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岡部「誰か…いるのか?」紅莉栖「」
http://hayabusa.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1330271470/
岡部「くっ…!」ダッ
岡部「はあ、はあ…なんてことだ…」
岡部「【牧瀬紅莉栖が刺されたらしい…】っと」
岡部「…いや、やっぱり送信はやめておこう」
岡部「機関にメールの内容を知られるかもしれん。今日見たことは俺の胸の中に留めておこう。」
岡部(どういうことだ…?)
岡部(牧瀬紅莉栖は確かに死んでいたはずだ…)
岡部(しかし…何故いつまでたっても彼女の死が報道されないのだ…?)
紅莉栖「!」
岡部(なっ…!)
紅莉栖「…やっと会えた」
岡部「?」
紅莉栖「あなたを探していたんです…」
岡部「?」
紅莉栖「助けて貰った時のお礼がいいたくて…」
岡部(さっぱり分からん…)
岡部(一応話を合わせておくか…)
岡部「な、なるほど…」
岡部「こ、これが世界の選択というならば」
岡部「エル・プサイ・コングルゥ」
岡部(…未来のことは誰にも分からない)
岡部(だからこそ)
岡部(この再会が示すように無限の可能性があるのだろう)
岡部(これが…)
岡部(運命石の扉の選択だよ)
~fin~
岡部「という感じにならなかったのか?」
紅莉栖「ならないわね。もしメールを送らなかったら過去改変が起きてるから。」
岡部「しかし1話の世界線はシュタインズゲートの世界線なのだろう?」
紅莉栖「は?」
岡部「え?」
紅莉栖「…いや1話はβ世界線でしょ?メタルうーぱのままだし、私は死んでるし」
岡部「しかし1話の未来オカりんの叫び声はどう考えても自分の腹に包丁が刺さってる叫び声だろう?」
紅莉栖「ま、まあ…それは…。てか自分で自分のことオカりんって…」
岡部「黙れ。この際キャラなどどうでもいい。つまりそれならシュタインズゲートの世界線じゃないのか?」
紅莉栖「うーん…でもシュタインズゲートの世界線なら1話でうーぱが出てるはずでしょ?」
岡部「そこだ。そもそもシュタインズゲートの世界線の過去オカりんはどうやって論文が燃えるのを回避したんだ?」
紅莉栖「…確かに。最初からうーぱなら論文はもともと燃えてることになるから…」
岡部「どーうした助手よ。これが俗に言う矛盾というやつかー?」
紅莉栖「うーん…」
岡部「どうした?早く認めろ。1話はシュタインズゲートの世界線だと」
紅莉栖「…まあ、1話がシュタインズゲートの世界線かどうかはとりあえず置いといて」
岡部「おい」
紅莉栖「…仮に1話がシュタインズゲートの世界線だと仮定して…」
岡部「うむ」
紅莉栖「あんたは何が言いたいの?」
岡部「つまり俺は理想の世界線であるシュタインズゲートから、わざわざ自分からバッドエーンドのβ世界線に移動したことになる」
紅莉栖「そうね」
岡部「…完全な無駄手間だろう」
紅莉栖「…そうね」
岡部「…」
紅莉栖「…」
紅莉栖「ま、まあでも、それも経験だと思えば…!」
岡部「なんだ?フォローしてくれているのか?助手よ」
紅莉栖「し、してない!励ましてあげようとか考えてないんだから!」
岡部「分かりやすい奴だ」ギュッ
紅莉栖「え…?」
紅莉栖「ちょ、ちょっと!何抱きついて…て、てかさっきから何が言いたい!?」
岡部「俺が言いたいことはただ1つだけだ」
紅莉栖「え?」
岡部「シュタインズゲートの世界線においてもアトラクタフィールドの収束は存在する」
紅莉栖「なっ」
チビる前に叫び声聞いたからティーナの死体(仮)を見た。
叫び声は二回あった。
そういやそうだったな
紅莉栖「ま、まさかまた誰かが死ぬ運命に…?」
岡部「そういうことではない。」
紅莉栖「じゃ、じゃあ…?」
岡部「この世界線においてどんな未来を選ぼうとも、岡部倫太郎と牧瀬紅莉栖はアトラクタフィールドの収束により必ず結ばれる運命にあるのだ」
紅莉栖「あ…」
岡部「何度離れようとしても絶対に離れられんぞ」
牧瀬紅莉栖「…そんなのずるい」
岡部「これは宇宙の法則であり世界の構造そのものなのだから仕方ないのだ助ー手よー」
紅莉栖「…こんな時までチャカさないでよ」
岡部「む…そ、そうだな…ゴホン」
紅莉栖「…」
岡部「助手…いや、牧瀬紅莉栖。」
紅莉栖「はい。」
岡部「結婚してくれ」
紅莉栖「…はい。」
ダル「オカりーん。プロポーズの時くらい厨二病から離れた方が良いと思われ」
まゆり「でもーまゆしぃはそんなオカりんの方が好きなのです。」
岡部「な、なんだなんなのだお前達は!? どこから沸いてきた!」
ダル「牧瀬氏がそろそろプロポーズされるかもしれないから」
まゆり「まゆしぃ達も一緒に来て欲しいーって」
紅莉栖「ゴメンねー岡部」
岡部「な…。プレミアムプロポーズプロジェクトが既に予測されていたというのか…」
岡部「くっ…たかが助手の分際で…」
紅莉栖「もう貴方の奥さんになったんでしょ?」
岡部「ぐぬぬ…ふっ、まあいい。こういう結果になったことことも全て」
紅莉栖「そうね」
「運命石の扉の選択だよ」
~fin~
最近シュタゲを全話みて
「1話はシュタインズゲートの世界線なのか?」
「最終回の過去オカりんはうーぱが出た世界線でどうやって現在オカりんと同じ道を辿るのか?」
と疑問に思ったので書き初めたのに気づいたら結婚させてしまっていた。
誰かシュタゲに詳しい奴がいたら教えて欲しい。
読んでくれてありがとう。
乙
俺の考えだと、一話の世界線はβ世界線
最終話は俺も考えていくつか思ったの書いてみる
①過去オカリンのオペレーションスクルドは紅莉栖を助けるだけ
②紅莉栖が死ぬと思ったまま世界線変動したらβ世界線じゃなくてSG世界線になる
③メタルウーパ以外の原因で論文が無事。過去オカリンはその原因を取り除く
結局答え出なかった
わざわざサンクス。
やはり1話はβ世界線か…
タイムリープものは馬鹿にはよく分からん…
教えてくれてありがとう
Entry ⇒ 2012.03.08 | Category ⇒ シュタインズゲートSS | Comments (0) | Trackbacks (0)
スネーク「こちらスネーク、未来ガジェット研究所に潜入した」
http://hayabusa.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1330482008/
スネーク「俺はどうすればいい?」
大佐『その研究所でタイムマシンが開発されたという情報が入った・・』
スネーク「タイムマシン?そんなもの本当に開発されていたとしたら・・」
大佐『あぁ・・世界はタイムマシンを巡って戦争になるだろう。それもとても大きな戦争にな』
スネーク「つまり俺の任務はそのタイムマシンを破壊しろという事だな?」
大佐『そういう事だ。それでスネーク、研究所の中はどのような感じになっている』
スネーク「普通の部屋だな・・特に何もない。」
大佐『タイムマシンらしきものも見当たらないのか?』
スネーク「あぁ・・日用品らしき物しか置いてない。本当にタイムマシンなんて開発されたのか?」
大佐『ある組織からの確かな情報だ。何としてでも見つけ出して破壊してくれ。』
スネーク「分かった。」
大佐『健闘をいのる・・。』プツン
みたいなのを誰かが書いてくれるはず・・ナイカ
スネーク「遮光カーテンで、部屋を二つに分けているようだ……」
スネーク「タイムマシンがあるとすれば、この奥か」サァー
紅莉栖「んっ……岡部? 帰ってきたの……?」ゴシゴシ
スネーク「……」スッ
紅莉栖「!」トゥルンッ!
スネーク「……」バッ グイッ
紅莉栖「むー! むー!」バタバタ
スネーク「……悪く思うな」キュ
紅莉栖「」クタッ
スネーク「くそっ……大佐! どういうことだ、情報と違う! 女が居た!」
大佐『牧瀬紅莉栖、そのラボに在籍する研究員の一人のようだ』
スネーク「もう少しゲノム兵を呼ばれるところだったぞ、頭の上に!が出ていた」
大佐『現場は生き物だ、多少のトラブルには目を瞑ってもらわんと困る。そもそも日本にゲノム兵は居ないぞスネーク』
スネーク「それはそうだが……」
スネーク「……くそっ、切れた」
トゥルル トゥルル
スネーク「何だ?」ピッ
オタコン『僕だよスネーク』
スネーク「ああ、どうした」
オタコン『まずいことになった。今メイクイーンにゃん×2から岡部と橋田が出たところだ。予想より早い』
スネーク「……時間は?」
オタコン『そうだな、早ければ後四十分ってところだ』
スネーク「肝心のタイムマシンがまだだが、見た目の情報は無いのか?」
オタコン『そこまでは……、ただ、それほどコンパクトなものではないはずだよ』
スネーク「だが、部屋を見渡す限りそれらしいものはない」
オタコン『家電を調べてみたらどうだい? 偽装されている可能性もあるよ』
スネーク「ああ」
オタコン『ところで……そこの女の子なんだけど……』
オタコン『君がフェミニストで良かった』
スネーク「まさか。だが、俺は殺し屋でもない」
オタコン『どうにか起こして情報を引き出せないかな?』
スネーク「まだ大丈夫だとは思うが、次は顔を覚えられるぞ」
オタコン『オプションのカモフラージュから、フェイスを変更するんだ』
スネーク「……こうか?」キュ
オタコン『スネーク……それ、僕じゃないか……』
スネーク「一番日本に似合っている」
オタコン『そ、そうかい? まあ構わないけど。アキバなんて、もう暫く行っていないな……』フゥ
スネーク「お前もくれば良かっただろう」
オタコン『どうかな。こうして上空に居られるだけでも行幸だよ、離陸許可が下りるとは思えない』
スネーク「パラがある」
オタコン『よしてくれ……それじゃ、頑張って』
スネーク「ああ」
紅莉栖「」☆☆☆
スネーク「……」ポンポン
紅莉栖「」☆☆ ピンッ ^☆
スネーク「……」ポンポン
紅莉栖「」☆ ピンッ ^☆
スネーク「」ポン
紅莉栖「うっ……あれ? 私、何で床に……」フラ ^☆
スネーク「動くな」チャ
紅莉栖「な!? えっ……?」
スネーク「口を閉じろ。YESなら一回、NOなら二回首を振れ」
紅莉栖「」コク
スネーク「よし、良い子だ。……ここにタイムマシンがあるな?」
紅莉栖「……」
スネーク「手荒な真似はしたくない、正直に答えてくれ」
スネーク「ここにあるんだろう?」
紅莉栖「だ……誰から聞いたの……?」
スネーク「……質問しているのはこっちだ。どこにある?」
紅莉栖「喋ったら……いけないんでしょう?」キッ
スネーク「ん? ああ……だが、君はもう話しているし、叫ぶタイミングも失ったようだ。話してくれ」
紅莉栖「タイムマシンを、どうする気なの……?」
スネーク「そんなものは、この世界にあってはいけない」
紅莉栖「……」
スネーク「今度は俺よりも怖い連中が押し寄せてくるぞ。情報は売られている、その証拠が俺だ」
カンコン カンコン
スネーク(予定より早い……)
紅莉栖「おかっ……」フムー!
スネーク「こっちへ来い」グッ
スネーク「……」
岡部「帰ったぞ……ん? 助手?」
ダル「ふぃー……暑くて死にそうだお」
岡部「助手が見当たらないが」
ダル「トイレじゃないん?」
岡部「何だ、この人が二人は入れそうなピンク色のダンボールは……」
ダル「さぁ……なんぞこれ、『ラブダンボール』?」
紅莉栖・ダンボール内(……あなた、結構バカでしょ)
スネーク・ダンボール内(黙っていてくれ……)グイ
紅莉栖(……)ムー!
岡部「ん? どこからか、助手の声がしなかったか?」?
ダル「え? 聞こえなかったけど。それよりこれ、牧瀬氏の荷物?」
岡部「気のせいか……」
ダル「オカリンオカリン、コーラの在庫が切れている件について」ガチャ
紅莉栖(何で気づかないの!?)ムームー!
岡部「ドクペはやらんぞ」
ダル「飲まないって……」
岡部「ふむ……助手は買い物か?」キョロキョロ
ダル「仕方ない、暑いけどコンビニいくお……」
岡部「む、ならば俺も同行しよう」
ダル「過保護だなぁオカリンは、そんなに牧瀬氏が心配?」
岡部「ばっ! 誰もそんなことは言っていないだろう!?」
ダル「はいはい」ガチャ
岡部「おい! 待てダル!」タッ
カンカンカン
牧瀬(oh...)
スネーク「ふぅ……どうやら行ったようだな。オタコン」
オタコン『ああ、二人にはMk-2をつけておくよ』
紅莉栖「……貴方、何者なの?」
スネーク「見ての通り、科学者だ」
紅莉栖「顔と、体格があってない……それ、特殊メイク?」
スネーク「フェイスカムだ」
紅莉栖「貴方が何にしろ、タイムマシンは……壊させない……」
スネーク「なら家ごと吹き飛ばすことになる」
紅莉栖「そんなこと、あたなに出来るのかしら……ダンボールに隠れるような人が……」
スネーク「むぅ……」
紅莉栖「スーパーまで行ったとしても、往復20分は掛からないわよ? 後何分あるかしら?」
スネーク「……そんなものが本当にあれば、戦争になるぞ」
紅莉栖「…………」
大佐『スネーク、もう良い。今回は撤収だ』
スネーク「……なぜだ? タイムマシンがあることは確かだ、この部屋にあるもの全てを吹き飛ばせば…」
大佐『……予定が変わったのだ。タイムマシンは回収しなければならない』
大佐『大声を出すなスネーク』
スネーク「回収して、そしてどうする?」
大佐『スネーク、らしくないぞ。冷静になれ。それを考えるのは君でも私でもない』
スネーク「……」
紅莉栖(独り言……? 無線……?)
大佐『彼女は機内に収容する、合流地点で待っているぞ』プツンッ
スネーク「……悪いが、また眠っていてくれ」キュ
紅莉栖「」クテッ
スネーク「オタコン!」
オタコン『ああ、ラボの前にタクシーを呼んでおいたよ』
スネーク「よし、意識不明の急病人を運ぶとしよう」グイッ
カンカンカン
岡部&ダル「!」トゥルン!
スネーク「」
スネーク「……」ポイッ
ダル「ちょっ! 牧瀬氏が飛んできた件! って……お、重いおっ!」ググッ
スネーク「……」パシッ
岡部「あいたっ」
スネーク「ラボの責任者、岡部倫太郎だな?」グッ
岡部「いたたたたた! そ、そうだ……我こそが、狂気のマッドサイエンティ……腕が痛い! ヘルプ!」
スネーク「よし、お前が来い……運転手、車を出せ」チャ
ドライバー「ど、どちらまで…………?」
スネーク「とりあえず出せ! 早く!」バンッ
ブルルルル
ダル「ちょ……オカリンが誘拐された件について……」
紅莉栖「」グッタリ
ダル「牧瀬氏……死んでるわけじゃないよね? あ、息してるか……」
ダル「……なんぞこれwwwww」
ダル「牧瀬氏、牧瀬氏!」ポンポン
紅莉栖「んっ……あれ? 私……」
ダル「ふぅ……もう少しで理性が崩壊するところだったんだぜ……」
紅莉栖「このHENTAI! って……ん? メガネでオタクっぽいムキムキの外人は……?」
ダル「何か、オカリンを浚っていったけど……」
紅莉栖「ちょっ!? な、何で可愛い私じゃなくて、あんなボロボロのおっさん連れていったのよ!」
ダル「ちょwwwおちけつwwww 突っ込むとこはそこじゃないだろJK」
紅莉栖「け、警察には連絡したの!?」
ダル「ごめん、まだ。ダルにゃん的に、牧瀬氏がグッタリしててそれどころじゃなかったし」
紅莉栖「そ、そう……ごめんね、心配かけて」
ダル「惚れんなよ?」キリッ
紅莉栖「誰が惚れるかっ!」
プルルルル
紅莉栖「ん? 岡部から電話……?」
岡部「すみません……全てお話しますので、命だけは勘弁してください……」ブルブル
スネーク「……まだ何も言っていないが」
オタコン「君がタイムマシンの開発者? 写真では老けて見えたけど、話してみると随分若いね」
岡部「ええ、まあ……」
オタコン「コーヒー飲むかい?」コトッ
スネーク「おい、オタコン……」
オタコン「スネーク……彼は一般人なんだよ。これくらい良いじゃないか」
スネーク「hmm...」
岡部「あ、ありがとうございます」ジー
オタコン「大丈夫、何も入っていないよ。僕のと交換するかい?」スッ
岡部「い、いえ……」チビッ
スネーク「で、あのラボにタイムマシンがあるんだな?」
岡部「……一つ、一つだけお願いが。命だけは…」
スネーク「ああ、別にあんたを殺しはしない」
スネーク「?」
岡部「他の、他のラボメンには、手を……手を、出すな」ガクガク
スネーク「震えながら凄まれてもな……」
岡部「……出さないでください」
スネーク「ああ……まあ、彼女は気を失っていただけだ、今頃起きているだろう」
岡部「」ホッ
スネーク「見た目よりタフらしい」
岡部「紅莉栖が……ですか」
スネーク「いや、あんたがだ」ポンポン
岡部「…………タイムマシンはまだ、完成していないですよ」
スネーク「何だと?」
岡部「ククク……我が助手が作業を続けていれば、今頃は完成していただろうがな……」
オタコン「メールを過去に飛ばせるんだろう? まだ改良中だったのかい?」
岡部「……あ、はい」
岡部「ちなみに、タイムマシンではなく、電話レンジ(仮)という正式名称が」
オタコン「かっこかりなのに、正式名称なのかい?」
岡部「ほう……貴様は中々見所があるようだな!」
スネーク「オタコン話が逸れる……。それに、こいつは二重人格か何かか?」
オタコン「厨二秒って奴じゃないかな。日本のコメディアンが作った言葉だけど」
スネーク「……その話はまた後で聞こう。で、岡部」
岡部「はぁ……ええとですね……」
カクカク シカジカ
オタコン「……凄いね。SERNって、あのSERNかい?」
岡部「いかにも」
スネーク(また態度がでかくなったな……)ハァ
オタコン「ダルという人に是非会ってみたいところだ」
岡部「ところで……本当にあんたたちは、戦争の回避を目的にしてるだけなんだな?」
スネーク「少なくとも俺はそうだ。上はどうだかな……」
スネーク「話は聞いていただろう? タイムマシンは完成していない」
大佐『……すぐに、岡部倫太郎から指示を出させるんだ。タイムマシンを完成させるように』
スネーク「…………」
大佐『私も……好きで君にこんなことを言っているわけではないのだ……』
スネーク「……また『姪っ子が人質に』なんて言うんじゃないだろうな?」
大佐『……妻だ』
スネーク「……」ハァ
スネーク「完成させ、それを回収すればいいんだな?」
大佐『ありがとう、スネーク。やってくれるか』
スネーク「……再婚してたのか?」
大佐『む……まあ、色々あってな』
スネーク「全く……」
岡部「……牧瀬に電話をすればいいのか?」
スネーク「ああ」
紅莉栖「もしもし……? 岡部っ!? ぶ、無事なの!?」
岡部『岡部ではない! 俺は狂気のマッドサイエンティスト、鳳凰院――――』
紅莉栖「あっそ、じゃあ切るわね」プツッ
プルルルル
紅莉栖「はろー」
岡部『もしもし? 岡部です。ちょっとお話を聞いて頂けませんでしょうか……』
紅莉栖「……ホントに無事なの?」
岡部『ああ、どうやらタイムマシンを奪う気らしいが……悪い人間ではなさそうだ』
紅莉栖「まあ……ダンボールに隠れるような人だしね……ちょっと分かるけど……」
紅莉栖「私は二度も気絶させられたわけだが」
岡部『そ、そうか……災難だったな』
紅莉栖「で、何なの? タイムマシンを持って来いって? ていうか全部喋ったの?」
岡部『いや……まあ……』
紅莉栖「はぁ……」
紅莉栖「だから、助手じゃないっていっとろーが」
岡部『紅莉栖よ』
紅莉栖「だから……な、なんて?」ドキドキ
岡部『二度は言わん。紅莉栖よ、電話レンジ(仮)を完成させるのだ。今すぐナウ』
紅莉栖「あんた……脅されてるんじゃないの? それ……」
岡部『……なきにしもあらずというか、仕方あるまい』
紅莉栖「それで良いの? あんたは、それで良い訳?」
岡部『ラボメンを守るのが、俺の役目だ……最も、相手が約束を守るとは限らんが……』
紅莉栖「岡部…………良いわ、完成させたげる」キュン
岡部『頼む』
ツーツー
岡部「これで良いか……?」
スネーク「ああ、ラボまで送ろう。オタコン……」
オタコン「ちょっと待ってくれスネーク。これ、こいつを見てくれ」
スネーク「どうした?」
オタコン「首都圏の交通機能が麻痺してる」
スネーク「線路だらけだな、東京は」
オタコン「おかしいよ……、こんなこと、普通はありえない。特に、アキバは陸の孤島みたいになってる」
スネーク「……俺たち以外にも、動いたか?」
オタコン「そうかもね……もし、彼の話が本当だとするなら……」
スネーク「俺も行こう、もう少し高度を下げられるか?」
オタコン「ああ」
スネーク「岡部、飛ぶぞ」
岡部「は?」
岡部「ぬぉおおおおおおおお!!」
スネーク「口を閉じろ! 舌を噛むぞっ!」
― ラボ周辺 ―
スネーク「見ろ、人気が全く無い」
岡部「た、確かに不気味だ……」
スネーク「先に行っていろ、俺は他に用事をすませる」
岡部「ど……どういうことだ……?」
スネーク「良いからラボまで走れ」
岡部「くそっ! 走るのは、苦手なんだっ!」ダッ
カンカンカン ガチャ
岡部「紅莉栖! ダル! 無事か!?」
紅莉栖「ちょ、何よ帰ってきて早々……あんたこそ、大丈夫だったの?」
ダル「オカリン大丈夫? 顔色ヤバイお」
岡部「あいつら以外にも、タイムマシンを狙っている奴らが居て…………あ、れ……? まゆりは……?」
ダル「なんなん? ちゃんと説明しろし、オカリン」
岡部「我々は現在、機関に狙われているのだ……割とマジで」
ダル「妄想乙……とは言えないか、さっきの人がらみなん?」
岡部「ああ……とにかく、ここから出てどこか遠くへ……」
岡部(アキバは陸の孤島……)
紅莉栖「岡部?」
岡部「と、とにかく、俺はまゆりを探しに……!」
ガチャ
スネーク「待たせたな」
まゆり「トゥットゥルー♪ 何だか変な人に誘拐されてきたのです」
スネーク「……」
岡部「スネーク! 信じていたぞ!」ガシッ
スネーク「あ、ああ……」
紅莉栖&ダル(誰……?)
紅莉栖「え? 出来てるけど……」
スネーク「よし、それを持ってここを出るぞ。全員ついて……」
ブロロロロ
岡部「何だ? こんな時間に……」
スネーク「全員、窓から離れろ」グイッ
岡部「おおっ、急に引っ張らないでくれ……」
スネーク「オタコン……」
オタコン『バンから出てきた、1…2…6人。全員SMGを持ってる』
スネーク「お前たちは伏せていろ」
岡部「じゅ、銃撃戦になるのか?」
スネーク「ああ」チャ
岡部「おい、スネーク……どう見ても、ただのハンドガンなんだが……それだけか?」
スネーク「大丈夫、無限バンダナだ」
紅莉栖&ダル(だから誰だよこのおっさん……)
ラウンダーサブリーダー「全員その場をうご……あ?」
スネーク「」コキッ
ラウンダー「なっ……こいつ!? どこから……」
スネーク「」キュ
ラウンダー「くそっ!」パパパ
スネーク「」パンパン
ラウンダーさん達「」シーン
岡部「……助かった、のか?」
オタコン『まだまだ来るよスネーク! バンが三台止まった!』
スネーク「まだ来るぞ! 全員伏せていろ!」
紅莉栖「まゆりっ!」
スネーク「!?」
岡部「ま……ゆ……り……?」
ダル「あばばば」
スネーク「…………」
紅莉栖「まゆりっ! まゆりっ!」
ダル「……」
岡部「あぁああああああっ!!」
スネーク「……岡部!」ガンッ
岡部「がっ……! な、何を……!?」
スネーク「動くんだろう……?」クイッ
岡部「電話……レンジ……」
スネーク「……行け!」
紅莉栖「お、岡部っ!? だ、ダメよっ! まだテストもしてないのに……!」
岡部「飛べよぉおおおおおおおおお!」
鈴羽(あれ? 出番は……?)
――――――
――――
――
スネーク「日本は平和だな……」
オタコン「そうだね、これだけ治安の良い国も少ない」
スネーク「たまには、観光というのも良いもんだ」
オタコン「まさかスネークとこうして、アキバを歩くことになるとは思いもしなかったよ」
スネーク「俺もだ。しかし、タバコをどこで吸えばいいんだ?」
オタコン「いい加減、もうやめたらどうだい?」
スネーク「そう言うな……おい、あんた。この辺りに喫煙所は無いか?」
岡部「」
スネーク「ん? どうした、日本語が変か? 喫煙所の場所を教えてくれ」
岡部「スネーク……」
スネーク「!」
岡部「……ありがとう」
スネーク「………………?」
オタコン「メイクイーンにゃん×2の場所も聞いてくれないかな? スネーク」 完
世界戦がシュタインズゲードに以降して、未来が変わったんだよ。というオチ
投げてないよ、予定通りだよ
岡部「ここだ」
スネーク「これがメイドカフェか」
オタコン「思い出した、ここだよここ。ありがとうそこの彼」
スネーク「こいつが君に感謝しているぞ」
岡部「あ、ああ……その、俺も同席して構わないか?」
スネーク「ああ、現地のガイドが丁度ほしいと思っていたところだ。剥きだしですまないが」スッ
岡部「いや、金は良い。少し、頼みを聞いて欲しい……」
スネーク「……いいだろう、中で話せるか?」
岡部「ああ」
オタコン「スネーク! 早く行こうよ!」
スネーク「オフなんだ、デイヴにしてくれオタコン」
オタコン「分かったよデイヴ」
スネーク「それで、話って?」
岡部「彼は良いのか?」
スネーク「ああ、何でもここは五回目らしい。久しぶりで場所を覚えてなかったようだが」
オタコン「フェイリスたん!」
フェイリス「きゃー! お久しぶりだにゃん、オタコンお兄ちゃん!」
スネーク「彼女、英語が話せるんだな」
岡部「俺も初耳だが……」
スネーク「で、話っていうのは?」
岡部「俺のことを、覚えていないか……?」
スネーク「? そういえば、あんたは俺のことを知っているようだったな」
岡部「ああ、俺は……岡部倫太郎だ」
スネーク「……すまないが、覚えていないな。どこで会った?」
岡部「ここだ、日本でだ」
スネーク「おいおい……俺は日本には初めてきたんだぞ?」
まゆり「トゥットゥルー♪ オカリン、オカリン、その人は?」
岡部「ああ、ちょっとした知り合いでな」
スネーク「……」
岡部「スネーク、コーヒーで良いか?」
スネーク「ああ」
フェイリス「凶真ー! 来てるなら声を掛けてくれなきゃダメにゃん!」
岡部「フゥーハハハハ! 俺が来たことに気づけないとは、お前もたるんでいるようだな! フェイリス!」
スネーク「!」ガタッ
岡部「……ど、どうしたスネーク?」
スネーク「いや、デジャヴを感じてな……」
岡部「……! この、狂気のマッドサイエンティストに、見覚えがあるようだな?」
スネーク「…………鳳凰院……凶真?」
岡部「そうだ! 我こそが世界の支配構造を破壊するもの! 鳳凰院凶真だ!」
スネーク「……これは、どういうことだ?」
フェイリス「この私が、ついていけないにゃんて……!」ギリッ
スネーク「コーヒーを頼む」
フェイリス「はいにゃん♪」クルッ
岡部「スネーク……どこまで思い出した?」
スネーク「曖昧な記憶だが、確かに俺はお前と会っているようだな」
岡部「そうだ。思い出してくれ、頼む!」
スネーク「……襲撃があり、まゆりが倒れ、お前は過去に飛んだ」
岡部「そうだ!」
スネーク「そして、パラドックスが起きて未来が変わった?」
岡部「まあ、そのようなものだ。正確には、世界線が移動したのだ」
スネーク「頭が痛いな……。それで、俺に頼みたいこととは? タイムマシンはまだあるのか?」
岡部「ああ、順を追って説明しよう……」
カクカク シカジカ
スネーク「なるほどな……」
岡部「そうだ」
スネーク「そのためには、俺の協力が必要だと……未来のお前からメールが届いた?」
岡部「その通りだ。頼むスネーク、あんたに頼むしかないんだ」
スネーク「……一度は乗りかかった船だ。良いだろう」
オタコン「マユリ! 僕だよ! 覚えてないないかい!?」
まゆり「え、えっと……?」ニコッ
オタコン「KAWAII!」
岡部「……出ないか?」
スネーク「その方が良さそうだ。行くぞオタコン」
オタコン「えっ!? ど、どうしたんだよスネーク! まだオムライスに名前を書いて魔法を掛けてもらってない!」
スネーク「また後で来よう、用事が出来た」グイッ
オタコン「フェイリスたん! まゆしぃ!」ズルズル
ダル「……なんぞこれ?」
スネーク「こちらスネーク、ラジオ会館の屋上へ侵入した。大佐、指示をくれ」
岡部「……何を一人でブツブツ言っているんだ?」
スネーク「いや、無線が恋しくてな……」
岡部「オペレーション・スクルドの概要は理解したか?」
スネーク「ああ、岡部をだませば良いのだろう? 大丈夫だ、俺に考えがある」
岡部「そうだ。俺はメタルうーぱーを回収する」
スネーク「俺はナカバチとやらを撃退し、紅莉栖を血祭りにあげれば良いというわけだ」
岡部「あ……ああ、まあ……そういうことだな」
オタコン「スネーク、タイムマシンの調整終わったよ」
鈴羽「驚いた……父さん以外に、これをメンテナンスできる人が居るなんて……」
オタコン「でも残念だな。結局世界線が移動してしまえば、今の記憶は無くなってしまうんだろう?」
岡部「いや……少なくとも、俺は皆のことを忘れはしない」
スネーク「…………彼女は?」
鈴羽「やあ、貴方がおじさんの言ってた英雄さん?」
鈴羽「ふーん」
スネーク「……良い身体をしているな」
岡部「ちょ、スネーク何を言っているんだ!?」
オタコン「スネーク……」
スネーク「そういう意味じゃない……。鍛えられた良い身体をしている」
鈴羽「ありがとう。私も貴方みたいな戦士に会えて光栄だよ」スッ
スネーク「そうか」グッ
岡部「行くぞ……スネーク」
スネーク「ああ」
鈴羽「二人とも乗って」
オタコン「スネーク、これを」スッ
スネーク「持ってきていたのか……」
オタコン「備えあれば憂いなしだよ、スネーク」
スネーク「行って来る」
鈴羽「二人とも、大丈夫?」
岡部「吐きそうだ……」
スネーク「ああ……」
鈴羽「ごめんね、狭くて」
スネーク(性欲を持て余す)
鈴羽「どしたの? スネーク?」
スネーク「デイビットだ。デイヴで良い。どうせ忘れてしまうのだろうが……」
鈴羽「うん……でも、きっと覚えてるよ」
岡部「よく平気だな、スネーク……」
スネーク「弾丸のように飛ばされる潜水艦の中よりはマシだ」
岡部「……」
スネーク「こちらスネーク。過去への潜入に成功した」
紅莉栖「」ブラブラ
スネーク「予定時刻通りだな……ここで、彼女は父親に刺されるのか」
スネーク「むごい話だ……」
紅莉栖「……何だか、妙に聞き覚えのある声がするのは気のせいかしら」
スネーク「……」
中鉢「――――」
紅莉栖「――――」
スネーク「始まったな……」スッ
中鉢「な、何だっ!? ナイフが……浮いて……?」
スネーク「」ヒュンヒュンヒュン
中鉢「ひぃいいいい! く、くるなっ! 何なんだ一体!」タタタタッ
スネーク「初代は殴っても首を絞めても、気づかれなかったんだがな……」カチッ
紅莉栖「なっ! ひ、人……? 何で急に人が……!」
紅莉栖「あれ……あなた、どこかで……」
スネーク「悪いな、少し眠っていてくれ」パシッ
紅莉栖「ちょ……!?」
スネーク「」キュ
紅莉栖「この締め心地、思い出し――――!」クテッ
スネーク「……リーディングシュタイナーは未来の記憶も引き出せるのか?」ドサッ
紅莉栖「」チーン
スネーク「あとはこのツチノコを使って、血糊を撒けば完成だ」ザクッ
ブシャアアアアアアア
スネーク「……少し多すぎたか?」
プルル プルル
スネーク「!」ピッ
パラメディック『スネーク! まさかツチノコを食べたの――!?』プチッ
スネーク「……? 混戦してるらしい……メイリンに声がよく似ていたが……」
スネーク「岡部、こっちは終わったぞ。現場を見てみろ、なかなかエグいことになっている」
岡部「もう前に見たから良い! それより俺が来る!」
スネーク「俺が来る? 随分哲学的なことを言うんだな、自分はどこへも行きやしない。いつも共にある」
岡部「そういうことじゃない! 過去の俺が来る! 見つかったら大変なことになるぞ!」
スネーク「これを使え」スッ
岡部「何だ、このちょっとステキな機械は」
スネーク「ステルス迷彩だ、こう使う」カチッ
岡部「おお! こ、こんなものが!」カチッ
スネーク(来たぞ、喋らなければ大丈夫だ)ヒソヒソ
岡部(ああ……)ヒソヒソ
過去岡部「な……な…………なんじゃこりゃあああああああああ!! メディーック! メディーック!」
――――――
――――
――
スネーク「日本は平和だな……」
オタコン「そうだね、これだけ治安の良い国も少ない」
スネーク「たまには、観光というのも良いもんだ」
オタコン「まさかスネークとこうして、アキバを歩くことになるとは思いもしなかったよ」
スネーク「俺もだ。しかし、タバコをどこで吸えばいいんだ?」
オタコン「いい加減、もうやめたらどうだい?」
スネーク「そう言うな……おい、あんた。この辺りに喫煙所は無いか?」
岡部「」
スネーク「ん? どうした、日本語が変か? 喫煙所の場所を教えてくれ」
岡部「スネーク……」
スネーク「!」
岡部「……ありがとう」
スネーク「なに、俺も中々楽しかった。紅莉栖によろしく言っておいてくれ、首を何度も絞めてすまなかったと」
岡部「!」トゥルン! 完
「はい、岡部倫太郎は最後まで気づきませんでしたね」
「ええ」
「はい……。勿論です」
「薄々は気づいているようですが……」
「問題ありません、本当に重視すべきは牧瀬紅莉栖です」
「どうでしょう……彼は、岡部よりだと思いますが……」
「はい。リーディングシュタイナーを持っているのは、自分だけだと……」
「ええ」
「ありがとうございます」
「大統領」
乙
乙
Entry ⇒ 2012.03.07 | Category ⇒ シュタインズゲートSS | Comments (1) | Trackbacks (0)
岡部「ぐあああぁぁッ!静まれ!我が右腕よッ…!!」モミモミ
http://hayabusa.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1330266980/
岡部「ぐううぅぅぅぅっ!!」モミモミ
紅莉栖「ひ、ひっ…いやあぁぁぁぁ!!ちょ、岡部あんたなんのっつもりよぉ!?」
岡部「ぐっ…離れろ!クリスティーナ!今すぐ…俺から離れるのだ!!」モミモミ
紅莉栖「離れろってっ!ちょ、あんたが羽交い絞めに!」
岡部「どうなってもしらんぞ!!ぐうううあああぁぁぁッ!!」ガッシ
紅莉栖「い、いやあああぁぁ!!///」
紅莉栖(何事!?つ、ついに!?ついに来たの!?キタコレ!!)
紅莉栖(あぁー!やばい岡部が近いwww息がwww体温がwwww///)
紅莉栖「きゃあぁぁ!いやああぁぁぁ///」
紅莉栖(うわぁぁぁ抱きすくめられてうわぁぁぁぁ///)
岡部「なっ…なんだとッ!?左腕までもが…共鳴してッ!!」モミモミモミ
紅莉栖「うっ!?うわぁぁぁ!!こ、このHENTAI!///」
紅莉栖(岡部は大きいほうが好きなんだと思ってたんだけど!思ってたんだけど!!///)
岡部「逃げろッ!クリスティーナ!今すぐ逃げるのだあ!!」モモモモモモ
紅莉栖「いいから離せぇ!やだちょっ……っ……!///」
紅莉栖(これ完全に入ってるよね///)
紅莉栖「あっ、ちょ…ッ!岡部あんたマジぶっころッ…っ!///」
岡部「お前を傷つけたくない!…もう誰もッ…傷つけたくないんだッ!!」モーミモミ
紅莉栖「もう十分傷ついてるわ!いいから離せっつーのッ…!!」ガッガッ
岡部「ぐうあああぁぁぁぁッ!暴走を…静めねばッ…!」モモモモモ
紅莉栖「ほ、ホントもう勘弁ッ…してっ…やだってばぁ!」
岡部「このままではぁッ!!大変なことにっ!!」ススススス
紅莉栖「ッ!?」ビクン
紅莉栖(そこは今大変なことにっ!!///)
紅莉栖「そッ…そっちはだめぇえぇっ!!///」
紅莉栖(今すぐ私のホテルに行きましょう!そうしましょう!!)
まゆり「トゥットゥルー♪まゆしいでーす」
ダル「ダルしぃだおー」
岡部「おう、まゆりにダルよ」
紅莉栖「…!?」
まゆり「じゃさっそくジューシーからあげナンバーワンを暖めてくるのでーす」
岡部「まゆりは相変わらずだなハハハ」
ダル「オカリン、PC使っていい?」
岡部「あぁ、今は開いている。助手もかまわんだろう?」
紅莉栖「え、えぇ!別に!」
紅莉栖(…すごい静まってる!!)
紅莉栖(お、落ち着けー落ち着けー…舞い上がるな…いつも通りクールに…)
紅莉栖(…れ、冷静に考えたらとんでもないことをされていた気がする!!)
紅莉栖(いったい何なの…?)
岡部「さて、そろそろドクペの買い置きが切れる頃か…?」
紅莉栖(突然厨二病を発症したと思ったら…)
紅莉栖(い、いきなり私に覆いかぶさってきて…)
岡部「む、カップめんの買い溜めも無いではないか」
紅莉栖(ヘタレの代表ともいえる岡部が私にあんなことしてくるなんてただ事じゃない気がするわ…)
岡部「そういえば昼飯もまだだったな」
紅莉栖(ふむん…溜まってるのかしら…)
紅莉栖(まゆり達の前で問い詰めても、厨二ではぐらかされるでしょうね…)
紅莉栖「…」
紅莉栖「わ、私も行くわ」
岡部「…ふむ、ようやく助手が板についてきたといったところだな、クリスティーナよ」
紅莉栖「助手じゃない!クリスティーナでもない!」
岡部「…」ニヤ
紅莉栖「…!?」ゾク
紅莉栖「う、うるさい!そんなんじゃない!勘違いするな!///」
岡部「フハハ」
紅莉栖(なんだその反応…!)
まゆり「あ、まゆしぃはバナナを買ってきて欲しいのです」
ダル「僕にはダイエットコーラよろ」
岡部「これではパシリではないか…」
紅莉栖「つべこべ言ってないで、さっさと行くわよ」
岡部「ドクペ、ドクペと…」
紅莉栖「…」
紅莉栖(切り出すタイミングを誤らないようにしないと…)
紅莉栖(でも、そもそもなんて切り出せば…?)
紅莉栖(素直に言ってくれればいつでも…///とか…)
紅莉栖(って違う!それは違う!冷静に!クールに!牧瀬クール!!)
紅莉栖「ふむん…」
岡部「………」サワサワ
紅莉栖「!?」ビク
紅莉栖「な、あ、ああぁぁぁ…///」プルプル
紅莉栖(しまったッ!完全に油断してたッ!!)
紅莉栖(まさか…ラボ外でも岡部が仕掛けてくるなんてッ!!///)
紅莉栖「お、岡部っ…!な、なんでお尻っ…さわっ…!」
岡部「うむ…良い尻…じゃない、バナナだ…」サワサワ
紅莉栖「ううぅ、ううぅぅぅ…っ///」
紅莉栖「ちょ…!おかべっ………!」
岡部「なんだ、助手よ」サワワサワワ
紅莉栖「なに考えてっ…!」
岡部「なに、気にすることはない。白衣に隠れているからそうそう気づかれん」サワワワワ
紅莉栖「そういう問題じゃ…こんな所で…ひっ…ちょ、や、やめっ…」
岡部「んん?こんな所で無ければ触ってもいいということか?」モムモム
紅莉栖「ちっ、ちがっ…!///」
紅莉栖(わないけど///)
紅莉栖「い、いい加減にしろっ…!」つねり
岡部「…っ!」
紅莉栖「ふ…」
岡部「…」
岡部「…その程度の反撃で貴様の尻への欲求を押さえ込むことができると思っていたのか!?」グワシ
紅莉栖「ひゃあぁっ!!///」ビクン
店員「あの…お客様。申し訳ございませんが、店内でのペッティングは
他のお客様のご迷惑となりますのでご遠慮いただけますか…?」
岡部「あ、すいません」
紅莉栖「ごめんなさい…///」
紅莉栖「め、滅茶苦茶バレてるじゃないのよおぉぉ!!///」
岡部「お前が尻を触られた程度でいやらしい声を上げるからだ」
紅莉栖「はぁ!?いやらしい声なんて上げてない!!///」
岡部「キャンキャン騒いでいたではないか?」
紅莉栖「狂気のマッドサイエンティストさんはとうとう鼓膜も狂気に犯されたみたいね!!」
岡部「そぅら」サワワ
紅莉栖「…きゃん!///」ビク
岡部「…」
紅莉栖「…い、今のはちがう!!///」
岡部「…///」
紅莉栖「なんだその反応!!///」
岡部「そうか…そんなに嫌だったか…」
紅莉栖「なっ…何言ってんのよ!あたりまえでしょう!?」
岡部「そう…か…」
紅莉栖「通報されないだけでもありがたいと思いなさい!このHENTAI!!」
岡部「すまない…」
紅莉栖「…」
岡部「……」
紅莉栖「ちょ…」
紅莉栖(え!?そんなに触りたかったの!?)
紅莉栖(泣いた!?)
紅莉栖「ど、どうしてもって言うんなら…」
岡部「…?」
紅莉栖「ちょ、ちょっとだけなら…い、いいけど…///」
紅莉栖(何言ってんだ私うわあああああああああああぁぁぁ///)
紅莉栖(HENTAI確定。確定しますた。HENTAI天才痴女乙)
岡部「どうしても…」モミモミ
紅莉栖「」
紅莉栖(いやそういう意味じゃなくてね?///)
紅莉栖「お、おおおおかべが触るって言うんなら…」
岡部「…?」ナデナデ
紅莉栖「私も岡部の尻を触るわ!異論は無いわね!?」
岡部「ほっほぉう…やれるものならやってみるがいい!!」
紅莉栖「…そ、そぉい!!」ガッシ
岡部「おぉぅ…///」
紅莉栖「なんだその反応!!///」ガッシ
紅莉栖(けっこうかたい…///)
岡部「…」
天王寺「…」
紅莉栖「」
岡部「これはこれは、ミスターブラウンではないか」
天王寺「おぉぅ…」
紅莉栖「」
岡部「何か問題が?」
天王寺「いや…岡部な、若けぇってのはまぁ良いことなんだが…
日のあるうちから店先でペッティングされると困るんだけどよ…」
岡部「あ、すいません」
紅莉栖「ごめんなさい…///」
ガチャバタン
岡部「帰ったぞ」
まゆり「あ、おかえり~」
ダル「遅かったけど何してたん?」
紅莉栖「…///」
岡部「あぁ…ちょっと尻をな…」
紅莉栖「ちょ!!」
まゆり「?」
ダル(シリオナ…?)
岡部「あぁ、ほれ…む」
ダル「んお?どしたん?」
岡部「すまんダル…間違えてネクター買ってきた」
ダル「何をどう間違えればダイエットコーラがネクターになるんだお…」
岡部「すまん…」
ダル「嫌がらせか!デブに対する嫌がらせか!…甘っ!」
岡部「結局飲むのか。流石は歩くカロリーことダルだな…」
紅莉栖「…」
岡部「あぁ、ほらここに…」
まゆり「…」
岡部「あ」
まゆり「オカリン…これバナナじゃなくて桃だよ~…」
岡部「あ、あぁ…すまん、どうやら間違えたようだ…」
まゆり「オカリン、大丈夫?疲れてない?」
岡部「あぁ…大丈夫だ。恐らく原因はクリスティーナの桃尻を
紅莉栖「ギャアアアアァァァ!ギャアアアアアアアアアァァ!!///」
ダル「うお!なんぞ!?」
紅莉栖「ウオオオオオオオオオオォォォ!!///」
まゆり「この桃まだ硬いよ~…」
紅莉栖「ハァハァハァ…あんた絶対わざとでしょ!わざとでしょ!」
岡部「な、なんのことだ…」キョロキョロ
ダル「なんで牧瀬氏がそこまで怒るん?…甘っ!!」
紅莉栖「今日の岡部はなんかおかしいのよ!セクハラサイエンティストなのよ!!」
まゆり「セクハラ?」
ダル「マジで?境界面上のセクシャルハラスメント?
オカリン、とうとう牧瀬氏に攻勢に出たん?」
岡部「俺は自分の欲求に素直に従ったまでだ。それがマッドサイエンティスト的生き様といったところか」
紅莉栖「ただの欲望の塊じゃないの!!」
紅莉栖(お、おかべの欲求!?わたしおかべに求められちゃってる!?///)
岡部「とりあえずドクペでも飲んで落ち着け助手よ」
紅莉栖「助手じゃない…」プシッ
岡部「まぁ…とにかく…」ボソ
紅莉栖「…?」
岡部「助手のその、自己主張控えめな…」
紅莉栖「…」ゴクゴク
岡部「小ぶりな胸を…」
紅莉栖「!?」
岡部「揉みしだきたい…!」グッ
紅莉栖「ぶしゃああああああぁぁぁ!!」
ダル「ウワアアアアアアァァァァwwwwww!!」
まゆり「クリスちゃん大丈夫?」
岡部「助手よ、この鳳凰院凶真がタオルをくれてやろう」ファサァ
紅莉栖「エホエホ…あ、ありがと…って元はといえばあんたのせいじゃないの…エッホエホ」
紅莉栖「あーもう…」フキフキ
紅莉栖「……」フキフキ
紅莉栖「………」
紅莉栖「………///」クンカクンカ
岡部「…」
ダル「牧瀬氏も大概だと思うお」
岡部「かまわん」
紅莉栖「あー…鼻に入ったわ…」
岡部「…」
紅莉栖「…ところで岡部、さっきの発言についてだけど」
岡部「…何か問題があったか?」クンカクンカ
紅莉栖「問題だらけよ!それに今朝十分揉んだでしょ!!///」
岡部「あれしきで俺が満足するとでも思ったか?まったく揉み足りんな!」モグモグ
紅莉栖「…えぇ!?あんだけ人の胸こねくり回しといて何言ってんのよ!!///」
紅莉栖「…っておかべあんたなにしてる!!」
岡部「俺のタオルをどうしようが俺の勝手だ」モグモグ
岡部「おーっと!助手風情に捕まる俺ではないぞ~!」ヒラリ
紅莉栖「ま、まて!!タオル食べるな!///」
ダル「ラボでペッティングは勘弁して欲しいお」カタカタッ ターン
紅莉栖「あるある!ねーよ!!」
岡部「フゥーハハハハハ!ペッティングは後でだ!!」モグモグ
まゆり「えっへぇ~オカリンえっちだねぇ~///」
紅莉栖「ペッティングって言うな!!///」
まゆり「まゆしぃもそろそろバイトにいくのです」
紅莉栖「え、えぇ!?それじゃこのHENTAIと二人っきりじゃない!?///
ナニされるかわかったもんじゃないわ!!そんなの嫌よ!!///」ニヤニヤ
ダル「牧瀬氏喜んでね?じゃ行ってくるおー」
まゆり「いってきまーす」
ガチャバタン
岡部「…行ったか」モグモグ
紅莉栖「いつまで食ってんだ!!」
紅莉栖「…っ」
岡部「……」ジリジリ
紅莉栖「…!」
岡部「………」ジリジリジリ
紅莉栖「…っちょ…ジリジリ近づいてくるな!!///」
紅莉栖(やばい…なんだかよくわからないけど本当に岡部に犯される…!!///)
紅莉栖(べっべつに嫌なわけじゃないんだけどなんだかいきなりすぎっていうかー///なんていうかー///)
紅莉栖(あぁー駄目だわおかべが好きすぎて頭が回らなくなってきたわフヒヒヒ///)
岡部「…!」バッ
紅莉栖「ッ!?///」ビク
紅莉栖「なっ!?///」
紅莉栖(こっ…ここに来て、私に判断をゆだねるだと!?)
紅莉栖(なんという罠!!見えている釣り針!!)
紅莉栖「ばっ…馬鹿なんじゃないの?そんなエサに私がクマー!されると思ったか?」ギュッ
岡部「…」
紅莉栖「ほんとにあんたの頭どうにかなっちゃったんじゃないの?」スリスリ
岡部「…」ナデナデ
紅莉栖「ってあれ!?岡部が近い!?なんで!?///」
岡部「紅莉栖…」ギュ
紅莉栖「!!」ビク
紅莉栖(うわあああああぁぁぁぁ!!///)
紅莉栖(うわああああああああああぁぁぁぁぁ!!///)
紅莉栖「へぇあ!?///」
岡部「どの世界線の、どの時間、どの場所にいようとも…」
岡部「俺はお前が好きだった」
紅莉栖「あっ…」
岡部「お前はどうなんだ?」
紅莉栖「…っ」
紅莉栖「知りたいのか…?」
岡部「…」
紅莉栖「……」
紅莉栖「目、閉じろ………」
紅莉栖「………」
紅莉栖「…えぇ!?」
岡部「お前が閉じろ」
紅莉栖「ええぇぇ!?///」
岡部「…ん」
紅莉栖「んむっ!?」
岡部「…っ」
紅莉栖「んっ…ん…///」
岡部「…」
紅莉栖「…ん!?んっ…!んぅー!んちゅっ…んんん!?///」
岡部「……」
紅莉栖「んっんぐっ…っぷあぁ…!ちょ、おかんむぅぅぅ!?///」
岡部「………」モミモミモミ
紅莉栖「んゅあ!?んーっ!?んーっ!!んーっ…んんぅー!!///」
岡部「…」
紅莉栖「はっ…はっ…はっ…///」
岡部「すまん…我を忘れていた…」
紅莉栖「あ…はぁ…はっ…はっ…///」
岡部「紅莉栖…」ナデ
紅莉栖「っ…!///」ビク
岡部「…紅莉栖」ギュ
紅莉栖「…は、あっ…///」ビクビク
岡部「…」
紅莉栖「はぁっ…お、おかべ…」
岡部「どうした…?」
紅莉栖「パンツ返して…」
STEINS;GATE Vol.9 25話(TV未放送) 『淫行和姦のセクシャルハラスメント』
~完~
Entry ⇒ 2012.03.06 | Category ⇒ シュタインズゲートSS | Comments (0) | Trackbacks (0)
岡部「む、これは助手の黒ストか…」
http://hayabusa.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1328961481/
ラボ 早朝
岡部「なぜこんなところに…?」
岡部「コンビニに行く前からあっただろうか?」
岡部「まったく仕方のない助手だ…」
岡部「どれ…」スッ
岡部(いや、待て)
岡部(考えてもみろ。常日頃から俺とダルをHENTAIと罵っているあの助手が…)
岡部(こうも無防備にHENTAIアイテムの代名詞こと黒ストをほったらかしにするだろうか?)
岡部(否。断じて否!)
岡部「フフ…機関の罠なのは明白…」
岡部「このような見えている釣り針に、この鳳凰院凶真が引っかかると本気で思っているのか?」
岡部「この俺も舐められたものだな!!」ビシッ
シーン
岡部「…」
岡部「…?」キョロキョロ
岡部(計画が露見してしまったからには、仕掛け人が顔を出すのはお約束のはずだが…)
岡部「む、まさか…」
岡部「どこぞに隠されたカメラで俺の痴態の一部始終を撮り収めるつもりなのか…?」
岡部「ククッ…そうか…そういうことかッ!!」
岡部(最悪、この黒ストを手に取った瞬間からラボメン達にリアルタイム配信されるのだろう)
岡部(状況によっては、助手からすぐさま抗議の連絡が入るだろうな)
岡部「であれば、触らぬ神にたたりなし」
岡部「見えている地雷に脚を置く馬鹿はいない…」
岡部「そちらがそのつもりならば、こちらは貴様らの想像のさらに上を行く!」
岡部「あえて罠に掛かるふりをし、貴様らが想像を絶する狂宴を演じて見せようではないか!」
岡部「助手よ…この鳳凰院凶真。舐めて掛かると手痛いしっぺ返しを食らうと思い知るがいい!!」
岡部「べ、別に黒ストが気になって気になって仕方が無いってわけじゃないんだからな!」
岡部「ふんッ!」ガッ
岡部「とう!」バッ
岡部「クリスティーナの黒スティーナは我が手中にありいいぃぃ!!」
岡部「うわなんかまだあったかいいぃぃやべええぇぇ!」ホカホカ
岡部「まさか…脱ぎたてだとでも言うのか!?」ホカホカ
岡部「機関の精神攻撃がこれほどまでのダメージとはッ…!」
岡部(…)キョロキョロ
岡部(今のところ敵側に動きは無いようだ…)
岡部(ラボメンからの『こんなエサにオカリンがクマーm9(^Д^)』メールも来ていない)
岡部「で、あるならば、だ」
岡部「これを機会に黒スティーナをじっくりと観察してやろうではないか…!」
岡部「ほう」サスリサスリ
岡部「やはり」
岡部「うむ…」
岡部「正直…」
岡部「たまらないな…」
岡部「…」
岡部「……」
岡部「………」ゴクリ
ぐらっ
岡部「…!?」
岡部「この感覚…っ!!」
岡部(今のは…リーディング・シュタイナーが発動したのか!?)クンカクンカ
ぐらり
岡部「い、いや…違う。そうではない…!」
岡部「今のが黒スティーナの精神攻撃…!!」クンカクンカ
岡部「くそっ…!罠だとわかっていても…踏み込まねばならないのか!!」
岡部「…」クンカクンカ
岡部「………」クンカクンカ
岡部「これがシュタインズ・ゲートの選択か…!」モグモグ
岡部(おかしい…機関の動きがまったくない…)
岡部「クンカクンカどころかペロペロとかモグモグとか」
岡部「ルイズコピペ並みの醜態を演じて見せたが、どこからも誰からも反応がない…」
岡部「黒スティーナに対するこの俺の反応は予測済みだったとでも言うのかッ!!」モグモグ
岡部「ククッ…ククククク…」
岡部「ならば見せてやろう…この鳳凰院凶真の本気というものをな…」
岡部「フゥーハハハハハハハハハッ!!」モグモグ
岡部「やはり実際に身に付けてみると」くるり
岡部「実に伸縮性に優れた素材であることがわかるな」
岡部「そしてこのフィット感」
岡部「まるで下半身がクリスティーナに包まれているかのようだ」
岡部「クロッチ部分が唾液により湿っているがそれは致し方ない」
岡部「しかし上着はともかく、パンツまで脱いだのはいささかはしゃぎすぎていた感は否めないな」
岡部「少し…やりすぎたか?連中も今頃唖然としているだろうな」
岡部「ダル辺りは『さっすがオカリン!そこにry』とか言っているかもしれん」
岡部「…だが裸黒ストは少し寒いな」
岡部「…黒ストの上からトランクスを履いておくか」
岡部「あとは白衣だな…」ファサ
岡部「…たしか赤のネクタイがあったな」ガサガサ
紅莉栖「はろー。まだ岡部一人?」
岡部「うむ」
紅莉栖「ま、まだこんな時間だしね…流石に早すぎたかな」
岡部「おはよう。紅莉栖」くるり
紅莉栖「だからティーナじゃないって…あれ?今、名前…………で……」
岡部「どうした?」
岡部「何をそんなにあわてている?窓から景色を見ながら優雅にコーヒーを飲んでいただけではないか?」
紅莉栖「そうじゃない!そっちじゃない!!」
岡部「おかしなことを言う…ではどっちだというのだ」
紅莉栖「おかしいのはアンタだ!なんだその格好!!」
岡部「ペアルックだ」
紅莉栖「どこが!?ってそれ私のストッキングじゃない!!」
岡部「もちろんだ」
紅莉栖「もちろんだじゃない!なにしてくれてるんだこのHENTAI!!」
紅莉栖「うろたえるにきまっとろうが!!いいから脱げ!とっとと脱げぇ!!」
岡部「朝っぱらからいきなり脱げとは…HENTAIはいったいどちらだ?」
紅莉栖「HENTAIでもなんでもいいからはやく脱げえ!!」
岡部「それでは俺が丸出しになってしまうではないか…」
紅莉栖「丸出しでもなんでもいい!!とにかく私の黒ストを返せ!!」
岡部「クンカクンカするのか?」
紅莉栖「するわけあるかぁ!!」
紅莉栖「うわああぁぁぁぁ!!やめて!聞きたくない!聞きたくない!!」
岡部「どうした?…紅莉栖?今日は本当に様子がおかしいぞ?」
紅莉栖「様子がおかしいのはあんただ!!」
岡部「顔も真っ赤だし…熱でもあるのではないか?」ピト
紅莉栖「!?」キュン
紅莉栖(キュン!?)
紅莉栖(そもそも、なんでこんな時に限って名前で…!)
岡部「…やはり熱があるようだぞ?」
紅莉栖(かっ…顔がちけぇ!!)
紅莉栖「だが黒ストだ」
岡部「は?」
紅莉栖「え、ええい!それ以上近づくなHENTAI!!」バババ
岡部「…」
紅莉栖「ハァハァ…」
岡部「…」ジリ
紅莉栖「!?」
紅莉栖「は、ははは…」ジリジリ
岡部「どうして後ずさるのだ、紅莉栖」ジリジリ
紅莉栖「い、いや、ちょ、ちょっとまって近寄らないでそれ以上近寄らないで…!」ジリジリ
岡部「…!」ダッ
紅莉栖「…!?いやああぁぁぁぁぁ!!いやあああああぁぁぁぁぁ!!」ダッ
岡部「お前が逃げるからだ!」
紅莉栖「逃げるに決まってるだろ!鏡見ろ!」
岡部「みたぞ。牧瀬紅莉栖がそこにいた」
紅莉栖「ねーよ!ほんとに警察呼ぶわよ!!」
岡部「バカップルの痴話喧嘩と思われるのが関の山だな」
紅莉栖「だ、誰がバカップルだ!誰が!///」キュンキュン
紅莉栖「あっ…!」
岡部「紅莉栖っ!?」ガバッ
紅莉栖「っ!?」
岡部「ふう…大丈夫か?」
紅莉栖「う、うん…///」
岡部「まったく…ラボは狭いのだから気をつけろ」
紅莉栖「う、うん…///」
岡部「紅莉栖…?」
紅莉栖「お、岡部………///」
岡部「あっ、あぁ、すまない///」パッ
紅莉栖「その状態で顔を赤らめるな!気色悪い!!」
岡部「気色悪いとはひどいな…」
紅莉栖「とにかくその格好をやめて!」
岡部「…そんなに似合っていないのか?」
紅莉栖「似合う似合わないの問題じゃないんだよもおおぉぉ!!」
岡部「わかったわかった…今脱ぐから」ボロン
紅莉栖「きゃああああああああぁぁぁ!!///」
岡部「脱げといったり脱ぐなといったり忙しい奴だな…」ンロボ
紅莉栖「はぁはぁ…もう、いったい何なのよ…そもそもなんでそんな格好してるのよ…」
岡部「知っているだろう?…特に意味はない」
紅莉栖「うるさいよ!意味がないなら普段の服に着替えて来い!!」
岡部「いや、しかしこれはこれでなかなかしっくり来てな…」
紅莉栖「うわ…目覚めたの?とんだドHENTAIだわ」
岡部「いや…なんというか、下半身がお前と一体化したような、そんな感覚が病み付きに」
紅莉栖「ちょっ!下半身が一体化とか…やっぱりドHENTAIだわ!///」
岡部「何故そんなにうれしそうなんだ」
紅莉栖「べつに妄想なんかしてないし!!///」
紅莉栖「あっそう。じゃとっとと着替えてきて。私に見えないところで。」
岡部「黒スティーナは履いたままでかまわんだろう?」
紅莉栖「返せ。あと黒スティーナってやめろ」
岡部「新しい未来ガジェットにしようかと思ったんだが…」
紅莉栖「せんでいい!私の…私の黒ストをHENTAI行為に使うな!!///」
岡部「仕方ない…本人の了承得ずして勝手に使用することはできんしな…」
紅莉栖「わかってるじゃないの。じゃハリーハリーハリー!」
岡部「あと、白衣はどうする?これもお前のなんだが」
紅莉栖「」
紅莉栖「朝からひどいものを見たわ…」
岡部「辛い思いをさせてすまなかった…」
紅莉栖「辛すぎるわよ…トラウマものよこれは…」
岡部「今度は…俺が、お前を助ける…!」
紅莉栖「いや、原因はあんたにあるんだけど…」
紅莉栖「ん、了解」
岡部「ではな」
ガチャバタン
紅莉栖「…」
紅莉栖「行った?」
紅莉栖「…」
紅莉栖「うん。行ったわね?」
紅莉栖「え?これマジで?ドッキリ?」
紅莉栖「私の手元に岡部の地肌に触れた衣類が2点もwwwwww」
紅莉栖「夢にまで見たこんな日が来るとはwwww」
紅莉栖「しかも片方は///岡部のオカリンに///直にwwww」
紅莉栖「マジ!まじで、これ夢じゃない?夢じゃない!!」
紅莉栖「夢だけど夢じゃなかった!!」
紅莉栖「…んっ…ゴホン」
紅莉栖「では、いただきます…」
紅莉栖「ちょっとこれなまなましすぎるじゃない///」クンカクンカ
ぐらり
紅莉栖「あーキタコレ!ktkr!鳳凰院クロト様降臨wwwwww」
紅莉栖「リーディング・シュタイナーってこんな感じなのかしらwww」クンカクンカ
紅莉栖「あと白衣…元は私のだけど、岡部が地肌に直接着込んだことによってトリノの聖骸布並みの価値となったわ!!」
紅莉栖「はぁはぁ…おかべ、おかべぇ…」
紅莉栖「…」クンカクンカ
紅莉栖「うおおおおぉぉぉ!!おかべぇー!」クンカクンカ
紅莉栖「ああぁぁ着てみたりして!着てみたりして!」クンカクンカ
紅莉栖「んあーwwwwおかべの匂いに包まれてるぅwwwwww///」
紅莉栖「あ!黒スト!黒スト履こう!履いちゃおう!!」ヌギヌギ
紅莉栖「ひ、ひぃwwwwこれはダメだわwwww///」
紅莉栖「腰が…腰が溶けるwwwww///」ガクガクガク
紅莉栖「下半身がおかべと一体化してるぅwwwww///」
紅莉栖「んあああぁぁ!もうだめ立てないわwwww」ガクガクガク
紅莉栖「おかべぇーおかべぇー///」スーハースーハー
紅莉栖「んんー///おかべぇ…」クンカクンカ
紅莉栖「おかべっおかべぇっ!!」モフモフ
紅莉栖「岡部におかされる!略して犯部!!」ペロペロ
紅莉栖「い、いやあぁ///やめてぇぇおかべっ!らめぇ!らめぇ!」ゴロゴロゴロ
紅莉栖「む、むぐぅ!?ふぃふぁー!ふぉふぁふぇふぁめふぇえええぇぇ!!」モグモグ
紅莉栖「ああぁぁぁ…あぁぁぁぁぁっ…おふぁふぇぇぇ!!」モグモグ
岡部「…」
紅莉栖「んー!んううぅぅぅ!!おふぁふぇええぇぇぇっ!!」ゴロゴロゴロガタッガッシャアアァァァン
岡部「…」
紅莉栖「んふー、んふー///ぷはぁもうゆるひておかべぇ///」
岡部「…」
紅莉栖「」
岡部「…」
紅莉栖「な、なんで?今日は用事があるって…あれ!?もう西日が!?」
岡部「…」
紅莉栖「そ、相対性理論って、とってもロマンチックで…切ないものよね!」
岡部「…」
紅莉栖「ち、違うのコレは!アレ!あれよ!SERNの襲撃が!!」
岡部「…」
紅莉栖「う、うぅ…」ポロポロ
紅莉栖「ご、ごめんなさいぃ…きらいにならないでぇ…」ポロポロ
岡部「…紅莉栖」
紅莉栖「ふぇ?」
岡部「お前を赦す…!」ヌギヌギ
紅莉栖「えっ!ちょっとまってなんでアメリカンコメディばりに衣服を脱ぎながら近づいてくるの!?///」
岡部「もうお前を一人にはしない!!」バタバタ
岡部「寂しい想いをさせてすまないっ…!」
岡部「紅莉栖…!」ガバ
紅莉栖「ちょマジで!?」ガクガク
岡部「紅莉栖!紅莉栖!!」クンカクンカ
紅莉栖「ああぁぁぁっ!おかべやめてぇー///らめ、らめぇ!///」クンカクンカ
岡部「紅莉栖!紅莉栖!」ペロペロ
紅莉栖「んむー!ぷあぁ///おはへ…っ…おふぁふぇえぇぇ!」モグモグ
結局黒ストは紅莉栖が捨て忘れていただけでした。
おわり。
岡部「あぁ、互いの気持ちが通じ合っているならば、互いが直にクンカクンカし合ったほうが合理的だな」
紅莉栖「こ、これからも匂い嗅いでいい…?」
岡部「もちろんだ、紅莉栖…俺も、一生お前の匂いを嗅いでいたい…」
紅莉栖「おかべっ!」ガバァ
岡部「紅莉栖!!」ガバァ
この間、二人は裸白衣でした。
おわり。
岡部(俺は初犯だったが、どうやら紅莉栖は常習犯だったらしい)
・
・
・
紅莉栖「あんたの白衣を一回間違えて着たことがあったんだけど…」
岡部「ほう」
紅莉栖「なんかもう、岡部に抱きしめられたのかと錯覚するほどだったわ…///」
・
・
・
岡部(それ以来病み付きになったとのことだ)
岡部(俺の目を盗んでは白衣を拝借し洗濯物をくすねていたそうだ)
まゆり「それじゃそろそろまゆしぃは帰るのです」
岡部「うむ。気をつけて帰るのだぞ」
ダル「僕も明日のフェイリス杯に備えて今日はこの辺で帰るお。
牧瀬氏はどうするん?」
紅莉栖「私はもう少し残るわ」
まゆり「オカリンと二人っきりだね~」
ダル「ハイパーイチャイチャタイムですね。わかります」
岡部「なっ…」
紅莉栖「だ、誰が岡部なんぞとイチャイチャするか!!」
まゆり「それじゃばいばーい」
ダル「ゆっくりして氏ね!!」
ガチャバタン
紅莉栖「おかべぇー!!」ガバァ
岡部「うおぉ!?」
ドサァ
紅莉栖「おかべっ、おかべっ///」スンスン
岡部「こ、こら紅莉栖!…窓が開いてるんだ!」
紅莉栖「んん~…だって昨日は橋田も泊まってたし…」クンカクンカ
岡部「そ、そうだったな…」
紅莉栖「丸一日匂いが嗅げなかったし…」スーハースーハー
岡部「むぅ…とんだ天才HENTAI少女だな…」
紅莉栖「おかべの匂いをかげるんならHENTAIの汚名も甘んじて受けるわ!」モグモグ
岡部(どうやら匂いの依存度は紅莉栖の方が高そうだな…)
岡部「///」ナデナデ
紅莉栖「んふー///」クンカクンカ
岡部(しかし…)
紅莉栖「おかべぇ…///」スリスリ
岡部(これは…)
紅莉栖「んあー…///」クンカクンカ
岡部(生殺しである…)
岡部「なに!?」
紅莉栖「だ、だって直接嗅ぎたいし!」
岡部「布一枚隔てたところで匂いに差はないだろう!?」
紅莉栖「き、気持ちの問題よ!それに味もみておきたいし…///」
岡部「味!?」
紅莉栖「な、なによ!私ばっかりHENTAIみたいに!
あんただって私の黒ストでクンカクンカしながらシコシコしてたんでしょう!?」
岡部「クンカクンカはしたがシコシコはしていない!」
紅莉栖「えっ」
岡部「えっ」
岡部「あ、あぁ…」
紅莉栖「…」ポロポロ
岡部「!?」
紅莉栖「そっか…岡部は私のこと好きじゃなかったんだ…」
岡部「何故そうなる!?」
紅莉栖「だって男は好きな子の下着とかでシコシコするものなんでしょう!?」
岡部「ま、まぁ間違ってはいないがそれは偏った知識だぞ!」
紅莉栖「私ばっかり舞い上がって…馬鹿みたい…!」ポロポロ
岡部「紅莉栖!俺はお前のことが…本気で…!」
紅莉栖「じゃあ今すぐシコシコして!あとパンツ頂戴!」
岡部「…紅莉栖!?」
岡部「生娘は貴様だ!この処女ビッチめ!」
紅莉栖「だ、誰が処女ビッチだ!いや処女だけどビッチじゃない!
いいからつべこべ言わずにシコシコしなさいよ!///」
岡部「な、ならば条件がある…!」
紅莉栖「…条件?黒ストぐらいならいつでもあげるけど…」
岡部「紅莉栖、お前が俺のオカリンをシコシコするんだ。あと黒ストください」
紅莉栖「は、はぁ!?わ、私が!?ば、馬鹿なんじゃないのこのHENTAI!」
岡部「どの口が言うのだ」
岡部「うむ。いい判断だ。あと黒ストをとっとと渡すがいい」
紅莉栖「わかってるわよ…」ジー
岡部「…」
紅莉栖「なんかすごい恥ずかしいんだけど…」スト
岡部「何を今更…」
紅莉栖「うぅ…あ、あんまり見るな…!///」スルスル
岡部「!?」
岡部「…ストップ!」
紅莉栖「え、えぇ!?」
岡部「その、黒ストを半分下ろした状態で尻をこっちに向けるのだ!早く!!」
紅莉栖「え…?え、こ、こう…?」
岡部「なるほど…黒ストにはこういう魅力もあるのか…」
紅莉栖「うぅ…このHENTAI…///」
岡部「うむ。いい眺めだ…」
紅莉栖「ちょ…あんまり見ないで…」ペタ
岡部「ではその黒ストを使ってオカリンをシコシコするのだ」
紅莉栖「ええぇぇぇ!!ちょ…ほ、本気…なの?」
岡部「俺の準備は既に整っている」オカリン
紅莉栖「うっ…あんた本当に黒ストフェチのHENTAIね…///」
岡部「匂いフェチの貴様に言われたくはないな」
紅莉栖「うぅ///」
岡部「やさしくしてくれ…」
紅莉栖「…」シコ
岡部「!」ビクン
紅莉栖「ひっ…///」ギュ
岡部「うおお!」ビクンビクン
紅莉栖「も、もういやぁ…///」シコシコ
岡部「あ、あぁ…っ!」
紅莉栖「へ、変な声出すなぁ!!」シココココ
岡部「あ、ああああああああああああぁぁぁぁぁ!!」
紅莉栖(嗅いでおこう)クンカクンカ
岡部「跳べよおおおおおぉぉぉぉ!!」ビュルル
紅莉栖「きゃあっ!!」
紅莉栖「う、うわ…うわっ///」
岡部「ふぅ…」
紅莉栖「…///」
岡部「よくやってくれた…ありがとう、紅莉栖」ナデナデ
紅莉栖「こ、これがおかべの…」クンカクンカ
岡部「か、嗅ぐな…!」
紅莉栖「スペルマ…」
岡部「スペルマって言うな!
スペルマなんて単語、遊人の漫画でしかみたことないわ!」
紅莉栖(味もみておこう///)ペロペロ
紅莉栖「えっ!?えっと…そ、そうね…///」
岡部「じゃあ約束のパンツを…」
紅莉栖「え、あ、パンツはもう…いいかな…?」
岡部「どうした、お前らしくもない」
紅莉栖「まぁ…その、パンツ以上のものも手に入ったし…///」ヌルヌル
岡部「…ま、まさかお前、そのスペルマに塗れた黒ストを…」
紅莉栖「な、なんのこと?あっ…ジップロックしとかなきゃ…///」ジー
岡部「…」
紅莉栖「え、えぇっ!?そんな…!」
岡部「ダメだな。没収だ」
紅莉栖「お、お願い岡部…」
岡部「…そんなに俺のをクンカクンカしたいのか?」
紅莉栖「う、うん…か、嗅ぎたいよぉ…おかべの嗅がせて…///」
岡部「ならばここで思う存分クンカクンカしていくがいい。誰も咎めはせん」
紅莉栖「え!?い、今…?ここで?」
岡部「そうだ。この俺が直々に見届けてやろうではないか」
紅莉栖「そ、んな…そんな…///」
紅莉栖「そ、そうなんだ…///」
岡部「ほら、見ててやるから始めるんだ」
紅莉栖「ん…///」クンカクンカ
岡部「抱きしめててやろう」ギュ
紅莉栖「ん、んんん…///」
岡部「どうだ?匂いフェチの天才HENTAI処女ビッチよ」ナデナデ
紅莉栖「はぁ…くらくらする…///」クンカクンカ
岡部「そうか…本人の目の前で俺のスペルマの匂いを嗅ぐとはな…」
紅莉栖「はぁ…い、言わないで…///」
岡部「紅莉栖は本当に変態だな…」ナデナデ
紅莉栖「んっ…んむぅ…っ!!///」ビクンビクン
岡部「顔が精子まみれではないか」
紅莉栖「ふぅーっ…はぁっはぁ…///」
岡部「まったく、ここはラボだぞ?いつ他のラボメンが来るかもわからないというのに」
紅莉栖「はぁっ…あ、あぁ…///
岡部「他のラボメンが見たらどんな顔をするのだろうな?」
紅莉栖「い、いや…いわないでぇ…おかべぇ…///」
岡部「そうは言いながら止めようとはしないのだな」
紅莉栖「んっ…好き…おかべの匂い好きなの…///」
岡部「駄目だなお前は。早く何とかしないとな?」
紅莉栖「あうっ…らめぇ…もう、…おかべぇ///」
岡部「口を開けるんだ、紅莉栖」
紅莉栖「ぷあっ…」
岡部「んっ…」
紅莉栖「っ!んんっ!んむぅー…ッ!!」ガクガク
岡部「…どうだ、満足したか?」
紅莉栖「…」
岡部「紅莉栖?」
紅莉栖「く、癖になっちゃったらどうしよう…?///」
岡部「む…」
紅莉栖「あぁー…ハマっちゃったかも…///」
岡部「悪化したか…」
紅莉栖「あ、あんたのせいよ…どうしよう…?///」
岡部「すまん…まぁ、残量に限りはあるが…お前の協力があれば、すぐに用意はできるぞ」
紅莉栖「そ、そう…じゃあ、が、我慢できなくなったら、その…よろしくね?///」
岡部「ぜ、善処する…」
紅莉栖「…う、お、お、おかべぇー!///」ガバァ
岡部「う、うおぉ!?」ドサ
~ハッピーエンド~
やっぱり本番は無いのかwwwwww
本番はなかったけど、面白かったぞwww
Entry ⇒ 2012.03.06 | Category ⇒ シュタインズゲートSS | Comments (0) | Trackbacks (0)
鈴羽「今日はラボに泊まっていくよ」
http://hibari.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1312637875/
岡部「ほう、バイト戦士はどこに住んでいるのだ?」
鈴羽「あたしは公園とか、ネカフェとかで寝泊りしてる!」
岡部「なんだとぅ!? よぉし、今日からお前も特別にラボの宿泊を許そうではないかっ!」
書き溜めなし、展開未定
岡部「今日はもう遅いからな、そこのソファを使うことを特別に許してやろう!
フゥーーハハハ!!」
鈴羽「そんなの岡部倫太郎に悪いよ! 私は床で十分だからさ、君が使ってよ」
岡部「ふん、笑わせるな! 大事なラボメンを粗末に扱うはずがなかろう」
鈴羽「君ってさ、実はすごくいい奴だよね!」
岡部「んなっ!? 笑わせるな、俺は狂気のマッドサイエンティスト鳳凰院凶真っなんだぞっ!」
鈴羽「とりあえず今日はご好意に甘えてソファを使わせてもらうよ」
岡部「スルーするではない!」
鈴羽「その前にさ、シャワー借りていいかな?」
岡部「…なに?」
鈴羽「今日もあっつくてさぁ、いっぱい汗かいちゃったんだよねー」
岡部「そ、そうなのか」
鈴羽「だから汗でベタベタでさ、頼むよ岡部倫太郎ー…」
岡部「そそそ、そういうことなら仕方ないなっ、いいだろう使うがいい!」
鈴羽「ありがとう、すごく助かったよ! じゃあ入ってくる」
岡部「勝手にしろっ」
シャー
岡部「くそっ、これは機関の精神攻撃なのかっ!? もしもし俺だ、鳳凰院だ……
いま、とんでもない状況なのだ…なに、まさかこれもシュタインズゲートの選択だというのか!?」
岡部「…俺は耐えてみせる…そうだ…それと両親に伝えてくれ……愛しているとな」
鈴羽「んー、久しぶりに気持ちよかった!」
岡部「あ、上がったのかバイトせ、ってお前は何をしているのだっ!?」
鈴羽「なにがー?」
岡部「なななな、なぜバスタオル一枚なのだと聞いている!」
鈴羽「だって着替えないんだから仕方ないじゃん」
岡部「お、俺の服を貸してやるからそれに着替えろ!」
鈴羽「本当!? 今日は一晩このままかと思ったよ」
岡部「(俺の理性が壊れるではないか)」
鈴羽「じゃあこの白衣を借りることにするよ!」
岡部「あ、ああ(ダル用にさらに買った新品か)」
鈴羽「あはは、おっきいやこれ」
岡部「……」
岡部「そ、そのバイト戦士よ…下着はどうした」
鈴羽「パンツのこと? ないよ?」
岡部「どういうことだ!?」
鈴羽「だって、あのスパッツはパンツはかないし、スポーツブラはそのままブラにしてるし」
岡部「……」
鈴羽「でも白衣だとなんだかすーすーするよ!」
岡部「いちいち説明するなっ」
鈴羽「そういうものなの?」
岡部「そういうものだっ!」
鈴羽「へぇ、この世界の常識ってよくわからないや」
岡部「未来は分からないが断言しよう、どこの世界でもお前は非常識だ……っ!」
鈴羽「ところでさ、まだ眠たくならないんだよね」
岡部「では雷ネットでも対戦するか? まゆりとダルのデッキがここにあるが」
鈴羽「いいね! しようしよう!」
岡部「フゥーーーハハハ、この天才である鳳凰院凶真に跪くことになる未来が見えるなっ」
鈴羽「むっ、あたしだって負けないよ? これでも立派な戦士なんだから」
岡部「いいだろぉ、かかってくるがいい」
鈴羽「望むところ!」
鈴羽「くそぉ、このままじゃ負ける…」
岡部「フハ、フハ、フゥーーーハハハ!!!」
鈴羽「こうなったら最期の手段しかないね…」
岡部「貴様がなにをしようと結果は変わらないのだ、負けという結果はなっ!」
岡部「(ところで、目のやりばに凄く困るぞ)」
岡部「(割り座はいいのだが、サイズのせいで胸元が見える)」
岡部「(辛うじて見えない下がより一層…くそっ…)」
鈴羽「岡部倫太郎、あたしって足に自信あるんだよね」
岡部「…は?」
鈴羽「ほら見てよ、しまった良い足だと思わない? 自転車とか、筋トレの成果だと思うんだ」
岡部「た、確かにっ…」
鈴羽「ふふん、いいでしょ? 自慢の足なんだよねぇー実はさ」
岡部「……」
鈴羽「どうしたの岡部倫太郎?」
岡部「少しトイレに行ってくる、どうも腹の調子が悪いのでなっ」
鈴羽「いってらっしゃーい!」
鈴羽「(今のうちにっ!)」
床に座った状態でハの字になる女の子座りな
岡部「すまないバイト戦士よ、再開しようではないかっ!」
鈴羽「よぉーっし、勝負だよ!」
岡部「な、なぜだ……俺が負けるだなんて……」
鈴羽「言ったじゃん、あたしは立派な戦士だって!」
岡部「ああ、完敗だ……と言うと思ったか?」
鈴羽「へ?」
岡部「トイレから帰ってきたとき、カードの配置や細かい場所にズレがあったのだ」
鈴羽「あ、あははー……」
岡部「鈴羽」
鈴羽「ご、ごめん岡部倫太郎っ! あたしズルした!!」
岡部「…まぁよい、負けず嫌いなのだなお前は」
鈴羽「えへへ、ごめん! でもさ、お詫びになんかしてあげるよ!」
岡部「ふむ、それで手を打とう」
鈴羽「なにがいいかな? 君ならなんでもしてあげるよ?」
岡部「……」ゴクリ
鈴羽「気持ちいいことでもいいよ」
岡部「……」
鈴羽「ほらほら、岡部倫太郎ー……」
岡部「ままま、待て!!」
鈴羽「おりゃーーー!!!」
岡部「なんだぁーーー!?」
鈴羽「ほら、このマッサージ気持ちいいと思うでしょ」
岡部「いだ、いだだだだ、でも気持ちいいな、確かに気持ちいいぞ鈴羽ぁーーー!!!」
岡部「体の疲れは取れた気がする、だが精神的には非常に疲れた気もする…」
鈴羽「何を言ってるのさ?」
岡部「…はぁ、そろそろ寝るか」
鈴羽「でも本当にあたしがソファを使っていいの?」
岡部「もぉちろんだっ! ラボメンは大事な構成員だからなっ! 世界を改変するためには、誰一人欠けてはならぬのだっ!」
鈴羽「あ、あはは…。じゃあそろそろ寝よう」
岡部「ああ、眠るがよいバイト戦士よ! 明日の戦いは今から始まっているのだ」
鈴羽「そうだね。あたしもそう思う」
岡部「……そろそろ寝よ、な」
鈴羽「えー」
岡部「えー、ではない!」
鈴羽「せっかくなんだし、もっと遊ぼうよ」
鈴羽「じゃあさ、岡部倫太郎もあたしにマッサージしてよ」
岡部「なにっ? この俺にマッサージをさせるだと…貴様、ラボメンのリーダーたるこの狂気の」
鈴羽「お願い、お願いだから!」
岡部「…くっ、仕方ないなっ、今日だけだぞ」
鈴羽「ありがとう岡部倫太郎! 実は今日、腰から足がすっごく痛くてさ」
岡部「そういうことなら仕方ないな…仕方ないのか…?」
鈴羽「ほら、こっちに来て」
岡部「あ、ああ」
鈴羽「んー、そこぉ…上手だよ君…」
岡部「…(腰が細いな…はっ、無心だ無心…!)」
鈴羽「あ、あははは、くすぐったいよおか、おかべ、あははは!」
岡部「ん、どうした?」
鈴羽「そこ、脇腹…あは、あははは!!」
岡部「いやすまない、わざとはでは…!」
鈴羽「はぁはぁ…死ぬかと思った…」
岡部「女子の体に触れるのは初めてだなっ」
鈴羽「そうなんだ? てっきり椎名まゆりとか触っていると思ってたよ」
岡部「あ、あいつは妹みたいなものだっ」
鈴羽「そうなの? ほら、続きしてよー」
岡部「まったく人使いの粗いバイト戦士だな…」
鈴羽「……あ、そこもいい」
岡部「……(……諸行無常……諸行無常)」
鈴羽「あっ……」
岡部「どうしたのだバイト戦士よ、痛いか?」
鈴羽「そのさ……そこ、お尻なんだよね…」
岡部「んなっ!? すすすす、すまないっ!」
鈴羽「い、いやぁ…別に気にしてないよ?」
岡部「あ、あとは大人しく足を揉んでおくぞっ」
鈴羽「そうだね、そのほうがいいかも知れないっ!」
岡部「……」
鈴羽「……」
岡部「これでいいか?」
鈴羽「うわぁ、すっごく体が軽くなったよ!」
岡部「それは良かったな。この鳳凰院凶真にかかれば、マッサージの一つや二つどうとでもないっ」
鈴羽「お尻も揉まれたけどね」
岡部「そ、それはさっきすまないと謝ったではないか!」
鈴羽「あはは、そろそろ本当に寝ようか」
岡部「…うむ、そうだな」
鈴羽「じゃあさ、電気消してよ」
岡部「ああ解った」
パチ
鈴羽「真っ暗だね」
岡部「もう夜中の日付が変わる前だからな」
鈴羽「ねえねえ岡部倫太郎」
岡部「なんだ、もう寝るぞ」
鈴羽「ちょっとくらい、いいじゃんか」
岡部「…はぁ、なんだバイト戦士?」
鈴羽「こういう夜はさ、好きな人をこっそり教え合うって父さんが言ってた」
岡部「そうか、貴様の父さんは間違いなくエロゲ脳だ」
鈴羽「……否定できないのが悔しいよ」
岡部「そうなのか?」
鈴羽「母さんが言ってた、父さんはヲタクだったんだって」
岡部「お前がそう言うのならそうなんだろうな」
鈴羽「それで君は好きな人っている?」
岡部「……」
岡部「ひ、人に尋ねる前に自分はどうなのだっ」
鈴羽「……」
岡部「まさか好きな人がいるのか?」
鈴羽「いるよ…」
岡部「なにっ?」
鈴羽「そんなに驚かないでよ」
岡部「……」
鈴羽「あのさ……あたしの好きな人は」
岡部「止めよう鈴羽」
鈴羽「え?」
岡部「そういう大切な気持ちはかるんじて言うものではない」
鈴羽「……そだね」
岡部「もういいだろ、寝よう」
鈴羽「うん」
岡部「おやすみ」
鈴羽「うん、おやすみ岡部倫太郎」
岡部「スースー」zzz
鈴羽「ぅー……トイレ……」ゴシゴシ
ジャー
鈴羽「……床がいいや……んー……」ゴソゴソ
岡部「…んん」
鈴羽「すーすー」zzz
岡部「スースー」zzz
岡部「ありのままを話そう……バイト戦士にソファを譲ったと思ったら、バイト戦士が俺の隣で寝ていた。
俺が何を言っているのか解らないと思うが、俺も解らない。
シュタインズゲートや世界線なんてチャチなもんじゃない、もっと恐ろしい戦士の片鱗を味わった……」
鈴羽「むにゃむにゃ」zzz
岡部「ええい抱きつくな!!! 起きるのだバイト戦士よ!!!」
鈴羽「んー…」zzz
岡部「くそっ、無理やり引き剥がしたら衣服が乱れる…見えてはならぬものが見えるではないかっ」
鈴羽「……おかべぇー…」zzz
岡部「寝言を言う暇などないっ! 起きろ、起きてくれっ!」
鈴羽「あぅー……」
岡部「早くせねば助手やまゆりが来てしまうっ」
ガチャ
紅莉栖「ハロー、岡部い……る……?」
岡部「あ、ああハロー…はぁあーゆー?」
紅莉栖「あ、あいむふぁいんせんくー?」
紅莉栖「(ありのままを話すわ。ラボに来たら岡部と阿万音さんがいっしょに寝てた)」
岡部「じょ、助手よこれは違うのだっ! 機関の連中がだなっ?」
紅莉栖「こんなときでも厨二設定を出すな!」
鈴羽「んあー……おはよう……」
岡部「お、おい鈴羽、立ち上がるなっ!」
鈴羽「えー?」バサァ
紅莉栖「……え」
鈴羽「あれ、牧瀬紅莉栖…?」
岡部「……これがシュタインズゲートの選択なのか」
紅莉栖「えええええ!!? なんで阿万音さん全裸なのっ!!?」
鈴羽「あちゃー、そういえば昨日岡部倫太郎といっしょに寝たんだ」
紅莉栖「はいっ!?」
岡部「や、やましいことは一切していないっ!」
鈴羽「昨日は(マッサージが)すごく気持ち良かったよ。君って上手だから力が抜けちゃった」
紅莉栖「―――っ!!?」ボンッ///
岡部「紛らわしいことを言うなぁ!」
鈴羽「えー、あたしも君を気持ちよくしてあげたんだけどなぁ」
紅莉栖「……あぁ」フラ
岡部「クリスティーナ!? 紅莉栖、おいしっかりしろ!!」
紅莉栖「……はは、きょ、今日は帰ることにするわ……」
岡部「だ、大丈夫か? 顔が真っ青だぞ?」
紅莉栖「ええ、だから今日はホテルにいるわ……ばいばい、岡部……」
鈴羽「何があったんだろう」
岡部「(この女、殴りたいっ)」
ガチャ
鈴羽「なんだったんだろうね、岡部倫太郎」
岡部「お前のせ……服を着るのだバイト戦士っ!!」
鈴羽「忘れてた!」
岡部「……」
鈴羽「これでいい?」
岡部「おい、それはまゆりのコスプレか?」
鈴羽「いやぁ、そろそろ洗濯に出さないと臭いがさ…嗅いでみる?」
岡部「そんな変態的趣味など俺にはないっ!」
鈴羽「へ、変態じゃないっ!」
岡部「そんなことより、なんだその白いワンピースは」
鈴羽「わかんない」
岡部「……(くっ、胸部の破壊力は最強か!)」
鈴羽「ふしゅるーふしゅるー」
岡部「いきなりどうした」
鈴羽「よくわからないけど、なんとなく」
岡部「……仕方ない、お前の服を洗濯しに行くぞ」
鈴羽「オーキードーキー、岡部倫太郎!」
岡部「お、お前はとりあえずこれを羽織っていけ」
鈴羽「なんでぇー!? 熱いのに汗をかいちゃうじゃんか!!」
岡部「だからだっ! 言う事を聞け!」
鈴羽「……よくわからないけど、わかったよ」
岡部「(ノーブラで白のワンピースで汗など、露出狂みたいではないか!)」
岡部「今日も非常に暑いな」
鈴羽「ねぇー、脱いでもいいかな」
岡部「それだけはダメだ」
鈴羽「なんでー!」
岡部「……自分の上着の下をこっそり見てみろ」
鈴羽「それってどういうこと?」
岡部「いいから」
鈴羽「うわぁ、乳首まで透けて見えるよ!」
岡部「いちいち報告するではないっ!! ほら数人こっちを見ているではないかっ!」
鈴羽「あちゃー。ごめんごめん」
鈴羽「ここでいいの?」
岡部「ああそうだ。ほら早く洗濯ものを入れるんだ」
鈴羽「そうだね! よいしょっと」
岡部「……なぁ鈴羽」
鈴羽「なに?」
岡部「お前には恥じらいはないのか?」
鈴羽「いちいち恥らっていたら、ゲリラ戦や機関との戦いにやっていけないよ?」
岡部「だからと言ってだな、お前は女なのだぞ」
鈴羽「女とか男とか、あんましそういうの意識しないなぁ」
岡部「お前という奴はっ!」
鈴羽「でも君は別だよ」
岡部「なっ!?」
鈴羽「おっと、洗剤はこれでいいのかな」
岡部「…あ、ああそれでいい」
鈴羽「暇だね」
岡部「そうだな」
鈴羽「……」
岡部「……」
ブーブー
岡部「メールか」
[紅莉栖『さっきのどういうことなの? あんたまさか阿万音さんと交際してるの?』]
[岡部『お前の想像に任せる』]
岡部「めんどうだし、これでいいか」
鈴羽「へぇ、牧瀬紅莉栖の想像によってあたし達は交際するかもしれないんだ」
岡部「うわ、勝手に見るな!!」
鈴羽「ねぇ君ってあたしをどう思っているの?」
岡部「な、なんだ」
鈴羽「どうなのさ」
岡部「…た、大切なラボメンだっ」
鈴羽「それだけ?」
岡部「どういう意味だ」
鈴羽「べっつにぃ、他意はないよ」
岡部「たい?……ああ、『他意』か」
鈴羽「そろそろ洗濯も終わりそうかな」
岡部「そ、そうみたいだな! それにもうお昼だ、何か買って帰ることにしよう!」
鈴羽「ねぇねぇ、お肉買っていいかな?」
岡部「おい俺に奢らせる気か、そうなのだなっ!?」
鈴羽「たまにはいいじゃんかぁー」
岡部「帰りも同じ距離を歩かねばならんのだな」
鈴羽「ラボについたらまたシャワー浴びていい?」
岡部「……勝手にしろ」
鈴羽「やった! ありがとう岡部倫太郎!」
岡部「……」
鈴羽「元気ないね、大丈夫?」
岡部「いや気にするな、お昼はほっかほっかか亭にするぞ」
鈴羽「じゃあわたしはデラックスから揚げ弁当!」
岡部「なぬっ、貴様ぁ……よりによってデラックスシリーズだとぅ!?」
鈴羽「いいでしょ、ねぇー?」
岡部「くっ、仕方ない……今回だけだからなっ!」
ラボ
岡部「くっ、やっとついたか」
鈴羽「もう脱いでいいよね!? というか脱ぐ!」
岡部「や、やめっ!」
鈴羽「ふはぁ、やっと開放された感じがするよ!」
岡部「……」
鈴羽「岡部倫太郎ー? なんでこっち向かないの?」
岡部「あ、あれほどお前は恥じらいを持てと」
鈴羽「別に君ならあたしは別にいいってばさぁ」
岡部「お前がよくても俺がダメなのだっ」
鈴羽「変な岡部倫太郎」
岡部「それよりも、ダルやまゆりが来たらどうするのだ」
鈴羽「あ、そうだったね」
ブーブー
岡部「…メールか」
[ダル『今日はメイクイーン・ニャンニャンで1日つぶしてるお。まゆしぃも今日はラボに寄らないだってさ』]
[岡部『わかった…エル・プサイ・コングルゥ』]
岡部「なんと言う事だ…」
鈴羽「今日は誰も来ないんだね! じゃあわたしもこのままでいいや」
岡部「ふ、服だって乾いているだろ?」
鈴羽「その前にシャワーを浴びてくるよ。それからご飯を食べようよ」
岡部「あ、ああ」
シャー
キュッキュ
鈴羽「いいお湯だったよ!」
岡部「その表現は風呂でつか……またバスタオルか!!」
鈴羽「だって体濡れてるじゃん」
岡部「それなら拭いてから出てこいっ!」
鈴羽「めんどくさくってさぁ。それにお腹も空いたんだよね」
岡部「……」
鈴羽「あと白衣だと気持ちよくてさぁー」
岡部「……か、勝手にしろ」
鈴羽「ありがとう岡部倫太郎! 本当に君って優しいね」
岡部「……」
鈴羽「おおお、これがデラックスシリーズ!」
岡部「ありがたく食せ、その前に全裸白衣は止めてくれ」
鈴羽「えー、だって岡部倫太郎しかいないんだよ?」
岡部「俺だといいと言うのか?」
鈴羽「君だからいいんだよ、さっきから言ってるけどさぁ」
岡部「……それって」
鈴羽「ん゛ー!! 美味しい!!」
岡部「……」
鈴羽「ねぇねぇ、これすっごく美味しいよ!! 君も一口食べなよ!」
岡部「テンション上がり過ぎたバイト戦士! それに俺にもシャケ弁当がだな」
鈴羽「いいからいいから、ほらあーん」
岡部「…あーんだと、くっ……今回だけだからなっ」
ガチャ
紅莉栖「岡部、あんた想像にまか……せる……」
岡部「んあ?」
鈴羽「あーん」
紅莉栖「ありのままを以下略。全裸白衣であーん、戦士の片鱗ね、グッバイ」グス
鈴羽「……なにあれ」
岡部「もう、気にするな。俺も気にしないから……」
鈴羽「まぁいっか。はい、あーん」
岡部「お前はどうしてもそれがしたいのだなっ」
鈴羽「えっへへー」
鈴羽「ねぇ岡部倫太郎」
岡部「なんだ?」
鈴羽「あたしは君に萌え萌え☆キュンなんだよ!」
岡部「はぁ?」
鈴羽「……え?」
岡部「それよりも弁当が上手いな。機関の連中も黙ってはいないだろう」
鈴羽「……」
岡部「どうしたのだ鈴羽? 突然元気が無くなったぞ」
鈴羽「な、なんでもないよ岡部倫太郎」
岡部「何か悩みか? それなら俺に相談してみろ、ラボメンは大切だからなっ」
鈴羽「大丈夫だよ!? うん、だってあたしは立派な戦士だからさ!」
岡部「…お前がそこまで言うのなら」
鈴羽「うん、平気平気!」
岡部「なぁ鈴羽、雷ネットでもしないか?」
鈴羽「今は別にいいよ」
岡部「鈴羽…」
岡部「ほら鈴羽、アイスがあるぞ!」
鈴羽「いらない」
岡部「……」
岡部「なぁ、もう夕方だぞ」
鈴羽「公園に帰れって言ってるの?」
岡部「いや、そういう訳ではないのだが……」
鈴羽「ううん、冗談。ごめん岡部倫太郎」
岡部「あ、ああ」
鈴羽「今日もラボに泊まっていくよ」
岡部「あ、ああそれがいい」
岡部「晩飯はピザでいいか?」
鈴羽「…あたしはこれがいいな」
岡部「なんだ、ダルの好物ではないか! 鈴羽も好きなのだな、フゥーーハハハ!!」
鈴羽「…うん」
岡部「…鈴羽、本当に大丈夫なのか?」
鈴羽「大丈夫だからほっといて……」
――
―
岡部「では先にシャワーを使わせてもらうぞ?」
鈴羽「わかった」
岡部「(どうしたというのだバイト戦士は)」
シャ
岡部「―――っ!?」
鈴羽「ごめん岡部倫太郎、いっしょに浴びよう!」
岡部「ま、待て待てっ! お前、素っ裸ではないか!!」
鈴羽「えー、何度もあたしの裸見てたでしょ? いまさら別にいいじゃん」
岡部「くっ、本当にどうしたので鈴羽!?」
鈴羽「いいからいいから、ほら座って」
(省略されました・・全てを読むにはある場所を押してください)
岡部「……フハ、フゥーーハハハ!!! 乗り切った、乗り切ったぞ!!」
鈴羽「なにが?」
岡部「な、なんでもないっ!」
鈴羽「変な岡部倫太郎」
岡部「なんとでも言え! 俺ほどの紳士はどこにもいないだろう」
鈴羽「今日はもう寝よう」
岡部「なんだ、昨日とは違うのだな」
鈴羽「……」
岡部「鈴羽はそういうのなら、もう電気を消すぞ」
鈴羽「うん」
おい
鈴羽「ねぇ岡部倫太郎」
岡部「どうした、相談か?」
鈴羽「あたしのこと、嫌いなの?」
岡部「何を言う!? どうしてそう思うのだ!?」
鈴羽「だってさ、あたし頑張ったよ?」
岡部「頑張った?」
鈴羽「それにも気付いてくれないだね」
岡部「……鈴羽?」
鈴羽「結論から言うね。あたしは失敗した」
岡部「何に失敗したと言うのだ」
鈴羽「大切な想いを告げたのに、流された」
岡部「なんだとぅ!? 誰だそんな酷いことをしたのは!?」
鈴羽「君だよ、岡部倫太郎」
岡部「―――っ!!?」
鈴羽「ねぇ、あたしのことどう思っているの?」
岡部「……」
鈴羽「わたしって迷惑かな? それとも重たいのかな……」
岡部「す、鈴羽……」
鈴羽「こんな時代に来るんじゃなかった、とっても辛いよ」
岡部「おい、鈴羽」
鈴羽「こんな想いをするくらいなら、父さんにも会えないこんな時代に来るくらいなら…」
岡部「鈴羽!!」
鈴羽「さっさと1975年に飛ぶべきだったんだ!!」
岡部「お前の言っている意味がとことん解らん!!!」
鈴羽「へ?」
岡部「どうしたのだ!? なぜ勝手に暴走している、お前は何を考えているのだっ!」
岡部「いつの間にか俺がお前の大切な想いとやらを無駄にしたらしい、それは謝る」
鈴羽「…岡部倫太郎?」
岡部「本当にそれはすまない。いつ言われたのかすら解っていないのだ」
鈴羽「えと」
岡部「しかしだ、俺はお前を迷惑とか重いとか一切感じていない!! これは覆させたりはしないっ!」
鈴羽「お、岡部りんた」
岡部「何故ならばお前が大切だからだ!!」
鈴羽「ろ…う…」///
岡部「その、すまないが…もう一度お前の想いを聞かせてくれ」
鈴羽「…うん」///
鈴羽「萌え萌え☆キュン!」
岡部「は?」
鈴羽「え? だから、萌え萌え☆キュン、だよ!?」
岡部「だからそれがどうした?」
鈴羽「……萌え萌え☆キュン」
岡部「鈴羽、お前本当に大丈夫なのか?」
鈴羽「むっかーー!!! 萌え萌え☆キュン」ハァト
岡部「手でハートの形を作るな!」
鈴羽「むぅ。萌え萌え」
岡部「いい加減やめないか?」
鈴羽「ほらぁ、やっぱりあたしのこと嫌いじゃんか!!」
岡部「だから嫌いなど一言も言っていないだろう!?」
鈴羽「じゃあまだまだいくからね、萌え萌え☆キュン!!!」
岡部「ええい、うっとうしい!!!!」
鈴羽「そんなぁー……」
鈴羽「じゃあニュアンスを変化させて」
岡部「そういう意味ではない!」
鈴羽「次はセクシーに!」
岡部「いちいち脱ぐな!!!」
鈴羽「歌うように!」
岡部「知るか!」
鈴羽「演歌がいいの!?」
岡部「むしろ聞かせてみろ!!」
ワーワー
ワーワー!!!
鈴羽「はぁはぁ、なんだか戦っているみたいだね」
岡部「ぜぇぜぇ、なんだこのアホらしい戦いは」
鈴羽「どうすればあたしの想いを受け取って貰えるのさ」
岡部「そもそもその言葉の意味がわからん」
鈴羽「えー!? だってこの時代の流行語なんでしょ!?」
岡部「た、確かに萌えはそうだが…」
鈴羽「流行語に乗せたプロポーズだったよね!? 愛してるって意味に近いんだよね!?」
岡部「……はぁ?」
鈴羽「え、違うの?」
岡部「誰だそんなこと言った奴」
鈴羽「あたしの母さん」
岡部「……」orz
鈴羽「おーい岡部倫太郎? なんでうなだれてるの?」
岡部「鈴羽よ、それは違う。愛してるなんて意味ではないぞ」
鈴羽「ええええ!?」
岡部「それだと、フェイリスやまゆりも毎日不特定多数に言っているかもしれん」
鈴羽「そんな」
岡部「鈴羽……」
鈴羽「大人しい顔して椎名まゆりって結構ヤるんだね?」
岡部「バカか貴様は!!!」ドカ
鈴羽「いったぁーーー!!!! 何すんのさ!?」
岡部「萌えというのは可愛いもの、愛でる、トキめくとかそういう意味に近いと俺は思うぞ!?」
鈴羽「ほらぁ、愛でるって愛してるでしょ?」
岡部「しかしそれはあくまで二次元、アニメやゲームに適用されるものだ! 三次元では心を込めても通じにくい!」
鈴羽「な、なんだって!?」
岡部「それなら素直に好きですと言え!! ちなみに俺はそっちがいい!!」
鈴羽「じゃあ言うよ!? 好きです岡部倫太郎!!」
岡部「それでいいのだ!!……え?」
鈴羽「え?」
岡部「おいバイト戦士、いまなんと言ったのだ?」
鈴羽「好きだよ、岡部倫太郎」
岡部「なっ!?」
鈴羽「もしかして気付いてなかったの!?」
岡部「……ああ」
鈴羽「あんなに思わせぶりな行動してたのに」
岡部「お前ならしかねないと感じていたのだ」
鈴羽「人を変態みたいに言わないで欲しい!」
岡部「ならもっと恥じらいを持て!!」
鈴羽「うー!」
岡部「な、なんだバイト戦士よ」
鈴羽「牧瀬紅莉栖に裸を見せる結果になるまで頑張ったのにさ!!」
岡部「それは貴様の自業自得だろうが!」
鈴羽「それで返事はどうなの、岡部倫太郎」
岡部「うっ……」
鈴羽「ねぇ、教えてよ」
岡部「……フハ」
鈴羽「鳳凰院凶真は禁止、ふざけないで」
岡部「…正直に言おう、まだ解らない」
鈴羽「わからないってどういうこと」
岡部「俺のこの気持ちがお前を好きという気持ちなのか、自信がないのだ」
鈴羽「…君は」
岡部「だが、俺はお前を大切に思う」
鈴羽「本当!?」パァ
岡部「こんな俺でいいと言うのなら、…交際してくれないか」
鈴羽「もちろんだよ!! ありがと岡部倫太郎!!」
岡部「そのフルネームで呼ぶ癖はどうにかならんのか?」
鈴羽「ごめんね、これはばっかりは設定だからさ」
岡部「なんだ、俺の鳳凰院凶真と同じか?」
鈴羽「そう思ってくれて構わないよ」
岡部「ふむ、そうか」
鈴羽「じゃあさ岡部倫太郎、折角なんだしいっしょの布団で寝ようよ」
岡部「鈴羽!?」
鈴羽「それとさ、キスをしよう」
岡部「なっ!?」
鈴羽「いいじゃん、恋人なんだしさ」
岡部「……あ、ああいいだろう」
チュ
鈴羽「なんだか恥ずかしいや、あはは」
岡部「そ、そうだな」
鈴羽「これあたしのファーストキスなんだ」
岡部「そうだったのか」
鈴羽「君はどうなの?」
岡部「俺はそうでもないのだ」
鈴羽「え!? うそ、君みたいな人でも恋人いたの!?」
岡部「いや、子供の頃に遊び半分でだな…」
鈴羽「ははーん、そういうこと」
岡部「だから、実質は初めてなのかもしれん」
鈴羽「じゃあそういうことにしておこうよ!」
岡部「ああ、そうだな!」
鈴羽「これからよろしくね、岡部倫太郎」
岡部「ああ、こちらこそ鈴羽」
終わり
ラストの展開は以前書いたSSと同じになったけど気にしないでくらさい!!!
あと、萌え萌え☆キュンは漫画版シュタゲの亡環のリベリオンだお!!!!
読んでくれてサンクス!!
乙でした
ときめいた
バレル・タイター乙
Entry ⇒ 2012.03.01 | Category ⇒ シュタインズゲートSS | Comments (0) | Trackbacks (0)
岡部「ダルよ」ダル「なに?」 後半
http://hayabusa.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1329118811/
前→岡部「ダルよ」ダル「なに?」 前半
ダル「さすがにやりつくしたと思うお。牧瀬氏。」
紅莉栖「まだ残ってるわよ」
ダル「まさかついに僕の番?」
紅莉栖「それはない」
紅莉栖「安価もいいかもしれないけど違うわ。」
ダル「なに?」
紅莉栖「ショタインズケートよ。」
ダル「…」
紅莉栖「ふふ、こんな事もあろうかとアポトキシン4869をつくっておいたのよ。」
ダル「すごすぎだろ牧瀬氏。ノーベル賞とれると思うお。」
紅莉栖「ノーベル賞より岡部のショタの方が興味あるわ。」
ダル「でも流石にアポトキシン4869はまずくね…。」
紅莉栖「それは大丈夫よ。だってこれ液体だし。向こうはカプセルでしょ。」
ダル「そこは関係ないようなきがするお…。」
ダル「で?どうやってそれをオカリンに飲ますん?」
ダル「ふーん、じゃ牧瀬氏頑張ってね」
紅莉栖「どこかいくの?」
ダル「メイクイーンに行ってくるお。ぼくショタには興味ないし。」
紅莉栖「あらそう、気を付けてね。」
紅莉栖(そうだ!ショタになった岡部に何するか妄想しとこうかしら。)
紅莉栖(うへへ…おかべぇ…)
岡部「助手よ!何を涎なんて垂らしてる。」
紅莉栖「ふぇ?岡部!いつの間に?」
岡部「さっき来たところだが…。さては助手よぉ~貴様はHENTAIな妄想をしていたな。」
紅莉栖「し、しとらんわ!あと助手じゃない!」
岡部「あぁ、実は実家から昔の服を処分してくれと言われてな。小学生位に着てた服だが。」
紅莉栖(タイミングよすぎだろ!――でも、裸のまま過ごさせるのもありだったけどね)
紅莉栖「あっ岡部、ドクペ用意しておいたわよ。」
岡部「ん?やけに気がきくではないか。そうか、お前も助手としての自覚がわいてきたのか。」
紅莉栖「ほら!はやく!グイッと!」
紅莉栖「いいじゃない。はやく!ほら!グイッといっちゃって!」
岡部「むぅ…」ゴクッ
岡部「うぐぁー…からだがあつい……」
岡部「うぐぅ…」バタン
――――――
岡部「うぅん……。何が起こったんだ。」
紅莉栖「」
岡部「なんで助手は鼻血を出して倒れているのだ?」
岡部「しかし、こんなにラボは広かったか?」
岡部「おい助手!助手よ!起きろ!」
紅莉栖「ん…岡部…?」
岡部「どうしたんだ助手よ!なにがあった?」
紅莉栖「……」
岡部「ん?助手よ!お前背でも伸びたか?」
紅莉栖「ショタ岡部が話してる!かわいすぎる!私もう死んでもいい!」ギュー
岡部「ちょ!離せ!ついに頭までイカれたか?メリケンHENTAI処女め!」
紅莉栖「こら!倫太郎!そんな言葉つかってはいけません!」
岡部「は?何を言っているのだ助手。」
紅莉栖「助手じゃないって言ってるでしょ!ちゃんと紅莉栖ママと言いなさい!」
岡部「訳が分からん。」
岡部「さっきからお姉ちゃんとか言ったりママって呼べって言ったりなんなんだ?――ていうかなにをシャワーを一緒に浴びようだ!そこまでHENTAIだったのかお前は。」
紅莉栖「あぁ、ショタ岡部ちゃん、もっと罵って!」
岡部「ダメだこいつ…。」
紅莉栖「鏡をみたら分かるわよ」ハァハァ
岡部「鏡?」
岡部「」
紅莉栖「びっくりして言葉がでないショタ岡部かわいいよぉ…はぁはぁ」
紅莉栖「おもいっきし机を叩くけど全然迫力のないショタ岡部とかやばいわ…。あぁ…また鼻血が…。」
岡部「助手!聞いているのか?」
紅莉栖「なによ!?」ドゴンッ
岡部「!!!?」ビクッ
紅莉栖「びっくりするショタ岡部とかやばい…うっ…鼻血が止まらない…また貧血で倒れちゃう……」
岡部「そのまま死ね!」
岡部「どこをみているのだ?」
岡部(………!!)
紅莉栖「ちんちんが見えてるのに気付くショタ岡部たん…はぁはぁ」
岡部「うるさい!見るな!さすがにそこまでHENTAIだとは思わなかったぞ」
紅莉栖「ただしショタに限る」キリッ
岡部「死ね!」
紅莉栖「倫太郎!汗だくなんだから先にシャワー浴びなさい。」
岡部「たしかにそうだな…。よしシャワー浴びるか…。」
紅莉栖「なにショタ岡部たん。」
岡部「なんでお前まで脱衣場についてくる…」
紅莉栖「一緒にシャワー浴びる為に決まってるじゃない。」
岡部「浴びんでいい!出ていけ!」
紅莉栖「溺れたらどうするの?」
岡部「溺れるか!さっさと出ていけ!」
紅莉栖「いやよ!お姉ちゃんは絶対に倫太郎ちゃんとシャワーに入るからな!」
岡部「誰がお姉ちゃんだ。このHENTAI!」
岡部(この助手、目が本気だ…)
岡部(一緒に入ったらなにされるか分からん…)
岡部(こうなったらやむを得ん。)
岡部「紅莉栖お姉ちゃん!」
紅莉栖「へ?いま紅莉栖お姉ちゃんって?うっ…また鼻血が…」
紅莉栖「くっ…これ以上鼻血がでると…やばい」クラッ
岡部「お願い紅莉栖お姉ちゃん」ウワメヅカイ
紅莉栖「」ブブー
岡部「鼻血吹いて倒れるとかシュールすぎるだろ…、亀仙人かコイツは!」
岡部(鼻血をださせて貧血で倒れさせようと思ったが、ここまでうまくいくとはな。)
岡部(しかしHENTAI助手の事だ5分程で目がさめるだろう。)
岡部(3分でシャワーあびて30秒で着替えるか。)
紅莉栖「んん……岡部?」
岡部「ふ、残念だったな助手よ!俺はシャワーを浴びてしまったぞ。」
紅莉栖「え?」
岡部「フゥハハハ」
紅莉栖「なにいってるの?」
岡部「え?」
紅莉栖「シャワーなんて何回でも浴びれるじゃない…。」
岡部「は?」
岡部(この助手ほんとうにやばいぞ)
紅莉栖「ふふふ…お姉さんが身体の隅々まであらってあげる。」ジリ
岡部(ぐっ、話をそらすか。)
岡部「そんな事よりクリスティーナ!このズボンだが、少し大きすぎると思わないか?」
岡部「そうか?」
紅莉栖「うん、似合ってるわよ、岡部ちゃん」
岡部「むぅ…大きいような気がしたのだが…」
紅莉栖「とても似合ってる。だからね岡部ちゃん。」
岡部「なんだ?」
紅莉栖「一緒にシャワー浴びましょう…はぁはぁ」
岡部「なぜそうなる!?」
岡部(くそっ、こうなったら逃げるしか)ダッ
紅莉栖「あぁ!待って岡部ちゃん!」
岡部(ブラウン管工房に隠れるか。ここはごちゃごちゃしてるし見つかりにくいはずだ。)
綯「きみ誰?」
岡部「!!」
岡部(しまった!小動物に見つかった。)
岡部「たのむ小動物!追われているんだ!ここに隠れさせてくれ!」
綯「追われてる?だれに?」
紅莉栖「ふふふ…岡部ちゃん…。店の中にいるのは分かっているんだから観念して出てきなさい。」
岡部(きた!?)
紅莉栖「綯ちゃん、ここに岡部に似た子供が来なかった?」
綯「オカリンおじさんみたいな子供?―来てないよ。」
紅莉栖「くっ―岡部の事だから店に隠れると思ったんだが…。」
紅莉栖「じゃあもし見かけたら教えてね綯ちゃん。」
綯「うん!」
綯「確かにきみオカリンおじさんに似てるね!名前はなんて言うの?」
岡部「おじ!?――ふん、小動物に名乗る名前などない。」
綯「助手のお姉ちゃんここにいt……」
岡部「分かった!名乗るから叫ぶな小動物!」
岡部「ふん、貴様など小動物で十分だ。」
綯「助手のお姉ちゃん!ここにいt…」
岡部「まてまて!悪かったから叫ぶな!綯!」
綯「きみの名前は?」
綯「え?凶真?」
岡部「あぁ…岡部おじさんにつけてもらった。」
岡部(なにを言っているんだ俺は。訳が分からんではないか…。)
綯「変な名前ぇ~」
岡部「やかましい!」
綯「ねぇ、一緒に遊ぼうよ凶真!」
岡部「なんで俺がお前と遊ばなければならないのだ?」
綯「叫ぶよ?」
岡部「ぐっ…貴様…俺を脅すのか。くそ、分かった遊んでやろうではないか!」
綯「えへへ、やったー!」
鈴羽「あれ?綯…その子は?」
岡部「いつから友達になった?」
鈴羽「え?凶真?確かにキミは岡部倫太郎に似てるね。」ジー
岡部(顔がちかいぞバイト戦士!)
