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ナナリー「お兄様、私を叱ってください!!ルルーシュ「ナナリー…」
ナナリー「はい。丁度、喉が渇いたなぁって思っていました」
ルルーシュ「それはよかった。用意しよう」
ナナリー「そんな。お兄様」
ルルーシュ「いいから、俺にやらせてくれ」
ナナリー「はい」
シャーリー「ルルってナナちゃんにだけは優しいよね」
ミレイ「妹に嫉妬は恥ずかしいわよ?」
シャーリー「そんなんじゃありません!」
リヴァル「仲のいい兄妹じゃないか」
カレン「そうね……羨ましい……お兄ちゃん……」
スザク「……」
シャーリー「えー?サボりー?」
ルルーシュ「違う。急用だ」
ミレイ「何の用だぁ?」
ルルーシュ「秘密です」
リヴァル「まーただよ」
ルルーシュ「あとは任せる。それじゃあな、ナナリー?」
ナナリー「いってらっしゃい、お兄様」
カレン「どこに行ってるんだろう」
シャーリー「さぁ?どーせ、いけない場所でしょ」
ミレイ「もしかしてエッチなところ?」
ニーナ「エッチ……」
スザク「僕は違うと思う」
リヴァル「何が?」
スザク「ルルーシュは優しさを履き違えている」
スザク「ルルーシュはナナリーに優しい……。本当にそう思えますか?」
ミレイ「どう見ても優しいわよね?」
シャーリー「ナナちゃんのために炊事洗濯掃除までこなしてるんでしょ?」
リヴァル「主夫だよなぁ、ルルーシュって」
カレン「嫁に欲しいわね」
ニーナ「嫁って……」
スザク「でも、考えてみて欲しい。ナナリーがもし何不自由のない生活ができていれば……ルルーシュは今と同じように接するだろうか」
ミレイ「それは無いんじゃないかな?ナナリーだってそこまで付き纏われるのは嫌でしょ?」
ナナリー「え?いえ、別に……」
スザク「今のルルーシュは腫れ物を扱うようにナナリーに接しているだけじゃないか」
ナナリー「……」
シャーリー「カレン……」
カレン「なに?」
シャーリー「スザクくん、どれだけ失礼なこと言っているか分かってないみたいだし……。注意してあげて」
スザク「ナナリー?」
ナナリー「何でしょうか?」
スザク「ルルーシュに怒られたことってあるかい?」
ナナリー「怒られたことですか?何度もあります」
スザク「何時頃の話?」
ナナリー「えっと……」
スザク「僕と出会う前かな?」
ナナリー「そ、そうです。よく走り回ってお兄様にご迷惑をかけていたので」
スザク「今の状態になってからは?」
ナナリー「……ありません」
スザク「やっぱりか」
カレン「どういうこと?」
スザク「本当に相手のことを想っているなら、叱るはずなんだ。どんなに愛していても、大切に想っていても」
ナナリー「叱る……」
ミレイ「私も。叱られるとヘコんじゃうし」
ニーナ「ミレイちゃんが?」
ミレイ「誰だって落ち込むでしょ?」
ニーナ「ミレイちゃんが?」
ミレイ「……」
カレン「でも、まぁ、スザクくんの言っていることは間違っていないと思うわ」
リヴァル「カレンも叱られたいって思うのか?」
カレン「ええ。好きな相手や尊敬している人からは叱責を受けたいわね」
シャーリー「どうして?マゾ?」
カレン「違うって。貶されることと怒られることは違うってこと」
スザク「そう。本当に大事な人だからこそ怒るんだ。関心の無い人に怒る人なんていないからね」
シャーリー「でもでも、いきなり怒鳴る人っているじゃない?電車とかで」
スザク「それは怒鳴った人が短気なだけだよ。そこに愛情なんてないから」
カレン「怒鳴られても大切にされているかどうかって不思議と分かるのよね……」
スザク「違うんだよ、ナナリー」
ナナリー「どうしてですか?スザクさん、お兄様の言葉が嘘だと言う事ですか?」
スザク「確かにそうした言葉を並べるのも良い事だと思う。だけど、全てを優しい台詞だけで収めてしまうのはいけないと思う」
ナナリー「それは……」
ミレイ「そうよねぇ……。叱って欲しいときってあるかも……」
シャーリー「よくわかりません」
カレン「例えば帰宅が夜遅くなったとするでしょ?」
シャーリー「え?うん」
カレン「それで何も言われないのと怒られるの、どっちがいいって話よ」
シャーリー「怒られるのも嫌だけど、何も言われないのは……寂しいかなぁ……」
カレン「でしょ?」
シャーリー「カレンもそういう経験あるの?」
カレン「うん。あるよ」
シャーリー「どんなの?」
カレン『え?な、なにかまずかったですか?!』
ゼロ『状況がわかりにくい!!もっと完結に書けないのか!?』
カレン『す、すいません……』
ゼロ『全く……』
カレン『ゼロ……あの……』オロオロ
ゼロ『お前には期待しているのだからしっかりやってもらわないと困る……』
カレン『ゼロぉ……!!』
カレン「……えへへ……」
シャーリー「カレン?」
ナナリー「では、怒られない私は……お兄様に愛情を貰っていないということですか?」
スザク「本当の愛情ではないかな。残念だけど」
ナナリー「そんな……そんなこと……」
スザク「ルルーシュのは……ただの同情でしかないはずだ……」
ナナリー「……!!」
ミレイ「スザクくん、流石にそれは……」
スザク「ないと言い切れますか?」
ミレイ「……」
スザク「ナナリーが元気なときは叱っていたのに、今ではそういうことを一切しない。それはやはりナナリーに対して間違った優しさで接しているが故なんだ」
ナナリー「お兄様が……!!」
シャーリー「でも、怒れないよね?」
リヴァル「普通はなぁ……」
スザク「僕はナナリーを怒ることができるよ。大切な存在だから」
カレン「そうなの?」
ニーナ「私もユーフェミア様に叱られたい……鞭とかで……」
ミレイ「ナナリーが良い子だから怒る機会がないだけかもしれないじゃない?」
スザク「それなら問題はないですけど……」
カレン「今日もあたしを叱ってくれないかなぁ……」
ナナリー「お兄様……」
シャーリー「電話?」
カレン「うん。―――もしもし、カレンです」
ミレイ「ナナリーが悪いことするわけないし、ルルーシュだって叱りたいって思ってるぐらいかもね」
シャーリー「あ、それはありそうですね」
ナナリー「お兄様が私を叱りたいと?」
ミレイ「本当はお尻ペンペンしたいんじゃない?」
ナナリー「お、お尻……?!」
シャーリー「もう!会長!!ナナちゃんに変なこと言わないでくださいよ!!」
ミレイ「えー?でもー、あり得ない話でもないし」
ナナリー「……」
ルルーシュ『ナナリー……悪い子だな……。お仕置きだ!!!ほら!!お尻を向けろ!!!反省するまで叩いてやる!!!』ペシッペシッ!!!
ナナリー『あんっあんっ!お兄様!!ごめんなさいっ!!あんっ!!』
ナナリー「……私、叱られてみたいです」
スザク「ナナリー?」
ナナリー「怒られることが愛情を確かめる術となるなら、私は是非とも叱られてみたいです」
ミレイ「でも、無理に叱られることは……」
ナナリー「いけないことですか?」
シャーリー「難しいんじゃないかなぁ……。ルルがナナちゃんを叱るなんて想像できないし……」
リヴァル「だよなぁ」
カレン「ごめんなさい。あたし、そろそろ……」
ミレイ「あ、そうなの?うん、それじゃあ、また明日ね」
カレン「はい」
シャーリー「カレン、なんだか嬉しそう……」
リヴァル「男か?」
シャーリー「まさか」
ナナリー「あの……どうしたらお兄様は私のことを叱ってくれるでしょうか?」
スザク「そうだな……」
ナナリー「……」
咲世子「ナナリー様、そろそろご就寝のお時間ですが」
ナナリー「寝ません」
咲世子「しかし、お体に障りますし」
ナナリー「今日はお兄様が帰ってくるまで寝ないって決めたんです。ごめんなさい」
咲世子「どうして……」
ナナリー「……」
咲世子「わかりました。では、私もお付き合いいたします」
ナナリー「咲世子さんは部屋に戻っていただいても……」
咲世子「いえ。ナナリー様を独り残して自室には戻れませんから」
ナナリー「咲世子さん……ありがとうございます……」
咲世子「ですが、これっきりにしてくださいね」
ナナリー「私を叱っているんですか?」
咲世子「い、いえ!!滅相もありません!!」
咲世子「ナナリー様?」
ナナリー「とにかく、お兄様を待ちます」
咲世子「では、コーヒーでも淹れましょうか?」
ナナリー「咲世子さん……」
咲世子「ルルーシュ様がお帰りになるまでに寝てしまっては事ですから」
ナナリー「はいっ!お願いします!」
咲世子「それでは今しばらくお待ちください」
ナナリー「ありがとうございます」
咲世子「……」スタスタ
ナナリー「……」
ナナリー「…………」
ナナリー「………………はっ!?」
ナナリー「いけない……意識が……」
ナナリー「がんばらないと……がんばって夜更かししてお兄様に叱られなければ……」
ナナリー(スザクさんの言うことにきっと間違いはありません。夜更かしをすればお兄様は私に……)
ルルーシュ『ナナリー……こんな時間まで起きていていいとでも思っていたのか!!!』
ナナリー『お、お兄様……ご、ごめ……』
ルルーシュ『言い訳するな!!お尻を向けろ!!!』
ナナリー『いやぁぁ!!』
ルルーシュ『このっ!!悪魔の子め!!!』ペシッペシッ!!!
ナナリー『いたい!!いたいですっ!!おにいさまぁ!!!』
ナナリー「ふふ……」
ナナリー「お兄様……いけない妹を……是非とも……」
ナナリー「ふふ……」
咲世子「―――ナナリー様、コーヒーをお持ちしました」
ナナリー「……」
咲世子「ナナリー様?」
ナナリー「すぅ……すぅ……」
咲世子「お帰りなさいませ」
ルルーシュ「咲世子さん、どうしてこんな時間まで?」
咲世子「ナナリー様が寝付けなかったようでしたので」
ルルーシュ「そうですか。ありがとうございます」
咲世子「いえ。それではおやすみなさい」
ルルーシュ「はい」
C.C.「……おかえり。待っていたぞ」
ルルーシュ「適当なことをいうな」
C.C.「恋しかったのは本当だが?」
ルルーシュ「黙れ魔女」
C.C.「つれないなぁ……。こんなに可愛い天使が起きて主の帰りを甲斐甲斐しく待っていたというのに」
ルルーシュ「じゃあその大量のピザの空き箱はなんだ!!!」
C.C.「なんだ、一緒に食べたかったのか?なら、そういえばいいのに」
ルルーシュ「そんなわけあるか!!!こっちは疲れているんだ!!余計な体力を使わせるな!!!」
C.C.「やっぱり一緒に食べたかったんだな、お前」
ルルーシュ「うるさい!!」
C.C.「何をカリカリしている?いつものことだが」
ルルーシュ「……向こうで色々あったんだよ」
C.C.「玉城が何かやらかしたか?」
ルルーシュ「カレンだ」
C.C.「珍しいな。お前の前では優等生のあいつが?」
ルルーシュ「最近、細かなミスが目立つ。戦場では申し分ないのだが……」
C.C.「わざとじゃないのか?」
ルルーシュ「わざと?メリットがない」
C.C.「お前に怒られたんだろ」
ルルーシュ「どこの世界にそんな馬鹿がいる。顔を拝んでみたいものだな」
C.C.「お前は本当にそういうことには鈍いな」
ルルーシュ「さて、ナナリーの寝顔でも見て癒されくるか」
ミレイ「ナナリー、やっほー」
ナナリー「どうも」
シャーリー「どうだった、怒られた?」
ナナリー「駄目でした……」
リヴァル「やっぱ、ルルーシュがナナリーを怒るわけなかったか」
スザク「夜更かしじゃ効果はなかったか」
シャーリー「一回夜更かししただけじゃあねえ」
ニーナ「じゃあ、今晩もやってみたらどうかな?」
ナナリー「は、はい……」
スザク「二日連続ならきっとルルーシュも怒り狂うと思う」
ミレイ「二日連続は不良だものね」
ナナリー「不良ですか……」
カレン「昨日はすごく怒られた……今日も……」
シャーリー「そういえばさっきからカレンがずっとにやにやしてる。何か良い事でもあったのかな?」
ナナリー「……」
咲世子「ナナリー様……今日もですか?」
ナナリー「昨日はできませんでしたので」
咲世子「ですが……」
ナナリー「お願いします!どうしても夜更かししてお兄様に……!!」
咲世子「余程、ルルーシュ様とお話がしたいのですね」
ナナリー「はい」
咲世子「分かりました。では、不肖篠崎咲世子。微力ながらナナリー様に片肌脱ぎます!!」
ナナリー「咲世子さん!!ありがとうございます!!」
咲世子「では、眠らないようにしないといけませんね」
ナナリー「どうしたらいいでしょうか?」
咲世子「まずはコーヒーを飲みましょうか」
ナナリー「わかりました」
咲世子「ご用意いたします」
咲世子「どうですか?」
ナナリー「にがいです……」
咲世子「ブラックですからね」
ナナリー「でも、これで寝ないで済みますね」
咲世子「ええ。では、ルルーシュ様がおかえりになるまで私と―――」
ナナリー「……」
咲世子「ナナリー様?」
ナナリー「おにいさまぁ……だめです……あ……」
咲世子「ナナリー様!!」
ナナリー「え?!」
咲世子「大丈夫ですか?」
ナナリー「ごめんなさい……少し意識が……」
咲世子「やはりナナリー様に夜更かしは無理なのではないでしょうか?」
ナナリー「そんな……!!がんばりますから!!咲世子さん!!私は必ず夜更かししてお兄様に!!」
咲世子「ええ……」
ルルーシュ「ナナリー……」
咲世子「ですが、もうお休みになられましたので」
ルルーシュ「そうですか」
咲世子「あの……」
ルルーシュ「はい?」
咲世子「ナナリー様はどうしてもルルーシュ様にお話したいことがあるようです」
ルルーシュ「俺に?」
咲世子「実は昨日と今日、ルルーシュ様にお会いすために夜更かしをすると意気込んで……」
ルルーシュ「そうだったのか……」
咲世子「ルルーシュ様。ご無理を承知で申し上げます……」
ルルーシュ「分かっていますよ。明日は早く帰ってきます」
咲世子「ありがとうございます」
ルルーシュ「ナナリー……一体、俺に何を……?」
スザク「駄目だったのか?」
ナナリー「は、はい……」
ミレイ「二日連続でも駄目なんて……」
リヴァル「じゃあ、これはもう三日目突入だな」
ミレイ「流石に三日連続なんて……」
ニーナ「ミレイちゃん?」
ミレイ「私がルルーシュならビンタよ、ビンタ」
シャーリー「そこまでですか?!」
スザク「これはやりかたを変えるしかないかもしれないね」
ナナリー「やりかた……ですか?」
スザク「夜更かしが駄目なら……」
ナナリー「……」
シャーリー「どうするの?」
スザク「あまり望ましいことじゃないけど、ナナリーがルルーシュの愛を感じたいっていうなら仕方ない」
ゼロ「何度言えばわかるんだ!!!」
カレン「ご、ごめんなさい」
ゼロ「この報告書は……!!」
カレン「ひっ」ビクッ
藤堂「ゼロ、その辺でいいではないか」
ゼロ「藤堂!!しかし!!」
藤堂「紅月は戦場で評価してやるべきではないか?」
ゼロ「そんなもの評価しているに決まっているだろう!!だからこそ怒っている!!!」
カレン「ゼロぉ……」
ゼロ「何をにやけている!!私は怒っているのだぞ!!!カレン!!!」
カレン「……ごめんなさい……」
ゼロ「全く……。ん?もうこんな時間か。私は失礼する」
藤堂「どこに行く?」
ゼロ「私用だ」
ナナリー「……」
咲世子「そろそろお帰りになるとご連絡がありました」
ナナリー「そうですか」
咲世子「ナナリー様?」
ナナリー「咲世子さん。マグカップを持ってきてもらえますか?」
咲世子「何をされるのですか?」
ナナリー「お願いします」
咲世子「……わかりました」
ナナリー「ふぅー……」
咲世子「お持ちしました」
ナナリー「えっと……」
咲世子「ここに」
ナナリー「ありがとうございます」ギュッ
咲世子「ナナリー様……何を……?」
咲世子「ルルーシュ様」
ナナリー「お兄様」
ルルーシュ「ナナリー……」
ナナリー「……てい」ポロッ
ガシャン!!
咲世子「ナナリー様!!」
ルルーシュ「ナナリー!!大丈夫か!!!」
ナナリー「……」
ルルーシュ「破片が足に刺さっていたりしないか?!」
咲世子「すぐに掃除を!!」
ルルーシュ「ナナリー。怪我はないか?」
ナナリー「わ、私はマグカップを落とし、割ってしまいました……」
ルルーシュ「そうだな」
ナナリー「……」
お漏らし?
それじゃあルルにとってご褒美だろうが…
ナナリーがルルーシュを殴ればいいんですね
それもご褒美じゃねえか
ルルーシュ「ここはお願いしてもいいですか?」
咲世子「はい。お任せください」
ナナリー「お兄様……」
ルルーシュ「怪我がないようで良かった。……ナナリー、俺に話があるそうだな」
ナナリー「え……」
ルルーシュ「部屋で聞くよ。行こうか」
ナナリー「お兄様」
ルルーシュ「どうした?」
ナナリー「わ、私はマグカップを割ってしまったのですよ?」
ルルーシュ「ああ」
ナナリー「お、怒らないのですか……?」
ルルーシュ「俺もティーカップをいくつも割った経験がある。ナナリーを怒る資格はない」
ナナリー「そんな……」
咲世子「ナナリー様……」
ナナリー「……」
ルルーシュ「ナナリー?」
ナナリー「お兄様は私のことを愛していますよね?」
ルルーシュ「当然だろ?何を言っているんだ?」
ナナリー「……ですが、私は不安です。お兄様」
ルルーシュ「俺の言葉が信じられないというのか?」
ナナリー「そ、そんなことは……」
ルルーシュ「俺はナナリーのことを世界で一番愛している」
ナナリー「お兄様……」
ルルーシュ「たとえ世界を敵に回しても俺はナナリーを愛し続ける」
ナナリー「では……あの……」
ルルーシュ「ん?」
ナナリー「私が悪いことをしたら……きちんと怒ってくれますか?」
ルルーシュ「勿論だ。ナナリーが道を誤りそうになれば、叩いてでも正す」
ルルーシュ「ああ。覚悟しておけ。ナナリーだからってそのときは容赦しないからな」
ナナリー「……っ」
ルルーシュ『フハハハハハ!!!!ナナリィィ!!!!貴様はもう人間ではない!!!家畜だ!!!』
ナナリー『お、お兄様……いや……やめてください……』
ルルーシュ『知っているか?馬はな……鞭でお尻を叩くと言う事を聞くんだよ!!!!ナナリィィ!!!!』パシン!!!
ナナリー『あんっ!!』
ルルーシュ『言うことを聞かない妹はこうだ!!!こうだ!!!』パシンッパシン!!!!
ナナリー『おにいさまぁ!!あんっ!!ひゃんっ!!』
ナナリー「……」
ルルーシュ「ナナリー?紅潮しているようだが、熱でもあるのか?」
ナナリー「い、いえ……。大丈夫です」
ルルーシュ「ナナリー。最近、俺の帰りが遅いから不安になったんだな。安心しろ。俺は変わらない」
ナナリー「お兄様ぁ……」
スザク「マグカップも駄目だったのかい?」
ナナリー「はい。お兄様は破片で怪我をしていないか心配してくれたほどで」
ミレイ「うそ……。私だったら割ったマグカップに代わるモノを探すために一日中街を引きずりまわすけどなぁ……」
シャーリー「会長と買い物って拷問ですね」
ミレイ「なんですって?」
リヴァル「でも、ここまでだと難しいなぁ。マジでルルーシュってナナリーのこと怒らないんじゃないか?」
ミレイ「うーん……そうねえ……」
シャーリー「無理かも」
ナナリー「そんな!!私は叱られたい!!お兄様に叱られたいです!!」
ニーナ「ナナリー……そこまで……」
ミレイ「これは仲良し兄妹の危機よね。なんとかしないと」
リヴァル「でも、どうするんです?夜更かしも駄目。カップを割っても駄目。あとは……」
スザク「そうだ。なら、ルルーシュが怒るツボを抑えればいいんじゃないかな?」
ミレイ「それいいかもね」
ナナリー「そういえば……」
シャーリー「どうしたの?」
ナナリー「最近のお兄様、機嫌が悪いときがあるんです。私の前ではそれを隠していますけど」
ミレイ「外でなにやってるのやら」
シャーリー「どうせ下らない事ですよ」
ミレイ「ルルーシュって自分の思い通りにならないと機嫌悪くなるときあるわよね?」
シャーリー「ああ。ありますね。文化祭のときとは予定がすこーし狂っただけでなんかムスってしてますもん」
リヴァル「狂わせてるのは会長だけどな」
ニーナ「うん」
ミレイ「聞こえてるけど」
ナナリー「お兄様の思惑とは違うことをすればいいのですか……」
シャーリー「予定があって初めて成り立つ作戦だけど、結構効果的かも」
ナナリー「なるほど……」
スザク「もしもし、ルルーシュ?」
スザク「今、いいかな?」
ルルーシュ『あとにしてくれると助かるな』
スザク「そうなのか?でも、少しぐらいいいじゃないか」
ルルーシュ『悪いが……あとで頼む……』
スザク「ルルーシュ?」
ルルーシュ『今は取り込んでいるんだ』
スザク「何かあったのかい?」
ルルーシュ『いや……』
スザク「でも、凄く機嫌が悪そうだけど……」
ルルーシュ『なんでもないと言っている!!!』
『ひっ』
スザク「……ご、ごめん」
ルルーシュ『また、掛け直す』
スザク「わ、わかったよ。待ってる」
カレン「あの……今のは……?」
ゼロ「何でもない。それよりもだ……」
カレン「……」
ゼロ「何故、また同じミスをしている?!えぇ?!」
カレン「うっかり……していました……」
ゼロ「君の操縦センスは買っている!!しかし!!組織にいる以上は事務作業もかなしてもらわなければ困る!!」
カレン「はぃ」
ゼロ「君のように兵器を上手く扱える者は貴重だ!!!しかし、こういう書類処理で失敗を重ねられると……!!」
カレン「……すいません」
ゼロ「もういい……」
カレン「え?」
ゼロ「出て行ってくれ!!」バサァッ!
