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杏子「勇気……出せよ」

URL:http://hayabusa.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1336171167/
63: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/05/05(土) 11:18:09.85 ID:QFibdIDu0

「ん…あったかい」

「杏子…ちゃ…」

教会の中、二人だけの空間。
わたしの鼓動が、ちょっとずつ早まってきてる。

「へへ、想像通りだ」

抱きしめられるってだけでこんなにどきどきするなんて。
言葉が、続かない。

67: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/05/05(土) 11:28:12.22 ID:QFibdIDu0

それは、ある日のことだった。
今日は人数が揃わず杏子ちゃんと二人で教会を掃除していた時のこと。

杏子ちゃんが、掃除の最中ぽつりと口にしたことから始まった。

「まどかって姉貴だっけか?」

「うん、そうだよ。タツヤっていう弟がいるの」

「ああ、そうだったな。でも…」

「でも?」

「どうしても姉貴には見えないんだよなぁ」

けらけらと笑う杏子ちゃんに、ついむっとしちゃう。
わたしだって、ちゃんとお姉ちゃんやってるもん。

「ひどいよぉー」

「はは、悪い悪い」


71: >>64 違います 2012/05/05(土) 11:37:35.48 ID:QFibdIDu0

「でもさ、姉貴ってなかなか大変だよな」

「うん、分かる。 何やってもわたしが悪いー、って言われちゃって」

「はは、あたしといっしょだ」

それからはお姉ちゃんならではの苦労話。
以外にも共通の悩みがあって、それがおかしくて時々笑い合って。
でもお話の最後になるにつれて、杏子ちゃんの口数が減っていくのを感じた。

「モモ…か」

懐かしむようにその言葉を口にして、目をつぶる。

「杏子ちゃん…」

「あ、いや、いいんだ。もう過ぎたことなんだから」


75: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/05/05(土) 11:49:03.42 ID:QFibdIDu0

そう言ってお菓子を食べようとする杏子ちゃん。
一瞬弱気な顔を見せた杏子ちゃんだったけど、またすぐに戻ってた。
箱を開けて、袋を開けて。いつもの調子で、箱を差し出して。

「ほら、食うかい?」

「うん、ありがと」

差し出されたロッキーを食べながら、わたしはいろんなことを考えた。
ほんとは寂しいのかな、とかつらいのかな、とかとか。
ついつい考えるのに夢中になってたらしく、わたしは無意識に杏子ちゃんを見つめていた。

「…まどかが何を考えてるのか、今ならわかるぜ」

不意に呟く杏子ちゃん。
ええっ。そんなに顔に出てたのかな。


76: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/05/05(土) 11:55:32.69 ID:QFibdIDu0

「そうだな、寂しくないっていったら嘘になるな」

…やっぱり、そうだよね。
優しい杏子ちゃんだもん。寂しくないわけがないよね。

「でも今は、みんながいる」

「まどかが、さやかが、マミが、ほむらが」

「だから心配はいらないよ、へへっ」

改めて強い子だなって、思った。
わたしは、もしタツヤが、パパとママがいなくなったらなんて考えるのも嫌なのに。
やっぱり、強い。

「強いね、杏子ちゃん」

つい口にしちゃう。
でも杏子ちゃんの顔は、また曇ってしまう。


78: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/05/05(土) 12:03:42.68 ID:QFibdIDu0

「んなことは…ねえよ」

「え…?」

「確かにあたしは強く生きてきたつもりだ。でも実際は人に迷惑かけて、傷つけて…」

「そうやって何人も犠牲にして辛うじて生きてきたんだ、ちっとも強くねえ」

「あぅぅ…」

「強くなんか…ない。そうすることでしか生きていけない、弱い奴さ…」

バン、って拳を壁に叩きつける音。
沈黙ができて、気まずくなってしまう。

「…それでも」

「あん?」

「それでも、強いよ…」


79: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/05/05(土) 12:13:32.04 ID:QFibdIDu0

「なんだそりゃ。嫌味か?」

「ううん、違うよ」

「確かに杏子ちゃんのやってきたことはいけないこと…だと思う」

「分かってんじゃん」

「でもその代わり、杏子ちゃんはわたしたちをいっぱい助けてくれた…!」

ワルプルギス退治。その後の見滝原の魔女退治。
わたしの護衛も、いやいやいいながらも欠かさずやってくれた杏子ちゃん。
弱い人間だったら、そんなことやってくれない。

「…それは…すべてあたしのためだ、あたしの意志だ、勝手だ」

「意志がある人は、弱くなんかないと思うよ」

「…そうか」


80: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/05/05(土) 12:24:29.02 ID:QFibdIDu0

にかって笑って、わたしを見る。

「優しいんだな、まどか」

「わ、わたしは思ったことを言っただけだよ」

急に褒められちゃって、ちょっとびっくり。

「ま、あたしは何を言われようが強いとは思いたくないけど、でもな…」

「まどかがそう言ってくれんなら、強い人間になってみっか」

立ち上がってわたしに近づく。
わたしよりちょっと大きい杏子ちゃんが、わたしを見下ろす。

「へ、ど、どうしたの」

「あたしに物を言うとは…まどかも隅に置けねぇなあ」

わしゃわしゃっと髪を撫でられる。
いたずらをするさやかちゃんとそっくりな、やわらかい笑顔で。

「きゃっ、もーやめてよぉ」


81: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/05/05(土) 12:29:20.86 ID:qZjaO8FCi

あんこちゃんはかわいいなあ!


82: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/05/05(土) 12:32:21.92 ID:QFibdIDu0

「なんかなぁ…ほっとけない雰囲気だよな、まどかって」

「う…よく言われる」

「ははは、あたしの妹みたいだ」

「モモちゃんに?」

「ああ、こんなでかくはなかったけどな」

「それでもあったかくて、やわかくて…」

それだけ言うと、また黙っちゃう杏子ちゃん。
また昔を懐かしむような、そんな目をしていた。

「なぁ…抱きしめてみてもいいか?」

「ええっ!?」

「嫌…か?」

「嫌、じゃないけど…」

「うし、決定」


84: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/05/05(土) 12:45:15.89 ID:QFibdIDu0

「やっぱまどかって妹みてぇだな」

「……もぉ」

ぎゅっとする力が強くなって、だんだんと身体が密着していく。
女の子に抱かれるのって、不思議とどきどきしちゃう。
ほむらちゃんの時もそう、さやかちゃんの時もそう。
言葉がうまく続かなくなっちゃう。
わたし、照れ屋さんなのかな…

「よしよし、杏子お姉ちゃんですよーってか」

「わたしだってまどかお姉ちゃんだもん…」

一分くらいの抱擁の後、離れた杏子ちゃんがまた髪を撫でる。
あったかい手が心地よいな。

「うし、掃除再開すっか!」

「うんっ!」

杏子ちゃん、これからもよろしくね――

終わり


85: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/05/05(土) 12:46:28.35 ID:QFibdIDu0

お目汚し失礼しました
ちなみに一番好きなのはまどほむです


86: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/05/05(土) 12:47:17.40 ID:QFibdIDu0

あ、スレタイ回収忘れた


87: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/05/05(土) 12:50:28.60 ID:qZjaO8FCi

乙だ

久々によいまどあんを見た

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