綯「オカリンおじさんに名付けられたんだって」
鈴羽「へぇそうなんだ、たしかに岡部倫太郎らしいネーミングだね。」
岡部「……」
岡部(目線の高さがちょうどバイト戦士のお尻の部分にあたるんだが…)
岡部(そうだ。せっかくショタになったんだ。記念にバイト戦士のお尻をじっくり見るか。子供だし許されるだろう)
岡部(!!――これはすばらしい!頭を押し付けたくなるようなお尻。バイト戦士がこんなにエロい身体をしてるなんてしらなかったぞ。もしやこれがシュタインズゲートの選択か。)
鈴羽「どうしたんだい凶真?お尻をジーっと見て…。もしかして何かついてる?」
鈴羽「どうしたの急に抱きついてきて…。」
岡部(素晴らしい弾力。くそ押し付けるだけじゃ足りない。)
岡部「……」グリグリ
鈴羽「アハハ、もしかして凶真は甘えん坊さん?」
綯「……」ムスッ
岡部「ど、どうした綯?」
綯「そんな事するなんてえっちだよ!」
鈴羽「はは、違うって綯。甘えたいだけだよ凶真は。」
綯「と、とにかくあっちに行こう凶真!」
岡部「あ、あぁ…。」
鈴羽「綯のあんな楽しそうな顔、初めてみたよ。」
鈴羽「牧瀬紅莉栖…なに?」
紅莉栖「岡部に似た子供をみなかった?」
鈴羽「みたけどどうしたの?」
紅莉栖「一緒にシャワー…」
鈴羽「シャワー?」
紅莉栖「な、なんでもない!とにかくどこに行ったか教えて阿万音さん。」
鈴羽「……。――あっち」
紅莉栖「あっちね!ありがとう!」
鈴羽「牧瀬紅莉栖。悪いけどそっちは逆方向だよ。あんなに楽しそうな綯の邪魔は絶対させない。」
岡部「うごぉ!」ドン
フェイリス「にゃっ!」ドン
フェイリス(ふにゃにゃ、いたいにゃん…。ていうか何で、スカートの中に頭を突っ込んでるのにゃん!ラッキースケベにも程があるにゃ!)
岡部(スカートのなか?まさか…。)バッ
フェイリス(にゃ~!スカートを捲るな~!)
岡部(こ、これは…)
岡部「ドロワーズだと…。」
何回もごめん
フェイリス「小さいのに変態すぎるにゃ!」
フェイリス「むむ、なんか凶真に似てるにゃ……」
岡部「んな!」
フェイリス「やっぱり凶真にゃ!なんで小さくなってるにゃ!」
岡部「き、気のせいだ。俺は凶真じゃない。」
綯「凶真じゃないの?」
岡部「いや、凶真だが、そっちの凶真じゃない!」
フェイリス「なにを訳のわからない事言っているのにゃ?――凶真!フェイリスの目をみるにゃ。」
岡部「うぐっ…い、いくぞ!綯!」ダッ
綯「え?うん。」ダッ
フェイリス「ちょっと待つにゃん!凶真!」
綯「大丈夫?」
岡部「お前は大丈夫なのか?」
綯「凶真が体力なさすぎなんだよ。」
岡部「俺は研究でいそがしいからな。」
綯「研究ってなにをしてるの?」
岡部「……」
岡部(なんだか今までろくでも無いようなことばかり調べてるような気がするぞ。)
岡部「柳林神社か。るか子の様子でもみるか。」
岡部(素振りの最中か…)
岡部「るか子よ!ちゃんと修行してるではないか!しかしまだ妖刀・五月雨を扱い切れてないな。」
るか子「ふぇ…君は?」
岡部(しまった!自分の姿が小さくなっているのを忘れていた。)
綯「幼刀ってなに?」
岡部(めんどくさい、こうなったら。)
岡部「っぐわ!…くそ!…また俺の右腕が暴れだしやがった……」
るか子「へ?」
岡部「お祓いだ!…はやく…このままじゃ…秋葉原が俺の右腕の力によってなくなってしまう」
るか子「ひゃ!ひゃい!」
るか子「」バタン
岡部「こけている場合か!……いそげ!間に合わなくなってもしらんぞおおお~」
るか「は、はい!」
岡部(ていうかトランクスがちょっと見えたんだが…。)
岡部(るか子の父親のことだからパンツははかせてないと思ったんだがな…。しかし、ノーパンだといろいろ問題があるか。)
綯「凶真…」ジトー
るか「は…はい」
るか「でも君はだれ?」
綯「凶真だよ!」
るか「え?きょ、凶真さん?背縮みました?」
岡部(天然か?こいつ。)
るか「でも…小さい凶真さん、かわいい。あの…抱きついても…いいですか?」
岡部「に、逃げるぞ綯!」ダッ
綯「え?また?」
るか「あ…まって。」
るか「……」ショボン
岡部「何回でも逃げる。」
萌郁「………」
岡部(あれは閃光の指圧師)
岡部(しかし姿のかわった俺をみても気づかんだろう。このままやり過ごそう)
岡部「…」
萌郁「…」
岡部「……」
萌郁「…凶真」ボソッ
岡部「!?」
岡部(なんでこんな時だけ凶真と呼ぶんだコイツは。岡部くんなら無視できたのに!)
萌郁「やっぱり…岡部くんなの?」
萌郁「うそ…」ボソッ
岡部「ぐっ…」
萌郁「うちに…遊びにこない?…ふたりとも…」ボソッ
岡部「行くわけないだろう。」
萌郁「ボタンごと…破っていい」ボソッ
岡部「子供二人に何をいっているのだお前は。」
岡部「……」
綯「ねぇ、逃げようよ凶真。」
岡部「そ、そうだな。」ダッ
萌郁「ふられた…なんで?」
岡部「そうだな。」
まゆり「綯ちゃんトゥットゥルー!」
綯「あ!まゆりお姉ちゃんトゥットゥルー!」
岡部「……」
まゆり「あれ?その子は綯ちゃんのお友達?」
綯「うん!凶真っていうの!」
岡部「……」
まゆり「へ~凶真かぁ~。なんだか昔のオカリンにそっくりだね。」
岡部「……」
まゆり「どうしたの?」
岡部「どうして短パンとパンツをはいていない?」
岡部「パンツ全部おろしてトイレとか何歳だ…」
綯「え?おろさないの?」
岡部「お前もまだおろしてたのか。」
綯「お父さんがそうしろって…」
岡部「……」
まゆり「とりあえずまゆしぃはラボに戻ってはいてくるのです。」
岡部(どこの世界線でもまゆりは濃いような気がするぞ…。)
Mr.ブラウン「おぅ綯!戻ったか!」
岡部「Mr.ブラウン!」
Mr.ブラウン「なんだこの岡部に似たガキは。」
Mr.ブラウン「あぁ?そういうプレイだろうが!よそのガキが偉そうにそんな事いってんじゃね!」
綯「お父さん…」ジトー
Mr.ブラウン「違うんだ綯!いや違うくないが違うんだ綯!」
岡部「このMr.HENTAIめ!」
Mr.HENTAI「だれがMr.ブラウンだ!ぶっ飛ばすぞこのガキ!」
綯「私の友達をぶっ飛ばすんだお父さん」ジトー
Mr.ブラウンとHENTAIぎゃくだ
綯「お父さん最低」プイ
Mr.ブラウン「ごめんよ綯!アイス買ってやるから許してくれ。おい坊主!お前も買ってやるから車にのれ!」
綯「いこ!凶真!」
岡部「あぁ…」
紅莉栖「岡部たん!」
岡部「しまった…あいつを忘れていた。」
岡部「くるなHENTAI!」
紅莉栖「うへへ~岡部ぇ~一緒にシャワーに入りましょう」
岡部「もうダメだ捕まる!」
まっちょしぃ「紅莉栖ちゃんまっちょしいと入ろうよ!」
綯「カオス」
まゆり「はやくラボにもどろうね紅莉栖ちゃん、お姫様だっこをしてあげるのです」ダキ
紅莉栖「ちょ、岡部!助けて!」
まゆり「綯の邪魔をするな。ゲルバナにするぞ。」
紅莉栖「ひっ……」
岡部「…」
綯「凶真!いこう!」
岡部「あぁ」
岡部「綯と一緒でいいよ。」
綯「え?別のを頼んで二人で食べさせあいっこしようよ。」
岡部「あぁいいぞ。なら俺のも選んでくれ。」
綯「うん!」
岡部(しかし俺の身体は元に戻るんだろうか。)
綯「凶真!」
岡部「なんだ?」
綯「これからもずっと友達だよ!」
岡部「……」
岡部「あぁ」
岡部(このままでいいのかもしれないな…。)
岡部(なぜならそれがショタインズゲートの選択なのだから。)
おわり
よく頑張った
岡部「なんだ?」
ダル「なんかリーディングシュタイナーが発動したんだが…」
岡部「なに?どんなだ?」
ダル「なんか牧瀬氏のストッキングとか、阿万音氏のスパッツとか、フェイリスたんのガーターベルトととか、萌郁氏のシャツとか、ルカ氏のパンツとかまゆ氏の股関の毛が気になるとかオカリンと話してたお」
岡部「どんな世界線だ!そんなもの俺は知らんぞ!そんな見栄好いた嘘はやめろ!」
ダル「ほんとだお」
ガタン
紅莉栖「岡部!私のストッキングを破った世界線覚えてる?」
岡部「は?」
紅莉栖「え?岡部はリーディングシュタイナー発動してないの?」
岡部「してない。なんで助手のストッキングを破かにきゃならないのだ。」
鈴羽「やっほー岡部倫太郎!パンツやぶった責任とってもらうよ!」
岡部「んな、バイト戦士のパンツなど破ったことなどないだろう!それ以前にお前はパンツはいてないだろ!」
岡部「まさか、鈴羽までリーディングシュタイナーが発動したのか。だが俺は発動してないぞ、どういう事だ?」
ガタン
フェイリス「にゃにゃん!凶真ぁ~大好きにゃ!」ギュー
岡部「!?」
紅莉栖「!」
鈴羽「え?」
ダル「はぁ!?」
岡部「落ち着け!ダル!俺に覚えはない。」
フェイリス「にゃにゃ!?忘れたのにゃん?フェイリスを含めて好きだといったにゃん!そしてその後はニャンニャン愛しあったはずにゃん!」
岡部「んな?」
紅莉栖「岡部!どーゆ事だ!」
鈴羽「岡部倫太郎…私はお尻の穴まで見られたのにその後は口づけすらなかったよ!」
岡部「落ち着けお前たち!」
ガタン
萌郁「……」
岡部「何度も言うがおれにはそういった覚えがない」
萌郁「……」
タッタッタ――ギュー
紅莉栖「へ?」
萌郁「紅莉栖ちゃん…離さない…」ギュー
鈴羽「なんだ牧瀬紅莉栖は他に相手がいたんだ。じゃあ岡部倫太郎は別にいいよね。」
紅莉栖「んな?わたし萌郁さんとぜんぜん話したことないわよ。」
萌郁「わすれたの?…ひどい…」
フェイリス「あー紅莉栖にゃん泣かしたのにゃーいーけないんだー」
紅莉栖「ちょっと待って萌郁さん。泣かないで」
ガタン
まゆり「ラボメンのみんなトゥットゥルー!」
るか「お…お邪魔します。おかっ――凶真さん。」
まゆり「実は私たち重大な知らせがあるのです。」
岡部「なんだ?」
まゆり「ではどーぞ!ルカ君!」
るか「あ…あの僕たち…その…付き合うことになりました」
岡部「なに?ずいぶん急じゃないか。」
岡部「お前もリーディングシュタイナーが発動したのか…」
鈴羽「なんだ、ライバルが二人も増えるのかと思って心配したよ。」
フェイリス「おめでとうにゃん!」
まゆり「ありがとうフェイリスちゃん。ではまゆり達はこれからデートのいくのです。オカリンまたね。」
岡部「あぁ」
るか「あ…おかっ凶真さん…失礼します。」
岡部「まゆりをよろしく頼む。」
るか「はい。」
岡部「な!」
フェイリス「もちろんフェイリスだにゃん?」
萌郁「紅莉栖ちゃんは…渡さない」ボソッ
紅莉栖「ちょ、萌郁さん抱きつきすぎ…苦しい!」
ガタン
ダル「また誰かきたお」
ダル「オカリン、ラボメン以外にも手を出したん?」
岡部「まさか!そんな訳ないだろう」
岡部「んな!Mr.ブラウン」
ダル「さすがにオカリン…これはないわ…流石の僕でもひくわ…」
岡部「俺はノーマルだ!Mr.ブラウンなんてあり得ないだろ!」
ダル「ていうかすごいHENTAIオーラだお」
Mr.ブラウン「…」ゴゴゴゴゴ
ダル「は?」
Mr.ブラウン「こないだのプレイの続きするぞこら?」
ダル「え?」
Mr.ブラウン「おらこい」グイ
ダル「ちょ…助けてオカリン!」
岡部「すまない…ダル…」
ダル「見捨てるんオカリン!」
バタン
岡部「……」
岡部「なんだ?」
萌郁「紅莉栖ちゃん借りていい?」
鈴羽「いいよ」
フェイリス「いいにゃ!」
紅莉栖「なんでお前たちが決める!岡部~」
萌郁「紅莉栖ちゃん…私の家に…いこう…」
バタン
岡部「すまない…紅莉栖」
フェイリス「そうにゃ!鈴にゃんとフェイリスどっちを選ぶのにゃ?」
岡部「おれにはお前たちどっちかを選ぶなんてできない。」
鈴羽「……」
フェイリス「……」
鈴羽「身体で選んで貰うしかないようだね」グイ
岡部「んな!?お前たちなにを?」
岡部「うぐぁ…」
岡部「おいバイト戦士!これをほどけ!」
フェイリス「にゃんにゃにゃん!」ズルル
岡部「フェイリス!ズボンを脱がすな!」
フェイリス「嫌いならやめるにゃ~」ショボン
岡部「…別に嫌いではない…好きだが…」
鈴羽「ほんとうかい?」
フェイリス「好きなら続きをするにゃん!」ズルズル
岡部「好きだが…これは…やめろパンツは脱がすな!」
フェイリス「ふにゃ!?」
鈴羽「大きい…」
フェイリス「ふにゃ~フェイリスは幸せにゃん!」
鈴羽「お尻の穴までなんて激しすぎるよ、岡部倫太郎」
おわり
おい
フェイリス「ふにゃ~フェイリスは幸せにゃん!」
鈴羽「お尻の穴までなんて激しすぎるよ、岡部倫太郎」
綯「凶真がいないよ~…」グス
おわり
ダル「なに?」
岡部「>>795を>>798したいと思わんか?」
ダル「ネタがなくなったからって安価にたよるオカリンずるぅ~」
ダル「さすがにそれはMr.ブラウンに殺されるとおもうお…でも、たしかにいじめたい。」
岡部「やはり話が分かるなダルよ。」
紅莉栖「私はショタ岡部とイチャイチャしたい。」
岡部「>>808を全力でする。」
ダル「頭なんか撫でてイタズラになるん!」
岡部「頭なんか撫でると誰がいった?」
ダル「え?どこを撫でるん?」
岡部「股間だ!」
岡部「ダルよ!お前は幼女が股間をさわられてオシッコを漏らすところが見たいと思わないのか?」
ダル「…みたい。ものすごく。」
紅莉栖(私はショタ岡部とシャワーに入りたい。)
岡部「むぅ~そうだな。」
紅莉栖「私に考えがあるわ?」
岡部「なんだ?お前ロリに興味あったのか?」
すいません
岡部「どんな薬だ?」
紅莉栖「アポトキシン4869よ!」
ダル「牧瀬氏すごすぎだろ。」
紅莉栖「アポトキシン入りドクペよ!はい!おかべ!のんで!」
岡部「ぐいぐい来るな…しかしそれでどうするのだ…」
紅莉栖「小さくなって綯えちゃんと仲良くなってしまえば、どさくさに紛れて股間を触るくらいできるでしょ!」
岡部「そうかも、しれんが。普段のお前なら小動物の股間を触るなんて反対するだろう。」
紅莉栖「うっさい気にするな!はやく!のめ!」
岡部「うむ…」ゴク
岡部「うぐぁ…身体があつい…」
―――――
岡部「ここは?」
ダル「あ、オカリンおきた?」
岡部「あぁしかしダルよ。お前はそんなにデカかったか?」
ダル「オカリンが縮んだんだお。薬のんだの忘れたん?」
岡部「そういえばそうだったな。しかし本当に子供の姿になるなんて助手はやるな。」
ダル「相当ショタオカリンが見たかったんだとおもわれ」
紅莉栖「……」
岡部「なぜその見たかった本人が鼻血をだして気絶しているのだ?」
ダル「言っていいん?」
岡部「なんだ?」
ダル「実は」
ダル「すごいね牧瀬氏ほんとうに子供になったお。気絶しちゃったけど。」
紅莉栖「……」
ダル「牧瀬氏?」
紅莉栖「んあああかわいいショタ岡部たん」ギュー
岡部「……」
ダル「気絶してるオカリンいじるとかやめといた方がいいと思うけど」
紅莉栖「あ、キスマークついちゃった…ふふふ、色んなところにキスマークつけてあげるね岡部たん」チュッチュッチュッ
紅莉栖「!!」
紅莉栖「岡部たんの幼刀がコンニチハしちゃってる…はぁはぁ」
紅莉栖「ちょっと触ろうかしら」
紅莉栖「……」プニ
紅莉栖「」ブホーー
ダル「ってことが…」
岡部「一生起きるなこのHENTAI」
ダル「顔どころじゃないお、上から下までまんべんなく。」
岡部「くそ!シャワー浴びてくる」
ダル「ていうかオカリン着替えは?」
岡部「小学校のころきてた奴をだいぶ前にラボにもってきてある。」
岡部「しかし、助手が起きる前にシャワーを浴びないとな」
ダル「大丈夫だろ。こんだけ血を流せばしばらく起きないとおもうお。」
岡部「そうだな。」
紅莉栖「岡部たん私も一緒にシャワー!」バッ
ダル「うわ、牧瀬氏おきたん?」
紅莉栖「待ってて岡部たん!私もすぐに服を脱ぐからね!」
ダル「……」
紅莉栖「岡部たん!」ガララ
岡部「助手!もう起きたのか?本当にゾンビなのではないか?」
紅莉栖「こら!倫太郎!人に向かってゾンビとかいってはいけません!」
岡部「うるさい!でていけHENTAI!」
紅莉栖「断る!!」
岡部(くそ、このままでは俺が苛められるではないか。)
紅莉栖「うへへ、うへへへ」ダラダラ
岡部(いじめじゃすまないかもしれない…)
岡部「ママ!」
紅莉栖「へ?ママ?…うぅ…また鼻血が…しかし今回は倒れないわよ。私は本気なんだからな!」
岡部(ぐっダメか。)
岡部「ママだーいーすきー」ギュー
紅莉栖「」ブホーーブホホー
岡部(タオルをまいているとはいえ裸の助手に抱きつくとはな…。やはり気が引ける。)
紅莉栖「」
岡部「ラジ館の時より血を流してるな…。」
岡部「ダルよ。なぜ止めなかった。」
ダル「止めてたら僕が殺されてたお。」
岡部「まぁ確かにそうかもしれんが」
岡部「服を着れば隠せる。」
ダル「ていうかオカリン、テンション低いね。大丈夫?」
岡部「さすがに疲れた…」
ダル「でもオカリンには幼女の股間を撫でるという、使命があるお。」
岡部「あぁ、そうだな。ではいってくる。」
ダル「がんばれお!オカリン……。」
岡部(ん?なんだ?なんでこんなに、なつかれているのだ?)
綯「どこいってたの凶真…。ずっと探してたんだよ。」グス
岡部「…」
岡部(どういう事だ?)
綯「!!」
岡部「…」ナデナデ
綯「……」
岡部(膀胱あたりをおしてみるか。)グイ
綯「!?」モジモジ
岡部「……」グイ
綯「うぅ…」
岡部「……」グググ
綯「んあ…あ…」
綯「あぁ~」プシャー
岡部(やはり幼女のオシッコはすばらしい。)
おわり
フェイリス「乾杯にゃん!」
鈴羽「かんぱーい」
紅莉栖「かんぱい」
萌郁「かんぱい」ボソッ
るか「かんぱい」
紅莉栖「ゴク…これはアポトキシン4869!!」
一同「身体が…あつい」
みたいなね
岡部(イヤッッホォォォオオォオウ!)
岡部「計画通りだ!」
岡部「ロリがいっぱいではないか」
岡部「>>875を>>880しよう」
おとしてくれてもかまわないです…ほんと…
岡部(…)ビリビリ
ピーン
岡部「んな…こいつ俺よりデカイではないか!」
岡部「くそ、悔しいからなめてやる!」ペロ
岡部「見てわからんのか?おまえのおちんちんをなめているのだ。」
るか「ふぇ?岡部さんやめて…」
岡部「凶真だ!」グググ
るか「ご!ごめんなさい!だから金たま握らないで!」
るか「ちょ、凶真さん!壊れちゃう…僕の金たま壊れちゃう…それに…金たま握られたままだと…土下座なんてできない」
岡部「やれ」ググッ
るか「ひぎぃ…うぅ…ごめんなさい…凶真さん」
岡部「よくできた!るか子よ!ではもう一度なめてやろう」ベロベロ
るか「あ…もうだめです凶真さん…ぼく…ももう」
岡部「いってもかまわんぞるか子よ」
るか「ああああ」
ビュルル
岡部「つぎは>>895を>>900するか」
岡部「しかしこういうこともあろうかと、小学生用のスパッツを用意していたのだ。」
スルルーパチン!
岡部「小学校のくせになんてエロいお尻なんだ。」
鈴羽「……」
岡部「よし…破かずそのままお尻の穴にチンコを挿入してやる!」グッ
ブチ
岡部「くそ!スパッツが破けてしまった。」
鈴羽「!!」
岡部「鈴羽よ…起きたのか?なにをそんなに驚いている?」
鈴羽「ッタイ……なんで私のお尻の穴に岡部のチンチンが入ってるの?」
岡部「戦士の儀式だ…鈴羽よ」パンパン
鈴羽「ちょっと…やめてよぉ~…ていうかなんで私の身体縮んでるの」
岡部「これがシュタインズゲートの選択だからだ。しかしキツいな。鈴羽のお尻の穴は。」パンパン
岡部「どうした?気持ちよくなってきたのか鈴羽よ。」パンパン
鈴羽「きもちよく…なんか…」
岡部「素直になれ鈴羽。かわいいぞ。」パンパン
鈴羽「んな?岡部倫太郎?」
岡部「いくぞ!ラストスパートだ!」パンパン
岡部「いきそうなのか?鈴羽。しかしまだダメだ。」ピタッ
鈴羽「!?なんでとめるの?岡部倫太郎?」
岡部「バイト戦士の腸内に岡部倫太郎の精液ぶちまけてください。というのだ」
鈴羽「そんなこと言えるわけないじゃん」
岡部「ならこのまま動かないぞ。」
鈴羽「くっ…」
岡部「聞こえないぞ!」
鈴羽「バイト戦士の腸内に精液ぶちまけてください!」
岡部「よくいえたな、バイト戦士!」パンパン
鈴羽「あぁん…」
岡部「だすぞ!バイト戦士」
ビュルル
ダル「なに?」
岡部「性奴隷になりたいと思わんか?」
ダル「あぁわかる。」
岡部「ほんとうか?なら俺の性奴隷になってくれ」
ダル「断る!!」
ダル「フェイリスたんの性奴隷にはなりたいけどオカリンの性奴隷にはなりたくないお。」
岡部「なぜだ?どちらも一緒だろう!?」
ダル「全然ちがうお!」
岡部「頼む!この通りだ。」
ダル「土下座しても無駄だお」
岡部「ここまでやってもおれないのか…」
ダル「いや、おれるわけないだろ常考。」
ダル「やめろ~オカリン!」
岡部「きれいだ…ダル」
ダル「死ねよ、まじで。」
岡部「ふ、汗をかくなんて興奮しているのか?」
ダル「してねぇよ。まじでやめろよオカリン。」
岡部「…」ペロ
ダル「おい、やめろあばばばばば」
岡部「ダルの汗の味だ…」
ダル「」
吐き気してきた
Mr.ブラウン「さっきからうるせぇな。上でなにやってんだ。」
Mr.ブラウン「くそ、怒鳴り込んでやる」
Mr.ブラウン「おいこら!岡部!さっきからうるせぇぞこのやろう!家賃10万アップだ!」
岡部「それは困るMr.ブラウン!性奴隷をやるから許してくれ!」
Mr.ブラウン「……」
Mr.ブラウン「まぁ今回だけは許してやるが次はないからな。」
岡部「あぁ気をつける。」
ダル「」
おわり
この世界戦がさっきのブラウンがダルを連れていったのに関係してるのか
たぶんこれがラスト
岡部「貴様は絶対にゆるさん桐生萌郁」
萌郁「わたしがなにしたの?」
岡部「俺から紅莉栖を寝取ったではないか!忘れたとはいわさんぞ。桐生萌郁。」
萌郁「でも紅莉栖ちゃんは私を選んだ…」
岡部「だまれ!」
萌郁「」ビク
岡部「覚悟しろ萌郁」ブチブチ
なんだよwwwこれwww
萌郁「!!かえせ!!」
岡部「無駄だ。そのロープは絶対にほどけない。」
萌郁「くっ…かえせ!」キッ
岡部「睨み付けられたって何も怖くない。」ビリビリ
岡部「なんだ?部屋はこんなに汚いくせに股間の毛はしっかり処理しているではないか。」
萌郁「みるな!」
萌郁「!!」
岡部「もう我慢できなくなったのか?まだ少ししか塗ってないだろう。」
萌郁「ウアアアァァァア」ビクビク
岡部「なんだ?もういったのか?まだなにもしてないだろう。」
岡部「どれ、萌郁のクリスティーナでもなめてみるか。」ペロ
萌郁「アアアァアアァー」ビクビク
岡部(むちゃくちゃうるさい。なんか萎える。)
萌郁「………」
岡部「………」
萌郁「……ぐっ」
岡部「どうした萌郁?もしかしてもっと攻めてほしいのか?うん?」
萌郁「そんな訳…ない。」
岡部「そうか。ならばそのままでいるがいい。しかし、おねだりしなければ縛られたまんまだぞ。股間をムズムズさせたままな。」
萌郁「……く」
岡部「触ってほしければ。触ってくださいとおねだりしてみろ。」
岡部「断る!!」
萌郁「なんで?」
岡部「おれはお前を許さないと言っただろう。しばらく放置プレイだ。」
萌郁「あああぁあぁああああああああ」
岡部「……」
バタン
紅莉栖「もうやめて!岡部!」
岡部「なっ紅莉栖。」
紅莉栖「このままだと岡部ほんとうにおかしくなっちゃう……」
岡部「……すまない、紅莉栖。」
紅莉栖「岡部…」
岡部「すまないがお前も逝き地獄を味あわせてやる」
紅莉栖「な…岡部。」
紅莉栖「もう…やめて岡部」ピクピク
岡部「これがシュタインズゲートの選択だ」
おわり
最後は忘れて…
保守してくれたひと本当にありがとう
今気付いたがもしもしで書き続けてたのかよ
よく書き続けた!おまえはすごいやつだ!
パソコンつけるのめんどくさかった
楽しかった
Entry ⇒ 2012.02.28 | Category ⇒ シュタインズゲートSS | Comments (0) | Trackbacks (0)
岡部「ダルよ」ダル「なに?」 前半
http://hayabusa.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1329118811/
次→岡部「ダルよ」ダル「なに?」 後半
ダル「あぁ分かるかも。内モモの辺りをビリビリに破りたいね。」
岡部「ほぅ‥、ダルは内もも派か。」
ダル「オカリンはどこ派?」
岡部「俺は太ももの後ろだな。」
紅莉栖「聞こえてるぞHENTAI共!」
紅莉栖「最初からいたわこのHENTAI!」
岡部「俺だ機関の妨害が入った‥。なにぃ?全てのトラップを抜けてここにきただと!?」
紅莉栖「トラップなんかなかったし、最初からここにいたと言っとろうが!」
紅莉栖「まゆりを悲しませるなこのHENTAI」
まゆり「オカリンとダルくんは何も分かってないのです。パンツを脱がせて、そしてストッキングをはかせて股関をびりびりに破った方がいいのです。」
ダル「それはマニアック過ぎだろ常考。」
紅莉栖「」
まゆり「あっフェリスちゃんトゥトゥルー♪」
フェイリス「ところでみんなで何してるのにゃ?」
フェイリス「まさか?ついにあいつが攻めてきたのかにゃ?ならフェイリスも自慢の爪で戦うにゃ。」シュッシュ
まゆり「実は紅莉栖ちゃんのストッキングをどう破くか議論してたんだよ~。」
ダル「フェイリスたんは破くなら何処なん?」
紅莉栖「そんな事聞くなHENTAI!ていうか議論せんでいい!」
フェイリス「そんなのふくらはぎに決まってるにゃ!」
紅莉栖「フェイリスさんまで‥」
いいぞ
フェイリス「太ももなんてベタなとこより全然いいにゃ!」
岡部「ベタとはなんだ!一番エロくて素晴らしいではないか!?」
フェイリス「凶真はお子さまにゃ。ふくらはぎが一番いいに決まってるにゃ!」
岡部「フゥハハハハ!しかし、ここには太もも派が二人いるぞ‥。どっちが優勢か分かるかフェイリスよ!」
フェイリス「むむむ」
岡部「なっダルよ。裏切るのか?」
フェイリス「さすがダルにゃん!そういうとこがフェイリスは大好きにゃん!」ギュー
ダル「フェイリスたんに抱き付かれるなんて、もうぼく死んでもいいお‥。」
紅莉栖「さっさと死ねHENTAI!」
まゆり「股間が一番いいに決まってるのです‥。」
岡部「るか子か‥、今日はどうしたんだ?」
るか「あ、その‥おか――凶真さんに‥スイカをお裾分けしに‥。」
岡部「それはご苦労るか子よ。疲れただろう休んでいくといい。」
るか「はっ‥はい!」
るか「ふぇ?」
紅莉栖「ちょっとまゆり!聞かなくていいから!るかくん困ってるじゃない!」
るか「ぼ‥ぼくは‥太もも‥です」
岡部「るか子よ話がわかるではないか!」
まゆり「そんなぁ~股間が一番だよ~!」
フェイリス「むむー」
岡部「他のラボメンも呼んでおいた!ふくらはぎか太ももか決着をつけようではないか!」
紅莉栖「呼ばんでいいし決着もつけんでいい」
フェイリス「望むところにゃん」
まゆり「股間派を忘れないで欲しいのです。」
鈴羽「やっほー!岡部倫太郎!遊びにきたよ!」
萌郁「‥‥‥」
鈴羽「んー。私は太ももかなー。スパッツでも破けるし。」
萌郁『岡部くんには悪いけど私はふくらはぎ派かなp(^^)q』
岡部「また見事にわかれたな‥。」
フェイリス「どうするのにゃん?凶真」
岡部「こうなったら第24回 円卓会議で決めようじゃないか!」
鈴羽「円卓なんてどこにあるの?」
ダル「ていうか今までで23回も行われたっけ?」
岡部「やかましいお前たち、さっさと始めるぞ」
岡部「んな?そこまで変態だったのかメリケン処女め!」
ダル「さすがに牧瀬氏‥それはひくわ。」
フェイリス「くーニャンはフェイリスの事そんな風にみてたのにゃん?」
鈴羽「牧瀬紅莉栖‥やっぱり君はSERNの工作員だったんだね。」
萌郁「‥HENTAI‥」ボソ
まゆり「まゆしぃはがっかりなのです」
岡部「お前は助手だからな」
紅莉栖「だから助手じゃないと言っとろうが!」
Mr.ブラウン「うるせーぞ岡部!家賃5000円upだこの野郎!」
岡部「それは困る!Mr.ブラウン!」
Mr.ブラウン「あぁ?いたのかバイト。さっさと戻って働きやがれ。」
鈴羽「店長は牧瀬紅莉栖のストッキングをどうやって破くの?」
Mr.ブラウン「破くなんて勿体無いことできるか!破かず端から端までなめ回すプレイにするに決まってんだろ!」
Mr.ブラウン「いたのか綯!?」
綯「お父さん最低‥」
Mr.ブラウン「綯!違うんだこれはな‥待ってくれ綯!おいバイト!俺は出掛けるから店番やっとけ!」
鈴羽「はーい!じゃあ私はバイトに戻るよ岡部倫太郎!」
岡部「あぁ‥。」
るか「僕も神社にもどらないと‥」
萌郁「私も‥」ボソ
岡部「あぁ気を付けてな。」
岡部「あぁ、そうだな。」
紅莉栖「破かんでいいこのHENTAI!」
岡部「紅莉栖‥破ったらだめなのか?」
紅莉栖「だから破かせんと‥って、いま紅莉栖って‥」
岡部「破ったらダメなのか?紅莉栖‥」
紅莉栖「へ?いや、別に駄目っていうか‥その‥」
紅莉栖「なっ‥そんないきなり‥」
岡部「お前の語る理論にしびれて、お前の言葉を胸に刻んで、俺はお前のことを好きになっていった。」
紅莉栖「‥」
岡部「だから紅莉栖‥。」
紅莉栖「はっ‥はい。」
岡部「破かせてくれ。」
紅莉栖「台無しだ。この野郎。」
紅莉栖「え?まゆり?」
まゆり「さっきからぐだりすぎてるの分からないのかな紅莉栖ちゃん。さすがにイライラしちゃったよ。」
紅莉栖「ちょ‥まゆり‥」
まゆり「はやくパンツ脱いでよ紅莉栖ちゃん。股間が一番いい事を皆に教えてあげるから。」
まゆり「オカリンはだまって、ほら‥早く紅莉栖ちゃん。」
紅莉栖「え?でも恥ずかしいし。」
まゆり「早く脱げっていってるでしょ、まっちょしぃに変身するよ?」
紅莉栖「グスッ‥」ヌギヌギ
岡部「す‥すまん」
まゆり「オカリンなんで目をそらしてるの?見ないと変身するよ。ダルくんも帽子で前を見えなくしないでちゃんと見ないと紅莉栖ちゃんに失礼でしょ。」
ダル「ぼくは変態でも紳士だからいざというときは自重するんだお。」
まゆり「見ろっていってるんだよダルくん。」
ダル「はい。見させて頂きます。」
岡部「すまない‥紅莉栖‥これもシュタインズゲートの選択なんだ。」
紅莉栖「うぅ‥」グスッ
岡部「‥‥」
まゆり「あれー紅莉栖ちゃん研究とか忙しくてものすごい生えてると思ってたのに。ちゃんと処理してるんだ。しかもパイパンなんてHENTAIさんだね。」
紅莉栖「そんなこと言わないでよ‥まゆりぃ‥あと橋田は自重しろ!」
まゆり「パンツ脱いだね。じゃあさっさとストッキングをはくのです。」
紅莉栖「うぐ‥」
ダル「おっおっおー」ビュルル
岡部「は?」
紅莉栖「え?」
まゆり「ほらダルくんそんなところで倒れてないで、まゆしぃ達はラボからでていくよ」バタン
ダル「ふぅ‥。じゃあオカリン頑張れお」バタン
岡部「どういう事だ?」
岡部「なんだ‥紅莉栖?」
紅莉栖「その‥破かないの?」
岡部「いや、お前も嫌だっただろう。はやくパンツをはきなおせ。」
紅莉栖「いいよ‥その‥岡部なら‥」
紅莉栖「だから岡部なら破いていいよ」
岡部「俺だ‥機関から精神的ダメージをうけた。なにぃ破いてやれだと?ふっ仕方ないなそれもシュタインズゲートの選択か」
岡部「クリスティーナよ!」
紅莉栖「だからクリスティーナでも助手でもないと言っとろうが!」
岡部「破くぞ‥紅莉栖。」
紅莉栖「ひゃ‥ひゃい!」
紅莉栖「仕方ないでしょ。緊張してるんだから。」
岡部「まずは太ももの後ろから」ビリビリ
紅莉栖「んっ‥」
岡部「素晴らしい‥が何か足らないな‥」
岡部「待ってくれ紅莉栖、何かが足りないんだ。そうだ!ふくらはぎも破かせてくれ!」
紅莉栖「へ?でも‥」
岡部「頼む。紅莉栖。」
紅莉栖「は‥はい‥」
岡部(なっ!これは素晴らしいじゃないか。さすがフェイリス。)
岡部(しかしまだ何か足りない。何かが。)
紅莉栖「ねぇ?もういい岡部?」
岡部「そうか!分かったぞ!」
紅莉栖「え?」
岡部「股間を破かせてくれ紅莉栖。」
岡部「頼む‥。」
紅莉栖「‥いい‥よ‥」
岡部「本当か紅莉栖!」ビリビリ
紅莉栖「ちょっと‥急にやぶかないでよ!」
岡部「こっこれは‥」
紅莉栖「恥ずかしいよ‥岡部ぇ‥」
岡部「紅莉栖‥可愛いぞ。」
紅莉栖「なっ」///
岡部「好きだ‥紅莉栖」
紅莉栖「‥‥わたしも‥すぎだよ岡部‥」
おわれ‥‥
このやろう‥‥
詰まり続ける形になるな
ダル「なに?」
岡部「バイト戦士のスパッツをビリビリに破りたいと思わないか?」
ダル「あぁ分かるかも。内股をビリビリっとね」
岡部「内股もいいが太ももの後ろもいいだろ。」
ダル「というかスパッツの下ってパンツはいてるん?」
紅莉栖「私に聞くなこのHENTAI!」
ダル「でも阿万音氏パンツはいてるイメージなくね?」
まゆり「まゆしぃはがっかりなのです。」
紅莉栖「まゆりをがっかりさせるな。このHENTAI共。」
まゆり「スパッツなら破くより股間の部分に顔を埋めた方がいいに決まってるのです」
紅莉栖「だめだコイツら‥はやくなんとかしないと‥。」
岡部「ん?」
ダル「お?」
紅莉栖「……!!」
紅莉栖「何でもない!何でもないから忘れろ!」
ダル「まゆ氏、破った後に埋めるのはダメなん?」
まゆり「破った後だと恥ずかしさが薄れると思うんだよ!だから急に股間に顔を埋めて相手が恥ずかしがるしぐさを見れば興奮するとまゆしぃは思うのです。」
まゆり「だから破くなら匂いを嗅いだ後がいいとまゆしぃは思うよ。」
ダル「さすがまゆ氏。いつも僕たちの2つ上をいく、そこに痺れる!あk…」
紅莉栖「憧れないけどな。」
ご飯たべる
落としてくれても構わない
紅莉栖「うるさい!ネラーじゃない!」
岡部「ぬるぽ」紅莉栖「がっ」
岡部「」ニヤニヤ
紅莉栖「うぅ~不覚だわ。」
ダル「そんな事より阿万音氏パンツはいてるん?かなり気になるんだけど。」
ダル「でも阿万音氏がパンツはいてるイメージある?」
岡部「……ないな。」
まゆり「まゆしぃは流石にはいてると思うな~」
ダル「どんなパンツはいてると思うん?」
まゆり「ん~とね~縞パンとか?」
岡部「それはないだろ。」
まゆり「キャラクター物パンツとか…昔お父さんから買って貰ったとかで…。」
ダル「あぁ有るかも…」
紅莉栖・岡部「ねーよ」
紅莉栖「助手じゃないと言っとろうが、だいたい私はそんな事興味ない!ジョン・タイターにでも聞けばいいじゃない、鳳凰院凶真さん。」
岡部「ぐっ…」
岡部(しかしタイターか…。聞いてみるのもいいかもしれないな。)
ダル「え?でも阿万音氏のパンツどうするん?」
まゆり「そ~だよ~。せっかく盛り上がってきたのに~。」
岡部「俺が調べといてやるからお前たちはもう帰れ。それにまゆりはバイトだろう。」
まゆり「そうだったよ。メイクイーン+ニャン2でバイトがあるんだった。じゃあオカリン調べといてね!」
岡部「あぁ。気を付けてな。」
ダル「あ、ぼくもフェイリスたんに会いに行くお、んじゃオカリン後はよろしく。」
タイター『なるほどパンツをはいてるか分からない人ですか。それは困りますね。しかし未来でもパンツをはいてるか確認する方法なんて直接聞いてみる以外はないですよ。健闘を祈ります。』
岡部「直接か…。」
岡部「たしかにそれ以外ないな…。よし、聞いてみるか。」
綯「ひっ!」
Mr.ブラウン「おい、岡部!てめぇなに綯をビビらせてるんだ?家賃あげるぞこの野郎!」
岡部「誤解だ、Mr.ブラウン!ところでバイト戦士の姿が見当たらないのですが。」
Mr.ブラウン「あ?バイトならもうくるんじゃねぇのか?」
鈴羽「やっほー岡部倫太郎!」
鈴羽「なんだい?岡部倫太郎。」
岡部「お前に聞きたいことがある!」
鈴羽「聞きたい事?」
岡部「お前はパンツをはいているのか?」
鈴羽「んな!?」
岡部「私だったってなんの事だ?」
Mr.ブラウン「ほぅ…なんだノーパンプレイか?やるじゃねぇか。」
綯「お父さん」ジトー
Mr.ブラウン「なっ綯!違うんだ!これはな…。おいバイト!俺は出掛けるから店番しとけ!」
鈴羽「はいてるに決まってるじゃん!なにいってるのさ岡部倫太郎」
岡部「どんなパンツなんた?」
鈴羽「な?そんな事まで聞くのかい君は?」
岡部「鈴羽よ…。見せてくれないか?」
鈴羽(でも直接聞けばいいって言った私もわるいのか…)
岡部「どうなんだ鈴羽?」
鈴羽「う~仕方ないな~」
岡部「本当か?みせてくれるのか?」
鈴羽「私は戦士だからね!パンツみせる位お手のものさ!」
鈴羽「オーキードーキー」
岡部「まて鈴羽」
鈴羽「?」
岡部「そこのソファーに座ってくれないか?」
鈴羽「ソファーに?まぁいいけど。」
鈴羽「で?どうするんだい?」
鈴羽「足を広げるぅ~?なんで~?」
岡部「これは戦士として重要な事なんだ鈴羽…。」
鈴羽「戦士として重要!?じゃあ仕方ないか。よし!広げるよ!」
岡部「あぁ…頼む…」
岡部「」ガバッ
鈴羽「ちょっ、岡部倫太郎!なにを?」////
岡部(なんだこれは?鼻をさすようなツーンとした汗の匂いに数週間洗ってないスパッツの香り。素晴らしい!これがシュタインズゲートの選択か!)グリグリ
鈴羽「ちょっと岡部倫太郎!ぐりぐりしないでよぉ~!」/////
鈴羽「おかべりんたろぉ~恥ずかしいよ~」
岡部(ぬおー!恥ずかしさの余り涙目になっているバイト戦士だと!?これは素晴らしい!まゆりの言う事は本当に凄いな…。)
鈴羽「もういいでしょ~?ていうかパンツ関係ないじゃん!!」
鈴羽「ん~、儀式なら仕方ないか、まだあるのかい」
岡部「あぁ次の儀式にうつるぞ」
鈴羽「オーキードーキー」
鈴羽「ちょっと、何してるのさ!岡部倫太郎!」///
岡部(やはりスパッツが破れてさらけ出した内ももは素晴らしい!)
岡部(しかし俺は内ももより太ももの後ろ派。そして内ももは縦に裂くのがいいが後ろのももは横に裂くのがいいのだ!)
岡部「鈴羽…むこうを向いてお尻をつきだしてくれ。」
鈴羽「う~それも戦士として必要な事なのかい?」
岡部「あぁ頼む。」
鈴羽「む~必要な事なら仕方ないのか~。」
岡部(スパッツをはいたまま、つきだしたお尻がこんなに素晴らしいものとは知らなかったぞ…)
鈴羽「ねぇ~早くしてよ~流石に恥ずかしいよ~」
岡部「あぁ…」ビリビリ
岡部(やはり、後ろのももは素晴らしい!しかも鈴羽の鍛えられた筋肉がまたエロいぞ!これがシュタインズゲートの選択か)
鈴羽「あ~んも~そこも破くの?このスパッツ気に入ってるんだよ。」
岡部「後で買ってやるさ鈴羽」
鈴羽「本当?あっ、でも買って来てよね。私このままじゃ出歩けないし。」
岡部「もちろんだ」
岡部(もちろん破けやすそうで鈴羽が着るより少し小さいサイズを買うがな…。)
岡部(本命はいてない、相手に白、中穴が縞パン、大穴がキャラパンだな)
鈴羽「ねぇ~岡部倫太郎ぉ~もうこの体制はいいでしょ~?」
岡部「いやまて鈴羽よ!この体制のままパンツをみる」
鈴羽「え~また破くの~」
岡部「ここまで破ったんだ。これ以上破ってもなにもかわらんだろう。」
鈴羽「うぅ~それもそうかもしれないけどさ。」
岡部「それに破いた方が戦士らしいだろう。」
鈴羽「それもそうだね。よし破っちゃってよ岡部倫太郎!私は一流の戦士だからね!」
岡部「ではいくぞ!」
鈴羽「オーキードーキー」
岡部(!!)
岡部(こ、これは…)
岡部(はいてないだと…)
岡部(うそをついたのか?)
岡部(しかし、なんでそんなことを)
岡部(しまった!)
岡部(勢いあまってパンツごと破いてしまった!)
鈴羽「岡部倫太郎…なにをテンパってるの?」
岡部「いや!なんでもないぞ!バイト戦士!お尻の穴が見えてるとかそんな事は絶対ないからな。」
鈴羽「パンツはいてるのにお尻の穴なんて見えるわけないじゃん…。変なやつだね岡部倫太郎は。」
岡部(こうなったら鳳凰院凶真モードで見たふりをするしか)
岡部「フゥハハハハ、しかしバイト戦士よ!お前はこんなパンツをはいていたのか。」
鈴羽「うん…父さんのね…形見なんだ…。」
岡部(oh...)
鈴羽「父さんとは会った事ないんだけどね。」
岡部「…」
鈴羽「えへへ…変でしょ18にもなってキャラパンなんて。笑っちゃうよね。」
岡部「…」
鈴羽「私が生まれる前に父さんが娘が18になったとき、このパンツを娘にはかせるんだ!っていってね」
岡部「…」
鈴羽「笑っちゃうよねそんな父さん。」
岡部「…」
鈴羽「いいよ。パンツを馬鹿にしたことくらい、気にしてない。」
岡部「違うんだ。」
鈴羽「え?」
岡部「ほんとうにすまない!!鈴羽!!」
鈴羽「な!?いきなり泣き出してどうしたのさ岡部倫太郎。」
鈴羽「どうしたの?落ち着いてよ!」
岡部「お前のパンツを破ってしまったんだ!」
鈴羽「え?」
岡部「本当に…すまない…。」
鈴羽「……ぁ…」
鈴羽「……」
岡部「許してくれなんていわない。殴ってくれても構わない。本当にすまない鈴羽。」
鈴羽「いいよ…」
岡部「いい訳あるか!?おれはお前の大切なものを…」
鈴羽「いいっていってるでしょ!岡部倫太郎!」
岡部「なっ!」
岡部「おれは優しくなんかない!お前の大切なものを破いてしまったんだ。」
鈴羽「そんなものまた縫えば直るよ!」
岡部「しかし…」
鈴羽「いいんだって、それに君の好奇心はやがて未来を動かすんだからどうでもいいなんて言ったらダメだよ。」
鈴羽「だからいいって、許すよ!岡部倫太郎」ニコッ
岡部「ありがとう、鈴羽。」
鈴羽「でも一つ絶対に許せないことがあるんだけどー」
岡部「なんだ?なんでもお詫びするぞ。」
鈴羽「私のお尻の穴見たよね?」ジトー
鈴羽「えぇ~ひっど~い!お尻をつきだせって言ったのは君だよ!岡部倫太郎!」
岡部「たしかに言ったがあれは戦士として…」
鈴羽「へー言い訳するんだ」ジトー
鈴羽「べつに土下座までしなくていいけどさぁ~」
岡部「そうか、だかすまない!」
鈴羽「けど…」
岡部「なんだ?」
鈴羽「責任とってよね岡部倫太郎。」ニコッ
紅莉栖「私が聞きたいわよ!うぅ岡部ぇ~。」グスッ
まゆり「でもまゆしぃは嬉しいのです。二人がこんなに仲がいいなんて。」
岡部「茶化すな。まゆり。」
鈴羽「えへへ、あっ牧瀬紅莉栖!パンツぬってくれて有り難うね。」
ダル「で?阿万音氏のパンツってどんなん?」
鈴羽「それは秘密にしておくよ!」
おわり
なんつって
ダル「なにオカリン?」
岡部「フェイリスもストッキングをはいてるよな。」
ダル「はいてるけどそれがなに?」
ダル「そうだね、フェイリスたんは別にストッキングを破かなくても天使だし。」
岡部「しかしダルよ。」
ダル「なに?」
岡部「フェイリスはガーターベルトをつけているのか気にならないか?」
ダル「それは気になる。ものすごく。」
紅莉栖「だから助手じゃないって何度もいっとろうが!…そりゃ、はいてるでしょ。メイドなんだし。」
ダル「猫耳メイドだお」
紅莉栖「どっちでもいい!」
ダル「ていうか、これはまゆ氏に聞けばすぐ解決するだろ常考」
紅莉栖「まゆりなら出掛けてるわよ。」
岡部「くそ、なんでこんな大事な時にいないんだまゆりは。」
ダル「電話すればよくね?」
岡部「そうだな」
岡部「くそ、なんでこういう大事な時に繋がらないんだ!」
ダル「オカリン荒れてるね~」
岡部「お前は平気なのか?気にならないのか?」
ダル「うん、だって妄想するのが一番たのしいお。ガーターベルトなのかー。黒ストでその下は縞パンなのかとか~。はたまたドロワーズとか~。そしてストッキングの下はノーパンとかも。」ハァハァ
紅莉栖「自重しろHENTAI」
ダル「あっオカリン、メイクイーンにいくん?んじゃ僕も。牧瀬氏もくる?」
紅莉栖「私は遠慮しておくわ。フェイリスさんちょっと苦手だし。」
岡部「まゆりが帰ってきたら連絡してくれクリスティーナ!」
紅莉栖「クリスティーナっていうな!」
フェイリス「あっ、凶真にダルにゃん!いらっしゃいにゃん!」
岡部「うむ、フェイリスよ。席に案内してくれ。」
フェイリス「凶真!わたし遂にやったのにゃん!」
岡部「やったって何をだ?」
フェイリス「あれ言ってなかったにゃ?遂に奥義をマスターしたにゃんその名も―――」
岡部「はやく、案内してくれないか?後がつっかえてるぞ。」
フェイリス「これは失礼しましたにゃん!こちらに案内するにゃん!」
ダル「で?オカリンいつ聞くん?」
岡部「いつって?フェイリスがこの席にきた時でいいんじゃないか?」
ダル「フェイリスたん人気あるし忙しいからなかなか来ないと思うお。」
岡部「なに?ならばフェイリスがガーターベルトをはいているか聞けないかもしれないということか?」
フェイリス「フェイリスがなにかにゃ?」
岡部「!!…フェイリスいたのか?」
ダル「ありがとうフェイリスたん。」
岡部「あぁご苦労。」
フェイリス「で?フェイリスがなににゃん?ガーターベルトがどうとかいってたけど~。」
ダル「オカリンがフェイリスたんが何をはいているか知りたいんだって!僕は止める為に来たんだけどね。オカリン聞かなくて。」
岡部「んな…!ダル!貴様…!」
ダル「うん、オカリンのHENTAIパワーには困ったお」
岡部「貴様が言うな!裏切り者め!」
ダル「フェイリスたんの為なら神様だって裏切るお」キリッ
フェイリス「凶真はフェイリスが何をはいているのか見たいのにゃん?」
フェイリス「雷ネットでフェイリスと闘えば考えてあげてもいいにゃん!」
岡部「雷ネットで闘えば教えてくれるんだな?」
フェイリス「考えてやってもいいにゃ」
ダル「いや初心者のオカリンがフェイリスたんに勝つなんて無理だろ常考」
ダル「ふーん、どんなん?」
岡部「その名も作戦コードG!」
フェイリス「作戦コードG…。」ピクッ
岡部「いくぞ!フェイリス!」
フェイリス「こいにゃ!凶真!返り討ちにしてやるにゃ!」
フェイリス「ふふん…凶真はまだまだだにゃん。出直してくるにゃん。」
岡部「フゥハハハハ!ひっかかったなフェイリスよ!お前は闘えば教えてくれるといったな。」
フェイリス「言ったけどそれが何かにゃ?」
岡部「闘えば教えてくれると言ったが闘って勝てばなんていってないぞ。フェイリスよ。」
ダル「うわ…オカリンずるぅ~。でも、そこにしびれる、あこがれるぅ。」
岡部「んな?約束がちがうぞフェイリス!」
フェイリス「フェイリスは考えってやってもいいって言ったのにゃん。考えた結果おしえないのにゃん!」
岡部「うぐ!」
フェイリス「出直してくるにゃ!凶真!」
岡部「くそ!やはり気になるぞ。」
ダル「オカリンまだ気にしてたん?僕みたいに妄想する方がいいのに。あぁフェイリスたん…はぁはぁ…」
紅莉栖「岡部、タイムリープマシンできたわよ!」
岡部「そんなオモチャ後回しだ。」
紅莉栖「オモチャって…ほめてくれると思って頑張ってつくったのに…」グスッ
ダル「風邪でもひいたんかなまゆ氏」
岡部「いや、そういう連絡は来てない。」
紅莉栖「心配ね」
岡部「あいつも忙しいんだろ。そっとしておいてやれ。俺は少し出掛けてくる。」
岡部「バイト戦士か、実は気になる事があってな」
鈴羽「なに?気になることって。もしかしてスパッツとか?」
岡部「いや、スパッツには興味ない。」
鈴羽「なぁんだ。」
Mr.ブラウン「おいバイト!ぐだぐだしゃべってないで働けこの野郎!」
Mr.ブラウン「する事なんて一杯あるだろ、自分でさがせ!」
鈴羽「はーい」
岡部「Mr.ブラウン」
Mr.ブラウン「そのMr.ブラウンってのやめろっていってんだろ!家賃あげるぞこの野郎!」
岡部「ガーターベルトについてどう思う?」
Mr.ブラウン「あぁ?ガーターベルト?んなもんガーターベルトつけさせたままパンツだけ脱がせるプレイに決まってんだろうが」
綯「お父さん」ジトー
Mr.ブラウン「なっ綯!?違うんだよ。これはな…。そうだ!アイス買ってあげようか綯?」
綯「アイス食べたい!」
Mr.ブラウン「おーそうか、じゃあ一緒に買いにいこうな。おい、バイト!俺は出掛けるから店番しとけ!」
鈴羽「はいはい、わかってますよーだ。」
岡部(こうなったら無理やり…)
岡部(いや…それは人間的に)
岡部(くそ…凶器のマッドサイエンティストが人間的に…って)
岡部(やはり無理やりが一番なのか?)
岡部(よく考えればこっちにはタイムリープマシンがある。)
岡部(無理やりフェイリスのスカートを捲って確認した後に時間を遡ればなかったことになるんじゃないか?)
岡部(しかし、無理矢理なんて…)
岡部「もしもし…」
紅莉栖『岡部!まゆりが…まゆりがー!』
岡部「落ち着け助手よ。まゆりがどうしたと言うのだ?」
紅莉栖『まゆりが…死んじゃったー』
岡部「なに?」
紅莉栖『本当だって…ば…』
岡部「なんで死んだんだ?そんな馬鹿な話信じられる訳ないだろ!!」
紅莉栖『ひぐっ…実は…』
まゆり「紅莉栖ちゃんトゥットゥル-」
紅莉栖「まゆり!久しぶりじゃない!?今まで何してたの?」
まゆり「えへへ、なんかまゆしぃはネタキャラになってる気がしたので、主役になれるように修行してたんだよ。」
紅莉栖「ネタキャラってなんのこと?」
まゆり「紅莉栖ちゃんは気にしなくていいんだよ。ところでオカリンは?」
まゆり「へ~オカリンはそんな事きにしてたんだ。」ムキ
紅莉栖「ほんとあいつらのHENTAIには呆れるわ」
まゆり「まゆしぃも気になるのです」ムキムキ
紅莉栖「ちょっとまゆり?」
まゆり「気になりすぎてまっちょしぃになっちゃったのです」ムキムキ
紅莉栖「え?ちょ?」
まゆり「まっちょしぃになると長くはいきられないのです。」
紅莉栖「え?」
まゆり「うっ」バタン
紅莉栖『って事が…』
岡部「カオスすぎるだろ。」
岡部「紅莉栖…タイムリープマシンは完成してるんだな?」
紅莉栖『完成してるけど、実験してないからできるか分からないわよ』
岡部「大丈夫だ。おれは紅莉栖を信じる。」
紅莉栖『へ?岡部?』
岡部「タイムリープマシンで過去に戻り、お前をまゆりに会わせないようにすれば解決する話だ。」
紅莉栖『でも…』
岡部「おれはまゆりを助ける!今すぐラボに戻る。タイムリープの準備を頼む。」
岡部「紅莉栖…タイムリープの準備は?」
紅莉栖「できてるけど本当にするの?」
岡部「あぁ。」
紅莉栖「気をつけてね岡部。」
岡部「うぐぐ…とべよおおおお~」
ダル「どうしたんオカリン?」
岡部「なんでもない。」
紅莉栖「……」
岡部(紅莉栖はタイムリープマシンをつくってる最中か。そういえばフェイリスが気になりすぎて気づかなかったな)
岡部「紅莉栖…。」
紅莉栖「ふぇ?いま紅莉栖って…?」
岡部「頑張ってタイムリープマシンをつくってくれ。期待している。」
紅莉栖「なっ!そんな事言われんでもつくるわ!」
岡部「そうか…すまなかったな…」
紅莉栖「え?いや謝らなくても…あぅ…」
もぅ取り返しつかないのてこのままいきます。
岡部(確かに紅莉栖とまゆりが会わないようにすれば解決するかもしれない。しかし万が一というのも考えられる。フェイリスがなにをはいているのかまゆりに教えた方がいいんじゃないのか?)
ダル「んじゃ僕はこの辺で」
岡部「どこかいくのか?ダルよ。」
ダル「雷ネットの大会の決勝戦だお!フェイリスたんを応援しにいくんだお!」
岡部「おれもいくぞダル!」
ダル「オカリン雷ネット興味あったん?でも残念ながらチケットは1枚しかないんだお。」
ダル「いやだお」
岡部「たのむ!このままだとまゆりが死ぬんだ!」
ダル「え?まゆ氏が?」
岡部「あぁ…だからたのむ!」
ダル「いや、そんなん騙される訳ないじゃんオカリン。不謹慎すぎだろ常考。」
岡部「本当なんだ!ダル。」
紅莉栖「流石に不謹慎だぞ!自重しろバカ!」
岡部「ぐっ」
岡部(くそ…出待ちするしかないのか…)
岡部(いつ頃に終わるのか聞いておけばよかったな…。)
岡部(くそ…まだか…)
フェイリス「あ!凶真!逃げるにゃん!」ダッ
岡部「は?」
アタッカーズ「おら待て!」
岡部「な?あいつらは?」
フェイリス「早くするにゃん!捕まっちゃうにゃ!」
岡部「くっ…」ダッ
岡部「フェイリス説明しろ!あいつらは何者だ?」
フェイリス「ヴァイラルアタッカーズとかいう悪い連中にゃ。」
岡部「なんでそんなやつに終われてるんだ。」
フェイリス「フェイリスがあいつらを倒して優勝したからその腹いせにゃ!」
岡部「とんでもない奴らだな…。」
アタッカーズ「見つけたぜお前ら。逃げられると思うなよ。」
岡部「くそ…囲まれた…。」
岡部「ぐわぁ…やめろぉ…俺の右腕…くそぉこんな時に力が暴走するなんて…」
アタッカーズ「なんだ…こいつやばいぞ」
岡部「お前らぁ…俺の右腕の力が解放される前に逃げないとヤバイぞ…」
アタッカーズ「なっなんだと?」
岡部「うぐぉぉお」
アタッカーズ「って騙されるか馬鹿野郎!」ドコ
岡部「ぐはぁ」
フェイリス「凶真ぁ~」
アタッカーズ「おらやっちまえ!」
フェイリス「凶真ぁ~!お前たち凶真をいじめるな~!」
アタッカーズ「おら」ドカ
岡部「ぐふっ…おれは倒れるわけにいかないんだよ!」
アタッカーズ「なんだ?まだ倒れないのかよ」ドコ
岡部「うぐっ…俺は…フェイリスがなにをはいているのか確認するまでは倒れるわけにいかないんだ!まゆりのために!そして俺の為にも!」
フェイリス「きょ、きょうま~。」
アタッカーズ「なんだよこいつ!変態か?」
アタッカーズ2「なに?にげるぞ、おい!」バタバタ
岡部「ふぅ…助かった…か…」バタン
フェイリス「凶真ぁ!いやだにゃ!死んじゃ嫌だにゃおきるにゃ!」
岡部(くそ…意識が遠く…)
岡部「ん……ここはどこだ?」
フェイリス「あ!凶真!目を覚ましたにゃ!よかった、本当によかったにゃ!」グスッ
岡部「泣くなフェイリス…ところでここはどこなんだ?」
フェイリス「ここはフェイリスの家にゃ。」
岡部「そうか」
留未穂「倫太郎さん」
岡部「なっ?どうしたんだフェイリス?」
留未穂「今は留未穂ってよんでください倫太郎さん。」
岡部「どうしたというのだフェイリス。」
留未穂「倫太郎さん…」
岡部「ぐっ…る、留未穂…。」
留未穂「はい」ニコッ
岡部「!?」
岡部(こ…これは…やばいぞ。機関の精神攻撃か?グラッときた。)
岡部「なんだ留未穂?」
留未穂「私が何をはいているか知りたいですか?」
岡部(くっ…これは…鳳凰院凶真モードに入るしか)
岡部「フゥハハ 留未穂「倫太郎さん」」
岡部「はい。」
留未穂「今は凶真さんではなく倫太郎さんとして話して欲しい…。」
岡部「あぁ…」
留未穂「はい…私…恥ずかしいけど…倫太郎さんになら、見せてあげてもいいです。」ヌギ
岡部「まってくれ!留未穂よ…。」
留未穂「へ?」
岡部「その…メイド服に着替えてくれないか?」
岡部「たのむ…これは大事な事なんだ…」
留未穂「分かりました。でも一つお願いが。」
岡部「なんだ?」
留未穂「今はフェイリスにはなりたくないんです。留未穂のまま…でもいいですか?」
岡部「もちろんだ」
留未穂「では着替えてきます。」
岡部「あぁ…待ってる。」
岡部「…」
岡部(なんだ?いつものメイドの感じとちがうぞ。)
留未穂「どう?倫太郎さん…」
岡部「あぁかわいいぞ…」
留未穂「そんな、恥ずかしいよ倫太郎さん」
他のSS参考にしながら書きます
留未穂「う、うん。」ハラ
岡部「やはりガーターベルトをつけていたのか留未穂よ…。」
留未穂「うぅ…恥ずかしいよ倫太郎さん」
岡部「留未穂…こっちにきてくれ」
留未穂「え?」
岡部「今日は留未穂と一緒に寝たい気分なんだ。だめか?」
留未穂「いえ、むしろ倫太郎さんとなら一緒にねたい。」
岡部「なんだ留未穂?」
留未穂「その…腕枕をしてほしいの。」
岡部「ふっ、腕枕位してやるさ。甘えん坊なんだな留未穂は。」
留未穂「倫太郎さんだから甘えるんだよ…。」
岡部「なっ、それはどういう意味だ?」
留未穂「流石に鈍いよ…倫太郎さん。」
岡部「いや、分かってる。分かってはいるが、恥ずかしいだろ…」
岡部「馬鹿にするな。留未穂。」
留未穂「馬鹿になんてしてないよ。本当のことだよ。」
岡部「…」
留未穂「ねぇ倫太郎さん」
岡部「なんだ?」
留未穂「すきだよ。」
岡部「あぁ、俺も留未穂が好きだ。フェイリスも含めてな。」
紅莉栖「うぅ~岡部ぇ~」
まゆり「でもフェリスちゃんはガーターベルトをつけてたんだね。まゆしぃは知らなかったのです。」
ダル「あーあー聞こえないーフェイリスたんはドロワーズはいてるのー!」
フェイリス「にゃにゃん!大好きにゃ凶真!」
おわり
むちゃくちゃになった
ごめん
もう寝ます。
起きたときにスレ残ってたら続き書くけど需要なければ落としてください。
次は萌郁さんだな
よく頑張った
ダル「なに?」
岡部「閃光の指圧師だが…。」
ダル「は?だれ?」
岡部「桐生萌郁だ!」
岡部「あぁ、その桐生萌郁だが…」
ダル「スカートびりびりにでもするん?」
岡部「なんでスカートをびりびりにするとかいう話になるんだ?」
ダル「なんか3回位やってる気がするんだお。」
岡部「気のせいだろ。桐生萌郁のシャツをボタンごとブチブチに破きたいと思わないか。」
岡部「さすがダル!話が分かるな。」
ダル「そして破った時に見える黒いブラ。胸にはホクロがついてて…はぁはぁ」
紅莉栖「自重しろ!HENTAI!」
紅莉栖「助手っていうな!…ていうか私もシャツを着てるんだが、まさか私のシャツまで破きたいなんて思ってるんじゃないわよね?」
岡部「それはない」
紅莉栖「な…なんで?」
岡部「助手にはエロさが足りない。」
紅莉栖「うっさい!貧乳で悪いか?」
紅莉栖「……」グスッ
ダル「アブノーマルすぎだろまゆ氏」
まゆり「そうかな~、でもオカリンならできると思うな~」
紅莉栖「HENTAIだしね。」
岡部「なっ?」
紅莉栖「はいはい童貞乙」
岡部「ぐっ…」
ダル「そんな事より萌郁氏のシャツやぶくん?」
まゆり「そうだよ!バイトに行かないと。」
ダル「んじゃ僕もフェイリスたんに会いに行こうかな。オカリンおつかれ~。」
岡部(閃光の指圧師にメールを送るか。)
ピロリン♪
岡部「…」カチカ
ピロリン♪
ピロリン♪
ピロリン♪
岡部「一度にかえせ!この!」ピロリン♪
ピロリン♪
岡部「くそ…」ピロリン♪
紅莉栖「何をイライラしてるのよ…。」
紅莉栖「私はラボに用事があるの。」
岡部「なんだ?用事って?」
紅莉栖「何でもいいでしょそんな事!」
岡部(メールを返すのも面倒くさいな。直接会って話ができるようにかけあってみるか。)
岡部「助手よ!俺はでかけ…」グキッ
岡部「はぅ!!」
紅莉栖「え?岡部?どうしたの?」
岡部「足を…くじいてしまった。」
紅莉栖「大丈夫?すぐ病院に…」
岡部「待て!紅莉栖」
紅莉栖「え?」
紅莉栖「でも岡部が…」
岡部「俺の事より桐生萌郁のシャツを破く事の方が大切なんだ!」
紅莉栖「………」
岡部「頼む…紅莉栖…。俺のかわりに桐生萌郁のシャツを破ってくれ。」
紅莉栖「…分かったわよ。でも後で病院に連れていくからな。」
岡部「あぁ、ありがとう紅莉栖。」
紅莉栖(私が萌郁さんのシャツを破くなんて無理じゃないか?)
紅莉栖(うぅ~どうしよう~)
綯「助手のお姉ちゃん!」
ご飯たべる
需要なければ落としてください。
綯「助手のお姉ちゃんでかけるの?」
紅莉栖「……」
紅莉栖「ちょっとシャツでも買いにいこうかなって思ってね。」
Mr.ブラウン「シャツか、シャツといえばやっぱり裸Yシャツだな。女の子の恥ずかしがる顔を見ながらプレイなんてたまらんぜ」ブツブツ
綯「お父さん、聞こえてるよ」ジトー
Mr.ブラウン「綯!?聞こえたのか?いや、違うんだ!これはな、おいバイト!店番しとけ!」
シーン
Mr.ブラウン「くそ、なんでこんな時にバイトはいねぇだ。あぁ、待って綯、お父さんを見捨てないでくれ。」
紅莉栖「……」
紅莉栖(いた!)
紅莉栖「萌郁さん、こんにちは」
萌郁「………」
紅莉栖「岡部が怪我しちゃってかわりに私がきたんだけど…」
萌郁「……」
紅莉栖(気まずい…)
紅莉栖「え?あ。」
紅莉栖(くっ…出会った時の事を考えてなかったわ。)
紅莉栖(ここからシャツを破くなんて難題にも程があるわよ。)
紅莉栖(とりあえず仲良くなることから始めるか。)
紅莉栖「萌郁さん。」
萌郁「……」
紅莉栖「せっかくだし私と遊ばない?」
紅莉栖「だめ?」
萌郁「………」
紅莉栖(うぅ~むちゃくちゃ緊張するわ…。断られたらどうしよう。萌郁さんと私ってあまり仲良くないし断られるかも…。)
萌郁「いい…」ボソッ
紅莉栖(はい断らたー\(^o^)/わたしおわたー\(^o^)/って…え?)
紅莉栖「え?いいの?」
萌郁「いい…よ…」ボソッ
紅莉栖(キタ━(゚∀゚)━!!)
紅莉栖(くっ、落ち着け私!むしろ問題はここからじゃない!)
萌郁「どこ…いくの?」ボソッ
萌郁「………」コクッ
紅莉栖「じゃあいきましょう、萌郁さん。」
萌郁「…」コクッ
萌郁「…」ジー
紅莉栖「あれ?萌郁さんどうしたの?あぁUFOキャッチャーね。この人形が欲しいの?」
萌郁「…」コクッ
紅莉栖「なら…私がとってあげるわ!」
萌郁「ほんと?」ボソッ
紅莉栖「任せて。私こういうの得意だから。」
萌郁「……」
紅莉栖「待ってね、萌郁さん。次でとってみせるから!」
萌郁「……」
紅莉栖「ちょっとアームの力弱いんじゃないのこれ?」
萌郁「わたし…やってみる」ボソッ
紅莉栖「へ?うん、どうぞ。」
紅莉栖「な?一発で!?」
萌郁「……」ギュッ
紅莉栖「良かったわね萌郁さん。」
紅莉栖(くっ、なんか悔しい…)
萌郁「ありがとう…」ボソッ
紅莉栖「え?」
萌郁「わたしのために…頑張ってくれて」ボソッ
紅莉栖「へ?いや、気にしないでいいわよそんな事。」
紅莉栖「あ、萌郁さん!次はあれで遊ばない?」
萌郁「…」コクッ
萌郁「……」
紅莉栖(うぅ…ここからどうやってシャツを破けばいいんだろう?)
萌郁「うちに…こない?」ボソッ
紅莉栖「え?うちって萌郁さんの家?」
萌郁「うん…だめ?」ボソッ
紅莉栖(これってもしかしてチャンスだったり?)
紅莉栖「じゃあお邪魔しようかしら。」
萌郁「…」コクッ
萌郁「そうでもない…」ボソッ
ガチャ
萌郁「はいって…」ボソッ
紅莉栖「あ、じゃあお邪魔するわ。」
紅莉栖「あれ?鍵を締めるの?」
萌郁「戸締まりは…大切…」ボソッ
紅莉栖「電気はつけないの?」
萌郁「とまっててつかない…」ボソッ
紅莉栖「そう…なんだ…」
紅莉栖(あれ?もしかして私ヤバくない?)
紅莉栖「!!」
萌郁「……」ジリ
紅莉栖「どどどどうしたの?萌郁さん?」
萌郁「どうして私から離れるの?」ジリ
紅莉栖「だ、だって萌郁さんが急に近づいて来るから。」
紅莉栖「嫌いじゃ…ないけど…」
萌郁「……」ギュッ
紅莉栖「ちょ、ちょっといきなり抱きついてどうしたの?」
萌郁「……」バッ
紅莉栖「きゃっ!?」
萌郁「……」ブチブチ
紅莉栖「ちょちょっと!シャツ破かないで!」
萌郁「………」
紅莉栖「うぅ……」
萌郁「エロさが…足りない」ボソッ
紅莉栖「うっさい!」
紅莉栖「あぅ…」グスッ
萌郁「ごめんなさい」
紅莉栖「許さない。」
萌郁「……」
紅莉栖「私も萌郁さんのシャツを破かないと気がすまない!」
紅莉栖「さっさと寝転がれ!」
萌郁「……」
紅莉栖「えいっ」ブチブチ
紅莉栖(これは!?)
紅莉栖(悔しいけどむちゃくちゃエロいわね。)
紅莉栖(くっ、確かに私じゃエロさが足りないわ。)
萌郁「………」
紅莉栖「え?うん。」
萌郁「許して…くれる?」
紅莉栖「うぅ…仕方ないわね…」
紅莉栖「でもシャツが破れたままじゃ帰れないじゃない!」
萌郁「露出狂…」ボソッ
萌郁「冗談…私の貸してあげる。」
紅莉栖「それならいいけど…」
萌郁「けど…なに?」
紅莉栖「洗濯してるの?」
萌郁「………」
岡部「なんだ助手よ。閃光の指圧師とそんなに仲良かったのか?」
ダル「すごく…百合です」
まゆり「でもまゆしぃ、今回は物足りないのです。携帯取り上げるプレイがなかったよ。」
岡部「プレイとかいうな、まゆり。」
萌郁「紅莉栖ちゃん…絶対にだ離さない」ギュー
おわり
じゃぁ、次いってみようか
岡部「なんだ?」
ダル「巫女さんって下着をつけてないってしってる?」
岡部「それは都市伝説だろ。」
ダル「え?そうなん?」
岡部「なんでそんな話を切り出したんだ?」
ダル「いや、ルカ氏パンツはいてるのかな?って思って…」
紅莉栖「」ピク
ダル「違うお!普通の大学生だお!女の子大好きだお!――でも気にならない?もしその都市伝説が本当だとしたら…。」
岡部「仮に本当だとしても、ルカ子は男だぞ!パンツ位はいてるに決まってるだろ!」
ダル「でもルカ氏のお父さん、かなり本格的にルカ氏に巫女やらせてるから、パンツもはかせてないかもしれないお。」
岡部「それもそうだな…。確かに気になるな…。」
紅莉栖「…」
岡部「おいクリスティーナ!」
紅莉栖「………」
岡部「……」
紅莉栖「………」
ダル「牧瀬氏どったん?」
紅莉栖「……」
ダル「オカリンはホモ」
紅莉栖「!!」ピクピク
紅莉栖「うっさい!別に岡部とるか君がイチャイチャしてるとかそんなん全然、想像してないからな。」
岡部「んな!?」
ダル「牧瀬氏、いっちゃってるお。」
紅莉栖「はぅ…!忘れろ~~!!」
ダル「で、るか氏がパンツはいてるか調べるんオカリン?」
ダル「えー。でもるか氏ならオカリンが一番よくわかってるし適任だお!」
岡部「うぐっ…」
紅莉栖「私も岡部がいいと思う…」
岡部「だまれ!HENTAIメリケン処女め!」
まゆり「トゥットゥルー!だったらまゆしぃに任せればいいのです!」
まゆり「うん、全部聞いてたよ!まゆしぃに任せてよ。」
ダル「どうするんオカリン?」ボソボソ
岡部「どうするも何もまゆりは適任者だろう。なんかベタな気もするが…。」ボソボソ
ダル「確かにベタなのもあるかもしれないけど、まゆ氏の場合ネタに走りそうだお。」ボソボソ
岡部「まさか…まゆりがネタに走るわけないだろう。」ボソボソ
まゆり「さっきから二人でなにボソボソしゃべってるの~?全部聞こえてるんだよ~!」
岡部・ダル「!?」
ダル「どうするんオカリン?」
岡部「…」
まゆり「ねぇオカリン!!」
岡部「あぁ…頼むまゆり。」
まゆり「じゃあまゆしぃはオカリンの奴隷として頑張ってくるね!」
岡部「あぁ」
岡部(すまない、るか子。)
まゆり「綯ちゃん、トゥットゥルー!」
綯「どこか出かけるの?」
まゆり「ちょっと神社に用事があるんだよ。」
Mr.ブラウン「神社といえば巫女さんだよな。巫女装束を着させたまま野外でするプレイなんてたまらんぜ。」ブツブツ
綯「………」ジトー
Mr.ブラウン「な、綯!聞いてたのか?というかいつの間に!?」
綯「まゆりお姉ちゃんがお父さんが呼んでるよ!って教えてくれたから来てみたら…お父さんサイテー…」プイッ
Mr.ブラウン「んな?俺は呼んでねぇぞ!―――待ってくれ綯!アイス買ってあげるから、お父さんを見捨てないでくれ!」
るか「えぃ!えぇい!」ブンブン
まゆり「トゥットゥルー!遊びにきたよ~。」
るか「あ!まゆりちゃん。いらっしゃい。」
まゆり「ルカ君また素振りしてたの~?」
るか「うん、おかっ―凶真さんに言われているので。」
まゆり「ルカ君は真面目だねー。そういうとこまゆしぃは大好きなのです。」
るか「ふぇ?ま…まゆりちゃん…なにを…。」
るか「え…ちょ…ちょっと…まゆりちゃん…からかわないでよ………」
まゆり「まゆしぃは本気なのです。」
るか「え?……その…ありがとう…まゆりちゃん…」
まゆり「だからパンツを見せて欲しいのです。」
るか「ふぁい?」ビクッ
まゆり「まゆしぃはルカ君の事大好きだから、全てを見たいのです。だからお願いだよ!ルカ君。」
るか「へ…で…でも…その…ぼ…ぼく」
まゆり「?」
るか「巫女の格好をしてるときは、そ…その………ぱ…ぱ…ぱん…パンツをはいてないの!」
すいません
まゆり「気にしなくていいよルカ君。」
るか「ご…ごめんね……ぼ、ぼくのこと…好きって言ってくれたのに……」
まゆり「別にパンツをはいてなくても、まゆしぃはルカ君が大好きなのです!」
紅莉栖「はやく死ねHENTAI!でもまゆりにるか君おめでとう。」
まゆり「えへへ、ありがとうね紅莉栖ちゃん」
岡部(まゆりにこっそり教えて貰ったがパンツはいてないのだな。なにをやらしてんだよ、るか子の父親は……)
まゆり「これからも一緒だよ。ルカ君。」
るか「うん…まゆりちゃん。」
おわり
ダル「なに?」
岡部「まゆりだが…」
ダル「まゆりがどうかしたん?」
岡部「まゆりは…股関の毛が物凄く生えてそうじゃないか?」
ダル「あ、わかる。」
ダル「いやそこは葉加瀬太郎だろ常考」
紅莉栖「どっちも同じだHENTAI共!」
岡部「助手よ!いたのか?」
岡部「いや、これが初めてだろう。」
ダル「牧瀬氏デジャブ?」
紅莉栖「なっなんでもないわよ!わすれろ!」
岡部「むぅ…そうだクリスティーナよ!まゆりとシャワーに入って確認するのだ!」
紅莉栖「断る!こんな所で入ったら覗かれるに決まってる!それにお前らみたいなHENTAIにまゆりの股間の事なんか教えるか!」
岡部「ぐっ…貴様…助手のくせに…」
紅莉栖「わたしは助手じゃない!」
岡部「そんな事聞けるわけないだろう!」
紅莉栖「あら、凶器のマッドサイエンティストが弱気ね。」
岡部「うるさいセレセフ」
紅莉栖「セレセフいうな!?」
ダル「痴話喧嘩乙」
岡部・紅莉栖「痴話喧嘩じゃない!」
紅莉栖「私のせいにすんな!」
ダル「はぁ~まったく、このHENTAI夫婦は…。」
岡部・紅莉栖「お前が言うな!」
岡部「確かに無理に知らなくてもいいかもな…」
紅莉栖「最初からそんな事知る必要もないのよ。」
岡部「………」
岡部(しかし気になるな。)
凶真『突然ですがあなたに話があります。知り合いに股間の毛がどれくらい生えてるか気になる人がいるのですが、どうやって確認すればいいのでしょうか?』
タイター『なるほど、どれくらい毛が生えているか気になる人ですか。その解決方法は未来でも相手に直接きいてみる以外ないですよ。健闘を祈ります。』
岡部(直接か…。確かにそれ以外ないな。)
岡部(ん?またメールがきたぞ…)
タイター『ちなみに私のいた世界、すなわち未来では18になっても毛の生えない人もいましたよ。』
岡部(んな?18になっても毛の生えない人間だと。)
岡部「ふ、フゥハハハハハ。ジョンタイターと言う男は本当に馬鹿だな!18にもなって毛の生えない人間なんているわけないじゃないか!おお嘘つきだ!コイツは。」
紅莉栖「お、岡部?」
紅莉栖「え?うん、いってらっしゃい。」
岡部「しかしまゆりはどこにいるんだ?」
鈴羽「やっほー岡部倫太郎!」
岡部「バイト戦士か。」
鈴羽「どうしたの?何か悩み事…?もしかして股間の毛とか?」
岡部「ん?どうして分かるのだ?」
鈴羽「え?いや…。私は戦士だからね!勘だよ!」
岡部「…まぁいいが、ところでバイト戦士は生えているのか?」
鈴羽「へ?わたし?」
Mr.ブラウン「おい岡部ぇ!店の前でそんな卑猥な話してんじゃねぇ!客が来なくなるだろうが!家賃あげるぞこのやろう!」
Mr.ブラウン「ほぅ、お前ブラウン管を馬鹿にすんのか?」ポキパキ
岡部「ぐっ…」ダッ
Mr.ブラウン「あ、てめぇ逃げんなコラ!――ったく、おらバイト!お前もさっさと働け!」
鈴羽「はいはーい」
Mr.ブラウン「顔を股間の毛に埋めてウリウリするプレイとかたまらんだろうな。」
綯「……」ジトー
Mr.ブラウン「綯!違うんだこれはな!」
綯「……」ジトー
Mr.ブラウン「そんな目でみないでくれ綯!」
綯「……」ジトー
Mr.ブラウン「アイスかってあげるからそんな目をしないでいつもの天使な綯にもどってくれ!な?」
綯「アイスたべたい。」
Mr.ブラウン「そうか、じゃあ買いに行こうな。おいバイト!店番しとけ!」
鈴羽「……」
Mr.ブラウン「おいバイト!返事は?」
鈴羽「はいはい、聞いてますよーだ。」
岡部(…!あれはまゆりか。)
まゆり「……」
岡部(スターダストシェイクハンドか、終わるまで待つか。)
まゆり「……」
まゆり「あ!オカリン!トゥットゥルー!」
岡部「あぁ…。」
まゆり「フェイリスちゃんのところでバイトしてたんだよ。そういえばいってなかったね。ごめんね、オカリンの奴隷なのに。」
岡部「いや、構わないさまゆり。これから用事でもあるのか?」
まゆり「ないよ。今からラボに向かうところだったんだよ。」
岡部「そうか、なら一緒に向かうか。」
まゆり「うん…。えへへ~。」
岡部「どうしたまゆり?」
まゆり「なんだか今日のオカリンは優しいのです。」
岡部「……」
岡部「あぁ、そうだな。」
まゆり「誰もいないね。」
岡部「あぁ。そうだなまゆり。」
まゆり「なんか最初の頃を思い出すね。たまにまゆしぃが勝手に遊びに来て。そこからダルくんが来るようになって、紅莉栖ちゃんや萌郁さんにルカ君やフェリスちゃんに鈴羽ちゃんまで加わって賑やかになったよね。」
岡部「……」
まゆり「みんなでわいわいはしゃいでるオカリンをみてると、まゆしぃは嬉しいのです。あ、でも奴隷なのに嬉しいと思ったらダメだよね。ごめんねオカリン。」
岡部「いや、いいんだまゆり。」
まゆり「えへへ、今日のオカリンはやっぱり優しいのです。」
まゆり「なにオカリン?」
岡部「股間を見せてくれ。」
まゆり「え?」
すまん
ごめんなさい
岡部「頼む、まゆり。奴隷だろう?」
まゆり「たしかに奴隷だから仕方ないよね、じゃぁ脱ぐよオカリン。」
岡部「まってくれ。まゆり。」
まゆり「え?」
まゆり「わかったよオカリン!」ヌギヌギ
岡部「……」
まゆり「これでいいオカリン?」
岡部「あぁ、では捲るぞまゆり」バッ
岡部(これは!?)
まゆり「ねえオカリンもういい?」
岡部「待ってくれまゆり、まだやり残していることがある」
まゆり「なに?」
岡部「ジャングルに入らなくてはならない。」
まゆり「ジャングルってどこにあるの?オカリン。」
岡部「」グリグリ
まゆり「ちょっとオカリン!そんなとこ顔でグリグリしないで。」
まゆり「おかりんやめてよぉ~」
岡部(恥ずかしがるまゆりの声を聞いていたらもっとやりたくなってしまった。)
岡部(よし、もっと顔を押し付けて)グリグリグリ
まゆり「ちょっとおかりん!」
岡部(そう言えば臭いを嗅ぐのを忘れていた)
岡部「スゥーー」
まゆり「オカリンそんなとこ嗅いじゃだめ!」
岡部「ーウグッ!ゲホゲホ!」
まゆり「おかりん大丈夫?」
岡部(あまりの臭いでむせてしまった)ゲホゲホ
まゆり「……」グスッ
岡部「ま、まゆり!泣いているのか?」
まゆり「さすがにオカリン…ひどいよぉ…」
岡部(しまった調子にのり過ぎた。)
まゆり「………」
岡部「好きだ。奴隷などやめよう。恋人になってくれ。」
まゆり「!?」
岡部「たのむ…」
まゆり「…」ニコッ
紅莉栖「うっさい!おかべ…」グスッ
岡部「痴話喧嘩じゃないと言ったろうダル。」
まゆり「えへへ~まゆしぃは奴隷から恋人にクラスチェンジしたのです。」
おわり
乙
Entry ⇒ 2012.02.28 | Category ⇒ シュタインズゲートSS | Comments (0) | Trackbacks (0)
岡部「どうしたルカ子、浮かない顔をして」
http://hayabusa.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1328786110/
るか「あ、おか――凶真さん。今日はどうなさったんですか?」
岡部「お前の修行を見てやろうと思ってな。何か、悩み事か?」
るか「……いえ、大したことじゃ、ないんです」
岡部「困っているなら、遠慮せず言うがいい」
「これでも俺は、お前の師なのだからな! フゥーハハハ!」
るか「は、ハイ! その、実は昨日、学校でまゆりちゃんに――」
――――――
――――――――――――
――――――――――――――――――
るか「あ、おはようまゆりちゃん……なんか、機嫌よさそうだね」
まゆり「あのねー、実は、ルカくんにお願いがあって」
るか「(う……嫌な予感がする)」
まゆり「今度、アキバでイベントがあってね、コスプレのコーナーもあるんだー」ニコッ
るか「うん……それで?」
まゆり「実はね、ルカくんに着てほしいコスがあるの!」
まゆり「大丈夫だよ! ルカくん、もう海外でも話題なんだから」
「『こんな可愛い子が女の子のはずがない』って」
るか「で、でも……やっぱり恥ずかしいよ///」
まゆり「ルカくんも、だんだんコスプレの魔力に取りつかれちゃうって~」ジリジリ
るか「あの、なんでちょっとずつ近づいて……ひ、ひええぇぇ~」
るか「(うう、結局押し切られてしまった……)」
「(コスプレが嫌いってわけじゃないけど、やっぱり恥ずかしいんだよなあ)」
女生徒1「漆原くん、コスプレみたよー!」
女生徒2「うん、チョー可愛かったよね! 今度はどんなの着るの?」
るか「えっと、ありがとうございます。でもボク、コスプレは――」モジモジ
女生徒1「キャー!! 恥ずかしがっちゃって!」
るか「あ、あう……」
「(それに、岡部さんと初めて会った時みたいに、写真を取ろうとする人まで――)」
まゆり「ルカくーん、お昼食べよ!」ドンッ!
るか「う、うん……まゆりちゃん、お弁当大きくない?」
まゆり「学校の後バイトがあるんだー。だからいっぱい食べないと」モグモグ
るか「そ、そうなんだ」
るか「(ボクのお弁当より大きい……)」
「(まゆりちゃん、どこにその量が入ってるんだろう?)」
まゆり「えっへへー、クリスちゃんに教えてもらったからばっちりなのです!」エッヘン
るか「へえ……牧瀬さん、大学も出てるんだっけ」
まゆり「教えるのとっても上手なんだー。おかげでいい点とれそうだよ」
るか「やっぱり、すごく頭いいんだ」
まゆり「うん! クリスちゃんがラボメンになってから、オカリンも楽しそうなんだー」
「だから、まゆしぃも嬉しいのです☆」
「もう、見えるか見えないかのギリギリを攻めるのが楽しくて楽しくて!」
るか「それが、ボクに着てほしいコス?」
まゆり「自信作なんだー。まだ完成してないけど、絶対間に合わせるよ!」
るか「(またコスプレしたら、もっと怖い人たちに目を付けられちゃうかも……)」
「(せめてほとぼりが冷めるまで、コスプレは遠慮させてもらおう)」
るか「ま、まゆりちゃん?」
まゆり「んー、なに?」ニコッ
るか「えっと――ボク……今回は……」
るか「……ううん、何でもない……」
るか「(あんな風に楽しそうな顔されると断れないよ……)」
「(ボクもこういう時ぐらい、はっきりものを言えたら――)」
――――――――――――――――――
――――――――――――
――――――
岡部「――で、結局断り切れなかった、ということか」
るか「ハイ……」
「お前には、まだ荷が重いか……」
るか「す、すみません。修行が足りなくて」シュン
岡部「そう落ち込むな。あの時のカメラ小僧たちみたいな輩は、お前にとってもトラウマだろう」
「――よし! 俺も、お前の力になってやろうではないか!」
るか「え、ええ!? そんな、いいですよ!」アセアセ
岡部「まゆりは、コスプレのことになると熱中しすぎるところがある」
「お前からも、一言注意した方がいいかも知れん」
岡部「――と、いうわけだ」
ダル「つーかさ、僕個人としてはそのコスメチャクチャ見たいのだが」
「るか氏が際どい星来たんのコスを着て究極生物となる――胸熱だお!」
岡部「黙れこのHENTAIが!」
「もしルカ子が心の闇にのまれ、封印されしもののけの血が暴走するようなことがあれば――」
ダル「また厨二病かよ……妄想乙!」
「でも、やっぱりまだ抵抗が……私生活でも、知らない人に声をかけられることも多くなって」
ダル「まあ、コスプレ写真とかから身バレすることもあるし、怖がるのも仕方ないか」
「るか氏なんて、海外まで画像が出回ってるからなおさらヤバい」
岡部「そ、それは怖いな……ストーカーが出没しそうだ」
ダル「僕みたいな紳士じゃなくガチで危ない奴らに目を付けられたら、それこそエロ同人みたいなことを――」
ガチャ
紅莉栖「はろー」
岡部「む、助手か。今日は遅かったな」
るか「牧瀬さん、こんにちは」ペコリ
紅莉栖「あれ、漆原さん? まゆりと一緒じゃないの?」
岡部「ああ、今日は他のコス仲間の衣装合わせだそうだ」
るか「(まゆりちゃんがいないと思ったら、そういうことだったのか……)」
紅莉栖「で、どうしたの。休日に男2人……3人で」
るか「はい、実は――」
紅莉栖「――ふむん。理由を説明したら、まゆりも納得するでしょうね」
「でも、まゆりって無邪気に頼むから、なんとなく断りづらいのもわかるわ」
るか「ボク、一体どうしたら……」
岡部「とりあえず、練習してみるか? 助手、頼む」
紅莉栖「頼むって何よ?」
岡部「お前がまゆり役になって、ルカ子の練習台になるのだ!」
紅莉栖「はあ? 何であたしが。あんたがやりなさいよ!」
岡部「俺がまゆりの真似をするとでも思ってるのか? これも、ルカ子のためだ」
「とぅ、トゥットゥルー! まゆしぃ☆です」
ダル「お、結構似てるじゃん! るか氏、牧瀬氏相手に断ってみ?」
るか「は、ハイ! 牧瀬さ――じゃなくて、ま、まゆりちゃん。ボク、今回のコスブッ」ガチン
るか「(き、緊張しすぎて舌噛んじゃった!)」ジタバタ
岡部「……ルカ子よ。クリスティーナですらその調子では、本人には勝てんぞ!」
ダル「いっそ、まゆ氏を口説くくらいのつもりでキメていったら?」
「見つめ合うと素直にお喋り出来ない、みたいな感じでまゆ氏を口封じしちゃうわけ」
岡部「あのな、そんなスイーツ(笑)丸だしの作戦が成功するか!」
「まゆりに限って、そんな手に引っかかるとは到底思えん」
ダル「でもさ、るか氏も素材は最高だから、服とか揃えりゃ案外イケメンになるんじゃね?」
紅莉栖「漆原さんが男の子っぽい格好……わ、わるくない、かな」ポッ
岡部「おい、なぜお前が顔を赤くするのだ?」
「別に男装の漆原くんとか、全然妄想してないんだから!」
ダル「……勝手に全部喋っちゃってる件について」
岡部「そもそもルカ子は男であって、男装も何もない。全く、すさまじい妄想力だなクリ腐ティーナ!」
紅莉栖「く、クリ腐ティーナとは何よ! ごちゃごちゃ言わないで、あんたも少しは意見を出しなさい」
岡部「フン、俺のIQ170の怜悧な頭脳は、今高速で働いているのだッ」
紅莉栖「それなら、早くしてもらいたいのだが。口だけじゃ信用されないわよ?」ニヤニヤ
るか「(……お2人とも、仲がよさそうだなあ)」
「(ちょっとだけ、うらやましい)」
岡部「まあ、その意見には同意しよう」
「ルカ子も、もっと堂々とするだけで気持ちも変わると思うぞ」
るか「堂々と……ですか?」
岡部「うむ、そこにこそ、清心斬魔流に隠された極意が存在する……!」
るか「そ、そうなんですか! 精進します!」
紅莉栖「……あんたも、よくそんな適当に設定作れるわね。素直に信じる方もどうかと思うけど」ハア
「それだけでも、ちょっとは気持ちが大きくなるんじゃない?」
るか「えと、や、やってみます」
「ぼ……じゃなくて、お、オレは漆原るか! 正真正銘の男で……だゼ」
ダル「無理して男言葉を使う可憐な美少女――萌える!」グッ
るか「あう……」
岡部「ダル、茶々を入れるんじゃない!」
岡部「いきなりだったからな。言葉遣いだけ変えても、すぐ態度にまで反映出来るはずもない」
「……結局、俺たちが意見したところで、最後はお前次第ということか」
るか「そうなんですよね――でも、あんな笑顔で頼まれると、中々断りづらくて」
岡部「だが、断りたいのならきちんと断った方がいいぞ」
「コスプレが原因でお前に危害が加わるようなことがあれば、まゆりはむしろ傷つく――」
ヴーン ヴーン
岡部「む、メールか」
Sub ゴメン><
ちょっとコスに手直しが必要
で材料を買わなくちゃならな
いの~!
だから、明日もラボに行けそ
うにないのです。
岡部「……あいつも大変だな」
るか「まゆりちゃんからですか?」
岡部「ああ、明日もラボには来ないらしい」
るか「あれ、ボクも電話……まゆりちゃんから?」ピッ
るか「もしもし、まゆりちゃん? え、明日? うん、空いてるけど……」
「うん――うん、じゃあ、駅前で……」
ピッ
岡部「まゆりからか?」
るか「は、はい。明日、買い物に付き合ってほしいって」
岡部「まさか――コスのか」
るか「買い物ついでに、採寸もさせてほしいと……」ガクッ
「今からなら、まゆりも諦めがつくだろうし」
るか「ボク……頑張ります」
岡部「そんな自信なさげな態度で大丈夫か?」
「まあ、健闘を祈ろう。というわけで、いつもの合言葉を」
るか「ハイ――えっと、エル・プサイ・コンガリィ?」
岡部「コングルゥだッ!」
まゆり「あー! ルカくん、トゥットゥルー♪」
るか「お、おはようまゆりちゃん」
まゆり「今日はありがとねー、付き合ってもらっちゃって」
るか「大丈夫、別に気にしてないから」
まゆり「……んー」ジロジロ
るか「な、なに? そんなにじろじろ見て……」
まゆり「なんか、いつもより男の子っぽい格好だなーって」
まゆり「だって、ルカくんがジーンズにパーカーなんて、今まで見たことないもん」
るか「ぼ、ボクだって、たまには……」
るか「(牧瀬さんたちの意見も参考にした、なんて言えない……)」
「(ボクもこれで、少しは強気に出れるかな)」
まゆり「でも、似合ってるねー。まゆしぃも、新しいコスを思いついちゃいそう!」
るか「(まゆりちゃんには悪いけど、今度こそハッキリと断らないと――)」
るか「な、何でいきなり手を!?」
まゆり「ルカくん、お肌すべすべだねー。えっへへー」ナデナデ
るか「そ、そんなことないと思うけど」
まゆり「クリスちゃんもすごくお肌きれいだし、まゆしぃは羨ましいのです!」
るか「ま、まゆりちゃんも、十分キレイだよ……」
「(まゆりちゃんには悪いけど、はっきり断ろう!)」グッ
まゆり「あれ、ルカくん何もってるの?」
るか「きょ、今日お弁当作ってきたんだよ。お昼になったら食べよ」
まゆり「おおー、気が利いてるね! いいお嫁さんになれるよー」
るか「お、お嫁さんって――ボク、男なんだけど」モジモジ
まゆり「冗談だよー。ルカくんとってもカワイイし!」
るか「うう、素直に喜べない……」
まゆり「……あれ、もうこんな時間! ルカくん。早く行こ! 買い物の前に、ちょっと寄り道したいの!」ダッ
るか「あ、急に走り出さないでー!」
るか「雷ネットの大会?」
まゆり「そう、フェリスちゃんが出てるの」
「だからね、試合前に差し入れしたいなーって思って」
るか「ボク、あんまり詳しくないんだけど、フェイリスさんってやっぱり強いの?」
まゆり「うん! 1度に10人くらい相手にして勝っちゃうんだよ!」
るか「(そ、それは凄い……)」
フェイリス「あれ、その声は――マユシィ! こんにちニャンニャン!」ヒョコッ
まゆり「フェリスちゃん、トゥットゥルー♪」
るか「こんにちは、フェイリスさん」
フェイリス「ルカニャン! もしかして、応援しに来てくれたのかニャ?」
まゆり「ごめんね、今日は用事があって……」
「でもね、差し入れ持ってあげたんだー」
まゆり「家の近くにあるケーキ屋さんの新製品なの」
「おいしそうだからいっぱい買っちゃって。えっへへー」
るか「(元はこれよりたくさんあったんだろうな……いくつ食べちゃったんだろう)」
フェイリス「でも、とってもおいしそうニャ! ありがたく頂くのニャ」
まゆり「フェリスちゃん、今日も頑張ってね!」
フェイリス「当然ニャ! 栄光のビクトリーロードを駆け上ってやるのニャ!」グッ
?「おいおい、随分と余裕じゃねえか、フェイリス・ニャンニャン」
るか「あの、フェイリスさん? この方は……」
?「俺は、雷ネット界に舞い降りた黒の貴公子――4℃(シド)」
4℃「知らないのなら覚えておけ。この俺が、雷ネットを漆黒に染め上げる男だ!」
るか「(何だろう……岡部さんみたいなことを言う人だなあ)」
「グランド・ジャッジメントは、もうそこまで近づいてるぜ」
フェイリス「……もういいかニャ? 試合前に集中したいのニャ」
取り巻きA「ああ? てめえ4℃さんの宣戦布告を無視する気か?」
取り巻きB「4℃さんの圧倒的なオーラにビビっちまったんじゃねえの」
ギャハハハハ!!
まゆり「な、なんだかこの人たち怖いよ……」
るか「あ、あの――」オズオズ
取り巻きA「ああ?」
るか「や、やめてください……嫌がってるじゃないですか……」
取り巻きC「なんだ嬢ちゃん、文句でもあんのか」
るか「(じょ、嬢ちゃんって)」
るか「ぼ、ボクは――男です!」
るか「ひっ――」ビクッ
取り巻きA「ああ、そういえばこいつ、見たことある」
「男なのに女の恰好するコスプレイヤーじゃねえか」
取り巻きC「はあ、なんだそれ? こいつそういう趣味か?」ニヤニヤ
るか「ぼ、ボクは……」
4℃「まあまあお前ら、それくらいにしておけ」
「この雌猫が、偽りの王座から引きずりおろされるのも時間の問題だからなあ」ニヤリ
フェイリス「……フェイリスは、絶対に負けないのニャ」キッ
るか「(すごく怖そうな人たちだった……)」
「(しかも、ボクのこと知ってる人もいたなんて)」
フェイリス「2人ともゴメンニャ。フェイリスのせいで、2人に迷惑を――」
まゆり「ううん、そんなことないよ。でもあの黒い人たち、ホント失礼しちゃう!」プンプン
「あの人たちも、大会に出るの?」
フェイリス「ヴァイラルアタッカーズっていう、ガラの悪いチームニャ」
「でも、多少は実力があるから油断はできないニャ」
フェイリス「いくらなんでも実力行使はされないと思うのニャ」
「全力で相手をしてやるのニャ!」
るか「えっと――頑張って、くださいね」
フェイリス「ありがとニャ! シュークリームも、ありがたく頂くのニャ」
まゆり「ルカくんも、元気出してねー」
るか「……うん」
るか「そういえば、ボクのコスの材料買いに来たんだっけ」
まゆり「うん、実はカエデちゃんのコスもちょっと破けてたんだー」
「ちょうどそこの部分の布切らしてたから、ついでにそれも買うの」
るか「普通に縫い合わせちゃダメなの?」
まゆり「ただ縫い合わせるだけだと、そこだけ跡が目立っちゃうんだよー」
「やっぱり、着てもらうからには完璧なコスにしないと!」
るか「……まゆりちゃん、コスのことになると気合が違うよね」
まゆり「んーと……あった! これこれー」ダッ
るか「あ、まゆりちゃん!」
るか「(裁縫店なんてあんまり来たことないけど、結構広いのか)」キョロキョロ
まゆり「えっへへー、これでもうばっちりだよ!……うわ!」コケッ
るか「あ、危ない!」ドン
まゆり「ふえっ!?」
まゆり「ご、ごめんね。足が引っかかっちゃって」
るか「うん、怪我はしてないよね」
まゆり「も、もう大丈夫だよ! だから、手を離しても……」
るか「え?」
るか「(あ、転ばないように手を肩に……)」
るか「ご、ゴメン!」バッ
まゆり「ううん、ありがとね。両手が塞がってたし、転んでたらまゆしぃは怪我しちゃってたと思うから」
るか「そ、それならよかった」
まゆり「さあ、早く行こっ!」
るか「(……まゆりちゃん、思ったより肩細いなあ)」
るか「まゆりちゃん、そんなに楽しみだったの?」
まゆり「うん、ルカくんお料理上手だからね!」ニコニコ
るか「そ、そこまで喜ばれるとちょっと照れちゃうな……」モジモジ
まゆり「まゆしぃも、これくらい上手だったらなー」
まゆり「ホント!? その時は、クリスちゃんも一緒ね!」
るか「(そういえば2人とも、料理全然できないんだっけ)」
るか「うん、今度、牧瀬さんも誘おう」
まゆり「そっか、楽しみだなー。クリスちゃんも喜ぶよ!」
まゆり「んー! この卵焼き、ふわふわでおいしいねー」
「ジューシーからあげナンバーワンもいいけど、ルカくんの料理は絶品なのです!」
るか「まゆりちゃん、よく食べてる割には全然太らないよね」
まゆり「まゆしぃだって、食べてばっかりじゃないんだよ!」プンプン
「バイトも楽しいけど大変だし、最近はコス作りで忙しいんだもん」
るか「ご、ゴメン――そんなつもりじゃ」
まゆり「せっかく作ったコスだし、クリスちゃんにも着てもらいたいなー」
るか「(あれ、また牧瀬さんのこと……)」
るか「そ、そういえばまゆりちゃん、最近牧瀬さんの話が多いよね」
るか「やっぱり、まゆりちゃんも嬉しいのかな」
「ほ、ほら! 牧瀬さんって大人っぽいし、お姉さんみたいだなーって」
まゆり「…………」シュン
るか「――まゆりちゃん?」
まゆり「あ……ご、ごめんね! まゆしぃボーっとしてて」
るか「大丈夫?……ボク、変なこと聞いちゃった?」
まゆり「る、ルカくんは悪くないよ! ただ、まゆしぃが……」
るか「(さっきのまゆりちゃん、すごく暗い顔してた)」
まゆり「……まゆしぃは、ちょっとだけ寂しくなっちゃったのです」
るか「寂しい――まゆりちゃんが?」
るか「(いつもニコニコしていて、そんな素振り見せたことないのに)」
まゆり「最近、ラボメンがたくさん増えたよね。クリスちゃん、萌郁さん、フェリスちゃん――それにルカくんも」
るか「(岡部さんが退院した日、神社にやってきてボクにラボメンバッジをくれたんだっけ)」
「(でも、どうしてまゆりちゃんが寂しいなんて……)」
「今みたいに賑やかじゃなかったけど、2人でいるのはとっても楽しかったの」
るか「(……それは、なんとなく想像できるな。ボクも、うちの神社の静かな感じ、結構好きだし)」
まゆり「で、でも、今みたいにみんながいるのが嫌なわけじゃないよ! ホントだよ!?」ユサユサ
るか「わ、わかっ、たから、か~た~ゆ~ら~さ~な~い~で~!」ガクガク
「ラボメンがたくさん増えて、まゆしぃも嬉しいんだよ?」
るか「そ、それはよかった……」
るか「(なんか、まだ視界がグラグラして気持ち悪い)」
まゆり「でもね、たまに考えちゃうんだ」
「まゆしぃは、みんなにとって必要なのかなーって」
るか「え――」
「ルカくんみたいにお料理もできないし、フェリスちゃんみたいに、オカリンの話について行ってあげられない」
「まゆしぃがいなくても、オカリンはみんながいるから――」
るか「まゆりちゃん、それって……」
まゆり「ご、ゴメンね! まゆしぃが勝手にそう思ってるだけで」
「ルカくんも、急にこんなこと話されても迷惑だよね。えっへへー」
るか「――迷惑なんかじゃない!」バッ
るか「ま、まゆりちゃんがそんな暗い顔してるの、今まで見たことないから」
まゆり「でも、まゆしぃは……」
るか「ボク、コスプレなんて恥ずかしいだけだって思ってたんだ」
「でも、それを見てたお客さんたちは――とっても楽しそうだった」
るか「(……まあ、恥ずかしいのには変わりないけれど)」
「それは、すごく素敵なことだよ……!」ポロッ
まゆり「る、ルカくん! 泣かないでー」
るか「だって、まゆりちゃんがぁー」シクシク
まゆり「ま、まゆしぃが悪かったよ……」
るか「ボクで良かったら、いつでもコスプレするから……だ、だから、もうそんな風に考えないで」グスッ
まゆり「うん、まゆしぃも、ちょっと元気が出たよ。ありがとね、ルカくん!」ニコッ
るか「(あれ、確かボク、コスプレを断ろうと思ってたのに――?)」
「(でも、まゆりちゃんが元気になってよかった)」
るか「フフ、岡部さんらしいね」
るか「(……いつものまゆりちゃんに戻ったみたいだ)」
「(やっぱり、まゆりちゃんはニコニコしてないと)」
まゆり「……あれ、もうこんな時間。ちょっとおしゃべりし過ぎたかなー?」
るか「そうだね。じゃあそろそろ――」
?「おい、てめえら!」
岡部「……もう3時か」
紅莉栖「ふあーあ。なんかもう疲れた」
「で、漆原さんに渡す未来ガジェット、何か思いついた?」
岡部「うむ……ルカ子のことだ、スタンガンのような痛みを加えるものは好むまい」
「モアッド・スネークは煙幕に使えるが、持ち運びに向かんし」
紅莉栖「漆原さんが断り切れなかった時のために、護身用の未来ガジェットか……」
「岡部って、ホントお人好しね。自称狂気のマッドサイエンティストの癖に」
岡部「……余計なお世話だ」
岡部「ずっと以前から、まゆりに目を付けられていたようだ……で、俺が入院してる間に折れたらしい」
紅莉栖「……入院」シュン
岡部「お、お前が気にすることではない! もう傷は癒えている」
紅莉栖「……ゴメン。たまに考えちゃうの。岡部って、ラジ館のこと全然話してくれないし」グスッ
岡部「いつか、お前にもきちんと話す。それまで待っていてはくれないか?」
紅莉栖「……うん、分かった」コクコク
萌郁「……」パシャ
萌郁「何だか……いい雰囲気だったから」
岡部「音もなく入ってくるな! それより、お前店はいいのか? 油を売ってるのが知れたらミスターブラウンが怒るぞ」
萌郁「今日はもう……店じまいって。綯ちゃんと買い物するらしいの……」
岡部「(そういえば、この3人だけというのも珍しいな)」
萌郁「うん……楽しい。綯ちゃんも……とっても可愛いし」
紅莉栖「桐生さんも、初めて会った時より大分話すようになりましたね」
岡部「うむ、メール魔だった時から比べたらはるかにマシになった」
萌郁「それは……岡部くんや、みんながいてくれたから。最近は、別のバイトも探してて……」
紅莉栖「そういえば、今日橋田は来ないの?」
岡部「あいつはフェイリスのところだろう。今日、雷ネットの大会があると言っていた」
岡部「噂をすれば――ダルからか」
ピッ
岡部「俺だ」
ダル『あ、オカリン? そっちにフェイリスたん来てない?』
岡部「来てないが――何かあったのか?」
ダル『さっき雷ネットの決勝戦でフェイリスたんが優勝したんだけど、負けたチームの奴らがいちゃもんつけてきたんだお!』
ダル『あれ、オカリン知ってるん?』
『あいつら、フェイリスたんに――』
岡部「(この展開、体験したことがあるような……)」
バンッ
フェイリス「凶真ー!!」
岡部「フェ、フェイリス!?」
岡部「急に抱き着くんじゃない! 一体何があったのだ?」
フェイリス「さっき雷ネットの大会で負かした相手に追われてるのニャ!」
「なんとかここまで見つからずに来れたニャけど……」
岡部「まあ、あいつらは何をしてきてもおかしくはないからな。賢明な判断だ」
岡部「(……俺も、散々殴られたからな)」
フェイリス「誰にも見つからないよう、細心の注意を払ってここに来たのニャ!」
萌郁「それなら……安心」
フェイリス「それよりも、マユシィたちが心配ニャ。今朝、マユシィたちもあいつらにからまれて……」
岡部「そ、それは本当か!? 一応、連絡を――」
プルルルル・・・
岡部「(くそ! 早く出てくれまゆり……!)」
まゆり「ルカくん、大丈夫ー?」
るか「ちょっと、疲れただけだから」
まゆり「さっきの人たち――今朝、フェリスちゃんとケンカしてた人だよね?」
るか「た、多分……まゆりちゃん、さっき、携帯が鳴ってたと思うけど」
まゆり「うん……でも、走るので精一杯だったから」
るか「岡部さんからかもしれないし、あとでかけ直そう……もう、暗くなってきたね。今何時かな」
るか「ど、どうしたの?」
まゆり「まゆしぃのカイちゅ~……」
まゆり「止まっちゃってる」
まゆり「み、見つかっちゃった!?」
るか「まゆりちゃん、早く逃げよ!」ダッ
取り巻きD「おらあ! 待ちやがれ!」
るか「はあ、はあ……」
まゆり「な、何で追いかけてくるのー!」
るか「と、とにかく、振り切らないと……」
タッタッタ・・・
4℃「おっと、逃げようったってそうはいかねえぜ?」
るか「(は、挟み撃ちにされた!)」
まゆり「……」
るか「あの、どうしてボクたちを追いかけるんですか」ビクビク
取り巻きA「ふん! あの雌猫、イカサマを使いやがった」
「でなけりゃ、あんな局面から4℃さんが負けるはずがねえ」
るか「(雌猫って――フェイリスさんのこと?)」
「(そ、そんなの負けたことに対するやつあたりじゃ……)」
「お前らには、あいつをおびき寄せる『エサ』になってもらうぜ」
まゆり「あ、あの……まゆしぃはそういうこと、いけないと思うのです」
るか「ま、まゆりちゃん! 危ないよ」
取り巻きA「ああ!? 口出しすんじゃねえよ嬢ちゃん」
取り巻きD「これは正義の鉄槌だ! イカサマじゃなきゃ、あんなぽっと出の新人が勝てるわけがねえ」
まゆり「でも、やっぱり痛いのはダメだよ――」ウルウル
るか「まゆりちゃん!」
まゆり「ひっ――」
ドゴォ!!
るか「ぐあっ!」
ドサッ
まゆり「あれ?――る、ルカくん!?」ダッ
るか「ま、まゆりちゃん……大丈夫?」
取り巻きA「おいおい、いきなり割って入るから思いっきり殴っちまったじゃねえか」
取り巻きB「一応、顔が商売道具なんだろ? ちょっとは加減しといてやれよ」ニヤニヤ
取り巻きA「フン、キモオタどもに媚びて女装するような奴だぜ? 少しくらい『教育』してもいいだろ」
まゆり「ルカくん、そんな――なんで、まゆしぃの代わりに」
るか「な、なんでだろう……体が、勝手に動いちゃって」
「(殴られるって、こんなに痛かったんだ)」フラ・・・
まゆり「ルカくん、無理して立たないで! 血も出てるのに――!」
るか「ゴメン、心配かけちゃって……でも、まゆりちゃんには手出しさせない」
まゆり「無茶言わないでよ! だって、ルカくんフラフラだし……」
るか「まゆりちゃんからあんな話聞いた後で、指をくわえてみてられないよ」
「ボクは、いつも笑顔で、みんなを明るくしてくれるまゆりちゃんが」
「……好きだから」
まゆり「へ――?」
るか「(こんな見た目でも、ボクだって男なんだ……)」
「(今まで、何のために凶真さんと修行してきたと思ってるんだ!)」
取り巻きB「お、やる気か? とっととおねんねした方が楽だぜ?」ポキポキ
るか「(勇気を出すんだ……凶真さんがいない今、ボクがしっかりしなきゃ)」
るか「う――あああああああああ!」
取り巻きA「おらあ!」
ドカッ バキッ
るか「く――ガハッ」ガクッ
まゆり「も、もうやめて! ルカくんが……ルカくんがぁ」
るか「(もうあんまり痛くなくなってきた……)」
「(い、意識がもう――)」
?「おまわりさん! こっちだこっち!」
取り巻きB「お、おい、サツだ!」
4℃「チッ、捕まると面倒だ。逃げるぞ!」
ダッダッダッ・・・
まゆり「ルカくん、しっかり!」ダキッ
?「おい、2人とも大丈夫か!?」
まゆり「あ――オカリン!」
岡部「済まん、遅くなってしまった」ダッ
るか「お、岡部さん……どうして」
岡部「フェイリスに話を聞いてな。まゆりに電話しても出なかったから、嫌な予感がしたのだ」
るか「(さっき叫んでたのは、岡部さんだったのか)」
まゆり「ルカくん! しっかりしてよ!」ユサユサ
るか「い、痛いって、まゆりちゃん」
まゆり「もうすぐ、ヒック、救急車来るから! し、死んじゃやだよー!」ウワーン!