カレン「ひっ……」
ゼロ「……」
玉城「それは新人歓迎会で……」
ゼロ「無断で使うな!!これは立派な横領だ!!!馬鹿者!!!」
玉城「わ、わりぃ……」
ゼロ「全く……!!」
扇「ゼロ。どうしたんだ?最近、気が立っているみたいだけど」
ゼロ「……」
扇「ゼロ……?」
ゼロ「黙れ……!!」
扇「……あ、ああ」
藤堂「ゼロよ。何を苛立っている?」
ゼロ「……」
藤堂「千葉の全身マッサージを受けてみるか?癒されるぞ?」
千葉「あれは藤堂さんにだけですけど!!」
ゼロ「……すまない。色々あって気が尖っているようだ。少しだけ休む」
ゼロ「……」
C.C.「最近、イライラしているな」
ルルーシュ「スザクの件にコーネリアの件……。問題が山積している」
C.C.「それでか」
ルルーシュ「それに……」
C.C.「ナナリーか」
ルルーシュ「俺の思っている以上にナナリーは寂しがっているようだからな」
C.C.「鉄仮面で隠しても妹への情だけは溢れ出るな」
ルルーシュ「早くこの感情もコントロールできるようにならないとな……」
C.C.「できるのかな。童貞坊やに」
ルルーシュ「お前の発言が最も俺を苛立たせる」
C.C.「それは悪かったよ。自重する」
ルルーシュ「ふんっ」
C.C.「……」
ミレイ「そうよね……」
スザク「うーん……」
ナナリー「私はこのままお兄様に優しく頭を撫でられるだけの人生なのでしょうか……」
ニーナ「だめなの?」
ナナリー「そんな何もない毎日……楽しくありません……」
シャーリー「え……?」
ナナリー「はぁ……でも、お兄様にご迷惑をかけてまで自分の欲を満たそうとするのはとても……いけないこと……ですよね……」
リヴァル「そうだなぁ。それは駄目だ」
ナナリー「この想いは胸に秘めておいたほうがいいのでしょうか……。お兄様もそんなこと私には望んでいないでしょうし……」
ミレイ「あ!」
シャーリー「会長?」
ミレイ「そうよ。ルルーシュにとってナナリーには絶対にしてほしくないことをしたらいいんじゃない?」
スザク「例えば?」
ミレイ「男の子と付き合うとか」
ミレイ「でしょ?ルルーシュならきっと怒号と唾を撒き散らしながらナナリーを叱りつけるはず」
シャーリー「そうですか?」
ミレイ「どこの馬の骨とも分からない奴と付き合うとはどういうことだぁぁぁ!!!!!って感じで」
ナナリー「まぁ……♪」
スザク「確かに。ルルーシュならそうなるかもしない」
リヴァル「試してみる価値はあるかもな」
シャーリー「相手役はどうするんですか?」
ミレイ「んー……。最初は彼氏が出来たってことにしておいて、相手を隠す。それで突っ込んできたら……」
シャーリー「間違いなく突っ込んできますよ」
ミレイ「やっぱ、スザクくんが相手役でいいんじゃない?」
スザク「僕ですか?!」
ナナリー「スザクさんと……私が……?」
ミレイ「信憑性あるじゃない?」
ナナリー「……でも、それでお兄様に叱られるなら……なんでもします」
ルルーシュ(今日も疲れたな……。ナナリーの顔を見て癒してもらおう……)
ルルーシュ「―――ただいま」
ナナリー「お兄様……」
ルルーシュ「ナナリー。なんだ、まだ起きていたのか」
ナナリー「お兄様。今日はお話しておきたいことが」
ルルーシュ「なんだ、改まって。怖いな」
ナナリー「私……今日から男性と付き合うことになりました」
ルルーシュ「……え?お腹が空いたって?はは、わかったよ。すぐに用意するから」
ナナリー「私、今日、ボーイフレンドが出来たんです」
ルルーシュ「魚がいいって?はいはい」
ナナリー「……本当です。告白されて……承諾しました」
ルルーシュ「分かってる。ああ、デザートもつけるよ」
ナナリー「お兄様。聞いてください」
ルルーシュ「さてと、料理を始めるか」
ルルーシュ「どうした?」
ナナリー「あの……ですから……」
ルルーシュ「ナナリー」
ナナリー「はい」
ルルーシュ「俺はナナリーのことを世界で最も愛している」
ナナリー「は、はい……」
ルルーシュ「ああ、そうなんだよ。ナナリー」
ナナリー「……彼氏ができました」
ルルーシュ「今日は少し暑かったもんな。ナナリー、風邪でも引いたか?季節の変わり目は体調を崩しやすい」
ナナリー「今度の日曜日にデートの約束もしました!!」
ルルーシュ「……はは……」
ナナリー「お兄様……?」
ルルーシュ「フフフ……はははは……フフフハハハハハハ!!!!!!!」
ナナリー「……!」ビクッ
ガシャーン!!!!
ナナリー「お、お兄様……?」
ルルーシュ「そんなこと……あるわけがない……!!あってたまるかぁ……!!!!」
ナナリー「あ、あの……?」
ルルーシュ「俺の計画は完璧だ!!!条件は全て満たしている!!!」
ナナリー「あの……あの……」オロオロ
ルルーシュ「橋を落としてルートを断て!!!!」
ガシャーン!!!!
ナナリー「きゃっ」
ルルーシュ「ふぅー……ふぅー……!!」
ナナリー「お兄様……あの……」
ルルーシュ「悪い……取り乱した……。最近、少し嫌なことが続いてな……」
ナナリー「い、いえ……」
ルルーシュ「ナナリーが決めた男なら間違いはないだろう……幸せにな……。ああ、結婚式には呼ばなくて結構だ。何をするか分からないからな。俺が」
ルルーシュ「言うな。絶対にな」
ナナリー「どうしてですか?!」
ルルーシュ「……名前を聞けばきっと俺は……道を踏み外す。人間でいられなくなる……」
ナナリー「それはどういうことですか?」
ルルーシュ「頼む、ナナリー。言わないでくれ……。お前の恋人を殺したくない……」
ナナリー「そ、それは……!?」
ルルーシュ「もう休む……おやすみ……ナナリー……」
ナナリー「……」
ルルーシュ「はははは……」フラフラ
ナナリー「スザクさんです」
ルルーシュ「……」
ナナリー「私の相手はスザクさんです。お兄様」
ルルーシュ「スザク……?どこの誰だ?名前だけじゃ……わからないな……」
ナナリー「枢木スザクさんです。お兄様もよく知っている。スザクさんです」
ギアスで嬲り殺す事はできないな
カレン「はぁ……昨日の怒りかたは愛がなかった……。ゼロ……なにかあったの……?」
シャーリー「今日もルルったらサボりですよ」
ミレイ「いつものことじゃない」
シャーリー「だから駄目なんですってば」
スザク「ナナリーはまだ来てないんだ」
リヴァル「昨日の作戦上手くいったんだろうな」
ミレイ「それは大丈夫でしょ」
スザク「そうか。ルルーシュはきっと昨日の夜、怒ることにエネルギーを使いすぎて―――」
ルルーシュ「……」
シャーリー「あ。ルルだ」
リヴァル「よう!お前、そろそろ単位がヤバいんじゃねーの?」
ルルーシュ「スザクは?」
スザク「ルルーシュ?」
ルルーシュ「話がある」
ルルーシュ「……スザク」
スザク「なんだい?」
シャーリー「ちょっと、雰囲気違う気がするんだけど……」
リヴァル「なんかこえぇ……」
ニーナ「ルルーシュ……」
カレン「……」
ルルーシュ「お前のことだ。生半可な覚悟ではないのだろう」
スザク「え?」
ルルーシュ「一晩……寝ずに考えた……。お前になら……ナナリーを……ナナリーを……」
スザク「ルルーシュ?」
ルルーシュ「ナナリーを……任せても……いいと……思って……おもって……って……」
スザク「ルルーシュ、鼻息が荒いけど、大丈夫か?」
ルルーシュ「ま、かせても……はぁ……はぁ……はぁ……いいと……思って……いる……はぁ……はぁ……!!!」
ミレイ「ルルーシュ……大丈夫?保健室、いく?」
ルルーシュ「ナナリー……」
ナナリー「これは……あの……」
ルルーシュ「兄として……たった一人の肉親として……俺は役目を果たした……。もういいな?」
スザク「ルルーシュ!!待ってくれ!!」
ルルーシュ「なんだ……?」
ナナリー「あの……ですから……」
スザク「……」
ルルーシュ「今日は……体調があまり……よくなくてな……。悪いが……早退させて……もら、う……」
スザク「僕はナナリーとは付き合わないよ」
ルルーシュ「……」
ナナリー「スザクさん!」
スザク「まさか、ここまでルルーシュが追い詰められるなんて思ってもみなかった。だから―――」
ルルーシュ「つ……付き合わない……だと……スザァク……」
スザク「ああ。僕はナナリーとは付き合わない。いや、付き合えないんだ。ユーフェミア様の騎士だからね」
スザク「全部、嘘だったんだよ。ルルーシュ」
ルルーシュ「……」
ミレイ「ちょっと……」
シャーリー「こわぃ……」
ニーナ「データのバックアップとっておかないと」カタカタ
リヴァル「ルルーシュくん?あのー……」
カレン「やばそう……」
ナナリー「あぁぁ……お兄様ぁ……」オロオロ
ルルーシュ「嘘……だと……?」
スザク「だから、安心して―――」
ルルーシュ「ふざけるなよぉ!!!!スザァァァク!!!!!!」
スザク「うわ?!」
リヴァル「ルルーシュをとめろ!!」
シャーリー「ルルー!!!」
スザク「ルルーシュ……」
シャーリー「ルル、落ち着いて!!」ギュゥゥ
カレン「ルルーシュくん!」ギュゥゥ
ルルーシュ「ナナリーの想いを!!お前はなんだと思っているんだぁぁ!!!」
スザク「だから、嘘なんだ!」
ルルーシュ「ナナリーに嘘の告白をしたのか!!!貴様ぁぁ!!!!」
ミレイ「どうどう、ルルーシュ」ギュゥゥ
ニーナ「ルルーシュ、暴れないでぇ……」ギュゥゥ
リヴァル「ルルーシュ……こんなときになんだけど……羨ましい奴……」
ナナリー「お兄様……これは全て演技で……」
ルルーシュ「スザァァァァク!!!!頭を地に着けてナナリーに謝れぇぇ!!!!」
スザク「……」
ルルーシュ「ナナリーを……ナナリーを……かえしてくれ……うぅぅ……」
スザク「ルルーシュ……すまない……」
ナナリー「お兄様は?」
咲世子「今、お休みになられました」
ナナリー「そうですか……」
咲世子「相当、疲れていたのでしょう。ベッドに入るとすぐ眠りに」
ナナリー「私が……私がお兄様を追い詰めてしまったんですね……」
咲世子「ナナリー様……それは……」
ナナリー「私はなんてことを……!!こんなはずじゃ……ただ……お兄様に叱られて愛を確かめたかっただけなのに……!!」
咲世子「ナナリー様、気に病むことは……」
ナナリー「私は酷い妹です……うぅ……ぅぅぅ……」
咲世子「……」
C.C.「お邪魔するぞ」
咲世子「C.C.さん」
ナナリー「……」
C.C.「何かあったのか?」
ナナリー「はい……」
C.C.「ナナリーも最近、構ってもらえずに寂しかったのかな?」
ナナリー「そうですね。それもあるかもしれません……」
C.C.「まぁ、今回はナナリーが全て悪いな」
咲世子「そんな!!」
C.C.「諸悪の根源といってもいい」
ナナリー「……」
C.C.「それでもルルーシュはお前のことを叱りはしないだろうな」
ナナリー「……もう、いいです。お兄様をこれ以上、苦しめることはできませんから」
C.C.「そうか」
ナナリー「私にできるのは……。お兄様に心労をできるだけかけないようにすることだったのに。私はそのことを忘れていました」
C.C.「それでこれからどうするつもりだ?」
ナナリー「……お兄様の傍に行きます」
C.C.「それしかないな」
ナナリー「お兄様……」ギュッ
C.C.「……」
ナナリー「ごめんなさい……お兄様……お兄様……」ウルウル
ルルーシュ「ナ……ナナリー……?」
ナナリー「お兄様?」
ルルーシュ「どうした……?」
ナナリー「ごめんなさい……ごめんなさい……」
ルルーシュ「おいおい……どうした?まさか、俺の顔に落書きでもしたのか?」
ナナリー「おにいさまぁ……うぅ……おにいさま……ごめんなさい……」
ルルーシュ「ナナリー……」
ナナリー「ぐすっ……」
C.C.「叱ってやったらどうだ?それでナナリーの気持ちも随分軽くなると思うがな」
ルルーシュ「ナナリー……お前……」
ナナリー「お兄様……ごめんなさい……ごめん、なさい……私が全て……悪いんです……」
ナナリー「お兄様、私を叱ってください!!」
ルルーシュ「ナナリー……」
ナナリー「お願いします……お兄様ぁ……」
ルルーシュ「ならば……お仕置きが必要だな……」
ナナリー「鞭なら私の部屋に」
ルルーシュ「必要ない。ナナリー、反省しているんだな?」
ナナリー「はい」
ルルーシュ「……なら、叱ることはしなくてもいい」
ナナリー「え?」
ルルーシュ「叱るっていうのは相手が間違いに気づいていないときにすることだ。ナナリーのように理解しているものを叱っても何の意味もない。エネルギーの無駄だ」
ナナリー「そうだったのですか……」
ルルーシュ「ナナリーはいつも自分の反省点を理解している。だから、俺は叱れないんだよ」ナデナデ
ナナリー「お兄様……」
C.C.「私にはすぐ怒るくせに」
C.C.「はいはい」
ナナリー「お兄様、この度のことは本当に……」
ルルーシュ「いや。大丈夫だ。様々なことが重なりすぎただけだよ」
ナナリー「はい」
ルルーシュ「でも、もうこういうことはないようにな」
ナナリー「分かりました」
C.C.「童貞坊やも偶には人間らしいことをいうんだな。感心したよ」
ルルーシュ「黙れ!!魔女!!」
C.C.「女に余裕が無いと怒りっぽくなるんだから、少しは大人しくしておいたほうがいいな」
ルルーシュ「きさまぁぁぁ!!!!ふざけるなぁ!!!」
C.C.「ぶつのか?いいぞ、ほら、私のお尻でもぶってみろ。その細く弱りきった腕じゃ痛くもない―――」
ルルーシュ「定規の撓りを利用すれば……どうなるのか……思い知らせてやろうか……?」ヒュンヒュン
C.C.「それは……やめろぉ……!!」
ナナリー「……」
C.C.「痛いじゃないか」
ナナリー「C.C.さん、大丈夫ですか?」
C.C.「割と平気だが……痛い……」
ナナリー「定規という手があったなんて……灯台下暗し……!」
C.C.「何も定規が折れるほどフルスイングしなくてもいいだろ」
ルルーシュ「どうせ同じ事を繰りかえすつもりだろ、貴様」
C.C.「よく分かったな。エスパーも発現したのかな?」
ルルーシュ「貴様の軽口は耳障りだ!!」
C.C.「それは嬉しいなぁ。なら、もっと耳元で囁いてやろう」
ルルーシュ「やめろ!!離れろ!!」
C.C.「ルルーシュぅ?ピザはまだかぁ?」ギュゥゥ
ルルーシュ「魔女がぁ!!!いい加減にしろ!!!」
C.C.「ふふ、何を怒る?それとももう一度、ぶつか?私に体罰なんて意味はないけどな」
ナナリー(お兄様はC.C.さんと話しているとき、いつも怒っていますね……。もしかして……)
ルルーシュ「昨日は散々だったな……」
ミレイ「ルルーシュ。大丈夫?」
ルルーシュ「え?」
シャーリー「ごめん。ルル……。私たちが悪いの。ナナちゃんは全然悪くないの……だから……」
ルルーシュ「分かっている」
カレン「ごめんね、ルルーシュくん」
リヴァル「悪かったな。まさか、あそこまで取り乱すなんて思ってなくてさ」
ルルーシュ「もういいって」
スザク「ルルーシュ……」
ルルーシュ「……」
スザク「すまなかった!!」
ルルーシュ「スザク、昨日のは悪い夢だったんだよ……。それでいいだろ?」
スザク「ルルーシュ……!!」
ニーナ「ルルーシュ、優しいんだ」
ルルーシュ「初めから仲違いなんてしていませんがね」
シャーリー「もうっ、ルルったらぁ」
ルルーシュ「はははは」
ナナリー「……」ウィィィン
ルルーシュ「ナナリー」
シャーリー「あ、ナナちゃん」
ナナリー「……」
ルルーシュ「どうした?」
ナナリー「……ど……」
リヴァル「ど?」
ミレイ「なに?」
ルルーシュ「ナナリー?」
ナナリー「童貞兄様、昨日は申し訳ありませんでした」
ルルーシュ「……」
スザク「ルルーシュ……」
ルルーシュ「ははははは……ナナリー、何を……」
ナナリー「お詫びに私のためにピザを注文することを許します。童貞兄様、早くしてください」
リヴァル「……」
ミレイ「ま、まだ……喧嘩中?」
シャーリー「そ、そっか……そっか……」
ルルーシュ「待て!!」
ニーナ「ふふ……かわいい……」
ルルーシュ「ニーナァァ!!!」
ニーナ「あ、ごめん」
スザク「ルルーシュ……すまない……これもきっと……僕のせいだ……」
ルルーシュ「下らん罪の意識は余計に腹が立つからやめろぉ!!!」
ナナリー「それとも私のお尻を定規でぶちますか?」
ルルーシュ「なんだこれはぁぁぁぁぁ!!!!!」
お仕置きするしかないな
天才か…
カレン「……」スタスタ
カレン(また同じミスしてみたけど。そろそろゼロに愛想尽かされるかもしれない……)
カレン「今回でやめないと」
スパーン!!!スパーン!!!!
カレン「え?」
スパーン!!!スパーン!!!
カレン「な、何、この音……。格納庫から……?」
カレン「今は整備も終わっているから……誰も……いないはず……」ソーッ
カレン「……!?」
ゼロ「お前だろ!!お前しかいない!!!!」スパーン!!!
C.C.「かはっ!?!定規は……鉄の定規は……だめぇ……!!!お尻が割れる……!!」
ゼロ「黙れ!!!」スパーン!!!
C.C.「ぁはっ?!」
カレン「あぁぁ……」ガクガク
C.C.「気をつけ……る……」
ゼロ「全く……。ナナリーを誑かせるなど、言語道断だ。お前は踏み越えてはいけない一線を軽々と越えた。それがこの結果だ。わかったな?!」
C.C.「……」コクッ
ゼロ「はぁ……はぁ……疲れた……。私は休む」
C.C.「ゆっくりやすめよ……」モジモジ
ゼロ「ふんっ!!」
C.C.「……」
カレン「ゼ、ゼロ!!」
ゼロ「カレンか。どうした?」
カレン「……また、間違えました」
ゼロ「そうか。これからは藤堂に指導を頼もう。どうやら私の教え方が悪いらしい」
カレン「え……」
ゼロ「……疲れた。怒るのはもうやめだ……」
カレン「ゼロ!!あの!!私にも定規を!!」
咲世子「そうですか」
ナナリー「C.C.さんの口調ならお兄様も気持ちよく怒ることができると思ったのですが」
咲世子「気持ちよく怒るのは難しいですね」
ナナリー「やはりお兄様に叱ってもらうのは無理なのですね」
咲世子「もう拷問具を傍に置いておいて、四つん這いになっているというのはどうですか?」
ナナリー「それは……」
咲世子「ルルーシュ様もナナリー様の意図するところが分かるはずです」
ナナリー「そうですね。やってみます」
咲世子「定規と鞭、どちらもおいておきましょうか?」
ナナリー「お願いします」
咲世子「畏まりました」
ナナリー「四つん這いになるので、手伝ってもらえますか?」
咲世子「はい」
ナナリー(これでお兄様は……)
ルルーシュ「ただい―――」
ナナリー「……」ドキドキ
ルルーシュ「……」
咲世子「どうぞ。ルルーシュ様。気の向くままに強鞭をふるってください」
ルルーシュ「咲世子さん、少しお話が」
咲世子「はい」
ルルーシュ「あとそこの定規も持ってきてください」
咲世子「畏まりました」
ルルーシュ「……ナナリー、あとでご飯にしような」
ナナリー「はいっ。お兄様」
ナナリー(早く……お兄様……私を叱ってください……力の限り……時間の許す限り……)
ナナリー「……」ドキドキ
スパーン!!!!
おしまい。
変態しかいなかったw
Entry ⇒ 2012.10.04 | Category ⇒ コードギアスSS | Comments (1) | Trackbacks (0)
さやか「まどか記念日」
さやか「一年で一度の現世での休日だー」
さやか「と言う事で現在地はほむらの家だね」
ほむら「ハッピバースデー トゥー ユー…」
さやか「…」
ほむら「ハッピバースデー ディア まどかー…」
ほむら「ハッピバースデー トゥ ユー」
さやか「…暗い」
ほむら「……」
さやか「……」
ほむら「………」
さやか「他の人の様子でも見に行くかぁ…」
ほむら「…」
さやか「駄目だ恭介も杏子もマミさんも寝てた…」
ほむら「…」
さやか「…ほむらまだやってたんだ」
ほむら「…」ジー
さやか「…死んでないよね?」
ほむら「…」
さやか「ずっとロウソク見つめて…変なトリップでもしてるのか!」
ほむら「……」ジー
さやか「…ちょっと様子を見ようかな…?」
さやか「ロウソクが消えるまで微動だにせずか…」
ほむら「まどか…」
ほむら「…はぁ…寝ましょう」スッ
さやか「これは重症だね…」
ほむら「…」スタスタスタ ゴソゴソ
さやか「…」
さやか「しまった!!やる事がなくなった…」
さやか「…まあいいや適当な所で休んでようっと…」
さやか「ふぇ…?もう朝かぁ」
ほむら「…」パチン
さやか「…このほむらはちょっと心配だな」
ほむら「…」スタスタ
さやか「まぁ時間の余裕はまだあるし少し後を追ってみますか」ウシシ
さやか「もくもくと作業しますな、ほむらさんは…」
ほむら「…行ってきます」
さやか「こっちは休みなのに学校とは恐れ入りますなー」
――
―
さやか「…んーほむらは接触が少ないから見ててもつまらないなぁ」
さやか「っと前方にマミさん発見!」
ほむら「…マミ!」
ほむら「少し頼み事があるのだけど、いいかしら?」
マミ「ええ、なに?」
ほむら「今日は学校を休むわ、それと魔獣退治も今日は休ませて欲しいの」
マミ「?それは構わないけど…なにか用事?」
ほむら「ええ」
マミ「…そう、それなら佐倉さんにも私から伝えておくわ」
ほむら「恩に着るわ、マミ」
さやか「ほぅ?」
ほむら「……」スタスタ
さやか「行かないって言ったのに学校の方向に行くのか…」
――
―
ほむら「…」ジー
さやか「…学校なんか眺めて…」
さやか「……私も普通に過ごしてれば今頃この中で勉強してたのかな…」
ほむら「…」スタスタ
さやか「はぁ…人の感傷を無視するとは…酷いぞほむら!」
さやか「まぁ言っても意味ないんだけどね…」
さやか「裏通りなんて歩いて何がしたいんだろう?」
ほむら「…まどか」ボソッ
杏子「おー、ほむらじゃねぇか!!」
ほむら「……おはよう杏子」
さやか「不良少女達め…」
杏子「なにしてんだ?こんな所で」
ほむら「少しね…」
杏子「ふーん」
ほむら「そうそう、マミにも言ったのだけれど今日私は魔獣退治休むわ」
杏子「はぇ!?おいおい暇そうなのになんだよそれ?」
ほむら「用事があるの」
杏子「はぁ?……まぁいいや…いつも世話になってるしそれ位は許してやるよ」
杏子「いや、私も特に用事はないんだが…」
杏子「まぁパトロールってところだ」
ほむら「…そう」
さやか「……あの杏子がねぇ…」
さやか「…この世界の杏子も頑張ってるんだね」
杏子「じゃあ私はこれで行くけど」
ほむら「私はもう少しこの辺りをうろつきたいから」
杏子「…昼飯おごってくれ」
ほむら「もうそんな時間?ってもう過ぎてるのね」
杏子「実は今ちょっとピンチなんだよ」
ほむら「…あなたって…」
ほむら「コンビニ弁当でよければね」
杏子「おぉ、すまねぇ助かった」
ほむら「……」チラッ
杏子「…ん?どうした?」
ほむら「いえ、行きましょう」
―――
――
―
ピロンピロン
杏子「さーてどこで食おうか?」
ほむら「土手が近いからそこに行きましょう」
杏子「わかった」
ほむら「…」ボー
杏子「…」ガツガツガツ
ほむら「…」ボー
さやか「ほむらは上の空だね…」
杏子「ガツガ…おいほむら、食べないのか?」
ほむら「…いえ食べるわよ」パクパク
杏子「大丈夫か?調子悪いとかなら言えよ?」ガツガツ
ほむら「問題ないわ、ちょっと考え事をしてただけだから」
杏子「…そっか」
杏子「!…馬鹿言え!せっかく人が心配してやってんのに…」
ほむら「フフッ、冗談よ」
杏子「…ったく!」ガツガツ
さやか「…」
さやか「ほむらの笑顔か…始めて見た」
さやか(まどかのおかげで世界は変わった)
さやか(でも祈りと呪いは今も続いている…)
さやか(まどかの手伝いをしてて時々疑問に思ったりもするけど)
さやか(あのほむらがこんな風に笑えるって事は、やっぱり良かったんだよね…これで!)
