう、私なに言ってるんだろう……ごめんね、ほんとにごめん……』
ほむホーム 深夜
ほむら「まどか……」
ほむら「私もね、大好きよ……」
ほむら「……まどか」オフトンムギュ
『私もそういう人達は知っているけど、上手く付き合えてるカップルはとても稀なのよ』
ほむら「私はまどかと恋人になりたいの……?」
ほむら「私は……もっと仲良くなりたい、けど
今のままでも……」
ほむら「私だって……わかんない……この気持ちは恋なの?」
ほむら「まどかぁ……」
さやか「おじゃましまーすっと」
杏子「あん?」
さやか「なんだ杏子か」
さやか「ってなんで杏子がいんの!?」
杏子「腹減った」
さやか「理由になってないよ!」
マミ「私が呼んだのよ、見滝原で魔女狩りしたいって言うから相談してたの」
さやか「ってことは杏子は魔法少女だったの!?」
杏子「そーいやーさやかには言ってなかったかぁ
んでもマミと知り合いなら魔法少女のことは知ってんだろぉ?」
マミ「そんなに話してないわよ
変に関心持たれても厄介だもの」
杏子「まぁなー」
さやか「魔法少女ってそんなに危険なの……?」
杏子「あー危険っつーか、ならなくていいならなるもんじゃないってところかな」
杏子「マミーそれとって」
マミ「歩きなさい」
杏子「んぇーー? じゃいーや」
マミ「だらけすぎよ……」
さやか「まどかも、魔法少女なんですよね」
マミ「ええ……」
さやか「あいつ、馬鹿だし天然だしドジだしおっちょこちょいだから……」
マミ「わかってるわ、ちゃんと守ってるわよ」
杏子「マミ、新入りでもいんのか?」
マミ「ええ、最近なったばかりなの」
杏子「んなもん捨てちまえよ、足手まといがいると危ないのはマミの方だぜ?」
さやか「す、捨てるって……」
マミ「ダメよ、大切な友達なの」
杏子「はぁ、やっぱ魔法少女に私情は持ち込んじゃいけねえってわかるわ……悲しいだけだもんな」
杏子「しょーがねーだろ、命かかってんだから……」
マミ「そうね、その覚悟がないなら魔法少女は務まらないわ」
さやか「あいつは……まどかは、そんな覚悟……」
マミ「あの子はあの子なりの覚悟があるわ」
さやか「……まどか」
巴部屋
ほむら「お邪魔します」
マミ「来たわね、今日はどんな相談かしら」
さやか「恋の悩みなら!」
マミ「即時解決!」
杏子「……」
マミ「暁美さんは初対面よね、この子は杏子、私と同じ魔法少女なのよ」
杏子「おう、よろしくなー」
さやか「なるほど」
マミ「それはもう、おめでとうと言わざるをえないわね!」
さやか「まさか、まどかがそっち方面だとはなぁ……」
マミ「暁美さん、これ以上あなたに出来るアドバイスはないわ」
ほむら「え、で……でも」
マミ「だってそれは告白よ? あとは暁美さんが応えるだけじゃない」
ほむら「そ、そうじゃないんです……
私も、まどかも、この気持ちを形にしていいか迷ってて……」
ほむら「だから……どうしたらいいのか、聞きたくて」
さやか「つってもなぁ、もう付き合うしかないと思うんだけど」
杏子「おめーらわかってないなぁ」モグモグ
さやか「何よ妖怪タダ飯ぐらい」
杏子「おま、タダ飯じゃねえよっ、ちゃんと共闘するっていう約束で飯食ってんだぞ!」
杏子「そいつはよ、友達としての関係をとるか、恋人としての関係をとるか悩んでんだろ?」
杏子「つまりあれだよ、女友達がいいのか、同性だけど異性として認めるのかって悩みなわけだよ」
ほむら「そ、そうです……!」
マミ「難しい悩みよねぇ」
さやか「さすがにあたしらの知らない世界なわけで……」
杏子「アンタさ、その悩みをアタシらに聞いてどうすんだよ
そりゃー何かしらの答えは出してやるぜ?
でも人に言われた答えを、そのまま相手さんに持ってって、アンタはそれでいいのか?」
ほむら「……い、嫌……私は、私の言葉で……応えたい」
杏子「んだよ……そこまでわかってんなら自分で考えろよなー」マグマグ
ほむら「自分で……」
マミ「そうね、今まで私達がアドバイスしてきたもの、もう独り立ちするときじゃないかしら」
さやか「ほむらにはまどかって強い味方もいるわけだしね〜」
バタン
杏子「青春だねぇ」
さやか「なーに感傷してんのよ」
杏子「魔法少女やってっと、子供時代が吹っ飛んじまうからなぁ」
マミ「あら、私は両立してるわよ」
杏子「アタシもマミみたいに立ち回りたいねぇ」
さやか「杏子はまず学校行くところから始めなさいよ……将来苦労するぞ」
杏子「いーんだよ、どうせ魔法少女やってる限りいつかは死んじまうんだ」
さやか「……言うなよ、そういうの」
杏子「……ばーか、まだ死なねえよ」
ほむら(答えは……自分で!)
ほむら「ま、まどか……っ」
まどか「ほむらちゃん///」
ほむら「……っ///」
まどか「……えへ」
ほむら「あ、あのね……今度の日曜日ね、遊びに……いかない?」
まどか「わ……うんっ」
ほむら「よかった……」
まどか「ほむらちゃんに誘われるのって初めてだっけ
えへへ、期待しちゃおっかな♪」
ほむら「そ、そんな……困る///」
まどか「あははっ、ほむらちゃんかわいい」
ほむら「ん……///
あのね、これ……」
まどか「わ、遊園地のチケット?」
ほむら(ほんとは……自分で買っちゃったの)
まどか「えへ……わたしを連れてって」
ほむら「はぅ……///」
さやか「旦那、聞きやしたか?」
マミ「当然」
さやか「これはもちろん……?」
マミ「当然!!」
さやか「さすが旦那ァ!」
マミ「ここまで付き合っておいて、最後を見ずに終わるなんて我慢ならないわ!」
さやか「潔すぎるデバガメ精神! さすがっす!」
ほむら「着ていく服も、自分で考えなきゃ……」
ほむら「えっと、えっと……」
ほむら「そ、そうだ、髪……おろしちゃおう」
ほむら「……ふふ///」
遊園地 ゲート前
ほむら(あ、まどかもう来てる……)
まどか「ほむらちゃ〜ん、て……」
まどか「わああ……髪型かえると、ほむらちゃんすっごく大人っぽい」
ほむら「その……どう?」
まどか「今のほむらちゃん、お姉さんみたい///」
まどか「ねえねえっ、私もオシャレしたんだ……どうかな」
ほむら「えっと……かわいくて、あの……かわいい、えっと……かわいい」
まどか「もおっ、ほむらちゃんのが可愛いっ♪」
ほむら「ご、ごめん……///」
マミ「いいわ、尾行開始!」
杏子「アンタらなぁ、邪魔だけはすんなよ」
さやか「しないってば、遠くから見るだけ」
杏子「見てどうすんだよ」
マミ「……幸せになれるでしょう?」
杏子「悪い、マミがかわいそうに見えた」
まどか「ほむらちゃん、どこから行くっ?」
ほむら(まどか、とっても嬉しそう……)
ほむら「まどかは行きたいところある?」
まどか「えへ、コーヒーカップとかどうかな」
ほむら「うん、行こ」
まどか「あっ、待って」トテトテ 手ギュ
ほむら「ぁ……っ///」
まどか「えへへっ///」
まどか「ほ、ほむらちゃん、あんまり回しちゃやだっ」
ほむら「ふふ、ちょっとだけ」ゴリゴリ
まどか「きゃ、きゃあああっ」ギュゥゥゥ
ほむら「ふふふっ、ええいっ」
まどか「だぁめっ、ほむらちゃ、やあぁだぁっ」ムギュリ
杏子「おい、そこ回す奴なんだから、肘ついてくつろぐなよ」
さやか「あたしらの目的は尾行だよ? 回してどうすんのさ」
マミ「美樹さん、お行儀悪いわよ」
さやか「えー?」
杏子「ほらほらどいたどいた、回すぞおお!」
さやか「うわっ! ちょ!」
マミ「ひいぃぃ!!」
杏子「オラオラオラオラオラ!!!」
さやか「ちょっ! 待って回し過ぎ! 遠心力が! 助けてニュートン!!!」
ほむら「ごめんね……つい」
まどか「んもー」
ほむら(可愛い声を出すまどかが悪いんだから……)
まどか「次はね、あれ乗るっ」
ほむら「じぇ、じぇっとこーすたぁ……」
まどか「ほむらちゃん苦手?」
ほむら「えと……私、初めてで」
まどか「大丈夫! そんなに怖くないよ?
怖かったら、私にぎゅってしてれば平気」
ほむら「じゃ、じゃあ……うん」
まどか「えへへ///」
マミ「ちょっと、休憩……」
杏子「なんだよ、あれくらいでグロッキーかよ」
さやか「筋肉馬鹿め……」
ほむら「高いだけ、高いだけ……」
まどか「ほむらちゃん見てっ、山見えるよー」
ほむら「あ、ほんと……」
ガタン
ほむら「きゃ、ひあぁぁぁぁっっ」
まどか「きゃぁぁっ、あはははは!」
ほむら「ひううぅぅ!」
まどか「ほむらちゃん、ぎゅってしすぎぃ、あははっ」
ほむら「きゃぁぁぁっっ」
まどか「あははははっ、いいこいいこっ、あははは!」
まどか「ほむらちゃん、すっごい怖がってたーあははは」
ほむら「足、ふらふらする……」
まどか「えへ、楽しかった?」
ほむら「怖かった……///」
マミ「……ん、これ」
杏子「んー?」
マミ「……気のせいよね」
まどか「ほむらちゃん大丈夫? ごめんね、今度は私が調子乗っちゃった」
ほむら「ううん、平気……」
まどか「あ、観覧車乗ろ、ゆっくりしよ」
さやか「おっ、次は観覧車乗りやすぜ!」
マミ「観覧車ですって!」
さやか「出口のない密室でふたりきり……」
マミ「美樹さん! なんとか潜入してきて!」
さやか「無理だーー!?」
杏子「アンタら心底楽しんでるよな」
まどか「んしょ、えへへ……」
ほむら「……っ///」
まどか「……高いとこ登ると、この前のこと思い出しちゃうね」
ほむら「……」
まどか「ほむらちゃん、聞いてほしいんだ……あの日の続き」
ほむら「……うん」
まどか「私ね……やっぱり、ほむらちゃんが好きだよ
友達としても大好き、でも私はそれよりもっともっと好きなんだって思ったの」
まどか「気持ち悪いよね……でも、もし嫌われちゃったとしても、私は告白したいって思った
だから、言うね」
まどか「私は……ほむらちゃんが好き」
ほむら(声が、出なかった)
ほむら(まどかの告白は願ってもないもので、私だって同じ気持ちだったのに
今の私は思ったことも言葉に出来ないほど臆病だ)
ほむら(観覧車がゆっくりと下り始める)
まどかは好き、でも私が本当に望んでるのは、今のまま幸せな友達として暮らすことなのか
同性愛を受け入れて進む未来なのか、悩んでいた)
ほむら(それでも、こんなにも優柔不断な私なのに
まどかの手を掴んで離そうとはしなかった
この手を離せば、そのまま私達の関係も離れてしまいそうに感じた)
まどか「……」
ほむら(私は、なんなんだろう
好きな人が、私のかわりに勇気を出してくれたのに
それを見て見ぬふりをしている)
ほむら(こんな私に囚われているまどかが可哀想
まどかなら、きっともっと良い人と出会って、素敵な関係になれるはずなのに
私は……まどかにとって、邪魔な存在なのかな……)
まどか「……!!」
まどか「ほむらちゃん!! ねえ! しっかりしてほむらちゃん!!」
ほむら「あ……」
まどか「どうしてこんなときに……!
ダメ、もう結界が……!」
ほむら「え……なに、ここ……前にも見たことが……」
杏子「まさかとは思ったけど、こんなところで孵化されるとまずいな」
さやか「な、なに? どうしたの?」
杏子「魔女だよ、こんなときに出やがった」
マミ「方向は……鹿目さん達がいる方ね」
杏子「さやか、アンタはここで待ってろ、絶対についてきたりすんな、守れる保証はねえからな」
ほむら「へ……まどか、変身してるって、もしかして」
まどか「ごめんねほむらちゃん、もう巻き込みたくなかったんだけど……」
まどか「うん、私も感じる、でもほむらちゃんが……」
まどか「待ってる暇はないよ、私一人でも頑張らなきゃ」
ほむら(まどか……誰と話してるの……?)
瞬きをした瞬間、まどかは何もない空中に向けて矢を放っていた
何もないはずのところからうめき声が轟く)
ほむら「」
ほむら(思わず伏せて耳を塞いだ、それを聞いてはいけない気がしたから)
ほむら(まどかは私を守るように立ち塞がって、それに向かって何度も矢を放った)
まどか「大丈夫、守るからね……」
杏子「あらよっと」
マミ「真打ち登場ね」
ほむら(近くて爆発音がした、私は辺りの異常な空気が収まるまでじっとまどかの後ろで目をつむり耳を塞いでいた)
トントン
まどか「ごめんね……怖かったよね
もう終わったよ」
まどか「うん、だいじょぶ」ギュ
ほむら「ねえ……やっぱり、まどかは魔法少女なの……?」
まどか「……うん」
まどか「怖い思いさせちゃったよね……」
ほむら「……でも、まどかがいたから、平気だった」
まどか「うん……もう、巻き込まないから」
ほむら(気づくと辺りは今までどおりの遊園地だった)
ベンチ
まどか「さっきのが魔女、私達の敵なんだ
ほむらちゃんの悩んでるところに付け入ろうとしたみたい……」
ほむら「……」
まどか「もう大丈夫だよ、近くに反応はないからね」ナデナデ
ほむら「うん……」ギュ
まどか「うん……」ナデリ
ほむら「でも、その……私もね、まどかのこと、好き……」
ほむら「友達としてじゃないよ……」
まどか「うん……///」
ほむら「……私でよければ、友達より、もっと仲良くしてください」
ほむら(言っちゃった……)
まどか「えへへ……やだな、ぐすっ」
ほむら「それは、嬉しいときの笑顔……」
まどか「も、もう、からかわないで」
ほむら「それは……困ってるときの笑顔」
まどか「えへ、ほむらちゃん……」
ほむら「それは……私だけの、笑顔」
ほむら「うん……側で見てきたもの」
まどか「……だいすき」
ほむら「……うん///」
まどか「目、つむって」
ほむら「いいよ……」
まどか「あなたは……私の一番の人」
まどか「……ちゅ」
ほむら「……っ///」
┃┏┓┣┛┗╋━┓┣┛┃┃┏┓┃ 〃  ̄ ヾ、 ( ) ). ┃┃┃┃┃┃
┗┛┃┣┓┏┛ ┃┣┓┃┃┗┛┃┏━━ i!_,.┻ 、!i_ ノノ━┓┃┃┃┃┃┃
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┗━┛┗┛ ┗┛┗━┛ ┗┛ ┗┛┗┛┗┛
ほむら「う、うん///」
まどか「毎日一緒だよ?」
ほむら「うん……///」
まどか「私、お弁当作るよ?」
ほむら「私も、作るよ……」
まどか「寝る前は電話しちゃうよ?」
ほむら「私からも、させてね」
まどか「寂しくなったら会いに行くよ?」
ほむら「私も、会いに行く……」
まどか「お休みは遊ぼうね」
ほむら「うん……行きたいところ、たくさんあるの」
まどか「えへへ……」
ほむら(私達の恋は、始まったばかり……)
マミ「ごちそうさまです」
さやか「ごちそうさまです」
まどか「ひ、ひどいよ……二人して見てたなんて」
ほむら「……ぐすっ」
まどか「わあっ、ほむらちゃん泣かないでっ」
まどか「ほらーっ、ほむらちゃん泣いちゃったよっ?」
さやか「あ、あたし悪くないと思う!」
マミ「何を言うのよ! あなたも共犯でしょう!?」
さやか「いいえっ、マミさんが一人でやりました!」
まどか「二人共っ」
ほむら「えと、あの……嫌で泣いたんじゃないの
ちゃんと見守っててくれたんだな、って……///」
マミ「はぁ、暁美さんのピュアには負けるわ」
まどか「いいでしょ、可愛いでしょ」
まどか「えへへ……誰にもあげないもん」
駆け足で色んなことをした、色んなところに行った、色んな人に会った
それどれもに、まどかの姿があった)
ほむら(まどかはいつだって私のことを見守って
ときには厳しくして、良きパートナーとして私を支えてくれた)
ほむら(これからも二人ならなんでもできる、なんとかなる
そう信じて、今日は眠ります)
ほむら(明日はとても大きな台風が上陸するそうです)
ストーリー第一章 「そして運命の時へ」 クリア
そして、物語はアニメーションへ
降り注ぐ最悪。
舞い降りる天変地異。
百合とエロと魔法の街、見滝原が燃える。
圧倒的、ひたすら圧倒的ワルプルギスが蹂躪しつくす。
ささやかな望み、芽生えた愛、絆、健気な野心、
昨日も明日も、未来も過去も、魔女も魔法少女も呑み込んで、繰り返す、ループ、ループ。
音をたてて砂時計が廻る。
次回「袋小路」。
魔法少女は穢れを浴びて蘇る。
あの大人気ゲーム! 魔法少女まどか☆マギカが!
ついに待望のアニメーション化決定ッ!!
まどかが! さやかが! マミが! 杏子が! ほむらが!
舞う! 縦横無尽に! ひたすら舞う!
制作にシャフト、原作者完全監修の元アニメーション化企画始動!!
『暁美ほむら、君は……アニメ化するつもりかい?』
『私の戦場はアニメーションよ』
ほむら「う、うん……遠いと見えないかも」
まどか「遠いと見えないんだ」
まどか「じゃぁさ……メガネ、とってみよっか」
ほむら「え、ええっ?」
まどか「だってさ、こんなに顔近いんだよ……?」
ほむら「そ、その……」
まどか「えいっ」ヒョイ
ほむら「あぅっ……///」
まどか「やっぱり美人さんだなぁ」
ほむら「みえないぃ……」
まどか「私の顔は見える?」
ほむら「……まどかしか見えない」
まどか「えへへっ///
私しか、見ないで……ちゅ」
ほむら「ん……っ///」
まどか「わ」ギュゥ
まどか「やっぱり見えないと危ないね」
ほむら「メガネ、かえして……」
まどか「……ぎゅってしてたら平気だよ?」
ほむら「っっ///」
まどか「……ちぅ」
ほむら「ん、ちゅ」
まどか「えへ……キスのしかた、合ってるかな」
ほむら「え、と……///」
まどか「二人共気持よくなれたら……それが一番だよね」
ほむら「うん……///」
まどか「大丈夫? 寒くない?」
ほむら「うん……」
まどか「ほむらちゃん、もっと……くっついていいよ」
ほむら「じゃぁ……」ギュゥ
まどか「えへ、こうしたら寒くないよ」スリスリ
ほむら「……っ///」
ほむら(雪が降ってきた)
ほむら(見滝原から北へ二時間)
ほむら(私達は休日を使って遠くの観光地を訪れていた)
ほむら(その帰り、天気予報にはなかった雪が私達を遅い、電車は大きな遅延と運行休止を予期なくされる)
ほむら(私達はこうして乗り換え駅の待合室で寄り添っている、駅員が待合室を夜間も開てくれて助かった……)
まどか「そりゃそうだよね、雪だもん」
ほむら(まどか、肩周りが薄くて寒そう……)
ほむら「ねえ……これ」
まどか「え、だめっ」
ほむら「でも寒そう……私のコートつかって」
まどか「だめだよ、ほむらちゃんが風邪引いちゃう」
ほむら「私は平気だから……」
まどか「そういう嘘、私嫌いだよ?」
ほむら「……嘘じゃない」
まどか「むー」
まどか「じゃぁ、二人で使お」
ほむら「きゃっ」
ほむら(ま、まどか……っ、そんな、抱きつきすぎ……)
まどか「こうすれば二人で暖かいね///」
まどか「えへへっ、顔……近いね」
ほむら「……っ///」
まどか「ちょっとなら、してもいいよ?」
ほむら「そ、そんな……っ」モジモジ
まどか「はぁーーー」
ほむら「わっ、メガネ曇っちゃう」
まどか「曇って見えない? えへへ」
まどか「……ちゅっ」
ほむら「ぅん……っ///」
まどか「しちゃった……」
まどか「ねえ、メガネとっちゃお」
ほむら「うん……とって」
まどか「とってほしいの? ほむらちゃんは甘えんぼさんね」ヒョイ
ほむら「ん……まどか、よく見える……///」
ほむら「まどか……」
まどか「うん……ほむらちゃんからしてくれるまで、私待ってるよ……?」
ほむら「えっ……///」
まどか「私だって、してほしいもん」
ほむら(そ、そうだよね……まどかも、されると嬉しいよね)
ほむら「その、あの……は、恥ずかしい、から……」
まどか「目、とじる?」
ほむら「そ、そうっ……うん」
まどか「はい……」
ほむら「わっ……///」
ほむら(そ、そんな、キスを待ってる顔されたら……余計に、照れて……っ///)
まどか「む……ちゅっ」
ほむら「んっ……///」
まどか「時間切れ……もっかい」
まどか「焦らしちゃヤダ……」
ほむら「あ、ぅ……///」
まどか「……してくれないの?」
ほむら「したい、よ……?」
まどか「照れちゃう?」
ほむら「……うん」
まどか「してほしいな♪」
ほむら「あ、あの……ゆっくり、待ってほしい、な……」
まどか「へへ、ほむらちゃんはキスするときまで可愛いんだ……
私困っちゃうな……///」
ほむら「こ、困らせるつもりは……」
まどか「ううん……もっと困りたいな」
ほむら「ふぇっ……///」
まどか「えへへ、ドキドキさせてよ」
ほむら「ふぇぁぅぅ……///」
ほむら「わ、ぁ……まどか」
まどか「なぁに?」
ほむら「え、あの……呼んだだけ」
まどか「私呼ばれただけ?」
ほむら「う、うん……」
まどか「どうして名前を呼ぶの……?」なでなで
ほむら「ふぇっ……あ、あのっ……その」
まどか「恥ずかしい理由なの?」
ほむら「ち、ちがう……」
まどか「じゃぁ、教えて……」ぎゅ
ほむら「ぅ……その、な、なんていったら、いいのか……わかんない、から……名前を」
まどか「呼んじゃうの?」
ほむら「……あぅ///」
まどか「へへ、うれしいな……」
ほむら「ま、まどか」
まどか「うんっ」
ほむら「……まどか」
まどか「ほむらちゃん」
ほむら「っ……まどか///」
まどか「えへへ、ほむらちゃん……」すりすり
ほむら「……っ///」
まどか「ほむらちゃんってなかなか名前で呼んでくれなかったでしょ?」
ほむら「ぁ……うん」
まどか「だからほむらちゃんにね、まどかって呼ばれると嬉しいんだよ?」
ほむら「ん……///」
まどか「たくさんまどかって呼んで……用がなくても呼んで、もっと聞きたいよ……」
まどか「そしたらね、私はどんなところにいたって、ほむらちゃんのところに走っていくよ……」
ほむら「……」ぎゅぅ
まどか「うん、えへへ」
ほむら「あのね、まどか……」
まどか「なぁに」
ほむら「目……つむって」
まどか「わかった……」
ほむら「……ぁ///」
まどか「…………して」
ほむら「っっ///」
ほむら(し、したい……まどかの唇、に……ふれたら、わたし、どうなっちゃうんだろう……///)
まどか「……だいすきだから」
ほむら「……うん」
ほむら「…………ちゅぅ」
まどか「んっ、ぁ……ふぇへへ、されちゃった……///」
まどか「わわ、泣かないで、ほむらちゃん」なでなで
ほむら「まどかぁぁ……涙、でちゃう」
まどか「もう、キスして泣いちゃうなんて……私、とっても大切なキスしてもらっちゃったのかな///」
ほむら「まどか、まどか……っ」
まどか「いいこいいこ……」
ほむら「まどかぁ……」
まどか「だいじょぶ、ここにいるよ……ほら目の前」
ほむら「あぅ……///」
まどか「あははっ」
まどか「ほむらちゃん、だいじょぶだよ……」
まどか「私もね、ほむらちゃんと一緒にいるとね、嬉しくて泣いちゃいそうになるんだ」
まどか「でも、いつも私のかわりにほむらちゃんが泣いてくれるから、私は守らなくちゃいけないんだって、我慢できるんだ」
まどか「だからね、ほむらちゃんは私のぶんまで泣いて……」ぎゅ
ほむら「ぇっく……うぅぅっ」むぎゅ
ほむら「……まどか」
まどか「守るよ……女の子として、魔法少女として」
ほむら「嫌……守られるだけじゃ、嫌……」
まどか「守ってくれるの?」
ほむら「うん、私もまどかを守りたい……」
まどか「えへへ、嬉しいな……でもダメ
ほむらちゃんはそういうタイプじゃないもん、私に守らせて……」
ほむら「……そ、そうなのかな」
まどか「合わないことをしても疲れちゃうよ?」
まどか「そのかわりね、私が疲れたときは、たくさん甘やかしてほしいんだ……」
ほむら「それなら……任せて」ぎゅ
まどか「あはは……なんだか、うちのパパとママみたい」
ほむら「っ……///」
ほむら「え……」
まどか「ほむらちゃん一人暮らしなんだよね」
ほむら「うん……」
まどか「転がり込んじゃおうかな」
ほむら「えっ、あのっ……///」
まどか「えへへ、冗談じゃないよ……」
まどか「私はそれがいいって、思ってる」
ほむら「わ、わた、しも……」
ほむら「まどかと……ずっと一緒がいい」
まどか「えへへぇ……///」
まどか「ほむらちゃん♪」すりすり
ほむら「わ、まどか……」
まどか「甘えたくなっちゃいました……///」
ほむら「うん……甘えて」なでなで
ほむら「……まどかに甘えられるなんて、思わなかった」
まどか「ホントはね、私はいつもほむらちゃんに甘えてたんだよ?」
ほむら「え、え……?」
まどか「私、人を好きになるの初めてだから、たくさん失敗してたでしょ?」
ほむら(失敗、なんて……あったっけ)
まどか「でもほむらちゃん、どんなときでも喜んでくれて、許してくれたから……」
まどか「だから私はほむらちゃんに甘えて、いじわるもたくさんしちゃってるんだよ?」
ほむら「そ、そんな、失敗もいじわるもされてないよ……?」
まどか「それはほむらちゃんが優しいからだよ」
まどか「そんなほむらちゃんだから……私、勇気出せたのかも」
まどか「えへへっ、言ってて恥ずかしくなっちゃった……///」
ほむら(まどかも、私とおんなじに怖かったんだ……)
ほむら「まどか……」ぎゅ
まどか「顔、見ないで……恥ずかしいの止まんなくなっちゃう///」
まどか「やっぱり、見て……」
ほむら「え、う、うん……」
まどか「きゃ……///」
ほむら「っ……///」
まどか「目、そらしちゃヤダ……」
ほむら「うん……///」
まどか「えへへへへ……///」
ほむら「かわいい……」
まどか「ほむらちゃんも」
ほむら「ううん……まどかが、かわいい」
まどか「じゃあほむらちゃんがかわいい」
ほむら「まどかのが……」
まどか「だーめ、ほむらちゃんがかわいいんだよ」
ほむら「……っっ///」
ほむら「う……うん///」
まどか「ほむらちゃんからだよぉ///」
ほむら「ええっ……///」
まどか「えへ……待ってます」
ほむら「……っ///」
まどか「はやく……」
ほむら「うん……えと……」
まどか「んーー……」
ほむら「……ちゅ」
まどか「ぇへへ……唇、震えてたよ?」
ほむら「だ、だって……」
まどか「怖くないよ……ぜんぶ受け止めてあげる」
ほむら「うぅ……ぐすっ」
まどか「泣き虫さん……」ぎゅぅ
ほむら「嫌……まどかは、大切だから」
まどか「私はもっとほむらちゃんに染まりたいなって思うな……」
ほむら「……っ///」
まどか「だって、恋人だよ……?」
まどか「自信もたなきゃ……」なでり
ほむら「ん……///」
まどか「私もほむらちゃんと一緒
何をされても嬉しいんだ……///」
ほむら「……目、つむって」
まどか「うん……」
ほむら「……」
ほむら(まどか……)
ほむら「ちゅ……ん、ちゅぅ、ちゅ……」
まどか「んぅ……ん、ん……ぁっ///」
ほむら「ふぁ……ぅ///」
ほむら「わわわ……///」
ほむら(うううう……///)
まどか「お返し…………ん、ちゅ」
ほむら「んふ……ん///」
まどか「どきどき……」
ほむら「……まどか」ぎゅぅ
まどか「えへ、ちゃんとここにいるよ」
まどか「どんなにキスしたって、いなくなったりしないから……ね?」
ほむら「うん……」
まどか「いつまでも、ずっと側で守っててあげる……」
まどか「だってね、私の願いは」
まどか(ほむらちゃんを守ることなんだから……)
ほむら「え……?」
まどか「えへへ、なんでもないっ」
まどか(だって……ぜんぶ、二人で叶えちゃったもん///)
まどか「だいすき……」
ほむら「はぅ……///」
まどか「ほむらちゃんやっぱりかわいい」
ほむら「まどかのが……」
まどか「ちゅっ」
ほむら「んっ……///」
まどか「ほら、かわいいよ?」
ほむら「い、いじわる……っ」
EXシナリオクリア 「願いの果て」
ゲームクリアおめでとう! さすがだね!
EX出現 謎の白い液体の正体とは!!
ほむら「あ、あれ……メガネメガネ」
まどか「ふふふ」 ←持ってる
概念になってまどかとほむらがいつまでも幸せでいられる世界作る
素晴らしい素晴らしい乙乙乙乙乙
円環の狸よ頼んだぞ
砂糖吐いた
長時間お疲れ様でした
いい糖分だった
Entry ⇒ 2012.05.05 | Category ⇒ まどかマギカSS | Comments (0) | Trackbacks (0)
まどか「おやすみ、ほむらちゃん」
――通学路――
「おはよう、ほむらちゃん」
「おはよう、まどか」
「あれ、さやかちゃんたちはまだなのかな」
「来たみたいよ」
「ふわぁねっむ……おはよーまどか、ほむら」
「おはようさやかちゃん、すっごい顔になってるけど」
「いいじゃん、別にその辺に知った顔がいる訳でなし」
「あっちで仁美ちゃんもすごい顔しながらこっち見てるよ」
「目、逸らしたわね」
「あ、早足でこっち来たよ……おはよー仁美ちゃん!」
「うわあっ仁美! 違うんだってちょっと油断しただけであって」
「おはようございます皆さん。さやかさん、この前淑女の何たるかをじっくり説明したばかりですのに貴女はまた……」
「この前ファミレスでやってたんだっけ、わたしたち途中で帰っちゃったけど」
「いいですかさやかさん、大体女性が人前であくびなど言語道断だというのに、おまけに背筋は曲がって襟も裾もぐしゃぐしゃで」
「わーわーごめんごめん! 直すからちょっと待って首掴まないで!」
「……あら、そのストラップかわいいですわ」
「げほげほ、あーでしょ! 昨日まどかと古着屋で見つけたんだよー」
「実はわたしもおそろいで買っちゃったんだ、カバンじゃなくて筆箱に付けてるけど」
「むう、ちょっと妬けますわね」
「んーほむらなんか動揺してないっていたたた! やめてやめて耳引っ張らないで!」
「さやかちゃん、朝から大変だね」
「自業自得だと思いますわ」
「二人とも助けてくれたっていいじゃん! 待ってってばあ!」
「何も聞こえませんわね」
「あーそうだ、ちょっとだけコンビニ寄っていい?」
「いいけどさやかちゃん、あまり時間ないよ?」
「朝から買い食いはあまり感心できませんわ」
「違うって、眠気覚まし眠気覚まし。コーヒー欲しい」
「あ、私もお昼ご飯……」
「ほむらちゃん、またコンビニ弁当? あんまり体によくないよ?」
「そうだぞ、いいもの食べないと成長しないぞ」
「そうですわね、せっかくそれ以外が備わっているのですから、もっとそちらにも気を遣うことをオススメしますわ」
「あなたたち、余計なお世話って知ってるかしら」
「ほむらちゃん、落ち着いて……」
「ほら、買うなら買うでさっさと済ませてしまいましょう。さやかさんほむらさん、私たちは外で待っていますから」
「はいはい、ほらほむら行くよー」
「くっ」
――学校――
「仁美ちゃーん、ここどうやるの?」
「あら、これは式変形をちょっとがんばれば解けますわ」
「んーさっぱりわからん」
「それ以前にあなた考えてるのかしら」
「ほむらだってわかんないんでしょうが!」
「あと五分しかないのよ、無駄口叩いてる暇があったら次の問題考えなさい」
「私に言わせれば、家で解いて来ればこんなに焦る必要もなかったと思うのですけど」
「う、ごめんね……」
「あ、先生来ましたわ。ほら皆さん席について」
「ちょっと先生、もう少し時間にルーズになってくれてもいいんじゃないかと思うのですが」
「何を言っているんですか美樹さん、ほら早く自分の席に戻りなさい」
「起立、礼。ありがとうございました」
「「ありがとうございましたー」」
「ほむらちゃん、この後用事ある?」
「いえ、特にはないけれど」
「前話してたでしょ、手芸部の案内してあげたいって。もしよかったらこの後来ない?」
「そうね、もしよかったらお邪魔させてもらおうかしら」
「あーいいなあまどか。あたしも陸上部案内したかったのに」
「ごめんなさい、また今度誘ってくれると嬉しいわ」
「はいはい、んじゃ杏子待たせてるしまた放課後にねー」
「すみませんまどかさん、私もお付き合いしたいのですけど、お任せできますか」
「大丈夫、仁美ちゃんもがんばってね」
「じゃ、行こうか」
「ええ」
――手芸部室――
「こんにちはー」
「お、お邪魔します……」
「あら、いらっしゃい。鹿目さんと、それからそちらの子は」
「この前話した転入生の暁美ほむらちゃんです。仮入部ってことで連れてきました!」
「あ、その、よろしくお願いします」
「緊張しなくていいわよ。私は三年で部長の巴マミ、よろしくね」
「で、わたしが副部長なんだよ。えへへ」
「他に部員の方はいらっしゃらないんですか?」
「実はさやかちゃんとか仁美ちゃんも部員なんだけどね、ちょっと大会とか委員会とかで忙しいみたいで」
「あ、だからさっき……」
「そんなに忙しい部活ではないから、そうして掛け持ちにする子が多いわね。私は手芸部にしか所属してないけれど」
「普段はパッチワーク作ったり、ちょっとしたアクセサリー作ったり、そんな感じかな」
「部室、すごくかわいいですね。カーテンとか、テーブルクロスとか」
「それほとんどマミさんが作ったんだよ。わたしも手伝ったんだけど、全然かなわなくて」
「あら、おだてても何も出ないわよ」
「すごい……私、こんなの絶対できないです」
「そんなことないってほむらちゃん。あ、そうだマミさん、ビーズってあります?」
「ええ、一通りは揃ってるけど」
「ほむらちゃんにも体験してもらうのが一番早いかなって。ちょうど真似できそうでかわいいのがあるんです」
「確かにこれなら作り易そうね」
「え、その、本当にできるんですか? こんな細かいの」
「わたしも横で一緒に作るからさ、せっかくだしやってみようよ!」
「じゃあ、私はお茶でも淹れてくるわね」
「マミさんお茶淹れるのも上手なんだよ、すごいでしょ」
「まどか、どうしてあなたが誇らしそうなの」
「えっへへ、だって」
「しょうがないわね、とっておきのお茶菓子出してあげるわ」
「やったあ! マミさんありがとうございます!」
「おだてると出るのかしら……」
「じゃ、始めるよ。材料はテグス、ガラスビーズいくつか、それにボールチップとつぶし玉と引き輪と……」
「???????」
「ちょっと、そんなにいきなり名前言っても覚えられないでしょう」
「あ、ごめんね、名前は今は覚えなくていいよ。たぶん自然と覚えていくかな」
「そうね、最初は見よう見まねでやればいいと思うわ」
「はい、そうします」
「じゃ、まずはテグスが丸まってて扱い辛いからその処理ね。マミさん、やかんの蒸気借りますねー」
「ふふ、鹿目さんたら張り切っちゃって」
「いいじゃないですか、せっかく友達が部に増えそうなんですから!」
「……あ、ビーズがテグスの端っこから」
「端っこ止めておくの忘れてた! ほら、クリップとかセロハンテープで止めておけば大丈夫だよ」
「……テグスがビーズに入らない」
「ちょっと貸してね。通してるうちに先端がへたれてくるんだけど、斜めに切るとまた通りやすくなるよ」
「お茶、おいしいです」
「おいしいね」
「あら、ありがとう」
「……なんとかできたけど、この余ったテグスはどうしたら」
「うん、じゃあ最後の仕上げね。わたしが横でやるのを真似してくれればいいから。まずはこのボールチップっていうのを通して……」
「……………でき、た」
「わあ、すごいすごい! 初めて作ったとは思えないくらいだよ!」
「そうね、暁美さん、かわいいセンスしてるじゃない」
「でも、これは真似するモデルがあったからで」
「ビーズの色とか種類とか全然違うものだったでしょ。そこを変えるだけでぜんぜん違うデザインになっちゃうんだから、すごいんだよ!」
「鹿目さんのもよくできてるじゃない」
「ほんと、綺麗……」
「わたしだって気合入れて作ったからね。だって」
「あら、もしかして誰かに渡すために作ったとか?」
「その通りです、はいマミさん!」
「……私?」
「これ店で見つけたとき、マミさんに似合いそうだなって思ったんですけど、色がどうしてもいいのなかったんです。だから自分で作ろうって」
「私に教えながら自分もって、器用なものね」
「えへへ」
「困ったな、不意打ちのせいでちょっと嬉しすぎるじゃない」
「巴さん、クールな印象あったけど、笑うとかわいいんですね」
「作った甲斐もあるってものです」
「もう、からかわないでよ、二人とも」
「すみません。っと、もう下校時刻ですね、行かないと」
「そうね、名残惜しいけど」
「さやかたちをあまり待たせるのも悪いし、十分楽しませてもらいました。行きましょう」
――通学路――
「おそいよーったく」
「ごめんね、杏子ちゃん、さやかちゃん、仁美ちゃん」
「あー大丈夫だよ。こっちはこっちで杏子が遅刻の罰掃除さっき終わらせてきたばっかだから」
「あなた、また遅刻したの?」
「もう少し学生としての自覚を持って頂きたいですわ」
「うるせえなあもう」
「ほら、話すのもいいけど行きましょう。閉門したら面倒よ」
日も半ばまで沈み、空はオレンジに染まった夕暮れ時。
程よい温度と穏やかな風が私たちを包み、自然と歩みも遅くなっていく。
まるでこの時間を少しでも長く楽しみたいと言うように。
一番前を歩く巴マミと志筑仁美、その少し後ろの佐倉杏子と美樹さやかとは、やや距離が開いてしまった。
私はまどかと並んで、静かに足を動かしている。
賑やかに談笑する彼女たちと裏腹に、私たちは黙り込んでいる。
どちらも口をつぐんで、静かに目の前の光景を瞼へと焼き付けている。
きっとまどかも私と同じ顔をしているだろう。
ほんの少し悲しそうに、笑ってているのだろう。
「ねえ、ほむらちゃん」
「何かしら」
「やっぱり、ダメ?」
「何のことかしら」
「とぼけないでよ」
「そうね、ごめんなさい」
その一言を区切りに、私は最後に残った力を振り絞る。
ソウルジェムを輝かせ、残りも僅かな砂の流れを遮断して、世界をモノクロに染めて静止させた。
空間の中で動くのは、私と、そして手を繋いだ彼女だけ。
「あなたがこれで満足するなら、それでもよかったのかもしれない」
「でも、あなたは気付いてしまったから」
「私の演技が下手だったせいなのかもしれないけれど」
「やっぱり、私はあなたに、望むものを与えてあげられないみたい」
「そうでしょう、まどか――――――いえ、クリームヒルト・グレートヒェン」
彼女の顔は、やっぱり予想通りだった。
とても悲しそうに笑っていた。
その笑顔はさらにゆがみ、くずれ、握った手だけをそのままに異形の魔女へと変わっていく。
もうまどかは、どこにもいない。
いるはずも、ない。
ただ声だけが、変わらずに響き渡る。
「幸せな世界が、欲しかっただけなのにな」
「わたし、どうやっても、幸せにはなれないのかな」
「天国なんて、どこにもないのかな?」
「こんな世界だもんね」
「ほむらちゃん、わたしの中でも、ずっと正気を保ってるんだもん。反則だよ」
非難を受けて、でも私は揺らぐこともない。
こうして悲しむ彼女を見てしまえば、私のするべきことなど一目瞭然だったから。
やっぱり進むべき道は、こちらではなかったのだろう。
そう信じて私はまた、投げかける言葉を慎重に選んでいく。
「あなたの見せてくれた夢、とても楽しかった」
「でも、これは夢でしかない」
「私は世界で生きていたい。生きて、この目をあけて、まどかたちと世界を感じていたい」
「あなたが守ろうとした、この世界で」
「この夢を実現するために、私、頑張るから」
「だから、ごめんね」
そして、タイムリミットを示すように、時間停止は切れて世界に色が戻ってくる。
巨大な影は、まどかだった黒い靄は、だけど前を行く四人に異常と感じられることもない。
まるでそんな『もの』、最初からいなかったかのように。
目を見開いて、私は砂時計をひっくり返す。
落ち切った砂がまた戻り、世界も時間もまた巻き戻されていく。
迷路の始点へと、私はまた帰っていく。
そうして繰り返して繰り返して、何度も繰り返して。
ようやく辿り着いた迷路の終点は、あまりにも無情なものだった。
私の目の前で契約したまどかは、因果律への反逆者として消えてしまって。
この世界を飛び越えた存在になってしまって、今、私の前に漂っている。
言葉一つも吐けない私に、まどかだった存在は声を投げ掛けてくる。
「わたしね、今、みんな見えるんだ」
「かつてありえた宇宙、ありえたかもしれない宇宙、それから、わたしがほむらちゃんに見せてあげた夢も」
「でも、後悔はしてないよ」
「きっとこの世界では、みんなこうやって生きていけるから」
「わたしだってずっと、ほむらちゃんの傍にいるから。見えないとしても、感じ取れないとしても」
「だから、泣かないで」
「嫌、嫌だよ」
「まどかはこんなところで、一人ぼっちになって」
「みんなも、わたしもあなたのことを忘れちゃって」
「嫌だよ、そんなの」
「それくらいなら、あのまま夢を見ていたほうが、ずっとましじゃない……!」
「こら、何を言ってるの」
「ほむらちゃん、自分で言ったでしょ。目をあけて生きていくんだって」
「わたしはね、ほむらちゃんがいるから、こうしてこの身を差し出せるんだよ」
「ほむらちゃんがいるなら、きっとこの世界は大丈夫だって思うんだ」
「何かあったとしても、わたしの代わりにやるべきことをやってくれるって、信じてる」
「魔法少女はさ、夢と希望を叶えるんだから」
「きっとまた、会えるよね」
その声を区切りに、私と彼女のいた空間は消えていく。
彼女の存在が世界に溶けて行くのを感じながら、声も限りに彼女の名前を叫びながら、私は闇へ落ちていく。
かつて見た夢に思いを馳せながら。
もう叶わない願いを抱き締めて、彼女のリボンを握り締めて、その存在を決して忘れまいと。
「何を描いているの?」
「まろか、まろかだよー」
「うん、よく似てるよ。じょうずだね」
夏の夕暮れ。
日も沈もうとしている今も、地上に注いだ熱の余韻が残っている。
空気は湿って蒸し暑い。
汗を吸ってへばりつく髪の毛を軽く払って、私は地面の落書きとそれを書いた子供に視線を落としている。
そこに描かれているのは、ツインテールの女の子。
消えてしまったはずの魔法少女。
ほんの少しだけ残ったあなたのかけら、それがここに現れていた。
手を振って別れを告げ、帰路へと戻る。
少しだけ目を潤ませながら。
これは目にゴミが入っただけだと、言い聞かせながら。
今は七月。
何度も繰り返した春の陽気を忘れてしまうほど、強烈に暑い夏。
吹き出る汗はとても不快。
でもあなたは、それを感じることはないのだろう。
今は夏。
あなたに決して、訪れることのない季節。
ギイイと、重い扉がきしみながら開く。
その向こう側にいたのは、まあ声から分かってはいたけれど、馴染みの顔。
「おかえりなさい、暁美さん」
髪を縦のロールにまとめたその顔は、間違えるはずもない、巴マミ。
魔女の手にかけられず生き延びた彼女は、ある壮大な計画を立てた。
世界に散らばる魔法少女たちを束ねたいと。
個人主義で、誰にも知られずに戦い、誰にも知られずに消えていく彼女たちの、居場所を作りたいと。
その結晶が、ここ。
古ぼけた事務所は、見滝原に暮らす私たちの拠点も兼ねた、魔法少女の集会場。
「おつかれー」
ソファに仰向けに横たわり、逆さまの顔をこちらに向けるのは佐倉杏子。
住む家のない彼女は文字通りここを寝場所にしてしまっていた。
ちょっとくつろぎすぎじゃないかとも思うけど、野宿されるよりはずっといい。
口元にはポッキーと思しき菓子が咥えられていた。
私の視線をどう受け取ったのか、その体勢で器用にテーブルに手を伸ばす。
ガサゴソと袋が擦れ合う音が響いて取り出された数本、その内一本が私に差し出された。
ありがたくもらっておこう。
靴を脱いで鞄を置いて、手渡されたそれを頬張って、自分に用意された席に着く。
ここはプレイアデス聖団。
巴マミが提唱した、魔法少女のための居場所。
「パトロールの成果はどうだったの?」
「一人、見つけたわ」
「どんな奴だったのさ」
「怯えてた。力の使い方もよく分からないみたいだった」
「話は出来たの?」
「ここの場所は伝えた。来てくれるといいけど」
せわしなく手を動かしている巴マミと、イスが狭くて仕方ないとでも言いたげな佐倉杏子と言葉を交わす。
私の頭の中に蘇るのは、数時間前に会った一人の魔法少女。
私が一方的に声を掛けるばかりで、返事もしてもらえず逃げられてしまった。
この辺りで見かけるような姿ではなかったし、聖団の噂を聞いて来てくれたのだと思うけど。
「まあ、その内来るんじゃねえ?」
そう言ってまたソファに体を投げる佐倉杏子。
仮にも聖団の第二位にいるとは思えないようなその姿。
でもそれは、私の記憶の中にいる彼女の姿と寸分違わず、どこか懐かしさすら感じ取れるもの。
ただ、さすがに何も言わない訳にはいかなかった。
彼女の机にうず高く積まれた書類の束に眩暈を覚えながら、小言を呈する。
「いくらお菓子を積んでも、あれを片付けてあげたりはしないわよ」
「えーケチ」
「佐倉さん、またそんなこと考えて……」
手元の作業は、ひとまず問題なく片付いたかな。
まだぶーぶー言っている彼女の首根っこを掴んで、強引に元の位置に引き戻した。
イスを引っ張ってきて私も横に腰掛け、ペンを握ってインクを走らせる。
「手伝ってあげるから、さっさとやる気出して」
「仕方ねーなやるかー」
書類の山を少しずつ減らしていく。
そこに書かれているのは、世界各国に散らばっている魔法少女たちの報告。
魔法少女の保護と、ここへの誘導。
私たちの志に共感してくれた彼女達は、とても熱心に役割を果たしてくれている。
自分たちが役割を果たさずして、何が聖団だろうか。
それくらいは理解しているのだろう、いざ筆を握ってみれば佐倉杏子も見違えるようだった。
あまりに多くの魔法少女。
彼女たちの無事を祈り、先ほど会ったその一人の無事を願う。
広くはない事務所の中で、ペンが机を叩き続ける。
その音は淡々と、時間の感覚を麻痺させていく。
書類の山を片付け終わったときにはすでに日付も変わっていて、私は少しだけ、睡眠を取ることにした。
あれから、変わったことが二つある。
一つは、魔獣の存在。
魔女の代わりに魔獣が現れて、人々を襲うようになったこと。
私たちは聖団を立ち上げ、組織としてこれと戦う日々を送っている。
巴マミや佐倉杏子の尽力もあり、現状ひとまずの成果は上げられている。
二つは、私にとっての世界。
静かに閉じていた目をあけて、目の前にいるだろう一人の少女の声を受けた。
「おはよう、ほむらちゃん」
「おはよう、まどか」
突っ伏していた机から上体を起こして、その姿を見据える。
私の前に立っているのは、鹿目まどか。
私たちが居るのは、見滝原中学の教室。
――教室――
「よく寝てたね。もうすぐ二時間目始まっちゃうよ」
「ごめんなさい、ノート見せてもらえないかしら」
「うん、ただよく分かってないんだけど……あとで仁美ちゃんに一緒に聞こうか?」
「あ、あたしも混ぜてくれると助かるわ」
「さやかちゃんも?」
「あんなん聞いてたって分かるわけないじゃんっていうね」
「あはは……」
「まあともかく行こうよ、教室移動でしょ次」
「みなさーん! 早く移動しないとチャイム鳴ってしまいますわよ!」
「うわさをすれば、だね。ほら行こう、ほむらちゃん!」
「ええ、そうね」
――屋上――
「膝枕、ありがとう」
「ううん、疲れてるんでしょ」
昼休み、私はよくこうしてまどかと屋上で風を受けている。
日差しもあまり強くはなく、横になっていると気持ちも洗われていくようだった。
極上の枕の元、少しずつ瞼が眠気を伴って下りてくる。
「いい風だね」
「そうね」
「ほむらちゃん、やっぱりもう眠たいの?」
「ええ」
「そっか」
「ごめんなさい」
「なんで謝るの」
「なんとなくよ」
「なんか、皮肉だよね」
「皮肉でもなんでも、私はこうして時間を過ごせるのだから、満足よ」
「例え夢であっても?」
「例え夢であっても」
「奇跡って、あるんだなって思った」
「そうね、きっとこれは奇跡だと思う」
「でもやっぱり、いつになっても慣れないや」
「私だって辛いもの」
「そうだよね」
「でも、私を諭してくれたのはあなたでしょう。目をあけて生きろって」
「そうだね」
「だから、いつまでも夢に浸っていたりはしない」
「うん」
「まどかとこうして世界を感じて」
「ほむらちゃんと世界を守って」
「どっちもできるなんて、それってまるで、夢みたいじゃない」
「ふふ、夢、だね」
「そうね」
「膝枕して待ってるからね」
「ええ、ありがとう」
視界は少しずつ狭まってくる。
眠気は私の神経を麻痺させて、だんだんと体から力を奪っていく。
私のあるべき場所はどこか、そんなことは分かっている。
だから抗ったりはしない。
必ずあなたと会えるから、あなたはどこにだっているのだから。
私が眠りに就けば、またあなたに会えるのだから。
でも今は、あなたの顔をこの目に焼き付けよう。
見上げる目に映る顔は、いつか見た少し悲しげな笑い顔。
まどかの言葉を耳に受けて、私はまた現へとこの意識を戻していく。
いつかその言葉を本当に聞く時まで、きっと私は戦い続けられるだろう。
夢を見ながら、生きていけるだろう。
「おやすみ、ほむらちゃん」
代行と支援ありがとうございましたー
Entry ⇒ 2012.05.04 | Category ⇒ まどかマギカSS | Comments (0) | Trackbacks (0)
ほむら「本日は曇りのち雨、所により晴れ間が覗くでしょう」
ほむら「なんだか雲行きが怪しいわね…」
まどか「せっかく一緒にお買い物に行こうと思ってたのにね」
ほむら「仕方ないわね、今日のところは延期しましょう」
まどか「えぇー…残念だね」
ほむら「本当…雨なんてろくなことがないわ」
まどか「あっじゃあさ、ほむらちゃんの家に行ってもいい?」
ほむら「私の家?別に構わないけれど…?」
まどか「やった!一回家に帰ったらすぐに行くからね!」
ほむら「ええ、待ってるわ」
ザアアァァァァァァァ…
ほむら「雨…降りだしたわね…」
ほむら(嫌な天気…まどかは大丈夫かしら…)
ピンポーン
ほむら「あ、来た」
ほむら「開いてるわよ、入って」
まどか「いや、このままじゃちょっと…」
ほむら「?」
スタスタ ガチャ
まどか「えへへ、ちょっと濡れちゃって…」
ほむら「びしょびしょじゃない!?傘はどうしたの!?」
ほむら(いや…それよりも…)
ほむら(ブラウスが透けて…下着が…///)
まどか「来る途中で降り出しちゃって…持ってくればよかったなぁ」
ほむら(可愛い下着……てっきり私と同じスポブラ派かと思ってたのに……///)ジィー
まどか「…ほむらちゃん……あ、あんまり見ないで…///」
ほむら「え!?あっいやっごめんなさいまどか!すぐに拭くものを持ってくるから!」
まどか「…うん///」
ほむら(どうしようついウッカリ…)
まどか「ごめんね、さすがにこのままだと部屋まで濡らしちゃいそうだったから」
ほむら「気にしなくていいのよ、だけどそんなにびしょ濡れじゃ…」
まどか「うーん…あはは、困ったねぇ」
ほむら「わ、私の服でよければ貸すけれど…///」
まどか「ホント!?ありがとうほむらちゃん」ニコッ
ほむら(ままままどかがわたたしのふくをををををを)
ほむら「ぇ?」
まどか「ちょっと冷えちゃって…お風呂、借りてもいいかな…?」
ほむら「おおおおお風呂っ!!?」
まどか「だっだめ?///」
ほむら「いっいえ、いいわよそれくらい」
まどか「ありがとう!ゴメンね我が侭言っちゃって」
ほむら「きっきき気にしないでいいのよっ」
ほむら(なにこの展開夢じゃないわよね)ギュゥッ
ほむら(…痛い。夢じゃない!)
まどか「いいよシャワーで」
ほむら「そっそこの部屋がバスルームだから」
まどか「うん、わかった」ガチャ
ほむら「ふっ服は入ってる間に用意しておくわね」
まどか「ありがとっ、それじゃ借りるね」バタン
ほむら(このドアの向こうでまままどかがが今まさにににに///)
ほむら(わわわ私の家でははははだかにななななってて///)
ガチャ
ほむら「!?」ビクッ
まどか「ほむらちゃん…」ヒョコッ
ほむら「なっなに、まどか」
まどか「い…一緒に入る…?///」
まどか「…///」
ほむら(まままどかとおおおおおおふろろろろろろ!?)
ほむら(いやでも女の子同士だし別におかしくは無いのだけどそれでもまだ心の準備がががが)
ほむら「…いや、私は遠慮しておくわ」
まどか「…そっか、わかった」
バタン
ほむら(ああああああああ…私って、ほんとバカ…)
ほむら「…服の用意をしましょう……」
ほむら「よくよく考えてみたらあまり服なんて持ってなかったわね…」
ほむら「とりあえずこれを…」
ほむら「まどかー、入るわよー」コンコンッ
まどか「どうぞー」
ガチャ
ほむら「ここに替えの服を置いておくから…!?」
ほむら(ガラス越しにまどかのシルエットがっ…!)
まどか「ありがとー…どうしたのほむらちゃん、固まっちゃってるよ?」
ほむら「いっいえ、なんでもないわ///」
ほむら(ダメよガラスの方ばかりを見ていては怪しまれっ…!?)
ほむら(ふぉおおおおおお!!まどかの濡れ下着いいいいい!!!)
まどか「ほむら…ちゃん…?」
ほむら(はっ!いけない!またまどかに誤解される!)
ほむら「なななななんでもないのよまどかっ!それじゃっ!!」
バタンッ!
ほむら「はーはーはーはー…」
ほむら(ものすごい後悔が…だけど私には…あれに手を出す勇気なんて…)
ほむら(…カメラでも持って入ればよかったのかしら……?)
数十分後
ほむら(結局何もできなかった…まさか雨のせいでここまで四苦八苦するとはね…)
ほむら(いやむしろ苦しいどころか嬉しいイベントばかりだけど…)
ほむら(ダメよ!色欲なんかに負けてはダメ!せっかく望んだ世界を手に入れられたのに…)
まどか「ほむらちゃん上がったよー」
ほむら「はっはい!」ビクッ
まどか「えーっと…バスタオルってどこにあるの?」
ほむら「む…向かって左の棚の中に入っているわ!」
まどか「棚の中、棚の中…」ゴソゴソ
まどか「…やっぱりわからないや、ほむらちゃんちょっと来てくれない?」
ほむら「うぇひっ!?」
まどか「女の子同士だよ?気にしないよそんなの」
ほむら「でっでもでも…」
まどか「冷えちゃうからお願い、早く来て」
ほむら「…し、失礼します///」
ガチャ
まどか「えっと、棚ってこれのことだよね?どこに入ってるのか…」
ほむら(手ブラあんど腰巻タオルきたあああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!)
まどか「もうっ恥ずかしがらないでよほむらちゃん」
ほむら「え、あ、いや、でも…///」
まどか「そんな顔されたら…私まで恥ずかしくなっちゃうよ///」
ほむら「ごっごめんなさい!」
まどか「謝らなくていいから///普通にこっちを向いてよ///」
ほむら「そっそれは…///」
まどか「それとも…見たくなんてないってこと?」
ほむら「ちっ違う!!」バッ
――あ、しまった。
そのときほむらの目に映ったのは。
柔らかそうな肌と、濡れそぼった髪と、隠す手に押されて少し歪んだ胸と――
ほむら「まままっままままままどか///」
まどか「慌てすぎだよっほむらちゃん///」
ほむら「あわわわわわわわ……///」
まどか「そんなに見つめられても恥ずかしいって///」ニコッ
ほむら「はぅっ!」クラッ
まどか「ほっほむらちゃん!?」
バタッ
まどか「ちょっとほむらちゃん!?しっかりして!!」
ほむら「………」
まどか「ほむらちゃーーーん!!」
ーー
ー
ほむら「ん……」
まどか「あ、目が覚めた?」
ほむら「ベッド…?…私は何を…」
まどか「ほむらちゃん、脱衣所で倒れちゃって…運ぶの大変だったんだよ?」
ほむら「あっ!」ガバッ
まどか「うぇひひ、思い出した?」
ほむら「あ、あれはその///」
まどか「へえぇ、ほむらちゃんって私のこと…そういう目で見てたんだ」
ほむら「えっええと、その…///」
まどか「私のこと見て、ヘンな気分になっちゃったんだね?」
ほむら「うっ…うう…」
まどか「全然」
ほむら「でも私…貴女が……へ?」
まどか「むしろ嬉しかったっていうか…」
ほむら「え…え?」
まどか「えへへ…口に出して言うのは恥ずかしいね///」
ほむら「ま…まどか…」
まどか「実はね、私もその…少しヘンな気分になってて///」
まどか「慌てるほむらちゃんが可愛いもんだからつい///」
ほむら「………///」
まどか「気持ちは一緒だってわかって嬉しかったよ///」
ほむら「うん…ありがとう、まどか」
まどか「やだなあお礼なんて…もっとイタズラしてほしいってことかな?」
ほむら「いっいやそれはまた別の話であって」アセアセッ
まどか「うぇひひっほむらちゃんはホント可愛いね」
ほむら「…もう私の立つ瀬はないわ……」
まどか「そんなことないよ、私はほむらちゃんの色んな所を知りたいの」
まどか「そのためにイタズラしたようなもんだよ?」
ほむら「もっと他に方法があったんじゃないの…?」
まどか「まあ雨で濡れちゃってたってのもあるし…それに〜 ほむらちゃんの弱い所ってこうでもしないと見れそうも無いなぁって思って」
ほむら「ぐぅ…」
まどか「だけど、もっと弱いとこもダメなとこも全部知りたいよ」
ほむら「…うん、まどか……ちょっと怖いけど…私も貴女に知ってほしい…」
まどか「へへ、よかった。じゃあこれから頑張っちゃうからね!」
ほむら「だっだけど方法は別のやつだよ!今回みたいなのはダメだからね!?」
まどか「えぇーそんなぁー」
ほむら「もっ物事には順序があって…その…///」
まどか「順序と私、どっちが大事?」
ほむら「えぇっ!?なにその質問!!?」
まどか「ねぇ、どっち?」
ほむら「えっとえっと…まどかが大事だから、順序を守りたい……かな」
まどか「…うまくかわしたね」
ほむら「まどかぁ…からかうのはやめてよ、もう…」
まどか「そういえばほむらちゃん…なんだか喋り方が可愛くなってるね」
ほむら「えぇっ!?」
ほむら「う…うん…」
まどか「まだまだ知らないことはいっぱいありそうだねぇ…うぇひひひひっ」
ほむら「あぅ…」
まどか「これからだね、ほむらちゃん!」
ほむら「お…お手柔らかにお願いします…」
まどか「どーしよっかなー♪」
ほむら(まずい…完全にまどかのペースになってる…どうにかしないと…)
ほむら(…やるわ、やってみせる!)
ほむら「…あら強気ね、それじゃその強気がどこまで持つか試してみる?」
まどか「え?ほむらちゃ―――」
まどかの返答を聞き終える前に、ほむらは行動に移っていた。
すぐ横に座っていたまどかの肩を掴み、ベッドへと押し倒す。
呆気に取られているうちにすぐさま覆いかぶさると、顔をすぐ目の前に近づけた。
まどか「……ほ…ほむらちゃ…」
ほむら「ふふふっ、いつまでも弱い私のままだと思ったかしら?」
ほむらの息が、まどかの顔に届く。
それを受けてやっとまどかは自分の置かれている状況を理解する。
ほむら「形勢逆転ね、今の状態なら貴女の唇を奪うことも容易いわ」
まどか「ほむらちゃん…///」
ほむらの吐息が肌を撫でる。ほむらの匂いが鼻腔をくすぐる。
それらがまどかの興奮を引き立てた。
まどか「…いいよ」
ほむら「え?」
まどか「…しても……いいよ…///」
恥らうように顔を背けながら放たれた一言。
言葉の意味を理解するのに、ほむらは数秒を要した。
ほむら(してもいいって……いったいどこまで!?)
ほむら(きっキスとか!?いやもっと先も!?)ムフームフーッ
まどか(あれ?ほむらちゃんの鼻息が荒くなってる…?)