るか「(そ、そんな大げさな)」
「(でも、今になって体中が痛くなってきた……)」
まゆり「ルカくん!? ルカくん――!」
――――――――――――――――――
――――――――――――
――――――
ヒソヒソ・・・
「ねえ、あれって漆原くん?」
「すごい顔。ケンカしたって噂、ホントだったんだー」
るか「(うう……まだ登校中なのに、みんなの視線が痛い)」
「(せめて顔のガーゼが取れれば、少しは目立たないんだけど)」
まゆり「あ――」
るか「お、おはようまゆりちゃん!」
まゆり「……うん、おはよう、ルカくん」
るか「ボク、学校休んでたから」
るか「(あの時、目が覚めたら病院のベットの上だった)」
「(ずっと泣いてたまゆりちゃんをなだめるの、大変だったな……)」
るか「そういえばまゆりちゃん、いつもなら『トゥットゥルー♪』って挨拶するよね?」
まゆり「……だって、まゆしぃのせいで、こんな大怪我させちゃったのに」シュン
るか「も、もうあんまり痛くないって! でも、この顔じゃ、イベントには出れないかも……ゴメンね」
まゆり「う、ううん。ルカくんが元気なら、それで十分だよ」
まゆり「そ、そんなことないもん! あの時のルカくん、か……」
るか「か?」
まゆり「か――かっこよかった///」
まゆり「あ――な、なんでもないよ!」
「ほ、ほら、早くしないと遅刻しちゃう!」ピュー!
るか「まゆりちゃ――もう行っちゃった」
るか「(それにしても、何で顔が真っ赤に……?)」
まゆり「……」ボー
紅莉栖「ねえ、まゆり、どこかおかしくない?」ヒソヒソ
岡部「ああ、これは尋常ではない」ヒソヒソ
まゆり「…………」チクッ
紅莉栖「今ので3回目。針で指刺しても表情1つ変えてないわよ」ヒソヒソ
岡部「完全に上の空だな」ヒソヒソ
続けろください
まゆり「ほえ?……ああ、まゆしぃったらドジだなあ」ペタペタ
岡部「今日はもう帰れ。俺が送って行こう」
まゆり「ホントー? じゃあ、後片付けするから待っててねー」ガサゴソ
岡部「(よし、今のうちに)」
プルルルル・・・
岡部「ルカ子、俺だ」
るか『あ……岡部さん、こんにちは』
るか『す、すみません! それで、何かご用でしょうか?』
岡部「お前に、聞きたいことがあるのだ」
るか『……もしかして、まゆりちゃんですか』
岡部「なっ! お前も、気が付いていたか。まゆりの様子がおかしいことに」
るか『ハイ――今日、学校でも……』
――――――
――――――――――――
――――――――――――――――――
まゆり「え!? う、うん、分かったー」
るか「(まゆりちゃん、自分のせいでボクが怪我したと思ってるみたい)」
「(なんとか、元気づけられないかな)」
まゆり「……」モグモグ
るか「(さっきから、無言で食べてるし……)」
るか「――あれ、まゆりちゃん、ほっぺにご飯粒ついてるよ」ヒョイ
まゆり「!?」ボッ!
まゆり「トゥ……」
「トゥットゥルー!!」バターン
るか「ま、まゆりちゃーん!」
「おい、椎名がいきなり倒れたぞ!」
「は、早く保健室にー!」
ワーキャー! テンヤワンヤ!
――――――――――――――――――
――――――――――――
――――――
岡部「……それはおかしいな」
岡部「(まゆりはそんなこと、一言も……)」チラッ
るか『まゆりちゃん、今朝も顔真っ赤にしてて』
『もし、ボクのことを気に病んで体調を崩したなら――』グスッ
岡部「お、おい! 電話越しで泣くんじゃない!」
るか『で、でも、ボク、まゆりちゃんが心配で……』シクシク
岡部「分かった! とりあえず、明日にでもラボに来い」
るか『グス……わ、分かりました』
ピッ
岡部「そ、そうか。紅莉栖、戸締りは頼む」
紅莉栖「オッケー……って、あんた、今名前で呼んだ!?」
岡部「(あ、む、無意識のうちに!)」
岡部「と、とにかく俺は帰るから、あとは頼んだぞ!」
バタン!
まゆり「2人ともラブラブだねー」
岡部「ちゃ、茶化すな! さっさと行くぞ、まゆり」スタコラ
まゆり「あー、待ってよオカリン!」
まゆり「オカリンと一緒に帰るの、久しぶり」
岡部「そういえばそうだな……なあまゆり。お前、何か変わったことはあったか?」
まゆり「変わったこと? んー、特にないよ」
岡部「ルカ子から聞いたぞ。学校で倒れたと」
まゆり「へ!? あ、あれは、まゆしぃが勝手に……」ポッ
岡部「おい、顔が赤くないか。熱でもあるのか?」
まゆり「な、なんでもない! なんでもないよ、えっへへー」アセアセ
岡部「(とてもそうは見えないが)」
岡部「どうした、やはり体調がすぐれないか」
まゆり「オカリンはクリスちゃんのこと、好き?」
岡部「ぶっ! お、お前は急に何を言い出すのだ!」
まゆり「えー、だってね、クリスちゃんがラボメンになってからすごく楽しそうだよ?」
岡部「フン、ラボメンに優秀な人材が加わって士気が上がっているだけだ」
まゆり「……そうだよね。クリスちゃん頭いいもん。オカリンとも、仲良しさんだし」
岡部「……まゆり?」フルフル
岡部「(眼前で手を振っても反応なし、か)」
岡部「俺だ。今、イリュージョンコンダクターからの精神攻撃を受けている」
「ああ、俺の人質にまで手を出すとは、機関もなりふり構っていられなくなったようだ」
「俺はヤツの捜索を続ける。エル・プサイ・コングルゥ」
まゆり「……」
岡部「(まゆり、本当にどうしたというのだ……)」
岡部「ルカ子、怪我の具合は?」
るか「もうほとんど治りました。顔の腫れが引けば、ガーゼも取れます」
「……でも、コレのおかげで顔が隠れて、あんまり声をかけられなくなったんですよね」
ダル「レイヤーの顔殴るとかマジで最低だお! 親父にもぶたれたことないのに!」
るか「あ、そういえばこれ、お父さんが持っていけって……残り物で、申し訳ないんですけど」
岡部「煮物か。いつも済まんな、ありがたく頂こう」
るか「い、いえ。岡部さんが、喜んでくれるなら……」モジモジ
「で、今日も、まゆりの様子はおかしかったの?」
るか「いえ、今日まゆりちゃん、学校休んだんです……」
岡部「なに、それは本当か!」
るか「一応大事を取って今日は休むって、先生が……岡部さん、聞いてないんですか?」
岡部「いや、初耳だ……」
ダル「確かに今日シフト入ってたのに、メイクイーンでも見なかった希ガス」
紅莉栖「ふむん、かなり重症ね。日常生活まで支障をきたすなんて、まゆりらしくない」
岡部「……ダル、お前なぜまゆりのシフトを把握しているのだ?」
ダル「メイクイーンの嫁たちのシフトぐらい基本情報だお! まあ、ボクの目当てはフェイリスたんだけど」
るか「まゆりちゃん、どうしてしまったんでしょう。ボク、すごく心配で」シュン
バンッ!!
フェイリス「話は聞かせてもらったニャ!」
岡部「お前、バイト中ではないのか!?」
フェイリス「休憩時間に、ちょっと抜け出してきたのニャ!」
「凶真……多分マユシィは、病に侵されているのニャ」
るか「や、病!? ど、どうしよう、まゆりちゃんが!」オロオロ
岡部「フェイリス、これ以上ルカ子を動揺させるんじゃない!」
「それに、あれは病気とはまた違う類のものでは……」
フェイリス「恋煩いニャよ!」バーン!
一同「「な、なんだってー!!」」
フェイリス「フェイリスは、いつだって大マジニャ」エッヘン
紅莉栖「だとしたら、完全にテンプレ通りの症状ね……」
るか「で、でも、恋煩いって――あの、相手は?」
フェイリス「そんなの、決まっているのニャ」ビシィ!
るか「へ――ぼ、ボクですか!?」
るか「あ、あれは、ただまゆりちゃんの代わりに殴られただけで……」
フェイリス「危ないところを身を挺して守られたら、女の子はイチコロニャ!」
「フェイリスもー、凶真にフェイリスの騎士(ナイト)になってもらいたいのニャー」スリスリ
岡部「ね、猫なで声ですり寄ってくるんじゃない!」バッ
フェイリス「ええー、凶真のいけずー」
「ニャけど、フェイリスも何となーく、凶真に危ないところを助けてもらったようニャ気が……」
岡部「そ、それは気のせいだろう! フフ、フハーハハハ!」
岡部「む? 何故俺をじーっと見ているのだ、助手よ」
紅莉栖「あ――な、何でもないからな!」プイッ
ダル「ふむふむ、見た目で忘れがちだけど2人とも高校生男女だし、ありえない話じゃ無くね?」
岡部「だが、それだけでは根拠としては弱い。ルカ子、お前には心当たりはないのか?」
るか「なにか……実は、あの時の記憶があいまいで」シュン
岡部「まあ、あれだけ殴打されれば記憶の混濁くらい――」
フェイリス「『好きだ』と言われたって、マユシィから聞いたのニャ」
一同「「!?」」
フェイリス「今日、バイト休むって連絡があったから、ちょっと電話でお話したのニャ」
「その時に、ポロッと」ニヤリ
岡部「お前……まさか鎌掛け(サイズハング)の使い手か!」
フェイリス「さあー? フェイリスは何のことか分からないのニャ」
るか「――あ! もしかして」
岡部「お、思い当ることがあるのか!」
るか「そんなことを、喋った気が……」
「で、でも、そういう、恋愛的な意味ではなくてですね!」アセアセ
紅莉栖「『like』という意味で口にした、ってこと?」
るか「は、はい、たぶん……」
フェイリス「だから、恋煩いっていうのも勘だけじゃないのニャ」
岡部「推測の域を出んが、確かにそう考えるのが妥当、か」
るか「(ど、どうしよう。ボクが、余計なことを言ったせいで)」
「(一体、どうしたら――)」
フェイリス「そろそろ戻らニャいと! というわけでー、ルカニャン、ファイト!」ダッ
るか「あ、ちょっと――!」
バタン
るか「(うう、沈黙がつらい)」
るか「あ、あの! ボク、今日はもう、帰ります」イソイソ
岡部「時間も遅い。送って行こう」
るか「い、いいんですか? ボク、1人でも大丈夫ですけど……」
岡部「気にするな。ほら、行くぞ」
るか「は、ハイ!」
るか「(お、岡部さんと2人きり……!)」
るか「はあ……」
岡部「どうしたルカ子、露骨にため息をついて……さっきのことか」
るか「……多分ボク、まゆりちゃんに勘違いさせちゃいました」
「そのことも、きちんと言わなきゃって思うと――」
岡部「コスプレを断るよりは、大変だろうな」
るか「ハイ……」
るか「(それに、ボクは――)」チラッ
るか「ひゃ!? な、なんでしょう!」
岡部「まゆりを、助けてくれたこと。感謝している」
るか「(び、びっくりした。盗み見してたのが分かったのかと……)」
岡部「あいつ、昨日呟いていたんだ。『俺やみんなに頼りっぱなしじゃいけない』と」
るか「まゆりちゃんが……ですか?」
「あいつのおかげで、俺だって救われているんだ」
るか「……なんとなく、分かる気がします」
るか「(まゆりちゃんはいつもニコニコしていて、ボクもあったかい気持ちになるから)」
岡部「俺は、この夏に自分の無力さを痛感した」
「狂気のマッドサイエンティストも、1人では世界の意志に逆らうことすらできなかっただろう」
「だが、俺にはラボメンのみんながいてくれた。こうして、『シュタインズ・ゲート』に到達できたのもお前らのおかげだ」
岡部「いや、分からなくてもいい。時にルカ子。お前実際のところ、まゆりをどう思っている?」
るか「え、あの――嫌いじゃ、ないです」
岡部「……そうか。ならば、1つ頼みごとをしていいか?」
るか「は、ハイ、何でしょう」
岡部「もしまゆりが俺の目が届かないところで苦しんでいたら、支えになってやってほしい」
岡部「謙遜などするな。仮にもお前は、俺の自慢の弟子なのだからな! フゥーハハハ!」
「本来なら俺が悩みを聞いてやればいいのだが……学校を休んだことまで秘密にするとは」
るか「そうですよね。岡部さんになら、何か一言あってもいいはずですし」
岡部「それにフェイリスの言葉を信じるなら、やはりお前に任せるしか……」
「……だから、頼む」ペコリ
るか「あ、頭を上げてください! ぼ、ボク、頑張ってみますから」アセアセ
るか「いえ、そんなこと……ないです」
岡部「全く、お前は奥ゆかしいな」
「俺もあの時Dメールを取り消していなければ、案外お前と――」ジーッ
るか「へ? あ、あの、岡部さん?///」
岡部「……だが、男だ」
岡部「そうか。それでは、修行に精を出すがいい。さらばだ!」ザッ
るか「(ボクが、まゆりちゃんの支え……)」
ガラッ
るか「ただいま……」
『ルカくん、トゥットゥルー♪』
『えっへへー、この衣装どうかなー? ルカくん絶対似合うって!』
『か――かっこよかった!』
るか「(まゆりちゃんのことが、どうしても頭から離れない……)」
「(ボクは、まゆりちゃんを――)」
るか「もしもし、まゆりちゃん?」
まゆり『る、ルカくん! トゥットゥルー』
るか「まゆりちゃん、大丈夫? 今日学校休んでたけど……」
まゆり『ま、まゆしぃは元気だよ!? でも、この間倒れたし調子が悪そうだから、今日は休みなさいって』
るか「うん、先生から聞いたよ」
るか「(平気だって言ってるけど、何だか声に元気がない)」
るか「……ねえまゆりちゃん、土曜日空いてる?」
まゆり『え? う、うん。バイトもお休みだよ』
るか「そ、それじゃあ――」
るか「(ここで悩んでいても仕方がない)」
「(いつもの明るいまゆりちゃんに戻ってもらわないと、ボクもすごく不安だから)」
――――――――――――――――――
――――――――――――
――――――
るか「ううん。時間ぴったりだよ」
まゆり「ところで、今日はどうしたのかな? ルカくんから呼び出すなんて、珍しいよねー」
るか「うん……まゆりちゃん、最近元気ないから」
まゆり「そ、そんなことないよ! まゆしぃは――」
るか「とにかく、今日はボクの怪我が治ったお祝いも兼ねて、まゆりちゃんとお出かけしたいなって」
「この前は、ボクが怪我してまゆりちゃんにも迷惑かけちゃったし」
まゆり「そういえば、ガーゼとれたんだね」ホッ
まゆり「う、うん……」モジモジ
るか「(いつもなら、すぐ手を繋いできたりするのに……)」
るか「今日もお弁当持ってきたから、一緒に食べようね」
まゆり「そ、そうだね。楽しみだなー」
るか「(それに、笑顔がぎこちない)」
まゆり「ホントだー。ラボのより大きいのです」
るか「(値段は――大丈夫か)」
るか「まゆりちゃん、お土産に買ってこうよ」
まゆり「ほえ? で、でも、まゆしぃあんまりお金ないよ?」
るか「だ、大丈夫。お金はボクが出すから」
まゆり「ええ!? でも、ルカくんに悪いよ……」
るか「気にしなくていいよ。ボクもこういうクッション欲しかったから」
るか「(まゆりちゃん、ちょっとは喜んでくれたかな)」
るか「あとで、ラボに置いておこうか」
まゆり「うん。ありがとね、ルカくん」ニコッ
るか「え――そ、そう」ドキドキ
るか「(な、何だか動悸が……)」
まゆり「ホント? もう12時だし、楽しみだなー」ウキウキ
るか「あれ、携帯? まゆりちゃん、いつもの懐中時計は……」
まゆり「ああ、この前止まったままネジを巻いても動かなくて、修理に出してるの」
るか「早く直るといいね。おばあさんの形見なんでしょ」
まゆり「うん。でもね、何で動かないのか分かんないんだって」
「だから、しばらく預からせてほしいって言われちゃった」
まゆり「……そうだね、えっへへー」
るか「まゆりちゃん、飲み物欲しくない? 何か買ってくるから」
まゆり「あ、ありがとう……ルカくん、今日は何だか優しいねー」
るか「そ、そうかな! そんなことないよ! じゃあ、行ってくるから」タッタッタ・・・
まゆり「…………」
るか「そういえばまゆりちゃん、ボクの着るコスは完成したの?」
まゆり「……う、うん。でも、今回のイベントは出ないことにしたの」
るか「ど、どうして!? ボクの他にも、まゆりちゃんのコスを着てくれる人はいるはず――」
まゆり「と、とにかく! ルカくんはケガを治さないと、ね?」
るか「(まゆりちゃん、やっぱり様子がおかしい。ボクへの態度も、前よりよそよそしいし……)」
「(それに、大好きなコスプレのイベントに出ないなんて、絶対変だ)」
まゆり「え、あ、ルカくん!」
ガサゴソ…バンッ
るか「じゃ、じゃじゃーん! どうかな?」ヒラッ
るか「(ボクだって、一応コスプレイヤーだ)」
「(まゆりちゃんが元気になってくれるなら、女の子の服だって着て――)」
まゆり「……」ポカーン
るか「(あ、あれ? まさか外した!?)」
まゆり「……あ! うん、似合ってる! でも、ルカくんが自分からそういう服着るなんて……?」
るか「(よく考えたらボク、なんで男なのに堂々と女の子の服を試着してるんだろう)」
「(幸い店員さんは気が付いてないみたい……それはそれで、ちょっとへこむな)」ズーン
るか「で、でも! この服、まゆりちゃんに似合いそう」
まゆり「そ、そうかな。じゃあ、まゆしぃも試着してみようかなー」
るか「(でも、今日は女の子の服を着ても、そんなに恥ずかしくなかった……何でだろう?)」
「(まゆりちゃんを、喜ばせたかったから……?)」
まゆり「あー、いっぱい買い物したねー。お洋服も買っちゃったし」
るか「まゆりちゃんもこれから帰るの?」
まゆり「そうだよー。でも、荷物まで運んでもらっていいの?」
るか「全部1人で持ってくのは大変だろうから」
「で、でも、ちょっとだけ、休憩していい……?」
まゆり「る、ルカくん! 大丈夫? まだ怪我が……」ウルウル
るか「へ、平気だよ。腕が疲れただけだから」
「まゆりちゃんも、ベンチに荷物を置いたら?」
まゆり「そ、そう? じゃあ、まゆしぃも休憩するかな」ドサッ
るか「まゆりちゃんも座ったら? まだスペースはたくさん――」
まゆり「……ねえ、ルカくん」
るか「な、なに? まゆりちゃん」
まゆり「今日1日、ありがとね。なんだかデートみたいで、まゆしぃは楽しかったのです」
るか「で、デート!?」
まゆり「だから――無理しなくて、いいんだよ?」
るか「……へ?」
「恥ずかしがり屋さんなのに女の子の服着たり、まゆしぃにいろいろしてくれたり」
るか「ぼ、ボクは、気を遣ってなんて……」
るか「(それに様子がおかしいのは、まゆりちゃんもじゃないか)」
まゆり「昔ね、まゆしぃが困ってた時、オカリンに助けてもらったんだー」
「おばあちゃんのお墓で、助けて、助けてって心の中で考えてた時も、ずっとまゆしぃの傍にいてくれた」
「この前ルカくんがかばってくれて、ちょっとだけあの時のこと、思い出しちゃった」
るか「(ボクは、引っ込み思案で、見た目も女の子みたいだし)」
「(それに、岡部さんのことが――)」
まゆり「そんなことないって、まゆしぃは思うな」
「だって、ルカくんが助けてくれて、オカリンの時と同じくらい、まゆしぃは嬉しかったもん」スッ
るか「あ――」
るか「(まゆりちゃんの癖だ。たまに、空に手を伸ばして――)」
『まゆしぃがいなくても、オカリンはみんながいるから――』
るか「――まゆりちゃん!」ダッ
まゆり「ほえ? ルカくん――?」
ギュッ
るか「な、なんだか、まゆりちゃんが、どこかに行っちゃいそうだったから……」
まゆり「そんな! まゆしぃはどこにも行かないよ?」
るか「ご、ゴメン。でもボク、まゆりちゃんが心配で」グスッ
まゆり「まゆしぃは元気だから、泣かないでー」
るか「あの……怒らないで聞いてほしいんだけど」
まゆり「?」
「まゆりちゃんが、ずっと笑顔で隠してるモノがなんなのか」
まゆり「ほえ? まゆしぃは、別に何も――」
るか「今日のまゆりちゃん、絶対おかしいよ」
「いくら楽しかったて言われても、ボクはまゆりちゃんが心から笑ってくれないと……イヤだ」ギュウ
まゆり「る、ルカくん。痛いよ……」
るか「ボクなんかじゃ力になれないかもしれないけど、ボクは――!」
まゆり「……………………」
るか「ま、まゆりちゃん!?」
まゆり「ホントは、す、すごく怖かった」グスッ
「オカリンがクリスちゃんのこと大好きなのはわかってたし、それでいいと思ってたけど」
「……まゆしぃが、2人の重荷になってるの」
るか「そ、そんなことない! 岡部さんたちがそんなこと思ってるわけ……」
まゆり「実はね、ルカくんが助けてくれた時から、何だかルカくんと一緒にいるとドキドキしてた」
るか「(じゃあ、フェイリスさんの言ってたことは――)」
「でも、まゆしぃはルカくんのこと、オカリンの代わりくらいにしか考えてないのかなって」シュン
るか「か、代わりだなんて。ボクだって、岡部さんには助けてもらってばかりなのに」
まゆり「それにまゆしぃはずっと、ルカくんにムリヤリコスを勧めて、あの人たちにも、コスのことでいろいろ言われてたでしょ」
「まゆしぃは2人とも、とってもとっても大好きのに……」
「2人を困らせるなら、1人で我慢してる方がずっといいよう!」グスッ
「もし良かったら、ま、まゆしぃのこと、嫌いにならないでほしいな。え、えっへへー」ポロポロ
るか「(まゆりちゃん、ずっとそんなこと考えてたのか)」
「(ボクのことで自分を責めて、それでコスプレ作りまで止めようとして)」
るか「そんな顔で泣かないでよ! 嫌いになんて、なるわけない!」
『時にルカ子。お前実際のところ、まゆりをどう思っている?』
るか「(そうだ、まゆりちゃんの気持ちに、ボクはまだ答えてない)」
るか「――だ、だって」ゴクッ
るか「(自分の気持ちは、はっきりと伝えなきゃ――!)」
るか「愛してるから!」
まゆり「ふえっ!?」ビクッ
るか「(い、言ってしまった……! 言葉も全然気が利いてないし、ものすごく恥ずかしい///)」
まゆり「……」ポカーン
るか「あれ? まゆりちゃん?」ペシペシ
まゆり「ハッ!?……な、なんで? てっきりまゆしぃは、ルカくんオカリンのことが好きなんだって……」アセアセ
るか「……うん、ボク、岡部さんのこと、好きだったのかもしれない。変だよね。ボク、男なのに」
るか「(な、なにを言ってるんだろうボク!)」
「まゆしぃは腐女子じゃないけど、2人を見てるとドキドキするよ?」
るか「……そ、それはおいといて、ボクはまゆりちゃんのことが、ホントに好きなんだ」ギュウ
まゆり「ほ、ホントに? ま、まゆしぃのこと、あい、あいし――!」ボンッ
るか「いつも元気いっぱいなところも、食いしん坊なところも、コスプレやバイトに一生懸命なところも好き」
「それにまゆりちゃんのおかげで、少しだけ自分のことを好きになれたんだよ」
「何だか自分が自分じゃないみたいで、は、恥ずかしかったけど、すごく、楽しかった」
まゆり「へ……?」
るか「今回のイベント、ホントは断ろうと思ってたんだ」
まゆり「そ、そうなの!? じゃあ、やっぱり……」シュン
るか「ああ、違うの! コスプレ自体はそんなにイヤじゃないの!」
「ただ、自分が思った以上に反応がすごくて、逆に怖くなっちゃっただけで……」
「まゆりちゃんがいなきゃ、自分にあんなことができるなんて分からず仕舞いだったもの」
まゆり「ま、まゆしぃは、ルカくんに似合うんじゃないかなーって思っただけだよ?」
るか「まゆりちゃんがずっと笑顔でいられるように、そばにいてあげる……コスプレだって、もっと頑張ってみるから」ギュウ
まゆり「あ――///」
「(そう、ボクはやっぱり、まゆりちゃんのことが大好きだ……その、男として)」
「(ボク自身がちゃんと考えて、やっと気が付いたんだ)」
まゆり「――えっと、あの、ルカくん!」
るか「は、ハイ!」
まゆり「そ、その、お返事というか――ちょっと、目つぶっててくれない?」
るか「え、どうして?」
るか「わ、分かった……」パチッ
まゆり「………………んっ」
チュッ!
まゆり「ちょっと、しょっぱいね。まゆしぃ、さっき泣いてたから」
るか「ま、まゆりちゃん!? い、いきなりなにを」アセアセ
まゆり「ゴメンね、いきなりその――チュー、しちゃって///」
るか「いや、でも、これってファーストキ――」
まゆり「じ、実は、昔オカリンとふざけてしちゃったことがあるの」
るか「あ、そうなんだ……」
まゆり「でもね、でもね! さっきのは、悪ふざけじゃないよ」ギュッ
るか「え、えっと、それじゃあ――!」
今じゃルカまゆって素晴らしいとおもえるようになりました。
「ルカくんがいなかったら、まゆしぃはホントに1人ぼっちになってたかも」
「……また、助けてもらっちゃったね、えっへへー」
るか「助けるだなんて、そんな……」
まゆり「えっと、それであの――ま、まゆしぃは帰るよ///」イソイソ
るか「ああ、ぼ、ボクも、荷物運び手伝うから」
まゆり「……うん。ありがと、ルカくん」ギュッ
るか「ま、まゆりちゃん!? ひ、肘に胸が――!」
るか「こ、恋人!? う、うん、そういうこと……だね」
るか「(あ、改めて口にすると生々しいよ……)」
まゆり「うん、わかったー。あとで、オカリンにも教えてあげないと」
るか「……そうだね。岡部さんには、ちゃんと言わないとね。それじゃあ一緒に帰ろうか、まゆりちゃん」
まゆり「――うん!」ニッコリ
るか「(ああ、やっと戻ってきた)」
「(まゆりちゃんの、お日様みたいな笑顔が――)」
――――――――――――――――――
――――――――――――
――――――
「ねえねえ聞いたー? 漆原くんのこと」
「女の子と歩いてたって? でも、漆原くんって女の子の友達多そうじゃない」
「そうだよねー、女の子同士に見えちゃうよねー」
キャッキャ
るか「(……早速、噂になってる)」ズーン
「(でも、まゆりちゃんとのことはバレてないみたいだ)」
まゆり「ルカくん、トゥットゥルー♪」
るか「あ、おはようまゆりちゃん」
るか「(そういえば、ボクたちもう付き合ってるんだっけ……実感が湧かないなあ)」
「ダルくんはずっと壁をドンドンって叩いて、店長さんに怒られてたけどね」
るか「でも、やっぱり恥ずかしい……」
まゆり「うん。まゆしぃも、ちょっと照れくさいな」
「と、ところでルカくん、実は、頼みごとがあるの」
るか「(……この前も、同じことを言ってたような)」
まゆり「今度のコスプレのイベント……まゆしぃと出てくれない?」
るか「ま、また――って、ええ!? まゆりちゃんもコスプレするの!?」
「ルカくんと一緒なら、まゆしぃも……///」
るか「(そういうことか……)」
るか「うん、いいよ」
まゆり「ほ、ホント!? イヤじゃない? 恥ずかしくない?」ズズイッ
るか「ま、まゆりちゃん、ちょっと近い!」
まゆり「あ、ご、ゴメンね。でも、断ってもまゆしぃは怒らないよ?」
まゆり「……ありがとう、ルカくん! 早速、カップル用のコス作らなきゃ!」ルンルン
るか「あ、まゆりちゃん、あんまりはしゃぐと転んじゃうよー!」
まゆり「平気だよ――キャッ!」フラッ
るか「まゆりちゃん!」パシッ
まゆり「いたた――」
るか「け、怪我してない!?」
るか「(あ、転ばないようにと思って、手を……)」
まゆり「ルカくんから手を握ってくれたの、これが初めてかもね。えっへへー」
るか「そ、そう言われれば……」
「じゃあ、このまま、学校行こうか」
まゆり「ほえ?……う、うん。まゆしぃも、それがいいかな///」
「ホントだー。かっわいいー!」
ヒソヒソ
まゆり「ちょ、ちょっと、目立ってるかな?」
るか「は、早く行こうよ、遅刻しちゃう」
まゆり「そうだね。チャイムが鳴っちゃうもんね」チラッ
るか「あ――懐中時計、直ったんだ!」
「でも、昨日いきなり動きだしたんだって。まゆしぃも驚いたのです」
るか「ふーん、不思議なこともあるんだね」
るか「(なんだか、まゆりちゃんに連動してるような……気のせいか)」
まゆり「でも、ちゃんと帰ってきてよかったよ。大切なものも、また1つ増えたしね」チラッ
るか「え? それって――」
「まゆしぃもルカくんのこと、大好きだよ! えっへへー」ニコッ
るか「あ――う、うん///」
るか「(そうだ。これからは、まゆりちゃんがずっと笑顔でいられるように、頑張らなきゃ!)」
「(ボクは見た目は女の子みたいで体力もないし、気も弱いけど――)」
るか「(……だが、男だ)」
(END)
乙
乙乙、またなんか書いてくれ
紅莉栖「まさか、あの2人が付き合うなんてね。お似合いというかなんというか」
ダル「どう見ても百合です。本当にありがとうございました」
「しっかし、オカリンたちのイチャコラだけでお腹いっぱいだってのに、思わぬ伏兵が現れたもんだぜい」フウ
紅莉栖「い、イチャコラなんてしてないわよ!」プンプン
岡部「しかも、2人して俺たちに報告しに来たしな……」
――――――
――――――――――――
――――――――――――――――――
まゆり「――というわけで、ルカくんとお付き合いすることになったのです☆」ニコニコ
るか「岡部さんには、ちゃんと報告しようって……」
まゆり「問題? んー、何かあったの」
岡部「お、お前は……! おバカさんにもほどがあるぞ!」
まゆり「……ごめんなさい、心配かけちゃって」シュン
岡部「ああ、全くだ。とても俺の人質とは思えん」
ダル「…………」ドンッ ドンッ
岡部「ダル、やかましいぞ!」
ダル「……オカリンに、僕の気持ちは分かるまい」
まゆり「……うん。ありがとう、オカリン」ニコッ
岡部「それにルカ子! これで浮かれてはいかん! 清心斬魔流の極意をお前はまだ学び切ってはいない」
「これからはその剣を、まゆりのために振るうのだ」
るか「は、ハイ! 師匠!」
バンッ
天王寺「おい岡部! さっきから何してやがる! 飯にホコリが入ったろうが!」
岡部「み、ミスターブラウン! こ、これは俺のせいではなく――」
天王寺「うるせえ、ちょっと歯ァくいしばれ……!」
岡部「ぬ、ぬわーーー!!」
――――――――――――――――――
――――――――――――
――――――
ダル「ホント悪かったってー。リア充目の当たりにして壁殴んないでいられなかったんだから」
「それにしてもあの時のオカリン、哀愁漂ってたぜ? まるで女の子2人から同時にフラれたみたいだったお」
岡部「(ルカ子とは別の世界線で、少しの間恋人になっていたからな……)」
「(その指摘も、あながち外れてないのかもしれん)」ハア
紅莉栖「でも、まゆりもまた元気になってよかったじゃない。漆原さんもいい子だし」
岡部「フン。まゆりのことも、これで一段落か」
岡部「……ああ、そうなのかもな」
ダル「牧瀬氏がいてくれれば俺は十分! ってことですね、分かります」
紅莉栖「は、橋田!? 何言ってんのよ、そんなわけ……」アセアセ
ダル「つーかさ、告ったのってるか氏からでしょ? だらだらハーレム続けてるオカリンよりよっぽど漢らしくね?」
岡部「は、ハーレムとはなんだ! それに俺は――」オロオロ
ダル「あー、口にしてから後悔しはじめた! リア充爆発しろ!」
「というわけで、僕はメイクイーンでこのダメージを癒してくるお……」ガチャ
岡部「(あいつもそのうち、子持ちのリア充になるというのに!)」
紅莉栖「…………」チラッ
岡部「おい、こちらを見るな! だ、ダルの言うことを本気にするとは、助手も中々のスイーツ(笑)だな!」
紅莉栖「だ、誰がスイーツ(笑)よ!」
岡部「………………」
紅莉栖「…………」
岡部「(か、会話が続かん!)」
岡部「は、はあ? お前、いきなり何を――」
紅莉栖「私はラボメンになってまだ日が浅いけど、これでも人を見る目には自信があるの」
「2人とも、ただの幼馴染には見えなかった」
岡部「……あいつは、妹みたいなものだからな。まゆりが幸せなら俺は構わん」
紅莉栖「そう……じゃあ、岡部は好きな人、いる?」
岡部「はい?」
紅莉栖「あ――た、ただ気になっただけだから!」プイッ
岡部「……ああ、いるさ」ナデナデ
紅莉栖「ふえっ!? い、いきなりなにを……///」
岡部「急におかしな質問をした罰だ。甘んじて受けるが良い」
紅莉栖「そんなことで頭をなでるなHENTAI!」
岡部「……その割には、かなり嬉しそうだが?」
紅莉栖「こ、こんなので喜ぶわけないじゃない! バカなの、死ぬの!」ムキーッ
「(紅莉栖に、自分の気持ちを――)」
ヴーン ヴーン
岡部「む、メールか……」
紅莉栖「あ、あれ? 私も」
2人「………………?」
るか「(ふう、お昼休みか)」
まゆり「る、ルカくん、これ見て!」ヒョイ
るか「なにこれ、メール?」
From 萌郁さん
Sub 見ちゃった!!!
大スクープだよ!ホントはど
うしようか迷ったけど、ガマ
ン出来なかった///
この前バイト探しの帰りにま
ゆりちゃんたちを見かけて…
…キャッ、これ以上は恥ず
かしくて言えない///
詳しくは添付した画像で!
萌郁
るか「添付画像……って、ええっ!?」
るか「(これ、まゆりちゃんがキ、キスしてきたときの!)」
「まゆしぃたち以外のラボメンみんなに送られてきたんだって」オロオロ
るか「(そんな、あの時周りに人気はなかったはずなのに……)」
「(桐生さん、忍者かスパイ? 特殊部隊のエージェント?)」
女生徒1「あれ、まゆりちゃんたち何見てるの?」ヒョイ
まゆり・るか「「!!」」ビクッ
女生徒2「す、すごーい! みんなー、大ニュース大ニュース!」ピュー
るか「あの、ちょっと――!」
まゆり「はわわー! ど、どうしようルカくん、あの写真見られちゃった!」オロオロ
ザッ!
クラス一同「「2人とも!!」」
るか「(か、囲まれた!?)」キョロキョロ
「うわーリア充かよ! こんな写真まであるなんて」
「女の子同士にしか見えねえ……いや、これはこれでアリか」
「バカ、お前何言ってんだよ!」
「ヒューヒュー! バカップル誕生!」
ワイワイキャーキャー!
まゆり「あの、これは――あれ、ルカくん? 大丈夫ー?」ユサユサ
るか「……こ、こんな」プルプル
るか「こんな終わり方、いやあーーーー!!!!」
(今度こそ、おしまい!)
EDテーマ School Food Punishment/in bloom
るかまゆは割とアリだと思ってたのにあんまりないから俺が書いちゃったよ!
こんな夜中まで付き合ってくれて、本当にありがとうございましたノシ
EDについてはこれを書いてる間ずっと聞いてた曲です。よろしければどうぞ。
Entry ⇒ 2012.02.25 | Category ⇒ シュタインズゲートSS | Comments (1) | Trackbacks (0)
岡部「入学式まで暇だな…」ダル「だお」
http://hayabusa.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1329469226/
ダル「僕はセンター利用で先に受かってたわけだが。つーか満点とかヤマが当たるってレベルじゃねーぞ!あーエロゲも出ないし暇だお」
岡部「エロゲにしか興味がないのかこのHENTAIめ!」
岡部(そう、俺は電機大学に一般入試で合格してしまった。まあこの『運命探知の魔眼』にかかれば試験問題を予想することなどたやすい事なのだ!)
携帯「チャーラーラララーラーラーチャーラーラーララー」ピッ
岡部「俺だ」
まゆり「あ~オカリーン?トゥットゥルー!」
まゆり「うん!え~っとねぇ、まゆしぃたちの学校で学園祭があるって前に話したでしょ~?」
岡部「ああ。確か第二日曜日だったか。それがどうしたのだ?」
まゆり「それでねえ、オカリンも来てくれないかなあ、って思って」
ダル「幼馴染の学園祭とかそれなんてエロゲ?つーかリアルJKのコスプレ姿を見られるなんて羨ましすぎだろ常考。僕も連れていけオカリン!」
まゆり「ありがとぉ~!やっぱりオカリンは優しいのです!」
岡部「あ、まゆりよ、『頼れる我が右腕』を連れて行きたいのだが、いいか?」
岡部「そうか。期待しているがいい。共に"機関"と戦う…エ?ソンナショウカイノシカタハヤメロ?.....マアイイダロウ...…ともかく期待しておくのだ!」
まゆり「ふふっ、変なオカリン。じゃまたね~」
岡部「ああ。ではな。エル・プサイ・コンg」ブツッ
ダル「オカリン、結局どうなったん?」
岡部「大歓迎だそうだ。よかったな、ダル」
ダル「流石オカリン!俺たちにできない事を平然とやってのける!そこにシビれる憧れるぅ!」
岡部「しかし、お前三次元には興味はないんじゃなかったのか?」
ダル「萌えられれば何でもおkだお。何なら無機物にだって萌えられるお」
ダル「オーキードーキー。んじゃ帰りますか」トコトコ
~電車内~
岡部「そう言えばダルよ、先月のニューポンでタイムトラベルについての特集があったのだが、ダルはどう思う?」
ダル「確か、光速を越える速度で宇宙航行する方法と、ワームホール同士をつなぎ合わせて移動する方法と…あとブラックホールの特異点通過の際に四次元に到達する方法も紹介されてたお」
ダル「アインシュタイン大先生がいうには僕たちが生きるこの三次元は空間的にしか移動できなくて、時間は空間とは別のベクトルで一定速度で進み続けるんだっけ。」
ダル「その時間軸を移動できるのが四次元って聞いたお。つーかオカリン、時間を移動できるようになったところでどうするん?」
岡部「ククク、ダルは分かっていないな。現在、過去、未来。この三つを全て支配してこそ、"機関"を完全に滅ぼす事が出来るのだ、フゥーハハハ!」
岡部「何だと!…お前には俺の遥かなる野望を共有する素質があると思っていたのに…残念だ」
ダル「厨二病乙」
岡部「ぐっ…まあいい。なあダル、18歳で大学の研究室ってどう思う?」
ダル「kwsk」
岡部「その発表者が牧瀬紅莉栖…ヴィクトルコンドリア大学研究室所属の研究員で歳がなんと18なのだ」
ダル「あーそんな名前だったっけ。あれでしょ、記憶をデータにして圧縮すると3TBぐらいにしかならないってやつ。意識と記憶の違い云々は僕にはサッパリだったけど」
ダル「アメリカなら飛び級も普通にあるから、そんなに珍しくないんじゃない?」
ダル「同意。僕の嫁達との思い出はかれこれ10TBほどにはなってるお。ところでオカリン、牧瀬紅莉栖だけど、今月の『サイエンス』に論文が載ってたお」
岡部「何!?それは盲点だった、まだ売っているか?」
ダル「オカリン焦りすぎ。もしや牧瀬氏のことが気になってるん?かなり美人だしなぁー」
岡部「大体あいつはせっかく論文がニューポンに載ったというのに、写真に物凄く機嫌の悪そうな顔をして写っていたではないか!あれは"機関"のエイジェントの可能性がある!」
ダル「はいはいツンデレ乙。サイエンスなら僕のウチにあるから寄って読んでく?」
岡部「流石ダル。世界の支配構造を作り変える方法について日夜研究しているのだな!これからもよろしく頼む」
ダル「ごめんそういうのもういいから。んじゃ次の駅で降りるお」
岡部「ダルの家に行くのは久しぶりだな。お前の部屋には二度と入ろうと思わんが」
ダル「今日はサイエンス読むだけだろ?部屋には上がらなくていいお、つかむしろ上がらないでくれ。僕の嫁達が怖がってるからね」
岡部「…………了解した」
~ダル宅~
岡部「お邪魔します」
ダル母「あら岡部くん、いらっしゃい。いつも至と仲良くしてくれてありがとうねえ」
ダル「母さん、そういうの恥ずかしいからやめろって。じゃオカリンちょっと待ってて」
ダル母「岡部くんも電大受かったって聞いたわよ。至と一緒に頑張ってね」
岡部「はい、勿論。ダルは俺の親友ですから」
ダル「ハックショイ!オカリーン、持って来たおー!」
ダル「内容はニューポンの時とそんなに変わりないお。データ圧縮にブラックホールを使う事で携帯からでも拡散電波で送れるぐらい小さくできるってことが付けたされたぐらい」
岡部「記憶の圧縮にブラックホールとは…物騒だな。というか、ブラックホールが生成されるかもしれないという実験自体、ヨーロッパで始まったばかりではないか。これが実現するのは十年後か二十年後か…ともかく今の技術では荒唐無稽だな」
ダル「必死になって否定する…これは余程のツンデレと見た」
ダル「それなんだけどさ、椎名氏、だっけ?のクラスは何やるん?」
岡部「メイド喫茶だ」
ダル「オカリン…アンタ今最高に輝いてるよ…」
岡部「ああ。ではな。さらばだ!」タタタ
ダル母「忙しいのねえ、岡部くん…」
ダル「単にバカなだけと思われ」
岡部(有益な情報が得られたな。さて、帰るとするか)
岡部「ただいまー」
岡部母「おかえり。遅かったのね。大学受かったからってハメを外しすぎちゃダメよ」
岡部母「もう…お父さんったら///」
岡部(どうにかならないのかこの両親!)
岡部父「おい、倫太郎。お前私立に行く金食い虫なんだからちょっとは手伝ってくれ」
岡部「はいはい。どうせ他にやることもないのだからな」
岡部「マイファザーよ、もう店じまいの時間だろう!」
岡部父「すまんな。ありがとう。これお駄賃な」
岡部「これはイチマンエーンではないかマイファザーよ!何があったのだ?」
岡部父「お前まゆりちゃんの学園祭に行くんだろ?ちょっとは良いとこ見せてやれよ」
岡部「だから俺とまゆりは………ま、まあ有難く受け取っておく」
岡部父「素直じゃねえんだから…」
岡部(メールか…まゆりから?)
まゆり「メイドさんのコスが完成したのです!とっても可愛いからオカリン絶対来てね!」
岡部(ふふ、楽しそうだな、まゆりは。勿論だっ…と。)
岡部父「ほほーん、まゆりちゃんからじゃねえか。にやけやがって…」
岡部「し、しつこいぞマイファザーよ!俺は学園祭が楽しみなだけなのだ!」
岡部(そうだ。俺は学園祭を楽しみにしていたのだな。狂気のマッドサイエンティストたるものが学園祭とは…ククク、滑稽なものだな)
岡部(だが、たまにはこういうのもいいだろう)
~学園祭会場~
岡部「随分と賑わっているな。というか結構な数から写真を撮られるのは何なのだ」
ダル「皆オカリンの白衣をコスプレだと思ってるみたい。まあ悔しいけどイケメンだし誰だって普通はそう思う罠」
岡部「神聖なる白衣をコスプレ同義にするとは…許せん!」
岡部「そうするか」
岡部(何故こんな時期に学園祭…とは思ったが、これは来年度の新入生の歓迎会も兼ねているのか。何とも人が多い)
岡部「一年生はココだな」
ダル「おお、あそこじゃね?なんか紳士のオーラ漂ってるし」ユビサシ
岡部「うむ…何とも形容しがたい空気が漂っているな…」
ダル「とりあえず並ぼうず」
まゆり「いらっしゃいませ、カフェらぶちゅっちゅに!こちらがメニューになります!いかがなさいますか?」
客A「えーと、じゃあこのラブリィシェイクで」
客B「僕はすいーとマイはにートーストで!」
まゆり「かしこまりました、ご主人様~!あちらのテーブルへどうぞ~!」
岡部(まあ今のバイトだってファミレスだしな、慣れているのかもしれない)
岡部(まゆりがメイドカフェで働きたいと言ったときに反対して今のバイトを勧めたが、余計なお世話だったのかもしれないな)オカリン,オカリン!
ダル「…カリン、聞いてるん?ボーッとあの子見て。オカリンの幼馴染どの子なん?もしかして受付の子?」
岡部「よくわかったな。あれが俺の人質、椎名まゆりだ」
岡部「安定のHENTAIぶりだなダルよ」
まゆり「いらっしゃいませ、カフェらぶちゅっちゅに!あ~、オカリンだあ~!来てくれてありがとう~!」
岡部「ああ、上手にやっているではないか。見直したぞ」
まゆり「えっへへ~。オカリンに褒められたのです、えっへん。あれ、ってことは隣の大きな人が~?」
至「橋田至です、岡部くんの親友です。以後お見知りおきを(キリッ」
岡部「ダルよ、キャラ変わってるぞ」
まゆり「ダルくんだね~?そっかあ、まゆしぃもよろしくね~!えーっと、まゆしぃのことはまゆしぃ☆って呼んでくれたらいいよ~」
ダル「まゆ氏。おk、把握しますた。」
ダル「え?それって声に出して読んだらわかんねえじゃん」
客C「え、えーと…後ろ、つかえてるんだけどは、早く注文してくれないかな、ふひひ」
岡部「ああ、すまない少年よ。まゆり、注文を頼む」
客C「い、いいよ、分かってくれたら。僕はブラちゅーのミュージカルさえ見れればいいから、ふひひ」
岡部「ラブリィシェイクで」
ダル「同じのを頼むお」
まゆり「かしこまりました~!奥のテーブルへどうぞ~!」
客C「き、君たちセンスがいいね、目を見て混ぜ混ぜしてくれるそうじゃないか、ふひひ、楽しみだなあ」
客D「あっ、タクここにいたのー!ねえ、あっちで射的あるから行こうよ!ほら!」
客C「あ、待って梨深、僕はらぶちゅっちゅしたいんだアッー!」
~カフェらぶちゅっちゅ店内~
ダル「リアルJKのメイドとか最高だお…僕もう今死んでも悔いは無いお…」
るか「ラブリィシェイクをお持ちしました…」
岡部「ルカ子…だよな?」
るか「えっ、おかべさ、凶真さん!?」
ダル「ああ…メイドさん可愛いよメイドさん。オカリン、この子知り合いなん?」
岡部「ああ」
ダル「裏切ってたのかオカリン!こんな可愛い子を僕に黙ってるなんて!」
るか「可愛い…?ふえぇ…」
ダル「…何で泣くん?」
ダル「何なん?」
岡部「ルカ子は実は男なのだ」
ダル「男の娘とか最高だお……ってmjd?」
岡部「マジだ」
るか「本当なんです…」
岡部「だが男だ」
ダル「メイド服が似合っている」
岡部「だが男だ」
ダル「涙する姿に庇護欲をそそられる」
るか「でも…男なんです…」
ダル「だがそこがいい」b
るか「えっ?ふえぇ…」
ダル「ちょ、なんでまた泣くん?」
ダル「嬉しいって何でだお?」
るか「だって、ボク、こんな顔だし…みんなボクが本当は男だって知ったら引いてしまう人が多くて…」
ダル「るか氏、だっけ?君が男か女か、そんなことはどうでもいいのだぜ。可愛いは正義!」
るか「ぐすっ…その言葉を聞いたのは二回目です…。ありがとうございます…漆原、るかといいます…よろしく」
ダル「よろしくだお」
ダル「僕は変態でも紳士だからね」
岡部「ではルカ子よ、その…目を見て混ぜ混ぜをお願いしてもいいか…?」
るか「!!!…分かりました、頑張ってみます!」
るか「では、混ぜさせて頂きます…」
るか「じーっ」カチャカチャ
岡部「……」
るか「じーっ///」カチャカチャ
岡部「…………!」
るか「もう、限界です…」
岡部「ふぅ…よく頑張ったなルカ子よ」ナデナデ
るか「……………!///」スタコラ
ダル「自分で考えろ。つーか僕もうイライラしたから自分でシェイク混ぜちゃった訳だが」
岡部「何だかよく分からんがすまない」
ダル「どんだけ鈍感なんだお」
まゆり「オカリーン、どう?」
岡部「ああ、いい店だな、店員も素晴らしい」
まゆり「そっかぁ~!よかった!」
まゆり「そっかぁ…ダルくんごめんね。まゆしぃが代わりに混ぜるから許してくれる?」
ダル「なんという僥倖っ…!人の幼馴染の混ぜ混ぜとか背徳感MAXだろ常考」
まゆり「じゃいくよ~?」
ダル「Oh...」
まゆり「にこにこ」カチャカチャ
ダル「…………うっ…!」
まゆり「にこにこ」カチャカチャ
ダル「…………」
まゆり「にこにこ」
じゃねえよwww
ダル「死ぬかと思った…」
ダル「オカリンは命の恩人だお…マジでこの子魔力ありすぎ」
岡部(ダルがデロデロになったシェイクを律儀に持って帰ろうとしていたのは見なかったことにしておこう)
岡部(途中から店じまいしたまゆりとルカ子も加わり、久々にみんなで楽しいひと時を過ごした)
岡部(ダルがしきりに歯ぎしりをしていたが、歯でも悪いのだろうか。今度行きつけの歯医者を教えてやるとするか)
岡部(そんなこんなで、まゆりとの帰り道である)
まゆり「ねえオカリン、今日は楽しかったね」
岡部「ああ。まゆりも店番、立派に出来ていたな。見直したぞ」
まゆり「ほんとー?嬉しいよぉ♪オカリン、ありがとう」
岡部「そこでだな…この前のメイドカフェのバイトの件だが」
まゆり「留美穂ちゃんに誘われてたメイクイーン・ニャン^2のこと~?」
岡部「うむ。あの時はダメだと言ったが…まゆりも成長したようだしな、好きにするがいい」
まゆり「ほんと~?いいの~?オカリンは
優しいのです♪」
まゆり「うん!じゃさっそく留美穂ちゃんにメールをするのです!」
まゆり「あ、返事来た~!」
フェイリス「明日からいつでも来ていいニャン。じゃ、待ってるニャン!」
岡部「そのフェイリスという奴…俺と同じ匂いがするな…」
まゆり「フェリスちゃんはオカリンと一緒で、よく分からないことも言うけど、とっても優しいのです!楽しみだなあ~♪」
まゆり「うん!ありがとう♪」
岡部「そこでだ、俺も大学入学を機に新たな作戦を開始することにした!」
まゆり「おお~すごいね~!なになに~?」
岡部「聞きたいか?ならまゆりにだけは特別に教えてやろう…」
岡部「俺は、今日から、"機関"の野望と戦うための拠点を設立する!」
岡部「その名は…!」
岡部(まゆりだって、あの牧瀬紅莉栖だって未来に向けて何かを変えてみたいと思って努力しているんだ…負けてなんかいられない!)
岡部「『未来ガジェット研究所』だ!」
おしまい
乙です…
Entry ⇒ 2012.02.24 | Category ⇒ シュタインズゲートSS | Comments (0) | Trackbacks (0)
紅莉栖「な、なんで岡部が私のホテルに!?」
http://hayabusa.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1329224567/
紅莉栖「ちょ…来るんなら来るって連絡よこしなさいよ!」
紅莉栖(ぐ、偶然掃除した直後でよかった…!)
岡部「…」
紅莉栖「…な、何よ深刻そうな顔して?」
岡部「…」
紅莉栖「何とか言いなさいよ…はぁ、もう。いきなりなんだから…」
岡部「…紅莉栖」
紅莉栖「だから助手でもくりすt……え?…今、名前で」
岡部「紅莉栖っ!」ガバッ
紅莉栖「」
岡部「紅莉栖…!」
紅莉栖「な、なんですか///」
岡部「俺は…お前のことが………」
紅莉栖「ひい!///」ビクン
紅莉栖(な、なんぞこれ!なんぞこれ!?)
岡部「す…」
紅莉栖(…ktkr!?)
紅莉栖「う…///」ビクン
紅莉栖(うおおおおおおおおおおおおぉぉぉぉぉぉ!!)
紅莉栖(キタ━━━━━━━(゜∀゜)━━━━━━━ッ!!)
紅莉栖(キキキキキキキタタタタタ─────((((゚゚゚∀∀゚゚゚゚)))))─────!!!!!!!!)
紅莉栖(キタワー.*・゚゚・*:.。..。.:*・゚(n‘∀‘)η゚・*:.。. .。.:*・゚゚・*!!!!!☆ )
紅莉栖(キタァァ(゚∀゚)ァァ( ゚∀)ァァ( ゚)ァァ( )ァァ(` )ァァ(Д`)ァァ(´Д`)ァァ゜(゚´Д`゚)゜。ウァァ・゜・(ノД`;)・゜・ァァァァン!!!)
岡部「お前の気持ちを、聞かせて欲しい…」
紅莉栖「ばがおがべぇ…いわなぐでもわがるでしょぉ…///」ポロポロ
岡部「な、泣くほど嫌だったか!?」
紅莉栖「ぢ、ぢがうわよぉ!なんでそうなるのよぉ…///」
岡部「す、すまない…」
紅莉栖「謝るなぁ!」ポロポロ
岡部「お前の口から、聞きたいんだ…あの時、聞けなかった言葉を…」
紅莉栖「おかべ…///」
紅莉栖(フヒヒヒヒ!あの時ってどの時かしらウフフまぁこまけえこたぁいいんだよ!///)
紅莉栖「岡部っ…私も、そのっ…///」
岡部「うん…」
紅莉栖「私も、岡部のことが…」
岡部「…」
紅莉栖「好き…///」
紅莉栖(ウオオオオオオオオオオオオオオオォォォ!!)
紅莉栖(言っちまった!なんだよこれ…なんだよこれぇ!!)
紅莉栖(嬉しい!嬉しい恥ずかしい!嬉しい!)
紅莉栖「へあ?…んっ!」
岡部「っ…」
紅莉栖「んむんっ…///」
紅莉栖(ギャアアアアアァァ!チュー!今チューしてる私!)
紅莉栖(岡部ったらもう私にメロメロなんだからもうしかたないなもうしかたないな!///)
紅莉栖(レッツ岡部倫太郎ワールド!!wwwwwww)
岡部「…はぁ」
紅莉栖「おかべぇ…んっ///」
岡部「ん…」
紅莉栖「んっ、おかべっ…んっ…ふ、んちゅ…」チュッチュ
岡部「っ…紅莉栖っ……」チュッチュ
紅莉栖(ほわああああああぁぁぁ///)
紅莉栖(なんだこの空間!甘ッ!すんごい甘い!!)
紅莉栖(サッカリン入ってる!?)
岡部「紅莉栖…っ」ギュ
紅莉栖「あぅっ…おかべぇ///」
岡部「お前が欲しい…」
紅莉栖「へ…え、えぇ!?///」
紅莉栖(やっべよく考えたらここホテルだし!///)
紅莉栖(男連れ込んで何やってるんだ私はフヒヒヒヒwwww///)
紅莉栖(ママごめんなさいwwww紅莉栖はわるい子紅莉栖はわるい子wwwwwww)
紅莉栖「やっぱりそういう…意味?///」
岡部「愛している…紅莉栖。お前が欲しい」ボソ
紅莉栖「っ!?」
紅莉栖(ああああああああああああぁぁぁいやあああああああぁぁぁぁぁ//////)ジュンジュワー
紅莉栖(い、今のは腰にきたぞおおぉぉ///)ガクガクガク
紅莉栖(耳元でそれは反則だわぁーそれ反則だわーまいっちゃうなぁー!タハハ!!///)
紅莉栖(あぁー少し不安そうな岡部かわいい岡部かわいいよ岡部///)
紅莉栖「わっ…私も、その…///」
紅莉栖「岡部が…欲しい、よ…」
紅莉栖(うはああああぁぁwwwwwwwww///)
紅莉栖(なに言ってんだこの天才HENTAI処女wwwwwwww//////)
紅莉栖(最後の「よ…」ってなんだよいらないでしょwwwww「よ…」wwwwww/////////)
紅莉栖「…あっ!」トサァ
岡部「好きだ…紅莉栖!」
紅莉栖「あっ、おかべぇ…や、優しくしてぇ…///」
紅莉栖(さようなら天才HENTAI処女)
紅莉栖(こんにちは天才HENTAI非処女)
紅莉栖「んふ、んちゅ…れる」ちゅっちゅ
岡部「はぁっ…」
紅莉栖「んっ…」
岡部「綺麗だ、紅莉栖…」スリ
紅莉栖「んっんっ…やだっ、はずかしッ…///」
紅莉栖(うっそ綺麗って、おかべが綺麗って!うはっwwwww///)
紅莉栖(で、でもこれ全部見られてうわーちょっと恥ずかしすぎるでしょう/////////)
紅莉栖(でも岡部にはもっと見せたいって言うかなんというかゴニョゴニョwwwwゴニョwwwww)
岡部「そんなことはどうでもいい…」
紅莉栖「あっ!やっ///」
岡部「俺は紅莉栖の全てが愛おしい…」
紅莉栖「はっ…あ、ばかぁ…おかべぇ…んっ…」
紅莉栖(私も岡部の全てが愛おしいwwwwwwwwwwww)
紅莉栖(うあーこれ夢?夢?夢じゃないよね?)
紅莉栖「ふ、ふぅッ…へいき、だけどっ…ン…」
紅莉栖「うンっ…痛くしたら…やっ…あ、あッ、あっ…」
紅莉栖「ひ、お、おかべのっ指っ…やだっ、やらしッ…んっんんッ!」
紅莉栖(あ、こりゃダメだもう脳内実況の余裕ない…)
紅莉栖「はっはっ…ふ、ぅっ………」
紅莉栖「ん…、うん…」
紅莉栖「痛いの、やだから…いたくしないで…?」
紅莉栖「やさしくしてくれるなら、ゆるす、からっ…」
紅莉栖「うっ…ふぅ、ふぅ…おかべぇ…」
紅莉栖「きす、きしゅ…んっ、んふぅ、んちゅ…」
紅莉栖「んぅッ…んっ、んっ、んっ、んッ…!」
紅莉栖「ぷあぁぁ…わ、わたしもぉ、あいしてるっ…おかべぇッ…!」
すきぃ……おかべっ、すきぃっ…んっ、あぅっ…」
紅莉栖「やさしいよぉ、おかべっ…はっ、はっあッ…」
紅莉栖「わかってた、おかべならすごくやさしくしてくれるって…っ」
紅莉栖「でもっ…んぅ、おかべなら……」
紅莉栖「もっと、痛くしても、平気…だからっ…
おかべぇ…もっと、私をっ…おかべのものに、して…?」
紅莉栖「んっ!あっ、は…ッ!んんぅ、あぅッ…!!」
私の、からだに、いっぱいっ…おかべのしるし、つけて…っ」
紅莉栖「はッ…あ、んんッ…いっぱい、こういうことの、痕、つけてっ…
わたしのっ…ぜんぶ、おかべのっ…」
紅莉栖「おかべっおかふぇ…っ、んぐっ、ちゅ…んふぅッ…んく…
ぷあ、あっ、ん、んっ、んッ、んッ、んッ、んッ~~!」
紅莉栖「っ!は、あ!あっ!おかべっ…!あっ熱っ…っ、~~~ッ!!」
おかべっ…ん……
はぁ、ふぅ……ん、やっぱり、やさしかったよ…おかべぇ…
うん…好き、私も好き…岡部が大好きっ…」
~ハッピーエンド~
岡部「フヒ、フヒヒ…紅莉栖、紅莉栖…愛してるお…」
岡部「…」
岡部「…夢?」
岡部「…」
岡部「ゆっ、夢ッ……!!」
岡部「…え?俺の夢!?」ガバッ
岡部「ぐあああああああぁぁぁぁ!!なっ、なっ…!!」
岡部「なんだよこれ!!」
岡部「俺かよ!?」
岡部「ッ!~~~~~~~~~~~~~ッ!!///」バタバタバタ
岡部「この鳳凰院凶真としたことがッ…!なんたるッ!!」ダバダバダバ
岡部「クッ…はは、まぁ!夢!夢だから!」
岡部「うん!誰も攻められない。俺は悪くない。助手も悪くない。誰も悪くない」
岡部「いや、しかしあんな夢を見てしまうとはな…www」
岡部「うむ、正直…悪くないwwwwww」ニヤニヤ
岡部「ドクペで束の間の潤いを取り戻すこととするか。助手も飲むか?」ガコ
紅莉栖「~~~ッ!///」バタバタバタ
まゆり「///」
ダル「…」ポロポロ
まさかラボか…?
紅莉栖「…ッ///」ビタンビタン
岡部「まったく朝っぱらから愉快な助手だ!」
岡部「フゥーハハハハハ!フゥーハハハハハ!!フゥーハハハハハッハッはぁ!!!」
まゆり「///」
ダル「ぐっ…オカリン…」
岡部「どうしたぁ!?マイフェイバリッ・ライアーム!ダルゥ!!」
ダル「オカリンは十分戦った…もう休んでいい。休んでいいんだお…」ポロポロ
岡部「なんのことかサッパリわからんッ!!」ポロポロ
岡部「何も無茶などしておらーん!今朝は皆、少しおかしいのではないか!?」
岡部「特に!助手など身悶えしっぱなしではないかッ!」
紅莉栖「ッ!///」ビク
岡部「…」
紅莉栖「…///」チラ
岡部「…///」
紅莉栖「…くっは!!///」バタバタバタ
岡部「~~ッ!!///」バタバタバタ
まゆり「…えへ~///」
ダル「オカリンっ…もうやめて…オカリンのライフはとっくにマイナスだお…」ポロポロ
ダル「今日のお前が言うなスレはここでした」
岡部「だああぁぁまああぁぁれぇぇ!!!」
岡部「な、なあまゆり?おまえは普通だよな?大丈夫だよな?」
まゆり「ん~っとねぇ…」
岡部「…」
紅莉栖「…」
まゆり「えっへぇ~…オカリン、えっちだねぇ~///」
紅莉栖「ホポショイ///」バタバタバタ
岡部「」ガクーン
ダル「…お、オカリイイイィィン!!」
ダル「オカリンのせいじゃないお…全部夢なんだから」
岡部「俺が軽率なことをしたせいで…全部ッ…」
岡部「皆…すまないっ…ぐっ…う、うぅぅぅ…」ダバー
ダル「…途中で起こさなかった僕らも悪いんだお」
岡部「途中…」
岡部「途中ってなんだよ…」
岡部「途中ってなんだよ!!」
ダル『お前が欲しい…』ボソ
紅莉栖「んんww///」ゴロゴロゴロ
岡部「はっはっはははwwwwwwww」ガッガッガッ
岡部「死のう」キリッ
ダル「…お、オカリイイイィィン!!」
ダル「そんな器用な死に方世界を騙すだけでおすすめできないお」
岡部「もう、もういいんだ…電話レンジもない、タイムリープもできない。なかったことにはできない…」
岡部「狂気のHENTAIサイエンティスト鳳凰院凶真はここに死ぬのだ…」
ダル「…最後まで聞き続けた僕らも悪いんだお」
岡部「最後…」
岡部「最後っていやいいや、聞かない。聞きたくない」
ダル『…愛している、紅莉栖。その…責任は、取るからな?』キリッ
紅莉栖「いやああああぁぁぁぁ!!///」バタバタバタ
岡部「オギャアアアアァァ!!」ゴロゴロゴロガタッガッシャアアァァ
ヌチャ
岡部「」
ダル「…なんぞ?」
岡部「緊急事態だ」
ダル「どしたん?」
岡部「パンツを買ってきてくれ」
ダル「…」
岡部「俺がシャワーから上がるまでにだ。できるか?」
ダル「…オーキードーキー!」ビシッ
まゆり「えひ~///」
紅莉栖「え?ま、マジで?www///」ガッガッガッ
岡部「お前達は早く帰れ…頼む帰ってくださいお願いします」
岡部「…」
岡部(ふむ、シャワーホースで死ねないだろうか?)
岡部(石鹸で足を滑らせるというのもアリだな…)
岡部(髭剃りは…だめだ横滑り防止が付いている)
岡部(やはりこの年には俺はまだ死ねないのか…)
岡部「…ふぅ」
ダル「…」
まゆり「…」
紅莉栖「…」
岡部「なんでまだいるんだよぉ!!」
岡部「!?」ビク
紅莉栖「岡部、その…」
紅莉栖「ねwwwwww///」
岡部「…」プルプル
紅莉栖「だ、だれm…だ、駄目だっ…く、私wwwwww///」ゴロゴロゴロ
岡部「跳べよおおおおぉぉぉ!跳べよおおおおぉぉぉ!!」
ダル「オカリン、2階から跳んでも死ねないお。あ、パンツここ置いとくから」
ダル「あ、まゆ氏まゆ氏、僕と同伴出勤希望~」
岡部「お、おいちょ待てよ!」
ガチャバタン
岡部「マジか…」
紅莉栖「…」
岡部「…」
紅莉栖「…」
岡部「なっ、なんだぁ!!」ビク
紅莉栖「ど、どうしてそんな夢見るのよおぉぉぉ!///」ゴロゴロゴロ
岡部「し、知らん!お前が勝手に出てきたのだ!」
紅莉栖「フ、誰にモノを言っているの?私は脳科学の専門化よ!!」ゴロゴロ
岡部「なん…だと…」
紅莉栖「私が分析するに…」
岡部「んぐっ…」
紅莉栖「ぶ、分析っ…///」
岡部「///」
紅莉栖「い、言えるかぁ!!///」ゴロゴロ
岡部「言わんでいい!」
紅莉栖「え、ちょ…に、逃げるのか!この童貞!」
岡部「逃げるのではない!戦略的撤退だ!!
あと童貞だ悪いかぁ~童貞どころか友人知人の前で夢精したHENTAIだがなフハハハハ!!」バサァ
紅莉栖「こんのヘタレ!待てぇ!」ダッ
岡部「うぉ!?危なッ…」
ドン
岡部「…」ガッシ
紅莉栖「ちょ…岡部?もう離してくれても」
岡部「……ッ」
岡部「どうして…っ」
紅莉栖「岡部…?」
紅莉栖「顔色、悪い、けど…」
岡部「すまない…こんなつもりじゃ…」
紅莉栖(あれ、こんなことがどこかで前あったような…)
紅莉栖(今の岡部の顔をどこかで見たような…)
紅莉栖『死にたくない…死にたくない、よ…』
岡部「どうして…紅莉栖…」
紅莉栖『こんな、おわりかた…いや…』
紅莉栖(あれ…これ、忘れちゃだめだったことじゃ…)
紅莉栖「岡部…?」
岡部「すまない、紅莉栖…」
岡部「俺は…こんな…」
紅莉栖「岡部!?」
岡部「あ、あぁぁぁ…ッ!」
紅莉栖「岡部ッ!!駄目!」
グキ
岡部「っ…」
紅莉栖「んっ…ん」
岡部「…んっ!?」
紅莉栖「…んちゅ、ぷは」
岡部「」
紅莉栖「はぁ…お、落ち着いた?///」
岡部「…」
岡部「あぁ、こんな荒療治があったとは思わなかった」
紅莉栖「し、しかたないでしょ!あんたに肩がっしり捕まれてんだから!///」
岡部「あぁ…だから、お前に直接触れるようなことは極力避けてきた」
紅莉栖「ふむん…」
岡部「それでも構わないと思っていた。
そもそもお前には前の世界線の記憶が無いだろうし、
思い出させるようなことも、したくなかった。
お前にはお前の人生がある…本当は会うつもりも無かった」
紅莉栖「それはあなたのエゴ。私の人生は私が決めるわ」
岡部「…まったくだ。俺は何様だという話だ」
紅莉栖「そして、そうやって抑圧されたリビドーがあの夢に…」
岡部「それは言うな…」
紅莉栖「ご、ごめん…」
ま、まったく仕方ないわねぇもう!」
岡部「紅莉栖…」
紅莉栖「な、なによ別にあんたのためじゃないんだからねなんとかかんとか!」
岡部「好きだ」
紅莉栖「ひ?」
岡部「紅莉栖…」ギュ
紅莉栖「なっ…あ、え?///」
紅莉栖「え、えぇ!も、もちろんよおぉぉ…///」
岡部「それはどっちの返事だ?」
紅莉栖「っ…」
紅莉栖「岡部っ…私も、そのっ…///」
岡部「うん…」
紅莉栖「私も、岡部のことが…」
岡部「…」
紅莉栖「好き…///」
岡部「愛している…紅莉栖。お前が欲しい」ボソ
紅莉栖「わっ…私も、その…///」
紅莉栖「岡部が…欲しい、よ…」
~ハッピーエンド~
面白かった
Entry ⇒ 2012.02.20 | Category ⇒ シュタインズゲートSS | Comments (0) | Trackbacks (0)
紅莉栖「前の世界線の私から岡部さんを全力で寝取る」
ガチャ
紅莉栖「ハロー、あっ今日は岡部さんだけなんですね」
岡部「助手か。今日は早いんだな」
紅莉栖「はい。その、岡部さんに早く会いたかったから……ふふ」
岡部「そ、そうか……ところでクリスティーナ」
紅莉栖「ティーナって言わないで下さい。なんですか、岡部さん」
岡部「ま、前にも言ったとは思うが、その敬語とさん付けは止めてくれないか?」
燃える!
http://hayabusa.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1328440815/
紅莉栖「前の世界線の私から岡部さんを全力で寝取る」
岡部「な、なぜだ?お前もラボメンになって随分と経つのだ。いい加減、そのよそよそしい言葉使いは、俺もむず痒いのだが……」
紅莉栖「岡部さんは年上なんですから、敬語を使うのは当然です」
岡部「ダル相手には敬語を使わずに呼び捨て名前を呼んでいるではないか」
紅莉栖「橋田相手に敬意を示す必要はないと判断したからです」
岡部「しかしだな……」
紅莉栖「それに、岡部さんは私の、い、命の恩人ですから敬語を使うのは当然です」モジモジ
紅莉栖「それでも!こうしてここに居られるのは岡部さんのお陰なんです」
岡部「………」
岡部(どうしてこうなった)
岡部(このシュタインズ・ゲートに到着して、紅莉栖と再会して以来、ずっとこうだ)
岡部(前の世界線の時も最初は一応敬語を使っていたが、すぐにラボに馴染んで使わなくなった)
岡部(だから、この世界線でも最初は敬語を使われても、いずれすぐに前の世界線の時のような関係を築けると思ったが……こうもよそよそしいと違和感がある)
紅莉栖「で、でも……お、岡部さんがどうしてもって言うなら、その……呼び捨てくらいなら、いいですよ?」
岡部「ほ、本当か!?よし!なら是非とも今後はそれで頼む!」
岡部(よし、これ少しずつでも前と同じような呼び合いができ……)
紅莉栖「わ、わかりました……り、倫太郎」
岡部「」
紅莉栖「いや、人前でその厨二ネームを呼ぶのはちょっと……」
岡部「フェイリスやルカ子を見習え!それが無理なら岡部で呼べ!この際、特別にオカリンでも構わん!頼むからその、名前で呼ぶのは止めてくれ」
紅莉栖「り、倫太郎はいや、ですか?」
岡部「いや、その……嫌と言うか」
岡部(は、恥ずかしいだろうが!く、紅莉栖に名前で呼ばれるなんて、前の世界線でもなかったのに!)
岡部「嫌、ではない……が」
紅莉栖「本当ですか!?」
岡部「その、恥ずかしいから……出来れば前のように岡部と呼び捨てで呼んでくれ」
紅莉栖「……前のように?」ピク
岡部(しまった……)
岡部(まただ……)
紅莉栖「名字で呼んでた……ふふ、じゃあ名前で呼ぶ私の方が前の私より、親しい仲って事よね……」ブツブツ
岡部(紅莉栖にはあの一連の出来事を全て話している。あいつにも、僅かにリーディング・シュタイナーが発動したのか、紅莉栖は俺の話を信じてくれた)
岡部(だがそれ以来、俺が前の世界線の紅莉栖の事を口にすると、いまみたいに不機嫌そうな顔をして何か考え事をするようになった)
紅莉栖「倫太郎」
岡部「なっ、だからその呼び方は止めろと」
紅莉栖「もし、倫太郎って呼んでいいなら、私も敬語を止めます」
岡部「なっ」
紅莉栖「どうします……?」
岡部「わ、分かった。お、お前には特別に俺の名前を呼ぶ権利をやろう。その変わり」
紅莉栖「分かってる。敬語は止める。これでいい?倫太郎」
岡部「あ、ああ。それでいい」
紅莉栖「ふふっ」
岡部「な、何が可笑しい?」
紅莉栖「私が倫太郎って呼ぶんだから、もちろん、そっちもちゃんと紅莉栖って呼ぶわよね?」
岡部「なにっ!?」
紅莉栖「ちゃんと呼ばないと、また敬語に戻す」
岡部「ぐっ……わかった。紅莉栖」
紅莉栖「えへへ」
岡部「……なんだ、紅莉栖」
紅莉栖「ふふっ、呼んでみただけよ」
岡部「そ、そうか」
紅莉栖「うん」
岡部「………」
紅莉栖「ふふっ」
岡部「く、紅莉栖」
紅莉栖「なあに、倫太郎」
岡部「その、二人だけの時だけにしないか?この名前呼び」
紅莉栖「………どうして?」
岡部「いや、いきなりお互い名前呼びだと、まゆりたちになんて言われるか……」
まゆり「えへへ~二人とも夫婦みたいなのです」
岡部「……みたいな事を言われかねん」
岡部「……」
まゆり「……」
岡部「えっ?」
まゆり「オカリンと紅莉栖ちゃんが二人で名前を呼び合っていた時からだよ~」
紅莉栖「私は気付いてたわよ。ハロー、まゆり」
まゆり「紅莉栖ちゃん。トゥットゥルー♪」
岡部「な、なら何故言わんのだ!まゆり!お前も入ってくるなら最初に挨拶くらい……」
まゆり「えへへ、二人がラブラブしてたからあまり邪魔をしたくなかったのです」
岡部「ら、ラブラブ!?しとらんわ!」
まゆり「え~でも紅莉栖ちゃんはとっても嬉しそうだったよ?」
紅莉栖「ちょっと、まゆり!?……まあ嬉しいのは否定しないけど」
岡部「お、お前まで何を!?」
岡部「いや、だから俺と紅莉栖はそんな仲ではないと!」
紅莉栖「……えっ?」グスッ
岡部「い、今はそんな関係ではない!……こ、今後については知らん!それは俺の管轄外だ」
まゆり「だって~紅莉栖ちゃん」
紅莉栖「今は違うけど、いつかは……ふふ」
まゆり「う~んと、じゃあ今日はまゆしぃ、下で綯ちゃんと遊んでくるから、二人はラボでラブラブしててね」
岡部「なっ、おい!待て!」
まゆり「オカリン、紅莉栖ちゃんと仲良くね。トゥットゥルー♪」
バタン
紅莉栖「倫太郎といつか……前の私ではなれなかった関係に」ブツブツ
岡部(……紅莉栖とまた二人きりか)
『目を閉じろ』
『どうして?』
『いいから閉じろ!』
岡部「くっ………」
岡部(い、いかん……意識するとあの時の光景を思い浮かべてしまう!……だが)
岡部「紅莉栖の唇、柔らかかったな……」ボソ
紅莉栖「……えっ?」
岡部(なっ!?お、俺はなんて事を言って……)
紅莉栖「ねえ、倫太郎」
岡部「な、なんだ?」
紅莉栖「前の世界線の私、倫太郎とキスしたの?」
紅莉栖「キス、したの?」
岡部「あ、いや……」
紅莉栖「したの?」
岡部「……しました」
紅莉栖「……聞いてない」
紅莉栖「そんなの聞いてない!前の私と私の倫太郎がキスしたなんて聞いてない!」
岡部「」ビク
紅莉栖「また前の私が……私の倫太郎を……そんなの認めない、倫太郎が見ているのは前の私じゃなくて、今の私なんだから、そんなの」ブツブツ
岡部「」ビク
岡部「な、なんだ?」
紅莉栖「キス、しよっか」
岡部「は、はあ!?お前、急に何を……」
ちゅっ
岡部「んむっ!?」
紅莉栖「んっ、あむ、んあ」クチュクチュ
岡部(し、舌まで入れるのか!?)
紅莉栖「ん、ぷは……ふふっこれで私もおあいこよ!」
岡部「な、なにを言って」
紅莉栖「倫太郎は渡さない。誰にも渡さない。前の私になんかには絶対に渡さない!」
ぎゅっ
岡部「お、おい!」
紅莉栖「倫太郎は離さない。倫太郎は私の。倫太郎は前の私のものじゃない!」
岡部「前のって……お前はお前だ。例え世界線が変わろうが、牧瀬紅莉栖に違いなんてない」
紅莉栖「それはあなたから見た場合の話よ!」
岡部「」ビク
紅莉栖「私は違うの。私には倫太郎を助けた記憶も、倫太郎とキスした記憶もない!それは全部前の私……」
紅莉栖「私にとって倫太郎はパパから私を助けてくれた命の恩人で、私の大好きな人なの!」
紅莉栖「分かってる。全て同じ主観で世界線を渡ってきた倫太郎にとって、前の私と今の私は、何も変わらない同じ人物に写って見えるのもおかしくない」
紅莉栖「倫太郎にとって、前の世界線の出来事がどれだけ大切なのか、分かってる。その中に前の私との思い出が含まれている事も」
紅莉栖「でも違うの。違いを分かって欲しいの!倫太郎には私を見て欲しい!私を通して前の私を見てるのは止めて……」グスッ
ぎゅっ
岡部「すまない紅莉栖……俺は今までそんな思いをさせていたなんて」
紅莉栖「これからは、ちゃんと私も見て」
岡部「無論だ」
ちゅっ
紅莉栖「んっ」
岡部「んむっ、」
岡部「どうした、紅莉栖」
紅莉栖「その、ね?……えっと」
岡部「なんだ、はっきりしないな」
紅莉栖「前の私とは……その、したの?」
岡部「したって……何を?」
紅莉栖「それは……キス、」
岡部「だ、だからキスはしたと言って」
紅莉栖「キス、以上のこと」
岡部「」
紅莉栖「し、したの!?してないの!?」
岡部「も、黙秘だ。これはトップクラスの機密情報なのだ。そうそう簡単に教えられる筈がないのだよ、助手」
紅莉栖「………」グスッ
岡部「ちょっ、なぜ泣く!?」
紅莉栖「……って言った」
岡部「は?」
紅莉栖「助手って言った」
岡部「いや、今のはつい……」
紅莉栖「紅莉栖って呼んでくれるって言ったのに!私だけを見てくれるって言ったのに!前の私の渾名で呼んだ!」グスッ
紅莉栖「やっぱり、無意識に私を通して前の私を見てたんだ……」
岡部「ち、違うと言ってるだろう!」
紅莉栖「それに、黙秘って事はやっぱりしたんだ……」
岡部「なっ」
紅莉栖「ラボで二人きりでちゅっちゅした後に、我慢できなくてしたんだ……」グスッ
岡部(おい、なんでリーディング・シュタイナーがそこだけ発動しているんだよ)
紅莉栖「童貞と処女同士、初々しく相手を気遣いながらズッコンバッコンしたんだ!」グスッ
岡部「しとらんわ!」
紅莉栖「ふぇ?」
岡部「あっ……」
岡部「ら、ラボは神聖な場所なのだ……そんな俗物めいた事、する筈がないだろう」
紅莉栖「して、ないのよね」
岡部「……ああ」
紅莉栖「本当に?」
岡部「……そうだ」
紅莉栖「童貞、なの?」
岡部「しつこいぞ」
紅莉栖「倫太郎は本当に童貞なの?」
岡部「しつこい!俺が!童貞だ!」
岡部「前の世界線の紅莉栖と想いを通じ合わせた時間は一日にも満たなかったからな……キスだけでも俺にとっては充分だった」
紅莉栖「………」
岡部(しまった)
紅莉栖「やっぱり倫太郎は前の私の事を愛しているんだ。キスだけで前の私は倫太郎を虜に……なら、キス以上の事をすれば倫太郎は私の虜に……?」ブツブツ
岡部(また始まった)
紅莉栖「ねえ、倫太郎」
岡部「却下だ」
紅莉栖「ちょっ、まだなにも言ってないじゃない!?」
岡部「なら何を言い出すつもりなのだ?言ってみろ天才HENTAI処女よぉ」
紅莉栖「あなたと合体したい」
岡部「却下だ」
紅莉栖「なんでよ!?」バン
岡部「か、壁を殴るな!」
紅莉栖「なんで私とドッキングできないの!?やっぱり前の私とドッキングしてたから」
岡部「違うと言っただろうが!だいたい貴様!いま何時だと思っているのだ!まだ昼前だぞ!?」
紅莉栖「夜ならいいってことか、OK。把握」
岡部「なぜそうなる!?」
紅莉栖「なら何が問題なのよ……」グスッ
岡部「そもそもだな……」
紅莉栖「うん……」
岡部「俺たちは別に付き合ってもないだろ」
紅莉栖「あっ……」
紅莉栖「そう、だけど……」
岡部「確かに前の世界線では抱き締めてキスをした」
紅莉栖「ぐぬぬ」
岡部「そして告白もした。だが別に特別な関係なったという訳ではない。ただ、切羽詰まって想いを伝えただけだ」
紅莉栖「………告白、したの?」
岡部「あっ」
紅莉栖「倫太郎、告白したの?」
紅莉栖「前の私に、倫太郎から?」
岡部「いや、それは……」
紅莉栖「前の私から告白したんじゃなくて、倫太郎から告白されたんだ……ふ~ん」
岡部「お、俺も切羽詰まっていたから、最後くらいは想いを伝えようと……」
紅莉栖「なんなの。キスだけじゃなくて告白までされるなんて羨ましすぎるだろ常考……抱き締めてキス+告白、ズルいズルいズルい、前の私ズルい」ブツブツ
岡部「……どうしてこうなる」
岡部「」ビク
岡部「な、なんだ?」
紅莉栖「なんて言って告白したの?」
岡部「い、言える訳ないだろう!?……恥ずかしくて無理だ」
紅莉栖「なんて言ってたの?」
紅莉栖「教えてますよね?」ニコッ
岡部「ひっ」
紅莉栖「教えてくれるよね……」
岡部「だ、だから恥ずかしいと」
紅莉栖「教えてよ……」
岡部「む、無理だ」
紅莉栖「教えて……」
岡部「だから無理だって……」
紅莉栖「教えろ」
岡部「………はい」
紅莉栖「………」
岡部「誰よりも大切な女性(ひと)のことを、忘れたりはしない」
紅莉栖「………」
岡部「俺は、お前が好きだ」
紅莉栖「ありがとう、倫太郎。私も大好き」
ぎゅっ
岡部「………えっ?」
紅莉栖「えへへ、倫太郎から告白してくれるなんて……嬉しい」
岡部「おい」
紅莉栖「私たち、これで両想いね」
岡部「おい、待てHENTAI処女」
紅莉栖「も、もうすぐ処女じゃなくなるし!」
岡部「自重しろ、HENTAI」
紅莉栖「ツンデレ乙」
岡部「お前に言われたくないわ!」
紅莉栖「……やっぱり倫太郎は前の私しか見てないんだ」グスッ
岡部「そ、そんな事はない!……だいたい、忘れないなどという台詞はもう不要なのだ。お前に告白するなら、もっと違う言葉で」
紅莉栖「ふぇ?それじゃあいつかは……」
岡部「い、今はその時ではない!」
紅莉栖「うん、待ってる……」
紅莉栖「倫太郎がいつか私に…ふ…ふふ」
岡部(その場の勢いとはいえなんて事を……)
岡部(告白、か……そういえば結局、あいつの返事を聞く事は出来なかったな)
岡部(……いや返事なんて不要か。俺たちは確かにあの日、二人きりのラボで想いを通じ合わせることができたのだから)
紅莉栖「倫太郎」
岡部「」ビク
岡部(しまった!また俺は無意識に口にしていたのか!?)
岡部「な、なんだ?」
紅莉栖「私、負けないから」
岡部「なに?」
岡部「ね、寝取るって……」
紅莉栖「絶対だからな!」
岡部「いや、そんな強調せれても……」
紅莉栖「いつか、必ず私にメロメロキューにしてやるんだから、覚悟しておけよっ」
岡部「い、いいだろう!だがな、貴様の色香に惑わされる程、この鳳凰院凶真は甘くはないぞ!?フゥーハハハ!」
ダル「なあ、オカリン」
岡部「……どうした、ダル」
ダル「なんでさっきから膝の上に牧瀬氏乗せてんの?」
岡部「………機関からの精神攻撃だ。気にするな」
紅莉栖「えへへ、倫太郎の膝。あったかい……」
ダル「なんで名前呼び?」
岡部「……これも機関からの精神攻撃だ。気にするな」
紅莉栖「倫太郎、倫太郎」
岡部「どうした?紅莉栖」
紅莉栖「ふふっ、ううん。なんでもない」
岡部「そうか」ナデナデ
紅莉栖「えへへ」
ダル「………」
紅莉栖「ラボメンなんだから敬語はいらないって倫太郎に言われたのよ」
ダル「ただのラボメン同士なら異性の膝の上に座らないと思われ」
紅莉栖「機関からの精神攻撃よ、気にしないで」
ダル「オカリンからずっと頭を撫でられているのは?」
紅莉栖「これも機関からの精神攻撃ね……」
岡部「紅莉栖、もいいいか?」ナデナデ
紅莉栖「んっ、もっと」
ダル「………機関万能すぎるだろ」
岡部「いや」ナデナデ
紅莉栖「まだよ。んっ」
ダル「………」
紅莉栖「倫太郎、倫太郎」クイクイ
岡部「なんだ、紅莉栖」ナデナデ
紅莉栖「倫太郎は前の私の頭を撫でた事、ないのよね?」
岡部「あ、ああ」
紅莉栖「えへへ。よし、勝った」グッ
ダル「前の牧瀬氏ってなんぞ?」
紅莉栖「倫太郎を虜にした私のライバル」
ダル「はあ?」
岡部「そうではない。もう一人の紅莉栖。それは今は居ない俺と前世を共にした我が最愛の助手の事だ!」
ダル「日本語でおk。というか、最愛って……オカリンが最愛って言葉使うなんて」
岡部「ちょっ、おま!?そこを強調すると紅莉栖が……」
紅莉栖「最、愛……?」
ダル「……えっ?」
紅莉栖「最愛、最愛、最愛……やっぱり倫太郎が最も愛してるのは今の私じゃなくて前の私なんだ。でも大丈夫よ、私。倫太郎は絶対に振り向いてくれる。だって約束したもん。私を見てくれるって。いずれは告白してくれるって。だから大丈夫よ。大丈夫大丈夫大丈夫」ブツブツ
ダル「な、なんぞこれ……」
ダル「なあ、オカリン。これどゆこと?牧瀬氏なんか怖いんだけど……」
岡部「……その、なんだ。簡単に言うと俺が以前好きだった女性にあいつは嫉妬しているのだ」
ダル「えっ、オカリンにそんなのいたん!?」
紅莉栖「やっぱり倫太郎は前の私が好きなんだ。そうなんだ。やっぱり前の私が」ブツブツ
岡部「本当はもっと複雑なんだが、とりあえずそういう事で納得してくれ……」
ダル「……把握」
岡部「俺がなんとかしてみる」ヒソヒソ
紅莉栖「前の私。また前の私。どんなに頑張っても倫太郎は前の私を見ているんだ。そうよ、絶対そう。倫太郎、倫太郎倫太郎」ブツブツ
岡部「紅莉栖」
紅莉栖「」ピク
岡部「紅莉栖。昨日も言ったが、俺はお前を通して、前のお前を見てはいない。俺が見ているのは、今ここにいる牧瀬紅莉栖ただ一人だ」
紅莉栖「本当……?」
岡部「無論だ!この鳳凰院凶真の言葉に嘘偽りなどなに一つありはしない!」
ダル「……嘘乙」
紅莉栖「じゃあ、証明して」
岡部「な、なに?」
紅莉栖「倫太郎が本当に私を見ているのか、証明して」
岡部「なっ!なにをする!?」
紅莉栖「いいから、じっとしてて」
ダル「Oh……」
岡部「お、お前まさか、ここで!?くっ」
紅莉栖「こら、目を閉じるな」
岡部「なぜ!?」
紅莉栖「倫太郎の目を見ないと、証明にならない」
岡部「わ、わかった」
紅莉栖「倫太郎……」
岡部「紅莉栖……」
ちゅっ
ダル「………」
ダル「ふんっ」バンッ!
岡部「んむっ、くり、す……あむっ」チュ、クチュ
ダル「……」
紅莉栖「ぷはっ」
岡部「はあ、はあ……紅莉栖、これで証明できたか?」
紅莉栖「うん……」
岡部「そうか、ならいい」ナデナデ
紅莉栖「ふふっ、勝った♪」
ダル「……僕の拳が光って唸りそうだお」
岡部「ふう、紅莉栖の機嫌が良くなってくれたか……」
ダル「付き合ってないとか言いつつ、キスする男の人って……」
岡部「う、うるさい!……近いうちにちゃんと告白はする」
ダル「うわっ、リア充爆発しろ」
岡部「……心配しなくてもいずれお前にも出会いがある」
ダル「ちくしょー!嫌味乙!」
岡部(事実なんだがな……いや、このシュタインズ・ゲートでは先の事なんて分からないか)
ダル「……なあオカリン、一ついい?」
岡部「なんだ」
ダル「気になってたんだけど、オカリンがさっき言ってた、オカリンが好きだった人ってどんな娘?」
岡部「なっ!何故そんな事を聞くのだ!?」
ダル「いや、気になるじゃん。あのオカリンがベタ惚れしたおんにゃの子」
岡部「べ、ベタ惚れなど!………いや、否定はしない」
ダル「うっそ、マジ?」
岡部「……ああ、マジだ」
紅莉栖「………」
ダル「ふむ」
岡部「だが、根はマジメな奴なんだ。意外と弱い面もあるのだが、プライドが高いせいか普段は気を張っていてな。見てられなくて、少し相談にも乗ったりした」
ダル「さり気なくフラグを建てるなんてさすがオカリン!そこに痺れる憧れるゥ!」
岡部「茶化すな。それでまあ……俺にも色々と困難な事件が起きてな」
ダル「なんぞ?」
岡部「ややこしいから説明は省く。それで、一人ではどうしようもないと、諦めていた時にそいつは俺に手を差し伸ばしてくれたんだ」
ダル「ほうほう、今度は逆にオカリンがフラグをたてられたと」
岡部「フラグって……まあ、そのお陰で好意を抱くようななったのは事実だ。あいつのお陰で俺は救われたからな」
ダル「うわっ、ノロケだしたよ」
岡部「の、ノロケてなどいない!」
紅莉栖「………」
岡部「どう、とは……?」
ダル「いや、だからその娘とオカリン」
岡部「ああ、まあ……告白はした」
ダル「えっ?あのヘタレなオカリンが!?」
岡部「ヘタレとはなんだ!ヘタレとは!」
ダル「いやだって……あのオカリンが自分から告白なんて、そ、それで返事は?」
岡部「返事は……聞いてない」
ダル「えっ?それって……」
岡部「……返事の変わりにき、キスが帰ってきた」
ダル「一瞬でもオカリンに同情した僕が馬鹿だったお。リア充爆発しろ」
ダル「ふ~ん、オカリンにそんなラノベチックな出会いがあったなんで初耳だお」
紅莉栖「………」
岡部「ラノベチックか……そう、かもな」
ダル「つーかさ、オカリン」
岡部「なんだ」
ダル「そのオカリンが好きだった娘の特徴って、まんま牧瀬氏じゃね?」
岡部「ま、まあ確かに、似ているかも、な」
岡部(似てるもなにも、紅莉栖本人の事だしな)
紅莉栖「………」ギリッ
岡部「それは断じて違うぞ?ダル。クリスティーナは我が助手として」
紅莉栖「ティーナ?助手?」
岡部「ごほん、紅莉栖を誘ったのは新たな未来ガジェット開発に大きく役立と思ったからであって、特に私情はない!」
ダル「うわっ胡散臭せ~。だって牧瀬氏、最初からオカリンにメロメロだったじゃん。その好きだった娘に似てたから全力で牧瀬氏口説いたんじゃないかと」
岡部「なっ!?そんな訳あるか!」
紅莉栖「……そっか、また、前の私か」ブツブツ
岡部「そうか、じゃあなダル。フェイリスの奴によろしく言っておいてくれ」
ダル「うん、わかった。んじゃ、おつー」
バタン
岡部「全く、あいつは相変わらずフェイリスに夢中だな。このままで本当に七年後に鈴羽が産まれるのか……」
紅莉栖「………」
岡部「どうした?紅莉栖。さっきからずっと黙ったままだぞ」
紅莉栖「………」
岡部「熱でもあるのか?」
紅莉栖「……る」
岡部「なに?」
紅莉栖「寝取る」
バッ
岡部「!?」
岡部「く、紅莉栖!?」
紅莉栖「今の私は倫太郎に相談なんてしてない!タイムリープマシンも作ってない!倫太郎を助けてもない!全部、前の私がした事よ!でも!」
ちゅっ
岡部「んむっ!?」
クチュクチュクチュ
紅莉栖「ぷはっ、はあ、はあ……好き、なの……倫太郎が好き」ヌギヌギ
岡部「ま、待て紅莉栖!そ、それ以上は洒落にならん!」
紅莉栖「倫太郎倫太郎倫太郎倫太郎倫太郎倫太郎倫太郎」
ガバッ
紅莉栖「だが断る!」
岡部(な、なぜこうなる!?)
岡部(そもそも何故同じ自分に嫉妬をするのだ!?せめてルカ子やフェイリスの時のようにリーディングシュタイナーが発動してくれれば!)
紅莉栖「倫太郎は私のよ!私を助けてくれた命の恩人」
岡部「だからそれは気にするなと言って」
紅莉栖「違う!岡部は私のよ!一緒に青森まで行くって約束したんだから!」
岡部「な……に?」
紅莉栖「倫太郎は私に告白してくれるって約束してくれた!」
岡部「戻った?」
紅莉栖「違う!岡部はもう既に告白してくれたわ!キスもしてくれた!もうお陰でメロメロキューだバカ!」
岡部「ま、また!?」
紅莉栖「こ、告白はまだよ!妄想乙!」
紅莉栖「ちゃんとされたわよ!抱き締められて!何回も何回もちゅっちゅしました!ファーストキスはドクペの味だったわよ!はい論破!」
岡部「な、なんだよ、これ……」
紅莉栖「なに?倫太郎」
岡部「お前、まさか思い出したのか?」
紅莉栖「えっ?何を?」
岡部「ええい、とぼけるでない、セレセブ!」
紅莉栖「セレセブじゃねーし!いい加減普通に呼べ!バカ岡部!」
岡部(この渾名で呼んだのは初めてだったが、やはり……リーディングシュタイナーが発動した?)
岡部「紅莉栖」
紅莉栖「だからなに、倫太郎」
岡部「クリスティーナ」
紅莉栖「なに、岡部。あとティーナって付けるな」
岡部「これは……」
岡部(紅莉栖の場合、それら二つの世界線の記憶がフェイリスのように混線せず、それぞれ独立した状態で記憶が保たれている……のか?)
岡部(確かめて、みるか……)
岡部「クリスティーナ。お前の今、一番欲しい物はマイフォークである。違うか?」
紅莉栖「違うわよ」
岡部「な、なに!?」
岡部(ば、馬鹿な!?完全にリーディングシュタイナーが発動した訳ではないのか?)
紅莉栖「フォークはもう大丈夫だから。今、一番欲しいのは、その……」モジモジ
紅莉栖「お、岡部」
岡部「………」
岡部「あ、はい」
紅莉栖「さっきからなに?倫太郎」
岡部「俺たちが初めてキスしたのはいつだ?」
紅莉栖「い、いきなりなんなのよ!?」
岡部「いいから!……答えてくれ」
紅莉栖「き、昨日。ラボで……」
岡部「そうか、ありがとう」
紅莉栖「もう、なんなのよ……」モジモジ
岡部(やはり、二つの記憶は独立しているのか。そしてそれを切り替えるスイッチがおそらく呼び名、か)
紅莉栖「な、なによ。岡部」モジモジ
岡部「好きだ」
紅莉栖「ふぇ!?」
岡部「俺は、お前が好きだ。お前はどうなんだ?」
紅莉栖「と、、といいますと!?」
岡部「お前は、俺の事をどう思っている?前は聞けなかったから、今度はしっかりと聞いておきたい」
紅莉栖「わ、私も!私も……岡部の事が好き、大好き」
岡部「……ありがとう」
紅莉栖「はぅ」
岡部(良かった。ずっとあの返事が気になって眠れなかったが、今日から安眠できそうだ)
紅莉栖「な、なに?質問が終わりなら、さ、さっきの続きを」ハアハアハア
ガバッ
紅莉栖「ふぇ?」
岡部「紅莉栖……」
ぎゅっ
紅莉栖「り、り、り、倫太郎!?ど、ど、どうしたの?!」
岡部「問題は全て解決した」
紅莉栖「えっ?」
岡部「これで俺は思う存分、お前たちを愛することができる」
紅莉栖「ちょっ!お前たちって!どういうんむっ!?」
岡部「んっ…ふぅ…いくぞ、紅莉栖」
紅莉栖「ちょ、だから待って、あっ――」
岡部「……すまなかった」ドゲーザ
紅莉栖「……なんで言わなかったのよ」
岡部「く、紅莉栖がリーディングシュタイナーを発動してくれたのが嬉しくて、その……」
紅莉栖「ま、まあ倫太郎の初めてが『私』だったから許す」
岡部「……ありがとう、紅莉栖。クリスティーナは?」
紅莉栖「ゆ、許さない!絶対に許さないからな!岡部、あんた責任取りなさいよ!」
岡部「せ、責任は勿論とる!」
紅莉栖「絶対だからな!あと、今度からその……する時だけ、ティーナは許す」
岡部「わ、わかった」
紅莉栖「ふん、なによ!こっちは初エクスタシーを貰ったんだから!むしろ、痛みだけ無駄に受けた私ざまあwwwwww」
岡部(……なんでこいつら自分で自分を煽ってるんだ)
紅莉栖「ぐぬぬ」
紅莉栖「倫太郎は私のよ!異論は許さない!」
紅莉栖「違う!岡部は私のだから!」
紅莉栖「ねえ倫太郎!」
紅莉栖「ねえ岡部!」
紅莉栖「あんたはどっちの私がいいの!?」
紅莉栖「えっ?」
岡部「お前たちが牧瀬紅莉栖には変わりない。助手であり、クリスティーナであり、セレセブであり、ラボメンナンバー004でもある。俺にとって誰よりも大切な女性(ひと)だ」
紅莉栖「お、岡部にとって誰よりも大切なひと……」
紅莉栖「倫太郎……えへへ」
岡部(どちらかを選ぶのに意味はない。選ぶ必要など、ないのだから)
岡部「これがシュタインズ・ゲートの選択だよ」
おわり
読んでくれた人、保守してくれた人、ありがとニャンニャン
エル・プサイ・コングルゥ
Entry ⇒ 2012.02.19 | Category ⇒ シュタインズゲートSS | Comments (0) | Trackbacks (0)
岡部(CV:若本)「フゥゥーーーハハハァァ!!」
岡部(CV若本)「フゥーー~~ハハハァ~!!」
岡部(CV若本)「やはりぃ…声がいつもとォ、違うぅ、気がするな」
岡部(CV若本)「風邪でもひいたか……この、きょぉお気のムァッドサイエンティストたる俺が、不覚なことだ」
岡部(CV若本)「……むぅ……」
体温計<ピピッ ピピッ
岡部(CV若本)「さんじゅうrrrルぉく度5分!平熱ではないかぁ」
岡部(CV若本)「いったい俺の喉はどぉうしたんだ?」
ガチャッ
まゆり(CV若本)「トゥットゥrrルゥゥゥゥーーーーーゥ!!」
岡部(CV若本)「ま、ま、むぁぁゆるぅいいいいい!! どうしたのだその声は!!」
http://hayabusa.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1328885694/
岡部(CV:若本)「フゥゥーーーハハハァァ!!」
岡部(CV若本)「な、な、ぬぅぁんだこれはぁぁ!!」
スチャッ
岡部(CV若本)「俺だぁ。大変な事にぃなった、俺だけでなくまゆりまでもぉがぁ音響トラップに嵌められたぁ、
ど、どうすればいい? 指示をくれぇ!」
まゆり(CV若本)「まゆしぃはねぇ~、今朝起きたらこんな声になっていたのですぅ、お母さんに言われるまで
ずぇん然気づかなかったよぉ~☆」
岡部(CV若本)「ま、まゆりよ……この後、一緒に病院まで行こうではないか……」
まゆり(CV若本)「ぅえ~~っ? まゆしぃ、どこも悪くぬぁいのですぅ」
岡部(CV若本)「し、しかしだな……」
ガチャッ
紅莉栖「…………」
まゆり(CV若本)「あ、紅莉栖ちゃん!トゥゥットゥrrルゥゥ~~うう!!」
紅莉栖「!!!!」
岡部(CV若本)「じょ、助手よ……驚くのは分かるぅ、だがぁ落ち着いてくれぇ」
紅莉栖(CV若本)「あ、あんたたちもぬぁのかああぁぁ~ァ!!」
紅莉栖(CV若本)「そうなのよぉ、今朝からこれで途方に暮れちゃって……でも、あんたたちも同じ、という事はぁ……
岡ぶぇぇ! あんたなにかまぁた変なことしなかったでしょうねぇ!」
岡部(CV若本)「ふ、ふ、っざけるぅなぁ! いったい何をどぉうしたらこんな現象が起こるというのどぁ!!」
ガチャッ
ダル(CV若本)「ぶるああああああぁぁぁぁぁぁ!!!」
岡紅(CV若本)「「ぬわああああぁぁぁぁぁぁ!!」」
まゆり(CV若本)「うわぁ、ドゥァル君! いきなり大声出したらぶぃっくぅりするのですぅ」
ダル(CV若本)「だぁが反省はしていな……って、みんなも声がすごいことになってるぅお」
岡部(CV若本)「ダァルゥ、今のあれは何だ! 心臓に悪いではぬぁいか!」
ダル(CV若本)「とりあえずやっとけとゴォォストが囁いたお。そんな事よりみんなにちょっと相談がある訳だが」
紅莉栖(CV若本)「今のこの状況を“そんな事”でぇ片付けるような提案?」
ダル(CV若本)「そうだお。今日メイクウィーンニャンx2に行ったら」
岡部(CV若本)「待ぁてダルよ! もう話が見えたぞ!」
ダル(CV若本)「違うぅおっ。今日はフェイリスたんは風邪をひいたらしくて臨時休暇だったぁお」
まゆり(CV若本)「ぅえぇぇ~っ! それは心配なのですぅ」
ダル(CV若本)「だから、これからみぃんなでフェイリスたんのお見舞いに行こうぜっ、という話だおぉ」
岡部(CV若本)「やめておけ。奴は今誰にも会いたくないであろう…正確には声を聞かれたくないだろう」
まゆり(CV若本)「フェリスちゃんも私たちと同じような声にぃ、なってるって事ぉ?」
紅莉栖(CV若本)「論理的には有り得ないけど……」
岡部(CV若本)「論理など捨て置けぇ! 今我々の観測している現象こそがぁ、真実ぅ!」
ガチャッ
萌郁「…………」
岡部(CV若本)「むぅ、指圧師か……」
まゆり(CV若本)「萌郁さん、トゥゥットルルルゥゥゥ~~ゥ!」
萌郁「…………!」 カタカタカタカタカタカタカタカタ
ピロリンッ♪ 『み、みんなその声どうしちゃったの?!(・o・;』
萌郁「…………?」
ダル(CV若本)「マジで気づいてないっぽいぃ件」
岡部(CV若本)「さてはお前ぇ……今日起床してからぁ、まだ一言も喋っていないな?」
萌郁「…………」
岡部(CV若本)「黙っていては分かるぁんではぁ、ないかぁぁ!貴様も悪魔の声をぉ、晒すのどぅああぁ!!」
萌郁「………っ…」
紅莉栖(CV若本)「ちょ、ちょっと岡部ぇ…追求しなくてもぉ、いいじゃぁないのよぉ」
岡部(CV若本)「駄目どぅああ! ムォァッドサイエンティストたる俺には真理を探求する義務がぁある!!」
岡部(CV若本)「さあぁ! 腹から声を出してぇ、俺に続いて詠唱するのどぅあ!!
『エrrルゥゥ、プサァイ、コングrrrウウウゥゥゥゥ』!!!」
萌郁「…………」
萌郁(CV後藤(弱))「……エル、プサイ……何?」
岡部(CV若本)「……あるぇぇぇ?」
岡部(CV若本)「指圧師! 貴様だけ何ぁ故声が変わってぇいないのだぁぁ!」
紅莉栖(CV若本)「そこはぁ逆だろぉ、どぉうして私達だけが声が変わったのかぁ、それを考えるべきぃ」
岡部(CV若本)「ふぅんむぅ。ラボメンで声が変わっているのは俺とまゆルィ、クリストゥィーナ、ダル、
そしておそらくフェイリスとぉ……しばし待て」
ピッ ピッ プルルルルル プルルルルル プルルルルル プルルルルル プルルル…ガチャ
岡部(CV若本)「俺だぁ。現在の状況を報告しろ」
るか(CV若本)『……お、お、岡部さぁんですかぁ?』
岡部(CV若本)「その声……やはぁりぃお前にもぉ、機関の魔の手がぁ及んでいたか」
るか(CV若本)『岡部さ、きょぉう魔さんも声が……いったいどうなってるんでしょぉう……
ボクぅ、恥ずかしくてぇ、家から一歩も出られないんですぅ……』
岡部(CV若本)「案ずるなぁ、rrルゥカ子よ!この俺がほぉううぉううぃんの名にかけてぇ、この事態を
打開して見せるぅ! それまで辛抱して待つのだぞ。エルゥ・プサァイ・コングrrルゥゥ」 ピッ
岡部(CV若本)「ルゥカ子も声が変わっていた……」
紅莉栖(CV若本)「という事は桐生ぅさんを除いてラボメンは全員アウトぉ、か」
岡部(CV若本)(正確には全員ではないがな。……8年後までこの状況が続いたらどうか分からんが)
岡部(CV若本)「昨日? そぉういえば、昨日は指圧師はいなかったな」
ダル(CV若本)「桐生氏以外は全員ラボに来てたお」
紅莉栖(CV若本)「どぉうやらそこに鍵がありそうねぇ。昨日の行動をおさらいしてみましょぉう」
岡部(CV若本)「とはいってもだ。昨日は『最後の晩餐』以外には何もしていなぁいぞぉ」
紅莉栖(CV若本)「ただの鍋パーティーだろうがぁ、最後でもないだろぉう」
まゆり(CV若本)「るか君に教わりながら作ってぇ、とぉってもおいしかったぁのです☆」
萌郁「……」 ピロリンッ♪ 『いいなぁ、私も用事がなければ参加したかったよ… ・゚・(ノД`)・゚・。 』
岡部(CV若本)「……それどぅあ!! 助ぉ手ぅ、貴様あの鍋に変なものを盛ったなぁぁ!!」
紅莉栖(CV若本)「はあぁぁ? どぉうして私のせいになるんだこのクソアホバカ岡部ぇ!!」
ダル(CV若本)「声のせいかぁ、いつもより罵り度3倍増しに聞こえるお」
岡部(CV若本)「しかぁしそれ以外に何も考えられないではぬぁいかぁっ!」
紅莉栖(CV若本)「本当ぉに変なものは入れてないぞぉ!!
買ってきた野菜と肉、あとは冷蔵庫に入ってた豆ぉ腐、ぐらいだぁ」
ダル(CV若本)「……ん? 冷蔵庫に豆腐なんてぇ、入れてたかおぉ?」
ダッダッダッ ガバッ
岡部(CV若本)「ぬああぁっ、やはぁりっ!!未来ガジェェット33号『ベリーメロウ』が消えているぅ!!」
ダル(CV若本)「あー……あれか」
岡部(CV若本)「クリスティーンヌァッ! やはりお前が原因ではないくぅああぁっ!!」
紅莉栖(CV若本)「え? な、ぬぁんでよ?」
岡部(CV若本)「お前が愚かにも豆腐だと勘違いして入れたもの……あれは豆腐ではぬぁい!」
岡部(CV若本)「ミクロレベルの穴がぁ無数に空いた多孔質構造のすぇん進素材だったのどぅああっ!!」
岡部(CV若本)「その構造ゆえにぃ、多量のガスを吸着して蓄えることができるのどぅあ。
しかも、人体にベリーカインドな天然素材っ!!」
ダル(CV若本)「つまりただの高野豆腐だおぅ」
紅莉栖(CV若本)「え、それってぇ……何かガスをぉ、吸い込ませてあったり?」
岡部(CV若本)「あくまでテストとしてぇ……大学にあったアルゴンガスを吸い込ませてあった」
ダル(CV若本)「ちょ、それってぇ大丈夫なんん?」
岡部(CV若本)「大丈夫でないからこの状況ぬぁのどぅあるぉうがあ!」
岡部(CV若本)「納得している場合ではぬぁいわ! どぅおうしてくれるのだ助ぉ手ぅよ!」
まゆり(CV若本)「それって毒ガスなのぉ~? 大変、みんなが病気になっちゃうのですぅ」
紅莉栖(CV若本)「しぃん配ないわぁ、まゆrrるぅいぃ。これ、明日にはみんな治るぅわぁ」
岡部(CV若本)「なずぇ言い切れるぅのだ!」
紅莉栖(CV若本)「ほら、ヘリウムガスを吸い込むとぉ、声が高ぁくなるでしょぉ?
ヘリウムガス中ではぁ、音速が速くなることでぇ、声のしゅうぅ波数もぉ、高ぁくなる」
紅莉栖(CV若本)「アルゴンガスはその逆ぅ……声が低ぅくなぁるのよぅ」
岡部(CV若本)「な、ぬぁるほど……しかぁし、鍋を食ったのは昨日だというのに、長続きしすぎではぬぁいか?」
紅莉栖(CV若本)「推測だぁけど、胃の中の高野豆腐から少しずぅつ少しずぅつガスが漏れ出す事でぇ、
効果が長持ちしているんじゃなぁいかと思うぅ」
ダル(CV若本)「一ぃ日も経てば消化されるから、それも終わるってぇ事かおぉ」
まゆり(CV若本)「そっかぁ~、安心したのですぅ。紅莉栖ちゃぁんは頭がぁいいねぇぇ」
岡部(CV若本)「褒めることはないぞぉ、まゆルぅぃぃ! そいつは今回の元凶と言ってもぉ、過言ではぁない!」
紅莉栖(CV若本)「訳わからんものを冷蔵庫に入れとくあんたが悪かろうがぁぁ!!」
ギャーギャー! ワーワー! ブルアアアァァァァァ! ブリタァァァニア!
萌郁(CV後藤(弱))「…………これ、録音、しておこう……」
岡部(CV宮野)「フゥーハハハ!! おはよう諸君!! さわやかな日ではないか!!」
まゆり(CV花澤)「トゥットゥルー! オカリンも元の声に戻ったねえ☆」
紅莉栖(CVミンゴス)「まああんたはその厨二がかった口調のせいで大差なかった気がするけどね」
岡部(CV宮野)「ふっ、安い挑発には乗らんぞ。今日の俺は最高に気分がいいからな!フゥーハハハ!!」
ダル(CV関)「昨日はそうとううるさく感じたけどよく考えたらオカリンはいつもうるさいお」
フェイリス(CV桃井)「アンゴルモアの呪いは手強かったのニャ。でもあの時の修行が役に立ったのニャ」
るか(CV小林)「一時はどうなることかと思いました……」
岡部(CV宮野)「それにしても、今日も指圧師は来ていないのか? ラボメンとしての自覚に欠けているぞ」
ダル(CV関)「いやぁそう頻繁にブラウン氏の目を盗んで遊びにはこれないっしょ」
ガチャッ
ダル(CV関)「……と、言ってるそばから本人ktkr」
岡部(CV宮野)「……し、指圧師よ……」
萌郁「…………………………」
萌郁(CV後藤(弱))「…………何?」
岡部(CV宮野)「あ、いや……うむ、よくぞ来たな」(いや、いつもの声で当然だが、なんだかホッとした)
??(CV若本)<ブルアアアァァァァァ!!
岡部(CV宮野)「うわああぁぁ!!」
まゆり(CV花澤)「び、びっくりした~。誰の声?」
フェイリス(CV桃井)「クーニャンの方から聞こえたニャ」
紅莉栖(CVミンゴス)「ふぇ!? あ、いや、その、聞き間違いじゃない?」
岡部(CV宮野)「いや、今しっかりと聞こえ――」
??(CV若本)<ブルアアアァァァァァ!!
岡部(CV宮野)「ひっ!?」
フェイリス(CV桃井)「今度はルカニャンの方から聞こえたニャ!」
るか(CV小林)「あ、いえ、これは、そのぅ……あうぅ……」
岡部(CV宮野)「どうしたルカ子よ、顔が真っ赤ではないか。いったい何が――」
??(CV若本)<ブルアアアァァァァァ!!
岡部(CV宮野)「はうっ!!」
ダル(CV関)「今度はオカリンのいる辺りから聞こえたお」
岡部(CV宮野)「すると、さっきのは……」 チラッ
紅莉栖(CVミンゴス)「!! こ、こっち見んなぁ、バカ岡部!!」
岡部(CV宮野)「くっ……」 チラッ
るか(CV小林)「あ、あの、その、うぅ……///」
ダル(CV関)「え、何この微妙なふいんき? 僕の知らないところでどんな駆け引きを」
??(CV若本)<ブルアアアァァァァァ!!
ダル(CV関)「ぬふぅ」
岡部(CV宮野)「そうか……高野豆腐の消化とともに取り込まれたアルゴンガスは、一晩経って……
下から出てくるのだな」
??(CV若本)<ブルアアアァァァァァ!!
まゆり(CV花澤)「ひゃっ! えっと今のは、その、えへへ……」
??(CV若本)<ブルアアアァァァァァ!!
フェイリス(CV桃井)「ニャッ! ち、違うニャ、今のはちょっとした封印のあれのあれニャ!!」
ダル(CV関)「クンカクンカスーハースーハー」
ブルアアアァァァァァ!! ブルアアアァァァァァ!!>
ブルアアアァァァァァ!!
ブルアアアァァァァァ!! ブルアアアァァァァァ!!
ブルアアアァァァァァ!!
岡部(CV宮野)「くそっ! いつになったら止まるのだこれは!!」<ブルアアアァァァァァ!!