ほむら「本当に自由人ね、あなた」
杏子「まぁな」
ほむら「…」
杏子「風が気持ち良いな」
ほむら「えぇ…」
ほむら「…さてと」スッ
杏子「もう行くのか?」
ほむら「えぇ、今日中に色々とね」
杏子「そっか、まぁ後のことは任せとけ」
ほむら「えぇ、ありがとう」
さやか「よろしくね…頑張ってね、杏子…」
さやか「さっきからうろついてるけど…これ本当に用事があるのかな?」
ほむら「……マミさん」
ほむら「…」ジー
さやか「今度は公園か」
タツヤ「ほむネーチャ!!」タタタッ
知久「?やあ、ほむらちゃん、こんにちわ」
ほむら「こんにちわ」
タツヤ「ネーチャ!あそぼー」
知久「ごめんね、ほむらちゃん…」
知久「ほむらちゃん、学校は?」
ほむら「……今日は用事がありまして」
知久「…そっか…でもほむらちゃん、もしズル休みなんてしたらダメだよ?」
ほむら「はい、それは…!…」
知久「どうかしたのかい?」
ほむら「…いえ」
ほむら「……まどかはお父さん似ね」ボソッ
知久「?…じゃあ僕たちは行くよ」
ほむら「さようなら…」
タツヤ「ほむネーチャ!またねー!」テテテテ
知久「うん、じゃあまた今度ね」スタスタ
ほむら「はい」
ほむら「…」
さやか「…」
ほむら「……」ギリッ
さやか(怖い顔しちゃって…)
ほむら「馬鹿……」
ほむら「…」スッ
さやか「ぬ!ここは早いね」
――
―
さやか「ビル?」
ほむら「……」ジッ
QB「探したよ、ほむら」
ほむら「…何か用かしら?」
QB「今日は魔獣を狩ってないみたいだからね、様子を見に来たんだ」
ほむら「特に問題はないわ」
QB「…その割には険しい目をしているよ?」
ほむら「…今はあなたを見たくないの」
さやか「そうだぞ、ほむら!」
ほむら「…今は、今日だけはそっとしておいて…」
QB「やれやれ…」
ほむら「良いから早く行きなさい!」シュルン ギィ
QB「弓を構えるなんて!分かったよそれだけ元気があれば大丈夫そうだ」スッ
ほむら「……」
ほむら「…ごめんなさいQB…」
ほむら「今の私はあなたを許せないの…」
さやか「ほむら…?」
ほむら「…」
スタスタスタ
ほむら「…変わってしまうものね」
ほむら「……」
ほむら「フフッ…この時も手を焼かされたわ…」
ほむら「…さやか…」
さやか「?あたし?」
さやか「……!そっか…」
ほむら「…」ジー
ほむら「…」
ほむら「…本当に色々あったわね…」
ほむら「病院なのにね……」
さやか「…ほむら…」
ほむら「…」スッ
さやか(確かそこだったね…マミさん…)
ほむら「……不甲斐無いくせに」
ほむら「…」
さやか(この道は…)
ほむら「…」チラッ
キャイキャイ
さやか(まどかの家か…)
ほむら「…」ニコッ
スタスタスタ
さやか(ほむら…)
ほむら「…大丈夫…これで大丈夫」
ほむら「…ただいまー」ガチャ
ほむら「…さて」
さやか(ん?まだ何かするの?)
―――
――
―
ほむら「…これで並べ終わったわね」
さやか「昨日のケーキだけじゃなくて、こんなに料理用意してたのか…」
ほむら「…」
ほむら「…もう一度」
ほむら「!!」
杏子「うわっ!すげー!なんだこの料理!!」
ほむら「あなた達どうしたの!?」
マミ「なんだか暁美さん元気がなかったからね?」
杏子「ああ、今日は瘴気も薄かったから来てやったんだよ!」
ほむら「来てやったって…」
マミ「でも凄い料理ね?何かのお祝い?」
ほむら「……そんな感じよ」
杏子「そっかー!私らもいろいろ持ってきたからさ?」
マミ「ご一緒しちゃダメかしら?」
杏子「よっしゃ!」
ほむら「取り合えずあなた達の分のシチューをよそってくるわ」スタスタ
マミ「私も運ぶの手伝うわ」タタタ
杏子「おー、チキンにピザにケーキまである!」
杏子「ん?はっぴーばーすでー?」
ほむら「…そうよ」
マミ「あら?暁美さん今日だったの?言ってくれればよかったのに…」
ほむら「私じゃないわ」
杏子「あー例の」
ほむら「ごめんなさい…」
マミ「何言ってるのよ!」
マミ「まどかさんは私達の友達なんでしょ?」
杏子「そうそう、くだらねー事気にすんな?」
ほむら「…ありがとう」ニコッ
杏子「せっかくの料理だ美味しく食わなきゃな!」
マミ「もう!佐倉さん!」
ほむら「フフッ」
ほむら「いいの?」
杏子「祝うときはしっかり祝わなきゃな!」
ほむら「じゃあ」シュボ
マミ「電気消すわよー?」
ほむら「こっちは大丈夫よ」
パチン
マミ「いいわね、綺麗」ストッ
マミ「…ーッピバースデイ トゥ ユー♪」
マミ「もう、何してるの皆で歌わなきゃ!」
杏子「えー…は、恥ずかしいよ」
マミ「祝うときはしっかり祝うんでしょ?」
杏子「ぐぬぅ…」
ハッピバースデイ トゥ ユー♪
ハッピバースデイ トゥ ユー♪
ハッピバースデイ ディア まどかー♪
ハッピバースデイ トゥ ユー♪
マミ・杏子・ほむら・さやか「おめでとうー」パンパン
ほむら「といっても消す人が居ないから…電気をつけるわ」パチッ
さやか「まどかぁ…どうしてここに居ないのよ」
マミ「がっつかない!」
ほむら「量はそこそこあるからゆっくり食べなさい」
ギャーギャー
さやか「まどか…」
まど神「なぁにかな?」
さやか「え?」
まど神「ウェヒヒ」ニコッ
さやか「い、いいいつから居たの?」
まど神「ほむらちゃんが帰って来た時にはいたよ?」
まど神「さやかちゃんを驚かせたかったのと…」
まど神「居てもほむらちゃん達には分からないからね…」
さやか「まどか……」
杏子「うっ…」
マミ「佐倉さん…慌てるから」
ほむら「ほら、ジュースを飲みなさい」
ワーワー
まど神「楽しそうだね?」
さやか「まどかの誕生日だからね?」
さやか「なに?」
まど神「休暇は早いけど終わりだよ!」
さやか「え!?ちょっと待って!まだ明日まで時間あるじゃん!」
まど神「さやかちゃんはロスタイムがある為休暇は早く終わります!」
さやか「そんなー……!まだ恭介にも会ってないのに!」
まど神「また来年までガンバロー」
さやか「帰りたくないー」ズルズル
まど神「さあ皆にお別れだよー」グイグイ
さやか「くそー」ズルズル
まど神「皆の元気な姿見れたでしょ?」
さやか「…んー」
まど神「じゃあ行くよー」スー
さやか「仕方ないなぁー」スー
まど神「だから大丈夫だよほむらちゃん」フー
ロウソク スッ
ほむら「!」
杏子「私は意地汚くない!」
マミ「いいから少し落ち着いて」
ほむら「…マミ、もう良いから杏子の好きにさせましょう」
ほむら「せっかくの誕生日なんだから?」
ほむら「ね?まどか…」
おわり
では おやすみなさいいい夢を
Entry ⇒ 2012.10.04 | Category ⇒ まどかマギカSS | Comments (0) | Trackbacks (0)
小蒔「今夜はついに初めての夜伽ですね……」
小蒔「熱が出て寝込んでいる霞ちゃんに夜伽します!」
巴「……姫様、意味わかって言ってますか?」
小蒔「もちろんです!」
小蒔「夜伽とは、看病などのために夜通し眠らないでそばに付き添うことです!」ドヤァ
巴「夜通しは合ってますけど……」
小蒔「いつも霞ちゃんのお世話になってるので今夜は私がお世話しようと思います」
巴(まあ看病なら平気かな……)
小蒔「行ってきます!」
小蒔「失礼します」
霞「小蒔ちゃん?」
小蒔「調子はどうですか?」
霞「相変わらずよ、心配してくれてありがとう」
霞「でも移しちゃうと悪いから、私に構わなくていいわよ」
霞「……夜伽?」コホッ
小蒔「今夜私はずっとここに居ます!」
霞「あらあら」
霞(意味分かって……ないわよね。小蒔ちゃんだし)
霞「そうねぇ……」
霞「じゃあこのタオルの水変えてきてくれる?」
小蒔「分かりました!任せて下さい!」
霞(看病っていっても微熱よりちょっと高いくらいだからやること無いのよね)
小蒔「こんな時広いお屋敷は不便ですね……」テクテク
初美「あれ姫様何してるんですかー」
小蒔「!わっ、とっと」ワタワタ
初美「大丈夫ですかー? 」
小蒔「大丈夫ですっ」
小蒔(零すところだった……)
小蒔「これを霞ちゃんの部屋に持って行くんです」
初美「どうしてですかー?」
小蒔「夜伽をする為です!」ドヤッ
初美「……夜伽?」
小蒔「はい!あ、霞ちゃん待たせているのでごめんなさい!」トコトコ
初美「姫様が夜伽……」
初美「これは一大事ですよー」
霞「ごめんなさいね、大変だったでしょう?」
小蒔「これくらい何でもありません!」
霞「そう?ありがとう」
小蒔「他に何かありませんか?」
霞「そうねえ……」
小蒔「はいっ」
霞(正直もう無いんだけど……)チラッ
小蒔「」キラキラ
霞「そうねえ……」
小蒔「はいっ」キラキラ
霞(この時間帯なら巴ちゃんが厨房に居るはず……)
霞「厨房に巴ちゃんが居るはずだから、お粥を作ってくれるようにお願いしてくれると助かるわ」
小蒔「お粥ですね!分かりました!」
巴「姫様?看病の方は?」
小蒔「霞ちゃんのおつかいです」
巴「ああなるほど。それで霞ちゃんは何だと?」
小蒔「お粥を作って欲しいとのことです」
巴「そういえばお昼に食べたっきりですね。分かりました」
小蒔「」ジーッ
巴(あとネギとかかな)
小蒔「」ジーッ
巴「……あの、姫様?」
小蒔「」ジーッ
巴「……一緒に作ります?」
小蒔「!」
小蒔「はいっ」
小蒔「それは平気です」
巴「じゃあ大丈夫ですね。私はちょっと納屋のほうにネギを取りに行ってきますから」
小蒔「はい!」
小蒔「えーっと、お米を研いで水を捨てて……」
小蒔「あっ、お米は捨てないようにしなきゃっ」ワタワタ
小蒔(そういえば)
小蒔(前見たアニメ……何と言いましたっけ)
小蒔(あんぱんのヒーローがみなさんに施しをする……)
小蒔(それの職人のおじいさまがパンをこねる時にやってた……)
小蒔「お、美味しくなーれー 」ワシャワシャ
小蒔「えへへっ」
霞「巴ちゃんと一緒に作ってるのかしら」
ガラッ
初美「失礼するのですよー」
春「」ポリポリ
霞「あらあら」
春「姫の手伝い……」ポリッ
初美「姫様のサポートですー」ズルズル
霞「……ねえ、引きずってるそれは何?」
初美「姫様のお布団ですよー」
春「」ポリッ
春「ん」ポリポリ
霞「ねえ、お布団の距離近過ぎない?」
初美「当たり前ですよー」
春「今夜はついに初めての姫様の夜伽」ポリポリ
初美「私たちは全力でサポートしますよー。霞ちゃんが相手なのはビックリしましたか」
霞(……私風邪引いているのだけれど)
初美「お布団の準備終わりましたー」
春「うん」ポリポリ
霞「あのね、」
初美「おっと、はるる大事なものを忘れていましたね」
初美「これが無いと始まりませんよ」
春「……はい、これ」ポリポリ
初美「ティッシュここ置いときますねー」
春「ここが定位置って昔から決まってる」ポリポリ
初美「明日はお赤飯ですよー」
春「……頑張って」グッ
霞(はっちゃん、治ったら覚えていてね)
巴「姫様、お米出来ました?」ヒョコッ
小蒔「っ!」ビクッ
巴「あれ、どうしたんですか?」
小蒔「な、何でもないですっ」
小蒔(聞こえていたらどうしようかと思いました……)ドキドキ
巴「後はネギ切って……」
小蒔「」キラキラ
巴「……姫様やります?」
小蒔「はい!」
巴(本当は姫様に包丁持たせたって知られると叱られちゃうんだけど)
巴(まあいいか)
巴(……大丈夫かな)ドキドキ
小蒔「ふーっ」キラーン
巴「ひ、姫様そんな包丁を振りかぶらないで下さいっ」
巴「ええっとですね、包丁を使うときは左手で抑えながら手を丸めて猫の手みたいにするんです」
小蒔「猫の手……」
巴「包丁はそんなに振りかざさないでも切れますから」
小蒔「はい!」
巴(緊張するなあ……)
小蒔(なかなか大変な作業ですね……)トンッ
巴「」ドキドキ
小蒔「」トンッ
巴「」ドキドキ
小蒔「!っ」
巴「ひ、姫様!」
巴「大丈夫ですかっ?絆創膏……」
小蒔「でもネギもちゃんと切れましたよ!」
巴「それ所じゃないです!」ワタワタ
巴(姫様に怪我させちゃった……)
巴(霞ちゃんに殺られる……!)
巴「はい」
小蒔「迷惑かけて本当にごめんなさい……」
巴「いえ、姫様の気持ちは分かっているつもりですから」
巴「後片付けは私がやっておくので、姫様は持って行ってあげてください」
小蒔「はい、ありがとうございますっ」
初美「姫様ー!」
小蒔「」ビクッ
初美「あれ、お粥ですかー」
春「部屋に運ぶの?」ポリポリ
小蒔「びっくりしました……」ドキドキ
小蒔「はい」
初美「そして夜伽にー?」
小蒔「?はい」
春「間にあった」ポリポリ
小蒔「何がですか?」
初美「姫様に大事なアドバイスですよー」
小蒔「わっ、本当ですか?ありがとうございますっ」
初美「夜伽にはやるべき事があるのですよー」
小蒔「やるべき事ですか?」
春「これをすれば間違いない」ポリッ
初美「あのですねー……」
霞(出来れば片付けておきたいのよね……小蒔ちゃんに移しちゃうし)
霞(でも今お布団を運ぶ程元気では無いし……)
霞(巴ちゃんが来てくれれば片付けて貰うのだけど)
ガラッ
小蒔「持ってきましたー」
霞「ありがとう小蒔ちゃん」
霞「はっちゃん達が置いていったのよ」
小蒔(そういえば夜伽に必要だとか言ってましたね……)
小蒔「でも今はそんなことよりお粥です」
小蒔「はい、霞ちゃん」
霞「ありがとう」
小蒔「……」
霞「あの、器渡してくれないと食べられないのだけれど……」
小蒔「巴ちゃんが教えてくれたんです」
小蒔「看病と言ったらこれだって」
小蒔「霞ちゃん、あーん」
霞「あらあら……」
小蒔「ほら、霞ちゃんっ」キラキラ
小蒔(霞ちゃんに初めてのあーんです!)
霞「……あーん」
小蒔「美味しいですか?」
霞「ええとっても。……でも恥ずかしいわね」
霞「もしかしてこれ、小蒔ちゃんが作ったの?」
小蒔「どうして分かったのですか?」
霞「そりゃあねぇ」
霞(凄く期待を込めてこっちを見てるし、指に絆創膏あるし……)
霞「小蒔ちゃんの事だから分かるのよ」
小蒔「えへへ」
小蒔「はい、あーん」
霞「あーん」
巴「2人で居るのにそこにお邪魔するのも悪い気がするけど……うーん 」
巴「ちゃっちゃと渡して去ればいいか」
巴「……」
初美「……」
春「……」ポリッ
春「静かに。バレちゃう」ポリッ
初美「六女仙の1人として私達はこれを見届ける義務があるのです」
巴「ていうか襖に穴開けちゃって。後で霞ちゃんにバレたら怒られるよ」
初美「それはそれ、これはこれですー」
巴「もうっ」
初美「ああっ」
春「」ボリィッ
小蒔「あ、巴ちゃん」
霞「……はっちゃんに春ちゃん?」
巴「お薬渡すの忘れてました。食後に二錠ですよ。はいどうぞ」
霞「ありがとう」
巴「いえいえ。ほら、2人とも覗き見なんてしないで帰るよ」
春「……私は通りかかっただけ」ポリッ
初美「はるるが私の事売りましたー!」
巴「ほらほら。霞ちゃん、ちゃんと早く寝てね」
霞「ええ」
巴「姫様もよろしくお願いしますねー」
小蒔「はい」
巴「ほら、行くよ」ズルズル
霞「確かに巴ちゃんは早く寝ろって言ったけれど」
霞「まだ8時よ?」
小蒔「早く寝れば寝るほどきっと早く治りますよ」
小蒔「私が添い寝しますから!」ニコニコ
霞(添い寝したいのね)
霞「?小蒔ちゃん正座なんてしてどうしたの」
小蒔「えーっと、」
小蒔(いざ言うとなると緊張しますね……でもこれをやらなくては夜伽にはならないと聞きました)
小蒔「ふ、不束者ですがよろしくお願いします」
霞「」
霞(……どうしようかしら)
霞「いきなりどうしたの小蒔ちゃん」
小蒔「あの、夜伽にはこれが必要だって聞いて……」
霞(吹き込んだのは、絶対はっちゃんよね)
霞(ていうかあの子私の部屋の襖に穴開けていったわね)
小蒔「」イソイソ
小蒔「初美ちゃんから聞いたんですっ」
小蒔「よ、夜伽にはお互い服を脱ぐんだって」
小蒔「私それを知って驚きました」
霞(一応私風邪引いてるのだけれど)
霞「ちょっと待って、ね、小蒔ちゃん」
小蒔「はい」
霞「夜伽についてあの子は何てあなたに言ったのかしら」
小蒔「えーっと、お互いに裸になって寝ると」
霞「それで?」
小蒔「その先は霞ちゃんに任せれば大丈夫だって言ってたんです」
霞「」
霞「……なあに? 」
小蒔「霞ちゃんに……しょじょ?を捧げるんだそうです」
小蒔「しょじょって何ですか?」
霞(薄墨初美ぃ……)
霞(知識があのはっちゃん以下だなんて思ってなかったわ)
霞(本当のこと言ったら……ふむ……)
霞「……初めてのことよ」
小蒔「初めて?」
霞「ほら、作家さんの初めての作品を処女作とか言うでしょう?」
小蒔「そう言えば……じゃあそこから来ているんですね」
霞「人が今まで未経験なことを経験したとき、処女を失うことになるの」
霞(我ながら上手いわ)
霞「(語弊はあるけど)まあそういうこと」
霞「でもね小蒔ちゃん。それをするのは好きな人じゃなきゃ駄目なのよ」
小蒔「?私は霞ちゃんの事が好きですよ」
霞(うーん……伝えるのが難しい……)
小蒔「とにかく初めてなことをやればいいんですよね」イソイソ
小蒔「裸で寝たことは無いのでそれは私の処女ですねっ」
霞「こ、小蒔ちゃんっ」
小蒔「……霞ちゃん」
小蒔「私と夜伽をするのは嫌ですか?」ウルウル
霞「そ、そういう訳では無いけれど」
小蒔「じゃ、じゃあ私の処女を貰うのは嫌ですか?」ウルウル
霞(とんでもない殺し台詞を吐くのね……)
霞(でもここで小蒔ちゃんを泣かせるのも……)
霞「夜伽については裸で寝るとだけ聞いてるのね?」
小蒔「はい」
霞「……はぁ」
霞「分かったわ」スルッ
小蒔「え、霞ちゃん?」
小蒔「か、霞ちゃん……」
霞「さて、そんな話しているうちに9時になっちゃったわね」
霞「もう寝ましょうか」
小蒔「はい!」
小蒔(裸で霞ちゃんと寝るの凄いドキドキする……)ドキドキ
霞「おやすみなさい小蒔ちゃん」ナデナデ
小蒔「ん……」
霞「おはよう小蒔ちゃん」
小蒔「……!?な、なんで裸……」
霞「昨日小蒔ちゃんが裸で寝たいって言ったじゃない」
小蒔「え、あ、そうでした……」
小蒔(つまり私は夜伽に成功したんですね)
霞「ほら小蒔ちゃんも服を着て。朝ご飯に遅れちゃうわ」
小蒔「はいっ。あ、霞ちゃん熱は……」
霞「起きたら下がってたから小蒔ちゃんのおかげかしらね」
小蒔「えへへ」
霞「じゃあ朝ご飯に行きましょうか」
小蒔「はいっ!」
霞(何かザワザワしてるわね)
小蒔「遅れましたー」
ザワザワ ヒメサマダ ヒメサマガキタゾ カスミサンモイッショダ ザワザワ
霞(……何かしら)
初美「姫様ー」
小蒔「初美ちゃん、おはようございます」
シーン……
霞(まわりが静まった……)
小蒔「昨夜ですか?」
小蒔「無事に役目を終える事が出来ました」
オオオオオオオ
ワイワイ ワーマツリダー オセキハンモッテコーイ! ワイワイ
霞「!?」
初美「やりましたね姫様ー!」
小蒔「??はいっ」
霞「いっ、一体これは何の騒ぎ……なの?」
巴「お赤飯持ってきましたー!」
巴「いやー驚きましたよ!」
霞「え」
巴「はっちゃんが懲りずに覗き見してたみたいで」
初美「霞ちゃんが姫様の服を脱がしてるのを見ましたー 」
小蒔「改めて言われると恥ずかしいですね」
春「めでたい」ポリッ
アトツギダー コレデアンタイダー コンインノジュンビイソゲー
霞「こ、これ……まさか私と小蒔ちゃんのを皆知って……?」
初美「姫様の一大イベントですから。私がみんなに知らせました」ドヤッ
霞「」
小蒔「何だか皆さん楽しそうですね」
霞「婚姻ってちょっと待って。小蒔ちゃんは子供を残さなきゃいけないのよ?」
春「心配ない」ポリポリ
巴「はるるがこの新聞を今朝方持ってきてからずっとお祭りなんです」
霞「……」ガサガサ
小蒔「何が書いてあるのですか?」ヒョコッ
霞「……iPS細胞?」
カン
夜のは一応してない設定
乙
おつー
はっちゃんかわいい
Entry ⇒ 2012.10.04 | Category ⇒ 咲-Saki-SS | Comments (0) | Trackbacks (0)
貴音「あなた様あなた様」
P「ん?」
貴音「お仕事はいかがでしょうか?」
P「あと5分くらいだな。もう少し待ってくれ」
貴音「はい」
P「ん?」
貴音「今日は事務所に誰も居ないようですね」
P「みんな直帰したみたいだな。音無さんは入れ違いに帰ったし」
P「ん?」
貴音「わたくしの帽子をご存知ないでしょうか」
P「んーと、あった。ほれ」
貴音「ありがとうございます」
P「んじゃ、帰るか」
貴音「はい」
P「ん?」
貴音「まこと、風が快いですね」
P「ああ、秋の夜って感じだな」
貴音「ふふ、風流ですね」
P「ああ」
P「ん?」
貴音「らぁめんの香りが致しました」
P「そうか?」
貴音「ええ」
P「店とか見えないけどなぁ」
貴音「確かに致しました」
P「そうか?……ほんとだ。角曲がったら屋台があったぞ」
貴音「ふふ、当たりましたね」
P「食べていくか?」
貴音「いえ、やめておきましょう」
P「……そうか」
P「ん?」
貴音「美希の歌声ですね」
P「ああ、有線で流れてたな」
貴音「美しいものです」
P「そうだな」
P「ん?」
貴音「寄り道をしてもよろしいでしょうか?」
P「いいけど、どこだ?」
貴音「公園、などいかがでしょう」
P「いいぞ。じゃあこっちだな」
貴音「はい」
P「ん?」
貴音「静かですね」
P「誰もいないみたいだな」
貴音「よい空気です」
P「ベンチにでも座るか?」
貴音「はい」
P「ん?」
貴音「虫の声が致しますね」
P「ああ、コオロギか何かかな」
貴音「まこと、綺麗ですね」
P「ああ、綺麗だ」
P「ん?」
貴音「手を握っていただけますか」
P「ずっとつないでたじゃないか」
貴音「今、握っていただきたいのです」
P「……わかった」
P「ん?」
貴音「月が、綺麗ですね」
P「…そうだな」
貴音「告白ではありませんよ?」
P「分かってるよ」
貴音「……相変わらず、嘘を吐くのがお下手ですね」
P「っ」
P「……いや、晴れてるよ。ただ、新月だ。月は、見えない」
貴音「そうですか」
P「その目、本当に治らないのか?」
貴音「良いのです」
P「でも!」
貴音「もう、良いのです」
P「……そうか」
貴音「そろそろ、帰りましょうか」
P「……そうだな」
P「ん?」
貴音「明日は、月は見えるでしょうか」
P「ああ、見えるといいな」
貴音「ええ」
P「じゃあ、またな、貴音」
貴音「ええ、さようなら、あなた様」
おわり
ありがとうございました。
おひめちんかわいいよおひめちん
この貴音はPに幸せにされるべき
でも綺麗な話でよかった乙乙
Entry ⇒ 2012.10.04 | Category ⇒ アイマスSS | Comments (0) | Trackbacks (0)
モバマスP「すいません、アイドルとかに興味ってありませんか?」
P「そうですか……いえ、時間をとらせてしまい申し訳ありませんでした……」
??「そもそも私にそのようなものが向いてるとは思わないが?」
P「いえいえ、十分魅力的だと思いますよ?」
??「お世辞だと分かっていても照れくさいね」
P「いえいえ、そのようなことはありませんよ」
??「じゃあチラシだけでも貰っていこうかな?」
P「ありがとうございます。ではこれを」
??「シンデレラガールプロジェクト……」
P「はい。未だ発掘されていないアイドルの原石をデビューさせるという企画です」
P「そうですか?十分に通用すると思いますが……」
??「君はお世辞が上手だな、やってもいいという気になってしまう」
P「強制はしません。その気になったらこちらの電話番号までお願いします」
??「チラシに書いてある番号だね。わかったよ」
P「最後にですが、名前だけ教えてもらって良いですか?そのほうが電話を貰ったときに直ぐに対応出来ると思います」
??「おっと、自己紹介がまだだってね」
あい「私は東郷あい」
P「ぶふぉっ!?」
P「ごほっがはっ!……い……いえ、何でも。それでは今日はありがとうございました。時間を取らせてしまい大変失礼いたしました」
あい「ふうん……よくわからないが、お大事に」
P「は、はい。では近いうちに、また」
あい「それはこちらの気分次第なんだがね……」
P「それもそうですね」
あい「じゃあ、気が向いたら連絡するよ」
P「それでは」
――――
――
P「只今戻りましたー」
ちひろ「おかえりなさい」
??「おかえりなさぁい!」
??「おかえりなさい……今日は、いい人いましたか?」
P「ああ、お前らとも全くタイプが違うし、これでトリオのメンバーがそろった」
ちひろ「あれ?チラシ渡しただけじゃないんですか?」
P「いや、絶対に電話は来るよ」
ちひろ「自信たっぷりですね……」
P「まぁ」
あい「はい……どうしたの母さん?」
母「元気にやってるかい?」
あい「うん。中々仕事は増えないけど、楽しくやってるよ」
母「それなら良かった。それと本題。アンタの幼馴染にPってのがいただろ」
あい「……懐かしい話だね。それがどうしたの?」
母「なんでもアイドル?のプロデューサーをやってるって話だよ」
あい「は!?」
あい「……こっちの話」
母「そっかい。まぁ、会ったら宜しくしてやってくれよ」
あい「会ったら、ね」
母「意味深だねぇ……」
あい「何でもないよ、じゃあ」
母「はいはい」
.....Pi......