ほむら「え!?」ビクッ
まどか「キス…してもいいって言ったんだけど…」
ほむら「いいいいえ、別のことを考えてたわけじゃなくて!」
まどか「……ほむらちゃんのエッチ」
ほむら「はぅ!!」
まどか「やっぱりそういうこと考えてたんだぁ」
ほむら「ううう…///」
まどか「『物事には順序が』なんて言ったのはどこの誰だったかな?」
ほむら「……ごめんなさい」
まどか「…えっち」
ほむら「…//////」
ほむら「ふぇ!?」
まどか「……キスだよ」
ほむら「え…えっと…」
まどか「押し倒しといて何もしないの?」
ほむら「……くぅ…///」
ほむら(恥ずかしすぎてもう死にたい…)
ほむら「うぐぅ……///」
ほむらが視線を逸らすために目を伏せた瞬間を狙って、まどかの腕が伸びる。
それらをほむらのうなじ辺りで交差させると、ゆっくりとまどかの方に引き寄せた。
ほむら「えっあっまどか!?///」
まどか「目、閉じて?ほむらちゃん…」
ほむら「でっでも///」
まどか「…お願い」
ほむら「……うん///」
チュッ
ほむら「わ…私も初めてだよこんなことするの///」
まどか「初めて同士かぁ、嬉しいっ」ギュッ
ほむら「まっまどか///」
まどか「ほむらちゃんの髪…いい匂いがするね…」スンスン
ほむら「あっその…まどかもっいい匂いがするよ///」
まどか「そっかぁ…私、今ほむらちゃんとおんなじ匂いがするんだね」
まどか「ほむらちゃんとこうしてると…なんだかすごく落ち着くね…///」
ほむら「うんっ…私も……」
まどか「ふふっ、ほむらちゃん口下手になってるよ?」
ほむら「うんっ……うんっ……」
まどか「…?」
ほむら「なんでも…なんでもないよ……」
まどか「さっき少しだけカッコイイほむらちゃんに戻ってたじゃない」
ほむら「ううん…私は弱いよ……弱いんだよまどか……」
まどか「ほんとにもうっ…どうしちゃったの?」
ほむら「ごめんね……ごめんね………」
まどか「もしかしてほむらちゃん……泣いてるの?」
まどか「ほむらちゃん…?」
ほむら「ごめんね…まどか…私…わたしっ……」
ほむら「いますごく…しあわせなの……ひっぐ……しあわせすぎて………」
まどか「…うん」ギュウ
ほむら「ずっと…こうしたいって…おもってた……あなたのそばにいたいって……」
ほむら「それがかなって……ひっぐ…わたしっ………しあわせなの……」
まどか「うん、私も…今とっても幸せだよ…ほむらちゃん…」
ほむら「まどかぁ……まどがぁ………」
まどか「私にはそれをどうやって伝えたらいいかわからないけど…」
まどか「ずっと…こうしていようね?ほむらちゃん……」
ほむら「うっぐ…ひっぐ……うん……」
まどか「大好きだよ…ほむらちゃん」
ほむら「…うんっ……わたしも…すきっ……だいすきよ…まどかぁ……」
ーー
ー
まどか「どう?少しは落ち着いたかな」
ほむら「ごめんなさい…思いっきり取り乱してしまって…」
まどか「いいってば気にしなくて」
まどか「泣いてるほむらちゃんも可愛かったしね」
ほむら「そっそんなこと…///」
まどか「うぇひひっなんか私の中で目覚めちゃいそうだよ」
ほむら「…困ったわねそれは」
まどか「でももちろん、ほむらちゃんにだけだからね?」
ほむら「喜んでいいのかしら…」
ほむら「そんなことはないわ、まどかのほうが可愛いわよ」
まどか「いやいや、さっきのほむらちゃんの照れた顔のほうが…」
ほむら「いいえ、さっきのまどかが誘ってきたときの顔のほうが…」
まどか「…ぷっ」
ほむら「…ふふっ」
まどか「これじゃあ決着はつかないね」
ほむら「そうね…貴女って意外と頑固だから」
まどか「いつかほむらちゃんのほうが可愛いって証明して見せるんだからっ」
ほむら「出来ないわよ、そんなこと絶対に」
ほむら「恥ずかしいところばかりを見せてしまったわ…」
まどか「うぇひひひひ…これも雨のおかげかな?」
ほむら「…そうね。この雨の所為よ」
外で降り続く雨は止む気配すら見せず。
雨粒のはじける音だけが世界を満たしていて。
まどか「静かだね…」ギュッ
ほむら「ええ…」ギュッ
あの戦いの終わりには、いつだって雨が降っていた。
雨はほむらにとってその記憶を呼び起こす引き金でもあったのだが。
大切な人の手を取って眺める雨は、どこか優しげに見えた。
ほむら「少しだけ…雨を好きになれた気がするわ」
まどか「…これから、もっと好きになろうね」
ほむら「……うん」
おわり
乙でした
>>95
QB「その辺は君の解釈に任せるよ」
乙
Entry ⇒ 2012.05.03 | Category ⇒ まどかマギカSS | Comments (0) | Trackbacks (0)
ほむら「ムジュラの仮面?」
そこにひとりの少女が登場する
巨悪と戦い、世界を救ったのち、彼女は、神話から姿を消した……
時をこえた戦いを終え、彼女は人知れず旅に出た
冒険の終わりで別れた、かけがえのない友を探す旅に……
ほむら「……」
QB「……」
ほむら「……いやに瘴気が濃いわね」
QB「……そうかい?」
ほむら「そうかいって、あなたには感じないの?」
QB「たしかに異様な雰囲気はあるけれど、魔獣のそれとは違う気がするよ」
ほむら「まあ、魔獣ではなさそうね」
ほむら「!?」
ほむらとキュゥべえの足元が急にくぼんだ。
次の瞬間には、一人と一匹は深い穴の底にいた。
ほむら「……」
QB「ほむら、大丈夫かい?」
ほむら「……」
QB「……気絶しているようだ」
「ヒヒヒッ」
スタルキッド「引っかかったぞ、マヌケが」
QBが上方を仰ぎ見ると、二匹の妖精を従えた少年がこちらを覗いていた。
QB「(妖精……? まあ珍しくもないけど、この地球になぜ妖精が?)」
QB「(それに……、あの少年のつけている仮面。あまりに禍々しい形相をしている。僕には分からないが、人間が見たら恐怖を抱くのだろうね。ただの仮面ではなさそうだ)」
スタルキッド「何かいいモン持ってそうだ!」
少年は妖精と共に穴の中に滑り下りてきた。
トレイル「キレイ……」
チャット「あんたは触っちゃダメよ?」
スタルキッド「ヒヒヒッ」
少年はほむらの頭からリボンを外すと、穴をよじ登り、どこかへ消えていった。
QB「……」
ほむら「う……ん……」
QB「気が付いたかい、ほむら」
QB「落とし穴に嵌ったようだ。今、この罠を仕掛けたと思われる少年が君のリボンを盗っていったよ」
ほむら「リボン……ない! どうして止めなかったのよ!?」
QB「無茶言わないでくれ。そもそも彼には僕の姿が見えていないんだ」
ほむら「そ、そいつはどこへ行ったの?」
QB「とりあえず穴から出ようよ」
ほむら「物盗りをやるには少し頭が足りていないようね。追うわよ」
足跡は洞窟の中へと続いていた。
ほむら「こっちね」
QB「ちょっと待ってよ。まさかこの洞窟に入るのかい? 悪いけど、リボンひとつにそこまでこだわるなんて理解できないよ」
ほむら「あのリボンはまどかが存在した唯一の証なのよ」
QB「やれやれ、また『まどか』かい。まあ既に感情という精神疾患を持つ君が、さらに精神を病んだところで僕には関係のない話だけど」
ほむら「撃ち抜いてやりたいところだけど今は勘弁してやるわ。行くわよ」
ほむら「くっ……! いったいどこまで逃げたのよ……。そろそろ普通の人間が通れるような道じゃなくなってきたわよ」
QB「……人間?」
ほむら「え?」
QB「ああ、僕にとっては意味のない差異だったから言わないでいたけど、彼は恐らく人間ではなかったよ」
ほむら「そういうことは早く言いなさいよ!」
妖精を従えていたし。もっとも小鬼自体が何か特殊な能力を持ち合わせているわけではない。思うにあの仮面が……」
ほむら「仮面? ……きゃっ!」
ほむらは足を滑らせた。道の先が崖になっていたのだ。
落ちてゆく時ほむらには、数多の「顔」が自分の前を通り過ぎていった気がした……。
気が付くとほむらたちは地の底にいた。眼前には小さな沼が広がる。
その沼を超えた暗がりの中に、小鬼はいた。
ほむら「こいつ……」
QB「やはり様子がおかしいね。彼は空中で寝転がるような姿勢をとり、
リボンも手に持っているようで実は宙に浮かせている」
ほむら「魔力の持ち主だということ?」
QB「それがどんな種類のものであれ……ね」
ほむら「でも関係ないわ……リボンを返してもらうわよ」
スタルキッド「ヒヒヒッ、オマエ、自分の立場が分かっていないようだな」
スタルキッド「調子に乗ってるのはオマエだよ。そうだな、ナニがいいかな……」
ほむら「何を言ってるの?」
QB「! まずい、ほむら! 逃げるんだ!」
ほむら「……!?」
ここで暁美ほむらの意識は半ば飛んだ。ただ、一瞬、見たこともない、
植物と動物の中間のような、気味の悪い生物に取り囲まれるイメージが見えた気がした。
目の前には沼が広がる。その奥には小鬼と二匹の妖精。先ほどと同じ光景だ。
ほむら「(一瞬気が遠くなった気がしたけど……。気のせいね)」
ほむら「(それにしても、ずいぶんと生意気な態度をとってくれるわね。今度はこっちの番……)」
ほむらが違和感の正体に気付くのに、数秒とかからなかった。傍らのキュゥべえが随分大きく見える。機転の効く彼女はすぐに水面に映る自分の顔を覗き込んだ。
ほむら「――っ!!」
ショックだった。自分が、植物とも動物ともつかない奇妙な生物に変わってしまっている。
思わず悲鳴を上げたが、その声ももはや暁美ほむらのものではなかった。
小鬼はそう言うと、空中で寝転がった姿勢を保ったまま、後方に飛んでいった。妖精が二匹、その後に続いた。
ほむら「これはいったいどういうことなの、キュゥべえ!」
QB「分からない。でも、あの小鬼の魔法……そう考えるのが一番自然じゃないかな」
ほむら「そうね。なら元の姿に戻る方法はひとつ……あいつをとっ捕まえるしかないわね」
ほむらは前に踏み出した。身体が軽いせいか、水面を跳ねて進むことができた。
QB「なんだかこの木、君に似ているね」
QBが立ち止まったところには、顔のようにも見える模様のついた枯れ木が生えていた。
ほむら「そんなこと言っている場合じゃないわ。行くわよ!」
どこかから、心の安らぐ、優しい歌が聞こえた。
――時計塔の内部――
ゴトン ゴトン
扉を開けると、巨大な歯車が目に入った。
QB「この歯車……どうやらここは時計塔の内部のようだね」
ほむら「時計塔……。どうも昔のことを思い出させるようで、いい気はしないわね」
「ホッホッホ」
ほむら「?」
ほむらが振り返ると、大きな荷物を背負った男がいた。手をすり合わせ、気味が悪いほどの笑顔を浮かべている。
ほむら「……あなたは?」
お面屋「ワタクシはしあわせのお面屋。古今東西、しあわせを求めて旅を続ける行商人。見たところアナタ……仮面をつけた小鬼を追っているのでは……」
ほむら「ええ。どうして分かったの?」
お面屋「実はあの仮面、もともとはワタクシが持っていたものなのです」
ほむら「……」
お面屋「ところで実はワタクシ、アナタを元の姿に戻す方法を知っているのですが……」
ほむら「え!? ほ、本当!?」
ほむら「……。どのみちあの小鬼には用があるわ。仮面をとり返してくればいいんでしょう?」
お面屋「アナタならそうおっしゃってくれると信じていました……。小鬼はこのクロックタウンのどこかにいるはずです……。
出来れば三日以内にお願いします。三日したら、ワタクシはこの街を出ていってしまうので……」
ほむら「そういうワケらしいから、行くわよ。QB」
お面屋「自分の力を、信じなさい、信じなさい……」
ほむらたちは扉を開け、時計塔の外、クロックタウンへと出た。
最初の朝 ――あと72時間――
ほむら「……とは言ったものの。どこにいるのかしら、あいつ」
QB「ほむら、君はあのお面屋に関して、何も感じなかったのかい?」
ほむら「……? どういう意味よ」
QB「僕はあのお面屋に、君たちの言葉で言うと恐ろしいものを感じた。
『円環の理』に近い、超越的な何かを……」
ほむら「『円環の理』……。なら問題ないじゃない。行くわよ」
QB「行くって、どこに?」
ほむら「手あたり次第聞き込みよ」
ほむら「! そういえばそうね。どうしましょう……」
QB「しかし不思議なのは、君は先ほどから街の中心にいるというのに、誰ひとりとして君に興味を示さないことだ。まるで君のような生き物がこの世界にいるのが当たり前のことのように……」
ほむら「……異世界にでも迷い込んだのかしら」
QB「そうかもしれないね。ところでほむら、ひとつ、魔法少女の変身を解いてみてはどうだい?」
ほむら「? まあいいけど」パアア
ほむらは変身を解いた。
ほむら「これは……」
そこにあったのは、普段通りの暁美ほむらの姿だった。
QB「やはりね。姿を変えられたのは変身後だけのようだ」
その後、試しに再び変身してみると、やはりあの奇妙な姿になってしまった。ほむらは溜息をつき、変身を解いた。
ほむら「つまり、魔法少女に変身するとあの姿になってしまうということね……」
QB「ということは、君の武器である弓が使えなくなったわけだ」
ほむら「魔法少女としての身体能力は失っていないようね。ともかく、この姿なら聞き込みも出来るでしょう」
――マドカマ亭――
まずほむらはフロントへ向かった。
ほむら「どこか泊まれる部屋は?」
マドカ「はい。2Fのこの部屋などは……」
ほむら「……!」
ほむらは、自分が声を上げなかったことが不思議なくらいだった。目の前にまどかがいる。ほむらのかつての道しるべ。この世界を構築した魔法少女。
ほむら「(いや……)」
だがそれがまどかではないとすぐに分かった。彼女の耳は、お伽話に出てくるエルフのように長かった。この街の他の住人と同様に。しかし似ている。似すぎている。
ほむら「いえ。ごめんなさい。じゃあその部屋をとらせてもらうわ」
マドカ「かしこまりました」
ほむら「ああ、あと……仮面をつけた小鬼を見なかったかしら」
マドカ「小鬼……? うーん……、すみません、ちょっと……」
ほむら「そう。ならいいわ。ありがとう」
その後、ほむらたちは自分たちの部屋に向かった。部屋に入ると、すかさずベッドに寝転がった。
ほむら「さすがに疲れたわ」
QB「しかしあまり休んでいる時間はないみたいだけど。確か期限まであと三日もないんだろう?」
ほむら「分かってるわよ。もうしばらくしたら聞き込み再開よ」
コンコン
ドアをノックする音が聞こえた。ほむらが返事をすると、マドカが入ってきた。
マドカ「食事のメニューです。外で取ってもらっても構いませんが、こちらでも用意しているので。暁美ほむら様」
マドカ「えっと……、それじゃあ、ほむらちゃん」
ほむら「(こうしてみると本当にまどかみたいね……)」
マドカ「あ、わたしはマドカっていいます。マドカと呼んでください」
ほむら「マドカ……」
マドカ「それにしても、ほむらちゃんは逃げないんだね」
ほむら「逃げない……?」
マドカ「あ、ごめんなさい。最近皆クロックタウンから避難してるから、
これから泊まろうなんてお客さん、珍しくて。ここだけの話、今このマドカマ亭に泊まってるの、ほむらちゃんだけなんだ」
ほむら「避難? 何かあるの?」
マドカはそう言うと、部屋の窓を開けた。ほむらは促されるまま、開けられた窓から顔を出した。
マドカ「今日も大きくなってるね」
ほむらはマドカの目線の先を追った。そして目を丸くした。そこには、昼間だと言うのに、
ほむらが見慣れていたものに比べてあまりに巨大な月があった。そしてその月には、鬼のような表情をした顔がついていた。
こんなものが空に出ていて今まで気が付かなかった自分もどうかとは思ったが、恐らく疲れていて空を仰ぐ余裕がなかったのだろう。
ほむら「落ちてくるって……いつ頃?」
マドカ「噂だと、三日以内だって」
ほむら「(三日……。あのお面屋がこの街を去ることと何か関係があるのかしら)」
マドカ「あ、ごめんなさい。お客様相手になれなれしかったですよね」
ほむら「いいえ。全然気にしていないわ」
マドカ「何だかほむらちゃんと話していると懐かしい感じがして……。初対面なのに、変だよね」
ほむら「……そうね。変よ」
ほむら「キュゥべえ」
QB「何だい」
ほむら「わたしの言う『まどか』は、今の子のような外見をしていたわ」
QB「やれやれ、またその妄想かい」
ほむら「……さっさとあの小鬼をとっ捕まえるわよ」
ほむらたちは部屋を出、ロビーに降りた。フロントにはマドカが立っていた。
ほむら「外出するわ」
ほむらはフロントにキーを預ける。
マドカ「いってらっしゃい、ほむらちゃん」
ほむら「……」
ほむらたちは再びクロックタウンに出た。
QB「それにしてもあの月……。ここが僕らの住んでいた世界でないのは確かなようだね。可能性としては……パラレルワールド」
ほむら「(パラレルワールド……。わたし自身複数のパラレルワールドを渡り歩いてきたようなものだし、あまり新鮮な感じはしないわね……)」
それからほむらたちは街の人間に小鬼の行方を訊いたが、参考になるような回答は得られなかった。街を探し尽くしたほむらが次に目指したのは街の外だった。
門番「待ちなさい、君」
ほむら「……わたし?」
門番「ここから先はクロックタウンの外だ」
ほむら「ええ。そのクロックタウンの外に行きたいのだけど」
門番「ダメダメ! 外は危ないんだ。凶暴なモンスターだっている。お嬢ちゃんのような武器も持っていない子どもは出ていっちゃダメだよ」
ほむら「そんな……」
ほむら「武器……ねえ。本来なら弓矢があるけど、今は小鬼の魔法のせいで使えない」
ほむら「(昔持っていた盾があれば、時間が止まっているうちに門を通り抜けられるけど)」
ほむら「わたしも見た目は子ども。変身後の姿ならなおさらでしょうね」
QB「呪いを解かないうちは街の外に出るのは厳しそうだね」
QB「……呪い?」
QB「ほむら、ちょっとソウルジェムを出してみてくれないかな」
ほむら「……? いいけど。これでどうするの?」
QB「さっきも言った通り、小鬼というのは、それ自身は魔力に相当する力を持っていないんだ」
ほむら「それが何か?」
ほむら「はあ」
QB「もともと魔力を持たない者が魔法を使える……それは希望、または呪いの力を借りたときだけだ」
ほむら「確かにわたしたち魔法少女は希望の力を魔力に変え、魔女は呪いの力を魔力に変えている」
QB「魔女? まあ君の妄想の話はいいとして、仮にあの小鬼が呪いの力を使っているのなら、ソウルジェムが反応するはずなんだ。ソウルジェムが魔獣を感知できるのも、呪いに対するセンサーの機能を持っているからなんだよ」
ほむら「! そういうことはもっと早く気付きなさい」
QB「アイディアを出したのにその言い方はひどいんじゃないか」
ほむら「……まあいいわ。さっそくソウルジェムで奴の居場所を……」
ほむら「時計塔の周辺に奴がいるとしか考えられないのだけど」
QB「時計塔の内部という可能性は考えなくていいだろう。あのお面屋がいたところだしね。それにあのいたずら好きの小鬼のことだ。
もっと広々とした場所を好むはず……」
ほむら「……上ね」
QB「しかしどうやって登るんだい? 魔法少女の跳躍力を持ってしても中々難しそうだけど」
ほむら「とりあえず宿に帰りましょう。今は奴の居場所が分かっただけで十分よ」
マドカ「おかえりなさい、ほむらちゃん。はい、部屋のキー」
ほむら「ありがとう、マドカ。……ねえ、ひとつ訊いてもいいかしら」
マドカ「何かな?」
ほむら「あの時計塔に登ることは出来るの?」
マドカ「うーん……。普段は無理かな」
ほむら「……そう」
マドカ「でもね、今ならチャンスがあるかも!」
ほむら「どういうこと?」
マドカ「ほむらちゃんは旅人だから知らないかな? クロックタウンでは毎年この時期に『刻(とき)のカーニバル』っていうお祭りをやるんだ。
花火とかも上がって、楽しいんだよー」
ほむら「それが何か?」
そこから時計塔の上まで登れるかも!」
ほむら「……それはいいことを聞いたわね。ありがとう、マドカ。今の情報、とても役に立ったわ」
マドカ「ティヒヒ。じゃあほむらちゃん、わたしも訊いていいかな」
ほむら「答えられることなら」
マドカ「『狐のお面を被った女の子』を見なかった?」
ほむら「狐のお面……? ごめんなさい、見ていないわ」
マドカ「うん、ならいいんだ。ごめんね、変なこと訊いて」
ほむら「いえ、お役に立てず申し訳ない……。見かけたら報告するわ」
マドカ「ありがと!」
その後ほむらたちは部屋に戻った。
ほむら「これで準備は万端ね。あとはソウルジェムの反応を見て、奴が移動しないか確認して、三日後の0時になったら時計塔の上まで行くわよ」
QB「まあ問題ないだろう」
ほむら「今日はたくさん歩いて疲れたわ。もう寝ましょう」
翌日、ほむらたちは主に街を散策して過ごした。様々な店や、銀行、市長の家、ポストハウス、射的場、バー……。
それ以外の時間はマドカと話した。マドカが言っていたように、毎年カーニバル前は満室になるのだが、今年は月の噂のせいで客が来ないのだ。
そして……。
――マドカマ亭――
ほむら「出かけるわ」
マドカ「ね、ねえ、ほむらちゃん。よかったらわたしも一緒に行っていい?」
ほむら「仕事はいいの?」
マドカ「お客さんも来ないし、今夜は誰も来るはずがないから」
ほむら「じゃあ一緒に行きましょう。0時まで」
外に出たほむらたちは、カーニバルに関係なく街の様々な場所を巡って楽しんだ。知り合ってから三日とは思えないほど、ほむらとマドカは親しげだった。
そうして時が流れ、時刻は0時に近づいた。
マドカ「月、いよいよ大きくなってきたね」
ほむら「ええ。怖いくらいだわ」
マドカ「あれ、本当に落ちてくるのかな……」
ほむら「どうでしょうね」
マドカ「ほむらちゃん」
ほむら「何?」
マドカ「ごめん」
ほむら「謝られるようなことをされた憶えはないわ」
ほむら「気にしていないと言ったはずよ。それに、なれなれしいのはお互い様だし」
マドカ「ううん。……わたし、『狐のお面を被った女の子』を探してるって言ったでしょ?」
ほむら「ええ」
マドカ「実は、その子がほむらちゃんにそっくりなの」
ほむら「……!」
マドカ「わたしとあの子はとっても仲のいい、親友でね……。なのにあの子、急に行方不明になっちゃったの。
だからわたしはほむらちゃんとあの子を重ねて……」
ほむら「……」
マドカ「ごめんね、最低だよね……。それでね、実はこの前その子から……」
マドカが俯きかけた瞬間、時計塔の鐘が鳴り、同時に数発の花火が光った。
ほむら「マドカ、話の続きはわたしが帰ってきてからにしましょう」
マドカ「ほむらちゃん……」
ほむら「たいした用事じゃないわ。すぐ帰ってくる」
マドカ「……うん。待ってる」
ほむらは時計塔に向かって走り出した。
ほむら「(気に病むことはないわ、マドカ)」
ほむら「(誰かと相手を重ねてるなんて……それこそお互い様だもの)」
時計塔に辿りつくと、マドカの言っていた通り、上の扉が開いていた。ほむらはその扉をくぐり、階段を上った。
スタルキッド「……ヒヒヒッ」
小鬼が二匹の妖精を従え、空中で腕組みしながら座るポーズをとっていた。
そのさらに図上では鬼の形相をした月が、今にも大地に触れそうなほどに近づいていた。
ほむら「そのリボン、返してもらうわよ!」
スタルキッド「嫌だね。オイラはこの仮面のおかげでこんなにすごい力を手に入れられたんだ。
頭上を見ろ! オイラの力にかかればこの街をぶっ壊すことだって不可能じゃないんだぞ?」
ほむら「その月……あなたの仕業だったのね。でもその前に止めてみせる!」
スタルキッド「なら……やってみろ!」
スタルキッドが掛け声のようなものを発したかと思うと、大地が揺れ出した。月がさらに近づいてきているようだった。
ほむら「あいつは宙に浮いている。……弓はないし、……攻撃する手段がないわ」
QB「!? 僕はてっきり何か考えがあるものだと……。とりあえず変身しなよ! 何かしら魔法は使えないのかい?」
そう言われてほむらは変身をした。今までと同じように、あの奇妙な姿に変化した。
ほむら「そう言われても……。……?」
ほむらは、自分が何か魔力を発揮しようとすると、自分のラッパ状の口にシャボンの膜のようなものが出来ていることに気がついた。
QB「それだよ! 口からシャボンを飛ばして小鬼に当てるんだ!」
ほむら「あまり気分が良くないけど、それしかなさそうね」
ほむらは持てる限りの魔力を使い、シャボン玉を形成した。そしてそのシャボン玉で、小鬼を狙い撃つ。
シャボン玉が小鬼に命中し、小鬼は手を滑らせてリボンを落とした。ほむらはすかさずそれを拾った。
ほむら「やった、取り戻したわ!」
QB「でもあの小鬼にダメージはないみたいだ。どうするんだい?」
ほむら「……まどか」
QB「ほむら、今は妄想にふけっている場合じゃないだろう!?」
ほむら「このリボンを見ていると、まどかのことを思い出すわ……」
QB「聞こえているのかい、ほむら!」
それは次第に集まって、ひとつの物質を形成していくようだった。
QB「う……魔力を感じる! この光は……!?」
現れたのは、ほむらにとっては馴染みのあるものだった。盾。かつて、再構築される前の世界で、ほむらが使っていた武器。
ほむら「キュゥべえ、残念だけど今あいつを仕留めるのは難しそう」
QB「何だい、その道具は……」
ほむら「わたしの戦場はここじゃない」
QB「これは……!! ほむら、時間操作系の魔法をいつの間に……!!」
ほむら「……また同じ日々を繰り返すことになるとはね」
リボンを小鬼に盗まれた。
……
小鬼に、姿を変えられた。
……
お面屋に出会った。
……
気がつけばほむらとキュゥべえは時計塔の前にいた。
QB「驚いたなぁ。まさか君にそんなことができたなんてね」
ほむら「……時間遡航は、前の世界でのわたしの能力よ。それが何故……」
QB「ふーん。前の世界とやらが実在したかどうか、僕には確かめようがないけれど、
もともと魔法少女の魔法というのは本人の強い願いの表れなんだ。強力な祈りが新たな能力を生み出したとしても不思議ではない」
ほむら「そういうことなのかしら」
QB「それよりこれからどうするんだい?」
ほむら「とりあえずお面屋のもとに戻りましょう」
お面屋「ホッホッホ……。戻ってきましたね。では、約束通りあなたを元の姿に戻しましょう」
ほむら「(まだ仮面を取り戻してないけど、いいのかしら……)」
お面屋「アナタ、何か楽器の演奏ができますか?」
ほむら「……ピアノくらいなら」
お面屋「そうですか。では、ここにオルガンがあります」
ほむら「!?」
気がつくと、お面屋の前に巨大なオルガンが出現していた。
ほむら「(あんなものをいつの間に……)」
お面屋「いいですか、これからわたしが奏でる歌を憶えて下さい」
ほむらはオルガンの音に耳をすませた。その旋律は、この街に来る直前に聴いたことがあるような気がした。静かな、優しい調べだった。
お面屋「ホッホッホ……。次はあなたが今の歌を奏でて下さい」
ほむらは言われるままオルガンの椅子に腰掛けた。
ほむら「……」
♪〜
ほむらが演奏を始めると、不思議な空気が漂った。どこか、魔力に近いものを感じた。同時に、何か、ある一つの命、その一生が脳裏をよぎった気がした。
お面屋「これで彷徨える魂はいやされました。今の歌を『いやしの歌』と言います……」
ほむらは試しに変身してみた。すると見知った魔法少女ほむらの姿になり、弓矢も復活していた。
ほむら「……ん?」
足元に、仮面のようなものが落ちていることにほむらは気付いた。その顔は、姿を変えられたほむらの顔と瓜二つだった。
お面屋「『いやしのうた』は救われない魂をいやし、仮面にする歌です。アナタに憑いていたデクナッツの魂は浄化され、魔力は仮面に封じ込めました」
ほむら「これは……どうすればいいの?」
お面屋「とっておいて下さい。その仮面をつければ、もう一度あの姿に変身することができます。いつかその仮面が役に立つ時が来るでしょう」
ほむら「そう」
お面屋「……では、ワタクシは約束を果たしました。あなたも例のモノを……」
ほむら「(ぎくっ……)」
ほむら「……」
お面屋「まさか……あの仮面……」
ほむら「……」
お面屋「とり返していないとか……」
ほむら「……」
ガバッ
ほむら「!?」
お面屋は目を見開き、ほむらの襟首を掴んだ。
お面屋「なんてことをしてくれたんだ!」
ほむら「!!?」ビクッ
お面屋「あの仮面をそのままにしておけば、大変なことになる!!」
ほむら「ちょ、落ち着いて!」
お面屋「……実はあの仮面」
しばらくしてお面屋は落ち着いたのか、ほむらから手を離し、表情も元に戻った。
お面屋「『ムジュラの仮面』といって、とある部族が呪いの儀式で使用していた仮面なのです……」
ほむら「……」
お面屋「恐ろしい力を持っています。場合によっては、このタルミナ世界が滅ぼされることにも……」
ほむら「……そうだったの」
お面屋「とにかく、一刻も早くあの仮面を取り戻してください。三日以内です」
ほむら「分かったわ」
ほむらはデクナッツの仮面を盾にしまうと、時計塔の外に出た。
ほむら「あー、怖かった……。あのお面屋、あまり怒らせない方がいいわね」
QB「しかし仮面を取り戻す、か……。魔法少女としての武器を取り戻したとはいえ、率直な意見を言うと、
今の君ではあのムジュラの仮面には勝てない」
ほむら「そんな気がするわ」
QB「君にしてはやけに素直だね」
ほむら「それに、どちらにせよ月が落ちてくるんじゃ……この世界は滅びてしまうわ」
QB「何か手段を考えないとね」
ほむら「ん? あれは……」
身長はほむらの肩より低く、黒く長い髪が腰までかかっている。顔は……狐のお面に隠されて見えなかった。
ほむら「何だか変わった風貌の子ね。狐のお面なんて……」
ほむら「……」
ほむら「狐のお面?」
ほむら「マドカが言っていた子かしら」
ほむら「確かに、あの後ろ姿はわたしに似てなくもないかも……」
ほむら「マドカ……」
ほむら「とりあえず、マドカマ亭にチェックインしましょう」
ほむら「どこか泊まれる部屋は?」
まどか「はい。2Fのこの部屋などは……」
ほむら「(こういうことには慣れたつもりでも)」
ほむら「(一度知り合った人と初対面からやり直すっていうのには虚しいものがあるわね)」
それからほむらたちは部屋に入り、一度目と同じやりとりを終えた。
ほむら「ねえマドカ」
マドカ「何、ほむらちゃん」
ほむら「もしあの月を止めろって言われたら、どうする?」
マドカ「え、ええっ!?」
ほむら「ごめんなさい、変な質問だったわよね」
マドカ「うーん、でも……四人の『巨人』ならなんとかできるかも!」
ほむら「『巨人』?」
マドカ「うん。おばあちゃんに読み聞かせてもらった昔話でね、タルミナの沼、山、海、谷の四か所に巨人がいて、この世界を守ってるんだって。
普段はばらばらなんだけど、世界の危機になったら、『誓いの号令』の鳴った場所に集まるとか。昔話だけどね」
ほむら「そう。ありがとう」
ほむら「(そんなものがいたとしたら月が落ちてくる前に止めていたはずだけど……)」
ほむら「(最期の夜には巨人は来なかった)」
ほむら「(やっぱりただの昔話ってことなのかしら……)」
マドカ「あ、ごめんなさい。わたし夕ご飯の下ごしらえをしなきゃ……。また何かあったら呼んでね!」タタタッ
マドカは部屋を出ていった。
ほむら「キュゥべえ、今の話どう思う?」
QB「うーん、巨人と呼ばれる種族ならこの宇宙にいくらでもいるけど、それがこのタルミナという世界に存在するかどうかまでは分からないなあ」
ほむら「……でも、試してみる価値はありそうね?」
QB「そんな眉唾な話をアテにするって言うのかい?」
ほむら「たとえわずかでも可能性があればそこから潰していくのがループの基本よ。わたしは以前そうしていた」
QB「やれやれ。マドカは何と言っていたっけ……沼・山・海・谷だったかな。とりあえずそのあたりを探せばいいんだね」
ほむら「まずは、クロックタウンから出ましょう」
ほむら「通してもらえるかしら」
門番「おっとお嬢ちゃん、ここからは……」
ほむら「子どもは通れないのよね。ところで、沼というのはどこにあるか知ってる?」
門番「沼? ウッドフォールの沼地ならこの門を出て真っ直ぐだけど、そんなことを聞いて何を……」
カチッ
ほむら「それだけ聞ければ十分よ」
カチッ
門番「……あれ、今の子は?」
ほむら「とりあえず目指すのはウッドフォールの沼地ね」
キュゥべえ「……ほむら、そこの草むらから魔力を感じるよ」
ほむら「!?」
ほむらは反射的に草むらに向かって矢を射る。ほぼ同時に、悲鳴のようなものが聞こえた。
ほむら「……」
近寄ってみると、半透明のスライムのようなモンスターが倒れており、傍らには緑色の壺が転がっていた。
ほむら「何かしら、この壺……」
ほむらが壺に手を触れると、ほむらの手のソウルジェムが反応した。
ソウルジェムから穢れが離れ、壺に集まってゆく。やがて壺は砕け散った。
QB「……驚いたなぁ」
ほむら「これは一体……」
ほむら「そうみたいね。……この草むら、火薬のにおいがする……?」
ほむらは試しに草のひとつを引っこ抜いた。すると爆弾や矢が土の中から出てきた。
ほむら「!?」
QB「それは爆弾、そっちは矢だね」
ほむら「それは分かるわよ。……全く、この世界はどうなっているのかしら」
QB「少し嬉しそうじゃないか、ほむら」
ほむら「爆弾で戦うのは得意なのよ」
ほむらは爆弾と矢を盾にしまった。
ほむら「とにかく、この世界は随分とわたしに優しく出来ているようね。さ、日が暮れないうちに行くわよ!」
ほむらたちは南へ走った。
「ゼルダの伝説 ムジュラの仮面」のシナリオにおいて、主人公「リンク」を「暁美ほむら」に置き換えただけに近いものになっていて、
まどマギとのクロスである必要性が薄れています。
よって「ムジュラの仮面」をプレイ済みの人は、すっ飛ばした方がいいかもしれません。
とりあえず各ダンジョンに進みます。
ほむら「う……沼ね。あまり気が進まないけれど、足を濡らして行くしかなさそうね」
QB「いや、気をつけて。どうやらこの沼の水は毒を持っているようだ」
ほむら「本当? なら渡れないじゃない」
QB「ほむら、お面屋に貰ったデクナッツの仮面をつけてみてくれないか」
ほむら「何で? 別にいいけど」
ほむらがデクナッツの仮面をつけるとほむらの姿がデクナッツに変わった。
QB「たしかその姿での君は非常に軽い。水面を跳ねて進むことが出来た筈だけど……それに、その軽さなら浮いている葉っぱの上にも乗ることができそうだ」
ほむら「なるほど。やってみるわ」
ほむらは水面を数回飛び跳ねて、浮いている葉っぱの上に移った。
QB「その繰り返しで進めそうじゃないか」
ほむら「そうね……。ところで、あなたはどうするの?」
QB「僕に毒は関係ないからね。泳いでついていくよ」
ほむら「あなた、泳げたのね……」
――デクナッツ城――
QB「どうやらあれはデクナッツの城のようだね。どうだい、ここは一つ『巨人』について訊いてみるのもいいかもしれないよ」
ほむら「でも、怪しまれないかしら」
QB「大丈夫、今の君は彼らの仲間だし、僕の姿は基本的に見えない」
ほむらたちはデクナッツの城に入った。生物としては植物に近いデクナッツらしく、主に植物で出来た建物だった。見張りの兵士がいたが、特に何も言われなかった。
やがてほむらたちは広々とした部屋に出た。
ほむら「あの大きいのがデクナッツの王のようね」
QB「ん……あれは?」
QBの視線の先には木の棒に縛り付けられた一匹のサルがいた。
サル「放せよ〜。姫をさらったのはオイラじゃないって言ってるだろ!」
デク王「許さん! この者を火あぶりにする!」
ほむら「……何だか揉めてるみたいだけど、丁度いいわ。あのサルに訊いてみましょう」
ほむら「いちいち人間に戻らないと時止めが使えないっていうのは面倒ね。まあここなら死角だから人間の姿でもバレないでしょう」
サル「! アンタ、いつのまにここに?」
ほむら「お困りのようね。お望みなら、あなたを解放してあげる。だけどその代わり、わたしの質問にいくつか答えてほしい」
サル「質問?」
ほむら「タルミナを守る『四巨人』が今どうしているか、知らないかしら」
サル「……『巨人』?」
ほむら「知らない? なら別にいいのだけど」
サル「い、いや! 知ってるよ。知らないわけないさ」
ほむら「本当?」
サル「ああ。オイラの願いを聞いてくれたら教えてやってもいい」
サル「オイラは姫をさらった疑いでここに縛られてるんだ。オイラはやってない。でも姫が行方不明なのはホントのことさ。
オイラが火あぶりされるまでにはまだ時間がある。だからその前に姫を見つけてここまで連れてきてほしいんだ。そうすればオイラも解放される」
ほむら「見つけてって……どこにいるか見当もつかないのに」
サル「いや、検討はついてる。ウッドフォールの神殿のバケモンが犯人さ! ……たぶん」
ほむら「……いいわ。要するにウッドフォールの神殿に行って姫を連れ戻してくればいいのね?」
サル「ありがてえ! だけどそうだな……あと二日くらいが限界だな。その頃にはオイラも焼きサルにされてる」
ほむら「分かった。出来るだけ速やかに姫を連れ戻す」
サル「あ、待って。この歌を憶えていってほしい」
サルはデクナッツたちに聞こえぬよう、小さな声で歌った。
サル「これはデクナッツ王家に伝わる秘密の歌だ。『目覚めのソナタ』って言う。きっとウッドフォールに入るためのカギになる」
ほむら「そう、憶えておくわ」
ほむらたちはサルと約束をかわし、デクナッツ城を後にした。
ほむら「『巨人』に関する情報が手に入るなら安いものよ。それに、これから行くウッドフォールが例の『沼』なんでしょう? 散策途中に『巨人』の手がかりが見つかることも考えられる」
その後ほむらたちは、デクナッツの仮面なども利用しながら、ウッドフォールの奥地へと進んでいった。
やがてほむらたちは、祭壇のようなところで道が途切れていることに気がついた。
QB「行き止まりか」
ほむら「ここ、祭祀場のように見えるわね。あのサル……ウッドフォールの『神殿』と言っていた。
……例の『目覚めのソナタ』が神殿に入るカギになっているんじゃないかしら」
QB「そう思うなら歌ってみればいい」
ほむら「……歌うの?」
QB「それ以外に君は音楽を奏でる手段を持っていないじゃないか」
ほむら「そうだけど。……分かったわよ。……あ〜あ〜♪」
シーン
ほむら「……」
QB「何も起こらないね」
ほむら「……何やらせるのよ。恥ずかしいだけじゃない」
ほむら「……そうね」
ほむらはデクナッツの姿に変身した。
ほむら「……」
QB「ねえ、ほむら。君はさっき、時止めは人間の姿じゃないと出来ないと言ったよね?
それは道具である盾がデクナッツの姿だと無くなってしまうからだと思うんだけど、魔力保存の法則的に考えて盾がなくなるってことはありえないんだよ」
ほむら「何が言いたいの?」
QB「今、君は無意識のうちに盾をしまっているだけで、強く願えば発現させられるはずなんだ。どんな状態においても」
ほむら「強く願う……ね」
瞬間、ほむらの傍らの空間が光り輝き始めた。ちょうど、魔法少女の盾を取り戻した時と同様に。やがて光は集まり、一つのラッパになった。
ほむら「……ラッパ!?」
魔法の方向性としては同じというわけだね」
ほむら「ここはデクナッツの地。この楽器なら、あるいは……」
ほむらはラッパを使い『目覚めのソナタ』を奏でた。吹き方は直感的に分かった。
ちょうど人間が歌を歌えるのと同じように。
メロディーの最後の響きがフェードアウトした瞬間、地響きのようなものが聞こえてきた。
ほむら「何!?」
沼の底から巨大な建造物がせり上がってきた。それは不思議な、神秘的な雰囲気を持ち、
まさに『神殿』と呼ぶのが相応しい建物だった。
ほむら「なるほど、あれがウッドフォールの神殿ね。行くわよ」
ほむらは人間の姿に戻ると、キュゥべえを肩に乗せて神殿の入口まで飛び移った。
ほむら「う……」
QB「人間が虫に対して覚える嫌悪感というのは理解できないなあ」
ほむら「昔は部屋に蜘蛛が出ただけで泣き叫んだものよ」
QB「是非それは見てみたいね」
ほむら「黙りなさい」
ほむらたちが散策を続けると、やがて天井の高い、一際広い部屋に辿りついた。
ほむら「神殿というからには、ここにご本尊でもあるのかしら」
ヤー…… ヤー……
どこからか、人の声とも獣の咆哮ともつかないような音が近づいてきた。
ほむら「っ!?」
ほむらは反射的に身をかわした。つい今までほむらが立っていたところは、巨大な剣の斬撃を受け、床石が砕け散っていた。
ほむらが視線をもどすと、体中に入れ墨のような模様が入った、盾と剣を持った人型の怪物がいた。
ほむら「邪神も神……ってわけね。魔獣のようなものだと受け取らせてもらうわ」
ほむらは間髪いれずにオドルワに矢を打ち込んだ。オドルワは一瞬怯んだ様子を見せたが構わず剣で攻撃してきた。
ほむら「矢のダメージは少ないみたいね……」
次の瞬間、オドルワが今までとは違った高さの声を上げた。それは何かに合図しているようにも聞こえた。
ほむら「なっ!?」
蛾の大群がほむらを襲ってきた。オドルワが声で操っていたのは虫だった。
ほむら「いやっ! 近寄らないで!」
ほむらは手で蛾を払いのけたが、虫の勢いは衰えなかった。蛾といっても凄まじい勢いで突っ込んでくるので物理的なダメージも大きかった。
QB「僕は虫に怯える君を早くも見られて満足しているんだけど」
ほむら「殺されたいのっ!?」
QB「いや。その辺りに生えている爆弾は、虫を散らすのには効果的じゃないかなって」
ほむら「そういうことは……早く言いなさい!」
ほむら「やっと落ち着けたわ。爆弾も補充して……時を止めるわよ」
ほむらの能力により、タルミナの時が止まった。
ほむら「矢でも少しは食らってくれるんだから、爆弾ならもっと効きそうね」
ほむらはオドルワの周囲に無数の爆弾を投げつけ、時を動かした。瞬間、オドルワの周りで連鎖的な爆発が起こった。
ほむら「……静かになったわね」
オドルワを包んでいた炎が消えたと思うと、虫は本能を思い出したかのように明かりに集まり、部屋を再び静寂が覆った。
ほむら「倒したのかしら」
ほむらがオドルワのいた場所に近づくと、仮面のようなものが落ちていた。それは先ほどまでほむらが見ていたオドルワの顔だった。
ほむら「仮面……。亡骸とも言えるかしら」
魔力はもはや感じられなかったので、ほむらはオドルワの亡骸を盾にしまい込んだ。
気がつくと、天井からほむらの立ち位置に向けて光が差していた。
ほむら「……?」
次の瞬間、ほむらは今までの神殿とは違う、幻想的な空間にいた。
ほむら「あれ、わたし……ウッドフォールの神殿にいた筈じゃ……」
QB「ほむら! あれは……」
ほむら「!」
霞の奥に、人影が見えた。大きい。ほむらやタルミナの人間とは比べ物にならない程大きい。しかし人の形をしているから、
それは『巨人』と呼ぶべきだろう。
ほむら「まさか、あれが神話の『巨人』……!? さっきの化け物の魔力によって閉じ込められていたのかしら」
QB「……何か言っているみたいだ」
「よ・ん・で」
QB「『呼んで』?」
『巨人』はゆったりとしたメロディーを口ずさみながら、雲の向こうへと消えていった。
気がつくとほむらはもとの神殿にいた。
ほむら「つまりこういうことね。『巨人』は確かに存在した。だけど今はさっきの奴のような化け物に封じ込められていて動けない。
だからわたしたちの目的は、各地で『巨人』を封じている化け物を倒し、巨人を解放すること……」
QB「ま、そう考えるのが妥当だろうね。ところでほむら、姫のことはいいのかい?」
ほむら「そうだった。……って、あれとかそうじゃないの?」
部屋の奥の壁。蔦のカーテンに隠された空洞の中に、デクナッツらしき影が見えた。
ほむら「はじめまして。姫で間違いないかしら?」
デク姫「あ、はい! あなたは……?」
ほむら「わたしはとあるサルに頼まれて、あなたを連れ戻しに来たの。どうやらそのサル、あなたを誘拐した疑いをかけられて大変みたいよ」
デク姫「まあ、お父様ったら早とちりして……! 早く城に戻らなくては……」
ほむら「では姫、多少窮屈でしょうけど、わたしの盾の中に入ってもらえるかしら」
ほむらはデク姫を盾にしまうと、デクナッツ城に引き返した。
ウッドフォールの水も毒が抜けたようだった。
――デクナッツ城――
ほむら「とりあえずこっちは一件落着ね」
ほむらはデクナッツの姿のまま城を出ようとした。
「お待ちください」
ほむら「?」
城の出口に差し掛かった辺りで、老いたデクナッツに呼びとめられた。
ほむら「何かしら」
デク執事「いえ、お呼びとめして申し訳ありません。あなた様が……今は会えない我が息子に良く似ているもので。少し、顔を見たかっただけなんです。
……ありがとうございます。では、お気をつけて……」
そうしてほむらたちはデクナッツ城を後にした。
QB「何だい?」
ほむら「この世界に来る前、デクナッツに似ている木があったじゃない。まさかあれが……」
QB「そうであるとも考えられるし、違うとも考えられる」
ほむら「あのお面屋、この仮面はデクナッツの魂を癒して仮面にしたと言っていたわ。
死んだ者と生き写しの仮面は、本人を思い出させるのね」
QB「それがどうかしたのかい?」
ほむら「いえ……何となく思っただけよ」
ほむらたちはクロックタウンに戻った。
ほむら「ふう、疲れた……。マドカマ亭に戻りたいところだけど……」
ほむらは天を見上げる。
ほむら「もう、時間がないわね」
ほむらは盾に手を伸ばす。
ほむら「……はぁ」
小さな溜息と共に、時間は三日前へと戻った。
QB「さて、これからどうする?」
ほむら「次は『山』でしょ。でもさすがにわたしも寝ないで行動は来るものがあるわ。
ちょっとマドカマ亭にチェックインして休みましょう」
そうしてほむらは再びマドカとの「初対面」を経験した。
ほむら「さて、十分休んだし、『山』に行きましょうか」
ほむらは階段を下りてエントランスに出た。
マドカ「……!」
マドカが何やら手紙のようなものを驚きの表情で眺めていた。
ほむら「マドカ? どうかしたの?」
マドカ「あ、ほむらちゃん。ううん、なんでもない! それよりお出かけ?」
ほむら「ええ。少し」
マドカ「行ってらっしゃい!」
ほむら「さて、北に向かってここまで来たものの」
QB「氷が邪魔して山に入れないね」
ほむら「まあ矢で砕けるでしょう」
ほむらは矢で氷を破壊し、タルミナ平原の北――ゴロンの里へと向かった。
――ゴロンの里――
ほむら「寒い……」
QB「多少北に進んだだけでここまで気候が変わるというのは少し異常だね」
しばらく歩いたところで、キュゥべえが足を止めた。
ほむら「……どうしたのよ」
QB「ねえほむら。あそこに見えるのはひょっとして、君たちの言葉で言う『幽霊』ってやつじゃないかい?」
ほむら「えっ。……へ、変なこと言わないで」
ほむら「な、何を言ってるのよ……」
ダルマーニ「おめぇ、オラが見えるゴロ?」
QB「ああ。僕は君たちの種族に会うのは初めてだけど」
ダルマーニ「……オラはゴロン族のダルマーニ。……オラが見えるってのも何かの縁だ。ここは一つ、オラの話を聞いてくれるゴロ?」
QB「興味深いね。聞こうじゃないか」
ダルマーニ「オラは誇り高きゴロン族の戦士だった。今この山は雪が止まねぇゴロ? これはスノーヘッドのゴートとかいうバケモンの仕業だっつーことで、
オラはアイツを倒しに行ったゴロ。それが、スノーヘッドにも辿りつけずに吹雪に凍らされて死んじまったゴロ……」
QB「それは無念だっただろうね」
ダルマーニ「悔しいゴロ……情けないゴロ……」
QB「だけど君は安心していい。ここにいる暁美ほむらが、きっと君のかたきを取ってくれるさ」
ほむら「ちょ、何言ってるの!? さっきから何なの!?」
ほむら「……またハメる気じゃないでしょうね」
QB「あれは僕がハメたわけじゃないし、浮かばれぬ魂の為だ。さあ」
ほむら「……分かったわよ。……オホンッ。♪〜」
ダルマーニ「このメロディー……気持ちが安らぐゴロ……」
気がつけばほむらの足元にゴロンの仮面が転がっていた。
ほむら「これは……?」
QB「誇り高き戦士の魂のようだ。丁重に扱った方がいいよ」
ほむら「???」
QB「とにかくスノーヘッドだ。この先のスノーヘッドに君が倒すべき敵はいる」
ほむら「どこでそんな情報を仕入れたのよ」
QB「今ここでさ」
ほむら「???」
ほむらたちは更に足を進めた。
ほむら「こういう時こそ聞き込みよ。あそこに誰か住んでそうな家があるわ」
――ゴロンのほこら――
ほこらに入ると、赤ん坊の泣き声がうるさく響いていた。
ほむら「赤ちゃんの泣き声……?」
ゴロンA「ひどい寒さだゴロ。ちびが泣き止まねぇのも無理ないゴロ」
ほむら「……」
ほむらはゴロンの仮面を装着してみた。
ゴロンA「おお、ダルマーニ! おめぇいつ帰ってきたゴロ?」
ほむら「た、たった今だゴロ」
ゴロンB「おーい、長老が見つかったゴロ」
ゴロンA「本当ゴロ?」
ゴロンB「ああ、この寒さで氷づけになっていたゴロ」
ほむら「ひ、久しぶりゴロ」
ゴロンA「ちびが泣き止まなくて困ってるんだゴロ」
長老「うーん。こういう時はダルマーニの子守唄が一番ゴロ」
ほむら「こ、子守唄?」
長老「忘れちまったゴロ? ほら、これゴロ。♪〜」
ほむら「ああ! 思い出したゴロ」
ゴロンA「ほーら、ダルマーニお兄ちゃんが子守唄を奏でてくれるゴロ」
ちび「うぇーん! ダ、ダルマーニお兄ちゃん?」
ほむら「お、おうゴロ」
ほむらが念じると、ほむらの腰回りにタイコが出現した。
ほむら「(た、確かこんなメロディーだったゴロ……。って、ゴロじゃない!)」
♪
ほこらに子守唄が響いた。
ゴロンA「zzz……」
ゴロンB「zzz……」
ほむら「(寝付いた……それにしても、周りも寝るなんて睡眠作用でもあるんじゃないの、この歌)」
長老「ダルマーニ、おめぇどこ行ってたゴロ?」
ほむら「あ、ああ。ちょっと。それよりスノーヘッドってどっちだったゴロ? 最近物忘れが激しくて……」
長老「スノーヘッドはここから更に北だゴロ。だけどあんまり危ねぇことはするんじゃねえゴロ」
ほむら「分かってるゴロー」
ほむらたちはスノーヘッドへと向かった。
ほむら「……ところで」
QB「?」
ほむら「何で仮面で変身すると男性になるのかしら。裸みたいで恥ずかしいんだけど……」
QB「もとの魂が男性だったからだろう。それに原型留めていないから気にする必要はないよ」
ほむら「……。それにしても、他人になりすますというのはあまりいい気がしないわね」
QB「そうかい?」
ほむら「だって仮面になった本人は死んでいるんでしょう? 後で本人の死を周囲が知ったときのことを考えると……」
QB「人は『顔』で他人を認識する。逆に『顔』を偽れば人の認識を、いや、自分自身を欺ける。仮面を被るというのはそういうことだね。
もちろんそれは物質としての仮面だけじゃなくて……」
ほむら「何を言っているの?」
QB「別に。少しそう思っただけさ」
QB「……いや、『霊障』だね」
ほむら「……?」
QB「僕には見えるんだよ。今、巨大なゴロンの霊が、僕らに向かって息を吹きかけている」
ほむら「だ、だからそういうのやめなさいって」
QB「魔法少女をやるからには霊の存在くらい受容したらどうだい? そしてそうだな……あれがゴロンの霊だとすれば、さっきの子守唄をタイコで奏でてみてくれ」
ほむら「……」
♪〜
霊ゴロン「ふぁ〜……zzz」
QB「よし、ゴロンは眠りについた」
吹雪が、何事もなかったかのように止んだ。
QB「行こう。この先がスノーヘッドの神殿だ」
ほむら「……何だか今回はあなたにいいところ持っていかれてばかりね」
ほむらたちはスノーヘッドの神殿に侵入した。
神殿の中も冷たい氷に覆われていた。
ほむらたちは神殿の深部へと足を進めた。
ほむら「……大きな氷ね。……ん?」
ほむらは巨大な氷塊の前に足を止めた。
ほむら「牛のような怪獣が氷漬けにされている……」
QB「仮死状態というやつかな。なら一旦解凍して倒すまでだろう?」
ほむら「……そうね」
ほむらは盾から対戦車ロケット砲を取り出した。
QB「何てものを持っているんだい……」
ほむらは氷塊に向けてロケット弾を発射した。すぐさま氷は砕け散った。
ほむら「……動きだしたわ」
ゴートは氷から脱出するや否や、神殿の中を駆け回り始めた。
ほむら「? 何なの、あいつ」
QB「追った方がよさそうだね。しかしあの巨体……対抗するにはゴロンの力を借りた方がいいんじゃないかな。それがダルマーニへの手向けにもなるだろう」
ほむら「そうね」
ほむらはゴロンの仮面を装着し、ゴロンの姿になった。
ほむらは身体を丸めて転がり、ゴートを追った。
ほむら「この勢いなら体当たりでもダメージを与えられそうね」
ほむらの目論見通り、ゴロンの姿での体当たりはゴートにそれなりのダメージを与えたらしかった。
ほむら「これを繰り返せば倒せ……っ!?」
ゴートは追われながら光の球のようなものを飛ばして攻撃してきた。
ほむら「くっ、時を止めるには一旦魔法少女の姿に戻らなければならないし……」
ほむらは光の球を何発か身体に受けてしまった。
ほむらは一旦魔法少女の姿になり、しばらくして再びゴロンの仮面を装着した。
ほむら「……来たっ!」
やがてゴートはほむらの予想通り神殿を一周して戻ってきた。
ほむら「2……1……」
突然、ゴートの足元で爆発が起こったかと思うと、ゴートがバランスを崩した。
ほむらが前もってその位置に爆弾を仕掛けていた。
ほむら「動きが止まった。今ね!」
ほむらはゴロンの身体で渾身の体当たりをゴートに叩きこんだ。
ほむら「……!」
一瞬の間をおいて、ゴートはその場に崩れ落ちた。
ゴートの遺体は消滅し、その亡骸が残った。
次の瞬間、ほむらはまたあの幻想的な空間に立っていた。
ほむら「二人目の『巨人』、解放成功ね」
霞の向こうには赤い身体をした『巨人』が見えた。
そしてほむらたちはゴロンの里へ戻った。雪は解け、里は春を迎えていた。
ほむら「とりあえずひと段落ね」
QB「しかし死んだダルマーニは戻ってこない……か。そうだね。その通りだよ」
ほむらたちはクロックタウンへ戻り、時間を巻き戻した。
ある時、サクラ牧場というところに寄った。
牧場を経営しているのはサヤカとキョウコという二人の少女だった。
サヤカはマドカの親友らしく、色々な話を聞かせてもらった。
宇宙人を退治したり、強盗を追い払ったり、少し手助けもした。
お礼としてサヤカに「ぎゅっ」としてもらった……。
ほむらたちはタルミナの西、グレートベイの海岸に着いた。
ほむら「海なんて久しぶりね……ん? あれはっ!?」
沖の方に人影らしきものが見えた。
QB「さっきから動いていない……溺れている可能性が高いね」
ほむら「助けなきゃ!」
ほむらは魔法少女に変身すると海に飛び込んだ。溺れている者を掴み、岸まで連れていく。
ほむら「大丈夫!?」
QB「どうやら人間ではないようだね」
ミカウ「……俺は、ゾーラ族のミカウ」
ほむら「まだ息があったわ」
そう言うとミカウは今までの衰弱っぷりが嘘のように立ち上がり、ギターを弾き語り始めた。
話の内容は、彼の所属するバンドのボーカルであるルルが、「変な卵」を産んで以来声が出なくなってしまい、
さらにその卵を海賊に奪われてしまった。その解決の為に奔走していたところ溺れてしまったという。
QB「ほむら」
ほむら「……ええ」
ほむらは「いやしの歌」を歌ってみせた。
ミカウ「ああ……何だか、安らかな気持ちだ……」
……ほむらの足元に、ゾーラの仮面が残った。
ほむら「……。海賊に卵を盗まれた……ね。その卵、取り返してやろうじゃない」
QB「だんだん君もお人よしになってきたね」
ほむら「それだけじゃないわ。こういった個人的なトラブルを解決していくことが、この世界を守ることに繋がる気がするの」
QB「……まあ、現に今までそうなってきたしね」
ほむら「とりあえずあそこがゾーラ族のたまり場のようね。いつものように聞き込みよ」
ほむらはゾーラの仮面をつけてゾーラホールに入った。
ほむら「(何と言うかこの仮面は……今までで一番人間に近いというか……リアルな裸っぽくって落ち着かないわね……)」
ゾーラA「お、ミカウじゃないか」
ほむら「! よ、よぉ」
ゾーラA「ルルはまだダメだよ。ずっと自室に籠りっぱなしだ」
ほむら「そうか……。なぁ、海賊の奴らのアジドってどこか分かるか?」
ゾーラA「海岸沿いを北に行ったところだけど……海賊に用でもあるのか?」
ほむら「い、いや。何となくさ。サンキュー」
ほむらたちはゾーラホールを後にした。
ほむら「相変わらず本人のフリというのは胃に来るわ……」
QB「それにしてもすごい見張りだね。見つかったら即追いだされるだろう」
ほむらは魔法少女の姿に変身した。
ほむら「ふふ……こういうのは時間を止められるわたしにとっては何てことないわ」
ほむらは時間を止めながら、女海賊たちに見つからないように砦の中を散策した。
そしてついに、卵の入った水槽を見つけた。
ほむら「これを持ち帰ればいいのね……」
海賊「……何やってんだい?」
ほむら「!」
海賊「その卵、キレーだろ? 渡すわけにはいかないよ」
ほむらは海賊の剣をすんでのところでかわし続けた。
海賊「ふんっ! 丸腰じゃ反撃できない……ねっ!?」
海賊は突如頭をのけぞらせたかと思うと、仰向けに倒れた。
ほむら「……麻酔銃よ」
ほむらは水槽の中の卵を盾に収納した。
ほむら「こんなところはさっさとおさらばね」
ほむらは海賊の砦を後にした。
ほむらが卵を水槽に入れると、次々と殻を破ってオタマジャクシが出てきた。やがてオタマジャクシは歌を歌い始めた。
ほむら「(今までの経験上、この歌を憶えておいて損はないわね……)」
その後ほむらはゾーラの仲間からルルのいるという浜辺を聞き、その場所へと向かった。
ルル「……」
ほむら「ま、まだ声が出ないのか? ルル……」
ルル「……」
ほむら「卵は取り返した。ぶ、無事に赤ちゃんも孵ったんだ」
ルル「……」
ほむら「……また一緒に歌おう。ほら、俺がギター弾くから」
ほむらの盾は、今度はギターに変化していた。
ほむら「……『潮騒のボサノバ』」
ギターの優しい音色に、ルルの様子が変わってきた。
やがて音楽に、一筋の歌声が加わった。
ほむら「……ルル」
ほむらが何か言いかけたのと同時に、背後の海面に何かが浮き上がってきた。
島……いや、カメだった。
カメジマ「お前か? わしを起こしたのは……」
ほむら「……ええ」
カメジマ「……何も言わずとも分かる。グレートベイの神殿はこの先じゃ。わしに乗って行くとよい」
ほむらはカメジマの背中に乗った。
カメジマ「ゆくぞ」
ほむら「ルル……声が戻ったからには、またステージで歌ってくれよ」
ルルは頷いた。
神殿の中にも、至る所に水が入り込んでいた。
ほむら「本当に海の中って感じね。……?」
ほむらの足元で、何か動く影があった。
ほむら「何かしら……」
QB「ほむら、危ない!」
ほむら「!?」
ザバァッ
ほむらの鼻先を、巨大な魚が通り過ぎていった。
ほむら「今のが……この神殿の主ね!」
ほむら「しかし敵は水中……ここにいてもジリ貧ね」
QB「こんな時こそ仮面を使うんじゃないか」
ほむら「分かっているわよ!」
ほむらはゾーラの仮面を装着し、ゾーラの姿に変身した。
ほむらは水の中に飛び込む。
ほむら「(この腕のひれはブーメランのように飛ばせるみたいね)」
ほむらが飛ばしたヒレはグヨーグに命中し、グヨーグは動きを止めた。
ほむら「(そして身体にバリアを纏うこともできる。これで体当たりすれば攻撃になる!)」
ほむらはバリアを纏いながらグヨーグに体当たりを繰り返した。
グヨーグも反撃を見せたが、執拗な体当たりにやがて動かなくなった。
ほむら「これが亡骸ね……」
ほむらはグヨーグの亡骸を拾い上げた。
やがて、ほむらの前に三人目の『巨人』が現れた。
ほむらたちはクロックタウンに戻り、時間を巻き戻した。
ほむら「これで三人の『巨人』を解放したわ」
QB「残るはあと一人……『谷』の『巨人』だね」
ほむら「『谷』はタルミナ平原の東。急ぎましょう」
――イカーナ渓谷――
ほむら「何だか昼間なのに薄暗くて陰気な場所ね……」
スタルキータ「……」
ほむら「ひっ!?」
ほむらが見上げると、巨大な骸骨が立っていた。
ほむら「ゆ、幽霊……!?」
スタルキータ「あんまり驚かないでくれ。最近この辺り人が来ないからな」
ほむら「あなたは……?」
スタルキータ「スタルキータ。昔ここにあったイカーナ帝国では『隊長』って呼ばれてた」
ほむら「昔あった?」
ほむら「小鬼……」
スタルキータ「お前、この先のロックビルに用があったりしないか?」
ほむら「え、ええ」
スタルキータ「出来ることなら、途中のイカーナ古城によって、王に挨拶してきてくれないか。そうだな……この『隊長のボウシ』を預けよう」
ほむら「……分かった」
スタルキータ「ありがとよ。それじゃ俺はもうひと眠りするか……」
スタルキータは地中へと潜っていった。
ほむら「小鬼の影響がこんなところにまで……急がなきゃ!」
イカーナ王「そうか、スタルキータが……」
QB「(あれはほむらにも見えるタイプの幽霊みたいだね)」
イカーナ王「よし、よくここまで来てくれた。これからロックビルに行くのだろう? 礼という訳ではないが、これから先必要になるであろう歌を教えよう。『ぬけがらのエレジー』」
♪〜
イカーナ王は哀歌をほむらの前で奏でてみせた。
ほむら「……ありがとう」
ほむらはロックビルへと向かった。
――ロックビル――
QB「このスイッチを押すと、あそこのブロックが動く」
ほむら「でも押しっぱなしじゃないといけない。ここでこの『ぬけがらのエレジー』を使ってわたしの抜け殻、重しを作るわけね」
♪〜
ほむらの抜け殻が現れた。
ほむら「……何というか、わたしはこんなホラーな顔はしていないわ」
そうしてほむらたちはロックビルを上り切り、ロックビルの神殿へと辿りついた。
ほむら「……? 仮面が落ちているわね。拾っておいて損はなさそうね」
ほむらは仮面を盾にしまった。
神殿の奥へと進むと、砂漠の真ん中のようなところに出た。
ほむら「何、ここ……。高いところだとはいえ、わたしは建造物の中を歩いていたはず……」
突如、ほむらの前の地中から、巨大なムカデのような怪物が現れた。それも二匹。
ほむら「大きいっ!? そりゃ今までの敵も大きかったけど、今回は桁が違うっ!」
大型仮面虫 ツインモルド
ほむら「くっ、この大きさじゃ、立ち向かう手段がない……」
QB「さっき拾った仮面をつけてみたらどうだい? 困ったらまず仮面だよ」
ほむら「後半はよく分からないけど、とりあえずそうするわ」
ほむらが仮面をつけると、ほむらの身体が数十倍にも巨大化した。
ほむら「っ!? これは……」
QB「さしずめ『巨人の仮面』ってところだね」
ほむらは巨大化したピストルで虫の眼を狙った。眼が弱点だというほむらの予想は当たっていたらしく、たちまち一匹が崩れ落ちた。
ほむら「あと一匹!」
QB「ほむら、急いで! どうやらそのサイズを維持するのには結構魔力を消費しているらしい」
ほむら「ええ、分かってるわよ」
ほむらはサブマシンガンを取り出し、もう一匹の虫に向かって連射した。数秒と持たずに虫は倒れ込んだ。
ほむら「……大きいだけでたいしたことはなかったわね」
ほむらは仮面を取ると、ツインモルドの亡骸を拾った。
ほむらたちの前に、四人目の『巨人』が現れた。
ほむら「さあ、これで『誓いの号令』の場所に集まってもらうわよ!」
「と・も・を」
ほむら「……?」
「ゆ・る・せ」
ほむら「……『ともをゆるせ』? 誰の事かしら」
こうしてツインモルドの力から解放されたイカーナには光が差し込んだ。
噂だと作曲家の霊が浄化されたり、ミイラになってしまったパパが元通りになったらしい。
ほむらたちはクロックタウンに戻り、時間を巻き戻した。
――最初の朝 あと72時間――
ほむら「ふぅ」
QB「これで『四巨人』は解放された。あとは時計塔の上で『誓いの号令』を奏でるだけだ」
ほむら「そうね……ん?」
ポストの辺りを、狐のお面を被った女の子が歩いていた。
ほむら「(確かあの子、マドカが気にしていたのよね……)」
QB「どこに行くんだい?」
ほむら「後をつけましょう」
女の子は、洗濯場の片隅にある小さなドアに入っていった。
ほむら「どうやらあそこが隠れ家のようね。よし、ここの呼び鈴を鳴らして……」
女の子は警戒しながらもドアを開けて出てきた。
ほむら「時を止める!」
ほむらは時を止め、その間に女の子が出てきたドアの中に侵入した。
しばらくして、狐のお面を被った女の子が戻ってきた。
女の子「……っ!? 誰っ!?」
ほむら「マドカの知り合い、とだけ言っておきましょうか」
女の子「マドカの? ……わたしを探しに来たの?」
ほむら「ええ。随分と困ってるみたいよ、彼女」
女の子「……」
女の子はしばらく黙った後、お面を顔から外した。
出てきたのはほむらの幼少期に瓜二つの顔だった。
ホムラ「わたしがホムラよ」
ほむら「っ!?」
ホムラ「どうかした? 妙な顔して。それにしてもわたしたち、よく似ている気がするわね」
ほむら「……マドカの親友という割には歳が若すぎる気がするのだけど」
ホムラ「……小鬼のせいよ」
ほむら「(……また)」
ほむら「それはお気の毒さま。でも、それだけじゃ行方をくらます理由にはならないと思うんだけど」
ホムラ「わたしとマドカは幼馴染だったの。『約束のお面』を分けて持つほどに」
ほむら「『約束のお面』?」
ホムラ「知らない? 小さい頃、『約束のお面』を親友同士で二つに分けて、お互いが15歳を迎える年のカーニバルの夜にかけらを合わせることが出来れば幸せになれる……」
ほむら「なるほど。で、そのお面がどうしたの?」
ホムラ「その年っていうのが、今年なの。それなのにわたしはお面のかけらをスリに盗まれてしまった……」
ほむら「……どちらにせよ、変な意地じゃない」
ホムラ「わたしにとっては大切なのよ! あれを失くして、約束を守れなかったら……わたしは……」
ほむら「……まあ、あなたの気持ちは分からないでもない。ここで会ったのも何かの縁ね。あなたがお面を取り戻すのを手伝いましょう」
ホムラ「……本当? 本当に協力してくれるというのなら、二日後の夜、イカーナ渓谷に来てほしい」
ほむら「イカーナ? 何でまた」
ホムラ「実はスリのアジドは突きとめてあるの。その日、その時間に、お面を取り戻すわ」
ほむら「……分かった」
ほむらはホムラと別れ、マドカマ亭にチェックインし、マドカとの「初対面」を終わらせた。
――次の日の朝 あと48時間――
マドカマ亭に、一通の郵便物が届いた。
マドカ「え……」
ポストマミ「確かにお届けしたのだ!」
マドカ「あの、これって……」
ポストマミ「確かにお届けしたのだ!」
マドカ「そうじゃなくて!」
ポストマンは出ていってしまった。
ほむら「どうしたの、マドカ?」
マドカ「あ、ほむらちゃん。『狐のお面を被った女の子』の話はしたよね?」
ほむら「ええ」
マドカ「彼女から手紙が来たの! 今は事情があって会えないけど、カーニバルまでには必ず会いに行くって!」
ほむら「……よかったじゃない」
・・・そうか、ポストマンのあの足音はおっぱいが揺れる音だったのか
ほむら「何を謝るのよ」
マドカ「実はその女の子、ほむらちゃんにそっくりなの。わたしは今までその子とほむらちゃんを重ねて……」
ほむら「(確か前もこんなことを言われたわね……)」
ほむらは「最初の最期の夜」のことを思い出していた。
ほむら「まどか。人の顔っていうのは不思議ね」
マドカ「え?」
ほむら「本人がいなくても、似た顔の人を見ると何だか懐かしい気持ちになる。
……でもわたしはそれを悪いことだとは思わない。それは人を想い出す前向きな気持ち、希望だと思うから」
マドカ「……ありがとう、ほむらちゃん」
ほむら「あまり無責任なこと言えないけど、その子、絶対来るわ。あなたのところに」
――最期の夜 あと12時間――
ホムラ「あ、来たわね」
ほむら「(……魔法を使えるわけでもないのに……こんなところまで)」
ホムラ「サコンのアジドはこの辺りにあるはずなの。だからサコンが現れるのを待って、正確な場所を突き止める」
数十分後、サコンが来た。
サコンが岩の前に立つと、岩が動きだして入口が現れた。
ホムラ「! アジドはあそこよ! 行くわよ」
ホムラが走り、ほむらはその後についていった。
ホムラ「あった! お面よ! ……ベルトコンベアーで運ばれている」
さらに、アジドの中には無数のモンスターが潜んでいた。
ほむら「……こいつらはわたしに任せて、あなたはお面を追って!」
ホムラ「……ありがとう」
ほむらは銃や弓でモンスターの対応をし、ホムラはお面を追った。
そしてついに、ホムラが『約束のお面』を手にした。
ホムラ「やったわ!」
ほむら「……良かったわね」
ホムラ「今まで付き合ってくれてありがとう。ここからはわたしの問題よ。わたしはいまからマドカのもとへ向かう」
ほむら「……間に合ってね」
ホムラはクロックタウンへと走って行った。
ほむらは魔法を使いつつ、先にクロックタウンへ戻った。
既に時計塔の扉は開き、カーニバルの花火は上がっていた。
ドアを開けたのはほむらだった。
マドカ「! ……」
ほむら「そう露骨にがっかりされると傷つくわ」
マドカ「ご、ごめん! そんなつもりじゃ……」
ほむら「マドカ、もう月があんなに迫っている。あなたは逃げないの?」
マドカ「……わたし、決めたの。あの子を待つって。たとえ月が堕ちてきても」
ほむら「……来るわ。絶対に」
それから数時間の時が流れ、部屋のドアがゆっくりと開いた。
ホムラ「……マドカ」
マドカ「……ホムラちゃん」
ホムラの姿は変わっていた。それでもそれがホムラだとマドカにはすぐに分かった。
マドカ「わたしたち、約束したよね。15になるカーニバルの夜、『約束のお面』を合わせるって」
ホムラ「マドカ、待たせてごめんなさい」
マドカ「おかえり、ホムラちゃん」
QB「友達同士なのに、まるで姉妹のようだね」
ほむら「交わした約束忘れないよってね」
マドカたちはお面のかけらを合わせ、それは一つのお面になった。
マドカ「こうして約束を果たせた以上、もう思い残すことは何もない。ここで、月が堕ちてくるのを待つよ」
ほむら「月が堕ちてくる? 何を言っているの?」
ホムラ「……え?」
ほむら「月は堕ちない。わたしが止める」
ほむらは夜の街へと駆けだした。
スタルキッド「……またお前か」
スタルキッドは何度目か前の「最期の夜」と同じように、宙に浮いていた。
ほむら「今度こそ……決着をつけてやる!」
スタルキッド「無駄だって! 上空を見ろ!」
既に月は、触れられそうなほどに近い。
ほむら「……」
スタルキッド「これでみーんな終わりだ! オマエらが悪いんだぞっ! オイラを無視しやがって……」
ほむら「……もう無駄よ。『四巨人』が月の墜落を阻止する」
スタルキッド「『巨人』……? まさかっ!!」
ほむらは「誓いの号令」を歌った。
♪
沼から。山から。海から。谷から。
彼らは集まった。世界を守るために。約束を守るために。
スタルキッドは苦しそうな声を上げている。
やがて『巨人』は月を支え……その墜落を止めた。
ほむら「ここまでよ。あなたのその仮面は邪悪な力を……仮面?」
気がつけば、ムジュラの仮面の向こうに小鬼はいなかった。
「この者の役目は……もう終わった」
小鬼はエネルギーを吸い取られたかのように地面に伏し、仮面だけが不気味に宙を漂っていた。
仮面の眼が怪しく光ると、止まっていたはずの月が動きだした。
月「オデは……食う……全部……食う……」
QB「!? まずいっ! ほむら、あの仮面が本体だ! あれを倒すしかない!」
ほむら「分かっているわっ!」
ムジュラの仮面は月の中へ消えてゆき、ほむらたちもその後を追った。
ほむら「……ここは?」
ほむらたちは広い草原の中にいた。
一本だけ、大きな木が目につく。その木の下で、四人の子どもたちが遊んでいた。
QB「あの子どもたち……『亡骸』を被っているね」
「キミの本当の顔は」「キミの幸せって」「正しいことって」「キミの友達は」
その近くに一人、輪に入れないかのように木の下で座っている子ども――五人目がいた。
彼は、ムジュラの仮面を被っていた。
ほむら「……」
子ども「お前、俺と遊ぶか?」
ほむら「ええ」
子ども「じゃあ、お前が鬼だ。鬼は鬼の仮面を被るんだ」
ほむら「……」
子ども「じゃあ、行こうか」
いつしか辺りの風景は変わり、禍々しい色の遊技場となっていた。
ほむらは鬼神の仮面を被った。ほむらの姿が鬼神へと変わった。
やがてムジュラの仮面の裏から触手が生え、浮遊してこちらに飛んできた。
ムジュラの仮面
ほむら「……ハァッ!」
ほむらが矢を一本射ると、衝撃波のようなものが生じ、仮面は一瞬にして吹っ飛んだ。
次に仮面に手足が生えた。笑いながら走り回る。
ムジュラの化身
ほむらが矢を一本射ると、それは化身の足に命中し、化身はその場で転んだ。
次に化身に頭部が生え、手はムチに変化した。
ムジュラの魔人
ほむらが矢を一本射ると、それは魔人の心臓を貫いた。
魔人の身体は内側から消滅していく。
ほむら「鬼ごっこはこのくらいにしましょう」
月の景色は遠景から崩壊していった。
――新しい日の朝――
邪悪な月は消え去り、一筋の虹がかかっていた。
スタルキッド「オイラはアイツらに捨てられたと思ってた……。でもアイツら、まだオイラのことを友だちだって……。友だちっていいな、へへっ」
スタルキッドは『巨人』たちと一緒にいられなくなったショックからこのような騒動を起こしたらしい。ただ、彼もまた、仮面に操られた被害者だった。
デクナッツの執事は息子の遺体の場所を知り、墓参りに向かったらしい。
ゴロンの里は相変わらず春で、皆楽しく暮らしているそうだ。
ルルはダル・ブルーのボーカルに復帰したらしい。……ミカウとの共演は叶わなかったが。
イカーナ帝国の幽霊たちも楽しくやっているそうだ。
マドカとホムラは……、ホムラも元の姿に戻り、前と変わらず仲良く暮らしている。
お面屋「おお、やはり仮面から邪気が消えている!」
お面屋がムジュラの仮面を手にして言う。
お面屋「では、ワタクシは旅の途中ですのでこれで……」
お面屋は立ち去ろうとした。
さらにお面屋は少しの間をおいて言った。
お面屋「そろそろ、あなたも行かれた方がよろしいのでは……?」
ほむら「!」
ほむらは自分の旅の本来の目的を思い出した。
お面屋「出会いがあれば、別れは必ず訪れるもの……ですが、それは永遠ではないはず。その別れを一時にするか永遠にするか……それはアナタ次第。ではワタクシはこれで……」
お面屋はタルミナの外へと消えていった。
ほむら「あのお面屋、意外といいこと言うわね」
QB「じゃあ、僕たちもそろそろ行こうか」
ほむら「さようなら、マドカ」
――見滝原市――
ほむら「憎しみと苦しみばかりを繰り返す、救いようのない世界だけど……ここはかつてあの子が守ろうとした場所なんだ。それを忘れたりはしない。だからわたしは――戦い続ける」
まどか「――頑張って」
E N D
何だかムジュラのシナリオ追ってるだけみたいになったし色々はしょりすぎですが、ムジュラを思い出せて楽しかったです
鬼神でムジュラ戦やるとリアルあんなのだから許して。
読んでくれた人はありがとう。
面白かったよ
久々に64出すか…
ポストマンのイベントも結構感動するのだ
やっぱムジュラの仮面はよく出来てる
これを期にやったことの無い人はやってみるといいよ
丁度GWだし
Wiiのバーチャルコンソールで売ってるから是非
あの後ポストハットのお面 くれてからの嬉しそうなポストマンはなんかよかったわ
あと乙
Entry ⇒ 2012.05.01 | Category ⇒ まどかマギカSS | Comments (0) | Trackbacks (0)
QB「暁美ほむら、僕と契約して魔法少女になってよ!今なら・・・」
QB「この洗剤も付けちゃうよ」
ほむら「あの・・・新聞は間に合ってますから・・・」
QB「君は僕の話を聞いていなかったのかい?」
まどか「QBが余計なオプションをつけたからだと思うよ?」
QB「余計とは心外だね。人間は契約の際にオマケを渡すと聞いたからわざわざ用意して来たんだよ」
マミ「そんな話、どこから聞いてきたのよ?」
QB「さあ、暁美ほむら。君の願いはなんだい?」
マミ(あれ?スルーされたの?)
まどか「あっ、そっか。ほむらちゃんはついさっき知ったばかりだもんね」
マミ「そうね、じゃあ私が説明しt QB「魔法少女というのはだね」
QB「魔女を狩る存在さ。もちろん無償でやってもらうわけじゃない、ちゃんと見返りもあるよ」
マミ(もしかしてQBは私のことが嫌いなの・・・?いいえ、そんなはずはないわ!そんなはず・・)
ほむら「魔女、ってさっき鹿目さんたちが戦ってた怪物のこと?」
まどか「うん、そうだよ。でも怪物みたいなのは使い魔で、魔女は門みたいな方だったけどね」
ほむら「そんなっ、私あんな怖いのと戦うなんて無理です・・・」
マミ「そうね、確かに怖くないといえば嘘になるわね。でもあけm QB「そうか!分かったよ!」
QB「君はこの洗剤を普通の洗剤だと思っているんだね?」
マミ(・・・)
QB「あたりまえじゃないか」
ほむら「あ、本当だ。『インキュベーターも顔面蒼白の白さに!』って書いてあるよ」
QB「暁美ほむら、例えば君がお気に入りの洋服にケチャップとソースと醤油を同時にこぼしたとしたらどうだい?」
QB「僕には感情がないからよくは分からないけど、君はとても悲しいんじゃないかな?」
まどか「私にはそんな状況が思い浮かばないよ」
ほむら「え?うん、そうだね・・・あっ考えただけで涙が・・・」ウルウル
まどか「泣かないでほむらちゃん!」
マミ(どうしよう、会話に参加してもまたQBに邪魔されそうな気g QB「ところが!この洗剤だとっ!」
QB「全て洗い落とすことが可能なのさ!」
マミ「思考パートでさえ遮られた!?ちょっとキュゥb ほむら「それ本当ですか・・・?」グスッ
QB「もちろんさ。僕は嘘はつかないよ」
マミ「」グスッ
まどか「凄いよQB!普通の洗剤でも落とせない物まで大丈夫なんだね」
QB「その通り。もちろん服の染色もバッチリ落とせるよ」
まどか「洗剤として欠陥品だった・・・」
ほむら「あの、私別にそこまで凄い洗剤は必要ありません・・・」
QB「なるほど、君は交渉が上手いね。よし分かった、今契約してくれるならこの洗剤を3個付けようじゃないか」ポンポン
ほむら「いえその、数の問題じゃなくて・・・」
ほむら「お洋服がそんなことになってしまったら、少し悲しいですけど諦めることにします・・・」グスッ
まどか「ほむらちゃん・・・」
QB「そうかい?でも強要はできないからね」
ほむら「はい、ごめんなさい。力になれなくて」
ほむら「別のがあるの!?」
まどか「チケットっていうと、野球とかサッカーとかかな?」
『第1564回キュップぃボール世界選手権 SS指定席』
ほむら「なに・・・これ・・・?」
まどか「なに・・・これ・・・?」
QB「キュップぃボールの世界選手権のチケットさ。しかもSS指定席だよ」
まどか「そうじゃなくて、キュップぃボールってなんなの?」
QB「まどか、君は魔法少女なのにキュップぃボールすら知らないのかい?どうかしてるよ」
まどか「知らないよっ!」
ほむら「鹿目さん落ち着いてっ」
まどか「キャリア1週間のアマチュアなのは自覚してるけど、馬鹿にされたからだよ!」
QB「キュップぃボールというのはね、僕たちの星の競技なんだ」
まどか「スルーされた」イラッ
QB「流石のまどかもグリーフシードは知ってるよね?」
まどか「また馬鹿にしてるよね?魔女の卵のことでしょ」
QB「僕たちがグリーフシードを回収するとき、背中でキュップぃするんだけど」
QB「その技術を競うのがキュップぃボールだよ」
ほむら「フィギュアスケートみたいに技術点とか芸術点とかで競うんですか?」
まどか(ほむらちゃんが興味を持ってる・・・!)
QB「技の難易度を競うだけさ。ちなみに前回の優勝者の技は『72回転半ムーンサルトドリフトキュップぃ』だったね」
ほむら「ななじゅ・・・」
まどか「すごいね、私もちょっとだけ興味が出てきたよ」
ほむら「そんな技があるならきっと盛り上がるし、楽しそうだね」
まどか「そうだねほむらちゃん。チケットはともかく一緒に見に行けたらきっと楽しいよね」
ほむら(これをきっかけに鹿目さんとお友達になれるなら・・・契約してもいいかな・・・)
QB「何を勘違いしてるんだい暁美ほむら」
ほむら「え?」
QB「何度も言うけれど、僕たちには感情がないんだ。興奮したり、盛り上がったりするわけがないだろう?」
QB「確かに万単位で入場できる会場で行われるけど、誰も歓声を挙げたりせず静かなものだよ」
ほむら「」
QB「あのねまどか、キュップぃボールは娯楽じゃなくて競技なんだ」
QB「言うならばキュップぃの勉強会みたいなものだよ」
QB「君たちの好むようなスポーツみたいなものとは違うんだよ」
まどか「じゃあ私たち行く意味がないよね!なんでそういうチケット持ってくるの!」
ほむら「鹿目さん落ち着いて」オロオロ
QB「全く・・・まどか、キュップぃボールとはそもそもだね・・・」
まどか「せっかくほむらちゃんと仲良くなれるチャンスだと思ったのに・・・」ガッカリ
QB「・・・時のインキュベーター王7世が提唱し・・・」
まどか「あ、えっとね・・・その・・・」
ほむら「あの、私なんかでよければ仲良く・・・してくれるなら・・・」
QB「・・・そして5回目の技術革命が行われた際には・・・」
まどか「ほむらちゃん・・・」
まどか「うん、これからもっと仲良くしてね。ほむらちゃん!」
ほむら「鹿目さん・・・!」
QB「・・・君らで言うところの中世の時代には・・・」
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ほむら「じゃあ私そろそろ帰らないと」
まどか「うん、じゃあまた明日ね」
ほむら「うん、また明日・・・」
ほむら(『また明日』って言ってバイバイできるお友達ができた・・・!)
QB「・・・そして最近になって新たに訪れた転機が・・・」
まどか「ほむらちゃんまたねー!」
まどか「さてと、私も帰ろうかな」
まどか「って、あれ?何でマミさんそんなところで紅茶を飲んでるんですか?」
マミ「あら?お話は終わったかしら?」カチャ
まどか「もしかしてマミさん、ずっと待っててくれたんですか?」
マミ「ええ、二人が楽しそうに話してるのを見て、邪魔しちゃ悪いかなと思って」
まどか「そんなっ!すみませんマミさん、お待たせしてしまって・・・」
マミ「いいのよ鹿目さん。暁美さんと仲良くなれたんでしょ?」ニコッ
まどか「はいっ」
マミ「ふふっ、良かったわね。」
まどか「あ、マミさんが迷惑じゃないなら・・・」
マミ「迷惑な訳ないじゃない、大歓迎よ。さ、行きましょうか」
マミ「魔法で出した紅茶じゃなくて、もっとおいしい紅茶をご馳走するわ」
まどか「はーい。楽しみです」
QB「・・・という訳だよ。分かったかい、まどか?」
QB「あれ?」
カチャ
パタン
ほむら「ただいまー、って誰も居ないけど」
ほむら(今日はいろんなことがあったな・・・)
ほむら(転校した学校で、すぐにお友達ができて、)
ほむら(名前をほめてくれて、)
ほむら(ちょっと落ち込んじゃったり、)
ほむら(そしたら魔女・・・が出てきて、)
ほむら(魔法少女・・・か・・・)
『クラスのみんなには内緒だよ!』
ほむら「ごほごほっ・・・えっ?きゅ、QB!?と、鹿目さんと一緒に居た魔法少女の、えっと・・・」
マミ『巴マミよ、暁美さん』
ほむら「そう、巴さん。なんでテレビに、というか今私の言った事に返事をして・・・えぇ・・・?」
QB『だいぶ混乱しているようだね。でも、魔法を使えばこのぐらい何てことないんだよ』
マミ『ごめんなさいね、暁美さん。QBがどうしてもやr QB『さあ、今日の商品はこちら!』
QB『魔法少女だよ』
マミ(・・・)
QB『違うよ。なにを言っているんだい君は。いや君たちは、かな?まずは話を聞いてからにしてくれないかな?』
QB『ゴホン。さて・・・』
QB『君は自分というものに不満はないかい?もっと違う自分、違う未来を手に入れたくはないかい?』
ほむら「えっと、確かにもっと格好良くなれたら嬉しいかな」
QB『そんな君にはこれ!魔法少女!』
QB『どうしようもない現状を変えたい!もっと理想の自分になりたい!』
QB『キュプネットならそんな君の手伝いができるんだよ!』
マミ(楽しそうねQB・・・)
ほむら「え、凄い・・・そういえばさっきも願い事は何だ、って・・・」
ほむら「本当になんでも叶えてもらえるの?」
QB『もちろん願いの限度はあるけどね。でも君が望みそうな願いなら大抵は何とかなると思うよ』
ほむら「なんでも・・・」
QB『さあ、君の願い事はなんだい?』
ほむら「格好良く・・・なれるかな・・・?」
QB『君が望むならクールでミステリアスな雰囲気漂う美少女にだってなれるよ』
ほむら「えぇ・・・そういう感じのは私には似合わないよ・・・」
ほむら「それにやっぱり魔女と戦うのは怖いし・・・」
QB『なんと今契約すると、希望次第でベテラン魔法少女・巴マミによる特別レッスンが受けられるんだ!』
マミ『え?QB、今私のこと呼んだかしら?』
QB『マミ、何で本番中に紅茶を飲んでサボってるんだい。君はまじめにやる気があるのかい?』
マミ『え?あっ、ゴメンなさいQB』
QB『いくら僕が毎回マミの言葉を遮っているからって、それはあんまりじゃないかな』
マミ『故意にやっていたのね・・・』
QB『僕にも理由は分からないんだけど、話を進めていたらこうなってしまったんだ。マミ、分かってよ』
マミ『もう、今回だけy QB『じゃあマミ、例のVTRをお願いするよ』
ゴッ
『しばらくおまちください』
ほむら「・・・」
マミ『QBが反省してないからでしょ!』
QB『まったく、訳が分からないよ』
ほむら「あの・・・?」
マミ『あら、どうしたの暁美さん?』
ほむら「その・・・折角いろいろして頂いてるのに申し訳ないんですけど」
ほむら「私みたいなのが魔法少女になるなんて無理です・・・」
マミ『暁美さん・・・』
QB『心配は無用だよ、暁美ほむら。そんな不安を持つ少女は結構居るんだ』
QB『結論を出すのはそれを見てからでも遅くはないんじゃないかな?』
ほむら「えっと、それじゃあ見てみようかな・・・」
QB『そうこなくちゃ。マミ、例のVTRをお願いするよ』
マミ『分かったわ。じゃあVTR、ティロ・フィナーレ!』
QB『何故これから始まるのにフィナーレなんだい?』
QBボイス『昨今では実に多くの魔法少女が世界中で活躍しているんだ』
QBボイス『今日はその中の一人にインタビューしてみたよ』
QBボイス『彼女は見滝原市に住む、M.Kさん』
QBボイス『最近なったばかりの駆け出し魔法少女だ』
QBボイス『やあ、○○○。今日はインタビューに来たよ』【プライバシー保護のため名前を伏せております】
M『ティヒヒ。ほむらちゃんのためならお安い御用だよ』【音声はそのままでお送りしております】
------------------
ほむら「鹿目さん!?目線入ってるけど鹿目さんだよね!?」
------------------
M『えー?そうだなぁ。前より自分に自信が持てるようになったかな』
QBボイス『へぇ、それは何故なんだい?』
M『魔法少女になる前の私って、得意な学科とか人に自慢できる才能とか何もなくて』
M『このまま人の役に立てないまま生きていくのかな、って思ってたんだけど』
M『でも魔法少女の存在を知って、私でも誰かの役に立てるって思ったら嬉しくて』
M『契約するまで凄く悩んだけど、今では良かったなって思ってるよ』
QBボイス『そうかい。そう言ってもらえると、僕としても誘った甲斐があるよ』
M『でもまだまだマミさんに頼りっぱなしだし、もっとしっかりしないとね』
M『ウェヒヒ。頑張っちゃうよ』
QBボイス『あとはそうだね、これから魔法少女になろうか考えてる子に一言もらえるかい?』
M『うーん・・・、焦らずちゃんとよく考えて契約して欲しいかな』
M『って、私が言えるようなことでもないけどね ウェヒヒ』
QBボイス『ありがとう、○○○。いいインタビューだったよ』
M『どういたしましてー』
------------------
ほむら「あの・・・私や巴さんの名前が出ていたんですけど・・・?」
QB『この番組は暁美ほむら宅への独占放送だから実は問題ないよ、彼女の名前を伏せたのは気分を出すためさ』
QB『さて、じゃあここで改めてセット内容の確認をするよ』
ほむら「え?はい、お願いします」
QB『まずはソウルジェム』
マミ『これがないと始まらないわね』
QB『それぞれのイメージに合わせてカラーリングが自由に選べる上に、カラーバリエーションはほぼ無限さ』
QB『次に魔法少女服』
マミ『これも重要ね。魔法少女の命とも言えるわ』
QB『これもデザインは君の自由だ、イメージ通りの形に構築するよ』
マミ『もしどんな風にするか悩むようなら、私がいいデザインを考えるわよ』
ほむら「え、本当ですか?私、オシャレとか自信がないからお願いしようかな・・・」
QB『やめておいた方がいいと思うけどね』
マミ『QB!それどういう意味よ!』
マミ『そうね、とても重要なことよ。だからこそちゃんと考えて欲しいと思うの』
QB『以上が基本セットだね。武器とか能力は願い事や資質に左右されるからセットには含まれないよ』
QB『そして、今契約してくれるなら・・・・なんと!』
QB『この万能刺身包丁をつけちゃうよ』
マミ『えぇっ!凄いわQB!これで魚介類系の魔女が出ても安心ね』
ほむら(万能?なのにお刺身用なの・・・?)
QB『この包丁も特製だからね、とてもよく切れるから気をつけるんだよ』
QB『迂闊に使おうものなら、まな板どころかキッチンまで真っ二つだよ』
ほむら「えぇぇ・・・」
QB『そして更に!今回限りの特別奉仕!』
QB『この特製高枝切りバサミもつけるよ!これも3000mまで伸びる特別製さ!』
マミ『素晴らしいわ!これで樹木型の魔女が出ても大丈夫ね!』
ほむら(高枝切りバサミって、通販だとオマケじゃなくてメイン扱いじゃないのかな・・・)
QB『もちろんさ!と言いたいところだけど、実はちょっと厳しいんだ』
QB『だから今回限りのワンチャンス!後で「あの時契約しておけばよかった」と思っても遅いよ』
キュープネットキュープネット・・・
QB『おや、そろそろ時間のようだね』
QB『願い事が決まったら僕にテレパシーを飛ばしてね!』
QB『それじゃあ、君の契約待ってるよ』
夢のキュプネットトモエー
『ザザー』
ほむら「魔法少女、か・・・」
ほむら「でもやっぱり怖いし、願い事も・・・これといってないし・・・」
ほむら「ごめんね、鹿目さん、巴さん・・・」
ほむら「私はやっぱりそういうのは無理だよ・・・」
ほむら「それに・・・QBにテレパシーってどうやるのかも分からないよ・・・」ポロポロ
『ザザー・・・ザ・・・油断した瞬間、魔物に頭からパックリやられてしまったマミマミ!』
『果たして首は無事なのか?そして敵を倒すことができるのか?』
『次回、魔法使いマミマミ第4話「やっぱり怖いものもある」、お楽しみにね!』
ほむら「え・・・?きゃあああああっ!マミマミの再放送が終わってる!」
ほむら「そんな・・・、スーパーマミマミになる前の名シーンのある3話を見逃すなんて・・・」ガッカリ
ほむら「もう寝よ・・・」グスッ
ほむら「はぁ・・・」トボトボ
ほむら(いろいろ考えすぎちゃって結局あんまり寝られなかったな・・・)
「ほむらちゃーん!」タッタッタッ
ほむら「あ、鹿目さん」
まどか「おはよう、ほむらちゃん」
ほむら「お・・・おはよう、鹿目さん」
ほむら(凄い!『おはよう』って友達と言い合えるなんて夢みたい!)