ダル(CV関)「フェイリスたんのパフュームくんかくんか」<ブルアアアァァァァァ!!
フェイリス(CV桃井)「いやぁーー!さすがにそれはやめてなのニャー!!」<ブルアアアァァァァァ!!
るか(CV小林)「岡部さんの前で、恥ずかしい……でも、なんだかドキドキする……」<ブルアアアァァァァァ!!
まゆり(CV花澤)「ずっと聞いてるうちになんだか綺麗な音の気がしてきたのです」<ブルアアアァァァァァ!!
紅莉栖(CVミンゴス)「一生の恥だわ……もうお嫁にもらわれないレベル」<ブルアアアァァァァァ!!「あぅ」
岡部(CV宮野)「ええいもらってやるから黙れ!そういえば指圧師はどうした?」<ブルアアアァァァァァ!!
ピロリンッ♪ 『なんかくっさいから私今日はもう帰るね~ (^-^)/~ 部屋・クサイ・もう無理ぃ(笑)』
岡部(CV宮野)「…………ちくしょおおおおおおおお!!!ぶるああぁぁぁぁぁぁ!!!」
Steins;Gate ChapterXX 強力胃薬のエキゾーストノート END
乙
面白かった
Entry ⇒ 2012.02.18 | Category ⇒ シュタインズゲートSS | Comments (0) | Trackbacks (0)
岡部「明日は何の日か、だと?」
ほぼオールキャラバレンタインネタ。
今日は何が何でも完走する。
では最初から投下します。
http://hayabusa.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1329314581/
岡部「明日は何の日か、だと?」
岡部「そんなもの……この狂気のマッドサイエンティスト鳳凰院凶真の知ったことではぬわぁーい!」
ダル「オカリン、それ今回だけはただの負け惜しみにしか聞こえないお」
岡部「ぐっ……じ、事実! 関係ないのだから関係ないのだ!」
ダル「世界中のおにゃのこたちが男子諸君にチョコをあげる、そんなバレンタインイベントだろ!」
岡部「正直お前がチョコを貰えるとは思えん。相手がいないだろう」
ダル「僕には明日!大事な使命があるんだお!暇人のオカリンと一緒にしないでもらいたい!」キリッ
岡部「なっ……貴様抜け駆けか……!!」
岡部「(……いや、コイツには将来鈴羽が生まれるぐらいの美人嫁が出来るはずなのだから不思議でもないか……)」
岡部「(しかしバレンタインデートとは……まるでリア充ではないか。……なんだか複雑だ)」
岡部「ダルよ……俺に紹介もしないとは随分独り占めをしたいようだな。流石ダルの嫁と言ったところか」
ダル「独り占めなんて出来る事ならしたいに決まってるだろ常考」
ダル「おおおおおフェイリスたんは俺の嫁! 誰にも譲らん!」
岡部「……は? フェイリス? コミマで知り合ったコスプレ少女じゃなくて?」
ダル「オカリンこそ何言ってるん? 僕明日はメイクイーンニャン×2のバレンタインイベントに参戦するんだぜ?」
ダル「フェイリスたんからの手作りチョコ貰えるとか幸せすぎるだろおおおおおおおおwktk!」
岡部「」
岡部「(くそっ……深読みしすぎたか……)」
ダル「というわけで僕明日はラボには来ないと思われ。一日中のイベントだからさ」
岡部「ほう、メイクイーンも中々でかい規模のイベントやるんだな」
ダル「何々? オカリンも興味湧いちゃった感じ?」ニヤニヤ
岡部「興味などない。俺が興味を持つのは世界に混沌をもたらす方法のみだ!」
ダル「はいはい、厨二病乙」
ダル「だけど牧瀬氏がいないんだからあんまり暴走すんの控えてくれお。ツッコミめんどい」
岡部「なっ、助手は関係ないだろう。それに暴走ではない!これが俺のn」
カンカンカンカン トントン ガチャ
まゆり「トゥットゥルー♪ まゆしぃなのです☆」
まゆり「本当はそうだったんだけどねー」
まゆり「明日のイベントのまゆしぃ担当分が早く終わったからちょっと遊びにきちゃったのです」
岡部「ほう、やはりまゆりも参加するのか」
まゆり「うん! きっと明日は楽しくなると思うんだぁ」ニコッ
ダル「まゆ氏はメイクイーンの中でもなかなかの人気を誇ってるからね。ファンも結構多いんだお」
岡部「……そうか。まぁあまりはしゃぎすぎるなよ」
まゆり「うん? 大丈夫だよ~フェリスちゃんもいるしねぇ」
ダル「お? もうこんな時間かお。明日は早いから今日はもう帰るお」
岡部「む、分かった。じゃあな」
まゆり「じゃあねーダル君~また明日なのです~」
まゆり「ダル君帰っちゃったねえ」
岡部「お前も帰らなくていいのか? ダルのあの感じだと明日も早いのだろう?」
まゆり「うん。でもね、オカリンにちょっと言っておこうかなーと思って」
岡部「ん? なんだ?」
まゆり「最近ね、ラボメン全員で集まったイベントってなかったよね?」
岡部「? あー……まぁそうだな。年始に助手が帰ってきたという事で少し集まったぐらいだな」
岡部「結局奴はすぐ帰ってしまったが…」
まゆり「それでね……」
まゆり「本当はね、明日はバイトが入ってなかったら」
まゆり「ラボメン皆でチョコパーティを開こうと思ってたのです」
まゆり「それにまゆしぃとオカリン。皆で」
まゆり「……バイトのせいってわけじゃないんだけど」
まゆり「なんだか考えてた事が出来なくなっちゃって寂しいなあって思ったのです」
岡部「ふむ……」
まゆり「フェリスちゃんだってメイクイーンの方でイベントは考えてると思ったし……」
まゆり「よーく考えてみれば最初っから無理だったんだねえ」
まゆり「……皆で、集まりたかったなあ」
岡部「……」
まゆり「……こうやって二人でいるとね、最初の頃のラボを思い出して寂しくなっちゃうんだぁ」
まゆり「最初の頃のあのゆったりとした感じも好きだったんだけど、今はやっぱり皆一緒が楽しいのです」
岡部「……まゆり」
まゆり「うん?」
岡部「まぁ流石に各々の予定は聞かないとまずいが……」
岡部「基本的に忙しいクリスティーナに合わせれば問題なかろう」
まゆり「……うん、そうだねぇ。じゃあクリスちゃんにメールしとかなきゃ!」
岡部「問題ない。それは俺が送っておく。とりあえずお前は明日のイベントのことだけ考えておけ」
まゆり「うん!」
岡部「じゃあ今日はもう遅いから帰れ。……俺が送っていってやるから」
まゆり「えへへぇ~……じゃあお言葉に甘えようと思うのです♪」
―――――
―――
―
岡部「さて、世の中はバレンタインなどとうつつを抜かしているようだが……」
岡部「この狂気のマッドサイエンティスト鳳凰院凶真にはそんなことは関係なーい!」
岡部「まぁ、昨日まゆりが言っていた事は考えねばならぬのだが……」
岡部「いかんせん、助手から返信が来ないようでは身動きが出来ん……」
岡部「というわけで」
岡部「クリスティーナから返信がくるまでだが!」
岡部「今日も今日とて機関に対抗するべくして未来ガジェットの開発にいそしむのだ!!」
岡部「では開始する!!!」
岡部「…………」カチカチッ
岡部「…………」カチカチッ
岡部「…………」ドアチラッ
・ ・ ・
岡部「…………」カチカチッ
岡部「…………」カチカチッ
岡部「…………」ケイタイカパッ
・ ・ ・
岡部「なんだこのバレンタイン系スレの乱立は……」カチカチッ
岡部「…………」カチカチッ
岡部「…………」ドアチラッ
岡部「……今日はラボには誰も来ないのだろうか……」
岡部「ってまるで俺が忙しくないみたいじゃないか! そんなことはないぞ!!」
岡部「ちょっと気分が下がってるな……ここはドクペでも飲んで喝を入れるか」キッチンへ
冷蔵庫 カパッ
岡部「なっ……」
岡部「ドクペが…一本もない…」
岡部「名前を書いておかなかったから誰かが食べてしまったのか……くそっ」
岡部「ぐっ……こんな日に外へ出かけるのは大変不本意であるが……」
岡部「致し方ない。俺の灰色の脳細胞が糖分とドクペを欲しているため、買い出しに出かけるか」
岡部「(ふむ。目的の品は手に入った。ドクペもプリンも予備を考慮して二つずつ)」
岡部「(ついでに夕飯分のカップ麺だって二つ購入だ!)」
岡部「(フッフッフ……これで万が一誰かに食されても俺の分が残ってるという訳だ!! ぬかりはない!)」
岡部「(さて、ラボへ戻るか……)」
ポッピーンポロロンポッピッポー
岡部「ん?メール……助手か?」パカッ
From:ルカ子
凶真さん、本日はラボにいらっしゃいますか?
あとで少し用事があるので寄ろうと思ってるんですけど…
いらっしゃらなければまた今度にするので大丈夫です。
P.S.今日はまだ五月雨の素振りはやってません。。。
すみません><
--------------
岡部「ほう、用事とな。……柳林神社ならここからすぐだし……」
岡部「修行の様子見も兼ねて寄るか」
るか「…………」箒シャッシャッ
岡部「フゥーッハッハッハ!! ルぅーカぁー子ぉよ! この鳳凰院凶真が直々に出向いてやったぞ!」
るか「……え? ……って、え、あ、おかっ、きょ、凶真さん!? なんでここに!?」
岡部「いや、丁度買い出しに行っていてな。メールをもらった時に近くを通りかかったものだから来たのだが」
るか「あっ、す、すみません! まさか来て頂けるとは思わなかったので……!あっと、えっと……」ワタワタ
岡部「ん?何か言い辛い事なのか?」
るか「い、いえ!そうじゃないんですけどっ……じゅ、準備が……」
岡部「準備?」
岡部「まぁ特に急いでるわけでもないからな。よかろう」
るか「っじゃ、じゃあちょっと取りに行ってきますね!」
岡部「(どうしたというのだ?)」
-数分後-
タッタッタッタ…
るか「っはぁ! た、大変お待たせしました……すみません……」
岡部「いやたいして待ってなどいないが……」
るか「直前にラッピングをしてお渡ししようと思っていたので準備が整ってなくて……」
るか「あのっ……こっ、これをどうぞ!」箱差し出し
るか「バ、バレンタインのチョコレートですッ!」
岡部「なっ!? チョ、チョコレート……だと?」
るか「はい! えっと、おかっ……凶真さんにはいつもお世話になってますし」
るか「そのっ……教えてあげるついでに作った程度なのであまり自信はないんですけど……」
るか「貰って……頂けないでしょうか?」ウルッ
岡部「お、おぉう、ちょ、ちょっと待てええええええ」アセアセ
岡部「(ひ、日頃のお礼ぐらいなら貰ってもいいよな……)」
岡部「(一瞬ルカ子が女だった時の世界線を思い出してキュンとなってしまったが……)」
岡部「(だが男だ!)」
岡部「(よし! 俺は正常!)」
岡部「ちょっと待て! 誰がいらないと言った」
岡部「俺はルカ子の師だからな! 弟子の好意は受け取っておくのが道理だろう!」
岡部「その……有難く頂いておこう」
るか「……っ、あ、ありがとうござます!」ニコッ
岡部「(ぐっ、またもや精神攻撃を……)」
るか「え? ……あっ! い、いえ! そこは何でもないんです! 気にしないで下さいっ!」
岡部「そうか……」
るか「はい……」
岡部「……」アセアセ
るか「……」テレテレ
岡部「(な、なんだこの微妙な空気……)」
岡部「ま、まぁなんだ。チョコはラボで美味しく頂くとしよう!」
岡部「それでは俺は今日は帰るが……しゅ、修行はしっかり個人で行っておくように!」
るか「っはっ、はい! それでは失礼します!」
岡部「(ふう……さっきは流石に驚いたな……まさかルカ子からチョコを貰うとは……)」
岡部「(バレンタインに貰うチョコが男からって……いいのかそれで)」
岡部「(まぁ見た目はそこらの女より女らしいからいいか)」
岡部「だが、男だ」キリッ
萌郁「……」ボーッ
岡部「ん? シャイニングフィンガーではないか」
萌郁「あっ……岡部、くん……?」
萌郁「ううん……違う……今日は非番……だった」
岡部「だった?」
萌郁「……」コクッ
萌郁「店長さん……体調、悪くなっちゃった……みたいで……」
岡部「なん、だと……」
岡部「……クックック、実に気分が良い! そのまま当分は寝込んでいてほしいものだな!」
萌郁「……」
岡部「それで今は貴様が店番、という訳か」
萌郁「……」コクッ
萌郁「ぁ……そうだ……ちょっと、待って」ガサゴソ
岡部「?」
岡部「……あー……もしやこれは、『チョコレート』と言った奴か……?」
萌郁「昨日……作った……食べてくれるかなって……」モジモジ
岡部「そ、そうか……」
岡部「(くっ、本来女子からチョコを貰ったとなれば大喜びするはずなのだが……)」
岡部「(何故か包みを見せられた時から悪寒しかしない!! といっても理由は明白だがな!)」
岡部「指圧師よ……一応聞いておくが、そのー……」
岡部「Mr.ブラウンにも……渡した……のか?」
萌郁「…………もちろん。その場で、食べてくれた」
岡部「」
岡部「―――俺だ。現在、機関の攻撃よりも強烈な"ブツ"を手に入れてしまうかもしれない可能性が出てきた」
岡部「出来れば回避したかったのだが……何? これもシュタインズ・ゲートの選択だと……?」
岡部「こんな選択が……こんな選択が許されるのか……くっ、了解した。何とか乗り切って見せるさ」
岡部「―――エル・プs」
萌郁「……何、してるの?」ヒョイ
岡部「うおおおおおお!!! いきなりこっちをのぞき込んでくるなあああああ!!!」
萌郁「……っ……ごめん、なさい」ビクッ
岡部「い、いや、だ、大丈夫だ」ドキドキ
萌郁「……それで、チョコ……」
岡部「あ、あぁ。いい頂いておこう」ブルブル
岡部「よってこの場では食さないが、いいな!?」
萌郁「……うん……ありがと」ホッ
岡部「む、むう……」
岡部「(なんなんだ、調子が狂うぞこれは……)」
岡部「(とりあえず、一旦"コイツ"は封印でもしておくか……)」
岡部「(Mr.ブラウンでさえ勝てないのに俺が勝てるわけがない)」
まゆり「あれー?オカリンだぁートゥットゥルー♪」
岡部「なっ、まゆり!? お前何故ここにいるんだ。 今日はメイクイーンのイベントではないのか?」
まゆり「えへへ~それがまゆしぃとしたことが忘れ物をしちゃったのです。だから取りに来てたんだよぉ~」
岡部「そうか……忙しないやつだな」
まゆり「えへへぇ~……あ、バイトが終わったらまたラボ寄ってもいいかな?」
岡部「まぁ、別にかまわんが」
まゆり「じゃあ帰りに寄るね! ……あっ、そうだ!」
まゆり「オカリンも今からメイクイーンニャン×2のイベント参加しない?」
岡部「俺が? 今からか?」
まゆり「オカリンが時間空いてたらでいいんだけど、どうかな?」
岡部「俺は別にバレンタインなぞに興味はない」
まゆり「あう……そっかぁ……残念」ショボン
岡部「(ぐぐっ、そんな残念そうな顔をするなと……! だが……!)」
岡部「だ、だが、どうしてもというなら行かない事も無いぞ」
まゆり「わあほんとぉ!? うわぁーい! じゃあ今すぐ行くのです☆」パァァッ
岡部「え? おい、ちょっ、準備が」荷物ドサァ
まゆり「レッツゴー♪」
岡部「しかしイベントとは一体どんな事やってるんだ? 随分早い時間からやってるようだが……」
まゆり「んー? それはねぇ」
ガチャッ
フェイリス『まだまだ行っくニャーン!!』
客「「「うおおおおおおおおおおおお!!!!!!」」」
客「「「( ゚∀゚)o彡°フェイリス!フェイリス!( ゚∀゚)o彡°」」」
岡部「な、なんだこれは……」ポカーン
まゆり「午前中はチョコ配ったりー色々ゲームとかしてたんだけどね~」
岡部「そ、そうか……」
岡部「(これは予想以上の熱気である)」
フェイリス「凶ぉ真ぁ~~~!!!」ダキッ
岡部「どわぁ、ちょ、くっつくでない!」ヒッペガシ
フェイリス「むぅ~このぐらいなんでもないニャン!」
フェイリス「それにぃ~凶真ならきっと来てくれるって信じてたニャン♪」
ダル「ぬおおおおお!! フェイリスたんに抱きつかれるとか裏山過ぎるだろ常孝!!」机バンバンバンバンッ
フェイリス「ダルニャンはまたあとでニャン♪」
ダル「うっはあwwwww僕全裸待機余裕wwwwwwwww」
岡部「リアルにはやるなよ」
ダル「心の全裸的な意味だお」
フェイリス「先の事まで見とおせる未来眼[フューチャーアイズ]が覚醒したのニャ!」シャキーン
岡部「なに!? ついに覚醒の時だと……!?」
フェイリス「そうニャ。そして、この先は……凶真とのラッブラブデートだニャーン☆」
岡部「だが断る」キリッ
フェイリス「だけどそんな凶真も……大好きだニャン♪」
岡部「い、いい加減からかうのはよせ!!」
ダル「オカリンまじ爆発しろ!!! 死ね! 氏ねじゃなくて死ね!!!」
岡部「はぁ……ダルは本当に通常運転だな」
岡部「え? あ、あぁ、うむ。そういえばそういうイベントだったな。……貰っておく」
フェイリス「ちなみに味はビターだニャン☆ ちょっぴり苦ーい大人の味ニャン♪」ウィンク
ダル「うおおおおおおおおおフェイリスたん僕にもウィンクぷっりいいいいいいいず!!!!!」バンバンッ
岡部「……実にここは平和である」
岡部「(さて……そろそろか)」チラッ
ガチャッ
まゆり「あっれ~? オカリンなんでいるのー?」キョトン
岡部「お前を駅まで送ろうと思ってな」
岡部「まぁ俺は後でラボに戻るから自宅までは送れないが……」
岡部「(少し過保護すぎる気もするが……平気だろう)」
まゆり「大丈夫だよ~」
まゆり「じゃあ今日もオカリンと途中まで帰れるんだねぇ~なんだかデートみたいだねぇ~えへへぇ」ニッコニッコ
岡部「なっ、変な言い方をするでない!」
岡部「流れとは言え、客があれだけ騒げば疲れもあるだろうし、今日はそのまま駅に向かうぞ」
まゆり「んーっと、まゆしぃは別に疲れてないよ? 体力には自信があるのです」
岡部「それでも、だ。ダルも帰ったことだし……」
岡部「なにより、暗くもなってきたしな」
まゆり「オカリンがそこまで言うなら……今日はそのまま帰ろうと思うのです♪」
岡部「ちなみにラボに用事とはなんだったんだ?」
まゆり「んー? えへへぇ~知りたい? 知りたい~?」
岡部「ラボメンの行動管理は俺の最優先事項だからな」
まゆり「本当はねぇ……今オカリンがここにいるから寄らなくてもよかったのです☆」
岡部「ん? どういうことだ?」
まゆり「んふふふ~それでは発表しまぁーす!ダダダダダダ……(セルフドラムロール)」
岡部「?」
岡部「ほう、今年も……俺にくれるのか?」
まゆり「うん♪ しかも今年はフェリスちゃんと一緒に作ったから味もばっちりなのです☆」
岡部「毎年毎年完食しきれた試しがなかったからな……」
まゆり「ぶー! あれはあれで美味しいと思うのです! 食べ物を粗末にしちゃだめだよー?」
岡部「ふっ……分かってるさ。それに、今年のは味見もしたんだろう?」
まゆり「もちろんなのです♪」
岡部「なら安心して食えるな」
まゆり「うん♪ ……あのね、オカリン」
まゆり「いつもありがとうね」
岡部「ど、どうした突然」
まゆり「ううん、突然じゃないよー? 言う機会がないだけで、いっつも心の中ではそう思ってるのです」
まゆり「まゆしぃはオカリンの人質で、本当に本当によかったと思うんだぁ」
まゆり「昨日も似たような事言っちゃったけど」
まゆり「オカリンの人質だったからラボメンの皆ともお友達になれたし」
まゆり「それはまゆしぃにとっても辛いことだから、きちんと言ってほしいかなぁーっt」
岡部「だから俺はお前を重荷だと思った事は一度も無いと何度も言ってるだろう…!」
まゆり「へっ?」キョトン
岡部「そこにまゆりの意思は関係ない!」
岡部「だが、貴様はこの崇高なる鳳凰院凶真の手中にある、すなわち、それが人質!」ババッ
岡部「フゥーッハッハッハッハ!!!!」
まゆり「ほぇー……」ポカーン
岡部「……つまりっ、……まだまだお前には人質になってもらうからな」
岡部「そっ、そこそこの自由は与えてやるが! この俺からは逃れられないと思え!!」
岡部「……あと、もう俺が辛いだろうとか自分が重荷だろうとか、そんなこと考えるな」
岡部「俺はお前が生きててくれるなら何でもしたし、これからも……多分する、と思う」
岡部「って、これは言ってもまゆりには分からんか……まぁとにかくだ」
岡部「重荷どころか随分助けられてるんだぞ? これでも」
岡部「存在そのものと言うかー……なんというかー……」
岡部「う、上手くは言えないが……」ワタワタ
岡部「と、とにかく。 お前はそのままでいいから。今のままでいいから……」
岡部「何も考えずに普通にしてろ。いいな?」頭ポンポン
まゆり「オカリン……」ジワッ
まゆり「っ……ありがとう、オカリン」ニコッ
岡部「う、うむ」
まゆり「……やっぱりオカリンは優しいんだよねぇ」ボソッ
岡部「うん? 何か言ったか?」
まゆり「ううん、なんでもないよー♪ じゃあまゆしぃは心置きなく……」
まゆり「オカリンが嫌ーって言うまで人質を続けようと思うのです♪」エヘヘ
岡部「そんな時は来ないだろうが……うむ、まぁそれでいい」
―――――
―――
―
まゆり「それじゃあまた明日ね! トゥットゥルー♪」バイバイ
岡部「あぁ。……あっ、電車の中で寝過ごしたりするなよー?」
タッタッタッタッ…
岡部「……」
岡部「(……まゆりは……やはりいつもあんな事を考えているのだろうか)」
岡部「また少し、考え直さねばな……」
岡部「(ふむ……しかし、まぁなんだ)」
岡部「(今年は意外にも多く貰えたな。……まぁ全てラボメンガールズからなのだが)」
岡部「(……悪くない)」
岡部「……ん? って、なああああああ!」ラボ見上げ
岡部「あああああしまった……出る時に急いで連れ出されたから気づかなかったのか……不覚ッ!」
岡部「急いで消さねば電気代がああああああ」ダッシュ
カンカンカンカン
ガチャッ
「遅いッッッ!!!」
岡部「」ビク
紅莉栖「…………岡部、あんた今日どこ行ってたんだ?」
岡部「え、……く、クリスティーナ!? 何故ここにいる!? 今はアメリカにいるはずだろう!!」
紅莉栖「いいから私の質問に答えろ」ギロッ
岡部「うぐっ……助手の分際でこの俺に指図などs」
紅莉栖「あん?」
岡部「あ、はい。ご説明させて頂きます」
紅莉栖「ふーん……つまり他の女の子にチョコを貰いに行ってたんだ。わ・ざ・わ・ざ」イライラ
岡部「ご、誤解を招くような言い方をするな! それにわざわざ貰いに行ったわけではない!」
岡部「……い、行く先々で……くれたのだ」
岡部「フッ……まぁこれも、この狂気のマッドサイエンティストの人望と言うやつk」
紅莉栖「黙れ厨二病」
岡部「なっ、これは断じて厨二病などでないだろう! 事実だ!」
紅莉栖「は?」
岡部「帰ってくる時は必ず連絡をよこすという約束ではなかったか!」
紅莉栖「あっ、ま、まぁそんな約束もしてたわね……」
岡部「それに昨日のメールにも返信すらしないとはどういう事なのだ!」
紅莉栖「それは……」
紅莉栖「……っ」
岡部「貴様は生粋の研究大好きっ娘だからな! だがな! まゆりも寂しがっていたのだぞ!」
紅莉栖「……」
岡部「それを貴様はよくも……ぬけぬけと俺を問いただせるものだな!」
紅莉栖「……」グスッ
岡部「え?」
岡部「(本気で責めようとかは欠片も思ってなかったのだが……まずい)」
岡部「あっ、いや、つまりはー、そのー……ちゃ、ちゃんとこまめに連絡は欲しいということで……」
紅莉栖「……――ッ! こッの馬鹿岡部!!!」シュッ
パァンッ ポトッ
岡部「あいたっ!! ちょ、顔に物を投げるのは反則だろう!! 角がっ!」ヒリヒリ
岡部「……って、…………ん? これは……」
紅莉栖「私だって何度も連絡しようか迷ったわよ!!!」
紅莉栖「でもっ、どうせ! 岡部のことだから! チョコ一個も貰えてないだろうと思って!!」
紅莉栖「あんたの落ち込んだ顔を励ましてやろう……とかって思ってたわけじゃないけど!!」
紅莉栖「あんたが貰った時に驚いた顔見て』プゲラざまあああwwwwww』って言ってやろうと思って!!」
紅莉栖「それがなによ!! あんた朝早く様子見に行ったらまだラボにいないじゃない!!」
紅莉栖「それで午後には流石にいるだろうと思って来てみても! またいないじゃない!!」
紅莉栖「私を避けてるの?! なんなの?! 馬鹿なの!? 死ぬの!!!?」
岡部「」
岡部「くっ、紅莉栖……とりあえず泣くのは……」
紅莉栖「泣いてないわ!!!」グズズッ
岡部「お、おう……」
岡部「(なんだこの状況は……俺は幻覚でも見てるのか……?)」
岡部「お、俺に、手作りチョコを渡して驚かせようとしたから……連絡はしなかった……のか?」
紅莉栖「……なッ!! 違っ! っけど……」
紅莉栖「ええい! もういい!! それでいい!!」グズッ
岡部「(こ、これはなんということだ……)」
岡部「じゃ、じゃあこの投げてきた箱は……」カパッ
紅莉栖「……私が作ったチョコだ。悪いか」グズッ ゴシゴシ
紅莉栖「……ッちなみに、漆原さんに教えてもらったから味は完璧なはずよ……」
紅莉栖「まずいなんて言わせるもんですか……!」キッ
紅莉栖「……なっ、何よ……」
岡部「すまない」
紅莉栖「……っ」
岡部「まさかお前がそこまで計画した上で……こんな形で貰えると思ってなかったのだ」
岡部「ある意味、いや、そのままの意味でも驚いた」
紅莉栖「……」
岡部「それで……つい、とっさにああ言ってしまったが……」
岡部「そのー……あー……」
紅莉栖「……?」
紅莉栖「……っ」
紅莉栖「……そ、それは……まぁ私も……あんたに連絡なしで帰ってきちゃったわけだから……」
紅莉栖「……悪かったわ。よくよく考えてみればちょっと度が過ぎたわね」
岡部「し、しかしだな!!」
紅莉栖「な、なによ……」
岡部「その……俺としては、帰ってきた時に……」
岡部「お前がいた時点で驚いたというか嬉しかったというかなんというかだな……」目ソラシ
岡部「だ、だからそれは! 連絡をよこさなかった貴様が悪い訳で!!!」
紅莉栖「ぐっ……」
岡部「むっ……」
岡部「……いかん、これでは終わらないな」
紅莉栖「……」モジモジ
岡部「……」キョロキョロ
紅莉栖「なっ……ちょっ、私もう帰るからあとで一人で食べなさいよ!!」
岡部「しかしもう終電も行ってしまってるぞ?」
紅莉栖「えっ……あ、歩いて帰るからいい!!」
岡部「しかし暗いと危ないではないか。……今日はラボに泊ってけ」
紅莉栖「でも……夕飯も……」
岡部「昼に偶然にも予備と思って買ってきたカップ麺が2つある。それを食うがいい」
紅莉栖「……」
岡部「それに……何を心配してるのかは知らんが、別にお前にHENTAI行為をしようなどとも思ってない」
紅莉栖「バッ! そんなこと考え……たけども、ちょっとだけ、あくまでわずかな可能性として」
岡部「おい」
岡部「……ほら、カップ麺」コトッ
紅莉栖「……あ、ありがとう」
岡部「その間に俺はこれを食べる」パカッ
紅莉栖「……あくまでチョコが先なのか」
岡部「当たり前だろう。お前がそこまで行動したチョコだからな。食べるのが礼儀だろう」
紅莉栖「なんか礼儀とかまで言われるとちょっと複雑なんだけど……」
紅莉栖「え、えぇ……」ドキドキ
岡部「(コイツはもちろん覚えてないだろうが……)」
岡部「(夏以来、助手の料理は避けてきたからな……心配だが)」
岡部「(だが今回はルカ子と作ったというし……大丈夫、きっと大丈夫……なハズ!)」
岡部「むぐ」パクッ
紅莉栖「ど、どう……?」
岡部「これは……普通に食えるぞ……!!!」
紅莉栖「美味しいとは言わないんだな」
岡部「…………いや、美味い」
紅莉栖「はいはい、どーせ分かってましたよ絶対美味しいなんて言わな……え?」
岡部「このぐらいの甘さが良いな。甘すぎず苦すぎず」
紅莉栖「……な、なんでこういう時に限って素直にっ……」カァァッ
岡部「って、ん? どうしたのだ? うつむいたりなんかして。カップ麺伸びるぞ?」
紅莉栖「うるさい!! こっち見んな! バカ岡部!!!」
岡部「お、おう……」
岡部「とっ、とにかく! このぐらいならラボのキッチンに立たせてやるから……」
岡部「……これからも……その、精進するように! いいな!」
紅莉栖「いっ、言われなくても上手くなるわよ!」
紅莉栖「それに今回は結構長い滞在になるから思う存分食べさせてやろうじゃないの!!」
岡部「あっ! いやいや! まままだ、時間はあるのだだだろう?」声ウワズリ
岡部「なら当分はルカ子と一緒に作ってくれ頼む!!」ブルブル
紅莉栖「……仕方ないわね……漆原さんには迷惑がかかっちゃうけど……」
紅莉栖「岡部にまた不味いって言われるよりマシかしら」
岡部「(俺とラボメンの健康面も兼ねて是非そうして欲しい……)」
岡部「(と、いったら殺されそうだから言うのはやめておこう……)」
紅莉栖「じゃあこれからどんどん美味しいもの食べさせてやるんだから覚悟しなさいよね!!」
岡部「まぁ期待せずに待っているとするか」
【-終わり-】
なんだか詰め込み過ぎて、
後半もはやバレンタインとは何の関係も無くなった気がしてならない。
お付き合い頂いた方々、お疲れさまでした。
初SSで色々あったけど
昨日今日に引き続き保守・支援してくれた人、本当に有難う。
嬉しいものだね。
そして鈴羽はどう頑張っても入らなかった…
まぁそれは7+数年後にたっぷり貰うという事で。
個人的にモヤモヤした部分があったので
とりあえず需要ありでもなしでもとりあえず全投下しておく。
-------------------------------------------
―
―――
―――――
岡部「……時に、助手よ」
紅莉栖「だから助手じゃないといっとろーが。何よ?」
岡部「昨日聞きそびれたのだが……貴様、早朝に一回寄ったと言ったよな?」
紅莉栖「ええ、言ったわ。その時あんたもいなかったけどね」
岡部「……もしやその時、プリン食べていかなかったか……?」
紅莉栖「へっ!?」ビクッ
岡部「食べたんだな?」
紅莉栖「だ、だって……名前書いてなかったし……誰が食べてもいい用なのかと……」
岡部「ほほーう、犯人は貴様だったか。朝からプリンとは……随分食い意地が張っているではないか」
紅莉栖「プリンなんて食べれなかったし……」
紅莉栖「それに! 名前を書いておかない方が悪いのよ!」プイッ
岡部「いや、自分で買ってきたものを食べるのが普通だろう!!」机バンバンッ
岡部「貴様、もしダルやまゆりの分でも同じことが言えるのか!?」
紅莉栖「ぐぐっ……橋田やまゆりはプリン買ってこないわよ!」
紅莉栖「大体! まゆりはバナナとからあげが好物だし! 橋田は……知らないけど」
岡部「なら今度2人が買ってきた時の反応が楽しみだなァ? 助手よォ」
紅莉栖「ふんっ! いつになることやらだけどね!!」
カンカンカンカン…トントン ガチャ
まゆり「トゥットゥルー♪ おはよーなのです☆」
紅莉栖「あっ、まゆり。ハロー」
タタタタッ
まゆり「うわああああ本当にクリスちゃんだあああ」ダキッ
紅莉栖「うわああう! まっ、まゆり?!」アセアセ
まゆり「うわあー! 久しぶりだねぇ~! 会いたかったよおおう」ムギューッ
紅莉栖「あっ、ちょっ、くすぐったいわよ、ふふっ」
まゆり「まゆしぃはいてもたってもいられなくて、ラボに来ちゃったのです☆」
紅莉栖「まゆり……ごめんね。連絡出来なくて……」
まゆり「ううん。全然気にしてないよぉー♪ クリスちゃんに会えたからそれでいいのです☆」ニコッ
岡部「だから言っただろう助手よ、『まゆりも寂しがっている』とな」
紅莉栖「え、えぇ……本当にごめんね、まゆり」
まゆり「ううん! 大丈夫だってぇ~」
岡部「というかまゆり、なんだその袋。またバナナのストックはあったと思うが……」
紅莉栖「私に?」
まゆり「うーん♪ はいっ、どーぞ」スッ
紅莉栖「わぁ……こ、これは……!」
まゆり「じゃっじゃーん! 『プレミアムプリンデラックス』なのです♪」ズズイッ
紅莉栖「まゆりが……プリン……しかも、私のために?」
まゆり「えっへへ~ちょっと奮発しちゃったぁ~」
まゆり「あとでオカリンがきっとパーティ開くんだろうなあとは思ったけど……」
まゆり「先に渡しておこうと思ったのです♪」
紅莉栖「まゆり……ありがとう」ギュッ
まゆり「うん♪」ニコッ
紅莉栖「な、なによ突然! 折角人がほのぼのとした空気に浸ってるのに!」
岡部「フッフッフ……まさかァ、つい先ほどの事を忘れたわけではあるまいなァ?」
紅莉栖「はぁ? 何言ってんのよ」
岡部「先程貴様は……『橋田やまゆりはプリン買ってこない』といったな?」
岡部「だが事実! こんなにも早いとは予想外だったが……まゆりはプリンを買ってきたではないか!」フフーン
紅莉栖「はァ!? これは私に買ってきてくれたんだからノーカンでしょ!」
岡部「たとえどんな形であろうと! 買ってきたものは買ってきたものだ!」ドヤァ
岡部「これを、どう弁解するのだ? ん?」
まゆり「えへへ~オカリンと紅莉栖ちゃんはやっぱり仲が良いねえ~見ててニヤニヤしちゃうよぉ」ニヤニヤ
岡・紅「「仲良くない!!!」」
岡・紅「「ぐぬっ……」」
まゆり「えへへぇ」
こっからご都合展開。
見てる人がどれだけいるか分からないが、
ちょっとでも「ないわー」と思ったらそっと閉じて下さいな。
---------------------------
ガチャッ
ダル「お? おぉ??? 牧瀬氏いつ帰ってきたん? これは僕にも予想外の展開である」
るか「皆さん、おはようございますッ」
萌郁「……おは、よう」
フェイリス「ニャニャ~!? クーニャンがいるニャン! 」
岡部「なっ!? お前ら揃いも揃って何故ここに!?」
ダル「つい下で会ったんだお」
るか「下でお会いしたので……」
萌郁「下で……会った」
フェイリス「下で会ったのニャン♪」
岡部「これも……シュタインズ・ゲートの選択なのか」
鈴羽「……っと、やっほー! オカリンおじさん!」イエイ
岡部「ちょちょちょちょっと待て!!! お前は一番いちゃだめだろう!!!」ガタガタッ
鈴羽「えー! だって本編一回も出れなかったんだからおまけぐらいいてもいいじゃーん」ブーッ
岡部「それにお前どこにタイムマシン……」
鈴羽「ふふふー。だいじょーぶ! 今度はラジ館じゃなくてここの屋上にタイムマシン出現させたから」
岡部「そ、そうか……」
鈴羽「まぁーチョコは持ってきてないけど、7年とちょっと待っててよ。そしたらいーっぱいあげるからさっ!」
岡部「昆虫入りは勘弁してほしいがな……」
岡部「ま、まぁ何はともあれ、これで特に連絡なしで全員揃ったということで……」
岡部「これより! クリスティーナ帰還による宴会の準備を始めようと思う! 異論は却下だ!」
全員(紅除く)「「「おぉー!」」」
紅莉栖「なっ! これから!? 今日!?」
岡部「なんだ。用事でもあるのか?」
紅莉栖「用事はっ! ……ない、けど……」
紅莉栖「その、突然だし……皆迷惑なんじゃないかと……」ショボン
岡部「なら全員了承の返事などしないと思うが?」
岡部「それにルカ子もフェイリスもいる。料理を作れる絶好の機会だと思うが? ん?」
岡部「最初から……というか普段からそうやって素直になってればいいものを」ボソッ
紅莉栖「あ!? 今なんか言った!?」ギロッ
岡部「い、いやぁ、なな何も」ブルブル
岡部「よよよーし! 今日は俺も直々に買い出しに行こうではないか!」
岡部「ルカ子! フェイリス! 買い出しに行くぞ! 残りはラボで準備だ! では!」ガチャッ ダダダッ
紅莉栖「あ、ちょっ、逃げるな岡部ぇーーーー!!」
まゆり「ふふふー♪ やっぱりまゆしぃは皆仲良しさんが一番楽しいのです☆」
【---おまけ 終わり---】
これで本当に終わり。
鈴羽…本当に無理矢理になっちゃったけどごめんね…
嫌いじゃないんだよ!
そしてやっぱり昨日と同じくこんな時間ですね。
でもおまけまで完走できたので自分的にスッキリです。
まゆしぃが目を輝かせてるのが浮かぶ
Entry ⇒ 2012.02.16 | Category ⇒ シュタインズゲートSS | Comments (0) | Trackbacks (0)
紅莉栖「フゥーハハハ!!どうしてこうなった!!」
岡部「――クソッ、クソッ!」カタカタカタ
岡部「跳べよぉぉぉぉぉぉぉ!!」
――バシュゥゥゥゥゥン!!
「はぁ……はぁ……ッ!?」
(タイムリープ成功……か?)
http://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/internet/14562/1328723688/
紅莉栖「フゥーハハハ!!どうしてこうなった!!」
ダル「んぉ?どしたんー?いきなり荒い息遣いして、体調でも悪いん?」
「ッ!?お、おぉ!マイフェイバリットライトアームダァァァルではないかぁぁぁ!!」
ダル「へっ!?え、えぇ?あ、えと……まじでどしたん?なんか変だお?」
「変とはなんだ変とは!相変わらず失礼な奴だな、まったく」
「この脅威のマッドサイエンティストを捕まえて変などと」
「いや、待てよ? マッドサイエンティストなのだからむしろ変でなのが当たり前なのか? しかし……」
ダル「あぁ! なんぞ、それおかりんの真似かぁ。唐突すぎてびっくりしたおw」
「やはり変と言われるのはプライド的にだな……って、真似だと? 一体なんの事だ、ダルよ」
ダル「またまたぁ、悪乗りが過ぎるってーの。 て、言うかなんでおかりんのケータイ持ってるん?」
ダル「牧瀬氏」
岡栗「えっ」
岡栗(どうやら俺は、クリスティーナになってしまったらしい)
岡栗(先程のダルからの呼び掛けでその事に気が付き、ついつい動揺して逃げ出してしまった……)
岡栗(しかし、ブーツとはなんと歩きにくいのだ。助手め、面倒なものを履きよってからに)
岡栗(グヌヌ、更に言えばなにやら太股から踝にかけてはスースーするし、上半身は長袖だから逆に暑いし)
岡栗(助手はずっとこんな不便極まりない格好をしていたと言うのか……天才少女の癖に服装の機能性、合理性等は考えていないのだな)
岡栗(とは言え、今はこの格好を甘受するしかないか。まずはこうなった原因を考えるべきだろう。)
岡栗(タイムリープをしたら俺が助手になってしまった。そしてその手にあったのは俺の、岡部倫太郎の携帯電話)
岡栗(この事象から考えられる事は……そうだな)
未来の俺:タイムリープ、自分の携帯へ発信。
↓
現時間軸の岡部倫太郎:不明、恐らくラボに携帯を忘れたまま外出中。
↓
同助手:俺の携帯が鳴っているのに気が付き、通話を受ける。
↓
俺(岡栗):助手の脳に俺の記憶が送信され、見た目は助手、中身は俺な存在が誕生。
岡栗(恐らくこんな所だろうか? しかしこれは……)
岡栗(助手が言っていた理論では、このような事態が起きる可能性は低かった筈だ)
岡栗(確か、他人が人格データを受け取ってしまった場合は、なにかしらの齟齬が生じて失敗)
岡栗(または……廃人になる可能性がどうとか言ってなかったか?)ダラダラ
岡栗(くっ、助手め……危ないことをしてくれよって)
岡栗(……しかし、今からどうしようか)
岡栗(この時間軸のこの時刻、現時点ではタイムリープマシンは完成していないので、更なる過去に跳び、岡部倫太郎に戻るのは不可能)
岡栗(かと言って電話レンジではどうしようもないしな……)
岡栗(仕方ない、助手がタイムリーブマシンを完成させるのを待つ……か?)
岡栗(あれ?なにかがおかしいぞ…なにか……が――)
まゆり「あれー?紅莉栖ちゃんだぁ!トゥットゥルー☆まゆしぃです!」
岡栗「えっ」
岡栗(つ、ついまゆりからも逃げてしまった)
岡栗(だが、よく考えたら拙い……非常に拙いぞ)
岡栗(そう、俺が元に戻るには、助手が……紅莉栖がタイムリープマシンを完成させる必要がある)
岡栗(――その紅莉栖は、俺だ)
岡栗(紅莉栖が俺で俺が紅莉栖で……いや待て違う、この時間軸においてこの時間軸の俺はあくまでおれであって……くそ、落ち着くんだ俺!)
岡栗(ようは……この時間軸において、牧瀬紅莉栖は存在しない)
岡栗(厳密に言えば牧瀬紅莉栖の精神は、だが)
岡栗(つまり……タイムリープマシンは完成しな、い?)
岡栗「詰んでね?」
―――完
岡栗(いやいやいやいや、待て待って待つのだ、待ってくださいこの野郎!)
岡栗(終わっては駄目だ、諦めたら色々と終わってしまう!!)
岡栗(だが、だがどうすると言うのだ!?)
岡栗(タイムリープマシンの完成に助手の存在は不可欠)
岡栗(だというのに、助手はいないのだぞ!?)
岡栗「クソッ!クソォォォッ!!」
オカリン「……じょ、助手?どうしたのだ、一体?」
岡栗「!!?」
全く驚かせやがって
岡栗「あ、あ……」
岡栗(お、俺だ!目の前に俺が!! 白衣を着込んだ俺ガイル!!)
オカリン「ん?」
岡栗(え、これどーすんの)
オカリン(な、なんで助手は黙ってるのだ?なんか眉間に皺が寄って……まさか、怒ってるとか?)
オカリン「な、なにかあったのか助……い、いや紅莉栖よ」ダラダラ
岡栗「………」
岡栗(よ、呼び掛けられた!?どうすれば……は、話すべきなのか?しかし、いったい何を)
オカリン(なんだかわからんが、絶対怒ってる!ど、どうする俺……助手は怒ると怖いし、この表情だと海馬に電極を突き刺されかねん)
岡栗リン「「あ、あの……」」
((か、かぶったぁぁぁぁぁぁ!!?))ダラダラ
岡栗「あ、あぅあ……」
オカリン「ぬ、ぬぅぅ……」
岡栗(や、ヤバい……どつぼにはまった)
オカリン(こ、こうなってしまっては普通に会話を始めるのは互いに気まずい)
岡栗(どうすれば、どうすればいいん……そうだ!こんな時こそ)
岡栗「フ、フゥーハハハ!お、岡部倫太郎よ!このクリスティィーンナッ!こと牧瀬紅莉栖になにか用か? ん?い、言ってみるがいい!」
オカリン「フ、フゥーハ……は?」
オカリン「えっ」
岡栗「あ゛っ」
岡栗「あ、えっと……その」ダラダラ
オカリン「えっ……えっ?」
岡栗(やっちまったぁぁぁぁ!!?鳳凰院凶真に頼る癖が、クソッ! 明らかに不審がられているではないか!)
岡栗(どうする!?こ、このまま鳳凰院凶真で押し切るか、それともいっそ逃げるか!?)
岡栗「ど、どどどどど……」
オカリン「……ど?」
岡栗「――どっせぇぇぇぇい!!」
オカリン「ぬわっ!?く、紅莉栖!?待て、紅莉栖ゥゥゥゥゥ!!?」
岡栗「跳べよぉぉぉぉぉぉぉおお!!」
岡栗(全力で走れ俺ェェェェェェ!!!)
岡栗「ハッ……ハッ……」
岡栗(ぐぅぅ……呼吸が、しんどい)
岡栗「カハッ……ハァッ……」チラッ
オカリン「ぜぇ……はっ…はっ……く、紅莉栖!ま、待て!!」
岡栗(付いて来るな俺ェェェェェェ!!)
岡栗「はぁっ…はぁっ…や、柳林神社……か!!」
岡栗(壁を乗り越えて、植え込みに隠れらればッ!!)
岡栗「と、跳べよぉぉぉぉぉぉぉおお!!」
オカリン「ちょ、あぶ――紅莉栖ゥゥゥゥゥ!!!」
岡栗(華麗に、着地する――ッ!!)
――グリッ!!
岡栗「んほぁぁぁぁぁぁ!!?」
オカリン「く、紅莉栖ゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥ!!!」
ルカ子「え、えぇっ!?牧瀬さん!!?」
オカリン「まったく、無茶をするからだ馬鹿者!コラ、暴れるんじゃない!!ルカ子、至急救急キットをここに!!」
岡栗「あ、足が!足がぁぁぁぁぁああ!!」バタバタ
ルカ子「は、はい!ま、牧瀬さん、すぐに持ってくるので動かず待っててください!!」
岡栗(くっ……な、情けない)
―――――
―――
―
ルカ子「はい、これで手当ては完了です」
岡栗「あたた……か、感謝する、ルカ子よ」
ルカ子「えっ」
岡栗「……じゃ、なくて、あ、ありあり、ありが、とう。漆原さん」ダラダラ
ルカ子「あ、はい。大事がなくて、本当によかったです」ニコッ
岡栗(あ、危なかった。しかし手際の良さといい、この笑みといい。やはりルカ子は普通の女よりも女らしいな)
岡栗「だが、男だ」ボソッ
ルカ子「はい?」
岡栗「い、いやいやいや。なんでもない……わよ?」
ルカ子「? そう、ですか」
岡栗(だぁぁぁぁ!喋りにくい!!)
―――――
―――
―
ルカ子「はい、応急処置完了です」
岡栗「あ、あぁ、感謝する」
ルカ子「いえいえ、大事はなかったようで本当によかったです」ニコッ
岡栗(漆原ルカ……見た目、仕草、処置の手際。全てが完璧で、美少女にしか見えない可憐な笑み……)
岡栗「だが、男だ」ボソッ
ルカ子「えっ?なんですか?」
岡栗「いや、なんでもない……わ。迷惑を掛けた……わね?」
岡栗(くぅぅぅ……不便すぎるッ!)
オカリン「助ぉ手ぅよぉ、処置は終わったようだな。ルカ子、流石は秋葉を守護する巫女だ!見事な手際だ、腕を上げたようで喜ばしい限りだぞ、フゥーハハハ!」
岡栗(……端から見ると俺痛いな)
岡栗(それから、この時間軸の俺は鳳凰院凶真モードに入り、ルカ子に妖刀五月雨の素振りを始めさせた)
岡栗(この俺はタイムリープを体験した俺ではない為だろう、その一時はどこか平和に満ち溢れ。清流が如き穏やかさで時間と言う名の川は流れていった)
オカリン「よし、今日の鍛錬はここまでた!助手よ、ラボへと戻るぞ」
岡栗「わ、わかった」
岡栗(俺とて、この数時間を怠惰に過ごしたわけではない。ひたすら考え事に費やしていた)
岡栗(まずこの世界線におけるラボメンへの接し方や身のフリ方。こちらは無口キャラを演じて言葉少なに返事をする事でクリアした)
ルカ子「あ、あの岡……きょ、凶真さん、ありがとう御座いました!!」
オカリン「うむ、いずれ来るラグナロックに備え、ますます精進するように!では、エル・プサイ・コングルゥ」
ルカ子「え、えとえと……エル・プサン・ジャンガリー?」アセアセ
オカリン「違ぁぁぁぁう!エル・プサイ・コングルゥ、だッ!!」
ルカ子「はぅぅ!エ、エル・プサイ・コングルゥ!、です……」
岡栗(そして、なによりも大事な今後のことなのだが、こちらに関しても光明が見えた)
岡栗(『記憶とは、積蓄されて行くものである』とは、誰の台詞だったか。その正しさを身を持って実感する事になったのだ)
岡栗(要はどういうことかって? つまりだな、なんとこの体には牧瀬紅莉栖としての知識、岡部倫太郎としての知識両方がインプットされていたのである!)
岡栗(それに気付けたのも、ぼーっと階段に腰掛け、考えに耽ることができたおかげだろう)
岡栗(しかし、助手……表層意識が俺にすり替わっても「マイフォーク……」といつの間にか呟いてしまう程のフォークへの執着。誠に天晴れだと言えよう)
オカリン「さて、今度こそ行くぞクリスティーナ!」
岡栗「……あぁ」スッ
岡栗(俺の中に紅莉栖の知識が生きている以上、恐らくタイムリープマシンは作り出せる)
岡栗(設計図はしかと、思い浮かべた。帰ったらすぐにでも電話レンジの改造に着手せねば……)
岡栗「痛っ…!」フラッ
オカリン「おっと……だ、大丈夫か?クリスティーナ、まだ痛むようだな」ガシッ
岡栗「………」
オカリン(……ま、まだ怒ってるんだろうか。口数が少なすぎるぞ、助手よ)ダラダラ
オカリン(お、俺が一体なにをしたというのだ!く、くそ、かくなる上はっ)
オカリン「……ク、クリスティーナ。乗るが良い」スッ
岡栗「!?」
岡栗(お、おんぶだと?俺が、俺におんぶぅ!?なんなんだこのシチュエーション!)
岡栗「い、いや、遠慮しておく」
オカリン「ダメだ、歩けないのだろう?まったく、ブーツなんかで無茶をするからだ、馬鹿者。つべこべ言わずにさっさと乗るが良いザ・ゾンビよ!」
オカリン「……ラボメンが傷付いたならば手を貸し、共に歩むのがラボの長たるこの鳳凰院凶真の仕事だからな」
岡栗「………えっ」ドキッ
岡栗(ちょっと待てドキッってなんだ!?おい、落ち着け俺!!)
オカリン「……紅莉栖?」
岡栗「うぁ……」ドキッ
岡栗(だからドキッじゃない!俺の中の紅莉栖落ち着けェェェェェェ!!!)
―――
―
オカリン「ほら、着いたぞ」ガチャ
岡栗「………//」
岡栗(う、迂闊だった。紅莉栖の知識が残っているならば、紅莉栖の感情も残っていてもおかしくはない)
岡栗(伝統的魂の在処、紅莉栖も悩んでいた問題が目の前に立ちはだかるとは……)
オカリン「ただいま帰ったぞ!」
ダル「お、オカリンどこいってたん?ケータイ忘れてたお」
オカリン「おぉ、どこにやったかと思えばラボにあったのか。少しルカ子と鍛錬をだな……おや、助手はまだ入って――」
岡栗(おっと、俺も早くラボに入るとするか)スタスタ
ダル「――あ、そういえばオカリン。昼に牧瀬氏がオカリンのケータイ握り締めてハァハァして……あっ」
オカリン「えっ」
岡栗「」
岡栗(は、端から見たらそうなるのか!?)
ダル「あ、いや、えと、その……」ダラダラ
オカリン「えっ……えっ?」
岡栗「」ダラダラ
ダル「ま、牧瀬氏!」
岡栗「な、なんだ!?」ビクッ
岡栗(流石は頼れるスーパーはカー!どうにかこの場を誤魔化すのだ!)
ダル「これはそういうフラグがたったと見て、イケメソな僕は早急に席を外した方がいい系?」キリッ
岡栗「死ね、氏ねじゃなくて死ね」ガンッ
ダル「ありがとうございまおふうっ!!」
ダル「」ピクピク
オカリン「………」ガタガタガタ
岡栗「フーッ!フーッ!!」
岡栗(こ、こんな事をしてる場合ではない!早くタイムリープマシンを完成させて戻らないと……)チラッ
オカリン「か、海馬に電極は勘弁をっ!」ヒィッ!
岡栗「………//」ドキドキ
岡栗(ナルシストとホモに……同時に目覚めてしまいかねん)汗ダラー
岡栗「た、タイムリープマシンの製作に入る!邪魔をしないように!!」スタスタ
オカリン「は、はいぃ!!」
カーテン、シャッ
岡栗「つ、疲れる……」
カチャカチャ……カチャカチャ……
フゥーハハッ……フハッフハッ……
カチャカチャ……カチャカチャ……
まゆり「トゥットゥルー☆まゆしぃです」ガチャ
オカリン「お、おぉ、まゆりか」ホッ
岡栗(まゆら、か。アイツは変なところで鋭いからな、話すと気付かれかねん)カチャカチャ
まゆり「あれー?ねぇねぇオカリン、どうしてダルくんは白目でピクピクしてるのかな?」
ダル「」ビクンビクン//
オカリン「あ、あれだ!発作だよ発作!」チラッ
オカリン(下手なことを言えば俺もあぁなるかも……)ダラダラ
まゆり「発作?まゆしぃにはよくわからないのです」
オカリン「そ、そうか、まぁ、そんなもの気にせずくつろぐがいい。バイト上がりで疲れているだろう?」
まゆり「うんー!ありがとうオカリン!!」
まゆり「あっ!まゆしぃはじゅーしからあげなんばわん☆を買ってきたのです!チンしてくるねー♪」
オカリン「ちょまっ!!」
カーテンシャッ
まゆり「あぁぁ!紅莉栖ちゃんもいたんだー!トゥットゥルー☆」
岡栗「……とぅ、とぅっとぅるーまゆり」
岡栗(空気を読めまゆり!そして邪魔をしないように言ったんだから、ちゃんとブロックせんか俺ェェェェェェ)ギロッ
オカリン「ひぃっ!!」ビクッ
まゆり「あれあれ?紅莉栖ちゃん元気ないねー、どうしたのかな?まゆしぃは心配なのです」
岡栗「い、いや。そんなことはない……わよ?」ニコッ
まゆり「そうかなぁー?お昼も急に逃げちゃうし、まゆしぃは悲しかったんだよー」
岡栗「す、すまな……ごめん、ね?まゆり」ニ、ニコッ
岡栗(ひとりにしてくれェェェェェェ!!)
岡栗「あ、まゆり。電話レンジはもうレンジとしては使えん……使えないし、向こうに行っててくれ……るかな?」
岡栗(グヌヌ、女言葉を使わねばならんとはなんたる屈辱……タイムリープマシンができるまでの辛抱だ、くそっ)
まゆり「あー、そうだった!まゆしぃはすっかり忘れちゃってたのです」ショボン
オカリン「ほ、ほらまゆり。助手は電話レンジ(仮)の改造で忙しいようだし、邪魔をしてはいけない!こ、こっちにくるんだ」汗ダラー
岡栗(ナイス俺ェェェェ!!さぁさぁ、まゆりも早く言うことを聞いて出て行くのだ!)
まゆり「そっかぁー、邪魔しちゃってごめんね紅莉栖ちゃん……」
岡栗「い、いやいやいや。構わんぞ、そちらでゆっくりと休むが良い」ニコニコ
まゆり「? なんだか、紅莉栖ちゃん喋り方がオカリンそっくりだねー?」
岡栗「」
岡栗(マ、マッハで墓穴掘ったぁぁぁぁ!!ど、どうする!?どうすればいいのだ!?)
ダル「それは僕も気になってた罠」スッ
オカリン「のわっ!?生きて……もとい、起きていたのかダル!!」
まゆり「あ、ダルくんおはようトゥットゥルー☆」
岡栗(お前は寝てろよぉぉぉぉぉぉ!!)
ダル「牧瀬氏、今日変だお?ハァハァした後も喋り方もろオカリンだったし、いきなり走って行っちゃうしさ」ジトー
岡栗「う゛っ」
岡栗(ダルにはタイムリープ直後の俺を見られているし……逃れようがない)汗ダラー
オカリン「そ、そうなのか?何かあったのなら、話を聞くぞ助手よ。さぁ、さぁ!包み隠さず話してみるのだ!」
岡栗(殴られ役のダルが復活した瞬間強気になりやがった)
岡栗「ぐぬぬ……」
ダル「こうなったオカリンは止まらないし、言うだけ言ってみたほうが楽になるかもしれないお」
オカリン「さぁさぁさぁ、助手ぅ!!話せ!おまえの罪を教えろ!!」
岡栗「う、ううぅぅ……」
岡栗(……もう、言うしかないのか?)
オカリン「さぁっ!さぁさぁっ!さぁぁぁぁ――」
まゆり(?)「――……トゥットゥルー★オカリン、ダルくん」
「「「!!?」」」
――……ゴゴゴゴゴ
瞬間、空気は凍り、不思議な威圧感がラボに充満する。
肌がチリチリと焼けるような感覚に、俺は威圧感の正体に気付いた。
殺気だ。
電話レンジ(仮)を起動した時のようにビルが揺れる程の、濃厚な殺気が溢れかえっていた。
その発信源は、まゆり。
まっちょしぃ「ねぇ、二人とも。紅莉栖ちゃんは嫌がってるのに、なんで聞き続けちゃうのかな?……かな?」ゴゴゴゴゴ……
いや、もはやそれはまゆりと呼べるほど生やさしい存在ではなかった。
思考を停止したくなるほどの恐怖、世界の深淵を垣間見たかのような絶望、そして
――圧倒的暴力の権化、鬼がそこにいた。
ダル「あ、あぁぁぁ……」ガクガクガクガク
オカリン「な、なんだよこれ、なんだよこれぇぇぇぇ!!」
まっちょしい「まゆしぃは、二人には少し反省が必要だと思うのです」
鬼はそう呟くと、手に持っていた唐揚げの箱を掲げた。
恐怖に支配され、逃げ出すことはおろか、一時も視線をはずせない俺を含めた三人の視線はそこに固定される。
まっちょしい「ねぇねぇ、二人共♪ここに、じゅーしからあげなんばわんがあるでしょ?」
まばたきの合間に、それは起こった。
唐揚げを包んでいたはずの箱はどこかに消え失せ、鬼の手に残ったのはゲル状に変化した唐揚げの姿。
まっちょしい「三秒後の貴様等の姿だ――ッ!!」
鬼の、一方的な殺戮が始まった。
――To True.(トゥットゥルー)
――Mad You She Death.(まゆしぃです)
えぇ、その呟きが聞こえた瞬間でした。
なんて言うんですかね、こう……
ブレたんですよ、はい。
写真の手ぶれみたいに、鬼の姿がね。
気付いたら、視界からは鬼が消えてましてね。
どこだどこだと、見渡そうとしたら……
――ボッッッッ!!!
そう、いきなり耳元でそんな音が聞こえたんです。
そしたらね、まるで大型車…いや、高速戦闘機にでもはねられたみたいに、飛んだんですよ。
え?なにがって?
はは、やだな。
決まってるじゃないですか、人が、ですよ。
樽みたいなおでぶも、電柱みたいな白衣も。
同時にすっ飛んでいったんです。
二人の体はラボを横切って、窓の向こうに消えていきましたよ。
ガラスってね、勢いよく割れるとこんなに綺麗に散るんだなって。
何故か私はそんな場違いなことを考えながら見てました。
二人の姿が見えなくなってから、今思い出したみたいに慌てて窓際に駆け寄ったんです。
そしたらね、そこで、笑ってるんですよ。
儚げに星を見つめて、夜空へと手を伸ばした少女が。
いつの間にか鬼はいなくなっていて、落ちていった二人はぐったりしながら、少女の細腕に引きずられて夜の街に消えて行きました。
この間、30秒。
呟きが聞こえてから、私が窓に駆け寄るまでは宣言通り、僅か3秒の出来事でした。
それからはもう、静かでしたね。
私も動けなくなっちゃって、腰が抜けて座り込んでました。
あの二人はどうなるんだろう、とか。
一体何が起きたんだろう、とか。
そんな事を考える余裕もなく、ただただ呆然としててね。
ふと気付いたら、笑い出してました。
きっと、笑うしかなかったんでしょうね。
余りに突飛で、非現実的すぎて。
岡栗「ハ、ハハハ、ハハハハハッ!!」
紅莉栖「フゥーハハハ!!どうしてこうなった!!」
――Fin
乙
新しく出来たSS深夜VIPのSSです
いろんなSSがあるので是非見てください!
SS深夜VIP
Entry ⇒ 2012.02.11 | Category ⇒ シュタインズゲートSS | Comments (0) | Trackbacks (0)
岡部「ラボメンで花見にいったら大変なことになった」
岡部「どうした、まゆり」
まゆり「もうラボメンって8人になったんだよね?」
岡部「まあ…そうだな」
まゆり「ならまゆしぃは一度みんなでお食事でもしたいのです!」
ダル「お、僕も賛成だお」
岡部「んん…確かにそういう行事も必要だが、ラボはそんな大学生の飲みサーみたいなとこではないぞ」
ダル「とかいいつつ、招集するのが面倒なだけじゃないの?もしくは皆集まってくれないパターン」
岡部「な、なにを抜かすか!ラボメンの長であるこの鳳凰院凶真がそんなこと…」
まゆり「なら決定だね!」
http://hayabusa.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1327582454/
岡部「ラボメンで花見にいったら大変なことになった」
ダル「おお牧瀬氏ナイスタイミング」
まゆり「あ、クリスちゃん!いまね、3人で話してたんだけど、今度ラボメンの皆でお食事でもどうかなーって。ね?クリスちゃんもやりたいでしょ?」
紅莉栖「私はいいけど…あの海万音さんがね……」
岡部「そうか、コミュ力の無い助手は対人関係に不安と…」
紅莉栖「だれがコミュ障じゃ!阿万音さんが一方的に…」
岡部「まあ確かに、言われてみればラボメン全員がそろったことはないな…。よし、次の休日あたりにでも招集させよう」
ダル「でも具体的になにすんの?ここで飯?」
紅莉栖「それもそっけないわね…」
まゆり「じゃあお花見行こうよ!近くの公園で有名な桜のスッポトをまゆしぃはしっているのです!」
紅莉栖「いいわね、そういえば私お花見したことないわね」
ダル「お、じゃあお花見でいんじゃね」
岡部「ふむ、ならばその案件で実行しよう。作戦名は…」
紅莉栖「いらん」
岡部「…で、では各自予定を開けておくように」コホン
チュンチュン
岡部「ん…朝か…」
岡部「いや……昼!?」バッ
岡部「いかん!今日は花見の当日ではないか!!」
岡部「すっかりラボで寝過してしまった」バタバタ ガチャ
Mr.ブラウン「おい岡部ぇ!!」
岡部「み、Mr.ブラウン!?す、すまない、今はそれどころでは…」
岡部「だから今その花見に遅れそうで…」
Mr.ブラウン「いいもんやるよ。ほら、もってけ」
岡部「これは…酒ではないか」
Mr.ブラウン「花見に酒はつきものだろ、遠慮するなよ、ビールもあるからよ」
岡部「一応大半は未成年だが…まあ厚意には感謝します」
Mr.ブラウン「まあおめぇも若いんだから、楽しんでこいよ!」
Mr.ブラウン「若いってのはいいねぇ」ニヤニヤ
まゆり「オカリンおそいよー」
岡部「す、すまん。つい寝坊を…」
ダル「この大事な日に遅刻とはマジすかオカリン」
紅莉栖「とんだマッドサイエンティストね」
岡部「うるさい!そのかわりに、今日は酒を用意してやったぞ。ほれ」
ダル「ついにオカリンが厨二病からDQNに進化した件について」
紅莉栖「とりあえず自分飲めますアピールですね分ります」
まゆり「ツイッターとかでつぶやいたらだめだよ?」
岡部「なら貴様ら飲むなよ!で、用意は完璧か?」
紅莉栖「とりあえずドクぺね、それからおかずもいろいろ」
ダル「僕はピザだお」
るか子「僕は…重箱のお弁当を…」
萌郁「私も…お弁当」
フェイリス「フェイリスはパーティーセットだニャン」
鈴羽「私は食べれそうな雑草と鳩」
全員「おい」
全員「いいよー」
岡部「えーではここに、ラボメン全員がそろったことを記念して、この鳳凰院凶真が…」
まゆり「かんぱーい!!」
全員「カンパーイ!!」
岡部「」
ワイワイガヤガヤ
岡部(にしてもラボも大きくなったもんだ。ここまで繁栄するとはな…)
岡部(昔は細々と地味にやっていただけだったが…)
紅莉栖「岡部ぇー!ドクぺが切れたー!」
岡部「はあ?あれだけあったろう!」
岡部「んな!何故俺が!?」
紅莉栖「んー、今日遅刻した償いね」
岡部「く…いけばいいんだろう行けば!」
紅莉栖「はやくねー、そこのコンビニでいいから」
岡部「く…助手め、最近丸くなったと思ったらこれだ…」
岡部「店を回ったおかげで時間はかかったが、ここの店はドクぺの品ぞろえが実に良いな」
岡部「クリスティーナよ!ほらドクぺだ!買ってきてやったぞ!」ドサ
紅莉栖「…………」
岡部「おい助手よ!礼の一言くらいは…」
紅莉栖「………ありがと///」
岡部「は…?まあいい、食事の続きだ」
岡部(なんか助手が妙な態度に…、それに顔もなんだか…。ん?そういや酒くさい…)
紅莉栖「………////」
まゆり「オッカリ~ン?どおお~したの~?」
岡部「ああまゆり、さっきここにあった酒が…って酒臭いぞまゆり!?」
まゆり「まゆしぃはね~覚醒したのですよぉ~wwwwwwwww」トランザム
岡部「まゆり!?まさか酒を飲んだのか!?」
まゆり「大丈夫だよう~オカカリン~wwwwwww」ベロンベロン
岡部「カが多い!というか何故飲んだ!」
岡部「んな!あの酒はMr.ブラウンが飲むレベルの酒だぞ!まゆりなんかが飲んだら一発で酔うに…」
岡部「おい紅莉栖!まゆりが例の酒を…」
紅莉栖「や…そんな…岡部こんなとこで…やっ…ふぁぁ///」アン
まゆり「まゆしぃニャンwwwwwwニャンwwwwwww」
岡部「」
岡部「ということは…、もしや全員…飲んだのか…、あの量を…」
ワイワイガヤガヤ
岡部「紅莉栖!大丈夫か…?」
紅莉栖「くあ…ち、近いよ岡部ぇ…//」
岡部(なんだこいつ)
岡部「す、好きな人!?マ、マッドサイエンティストに恋愛沙汰など…」
紅莉栖「へえ…カッコイイんだね……//////」
岡部「」
岡部(ダメだ…岡部倫太郎…負けるな…色々と負けるな…!)
??「おらあああ!!岡部ぇぇええええ!!!」ドス
岡部「ぐふぁ!?誰だ!!」
岡部「るか子ぉぉ!!!」
るか子「最近調子に乗ってんじゃねえか?ええ!?」
岡部「るか子!目をさま…」ゴフ
るか子「そういうキャラ作りがうざってえんだよ…」メリメリ
岡部(男の握力)メリシコ
岡部「いやるか子さん…あのここは公園ですしその…」
るか子「いいから脱げやオイ…オイ!」
岡部「か、勘弁してください!!」ダッ
るか子「オイ岡部ぇ!!!!」
岡部(あれはるか子ではない、そこらのおっさんの霊がとりついたのだ…)
岡部(しかしるか子であの状態となれば…酔ったとき一番恐ろしいのは…)ゴクリ
岡部(満場一致でダルだな。酔った勢いでもうパトカーの中でも不思議ではない…)
ダル「…………」
岡部「よかった、ダルは飲んでいないようだな」ホッ
ダル「オカリン」
岡部「ん、なんだ?」
ダル「オカリンはいつも凄い、一人でラボを立ち上げ、本格的な発明までこなし、これだけの人をまとめ上げている…」
岡部「」
ダル「君のその才能は天性か…、それとも勝ちとったものかい?君は万人に一人の逸材、そりゃあ短期間でこれだけの女性が集まるわけだ」フッ
岡部(賢者モード越えてイケメンモード入ってるううううううううううううううううう!!!!!!
岡部(イケメンに見えてきたあああああああああああああああ!!!!!!)
ダル「だから人は愛することをやめない、それをやめた時は……」
岡部(ダルは酔っぱらうとこうなるのか……)ゴクリ
岡部(ほかのラボメンの様子はどうだ!?さすがに通報されるような奴はいないだろうが…)
岡部「おお閃光の指圧師か。よかった大丈夫そうだな、まあ指圧師は二十歳を超えているし無用な心配で…」
萌郁「岡部クンは、初体験いつ?」
岡部「」
萌郁「もしかして、童貞さん?」ウフフ
岡部「シャ、シャイニングフィンガー?萌郁?」
萌郁「じゃあ…お姉さんといいことする?」ウフフ
岡部(痴女スイッチ来たあああああああああああ!!!!!!!!!)
岡部「んままままま待てえい!!!!!何故脱ぐぅぅぅ!?」ドキドキ
萌郁「あれえ、まだ怖いのかな~?」サワ
岡部「さ、さりげなく下腹部を触るな!!ば、場所を考えろ!」
萌郁「じゃあ暗~くてベッドが一つあるお部屋なら、大丈夫なのかな?」
岡部「だだだだだだからそそそそういうことではなくてええ」ドキドキドキ
萌郁「私の心臓もバクバク…感じてみる?」シュル
岡部「ひ、左乳首を触るな!!!も、もう勘弁してくれえ!!!」ダッ
萌郁「もう…草食系ね」
岡部(さ、さすがにこんな形で童貞を喪失するわけにはいかないぞ…)バクバク
岡部(桐生萌郁、一体どんな人間なのだ…)バクバク
フェイリス「……」
岡部「ん、フェイリ、調子でも悪いか?」
フェイリス「フェイリスは悪い子です…」
岡部「は…?」
フェイリス「留未穂は悪い子です、お仕置きしてください留未穂は悪い子です、お仕置きしてください留未穂は悪い子です、お仕置きしてください留未穂は悪い子です、お仕置きしてください留未穂は悪い子です、お仕置きしてください」
岡部「」
岡部(これが本性か…)
フェイリス「うう…お仕置きを……」
岡部「……」ペシ
フェイリス「ニャンッ!!」ビクッ
岡部「……」ペシ
フェイリス「ニャンッ!!」ビクッ
岡部(おれは何をやっているんだ)
フェイリス「ダルニャン…」メソメソ
ダル「自分が悪いと思うなら反省をする。人に迷惑をかけたら謝る。できるね、フェイリスたんなら」ニコ
フェイリス「ダルニャン…、留未穂がんばる!」ウルッ
岡部(ダルは常に酔わせていたほうがいいようだな…)
岡部「バ、バイト戦士よ、ここにいたか…」
岡部(覚悟はしている…)
鈴羽「ああ、岡部倫太郎じゃん。どうしたのそんな顔してさ」
岡部「鈴羽…お前無事なのか?酔っぱらっていないのか!?」
鈴羽「お酒のこと?なーに言ってんの、私は薬物耐性の訓練も受けてきたからお酒くらいじゃビクともしないよ!」
岡部「よ…ようやくまともな奴が見つかった…」ウルッ
岡部「ああ、もうこの先どうなるかと思ったよ…」
鈴羽「岡部倫太郎も苦労人だねー。あ、ちょっと私時間だからいい?」
岡部「ん、時間?バイトか?」
鈴羽「ちょっとお風呂の時間だよ。ほら、もう湧いたから」ヌギヌギ
岡部「だから脱ぐなぁぁぁぁぁあああああ!!!!そして風呂などないぞ!!」
鈴羽「え?どう見てもお風呂だけど…」
岡部「あれは池だ」ザットイズイケ
岡部「……」
鈴羽「じゃあちょっと気晴らしにトイレにでも…」ヌギヌギ
岡部「だあああああかああああらああああ脱ぐなあああああああ!!!!」
鈴羽「え?これ便器じゃないの?」
岡部「これは弁当箱だ」ディスイズベントゥーバコ
鈴羽「アハハハハハ、まあそういことも……」
岡部「ない」
鈴羽「じゃあちょっと気晴らしに…」
岡部「もう動くな!!!」ビシッ
鈴羽「うっ…はぁい…」シュン
るか子「オラ!オラァ!こうかあ!」ビシバシ
フェイリス「ニャアアアン!!///」ビクッ
ダル「~だから鈴羽も良い子にするんだよ」ニコ
鈴羽「へえ~そうなんだ。あ、父さんちょっとそろそろ尿検査の時間だから行ってくるね」ヌギヌギ
ダル「ハハハハ、鈴羽は愉快の女の子だなあ。父さんはうれしいぞ」ニコ
紅莉栖「でねえ、岡部がそこで私のことを…///」
萌郁「男の子なんてみんな狼よ。その欲望を沈めてあげなきゃ、ね」
紅莉栖「うん…分ったわ萌郁さん、私がんばってもっと岡部を…///」
まゆり「からあげさんが空を飛んでるのですぅーwwwwwwまゆしぃも飛べるですーwwwwwwww」
岡部(ダメだこいつら…。早くなんとかしないと…)
岡部「ほ、ほら皆!もう夕方だぞ、もう帰るぞ!」
まゆり「まゆしぃはお空に帰るですぅwwwwww」
ダル「けど、大丈夫かな、オカリン」
岡部「何がだ?」
ダル「こんな泥酔状態で帰宅なんてできないだろう」
岡部「…たしかに…」
ダル「そこでだ、今日くらいはみんなラボに泊まらせていってもいいんじゃないか?」
ダル「だからこそでしょう。オカリンなら間違いなんて起こさないだろうし」
岡部「のおおおおおおおおおおお」
ダル「仕方ないよ。もとはと言えばお酒を持ってきたオカリンが悪いんだしね」フッ
岡部「………」
ダル「なんとかここまで来れたね」
岡部「あ、ああ…」
ダル「さすがに全員分の寝具はないけど、寝るスペースくらいならあるから、大丈夫だよ」ニコ
岡部「あ、ああ…」
ダル「じゃあ、僕は帰るよ。オカリン後はよろしく」スマイル
岡部「あ、ああ…」バタン
岡部(それにはしゃぎ切った女どもはいまはすやすや眠っている。このまま少し早いが、床に就けばいいだけだ……)
岡部(おやすみ…)
ガサゴソ
岡部「!?」
紅莉栖「おかべぇ…寝れないの…」
岡部「どどどどどどどどどうしたというのだじょじょじょ助手よぉぉ」バクバク
紅莉栖「岡部の体、温かい…」ピタ
岡部(ぬほおおおおおおおおおおおお!?!?!?)
紅莉栖「Zzz…」スヤスヤ
岡部(ね、寝たか…)
岡部「ひいいいいい!」
るか子「にゃむあむ……Zzz」
岡部(寝言か…)
萌郁「岡部クン、寝れないの?」
岡部「ね、眠たいぞ!俺は凄く眠たいぞ!!」ギンギン
萌郁「興奮してるなら、私が鎮めててあげようか?」モゾモゾ
岡部「いいいいいいや!ちょっとトイレに行ってくる!!」バッ
ジャー
岡部(ホントにこんな状況で一晩をすごせるものだろうか…)
萌郁「Zzz…」スヤスヤ
岡部(寝たか…)
フェイリス「Zzz…」スヤスヤ
岡部(寝言レベルじゃないだろ)
鈴羽「……」ムク
岡部「ん…鈴羽どうした?」
鈴羽「身体検査次私の番だから」ヌギヌギ
岡部「頼むから寝ろ」
まゆり「緑でジュルジュルのからあげさんおいしですぅーwwwwwwwww」
岡部(寝れねぇぇぇぇえええええええええええええええええええ!!!!)
岡部「…………」ギンギン
紅莉栖「…ってあれ!?なんで岡部が私の隣に!?///」
るか子「あれ…僕んで上半身裸で…」
萌郁「衣服が…凄い乱れてる…」
フェイリス「体中が痛むニャン」
鈴羽「あれ、どうして検尿セットが…?」
まゆり「ジューシーからあげナンバーワンの夢をみたのです」
ダル「おはー、ってなんじゃこのハーレムはぁ!!!」
岡部「…」
ダル「オカリン!この状況はどういうこと!説明してもらおうか!こんな展開そこらのクソラノベでもないお!!」
岡部「…」
紅莉栖「岡部!まさかあんた…//」
るか子「そんな…岡部さんが…」
萌郁「……//」
フェイリス「特にお尻が痛いニャン」
鈴羽「あれ、服がなんか違う…」
まゆり「オカリン、まゆしぃのからあげ……」
ダル「オカリン!」
紅莉栖「岡部!」
岡部(俺はいくつもの世界線を渡った、)
るか子「岡部さん!」
萌郁「岡部君…」
岡部(孤独の観測者。そう、これが)
フェイリス「キョーマ!」
鈴羽「岡部倫太郎!」
まゆり「オカリン!」
岡部「これが運命石の扉≪シュタインズ・ゲート≫の選択だ!!!」
全員「」
完
寝ます
ではノシ
・・・でも、そこで終わりかいwwwwww
Entry ⇒ 2012.01.28 | Category ⇒ シュタインズゲートSS | Comments (0) | Trackbacks (0)
ダル「オカリン……オカリン……」シコシコ
ダル「ふぅ……またオカリンに犯される妄想で脱いてしまったお」
ダル「それもこれも全部まゆ氏が無理やりBL本を僕に見せてくるからだお…」
http://hayabusa.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1326721928/
ダル「オカリン……オカリン……」シコシコ
フェイリス「話は聞かせてもらったニャン!」
ダル「ぬおぉお~!? フェ、フェイリスたん!?」
フェイリス「ダルニャンはぁ…フェイリスよりも、凶真の事が大事になってしまったのニャ…?」
ダル「そ、それは…」
ダル「フ、フェイリスたん!来ちゃだめだお!僕今イったばかりで汚いから!」
フェイリス「誰も居ないラボで一人、凶真の事を思って自慰しているなんて…とても妬けるニャ」
ペロ…
ダル「ぬっ、ぬぉ―――っ!?」
フェイリス「こんな事してあげたら、ダルニャンはまたフェイリスに夢中になるニャ…?」
ダル「だ、ダメだお…!僕は…僕は、オカリンの事が…!助けて、オカリンっ…!」
岡部「フゥーハハハ!待つがよい、フェイリスよ」
フェイリス「その声は…凶真!」
ダル「オ、オカリン―!」
岡部「フェイリスよ。その巨漢、ダルこと橋田至は我がラボの所有物だ。ラボメンでない貴様に手を触れる権利は無い」
フェイリス「どういう事だニャ…?」
ダル「えっ?オカリンそれって…」
フェイリス「! ま、まさか凶真…」
岡部「そう。俺も既に…まゆりの手によって洗脳されているという訳だ」
岡部は白衣の内側から、一冊の同人詩を取り出した。
岡部「フゥーハハハ!これを入手するのには、IBN5100程では無いが骨が折れたぞ…!」
フェイリス「ドラ○エ8のヤ○ガス本…凶真、正気かニャ!?」
岡部「クックックッ…何を馬鹿な。…俺は狂気のマッドサイエンティスト…鳳凰院凶真だ。
ゲーム中にぷよぷよと揺れる剥き出しの腹…主人公をアニキと慕い、どんな時でも気遣ってくれる献身的な様…
この魅力が理解できるのは、俺のような選ばれた者のみなのだ…!」
岡部「フゥーハハハ!さあ、フェイリスよ…これで貴様はもう手も足も出ないだろう。そこの扉から早々に立ち去るが良い」
フェイリス「くっ…!凶真が…凶真が変態になってしまったニャー!」
ドタドタドター! ガチャン!
ダル「オ、オカリン…」
岡部「なんたる無様な醜態だ…まるで豚のようだな、フゥーハハハハ!」
ダル「み、見ないで欲しいお!は、恥ずかしいだろJK…」
岡部「俺の知った事では無い。だが、そんな汚れた姿で神聖なラボ内をうろつかせる訳にはいかんな」
岡部「決まっているだろう。貴様の汚れた体を洗い流しに行くのだ」
ダル「も、もしかしてシャワールームに行くつもりなのかお!?オカリン、僕パンツ履いてないんだお!?もし誰かに見られたりしたら…!」
岡部「誰かに見られる…だと…!?」
ダル「な、何言ってるんだお…?」
岡部「皆に見せてやろうではないか。今日たった今より、橋田至はこの俺…鳳凰院凶真の肉奴隷となった事をな」
ダル「オ、オカリン!?」
ガラッ
ダル「だ、ダメだお!オカリンっ―!!」
ダル「あっ」
綯「」
岡部「シスターブラウンではないか。丁度良いところに来たな」
綯「」
岡部「これからこの使用済未来ガジェットこと、鳳凰院凶真専用肉便器橋田至を洗浄しに行くところだ。見物に来ても構わないぞ」
綯「」
ダダダダダダ! ガラッ! ピシャ! ガチャン!!
岡部「フゥーハハハ!」
ダル(幼女におにんにんを見られてしまったお…すごく恥ずかしいお…)
岡部「さて…その汗まみれの上着も脱いでしまうがいい」
ダル「う、うん…」
もたもたと上着をめくりはじめるダル。
岡部「ゴクッ…!」
ダルの豊満な上半身があらわになるやいなや、岡部はダルにしがみついた。
ダル「なっ…!? オ、オカリンっ…!?」
表向きは凶真モードで強気に攻めていた岡部だが、内心にはちきれんばかりの痴情を抱いていた。
岡部「な、何だこのふくよかな両の乳房は…!まゆりやクリスよりもよほど女ではないか、なあダルよ!?」
そう言うなり、岡部は我慢できないとばかりにダルの乳首に吸い付いた。
赤みがかった綺麗なピンク色の乳房。はりがあって噛みごたえも最高なその膨らみに、岡部は赤ん坊のようにむしゃぶりつく。
ダル「あぁああーっ!オ、オカリン…!だめだお…!」
ダル「ひぃっ!」
強めの吸引の後唇を離した岡部は、今度は腰を落として顔をダルの腹にうずめた。
岡部「最高に柔らかいぞ…!ダルよ…お前の腹は、今世紀最も優秀な緩衝材だぞ。ここには後で、未来ガジェットのナンバリングを刻んでやらねばな…!」
ダル「な、何言ってるんだお…!やめてほしいお…!」
腹は顔にうずめたままで、ダルの股下に右手をすべりこませる岡部。
ダル「そっ、そこはダメだおっ!汚いおっ!?」
岡部「無論、こっちにもロゴは入れてやるからな。ダルよ。お前は我がラボの最高傑作…まさに芸術品と呼ぶに相応しい…」
顔を背けるダル。
岡部「ダル…?」
ダル「オカリンは…オカリンは、ヤ○ガスが萌えなんだお…
僕は気づいたらオカリンが一番モエスだったんだお…
なのに、僕はヤ○ガスの代わりの肉便器だなんて…耐えられないお…」
岡部「…」
ダル「何だお…むぅっ!?」
岡部は、顔を向けたダルの唇を唐突に奪う。
ダル「うむっ、むぅっ!?」
否応なしに捩りこまれる舌の感覚にはじめは動揺していたダルだが、次第に岡部の舌遣いに従っていく。
岡部「…」
ダル「んむっ…んぅっ…ぷはっ!」
糸を引いて離れる二つの唇。
ダルの眼鏡は、熱気で真っ白に曇ってしまった。
岡部「ダルよ。貴様は何もわかっていないな」
ダル「えっ…?」
岡部「原因と結果だ。全ての因果はそこから導かれる。貴様はそれを取り違えているのだ」
岡部「つまりだ。貴様の認識は全くの逆。勘違いも甚だしいという事だ。
俺、鳳凰院凶真は…ヤンガ○の代わりに貴様を抱くのではない。貴様の代わりに○ンガスのエロ同人で抜いているに過ぎないのだ!」
ダル「それって…」
ダル「オカリン」
岡部「フゥーハハハ!どうした、ダルよ!」
虚勢の高笑いを決め込んでいた岡部の肩上を、丸太のような腕が通りすぎていく。
岡部「フゥーハハ…ハ…?」
その腕は首筋の裏を通り、岡部をやわらかく包みこんだ。
岡部「ダ…ダルよ?」
岡部「ダ、ダル…?」
ダル「僕は…オカリンが好きだお。
今まで、メイド喫茶でフェイリスたんに夢中になったり…エロゲでたくさんのヒロインに恋をしたりもしたけど…
そのどれも、虚像を追い掛けるだけの偽物だったんだお。…僕の大切な人はたった一人、ここにいるオカリンだけだお」
岡部「…!」
急速に高鳴っていく鼓動。上昇する体温。
それを優しく包み込む、ダルの大きな体。
ダル「だから…もし、もしも。オカリンも同じ想いを僕に抱いてくれてるなら…
鳳凰院凶真としてではなく、岡部倫太郎としてのオカリンの言葉が聞きたいお」
言い終わると、ダルは岡部を包む腕をほんの少し、だが確かな強さでぎゅっとしめた。
ダルの真摯な言葉に、鳳凰院凶真の仮面は完全に剥がされてしまった。
ダル「どうなんだお…?」
岡部「俺は…お前の事なんて…」
ダル「オカリン…」
岡部は、ダルを強く抱き返した。
岡部「馬鹿野郎っ…!俺だって、お前しか眼に入らないんだ…!
幼馴染みのまゆりでもない、ラボに足しげく通って来る紅莉栖でも無い…!
どこにいたって、お前のそのデカい図体しか浮かんで来ないんだよっ…!」
ダル「オカリン…」
ダルの大きな体が、岡部の全てを包み込む。
細身の岡部はまるで、ダルの柔らかい肉体にすべてが沈んでいくような…このまま溶け込んで、ひとつになってしまいそうな感覚を覚えた。
岡部「ダル…」
岡部「とっ、とにかくだ。これで貴様は俺の肉便器だという契約が結ばれた訳だな。
これからはとことん使い込んでくれるわ…フゥーフッ、フゥーハハハ!!」
ダル「…雰囲気台無し乙」
岡部「五月蝿いっ!とにかく、まずはその汚い体を洗ってくれるわ!さあ、浴室への門を開くがいい!」
ダル「はいはい、わかったお」
二人は脱衣所で衣服を脱ぎ、シャワールームに入った。
岡部「相変わらずひどいシャワールームだが…まあ、問題あるまい」
奥側の岡部がお湯のバルブをひねる。
ダル「うわっ!?オ、オカリン!冷たいって!」
まだ冷水のシャワーがダルに降り注ぐ。
岡部「ん?ああ、すまない。まだ水だな」
岡部はノズルの先端を適当な壁の方に向け、水が温まるのを待った。
ノズルを調節していた岡部の背後から、突如ダルが抱き着いてきた。
岡部「なっ…!?おっ、おいダル!?」
ダル「そんな冷たい水を浴びせるから寒くなってきたお…オカリンに責任をとって温めて欲しいお」
胸や腹を押し付けながら、岡部の体をさすってくるダル。
岡部「なっ…!?こ、こら!やめんかダル!」
岡部(や…柔らかい、胸が…腹が…!)
先程まで一方的にダルを攻めていた岡部に、この奇襲は刺激がすぎる。
岡部の一物は破裂寸前まではりつめ、ダルが指を這わせるたびに亀頭からだらだらと涎を垂らした。
ダル「オカリンの体、スベスベで気持ちいいお…」
他人に音頭をとられるのが苦手な岡部は、恍惚を振り払ってダルに向き直る。
岡部「コラ、ダル!貴様は俺の肉便器だろうが!
貴様は黙ってこの俺に洗浄されていれば良いのだ!じっとしていろ!」
ダル「わ、わかったお…そんなに怒る事無いのに」
ダルはしゅんとしながら、岡部を愛撫していた手を止めた。
岡部(危なかった…愛撫だけでイッたりなんてしたら、俺のメンツというものが無い…!)
ダルの眼鏡が曇る。浴室内が湯気で満たされてきた。
岡部「頃合いのようだな。どれ…まずは、貴様の汚い使用済陰茎から洗ってやる」
ダル「…素直にチンコって言え」
岡部「ええい、五月蝿い!」
そこには、短いながらも太く腫れ上がった、赤黒いダルのペニスがあった。
岡部「フゥーハハハ!思った通りの皮かむりだなダルよ!?完全に被っていなかっただけ褒めてやろう…!」
ダル「いくらオカリンでもひどいお…」
岡部「ククク、それにしても酷い臭いを発しているぞ…イッたまま放置していたからな!フゥーハハハ!」
そんな台詞を発すると、岡部はダルのペニスを覆っていた皮を、ずるんっと剥いてしまった。
ダル「あぁっ!?」
岡部「フッ、なまめかしい声をあげよって…そんなによかったのか?」
剥き出しになったダルの亀頭に、今度は舌を這わせはじめる岡部。
ダル「おわぁっ!?お、オカリン、だめっ…きたない…おっ…」
お構いなしに亀頭をぱっくりとくわえ込み、射精の残滓を味わい尽くした岡部は、竿の裏筋にそって舌を流す。
ダル「んっ…!」
ダル「オ、オカリン…だから汚いおぉ…」
岡部「良いからもっと股を開け!」
ダル「うぅ…」
言われた通りに股を開くダル。
すると岡部は股下に頭を捩込み、いっきに菊門のあたりまで舌を進めてくる。
岡部「ダル、貴様はそんな声が出せたのか…?」
気がつけばダルは尻を突き出した姿勢で壁に押し付けられていた。
ダル「あっ、くっ…!おっ、オカリンっ…!」
岡部「どうした?貴様は洗浄されるだけで、そんな声を発してしまうのか、橋田至よ?」
左手で尻肉を揉み、右手のシャワーでペニスを刺激し、舌で肛門を舐めつくす岡部。
ダル「オカリンっ!お、おかしくなっちゃうおっ…!オカリンっ…!」
ノズルを放り出し、自らの怒張したモノをダルの菊門にあてがう岡部。
ダル「あっ…」
岡部「よ、喜べダルよ…貴様は今この瞬間から、晴れて俺専用の肉便器となるのだッ…!」
鼻息を荒くして叫ぶ岡部。
こんな事を言ってはいるが、誰よりもこの瞬間を待ち侘び、夢にまで見ていたのは岡部自信である。
今や今やとはやる衝動が、岡部の声をうわずらせる。
どんなにぐちゃぐちゃに掻き乱されても、僕は幸せだお」
岡部「そ、そうか…し、殊勝なものだなぁ!フ、フゥーハハハ!!」
ダル「オカリン…オカリンのおチンポ、早くぶち込んで欲しいお…!もう、何十回と妄想のオカリンに犯されたんだお…!はやく、はやく挿れて欲しいおっ…!」
岡部「…!」
切ない声で嘆願するダルの声に、岡部の理性のタガは完全に吹き飛んでしまった。
ググッ…!
ダル「んあぁッ!!」
亀頭を覆う温い感触。
締め付けられるような、包み込まれるような暖かい感覚…
岡部(は、挿入った…のか…?)
ダル「あぁぁあぁあっ!?」
岡部「ッ―!」
亀頭の先がめりめりと、腸壁を押しのけていくのがわかる。
岡部(何だ…コレは…!?気持ちよすぎる…では、ないか…!!)
ダル「おっ…オカ…リンっ…!」
岡部「う、動くぞ…!」
ゆっくりと腰を前後させてみる岡部。
ダル「あっ!?は、はうぅ…!」
岡部「う、うおっ…!」
少し前後運動をするだけで腰が砕けそうになる。
岡部(く、くうっ…!な、何という快感だ…!アタマが…真っ白にッ…!)
ダル「―!!」
そして後は、欲望の命ずるままにダルの肉穴を犯した。
ダル「あぁっ!?あっ、あっあっあっあっ!オ、オカリンっ!、オカリンっ―――――!!!!」
岡部「はぁっ、はっはっはっはっはっはっ!!ダ、ダルっ……くぅっ!!!」
岡部が腰を打ち付けるたび、ダルの豊満な尻肉が、背部から垂れ下がった背肉が、両の大きな乳房が、丸みをおびて膨れ上がった腹肉が、弾けるように揺れて飛沫をあげる。
岡部「だっ…ダルっ、もう、イク、ぞ…!」
ダル「おっ、オカリっ、ぼくも…もっ、だ、だめっ…!お尻でイッちゃ、う、あッ、あぁ―――ッ!!!」
ダル「オカリンっ!オカリンっ、ぁ…ぁあぁあっ…!」
圧倒的快感の波が二人を飲み込み、思考力をゼロにする。
絶頂に達し果てた後も、二人はしばらく繋がったまま動けなかった。
岡部「ダル…」
二人は眼差しを交わすと、何を言うでもなく唇を重ねた。
ダル「オカリン…大好きだお…ずっと、ずーっと一緒にいて欲しいお…」
岡部「バカだな、お前は…俺がお前を手放す訳ないだろ…?」
二人はしばらくの間、熱気の篭る狭い浴室の中で。
むせかえるような性の匂いと、びちゃびちゃになったお互いの体を気にもせずに。
お互いの存在を確かめ合うように何度もキスをし、抱き合っていた…
まゆり「まゆしぃは悲しいのです…」
紅莉栖「折角、タイムリープマシンの研究も佳境に入ったところだったのにね」
ルカ「まさか、凶真さんが失踪してしまうなんて…」
天王寺「お~い!あらかた片付いたか?」
紅莉栖「ええ。はい、鍵。お返ししますね」
天王寺「おう。しかしあいつ等…揃ってどこに消えちまったのかね」
綯「…」
天王寺「綯は突然、何も喋らなくなっちまうし…」
岡部「ダル!ダルよ!今帰ったぞ!」
ダル「あ、おかえりオカリン。ご飯?お風呂?」
岡部「お前一択だろ、常識的に考えて…」
ちゅっ
ダル「んっ…オカリンオカリン。PCもネットも無い場所に来たんだから、いいかげんネットスラングで会話するのをやめるお」
岡部「お前こそ口調が直っていないだろうが。…だが、お前はそのままが可愛いいいからな。それでいいぞ」
ダル「オカリン…中二病治った?」
岡部「ここには、俺とお前しかいないからな…もう他人の眼を気にする必要もあるまい」
ダル「そうだね。僕ら、ここでこのままずっと二人きりで…ずっと、ずーっと一緒だからね…」
HAPPY END
(ゝω・)vキャピ
あと俺はガチホモで腐女子ではないよ
ヤンガスもトルネコもサンチョもモコモコもトロルもオークも好きだよ
でもやっぱりダルくんが萌えだよねーお休みなさい
トラウマものです
Entry ⇒ 2012.01.24 | Category ⇒ シュタインズゲートSS | Comments (0) | Trackbacks (0)
紅莉栖「岡部の厨二ノート見つけたったwwww」
紅莉栖「このノートの内容をダシに何か奢らせてやるんだから」ペラッ
【ID腹筋汁】
紅莉栖「」
http://hayabusa.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1327054402/
紅莉栖「岡部の厨二ノート見つけたったwwww」
紅莉栖「…これは罠!?」
紅莉栖「どこかにカメラ…タケコプカメラー!……は、そこにある…」
紅莉栖「……」
紅莉栖「…」カチカチ
紅莉栖「…」
紅莉栖「…テスト、っと」カタカタ
紅莉栖「…」ッターン
ID:kILL25310
紅莉栖「どおおおおっ!!!」
紅莉栖「NO. NO. NO.」
紅莉栖「ノーカン、ノーカンよ、これは」
紅莉栖「…」
紅莉栖「…携帯電話っ!」
紅莉栖「腹筋回数は、再構成される!」
ID:156cMx32O
紅莉栖「んんwwwwwww」
岡部(フゥーハッハッハ!クリスティーナめ!よもや携帯電話に逃げ込むとは!甘い!甘いぞ!天才処女よ!)
紅莉栖「うーぱぁ…」コロコロ
岡部(灰色の脳細胞を持った、この狂気のマッドサイエンティスト・鳳凰院凶真に!そんなノートが必要だと思っているのか!)
岡部(そう…全て記憶済み…!)
岡部(フゥーハッハッハ!)
岡部(!?)
紅莉栖「ウン! ヤラナクテモイイト オモウヨ!」
紅莉栖「だよねぇ」
岡部(まゆりでもしないぞ、紅莉栖…)
紅莉栖「違うよ、紅莉栖だよ」
紅莉栖「クリス!」
紅莉栖「なぁに?」
岡部(…)
岡部(!?)
紅莉栖「…」
岡部(…)ドキドキ
紅莉栖「リンタロウ アセクサイ!」
岡部(おい)
岡部(…うーぱ役でも言われたら傷つくぞ…)
紅莉栖「…」
岡部(…)
紅莉栖「…」
岡部(…)
岡部(…)
紅莉栖「…」
岡部(いい加減キッチンシンク棚から出たいな、暑くて適わん)
紅莉栖「ほんと馬鹿」
岡部(今出たら馬鹿どころか『死ね!氏ねじゃなくて死ね!』とか言われそうだから我慢するしかないか…)
紅莉栖「リンタロウ」
岡部(裏声で人の名前を呼ばないで下さい)
岡部(…)
紅莉栖「リンタロウ」
岡部(キョーマ)
岡部(キョーマ)
紅莉栖「リンタロウ」
岡部(ナデナデシテー)
紅莉栖「…」
岡部(…)
岡部(オイ! リンタロウ!)
紅莉栖「り、倫太郎…」
岡部(ナンデスカ! トーすわあああああああああんんんっ!?)
岡部(止めろ!こそばゆいだろ!)
紅莉栖「倫太郎」
岡部(あああああああ!なんか!すごく恥ずかしい!)
紅莉栖「倫太郎」
岡部(恥ずかしい!嬉しい!聞きたくない!聞きたい!)
岡部(落ち着け俺。be kool. be kool.)
紅莉栖「倫太郎」
岡部(Fooooooooooooooooooooooooooooooo)
紅莉栖「倫太郎…」
岡部(ダメ!脳が溶ける!)
岡部(注意:あえぎ声ではありません)
紅莉栖「…」
岡部(なんなんだ!さっきから!下の名前で呼びたいのか!あの助手は!)
紅莉栖「り、りん…」
岡部(フゥーハッハッハ!もう耳塞ぐもんねー!)
紅莉栖「り、倫太郎さん…のほうがいいかな…」
岡部「これが運命石の扉の選択かぁぁああああっ!!!!!」
紅莉栖「!!!!?」
岡部「…」ガチャ
紅莉栖「な、なんで、そんなところに…?」
岡部(勢い余って声を出してしまった。人間とはやはり欲深い生き物だな)
紅莉栖「岡部…?」
岡部(汗の量が半端ない…目を合わせられない…)
紅莉栖「岡部…なんか、言ってよ…」
岡部(なにも話せない…どうする、どうするよ俺)
岡部(どうする!どうする!)
紅莉栖「…」グズッ
岡部(なにか!何か言うしかない!)
岡部「あ…」
岡部(何も出ない!)
岡部(今すぐにギャルゲーの主人公になってこの状況を打破する方法を瞬時に思いつきたい!!)
岡部(ここは、鳳凰院凶真で切り抜けるしかないっ!!)
岡部「フゥーハッhぐふっげほっげほっ」
岡部「けほっ」
紅莉栖「だ、大丈夫…?」
岡部「あ、ああ…」
紅莉栖「…」
岡部「…」
岡部(黙っちゃ駄目だろ俺!ヘタレ!)
紅莉栖「…怒った?」
岡部「…何にだ?」
紅莉栖「その…汗臭いって言ったのとか…」
岡部(こういった場面で鳳凰院凶真を使えれば楽なんだが…先程のむせで仕切り直しというのは…どこか情けないな)
岡部(…岡部倫太郎、で行くしかないのか)
岡部「…少し、傷ついた」
岡部「…俺も聞きたいことがある」
紅莉栖「…?」
岡部「その…下の名前で呼びたいのか?」
紅莉栖「なっ!」
岡部「な、何度も倫太郎と…」
紅莉栖「わ、忘れてぇっ!ただいつか呼ばないといけないのかなとか呼び慣れたほうがいいかなとかちょっと思っただけなんだから!!!」
紅莉栖「あ…!」////
ダル「牧瀬氏、結婚する気満々ですね、分かります」ガチャ
紅莉栖「い、いい、いつから…!?」
ダル「しゅたいんずげーとの選択なのかー
、辺りから聞いてました」
ダル「オカリンwww汗臭いwwwwぺゃっwwwwwwwwww」
ダル「ケコーン妄想ですなwwwwリア充爆発して欲しいですぞwwwww」
紅莉栖「で、で、出てけーっ!」
ダル「らしいのでオカリン殿www我はここで失礼しますぞwwwww」
岡部「ちょ、何故だ!?正直何を言っていいか分からない俺に!助け舟を出してやろうとかおもわんのか!?」
ダル「居座りは有り得ないwwwwww」
つ【近藤さん】
岡部「ちょ!!」////
紅莉栖「~~~~ッ!!」////
ダル「やっぱりまだしてなかったん? オカリンマジヘタレすぐるだろjk」
岡部「ば、馬鹿者!まゆりが帰ってきたらどうするんだ!」
ダル「まゆ氏は今日来ない、フェイリスたん家でお泊り。ブラウン氏も娘とどこかへ。るか氏は実家の手伝い。桐生氏は夏風邪。僕は空気を読む(キリッ」
岡部「なん…だと…」
ダル「少年よ、これが好機だ。ターンエンド」
紅莉栖「」クスッ
ダル「じゃあ僕はこれで」
岡部「ちょ!ダル!」
ダル「アデュー」」バタンッ
紅莉栖「…」
岡部「…」ピクッ
紅莉栖「!」ビクッ
岡部「…」
紅莉栖「…」ドキドキ
紅莉栖「な、なに…」
岡部「…い、いやー!喉乾いたな!キンキンに冷えたドクぺでも飲もう!」アセアセ
紅莉栖「そ、そうね!私も喉乾いちゃった!」アセアセ
岡部「よーし!マッドサイエンティスト、コップ使っちゃうぞー!」アセアセ
紅莉栖「あはは!洗うの面倒臭いけどたまには良いわね!」アセアセ
紅莉栖「ドクぺお待ちぃ!」アセアセ
岡部「HAHAHA!ルネッサーンス☆」アセアセ
紅莉栖「よく分からないけど、ルネッサーンス☆」アセアセ
岡部「」ゴクゴク
紅莉栖「」ゴクゴク
岡部「……とんだ嵐だったな…」
紅莉栖「おいしー!やっぱりドクぺよねー!」アセアセ
岡部「落ち着けー助手ー助手ー!!」
岡部「ダルのやつ…」
紅莉栖「…」
岡部「…」
紅莉栖「…」
岡部「これが…コンドーム…」
紅莉栖「わ!わー!だ、出すなー!」
岡部「す、すまんっ。た、ただ初めて触るから、気になってな…」
紅莉栖「ど、童貞乙」
岡部「…うろたえた処女乙」
紅莉栖「すっごい真面目に見る男の人って…」
岡部「…」ジー
紅莉栖「…」
岡部「…」ジー
紅莉栖「…」ジー
紅莉栖「!」フイッ
岡部「見たいのか、触りたいのか、助手よ」
紅莉栖「岡部が言うとHENTAIっぽいっ…」
岡部「…紅莉栖」
紅莉栖「…!」
岡部「…こっち向いてくれ」
岡部「さあ、なんだと思う?」
紅莉栖「…」////
岡部「…紅莉栖」
紅莉栖「こ、心の準備させて…?」
岡部「何時間か経ちそうな予感がしてならないんだが」
紅莉栖「うぅ…」
岡部「じゃあ…そのままで良い。俺から行こう
紅莉栖「ふえっ!?」////
岡部「…紅莉栖」ジリジリ
紅莉栖「あ、あ、あの…」
岡部「捕まえたぞ、紅莉栖」肩ガシッ
紅莉栖「ふぁ…」
岡部「後ろからだと制止しにくいだろう」
紅莉栖「ほんとうにまってええっ…!」
岡部「汗臭いのも慣れたほうがいいだろう」
紅莉栖「白衣で嗅ぎ慣れてるから…大丈夫…!」
岡部(墓穴掘り過ぎだろ)
紅莉栖「前から…」
岡部「ん?」
紅莉栖「初めては、前からが良い…っ!」
岡部(ああ、理性が解き放たれそうだ…)
ダル「そう言えば再世編が4月5日に発売するらしいお」
由季「ん…はぁ…そ、うなの?マクロスF、ちょっと、楽しみだな、んあっ…」ブブブブッ
ダル「00とかギアス、グレンラガンはどうなるか気になるところだお」
由季「あ、の…ダル君…ひっ…もう少し、弱くして…ば、バレちゃう…はっ、はっ…」
ダル「え?なんのことかわからないお?」ニヤニヤ
由季「ご、めんなさ…い…でも…今日はちょっと強すgふぅっ!んっ!」ビクビク
ダル「さ、DDRしにいこうか」
由季「今日も…はっ、はっ、筐体がずれるね…あっ!」ビク
紅莉栖「は、裸白衣とか…HENTAI過ぎじゃない?」
岡部「ほとんど裸だが隠せるところは隠せる。故にほとんど見えてないじゃないか」
紅莉栖「あ、あ、あんたのは…見えないけど…すごく、山に…」////
岡部「紅莉栖の胸も山になっているじゃないか」スッ
紅莉栖「ふぁっ!!!」ビクッ
岡部「これが…乳首か…」サスサス
紅莉栖「はぁ…! やあ…あ…」
岡部「白衣捲ってもいいか?」
紅莉栖「下は、まだダメ…」
岡部「じゃあ上だけ…」めくり
岡部「可愛いぞ、紅莉栖」
紅莉栖「…可愛くない」
岡部「可愛い」チュパ
紅莉栖「ふぁっ!ちょ!ま、まだぁ、い、いいって…いってな…やあっ」ビク
岡部(美味い…)
/__/ ‘,
// ヽ ', 、
// ‘ ! ヽ …よし このSSはやめよう
/イ ', l ’
iヘヘ, l | ’
| nヘヘ _ | | l ハイ!! やめやめ
| l_| | | ゝ ̄`ヽ | |〈 ̄ノ
ゝソノノ `ー‐' l ! ¨/
n/7./7 ∧ j/ / iヽiヽn
|! |///7/:::ゝ r===オ | ! | |/~7
i~| | | ,' '/:::::::::::ゝ、 l_こ./ヾ.. nl l .||/
| | | | l {':j`i::::::::::::::::`ーr ' ||ー---{
| '" ̄ ̄iノ .l::::::::::::::::::::::∧ | ゝ ',
, 一 r‐‐l γ /、::::::::::::::::::::::::〉ー= ___ ヘ ヽ }
/ o |!:::::} / o` ー 、::::::::::::i o ,':::::::{`ヽ ヘ ノ
/ o ノ:::::∧ /ヽ o ヽ::::::::| o i::::::::ヽ、 / /
/ ノ::::::/ /::::::::ヽ o ヽ:::| o {::::::::::::::Υ /
ちょっとなに言ってるか分かりませんね…
おい
いいから書くんだ
書くんだ
紅莉栖「んやっ…お、かべぇ…」
紅莉栖「はっ…はっ…やあ…吸わないで…」
岡部「ところで…」
紅莉栖「な、に…?」
岡部「…陰毛が見えているんだが」
紅莉栖「~~~~っ!」////
岡部「つ、ついな…」
紅莉栖「めくった!?」
岡部「………あ、ああ、少し」
紅莉栖「捲るなら全部捲りなさいよ!半殺しも良いところじゃない!」
岡部「じゃあ」めくり
紅莉栖「やあぁーっ!!」////
紅莉栖「…」////
岡部「綺麗だ、な…」
紅莉栖「そ…そう…?」
岡部「ただ…」
紅莉栖「た…ただ…? なに?なんか付いてる?」
岡部「…いや、何でもない…」
紅莉栖「な、なによ…言ってみなさいよ…」
岡部「匂いが、ちょっと…」
岡部「味をみてみるか」
紅莉栖「ちょっ!まって!まって!」
岡部「どうした」
紅莉栖「匂いが嫌なら止めればいいじゃない!」
岡部「」チュ
紅莉栖「ひゃ…っ!!」
紅莉栖「ふあ!…おかべっ…」
岡部「尿道…?」ペロリ
紅莉栖「にょ…ぅどう、は、やぁっ…んっ!きたない…よぅ…」
岡部(美味いな…甘さ、しょっぱさ…これが紅莉栖の尿…!)
紅莉栖「っ!!…あっ!…ゆび、ゆ、入れ…?」
岡部「」ヌルルッ
紅莉栖「やぁっ、じぶ、ん、でやる…のと、ちがうっやああっ!」
岡部「」ツプッ
紅莉栖「ゔあ!痛…」
岡部「処女膜…」
紅莉栖「おかべぇ…」
紅莉栖「は…ふぅ…」
岡部「」スッ
紅莉栖「んぁ?」
岡部「」ボロン
紅莉栖「」
岡部(恥ずかしいもんだな…)
紅莉栖「」
岡部「…」
紅莉栖「」
岡部「…」
紅莉栖「Oh...」
岡部「準備するが、大丈夫か」
紅莉栖「…優しくしないと招致しない」
紅莉栖「岡部…付けないで…」
岡部「そんな無責任な真似は出来ん…」
紅莉栖「は、はじめてをゴムに捧げたくないから…お願い…」
岡部「…分かった」
岡部「息が、荒いな…」
紅莉栖「だって、すごく痛いって聞くし…異物感もすごいとか…」
岡部「まだ次の機会でも良いんだぞ」
紅莉栖「ま、迷うから聞かないで…ちょっと揺るぎそう…」
岡部「紅莉栖」
紅莉栖「なに?」
岡部「愛しているぞ」
紅莉栖「…私も愛してる、倫太郎」
ダル「ふぅーい、やっぱりサイレントEX HID+SUDは堪えるお」
由季「ボーダークリアおめでとう!すごいなぁダル君」
ダル「もう少し餡蜜がハマればよかったんだが」
由季(お尻にローター3つ入ってるのに…すごいなぁ////)
ダル「ゼロカロリーのコーラktkr!ウマー」
「やっ!やめて下さい!」
「君も僕のファンになったんだろ!」ビキビキ
由季「あ、DQN」
ダル「ああ大丈夫大丈夫」
「んあああああああああああ!!!」ビクンッビクンッ
ダル「既に仕込んだからね」
由季「ダルくん…////」
紅莉栖「はっ…はっ…」
岡部「大丈夫か…紅莉栖…」
紅莉栖「痛かったけど…なんだろ…幸せ、かな、えへへ」
岡部「なっ! さ、察してくれ」
紅莉栖「さっきのお返しっ」
岡部「全く…本当に可愛いやつだな」
紅莉栖「…キスして、岡部」
岡部「これからは、倫太郎でも構わんぞ」
紅莉栖「じゃ…じゃあ二人の時だけ…」////
岡部「紅莉栖…」
紅莉栖「倫太郎…」
岡部「!!!」
紅莉栖「岡部!」
「悪いけど、牧瀬紅莉栖。リンリンから離れてくれないかな」
岡部「へぁ…お、お前は…」
「橋田鈴羽。岡部倫太郎に処女を奪われた女だよ!」
Coming Soon
遅筆過ぎてごめんなさい。
あと、エロとか書ける気がしません。
オカクリは正義。
気が向いたら
楽しみに待ってる
乙
Entry ⇒ 2012.01.23 | Category ⇒ シュタインズゲートSS | Comments (0) | Trackbacks (0)
綯「1日ラボメン見習い……?」岡部「そうだ!」
「恨むなら、お前を俺に預けたミスターブラウンを恨むのだな、フゥーハハハ!」
綯「あの……オカリンおじさん」
岡部「おじさんではない、鳳凰院凶真と呼べ」
綯「うう……」
……どうしよう、困っちゃったな。
あ、自己紹介がまだでした。
皆さんこんにちは、天王寺綯です。
今日は日曜日、お休みをお父さんと一緒に過ごそうと思っていたけど……。
http://hibari.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1317551619
綯「1日ラボメン見習い……?」岡部「そうだ!」
お父さんは秋葉原で、ブラウン管工房というお店をやっています。
お店にはたくさん古いテレビがあって、お父さんはそれらを愛してると言ってもいいくらい大事にしていました。
今日もお父さんと一緒に、お店へと向かいます。
……ですが、お店まで着いた途端、お父さんに電話が入りました。
天王寺「綯、急な仕事が入っちまってな。今日は一緒にいれねえんだ」
お父さんの仕事は正直暇そうですけど、たまにお客さんからの呼び出しがあったりして忙しいこともあります。
そんな日はお父さんと一緒にいれないから、ちょっぴり残念だなあ。
でも、私も来年から中学生。1人でお留守番なんてへっちゃらです!
天王寺「さっきメールがきてな、あいつ風邪引いたから今日は休むって。全く、健康管理がなっちゃいねえぜ」
萌郁お姉さんは、最近お店に入ったバイトさん。無口なところがあるけれど、とっても優しい人です。
でも、風邪を引いたなんて、心配だな。
綯「私、お見舞いに行きたい!」
天王寺「お見舞い? まあ、別にそれは構わねえが、バイトの家がどこだか知ってるのか」
あ……そういえば、私お姉さんの家がどこにあるか知らなかった。
天王寺「ああ、もしかしたらまゆりちゃんが知ってるかもな」
まゆりお姉ちゃん。いつも明るくニコニコしていて、私も大好きな人。
天王寺「そうだな――綯、もしお見舞いに行きたかったら、まゆりちゃんに頼んでみてもいいぞ」
綯「ほ、ホントに?」
まゆりお姉ちゃんと一緒なら、私も心強いな。
岡部「……なぜそれを、俺に頼むんです?」
天王寺「しかたねえだろ、お前しか部屋にいねえんだから」
私はお父さんの背中に隠れて、そんな2人の様子をじっと覗いています。
お父さんとお店の2階――未来ガジェット研究所を訪れると、まゆりお姉ちゃんはまだ来ていなかったようでした。
そして、代わりにいたのがこの人。
岡部「お断りします。俺は忙しいのだ」
ボサボサの頭に、しわだらけの白衣。
岡部倫太郎さん、通称オカリンおじさんです。
岡部「ミスターブラウン、娘の教育はちゃんとしていただけませんか? おれはおじさんじゃないと何度言ったら」
天王寺「いちいちうるせえな。オッサン臭い見た目してるお前が悪い」
お父さんが指の関節をポキポキ鳴らすと、オカリンおじさんは急に黙り込んでしまいました。
いつもは優しいお父さんも、私とブラウン管のことになると熱くなり過ぎるところがたまに傷です。
天王寺「とにかく、今日1日だけでいい。俺もすぐ行かねえと」
岡部「うぐ……分かりました。その代わり、今月の家賃は」
天王寺「待ってやってもいいが、びた一文負ける気はねえ」
岡部「なっ――!」
……どうやら、話はまとまったようです。
岡部「人を暴漢みたいに言わないでもらえますか? きちんと預かりますから」
天王寺「……本当に、何かしたらぶっ殺すからな」バタン
お父さんがいなくなると、急に静かになってしまいました。
綯「えと……今日は、よろしくお願いします」
岡部「うむ」
正直、オカリンおじさんとはあまり話したことがありません。だって、いつよく分からないことを言っていて怖かったから。
最近教えてもらったのですが、そういうのを『厨二病』と呼ぶそうです。
そんな病気があるなんて、全然知りませんでした。
綯「…………」
……何か話さないと、やっぱり気まずいな。
すると、オカリンおじさんが携帯を取り出しました。
岡部「俺だ――今、強力な精神攻撃を受けている。これは機関の『空間氷結(エアーフリーズ)』が発動している可能性が……」
「なに、お前たちが作戦を遂行する時間は稼げる。だが、早急に対策を練らねば。エル・プサイ・コングルゥ」
誰と話してるんだろう? 話の内容も、私にはよく分かりません。
岡部「……さ、さて、小動物よ」
突然オカリンおじさんが、私を指差します。
フゥーハハハ! と大きな笑い声を出すオカリンおじさん。
でも、実験台って……。もしかして、痛いことされるの?