あい「まさか……ね」
??「電話、本当に来るんですか?」
P「間違いないよ。多分朝一だ」
??「どうして言い切れるんですかぁ?」
P「後々わかるよ」
ちひろ「はい、○○プロです……はい……はい……」
P「おいでなすった」
ちひろ「プロデューサーさん、面接を希望してる人がいます。東郷さんという人ですけど」
P「履歴書いらないんで直ぐにでも来てくれって伝えてください」
ちひろ「……ああ、昨日言ってた人ですね。わかりました」
??「とーごーさん……っていう人ですかぁ?」
??「怖い人じゃなきゃいいですね……」
P「そう怖気づくな。大丈夫、いい人だよ」
ちひろ「プロデューサーさん。今から40分くらいで来るそうです」
P「やっぱりな。あがとうございます」
??「今日はめんせつ?するんですか?」
P「いや、とりあえずお前らと顔を合わせてもらう」
??「ええ?いきなりですか?」
P「俺の予感が正しいなら、面接なんていらないさ」
P「多分時間きっかりに来ます。そしたら応接間に通してもらっていいですか?」
ちひろ「わかりました」
P「さて、最初は俺一人のほうがいいわな」
あい「すいません、連絡した東郷ですが……」
ちひろ「はい、承っていますよ。どうぞこちらへ」
あい「失礼します」
ちひろ「ではこちらのほうで待っていてください。今担当が来ます」
あい「わかりました」
コンコン
P「失礼します。お待たせしました」
あい「いや、待ってないよ」
P「では、早速ですが挨拶を」
あい「待ちたまえ」
5年前まで高校生だもんな
あい「私たちの間で他人行儀はいくら何でもナシだろう?」
P「……」
あい「13年ぶりじゃないか。Pくん?」
P「あ、わかっちゃった?」
あい「昨日母から電話があってね」
P「おばさんかー。うちの母親め、言いふらしてるな」
あい「どうやらそうみたいだね。相変わらずパワフルみたいだな」
P「まぁな」
あい「しかしまあ、Pくんがアイドルのプロデューサーねぇ……?」
P「しかしあいだと気付かずにスカウトしてしまうとは、俺も落ちたかな」
P「いやあのあいがこうなるなんてと思うとね」
あい「やたらに恥ずかしい言葉ばかり言ってたじゃないか」
P「うぐ」
あい「録音でもしてPくんの母君にでも送ればよかったかな」
P「やめてくれ、自分の子供がナンパ師になりました。みたいなもんじゃないか」
あい「ふふ……」
P「で、アイドルだけど。どうする?」
あい「どうせ君のことだからやると踏んでるんだろう?」
あい「生憎そっちの方がよろしく無くてね……掛け持ちは可能かい?」
P「んー、こっちに比重を置いてくれるなら」
あい「かまわないよ」
P「んじゃ、宜しく」
あい「頼んだよ? 立派なアイドルにしてくれ」
P「可能な限りそうさせてもらうよ。俺も新人だから多少は大目にみてくれ」
あい「じゃあ、頑張っていこうか」
P「……と、その前に」
あい「ソロではない。ということかな?」
P「そういうこと。今事務所に2人ともいるから紹介するよ」
あい「わかった、行こうか」
P「……13年か」
あい「ああ」
P「久しぶり、あい」
あい「久しぶりだ、Pくん」
P「んじゃ、行こう」
??「頼りになる人って聞いてますけど……わかりません」
??「Pさんが言うなら間違いないですね!」
??「……だと、思います」
P「よっす、2人ともいるな」
??「はい! あ、その方が……」
??「私たちとユニットを組む人、ですかぁ?」
P「ああ、東郷あいさんだ。仲良くしてやってくれ」
あい「初めまして」
??「こんにちわぁ」
??「よ……よろしくお願いします……」
P「いやいや!お前らも名前言わないとわからんから!」
裕美「関裕美といいます……よ、よろしくお願いします」
あい「私は東郷あい。宜しく頼むよふたりとも」
ちひろ「事務員をしています千川ちひろと言います。これからよろしくお願いします」
あい「よろしくお願いします。ちひろさん」
P「さて、今日は3人集まったし。顔合わせだけってのも寂しいよな?」
イヴ「そうですねぇ」
裕美「何かします……?」
あい「ふむ。なんとなくPくんが私を入れたがってたのがわかったよ」
P「察してくれると助かる」
イヴ「あれ?お知り合いなんですかぁ?」
面白い組み合わせだな
イヴ「あいさん、よろしくお願いしますぅ。イヴって読んでくださぁい」
裕美「私の事も……裕美でおねがします」
あい「イヴに裕美、だね。覚えたよ」
P「じゃあ、飯でも食いに行くか!」
あい「今日はやることがないのか?」
P「無い!」
あい「じゃあ、私の知ってる店でいいかな?」
イヴ「是非お願いしますぅ」
P「じゃあ出発!ちひろさん、後お願いします」
ちひろ「私も行きたいなー……」
裕美「だ、だめです……」
P「残ってる仕事片付けてくださいよ」
ちひろ「はぁい……」
P「それじゃ、新ユニット発足ということで!」
イヴ「カンパイですっ☆」
裕美「か、かんぱーい」
あい「乾杯」
ごく ごく
P「ふぅ……」
イヴ「おじさんくさいですよー?」
P「紅茶花伝がうまいのが悪い」
あい「どうしてそんな甘ったるいの飲んでるんだ」
裕美「あ……あの……あいさん……」
あい「何だい?」
裕美「プロデューサーさんと昔の馴染みだって言ってましたけど」
あい「小さいころに近所だっただけだよ」
P「まぁ幼馴染ってやつかな? 学校帰りとか一緒に遊んでたよ」
イヴ「あいさんあいさん!Pさんはどんなお子様だったのでしょう?」
あい「ちょっと優しい、どこにでもいる男の子だよ」
裕美「優しい……ですか?」
あい「うん。私はあまり口調とかが女ぽくないだろう?そうするとからかう奴とかも出てくるんだ」
あい「そんなタチの悪いことじゃないよ。おとこんなー!とか言われたりするくらいさ」
P「あいも女の子だからな。そんなの言われてたら放っておけないわけだ」
裕美「プロデューサーさん、カッコイイです!」
P「んなこたぁない」
あい「そんなことあるんだよ」
P「え」
あい「彼は事あるごとに助けてくれてね。結構頼ってしまっていたんだ」
イヴ「そうですよね……Pさんは優しいですぅ」
イヴ「はいぃ……衣装とプレゼントを全部奪われてしまって……寒さをしのいでいたらPさんが手を差し伸べてくれたんですぅ」
あい「おやおや、さしずめイヴにとってのサンタクロースになったわけだね」
イヴ「きゃっ☆ 寝床まで提供して貰って……だからこうしてアイドルしながらお金を貯めてるんですぅ」
あい「寝床?」
イヴ「はぁい。Pさんの家にお邪魔させて貰ってますぅ」
P「アカン!」
あい「……Pくん」
P「なーに?あいちゃん?」
あい「………」
P「………」
あい「……ところで、裕美は?」
P「裕美は光るものを持ってたからな。ティンときてスカウトした」
あい「裕美は、いやじゃなかったのかい?」
裕美「最初は断ったんです、私は目つきもきついしブサイクなので……」
イブ「いっつも言ってるけど、そんなこと無いですよ?」
裕美「そうでしょうか……?」
P「俺は裕美がかわいいと思ったからスカウトしたんだよ。目標はもうちょっと自信を持つことだな」
裕美「はい……頑張りますっ!」
あい「Pくん……」
P「なあ?素直でいい子だと思わないか?あ……」
P「そうだろうそうだろう」
イヴ「あいさんは、どうしてアイドルになったんですか?」
あい「簡単だよ」
裕美「……?」
あい「スカウトしてくれたのがPくんだから。断る理由が無いんだ」
イヴ「きゃぁ☆」
P「oh...」
裕美「あの……」
あい「ん?」
裕美「どうして、プロデューサーさんなら断る理由が無いんですか?」
P「やめてやめて、顔が熱いから」
イヴ「Pさん大胆ですねぇ~☆」
裕美「こ……これが告白……」
P「ち、違う!」
あい「おや、私は別にかまわないが?」
P「えっえー」
イヴ「もしかしてカップルさんですかぁ?」
裕美「おめでとうございますっ」
P「NO!違う!」
あい「ふふ……」
裕美「どうしたんですか?」
イヴ「あいさんって微笑むとすごい可愛いんですね!」
あい「そ……そうかな?」
イヴ「あ!今度は照れましたぁ。可愛いですねぇ~☆」
あい「よしてくれ……そういう褒められ方は慣れてないんだ……」
P「そうか?昔からお前は可愛いって言ってきた気がするんだが」
裕美「ひゃう!?」
あい「そういう褒め方をしてくるのがPくんしかいなかったんだ」
イヴ「だから久しぶりすぎて照れてるんですね~♪きゃ~☆」
あい「うう……み、店を変えよう!私の仕事場でどうかな?」
裕美「あいさん、他にお仕事してるんですか?」
あい「まぁね、中々繁盛はしないけども」
P「ほう、あいが何の仕事をしてるかは知らないからな」
あい「Pくんが引っ越した後に始めたことだからね。昔を辿っても出てこないよ」
イヴ「Pさんの知らないあいさんの一面にきゅん☆」
P「無いわ」
イヴ「えー……」
あい「やあ、失礼するよ」
マスター「おお、あいちゃんじゃないか。……て、一緒に来たのはP君かい」
あい「……知ってるの?」
マスター「知ってるもなにもここの常連だよ」
P「え、あいの仕事場ここだったの?」
あい「そうなんだが……もしかして、会ってるのかな?」
P「かもしれないなぁ」
あい「じゃあ2人のことは任せたよ。私は準備してくる」
P「はいよ。……どうした?」
イヴ「飲まれちゃいます……」
P「仕方ないなぁ……ほら、こっちだ」
マスター「ソフトドリンクでいいかな?そろそろあいちゃんのステージが始まるよ」
~~~~♪
裕美「サックス……ですね」
P「げ!」
イヴ「どうしたんですかぁ?」
マスター「そうだよ。仲いいみたいだけどコレかい?」
P「違いますって……13年ぶりの幼馴染ですよ」
マスター「久々の再開というわけか」
P「はい、美人になってたんでびっくりしましたよ」
イヴ「気付かないでスカウトしちゃうくらいですもんね~☆」
P「やめろ!」
マスター「あー、昨日嬉しそうにアイドルになるって言ってたのはそういうわけだったのか」
裕美「嬉しそうにですか?」
マスター「ああ、何でも『ずっと会いたかった人に会えるから』って言ってたよ」
P「」
イヴ「きゃ~☆」
裕美「………」
P「なんだ?」
裕美「……あいさんのことを話してるときのプロデューサーさん、とても生き生きしてます」
P「そうかな……」
裕美「はいっ」
~~~♪
~~♪
~♪
パチ パチ パチ
あい「ありがとうございました」
イヴ「格好よかったです!」
裕美「あいさん……すごかったです!」
あい「そりゃあね……中学に入ってから始めたんだ」
P「なるほどな。それなら知らなくて当然だ」
あい「ふふ……ありがとう。君たちも折角だから歌ってくるかい?」
P「何言ってるんだお前?」
マスター「折角アイドルの子達が来てくれてるんだ、歌ってもらおうじゃないか」
P「音源が無いですよ音源が」
マスター「君が演奏すればいい」
P「……マジですか……」
マスター「うむ。まだアレは置いてあるぞ」
イヴ「何を歌うんですかぁ?」
裕美「私たちまだデビューもしてません……歌ありませんよ?」
P「そりゃな……この曲ならわかるか?」
イヴ「これなら知ってますぅ……わかりましたぁ」
P「さあ、ここえ舞台度胸をつけておこうな」
裕美「が……頑張ります……」
P「久しぶりだな。……あいをぎゃふんと言わせてやる」
イヴ「ところで、その楽器はなんていうんですかぁ?」
裕美「見たことありませんね」
P「ふっふっふ」
マスター「聞き惚れてたよ」
あい「ふふっ……それなら良かった……」
マスター「なんせずっと会いたかった人だもんね?」
あい「……うん」
マスター「今日は未成年の子がいるからノンアルコールだよ」
あい「じゃあ、適当に作ってくれるかい?」
マスター「わかったよ。いい人じゃないか。P君は」
あい「ふふ……追いかけてきて、正解だったかな」
マスター「大正解だと思うよ」
マスター「P君のショーが始まるみたいだね」
あい「マスター、彼は何か楽器をやるのかい?」
マスター「うん、見てればわかるよ」
あい「どれどれ……」
イヴ「あいさんの演奏の後は、私たちの歌を聞いてください~」
裕美「頑張って歌います。よろしくお願いします」
P「常連の皆様、7ヶ月ぶりくらいでしょうか。久々に演奏させてもらいますね」
マスター「あいちゃんがココに来るようになったのが半年前だから、丁度入れ替わりかな」
~~~~~~♪
あい「!?」
マスター「びっくりするだろう?」
あい「そりゃね……」
マスター「でも、お客様の評判は良かったんだよ?」
あい「そうだろうね……上手い……」
マスター「彼のクリスタルフルートは魔性の笛だからね。その道のプロにもなれるレベルさ」
※クリスタルフルート
ttp://crystalflutes.web.fc2.com/m.htm
マスター「初めて聞くけどいいものを持ってるね、流石P君の目に狂いは無い」
あい「……」
マスター「あいちゃん」
あい「何かな」
マスター「焦らなくても大丈夫だと思うよ?」
あい「……何の事だか」
マスター「彼は、君をちゃんと見てる」
あい「そうだと、嬉しいね」
マスター「………」
あい「………」
消化器を口にあてて吹きならしてる例の画像が浮かんできてヤバい
裕美「あ……ありがとうございました……」
P「ありがとうございました」
あい「2人とも、歌上手だね」
イヴ「ありがとうございますぅ、一生懸命レッスンしたんですよ~」
裕美「私なんてまだまだで……」
P「そんなことない、裕美も上手だったぞ?」
裕美「ありがとうございます……」
あい「Pくんがクリスタルフルートをやるのが一番違外だったのだが?」
P「どうよ、見直したか?」
P「よせやい」
イヴ「本当に格好良かったです~☆」
裕美「また、聞かせてくださいね?」
P「いいぞ。ココに来る機会が有ったら聴かせてやる」
あい「それなら、ミーティングはここでしようか」
マスター「ん?あいちゃんをプロデュースするのって?」
P「それが俺なんです……」
イヴ「私たちがトリオを組むんです~」
P「本当ですか?ありがとうございます」
マスター「ただし、条件があるよ」
P「はい?」
マスター「来るたびに聴かせてもらうからね?」
P「うわー……まぁいいです」
あい「交渉成立かな?」
P「よし、シンデレラガールズ、頑張っていくぞ!」
イヴ「おー☆」
裕美「お、おー!」
あい「おー」
――――
――
イヴ「Zzzz」
裕美「……むにゃ……」
P「さて、2人とも寝ちゃったし。そろそろお開きだな」
あい「そうだね。でも1杯だけ付き合ってもらうか?」
P「車で送らないとならんからノンアルな」
あい「わかってるさ」
マスター「じゃあ、こんなものを」
P「桃……ですか?」
P「なあ、あい」
あい「なんだい?」
P「13年ぶりだ」
あい「ああ」
P「まぁ、幸いここからは一緒に活動をしていくからな」
あい「そうだね、13年分の空白を取り返していこうか」
P「……そうだな」
あい「……また、会えて嬉しいよ」
P「……俺もだ」
あい「これからと」
P「俺らみんなの活躍を祈って」
P・あい「「乾杯」」
end
友達以上恋人未満ってこいういうのなんじゃないかな?
読み返してお風呂はいってきます。
乙
Entry ⇒ 2012.10.04 | Category ⇒ アイマスSS | Comments (1) | Trackbacks (0)
球磨川(女装)「ねえねえ善吉ちゃん、超大好きなんだぜ?」
球磨川「あれ、おかしいな。僕の声が聞こえなかったのかな?」
球磨川「ならもう一度告白してあげるよ、あのね、善吉ちゃ───」
善吉「いや、待ってくれッ! いやいや待ってください球磨川先輩ッ!
そのアンタの格好に対しても突っ込みが追いついてませんから!」
球磨川「おいおい。僕と善吉ちゃんの仲じゃあないか、
そんな他人行儀な謝礼行儀な口調と呼び名はやめてよ」
球磨川「──気軽に禊きゅんって呼んでくれても構わないんだよ?」
善吉「」
犬がエメラルドマウンテン登って頂上を拝んだような顔をしてるけど」
善吉「……はっ!?」
球磨川「──熱でもあるのかな、どれどれ」ぴとっ
善吉「っ!?」
球磨川「よかった大丈夫みたいだね、熱も無いし、具合も悪くなさそうだし」すっ…
球磨川「いつもの善吉ちゃんのようで安心したよっ!」ぐっ
善吉「」ぞわぁ!
球磨川「ん?」
善吉「───俺から離れろォ! 球磨川禊ぃいいいい!!」ドガァッ!
球磨川「キャー」ドコォ!
ぱたーん
善吉「はぁっ……はぁっ……!」
球磨川「…酷いなぁ、まったくもって酷いよ」ゆらり
球磨川「フツー告白してきた娘に対して本気の蹴りを食らわせる?
フツーに死んじゃうぜ、今の善吉ちゃんの蹴り食らっちゃうと」
善吉「あ、アンタは何処をどう見ても、今も昔も現状も普通じゃないからいいだろうがっ!」
球磨川「あはは、言うねぇ善吉ちゃん」
球磨川「…だけど、まあ、そういった精神はこの際に横へと置いといてさ」
善吉「…」
球磨川「流れて流れて、今の僕の現状までに流れ落ちて、
僕とイチャイチャしようじゃあないか、ね?」
善吉「い、嫌だ」
球磨川「どうしてかな? んー、もしかして僕のことが嫌いだから?」
善吉「そ…それもあるが、それ以前に! アンタどうしてそんな事言うんだよっ!?」
球磨川「……そんなことって」
善吉「そんなことだろ!? ど、どうして俺に……す、すすすきとか! 言うんだ全くわからねぇだろ!」
球磨川「……」
球磨川「だって善吉ちゃん、男の姿で告白してきたら割かし引いちゃうだろ?」
善吉「十全で引くわ! どっちでも全力で引く!」
球磨川「そりゃないぜ……僕の気苦労が水の泡として消え去るようなこと言わないでくれよ、はぁ~」
善吉「だっ、だったらその泡が消え去る前に今自分がしてることをよーく考えろよ!?」
球磨川「……」
善吉「……」
球磨川「密かに思う乙女心から……肉食系女子の弾ける思いへ、クラスチェンジ!」びしっ
善吉「その思い弾け飛べッ!」グォッ!
がっきぃいいん!
球磨川「───あっはは、楽しいなぁ善吉ちゃん
僕はこうやってきみとイチャイチャできて楽しくてしょうがない」
球磨川「!」
善吉「はぁっ……アンタが言ってることが、全部全部虫酸が走る!
今までにないほどに、これでもかってぐらいに! 寒気がヤバイんだよ!」
球磨川「…つれない事いうなよ善吉ちゃん、僕だってけっこうアレなんだぜ?」
善吉「な、なんだよ」
球磨川「…………」
くるっ
球磨川「……その、恥ずかしいんだよ、言わせるな恥ずかしい」
ちらっ
球磨川「きゃっ」
善吉「」ぞわぁああ!
ここまで何の躊躇も無くやってのけた、今の僕の姿は?」
善吉「ただの女装してる、変態だ!」
球磨川「その通り、実にその通りだよ善吉ちゃん。矛盾だらけでこれといった法則性も無い。
今ある現状だけがこの場の解決への手がかりだね、実に困った、その通りすぎてね」
善吉「な、なにが言いたいんだよ球磨川先輩…」
球磨川「じゃあ聞くけど善吉ちゃん」
球磨川「───どうして僕の声に〝虫唾〟が走るのかな? ん?」
善吉「え…?」
球磨川「君はある程度まで、僕の嫌悪感の塗りたくられた言葉に──きちんとした耐性があるはずだ」
球磨川「だが今の善吉ちゃんには、どうもその耐性とやらが発動できていない用にみえるんだけど…」
球磨川「…なるほどね、やっぱり、そういったことになるんだ」
球磨川「ザ・シンキングターイム……一体全体どうしてきみは対抗できない?」
善吉「っ…」
球磨川「僕の言葉にたいして、最も人間の中で信ぴょう性のない僕に対して───」
球磨川「───どうしてそこまで〝本気になって嫌悪感を持てるんだい?〟」
善吉(どうしてって…そりゃ球磨川先輩の言ってることは誰にだって信用されない。
それほどまでコイツの言っている発言は不確定で、虚無に等しい責任皆無なんだから)
球磨川「……」にやにや
善吉(…だけど、球磨川先輩が言っている通り今の俺は最上級に嫌悪してしまってる。
コイツの顔を見たくないほどに、視線を絶対に合わせたくないほどに)
善吉(だってそれは───コイツの言ってることは気に障るから、気に触って、そして気を掴んでしまうから)
善吉(だから俺は球磨川先輩の言ってることを無視できない、対抗できない───いや、待てよ?)