ほむら「昨日って、もしかしてQBの・・・」
まどか「うん、見てくれたんだね!」
ほむら「その、アニ・・・テレビを見ようとしたら無理やり始まって仕方なく・・・」
まどか「え?そうなの?」
ほむら「魔法ってあんなこともできるんだね。ビックリしちゃった」
まどか「うーん、私はそういうことはできないんだけど。マミさんやQBだとできるのかなー?」
ほむら「巴さんって凄いんだね」
まどか「ウェヒヒ。私の自慢の先輩だよ」
------------------
マミ「クシュン!!」
QB「マミ、風邪かい?」
マミ「誰か噂してるのかしら・・・?」
QB「そんなアテもないのになにを言っているんだいマミ?」
------------------
ほむら「はぁ・・・鹿目さんは魔女退治に行っちゃったし、今日はまっすぐ帰ろう・・・」
まどか『ほむらちゃんも一緒に来る?』
ほむら『あ、あの私・・・ごめんなさい・・・!』
まどか『あっ・・・』
ほむら(私ってほんとバカ・・・なんで断っちゃったんだろ・・・)
「あ、ちょっとそこの君」
ほむら(え?私のことかな?)
ほむら「はい?なんでしょうか?」
QB「今ちょっとアンケートやってるんだ。時間は取らせないからちょっと協力してもらえないかな?」
ほむら「きゅ、QB!?」
QB「やあ、暁美ほむら」
QB「いや、大したことは聞いてないよ」
QB「ここじゃあれだからちょっと場所を移そうか、その先に小さな喫茶店があるんだ」
ほむら「うん、いいy・・・」
ほむら(はっ!これはもしかして英会話の教材を買わされるパターンの勧誘!?)
ほむら「あのっ、私ちょっと忙しいからまた今度にして!」
QB「え?大丈夫だよ、すぐ終わるから」
ほむら「ごめんなさい!」タッタッタッタッ
QB「行ってしまった。この勧誘方法はあまり有効じゃないなぁ」
ガチャバタン
ほむら「はぁ・・・っ、はぁ・・・っ」
ほむら(危なかった・・・)
ほむら「どうしよう、なんだかQBの勧誘がだんだん怖くなってきたよ・・・」
ほむら「このまま落ち着いてくれるといいんだけど・・・」
しかしほむらの気持ちとは裏腹にQBの勧誘は日毎にエスカレートしていった
ほむら「ただいまー、あれ?机の上に雑誌が?」
ほむら「こんな雑誌買ったかな?」
『月間魔法少女○月号』
『ベテラン魔法少女・巴マミの素顔に迫る!』
『華麗なる戦闘の秘訣とは?大ボリュームの特集120ページ』
『1からはじめるティロ・フィナーレ』
『連載小説「もう一人ぼっちじゃないんだ 第7話」』
『特別付録・ソウルジェムデコシール』
『魔法少女になりたい君は今すぐこのはがきを書いてポストにGOだ』
ほむら「・・・」
ほむら「これは月間魔法少女じゃなくて、月間巴マミじゃないかな・・・」
QB(この方法もダメか)
QB「バックナンバーは創刊号から取り扱っているよ。ちなみに創刊号は特別価格で1050円さ」
QB「もし興味があるならテレパシーで連絡してくれるかな」
カタカタ・・・コトン
ほむら「あれ?ポストに何か・・・?新聞は取ってないし、なんだろう?」
『マスケット先生魔法少女ゼミ』
『魔法少女になるか悩んでる貴女へ』
ほむら「・・・」ペリペリペリ ガサガサ
MAMI『今日から2年生!新しいクラスに新しい友達!楽しみだな!』
QB『おっと、そこの君。新学期に想いを馳せるのもいいけれど、僕と契約して魔法少女になってよ!』
MAMI『え?魔法少女って何?』
QB『魔法少女というのはだね、どうたらこうたら』
MAMI『ええっ!それは凄いよ!私、魔法少女になる!』
ほむら「・・・」
ほむら「何この超展開・・・」ビリビリー
QB(この方法も有効じゃないみたいだね)
ピンポーンピンポーン
ほむら「はーい?」
ガチャ
QB「やあ、暁美ほむら。QHKだよ」
QB「受信料の支払い手続きは済んでいるかい?」
QB「見る機会がなくても、チューナーを内蔵した機器があるだけで支払わないといけないんだ」
QB「ついでに魔法少女の契約もしようよ!」
バタン
QB「この方法も効果は見込めないな」
ピンポーンピンポーン
ほむら「はーい?」
ガチャ
QB「やあ、暁美ほむら。魔法少女新聞を取らないかい?」
バタン
QB「この方法でも無理みたいだね」
QB「これは1ヶ月ごとの契約で月々6980円だよ」
QB「3ヶ月契約だと12600円、半年契約だと23200円だよ」
QB「もし興味があるならテレパシーで連絡してくれるかな」
QB「あと僕は不良品じゃないよ、いろいろな勧誘方法を模索しているんだ」
QB「次はとっておきの方法を試してみようかな、まず張り紙をはらないと・・・」
ドンドンドンドン
QB「アケミサーン、イルンデショー?」
ドンドンドンドン
QB「オカネカエシテ、ジャナカッタ マホウショウジョニナッテヨー」
ドンドンドンドン
QB「オラァ!マホウショウジョニナレヤァ!!」
ドンドンドンドンドンドンドン
ほむら(怖い・・・誰か助けて・・・鹿目さん・・・)ガクガク
まどか「あれ?ほむらちゃん今日おやすみなのかな?通学路でも会わなかったし・・・」
さやか「え?暁美さん?」
仁美「あら、本当ですわ。暁美さんは退院したばかりですし、体調が良くない日もあるのではないでしょうか?」
まどか「うーん、心配だなぁ・・・」
さやか「お?まどかは暁美さんにゾッコンだなぁ。さやかちゃんは寂しいぞー」
まどか「えぇ!?ち、違うよー。その、ほむらちゃん一人暮らしだし何かあったらと思うと・・・」
さやか「隠すな隠すなー」ダキッ
まどか「きゃぁぅ!もうっ!ほんとに違うってばぁ」
まどか(でもほむらちゃん、本当に大丈夫かな?もし倒れてたりしたら・・・)
ピンポーン
ピンポーン
まどか(何の反応もないよ・・・どうしちゃったんだろ・・・)
まどか(というかこの張り紙はなんだろ・・・?字が汚くて読めないや・・・)
ピンポーン
まどか「ほむらちゃーん?」
ピンポーン
まどか「ほむらちゃーん」
ほむら『鹿目さん?』ドアゴシ
まどか「あ、ほむらちゃん?良かった、心配したんだよ」
ほむら『・・・』
ほむら『そうじゃないけど・・・』
まどか「あの、よかったらドアを開けて中に入れてもらえないかな?」
まどか「お見舞いにって思って、果物とか買ってきたんだよ」
ほむら『・・・鹿目さん、今一人だけ?』
まどか「え?そうだけど・・・?」
ほむら『今からカギを開けるから、そしたらすぐに入って』
まどか「う、うん?よく分からないけど分かったよ」
ガチャ
ほむら「鹿目さん!早くっ」
まどか「え、わ・・わ・・・っ」
バタン ガチャ
まどか「ど、どうしたの?ほむらちゃん」
ほむら「ごめんね、なんでもないから・・・」フラッ
まどか「っ・・・!危ない!」ガシッ
ほむら「うぅ・・・」
まどか「ほむらちゃん!大丈夫!?」
ほむら「うん、ごめんね。ちょっと眩暈がしただけだから大丈夫だよ・・・」
まどか「全然大丈夫じゃないよ!」
ほむら「鹿目さんが来てくれたから安心しちゃって、気が緩んだのかな」
ほむら「実は・・・」グー
ほむら「あっ・・・///」
まどか「もしかしてほむらちゃん、ご飯食べてないの?」
ほむら「うん、買い置きはあるんだけど食欲がなくて・・・」
まどか「私リンゴ買ってきたから剥いてあげるよ!リンゴなら食べられるよね?」
ほむら「ありがとう鹿目さん・・・」
まどか「リンゴ剥けたよー」
ほむら「うん・・・」
まどか「ちょっと形は変だけど・・・でもほら、食べて食べて」
ほむら「」シャリシャリ
ほむら「」ホムホム
ほむら「うっ・・・ひっく・・・」ポロポロ
まどか「ほ、ほむらちゃん!?ごめんね、リンゴ酸っぱかったかな?」
ほむら「ううん、違うの。鹿目さんが居てくれるのが嬉しくて・・・」
まどか「私で良ければここにいるよ。だからほむらちゃん、何があったか話してくれるかな?」
ほむら「あのね・・・」
まどか「そんな・・・」
ほむら「私がすぐに魔法少女にならなかったのが悪いんだ・・・だから今も鹿目さんにも迷惑が・・・」
まどか「違うよ!」
ほむら「」ビクッ
まどか「そんなことないよ!これはどう考えてもQBが悪いよ」
ほむら「でも・・・」
まどか「QB!どうせ侵入してその辺にいるんでしょ?出てきて!」
ほむら「出て・・・こないね・・・」
まどか「うーん、よし。マミさんの家に行ってみよう」
ほむら「え?でも・・・」
まどか「QBが居るかもしれないし、居なくてもマミさんが相談に乗ってくれるよ」
ほむら「うん・・・」
QB「」チラッ
マミ「QBがそんなことを・・・」
ほむら「おうちに居ても物音とかが怖くなっちゃって・・・」
マミ「私も通販風の時は手伝ったけど、まさかこんなにエスカレートするなんて・・・」
まどか「ごめんね、ほむらちゃん。ほむらちゃんが魔法少女になるかもしれないって思ったら」
まどか「もっと仲良くなれると思って、そしたら舞い上がっちゃって・・・」
マミ「私も仲間が増えるかと思ったら嬉しくて・・・つい・・・」
マミ「ごめんなさい、暁美さん。私たちはあなたに申し訳ないことをしてしまったわ」
ほむら「そんな・・・私こそずっと悩んでて、それが巴さんたちに変に期待させてしまって・・・」
まどか「ほむらちゃん・・・」
ほむら「ひっ!きゅ、QB!」ガシッ
まどか(ほ、ほむらちゃんが抱きついてきた!これは今までの私の人生で一番の自慢だよ!)
マミ「・・・」スッ
まどか「マミさん・・・?」
マミ「ティロ・ハリセン!」バシーン
QB「キュブシ!!」
-------
----
QB「何をするんだいマミ」
マミ「あなたには反省するという考えはないの?」
QB「反省?何のことだい?僕には反省する事が思い浮かばないよ」
マミ「ティロっ!ティロっ!ティロっ!」バシーンバシーンバシーン
QB「いたっ、ちょ、マミ、やめ、いたっ!たんなる、いたっ、紙の、った、加工物ったい、でもっ、いたっ」
ほむら「うん、ごめんね。もう落ち着いたから・・・」スッ
まどか(あぁ、ほむらちゃんが離れちゃった・・・)
マミ「ところでQB、あなた暁美さんに迷惑を掛けているそうじゃない」
QB「迷惑?何のことだい?僕には迷惑を掛けた事が思い浮かばないよ」
マミ「」スッ
QB「待って、マミ!そうだ、話を聞くよ!話し合いは相互の理解のために必要だね!」
まどか「ほむらちゃんをしつこく勧誘するのをやめてよ!」
QB「やめても何も、僕は少女を魔法少女にするのが役目なんだ」
QB「そうしないと世界は魔女に滅ぼされてしまう、その要求は聞くことができないよ」
まどか「だからって・・・、限度があるよ!ほむらちゃん、こんなに怖がってるじゃない!」
ほむら「あの、鹿目さん私なら大丈夫だから」
まどか「ほむらちゃん、私に任せて!」
QB「君と事を構えるつもりはないよ、まどか」
QB「ところでさっき暁美ほむらの家で呼ばれたけど、あえて無視したのは悪いと思っているよ」
まどか「マミさん、私にもそれ使わせてもらえませんか?」
マミ「ええ、たくさん作ったから遠慮なく使ってね」スッ
QB「ごめんよ!戸締りを厳重にされていたから、無理に侵入して出て行くのはどうかと思ったんだ!」
QB「だからそのハリセンはやめて!ほんと痛いから!エントロピー凌駕しそうだから!」
ほむら「あ、あの。もうやめてあげてください」
まどか「ほむらちゃん!?」
マミ「暁美さん・・・、いいの?QBは貴女に随分酷いことをしたのよ?」
まどか「そうだよ、ほむらちゃん。それに私たちのこともいろいろ馬鹿にしてるし、何より反省してないよ!」
ほむら「確かに酷いこと沢山されたけど、でもほんの少しだけ可哀想になって・・・」
まどか「ほむらちゃん・・・」
マミ「暁美さんがそう言うのなら・・・」
QB「そこまで言うのなら仕方ないね。全く君のわがままにも困ったものだよ」
マミ「ティロ・フィナーレ(気分だけ)」バシーン
QB「キュブシ!!」
マミ「さて、流石にQBもそろそろ反省すると思うし。紅茶とケーキでもどうかしら?」
まどか「わぁ、やったぁ!ほむらちゃん、マミさんの紅茶とケーキ凄くおいしいんだよ!」
ほむら「え、そうなの?楽しみだな・・・」
-------
----
まどか「おいしー!これマミさんが作ったんですか?」
マミ「えぇ、日持ちするから明日鹿目さんと暁美さんを呼ぼうと思って作っておいたの」
ほむら「お店で売ってるケーキよりおいしいです」
QB「僕としては先週食べたガトーショコラってケーキのほうが好みだね」
マミ「じゃあまた今度作ってあげるわね」
ほむら「あの、鹿目さん、巴さん。」
まどか「なに?ほむらちゃん」
マミ「ケーキのおかわりかしら?それとも紅茶?」
QB「」ピクッ
まどか「えっ!?だってほむらちゃん、QBが怖いって・・・!」
マミ「それは自身の恐怖を置いても叶えたい願いができた、ということかしら?」
ほむら「はい」
QB「よし。さぁ、暁美ほむら。君の願いはなんだい?」キリッ
ほむら「私の願いは・・・」
まどか「願いは・・・?」
マミ「」ゴクッ
まどか「え?」 マミ「え?」 QB「え?」
ほむら「やっぱり無理でしょうか・・・?」
QB「わけがわからないよ。マミ、内容をよく理解できない僕がおかしいのかい?」
マミ「QBがしつこく勧誘しすぎたから心労で・・・。暁美さんメンタルが少し弱そうだし」
まどか「ほむらちゃん、流石にそれはおかしいよ!」
ほむら「え?え・・・?」
ほむほむ他の願いで契約しても
二度と勧誘される事は無いよ(笑)
マミ「まず、QBは何のために勧誘をしているかはわかるわよね?」
ほむら「えっと、資質のある人に魔法少女になってもらうため・・・ですよね?」
マミ「そうよ。じゃあ魔法少女に対しては勧誘する意味があると思う?」
ほむら「あ、そっか。」
ほむら「巴さんや>>114さんの言うとおり、魔法少女になれば、そんな願いをしなくても勧誘されなくなるんですね」
マミ「その通りよ」
ほむら「ごめんなさい、巴さん。私、ちょっと焦ってたみたいです」
QB「今のは流石の僕も驚いたよ・・・」
まどか「QBがしつこすぎるのが悪いんだから、ほむらちゃんは気にしちゃダメだよ」
ほむら「うん・・・。でもどうしよう、他に願い事考えてなかったよ」
さっき某スレで誤爆した人だよな?
杏子「誰も怒ってないから心配すんじゃねーぞ!」
?
QB「あのスレに魔法少女の資質を持った子が書き込みをしてそうな感じがしてね」
QB「ただ、突然脈絡のない発言をしてしまったのはとても申し訳ないと思っているよ」
QB「だから・・・・杏子もそのハリセンをしまってくれないかな・・・」
QB「君の温情、ありがたく頂戴するよ」
ほむら「でも、それだとQBが・・・」
まどか「QBは私とマミさんがなんとかするよ!だからほむらちゃんは無理しないで!」
QB「まるで僕が悪いことをしているみたいじゃないか」
マミ「貴方にとっては悪いことじゃないかもしれないけれど、暁美さんにとっては悪いことなのよ」
QB「なるほど、過度の勧誘は逆効果みたいだね」
まどか「QB、ほむらちゃんがちゃんと願い事を決めるまで勧誘するのをやめてよ」
QB「それは構わないけど、僕としては早いほうが助かるんだけどね」
QB「そういうものなのかい?でも、どうせなら今契約したほうがいいと思うんだけどな」
ほむら「?」
まどか「どういうこと?」
QB「今契約すると、この特製QBストラップ(ソウルジェム用)が貰えるよ」
ほむら「そういうのはもういいよ!」
おわり
面白かったぞ
乙
QB「魔女空間で僕と握手!というのはどうかな?」
まどか「それはバツゲームの範囲じゃないかな・・・」
マミ「魔法少女候補とはいえ、一般の人を巻き込むのは駄目よ」
ほむら「できるならもう二度とあんな場所には行きたくありません・・・」
ほむら「豪華に・・・って?」
QB「毎月付いてくる巴マミフィギュアパーツ」
QB「全て集めると等身大の巴マミが完成するよ!」
まどか「それ何年かかるの・・・」
マミ「というか本編中にも言いたかったのだけど、勝手に私を使うはやめてもらえないかしら?」
ほむら「うん、そうだね」
QB「願い事を2個にしたら現役魔法少女からクレームが来るよ」
QB「ソウルジェムを2個にしても意味はないしね」
マミ「衣装を増やしてもらえるなら私は嬉しいのだけど・・・」
まどか「あっ、それ凄くいいかも!」
QB「僕のぬいぐるみかい?」
マミ「ちょっと大きくて、抱きしめられる感じなら女の子受けはよさそうね」
QB(予備の固体を使う手はあるけど・・・、これはまだマミたちに知られたくないな)
QB「検討しておくよ」
マミ「暁美さん、何気に凄いことを言うわね・・・」
まどか「すごいよほむらちゃん!そんなこと思いつくなんて天才だよ!」
ほむら「そ、そうかな・・・?」
QB「願い事を増やす、っていうのは魔法少女の願いとしては難しいんだ」
QB「僕たちと同等の力を持つことに近いしね」
QB「余程の因果を持ってないと駄目だね」
マミ「何で勝手にそんなことをするの!?」
まどか「すごい、見分けが付かないぐらいそっくりだよ!」
QB「これをオマケにすれば契約もはかどるかな?」
ほむら「うわぁ・・・すごい・・・きゃっ」コケッ
ドン ゴロゴロゴロ
QB「あ、首はジョイントが弱いからすぐ取れちゃうよ。気をつけて」
QB「君が積極的に考えてくれて嬉しいよ」
マミ「確かに、魔法少女になっても独りぼっちってあるものね。心強そうだわ」
まどか「さすがほむらちゃん!」
QB「このアイデアはストックしておこう」
取れないのはあなたの責任ではありません。
取れる方法を、知らないだけだったのです。
そんなあなたのために、 「テレアポ」や飛び込み訪問に使える
〔心理学的ノウハウ〕をご紹介しましょう。
お申し込みはこち
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ほむら「皆さん、読んでくださってありがとうございました」
マミ「支援してくれた人や、合いの手を入れてくれた人もありがとうね」
まどか「>>1は寝ます。おやすみなさい」
QB「誤爆は本当に申し訳なかったと思っているよ・・・」
QB「ここで謝っても仕方ないけれど、あっちに顔を出すのもまた邪魔になるからね」
QB「さて、僕はまた魔法少女候補を探すために他のスレを見てこようかな」
QB「>>153は参考にさせてもらうよ!」
本当に終わり
みんなありがとう
乙乙
Entry ⇒ 2012.04.30 | Category ⇒ まどかマギカSS | Comments (0) | Trackbacks (0)
杏子「仲良し姉妹」
URL:http://hayabusa.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1335517153/
ピンポーン
マミ「あら…?ふふ、もう来たのね?」
ガチャッ
杏子「よっ」
マミ「いらっしゃい。今日は来るのが早かったのね」クスッ
杏子「へへ、早くマミに会いたくってねー。なんてな」
マミ「うふふ、そっか。さ、上がって?」
マミ「杏子ちゃん」
杏子「ああ!」
マミ「今日は1人で来たのね」
杏子「うん。でも後から来るってさ」
マミ「そう、なら3人分よういしなきゃね」
杏子「いつも悪いね」
マミ「いいのよ?…でも、ごめんなさい、まだケーキを作ってる途中だったの」
杏子「あぁ…いや、あたしが来るのが早かったしさ」
マミ「今から作ってくるから、杏子ちゃんは待っててくれないかしら?」
杏子「いや、あたしも手伝うよ」
マミ「そう?ふふっ、ありがとう」
杏子「いいっていいって。さっ、作ろうぜ?」
マミ「うん!」
マミ「よーし。もうすぐ出来上がるわね」
杏子「うん」
マミ「後は紅茶を準備して…」
杏子「ふふっ」
マミ「…?何かおかしかったかしら?」
杏子「なんかさ、こう…昔を思い出してね」
マミ「昔…あっ、そうね。昔からよくこうして一緒にお料理したものね」
杏子「ああ、あたしら3人でな」
マミ「うふふっ、懐かしいわね」
マミ「2人とも『マミさん、マミさん』って言ってね」クスッ
マミ「ふふ、可愛かったわよ?」
杏子「…ほんと、懐かしいな」
マミ「ええ。思えば出会ってから結構、経ったものね」
杏子「初めて会った時…か」
―――
杏子「はぁっ…はぁっ…!」
魔女「〜」
杏子「くそっ…強い」
魔女「〜!」
杏子「っ!?」
杏子「きゃぁぁぁっ!」
杏子(だ…駄目…動けな……)
杏子(あたし…こんなとこで死ぬの…?)
魔女「〜!」
杏子「モモ…!」ギュッ
シュルル
杏子「えっ?」
杏子(リボン…?)
マミ「間一髪、ってところね」
杏子「!」
マミ「でも、もう大丈夫」ニコッ
杏子(魔法少女…?)
杏子「……」
杏子(あの人…強い…!)
マミ「大丈夫?怪我はない?」
杏子「え?あっ…いや…だ、大丈夫…です」
マミ「そっか、良かった…」ホッ
マミ「見滝原の魔法少女は、わたし1人だと思ってたんだけど…」
マミ「お友だちがいたのね!」ニコッ
杏子「へっ?お友だち…?」
マミ「わたしの名前は巴マミ。よろしくね?」スッ
杏子「えっ?あ…」
マミ「てへへ」ニコニコ
杏子(この人なら…)
杏子「…よろしく」ギュッ
杏子「あたしは杏子、佐倉杏子」
マミ「よろしくね、佐倉さん!」
杏子「…えへへ」
マミ「…そっか、隣町から魔女を倒しに来たんだね」
杏子「うん…少しでも強くなって、裏からみんなを救いたかったんだ」
杏子「でも、あたし…弱かった…」
杏子「マミさんが助けてくれなかったら、あたしはきっと……」
杏子「っ…」ゾクッ
マミ「佐倉さん」ギュッ
杏子「マミさん…あたし、弱いよね?」
マミ「戦い方もよくわからなくってね?」
マミ「それに…1人で戦うのが怖かったの」
マミ「…でも、そんなわたしを助けてくれた人がいるの」
マミ「その人は…わたしの先生で、お友だちで…」
マミ「そして、大好きなお姉ちゃんなの」ボソッ
杏子「…?」
マミ「……今は離ればなれになっちゃったけどね」
マミ「あっ、ごめんなさい!今は関係ない話だったね?」
杏子「えーと…?」
マミ「ねえ。もし良かったら、これからわたしの家に来ない?」
杏子「えっ?でも…」
マミ「一緒にケーキでも食べよう?」
杏子「ケーキ…!」
杏子(最後にケーキ食べたの、何時なんだろう…?)
杏子(食べないなぁ…)
マミ「佐倉さん…ダメ?」
杏子「あっ、いや!…お、おじゃましちゃおっかな…?」
マミ「佐倉さん…!」パァッ
マミ「案内するね!ついてきて!」
杏子「う、うん!」
杏子(マミさん…か)
杏子(好い人だなぁ)
マミ「ほら、上がって?」
杏子「お、おじゃまします…!」
マミ「佐倉さん、紅茶は飲める?」
杏子「えと…うん」
マミ「そう、よかった。それじゃあ用意してくるから待ってて?」タタッ
杏子「あっ…」
杏子(紅茶も何年も飲んでないや…)
杏子(やっぱりマミさんって年上なのかな?あたしと違ってしっかりしてるし…)
杏子(部屋も綺麗に片付いてるもん)
マミ「きゃっ?」
杏子「わわっ?だ、大丈夫?」
マミ「あはは…いっつもこうなっちゃうなぁ…」
マミ「うん、大丈夫だよ。片付けるね」
杏子「あ、あたしも手伝うよ!」
マミ「そう?ありがとう、助かるよ」ニコ
杏子「えへへ…」
マミ「さ、食べよう?」
杏子「う、うん!」
杏子(ケーキ!ケーキだ!)
マミ「いただきます」
杏子「いただきます…!」
杏子「ぱくっ」
マミ「どうかな?」
杏子「おいしい…!すっごくおいしいよ!」
マミ「てへへ、やった」
杏子「マミさんが作ったの?」
マミ「うん!」
マミ「ううん、そんなことないよ」
杏子「でも…」キョロキョロ
杏子「部屋も綺麗だし、ケーキ作れるし」
杏子「強いし…」
マミ「佐倉さん?」
杏子「それに比べて、あたしは…」
マミ「…」
杏子「ううん!なんでもないよ」
杏子(あたしは…)
マミ「…そっか」
杏子「えへへ、ごちそうさまでした」
マミ「あれ?まだ半分残ってるよ?」
杏子「これはモモの分なんだ」
マミ「もも?」
杏子「あたしの妹、モモもケーキは大好きだからさ」
杏子「2人ではんぶんこにしなきゃね」
マミ「そう、佐倉さんには妹がいるんだ」
杏子「うん、大切な妹だよ」
杏子「うんっ!」
マミ「なら…ちょっと待ってて?」
杏子「?」
マミ「はい、これ全部あげるね」
杏子「えっ?いいの?」
マミ「うん、いつも多目に作ってあるの」
マミ「お姉ちゃんが何時帰ってきても大丈夫なように…」ボソッ
杏子「?」
杏子「ほ、ほんとにいいの?」
マミ「うん」
杏子「マミさん…ありがとう!」ペコッ
杏子「みんな喜ぶよ!」
マミ「仲良く食べてね」
杏子「もちろん!モモ喜ぶだろうなぁ…!」
マミ「…」ニコニコ
杏子「あのっ!今日はほんとにありがとう!」
マミ「よかったら、また来てくれると嬉しいな」
杏子「じゃあ、今度はモモと一緒に来てもいい?」
マミ「うん、いいよ」
杏子「やった!また来るよ!」
マミ「てへへ、待ってるね」
杏子「またね!」
マミ「うん、またね!」
杏子「ただいまー」
モモ「お姉ちゃん、おかえりなさい!」
杏子「モモ、これなーんだ?」
モモ「えー?…わぁ!ケーキだぁ!」
杏子「へへっ」
モモ「お姉ちゃん、どうしたの?買ってきたの?」
杏子「いや、マミさんに…友達に貰ったんだ」
杏子「うん、いいよ」
モモ「わーい、やったぁー!」
杏子「ふふっ」
―――
モモ「おいしいー」
杏子「…」ニコニコ
杏子(マミさん、ありがとう)
モモ「お姉ちゃんも食べよ?」
杏子「うん、あたしも…」
モモ「どうしたの?」
杏子(魔力を感じる…魔女だ!)
杏子「ごめん!出かける!」タタッ
モモ「えっ?お姉ちゃん?」
モモ(お姉ちゃん…この前から一人で何かしてるみたいだよね?)
モモ(何してるのかな?)
モモ(よーし!)
モモ「…」タタッ
杏子「くそっ!逃がすかー!」
魔女「〜!」
杏子(これ以上逃げられたら…もうここはマミさんの…)
モモ「きゃっ!」
杏子「な…!?」
モモ「お姉ちゃん…」フルフル
杏子「モ、モモ?何でモモがここに?」
モモ「わ、わたし…」
魔女「〜!」
杏子「あっ?」
杏子(危ない!?)
杏子「!?」
マミ「大丈夫?」
杏子「ま、マミさん…!」
マミ「てへへ、また会ったね」
―――
モモ「うぅ…」
杏子「そっか…モモはあたしを追って…」
モモ「ごめんなさい…」
マミ「…」
杏子「いや…まぁ仕方ないよ。でも、危ないからもうついてきちゃダメだぞ?」
モモ「うん…」
モモ「う、うん…誰にもお話しないよ」
杏子「そっか、わかってくれるならいいんだ」
杏子「このことは後でゆっくり話そうな?それよりも今は…」
杏子「マミさん、ありがとう…また、助けられちゃった」
マミ「ううん、いいの。2人が無事でよかった」ニコッ
杏子(マミさん…)
杏子「あたしとモモは…っ…」
モモ「うぅ…」
マミ「大丈夫、大丈夫だから…!」
杏子「…マミさん!」
マミ「なあに?」
杏子「あたしっ…あたし!マミさんの弟子になりたい!」
マミ「えっ?」
杏子「あたしもマミさんのように強くなりたい!」
マミ「……」
杏子「マミさん…」
マミ「…うん、いいよ」ニコ
杏子「ほんとっ?」
マミ「うん!」
杏子「ありがとう!」
マミ「でも今日は遅いからもう帰らなきゃね」
マミ「モモちゃんも怖がってるし、早く落ち着かせなきゃいけないよ?」
モモ「…」フルフル
マミ「わたしは何時でも待ってるから、2人で遊びに来てね」
杏子「うん。ほら、モモ…帰ろう?」
モモ「うん…」
マミ「またね」
杏子「ま、またね…!」
マミ「気を付けて帰ってね」
杏子「うん」
―――
ピンポーン
マミ「あっ…!」
マミ(お姉ちゃん?)タタッ
ガチャッ
杏子「こ、こんにちは!」
マミ「あっ…佐倉さん、遊びに来てくれたんだね!」
杏子「遊びにも来たけど…それよりも、あたしを特訓してください!」
マミ「特訓?…うん、いいよ」
杏子「あ、ありがとう!」
杏子「はぁっ…はぁっ…」
マミ「今日はこのくらいにしとこうよ、頑張りすぎると疲れちゃうよ?」
マミ「わたしの家でお休みしようよ」
杏子「うん…」
マミホーム
杏子「ふぅ…つかれたぁ…」
マミ「はい、紅茶をどうぞ」
杏子「ありがとう。やっぱりマミさんはすごいなぁ」
杏子「あたしはこんなに疲れてるのに、マミさんは疲れてなさそうだもん」
マミ「わたしはリボンとこれが武器だから、あんまり疲れないのかな?」
マミ「わたしも最初はダメダメだったんだよ?」
マミ「リボンの使い方もよくわからなかったもん」
杏子「…」
杏子(マミさんはリボンが武器…なんだよね?)
杏子(なら何で…?)
マミ「なあに?」
杏子「マミさんの武器って、ほんとはリボンなんでしょ?」
マミ「うん、そうだよ」
杏子「じゃあ何で鉄砲で戦ってるの?」
マミ「あっ、それはね?お姉ちゃんに教えてもらったからなんだよ」
杏子「えっ?マミさんにお姉ちゃんがいたの?」
マミ「うん、わたしの大切なお姉ちゃんなんだ」
杏子「わぁー。じゃあやっぱりマミさんと似てるんだ? 」
杏子「えっ?姉妹なのに?わたしとモモは似てるよ?」
マミ「たしかに、佐倉さん達は似てるし、仲良しだもんね」
杏子「うんっ!あたし、モモが大好きだよ!」
マミ「わたしもお姉ちゃんが大好き!」
マミ「…家族じゃないけど」
杏子「えっ?」
マミ「わたしのお姉ちゃんだよ」
マミ「大好きなお姉ちゃん」
マミ「ほむらお姉ちゃん…!」
マミ「これ、わたしとお姉ちゃんの写真なんだ」スッ
杏子「わぁ…!美人だね」
杏子「それに優しそう」
マミ「うん、とっても優しいお姉ちゃんなんだ」
杏子「そっかぁ…本当の姉妹みたいに仲良かったんだね」
マミ「うんっ!」
マミ「今は…離ればなれになっちゃったけど、でもっ!」
マミ「またお姉ちゃんは会いに来てくれるって約束したもん…!」
マミ「…うん。遠い、かな」
杏子「そうなんだぁ…あ、そういえばマミさんの家族は?」
杏子「本当の姉妹はいないの?」
マミ「…わたしは…一人っ子だよ」
杏子「そっか、じゃあ3人で暮らしてるんだ」
マミ「………」
杏子「あれ?マミさん?」
マミ「……わたし、一人暮らしなんだ!」ニコ…
杏子「えっ?そうなの?」
マミ「お父さんもお母さんも…もういないから」
杏子「え…」
マミ「…ごめんね、こんなお話しちゃって」
杏子「あ、いや!あたしの方こそ…ごめんなさい…」
マミ「…ね?ケーキ食べようよ」
杏子「…う、うん」
マミ「用意してくるね」
杏子(あたしに何かできないかな?)
マミ「わわわっ?」
杏子「あ、あぶないっ!」ガシッ
マミ「あ、ありがとう…」
杏子「あはは、マミさんって意外とおっちょこちょいなんだ」
マミ「う、うん…てへへ」
マミ「ん?」
杏子「明日…明日はさ!モモと2人で遊びに来てもいい?」
マミ「…うん、いいよ!」
杏子「えへへ、ありがとう」
マミ「ううん、すっごく嬉しいよ。お礼を言うのはわたしの方」
マミ「ありがとう、佐倉さん!」ニコッ
杏子(マミさんはひとりぼっちで寂しいんだ…なら…)
杏子(あたし達がマミさんを!)
杏子「ついたな、ここだよ」
モモ「ここがケーキのお姉ちゃんのお家なの?」
杏子「うん、マミさんの家。ほら、チャイム押して?」
モモ「うん」
ピンポーン
マミ「はーい」
ガチャッ
マミ「いらっしゃい!」ニコッ
杏子「えへへ、こんにちは」
マミ「こんにちは、待ってたよ」
モモ「あ、あの…こ、こんにちは!」
マミ「ふふ、こんにちは」
モモ「んっと、この前は助けてくれてありがとう」
マミ「うん、怖くなかった?」
モモ「お姉ちゃんが守ってくれたから…大丈夫だよ」
マミ「そっかぁ、良かった」
モモ「そ、それから!ケーキすっごく美味しかったです!」
マミ「てへへ、ありがとう」
マミ「ふふっ、今日はプリンを作ったの」
マミ「食べる?」
モモ「うん!」
杏子「マミさん、いつもありがと」
マミ「ううん、わたしも作りながら2人が来るのを楽しみに待っていたの」
杏子「あはは、そっか」
マミ「うんっ!」
マミ「用意を…」
杏子「あっ、手伝うよ」
モモ「わたしも手伝う!」
杏子「これ以上割ったらいけないもんね」
マミ「てへへ…うん、ありがとう」
マミ「それじゃあ、モモちゃん…でいいかな?」
モモ「うん!」
マミ「ふふ、じゃあモモちゃんはプリンをお願いするね?」
モモ「はーい」
杏子「うん、あたしの大切な妹だよ」
マミ「…そうだ!」
杏子「ん?」
マミ「妹がモモちゃんなら、お姉ちゃんは杏子ちゃんでいい?」
杏子「えっ?杏子ちゃん?」
マミ「だ、ダメかな?」
杏子「いや…ちょっと照れるけど…でもいいよ」
マミ「ほんと?」
杏子「うん」
マミ「てへへ、じゃあ早速…杏子ちゃん!」
杏子「えへへ」
杏子「うん、わかった」
マミ「こぼさないように気を付けてね?」
杏子「あはは、マミさんじゃないんだし、大丈夫だよ」
マミ「そっか」
杏子「っと…」ソォー
モモ「スプーンが無いよー」タタッ
杏子「わぁっ?」グラグラ
モモ「あっ、ごめんなさい…」
杏子「っとと…ご、ごめんなさい」
マミ「…ふふっ、無事でよかった」
杏子「モモ、走ったら危ないじゃんかー」
モモ「ご、ごめんなさい…」
マミ「まあまあ、スプーンよね?はい」
モモ「ありがとう」
杏子「マミさん、ごめん…」
マミ「何もなかったんだし、大丈夫だよ?」
マミ「ほら、2人で持って行こうよ」
杏子「うん…!」
マミ「ふふっ」ニコッ
杏子「わぁ…美味しそうなプリン!」
モモ「マミお姉ちゃんすごーい!」
マミ「てへへ、ありがとう」
杏子「マミさんは料理もできて、ほんと凄いなぁ」
モモ「そうだねー」
マミ「2人は料理をしないの?」
杏子「…あたし達は……」
モモ「しないよ」
杏子「えっ?」
マミ「2人に料理のレッスンをしてあげる!」
モモ「いいの?やったぁ!」
マミ「何でも聞いてね?」
杏子「マミさん…いいの?迷惑じゃない?」
マミ「迷惑なんかじゃないよ?3人でお料理しようよ!」
モモ「お料理ー♪」
杏子「モモ…うん、よろしくね。マミさん」
マミ「この後さっそく始めようね!」
杏子「うん!」
モモ「わーい」
モモ「マミお姉ちゃん、何を作るの?」
マミ「うーん…何かフルーツを使ったケーキがいいかな?」
杏子「フルーツ…」
マミ「2人な好きなフルーツって何かな?」
杏子「りんご!」
モモ「りんご!」
マミ「…ふふ、じゃありんごケーキを作ろうね」
杏子「えへへ、やったね」
モモ「うん!」
マミ「できたっ!」
杏子「わぁ…!」
モモ「美味しそう!」
マミ「2人とも上手に作れたね」
杏子「マミさんの教え方がうまいからだよ。な?モモ」
モモ「うん、マミお姉ちゃんすごい!」
マミ「てへへ、照れるなぁ」
モモ「ねえ?マミお姉ちゃんはいくつなの?」
マミ「えっ?」
モモ「一人でいっぱいできるから、杏子お姉ちゃんより大きいのかな?」
マミ「あっ…たしかにそうだね」
モモ「いくつなの?」
マミ「わたしは―」
杏子「えぇっ?同い年?」
マミ「ほんと?そうだったんだ!」
モモ「杏子お姉ちゃんより、マミお姉ちゃんの方がお姉ちゃんみたい」
マミ「ふふ、そっかぁ」
杏子「一緒だったんだ…年上かな?って思ってた」
杏子「う、うん…」
マミ「ならもう『さん』はつけなくていいよ?」
杏子「うーん…でも、やっぱりマミさんは『マミさん』かな」
マミ「そうなの?まぁ…杏子ちゃんの好きに呼んでくれていいんだけどね」
杏子「うん、そうするよ。マミさん!」
モモ「わたしはマミお姉ちゃんだよ」
マミ「ふふ、そうだね」
マミ「ねえ、ケーキは持って帰る?」
杏子「えっ?今食べないの?」
マミ「だって、さっきプリン食べたばっかりだもん」
杏子「そっか…モモ、帰ってから食べる?」
モモ「んーと…今食べたい!」
マミ「なら、ここで少し食べて、後は持って帰って食べて?」
杏子「うん、そうするよ」
マミ「じゃあ少しだけ切るね」
杏子「今日はありがとう、マミさん」
モモ「えへへ、ケーキもプリンも美味しかったよ」
マミ「てへへ、ありがとう」
杏子「また遊びに来てもいい?」
マミ「うん、何時でも待ってるね」
モモ「やったね、お姉ちゃん」
杏子「うん!」
マミ「ふふっ、はいケーキ」
杏子「ありがとう、いつかお礼するよ」
杏子「えっ?でも、もらってばっかりじゃ悪いよ」
マミ「ううん、杏子ちゃんとモモちゃんが遊びに来てくれるだけで十分なの」
杏子「マミさん…」
マミ「だから、また遊びに来てね!」
モモ「うんっ!」
杏子「…うん、また来るよ。本当にありがとう」
マミ「てへへ、待ってるね」
モモ「お姉ちゃん、早く行こうよ」タタッ
杏子「あはは、そんなに急ぐなって」
モモ「早くマミお姉ちゃんに会いたいんだもん」
杏子「でも走ると危ない…」
モモ「きゃっ?」ドンッ
「わわっ?」ドンッ
杏子「モモ!もぉ…危ないって言ったのに」
モモ「ごめんなさい…」
「あはは、いいって。それよりも大丈夫?怪我はない?」
「そっか、よかったよかった」
杏子「妹がごめんな?」
「へーきへーき!大丈夫よ」
モモ「あっ…マミお姉ちゃんに上げるりんご汚れちゃった…」
「ん?」
杏子「モモが走ったりなんかするからだぞー」
モモ「うぅ…」
「ねえ。もしかして、マミさんの友だち?」
杏子「えっ?まぁ、そうだけど」
杏子「ん?ならあんたもマミさんの?」
「うん!あたしは―」
「さやかちゃーん!先に行かないでよぉー!」
さやか「あはは。ごめんね、まどか」
まどか「あれ?この子達は?」
さやか「今知り合ったとこ、でもマミさんの友だちだってさ」
まどか「あっ!いつもマミさんが話してた?」
さやか「たぶんね!」
モモ「お姉ちゃんたちも、マミお姉ちゃんのお友だちなの?」
さやか「そうだよ、あたしは美樹さやか!」
まどか「わたし、鹿目まどか。よろしくね」
モモ「わたしはモモ!」
さやか「モモちゃんだね、あんたは?」
杏子「…あたしは杏子、モモの姉ちゃんだよ」
まどか「やっぱり姉妹なんだ!似てるもんね」
モモ「えへへ」
さやか「ね?今からマミさんとこ行くんでしょ?」
杏子「まあね」
まどか「てぃひひ、さやかちゃん元気だね」
さやか「そりゃ友だちが2人増えたんだもん、嬉しくて元気でるじゃん」
杏子「友だち?」
さやか「だってそうでしょ?あたし達はマミさんの友だち同士なんだから」
さやか「友だちの友だち…つまり、あたし達はもう友だちなのだぁ!」
さやか「ってことでよろしく!」
杏子「…そっか。えへへ、よろしくね」
まどか「わ、わたしも…!」
モモ「わたしもー!」
マミ「お姉ちゃん…わたし、お友だちがいっぱいできたよ?」
マミ「杏子ちゃんとモモちゃん」
マミ「それに、さやかちゃんやまどかちゃん達だって」
マミ「わたし、もう…ひとりぼっちじゃないよ」
マミ「でも…やっぱり寂しいよ…」
マミ「早くお姉ちゃんに会いたい…」
マミ「ほむらお姉ちゃん…」
マミ「!」
マミ(お姉ちゃん?それとも…)
マミ「はーい」
ガチャッ
杏子「遊びに来たよ」
モモ「マミお姉ちゃん!」
マミ「杏子ちゃん、モモちゃん!」
さやか「なんと!今日はさやかちゃんもいるのだぁー」
まどか「わ、わたしもいるよっ」
マミ「さやかちゃん、まどかちゃんも…!」
マミ「そっか、来る途中に会ったんだね」
杏子「うん」
さやか「そんでもって友だちなっちゃいました!」
まどか「てぃひひ!」
モモ「てぇひひ」
まどか「あー!モモちゃん、わたしの真似しないでよぉ」
まどか「気にしてるのに…」
モモ「わわ?ごめんなさい…」
モモ「あっ、まどかお姉ちゃんの嘘つき!」
まどか「うぇひひ!ごめんね?」
モモ「うぃひひー!」
まどか「あっ、また真似するの?」
モモ「うん!」
まどか「ふふっ、でも似てないよ?」
モモ「えー?」
まどか「てぃひひっ!」
モモ「てぃひー!」
さやか「まどかもね、たぶん自分はお姉ちゃんなのに」
さやか「自分が妹キャラなのが気になってたんじゃないの?」
マミ「ふふっ、たしかにまどかちゃんは妹みたいだもんね」
まどか「わたしはお姉ちゃんだもん!」
さやか「お姉ちゃんになったのは最近じゃん」
まどか「うぅ…でもっ…」
杏子「あれ?最近兄弟ができたの?」
杏子「そっか、弟や妹って可愛いよな」
モモ「えへへ、お姉ちゃん…」
まどか「うん!わたしに似てスッゴく可愛いよ!」
杏子「あたしもモモと似てるよ、なっ?」
モモ「うんっ!」
マミ「…」ニコニコ
マミ(弟や妹…か、羨ましいなぁ)
マミ(でも、わたしにだってお姉ちゃんがいるもん…!)
まどか「えっ?あっ…」
さやか「けしからぁん!そんなやつには…こうだぁー!」
まどか「きゃっ?あははっ!やめてよさやかちゃーん!」
さやか「うりゃぁー」
杏子「あはは…」
モモ「わたしもやるー!」
まどか「えっ?ちょっと?モモちゃ…やめ…きゃっ?」
さやか「わははー」
モモ「わははー」
マミ「ふふっ、みんな元気だね」
杏子「ほんとにね、調子狂うよなぁ」
マミ「…仲の良い本物の姉妹がいるのは羨ましいなぁ」
杏子「マミさん…」
マミ「わたしには…お父さんもお母さんも…」
マミ「それに…お姉ちゃんだって…」
杏子「……」
杏子「マミさん…」
杏子(あたしに何かできないかな?)
杏子(マミさんにはいっぱいお礼しなきゃいけないのに…)
杏子「……」
マミ「……」
モモ「うりゃぁー」
まどか「きゃっ!も、もうやめ…」
さやか「これでとどめだぁー!」
まどか「てぃひひ!ちょっ…うぇひひっ!」
モモ「てぃひー!」
さやか「うぇひー!」
まどか「…」プンプン
さやか「ご、ごめん…調子に乗りすぎたわ」
モモ「まどかお姉ちゃん…怒ってるの?」
まどか「気にしてるのはほんとなんだもん」ムスッ
さやか「あはは…いやぁーご、ごめん!マジで!」
モモ「お姉ちゃん…どうしよぉ?」
杏子「こら、ちゃんと謝らなきゃダメだぞ?」
モモ「まどかお姉ちゃん…ごめんなさい」
モモ「ごめんなさい…」
まどか「…ふふっ、うん、モモちゃんは許してあげるね」
モモ「ありがとう、まどかお姉ちゃん!」
まどか「えへへ」
さやか「あれ?さやかちゃんは?」
まどか「さやかちゃんは毎日真似するんだもん」
さやか「あー!いや、だって面白いからさぁ」
まどか「さやかちゃんのおバカ!もういいよっ!」
さやか「わわわっ?」
さやか「や、やばっ…マミさん、どうしよー!」
マミ「真面目に謝らなきゃダメだよ?」
さやか「そ、そっか…」
さやか「まどか!ほんとにごめん!もう真似しないから…」
さやか「だから許して!お願いっ!」
まどか「…」
マミ「ほら、まどかちゃんも…ね?」
まどか「マミさん…うん、そうだね」
まどか「さやかちゃん、今度はほんとに怒るからね?」
さやか「う、うん!もう真似しないから!」
まどか「なら…許してあげる」
さやか「ほんと?やったぁ!」
まどか「もぉ…さやかちゃんったら」
マミ「ふふっ」
杏子「もしかして、慣れてる?」
マミ「うん、何時ものことだからね」
モモ「そうなんだぁ」
マミ「えっ?えっと…」
さやか「何年か経つよね」
まどか「うん」
杏子「そっか…」
杏子(この2人は何年も一緒に遊んでるからマミさんと仲が良いんだ)
杏子(なら…あたし達も何年もたたないともっと仲良くなれないのかな?)
杏子(もっとマミさんと仲良くなりたい…)
杏子(仲良くなって、マミさんに寂しい思いをさせないんだ!)
杏子(そのために…何をすればいいんだろう)
さやか「お邪魔しましたー!」
まどか「今日も楽しかったよ」
マミ「てへへ、ありがとう。また来てね」
さやか「うん!」
まどか「うん!」
マミ「さようなら、気をつけて帰ってね」
さやか「はーい、ばいばーい!」
まどか「ばいばい!」
マミ「ばいばい」ニコ
マミ「もうすぐ日が暮れちゃうよ?」
マミ「魔法少女でも、暗いのは危ないから…」
杏子「…うん」
モモ「お姉ちゃん、帰ろうよ」
杏子「…マミさんっ!」
マミ「なあに?」
杏子「あたし…っ!」
杏子「……ううん、何でもないよ」
マミ「?」
杏子ホーム
杏子「よし…!」
モモ「お姉ちゃん、あの時何を言おうとしたの?」
杏子「今その事で話してきたんだ」
モモ「お母さんと?」
杏子「うん。モモ、着替えの準備しるぞ!」
モモ「えっ?」
杏子「行くんだよ」ニッ
マミ「いただきます…」
マミ「もぐ…もぐ…」
マミ「……あんまり、美味しくないや」
マミ「……仲良し姉妹…かぁ」
マミ「いつお姉ちゃんが帰ってきてもいいように、2人分作ってるんだよ?」
マミ「だから、もう帰ってきてよ…」
マミ「ほむらお姉ちゃん…」
ピンポーン
マミ「!?」
マミ(こんな時間に?もしかして…!)
マミ「お姉ちゃ…?」
モモ「こんばんは!」
マミ「モモ…ちゃん…?」
杏子「マミさん…!」
マミ「杏子ちゃんも…どうしたの?もう夜だよ?」
杏子「その…マミさんが良かったらなんだけどさ」
杏子「今晩、マミさんとこに泊まりたいな…って」
マミ「えっ?」
マミ「杏子ちゃん…」
杏子「…ダメ?」
モモ「一緒に眠ろうよ!」
マミ「…モモちゃん」
マミ「うん、いいよ!」
杏子「!」
マミ「わたしの部屋なんかで良ければ、いくらでも泊まってって!」
マミ「大歓迎よ!」ニコッ
杏子「ありがとう…!」
モモ「お風呂気持ち良かったね」
杏子「うん!」
マミ「ごめんね?3人じゃ狭かったよね?」
杏子「ううん、そんな。全然平気だって」
杏子「なっ?」
モモ「うんっ」
マミ「…そっか、ありがとう」
モモ「ご飯も美味しかったよ!」
杏子「へへっ、やっぱりマミさんはすごいよ」
マミ「…そんな」
マミ(ひとりぼっちなのが寂しくて…それを紛らわすためにしてるだけだよ)
マミ(別にすごくなんて…ないもん)
杏子「後は寝るだけかな」
モモ「わぁっ!ベッドだ!」
マミ「ふふ、でも3人は流石に狭いよね」
マミ「わたしは布団で眠るから…」
モモ「3人で一緒に眠ろう?」
杏子「狭いのはあたしも、モモも慣れてるよ」
モモ「いっつも同じ布団で眠ってるもん」
マミ「そうなの?」
杏子「だからあたし達は大丈夫だからさ」
モモ「マミお姉ちゃんも一緒に寝よう?」
マミ「…」
杏子「まあ、マミさんが良ければなんだけどさ」
杏子「マミさん?」
モモ「どうしたの?」
マミ「てへへ、なんだか嬉しくって」
マミ「ありがとう…わたしを慰めてくれてるんでしょ?」
モモ「?」
杏子「…バレちゃったか」
マミ「わたしが、ひとりぼっちだなんて言ったから気を使ってくれたんだよね?」
マミ「ありがとう、杏子ちゃん…!」
杏子「…えへへ」
マミ「ううん、3人で眠ろうね」
モモ「わーい!」
杏子「マミさん…」
マミ「てへへ…ほら、杏子ちゃんも入って?」
杏子「…うん!」
マミ「ふふ、やっぱり狭いね」
杏子「ああ、でも…」
モモ「あったかい!」
杏子「うん、モモの言う通りだ」
マミ「…うん!」
モモ「すやすや…」
マミ「モモちゃん、眠っちゃったね」
杏子「うん…今日ははしゃいでたしね」
マミ「そっか、疲れちゃったんだ」
杏子「……」
マミ「杏子ちゃん?」
杏子「ねえ…マミさん、あたし達…マミさんに迷惑かけてない?」
マミ「えっ?」
杏子「…今日もさ、急に来ちゃったし」
杏子「いっつも、ケーキとか貰ってさ」
杏子「だから…あたし…」
マミ「杏子ちゃん」ギュッ
杏子「マミさん…」
マミ「わたしね?杏子ちゃんとモモちゃんにたくさん貰ったよ?」
杏子「え?何を…?」
マミ「元気…かな?」
杏子「元気?」
マミ「うん、2人と一緒にいるとね?まるでわたしも姉妹みたいだなって」
マミ「そう思うことがあるの」
マミ「うん、わたしが次女で杏子ちゃんが三女」
マミ「そしてモモちゃんが末っ子なの」
マミ「本当にそうだったら、すごく楽しそうじゃない?」
杏子「…うん、そうだね」
杏子「でも、なんでマミさんが次女なの?」
マミ「それはね?わたしにもお姉ちゃんがいるから」
杏子「あっ…」
マミ「…ほむらお姉ちゃん」
マミ「ほむらお姉ちゃんはね?未来からわたしに会いに来たお姉ちゃんなんだよ」
杏子「えっ?未来から?」
マミ「ほむらお姉ちゃんも魔法少女だからね」
杏子「…!」
マミ「…そして、未来に帰っちゃったの」
杏子「マミさん…」
マミ「でも、わたし…ずっと待ってるの」
マミ「お姉ちゃんが帰ってくるのを、ずっと、ずっと…!」
マミ「だからほむらお姉ちゃんが帰ってきたらね?」
マミ「杏子ちゃんとモモちゃんみたいに仲良しな姉妹になりたいの」
杏子「仲良し姉妹」
マミ「うんっ!」
杏子「……」
杏子(そんなに、ほむらって人はマミさんにとってかけがえない人なんだ)
杏子(あたしやモモが、その人の代わりになんてなれるわけない…のかな?)
杏子「ねえ、マミさん」
マミ「なあに?」
杏子「その…あたしたんかが代わりになれるわけない…」
杏子「それはわかってる!でも…それでも!」
マミ「杏子ちゃん…?」
杏子「マミさんっ!あたしさ!」
マミ「う、うん」
杏子「あたし…っ…!」
モモ「なろうよ」
杏子「えっ?」
マミ「!」
モモ「仲良し姉妹に」ニコッ
杏子「起きて…?」
モモ「えへへ、途中から起きてたの」
モモ「それでね?マミお姉ちゃんのお話を聞いて思ったんだ」
モモ「わたしと杏子お姉ちゃんも、マミお姉ちゃんの仲良し姉妹になりたいって」
マミ「…!」
杏子「モモ…!」
杏子「…うん、あたしも同じことが言いたかったんだ」
杏子「さっきマミさんが言ったような、仲良しな姉妹になりたいって」
杏子「あたし達とマミさんは血が繋がってないから…
杏子「本物の姉妹にはなれないよ?でもっ…本物じゃなくても」
杏子「本物の姉妹みたいに仲良くはなれると思うんだ」
マミ「杏子ちゃん…」
モモ「なろうよ!仲良し姉妹に!」
マミ「杏子ちゃん…モモちゃん…」
マミ「うぅっ…」
杏子「ま、マミさん?」
モモ「どうしたの?大丈夫?」
マミ「うん…大丈夫…大丈夫だよ」
マミ「嬉しくって…」ニコッ
杏子「マミさん…!」
マミ「ありがとう!」
マミ「うん、わたしなんかで良かったら…本物のお姉ちゃんみたいに」
マミ「わたしをお姉ちゃんだと思って!そして…」
マミ「仲良くしてくれたら…すごく…すっごく!」
マミ「嬉しいの!」
杏子「マミさん…!」
モモ「マミお姉ちゃん!」
杏子「マミさん!ならさ!明日からも泊まりに来てもいい?」
マミ「いいよ」
モモ「毎日一緒にお菓子作ってくれる?」
マミ「いいよ」
マミ「これからも一緒に眠ってくれる?」
杏子「うん!」
マミ「一緒にお御風呂に入ってくれる?」
モモ「うん!」
マミ「杏子ちゃん…!」
モモ「マミお姉ちゃんも、杏子お姉ちゃんも大好きだよっ!」
マミ「モモちゃん…!」
マミ「うんっ!よろしくね!」
杏子「えへへっ!」
マミ「てへへっ!」
モモ「てぇひひ!」
マミ「あっ、まどかちゃんに怒られるよ?」
杏子「あたしら仲良し姉妹の内緒だね」
モモ「うんっ!」
マミ「ふふっ」
杏子「あの日からずっと3人で仲良くしてきたんだよな」
マミ「ええ。それに、まどかちゃんやさやかちゃんとも、ずっと仲良くしてこられたもんね」
杏子「へへっ。さやかのやつ、あの頃から何も変わってないよな?」
マミ「ふふっ、そうね」
杏子「まどかは…少しはお姉ちゃんらしくなったか?」
マミ「うーん…ふふ、どうだろうね?
マミ「まどかちゃんはまどかちゃんよ」
杏子「それもそうだな」
杏子「…やっぱり?」
マミ「ええ、あの出来事があってから…ね」
杏子「…ああ、あれは……」
杏子「…親父に、魔法少女のことがバレてさ」
マミ「…」
杏子「ほんと…終わったと思ったぜ」
杏子「親父はおかしくなっちまうし、あたしなんてさ」
杏子「…魔女呼ばわりだもんな」
杏子「あたしが…あたしの祈りが家族を壊しちまったんだってさ」
マミ「…」
杏子「たぶん、あたし一人だったらさ…自分のしてきたこと全部が間違いだったって」
杏子「そう思って塞ぎ込んじまったんじゃないかな」
杏子「モモが、さやかが、まどかがいてくれた」
杏子「そして…マミがいてくれたんだ」
マミ「杏子ちゃん…!」
杏子「さやかとまどかは魔法少女のこと理解してくれてたからさ、あたしを励ましてくれたし」
杏子「モモも必死であたしを庇って親父に言ってくれたよ」
杏子「…そして、マミがあたしを受け止めてくれた」
杏子「一緒に泣いてくれた、一緒に説明してくれた」
杏子「一緒に笑ってくれた」
マミ「…」
杏子「マミは…本物の姉ちゃんだった」
杏子「だからあたしは立ち直れたんだ」
杏子「それに親父も…何とか落ち着いてさ」
杏子「また一からやり直してくれるようになったんだ」
杏子「全部、マミのおかげだよ」
モモ「そうだよ!」
杏子「モモ?」
モモ「2人が話し込んでたから、勝手にお邪魔しちゃった」
マミ「モモちゃん、いらっしゃい」
モモ「えへへ。マミさん、お邪魔してます」
モモ「まどかちゃんとさやかちゃんと遊んでたら遅くなっちゃった」
杏子「モモ…聞いてたのか」
モモ「…うん」
マミ「そうね、私だけじゃきっと…」
モモ「それに、一番頑張ったのは杏子お姉ちゃんだよ」
杏子「え…」
モモ「お姉ちゃんが諦めなかったから、お父さんも解ってくれたんだもん」
マミ「うん、モモちゃんの言う通りよ」
マミ「杏子ちゃんがあの時頑張ったから、今もこうしていられるの」
マミ「だからもう大丈夫よ」
モモ「気にするのはやめよう?」
杏子「…うん、そうだな」
杏子「今も、あたし達はこうして一緒にいられるんだ」
杏子「これが一番の幸せかもな」
モモ「うん!」
マミ「ふふっ、それじゃあケーキの用意をしてくるわね」
モモ「あっ、わたしがするよ!」
マミ「そう?」
モモ「だって、マミさんすぐ落っことしちゃうんだもん」
マミ「むぅ…もう大丈夫なのに…」
モモ「えへへ、2人はここで待っててね!」タタッ
マミ「…ふふっ、モモちゃんも変わったね」
杏子「ああ、下手すりゃあたしよりしっかりしてるかもな」
マミ「ただ…2人とも『マミお姉ちゃん』って呼んでくれなくなったのは」
マミ「少し寂しいかも…ふふっ」
マミ「そうだけど…でも、杏子ちゃんの『マミさん』って」
マミ「なんだか『マミお姉ちゃん』って呼ばれてるような気がしたの」
杏子「ふーん?そっかぁ」
モモ「わたしは…ちょっと照れちゃって」
マミ「寂しいなぁー…」
モモ「でも『お姉ちゃん』って言わなくても、わたし達は本物の姉妹みたいに仲良しだよ?」
モモ「うん!そうだよ!」
杏子「まぁ『さん』は…やっぱ同い年だから言いにくいしさ」
杏子「呼び捨ての方がなんか良いじゃん」
マミ「ふふっ、それもそうね」
マミ「うん、私達は仲良し姉妹よ!」
杏子「へへっ」
モモ「えへへ」
マミ「うふふっ」
モモ「最近また人が増えてきたもんね」
マミ「そう、気をつけて帰ってね」
杏子「ああ、また明日も来るからさ」
モモ「明日はわたしとお菓子作ろうね!」
マミ「ふふっ、楽しみに待ってるわね」
杏子「じゃあなー!」
モモ「ばいばーい!」
マミ「また明日ね!」
マミ「うん、私はもうひとりぼっちじゃないんだものね」
マミ「仲良し姉妹…!」クスッ
マミ「ほんとに、あの2人にはいつも助けてもらってばっかりね」
マミ「…ほむらお姉ちゃん、私はもう大丈夫だよ」
マミ「何時でも待ってるからね?」
マミ「…ふふ、さーて!お夕飯の支度をしなくっちゃ」
マミ「買い出しにいかなきゃね」
マミ「いってきます」
杏子「んー?」
モモ「わたしね?なんだか良いことが起こりそうな気がするんだ」
杏子「へぇ?何か根拠あんの?」
モモ「ううん、何となくなんだけどね?」
モモ「凄く良いことが起こりそうな気がするの」
杏子「あはは、そっ―」
杏子「!?」
「…」ファサッ
モモ「あれ?どうしたの?」
杏子(今の人って…まさか?)
モモ「お姉ちゃん?」
杏子(そっか…やっと…!)
杏子「ああ、モモの言う通りだぜ」
モモ「えっ?何が?」
杏子「凄く良いこと、ってやつだよ」ニッ
モモ「えー?何かあったの?なになに?」
杏子「てぃひひ、内緒だよっ!」
モモ「あー!まどかちゃんの真似してるー!」
杏子「へへっ、とにかく今は秘密ってことさ」
モモ「お姉ちゃんのけちー!」
杏子(だって…あたしらが先にあっちゃ悪いもんな?)
杏子(なあ、マミ…!)
マミ「さて、早く準備…」
マミ「!?」
「―」
マミ「う…そ…?」
「マミちゃん…」
「…でも、この時間軸の巴マミがマミちゃんである確率は低い…わよね?」
「そうだったとしても、私はもう彼女と敵対したくない…」
「できれば仲間でいてほしい」
「また、お友だちって言ってほしい」
「だから…」
マミ(間違いない!間違いないよ!)
マミ(だって忘れるわけないもん)
マミ(私の大切な…!)
ポスッ
「?」
マミ「……!」
「!」
マミ(大好きなお姉ちゃん)
マミ(ほむらお姉ちゃん!)
モモ「ねー!そろそろ教えてくれてもいいでしょ?」
杏子「ああ、だから今から会いに行くんじゃん」
モモ「え?会いに行く?」
杏子「うん、未来の仲良し姉妹にな」ニッ
モモ「えっ?」
モモ「えぇっ?ほ、ほんと?ほんとなの?」
杏子「嘘じゃないぜ」
モモ「じゃ、じゃあ…凄く良いことって…」
杏子「うん、ほむらお姉ちゃんさ」
マミ「はーい!」
ガチャッ
杏子「よっ」
モモ「こんにちは!」
マミ「杏子ちゃん!モモちゃん!良いところに来たわね!」ニコニコ
杏子「へへっ、上機嫌だな」
モモ「そうだね」
マミ「ほらっ?早く上がって?」
杏子「ああ」
モモ「おじゃましまーす!」
ほむら「…!」
ほむら(佐倉杏子!それから…?)
モモ「わぁ!写真と一緒だぁー!」
杏子「あはは、そりゃ本人だからに決まってんじゃん」
杏子(この人がほむらお姉ちゃん…)
杏子(マミの大好きなお姉ちゃんで)
杏子(そして…!)
マミ「彼女は暁美ほむら」
マミ「私の大好きなお姉ちゃんのほむらお姉ちゃんよ!」
ほむら「マミちゃん…ふふっ」
マミ「そして彼女が佐倉杏子」
マミ「私の大好きな妹よ!」
杏子「同い年だけど…ま、いっか」ニッ
マミ「そしてこの子がモモちゃん」
マミ「私の大好きな末っ子よ!」
モモ「ほむらお姉ちゃん、よろしくね!」
モモ「えへへ」
ほむら(そう…杏子の妹さんね)
ほむら(いえ…杏子の妹と言うよりも…)
ほむら(私達の妹…ね!)
ほむら「ふふっ」クスッ
杏子(暁美ほむら…)
杏子(マミの大好きなお姉ちゃんで…)
杏子(そして、あたし達のお姉ちゃん…か!)
杏子「へへっ!」
マミ「仲良し姉妹よ!」ニコッ
杏子「ってこと、よろしくね」スッ
ほむら「ええ、私こそ。よろしく」ギュッ
モモ「わたしも!」ギュッ
マミ「私だって!」ギュッ
モモ「えへへ!」
ほむら「ふふっ!」
マミ「うふふっ!」
杏子(歳も血も違うけど、でも…すっごい)
杏子(仲良し姉妹と)
杏子(そして、あたし達の親友2人の)
杏子(6人の新しくて、そしてすっごく楽しい生活が始まったんだ)
杏子(奇跡も…魔法もあるんだよ)
杏子(それも最高の…な!)
杏子「てぃひひ!」
おわり
乙
Entry ⇒ 2012.04.30 | Category ⇒ まどかマギカSS | Comments (0) | Trackbacks (0)
まどか「家族みんなで」
まどか「新しいお友達できるといいなぁ」ブルッ
そういえばもう12月だっけ?
まどか「寒い寒い…」ポチッ
暖房のスイッチを入れる。
6畳一間の空間にゆったりと温かい風が流れこむ。
まどか「よかった、ちゃんと動いてくれて」
まどか「えへへ、あったかい」
そう。
私はつい最近一人暮らしを始めました。
ずっといた故郷を離れ、新しい土地を訪れ……
明日は初めての登校日。
どんな出会いが待ってるんだろう?
まどか(う〜、昨日は緊張してよく眠れなかったよ)
さっき職員室で担任の先生を紹介されて、教室まで連れってってもらうことになったのだ。
先生は、多分ママと同じぐらいの年の女性だった。
先生「ここが教室です。鹿目さん」
先生「それじゃ、私が呼んだら入って来てちょうだい」
まどか(うわ〜、緊張してきた)
まどか(うまく話せるかな…)
…でも、なんだか楽しみだなぁ。
そう、なんていうか……
ずっとこの日を待っていたような。
長い間。
ずっと……ずっと……
呼ばれちゃった。
教室の扉をスライドさせて、小さくお辞儀をしながら入場する。
視線が一斉に集まって、予想していたより硬くなりそうだった。
トコ……トコ……
まどか(笑顔、笑顔が大事)
まどか(……あれ、あの子?)
教卓から一番手前にいる左側の生徒がチラリと見えた。
まどか(私と同じリボンしてる?)
まどか(いけない、いけない)
気をとりなおして教室全体を見渡す。
まどか「初めまして転校生の鹿目まどかです」
まどか「一昨日、こちらへ引っ越してきました」
まどか「どうぞよろしくお願いします。」
こんな感じでいいのかな?
趣味とか言ったりするんだろうか?
早乙女先生「じゃあ、志筑さんの隣が開いてるから、そこへ座って頂戴」
あ、これで終わりですか。
よかった。
恐らく志筑さんらしき人が左手を上げてくれているので間違いないだろう。
あそこが私の席か。
チラッ
私は同じリボンの子が気になって、彼女の方を向いていた。
長髪の色白の女の子が、そこにいた。
女の子「!?」///
彼女と目があった。
まるであちらのほうが転校生のように、照れている。
なんだか可愛いかったのでニコっと微笑みかけてみた。
どんな子なのかな?
すごく可愛い子だから、もしかしたらみんなにも人気があるのかもしれない。
後で友達になれると嬉しいな。
席の前までくると、志筑さんが声をかけてくれた。
なんだか、お嬢様っぽい子だと思った。
まどか「こ、こちらこそどうぞよろしく」///
いきなり声をかけられたので、少し声が上ずってしまったけど、大丈夫だろうか。
まどか(でも雰囲気がおとなしい感じの人だから、きっと気にしないでくれるかな。)
初めての授業で教科書の範囲がわからない。
すると、それを察した志筑さんが声をかけてくれたのだ。
志筑「67ページですわ」
まどか「えへへ、ありがとう。」ニコッ
志筑「礼には及びませんわ」ニコッ
ふふ。志筑さんとはなんだか仲良くなれそう。
早速お友達になれそうな子がいてよかった。
さっきのリボンの女の子が返事をする。
暁美「はい。」
まどか(暁美さんて言うんだ、あの子)
暁美さんの返事は、志筑さんとは違った意味で品があり
さっきの可愛いという印象とはちょっと……
いや、かなり違っていた。
優等生っぽくて、どこか近づきにくい雰囲気。
もしかしてこちらが、素の彼女なんだろうか?
だとしたらちょっと残念だ。
後で声をかけてみたかったのにな……
何かこう…運命的なものを感じる。
それに……
私、暁美さんに会ったことがあるような……
いや、気のせいかな。
まどか(やっぱり後で話しかけてみよう…)
まどか(それじゃあ、早速…でもなんて声かけてたらいいんだろう)
女子A「ねぇ、ねぇ、鹿目さんてどっから来たの?」
まどか(え?)
女子B「部活とかやってた?あたしバレー部なんだけどさ…」
まどか(え??)
あれ?
あれれ?
気がついたら私の机の周りを複数の生徒が囲んでいた。
まどか「ええっと…その……」
やばい、こんな時はどうすればいいんだろう?
前の席から、威勢のいい声が飛んでくる。
生徒「わわわ……」
その女の子は立ち上がり、ハエを追い払うが如く掌を返した。
「しっし、しっし……」
「へへ、お礼はいいよ。えっと…」
まどか「鹿目まどかです」
「うん、まどか。これからよろしくね。」
「私さやか。美樹さやか。呼ぶときはさやかでいいよ」
まどか「さやか……ちゃん」///
さやか「うんうん。いいよいいよ〜まどか」エヘヘ
なんだか頼りになりそうな子だ。
初めて会ったばかりなのに、かなりフランクに話しかけてくれて嬉しい。
彼女とならいい友達になれそうな気がする。
まどか(あ、暁美さん…)
暁美さんがいつの間にか私の机の前にやってきていた。
授業の時とは違って、なにやら物腰が柔らかそう…
というより、なんだか緊張しているように見えた。
まどか(さっきも私と目があった時、緊張してたような…)
さやか「ん、転校生?アンタから声をかけてくるなんて珍しいじゃん?」
転校生って呼び方に、なんだか壁を感じた。
まどか(てっきり、さやかちゃんのお友達かと思ったけど、親しいわけじゃないのか)
笑顔で挨拶する。
しかし暁美さんの方は、なんだかショックを受けたように黙ってしまった。
どうしたんだろう?
ほむら「……それじゃ、また」サッ
まどか「あ……」
そう行って暁美さんは自分の机に向かって行った。
何か気分を害すようなことを言っただろうか?
さやか「気にしないでやってくれない?別に悪い奴じゃないんだ」
まどか「……」
せっかくお友達になれると思ったのに……
……そういえば。
『暁美さん』て名前を読んだ時、なんだか違和感を感じたような。
いや、気のせいか。
だって私は彼女に会ったのは初めてなんだ。
同じリボンをしていなくても、一目見れば出会ったのを忘れないぐらい
印象の強い子だと思う。
確かに私も会ったことがある気がしただけど、初対面だ。
今度時間があるとき、私から話しかけてみよう。
〜お昼休み〜
さやか「まどかぁ〜、屋上行こうよ」
まどか「屋上?」
さやか「お昼一緒にしようってこと!」
まどか「う、うんっ!!」
さやかちゃんが誘ってくれた。
とても嬉しくなって、思わず飛び上がりそうになった。
そうだ、暁美さんも一緒に。
ちらりと、暁美さんの席を見る。
しかし彼女の姿は既になかった。
どこへ行ってしまったのだろう?
まどか「待ってね、今用意するから」
さやか「外で食べたほうが気持ちいじゃん」
さやか「学校のいろんな所につれてってあげたいし」
まどか「そっか、ありがとね、さやかちゃん」
やっぱり、さやかちゃんは優しい子だ。
早速素敵なお友達ができて嬉しいな。
トコトコ……
お弁当を両手で抱えながら、廊下を歩いて行く。
「あら、美樹さん。こんにちは」
さやかちゃんの部活の先輩だろうか?
志筑さんみたいに、品のある人だった。
さやか「あ、マミさん。こんにちは」
マミさんていうのか。
私も一応お辞儀をしておく。
マミ「その子……」
さやか「ええっと、この子は転校生で…鹿目まどかって言うんです」
マミ「そう……あの話は本当だったのね……」
マミさんて人は、顎に手を当てて、何か考えているように見えた。
マミ「そうね……」
マミさんは一瞬躊躇いがちになってから、こちらを見た。
私の気を伺っているのだろうか?
まどか「私は気にしませんので、どうぞ」
マミ「じゃあ、ご一緒させてもらおうかしら?」
マミ「ちょっと待っててね。昨日焼いたクッキーも一緒に持ってくるわ」
さやか「やったぁ〜〜!!」
マミさんは教室の方へ戻っていった。
さやか「んじゃ、先に行ってよう、まどか?」
まどか「うんっ!!」
転校初日で、いきなりいろんな人と知り合えた。
なんだかこの先も楽しいことがいっぱい待ってそうでわくわくしてきた。
屋上の重たいドアを開けると、少し強い風が校舎の中まで吹いてきた。
生徒が何名か、三角巾を広げて昼食をとっていた。
私は屋上から見る眺めの良さに、一瞬目を奪われた。
町が一望できるこの場所。
素敵…。
まどか「本当……きれいだね…」
さやか「えへ、気に入ってくれたみたいでよかった。連れてきた甲斐があるってもんよ」ニコッ
なんでだろう。
この町並みを見ていると、すごく懐かしい気持ちになった。
昔住んでいた町とどこか近いものがあるのだろうか。
実家のほうが全然田舎なんだけどな…
3人で空いている場所に座って、お弁当を広げた。
さやか「ううう、お腹へったよぉ。いっただっきまーす!」
マミ「ふふふ、美樹さんたら。」
私とマミさんは手を合わせていただきますを言った。
まどか「お二人は、同じ部活なんですか?」
さやか「えっ!?」アセッ
さやかちゃんが、なぜか困ったような顔をした。
マミ「ええ。そんなところよ。」フフ
まどか「へえ〜〜、なんだろ。さやかちゃんは運動得意そうだけど」
マミさんはどちらかというと、文化系の部活っぽいイメージがした。
まどか「えへへ。これといって」
マミ「何かやりたいことはないのかしら?」
まどか「取り立ててはないです」
私は運動系でも文化系にも属さない帰宅部だった。
さやか「えええ!そうなの?」
マミ「鹿目さんも一人暮らしなのね」
まどか「もしかして、マミさんも?」
マミ「ええ、そうよ。何か困ったことがあったら、いつでも相談してね」ニコッ
まどか「ありがとうございます!」ウキウキ
まさか、転校初日で同じ一人暮らしの生徒に出会えるとは思わなかった。
中学生でそんなことをしているのは自分ぐらいのものだと思った。
…あれ?
私なんで一人暮らしをしようと思ったんだろ。
マミさんは暁美さんを知ってるの?
生徒会か委員会か何かの繋がり…かな?
さやか「そういえば…」
まどか「暁美さんも…」
暁美さんも一人暮らし…!?
これは……これは…
なんだか私の乙女の第六感がただごとではないと言っているよ。
マミ「うふふ。彼女も鹿目さんから声をかけてもらえたら、すごく喜ぶと思うわよ」
まどか「そうですか?でも、いきなり声かけたら迷惑じゃないですか?」
さやか「まあ、転校生が誰かと仲良くつるんでるの見たことないからな…」
あ、そうなんだ。
やっぱり授業中に感じたどことなく近寄りがたいオーラが原因なんだろうか。
マミ「……やっぱり、あなたは暁美さんのこと覚えてないのね…」ボソッ
まどか「え…?」
マミ「何でもないわ、気にしないで」
まどか「いや、でも……」
覚えてないって、私が暁美さんのことを?
やっぱり、私と暁美さんはどこかで会ったことがあるのか?
さっき、暁美さんが挨拶してすぐに立ち去ったわけもそういうことか。
彼女は私のことを覚えているのに、私だけが覚えていないのがショックだったんだ。
私は暁美さんと会った覚えなんてないんだけどな……
マミ「きっと、それは貴方にしかできないことだから」
まどか「マミさんも私と会ったことがあるんですか?」
マミ「ふふふ。どうかしら。私は覚えていないわね」
さやか「マミさんあんまり、まどかをからかわないでやってよ」
マミ「ごめんなさい。少し調子に乗ってしまったかも。」
さやか「まどかも変な話気にしないでよ。」
まどか「う、うん……」
もしかして、さやかちゃんも何か知っているのだろうか?
私だけが何か取り残されているような気がした。
食後にマミさんは袋からクッキーを取り出し、それをみんなで食べた。
それはどこか懐かしい味がした。
おかしいな。
私は今日はじめて転校してきたばかりなのに……
なんでみんな私のことを知っているみたいに言うんだろう。
まどか「はっ、まさか…」
私はちっちゃい頃、ここにいたことがあって
暁美さんとは幼馴染だったとか?
実は、さやかちゃんやマミさんとも遊んだことがあった…?