どうしよう、足がすくんで動けない。オカリンおじさんて、ホントに危ない人じゃ――。
岡部「天王寺綯!」
綯「ひっ――」ビクッ
岡部「お前を、今日1日ラボメン見習いとする!」
――――――――――――――――――――――――――――――
というわけで、よく分からないうちに私はラボメンにされてしまいました。
綯「……わかりました」
もう少しすればまゆりお姉ちゃんも来るだろうし、素直に従った方がよさそうです。
そういえば、ここって何をしてるところなんだろう? そもそもラボメンって何?
岡部「ここ未来ガジェット研究所では、機関の攻撃に備え、世界の支配構造を塗り替えるための研究を行っている!」
「お前も1日限定とはいえラボメンになったのだから、ラボの繁栄のために尽力してもらおう」
じ、尽力って……結局、何も分からずじまいです。
そう言って、オカリンおじさんは何かをごちゃごちゃと取り出してきました。
岡部「まずはこれだ、未来ガジェット1号機『ビット光線銃』!」
ものすごく得意げに取り出したのは、おもちゃの光線銃。
綯「なんですか、これ?」
岡部「これは見た目はただの光線銃だが、実はテレビのリモコンが内蔵してある」
綯「へえー」
さっき研究って言ってたけど、色々なものを作ってるんだ。
岡部「勿論だ、テレビはそこにある」
オカリンおじさんがテレビの電源を付けたので、さっそく引き金を引きました。
綯「すごい、チャンネルが変わった!」
岡部「そうか! お前にはこれの価値が分かるのだな。クリスティーナ達とは大違いだ」
綯「あれ? でもこれって、他の操作は……」
岡部「うむ、残念ながら、チャンネル送りしか出来んのだ」
綯「そ、それだけですか」
……ショボい。
岡部「それは未来ガジェット2号機『タケコプカメラー』だ。動力なしで上空からの撮影が可能になっている」
「しかし、カメラも一緒に回転するから、映像を見ると高確率で酔う」
綯「……なんに使うんですか、そんなもの」
岡部「分かってないなあ小動物よ! 世紀の大発明とは得てして偶然から生まれるものなのだよ」
……そう言えば、お父さんが言ってました。
天王寺『いいか綯、あいつは下らないモンばっか作ってる変わり者だからな、あまり関わり合いになるなよ』
今、その言葉の意味が良く分かった気がします。
ダル「ふー、疲れた」
岡部「おお、ダルか」
綯「お、おはようございます」
ダル「あれ……オカリン、自首するなら今のうちだお。ブラウン氏に殺されるより留置所の方が」
岡部「ウェイウェイウェイ! 勘違いするなよダル、これはミスターブラウンに頼まれたのだ!」
この人はダルおじさん。正直、オカリンおじさんと同じくらいこの人は苦手です。
ダル「ほうほう、綯氏がラボメン見習いね。つーか、なにさせる気?」
「まさか、未来ガジェットの実験台としてあんなことやこんなこと……ハア、ハア」
綯「ひう――!」
ダル「フヒヒwwwサーセン」
綯「うう……」
なんだか、すごく嫌なオーラを感じます……。
岡部「……小動物よ、そろそろ離れてくれないか」
綯「え?」
気が付いたら、私はオカリンおじさんの後ろに隠れて、しわしわの白衣の裾を握りしめていました。
綯「あ――」バッ
岡部「そ、そこまで飛びのかなくても……」
ダル「オカリンの嫌われ具合も中々」
岡部「黙れこのHENTAIが!」
岡部「愚問だな、俺の労働の対価としてこいつにも働いてもらう」
ダル「ははー、気まずくなってまた厨二病暴発したんだろ? ちっちぇー、人としての器がちっちぇーよオカリン」
岡部「う、うるさい! 余計なお世話だ」
オカリンおじさんは顔を真っ赤にして言い返します。
……もしかして、図星だったのかな?
岡部「そ、そんなことより、お前がまゆりより早く来るとは珍しいな」
あ、話そらした。
岡部「そ、そうだったか?……それよりも、何故お前はまゆりのシフトを知っているのだ」
ダル「行きつけの店の情報ぐらい全部把握してるって! まあ、僕の目当てはフェイリスたんだけど」
ふーん、まゆりお姉ちゃん、バイトなんだ。
あれ、それじゃあ萌郁お姉さんのお見舞いに行けない! ど、どうしよう……。
綯「あ――あの!」
岡部・ダル「「ん?」」
突然大声を出してしまったので、2人の視線が痛いです。
お、怖気づいちゃダメ! 勇気を出さなきゃ……。
綯「お2人に、お話があります……!」
――――――――――――――――――――
岡部「萌郁が、風邪を引いた?」
ダル「ほうほう、それでお見舞いに行きたいと――僕もょぅι゛ょに見舞われたい!」
岡部「ダル、少し自重しろ」
綯「それで、あの――」
岡部「分かっている、俺もさすがに心配だ」
綯「萌郁お姉さんのおうち、どこなのか教えてほしいんです……だめ、ですか?」
ダル「ょぅι゛ょの上目遣いでお願いキター!!! まったく、小学生は最高だぜ!」
うう、お父さん、ダルおじさんはやっぱり怖いです……。
ダル「確かお昼前には終わるはず。それまで待つ?」
岡部「いや、今からならメイクイーンにいた方が早いかもな」
「小動物よ、お前に最初のミッションを与えよう!」
「ラボメンNo,005、桐生萌郁の治療。それが、お前に課せられた使命だ!」
ミッション? 私はただ、お見舞いしたいだけなのに。
ダル「綯氏、これはもうオカリンの病気みたいなものだから。スルー推奨だお」
……オカリンおじさん、やっぱり病気なのかな。
結局私たちは、まゆりお姉ちゃんを訪ねてバイト先のメイド喫茶までやってきました。
私、メイド喫茶なんて初めてだ。まさか、オカリンおじさんたちと来ることになるなんて、思ってもみなかったです。
フェイリス「お帰りニャさいませ、ご主人様♪……ってあれ? 凶真!」
岡部「うお! いきなり抱き着こうとするな暑苦しい!」
ダル「オカリン、小学生と戯れてさらにはフェイリスたんまで……許さない、絶対にだ」
この猫耳をしたメイドさんは確か、まゆりお姉ちゃんのお友達のフェイリスさん。
そういえば、この人ともあんまり話したことなかったな。
フェイリス「そろそろ2号店もオープンするから、バリバリ働かないと全然追いつかないのニャ! 凶真も一緒に働かないかニャ?」
岡部「断る。俺が猫耳メイドになる必要性がない」
まあ、確かにそうですね。オカリンおじさんがメイド喫茶で働くなんて、すごく場違いです。
でも一瞬、オカリンおじさんの猫耳メイド姿を想像して――。
岡部『お、お帰りニャさいませ……って猫耳なんてつけられるか!』バシッ
――これはヒドイ。
岡部「どうした? 何だか顔色が悪いようだが」
綯「な、なんでもないです!」
さすがにあんな想像しちゃったなんて、言えるわけないですよね?
オカリンおじさんの後ろから、猫耳がヒョコッと覗きます。
岡部「ああ、ミスターブラウンの娘、天王寺綯だ」
フェイリス「始めまして、ラボメンNo,007、フェイリス・ニャンニャンニャ!」
両手を猫みたいに丸めて、ファイティングポーズをとるフェイリスさん。
フェイリス「……ねえ、ここで働いてみないかニャ? こんなかわいらしいメイドさんなら売上倍増間違いなし――」
……はい?
岡部「おい、こいつを誑かすのはよしてくれ。俺の命もかかっているのだ」
フェイリス「ええー、凶真のいけずー!」プン
フェイリス「そういえば、今日はどうしたのニャ? まさか今日も、世界の支配構造を塗り替えるための作戦会議かニャ?」
岡部「いかにも。今こうしている間にも、機関の魔の手はすぐそこまで迫っている」
フェイリス「ニャニャ!? それなら、このアキバを守る守護結界を強化しないと……機関の企む終末の刻は、いつ訪れてもおかしくないのニャ!」
岡部「なに、この狂気のマッドサイエンティスト、鳳凰院凶真にかかればそんな陰謀を壊滅させるなど造作もない!」
フェイリス「さすが、アキバを守護する四天王の1人。フェイリスも、有事の時には天山山脈で兄弟子を犠牲にしてまで手に入れた、必殺奥義を――」
岡部「……前は、ギアナ高地と言ってなかったか?」
ダル「ぶっちゃけ、僕にもわけわからん。オカリンの話についていけるのはフェイリスたんだけだしなあ」
もしかして、フェイリスさんもオカリンおじさんみたいな人なのかな?……だったら、ちょっと嫌だな。
私が不安そうにしてたからか、ダルおじさんがおずおずと2人に話しかけてくれました。
ダル「なあオカリン、さすがに綯氏がかわいそうになってきたのだが」
岡部「ああ、そうだった。フェイリス、まゆりはいるか?」
フェイリス「マユシィなら奥で接客中ニャ。それでは、3名様ご案内ニャーン!」
綯「好きなもの――ですか」
さっきからメニューを眺めていますが、何だかたくさんあって悩んでしまいます。それに、値段もびっくりするくらい高くて、ちょっと遠慮しちゃうな。
綯「えっと――この『特製オムライス』がいいです」
岡部「そうか、じゃあ俺もそれでいいか」
まゆり「ご注文はお決まりになりましたかニャーン?」
綯「あ、まゆりお姉ちゃん!」
猫耳に長い髪のかつら。いつもと姿は違うけど、その笑顔は私の大好きなまゆりお姉ちゃんのものでした。
綯「トゥットゥルー♪」
ダル「さっきまでの暗い表情が嘘の様だお……悔しい! でも、ビクンビクン」
綯「まゆりお姉ちゃん、実は、お願いが……」
――――――――――――――――――――――――――――――
――――――――――――――――――――
まゆり「ええー! 萌郁さんが風邪? それは心配なのです」
綯「それで私、お見舞いに行きたくて……」
まゆり「うん、萌郁さんの家は知ってるし、まゆしぃも一緒に行くよ!」
あんまり嬉しかったので、2人でハイタッチしてしまいました。
ダル「猫耳メイドとリアルJSのハイタッチ……萌える」
まゆり「ダルくん、鼻血出てるよー? ところで、オーダーはお決まりでしょうかニャ?」
岡部「特製オムライスを3つとオレンジジュース、あとコーヒー2つだ」
まゆり「はい、かしこまりましたニャン。少々お待ちくださいニャーン♪」タッタッ
まゆりお姉ちゃん、忙しそうだな……。むりやり頼んじゃった気がして、ちょっと申し訳ないです。
岡部「……案ずるな、まゆりは、心から萌郁のことが心配なんだろう。遠慮することはない」
オカリンおじさんが私に語りかけます。その声はとてもまじめで、さっきまでの怖い感じとかは全く感じません。
……今日初めて、オカリンおじさんの口から私も分かる言葉を聞いた気がしました。
岡部「それに、まゆりは俺の人質だからな。拒否権など存在しないのだ、フゥーハハハ!」
訂正します。やっぱりいつものオカリンおじさんでした。
フェイリスさんが器用に3つのオムライスを持ってきました。ものすごいバランス感覚です。
綯「――おいしい!」
岡部「うむ、やはりうまいな。ただ萌えを提供するだけにとどまらず、料理にも力を入れているからこそここまで人気が出たのだな」
私のオムライスには、ケチャップで大きく『萌え萌えキュン!!』と書かれていました。
こういうところが、メイド喫茶ならではなのかな……勉強になります。
オカリンおじさんの文字は、すぐスプーンで平らに伸ばされて見れませんでした。
なにか見られると恥ずかしいことでも書かれたのかもしれません。
ダル「オカリン、その癖やめなって。その文字があってこそ、このオムライスの美味しさが際立つのに」
岡部「お前の意見など聞いていない! くそ、『LOVE注入!』とか悪ふざけにもほどがある……!」
オカリンおじさんは、耳まで赤くなっています。
岡部「……メールか」ピッ
From 紅莉栖
Sub 今どこ?
ラボに行ったら誰もいないorz
このまま来ないなら勝手にお昼
食べちゃうから!
ラボにあったカップ麺にしよう
と思うけど別にいいわよね?
岡部「……そういえば、クリスティーナのことをすっかり忘れていた」
綯「なにか、あったんですか?」
岡部「大丈夫だ、問題ない……でも、連絡はしてやらないと」
そう呟いて、携帯をいじりだすオカリンおじさん。その顔は、なんだか少し嬉しそうでした。
まゆり「えっへへー、綯ちゃんの手、ちっちゃくてかわいいねー」ギュッ
岡部「まゆり、言い方が怪しすぎるぞ」
オムライスを食べ終わって、私たちは近くのスーパーで買い物をすることになりました。ダルおじさんは、もう少しお店にいると言っていました。
本当は、直接萌郁お姉さんの家に行こうと思っていたんですが……。
岡部『おい、何か買っていった方がいいと思うぞ』
まゆり『それもそうだねー、風邪なら買い物も大変だもん。買い置きだけじゃ足りないかも』
岡部『……断言してもいいが、指圧師の家にはおそらく買い置きはない!』
まゆり『ええー、さすがにそんなことないとおもうけどなー』
結局オカリンおじさんの提案で、なるべく消化のよさそうなものを買っていくことになりました。
でも、オカリンおじさんの言い方は、まるで萌郁お姉さんの家に行ったことがあるような口ぶりでした。
……もしかしたら、ホントに行ったことがあるのかな?
岡部「今日は特売日のようだったからな。やむを得まい」
レジまでは長い行列ができていて、先が見渡せません。
オカリンおじさんはお米やスポーツドリンクを抱えて何だか辛そうです。
でも、まゆりお姉ちゃんはオカリンおじさんくらい重そうな荷物を持っているのに、顔色1つ変えていません。
……おじさん、体力ないんだなあ。
まゆり「あー!!」
岡部「な、なんだまゆり、いきなり大声出して」
まゆり「あのね、おだし買うのを忘れてたの! どうしよう、とって来ないと……」
綯「わ、私が取りに行きます!」
まゆり「え、綯ちゃんが?」
綯「まゆりお姉ちゃん、たくさん荷物持って大変そうだし……すぐ戻って来ます!」
私は返事を待たずに、列からかけ出していました。
いつも家で使ってるだしの素。でも、家の近くのスーパーよりちょっと高いところに置いてあります。
綯「んー……!」
思いっきり背伸びして手を伸ばしても、もう少しのところで届きません。
クラスの中でも背が小さい方ですが、あんまり気にしたことはありませんでした。
だって、あと何年かすれば私も萌郁お姉さんみたいな――。
でも、今ほどすぐに身長が欲しいと思ったことは初めてです。もう少し、あとちょっとなのに……。
綯「あ――」
岡部「こら、急に走り出すな。はぐれたらどうするつもりだったのだ」
頭の後ろから聞き覚えのある声。振り返ると、そこにはだしを手にしたオカリンおじさんが立っていました。
綯「あ、あの――もしかして、とってくれたんですか?」
岡部「だって、全然届いてなかったぞ」
そ、そうだったのか。私からはもう届きそうに見えたのに。
お礼を言うと、オカリンおじさんは、口の端でにやりと笑います。
岡部「フン、貴様も、ラボメン見習いとしての自覚が出てきたようだな! 目上の者を敬うことは組織では重要だぞ」
あう……また病気が出てきました。
岡部「……それに、困ったときは仲間を頼れ。欠けたところを補い合うのが仲間の本質だ」
照れくさそうにそういうと、オカリンおじさんはレジへ歩き出します。
……仲間、か。なんだか、オカリンおじさんっぽくないセリフです。
綯「ここが……」
岡部「ああ、色気もへったくれもないな」
まゆり「オカリーン? そんなこと言っちゃダメなんだよー」
まゆりお姉ちゃんが頬を膨らませて言い返します。
萌郁お姉さんのアパートは、思っていたのと違ってとても質素な感じです。
コンコン
まゆり「萌郁さーん、いますかー?」
ガチャ
萌郁「……」
綯「萌郁お姉さん!」
マスクをしてメガネをはずした萌郁お姉さんは、とっても苦しそうにみえます。
私たちが来たことに気付くと、すぐに携帯を取り出してすごいスピードでメールを打ち始めます。
From 閃光の指圧師
Sub お見舞い
わざわざ来てくれてありがと
う♪
頭も痛いし体もだるくて大変
だよー><
喉もはれちゃって喋れないか
ら今日はメールで勘弁してね
☆ 萌郁
綯「萌郁お姉さん、大丈夫?」
萌郁「……」コクコク
岡部「いろいろ買ってきてやったから、今はゆっくり休め」
萌郁お姉さんに招かれて、私たちは家に上がりました。
ピロリーン
From 閃光の指圧師
Sub 恥ずかしい><
最近お掃除してなくて……
岡部君たちにこんなとこ見ら
れちゃうなんて!
出来れば、見なかったことに
してほしいな(汗) 萌郁
台所に散らかった、コンビニ弁当やカップ麺のゴミ。床には洗濯物が無造作に置かれています。
……もしかして萌郁お姉さん、掃除とかできない人? 何だか意外です。
早速料理に取り掛かろうと思って、冷蔵庫を開けてみます。まさか、この中までゴチャゴチャになってたりして。
ガチャ
……中には、何も入っていませんでした。
どうやら、オカリンおじさんの言ってたことは当たってたようです。
ということは萌郁お姉さん、朝から何も食べてないのかも。……お見舞いに来て、ホントに良かったです。
岡部「部屋がこんな状態じゃ風邪だって引くに決まっている……まゆり、掃除を手伝ってくれ。小動物は料理の方を頼む」
まゆり「うん、わかったー。綯ちゃん、1人で大丈夫?」
綯「うん、大丈夫」
私の家はお父さんと二人暮らしなので、お料理は普段からやってます。1人でも全然平気です!
岡部「よし、それでは状況開始だ!」
まゆり「おお、綯ちゃん上手だねー! 今度まゆしぃにも教えてほしいな」
綯「うん! また今度、一緒にお料理しよ!」
まゆりお姉ちゃんと料理かあ。今からとっても楽しみです。
一方オカリンおじさんは、大量のゴミをゴミ袋に詰め込もうと四苦八苦しています。
岡部「まゆり、料理の観察もいいがこっちも手伝ってくれ!」
綯「す、すごい量ですね……」
岡部「全く、詰めても詰めても――ってうお!?」ガタッ
綯「?……どうしたの、オカリンおじさん」
岡部「ハッ――い、いや。お前が包丁を持ってるからなんというか、トラウマが……」
そういえば、包丁を持ったままでした。
……どうしたんだろう。オカリンおじさん、刃物が怖いのかな?
綯「できた!」
まゆり「すごい! 何だか、まゆしぃもお腹が減ってきちゃったなあ」
岡部「……一応言っておくが、これは萌郁のだからな」
まゆり「いくらまゆしぃでも、つまみ食いはしないよー。えっへへー」
私特製の卵がゆ。体があったまるように、刻んだネギも入れてみました。
これを食べて、萌郁お姉さんが早く元気になってくれればいいなあ。
岡部「萌郁、お粥ができたぞ」
萌郁お姉さんは、布団の中で寝込んでいました。オカリンおじさんたちが掃除したおかげで、何だか部屋もすっきりしています。
綯「萌郁お姉さん、具合はどう? おかゆ、食べられる?」
萌郁「……」コクコク
萌郁「……!」カチカチ
ピロリーン
From 閃光の指圧師
Sub おいしい!
とってもおいしいよ!
今朝から何も食べてなかった
から実はお腹すいてたんだ☆
これを食べれば、風邪なんて
すぐ治っちゃいそう!
萌郁
短い文面ですが、おいしいの一言だけで心があったかくなります。
綯「よかったあ。早く、元気になってね!」
萌郁お姉さんは、ほんの少しだけ笑ってるように見えました。
まゆり「萌郁さん、今日はゆっくり休んでね。綯ちゃんものためにも!」
綯「バイバイ、萌郁お姉さん。お夕飯もお鍋の中にあるからね」
ガチャ
岡部「指圧師もだいぶ調子よさそうだし、2、3日もすれば全開するだろう」
綯「でも、やっぱり早く元気になってほしいなあ……」
他に、何かしてあげられること……。うーん、全然思いつきません。
そのとき、まゆりお姉ちゃんが何かひらめいたようです。
まゆり「それなら、柳林神社で神様にお願いしようよ! 萌郁さんの風邪が、早く良くなりますようにって!」
綯「……うん! 私も行きたい!」
それなら、きっと萌郁お姉さんも元気になってくれるはず。
岡部「あれ、またメールか」
From 紅莉栖
Sub ((((;゚Д゚))))ガクガクブルブル
なんかすごい地震キタ!!
橋田も帰っちゃったしどうし
よう。
このビル耐震とか大丈夫なん
でしょうね!?
岡部「地震……? まゆり、お前分かったか」
まゆり「地震? んー、全然気づかなかったよー。綯ちゃんは?」
私も、全然気が付きませんでした。
岡部「……まあいい、早く柳林神社へ行こう」
まゆり「あ、るかくん! トゥットゥルー♪」
こじんまりとした神社の前で、巫女服のお姉さんが刀を振っています。
その姿はこの神社の雰囲気によく溶け込んでいて、思わず見とれてしまいました。
るか「39……40! あれ? まゆりちゃん、おか――凶真さん」
まゆりお姉ちゃんの呼びかけで気づいたのか、そのお姉さんはこちらにパタパタと駆けてきます。
るか「今日は、どうしたんですか?……あれ、その子は」
岡部「天王寺綯、ミスターブラウンの娘にして、今日1日ラボメン見習いとして働いてもらっている」
るか「へえ……こんにちは。ボク、漆原るかと言います」
その笑みはとてもやわらかで、まるで女の子のお手本みたいです。
……憧れちゃうなあ。
るか「は、はい! えっと……エル・プサイ・コンガリ――」
岡部「違う、コングルゥだ!……なぜだ、何故覚えてくれない! お前もラボメンなのだから、少しは自覚をだな……」
オカリンおじさんは頭を抱えて唸っています。
でもこの人――るかお姉ちゃんも、ラボメンみたいですね。そういえば、お店の前で何回か見かけたことがある気がします。
……そうだ、萌郁お姉さんの風邪が治るようにお願いしないと!
綯「あ、あの、るかお姉ちゃん」
るか「え、おねえ――」
何だかおろおろしだするかお姉ちゃん。あれ? 反応がおかしいな。
岡部「……知らぬが仏か」
綯「萌郁お姉さんの風邪が治るように、神様にお願いしたいんです!」
まゆりお姉ちゃんが事情を説明すると、るかお姉ちゃんはよく巫女さんが持ってる白いわさわさのついた棒を持ってきてくれました。
るか「そ、それでは、桐生さんの健康を祈って」
るかお姉ちゃんが棒を振ると、わさわさが擦れ合って音が鳴ります。
私はあんまりこういうのは詳しくないですが、なんだかすごく効き目がありそうです。
私も、一生懸命心の中でお祈りしたので、きっと大丈夫!
岡部「うむ、中々だったぞ。これからも精進するように」
まゆり「ねえねえるかくん、実は、お願いがあるんだけど……」
まゆり「今度ね、近くでコスプレのイベントがあるんだけど、るかくんに来てもらいたいコスがあるのー」
るか「ええ!? また、あんな格好に――は、恥ずかしいよ……」モジモジ
まゆり「大丈夫だよー。るかくん、もう男の娘としてすごく有名なんだよ。『こんな可愛い子が女の子のはずがない』って」
るか「だ、だからって……それより、何でちょっとずつ近づいてきてるの?」ビクッ
その直後、か細い悲鳴が神社にこだましました。……でも、そんな姿も魅力的です。
綯「オカリンおじさん、男の娘ってどういうことですか?」
岡部「……お前は気付かなかっただろうが、ルカ子は正真正銘の男だ」
綯「…………え?」
でも、それなら私が『お姉ちゃん』と呼んだ時の反応も説明がつきます。
岡部「あいつも、自分の見た目がコンプレックスだったんだ。それでもルカ子は、それを楽しもうと決めたんだ」
オカリンおじさんは、2人の姿を見つめて微笑んでいます。
岡部「だから、外見にとらわれず仲良くしてやってくれ」
綯「も、もちろんです!」
確かに、るかお姉ちゃんが男の人だなんて信じられないけど、その優しさは本物だと思うから。
岡部「フフ、フゥーハハハ! それでこそ、わがラボの一員にふさわしい!」
突然、大きな笑い声。でも、何だかそれも慣れてきてしまいました。
神社から帰るころには、日が傾き始めてしまいました。
ガチャ
岡部「今帰ったぞ……って、クリスティーナだけか」
紅莉栖「だから、クリスティーナって言うな!……で、桐生さん、大丈夫だったの?」
岡部「案ずるな、俺たちの華麗な看病とルカ子の祈祷により生気を取り戻した」
紅莉栖「……結局、あんたは役立たずだったのね。はいはいワロスワロス」
オカリンおじさんをからかうような口調。たしか、この人は――。
綯「――助手のお姉ちゃん!」
その瞬間、すごいスピードで私の目の前を影が横切りました。
紅莉栖「ちょっと岡部! 綯ちゃんまで定着してるじゃないの!」
岡部「ま、待つのだクリスティーナ! 暴力はいかんぞ!」
綯「あの、け、ケンカは止めてください!」ギュッ
2人を止めなきゃと思って、とっさにお姉ちゃんに抱き着いてしまいました。
ゆっくりとしゃがみこんで、私の顔を覗き込んできます。オカリンおじさんは、ホッと胸をなでおろしました。
綯「う、うん。紅莉栖お姉ちゃん」
紅莉栖「よし、お利口ね。綯ちゃんは、岡部なんかよりずっと学習能力が高いようねー」ニヤニヤ
岡部「おい、何がいいたいのだ」
紅莉栖「べっつにー」
まゆりお姉ちゃんは、そんな言い争いをニコニコ聞いています。
まゆり「2人とも、相変わらず仲良しさんだねー」
紅莉栖「なっ、仲良くなんかないわよ! なんでこんな厨二病と……」
紅莉栖「そ、そういえば、店長さんはいつごろ帰ってくるの?」
岡部「どうだろうな。あわただしく出て行ってしまったから聞きそびれた」
綯「確か、お夕飯前には帰ってくるって」
岡部「ほう、それではあと1、2時間といたところか」
まゆり「綯ちゃんもこのまま、本当にラボメンになっちゃえばいいのにねー」
紅莉栖「え、まさか岡部、綯ちゃんまでラボメンにする気?」
まゆり「あのねー、綯ちゃんはラボメン見習いなのです」
紅莉栖「……またあんたは下らないことを」
岡部「下らないとはなんだ。1日限定の見習いとはいえ、わがラボの一員になれたのだ。後世まで誇ってもいいと思うぞ!」
紅莉栖「駄目だこいつ、早く何とかしないと……」
まゆり「綯ちゃんがラボメンになったら、No,008だねえ」
岡部「いや、008は欠番だ……与えるとしたら、009になる」
紅莉栖「ああ、そういえばバッジの8番目ってAだよね。Aって結局誰なの? あんた、そのことは全然話してくれないし」
岡部「フン、いずれ分かる。あと7年もすれば――」
バンッ
鈴羽「おっはー!!」
岡部「」
鈴羽「あ、もしかしてオカリンおじさん? すっごーい、やっぱり若いなあ! さんざん探し回った甲斐があったよ」
岡部「す――鈴羽! お前何でここに!」
オカリンおじさんは、ものすごく動揺しています。
三つ編みの人――鈴羽って呼ばれてた――はオカリンおじさんと同い年くらいなのに、何でおじさんって呼んでるんだろう?
紅莉栖「岡部、この人だれ? あんたのこと知ってるみたいだけど……」
岡部「……話せば長くなるが、簡潔に言うと、こいつがラボメンNo,008にしてダルの娘、阿万音鈴羽だ――」
鈴羽「第3次世界大戦? ディストピア?……なにそれ」
そのきょとんとした表情に、オカリンおじさんは肩透かしを食らったように見えます。
岡部「過去を……変えるために来たのではないのか」
オカリンおじさんは、そのままソファに座り込んでしまいました。
まゆり「あなたが、ダルくんの娘? そういえば何だか似てるねー」
紅莉栖「と、とてもそうは見えないけど。橋田の娘ねえ――それじゃ、あなたは未来から来たって言うの?」
鈴羽「うん、そういうことだね」
未来から来た? じゃあ、タイムトラベラーってこと? 小説や漫画でしか見たことがない、フィクションの中だけの存在。
鈴羽「いやー、紅莉栖おばさんもまゆりおばさんも全然変わんないね! 私もびっくりだよ」
岡部「……なあ、お前はなんでここに来たんだ?」
鈴羽「うーん、もしかしたら怒るかもしれないけど、タイムトラベルすること自体が目的というか……」
岡部「……シュタインズゲートに到達しても、タイムマシンは作られてしまうのか」
オカリンおじさんは、力なく顔を持ち上げます。
鈴羽「それでね、私が稼働試験に志願して、この時代にやってきた」
まゆり「えっとね、まゆしぃは難しい話はよく分かんないけど、どうして鈴羽さんはこの時代に来たのかな?」
鈴羽「父さんにね、2010年に未来ガジェット研究所が出来たって聞いて、どうせタイムトラベルするならその年にしたいなーって思ったんだ」
……けっこう軽い理由だなあ。
綯「ひっ――」
急に声をかけられて、とっさにまゆりお姉ちゃんの陰に隠れてしまいました。
鈴羽「うわー! 小学生くらい? かわいいなあ、眼福だよ!」
すごく興奮しているようで、目がキラキラ輝いています。
鈴羽「ねえねえ、鈴羽お姉ちゃんて呼んでみてくれない?」
綯「えと……鈴羽、お姉ちゃん?」
鈴羽「か、かわいいー! 未来におっ持ち帰りぃ!!」ダキッ
綯「ひうっ! あ、あのその」カアァ
き、急に抱き着かれた……! すごい力で、全然抜け出せません。
岡部「……今確信した。やはり鈴羽はダルの娘だ」
紅莉栖「私もその意見には同意する。なんかマインドがそっくりだわ」
鈴羽「うん。このビルの屋上にタイムトラベルしてきてそのままなんだ。あとでビニールか何かかけておかないと」
その時、紅莉栖お姉ちゃんが何か気づいたようです。
紅莉栖「あ、もしかしてあの地震って、タイムマシンのせいだったのかな」
岡部「おそらくそうだろう。俺たちは何も感じなかったし」
タイムマシンなんて、机の引き出しが入り口になってるようなものしか想像できません。でも、実際はすごく大きいものなのかな。
紅莉栖「だ、だって……」
鈴羽「紅莉栖おばさん、私が下に降りようとしたら猛スピードでラボから逃げてたよ」
紅莉栖「なっ! あ、あなた見てたの!?」
岡部「……お前、まさか地震が怖くて」
紅莉栖「べ、別にいいでしょ! アメリカじゃ地震なんてあんまり起きないし、ホントにすごい揺れだったのよ!」
紅莉栖お姉ちゃん、クールな人かと思ってたけど、地震とか怖いんだ。
……何だか今日は、いろんな人の知らない一面を見てばかりです。
鈴羽「あー、やっぱり紅莉栖おばさんは信用してないんだ。1番ノリノリで研究してたのに……」スッ
や、やっと腕の力が緩みました。抱き着かれるのはいいんですが、あそこまで興奮されると何だか怖いです。
紅莉栖「の、ノリノリ!? そんなわけないじゃない、バカなの、死ぬの!」
鈴羽「オカリンおじさんもムリヤリ説得して参加させたって父さんも言ってたし」
岡部「ふむ、やはりお前も知的好奇心には勝てなかったのか。さすが天才HENTAI少女だ、年月を重ねてもなお衰えぬその探究心、まさにマッドサイエンティストに――」
紅莉栖・鈴羽「「少し黙ってて!」」
岡部「……はい」
……オカリンおじさん、カッコ悪い。
まゆり「ねえ、鈴さんは今何歳?」
鈴羽「えーと、18」
まゆり「へー、まゆしぃより1つお姉さんだね! あ、でもホントは年下なんだよね? 何だか頭が痛くなってきたよー」
紅莉栖「それよりも、ぜひタイムマシンを見せてほしいんだけど。あ、べ、別に、どんな構造で時空間の移動をしてるのか気になってるわけじゃなくて!」
鈴羽「……今見なくても、あと10年もすれば自分で答えが見つけられると思うんだけどなあ」
お姉ちゃんたちは初対面とは思えないほど話が弾んでいます。
さっきまで言い争ってた紅莉栖お姉ちゃんも、今は鈴羽お姉ちゃんを質問攻めにしています。
鈴羽お姉ちゃんはホントに私たちのことをよく知っていてすごく気さくに話してくれるので、何だかとっても明るい雰囲気です。
紅莉栖「あれ、そういえば岡部は?」
……さっきまでいたと思ったのに、いつの間にかいなくなっていました。
まゆり「どうしたんだろう……急にいなくなるなんて」
綯「私――さがしてきます!」ガチャ
岡部「……ああ、お前か」
こちらの気配に気づいたのか、オカリンおじさんが声をかけてきました。
綯「……どうしたんですか? みんな、心配してます」
岡部「お前は、俺のこと苦手じゃないか」
綯「えっ、あの――」
……そういえば、なんでわざわざ探しに来たんだろう?
綯「――そう、お、お礼です。スーパーで、手伝ってくれた」
綯「でも、わざわざ来てくれましたよね」
岡部「……フン、まあいい」
岡部さんがベンチの端によってスペースを開けてくれたので、私はそこに座りました。
岡部「……綯、お前には、大事な人がいるか?」
オカリンおじさんが私に尋ねます。その口調は今までになく真面目で、何だかオカリンおじさんじゃないみたい。
綯「あの、どうして急にそんなこと――」
……そういえば、今日初めてちゃんと名前で呼ばれた気がします。
見た目はちょっぴり怖いけど、家族思いのお父さん。
綯「それに、萌郁お姉さんも大切な人です」
無口だけど、ホントはとっても優しい萌郁お姉さん。
岡部「そうか……お前は、その人たちを大切にしてやれ」
私の答えに満足したのか、オカリンおじさんはそのまま黙りこくってしまいました。
でも、どうしてそんな質問をしてきたのかやっぱり気になります。
岡部「いるさ。ラボメンのみんな――まゆり、ダル、ルカ子、フェイリス、萌郁――それに、紅莉栖。ああ、今は鈴羽もか」
「でも俺は、そんな大切な仲間を傷つけてしまったんだ……ミスターブラウンや、お前のことも」
……傷つける? どういうことだろう。
岡部「……いや、お前に話してもしかたないことだ。気にしないでくれ」
綯「私――聞きたいです」
綯「……正直、オカリンおじさんのことは苦手です」
岡部「ず、ずいぶんはっきりと言ってくれるではないか」
綯「でも、今日会ったラボメンの皆さんは、みんなオカリンおじさんのこと慕ってました」
「そんな人が、他人を傷つけるのかなって」
今日1日一緒にいて、なんとなく分かりました。オカリンおじさんは、ホントは悪い人じゃない。
岡部「……俺は、偶然手に入れた力に驕り、多くの人の運命を捻じ曲げてしまった」
「それは、お前も例外ではない」
岡部「俺のせいで、お前を残忍な復讐者にしてしまった」
「15年の時を遡り、因果の輪に囚われた少女……」
「俺はずっと、その時の悪夢に追われ続けている」
言い方は分かりづらいけど、ふざけているようには見えません。
岡部「でもな、今日お前が萌郁と仲良くしてるのを見て、少なからず安心したんだ」
「改めて聞くが――お前は、萌郁が好きか?」
綯「はい! 大好きです」
綯「あ――」
オカリンおじさんの手が頭に伸びてきて、優しくなでてきます。
その顔は、夕日で紅く淡く染まっていました。
今まで見たことのない、優しい笑顔。
それはまるで、写真のように目に焼き付いて――。
オカリンおじさんの声で、急に止まっていた時間が動き始めます。
綯「そ、そんな……でも、楽しかったです」
それはお世辞でもなんでもなく、私の素直な気持ち。
岡部「――さあ、ここは冷える。さっさとラボに帰るぞ、綯!」
オカリンおじさんはベンチから立ち上がり、私に手を差し伸べてきます。
綯「……オカリンおじさん、案外優しいですよね」
今朝まで感じていた怖さは、もう消えてしまいました。
どこか感慨深いな
岡部「おい、あの車は――」
綯「お父さん!」
岡部「……やっと帰ってきたようだな」
キキッ バンッ!
天王寺「おい岡部! てめえ人の娘と2人きりで何してやがる……!」ポキポキ
岡部「み、ミスタ-ブラウン! あなたは誤解しているぞ!」
綯「そ、そうだよお父さん! 私はオカリンおじさんとお話ししてただけで……」
天王寺「綯、お前変なことされてないか? バイトのお見舞いは?」
綯「されてないよ! お見舞いも、まゆりお姉ちゃんたちとちゃんと行ったから」
天王寺「そ、そうか。ならいいんだ」
岡部「俺への謝罪は無しですか……」
岡部「そうですか。……なら、今日はもう帰った方がいい。そろそろ暗くなるからな」
綯「あの、今日は1日、ありがとうございました」ペコリ
岡部「うむ、お前も日々の努力を怠らなければ、わがラボの一員に加わることが出来るだろう」
ピロリーン
岡部「メール……指圧師からか」
オカリンおじさんがそのメールを見ると、にわかに笑顔が広がりました。
岡部「これは、お前も見た方がいいな」
そういって、オカリンおじさんは携帯の画面をこちらに向けます。
Sub 何だか
さっき起きたらすごく体が軽
くなったの!綯ちゃんのおか
ゆが聞いたのかな☆
今日はみんな、私のためにど
うもありがとう!
m(_ _)mペコリ
あとで綯ちゃんにもお礼言わ
ないとネ! 萌郁
綯「やったー! 萌郁お姉さん、元気になってくれたんだ!」
岡部「どうやらそのようだ。よかったな、綯」
綯「ハイ!」
お見舞いに行って、ホントに良かったです。
綯「うん、わかった!……バイバイ、オカリンおじさん」
岡部「ああ、これからも、気軽にラボを訪れるがいい」
オカリンおじさんは白衣をはためかせて、ラボへの階段を上っていきました。
ブロロロロ・・・
天王寺「綯、今日の夕飯はハンバーグにしような」
綯「ホント!? 私ハンバーグ大好き!」
天王寺「おお、そうか!……そういえば綯、今日は一体何してたんだ?」
綯「あのね、オカリンおじさんに、ラボメン見習いにしてもらったの――」
綯「(そういえば何であの時、時間が止まったみたいに……)」
「(まあ、いっか)」
……こうして私の日曜日は、ゆっくりと終わっていくのでした。
それから私は、ちょくちょくラボに遊びに行くようになりました。
オカリンおじさんの病気は相変わらずですけど、基本いい人だってよく分かったから。
鈴羽お姉ちゃんは、1週間ぐらいここで過ごすみたいです。
鈴羽「せっかく来たんだもん。いろいろ観光したいんだよねー!」
今日も、私の写真を撮ろうといきなり床に寝転んで下から……。
綯「きゃっ! 鈴羽お姉ちゃん!?」
岡部「す、鈴羽! なぜお前がローアングラーに……!」
鈴羽「出発前に父さんから指南してもらったんだ。『当時日本で流行した画期的撮影法』だって」
岡部「……鈴羽、未来に帰ったら俺からだと言って、ダルの顔面に右ストレートを食らわせてやれ。もちろん全力でな」
ダル「それにしても、僕にこんな美少女の娘ができるとか。自分のことながらリア充乙ww」
紅莉栖「全くよね、一体誰がこんなHENTAIにもらわれるのかしら……」
鈴羽「まあ、母さんとは今も仲良しだからね。どちらかというとオカリンおじさんと紅莉栖おばさんの方がイチャイチャ――」
岡部・紅莉栖「「!!!」」
一瞬、ラボの時間が止まったように感じました。
綯「鈴羽お姉ちゃん、それって……」
鈴羽「あ――ヤバ」
まゆりお姉ちゃんの言葉で、2人は顔をゆでたタコさんみたいに真っ赤にして顔を伏せてしまいました。
ダル「まさか、こんなところで夫婦認定されるとか――全俺が嫉妬!」
紅莉栖「な、何言ってんのよ橋田! 別に、私は岡部の事なんか――」
全部言い切る前に、語尾がしりすぼみに消えてしまいます。
岡部「こ、こんなところで過ごせるか! 俺はもう帰るぞ!」
なんだか推理小説の被害者みたいなことを言い残して、オカリンおじさんはラボから出て行ってしまいました。
鈴羽お姉ちゃんは髪をぐしゃぐしゃとかきむしっています。
『……綯、お前には、大事な人がいるか?』
なんでだろう、あの時の言葉が頭によみがえります。
私の、大事な人。お父さんに萌郁お姉さん。
それに、まゆりお姉ちゃんたち――ダルおじさんは、やっぱり苦手だけど――ラボメンのみんな。
そして……。
まゆり「あ! 綯ちゃん!?」
気が付いたら、私はラボを飛び出していました。
オカリンおじさんはすぐに見つけることが出来ました。いっつも白衣だから、すごく目立ちます。
岡部「綯か……情けない姿を見せてしまったな」
綯「そ、そんなことないです」
私も、いきなりあんなこと言われたらすごく恥ずかしいですし。
岡部「どうした、まさか追いかけてきたのか?」
……そういえば、何で追いかけてきちゃったんだろう?
そう言い残して、オカリンおじさんは立ち去ろうとします。
綯「あの、オカリンおじさんは、紅莉栖お姉ちゃんのこと好きなんですか?」
……でも、私は気が付いたら口を開いていました。
岡部「なっ――何を言っているのだ!」
またラボにいた時と同じように、みるみる顔が真っ赤になります。
綯「――正直に答えて!」
岡部「……そうだな、俺は紅莉栖が――好きだ」
オカリンおじさんの答えは、私の想像どうりでした。
少しだけ、胸にちくりとした痛み。
綯「……見てれば分かりますよ」
岡部「なに!? こ、このマセガキが――!」
岡部「……いや、今回ばかりは、鳳凰院凶真に頼らない」
「俺は、自分の気持ちを誤魔化すことしかできなかった」
「だから今度は、自分の気持ちに素直になろう」
携帯をしまって、私に向き直るオカリンおじさん。
岡部「お前にも、感謝しなければな――ありがとう」
オカリンおじさんの手が、私の頭をなでてきます。
夕日に染まった、優しい微笑み。
記憶の中にある、その光景を思い出して――。
でも、気づいてしまったその気持ちは、私だけの秘密です。
綯「私でよかったら、何でも言ってください」
せめて今だけは、とびっきりの笑顔で。
「――だって私は、ラボメン見習いなんですから!」
(END)
ほのぼのしたナエオカのSSを書こうと思ったらこんな結末に……どうしてこうなったorz
ラボメンみんなと絡ませたくて鈴羽の部分とか結構ごり押ししましたが、
最後まで読んでくださってありがとうございました。
……覚醒すると思った? 残念! 可愛い小学生のままでした!
非常に良かったです!
Entry ⇒ 2012.01.21 | Category ⇒ シュタインズゲートSS | Comments (0) | Trackbacks (0)
岡部「最近ラボメンの記憶が戻ってきた気がする」
岡部「なんだ」
紅莉栖「もしもの話なんだけど……」
紅莉栖「私とまゆりのどちらかしか助けられないとしたら、どっちを選ぶ?」
岡部「ぶっ!?」
スマホ代行
岡部「どちらかなど選べるわけないだろう!じょ、冗談にしても悪趣味だぞ?」
紅莉栖「そ、そうよね、ごめんなさい。私、なに言ってるのかしら……」
岡部「(……ど、どういうことだいったい)」
ダル「んー……僕が思うに、オカリンはまゆ氏を見捨てるんじゃないかな」
岡部「……え?」
まゆり「……ん?」
岡部「き、貴様なにを……!?」
ダル「……とかそんな夢を見たのだ」
岡部「な、な……?」
ダル「ごめん、冗談。僕も悪趣味だったお。まゆ氏スマソ」
まゆり「べ、別にいいよ~なんだかどきっとしちゃった」
まゆり「オカリンはそんなことしないのにね~」
岡部「う、うむ……」
まゆり「オカリンは、まゆしぃを助けてくれる気がするよ」
紅莉栖「……え?」
まゆり「いっぱい、いっぱい悩んで、やっぱりまゆしぃが大事だって言ってくれるんだよ」
紅莉栖「なるほど……」
岡部「いや、ちょっと、何の話だ……?」
紅莉栖「結局助けたのはまゆり……」
岡部「お、おい!た、助けたとはなんだ!?」
岡部「百歩譲って助けるならわからんでもないが!」
紅莉栖「そ、そうよね。やっぱり私おかしいわね……」
まゆり「ま、まゆしぃも変かなぁ?」
岡部「(こ、これは……)」
岡部「(他の世界線の記憶が紅莉栖たちに……)」
岡部「(し、しかもどうやら、いろいろな世界線の記憶が混濁しているようじゃないか)」
ダル「……なぁ、オカリン。オカリンってなんか僕に異常に冷たかったことない?」
岡部「は、はぁ?」
ダル「なんか突然オカリンに腹が立ってきた。一発殴らせてくれまいか?」
岡部「な、なにを言っているのだお前は!?」
ダル「言いようのない怒りが沸いてきているんだお」
岡部「ちょ、ちょっと待て!それは本当に覚えがないぞ!!」
岡部「(な、なんだ……?俺の知らない世界線の記憶まで戻ってきているというのか?)」
ダル「う、うおおおおお!俺の拳が光るぞおお!」
岡部「や、やめろおおおおお!!」
ガチャッ
ルカ「あ、あのぉ……こんにちは?」
ダル「いや、全然そんなことはこれっぽっちもないんだぜ?」
岡部「き、貴様というやつは……」
ダル「ごめんオカリン。反省はしている。後悔はしていない」
岡部「(と、とりあえず助かったか……)」
ルカ「あの……橋田さんはどうしてそんなに怒っていらっしゃたんですか?」
ダル「それはオカリンが……あれ?なんだっけ?」
岡部「それは俺が聞きたい……」
岡部「そんなことはしていない!!というかお前の娘ってなんだ!おかしいことに気付け!」
ダル「……おかしいなぁ。なんだか僕はオカリンがいろいろなおにゃの子といちゃこらしているのを、指をくわえてみていた気がする」
ダル「ん?それは今も変わらないかwwサーセンww」
岡部「あのな……」
ルカ「ボクも……なんだかそんな気が……してきたような……」
紅莉栖「は……?」
まゆり「……ん?」
岡部「ちょ、ちょっと待て!ルカ子!な、なにを言っているんだ!?」
ルカ「え、え!?今ボクなんていいましたか?」
ダル「僕は聞き逃さなかったのだぜ」
ダル「オカリンといちゃこらちゅっちゅしたと……そう確かに聞いた」
岡部「そこまで言っとらんわ!」
岡部「そ、そもそもお前と俺は男同士だろうが!デートもなにもないだろう」
紅莉栖「……それはどうかしら」
岡部「じょ、助手?」
紅莉栖「岡部……あなたは漆原さんとデートしたわ……」
紅莉栖「そんな気がする!!」
ルカ「あぁ……!!」
ルカ「岡部さんの赤ちゃん……!!赤ちゃんが産まれた……!!」
岡部「ぶっ!?」
ダル「そうだ!オカリンとるか氏は結婚したんだ!」
紅莉栖「そうだ!それなのに岡部ったら早死にして……!」
まゆり「……あれぇ?まゆしぃにはみんなの言っていることがよくわからないよ?」
ダル「それはまゆ氏はその時死んじゃっていたからで……」
岡部「わ、わかってたまるか!!」
ルカ「岡部さん……なんで死んじゃったんですかぁ……!!」
岡部「死んでない!どう見てもぴんぴんしてるだろうが!!」
岡部「さっきから言っていることが支離滅裂だぞ!」
紅莉栖「……あれ?」
ダル「僕はなにを……」
ルカ「う、うーん……なんだか頭が痛くなってきました」
岡部「だ、大丈夫か?具合が悪いようなら帰ったほうがいいのではないか?」
ルカ「そ、そうですね……うーん……」
岡部「(なんだかよくわからないが危ないところだった……)」
岡部「しつこいぞ……いったいなんなんだいったい」
紅莉栖「さぁ?私たちにもわからない。ただなんかむかつくから岡部、一発殴らせろ」
岡部「お、お前までそんなことを言うのか!」
ガチャッ
岡部「……な!」
岡部「(ま、また誰か来たのか!!)」
岡部「し、指圧師か」
岡部「ど、どうしたのだ突然。バイトはサボっていていいのか?」
萌郁「責任……とって……」
岡部「……え?」
ピロピロリ
岡部「ん、メールか?」
from 閃光の指圧師
岡部くんって、けっこう乱暴だよね☆
でも男の子があそこまでしたのなら、ちゃんと責任とってもらわないとだよね
……ね?
萌郁「キス……した」
萌郁「押し倒された……」
萌郁「どさくさに……まぎれて……胸も……揉まれた……」
紅莉栖「……ほう」
まゆり「へぇ……」
まゆり「本当かなぁ……オカリン?」
岡部「む、胸のほうは誤解だ!!」
まゆり「……ふーん、じゃあ前半は本当なんだ」
岡部「って違うわ!!それはあくまでやむにやまれず……、って違うっつの!!」
岡部「萌郁!お前なにを言っているんだ!?」
萌郁「でも……胸も……揉まれた……」
岡部「そこじゃない!!そもそも押し倒してもないし、キスもしていない!!」
岡部「(この世界線ではな!!)」
紅莉栖「なかなか電話に出ないと思ったら……お楽しみだったってわけね……」
岡部「あーもうこれ以上話をややこしくするな!!」
岡部「指圧師!!落ち着いて考えるのだ!」
岡部「俺がいつお前にそんなことをしたのだ!」
萌郁「それは……?……」
ピロピロリ
from 閃光の指圧師
ごめん、岡部くん!私ったらちょっとぼーっとしてたみたい!
へんな事言っちゃってごめんね?今度埋め合わせするから許してね☆
バタン
岡部「な、なんだったんだいったい……」
岡部「……?そういえばお前らさっきから静かだな。どうしたのだ?」
ダル「な、なんか……」
紅莉栖「萌郁さんが出て行った瞬間、どっと安心が押し寄せてきたような……」
まゆり「まゆしぃは額が痛いのです」
岡部「だ、大丈夫なのかそれは……」
岡部「(この分だと次はあいつが……)」
岡部「(また変なことを好き勝手に言われても困るな。今のうちに離脱しておこう)」
岡部「すまん!俺は少々野暮用を思いついた。しばらく失礼するぞ!」
紅莉栖「あ、岡部……?」
岡部「さらばだ!」
バタン
岡部「ふぅ……なるべく遠くに……」
綯「オカリンおじさん、こんにちは」
綯「萌郁お姉ちゃんなら、さっき帰ってきたと思ったら、またどこか行っちゃったよ?」
岡部「そうか……それならいいんだが……」
岡部「お前はあいつから妙なことをふきこまれていないだろうな」
綯「妙なこと?」
岡部「あぁ、別にないならいいんだ」
綯「妙なことって……例えば、おじさんとお姉ちゃんで、お父さんを殺しちゃった……とか?」
岡部「!!」
綯「なにが……?私は冗談で言っているつもりはないよ……」
綯「殺したもんね……オカリンおじさんが殺したんだもんね……」
綯「殺した殺した殺した殺した殺した殺した殺した殺した殺した殺した殺した殺した殺した殺した
殺した殺した殺した殺した殺した殺した殺した殺した殺した殺した殺した殺した殺した殺した」
岡部「う、あ、ああ……」
岡部「うあああああああああ!!」
?「それを言うなら、綯ちゃん」
まゆり「綯ちゃんもまゆしぃのこと、殺したよね~」
綯「!?」
まゆり「まゆしぃは電車とレールにはさまれて、ぐちゃぐちゃになって」
まゆり「とっても痛かったんだ~」
綯「あ、あああ……」
まゆり「綯ちゃんがまゆしぃのこと殺したんだよ?」
まゆり「殺した殺した殺した殺した殺した殺した殺した殺した殺した殺した殺した殺した殺した殺した
殺した殺した殺した殺した殺した殺した殺した殺した殺した殺した殺した殺した殺した殺した」
綯「うああああああああ!!」
岡部「……や、やめんかあああああああ!!」
岡部「誰も死んでないし、誰も殺されてない!」
綯「……あれ?」
まゆり「そういえば……」
岡部「ミスターブラウンもまゆりもぴんぴんしているだろうが!わ、訳のわからんことを言うんじゃない!」
岡部「というわけで俺は失礼する!!」
岡部「(これはやばい!!早いところ逃げてしまおう!!)」
綯「……あ」
まゆり「オカリン……?」
岡部「さらばだ!」
岡部「こんなの……スレタイ詐欺じゃないか!」
?「そこのお前……待ちな」
岡部「……っ!?まさか……!!」
4℃「なんだか知らないが無性にてめぇの顔、むかつくぜ」
4℃「二、三発は覚悟してもらおうか」
岡部「お前もか……!!」
岡部「そ、それは違う!俺はお前のことなど知らん!」
4℃「知ってるか?苦汁と辛酸はなぁ……」
4℃「苦汁のほうがつらいんだ!!」
岡部「この前の特番で言ってただけだろ!」
4℃「うるさい!死ねぇ!!」
岡部「うわあああああ!!」
?「待ちなさい」
黒木「その青年から離れなさい」
黒木「えぇ……お迎えに上がりました、だんな様」
岡部「た、助かったぁ……ん?」
岡部「(今なにか変だったような……)」
4℃「なんだてめぇ……じじぃは引っ込んでろ」
黒木「そうは参りませんな……私には、お嬢様の大切な方を守らねばなりませんので」
4℃「あぁん?つべこべ言ってねぇで来るなら来いよ」
・・・・・・・・
黒木「もう終わったあとですので」
4℃「な、なにを言って……うぐぅ!!」
4℃「がはぁ……!!い、いつの間に……!!」
黒木「安心しなさい。一応手加減をしておきましたから」
4℃「ぐ……無念……」
岡部「(なんだこの展開……)」
黒木「いえ。では、行きましょう。お嬢様がお待ちですので」
岡部「ふぇ、フェイリスがですか?」
岡部「(嫌な予感がする……)」
岡部「あ、あの、俺はちょっとこれから用事が……」
黒木「……来ていただけますよね?」
岡部「あ、はい」
岡部「聞き間違いかもしれないんですが……さっき俺のこと、なんて呼びました?」
黒木「はい?だんな様はだんな様でしょう?」
岡部「(やっぱりなんかおかしなことになってるぞ!!)」
フェイリス「……凶真。やっと来たニャン」
岡部「フェイリス……」
岡部「な、なんの用だって言うんだ?」
フェイリス「やっぱり凶真とフェイリスは……前世からの因縁で結ばれていたのニャン」
岡部「(はは……なんだいつものやつか)」
岡部「そうだな……俺たちは、あの聖戦を共に戦った仲m」
フェイリス「誤魔化さないで!!」
フェイリス「凶真はフェイリスの運命のパートナーだった!!」
フェイリス「一緒に将来を誓い合ったじゃない!!」
フェイリス「まさか忘れてしまったというの!?」
岡部「え、え……?」
フェイリス「凶真はフェイリスの王子様ニャン……覚えてるよね?」
岡部「ち、違う!そ、それはお前、夢か何かと勘違いしているだけで、」
フェイリス「だから言っているニャン。これは前世の記憶なのニャ……」
岡部「(ま、まさかこいつ……他の世界線の記憶を、厨二設定に置き換えているのか!?)」
フェイリス「……凶真、まさか本当に思い出せないの?」
岡部「お、思い出せないも何も、それは勘違いというやつで……」
フェイリス「ふーん……そういうこと言うんだ……」
フェイリス「思い出せないなら……思い出してもらうしかないニャン……」
岡部「ま、待てフェイリス……そ、その刃物をどうするつもりだ?」
フェイリス「そんなの決まっているニャン……凶真にかかっている封印を、フェイリスが解いてあげる……」
岡部「(フェ、フェイリスが……)」
岡部「(本物の電波になってしまったぁああああああ!!)」
フェイリス「凶真……動いちゃダメニャン……」
岡部「ひっ、く、来るな!」
岡部「う、うあ……」
岡部「うわあああああ!!」
ガキンッ!!
?「……待ちなよ」
フェイリス「な……っ!?」
綯「こいつを殺すのは、私の役目だ」
綯「他の奴には、やらせないよ」
岡部「(え、えぇ!?どういうこと!?)」
フェイリス「っ!?黒木!!」
黒木「すいません……子供だと思い、油断したよう……です」
フェイリス「ちっ……フェイリスの邪魔をするなんて、いい度胸してるニャン」
綯「邪魔はそっちだよ」
フェイリス「どうかな……それは、これを喰らっても言えるかニャ!?」
シュッ!
綯「遅い!」
カキンッ!!
綯「ふっ!!」
シャッ!
フェイリス「く、かすったニャ……!!」
フェイリス「こんな小娘に押されるなんて……!!」
綯「体は小娘でも……殺意だけは、本物だよ」
綯「ね、おじさん!!」
岡部「は……?」
フェイリス「しまった……!!」
バン!!
?「ちょっと……待った……」
萌郁「岡部倫太郎を殺すのは……私」
萌郁「FBのため……FBのため……」
岡部「ちょ、ちょっと待て!!それはもう終わった話ではないのか!おい!!」
綯「へぇ……標的が二人とも集まってくれるなんて……なんて運がいいんだろ」
フェイリス「どいつもこいつもフェイリスの邪魔を……」
萌郁「まだ、勝てると思っているの……?」
萌郁「銃は剣より強し……あなたたちにはもう……なすすべはない……」
萌郁「おとなしく……死んで……」
?「銃より強いものがあるよ」
鈴羽「鍛えぬかれた戦士は……銃弾すらも凌駕する」
バン、バン!
萌郁「(当たらない……!?)」
鈴羽「はぁっ!!」
萌郁「ぐっ……」バタッ
綯「な、新手か……!?」
フェイリス「だ、誰ニャ……?」
鈴羽「岡部倫太郎!君を助けに来たよ!」
岡部「……す、鈴羽?」
鈴羽「シュタインズゲートは全てがうまくいく世界線……だった」
鈴羽「だけど事件が起こってしまった……悲しい事件がね」
鈴羽「20××年○月△日……そう、つまり今日この日」
鈴羽「岡部倫太郎以外の人々による、リーディングシュタイナーの発動……」
鈴羽「このままじゃまた、悲惨な未来が待っている。私はそれを変えに来たんだ!!」
岡部「す、鈴羽……」
フェイリス「つべこべうるさいニャン……」
綯「誰が来ても一緒だ……全員殺してやる」
フェイリス「できるもんならやってみるニャン!」
黒木「お嬢様……逃げて、下さい……!!」
鈴羽「へぇ……この時代に私の動きが見える人がいたんだ」
綯「おい、お前、なにぼーっとしてんだ!!」
フェイリス「……え?」
ドスッ
綯「く、くそぉ……!!」
ドスッ
鈴羽「戦士とそうでない者の、違いはわかってもらえたかな?」
鈴羽「って、もう聞こえないか」
鈴羽「うん、これでひとまず安心かな」
岡部「だ、だが……また目を覚ましたときにどうすればいいのだ?」
岡部「こいつらはもう……元のようには戻ってくれないのか?」
鈴羽「心配しないで。そのためにあたしが来たんだから」
鈴羽「これを使って」
岡部「……これは、注射?」
鈴羽「リーディングシュタイナーを封じ込める薬が入ってる」
鈴羽「これを使えば、みんな元に戻れるよ」
岡部「そうか……!!」
萌郁「ん……」
フェイリス「ニャッ……」
綯「む……」
岡部「これで、大丈夫だな」
岡部「ふぅ……一時はどうなることかと思った」
鈴羽「まだまだ。他にもそれを使わなくちゃならない人が残っているよ」
岡部「……そうだったな」
鈴羽「……じゃあね、岡部倫太郎。あたしはもう行くよ」
岡部「な、もう行ってしまうのか?」
鈴羽「あとはもう君一人でできるからね。しっかりたのんだよ」
岡部「しかし……まだ感謝もろくに伝えられていない……」
鈴羽「……感謝なら、あたしじゃなくて、もっと違う人に言ってあげなよ」
鈴羽「それじゃ……!」
岡部「今日は大変な一日だったな……」
まゆり「あ、オカリン……」
岡部「まゆり……」
まゆり「オカリン、まゆしぃね、なんかおかしいの」
まゆり「まゆしぃが何度も何度も痛い目にあってね」
まゆり「そのたびにオカリンが悲しい顔するの」
まゆり「そんな悲しい夢……夢なのかなぁ?」
岡部「……まゆり、手を出せ」
まゆり「……はい?あ、」プス
岡部「夢だよ。まゆり」
ダル「オカリン、僕、なんかおかしいんだお」
ダル「オカリンはるか氏を孕ませた挙句、」
ダル「フェイリスたんのハートを射止め、」
ダル「まゆ氏と結局恋人関係に落ち着き、」
ダル「牧瀬氏と毎日いちゃこらちゅっちゅしている……そんな夢……夢かなぁ?ていうか夢でも爆発しろ」
岡部「うるさいわ!」
ダル「あぅ……」プス
岡部「まったく……」
岡部「あいつは警戒心が強いからな……いきなり刺してしまおう」
岡部「おい……クリスティーナ」
紅莉栖「……はい?」
岡部「よっ!……あれ?」スカッ
紅莉栖「その空の注射器でなにをするつもり?」
岡部「え……?あ、ああぁぁ!?薬がもうない!?」
岡部「そんな……!?鈴羽、なぜ紅莉栖の分まで用意しておかないんだ!?」
紅莉栖「……私は、記憶を消す必要はないからじゃないかしら?」
紅莉栖「私はね、岡部。思い出したことを、忘れたくないよ」
紅莉栖「岡部が、私のために悩んでくれたこと、苦しんでくれたこと……」
紅莉栖「本当は、今でも悩んでるんでしょ?本当にこれでよかったのかって」
岡部「俺は……」
紅莉栖「岡部が悩んでいるなら、私も一緒に悩みたい。岡部が苦しんでいるのなら、私も一緒に苦しむよ」
紅莉栖「ねぇ、……してよ。あの時みたいに……」
岡部「……聞こえないな」
紅莉栖「バカ……覚えてるでしょ!」
岡部「……当たり前だ」
岡部「俺は絶対に、忘れたりしない」
リーディングシュタイナーは誰にでも備わっている。だからこの事件は遅かれ早かれ起きることだったのだろう
鈴羽の運んできてくれた薬のおかげで、俺たちはみんな過去のつらい経験を忘れることができた
だがそれで本当にいいのだろうか? 他の世界線をなかったことにしてはいけない。それだけは俺がしてはいけないことだろう
だから、俺だけは、この記憶をいつまでも持ち続けよう
『私もね、忘れたくないよ』
こんな俺を好きでいてくれる、物好きな研究者と、俺だけは
……それが、シュタインズゲートの選択なのだろう
終わり
最後まで読んでくれてありがとう!おやすみ!
おやすみ
Entry ⇒ 2012.01.19 | Category ⇒ シュタインズゲートSS | Comments (0) | Trackbacks (0)
岡部「比翼恋理のダル・ルート……だと?」
岡部「ヒャーッ!!」
ダル「うわ!なんだよオカリン、いきなりでけー声出すなって」
ダルが身体をビクリとして反応する。
どうしたもこうしたもない!
岡部「触った!!」
ダル「えっ?」
岡部「今、誰か触っただろう!」
見渡すと、紅莉栖と目が合った。
が、すぐに目を反らされてしまう。
紅莉栖「さ、触ったって何を……?」
紅莉栖が目を合わせないまま首をひねる。
岡部「俺の尻をだ! 誰だ今触ったやつは!挙手をしてもらおうか!」
シーンとする。
誰も挙手していない。
こいつら、しらばっくれるつもりなのか!?
岡部「おいダル、お前か!」
ダル「な、何でいきなり僕に聞くん!? 僕は野郎の尻には興味無いお!」
まあ、ダルで無いであろう事は俺でもわかる。
となれば、だ。
岡部「じゃあクリスティーナ!貴様なのか!?」
紅莉栖「ティーナをつけるなと言っとろうが!!」
岡部「なにっ!? ならば、ザ……」
紅莉栖「ゾンビでもないわ!」
岡部「ぐぬぬ……じゃあ……」
――助手、と言おうとして、またもや紅莉栖がまくし立ててくる。
紅莉栖「あ、あのさ! 時間が勿体ないんだから、さっさと実験続けない?」
岡部「う、うむ……」
が、それもそうだ。
クリスティーナの言うとおり。
俺は再び、PCの画面を見やる。
するとまたもや――。
岡部「ヒャーッ!触った! 今度こそ絶対触ったぞ!」
その証拠に、尻を触られた瞬間、とっさにその腕を力一杯に掴んでやっていたのだ!
紅莉栖「いっ……たっ! ちょ、岡部、なにすんのよ!」
岡部「“なにすんのよ!?”お前が言うのか!? こいつを見ろ!今俺の尻を触っていたやつだ!」
掴んだ腕を引っ張り、紅莉栖の目の前に持って行く。
岡部「まさかとは思ったが、やはり貴様だったのだなクリスティーナよ!」
紅莉栖「意味がわからない!全然意味がわかりません!」
紅莉栖は紅莉栖で、ブンブンと腕を振り払おうとしてくる。
しかし、俺は断固としてそれを離さない。
生意気にも睨み返してくる紅莉栖に、追撃をかける。
紅莉栖「ち、違っ……わ、私は……そう、お尻を触られた人の反応速度とリアクションの実験をしていたのよ…」
岡部「な、なに!?…………そう、なのか?」
紅莉栖「そ、そうよ! 結果あんたは“ヒャーッ!”と叫び、感応までに少なくとも2秒はかかった!」
実験……だったのか。
ちょっとビックリしたぞ。
岡部「ううむ……そうだったのか、ならば仕方がない。 ……すまなかったな」
謝罪のあと、握った腕を離してやると紅莉栖はその腕をさすりながら、
紅莉栖「べ、別にいいけど……」
と、許してくれた。
紅莉栖「ふえっ? なにを?」
ハトが豆鉄砲を食らったような顔をしている。
岡部「レポートに決まっているだろう。 実験なのだから書くのではないのか?」
紅莉栖「あ、ええっと……わかった。 明日には提出出来ると思う」
紅莉栖はメモを取り出して何かを書き出した。
しかし、驚いたな。
まさか本人の知らぬところで脳科学実験の対象にされていたとは。
ただ、興味深いのは興味深い。
この実験によって何が得られるのかはわからないが、曲がりなりにも天才少女の考える実験だ。
もしかすると、人類史に残るような偉大な実験なのかも。
ここはあえて、紅莉栖に協力してやる事にする。
ダル「うっわ! ちょっ、オカリンなにするん!!」
ダルの尻を触ってやると、奴は即座に俺の腕をとってひねりあげた。
岡部「いてててててててて!!」
……すごく痛い。
しかし、今のはダルにしては反応が早かったんじゃないか?
俺は、期待を込めて紅莉栖を見やる。
が、またもやポカンとしていた。
ええい、何をしているのだ!
岡部「じょ…助手よっ!今のはなかなかに早かったんじゃないか!?」
紅莉栖「え、えっ!? ああ、そうね……橋田至、約1秒で実験者の腕をひねり上げる、と」
そう呟きながら、メモ帳に目も落とさず、ペンでグルグルと何かを書き込んでいる。
はて、そういえば……。
岡部「す、ストップウォッチ……いててて! ダル、そろそろ離せ!」
ダルがハッとしたように、俺の腕を解放する。
肘の関節が痛い。
筋が変な事になっていなければいいが……。
ダル「あ、ああ、ごめんお……それよりさ、それマジで実験なん?」
それそれ。
岡部「……俺も不思議だったんだが、約1秒とか2秒でいいのか? 随分と曖昧なようだが」
紅莉栖「ど、どういう事?」
岡部「いや、ストップウォッチとかでしっかり計測しなくていいのか……と訊いている」
大体計測機器が見当たらないし、クリスティーナがそれらを操作している風にも見えないではないか。
紅莉栖「えっ? ああ、そうね。ストップウォッチは明日用意してくる…」
おいおい……マジかよ。
しっかりしてくれ!
これでは俺もダルも“触られ損”!
俺に至っては“負傷させられ損”ではないか!
岡部「全く!そんな重要なところで詰めが甘いとは……とんだおっちょこちょいだな、貴様は」
紅莉栖「う、うん……ごめん」
岡部「これが実験だと解った今、明日急に尻を触られてもリアクションに困るぞ?」
ダル「だよねー。それに、それだと反応実験にならんだろうし…」
紅莉栖「そ、そうね……うかつだったわ」
紅莉栖が俯いたまま、微妙な返事を返してきた。
まゆり「そろそろまゆしぃはバイトに行ってくるのです♪」
岡部「ああ、そうか」
まゆり「じゃあね、オカリン」
岡部「あ、待てまゆりよ」
そそくさと出て行こうとするまゆりを呼び止める。
岡部「そのトートバッグの中を見せろ」
俺は、まゆりが脇に抱えたカバンを指さしてやった。
まゆり「えっ!?」
岡部「いいから、テーブルの上に全てあけるのだ」
それを聞いていた紅莉栖が研究室から出てきて割って入ってきた。
紅莉栖「ちょ、岡部! まゆりになんていうHENTAI的行為を……」
岡部「はい」
紅莉栖「はいじゃないが……あっ!」
言いかけて赤面する紅莉栖に、俺は右手を突き出して制止する。
紅莉栖「で、でもっ!女子のカバンをチェックするなんて、どう見てもデリカシーゼロのHENTAIだろ!」
まゆり「オカリン……まゆしぃは悲しいのです……」
岡部「くっ………」
まあ、確かに。
まゆりも心なしか涙目になっている。
いきなりカバンの中身を見せろ、というのはやりすぎたか。
岡部「じゃあまゆり、そのクロシェを脱いで見ろ。 さっきからずっと不思議だったのだ」
今度は、まゆりの頭を指差す。
室内で帽子を脱がないなど、ダルではないのだからな。
明らかに不自然だ。
まゆり「え、えぇー……」
紅莉栖「……まゆり?」
戸惑うまゆりを、紅莉栖が訝しげな音を込めて呼ぶ。
マジですか! それは楽しみすぐる
岡部「どうした? なにか脱げない理由でもあるのか?」
まゆり「それは……」
紅莉栖と俺に詰め寄られ、とうとう観念したまゆりが帽子を脱いだ。
パチリと音がして、床に俺の歯ブラシが落ちる。
間違いない、それは俺のだ。
“鳳凰院凶真”という俺の真名が書かれている。
岡部「やはりお前だったのか、まゆり……」
まゆり「うう……ごめんオカリン…」
紅莉栖「……」
またもや紅莉栖はポカンとして、言葉を失っている。
岡部「今週に入って、これで17本目だぞ……?一体なんのつもりなのだ?」
まゆり「え? えっと……えっと……」
まゆり「お父さん?」
と呟いた。
え? お父さん?まゆりの?
まゆり「お、お父さんの靴を磨いてあげようと思って……えっへへ」
岡部「なにっ!? それは本当か! まゆり……」
まゆり「う、うん。 お父さんにはね、いつも綺麗な靴を履いていて欲しいなぁ、って」
岡部「まゆり……」
なんていい子なんだろう……。
このラボに歯ブラシ泥棒がいる!
…などと疑ってしまっていた自分が恥ずかしい。
岡部「すまなかったな、まゆり……これは持って行け」
床から歯ブラシを拾い上げて、まゆりに手渡してやる。
まゆり「えっ、いいの? オカリンありがとう♪」
岡部「ああ、おじさんによろしくな。 あと……バイト頑張れよ」
まゆり「うん!」
まゆりは純粋な笑みを浮かべると、そのままフワフワとラボを出て行ってしまった。
紅莉栖がチラチラとこちらをみてくる。
クリスティーナのやつ、前に父親とは不仲だと話していなかったっけ?
いきなり靴を磨かれても不審に思われるだけだろうに。
まあ、いい。
なにか復縁の取っかかりが欲しいのだろう。
岡部「助手にしては殊勝な心がけだな。 ちょっと待っていろ」
紅莉栖「えっ? いいの?」
俺は、流し台の扉から新品の歯ブラシを取り出して紅莉栖に渡してやった。
俺はそのまま紅莉栖に近付いて、
岡部「ありがたく思えよ。 ……なんせ“新品”なのだからな。まゆりが嫉妬するといけないから内密にするように」
と、耳打ちする。
紅莉栖「さ、サンクス……」
どうやら、俺の気遣いにたじろいでまでしまったようだ。
岡部「礼には及ばん……ラボメンが家族と上手くいくよう取り繕ってやるのも俺の役目なのだからな」
俺は、わざとらしく前髪をかき上げて見せた。
最高に決まった。
それからというもの、電話レンジの放電現象が起こらなくなり、
実験を中止せざるを得なくなった俺達は、各々ラボを後にした。
ラボの外はうんざりするほど蒸し暑く、遠くでセミが鳴いている。
岡部「久しぶりに実家に帰ろうか…」
しばらく池袋の実家には帰っていなかった。
もちろん、俺にとっては世界の支配構造を塗り替えるための未来ガジェット開発の場である、
ここ、大檜山ビル二階の未来ガジェット研究所こそが実家のようなものではあるが、
さすがに二週間も家に帰っていなくては、親にやいのやいのとやかましく言われかねない。
今日は研究のキリもいいので、一度実家に帰っておく事とする。
そして俺が実家に向けて歩みを始めて、しばらくして異変は起こった。
岡部「まさか……つけられている?」
やはり今日もつけられている。
何者かの尾行に気付いたのは、ラボを出てほんの数分足らずの所だ。
まさか、とうとう“機関”の奴らが俺たちのラボを押さえにかかったというのか!
気がつくと俺は、手どころか背中にまで冷や汗をかいていた。
歩幅は自然と広くなり、息を早めながらひたすら追跡者と追走劇を繰り広げる。
しかし、さすがに辛い。
日頃の運動不足が祟ったか。
俺は観念して立ち止まると、追跡者が居るであろう路地裏に向きなおった。
岡部「そろそろ出てくるがいい!貴様が数日前からコソコソと俺をつけ回していた事くらいわかっていたぞ!」
出来るだけ凶悪に、マッドサイエンティストのポーズを決める。
岡部「そのお粗末な尾行……この俺が、狂気のマッドサイエンティスト、鳳凰院凶真と知ってのことか!?」
大声で怒鳴りつけて追跡者を脅してやったつもりだ。
これでただの勘違いだったら実に恥ずかしい。
しかし、路地裏からは息をのむような気配が返ってきた。
え、マジで?
やっぱりつけられていたのか!?
どうしよう!
???「あっちゃー、バレちゃってたかぁ、これは失敗した……」
意外にも、路地裏から現れたのは大檜山ビル一階に居を構えるブラウン管工房のバイト戦士、阿万音鈴羽だった。
岡部「なんだ、バイト戦士か……ビックリしたぞ」
鈴羽「いやぁ……ごめんごめん……」
自転車を引きながら出てきて、なんともバツの悪そうな顔で頭を掻いている。
岡部「お前、こんな所で何をしているのだ?まさか俺をつけていたのか?」
鈴羽「えっ!? …あ、いやー……あのさ、警護?」
岡部「そうか……」
鈴羽「う、うん。そう。 へへへ…」
はて?
“けいご”? “敬語”?
ああ、“警護”か。
岡部「いや待て、警護、だと?」
岡部「う……む。 まあ、そうだが」
鈴羽「だから、あたしとしては放っておけなかったっていうか……前にあたしが言ったじゃん」
鈴羽は、依然として目を泳がせたまま、こちらを見ようとはしない。
岡部「言ったじゃん? って何をだ」
鈴羽「困った事があったら相談して、って。 岡部倫太郎、あんまり一人で無茶したらダメだよ?」
そう言えば、初対面の時に言われた気がする。
その時は、なんだこいつ、と思ったものだが。
岡部「バイト戦士……」
最近昼も夜も、何者かが俺の周りを監視していると思っていたが、なるほど。
あれはすべてバイト戦士が俺を見守っていてくれたのか。
このままいけば、あの冷酷非道の鬼と恐れられたミスターブラウンまでもが、我が手中に落ちるのも時間の問題。
改めて“俺”というものが恐ろしくなる。
岡部「バイト戦士……いや、鈴羽よ」
鈴羽「えっ?」
岡部「貴様は今日から、この俺のボディガードだ」
鈴羽「えっ! いいの?」
鈴羽が目を見開いて聞き返してくる。
いいもなにもない。
願ってもない事だ。
俺は確かに鈴羽の言うとおり“機関”に狙われているとみて間違いない。
ゆえに、味方は多いに越した事はない。
となれば、ここでこの申し出を受けないのは馬鹿というものだ。
岡部「当たり前だ。頼りにしているぞ? 鈴羽よ」
鈴羽「ちょっ……わわっ! お、岡部倫太郎!?」
岡部「さあ来い! 存分に警護してくれよ」
鈴羽「あっ……う、うんっ! 任せて、岡部倫太郎!キミはあたしが“見守る”よ! えへへ」
俺は鈴羽の手を取ると、そのまま池袋にある実家まで警護してもらった。
その後、鈴羽がそそくさと自室に入ってこようとしたのはさすがに止めたが。
今日は朝っぱらから暑すぎて、俺はラボに行くのをためらった。
まゆりと紅莉栖に、今日は研究活動は休みだとメールを飛ばし、
気晴らしにでもなるかと、久しぶりにダルを釣りにでも誘ってみる。
海にでも行けば、海風が少しは癒やしてくれるだろう。
電話の向こうでダルが散々渋ってばいたが、15分も粘ると観念したようで、気が向かないが出てくるという。
実家の玄関を出たところで、偶然ひょっこりと姿を現した鈴羽と共に、ダルとの待ち合わせ場所に向かった。
鈴羽「おっはー、橋田至」
岡部「待たせたな、ダル」
ダルは待ち合わせ場所にて、汗を拭き拭き立ち尽くしていた。
ダル「遅いおオカリン。 あれ、阿万音氏も一緒なん?」
岡部「……たまたまそこで会ってな」
鈴羽「う、うん」
鈴羽が顔を赤らめて頭を掻いている。
いや、そこは照れるところではないぞ。
変な誤解を招いたらどうするのだ。
ダル「ふーん。 んでオカリン、今日はどこ行くん?」
岡部「ああ……えっと……」
釣りとは言ったものの、明確な場所までは決めていなかった。
そもそも、俺たちは釣り竿など持っていないし、いつもその辺に落ちている棒状のものに糸を括り付けて、
海に垂らすだけという無意味な作業を繰り返すだけなのだから、実際、海があればどこでもいいのだ。
長らく考え込んでいる俺を見て、ダルがため息をついた。
ダル「まさか考えてなかったん? オカリンってそんな奴だったっけ」
岡部「なに? 釣りなら前にも行っただろう?前もこうだったではないか」
ダル「は? 僕とオカリンが釣りに? いや……そんな覚えはないお」
岡部「なに……?」
おかしい。
どうも最近、ダルとの記憶に齟齬がある。
一緒にサンボすら行ったことがないと言うのだ。
一体、どうしたと――。
ダル「とりあえず、海のあるとこ行けばいいんじゃね?」
考えかけた所で、ダルがもっともな意見を出してくる。
岡部「……そ、そうだな。 とりあえず、お台場辺りに行ってみるか」
俺たちは、有明駅から出ると、すぐ近くにあるビッグサイトを通り抜け、目的の海に到着した。
魚釣りの餌は、駅で購入したあんパン。
ダル「こんなもんで釣れるんかお?」
ダルが糸を垂らしながら聞いてくる。
岡部「いや、釣れた事はないな」
ダル「は?」
岡部「釣れた事はない、と言っている。一度もな」
ダル「……」
早くも、竿を持つダルが帰りたそうにしている。
鈴羽「ふーん、岡部倫太郎って、もぐもぐ……思ったより面白いやつなんだねー、んぐっ」
岡部「お、おい……それ、お前……」
頬に餡をつけた鈴羽が、不思議そうに俺を見てくる。
それに気付いたダルが、空になったあんパンの袋を拾い上げた。
ダル「あーあ、阿万音氏、あんパン食べちゃってんじゃん……それ餌だろ?魚釣りの」
なんということだ……いきなり魚釣り作戦が頓挫してしまう事になるとは。
鈴羽「あー、ごめん……おなか空いててさ……」
くっ……。
せっかく気分転換にと釣りに来たというのに、これでは15分と保たないではないか。
そこからというもの、餌を無くした俺たちは、
無意味にもその辺の葉っぱや石ころを糸にくくりつけては海に投げた。
岡部「やはり、石ころでは駄目か……」
石を餌として30分近く粘ってみたが、当然、当たりの気配はない。
ダルが横目にチラリとこちらを見てくる。
岡部「……そうか? そういうダルは何をつけている?」
ダル「僕は葉っぱを付けたお?」
岡部「いや、同レベルではないか!!」
ダル「いや、オカリンに言われたくないわー! 石ころよりマシだろー」
岡部「なにっ!?それはどういう意味だ!!」
ダル「そのまんまの意味だろ」
岡部「この野郎!」
そんな俺たちのやり取りを見て、その辺で拾ったネジを餌に釣りを続けていた鈴羽が吹き出した。
鈴羽「あはは、キミたちって面白いねー」
岡部&ダル「え?」
鈴羽「なんかさ、こうして見てると兄弟みたいだよ?」
は?
ダル「オカリンと――?」
見事に被ってしまう。
それを見て、再び鈴羽が吹き出した。
俺は無性に気恥ずかしくなり、怒ってはいないのだがギリリと歯噛みする。
そしてダルはというと、にやけながら呟く。
ダル「まあ確かに、今日のオカリンは何か面白い気がするお」
なんだと?
岡部「そ、そうか……俺はいつもこうだが?」
ダル「そうなん? いやいや、馬鹿っつーか、見てて飽きないっつーかさ」
岡部「あ、貴様!今馬鹿と言ったな!」
背後から近付いて、ダルの肩をグッと掴んで絞り上げてやる。
ダル「いててて! 何すんだよオカリン……って、おっ?」
ダルが釣り竿を見て反応する。
それに続いて、ヤツの釣り竿を見ると、なんと糸が揺れているではないか。
ダル「う、うん!何かかかったみたいだ!」
もちろん針など付いていないのだが、まさかそれに食いつく魚がいるとは!
とんでもない馬鹿がいたものだ!
岡部「フゥーッハハハ!! ダル!慎重にいけよ……!? 何としてもそいつを釣り上げるのだ!」
ダル「お、オーキードーキー!」
気付くと鈴羽までもが、自分の持っていた釣り竿を投げ捨て、ダルの隣で海面を見つめていた。
ダル「っしゃあ! 来いコラーッ!」
ダルが竿を引っ張り上げると、なんと本当に魚が釣れているではないか。
鈴羽「うっわー!すごーい!!本当に釣れたじゃん!」
岡部「なん……だと……?」
糸の先でピチピチと跳ねる魚を、俺はただ呆然と見つめた。
ダル「本当に釣れるとは思わんかった……」
ダルは腰が抜けたらしく、地面に座り込んでいる。
釣れないと思っていた分、これは悔しい。
見返してやらねば。
鈴羽「えっ!?」
岡部「葉っぱだ!葉っぱをかき集めろ!!」
鈴羽「う、うんっ、わかったよ!」
結局それから2時間粘ったが、一匹も魚は釣れなかった。
ダルの釣ったやつも、あまりにやせ細っていてかわいそうだからと、
結局は鈴羽の制止も無視して海に放り投げてやったのだった。
もっとも、俺はその時にひどい目にあったのだが。
ダル「はふぅ、盛大に時間を浪費した気分だお…」
電車のなか、ダルが汗を拭いながら言った。
鈴羽「うん、でもなんか楽しかったよね」
ダル「あー、それは同意」
岡部「なに?終始文句を言っていたくせによく言う……」
ダル「いや、それでも楽しかったって。オカリンが海に落ちたところとか特にな」
電車内のクーラーの風が冷たい。
未だに服が身体に張り付いて気持ち悪い。
磯の香りがする。
友情ルートなら男性に需要あるよな十分
岡部は言うまでもなく超人気キャラだが、橋田も人気だし
ダル「うそつけー! あん時のオカリンの顔、一生忘れないお」
鈴羽「あっははは!」
ダル「でも、オカリンがこんなに面白い奴だと思わなかったお、プークスクス」
岡部「くっ………お、お前たち!笑うなっ!!」
俺達は、秋葉原駅について、俺を除いてそれぞれがいい気分のまま解散した。
もちろん、この神社の宮司の息子、漆原るか。
通称、ルカ子の行っている“修行”の進捗状況を見るためにだ。
岡部「今日もご苦労な事だな、ルカ子よ」
ルカ子は今日も今日とて、このいじめのような、殺人的な日差しの下で健気にも掃き掃除に汗を流していた。
しかしそれは、日に焼けてはおらず、相変わらずに透き通るような白を称えている。
るか「あ……っ! おかべ……じゃなかった、凶真さん!」
俺に気付いたルカ子が掃除の手を止め、こちらにスイスイと寄ってくる。
その立ち振る舞いは、巫女そのもの。
実に神聖でいて優雅だった。
だが男だ。
岡部「うむ、ルカ子よ。そういえば、昨日は素振りのメールが無かったが……」
るか「あっ……すいません……」
ルカ子が、狭い肩をがっくりと落とした。
岡部「そうだったのか」
なるほど、神社を空けられなかったということか。
岡部「……ならば仕方がないな」
るか「本当にすみません……」
うなだれるルカ子の頭に、ポンと手を置いてやる。
岡部「いや、気にする事はない。 昨日出来なかった分、今日やればいい話だ」
るか「は、はいっ!ありがとうございます…っ!」
実に可愛い弟子だ。
可愛いというのは可愛いではなくて、弟子に対する可愛いなのだが。
るか「そうだ、凶真さん!良かったらお茶でも飲んで行きませんか?」
ナニーッ!?
岡部「お……お茶……だと……? いやいい!」
今日は随分、いきなりかましてきたな!
ルカ子が大声をあげてビックリする。
俺もそれにビックリした。
岡部「いっ、いや……この後寄るところがあってな……」
るか「そうなんですかぁ……」
またもやルカ子が肩を落とした。
このルカ子の出す、漆原家のお茶が非常にまずい。
不味いのではなく、色々な意味でマズい。
とにかく危険なのだ。
先日、俺がこれを飲んだ時など、一日中身体の火照りが治まらず、
しまいにはダルの尻にまでアレしてしまったくらいなのだ。
無論、思ってても行かなかったわけだが。
しかし、あの時俺が昏倒していなければどうなっていた事か。
思い返してみてもゾッとする。
るか「……っ」
ルカ子は去りゆく俺を、なぜか恨めしそうに見つめていた。
後ろ髪を引かれる、とはこの事だろうか。
だが男だ。
目が合うなり、いきなり俺に飛びついてくる。
岡部「ぐあっ! フェイリス!離れろッ!」
フェイリス「イヤニャイヤニャア~! 凶真ぁ、ニャフフぅ~」
フェイリスがだだをこねながら、おもむろに胸を押し当ててくる。
岡部「こらやめろ! 当たっているぞ!」
まゆり以上に華奢なロリっぽい見た目に対して、この肉感は反則だっ!
即刻離れて貰わねば、大惨事を巻き起こす事になるかも。
フェイリス「えっ? 何がニャ?」
フェイリスが目を丸めて見上げてくる。
岡部「な、何って……」
そこでフェイリスが、何かをひらめいたかのように、ニヤリと意地悪そうな笑みを浮かべた。
フェイリス「……そうだニャ、何が当たってるか、凶真のお口から言えたら離してあげるニャ?」
この状況はそうとしか思えない。
依然としてフェイリスは胸を押し当ててくる。
やわらかい。
周囲の客が、一様にギロリと俺を睨んでいた。
まずい。
完全にアウェーなうえ、しかもそこでマウントを取られたような気分だ。
なんとかしなければ………あ、そうだ。
岡部「フェイリス、いいから離せ! こんな状況、アイツが見たら悲しむぞ……」
正しくは、こんな間抜けな状況。
フェイリス「アイツって………ハッ!」
とっさに口から出任せを言ってやると、フェイリスはハッとして身を離した。
どうやら、上手くいったようだな。
フェイリス「も、もしかして……フェイリスのお兄ちゃん……?」
俺はその隙を見計らって、メイクイーンの店内に視線を巡らせる。
すると、奥の席に、先ほど俺がメールで呼び出したダルの姿が見えた。
フェイリス「ま、まさか……フェイリスのお兄ちゃんが聖域から戻ってきた……ニャムッ」
俺の左手がフェイリスの口を塞ぎ、これ以上の妄想発言を抑える。
俺は、右手の人差し指を自らの口に添えて、フェイリスに静かにするよう促した。
そうして、俺もあえて小声になり、目だけで辺りを見回しながらフェイリスに伝えてやる。
岡部「今アイツの話を出すのは危険だ……後でメールで詳しく話してやる」
フェイリス「……そ、そうだったニャ。凶真、お願いするニャン。 魔王の手下がどこで聞いてるかわからないしニャ……」
いねえよ。
思わず突っ込みそうになるのをグッとこらえる。
まず、魔王の手下などは少なくともこの秋葉原には来ないであろう。
岡部「ああわかった、約束しよう」
フェイリス「ありがとニャ、凶真♪ フェイリスが頼れるのは凶真だけニャ」
しかし、今はダルと話すことが先決。
岡部「なあ、フェイリス。ダルが先に来てるだろう? 今はそっちに通してくれないか」
フェイリス「わかったニャ♪ご主人様一名、ご案内ニャンニャン!」
俺は、案内しようとするフェイリスのからみつく攻撃を交わし、店の奥へと向かった。
背後からフェイリスのわめきが聞こえるが、無視する。
岡部「ダルよ、待たせたな」
ダルは窓際の席に座ったまま視線を逸らし、不機嫌そうな顔をしている。
ダル「オカリン、いきなりフェイリスたんと絡みつきやがって。 許さない。絶対にだ」
ふてくされているダルの前に腰を下ろすと、向こうからヤツが睨みつけてくる。
岡部「冗談ではない。俺だってやりたくてやっている訳ではないのだ…」
ダルの目の前に置かれたコップをひったくり、一口水をあおった。
岡部「うぐっ……お前まで気持ち悪い事を言うな!」
身を乗り出して、ダルの頭をひっぱたいてやった。
ダル「いてて、冗談だお…」
岡部「今の俺には……この世界線では、何が冗談で何がそうでないのか、さっぱりわからんのだ…」
そして、変わらないのはダル、お前のみ。
ダル「サーセン。 それよりそれって、前にオカリンが言ってたやつだろ?」
ダルが帽子の位置を直しながら聞き返してくる。
俺はテーブルにひじを突いて、頭を抱えた。
岡部「……ああ、やはり皆の様子がおかしい」
ありえない。
前いた場所では、こんな事などあるはずがないのに。
俺は、なんだなんだ、と両手でそれを掴む。
顔を上げるとダルがあわあわとしている。
岡部「ん?」
フェイリス「あん、凶真ったらぁ……えっちだニャ……」
岡部「うぐおッ!!!」
見ると、フェイリスが自らの胸を俺の頭の上に乗せてきていた。
フェイリス「凶真、それって……ん、いやんっ……なんの話ニャ?」
やっぱりおかしい。
岡部「やめろやめろ! 何の話でもない、あっちへ行っていろ!」
フェイリス「ニャウーッ……凶真ったら、ノリが悪いニャ~」
俺はネコ娘メイドの悪質な精神攻撃を振り払う。
するとフェイリスは、そのままカウンターの方へヒョイヒョイと去っていってしまった。
俺は改めてダルに向き直る。
岡部「な? 明らかにおかし――」
言おうとして、ダルが両手を差し出している事に気がついた。
ダル「オカリン、握手してくださいお願いします」
ダル「い、いま触ってたよな、オカリン……」
触ってたって……あ。
岡部「ばっ、馬鹿者ッ!! あんなものに惑わされるな!」
ダル「触ってたのは触ってたろ? オカリン頼むお……僕、握手してくれたらオカリンの話を信じる」
岡部「なにっ!?」
……仕方があるまい……まあ、この世界線で頼れるのはダルだけなのだし。
岡部「くっ………ほら」
ダルに向けて手を差し出してやる。
ダル「あ、あざーす!」
いうが早いか握るが早いか、ダルが俺の手を取って、手の平をためつすがめつ眺めている。
ふと、隣のテーブルの奴と目があった。
岡部「お、おいダル、いい加減に離してもらおうか?」
ダル「ちぇー、オカリンだけずるいお……フェイリスたんの、な、生おっぱいなんて…」
岡部「うるさい! あれは不可抗力だ! それに生ではないわ、この馬鹿が!」
ダルの手を振り払うと、奴は“あうう”ともの惜しげなため息をついた。
結論から言う。
岡部「それで……これってやっぱりセクハラ……だよな?」
ダル「は?」
岡部「いや、一昨日の紅莉栖の尻タッチやらまゆりの歯ブラシ泥棒やら…」
その他、鈴羽のストーカーやら、今日に至ってはルカ子が薬を盛ろうとしてきた事やらも、ダルに説明してやった。
岡部「それで、フェイリスもあの様子だ。 正直、尻の座りが悪くてかなわん……」
必死に冷静を装うとして、現実から目を背けてきたが、もう限界だ。
以前と変わらないのはダルのみ。
そう思ってダルに告白してみたものの、当のダルはキョトンとしてしまっている。
すがる思いだったのだが、ダルから発せられた言葉は意外なものだった。
ダル「それ、なんてエロゲ?」
なに……?
なんだと………!?
岡部「き、貴様ぁッ! 俺が真剣に悩んでいるというのに!」
手の平でテーブルをバンバンと叩く。
周囲の客からどよめきが起こった。
そう言うと、ダルも真剣な顔になってかぶりを振る。
ダル「でもさ、僕から見たら様子が一番変なのはオカリンだお?」
岡部「なに……?」
ダル「いや、ここ数日は、オカリンがまるで別人みたいじゃん。昨日とか釣りに行くとか言い出してさ」
岡部「……俺が……別人?」
薄々感づいてはいたが…やはりそうか。
そう言えば、皆がおかしくなってから、その事についてダルに話したことはあれど、
結局それだけで話は終わってしまい、俺自身の事について話したことはなかったのだった。
ダル「そ。僕ぁてっきりオカリンが改心したんだと思ってたけど」
岡部「改心……か。 な、なあ、ダル。 以前の俺って、どんなだったのだ?」
俺がDメールによって、ここに来る以前の岡部倫太郎について聞きたいのだ。
ダル「んー?」
ダルがなんとも不思議なものをみた顔をして見つめてくる。
無理もない。
本人から自分の事を聞かせてくれ、など、普通はあまりない会話だ。
ダル「なに? まさか覚えてないん?」
岡部「そんなところだ……」
ぶっちゃけ、何も覚えていない。
ダル「ふむう。 あんま信じらんねーけど。 うーん、そうだなぁ…」
ダルが腕を組みながら考える。
ダル「……前のオカリンは、とにかく女の子全員をクドいてたお?そらもう、手当たり次第に」
岡部「なん…………だと……?」
俺が女を口説いていた、だと?
岡部「……」
……今の俺は子供っぽいと見られていたのか。
ダル「さっきのフェイリスたんの下りみたいなバカ話も、まともにしなかったんだぜ?」
岡部「そう……なのか?」
ダル「そうだお。 なんていうか、リア充すぎて別の世界で生きてる、みてーな」
岡部「……」
ダルが思い出したように手を打った。
ダル「そうそう、ATFでの講義中にもかかわらず牧瀬氏を口説きにかかった時があったろ?」
岡部「………なに!!?」
ダル「あれにはさすがに頭が下がったっつーか、こいつアホだと心底思ったっつーか……」
アホだ……心底。
俺は一体、どうしてしまったというのだろうか。
どんなDメールが、俺をそのような救いようのないアホへと変えてしまったというのか!
俺はだんだんイライラしてきて、自分の膝を叩く。
その痛みで少し冷静に戻った。
いや……まさか……アレなのか?
だとしたら、俺は……馬鹿だ。
ダル「あ、おおう。 やっぱりオカリン様子が変なのだぜ?大丈夫かお?」
今度は打って変わって、心配そうに俺を見つめてくる。
岡部「ああ……わざわざすまなかったな……」
そう言って立ち上がろうとした時、ダルが声を掛けてくる。
ダル「オカリン?」
岡部「なんだ?」
ダル「まだ半信半疑だけど、本当にオカリンが前のオカリンと違うならさ」
岡部「ん?」
ダル「僕は今のオカリンの方が好きだお」
意味を考えて、思わず赤面してしまう。
岡部「なっ、ダルッ!? お前、なにを馬鹿な事を……!」
ダル「いや、深い意味はないって。 そのまんまの意味だろ」
ダル「オカリンはアホより馬鹿の方が断然いいのだぜ?」
岡部「ぐぬぬ……」
俺はダルに背を向ける。
そんな時、ダルから声がかけられた。
ダル「オカリンは、また別の世界線へ行っちゃうのかお?」
………。
岡部「……あとでラボに来い。Dメールを使う」
ダル「そう、わかった。 それじゃ後で」
振り返らずにそう伝え、俺はメイクイーンを出た。
ダルが先ほど言ってくれた言葉に、この世界線で不確かな存在である“俺”というものが、少しだけ許されたような気がした。
考えられるのは、あの時。
前世界線のダルと、過去改変について何をしようかと迷っていたとき、
当時14歳でレトロゲームにハマっていた俺が、念願かなってようやく叔父から借りられた、
ファミコンとドラクエ1・2のセット。
それを何を思ったのか、14歳の岡部少年に、Dメールでラスボス直前の、
“ふっかつのじゅもん”を送ってみようず、という話になったのだった。
俺とダルは連日連夜、旧ドラクエをプレイし、ようやく最強のふっかつのじゅもんを入手。
それを迷いもなく過去の俺の携帯に送信していたのだ。
そんなに傷ついたのか、俺。
人格が変わるほどに。
すまなかったな……。
などと、知りもしない岡部倫太郎を思い浮かべて感傷的になってしまう。
しかし、俺のいるべきところはここではない。
正直、そんなものは見たくなかった。
クリスティーナはクリスティーナであって、この俺の助手なのだ。
間違っても助手の痴態など、誰が見たいものか。
それに、まゆりは盗みなどしない。
あいつはいつでも純粋で純朴で、ラボの中でも微笑んでくれていて。
バイト戦士は、気さくは気さくだが、決して他人の深いところまで踏み込んではこない。
ルカ子は真面目で可愛くて、あんな卑怯な手段など使わない。
フェイリスはあれで、よく考えていて、あんな浅はかなことはしない。
ダルの事は残念だが、さっきの話で、どこに行ってもダルはダルだと確信出来た。
だから俺は。
―――元の世界を取り戻す。
それだけが、俺の望むところなのだ。
と、考えていたところでラボのドアが開いた。
ダル「オカリン、Dメールの内容は考えたのかお?」
ダルは入ってくるなり、そう訊いてきた。
こいつは、信じる信じないにせよ、俺を全て理解してくれているのだな。
胸の中に、どこか暖かさを感じる。
先ほどの感傷を振り払うべく、俺はかぶりを振った。
岡部「こいつを送れば……世界は変わる」
ダル「そっか、よくわかんねーけど、なんか残念だお」
研究室の椅子に座ったダルが、肩を落としてそう呟く。
岡部「……そんなに残念か? 馬鹿な俺が」
ダル「うん、せっかくオカリンと解り合えたっつーか、言いたいこと言い合えるようになった気がするのに」
岡部「……すまなかったな」
ダル「いや、気にすんなよ。前のオカリンも嫌いじゃないし、きっとまた仲良くするって」
岡部「ダル…」
……俺たちはこの先もずっとこうなのだろう、と。
そうあってほしい、と願う。
どこへいっても、どんな未来でも。
死ぬまで、俺の親友。
その様は伊達政宗と片倉景綱の如く。
ダル「うへっ、オカリンきもちわりー!」
ダルが吹き出す。
岡部「なっ、貴様ッ! せっかくこの俺が…!」
走り寄って、ダルの頭をひっぱたいてやる。
ダル「いてっ、やめろってオカリン!」
岡部「お前がからかうからだ!」
ダル「いや、でも……ぷっ……あはははは」
ダルがでかい腹を抱えて笑い出す。
岡部「……っ。 くくく…はははは!」
俺もそれにつられるようにして、笑いが止まらなくなった。
それから、しばらく笑いあう。
ラボの中で、うんざりするほど暑苦しくも、男二人。
ようやく落ち着いた俺たちは、X68000へと向き合う。
ダルは俺の言葉に、PCの画面から目を離さず、ただ黙ってサムアップして見せた。
岡部「それじゃあ……………いくぞッ!電話レンジ(仮)起動だ!!」
電話レンジ(仮)が、激しく放電を開始する。
その時、振り返ったダルの眼鏡は青白い閃光が反射していてよく見えなかったが、
一抹の寂しさを称えているように見えた。
ダル「オカリン……また、あっちで会おうぜ?」
岡部「………ああ」
俺は―――。
送信ボタンに―――。
―――力を込めた。
ここは未来ガジェット研究所のラボだ。
相変わらず、俺はダルと一緒に、PCの画面をただぼんやりと眺めていた。
腹がぐるると鳴る。
岡部「うう……む」
時刻は正午。
俺は、戻って来られたのだろうか?
そんな時、ダルがPCを見ながら呟く。
ダル「うーん、やっぱ見つかんねえッス……チキショー。やっぱ駄目だわ、オカリン」
どうやら、ダルは今流行りのアニメのコスプレ画像を検索していたらしく、
俺も馬鹿らしくも、それに付き合っていたようだ。
思わず、自分の馬鹿な選択に吹き出しそうになる。
ダル「ん。 なんだお?」
岡部「ダル……ここらで一時中断して、サンボにでも行かないか?腹が減ってしょうがない」
ダルはPC画面からは振り返らない。
相変わらず、検索結果を上から下へと忙しく視線を走り回らせている。
ダル「えっ? んー、まあ、腹は減ってるわけだが……」
岡部「そうだろう? ……今日はな、なんとこの俺がおごってやろう」
ダルがビックリして振り返ってくる。
眼鏡の奥の、つぶらな瞳がギョッとしている。
無理もない。
ケチな俺がおごるなんて言ったのだからな。
ダル「え……それマジで?」
岡部「……ああ、マジだ」
そして立ち並ぶビルが吐き出す排気熱も相まってか、相変わらずのクソみたいな蒸し暑さであって。
馬鹿馬鹿しい生活を続ける俺たちをまるでだめ押しするかのように、いつまでも熱し続けていく。
アスファルトには、細い影と太い影がふたつ。
俺たちは、遠くに見える陽炎に、そのうち段々と包まれて消えて――。
http://www.youtube.com/watch?v=xPmG8fKtpNs&sns=em
岡部「あー………ダルよ?」
ダル「ん? なんぞ、オカリン」
岡部「あ、いや……“お前”がラボにいてくれて良かったよ。 つくづくそう思う」
ダル「うへっ、オカリンきもちわりー!」
おわり。
数々のご支援に感謝します!
乙!
良ければまた書いてくんろ
>>102
\禿同/
Entry ⇒ 2012.01.19 | Category ⇒ シュタインズゲートSS | Comments (0) | Trackbacks (0)
岡部「左義長……だと?」
まゆり「う、うんっ! 二人で街を歩いてたらね、急に……」
ここは日本の、しかも秋葉原だぞ。 日は暮れたとはいえ、人通りは途切れない。
――誘拐。
そんな目立ちまくるような犯行が、おいそれとうまくいったりするのだろうか?
まゆり「みんな覆面で顔を隠してたけど、多分、ファンクラブの人たちだと思う……」
岡部 「ファンクラブ!?」
だとしたら、今頃ひどい目にあわされているかもしれない!
ダルが喜びそうなシチュエーションだが。
と、馬鹿な事を考えている場合じゃなかった。
頭を振って、変な想像を振り払う。
まゆりは息を切らせながら、だんだんと目には涙を溜め始めた。
まゆり「違うの。男の子たちが作った、るかくんのファンクラブだよ……」
岡部 「な、なんだってー!?」
色々ととんでもない事になっているな!
おかしいだろ、ルカ子は男だ。
いやしかし……。
あの容貌に、あの性格。
人によっては、ルカ子を女よりも魅力的に感じる者もいるだろう。
そんな奴らが、奥ゆかしいルカ子に、とうとう我慢ならずに誘拐した?
もし本当にそうだとしたら、ルカ子はもっとひどい目にあわされる可能性がある。
ルカ子は痛々しいくらいに儚げで、かなり大人しい。
抵抗は出来ないだろう。
るか 『やっ……やめて、ください……っ!』
残酷すぎるビジョンが脳裏に浮かぶ。
岡部 「くっ……!」
反面、俺の顔からは血が引いていく。
きっと、端から見れば真っ青になっているだろう。
緊張から、手にはヒヤリと冷たい汗をかいていて。
俺は、上着の裾をギュッと握った。
なんて卑劣な。
下劣なクソガキどもめ。
絶対に許さない。
岡部 「まゆり! ルカ子がさらわれたのはいつ頃だ!?」
まゆり「え、えっと……!」
まゆりが、自分の腕時計に目を落とす。
まゆり「10分、くらい前だよ」
10分……か。
岡部 「……まだそう遠くへは行っていないな」
とりあえず、そのような犯罪者集団が、ルカ子をさらったうえで
電車やバスなどの交通機関を利用するとは考えにくい。
まゆりから詳しく聞くと、ルカ子を担いだ連中は、神田明神通りから路地裏に逃げ込んだらしい。
そうなると、この付近に潜伏している可能性が高い。
ダル 「あっつぅー。死ぬー」
ふと、玄関の影からダルが姿を現した。
ここまで走ってきたのか、汗だくだ。
フェイリスの顔写真がプリントされた団扇で、せわしなく顔を扇いでいる。
岡部 「ダル!」
ダルには、ルカ子がさらわれたと聞いてすぐに、メールで召集をかけてあった。
ダル 「状況は理解してるのだぜ」
ダルはそう言うと、研究室に入ってPCを起動している。
ダル 「とりあえず僕は、るか氏の携帯の電波を追って、場所を特定してみるお」
岡部 「わかった。頼んだぞ、ダル。 俺は今からルカ子を探しに行く」
ダル 「オーキードーキー。任せとけって」
まゆり「ま、まゆしぃも行くよ!」
岡部 「……いや、まゆりはここに待機していろ」
まゆり「で、でも……」
まゆりが、俺の腕にしがみついてきた。
既にその顔は、涙でボロボロになっている。
岡部 「ここは俺を信じろ、まゆり」
一緒に行けば、まゆりまでどうにかなってしまうかもしれない。
危険な目にあわせたくない。
心配そうな顔のまゆりを安心させるため、俺はその肩をポンポンとたたいた。
岡部 「まゆりよ」
まゆり「……?」
岡部 「お前は随時、ダルの情報をケータイから伝えてくれ。大事な役割だ」
まゆり「わ、わかった……。オカリン、無茶しないでね……?」
岡部 「わかっている。 それじゃあダル、頼んだぞ!」
ダル 「いいから、さっさと行けっつーの!」
ダルに急かされ、ラボを飛び出す。
蒸し暑い。
薄暗い、ブラウン管の明かりだけが頼りの店内。
その奥で、ムキムキのオッサンが頭に汗をかきながらラーメンを啜っている。
岡部 「ミスターブラウン!」
天王寺「なんだ、岡部かよ」
店長は、こっちを見ようともしない。
自然と、俺の声はトーンを上げた。
岡部 「至急、この秋葉原を封鎖してほしい!」
天王寺「あ?」
そうまで言っても、まだ振り返ろうとしない。
岡部 「FB!」
俺はカウンターに手を突いて、店の奥の大男に向けて頭を下げた。
天王寺「……M3としての用件か?」
天王寺「詳しく話してみろや」
俺は、ルカ子がさらわれた事、そしてその実行犯たちが、まだこの辺りに潜伏している可能性が高い事
現在、ダルがその位置の特定を急いでいる事を説明した。
その間FBは、話に割り込む事もなく、黙って話を聞いていた。
岡部 「お願いだ……! 時間稼ぎさえしてもらえれば……場所が特定出来る――」
岡部 「……っ!?」
急に、胸ぐらを掴まれ。
そのまま、上半身をすごい力で引っ張り起こされる。
俺は、たまらず呻いた。
天王寺「ナメてんのか?コラ」
額がぶつかりそうな距離から、FBが冷めた視線で睨みつけてきていて。
天王寺「そりゃてめぇ、完全に私用じゃねえかよ……」
天王寺「そんなもんに、ラウンダーを回せると思ったのか? ああ?」
さっきまで汗だくだった顔からは、完全に汗が引いている。
危険な、鋭さがあった。
岡部 「……くっ。 そこを何とか、お願い……します」
岡部 「大切な……仲間なんです」
ルカ子を助け出す。
たとえ反則技を使ったとしても、だ。
引き下がるつもりはない。
岡部 「お願いします……!」
俺はFBの視線を真っ直ぐに受け止めて、ギロリと睨み返す。
ふと、店長が舌打ちをして。
ギリリと握られていた、俺の胸ぐらが解放される。
天王寺「……時間稼ぎだけだ」
岡部 「……っ!」
天王寺「ここで、ラウンダーどもを派手に動かしすぎる訳にはいかねぇ」
天王寺「だから、始末はてめぇでつけやがれ。 いいな?」
俺は回れ右をして、出口に向かう。
と、背後から―――。
天王寺「ヘマすんなよ。 下手したら、てめぇを処分しなきゃならねぇ」
心配してくれているのか、FBが忠告を飛ばしてきた。
残念ながら、オッサンのツンデレには興味が無い。
俺は、店のドアを乱暴に押し開けながら、手を挙げて応えた。
心配は要らない。
ルカ子と、実行犯さえ確保出来れば問題はない。
どうせ、全て終わった頃には、無かった事になっているのだから。
既に、秋葉原駅の前は騒然としていた。
どうやら電車が止まっているらしい。
駅前の広場には、駅に入れず立ち往生している者や、急遽、電車から降ろされた者たちでごった返していた。
状況が状況だけに、そこかしこから怒声が上がっている。
結構大事になっているようだ。
萌郁 「M3……!」
人ごみの中から、それをかき分けるようにして出てきた萌郁が走り寄ってくる。
俺は立ち止まらず、萌郁もそれにあわせて併走した。
岡部 「M4か。首尾はどうだ?」
萌郁 「問題ない。電車は止めた。 車道の方は検問をかけているみたい」
萌郁 「封鎖は、ほぼ完了しつつあるわ」
岡部 「そうか、よくやった」
ラウンダーたちが上手くやってくれたらしい。
これで、奴らもそう簡単に街を出ることは出来ないだろう。
岡部 「M4、銃を」
萌郁 「なっ……」
岡部 「早く渡せ!」
萌郁 「な、何が起こってるの?」
声を荒げながらも、俺の心にはまだ他人を見やるほどの余裕があった。
隣を走る萌郁は、頬が上気していて。
その様子からは、だんだんと息が上がってきているのが見て取れた。
残念だが、萌郁にこのまま付いて来られても、足手まといにしかならないだろう。
岡部 「後で話す。 お前は先に帰っていろ」
萌郁 「わ、わかった……」
萌郁が、シャツの下から銃を取り出し、辺りを見回しながら慎重に差し出してくる。
俺が銃を受け取ると、萌郁はそこで立ち止まり、人ごみの中へと消えていった。
後で話すと言ったが、そんな事はない。
多分、そんな状況は永遠に来ない。
なにせ、お前には何があったのかすら理解出来ないだろうから。
さっきから走り続けているが、疲れは感じない。
しかし―――
いない。
ここにもいない。
ルカ子の姿を見つける事が出来ない。
一旦、引き返すべきだろうか。
そう思って立ち止まり、周囲に視線を走らせてみた。
空にはまだ藍色に橙色が入り混じっているものの、すっかり日は落ちて、大分暗くなってしまっている。
駅前が煌々とライトアップされ始めた。
まずいな……。
あれから、どれくらい時間が経った?