球磨川「──はい、終わり。さて答えを聞こうか善吉ちゃん?」
球磨川「理由はわかったかい? 自分の気持ちの整理はきちんと片付けたかい?」
球磨川「それでは聞こうかきみの答えを……さあ、聞かせて頂戴」
善吉「……」
球磨川「? どうしたの?」
善吉「……」ガクガク…
球磨川「ねえ、どうしたの善吉ちゃん? あはは──」すた…
球磨川「──そんなに濡れたような犬のように、震えてしまって」すたすた…
善吉「……」ガクブル…
球磨川「見てるとこっちまで可哀想になってくるじゃあないか、くすくす」すたすた
すた
球磨川「──ねえ、善吉ちゃん。きみの答えを聞かせてよ、その可愛い口から教えてくれないかな」
善吉「あ、あんた……」
球磨川「うん?」
善吉「か、括弧……つけてないの…?」
善吉「」
球磨川「あははっ、もうもう! 遅いぞ善吉ちゃん!
いくらなんでも初めに合った瞬間から気づいたとしてもおかしくない程に不自然だったろ?」
くるくる
球磨川「何処をどう見ても僕という今の人間は──不自然の塊なんだから!」
球磨川「見てくれよこのスカート! 短すぎやしないと思わない? あとこのカツラ!」
球磨川「善吉ちゃんが好きだろうとロングにしてみたんだけど、どうかな? あとで感想教えてよ!」
球磨川「あーでも、やっぱり善吉ちゃんから感想言われちゃうとなー照れちゃうからなー」
ぴた
球磨川「…あとで僕の下駄箱に感想を書いた手紙を入れておいてよ、お願いだよ?」
球磨川「ね? 善吉ちゃん?」
善吉「」
善吉「っ」
球磨川「だからどうだい、ここはひとつ提案なんだけど──」くいっ
球磨川「──僕も我慢するから、必死に我慢するから、全力で恥ずかしがらないから」
球磨川「僕の今の姿に対する、ひとつ感想を言ってみては如何かな?」
善吉「いや、球磨川せんっ…!」
球磨川「答えろ」
善吉「っ……!!」びくぅ!
球磨川「……僕が手放しに本気で言っている言葉だ、
これがどういった意味でどういった配慮なのかわかってるのかい」
善吉「っ……そ、それは……その……」
球磨川「早く言えよ」
善吉「ッ~~~……ええっと、きもいです…はい…」
善吉「すっごく…気持ち悪いですっ…ヤバイぐらいに…吐きそうなぐらいに…!」
球磨川「………」
善吉「今すぐにでも…球磨川先輩を殴り倒して…それから教室へと走り逃げ去りたいです…!」
球磨川「………」
善吉「こ、これが俺の……本音です…!」
球磨川「………あっそ」ぱっ
善吉「うっ……っとと……」
球磨川「…ふーん、そうかい。善吉ちゃんはそう思ってたのか、それはそれは」
善吉「あ、あの……球磨川先輩…?」
球磨川「確かにそれは……『仕方ないことだよね、だって普通なことじゃないし、決して許されるようなことでもないから』」
球磨川「『語ったりとか思ったりとか片思いとか恋しくなったりとか蒔くったりとか恋慕とか』」
球磨川「『そんなこと全部ひっくるめて吐き気が催す程に気持ち悪くて、信じられないほどに嫌悪が満載で』」
球磨川「『たとえそれが僕という人間だからなんて、そんな言い訳が通じないほどに───』」
球磨川「『僕という人間は気持ち悪くて善吉ちゃんに嫌われるような人間なんだなあって、大丈夫、僕も気づいてるよ』」
くる…
球磨川「『…あはは、善吉ちゃんも素直だなあ。言えって言ったら直ぐに応えちゃうんだから、もう』」
善吉「…球磨川先輩?」
球磨川「『なんだよ、こっち見るなよ。気持ち悪いと思ってるんだろ』」
善吉「…ま、まあ」
球磨川「『だったら僕に近づくなよ、慰めようとかするなよ、ふざけるなよ』」
球磨川「『………』」
善吉「勝手に悲しがるなら、どうぞご勝手にと…はい」
球磨川「『………』」
善吉「そんな感じです…」
球磨川「『───だよねー!』」くるっ
球磨川「『善吉ちゃん、まさにその通りなんだよ! あは、実に明快その通り!』」
球磨川「『今きみが言った言葉は……正しすぎるほどにこの場の答えなんだから!』」
球磨川「『そう! 善吉ちゃんがしなければならなかったのはただひとつ、それは僕への明確な拒否!』」
球磨川「『何時になったら言ってくれるのなーなんて、僕らしく無く気長に待っちゃったよ、あはは』」
球磨川「『おめでとう、善吉ちゃん。これでこの場の謎は全て解決だ。これにて一件落着』」くるっ…
球磨川「───なわけないだろ、善吉ちゃんのばかっ!」だだだだっ!
球磨川「ばかー!」だだだ…
善吉「……」
善吉「……何だったんだ、一体全体…」
「───いやはや、なんともおぞましくも面白いことに首を突っ込んだねぇ…人吉くん」すた
善吉「この声は……安心院さん!」
安心院「やあ、お久しぶり」
善吉「お久しぶり? いや、さっきの時間に廊下であったじゃないですか」
安心院「おっと、そうだったね。これは失敬、忘れてくれよ人吉くん」
善吉「は、はあ…」
安心院「それよりも、そんなことよりも…なあなあ、なにがあってこうなってるんだい」
安心院「ちょいとこの安心院なじみさんに、ご相談しては如何かな?」
安心院「───ヘェー……あの彼がそんなことを」
善吉「そうなんですよ…いやね?
俺が思うにあの人、どっかで頭を打ったか殴られたかしたと思うんです」
安心院「それはどうかな、彼は当たり前に不死身で頑丈で卑屈な男なんだよ?」
安心院「彼のようなマイナスな人間は死を経験するほどのものでない限り──
おっと、死という概念すら彼には生ぬるかった、これは安心院さんも失念失念…」
善吉「確かに、あの人不死身でしかも死ねないですしね…」
安心院「それはさておき、人吉くん」
善吉「なんですか?」
安心院「僕が思うにね、こういう事情ってものは結構いとも簡単に解決するもんなんだよ」
善吉「本当にですか!? 本当に解決できるんですか安心院さん!?」
安心院「くっく、必死だねぇ…それほどまでに嫌悪してたのかい?
これは流石にあの球磨川くんだったとしても可哀想になってくるよ」
逃げられてしまったら、その…欠片も思わないことは、無いですけど」
善吉「俺は…今までの、球磨川先輩のほうが…断然いいです!」
安心院「…ふむ、確かにキミの言ってることも一理ある」
安心院「あのような球磨川くんは見てて楽しすぎて腹が捻じれ千切れてしまいそうになるけれど」
安心院「僕という存在が一度は認めかけた、そして期待しかけた人間だから」
安心院「彼という人間性をどうにか元に戻したいという気持ちはあるんだよね」
善吉「ほ、本当ですか…!?」
安心院「ああ、安心していいよ人吉くん(安心院さんだけに)」
安心院「───キミの抱えている、後生大事に腹の奥底に抱えているその思い……」
安心院「この安心院なじみが、どうにかしてあげようじゃあないか げらげら」
善吉「………」
善吉「……だ、大丈夫だろうか」
善吉「デビル不安でしょうがねぇよ! ……例えあの安心院さんであっても、相手は球磨川先輩だしなぁ」
~~~
安心院「人吉くん、キミはこれから普通に教室に戻っていいよ」
善吉「だ、大丈夫なんですか?」
安心院「平気平気、その間に僕が彼をどうにかさせておくからさ」
安心院「──キミは平然と気楽に、普段通りの学校生活を送ればいいんだよ」
安心院「──さすればそのとおりに、今の間違った現状もその流れに付き添ってくれるはずだからね あはは」
善吉「は、はあ……わかりました」
~~~
善吉「よくわかんねー言い方だったけど、まあ、あの人が言うことだから大丈夫だよな…うん!」
がらっ
ドドドドドッドドドド!
善吉「…んあ?」
善吉(な、なんだこの教室に溢れかえるっ…この重圧感…!?)
ドドドドドドッド!
善吉(っ……いや、違う! これはコレは、ただの所謂漫画的効果音ではなくて…!?)
ドドッドドドドドドド!
善吉「──この教室にいる奴らの、鼓動の…音だと!?」
「やあやあ、善吉ちゃん。遅かったね、心配しちゃったよ」
善吉「──え」
「どうしたんだい、犬が初めて別の品種を目撃したような顔をして……」
「…くす、もしかして、もしかすると善吉ちゃん───」
球磨川(女)「───この僕に見惚れちゃったとでも、いうのかな?」
善吉「───………」
球磨川「イェイ☆」パチッ
善吉「……あ、アンタ…球磨川先輩…?」
球磨川「それ以外にどんな人物だって思うんだよ、こんな可愛らしい女の子なんて他に居ないだろ?」
善吉「じ、自分で可愛いって……それ、本心で言ってるのか…?」
球磨川「あはは、じゃあ試して実践して賭けてみようか善吉くん──」
球磨川「───この僕の瞳を、十秒間見つめ続けてみてよ」ずいっ
球磨川「んー? どうしたの? ねえねえ、善吉ちゃん?」
球磨川「もっともっと、善吉ちゃんの顔を見せてくれよーねぇーってばー」ぐいぐいっ
善吉(顔が近いっ…!)
球磨川「くすくす、どうしたっていうんだよ。おいおい、人吉善吉ともあろう男が───」
球磨川「──女の子一人に手間取るなんて、らしくなくて可愛くて笑顔になってしまいそうだ」ニコ
善吉「ッ~~~───!?」
球磨川「さあさあ…わかってるんだろ? こんな風に密着しあって」
ぎゅっ
球磨川「…息がかかりそうな距離で喋り合って」
はぁー…ふぅー…
球磨川「僕と善吉ちゃんは、見つめ合ってるんだぜー?」
この現状もそうだがッ…そんなことよりも球磨川の言葉に!)
善吉(テンパッて頭の整理が追いつかねえよ! どうしたの俺!? どうしちゃったの俺!?
落ち着け落ち着け、まずはこの場を把握しねえと───)
善吉(───教室にいる奴らは…なんだ、異様にこっちを見てるような…いや違う!)
善吉(《球磨川先輩だけを見続けてる》のかこれ…!?)
善吉(ど、どうしてんなことっ…いや、わかるけども! そうじゃなくて!)
球磨川「ふぅー…」
善吉(というか息がくすぐったい!)
球磨川「あのさー、善吉ちゃん。周りにいる生徒の様子を確認するだけじゃなくって───」
球磨川「──もっと僕の姿を見てくれよ、ねえねえって」ぎゅうっ
むにゅむにゅ
善吉(柔っ!? 二つの弾力が柔っ!?)
球磨川「………善吉ちゃん」ぎゅっ
善吉「ッ…!?」ドッキーン!
球磨川「……ふふっ」
善吉(わ、分かった! 初見から一発で見抜けたけどやっぱりわかった!)
善吉(何故か先ほど変わって、いつも通りの学ラン姿!
しかしそれとは変わってスラリとした体格は表れておらず!)
善吉(その内側から浮き出る…女性特有のラインを持った美しい脚線美!)
善吉(抱えたら思わず崩れてしまうかのような、均等の取れた腰つき!)
善吉(雪崩れるように背中まで伸びた、黒よりも黒に染まった繊細な髪質!)
善吉(そして! もともと童顔だった顔がさらに丸美を帯びて可愛らしさの質上がった顔立ち!)
善吉(……そして現状を持ってして、形を変え続ける二つの膨らみ)
善吉(この全ての情報によって至らしめている───今の現状は!)
善吉「…どうして、女になってるんだ…?」
球磨川「今更過ぎる質問だよ、善吉ちゃん」
善吉「え、ちょっ…どうして俺の制服に顔を押し付ける!?」
球磨川「ぁう……ん? だってホラ、欠伸をしている顔なんて見られたくないじゃあないか」
球磨川「だから善吉ちゃんの制服に顔を押し付けて、欠伸したんだ」
球磨川「…それとも僕の欠伸顔、見たかったかい? ふふっ」
善吉「み、みたくねえよ!」
球磨川「そっか、それは残念。もしかしたら僕の欠伸が移って善吉ちゃんの欠伸顔を拝めると思ったのに」
球磨川「あはは、見たかったなぁ善吉ちゃんの欠伸顔……今度、僕だけに見せてくれない? だめ?」
善吉「だ、ダメに決まってる! いや、そうじゃない…ノセられてどうするんだ俺…!」
善吉「だぁー! 猫みたいにひっついてくるんじゃねえっ!」バッ!
球磨川「おっとと…」
善吉「はぁっ…はぁっ…もう一度聞く! アンタ本当に球磨川禊なんだなっ!?」
球磨川「何度もそう言ってるじゃあないか、相変わらず把握能力が乏しいなあ…まあ、そんな所も可愛いって僕は思うけど」
善吉「か、可愛いとかいうな!」
球磨川「照れてる照れてる」
善吉「照れてない!」
球磨川「まあ、そういうなって───お、ジャスト十秒だぜ」ぴっ
球磨川「…それでどうだい、善吉ちゃん。今あるきみの懐の気持ちは」
球磨川「──その心臓の高鳴りは、はたして嘘偽りなのかどうなのかってさ」
球磨川「そうだよねぇ、うんうん。言わなくたってわかる、大丈夫、だって男の子だし」
球磨川「女の子の身体にここまで密着されれば、清く正しく美しい男子高校生であれば──ね」
球磨川「……まあだって、その逆を言うなれば」ちら
球磨川「──僕だって実の所物凄くヤバイぐらいに恥ずかしいんだから」
球磨川「つまりコレといった僕に罪はなく、その善吉ちゃんの胸の高なりに対して…」
球磨川「僕は悪くない」
善吉「…そ、それは…!」
球磨川「だってそういうモンだろ? 善吉ちゃん」
球磨川「──今は男と女だ、その感情に罪も嘘も仮も偽も負も腐も辞も血も体も性も──」
球磨川「関係は全くないんだぜ?」
球磨川「?」
善吉「うっ…嘯くじゃねえ! 球磨川! 例え確かに何らかの理由があってお前が女になったとしてもだっ!」
善吉「お前が元が男だってことは、俺の中でキチンとした記憶があるんだぜっ!?」
球磨川「………」
善吉「今のお前の姿は女だ! だがな、俺は決してそんなふうに
テメーの口車に乗せられるほど馬鹿なヤツじゃねーんだよ!」
球磨川「………」
善吉「お前のわけのわかんねー真っ黒な企みがあるのは、重々承知の上でこの発言だ!」
善吉「もういいだろ!? ここまで俺を辱めたんだ! そろそろ本音とやらを言いやがれよ!」
球磨川「…企み?」
善吉「ああ、そうだっ…! お前は絶対に理由なしにこんな事をしないはずだからな!」
球磨川「…おい」
球磨川「…おいおい、おいおいおいおい」
球磨川「あのさ、善吉ちゃん」
善吉「な、なんだよ……」
球磨川「………待ってくれよ、そりゃないぜ、本当にさ」
球磨川「何を口にだすのかと思えば……球磨川禊が企み? っは、はは」
善吉「…な、なにがおかしい!」
球磨川「やれやれ、何言ってるんだこの善吉ちゃんはってさ、本当にばかわいいなぁって思ってるところ」
球磨川「可愛くて可愛くて──どうしようもなりそうなぐらい、愛おしくて」
球磨川「分かって貰えてなかった怒りよりも、知ってほしいという愛情のほうが上回ってしまうじゃあないか」
善吉「っ……な、なんだよ! 何が言いたい…!?」
球磨川「───球磨川禊という女に、企みは無い」
球磨川「もう一度言ってあげようか? しょうがない、じゃあいうよ?」
球磨川「球磨川禊という女に、策略や謀略、その他に渡る暗躍的情景は一切ない」
球磨川「──まあ、ぶっちゃければ善吉ちゃん大好きー!」ぎゅうっ!
球磨川「ってことかな? えへへ」ぎゅうう~…!
善吉「ふぁあっ!?」
球磨川「んーん~! あ、善吉ちゃんってもしかして僕と同じボディソープ使ってる?」くんくん
善吉「か、かぐんじゃねえ!」
球磨川「いいだろ別に、気にするなって。寧ろ気にしてくれるのかい? いいねえ、感謝するよ」
善吉「や、やめろって!」
球磨川「あーもう、暴れたから匂いが飛んじゃうだろ。大人しく僕に抱かれておけって、ね?」
球磨川「…しょうがないなー」
ぞぞぞぞぞんっ!
球磨川「──これでどうだい、善吉くん…あはは、見事に貼り付けだ」
善吉「なっ…!」
球磨川「きみが暴れるから致し方ないしと、僕も不承不承ながらも心鬼にしてやったことだから」
球磨川「僕は悪くないよ?」ニコ
善吉「わ、悪いわ! は、はなせっ…床に貼り付けやがって──って、おいっ…どうして俺にもたれ掛かる!
やめろ! 俺の上に乗りかかるな! 女豹のポーズをとるんじゃねえ!」
球磨川「善吉ちゃん…大丈夫だって、大人しくして、全部のことを僕に任せればいいから」ごそごそ
善吉「な、なにをだよ!? なにをするきだよ球磨川───!!!」
「───時を操るスキル『時感作用』タイムバニー」
善吉「………え?」
「──いやはや、これには安心院さんもびっくりだぜ……」
善吉「あ、安心院さん!」
安心院「天井から失礼するよ、人吉くん……よっと」とん…
善吉「あ……安心院さん……っ!」ぱぁああ!
安心院「よしよし、怖かったねぇ人吉くん。きみの気持ちもよーくわかる」
安心院「しかし人吉くんの貞操の危機はさほど現状では問題にならないんだな、これが」
善吉「えっ…?」
安心院「うん、まあ、今この教室の時を少し止めてるんだけど───」
球磨川「」ぎぎぎぎぎ
安心院「──やっぱりきみは動くと思ったよ。流石は僕が見込みかけた男だ」
安心院「さて、完全に時を嘘っぱちにされる前に…人吉くん、ほら、逃げるよ」
善吉(螺子が触れること無く抜けていく……)
安心院「そしてきみにはやってもらいたい
ことがあるのだから、ここで間違いを起こしてもらっちゃー困るんだよ」
善吉「…やってもらうこと?」
安心院「そうとも、だがここでは出来ない相談だから、まずは逃走を図る」ぐいっ
善吉「うぉっ?!」
安心院「さてさて、どうにもこうにも儘ならないことばかりだぜ……」
ぎゅんっ!
~~~~~~
安心院「走りながらだけど、つまりどういうことかを説明するよ、人吉くん」
善吉「あががががががが」
安心院「あの球磨川禊は───正真正銘、本物の球磨川禊だ」
安心院「彼は実の所……まあ、ぶっちゃければ僕が色々とスキルで弄ってあげたんだよね あはは」
安心院「どうして、と思うかい? そうだろうねぇ、きみは彼を元の彼に戻して欲しいと願ったはずなのに」
安心院「いやはや、だからと言って不安に成らなくてもいいんだよ。
ちゃんときちんと安心院さん的にウィークポイントを残しておいたさ、やるなあ僕」
安心院「とどのつまり、彼はきみへの欲求に飢えている──それは決して認められるようなものではなく、
そして一般的に現状の関係性ではその欲求を日々耐えて行かなければならない」
安心院「それは球磨川禊という人間には───まさに拷問の日々。常日頃から心はささくれ、
筋の通った、通りすぎて筋が弓なり曲がっていた彼の自己意識は崩壊を迎え──」
安心院「──キミの前へ、女装をして現れることとなった」
安心院「可哀想にねぇ、なんていじらしいんだろう。彼は決してきみから良い返事とやらを貰うつもりはなかったらしいよ」
安心院「ただただ、きみへ自分の想いをぶつけたかっただけなんだろうと、僕は予想しているよ」
安心院「しかしそれでも、現状は打破されない。彼の想いは常に降り積もってゆくばかりだし、
その想いに踏ん切りをつけるほどに彼の強さは強くなく、そして弱者らしく諦めもしない」
安心院「ところがどっこい、僕みたいなチート女子がいたもんで」
安心院「その彼の──執拗的な根性に──横槍を入れるがごとく」
安心院「僕という存在で、彼の悩みを解決させてあげようと思ったんだ」
安心院「結論からいっちゃうけど、人吉くん」
安心院「──球磨川禊(女)を、キミの力で満足させるんだ」
安心院「そうすれば、さすればもしくは、いや完璧に、じゃなくても十全に」
安心院「彼の繋がらない想いは霧散霧消する予定にしておいたんだぜ?」
安心院「まあ、言っちゃえばそれだけの話し。無論、頑張ってくれると思ってるぜ人吉くん」
安心院「頑張れよ、それなりに応援してやっておくからさ」ぱっ
安心院「んじゃこれで。…あ、それと今回のこと解決させれば人吉くんの記憶も消してあげなくもないよ、ばいばい」
善吉「う、ううん……」
善吉「……あれ、ここは…?」
「──おや、目覚めたのかな善吉くん」
善吉「ああ、おう……なんだか悪い夢をみてたような…」
「………」
善吉「だけど、それでもちょっと柔らかくて…嬉し──って、なんだぁ!?」がばぁ!
球磨川「わあ」ぱっ
善吉「…!? …!?!?」
球磨川「やるじゃあないか、善吉ちゃん。把握能力が向上したみたいだね」
善吉「なっ…なななな! なんで俺!? 球磨川先輩とベットで添い寝してんの!?」
球磨川「……ちょっとちょっと、そんなにも毛布をめくらないでくれよ」
球磨川「……僕が今、裸なのがバレちゃうだろ」
球磨川「……」ちら
善吉「み、みせんじゃねぇええ!!!」ばばっ!
球磨川「あれ? みないの?」
善吉「みっ…みっねーよ!! 誰がお前みたいな貧相な身体をっ…!」
球磨川「………」
球磨川「『……そりゃーまぁ、僕の身体はめだかちゃんに比べてメリハリ少なくて突出部分も少ないよ…』」もぞっ…
善吉「っ……ああ、そうだな! お前みたいなお子ちゃまな身体なんて! これっぽっちもみたかぁーないね!」ちら
球磨川「『………』」くるくる…もぞもぞ…
善吉「……その、なにやってるんだ?」
球磨川「『みのむしのまね』」
善吉「…拗ねてるの?」
球磨川「『な、なわけないだろっ……ふざけるなよ、善吉ちゃん。僕だって怒ることもあるんだからね、言って良いことと悪いことを考えろよ』」
つぅーかみのむしって、それ毛布が体全体に巻き付いてるだけで、体のラインが浮き彫りになって逆にエロ──)
善吉「──げほっこほっ、んんッ!」
球磨川「?」
善吉「あー……えっと、球磨川先輩?」
球磨川「『…禊』」
善吉「はい?」
球磨川「『禊って呼んでほしいなー……僕』」
善吉「い、いい…嫌だ!」
球磨川「『じゃあこの格好のままに、全力で全身全霊をかけて叫んでやる』」
善吉「それだけはやめてくださいお願いします」
球磨川「『じゃあ呼んでよ、禊ってさ』」
もぞっ…
球磨川「…だめ?」ちら
球磨川「……」じっ
善吉「っ……あ……ぐっ……」
善吉「……その、えっとっ………」
善吉「…………み、禊…」ぼそっ
球磨川「っ~~~~~~!!」ぱぁああ!