う〜ん。思い出せないや。
もしどこかで会ったことがあるのなら、そのうち思い出すかもしれない。
疲れたし、もう今日は寝ちゃおう。
ポチッ
電気を消す。
まどか(なんだか、家の中が静かだな)
時計の音以外何も聞こえてこない。
私だけがこの6畳半の一間にいるのだから、それは当たり前なのだけれど…
みんなこうやって大人になっていくんだろうか…
私も一人でいる時間に慣れれば、寂しくなくなるのかな?
それっていいこと?
誰かを必要としなくても、生きていけるのはそれですごいと思う。
だけど。
私は誰かと一緒にいられる方が嬉しいな……
相変わらずさやかちゃんやマミさんは仲良くしてくれる。
けれども一向に暁美さんと話す機会が訪れない。
あれっきり一度も暁美さんは私に話しかけてきてくれない。
たまにこちらを見ているような気がするのだけど……
でも、なんだか申し訳ないな…
私は暁美さんのことを全く覚えていないのに……
でも、今日はちょっと勇気を出してみよう。
暁美さんとは友達になりたい。
私はお弁当箱を抱えて、暁美さんの机まで歩いていった。
まどか「あ、あの」///
暁美「えっ、まどか?」
いきなり私を下の名前で?
まどか「え、?」
まどか「まど??」
わ、私達ってお互いを名前を呼び合う仲だったのか!
そうだよね。覚えてなくてショック受けててたみたいだし。
でも、いきなり呼ばれたらビックリしちゃったよ。
彼女は照れながら、呼び方を訂正していた。
まどか「……」
ここ最近の彼女のイメージはクールでカッコイイという印象だった。
なのに、なんだか…初めて会った時みたいに物腰が柔らかで…
まどか「ふふふ…」
暁美「何がおかしいのかしら?」
まどか「暁美さんていっつもさやかちゃんのこと、美樹さやかって呼んでるのに」
まどか「しかもすごくクールに。」
そう。
なぜか暁美さんはさやかちゃんをフルネームで呼んでいる。
一体どういう遊びなんだろうと思っていたけど、どうやらそれが素らしい。
まどか「なんで私と話して、そんなに慌ててるのかな?」
暁美「なんでって……」
まどか「あ、もしかして…め、迷惑だったかな」
暁美「……いえ」
暁美「声をかけてくれて嬉しかったわ……」ボソッ
まどか「本当!? よかった!勇気だして声かけて」エヘヘ
でも暁美さんも、私のことを気にしててくれたんだ。
嬉しいな。もっと早く声をかければよかった。
まどか「よかったら、今日みんなで一緒にお弁当食べない?」
まどか「暁美さんともっとお話ししてみたいな」ニコッ
暁美「ええ。鹿目さんがそう言ってくれるなら」
一緒に私の机の上に持っていく。
まどか「さっきはびっくりしたよ。いきなり名前で呼び捨てなんだもん」
暁美「素敵な名前の方が頭に残ってたから、そっちが咄嗟に出てしまったのよ」
まどか「あ、ありがとう///」
本当は違うのだろう。
暁美さんは、私のことを覚えているに違いない。
……やっぱり申し訳ないな。
まどか「じゃあ、私も暁美さんのことほむらちゃんて呼んでいい?」
暁美「ええ、もちろん!」
まどか「よろしくね、ほむらちゃん」
ほむら「まどか……」
たった一瞬だだけど……
何か懐かしい響きがした。
何かを思い出しそうな……
まどか「えへへ、ナンパしてきたよ」
さやか「へぇ、やるじゃん。難攻不落のこいつをナンパしてくるなんて」
ほむら「……」むっ
さやか「じゃあ、私はマミさんと食べてくるから今日は二人で食べなよ」
まどか「え?みんなで食べないの?」
さやか「まぁなんだ。せっかくだから、二人仲良く一緒に食べなってことだよ。」
ほむら「変な気を使わなくてもいいわよ」
さやか「アンタもまどかと今まで話せてなかったみたいだからさ」
さやか「この機会にいろいろ話したいことあるんじゃないの?」
ほむら「……ありがとう」ボソ
さやか「んじゃ、私の椅子は好きに使っていいから」
さやかちゃんとほむらちゃんは仲が良くないのかなって思っていたけど…
どうやら思っていた以上に、
お互いのことをよく分かり合っているような気がした。
私が知っているよりもずっと複雑な関係があるみたいで……
まどか「えへへ、お腹へったよ〜」
ほむら「そうね。」
ほむら「ねえ、まどか」
まどか「何かな?」
ほむら「あなたはここに転校して来る前はどこにいたのかしら?」
まどか「えっと、Y県のW市ってところだよ」
ほむら「そう…結構遠くから来たのね」
まどか「うん、いるよ」
ほむら「そうなのね」
まどか「えへへ、私どっちだと思う?」
ほむら「どっちって?」
まどか「お姉さんか、妹か」
ほむら「……お姉さんなんでしょ?」
まどか「すごい。よくわかったね」
ほむら「兄妹は弟さんがいるのではない?」
まどか「そうだよ。たっくんていって……」
たっくんの顔が……思い出せない。
もやもやと霧のように顔が隠れて…
どうしちゃったんだろう。私。
ほむら「どうかしたの?」
まどか「ううん……なんでも…」
まどか「じゃあ、次のクイズね」
まどか「このお弁当の中で私が一番好きなおかずを当ててみて」
ほむら「そうね……」
ほむらちゃんは、私のお弁当を眺めている。
トマト、卵焼き、
それからレンジで焼いた冷凍食品のグラタン、ハンバーグ、シュウマイ。
パセリと、キャベツ。
ほむら「これかしら?」
ほむらちゃんは、卵焼きを指さす。
まどか「うん。よくわかったね」
ほむら「手間をかけて焼いているあたりね…」
まどか「すごいね、やっぱりほむらちゃんは頭がいいんだ」
ほむら「そ、それほどでもないわよ」///
まどか「ほむらちゃんたら、私のことなんでも当てちゃうんだよ」
さやか「どういうこと?」
まどか「私の家族のこととか、好きな食べ物のこととか…」
さやか「気をつけな、もしかしたらこいつに後ろからつけられてるかもしんないよ」
ほむら「バカなこと言わないの。たまたま当たっただけよ」
やっぱり、ほむらちゃんは私とどこかで会ったことがあるんだろうか?
ほむらちゃんを見る。
どこか切なそうな顔をしていた。
ほむら「いえ、なんでもないの」
まどか「悩んでることがあったら、何でも相談してね」
まどか「って、今日お友達になったばかりなのに、馴れ馴れしいかな?」
まどか「なんかほむらちゃんとは初めて話した気がしなくて…」
ちょっと、探りをいれてみる。
本当に会ったことがあるのなら、何か反応してくれるはずだ。
まどか「そんなわけないんだけどね。」
ほむら「………」
まどか「私も遠いところから来たし、ほむらちゃんも全然違うとこから来たんだもんね」
さやか「前世で生き別れになった、友達とか?」
まどか「そんな感じかもね」クスクス
ほむら「まどかは、ずいぶん詩人なのね?」クスクス
まどか「もう〜、笑うなんてひどいなぁ〜」
ちがう…
ほむらちゃんは、どうしてそれを隠しているんだろう?
結局ほむらちゃんは、本当のことを話してくれなかった。
さやか「おう、またね、まどか〜」
ほむら「また明日」
まどか「ばいば〜い」
さやかちゃんと、ほむらちゃんと別れた。
二人で別の道に行ってしまった。
なんだかふたりが何か隠している気がしてならない。
やっぱり思い出せない。
私とほむらちゃんは、どこかで会っているはずなんだ。
なのに、幼稚園の頃の記憶とか小学校の小さい時とか、昔すぎて覚えてないよ。
このままじゃらちがあかない。
仕方ない。
ママに小学校と幼稚園の頃のアルバムを送ってもらおう……
ピピプ…
慣れた手つきで、携帯から家に電話をかける。
すると、ノーコールで声が聞こえてきた。
「おかけになった電話番号は現在使われておりません」
あ、あれれ…間違えちゃったかな。
今度はちゃんと確認しよう。
もう一度、家の電話番号を確認しながら入力していく。
まどか(よし、今度こそ)
「おかけになった電話…」
まどか「なんで…」
まどか「なんで……繋がらないの?」
家の番号はこれで間違いない。
仕方ない。
ママにメールしてみよう。
えっと、
ママ、久しぶり。こっちでは元気にやってるよ。
あのね。ちょっと思い出したいことがあって
それで小学校と幼稚園の頃の卒業アルバムを送って欲しいんだ。
忙しくない時でいいから、お願いしていいかな?
よし。これでいい。
アドレス帳のボタンを押した。
ど、どういうこと……?
「アドレス帳にメールアドレスは登録されていません」
そんなバカな…
なんで1件もメアドがないの?
そういえば私、たっくんの顔が思い出せなかった。
ママ、パパの顔も、もやがかかったように思い出せないのだ。
身が凍りつくような不安を覚えた。
まどか「どうして?」
…そうだ。写真。
家族でとった写真がケータイの中に入っているはず。
データフォルダを検索してみよう。
中央のボタンを押して、データフォルダのところをクリックする。
データフォルダの中にデータはありません。
だって、だって…
私は友達と写真をとったり、
パパやママ、たっくんの写真を入れたりしていたはずなのに。
まどか「なんで…」ウル…
まどか「なんでこんなことに……」
そういえば、ケータイに一回も着信やメールがないことに今さら気づいた。
ママなら心配して1日に一回はメールか電話をしてきそうなものなのに。
まどか「こんなの絶対おかしい…」
言いようもない不安に押しつぶされそうになった。
部屋の中に一人きり。
誰かに相談したくても、連絡手段がない。
ほむらちゃんも、さやかちゃんも……連絡先も家もわからない。
壁の隅のほうで、膝を抱えながら思った。
もしかして…もうパパやママに会えないんじゃないかな。
なんでだろう。なんで、ほむらちゃんの顔が。
すごく会いたい。
ほむらちゃんが私のことを知っているから?
私もほむらちゃんのことを知っている。
こんな時に、一番側にいて欲しい人だった。
いつも私のことを守ってくれて……
側にいてくれた。
なのに…どうして……?
まどか「ほむらちゃんのことも…全然思い出せないよ……」
泣きつかれて寝てしまった。
顔を洗って、学校へ行く支度を整える。
家に帰りたい…
でも、怖い。
そこに自分の帰る場所がない気がして。
だから、お願い。
私に少しだけ勇気をください。
ほむら「勉強を教えて欲しい?」
まどか「……うん」
まどか「数学の進みが、前の学校より早くって…」
ほむら「そうなのね…」
本当は嘘。
私は一人でいるのが怖かった。
いろいろとよくないことを考えてしまうから。
まどか「え?いいの?」
ほむら「何もないけれど、それでよければ」
まどか「やったぁ!!ほむらちゃん、ありがとう」
誰かとの繋がりがほしい。
一人きりじゃないと思えるように。
ほむら「帰りがけに一緒にケーキでも買っていきましょうか?」
まどか「えへへ、勉強に糖分は大事だもんね」
ほむら「ええ」
今は私の直感を信じよう。
どうか私とほむらちゃんが、繋がっていますように……
〜商店街〜
ほむら「ここのケーキ屋が、私の知り合いのいきつけで…」
まどか「へぇ〜、お洒落だね。知り合いって?」
ほむら「学校の先輩よ。今度紹介するわ」
まどか「うん。」
もしかしたら、それはマミさんのことかもしれない。
マミさんもほむらちゃんのことを知っているみたいだったし。
ほむら「私はこのタルトにするけど、まどかは?」
まどか「う〜〜ん……あ…」
まどか「ほむらちゃんのおすすめを買っといて」
そのまま、お店のトイレを目指す。
これからほむらちゃんのお家に行くと思うと少し緊張してきたのか。
もし私の勘違いだったら…そう思うと不安で。
ほむらちゃんならきっと大丈夫だから……
まどか「おまたせ〜♪」
ほむら「まどか、今あなたの…」
まどか「私がどうかしたの?」
ほむら「あなたのケーキも買ったから、うちに行きましょう。」
まどか「うん♪」
なんだろう、何かほむらちゃんが言いそびれたみたいな気がしたけれど……
まどか「任意の3桁の整数の百の位、十の位、一の位をそれぞれ足して3の倍数であれば、その数は3で割り切れることを証明せよ……」
まどか「どういうこと?」
ほむら「たとえば、111だと全部の位を足したら3になるじゃない?」
ほむら「3,6,9とか3の倍数になれば、その数は3で割り切れるってことよ」
まどか「111を3で割ったら……あ、ほんとだ。37で割り切れるね」
まどか「すごい、なんでなんで?」
ほむら「それを証明するんでしょ?」
まどか「検討もつかないよ。」
ほむら「少しは考えなさいよ」
まどか「ほむらちゃん、冷たい〜」ムクッ
お手上げ状態とは、まさにこのことだ。
でも、ほむらちゃんと一緒にいるのは楽しかった。
まどか「数学なんて、私には難しすぎるよ。算数までじゃダメなのかな?」
ほむら「そうね。社会で必ず必要になる能力ではなさそうね」
ほむら「でもそんなこといったら義務教育のほとんどの科目が不要になるわよ」
ほむら「最後まで履修しても、先生か講師にならない限り、人の役に立たないもの」
まどか「みんなの役に立てる力…か」
まどか「私には何があるんだろうな」
もしかしたら私は一人きりなのかもしれない。
そんな私が、誰かの役に立てることなど、この先あるんだろうか?
自分が救われることしか、今は考えられないというのに…
足元が真っ暗で怖くて仕方ないのに…
そんな私が、誰かの役に立てることなど、この先あるんだろうか?
自分が救われることしか、今は考えられないというのに…
ほむら「……」
ほむら「あなたは、あなたでいるだけで十分よ、まどか」
まどか「……うん」
まどか「ありがとう、ほむらちゃん」
まどか「ゆっくり考えてみるよ」
ほむら「わかってくれてよかったわ」
ほむらちゃんが言うように、このままで救われるなんてことはないだろう。
だけどなぜかほむらちゃんに言われると、それが本当にそうであるように思えた。
私はこのままでも、誰かの力になれるんだろうか。
そうすれば、居場所をみつけることができるのかもしれない。
ほむら「一旦休憩して、ケーキでもいただきましょうか?」
まどか「わ〜い♪」
とりあえず今は、ほむらちゃんとの時間を楽しみたい。
まどか「ん〜〜、おいしいっ!!」ニヤニヤ
ほむら「ふふふ、気に入ってもらえてよかったわ」
もうずっと、ほむらちゃんといたいな…
ひとりきりは寂しい。
あの家に一人で帰るのは嫌だ。
ほむら「あら。洋菓子なんてたまに食べるからこんなにおいしくいただけるのよ」
ほむら「それに毎日食べてたらカロリーが気になって、心から楽しめないわ」
まどか「うぅ……」
別にそういうことが言いたいわけじゃないのに…
ほむら「でも、まどかさえよければ、いつでも遊びにくるといいわ」
まどか「ほんとっ!?」キラッ
まどか「えへへ〜、またお邪魔しちゃお〜」ニコニコ
やった。
あんまり迷惑がかからないようにしないとね。
夜遅くまでいては、ほむらちゃんも自分時間があるだろうし…
まどか「でも、将棋とかチェスはほむらちゃんに勝てる気がしないな〜」
ほむらちゃんは、私よりずっと頭がいいし運動もできる。
正直何をやっても勝てる気がしない。
ほむら「美樹さやかたちとは昔何をして遊んでたのかしら?」
まどか「ん〜〜〜。……ん?昔?」
ほむら「……」
ほむら「そういえば、まどかは最近転校してきたのだったわね」
まどか「う、うん……」キョロ
多分、別の学校にいたはずなんだ。
今となってはその記憶全てが疑わしく思えてくる。
まどか「テレビゲームとかならちょっとできるよ」
ほむら「そうなの。じゃあ、二人でできそうなゲームでも買ってきましょうか」
まどか「うん。やろうやろう」
昔、ママに買ってもらって一緒にやったことがある。
……できるはずなんだ。
3桁の数字を文字で置き換えるというヒントをもらい、なんとか解くことができた。
まどか「なるほど。だから3で割り切れるんだ!」
まどか「すっごいね〜。証明って面白〜い」
これは素直に感動した。
数学はもともと嫌いではないし、問題が解けるとうれしい。
まどか「え、ああ…もうこんな時間……」
ほむら「そろそろ帰らないと、ご飯に間に合わないのではなくて?」
そういえば、ほむらちゃんに一人暮らしをしていることは言っていなかったっけ。
でも私は今家族のことに触れてほしくないので、その話は避けるようにした。
また今度ちゃんと話そう。
まどか「……うん、そうだね」
まどか「じゃあ、今日はありがとね、ほむらちゃん」
まどか「また遊びにくるから……」
ほむら「ええ、待ってるわ」
帰りたくないな……
もう一人でいるのは嫌だよ…
エレベーターを使って、マンションから降りていく。
外に出るともう日が沈みかけていた。
あ……
せめてほむらちゃんの電話番号とメールアドレスを聞いておけばよかった。
でも、今から聞きに戻る勇気がない。
明日聞けばいいか……。
電灯があるものの、今は夜道を一人で歩くのは辛いと思った。
エントランスの先から、ほむらちゃんの部屋を見上げる。
あの窓から…私を呼んでくれないかな……
まどか「ははは…そんな虫の良い話ないよね」ウル
まどか「帰ろ、帰ろ……」
そして、車道を渡ろうとしていたその時。
ほむら「まどかぁ〜〜〜〜〜!!」
ベランダから身を乗り出して、力いっぱい叫ぶリボンをつけた女の子がいた。
通行人たちが一斉に振り返る。
…ほむらちゃん。
どうして?
嬉しい…
ほむらちゃんは、そのまま勢いよく部屋に入っていった。
ほむらちゃんが来るまでに、涙を止めてしまおう。
理由はなんであれ、
今は一秒でも、ほむらちゃんと一緒にいられればいい。
慌ててこちらに走ってくる。
まどか「どうしたの、ほむらちゃん」
ほむら「……」ハァハァ
ほむら「夕飯食べていかないかしら?」
夕食?
正直、この展開は予測していなかった。
あまりの嬉しさに、また涙が出そうになった。
ほむら「え、ええ…」
まどか「えへへ、じゃあお言葉に甘えようかな」
ほむら「でも、ご家族に怒られないの?」
まどか「それは……」
いま家族のことに触れられるだけの勇気は、私にはなかった。
まどか「パパに連絡しておけば大丈夫だよ」エヘヘ
ほむら「そう……」
ごめんね。
いつか必ず本当のことを話すから。
だから、それまでほむらちゃんの側にいさせて。
まどか「でも、びっくりしたよ」
まどか「急に呼ばれるんだもん。何か大変なことがあったのかと思ったよ」
じゃがいもの皮を剥きながら、ほむらちゃんの顔を見る。
うっすらと笑みを浮かべていた。
ほむら「そうね……ごめんなさい」
ほむらちゃんもどうして、夕食に誘ってくれたのだろう?
もしかして、一人になるのが寂しかったのかな?
だったら……ちょっとうれしいかも。
ほむら「そう。じゃあボウルの中にいれておいて頂戴」
まどか「なんだかこういうの楽しいね」エヘヘ
ほむら「楽しんでもらえてよかったわ」
まどか「いつもちゃんとお料理してるの?」
ほむら「一人だと、適当になってしまうわね」
まどか「うん、わかるわかる」
ほむら「あら、あなたはご家族と食べているのでは?」
まどか「えと…。パパもママもいないことがあるから」
まどか「そういう時は、スーパーで惣菜買ってご飯食べちゃうの」
ごめんなさい。嘘です。
まどか「ママが、女の子は料理ができる方がモテるからって…」
あ……
私、ママのことちゃんと覚えてる。
まどか「私はまだそういうのよくわからないけど」
ほむら「あなたは十分可愛いからね」
ほむら「あなたのファンクラブだってあるかもしれないわよ」
そう…ママも同じこと言ってたっけ…
まどか「………全然……そんなこと……」
ファンクラブなんて…そんなもの……あるはずないのに。
ママ……
よかった……ちゃんと覚えてる。
ほむら「玉ねぎが目にしみたかしら?」
ほむらちゃんが、心配そうに私の顔をみている。
まどか「ううん……なんかママとも同じようなやりとりしたなって」
まどか「ちょっと、懐かしくなっちゃって……」
まどか「あ、ニンジンちょっと皮むきすぎちゃったかも。ごめんね」
ほむら「それはいいのだけれど…」
あ……懐かしくなっちゃってって…のはまずかったな。
一緒に暮らしてないってバレちゃうかも。
話題かえなきゃ。
ほむら「何かしら」
まどか「そのリボンて、私のやつと同じものなんじゃないかな?」
ほむら「!?」
ほむら「い、言われてみれば確かによく似てるわね」
ほむらちゃんは少し焦っているような気がした。
もしかして、これは私とほむらちゃんの思い出の品だったり?
いや、そんなハズはないよ。
だってこれはお母さんからもらったものなんだもの。
ほむら「ええと……これは買ったのではなくてね」
ほむら「人からの貰い物よ」
え……
それってもしかして……
私のお母さんから?
ほむら「友達から貰ったの」
……なんだ。
まどか「……そうなんだ」
まどか「そっか…そうだったんだ……」
ちょっと、漫画みたいな展開を期待してしまった。
まどか「なんかお揃いなんて、恋人みたいで恥ずかしいね」エヘヘ
ほむら「こ、恋人!?」///
まどか「うんうん。ほら、鏡、鏡」
台所にあった鏡の前に、二人並んだ。
同じリボンをつけた者がそこに映っている。
恋人……いや、
……姉妹のようだというのが正直なところだ。
ま、まさかね。
ほむら「私が姉かしら?」
まどか「…同じこと考えてたんだね」
なんかほむらちゃんと心が通じてるみたい。
不思議だな。
さっきまであんなに寂しかったのに。
まどか「ほむらちゃんの妹か。うん。いいかも……」
ほむら「似てない姉妹ね」
まどか「どうせ私はほむらちゃんみたいに美人じゃないですよ」ムク
ほむら「あら、私はあなたの方が愛らしくて可愛いと思うけど」
まどか「か、可愛い…」///
ほむら「ええ。目にいれても痛くないぐらいに。」
う、嬉しい…
ほむら「あら、そうかも」
まどか「もうっ、ほむらちゃん!?」
ほむら「冗談よ。可愛いと言ったのは本当だから許して頂戴」
まどか「///」
結局ほむらちゃんに言いくるめられてしまった。
なんだかずるいな。
でも……こういう時間、久しぶり。
本当にほむらちゃんが私のお姉ちゃんだったらなぁ。
ずっと一緒にいられるのに……
二人で作ったシチューを口の中に入れる。
ほむら・まどか「あつつ……」
まどか「えへへ、ふぅふぅしないと熱いね…」
ほむら「もう、まどかにつられて、何も考えず食べてしまったわ」
まどか「え?私のせい?」
ほむら「そうね。一人ならこんなことしなかったわね」
まどか「つられるほむらちゃんが悪いんじゃないかな?」
ほむら「む…」
ほむら「だって、二人で一緒につくったものだから…」
ほむら「味わうのも一緒がよかったのよ」ボソッ
胸の奥がじわっと暖かくなるのが感じた。
ほむらちゃんがあまりに嬉しいことを言ってくれるものだから、
油断すると涙が出そうになる。
私もほむらちゃんをいじってみよう。
まどか「ほむらちゃんてさぁ」
まどか「実は結構可愛いよね?」
ほむら「なっ…」///
まどか「そういうところ、さやかちゃんとかの前で出していったらもっと仲良くなれるんじゃないかな?」
ほむら「大きなお世話よっ!?」
いや、もしかしたら私よりもずっとさやかちゃんの方が仲良しなんだろうか?
実は私の知らないところで意外と交流があったりするのかもしれない。
そんな空気が、二人の間にあることをこの前から感じていた。
ちょっと悔しいなような。
今、一瞬だけど……
ほむらちゃんが心から嬉しそうに笑っていた。
あんな笑顔を見たのは初めてかも。
まどか「ほむらちゃん笑った」
ほむら「別に普通よ」
まどか「なんだかすごく珍しい気がするよ」
ほむら「あなたのシチューをすする姿が可愛らしかったからね」
まどか「も、もう!可愛いって言えばなんでも許されると思って!」
ほむら「あら、別にバカにしてるつもりはなかったのだけど…」
まどか「それ絶対、嘘だよ」
ほむら「ふふ…バレてるなら仕方ないわね」
まどか「もう〜〜、子供っぽいって結構気にしてるんだからね!」
こちらに来てから私が一番楽しいと思ったのは、きっと今だろう。
……でも。
ほむらちゃんは、私を知っているはずなのに、
私はほむらちゃんを知らない。
もっと、もっとほむらちゃんのことを知りたい。
ほむら「唐突ね。毎日それなりに忙しいから、さほど寂しいと感じることはないけど……」
まどか「そっか。すごいね」
ほむら「当初は今よりも心許なかったのだけどね。慣れたってのもあるわよ」
慣れか……
慣れたら私も寂しくなくなるのだろうか?
いや、違う。
私の場合はそもそも家族が今どうしているのかすらわからないのだから。
寂しいどころの問題ではない。
ほむら「そうね……しばらく会ってないわ」
ほむらちゃんは遠い目をしていた。
もしかして、つらいことを思い出させてしまったのだろうか。
ほむら「まどかも家族がいるうちは、時間を大切にした方がいいわ」
ほむら「いつ会えなくなるかわからないのだからね」
まどか「うん……ホント。……その通りだね」
まさか本当に会えなくなるかもしれない日がくるなんて、思わなかった。
ほむらちゃんは、洗い物をしている。
……そろそろ帰らないといけない時間だろう。
ほむらちゃんに言わせるのも悪いので、洗い物が終わったら私から切りだそう。
今なら一人でも少しは平気な気がした。
ほむら「まどか〜、リンゴたべな〜い?」
流しからほむらちゃんの声が聞こえた。
まどか「え?剥いてくれるの?」
ほむら「ええっ…」
まどか「あ、わんちゃんだ!」ワクワク
そこには、大好きな犬たちが遊んでいる姿が見えた。
か、かわいい。
ほむら「今りんご剥くわね」
まどか「うん♪」
って、帰るつもりだったのにいいのかな?
もしかして、ほむらちゃんも私にいて欲しかったり……とか?
でも、一人でも寂しくないってさっき言ってたのに。
テレビを見ながらほむらちゃんを待っていると、お皿を抱えて帰ってきた。
ほむら「ほら、剥けたわよ」
まどか「わ〜い♪」
まどか「すごい、うさぎだぁ!」
器用だなぁ。
ちょっと食べるのがもったいないぐらい。
まどか「食べてもいいかな?」
ほむら「うん。」
まどか「いただきま〜す♪」パクッ
ほむら「……」モグモグ
歯ごたえのある食感と、甘み、酸味が口の中に広がっていく。
ほむら「うん」
不思議。
家族ともう会えない気がして昨日は、あんなに泣いていたのに。
今はこんなに笑っていられるなんて。
……ありがとうほむらちゃん。
私決めたよ。
今度時間を見つけて、実家に帰ってみる。
そしてこんなモヤモヤとした気持ち、さっさと終わらせるんだ。
私は家族と会いに行くのをまだためらっていた。
なかなか踏ん切りがつかない。
まどか「ほむらちゃん、次の土曜日暇かな?」
ほむら「そうね。特に予定はないけれど?」ホム?
まどか「じゃあ、二人でどっかお出かけしよっか?」ニコッ
ほむら「ええ。いいわよ」
ほむら「どこか行きたい場所があるのかしら?」
まどか「ううん。とりたてては……」
ほむら「なら適当に街をぶらぶらしてみましょうか?」
まどか「うん!」
よし、これを自分のご褒美にして行ってみよう。
早速家に帰って出かける準備を整えた。
祝日を使って旅に出た。
まどか「帰ってきた…」
JRを乗り継いで、ここまで3時間以上。
中々の遠出と出費をしてしまった。
駅からは田舎道をバスを使って家の近くまでいく。
別に懐かしいとは思わない。
ちょっと前まで、通いなれた場所だったのだから。
それでも私は安心していた。
地元に帰ってくれば、自然と思い出すものだなぁ。
よかった。
やっぱり私はここに住んでいたんだ。
最寄り駅まで20分ほどバスに乗っていた。
まどか「なんだか緊張するな。」
呼び鈴を鳴らす。
しばらくして、扉が開いた。
「はい、どちらさん?」
中からママが出てきた。
……あれ?
この人がママ?
私はママのことをよく知っている。
この人の名前も、性格も、思い出だってある。
でもなんでだろう?
全然私のお母さんである気がしないのだ。
「ああ、あの子の友達ね。上がってちょうだい」
まどか「え?」
やっぱり、ママではないんだろうか。
……そんな。
ここはたしかに私の家のはず。
ここ以外に私は帰る場所を知らない。
こうなったら…とことん調べるしかない。
中に案内されたので家の中を歩く。
だってここで暮らしてた記憶があるんだもん。
そういえばこの人の話だと同じぐらいの女の子が家にいるみたい。
その子なら、何かわかるに違いない。
私がなぜ、こんな事になったのか説明してもらおう。
麩を開けると、和式の部屋に通された。
まどか「あれ、ここって?」
女性「ふふ。お線香はここにあるよ」
部屋の奥には、仏壇と遺影が並んでいた。
写真には、私と同じぐらいの髪の長い女の子が映っていた。
まどか「そんな……」
おい
写真の子は、清水由衣という名前らしい。
今年の夏に東京ので一人暮らしを始めたはいいものの、亡くなったみたいだ。
死因はよくわかっていないらしいが……
清水?
ママの名前も清水由佳。
私の名前は鹿目まどか。
あれ……私……
なんの繋がりもない。
私は亡くなった由衣ちゃんとは一体どんな関係があったのだろうか?
ただ思うことは、彼女の境遇が少し私に似ているということだ。
同じ一人暮らしをしていて、同じ学校へ通っていた。
年の離れた弟がいて…
まどか「由衣さんは、私のこと何か話してませんでした?」
母親「さて…娘とは離れて暮らしてたからね…」
母親「もっと音沙汰があれば、聞けたのかもしれないんけど…」
まどか「そうですか…」
これ以上聞くのは酷な気がした。
お線香を上げて、私は家を出た。
愕然とするしかなかった。
私は帰る場所を失った。
大好きな家族は、どこにもいなかったのだ。
涙を流すことも忘れ、ただなんとなく歩いた。
あの人達と、私は過ごしてきた記憶があるのに…
それでもはっきりとわかる。
私はあの人の娘じゃない。
私の居場所はあそこではない。
まどか「何も…」
まどか「何にもなくなっちゃった…」
本当の私の家族はどこに?
みんな、どこにいっちゃったの?
会いたい……
会いたいよ……。
ママ……
もう、夜はすっかり遅くなっていた。
誰もいないあの家に、また帰らなくてはいけないのだろうか。
こんな時に、誰かいてくれたら。
まどか「……ほむらちゃん」
ほむらちゃんの顔が浮かんだ時、
後ろから肩を叩かれた。
まどか「ほむらちゃん!?」
マミ「こんばんわ、鹿目さん」
まどか「マミさん?」
どうして、こんな時間に?
マミ「あなたにお話があってね……ずっと待ってたのよ」
まどか「私に、お話?」
そういえば、この人は屋上で話した時、私のことを何か知っているような口振りだった。
まどか「全然……わからないよ」
まどか「マミさんたちは、どうして私のことを知ってるんですか?」
まどか「私は……」
まどか「私だけが何にもわからないままで……」
マミ「……」
まどか「ごめんなさい。別に、みんなが悪いわけじゃないのに…」
まどか「私、何がなんだかわからなくなっちゃって…」
マミ「とりあえず、私のうちに来ない?」
マミ「温かい紅茶をご馳走するわ」
マミ「少しは落ち着いたかしら?」
まどか「はい。ありがとうございます……」
お陰でだいぶ冷静になれた。
それに一人で家に帰るより、よっぽどマシだった。
今は誰でもいいから側にいて欲しい。
マミ「ふふ、紅茶には私もお世話になっているの」
マミ「悲しいこととかがあった時、癒してくれるからね」
まどか「……」
この人も辛いこと、いっぱいあったんだ。
優しい目を見ていると、そう思えてきた。
どことなくほむらちゃんに似たような雰囲気を、この人からも感じた。
人を寄せ付けないというか…
どこか普通の人とは違う感じ。
マミ「鹿目さんは自分の正体が何なのか、知っているのかしら?」
まどか「私の…正体?」
…もしかして、この人は全てを知っているのだろうか?
マミ「やっぱり何も知らないのね」
まどか「マミさんは、私のこと何か知ってるんですか?」
マミ「……」
まどか「教えて下さい。」
マミ「私もあなたのことを全て知っているわけじゃないの」
マミ「でも、ここ数日あなたのことについて、調べまわっていたわ」
マミ「本当にあなたは存在するか。両親はいるのか。」
なぜ……そんなことを?
マミ「確かに戸籍上、あなたは存在することになっている。」
マミ「けれど、あなたのご家族。ご両親に関することは何もわからなかった」
まどか「そんな……」
マミ「察するに、今日あなたは実家だと思われる場所に帰っていたみたいだけど…」
まどか「はい」
マミ「よければ、話を聞かせてもらってもいいかしら」
今日の出来事を、マミさんに話した。
まどか「いや、知らないってわけじゃ…」
まどか「覚えてるけど、この人は違うっていうか…」
マミ「なるほど。なるほど」
マミ「大体事情は呑み込めてきたわ」
まどか「私のことわかったんですか!?」
マミ「いいえ、まだそこまでは……」
やっぱり、もうママたちには会えないのかな。
マミ「私は真実に近づけるためのヒントを与えることができると思う」
マミ「だけどあなたはそれとは引き換えに、今まで知らなかったものを、知らなくてはいけなくなる」
マミ「それがどんな事であろうと、受け止める覚悟はあるかしら?」
まどか「私は、パパとママに会いたい!」
まどか「もし少しでも会える可能性が残っているのであれば……」
まどか「どんなことでも受け止めます」
マミ「わかったわ」
マミ「少し長い話しになるけれども、ゆっくりついてきなさい」
今までの優しい目をしていたマミさんではなく…
ただ淡々とした口調で、この世の真実を話す。
魔法少女。
自らの祈りを叶える為に、魔獣と戦うことを運命付けられた存在。
マミさんや、ほむらちゃん、さやかちゃんは、それと戦っているのだという。
実際に、魔法というものを見せてもらった。
何もないところから、銃やリボンをとり出されては信じるしかない。
マミ「そうね…そのあたりは私も確証があって言える話ではないのだけれど…」
マミ「記憶を操作したり、存在が消えたりなんて、普通はありえないことだから」
まどか「もしかして、私の家族はその魔獣ってのに…」
マミ「違うと思うわ」
マミ「鹿目さんか、ご家族が被害にあったのなら、記憶を書き換えるなんてややこしいこと奴らがするとは思えない」
まどか「じゃあ、いったい…」
マミ「今から私が言うことは、真実ではないかもしれないわ」
マミ「けれど最も考えられる可能性が高い仮説を話すわね」
そして魔法少女となった私は、その祈りに「魔女の消滅」を願った。
魔女とは、魔法少女のなれの果てで、今で言う魔獣のような存在。
魔法少女は力を使い果たすか、絶望を糧に魔女へと変わる。
世界を救う存在が、世界を滅ぼす悪へと変わる世界。
それを私は作り変えたのだという。
魔女を滅ぼす概念となり、この世から消滅した。
マミ「言ってみれば、神様のような存在よ」
まどか「そんな、そんなこと私は……」
なんの取り柄もない私が、そんなことできるはずがない。
自分の居場所を失っただけでこれほど狼狽している自分が、
世界を変えるような存在であったなんて思えない。
まどか「消えてなんかいない…」
まどか「それに世界が作り変えられたのだとして…」
まどか「どうしてマミさんたちはそれを覚えていられたんですか?」
マミ「……」
マミ「暁美さんだけは覚えていたの…」
まどか「ほむらちゃんが?」
マミ「私や、美樹さん……あなたの友達もあなたのことを忘れてしまった」
マミ「なぜ彼女だけが覚えていられたのかは私にもわからない」
マミ「けれど、彼女が言うにはあなたによって世界を再構成されたらしいの」
マミ「あなたが今日会った、家族はきっと……」
マミ「この世に存在するためのギャップを埋めるために、最適だと思われた人物の記憶を継承したのだと思う」
マミ「一人暮らしだとか、同じ学校だとか…今のあなたが存在するにはぴったりの条件だものね」
まどか「そんなのおかしい。だって…私には家族がいるのに、なんでわざわざ…」
マミ「……」
そう言うと、マミさんは黙ってしまった。
私は数秒してから、マミさんの沈黙の意味を理解した。
私はもともといなかったことになるのだから……
パパも…ママも…たっくんも私のことを覚えていない?
ギャップを埋めるとはそういう意味なのか?
私がショックを受けないように…
わざわざ偽りの記憶まで……
まどか「……マミさんもほむらちゃんの話を信じてるんですか?」
私には信じられない。
いくらほむらちゃんの話しでも、信じられないよ。
本当の自分はもうこの世にはいなくって…
神様になっていただなんて…
まどか「え?」
頭からリボンを取り外して眺めてみる。
ママからもらったリボン。
マミ「暁美さんのリボン……あなたからもらったんですって」
マミ「正確には、この世を作り替えたあなたから…」
まどか「ああ……あぁ……」
そういえば、ほむらちゃん言ってた。
このリボンは、友達からもらったって。
私以外に、このリボンを持っている人なんて偶然にしては珍しい。
やっとわかった。
ほむらちゃんが、私を知っていた理由が。
初めて会った気がしなかったのは、そういう間柄だったからだ。
世界が変わる前、私とほむらちゃんは同じ魔法少女で、一緒に戦った仲間だった。
まどか「うぅ……ほむらちゃん……」
もっと早く知りたかったな……
だって、ほむらちゃんだけだったんだもん。
この世界で私とつながっていたのは。
そしたら私……初めてほむらちゃんとお話したときに、ちゃんとお礼が言えてたのに。
覚えててくれてありがとうって。
こんな私のこと、大切に思っててくれてありがとうって。
マミ「紅茶いれなおしてくるわね…」
私はマミさんから紅茶のお代りを頂いた。
もう一度落ち着いて、マミさんと話をする。
まどか「それで、どうしてマミさんは私のことを調べてたんですか?」
マミ「もし、あなたが本当に神様だとしたら、世界に異変が起こるかもしれないもの」
マミ「あなたがここにいる理由を調査しなくては、何かあった時に対応できないから」
なるほど。
マミさんは私が神様の仕事をしてないかもって思ってるんだ。
……もしかして私、とんでもないことをしてるのかな?
まどか「私が仕事をさぼると、どんなことが起こるんですか?」
マミ「魔女が生まれるようになる」
マミ「私達魔法少女が、悪意を持って人を襲うようになる」
まどか「そんな……」
じゃあ、ほむらちゃんもいずれ……
マミ「でも、今のところ他の魔法少女たちが、魔女になったという話は聞かない」
マミ「おそらく、別のところでしっかり働いてくれているのでしょう」
まどか「よかった…」
ほむらちゃんが、魔女になったらどうしようかと思った。
マミ「あなたは神が創りだした分身かと考えたのだけれど、彼女も魔法少女であることには変わりない」
マミ「彼女の魔法であれば、必ず魔力の気配を感じるはずだもの」
私にはそれがない……と。
マミ「そもそも概念となった彼女が、この世に干渉する力があるとは思えない」
マミ「あなたが本当に鹿目まどかであるなら話は別だけれども」
まどか「私は……偽物なんでしょうか?」
マミ「少なくとも、暁美さんはそんなこと気にしてないみたいだから、安心していいわよ」
それは……喜んでいいのだろうか?
マミ「あなたが神とは独立した存在だとしても、だからと言って軽視することはできないの」
マミ「もし何か思い出したことがあるなら、報告して欲しい」
マミ「あなたも、暁美さんを魔女にしたくはないでしょ?」
まどか「わかりました。」
マミ「ふふ。ありがとう。」
マミ「うん、よし!堅い話はこれで終わりっと。」
マミさんの目にやさしい目の色が戻った。
マミ「お茶のおかわりでもどうかしら?」
まどか「いただきます」
まどか「ありがとうございます。マミさんのおかげでスッキリしました」
マミ「それならよかった。」
正直、まだわからないことだらけ。
それにこれからどうしたらいいのだろう。
ママたちを探したとしても、私のことを覚えてないのは辛すぎる。
マミ「今日はもう遅いから、泊まっていってもいいわよ」
まどか「えっ?いいんですか?」
マミ「こんな時、誰か一緒にいてくれる友人が欲しいものでしょ?」
マミさん……
魔法少女というものを、まだ私は理解していないけれど、
きっと優しい人がなれるものなのだと思った。
マミ「うん。私もずっと一人で暮らしてても、未だに寂しくなるもの」
まどか「マミさんも?」
マミ「そうね。それにこんなことをしているから、友達も恋人もつくれないし」
まどか「……大変なんですね」
マミ「別の世界では、あなたも魔法少女をしていたはずなのだけどね。」
まどか「そっか。そういえばでしたね」
私にも、魔法少女になる資格があったんだ。
それってすごいことなんじゃないかな?
ほむらちゃんと一緒に世界を守ってた…
ふふ…なんか嬉しい。
私にも、役に立てる場所があったんだ。
まどか「でも、私ってどんな願い事をしたんだろう?」
マミ「ふふ、さぁ、それはなんとも言えないわね。」
自分でも想像つかない。
だって家族も友達もいて、何もほしい物なんてなかったはずなのに
どんな願い事を叶えて、魔法少女になったんだろう?
マミ「もう遅いし、そろそろ寝ましょうか。」
マミ「布団敷いておくから、シャワーは好きに使ってちょうだい」
まどか「ありがとうございます。」
お風呂の中で、私はじっくりと考えた。
どうして私はここにいるんだろう。
なんでほむらちゃんだけが記憶を持ったままでいられたのだろう。
まどか「はぁ……全然わかんないよ」
とりえず、マミさんが良い人でよかった。
一人でも、私のことをわかってくれる人がいてくれるだけで安心する。
お風呂から上がって、髪を乾かす。
マミさんは既に、ベッドで眠っていた。
私もマミさんの用意してくれた布団で横になった。
よく考えたら、一人暮らしなのに予備の布団を持っているなんてどういうことだろう。
誰かが泊りにきたりするのだろうか?
でも、さっき恋人はいないって言ってたし。
そのあたりの話はおいおい聞くとしよう。
今はただ自分が何者なのかを知りたい。
心からそう願った。
シクシク……
シクシク……シクシク……
「泣いているの?」
「悲しいことがあったの?」
うん。
パパも……ママも……
私のことを覚えてない…
「そうだね…」
「それでも私たちは、それを望んだんだんだ」
「この世界に生まれ変わることを」
望んだ?
こんな結末を、私が?
「今、思い出させてあげる。」
まどか「私も一緒に戦うよ!」
ほむら「ダメ。せっかくここまであなたを契約させなかったというのに、その努力を水の泡にする気?」
まどか「だって…今までだって勝てなかったって…」
ほむら「それは、あなたが戦いの途中で、キュウべぇと契約をしたせいで…」
嘘。
どんな魔女かは知らないけど、ほむらちゃんだけではきっと勝てない相手なんだ。
まどか「過去の私だって、そんなこと望んでないよっ!?」
まどか「ほむらちゃんが、一人だけで命を落とさせるような真似をするなら、私は…私は……」
ほむら「…あなたがそういう子だってこと、私はよく知っている」
ほむら「だけどね……これは私が望んだことだから」
ほむら「私の願いは、あなたとの時間をやり直すことだった」
ほむら「もう一度あなたと出会いをやり直して、あなたを守れる自分になりたいと願った」
ほむらちゃんは、私の背中を抱き寄せた。
ほむら「お願い…まどか……」
ほむら「私にあなたを守らせて……」
ほむら「これで終わりにしたいの…」
ほむら「もし、私があなたを守ることができたのなら、最後にあなたの笑顔が見たい」
ほむら「頑張ったねって、私を褒めて欲しいの…」
ほむら「そのために……私……これまで頑張ってきたんだよ」
私は何も言えなかった。
ほむらちゃんの背負った物の重さに、手が震えそうになった。
私が救われることだけが、ほむらちゃんの救いだとするのなら…
私はここで何もすることはできないんだろうか?
何かあるはずなんだ。
ほむらちゃんも、私も救われるとっておきの魔法みたいな方法が。
そうだ…!
私が全てを終わらせれば……もうほむらちゃんは苦しまなくて済むんだ。
夢は姿を変え、違う場面へと移り変わった。
それにも負けず私は、まっすぐに走る。
全てを終わらせる、願いを叶えるために。
まどか「ほむらちゃん!?」
宙を舞う、一人の少女の姿が確認できた。
大きな道化師のような人形に向け、火器を打ちまくっている。
魔女の方も怯むことはなく、連弾をほむらちゃんに向かって放つ。
徐々に、追い詰められていくのがわかった。
まどか「なんで、なんでそんなに頑張るの…」
まどか「嫌だよ……ほむらちゃん…」
ワルプルギスの夜の放った炎弾の一つが、ほむらちゃんに命中した。
勢いよく、少女の身体が宙を舞う。
まどか「ほむらちゃんっ!?」
吹き飛ばされて地面にたたきつけられた。
ほむらちゃんに向かって走りだす。
ほむらちゃんの手をとった。
手首からは擦り傷だらけで、肩からは出血がひどい。
このままではとてももたないと思った。
QB「まどか、やっと契約してくれる気になったんだね?」
まどか「どんな願いでも、叶えてくれるって言ったよね?」
QB「もちろん。まどかほどの才能を持った子なら、叶えられない願いなんてないはずだよ」
よし……
終わらせよう。
私は全ての魔女を消滅させる。
これで、ほむらちゃんも、魔法少女のみんなも救われる。
世界全体が大きく変わってしまうだろう。
私もきっとただでは済まない。
…私は守りたいんだ。
これまで頑張ってきたみんなの願いを。
さやかちゃんみたいに絶望して、祈りをかけた事自体が間違いなんて…
私は絶対に認めない。
……どんなことがあっても守ってみせる。
たとえ死ぬより辛い運命を負うことになっても。
願いを込めようとした。
その瞬間……わたしの手が握られた。
うっすらと目を開けていて、引きつりながら笑いを浮かべていた。
ほむら「もう……あなたったら…」ハァ…
ほむら「またそうやって、私を一人ぼっちにする気?」
ほむら「一からやり直すのは、大変……なんだからね…?」
ほむら「ずるい子だわ……本当に……」ハァ
ほむら「ううっ!!……」
ほむらちゃんがテレパシーで話しかけてくる。
だって、どんな世界でも必ずあなたがいてくれる。
同じ教室で何も知らないあなたに出会えるのが、私の楽しみで……
今度はどんなあなたに出会えるのだろうかと思うと、胸がふくらんで……
気持ちはすれ違っても、必ずあなたは私のことをわかってくれる。
そうやって時間を刻んでいくことが…嬉しくて……うれしくって…
だから……お願い。
私のことを忘れてしまっても……
またお友達になってね。
ほむらちゃんは、ずっと楽しみにていたなんて…
私に忘れられても、私との出会いを楽しみにしてくれていて……
それなのに私…
全てを終わらせようと……
ほむらちゃんの気持ちを全然わかってあげられなかった。
ごめんっ……ごめんねっ
ほむらちゃん……
おそらく私は消えてしまうのだろう。
そしたら、ほむらちゃんの想いは?
これまで頑張ってきた、ほむらちゃんは報われるのだろうか?
嫌だ……
こんなになるまで戦ったのに…
たった一人の友達を救えないなんて……
させない。
もうほむらちゃんを悲しませたりしない。
私の願いは、それは…
まどか「魔女のいない世界でほむらちゃんの側にいること」
QB「魔女のいない世界だって!?」
QB「でも、まどか。それは2つの願いが混同しているよ。」
QB「魔女を消滅させること。」
QB「その世界で暁美ほむらに出会うことは、それぞれ全く別の性質を持つ願いだからね」
まどか「だから、私は未来の私に願いを託すの」
まどか「ほむらちゃんが出会った、別の私が魔女を消滅させてくれることを!」
まどか「私は必ず願う。魔女の存在を消すこと。」
まどか「だってほむらちゃんが、それまで諦めるはずないもの」
QB「たとえその願いを君が願うとしよう。」
QB「だけど君は家族や全ての人から忘れられた世界で生きていくことになるだろう」
QB「君の救おうとしている暁美ほむらだって、君のことを覚えているかどうかわからない」
QB「それでも、君はその願いを叶えようというのかい?」
まどか「それはほむらちゃんが今まで、経験してきたことだもん」
まどか「だからおあいこ。かまわないよ」
私はほむらちゃんなら覚えててくれるんじゃないかって…
何が起きても、私のことだけは覚えててくれる
そんな気がするんだ…
私はもう一度ほむらちゃんに、出会うんだ。
たとえ誰からも覚えてもらってなくても、
ほむらちゃんから忘れられたとしても……
力を制御できず、全ての魔力をワルプルギスの夜に使い果たし…破壊した。
魔女を倒すことはできたみたい。
気がつくとほむらちゃんの横に倒れていた。
このままではいずれ私も魔女になってしまうのだろう。
それを察したほむらちゃんは、懐から拳銃をとりだした。
そして涙を流した。
私はほむらちゃんに、笑顔で最後のお願いをした。
まどか「いつか、魔女が現れない……そんな日が来たら…」
まどか「そしたら……私を思い出してね…ほむらちゃん」
大変な運命を押し付けてしまって…
これは私が望んだわがままだ。
ほむらちゃんを救いたい…その気持ちに偽りはない。
けれどほむらちゃんが私と一緒にいたいってのと同じぐらいに
私だってほむらちゃんと、ずっと一緒にいたい。
たとえこの記憶を失くしてしまったとしても……
その想いはあなたも同じはずだよね。
一緒に見守ろう。
私とあなたと、全ての私たちで、彼女たちの行く末を。
涙。
瞼に、溜まった染みを拭き上げる。
ああ…そういうことだったんだ。
胸の奥が暖かくなるのを感じた。
私がここにいるのは、彼女たちが望んだ奇跡だったんだ。
素敵…
こうしてまたほむらちゃんと会うために、私は生まれてきた。
ほむらちゃんとお喋りしたり、一緒にご飯を食べる事自体が私の生きる意味。
日の出の光が眩しく部屋の中へ差し込んできた。
マミ「ん……うう」
まどか「あ、ごめんなさい。起こしちゃって……」
マミ「かなめ…さん? ああ、夕べ泊まったんだったわね」
まどか「はい。お陰様でよく眠れました」
まどか「私、朝ご飯作りますね。泊めてもらったお礼させてください」
マミ「ありがとう。冷蔵庫のものは好きに使っていいから」
マミ「あと、あなたの分も作ってちょうだい。一緒に朝ごはんにしましょう」
まどか「ありがとうございます!」
そう言ってマミさんは、洗面所へ歩いて行く。
冷蔵庫から使えそうな食材を取り出し、フライパンに火をかけた。
油のジリリという音が、食欲をかきたてる。
まどか「えへへ、正解です。」
マミ「ふふ。こんな光景、暁美さんが見たらヤキモチを焼きそうね」
まどか「そ、そうですかね」///
マミ「多分、羨ましがると思うわ。ばれたら後で何を言われれるかわからないわ」
まどか「もう、言い過ぎですよマミさん」///
マミ「でもあの暁美さんが、あなたにデレデレしている姿が想像つかないわね」
まどか「ほむらちゃんは、優しいですよ。今も……昔も…ずっと」
マミ「昔も?まさか、鹿目さん…あなた?」
まどか「はい。食べながらそのことについては話します。」
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今度さるったら寝かせていただきます。
まだ続くので保守をお願いしていいでしょうか。
再開は3〜4時間後で。
私は昨日見た夢の話をマミさんにした。
マミ「まさか本当に、円環の理と干渉することができるなんて」
まどか「円環の理?」
マミ「全ての魔法少女を導くと言われてて……つまりあなたのことよ」
マミ「正確には、魔女を消滅させた鹿目さんのことね」
まどか「マミさんたちに協力できることがあればいいんですけど」
マミ「まさか、魔法少女になろうだなんて言わないわよね?」
まどか「え、えと…」
マミ「そんなこと勧めたら、私が暁美さんに殺されるわ。そうでなくても、やめておきなさい」
まどか「はい…」
やっぱり、ダメなのかな。
私はどちらでも良いのだけど、ほむらちゃんが悲しむ姿は見たくない。
マミ「とりあえず、あなたが世界に影響をする存在でなくて、安心したわ。」
マミ「だけど、すごい契約を結んだものね。」
マミ「未来の自分と、暁美さんを信じて、願いを託すなんて…」
まどか「すごいのはほむらちゃんです。」
まどか「最後まで諦めなかったのは、ほむらちゃんだから…」
マミ「ふふふ、そうかも知れないわね」
マミ「諦めなければどんな願いも叶う……か」ボソッ
マミ「これまで、私もいろんな経験をしてきた」
マミ「そんなの絶対嘘だって思ってたけれど」
マミ「二人を見てるとそれが真理のように、思えてくるわ」
マミ「本当の奇跡を呼び寄せるのは、魔法なんかではないのかもしれないわね」
まどか「それが……まだ……」
まどか「なんで、顔だけ忘れちゃったんだろう」
マミ「たぶん、ギャップを埋めるために記憶操作を行った弊害…」
マミ「いえ、あなたが家族の記憶を持っている事の方が奇跡なのかもしれないわ」
マミ「本当にギャップを解消するための作用が働いたのなら、根こそぎ記憶を失くしていたとしてもおかしくないもの」
たしかに。
でも…これじゃ憶えてる分だけつらい。
それでも背負って生きていかなくてはいけないのだろうか……
まどか「それじゃ、私一旦家に帰るんで…」
マミ「また遊びにきてね。」
まどか「えへへ、その時はよろしくお願いします」
マミ「あと昨日、暁美さんがあなたの調査を私に委ねてくれたのだけどね……」
マミ「実はずっとまえから調査を進めてたの。暁美さんには内緒で。」
マミ「あの子、乗り気ではなかったみたいだから。」
まどか「なんでですか?」
マミ「さぁ。でも、本人に聞かないで欲しいわ」
マミ「こっそり、やってたことがバレたら、怒られそうだから」
まどか「わかりました」
家に制服を取り帰ったが、なんとかいつも通りの時間に間に合った。
ほむらちゃんに挨拶をしようと思ったのだけど、珍しく机の上で眠っていた。
多分、私のしらない所で色々頑張っているに違いない。
これからもよろしくね。ほむらちゃん。
ほむらちゃんの家でゲームをしていた。
昔遊んだことがあるゲーム……
私がやったことがあるのか、清水さんの記憶なのか判別できない。
それでも楽しんでやっていた。
ここ数日同じゲームばかりしていたので、二人ともバカみたいに上達してた。
気がつくと、時計は9時を回っている。
そろそろ出ていかないとおじゃまかも。
ほむら「まどか……」
まどか「なぁに、ほむらちゃん」
ほむら「今日、泊まっていかない?」
まどか「え……」ドキッ
友達の家に泊まる。なんだか、わくわくする響きだった。
ほむら「幸い明日は休みだし…そのまま一緒に明日出かけるというのはどうかしら?」
そういえば、前にほむらちゃんと出かける約束をしていたっけ。
まどか「……どうしたの急に?」
ほむら「いや、もう少しまどかと遊んでいたいと思って…」
まどか「で、でも……それだとほむらちゃんに迷惑がかかるよ…」
魔法少女のこともあるだろうし…
ほむら「別に構わないわ」
まどか「………」
夜中に魔獣が現れたり、いろいろやることもあるんじゃないか。
それに、どうして急にそんなことを言い出したのだろう。
ほむら「私だって、一人で寂しくなる時があるわ」
ほむら「そんな時まどかが居てくれると、うれしいのだけれど」
まどか「う、うん……じゃあ」///
えへへ、ほむらちゃんたら…寂しいだなんて。
それでこそ、私が生まれてきた意味がある。
なんだか今日は嬉しくて眠れないかも。
でもほむらちゃんちって、お布団二つおいてるのかな?
マミさんちにはなぜか置いてあったけど、普通2組持ってることはないよね。
もしかして…同じベッドで寝るのかも……
すごく楽しみ。
ほむら「じゃあ、お風呂沸かしてくるからその間に家に連絡しときなさい」
まどか「うん♪」
あ…。
ほむらちゃんはまだ私が一人暮らししてること知らないんだっけ。
いや、頭のいいほむらちゃんのことだ。
いくら何でもさすがにもうバレてるんじゃないか。
もしかして…私が寂しがるといけないと思って……
考えすぎかな。
でも、なんだかそんな気がしてならなかった。
まどか「え、一緒に入らないのほむらちゃん、お背中流すよ?」
ほむら「ばっ……そそんなの結構よ」///
なんだ、つまんないの。
ほむら「まどかはお風呂にはどれぐらい入るの?」
まどか「いつもはだいたい10分ぐらいかな…でも、もっと早くあがるけど?」
ほむら「ゆっくり入っていていいわよ。その間に布団の準備とかしておくから」
まどか「うん。わかったよ」
まどか「ほむらちゃん?」
ほむら「何かしら?」
まどか「ありがとね。いろいろ……」
ほむら「え…ええ……」
やっぱり、バレてる気がする…
明日遊ぶときに正直に家族のことを話そう。
未だに、ママたちのことを考えると胸が痛むけど
ほむらちゃんに黙ったままってのはダメだよね。
家族か……
もう諦めたほうがいいのかな。
結局みんな私のこと覚えてないんだろうし。
まどか「……」
なんだか切ないな…
でも、これから私の居場所はほむらちゃんの隣なんだ。
私は選んだんだ。
それを忘れちゃダメだよね。
でないと、奇跡を起こしてくれた私に申し訳が立たない。
まどか「お先に入っちゃってよかったのかな?」
ほむら「ええ。その髪型……」
まどか「ああ…いつもリボンしてるからね」
そういえば私がほむらちゃんの前で髪を下ろすのは初めてかも。
なんか新鮮なほむらちゃんの反応が見れるかもしれない。
ほむら「結構長いのね……」
ほむら「じゃあ、お風呂入ってくるから」
まどか「うん。わかった」
それだけかい!!
なんか、もう一言欲しかったな。
もしかして、別々に寝るってことかな。
……む。
せっかく、ほむらちゃんと一緒に寝られると思ったのに…
髪のことも何も言ってくれなかったし、なんか悔しい。
こうなったら、一緒に寝てやる。
それからしばらくしてほむらちゃんがお風呂から上がってきた。
まどか「ねぇ、ほむらちゃん?」
ほむら「何かしら?」
まどか「ソファーの上に毛布が引いてあるんだけど…もしかしてこっちで」
ほむら「私が寝るわ」
まどか「だ、だめ! 風邪ひいちゃうよ」
まどか「それだと電気代かかるし、喉痛めちゃうよ」
ほむら「別に構わないわよ」
まどか「とにかく、ダメなものはダメ!」
まどか「ほむらちゃんは、わたしと一緒に寝るの!!」
ほむら「え…」
まどか「そ、そういうことだから……」///
ソファーの上にあった毛布をとりあげると、ベッドの上にそれをしき直した。
まどか「……」
まどか「ほ、ほむらちゃんが嫌なら元に戻すよ」///
ほむら「別にいいわよ」
ほむら「じゃあ、部屋の電気消してもいいかしら?」
まどか「うん。お布団入ってるね……」
ちょっと強引だったかな。
変に思われてないといいけど…
でも、せっかくほむらちゃんと一緒にいられるんだ。
できるだけ近くにいたいよ。
ほむら「切るわよ」
まどか「うん♪」
ポチッ
誰かと一緒に寝るなんて、久しぶり。
まどか「温か〜い♪」
ほむら「ぬくぬくね」
まどか「えへへ、ほむらちゃんの匂いがするよ」
まどか「…いい匂い……」
まどか「ねえ、ほむらちゃん?」
ほむら「何?」
まどか「私、ほむらちゃんにお世話になってばかりだね」
昔も今もずっと…。
こうして心配をかけている。
ほむらちゃんは知らんぷりしてるみたいだけど、
きっと私が人で寂しいと思って気を回してくれたに違いない。
ほむら「ふふ、そうかもしれないわね」
まどか「いいのかな?」
まどか「このまま、ずっと、ほむらちゃんにお世話になりっぱなしで…」
まどか「私も何かしてあげたいのに、何も返せそうもないよ……」
ほむらちゃんの隣にいるだけでいいんだろうか?
ほむらちゃんだって、この先いろいろとやりたい事が見つかるかもしれない。
そうなった時、私が重荷になる可能性がある。
そんなの嫌だよ……
ほむら「……そうね」
ほむら「なら、私の妹になりなさい」
まどか「いもうと?」
ほむら「何か困ったことがあれば、必ず私があなたを守る」
ほむら「そのかわり、私が寂しくならないように、あなたは私の傍にいて」
ほむら「私はあなたが思っている以上に、寂しがり屋なの……」
ほむら「だから……」
ほむら「私の……家族になってほしい」
まどか「……家族」
それは私が失ったものだった。
この世界との繋がりが断たれ、誰も覚えている人はいない。
ほむらちゃん以外誰も。
なんとなく、そんな気がしていた。
まどか「家族の人は心配してないの?」
ほむら「たまに連絡はいれるけど、その程度。今は会えない理由があって…」
まどか「……うん」
ほむらちゃんも私と同じだったんだ。
家族に会えず、苦しんでいた。
会えない理由はわからないけど、その苦しみは痛いほどわかる。
ほむら「それぐらいじゃへこたれないぐらい、強くなれたと思っていたのにね…」
ほむら「このリボンをくれた、あの子のように…」
昔の私だ。
ほむら「ええ……」
ほむら「それでも、やっぱり……私はダメみたい」
ほむら「ここ数日あなたと過ごしてみて、わかったの」
ほむら「一人でいきていくのはあまりに辛い…」
まどか「……ほむらちゃん」
ほむら「だからどうかお願い。」
ほむら「私の側にいて…」
ほむら「私には、あなたが必要なの。まどか…」
ほむらちゃんが私を必要としてくれている。
世界が変わろうとも、ほむらちゃんだけは覚えててくれた。
私のことを忘れなかった。
それだけ深い絆が、私とほむらちゃんの間にはあったんだ。
すごい。本当にすごい。
私はこうしてただほむらちゃんの側にいるだけでいいってのが、申し訳ないくらいだ。
何があっても、離れない。
そう決意した。
ほむら「ダメかしら?」
まどか「うんう……」ウルッ
ほむら「まどか……」
まどか「違うの……」
この感動をどう伝えていいのかがわからない。
言葉が見つからなくてもどかしい。
まどか「私……わたし……うれしくって……」
まどか「うまく言えないけど……すごくうれしいんだよ。」
もう一人きりじゃない。
私は、新しい家族と一緒に進んでいけるんだ。
ほむらちゃんが、私を抱き寄せてくれた。
なんだかママを思い出す…
最後にぎゅってしてもらったのは、いつだろう。
首筋に涙が伝ってきた。
ほむらちゃんも、泣いているみたいだ。
まどか「どうしたの、ほむらちゃんまで泣いちゃって…」
ほむら「ずっと、一緒だから…」
まどか「……うん」
ほむら「ずっと、ずっと一緒にいるからね」
まどか「うん!」
そして、二人で笑い合った。
この幸せがいつまでも続くよう。
私は強く願った。
まどか「えへへ、それはお互い様だよ。」
家族か…
なんだか家族らしいことが出来ればいいな。
まどか「ねえ、ほむらちゃん?」
ほむら「なに?」
まどか「お姉ちゃんて、呼んでもいい…かな?」
ほむら「ふ……二人きりの時だけなら」///
まどか「えへへ、お姉ちゃん」ニコッ
ほむら「…」///
照れてる照れてる。
暗闇でも、白い肌が赤くなっているのがよくわかった。;
まどか「お姉さんだとしっかりしなくちゃいけないって思うから」
ほむら「今のままでも、まどかはいいお姉さんだと思うけどね」
まどか「うん…ありがと」
少しほむらちゃんに甘えてみたいくなった。
新しい、家族の絆を確認してみたいからだろうか?
一人きりの夜が寂しかったからだろうか?
わからない。
だけど、ほむらちゃんに抱きしめて欲しいという気持ちが強くて抑えられない。
なんだか恥ずかしい。
…ほむらちゃんそういうの嫌がるかな。
ほむら「う…」///
まどか(照れてるほむらちゃん、か……可愛い)
まどか「ふふ……ほむらちゃん、照れてる」
ほむら「ま、まだ慣れてないから…」//
まどか「じゃあ、名前で呼んだ方がいいかな?」
ほむら「……お姉ちゃんでいいわよ」
まどか「うん。私も慣れてないから、そなへんは適当に呼ぶね。」
なんだか、可愛いほむらちゃんを見ていたらもっと甘えたくなってきた。
さっきぎゅってしてもらった時のことが忘れられない。
すごく、あったかかったな。
勇気を出して言ってみよう。
まどか「もっかいぎゅってしてほしいな…」
ほむら「え…えっ?」
うわ、驚いてる。
別に変な意味があって言ったわけじゃないんだけど、
嫌われちゃったらどうしよう。
ほむら「……これでいいかしら」ダキッ
まどか「う、うん」///
ほむら「息ぐるしくない?」
まどか「う、うん…」///
まどか「ちょっと、恥ずかしいね」///
私は、ほむらちゃんの妹にしてもらえたんだよね。
お姉ちゃんがいたら、こんな風に甘えてみたかった。
いや……ホントは私、
ほむらちゃんにずっと甘えてみたかったのかも。
いつも守ってくれるからかな。
すごく頼りになるお姉さんみたいな子だから…
こうやって抱きしめて欲しかったのかもしれない。
恥ずかしいという気持ちもあるのだけれど、
できればずっとこうしてて欲しい。
離してほしくない。
だからほむらちゃんのパジャマの袖だけはしっかり握っていた。
私の思いが伝わったのか
ほむらちゃんが私の髪をなでてくれた。
嬉しくなって、笑みがこぼれた。
まどか「お姉ちゃんの手やわらかくて気持ちいい」
まどか「もっと撫でてほしいな…」
頭をゆっくり、ゆっくり丁寧に手がなでていく。
すごく安心する……
ここ数日の不安が嘘みたい。
まどか「どういうこと?」
ほむら「甘えん坊さんてこと」
まどか「うん…そうだね。自分でもちょっとびっくり」///
まどか「でもほむらちゃんだから…」
まどか「ほむらちゃんだからこんなに甘えたくなるんだよ」
ほむら「あら、どうしてかしら?」
まどか「えへへ、わかんない。」ニコッ
まどか「なんでだろうね?」
まどか「でも、私の中で出会った時から、ほむらちゃんは特別で…」
まどか「さやかちゃんや、仁美ちゃんとも、何か違ったんだ。」
ほむらちゃんが、特別な理由。
でもまだ内緒にしておこう。
あのことを話したら、きっと泣いてしまうに違いない。
今日は笑顔のほむらちゃんを見ていたい。
私はほむらちゃんの手をしっかりと握った。
まどか「えへへ…続けて」
ほむら「うん」
今度は背中をさするように撫でてくれた。
まどか「ふふふ、なんだか猫になったみたい…」
ほむら「確かに」クスクス
まどか「ゴロゴロ♪」
甘えると嫌がるかと思ってたけど、ほむらちゃんはいつも以上に優しくしてくれた。
もっと甘えてみよう。
えい。
ほっぺをすりすりとほむらちゃんに押し付けた。
ほむら「ふふ、くすぐったい…」
まどか「えへへ、ぬくぬくだね」
ほむら「ええ。あったかい…」
私は眠るまで、ほむらちゃんの手を離さなかった。
ほむらちゃんは、私の意識がなくなるまで頭を撫でてくれた。。
ぎゅっ……
えへへ
ぬくぬくだよ
まだほむらちゃんが起きてないから、好き放題抱きついている。
もっと、すりすりしたいけど、あんまり動くと起きちゃうかも。
ぐぅ〜〜〜。
お腹へったなぁ。
でも、いいもん。
今はほむらちゃんから離れたくない。
もしほむらちゃんが起きても、離さないんだから。
今日は学校お休みだし、ゆっくり二人で朝寝坊すればいいよね。
朝から幸せいっぱいだなぁ。
あ、あれれ…
ほむらちゃんの肩に力がはいってる。
もう起きちゃったの?
ま、まあ簡単には起こさせないよ。
寝たふりで押し通す。
……このまま寝たフリしてたら、またなでなでしてくれないかな。
ワクワク。
なんだかくすぐったくて気持ちいい。
私が起きてないか確認しようとしてるみたいだけど…
今はスルーです。
寝たフリ寝たフリ。
そうすれば、諦めてまた寝てくれるかもしれない。
まだほむらちゃんとベッドの中でゆっくりしたいんだもん。
しかし、ほむらちゃんは意地でも起きようとしていた。
ほむらちゃんの手を拘束するように抱きしめていたので、
それを解こうと手を動かす。
でも、そんなことじゃほどけませんよ。
しっかり抱きしめてるもんね。
私は思わず強く抱きしめ、それを阻止する。
ほむら「って、まどか、あなた起きてるんじゃないの!」
ちぇ、バレちゃった。
ほむら「起きるなら放してちょうだい?」
まどか「……」ブンブン
まどか「まだ寝るの…」
首を振って、そのままほむらちゃんの胸に顔を埋めた。
意地でも起きる気がないことを態度で示してやる。
……もう少しこのままでいようよ。ほむらちゃん。
ほむら「私はご飯を用意するから」
まどか「……」
ご飯なんていいのに。
そんなことより、ほむらちゃんとゆっくりしたいよ。
はぁっ…と小さなため息が聞こえて、私はすっかり嬉しくなった。
身体の力を緩めると、ほむらちゃんも力をぬいた。
えへへ、諦めてくれたんだ。
ほむらちゃんが、私の顎のあたりを指でくすぐってくれた。
気持ちいい。
もっとやって欲しいことをアピールするために、喉の奥を鳴らした。
まどか「ん〜〜〜」ゴロゴロ
こしょこしょ…
まどか「ん〜〜〜」ゴロゴロ
こしょこしょ…
まどか「ん〜〜〜」ゴロゴロ
なんだかくすぐったかったので、思わず首をふってしまった。
こしょこしょ
まどか「……」フルフル
こしょこしょ
まどか「……」フルフル
サワッ…
まどか「!?」ビクッ
なに、今の感じ?
ものすごくくすぐったくって、思わず抱きしめていた手を話してしまった。
するとほむらちゃんのからだがコロコロと回転して布団から飛び出していく。
しまった。
すぐに、ほむらちゃんの身体を抑えようと手を伸ばすが、全く届かなかった。
してやったとばかりに、ほむらちゃんは私を見て笑った。
なんだか無性に腹がたった。
ほむら「あら、それは寝たフリしてる誰かさんのことではないかしら?」
まどか「む〜〜〜」プク
まどか「お休みなんだから、もっと寝てればいいじゃん!」
ほむら「ダメよ。休みだからって、なまけていたら身体が動かせなくなるわ」
くそぉ、こまままじゃダメだ。
何かいい方法は……
そうだ。
まどか「もっと、お姉ちゃんと寝てたいな…」///
ほむら「頬を染めても、ダメなものはダメ!」
可愛く言ってもダメか…。
なんだか恥ずかしくなってきたかも。
まどか「……ほむらちゃんのバカ…」
そういうことじゃないのに…
わかってて言ってるんだろうか。
もう、意地悪なんだから。
ほむら「起きたなら、着替えて顔洗ってきなさい」
まどか「…ほむらちゃん、ママみたいだよ」ムク
悔しいから、顔を洗ってからほむらちゃんの横をピタピタくっついて歩いてやった。
ご飯を作るのに邪魔だからどきなさいと言われたが、そんなのお構いなしだ。
ほむらちゃんもまんざらではなさそうだったので、よしとしよう。
結局私も朝ごはんを手伝うということで、ずっと一緒にいました。
まどか「えへへ、お腹すいたからすごくおいしそう」
ほむら「私より早く起きてたみたいだしね…」
まどか「うん。5時には起きてたかな」
ずっとお腹が鳴ってたけれど、気にならなかった。
ほむら「1時間も早いじゃないの!?」
ほむら「言ってくれれば、もっと早くご飯作ったのに…」
まどか「そういうと思ったから起こさなかったんだよ」モグモグ
ほむら「……まったく」///
まどか「たまごおいしいね♪」
早く起きたらおきたで、ほむらちゃんと出かける時間が増えるもんね。
ほむら「まどかはお金は大丈夫なのかしら?それによってどこに行くか決めようと思うのだけど」
お金…か。
そういえばこの前、遠出したときにだいぶつかっちゃったな。
まどか「あんまり持ち合わせがないから、出来ればお金がかからない方がいいかな」
ほむら「わかったわ。じゃあ歩いていけるところがいいわね。」
ほむら「まどかはどこか行きたいところはあるかしら?」
うーん
そんなにお金をかけなくて遊べるところか。
私たちは市民体育館でバトミントンをしてきた。
昔ママに教わったことがあったので、それらしい動きができていたと思う。
まどか「楽しかったね〜〜♪」
ほむら「ハァ、ハァ……」
ほむらちゃんは、ラケットを握ったのが今回が初めてらしい。
体育の得意なほむらちゃんに、勝てたのは誇らしかった。
負けても負けても勝負を挑んでくるほむらちゃんのおかげで
2時間ずっと動きっぱなしだった。
なんだかつらそうなので、軽く気分を変えてもらおう。
バッグから白いナプキンと箱を取り出した。
まどか「ほむらちゃん、お弁当でも食べて元気出して」
ほむら「うう〜〜」
まどか「ふふふ。はい、お茶もあるよ」
ほむら「ありがとう」ホム…
まどか「ほむらちゃん、自信満々だったから、つい本気になっちゃったよ」
ほむら「あなた結構うまかったけど、正直意外だわ」
まどか「ママが昔バトミントンやってて、教えてもらったんだ」
まどか「懐かしいな……」
ほむら「………」
ママというのは、私の本当のママのこと。
その時の記憶は残っているのに、まだママの顔を思い出せない。
とうに忘れてしまってるだろう。
同じ町で暮らしているママ
これから……他人として生きていくことになるであろう人。
もし、私達が顔を合わせることがあったとしても、きっと気づくことはない。
だけど、私だけは家族のことを忘れないでいようと思う。
たとえつながりが無くなってしまっても、
二度と会えないとしても
私をここまで育て、愛してくれた人たちのことを、忘れられるわけがない。
こんな風にママとの思い出と遊んで……しっかり覚えているんだ。
ほむら「できれば御免こうむりたいわ」
ふふ、ほむらちゃんはもう嫌か。
残念。
まどか「え?もういいの?」
ほむら「ええ。十分休んだわ」
ほむら「さっ」ニギ
まどか「う、うん」
ほむらちゃんが、私の手をつかむ。
どうしたんだろう、なんだか焦っているように見える。
弁当をてきぱきとしまい、早足でほむらちゃんの手にひかれる。
一体どうしたんだろう。
私何かしたかな?
いや、なんだか何かから逃げているみたい。
もしかして、魔獣?
魔法少女が今戦っている存在。
その気配にほむらちゃんが気づいたのだとしたら…
ほむらちゃんの私を握る手が、急にこわばった。
どうしよう…
私は魔法少女じゃないからほむらちゃんの足でまといにならないようにしなきゃ。
いつでも、走り出せる準備しておいた方がいいよね。
しかし、私の予想は全く違っていた。
ほむらちゃんが逃げようとしていたのは、魔獣なんかではなかったんだ。
「まろか〜〜〜!!」
背後から呂律の回らない、幼い声が公園中響いた。
一組の親子の姿があった。
小さい男の子と、その手を握る女の人。
まどか「たっくん……」
まどか「………ママ?」
あれ……私…勝手に声が。
もしかして、あの二人が私の家族なんだろうか?
でも、ママと目があった瞬間、私は足元が凍りついた。
ママは、喜ぶでも、悲しむでもなく、ただ呆然とこちらを見ているだけなのだから。
そっか……ママは私のことをもう覚えてないんだっけ。
ほむらちゃんの手が緩んだ。
知ってたんだ。
私が、家族から忘れられていることを。
だから、私の手を引いて……
タツヤ「まろか、まろか〜〜」
詢子「お、おい…タツヤ」
ママが、たっくんに引っ張られてこっちへやって来る。
そんな経験したくない。
私は覚えているのに、ママたちは忘れてるなんて。
身体がぶるぶる震えた。
思わずほむらちゃんの方を見た。
行こうよ!
無言で訴えかける。
足が震えて動けない。
私を連れ出して。
早く……ママたちが来る前に早く。
そして、自分に言い聞かせるように彼女は言った。
ほむら「大丈夫よ、まどか」
私の目じっと見る。
ほむら「そう簡単に人は何もかも忘れることなんてできないのだから…」
ほむら「こんにちは、この前はコーヒーありがとうございました。」
詢子「お、おう…」
タツヤ「まろか〜〜!」
たっくんが私に手を伸ばしてきた。
あれ…たっくん?
私のこと……
まどか「……たっくん」
詢子「!?」
詢子「この子が…」
この前?
ほむらちゃんは、ママに会っていたの?