街を封鎖した事で、アドバンテージはこちらにあるものの、そもそもルカ子は無事なんだろうか。
こうしている間にも、ルカ子は助けを待っている。
数人のバカどもに囲まれて、死ぬほど怖い思いをしながら。
ルカ子の恐怖を想像して、鼻の奥がツンとするが、眉間に力を込めてこらえた。
……いや、待て。イライラするな。
冷静になれ。
そして、立ち止まっている場合ではない。 引き返している場合でもない。
今、俺のやるべき事は一つ。
ルカ子を見つけ出す。
そして、浅はかなクソガキどもに地獄を見せてやるのだ。
俺は、額に滲んでいた汗を拭い。
再び駆け出そうと、息を整えた。
俺は、すぐさまケータイを取り出して耳に添える。
まゆり『もしもし、オカリン?』
まゆりの声の向こうでは、ダルの興奮しきったような奇声が聞こえる。
岡部 「まゆりか!」
まゆり『うん! るかくんの居場所がわかったよ!』
岡部 「よし、すぐに教えてくれ!」
まゆり『で、でも……』
まゆりが言い淀む。
岡部 「なんだ? どうした?」
まゆり『オカリン、一人で危ない事しちゃ、ヤダよぅ……』
スピーカーからは、まゆりの泣き出しそうな声。
俺は、安心させるために、穏やかな声で話してやる。
まゆり『そ、そうなの……?』
岡部 「ああ、だから早く居場所を教えてくれ」
まゆり『わ、わかったよ……約束だからね? えっと―――』
この薄暗い雑居ビルの一室に、ルカ子は監禁されていた。
その周りを、見知らぬ男達が囲っている。
ドアが壊れる音に驚き、全員が一様にポカンとしてこちらを見つめてきた。
誘拐犯A「な、なんだお前は!」
男の一人がようやく声を発すると、他の連中からもどよめきが起こる。
見たところ、5人は居るようだ。
るか 「お、岡部さんっ!」
部屋の角に、身体を縛られたルカ子が座り込んでいて。
俺の姿を確認すると、堰を切ったように涙を流し始めた。
よかった。
見たところ、まだ何もされていないみたいだ。
安堵。
そしてすぐさま、怒りがわいてくる。
こいつら、揃いも揃って何てことをしやがる。
岡部 「……お前たち、よくも、うちのルカ子を怖がらせてくれたな?」
一人ひとり、睨みつけてやり。
岡部 「こんのぉ……HENTAIどもめがッ!」
大声で怒鳴ってやると、男たちがたじろいだ。
誘拐犯A「うっ……てめぇ、漆原の何なんだよ……か、彼氏か?」
るか 「……っ!」
またもや、部屋の中にどよめきが起こる。
この連中、かなりバカっぽい。
ルカ子は何故かうなだれてしまっているし。
岡部 「………いいや、仲間だ」
誘拐犯B「はは、ルカニャンを助けるために来たってのか?」
岡部 「ルカニャンって言うな!」
誘拐犯B「っ!」
そう言って鼻で笑った一人が、歩み寄ってくる。
誘拐犯A「おい、お前ら!」
それに続いて、部屋の真ん中に躍り出ていた俺を、男たちが取り囲んだ。
皆がニヤニヤとこちらを見ている。
その中の一人の手には、ナイフらしきものが光っていた。
誘拐犯C「おら、死にたく無かったらさっさと跪けや、コラ」
こいつだけが特にヘラヘラと笑っていて、やたらとかんに障る。
天井からパラパラと何かが落ちてくる。
すると、それぞれから悲鳴があがり、何人かは腰を抜かしてその場に這いつくばった。
ルカ子も信じられないと言った顔で、ブルブルと震えている。
岡部 「逃げようとしたら殺す。次に声を上げても殺す。 それと、お前」
淡々と言いながら銃口を向けてやると、ナイフを持っていた男がわなわなとそれを落とした。
岡部 「ふむ、物わかりがよくて助かる」
岡部 「さて、全員窓際に並んでもらおうか?」
俺の指示に従い、さっきまでのにやけ面を失った男たちはそそくさと窓際に列を作った。
ルカ子を縛っていたロープを切って解放してやる。
るか 「お、岡部……さん?」
岡部 「ルカ子……待たせたな」
るか 「あ、い、いえっ! そ、それより……その人たちを……」
ルカ子が涙目で、男たちを振り返る。
岡部 「……ああ、安心しろ。殺したりはしないさ」
俺の発言に、全員がビクリとした。
岡部 「だがしかし!」
また、連中が揃って震え上がる。
るか 「えっ……!?」
それにこいつらは、あろうことか実際に誘拐までやってのけた連中だ。
ルカ子に危害を加えた事実に変わりはない。
岡部 「ファンならファンらしく、遠くから応援していれば良かったものを……ククク」
俺は、窓際に立たされた5人に歩み寄った。
全員が、背筋を伸ばして息を呑んでいる。
俺は冷ややかに笑って、ナイフを持っていた男の顎を掴んだ。
誘拐犯C「な、何を……」
岡部 「喜べ。 今回、貴様だけは無傷で帰してやろう」
誘拐犯C「えっ……?」
男たちが不安そうにキョロキョロと顔を見合わせた。
ルカ子は俺の腕にしがみついている。
岡部 「だから、心配するな。こいつらを、お前から少し遠ざけるだけだ」
るか 「っ……」
それだけ伝えて、俺は、目の前の男の瞳を深く覗き込んだ。
誘拐犯C「……っ」
怯えた光が、こちらを見据えてくる。
岡部 「……これで終わりだ」
その真ん中には、ポカンと黒く、瞳孔が開いている。
岡部 「お前らとは、もう二度と、会うこともなかろう」
男の息が、まるで獣のように速くなっていく。
誘拐犯C「…………っ!」
その瞳孔から染み出すように、漆黒が俺の視界一杯に広がっていき。
耳なりが激しくなると。
俺の意識は、その闇に飲み込まれていった―――。
両目には、指で力一杯に押さえつけられたような痛み。
たまらず、何度も目をしばたたかせる。
頭蓋の中でスクリューが回っているような気持ち悪さ。
めまいが激しく、足許がおぼつかない。
顔からは、脂汗が一気に噴き出して。
そして、数秒も経たないうちに、不快感の渦は遠のいていく。
グニャリと歪んだ視界が、波をうって元に戻った。
ふらついていた足にも、ようやく力が入り。
俺は、堅いアスファルトを踏みしめる。
ここは……路地裏、のようだ。
まだ、空には日がある。
どうやら、上手くいったようだ。
ハッキング・シュタイナーが発動した。
誘拐犯B「おい、大丈夫かよ?」
覆面を被った男の一人が声をかけてきて。
その間抜けな格好に、俺は思わずマスクの下でニヤけていた。
誘拐犯C「……いいや? 大丈夫だ。問題ない」
誘拐犯B「そ、そうか? やけにフラフラしてたけど……」
路地裏から顔を出して、通りを窺っていた男が声を上げた。
男の指差す方に目をやると、まゆりとルカ子が談笑しながら歩いている姿が見える。
誘拐犯B「お、おっしゃ。 いいな、お前ら?」
誘拐犯A「おう。今なら人目も無いし、さっさと行こうぜ」
今にも駆け出そうとする男達。
俺はポケットを探って。
誘拐犯C「なあ、お前たち―――」
ナイフを、取り出した。
まゆり「うわぁ……」
るか 「こ、怖い、です……」
まゆり「ねぇねぇ、オカリン。この辺、大変な事になってるみたいだよ」
テレビの内容は聞こえていた。
なんでも、路地裏で4人が刺されたらしい。
岡部 「……えらく物騒な世の中だな」
岡部 「まゆりもルカ子も気をつけるように」
まゆり「う、うん……」
るか 「わかりました……」
二人は頷くと、またテレビに視線を釘付けにした。
紅莉栖「ちょ、岡部。なによそれ」
岡部 「え?」
紅莉栖「左義長の炎に、そんなもの入れていいの?」
紅莉栖「……これって、お正月で使った飾りやなんかを燃やすのよね」
岡部 「いや、知らん」
紅莉栖「知らん、って……」
紅莉栖「……ははぁ? あれ、さてはあんたの厨二ノートだろ?」
岡部 「ぐぬっ……!」
紅莉栖「やっぱり図星か。 ね、岡部。拾ってきて?」
岡部 「いや待て! こ、殺す気か!?」
紅莉栖「……いいから、拾ってこい」
岡部 「……はい、行かせていただきます」
おわり
Entry ⇒ 2012.01.17 | Category ⇒ シュタインズゲートSS | Comments (0) | Trackbacks (0)
岡部「紅莉栖をひたすら愛で続けたらどうなるか」
岡部「なんだ助手」
紅莉栖「………」
岡部「…………なんだ、紅莉栖」
紅莉栖「28回」
岡部「は?」
紅莉栖「今日、岡部が私以外の女の子とスキンシップした回数」
岡部「はあっ!?」
紅莉栖「まゆりと10回、フェイリスさんと13回、桐生さんと2回、漆原さんと3回」
岡部「…………」
紅莉栖「でもベタベタしてた。特にまゆりとフェイリスさん」
岡部「まゆりは幼馴染みなんだ。お互い無意識に肌が触れ合っている時もある。ノーカンだ」
紅莉栖「フェイリスさんは?」
岡部「あれは向こうが勝手に」
紅莉栖「岡部は嫌がってなかった」
岡部「今更拒絶しても仕方ない無駄だろ」
紅莉栖「でも、私以外の女の子と20回以上、スキンシップしたのには変わらないわ。約束よ」
岡部「……わ、わかった」
ぎゅっ
紅莉栖「んっ……」
岡部(1日、紅莉栖以外の女と20以上のスキンシップで10分ハグ、100以上の会話でキス、か……)
岡部(どうしてこうなった)
岡部「なあ、ダル」
ダル「なに、リア充」
岡部「ぐっ、貴様とて彼女持ちだろうが!」
ダル「僕と由季たんは場所をわきまえてイチャコラしてますしおすし」
岡部「そうだったな……その、お前から見てで俺と助手、どう思う?」
ダル「彼女持ちの僕ですらイラ壁するレベル」
岡部「そ、そうか。だがな?最近、助手が俺に対する束縛が酷い気がするのだが……お前の意見を聞きたい」
ダル「いや、それオカリンが悪いっしょ」
岡部「な、なんだと!?」
岡部「き、気持ち悪いだと!?俺は普通にラボメンとしてクリスティーナを」
ダル「今までまゆ氏くらいしか駅まで送ってあげなかったのに、牧瀬氏とは毎日のように一緒に帰ってたじゃん」
岡部「あ、あれはあまりこの地域を知らない助手を考慮して」
ダル「それ以外も何かプレゼント送ったって聞いたし。確かフォークだっけ?」
岡部「な、なぜそれを知っている!?」
ダル「オカリンがいない所でみんなに自慢してたお。そりゃあもう、嬉しそうに」
岡部「そ、そんな事まで……」
ダル「オカリン本気出しすぎだろ……」
岡部「俺、そんなに必死だったのか?」
ダル「そりゃあもう……」
岡部(紅莉栖と再開して早く以前のような関係になろうとしただけなのだが……急ぎ過ぎたか)
ダル「ただでさえ牧瀬氏、最初からオカリンに気があったみたいなのに、オカリンが本気出したせいで一週間しない内に完墜してたお」
岡部「えっ?最初から……」
ダル「うん、最初から。オカリンががっつき過ぎたせいで牧瀬氏の好感度が天元突破したんだお。つまり今の過度な束縛もオカリンのせいじゃね?」
岡部「お、俺が原因なのか」
岡部「か、かの!?……ま、まあそういう事になるが」
ダル「オカリンの周り、無駄にかわいい女の子が多いから牧瀬氏も心配なんでしょ」
岡部「全部ラボメンではないか。それに、それならお前だって同じように周りに女子がいると言える」
ダル「はあ……」
岡部「なんだ!そのため息は!」
ダル「だからオカリンはダメなんだお。とにかく、オカリンはもうちょい牧瀬氏の立場になって考えてみた方がいいと思われ」
岡部「助手の立場で……」
ダル「んじゃ僕、そろそろ由季たんとの約束あるで。じゃあなオカリン。牧瀬氏と末永く爆発してろお」
バタン
岡部「…………」
ガチャ
紅莉栖「ハロー。今日は岡部だけ?」
岡部「まゆりはバイト。ダルは由季さんとデートだそうだ」
紅莉栖「そっか」ポスッ
岡部「………」ススッ
紅莉栖「隣に座ったのになんで間を開けようとするのよ」ズイ
岡部「少し近すぎないか……?」
紅莉栖「私と岡部の関係は?」
岡部「こ、恋人同士だが……」
紅莉栖「なら適性距離よ」
ぎゅっ
岡部「そ、そうか」
ぎゅっ
岡部「冷たっ!……急に手を握るな!」
紅莉栖「外寒かったら……だから温めて」
岡部「………最初からそう言え」
ぎゅっ
紅莉栖「んっ………」
岡部「……随分と冷えているな」
紅莉栖「岡部はあったかいね」
岡部「今日は外に出ていなかったからな」
紅莉栖「ううん、そんなの関係なしに、岡部は暖かいのよ」
ぎゅっ
紅莉栖「あとでもらう。今はもう少しだけ、こうしていたい」
岡部「わ、わかった」
紅莉栖「ありがと……ふふっ」
岡部(こうやって二人きりで過ごしている時は最高なんだかな)
岡部「なあ、クリスティーナよ」
紅莉栖「………」
岡部「紅莉栖」
紅莉栖「なに?」
岡部「その、だな……お前は俺が他のラボメンと会話するのは嫌、か?」
岡部「なら、例の決め事も不要ではないかと」
紅莉栖「却下」
岡部「なぜ!?」
紅莉栖「岡部、自分がいまどんな立場にいるか考えた事ある?」
岡部「どんなって……フッ、無論!世界を混沌へと導く狂気のマッドサイエ」
紅莉栖「かわいい女の子に囲まれたハーレムリア充よ」
岡部「………」
岡部「えっ?」
紅莉栖「………」
岡部「……冗談はよせ、紅莉栖」
紅莉栖「まゆりにフェイリスさん、漆原さん、桐生さん……本当に冗談なら良かったのにね」
岡部「そいつら全員ラボメンではないか!ハーレムなどという俗物と一緒にするでない!……あとさり気なくそこにルカ子を混ぜるな」
紅莉栖「どう見てもハーレムです本当にありがとうございました」
岡部「だから違うと言っている!俺がハーレムならダルやルカ子にだってハーレムだと言えるだろうが」
紅莉栖「ダメだこいつ、早くなんとかしないと」
岡部「きゅ、急にになんだ」
紅莉栖「だからまゆりやフェイリスさん達に岡部を盗られなくない」
岡部「だ、だからあいつらはそういうのではないと」
紅莉栖「岡部はなにも分かってない。まゆり達が岡部の事、どう思っているか分かってない!」
ぎゅっ
岡部「紅莉栖……」
紅莉栖「みんな、岡部の事が大好きなのよ?だから不安になる。もしも岡部が私以外の女の子を好きになったら私は」
岡部「ふっ」
紅莉栖「な、なんで笑うのよ!私は本気で」
岡部「安心しろ。俺がお前以外に現を抜かすなんて有り得ない」
岡部「名前で呼んで欲しいから、か?……その、俺だってまだ名前で呼ぶのは恥ずかしいのだ。許してくれ」
紅莉栖「それも合ってるけど、もう一つ理由がある」
岡部「なんだ?」
紅莉栖「だって『助手』も『クリスティーナ』も前の世界線の私の渾名なんでしょ?」
岡部「それは……」
紅莉栖「けど、リーディングシュタイナーを持たない私からすれば、前の世界線の私は他人のようなもの。私は岡部に『今の私』を見てほしい」
岡部「紅莉栖……」
紅莉栖「ふふっ、私って結構嫉妬深いタイプみたいね。違う世界線の自分にすら嫉妬するなんて」
岡部「済まない……お前の気持ちを知らずに今まで」
紅莉栖「気にしないで。これから、岡部が私をずっと見てくれるならそれでいいわ」
岡部「わかった、必ず約束する」
紅莉栖「……なら、証明して」
ちゅっ
岡部「んっ!?……くり、す……」
紅莉栖「んむ、お、か、べ……んっ」
岡部「なあ、ダル」
ダル「なに、ヤリチン」
岡部「や、やり!?俺は紅莉栖としかしとらんわ!!」
ダル「その牧瀬氏と3日間、ずっとラボに来ないで牧瀬氏のホテルでちゅっちゅしてたんだろ……盛りすぎだろオカリン」
岡部「俺が他の女に靡くのが不安だと言ったから、ずっとあいつの側に居ただけだ」
ダル「でもちゅっちゅはしたんだろ?」
岡部「………否定はしない」
ダル「うわっ、のろけかよ」
岡部「最後まで聞け!……その、以前より悪化したのだ」
ダル「なにが?」
岡部「……俺に対する束縛だ」
ダル「例えば、どんな感じ?」
岡部「寝る時は必ず一緒のベッドで寝ろ、とか」
ダル「…………はっ?」
ダル「………」
岡部「あと、飯を食うときは必ず各おかずを互いに食べさせ合うなどもある」
ダル「」
岡部「紅莉栖の事は確かに好きだが……少々恥ずかしくてな。この前は手を繋いでサンボに入店して、互いに食べさせ合っていたら周りからの視線が凄まじかった。あれは思い出すだけで恐ろしい……」
ダル「なあ」
岡部「なんだ、まだ話の途中だぞ」
ダル「…………もう結婚したら?」
岡部「なにを今更、無論するに決まっているではないか。だが俺はまだ学生だ。今はその時ではない」
ダル「ああ……そう」
岡部「俺が恥ずかしすぎて死にそう」
ダル「あっ、うん……」
岡部「しかも、さっき言ったルールを守らなければペナルティが厳しいのだ」
ダル「一応聞くけど、どんなペナルティなん?」
岡部「搾り取られる」
ダル「わんもあ」
岡部「だから、搾り取られるのだ紅莉栖に一晩中」
ダル「…………そう」
岡部「かわいいからいいけどな!フゥーハハハ!」
ダル(なんかオカリンが壊れた)
紅莉栖「ハロー、岡部♪あと橋田も」
岡部「ああ、紅莉栖か」
ダル「なんかそこはかとなく扱いが雑な気がするお」
紅莉栖「………」ジー
ダル「なあ、オカリン。牧瀬氏がいきなり僕のこと殺気立った目で睨み付けくるんだけど」ヒソヒソ
岡部「……言ったろ、束縛が酷くなったと」ヒソヒソ
ダル「えっ?」
岡部「直に分かる」
紅莉栖「ねえ、橋田。あんな岡部と喋ってた?」
ダル「えっ?……まあ、うん」
紅莉栖「何分くらい?」
ダル「いや、そこまで覚えてないお」
紅莉栖「そう」
岡部「る、ルカ子はともかくダルはノーカンだろ」
紅莉栖「でも、不安なのよ。だから-3点」
岡部「くっ……」
ダル「なあオカリン、なにがなんだかわからない僕に産業で説明よろ」ヒソヒソ
岡部「紅莉栖の機嫌損ねたら減点
-10点でペナルティ
ダルとの会話で-3」
ダル「把握………えっ、ちょっ、待って!なんで僕とオカリンが会話しただけで牧瀬氏の機嫌損ねるん!?」
紅莉栖「男の八割はホモの素質があるらしい……抜かりはないわ」
紅莉栖「岡部……どうして挨拶のハグがなかったの?」
ぎゅっ
岡部「済まない、紅莉栖……これで許してくれるか?」
紅莉栖「うん、-1で許す」
ダル「話、聞いてないし……」
岡部「し、しかし、助手よ」
紅莉栖「-4」
岡部「く、紅莉栖!その、ハグは人前では恥ずかしいから今後は二人きりの時だけにしないか?」
紅莉栖「わかった」
岡部「よかった。あと滅多にこないルカ子はともかく、ダルとの会話で減点するのも止めてくれ」
紅莉栖「考えておく」
岡部「だから言っただろ……」ヒソヒソ
紅莉栖「二人でヒソヒソと……やっぱり橋田には素質が」
ダル「あるあ……ねーよ」
紅莉栖「じゃあ何話してたのよ」
岡部「お、お互い最高の彼女が出来て良かったなと称えあっていたのだ!フゥーハハハ」
ダル「そ、そうだお!いやー由季たんは最高だけど牧瀬氏みたいな女の子が彼女だなんてオカリンも幸せ者だお!」
紅莉栖「えへへ……ありがと」
岡部「いや、良くはないが……しかしどうすれば」ヒソヒソ
ダル「一度ガツンと言ってみればいいんじゃね?彼女の間違いを正すのも彼氏の役目だお」ヒソヒソ
岡部「そ、そうだな、わかった」ヒソヒソ
紅莉栖「岡部の最高の彼女か……ふふっ」
岡部「なあ、紅莉栖」
紅莉栖「なあに、おかべっ」
岡部「その、だな……あの減点方式のルール、止めにしないか?」
岡部「この3日間で俺がお前以外の女に現を抜かさない事は証明した」
紅莉栖「あの時はは、激しかったね……」
岡部「あ、ああ。初めてだったから、上手く出来なくてすまん」
紅莉栖「ううん、いい。私も初めてだったし……その、嬉しかったから」
岡部「そうか、それなら良かった……」
紅莉栖「岡部……」
岡部「紅莉栖……」
ダル「……ゴホン」
岡部「は、話が脱線してしまったな」
紅莉栖「でもそれじゃあ岡部とイチャイチャできないじゃない!」
岡部「えっ?」
ダル「はあ?」
紅莉栖「いや、あっ、その……そういうルールを作っておけば岡部と気兼ねなくイチャイチャできるし、もしルールを破れば岡部と一晩中……好きにできるから」
岡部「わざわざルールがなくてもイチャイチャ出来ると思うが」
紅莉栖「だってその……」
岡部「……仕方ない」
ぎゅっ
紅莉栖「あっ……」
岡部「ルールなんてなくても俺たちはイチャイチャできると証明してやろうではないか」
紅莉栖「ちょっ、まっ、待て!」
ちゅっ
紅莉栖「んっ、んむっ……」クチュクチュ
岡部「んっ、あむっ……んっ」クチュクチュ
ダル「………」
岡部「その、すまなかった」
ダル「……まさか目の前で濃厚なディープキスを見せられるとは思わなかった。僕に彼女がいなければ憤死していたお」
紅莉栖「岡部が好きすぎてつい」
岡部「紅莉栖が愛しすぎてつい」
ダル「ああ………そう」
岡部「だが、安心しろダル!これで俺たちはルールなんて関係なくイチャイチャできるようになったぞ!」
ダル「へぇー」
紅莉栖「えへへ、今日の晩も優しい、ね。倫太郎♪」
岡部「もちろんだよ、紅莉栖」
岡部・紅莉栖「「フゥーハハハ!」」
ダル(……僕らは健全な関係でいこうか、由季たん)
終わり
書き溜ないから遅くてごめんね。なんかネタあったらちょうだい。
読んでくれた人、保守してくれた人、ありがとニャンニャン
∧_,, ∧ ∧ ,,_∧
バン(∩‘ω‘)バン(‘ω‘∩)バンバン
/_ミつ__/ ̄ ̄ ̄/彡
 ̄ ̄ ̄ \/ (;;゚;) / ̄)
 ̄ ̄ ̄
|| ̄ ̄ ̄ ̄ ̄| 壁殴り代行会社は壁殴り代行サービスについて、
||冬季休業中| 予想を大きく上回る売れ行きと、スタッフ不足の為、
||_____| このたび代行を一時休止させていただくこととなりました。
| ::| お客様やお取引先様ならびに関係者の皆様に
_| ::|_ 多大なご迷惑をおかけしますことを、心より深くお詫び申し上げます。
Entry ⇒ 2012.01.17 | Category ⇒ シュタインズゲートSS | Comments (0) | Trackbacks (0)
岡部「今日は助手だけか」
岡部「誰もそんなことは言っていない。そう拗ねるな、助手よ」
紅莉栖「拗ねてない」
岡部「拗ねているではないか」
紅莉栖「仮に私が拗ねていたとしてもその理由は他のところにあるんじゃないかしら?」ムスッ
岡部「……そうだな、悪かった。紅莉栖」
紅莉栖「ん」
絶対に途中で投げ出すなよ
紅莉栖「まゆりは漆原さんと買い物。橋田は阿万音さんとデートだって」
紅莉栖「桐生さんもフェイリスさんも今日はバイトだろうし、来ないんじゃない?」
岡部「そもそも、あの二人に関してはラボに来ることの方が珍しいくらいだからな」
岡部「やれやれ……どうやらラボメンとしての自覚が足りんようだな……!! 事と次第によっては査問会を開く必要が
紅莉栖「厨二病、乙」
>>3
大分前に書いたやつだけど一応最後まで書いてある
2、3分ペースでぼちぼちやっていく
岡部「やかましいぞメリケン処女よ! そういうお前もこの俺と顔を合わせない日はないくらいにこのラボに入り浸ってるではぬわぁいか!!」
紅莉栖「誰がメリケン処女だ!! だってしょうがないじゃない!」
紅莉栖「こっちに居れる時間は限られてるんだしちょっとでも岡部と……って言わせんな恥ずかしい!」
岡部「……///」キュンッ
紅莉栖「頬を赤らめるな!///」
岡部「また今度学会の発表などが控えているとかなんとか言っていたではないか」
紅莉栖「大体の骨組みは向こうで作ってきたからその点については大丈夫」
紅莉栖「データさえ持ってくればこっちでも書けるし、推敲ならこのラボでも出来る」
紅莉栖「なんだかんだ言ってもこのラボ結構居心地良いし、いろいろと捗る。……岡部もちょっとは勉強したら?」
岡部「ぐっ……貴様、このラボの長に対してよくもそんなに遠慮なく……!」
紅莉栖「はいはい、わろすわろす」
紅莉栖「で、実際のところどうなのよ。私でよければ勉強見てあげられないこともないと思うけど?」
岡部「フ……勘違いするな紅莉栖。お前はあくまでラボの長、この鳳凰院凶真の助手でありブレーン……断じて家庭教師などではぬわぁい!」
紅莉栖「だから二人のときは助手も厨二病も禁止といっとろーが!」
岡部「すまん、それに……」
岡部「お前はお前で多忙な身の上だ。ラボのことならともかく、俺個人の問題に関してそんな面倒はかけさせられない」キリッ
紅莉栖「……ばか///」キュンッ
紅莉栖「留年なんてことになったら、笑・え・な・い・か・ら」
岡部「シャラップだ! そこの天才HENTAIインテリ処女よ!」
紅莉栖「天才まで聞こえた」
岡部「はははこやつめ」
紅莉栖「ここ最近、ちょっと根を詰めすぎちゃってたから今日は休憩」
紅莉栖「一日ホテルで寝てようかとも思ったんだけど、眠れなくて。まゆりに勧めてもらった漫画でも読もうかなって。岡部は?」
岡部「今日はダルと新しい未来ガジェットについての話し合いを行う予定だったのだが……奴め、物の見事にすっぽかしやがった」
紅莉栖「橋田もさっきまでは居たんだけどね」
紅莉栖「なんでも阿万音さんが急に時間が出来たとかなんとかで、電話に出るなり飛び出して行ったわ」
岡部「リア充爆発しろ、だな」
紅莉栖「勉強しなさいよ」
岡部「そうだな、それもいいかもしれない」
岡部「だが断る」
岡部「そもそも今日はそういったものは全て実家へ置いてきてしまったのでな、フゥーハハハ! 勉強したくても出来ないのだ!」
紅莉栖「いや、高笑いするところか!」
岡部「なんとなく……そういう気分の日もあるものなのだ」
岡部「そう! このアインシュタインにも匹敵するIQ170の灰色の脳細胞を持つ狂気のマッドサイエンティースト! 鳳凰院凶真の考えは時に常人には
紅莉栖「厨二病禁止」
岡部「はい」
紅莉栖「ジョジョの奇妙な冒険。絵が受け付けないってずっと思ってたけど、案外読めちゃうわね」
紅莉栖「……話が進むほど、なんでも無茶苦茶な理論で敵を倒していくのはいただけないけど」
岡部「……お前には今度、キン肉マンを貸してやろう……って何!? 全巻あるのか!? SBRまで!?」
紅莉栖「そう。話をしたらまゆりがね、『読まず嫌いはよくないよー。まゆしぃの家に全巻あるから今度持ってくるねー』って」
紅莉栖「……文庫本の箱を手に大量に積み上げてまゆりが現れたときは本当に今起こったことをありのまま話したい衝動に駆られたわ……」
岡部「……まゆりは昔、本気で波紋の呼吸を会得しようとしていたからな、それくらいは朝飯前だろう……」
助手「第四部。……なんだかイタリア料理が食べたくなるわね」
岡部「分かる。分かるぞ助手よ」
岡部「それでは俺は堅実に一巻から……」ドサッ
紅莉栖「ちょ、おま……!! もう、狭いなぁ」
岡部「良いではないか。それとも地べたに座れと言うのか?」
紅莉栖「別にそんなことは言ってない。大体、座布団くらい買いなさいよ」
岡部「……そうだな、ラボメンの数も随分と増えたことだし、そろそろそういうものも買い足していかなければならんな」
紅莉栖「でしょ? じゃあ今度一緒にーー
岡部「だが金欠だ……って助手! 中身入りの箱を構えるのはやめろ!」
岡部「まあな、元々このラボは俺とダルのポケットマネーで成り立っているようなものだ」
岡部「萌郁はまあ……たびたび救援物資をこのラボに提供してくれているが」
岡部「その他はラボメンとはいえ、まゆりもるか子もフェイリスも女子高生だからな、流石にJKに金を恵んでもらうのはいろいろと問題があるだろう」
紅莉栖「……そうよね、改めて考えるとここ、それなりにいい立地だし……。家賃だけでも結構するんでしょ?」
岡部「いや全然?」
紅莉栖「え?」
岡部「そうか、お前にはまだ話していなかったが……このラボはMr.ブラウンの好意でな、ほぼタダみたいな家賃で貸してもらっているのだ」
岡部「金欠の理由は主に未来ガジェットの材料費や食費、それとダルのエロゲ代だな」
紅莉栖「駄目だこいつら早くなんとかしないと」
紅莉栖「……うん。別にそれくらいなら、私のポケットマネーから出してもいいから」
岡部「それは、最後の手段だな。だがありがとう。紅莉栖」
紅莉栖「……ばか」
紅莉栖「……」ペラッ
岡部「……」ペラッ
紅莉栖「……ドキドキ」ペラッ
岡部「……」ペラッ
紅莉栖「……」ペラッペラッ
岡部「……」ガタッ
<ウーッ、ドクペドクペ
<アッ、ワタシモイッポンオネガイ
<ウム。……ム?
岡部「買い溜めは余力のある時にダルと行ってくるとして……今日のところはコンビニで買ってくるとするか、助手よ。留守番を頼む」
紅莉栖「コンビニ行くの? じゃあ私も行く」
岡部「? 別にお前の分のドクペも買ってきてやるぞ?」
紅莉栖「そこじゃないわよ。そろそろお昼でしょ? 今日のお昼何にしようかなって考えてたの」
岡部「ラーメンなら棚の上に買い置きがあるではないか」
紅莉栖「たまには自分で選びたいの。ほら、行くなら早く行くわよ」
岡部「うむ」
岡部「ドクペドクペ……と」ゴトッ
岡部「紅莉栖、何にするか決まったか?」
紅莉栖「塩にするか醤油にするか悩んでる。先に会計済ませてて」
岡部「うむ、分かった」
店員「ピッ)袋ご入用ですか?」
岡部「いえ、シールで大丈夫です。……!?」
岡部「しまった……すいません、財布を忘れてきてしまったんで……
紅莉栖「おっちょこちょい。すいません、これも一緒でお願いします」
岡部「スマン、助かる。あとで返す」
紅莉栖「いいわよこのくらい。たまには私が奢ってあ・げ・る」ドヤ
岡部「高々ドクペ一本でそんな顔をされてもな。いや、ありがとうございます助かりました本当に」
紅莉栖「ったく……あ、お幾らですか?」
店員「クスッ……仲がよろしいんですね。485円になります」
紅莉栖「ふぇっ!?……え、ええ。まぁ……///」テレテレ
岡部「顔が緩んでいるぞ、助手」ニタニタ
紅莉栖「う……うっさい馬鹿!///」
岡部「……ゴクッゴクッ」ペラッ
紅莉栖「……」ペラッ
岡部「……」ペラッペラッ
紅莉栖「……そろそろね」パタン
ピピピ!!
岡部「タイマーに一瞥もくれずに四分間を言い当てただと!? 助手よ、貴様まさかあの伝説と謳われた『四分間の支配者(インスタント・マスター)』……!!」
紅莉栖「そのくらいで驚いているようじゃまだまだ甘いわね岡部、一流のヌードラーは五分以内でなら秒刻みの正確さを持つ体内時計を持っているのよ」
岡部「ヤルネェwwww」
紅莉栖「んんwwww」
岡部「……さて、伸びないうちに食うとするか」パキッ
紅莉栖「そうね」
紅莉栖「岡部のも寄越しなさいよね。はい」アーン
岡部「……」
紅莉栖「? どうしたのよ」
岡部「いや……『そう』来るとは思わなかったものでな。つい面食らってしまった」
紅莉栖「……。ッ!? こ、このHENTAI!!」
岡部「(む、無意識とは恐ろしい……)」
紅莉栖「べ、別に!? アメリカじゃこんなの(周りの人の間じゃ)普通なんだから。も、もう。いいから早くしなさいよ!」
岡部「う、うむ……」チュルチュル
紅莉栖「ど……どうなのよ味は」
岡部「あ、ああ。美味い」
紅莉栖「そ、そう……。じゃあ次は岡部が私にた、食べさせなさいよね!」
岡部「わ、分かった」アーン
紅莉栖「ん……」チュルチュル……
ーー
岡部「さて、食後のコーヒーでも飲むか?」ガタッ
紅莉栖「うん。でもそれくらい自分で淹れるのに」
岡部「気にするな、ドクペの礼だ。それに俺も飲みたいと思ってたところだしな」
紅莉栖「そう、ありがと」
岡部「うむ。砂糖は二個でミルクは一つだったな?」
紅莉栖「うん」
ーー
岡部「ズズズ……」ペラッ
紅莉栖「ズズッ……」ペラリ
岡部「ズズッ……」ペラッペラッ
紅莉栖「……」
岡部「ズズズ……」ペラッ
紅莉栖「……」
岡部「……」ペラリ
紅莉栖「……」コテッ
岡部「……む? 」
紅莉栖「……zzz」
岡部「……やれやれ。腹が膨れれば安心して眠るとは。学会でブイブイ言わせている天才少女といえど、中身はまだまだ子供ということだなフゥーハハハ!(超小声」
スチャッ
岡部「俺だ、機関による精神攻撃を受けている。……ああ、かなりやっかいだ。何せ身動きが取れん(超小声」
岡部「心配するな、この程度の危機も乗り切れんようではマッドサイエンティストの名が廃る。エル・プサイ・コングルゥ(超小声」
カチャッ
岡部「……本当に、これじゃ動けないじゃないか。紅莉栖……」
紅莉栖「zzz……」スースー
ーー
ーーー
ーー
カンカンカン
萌郁「岡部くん、祐吾さんから今月の家賃……」ガチャッ
萌郁「……」
岡部「zzz……」
紅莉栖「zzz……」スリスリ
萌郁「……クスッ」カシャッ
ーー
ーーー
ーー
紅莉栖「ちょっと岡部! 何よこれぇ!///」
岡部「ししししし知らん!! これはシャイニングフィンガーが勝手に……///」
紅莉栖「萌郁さんだったからよかったものの! もし泥棒でも入ってきたらどうすんのよ! ちゃんと戸締りしておきなさいよ!!///」
岡部「ぐ……ぬぬ……」
紅莉栖「……もう///」
岡部「……///」
「「(待ち受けにしとこ……///)」」
岡部「そうだな。どうする? もう帰るのならば送って行くが」
紅莉栖「……そうね、今日はもう帰るわ。ホテルまでエスコートよろしく」
岡部「ふむ、ダルが聞いていたらリピートを要求しそうなセリフだな」
紅莉栖「うるさいHENTAI!」
紅莉栖「そうね、あんたはセレセブーとか言うけど、私だって結構予算はギリギリなんだからね」
岡部「俺のようにこのラボに寝泊まりする……のは駄目だとこの前言っていたな」
紅莉栖「うん……そりゃあ居心地はいいけど……寝るのはソファーじゃなくてちゃんとしたところで寝たいし、湯船にも浸かりたいからね。それにあんたや橋田も寝泊まりするんでしょ? あぶないじゃないw」
岡部「ふむ、それもそうだな……」
岡部「……ならばウチへ泊まりに来るというのはどうだ?」
紅莉栖「……」
紅莉栖「Pardon?」
岡部「いやにネイティブな発声で聞き返すでないそこのメリケン処女よ」
岡部「落ち着け助手。心配するな、俺の家と言っても俺は実家暮らしだ」
岡部「それに俺は基本このラボに泊まり込んでいる。よってお前がこの俺の部屋で寝泊まりしようと別に問題はないというわけだ」
紅莉栖「そっちの方が問題よ馬鹿!」
紅莉栖「そ、そんなの岡部のお父さんとお母さんに迷惑かけちゃうし……」
岡部「その点は……心配ないと思うぞ。まあ、今日は聞いてみなければ分からんがちょうど昨日、お前の話をしたら『そんな勿体無い、是非ともウチに泊まりに来てもらえ』とかなんとか言っていたからな」
紅莉栖「それってつまり……」
紅莉栖「私のことをご両親に報告したってことか!?」
岡部「Exactly(その通りでございます)」キリッ
岡部「落ち着け助手よ! 何を一人で暴走しているのだ!」
岡部「……まあアメリカ育ちのセレセブ助手が『オーゥ岡部ボーイ、このような狭っ苦しい一軒家じゃミーはとても寝れないデース』などと言うのであれば俺も無理には誘わんが……」
紅莉栖「……」
ーー
紅莉栖「ほ、本当にいいの? 迷惑じゃない?」
岡部「しつこいぞ助手よ。さっきマイマザーに電話で確認はとった。『狭っ苦しい一軒家ですがこんなあばら家でよければどうぞ好きなだけお泊まりください』とのことだ」
岡部「……しかしスーツケース一つとはまた随分と少ない荷物だな、ほぼ着の身着のままか」
紅莉栖「まあ、数着の着替えさえあれば洗って着回せるし……それより本当に
岡部「くどいぞ助手」
ーー
岡部「な……何故あそこまで電車が混んでいたのだ……まさか機関による妨害工s……」グッタリ
紅莉栖「し……知らないわよ……あんな鮨詰めみたいなの初めて……もう駄目……ねぇ、ちょっと休憩しない……?」グテー
岡部「甘ったれるな助手……それにもう着いた。ここだ」
紅莉栖「なんだ……普通にいいお家じゃない。岡部が脅かすからどんなだか心配しちゃっただろ!」
岡部「フッ……あの程度の脅しで屈するようではこの家に張り巡らされた結界に阻まれ、一歩たりとも足を中へ踏み入れることは敵わんだろうからな、貴様の覚悟を試させて貰ったのだ……フゥーハハハ!!」
岡部母「何やってんの倫太郎」
岡部「」
紅莉栖「」
岡部母「あんな馬鹿笑いしといて何言ってんの」
岡部母「あんたが初めて彼女なんて連れてくるっていうから、今日はあり合わせで済ませるつもりだったのに買い物行ってきたってのに」
岡部母「帰ってきたら白衣着たひょろ長い怪しい男が家の前で高笑いあげてるんだもの。110しようかと思ったわよ」
岡部「ぐ、ぐぬぬ……!」
紅莉栖「(か、彼女……って、岡部のお母さんに彼女って……)」プシュー
岡部「あ、ああ。紅莉栖、これがマイマザーだ」
岡部母「倫太郎の母です。よろしくね、紅莉栖ちゃん」
紅莉栖「は……はいぃ……///」
岡部「そしてマイマザーよ、これがこの狂気のマッドサイエンティスト! 鳳凰院凶真の助手、クッリスティィィィn
岡部母「倫太郎。もう私も半ば諦めかけてるけどせめて、せめてウチの近所でそれはやめてちょうだいね」
岡部「はい」
紅莉栖「ま、牧瀬紅莉栖です。よろしくお願いします」
岡部母「倫太郎からいろいろとお話は聞いてるわよ。よろしくね、紅莉栖ちゃん」
岡部母「さあ、中に入って入って。すぐにお料理作るからね」
岡部母「なに言ってんの、あんたも手伝いなさい。あぁ、紅莉栖ちゃんは倫太郎の部屋で待っててちょうだいね。すぐに作るから」
岡部「なっ……!」
紅莉栖「え? いや、そんな。悪いです」
岡部母「いいのよ別に、気にしないで。さ、早くこっち来なさい倫太郎」グイグイ
岡部「ちょ、ちょっと待てマイマザー! せめて我がサンクチュアリを片付け……やめろ! 耳を引っ張るな!」
岡部「クリスティーナ! お、俺の部屋に入っても何も見るな! 絶対にだぞ! 目を瞑って俺が行くまで待機だ! いいな!?」
紅莉栖「盛大なフリですね? わ・か・り・ま・す」
岡部「違ぁーう!!」ズルズル
ーー
紅莉栖「ここが……岡部の部屋……」
紅莉栖「岡部があそこまで見られたくない物……って……? まさか……」
紅莉栖「へ、HENTAI的なものだったら許さないんだからな!///」
紅莉栖「……お、お邪魔しまーす……」オソルオソル
紅莉栖「こ、これ……」
紅莉栖「『追い付き追い越せ、打倒クリスティーナ!』? ……だから私はティーナでは無いと……」
紅莉栖「プププ……あいつ、こんなところ間違えてる……。まったく、仕方無いな……」キュッ
岡部母「紅莉栖ちゃーん、晩御飯の用意出来たわよー」
紅莉栖「はーい、今行きます」
ーーー
ーー
紅莉栖「~~♪」ニタニタ
岡部「(この女殴りたい……!)」
岡部母「(逃げたわね)」
岡部父「(逃げたな)」
岡部「なんだその目は! やめろ! ……まあいい。ところで今日、ここに来るまでやたらと混んでいたのだが何かあるのか? いつもはここまでじゃないだろう」モグモグ
岡部母「え? あんた知らなかったの?」
岡部父「今日は確か……隣町の神社で秋祭りがあったんじゃないか」
岡部「ほう、そうなのか。通りで妙にカップルが多いとは思ったが」モグモグ
岡部母「ああ、ちょうどいいじゃない。この後二人でぶらっと行ってきたら?」
紅莉栖「へっ?///」
岡部「えっ?」
岡部「物は言い様だな……って痛ッ!」
紅莉栖「……でもそんな、いいんですか?」ギリギリ
岡部母「いいのよ気にしないで。服は着る為にあるんだもの」
岡部母「それに紅莉栖ちゃん、ずっとアメリカ育ちじゃ浴衣なんて着る機会なかったんじゃない?」
紅莉栖「は、はい」
岡部母「じゃ、決まりね。ウフフ、なんだか娘ができたみたいで嬉しいわ」
紅莉栖「そんな…///」
岡部「……クリスティーナよ、テレテレしながら俺の足を踏み続けるのはやめて欲しいのだが……って痛ッ!」
岡部「さすがに一般ピーポー溢れるリア充スポットに白衣はマズいだろうということで強制的に着替えさせられてしまった……」
岡部「しかし遅いな、女の支度は長いとはよく聞くがまさかこんなに長いとは思いもしなかった……」
岡部「ふむ、@ちゃんでも見て時間を潰すか」
岡部「……む?」
紅莉栖「お、お待たせ……」
岡部「やっとか、遅かったではないかクリスティー……ヌァッ!?」
岡部「い、いや……その……なんというか……」
紅莉栖「い、言いたいことがあるならハッキリと言え!」
岡部「ああ……似合ってる、すごく似合ってる。ガチで。見違えるほどだ」
紅莉栖「こ、このHENTAI…///」
岡部「……」
紅莉栖「ごめん……」
ーー
岡部「……段々賑やかな音が聞こえてきたな」
紅莉栖「そうね」
岡部「アメリカでこういう祭りなんかはよく行っていたのか?」
紅莉栖「ううん。本当にたまに行くことはあったけど、向こうじゃ昔から私も周りの人も何にしても研究第一だったから……」
岡部「……そうか」
紅莉栖「だから今日は、凄く楽しみだよ?」ニコッ
岡部「!!(い、今キュンと来た……)」
岡部「……小さい頃はまゆりとよく来ていたが……小学生のある時期にもなると、俺もまゆりも別々の友達と遊ぶようになっていったからな」
岡部「ここ最近は俺も来たことがない。一人で行くようなものでもないからな」
紅莉栖「……ぼっち乙wwww」
岡部「今日のお前が言うなスレはここか?」
紅莉栖「ふふふ。冗談よ、うわぁ……!」
岡部「ほう、やはり中々賑わっているな」
ーーー
ーー
岡部「さて、晩飯を食べた直後だが何か食べていくか? メリケン育ちのお前には物珍しいものばかりだろう? 今夜は特別にこの鳳凰院凶真が助手に奢ってやろうではぬぁーいか……」
紅莉栖「そうね、じゃあまずは……」
岡部「あれ? ツッコミはどうした?」
紅莉栖「~~♪」ニコニコ
岡部「(……まあ、楽しんでいるようならいいか)」
紅莉栖「……ねぇ、岡部」
岡部「なんだ? 助手よ」
紅莉栖「助手じゃない! 紅莉栖! ……もういいけど」
紅莉栖「……ホントはね、来たことあるんだ。日本のお祭り。本当に、小さい頃の話だけど」
岡部「……ほう」
紅莉栖「あの頃は、パパと私も仲が良くて、こんなお祭りだと、はぐれちゃダメだからってしっかり私の手を握っててくれた」
岡部「……そうか」
紅莉栖「私から研究を取ったら、何も残らないじゃない? だから今まで私はひたすら研究だけに打ち込んできた……だけど私は正直……まゆりや、漆原さんや、フェイリスさんが羨ましいって思うこともある」
紅莉栖「だからもし……もしね? 私が、物理学に興味を持たずに、普通の女の子として過ごしてたら……」
紅莉栖「あんなことには、ならなかったのかな?」
紅莉栖「……」
岡部「……そうしたら、少なくとも俺とお前が出会うことは、こうして知り合うことは、恐らくなかっただろうな」
紅莉栖「……!」
岡部「それじゃ、不満か?」
紅莉栖「……ばか」
紅莉栖「あっ……」
岡部「確かにお前は世間知らずで友達少なくてその上ねらーかも知れんが」
紅莉栖「おい」
岡部「楽しいことも、嬉しいことも。これから……たくさん知っていけばいい」
岡部「その為に! 俺たちラボメンがいるようなものなのだからな! フゥーハハハ!!」
紅莉栖「……ありがと、岡部」ギュッ
ダル「楽しいことや嬉しいこと、それに加え気持ちいいことも教えてあげるんですね? わかります」
岡部「」
紅莉栖「」
紅莉栖「いいいいつからいたの!?」
ダル「フヒヒ、通りを二人で歩いてるところから、バッチリスネークさせてもらったお」
由季「私はやめようって言ったんですけど……ごめんなさい」
ダル「いやぁ、僕らも今夜のお祭り行こうと阿万音氏とアキバで時間潰してからここに向かってたんだけど、その途中でなんか見慣れた後ろ姿があるじゃん? これはもうスネークするしかないだろ常考! ってことでばっちり尾けてますた!」
ダル「それにしても今のオカリンのセリフカッコ良かったお。僕がおにゃのこなら完璧攻略されてるレヴェル」
岡部「ダルぅ……! 貴様ァ……!!」
ダル「そういえばさっきまゆ氏とるか氏も見かけたお?」
紅莉栖「えっ!?」
ダル「噂をすればだお、おーいまゆ氏ーこっちだおー!」
るか「ど、どうもお久しぶりです。岡部さん、牧瀬さん」
岡部「ふ、二人とも、こんなところで何をしてるのだ?」
まゆり「うーんとねー、るかくんとお買い物した後に、そういえば今日はお祭りの日だなーって思い出したのです。えへへ、なんだか懐かしいねぇ~」
るか「僕も敵情視察ということで……」
岡部「な、なるほど……」
まゆり「そうだねー。まゆしぃも久しぶりにお鍋食べたいなー」
るか「そうですね、なんだか少し冷えてきましたし……」
由季「私も皆さんがいいのなら……」
岡部「ふむ……。どうする? 紅莉栖」
紅莉栖「そ、そうね。行ってもいい、かな」
ダル「それじゃ決まりだお! コンビニ寄っていろいろ買って行くおー!」
ワイワイガヤガヤ……
ーーー
ーー
嬉しいことも、楽しいことも
これから知っていけばいいさ。
俺たちにはまだまだ、長い時間が残されているんだから。
~Fin~
ニヤニヤできる良いssだった
良いSSだったぜ
Entry ⇒ 2012.01.15 | Category ⇒ シュタインズゲートSS | Comments (0) | Trackbacks (0)
岡部「鈴羽を預かれだと?」 ダル「うん」
俺は、自宅を訪れた橋田夫妻を客間に通し、久しぶりの再会を果たしていた。
そして今日はダル夫妻の他に、もう一人来ている。
岡部「なに? 鈴羽を預かれ、だと?」
ダルの隣、ソファに座った小さいのが、こちらを不思議そうな顔で伺っていた。
鈴羽は2017年生まれ。もうすぐ5歳になるという。
すでにその栗色の髪にはダルの趣向かわからないが、おさげが出来上がってており、
あどけないながらも、俺達を根底から救ってくれたあの未来の戦士の面影が見られる。
しかしやはり、そのパーツのほとんどが阿万音由季氏に似たのだな。
まあ、それでもダルの犬っぽいクセ毛はしっかりと引き継いでいるが。
鈴羽が、ダルの横腹をつついてその顔を見上げた。
ダル「そう言うときはパパと呼びなさい」
鈴羽「この人がオカリンおじさん?」
あ、忘れられている……。
まあ、前に会った時は分別もつかない赤ん坊だったのだから仕方ない。
ダル「そうだよ。パパの古い友人なんだ」
鈴羽「へぇ、そうなんだー」
そう言って鈴羽は、にぱっと笑顔を浮かべた。
それから鈴羽は、道中買ってもらったと思しきソフトクリームに夢中になっていた。
ダル「今日1日だけなんだ。頼むよオカリン」
岡部「ううむ、そうだな……」
俺は今でもオカリンと呼ばれている。
以前は間抜けな響きだからと嫌っていたこのニックネームも、今となっては逆に心地よい。
そして以前に比べて縮小したとはいえ、未だ目に見えて巨大なダルの隣で、
何とも可憐な女性が俺の顔を見つめてくる。
由季「本当に悪いんだけど、何とかお願い出来ないかな?岡部君」
いや、こんな女性に哀願する風に頼まれて断れるはずもない。
すぐに頷いてやる。
岡部「…仕方がない、今日1日だけならば構わないさ。 しかし、未だに夫婦でコミマへ行ってるとはな」
由希「えっ、いや~。 へへ……いくつになってもやめらんないよね…」
俺が突っ込むと、阿万音由季氏……今の姓は橋田の由季が、照れくさそうに頭を掻いてみせた。
俺がそういうと、ダルが眼鏡の奥を煌めかせ、こちらに手を差し伸べてくる。
相棒の握手に応じるべくその手を握るや、突如怪力でグイッと引っ張られ、
たじろぐ俺にダルが耳打ちしてきた。
お前……口元はニコニコしているが、目が笑っていないではないか。
ダル「さっすがオカリン、感謝するお。 あ、ただし、変な事は吹き込まないでね」
岡部「なっ……あ、当たり前だ…!」
ダルの手を振り払う。
この俺が何を面白がって鈴羽に吹き込むというのだろうか。
しかし、その後もダルの親バカ攻撃は追撃コンボの手を緩めず、おかしな物を見せるな、
とか、変なものを食べさせるな、といった様々な注文を繰り出してきて、
俺はというと、そんな我が娘デレっぷりにいちいちと反応してやる事にだんだん疲れてきていた。
ふむ、この過保護ぶりでは鈴羽はきっと将来苦労するのだろうな…。
ダルの話を、宇宙の大規模構造について考えながら半分ちかく聞き流してやった。
岡部「……」
鈴羽「うん! とうさんもね!」
ダルがしゃがみこんで、鈴羽に視線を合わせる。
ダル「だからね? そう言うときはパパと呼びなさい、わかった? 鈴たん」
鈴羽「……」
あ、やっぱり言った。 鈴たんって言った。
しかも鈴羽はそれに答えてないし。
もしかして遠まわしに嫌がってるんじゃないか?
しかし、あえて突っ込みはしない。
他人の趣向……もとい、教育方針に口を出すのは野暮というものだ。
それからというもの、もの惜しげに車に乗り込んだ橋田夫妻を見送り、家には俺と鈴羽だけが残された。
鈴羽「父さんも母さんも、いっちゃったね」
岡部「む……そうだな」
俺の手を握りながら、どことなく寂しそうな表情を覗かせた。
しかしバイト戦士め、随分と縮んでしまいやがって……。
手など、俺の半分もない。
なにか不思議な気分だ。
ええい、こいつめ。
などと、空いた方の手で頭をワシャワシャしてやると、鈴羽はあからさまに嫌そうな顔をした。
岡部「それにしても鈴羽よ……お前、手がベッタベタではないか」
さっきから気になっていた。
握った手が、糖分でベタベタと張り付いて気持ち悪い。
鈴羽「あー、ソフトクリーム食べたからかな…」
そう言って鈴羽が、ワンピースのスカートで手を拭おうとした。
岡部「あ、おい待て!」
鈴羽「ひゃっ!」
俺は、とっさにその手を掴む。
すると鈴羽は、小さく悲鳴を上げた。
思わず声を荒げてしまい、鈴羽は俺と目が合うや、目に涙を浮かべた。
鈴羽「ううっ……オカリンおじさん……こわい……」
岡部「うぐぬっ……!」
なんだこれは……!
何事にも物怖じしなかった、なんとも大物な性格まで確実に縮小しているではないか!
ダルのバカ! 親バカ!
と、心の中でダル批判をしてやる。
岡部「す、すまない……しかしな、その……服でベッタベタの手を拭うのは看過出来ん」
鈴羽「か、かんか?」
細い首を傾げ、顔でクエスチョンマークを転がす。
岡部「……大目に見てやる事は出来ない、と言っている。 特に俺のテリトリー……この家ではな」
鈴羽「う、うん……ごめーん……」
これは多分、よく理解出来ていないようだ。
鈴羽「な、なに?」
見上げてくる鈴羽の瞳には、先ほどとはうって変わって、警戒の色が浮かんでいた。
無理もない。三十路のお兄さんに怒鳴られた後だからな。
多分俺なら泣き出す。
岡部「俺は、お前が4歳だろうが5歳だろうが容赦せずに大人と同等の扱いしかするつもりはないぞ?」
だが、このスタンスは譲るつもりはない。
ダルから口うるさく言われたが、別に子供に対して大人になってへりくだれ、と命令された訳でもない。
俺は俺なのだ。
どこぞの親バカの店長やら、スーパーハカーのように甘々に接する事は出来ん。
鈴羽「う、うん……よくわかんないけど、わかったよ」
鈴羽「わ、わかった!」
そう答えた鈴羽は心許ない足取りで、パタパタと台所に向かっていってしまった。
それを見やったあと、肩でため息をつく。
今日は安請け合いしてしまったものの、本当に俺でよかったのだろうか。
根性なしの子供……しかも女の子を相手に、果たして俺のやり方でいいのか悪いのか……。
そんな時、テーブル上にほったらかしていた携帯がメールの着信を知らせるメロディを流す。
Frm.まゆり
Sub.お久しぶり~
『今日は、ダル君とこのスズちゃんが来てるんだって?』
『ダル君からメールが届きました』
『オカリン一人で大丈夫かな?』
『私はちょっと心配です(笑)』
……つまり、この俺を全然信用していないのではないだろうか?
なんだか悔しくなってきた。
まゆりからの屈辱的なメールに、力を込めて返信してやる。
To.まゆり
Sub.RE:お久しぶり~
『心配などいらない。お子様一人や二人の世話など、
俺にとっては赤子の手を捻るほど造作もない事なのだ』
そして、すぐさま返信が届く。
Frm.まゆり
Sub.ダメだよオカリン
『スズちゃんの手を捻ったら、ダル君に言いつけるからね(((´ω`;)))』
捻るかっ!
そこで返信する気も失せてしまい、俺は携帯をソファに放り投げて大の字に仰け反った。
鈴羽「オカリンおじさん、手洗ってきたよ」
岡部「ん?」
逆さまになった視界に、手を洗い終えた鈴羽が満面の笑みを浮かべながら戻ってくる。
それがバイトのサボり癖に繋がってたんじゃないかと思うと少し心配だが。
………まあ、もう少し俺一人で頑張ってみよう。
岡部「そういえば鈴羽よ……お前、今日は何かしたい事はないのか?」
鈴羽「うーん、したい事……?」
左右交互にゆっくりゆっくり首を傾げながら考え込んでしまっている。
岡部「ふむ、特に考えていないようだな?」
鈴羽「うん、考えてなかった」
そうかそうか。
いや、そうだろうそうだろう。
俺は、鈴羽にニヤリと笑ってみせる。
岡部「ならば……今日は我々が開発してきた未来ガジェットを“特別に”見せてやろう」
お前も一応、ラボメンではあるしな。
岡部「そうだ。 今は我が家の倉庫に眠っているのだが、これがなかなかにロマンたっぷりの代物なのだ」
鈴羽「へえー、ありがとうオカリンおじさん! それは楽しみだよー」
そう言って、鈴羽は笑顔を浮かべた。
岡部「ククク……そうして笑っていられるのも今のうちだ……よし、ついてくるがいいッ!」
鈴羽「おーっ!」
ダルから変なものを見せるな、とクギを刺されはしたが、別に未来ガジェットは変なものではない。
ただ、使い道がまるでないだけであって。
倉庫に通してやると、鈴羽はまず最初にビット粒子砲、サイリウムセイバーに目を付けた。
いきなりそのチョイス……実にお子様だな。
俺は、思わずにやけてしまいそうになるのを堪える。
すると鈴羽は、セイバーを構えながらビット粒子砲を俺に向けてカチカチと引き金を引いてきた。
馬鹿め、そんな事をしてもこの俺は倒せまい。
せいぜいテレビのチャンネルが変わるだけだ。
まあ、ここは乗ってやらない事もない。
岡部「や、やめろっ!それをこっちに向けるなー!」
鈴羽「にっひひー」
俺もよく、悔しくて仕方ない時は人に向けてやったものだが。
鈴羽「うーん、おじさん、これはなにー?」
岡部「ん? ああ、タケコプカメラーだな」
鈴羽「ふーん…」
いい事を思いついた。
岡部「付いて来い。それの機能について説明してやろう」
鈴羽の手を引いて庭まで連れ出す。
快晴の太陽が目に眩しい。
岡部「鈴羽よ、もちろん……竹トンボは知っているな?」
鈴羽「たけとんぼ? ううん」
岡部「なにっ!?知らないというのか……?」
鈴羽「うん」
鈴羽がコクコクと頷く。
これも世代の違い……ジェネレーションギャップだというのか…。
岡部「よく見ているのだぞ?鈴羽よ」
鈴羽「うんうん!」
鈴羽はまたもやコクコクと頷きながら、目を爛々と輝かせている。
岡部「そいっ!」
重ねた手のひらを交差させて引くと、タケコプカメラーはブーンと回転しながら空を舞った。
しかし所詮たけとんぼ。すぐに浮力を失って、パタリと地面に落ちる。
いやはや、なんともチープなデモンストレーションだ。
しかし、どうやら子供心を掴むにはあれで十分だったようで、
鈴羽「うわー!すごい!今のってどうやるの?」
などと、落ちたタケコプカメラーを拾ってきた鈴羽が好奇心に満ちた顔で聞いてくる。
鈴羽「うん! わかったよ!」
そう言って、タケコプカメラーは何度も何度も空を舞った。
こんなもので20分も時間を潰せるとは、この幸せものめ。
俺はというと、残念ながらだんだん飽きてきていた。
岡部「そろそろ次の機能についても説明してやろう……」
鈴羽が、驚愕の眼差しでタケコプカメラーを見つめる。
鈴羽「えー!まだ何かあるの?」
そう言って、今度は手元のタケコプカメラーと俺の顔を交互に見やる。
岡部「ああ、そのタケコプカメラーには、もう一つ恐るべき機能が隠されているのだ…」
実際にそれが恐るべき機能なのかどうかはわからないが、ある意味恐ろしいのは事実。
俺は再び、鈴羽を連れてリビングへ戻ると、テレビに配線を繋いだ。
あえてもったいぶるように言いながら雰囲気を演出してやる。
鈴羽「そうなんだー!すごーい!」
岡部「ま、まだ俺は説明していないっ!」
鈴羽「あ、そうなんだー」
岡部「ぐぬぬ……」
俺はガクッと膝が折れそうになるのを堪え、テレビの側までいくとその上部を手のひらでバンバンたたいた。
岡部「聞いて驚け……っ!このタケコプカメラー……なんと中にカメラが仕込まれていたのだ」
鈴羽「ほ、ほんとに!?」
岡部「ああ、本当だ……つまり、さっきからお前が喜んで竹トンボを飛ばしている間……」
俺は、ズバッと天井を指差す。
岡部「こいつは密かに空中を撮影し続けていたのだ!フゥーッハハハ!」
パチパチと拍手が返ってきた。
うむ、サンクス。
鈴羽「すごいすごい!そうだったんだ! 全然知らなかったよ!」
未来ガジェットが誉められると、実に気分がいい。
岡部「まあ無理もない……素人が見たところで、十中八九が竹トンボだ、と答えるだろう…」
俺はニヤけながらテレビの電源を入れ、入力切り替えボタンを押した。
岡部「それでは鈴羽よ、しかと見ろっ! これぞ、我が岡部家の上空映像だっ!」
意気込んで再生ボタンを押してやる。
すると、テレビにはなんとも気持ちの悪いものが映し出された。
左から右へグルグルと景色が吹き飛んでいき、目が回りそうになる。
鈴羽はすでに、小さな頭をぐわんぐわんと揺らしはじめていた。
鈴羽「う……なにこれ……」
岡部「う、うむ……回転していてよくわからないかもしれんが、これは間違いなく上空映像なのだ」
鈴羽「だ、だまされた……」
岡部「すまない……」
しかし、現実の厳しさを知ってもらう、という点に於いては俺の思惑通りと言って差し支えない。
そうして、再生を止めようとしたその時だった――。
???「あー、オカリン!やっぱりスズちゃんにおかしなもの見せてるー!」
背後から聞き覚えのある、限りなく気の抜けた怒り声。
鈴羽「あ!まゆりお姉ちゃん!」
まゆりの姿に気づいた鈴羽はソファから立ち上がり、彼女の足元に絡みつく。
まゆり「もー、やっぱりダル君の心配したとおりだったよ……」
岡部「い、いや……まゆり、これは断じておかしなものなどでは……」
とっさに苦しい反論をするが、まゆりは腰に手を当てたまま、依然こちらを睨みつけてくる。
まゆり「でもこれ、グルグルしてて気持ち悪くなるやつだよね?」
岡部「う、うむ……確かに。 しかしな……?まゆりよ」
真っ直ぐな瞳に見据えられてたじろぐ俺を、まゆりがさらに畳みかけてくる。
まゆり「オカリンの言う“おかしなもの”と、みんなの思う“おかしなもの”は全然違うと思うなぁー!」
ぐぬっ………ごもっともだ。
しかし、もっともだからこそ胸に痛い。
このままでは、完全にまゆりのペースにあてられてしまいかねない。
ここは話を逸らさねば。
まゆり「あっ……」
今度はまゆりがたじろぐ。
未だに、実に扱いやすい。
岡部「それは社会的に見ても、かなりマナーに反する行為ではないのか?」
まゆり「うう……ごめんオカリン。 昔からの癖でつい…えっへへ」
まゆりはそう言って苦笑いしながら、小さく舌を突き出した。
岡部「まあいい、タケコプカメラーの件を黙っていてくれるなら、お前の家宅侵入も罪には問うまい…」
まゆり「お、オカリン……相変わらずえげつないね……」
岡部「いや待て。 そこは合理的な取り引きだ、とでも言ってほしいものだがな?」
まゆり「あー……はいはい」
まゆりは、そう言って呆れ顔でかぶりを振ると、台所に引っ込んでいってしまった。
人の家だと言っているのに、随分なフリーダム加減だな……。
まゆりが台所から出てくるのを待った。
急に、右の袖口をチョイチョイと引っ張られる。
見ると、鈴羽が顔を寄せてきていた。
鈴羽「オカリンおじさん、さっきのすごかったねー」
俺のすぐ側で耳打ちしてくる。
岡部「さっきの……何がだ?」
鈴羽「まゆりお姉ちゃんがあんなに怒ってたのにさー」
岡部「ああ、あれか。 ……でも、あんなもの本来なら褒められたものではないのだがな?」
鈴羽「そうなんだー、じゃあオカリンおじさんが悪かったの?」
鈴羽がにぱっと笑いながら聞き返してくる。
岡部「……お前の言い方が妙にキツい気がするが……まあ、そういう事だ」
そう言ったところで、鈴羽が首を傾げた。
鈴羽「あ、でも、うちの父さんは、母さんに叱られるといっつもションボリしちゃうよ?かっこわるいよ……」
でも、きっとそうなのだろう。
それは多分、ダルが正しい。
岡部「……まあ、今のお前には難しい話かもしれんが、恐らくそれが正しいやり方なのだろう」
お前の父さんは、たいしたものだ。
鈴羽「え? ションボリしちゃうのが?」
鈴羽は、更に不思議そうな顔を向けてくる。
岡部「…ああそうだ。 そう言うときは黙ってションボリしちゃうのが正解なのだ」
そういって、鈴羽の頭に手を置いてやった。
鈴羽「ふぅん……よくわかんないけど、わかったよ」
岡部「うむ、よろしい」
そう言って、再び鈴羽の髪をワシャワシャしてやった。
そんな時、またもや後ろから声。
まゆり「へぇー、意外だねぇ」
こちらを見てにやついている。
……聞いていたのかよ……趣味の悪い。
まゆり「なんだかんだで、オカリンもだんだんらしくなってきたねぇ」
鬼の首でも穫ったように得意げに微笑むまゆりを鼻で笑ってやる。
岡部「ふん、何も変わってないさ。 俺は俺だ……未来永劫にな……フゥーハ――」
まゆり「はいはい、っと」
そう言って、まゆりはテーブルに持ってきていた茶菓子とコップを置いた。
まゆり「どうぞ、スズちゃん。オカリン特製の麦茶だから美味しくないけどねぇ」
鈴羽「えー! 美味しくないんだぁ!お茶なのに!」
岡部「ぐぬっ……やかましいぞ!まゆり!鈴羽!」
確かに……煮出しすぎて美味くないのは事実だが。
こいつ、俺の人質をやめてからというもの、少しずつ腹黒くなって来たんじゃないか?
岡部「うま……」
鈴羽「まっずー……なにこれ」
実に素直な感想だ。
岡部「まあ、これは……まずいよな……」
テーブルの向こうで、今度こそ、と得意げに微笑むまゆりの顔が見えた。
それから俺たちは昼も回ったという事もあり、まゆりの作ったマズい焼きソバを、
これまたマズい麦茶で黙って胃袋に流し込んだ。
……こればかりはダルの言いつけを守れなかった。
まゆりの焼きソバは、明らかにおかしな物を食べさせるな、というものに反しているし。
まゆり「それじゃあオカリン、私はこれで帰るね?」
鈴羽「えーっ、まゆりお姉ちゃん、帰っちゃうの!?」
台所で洗い物を済ませたまゆりが、タオルで手を拭いながらリビングへと出てきた。
鈴羽は例によってまゆりの足元に絡みついている。
岡部「なに? 今日はこの後も一緒にいてくれるのでは無いのか?」
俺はソファに座ったまま振り返り、まゆりを窺った。
そう言って、まゆりは微笑む。
それは以前の彼女と違い、大人じみた笑顔だ。
岡部「そうだったのか……」
まゆりのやつ、夜勤だったのか……だったら今頃は寝てなきゃダメだろう。
岡部「そんな無理を………いや、気を遣わせた。悪かったな」
まゆりは、目を伏せて首を横に振る。
まゆり「ううん、私もちょっと楽しかったし。 ルミちゃんにも面白いお土産話が出来たしねぇ♪」
岡部「な、なに……!? フェイリスには話すなよ? ……絶対にだ!」
まゆり「ええー? どうだろうねぇー、えっへへ」
岡部「むぐぐ……」
歯噛みする俺を見て、まゆりが続けた。
まゆり「でも、来てみてわかったけど、やっぱり心配無かったみたいだね」
まゆり「だってね、オカリンも真面目にちゃんと考えてるみたいだし」
岡部「………」
まゆり「んで、スズちゃんはオカリンに任せても大丈夫だね、って思えたから、それでよし…なのです」
なのです、に照れが見られる。
ていうか、さっぱり意味がわからん。
まゆりは、そのまま玄関の方へと踵を返した。
まゆり「じゃあね、スズちゃん、オカリン」
振り返りながら手を振ってくる。
鈴羽「うんっ! ばいばい、まゆりお姉ちゃん!」
鈴羽は小さな手をまゆりに向けてブンブンと振った。
岡部「ありがとな、まゆり。 また来てくれ」
俺は軽く右手だけ挙げて、まゆりの背中を見送る。
Frm.まゆり
Sub.今日はありがとう♪
『やっぱりオカリンは、昔から変わってないようなので安心しました』
『いつまでも、そのままのオカリンでいてね』
……よくもまあ、こんな純粋の塊みたいなメールを未だに送れるものだ。
でも……サンクス。
俺はソファで横になり、タケコプカメラーをクルクルと回しては、昔の事を思い出している。
あの時は上空映像の再生後、すぐにまゆりが気持ち悪くなってしまい、大変な事になったりもしたっけ。
ひどく懐かしい。
思わず口元がゆるんでしまう。
岡部「む、いかんいかん……」
ハッとした俺は、慌てて気持ち悪く歪んだ表情を引き締めた。
そんな時、鈴羽の方から声をかけられる。
鈴羽「ねーオカリンおじさん?」
岡部「ん……なんだ?」
鈴羽「さっき言ってた未来がぜっとけんきゅーしょってさぁ」
岡部「未来ガジェット研究所、だ」
鈴羽「そう、それそれ!みらい……がぜっと……」
岡部「ガジェット。 それがどうした?」
岡部「そうだ。連中は俺を入れて全部で8人いる」
鈴羽「8人も!? すごーい!」
岡部「だろう?俺もビックリだ。まずは俺、そしてまゆり、ダル、紅莉栖、萌郁、ルカ子、フェイリス……」
最後の一人を言いかけて、言葉に詰まる。
鈴羽「へぇー、そのみんなで、さっきの面白いオモチャを作って遊んでたんだね、楽しそう!」
岡部「あ、いや……あれはオモチャではないぞ? そこは勘違いしないでもらいたいものだな」
鈴羽「え、そうなの?」
岡部「ああ……あれは元々、悪の組織によってもたらされた世界の支配構造を破壊するための…」
鈴羽「へぇー」
岡部「さっ、最後まで聞けよ!人の話は!」
鈴羽「だってー、オカリンおじさんの話って難しいからよくわかんないんだもん」
そう言って鈴羽はふくれっ面を作った。
鈴羽「へぇー」
また聞いてないな。
こいつが“へぇー”と返事をしてきた場合、大体において聞かれていない場合が多い事がわかってきた。
岡部「とにかく、人の話は最後まで聞くように」
これは自分に対しても言える。
鈴羽「わかった!」
鈴羽は、それに対して元気よく返事をしてきた。
ソファから身体を起こし、鈴羽のいる窓側に向き直る。
鈴羽「うん?」
水槽を飽きもせずに眺めていた鈴羽が振り返ってくる。
水面の光が反射して、その白い頬にはゆらゆらと水のゆらめきが描かれていた。
岡部「……さっきは何をやるか俺が提案したのだ。今度はお前がなにか考えてくれ」
鈴羽「うーん、これから何をするか考えればいいの?」
岡部「そうだ。 そうしないと退屈で眠くなってしまうからな」
実際、もう結構やばいところまできている。
目がしばしばする。
俺は29を過ぎた辺りから、昔ほどの元気は出なくなったのだ。
これが食後となれば、なおさらひどい。
ソープに当直ってあるんだ……
岡部「なに? 鈴羽、お前絵を描くのか?」
見たところ、全然得意そうな感じはしないが……。
以前は完全に外でぶっ飛び回るようなアウトドア派だったのに、
今では随分と小さくまとまったものだな。
鈴羽「うん、お絵かきは好きなんだー」
岡部「ふむ……そうか。 ならば準備しよう。待っているがいい」
鈴羽「わかった、ありがとう!オカリンおじさん」
岡部「う、うむ。そして俺の画力の前にむせび泣くがいいわ!フゥーハハハ!」
と偉そうに言いつつ、俺も絵は得意な分野ではない。
言ってしまえば、ルカ子と同じ部類に入るはず。
そんな事はどうでもいいか。
はて……。
棚を開けたり引き出しを引いてみると、書類やらハンコやら、全然関係ないモノばかり出てくるではないか。
俺は、今までろくに家の片づけなどもやった事がないので、どこに何があるのか把握しきれていない。
途中、まゆりに電話で聞こうかとも思ったが、さすがにそれは怒られそうなのでやめておく。
岡部「あ、あったあった」
ようやく見つけた。
やっとの事だ。
岡部「なぜか台所にあったぞー」
隣室の鈴羽に向けて、発見報告をする。
鈴羽「へぇー!」
岡部「……」
するとリビングからは、力いっぱいの“へぇー”が返ってきてしまった。
まあ、それはそうだろうな。
テーブルの上には、俺が見つけ出してやったお絵かきセットが所狭しと鎮座している。
鈴羽「うわあ、いっぱいあるんだね?」
岡部「うむ。 俺のではないがな」
鈴羽は早速それらを手にとってためつすがめつし始め、俺もその中から鉛筆を選び出した。
そこから静かな時間が始まる。
聞こえるのは鉛筆が紙を走る音と、時計の針が回る音だけ。
鈴羽の集中力はすごいもので、さっきから話しかけてもうんともすんとも返って来やしない。
岡部「……ううむ」
一体こいつはなにを書いているのだ、と横から覗き込んでやろうとすると、
ようやくこちらの不穏な動きに気付いた鈴羽に絵を隠されてしまった。
鈴羽「あー、ダメダメ!できるまでは見せないからね!」
岡部「むう……ケチだな」
鈴羽「うるさーい!」
岡部「ぐっ……」
まさか4歳の子供に鬱陶しがられるとは……。
これはなんだ……?
俺は何を書いていたのだったっけ。
自分の紙に目を落としてみるも、何やらよくわからないものが描かれているのみ。
鈴羽は、再び自分の紙にカリカリと絵を描き始めてしまった。
よそ見をしたら置いてけぼりにされた気分。
俺は呆然と紙を眺める。
そんな時。
鈴羽「ふんふーん♪」
岡部「……?」
気分でも良くなったのだろうか。
鈴羽は紙の上で色鉛筆を忙しく動かしながら、急に鼻歌をうたいはじめた。
青空をイメージさせるような、それでいてどこか切なさを感じさせる曲だ。
しかし、今の時代の曲じゃない。
思わず口をついて、俺はそんな言葉を発していた。
鈴羽「うん?なにが?」
岡部「あ、いや。今、お前の歌っていたやつだ」
鈴羽「ああ、えへへ……」
岡部「いいメロディだ、と言った」
どこか、懐かしさを感じるような。
鈴羽「うん、ありがと」
岡部「えっ? ああ……」
何がありがとうなのかよくわからないが、俺はその鼻歌をBGMにして、
再び絵を描く事に取り組む事とした。
どうやら向こうも完成したようだ。
岡部「出来たのか?」
鈴羽「うん!オカリンおじさんは?」
岡部「ああ、俺のはとっくのとうに出来ている……ククク」
鈴羽「ほんと?すごい! 見せて見せて?」
岡部「う、うむ……」
鈴羽は立ち上がるとこちらに回り、俺の絵を覗き込んでくる。
鈴羽「……え?なにこれ?」
なんだろう。
岡部「わからん……」
鈴羽「え?」
岡部「いや、わからないのだ。自分でもなにを書いていたのかが」
鈴羽「それは……す、すごいね」
なんとも微妙な評価をいただいてしまった。
鈴羽「うん?」
岡部「そろそろお前の絵も見せてくれてもいいんじゃないか?」
鈴羽「あ、そうだね!はい、これ!」
鈴羽は自分の描いた絵を、ペラリとこちらに渡してきた。
俺はその絵を受け取り、それに目を落とす。
岡部「うむ……あ……え?」
思わず絶句してしまった。
だってこれは―――。
岡部「鈴羽……、これは何の絵だ?」
鈴羽「うん、オカリンおじさんだよ!」
岡部「……」
その周りには―――。
岡部「………この周りの人たちは誰なのだ?」
なんとなくわかっているが、信じられずに確認してみる。
鈴羽「オカリンおじさんのお友達!」
岡部「そ、そうか……」
家かどこかで、ラボメンたちの集合写真でも見たのだろうか。
それらは、間違いなくラボメンたちであった。
あ、でもそれにしては萌郁の姿だけが見当たらないな……。
岡部「鈴羽、何でラボメンたちの姿を知っている?」
鈴羽「え?」
岡部「こいつはパッと見で誰が誰かわかるほど上手く書けているではないか」
鈴羽「そう? ありがとー!えへへ」
そういって鈴羽は笑顔を浮かべた。
どうやら俺の質問は見事に右から左へ受け流されてしまったようだ。
改めて、この驚くべき絵に目をやる。
ふと、紙の端にとんでもないものが描かれているのが目に映った。
青い服を着た女の子で、髪を結っておさげにしている。
岡部「お、おい鈴羽よ……こいつは……一体誰だ?」
それを指さして、鈴羽に訊ねてみる。
まさか……他のラボメンの写真が残っていたとしても、
このバイト戦士の肖像が今の世界に存在しているわけがない。
この笑顔は、俺の記憶の中にしか存在していないはず。
だから鈴羽には、この戦士の絵を描けるはずがない。
鈴羽「ああ、その人はあたしのお友達だよ?」
岡部「な……に?」
岡部「……」
俺は、思わず鳥肌の立った二の腕をさする。
鈴羽はそんな俺の様子を気にもとめずに続けた。
鈴羽「夢の中でね、私とそのお姉ちゃんと、あと、その絵の中のみんなで遊ぶの!」
岡部「……っ」
夢の中で、みんなで遊んでいる、か。
鈴羽の言葉に、普通ならこれは有り得ない事だとわかっているのに、何故か涙が浮かびそうになる。
岡部「そうか……こいつは、すごくいい絵だな。とても……」
鈴羽「あはっ! ありがとう、オカリンおじさん!」
鈴羽が、屈託のない笑顔で微笑んでくる。
バイト戦士。
まさか、お前とこんな所で、しかもこんなタイミングで再び出会えるとはな。
これも運命石の扉の選択、なのだろうか。
俺は今、確かに鈴羽の中に未来を垣間見たような気がした。
また鈴羽の頭をワシャワシャとかいてやった。
鈴羽「あーもう、またやったー!」
鈴羽が、おさげを庇うように両手で押さえる。
鈴羽「おさげが崩れちゃうじゃーん!」
岡部「あ、ああ。すまなかった。そういえば、それは母さんがしてくれたのか?」
鈴羽「あ、うん。このお姉ちゃんとお揃いにしてもらったの!」
なるほど、こいつのおさげはそういう事だったのか。
岡部「……鈴羽、お前はよほど、そのお姉ちゃんの事が大好きなのだな」
岡部「…ああ。さっき絵を描いてた時にお前が歌っていたな?」
鈴羽「そう、あれもね、お姉ちゃんがよく夢の中で歌ってくれるから覚えたんだよ」
岡部「……」
……なんとも不思議な事ばかりが続き、いい意味で頭がクラクラとしてしまう。
岡部「そうか……やはりあれは……いいメロディだな」
鈴羽「ありがと!えへへ」
そう言って笑う鈴羽の頭に手を置いてやる。
岡部「よかったら、もう一回聞かせてくれないか?」
鈴羽「うん、いいよー!」
岡部「うわっ、ちょ……!」
俺の膝の上はヒョロヒョロでグラグラとしていて心許ない。
危ない!
グラつく鈴羽をとっさに支えようとして、意図せずその肩を抱いてしまった。
岡部「あ!すまん……」
何をやっているんだ、俺は。
これではまるでHENTAIのようではないか。
慌てて手を離そうとしたところで、鈴羽は目を閉じたまま、さっきのメロディを口ずさみはじめた。
頭をゆっくりと左右に揺らしながら。
鈴羽「―――――♪」
岡部「……」
俺も黙って目を閉じると、子供らしい甘ったるい香りが鼻に届く。
なるほど、実にお前らしい曲だな。
……バイト戦士よ。
俺たちは、俺の事や鈴羽の事についてをあーでもないこーでもないと、
途中で――子供相手に――マジになりながら話したり。
そんな事をしている内に、とうとう玄関のチャイムが鳴ってしまった。
岡部「鈴羽、父さん達が帰ってきたみたいだぞ?」
隣に座った鈴羽に、手をさしのべて立ち上がるよう促す。
鈴羽「えー? もう?まだ話足りないよー」
岡部「うん? そうか。じゃあ、続きはまた今度だな」
鈴羽「うーん……約束だからね?」
岡部「ああ、わかった。約束しよう」
そう言ってやると、ようやく鈴羽は俺の手を握ってくれた。
玄関先に立っていた由季氏が、ニコニコの顔で鈴羽に手招きをしている。
ダルはというと、車の方で買い込んだ荷物を整理し、もう一人分の座席を用意していた。
岡部「……なんだアレは。随分とエンジョイしてきたようだな」
由季「あはは、お恥ずかしい。そういえば……鈴羽はいい子にしてた?」
由季氏が申しわけなさそうに聞いてくる。
岡部「ああ、いや。 逆にこっちが構ってもらったようなものだ、なあ、鈴羽?」
鈴羽「うん!とっても楽しかったよ!」
そういって鈴羽は由季に駆け寄ると、こちらを振り返って笑顔を見せてきた。
鈴羽「うん、母さんもよかったね。えへへ♪」
由季「あー……ははは…」
あっと、そうだった。
岡部「鈴羽、こっちに来てくれないか?」
鈴羽「んー?なになにー?」
鈴羽が歩み寄ってくる。
岡部「ちょっと手を出してくれ」
鈴羽「??」
俺は、さっき用意しておいたピンバッジをポケットから取り出して、鈴羽に手渡した。
鈴羽は、それを不思議そうに手のひらの上で転がしている。
鈴羽「これは?」
そこで、バサッとマッドサイエンティストの決めポーズをとる。
随分久しぶりだ。
あ、しまった……由季氏がいたのを忘れていた……。
そろりと姿勢を戻し、コホンと咳払いをしてごまかす。
岡部「……ラボメンの証、そして思い出のバッジなのだ」
鈴羽「うわぁ!ほんとにー!?」
そう言ってやると、途端に鈴羽は目を輝かせた。
由季「あ、それ父さんが大事にしてるのと一緒だね。いいの?岡部君」
いや、むしろ鈴羽に渡すために一個残してあったのだ。
岡部「ああ構わない。鈴羽、それを大事にするように。 ……特にお前が18になるまではな?」
鈴羽「え? うん。よくわからないけど、わかった!」
岡部「よろしい」
ダル「おーい!車の準備が出来たぞーぅ!のりこめー!わぁい!」
由季「あ、それじゃあ岡部君、準備が出来たみたいだから行くね?」
岡部「ああ、気をつけて帰るようにな」
由季「うん、今日は本当にありがとう!」
その笑顔に照れてしまい、俺は思わず自分の頭に手をやる。
鈴羽「オカリンおじさん、またねー!」
鈴羽が振り返って、手を振ってきた。
無邪気なものだな。本当に。
俺も手を挙げてそれに応える。
岡部「あ、そうだ鈴羽」
鈴羽「なーに?」
岡部「また、夢であいつに会ったらよろしく伝えてくれ。あと、ありがとう、と!」
鈴羽「わかったー!」
そう返事をして、鈴羽はそのまま車に乗り込んでしまった。
それとすれ違いでダルが顔を出してくる。
ダル「オカリン、今日はマジでありがとな。これお土産」
ダルが差し出す紙袋を手に取ると、中にはフィギュアやらマンガ本らしきものが見える。
こんなものを貰っても、俺はどうすればいいというのだろうか。
岡部「サンクス……」
とりあえず、部屋にでも飾っておこう。
岡部「ああ」
踵を返して車に向かうダルの背中に声をかけてやる。
岡部「ダルよ、くれぐれも安全運転を心がけるようにな」
俺の注意に、ダルは黙ってサムアップして振り返らずに行ってしまった。
なんというか、思っていたより随分あっけないものだったな……。
俺は何ともいえないもの寂しさを覚えた。
それが急に全身にゾワリと感じ、たまらなくなった俺は財布と携帯だけを持って家を飛び出す。
しばらく歩いた頃には辺りはすっかり暗くなってしまっていて、
いつか見たような夜空には、数多の星が光って見えていた。
ダル『オカリンさー、うちの鈴羽に何したん?』
電話のスピーカーから、ダルの訝しげな声が聞こえてくる。
岡部「は? おいダル、人聞きの悪い事を言うな!俺はいかがわしい事など……」
ダル『あ、いやいや、そう言う意味じゃないんだけどさ、今日1日でオカリンにやたら懐いたみたいなのだぜ?』
岡部「なに? そ、そう、なのか?」
まあ、奴はもともと人なつっこい性格のようだからな……。
岡部「……そうか。 ま、まあ、鈴羽にはまたいずれ会いに行くさ」
ダル『おおう、わかった。そん時はよろしく頼むお』
まあ、しばらくは無理だ。
こっちもこれから忙しくなるはずだし。
岡部「奥さんにもよろしく言っといてくれ」
ダル『ういお、オカリン、今日は本当にありがと。でもさ、子供ってやっぱいいもんだろ?』
……ははあ、こいつめ。
やっぱり鈴羽を預けてきたのも、ダルなりの気遣いのつもりだったのかも。
でもまあ、それならそれで、やはりダルは大したもんだ。
岡部「……そうだな。 今は本当にそう思うよ。 こちらこそ感謝する、ダル」
岡部「……ああ」
あっと、しまった。
言い忘れるところだった。
岡部「あ、ダル。俺からも一つ頼みがあるんだが」
ダル『ん?なんぞ?』
岡部「鈴羽には、そのうち自転車を買ってやってくれ」
ダル『はあ?いきなりどうしたん?』
岡部「あいつには自転車が必要なのだ。もしお前が買わないのなら俺が買うが? 自費で」
そう言うと、ダルは電話の向こうで少し考え込んでいるようだった。
それからすぐに、返事が返ってくる。
ダル『……オカリンが何で自転車にこだわるかわかんないし、鈴羽にはあんま危ない事させたくないけど……』
……おい。
……なんだなんだ、照れくさいな。
岡部「……そうか、ありがとな」
ダル『うん、こっちこそ。 じゃ、オカリン、またその内遊ぼうぜ』
岡部「ああ、楽しみにしておく」
ダル『そんじゃなー』
プツリと音がして、先輩からの電話が切れる。
俺はそのまま携帯の電源を切ってポケットにしまった。
岡部「紅莉栖、調子はどうだ?」
紅莉栖「あら…こんな時間に会いに来るなんて、どういう風の吹き回しかしら?」
俺が声を掛けると、紅莉栖は凍りついた笑顔のままこちらを振り返ってきた。
……こいつめ、まだ昨日の喧嘩を引きずっているようだな……。
まあ、怒らせたのは例によって俺なのだが。
岡部「……そう怒るなよ。 ……昨日は俺が全面的に悪かった。すまない、紅莉栖」
そこまでいって、テーブルの上に自販機で買ってきたホットミルクを置いてやる。
途端に、紅莉栖がキョトンとした。
それだけ言って、ふい、と向こうを向いてしまう。
岡部「……よかった。 まあ……怒りすぎは胎児に悪影響を及ぼすというからな?」
紅莉栖「あ…はは……怒らせてるのは9割あんただけどな……」
やれやれ、と言った感じで首を振り、紅莉栖がホットミルクを一口含んだ。
岡部「すまん……それより、予定は早まったりしないのか?」
紅莉栖「……は?」
俺がそう聞くと、紅莉栖は目をまん丸にして見つめてきた。
言わずもがな、その目が語っている。
こいつはいきなり何を言い出すのか、と。
でも、なんかこう……俺がこんな風に思ってしまうのもしょうがないのだ。
今日は。
岡部「いや……その、出産予定日が、だ。前倒しで生まれたりはしないのか?」
紅莉栖「……あんたまさか、鈴ちゃんを見てて待ちきれなくなったとか?」
……。
岡部「ゲェーッ!なんでそれを知っている……!?」
思わず立ち上がると、俺の座っていた椅子がガターンと音を立てた。
紅莉栖「やかましいな!朝一番でまゆりから聞いとったわ!」
岡部「うわっ!お前っ!大きな声を出すなよ!」
紅莉栖「え、えっ?」
岡部「お腹の子に悪影響が……」
紅莉栖「……早くも親バカぶりを発揮か……」
岡部「ぐ、ぐぬぬ……それにしてもまゆりのやつめ……」
紅莉栖「……クスッ。 こないだまで、あんなに父親になる事にビビってたのにな?」
手を口に当て、プッと吹き出される。
しかし、それはそれで笑われると悔しいものだ。
岡部「ビビってなどいない!ちょっと腰が引けただけであってだな……」
紅莉栖「ワロスワロス。 意味が同じだろ……でも、あんたが思ってた通りの子煩悩そうで安心した」
そう言って、紅莉栖はさっきまでの仏頂面などどこ吹く風で、優しい表情を見せてくれた。
岡部「いや……でも、俺が子守りなんか引き受けて不安じゃなかったのか…?」
いつもだったら、俺が子守りなどを安請け合いしたと知った途端に怒りの電話を飛ばしてきそうなものだが……。
紅莉栖「んー……全然ね」
しかし、俺の考えに反して、紅莉栖の答えは随分とアッサリしていて意外なものだった。
紅莉栖「そ、全然。 まあ、信頼してるからね……それにちょっと期待してたっていうか」
岡部「き、期待……だと? 俺に……?」
聞き返すと、紅莉栖はウィンクするように片目を閉じて、得意げな顔をする。
紅莉栖「当たり前じゃない………なんせ、あんたは私の旦那様なのだぜ?」
紅莉栖はそう言うや否や、ふい、と向こうを向いてしまった。
ただ、耳まで紅いのは隠せていないのは昔のままだが。
しかし、やられた。
こうして惚れ直させられたのは何度目だろうか。
紅莉栖「……あんたは変わらなくていい。 私は……そのままの倫太郎が好き」
そうして、紅莉栖は自分の大きなおなかを撫でて――。
紅莉栖「きっと、この子もそう思はず。 きっとね……」
――と。
しかも、これからは三人での新しい生活が始まるのだという未来に胸が躍って。
思わず視界がぼやけた。
岡部「うぐぐ……っ」
紅莉栖「こ、こら!いい歳したオッサンが泣くな! 恥ずかしいだろが」
俺はぐずぐずの顔を見られたくなくて、つい、子供のように紅莉栖にしがみつく。
紅莉栖は、そんな俺の頭をいつまでも。
優しく、撫でてくれていた。
おわり。
よかったら最後に聴いて下さい。
阿万音鈴羽で『メロディ』
http://www.youtube.com/watch?v=hIQ1Yz_qNQs&sns=em
音量にはお気をつけて。
みなさん、今日は本当にサンクス。
乙でした!
やっぱオカクリはしっくりくる
Entry ⇒ 2012.01.15 | Category ⇒ シュタインズゲートSS | Comments (0) | Trackbacks (0)
紅莉栖「岡部に冷たく当たってみる」
紅莉栖「うるさい、喋りかけないで」
岡部「な… い、嫌とは言わせんぞ! これはラボメン命令なのだからな!」
紅莉栖「黙れって言ってるの いい加減にして」
岡部「お、おい、クリスティーナ…? なにか怒らせるような事をしたか?」
紅莉栖「うるさい! 黙れ! 話しかけるな!」
岡部「…」
紅莉栖(焦ってる岡部可愛いよぅ…)
岡部「く、クリスティーナよ! すまなかった! 許してくれ! この通りだ!」
紅莉栖「…何が?」
岡部「は?」
紅莉栖「自分のどこが悪いかわかって言ってるの? 謝れば許してもらえると思ってるの? 本当に最低 良いからもう話しかけるな」
岡部「…」
紅莉栖(あああ~ 岡部可愛いよぅ岡部可愛いよぅ ごめんね? こんな事して でも岡部が可愛すぎるのが悪いんだよ?)
岡部「く、クリスティーナよ… 悪いところがあったなら教えてくれ 頼む」
紅莉栖「…」
岡部「クリスティーナ…?」
紅莉栖「…」
岡部(無視…だと…)
紅莉栖「…」
岡部(い、嫌だ… 紅莉栖に嫌われるなんて… 嫌だ… でも… どうすれば良いんだ…)ジワッ
紅莉栖(きゃああああ岡部が! 岡部が涙目になってるよぅ! 可愛い抱きしめたい!)
紅莉栖「さっきから突っ立ってて鬱陶しいんだけど する事が無いなら出て行けば?」
岡部「…すまん」クルリ
岡部「…んなんだよ…」
紅莉栖「チッ なによ…」
岡部「悪いところがあるなら言ってくれよ…!」ポロポロ
紅莉栖「あんたの全てよ 見ててムカつくのよ」
岡部「ぐっ、うぅ…」ボロボロ
岡部「うるさい! お前のせいだろうがぁ!」ポロポロ
紅莉栖「自分の事を棚に上げてよくもぬけぬけとそんな事が言えるわね 最低」
岡部「もう、許してくれよ… 俺が何をしたって言うんだよ…」
紅莉栖「いーっつもぞんざいに扱ってるじゃない 人にされて嫌な事はしちゃいけないって言われなかったの?」
岡部「それは、お前が…」
紅莉栖「また人のせい? クズね」
岡部「お前を前にするとついからかうような事を言ってしまったんだ…」
岡部「全部、お前が… お前が好きだったからなんだよ!紅莉栖!」
紅莉栖「キモい 死んで」
岡部「」
岡部「くっ… ふ、フゥーハハハ すまなかったな! く、クリスティーナよ!」
岡部「…外に出てくる このラボには、もう来なくても良い …さらばだ」
グイッ
岡部「…?」
紅莉栖「待ちなさいよ」
言っておくけどマグマじゃないよ あとご飯食べたいよ
紅莉栖「紅莉栖って呼べ」
岡部「…? …紅莉栖」
紅莉栖「…本当に、私が好きか?」
岡部「…あぁ、好きだよ… もう良いだろう、手を離せ…」
紅莉栖「待てといっとろーが」
岡部「紅莉栖…?」
ロールキャベツ食べる
岡部「うぉっ」
紅莉栖「本当にバカね 逃がさないわよ」
岡部「どけよ… 俺の事が嫌いなんだろう?」
紅莉栖「そんな事一度も言ってない」
岡部「だが、俺の全てが悪い、見ててムカつくと…」
紅莉栖「嫌いだとは言ってないって言ってるでしょ バカ、大バカ」
紅莉栖「まだわからないの? だからダメなのよ」
岡部「…」
紅莉栖「…わからないなら、わからせてやるわよ」
岡部「なに?」
紅莉栖「目を閉じろ口を閉じろ耳を塞げ」
岡部「…わかった」
チュッ
紅莉栖「うるさい」
岡部「顔が赤いぞ」
紅莉栖「調子に乗るな このHENTAI」
岡部「キスしたお前が言うか…」
紅莉栖「いい加減にしないと無理やり黙らせるぞ」
岡部「勘弁してくr、んう」
岡部「…」
紅莉栖「…なんか言え」
岡部「黙れと言ったのはお前だろうに…」
紅莉栖「うるさい これでわかったかバカ」
岡部「あぁ…」
紅莉栖「バーカバーカ」ギュウ
紅莉栖「…なによ」
岡部「好きだ」
紅莉栖「…ズルい」
岡部「悪かったな」
紅莉栖「ズルい もう少し冷たくすれば良かった もう一回泣け 泣きなさい 泣かす」グリグリ
岡部「うぐぐやめてくれ」
岡部「じゃあ実力行使だな、っと」グイッ
紅莉栖「きゃっ、き、急に起こs、ん、ふ、ぅっ」
岡部「紅莉栖、好きだ」
紅莉栖「…このHENTAI」
岡部「お前が可愛すぎるのが悪い」
紅莉栖「っ、うぅ~…」
紅莉栖「うー… さ、さっきの泣いてた岡部だって可愛かったもん!」
岡部「な、何を言うかっ」
紅莉栖「冷たくされて焦ってたくせにっ 無視されて涙目になってたくせにっ」
岡部「そ、それは、お前に嫌われたかと…」
紅莉栖「鈍感 ヘタレ バカ 厨二病」
岡部「むぅ…」
紅莉栖「嫌うわけ、ないでしょ…」
紅莉栖「…きよ」
岡部「…聞こえないぞ」
紅莉栖「っ、好きよ! 大好きよバーカ!」
岡部「俺も、大好きだ」ギュウ
紅莉栖「ぁっ、うぅ…」ギュウ
岡部「まぁな、紳士ってやつだ それとも何か? 手を出して欲しいのか? HENTAI少女よ」
紅莉栖「…名前」
岡部「む、く、紅莉栖よ…」
紅莉栖「…出しなさいよ」
岡部「ま、マジか…」
岡部「お、落ち着け紅莉栖 俺は、その、出したいのは山々なんだが…」
紅莉栖「じゃあなによ…」
岡部「その、どうすれば良いのかわからん…」
紅莉栖「…童貞」
岡部「ぐぬっ 仕方ないだろう!」
岡部「すまん… とりあえず、一度どいてくれると助かr」
紅莉栖「私がする」
岡部「…なんと?」
紅莉栖「わ、私がしてあげるって言ってるの! わかったら動くな! そのまま後ろに倒れろ!」グリグリ
岡部「む、むちゃくちゃだ!」
岡部「し、しかしだな」
紅莉栖「問答無用! ちゅう」
岡部「んむっ、ん、ふっ、ちゅる」
紅莉栖「れろ、じゅる、んぷ、れるれる、ちゅ、ふぅっ、ん、ふふっ、ぷは」
岡部「…口の中って、気持ち良いんだな」
紅莉栖「…童貞乙」
岡部「これから卒業するさ」
岡部「…乾いたからな」
紅莉栖「…ぺろ」
岡部「なっ、お前…」
紅莉栖「ふふ、しょっぱい」
岡部「いきなり舐めるな びっくりするだろう」
紅莉栖「ふーん… れろ、れろちゅる」
岡部「うぉぉ!? おま、耳なんてっ や、やめてくれ!」
紅莉栖「ちゅぱ、れる、じゅるるる」
岡部「くうぅぅぅ…」
岡部「し、仕方ないだろ…」
紅莉栖「それに、こっちの方も、おっきくなったみたいじゃない?」ムギュ
岡部「っ…」ビクリ
紅莉栖「それじゃ、本番だよ…」ニコリ
以下省略
ダル「なーんか今日の牧瀬氏、機嫌良くね?」
紅莉栖「そう? 気のせいじゃない?」
まゆり「えっとねー、まゆしぃにも今日の紅莉栖ちゃんは嬉しそうに見えるのです」
紅莉栖「そうかしら…」
岡部「フゥーッハハハハ! ただいま帰還したぞ!」
まゆり「あ、オカリン とぅっとぅるー♪」
ダル「おー、オカリンオカリン、牧瀬氏の機嫌が良い気がするんだけどなんか知らん?」
岡部「ふむ、気のせいではないか? おーぅい、助手ぅー! クリースティーナー!」
岡部「ほらみろ、むっつりと黙り込んでいるではないか」
ダル「なんとなく余裕のようなものが見えるお… まさか!」
岡部「そ、それこそ気のせいではないか? なぁ、助手よ!」
紅莉栖「…」
まゆり「わぁー、紅莉栖ちゃんがにやけてるよー」
ダル「やっぱりそういうことなんだお! 屋上へ行こうぜ!」
岡部「だ、ダル! 落ち着けスーパーハカー! ダイエットコーラあるぞ!」
ダル「そんなもんじゃ釣られないお!」
紅莉栖「…」
ダル「鈴羽たん! オカリンを押さえるお! 裏切り者だお!」
岡部「な!お前!」
鈴羽「まさか、SERNの洗脳!? 岡部倫太郎、ちょっと我慢してね!」ガッシボカッ
岡部「ぐおお! 離せぇ!」
ダル「フェイリスたんに見破ってもらうお! まゆ氏、連絡頼んだお!」
まゆり「えっへへー、もうしてあるのです もうすぐ着くってー」
岡部「ぐぬぬ…」
紅莉栖「…」
岡部「る、ルカ子! 助けてくれ!」
まゆり「ルカ君とぅっとぅるー♪ オカリンはねー、女の子の敵なのです」
ルカ「お、岡部さん… そんな、ボク、ボク、信じてたのに…」ウルウル
岡部「ウェイウェイウェイ! 適当な事を言うな!」
パシャ
岡部「!? し、指圧師!? またお前か!」
萌郁「楽しそう……だったから……」
岡部「そうだろうと思ったよ!」
紅莉栖「…」
まゆり「萌郁さんもフェリスちゃんも、とぅっとぅるー♪」
ダル「フェイリスたん降臨! ktkr! 今こそその力を見せてほしいお!」
フェイリス「ニャー? つまりどういうことニャ?」
ダル「かくかくしかじかだお」
フェイリス「ふむふむ、そういうことならお任せニャ! 凶真! フェイリスの目を見るニャ!」
岡部「ぐうう…」
紅莉栖「…」
岡部「し、知らん…」
フェイリス「…ニャン、こいつは嘘を吐いている顔だニャ!」
まゆり「まゆしぃは悲しいのです…」
ルカ「あの、岡部さんは一体何を…?」
ダル「おそらく、牧瀬氏とねんごろになったんだお! そうならそうと言えお! 仲間だろぉ!?」
岡部「ぐ、そ、そう、だ…」
紅莉栖「…」
岡部「まったく… お前らは…」
まゆり「紅莉栖ちゃんもこっちにおいでよー」
紅莉栖「…はぁ」
ダル「おお、目に見えて顔が赤いお」
岡部「紅莉栖?」
紅莉栖「う、うるさい 黙って」
フェイリス「ツンデレだニャー」
ダル「ヒューヒュー」
紅莉栖「で、でも! 岡部が調子に乗るといけないから、その…」
紅莉栖「岡部に冷たく当たってみる」
終わり
この後オカリンがみんなにいじられたりルカ子に切なさそうに見つめられたり写メられたりどつかれたりして紅莉栖に助けを求めるけど冷たいから無視されちゃうところまで妄想した
そのまま>>1に戻るんですね分かります
長いことお疲れ
Entry ⇒ 2012.01.14 | Category ⇒ シュタインズゲートSS | Comments (0) | Trackbacks (0)
紅莉栖「岡部が好きすぎてつらい……」
紅莉栖(今日の朝、起きたらあの世界線の事を全部思い出していた)
紅莉栖(岡部が私にセクハラした事、岡部と口喧嘩した事、岡部と一緒に買い物をした事、岡部が私に頼ってくれた事、岡部が……わ、私の事を好きだって言ってくれた事)
紅莉栖「はあ……」
紅莉栖(この世界線で、ただでさえ岡部は私の命の恩人なのに、あんな記憶思い出したせいで岡部への好感度がヤバい……今すぐ岡部にルパンダイブしたい)ウズウズ
紅莉栖「岡部が好きすぎてつらい……」
岡部「…………」
まゆり「………」
ダル「………」
岡部「……なあ、ダル」ヒソヒソ
ダル「……なに、オカリン」ヒソヒソ
岡部「……ふ、普通本人の前であんな事言うか?」
ダル「……もしかしたら牧瀬氏なりの釣りかも」ヒソヒソ
まゆり「でも、あの顔は本気みたいだよ~」ヒソヒソ
岡部「だ、だが!あの助手がそんな恥ずかしい事を本人の前で言う筈が!」
紅莉栖「……岡部とラブちゅっちゅしたい」
ダル「ほ、ほら!また言ったお!」ヒソヒソ
岡部「」
まゆり「紅莉栖ちゃん、大胆なのです」ヒソヒソ
岡部「い、いや待て!これは罠かもしれん!助手の巧妙な精神攻撃に違いな……」
紅莉栖「外じゃなくてもいいな……二人っきりのラボでひたすらいちゃいちゃしたい。岡部に膝枕してあげて一緒にお昼寝とかしたい」
岡部「」
まゆり「うんうん、ガチだよね~」ヒソヒソ
岡部「し、しかしだな!あ、あんな事を聞かされては今後あいつとどう接すれば……」ヒソヒソ
紅莉栖「岡部が私にもっと優しくしてくれたらな……」
岡部「!?」
紅莉栖「ま、まあ私と岡部はまだこ、恋人同士じゃないから仕方ないけど……もっとまゆりの時みたいに優しくしてくれたらいいのに」
ダル「……だってお、オカリン」ヒソヒソ
まゆり「オカリン、これからは紅莉栖ちゃんに優しくしないとダメだからね」ヒソヒソ
まゆり「なんだが、まゆしぃはとても申し訳ないのです」ヒソヒソ
紅莉栖「わ、私も一緒にホテルまで送って欲しいな……そしたら、手も繋いでくれるかな」
ダル「……だってお、オカリン」ヒソヒソ
まゆり「今度から紅莉栖ちゃんとも一緒に帰ってあげてね、オカリン」ヒソヒソ
岡部「……か、考えておく」
紅莉栖「せめて……ちゃんと名前で呼んでほしい。時々名前で呼んでくれるけど、その度にドキドキするから止めろよなっ!まったく………えへへ」
ダル「………名前で呼んで欲しいのか、欲しくないのかどっちだお」ヒソヒソ
まゆり「じゃあ、みんなの前ではいつも通りで紅莉栖ちゃんと二人きりの時は名前で呼んであげたらどうかな、オカリン」ヒソヒソ
岡部「あ、ああ……」
ダル「おっ?……とりあえず、独り言は終わったみたいだお」ヒソヒソ
岡部「あ、あれは本当に独り言なのか?」ヒソヒソ
まゆり「でも紅莉栖ちゃん、自覚なしみたいだよ~?」ヒソヒソ
ダル「オカリン、とりあえず何か話かけてこいよ」ヒソヒソ
岡部「は、はあっ!?何故!?」
まゆり「いいから、いいから♪」
岡部「き、貴様ら絶対に楽しんでいるだろ!」
ダル「ふひひ」
まゆり「えへへ」
岡部(だ、だが……このまま紅莉栖を放置していてもマズいな。これ以上あんな事を聞かされては精神衛生上よくない)
岡部(よ、よし、とりあえず本人の希望通り、名前で呼ぶか)
岡部「なあ、紅莉栖。ちょっといいか?」
紅莉栖「だから助手じゃないって………ふぇ?いま、紅莉栖って」
岡部「ああ……まあ、今日は名前で呼んでみたかった気分なのだ。気にするな」
紅莉栖「お、岡部が紅莉栖って……えへ、えへへへ」
岡部「えっ?ああ、その……」
岡部(しまった、特に用などなかったのだが……)
岡部「そ、そろそろ昼飯の時間だからな!昼飯はどうするのだ?」
紅莉栖「えっ?もうそんな時間!?……気付かなかった。随分と読書に集中してたみたい」
岡部(……こいつ、本当にさっきのは全部、独り言だったのかよ)
紅莉栖「岡部はどうする予定なの?」
岡部「俺か?そうだな、今日はまゆりとダルもいるしたまには四人で外食するのも悪くは……あれ?」
紅莉栖「どうかした……?」
岡部「……ダルとまゆりはどこに行った」
紅莉栖「あれ?確か今日はラボに来てた筈よね……」
岡部(あ、あいつら!そんなに俺と紅莉栖を二人きりにしたいのか!?)
紅莉栖「ふ、二人きり、……ふふっ」
紅莉栖「えっ?……う、うん」ションボリ
岡部(ええい!露骨に落ち込んだ顔をするな!)
岡部「この前、買ったカップ麺がある。俺はそれにするつもりだが……お前も一緒にラボで食うか?」
紅莉栖「ふぇ?」
岡部「べ、別にサンボが食いたいと言うなら一人で食いに言ってくればいいが……」
紅莉栖「わ、私も!私も岡部と一緒でいい」
岡部「そ、そうか」
紅莉栖「……岡部と一緒がいい」ボソ
岡部「えっ?」
紅莉栖「ううん、何でもない」
岡部「そうか、なら湯を沸かしてくる」
紅莉栖「うん……えへへ、岡部と一緒」
岡部・紅莉栖「「いただきます」」
岡部「……」ズルズルズル
紅莉栖「………」ジー
岡部「……どうした?食べないのか?」
紅莉栖「たっ、食べるわよ……」
岡部「………」
岡部「……さては貴様、箸が使えないのか」
紅莉栖「つ、使えるわよ!失礼な!み、見てろよ」
紅莉栖「あれっ」つる
紅莉栖「このっ」つる
紅莉栖「くっ……」
岡部「サンボでは箸を使って食ってた記憶があるが?」
紅莉栖「め、麺はフォークで食べる派なのよ」
紅莉栖「あっ」
岡部「これで食えるだろ。ほら、口を開けろ」
紅莉栖「い、いやさすがにこれは」
岡部「さっさとしろ、お前の麺が伸びるのは構わんが、俺の麺が伸びるのはご免だ」
紅莉栖「わ、分かったわよ!……あ、あーん」パク
紅莉栖「んっ……おいし」
岡部「ほら、次いくぞ。口開けろ」
紅莉栖「な、なによ!偉そうにっ……あーん」パク
紅莉栖「んっ……」
岡部「フゥーハハハ!まるで親が雛鳥に餌を与えている気分だ!」
紅莉栖「う、うるさい!ばか……」
岡部「しかし、何時までもこのままではいかんな……今度、お前にフォークでも買ってやる」
紅莉栖「えっ?」
岡部「……次いくぞ、口開けろ」
紅莉栖「うん、………ありがと」
紅莉栖「ご、ごちそうさま……」
岡部「………」
紅莉栖「………」
岡部(き、気まずい……それに恥ずかしい!お、俺は何て事をしてしまったんだ)
紅莉栖「ね、ねえ岡部」
岡部「な、なんだ?紅莉栖」
紅莉栖「そ、そのさっきのフォークの件なんだけど」
岡部「あ、ああ」
紅莉栖「も、もしかして、前の世界線の事、ちゃんと覚えていてくれたの?」
岡部「な、なに!?」ガシッ
紅莉栖「あっ、えっ?お、岡部?」
岡部「お、お前、思い出していたのか!?」
紅莉栖「あ、うん……その、今日の朝。起きたら思い出してた」
岡部「ど、どの程度思い出しているのだ?」
紅莉栖「たぶん、全部……その、岡部がラボで私にこ、告白してくれたのも、覚えてる」
紅莉栖「う、うん……」
岡部「で、ではその……き、き、き」
紅莉栖「キスの事も……何回もしてくれた、よね」
岡部「あ、ああ。そうだ。お前を、忘れたくなかったから……」
ぎゅっ
紅莉栖「あっ……」
岡部「……全部、思い出してたんだな。紅莉栖」
紅莉栖「うん……全部。岡部と過ごしたあの長い夏の事、全部」
岡部「そうか……すまない」
紅莉栖「な、なんで謝るのよ」
岡部「お前にとっては辛い記憶だってあるだろ……」
紅莉栖「それでも、私は岡部の事を思い出せて良かったと思ってる」
岡部「……紅莉栖」
紅莉栖「……そう言えば、その」
岡部「どうした?」
紅莉栖「あの時、岡部が世界線を移動する前に私が言った言葉、ちゃんと岡部に届いてた?」
紅莉栖「そ、そっか……」
岡部「………」
紅莉栖「………」
岡部「い、いつまでもこの体勢でいる訳にはいかんな」
紅莉栖「待って」
ぎゅっ
岡部「紅莉栖?」
紅莉栖「その、あの時伝わらなかった言葉。いま言う」
岡部「そ、それは構わないが、何も抱き付いたままで言わなとも」
紅莉栖「だ、ダメ!たぶん岡部の顔を見ながらじゃ、話せないと思うから……」
岡部「そ、そうか、なら仕方ないな」
ぎゅっ
紅莉栖「うん、仕方ない」
岡部「あの時って、まさか貴様!もう一度俺にこ、こ、告白しろと言うのか!?」
紅莉栖「だって、私のは岡部の告白に対する返事だし」
岡部「し、しかしだな……」
紅莉栖「いや、なの……?」
岡部「わ、分かった!ただし、一度だけだからな……」
紅莉栖「うん……」
岡部「………紅莉栖」
紅莉栖「な、なに」
岡部「好きだ」
紅莉栖「う、うん」
岡部「俺はお前が好きだ。お前は、どう思っている?」
岡部「な、なに!そこまでやるのか!?」
紅莉栖「いいから!目を瞑れ!」
岡部「……分かった」
ちゅっ
紅莉栖「んっ……」
岡部「……っ」
紅莉栖「んっ、あっ……はむ」
岡部「んっ……っ……ん……」
紅莉栖「ぷはっ……私も、岡部の事が好き」
岡部「……やっと返事が聞けたな」
紅莉栖「私も、やっとあなたに伝えられた」
紅莉栖「………」
紅莉栖「ね、ねえ、おかべ」
岡部「な、なんだ?」
紅莉栖「そ、その……これで私たちも、こ、こ、こ、恋人同士になったって事、よね?」
岡部「お互いの思いが同じで、二人がそういう関係を望んでいるのなら、そうなるな」
紅莉栖「こ、恋人……岡部が私の恋人」
岡部「な、何度も連呼するな!……は、恥ずかしいではないか」
紅莉栖「……なんか、夢みたい」
岡部「俺もだ」
紅莉栖「……えへへ」
紅莉栖「わ、私は結構、前から意識してたんだからな」
岡部「あの時に言ったか覚えていないが、俺も初対面から気にはなっていたぞ?」
紅莉栖「……異性としてじゃないだろ、それ」
岡部「……そう、だな。だがその時からお前を目で追いかけるようになった」
岡部「最初はラボメンとして気にかけていたつもりだったのだがな……」
紅莉栖「……今では私にぞっこんですね、分かります」
岡部「お前が言うな」
紅莉栖「まゆりとはよく繋いでるくせに」
岡部「ぐっ、まゆりは幼馴染みだからだ」
紅莉栖「私の目の前でフェイリスさんを抱き締めてた事もあったし」
岡部「事情は知っているだろーが」
紅莉栖「分かっているけど……乙女心を察しろ、ばか」
岡部「……以後気を付ける」
紅莉栖「う、うん、そうよね……こ、恋人同士、だものね」
岡部「………」
紅莉栖「………」
紅莉栖「じゃ、じゃあ、さっそくだけど、手、繋いでいい?」
岡部「か、構わないが、普通そういうのは外で一緒に出掛ける時にしないのか?」
紅莉栖「い、今のうちに慣れておくのよ!予習は基本中の基本よ」
岡部「りょ、了解した。では……」
ぎゅっ
紅莉栖「あっ……」
岡部「どう、とは?」
紅莉栖「か、感想よ。私と手を繋いだ感想」
岡部「そ、そうだな……やはりというか、小さくて、柔らかいな」
紅莉栖「ほ、他には?」
岡部「温かいし、その……まゆりのと違って少し緊張はする」
紅莉栖「そ、そう」
岡部「お前はどうなのだ?」
紅莉栖「わ、私はその……握手はするけど、手を握られた事、初めてだし、……でもなんだから、安心感がある、かな」
岡部「そ、そうか」
紅莉栖「うん」
岡部「これは何度か前の世界線でもしたと思うが」
紅莉栖「こ、恋人同士による愛のあるハグは別物なのよ!」
岡部「そうか、別物なら仕方ないな」
紅莉栖「そうよ、仕方ないのよ」
岡部「では、いくぞ」
紅莉栖「……うん」
ぎゅっ
紅莉栖「……んっ」
紅莉栖「無論よ」
岡部「そう、だな……抱き締めてみると、やはり異性の体は小さいなと改めて思う」
紅莉栖「私は、岡部がいつも以上に大きく感じるから、包まれてように思える」
岡部「……さて、紅莉栖よ」
紅莉栖「な、なに?」
岡部「これの続きも予習しても構わないが……これ以上は理性が抑えられんかもしれん」
紅莉栖「ふぇ?」
岡部「し、仕方ないだろ!俺だって男だ!好きな異性とこうも密着されて理性が保てるか!」
紅莉栖「す、好きな、異性……え、えへへ」
ぎゅっ
紅莉栖「………」
岡部「紅莉栖?その、だからこれ以上は俺の妖刀・五月雨が」
紅莉栖「い、いずれは必要になるんだから予習は必須よ」
岡部「なっ!?いやだが」
紅莉栖「そ、それに理性が持たないのはこっちも同じなんだからな!さっきから頭がフットーしそうよ!」
紅莉栖「やっと、世界線を超えて岡部と結ばれたんだから……我慢なんてできる訳ないでしょ」
岡部「せ、責任は必ず取る」
紅莉栖「あ、当たり前だろ……その、これからも、よろしく、ね」
岡部「ああ末永く、な」
紅莉栖「う、うん……」
二人はこうして結ばれましたとさ、めでたしめでたし
おい
呼んでくれた人、ありがとニャンニャン
…おつ…
(´・ω・`)
Entry ⇒ 2012.01.09 | Category ⇒ シュタインズゲートSS | Comments (0) | Trackbacks (0)
岡部「かなり身も蓋もない話なのだがな?」 紅莉栖『なによ』
かの暴虐非道なブラウン管工房の店長が、新年早々文句を言ってきた挙げ句、
あろう事か、家賃の値上までをもちらつかせて脅してきたからだ。
せっかくの正月気分を、よくもよくも、台無しにしてくれたな!