球磨川「も、もう一回言って!」
善吉「禊……」ぽりぽり…
球磨川「~~~!! も、もう一回……」
善吉「だ、だめだだめ! もう言わないぜ! デビル言わない! そう決めた!」ぷいっ
球磨川「『えー……なんだよそれ、善吉ちゃんが恥ずかしがる顔が見れないだろー』」
善吉「っ…! そっちかテメーの狙いは!」
球磨川「『あははー! 善吉ちゃん顔真っ赤だぜ?』」
球磨川「えっ? あ、いやっ…そ、そ『そんなことないだろ、何を言ってるんだよ善吉ちゃんは』」もぞっ!
善吉「いーや! お前のほうが顔が赤かったぜ! この目は嘘を付けねえからな!」
球磨川「………」
善吉「ほらほら~? どうした、んん? 毛布に顔隠してないで、しっかりこっちに見せやがれって」
球磨川「『ば、馬鹿だろ善吉ちゃんは。こんなこと女の子にするなんて、本当に最低だぜ』」
善吉「別にいーじゃねえか、あはは…なんか知らねえけど俺も段々と慣れてきたようだ」
球磨川「『………』」
善吉「そうだ、そうなんだ。別に女の姿だからって、球磨川禊って人間に変わりはないんだ」
善吉「…俺のほうが常に強気であれば、どうにか切り抜けられる問題ってことだろ! カッ! ひよってかっこ悪いぜ俺!」
球磨川「『……なあ、善吉ちゃん』」
善吉「なんすか球磨川せんぱーい?」
善吉「あー? きこえないっすよ、もっと大きな声で言ってもらわないとさ~」
球磨川「…ねえ、ちょっとこっちきてよ善吉ちゃん」
善吉「あ?」
球磨川「上手く聞こえないんでしょ? じゃあもうちょっと此方においでよ」
善吉「いいっすけど~、まあかったるいんで、長いこと喋るのやめてくださいねほんっと」すた…
球磨川「……」
善吉「んで、なんすか? 早いとこパパっと喋っちまって───」
球磨川「えーいっ」がばぁっ!
善吉「──んぁああっ!?」
ばさあ……
善吉「え、急に毛布の中に引きずり込まれ………て……」
球磨川「……」
善吉「……は……」
球磨川「…そんなに見るなよ、恥ずかしいだろ、もう」
球磨川「おっと、欲視力で僕の視界にしたって無駄だぜ?」すっ
善吉「ぶはぁっ!?」
球磨川「──ようは僕が自分の体を見ればいいって話だろ?
どうだい小ぶりだけど、中々綺麗なおわん型をしてると思わないかな?」
善吉「くっ……」キュウン…
球磨川「ん、それでいいんだよ善吉ちゃん」
善吉「……アンタ、一体俺に何をしたいんだよ」
球磨川「え? 特に何も?」
善吉「……」
球磨川「しぃーて言うなら…そうだね、まさに今。って感じかな」
球磨川「──球磨川禊は、今の現状を今まで散々に砕け散るまでに」
球磨川「待ち望んで、欲して欲していたんだろうね、あはは善吉ちゃん!」
球磨川「禊」
善吉「……禊」
球磨川「えへへ、なにかな?」
善吉「その…その、アンタはどうして……そこまで…」
球磨川「………」
善吉「お、俺のことを……俺のことが───」
がらり!
球磨川「!」
善吉「!?」
「───失礼する、ここに生徒会役員の人吉善吉書記がいると聞き…」
めだか「…来たのだが、ふむ」
球磨川「…しぃ、静かに」
善吉「!? !?」
球磨川「…今、僕達がかぶっている毛布の存在感を嘘にしたから。
いくらめだかちゃんでも中にはいってる僕達には気づかないはずだよ」
善吉(そ、そうじゃねえよ! 抱きついて! アンタ抱きついてるから俺に! ふ、膨らみがががが!)
球磨川「あ、ちょ……だめだって、ば…善吉ちゃんっ」
めだか「?」
めだか「…今声が聞こえた気が」すた…
球磨川「………そんなに欲しいの? 別にいまじゃなくっても、あ! そういうスリリングが欲しい感じ?」
善吉(ちっげえええええええよ!!)
めだか「…この辺か」
シャアアア…
めだか「──失礼する、突然開け放って済まないが…」
めだか「む?」
めだか「……誰もいないな、おかしい。確かに声が聞こえたはず」
善吉「っ……っ……」
めだか「? ?」
球磨川(『まさかめだかちゃんも、天井に張り付いてるとは思わないだろうね。
いやはや、螺子で毛布ごと天井を突き刺す音を嘘にすればの簡単なことだったけれど…』)
球磨川(……いや、マジで怖かった)
善吉「っ…」ちょんちょん!
球磨川(ん、どうしたの善吉ちゃんそんなに暴れてさ……あれ? 螺子、外れそうになってない?)
善吉「っ……っ…」こくこくっ
球磨川(わお)
善吉「っ……わお、じゃねーよ! ばか!」
球磨川&善吉「あ」
びりっ! びぃいいいいいいいいいいい!!
どっしゃああああああああん!!
善吉「けほっ…! こほっ…! あ、いやいやいや!
違うんだめだかちゃん! これはそういったことじゃなくて!」
「──男らしい間抜けな弁解をしてないで、さっさと逃げてくれないかな人吉くん」
善吉「へ…?」
安心院「本当に世話の掛かる主人公だ、それでもハーレムを作ろうとした身なのかい」
善吉「安心院……さん?」
安心院「そうだよ、安心院さんだ。だけど、悠長に自己紹介を四回目する暇はないんだぜ」
がががががががが!!
安心院「──今僕の『僕』たちがめだかちゃんを止めてるから、はやくここから出るんだ」
善吉「と、止めてるって…?」
安心院「いいから早く、彼女は既に事の半分を闘いながら把握しつつあるよ」
善吉「!?」
安心院「もって後……二秒かな、僕もご参加願えるなら───十二時間持たせてあげよう」
安心院「だけど、言うなれば……あ、ちょっと待って。ん、そうだね…じゃあ次は腕を飛ばそうかな」
善吉「アンタ今不吉なこと言わなかったか!?」
安心院「違う違う、今のは僕の分身に向かっていった言葉で。特にそういった意味合いは……あちゃー、バレたか」
善吉「ば、バレた…?」
安心院「うん、バレたぜ人吉くん。こうなれば箱庭学園じゃ行えないなあ、うん、じゃあ次のステップに行こうか」
安心院「そこで頭を打って伸びてる球磨川くんに服を着させて、外に連れ出すんだ」
安心院「デートコースはこちらで用意しておく、気兼ねなく楽しみ給え」
安心院「ではこれで、ああ──ちょっとまってくれめだかちゃん、こっちをそんなにも睨まないでくれると嬉しい」
安心院「平気さ、今の現状はさらに楽しいことになりつつある──あはは げらげら …な?」
ががががががががががg!!
善吉「っ……一体なんだっていうんだよっ! くそっ!」だっ
善吉「──行くぞ禊! とりあえず服の調達だ!」だだだっ
善吉「……」
球磨川「僕、こういうところ来るの実は初めてなんだよ」
善吉「…そうか」
球磨川「善吉くんは以前、来たことある感じ?」
善吉「うん、まあ…それなりに」
球磨川「そっかー、それじゃあそれなりに甘えさせてもらってもいいかな?」ぎゅっ…
善吉「…おう、エスコート任せろ」
球磨川「うんっ!」
~~~~
赤「はいこれ?」
善吉「え、これって…女の子の服?」
赤「そう、これきてさっさと箱庭学園からでてってくれたら」
球磨川「おー」
赤「…本当に女の子になってるのね?」
赤「……」
球磨川「『?』」
善吉「い、いいから服を着てくれ…! 毛布だけじゃ、さっきから眼のやり場に困る!」
球磨川「はーい」
赤「…あとこれペアチケット」
善吉「…ペアチケット?」
赤「そう、あとは任せたわよ。本当に箱庭学園無くならないうちに」
善吉「わ、わかった」
~~~~~~
善吉「…はぁーあ、なんだかとんでもねぇことになってきたんじゃねえかこれ…」
球磨川「あはは、おーい! 善吉ちゃーん!」ぶんぶん!
善吉「……」ふりふり
善吉(球磨川の奴はメリーゴーランドでお楽しみ中だし……なんか、俺、すごいことやってるんじゃねえのか)
球磨川「──あー、意外にも年甲斐なく楽しんでしまったぜ。ふぃー」
善吉(全力で楽しそうだ…)
球磨川「善吉ちゃんは乗らなくてよかったのかい?」
善吉「え? いや、俺はいいんで…」
善吉(全然楽しむ余裕がねえよ……)
球磨川「………」じっ
善吉「えっと、なんすか? 俺の顔見つめて…」
球磨川「……むー」ぷくぅー
善吉「っ」
球磨川「…善吉ちゃん、ぜんぜん楽しそうじゃないじゃないか」
善吉「…それは、まあ」
球磨川「どうして?」
球磨川「そうなのかい?」
善吉「ええ、だからというのも言い訳っぽく聞こえますけど。
あんまり女子と二人で楽しむ遊園地ってのも、その……苦手つーか」
球磨川「それはそれは寂しい人生を送ってきたんだね、善吉ちゃん」
善吉「………」
球磨川「『でも、僕は違うんだろ?』」ぐいっ
善吉「えっ…?」
球磨川「『正直な善吉くんのことだから、まだまだ僕のことを掛け値なしに女の子と見てないきみなら』」
球磨川「『──この僕のことを、うまい具合にエスコートできるんじゃあないかな』」
善吉「べ、別に俺はそんな事思って…! だから、球磨川せんぱ……あっ」
球磨川「……くす」
球磨川「ほらほら、行こうぜ善吉ちゃん。楽しい時間は待っててくれないんだぜ?」
球磨川「そら、早く」くいくい
善吉「あ、うん……」
すたすた…
ジェットコースター
球磨川「うひゃー! 高いよ凄いよ善吉ちゃん!」
善吉「お、落ちる落ちるっ…もう落ち───」
球磨川&善吉「──うわぁあああああああああああああああああああ!!」
コーヒーカップ
球磨川「あはははははは!」ぐるぐるぐる
善吉「おぇっ……おぇええええええ!!」
射的
球磨川「螺子で捻り飛ばしたほうが良くない?」
善吉「だ、駄目だ! 俺が取りますからおとなしくしててください!」
善吉「っはぁー…っはぁー…デビル疲労感ッ…!」くたー
球磨川「くすくす」ニコニコ
善吉「はぁ…その人形、そんなにも取れて嬉しいですか」
球磨川「うん!」
善吉「…そうっすか、それなら取った方もまんざらでもないですね」
球磨川「『いやはや、すげーぜ善吉ちゃん。射的のセンスが合ったなんて、見なおしたぜ、チューしていい?』」
善吉「…やめてください、冗談は」
球磨川「お? 流石に気づき始めたようだね」
善吉「ええ、まあ……アンタの口調とトーンで括弧つけてるパターンがあるって」
球磨川「やるねぇ、流石は僕が惚れた男だ」
善吉「…素直に受け止めておきます」
善吉「……今日は、楽しかったですか」
球磨川「うん? 当たり前に決まってるだろ、馬鹿言うなよ善吉ちゃん」
球磨川「きみと過ごせる時間は全て、喜怒哀楽が全てさ」
球磨川「本当に飽きさせない人間だよ、善吉ちゃんってさ~」
善吉「…そりゃ、良かったです」
球磨川「どうして? あはは、別に善吉ちゃんが気にすることじゃないだろ?」
善吉「……そうかもしれない、けれど」
球磨川「?」
善吉「俺は、アンタの……その、貴方の……」
善吉「っ……貴女の想いを、ちゃんとわかってるのかなって…思って」
球磨川「………」
善吉「俺は……そういうの、わからないんですけど…やっぱり」
善吉「苦しかったんですか? 自分だけの想いにして、ひた隠しにしてた現実は…」
善吉「貴女にとって、重くて苦々しいものだったんですか…?」
球磨川「………」
善吉「……言いたくなければ、答えたくなければ別に、いいです」
善吉「というか答えたくないでしょうけどね、俺に対する悩みですし──」
球磨川「『それは…』」
善吉「………」
球磨川「『…ううん、そうじゃあないな』」
球磨川「──それは、そうだよ。苦しかったさ」
球磨川「どうして僕はこうなんだろうと、今ある現実は一つなのに。
なのにどうして僕はここまで──苦しんでいるんだろうと」
球磨川「体が不死身であっても、性格が捻れていても、質がマイナスだったとしても」
球磨川「努力が嫌いだったとしても、天才や秀才を嫌悪していたとしても」
球磨川「人として大事なものが大きく欠けていた人間でさえも───」
球磨川「───人を心から、好きでたまらないと感じてしまうんだと」
球磨川「僕は、それに気づいてしまったんだぜ、善吉ちゃん」
善吉「……そうなんですか」
球磨川「そう、だからきみがそこまで重く受け止める必要はない」
善吉「……」
球磨川「差し出された役割を最後まで演じ続ければいいだけ──それでオシマイ、全て解決だ」
球磨川「それが善吉ちゃん、『正しい選択』なんだよ?」
球磨川「ふぅー、本当にきみは人のためにならなんだってしそうだから恐いよね」
善吉「…俺は別にそこまでの人間じゃ」
球磨川「人のために死を選ぶほどなのにかい?」
善吉「……」
球磨川「あれは痛かったよね、ハブハブ、マジで死んじゃうかと思った」
善吉「ええ…アレは痛かった」
球磨川「だけどね、善吉ちゃんの前蹴りのほうがすごかったよ? 肋骨バッキバキだったし」
善吉「…よく言うよ、アンタの螺子だって肺を突き破ってたぞ」
球磨川「あはは、でもちゃんと無かったことにしたじゃあないか」
善吉「あの時の痛みとトラウマは忘れようがないんだが…」
球磨川「そうなのかい? あ、だったらそうだね、あの時の───」
善吉「ええ、いや! あれはアンタが────」
球磨川「けっこうお喋りしちゃったね、どうする?」
善吉「そうだなぁ…とりあえず最後になにか乗るか?」
球磨川「うん、乗りたいね」
善吉「だけど大半の乗り物はもう……あ、あれがあったぜそういえば!」びしっ
球磨川「おー」
善吉「───観覧車、最後に乗って行こうぜっ?」
観覧車
球磨川「『い、意外と高いなぁ。どうしてくれよう、いや、僕としては別に高い所は平気なんだけどさ』」
善吉「声がぶるっぶるだぞさっきから…」
球磨川「『そ、そんなわけないだろ! ばか! ばか善吉!』」
善吉「はいはい…」
球磨川「『あれは……その、まさに燃える闘士で周りが見えてなかったというかね』」
善吉「本当の所はどうなんだ?」
球磨川「………」
善吉「顔見れば一発とか凄いな」
球磨川「…イジワルなことはしないでくれると嬉しいな、僕は」
善吉「すみませんでしたー」
球磨川「よろしい、あはは」
善吉「…カッ」
球磨川「……なんだかあれだね、こういった話とか、普段の僕らなら地球が滅んでもしなかっただろうね」
善吉「まさにその通りとしかいいようがないぜ」
球磨川「死んだって認め合おうともしなかったくせに、なんていうか、神様は残酷だって思った」
球磨川「───善吉ちゃんと観覧車にも乗れないなんて、残酷だよ」
善吉「……別に乗ればいーじゃねえか」
球磨川「え?」
善吉「色々と終わって、すっきり片付けて、それからまた一緒に乗ればいいだろ」
球磨川「…でも、それは」
善吉「何か悪いってのかよ。別に悪い要素一つもないだろうが」
球磨川「………」
善吉「思うんだがよ、つかマジで本音ぶっちゃけると、今回のことで重く受け止めてるのは……その…」
善吉「…禊のほうじゃねーかっ」
球磨川「っ……」
善吉「俺よりも禊、だろ……色々と深く悩んじまってるのは」
球磨川「この思いが! どれだけの人を不幸にするか考えてもみればいいッ!」
善吉「…だからって、禊の想いを無くしてもいいのかよ」
球磨川「詭弁だね、そんな事を言えば誰もが不幸になるだろ」
善吉「……あーそれだ、不幸不幸、それだよ禊」
球磨川「………」
善吉「そこが俺が一番気になってたことだな。禊みたいな奴が、どうして人の不幸を心配するんだ」
善吉「──お前みたいな人間が、立派に生きようとするから間違いなんだ」
善吉「なにらしくないことやっちゃってんの? カッ、わらえねーぞ」
善吉「球磨川禊って奴は、俺が知っているそんなマイナスな奴はよ!」
善吉「人にどうこう言われたことを、他人にとやかく言われたことを」
善吉「──いちいち気にして生きてきた奴だったか? 違うだろ?」
善吉「事実、その通りだったろうが。例えそれが禊の括弧つけだったとしてもだ」
善吉「禊自体の根本的なマイナスは──絶対に変わらねえ、それは今までの経験で事実として語れるよな」
善吉「それなのに、お前はその根本を…馬鹿みたいに他人のために変えようとしちまってる!」
善吉「…それなら苦しいはずだぜ、変われないことを消せないことを無理やり消そうと努力してたわけだろ?」
善吉「その努力を……俺のためにしてたわけなんだろ、禊」
球磨川「それはっ……それは……」
善吉「んだよ、言ってみろ正直に」
球磨川「『…それは違うよ善吉ちゃん、きみがこの小さな観覧車で言い放ったことは』」
球磨川「『大半が間違いで、ミスだらけの回答だよ』」
球磨川「『馬鹿言っちゃいけないよ、僕がどうして努力なんてしなきゃいけないんだい?
ふざけるなよ、いやふざけてないからこそ僕は苛ついているのかもしれないね』」
僕は色々と昔の自分とは変わった事は自覚してるつもりだし、だから素敵なアドバイスをひとつきみに送るよ』」
球磨川「『──マイナスな人間を理解しようとするのは、時間と青春の無駄だよ?』」
球磨川「『事実、きみも経験してるじゃあないか。僕達マイナス十三組が関わったことによって。
まったくもって高校生活の貴重な時間が無駄に浪費されてしまったことを』」
球磨川「『僕らという存在がなかったのなら、決してあの夏休みはもっと良い青春を遅れたはずだったのに』」
球磨川「『僕らマイナスと関わったばかりに、かかわり合いを持ってしまったばかりに』」
球磨川「『きみらの大切な時間を根こそぎ奪ってしまったじゃあないか』」
球磨川「『忘れてはいけないよ、これは本当にあったことなんだ。
だから善吉ちゃん、きみはきみの楽しい時間を過ごしていけばいいんだよ』」
球磨川「『なにも人生をマイナスにする必要な無いんだ、だからこそ、これからはプラスに生きて向上心を上げ続ければいいんだ』」
球磨川「『そうなれば、もはや時の流れによって加速されたプラスは留まることを知らず───』」
球磨川「『──善吉ちゃんを悪くない方向へ持っていくはずだから』」
球磨川「『だとすれば、ほら、僕もこのセリフを言えるだろう?』」
球磨川「『僕は悪くない』」
球磨川「『理解してくれとは言わないよ、優しい善吉ちゃんのことだ、理解も何もちゃーんと把握してると思ってる』」
球磨川「『だからさ、そうやって僕に優しくするのはもう……やめろよ』」
球磨川「『迷惑だからさ、こっちも』」
善吉「……───」
善吉「──そっか!」
善吉「なるほどな、うん、わかった。確かにお前の言いたいこと、よーくわかったぜ」
善吉「じゃあ最後に、観覧車も今が頂上間近だし」
善吉「お前に向かって言う言葉も、これがラストにしてやろうじゃねーか」
球磨川「『うん、なにかな?』」
善吉「おう! なあ禊、ひとつ言いたいんだが───」
善吉「───ちょっと括弧つけずに、『』付けづに言ってみろ」
善吉「──聞いててやるぜ、ちゃんと最後までな」
「 『……』 」
「 『』 」
「────好き」
球磨川「──好き!! 善吉ちゃんのこと大好きで大好き!!」
脳みそがからっぽになってしまうんじゃないかって! 善吉ちゃんのことだけが頭の中いっぱいで!」
球磨川「なにもかも自分のステータスを捨て去ってもいいぐらいに!!」
球磨川「この好きって想いを大切にするためになら、努力だって天才にだって頼って!!」
球磨川「惨めで弱ったらしく、汚れた心のままただひたすらに君のことを思えるように!!」
球磨川「ずっと好きでいたいんだよ! 例えそれが悪かったとしても!!」
球磨川「多大な人を不幸にしたって!! そうだったとしても僕は……!」
球磨川「僕はっ…きみを、善吉くんをっ……好きで、好きでありたかったんだよぉっ…!」
球磨川「ぐしっ…それの何が悪いんだよ! 僕が人を好きになっちゃだめだっていうのか!?」
球磨川「僕だって人間だ! 人だよ! 恋する男子だ!!」
球磨川「それなのにっ…僕は、それがっ…!」
球磨川「ダメだって……知ってるから…!」
球磨川「僕は……悪いやつだってことを、しってしまったからっ…!」
球磨川「……もう、後戻りは…できないんだよっ……」
善吉「──おっと、それまでだぜ」ぎゅっ
球磨川「ふぇっ…?」
善吉「そこまでだって言ってるんだ、禊」
善吉「…そこからは、その言おうとしていた言葉は───」
善吉「──お前にとって、マイナスにしかならないからな」
球磨川「どういう、こと…?」
善吉「言ったよな俺は最後まで聞いてやるって。
そしてそれにお前は答えてくれた、堂々と、自分の中で燻らせていたその…」
善吉「…俺への想いを、そのプラスを、きちんと話してくれた」
球磨川「ぷらす…?」
善吉「ああ、そうだぜ。だけど、そんな自分のプラスを…否定しようとしたろ、お前」
善吉「だったらそれは、ただのマイナスだ。んなもん、言わせるかよ俺が」
善吉「違う、プラスだ」
球磨川「わからずやっ……違うって言ってるだろ!?