ほむらちゃんの方を見たが、何も言わずただ黙ったままだった。
視線の行き先がなく、私はママを見るしかなかった。
まどか「う…」
まどか「初めまして…」
詢子「あ、ああ…初めまして」
わかっていたことだけど……
早くこの場から立ち去りたい衝動に駆られた。
詢子「タツヤとは、知り合いなのかい?」
まどか「え、えと…その……」
たっくんは、なぜか私のことを覚えているようだった。
どうして忘れなかったんだろう…
詢子「多分、そっちの子と一緒に遊んでくれたんじゃないのか?」
まどか「そ、そんな感じです」
詢子「そう。ありがとな……」
詢子「…いや」
ママは、右手を額にあてながら頭を左右に振った。
詢子「いやいや、そうじゃないんだ、そうじゃ。」
まどか「え?」
詢子「アンタ、アタシとタツヤとアタシの旦那と……4人で……」
まどか「え、え?」
詢子「えと…、んと…」
詢子「くぅ〜〜〜〜〜、なんか、ここまで出かかってんのに…ああああ、わかんねえぇえええええ」
詢子「苛々するぅうううう〜〜〜!!!」
私は思わず笑ってしまった。
いつもクールでカッコイイ、ママがこんなに感情を表にだすものだから。
その光景が、昔と変わらないものだったから。
それに釣られるように、ママも私を見て笑った。
懐かしいね……ママ。
ママも覚えててくれたんだね、私のこと。
こんな風に笑い合って、まるで友達みたいな仲だったんだよ、私達。
詢子「なんだろうな。全然思い出せねぇけど、ゴメンな。」
まどか「ふふふ、いいよ。いいよ。私も同じだから……」クスクス
詢子「うそつけ、アンタ、私の顔見て、ギクッってなってたじゃんよ!」
まどか「えへへ、そうだったかな。」
詢子「まあでも、アンタが初めましてってんなら、そうなんだろうな。」
まどか「うん。間違いないよ。」ニコッ
ごめんね、ママ。
私は選んだんだ。
自分がやるべきこと。
私にしかできないこと。
それを見つけたから、今ここにいるんだ。
だから、見守ってて欲しいんだ。
私のことを。ずっと、ずっと。
詢子「でもタツヤと遊んでくれたんなら、今度ゆっくり礼がしたいね」
詢子「暇な時に、二人でうちに遊びに来な!最近は土曜なら休みが取れるから。」
まどか「わかったよ」
ほむら「ありがとうございます」
詢子「ふふふ、楽しみにしてるよ。じゃあ、またな」
詢子「あっそうそう、いい忘れてた。」
詢子「そのリボン、似合ってるよ。あげた奴は、超いいセンスしてるな」
まどか「………」
ばか……。
たっくんに向かって、手をふっていた。
ばいばい。
まどか「ふふ…自分で自分のこと褒めちゃって…」
まどか「バカみたいだよね、ホント」ウル
涙がコンクリートに落ちる。
まどか「うう…」
ほむらちゃんは何も言わず、私を支えてくれた。
まどか「覚えてて…」
まどか「覚えててくれたんだ…」
まどか「ママも……たっくんも……私のことを……」
ほむら「うん……」
まどか「もう、いないのに…」
まどか「本当の私は、もうどこにもいないのに…」
まどか「ううううう」
まどか「うううああああああああああああぁぁぁ」
ほむらちゃんが、私を忘れなかったのもきっと…
何もかもが変わってしまったこの世界で
私の大切なものは、何も変わっていなかった。
それがわかっただけで、今日は満足だった。
知りたく無かったよ…素敵な情報をどうもありがとう…
しかも本当はママが覚えていることを確信しているようだった。
もしかして、ほむらちゃんは全て知っているだろうか?
私がここにいる理由も、過去の願いも……
ほむら「ありがとう、まどか」
ほむら「私はもう二度と家族に会うつもりはなかったけれど」
ほむら「あなたを見ていたら、少し考えが変わったわ」
まどか「……」
家族に会いに行くんだ。
ほむらちゃんも、私以外に大切な人がいるんだもんね。
がんばってね。
でもどうしてだろう。
ほむらちゃん、ちょっと寂しそうに見える…
今夜も有無を言わさずほむらちゃんの布団に入っていた。
ほむら「やっぱり、一緒に寝るのね。」
まどか「何を今さら」エヘッ
今夜もぬくぬくだね。
ほむらちゃんを抱きしめようと思った、その時だった。
ほむら「ねぇ…」
ほむら「いいの?」
ほむら「こんな時に過ごすのが、私なんかでいいの?」
ほむら「あなたは家族を選ぶこともできるのよ」
ほむら「私は……きっともう……大丈夫だから」
なんかほむらちゃん、勘違いしてる?
その言い方はまるで、もうすぐ私とほむらちゃんが一緒にいられなくなるみたい。
まどか「私は選んだんだよ。」
まどか「家族を」
まどか「本当に、私を必要としてくれる人を…」
まどか「そのために私はここにいるんだもの…」
まどか「だから…」
まどか「ずっと一緒だよ、ほむらちゃん」
ほむら「嘘よ…だって、あなたは……」
ほむらちゃん私が消えると思ってるんだ。
マミさんが言ってた、ほむらちゃんが私の調査をしなかった理由もそこにあるのかもしれない。
全てを知ったら、私がいなくなってしまうって。
まどか「嘘なんかじゃないよ」
まどか「約束したよね?ずっと一緒にいるって」
まどか「私を夢や幻にしないで…」
まどか「私はたしかにここにいて。それはこれからもずっと同じで…」
まどか「ほむらちゃんが寂しくならないように、隣にいつづけるんだ」
まどか「それが、私の居場所だから」
ほむら「うぁあああああああ」
ほむら「ああああああああああああああぁぁ」
まどか「……ずっと一緒だよ」
ほむらちゃんは、私の胸の中で泣いた。
それからいろいろお話をした。
魔法少女のこと。
私の生活のこと。
でも、結局私の正体のことは教えなかった。
いつかほむらちゃんと私が、本当に家族のになれた時。
その時まで秘密にしておこう。
まどか「……」
私はそれを手にとった。
……これでよし。
リボンは結ばれ、たった一つになった。
今日で二学期が終わる。 これから冬休みだ。
ほむらちゃんといられる時間も増えて、わくわくしている私は
クリスマスプレゼントを何にしようか考えていた。
いつも私を支えてくれるほむらちゃんに、恩返しがしたい。
まどか「ねえ、ほむらちゃん」ヒソヒソ
ほむら「何かしら?」
まどか「何か欲しいものとかある?」
ほむら「今のところ、特にないかしら」
まどか「そっか…」
だよね。ほむらちゃんて、必要ないものほとんど買わないし。
あれが欲しい、これが欲しいって言ってるの聞いたことないや。
帰りに何か選んでみるか…
ほむら「あのねまど…」
まどか「ごめん、今日は先帰ってて。ちょっと用事終えたら帰るから」
ほむら「わかったわ」
さやか「これなんかいいんじゃない?」
木刀をとって、ふん、ふん、と素振りをする。
さやか「あいつにはピッタリだと思うけど。」
まどか「さやかちゃんが欲しいものじゃないんだよ。真剣に考えてよ〜」
さやか「木刀だけに……いや、なんでもない。わかってるって」
さやか「手作りとかは考えた?」
まどか「う〜ん。でも手編みとか、今からじゃ間に合わないし…」
さやか「お菓子は?」
まどか「作ったことないな…さやかちゃんは?」
さやか「ないけど?」
じゃあ、ダメか。
さやか「マミさんなら教えてくれるんじゃないかな?」
まどか「というわけなんですけど」
マミ「いいわ、教えてあげる」
マミ「でも何を作りたいの?」
そうだな……クリスマスだし……
まどか「ケーキとか?」
さやか「いいね。でも時間かかるんじゃない?」
マミ「暗くなるぐらいにはできると思うけど」
まどか「えへへ、じゃあお願いします」
ほむらちゃんには、メールで遅くなるかもって連絡しとこう。
マミさんに指示をもらいながら、材料を混ぜていく。
さやか「でもアレだよね。クリスマスなのに、友だちのためにケーキを焼く私達ってほんと献身的っていうか」
まどか「ごめんね、さやかちゃんも、マミさんも付き合ってくれて」
マミ「ふふ、鹿目さんのためだもの。別に気にしないわ」
マミ「魔法少女にクリスマスなんて、縁遠いものだもの」
さやか「マミさん、まどかの前でそのことは!?」
まどか「大丈夫だよ、さやかちゃん。私全部知ってるから」
さやか「まどか…」
まどか「さやかちゃんたちが、頑張っていること…」
さやか「……そうだったんだね」
さやか「ありがとね」
さやか「アンタが頑張ってくれたおかげで、私たちは魔女ってのにならなくて済んだんだろ」
正確には私が頑張ったからではないんだけれど…
さやか「私、自分で望んで魔法少女になったのに、それをすごく後悔したことがあるんだ」
さやか「全部間違いだった。全て無かったことにしたいって。そう思った」
さやか「もしかしたら私、魔女になってたんじゃないかって…」
さやか「だから。ありがとう。まどか」
まどか「さやかちゃん……」
親友の願いを救えたことを、どこかで聞いていて、
胸を張ってくれていたら嬉しい。
マミ「さて、後は焼くだけね」
まどか「思ったより、結構早くできたね」
さやか「待ってる間トランプでもやろうよ!」
家へと向かう。
早く顔が見たくて、急ぎ足になっていた。
ケーキが崩れないように、慎重に。
今夜は特に冷え込んでいる気がした。
ケータイのベルがなった。
ほむらちゃんからだ。
ほむら「まどか?今どこにいる?」
まどか「2丁目の本屋の前だけど…」
ほむら「じゃあ、駅まで来てもらっていいかしら?」
まどか「うん…いいけど…」
そういって電話は途切れた。
なんだろう?
とりあえず、駅に向かおう。
ここからそう遠くない。
時計台の下に、白いコートを来たほむらちゃんが私を待っている。
ケーキが倒れないように気をつけながら、坂道を下っていく。
まどか「おまたせ♪」
ほむら「ふふ、来たわね。じゃあ行こうかしら」
まどか「行く?」
ほむら「ほら…」
見覚えのある車が一台…
助手席から顔を出すたっくん、ママ……奥にはパパもいる。
みんな…
ほむら「昨日詢子さんに会ったの」
ほむら「よかったら今日、一緒に過ごさないかって」
ママが…?
詢子「おっす。アンタたち今日はフリーだったのかい?」
ほむら「まどか以外に過ごす相手なんていませんから」
知久「美人なのにもったいないね」
詢子「こら、嫁の前で中学生を口説いてんな!」
知久「ふふ、そんなつもりはないよ」
たっくんが私に向かって手を伸ばす。
その手を握ってあげたら、きゃっきゃと喜んでくれた。
やっぱり変わってない。
パパも…ママも
よかった。
詢子「ああ?」
まどか「だって、クリスマスでせっかく家族水入らずのイベントだし…」
家族……
どうやっても、私は元にはもどれない。
知久「ふふ、詢子さんは賑やかなのが好きな人だからね」
知久「みんなでわいわいやりたいんだってさ…」
パパが優しそうに、ママのことをちらりとみた。
ママがパパに向かってありがとう……と、小さな声で言ったような気がした。
ほむら「そういうことらしいから、お邪魔させてもらおう、まどか」
まどか「うん♪」
〜まどホーム〜
やっと帰ってきた。
帰ってきたんだ。
小さい時迷子になってママに見つけてもらえるまで帰れなくなったことがある。
その時と同じ気持ちになった。
心の中でただいまを言った。
今には、お父さんが作ったと思わしきご馳走ができていた。
まどか「すごい……」
知久「ほむらちゃんにも手伝ってもらったんだよね」
そうだったの?
ほむらちゃんの顔を見る。
ほむら「今日の放課後、あなたも誘おうとしたのだけどね」
そういえば…何か言おうとしていたような気がする。
まどか「椅子が3つしかない……」
ほむら「……」
そりゃそうだ。
私の席があるわけないのだから。
知久「これでいいかい?」
折り畳み式の同じ椅子が二つ敷かれた。
まどか「ありがとう…」
まどか「ほむらちゃんと同じなら悪くないね」
ほむら「まどか…」
詢子「そんじゃ、準備はいいか。みんな飲みもん持ったな?」
まどか「待って!」
詢子「どうした、まどか?」
まどか「私ね、ほむらちゃんにプレゼントしようと思ってケーキ焼いたの。」
ほむら「それで、放課後どっか行ってしまったのね」
まどか「せっかくだからみんなで食べたいなって」
まどか「いいかな、ほむらちゃん?」
ほむら「もちろん」
まどか「今出すね。」
ほむら「開けてもいいかしら?」
まどか「うん♪」
ほむらちゃんが、取り出したのは
丸くてくて大きな、チョコレートケーキ。
その上に、手をつないだ白い二人のリボンをつけた女の子が立っていた。
まどか「私達だよ。」
まどか「えへへ、ホワイトチョコで作ったんだ」
知久「これはすごい。まどかちゃんはすごく器用なんだね」
パパが親ばかみたいで恥ずかしい。
まどか「本当は、友達に手伝ってもらったんだけどね」
まどか「思ったより上手くできたから、ほむらちゃんに見てもらいたくて」
そう。
これは私からのメッセージ付きのクリスマスプレゼントだ。
これから、どんなことがあってもほむらちゃんの側にいる。
私のとなりはいつだってあなたしかいない。
ほむら「よくできてるわ…」
ほむら「本当、食べるのがもったいないぐらいに…」ボソッ
ほむらちゃんの嬉しそうな顔が見れて、私も満足だ。
詢子「それじゃあ準備は整ったな。」
詢子「みんなグラスを持て!」
さぁ、始めよう。
新しい家族みんなで、楽しい宴会を。
いつか終わりを迎える、その時まで……
おしまい。
長い間ご苦労さまでした。
保守・支援してくれた人ありがとう。
何か質問とかあれば答えます。
まどか視点だからわかることも結構あってよかった
じゃ、いっこ確認
本編まどかが魔女を消す願いで契約して、
その影響として全時間軸のまどかの存在が消滅
ところがこのSSのまどかの願い「魔女が消えた時間軸でもほむらのそばにいる」と矛盾するので
こっちの願いが有効になって存在が残った
ただしまどか本人が消えないだけで、本来存在しないはずの人間なのでつじつま合わせが発生してる
ほむらだけは覚えてる
ってことでいいんだよね?
そうです。
まどか本人はいなかったことになるけど、
魔法少女になった時の願いだけは残ったという設定で書いてます。
さやかは存命してるのに杏子のきの字も出てこないとはww
登場させる状況を思いつかなかっただけ?存在自体はしてる?
そうですね。
最後のチョコケーキのところで出しても、この先それほど活躍できる場面とかもなかったし
すいません。存命はしてますよ。
時間軸って概念が元にあるから
終わりがいつもふわっとさせてる感じも好きだ。
勝手に想像して勝手に泣ける。
続きはこちら
http://ncode.syosetu.com/n6548bd/
Entry ⇒ 2012.04.29 | Category ⇒ まどかマギカSS | Comments (0) | Trackbacks (0)
ほむら「見るんじゃないわよ」さやか「あんたを見たわけじゃない」
http://hayabusa.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1334675267/
さやか「!…別に転校生を見てたんじゃない。自意識過剰なんじゃないの?」
ほむら「じゃあこっち向くんじゃないわ。あなたの顔なんて見たくないから」
さやか「それはこっちのセリフ!話もしたくないね!」
ほむら「ふん…!」
さやか「……」
ほむら(私ったら…またこんな酷いことを言っちゃった…嫌われたかしら…?)
さやか(ただ話しかけようと思っただけなのにどうして意地張っちゃうんだろ…ああ!あたしの馬鹿!)
まどか「どうしたのさやかちゃん?元気ないね」
さやか「いやね…あたしってほんと嫌な子だなーって思ってさ…」
まどか「そんなことないよ?さやかちゃんはとっても優しいじゃない」
さやか「まどかに言われる程じゃないよ…まどかから優しさをとったらなにが残るのってくらいまどかは優しいんだから」
まどか「あれ?私誉められたの?馬鹿にされたの?」
まどか「てぃひひ。私なんてぜんぜんだよ」
さやか「そだ。まどかはいつも転校生とどう接してるの?」
まどか「ほむらちゃん?どうって言われても普通だけど…」
さやか「あたしにはその普通ができないのよー…」
まどか「?ほむらちゃんと喧嘩でもした?」
まどか「てぃひひ、そうだね。いつもだよね」
さやか「売り言葉に買い言葉というか…顔を合わせるたびに言い合いになってさ」
まどか「でもなんか仲が良さそうで端から見るぶんには楽しそうだよ?」
さやか「いや仲が悪いから口喧嘩しちゃうんでしょおが」
まどか「そうかなぁ?私は口喧嘩なんてあんまりしたことないから…」
さやか「まぁまどかだしね」
まどか「ぶー。どういう意味?」
まどか「さやかちゃんもほむらちゃんもいい子だよ?」
さやか「はいはい。まどかにとっては誰であろうといい子に見えるんでしょ」
まどか「そんなことないもん」
さやか「だってあたしがいい子じゃないから転校生と喧嘩しちゃうんだよ、多分」
まどか「…どっちも素直じゃないからね」
さやか「え?」
まどか「なんでもないよ。仲が悪いなら仲良しになればいいじゃない」
さやか「それができれば苦労しない」
まどか「大丈夫だよ。私に任せなさい」エッヘン
ほむら「どうしたのまどか?」
まどか「今日は学校のあと暇?」
ほむら「えぇ。特に用事はないわ」
まどか「なら私の家にお泊まりにこない!?」
ほむら「お泊まり?どうしたの突然」
まどか「ほむらちゃんともっと仲良くしたいなぁって思って。駄目かな?」
ほむら「まどか…ありがとう。是非お世話になりたいわ」
まどか「決まりだね!今日は仲良しパーティーだよ!」
ほむら「じゃあまどか。私は先に帰って準備してからまどかの家に向かうわ」
まどか「うん!楽しみにしてるね!」
ほむら「ふふ、私もよ」
さやか「なに話してたの?」
まどか「てぃひひ、なんでもないなんでもない」
さやか「んー?なににやついてんだまどかー?」ワキワキ
まどか「きゃ、きゃはは!くすぐったいよさやかちゃん!」
さやか「今日のまどかはお泊まりに誘うし一人でにやついてるし、へんなの」
まどか(私が二人の友達として、仲良くなるきっかけをつくんなきゃね。がんばるぞっ)
さやか「学校からそのままきちゃったけどいいのかな?」
まどか「だいじょぶ。着替えなら私のがあるし」
さやか「あぁ、あの胸が苦しい…むぎゅ」ガッ
まどか「さやかちゃん…?」
さやか「黙ります黙ります…」
まどか「うん。ただいまパパー!」ガチャンコ
シーン
まどか「…あれ?いないのかな?」
さやか「ま、まどか…ここにメモが…」
まどかへ
ママが突然出張になってしまったのでタツヤ連れてついていくことにしました
探さないでください
まどか「なんてこと…!」
さやか「ど、どうしようまどか!」
まどか「私たちの晩御飯がないっ!」
さやか「…………」
まどか「…………」
さやか「まどか、作れる?」
まどか「私には荷がおもいよ」
さやか「あれ?誰かきたよ?」
まどか「はいはーい!今開けますー」ガチャンコ
ほむら「きたわ。まどか」
まどか「どうぞ入って!」
さやか「え…」
ほむら「…は?」
さやか「まどか…なんで転校生までくるのさ」
ほむら「美樹さやかがいるなんて聞いてないわよ?」
まどか「あらやだ。偶然だね!」
さやほむ「いやいや」
まどか「友達同士、仲を深めようよ!ね!」ニコニコ
さやか(なるほど、そういうことか…)
さやか(まどかに相談したのは失敗だったかな…にやにやしちゃってちくしょー)
ほむら「まどか…美樹さやかも一緒なら最初から言ってくれないと」
まどか「まぁまぁ同じクラスの友達なんだから遠慮しないで!ね!」
仁美「くしゅん…」
さやか「トランプ」
まどか「ババ抜き」
ほむら「二人でやるゲームじゃないでしょ…」
さやか「まー飽きてきちゃったね」
まどか「なにしよっかぁー?」
さやか「そういうのは誘ったまどかが用意してくれないと」
まどか「んぅ。ごろごろする?」
さやか「わ、適当」
ほむら「トランプの続きでもやりましょうか…?」チラッ
まどか「ほむらちゃんちょっと遊びたかったでしょ」
ほむら「な、なんのことかしら」ファサッ
ほむら「早く引きなさいよ」
さやか「わかってるよ!これだっ」
まどか「やった。ばばばいばい」
さやか「うぐぁー!」
ほむら「あなたは顔に出るからすぐわかるわね。単純
さやか「う、うっさい!」
さやか(あ…あたしったらまたこんなことを言って…)
さやか「」シュン
ほむら(あら…?もしかして落ち込んでる…?しまったわ…)アタフタ
まどか(やっぱり端から見ると面白いなぁ)オセンベパリパリ
さやか「もう飽きた。どうせ勝てないし…」
まどか「もおさやかちゃんったら。いじけないの」
さやか「いじけてないっ」
ほむら「な、ならじゃんけんとかする?あっちむいてほいとか…」
さやか「え…そんなの面白くないよ」
まどか「てぃひひ、ほむらちゃんったら面白い」
ほむら「ご、ごめんなさい…私友達と遊ぶことなんて滅多にないから…なにをしていいか…」
さやか「…よーし、まどかの部屋でも探索しますか」
まどか「えぇ!?それは勘弁してよ!」
ほむら「楽しそうね…」
まどか「ほむらちゃんまでっ」
まどか「当たり前だよ!ゴミ箱なんだからっ!」
さやか「まどかの鼻かんだティッシュか…!マニアにはいくらで売れるだろうか…」
まどか「きゃあぁっ!?そんな変態さんいないよ!」
ほむら「!まどかのタンスから下着を発見したわ」
まどか「ほむらちゃんー!?」
さやか「どれどれ?…水玉、フリルにしましま…うんうんまどかにぴったりの子供ぱんつだ」
ほむら「五万はいけそうね…いえ、ものによってはもっと…」
まどか「変な考察しないでよぅ!」
ほむら「なにかしら」
さやか「その友達のぱんつを被ることだ!」
ほむら「……!」
さやか「ぱんつとは一番大事なところを守る衣服…」
さやか「そんなぱんつを被ることによりまどかとの心の壁をぶち壊し、より親密な仲になれるんだ」
ほむら「な、なるほど…!じゃああなたもしたのね…?」
さやか「もちろん。あの時はまどかの動物ぱんつを首にひっかけて走り回ったもんさ…」
まどか「こら!嘘ついちゃいけません!」ポコン
さやか「ぐはっ…!」
ほむら「……」ソーッ
まどか「被っちゃいけません!」
まどか「もー…当たり前でしょ?」
ほむら「美樹さやかのせいね…」
さやか「転校生だって楽しかったでしょ?」
ほむら「……」プイン
まどか(んー…さっきは息ぴったりだったのに今はぎこちないや)
まどか(まぁそのうち仲良くなるよね、うん)
さやか「さって…そろそろ夕方になってきたね」
まどか「あははー、夕日がきれいだねー」
さやか「現実逃避はやめて夜ご飯の準備するよまどか」
さやか「3人ならまともなの作れるって」
ほむら「まかせて。きっちり3分計れるわ」
さやか「いやカップラーメンは作らないから」
ほむら「でも私、普段はめんどくさくて家事なんてあんまりやらないわよ」
まどか「私もパパに任せっきりで…」
さやか「女子としてそれはどうなのよ!いやあたしも似たようなもんだけど!」
まどか「こんなとき、家庭的な彼女がほしいよね」
ほむら「ほんとね」
QB「まだかい?マミ」
マミ「もうちょっとよー」
QB「お腹がすいたよ。待ちきれないよ」
ピンポーン
QB「おや?」
マミ「今手が放せないからQBお願い」
QB「やれやれ…すきっ腹に響くから動きたくないんだけどね…」
QB「誰だい?」
杏子「ごはん」
杏子「ご飯食べに来た」
QB「君が食べるご飯はここにはない。帰ることを推奨する」
杏子「うるせー食うぞ」
マミ「あら?佐倉さんじゃない」
杏子「よっ。食いにきたぞ」
マミ「あらあら、二人ぶんしか作ってなかったから…」
QB「そうだ!君は今すぐ帰れ!」
マミ「QBのぶんはキャットフードでいいかしらね」
QB「え…」
マミ「あなた雑食じゃないの」
QB「そうだけど!どうせならマミの心がこもった美味しい料理が食べたいじゃないか!」
杏子「残飯でもくっとけ」
QB「やかましい!僕とマミの時間を邪魔するな!きゅっぷい!」
マミ「QB?あんまりうるさいと押し入れに閉じ込めるわよ?」
QB「そ、そんな!あんまりだよマミ!」
マミ「じゃあいい子にできるわね?」
QB「うぅ…」
杏子「ざまー」
杏子「うっひょー!いただきます!」
QB「僕の分なのに…」
杏子「なに見てんだ。やらねーぞ」
QB「君の施しを受けるつもりはないよ!」プイン
マミ「ふふ。QBこっちきなさい?」
QB「マミ?」
マミ「私と半分こしましょ?」
QB「マミ…きみって子は…!」
マミ「ほらお膝に座ってQB。食べさせてあげる」
QB「マミー!」ピョンッ
マミ「はい、あーん」
QB「きゅぷっ!なんてできた子なんだい。僕は鼻が高いよ」
杏子「鼻ねーじゃん」
まどか「さやかちゃんすごーい」
さやか「材料だけはまともにあったからねぇ…まどかのパパさんのおかげだよ」
ほむら「まぁ人間1つでも取り柄がないとね」
さやか「ほう。あたしには他に取り柄がないと?」
ほむら「あなたの馬鹿さ加減も取り柄と言えば取り柄ね」
さやか「まどか。こいつ全然仲良くする気ねーよ」
まどか「てぃひひ、気軽にからかえるのも仲がいい証拠だよ」
さやか「からかうどころか喧嘩売ってるでしょ…」
ほむら「ナカヨクシマショウミキサヤカ」
さやか「むっかー!」
さやか「だね。いただきまーす」
まどか「まーす!」
ほむら「ほぐほぐ…」
さやか「どう…?」
まどか「おいしい!おいしいよさやかちゃん!」
さやか「はは、まどかも手伝ってくれたしね」
ほむら「…まあまあね」
まどか「もうほむらちゃんったらー素直においしいって言わなきゃ」
ほむら「…じゃあ正直、毎日作りに来てほしいくらいおいしいわ」
さやか「それ自分で作るのめんどくさいだけだろ」
ほむら「どうかしら」
マミ「お粗末様」
杏子「しかしあんたたちはそれしか食わなくて足りんのか?」
QB「誰のせいだと思ってるんだい」
マミ「佐倉さんのが特別多かったのよ」
杏子「そうかぁ?」
マミ「私はそんなに食べないから」
杏子「ダイエットか?」
マミ「そ、そんなことないわよ?」
QB「杏子!マミが気にしていることを言わないでくれ!マミは最近太ったばかりで…」
マミ「QB!お黙り!」
マミ「あら、ゆっくりしてっていいのよ?」
QB「マミ。杏子には杏子の生活があるんだ。関与しちゃいけないよ」
杏子「いいのか?」
マミ「えぇ。なんならお泊まりしてって」
QB「いや、それは逆に迷惑なんじゃないかい?杏子にだって帰る寝床くらい…」
杏子「やった。朝ごはんも食えるぞ」
マミ「…あなたはご飯のことしか考えてないのね」
QB「…………」
さやか「それじゃお風呂でも沸かそっか」
まどか「お願いしゃやかちゃん……くー」コテッ
ほむら「おとと」
さやか「まどかが一番自由だな…かわいいからいいけどさ…転校生まどかお願いね」
ほむら「えぇ」
まどか「ほみゅらちゃんありがとぉ……くー」
ほむら「ふふ」ナデナデ
まどか「んぅ…先入っていいでしゅよ…」
ほむら「駄目よ。このままだと本格的に寝ちゃうわよ?」
まどか「あとごふん…」
さやか「やむおえん。転校生足もって」
ほむら「あなたは腕ね」
さやか「よっこらせ」
まどか「ふにゃー?」フワッ
ほむら「軽いわ、まどか」
まどか「わぁー…私とんでるー…」
ほむら「な、なにやら悪いことしてる気分ね…」ドキドキ
まどか「…くー…」
さやか「よし、せーのっ」
ボチャーン
まどか「ぷふぁっ!?」
さやか「目覚めたー?」
まどか「覚めたよ!お風呂に投げるなんてひどいよ!」
まどか「あ、でもあったかくて気持ちいい…」
ほむら「御風呂の中で寝ちゃダメよ?」
まどか「ふにゃあ」
つか怪我するだろ
ほむら「……手伝う?」
さやか「すぐ終わるしいいや」
ほむら「そう…」
さやか「……」ジャー
ほむら「……」
さやか「……」ジャー
ほむら「……」
さやほむ「あの…」
さやか「な、なに?」
ほむら「あなたこそ…」
ほむら「…用がないなら話しかけないでほしいわね」
さやか「あ、あんたは何の用だったのさ」
ほむら「…………と、特にはないけど…」
さやか「なんだよ!人のこと言えないじゃん!」
ほむら「あ、あんまり大声出すんじゃないわ。余計馬鹿に見えるわよ」
さやか「なにー!?大体あんたはー…」
さやか(おっと…またあたしは余計なことを言うとこだった…こんなだからいつまでたってもなかよくできないんだよ…)
ほむら(あ、あら…?突然黙ってしまったわ…私ったらまた美樹さやかをからかったりして…)
ほむら「え…な、なに?」
さやか「その…あたしって転校生の言う通り馬鹿だし余計な意地張っちゃうし、転校生にとってはうざいかもしれないけどさ…」
さやか「あたし…えっと、前から言おうと思っててさ…」
ほむら「な、なにを…?」
さやか「…な、仲良くしたいなー…なんて…」
ほむら「……」
さやか「……」
ほむら「…ふ、ふくく…」
さやか「…え」
ほむら「ぷっあははは!その自信のなさそうな頼りない顔…!あなたらしくない!」
さやか「な、なんだよー!」
ほむら「ふふ…でも、私も安心したわ」
さやか「え?」
ほむら(私は美樹さやかに嫌われてたわけじゃなかったのね)
ほむら「ふふ、えへへ」
さやか「て、転校生が笑ってる…あの常に仏頂面の転校生が…」
ほむら「ほむら」
さやか「ぅえ?」
ほむら「ほむらって呼びなさい、さやか」
さやか「…!」
さやか「転校生…」
ほむら「ほむら」
さやか「ほ、ほむら…」
ほむら「私ね。あなたをからかうといつも反応してくれたから…少し楽しみだったの」
ほむら「でもあなたが嫌なことはもうしないわ」
さやか「いや…ではないかな…ほむらと話すことといえばいつも悪口ばかりだったし…それがなくなるのはちょっと寂しいし」
ほむら「そう…?ありがとうさやか」
さやか「…うん。えへへ…」
まどか「はにゃあ…」ユッタリ
まどか「…はっ!いけない!私は今二人を仲良くする任務中だったよ!」
まどか「お風呂でまったりなんかしてられない!早く出て二人を…」
まどか「…………」
まどか「あとごふん…」ユッタリ
まどか「へにゃあ…」ユッタリ
QB「どう!だい!?マミ!きも!ちい!かい!?」ピョンピョン
マミ「そこそこ…はぁ…QBのマッサージはいいわねぇ…」
QB「それ!は!よかっ!た!」ピョンピョン
杏子「ふー…極楽だったー…」ポカポカ
マミ「湯加減はどうだったかしら?」
杏子「最高だ。コーヒー牛乳あるー?」
マミ「冷蔵庫よ」
杏子「QBはなにやってんの?新体操?」ゴクゴク
QB「なん!だと!?マミ!を!馬鹿に!するな!」ピョンピョン
QB「たし!かに!マミ!の!せな!かは!トラン!ポリン!みたい!だけど!」ピョンピョン
マミ「QB!お仕置きするわよ!?」
マミ「お布団?なにに使うの?」
杏子「なにって…布団といえば寝るために使うに決まってんだろ」
マミ「ダメよ。佐倉さんは私のベッドで寝るんだからね」
杏子「は?」
QB「マミ!それはよくないよ!杏子なんかどんな病気をもっているか…!」
杏子「ぶっころすぞ」
マミ「あ、そうだ。QB用のお布団敷くわね?」
QB「え…僕もベッドで…」
マミ「ダメ」
マミ「だーめ。うふふ、朝まで佐倉さんは私の妹なんだから」
杏子「なんだよそれ…とにかくあんま抱きつくな…」
マミ「だって佐倉さんあったかいんだもの…抱き枕にぴったりね」
杏子「この…人を枕扱いしやがって…はーなーせー!」
マミ「ぎゅー」
杏子「ふぐ…胸があたんだよ…!」
杏子(はぁ…マミが寝付くまでまつか…)
QB「ひとりでーおやすみー…」
QB「きゅっぷい……」
まどか「もちおんだおー」グテー
さやか「結局お風呂で爆睡…救助に駆けつけたときにはすでにゆでダコだったとさ」
まどか「うぅーもうしわけないー」グテー
ほむら「まどかをベッドまで連れてきたはいいけど、私たちはどこで寝るの?」
まどか「わたしのべっどつかってもらうよていだったんだけどー」グテー
さやか「これじゃあね…」
まどか「うんごめん。おおきめのおふとんしいて。さやかちゃんはばしょわかる?」グテー
さやか「うん。…布団一個しかないけど」
まどか「ふたりでつかってね。てぃひひー」グテー
さやか「…ほむら、寒くない?」
ほむら「えぇ…しかし大きい布団とはいえ狭いわね…」
さやか「一人用だしねぇ…」
ほむら「こんなに近いと…わりと恥ずかしいものね…」
さやか「だね…寝息とかうるさくても笑わないでよ?」
ほむら「笑わない自信はないわ」
さやか「ですよね…あんたはそういうと思ったよ」
ほむら「私のことよくわかってるじゃない」
さやか「…………ま、友達…だからね…」
ほむら「…………」
さやか「だ、黙らないでよ!恥ずかしい!」
ほむら「ふふ…」
さやか「……」
ほむら「…なによ」
さやか「別に…」
ほむら「見るんじゃないわよ」
さやか「あんたを見たわけじゃない」
ほむら「…ぷっ…」
さやか「…あははっ…」
ほむら「…ずっと友達でいてね、さやか」
さやか「うん。こちらこそ」
まどか「むにゃむにゃ」
終わり
ほむら「さやか。朝は私がご飯用意したのだけど…」
さやか「おっ!おいしいじゃん!ほむらはやればできるこだねぇ」
まどか「あれ?二人ともいつのまにこんなに仲良くなったんだろ…」
まどか「でもよかったよかった!私が頑張ったかいがあったね!」エッヘン
ほむら「あ、パンくずがついてるわよ?」
さやか「うそ?とってー」
ほむら「はぁ、しょうがないわね」ヒョイ
さやか「へへ、ありがとぉ」
まどか「…………」
まどか「仲良くなりすぎだよ!私もかまってかまって!」ジタバタ
終わり
おやすみ
Entry ⇒ 2012.04.27 | Category ⇒ まどかマギカSS | Comments (1) | Trackbacks (0)
杏子「突撃!隣町の晩御飯!」
http://hayabusa.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1334319362/
マミ「えっ!?佐倉さん!?」
杏子「美味そうな匂いがしたんで来ちゃったよ」
マミ「えっと、これは、その…」
杏子「さあ今日の晩飯は………」
ジュウジュウ… ジュウウウ…
杏子「一人焼肉…だと…」
マミ「いっいつもこんなもの食べてるんじゃないわよ!?」
杏子「にしたって一人って…一人って…」
マミ「…それ以上は言わないで……」
杏子「呼んでくれたらよかったのに…」
マミ「月に一度の自分へのご褒美なの…」
杏子「…なんか、悪かった。ごめん」
ほむら「あら、杏子何か用?」
杏子「腹が減ったんで来ちゃったよ」
ほむら「困ったわね…」
杏子「さあ今日の晩飯は…」
杏子「『からあげ弁当 表示価格より半額』…?」
ほむら「近くのスーパーで買ってきただけのお弁当よ」
杏子「お前…案外苦労してんだな…」
ほむら「貴女ほどではないわよ…はいこれ」
杏子「いや、もらえねぇよさすがに…」
ほむら「いいのよ、どうせいつも半分残してるんだから」
杏子「いままで犯してきた罪の数を数えろぉ!!」
まどか「あれ?どうしたの杏子ちゃん」
杏子「腹減ってさぁ、なんか食いモンないかい?」
まどか「ちょうどよかった、今からご飯だから一緒に食べよ?」
杏子「さあ今日の晩飯は…」
杏子「…非の打ち所がねぇ」
知久「お褒めに預かり光栄です」ニコッ
まどか「えへへ、パパのご飯美味しいでしょう?」
杏子「こんなに美味い飯を出す家庭を私は他に知らない…」
タツヤ「あかいーあかいー」バタバタ
ガシャンッ
まどか「あーもうタッ君ったら仕方ないなぁ」
杏子「こんなに美味いモンを…この幸せ者がぁぁぁぁぁぁぁ!!」
知久「ちょっちょっと落ち着いて!ね!?」
さやか「よっ、杏子どしたの?」
杏子「さっきまどかの家で飯ご馳走になったんだけどさ、これがめちゃくちゃ美味くってさ!」
さやか「あー、まどかのお父さん料理上手だもんね」
杏子「それでお前のとこの飯と比べに来たんだけど」
さやか「イヤな言い方するな…ようするにまだお腹減ってんでしょ?上がりなよ」
杏子「さあ今日の晩飯は…」
杏子「ごめん、やっぱいいや」
さやか「コラちょっと待て」
杏子「この飯作ったのって…」
さやか「あ・た・し・だ・よ、文句ある?」
杏子「ダメだ、魅力たっぷりだったら腹一杯でもイケると思ったんだけど」
さやか「あんた本当に何しに来たの!?」
恭介「君は…?」
杏子「さやかの友達だ。よかったら飯を恵んでくれねぇかい?」
恭介「へぇ…さやかは顔が広いなぁ、大したもてなしは出来ないけどどうぞ」
杏子「さあ今日の晩飯は…」
杏子「家の建て構えの割にはシンプルっつーか地味っつーか少ねぇっつーか」
恭介「…豪勢な家だからっていつも豪華なものを食べてるとは限らないんだよ?」
杏子「なーんだ、ハズレかよぉ」
恭介「さやかも苦労してるんだな…今度話くらい聞いてあげなきゃな…」
天然女たらしじゃないすかーやだー
仁美「あら、どちら様ですの?」
杏子「さやかとまどかの友達だ、なんか食わせてくれないかい?」
仁美「お二人のご友人…でしたら粗野に扱うわけにも参りませんね、どうぞ」
杏子「さあ今日の晩飯は…」
杏子「…この家は海草しか食べられない呪いでも受けてんのかい?」
仁美「あら、髪の美しさを保つには欠かせない食品ですのよ?」
杏子「そうか…一時期リンゴばっか食べてたもんなぁあたし…」
仁美「人の話を聞いておりますの?」
早乙女「誰かしらあなたは、見滝原中の生徒じゃありませんね?」
杏子「すんません、腹減ってるんでなんか食わせてもらえないですか?」
早乙女「うーん…さすがに見も知りもしない人を家に上げるようでは主婦になれそうもないし…」
杏子「………」スッ
早乙女「ん?なにかしらこれ?」
『女の魅力はここで魅せる! オトす手順完全マスターガイド』
早乙女「…わかってるじゃない、どうぞ」
杏子(ほむらの言うとおりだった…ありがとう)
杏子「さあ今日の晩飯は…」
杏子「嫁入り修行、やり直したほうがいいんじゃねぇの?」
早乙女「ちくしょーーーーーー!!!」
中沢「え?誰?」
杏子「さやかとまどかの友達だ、なんか食いモンくれないかい?」
中沢「美樹さんと鹿目さんの?俺あんまり話したこともないんだけど…」
杏子「どっちでもいいじゃん、話した事あろうとなかろうと」
中沢「まぁそうなんだけど…」
杏子「さあ今日の晩飯は…」
杏子「…リアクション取りづらい……」
中沢「味も濃すぎず薄すぎず、さっぱりしていないけどしつこくもない、凄く不味くも無いけど美味くもないだろ?」
杏子「食いモンがここまで成長に関わるとは…」
中沢「まあそんなこともどっちでもいいよ」
ショウ「…キミだれ?中学生?」
杏子「えーと…口実も思いつかないけど、あたし腹減ってんだ」
ショウ「人の家に上がりこんでそれとは…将来大物になるよきっと」
杏子「お世辞言うなら飯をくれ」
ショウ「そうだな…こんなものしか無いが…」
杏子「さあ今日の晩飯は…」
杏子「なんか腹を満たすだけってカンジの飯だな」ケップ
ショウ「まかない飯だからな、美味い飯は外で女に奢らせてるし」
杏子「飯ぐらいちゃんと作れたほうがいいんじゃねーの?」
ショウ「必要なことに必要なだけ使うだけでも足りないんだ、時間をそんなところに割けるかよ」キリッ
杏子(こいつ…カッコいいこと言ってる自分に酔うタイプか…)
マミ「あら…いらっしゃい、佐倉さん…」
杏子「なんかまだ匂い残ってるなぁ」スンスン
マミ「お願いだから…忘れてちょうだい…」
杏子「忘れてやるからよぉ、お前の手料理食わせてくれよ」
マミ「え?」
杏子「ここ何日か色んなとこで飯食ったけど、やっぱあたしにはマミの飯が一番合うよ」
マミ「佐倉さん…」
杏子「ダメかい?マミ」
マミ「…ううん!今腕によりをかけて作るから待っててね!」
杏子「へへっ…楽しみだ!!」
おわり
単発ネタに付き合ってくれてありがとう
ほのぼのしてて良かった
Entry ⇒ 2012.04.27 | Category ⇒ まどかマギカSS | Comments (0) | Trackbacks (0)
マミ「大好きなお姉ちゃん」
http://hayabusa.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1335088963/
マミ「なあに?」
杏子「マミさんの武器って、ほんとはリボンなんでしょ?」
マミ「うん、そうだよ」
杏子「じゃあ何で鉄砲で戦ってるの?」
マミ「あっ、それはね?お姉ちゃんに教えてもらったからなんだよ」
杏子「えっ?マミさんにお姉ちゃんがいたの?」
マミ「うん、わたしの大切なお姉ちゃんなんだ」
杏子「わぁー。じゃあやっぱりマミさんと似てるんだ?」
杏子「えっ?姉妹なのに?わたしはモモと似てるよ?」
マミ「たしかに、佐倉さん達は似てるし、仲良しだもんね」
杏子「うんっ!わたし、モモが大好きだよ!」
マミ「わたしもお姉ちゃんが大好き!」
マミ「…家族じゃないけど」
杏子「えっ?」
マミ「わたしのお姉ちゃんだよ」
マミ「大好きなお姉ちゃん」
マミ「ほむらお姉ちゃん…!」
ほむら「ここは…?」
ほむら「見たところ、見滝原のようだけど…雰囲気が違うわ」
ほむら「それに目覚めた場所も病院じゃなくて公園…ね」
ほむら「……どうやら、今回はイレギュラーのようね」
ほむら「私の魔法も完璧じゃないのかしら?」
ほむら「…こんなんじゃ…私は本当にまどかを救うことができるの…?」
ほむら「まどか…」
ほむら「!」
A「おーい、2人とも早く早くぅー!」
B「うぅ、まってよぉー」
C「そんなに走ったら危ないですわ」
ほむら「…あの子達は……!」
A「あはは、だいじょーぶ、だいじょ…」
A「きゃっ?」ドテッ
B「あぁっ!だいじょうぶ?」
C「お、お怪我は…?」
ほむら「…」
A「うぅっ…」ウルウル
C「ど、どうしましょう…」
A「ぐすっ…痛くなんかないもん…」
B「で、でも…」
C「えっと…」
ほむら「ちょっといいかしら?」
A「ふぇ…?」
ほむら「…傷、見せてくれる?」
A「う、うん…」
ほむら「ありがとう…少し擦りむいてるようね」
A「うぅっ…」
ほむら「この程度なら少し消毒して…」
ほむら「これで大丈夫よ」
A「あ、ありがとう…!」
ほむら「次からは気をつけなきゃダメだよ?」
A「う、うん!」
ほむら「ふふっ」
C「あ、あの…」
ほむら「ん?」
B「だ、だいじょうぶ…だよね?」
B「ほんと?」
A「お姉ちゃんが治してくれたから、だいじょうぶだよ!」
B「よかった…!」
ほむら「お友だちが心配なの?」
B「うん」
ほむら「ふふっ、優しいんだね」
B「だって、さや」
ほむら「!」
ほむら「ごめんなさい、もう行かなくちゃいけないの」
C「えっ?」
ほむら「ごめんね」
A「あ、あのっ!ありがとう!」
B「お姉ちゃん…」
ほむら「ふふっ、お友だちを大切にしてね」
B「うんっ!」
ほむら「…さようなら」タタッ
B「あっ…」
ほむら(どうやらここは数年前の見滝原のようね)
ほむら(…時間を巻き戻し過ぎた…と言うことかしら?)
ほむら(今までにそんなことはなかったのに…)
ほむら(何で…?)
ほむら(………)
ほむら(…考えるのは後にしましょう)
ほむら(今は魔女を倒さないければ…!)
A「うん!」
B「お名前…聞きたかったなぁ」
A「そうだね……あれ?」
C「どうかなさいました?」
A「お姉ちゃんがくれたハンカチに名前が書いてあるよ!」
B「あっ、ほんとだ!えっと…」
A「…?ひ?うーん…読めない…」
C「これは、私とおなじ漢字ですわ、そしてこちらがお名前ですわね」
A「だねぇ」
B「ほむら…」
B「ほむらお姉ちゃん…!」
ほむら「そう言えば…今の見滝原の魔法少女は誰なのかしら?」
ほむら「…もしかして、巴マミ?」
「ぐすっ…怖いよぉ…」
ほむら「ん?」
「わたしが…ぐすっ…やっつけなきゃいけないのに…」
ほむら「…!」
「怖い…」フルフル
マミ「えっ?」
ほむら「あっ…」
ほむら(間違いない、巴マミだわ…!)
ほむら(こんなに小さいのに、もう魔法少女に…)
マミ「あ、あのっ…」
ほむら「…」
マミ「あ、あなたも…魔法少女…なの?」
ほむら「…そうだよ」
マミ「!!」
ほむら「巴マミ…」
マミ「…わたし、魔女と戦うのが怖くて……」
ほむら「…」
マミ「そ、そのぉ…わたし…ひとりぼっちだし…」
マミ「キュゥべえも会いに来てくれなくて…」
マミ「だから…あの……」
マミ「うぅっ…」
ほむら(…そうよね、この歳でもう巴マミは一人で……)
ほむら(…正直、巴マミのことはあまり好きにはなれなかった)
ほむら(だって、彼女のせいでまどかは…!)
ほむら(……でも)
ほむら(…昔、私を助けてくれたのは、まどか)
ほむら(そして巴マミ…ううん、巴さん…だった)
ほむら(…まどかのことしか考えていなかったけど、私は巴さんにも……)
ほむら(なら、今がその恩返しする時…なのかしら?)
ほむら(…よし)
マミ「えっ?」
ほむら「私が…お姉ちゃんが一緒に戦ってあげるわ」
マミ「あっ…」パアッ
マミ「ほんとう?」
ほむら「うん。だから2人で魔女を倒そう?」
マミ「うんっ!」ニコッ
ほむら「ふふっ」
魔女「〜」
マミ「うぅっ」フルフル
ほむら「大丈夫よ、あなたはここからマスケット銃で攻撃していればいいわ」
マミ「え?」
ほむら「その隙に私が…」
マミ「ますけっとじゅう?」
ほむら「えっ?あなたの武器はマスケット銃でしょう?」
マミ「ううん、違うよ?」
ほむら「…もしかして、リボン?」
マミ「うん!」
ほむら(なるほど…てっきりマスケット銃がメインだと思っていたのだけど)
ほむら(本来の武器はリボンだったのね)
ほむら(それなら…)
魔女「〜!」
マミ「きゃぁっ?」
ほむら「はぁっ!」パァン
魔女「〜」ヨロッ
ほむら「今よ」
ほむら(時間停止)
ほむら「ふぅ…」
マミ「わぁ…!」
マミ「す、すごい…あっという間に倒しちゃった!」
ほむら「…ふふっ、そうだね」
マミ「お姉ちゃんは強いんだね」
ほむら「……そんなことないわよ」
マミ「えっ?でも…簡単にやっつけたし…」
ほむら「…」
マミ「……わたし、まだ一回も魔女をやっつけたことがないの」
マミ「んと……この前」
ほむら「そう…」
ほむら(巴マミはたしか事故で…なら家族はもう…)
ほむら(巴マミはこれから何年も1人で戦い続けて、そして最期は…)
ほむら「っ…」
マミ「?」
ほむら(わたしは…巴マミを少なからず嫌っていたわ……)
ほむら(…だけど彼女だって辛い思いをしてきたのよね?)
ほむら(でも…私とあなたは……)
マミ『飲み込みが悪いのね、見逃してあげるって言ってるの』
マミ『またあなたね、暁美ほむら』
マミ『あなたの言うことを信じられると思って?』
マミ『みんな死ぬしかないじゃない!』
マミ『あなたも…!私もっ!』
―――
ほむら「……っ」
ほむら(巴マミ…私とあなたはすれ違ってばっかりで……)
ほむら(……でも)
―――
マミ『間一髪ってところね』
マミ『私の名前は巴マミ』ニコッ
マミ『まあ!鹿目さんのクラスに転校してきたばっかりなの?』
マミ『私も見滝原中なの、3年生だけどね』クスッ
マミ『ふふっ、遠慮なんていらないわよ?だって私たち』
マミ『お友だちでしょう?』ニコッ
マミ『時間停止…ねぇ。うーん…使い方次第では…』
マミ『ううん、すっごく助かるわ!暁美さんが仲間になってくれるのなら百人力よ!』
マミ『今日から私と鹿目さん、そして暁美さんの3人で頑張りましょう!』
マミ『暁美さんっ!』ドンッ
マミ『きゃぁぁぁっ!』
マミ『だい…じょうぶ…?ふふ…よか…た…』
マミ『ほむ…ら…さ…は…たい…せつな…おと…も…』
マミ『だ…ち………』ニコ
―――
ほむら(………)
ほむら(他にも私は巴さんに何度も助けてもらったわ)
ほむら(私を助けてくれたのは、まどかだけじゃない…)
ほむら(そう…わかってるはずなのに、私は…彼女に冷たくしてしまって……)
マミ「――――ん」
ほむら「…」
マミ「お姉ちゃん?」
ほむら「!」ハッ
ほむら「…なあに?」
マミ「わ、わたしっ!その…助けてくれたお礼がしたくって…」
ほむら「…」
マミ「まだお料理上手じゃないけど…お礼がしたくって…」
マミ「ダメ…ですか?」
ほむら(巴マミ…あなたは……)
ほむら「…」
ほむら「…いいよ」
マミ「あっ…!」
ほむら「よろしくね」ニコ
マミ「うんっ!」パアッ
マミホーム
マミ「ど、どうぞ!」
ほむら「おじゃまします」
ほむら(懐かしいな…何度も紅茶とケーキをご馳走になったっけ)
ほむら(でもそれは昔の話…最近は……)
ほむら「………」
ほむら「うん、知ってるよ」
マミ「えっ?」
ほむら「あっ…いや、ふふっ」
マミ「?」
ほむら「…私の名前は暁美ほむらだよ」
マミ「あけみほむら…じゃあ、ほむらお姉ちゃんだね!」
ほむら「…うん」クスッ
ほむら「じゃああなたは……マミちゃん、かしら?」
マミ「わぁ…!うんっ!」
マミ「あ、あのっ…紅茶…飲みますか?」
ほむら「うん、お願いするね」
マミ「じゃあ、持ってくるね」タタッ
ほむら「…マミちゃん、か」クスッ
ほむら(今は昔のことを考えるのはやめましょう)
ほむら(今は巴マミに…マミちゃんに恩返しすることを考えなくちゃ)
マミ「はい、どうぞ」
ほむら「ありがとう、いただくわ」
マミ「うん!」
マミ「よかった…」
マミ「あっ!ケーキもあるよ!持ってくるね!」タタッ
ほむら「ふふっ」クスッ
ほむら(可愛いわね)
カシャン
マミ「きゃっ?」
ほむら「あら…?」
マミ「ぐすっ…」
マミ「うん…でも、ケーキが……」
ほむら「…落っことしちゃったのね」
マミ「うぅっ…頑張って作ったのに…」
ほむら「えっ?手作り…なの?」
マミ「うん…キュゥべえが遊びに来た時にあげようって頑張っての」
マミ「なのに…」ウルウル
ほむら「……大丈夫だよ」
ほむら「ふふっ、おいしい」ペロッ
マミ「あっ…き、汚いよ!」
ほむら「…そうだね、じゃあ新しく作ろっか」
マミ「え?」
ほむら「お姉ちゃんと一緒に、ね?」
マミ「お姉ちゃん…!」
ほむら「2人でケーキ作ろうね」
マミ「う、うんっ!準備するね!」
ほむら「私も手伝うわ」
マミ「ありがとう」
マミ「お姉ちゃんもケーキ作れるんだね」
ほむら「うん、昔教えてもらったんだ」
マミ「誰に?お母さん?」
ほむら「ううん…好きだった先輩…お友だちに、かな」
ほむら(巴さん…)
マミ「好きだった?今は好きじゃないの?」
ほむら「…ふふ、どうなのかな」
ほむら(巴マミ…)
ほむら「…ほら、作ろう?」
マミ「…うん!」
マミ「できた…!」
ほむら「美味しそうに作れたね」
マミ「うんっ、じゃあお皿持ってくるね」
ほむら「うん」
ほむら(…思い返せば、私は巴さんにいろんな思い出をもらったわ)
ほむら(ケーキ作りの他にも、私とまどかと3人で一緒にたくさん…)
ほむら(なのに…何時から敵対してしまうようになったのかしら…?)
ほむら(本当は敵対なんてしたくないのに…)
ほむら「巴さん…」
マミ「えっ?」
ほむら「あ、いえ…何も…」
マミ「お姉ちゃん?」
ほむら「…美味しそうだね、食べよっか」
マミ「うん!」
ほむら(…マミちゃん、私…今度は頑張るから)
―――
ほむら「ごちそうさまでした。凄く美味しかったわ」
マミ「てへへ、よかった」
ほむら「ふふっ」
マミ「大丈夫だったら、もっとお話したいなぁ…って」
ほむら「…うん、大丈夫だよ」
マミ「ほんと?やった!」
ほむら「何でも話して?遠慮はいらないから」
マミ「ありがとう!その…魔法少女のことでお話があるの」
ほむら「魔法少女の…わかったわ、話して?」
マミ「うん、わたし…魔法少女なのに、魔女がすごく怖くって…」
ほむら「…」
マミ「わたしが見滝原を守らなきゃいけないって…」
マミ「だから…わたしが魔女をやっつけなきゃいけないのに…」
マミ「怖くって…寂しくて…」ウルウル
ほむら「マミちゃん…」
マミ「学校じゃ誰にも話せないし…ううん、話したらバカにされちゃって…」
マミ「魔法少女や魔女なんているわけないって…ほんとはいるのに…」
ほむら「…」
マミ「だから学校も楽しくなくて…でも家に帰っても…」
マミ「お父さんも…お母さんも…うぅ」ウルウル
マミ「うぅっ…ぐすっ…」
ほむら「マミちゃん…」ギュッ
マミ「お姉ちゃ…お姉ちゃんっ…お姉ちゃぁぁぁん…」
マミ「わたし…寂しよぉ…ひとりぼっちは嫌だよぉ…」
マミ「ぐすっ…うわぁぁぁぁんっ」
ほむら「……マミちゃん」
マミ「すぅ…すぅ…」
ほむら「…」ナデナデ
ほむら(泣きつかれて眠っちゃった)
ほむら(…そうよね、家族もいないのにずっと一人で…)
ほむら(背負うものが大きすぎる…)
ほむら(どの時間軸の巴マミもみんなこの子と同じなのよね…)
ほむら(…たしかに、まどかや美樹さやかを仲間にしたくなるわけだわ)
ほむら(私は…どうすれば良かったのかしら?)
ほむら(巴マミをひとりぼっちにしないで、寂しい思いをさせない方法は…?)
ほむら(……そうだわ!)
マミ「ん…」パチッ
マミ「んん…あれ?わたし…」
マミ「あっ!お姉ちゃん!ほむらお姉ちゃんは?」
マミ「お姉ちゃんっ…」キョロキョロ
マミ「いない…」
マミ「ほむらお姉ちゃん…」グスン
マミ「もう夜だから帰っちゃったのかな?」
マミ「またひとりぼっち…」
グツグツ
ほむら「〜♪」
マミ「お姉ちゃん…?お姉ちゃんっ!」
ほむら「あら、おはよう」
マミ「お姉ちゃん…帰ってなかったんだ!」
ほむら「うん、あのね?マミちゃんにお願いがあるの」
マミ「お願い?」
ほむら「お姉ちゃん、マミちゃんと一緒に暮らしたいの」
マミ「えっ?えぇっ?」
ほむら「ダメかな?」
ほむら「うん」ニコッ
マミ「わぁ…!」
マミ「わたし…ひとりでご飯食べなくてもいいの?」
ほむら「うん」
マミ「ひとりでお風呂に入らなくてもいいの?」
ほむら「うん」
マミ「ひとりで眠らなくてもいいの?」
ほむら「うん」
マミ「わたし…もう、ひとりぼっちじゃないの?」
ほむら「うん…!」
ほむら「ふふっ、今夕食作ってるから、2人で食べようね」
マミ「うんっ!」
ほむら(私は決めたわ)
ほむら(なぜこの時間軸に来たのかはわからない…)
ほむら(でも、1ヶ月もすればまた時間を巻き戻せるはずよ)
ほむら(ならこの1ヶ月で何をするか…これが今の私の道標)
ほむら(そしてその道標が、巴マミに…マミちゃんに恩返しをすることよ)
ほむら(私がこの子をひとりぼっちにならないようにしなきゃ)
ほむら(せめて…この時間軸の巴マミにだけでも、一人で辛い思いはさせたくないから…!)
ほむら「おそまつさまでした」
マミ「あ、あのっ!凄く美味しかったです!」
ほむら「そう、よかった。ありがとう」
ほむら(あの時とは逆ね…あの時は私がご馳走してもらったから)
ほむら「さて、次はお風呂にしましょう?もう準備はできているわ」
マミ「うん」
ほむら「私は後から入るから、マミちゃんは先に入ってて?」
マミ「あっ…」
マミ「あ、あの…えっと…」
ほむら「どうしたの?」
マミ「い、一緒に…」
ほむら「えっ?」
マミ「な、何でもないです!」タタッ
ほむら「…何だったのかしら?」
ほむら「まあ、いいわ…早く食器を洗わなきゃ」
ほむら「…」カチャカチャ
マミ「…」ソーッ
マミ「ほ、ほむらお姉ちゃんっ!」
ほむら「うん」
マミ「あのっ…わたしと一緒に…」モジモジ
ほむら「ん?」
マミ「わたしと一緒にお風呂に入ってください!」
ほむら「えっ?」
マミ「うぅ…」
チャポン
マミ「てへへ、ありがとう。お姉ちゃん」
ほむら「うん」
ほむら(ま、まさか誰かと2人っきりでお風呂に入る日が来るなんて…)
ほむら(ま、まぁ…相手は小学生だし…大丈夫よね?)
マミ「…やっぱりこの歳で誰かとお風呂に入るのは変かな?」
マミ「お友だちはみんな一人で入ってるって言ってるの…」
ほむら「…」
マミ「わたしは…まだお母さんと一緒に入ってたのに…」
ほむら「マミちゃん…」
マミ「お姉ちゃん…わたしっ…」
ほむら「…大丈夫だよ、私も…お姉ちゃんも、お母さんと一緒に入ってたから」
マミ「えっ?ほんとに?」
ほむら「う、うん」
ほむら(しかも割りと最近まで…)
ほむら(もう中学生なのに、ハンカチに名前書いたりして…過保護なのかしら?)
ほむら(も、もちろん魔法少女になる前の話よ!)
ほむら(お母さん…元気にしてるかな?)
ほむら「…」
ほむら「…ふふっ、そうだね」
ほむら(ただ…)
ほむら「…」ジィー
マミ「?」
ほむら「…」チラッ
ほむら(負けた…まだ小学生なのに…)
ほむら「不公平よ…」ショボン
マミ「お姉ちゃん…?」キョトン
―――
マミ「わたしがこっちで、お姉ちゃんがこっちだよ!」
ほむら「ふふ、はいはい」
マミ「てへへ、寝よっ?」
ほむら「うん」
ほむら(今度は一緒に寝よう…か)
ほむら(お風呂といい…意外と年齢の割りには幼いのね)
ほむら(いえ…私の中のイメージがお姉さんで固まってるからなのかしら?)
ほむら(まだ小学生…だものね)
ほむら(マミちゃん…)
ほむら「ん?」
マミ「ほんとに…ほんとに一緒に暮らしてくれるの?」
マミ「お姉ちゃんは何処にも行ったりしない?」
ほむら「うん、大丈夫。お姉ちゃんは何処にも行かないから」
ほむら(この1ヶ月は、ね…)
マミ「キュゥべえはいなくなっちゃったから…わたし、怖くて」
マミ「たぶんキュゥべえはわたしが弱いから…泣き虫だからわたしを嫌いになっちゃって…」
マミ「いなくなっちゃったんだと思うの…」
ほむら「……」
ほむら(キュゥべえまでいないとなると、本当にマミちゃんはひとりぼっち…か)
ほむら(なら私が…!)
ほむら「大丈夫…大丈夫だから」
マミ「お姉ちゃん…」
ほむら「だから今は安心して?」
マミ「…うん」
ほむら「さぁ、眠りましょう?」
ほむら「うん、おやすみ」
マミ「…すぅ…すぅ…」
ほむら「…ごめんなさい、私も何時までも一緒にはいられないわ」
ほむら「でも…」
マミ「ん…」ギュッ
ほむら「あっ」
マミ「いか…ないで…」ムニャムニャ
ほむら「…うん、私は…お姉ちゃんは出来る限りのことはするからね」
ほむら「マミちゃん…!」
マミ「ただいま!お姉ちゃん!」
ほむら「おかえりなさい」
マミ「てへへ、久しぶりに『おかえりなさい』してもらった!」
ほむら「ふふっ、学校は楽しかった?」
マミ「……」フルフル
ほむら「マミちゃん…」
マミ「だって…魔法少女のこと話してから…みんなバカにするから…」
ほむら(そう…よね…普通ならあり得ない話だもの)
マミ「えっ?いいの?」
ほむら「もちろんよ、ついてきて?」
マミ「うんっ!」
公園
マミ「ねえ、何するの?」
ほむら「ふふ、ちょっとね」
ほむら(私の勘がただしければ…)
ほむら(来た!)
A「2人ともおそーい!」
B「まってよぉー」
C「また転んでしまいますわよ?」
A「だいじょーぶ!」
ほむら「ふふっ」
マミ「仲良さそう…いいなぁ…」
ほむら「マミちゃん、ちょっと待っててね」
マミ「?」
A「あっ、昨日の…」
B「ほむらお姉ちゃん!」
ほむら「!」
ほむら(何で名前を?)
C「こんにちは」ペコッ
ほむら「ふふっ、こんにちは」
マミ「お姉ちゃん……」
A「お姉ちゃん、昨日はありがとう!ハンカチは今度返すね!」
ほむら「うん、ありがとう」
ほむら(そういえばあのハンカチにも名前が…ちょっと恥ずかしいわね)
ほむら(だから名前もわかったのね?)
ほむら「うん、今日は遊びにきたの」
ほむら(そして…)
A「ほんと?やったぁ!」
ほむら「ふふっ」
A「あっ、そうだ!自己紹介しなきゃ!」
さやか「あたしはさやか!みきさやか!」
まどか「わ、わたし、鹿目まどか…!」
仁美「志筑仁美です。よろしくお願いします」
ほむら「私は暁美ほむら」
ほむら「そして…」ゴニョゴニョ
ほむら「いい?」
まどか「うん…!」
さやか「うん!わかったー!」
マミ「…」オロオロ
ほむら「マミちゃん、おいで」
マミ「あ、あのっ…」
さやか「あっ、学校で見たことあるー!」
ほむら「マミちゃん、この子たちに自己紹介して?」
マミ「えっ?」
マミ「え?あっ…」
さやか「別のクラスの子かな?遊ぼうよ」
まどか「い、一緒に遊ぼ?」
仁美「よろしくお願いしますわ」
マミ「あ…遊んでくれるの?」
さやか「うん!」
まどか「わ、わたしなんかで良かったら…」
仁美「ふふ」
マミ「あっ、えと…と、巴マミ…です!よ…よろしくね…!」
まどか「よろしくね…!」
マミ「あ、ありがとう!」
ほむら「よかったね」
マミ「うんっ!」
仁美「お姉さんも一緒に遊びましょう?」
ほむら「えっ?」
まどか「あ、あの!ほむらお姉ちゃんも一緒に遊んでくれたら」
まどか「それはとっても嬉しいなって…!」
まどか「わぁ…!やったぁ!」
ほむら「ふふっ」
ほむら(まどか…!)
さやか「マミちゃん、こっちだよー!」タタッ
マミ「あっ、まって…!」タタッ
ほむら(うん、そうよ…いっそのこと、この時点でこの子達を仲良くさせておけば良いんだわ)
ほむら(まだ、まどかに因果はないはず…だからキュゥべえにだって…)
ほむら(これは賭けよ…もしかしたら逆効果かもしれない)
ほむら(でも、私はマミちゃんに賭けるわ)
ほむら(マミちゃん…!)
さやか「今日は楽しかったねぇ!」
マミ「うん!」
仁美「また明日も遊びましょう?」
マミ「うんっ!」
まどか「ほむらお姉ちゃんもまた遊ぼ?」
ほむら「ふふ。うん、いいよ」
まどか「わーい」
さやか「今日はありがと!帰るねー!」
仁美「さようなら」ペコッ
まどか「それじゃ、またね!ばいばい!」
マミ「ば、ばいばい!またね…!」
ほむら「どう?楽しかった?」
マミ「うん!すっごく楽しかった…!」
ほむら「そっか、よかった」クスッ
マミ「明日も楽しみだなぁ」
ほむら「ふふっ」
マミ「あっ…!」
ほむら「!」
マミ「お姉ちゃん…」オロオロ
ほむら「魔女…ね」
ほむら「大丈夫よ、マミちゃんは強いわ」
マミ「そんな…わたし、怖くて何もできないよ?」
ほむら「ううん、マミちゃんの射撃の腕は私以上よ?」
マミ「えっ?」
ほむら「ついてきて?」
―――
ほむら「私から離れないでね?」
ほむら(時間停止!)
魔女「」
マミ「わわ?止まっちゃった?」
マミ「す、すごい…!わたしはリボンだもん…」
ほむら「ううん、リボンだけじゃないよ?」
マミ「えっ?でもっ…」
ほむら「これが何かわかる?」
マミ「んーと…鉄砲?」
ほむら「うん、まぁ…そんな感じね。これはマスケット銃って言うのよ」
マミ「ますけっとじゅう…」
ほむら「…これは私が先輩…お友だちから貰った御守りでもあるの」
マミ「おまもり?」
ほむら「うん」
マミ『爆弾が危ない…か。まぁ美樹さんの言うことも分からなくはないわ』
マミ『あっ!ち、違うの!何も暁美さんを否定してるわけじゃないわ!』
マミ『うふふっ。当然よ、だって暁美さんは大切なお友だちだもの』
マミ『…ねぇ、もし良かったらこれを使ってみない?』
マミ『私のマスケット銃よ!』
マミ『あっ…でも、一発しか撃てないのよね…』
マミ『えっ?御守りに?ふふっ、ありがとう』
マミ『私が射撃のレッスンをしてあげるわ』
マミ『大丈夫、暁美さんはセンスあるから』クスッ
―――
ほむら(…だから、今度は私の番。私がマミちゃんにレッスンする番よ)
マミ「このますけっとじゅうをどうするの?」
ほむら「ふふ、マミちゃんの魔法でマスケット銃を作るの」
マミ「えぇっ?」
ほむら「ほら、祈ってみて?」
マミ「ん、んっと…」
マミ「わぁっ、でたっ!」パッ
ほむら「ほらね、言ったでしょう?」
マミ「う、うんっ!」
ほむら「いい?マミちゃん、両手で持って、よーく狙うの」
マミ「こ、こうかな?」
ほむら「そうそう、上手よ」
マミ「てへへ…」
ほむら「さて、私もバズーカで…マミちゃんから離れないようにしてね」チャキッ
マミ「お姉ちゃん!」
ほむら「ん?」
マミ「お姉ちゃんの必殺技ってあるの?」キラキラ
ほむら「…え?」
ほむら「あはは…えーと…」
ほむら(な、ないわよ!大体必殺技を作ってる魔法少女なんて私は1人しか知らないわ)
マミ「…ないの?」
ほむら「えっと…ほ、ほむほむバズーカ!」
マミ「え……」
ほむら「い、いいから早く攻撃するのよ!」
マミ「う、うん!」
―――
マミ「や、やった!やっつけた!」
ほむら「頑張ったわね」
マミ「うん…これなら戦えるよ」
ほむら「次からも頑張ろうね」
マミ「うんっ!」
マミ「お姉ちゃんも、もっとカッコいい必殺技作ろうね?」
ほむら「な、なによ!別にいいじゃない!」
マミ「てへへ、ごめんなさい」
ほむら「もう…」
ほむら「…」クスッ
マミ「お姉ちゃん」
ほむら「ん?」
マミ「ありがとう、お姉ちゃんが来てくれて、ほんとに…」
マミ「ほんとによかったの、嬉しいの…!」
ほむら「マミちゃん…」
マミ「ほむらお姉ちゃん、ほんとにありがとう」
マミ「大好きっ!」ニコッ
ほむら「…私もだよ」
ほむら「マミちゃん」ニコッ
マミ「てへへっ」
ほむら「ふふっ」
ほむら(もうすぐ1ヶ月になるわね)
ほむら(そろそろ、私も本来の時間軸に帰る時…か)
ほむら(マミちゃんにどう別れを告げるか悩んだまま…)
ほむら(結局、今日まで過ごしてしまったわ…)
ほむら「…」
マミ「お姉ちゃん、どうしたの?元気ないよ?」
ほむら「マミちゃん…」
ほむら(一緒に起きて、朝ごはん食べて)
ほむら(マミちゃんを学校に送って)
ほむら(帰ってきたら、まどかちゃん達と一緒に遊んで…)
ほむら(魔女も2人で倒したわ)
ほむら(いつの間にか、ティロ・フィナーレを使い出したのには驚いたけどね)
ほむら(小さくても、やっぱりマミちゃんは巴マミなのね)
ほむら(その後はやっぱり2人でお風呂に入って)
ほむら(そして一緒に眠るのよね)
ほむら(まるで本物の姉妹みたいね)
ほむら(…忘れていた大切な何かを思いだせた気がするわ)
ほむら(マミちゃんを助けるつもりでいたけど)
ほむら(案外、助けられていたのは私…なのかもね)
ほむら「…ねえマミちゃん、学校楽しい?」
マミ「うん!」
ほむら「…!」
マミ「だって学校には、さやかちゃん、まどかちゃん、仁美ちゃんがいるもん!」
マミ「それに、クラスのお友だちともまた仲良くなれたの!」
ほむら「…そう、よかった」
マミ「てへへ、今は毎日が楽しいよ」
マミ「学校も楽しいし、家に帰ったらほむらお姉ちゃんが待っててくれるんだもん」
ほむら「マミちゃん…」
ほむら「…」
マミ「これからも、ずっと一緒にいてね!」
ほむら「マミ…ちゃん…」
マミ「てへへっ」
ほむら「っ…」
マミ「…お姉ちゃん?」
ほむら「ごめんね?」
マミ「えっ?」
ほむら「お姉ちゃん…そろそろ行かなきゃ」
マミ「…え?」
ほむら「……」
マミ「う…うそ?うそだよね?」
ほむら「…ごめんなさい」
マミ「だって!お姉ちゃんは何処にも行かないって言ってくれたのに…!」
ほむら「マミちゃん…」
マミ「なのに…なんで…?」
ほむら「…」
マミ「また…ひとりぼっちになっちゃうの?」
マミ「嫌だよ…寂しいよぉ…」
ほむら「……ごめんね」
マミ「行かないで…」
マミ「わたしを1人にしないで…!」
マミ「何でもするから!良い子にするから!」
マミ「ひとりぼっちはもう嫌…」
ほむら「…マミちゃんはひとりぼっちじゃないよ」
マミ「えっ?」
ほむら「だって、まどかちゃんやさやかちゃん、仁美ちゃん」
ほむら「それにクラスにもお友だちがいるでしょ?」
マミ「それは…でも違うもん!」
マミ「ほむらお姉ちゃんは1人しかいないもん!」
ほむら「マミ…ちゃん…」
マミ「お姉ちゃんっ!」ダキッ
ほむら「…」
マミ「お願い…行かないで…!」
ほむら「…ね、お姉ちゃんのお話、聞いてくれる?」
マミ「うん…聞くから…だから行かないで…!」
ほむら「……ありがとう、話すね」
マミ「お姉ちゃんっ…」
ほむら「マミちゃん…私ね?」
ほむら「お姉ちゃんはね?」
マミ「うん…」
ほむら「未来から来たんだよ…!」
マミ「えっ…未来…?」
ほむら「うん…」
ほむら「マミちゃん…あなたに会うためにここにやってきたんだよ」
マミ「わたしに会うために…?」
ほむら「うん、マミちゃん…あなたとの出会いをやり直すために、ね」
マミ「えっ…?」
ほむら「きっと…長いループの間にできた、私とあなたとのすれ違いを治すために」
ほむら「あなたとの出会いをやり直すために、仲良くなるために」
ほむら「私はここに来たんだと思うの」
ほむら「きっと、何処かの優しい神様が私を助けてくれたのかな」
マミ「お姉ちゃん…?」
ほむら「憧れの先輩だった」
マミ「…」
ほむら「でも…いつの間にか、あなたと私はすれ違うようになって…」
ほむら「いつの間にか、友だちどころか…仲間でもなくなって…」
ほむら「互いに敵対視するようになって…」
ほむら「本当は嫌だったの!私だってあなたとは仲間でいたかった!」
ほむら「友だちでいたかった…なのに…」
ほむら「私はっ…」
マミ「ほむらお姉ちゃん…」
ほむら「私はただ、まどかを…ううん、みんなを不運から助けたいだけなのに…」
ほむら「助けるどころか…誰一人守れなくて…」
ほむら「結局、何度も繰り返して…」
ほむら「私はどうすればよかったの?わからない…」
ほむら「わからないよっ…」
マミ「…」
ほむら「気づけば私はひとりぼっちで…友だちもいなくて…」
ほむら「寂しかった…みんなと仲良くしたかった…」
ほむら「でも…もう元には戻れないのよ…」
ほむら「マミちゃん…」
マミ「わたしは…マミは、ほむらお姉ちゃんのお友だちだよ?」
ほむら「…!」
マミ「わたし、お姉ちゃんと会えてほんとによかったよ!」
マミ「だって、あなたは…」
マミ「大好きなお姉ちゃん」
マミ「だから…!」
マミ「お姉ちゃんは…未来のわたしと会ったことがあるんだね」
ほむら「…うん」
マミ「じゃあ、お姉ちゃんが帰っても…また、会えるよね!」
ほむら「えっ?」
マミ「あと何年なのかはわかんないけど…でも!」
マミ「わたし、ずっと待ってるから!」
マミ「6年生になっても、中学生になっても!」
マミ「ずっと…ずっと!」
ほむら「マミちゃん…」
マミ「だから泣かないで?」
マミ「大丈夫…わたしは待ってるから」
マミ「だって、お姉ちゃんはわたしの大切なお姉ちゃんだもん!」
ほむら「―!」
―――
マミ『ほら、暁美さん…泣かないで?』
マミ『うふふっ。世話のやける後輩ね』
マミ『でも大丈夫、私はずっとあなたと一緒にいるわ』
マミ『だって私たち、お友だちでしょ?』
―――
マミ「えっ?」
ほむら「巴さん…巴さんっ…!」
マミ「…お姉ちゃん」
ほむら「ごめんなさい…私はあなたに…」
マミ「大丈夫、大丈夫だから」
マミ「わたしは何時までもお姉ちゃんの味方だよ?」
ほむら「巴さん…」
マミ「お姉ちゃん…」ギュッ
ほむら「あっ…」
マミ「わたし、とっても楽しかったよ」
ほむら「マミ…ちゃん…」
マミ「…ねえ、また会えるよね?」
マミ「ずっとずっと…何時までも待ってるから」
マミ「だからお姉ちゃん…また会いに来てね?」
ほむら「マミちゃん…」
マミ「ね?」
ほむら「うんっ…」
ほむら「うん…」
マミ「また一緒にお風呂に入ろうね?」
ほむら「うん…」
マミ「また一緒に眠ろうね?」
ほむら「うん…」
マミ「そしてまた、一緒に暮らそう?」
ほむら「うん…!」
マミ「てへへ、やったぁ」
ほむら「マミちゃん…」
マミ「…お姉ちゃん」
ほむら「慰めるつもりが逆に慰められちゃって」
ほむら「やっぱり…あなたは私の憧れの先輩なのね」
マミ「てへへ、そんなこないよ」
ほむら「…うん、約束するわ」
ほむら「いつか必ずマミちゃんに会いに行くわ」
ほむら「絶対に、ね?」
マミ「うん!」
マミ「んと…」
ほむら「?」
マミ「お姉ちゃんに、これあげるね」
ほむら「マミちゃんの髪飾り…?」
マミ「うん、お母さんが誕生日に買ってくれた、わたしの宝物だよ」
ほむら「えっ?なら貰うわけにわわ…」
マミ「ううん、宝物だからお姉ちゃんに貰って欲しいの」
ほむら「マミちゃん…」
マミ「それをわたしだと思ってつけてくれたら嬉しいな」
マミ「てへへっ」
ほむら「これをつけてマミちゃんに会いに行くね」
マミ「うん、約束だよ」
ほむら「うん、約束するね」
マミ「てへへ…お姉ちゃん」
マミ「わたしは何時でも何処にいてもお姉ちゃんなことが大好きだからね」
ほむら「ありがとう、マミちゃん」
ほむら「私もマミちゃんが大好きよ」
マミ「てへへっ」ニコッ
ほむら「ふふっ」ニコッ
―――
ほむら「…」パチッ
ほむら「…何時も通りの病院ね」
ほむら「あれは夢だったのかしら?」
ほむら「それとも…?」
ほむら「!」
ほむら「いや、夢じゃないわ」
ほむら「これを付けて行かなきゃね」
ほむら「マミちゃんに会いに…!」
ほむら「…ついたわ」
ほむら「ふふっ」
ほむら(私の帰りが遅かった時は、あの子が出迎えてくれたのよね)
―――
マミ『お姉ちゃん、おかえりなさい!』
マミ『今日はわたしがご飯作ったんだよ』
マミ『わぁ?ケーキだぁ!いいの?ありがとう!』
マミ『てへへ、美味しいね』
マミ『お姉ちゃん大好きっ!』
―――
ほむら「…でも、この時間軸の巴マミがマミちゃんである確率は低い…わよね?」
ほむら「そうだったとしても、私はもう彼女と敵対したくない…」
ほむら「できれば仲間でいてほしい」
ほむら「また、お友だちって言ってほしい」
ほむら「だから…」
ポスッ
ほむら「?」
ほむら「!」
ほむら(巴マミ…!)
ほむら(荷物を落として…どうしたのかしら?)
ほむら(…私が部屋の前に立ってるから驚いたの?)