ラボの前まで来ていた俺は、そのまま回れ右をしてスーパーマーケットへと走った。
ダル 「うは、なんぞそれ?」
やっとの事でラボに運び入れた、このやたらと重たい物体を目ざとく見つけたダルが聞いてくる。
それに続いて、コス作りの手を止めたまゆりも、こちらに視線を送ってきた。
岡部 「鋭いな、まゆり。 だが残念……こいつはもち米だ」
ダル 「へ?もち米? 誰かから貰ってきたん?」
岡部 「違う。貰ったのではない! もちろん買ってきたのだ!」
俺の、なけなしの自費で。
ダル 「そ、そうなん? で、何するわけさ。そんなもん持ち込んで」
一瞬、絶句してしまった。
何をするのか、だと?
ダル 「へ?」
岡部 「貴様、このもち米から、センセーショナルな未来ガジェットを作れる……とでも言うのか?」
ダル 「はあ? もち米から? そんなもん無理に決まってんじゃん常考」
岡部 「………」
だよな。もち米にも、他の利用方法があるのかと思って一瞬ビックリした……。
岡部 「……お前は相当なアホのようだな、ダルよ」
ダル 「な、なんぞ」
岡部 「俺に間抜けな質問をする前に、少しは考えろ!」
ダル 「うぅ……でも、ここは一応聞いとくのがお約束っつーか」
岡部 「やかましい! お約束もへったくれもない!」
俺が怒鳴りながらギロリと睨みつけてやると、ダルは大人しくなった。
まゆり「オカリン、今日はなんだか怖いのです……」
それはそうだろう。俺は今、激怒しているのだからな。
岡部 「よく聞けお前たち! 我がラボはこれより、オペレーション・ミョルニルを発動する!」
ダル 「……え?」
まゆり「……オペレーション・みょよよ……」
岡部 「言えてない。ミョルニル、トールの雷鎚だ」
ダル 「まーた北欧神話かお。余計に意味が解らんのだが……」
岡部 「……まあ、分かり易く言うならば……餅つきだな」
まゆり「え?」
ダル 「え?」
ダルもまゆりも、二人揃ってポカンとした顔を見合わせた。
岡部 「聞こえなかったのか? ここでやるのだ。餅つきを。今から」
杵をトールハンマーに見立ててみたのだが、やはりわかりにくかったか……。
しかし、そこまで聞いたダルが、ようやく状況を理解したのか目を白黒とさせた。
ダル 「ちょっ……ここで、餅つき……だと? 正気かよオカリン」
岡部 「もちろん、俺はいつでも正気だ!」
まゆり「で、でも、そんな事したら店長さん、カンカンに怒るんじゃないかなぁ?」
ダル 「そうそう。 下手したら捕まって殺されるかもわからん罠」
岡部 「餅の事はどうでもいい。 が、店長の事なら鍵を閉めてしまえば問題はない」
いくら、今にも崩れそうなオンボロビルの一室と言えども、鍵くらいは付いているのだ。
さらに意味がわからないといった様子の二人が、じっと、凝視してくる。
俺はそれをまっすぐに受け止め、ニヤリと笑みをこぼした。
岡部 「そもそもお前たちは、今回の餅つきが意図するものをはき違えているようだな?」
まゆり「……?」
まゆり「どう言うこと? お餅つきは、お餅を食べるためのものだよね?」
岡部 「……違う! 今回俺たちが目指すべく到達点は、餅を食うところにはない、という事だ」
そこまで聞いて、まゆりは頭を抱えた。
まゆり「ごめんね、オカリン。 まゆしぃにはさっぱりわかりません……」
むう……仕方あるまい。
岡部 「……まず、先ほどまゆりが心配していたようだが――」
岡部 「あの“店長がカンカンに怒るんじゃないか”と……そう言ったな?」
俺の問いかけに、まゆりはコクコクと頷きで返してくる。
岡部 「フゥーハハハ! それは大いに結構な事ではないか!」
まゆり「えっ?」
岡部 「むしろそれがこの俺、鳳凰院凶真の狙いなのだからな……ククク」
ダル 「いや、そこが一番意味がわからんし。 ちゃんと順を追った説明plz」
まゆり「えっ!?」
ダル 「復讐……だと?」
岡部 「うむ、それを踏まえて考えてみろ。 まず最初に、俺たちがここで餅を突くとどうなる?」
ダル 「店長がキレるお。 多分、死ぬほどに」
ダルが即答した。
まあ、こんな事は赤ん坊でもわかるが、ダルにはっきりと言われてしまい、俺は少し指が震えた。
無論、武者震いだが。
岡部 「……そうだ。二階でドンドン鳴って我慢できなくなった店長――」
岡部 「もといミスターブラウンは、まず、間違いなく青筋を立ててここに襲撃をかけてくるだろう」
ダル 「ま、まあ、そうだろうな」
その光景を想像でもしたのか、ダルが身を震わせた。
岡部 「すなわち、ラボには何人たりとも踏み込む事は出来ないと言う事」
岡部 「すると店長は、一人勝手に怒り狂った挙げ句、カギの掛かったドアを前になすすべを失う」
岡部 「そうなればもはや、奴も一階に帰るほかなくなるだろう?」
まゆり「それはどうかなぁ……もっともっと怒るんじゃないかと、まゆしぃは思うけど……」
岡部 「………」
まゆりの後ろ向きな発言は、この際無視する。
岡部 「……そこで俺たちは、更に餅を突いて追撃を行い、一気に畳み掛けるのだ!」
岡部 「いくらあの鬼店長といえども心破れ、この鳳凰院凶真の前に泣きながら屈伏する事になるに違いない!」
岡部 「つまり、それこそが今回の餅つき大会の狙い……それが……運命石の扉の……選択」
“お前が泣くまで叩くのをやめない!”
フハハ、実にマッドサイエンティストらしい華麗なる作戦ではないか。
いわば、暗黒餅つき大会。
岡部 「フハハッ!フハッハハ……は?」
まゆり「………」
ダル 「………」
岡部 「………」
ククク……どうやらこの二人、俺の恐るべき着想のセンスに、声も出な―――
ダル 「日本昔話かよっ!」
岡部 「アッー!」
突如として、隣にいたダルからツッコミが飛んできた。
胸を叩かれて、結構痛い。
岡部 「ゲホッ、ゲホッ! だ、ダル! 貴様なにをする!?」
ダル 「いやいや、そんなに上手く事が運ぶわけがないがな!」
まゆり「う、うん。まゆしぃもそう思うよ……」
岡部 「なっ、まゆりまで!」
割って入ってきたまゆりに向き直ると、申し訳なさそうな顔でチラチラと俺を見てくる。
まゆり「それにね、いつもお世話になっている店長さんに――」
まゆり「そんな迷惑な事をしたらいけないんじゃないかなって、まゆしぃは思うのです」
ダル 「まゆ氏の言うとおりだ。 っつー事で、今回はさすがの僕も反対させてもらうお」
岡部 「ぐぬぬ……」
まゆりは敵味方関係なく――そもそもまゆりには敵などいないが――他者に対して底抜けに優しい。
だからまあ、そう言うだろうと予想はしていた。
……まさか臆したか!
くそう。まゆりどころか、ダルにまで作戦を辞退されるとは、思ってもみなかった。
しかし、今日という今日は、あの店長には勘弁ならん。
これは、ラボのメンツがかかっている最終聖戦と言っても過言ではない。
なので、例え二人の支援を得られなかったとしても、この俺一人で作戦を実行に移す。
その覚悟は、もち米を買った時には既に俺の中で決まっていた事である。
岡部 「わかった。もういい……」
ダル 「へっ?」
岡部 「もういいと言っている。 考えても見れば……お前たちまで危険に巻き込む必要はない」
まゆり「お、オカリン……まさか、1人でもやるつもりなのかな?」
岡部 「……無論だ。 そして、お前たちはすぐにこのラボから退避しろ」
岡部 「あとな、ダルよ……」
ダル 「な、なんぞ?」
岡部 「だから……出来るならダル、お前に骨を拾ってほしい。 ……さらばだ、エル――」
言いながら、二人に背を向ける。
まゆりが心配そうな顔をしていたが、安心させるためにその華奢な肩をポンポンと叩いた。
岡部 「プサイ・コン―――」
ダル 「ちょ、考え直せってオカリン!」
岡部 「グぬっ……!」
この野郎、遮りやがった。
人がせっかく、かっこいい別れのシーンを演じていたのに!
ダル 「こんなもん、自爆作戦なんてレベルじゃねーよ。問題がありすぐる」
岡部 「なに! 問題だと?」
そうして話しながら、一本ずつ指を伏せていく。
ダル 「まず一つ。杵と臼が無い件について。 そしてもう一つ。そもそも炊飯器が無い件について」
岡部 「……!」
しまった。そうだった。
となれば、だ。
なにか、代用となる物はないか……?
黙って室内を見回してみる。
まず、杵と臼の代わりになるようなものなど、この未来を見据えた道具制作の場であるラボで見つかるはずが無い。
炊飯器は鍋でなんとかできるかとも思ったが、このメンツでやってみたところで、おかゆになって終わるのが関の山だろう。
くそっ、こんな事で計画が頓挫する羽目になるとは。
俺は一体何をやっているのだ!
このままでは企画倒れもいいところである。
……いや、待てよ。そういえば。
岡部 「……いい事を思いついた。 ルカ子の家から借りてくるとか」
なので、餅つき道具の一式くらいはありそうなものだ。
ダル 「それを誰が運ぶん?結構な重さっしょ。 ただでさえ歩いて20分はかかるのに」
岡部 「何を言っている?」
15分もかからん。
ダルが歩くのが遅いのだ。
しかし、杵と臼を抱えていた場合はどうなるか見当もつかないが。
岡部 「それは俺とダルとで運べば……」
言いかけたところで、ダルがぶんぶんとかぶりを振った。
ダル 「だが断る。 つか、さっき僕らに退避しろって言ったばかりじゃん」
岡部 「ぐぬっ……」
こいつ……散々人の至らぬ点を指摘しておいて、最終的には我関せずのスタンスを決め込むというのか!
きたない!さすがダルきたないな!
岡部 「それは大丈夫だ。問題ない」
ダル 「もし警察なんか呼ばれちゃったりしたらどうするん?」
岡部 「……え?」
話を聞いていたまゆりが、飛び上がらんばかりに驚いて、すぐにその目には涙を溜め始めた。
まゆり「えー!オカリン、前科者になっちゃうのぉ……? まゆしぃ、それは嫌だなぁ……」
いや、俺の方が嫌だ。
第一、俺の目的は、世界を混沌に陥れるという理念達成の前に立ちはだかる邪魔者を排除すること。
ただし、合法的に。
―――というものだし。
岡部 「通報……されるのか?」
ダル 「場合によっちゃ」
深々と頷かれてしまった。
ダル 「てか、今回の作戦内容の場合、確実に呼ばれるっしょ」
岡部 「………」
この時点で、俺はかなり打ちのめされていた。
警察の名が出てきた時点で、軽く後悔したくらいだ。
岡部 「まだ……あるのか」
てっきり三つだとばかり……。
俺はもう立っているのがやっとだというのに、ダルは話を続けた。
ダル 「考えなしにそんな事やって、結果ラボを追い出される事になったらどうするん?」
岡部 「……あ」
ダル 「やっぱりな……。 なんでこんな事も予想出来なかったのさ?」
岡部 「……それは」
ダルに色々とつっこまれて、俺はようやく冷静になった。
それは俺が、怒りに我を忘れていたからだ。
しかし、俺だってただ単に怒っていたわけではない。
俺にとって、仲間は財産だ。
なぜなら、例え天才のマッドサイエンティストがここに1人いたとしても、
共に戦ってくれる仲間を無くしては、何も出来る気がしないからだ。
しかし、今、俺には仲間がいる。 それも、七人も。
そしてこいつらは、誰一人として俺を見捨てずにそばにいてくれて。
バカな提案にも付き合ってくれていて。
そんなラボメンたちが、せっかく集まってくれた場所を失う事は、俺にとっては命の次に惜しい。
いや、命よりも惜しいかもしれない。
だから、俺は激怒した。
……そのような場所を、毎度毎度、脅しのネタに使われて、我慢出来るものか。
そんな理由だった。
でも、ブチ切れて感情に任せた結果がそれでは、身も蓋もないではないか。
呆れ顔のダルの隣では、まゆりがとうとう泣き出してしまいそうな様を見せていて。
俺は、急に立つ瀬が無くなったような。
そして、血の気が引いていくような。
そんな、なんだかよくわからない気持ちになっていった。
まゆり「ラボ、無くなっちゃうの? どうしよう……」
……俺のバカ野郎。
岡部 「ま、待て。まゆり――」
るか 「あっ、岡部さん!あけましておめでとうございますっ!」
俺を見つけたルカ子が白い息を吐きながら、パタパタと駆け寄ってきた。
さすがにあの細身に対してこの寒さは厳しいのか、
巫女装束に加えて、首もとには可愛らしいマフラーが巻かれている。
岡部 「うむ。 どうだ、忙しいのか?」
るか 「いえ、今日はそうでもありません。初詣に参られる方も、大分減ってきましたから」
俺は、柳林神社を訪れていた。
境内には解けずに残った雪がそこかしこに見られていて。
まるで、ここだけ都会から少しだけ離れた場所のような気がした。
ルカ子はそんな中で、今日も可憐な笑顔を振りまいている。
岡部 「そうか。 実はな、今日ここに来たのは他でもない……」
まゆり「トゥットゥルー♪ るかくん、杵と臼を貸して欲しいんだぁ、えっへへ♪」
るか 「あ、まゆりちゃん!大晦日以来だね」
まゆり「うん♪」
いつものように脳天気な笑みを放っている。
るか 「えっと、そうだ。杵と臼って……お餅つきでもするの?」
まゆり「そうだよー。るかくんも一緒にやろうよぉー」
あの後、俺はすぐに作戦を凍結していた。
それに伴い、ラボでの餅つきは中止。
一時休戦だ。勝敗はこの次に持ち越しである。
だって、正月だし。
正月からムキムキのおっさんと死合ってやるほど、マッドサイエンティストも暇ではないのだ!
フゥーハハハ! どうやら命拾いしたようだな……ミスターブラウンよ。
岡部 「……そういう事だ。 どうだろう、ルカ子。頼めるか?」
るか 「は、はい! 大丈夫だと思います。一応、お父さんに聞いてきますね」
岡部 「わかった。 急にすまないな」
るか 「いえ、全然です。それでは!」
そう言って、ルカ子は社務所の方へと駆けていった。
走り去っていく後ろ姿は、どこか嬉しそうだ。
今まで黙っていたダルが、肩を落としている。
岡部 「仕方あるまい。奴は今、ハワイなのだ」
どこぞの芸能人か、とツッコミたくなる。
その時、俺のケータイが鳴った。メールだ。
ポケットから取り出して、着信ボックスを確認する。
From.閃光の指圧師
Sub.すごいね
『フェイリスさん、お正月にハワイだなんて、なんか芸能人みたい! 私も行ってみたいな♪ 萌郁』
岡部 「………」
振り返って、萌郁を見る。
指圧師は、黙ってケータイとにらめっこをしているばかりで、こちらには見向きもしようとしなかった。
そんな時、まゆりが俺と萌郁の間に入ってきて言う。
まゆり「ねーねー、まゆしぃも、お餅ついていい?」
岡部 「なに?まゆりがか?」
σ λ
~~~~
/ ´・ω・) <ねーねー、まゆしぃも、お餅ついていい?
_, ‐'´ \ / `ー、_
/ ' ̄`Y´ ̄`Y´ ̄`レ⌒ヽ
{ 、 ノ、 | _,,ム,_ ノl
'い ヾ`ー~'´ ̄__っ八 ノ
\ヽ、 ー / ー 〉
\`ヽ-‐'´ ̄`冖ー-/
岡部 「……まあ、いいさ。しかしな、まゆりよ?」
まゆり「うん?」
岡部 「やってみると意外とキツいんだぞ、アレ」
杵は重たいし、持ち方にも少しコツがいるらしい。
まゆり「そうなんだぁ。でも、まゆしぃ、意外と力持ちだからね。どう?」
まゆりが腕を曲げて見せる。
力こぶを作ろうとしているのだろうが、厚着をしているため、そんな事をされてもさっぱりわからん。
けれど、俺は頷いて返してやった。
岡部 「……それじゃあ、まゆりに任せるよ」
まゆり「やったぁ♪ えっへへ」
まゆりが嬉しそうに笑いながら、えいえいと、餅を突く動作を真似ている。
From.閃光の指圧師
Sub.やっぱり
『椎名さんって面白いね。 萌郁』
岡部 「………」
ダル 「はああ、僕もフェイリスたんとハワイに行きたかったのだぜ……」
岡部 「まだ言うのか己は!」
ダルの頭をはたいた所で、またメールが届く。
From.閃光の指圧師
Sub.ううん
『橋田さんも面白い。 あ、もちろん岡部くんもね(^-^)b 萌郁』
岡部 「……くっ。指圧師!それくらい口で言え!」
萌郁 「あ……でも……」
岡部 「………」
萌郁は言い淀むと、再びケータイを操作し始めた。
続いて、俺のケータイが着信音を垂れ流す。
岡部 「見ないからな」
萌郁 「………」
萌郁 「……っ」
……やれやれ。
萌郁が恨めしそうに見てくるので、俺は渋々とケータイのメールを開いた。
From.閃光の指圧師
Sub.それは無理
『岡部くんって、時々すごくいじわるだよね>< なんで? 萌郁』
俺はたまらず眉間を抑えて、ため息を漏らした。
るか 「皆さーん、大丈夫だそうですー! 早速、準備を始めましょうかー?」
ふと、声のした方を見やると、社務所から出てきたルカ子が、ピョンピョンと跳ねながら、
こちらに向かって手を振ってきている。
岡部 「……おい、行くぞお前たち。大丈夫だそうだ」
そうして、ワイワイと好き勝手していたラボメンたちを振り返ってみたとき、俺は思った。
ただでさえおかしな連中が揃いも揃ったりといった感じなのに、それが正月に神社で餅つき大会とか。
えらくおめでたい。
他人が見たら笑うだろう。
でも俺は、やっぱりこのメンバーで良かった、と。
そう思う。
感情に任せて、暴挙に出なくて良かった、と。
そう思う。
……今回はダルに感謝しないとな。
岡部 「まだ足りん。もっと突かなくては、到底うまい餅になどたどり着けないぞ!」
まゆり「でもぉ……」
杵を肩に担いだまゆりが、額の汗を拭う。
俺は、臼の中の餅を返すという、最も重要な役割を担っていた。
岡部 「でも、ではない!」
岡部 「この餅の合否は、お前の肩にかかっているのだ! まゆりよ!負けるな!」
俺の正面で疲れた様子を見せるまゆりに、激を飛ばす。
その周りでは、他のラボメン達がまゆりを応援していた。
るか 「まゆりちゃん、頑張って!」
萌郁 「……頑張って」
ダル 「やっぱ、おにゃのこにはハンマー系が似合うよなぁ」
約一名はおかしな事を言っているが。
岡部 「うむ。その意気だ、まゆり!」
まゆり「おいしいお餅のためだもん♪ まゆしぃ、頑張っちゃうよぉー!」
そう言って、健気に持ち直したまゆりの顔には、笑みが戻っていた。
岡部 「……いいか、まゆり?」
まゆり「うん!」
まゆりが杵を振り上げる。
それにつられて見上げてみると、空は、いつの間にか晴れ渡っていて。
それでも、肌を刺すような寒さは拭えないけれど――
とんでもなく澄んだ冬独特の空気が、視界一面に広がっていた。
そしてそれは、俺たちを包むように。
この幸せな、おバカな集まりを祝福してくれているかのように。
爽やかにも、抜けるような青さだけを湛えていた。
まゆり「おす!」
岡部 「ソーッ!」
俺のかけ声の後で―――
まゆり「エイッ!」
まゆりが餅を突く。
岡部 「オウッ!」
俺は餅を返し―――
まゆり「エイッ!」
まゆりが、再び餅を突く。
岡部 「オウッ!」
そのリズムは規則正しく―――
………規則正しく……え。あれ?―――
岡部 「オウッ!?」
ちょ、ちょっと待った。
まゆり「エーイッ!」
岡部 「オウぐああああああああああああああッ!! うあッ!ああああああ!!」
ぐああ。
まゆり「オカリン!」
るか 「あ、やだっ! 岡部さんっ!」
ダル 「うおっ!オカリン!」
萌郁 「………っ!!」
* * *
この右手が、全治三週間らしいという事を電話で話すと、クリスティーナが爆笑したからだ。
紅莉栖『封印されし何とかが大人しくなって、かえっていいんじゃないの?』
岡部 「いいわけがあるかっ!」
紅莉栖『……ホントに身も蓋もない話。どうしようもないな』
岡部 「だ、だから、最初に言ったではないか」
岡部 「……すまん」
紅莉栖『い、いいけど。 ……じゃあ、次は私の番ね』
岡部 「……うむ」
もう二度と、あのメンツで餅つきなどやらん。
大体、俺は餅が嫌いだ。
『或る街の群青』
おわり。
この一年が、皆さんにとって良い年になりますように。
それでは、乙。
オカリンwwwwww
Entry ⇒ 2012.01.07 | Category ⇒ シュタインズゲートSS | Comments (0) | Trackbacks (0)
紅莉栖「岡部がキスしかしてくれなかった」
紅莉栖「……キスしかしてくれなかった」
岡部「おい、助手。貴様なにを言って」
紅莉栖「キスしか……してくれなかった」
岡部「ま、まさかあの世界線の記憶を思い出したのか!?」
紅莉栖「二人っきりのラボで、告白までしてきたくせに」
岡部「いや待て、キスだけだと言ったのはお前だろうが!」
紅莉栖「……キスしか、してくれなかった」グス
岡部「………」
紅莉栖「何回も何回もちゅっちゅしたのに……」
岡部「き、キスだけでも俺はお前に救われたんだ。あの時の俺はそれだけで十分過ぎるほど刺激的だった訳で」
紅莉栖「岡部の方から……何回も何回もちゅっちゅしたのに」グス
岡部「あ、あれは!お前の事を忘れたくなかったからであって」
紅莉栖「忘れたくないなら、キスよりもっと刺激的な事をすればいいじゃない……はい、論破」グス
岡部「いや、だからお前がキスだけって」
紅莉栖「……」グス
岡部「………」
紅莉栖「漆原くんのルートじゃ小作りしたくせに……」グス
岡部「なっ!?」
紅莉栖「フェイリスさんのルートでもセクロスねだられてたし……」グス
岡部「お、おい!お前なにを!」
紅莉栖「まゆりとも恋人になって……あの後ちゅっちゅ以上の事するんですね、わかります………うぅ」グス
岡部「いや、それは……」
紅莉栖「阿万音さんと二人っきりで過去に戻って……どうせその後、ちゅっちゅ以上の事するんだろ?」
岡部「だ、だからそれは……」
紅莉栖「なのに、……私だけキスしかしてくれなかった」グス
岡部「………」
紅莉栖「でも、結局岡部が私にキスしかしてくれなかった事には変わりないじゃない」
岡部「そ、それは……だな」
紅莉栖「……普通、キス以上の事するだろjk」グス
岡部「俺はお前からのこ、告白の返事を聞いていないのだ!き、キス以上の事なんて出来る訳が」
紅莉栖「ドラマCDでちゃんと返事したもん」
岡部「……えっ?」
紅莉栖「……告白の返事、したもん」グス
紅莉栖「……じゃあ、ラボで返事してたらキス以上の事、してくれたの?」
岡部「いや、そういう問題ではなくてだな、ラボはそういう行為をするのが」
紅莉栖「なら私のホテルですればよかったじゃない」
岡部「はっ………?」
紅莉栖「私のホテルですれば」
岡部「に、二回も言うな!お前には恥じらいがないのか!このHENTAI天才処女め」
紅莉栖「岡部のせいで今も処女のまま……うぅ」グス
岡部「………」
紅莉栖「セクロスですね」
岡部「黙れHENTAI!……その、そういう行為をしたとしてだ」
紅莉栖「岡部と……えへへ」
岡部「……話を続けるぞ?そういう行為をしたとしても、この世界線でお前が処女だという事に変わりはない」
紅莉栖「ねえ、岡部」
岡部「納得したか?」
紅莉栖「その、初めてだから優しく、ね……?えへへ」
岡部「………ダメだ、こいつ。早くなんとかしないと」
岡部「だ、だからさっきのは仮の話だと言っただろう!」
紅莉栖「……」グス
岡部「………その、まあ、いずれ、な」ボソ
紅莉栖「ふぇ?い、いまなんて」
岡部「な、なんでもない!ただの戯れ言だ」
紅莉栖「ふふっ、戯れ言、ね。そういう事にしておく」
岡部「ああ、そういう事にしておけ」
紅莉栖「ふふっ」ニコニコ
岡部(くっ……そんなにニコニコするな!は、恥ずかしいではないか)
岡部「な、なんだ、クリスティーナ」
紅莉栖「呼んでみただけよっ……ふふ」
岡部「そうか……」
紅莉栖「ねえ、岡部」
岡部「なんだ」
紅莉栖「えへへ、また呼んでみただけ」
岡部「そ、そうか……」
紅莉栖「ふふっ」ニコニコ
岡部(全く、さっきからなんなんだ……)
紅莉栖「ねえ、倫太郎」
岡部「なんだ、また呼んでみただけとかじゃ……」
岡部「………」
紅莉栖「ふふ……」ニコニコ
岡部「はあっ!?」
紅莉栖「よくよく考えれば、あんたの周りで倫太郎って呼ぶ人いないでしょ?」
岡部「そ、そ、それがどうしたと言うのだ」
紅莉栖「まゆりと橋田はオカリン、フェイリスさんと漆原くんは凶真、阿万音さんはフルネームで、天王寺さんや桐生さんは名字」
岡部「……何が言いたい?」
紅莉栖「一人くらいは名前で呼ぶ人がいてもいいかなって思って」
岡部「いや、別にいなくても構わんが……」
紅莉栖「それに」
岡部「まだ何かあるのか?」
紅莉栖「しょ、将来を考えると何時までも岡部って呼んでられないじゃない……えへへ」
紅莉栖「岡部紅莉栖かぁ……ふふっ」
岡部「こ、この世界線ではまだ付き合ってもないのだぞ!?」
紅莉栖「『まだ』付き合ってない、ね……えへへ」
岡部「こ、告白もまだ……」
紅莉栖「それなら前の世界線であんたがしてくれた」
岡部「だ、だが返事が……」
紅莉栖「今更、必要……?」
岡部「……いや、不要だな」
紅莉栖「だろ?」
岡部「ああ、そうだな」
紅莉栖「なに、倫太郎?」
岡部「……で、出来れば今まで通り岡部で頼む」
紅莉栖「だが断る」
岡部「くっ!……もういい、好きに呼べ」
紅莉栖「言われなくてもそうするわよ。今まであんなに好き放題呼ばれてたんだし、お返しよ」
岡部「……話を戻すぞ。その、確認はするが記憶が戻ったんだな?」
紅莉栖「……岡部がキスしかしてくれなかった」
岡部「その話題はもういい!」
紅莉栖「ふふっ」
紅莉栖「約束って……もしかして青森行きのこと?」
岡部「ああ……」
紅莉栖「うん、覚えてる。あんな事になっちゃったから結局、約束は果たせそうにないけど」
岡部「その、だな……もし、良ければ」
紅莉栖「……?」
岡部「俺を紅莉栖の青森の家に連れて行ってほしい」
紅莉栖「えっ?それって……」
岡部「当初の目的は果たせないが……二人で青森に行く、という約束は果たせるだろう?か、勘違いするなよ、ラボメンとの約束は絶対だからであって、別にお前と二人で旅行に行きたい訳では」
紅莉栖「あんたって、結構ツンデレよね」
岡部「お前が言うな」
紅莉栖「私は岡部にデレデレよ。はい、論破」
岡部「ぐぬぬ」
岡部「本当か!」
紅莉栖「約束だもの、あんたが嫌って言っても一緒に行くからな」
岡部「そうだ、約束、だからな……」
紅莉栖「うん……その、覚えていてくれたんだね。あんなに大変な事が起きたのに」
岡部「あの世界線の出来事は何一つ忘れるな、なかった事にするなと言われたからな」
紅莉栖「えっ……だれに?」
岡部「……秘密だ」
紅莉栖「そう、まあいいわ。でも本当に全部覚えているの?」
岡部「む、無論だ」
紅莉栖「じゃあ、問題。私が一番欲しかったものは?」
岡部「ふっ、簡単だな。マイフォークだろ?」
紅莉栖「ぶっぶー残念、不正確」
岡部「な、なに!?」
ぎゅっ
岡部「!?」
紅莉栖「確かにマイフォークも欲しかったけど……私が本当に欲しかったのは岡部、あんた」
岡部「お、おい!そんなの反則だぞ!?」
紅莉栖「……反則じゃないし。事実だから問題ない」
岡部「くっ……」
紅莉栖「さて、外したんだし罰が必要よね」
岡部「な、なに?」
紅莉栖「当然でしょ、そういう事だから……目を瞑れ」
岡部「なっ、おまっ、まさか」
紅莉栖「ほら、いいから目を瞑れ!」
岡部「あ、ああ」
岡部「んむ……」
紅莉栖「んっ、あっ、……はむっ」クチュクチュ
岡部「んっ、んむ、……ぷはっ」
紅莉栖「はあ、はあ……ふふっ」
岡部「……もう、二度と忘れない為だ。もう一度、『罰』が必要だと思うのだが、お前はどう思う?紅莉栖」
紅莉栖「異論はないわ」
岡部「そうか、ならもう一度……」
紅莉栖「待って!」
岡部「なんだ?まさか今更、嫌になったか?」
紅莉栖「そ、そうじゃない……その」
岡部「……?」
紅莉栖「今度は、キスだけじゃダメだからなっ!」
岡部「ふっ、無論だ!」
おわり
で、続きはどこだい?
呼んでくれた人、ありがとニャンニャン
Entry ⇒ 2012.01.05 | Category ⇒ シュタインズゲートSS | Comments (0) | Trackbacks (0)
紅莉栖「ガンダムEXVS?」
ダル「オカリン、暇だし久しぶりにゲーセン行かね?」
岡部「どうしたダル、暇ならばメイクイーンにでも行けばいいのではないか?」
ダル「残念ながら今日はフェイリスたんは休みなんだお」
岡部「…前から思っていたが何故フェイリスのシフトを完全に把握しているのだ?」
ダル「一フェイリスファンとしてシフトを把握していることぐらい当然だろ常考」キリッ
ダル「それに夏休み入ってから全然行ってなかったっしょ?」
岡部「ふむ…確かに夏休みに入ってからは全然行ってなかったな」
岡部(まあゲーセンどころではなかったからな、金銭的な問題もあるが…)
マイフェイバリットライトアーム
岡部「我が右腕の頼みとあらば仕方ない、この狂気のマッドサイエンティストこと鳳凰院凶真がゲーセンへ華麗に出撃を…」
ガチャ
紅莉栖「ハロー」
紅莉栖「ん、まゆりはまだ来てないの?」
紅莉栖「だからティーナではないと言っとろーが!」
紅莉栖「ったく…ところで出撃がどうとか言ってるのが聞こえたけど今から買い物にでも行くのか?」
マイフェイバリットライトアーム
岡部「知りたいのならば教えてやろう、先ほどこの鳳凰院凶真は我が右腕たるダルから救援要請を受けt」
ダル「要するに、暇だからオカリンと二人でゲーセンに行こうとしてたところだお」
岡部「ぐぬぬ…まあそういうことだ、助手も一緒に来るか?」
紅莉栖「はぁ…まあいいわ、どうせ暇だったし」
紅莉栖「それに少しぐらい知識はあるけど行ったことないから興味もあるしね」
岡部「よし、決まりだな…」
紅莉栖「くそみそ乙」
岡部「むう…流石にこの時間はまだ過疎っているな」
紅莉栖「なに、そのゲーム?」
岡部「これは機動戦士ガンダム Extreme vs.という対戦ゲームだ」
岡部「俺はゲーセンに行くときは大体いつもこれをやりにゲーセンに来ているのだ」
紅莉栖「そういえば前にロボット系のアニメとか好きだって聞いたわね」
岡部「ああ、まあそこまで詳しいわけではないが…クリスティーナはガンダムは詳しいのか?」
紅莉栖「だからティーナと呼ぶなと…@ちゃんねるとかでちょっとかじったぐらいの知識しか無いわよ?」
岡部「まあ@ちゃんねらーなら多少の知識は持ってるだろうな」
岡部「これは1対1で戦う普通の格闘ゲームと違って2対2で戦うゲームだからな」
岡部「個人の技術だけではなくパートナーとの戦略や息の合ったコンビネーションも重要なゲームなのだ」
紅莉栖「息のあった…コンビネーション…」
―――――――――――――――――――――――――――――
岡部「流石だな紅莉栖!」
紅莉栖「ふふふ、私たちのコンビネーションの前には敵なしね」
岡部「ああ。やはり俺のパートナーは紅莉栖、お前しか居ない」
岡部「そして人生のパートナーもな///」
紅莉栖「岡部…///」
岡部「紅莉栖…///」
―――――――――――――――――――――――――――――
岡部「一体何を想像しているのだ?」
紅莉栖「な、なんでもない!」
紅莉栖「と、ところで…カードの差込口があるみたいだけどこのゲームってプレイするのにカードが必要なの?」
岡部「いや、プレイするだけならカード無しでも可能だ」
岡部「だがカードがあれば戦績が、モバイルサイトに登録しておけばPNやBGM・ゲージのデザインなどのカスタマイズが出来る」
岡部「初心者がいきなりカードを使っても挿すたびに戦績を見てへこむだけだしカードを作るのは操作になれてからの方がいいだろう」
紅莉栖「戦績か…岡部は何戦ぐらいしてるの?」
岡部「ああ、えーっと何戦だったか…」
スチャッ
2498戦 1517勝 61.5% 俺がガンダムだ
お気に入り機体
エクシア 00 クアンタ
☆3 ☆3 ☆2
このカードを使用しますか? はい いいえ
紅莉栖「に、2498戦って…」
ダル「上級者になると10000戦越えしてるやつもザラなんだなこれが」
紅莉栖「でも一回100円って考えると結構な額のお金使ってるんじゃないの?」
紅莉栖「アンタいつも結構お金に困ってるイメージがあるんだけど」
ダル「oh…」
岡部「…クリスティーナよ、そういうことを聞くのはやめてくれ」
岡部「正直今までいくら使ったかはあまり想像したくないんだ…」
紅莉栖「ゴ、ゴメン…」シュン
紅莉栖「んー…特にどれが使いたいってのは無いのよね」
紅莉栖「というか何を使ったらいいか分からないってのもあるし…それ以前に操作とかいろいろ確認しないと」
岡部「ああ、そういえばまだだったな」
岡部「とりあえず操作だが…かくかくしかじか」
牧瀬「まるまるうまうま、と…とりあえず基本的なシステムについては把握したわ」
岡部「この短時間で基本システムについて把握するとは…やはり天才か…」
ダル「凄ェ!さすが牧瀬氏!」
※未プレイの方は↓のwiki参照して下さい
http://www29.atwiki.jp/arcgundamvs/
ダル「とりあえず初心者がいきなり1000コス使うのは止めた方がいいお」
紅莉栖「でも初心者なら1000コストの方がいっぱい落ちれていいんじゃないの?」
岡部「フゥーハッハッハ!だからお前は助手なのだ!」
紅莉栖「助手言うなバカ岡部!でも落ちれる回数が多いのは本当でしょ!」
ダル「牧瀬氏牧瀬氏、1000コストは確かに落ちれる回数は多いけど基本的に機動力が低いんだお」
ダル「だから相手を追いかけるのも逃げるのも大変だから連携とか立ち回りが上手くないとすぐ蒸発しちゃうんだなこれが」
ダル「しかもほとんどの機体が武装に一癖も二癖もあるもんだから初心者にはオススメ出来ないお」
紅莉栖「そ、そうなの…」ショボーン
ダル「美少女ならともかく髭生やした男のツンデレとか誰得…」
ダル「ところで牧瀬氏、さっきみたいなこと言っておいた後でなんだけどこれとかどうよ?」
紅莉栖「何これ…ええと、アレックス?」
岡部「ブフ…フゥーハッハッハwwwww名前が同じクリス同士で丁度いいではないかwwwww」
紅莉栖「芝を生やすな、海馬に電極突き刺すぞ」
岡部「すみませんでした」
岡部「まあ初プレイの時なんて操作確認で精一杯だろうからな…」
紅莉栖「別にいいけど…アレックスってどんな機体なの?」
岡部「基本的にはアーマーを脱いで射撃戦をしながら近づいてからアーマーを着て格闘を叩き込む機体といったところだ」
岡部「…正直俺も使ったことないからよく分かってないがな」
紅莉栖「ええと、とりあえずアーマーを脱いで近づくのね?」
ダル「牧瀬氏、『脱いで近づく』って所をセクシーな声でもう一回…」
紅莉栖「自重しろHENTAI」
紅莉栖「あれ、岡部もやるの?」
岡部「鳳凰院教官と呼べ、クリスティーッナ!何かやらかしても俺がフォローしてやるから落ち着いて操作するのだ!」
紅莉栖「あ、ありがとう…///」
ジョインジョイン
紅莉栖「アレックス、出るわよ!」
岡部「よし…エクシア、目標を駆逐する!」
岡部「ルートは…Aでいいか、ステージが少ないトライアルよりステージが多い方がいいだろうし」
ダル「これはひどい」
岡部(初プレイで何も知らずにいきなりシャゲダンするとは、やはり他人を煽ることに関して天性の才能を持っているとしか思えんな…)
ウィーン
4℃「4℃様華麗に参上」
4℃「ん…男のものである戦場に女子供が居るとは、気に入らねえな」
手下「カップルが練習してるみたいですね」
ヴァイラル・アタッカーズ
4℃「クッ…どうやら“黒の戦隊”隊長の“黒い貴公子”こと4℃様によって漆黒に染められたいらしい」
手下「俺もお供します」
スチャッ スチャッ
3427戦 1604勝 46.8% 黒の戦隊
お気に入り機体
デスヘル ベルガ X2
☆5 ☆3 ☆2
このカードを使用しますか? はい いいえ
少佐
2119戦 929勝 43.8%
お気に入り機体
このカードを使用しますか? はい いいえ
紅莉栖「へー、そんな有名なやつらなの?」
岡部「ああ、最も有名なのは悪い意味でだがな…」
岡部「あいつらはリアルファイト・台パン・台蹴り・煽り・GN灰皿・リプレイ晒しなど何でもやるDQNどもだ」
岡部「したらばの地域スレでも何度か晒されている、恐らく他のゲーセンで出禁になったからここに来たのだろうな…」
ダル「あいつら雷ネットもやってるんだけど黒い噂が絶えないお」
紅莉栖「今時ゲームが原因でリアルファイトしちゃう男の人って…」
岡部「…まあいい歳してやるのはあれだが子どもには意外とあるものらしいぞ、スマブラとかボンバーマンとか桃鉄とかな」
-!CAUTION!-
紅莉栖「え、何ぞこれ?」
岡部「やはり乱入して来たか…」
紅莉栖「ちょ、全然練習出来てないんですけど!?」
岡部「ダルよ、アレックスに乗ったことは?」
ダル「悪いなオカリン、僕ゴッド専なんだお」
岡部「むぅ…」
紅莉栖「ど、どうしよう岡部!?」
岡部「紅莉栖よ、落ち着いて操作方法やシステムを確認するのだ」
岡部(勝つのは難しいだろうな…まあ最善を尽くすしかあるまい)
†黒い貴公子4℃† 中佐 黒の戦隊
VS
A-TEAM / B-TEAM V・アタッカーズ
サイド7
ガンダムエクシア ベルガ・ギロス
鳳凰院凶真 大将 俺がガンダムだ 少佐
岡部(相手は近距離より機体×2か、エクシアでは厳しいな…)
岡部(特にデスヘルの格闘性能は伸びを除けば全機体最強クラス、接近戦では勝機は無い…)
岡部(狩りのつもりなら恐らく助手を集中狙いしてくるだろうからそこを闇討ちするしかあるまい)
GO
手下「そらっ!」
紅莉栖「アーマーがあっという間に…!」
岡部「今助けるぞ紅莉栖…何っ!」
4℃「行かせねえぜ!」
岡部「クッ…擬似タイマンに持ち込まれるとエクシア単機では!」
残コスト6000→5000
岡部(やはり厳しいな…こっちに攻めてくるぶんにはやりようがあるのだが)
紅莉栖「え…///」キュン
ダル「こんなときにもフラグ立てるんじゃないおオカリン!」
岡部「いいからアーマーを着て下がっていてくれ!」
紅莉栖「う、うん!」
4℃「格闘戦で死神に勝てるとでも思ってるのか?とんだ間抜け野郎だぜ、これでも喰らいな!」
岡部「フッ…それはどうかな!」
4℃「なっ…エクシアごときの格闘に潰されただと!」
岡部(前格なら一応判定勝ち出来るからな…射撃派生が当たらないと安いからハイリスクミドルリターンだが)
4℃「チッ、しゃらくせえ…アレックスを片追いするぞ!エクシアなら格闘を喰らっても火力勝ち出来る!」
手下「了解です!」
手下「ぐっ!」
4℃「さっさと落としてやるよ!」
紅莉栖「!?姿が見えなくなった!?」
ダル「デスヘルは特殊射撃のハイパージャマーで姿を消せるんだお!」
ダル「消えてる間は攻撃か被弾をするか任意解除するまで銃口補正や誘導がかからないんだお!」
4℃「あーらよっと!」
紅莉栖「きゃっ!」
残コスト5000→4000
岡部「アレックス3落ち狙いか…ラッセ!」
4℃「当たらねえよ!」
岡部(糞、射撃でカットしたいが手数と火力が足りない…!)
手下「なっ!」
敵残コスト6000→5000
4℃「油断しやがって、馬鹿が!」
手下「す、すいません」
岡部「お前が言うな、そこだっ!」
敵残コスト5000→2500
4℃「糞、エクシアごときに…!」
>>28
遠まわしにゴッド以外乗らないって断ってる感じです
シュピーン!
4℃「喰らえ!」
紅莉栖「また姿が消えた…きゃっ!」
残コスト4000→3000
岡部「紅莉栖!?しまった!」
手下「これでどうだ!」
残コスト3000→1000
岡部「くっ…」
岡部(紅莉栖が落とされる前にデスヘルを落とすしか無い!)
岡部「紅莉栖、次何か攻撃を喰らったら覚醒を使って覚醒抜けをして時間を稼いでくれ!」
紅莉栖「わ、分かったわ!」
岡部「このっ!」
4℃「甘いぜ!」
岡部「かち合いで負けるのも計算の内だ…トランザム!」
シャキーン!
4℃「覚醒抜けか!…クッ、ブーストが足りねえ!」
岡部「俺が…ガンダムだ!」
4℃「トランザム格闘5段×2…攻め継続か!」
紅莉栖「か、覚醒を!」
シュピーン!
岡部「紅莉栖!…さっさとケリをつけねば!」
4℃「フッ…どうやら忘れているようだな」
4℃「この4℃様のみに許された武装、ハイパージャマーの存在をな!」
ダル(いや、誰でも使えるでしょ常考)
カチッ
4℃「リ、リロード中だと!?」
岡部「先ほど使ったばかりだろうが、間抜けめ!」
4℃「着地硬直に格闘が…!」
岡部(だが後一回格闘コンボを決めれば勝てる!)
LOSE
手下「4℃さん、てこづってすいませんでした」
紅莉栖「ゴメン、岡部!」
4℃「油断してたぜ…だがまあ当然の結果だな」
手下「男の方はなかなかやるみたいでしたが、4℃さんにかかればこんなものですね」
岡部「間に合わなかったか…!」
ダル「残念ながらデスヘルも覚醒も溜まっていただろうしワンチャン無かったと思うお」
岡部「気にするな、俺は気にしてない。一回や二回ぐらい負けることぐらい誰でもある」
岡部「それに最初から上手いやつなんて居ないものだ。紅莉栖の責任ではないさ」
ダル「最初から牧瀬氏ガン狙いしてたからなー、まあ仕方ないと思われ」
岡部「シャッフルなどでも弱い方を集中狙いするのは定石だからな」
岡部「俺の場合相手にあまりに戦績が酷いやつが居ると極力狙わんようにしてるが、所詮自己満足だ」
ダル「しかし対戦の定石とは言えちょとsYレならんしょこれは・・?」
フェイリス「それ以前にアレックスエクシアの時点でキツイと思うニャ」
岡部「フェイリスか!?どうしてここに?」
フェイリス「凶真を笑いに来たニャ、そう言えば凶真の気も済むんじゃないかニャン?」
岡部「好きでこうなったのではない!それはお前にも分かるはずだ!」
フェイリス「流石は凶真、突然のフリでもバッチリニャ!」
岡部「フッ、この鳳凰院凶真を見くびってもらっては困る!」
岡部「まあそれはさておきフェイリスよ、なぜここに居るのだ?お前もこれをやりに来たのか?」
フェイリス「もちろんニャ!でも凶真たちと会ったのは偶然なのニャ!」
フェイリス「やっぱり凶真とフェイリスは運命の赤い糸で結ばれているみたいだニャ♪」ダキッ
岡部「ちょ…い、い、いきなりなにをする!」
コンフューズ的な
一定距離まで灰を振りまきつつ爆散
ゲーセン怖い
世の中にはGN腹パンとかもあるらしいぞ
なんぞそれwwwwww
酷過ぎるwww
ダル「屋上へ行こうぜ…久しぶりに…キレちまったよ…」
岡部「何故俺が責められる!?」
岡部「と、とりあえず早く離れるのだ!」ガバッ
フェイリス「なんだか凶真が冷たいニャ…」グスン
岡部「べ、別に冷たくしているとかそういうわけでは無くな…」
岡部「そ、そういえばお前もこれをやっていたのだな、全く知らなかったぞ」
フェイリス「前からやってたのニャ、まあプレイ頻度はあまり高くないんだけどニャン」
フェイリス「凶真と会わないのはたぶんそのせいだニャ」
岡部「まゆりはやっているのは知っているがお前がやっているのは今初めて知ったぞ」
紅莉栖「え、まゆりもこれやってるんだ」
ダル「フェイリスファンならフェイリスたんがやってることぐらいみんな知ってるお」
4℃「チッ…あの目障りなメス猫も来てやがるのか」
手下「どうやら今乱入した奴等の知り合いみたいですね」
4℃「丁度いい、伊達ワルの名にかけて全員まとめて凍りつかせてやるぜ!」
岡部「さて乱入するか、ダルはゴッドだから俺はクアンタでも使おうかな」
ダル「あの動き見た限りじゃ僕とオカリンが組んだらたぶん勝てると思われ」
岡部(しかしあのDQNども相手だからな…)
岡部「ダルよ、ちょっと用事があるから待っていてくれ」
岡部「ああ、行くぞダルよ!」
ダル「おう!」
スチャッ スチャッ
変たいと言う名の紳士 元帥
6863戦 4658勝 67.9% キングオブハート
お気に入り機体
ゴッド
☆5
このカードを使用しますか? はい いいえ
チャリン チャリン
岡部「ダブルオークアンタ、未来を切り開く!」
ダル「出ろぉぉぉ!ガンダァァァァム!」パチィン
変たいと言う名の紳士 元帥 キングオブハート †黒い貴公子4℃† 中佐 黒の戦隊
VS
ウホッ!!いい男たち A-TEAM / B-TEAM V・アタッカーズ
サイド7
ダブルオークアンタ ベルガ・ギロス
鳳凰院凶真 大将 俺がガンダムだ 少佐
4℃「メス猫の取り巻きには元帥も居やがるのか…!」
手下「何とか同時落ちを狙うしか無いですね」
岡部「おいダル、タッグ名」
ダル「ゴメンゴメン☆ミ」テヘペロ
GO
岡部「切り裂く!」
4℃「クッ、流石の俺でもあの2機相手に突っ込むのは無理だな」
手下「ええ、とりあえずは様子見ですね」
岡部「GNソードビット!」
ダル「石破、天驚拳!」
4℃「痛っ…とりあえずクロークに換装だ!」
手下「バグでも撒いておくか…」
手下「チッ、だがベルガならバリアごとき…」
岡部「甘いな!」
手下「BR始動か!?」
岡部「ここは!俺の距離だ!」
紅莉栖「? バリアを着けているんだから無理やり格闘に行けばいいんじゃないの?」
フェイリス「ベルガのシェルフ・ノズルやバズーカみたいな実弾+爆風の射撃は実弾部分でバリアが破壊されると爆風を喰らうんだニャ」
フェイリス「それに1000コストならBR始動コンボ2回で落とせるから無理する必要もないのニャ」
ダル「たぁ!」バキッ
4℃「闇討ちか!?」
ダル「ばぁぁく熱、ゴッド、フィンガー!!ばぁぁく熱、ゴッド、フィンガー!!」
4℃「ワ、ワンコンで300越えだと!?」
ダル「誰も、俺のゴッドガンダムの凄さを知らないんだ」ドヤァ
岡部「コンボ選択も含めてその判断力は流石だな、ダル!」
手下「うおっ!?」
敵残コスト6000→5000
4℃「クッ…格闘性能自体ならこっちの方が上だ!」
ダル「うおっ!」
岡部「ダル、神2落ち作戦に変更するぞ!」
ダル「了解だお!」
岡部「BD格か…だがここは俺の距離だ!」
手下「がっ!」
岡部「そこっ!えあっ!」
紅莉栖「えっ、今不自然な落ち方したけど?」
フェイリス「BS時の前格は突き部分で相手が強制ダウンしたら即落下出来るのニャ」
フェイリス「低コスト相手にさっさと起き攻めに移りたい時とかには使えるニャ、この場合1000を2落ちさせてコストオーバー狙いかニャ?」
4℃「助けに行きたいところだが…」
ダル「逃がさんぞ!」
4℃「チッ、ジャマーだ!」
刹那の声と同じだから?
岡部「大丈夫だ、恐らくこっちに来る前に落とせる」
手下「クッ…高飛びすれば!」
岡部「甘い!」
手下「な、後格で追いついてきやがった!」
4℃「糞、間に合わねえ!」
敵残コスト5000→4000
ダル「ふん!ぬおおっ!」
4℃「な、いつの間に!」
敵残コスト4000→1500
>>68
中の人ネタやりたかっただけです
4℃「…ってクアンタの目の前に復帰か!」
岡部「えあっ!えあっ!えあっ!」
4℃「うおっ…全覚抜けするしかねえ!」
シュピーン
岡部「だろうな……ッ!」
ガガガガガ
岡部「デナン・ゾンか!」
手下「4℃さんはやらせねえよ!」
ダル「当たれ!」
手下「ぐあっ!」
ダル「よしっ、これで覚醒が貯まったお!」
ダル「終わらせるぞ…!」
シュピーン!
4℃「覚醒か、だがこっちにはジャマーがある」
ダル「はあぁ!」
4℃「なに、掴まれただと!?」
ダル「ヒィィィィト、エンド!」
WIN
4℃「糞っ、“不運”と“踊”っちまったぜ…」
岡部(オーバーヒ-ト中に近距離でジャマーなど使うからだ、運のせいじゃなく自業自得だ)
ダル「いやあ、ヴァイラルアタッカーズは強敵でしたね…」
フェイリス「流石は凶真とダルニャンだニャ!」
紅莉栖「やっぱり二人ともガンダム上手いわね」
岡部「ありがとう、最高の褒め言葉だ」
4℃「だがこんな幸運は何度も続かねえことを教えてやるぜ!」
チャリン チャリン
岡部「誰に向かって喋っているのだお前は」
4℃「…糞っ!」バンッ
紅莉栖「ひっ!」
4℃「たまたま運良く何回か連続で勝てたからって調子に乗ってるんじゃねえぞ!」ガタッ
紅莉栖(こ、怖い…)
フェイリス(な、何故か前にもこんなことがあったような気がするのニャ…)
ダル「オ、オカリン、これヤバくね?」
岡部「大丈夫だ、手は打ってある」
警察「ちょっといいかな?」
4℃「」
何でもGN付んなwww
警察「たしか君達は前にも他の店で騒ぎを起こしてたよね、ちょっと署まで来てくれるかな?」
4℃「…グラチャンでこの借り、返してやるよ!」
手下「糞っ、覚えてろ…」
ウィーン
紅莉栖「こ、怖かった…」
フェイリス「もしかして凶真はこうなるのが分かってたのニャ?」
岡部「ラボメンの身の安全を守るためにもしもの場合を想定して行動するのはラボの長として当然のことだ」
岡部(タチの悪い連中だということはあの世界線で知っていたからな)
ダル「流石オカリン!おれたちにできない事を平然とやってのけるッ!そこにシビれる!あこがれるゥ!」
紅莉栖「え、私も!?」
岡部「実戦に勝る訓練は無いというしな、まあ習うより慣れろというやつだ」
岡部「幸いここには勝率制限台もあるからな、初心者が練習するにはもってこいだろう」
紅莉栖「うーん、基本操作はだいたい分かったけどまだ自信が…」
岡部「早く一人前になった助手と組んだり戦ってみたいからな、俺も協力するぞ」
フェイリス「フェイリスもクーにゃんが早く一人前になれるよう応援するニャ!」
紅莉栖「…よし、じゃあ頑張ってやってみるわ!」
岡部「それでこそ我が助手だ!さあ、シャッフル台まで行こうではないか!」
紅莉栖「だから助手言うな馬鹿岡部」
ワイワイガヤガヤ
…………
………………
ダル「じゃ、僕はこの辺で帰るお」
岡部「じゃあな、ダル。しかし紅莉栖が半日ぐらいで尉官並みの動きが出来るようになるとはな」
岡部(メキメキ腕を上げる紅莉栖を見ていて2,3日で腕が抜かれるんじゃないかとちょっと焦っていたのは内緒だが)
紅莉栖「ふふっ、岡部とは違うのだよ岡部とは」
岡部「な…、ええい助手の分際で…」
紅莉栖「…でも今日はありがと、楽しかったわ」
岡部「むっ…」
紅莉栖「向こうでは、こんな風にみんなで遊んだような経験も無かったから」
紅莉栖「本当にありがとうね、岡部」
岡部「それに12月には家庭用も出るからな、向こうに戻ったとしてもネット対戦ぐらい出来るだろう」
紅莉栖「…で、岡部はPS3と家庭用を買うお金のアテはあるの?」
岡部「ぐぬぬ…何とかするさ、お前の為だからな」
紅莉栖「え…///」
岡部「ち、違うぞ、今のは向こうに戻っても遊ぶ相手の居ないぼっちの助手に対する哀れみの情から…」
紅莉栖「…一言多いんじゃおのれは!」ドカッ
岡部「痛っ!お、落ち着けクリスティーナ、今のは俺が悪かった!」
岡部「だから止めろ!また入院して下の世話をしてもらうことになるのはもうゴメンだ!」
ダル(ラボに来てみたらが修羅場みたいなふいんきになっている件について)
まゆり「まゆしぃが居ない間にみんなでワイワイ対戦してたなんて…」
まゆり「参加出来なくてまゆしぃは残念なのです…」
るか「おか…凶真さん、僕が居たら迷惑でしたか…?」グスッ
萌郁「………」ムスッ
シャイニングフィンガー
岡部「そ、そういうわけではないのだ!まゆりも閃光の指圧師もバイトだったから仕方ないだろう!」
岡部「それに助手を誘ったのは成り行きだしフェイリスが居たのは偶然だったからな」
るか「………」グスッ
岡部「だ、だからそんな捨てられた子犬のような目で俺を見るな!」
岡部「そ、そうだ、家庭用も出ることだしラボメン全員でやろうではないか!」
岡部「ルカ子や萌郁はよく知らんだろうからこの俺自ら直々にマンツーマンでレクチャーしてやる!」
萌郁「………それなら、許してもいい」
紅莉栖「わ、私も岡部がやりたいならその…私にマンツーマンでレクチャーさせてあげてもいいわよ?」
フェイリス「フェイリスも教えて欲しいのニャ!」
まゆり「まゆしぃもオカリンにマンツーマンで教わりたいのです!」
岡部「助手にはすでに基本的な立ち回りなどについては教えたからもうレクチャーなど要らんだろう、すでに尉官クラスの腕があるし」
岡部「フェイリスは元帥ではなかったか?まゆりも俺より上手いはずだし、なぜ教わる必要があるのだ?」
紅莉栖・フェイリス・まゆり「「「…」」」
ダル「オカリンは一回爆発した方がいいと思うお、ていうか爆発しろ」
終わり
乙!
とりあえず適当に考えてたラボメンの持ち機体は
オカリン…クアンタ・00・エクシア(中の人)とX1
ダル…ゴッド(中の人)
まゆり…ベルガ(シャル繋がりで近距離強め)・隠者(シャル繋がりで武装多い)
助手…アレックス(名前繋がり)
萌えいくさん…羽
ルカ子…男の娘だから髭
フェイリス…癖がある、もしくはネタ要素が強い機体全般
鈴羽…マスターかドラゴン一択
みたいに考えてました
鈴羽出したかったんですがシュタゲ世界線だと…
一応GN警察じゃなくて颯爽と鈴羽登場とかも考えてたんですけど
ムカついたけど壁を殴る機体が無い、壁を殴りたいけど殴る壁が無い、そんなときに!
壁殴りで鍛えたガンダムたちが一生懸命あなたの代わりに壁を殴ってくれます!
モチロン壁を用意する必要もありません!スタッフがあなたの家の近くの家の壁を無差別に殴りまくります!
1時間\1200~ 24時間営業 年中無休!
__
ヽ、r'ュ_,rッ<、
__ li Yvィュ ,{、>イノ _ ___/ ̄rヽ、
l ヽ _>ー,ll={ln〈ィl∠f‐/└' - '>/-、||
〉、>_i」r‐'/r_ニ/〈‐'´ /ヽ} l/
ヽヘ ゞ=(./ー'くヾ='、ヽト、_, ヘ / /
∨Yt-ヘ「|ヽ>ヽノヽ」__ト、 ∨ ∧ 壁殴り代行では同時にマイスターも募集しています
/ / 〉、||〈_>'_/ヘ /7/'〈-ヘ _ヽ∧ 操縦に自身のあるそこのアナタ!一緒にお仕事してみませんか?
,イ_/>.ノ 〉、ヽノ〈`lー〈/ 〕ン ハ`〉∧ 壁を殴るだけの簡単なお仕事です!
/- 〃_ フr{_r‐<_}_ユ !-ュ {i =|{(、))∧〉
//,〃 >ー└/ | l--┘' /ヽ,|L」 ! || リ
/、へ / ,>、`!__//l'´ /-ヘソ〉‐'コl !l/
〉>>' i、/ハl l l__ハ-‐ヘ〈 ゞ、-レll/
ヒ!、〉 { !l l `ト '=、∧ l l l/,〈___リ
`^゙′ !.l| ! | / |l | | l l |^ー‐'
Entry ⇒ 2011.12.28 | Category ⇒ シュタインズゲートSS | Comments (0) | Trackbacks (0)
梨花「ここは雛見沢なのです」 岡部「聞いたことがないな」
・確実に日付をまたぐ
・メリー紅莉栖マス
↓スタート↓
紅莉栖「・・・」
岡部「・・・」
紅莉栖「・・・」ペラリ
岡部「・・・」チラッ
紅莉栖「・・・」
岡部「・・・なぁ、助手よ」
紅莉栖「・・・」ペラリ
岡部「おい、クリスティーナ」
紅莉栖「・・・」
岡部「・・・牧瀬さん」
紅莉栖「何?」
岡部「とっとと返事をせんか!!」
岡部「いや、さっきから何度も!」
紅莉栖「言っておくけど、私は助手でもクリスティーナでもないから」
岡部「ではなんと呼べと?」
紅莉栖「・・・紅莉栖、でいいわよ」
岡部「紅莉栖・・・ティーナ」
紅莉栖「だぁぁぁもう!何で最後にそれ付けちゃうのよ!バカなの?死ぬの?」
岡部「・・・”死ぬ”という言葉は、しばらく、聞きたくない」
紅莉栖「・・・今のは謝る」
岡部「・・・」
紅莉栖「・・・」
岡部「・・・」
紅莉栖「・・・ごめん」
紅莉栖「な、何よ、あらたまって?」
岡部「俺が退院しました。お前と再会しました。お前がラボメンとなりました。かれこれ2週間前のことだ」
紅莉栖「もうそんなに経つのね」
岡部「そうだ。2週間だ。なーーぜお前は終始無言なのだ?」
紅莉栖「別に」
岡部「『別に』ときたか。どこぞの女優かお前は!」
紅莉栖「いいじゃないの。何か話さなきゃいけないルールでも?」
岡部「いやいやいや、あのな?もっと俺に聞きたい事とかは無いのか?」
紅莉栖「別に」
岡部「はい2回目いただきました。ってやかましいわ!」
紅莉栖「うるっさいわね。何なのよ今日は。あまり騒ぐと傷に響くわよ」
紅莉栖「別に」
岡部「もうそれはよい!ではお前は何しにラボに来ているのだ!」
紅莉栖「ラボメンがラボに来ちゃいけないの?」
岡部「ぐ・・・!」
紅莉栖「今これ読むのに忙しいの。あまりうるさくしないで」
岡部「・・・はぁ」
岡部は大きく溜息をつき、紅莉栖に並んでソファーに座る。
紅莉栖「な、なんでわざわざ隣に座るのよ」
岡部「別に」
紅莉栖「っ・・・はぁ」
岡部同様、紅莉栖も大きく溜息をついた。
ここまで来れたのも、紅莉栖がいたおかげだ。
そう、俺は紅莉栖が好きだ。だから再会できたことに心から喜んだ!
だがなんだこれは!デレない!こいつデレてくれない!
俺の紅莉栖への気持ちが、一切伝わらないではないか!
辛い!この温度差、凄く辛い!
おまけに紅莉栖に合わせるように俺までツンデレっぽくなってきてしまった!
・・・どうすれば、紅莉栖との距離を縮められるだろうか)
―――人の子よ、今の願いは、そなたのものか?―――
ああ、俺の希望を心の中でブチ撒けただけだ。
―――・・・ふむ、面白きカケラを見つけた。どう紡いでくれるやら―――
紡ぐ?お前は誰だ。
―――ふふふ、この男ならば、出口のない迷路に突破口を見出すやもしれぬ―――
耳の奥がチクリと痛み、そのまま、岡部は意識を失った。
私だって岡部と話したいことは山のようにあるわよ。命の恩人だもの。
あの時、私の代わりに死んじゃうかもしれないって、泣いたもの。
それに、岡部のこと、ちょっと・・・いいな、って思ったもの。
でも恋なんてしたこと無いから、どうしてもけんか腰になっちゃう。
ラボに来る理由は洋書を読むため?1ページも頭に入ってないわ。
ラボメンだからラボに来る?岡部のいない時には来たことないわよ。
・・・もっと、自分に、素直になりたい)
―――へぇ、あんたの頭の中、意外とお花畑なのね―――
ええ、生憎これでも18歳よ。人並みに乙女回路は内蔵されてるわ。
―――・・・あいつ、なんでこんなやつらを選んだのかしら―――
失礼ね。勝手に人の心の中覗き見といて。そもそも誰よ。
―――まぁ、退屈しのぎにはなるかしら。どうせくだらないコメディでしょうけど、くすくす―――
耳の奥がチクリと痛み、そのまま、紅莉栖は意識を失った。
岡部「んが・・・いつの間にか眠って・・・」
紅莉栖「ん・・・あれ、いつの間に眠って・・・」
「気持ちよさそうに寝てる所悪いけど、ここ、終点ですんね」
岡部「しゅうてん?しゅうてん、しゅうてん・・・」
視界が明瞭になると、眼前には人のよさそうなおじさんが笑顔で肩を叩いていた。
「お二人、アベックさん?こらまたえらいべっぴんさんね」
岡部「え、えーと、あれ?どこだ、ここ」
紅莉栖「・・・バス?え?何で?さっきまでラボに」
「ほら、外の空気吸って目さましぃ。今日は絶好の散歩日和よ」
岡部「あ、はい、降ります。えーと、料金は・・・」
「100円」
載った記憶の無いバスに、全財産の1/8を払う羽目になるとは。
紅莉栖「・・・ねぇ、岡部」
岡部「ん?」
紅莉栖「・・・私、財布持ってきてない」
古めかしいバスは、真っ黒な排気ガスを撒き散らしながら走り去った。
岡部「・・・全財産の1/4を失った」
紅莉栖「あとで倍にして返すってば」
岡部「絶対だぞ。・・・ところで、なんなんだ。一体」
紅莉栖「もしかして、あんたも?」
岡部「ああ。ソファーに座って一息ついたら、何かが聞こえて、気付いたらここにいた」
紅莉栖「私も全く同じ。夢・・・ではなさそうね」
岡部「かといって現実だと言われると余計に疑問だ。今は何時だ」
携帯を取り出す。見慣れたマークが、ない。
岡部「3時か。さほど時間は・・・あれ、圏外か」
紅莉栖「私のも」
岡部「相当田舎とみえる」
紅莉栖「そうね。どっちも圏外なんて」
紅莉栖「っていってもどっちに?」
岡部「ここが終点といっていた。ということは、戻っていけば中心部に向かうと思う」
紅莉栖「そういう勘だけは働くのね」
岡部「”だけ”は余計だ。行くぞ」
・
・♀
・
・♀
・
・♀
・
紅莉栖「一向に景色が変わらない件について」
岡部「だ、だがバス停は3つ通り過ぎただろう?大丈夫だ、多分」
紅莉栖「はぁ。暑くなってきた。上着脱ごう」
岡部「ほら、貸せ。持ってやる」
紅莉栖「あら、気が利くじゃない」
岡部「・・・さすがに俺も暑い」
さらに30分。時刻は4時にさしかかる。ひぐらしの鳴き声も聞き飽きてきた。
岡部「お、車の音だ。おーい!」
岡部の呼び止めに、後方からやってきた黒いセダンは二人の前で止まった。
「いかがなさいました?」
岡部「あ、いや、すいません、えーと、この先、中心部まであとどれくらいかかりますでしょうか?」
「そうですね。歩いてでしたら15分ほどでしょうか。お急ぎでしたらお送りしますが」
岡部「あ、いえ、大丈夫です。問題ないです」
「そうですか。ではお気をつけて」
黒いセダンはまたゆっくりと発進していった。
紅莉栖「・・・よく止められたわね、あんなの」
岡部「今のは怖かった・・・怖かったぞ」
葛西「親切に対応したつもりだったんですが」
詩音「”ホンモノ”のオーラが出てるんですよ。あんたからは」
葛西「・・・ところで、なぜこんな所を歩いていたんでしょう」
詩音「終点まで行っちゃったんじゃない?つまんないド田舎の風景が続いて、飽きて居眠りしたんでしょ」
葛西「・・・」
どう返答していいか分からず、葛西はポリポリと頬をかいた。
詩音「でもなんでわざわざこんなド田舎まで来たのかしら?」
葛西「男性のほうは白衣を着用なさってました。入江先生のお知り合いなのでは」
詩音「ああ、納得。見るからにひ弱そうでしたもん。きっとどこかの医者か科学者ね」
葛西「・・・」
歩き始めてから1時間と少し。ようやく寂れた商店街の姿が見えてきた。
紅莉栖「・・・遠かった・・・」
運動とは無縁に近い二人には、子一時間におよぶ道のりですら過酷なものであった。
紅莉栖「喉渇いた。何かお店やってないかしら」
岡部「そうだな、どこかで休憩したいところだ」
精肉店、八百屋、豆腐屋。雑貨屋、理髪店。
道路も舗装はなく、均された砂利道。
昔ながらの商店街の雰囲気に、平成生まれの二人がピンと来るはずも無い。
紅莉栖「映画やドラマのセットみたい」
岡部「昭和はこんな風景がザラだったのかもしれんな。お、商店発見」
紅莉栖(あっ)
清涼飲料水の陳列された棚を眺めながら、紅莉栖は思い出した。
私、財布ないんだった。
この貧乏大学生に借りることも考えたが、後々ネチネチ文句を聞かされるのも嫌だ。
紅莉栖(いいわよ。我慢するわよ。公園で水飲むわよ)
買えない物を眺めても空しくなるだけなので、一足先に商店を出た。
紅莉栖「・・・いい天気」
突き抜けるような晴天にひぐらしの鳴き声は初夏を髣髴とさせる。
紅莉栖(・・・今、9月末よね?なんでセミが鳴いて・・・)
ペタリ。
岡部「どこから声を出している」
紅莉栖「え、今、首に冷た、え、それ何?」
岡部が細長いガラス瓶を差し出している。
岡部「ラムネだ」
紅莉栖「ラムネ?ラムネ・・・ラムネ」
岡部「知らないのか?これだからメリケンセレブは」
紅莉栖「き、聞いたことくらいあるわよ!なんかジュースみたいなのでしょ!」
岡部「聞いたことしかないのか。ほれ、受け取れ」
紅莉栖「え?くれるの?あんたが?」
岡部「喉が渇いたのだろう?くれてやる」
紅莉栖「え、でも私お金・・・」
岡部「くれてやると言っただろ。70円くらい構わん」
紅莉栖「・・・サンクス」
紅莉栖(・・・)
飲み方が分からない。キャップを開けようとしてもびくともしない。
岡部「そうか、知らないか。見本を見せてやる、このキャップで、勢いよくビー玉を中へ押し込む!」
カシャン!シュワー!ダバー。
岡部「な?」
紅莉栖「すごく・・・こぼれてます・・・」
岡部「昔から成功したためしがない」
紅莉栖「別にそこまで力まなくても・・・えいっ」
カシュ。・・・
紅莉栖「ね?」
岡部「くっ」
岡部「100年以上前からある飲み物だ。密封する技術が乏しかったのだろう」
紅莉栖「なるほどね。でもこれじゃ飲むときに引っかかっちゃって全然飲めない」
岡部「スネーク、その凹みにビー玉を引っ掛けるんだ」
紅莉栖「誰がスネークか。・・・あ、飲めた。おいしい」
岡部「昔はこのビー玉をよく集めたな」
紅莉栖「取れるの?これ」
岡部「取れなければどうやって入れるのだ。キャップをはずせばいい」
紅莉栖「でもこれ、開かなかったけど?」
岡部「ペットボトルなんかとは違って、逆ねじになっている」
時計回りにを捻ると、いとも容易くキャップは回った。
岡部「誤って開けない為の配慮だろう」
紅莉栖「へぇ。でもこのビー玉、集めてどうするの」
岡部「特に意味はない。そういえばビー玉を打ち出すおもちゃなんかもあったな」
摘出を終えたビー玉を、白衣のポケットへしまった。
紅莉栖「ん、ちょっと止まって」
岡部「どうした?」
紅莉栖「・・・」
数メートル先の地面を、目を細めじっくりと眺め始めた。
紅莉栖「やっぱり。ピアノ線が張ってある」
岡部「ピアノ線?なんでこんな所に」
紅莉栖「イタズラ・・・にしては悪質ね」
物陰に隠れていた少女は、思いも寄らぬ通行人に焦っていた。
沙都子「ま、マズイですわ・・・あの方達が先に引っかかってしまっては・・・!」
圭一「くっそー、どこだ沙都子ー」
紅莉栖「あっ、そこ、ピアノ線・・・!」
圭一「へっ?のわぁっ!」
間一髪、15cm程の高さに張られたピアノ線を飛び越えた。
圭一「あ、あいつめ・・・!ただじゃおかねぇ!すいません、ありがとうござ
苦笑いを浮かべながら礼を述べた少年が、突然視界から消えた。
ほぼ同時に、物陰から一人の少女が飛び出す。
沙都子「ヲ、ヲーッホッホッ!忠告を受けながらも2重トラップに引っかかるようではまだまだ甘いですわよ!」
圭一「くそ、落とし穴とは古典的な・・・待てコラァー!」
真っ黒く汚れた少年が、チョコマカと走り去る少女を追いかけていった。
岡部「なんだ、今のは」
紅莉栖「田舎ではよくあること・・・ではないわよね」
岡部「?」
紅莉栖「どうかした?」
岡部「いや、遠くから変な声が」
はぅ~
紅莉栖「え、何これ」
はぅ~
岡部「お、おい、あそこ」
粗大ごみの集積場だろうか、奇声を発しながら鉈を振り下ろす少女。
はぅ~
紅莉栖「こ、こわぁ・・・」
岡部「いいか、俺達は何も見ていない。そうだな?」
紅莉栖「ええ、何も見ていない」
紅莉栖「古手神社ですって。とりあえず行ってみる?」
岡部「階段か・・・」
紅莉栖「なによ、男でしょ。少しくらいは意地を見せ・・・」
彼があの時意地を見せたから、私は今、こうやって―――
紅莉栖「・・・行ってみましょうよ」
岡部「まあ、他に行くあても無いが、正直しんどい」
「みぃ?」
聞きなれない、いや、聞いたことが無いわけでもないような声。
梨花「どうかしたのですか?」
羽入「あ、あぅぅ」
紅莉栖「あ、ううん、なんでもないの。神社に行ってみようかって話をしてただけ」
梨花「じゃあボク達と一緒に行くのです。景色がとっても綺麗なのですよ。にぱー☆」
紅莉栖「ほら岡部、こう言ってるんだから行くわよ」
岡部「くっ・・・まあいい」
・
・
・
岡部「ゼェ・・・ゼェ・・・」
紅莉栖「あんた、息、切らし、すぎ」
岡部「お前だって、切れかけ、じゃ、ないか」
梨花「二人とも、こっちなのですよー」
岡部「子供は何故体力が無尽蔵なのだろうな」
紅莉栖「・・・言いたくないけど、私達の体力が無さ過ぎるのよ」
仏閣の脇、4人は展望台から町内を見下ろした。
紅莉栖「あ、ほら岡部あそこ、さっき通った所。あんなに遠くだったのね」
岡部(あの紅莉栖が笑顔ではしゃいでいる)
紅莉栖「どうしたの?」
岡部「ああ、確かにいい画だ」
梨花「ここは何もない所ですが、景色は抜群なのですよ」
岡部「そういえば、ここはなんという地名なのだ?」
梨花「っ」
一瞬、少女の表情が引きつったように見えた。
梨花「ここは雛見沢というのです」
紅莉栖「知ってる?」
岡部「いや、失礼だが初耳だ」
紅莉栖「まあ、散歩というか、観光みたいなものかしらね」
梨花「そうなのですか。ではボク達は行くのです。さ、羽入、行くのですよ」
羽入「は、はい、なのです・・・」
そういうと梨花は、羽入という名の少女の手をとって神社の裏手へ走っていった。
紅莉栖「・・・なにか気付いた?」
岡部「気になる点はある」
紅莉栖「私も。別れ際の梨花ちゃんの表情見た?」
岡部「俺からは見えなかった」
紅莉栖「一瞬だけどね、すごく神妙な顔をしてたのよ。あんたは何を?」
岡部「これでも俺は大学生だ。だが雛見沢という地名は聞いたことすらない」
紅莉栖「・・・なんか、ひっかかるのよね。ついていってみましょ」
梨花「さぁ羽入、説明しなさい」
羽入「あうぅ、ボ、ボクには何のことだかサッパリなのです」
梨花「とぼけないで。あの二人、誰なのよ」
羽入「あぅ、だからボクは何も・・・」
梨花「今日はワインのウォッカ割りを飲んでみるのですよー。にぱー☆」
羽入「そ、そんなの飲んだら、ボクは死んじゃうのです!」
梨花「おつまみは、ハバネロのキムチにするのですー♪」
羽入「だ、ダメなのです!絶対ダメなのですー!」
梨花「じゃあ話しなさい」
羽入「・・・怒らないと約束できますか?」
梨花「内容による」
羽入「はいなのです」
梨花「それを、裾にしまった」
羽入「・・・はいなのです」
梨花「そのことをすっかり忘れて、私のカケラ紡ぎをはじめた」
羽入「・・・はい」
梨花「その時に裾からそのカケラが落ちた」
羽入「・・・」
梨花「そのことに気が付かず、混じったままこの世界が始まった、というわけね。なるほど」
羽入「っ・・・・・・?怒らない・・・のですか?」
梨花「えぇ、怒らないわよ」
羽入「り、梨花・・・!」
梨花「ただ、これからはあんたを全力で見下すことにするわ」
羽入「梨花ぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」
羽入「ごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさい!」
梨花「うっさい!なんであんたは厄介ごとを増やしてくれるのよ!」
羽入「あうぅ、怒らないって言ったのですー!」
梨花「あんたが実体化した時点で嫌な予感がしてたのよ・・・これが最後なんでしょ」
羽入「・・・もう、次のチャンスはないのです」
梨花「あんたが死んでもきっと終わりよ!なんで敗北条件増やしてるのよ!」
羽入「・・・きっと、あの二人が死んでも終わりだと思うのです」
梨花「はぁぁぁぁああ!?これで敗北条件が一気に4倍になったわよ!死ね!」
羽入「あぅぅ、ひどいのですひどいのですー!」
岡部「賑やかだな」
梨花「っ!」
羽入「あぅ・・・」
梨花「っ・・・ボク達は、今度発売される漫画の話をしていたのですよー☆」
紅莉栖「へぇ、ということは、あなた達は漫画の登場人物なのね」
梨花「・・・どこから聞いていたのですか?」
紅莉栖「そ、そんなの飲んだら、ボクは死んじゃうのです! ってあたりから」
梨花「ほぼ最初からじゃないのよ・・・!」
岡部「教えてくれ梨花。お前に、そして俺らに何が起きているのか」
梨花「・・・言ったところで、信じてもらえるはずがないのです」
岡部「信じるさ」
梨花「・・・そういえばまだ名前を聞いてなかったのです」
岡部「岡部倫太郎だ。岡部でいい」
紅莉栖「牧瀬紅莉栖。呼び方は助手とクリスティーナ以外ならなんでもいいわ」
岡部「・・・」
紅莉栖「・・・そんなのって・・・」
梨花「どう、信じられないでしょ?無理もないわ」
岡部「・・・そのループを終わらせるためには、何をすればいい?」
梨花「信じられるの?ただの子供の戯言かもしれないのに」
岡部「俺だって似たような経験をしてきた。聞いてくれるか」
脇に腰掛ける紅莉栖へ視線をうつす。
岡部「紅莉栖、申し訳ないが、少しだけ席を外してほしい」
紅莉栖「は?私には聞かせられな・・・わかった。終わったら呼んで」
岡部「すまない。お前にも、話せるときが来たら話す」
岡部の眼差しを受け、紅莉栖は立ち上がり展望台のほうへと足を運んだ。
紅莉栖(・・・あの時と同じ目)
梨花「昭和58年の6月。西暦でいえば1983年よ」
岡部「・・・やはりな。商店の日めくりカレンダーを見ておかしいと思った」
梨花「岡部はいつのどこから?」
岡部「平成20年、東京だ」
梨花「平成って?」
岡部「ああ、すまない。西暦でいえば2010年だ」
梨花「・・・あんた、どこでカケラ拾ったのよ」
羽入「あぅ・・・」
梨花「岡部は何年生まれなの?この時代ではまだ生まれていないでしょ」
岡部「91年生まれだ。そうか、携帯が繋がらん理由もはっきりした」
梨花「けいたい?」
岡部「そうか、これも知らないのだな」
羽入「すごいのです!すごいのです!」
岡部「ほら、カメラにもなる」
梨花「ほおおぉぉ・・・」
岡部「そういや、この時代にテレビゲームはあるか?」
梨花「え?ああ、ファミリーコンピュータっていうのが来月出るわね」
岡部「ファミコンか。名機だ。だが」
ニヤリと不適な笑みを浮かべる。
岡部「未来では、まるで実写と見まごうほどの美しい映像でテレビゲームができるぞ」
梨花「っ!・・・岡部、私達に力を貸して」
岡部「生きる希望が湧いたようだな。だが、ひとつ条件がある」
梨花「・・・何?」
岡部「そろそろ俺の話を聞いてくれ」
羽入「話が脱線しすぎなのです」
羽入「あぅぅ、痛い話は嫌なのです」
梨花「お腹をナイフで・・・その痛み、よく分かるわ。苦しかったでしょ?」
岡部「こんなものかすり傷だ。紅莉栖に比べれば」
羽入「好きなのですね。牧瀬のことが」
岡部「あいつの気持ちは分からんままだがな」
数十メートル先、展望台から遠くを眺める紅莉栖の背中を見つめ呟いた。
羽入「あぅあぅ、恋バナは大好きなのですよー♪」
梨花「ちょっと黙ってなさい」
岡部「羽入って、梨花の先祖なんだよな?」
梨花「ええ。嘆かわしい」
羽入「あぅッ!?」
岡部「わかった。だが俺らの正体は内緒にしてくれ」
梨花「ええ、わかってる。今日はどこかに泊まるしかないわね」
岡部「泊ま・・・あっ」
財布の中身を確認する。
岡部「・・・460円で泊まれるホテルはあるか?」
梨花「ないでしょうね」
岡部「俺は野宿でも構わんが、紅莉栖はそうもいかない。どうするべきか・・・」
羽入「あぅあぅ、レディーファースト!かっこいいのですー♪」
梨花「だから黙ってなさい。そうね、岡部のその電話、使える?」
岡部「残念ながら不可能だ。昭和に携帯のアンテナなど建っていない」
梨花「しょうがない、家まで戻るわ。ついてきて」
岡部「すまない。ひとまず梨花の家に行くぞ」
紅莉栖「どういう結論が出てそうなったのよ」
岡部「質問だ。野宿をしたいか?それとも布団で寝たいか?」
紅莉栖「は?そりゃ後者を選ぶけど」
岡部「ならば行くぞ。梨花がどこか泊めてくれる場所を探してくれる」
紅莉栖「ああ、なるほどね」
梨花「岡部、牧瀬、早く来ないと置いていっちゃうのですよー。にぱー☆」
岡部「あいつは・・・2重人格なのか?」
紅莉栖「いや、違うわね。記憶が共有されてるもの」
岡部「そういうもんなのか」
梨花「ちょっと、知り合いの人に会ってお話をしていたのです」
沙都子「梨花のお知り合いですの?どのような・・・あっ」
岡部「あっ」
紅莉栖「あっ」
沙都子「さ、先ほどはご迷惑をおかけ致しましたわ!危うく梨花の知り合いの方をトラップに・・・」
紅莉栖「あ、ええ、大丈夫よ。心配しないで」
岡部「あの後少年に追いかけられていたが、逃げ切れたのか?」
沙都子「ヲーッホッホッホッ!この北条沙都子、あんなヘナチョコに捕まるようなヘマはいたしませんわよ!」
岡部(変な子)
紅莉栖(変な子)
梨花(あ、今 変な子 って思ってるわきっと)
梨花「実は魅ぃにお願いがあって電話したのです」
魅音「梨花ちゃんがお願いなんて珍しいね。言ってみ?」
梨花「今ボクのお友達が遊びに来ているのですが、お泊まりするところが無くて困ってるのです」
魅音「ふむふむ、なるほど。どんな子?」
梨花「大学生の二人組なのです」
魅音「だ、大学生?交友関係広いねぇ」
梨花「無理ですか?」
魅音「うーん、おじさんは歓迎するけど、婆っちゃがなんて言うかなー」
梨花「お願いなのです」
魅音「むーん、ちょい待ってて、婆っちゃに聞いてみる」
・・・・・・
魅音「その二人と梨花ちゃんで挨拶に来いって言ってる。多分大丈夫っぽいよ」
梨花「みぃ、本当ですか?ではこれから行くのです」
紅莉栖「・・・」
岡部「ところでこの玄関の門を見てくれ。コイツをどう思う?」
紅莉栖「すごく・・・大き、って言わせんな」
魅音「お、いらっしゃーい。このお二人が梨花ちゃんの知り合い?」
岡部「始めまして、岡部だ」
紅莉栖「どうも。牧瀬です。よろしくね」
魅音「ひぇー、本当に大学生だ。・・・ふーむ」
岡部「な、なんだ、何をジロジロ」
魅音「・・・うん、多分大丈夫だね。案内するよー」
梨花「お邪魔しますなのですー」
紅莉栖「・・・ところでこの家を見てくれ。コイツをどう思う?」
岡部「すごく・・・大きいです・・・」
お魎「入り」
魅音「よし、じゃ岡部さん一人で」
岡部「へぇあ!?何故だ!?襖から禍々しいオーラが出ているぞ!」
魅音「大丈夫大丈夫。あとで皆で入るから」
岡部「し・・・失礼いたします」
老婆が一人、背中を向けて座っていた。
お魎「なんね、一人で挨拶かいね」
岡部「あ、いや、はい、本日は園崎様の邸宅にお泊め頂きたくてご挨拶に・・・」
お魎「やれやれ、梨花ちゃまの知り会いやいうからどんな子かと思たら、その声は大人やんね」
老婆は振り返り、正座で小さく縮こまる岡部の顔を見た。
お魎「よし、泊まっていき」
岡部「へ?」
襖の外では、魅音が口を抑えながら必死に笑いを堪えていた。
岡部「お、岡部倫太郎と申します」
お魎「歳は」
岡部「18になります」
お魎「気に入った。魅音、入り」
魅音「よかったね、岡部さん!」
岡部「え、あ、ああ」
お魎「なんね、女連れやったんかい。名前は」
紅莉栖「始めまして、牧瀬と申します。この度はお世話になります」
お魎「ふん、礼儀はしっかりしよる娘やわ。構わん。あんたも泊まり」
魅音「岡部さん、絶対婆っちゃのタイプだと思ったんだよねー」
お魎「なんであんたは本人の前で言うかねこんダラズが」
梨花(あのお魎が照れてる・・・嫌だ、怖い・・・!)
紅莉栖「部屋・・・だと・・・?」
魅音「あれ、嫌なの?私てっきり」
岡部「ま、まあ俺は吝かではな
紅莉栖「嫌よ!こんなヤツと一緒の部屋だなんて、何しでかすかわからないもの!」
梨花「岡部は何をしでかすのですか?」
魅音「いっしっし、梨花ちゃんにはまだ早いかなー。ちょい待ってて。他の部屋開いてないか聞いてみる」
・
・
・
魅音「ごめーん、他の部屋、空いてないんだって。我慢して二人で寝てくれだってさ」
紅莉栖「うぅ・・・泊まらせて貰ってる以上、贅沢は言えないわね」
岡部「そんなに信用ないか、俺」
梨花「それじゃボクは帰るのです。また明日なのですー☆」
魅音「婆っちゃ、いいの?部屋いっぱい空いてるのに」
お魎「ひっひっひ、いいんね」
岡部「ああ、明日は夕方までは自由?時間となる。どうするか」
紅莉栖「そうね、もっと色々な所見て回ってみましょうか」ズズズ
岡部「おい、どこまで自分の布団を引っ張っていく気だ」
紅莉栖「どこって、あんたの対角線上ですが何か」
岡部「そこまで敬遠されたらさすがの俺もヘコむぞ」
紅莉栖「・・・わかったわよ。でもこれくらいは離すわよ」
岡部「・・・好きにしろ」
紅莉栖「おやすみ」
お魎「ん、もう寝ちまったんね。つまらん」
魅音「婆っちゃ・・・」
岡部「声だ。あの声は、信用に値する」
紅莉栖「お前は何を言ってるんだ」
岡部「お前には分からない。分かるとしたら20年後くらいになるのだろうか」
紅莉栖「もういい、寝るわ」
岡部「ぐ・・・そっちから話を出したくせに・・・!」
紅莉栖「・・・」
岡部「・・・」
紅莉栖「・・・」
岡部「・・・なあ」
紅莉栖「・・・すー・・・すー・・・」
岡部「・・・はえぇ・・・!」
紅莉栖「・・・んぁ・・・」
岡部「もういい時間だぞ」
紅莉栖「ぅぅ・・・あ、おかべぇ、おあよう・・・って岡部!?」
岡部「そこまで驚かれる筋合いはないのだが」
紅莉栖「え、あ、なんだ・・・ああ。泊めてもらったんだっけ。おはよう」
岡部「お早くないぞ。12時だ」
紅莉栖「・・・どう考えても寝すぎです本当に(ry」
岡部「まあ、お互い精神的にも疲れていたのだろう」
紅莉栖「・・・この世界は、やっぱり夢じゃないのね」
岡部「ああ、しっかり寝起きしたな」
お魎「ん、よう寝とったな」
岡部「ええ、すいません。まさかもうこんな時間とは」
お魎「魅音がこれ、二人にってな」
岡部「ん?エンジェル・モート ランチ無料券とな」
お魎「あんたら、昨日から何も食うとらんでな」
紅莉栖「そういえばそうね。わたわたしてて忘れてた」
お魎「そこに魅音の妹の詩音っちゅうのがおってな。見たらすーぐわかる顔しよる」
岡部「すいません、お言葉に甘えます」
紅莉栖「すいません、色々と尽くしていただいて」
お魎「礼なら魅音に言い」
岡部「」
紅莉栖「」
「ただいま席にご案内いたしまーす!」
岡部「」
紅莉栖「」
詩音「ん?あの人たちって」
紅莉栖「なんぞこれ・・・!」
岡部「2010年に帰ってきたのかと思った・・・」
詩音「はろろーん♪こんにちはー♪」
岡部「ん?あれ、魅音?」
詩音「ざんねーん、妹の詩音でーす」
岡部「昨日・・・どこかで会ったか?」
詩音「ほら、道で車呼びとめたじゃないですか。あれに乗ってたんです」
岡部「ああ、あのヤク、もとい、逞しそうな人の車に」
詩音「言い直さなくても大丈夫ですよ。本物のヤクザですから」
岡部「・・・!」
紅莉栖「あ、それで魅音さんからコレを貰って来たんだけど」
詩音「あら、うちの無料チケット。ってことは梨花ちゃまの知り合いってあなた達だったんですね」
岡部「まあ、そういうことになる」
詩音「てっきり子供だと思ってたけど、梨花ちゃまって交友関係広いんですね」
岡部「魅音も同じ事を言っていたな」
詩音「双子ですから♪」
岡部「すまない。興宮の方で時間をくってしまって」
紅莉栖「本屋でかたっぱしから雑誌読んでるんだもの」
大石「古手さん、お知り合いの方ですか」
梨花「はい、ボクのお友達なのです」
富竹「こりゃまたずいぶん大きなお友達がいたんだね」
梨花、恰幅のいい壮年男性、マッチョなタンクトップ、細身の白衣、マッチョなイケメン。
岡部「昨日3人が集まると言っていたな。4人だったのか」
梨花「赤坂まで来てくれるなんて思っていなかったのです」
赤坂「えーと、岡部さんですか。始めまして、警視庁公安部の赤坂衛です」
岡部「あ、どうも、岡部倫太郎です。大学生です」
紅莉栖「牧瀬紅莉栖です。大学の研究所で研究員をやっています」
梨花「東京のほうから遊びに来ているのです」
入江「入江です。この雛見沢で診療所をやっています」
富竹「僕は富竹。フリーのカメラマンさ。あはは!」
岡部(ああ、やっと親近感の湧くポジションの人が・・・)
梨花「富竹、岡部には本当の事を話しても大丈夫なのですよ」
富竹「あはは、そうかい?じゃあ」
呑気そうに笑っていた目が、真剣な眼差しへと変わる。
富竹「始めまして岡部くん。富竹ジロウ二等陸尉です。監査役兼連絡員として雛見沢に派遣されています」
入江「では私も。入江京介二等陸佐です。入江機関という研究所の最高責任者です」
岡部「」
入江「岡部君は大学生なんですね。白衣を着ていますが、どういった分野を?」
岡部「・・・電気です」
岡部倫太郎。初めて”白衣を脱ぎたい”と感じた瞬間であった。
紅莉栖「はい。始めまして」
入江「突然ですがメイド服には興味ありませんか?その美しい容姿、ぜひメイド服を着用していただきたいのですが」
紅莉栖(あ、この人生理的に受け付けない)
梨花「入江、自重しやがれなのです」
入江「おっとすいません、つい本音が。研究員との事ですが、どういった分野を?」
紅莉栖「脳科学です」
入江「脳、科学・・・失礼ですが、どちらの大学の研究所でいらっしゃいますか・・・?」
紅莉栖「ヴィクトル・コンドリア大学ですが何か」
入江「ヴィッ・・・!!!」
数歩後ずさり、慌てて深々と頭を下げた。
入江「も、申し訳ございません!ご無礼を働いてしまったことをお許しください!」
紅莉栖「ああ、もういいです。頭上げてください」
岡部(ダルを見るときと同じ目をしている・・・!)
大石「えぇ、毎年ね、この時期になると男女二人組が謎の死を遂げたり行方不明になるんですよ」
煙草に火を点けながら、大石はニヤリと笑った。
大石「巷じゃ”オヤシロ様の祟り”だなんて言われてます。あなた達も気をつけて下さいよ?」
梨花「大石、岡部達を驚かさないでください」
大石「ああ、すいませんねぇ。つい癖で。さて、私達はそろそろお暇しましょうか」
赤坂「そうですね。私は一度大石さんと署に戻ります」
富竹「僕も、興宮のホテルに戻ります」
梨花「じゃあ、今日はこれで解散なのです」
岡部「毎年、男女が、この時期に・・・」
入江「牧瀬さん」
紅莉栖「なんですか」
入江「・・・ヴィクトル・コンドリア大学脳科学研究所の一員であるあなたに、見て頂きたいものがあるのです」
入江「ええ、風土病のようなものです」
紅莉栖「具体的な発祥例は?」
入江「幻覚や幻聴、極度の疑心暗鬼や人間不信に陥ります。重度になると理性を失い、リンパ線に異常なまでの掻痒が現れます」
紅莉栖「疑心暗鬼に人間不信、そして理性を失う・・・」
岡部「どうやら、穏やかではなさそうだな」
入江「空気感染が主な感染経路ですので、お二人には一応予防薬を投与いたしましょう。さぁ、ここです」
岡部「入江診療所・・・失礼ですが、研究所にしては小ぶりですね」
入江「表向きはただの診療所です。研究所の部分は全て地下となっています」
紅莉栖「見て頂きたいものとは?」
入江「・・・地下に重度の感染者が極秘で入院しています」
紅莉栖「重度?面会に問題は?」
入江「大丈夫です。現在は薬によって昏睡状態となっています」
紅莉栖「・・・」
紅莉栖は神妙な面持ちで、四肢を拘束されて昏睡した少年を見つめる。
岡部「北条・・・沙都子と関係が?」
入江「おや、沙都子ちゃんをご存知でしたか。彼女のお兄さんです」
岡部「あのクマのぬいぐるみは?」
入江「沙都子ちゃんの誕生日プレゼントとして、渡す予定だったそうです」
岡部「そうですか・・・」
紅莉栖「彼がL5となった原因は?日常生活で発症するものではないのでしょう?」
入江「・・・場所を移しましょう。聞こえていないとはいえ、彼の前でこの話はできません」
”梨花とはもう1年近く、ここで一緒に暮らしているんですのよ”
昨日、沙都子は笑顔でそう話していた。
岡部(・・・強いんだな)
入江「”オヤシロ様の祟り”の2年目と3年目の事件にあたります」
紅莉栖「それで悟史くんは重度のストレスを?」
入江「いいえ、悟史くんと沙都子ちゃんは叔父夫婦に引き取られたのですが・・・」
岡部「虐待、ですか」
入江は小さく頷いた。
紅莉栖「C-PTSDね」
岡部「C・・・なに?」
紅莉栖「C-PTSD。複雑性心的外傷後ストレス障害の略よ」
入江「複雑性というのは初めて耳にしました。それはどういった?」
紅莉栖「長期間にわたる外傷やストレス等、複数の原因に起因するPTSDのことです」
入江「ほう、勉強不足でした。やはりアメリカの研究は進んでいらっしゃる」
紅莉栖(あれ、83年にはまだ無かったっけ・・・?)
岡部「それが、発症の原因に?」
入江「・・・去年の6月、叔母が何者かに撲殺されました。”オヤシロ様の祟り”4年目です」
岡部「なっ・・・!」
入江「その数日後に彼はL5を発症、そして、今に至ります」
紅莉栖「なるほど、一人が死亡、一人が行方不明ってわけ・・・」
入江「叔母を殺した犯人は後日逮捕され、留置所内で自殺を図りました」
岡部「で、ですがそれでは・・・」
入江「今はそれで納得してもらえないでしょうか。お願いします」
岡部「・・・分かりました」
紅莉栖「入江先生」
入江「はい?」
紅莉栖「私も、一時的にこの研究に携わらせて下さい」
紅莉栖「今の話を聞いて、ただ何もせずに帰ることなんてできません」
そういうと紅莉栖は、隣に座る岡部の方を向いてフッと微笑んだ。
紅莉栖「いいでしょ?どうせ特にすることも無いんだし」
岡部「お前なら絶対そう言うと思っていた。驚きも拒否もしない」
入江「・・・有難うございます。では、早速ですがお二人は明日からこちらへ来てもらえますか」
岡部「二人・・・え、俺も?俺はただの大学生なのですが」
入江「問題ありません。実は、書類整理や事務作業も人手が足りていなくて」
岡部「だ、だからといって・・・」
入江「タダでとは言いません。無論お二人には日当をお支払いします。どうですか?」
岡部「わかりました。俺でよければお手伝いしましょう」
紅莉栖「言うと思った」
岡部「夕食までご馳走になるとはな」
紅莉栖「・・・また、あのお店とはね。詩音さんはいなかったけど」
岡部「あの制服、軽犯罪法とかにはひっからないのだろうか?」
紅莉栖「さあ、でも今よりは寛容だったんじゃないの?」
岡部「ダルは生まれてくる時代を間違えたな。まあ、明日は早い。今日は早めに寝るとしよう」
紅莉栖「そうね。忙しくなりそう」
岡部「その割には若干嬉しそうだな」
紅莉栖「人の命がかかってるんだもの。そりゃ奮起するわよ」
岡部「・・・人の命、か。そうだな」
紅莉栖「あっ・・・」
岡部「・・・」
紅莉栖「・・・」
岡部「ああ、入江先生に会っていてな」
魅音「監督に?大学の関係で用があったとか?」
岡部「まあ、そんな所だ」
紅莉栖「監督?」
魅音「ああ、少年野球チームの監督もやってるんです。忙しい人だよねー」
岡部「そうだ魅音、話を聞きたいのだが」
魅音「何ですか?アッチ系の話をするにはまだ早いですよ~?」
岡部「せんわ!」
紅莉栖「悟史、北条悟史くんのことについて教えて欲しいの」
魅音「・・・監督に、聞いたんですか?」
岡部「話したくないかも知れないが、俺達は知っておきたいんだ。頼む」
魅音「・・・わかりました。あとで部屋に行きます」
岡部「沙都子の兄だということ、それと・・・1年前から行方をくらました事くらいか」
魅音「悟史、元々私達とおなじ学校に通ってたんです」
紅莉栖「学校?それらしい建物は見当たらなかったわね」
魅音「生徒が少ないから営林所の一部を借りて学校にしてるんです。合同学級で」
岡部「では兄弟でおなじ学校に通っていたということか」
魅音「はい。でもある日を境に、二人とも急に元気がなくなっちゃって」
岡部(それが叔父夫婦に引き取られた日か)
魅音「そしたら今度は、沙都子の誕生日プレゼントの為にアルバイトを始めたんです」
紅莉栖(そんな精神状態でさらにアルバイトなんて・・・)
魅音「で、沙都子の誕生日の直前、ドロンと姿を消したんです」
岡部(なるほど。ぬいぐるみを買って帰る途中でL5か。合点がいく)
魅音「もしかしたら悟史は忍者なんじゃないかーなんて心の中で思っちゃいました。あはは」
岡部「ああ、お前とそっくり過ぎて驚いた」
魅音「たまに私と入れ替わってることがあるから注意した方がいいですよー?」
岡部「そっちの方ががよっぽど忍者ではないか」
魅音「ここだけの話、詩音は悟史にホの字だったんです」
紅莉栖「そう・・・悲しんだでしょうね」
魅音「『必ずどこかで生きてるから私は悲しまない』と口では言ってるけど、絶対辛いはずです」
岡部「そうだな、絶対どこかで生きているはずだ」
魅音「沙都子に詩音、二人も女の子を悲しませるなんて、ホント罪作りな・・・男、ですよね・・・」
気丈に振舞っていた魅音の瞳から、止め処なく涙が溢れ出した。
紅莉栖「魅音さん・・・」
魅音「・・・いいえ、大丈夫です・・・」
岡部「話してくれたことに感謝する。お礼に、一つだけ教えてやろう」
魅音「・・・なんですか?」
岡部「悟史は、生きている」
紅莉栖「ちょ、ちょっと!」
わかっている。慌てる紅莉栖を目で諭した。
魅音「・・・今、なんて・・・?」
岡部「悟史は生きている。訳あって、入江先生の所に誰にも気付かれないよう入院している」
魅音「・・・冗談では、ないんですよね?」
岡部「事実だ。俺と紅莉栖で実際に会ってきた。薬で眠らされている。かれこれ1年ほど」
魅音「嘘、そんな・・・悟史が、監督の所に・・・」
魅音「そうですか・・・。ということは面会なんかも」
岡部「まだ顔を会わせる事は難しい。だが、紅莉栖が悟史を救うことに協力してくれる」
魅音「牧瀬さんが?」
岡部「ああ。こいつは俺とは比べられない程の天才だ。悟史の為に尽力してくれる」
魅音「ま、牧瀬さん・・・ありがとうございます。悟史を、助けてやってください」
紅莉栖「ううん、今までの話を聞いてたら、本気を出すしかないわね」
岡部「いいか、この事を知っているのは俺ら3人だけだ。絶対誰にも言うな」
魅音「ええ分かってます。詩音のやつ、この事知ったらビックリするだろうなー」
その頃、興宮―――
善郎「お疲れ様ー」
魅音「ふひー、バイトちかれたー。帰ろ帰ろ」
すっかり元気を取り戻した魅音は、笑顔で部屋を去った。
と思えば、30秒ほどでまた引き返してきた。
魅音「岡部さーん、梨花ちゃ・・・んから電話ですよー」
岡部「梨花?なんでまたこんな時間に」
岡部「もしもし、俺だ」
梨花「今大丈夫?」
岡部「大丈夫だ、問題ない。沙都子はどうしてる?」
梨花「今お風呂に入ってる。残念な私の先祖と一緒にね」
岡部「そうか。で、何かあったのか?」
梨花「・・・今、私に起きていることを、皆に話してみようと思う」
梨花「レナと圭一にはまだ会ってないのね。二人とも魅音の1コ下よ」
岡部「1コ下・・・その圭一ってのは、沙都子の落とし穴にハマったりするか?」
梨花「なんだ、知ってるんじゃない」
岡部「・・・レナという娘は、よもや”はぅ~”という声を出したりするか?」
梨花「いかにも。それがレナよ。どうせゴミ置き場で見かけたんでしょ?」
岡部「ああ。俺も紅莉栖も見なかったことにしていたが」
梨花「変わってるけど、いい娘だから大丈夫よ」
岡部「その言葉、信じるぞ。で、いつ話すんだ?」
梨花「そうね、明日にでも」
岡部「わかった。進展があったら教えて欲しい」
梨花「ええ、わかった」
梨花「手伝いって、雛見沢症候群の研究?」
岡部「ああ、紅莉栖が俄然やる気になっていてな。あいつの頭脳は俺が保障する」
梨花「2010年の知識は心強いわね」
岡部「ああ、数日で特効薬を作り上げるかもな」
梨花「そうなってくれることを祈るわ。で、岡部は何をするの?」
岡部「・・・雑用だ」
梨花「・・・・・・ふふっ」
岡部「あ、今笑ったな?絶対笑ったな?」
梨花「わ、笑ってないわよ。あ、二人ともお風呂上がったみたい」
岡部「では続きはまた後日」
梨花「はいなのです。ではおやすみなさいなのですー」
岡部「自分のおかれてる状況を、友人皆に話すそうだ」
紅莉栖「そう、信じてもらえるといいんだけど」
岡部「ループの話はせず、何者かに殺される、という部分を話すのではないか」
紅莉栖「なるほど、それならまだ話がスムーズね」
岡部「しかし、なぜ梨花が、一体何者に命を狙われるのか」
紅莉栖「女王感染者ってことに関係があるかもね。明日、研究所で色々調べてみましょう」
岡部「うむ。書類整理中にも何か手がかりが見つかるかもしれない」
紅莉栖「そっちの方はまかせたわよ。助手よ」
岡部「なっ、なにをう!」
紅莉栖「どう?助手って言われる気分は」
岡部「ぐ・・・」
詩音「お帰り、お姉♪」
魅音「あるぇー?私が二人?なーんて。影武者ご苦労であった!岡部さん達は?」
詩音「もうすぐお休みするみたいです」
魅音「今日も早いなー。まだ10時じゃん」
詩音「明日から監督のお手伝いに行くんですって」
魅音「お手伝いって診療所の?医科大学なのかな、あの二人」
詩音「私、岡部さんからすっごい話聞いちゃったんです」
魅音「なになにー?教えてー」
詩音「内緒です♪」
魅音「えー、何さそれー」
詩音「お姉が聞いたことになってるんで、それっぽい話を言われたら『うん、わかってる』って適当に返してくださいね」
魅音「いや、そこまで言うなら教えてよ!」
詩音「これは3人だけの秘密なんです♪じゃ、私帰りまーす」
岡部「どうした」
昨日と同様、部屋の端と端に離されて敷かれた布団。
昨日は背中を向けていたが、今日はこちらを向いている。
紅莉栖「雛見沢に来てからずっと、私のこと紅莉栖って呼んでるわね」
岡部「・・・気付いていたか」
紅莉栖「どういう風の吹き回しよ。何を企んでいるんだか」
岡部「お前がそう呼べと言ったんだろう。他意はない」
紅莉栖「・・・まあ、そうだけど」
岡部「助手と呼ばれると、意外とカチンとくるものだな。考えを改める」
紅莉栖「じゃあ、もうラボに戻っても助手は禁止ね」
岡部「ああ、いいだろう。おやすみ、紅莉栖」
紅莉栖「・・・おやすみ」
就寝の挨拶を終えると、紅莉栖はまた背中を向けてしまった。
葛西「いいえ。何やらご機嫌ですね」
詩音「ふふーん、ちょっといい事があったんです。でも葛西にはナイショ」
葛西「そうですか。ではこれ以上は聞かないでおきましょう。発車いたします」
詩音「あ、昨日この車を止めた二人組、梨花ちゃまとカントクの知り合いだったみたいですよ」
葛西「やはり入江先生のお知り合いでしたか」
詩音「明日から診療所のお手伝いですって」
葛西「ということは、お二人は医者か医大生なのでしょうか」
詩音「さあ。じゃあ私眠くなっちゃったんで、着いたら起こして下さいね」
葛西「分かりました」
詩音は外を眺め、岡部との会話を思い返す。
砂利道を橙色に照らす街灯が、頬を伝う一筋の涙をキラリと輝かせた。
紅莉栖「牧瀬紅莉栖です。ヴィクトル・コンドリア大学脳科学研究所の研究員です」
ヴィ、ヴィクコンだって!?
お、おい、なんであんな権威ある研究所の方が・・・?
若い・・・そして可愛い・・・!
という事は、隣の白衣の男も・・・?
ざわ・・・ざわ・・・
岡部「始めまして。岡部倫太郎です。普通の大学生です。雑務担当です」
ほっ。
よかった、普通の人だ。
岡部(紹介順、逆にしてもらうべきだった)
岡部「はい、わかりました」
「岡部君、これ上まで持ってって」
岡部「はい、すぐ行きます」
「岡部さん、この書類、10部づつコピーしてもらえますか?」
岡部「は、はい、急いで」
紅莉栖「岡部、これ入江先生に渡しといて」
岡部「はいはいただ今、ってお前か」
紅莉栖「忙しそうね」
岡部「見ての通りだ。そっちは?」
「牧瀬さん、dcSQUIDの準備ができました。あとこちらの書類に目を通しておいてください」
紅莉栖「わかりました。すぐ行きます。 見ての通りよ。じゃ、それよろしく」
岡部「もう現場を把握できているのか・・・真似できん」
紅莉栖「お疲れ」
岡部「ああ、お疲れだ」
紅莉栖「だらしないわね。まだ2時よ」
岡部「さっきからずっと走り回ったりなんだりでな」
入江「お疲れ様です。お二人とも」
紅莉栖「あ、お疲れ様です」
入江「お二人の働きっぷりに、職員の皆は舌を巻いていましたよ」
岡部「まあ、役に立てているなら本望です」
入江「この調子だと今日の分は3時には終わるでしょう。あとひと踏ん張りですよ」
紅莉栖「そんなに早く?」
入江「牧瀬さんの行動力と統率力はお見事というほかありません。リーダーになってもらいたいくらいです」
岡部「ここでも威張りちらしているのか」
紅莉栖「し、失礼ね!そんなことはないはずよ!」
「す、すごい・・・この実験を3時で終わらせた・・・!」
紅莉栖「明日も同様の実験を行い、今日のデータとの差異を分析してみましょう」
「は、はい、わかりました!ご協力に感謝いたします!」
岡部(実験大好きっ娘の本領発揮、か・・・)
三四「すごいじゃない、あの子」
入江「ええ、さすがは脳科学の権威の一員といった所ですね」
三四「入江先生、追い抜かれちゃいますわよ」
入江「彼女の着眼点には驚かされます。我々が気にしないような些細な点から新たな発見がありました」
三四「未来からタイムスリップしてきてるんじゃない?」
入江「ははは、そう思いたくもなります」
入江「今日はお疲れ様でした。はい、今日の分の謝礼です」
岡部(封筒の厚みからして3000円だな。時給600円、そんなもんか)
入江「明日もよろしくお願いいたします」
紅莉栖「お札、今とデザインが違うわね。聖徳太子?」
岡部「これがバブル時代か・・・!じゃあお前には幾ら入っているんだ・・・?」
紅莉栖「私も3万円だった」
岡部「へ?なぜ俺と同じ金額なのだ」
紅莉栖「なぜって、同じ時間仕事したんだもの、当然じゃない」
岡部「いやいや、俺は雑用、お前は研究所の軸となって働いたのだぞ。不満はないのか?」
紅莉栖「別に。あんたと違ってお金のために働いてるわけじゃないもの」
岡部「く・・・金に困ったことが無いからそう言えるのだ。まあいい、飯行くか」
紅莉栖「そうね、今日は食べ損ねちゃったし。私も財布買いに行きたい」
岡部「今日の俺は大変気分がいい。奢ってやっても構わんぞ」
紅莉栖「現金なヤツ。じゃあお言葉に甘えるわ」
紅莉栖「なんでここなのよ・・・」
岡部「しまった、つい・・・!」
詩音「あっ、岡部さん達、はろろーん♪仕事終わりですか?」
岡部「おお詩音、お勤めご苦労。何故それを知っている?」
詩音「ああ、お姉から聞いたんです。連日の来店なんて、ここ気に入っちゃいました?」
岡部「う、うむ、まあ」
詩音「でも彼女連れでうちに来るなんて、中々の度胸ですよねー」
紅莉栖「ふぇ!?ち、違う!そんなんじゃないから!!コイツとは何の関係も無いの!」
詩音「ありゃ、私のセンサーではてっきりカップルだとばかり。こりゃまた失礼いたしました~♪」
紅莉栖「もう!一番高いメニューとデザートまで注文してやるからな!」
岡部「いや、好きにしていいが・・・」
紅莉栖「必要なものは揃ってるけど、やっぱ古さは否めないわね」
岡部「お前からすれば最新機材ですら27年前のものだしな。あれはないのか?頭を輪切りにするやつ」
紅莉栖「MRIのこと?それがあればどれだけ楽か」
岡部「この時代にはまだ存在しないのか」
紅莉栖「いいえ、あることはある。でも発売されたのが先月で、まだ設置には時間がかかるって」
岡部「そうか、頑張れ」
紅莉栖「ええ、やるだけやってみる。岡部のほうは?」
岡部「運搬とコピーと書類の片付けとホッチキス止めしか記憶にない」
紅莉栖「本当に雑用ね」
岡部「俺のできることはそれくらいだ。だがコピーとホッチキスのスキルは上がったぞ」
紅莉栖「知らんがな」
岡部「あまり長居はできんぞ。早めに帰って梨花の報告を待たねば」
紅莉栖「わかってるわよ。あ、可愛い財布ハケーン」
「ありがとうございましたー」
紅莉栖「~♪」
岡部「随分と可愛らしいのを買ったな」
紅莉栖「な、何よ、悪い?どうせお前には似合わんとか言うつもりでしょ」
岡部「いや、いいのではないか」
紅莉栖「えっ・・・」
岡部「そういった小物の可愛らしさで中和しないとな」
紅莉栖「・・・どういう意味よ!氏ね!ハゲろ!」
岡部「なッ!ハゲてたまるか!絶対ハゲるものか!」
魅音「お、お帰りなさーい。今日は賑やかだよー」
岡部「確かに。来客か?」
魅音「今日は梨花ちゃんの提案で、部活をうちでやってんですよ」
紅莉栖「部活?」
魅音「ま、罰ゲーム付きのゲーム大会みたいなもんです。参加します?」
岡部「ふむ、まあ時間はあるしな。多少付き合ってやる」
魅音「ひっひっひ~、どうなっても知らないですよ~?」
レナ「はぅ~」
紅莉栖(今の声って・・・!)