僕がかっこつけずに言ったことは、醜くてどうしようもなくて、最低で…!」
善吉「それのどこがマイナスだ、馬鹿言うんじゃねーよ」
善吉「それはプラスなんだよ禊、何度だって、いくらだってお前に言ってやる」
善吉「それはマイナスじゃねえ! プラスだ!」
球磨川「っ…じゃあどうしてそんな事を言えるんだ! プラスだと! どうしてそれがいいことだって言えるんだよ!」
善吉「そんなの俺が喜んじまってるからに決まってるだろッ!!」
球磨川「……え」
善吉「い、言わせるなよっ…こんなこと! そうとしか言えねーだろうが!」
善吉「お前が言ってくれた言葉全部! 俺のとっちゃー……なんだその、あれだよあれ! 嬉しかったよばーか!!」
括弧付けずに言ってみろよ
善吉「はぁっ…はぁっ…んだよ、なんか言えよっ」
球磨川「う……うれしかったの?」
善吉「そ、そーだよ何が悪い!? 嬉しかったよ、色々とデビル複雑だぜ全く!」
球磨川「う、うん……だ、だけど」
善吉「……わーってるよ、それってつまり、さっきの告白は───」
善吉「───女の体だからの告白ではい、と言いたいんだろーが」
球磨川「…………」
善吉「今更だろ。もう最後まで正直に話せって」
球磨川「っ………」
球磨川「……うん、その通り…だよ」
球磨川「だけどっ……それなのに、善吉ちゃんはっ……僕の言った言葉を…?」
善吉「ああ、プラスだと言ってやるよ」
善吉「そしてコレも言ってやる、俺が言うのも何だけどな」
善吉「お前は悪くない」
善吉「まったくもって、何一つお前は悪くない」
善吉「それを俺が、お前に言ってやるよ禊」
球磨川「っ……っは…ぜん、きちっ……ちゃん……」
善吉「…おいおい泣くなよ、もっと辛くなっちまうぞ」
球磨川「だ、だめ…泣いちゃうよ…僕、本当にこれ…感じたことのないぐらいに胸がいっぱいで…っ」
善吉「大袈裟だって、もうちっと落ち着け」なで…
球磨川「ふぁ…」
善吉「な?」
球磨川「…うん」
善吉「…色々と、考えなきゃいけないことあると思うけどよ」なでなで…
球磨川「……」
善吉「大丈夫、へーきへーき! 俺が最後までちゃんと一緒にいてやるよ!」
善吉「…バレたか」
球磨川「バレバレだぜっ……でも、嬉しいよ…うんっ!」がた…
ぎゅうう…
善吉「おっとと、急に抱きつくなよ…!」
球磨川「『いやいや、ここは抱きつく場面だぜ…っ?』」
善吉「…ボロボロと泣きながらカッコつけられても、正直なぁ」
球磨川「あははっ…そりゃあ止まらない…よ、あれだけの……大切な言葉を…」
球磨川「僕に向かって、言ってくれたんだからね……?」ぎゅう…
善吉「…そっか、がんばる」
球磨川「うん…頑張ってくれ、僕も……また頑張るからさ」
善吉「おう、楽しみだぜ…禊の頑張りとやらを───」
球磨川「んっ」
ちゅっ
善吉「っ~~~~!!? ッ!? ッ!?」
球磨川「んーーーーーーーーーーー」
善吉「っ! っ! っ!」
球磨川「んっんっんっ!」
善吉「っ───」
球磨川「『…ぷはぁ、よし頑張った!』」ぐっ
善吉「」
球磨川「『しかしキスっていうものは正直な所、非常にやりにくいなあ。
何度も前歯が当たるし、口内の状況を確かめようにも食いしばってちゃ無理だし』」
善吉「」
球磨川「『まあそうだったとしても──』──やっぱり、嬉しいなあ!」
球磨川「あはは、どうしよう嬉しくて楽しくって本当に幸せなのに───」
「───そういう終わり方なんだぜ、球磨川禊くん」
球磨川「うんっ! わかってるよ、十分さこれで!」
善吉「ハッ!?」
善吉「こ、ここは……教室?」
「そういうことになるね、そして五度登場───」
安心院「安心院さんだぜ、よっと」すとん
善吉「安心院さん!」
安心院「いぇーい! もう物語も終りに近いし、目立ちに入っていくよ」
善吉「そ、そうなんですか…?」
安心院「まあね、キミには関係ないことだからね。つまるところ忘れてくれていい」
善吉「は、はあ…」
安心院「はてさて、どうやら無事に終わったようで心休まるばかりだよ。
途中で何度も遭遇しそうになっためだかちゃんを遠ざけるのに骨を折ったよ、物理的に」
安心院「すぐに治ったから別に平気だけどさ! いぇーい☆」ぴーす
善吉(あれ? なんだ、さっきから何か…忘れてるような…?)
安心院「ああ人吉くん、それは大丈夫だよ、今キミが思い出そうとしていることは…」
安心院「…いずれきちんと脳内から抹消されるはずだから
──記憶のスキル『記憶操失』メモリーソート──実に万能なスキルだからね」
善吉「………」
安心院「しかし、それでもキミの中にある──実は不確定用のものがさ」
安心院「彼の事実を憶えている可能性があるんだよね、これまた不思議なもんで」
安心院「人は一般的にこう呼ぶんだろうね……それは『心』というもの」
安心院「例え記憶から完全に抹消したとされても、それを思い返させる媒体が脳に残ってないとしても」
安心院「やっぱりそれは、スキルでさえも消し得ない絶対的な『想いの強さ』というものが存在し得るんだ」
安心院「だけど僕は抜かりなくこの計画を立てたつもりだ」
安心院「心? 想いの強さ? くっく 笑わせるなよ、笑ったけど」
善吉「………」
安心院「見事だったと思うよ、人吉くん。キミが成し遂げた一人の人間の変化…」
安心院「…単純な言葉だけでは決してなりえなかっただろうね、
その強さと根性と、そして類まれぬ勇気が彼というマイナスをほんの少しだけプラスにしたんだ」
安心院「人吉くん、きみは誇っていい。死を持ってしても変われないと謳われた彼を───」
安心院「───たったひとつのキスで、変えたんだよ結局は」
安心院「惜しみない拍手を送るよ…」
安心院「…あ、僕の腕折れてたんだった。じゃあ口で言おう、ぱちぱちぱち」
安心院「そして治すと、うんおっけいおっけい」
安心院「更にそしてついでとばかしにぃ? その心に残るやも知れない想いも──」
安心院「──粉々に消し飛ばしておこうかな」
安心院「一目惚れさせるスキル『私だけの凹滋様』カルチャーショックネーム」
安心院「つまり球磨川がキミに好意を寄せてたのはこのせいだよ げらげら」
安心院「──はは、これまた色々と考えさせられるスキルだと思わないかい?」
安心院「例えばマイナスがプラスに惹かれるとすれば」
安心院「…このスキルを使えばマイナスは他の誰かに惹かれる場合もあるんじゃあないかって話だよ」
安心院「そして成功、僕ってやっぱり天才だね」
安心院「はてさて、どうだい、この覆しようもない事実というものは」
安心院「───きみの中にある、その強さと根性と類まれぬ勇気を……」
安心院「…見事に断ち切る、無残な言葉だと思わないかい?」
安心院「ふむ、どうやら効果は抜群のようだね。思ってもないほどお絶大な浸透力だぜ」
安心院「時期にこの世界も閉じて、この物語も終焉となるだろう」
安心院「事実、この世の全ては変わること無く。
ことさらに激化していく物語に支障をきたすことはないのだから」
安心院「一夜だけの華麗に輝く物語───楽しんでいただけたかな?」
安心院「それでは『僕』たち、また来週にでもお会いしようじゃあないか」
ぷちんっ!
「『───そう簡単に、終わらせるかよ…』」
「『───なにが一夜限りの物語だっ…んなこと、勝手に言わせてたまるかよ…!』」
安心院「………」
「『なあ安心院さん! 俺はアンタにひとつだけいいたいことがある!』」
「『そんなうそっぱちのスキル! 誰が信用するかよ!!!』」
「『大した捻りもねぇ、馬鹿みたいに頭固い野郎が一時間頑張って考えたような名前が!』」
「『本物の訳がねえだろ! わかってんよそんぐらい! カッ!』」
安心院「…おやおや、マイナスだねえ。この僕の言葉を信用しないとは」
安心院「だがそれを蔑にし、茶番とも断言できるこの醜い助演を行おうとでも言うのかい?」
「『──そうだねぇ、安心院さん』」
「『確かに貴女の言う通り、僕らが無駄に伸ばすこの時間はただの無粋にしかならないよ』」
「『だけどね、安心院さん』」
「『だからどうしたっていうのかな?』」
安心院「……」
「『無粋に続き、邪険に扱われ、無音に終わる』」
「『これこそが僕たちが紡ぐ〝マイナスな物語〟───つまり…』」
「『…過負荷な物語なんだぜ?』」
「『だけど、それは確かにそこにあるんだ』」
「『例え誰一人として俺たちのマイナスを見てなかったとしても!』」
「『しかしながら、僕たちという物語はそこにあったんだ』」
「『ふざけんじゃねーぞ、そう簡単に終わらせるかよ!』」
「『最後までどうかあがいて見せようじゃあないか』」
「「『『アンタが作った物語は、全て! フィクションで終わらせてやる!』』」」
安心院「………」
安心院「…こりゃまいった」
安心院「……思うにきみたち、あれかな」
安心院「つまり、この物語は以前として───」
~~~~~
球磨川「ばかー!」だだだ…
善吉「……」
善吉「……何だったんだ、一体全体…」
「───いやはや、なんともおぞましくも面白いことに首を突っ込んだねぇ…人吉くん」すた
善吉「この声は……安心院さん!」
安心院「やあ、お久しぶり」
善吉「お久しぶり? いや、さっきの時間に廊下であったじゃないですか」
安心院「おっと、そうだったね。これは失敬、忘れてくれよ人吉くん」
善吉「は、はあ…」
安心院「それよりも、そんなことよりも…なあなあ、なにがあってこうなってるんだい」
安心院「ちょいとこの安心院なじむさんに、ご相談しては如何かな?
善吉「そうなんですよ…いやね?
俺が思うにあの人、どっかで頭を打ったか殴られたかしたと思うんです」
安心院「それはどうかな、彼は当たり前に不死身で頑丈で卑屈な男なんだよ?」
安心院「彼のようなマイナスな人間は死を経験するほどのものでない限り──
おっと、死という概念すら彼には生ぬるかった、これは安心院さんも失念失念…」
善吉「確かに、あの人不死身でしかも死ねないですしね…」
安心院「それはさておき、人吉くん」
善吉「なんですか?」
安心院「僕が思うにね、こういう事情ってものは結構いとも簡単に解決するもんなんだよ」
善吉「本当にですか!? 本当に解決できるんですか安心院さん!?」
安心院「くっく、必死だねぇ…それほどまでに嫌悪してたのかい?
これは流石にあの球磨川くんだったとしても可哀想になってくるよ」
逃げられてしまったら、その…欠片も思わないことは、無いですけど」
善吉「俺は…今までの、球磨川先輩のほうが…断然いいです!」
安心院「…ふむ、確かにキミの言ってることも一理ある」
安心院「あのような球磨川くんは見てて楽しすぎて腹が捻じれ千切れてしまいそうになるけれど」
安心院「僕という存在が一度は認めかけた、そして期待しかけた人間だから」
安心院「彼という人間性をどうにか元に戻したいという気持ちはあるんだよね」
善吉「ほ、本当ですか…!?」
安心院「ああ、安心していいよ人吉くん(安心院さんだけに)」
安心院「───キミの抱えている、後生大事に腹の奥底に抱えているその思い……」
安心院「この安心院なじみが、どうにかしてあげようじゃあないか げらげら」
善吉「待った!」
善吉「待ってくれ……いや、違うな言い方が違う」
善吉「『ちょっと待ってくれないか、安心院さんよう』」
安心院「な、なんだい…その喋り方は?」
善吉「『え? わからないのか? そりゃこまったぜ、アンタが一番知っているもんだと思ってたが』」
善吉「『いやー、まあいいや。それよりもちょっと聞きたいことがある』」
安心院「…い、いいよ。なんでも安心院さんに聞くがいいさ」
善吉「『アンタ、俺の前に何回目の登場だ?』」
安心院「っ!」
善吉「『教えてくれ』」
善吉「『安心院さん、俺という存在に対して───』」
善吉「『───この物語にいる俺という存在に対して、一体全体何回目の安心院さんなんだ?』」
善吉「『さあ? 俺にもわっかんねーけど、どうにもこうにもしっくりとこないんだ』」
善吉「『まるでシナリオどおりに進めべきだったものを、途端にやめてしまったような』」
善吉「『見ていたかった映画を途中で変えてしまったような』」
善吉「『買っていた犬が死んでから猫だと気づいてしまったような』」
善吉「『恐ろしく取り返しのつかないことのはずなのに、だけどそれを望んでしまっている俺がいる』」
安心院「っ……つまり、それは?」
善吉「『俺はここで、嘘をつかなきゃいけない気がするんだ』」
善吉「『物語自体を大きく変換させてしまうほどの、大きな大きな──』」
善吉「『───大嘘憑きを』」
安心院「──却本作りで、自分と同等のマイナスにしてやがったな!」
安心院(しかしなぜ、この時間帯の人吉くんは未来の終わった人吉くんとは別人!)
善吉「あっ……そうか…」
安心院(じゃあどうして彼がマイナスにっ…? 何処か見落とした所は───)
安心院「あっ……僕?」ころ…
安心院「……。あっはは、コレは参った。本当に本当に、無粋にもほどがあるだろ球磨川くん!」
安心院「『僕』という存在に却本作りをしやがったな!」
安心院「そして僕が人吉くんに関わる時、その瞬間発動するよう計算しておいて!」
安心院「あはははははは! どうしてそんな微細な調整ができるんだい」
安心院「本当にきみはどうしようもないやつだよ、とんでもねえやつだ」
僕が人吉くんがマイナスになることを、この瞬間に望むようにセットしていた!」
安心院「くっく、すげーぜ尊敬するぜマジでぱねぇよ球磨川くん」
安心院「……」
安心院「……で? どうなんだいマイナスの人吉くん?」
善吉「『………』」
安心院「そろそろ、何だか色々と思い出してきそうなんじゃあ無いのかい?」
善吉「『…確かに』」
善吉「『面倒くさいぐらいにややこしい感情が、どろっどろ俺の中に入り込んでくる』」
安心院「そうだろうねぇ…彼が僕に仕掛けた却本づくりは……」
安心院「あの時の、不幸に散った球磨川禊のステータスなんだからねぇ」
安心院「その却本をそのままキミに渡してしまったんだ、無意識に、いや自意識にかもしれないねぇ…くっく」
安心院「さて、僕の物語はたったひとつの思い入れに『なかったことに』されたワケだけど───」
安心院「───これからどうしたい? 人吉くん?」
善吉「『…そうだな、安心院さん』」
善吉「『とりあえず、俺が貴方に言いたいことはただ一つだけだ』」
安心院「げらげら 一体それはなんだい?」
善吉「『ああ、言わせてもらう』」
善吉「『──これから大事な奴と会うんだ』」
善吉「『めだかちゃんの移動範囲の制限、あと遊園地のチケットをもらおうじゃねえか』」
安心院「女体化スキルはいらないのかい?」
善吉「『カッ! ……馬鹿言えよ安心院さん』」
善吉「『俺の』……いや、俺のあの時の気持ちは」
善吉「なにがあろうと、なかったことにはできねーぜ!」
その二つを使ってイチャイチャさせたら可愛いかなっと思って書いた
ただただ、それだけなんだぜ
支援ありがとう
うんこして寝る
おもしろかった
Entry ⇒ 2012.10.03 | Category ⇒ 版権物SS | Comments (0) | Trackbacks (0)
咲 「県予選で大将だった四人でお酒を飲みに来ました」
店員 「いらっしゃいませ~」
咲 「予約していた宮永ですけど席はどちらでしょうか?」
店員 「宮永様……はい、幹事様は池田様ですね?もう揃われてますから一番奥の席へ進まれて下さい」
咲 「ご親切にありがとうございます」ペコッ
店員 「宮永様、…神域杯優勝おめでとうございます」
咲 「いえいえ組み合わせに助けられただけですよ」
書き溜めをコピペするから少し遅くなります
ガラッ
池田 「おー来たか清澄」
咲 「もう…いつまでも『清澄』って呼ばないでよ」
池田 「じゃあ宮永プロと呼ばせて貰おうか?なぁ加治木プロ」
かじゅ 「ふっ…そうだな」ニッ
咲 「どうしてそんな他人行儀な呼び方で呼ぶかな?…ねぇ衣ちゃん」
衣 「池田に加治木もノリが良いな…宮永プロも早く席に座れ、衣の隣だ」
咲 「…」ゴッ
池田 「じょ、冗談だって…今日は咲の神域奪取を祝う集まりだからほんの茶目っ気だって」
かじゅ 「そ、そうだぞ…だからその状態になるのはやめてくれ」
咲 「冗談だよ」ニコッ
衣 「どうかな…それにしても方向音痴は相変わらずだな」
かじゅ 「だから地図を書くと言ったのに…」
咲 「そこまで迷惑は掛けられないよ…」
衣 「タルタル!衣はハンバーグエビフライが食べたい!」
池田 「はいよ…加治木はどうする?」カキカキカキ
かじゅ 「皆でシェア出来るようにサラダなんかはどうだろうか?後は軽く摘めるように餃子や唐揚げといった小さな物を頼むのが良いだろう」
咲 「やっぱり加治木さんが居ると効率的に進むね!…あっ…」
衣 「こ、これは別に加治木を仲間外れにした訳ではないぞ?」
池田 「そうだぞ?加治木はフリースタイルの解説に呼ばれてたから誘えなかったんだ」
かじゅ 「私達も社会人なんだ…都合の善し悪しは解ってるよ」
池田 「ドリンクだけど衣はジュースで良かったか?」
衣 「りんごサワー!衣だってやっと少し飲めるようになったんだぞ!」エッヘン
咲 「この前までは酎ハイ一口で酔ってたのにね」クスッ
衣 「むっ…」
池田 「加治木はいつも通りワインで良いんだろ?」
かじゅ 「あぁ、赤を頼む」
池田 「咲はどうする?」
咲 「私は…『魔王』をお願い」
池田 「!」ガタッ
かじゅ 「なっ…!」ガタッ
衣 「?」キョトン
池田 「さ、咲が焼酎を飲むなんて意外だなぁ…ハイボールと思ってたよ…なぁ加治木」
かじゅ 「そうだな…いつもハイボールを飲んでたから面食らったよ」
咲 「私だって強いお酒くらい飲むよ…それとも『魔王』ってお酒に何か?」ゴゴゴゴゴッ
衣 「全く…飽きない奴等だな」クスッ
かじゅ 「いの一番に反応した癖に…」
池田 「声を出したのはお前が最初じゃないか」
衣 「そこまでにしておけ…池田、そろそろ注文を頼む」
咲 「こうして騒ぐのも久しぶりだから…ごめんね?」
かじゅ 「なぁに気にするな」
池田 「すいませーん!」
店員 「お待たせしました、ご注文をお願いします」
池田 「ハンバーグエビフライタルタル乗せ、シーザーサラダ、一口餃子三人前そして唐揚げを三人前お願いします」
店員 「…ドリンクの方はどうされますか?」
池田 「りんごサワー、赤ワインを一本、ハイボールに魔王を」
咲 「魔王はお湯割でお願いします」
店員 「かしこまりました…失礼ですが年齢確認を取らせて頂いても良いでしょうか?」
池田 「私は22歳だ」
咲 「私は21歳です」
衣 「衣も22歳だ」
店員 「え…?」
店員 「申し訳ありません、身分証…あっ、これは大変失礼しました」ペコッ
店員 「天江プロと気付かず本当に申し訳ありません」ペコッ
衣 「衣は慣れっこだからな…気にせず続けてくれ」
池田 (あの決勝の時のままだもんな…知り合いじゃなかったら華菜ちゃんでも確かめるし)
店員 「お酒は先にお持ちしますか?」
かじゅ 「そうだな…先に飲みたいが口寂しい、すぐに出せる物はあるかだろうか」
店員 「それでしたら…おでんなんていかがでしょう?」
かじゅ 「じゃあ…おでんを適当に見繕って持ってきてくれ」
店員 「おでんにご注文されたお酒をお持ちしました、…ごゆっくりどうぞ」カチャッ
池田・かじゅ・衣 「かんぱーい!」カチャッ
咲 「っ…みんな…」ポロッポロッ
衣 「泣くなんて咲は子供だな」チビッ
池田 「似合わないし」クビッ
かじゅ 「祝いの席なんだ…笑ってくれ」
咲 「そんな事急に言われたって…」ポロッポロッ
池田 「全く…麻雀は鬼みたいな癖にこういう所は繊細だな」モグモグ
咲 「余計なお世話だよ!」プンスカ
咲 「あ、大根凄く味が染みて美味しい…」モグモグ
かじゅ 「だろう?…牛すじも中々…」
池田 「衣、気をつけて食べろよ?熱くて火傷するかもしれないからな」モグモグ
衣 「見くびるな…衣はそんなドジじゃ…熱ッ…」
池田 「あー…ほら、言わんこっちゃない…」フキフキ
衣 「よせ!…これぐらいなんともない!」
咲 「優希ちゃんに衣ちゃんも口には出さないけど池田さんを大好きなんだもんね」
かじゅ 「違いない…私も口うるさい奴だと思っていたが実直で素直な良い奴だと思っているよ」
咲 「うん、最後まで勝負を投げ出さない所もね。覚えてる?県予選のオーラス、池田さんは四暗刻単騎を和了放棄して勝ちに来た事」
かじゅ 「牌譜や録画を見て驚いたよ」
咲 「池田さん、プロに転向しないのかな?」
かじゅ 「実力の程は申し分ないはずだ…ほぼ必ず満貫以上には仕上げてくる手作りのセンスはあるからな」
咲 「怖いよね、ヤミテン倍満なんて結構あるし」
池田 「どうした?」
咲 「んー…池田さんがプロに転向しないのは何でなんだろうって話してたの」
衣 「最後まで衣に刃向かったお前だ、実業団程度に埋もれさせておくには惜しい」
池田 「…」
かじゅ 「話がない訳じゃないだろう?三尋木プロが何回も足を運んでいると聞くが」
咲 「“迫り来る怒涛の火力”あの高火力麻雀に憧れる人も少なくないって聞くもん」
池田 「確かに実業団の監督を通じて話も来てるし、加治木の言うように三尋木さんからも誘われてる」
衣 「だったら頂きの上を目指すのが道理だろう?今よりずっと収入も上がる」
池田 「ははっ…華菜ちゃんは自分の実力は良く解ってるし、原村和や竜門渕みたいに判断良く打てないし衣や咲達のように華があるわけじゃないからな」
店員 「お待たせしましたーご注文の品です」
池田 「さぁ!飲むぞ騒ぐぞ!今日はお祝いなんだ…飲め飲め咲ィ!」トクトク
咲 「こ、零れるよ…」
衣 「…」
池田 「どうした?衣に加治木、飲まないのか?」
かじゅ 「あぁ、飲もう…」クビッ
衣 「衣が唐揚げにレモンをかけるぞ!」
咲 「…」ゴッ
衣 「…!」ビクッ
咲 「私ね、大皿に盛られた料理の味を勝手に変える人…一番嫌いなの」ゴゴゴゴッ
咲 「ピザにタバスコを全員分かけるような人はね…ゴッ潰すって決めてる」ゴゴゴゴッ
かじゅ 「同感だな、私も好きではない味の強要は良く思わない」
衣 「衣…何か悪い事したのかな?」ジワッ
咲 「うん、実際にはしようとしたが正解だけどね」
池田 「ま、まぁ…ギリギリだったんだし良いじゃないか…な?小皿に分けて個別に味付けすれば良いんだし」
衣 「…うん」シュン
池田 「な、泣くなよ…ほら」フキフキ
何も言わず許してたんだな
モンブチメンバーのぐう聖っぷり
衣 「須賀京太郎とかいったか?」
咲 「京ちゃん?うん…今は一緒に暮らしてるよ…///」デレデレ
池田 「原村和が聞いたら泣きそうだな…」
咲 「原村さんなら隣の家だよ?」
衣 「ののかが?…まさかとは思うがお前を…」
咲 「やめて!それはちょっと怖いから…」
池田 「ゴシップ記事で読んだんだけど滝〇プロが相当アタックしてきたんだろ?」
咲 「うん…でも、結婚するならやっぱり幼なじみの京ちゃんが一番だもん////」
??? 「そ、そんなオk…むぐっ
??? 「おやめなさいな…そんな事で目立っても私は嬉しくありません」ヒソヒソ
かじゅ 「あぁ…///…モモは私の子を身篭ってるよ…」
咲 「ゆみさんおめでとー」カチャン
衣 「飲み過ぎだぞ…咲」
池田 「まぁ祝いの席なんだし良いじゃないか…帰りは旦那さんに迎えに来て貰うんだし…このこの!」ゲシゲシ
咲 「幸せでーす」テヘッ
かじゅ 「あぁ…私も幸せだ」クスッ
池田 「キャプテンは清澄の部長に持っていかれたし…」チビッ
かじゅ 「な、なんだと…!」ガタッ
衣 「ふぇ?」
かじゅ 「あぁ…久のヤツ……私を振ったのは…」ブツブツブツ
池田 「姫松に居た愛宕洋榎、永水の滝見春、キャプテンに…竜門渕の国広一」
衣 「なにっ!」ガタッ
??? 「なんでsむぐっ
??? 「静かにしないと迷惑が掛かりますよ」ヒソヒソ
??? 「貴女に言われたくありませんわ!」ヒソヒソ
咲 「あはは部長、相変わらずだなぁ…」グビッ
池田 「最近では自分で竹井塾?ってのを開いたら女流男流問わず入門殺到らしいな」
かじゅ 「竹井塾か…」ボソッ
池田 「大星淡も入ったらしいな」
咲 「…あぁ、あの娘ね…無駄な事するだ」クスクス
衣 「…咲、慢心は足元を救われるぞ」
咲 「慢心せずして何が魔王か!…なんてね、どうして私…魔王なんて呼ばれるんだろ」グスン
池田 (な、泣き上戸!)