ほむら(今は私服だから見滝原中の生徒かもわからないだろうし)
ほむら(まあ…知らない人がそうしていれば驚くのは無理もないわよね)
ほむら(自己紹介…しようかしら)
マミ「ほむら…お姉ちゃん…?」
ほむら「えっ?」
マミ「お姉ちゃん…ほむらお姉ちゃん何だよね…?」
ほむら「まさか…あなたは…」
マミ「私の髪飾り、約束通り付けてきてくれたのね!」
ほむら「マミちゃん…?」
マミ「ええ!私よ…!」
マミ「ほむらお姉ちゃん!」
ほむら「マミちゃん!」
マミ「本当に帰ってきてくれたのね?」
ほむら「ええ…!」
マミ「嬉しい…本当に嬉しいわ!」
ほむら「ごめんなさい…何年も待たせてしまって」
マミ「うふふっ。今じゃ私の方がお姉ちゃんね」
ほむら「ふふ、そうね」
マミ「ねえ…なら、ほむらちゃん。って呼んでいいかしら?」
ほむら「うん、あなたの好きにして構わないわ」
マミ「てへへ、じゃあ遠慮なく」
マミ「ほむらちゃんっ」
ほむら「ふふっ」
ほむら「ええ、もちろんよ」
マミ「ふふ、ありがとう」
マミ「あの後…ほむらちゃんが帰った後もね?」
マミ「私、まどかちゃんやさやかちゃんと毎日遊んだの」
ほむら「そう…!」
マミ「今も3人とは仲良しなのよ?よく遊びに出掛けるわ」
ほむら「よかった…」
マミ「ふふっ、これもあの時ほむらちゃんがいてくれたからなのよね」
ほむら「ええ。でも、その後も仲好くいられたのはあなたの力よ」
マミ「ふふ、そうかしら?」
マミ「…うん!」
ほむら「ふふっ」
マミ「あっ、魔法少女のお友だちもできたのよ!」
マミ「佐倉杏子ちゃん。って言うの」
マミ「彼女もとっても素敵なお友だちよ」
ほむら「そっか」
ほむら(佐倉杏子とも良い関係のままていられたようね)
ほむら(よかった…!)
ほむら「うん、そうね」
ほむら(私、この子を…マミちゃんを少しは助けることができたのよね?)
マミ「私、こんなに仲良しなお友だちができて本当に嬉しいの」
ほむら「ふふっ、よかったわね」
マミ「でも、一番嬉しいのは…」
ほむら「?」
マミ「また、あなたと会えたことなの!」
ほむら「マミ…ちゃん…」
マミ「ずっと…ずっと待ってたんだから…」
マミ「会いたかった…やっぱり寂しかった…」
ほむら「…」
マミ「…今じゃ私の方が歳上だけど…でも」
マミ「やっぱり…ほむらちゃん、あなたはお姉ちゃんだよ」
マミ「私の大切なお姉ちゃん…!」
ほむら「マミちゃん…」
マミ「それに魔法少女だって、杏子ちゃんがいてくれるわ」
マミ「でも…やっぱり寂しかった…」
マミ「だって、あなたは私のお姉ちゃんだから…!」
ほむら「…そっか」
ほむら「ごめんね…遅くなっちゃって…」
マミ「ううん、いいの」
マミ「だって…今また、こうして一緒にいられるんだから…!」
ほむら「マミちゃん…!」
ほむら「うん、ただいま…!」ニコッ
マミ「てへへ、やっぱり嬉しいな…」
ほむら「そうだね」
マミ「あっ、そうだ!美味しい紅茶とケーキの用意をしなきゃ」
マミ「待っててね」タタッ
ほむら「…ふふっ」
ほむら(やっぱり彼女はマミちゃんなのね)
ほむら(私…帰ってきたんだ)
ほむら(私とマミちゃんが2人で過ごしたここに…!)
マミ「きゃっ?」
ほむら「あら…?」
マミ「…またやっちゃった」
ほむら「大丈夫?怪我はない?」
マミ「うん…でも、ケーキが…」
ほむら「ふふっ、ならまた作りましょう?」
マミ「…うん!」
ほむら「ふふっ、大きくなっても変わってないのね」
マミ「てへへ…」
ほむら「できたわね」
マミ「あっ、最後にこれを書かせて?」
ほむら「?…いいわよ」
マミ「ふふっ、ありがとう」
マミ「…よーし、完成ね」
ほむら「これは…?」
ほむらお姉ちゃんへ
おかえりなさい
ほむら「マミちゃん…」
マミ「うふふっ」
マミちゃんへ
ただいま
マミ「…ありがとう!」
ほむら「ふふっ。さ、食べましょう?」
マミ「うん!」
マミ「……」
ほむら「どうしたの?」
マミ「…また、これから一緒にいてくれるよね?」
ほむら「…ええ、約束したものね」
マミ「わぁ…やった!」
ほむら「ふふっ」
マミ「ありがとうっ!」
ほむら「うん…!」
ほむら(これまでの私は…まどか以外のことは全て諦めてた)
ほむら(それどころか、まどかのことすら…)
ほむら(でも、今の私にはわかるわ)
ほむら(本当は巴マミも…マミちゃんも、まどかに負けないくらい大切な存在)
ほむら(私の憧れの先輩でお友だち)
ほむら(そして…私にとってもマミちゃん、あなたは…)
マミ「なあに?」
ほむら「私にとっても、マミちゃん…あなたはね?私の…」
ほむら「大切なお姉ちゃん」
マミ「!」
ほむら「…本当はずっと憧れてて、だけど諦めてて……」
ほむら「…でも、今は自分の気持ちに素直になれるわ」
ほむら「私は、あなたと仲好くしたい!」
ほむら「仲間で…友だちでいてほしいの!」
ほむら「だから…!」
ほむら「マミちゃん、これからも、また…よろしくね!」
マミ「うんっ!」
マミ「よろしくね!ほむらお姉ちゃん!」
ほむら「うん!マミ…マミお…」
マミ「大丈夫、遠慮はいらないわよ?」
ほむら「…マミお姉ちゃん!」
マミ「うふふ、良くできました」
ほむら「…ふふっ、やっぱり照れるわね」
マミ「うん…でも嬉しいかな」
ほむら「ええ…!」
ほむら「なっ…?さ、流石にそれは遠慮しておくわ!」
マミ「ふふっ、冗談よ」
ほむら「…でも」
マミ「ん?」
ほむら「また…一緒に生活したいかなって…」
マミ「…」
ほむら「その…私も一人暮しはやっぱり寂しくて…」
マミ「…ふふっ」
ほむら「あっ、いや!今のは…!」
ほむら「えっ?」
マミ「また、あの時のように本物の姉妹の用に暮らしましょう?」
ほむら「…!」
マミ「ね?」
ほむら「うん…!」
ほむら(この時私は確信した)
ほむら(今の私たちに怖いものは何もないって)
ほむら(ワルプルギスにだって、きっと…)
ほむら(まどかも守ってみせる)
ほむら(どんなに大きな壁だって乗り越えて見せるから…!)
ほむら(明日信じて…祈って…!)
ほむら「!」
マミ「大好き!」
ほむら「…うん!」
マミ「てへへ」ニコッ
ほむら「えへへ」ニコッ
おわり
gjでした
ありがとう
よかったよかった乙乙
Entry ⇒ 2012.04.26 | Category ⇒ まどかマギカSS | Comments (0) | Trackbacks (0)
まどか「ほむらちゃん、胸が小さくてもブラはしなきゃだめだよ?」
http://hayabusa.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1334308394/
ほむら「わざわざありがとうまどか」
まどか「うぇひひ、大切に使ってね」
ほむら「いける!」
ほむら「まどか、私って胸が小さいからブラしてないの」
まどか「え?ほむらちゃんもなの?わたしもなんだー」
ほむら「なん…だと…」
ほむら「そ、そう」
ほむら(まどかはノーブラ!)
まどか「そうだ!一緒に初ブラ買いに行こうよほむらちゃん!」
ほむら「!!」
まどか「さやかちゃんと一緒に行くのもなんだか恥ずかしいなって」
まどか「でもお互い初めてならって思ったんだけどだめかな?」
ほむら「えぇ、一緒に行きましょうまどか」
まどか「本当!よかったぁ」
まどか「ほむらちゃんが一緒なら安心だよ」
ほむら(今私頼られてる!)
ほむら「え?そ、それは…」
ほむら(まどブラが欲しかったとはいえないわ)
ほむら「は、初めてブラを買う上での注意点をまどかに聞いてみようと思って…」
ほむら「そう!まどかなら内緒にしてくれそうだしアドバイスが欲しかったのよ」
まどか「あ、そうなんだ…ごめんね役立てなくて」
ほむら「いいのよ、一緒に買いに行ってくれる人ができたことのほうが嬉しいわ」
まどか「うぇひひ、偶然に感謝だね」
ほむら「大丈夫よまどか、小さい人には小さいブラがきっとあるわ」
まどか「うぇひひ、ほむらちゃんと私はあんまり変わらないもんね!」
まどか「あ、ごめんねほむらちゃん、はしゃいじゃって」
ほむら「いいのよ、小さいのは事実だしまどかと一緒のほうが嬉しいわ」
まどか「うぇひひ、私もほむらちゃんと一緒でよかったよ」
ほむら(ダメよ、邪念にとらわれてはいけないわ)
ほむら(落ち着くのよ暁美ほむら)
まどか「あの……ほむらちゃん?」
ほむら「なにかしら」
まどか「えと……そんなに見つめられると恥ずかしいなって///」
ほむら「あ、ごめんなさいまどか///」
―――
まどか「いっぱいあるねー」
ほむら「えぇ、そうね」
まどか「でもサイズが大きな物ばっかりだね……」
ほむら(私のサイズがあるのは……)
ほむら「あっちの方に行ってみましょう」
まどか「うん!」
お客様、ちょっとこちらへ
ほむら「そうね、この辺から選びましょう」
ほむら(というかこの辺にしか私達が付けれるようなブラはないわ)
まどか「下着とセットなんだねー」
ほむら「そうね、持っている他の下着に合わせても問題がないといいのだけど」
まどか「うーん……」
まどか「あ、可愛い」
ほむら「一度試着してみた方がいいわ」
まどか「そうだね、うまく付けれるかな……」
ほむら「何事も経験よ」
まどか「じゃあちょっと試着してみるね」
ほむら(ブラの付け方がわからないまどかに助けを求められて二人で試着室へ)
ほむら(そこでブラについて私も初めてという設定なのでよくわからなくてまどかの胸を触ったりするのは自然!)
ほむら(さぁ、助けを求めなさいまどか)
「従業員のフリをするのはお控え下さい、お客様」
俺「お願いします///」
ほむら(まぁ付け方がわからないなんてことは普通ないわよね……)
ほむら「そう言われてもカーテンを開けないと見えないわまどか」
まどか「え、あ、そうだね……で、でも恥ずかしいなって」
ほむら「じゃあ私がカーテンから覗く感じでなら私しか見えないしいいかしら?」
まどか「うぇひひ、じゃあそれでお願いしてもいいかな?」
ほむら(まどか公認で覗きOKがきたわ!)
まどか「ど、どうかな?」
ほむら「とても似合っているわ」
まどか「本当!よかったぁ」
ほむら「ただ……」
まどか「?」
ほむら「せっかくのセットなのだから下の方もはいてみたらどうかしら?」
まどか「え、で、でも///」
ほむら「大丈夫よ、きっと似合うから……ね?」
まどか「じゃ、じゃあちょっと待ってね///」
ほむら(きたわぁ)
俺「はい///」
ほむら「……」ジィー
まどか「お、おかしい?」
ほむら(カメラに収めたい……)
ほむら「とても可愛いし似合っているわ」
まどか「な、なんだか下着姿は恥ずかしいな///」
ほむら「ところで他にもまどかに似合いそうなブラがあるのだけど着てみる?」
まどか「え?えっと……」
ほむら「絶対まどかに似合うと思うんだけど……あ、ごめんなさい、無理に着る必要はないのよ?」
まどか(ほむらちゃんが私のために探してくれたんだし)
まどか「じゃ、じゃあ着てみるね」
ほむら(着実に私の時代がきているわ)
ほむら「さっきのよりまどかの可愛らしさが出ていてとってもいいわ」
ほむら「この3つがまどかには似合っていると私は思うわ」
まどか「あ、ありがとうほむらちゃん///」
まどか「そ、そろそろほむらちゃんも試着して行かないとダメだね」
ほむら「え?あ、そうだったわね」
まどか「私のはほむらちゃんが見繕ってくれたからほむらちゃんのは私が見繕うね!」
ほむら(まどかが選んでくれた下着ってことはまどかの好みってことよね!)
ほむら「お願いするわ」
まどか「でも可愛い感じも似合いそうだし」
まどか「むしろほむらちゃんに似合わないものを探すほうが難しいのかな」
まどか「なんだかどんなものも着こなしちゃう感じがするし」
ほむら(私のために色々と探すまどか可愛い)
まどか「これかな」
ほむら(決まったみたいね)
まどか「ほむらちゃん、これを着てみて!」
ほむら「わかったわ」
ほむら「……あの、まどか?」
まどか「どうしたの?」
ほむら「き、着替え終わったら呼ぶから……その、ずっと覗かれていると恥ずかしいわ///」
まどか「あ、ご、ごめんね!」
まどか「じゃあ入るよー」
まどか「……」ジィー
ほむら「こうして見られると確かに恥ずかしいわね///」
まどか「すごいよほむらちゃん、とっても綺麗だよ!」
ほむら「本当?」
まどか「うん!見とれちゃったよ」
ほむら(嬉しいけどやっぱり恥ずかしいわね///)
まどか「えっと次はこっちを」
ほむら「え、えぇ///」
―――
まどか「うぇひひ、楽しかったね」
ほむら「そうね、それに目当ての物も買えたし」
ほむら(まどかがはいたけど買わなかったのとかも隠れて購入することに成功したし)
ほむら「ところでまどか」
まどか「何?」
ほむら「よかったら私の家に寄って行かない?」
ほむら「その、ブラの付け方が合っているか自信がないから見てもらいたいのよ」
ほむら(お手本をまどかにみせてもらうことでまどかの生着替えを見ることが可能になるはず!)
まどか「今日初ブラを買った私なんかでいいの?」
ほむら「それはお互い様でしょう?」
まどか「うぇひひ、私でいいならほむらちゃんのお家にお邪魔するね」
ほむら「ありがとうまどか」
まどか「お邪魔しまーす」
ほむら「いらっしゃいまどか」
まどか「なんだか一緒に来たのにそう言われると変な感じだね」
ほむら「ふふっそうね」
まどか「うぇひひ」
まどか「そうだね、早速ほむらちゃんの着替えを……えと、み、みせてね///」
ほむら(先に言われてしまった、お手本を見せてもらおうと思ってたのに……)
まどか「……」ジィー
ほむら「そ、そんなに見つめられると恥ずかしいわ///」
まどか「で、でも見てないと付け方見れないし///」
ほむら「そ、そうよね///」
まどか「やっぱり肌が白くて綺麗だなぁほむらちゃんって」
ほむら「///」
ほむら「じゃ、じゃあつけてみるから正しいか……み、見ていてね///」
ほむら(恥ずかしいけどこれを終えればお手本をみたいとゴネることでまどかの裸をみることができるはずよ)
ほむら(今は我慢よ、逃げ出したくなるような恥ずかしさを我慢するのよ私)
まどか「う、うん///」
まどか(ほむらちゃんがパンツ以外何もつけてない///)
まどか「多分だけど、いいんじゃないかな」
まどか「私もおんなじような感じでつけたよ」
ほむら「そ、そう///」
ほむら(まどかがおんなじように///)
まどか「う、うん///」
まどか(ほむらちゃんの顔が真っ赤で照れてるんだ、可愛いな///)
まどか「う、ううん、私も自分の付け方があってるって自信を持てたし///」
ほむら「ね、ねぇ」
まどか「な、何?」
ほむら「まどかが……その……ブラを付けるところを見せて欲しいんだけどダメかしら?」
まどか「え、そ、それって///」
ほむら「だ、ダメ?」
まどか「わ、わかったよほむらちゃん///」
ほむら(恥ずかしい思いをしたかいがあったわね///)
まどか「は、恥ずかしいね///」
ほむら「ごめんなさい、私のわがままで」
まどか「き、気にしないで///」
ほむら(まどかがパンツ以外何もつけてない///)
まどか「じゃ、じゃあブラをつけるね!」
ほむら「えぇ、お手本としてよく見させてもらうわね///」
まどか「う、うん///」
ほむら「……」ジィー
まどか「そ、その後にこうして、これでいいかな///」
ほむら「よ、よくわかったわありがとうまどか///」
まどか「うぇひひ、役立てたなら嬉しいな///」
まどか(恥ずかしくてほむらちゃんを見れないよ///)
まどか「どうしてブラがあるの!?」
ほむら「あ!」
まどか「も、もしかしてほむらちゃん、嘘ついてたの?」
ほむら「えっと、その……」
まどか「もしかしてブラをつけたほうがいいってことを教えてくれるために?」
ほむら「えっと……」
まどか「それに私が付け方が間違ってないかわざわざ気にしてくれたの?」
ほむら「その……」
まどか「私のためにそんなにしてくれたんだ……うぇひひ、ありがとうほむらちゃん!」
いい方に解釈してくれる
ほむら「だ、だだ、大好き!?」
まどか「うん!」ギュゥ
ほむら(まどかが私に抱きついて!?)
ほむら「ま、まどか!」
まどか「あ、ごめんね、はしゃいじゃって」
ほむら「私も大好きよ!」ギュゥ
まどか「///」
まどか「あ、えと///」
ほむら「その、今まで友達がいなくて、こんな私と友達になってくれたまどかが大好きで」
ほむら「ええとええと、まどかに大好きって言われて私も大好きって気持ちを伝えたくて」
ほむら「って何言ってるのかしらえっとえっと///」
まどか「うぇひひ///」
まどか「え?あ、本当だ!そろそろ帰らないと」
ほむら「送って行くわ」
まどか「う、ううん、今日はいいよ///」
ほむら「そ、そう///」
ほむら「突発的な事への対処力が足りないのは自覚していたのに……」
ピリリリリ
ほむら「まどかから電話……」
ほむら「もしもし」
まどか「もしもし、ごめんねほむらちゃん、こんな遅くに」
ほむら「どうかしたの?」
まどか「えと、今日はありがとう、また二人でお出かけしたり皆でもお出かけしようね」
ほむら「えぇ、いつでも付き合うわ!」
まどか「あとね、大好きって言ってくれてとっても嬉しかったよ///」
ほむら「私もあなたが大好きって言ってくれて嬉しかったわ///」
まどか「どうしてもほむらちゃんに、お礼だけ言いたくて電話したんだ」
ほむら「お礼をいうのは私の方なのに……あまり長電話をしては迷惑だし……それじゃあまた明日、おやすみまどか」
まどか「うぇひひ、おやすみなさい、大好きなほむらちゃん」
ほむら「も、もう///」
ほむら「あんなこと言われたら期待しちゃうじゃない///」
ほむら「……明日からもっと普通にまどかにアタックしてみようかな///」
―まどホーム―
まどか「うぇひひ///」
QB「まどか、君は買ってきた下着を抱きしめて何を笑っているんだい?」
まどか「み、見てたの!?」
QB「君が暁美ほむらに電話をしたあたりから見ていたよ」
まどか「な、なんで何も言ってくれなかったの!」
QB「電話中に話しかけてはいけないとマミに聞いていたからね」
まどか「もう……」
QB「暁美ほむらに関係する事でなにかいい事でもあったのかい?」
まどか「うぇひひ、内緒だよ」
終われ
マミさんやさやかちゃんや杏子ちゃんだしたかったけどもう眠いし許してくれ、まどほむは最高
あ、俺が起きた時にえっちぃことをしてるまどほむとかイチャラブしてるまどほむとか
このスレを乗っ取るなりスレを立てるなりで誰かが書いてくれてたらそれはとっても嬉しいなって
おやすみなさい
まだだ、まだ終わらんよ!
だがまだ足りん
まどか「おはよう、ほむらちゃん」
ほむら「あ、おはようまどか」
まどか「…///」
ほむら「…///」
まどか(どうしよう昨日テンションに任せてあんなこと言っちゃったけど)
まどか(なんか恥ずかしくて気まずいよ///)
まどか(何かしゃべらなきゃしゃべらなきゃ)
ほむら「あ、まd」
まどか「ほ、ほむらちゃん!」
ほむら「はひっ!」
まどか「あ、あのね!昨日はありがとう!今日さっそく履いてきたんだよ!ほら!」ピラッ
ほむら「ぶふッ!?」
さやか「何やってんだあいつら…」
仁美 「あ、朝っぱらからハレンチですわ…!」
ほむら(まどかがまどかがまどかが)
ほむら(どうしようどうしよう、きっと話題に困って無理しちゃってるんだ)
ほむら(何か話題を話題を話題を何かかにkんひ;;おpk)
まどか「あぅ、ご、ごめんね変なこt」
ほむら「ま、まどか!わ、わたしもまどかの選んでくれたパ、パンツ履いてきたの!」ピラッ
まどか「あ、ああ、ありがとうほむらちゃん!うれ嬉しいな!」
ほむら「~~~ッ!///」
まどか「~~~ッ!///」
さやか「一体なにが起きているというの…」ドンビキ
仁美 「キキキキキマシキマシマシマシマシマシヤサイマシマシ」アワアワ
ほむら「も、もちろんいいわ///」
まどほむ「…///」
まどか「さ、さやかちゃんたち来ないね!」
ほむら「そ、そうね!どうしたのかしら?」
さやか(出ていけるわけねーっ!)
仁美 「うふ、うふふふ、うふふふうふ」
さやか「ね、ねえ仁美、あいつらほっといて向こうの道から行こう…よ…?」
仁美 「ええ、そうですわ♪それがいいですわぁ♪」ニコオ
さやか(なんか仁美が怖い…!)
さやか「はぁ…はぁ…あっぶねえ…何とか間に合った…」ズサー
さやか(まどかと転校生は…やっぱ来てないか)
早乙女「美樹さん!HR始まってますよ!早く座りなさい!」
さやか「はっ、はいぃ!」
仁美 「~♪」スタスタ チャクセキ
さやか(って、何であたしばっか怒られてんの!?)ガビーン
――――――――
早乙女「千円札とは?英世ですか?漱石ですか?はい中沢くん!」ビシッ
中沢 「え、えーと…ど、どっちでもいいのではないかと…」
さやか(はあ…一体どうしたってんだあの二人は)ハア
さやか(そりゃまあ普段から睦まじい感じではあったけど…ん?)
(窓の外 校門前)
まどほむ「~~~」キャッキャ
さやか(手をつないで登校…だと…)
ほむら「うん…///」ギュ
まどか「今から教室に行ったら…怒られちゃうね」
ほむら「わ、私の具合が悪くなってまどかが介抱しててくれたことにすれば…」
まどか「でもそれだと逆に着くのが早すぎない?」
ほむら「…そう、かな…」
まどか「ねえ、ほむらちゃん」ギュ
ほむら「?」
まどか「一時間目だけ、さぼっちゃお?」
ほむら「…!」
まどか「中から行ったらばれちゃうね。裏口の非常階段から屋上に行こうよ」ヒッパリ
ほむら「あ、まどかっ…!」ヒッパラレ
ほむら(ああ…この感じ…)トテトテ
――クラスのみんなには、内緒だよっ!
ほむら(私があこがれた、かっこよくて自信に溢れてて、フリフリの衣装が似合う『鹿目さん』…)
ほむら(そうだ…私は)
ほむら(まどかを守ってリードするんじゃなくて…まどかにリードして欲しかったんだ)
まどか「風が気持ちいいねー」ノビー
ほむら「うん」
まどか「ほーむらちゃん」ギュッ
ほむら「!?」
まどか「どうしたの?何か元気なさそう」
ほむら「そう…かな?そんなこと、ないよ」
まどか「むー…」ジィー
ほむら「…///」
まどか「てぃひひ、ほむらちゃん可愛いなあ」
ほむら「な、何言ってるの///」
まどか「ほむらちゃんてさ」
まどか「いつもわたしを気にかけてくれて、守ってくれて、かっこいいなぁって思ってたけど」
まどか「何か今日は…雰囲気が違う気がするよ」
ほむら「そう…かな?」
まどか「しゃべり方もなんか…いつもと違う。わたしが逆に守ってあげたくなっちゃうな」
ほむら(きっと…昨日、どさくさに紛れて思いをぶちまけたことで)
ほむら(まどかの前では肩肘を張らなくなったからなんだろうな)
ほむら「うん…そうだね。これが、ほんとの私」
ほむら「私、かっこよくなんてないんだよ。余裕がなかっただけで…」
まどか「前に言ってた…ほむらちゃんが魔法少女になる前のこと?」
ほむら「そう。それでもしばらくは、まどかに守ってもらってばっかりだった。元気づけられてばっかりだった」
まどか「てぃひひ、嬉しいな。今のほむらちゃんがそんな顔を見せてくれるなんて」
まどか「すっごく穏やかで…ちょっと心配そうな」
ほむら「そ、そんな顔してた?」
まどか「不安?わたしが好きなのは、かっこいい方のほむらちゃんだけだったらって」
ほむら「そんなこと…」
ほむら(ないのかな…?どうなんだろう)
ほむら「あ…」
まどか「大丈夫だよ?今のほむらちゃん、すっごく可愛い。もっと好きになっちゃうくらい」
ほむら「…!///」カアア
まどか「そ、そんなに照れないでほしいな///」
ほむら「わ、私もね」
ほむら「今の、引っ張ってくれるまどかも大好きだよ」
ほむら「もちろんまどかのことならどんなまどかでも大好きだから」
まどか「てぃ、てぃひひひ///」
ほむら(勢いに任せて何言ってるの私はーっ!?)
ほむら「なあに?」
まどか「ほむらちゃんの『好き』って…どういう意味の『好き』…なのかな?」
ほむら「あわわわわわわ///」
まどか「そ、そういう意味だと思っちゃっていいのかな?///」
ほむら「あの、あの、その…」オタオタ
まどか「って、ほむらちゃんに先に言わせるのってズルいよね」
まどか「あのね、私がほむらちゃんに『好き』って言ったのはね…///」
ほむら「あぅあぅ!?」
ほむら「こ…?」
まどか「れん…」
ほむら「…///」
まどか「…///」
まどか「恋愛対象として好き!恋人として好き!大好きだよ!」
ほむら「ま、まどかぁ…!」ウルウル
ほむら「わ、私も…!」
ほむら「今までかっこつけて、守りたいとか大切な友達だとかごまかしてたけど…!」
ほむら「こここ、恋人としつきゃるの!」
ほむら「///」orz
まどか(大事なとこで噛むほむらちゃん可愛い!)
マミ (何これ…何これ)
誰か産業
キマ
シタ
ワー!
マミさん
は
見た
マミ (早く来すぎてちょっと屋上でひと休みしていつの間にか寝ちゃってたら)
マミ (何か鹿目さんと暁美さんがとんでもないことに)
マミ (決してぼっちとかそういう理由ではないのよ)
マミ (そこのあなた、聞いているんでしょう?分かってるのよ)
まどか「ほむらちゃん…」ギュ
ほむら「まどか…」ギュ
まどか「…」
ほむら「…」
まどか(どうしようどうしようどうしよう)
まどか(行けそうだから言っちゃってみたら両想いで嬉しくてほっとして)
まどか(こうして両手を握り合って見つめ合ってるけど)
まどか(やっぱりキス?そういう雰囲気だよね?そうなんだよね?)
まどか(行けそうだから言っちゃってみたら両想いで嬉しくてほっとして)
まどか(こうして両手を握り合って見つめ合ってるけど)
まどか(やっぱりキス?そういう雰囲気だよね?そうなんだよね?)
まどか(あわ、あわわわわわわ)
まどか(雰囲気に流されてすごいとこまで一気にいっちゃってるよ)
まどか(ほむらちゃんが真っ赤になって目をウルウルさせてるよかわいいよ)
まどか(も、もうここはわたしがリードするしか…ない、のかな)
まどか(むー!)
ほむら(近いよ顔が近いよかなめさんかなめさん)
ほむら(あ、何か決意したような顔になった)
ほむら(ああ、近い近い近い近づいてくる)
ほむら(ま、まどかぁーっ!)
チュ
QB 「ものすごいエネルギーの放出を検知したから来てみれば」
QB 「ほむまどからまどほむへの相転移…こんなものがあったのか」
QB 「希望から絶望への相転移の時に発生するエネルギーなんて目じゃないね」
QB 「しかもこれはまどほむからほむまどへ再び相転移するのも容易だ」
QB 「永久機関の発見と言って差し支えないだろう」
QB 「もう魔法少女システムは破棄だね」
QB 「これからはインキュベーターが総力を挙げて、二人をラブラブちゅっちゅさせるよ」
QB 「きゅっぷい!」
終わりだよ!
乙
Entry ⇒ 2012.04.24 | Category ⇒ まどかマギカSS | Comments (0) | Trackbacks (0)
まどか「か、上条くん激しすぎ」アンッアンッ ほむら「」
http://hayabusa.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1334748896/
上条「…まどか、おはよう」
まどか「…恭介、昨夜はちゃんと宿題やったの?」
上条「うん、さやかが見てくれたんだよ」
まどか「そっか、入院してる間にもずいぶん進んじゃったから、わからないことあったら相談してね」
上条「それを言うならかな… まどかだって、今日あてられる日でしょ? 用意しとかないと」
まどか「そうだね。忘れてたよ」
まどか(う~ん……)
上条(んんんんん……)
まどか&上条(やりづらい……)
さやか「どうだった? 復帰初日の学校は」
上条「授業についていけるか心配だけど、まぁ何とかなりそう…かな」
まどか「みんな上条くんが戻ってくるの、楽しみにしてたんだよ」
上条「それでいきなり退院したからビックリした人も多かったみたいね」
さやか「恭介、小学校の頃もケガして林間学校来られなかったよね」
上条「ああ、あったなあ…」
まどか「…そうだったっけ?」
まどか「……? いたも何も……」
上条「うん… そうだよね」
さやか「な、何よあんたたち…」
まどか「わたしと上条くんって、小学校同じだったの?」
上条「ぼくも知らなかったよ…」
まどか「だって、わたしはさやかちゃんの親友で、幼馴染みだよね?」
さやか「そうだね」
上条「ぼくだってさやかの幼馴染みだよね」
まどか「だから異性として見られなかったんだよね」
さやか「余計なこと言わないでいいの」
上条「さやか、おかしいと思わない? ぼくと鹿目さん、二人とも幼馴染み設定なのに」
まどか「原作で全然接点なかったなんて……」
上条「少し幼馴染みらしくしてみようか」
さやか「ちょっと何言ってるわかんないです」
まどか「……幼馴染みって何するの?」
上条「下の名前で呼んだり、かなぁ」
まどか「……きょ… きょうすけぇ」
上条「…まどか……」プルプル
さやか「キツかったらやめればいいのに」
上条「当然じゃないか。 …幼馴染みなんだから」
まどか「なんか… 急にそうなっても、突然パパがお兄ちゃん連れて来た、みたいな…」
さやか「いるの!?」
まどか「いないよ! たとえだよ、たとえね」
上条「確かにそうだなぁ。さやかとのことなら思い出せるのに」
まどか「わたしもだよ……」
上条「でも僕たちは幼馴染みなんだよね?」
まどか「そうだよ! ……設定上はね」
さやか「正直に飽きたって言いなよ」
上条「僕というものがありながら、よその子に手を出すなんて…」
さやか「人聞き悪いな!」
上条「まぁタッチの差でぼくの方が幼馴染みらしいとはいえ」
まどか「……え、なに? 聞こえないんだけど」
まどか「…わ、わたしだっていいよ!」
上条「でも>>18と>>25には鹿目さんが後から来たって書いてあるじゃないか」
まどか「だけどその分付き合いが深いの!」
上条「だってさやかは、うっかりすると僕の家に来て『ただいま~!』とか言っちゃうんだよ」
まどか「それを言うなら、うちに来て晩ご飯作ってくこともあるよ!」
まどか「しかも気がついたらお風呂洗ってたりしてくれるよ」
上条「なん…… だと……」
まどか「ああ、でも上条くんはそこまでできないよね!」
上条「さやかと最後に一緒に入ったのは、たしか小学校の…」
上条「ねぇさやか、夏休みに二家族合同で旅行したのは五年生だっけ?」
男子生徒「!!」 ざわ……
さやか「マテコラ」
まどか「ごめんその話ちょっと変態っぽいからいいや」
上条「……うん」
上条「あれ? 鹿目さん、さやかを探してた回であげてもらえなかったよね?」
さやか「あの時はお母さんもてんやわんやしてて…」
まどか「そうだよ! 普段はちゃんとあがらせてもらってるよ!」
まどか「ウチはこたつがないから、冬になるとさやかちゃんの家へコタツ入りに行ったりするしね」
上条「さやかと?」
まどか「うん」
上条 小声「…におわない?」
まどか 「……ちょろっと」
上条「長いとそうなっちゃうよね」
まどか「この間なんて、マミさんにプレゼントするケーキ一緒に作る約束だったのに」
まどか「私のこと放っといて、ずっとパパと昔のアニメの話しで盛り上がってたんだよ」
上条「ああ… たまにそういうことするよね、さやかは」
まどか「それだけ馴染んでる証拠だけどね」
上条「…ぐぬぬ」
まどか「……ごめん中沢くん、ちょっと来て」
中沢「どしたの?」
まどか「上条くんがこう言ってるんだけど、それってショックなの?」
まどか「わたしそういうのよく知らないから、わからなくって」
中沢「何作ってたの?」
上条「PGの∀ガンダム… お年玉で買ったやつね」
中沢「美樹ちゃん酷いよ!」
まどか「作っといてくれたなら、良かったじゃない!」
中沢「うん、だけどさ……」
上条「ああそうだよ! だってさやかは僕に優しいからね!」
まどか(…しまった……!)
さやか「もういい加減にしときなさい!」
中沢「あいつらケンカなの? 何を争ってんの?」
ほむら「私に聞かないでよ」
上条「昔はさやかも可愛かったのになぁ… オモチャのカンヅメがぼくとお揃いじゃないって泣いたり」
まどか「さやかちゃんは今でも純真だよ! …いい年して」
さやか「まだやってたのかよ」
ほむら「微妙に主旨がズレて来てるわね」
杏子「お~い、さやかぁ~!」ブンブン
さやか「お、杏子だ」
上条「誰あれ!?」
まどか「最近できたお友達の、あんこちゃんだよ」
さやか「よしよし、後でとってあげよう」
杏子「ぅわ~い ん?」
杏子「うわ男だ」
さやか「あんた会うの初めてだったよね。幼馴染みの恭介だよ」
さやか「恭介、この子が杏子ね」
上条「どうも初めまして。僕がさやかの…」
杏子「うわ男だ」
上条「」ビキビキ
まどか「上条くん、プリクラとか撮ったことないでしょ? 記念に撮ってこうよ」
上条「いいよ! 機種もいろいろあるんだ… どれがいいんだろ?」
まどか「ティヒヒヒ、わたしのお気に入りはねぇ」
上条「ん、ちょっと待った… むこう見て」
まどか「?」チラッ
杏子「うっわ惜しい! これもう一回やれば取れんじゃないの?」
さやか「ここでやめるのも後味悪いし、やっとくか…」
上条(落とせ落とせ落とせ……)フンンヌ
まどか(取れませんように、取れませんように……)
杏子「」ジーーッ
ガコン
杏子「とれた! ありがとうさやか!」
さやか「フッ その分体で払ってもらうぞ~!」
キャッキャウフフ ヤメロヨー! コヤツメハハハ
上条「」ビキビキビキ
まどか「上条くん… わたしたち、けっこう気が合うよね」
上条「ああ…」
まどか「今きっと、同じ気持ちだよね!」
上条「殺るか!」
まどか「うん!」
上条「その前に、さやかのこと考えながらお風呂入って来る!」
まどか「じゃわたしも~」
まどか「だけどさ、上条くん… 女の子の体洗うの手慣れてなかった?」
上条「……そ、そうかい」
まどか「さやかちゃんより上手かったよ」
ほむら「お風呂入ってたの? 私は!?」
まどか「だってほむらちゃん、お風呂でおしっこするんだもん……」
上条「汚いなぁ」
まどか「いやそんなことでスレタイ回収しなくていいから」
上条「暁美さんがどうとか以前に、あの不衛生な赤毛をどうやってさやかから引き離すかをだね
まどか「ごめん、引き離すのはちょっと無理っぽい」
上条「なんだと」
まどか「上条くんが入院してる間に、何度か試したんだよ」
さやか「あんた、お菓子はよくとれるのに、その他はからっきしだよね」
杏子「違うよ。ここのゲーセン、お菓子はやけに取りやすい設定なんだって。さやかもやってみなよ」
さやか「なんでだろうね?」
店員「…またあの子来てますよ」
店長「そんなこともあろうかと、お菓子の台は調整済みだよ」
店員「なんでいつもあの子に甘いんスか?」
店長「あの子、風見野にある教会の子なのね。とったお菓子を日曜学校で小さい子に配ってるんだ…」
店員「いい子じゃないスか……」
女子生徒「ごめんね、こんな時間まで付き合ってもらっちゃって」
マミ「いいのよ、委員会の用事だもの。仕方ないわ」
マミ「でも今度はもうちょっと早く終わらせようね!」
マミ(帰ったら一旦着替えて、そのまま魔女探しに行っちゃいますか)
ドドドドドドドドドド
マミ(晩ご飯はどこか外で… あら?)
上条「金髪に縦ロール! それと適度に健康的な体格!」
上条「うおおおおお! マミさんですね! 巴マミさんですよね!!」ガッシ
マミ「え、ええ… そうだけど、あなたは?」
女子生徒(巴さん、変わったお友達がいるんだ… やっぱり)
上条「いやぁ、戻って来たかいがありました! あなたなら佐倉杏子の弱点を知ってるっていうからつい」
マミ「…誰に聞いたのよ?」
マミ「うん。また明日ね」バイバイ
女子生徒(二年生…? あの子も巴さんと一緒にマンガとか描いてるのかな…?)
女子生徒(今度さりげなく聞いてみよう)
まどか「すいません、上条くんったら興奮しちゃって」
上条「早速ヤツを制御下におくテクニックを伝授いただければと」
マミ「その前に、確認していいかしら」
上条「何なりと」
マミ「あなたたち、どうしてそんなに佐倉さんを邪魔者扱いするのかしら?」
上条「さやかについた悪い虫を払うのは僕の役目ですからね」
まどか「何言ってるんですか! このままじゃさやかちゃんとられちゃいますよ!」
上条「はい」
マミ「それと鹿目さんも、前から薄々そうじゃないかなって思ってたのだけど……」
まどか「なんですか?」
マミ「あなたたち、美樹さんのことが好きなのかしら…?」
まどか&上条「……」
まどか「マミさん、いつもわたしをそんな人だと思ってたんですか?」
マミ(違うの?)
上条「だってさやかですよ! きょうだいみたいなものなんです」
まどか「女の子同士でそうなっちゃうのなんて、ほむらちゃんの好きなマンガの中だけですよ」
上条「まったく、恋愛経験少ない人って、すぐそっちの方向に考えちゃうんだから」
まどか「体つきだけじゃなくて、頭までゆるくなっちゃったんですね」
まどか(…そこまでは言わない方がいいかな)
マミ「……聞こえてるけど」
マミ「何ならとられちゃっても」
上条「何を言い出すかと思えば…」
まどか「マミさん、さやかちゃんをその程度にしか思ってなかったんですか?」
マミ(またかい……)
上条「だってさやかですよ! ここでどこの馬の骨とも知れない不潔女にとられるくらいならいっそ」
まどか「上条くん、それもアリなの!?」
上条「……いや、冷静に考えたらないわ……」
マミ「どっちなのよ」
QB「それが君の願いだね?」
上条「おわあぁ! ナニコレ!? ねこ?」
まどか「上条くん…」
マミ「QBが見えるの!?」
上条「見えるも何も、普通にいるじゃないすか……」
まどか「男の子でも魔法少女になれるの?」
QB「なれるよ。魔法少女は、『魔法』を使う『少女』という意味ではないからね」
まどか「へぇ~、じゃあどういう」
QB「それより上条恭介、君の願いもどうやら杏子を止める事みたいだね」
上条「なんでぼくの名前知ってるのよ? まあ、そうだけど…」
QB「残念だけど、それは叶えてあげられないな」
上条(叶えてあげるだのあげないだの、ねこのくせに偉そうな…)イラッ
QB「正確に言うなら、叶える必要がない、ということになるかな」
QB「長年、地球人の持つ感情を研究してきたぼくの目はごまかせない」
上条(ナニ言ってんだこのねこ……?)
QB「君とさやかの関係はもう疑う余地がないよ」
QB「君はさやかと目が合えば逸らすのに、またすぐさやかを見ているね」
まどか「それって、もしかして」
マミ「もしかして…?」
QB「好きってことさ」
マミ「やっぱり好きなんじゃないの?」
まどか「マミさんまで… そんな訳ないのに…… え、ないよね?」
マミ「余計な感情がない分、QBの分析は信頼性あると思うの」
上条「ん~…」
まどか「もしそうだったら、わたしも応援するよ!」
上条「正直いって、『彼女ができました!』って、さっきの赤毛みたいに」
上条「さやかと堂々とイチャイチャする自分が想像できない… っていうか、したくないんだけど」
まどか「毎日のように行ってたもんね…」
上条「確かに、頻繁に来すぎてイヤになったこととか、追い返した日もあるけど」
マミ(あら…? ホントに好きじゃないかも……?)
上条「それでも耐え… いや、持ちこたえてきたんだし」
上条「ぼくがさやかを好き、というのも、もしかしたらあるかもしれない……!」
上条「だとしたら十数年越しの新発見だ……」
まどか「おめでとう、上条くん!」
上条「いや、まだ決まった訳じゃないよ!」
上条「…でも、帰ってゆっくり考えてみる事にするよ」
マミ「落ち着いたら、また新しい発見があるかもしれないものね」
上条「ええ、どうもありがとうございました! もう遅いのに、おかしな話しちゃって……」
マミ「その分、あとでゆっくり顛末を聞かせてもらおうかしら」
上条「さやか、ねぇ……」
上条「さやかとデートとかするの……?」ウーン
上条「それであれかい? ディズニーランドとか行く? いや、行ったことあるけどさ」
上条「あのヴェネチアみたいなゴンドラ乗って、一緒に願い事したり」
上条「別れ際にキスとか……? いや、したことあるけど… 小学校の頃に」
上条「ただいま~ あれ? さやかの靴かなこれ?」
さやか「おかえり! 今日はドコ行ってたのよ?」
上条「学校に戻ってたんだよ。さやかはあれからどうしたの?」
さやか「買い物して来たよ。今日おばさんたちいないから、晩ご飯作りに行くって言ってたじゃない」
上条「ごめん忘れてた」
グツグツグツ
上条「カレーするの?」
さやか「うん、手洗って来てね」
さやか「お~し、いい感じになってきたかな。恭介、お皿出して!」
上条「は~い」
カチャカチャ
上条「味見していい?」
さやか「どうぞ」
上条「では……」
さやか「どうかな?」
上条「うん、やっぱりカレーはさやかの作ってくれるのが一番だよ」
上条「これ食べられるんだから、退院して良かった」
さやか「やだもぅ、どうしたのよ急に?」
上条「プロポーズ」
さやか「…っ?」
上条「の、つもり」
おしまい
まさか最後まで書けるとは思わなかった…
道半ばな感じがするが
乙
仮に付き合ったとしてもあんこちゃんさやかから離れなそうだがなww
乙であった
Entry ⇒ 2012.04.22 | Category ⇒ まどかマギカSS | Comments (5) | Trackbacks (0)
ほむら「まさか転校生と体が入れ替わるなんて……」
http://hayabusa.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1334139838/
さやか「それはこっちのセリフよ、美樹さやか。なんでよりによってあなたなんかと……」
まどか「あれ?ほむらちゃんにさやかちゃん?」
ほむら「ま、まどか!それにキュゥべえも……!」
さやか(しまった、こんな時に……!)
QB「珍しいね、君たちが一緒に居るなんて」
さやか『その必要はないわ。魔法少女絡みの問題にまどかを巻き込むわけにはいかない。だから今は……』
さやか「あー、うん。ちょっと先生に頼まれた用事があってさ。ね、転校生?」
ほむら「え?」
さやか『何をしているの。早く私のフリをしなさい』
ほむら「そういうことよ。用がないのならさっさと消えなさい、鹿目まどか。
私はあなたみたいに暇じゃないの。気軽に話しかけないでちょうだい」
まどか「えっ……?」
さやか『ちょ、ちょっと!あなた何をしているの!?まどかにあんな酷いことを言うなんて!』
ほむら『えっ!?だ、だってあんた、いっつもあんな感じじゃん……』
さやか『それはあなたとキュゥべえに対してだけよ!』
ほむら『えぇー……』
ほむら「え?あ、えーっと……」
さやか「ち、違うのまどか聞いて!」
QB「……おかしいな。ほむら、君はまどかに対してそれなりに好意を持って接していなかったかい。
よく2人で遊んでいたようだったし、てっきり仲が良いと思っていたんだけど。
それは僕の勘違いだったかな?
それともまどかは何か君に対して怒らせるようなことでもしたのかい?」
その、たまたまちょっと虫の居所が悪かったっていうか……」
まどか「さやかちゃん、そんなに一生懸命ほむらちゃんのこと庇って……。
2人とも、いつの間にかとっても仲良しになってたんだね」
QB「それは良いことだけど……。
それよりも僕は、まどかとほむらとの関係の悪化の理由を知りたいよ」
まどか「もう良いよキュゥべえ、行こう?ごめんね、ほむらちゃん、さやかちゃん。邪魔しちゃって」
さやか「あっ、ま、待って!まどかぁ……!」
ほむら「…………」
さやか「美樹さやか……!」
ほむら「えーっと、あははは……。そ、そんなことより、どうやって元に戻るか考え……」
さやか「今はとてもじゃないけどあなたと一緒に居る気分になんてなれないわ!
しばらく1人にしてちょうだい!あなたもゆっくり頭を冷やして反省することね!」
ほむら「……頭を冷やすのはどっちだよ……」
とてもじゃないけど、私1人の手に負える問題じゃない。魔法少女の誰かに相談を……。
となれば、やっぱり……巴マミね)
ピーンポーン
ガチャ
さやか「こんにちは……」
マミ「あ……さや、美樹さん……」
さやか「いえ、あの……折り入って相談したいことが……」
マミ「えっ、えっと……ごめんなさい!今ちょっと立て込んでて……また今度にしてもらえる……?」
さやか「えっ?で、でも……」
マミ「ご、ごめんなさい!」バタン
さやか「あっ……」
マミ「…………」
マミ「くそっ、なんつータイミングだよ……」
マミ(目が覚めたらマミの部屋に居て、しかもマミの体になっていただと……?
ってことは今、あたしの体はどうなってんだ?)
マミ「……嫌な予感しかしねえ……」
一方その頃
杏子「……夢じゃない……わよね?何がどうなってるの……?」
そうでなくても、少なくとも私の体に私の精神がないことは間違いない……)
杏子「と、とにかく、早く家に戻った方が良さそうね……!えーっと、ここから家の方向は……あ」
ほむら「げっ……」
杏子(なんてこと、こんな時に……!
どうしよう、事情を話してしまった方が良いかしら……)
杏子「え、えーっとその……」
ほむら「こ、こんなところで何をしているのかしら、あんこ」
杏子「あ、あんこ?」
ほむら(しまったあああああああ)
杏子「えっと、あー、あたしはその、散歩だよ散歩」
ほむら(あ、あれ?『あんこ』にツッコまれない……。
もしかして普段からあだ名で呼ぶような仲なの!?)
杏子(あっ……、『あんこ』に動揺して打ち明けるタイミング逃しちゃった……。
それにしても『あんこ』だなんて……。
佐倉さん、暁美さんにあだ名で呼ばれるほど仲が良かったのね)
杏子(いけない……佐倉さんが暁美さんのことを何て呼んでるかなんて知らないわ……!)
杏子「えっと、ほむ、ほむ……」
ほむら「ほ、ほむほむ?」
杏子「え!?あ、いや、その……」
ほむら「わ、私は……そう。私も散歩よ。散歩。本当に奇遇ね」
杏子(『ほむほむ』で通った……!?)
ほむら「そ、それじゃあ、私はそろそろ帰るわね。夕飯の支度もあるし。さよなら、あんこ」
杏子「お、おう。じゃあな、ほむほむ」
ほむら&杏子(……まさか2人がそんなに仲が良かったなんて……)
私の体に居る誰かと……たぶん佐倉さんだろうけど、話し合う必要があるわ。
それから他のみんなに打ち明けるかどうかを決めましょう。
確か、この商店街を抜ければもうすぐ家が見え……)
オヤジ「ごらぁ!見つけたぞこの泥棒娘!」ガシッ
杏子「えっ!?」
オヤジ「ウチの商品ごっそり持って逃げやがって!裏に来てもらおうか!」
杏子(さ、佐倉さん!?あなたなんてことを……!)
オヤジ「昨日ウチの商品が大量に盗まれたって言ったろ?こいつが犯人だよ」
おばさん「えぇ!?こんな女の子がかい!?」
杏子「え、えっと、その……」
オヤジ「それで、どうしてくれるんだ?えぇ?」
杏子「ご、ごめんなさい……ぐすっ……ごめんなさぃ……」
オヤジ「……泣いて謝れば済む問題じゃあ……」
おばさん「ねぇ……理由くらい聞いてあげても良いんじゃないかい?
ただの普通の子どもがあんなにたくさんの商品盗むかねぇ……」
オヤジ「ん……まぁ、それもそうか。なぁ嬢ちゃん。
何か理由があるってんなら、聞くだけ聞いてやっても良いぞ」
杏子「えぅっ……えっと、実は……」
オヤジ「なん……だと……」
杏子「し、信じて、くれるんですか……?」
オヤジ「嘘ついてるかどうかなんざぁ、目ぇ見りゃわかる。大変だったな譲ちゃん。
だがなぁ、泥棒はいけねぇよ泥棒は」
杏子「ご、ごめんなさい……」
オヤジ「次からは、欲しいもんは一言いってから持ってきな!」
杏子「えっ……?」
おばさん「そうだよ!お譲ちゃんみたいな頑張ってる子、応援するしかないからね!」
杏子「そんな……で、でも」
オヤジ「良いから良いから。昨日の分も、金はいらねぇよ。
とにかくそういうわけだ。これからはウチをどんどん頼ってくれ!」
杏子「は、はい……ありがとうございます……!」
おばさん「じゃあね!気をつけて帰りな!」
杏子(なんだかすごいことになっちゃった……。
と、とにかく!帰ったら佐倉さんにお説教しなくちゃ……!)
ガチャ
マミ「……ッ!?」
杏子「……こんにちは」
マミ「マ……マミ……?」
杏子「やっぱり、佐倉さんね。あがらせてもらうわよ、私の家だし」
杏子「残念ながら……」
マミ「くそっ……。キュゥべえのやつもテレパシー通じねぇし、何がなんだかさっぱりわからねぇ」
杏子「ところで、ちょっと言っておきたいことがあるんだけど」
マミ「ん?なんだよ」
杏子「実はさっきね……かくかくしかじかで……」
マミ「はぁ!?なんだそりゃ!ていうかあんた、あたしの過去喋っちまったのかよ!?」
マミ「ふん……。魔法の力をどう使おうと、あたしの勝手だろ」
杏子「……とにかく、体が元に戻ったらまたきちんと謝りに行くのよ。お金も持ってね」
マミ「なんでだよ?そいつら、昨日の分の金は払わなくて良いって言ったんだろ?
だったら良いじゃねえか」
杏子「良いわけないでしょう?私のお金持って行って良いから」
マミ「なんだよ、ったく……めんどくせぇな」
杏子「そんなこと言わないの。大体あなたは前から……」
マミ「あぁあぁわかったよ!持ってくって!
持ってくから、とにかく今はそんなことで揉めてる場合じゃねえだろ!?
さっさとこれからのことについて話し合おうぜ!」
杏子「……えぇ、そうね」
マミ「……なんであたしが学校なんか」
マミ(わざわざ教室や席まで教えてくれちゃってさ。
サボっちまえば良いじゃねぇか……。ほんと、変なところで真面目だよなあいつ)
マミ「…………」
マミ(しっかし……ずっと席に座ってるのに、1人も声をかけてこねえな。
あいつ、友達いないのか……?)
マミ(結局、丸一日誰とも会話しなかったな……ま、あたしも慣れてるから別に良いんだけどさ)
マミ「さて、帰るか……ん?」
女生徒1「ちょっと、巴さーん」
女生徒2「何勝手に帰ろうとしちゃってるの?」
マミ「えっ?あー、何か約束があった、かしら……?」
女生徒3「へー?ふーん。約束破るんだー」
女生徒1「あたしたちの掃除当番、今週ずっと代わるって約束だったでしょ?」
女生徒1「……あのさぁ。理由なんかどうでも良いじゃん」
女生徒2「何?何か文句でもあるの?」
女生徒3「……なんかさっきからこいつ生意気じゃない?」
女生徒1「だね。ちょっとお仕置きしちゃおっかw」
マミ(ふーん……なるほどね、マミのやつ……。今までそんな素振り見せたことなかったじゃんかよ)
でなきゃ本気でお仕置きしちゃうよー、なんてねw」
マミ「えっと、ごめんなさい。私、今週はちょっと忙しいから。それじゃ、また」
女生徒1「……はぁ?」
女生徒2「あんた何言ってんの?そんなこと許されると思ってんの?」
女生徒3「ねぇ、こいつ本当にやっちゃおうよマジで」
女生徒1「……だね。ねぇ巴さん、今からちょっとトイレ行こうか」
マミ「……あーなんだよ、ったくめんどくせぇ。用足したいんなら勝手にやってろっつーの」
女生徒2「おい!あんま調子乗ってんじゃねえよこの……!」
マミ「おっと」ドスッ
女生徒2「ぅぐ!?」
女生徒3「うぁっ……!ちょ、ちょっとあんた、何すんのよ!」
マミ「あーあー、急に殴りかかってくるからつい手が出ちまったじゃねぇか」
女生徒3「ふ、ふざけんな……ぁがっ!?」
マミ「学習しなよ、馬鹿だねぇほんと。
ま、いじめなんてコスい真似するような連中が頭良いなんて思っちゃいないけどさ」
マミ「ん?あんたはちょっとは賢いみたいだね。で、どうする?まだやるかい?
それとも、今までいじめてた奴にボコられましたってなさけなくチクりに行く?」
女生徒1「う……そ、その……」
マミ「あたしはこれ以上めんどくさくするのは申し訳ないし、今日はもう帰るよ。
ま、これに懲りたらもう『巴マミ』に手を出さないことだね。それじゃ」
女生徒1「…………」
マミ(……や、やっちまった……)
杏子「あ、おかえりなさい、佐倉さん……あ、あの……」
マミ「ん?」
杏子「学校、どうだった……?」
マミ「べ、別にー?普通だよ普通!」
杏子「その、ごめんなさい!私、忘れてて……」
マミ「あー!それより腹減ったー!マミ、何かメシ作ってくれよ、メシ!」
マミ「な、何がー?別になーんもなかったぜ?何もなさすぎてつまらないくらいだよ!」
杏子「本当に……?本当に何もなかった?何もされなかった?」
マミ「本当だって!それより早くメシ作ってくれよ!ケーキでも良いぜ?」
杏子「そう……良かった、佐倉さんが無事で……」
マミ「ん?何か言ったか?」
杏子「ううん、なんでもない!待っててね、今準備するわね!」
マミ(……あっぶねー……。
学校であんな事件起こしたなんて知られたら、また説教食らうに決まってるからな)
女生徒A「さやか、なんか昨日からよく暁美さんと一緒に居るよね」
さやか「えっ?そ、そうかなぁ?」
女生徒B「確かに!前までは結構、暁美さんのこと苦手って言ってなかった?
何考えてるか分からないとか、暗いとか、いけすかないとか」
さやか(美樹さやか……そんなことを言っていたのね。覚えておきましょう)
さやか「そ、そうだっけ?いやー、あはは、でもそんなことないよ。
まぁ見た目はそうかもしれないけど話してみると案外、って感じかな」
女生徒A「そうなんだ。あ、だったらさ!今日暁美さんも誘ってみんなで喫茶店行こうよ!」
さやか「え?」
さやか「いや、でも……」
女生徒A「あ、もちろん鹿目さんや志筑さんも一緒で良いよ!大勢の方が楽しいし!」
さやか「いや、そうじゃなくて……」
女生徒B「そうと決まれば早速……暁美さーん!」
ほむら「えっ?」
さやか(あなたたち人の話を聞きなさいよ……!)
女生徒B「あのね、今日の放課後、一緒に喫茶店に行かない?」
ほむら「!」
女生徒A「ちょうどさ、新メニューですっごく美味しそうなスイーツが出たじゃない?ね、一緒に行こっ?」
ほむら「良いねぇ!あたしもさ、あの新メニュー食べたいと思ってたんだ!」
さやか「!?」
ほむら「あ」
ほむら(し、しまったぁああああ)
さやか(美樹さやかって、ほんと馬鹿)
女生徒B「もしかして暁美さん、結構甘いもの好きだったりする?」
ほむら「へっ?あ、えぇ、そうね。甘いものは大好きよ」
女生徒B「やっぱり!そりゃーテンション上がっちゃうよねー!」
女生徒A「へー、暁美さんって、なんとなくブラックコーヒーとか
飲んでそうなイメージあったからちょっと意外かも!」
ほむら「え、えぇ……」
さやか『美樹さやか』
ほむら『……ま、まー良いじゃん!なんとかごまかせたみたいだしさ!』
さやか『…………』
ほむら『ごめんなさい……』
さやか『次はないと思いなさいよ』
女生徒A「結局、鹿目さんも志筑さんも駄目だったの?」
さやか「うん……仁美はピアノ、まどかは何か用事があるんだってさ」
女生徒B「そっか……あ、来たよ!注文した新作スイーツ!」
ほむら(よっ!待ってましたぁ!)
さやか『美樹さやか』
ほむら『わかってるって!今必至に表情抑えてるんだから話しかけないでよ!』
さやか「いただきまーす!」
ほむら「いただきます」
女生徒A「ん~、おいし~!」
女生徒B「これはヒット作だね!間違いない!……あれ?さやか?」
さやか「え……?何?どうかした?」
女生徒B「なんかあんまり嬉しくなさそうだけど……あんまり口に合わなかった?」
さやか「え、えぇー!?そ、そんなことないよぉー!?すっごく美味しい!うん、大満足!」
女生徒A「あはは、なんかさやかより暁美さんの方がすごく喜んでるみたいだよ?
ほら見て、この幸せそうな顔!」
ほむら(ウンまぁあ~い!!あーもう超おいしー!何これ!超幸せー!)
さやか「…………」
ほむら「……?」
さやか『いったい何度忠告させるの?どこまであなたは愚かなの』
ほむら『ウェ!?ちゃ、ちゃんと大人しく黙々と食べてたじゃん!』
女生徒A「いやー、まさか暁美さんのあんな満面の笑みが見られるなんて、誘った甲斐があったよ!」
ほむら「へっ?」
女生徒B「本当に甘いもの好きなんだね、暁美さん!
また今度誘うね!今度はもっと大勢で来よう!ねっ、さやか?」
さやか「あー、うん、そうだね、もし暁美さんが忙しくなければ、の話だけど」
ほむら「え?あの……か、考えておくわ……」
女生徒B「またここ来ようね!ばいばーい!」
さやか「うん、ばいばい」
ほむら「さようなら」
さやか「…………美樹さやか、話があるわ」
ほむら「な、なに?さっきのことはもう何度も謝ったでしょ……?」
ほむら「…………」
さやか「話と言うのは今後のことについてよ。今日の夜中、話し合いをしましょう」
ほむら「あ、あぁそっか……。良いよ、どこでやる?」
さやか「私の家。あなたの両親が寝静まったら行くから待っていて。
……用件はそれだけ。それじゃ、また後で」
ほむら「お、おぉ……切り替え早いなぁ」
ほむら「うーん……転校生、早く来ないかなぁ。
この部屋に1人って、なんか落ち着かないんだよねー……」
ピーンポーン
ほむら「お、やっと来た」
さやか「上がるわよ」
ほむら「はい、どうぞ」
さやか「ところで……こっそり後をつけてくるなんてどういうつもりよ、キュゥべえ」
さやか「隠れてないで、姿を現したら?」
QB「…………気付いていたんだね」
さやか「ついさっきね。それで?何の用?」
QB「……それはこっちが訊きたいな。こんな夜中にこっそり会うなんて、何をしているんだい?」
さやか「…………」
さやか『駄目よ。そんなことをすれば、それをダシにまどかに契約を迫るに決まっているわ』
ほむら『じゃあどうすれば……』
さやか『今は適当にあしらって追い返すしかないわね』
QB「……どうしたんだい2人とも黙り込んで。理由を教えて欲しいんだけど」
ほむら「その必要はないわ。あなたには関係ない。用がないのならさっさと消えなさい」
さやか「そうだよ、邪魔だから早く帰ってよ」
今日のこれも何かそのことと関係あるのかな?」
さやか「しつこいなぁ。早く帰れって言ってるでしょ?」
QB「それとも、ほむら。君とまどかとの関係の悪化と何か関係があるのかい?
そもそもどうしてそんなにまどかと仲が悪くなってしまったんだ?
あんなに仲が良かったのにおかしいじゃないか。まどかは君に何かしてしまったのかな?」
ほむら「やけに食い下がるわね……。何もしてないわ。だから、早く帰りなさい」
QB「本当に何もしていないのかい?何か隠しているのなら教えて欲しいな」
ほむら「だから、何もしてないって言ってるでしょ……」
本当は何かしてるんじゃないのかな。
もし何かしたんだったら教えて欲しいんだけど……。
それとも、君は……単純にまどかのことが嫌いになってしまったのかい……?」
ほむら「しつこいわね……!えぇそうよ、嫌いになったのよ。私はまどかが嫌いになったの。
これで満足かしら?わかったなら、さっさと帰ってちょうだい」
QB「そ、そう、なんだ……」
さやか「……?」
QB「でも、何も理由がないのに嫌いになるなんて、そんなの……」
ほむら「何?何か嫌いになるのにいちいち理由が必要なの?嫌いだから嫌い。
暁美ほむらは、鹿目まどかのことが嫌い。それで良いでしょう?何度も言わせないで」
QB「そ……そんなのってないよ!あんまりだよ!」
QB「どうして……?あんなに仲良しだったのに、ほむらちゃんのこと、大好きだったのに……」
ほむら「……『ほむらちゃん』……?」
QB「あ……ご、ごめん。なんでもないよ……。そうか、わかった……。
ほむらちゃ、ほむらは……まどかのことが、単純に嫌いに……なっちゃったんだね……。
それじゃあ、僕はこれで……」
さやか「……まどか……?」
QB「え……?」
さやか「まどか、まどかなの……!?」
QB「な……何を言ってるんだい、さやか。僕はまどかなんかじゃないよ……?」
さやか「キュゥべえ……答えて。暁美ほむらが持っているメガネの縁とリボンの色は、何色?」
QB「急に、何を言い出すんだい?」
ほむら(メガネとリボン……?転校生、そんなの付けてたっけ?)
さやか「答えて。あなたなら答えられるはず」
QB「そうだね……確か、メガネは赤で、リボンは紫だったはずだよ」
さやか「……暁美ほむらがメガネとリボンを見せた相手は、鹿目まどかだけよ。2人で遊んだ時にね」
さやか「どうしてあなたが、それを知っているの?」
QB「え、えっと……それは……」
さやか「やっぱり、まどかなんでしょ!?ねぇ、そうでしょ!?」
QB「う……ぅん……。ごめんね、隠してて……」
ほむら「ま、まどかぁ!?キュゥべえが!?」
QB「でも、メガネもリボンも、私にしか見せたことなかったなんて……、あれ?
でも……じゃあなんでさやかちゃんが……」
さやか「言ったでしょう?メガネもリボンも、見せたことがあるのは、あなただけよ、まどか」
QB「も、もしかして……ほむらちゃん……!?」
ほむら「ふぇっ!?あ、あはははは……キュゥべえを追い返そうとしたんだよ……。
だけどその分、心には焦りや苛立ちが溜まって……。
一番大切な友達さえ傷付けて……あたしって、ほんと馬鹿」
さやか「たとえキュゥべえを追い返すための口から出まかせだったとしても、まどかを傷付けた罪は重いわ……!」
QB「もう良い……もう良いんだよ、ほむらちゃん」
さやか「まどか……」
QB「ほむらちゃんがわたしのこと嫌いになってないってわかっただけで、それだけで十分幸せ。
やっぱりほむらちゃんは、わたしの、最高の友達だったんだね……」
さやか「まどかぁ……」
まどか「やれやれ、まさか僕たちだけじゃなくて君たちにまで異常が起こっていたとはね」
さやか「キュゥべえ……!」
まどか「そうだよ。今は僕とまどかの体が入れ替わってしまっている。
そして、それは君たちも同じみたいだね。暁美ほむら、美樹さやか」
QB「ごめんね、キュゥべえ。勝手なことしちゃって……」
まどか「構わないよ。結果として、協力者が増えた形になったからね。
ただこうなると、自体は思っていたよりも大きいかもしれない」
ほむら「と言うと?」
まどか「巴マミと佐倉杏子だよ。現に、見滝原の魔法少女のうち半数が巻き込まれているんだ。
彼女たちに何も変化がないと考えるのは楽観的過ぎると思わないかい?」
さやか「そうね。都合の良いことに明日は学校が休みだから、明日巴マミの家に行きましょう」
ピーンポーン
ガチャ
マミ「……なっ!?ど、どうしたの、みんな?
今日お茶会の約束でもあったかしら……?」
さやか「いえ、ちょっとお話があって……」
ほむら「上がらせてもらいますね!」
マミ「あ、ちょ、ちょっと!?」
杏子「どうしたの?佐倉さ……えっ?」
ほむら「あ」
杏子「な、何か用か?ほむほむ……それにみんなも」
さやか「……ほむほむ……?」
ほむら「あー……あはは……」
杏子「えっ?なんだ知らねーのか?あたしとこいつは、すっげー仲良いんだぜ!なぁ、ほむほむ?」
ほむら「あー、えっと、マミさん?」
杏子「え?」
マミ「え?」
ほむら「もしかして、マミさんと杏子、体入れ替わっちゃったりしてません?」
まどか「うーん、この飴まずいなぁ。捨てちゃおう」
マミ「おい、食い物を粗末にするんじゃねえ!」
ほむら「やっぱり」
マミ「あ」
杏子「キュ、キュゥべえ!見てないで何か……!」
QB「ちょ、マ、マミさん!やめ、揺さぶらないでください!私キュゥべえじゃ……!」
マミ「どういうことだおい……」
マミ「まじかよ……」
杏子「私達だけじゃなかったのね……」
さやか「それにしても……」
杏子「?」
さやか「『ほむほむ』はないと思うわ、巴マミ」
杏子「ちっ、違うのアレは……!」
マミ「『あたしとこいつはすっげー仲良いんだぜ?なぁほむほむ?』wwww」
杏子「や、やめてぇ!」
QB「み、みんなやめてあげてよ!マミさんが可哀想だよ!あんまりだよ!」
ほむら「ごめんなさいマミさん……あたしのせいでマミさんに恥ずかしい思いを……」
杏子「ううん……良いの、ありがとう。でもフォローされると余計に恥ずかしい……」
さやか「黙りなさい。それ以上言うと葬るわよ」
マミ「ほむほむだけに?」
さやか「…………」チャキ
マミ「け、拳銃!?どこから!?」
杏子「やめて暁美さん!それ私の体!」
さやか「……まぁ良いわ。そんなことより、今後のことについて話し合いましょう」
ほむら「お、おぉ……切り替え早いな」
マミ「やっぱそうか……」
QB「だ、だったら、早くみんなで……!」
杏子「そうね、この人数なら逃げられることもないでしょう」
さやか「えぇ、確実に仕留められるわ」
まどか「そうと決まれば早速その魔女を探しに行こう」
杏子「えぇ、間違いないわ」
ほむら「な、なんだか嫌な雰囲気の結界ですね……」
マミ「へっ、なんだよさやか、ビビってんのか?」
ほむら「び、ビビってなんか……
って、マミさんの顔に文句なんか言い辛いから挑発とかやめてよね!」
杏子「もう、2人ともケンカしないの」
ほむら「うるさいなぁ!ほっといてよ!」
杏子「ッ!」ビクッ
ほむら「あ、すいません、マミさん……」
杏子「う、ううん……気にしないで」
さやか「大丈夫よ、まどか。あなたは私が守るわ」
QB「ほむらちゃん……!」
まどか「ふーん、たとえ外見が変化しても君のまどかに対する態度は変わらないんだね。
やっぱり人類にとって魂は重要なものらしい」
さやか「当然よ。だからたとえあなたがまどかの外見をしていようとも、あなたはただのインキュベーター……」
まどか「酷いよほむらちゃん!そんな言い方ってないよ!
私はほむらちゃんのこと、とっても大切に思ってるのに!」
さやか「くっ……卑怯なマネを……!でも惑わされないわよ……!」
まどか「へぇ。やるじゃないか」
QB「……みんな大丈夫かなぁ」
ほむら「あ、そっか。変身っ……と。あ、服はちゃんとあたしの奴だ。
でもなんか……ちょっとブカブカかなぁ。
……ちょっと転校生、あんたそれスカート短すぎじゃない?」
さやか「……スカートだけじゃないわ。あなたもだけど、色々とサイズの変更が必要なようね……」キツキツ
マミ「いででででで!!おい、マミ!あんたの胸どうなってんだよこれ!」ギチギチ
杏子「やだ、私は胸元がちょっとブカブカ……」
マミ「ぶっ殺すぞ!」
QB「み、みんな大変そうだね」
魔女「ケケケケケ……」
さやか「ついに姿を現したわね……」
ほむら「うわぁ……こりゃ一段とグロいなぁ」
杏子「悪いけど、一気に決めさせてもらうわよ!」
マミ「覚悟しやがれ!っよし!武器はちゃんと槍だな!っと、うわっ!」
QB「き、杏子ちゃん!?どうしたの!?」
マミ「ってぇ……。こ、攻撃しようとしたら槍が胸にひっかかりやがった……」
まどか「これは思った以上に大変そうだね」
ほむら「ぅおりゃあ!んもー!また外した!」
マミ「あぁもう!邪魔くせぇ胸だな!」
さやか「文句を言う暇があったら戦いに専念してちょうだい」ドゥン!
魔女「グギャァ!」
ほむら「あんたは良いよね!時間停止があるからさ!」
さやか「私だって慣れないのは同じよ。いつもならこんな魔女、私1人でもとっくに倒してる……!」
魔女「ギャァ!」
マミ「よっしゃ!やっと当たった!へん!どうやらちょっとずつ慣れてきたみてぇだな!」
杏子「私だって!」ドゥン!
ほむら「隙あり!どおりゃあ!」ズバッ
さやか「ようやくみんな慣れてきたようね……」
QB「す、すごい!これなら勝てるね!」
まどか「うん。かなり攻撃が当たり始めた。これなら倒すのも時間の問題……」
魔女「ケェエエエェエエエエエエエ!」
さやか「なっ……!」
杏子「何、この光……!」
マミ「嘘……こんなのってないよ!あんまりだよ!」
まどか「ちょっとぉ!こんなのアリ!?」
ほむら「体が軽い……こんな気持ちで戦うなんて初めて……」
杏子「巴マミ。あとで覚えていなさい」
さやか「わけがわからないよ」
まどか「そんなのん気なこと言ってる場合じゃないでしょ!?」
杏子「もうこうなったら、これ以上入れ替えが起きる前に片を付けるしかなさそうね」
QB「けど、そんなことできんのか!?ようやくマミの体にも慣れたってのに……!」
ほむら「でも、やるしかないわね……!」
・
・
・
QB「そこだ、行けぇ!マミ!」
ほむら「任せて!ハァア!!」
魔女「ケェエエエエエエエェエエエェエエ!」
杏子「この光……また……!」
さやか「そんな……あれでも駄目なんて、みんな死ぬしかないじゃない!」
杏子「ちょ、ちょっと!多分マミさん!早まらないでください!」
マミ「まずいな、これじゃあ全滅の可能性も出てきた。この魔女は強すぎる」
ほむら「いやだぁ……もういやだよ、こんなの……」
QB「くっ……この体じゃ、戦うこともできない……!」
QB(……待てよ、契約……?そうだ、この手があった……!)
でも、この手はある意味博打……しかも、試すにはチャンスを待たないと……)
杏子「こ、このぉお!もうこうなったらやるしかない!おりゃあああ!!」
魔女「!ケェエェエエエエェエエエ!」
マミ「気を付けて、また来るよ!」
QB(っ!早速来た!お願い!チャンスを……!)
QB(入れ替わってない……!私は入れ替わらなかった!他のみんなは……!?)
マミ「って!また入れ替わりぃ!?もう勘弁してよ……」
杏子「もう駄目よ……おしまいよ……」
ほむら「お、おい!マミ……だよな?しっかりしろよ!豆腐すぎんだろ!」
さやか「ひどすぎるよ……こんなの絶対おかしいよ……」
まどか「参ったな、魂の移動はかなり精神を消耗するらしい。このままじゃ本当に全滅だ」
QB(幸運だわ……いきなりチャンスが来るなんて!これを逃すわけにはいかない!)
まどか「ん?君は……ほむらだね。突然どうしたんだい?」
QB「契約、するわよ……」
まどか「契約?おかしなことを言うね。君はもう僕と契約しているじゃないか。同じ人間と二度契約を結ぶことは不可能だ」
QB「私はあなたの意思を訊いているの。あなたは、私と契約したくないの?」
まどか「したいかしたくないかで言えばしたいさ。もちろん、可能なら、の話だけどね」
QB「そう……。ちなみに私が今願うとすれば『この魔女を倒し、みんなを元通りにする』かしらね」
まどか「そうか。僕にとっても今の状況はあまり好ましくない。それは僕もぜひ叶えたい望みだね」
QB「そう……契約は成立ね」
魔女「グ……ギャアアアアアアアアアアアアア!!」シュゥゥゥゥ……
まどか「魔女が……消えていく……!?まさか……!」
ほむら「……えぇ、そのまさかよ」
マミ「もう死ぬしか……あら?」
さやか「も、元に戻ってる!」
杏子「それに、魔女も消えた!どうなってんだ……」
まどか「終わったの……?全部、終わったの……?」
まどか「う、うん……」
ほむら「ソウルジェムは……持ってる……?」
まどか「え?ソウルジェム?誰の?」
ほむら「良いから、探してみて!」
まどか「え、っと……。ううん、持ってないけど……」
ほむら「……良かった……!」
QB「暁美ほむら……ずいぶん強引な手を使ってきたね」
ほむら「あなたは確かに『契約したい』と言った。そしてあなた自身の望みも口にした。
それだけで契約するには十分。
少なくとも、真実を隠して契約を結び続けてきたあなたには非難される筋合いはないと思うけど。
あなたたちのやり口と大して変わらないでしょう?」
QB「やれやれ……。しかし、さっき確かに『鹿目まどか』は契約を結んだはずだよね。
なのに彼女はソウルジェムを持ってないということはやっぱり……ここにあるコレが、そうなんだね?」
ほむら「えぇ、そういうこと。契約を結んだのはまどかじゃなくて、あなた。
ソウルジェムに変えられたのはあなたの魂よ、キュゥべえ」
けれど僕たちには感情がない。だから、たとえ魔女化しようとも感情エネルギーを生み出さない。
なんて無意味な存在なんだ。やれやれ……こんなことをして、君は満足なのかな」
ほむら「えぇ、満足よ。まどかだけじゃない、みんなを救うことができたもの」
QB「今この場だけで魔女を倒そうとも、所詮はその場しのぎだ。いずれ彼女たちも魔女に……」
杏子「お、おい!ソウルジェムがないぞ!あたしのソウルジェムどこいった!?」
マミ「わ、私のソウルジェムも!どこにもないわ!」
さやか「えぇ!?あたしのもだよ!そんな、早く見つけないと……!」
ほむら「その必要はないわ」
QB「……まさか……!」
QB「暁美ほむら……君はなんてことを」
マミ「え……?な、何を言って……」
杏子「ど、どういうことだ?何が起こってる?」
QB「詳しい説明は省くけど、たった今、契約によりある願いが遂げられたんだ。
その願いとは、『この魔女を倒し、みんなを元通りにする』こと。
この『元通り』というのが、体の入れ替わりのみを指しているわけじゃなかったということさ」
さやか「つ、つまり……魔法少女から普通の人間に、『元通り』になったってこと?」
さやか「で、でもそれじゃ、この町の平和は……」
マミ「そうだわ、私たち魔法少女が、この町の人たちを魔女の手から守らないと……」
ほむら「それには及ばないわ。なぜなら……この町はこれから、魔法小動物キュゥべえが守るからよ」
杏子「ま、魔法小動物ぅ!?」
まどか「きゅ、キュゥべえ、そうなの?じゃあ契約したのって……」
QB「訂正するほど間違ってはいないね。もうこうなった以上、やむを得ない」
ほむら「そういうわけだから。魔法小動物キュゥべえ☆マギカの始まりよ」
QB「わけがわからないよ」
杏子「あーあ……ったく、めんどくせえな」
杏子(なんで金は払わなくて良いって言われたのにわざわざ……と、ここだったよな、確か)
杏子「おーい……すいませーん」
オヤジ「あ、すいやせん、もう店閉めちまいますんで……お?
なんだ、嬢ちゃんじゃねえか!どうした?早速何か要り様かい?」
杏子「えっ?あー、いや、……こないだの、金を……」
オヤジ「なにぃ!?払わなくて良いって言っただろうに!」
杏子(ほら見ろマミめ……)
杏子「え!?い、良いよ、そんなの……!」
オヤジ「遠慮はいらねぇよ!おーい!もうメシ出来てるよなぁ!?」
おばさん「なんだい、あんた。そんなに急かさなくても……おや、あの時のお嬢ちゃん!」
杏子「ど、ども……」
オヤジ「今、嬢ちゃんもここでメシ食わないかって話になってんだよ」
おばさん「あら、良いじゃないか!お嬢ちゃん、食べて行くだろ?」
杏子「えーっと……じゃ、じゃあ……」
オヤジ「良い食べっぷりだねぇ!」
杏子「そんじゃあたし、もう行くよ。ごちそうさま」
おばさん「あら、そうかい?またいつでもおいで!」
杏子「え?ま、また来て良いの……?」
オヤジ「おう!遠慮すんな!毎日でも良いぞ!いや、むしろ毎日きやがれ!」
おばさん「ちょっと、お嬢ちゃんの都合も考えなよ、ねえ?」
杏子「っはは……ありがとう」
杏子(なんつーかさ……マミ、さんきゅ)
マミ「……はぁ」
マミ(今から掃除、か……。本当は私じゃないのになぁ……。
でも、反抗するとまた……駄目だなぁ、私。弱い子だ)
女生徒1「と、巴さん……!?」
マミ「っ!な、何……?私、何も……」
女生徒1「い、良いって良いって!当番はあたしなんだから!
だから、ね?もう帰っても良いよ?大丈夫だから!」
マミ「えっ……?で、でも……そ、そう言えば、あとの2人は……」
女生徒1「……帰っちゃったよ」
マミ「え……?」
巴さん、かっこいいな、なんて思っちゃったんだ……。
ご、ごめんね!今まであんなに酷いことしといて!勝手だっていうのは分かってる!