魅音「じゃーん!岡部さんと牧瀬さんも連れてきたよー!」
紅莉栖「あ、う、うん、よろしくね」
圭一「あれ?一昨日の」
岡部「お、あの時の。沙都子は捕まえられなかったか」
圭一「ええ、残念ながら。こいつ逃げ足だけは速いんすよ」
沙都子「ヲーッホッホッホッ、小学生の逃げ足に追いつけないなんて、所詮都会育ちのもやしっ子ですわねー」
圭一「な、何をー!こんにゃろ、待て!」
沙都子「捕まえてご覧なさいましー♪」
岡部(変な子)
梨花「にぱー☆」
梨花め、うまいこと全員を一箇所に集めたな。
流し目を送ると、梨花は不安げな笑顔を浮かべながら小さく頷き返した。
圭一「よっしゃー!二人には悪いけど、ここは本気ですからね!」
・
・
・
紅莉栖「はい、1抜け」
圭一「なっ!」
紅莉栖「相手の気持ちを表情から読み取るのが得意なのよ、私」
圭一「くっ、標的変更!岡部さん、覚悟!」
・
・
・
岡部「残念だったな少年。俺の勝ちだ」
圭一「だーーーっ!何で!?結局俺がビリかよ!」
岡部「経過はどうあれ、圭一がビリになるという世界に収束するということだ」
岡部は急に真剣な表情となり、圭一の顔を正面から見据えた。
圭一「お、岡部、さん・・・?」
岡部「さあ、罰ゲームを、受けるのだ」
魅音「ぎゃーーっはっはっはっはっは!!!似合ってるよ圭ちゃーん!」
紅莉栖「罰ゲームがコスプレって・・・でも似合ってる・・・」
岡部「負けなくて良かった・・・!だが似合っているな・・・」
圭一「うぅ・・・屈辱だ・・・!」
岡部「そうだ紅莉栖、耳を貸せ」
紅莉栖「け、圭一くん」
圭一「はい・・・何ですか、牧瀬さん・・・」
紅莉栖「その格好、とってもかわいいわよ、圭一くん。だから・・・お姉さんに、もっといっぱい見せて?」
圭一「!・・・おおぅ!一時撤退する!」
沙都子「どうしたんですの?慌てて出て行かれましたけど」
岡部「対思春期少年用の硬化魔法だ」
紅莉栖「岡部氏ねHENTAI。ハゲろ、とにかくハゲろ」///
レナ「はぅ~、照れてる圭一くん、かぁいいよぉ~」
梨花「魅ぃ、これは何ですか?」
魅音「ああ、チェスだよ。おじさんもほとんどルール知らないけどね」
圭一「俺も知らないな。チェックメイト!ってやつだろ?」
レナ「レナも知らなーい」
岡部「俺、昔やってたぞ」
紅莉栖「私も。ちょこっと嗜む程度だけど」
沙都子「あら、じゃあお二人にルールを教えてもらいませんこと?」
圭一「お、それもいいな。今後ゲームに追加できるかもしれないしな」
岡部「フッ・・・紅莉栖よ、この俺と戦いたい?いいだろう。返り討ちにしてくれよう」
紅莉栖「何も言っとらんわ。じゃあ、岡部と対戦しながら説明するわね」
20分後
紅莉栖「はい、チェックメイト」
岡部「なッ!!」
圭一「ほー、奥が深そうなゲームっすね」
岡部「き、貴様!嗜む程度というのは嘘かっ!」
紅莉栖「ただ闇雲に突っ込んでくるだけの相手なら、初心者の私でも勝てるわよ」
岡部「そ、そうだ、全然勝てなくてやめたんだった、俺・・・」
紅莉栖「悪手とまでは言わないけど疑問手ばっかよ、あんたの打ち方」
岡部「曲がったことは嫌いでな、正面から突っ込むのが俺の流儀だ」
紅莉栖「一回でもそれで勝ててから言いなさい」
羽入「今のを踏まえて、もう一回最初から見てみたいのですー」
紅莉栖「じゃ、おさらいね。岡部、もう一局やるわよ」
25分後
紅莉栖「チェックメイト」
岡部「ぐっ!!もう一局!」
紅莉栖「チェックメイト」
岡部「えっ、うそ」
紅莉栖「フールズメイトっていって、2手で勝負がついちゃう事もあるの」
岡部「もういい、小一時間で3敗とかもういい」
圭一「面白いですね。俺もやってみるかな」
沙都子「岡部さんといい勝負になりそうですわね」
岡部「おい、それはどういう意味だっ」
圭一「おい、それはどういう意味だっ」
魅音「お、だいぶいい時間になったね。今日はそろそろ解散ってことで」
梨花「待ってください」
今まで沈黙を続けていた梨花が、突然立ち上がった。
梨花「ボクの話を、聞いて欲しいのです」
魅音「えーと・・・それって、なんかのゲームの話かな?」
岡部「事実だ」
壁に寄りかかって目を閉じていた岡部が、不意に口を開いた。
岡部「この家に集めたのは、俺と紅莉栖も含めた全員で話ができるから。そうだろ?」
梨花「・・・はいなのです。岡部達は、ボクの協力者なのです」
レナ「でも、一体誰が梨花ちゃんを?」
沙都子「確かに、梨花が殺される理由が思いつきませんわ。・・・皆から愛されてますのに」
梨花「直接私を殺めるのは鷹野。鷹野三四。それだけは分かっているのです」
岡部「っ!」
紅莉栖「あの鷹野さんが?なぜそうだって分かるの?」
梨花「岡部と牧瀬には、その理由を以前話したのですよ?にぱー☆」
”私は綿流しの後、何者かに眠らされ殺される。そしてまた同じ姿で生を受ける。羽入の力でね”
”前回は犯人の姿を刻み付ける為、眠らされずにお腹を裂かれたわ。フフ、とっても痛かったわよ?”
一昨日の梨花との会話を思い出し、紅莉栖はハッと大きく目を見開いた。
梨花「あの診療所は仮の姿。真の姿は”入江機関”という研究所。鷹野も研究員の一人なのです」
圭一「き、機関?またすごい話だな」
梨花「ここ雛見沢には、雛見沢症候群という風土病が蔓延しているのです」
沙都子「雛見沢症候群?初耳ですわね」
梨花「この事を知っているのは入江達とボク、そして、岡部達だけなのです」
岡部「実は、俺と紅莉栖でこの病気の研究を手伝っている」
圭一「その病気はどういった症状が?」
梨花「幻覚や疑心暗鬼、理性を失い、首が痒くなってしまうのです」
レナ「! それって昔、レナがなったのも・・・?」
梨花「典型的な症状の一つなのです」
岡部「魅音、昨日の夜に話したことと、話が繋がっただろう?」
魅音「ぷぇ?・・・あ、ああ、うん、わかってる」
魅音「ええ、学校が終わり次第ここに来ます」
岡部「俺達も研究所で手がかりとなりそうなものを探してみる」
梨花「岡部、絶対無理をしてはいけないのです」
岡部「ああ、分かっている」
紅莉栖「私も、できる限り解明に尽力するわ」
梨花「・・・ありがとう。本当に頼もしいのです」
圭一「よっしゃ!明日から忙しくなるぞー!」
レナ「梨花ちゃん、レナ達だって目いっぱい協力するよ?お友達だもんね♪」
梨花「・・・信じてもらえて、本当に良かったのです」
沙都子「では皆様、明日以降に備えて今日はじっくりお休みですわよ!」
一同「おー!」
紅莉栖「よかったわね、梨花ちゃん」
岡部「仲間に話すというのは、相当な勇気を必要とするものだ」
梨花「・・・ねえ、羽入」
羽入「なんですか?」
梨花「あんた、胸でかいわね。ムカつく」
羽入「あぅ!?ど、どどどどうしたのですかいきなり!」
梨花「今度こそは、私もそれくらいになるまで成長できるかしらね」
羽入「・・・今回は仲間がたくさんなのですよ。皆信用してくれたのです」
梨花「・・・そう、よね。これが最後のチャンスだもの。うまくいくに決まってる・・・」
羽入「あぅ、梨花が泣きそうなのです。仲間が多くて嬉しいのかそれとも胸が大きくなれる喜び
ゴチーン!
梨花「一言多いのよ、バカ先祖」
羽入「み・・・眉間を殴るのは反則なのです・・・」
沙都子「り、梨花、今のは何ですの?何かすごい音が・・・」
紅莉栖「そうね、明日も忙しそう」ズズズ
岡部「それ、もういいだろう。お前に手など出さん」
紅莉栖「・・・わかったわよ。いいわよ、ここで」
離されること、約1m。
紅莉栖「おやすみ」
岡部「うむ」
岡部「・・・」
紅莉栖「・・・」
岡部「・・・」
紅莉栖「・・・ねえ」
岡部「来ると思った」
岡部「いいから話せ」
紅莉栖「・・・梨花ちゃん、嬉しそうだったわね」
岡部「胸のつっかえが取れた顔だった」
紅莉栖「今までは誰にも話さず、自分だけで何とかしようとしてたんでしょうね」
岡部「心を開けば、自ずといい結果が導き出されるものだ」
紅莉栖「ちょっと何言ってるかわからないですね」
岡部「ああ、俺も言っててよくわからなかった」
紅莉栖「おやすみ」
岡部「ああ」
紅莉栖(心を開けば、か・・・)
研究所に入るなり、紅莉栖は大急ぎで実験の準備を始める。
険しい表情を浮かべてはいるが、その目には力がみなぎっている。
その頃俺は、コピーとホッチキス止めに追われていた。
岡部「だーー!40枚×30部の書類とは何だ!」
ピーッ、ピーッ、ピーッ
プリンターから赤いランプと警告音が鳴り響いた。
岡部「なッ!?おい、どうした!機械が人間より先に根をあげるな!
ピーッ、ピーッ、ピーッ
いまだ止まらない警告音。
岡部「どうしたらいい!ダル!助けてくれー!」
「はい」
一人の看護婦が、紙の束を差し出していた。
三四「ただの用紙切れよ、それ」
岡部「ふう、一時はどうなることかと」
三四「もしかして、機械オンチなの?」
岡部「い、いえ、ちょっとパニック状態になっていまして」
三四「うふふ、そんなに慌てなくても大丈夫よ」
鷹野さん、そのミニスカートで足を組まないでくれ。目のやり場に困る!
何これ気まずい。とりあえずこのでかいホッチキスで書類をまとめていこう。
三四「紅莉栖ちゃん、よく働いてくれてるわね」
岡部「ええ、あいつは俺と違って脳のエキスパートですからね」
三四「紅莉栖ちゃんのこと、好きなんでしょ?」
岡部「ふぉあ!?」
ピーッ、ピーッ、ピーッ
三四「あらあらうふふ、図星?」
岡部「な、何を言うんですか突然!」
三四「だって、紅莉栖ちゃんのことばかり見てるもの」
岡部「へ?俺がですか?」
三四「ええ、気付いてないの?」
そういえばさっきから紅莉栖の状況説明ばかりしていた。
ああ、見てたな。俺ずっと紅莉栖見てた。
岡部「見てますね」
三四「鈍感なのね」
岡部「否定できません」
岡部「・・・好きです」
三四「でしょうね。応援してるわよ」
岡部「で、ですが、あいつも中々心を開いてくれないんです」
三四「そんなの簡単よ、『黙って俺について来い』って言って強引に手を引っ張っていけばいいの」
岡部「そんなことをしたら背中を蹴り飛ばされます」
三四「そうね、じゃああの子が困ってる時、手助けしてあげればいいのよ」
岡部「あいつが困ってる時をほとんど見たことが無いです」
三四「んー、前途多難ね。でも道は険しくてもかならずゴールはあるわ。頑張ってね。それじゃ」
案外気さくで優しい人なのだな。それに、人の恋バナ(笑)に目を輝かせていた。
こんな人が、梨花を・・・?
去り際、三四の手にしていたファイルから1枚のプリントがハラリと落ちた。
三四「岡部くん、この辺でプリント落としたかもしれないんだけど、見なかった?」
岡部「プリント?いいえ、見てないですが。あ、それじゃないですか?」
通路の端に落ちているプリントを指差すと、俺に見えないようにしゃがみこんで中身を確認した。
三四「ああ、これよ。よかった。大事なものだったの」
岡部「すいません、落としたときに俺が気付いていれば」
三四「ううん、いいのよ。邪魔したわね」
三四はプリントをファイルにしまうと、苦笑いを浮かべながらそそくさとその場を立ち去った。
岡部(印刷スキルの上昇が、こんな形で役に立つとはな)
岡部「もうそんな時間か。その前に入江先生の所へ行ってくる。お前も来い」
紅莉栖「何でよ?」
岡部「例の件で、重大な話がある」
紅莉栖「・・・わかった。行く」
岡部「失礼します」
入江「おや、二人揃ってどうなさいました?」
岡部「先にお尋ねします。この部屋に監視カメラは?」
入江「・・・音声は記録されません。話す分には大丈夫です」
岡部「先ほど、鷹野さんが落としたプリントをコピーしたものが手元にあります」
「訪問者は・・・岡部と牧瀬の二人です」
小此木「なんだ、助っ人とかいう二人組か」
「なにやら談笑しているようですが」
小此木「どうせ他愛も無い話だろう。記録しなくてもいい」
三四(・・・本当に見てはいないようね。命拾いしたわよ、岡部くん)
入江「表情が読み取れるほど精細に記録されるので、今はそれを受け取らないほうがよろしいでしょう」
岡部「では、どこでお渡ししましょうか」
入江「そうですね、私の行きつけのお店があるんです。ウェイトレスの制服がとても素敵でして」
紅莉栖「もしかして・・・エンジェル・モートですか?」
入江「おや、ご存知ですか?いかにも」
紅莉栖「3日連続になるのね・・・」
岡部「俺らにとっても十分行きつけの店だな」
入江「はぁーい!みんなのイリーがやってきましたよー!」
紅莉栖「はぁ・・・」
詩音「あら、今日は3人なんですね」
岡部「ちょっとした話し合いがあるんだ。奥の席をお願いできるか」
詩音「はいはーい、ごあんなーい♪」
入江「で、鷹野さんの持っていたプリントというのは?」
食後のコーヒーが運ばれて来る頃には、”みんなのイリー”は”入江京介二等陸佐”の顔に戻る。
岡部「こちらです」
入江「・・・滅菌、作戦ですって・・・!」
岡部「俺もまだ流し読み程度ですが、穏やかでない文章が並んでいるのは分かります」
岡部「その作戦が、”宿主ごと全ての寄生虫を葬り去る”事だとしたら、どうする?」
紅莉栖「・・・なるほどね」
入江「まだ、こんなものを持っているなんて・・・」
岡部「この作戦の最終的な決定権を持つのは誰になりますか」
入江「最高責任者である私となります。ですが、断じて決行する気はありません」
岡部「わかっています。ですが、入江先生が”何らかの原因で”決定権を失った場合は」
入江「・・・鷹野さんに、決定権が移ります」
紅莉栖「つまり、もしもこの作戦が決行された時は」
入江「きっと私は”何らかの原因で”もうこの世からいなくなっているのでしょうね」
岡部「入江先生。十分に気をつけてください」
入江「はい、あなた方も」
入江「ええ、あくまでも仮説の一つですが」
紅莉栖「つまり、鷹野さんが梨花ちゃんを殺し、村人が発症する前に作戦を発動し、事態の沈静化を目論む」
岡部「何故そのようなマッチポンプを?」
紅莉栖「雛見沢症候群を最初に発見した人物はどなたですか?」
入江「鷹野さんの祖父にあたる、高野一二三という方です」
紅莉栖「鷹野さんはお爺ちゃんっ子で、その遺志を継いで研究を続けていることは本人から確認済み」
岡部「む・・・つまり?」
紅莉栖「簡潔に言うわ。”雛見沢症候群は実在する”これが証明されて一番浮かばれるのは誰?」
岡部「そりゃ鷹野さんの祖父ではないか?志半ばで亡くな・・・っ・・・!」
入江「す、すごい・・・全てが繋がった・・・!」
紅莉栖「祖父の研究は間違いではなかった。全てが正しかった。胸を張って論文を公開できるのよ」
入江「私は一度古手さんの家に行きます。園崎家までお送りいたしましょうか?」
岡部「いいえ、ちょっと考えたいことがあるので歩いて帰ります」
入江「わかりました。このプリントはお返しいたします。私が持っていてはいけません」
岡部「了解です。では」
岡部「・・・」
紅莉栖「相当ショックだったみたいね」
岡部「お前が一緒にいてくれて、本当に良かった」
紅莉栖「なっ、何よ、急に」
岡部「お前がいなければ、ここまで全容を掴めなかった」
紅莉栖「珍しく普通に褒めたわね。雪でも降るかしら」
岡部「・・・お前はそろそろ身を引いたほうがいい」
紅莉栖「何よ、心配してくれてるの?」
岡部「当たり前だ!」
突然の大声に、道行く人も何事かと奇異の目を二人へと向けた。
紅莉栖「ちょ、突然大声出さないでよ、ビックリするわね」
岡部「もうこれ以上・・・!」
紅莉栖の両肩が、両手で強く捕まれた。
岡部「もうこれ以上、お前を危険な目に会わせたくない・・・」
紅莉栖「い、痛ッ、痛いって・・・どうしたのよ・・・?」
岡部「っ・・・すまない。取り乱して」
紅莉栖「・・・残念だけど、あんたの意見は取り入れられない」
震えた声と、今にも泣きそうな顔。これも、あの時の岡部の顔と一緒だった。
紅莉栖「中途半端で終わらせるの嫌いなのよ。でも無理はしないから、心配しないで」
だから、わざと明るくつとめて、こう言うしかなかった。
岡部「皆、このプリントに目を通して欲しい」
圭一「滅菌作戦、ですか」
岡部「鷹野さん、いや、鷹野が隠し持っていたもののコピーだ」
レナ「この”女王感染者の死亡”っていうのが、梨花ちゃんのこと?」
岡部「ああ、梨花の死亡が村人全員のL5発症のトリガーとなっている」
紅莉栖「あくまでも仮説、だけど」
沙都子「で、では滅菌作戦というのは・・・」
岡部「単刀直入に言う。『梨花を殺し、村人がL5を発症する前に村人全員を抹殺する』ということだ」
梨花「っ・・・!」
圭一「ひ、ひでぇ・・・こんなの人間のやることじゃ・・・」
岡部「数千人を一度に殺すということは、細菌、服毒、毒ガスあたりであろうな」
紅莉栖「ええ、手間を考えると、それが一番効率的でしょうね」
岡部「プリントには24時間以内とある」
沙都子「では、24時間経過していても誰もL5を発症していなければ仮説は間違いですわよね?」
岡部「ああ。そうなるな」
沙都子の口が、ニヤリと歪んだ。
沙都子「では、既に梨花が死んでいれば、私達は発症してなくてはおかしいですわよね?」
岡部「う、うむ、そうだが」
圭一「あっ・・・なるほどな!珍しく賢いぞ沙都子!」
沙都子「”珍しく”は余計ですわ。 さて、梨花」
梨花「みぃ?」
沙都子「悪いですけども、一足先に梨花には死んでもらいますわよ」
圭一「ああ、骨は拾ってやるぜ?梨花ちゃぁ~ん?」
梨花「み?み?み!?」
圭一「みおーん!今すぐ大石さんに電話だァー!」
沙都子「ええ、梨花がもう既に死んいることにしてしまえばいいのですわ」
圭一「ですが、俺達はいつもどおりピンピンしてる、と」
沙都子「そうすれば、仮説は間違っていた!?と鷹野さん達は大パニック必至ですわよ」
紅莉栖「そ、その発想はなかったわ・・・!」
大石「ふぅーむ・・・」
岡部に渡されたプリントを隅々まで読んでいた大石が、顔を上げた。
大石「もしそんなことがバレたら、私は何の罪に問われるんでしょうかねぇ?」
梨花「大石・・・」
眉間に皺を寄せた渋い表情が、ニッと明るくなる。
大石「もし退職金が吹っ飛んだら、村人からのカンパ集めを手伝ってくださいよ?」
魅音「お、大石さん・・・じゃあ・・・!」
大石「困ったことに、鑑識に古い友人がいるんですわ。話を持ちかけてみましょうかね」
圭一「あ、ありがとうございます!お願いします!」
大石「そいつは酒が大好きでねぇ、ちょいと飲ませたらすーぐ心が大きくなるんですよ」
レナ「だったら大石さんの奢りでジャンジャン飲ませちゃえばいいよー!」
大石「おおっと、じゃあその分もカンパ集めも手伝ってもらわないと」
やんや、やんやー!
紅莉栖「大石さん、いいんですか?そんな安請け合いをしてしまって」
大石「雛見沢だって興宮署の管轄です。住民の安全を守るのが警察の仕事なんですよ」
岡部「ご協力、感謝します」
大石「退職金はたいて、でっかい打ち上げ花火を買ったと思えばいいんです。んっふっふ」
魅音「融通の利く人だったんだね。あの人、いつもはうちを目の敵にしてたからさ」
梨花「大石はもう、魅ぃたちを悪く思ったりはしてないのですよ。にぱー☆」
岡部「ん?そういえば入江先生は梨花の家に行くといっていたが、留守なのでは?」
梨花「赤坂が中にいるのです。ボク達が中にいるフリをしてくれているのですよ」
魅音「梨花ちゃんはキーパーソンだからね。今日から3人ともうちに泊まることになってるんです」
羽入「お世話になりますです」
沙都子「お泊り会みたいで楽しそうですわね」
紅莉栖「部屋、空いてないんじゃなかったの?」
魅音「うぇ?あ、ああ、昨日たまたま一部屋空いたんです。牧瀬さんも移ります?」
紅莉栖「・・・ううん、このままでいい」
岡部「っ」
魅音「んー、言われてみれば。もういい時間だもんね」
沙都子「それでは壮行会も兼ねて、どこか外食しませんこと?」
レナ「あ、さんせーい!」
圭一「じゃあ、場所は決まりだな!」
紅莉栖「・・・ねぇ」
岡部「ああ、この流れは・・・」
「「「いらっしゃいませー!エンジェル・モートへようこそー!」」」
岡部「・・・」
紅莉栖「・・・」
詩音「・・・えーっと、そんなに気に入ってもらえました?」
岡部「ああ、心労とエンジェル・モートあたりを起こした」
紅莉栖「1日2回はさすがにね」
岡部「・・・離さないのだな」
紅莉栖「へ?あ、布団・・・もういいわ。めんどくさい」
岡部「ほう、どんな心境の変化だ」
紅莉栖「・・・信用してるから。あんたの事」
岡部「だから最初からそう言っただろうが」
紅莉栖「ほら、いいからとっとと寝なさい」
岡部「おやすみ」
紅莉栖「おやすみ」
岡部「・・・」
紅莉栖「・・・」
岡部「・・・なあ」
紅莉栖「そっちから来たか」
紅莉栖「ええ、それが何か?」
岡部「『やあ牧瀬さん、ボクは警視庁公安部の赤坂なのですよ、にぱー☆』」
紅莉栖「ブフッwwwwww夜中に笑わすな馬鹿wwwwww」
岡部「それだけだ」
紅莉栖「氏ねwwwwwww」
岡部「今俺が言ったことは誰にも内緒だ。いいな」
紅莉栖「言わねーよwwwwww」
岡部「・・・」
紅莉栖「・・・www」
岡部「『こう見えても小学生なのですよ。にぱー☆』」
紅莉栖「だwwwwwまwwwwwれwwwwwwwwwwww」
沙都子「岡部さん達のお部屋、賑やかですわね?」
紅莉栖「・・・」
岡部「・・・」
紅莉栖「・・・」
背中を向けた紅莉栖の肩に、優しく触れた。
紅莉栖「ひわぁっ!?ちょ、あんた、絶対手は出さないって言っ・・・!」
岡部「昼間は、すまなかった」
紅莉栖「ふぇ?」
岡部「つい感情的になってしまった。俺の悪いクセなのかもしれない」
紅莉栖「あ、ああ・・・ううん、気にしてない」
岡部「肩、痛かっただろう?すまない」
紅莉栖「・・・大丈夫、これくらい。心配しないで」
岡部「今度こそおやすみ」
紅莉栖「・・・おやすみ」
2件の実験データの照合が終わると、研究所内にどよめきが響いた。
紅莉栖「予想通りだわ」
「ほ、本当に改善されている・・・!」
紅莉栖「ええ、でもまだ2件。もう少しデータを取っていきたいですね」
「す、すごいです牧瀬さん!たった一人でここまで結果を出されるなんて!」
紅莉栖「いいえ、皆さんが出した過去のデータがあったからこその成功です」
「順調に行けば近いうちに新薬の試作も・・・!」
紅莉栖「ええ、そちらは専門の方々にお任せします。期待しています」
三四「・・・すごいわ、紅莉栖ちゃん、本当に天才なのね」
紅莉栖「あ、鷹野さん。これも全て病気の解明のためです。お役に立てたようで何よりです」
「ああ、すごい」
「かわいいよな」
「ああ、かわいい」
紅莉栖「お疲れ様です。岡部見ませんでした?」
「おっ、お疲れ様。岡部くんだったらまだそこの部屋に、あ、出てきた」
紅莉栖「いたいた、岡部ー、お昼行きましょうよ」
岡部「ああ、もうすぐ終わる」
紅莉栖「早くしないと置いてくぞー」
岡部「わーかったわかった、あと5分で終わらせるから待ってろ」
紅莉栖「300、299、298、297、296・・・」
岡部「だー!カウントするな!」
「・・・いいな」
「・・・ああ、いいな」
一足先に外に出ていようと、地上への階段を上る。
今日は気分がいい。天気もよく、研究も順調。
それに、少しづつお互いの距離が近づいてきた気がしなくもない。
「・・・ええ、実行は例年通り、明日の予定です」
どこからか話し声がする。声は一人だけだった。
紅莉栖(電話かな?静かにしないと)
落ち着いた、艶のあるトーン。この声は鷹野さんだ。
「はい、そちらは幾らでも破棄は可能です。データなんて物は所詮、紙切れに過ぎませんから」
紅莉栖(・・・何の話かしら、破棄?)
息を潜め、聞き耳を立てる。
行儀が悪いことは分かっている、だが今、彼女の前に姿を現すのは得策でないと直感的に感じた。
「ええ、もしご希望なさるのでしたら『研究所に来たのは岡部くん一人』ということにもできますよ?」
紅莉栖「・・・」
岡部「いい天気だな。絶好のエンジェル・モート日和だ」
紅莉栖「・・・」
岡部「おい、ツッコミはどうした。本当に行ってしまうぞ?」
紅莉栖「・・・え?あ、ああ、いいんじゃないかしら」
「「「いらっしゃいませー!エンジェル・モートへようこそー!」」」
岡部「・・・」
詩音「・・・はろろーん。ついにカントクと並びましたね」
岡部「何がだ?」
詩音「連続来店日数です。カントクは3食全部でしたけど」
岡部「なんという紳士」
紅莉栖「・・・」
岡部「・・・何かあったのか?」
紅莉栖「えっ、何が?」
岡部「絵に描いたようなうわの空だぞ」
紅莉栖「あぁ、ううん、気にしなくても大丈夫」
岡部「・・・俺が6分遅れたことに怒っているとか?」
紅莉栖「失礼ね。そんなことで怒るような小さい人間じゃないわよ」
岡部「ふむ・・・では、なんだというのだ。相談ならのってやるぞ」
紅莉栖「・・・ねぇ、岡部」
岡部「どうした」
紅莉栖「ううん、やっぱいい」
岡部「・・・何があったかは知らないが、一人で抱え込むのだけはよすんだ」
入江「どうぞ。どうなさいました?」
岡部「紅莉栖が、相談したいことがあるということで連れてきました」
入江「ま・・・まさか・・・ついにメイド服を着る気に・・・?」
紅莉栖「失礼しました」
入江「じょ、冗談ですって!半分は記録映像を誤魔化す為の演技ですから!」
岡部(半分・・・?)
部屋を出ようとしていた紅莉栖が踵を返し、入江の机に強く両手を突いた。
入江「ひぃッ、な、何でしょうか・・・?」
紅莉栖「・・・じゃあ、私も”賃上げ交渉”を装って話をさせて頂きます」
「入江先生の部屋に訪問者。記録開始します」
「訪問者は・・・岡部と牧瀬です」
小此木「賃上げ要求に来たら、メイド服着用を勧められたって所だろうな。映像だけでもわかる」
「牧瀬が笑顔に戻りました。・・・映像の保存はどうしましょうか」
小此木「必要だと思うか?」
入江「・・・では、確かに『実行は明日』と・・・?」
紅莉栖「はい、間違いなく鷹野さんの声でした」
入江「・・・明日は綿流しのお祭りの日です。そして、例年通りと・・・」
岡部「まさか、”5年目の祟り”を・・・?」
入江「・・・明日は忙しくなりそうです。ご報告ありがとうございました」
紅莉栖「はい、それでは失礼いたします」
机についた両手を戻すと、紅莉栖はニッコリ微笑み、部屋を後にした。
岡部「おお、で、どうだった?」
魅音「へっへーん」
白い歯を見せながら、右手でOKサインを出した。
岡部「本当か!礼を言わないとな。部屋にいるんだろ?」
魅音「うん、こっち」
レナ「はぅ~、大石さんのポヨポヨお腹、かぁいいよぉ~」
大石「いやはやこれは困りましたねぇ、身動きが取れませんよ。んっふっふ」
岡部「なんだこれ」
魅音「気にしなくても大丈夫ですよ。よくある光景ですから」
大石「いやぁそれがね、二つ返事でOKが出たんですよ。しかも私の部下までその気になっちゃいまして」
圭一「酔わせなくても、最初からやる気だったって事ですか?」
大石「なぜか私の周りには血気盛んな輩が多いんですよ。私も含めてね。んっふっふ」
岡部「大石さん、改めて礼を言わせて貰います」
大石「打ち上げ花火は大勢で見たほうがより楽しめるんですよ。それと園崎さん」
魅音「ぷぇ?」
大石「私は長年、園崎家を疑っていました。全ての黒幕はあの園崎お魎なんじゃないかってね」
魅音「その件は、全部うまくいったあとに改めて話して下さい。もちろん婆っちゃとサシでね」
大石「おお怖い、五体満足で園崎家から出られるんでしょうかねぇ?」
やんや、やんやー!
岡部「・・・フ・・・フフ・・・」
紅莉栖「岡部?」
一同「!?」
岡部「よもやファースト・ムーブからスインドルとはな!これ以上ないオープニングだ!」
圭一「そ、そうだぜ!作戦は完璧だ!」
岡部「全ての駒はここに揃った!鷹野三四率いる”東京”など、恐るるに足らん!」
圭一「そうだ!俺達の力、見せ付けてやりましょう!」
岡部「これより、本作戦を”オペレーション・ヴォルスパー”と命名する!」
圭一「おお!なんか分かんないけどかっけー!」
岡部「既に勝利は手中に収めたも同然である!フゥーハハハ!」
圭一「よっしゃ!面白くなってきたー!フゥーハハハ!」
レナ「はぅー!レナも頑張っちゃうよ!」
大石「こういうのって、若い人の間で流行ってるんですかねぇ?」
紅莉栖「・・・いずれ、流行るんじゃないでしょうか」
紅莉栖は呆れながら答えるも、その顔には安堵の笑みが広がっていた。
羽入「レナが青く燃える炎なら、圭一は真っ赤に燃える炎なのです」
梨花「じゃあ岡部は送風機ってとこね」
羽入「どういう意味なのですか?」
梨花「二つの炎に風を送って皆に炊き付け、風向きを変えて敵に送る」
羽入「確かにその通りですが・・・あまりかっこよくないのです」
梨花「うっさいわね」
羽入「でも・・・彼はボク達に、新しい風を運んできてくれたのです」
梨花「ほら、やっぱり送風機よ」
羽入「あうぅ・・・もう送風機でいいのです」
梨花「じゃあ牧瀬は何になるのかしら」
羽入「牧瀬は、この強力な送風機を動かすための強力な電源なのですよ☆」
梨花「・・・うまいこと言うわね」
梨花「みぃ!?」
沙都子「そうですわね、明け方、4~5時に死ぬなんてのはいかがでしょう?」
岡部「大石さん、お願いできますか?」
大石「やれやれ、年寄り相手に遠慮がないですねぇ」
レナ「大石さん、ごめんなさい。ワガママばかりで」
大石「ま、この後はひとっ風呂浴びて、ビールでもかっくらって早々に寝る予定でしたがね」
圭一「じゃあ、梨花ちゃんは昨日の朝4時に死亡、警察の発表が今日の5時ってことで」
紅莉栖「ふむ、寝起きでそんな報告が来たら、パニックは必至ね」
岡部「ああ、自然だな」
梨花「できればもう少しオブラートに包んで欲しいのですよ?」
圭一「じゃーなー!また明日!」
レナ「明日は5時前には来るからねー!」
大石「失礼しました。ご武運をお祈りしますよ。んっふっふ」
沙都子「さてと。私も裏山のトラップの準備にかかりますわよ」
岡部「トラップって、こないだみたいなヤツか。一人で出来るのか?」
沙都子「できたら、お二人のどちらかに手伝っていただけると助かりますわ」
岡部「よし、そっちは紅莉栖に任せる。俺は梨花達と打ち合わせだ」
紅莉栖「おk。じゃあこっちも打ち合わせしよっか」
沙都子「牧瀬さんの頭脳があれば百戦危うからずですわね!」
紅莉栖「トラップは足止め程度?それとも、心身ともに二度と立ち直れなくなるくらい?」
沙都子「え、えっと・・・その中間くらいがよろしいですわ」
紅莉栖「明日って私たちはどうしたら?」
岡部「俺達は普通に研究所へ行き、入江先生と行動を共にしよう」
紅莉栖「そうね、迂闊に動いたら怪しまれるし」
岡部「梨花達と大石は朝5時前から行動に移るそうだ」
紅莉栖「だから梨花ちゃんたち、もう寝てるのね」
岡部「お、ちょっと見てみろ、なんとも綺麗な星空だ」
紅莉栖「あっ、ほんと。雲ひとつ無い」
岡部「星がこんなにも輝いているとは、よほど空気が澄んでいるのだろうな」
紅莉栖「綺麗。都会じゃ絶対見られないわね、こんなの」
岡部「いい所だな。雛見沢というのは」
紅莉栖「ええ、この景色は守らないと」
紅莉栖「ねえ、岡部」
岡部「早いな」
紅莉栖「もしも、もしもだけどさ」
岡部「言ってみろ」
紅莉栖「もし、私が危ない目とかに逢ったとしちゃったら・・・どうする?」
岡部「・・・」
岡部は体を紅莉栖の方へ向け、そっと手を伸ばし、
紅莉栖「・・・!」
頭をワシャワシャと撫でた。
紅莉栖「ひっ、な、なによ・・・?」
岡部「いつもの強気はどこへいったのだ」
紅莉栖「な・・・なんでもない!おやすみっ」
紅莉栖「・・・」
岡部「・・・」
紅莉栖「・・・まだ起きてる?」
岡部「うむ」
紅莉栖「明日って、お祭りがあるんですってね」
岡部「ああ、古手神社でな。綿流しとかいう」
紅莉栖「明日、全部が片付いたら一緒に行かない?」
岡部「ああ、そのつもりだった」
紅莉栖「そこでまた・・・二人で星空を見たいな」
岡部「そうだな。約束しよう」
紅莉栖「・・・ありがと。おやすみ」
小此木「三佐、おはようございます。小此木です」
三四「うぁ、小此木、なんの用よ」
小此木「それが、興宮署でRの死亡が確認されました・・・!」
三四「死亡・・・ちょうどいいじゃない・・・」
小此木「発表によると、死亡推定時刻は24時間以上前との事なのですが・・・」
三四「・・・・・・うーーーー・・・・・・」
小此木「・・・三佐?起きて下さい!」
三四「24時間・・・24時間・・・・・・はぁ!?」
小此木「うぉっ、はい、間違いなく」
三四「ちょっと待って、どういうことよ!説明しなさい!」
小此木「いや、今確認を取っている所です」
三四「わかった、すぐ行くわ!」
富竹「うぇひひ・・・鷹野さぁん・・・にへへへへ・・・ムニャムニャ」
「突入!ドアを蹴破れ!」
「・・・ダメです!一足先に逃げられました!」
「くそ、窓から飛び降りたか!急いで回り込め!」
富竹「くそ・・・あと一歩だったのに・・・!」
「いたぞ!囲め!」
富竹「・・・山狗の連中か・・・」
「さあ、もう逃げられんぞ!」
富竹「・・・ああ、夢さ、夢とはいえ」
「・・・?」
富竹「鷹野さんといい雰囲気だったのに!許さんぞ貴様ら!死して償えぇぇぇぇ!」
入江「あ、おはようございます」
三四「昨日、梨花ちゃんの家に診察に言ったと言っていましたわよね?」
入江「はい、それが何か?」
三四「梨花ちゃん、元気だった?」
入江「え、ええ、まだ体調は優れないそうですが、お祭りには間に合いそうだと」
三四「それは何時ごろ?」
入江「え、えーと、午後4時頃だったと思いますが」
三四「・・・そう、わかりました」
入江「・・・? 何だったんだ・・・?」
岡部「おはようございます。早速ですが重要な話がありまして」
入江「あ、はい。では私の部屋で」
「訪問者は・・・岡部と牧瀬ですが」
小此木「もういい。その二人は放っておけ。今はそれ所じゃない」
岡部「・・・という作戦です。死角はないと思います」
入江「古手さんが、24時間以上前に死亡・・・?」
紅莉栖「どうしました?表情が引きつってますけど」
入江「・・・私、昨日古手さんの家に伺ってしまいまして」
岡部「ええ、行くと言ってましたね」
入江「・・・さっき、その事を鷹野さんに言ってしまいました」
紅莉栖「oh...」
岡部「いきなり暗礁に乗り上げた、だと・・・?」
紅莉栖「でもまあ、これはこれで情報が錯綜できてるわね」
岡部「そうだな。入江先生と警察が違うことを言っているのだからな」
入江「っ!あ、あれは・・・富竹さん!?」
岡部「どうしました?」
入江「ボコボコにされた富竹さんが男達に担がれています!」
そう言うと、慌てた様子でどこかに電話をかけ始めた。
入江「お二人とも、一緒に来てください!ここにいては危険です!」
「・・・あっ!入江先生の部屋から電話の発信です!」
小此木「な、なにぃ!?どこへだ!」
「発信先はRの自宅です!ですがもうカメラに姿はありません!」
小此木「くそ、油断した・・・!警邏中の奴らに尾行させろ!」
入江「古手さんの自宅です。赤坂さんへ避難のサインを送りました」
紅莉栖「今はどこへ?」
入江「園崎家に向かっています。前原くんたちと合流しましょう」
岡部「そうですね。そこまで行けばなんとか」
入江「間違いなく追跡されるはずです。後方の確認をお願いできますか」
岡部「はい、わかり・・・もういます。白いワゴンが」
小此木「何人乗っている?」
「3人の姿が確認できます。岡部と牧瀬が同乗している模様」
小此木「ヘタに部外者は巻き込めん。足止め程度でいい」
「了解」
紅莉栖「え?きゃっ!な、何!?」
岡部「助手席の男が銃を構えています!」
入江「くっ、二人とも、絶対に頭を出さないで!」
男の放った銃弾は、入江の車のリアタイヤを打ち抜く。
バランスを失った車体はスピンし、後部側面が立ち木に激突。
その勢いで10mほど斜面を数回横転しながら下の道路へ転がり落ちていった。
「馬鹿野郎!やりすぎだ!」
「す、すいません!まさか下に落ちていくなんて!」
「急げ!逃げられるぞ!」
岡部「・・・紅莉栖、怪我はないか」
紅莉栖「うぅ・・・多分平気」
強く抱きしめた両手を緩めると、紅莉栖はゆっくりと顔を上げた。
紅莉栖「岡部は大丈、あっ・・・!」
岡部「どうした?どこか痛むか」
紅莉栖「す、すごい血出てる・・・頭から・・・!」
岡部「え?・・・うおっ、本当だ!」
頭に触れると、粉々になったガラス片がパラパラと落ちてきた。
岡部「どうやら、割れた窓ガラスの破片を浴びたようだ」
紅莉栖「いや・・・また私のせいで・・・」
岡部「・・・まだ、昨日の夜の質問に答えていなかったな」
紅莉栖「昨日の夜?・・・あっ・・・」
岡部「この状況が、俺の答えだ」
車外へ出ると、入江先生が傷を診てくれた。
入江「あまり深くはないですね。少しの間安静にしてハンカチなどで患部を押えていれば大丈夫でしょう」
紅莉栖「あ、私持ってます」
岡部「大丈夫なんですか?こんな所に長居していて」
入江「上の道路とこの道路は繋がってないんです。急いでも30分はかかると思います」
岡部「田舎道に感謝ですね」
紅莉栖は、ずっと俺の頭にハンカチをあててくれている。
目を合わせると、今にも泣きそうな目をふっと逸らしながら俯いてしまった。
岡部「心配するな。これくらいかすり傷だ」
頭をポンポンと軽く叩いてやると、紅莉栖は俯いたまま小さく頷いた。
岡部「あっ、い、いや」
紅莉栖「いいえ・・・違います」
入江「ありゃ、違いましたか。これは失礼。ははは」
岡部「えーと、とりあえずこの先、どうしましょうか」
入江「山狗の連中に見つからないよう、歩いていくしかなさそうですね」
紅莉栖「っ!車!隠れて!」
岡部「なっ! いや、あの車は・・・」
1台の黒いセダンが、木陰に佇む岡部達の前で停車した。
詩音「はろろ~ん♪岡部さん、この様子だと来店記録の更新は無理っぽいですね」
岡部「ああ、残念ながらな」
葛西「ひとまず乗ってください。事情はそれから聞きましょう」
詩音「来ちゃいました。年に一度の綿流しですから♪」
圭一「ちょ、岡部さん、服に血が!」
岡部「ああ、いろいろとあったが特に問題ない」
魅音「ひとまず中に入って!地下なら安全だよ!」
「標的は園崎家に侵入した模様です」
小此木「くそっ、厄介な所に逃げ込みやがった」
「発信機の電波、ロストしました」
小此木「ロスト?地下に入られたか・・・地図は持ってるか?」
「はい、全部隊所有しております」
小此木「よし、行け!相手は袋の鼠だ!」
葛西「私たちでよければ加勢いたしましょう」
詩音「よいしょっと、私たちにはこれがありますから。予備マガジンもたっくさん」
岡部「なっ!AK47だと!本物なのか!?」
詩音「あら、岡部さんご存知?もちろん本物ですよ」
岡部「知ってるも何も名器ではないか!正式名はアブトマット・カラシニコバ、ふむ、Ⅲ型か」
葛西「お詳しいですね。どこかでこういった経験がお有りなのですか?」
岡部「いや、ゲーm・・・本で読んだ程度です」
詩音「岡部さんも使います?今日を逃したらもう持てる機会なんて無いですよ?」
岡部「ぐ・・・だが引き金を引ける気がしない」
次の瞬間、地下牢内の電灯の灯りが消滅し、一面が闇となった。
葛西「電線をやられましたな。手馴れているようです」
詩音「皆さんは奥に避難していてください。ちゃっちゃと片付けますから」
岡部「なにそれこわい」
圭一「おい、本当に大丈夫なのか?いくらなんでも二人だけじゃ・・・」
詩音「大丈夫ですって。岡部さん、ちょっとお耳を拝借」
岡部「俺?」
詩音に耳を傾けると、はにかんだような表情で耳打ちをしてきた。
詩音「私、ある人に会えるまでは絶対に死にませんから」
岡部「ん?あるひ・・・え?あの時の魅音ってまさか」
詩音「”注意したほうがいい”って先に忠告はしましたよ♪」
岡部「・・・フフッ、やられた。ではこの場は任せた」
詩音「りょうかーい♪ 葛西、行くわよ」
葛西「はい、では皆様、後ほど」
レナ「はうぅ~、大丈夫かな?かな?」
魅音「ん~、大丈夫だと思うよ。あの二人なら」
閂をかけた扉はC4で爆破され、山狗の隊員5~6名が地下牢へと侵入する。
「赤外線だらけだ、慎重に進め。ここは園崎家だ。何が仕掛けてあるかわからんぞ」
隊員の足元に、何かが転がってきた。
扉の破片にしては妙だ。暗視ゴーグル越しに円筒形の何かが・・・円筒形?
「っ! グレネード!伏せ―――」
突然の破裂音と閃光に、赤外線と戯れていた隊員たちは成す術もなかった。
「くそっ・・・こんなにあっけなく死・・・んでない?」
詩音「皆さん生きてます。ただのフラッシュバンですよ」
「だ、誰だ!くっ、暗視ゴーグルが・・・」
詩音「メインの入り口をあんたたちのハンバーグ工場にする気はありませんから♪」
葛西「別の入り口から侵入していたら命の保障は出来かねましたがね」
詩音「あら、その暗視ゴーグルはもう使い物にならないんですね。すぐ近くにいますよ」
「くっ!」
「待て、撃つな!」
葛西「その方が懸命です。同士撃ちも免れないでしょう」
詩音「電線切っちゃったのが裏目に出ましたね」
葛西「ちなみに私達からはあなた方の姿がはっきりと確認できます」
詩音「1、2、3・・・6人に、主兵装はMP5ですね」
葛西「では取引といたしましょうか」
詩音「このまま引き下がってくれれば、扉と電線の事は目を瞑りましょう。どうします?」
「く・・・くそぉっ!」
「馬鹿、やめ・・・!」
隊員の放った10数発の弾丸が地下牢内の壁に突き刺さる。
同時に、空となった薬莢が甲高い金属音を立てて地面へと転がった。
葛西「宣戦布告とみなしました」
詩音「同じく。・・・さて皆さん」
先ほどまでの軽快さはなく、低く落ち着き払ったトーンで続ける。
詩音「扉の破壊、電線の切断。そして敷地内での無許可での発砲」
「そ、それはこいつの勝手な行動で・・・」
詩音「お黙りください。ここが園崎家と知っての狼藉か」
冷たく、鼓膜に突き刺さるような声だけが響き渡る。
詩音「この地下牢にはですね、長い事使ってない深い古井戸があるんですよ」
隊員の一人の額に、赤いポインターが点いた。
「ひっ・・・!」
葛西「おっと、動かないでください。慌てて引き金を引いてしまいます」
詩音「最近は園崎家も丸くなっちゃって、久しく生贄が放り込まれていないんですよね」
「わぁぁっ!・・・あ・・・」
葛西「おっと、申し訳ございません。いかんせん命中精度が低いもので」
詩音「こら葛西、早く楽にしてやんなさい」
葛西「次こそは必ず当てますので、ご安心を」
「た・・・助けてくれ・・・!」
詩音「残念ですが受け入れられません。手遅れです」
葛西「園崎家に安易に踏み込んだ事を、地獄で深く後悔なさるといいでしょう」
セレクターをフルオートに切り替えると、二人は躊躇いなく引き金を引いた。
詩音「さあさあ最初に古井戸にブチ込まれたいのはどいつですかねぇ!!」
「た、退避ぃぃぃ!!」
詩音「ホントに命中精度悪いですね。一発も当たりませんでしたよ」
葛西「奇遇ですね。私もです」
入江「よかった。二人ともご無事なようで」
葛西「ちょっと話をしたらわかって頂けたようで、すぐにお帰りになられました」
岡部「いや、銃声と詩音の怒声が響き渡っていたが」
詩音「あら、聞こえちゃいました?」
葛西「もう外に出ても大丈夫でしょう。私の後に続いてください」
大破したワゴン車。昏倒する数人の山狗の隊員。
そして、仁王立ちで岡部達を見据える、マッチョなイケメン隊員。
赤坂「梨花ちゃん、君を助けに・・・来たつもりだったんだけど」
梨花「ヒーローになりそこねたのです。でも嬉しいのですよ」
詩音「葛西、この気絶してる男達はどうします?」
葛西「若い衆を呼びましょう。”お説教”が必要です」
詩音「ま、けじめとして一人4~5枚ってところですかね」
岡部「なにその数字こわい」
詩音「はーい!私も行きまーす!」
赤坂「男手は多いほうがいいでしょう。私も行きます」
圭一「じゃ俺達と岡部さん達は裏山に逃げ込むか」
沙都子「・・・ついに、ついにあのトラップを発動させる瞬間がきましたわぁー!」
魅音「ああ、せっせせっせとなんか作ってたねぇ」
沙都子「私と牧瀬さんの合作トラップ、楽しみで昨日は殆ど眠れなかったですわよ!」
岡部「紅莉栖、何を仕掛けたんだ?」
紅莉栖「え、えっと」
沙都子「さあさあ皆様方、山の頂までレッツゴーですわ!」
梨花「沙都子、心から笑ってるわね」
羽入「あんな笑顔、久々に見たのですよ」
三四「別れの挨拶をすませてくるわ」
ジロウさん。
あなたと会話をするのはきっとこれで最後。
あなたは今日、雛見沢で奇怪な死を遂げる。
そう、自らの手で首を掻き毟って命を落とすの。
手足を縛られ部屋で一人、傷だらけのあなたは何を想うのかしら。
今頃必死に命乞いの言葉を選んでいる?
いいえ、それはない。ジロウさんはそんな人じゃない。
「君に殺されるなら本望だ」とでも言い出しかねない。
残念だけど、あなたを殺すのは私じゃない。
雛見沢という地があなたを殺すの。
ガチャ
三四「ジロウさん」
富竹「鷹野さん、それ以上はやめ・・・いや、やめないで、痛い痛い痛い、うぇひひひ・・・ムニャムニャ」
三四「・・・」
バタン
もういい。勝手に死ね。
圭一「あ、あれ全部山狗が乗ってるのか?ちょっと多すぎるんじゃ・・・」
沙都子「少なすぎるくらいですわ。100人くらいを想定していましたのに」
岡部「第一の目標は梨花の安全だ。そこを忘れるなよ」
沙都子「わかってますわ。梨花を殺そうとする不届き者なんて、最初のトラップで地獄行きですわよ!」
梨花「沙都子、何を仕掛けたのですか?」
沙都子「ウフフ、見てのお楽しみですわよ」
魅音「よーし、それじゃ最初のトラップ発動後、各自持ち場へと移動!」
岡部「これより”オペレーション・ヴォルスパー”第2段階、敵殲滅フェイズへと移行する!」
圭一「よっしゃあ!のってきたぁー!」
岡部「第一目標は敵の無線機の奪取!精神攻撃を仕掛ける!」
一同「おー!」
三四「Rはこの山の中にいる。袋の鼠よ」
「Rの他、民間人も一緒にいるとの事ですが、いかがいたしましょう?」
三四「殺しちゃいなさい」
「なっ・・・!」
三四「邪魔をするものは誰だろうが容赦なく撃ちなさい。その銃は飾りじゃないの」
「りょ、了解しました!」
三四「私は本部で吉報を待つとするわ。小此木、指揮は任せたわよ」
小此木「了解です」
「こ、殺せって言われたって・・・」
「ああ、相手は子供なんだろ?」
「そもそも、Rを捕獲してどうするつもりなんだ?」
小此木「・・・」
「はっ!」
小此木「それに、銃のセーフティは外すな」
「えっ、ですがそれでは・・・」
小此木「ここ数日、三佐の様子がおかしい。あまりにもカリカリしすぎている」
「何かあったのでしょうか?」
小此木「まあ、思いあたるフシは無くもない。よし、行け」
「了解です!各員、行くぞ!」
小此木「いいか、女子供を撃つような落ちぶれたマネだけは許さんぞ!」
沙都子「そわそわ、そわそわ」
岡部「口でそわそわ言う人を初めて見た」
「うおっ!なんだ!眩し・・・」
ドーーーン!
「「「どわーっ!」」」
ブワッ!
「「「げふっ!」」」
ドドドドドドドド
「わ゛ーーっ!!お、鳳1、聞こえますか!トラップが!」
小此木「聞こえているも何もすぐ近くで音がしたが。大丈夫か?」
「総員の7割近く、行動不能に陥っています!」
小此木「あぁ!?」
「ん、なんだこれは・・・殺す気か・・・!」
「うぅ・・・たす・・・け・・・」
「悪意の塊だ・・・!」
小此木「・・・!」
岡部「おい沙都子」
沙都子「大成功ですわ!今頃あの辺一帯は阿鼻叫喚の渦に・・・うふふ」
岡部「おい北条沙都子」
沙都子「さすが牧瀬さん、お陰で完璧なトラップになりましたわ!」
岡部「おい北条沙都子と牧瀬紅莉栖」
沙都子「何ですの?人が成功に喜んでいる最中ですのに」
岡部「まず紅莉栖、何を吹き込んだ」
紅莉栖「わ、私は心理学に基づいて配置とかをアドバイスしただけで・・・」
岡部「沙都子、何を設置した」
沙都子「まずは目くらまし、その後に○○○、×××、△△△、それから・・・」
岡部「字にできんわ!殺す気か!」
沙都子「失礼ですわね、命を奪うほどの威力は持たせてありませんわよ!」
岡部「・・・まさか敵の安否を気遣う事になるとは・・・」
「はっ!」
小此木「行動可能が5人しかいないってどういうことだ!」
「も、申し訳ありません!まさかあんなトラップが・・・」
小此木「くそっ!追加召集をかけるしかないか・・・!お前らは待機!」
入江「・・・っ!皆さん、身を隠して!」
赤坂「どうされました?」
入江「今走っていったワゴンに、山狗達が乗っていました」
葛西「増員ということでしょうか」
入江「わかりません。研究員の姿もありました」
詩音「研究員って戦えるんですか?」
入江「いいえ、訓練すら行っていないはずですが・・・うーむ」
赤坂「富竹さんが心配です。急ぎましょう」
ガチャ!
入江「富竹さん!」
富竹「へぇあ!?ここはどこ?僕は誰?鷹野さんはいずこに?」
入江「ああ、よかった。ご無事なようで」
富竹「えぇ?・・・ああ、夢だったのか・・・」
葛西「眠らされていたのですか?」
富竹「え、えーと、そんな所です。助かりました」
詩音「見張りの一人もつけないなんて、山狗ってどこかぬけてますね」
富竹「いえ、数人が待機していたはずですが、いないのですか?」
赤坂「やはり、さっきのは臨時増員ということか・・・」
入江「見張りや研究員にすら召集をかけるとは、どういうことでしょうか」
富竹「番犬部隊を呼びましょう。幸いここの電話はまだ繋がっている」
入江「お願いいたします。私は詩音さんと話があるので」
入江「まさか、岡部さんから聞いていたのですか?」
詩音「はい。実はお姉に扮して、こっそり聞いちゃいました」
入江「そうでしたか・・・ですが、彼はまだ目を覚ますことが出来ません」
詩音「そう、まだ無理なんですね・・・」
入江「ですが、牧瀬さんのお陰で新薬の開発段階まで進むことが出来ました」
詩音「牧瀬さんが?本当に天才なんですね、あの人」
入江「とても不思議な方です。まるで未来を生きてるかのような発想力をお持ちで」
詩音「お礼を言わないといけませんね。ところでカントク」
入江「はい?」
詩音「今はまだ、目を覚まさないんですよね?」
入江「・・・はい、今は薬で強制的に」
詩音「ということは、今は何をしても大丈夫ってことになりますよね?」
入江「はい・・・はい?」
入江「ありがとうございます。事態は収拾しそうな感じですね」
赤坂「では私たちも園崎家に向かいましょう」
詩音「えー、また歩きですかー?もう歩きたくないですー。ぶーぶー」
葛西「車での移動は人目につきやすいものです。ここは歩いたほうが得策かと」
富竹「同感です。どこから監視されているかわかりません」
詩音「疲れたー。私ここに残るー」
葛西「詩音さん、わがままを言っている場合では・・・」
入江「詩音さん、男というのは活発的な女性を好むものなんですよ」
詩音「よし!ちゃっちゃと我が家まで歩きますよ!ほらほら急いだ!」
入江(悟史くんと詩音さんだけをここに残してはいけない・・・!)
レナ「誰も来ないねー」
圭一「全滅させちゃったか?」
「あの、何をすればいいのかも聞かされていないのですが」
「ええ、何も聞いていません」
小此木「R、古手梨花がこの山の中に隠れている。連れ出して欲しい」
「古手さんが?何故こんな山の中に」
小此木「詳しい事情は後で話す。とりあえず着替えてくれ。念のためこれもな」
「はあ」
三四「手を焼いているようね。待ちくたびれたわ」
小此木「三佐。どうも予想外の事態が発生しまして」
三四「子供の仕掛けた罠ごときにひっかかるなんて、あんたの指揮も大したこと無いのね」
小此木「申し訳ありません。まさかあんな」
三四「言い訳はいいからとっとと捕まえてきなさい」
小此木「・・・了解しました」
紅莉栖「一人ね。無線は・・・担いでる」
岡部「願ったり叶ったりだ」
紅莉栖「気をつけて」
岡部「ああ、大丈夫だ。台本通りに頼む」
久しく電波の入っていない携帯電話を取り出し、内臓のストップウォッチを起動した。
「~♪」
岡部(鼻歌交じりとか何コイツ)
木の陰に隠れた岡部に気付くことも無く、横を通過する。
岡部「動くな」
「なっ・・・」
隊員の背後に回りこみ、心臓の辺りに携帯電話を突きつけた。
「あ、あんた、研究所で見かけたことがありますぜ」
岡部「それは光栄だな。これが何かわかるか?」
左胸に突きつけられた機械の液晶に表示されるタイマーは、残り60秒を表示していた。
「・・・なんですかい?これは」
岡部「この数字が0になった瞬間、貴様の心臓は停止する」
「・・・そんなハッタリ、俺には通用しませんぜ?」
岡部「ヴィクトル・コンドリア大学脳科学研究所が開発したガジェットだと聞いてもか?」
紅莉栖「それの実力は、私が保証するわよ」
「あ、あんた、噂の・・・」
紅莉栖「光栄ね。もうすぐ死ぬ相手にすら知られてるなんて」
「な・・・ってこたぁ、これって・・・」
岡部「だから言っただろう?あと40秒でこの世とはお別れだ」
紅莉栖「言い残したことはある?」
岡部「銃を下へ置け。そして無線機をいただく」
「ふむ・・・」
岡部「さあ、残り30秒だ」
紅莉栖「念仏は唱え終わったかしら?」
「・・・わかりやした。条件をのみましょう」
紅莉栖「っとと・・・えいっ!」
下に置いた銃を恐る恐る拾い、崖下へと投げ捨てた。
岡部「無線機を下ろしたら、振り返らずにまっすぐ走って下山しろ」
「ヒャッハ、あんたら最高にクールですぜ」
男は無線機を降ろすと、振り返ることなく小走りで下山し、姿を消した。
紅莉栖「・・・この作戦、驚くほどうまくいったわね」
岡部「携帯電話の新たな可能性を感じた」
紅莉栖「いや、今は1983年ですから」
圭一「さっすが岡部さん!いったいどうやって?」
岡部「ナイショだ」
梨花「で、これを使って何をするのですか?」
岡部「ああ、精神攻撃を仕掛ける。まずは女子グループ全員で・・・」
・
・
・
岡部「で、ラストに紅莉栖のセリフで締めて、無線を切る、と」
魅音「あっはっは、そりゃ怖いねー」
岡部「圭一、俺とお前の演技力がカギとなる」
圭一「超面白そうじゃないっすか!本気出しますよ!」
岡部「よし、ではリハーサルの後、作戦を実行する」
『お、おい、今、何か歌声が・・・?』
ここはどこの 細通じゃ―――
『ああ、聴こえる・・・っ!誰だ!!』
オヤシロ様の 細道じゃ―――
『・・・誰もいない・・・だがはっきりと視線を感じた・・・!』
ちっと通して 下しゃんせ―――
『お、俺もだ・・・誰だ!姿を見せろ!』
御用のないもの 通しゃせぬ―――
この子の七つの お祝いに―――
『やめろ!見るな!俺を見るな!やめろぉぉぉぉ!!!』
お札を納めに 参ります―――
行きはよいよい 帰りはこわい―――
ガーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
『ウボァーーーーーーー!!』
『ぬわーーーーーーっっ!!』
―――・・・その目、だれの目?――― ブツッ
羽入「あぅ~、緊張したのですー」
魅音「ところでこれ、どういう意味です?」
沙都子「なんかこう、心の底からゾッとするような・・・」
岡部「大人になればわかる」
圭一「あと俺の断末魔、ウボァーってなんですか?」
岡部「ちょっとした遊び心だ」
「隊長!我々はもう一歩も動きたくないであります!」
小此木「バッキャロウ!こんなもんただのハッタリだ!」
「ですが、はっきりと”オヤシロ様”という言葉が・・・」
「ま、まさか本物のオヤシロ様の祟りが・・・!」
小此木「チッ、ヘタレどもが!いいから慎重に進め!何かあったら引き返せばいい!」
三四「・・・なるほどね、あの二人も一緒・・・」
一同「りょうかーい!」
梨花(一番楽しんでるの、岡部よね)
「なあ、なぜ俺達は研究員なのに山を登っているんだ」
「ああ、何故だろうな」
「無線を持った人はすぐにはぐれてしまうし、古手さんも見つからない」
「ああ、むしろ誰もいないな」
岡部「なっ、あの二人組は研究所の・・・?」
紅莉栖「そうね、間違いないわ」
岡部「どうする?」
紅莉栖「多分、人手不足で呼び出されたんだと思う。話はできそう」
岡部「わかった、一応背後から呼び止める」
「ひっ!」
研究員の二人組は、呼び止めると即座に両手を上げた。
岡部「武器は?」
「て、手ぶらです」
紅莉栖「ゆっくり振り返って」
「その声・・・牧瀬さん?岡部さんまで。なんでこんな所に?」
岡部「まあこっちのセリフでもあります。なぜあなた方がここに?」
「こいつと研究所にいたら、突然ここに呼び出されてしまって」
紅莉栖「ここでの目的は聞いてる?」
「古手さんがこの山にいるから、連れてきて欲しいとしか」
「ええ、同じく」
岡部「・・・その先の事は?」
「いや、聞いてないけど・・・?」
紅莉栖「ええ、事情は今話した通り」
「なんてことだ・・・最大の協力者である古手さんを手にかける作戦になど、手を貸せるわけがない!」
紅莉栖「よかった、あなた達なら分ってくれると信じてました」
「俺達は下に降りて、この捜索から離脱する」
岡部「大丈夫なんですか?敵前逃亡になってしまうのでは」
「元々非戦闘員だし、期待なんかされてないさ」
「ああ、正規部隊の人ともはぐれてしまっって無線も使えないしな」
岡部「・・・もしかしてそいつ、”ヒャッハ”って言います?」
「あれ、会った?」
岡部「武装解除して下山していきましたが」
「えぇー・・・」
紅莉栖「では、トラップに気をつけて下山してください」
「北条さんの心理テストの解析もやってるからね、大体設置場所に見当はつくよ」
紅莉栖「あの・・・私のアドバイスも入ってるのでお気をつけて」
「雲雀14(仮)と雲雀15(仮)です」
小此木「ああそうだ。雲雀13はどうした?」
「それが、早々にはぐれてしまって」
小此木「チッ、あいつ・・・定時連絡もよこさない上に単独行動か・・・!」
「やはり私たちにはこの作戦を務めるのは無理があるようです」
「ええ、他の部隊の足を引っ張りかねません」
小此木「・・・」
しかめっ面で頬をかくと、フフッと苦笑いを浮かべた。
小此木「ま、非戦闘員に最初から期待はしてなかったがな」
「申し訳ありません」
小此木「お前らはここで待機、次の指示があるまではけが人の処置にあた―――
2発の銃声。
その衝撃に倒れこむ二人を、鷹野は表情を変えずに銃を構えたまま見下ろしていた。
小此木「あ、あんた!自分が何したかわかってんのか!」
三四「何って、敵前逃亡しようとした裏切り者への制裁よ」
呻き声をあげる二人の容態など気にすることも無く、三四は言い放つ。
三四「いい?あんた達は今、私に撃たれて死んだ。だからもう2度と私の前に現れないで」
三四は踵を返し、山へと歩き出した。
小此木「・・・どちらへ」
三四「役立たずばかりじゃ埒が明かない。私が直接仕留めにいくわ」
小此木「おい、しっかりしろ!傷は・・・ないな」
「す、すいません、防弾チョッキ、感謝します」
小此木「・・・お前らは白衣に着替えて研究所に戻れ」
近くにあった無線機を手にする。
小此木「こちら鳳1。各員に告ぐ。至急下山されたし。姫様のご乱心だ」
紅莉栖「無線で何かを聞いたみたいね」
岡部「圭一達の無線にも何か届いてるかもしれない。戻るか」
紅莉栖「そうね、一度合流しましょ」
紅莉栖「あ、雨」
岡部「本当だ・・・うおぉ!スコールか!」
紅莉栖「な、なんぞこれー!?」
岡部「あの木の下に避難だ!」
紅莉栖「やーん、濡れちゃった」
岡部「ガタッ」
紅莉栖「橋田かおのれは」
岡部「この降り方なら通り雨だろう」
紅莉栖「お祭り、中止にならなきゃいいけど」
岡部「すぐにやむさ」
紅莉栖「・・・夜には晴れるかな」
岡部「さあな。そうなってくれる事を祈るが」
紅莉栖「・・・」
岡部「・・・」
紅莉栖「・・・」
岡部「・・・フフッ」
紅莉栖「なぜ笑ったし」
岡部「いや、つい先日もよく似た出来事があってな」
紅莉栖「雨宿りを?誰と?」
紅莉栖「それなんて死亡フラグ?」
岡部「・・・無意識だった。悔しい」
紅莉栖「くすくす・・・話って、前に神社で梨花ちゃん達とした話のこと?」
岡部「よく覚えているな」
紅莉栖「あの時の岡部、私を助けてくれた時と同じ目をしてたから」
岡部「・・・そうか、そうかもしれないな」
紅莉栖「岡部の話、聞かせて欲しい。だから無事に帰ろうね」
岡部「・・・ああ。絶対だ」
視線を降ろすと、紅莉栖の右手が見えた。
岡部(たとえ何が起きようと・・・今日だけは必ず、お前を守ってみせる)
その右手に触れようと、岡部は左手をそっと伸ばす。
だが、紅莉栖の手には、触れられなかった。
岡部「紅莉栖?どうし・・・!」
三四「通り雨もいいものね。足音が聞こえないんだもの」
岡部「鷹野・・・!」
三四「それ以上近づかない方がいいわよ?」
紅莉栖「い・・・いや・・・!」
銃口がこめかみに押し付けられ、ゾッとするような冷たさが全身を巡った。
圭一「岡部さーん!お、いたいた!山狗の奴ら、全員下山したそうですよー!」
岡部「来るな!」
梨花「っ・・・鷹野・・・!」
岡部「お前達はそこから近づくんじゃない!」
梨花「・・・どうして・・・あと一歩だという所で、どうして・・・!」
羽入「・・・」
三四「あら、私はいたって冷静よ」
岡部「せめて、せめて紅莉栖を放してもらえませんか」
三四「嫌よ」
三四から微笑みが消え、無表情で紅莉栖のこめかみに銃口を強く押し付けた。
三四「紅莉栖ちゃん、本当に頭脳明晰よね。研究所ではよく働いてくれたし」
岡部「で、では何故・・・」
三四「それが気に入らないの」
目をスッと細め、冷たい視線を岡部に送る。
三四「この研究はね、祖父と私が歳月を費やしてようやくここまで来れたのよ」
岡部「・・・入江先生から話は聞いています」
三四「それを、こんな小娘が、たった数日で、今まで以上の成果をあげた」
岡部「それは、鷹野さんや悟史の為を思って尽力しただけであって・・・」
三四「それでは報われないのよ!」
爆発音に近い銃声が、その場にいた8人の身をすくませる。
岡部「っ!・・・ん・・・?」
三四「当てないわよ。岡部君に恨みは無いから」
そう言うと三四は、力が抜けたように右腕を下ろし、自嘲気味に笑った。
三四「論文を発表したら、非常識だ、馬鹿げていると散々罵られ、失意の内に亡くなったのよ」
岡部「・・・高野一二三さんのことですか」
三四「ええ。私は恨んだわ。祖父の論文を嘲笑ったそいつらが祖父を殺した。いつか仇を取るって」
岡部「その執念が実を結んで、いまの研究所を建てたわけですか」
三四「これでようやく研究が進むと思ったのに、なかなか成果が現れなくてね」
岡部「そこに現れたのが俺達、と」
三四「紅莉栖ちゃんが手伝ってくれるって聞いたときは、神に感謝したくらいよ」
降ろしていた右腕を再び上げ、同じようにまた銃を押し付ける。
三四「でもね、やりすぎたのよ、この小娘は」
岡部「喜ぶべきことではないんですか、あなたにとっては」
三四「ええ、喜んだわ。紅莉栖ちゃんがイニチアチブを取るまではね」
紅莉栖「そ、そんな、私はただ・・・」
三四「私と祖父の研究を横取りされるんじゃないかって心配もあったのよ」
岡部「そんな、紅莉栖はただこの病気を・・・!」
三四「数回脳波を計測しただけで結果を出すんだもの、自分の無能さに笑っちゃったわよ」
岡部「そ、それではただの逆恨みじゃないですか!」
三四「ええ、そう。ただの逆恨み。岡部君も女の逆恨みには注意したほうがいいわよ?」
紅莉栖「お、岡部・・・助けて・・・」
岡部「くっ・・・」
―――岡部、聞こえますですか―――
岡部(っ・・・羽入か?どうやって話しかけて・・・)
―――オヤシロパワーなのです―――
―――スキを見て銃を奪い取るのです!―――
岡部(スキと言われても、一歩でも動けば紅莉栖が・・・)
―――大丈夫、次に放つ銃弾は絶対に誰にも当たりません―――
岡部(何故そう言い切れる?)
―――それもオヤシロパワーなのです―――
岡部(・・・便利な言葉だな。信じるぞ)
―――1発目を撃ったら、すぐさま飛びつけばチャンスは生まれるのです―――
岡部(・・・2発目以降にはオヤシロパワーは通用しないのか・・・)
―――あぅぅ、今のボクにはそれで精一杯なのです―――
岡部(まあいい、感謝する)
紅莉栖「・・・まだ・・・」
辛うじて保たれていた紅莉栖の感情の糸が、溢れ出る涙と共にプツリと切れた。
紅莉栖「ひっく・・・まだ、死にたくない・・・死にたくないよ・・・」
紅莉栖「怖いよ・・・岡部・・・助けて・・・」
三四「あらあら、今まで我慢してたのね」
紅莉栖「まだ、私の気持ちも伝えられてないのに・・・ひっく、死にたくない・・・」
岡部「っ!」
三四「あらあらうふふ、よかったわね岡部くん、両想いだったみたいよ?」
紅莉栖「・・・え・・・?」
三四「でもその想いは通じないのよ。紅莉栖ちゃんはもう死んじゃうんだもの」
紅莉栖「い・・・いや・・・!」
三四「紅莉栖ちゃんは死んで、岡部君は失意により行方不明。あら、5年目も祟りは起きるのね。くすくす」
岡部「や・・・やめ・・・」
三四「もう少し離れたほうがいいんじゃない?返り血、浴びちゃうわよ?」
三四「動いちゃだめよ」
岡部「紅莉栖を、放せ」
三四「あら、じゃあ先に貴方を撃とうかしら?」
銃を突きつけられても、なお岡部はゆっくりと三四との距離を詰める。
岡部「聞こえないか。紅莉栖を放せと言っている」
紅莉栖「だ、だめ・・・岡部、やめて・・・」
三四「恨みは無いけど、紅莉栖ちゃんに絶望を味わわせる為なら躊躇無く撃つわよ」
紅莉栖「い、いや・・・岡部が死んじゃったら、私・・・」
岡部「当ててみろ」
短く言い放ったその言葉に、畏怖を覚えるほどの怒りを感じた。
三四「っ・・・わかったわ、お望み通りにしてあげる」
紅莉栖「いやぁっ!岡部っ!やめてぇっ!!」
三四「死ねぇっ!」
岡部を照準に定めると、三四は力強く引き金を引いた。
その事を気にも留めず、三四から視線を外さずに近づく。
三四「なっ、こ、このガキっ!」
必死に体を動かして抵抗を見せる紅莉栖に、三四の怒りが頂点に達した。
三四「もういいわ、二人ともこの場で殺してあげる!あの世で仲良くしてなさい!」
どちらを先に撃つか、一瞬の躊躇いを岡部は見逃さなかった。
間合いを詰め、三四の手にしていた銃のスライドを目いっぱいに引く。
三四「ぐ・・・な、引き金が・・・」
岡部「オートマチックの弱点だ」
白衣のポケットから何かを取り出し、排莢口に押し込み、手を離す。
岡部「ジャムだ。片手で直せるものなら直してみろ」
手を離してもスライドが戻りきらない。
排莢口から半分だけ姿を見せたビー玉が、雨粒をうけてキラリと光った。
紅莉栖「岡部っ!」
岡部「俺の後に下がれ!」
三四「く・・・こんなガキ相手に・・・!」
お世辞にも力があるとはいえないが、女性の力に劣るほどひ弱ではない。
必死に抵抗を見せるも、やがて力の差に圧倒され、銃が三四の手から滑り落ちた。
三四「きゃっ!」
尻餅をつくとほぼ同時に銃のスライドを引く音がして、視線の先に弾薬とビー玉が落ちる。
顔を上げたときには、銃口は岡部の手によって三四の額に向けられていた。
三四「な・・・!」
岡部「終わりだ」
三四「い、いや・・・やめ
雨足が一層強くなる鈍色の空に、13発の銃声が鳴り響いた。
カチッ、カチッ。引き金は空打ちを繰り返す。
天に向けて撃ち尽くした銃を地面に落とすと、ノズルからジュッと湯気が発生した。
岡部「・・・人を殺めるのは、バーチャルの世界だけでいい」
「銃声だ!近いぞ!」
「いたぞ!囲め!」
三四「な・・・なによ、あんた達・・・」
残り少ない正規隊員の山狗達が三四を取り囲み、一斉に銃を構える。
三四「なんで、私に銃を向けるの?敵はあっちよ・・・?」
「どの口がほざいてやがるんです」
一人の男が、銃を片手で構えたまま遅れて現れた。
小此木「あんた、自分のやったことをもうお忘れですかい?」
小此木「説明も何も、見りゃわかるでしょう?裏切り者の処分ですよ」
三四「うらぎ・・・何で、私が・・・?」
小此木「予告も無しに味方を後ろからズドン。これが裏切りじゃなかったら何だってんです?」
三四「あ、あれは、あいつらが先に・・・」
小此木「ありゃあね、俺らの間じゃ”戦線離脱”って呼ぶんですよ」
いつの間にか、雨はすっかりやみ、雲の切れ間から太陽が顔を覗かせている。
小此木はシガーケースから取り出した一本に火をつけ、溜息混じりに煙を吐き出した。
小此木「残念ですが、己の都合の為だけに人を殺そうとするあんたに、もう味方は一人もいないんですわ」
三四「ひっ・・・!」
小此木「おっと、動かんでください。敵前逃亡になりますよ」
予想外の高笑いに、隊員たちも困惑気味に顔を見合わせる。
三四「撃ちなさい、気の済むまで。私をもう楽にして頂戴」
小此木「辞世の句を詠む時間くらいは設けますよ」
三四「そうね。せめて遺言だけでも私が存在した証を残さないとね、くすくす・・・」
突如、静寂を切り裂くような轟音と風が巻き起こり、空から数本のロープが垂れた。
何事かと空を見上げると、ダークグレーの迷彩服を纏った集団が、ヘリコプターから降下を始めた。
『入江機関の全職員に告ぐ、直ちに武装を解除し、投降せよ』
小此木「おおっと、お早いお着きで。三佐、どうやら時間いっぱいのようです」
鷹野「番犬部隊?誰が・・・誰が呼んだのよ!?」
小此木「緊急だったもんで、富竹の監視役も連れてきちまったんですわ。スキをついて呼んだんでしょうなぁ」
『繰り返す!直ちに武装を解除し、投降せよ』
小此木「へいへい、聞こえてますよ」
小此木と隊員は、手にしていた銃を地面に放り投げる。
小此木「ま、最初っからセーフティは外してなかったんですがねぇ」
「さあ、立て!」
三四「殺して!誰からも必要とされていない私をとっとと殺しなさい!」
番犬部隊の手にしたMP5のフォアグリップを掴み、銃口を自らの額に押し当てる。
「こ、こら!離せ!」
三四「ほら、早く引き金を引きなさいよ!早くお祖父ちゃんに会わせて!」
「もう、よすんだ」
何者かに後ろから強く抱きしめられ、思わずフォアグリップを離す。
三四「誰よ!私に触らな・・・あ・・・!」
富竹「誰にも必要とされない命なんて、存在しない」
三四「じゃあ私は・・・誰に必要とされているの・・・?」
富竹「勘の鋭い君なら、もう言わなくてもわかっているだろう?」
三四「ジ、ジロウ・・・さ・・・」
静寂の森の中、皆の耳に届くのは三四が子供のようにむせび泣く声だけだった。
「はっ!かしこまりました!」
レナ「・・・終わった、ね」
魅音「うん、終わった」
圭一「岡部さん!最高にかっこよかったですよ!・・・岡部さん?」
遠くの空を見つめていた岡部の体が、グラリと揺れる。
右腕をつかんいた紅莉栖が咄嗟に支えようとするも間に合わず、ついには膝から崩れ落ちた。
紅莉栖「岡部?・・・岡部!大丈夫!?ちょっと!岡部!」
岡部「・・・・・・った・・・」
紅莉栖「え?今なんて・・・?」
岡部「怖かった・・・めっちゃくちゃ怖かった・・・!」
沙都子「えぇー・・・」
圭一「無意識の内に突っ込んでいったんですか?」
岡部「いや、頭に血が上っていた」
心配そうに見つめる紅莉栖に、なんとか笑顔を作る。
岡部「お前を守れてよかった。ケガはないか」
紅莉栖「・・・馬鹿!馬鹿馬鹿馬鹿馬鹿!!岡部の超馬鹿ぁ!ぅわぁーん!」
岡部「ぅおうッ!どうした、いきなり!」
紅莉栖「なんであんな無茶すんのよぉ!心配させないでよ!」
岡部「すまなかった。俺の悪いクセだ」
紅莉栖「あんたが死んじゃったら、私、頼りに出来る人いなくなっちゃうんだから・・・」
胸に顔をうずめて泣きじゃくる紅莉栖の背中を、ポンポンと優しく叩いてやる。
おっ、これは! 圭一達は顔を見合わせた。
番犬部隊の一人が、へたり込む岡部に手を差し伸べた。
岡部「あ、すいません。よっこい・・・痛っ!」
紅莉栖「ど、どこか痛むの?」
岡部「右手首が痛い。そうか、片手で撃ったから」
紅莉栖「もう、無茶しないでよ・・・」
「君がこの銃を?・・・まあ、聞かなかったことにしよう。ほら、左手を出して」
差し出した左手を引っ張られ、ようやく立ち上がる。
岡部「今気付いたが、右耳もあまり聞こえない」
紅莉栖「だ、大丈夫なの?鼓膜とか・・・」
「難聴だな。病院で診てもらうといい」
岡部「病院・・・なんて説明をすればいいんでしょう」
「入江研究所の人だったら事情は知っているだろう?」
包帯を巻き終えると看護婦は立ち上がり、頭の切り傷を眺める。
「うん、消毒だけで大丈夫ね。あと耳の方は突発性の難聴だから、すぐに治ると思うわ」
岡部「ありがとうございます。わざわざ診ていただいて」
「それが看護婦の務めだもの。服、もう少しで乾くからちょっと待っててね」
待合室へ戻ると、患者用のパジャマを纏った紅莉栖がうなだれて座っていた。
岡部「待たせたな」
ハッと顔を上げると、慌てて両目を拭った。
紅莉栖「あっ、ううん、大丈夫」
岡部「まだ泣いてたのか」
紅莉栖「な、泣いて・・・泣いてたわよ」
岡部「泣き虫」
紅莉栖「な、何よ!悪い?」
岡部「何を泣くことがある」
紅莉栖「・・・もしも、もしもあの時、岡部が撃たれて死んじゃってたらって考えちゃって・・・」
またも項垂れ、鼻をすする音が聞こえる。
紅莉栖「すごく悲しくて、ひっく、辛くて・・・」
岡部「・・・はあ」
小さく溜息をつくと、左手で紅莉栖の肩を抱き寄せた。
紅莉栖「な、あ・・・っ」
岡部「俺は見ての通り元気だ。少なくとも左半身は」
紅莉栖「・・・うん」
「二人ともお待たせ。服、乾い・・・あっ」
二人分の服を抱えた看護婦が診察室から出てこようとしたが、すぐに体を引っ込めた。
「邪魔しちゃった?」
岡部「あ、いや、お気遣いなく」
「お大事にねー」
岡部「圭一達は?」
紅莉栖「お祭りの準備を手伝うって言ってた。梨花ちゃんも儀式のリハーサルですって」
岡部「そうか。何時からだったか」
紅莉栖「圭一くん達と6時に待ち合わせしてる」
岡部「そうか、まだ5時間近くあるか」
紅莉栖「疲れたでしょ?一度魅音さんちに戻りましょ」
岡部「そうだな。今日は色々なことがありすぎた」
紅莉栖「本当にお疲れ様。ゆっくり休んで」
岡部「・・・鷹野さん、どうなるんだろうな」
紅莉栖「さっき聞いたけど、診療所のほうに入院するんですって」
岡部「・・・そうか、ひとまずは安心だな」
紅莉栖「ええ、富竹さんと入江先生もつきっきりで対処してるみたい」
部屋の襖を開けると、朝と変わらぬ状態で布団が敷かれていた。
紅莉栖「なんか、すごく久々に戻ってきたみたいな感じ。岡部もそう思わな・・・ひゃぁっ!」
帰路の途中からすっかり黙りこくっていた岡部に、強く抱きしめられた。
紅莉栖「え、ちょ、あの、え?え?」///
岡部「よかった・・・お前が無事で、本当によかった・・・」
紅莉栖「っ・・・岡部・・・泣いてるの?」
岡部「怖かった。また、お前を失ってしまうのではないかと。それだけが、怖くて仕方が無かった」
紅莉栖「また・・・ラジ館の時のこと?」
岡部「・・・違う。その、もっと前の話だ。日付でいえば後になるがな」
紅莉栖「・・・どういうこと?」
岡部「お前には全てを話したい。俄かに信じ難いだろうが聞いて欲しい」
紅莉栖「うん。聞かせて」
岡部「だが、少しでいい。あと少しでいいから、このままでいさせてくれ・・・」
紅莉栖「・・・わかった。3分間待ってやる。ふふ」
紅莉栖「ほんと、体力、ないわよね、私たち」
レナ「あっ、岡部さんたち、こっちですよー!」
魅音「ちょっとちょっとー、階段だけで疲れてたら今日の部活の勝ち目はないですよー?」
岡部「部活だと?こんな日にもやるというのか」
魅音「早食い、射的、型抜き、これ以上ない大舞台ですよ!」
沙都子「ま、圭一さんにはどれも勝機が見えませんわね」
圭一「なっ、何だと!いいだろう、俺の本気を見せてやる!後で吠え面かくなよ!」
詩音「はろろ~ん、お待たせしましたー」
魅音「お、詩音も来たね。一人?」
詩音「葛西なら、わたあめ買って帰りましたよ」
レナ「はっぅ~!巫女服姿の梨花ちゃん、かぁいいよぉ~!」
岡部「古手梨花。古手神社の一人娘。巫女服がとても似合っている・・・だがおと
紅莉栖「違う違う違う」
魅音「よっしゃ、今年の部活は盛り上がっていくぞー!」
岡部「すまないが、俺は辞退させて欲しい。生憎手負いなものでな」
紅莉栖「私も。審査員側にまわるわ」
魅音「そっか、お疲れですもんね。じゃあ7人で勝負!」
岡部「そのかわり」
おもむろに財布から1枚の紙幣を抜き出す。
岡部「フゥーハハハ!見事総合優勝を飾ったものには、俺から1万円を贈呈しようではないか!」
圭一「おおお1万円!大学生ってすげぇ!」
紅莉栖「あら太っ腹。じゃあ私からは2位の人に5千円!」
魅音「さぁさぁ、今年はスポンサー付きだ!七凶爆闘、開始!」
魅音「いっちまんえーん!」
沙都子「ごっせんえーん!」
圭一「ちくしょう、早食いですら勝てないとか何者なんだよお前ら・・・」
岡部「総合1位の園崎魅音、栄誉を称え、ここに1万円を贈呈する」
魅音「へへぇー。ありがてぇありがてぇ」
紅莉栖「はい、沙都子ちゃん。大事に使うのよ」
沙都子「しばらくは夕食にもう一品追加できそうですわね」
梨花「では、ボクはそろそろ儀式の準備に入るのですよ」
圭一「よし、俺達も行こうぜ!最前列とらなきゃな!」
魅音「オッケー!岡部さん達も絶対見に来てくださいよー!」
岡部「やれやれ、ついさっきまで闘志むき出しだったというのに」
紅莉栖「試合以外では敵見方なし。ノーサイドの精神ってやつよ」
紅莉栖「もうちょっと色々見て回らない?」
岡部「そうだな、何でも買ってやろう。なんたって今の俺は超リッチメンだからな」
紅莉栖「ったく、ちょっと財布が潤っただけで態度が大きくなるんだから」
岡部「”ちょっと”だと・・・?このセレブめが」
紅莉栖「私だってこんな大金手にしたことないわよ。お札で財布がパンパンなんて初めて」
岡部「・・・似合っているぞ、その財布」
紅莉栖「ふぇ・・・あ、ありがと」
岡部「その財布を買ったとき、なにか失礼な事を言った気がする」
紅莉栖「『そういった小物の可愛らしさで中和しないとな』って言ったわ。ハッキリと」
岡部「なぜ一字一句覚えているのだ・・・その、すまなかった」
紅莉栖「・・・手、繋いでくれたら許してあげる」
圭一「お、羽入、遅いぞー」
羽入「ごめんなさいです。お手洗いが混んでたのです」
岡部「富竹さん、間に合ったんですね」
富竹「うん、今日の儀式はどうしても写真に収めたくてね」
紅莉栖「鷹野さんはどうなりました?」
富竹「うん、容態も少し落ち着いて、ぐっすり眠っているよ」
紅莉栖「そう・・・よかった」
富竹「雛見沢症候群の予防には、9時間以上の睡眠がいいといわれているんだよ」
岡部「じゃあ俺達は知らぬうちに予防対策を行っていたのだな」
紅莉栖「そういえばそうね、10時には寝てたもの」
富竹「しかし、二人ともいつの間にそんな仲に?」
二人の繋がれた手に視線を落とし、少年のような笑顔を見せた。
富竹「ここで始めて会ったとき、そうは見えなかったんだけどなぁ」
岡部「い、いや、そんなんじゃないですよ」
紅莉栖「・・・鷹野さんは、この後どうなるんですか?」
富竹「彼女の件は、僕が全面的に引き受けた。近いうちに投薬療法を進めていこうと思っている」
岡部「投薬?もう薬が完成したのですか?」
富竹「今はまだ実験段階さ。これから改良を加えていくんだ」
紅莉栖「お願いです。絶対に鷹野さんを助けてあげてください」
富竹「・・・彼女は雛見沢症候群の”最大の被害者”だ。全力を尽くすつもりだよ」
岡部「献身的な姿を見せて、鷹野さんの気持ちを引きつけるんですね」
富竹「あれ?僕の完璧な作戦がもう見破られちゃったのかい?なんてね。あっはっは」
わざとらしい乾いた笑いが収まると、帽子を脱いで遠くを見つめた。
富竹「・・・今年の綿流しは、今までで一番忘れられない日になりそうだよ」
『皆様、これより古手梨花様による綿流しの儀式が行われます。境内までお集まりくださいませ』
身の丈よりも長い鍬を振り上げる度に、小さな体がよろめきかける。
紅莉栖「ふふ、かわいい」
岡部「たとえ何年ループしようと、体は小学生のままだものな」
梨花(くっ・・・子供用の鍬ぐらい、用意しといてよ・・・!)
さすがに重い。額にジワリと汗が滲む。
チラリと横目で観客を見渡すと、老人達は皆手を合わせ拝み続けている。
そんな中、仲睦まじく手を繋ぐ岡部と紅莉栖の姿があった。
梨花(あら、あの二人ったらいつの間に)
次いで羽入と目が合うと、ニッコリと微笑み返してきた。
梨花(? 何よあいつ・・・ああ、そういうことね。すっかり忘れてたわ)
観客には聞こえないよう、フフッと小さく鼻で笑う。
―――オヤシロ様は元々 縁結びの神様なんだっけ―――
梨花「はふー、緊張したのですー」
レナ「ヨタヨタしてて、とーってもかぁいかったよぉ~!」
沙都子「でも、あの真剣な表情はとてもかっこよかったですわ!」
羽入「大役お疲れ様なのです」
圭一「さて、この後どうする?綿流しまではまだあるんだろ?」
梨花「ボクは着替えたりなんだりで忙しいので、皆で楽しんできて欲しいのです」
岡部「俺達もちょっとその辺をブラっと散歩してくる。気にせず遊んでてくれ」
魅音「はーい。そんじゃ各自、自由行動ー」
魅音「・・・さて、と、ちょっと行く所があるんで」
圭一「おや魅音さん、奇遇ですな、私もちょっとアテがありまして」
レナ「はぅ~、二人とも悪い顔してるー」
圭一「そういうお前だって、目が笑ってるぞぉー?」
岡部「ちょうどいい、そこに腰掛けるか」
紅莉栖「祭具殿・・・何かしら、この建物」
岡部「名前から察するに、さっきの鍬みたいな物の保管庫だろう」
入り口前の石段に、並んで腰掛ける。
紅莉栖「本当に、夢じゃないのよね、これって」
岡部「もし夢だとしたら、悲しいな」
紅莉栖「また今まで通りの貧乏学生に戻るから?」
岡部「いや。・・・それも無くはないが」
体の向きを変え、紅莉栖の顔を正面に見据えた。
紅莉栖はつい目を逸らしてしまう。
岡部「お前の気持ちを聞けたことが、幻となってしまうからだ」
岡部「言うまでもないが、あえて言わせて欲しい。お前のことが好きだ」
紅莉栖「うが・・・」///
岡部「これが俺の本心だ。お前の気持ちも聞かせて欲しい」
紅莉栖「え、わ、私だって、あんたのこと、尊敬できたり頼りになる面とかもあるけど・・・」
―――心を開けば、自ずといい結果が導き出されるものだ―――
紅莉栖「っ・・・」
岡部「どうした」
紅莉栖「・・・うん、私ももう隠さないことにする」
覚悟を決め、岡部の顔を正面に見据える。
紅莉栖「・・・わ・・・私も、す、すすす、すす好きです!」
岡部「うぉっ、声でかい」
少し離れた所の草場が風もないのにガサリと揺れたが、二人は気付かなかった。
岡部「・・・やっと、聞けた。長かった」
紅莉栖「や、やっとって、どういうことですか?」
岡部「何故敬語になる。まあ、8月に色々と、な」
紅莉栖「ああ、さっき聞かせてくれた話・・・」
岡部「あの時ほどEnterキーを憎んだ日はない」
紅莉栖「・・・その時の私って、もう岡部のことが好きだったのかな」
岡部「好きでもない相手と2回もキスするのか、お前は」
紅莉栖「ふぇ!?キ、キスって何それ、早くない!?って2回!?」
梨花「賑やかなのですー☆」
紅莉栖「ひわぁっ!!」
紅莉栖「え、えっと、いや、その」
羽入「あぅあぅ、恋愛成就、恋愛成就なのです~♪」
紅莉栖「・・・ど、どこから聞いてた?」
梨花「お前の気持ちを聞けたことが、幻となってしまうからだ。 ってあたりね」
紅莉栖「ほぼ最初からじゃないのよ・・・!」
梨花「初めて会った時のお返しよ、ふふ」
岡部「・・・あー、見事な流れだ」
梨花「実は二人を探してたの。そしたら羽入がここにいるんじゃないかって」
岡部「それもオヤシロパワーか」
羽入「いいえ、必然なのです」
梨花「オヤシロパワーって何よ」
岡部「なんだ、それくらい別に皆の前でもよかっただろう?」
梨花「今まで、数え切れないほどの6月を繰り返してきた」
岡部「・・・そういう話か」
梨花「今回が最後って時にこのバカ先祖が間違って二人を連れてきたときは心底ムカついたけど」
羽入「あぅー」
梨花「まさか、その二人のお陰で助かるなんてね・・・」
ポタリ、梨花の目から雫がこぼれ落ちた。
サッと地面を足でもみ消し、顔を見られないように俯く。
岡部「隠さなくてもいい。存分に泣くといい」
梨花「な、泣いてなんか・・・」
岡部「強がるな。お前はもうただの小学生だ」
梨花「っ・・・!」
岡部「だから泣け。小学生らしく精一杯な」
梨花「・・・っく、ひっく、う、うぁ・・・うわあああああん!」
体にしがみついて泣きじゃくる梨花の頭をやさしく撫でる。
彼女の心を覆い尽くしていた魔女の影は、満天の星空の光によって霧消した。
圭一「よかったな、梨花ちゃん」
レナ「ほんと、よかった・・・ぐす」
沙都子「梨花が泣いてる所なんて、初めて見ましたわ」
魅音「あーだめだ。おじさんこういうの弱いんだー。ほら、皆もう戻るよ」
圭一「そうだな。今はそっとしといてあげよう」
詩音「やれやれ、盗み聞きなんて悪趣味ですこと」
魅音「って、あんたも最初からいたじゃんか」
羽入「先に戻っててください。ボクも岡部とお話があるのです」
梨花「そう、あまり邪魔しちゃだめよ。私は夜風に当たってくる」
羽入「岡部、そして紅莉栖。二人の多大なる働きに改めてお礼を言わせてもらいます」
絶対に恋バナ(笑)が来ると思っていた二人は、羽入の真剣な表情にたじろいだ。
岡部「いや、感謝の言葉はもういい。当然のことをしたまでだ」
紅莉栖「私はまだ研究の途中だもの。まだ終わってないわ」
岡部「で、話とは何だ。お礼を言うために残ったわけではないのだろう?」
羽入「・・・お二人には、謝らなければならないことがあります」
岡部「・・・話してみろ」
羽入「以前、お二人は私の不注意でこの世界に紛れ込んだという話をしましたね」
岡部「ああ、俺達のカケラを拾って、途中で落としたとかいう」
羽入「・・・実は不注意ではなく 私の意志でお二人をこの世界へと招いたのです」
羽入「今にして思えばなんという愚行か、ましてや命の危機に晒してしまうなど。詫びても詫びきれません」
岡部「どういう経緯で俺達のカケラを手に入れた?」
羽入「それ自身は偶然といいましょうか。たまたま目に入ったカケラが、不規則な動きをしていたのです」
岡部「不規則、か。理由はわかる」
羽入「時を遡り、世界を移動し、そしてまた時を跳躍する。そのようなカケラは初めて目にしました」
岡部「あの頃は必死だった。命も顧みずな」
羽入「この男達ならば、塞がれた迷路に光を呼び込める、・・・つい、魔が差したのです」
岡部「・・・」
羽入「許しをいただけるのであれば、今はどのような罵りの言葉でさえも心に受け止めましょう」
岡部「・・・」
深々と頭を下げる羽入に、大股でズカズカと近づく。
紅莉栖「お、岡部、優しくしてあげて・・・」
岡部「そんなことはどうでもよい!というか、脅かすな!」
紅莉栖「あ、あれ・・・?」
羽入「・・・お怒りにはなられないのですか?」
岡部「怒る?別に怒る理由などない」
羽入「・・・あ、あぅ・・・」
岡部「むしろ感謝している。その・・・紅莉栖と、な?」
紅莉栖「ま、まぁ確かにそれはこの事が無かったら言えなかった、かも」
岡部「まあ、鷹野さんとのアレだって気にはしない。あの程度のピンチなど慣れっこだ」
紅莉栖「腰ぬかしてたけどね。くすくす」
岡部「あっ!笑いやがった!慣れているとはいえ怖いものは怖いのだ!」
紅莉栖「うふふ、ごめんごめん」
羽入「あぅ、あぅあぅあぅあぅあぅあぅあぅあぅあぅあぅ・・・」
岡部「なっ!?お前まで泣き出すのか!なんか俺が泣かしてばかりいるみたいではないか!」
羽入はヘナヘナと、力なく地面に膝をついた。
羽入「難しい言い回しも練習して、少しでも反省してる感を出そうと頑張ったのですよ!」
岡部「まあ、確かに威厳はあったが」
紅莉栖「もし本当に罵りの言葉をぶつけられ続けたとしても、耐えられたの?」
羽入「・・・途中で、静かに涙を流す作戦だったのです」
岡部「うわ、こいつ小賢しい!」
羽入「あぅあぅあぅあぅあぅあぅあぅあぅあぅあぅあぅあぅあぅあぅ」
岡部「・・・もういい。泣きやめ。怒ってないから」
羽入「ごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさい・・・」
岡部「これが夢でもなく、ちゃんと2010年に戻れるのならば何も問題はない」
紅莉栖「ほら、そろそろ梨花ちゃんの所に戻らないと、それこそ怒られちゃうわよ」
羽入「あぅ!?じゃ、じゃあボクは戻るのです!また後で!」
岡部「いや、いきなり『はい、綿』と渡されてもだな」
紅莉栖「どうするの?これ」
魅音「説明してませんでしたっけ?これをそこの川に流すんです」
詩音「古くなった綿の供養と同時に、この綿が自分の悪いところを吸い取って流してくれるんですよ」
紅莉栖「日本ってこういうところがロマンチックね」
岡部「だが、こんなものを大量に川に流していいものなのか?」
魅音「ご心配なく、ちゃんと下流に回収班がいますから」
岡部「回収班というのはレナのことか?」
レナ「? なんでレナなの?」
岡部「いや、かぁいいかぁいいと言いながら全部を集めて回るのかと」
魅音「あっはっはっは!想像できるー!」
レナ「んもー!綿は別にかぁいくないよー!」
沙都子「その言葉、そっくりそのままお返ししますわ」
紅莉栖「うーん、悪いところか・・・何にしようかな」
岡部「提案がある。俺とお前の綿、合わせて一つにしないか」
紅莉栖「なんで?」
岡部「二人分の綿の力で、雛見沢症候群という悪しき風土を流してもらおう」
紅莉栖「・・・素敵ね。賛成」
二つの綿を重ね合わせると、簡単にくっついて大きな綿となった。
岡部「ほら、上に手を重ねるんだ」
綿を持った左手の上に自分の右手を重ね、目を閉じて強く念じる。
岡部「よし、綿よ、お前には少しばかり荷が重いかもしれんが、頼んだぞ」
願いの詰まった大きな綿はゆっくりと川の流れに乗り、二人のもとを離れていった。
レナ「あっ、岡部さんの綿、おっきい・・・かぁいい・・・!」
岡部「やめてくれ」
レナ「んーとね、9時ちょっと過ぎたくらい」
魅音「んー、微妙な時間だなー」
岡部「今日はもう解散にしよう。皆も疲れただろう」
圭一「そうですね。じゃあ皆、また明日な!」
レナ「ばいばーい!」
沙都子「では、私も梨花達と合流して帰りますわ」
詩音「私はお姉の所に泊まります」
魅音「じゃ、私たちも帰るか」
大石「おや皆さん、お帰りですか」
岡部「大石さん。いらしてたんですか」
大石「なに、ちょっと寄っただけですよ。んっふっふ」
岡部「なんだ」
魅音「二人って、付き合ってんの?」
岡部「・・・何を今更。さっき覗いていただろ」
魅音「あちゃー、バレてました?」
岡部「えっ?本当に覗いていたのか?」
魅音「えっ?適当に言ったんですか?」
岡部「むぅ・・・まあいい、そういうことだ」
詩音「牧瀬さん、夜道でもわかるくらい顔が真っ赤ですよー?」
紅莉栖「こ、こっち見んな!」///
魅音「・・・いいですね、両想いって」
詩音「ホント、お姉ももっとがんばらないとね」
岡部「ほう、相手は圭一か?今夜はその辺をじっくり聞かせてもらおうではないか」
魅音「だー!なんで矛先こっちに向けんのさ!詩音のバカ!」
岡部「ふはへは」
紅莉栖「ほんと、充実した1日だったわ」
岡部「ほはへはまはへんひほうはは」
紅莉栖「日本語でおk」
岡部「よっ・・・お前はまだ元気そうだな」
紅莉栖「私だってクタクタよ。岡部ほどではないだろうけど」
岡部「明日も研究所に行くのだろう?もう休もう」
紅莉栖「そうね、気持ちを切り替えないと」
岡部「折角だから一緒の布団で寝るか?さあ来い」
紅莉栖「ちょ、調子に乗んな」///
岡部「冗談だ。おやすみ」
岡部「ほいきた」
紅莉栖「なんで銃の知識に長けてるの?詩音さんの銃を知ってたり、咄嗟に撃てないようにしたりとか」
岡部「FPSのおかげだな」
紅莉栖「FPS?FPS・・・え、ゲーム?」
岡部「知識だけは豊富だぞ?最初で最後の実践で右手首がご覧の有様だが」
紅莉栖「・・・呆れた。ゲーム脳もここまでいったら大したもんね。耳は大丈夫?」
岡部「ああ、そういえばもうほとんど治っている」
紅莉栖「そう、よかった。・・・ちょっと、手出して」
左手を差し出すと、紅莉栖の両手が優しく包み込んだ。
紅莉栖「一緒の布団ではまだ寝られないけど・・・これくらいだったら」
岡部「ああ、十分だ。おやすみ」
紅莉栖「うん、おやすみ」
紅莉栖「・・・確か、10時頃」
岡部「・・・現在の時刻は?」
紅莉栖「・・・11時」
岡部「・・・経過したのは1時間だけか?」
紅莉栖「・・・太陽が出てるわ」
岡部「・・・」
紅莉栖「・・・」
二人は飛び上がり、猛ダッシュで玄関へと向かう。
紅莉栖「ああもう!寝坊ってレベルじゃねーぞ!」
お魎「おお、よう寝とったな」
岡部「よく寝すぎました!」
研究所のドアを開けると、入江が驚いた顔でこちらを見ていた。
入江「ひっ、あれ、岡部くんと牧瀬さん?」
岡部「・・・誰もいない」
入江「昨日は色々とあったんで、今日はお休みにしました」
紅莉栖「・・・あるぇー?」
入江「お二人の話は聞きました。なので今日はてっきり休むものだとばかり」
紅莉栖「入江先生は一人で何を?」
入江「昨日の件の整理です」
岡部「せっかくなので手伝います。このまま帰っても恥ずかしいので」
入江「それは助かります。そういえば、お二人はいつまでお手伝いを?」
岡部「・・・そういえばそうだな」
紅莉栖「後で羽入ちゃんに聞いてみるしかないわね」
岡部「俺だ」
紅莉栖「他の二人は?」
羽入「お買い物に行ってるのです。どうしたのですか?」
岡部「聞きたいことがある。俺達はいつまで雛見沢にいればいいのだ?」
羽入はハッと目を見開き、申し訳なさそうに目を伏せた。
羽入「・・・誠に言い辛いのですが・・・」
岡部「お、おい・・・まさか・・・」
羽入「・・・あと1週間、滞在してもらいたいのです」
岡部「いや、だからその不安を煽る前フリはやめろ」
紅莉栖「1週間後に何かあるの?」
羽入「ボクのオヤシロパワーが満タンになるのです」
岡部「あれって、紅莉栖が腕の中でもがいたから逸れただけではないのか?」
羽入「そうなるように仕組んだのもボクの力なのです」
岡部「実体化してもそのような力が使えるのか」
羽入「ちなみに二人を元の世界に戻すには、オヤシロパワー2か月分を要するのです」
岡部「仲介手数料かっ」
紅莉栖「戻ったとして、元の世界ではどれくらい時間が経過してるの?」
羽入「多分、来たときからさほど経過していないと思うのです」
岡部「・・・まさに、夢のような話だ」
紅莉栖「聞きたかったのはそれだけなの。じゃあね」
羽入「はい、いつでも来てくださいなのです」
入江「本日をもって、岡部君と牧瀬さんがお帰りになられます」
研究員達から、大きな拍手が巻き起こる。
岡部「お世話になりました。これからは印刷とホッチキス留めのプロとして生きていきます」
所内が笑いに包まれる。
紅莉栖「私も、微力ながら研究に携わらせてもらったことに感謝します」
入江「何をおっしゃいます。我々だけではこの成果の3分の1も到達できませんでしたよ」
岡部「しかし、1週間前まで実験段階だった薬がもうここまでできるとは」
入江「資金だけは不自由しておりませんので。ここまで来れたのも牧瀬さんのお力添えがあったからこそ」
紅莉栖の手を取り、硬く握手を交わす。
入江「今回の研究、お二方との連名で論文を書かせてもらえませんか」
岡部「いや、俺なんて雑用ばかりでしたし、論文に名を残すようなことはしていませんよ」
紅莉栖「私、お忍びでここに来てるんです。名前を残しちゃったらちょっとマズイかも」
入江「そうですか、残念です。ではお気をつけて。いつでも遊びに来てください」
研究所を出ると二人は深々と研究所に頭を下げ、その場を後にした。
園崎家の玄関に、見慣れた5人の姿があった。
魅音「お帰りなさーい」
レナ「もう帰っちゃうんですね。寂しくなっちゃいます」
沙都子「また遊びに来てくださいまし!いつでも歓迎ですわよ!」
紅莉栖「・・・うん、ありがと」
詩音「お送りはいいんですか?葛西に言えば駅まで送ってくれますけど」
岡部「ああ、ちょっと寄るところがあるんでな」
圭一「それじゃ、気をつけて!またいつか会いましょうね!」
岡部「ああ、またいつか、な」
手を振り続ける5人の姿が見えなくなる。
岡部「・・・よし、行くぞ」
紅莉栖「うん。本当に最後に会う人がいるもの」
梨花「ごめんなさい、わざわざ神社まで呼びつけちゃって」
紅莉栖「羽入ちゃんは?」
梨花「もうすぐ来ると思う」
羽入「お待たせなのですー」
巫女服姿の羽入が小走りでやってきた。
梨花「何よ、遅れたのはそれに着替えるためだったの?」
羽入「はいです。最後の大仕事なので」
岡部「それ、オヤシロ様の公式コスチュームなのか」
紅莉栖「脇のところ、大胆なスリットね」
岡部「腕のところ、どうなってるんだ?それ」
羽入「そ、そのことは別にどうでもいいのです!」
手にした大幣をゆっくりと高く振り上げた。
羽入「人の子よ、一歩前へ」
数分前から想像も出来ないような荘厳な立ち振る舞いに、3人は息を呑む。
羽入「では、参ります」
高く構えた大幣を勢いよく振り下ろし、カッと眼を見開いた!
羽入「オヤシロあぅあぅ、ペタペタあぅあぅ、オヤシロパワー2か月分!!!ドーーーン☆」
梨花「・・・ひっどいわね」
岡部「っ・・・ん?あれ?まだ移動していない」
紅莉栖「まさか、失敗?」
羽入「今のは魔法をかけたようなもの。来たときと逆の手順で戻れるようになったのです」
岡部「来たとき・・・ああ、なるほど」
羽入「ちなみに、この儀式には何の意味もないのです。雰囲気作りなのですよ」
梨花「ええ、お別れ。岡部達との2週間は忘れられない思い出になるわ」
岡部「では、2010年の秋葉原で待っているぞ」
梨花「・・・ふふ、そうね。どこに住んでるの?」
岡部「”未来ガジェット研究所”だ。巨大な高層ビルの1フロアを借しきって運営している」
紅莉栖「うわ」
梨花「嘘でしょそれ。古手神社の巫女をなめないでよ」
岡部「さあな、見てのお楽しみだ」
羽入「バスの時間も近いのです。そろそろ行かないと」
岡部「もう7月だ。悔いの残らない夏を堪能しろよ。じゃあな」
紅莉栖「さようなら、梨花ちゃん、羽入ちゃん」
羽入「バイバイなのですー!」
梨花「悔いの残らない、か・・・。羽入、めいっぱい遊ぶわよー!」
羽入「おー!賛成なのですよー!」
興宮署は3日、雛見沢内の複数の場所から偽造と思われる硬貨が見つかったと発表した。
硬貨は材質、重量ともに本物と見分けがつかないほどに精巧であるものの、
「昭和」ではなく「平成」と刻印がされており、愉快犯である可能性が高いという。
発見されたのは、鹿骨交通興宮営業所から2枚、雛見沢内の商店から2枚、
先月26日に行われた綿流し祭の露店から1枚の計5枚。
他の場所からの発見も可能性もあるため、興宮署では引き続き捜査を続けている。
熊谷「しかしまぁ、なんで”平成”なんて入れたんですかね?」
大石「どういう意味です?」
熊谷「だってこれ、”昭和”って入れてたら絶対バレてないですよ」
大石「熊ちゃん、署内では下手なことは言わないほうがいいですよぉ」
熊谷「おっと」
大石「んっふっふ、聞かなかったことにしときましょう。ですがね」
胸ポケットから一本のタバコを取り出し、近くにあったマッチで火をつける。
大石「この事件の犯人は、きっと我々では捕まえられない、そんな気がしてならないんです」
熊谷「大石さんとは思えない弱気な発言ですね」
大石「それこそ、神様の力でも借りない限りね。んっふっふ」
岡部「覚えてましたか」
「若い人なんて滅多に乗らんからね。あっはっは」
他の乗客はいない。一番後ろの席に並んで腰掛けた。
紅莉栖「・・・もう、会えないのよね。あの子達、ううん、雛見沢の人たちに」
岡部「ああ、多分会うことはないだろう」
紅莉栖「・・・悲しいね、とっても」
小さく嗚咽をもらす紅莉栖の手を取り、目を閉じた。
岡部「何も死ぬわけじゃない。会えないとはいえ俺達とは違う世界でちゃんと生き続けるさ」
紅莉栖「そうだよね。うん、そう」
岡部の肩に頭を乗せ、瞳を閉じる。
耳の奥がチクリと痛み、そのまま二人は意識を失った。
ああ、いつだかの天の声か。
―――なるほど、時に強制手は戦法になりうる、と―――
そのようだな、記念すべき初勝利だ。
―――よい棋譜だった。我が物語の次の題の参考とさせてもらおうか―――
盗作か。
―――む、言うではないか―――
ま、好きにするといい。無論主人公は俺だな?
―――それではただのノベライズに他ならぬ。キャストは変えさせてもらおうか―――
なんだ、なにも見返りは無しか。
―――ふむ、それもそうだ。わかった、その内、もう一つだけ小さな奇跡をご覧に入れようぞ―――
ああ、期待しないで待っている。
―――ふふふ、これだから偏屈者との会話はやめられぬ―――
なっ、誰が偏屈だ。失礼な・・・いなくなりやがった、くそ。
あら、2週間前の。ごきげんよう。
―――最悪な気分よ。何よこのゲロカスラブコメ。吐き気がするわ―――
妬いてるの?
―――・・・あんたのこと、本気で嫌いになりそう―――
そういえば貴方、梨花ちゃんに声が似てるわね。口は汚いけど。
―――・・・に、にぱー―――
えっ。 えっ。
―――な、なんでもないわよ。もう帰るわ―――
待って。この物語を見せてくれたのって、貴方なの?
―――正確には違うけど、まあそんなところよ―――
ありがとう。感謝するわ。
―――なっ・・・ああああもう甘ったるい!もうあんたとは二度と会わない!―――
・・・行っちゃった。
岡部「ん・・・」
ここは?・・・まさか!
寝ぼけ眼で周りを見渡す。
岡部「・・・帰ってきた・・・紅莉栖、起きろ!帰ってきた!ラボに帰ってきたぞ!」
紅莉栖「ふぇ、何・・・ラボ?えっ、あ、本当!」
岡部「今は何日の何時だ!」
慌てて携帯を取り出す。
岡部「あの時から、1時間も経っていない・・・?」
紅莉栖「ほ・・・本当に夢じゃないのよね・・・?」
岡部「あ、あんなはっきりとした記憶が夢とは思えんが・・・」
まゆり「トゥットゥルー♪」
岡部「ふぉう!?」
紅莉栖「ふぉう!?」
まゆり「30分くらい前からいたよー。今日はバイトだから立ち寄ったのです」
まゆりの携帯電話が鳴る。
まゆり「あ、萌郁さんから。”ちょっとちょっと何コレ!キャー(///▽///)”だってー♪」
紅莉栖「・・・嫌な予感がするけど、何てメールを送ったの?」
まゆり「二人の寝顔を撮って、送っちゃったのです」
岡部「そうか、その音で目を覚ましたのか・・・まぁ、萌郁だけなら」
まゆり「ちなみに、ラボメン全員に送っちゃった♪」
岡部「なっ!何をするだァーッ!」
紅莉栖「なっ!何をするだァーッ!」
まゆり「はいこれ、仲よしさんだねー♪」
まゆりが携帯電話をこちらへ向ける。
そこには、手を取り合い、肩を寄せ合って中睦まじく眠る二人の姿が映っていた。
紅莉栖「ち、違うの!いや違わないけど!じゃなくて、これは・・・」
岡部「・・・もういい、ラボメン全員に知れ渡った以上、隠しても無駄だ」
岡部は勢いよく立ち上がり、紅莉栖の手を取り、起立を促す。
岡部「そう、俺と紅莉栖は”2週間の時”を経て、ついに想いが通じ合ったのである!」
紅莉栖「ちょ、声大きい!外に聞こえちゃうから!」///
岡部「まゆり!ラボメン各員へ召集メールの送信を命ずる!」
まゆり「イエッサー!」
紅莉栖「な、何をする気?」
岡部「フゥーハハハ!我等の関係をラボメンに見せ付けてやるのだ!」
紅莉栖「なっ!ちょ、まゆり!メールは送らないで!」
まゆり「もう送っちゃったー♪」
紅莉栖「な、なにをする、きさまらー!」
岡部「なお これより本作戦を”オペレーション・フレイヤ”と命名する!」
-fin-
紅莉栖「・・・」
岡部「・・・」
紅莉栖「・・・」ペラリ
岡部「・・・」チラッ
紅莉栖「・・・」
岡部「・・・なぁ、紅莉栖」
紅莉栖「・・・」ペラリ
岡部「・・・あの、紅莉栖さん」
紅莉栖「・・・」
岡部「・・・牧瀬紅莉栖さん、応答願えますでしょうか」
紅莉栖「何?」
岡部「・・・やはり、怒ってらっしゃいます?」
紅莉栖「別に」
紅莉栖「怒ってない」
岡部「・・・まあ無理もない。正直すまんかった」
紅莉栖「・・・恨むからな」
岡部「完全に舞い上がっていた。冷静に考えたら、あれはないな」
紅莉栖「・・・もう、恥ずかしくて死ぬかと思った」
岡部「ダルのドス黒いオーラに呪い殺されるかと思った」
紅莉栖「ああもう、あのオペレーション何だかの日は思い出したくない」
岡部「・・・本当にすまない」
紅莉栖「だから怒ってないってば。謝らなくていい」
岡部「いや、だがしかし・・・」
紅莉栖「本当に怒ってたら・・・ラボには来てないわよ」
岡部「耳、真っ赤だぞ」
紅莉栖「う、うるさい、こっち見んな」///
岡部「ゴクリ・・・!」
正座する俺を冷たい目で見下ろしていた紅莉栖が、恥ずかしげに微笑む。
紅莉栖「・・・買い物行きたいから、付き合って」
岡部「・・・フッ、わかった。お詫びに何でも欲しい物を買ってやろうではないか」
紅莉栖「あんた、貯金しないの?」
岡部「1日1回財布の中身を見てニヤリとする。いい気分だぞ」
紅莉栖「貧乏学生が大金を掴むとこんなことになるのね」
岡部「失礼な。彼女にプレゼントを買ってあげる素敵な彼氏と
玄関から小さくノックの音がする。
入室時にノックをするという礼儀の備わったラボメンは地球上には存在しない。
ミスターブラウンのノックはこんなかわいいものではない。
―――この二つの真実から導き出される答え―――
来客だ。
30代ほどであろうか。すらりと背の高い女性だった。
麦わら帽子で遮られ、表情は読み取れない。
「へえ、高層ビルの1フロアね」
岡部「えーと、どちら様でしょうか?」
「何よ、呼んだのはそっちじゃない」
聞きなれない、いや、聞いたことが無いわけでもないような声。
岡部「・・・誰だ?」
紅莉栖「どうしたの?」
奥から紅莉栖が顔を出す。
「あら、もしかしていいところを邪魔しちゃったかしら?」
紅莉栖「ふぇ・・・な、何ですか、いきなり」
岡部「探したって、俺をか?」
「ええ、でも途中で気付いたの。460円しか持ってない大学生がそんなビルにいるわけがないってね」
岡部「・・・! ま、まさか・・・」
紅莉栖「嘘・・・!」
―――その内、もう一つだけ小さな奇跡をご覧に入れようぞ―――
麦藁帽子を脱ぐと、青みがかった長い髪が姿を現す。
そして、少女のようなあどけない笑顔を見せた。
「岡部、牧瀬、お久しぶりなのですよ、にぱー☆」
-fin-
原作やらないとフェザリーヌさんわかんないよね
ついでに無線機を盗られたのは天草十三
いやー書いてて楽しかった
少しでも今日という日を楽しく過ごしてもらえたのなら幸いです。
ノシ!!!
Entry ⇒ 2011.12.24 | Category ⇒ シュタインズゲートSS | Comments (0) | Trackbacks (0)