でも、そしたら急に、今までの自分がかっこ悪く見えてきて……馬鹿だよね、あたし」
マミ「…………」
女生徒1「って、そのことをあの2人に言ったら、付き合いやめるって言われちゃった」
マミ「……!」
女生徒1「……うん、そういうわけなの。だから、ね!
掃除はあたしがやっとくから、巴さんは大丈夫、もう帰っちゃって……」
マミ「私も手伝うわ」
マミ「1人で掃除なんて、大変でしょう?」
女生徒1「な、なんで……」
マミ「さっきあなた、言ってくれた。『今まで酷いことしてごめん』って。
それだけで私、すごく嬉しい。謝ってくれさえすれば、それで良いの」
女生徒1「巴、さん……」
マミ「ね?だから、早く2人で掃除終わらせちゃいましょう?」
女生徒1「う……うん!」
マミ(昨日……佐倉さん、何をしたのかしら……。でも、良いわ。ありがとう、佐倉さん。
何があったかなんて、関係ない。だって私、もう1人ぼっちじゃないもの!)
仁美「それにしても、暁美さんって意外と面白い方ですのね。私、もっと怖い方かと思っていましたわ」
さやか「面白い?ほむらがぁ?どこがよ?ただの暗いだけの」
ほむら「その口を今すぐ縫い付けられなければ黙りなさい。
それとも、舌ごと顎を吹き飛ばされる方が良いかしら」
さやか「おぉう……こえぇよ……」
女生徒A「ほらね!この毒舌というか、さやかイジりがめちゃくちゃ面白いでしょー!」
女生徒B「第一印象とはちょっと違うけど完全にキャラ立ちしてるよねーほんと!クール毒舌キャラ!」
まどか「えー、そうかなぁ?ほむらちゃん、2人で遊ぶ時はもっと……」
ほむら「ま、まどか……!」
女生徒B「何か弱みでも握ってるのかなー?」
まどか「ち、違うよぉ。優しいだけだよ!ね、ほむらちゃん?」
ほむら「まどかぁ……」
女生徒A「むむー?なにやら、2人の間にはただならぬ関係を感じますなー」
仁美「い、いけませんわ!それは禁断の恋の形ですのよー!」
ほむら「黙りなさい」
さやか「Oh……」
女生徒AB「あははははは!」
さやか『ねぇ、ほむら』
ほむら『……何かしら』
さやか『こういうのもさ、悪くないでしょ?』
ほむら『……そうね。同意しておくわ』
ほむら(……ありがとう)
QB「……グリーフシードは落とさない……ハズレだね。やれやれ」
おしまい
付き合ってくれた人ありがとう
お疲れ
魔法小動物キュゥべえちゃんは俺が大事にします
乙
乙でした
Entry ⇒ 2012.04.21 | Category ⇒ まどかマギカSS | Comments (0) | Trackbacks (0)
ほむら「シュワッチ!」
http://hayabusa.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1334672915/
杏子「なんだよいきなり」
ほむら「魔法少女よりウルトラマンになりたかったわ」
まどか「えー」
マミ「というよりマンじゃないわよね・・・」
ほむら「マンなら皆にもあるじゃない」
マミ「黙りなさい」
まどか「ほむらちゃん最近になって見るようになったんだよ!」
杏子「その年齢でウルトラマンかよ・・・」
ほむら「特撮なんか子供の見るものと思っていたけど意外と奥が深かったわ」
杏子「え、いや皆はみてねーだろ」
まどか「わたしはメビウスとかコスモスが好きだよ」
杏子「見てんのかよ!?」
ほむら「やさしいあなたらしいわ素敵よまどか」
マミ「私はエースかタロウね」
杏子「マミもかよ!」
ほむら「二人ともあなたに似ているから?」
ほむら「体系とか首が飛んでったり必殺技を叫んだりとか色々似てるものね」
マミ「ティロ・ヴァーチカルでも撃ってやろうか」
杏子(皆見てんのかよ・・・どうしよう・・・レオしかみたことねぇ
杏子「遅せーぞ!さやか」
さやか「ごめんごめんところで何の話してたの?」
まどか「ウルトラマンだよ!」
さやか「えっウルトラマン?」
杏子「聞いてくれよこいつらこの歳にもなってウルトラマンだぜ?笑っちまうよな」
さやか「・・・・」
杏子「さやか?」
さやか「アグルーー!!!」
杏子「さやかーー!!」
まどか「さやかちゃん色だー」
さやか「そう!青トラマンはさやかちゃん色!つまりコスモスもヒカリもアグルもあたしの嫁になるのだー」
杏子(青いウルトラマンなんているんだ知らなかった・・・)
まどか「最初は敵対してたけど後半は名コンビだもんね~」
ほむら(青はトラブルメーカーなのも似ているわね)
ほむら「でも性格は逆よね」
まどか「たしかにツンデレは杏子ちゃんだよね」
杏子「誰がツンデレだコラ」
さやか「なるほど・・・つまり杏子もあたしの嫁になるのだー」
杏子「何言ってんだバカ///」
(今度ガイア見てみるか・・・)
マミ「あら?ノッてきたわね佐倉さん」
杏子「そういう訳じゃねえよアタシはレオぐらいしか知らないからさ光線技あんまり知らないんだよ」
ほむら「レオとは中々硬派ね」
まどか「杏子ちゃんらしいよね~」
マミ「やっぱりストリウム光線かメタリウム光線よね」
まどか「コズミューム光線とかメビュームシュートもかっこいいですよ」
さやか「フォトンクラッシャーも捨てがたいね」
ほむら「合体技一択ね」
マミ「あら?ノッてきたわね佐倉さん」
杏子「そういう訳じゃねえよアタシはレオぐらいしか知らないからさ光線技あんまり知らないんだよ」
ほむら「レオとは中々硬派ね」
まどか「杏子ちゃんらしいよね~」
マミ「やっぱりストリウム光線かメタリウム光線よね」
まどか「コズミューム光線とかメビュームシュートもかっこいいですよ」
さやか「フォトンクラッシャーも捨てがたいね」
ほむら「合体技一択ね」
まどか「合体技といえばスペースQだよ!」
さやか「バーストストリームだってかっこいいぞー」
ほむら「そんなことより私はまどかと合体したいわ」
杏子「自分から言い出したのに何いってんだこいつ」
杏子「よっしゃ!さやかウ、ウルトラダブルフラッシャーだ!!///」
さやか「それはちょっと・・・」
まどか「お、おう」
ほむら「あなたはどこまで愚かなの」
杏子「ちくしょおお!!」
(マミがすげえ期待した目で見てるけど無視しとこう・・・)
まどか「わたしの好きなのはナックル星人、ムルチ、ゼットンかな」
マミ「トラウマ怪獣ばかりね」
ほむら「あら?巴マミあなたはやっぱりエンマーゴかしら」
マミ「てめえ喧嘩売ってんのか」
さやか「あはは言うね~転校生」
ほむら「美樹さやかといえばホーかしらね」
さやか「てめえ喧嘩売ってんのか」
杏子(シルバーブルーメとノーバはマジで怖かったな・・・)
さやか「ぎりぎりまで頑張って~♪ぎりぎりまで踏ん張って~♪」
杏子「宇宙にきらめくエメラルド~♪」
まどか「悲しみなんかない世界愛を諦めたくない♪」
ほむら「誰よりもなによりも」
まどか「え?ほむらちゃん?」
ほむら「君だけを守りたい」
まどか「ほむらちゃん////」
マミ「平成だったらtake me higherや英雄とかもいいわよね」
さやか「beat on dream onはガチ」
杏子「えっあいつらスルーする流れなのこれ?」
ほむさやまどマミ「「そっその声はっ・・・!!」」
QB「やあ」
ほむら「出たわね契約淫獣インキュベーター!!」
杏子「怪獣みたいな肩書きだな」
QB「せめて超獣にしてほしいな」
QB「酷い言われ様だねところでこの様子からウルトラマンの話をしていたのかい?」
まどか「キュゥべぇウルトラマン知ってるの!?」
QB「もちろん知っているよ」
さやか「あんたテレビなんか見てんの?感情ないのに?」
QB「何か勘違いをしているみたいだけど彼らは架空の存在じゃないよ」
ほむさやまどマミ杏子「は?」
マミ「ホ、ホントなの?」
まどか「そんなの絶対おかしいよ・・・」
杏子「マジかよ・・・」
さやか「奇跡も魔法もあるしウルトラの星もあるのかな・・・」
QB「僕が嘘を言うはずないじゃないか」
QB「一回だけあるね」
さやか「なんで行ったのさ?」
QB「いや彼らとも契約できないかと思って」
ほむら「たいした度胸ね」
杏子「まず少女じゃねーだろ」
光の国
QB「僕と契約して魔法少女になってよ!」
ダブルモヒカン「二万年早いぜ!!」
QB「僕と契約しtダブルモヒカン「ブゥラックホールが吹き荒れるぜ!」
QB「ぼkダブルモヒカン「俺のビッグバンは・・・もう止められないぜぇっ!!」
QB「わけがわからないよ」
まどか「そんなことがあったんだ・・・」
さやか「そいつ色々ヤバイわね・・・」
QB「まあ帰りに嫌がらせで孵化直前のグリーフシードばら撒いたんだんだけどね」
杏子「何してんだよ」
QB「大丈夫も何も片手で握りつぶしちゃうんだもん」
ほむら「そういえば大きさに差がありすぎたわね・・・」
マミ「契約する意味ないわよね・・・」
QB「たくさんいるよ僕の母星も一度怪獣に襲われてね」
ほむら「ざまあww」
さやか「どんな奴だったのよ」
QB「名前は知らないけど真っ黒で角が生えたカミキリムシのような姿だったよ」
マミ「それって・・・」
さやか「キュゥべえもとんでもない奴に襲われたね」
母星
QB「君は何者だい?言葉は解かるかい?」
???「ピポポポポ」
QB「まあいいやとりあえず契y
ボワッ!!(一兆度)
QB「」
QB2「いきなり何すr
QB2「」
QB3「酷いじゃn
QB3「」
QB2314「」
ほむら「そのまま滅んでいればよかったのに」
まどか「いつかウルトラマン達にあってみたいな~」
QB「僕と契約すれば簡単に会えるよ」
ほむら「黙りなさい」パンッ!
QB「」
QB2「マジでやめてくれもうストックが少ないんだ」
QB(マズイな・・・皆は魔女化しないし鹿目まどかとも契約できそうにない)
QB(どうしよう・・・)
QB(ん?変だな母星との通信が切れた)
QB(一旦帰るか・・・)
全QB「」
QB「なっ・・・全滅しているだと・・・」
QB「いったい誰が・・・はっ!」
ハイパー???「ピポポポポ・・・・ゼェットォン・・・・」
QB「こんなのってないよ」
おわり
さっぱり終わったな
Entry ⇒ 2012.04.21 | Category ⇒ まどかマギカSS | Comments (0) | Trackbacks (0)
さやか「恭介に振られちゃった…」杏子「」ガタッ
http://hayabusa.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1333282899/
さやか(実際は告白すらしてないヘタレなんだけど……)
ほむら「……そう。勇気を持って、告白したのね」
さやか「えっ?あ、ああ、うんまぁね」
まどか「さやかちゃん、落ち込まないでね?」
さやか「あ、ありがとうまどか」
マミ「つらくなったら、いつでもわたしの家に来ていいのよ?わたしたち、仲間でもあるし友達でもあるのだから」
さやか「ありがとうございます、マミさん」
さやか(うわっ……みんな信じきっちゃってるよ……どうしよう……今更ウソだなんて言えないし……)
杏子(ついに……ついに来たか!!)
まどか「………」
マミ「………」
さやか(すごい重苦しい雰囲気になっちゃったっ!?ど、どうしよう……今からでも空気を読まずに『嘘でした☆』って言った方が……)
杏子(さて、これで心置きなくさやかにアプローチを仕掛けられるようになったわけだけど……)
さやか「あ、あのさ!実は……」
ほむら「何も言わなくていい」ポンッ
さやか「え」
ほむら「今だけは、わたしたちはあなたに優しいわ。ね、みんな?」
まどか「当然だよっ!」
マミ「失恋の悲しみは、そう簡単に癒えることはないわ。時が解決してくれるのを待つしかないの」
さやか(うわ~……ますます言いづらくなってきた……)
さやか「ん、何杏子?」
杏子「元気、出せよな?ホラ、これやるよ」
さやか「え、マミさんが作ってくれたケーキ……それ、杏子の当たり分じゃん」
杏子「なに、気にすんな。さやかが落ち込んでるところなんて、あたしは見たくねえからさ。これでも食って少しでも元気出せ。な?」
さやか「うっ、あ、ありがとう……」
マミ「優しいわね、佐倉さん」ホロリ
ほむら「よかったら、わたしの分も食べる?」
さやか「い、いやいやさすがにそんなに食べたら太っちゃいますからっ!」
マミ「ヤケ食いもストレス解消になるのよ?」
まどか「うん、そうだよさやかちゃんっ!」
さやか(みんなの優しさが心に痛い)ズキズキ
まどか(なに、ほむらちゃん?)ヒソヒソ
マミ(暁美さんの言いたいことはわかるわ)ヒソヒソ
ほむら(ええ。でも、杏子はどうやら信じ切っているみたいね)ヒソヒソ
杏子「なんなら食べさせてやるぞ?ほら、あーん」
さやか「ちょっ、自分で食べられるってばっ!」アセアセ
ほむら(これでさやかの言っていたことが嘘だった、なんてことになったら……)ヒソヒソ
マミ(今度は佐倉さんが落ち込みそうね)ヒソヒソ
まどか(ど、どうしたらいいのかな?)ヒソヒソ
ほむら(方法がないわけではないわ)ヒソヒソ
さやか「えーい、もうヤケだ!いくらでも食べちゃいますからねっ!」
まどか(な、何かいい案があるのっ?)ヒソヒソ
ほむら(要は、さやかの口から「嘘だった」と言う言葉が出てこなければいい)ヒソヒソ
マミ(……なるほどね。美樹さん本人の口から出てこない限りは、嘘だと判明することもないものね)ヒソヒソ
ほむら(そういうことよ。だから、わたしたちも信じ切っているかのように振舞うの。まどかもいい?)ヒソヒソ
まどか(了解だよっ!杏子ちゃんの為だもんね!)ヒソヒソ
杏子「なかなかいい食いっぷりだな!」ニカッ
さやか「はっはっは!まだまだ行けますよ~!」
さやか「それじゃマミさん、また遊びに来ますね!」
ほむら「高校にあがっても、元気でやるのよ、マミ」
マミ「ええ、ありがとう。気をつけて帰るのよ、みんな」
まどか「さよならです、マミさん!」
分かれ道―――
ほむら「それじゃ、わたしはこっちだから。まどか、さやか、杏子。バイバイ」
まどか「うん、ほむらちゃんバイバイ!」
杏子「気ぃつけてなー」
さやか(結局言い出せなかった……ほむらとマミさんには後でちゃんと言わなきゃ。まどかと杏子には、今言っちゃおう)
さやか「あ、あのさ、まどか、杏子」
さやか「今日言った、恭介に振られたってことなんだけど……」
まどか「!」
杏子「さやか……」
さやか「あれさ、実は嘘だったんだよね!」
まどか(ああああ……言っちゃったよさやかちゃん……)
さやか「ごめんね、嘘付いちゃって!でもホラ、今日ってエイプリルフールじゃん?だから、ちょっとした出来心と言うかなんと言うか……」
杏子「さやか……」
まどか(杏子ちゃん、落ち込んでるよっ!ど、どうしたら……)オロオロ
杏子「いいんだよ、そんな嘘つかなくっても……」
まどか・さやか「!?」
さやか「え、いや、その……」
杏子「悪い、まどか。ちょっと、さやかと二人っきりにさせてくんねぇかな?」
まどか「えっ?」
杏子(頼む、まどか。さやか、すごい自分を追い込んでるっぽいんだ。あたしが慰めるからさ、な?)ヒソヒソ
まどか(あ、あぁ、うん……わかったよ)ヒソヒソ
まどか(杏子ちゃん、さやかちゃんの言ったこと信じきっちゃって、エイプリルフールだから嘘をついたって事が嘘だと思っちゃってるよ……)
まどか「そ、それじゃわたしは先に帰ってるね!」タッ
さやか「あ、まどかっ!」
杏子「さやか、お前はこっちだ」ガシッ
さやか(うぉぉいっ!なんだか話が変な方向にっ!?)
さやか「ちょっ、ちょっと杏子っ!?」///
杏子「あたしじゃ、さやかの心の傷は癒せないかもしれないけどさ……」
杏子「でもあたしは、さやかが立ち直るまで側にいるよ」ギュゥゥ
さやか(ど、どどどどうしようっ!?どうしたら嘘だって信じてくれるのかなっ!?)アセアセ
杏子「……いいんだぜ、泣いても?」
さやか「えっ」
杏子「こうしてれば、さやかの泣き顔、見えないからさ……」ギュッ
さやか「……杏子」
杏子「………」ギュゥゥ
さやか(うーん……でも、悪い気はしないかな。いや、嘘ついちゃってる時点で悪い気はしてるんだけどさ……)
杏子「………」ギュゥゥ
さやか(でも、杏子、優しいな。ホントに、あたしのこと心配してくれてるんだ……)
杏子「………」ギュゥゥ
さやか(………あれ、ちょっと泣きそうになってきた。い、いや落ち着けあたしっ!ここで泣いたら杏子はホントに信じきっちゃうってばっ!)
杏子「………」ギュゥゥ
さやか「……うぅっ……」ジワァ
杏子「………」ギュゥゥ
さやか「杏子ぉっ……グスッ」
杏子「………」ギュゥゥ
さやか「………」
杏子「どうだ?泣いたら、すっきりしただろ?」
さやか「……ん。そうだね」
杏子「あたしの胸でよければ、いつでも貸してやるからさ」
さやか「………ありがと、杏子。優しいね」
杏子「ば、バカだな、当然だろ?あたしとさやか、友達だもんな!」
さやか「そう、だね」
杏子(……こ、ここで思い切って行くべきか、あたし?)
杏子「な、なぁ、さやか」
さやか「なに?」
さやか「えっ?」
杏子「いや……今のさやか、一人にしておけねぇって思って……」
さやか(おぉう……杏子の中では、あたしはすっかり失恋ガールなんだね……)
杏子「今日一日は、さやかの側にいたいな、って思って……ダメか?」
さやか「う、うん、別に構わないけど……」
杏子「ホントかっ!?」
さやか「あ、でも、一応あたしの両親に確認取ってから!ねっ?」
杏子「ああ、そりゃ当然。そんじゃ行くか!」ニカッ
さやか(うーん……まぁ、なるようになるか)
さや母『はい、美樹です』
さやか「あ、お母さん!あたし、さやか」
さや母『さやか?もう夜も遅いんだから、早く帰ってきなさい』
さやか「うん、今家に向かってるところ。それでさ、今日これからあたしのウチに泊まりに行きたいって友達が言ってるんだけど、いい?」
さや母『お友達?さやかの好きにすればいいじゃない』
さやか「ホント?それじゃ、友達と一緒に帰るから」ピッ
杏子「な、なんだって?」
さやか「オッケーだって」
杏子(うっしっ!これでチャンスが出てきたぞ!)
杏子「お、お邪魔しますっ!」
さやか「杏子、あたしの部屋に行ってて。あたし、ちょっと居間に顔出すついでにお菓子とか持っていくから」
杏子「あ、あぁ」
さやかの部屋―――
杏子「さやかの部屋……」
杏子「今までも何回か来たことはあったけど、泊まりは初めてなんだよな……」
杏子「………」ソワソワ
杏子「ベッド……さやかは、いっつもここで寝てるんだよな……」
杏子「………ゴクリ」
杏子(………っ)スッ
杏子(……くっ!さすがにさやかの温もりは残ってねぇ!)
杏子(でも、顔うずめたらさやかの匂いはしそうだよな……)
杏子(い、いや待て!まだそれは早いぞあたしっ……)
杏子(……す、少しくらいなら……大丈夫、か……?)オソルオソル
杏子(……もう少し……もう少しで……)オソルオソル
さやか「お待たせーっ!」ガチャ
杏子「っそぉぉぉぉいっ!!!」ガバッ
さやか「!?」
さやか「いや、まぁ居間でお菓子とジュース持ってくるくらいだし」
杏子「い、いやいやそれにしても、さやかの部屋、なかなかいい内装だよなっ!」ドキドキ
さやか「あっはは、今日初めて来たってわけでもないのに、何言ってんのさ!」
杏子(ば、ばれてないよなっ?大丈夫だよなっ?あ、あたしはたださやかのベッドに腰掛けてるだけに見えてるよなっ?)
さやか「いつまでそこに座ってるのさ、杏子?」
杏子「えっ?」
さやか「ホラ、こっち来て一緒にお菓子食べようよ」
杏子「あ、あぁそうだなっ!」
杏子「だな~……いやホントに……」モグモグ
さやか「あー、お客さん用の布団出してこなきゃな~……」
杏子「そうだなー……あたしは別にさやかのベッドで一緒に寝てもいいんだけど……」
さやか「えっ」
杏子「どうかしたか、さやか?」
さやか「いや、今さらっととんでもないこと言わなかった?」
杏子「? あたしは何も変な事は言ってないと思うけど……」モグモグ
さやか(ナチュラルに出て来た言葉!?)
杏子「あー……ところでさ、さやかって可愛いよなー……」
さやか「!?」
さやか「ちょっ、何言ってんの杏子っ!?」
杏子「あれ……あたし、何言ってんだろ……」ウトウト
さやか「……もしかして、寝ぼけ半分?」
杏子「バカヤロー……まだまだ夜はこれからじゃねぇか……」ウトウト
さやか「……杏子、いつも何時に寝てる?」
杏子「あたしはいつも12時回る頃には床についてるぜー……?」ウトウト
さやか(今は夜の11時半……なるほどね、規則的な生活をしてるんだ、杏子)
杏子「んー……ちょっと眠くなってきたな……」ウトウト
さやか「寝る前にお風呂、入らなきゃね?」
杏子「入らなきゃなー……」ウトウト
杏子「あたしはそれでもいいぜー……」ウトウト
さやか「えっ」
杏子「んー……眠い……」ゴロン
さやか「あ、ちょっと杏子っ!?」
杏子「クカー……」
さやか「あらら……もしかして、結構限界だったのかな」
杏子「ムニャムニャ……さやかぁ……」
さやか「うーん……困ったね。このまま寝かせたら風邪引いちゃうんじゃないかな」
杏子「スー……ムニャ……」
さやか「全くもう、普段は魔女を蹴散らす鬼神みたいな魔法少女なのに、寝てる時は無防備なんだから……よっと」
杏子「ムニャ……クカー……」
さやか「とりあえず、あたしのベッドで寝かせとこう」
さやか「しやわせそうな顔しちゃって……ツンツン」
杏子「やめろよさやかぁ……」ノソノソ
さやか「なんかあたし、お姉さんにでもなった気分だね」
杏子「クカー……」
さやか「さて、と。あたしはお風呂に入ってこようかな」スタスタ ガチャ
杏子「ン……あれ、あたしいつの間にか寝入ってたのか……」ムク
杏子「……さやか?」
シーン
杏子「……あれ?ここ、さやかの部屋だよな?」
杏子「それに、今あたしが寝てたのは……」
杏子「………っっ!!?」
杏子「まさか、放置プレイ!?いきなり高難度な……」
ガチャ
杏子「っ!!」ガバッ
さやか「ふぅ……さっぱりした」
杏子(ふ、風呂に行ってただけか……)ホッ
杏子「」ピクッ
さやか「……?」
杏子(つ、つい寝たフリしちまったけど……どうしよう。起きてるってこと、伝えた方がいいかな?)
さやか「……寝てる?」
杏子「………」
さやか「……ん、寝てるね」
杏子(い、言い出せなかった……)
さやか「なら……ちょっとだけ、あたしの本音、ここでぶちまけるよ?」
杏子「……っ?」(本音……?)
杏子(………)
さやか「今日さ、恭介に振られた、って、あたし言ったよね。あれさ、ホントに嘘なんだ」
杏子(……)
さやか「第一、恭介にはもう仁美がいるし、さ……だから、あたしが恭介に告白なんて、するわけないの」
杏子(………)
さやか「今日、何の日かわかる?エイプリルフールだよ」
杏子(……)
さやか「だから、軽い気持ちで嘘をついちゃったつもりなんだけど……それが、ちょっとまずかったのかな」
さやか「杏子、すっかり信じきっちゃってて……。でもさ、あたしはもう、いいんだ」
杏子(………)
さやか「あたしのこの気持ちは……永遠に、心の中にしまいこむ、って、決めたんだから」
さやか「マミさんも言ってたよね。失恋の悲しみは、そう簡単には癒えない、って」
さやか「確かに、あたしはまだ完全に立ち直ったってわけじゃないけどさ」
さやか「でも、杏子やまどか、マミさん、それにほむらも一緒にいてくれて」
さやか「ああ、しばらくはこんな日常でもいいや、って思えるようになってきたよ?」
杏子(………)
さやか「まぁ、そういう意味で言うなら、恭介に振られた、って言うのは、あながち嘘ってわけでもないのかな?」
さやか「……杏子の気持ち、あたし、知ってるよ?」
杏子(……)
さやか「って、これじゃタダの自惚れ、だね。ゴメン、今の無し!」
杏子(………)
さやか「……もう、いつまで寝たフリしてるのさ、杏子?」
杏子「えっ……」
杏子「え、あ、いや、その……」
さやか「……まだ、日付は変わってないよ、杏子?」
杏子「……」
さやか「これが、今年のエイプリルフールにあたしがつく、最後の嘘」
杏子「………」
さやか「杏子が起きてたことは、あたしは知らなかった。そういうことにしておいて?」
杏子「…………さやか」
さやか「……ほら、杏子もお風呂に入ってきたら?」
杏子「あ、ああ……シャワー、借りるよ」
さやか「ん。着替えとかバスタオルとかは、あたしが用意しておいてあげるから」
杏子「……」ザァァァァ
杏子(はは……バカだな、あたし)ザァァァァ
杏子(さやかが振られたって思いこんで、一人で舞い上がって……)ザァァァァ
杏子(……結局、さやかの恋は報われないまま終わったってことなのか)ザァァァァ
杏子(………)ザァァァァ
さやか『杏子、着替えとバスタオル、ここに置いとくよ?』
杏子「ああ、サンキュー」ザァァァァ
さやか『あたしは先に部屋に戻ってるから。ゆっくりシャワー浴びなよ』
杏子「お言葉に甘えさせてもらうよ」ザァァァァ
ガチャ
杏子「ふぅ……サンキュ、さっぱりしたよ」
さやか「スゥ……スゥ……」
杏子「……なんだ、寝ちまってるよ……」
杏子「一応、あたしの為に布団は出してくれたんだな……」
さやか「スゥ……スゥ……」
杏子「時間は……12時を回ったところ、か」
杏子「もう、エイプリルフールは終わり、だな」
さやか「スゥ……スゥ……」
杏子「さやか……寝てる、よな?」
さやか「………スゥ……」
さやか「……………スゥ……」
杏子「さやかは自惚れだって言ってたけど……自惚れなんかじゃねぇ」
さやか「………」
杏子「あ、あた、あたしは……さやかの、こと……っ」
さやか「…………スゥ……スゥ……」
杏子「……好き、だっ……!」
さやか「っ……スゥ……」
杏子「寝てるんなら、そのまま起きないでくれよな、さやか。………」
さやか「………スゥ……スゥ……」
杏子「………っ……」
杏子「やっぱやめた!寝てる間にこんなことするのは、卑怯だよな!」
杏子「おやすみ、さやかっ!」
さやか「…………」
杏子「………クカー……」
さやか「…………………………………」
杏子「ムニャ……ンー……Zzz…」
さやか「…………バカ。あたしは、構わないのに……」
杏子「サヤカァ……Zzz…」
さやか「……おやすみ。ありがと、杏子……。いつか、面と向かって言ってくれたら……」
さやか「その時は、あたしも、杏子の気持ちに、ちゃんと答えるから」
さやか「だから、今は、これだけ」
チュッ
さやか「………さて、と。あたしも寝ようかな」
さやか「……ン」
杏子「おっ、起きたかさやか」
さやか「……杏子?」
杏子「さやかの寝顔、堪能させてもらったぜ♪」
さやか「………バカ」
杏子「起きて開口一番それかよ?」
さやか「………ふふっ、冗談だよ」
さやか「でも、あたしの寝顔ばっかり堪能されちゃ不公平だよね」
杏子「えっ?」
さやか「杏子、もう少しだけ寝てみない?」
杏子「い、いや、その……」
さやか「杏子の寝顔、あたしも堪能したいな♪」
さやか「ホントに?」
杏子「い、いやっ!こ、これは単にあたしがまだ眠いからってだけ!それだけだっ!」
さやか「そっかぁ~。眠いんなら仕方ないね。さ、寝なよ杏子」
杏子「お、おう……」ノソノソ
さやか「………」
杏子(気配でわかるぞ……さやか、あたしの顔ガン見してる……っ)
さやか「……………」
杏子(こ、こんな状況で寝れるわけないだろうがっ!!)
さやか「……寝た、杏子?」
杏子(……!)
杏子「……………スゥ……スゥ……」
杏子「クカー……」
さやか「……ホントのホントに?」
杏子「ムニャ……スー……」
さやか「……………」ジィッ
杏子(う、疑り深いっ……くそ、ヤケだ!あたしは寝てる、寝てるんだぞっ……!)
杏子「………クカー……Zzz…」
さやか「ん、寝てるねこれは。うんうん、寝てる寝てる」
杏子(絶対信じてない)
さやか「それじゃ、さやかちゃんの本音ぶっちゃけ、第二弾と行きますか」
杏子(……それが目的、か……?)
杏子「………」
さやか「杏子が、今のままの関係でもいいんなら……あたしも、それで構わない」
さやか「でも、気持ちを心の中にしまいこんでたら、さ。言うタイミング、ホントに逃しちゃうよ?」
杏子「………」
さやか「これは、あたしが身を持って体験したことだから。杏子に、あたしとおんなじ気持ち、味わってほしくないの」
さやか「距離が近すぎると、逆に伝わらないことって言うのも、あるの」
杏子「…………」
さやか「今のあたしと杏子、ちょっと距離が近すぎるんじゃないかな、って思うんだ」
さやか「もちろんそれが悪いってわけじゃないよ?あたしも、杏子と一緒にいて楽しいし」
さやか「……いざとなったら、あたしの方から……」
杏子「……っ」
さやか「なんてね。恭介への気持ちを忘れきれないうちに、そんなこと、出来るわけないよね」
さやか「だからさ、あたしは待つしか出来ない」
さやか「こんな複雑な気持ちのまま、杏子と、その、そういう関係になっちゃったら……きっと後悔することになっちゃう」
杏子「………」
さやか「……何、言ってるんだろうね、あたし。杏子は寝てるってのに」
杏子「さやか……」ムクッ
さやか「あっ、ちょっとっ!そこはそのまま寝てるってことにしておいてよっ!」
さやか「………」
杏子「………さやかは、待つことしか、出来ないんだな?」
さやか「……うん」
杏子「あたしが、気持ちを伝えられたら……さやかは、その気持ちにちゃんと答えてくれるんだな?」
さやか「……う、うんっ……」
杏子「なら……言うぞっ……?」
さやか「あ、ちょっと待って、やっぱ無理!」
杏子「えっ」
さやか「こ、心の準備がっ……」
さやか「ご、ゴメン!い、いざとなったら、恥ずかしくなってっ……」
杏子「さやかはただ黙って聞いてくれりゃいいんだよっ!」
さやか「それが出来ないからこうして止めてるんじゃんっ!」
杏子「あ~もうっ!さやかの事情なんて知るかっ!いいか、言うぞ、言うからなっ!?」
さやか「あああああああちょっと待ってってば杏子っ!」
杏子「あたしは、さやかのことがっ!!」
さやか「~~~~~~~っ!!」
杏子「…………す、す、す………すすす……」
さやか「……~~~……っ」
杏子「う、うぐっ……」
さやか「……杏子?」
杏子「好きだっ!!」
さやか「あ、今の卑怯っ!?」
さやか「ちょっ、今のは卑怯だってば!」
杏子「ええいこう言うことに関して卑怯もへったくれもあるかっ!」
さやか「うぅっ……」
杏子「さぁ、さやかっ!あたしは自分の気持ち、伝えたぞっ!あとはさやかが答えるだけだっ!」
さやか「……あ、あたしは……」
杏子「………っ」ゴクリ
さやか「~~~………あたし、まだ恭介への気持ち、捨てきること出来てないんだよ……?」
杏子「そ、それはさっきも言ってただろ……っ」
さやか「それでも、杏子の気持ちを受け入れたいって気持ちも確かにあって、その……」
杏子「………」
さやか「あ、あたし、最低だねっ!他の人への気持ちがあるってのに、告白されてその気持ちを受け入れたいなんて思うなんて…あ、あははっ……」
さやか「……あ、あはは……っ」
杏子「あたしは、それでも構わない。さやかが、忘れきれないって言うんなら……あたしが、忘れさせてやる」
さやか「………」
杏子「だから……そ、その、あたしと……」
杏子「つ、付き合って……くださいっ……!」
さやか「…………………ありがとう、杏子」ギュッ
杏子「……っ」
さやか「ん、わかった。杏子の気持ちに、答える」
さやか「こんなあたしを、好きになってくれてありがとう、杏子」
杏子「さやか……」
杏子「……」
さやか「もう、なんでそんなに暗い顔してるのさ?」
杏子「だってよ……」
さやか「あたしのことは、気にしなくっていいってば。杏子は、あたしと付き合うことになって、嬉しくないの?」
杏子「う、嬉しいに決まってるだろ!?」
さやか「だったら、そんなに暗い顔しない!明るく、元気に!」
杏子「………」
さやか「そうじゃなきゃ。でしょ?」
杏子「……ああ、そうだな!」ニカッ
杏子「み、みんなに?」
さやか「うん。報告」
杏子「そ、それはええと、何て言うか……」
さやか「いや?」
杏子「さ、さやかに任せるよ……」
さやか「任された!それじゃ、まずはみんなにメールを……っと。集合場所は、マミさんの家でいいかな?」
杏子「そ、そうだな、うん、いいと思うぞ」
さやか「んー……よし、完了!」
マミ「いらっしゃい、美樹さん、佐倉さん」
さやか「こんにちは、マミさん!」
杏子「ほむらたちはもう来てるのか?」
マミ「ええ。先に来て、既にお茶してるわ。あなたたちも上がって」
さやか「お邪魔しまーすっ!」
ほむら「来たわね、杏子、さや……」
まどか(ほ、ほむらちゃんっ!さやかちゃんと杏子ちゃん、手繋いでるよっ!)
ほむら(い、言われなくても見ればわかるわよ)
さやか「はい。実はこの度、あたしと杏子はめでたく付き合うこととなりましたっ!」
ほむら(一晩でそこまでっ……!?)
まどか「おめでとう、二人とも!」
マミ「祝福するわ」
杏子「あ、ありがとう……」
さやか「いやー、照れますなー」
マミ「昨日の時点ではどうなるかと思ったけれど、うまく行ったみたいでよかったわ」
さやか「あはは、なんだかんだで杏子もあたしもお互いにそういう気持ちがあったってことで!」
杏子(ん、なんだよほむら?)ヒソヒソ
ほむら(一体昨日の夜から今に至るまでに何があったと言うの?)ヒソヒソ
杏子(あー………まぁ、色々とな)ヒソヒソ
ほむら(その色々を聞きたいのよ、わたしはっ!)ヒソヒソ
杏子(そ、そりゃ……)ヒソヒソ
ほむら(………)
杏子(は、恥ずかしくて言えるわけねぇよ!)ヒソヒソ
ほむら「!?」
ほむら(は、恥ずかしくて言えないようなことをしたとでも言うのっ!?)ヒソヒソ
杏子(バッ、そういうことじゃねぇよ!)ヒソヒソ
ほむら「べ、別に気になんてなっていないわ」ファサッ
さやか「あらそう?」
ほむら「ぐっ……美樹さやかのくせに生意気ね……」
まどか「わたし、聞きたいかな。さやかちゃんと杏子ちゃんの慣れ染め」
ほむら(まどかっ……わたしは信じていたわよっ……!)
マミ「そうね、わたしも聞きたいわ」
さやか「もう、しょうがないなー。杏子、話してもいい?」
杏子「さやかが話したいんなら、任せるよ」
ほむら(う、羨ましい……っ!!)
まどか「なになに?」
さやか「寝てる相手には、割と色々とぶっちゃけられる!」
ほむら「!?」
さやか「つまりはそういうこと!ね、杏子?」
杏子「そう、だな。仮に狸寝入りだったとしても、こっちが寝てると決めつければ問題ないわけだし」
ほむら(……………なるほど)
まどか「確かに、独り言だって思ってたら、割となんでも言えそうだよね」
マミ「……深いわね」
杏子(ってなわけだ。ほむらも、頑張れよ?)ニヤニヤ
杏子「動揺隠し切れてねぇよ……」
ほむら「ところでまどか。今度、わたしの家に泊まりに来ない?」
まどか「え、いいの?うん、行く!」
ほむら(ありがとう、杏子、さやか。わたしも頑張らせてもらうわっ……!)
マミ「はぁ……後輩に先を越されるって、結構寂しいわね……」
さやか「マミさんだって、美人なんだからいい人見つかりますって!」
マミ「そうだといいのだけれど……はぁ」
杏子(マミが一番の苦労人……かもな)
終わり
エイプリルフールネタを何か使いたくて勢いで立てて書いた
やはり杏さやですなぁ
お前らもっと杏さや書けください
Entry ⇒ 2012.04.20 | Category ⇒ まどかマギカSS | Comments (0) | Trackbacks (0)
まどか「初めまして転校生の鹿目まどかです」
http://hayabusa.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1330347442/
ほむら(どういうこと?だってまどかは…)
ほむら(まどかは、もうこの世界にはいないはず…)
円環の理となり、魔法少女を導く存在になったまどか。
そのまどかが、目の前に現れたのだ。
まどか?「どうぞよろしくお願いします」
ほむら(あれは…いったい……誰なの?)
早乙女先生「じゃあ、志筑さんの隣が開いてるから、そこへ座って頂戴」
まどか?「はい。」テクテク
まどか?「……」チラッ
ほむら「!?」///
まどか「」ニコッ
ほむら(め、目があった……)///
まどか?「こ、こちらこそどうぞよろしく」///
おどおどとしながら、まどかは席についた。
ほむら(しおらしいわね……)
ほむら(どういうこと?)
ほむら(泣いていいの?笑っていいの?)
ほむら(本当にあなたなの? まどか……)
女子A「ねぇ、ねぇ、鹿目さんてどっから来たの?」
女子B「部活とかやってた?あたしバレー部なんだけどさ…」
ほむら(予想通り囲まれてるわね……)
ほむら(私もあんな感じでいつも迷惑していたわ)
あんな風に質問攻めにされてはどうしていいかわからない。
ほむら(とにかく、確かめなければ…)
生徒「わわわ……」
さやか「しっし、しっし……」
まどかに群がる生徒たちが散っていく。
ほむら(よくやったわ、美樹さやか!)
まどか「あ、あの……」
まどか「鹿目まどかです」
さやか「うん、まどか。これからよろしくね。」
さやか「私さやか。美樹さやか。呼ぶときはさやかでいいよ」
まどか「さやか……ちゃん」///
さやか「うんうん。いいよいいよ~まどか」エヘヘ
ほむら(どうやら、美樹さやかは完全にまどかのことを忘れているみたいね)
ほむら(まどかも彼女のことを忘れて……)
ほむら(つまり……)
ほむら(……まどか)
ほむら「ちょ、ちょっといいかしら?」ドキドキ
さやか「ん、転校生?アンタから声をかけてくるなんて珍しいじゃん?」
まどか「さやかちゃん転校生って…」
さやか「ああ、こいつは暁美ほむら。アンタのちょっと前に転校してきたのさ」
ほむら「……よろしく」
ほむら(あけ…み…さん……)
い、いや…期待なんてしていなかった。
この子が、私のことを覚えているかもなんて…
そんなことあるわけないのに…
ほむら「……それじゃ、また」サッ
まどか「あ……」
ほむら(何やってるの私?せっかくあの子に会えたかもしれないというのに…)トコトコ
さやか「気にしないでやってくれない?別に悪い奴じゃないんだ」
まどか「……」
ほむら「結局、あの子は誰なのかしら…」
ほむら(たまたままどかと似た子が入ってきたなんて、そんな偶然はない。)
ほむら(だとすると、あの子は…)
回想----------------------------------
まどか?「……」チラッ
ほむら「!?」///
まどか「えへへ」ニコッ
----------------------------------回想
ほむら「ふふ……」
私をみて、笑いかけてくれた。
ほむら(まどか……)
やっぱり私…
あなたに会えてうれしい。
……まどか。
この世界に何か異常が起こるのでは?
ほむら(念のマミぐらいには知らせた方がいいかしら)
世界に何か異変が起きたのではないかとも考えたが、今のところ何の影響もない。
まどかの登場とともに、魔女が現れるなんてことはなかった。
だとしたら、あの子はどうやって……
まどかなぜは私の前に現れたのか?
いや…そんなことより……
ほむら「はぁ…」
ほむら(まだあれから全然しゃべれてないわ…)
ほむら(今日も美樹さやかたちと一緒にご飯かしら…)
あの子のことが気になって仕方がない。
ほむら(これはそう…やっぱりあれかしら。 )
ほむら(ずっとまどかを守っていた時にあの子を見ていたせい)
ほむら(その癖がまだ抜けていないのね、きっと…)
まどか「あ、あの」
ほむら「えっ、まどか?」///
まどか「え、?」
ほむら(しまったいきなり話しかけられたせいで思わず名前で……)
まどか「まど??」
ほむら(ほらみたことか。驚いてるじゃない…)
ほむら「あ…えっと。鹿目さん……」///
鹿目さん……か。
メガほむ「鹿目さん、ありがとう」
まどか「てぃひひ、お安い御用だよ」
----------------------------------------回想
ほむら(なんだか初めて会ったころを思い出すわ…)
まどか「……」
まどか「ふふふ…」
笑った……?
まどか「しかもすごくクールに。」
まどか「なんで私と話して、そんなに慌ててるのかな?」
ほむら「なんでって……」
ほむら(そんなの自分でも……)
まどか「あ、もしかして…め、迷惑だったかな」
ほむら「……いえ」
ほむら「声をかけてくれて嬉しかったわ……」ボソッ
まどか「本当!? よかった!勇気だして声かけて」エヘヘ
なんだろ……
すごく新鮮な気持ちだ。
まどか「暁美さんともっとお話ししてみたいな」ニコッ
ほむら「ええ。鹿目さんがそう言ってくれるなら」
そういえば、まどかと出会う度、私素っ気ない態度をとっていたわ。
彼女が私の話を聞いてくれないのが、ずっと許せなかった。
どんなに前の世界で分かり合えても、同じことを繰り返すまどか。
私は彼女を守りたいだけだったのに……
今は彼女を守る必要などない。
何の気負いもなく、友達になれるんだ……
ほむら「素敵な名前の方が頭に残ってたから、そっちが咄嗟に出てしまったのよ」
まどか「あ、ありがとう///」
ほむら「よかったら、名前で呼ばせてもらっていいかしら?」
やり直せるのだろうか?
まどかとの出会いを……初めから?
ほむら(でも……まだ本物だって言い切れたわけじゃない)
ほむら(少し探りをいれてみる必要があるわね。)
ほむら「ちょっと、聞きたいことがあるんだけど…」
まどか「ほむらちゃんたら、私のことなんでも当てちゃうんだよ」
さやか「どういうこと?」
まどか「私の家族のこととか、好きな食べ物のこととか…」
さやか「気をつけな、もしかしたらこいつに後ろからつけられてるかもしんないよ」
ほむら「バカなこと言わないの。たまたま当たっただけよ」
ほむら(少し探りをいれたつもりだったけど、変に疑われてしまったわね)
でも、おかげでこのまどかのことがわかった。
趣味も、思考も、家族も、今までと同じ。
全てが同じ…
彼女は消えてしまったというのに。
まどか「ほむらちゃん?どうかしたの?」
ほむら「いえ、なんでもないの」
まどか「悩んでることがあったら、何でも相談してね」
まどか「って、今日お友達になったばかりなのに、馴れ馴れしいかな?」
夕日を背に微笑む少女。
その微笑みに目を奪われ、一瞬時間が止まったような錯覚を覚えた。
ほむら(まどか?)
あなたもしかして?
まどか「そんなわけないんだけどね。」
ほむら「………」
まどか「私も遠いところから来たし、ほむらちゃんも全然違うとこから来たんだもんね」
さやか「前世で生き別れになった、友達とか?」
まどか「そんな感じかもね」クスクス
このまどかと、過去のつながりを。
ほむら(まさかね……)
ほむら「まどかは、ずいぶん詩人なのね?」クスクス
まどか「もう~、笑うなんてひどいなぁ~」
ほむら「そういうの素敵だと思うけれど?」
まどか「でも全然信じてないでしょ、ほむらちゃん」
さやか「こいつは超現実志向型人間だからね。仕方ないよ」
ほむら「そんなこともないわよ」ボソ
さやか「おう、またね、まどか~」
ほむら「また明日」
まどか「ばいば~い」
ほむら「……」
さやか「かえろっか…」
ほむら「そうね…」
トコトコトコ……
さやか「円環の理がどうとかって…」
さやか「……あの子なんじゃないの?」
ほむら「そうよ」
さやか「普通の女の子に見えるけれど?」
ほむら「……そうね」
さやか「……」
さやか「私はアンタが無駄に嘘をつかないって信じてるから聞くけどさ、」
さやか「……なんでその子は神様になっちゃたのかな?」
さやか「神様なんて、すごく退屈そうだよ……」
ほむら「あの子が自分のために、願いをかけたことなんて一度もなかった」
ほむら「そうなる運命だったとしか言いようがないわね」
さやか「……すごい子だったんだね」
さやか「私の親友は」
ほむら「ええ…」
でももし、自分のために願いを使うとしたら、
まどかはいったいどんな望みを叶えたんだろう?
ほむら(想像もつかないわ。)
ほむら「勉強を教えて欲しい?」
まどか「……うん」
まどか「数学の進みが、前の学校より早くって…」
ほむら「そうなのね…」
ほむら(……前の学校……)
ほむら(そこを調べればなにかわかるのでは?)
まどか「え?いいの?」
ほむら「何もないけれど、それでよければ」
まどか「やったぁ!!ほむらちゃん、ありがとう」
学校の調査はいったんおいておこう。
この笑顔をもっとたくさん見たい。
それに、この子が私を頼ってくれたという事実がうれしかった。
今はその期待に応えたい。
まどか「えへへ、勉強に糖分は大事だもんね」
ほむら「ええ」
ようやく取り戻せるのだろうか……
まどかとの時間が。
ほむら「ここのケーキ屋が、私の知り合いのいきつけで…」
まどか「へぇ~、お洒落だね。知り合いって?」
もちろん、洋菓子に詳しいマミのことだ。
ほむら「学校の先輩よ。今度紹介するわ」
まどか「うん。」
ほむら「私はこのタルトにするけど、まどかは?」
まどか「う~~ん……あ…」
まどか「ご、ごめん、ちょっと…行ってくる……」
まどか「ほむらちゃんのおすすめを買っといて」
ほむら「すいません、これとこれいただけますか?」
店員「かしこまりました」
その時、後ろから肩をたたかれた。
詢子「よっ!」
ほむら「あ…どうも」
まどかのお母さんだ。
ほむら「いえ、今日は…」
女性「ちょっと、詢子さん!いきなりどこいっちゃうんですか?」ハァッ
息を切らせた女性がこちらへやってきた。
詢子「悪い。ちょっと知り合いが見えたもんだからさ」
女性「時間ないんですから…わかってるんですか?」
詢子「すまないね。こんな感じだから。今度会ったら、お茶でもおごるよ」
ほむら「あ…」
まどか「おまたせ~♪」
ほむら「まどか、今あなたの…」
ちょっと待って。
私がまどかのお母さんと知り合いだというのは、不自然じゃないだろうか?
転校してきたばかりで、まどかの家に一度も上がったこともない。
どうして知っているの?という話になるわね。
まどか「私がどうかしたの?」
ほむら「あなたのケーキも買ったから、うちに行きましょう。」
まどか「うん♪」
まどか「任意の3桁の整数の百の位、十の位、一の位をそれぞれ足して3の倍数であれば
その数は3で割り切れることを証明せよ……」
まどか「どういうこと?」
ほむら「たとえば、111だと全部の位を足したら3になるじゃない?」
ほむら「3,6,9とか3の倍数になれば、その数は3で割り切れるってことよ」
まどか「111を3で割ったら……あ、ほんとだ。37で割り切れるね」
まどか「すごい、なんでなんで?」
ほむら「それを証明するんでしょ?」
まどか「検討もつかないよ。」
ほむら「少しは考えなさいよ」
まどか「ほむらちゃん、冷たい~」ムクッ
まどか「数学なんて、私には難しすぎるよ。算数までじゃダメなのかな?」
ほむら「そうね。社会で必ず必要になる能力ではなさそうね」
ほむら「でもそんなこといったら義務教育のほとんどの科目が不要になるわよ」
ほむら「最後まで履修しても、先生か講師にならない限り、人の役に立たないもの」
まどか「みんなの役に立てる力…か」
まどか「私には何があるんだろうな」
ほむら「……」
まどか「……うん」
まどか「ありがとう、ほむらちゃん」
まどか「ゆっくり考えてみるよ」
ほむら「わかってくれてよかったわ」
だからもう、自分ができること以上の何も望まないで…
そんな風に思ってしまう私は、ダメなのかしら……まどか……
まどか「わ~い♪」
ほむら「……」
まどか「ん~~、おいしいっ!!」ニヤニヤ
ほむら「ふふふ、気に入ってもらえてよかったわ」
といっても、まどかの好みは把握済み。
一度マミたちと同じ店に行ったときまどかが頼んでいたものだ。
ほむら「あら。洋菓子なんてたまに食べるからこんなにおいしくいただけるのよ」
ほむら「それに毎日食べてたらカロリーが気になって、心から楽しめないわ」
まどか「うぅ……」
まどか「……」じ~っ
ほむら(え?そんな怒らせるようなこと言ったかしら)
ほむら(………)
ほむら(……まさか)
まどか「ほんとっ!?」キラッ
まどか「えへへ~、またお邪魔しちゃお~」ニコニコ
もしかしなくとも、私、まどかに好かれてる?
ほむら(うれしい……)///
2日、3日前には口もきかなかったのに……
やっぱり、謎が多いわね。
ほむら「何か二人で遊べるものがあるといいのだけどね」
まどか「でも、将棋とかチェスはほむらちゃんに勝てる気がしないな~」
まどか「ん~~~。……ん?昔?」
ほむら「……」
ほむら「そういえば、まどかは最近転校してきたのだったわね」
まどか「う、うん……」キョロ
ほむら(目を逸らした)
やっぱり、何かあるってことかしら……
まどか「なるほど。だから3で割り切れるんだ!」
まどか「すっごいね~。証明って面白~い」
さっきの問題をひたすら頑張ってまどかに考えさせていた。
なんとかヒントを与えながら、半分は自力で解くことができた。
まどか「え、ああ…もうこんな時間……」
ほむら「そろそろ帰らないと、ご飯に間に合わないのではなくて?」
まどか「……うん、そうだね」
まどか「じゃあ、今日はありがとうね、ほむらちゃん」
まどか「また遊びにくるから……」
ほむら「ええ、待ってるわ」
バタンッ
気のせいだろうか?
どうしよう。
私は全面的な調査に乗り出すべきなんだろうか。
ほむら(おそらくまどかが転校してくる前の学校へ行けば、何か手がかりがつかめるはず)
世界のバランスに大きな影響を与えかねない、鹿目まどかの存在を調査しておくことは私たちには必要なことだった。
魔法少女から魔女が生まれてしまうからだ。
だが今のところ魔女が生まれた気配はない。
まどかが仕事をサボっているわけではなさそうだ。
ではあの子は、いったい誰なのだ?
神まどかの現身……分身という説はどうだろう?
あれだけの力をもった魔法少女だ。
それを実現するだけの力があったとしても不思議ではない。
記憶を書き換えられた美樹さやかたちだけならともかく、
私はまどかのことをはっきりと覚えている。
それぐらい、まどか本人であれば知ってそうなものだが…
それに、彼女が神の化身であるなら、何らかの魔力を感じるはず。
そういう意味で、彼女は全く普通の人間なのだ。
ほむら(全然わからないわ……)
ほむら(無理に暴いていいものなのか、どうか…)
ほむら(どういうわけか知らないけど、まどかは私を頼ってくれているみたいだし…)
ほむら(もし秘密を暴いて、私の前から消えてしまうようなことがあれば……)
消える?
私に笑顔を向けるあの子の姿が頭によぎった。
一抹の不安が胸を焦がし、ズキズキと音を立てて痛みで締め付けられる。
そんなの絶対に嫌……
……まどか。
せっかく、やり直せると思ったのに……
せっかく、また会えたのに……
また離れてしまう…
ダメ……
そんなのダメだ。
行かないで…まどか!
タッタッタッタッタ…
ほむら「まどかぁ~~~~~!!」
ベランダから身を乗り出して、力いっぱい叫んだ。
下に見える、小さな通行人たちがこちらを向く。
その中に、リボンをつけた少女の姿があった。
まどかだ。
ほむら(…まだいたんだ)サッ
心配そうにこちらを見つめている。
まどか「どうしたの、ほむらちゃん」
ほむら「……」
ほむら「夕飯食べていかないかしら?」
何言ってるんだ私、
まどかの家でご飯がもうできてるだろうに。
まどか「え? いいの?」
ほむら「え、ええ…」
まどか「うぇひひ、じゃあお言葉に甘えようかな」
まどか「それは……」
まどか「パパに連絡しておけば大丈夫だよ」エヘヘ
ほむら「そう……」
よかった。
胸を抑えながら、息をついた。
……
いずれこの子は……
胸の奥がまたじんじんと軋む。
まどか「でも、びっくりしたよ」
まどか「急に呼ばれるんだもん。何か大変なことがあったのかと思ったよ」
さっきまでの不安をかき消すように、笑うまどか。
ほむら「そうね……ごめんなさい」
ほむら(杞憂にすぎないのかしら……)
ほむら「そう。じゃあボウルの中にいれておいて頂戴」
まどか「なんだかこういうの楽しいね」エヘヘ
ほむら「楽しんでもらえてよかったわ」
ほむら「一人だと、適当になってしまうわね」
まどか「うん、わかるわかる」
ほむら「あら、あなたはご家族と食べているのでは?」
まどか「えと…。パパもママもいないことがあるから」
まどか「そういう時は、スーパーで惣菜買ってご飯食べちゃうの」
まどか「ママが、女の子は料理ができる方がモテるからって…」
なるほど、詢子さんが言いそうなことだ。
まどか「私はまだそういうのよくわからないけど」
ほむら「あなたのファンクラブだってあるかもしれないわよ」
まどか「………全然……そんなこと……」
……え?
ほむら「玉ねぎが目にしみたかしら?」
実際に玉ねぎを切ってるのは私なのだけれど…
まどか「ううん……なんかママとも同じようなやりとりしたなって」
まどか「ちょっと、懐かしくなっちゃって……」
ほむら(懐かしい?)
ほむら「それはいいのだけれど」
ほむら(詢子さんと喧嘩でもしたのかしら?)
ほむら(そういえば、まどかがケーキ屋でトイレに入ってる間に詢子さんと会ったわね)
ほむら(今はその話はしない方がいいのかしら……)
ほむら「何かしら」
まどか「そのリボンて、私のやつと同じものなんじゃないかな?」
ほむら「!?」
ほむら「い、言われてみれば確かによく似てるわね」
ほむら(なんてうっかりしていたのだろう…)
ほむら(まどかにもらったリボンを毎日つけるのが習慣になっていたせいだ)
ほむら「ええと……これは買ったのではなくてね」
この子の前で魔法少女の話題を出すことはできるだけ避けたかった。
できれば何も知らないでいて欲しい。
でもよく考えたら、同じリボンをしているぐらいでうろたえる必要はないのではないか。
ほむら「人からの貰い物よ」
ほむら「友達から貰ったの」
まどか「……そうなんだ」
まどか「そっか…そうだったんだ……」
ほむら「こ、恋人!?」///
まどか「うんうん。ほら、鏡、鏡」
台所にあった鏡の前に、二人並んだ。
同じリボンをつけた者がそこに映っている。
……姉妹のようだというのが正直なところだ。
ほむら(でも、お揃いのものを身に着けるだけで仲がよさそうに見えるのね)
ほむら「私が姉かしら?」
まどか「…同じこと考えてたんだね」
まどか「ほむらちゃんの妹か。うん。いいかも……」
ほむら「似てない姉妹ね」
まどか「どうせ私はほむらちゃんみたいに美人じゃないですよ」ムク
ほむら「あら、私はあなたの方が愛らしくて可愛いと思うけど」
まどか「か、可愛い…」///
ほむら「ええ。目にいれても痛くないぐらいに。」
まどか「そ、それは言い過ぎだよ」
ほむら「あら、そうかも」
まどか「もうっ、ほむらちゃん!?」
ほむら「冗談よ。可愛いと言ったのは本当だから許して頂戴」
まどか「///」
私にも家族がいた。
兄妹はいなかったけれど……それなりに幸せだったと思う。
二人で作ったシチューを口の中に入れる。
ほむら・まどか「あつつ……」
まどか「えへへ、ふぅふぅしないと熱いね…」
ほむら「もう、まどかにつられて、何も考えず食べてしまったわ」
まどか「え?私のせい?」
ほむら「そうね。一人ならこんなことしなかったわね」
まどか「つられるほむらちゃんが悪いんじゃないかな?」
ほむら「む…」
ほむら「味わうのも一緒がよかったのよ」ボソッ
なんだが自分で言っていて恥ずかしくなった。
まどか「ほむらちゃんてさぁ」
まどか「実は結構可愛いよね?」
ほむら「なっ…」///
ほむら「大きなお世話よっ!?」
美樹さやかとは、魔獣退治があるから必要があれば話はする。
同じ役目を持った者同士だから。
でも、彼女と必要以上に近づくつもりはない。
美樹さやかが嫌いなんじゃない。
過去にいろいろありすぎて、彼女にどうやって接していいかわからないのだ。
立場上敵対することが多かったから、友達になろうという発想がそもそもなかった。
今まで一度も私の話を信じてくれなかった美樹さやかだが、
彼女だけが、まどかが神になったという話を受け止めてくれたことだ。
私もどうして彼女にそんな話をする気になったのか……
ほむら「全く……あなたったらいつも人の気をしらないで…」ボソッ
まどか「でも、可愛いほむらちゃんを私だけが知ってるってのは嬉しいな」エヘヘ
ほむら(……全くもう)フフ
まどか「あ、ほむらちゃん笑った」
ほむら「別に普通よ」
まどか「なんだかすごく珍しい気がするよ」
まだ話して数日しか経ってないのに、ずいぶんなことを言ってくれるではないか。
まどか「も、もう!可愛いって言えばなんでも許されると思って!」
ほむら「あら、別にバカにしてるつもりはなかったのだけど…」
まどか「それ絶対、嘘だよ」
ほむら「ふふ…バレてるなら仕方ないわね」
まどか「もう~~、子供っぽいって結構気にしてるんだからね!」
私としては、そういう反応が一番可愛らしくていいと思うのだが、
これ以上は言わないでおいた。
あまりいじめすぎて、まどかに嫌われては困る。
ほむら「唐突ね。毎日それなりに忙しいから、さほど寂しいと感じることはないけど……」
あなたが来てからは……
まどか「そっか。すごいね」
ほむら「当初は今よりも心許なかったのだけどね。慣れたってのもあるわよ」
ほむら「そうね……しばらく会ってないわ」
正確な時間は全く覚えていない。
だが、顔を思い出せなくなるぐらいだから、相当な時間がたったのだと思う。
ほむら「いつ会えなくなるかわからないのだからね」
こんなこと、私が言えた義理ではないのだけれど。
まどか「うん……ホント。……その通りだね」
いい時間だし、食事を済ませたら、まどかが帰ってしまうだろう。
ほむら(………)
立ち上がり、冷蔵庫からリンゴを取り出した。
まどか「え?剥いてくれるの?」
ほむら「ええっ…」
リモコンでテレビをつけると動物特集がやっていたので、そこでチャンネルを止めた。
まどか「あ、わんちゃんだ!」ワクワク
ほむら「今りんご剥くわね」
まどか「うん♪」
たまたま安く売っていたのを買っておいてよかった。
……これでしばらく、まどかといられる。
背後から、テレビの音が聞こえてくる。
それを嬉しそうに見る、まどかの姿を横目で確認した。
ほむら(なんだか……すごく懐かしい気分だわ)
私にもあったと思う。
かけがえのない人と、時間を分かつこと。
その人といるだけで、こんなに安心するなんて。
ナイフでりんごの皮を剥きながら、昔を思い出した。
ギリ、ギリ、ギリ、ギリ、ポタ。
ギリ、ギリ、ギリ、ギリ、ポタ。
姉妹……か。
家族なんてもう私には縁のないものだと思っていたけれど……
まどか「わ~い♪」
まどか「すごい、うさぎだぁ!」
ウサギ型にカットしたリンゴを見て、目を輝かせている。
まどかが喜ぶと思って、ちょっと手間をかけてみた。
予想通りの反応が見れて満足だ。
ほむら「うん。」
まどか「いただきま~す♪」パクッ
ほむら「……」モグモグ
歯ごたえのある食感と、甘み、酸味が口の中に広がっていく。
ほむら「うん」
同じものを食べて、同じ時間を過ごす。
魔法少女になってから、その幸せをとうに忘れていた。
……そうか。これが幸せということなんだ。
気づくと10時近くになっていて、さすがに家の方が心配になってきた。
でも、まどかの方は時計を気にする様子はない。
……気づいていないのだろうか?
あんまり遅いと、家の人も心配するだろう。
ほむら(でも、そうしたらまどかが帰ってしまうわ…)
私が迷っていると、まどかの方がそれを察したように話を切り出した。
まどか「もうこんな時間だね」
ほむら「そ、そうね…」
まどか「そろそろ帰るね」
ほむら「………」
ほむら「送っていくわ」
まどか「でも、そうしたら帰りにほむらちゃんが一人になっちゃうよ」
ほむら(私は全然問題ないのだけれど…)
まどか「うん。今日はありがとう」
まどか「また遊びに来ていいかな?」
ほむら「ええ。待ってるわ」
部屋の中には、時計の音だけが無情に響いていた。
一人きりのいつもの空間がそこにあった。
戸棚の中から、Gランチャーを取り出し、机の上に置いた。
武器の手入れは、毎日の日課だった。
ただあてもなく、魔獣を狩ることが自分の役目。
それが私にできることだから。
自分の幸せなんて、考えたこともなかった。
魔法少女の真実を知った時からずっと……
ほむら(もう一度望んでいいのかしら?)
髪からリボンを解き、手に取った。
ほむら(あなたはどう思う? まどか……)
ゲームをしたり、一緒にご飯を作ったり、テレビをみたり
そんな他愛もないことばかりだけど、私にとっては幸せな時間だった。
あの子の正体を突き止めることを忘れていた。
いや、無意識に遠ざけていたのかもしれない。
全てがわかった時、まどかはいなくなってしまう。
そんな不安が現実になる気がして。
まどか「ほむらちゃん、次の土曜日暇かな?」
ほむら「そうね。特に予定はないけれど?」ホム?
まどか「じゃあ、二人でどっかお出かけしよっか?」ニコッ
ほむら「ええ。いいわよ」
ほむら「どこか行きたい場所があるのかしら?」
まどか「ううん。とりたてては……」
ほむら「なら適当に街をぶらぶらしてみましょうか?」
まどか「うん!」
初めてまどかとお出かけ。
次の土曜日が楽しみで仕方なかった。
初めてまどかとお出かけ。
次の土曜日が楽しみで仕方なかった。
マミ「暁美さん、そっちに行ったわよ」
ほむら「任せなさい」
時間を止めると一角獣の動きが止まった。
円盤から身体の半分近くある重装備を取り出す。
ほむら「これで終わり」
大きな爆音と共に、魔獣の悲鳴が響き渡った。
さやか「ちぇ、また転校生においしいところもってかれたか」
ほむら「別においしいところだけ狙ってるわけではないわよ」
マミ「まぁまぁ。私たちの目的は魔獣を倒すことなんだから、誰が倒しても同じでしょう?」
さやか「うん、わかってるよ。」
魔装を解除して、一息つく。
ほむら「なんで、あなたがそんなこと知ってるのよ?」///
さやか「ヒヒ、さやかちゃんの情報網をなめてもらっちゃ困るね」
大方、嬉々としたまどかから聞き出したのだろう。
ほむら「別に面白いことなんて何もないわよ」///
さやか「ほら、前話しませんでしたっけ?うちのクラスに来たもう一人の転校生」
マミ「ああ、あの暁美さんと同じリボンのあの子ね」
マミ「それで、調査の方はどうなっているのかしら?」
嫌なタイミングで、嫌なことを思い出させてくる。
マミ「あら、気にしてたの?」
マミ「そうね同じリボンをしていたから…」
マミ「そのリボン、神様からの貰い物だったわよね?」
マミ「名前も、姿も、リボンも同じと聞いてはね……」
マミ「それに人付き合いを好まないあなたが、ただの転校生にご執心とあっては、納得せざるをえないわ」
ほむら「話すんじゃなかったわ…」
ほむら「まだ何もしてないわ…」
マミ「あら、勤勉なあなたにしては珍しい」
マミ「世界の理に関わることなんでしょう?」
ほむら「……」
ほむら「……」
マミ「もしあなたが動かないのであれば、私が調べるけれど」
ほむら「……勝手にしなさい」
ほむら(やっぱり話すんじゃなかった……)
さやか「ホントのところ、アンタまどかがどうして現れたかわかってんの?」
ほむら「それがわかったら苦労しないわ」ムクッ
魔法少女の使命を半ば放棄している自分が許せないのだ。
まどかの守りたかった世界を守ることが、
あの子にできる唯一の友情の証を示すことだからだ。
まどかを裏切っているような気がして。
それでも私は怖かった。
まどかの正体に触れることで、まどかがいなくなってしまう気がしたから。
自分からはそこに近づかないようにしていた。
まどかのいない生活なんて考えたくない。
「こんな時間に何やってんだい?」
一台の車が路肩に停まり、中から見知った女性が現れた。
詢子「乗っていくかい?」
そこから近くのファミレスに停まった。
ほむら「あ、あの……私」
詢子「前にお茶をおごる約束だったろ?」
……律儀な人だな。
ほむら「カプチーノで」
店員「ご注文は以上でよろしいでしょうか?」
詢子「よろしく」
詢子「塾の帰りにしては、ずいぶん遅いね」
詢子「親さんは心配しないのかい?」
ほむら「私、一人暮らしですから」
塾の帰りというところは、面倒くさいので訂正しなかった。
ほむら「もう慣れましたから」
詢子「そうかい。私だったらこんな時間に娘が出歩いてたら心配でたまらないわ」
………最近まどかの帰りが遅いことを心配しているんだ。
ほむら「詢子さんはこんな時間までお仕事ですか?」
詢子「たまに帰れない日もあるぐらいだからね。できれば飯ぐらい家族で食いたいんだけど」
詢子「まあでも、もうすぐ正月だから、年末にはアンタも顔ぐらい見せるんだろ?」
ほむら「多分……」
多分、帰らない。
詢子「今はケータイとかパソコンがあるから、いろいろ連絡は取りやすくなってみたいだけど」
詢子「今となっては子供の元気な顔が見たいものだってよくわかったよ」
ほむら「わかる気がします……」
それでも、私は会えない。
あまりにも変わりすぎてしまった。
昔のままではいられない。
第一、親の顔も思い出せいないのだ。
家族よりも、一人の友だちを守ることを選んだからこそこうなってしまった。
今さらどんな顔をして会えばいいかわからない。
同じ魔法少女である佐倉杏子、巴マミ、美樹さやかさえ。
須らく私は一人きりだった。
一人で生きて、一人きりで死ぬ覚悟はとうにできていて…
それを当たり前だと受け止めていた。
惰性のように生きる毎日に、あの子はどういうわけか転校してきた。
ほむら「今はまどかと一緒に過ごす毎日が楽しくて」
お陰で、こうしてまた笑えるようになった。
詢子「なんだろ……すごく懐かしい響き」
ほむら(え……)
詢子「まるで、本当にそんな名前のヤツが私の傍にいたみたいだわ」
ほむら「何を……言ってるんですか?」
だって、まどかはあなたの娘で……
ほむら「詢子さんには娘がいますよね?」
詢子「え、いや? そんなこと私言ったっけ?」
馬鹿な……
だって、まどかは…
まどかは言っていた。
自分には家族がいるって。
弟もいるって、ちゃんと……
ほむら「すいません、私の勘違いでした」
詢子「いや、別にいいんだよ」
詢子「それに、あながち間違いってわけでもないし」ボソッ
詢子「そんな夢を何回か見たんだよね」
遠い昔を見るように、彼女は言った。
詢子「アンタと同じリボンをつけた、女の子が私の娘になってて…」
ほむら「わ、わたしじゃないっ!!…です」
詢子「わかってるって。」
何て皮肉なものだろう。
まどかの正体に近づきたくないと思っていたのに……
そういえば……
回想---------------------------------
ほむら「あなたは十分可愛いから、あなたのファンクラブだってあるかもしれないわよ」
まどか「………」
……え? 涙?
ほむら「玉ねぎが目にしみたかしら?」
まどか「ううん……なんかママとも同じようなやりとりしたなって」
まどか「ちょっと、懐かしくなっちゃって……」
---------------------------------回想
つまり、まどかはずっと家に帰っていなかったんだ。
何故気づかなかったんだろう。
この世界にまどかのことを覚えている人間は、私しかいなかったのに……
まどかが現れた瞬間、まどかの家族がまどかのことを思い出すなんて、そんなことあるわけない。
今、まどかはどこにいるのだろう?
……大丈夫だよね?
もう消えちゃったりしてないよね?
ちゃんと、また明日会えるんだよね、まどか……
結局昨日は眠れなかった。
そのまま学校へ行き、教室でまどかが現れるのをまった。
いつもより、30分も早くついてしまった。
何もすることがないから、私は机の上で眠りながらまどかが現れるのを待った。
とっくに朝のHRが終わっていたのには驚いた。
すかさず、後ろの席を確認した。
ほむら(お願い。いて。まどか)
美樹さやかが陰になって、よく見えない。
右にずれて、その後ろを確認する。
ほむら(……ほっ)
数学のせいか、なんだか憂鬱そうなまどかの顔が見れた。
ほむら(本当、よかった)
私はまどかに問いただすべきなのだろうか?
どうして私に家族がいるという嘘をついたのか?
今どこに住んでいるのか?
まどかが一体何者なのか?
でも、それを聞いたときにまどかはどんな反応をするのだろう。
少なくとも私に家族がいると嘘をついているのだ。
本人はそれに触れてほしくないのだろう。
それに全てを聞いたとき、まどかが居なくなるという不安がぬぐえなかった。
まどかが話してくれるまで、私は待つしかないのだろうか?
でも、せめてまどかの力になりたい。
私はあの子の友達なんだ。
私を頼ってくれたのだから、私だけは最後まで彼女のことを見捨てるわけにはいかない。
カチャカチャ…カチャカチャ…
ほむら「前投げから、オーバヘッドダイブまできちんと繋ぎきるとは、なかなかやるわね」
まどか「えへへ。でもバーストしないね。確定だと思ったんだけど」
ほむら「今のは内ずらしで軽減しているからよ」
まどか「でも、まだほむらちゃんのピンチなのは変わらないよ」
まどか「それ、Bナックル!」
ほむら「甘いわね。」
まどか「あ……」
まどか「い、今のは私勝てたのに…」
ほむら「大ジャンプなら、刺さってたわね。詰めが甘いわ」
まどか「そのキャラのドリルってあたっても上がっていけるイメージだったんだけど…」
ほむら「まどかのキャラが復帰に対して、上に攻撃判定ないからね」
まどか「いやいや、いまのはほむらちゃんの復帰阻止がうまかったからだよ…」
結構昔に出たゲームらしいが、まどかがそれをやったことがあるらしいとのこと。
私もたしなむ程度に…いや、結構やりこんで強くなったかもしれない。
いつも熱中して、気が付いたらいい時間になっているのだ。
そろそろ、切り出す頃合いか…
ほむら「まどか……」
まどか「なぁに、ほむらちゃん」
ほむら「今日、泊まっていかない?」
まどか「え……」
これが私が今日考えて出したまどかへの提案だ。
まどかが今どのような暮らしをしているのか、私は知らない。
でも、もしかしたらまどかはずっと一人でいるのかもしれない。
詢子さんの話を聞いた限りでは、まどかとは一緒に住んでいないみたいだし…
私はそれが耐えられない。
この子が、家族に忘れられてずっと一人でいるなんて、そんなの嫌だ。
せめて、せめて私が傍にいてあげられることでまどかが救われるのなら…
まどか「……どうしたの急に?」
ほむら「いや、もう少しまどかと遊んでいたいと思って…」
まどか「で、でも……それだとほむらちゃんに迷惑がかかるよ…」
ほむら「別に構わないわ」
まどか「………」
少し悩んでいるように見えた。
私の真意を探っているのだろう…
ほむら「私だって、一人で寂しくなる時があるわ」
ほむら「そんな時まどかが居てくれると、うれしいのだけれど」
まどか「う、うん……じゃあ」///
ほむら「ふふ。ありがとう。」
ほむら「じゃあ、お風呂沸かしてくるからその間に家に連絡しときなさい」
まどか「うん♪」
まどか「え、一緒に入らないのほむらちゃん、お背中流すよ?」
ほむら「ばっ……そそんなの結構よ」///
まどかに裸を見られるなんて恥ずかしい。
それに、この時間を使わなければ武器を手入れすることができない。
やはり魔獣に備えをしておかないと不安だった。
まどか「いつもはだいたい10分ぐらいかな…でも、もっと早くあがるけど?」
ほむら「ゆっくり入っていていいわよ。その間に布団の準備とかしておくから」
まどか「うん。わかったよ」
まどか「……」
まどか「ほむらちゃん?」
ほむら「何かしら?」
まどか「ありがとね。いろいろ……」
ほむら「え…ええ……」
そう言って脱衣所に入っていった。
ほむら(いや、それこそ杞憂ね)
ほむら(今更だけど、お客用の敷布団なんてないものね)
ほむら(私が毛布を借りてソファーで寝れば問題ないかしら)
私はさっさとベッドメイキングを終わらせて、武器の手入れを急ぐ。
まどかに気づかれないよう、慎重に火器を取り出した。
5分もあれば手入れができるものだけを選んでいく。
さっきは咄嗟にまどかに、寂しいからいて欲しいと言ったが、
我ながらあれは本音だったように思えてくる。
こんな武器を扱っている時間でさえ、
まどかが家にいると思えば安らかな気分になれるのだから。
こんなにも違うんだ……
魔獣との戦いもまどかを守るためにやっているような気さえしてくる。
手入れの終わった武器を収納へしまっていく。
そろそろまどかがあがってくる時間だ。
まどか「お先に入っちゃってよかったのかな?」
ほむら「ええ。その髪型……」
まどか「ああ…いつもリボンしてるからね」
一瞬、あのリボンを受け取った時のまどかが現れたような気がした。
ほむら「結構長いのね……」
ほむら「じゃあ、入ってくるから」
まどか「うん。わかった」
湯船での中で、もう一度あの時のことを思い出した。
まどかが神になったあの日のことを。
ポツン…
水滴が、湯船に滴り響く。
私は……使命を果たす。
それが、私が決めたあなたとの誓いだから。
だけど、だけど……
彼女無しではもう…ダメなの。
お願い、こんな私を許して。
髪を乾かし終えて、寝巻に着替えた。
まどか「ねぇ、ほむらちゃん?」
ほむら「何かしら?」
まどか「ソファーの上に毛布が引いてあるんだけど…もしかしてこっちで」
ほむら「私が寝るわ」
まどか「だ、だめ! 風邪ひいちゃうよ」
ほむら「いくら12月とはいえ、エアコンかければ大丈夫よ」
まどか「それだと電気代かかるし、喉痛めちゃうよ」
まどか「それだと電気代かかるし、喉痛めちゃうよ」
ほむら「別に構わないわよ」
まどか「とにかく、ダメなものはダメ!」
まどか「ほむらちゃんは、わたしと一緒に寝るの!!」
ほむら「え…」
まどか「そ、そういうことだから……」///
ソファーの上にあった毛布をとりあげると、ベッドの上にそれをしき直した。
まどか「ほ、ほむらちゃんが嫌なら元に戻すよ」///
ほむら「別にいいわよ」
こうなることを予想していなかっただけで嫌なわけではない。
まどか「よかった。えへへ」
ほむら「じゃあ、部屋の電気消してもいいかしら?」
まどか「うん。お布団入ってるね……」
泊まりにいったことも、来たこともないから…
その『初めて』が、まどかだということが少しばかり嬉しかった。
まどかの方をちらりと見る。
布団からちょこっとだけ顔をだしている姿がなんとも可愛らしかった。
ほむら「切るわよ」
まどか「うん♪」
ポチッ
ほむら「ぬくぬくね」
まどか「えへへ、ほむらちゃんの匂いがするよ」
まどか「…いい匂い……」
ほむら(…恥ずかしいこと言わないでちょうだい)///
ほむら「何?」
まどか「私、ほむらちゃんにお世話になってばかりだね」
勉強をみたり、部屋に泊めたりしたことを言っているのだろう。
ほむら「ふふ、そうかもしれないわね」
まどか「いいのかな?」
まどか「このまま、ずっと、ほむらちゃんにお世話になりっぱなしで…」
まどか「私も何かしてあげたいのに、何も返せそうもないよ……」
ほむら「……そうね」
ほむら(あなたはそういう子よね、まどか)
ほむら(あなたといるだけで、私がどれだけ救われているか、わからないでしょ?)
ほむら(多分それを言って聞かせても、あなたはきっと納得してくれない)
ほむら(何か形を与えてあげられるといいのだけれど……)
ほむら「……そうだ」
ほむら「なら、私の妹になりなさい」
まどか「いもうと?」
ほむら「何か困ったことがあれば、必ず私があなたを守る」
ほむら「そのかわり、私が寂しくならないように、あなたは私の傍にいて」
ほむら「私はあなたが思っている以上に、寂しがり屋なの……」
ほむら「だから……」
ほむら「私の……家族になってほしい」
まどか「……家族」
まどか「家族の人は心配してないの?」
暦上はまだ、3ヶ月も経ってないからね…
ほむら「たまに連絡はいれるけど、その程度。今は会えない理由があって…」
まどか「……うん」
ほむら「それぐらいじゃへこたれないぐらい、強くなれたと思っていたのにね…」
ほむら「このリボンをくれた、あの子のように…」
まどか「……その人、ほむらちゃんの大切なお友達だったんだんだね」
ほむら「ええ……」
ほむら「それでも、やっぱり……私はダメみたい」
ほむら「ここ数日あなたと過ごしてみて、わかったの」
ほむら「一人でいきていくのはあまりに辛い…」
まどか「……その人、ほむらちゃんの大切なお友達だったんだんだね」
ほむら「ええ……」
ほむら「それでも、やっぱり……私はダメみたい」
ほむら「ここ数日あなたと過ごしてみて、わかったの」
ほむら「一人でいきていくのはあまりに辛い…」
まどか「……ほむらちゃん」
ほむら「だからどうかお願い。」
ほむら「私の側にいて…」
ほむら「私には、あなたが必要なの。まどか…」
ほむら「ダメかしら?」
まどか「うんう……」ウルッ
まどかは目に涙を溜めていた。
ほむら「まどか……」
まどか「違うの……」
まどか「私……わたし……うれしくって……」
まどか「うまく言えないけど……すごくうれしいんだよ。」
まどかの涙の理由を私は知っていた。
先日、レストランで詢子さんと会った時に知ってしまったのだ。
誰もまどかとつながりを持っていない。
それは、時間の移動を繰り返してきた私より、希薄な存在で…
いつ居なくなっても、誰も気づかない。
切ない…。
あれだけ家族や友達に愛されていたまどかのことを、だれも覚えていないなんて。
それがまどかだから、私は同情していることを。
巴マミのように選択肢もなく魔法少女になって
死んでも誰からも看取られない存在がいることを知っている。
それを特別ひどいなどと思いはしなかったのに…
ほむら「まどか…」ダキ
私は思わず、まどかを抱き寄せた。
まどか「どうしたの、ほむらちゃんまで泣いちゃって…」
ほむら「……」
ほむら「ずっと、一緒だから…」
まどか「……うん」
ほむら「ずっと、ずっと一緒にいるからね」
まどか「うん!
だからお願いします。
今目の前にいる女の子が、どうか終わりのない奇跡でありますように。
涙を拭うため、一旦まどかを開放した。
まどかも私もお互いが落ち着くまで、無言のままだった。
まどか「えへへ、それはお互い様だよ。」
まどか「ねえ、ほむらちゃん?」
ほむら「なに?」
まどか「お姉ちゃんて、呼んでもいい…かな?」
ほむら「ふ……二人きりの時だけなら」///
まどか「ウェヒヒ、お姉ちゃん」ニコッ
ほむら「…」///
せめてまどかと年が違えばよかったのに。
まどかから呼ばれると、すごい違和感がある。
まどか「えへへ、それはお互い様だよ。」
まどか「ねえ、ほむらちゃん?」
ほむら「なに?」
まどか「お姉ちゃんて、呼んでもいい…かな?」
ほむら「ふ……二人きりの時だけなら」///
まどか「ウェヒヒ、お姉ちゃん」ニコッ
ほむら「…」///
せめてまどかと年が違えばよかったのに。
まどかから呼ばれると、すごい違和感がある。
まあ、私の方がタイムトラベルをしてきた分長く生きているのだから、
実質的にはあっているのかもしれないけど…
まどか「私、弟がいるからずっとお姉ちゃんだったんだけど、上の兄妹が欲しいって思ってたんだ」
まどか「お姉さんだとしっかりしなくちゃいけないって思うから」
ほむら「今のままでも、まどかはいいお姉さんだと思うけどね」
まどか「うん…ありがと」
まどか「ねえ、お姉ちゃん?」
ほむら「う…」///
ほむら(か……可愛い)///
まどか「ふふ……ほむらちゃん、照れてる?」
ほむら「ま、まだ慣れてないから…」//
まどか「じゃあ、名前で呼んだ方がいいかな?」
ほむら「……お姉ちゃんでいいわよ」
まどか「うん。私も慣れてないから、そなへんは適当に呼ぶね。」
まどか「お姉ちゃん…」
本当に妹ができたみたいね。
なんだか、こそばゆい耳のあたりが。
まどか「もっかいぎゅってしてほしいな…」
ほむら(ぎゅっ?)
ほむら「え…えっ?」
いきなり何を言い出すの?
夜目に慣れてきたので、まどかの様子がしっかり見えた。
子犬が餌をねだるように、切なそうな目をしている。
まどかも、一人きりで心細かったということだろうか?
別に変な意味があって言っているようには見えないし…
何より…
ほむら(……反則的に可愛いわ…)
まどか「ダメ……かな?……わっ」///
ほむら「……これでいいかしら」///
まどか「う、うん」///
あまりにもまどかが愛らしくて、思わず抱き寄せてしまった。
勘違いされないように言っておくが、私にやましい気持ちがあったわけではない。
なんかこう、可愛い小動物を手にとって可愛がりたい、そんな衝動にかられたのである。
ほむら「息ぐるしくない?」
まどか「う、うん…」///
まどか「ちょっと、恥ずかしいね」///
まどかの鼻が胸のあたりにあたっている。
思わず抱きしめてしまったが、なんだかいけないことをしている気がしてきた。
私は兄妹がいないからわからないが、こうやって一緒に寝たりするものなのなんだろうか?
ほむら(でも、不思議と落ち着くわ…)
ほむら(いつもより近くにまどかを感じる。)
まどかは胸の中で、恥ずかしそうに顔を赤くしてた…
でも両手はしっかり、私のパジャマを握っている。
髪を撫でてみる。
まどか「えへへ」
まどか「お姉ちゃんの手やわらかくて気持ちいい」
まどか「もっと撫でてほしいな…」
どうやら気に入ってくれたみたいだ。
ほむら「思っていた以上に、まどかは妹っぽいわね」
まどか「どういうこと?」
ほむら「甘えん坊さんてこと」
まどか「うん…そうだね。自分でもちょっとびっくり」///
まどか「でもほむらちゃんだから…」
まどか「ほむらちゃんだからこんなに甘えたくなるんだよ」
ほむら「あら、どうしてかしら?」
まどか「えへへ、わかんない。」ニコッ
まどか「なんでだろうね?」
まどか「さやかちゃんや、仁美ちゃんとも、何か違ったんだ。」
もしかしたら……
まどかは、この世界で唯一繋がりのある存在を感じ取ったのかもしれない。
だれもまどかを知らないこの世界で、私だけがまどかを覚えていた。
それがまどかにとっては、ただ一つの希望だったんだろうか。
ほむら「大した嗅覚ね」ボソッ
まどか「んっ?何か言ったかな?」
ほむら「何でもないわ」
まどかがの手が、私の左手に絡んできた。
私の胸の中で丸くなったまどかが、笑いかける。
まどか「えへへ…続けて」
ほむら「うん」
背中をさするように優しく撫で下ろす。
まどか「ふふふ、なんだか猫になったみたい…」
ほむら「確かに」クスクス
まどか「ゴロゴロ♪」
ほっぺのあたりを、私のからだにすり寄せてくる。
ほむら「ふふ、くすぐったい…」
まどか「えへへ、ぬくぬくだね」
ほむら「ええ。あったかい…」
しばらく、まどかの髪を撫でていると、パジャマを握る手が緩んだ気がした。
ほむら(寝てしまったのかしら)
ほっぺをつんつんと指でおしてみる。
まどか「……むにゃむにゃ」
ほむら(安心して、眠れたみたいね)
私は眠くなるまで、ゆっくりとまどかの髪をなで続けた。
そして、繋いだ手を最後まで離さなかった。
ほむら(ん……)
ほむら(あったかい……)
ほむら(まどか……)
まどかを抱きしめていた手はいつの間にか離れていた。
代わりに、まどかの両手が私の背中に回っていたのだ……
寝てる間も、片時も離れなかったのね…
もう、12月の半ばだというのに、全然温かい。
胸の奥まで…
ほむら(こんな幸せな一日の始まりがあるのね…)
手のひらでそっと、まどかの顔をなぞってみた。
少しも反応しない。やはり寝ているのか。
そうだ。
今のうちに、朝の支度をしてまどかにおいしいご飯を食べさせてあげよう。
今日はせっかくだから朝食っぽく味噌汁と卵を焼いてみよう。
眠そうに食卓につくまどかの姿が浮かんで、思わず笑みがこぼれた。
そうと決まれば、早速布団から出よう。
まどかを起こさないように、まどかの両手を解こうと手を回した。
しかし、思いのほかしっかり握られていた。
仕方ないので、からだをねじらして抱擁から抜け出すことにしよう。
ギュッ
回転しようとすると、さらに強い力で抱きしめられて、まったく動けなかった。
ほむら「って、まどか、あなた起きてるんじゃないの!」
ほむら「起きるなら放してちょうだい?」
まどか「……」ブンブン
まどか「まだ寝るの…」
首を振るとまどかは私の胸に顔をうずめてしまった。
ほむら「私はご飯を用意するから」
まどか「……」
しかし、まどかは断固として手を離さない。
ほむら(仕方ない子ね……)
そこで、ひらめき。
ほむら(これでどうかしら?)
まどかのあごに指をあて、くすぐってみた。
まどか「ん~~~」ゴロゴロ
しかし、まどかはなんだか気持ちよさそうに
猫のように喉をならした。
ほむら「………」
ほむら(面白いから続けてみましょうか)
こしょこしょ…
まどか「ん~~~」ゴロゴロ
こしょこしょ…
まどか「ん~~~」ゴロゴロ
ほむら(かわいいわね……)
こしょこしょ
まどか「……」フルフル
こしょこしょ
まどか「……」フルフル
震えてる?
ほむら(どうやらくすぐったいみたいね)
サワッ…
まどか「!?」ビクッ
まどかの体が強張ったかと思うと、
まどかは抱きしめていた手を使って首の後ろをガードした。
私は今だ!とばかりに体を一回転させて、ベッドから飛び降りた。
するとまどかは、すかさず反応して、私の身体をつかみかかろうと身を乗り出す。
しかし、私の方が一歩早かったので、まどかの手は私に触れることすらできなかった。
まどか「ずるい!お姉ちゃんっ!!」
ほむら「あら、それは寝たフリしてる誰かさんのことではないかしら?」
まどか「む~~~」プク
まどか「お休みなんだから、もっと寝てればいいじゃん!」
ほむら「ダメよ。休みだからって、なまけていたら身体が動かせなくなるわ」
まどか「もっと、お姉ちゃんと寝てたいな…」///
ほむら「頬を染めても、ダメなものはダメ!」
少し心が揺らぎそうになった。
もう甘える術を身に着けたのか…侮れないわね。
ほむら「まあでもどうしても眠いのなら、あなたは寝てていわよ」
まどか「……ほむらちゃんのバカ…」
結局まどかはむくれながら、ベッドから降りてきた。
足取りがしっかりしているところをみると、睡眠が足りないわけではなさそうだった。
ほむら「起きたなら、着替えて顔洗ってきなさい」
まどか「…ほむらちゃん、ママみたいだよ」ムク
言葉遣いはいつもより厳しめだったが、まどかが甘えてるので内心嬉しくてたまらなかった。
料理も私一人で作るから寝てなさいと言っても、
自分も手伝うからと言ってまどかが聞かない。
私がいうのもなんだが、一秒でも離れたくないといった感じだ。
すごい。
二人分の温かい食事がある。
味噌汁とご飯から白い湯気が見え、いり卵とケチャップが鮮やかな色。
そして、目の前にはまどかがいる。
ほむら「私より早く起きてたみたいだしね…」
まどか「うん。5時には起きてたかな」
ほむら「1時間も早いじゃないの!?」
ほむら「言ってくれれば、もっと早くご飯作ったのに…」
まどか「そういうと思ったから起こさなかったんだよ」モグモグ
ほむら「……まったく」///
まどか「たまごおいしいね♪」
町をぶらぶらする予定だったが、
まどかの経済事情がわからなかったので、あまりお金を使わないような場所を回るよう提案した。
出来るだけば立ち入った質問をしないように心がける。
ほむら「まどかはお金は大丈夫なのかしら?それによってどこに行くか決めようと思うのだけど」
まどか「あんまり持ち合わせがないから、出来ればお金がかからない方がいいかな」
ほむら「わかったわ。じゃあ歩いていけるところがいいわね。」
今までは普通に生活していたみたいだけど、どうやって暮らしているのだろう。
とりあえずお金をかけないとなると、どこがいいかしら……
ショッピングをするにしても、まどかが生活に困るほどお金がないのであれば、楽しめないだろうし…
カラオケ…
映画…
ボーリング…
どれもお金がかかりそうなものばかりが浮かんでくる。
私がおごってあげればいいのだけど、まどかが拒否するだろう……
ほむら「まどかはどこか行きたいところはあるかしら?」
なるほど、ここならお金もあまりかけずに遊ぶことができるわね。
中学生は2時間200円で遊べるみたいだ
今日は卓球とバトミントンの日らしい。
まどか「ほむらちゃんはどっちがいい?」
ほむら「どちらでもまどかには負ける気がしないわね。」
まどか「そういえば、体育も得意だったね」
理由はバトミントンの方が得意だとまどかが言ったからだ。
受付を済ませてラケットを借り、2階のアリーナへ向かう。
休日でまだ早いせいか、中はガラガラだった。
奥で卓球をやっている高年のサークルが1組いる程度。
ほむら「ちゃんとあいててよかったわ」
荷物を端の方へ置き、早速まどかがラケットカバーから中身を取り出した。
まどか「えへへ、小学校ぶりだなぁ」
私に至ってはラケットを握ったことさえないが、まどかには黙っておいた。
一応、バトミントンのルールぐらいは知っている。
まどかがどれぐらいできるのかわからないが、適当に打ち返していればいいだろう。
グリップを握って、少し振ってみる。
ほむら(こんな感じかしら…)
ブン…ブン…
空気を切る音がした。
………楽しいかも。
ブン、ブン……
ほむら「いつでも来なさい」ワクワク
まどか「いくよ~」
まどかがシャトルを打ち上げる。
やや前方に転がったのでステップで前にラケットを伸ばす。
しかしシャトルは逃げるようにラケットの先をかするだけだった。
短いとは察するに、飛距離が足りてないということだろう。
ほむら(確かにいまのはまどかのサーブが弱かったわ)
ほむら(なら今度は少し前の方で立っていればいいかしら。)
私はシャトルを拾って、まどかに向けて打ち返した。
高く上がったシャトルをまどかが難なく打ち返す
まどか「えい!」
シャトルは予想通り、前の方へきた。
今度はよく狙って下から打ち上げる形でリターン。
シャトルはネットをこえて、まどかのコートへ飛んでいく。
ほむら(やった!)
今度はやや右の方へ返ってきたが、少し移動するだけで拾えた。
ほむら(なるほど、距離感がつかめてきたわ。)
ほむら(今度はまどかみたいに、オーバーショットで返してみるわ。)
ちょうど長めの玉が返ってきたのでテニスのサーブみたいに肩の後ろにテイクバックをして……
振りかぶった。
しかしシャトルはかすりもせず、床に落下した。
ほむら「」///
まさかスポーツをやってまどかに笑われるとは…
こうなったら意地でもギャフンと言わせてやる。
ほむら「次、行くわよ!!」
まどか「楽しかったね~~♪」
ほむら「ハァ、ハァ……」
ほむら(バトミントンなんて、二度とやらないわ)
まどかはバッグから白いナプキンと箱を取り出した。
まどか「ほむらちゃん、お弁当でも食べて元気出して」
ほむら「うう~~」
これじゃ、姉妹の力関係が逆転じゃないの!
まどかが取り出したお弁当箱から、おにぎりを取る。
こうなったら、ヤケ食いに走るか…
まどか「ふふふ。はい、お茶もあるよ」
ほむら「ありがとう」ホム…
まどか「ほむらちゃん、自信満々だったから、つい本気になっちゃったよ」
ほむら「あなた結構うまかったけど、正直意外だわ」
まどか「お母さんが昔バトミントンやってて、教えてもらったんだ」
ほむら(詢子さんが……)
どおりで上手いわけだ……
ん…あれは…?
ズキ…
ズキ…ズキ…
ほむら「そろそろ、行こうかしら?」ドキ…
まどか「え?もういいの?」
ほむら「ええ。十分休んだわ」
まどかからは遊具があって視覚になっていて見えないが、あれは…
まどかのお母さんと、弟。
ここにいてはまどかと鉢合わせをするはめになってしまう。
ほむら「さっ」ニギ
まどか「う、うん」
まどかの手をとって、できるだけ遊具に隠れながら進む。
ほむら(お願い、どうか私達に気づかないで…)
お願い……
後ろが気になってちらりと振り返ってみる。
ほむら(!?)
……詢子さんの目は、しっかり私達を認識していた。
いや、凝視していた。
私ではない。
私の隣にいるまどかのことを、はっきりと。
鹿目詢子は自分に娘などいないと言った。
当然だ。
まどかはこの世界のどこにも存在しない。
ただ魔女を滅ぼす概念として在るのだから。
ほむら(なのにどうして…)
まどか「ほ、ほむらちゃん?」
呼ばないで…
どうか私達を放っておいて…
私の……
新しい家族をとらないで…
背後から呂律の回らない、幼い声が公園中響いた。
終わった……
まどかの存在を忘れられなかったのは詢子さんだけじゃなかったんだ。
幼い子供だと思って油断していた。
まさか、本物の家族の絆がこれほどまでに強いとは……
まどか「たっくん……」
まどか「………ママ?」
まどかの視線と、詢子さんの視線がぴたりと合う。
私のまどかの手を握る力を弱めた。
もはや、私は彼女を縛る術はない。
しかし、まどかは私の手を離さなかった。
いやそれどころか、強く握っている。
そして、震えていた。
きっと、詢子さんに会うのを恐れているのだ。
この世で最も近しい存在からも、忘れ去られたという現実に打ちひしがれなければいけないから。
自分の行き場のなさを認識しなくてはならない。
そんな辛い経験を味合うことを、まどかは予感しているのだ。
タツヤ「まろか、まろか~~」
詢子「お、おい…タツヤ」
鹿目詢子が、息子に手を引かれてこちらへ向かってくる。
そして私に「行こう」と、目で促す。
でも、それは違う……
ほむら「大丈夫よ、まどか……」
まどかの手を握り返した。
まどか「ほむら……ちゃん?」
私は覚悟を決めた。
ほむら「そう簡単に人は何もかも忘れることなんてできないのだから…」
そう言うと、まどかからこちらへ向かって歩いてくる詢子さんたちに視線を移した。
ほむら「こんにちは、この前はコーヒーありがとうございました。」
詢子「お、おう…」
多分、私の言葉は届いていないような気がした。
タツヤ「まろか~~!」
弟が、まどかに向かって手を伸ばす。
まどか「……たっくん」
詢子「!?」
詢子「!?」
詢子さんはまどかを見つめ、黙ってしまった。
ほむら「これがこの前、話したまどかです。」
詢子「この子が…」
それ以上、私は何も言わないことにした。
それ以上の言葉は蛇足だという、確信があったのだ。
まどか「う…」
まどか「初めまして…」
詢子「あ、ああ…初めまして」
まどか「え、えと…その……」
詢子「多分、そっちの子と一緒に遊んでくれたんじゃないのか?」
まどか「そ、そんな感じです」
詢子「そう。ありがとな……」
詢子さんは、右手を額にあてながら頭を左右に振った。
詢子「いやいや、そうじゃないんだ、そうじゃ。」
まどか「え?」
詢子「アンタ、アタシとタツヤとアタシの旦那と……4人で……」
まどか「え、え?」
詢子「えと…、んと…」
詢子「苛々するぅうううう~~~!!!」
まどか「ぷ……」クスクス
緊張の糸が切れたように、まどかは笑った。
それに釣られるように、鹿目詢子も笑い出した。
詢子「なんだろうな。全然思い出せねぇけど、ゴメンな。」
まどか「ふふふ、いいよ。いいよ。私も同じだから……」クスクス
詢子「うそつけ、アンタ、私の顔見て、ギクッってなってたじゃんよ!」
まどか「えへへ、そうだったかな。」
詢子「まあでも、アンタが初めましてってんなら、そうなんだろうな。」
まどか「うん。間違いないよ。」ニコッ
詢子「そうかい…」
そう言うと、詢子さんはこちらに視線を向けてきた。
ほむら(!?)
その目はまるで、「娘をどうぞよろしく」と言っているような気がしてならなかった。
鳥肌が立つのを感じた。
ほむら(どうして……)
詢子「暇な時に、二人でうちに遊びに来な!最近は土曜なら休みが取れるから。」
まどか「わかったよ」
ほむら「ありがとうございます」
私はもちろん行ったことはない。
詢子「ふふふ、楽しみにしてるよ。じゃあ、またな」
詢子「あっそうそう、いい忘れてた。」
詢子「そのリボン、似合ってるよ。あげた奴は、超いいセンスしてるな」
まどか「………」
そう行って笑いながら、鹿目詢子は去っていった。
まどか「バカみたいだよね、ホント」ウル
涙が地面に滴る。
まどか「うう…」
私は何も言わず、まどかを抱きしめた。
まどか「覚えてて…」
まどか「覚えててくれたんだ…」
まどか「ママも……たっくんも……私のことを……」
ほむら「うん……」
まどか「もう、いないのに…」
まどか「本当の私は、もうどこにもいないのに…」
まどか「ううううう」
まどか「うううああああああああああああぁぁぁ」
まどかが泣き終えるまで、私はまどかのことを離さなかった。
この先も離しはしないだろう。
奇跡が終わるまでは、決して……
まどか「なんで教えてくれなかったの?」
ほむら「何を?」
まどかの手を握りながら、商店街のイルミネーションの下を歩く。
クリスマスが近いせいか、浮き足立った姿が目立つ。
まどか「お姉ちゃん、私の知らない所でママと会ってたんでしょ?」
ほむら「そうね」
まどか「しかも、私が家に帰ってないの知ってたみたいだし…」
ほむら「まどかが言い出さないから、知らないふりをするのがいいと思ったのよ」
まどか「む~~~。」ムク
どういう理由で、あなたが私の前に現れたのかはしらないけど
あなたはさっき、『本当の私はもういない』と言っていた。
それに詢子さんが自分の娘だと気づいていながら、正体を最後まで隠した。
きっともう長くいられないからだ。
夢はいつか覚めるものだものだから。
ほむら「私はもう二度と家族に会うつもりはなかったけれど」
ほむら「あなたを見ていたら、少し考えが変わったわ」
まどか「……」
ほむら(年末は一度顔を見せに帰ろう…)
そして、ありのままの私をみてもらうのだ。
変わらないものなんてない。
あの人達も、私を受け止めてくれると信じよう。
この子のお陰で、私は変われた。
だから、もう……いいんだ。
まどかは、今夜も迷いなく私の布団に入っていた。
ほむら「やっぱり、一緒に寝るのね。」
まどか「何を今さら」エヘッ
ほむら「ねぇ…」
ほむら「いいの?」
まどか「何が?」
ほむら「こんな時に過ごすのが、私なんかでいいの?」
ほむら「あなたは家族を選ぶこともできるのよ」
ほむら「私は……きっともう……大丈夫だから」
それは強がりだ。
まどかなしで、生きていくなんて考えられない。
ギュッ……
まどかが私のことを抱き寄せた。
まどか「家族を」
まどか「本当に、私を必要としてくれる人を…」
まどか「そのために私はここにいるんだもの…」
まどか「だから…」
まどか「ずっと一緒だよ、ほむらちゃん」
グスッ…
ほむら「嘘よ…だって、あなたは……」
まどか「約束したよね?ずっと一緒にいるって」
まどか「私を夢や幻にしないで…」
まどか「私はたしかにここにいて。それはこれからもずっと同じで…」
まどか「ほむらちゃんが寂しくならないように、隣にいつづけるんだ」
まどか「それが、私の居場所だから」
ほむら「なら、これは私の見ている夢ではないの?」
まどか「えへへ、違うよ」
ほむら「あなたの見ている夢でもないの?」
まどか「それはちょっと、近いかもしれないね」
まどか「でも…」
まどか「私はいなくなったりしないから……」
まどか「もうほむらちゃんを、置いて行ったりしないから…」
ほむら「うぁあああああああ」
ほむら「ああああああああああああああぁぁ」
まどか「……ずっと一緒だよ」
ほむら「まどか……あなたは一体何者なの?」
ほむら「どうして、私の前に現れたの?」
まどか「あれ?てっきりお見通しなのかと思ってたんだけど」
ほむら「何も知らないわ。それなら、こんなにに泣いたりしないわよ」
まどか「ふふふ…そっか……」
まどか「なら、もう少し内緒にしておくよ」
ほむら「何よそれ?」
まどか「お姉ちゃん、きっと泣いちゃうから…」
ほむら「……そう。」
世の中には知らないでいた方がいいこともある。
それを私は十分にわかっていた。
ほむら「まぁ、あなたが消えないのならそれでもいいわ」
ほむら「それはそうと、あなた生活の方は大丈夫なの?」
まどか「うん。それは問題ないよ」
まどか「ちゃんと、家もあるよ」
まどか「とりあえず高校を出るまでのお金は、なんとか」
どうやってなんとかしたのだろう?
ますます気になる。
まどか「そもそも私、魔法少女じゃないし」
ほむら「魔法少女のことは知ってるのね。」
まどか「あ……黙っておこうと思ってたのに…しまったなぁ」
ほむら「なら、隠れてコソコソ武器の手入れをする必要はなかったのね」
まどか「押入れとか机の引き出しに、いっぱいあってビックリしたよ」
見つかってたのか…
でも、魔法少女にならずにどうやってこのような奇跡を起こしたのか?
謎は深まるばかりだった。
ほむら「まどか。私はあなたよりずっと早く死ぬと思うわ」
ほむら「そうなった時、あなたは一人になってしまう」
まどか「あ…うん。」
ほむら「随分、軽い返事ね」
まどか「だって、私はほむらちゃんと同じだけしか生きられないんだもん」
まどか「一人になる心配はないよ」
ほむら「どういうこと?」
まどか「えへへ、それは秘密だよ」
ほむら「……なんとなく、あなたがどういう存在なのかわかってきたわ」
何が起きたのか、想像できないけど。
ほむら「私としては、あなたが世界に影響を及ぼす存在でなければ、なんでもいいわ」
まどか「それならなにも問題ないよ」
まどか「話はそれぐらいかな?」
ほむら「そ、そうだけど…」
嬉々としたまどかがの手が、頭の後ろに回る。
まどか「今日は、私の番だよね…」///
私はまどかに抱きしめられる形で、胸の中にいた。
そういえば、この体制昨日とは全く逆だった。
そして2,3回左右になぞる。
なんだか落ち着く…
肩の力が抜けていくような気がした。
まどか「ふふ、いい子いい子」
ほむら「……」///
顔を見らないように、まどかの中にうずめた。
まどかにいいように、されているのは、しゃくなはずなのに、
抗い難い、人をなだめてしまう力に圧され、反抗する気力も起きない。
私は子供のようにまどかのことをだきしめた。
ほむら(まどか……まどか……)
やっぱりダメ…
あなた無しでは、どうしてもダメ……
彼女は静かに、私の髪をただ撫で続けた。
うとうととした意識で気がついた。
ベッドの側に2本の赤いリボンが、強く結ばれているのに。
まどかが、最後の最後で、魔法少女になってしまう夢だ。
いつの日の出来事だろう。
最近のような気もするし、かなり昔だった気がする。
このままでは魔女になってしまうというのに、
まどかはとても安らかな顔をしていた。
私はいつもみたいに涙を浮かべ、懐から拳銃をとりだす。
その時うっすらと、まどかがつぶやいた。
「いつか、魔女が現れない……そんな日が来たら…」
「そしたら……私を思い出してね…ほむらちゃん」
おしまい。
支援、保守してくれた方ありがとうございました。
何かあれば、適当に書いて下さい。
過去からの願いか
出来れば軽い解説頼む
541ので大体あってるんですが、本編よんでるだけではよくわからないように書いたつもりです。
気が向いたらまどか視点で書こうと思ったからです。
まだ書くかどうかはわからないけど、
書いたらネタバレになるので、見たくない人は下は見ないほうがいいかも。
-----------------------------------------
過去にまどかが魔法少女になるときに
「魔女がいなくなった時にほむらちゃんといられますように」
という願いをしました。
このまどかは、原作で「全ての魔女を消したい」という願いをすることを思いついてて
未来の自分が、その願いを叶えてくれることを信じたという前提で願いをしました。
ほむらと一緒にいたいという気持ちと、全てを自分にかけてくれたほむらをひとりきりにしたくない
という思いで願いをしていたという設定です。
そろそろ自分もバイトなので、10時まで残ってたら、質問に答えます。
なるほど改めて乙
個人的にはまどかとさやか、マミさん、杏子の描写ももう少し欲しかった
まどかは詢子さんの所に戻るつもりは無いのか?
まどかには、きちんと家族の記憶があるという設定で書いています。
でも、家族と暮らすよりもほむらの側にいるということを選んだということで。
幻ではなく、限りなく人に近い存在であり、
「過去のまどかの願いによって生まれた鹿目まどか」
という感じです。
ほむほむを支えることと、側にいることを目的とした願いなので
それを叶える為に必要なのもの(お金や戸籍)はそのとき一緒に手にいれたという設定です。
まあ、ご都合主義ですよ。すいません。
Entry ⇒ 2012.04.18 | Category ⇒ まどかマギカSS | Comments (0) | Trackbacks (0)
まどか「ベイスターズを優勝させて!」QB「……え?」
http://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/internet/14562/1334036310/
このSSはSS深夜VIPのSSです
QB「そっ、そんな願いが叶うとしたら、それはもう、ただの八百長なんてレベルじゃ……」
まどか「叶えてよ!」
QB「この願いはプロ野球の歴史に対する反逆だよ! 君は本当に独裁者にでもなるつもりなのか!?」
まどか「独裁者でもなんでもいい。ベイスターズが優勝しさえすればどうでもいい……」
QB「…………」
まどか「邪魔するルールなんて……。壊してやる! 変えてやる! それが私の願い!」
QB「…………」
まどか「さあ! 叶えてよ! インキュベーター!!!」
………………………
……………
……
まどか「……たぶん」
マミ「あなたは、数多くのプロ野球ファンを敵にまわしたのよ」
まどか「……」
マミ「広島ファンもロッテファンも、絶対にすごく怒ってるわよ」
まどか「……はい」
マミ「今あなたは、きっと横暴な独裁者と認識されているわよ……」
まどか「……いいんです。そのつもりです」
マミ「……そう……」
マミ「…………」
まどか「何度でも言い返せます。いつまでも、言い張れます」
マミ「…………」
まどか「…………」
マミ「…………」
ダルビッシュが4人現れるのか?
マミ「…………」
杏子「もう始めちまったんだし。後はとことん突っ走ればさ……」
まどか「うん。ありがとう、杏子ちゃん」
杏子「まぁ、頑張れ」
まどか「うん」
まどか「はい」
杏子「で、とりあえず、最初は何をするんだ?」
まどか「えーと……。とりあえず……」
マミ「とりあえず?」
まどか「……ダルビッシュかな?」
マミ「…………」
杏子「…………」
──横浜スタジアム──
ダルビッシュ「…………」(……俺は何故ここにいるんだ?)
中畑「よぉ。ダルビッシュ好調か?」
ダルビッシュ「……好調ですが……」
──レンジャーズ・ボールパーク・イン・アーリントン──
牛田成樹「…………」(……俺は何故ここにいるんだ?)
観客(女)「あの人誰?」
観客(男)「知らん……」
観客(子供)「ダルビッシュどこに行ったの?」
牛田成樹「…………」(泣いてもいいかな……)
さやか「牛田さんが、いつの間にメジャーリーガに……」
マミ「えーと。ダルビッシュさんの年棒は?」
まどか「6年総額で6000万だよ」
さやか「えっ、6000万? もしかして、ドルで払うの?」
まどか「円だよ。ここは日本だもん」
マミ「ダルビッシュさんが、1年で1000万円……」
杏子「ひでぇ……」
田中「あれ? なんで俺が横浜に……」
まどか「球児さんも欲しいよね」
藤川「……え? トレード?」
まどか「おかわり君も♪」
マミ「鹿目さん。やりすぎよ……」
杏子「2位に20ゲーム差つけて独走だろ? そろそろ手加減しろよ……」
まどか「うぇひひっ。楽しいなぁ?・」
…………………………
………………
……
ほむら「あなたは、どこまで愚かなの?」
まどか「ごめんなさい……」
ほむら「そんな理由で、もうQBと契約してたなんて……」
まどか「だって知らなかったんだもん。魔法少女が魔女になるなんて……」
マミ(……魔女になる……魔女になる……みんな魔女になる……)
ほむら「…………」
まどか「……ごめんなさい」
杏子「昨日もまた勝ったな。ベイスターズ……」
さやか「たぶん……。マジで優勝しちゃうね……」
ほむら「あら? 意外と落ち着いてるわね」
杏子「……半分は現実逃避だよ」
さやか「……ゾンビちゃんかぁ。……嫌だ。……残念すぎる……アハハ……ハハッ……」
マミ(魔女になっちゃう……魔女に……魔女に……あなたも私も……魔女に……魔女に……)
マミ「うふふっ……うふふっ……ウフフフフッ…………」
杏子「やべぇ。発作だ……」
マミ「みんな死ぬしかないじゃない!!!」
さやか「マミさん!」
杏子「ほむら! 足押さえろ!」
マミ「……何も怖くないわよ……アハハッ……アハハハッ……」
ほむら「暴れないで。……このまま縛ろうかしら?」
まどか「あぁっ、マミさんが……」
さやか「……はぁ」
マミ「うふふっ……ウフフッ……ウフフフッ……」
杏子「……ふぅっ。メンタルが弱いんだよ。マミ」
マミ「……ごめんなさい」
杏子「気にすんな」
ほむら「落ち着いたかしら?」
マミ「えぇ。少し落ち着いついたわ」
さやか「……よかった」
まどか「うん」
マミ「……///」
まどか「なあに? ほむらちゃん」
ほむら「あなた、まだ人間よね? まどか」
さやか「え?」
杏子「……人間?」
まどか「…………」
ほむら「QBと契約したらしいけど、あなたは、まだ人間よね?」
まどか「……うん。たぶん、そうだと思う……」
マミ「……鹿目さん?」
杏子「どう言う事だ? 説明しろよ」
さやか「えっ? でも……」
杏子「まどかは、もうQBと契約したはずだろ?」
ほむら「ええ。契約したみたいね」
まどか「……でも……」
マミ「もしかして、まだ契約条件が……」
ほむら「えぇ。私も、おそらくそれが理由だと思うわ」
杏子「……じゃあ、まどかにはまだ……」
ほむら「そうよ。まどかには、まだチャンスが残ってる」
まどか「……ほむらちゃん」
さやか「え? どゆこと?」
マミ「えぇ。もちろんよ」
杏子「別にかまわないぜ」
ほむら「ありがとう。巴マミ。佐倉杏子……」
まどか「……ありがとう。マミさん。杏子ちゃん……」
さやか「あのね。……さやかちゃんもいるんだよ?」
ほむら「あら? いたのね」
さやか「ひどっ……。まぁいいけど……」
まどか「さやかちゃん。ごめん……」
ほむら「ベイスターズの優勝を妨害するのよ」
さやか「え? 妨害?」
ほむら「そうよ。妨害よ」
まどか「…………」
さやか「なんで?」
マミ「鹿目さんの契約条件は、ベイスターズの優勝でしょ」
杏子「つまり、ベイスターズが優勝しなけりゃ、今回の契約は無効なんだよ」
さやか「あっ……。なるほど……」
ほむら「理解出来たみたいね」
ほむら「いいわね。まどか」
まどか「……えっ?」
ほむら「ベイスターズファンのあなたには、辛い現実でしょうけど……」
マミ「このままベイスターズを優勝させるわけにはいかないわね」
まどか「うっ……うん……」
さやか「まぁ、ゾンビになるよりは、ずっとマシだよね」
杏子「そうだな。せっかく首位を独走してるのに悪いけどな」
まどか「…………」(はぁ……。見たかったな。ベイスターズの優勝……)
杏子「うーん……。このままだと、たぶんベイスターズが優勝しちまうからな……」
マミ「……どうしましょう?」
杏子「主力選手を暗殺でもするか?」
さやか「……え?」
まどか「……暗殺……するの?」
ほむら「確かに、試合中のベンチにミサイル一発撃ち込めば……わりと簡単に……」
さやか「…………」
………………
……
──横浜スタジアム──
中畑清「絶好調♪」
三浦大輔「今日も勝つぞ!」
主力選手達「「おーっ!」」
ラミレス「ンッ? アレナニ?」
金城 龍彦「……何か飛んで来る?」
てぽどん『びゅーん・どっかーん!!!』
主力選出達「「わーっ!!!」」
…………………………
………………
……
──レンジャーズ・ボールパーク・イン・アーリントン──
牛田成樹「三浦さんも、金城さんも死んじゃった……」
………………
……
マミ「えっと……もっと、穏便に……」
ほむら「まぁ、最後の手段として、一応ミサイルは用意しておくわ」
さやか「いや、用意しなくていいから……」
まどか「このルートだけは、絶対に回避したいよ……」
杏子「じゃあ、他の計画も考えるか?」
マミ「なるべく、平和的なプランの方が……」
まどか「…………?」
ほむら「とりあえず、他球団から強引に引き抜いた選手を、元の球団に返しましょう」
さやか「あっ、それいいかも」
杏子「そうだな。一昔前の金満球団みたいで、評判悪かったしな」
まどか「えっ? せっかく集めたのに……」
ほむら「まどか……」
マミ「鹿目さん?」
まどか「あっ、ごめんなさい……」
………………
……
ダルビッシュ「……え? 牛田さんとトレード?」
田中「はい。楽天に復帰ですね」
藤川「俺は阪神ですよね?」
中村剛也 「なんでこの時期に?」
鳥谷「はい」
長野「はい」
前田健太「はい」
浅尾「はい」
「はい」「はい」「はい」「はい」「はい」「はい」「ハーイ」
…………………………
………………
……
牛田成樹「……はい……」
さやか「この後は?」
杏子「もう十分じゃねえか?」
まどか「……うん」
さやか「……え? え?」
マミ「これでおそらく、ベイスターズは順調に失速してくれるわ」
さやか「でも、まだメンバーを元に戻しただけだよ?」
まどか「……うん」
さやか「これだけでいいの? 2位に20ゲーム差つけて独走してるんでしょ?」
杏子「……あぁ。分かるだろ? これだけでいいんだよ……」
まどか「…………」クスン…
ダル4人とイチロー5人とか、もう少しはっちゃけても
良かったと思う。外人枠撤廃でカージナルス(2011終わり)や
レンジャース(2012)を持ってくるとかw
Entry ⇒ 2012.04.17 | Category ⇒ まどかマギカSS | Comments (5) | Trackbacks (0)
さやか「杏子に猫耳がはえた……」
http://hayabusa.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1333803194/
杏子「なんだよこれ……」
さやか「はーい杏子ちゃんこっち向いてねー」パシャッ
杏子「撮んなバカ!」
杏子「おいこら」
杏子「つうかなんなんだよホントこれ。取れないし」ギュム
杏子「いてえ」
さやか「ほら、杏子。にゃあんってやって、にゃあんって」
杏子「にゃ、にゃあん♪ ってやらせんな!」
さやか「いいよー次、上目遣いいってみようかー」
杏子「やらねえっつってんだろ!」
さやか「じゃあロッキー没収ね」パッ
杏子「ちょ、なんでそうなる!? 返せ!」
さやか「猫耳うごいてるーっ! かわいいかわいいかわいい!」
杏子「うっせえな!」
まどか「杏子ちゃん!」バタンッ
杏子「ま、まどか!? なんでここに」
さやか「さやかちゃんが呼んだのだー。ここあたしの部屋ですし?」
まどか「ネコミミ杏子ちゃん……可愛いっ」ハァハァ
ほむら「落ち着きなさいまどか。不用意に近づいてはだめよ。ひっかかれるわ」
杏子「ほむらもかよ!」
さやか「や、ほむらは呼んでないけど」
まどか「うわはぁふぁさふぁさしてるぅ~っ」
杏子「なくていいよ! 講習で忙しいんじゃねえのか!」
まどか「杏子ちゃん!」
杏子「な、なんだよまどか……」
まどか「しっぽは! しっぽはないの!?」ハァハア
杏子「ねえよ! ほらっ」クルッ
ほむら「はえてるじゃない」ギュムッ
杏子「はぎゃわぁっ!」
杏子「ほむら、てめえっ!」
まどか「しっぽも可愛いよう」スリスリ
まどか「えっ! くすぐったいの!?」
ほむら「これ切ったらどうなるのかしら」
まどか「じゃあもっと強くすればいいの? そのほうが気持ちいい?」ハァハァ
杏子「気持ちいいってなんだよ……」ゲンナリ
さやか「カメラ借りてきたーさぁさぁ撮影会のはじまりだよー」
杏子「バカやろう!」
まどか「さやかちゃん、レフ板もつよ」
ほむら「あのしっぽどこからはえてるのかしら」
さやか「バカ杏子!」
まどか「杏子ちゃんのばか!」
ほむら「それを けすなんて とんでもない!」
杏子「えっ」
QB「愛玩動物として代表的な猫の特徴を追加することで、杏子の魅力をさらに向上させることが可能というのが僕の仮説だ」
QB「もともと杏子は猫のような性質を持っていた。そのためにその効果は倍増となるようだね」
QB「そんな素晴らしいものを消すなんて、もったいないじゃないか」
QB「ボクと契約して、猫耳少女になっ――」バチュン
ほむら「くたばりなさい」
まどか「ひ、ひどいよほむらちゃん! なにも殺さなくても……」
杏子「か、可愛いとかいうのやめろよ……」
まどか「杏子ちゃんたら赤くなっちゃって!」ハァハァ
ほむら「まどか。鼻血が出ているわよ」
マミ「待たせたわね! 私よ!」
さやか「遅いですよマミさーん」
杏子「まっマミ! こ、これはだな……」
マミ「遅れてごめんなさいね。これを作ってたのよ」ファサ
まどか「メイド服! マミさんすごい!」
ほむら「なん……だと……?」
マミ「実はこれリボンなのよ」マミーン
ほむら「器用にもほどがあるわ。巴マミ」
杏子「おまえ勉強しろよ! 受験だろ!」
マミ「もういや……重積分と化学式に悩まされるのはいやぁっ」ブルブル
ほむら「謝りなさい佐倉杏子。さぁはやく」
杏子「え、な、なんかごめんな、マミ……」
マミ「……ゃない……」
杏子「え?」
マミ「これを着て女豹のポーズをするしかないじゃない!」
まどか「いい! すごくイイよ杏子ちゃん!」ダバダバ
ほむら「まどか。よだれがでているわ」
さやか「あ、しっぽ立ててね。そうそう!」パシャパシャ
マミ「素敵よ、佐倉さん……!」ムフー
杏子「な、なぁもういいだろ? これなんとかしようってば」
まどか「涙目上目遣いッはぁーッん!」ビクビク
さやか「最高のシャッターチャンスを逃さない魔法少女カメラ☆マギカさやかちゃん!」パシャパシャ
マミ「やはり……佐倉さんは原石……! 磨けばきっと、アレキサンドライトにも劣らない輝きを放つわ!」
杏子「いたた痛いってほむら」
まどか「…ふぅ。どうやったら元に戻るのかなぁ」
さやか「まどかまどか。ほれ、にゃーっていう杏子」チラ
まどか「きゃあーっ可愛い可愛い!」
杏子「それ消せさやかあっ!」
マミ「さすがね美樹さん。5000でどうかしら」ティロッ
さやか「マミさんにだったらタダでいいに決まってるじゃないですか!」
まどか「さ、さやかちゃん! わたしも、それが欲しいなって」
さやか「はいはい並んでねー。あ、ほむらは5000ね」
ほむら「いらないわ」
杏子「話きいてくれ……」グス
まどか「二人で寝てたんだよね? えへへっ」
ほむら「あなた達、そこまで関係が進んでいたのね」
マミ「え? どういうこと?」
杏子「一緒じゃねえから! こいつは机にこうやって寝てたの!」ツップシ
さやか「いやーごめん。寝付けなくてベッドいっちゃった」テヘッ
まどか「やぁん添い寝ってことだよね!」ハァハァ
ほむら「木間市の塔が高くなるわね……」
マミ「それで起きたら猫耳がはえていた、と」
さやか「そうなんですよ。あ、ちょっと買出しいってきます」
マミ「それなら私も同行するわ。美樹さん」
まどか「だいじょうぶだよ杏子ちゃん! わたしが撮ってあげるからね!」
まどか「んっと、これ、どうやって使うのかな?」
ほむら「ここを覗いて、ここを押せばいいのよ」
まどか「あはっ! 杏子ちゃんみーつけたっ!」
杏子「ち、近い近い! まどか近いって!」
ほむら「まどかが近づくことを嫌がるなんて、佐倉杏子、あなたはどれだけ愚かなの」ムンズ
杏子「だから耳を掴むなって!」
ほむら「いますぐ×××てあげるわ。佐倉杏子……!」フゥーッ
杏子「ひゃわっ! みみっ息! ふきかけんな! はひゃうっ!」ビクッビクッ
まどか「………」カシャカシャカシャカシャカシャカシャ
杏子「ふにゃあっ! やめろって!」
まどか「………」カシャカシャカシャカシャカシャ
QB「実に興味深いね。属性と呼ばれるある種の記号性が複合的に働きかけることで相手の感情を高ぶらせる」
QB「これは新しいエネルギー源の候補たり得るね。お手柄だよ佐倉杏子」
杏子「あうぅ……」
まどか「そんなことをいうなんて、やっぱりあなたはわたしたちの敵なんだね」カシャカシャカシャカシャ
QB「どういうことだい? まどか」
まどか「猫耳の素晴らしさっていうのは、エネルギーとして消費できるものじゃないってことだよ」カシャカシャカシャカシャカシャ
QB「たしかに猫耳は素晴らしいよ、まどか。たとえフェイクを装着しているだけでも、そのものの魅力を引き上げることができる」
QB「ボクが思うに、猫耳が果たす役割はいくつかに分類できる」
QB「次に、性質的な効果だ。一般的な猫の特徴と当該対象の性質的な特徴が一致ないし共通している場合、その魅力は飛躍的に増加する」
QB「そしてもっとも重視すべきなのがギャップとよばれるものだ」
QB「当該対象の心的特徴項目が、一般的な猫の特徴と乖離している場合、つまりギャップがある場合、その魅力は爆発的に向上する」
QB「可愛いなんていうのは控えめな表現さ。その魅力ならひと一人の一生を狂わせることすら可能だろう」
QB「いつもは強気で意地っ張りな杏子が、猫耳をつけることによってその心的特徴項目が反転し、大きなギャップによる魅力を作り出している」
QB「この考えから、特にギャップによる魅力の相転移が起き、感情エネルギーを励起すると結論できるんだ」
まどか「………」カシャカシャカシャカシャカシャ
QB「聞いているかい、まどか」
まどか「……はぁ」
QB「なんだって?」
まどか「難しい話なんていらないんだよ。必要なのはひとことでいいの」
まどか「猫耳カワイイ!」
ほむら「猫耳カワイイ!」
QB「わけがわからないよ」
ほむら「聞くだけの事は聞いたわ。消えなさい」
QB「やれやれ」ヌルリ
杏子「はぁ……はぁ……、もう、気が、はぁ、済んだか……?」クタリ
まどか「うん! 最高だよ杏子ちゃん!」
杏子「終わりな……約束だぞ……」
まどか「うん!」
マミ「ちょっと時間がかかっちゃったわね」
まどか「おかえりー」
ほむら「何を買ってきたのかしら」
さやか「お? 杏子ちゃんなにやらお疲れですなー」
杏子「へっ……。ヨユーだばーか……」
マミ「美樹さん美樹さん。アレの出番よ」
さやか「ああ! そうですね!」
まどか「アレ?」
さやか「じゃーん。ネコジャラシー」
マミ「途中でたくさん生えてるのを見つけてね」
杏子「!」ガバッ
さやか「ほれほれ」プラプラ
杏子「にゃあーっ!」ガバッ
さやか「うわあっちょちょっと杏子!」ジタバタ
ほむら「百合を越えて木間市の塔が天空に近づく……」
マミ「あらあら。佐倉さんったら完全に猫ちゃんじゃない」マミーン
まどか「………」パシャパシャパシャパシャパシャパシャ
杏子「にゃあっ! ふにゃあ!」ジタバタ
さやか「わあーっ誰か助けてよ!?」ジタバタ
杏子「にゃあ……」
杏子「!」
杏子「い、今のは違っ! 違うんだ!」
まどか「これのどこが違うの?」チラッ
杏子「~~~~っ! う、嘘ついたな、まどか! もう撮らないっていったじゃねーか!」
まどか「そんなこといってないよ? 前半戦が終わりって言ったの」
ほむら「なにそれこわい」
さやか「杏子……、はやくどいてくれない……?」グッタリ
マミ「佐倉さんのなかの獣が目を覚ます……!」
ほむら「妄言もほどほどにしなさい患者」
マミ「なっなによ! ほら美樹さん、最終兵器よ!」
さやか「えーあたしもうイヤ。ほれまどか。これをやろう」ポイッ
まどか「わっ、っと、ん? なにかな?」マドマド
マミ「獣を呼び起こす禁忌の薬品よ」
杏子「あー? なんだそれ。粉?」
ほむら「ああ、まどか。カメラを預かっておくわ」ヒョイ
まどか「んーと、袋、開けてみるね」パカッ
杏子「チョコレートの粉みたいだな」
杏子「!!!」
まどか「な、なにかな杏子ちゃん」
杏子「それ、それを、」ニジリ
まどか「こ、これ?」
杏子「それを、よこせえっ!」ガバッ
まどか「わあっ杏子ちゃん!」ボフッ
マミ「ああ……ついに召還されてしまったわ。心を惑わす獣《リ・ヴィニア・ハルケン》が……」マミマミ
ほむら「まどか! ちょっと杏子!」
杏子「にゃあーにゃあん」スリスリ
まどか「きょっ杏子ちゃん、くすぐったいよう!」
さやか「動画で撮っとこう」ジー
杏子「ふみゃあ。にゃるにゃる……」ペロペロ
まどか「んッ! な、舐めちゃだめだよ……!」
ほむら「このビッチ猫! なに発情しているの!?」ガシッ
杏子「にゃああああっ!?」
ほむら「ペロッ。これは……マタタビ!」バーロー
杏子「ふにゃあぁ……」ハァハァ
まどか「た、助かった……?」
さやか「いやーすごいねマタタビって。あんなんになるんだ」
マミ「恐るべき威力ね。これが裏の世界大戦の折に使用されていたというのね……」
ほむら「杏子?」グイッ
杏子「にゃはあぁぁぁんっ!」ビクビクッ
まどか「ほむらちゃん! 杏子ちゃんが苦しそうだよ!」ハァハァ
さやか「まどかや。なんであんたも苦しそうなのさ」
マミ「まさか……伝染するというの!?」マミーン
さやか「ええっ? もういいじゃん後でからかうにはじゅうぶんすぎるくらいだよ?」
まどか「なにいってるのさやかちゃん」
さやか「えっ?」
まどか「猫耳の可愛さは無限大! だからどれだけ撮っても撮りすぎるということはないんだよ!」キリッ
さやか「」
ほむら「これ面白いわね……」ギュムギュム
杏子「にゃあぁ……はぁん……」ゴロゴロ
ほむら「付け根のほうが反応がいいわね……」サワサワ
杏子「ふみゃ!? にゃ、にゃあん、にゃあああああああああんっ!」ビクビクビクッ
マミ「逝ってしまったわ、円環の理に導かれて……」
ほむら「大切なことなので二回言いました」
杏子「はぁ……はぁ……」
杏子「んぇ……?」
さやか「正気に戻ったみたいだね。よかったよかった」
まどか「だ、だいじょうぶ? 杏子ちゃん」
マミ「佐倉さん。誰しも己の心の中に獣を封印しているものよ。案ずることはないわ」
ほむら「なんか手が痒い」
杏子「………?」ボーッ
さやか「あ、思い出した?」
杏子「ぅ、」カァ
まどか「杏子ちゃん?」
杏子「うぎにゃああああああああっ!」バサッ ボスン
ほむら「ふとんにくるまって隠れてしまったわね」
マミ「恥じることはないわ佐倉さん。私たち、仲間でしょう!」
さやか「そうだよ杏子! 可愛かったよ!」
杏子「ううぅ、やめろバカぁ……っ!」
まどか「300枚強か……。100枚くらいまで厳選して……」
ほむら「もうこんな時間ね」ホム
マミ「それじゃあ私たちは帰りましょう」
ほむら「佐倉杏子の世話は任せたわ。美樹さやか」
さやか「えっ? これ放置?」
杏子「ブツブツ……」
マミ「放置じゃないわ、美樹さん。大切な使命をあなたに託すの。きっとあなたならやり遂げられると信じているから!」
ほむら「なんにせよここはあなたの家だわ」
まどか「さやかちゃんカメラ預かっていくね!」
さやか「えっ、ちょっとっ」
マミ「暁美さん、買い物して帰らない?」
ほむら「しかたないわね。そうしましょう」
マミ「予言するわ、美樹さん。今宵の選択があなたを大きく左右すると。それじゃあまた会いましょう」マミーン
QB「そうだね。この宇宙を救えるかどうかは君にかかっているといっていい」
ほむら「くたばりなさい」グチャ
さやか「部屋を汚さないで!」
QB「その反応は……理不尽だ……、ぐはっ」
杏子「………」
さやか「みんな帰っちゃった」
さやか「杏子ー? そろそろ出てきなよー」
さやか「はいはい」
杏子「ふ、服とって……」
さやか「え? メイド服着てるんでしょ?」
杏子「マミのやろう……、魔力が切れてリボンに戻っちまってんだよ!」
さやか「」
さやか「え……、じゃあなに、あんた今全裸なの?」
杏子「ぜっ全裸じゃねえっ! り、リボンがある、から……」
さやか(なんだこれ。なんだこの状況)
杏子「だっだから、アタシの服、取ってくれよ……」
さやか「ていうかあたし部屋の外に出てるからそのうちに着ちゃってよ。それでいいでしょ?」
杏子「あ、ああ。そうだな。悪いな」
さやか「じゃあ、えっと、終わったら呼んでね」ガチャ バタン
杏子「おう」
ゴソゴソ…
さやか「下着まで作っちゃうなんて、マミさんやりすぎだよ……」
マミ『甘いわね美樹さん。私は、満足していないのよ?』テレパシー
さやか『うわっ! びっくりした!』
マミ『ヘッドドレスをすっかり忘れていたわ! 私としたことが……』テヘペロマミン
さやか「はーい」
マミ『お邪魔したわね。あとは若い二人に任せて、っと』
さやか『マミさん、ほむらをほったらかしにしないであげてください』
ほむら『そんなことされていないわ。マミが買うのが遅いだけよ』
マミ『だって暁美さんお惣菜だけじゃない!』
ほむら『きんぴらごぼうは美味しいわ』
さやか『あーはいはいはい仲がよろしいことで。それじゃね!』
杏子「さやかー?」
さやか「ごめんごめん」ガチャリ
杏子「そ、そうだな……」ピコピコ
さやか(耳が動いてる……)
さやか「じゃ、ちょっと持ってくるよ。待ってて」ガチャ
杏子「あいよー」
杏子(………)
杏子(……むずむずする)ムズムズ
杏子(……まだあの粉のにおいが残ってんだな……)キュンキュン
杏子「………」ハァハァ
杏子(ちょ、ちょっとだけ……)モジ
まどか『杏子ちゃーん!』
杏子「!」ビクッ
杏子『な、なんだよ。早く帰れよ』
まどか『あのね、今日の写真のなかで杏子ちゃんのお気に入りがあったら聞いておこうかと思って』
まどか『ちなみに今は晩御飯食べてるんだよ』
杏子『ご飯に集中しろ!』
杏子『つーか写真は全部消せ! 頼むから!』
ほむら『うんそれムリ♪』
杏子『割り込んでくるんじゃねえっ!』
さやか「そのてーをつーかむからー♪」ガチャ
さやか「ヘイお待ちぃ!」
さやか「うん」
さやか(なんかさっきからやけに杏子が色っぽいんだけど)
さやか「いただきまーす」パン
杏子「主よ。今日も無事に一日を終えることができ、感謝します」
さやか「ぜんぜん無事じゃないとさやかちゃんは思うのでした」パクパク
杏子「茶々いれてんじゃねー」パクパク
杏子「あん?」ピコ
さやか「杏子はあたしのパジャマでだいじょうぶだよね?」
杏子「え。それは、泊まってっていいってことか?」
さやか「そりゃそうでしょ」ケラケラ
さやか「そんな耳としっぽで外出歩けないって」
杏子「あ、そ、そうか。なんか忘れてた」ピコピコ
さやか「ずいぶん馴染んでんね。もういっそそういうキャラってことにすれば?」モグモグ
杏子「阿呆。あぁこの麩の炒め物うまいな」
さやか「フーチャンプルーね。というかあんたタマネギは平気なの?」
杏子「食い物を粗末にするわけには……」グギギ
杏子「ご馳走様でした」
QB「ボクの分は残っていないのかい?」
杏子「さらっと出てくんなコイツ……」
さやか「ねぇキュウべぇ。杏子の耳がはえた原因ってわからないの?」
QB「有力な仮説としては、魔力の過充填だろうね」
杏子「かじゅうてん?」ピコ
QB「君たちの魔法少女としての生活は、最近じつに安定しているといっていい。魔獣との戦闘も少ないし、ソウルジェムが濁るようなこともない」
QB「だから、魔力が使われずに溜め込まれ続け、溢れたぶんが杏子のそれのように付属感覚器官として現出したんだろう」
QB「猫耳とは限らないね。武器や魔法少女服と同じで、それぞれの願いや心の形に応じて構成されるんじゃないかな」
QB「杏子の場合は、それが猫耳だったというだけさ」
さやか「ふうん」
QB「ちなみにさやかは自己治癒魔法が常駐してるから過充填にはならないと思うよ」
さやか「べ、べつにあたしはいいよ」
さやか「猫耳なら恭介もほにゃららとか思ってないし!」
杏子「なんだ? そんじゃ魔法を使えばこいつも消えるんだな?」
QB「前例がないから、ボクにできるのは仮説を提示することくらいだ。確証はないね」
杏子「相変わらず微妙に使い物にならねーな」
QB「シツレイな」
さやか「いやいやちょっと待ってよ。あたしの部屋でなんの魔法を使う気なのさ」
QB「杏子。君は固有魔法を使っていないから、基本的に魔力の消耗が少ないんだよ。だからゴブシャァ」
杏子「「使えばいーんだろ」」
マミ『必殺! ロッソ・ファンタズマ!』マミッ
杏子『やめろ!』
さやか「これが杏子の固有魔法なんだ。あれ、こっちには猫耳はえてないんだね」
杏子'「あたしは幻影だからな」シュン
杏子「まだダメなのか? もっと多くすればいいのか?」
さやか「知んないよ。キュウべぇ死んでるし」
杏子「ったく使えねーヤツだ」
ほむら『必殺! ロッソ・ファンタズマ! 地獄の劫火に焼かれて死ぬがいい!』
杏子『うっせえ! なんか付け足してんじゃねえよ!』
さやか「うわー杏子で部屋がいっぱいだ」
杏子''「もうちょっと広けりゃあと何人かはいけたんだけどな」
杏子'''「まぁそんなにいらねーだろ」
杏子「これでどうだ?」シュン
さやか「うん、まだあるね」
杏子「あーもーなんだよー」ガリガリ
まどか『ひ、必殺! ろ、ロッテ・ファンタオレンジ……? えっと、む、め、目の付け所が、シャープでしょ?』
杏子『まどかなにやってんだ』
さやか「あ、分身に猫耳がついてる」
杏子''「にゃあ」
杏子'''「さやかぁにゃあん」ゴロゴロ
さやか「わーお」
杏子「ちょ、ちょっと待て! どういうこと!?」シュン
QB「簡単に言えば、杏子。君が猫耳を、自分の一部だと認識し始めているということボグジュァ」
杏子「や、やばいじゃねーか……!」プルプル
さやか(あたしの部屋血まみれなんだけど)
さやか(しっぽを足の間に挟んでる……なんか可愛いな)
さやか「まぁじゃあ今日はとりあえず寝ちゃおっかー」
さやか「今日はもう遅いし、明日もっかい考えようよ」
杏子「そ、そうだな! そうしよう!」プルプル
さやか「ほら、ふとん入って」
杏子「おう……」ギュッ
さやか「? どうしたのさ」
杏子「う、うるさいな。ちょっとくらい、いいだろ」ギュウ
さやか「あーはいはい。じゃ、おやすみ、杏子」
杏子「うん。おやすみ、さやか」
さやか(どうしよう)
杏子「さやかぁ……にゃあん……」スリスリ
さやか(寝ている杏子に抱きしめられている上にすりすりされている……)
杏子「ふにゃあ……みゅう……」スリスリ
さやか(どうしようもないねこれは……二度寝するか)
杏子「ん……んあ? あれ? コーラから生まれたペンギンは?」
さやか「なにいってんのさ。おはよう」
杏子「あぁ、おはよう」
さやか「あのさ、放してもらっていいかな?」
杏子「? ……!? わひゃあっ」
さやか「いやいいけどさ。ってあれ?」
杏子「な、なんだよ」
さやか「杏子あんた! 猫耳なくなってんじゃん!」
杏子「マジか!?」サワサワ
杏子「な、ない! ないぞ! しっぽも、……ない! やった!」ピョンピョン
さやか「寝たら消えちゃったのかなぁ」
杏子(寝てる間に魔力を使ったのかな……?)
さやか「ま、なんにせよよかったね、杏子!」
杏子「ああ!」
まどか(たぬき……)
さやか(たぬきだ……)
ほむら(たぬきね……)
杏子(たぬきじゃねえか……)
おしまい
たぬきマミさんもきっとカワイイ
たぬきマミさんもまた書いてくれ
Entry ⇒ 2012.04.15 | Category ⇒ まどかマギカSS | Comments (0) | Trackbacks (0)
さやか「結局あたしはアイツとヤリたかっただけなんだ」
http://hayabusa.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1333695639/
ほむら(明後日には退院…)
ほむら(しばらくは通う事になるけど、この病院ももう長いもんね)
ほむら(こうなるとけっこう名残おしいところも…)
上条「さやか! さやかぁぁぁああああ!!!」バンバンバン!!
ほむら(!?)
上条「さやかとセクロスしてエエエエエエエエエエエ!!!!!!!!」
ほむら(な、何言ってるのよ/// 確か名札が… 上条恭介?)
ほむら(やっぱり、男の子の部屋には近づかない方がいいね。もう帰ろうっと)ペタペタ
バタン
ほむら「あ……」
さやか「もしかして今の、聞いてた?」
ほむら「///」コク
さやか「ごめんね、あいつもう長い事入院しててさ、もう溜まってしょうがないんだわ」
ほむら「溜まったって… ///」
さやか「あれ、知らないの?」ニコニコツヤツヤ
さやか「ああ、してるよ」
ほむら「ひぃ///」
さやか「大丈夫だって、生でしたことないから」
ほむら「だ、ダメですよ! そんなことしちゃ」
さやか「え~? なんでダメなの?」
ほむら「だって… そういうことすると、赤ちゃんできちゃうって……」
ほむら「なんですか、生って!」
さやか「シッ! 声大きいよ!」(そこまでは知らないのか……)
さやか「あのね」
さやか「妊娠とかしないで済む方法があるの」
ほむら「ほぁ…… そんなのが」
さやか「だからしても平気なんだよ!」
さやか「なんでさ!?」
ほむら「だって、そういうのは… 私たちにはまだ早いと思うから//////」
さやか「じゃ、入れなきゃいいんだ?」
ほむら「いれ、いれ… って/// 変なこと言わないで~」
さやか「変じゃないよ。どういうことするか、知らないの?」
ほむら「知らないよ! …そ、そんなことする子、いないもん……」
さやか「よ~し、じゃあしっかり教えてあげちゃおうかな!」
さやか「え~? いいの? ホントに知りたくないの~?」
ほむら「うぅ~ん… いや、やっぱりいいです!」
さやか「え、何? やっぱりって何? ちょっと迷ってた?」
ほむら「迷ってなんか…… ///」
さやか「だよねぇ~ あんまり話さないけど、皆ホントは知ってるもんね!」
さやか「となると知りたくなっちゃうよねぇ~」グイグイ
ほむら「……あ、あのぅ………ポソポソ…///」
ほむら「…教えてください!」
さやか「!」クルリ
ほむら「///」カァァ
——ほむルームへやって来ました——
さやか「個室なんだ。他の人がいなくてよかった」
ほむら「それで、まずはどうしたら…?」
さやか「緊張しないでいいよ。ベッドに座ってて」
ほむら「は、はい…」
ほむら「ひゃんっ!」
さやか「ムニッて… あんたもしかして、ブラつけてないの?」
ほむら「パジャマの時は外してるだけです。普段はしてますよ、ちゃんと」
さやか「そっか、じゃあもうちょっと触るよ~」ムニムニ
さやか「下準備が大事なの。もしかして、イヤだった?」
ほむら「イヤっていうか…… くすぐったいです///」
さやか「ああ、触られ慣れてないとそうなるかも。ちょっと我慢しててね」プチプチ
ほむら「はい… な、なんでボタン外してるの!?」
さやか「直接触った方がいいかなと」プチ
ほむら「美樹さん、手つめたいよ」
さやか「ほむらがアツいんじゃない?」クニ
ほむら「っ!!」ヒクン
さやか(あらためて見ると…… ちっさいなぁ……)
ほむら「今、小さいって思ったでしょ?」
さやか「う、うん… 正直言ってこれは」
ほむら「やっぱりね… あんまり見ちゃだめだよ… 恥ずかしいもん///」
さやか「ほ~ぅ、ではじっくり拝んでおこうかな」
ほむら「だめだってば~///」
さやか「いいんだよ。そうやって、見られて恥ずかしいって気持ちに、男の子は弱いからね」
さやか「恥じらいは大事だよ。無くしちゃうと取り戻せないしね」
ほむら「じゃあやっぱり見ちゃだめ!」
さやか(あ…… 隠しちゃった)
グイグイ
さやか「これこれ、ちゃ~んと見せなさいよ~」
ほむら「いやぁ~……///」
ほむら「み、美樹さん!? そんなところ///」
さやか「赤ちゃんできたら、こっから飲ませてあげるんだよ~」
ほむら「できません! まだできないから!」
ほむら(あ、でも…… 美樹さんが私の胸に吸い付いて…)
ほむら(赤ちゃんみたい…? かわいいかも……///)
さやか「どう? まだくすぐったい?」
ほむら「うん…… なんだか…」
さやか「じゃあねぇ、今度は片方なめて」(もう片方は指で)
ほむら「あっ…///」
さやか(うわぁ…… なにこれ…? やわらかい……)
さやか(ずっと寝てると、こうなっちゃうのか…? まさかね)
ほむら「んっ… こ、っこっち///」ポンポン
ほむら(美樹さん… こうして撫でてると、ますますかわいい…!)
さやか「よ~し、じゃもう片方もなめてあげるね!」 ちゅぅ
さやか(いいわコレ……)
・
・
・
さやか(忘れるとこだった!)プハァ
さやか「あれ、ほむら顔赤いよ」
ほむら「そんなこと… あ… あるかも…」
さやか「もしかして、おっぱい舐められて興奮しちゃった?」
ほむら「ち… ちがうよぉ///」
ほむら(落ち着かないと… 息があがってきてるの、バレちゃうよ)
ほむら「良かったって……!」
さやか「でね、これがあたしじゃなくて、男の子だったら、どうなると思う?」
ほむら「それは… こ、興奮、するんですよね」
さやか「だからどうなんのさ」
ほむら「その… ………が、固まるんですよね///」
さやか「それで硬くなったのを、ほむらのここへ」スッ
ほむら「!!」ビクッ
さやか「ちょっとほむら? 大丈夫!?」
ほむら「ビックリして… そんなとこ触っちゃだめだよ、汚いよ」
ほむら「おしっこの時と、…あれの日にだけ」
さやか(生理きてたんだな)
さやか「じゃあちょっと慣れようか」クニクニ
ほむら「んっ…!!」
さやか(息が荒くなってきてる… これはいけるかも)
さやか「我慢しなくていいよ」
ほむら「我慢…?」
さやか「声出そうなんでしょ? 我慢しないで出しちゃいなよ」
ほむら「声なんて…… あっ!」
さやか「いいの出てるじゃない」
ほむら「///」
ほむら「こ、こないよぉ」
さやか「どれどれ~ 直接確かめちゃうよ」スゥ
ほむら「!!? 手、入れないでぇ~…」ガッ
さやか「女の子の方の準備が出来てくるとね、だんだんヌルッと…」グググ
ほむら「やだよぅ…///」
トントン
杏子「ほむらいるの? 入るよ~!」
ほむら「友達だよ! ど、どうしようこんな格好で」オロオロ
カラカラ
杏子「お、新しい友達かい」
ほむら「そうなの。さっき来てくれて」
杏子「あたし、佐倉杏子な。よろしく!」
さやか「あたしは美樹さやか」
杏子「ミキ… サヤカ…? どっちが名前だかわかんないな! 変わってるな」
ほむら(三人ともそんな感じじゃ……)
杏子「それで、体拭いてくれてたんだな。ありがとう」
杏子(あれ…? このさやかって、どっかで見たことあるぞ……? 見たとこ入院してる人じゃなさそうだけど、この病院のどこか……)
杏子(いい漁場だからけっこう巡回してるけど、毎日会う人が多くて、覚えきれないな……)
ほむら「佐倉さん、これは…」オドオド
さやか「今ほむらにね、どうやったら赤ちゃんできるか教えてあげてたの」
杏子「? 結婚するだけじゃないの?」
さやか「おわぁ……」 (やっぱり!)
杏子「失礼なヤツだな! 毛くらい生えてるぞ!」(ちょろっとだけど……)
ほむら ポソッ「佐倉さん、もう生えてるんだ……」
あんさや「えっ」
ほむら「えっ」
ほむら「はい」
杏子「はい」
さやか「処女コンビにどうやったら赤ちゃんができるか教えちゃうよ!」
杏子(そんなこと、マミも教えてくれなかったぞ… 今度教えてあげようっと)
ほむら(処女ってなんだろう…?)
さやか「まず、杏子が来るまでほむらに教えてたのはね」
杏子「/// おまえら… そんなことしてたのか…///」
ほむら「ごめんね…」
さやか「それで受け入れる準備というのがですね」
さやか「せっかくだからほむらに脱いでもらおうか!」
ほむら「えぇ/// 恥ずかしいよ///」
さやか「杏子も期待してることだしさぁ、頑張って!」
杏子「…ごめん」
ほむら「そんな……」
さやか「それじゃおしり上げて」
ほむら「やめて… 自分で脱ぐから///」
スルスル
ほむら「…もしかして、下のパンツも…?」
さやか「当然!」
ほむら(それに私たちくらいの子は、みんな知ってるんだしね!)
スルリ
さやか(ついに無毛が……!)
杏子(うわ、ホントに生えてない!?)
さやか「すべっすべだぁ……」
ほむら「あんまり見ないでぇ///」
ほむら「きゃあっ!? あ、あ脚広げないでよぉ///」
さやか「ほ~ら、ほむらのここ、濡れてきてるよ~」ツツ
ほむら「ひゃん!」
杏子「ホントだ… ほむら、おしっこ我慢してるの?」
さやか「違うよねぇ~、さっきまで受け入れ準備万端だったもんね!」
さやか(ん…? コイツ今、既にじわっと来てるのを『我慢してる』って言ってた?)
さやか(もしかして普段から… あ、いや、今はおいとこう)
さやか「それとも、今こんなに見られて興奮しちゃった?」クイッ
ほむら「…してないよ! …見られたって……」
さやか「へぇ、早く入れてほしいんだ? あんたよくそんな恥ずかしいこと言えるね」
ほむら「///」カァァ
さやか「ではお望み通り…」
ツプ
ほむら「ひぃっ!? は、入ってるよ美樹さん!」
杏子「やめろっておい… そこ、生理の穴だよ。入れるトコじゃないだろ!?」
さやか(こいつはそっからして知らないのか…… まったく)
ほむら「待って美樹さ…… ん、ああっ!!」
さやか「ほむらの中、もうグッショグショだよ」
ほむら「いやぁっ! 美樹さん、だめ…! 抜いてぇ!」
さやか「え、痛かった? ごめんね」
ほむら「ううん痛くないけど……」
ほむら「奥まで入れたら、本当に赤ちゃんできちゃうよ……」
杏子「えっ… そうやるもんなのか……?」
さやか(こいつら何なの?)
入れる → 奥を刺激 → できる
※あんこ知識
結婚 → 懐妊
ほむら「うん」
さやか「女の子はね、中が湿ってくるの。今ほむらがそうだったみたいに」
ほむら「…うん///」
さやか「つまり男の子の硬くなったのを、ここに入れるのね。そこまでは知ってる?」
ほむら「……大体は」
ほむら(入れるのは知ってたけど… そういう仕掛けになってたなんて…… 美樹さんはどこで聞いたんだろう)ドクンドクン
杏子「いや無理だろ」
さやか「ほぁ?」
さやか「…難しいこと言うなぁ」
さやか「でも実際入っちゃうんだよコレが。さっき見たでしょ?」
杏子「う~ん……」
さやか「それでね、男の子はここに硬くなったのを入れるの。そしたら気持ちいいみたい」
杏子「やっぱ無理だって」
ほむら「そうだね」
さやか「どこがよ?」
さやか「…そりゃ、ぶつけたらね」
さやか「でも女の子のここだったら、柔らかいからいいの」
杏子「へぇ… 中はそうなってるんだ……」
さやか「感触でいうと、唇の裏みたいなもんだからね」
杏子「」
ほむら「」
さやか「…あんたら今、舌で唇舐めてるでしょ?」
杏子「なんでわかったんだよ!///」
ほむら「出すって……」
杏子「その、先っぽから…… だよな?」
さやか「そうね。おしっこと同じところ」
杏子「それは… いいの? なんと言うか、衛生的な意味で」
さやか「構造上、おしっことは一緒に出てこないからいいんだよ」
さやか「でも入れる前にちゃんと洗っておいた方がいいね! そこは練習しとかないと」
杏子「お、おおぅ……」(練習かぁ)
杏子「いよいよか…」
ほむら(いよいよ…)
さやか「精子が女の子の中に出されると、スーッと奥の方へ入っていくの」
杏子(なんか痛そうだなぁ……)
ほむら「外へ流れて行っちゃうんじゃないの?」
さやか「それがね、精子は自力で動けるから、メダカみたいに流れに逆らって泳ぐんだよ」
ほむら「へぇ~…」
杏子(いたっ いたたっ…!!)プルプル
さやか「だから、精子が入ってこないように防げれば、妊娠しないで済むってわけ」
ほむら「…中を閉じるの? 難しそうだね」
さやか「いや自力でそれができたら人間じゃないって……」
杏子「精子が出る時だけ抜けばいいじゃん」
さやか「そうなんだけどね」
さやか「精子は男の子が気持ちよくなった時にまとめて出るんだけど、その前からちょっとづつ出てるんだよ」
杏子「じゃそれで妊娠しちゃうなぁ……」
さやか「うん。だからね、男の子とする時は、入れる時に必ずこれを使うの」
杏子「なにこれ?」
さやか「コンドームっていうの。今日は特別に、一個開けて見せてあげるよ」
ほむら「うわぁ~い」
杏子「こんなもんで防げちゃうのか」
さやか「これを… 今はあたしの指で再現するけど、こうして」スルスル
杏子「おお~……」
ほむら「かぶせちゃうんだ」
さやか「ね? こうすれば女の子の方に精子は来ないでしょ?」
杏子「すごいな! これ誰が考えたの?」
さやか「いや知らないけどさ」
さやか「する時はちゃんとコンドーム使ってね!」
あんほむ「は~い!」
さやか「コンドーム付けないのを、『生』っていうの」
さやか「男の子は生でしたがるけど、絶対させちゃダメだからね」
杏子「生でしたら、精子入ってきちゃうもんな」
さやか「そうそう。あとコンドームの使い方も、ちゃんと説明書読んでからね」
トテトテ
杏子(大漁、大漁… やっぱこの病院は稼げるなぁ)
杏子(まだ早いし、ほむらの部屋へ行く前に、小児病棟のチビちゃんたちと遊んでやるかな)
杏子(顔馴染みになっておけば、むこうでも動きやすい……)
上条「さやか! さやかぁぁぁああああ!!!」バンバンバン!!
杏子(!? な、なんだ…?)
杏子「今の声、この病室から聞こえたような…」
上条「さやかとセクロスしてエエエエエエエエエエエ!!!!!!!!」
杏子(な、何言ってるんだコイツ///)
杏子(あ、思い出した! さやかってよくこの病棟へお見舞いに来てたんだ)
上条「ではせめてこのしびんにだな」
杏子(? しびんって、あれだよな……?)
さやか「もぅ、しょうがないなぁ。貸して」
上条「あ、いや、ぼくが持ってるからいいよ」
さやか「ちゃんと支えててよ」
杏子(おいどうする気だよ……)
さやか「変なとこチェックするんじゃないの。 ……いくよ」
杏子(いくの!?)
ショロ…… ティロティロティロ
杏子(……)ポカーン
杏子「ついに明日退院だな。おめでとう!」
ほむら「ありがとう。退院してもまた会えるよね?」
杏子「当たり前だろ! マミもお茶会しようって、楽しみにしてるぞ」
ほむら「わぁ~、 お友達の家へ遊びに行くなんて、久しぶりだよ」
ほむら「美樹さんも呼んでいいかな?」
杏子「ハハハッ そうだな、いろいろ教えてもらっちゃったもんな!」
ほむら「うん///」
ほむら「今日も来てるのかな」
杏子「ああ。さっき来たみたい…… でね、その、してたのね///」
ほむら「また?///」
杏子「しかも今日は… ちょっと上級者向けみたいだった!」
ほむら「上には上があったんだね…」ゴクリ
杏子「あとでコッチ来たら聞いてみようぜ!」
ほむら「うん! どんなのかなぁ」ワクワク
おしまい
マミさんも出したかった
ほむ:退院前。病院を徘徊してるあんこと友達
さやか:上条さんのお見舞いでよく来てる。開始時点で他三人とは面識なし
あん:病院に集まって来る魔女が目当てに、お見舞い名目でよく病院に来てる。
怪しまれないよう長期入院中のバァさんを幻覚魔法で騙して孫と思わせたり、
小児病棟に入院中の小さい子と遊んであげて、仲良くなったり
小児病棟ロビーのテレビでプリキュア見てたほむらを小学生と勘違いして声をかけたのがきっかけで友達に
マミさん:たぶんあんこと仲良く魔法少女
まどか:忘れてた
次もメガほむを…
Entry ⇒ 2012.04.13 | Category ⇒ まどかマギカSS | Comments (0) | Trackbacks (0)