池田 「ま、まだプラマイゼロやってたのか?」
咲 「だって卓にお姉ちゃんに淡がいるんだもん」
衣 「仲直りしたんじゃなかったのか?」
咲 「したよ?…でも、今度は私の生シュークリームを食べたんだよ…許せないよ」
かじゅ 「食べ物の恨みは恐ろしいと言うからな…」
池田 「どうする?調度なくなったしお開きにするか二次会に行くか…」
衣 「麻雀!衣はあの時以来に四人で麻雀が打ちたい!」
咲 「良いね!隣に雀荘あるし打ちに行こうよ!」
かじゅ 「四人か…懐かしいな」
池田 「よーし、華菜ちゃん今度は負けないし!」
カランカラン
ボーイ 「いらっしゃ…えっ?…えぇぇっ!」ガクッ
客1 「み、宮永プロだ…」
客2 「北関東のコンピューターと名高い加治木プロも」
客3 「海底の天江…!そしてもう一人は…」
??? 「池田華菜、名門風越で三年連続大将を勤め近々プロ転向とも言われてる未完の大器…知らんけど」
客1 「み、三尋木プロ!」
池田 「……うわっ」
三尋木 「うわっとは失礼だな華菜ちゃん、どうだい考えてくれたかな?」
池田 「言ったじゃないですか…私はそんな器じゃないって」
三尋木 「過小評価しすぎなんじゃないかなぁ?ドラゴンロードちゃんプロになるみたいだし…知らんけど」
宥ちゃんはどうなったんだろ
かじゅ 「そうだぞ」
衣 「また衣が海底で全員を震えさせてやる」
咲 「また私が責任払いで負かすけどね」
かじゅ 「ふっ…その嶺上また私が潰そう」
池田 「今度も華菜ちゃんは役満和了るし!」
三尋木 「ねぇ、…君がもしこの半荘で満足のいく結果を出せたらプロ転向考えくれるかな?」
池田 「……わかりました、この三人に満足の結果を出せたなら」
三尋木 「期待してるからね」
咲 「さぁ、麻雀を楽しもうよ!」チャッ
かじゅ 「あぁ…望む所だ」チャッ
衣 「完成した一向聴地獄味わうといい…!」チャッ
池田 「さぁて魔物退治といきますか!」チャッ
衣 「海底模月!」
かじゅ 「槍槓!だ…そのカン成立せず…!」
客1 「一進一退の攻防…これは今日の負け分払ってもお釣りが来るぞ…」
客2 「役も滅多に出ないのばかりだしな」
客3 「あの三尋木プロお気に入りの娘も負けてないぞ…ほら…!」
池田 「…やっと来たな、ツモ…四暗刻単騎!」
かじゅ 「ばかな…こんな序盤で!!……無駄ツモなしだと?」
咲 「カン…!もういっこカン!…カン…カン!」
客1 「ス、スーカンツ…!」
かじゅ 「ツモ、大車輪」
衣 「リーチ、一発、海底、タンヤオ、チートイ、ドラドラ」
池田 「くそっ…三位か…」
池田 「三尋木さん…私、プロになります…!…まだまだ弱いけど三尋木さんの元で勉強させて下さい」
三尋木 「良いよ~…でも私の門下に入るからには覚悟しなきゃダメだよ?…知らんけど」
池田 「あーもう全てがわっかんねー」
三尋木 「ははっこりゃ期待出来そうだね」
かじゅ 「良かったな」
咲 「うん…これでまた四人で…プロの世界で麻雀が打てるね」
衣 「楽しみだ…なぁ咲」
咲 「なぁに?」
衣 「麻雀は楽しいな!」
咲 「う……っぷ」
咲 「違う…これ、つわりだよ」
かじゅ 「二つめのお祝いだな、おめでとう」
衣 「おめでとう」
池田 「おめでとう!」
咲 「ありがとう…みんな大好き」
――――
『さぁ、女流モンド決勝も残り半荘一回となりました』
『“迫り来る怒涛の火力”池田プロ』
『卓上に開くは白百合の花!嶺上の宮永プロ』
『対峙すればまるで深海の圧力!海底の天江プロ』
『その打ち筋はまるでコンピューター…!七対の加治木プロ』
『藤田プロ…どう見ますか?』
藤田 「この四人が揃うのはIH県予選以来だな、あの時は宮永プロが勝ったが今回は――――やはり衣が何もせずに終わるとは思えないな」
『…………ありがとうございます、さぁ闘牌開始!!』
おわりです、読んでくれてありがとうございます
カツ丼さんはやっぱりころたんびいきだなwww
隣に住んでるガチ村さんが怖すぎるんですが・・・
京ちゃんさん勝ち組すぎぃ
Entry ⇒ 2012.10.03 | Category ⇒ 咲-Saki-SS | Comments (0) | Trackbacks (0)
P「春香が散歩してるとしよう」千早「はい」
千早「そうですね」
P「で、誰もいないのに頭コツンてやって「てへへ」ってやるじゃん」
千早「やるでしょうね」
P「で、何事もなかったかのように立ち上がって歩きだすじゃん」
千早「はい」
P「で、前方に犬の糞みつけんだよ」
P「そして、踏まずに見つけたことを心の中でガッツポーズするんだ」
千早「まあ、するでしょうね」
千早「で、その上に転んでしまうと」
P「ああ、柔らかめの犬の糞を顔でぐちゃぁっと潰してしまうんだ」
千早「なるほど」
P「で、ちょっと戸惑いながらも立ち上がってとりあえず顔を洗える場所を探すんだ」
千早「内心、あせっているので何度も転ぶんですね?」
P「そうそう」
P「で、やっと公園をみつけて、トイレに入るんだ」
千早「そこで顔を洗うんですね」
P「でも、ちょっと古めのトイレだから汚いの」
千早「なるほど、いいですね」
千早「ちょっと公園で遊んでいこうとするんですね」
P「鉄棒で逆上がりするんだけど、スカートだからちっちゃい子にパンツ見られるんだよ」
千早「それを指摘されてちょっと恥ずかしい思いをするんですね」
P「うん」
千早「真っ赤な声で公園を後にする、と」
P「いいね」
春香「いいですね」
春香「プロデューサーさん、こんにちは」
P「お、おう」
春香「千早ちゃんも、こんにちは」
千早「ええ…・」
春香「……プロデューサーさん」
P「な、なにかな」
春香「流石の私も、犬のうんちの上に転んだりはしないですよ」
P「そ、そりゃそうだよな」
春香「転んでる途中で身体を捻りますから!」
千早「春香、そこまで進化していたのね」
P「え?」
春香「このまま、妄想の私を散歩させません?」
P「……いいね!」
千早「春香……いいの?」
春香「うん、すごく楽しそうだもん」
P「よし、じゃあ公園の後はどこにいこう?」
千早「お菓子作りの研究のために、ケーキ屋さんとか?」
春香「それだよ、千早ちゃん!」
P「何を頼む?」
春香「そうですね……、何がいいでしょう?」
千早「たまたま、四条さんと出くわしていて…。全部というのはどうかしら?」
P「おいおい、いくらになるんだよ」
春香「き、きっと半額セールしているんですよ」
P「なるほど」
千早「一口食べて、フォークをテーブルに置くんですね」
P「で、こういうんだ「パティシエを呼べ!」と」
春香「えぇっ!?」
千早「で、やってきたパティシエに一言言うんですよ」
千早「「コレを作ったのはお前か!」と」
春香「ちょちょ、ちょっと!私海原雄山みたいになってるよ!」
P「で、ケーキに関する講釈をだらだらと垂れて、貴音をおいて店を後にするんだ」
千早「あ、四条さんはおいていくんですね」
P「ケーキ選ぶ手間省くための登場だしな」
千早「何しにいくのかしら?」
P「ケーキもってきてくれるんだよ」
春香「で、2人で一緒にプロデューサーさんのお家でケーキ食べるんですよね」
P「うん、いいね。そこに千早がくるわけだ」
千早「私ですか」
春香「でも、ケーキは2つしかありませんよ?」
P「実は、俺の家の冷蔵庫にデカイプリンがあるんだよ」
春香「千早ちゃんはそれを食べるんですね」
春香「それで、冬馬君が熱湯風呂やらされてるんですね」
千早「後の2人に本気で「押すな、押すなよ」って言ってるんでしょうね」
P「でも、結局落とされるんだよ」
春香「で、会場がワッっと盛り上がるんですよね」
千早「急いで水風呂にまで逃げ込んで……」
P「そんな冬馬をカメラがアップにしたタイミングで」
3人「Get you!」
P「で、春香が「あれ、冬馬君いまテレビに……」っていって」
P「アイツが「それ録画だししかも再放送だろうが!」って突っ込むわけだ」
千早「あざとくアホ毛を揺らしつつですね」
P「むしろ、あのアホ毛でウチのドア切り裂いて登場したりしてな」
春香「あはははは、いくら妄想でもいきすぎじゃないですか?」
P「冬馬だからいいんじゃない?」
千早「でも、ある程度のリアリティあったほうがいいんじゃ……」
P「そもそも、アイツは俺の家に何しにきたんだ?」
春香「きっと、スパイですよスパイ!」
P「スパイ、すっぱい、失敗」
千早「ぶふぉっ!!」
千早「お菓子がないんですね」
P「うん」
春香「本当は欲しいんだけど、カッコつけて言わないんですよね!」
P「可愛いな、アイツ」
千早「母性本能くすぐるタイプですね」
春香「なんていうか、庇護対象ですよね」
P「で、4人でテレビみるわけだよ」
春香「じゃあ、じゃあ、千早ちゃん」
春香「冬馬くんが、最初の事件起こったときに」
春香「「絶対犯人コイツだろ」っていうんだけど」
千早「第二の事件で殺されてしまうのね」
P「で、すごくうろたえると」
千早「涙目になりそうですね」
春香「なんとか取り繕おうとするんですよね」
P「やっぱ可愛いな、アイツ」
千早「主役が犯人を諭すシーンで」
P「冬馬がちょっと涙堪えるわけだよ」
春香「冬馬君って妄想に出すとものすごく扱いやすいですね」
千早「そうね……」
P「さあ、夕方になってるわけだが、次はどうする?」
春香「時間を数時間飛ばして、夕食を食べにいきません?」
P「四人で?」
千早「まあ、一応彼もつれていってかげないと可哀想ですし」
春香「どこにいきましょうか」
P「ファミレスでいいんじゃ?」
P「なに頼む?」
千早「無難にハンバーグとかじゃないですか?」
P「スープ付きか」
千早「スープ付きですね」
春香「冬馬君が「熱っ!」ってなるんですね、プロデューサーさん」
P「で、ここで俺も「熱っ」ってなる」
春香「プロデューサーさん可愛い!」
千早「で、色々話して食べ終わった後は……」
P「とりあえず、解散?」
春香「私が夜の街を1人で散歩するんですね」
P「うん。あくまで夜になった街をだけどな」
P「そしたら冬馬がクリームソーダ飲んでるんだな」
千早「で、春香がわざわざ彼から見える位置にすわって」
P「「すいませーん、私〝も〟クリームソーダください!」」
春香「そしてクリームソーダを吹き出して、テーブルを拭きだす冬馬君の図ですね」
千早「ぶふぉっ」
P「で、春香は悠然と喫茶店を後にするんだ」
千早「あれ、ソーダ飲まないんですか?」
P「「そちらの彼が、ソーダを吹いてしまったようなので。これをあげてください」」
P「っていうんだ」
千早「春香、かっこいいわ!」
P「そして、次の日だ」
小鳥「私も参加していいですか?」
P「もちろん」
千早「あの、できれば18歳未満でも安心できる内容に……」
P「善処する」
小鳥「ええ、善処するわよ」
春香「ふ、不安だね」
千早「ええ」
P「あ、いいですね。では……、まず千早が目覚めて」
小鳥「隣に、真ちゃんがいる、と」
P「ですね」
千早「えぇっ!?」
P「安心しろ、あの後真から電話がって、いろいろ会って泊まりに来ただけだ」
千早「そ、それなら安心ですね」
春香「それでそれで、「昨日の千早は激しかったね」ってか言うんですね」
千早「ちょっと、春香!」
春香「大丈夫、腹筋してただけだから」
千早「そ、それなら……」
小鳥「「真だって、あんなに激しく何回も私のお腹を突いて……」と」
千早「音無さん、それもうアウトです、というか真には生えてませんよ!」
小鳥「大丈夫よ、千早ちゃんの腹筋を試すために正拳突きを繰り返しただけだから」
千早「な、なるほど……」
P「で、一緒に朝ごはんを食べるわけだが」
小鳥「千早ちゃんに「朝ごはん、何がいいかしら」と聞かれて応えるんですよ」
P・小鳥「「ボク、千早のお味噌汁が飲みたいな」!!」
小鳥「きゃーっ!真ちゃん大胆だわっ!!」
春香「もうプロポーズですよ、プロポーズ!」
千早「あ、朝から濃いわね……」
P「味噌汁がね」
小鳥「あまり味が濃いと、身体に悪いですよね」
春香「ふたりで散歩なんですね」
小鳥「もうデートじゃない、デートじゃない!!」
千早「お、大げさですよ」
P「きっと、真は言うんだ。「千早、どこに行きたい?」と。」
春香「そして千早ちゃんが応える「どこでもいいわよ?」と」
小鳥「それに、「真と一緒なら」を勝手に付け足しちゃう真ちゃん」
P「しかし、2人の前に新たなる影が」
千早「だ、誰ですか?」
P「やよいだ」
千早「続けて下さい」
春香「まず、真が声をかけますよね」
小鳥「そして、やよいちゃんも2人に気づいて」
春香「千早ちゃんが、見えないように……」
P「ニヤァっと、笑う」
小鳥「もうニヤニヤとしてくるのが我慢できないんでしょうね」
千早「…………」
P「おい、妄想だけでちょっとにやっとしてるぞ」
千早「……だって、真に高槻さん」
千早「ハーレムじゃないですか」
千早「わが世の春、愛すべき二人の妻!」
P「妄想にとどめておけよー」
春香「美希と雪歩と伊織ですね、わかります」
小鳥「人数的には3対3。ですが、彼女達の狙いは千早ちゃんただ1人!」
春香「戸惑うやよい達、襲い掛かる伊織達」
P「もうだめだ、とおもったその時──!」
千早「だ、誰かくるんですか!?」
P「たまたま冬馬が通りがかる」
春香「颯爽と千早ちゃんを助け、一言」
小鳥「「通りすがりの、木星さ」」
千早「で、彼に3人が気を取られている間に、私達はにげればいいんですね?」
P「ああ。そして冬馬はお弟子さんに連れて行かれる」
P「千早たちの心の中に、一生生き続ける。そう、彼女達はきっと忘れないだろう」
春香「フィギュアを投げ捨てて、女の子の可愛い喧嘩に本気で割り込む男の姿を」
千早「と、冬馬さん……」
P「で、仕切りなおして三人で街を歩くわけだが」
春香「あずささんが出てくるんですね?」
小鳥「また迷ったんですね」
P「ああ!」
千早「多分、行きたい方向と逆方向にいってしまったんでしょうね……」
春香「で、で、「私、また迷っちゃったみたいで~」ですね」
小鳥「でも、そこまで大事な用じゃないから、このまま千早ちゃん達に同行するんですね?」
千早「それで、どこにいきましょう?」
春香「どこにいきたい?」
千早「そうね、多分そろそろお昼でしょうし、昼食でも」
小鳥「じゃあ、どこかのお店にはいりましょうか」
千早「ご飯を食べる高槻さんは、きっと可愛いと思います」
千早「いいえ、何をしていても可愛い」
春香「で、ご飯を食べたあとはどうしましょう?」
小鳥「千早ちゃんの家で、お泊り会でもしましょうか」
P「それです、それ!」
春香「もりあがってきましたね」
この食事ですでにあずささんが旅立ってるという
きっとトイレに行くと言い残して席を立ったんだよ
千早「まあ、入らないことはないんでしょうけど」
春香「お風呂に入ったあと。ワイワイ、ガヤガヤとご飯を食べるんだけど」
小鳥「みんなは、千早ちゃんのパジャマを借りることになって……」
千早「あずさん……ごめんなさい……」
P「ってなるだろうな、サイズ的に」
春香「一方、その頃私は……」
P「家で転んで誰もみてないのに「てへっ」ってやってました」
P「はい、そして次の日です」
春香「次の主役はもちろん……?」
千早「彼ね……」
4人「GET YOU!」
小鳥「厄介なのに捕まるんですよね」
春香「亜美と真美ですね」
千早「「お、あまとうだ」からの「あまとうじゃねぇ!」は外せませんね」
P「そして、亜美と真美に付きまとわれる冬馬の図」
P「どうにかしたいけど、どうしようもできない」
P「しかたがないので、765プロにきて律子に押し付けることにした」
春香「いるかどうかもわからないのに……」
小鳥「道中、あまとう、あまとう言われつづけるんでしょうね」
千早「なんていうか、ほほえましいですね」
P「「俺の周りに立つんじゃねぇ!」って涙声でいったりね」
P「ホント可愛いな、あいつ」
俺ってあまとう萌えSS見てたんだっけ
小鳥「チャンス、といわんばかりに響ちゃんに亜美ちゃん真美ちゃんを押し付けようとするんですね」
P「でも、だめなんでしょうね」
春香「ナチュラルに「冬馬、随分懐かれるなー」とかいいそうですね」
千早「まあ、彼は亜美たちにとっては、からかいやすいでしょうしね」
P「でも、なんだかんだで、冬馬についてきてくれるんだよ、響は」
小鳥「亜美ちゃんたちとお話して、彼の負担を軽減してくれるんですね」
春香「そうなったら、自分は逃げてもいいのにそれに気づかないんですね」
P「ホント可愛いな、あいつ」
冬馬「秋月、いるか?」
P「って言うんだよ」
P「え」
冬馬「お、よかった。あんたがいたか」
冬馬「ちょっと散歩してたらあんたのトコロのアイドルに捕まっちまってよ」
亜美「お、兄ちゃんたちおそろいで!」
真美「みんなで何してたの?」
P「悪いね、引き取っていくよ」
千早「亜美、真美。あまり他所のアイドルに迷惑かけちゃだめよ?」
春香「そうだよ、律子さんに怒られちゃうよ?」
響「自分もそういったんだけどなー、かまわず冬馬をからかってたぞ」
亜美「あまとうってー、アホ毛すごいよね」
真美「ねー。亜美隊員、引っ張ってみますか?」
冬馬「やめろ!」
冬馬「まさかってどういう意味だよ」
春香「冬馬君の一日を妄想してたんだよ」
冬馬「天海って結構ヒマなんだな」
春香「わざわざウチに亜美たちを連れてくる冬馬君もたいがいだよ」
P「まあ、大変だったな」
冬馬「まったくだぜ……」
春香「あ、冬馬君もやる?」
冬馬「やるって、何をだよ」
春香「妄想!」
冬馬「……おもしろそうだな」
亜美「亜美たちもやる→」
響「あ、自分もやるぞー!」
春香「誰でいく?」
冬馬「北斗でいこうぜ」
小鳥「なんとなく、裸で寝てそうじゃないですか?」
響「あー、そういうイメージあるよね」
冬馬「姿見の前で、ポーズ決めそうだよな裸で」
真美「ほくほくなら、そのまま「チャオ☆」っていいそうだよね」
千早「30分くらいやってから、下着を穿きそうですね」
春香「ううん、今日は調子がいいからとかいって、一時間ほどやるんじゃないかな?」
P「こう、一挙手一投足がやたらフェロモンむんむん」
千早「北斗さんは、オフでも北斗さんだと思います」
P「冬馬はオフだとあまとうになっちまうのになぁ」
冬馬「どういう意味だよ、それ!」
小鳥「で、ご飯を食べたあとは……」
春香「スタイリッシュ朝シャワーですね」
春香「それで、服をきて、髪の毛をセットして」
小鳥「その他、身だしなみを整えて街に繰り出すんです」
冬馬「何するんだろうな、ナンパか?」
P「むしろ、大量のファンにサインをねだられて」
冬馬「あれか、「並んで、エンジェル達!」か?」
亜美「ほくほくがいうと、様になるけど」
真美「あまとうじゃねぇ…」
冬馬「どういう意味だそれ!」
P「まあ、それはいいと思うよ」
春香「多分、次々と押し寄せてきそうですよね」
響「なんだかんだ、人気あるしなー」
亜美「さっすがほくほく!」
冬馬「そこはさすがジュピターって言ってくれ!」
真美「ぇー?」
冬馬「……」
千早「夜はどうするんでしょうか」
冬馬「………スタイリッシュ入浴?」
小鳥「みんな、充実した一日を送ってますね」
冬馬「まあ、仕事してるほうが充実してっけどな!」
春香「私達アイドルだもんげ!」
冬馬「……つーか、なんでこんな話を始めたんだ?」
千早「最初は、私とプロデューサーで春香の散歩の様子を考えていて」
小鳥「ここまで来ると、すごく飛躍しましたね」
冬馬「……なるほど」
P「よし、じゃあもっとぶっ飛ばせてみようか」
そんな彼女が、ついに世界を滅ぼすために暗躍しはじめる!
だが、それをとめようとする水瀬伊織によって、戦う力を与えられた天ヶ瀬冬馬。
変身ベルトを腰に巻き、男は戦いに身を投じる!」
千早「仮面ライダージュピター……ですか」
春香「わ、私悪役ですか!?」
冬馬「つまり、俺がフィギュアになるんだな!?」
亜美(変身したあまとうが、だけどね)
小鳥「変身した後の決めセリフはGET YOU!ですね」
P「主題歌はウチで歌いましょうか」
冬馬「こう、変身!っていうの変身……!ってのとどっちがいいと思うよ?」
響「そこは、場面によってでいいと思うぞー?」
冬馬「まじか」
小鳥「本家はムリでしょうけど、バラエティの1コーナーにはできそうですね」
千早「765プロと、961プロの完全なるコラボですね」
冬馬「パーフェクトハーモニーだな」
P「冬馬、多分ウチのやつら誰もカブトはわからん」
千早「いまですか?」
P「まあ、変身ポーズだけ」
冬馬「こういう事もあるかと思って、ポーズは考えてるぜ!」
P「流石だな、じゃあ俺はベルトの音声をやってみる」
冬馬「よし。変身……!」
シュバババッ ババッ
ギュゥィイイイイン
P『チェィンジ…………アリスフォーム』
冬馬「……GET YOU!」
♪コッエノー……
P「完璧」
冬馬「非の打ち所がねぇよな!!」
小鳥(男の子ですね……)
春香「ああ、そういう「or」ですか」
冬馬「これ、いけるんじゃねぇか?」
P「うん、そういうのが好きなスタッフに持ち込んだら絶対いけるわ」
冬馬「だよな、だよなぁ!」
P「いや、下手したら仮面ライダーGみたいに公認でやれるかもしれない」
冬馬「ライバルは福くんだぜ」
P「このさい、福くんとコラボもしたいな」
春香(ねえ、千早ちゃん……)
千早(ええ、なんていうか)
響(凄く眼が輝いてるさー)
亜美(亜美たち、怪人役にされたりして)
真美(えー……)
冬馬「天海ィ………」
春香「さあ、変身して?最後にしようよ!」
冬馬「そうだな……」
冬馬「変身……!」
ギルティフォーム……
冬馬「……GET YOU!」
春香「それじゃ、いくよ!」
P「みたいな!」
冬馬「うぉおおお、最終回の前の週だな!」
春香「よかった、ちゃんとラスボスだ私」
千早「そこなのね」
冬馬「おれも、黒井のおっさんにいってくるぜ!」
春香「2人とも、やる気まんまん……」
小鳥「男の子は皆そうなのよ」
亜美「あまとうはともかく……」
真美「兄ちゃんは……」
響「でも、自分もちょっと面白そうかなーって思うぞ」
千早「確かに、彼はライダー役似合いそうだものね……」
響「プロデューサーのあんな楽しそうな顔久々に見た……」
春香「ねえ、千早ちゃん」
千早「何かしら?」
春香「か、幹部役やらない?」
千早「話が通るの前提なのね」
亜美「はるるん、その辺決めるの多分製作側だよ?」
真美「でも、兄ちゃんとあまとうは結構口出しそうだよね」
小鳥「何にしても、妄想っていいわねぇ……」
小鳥「さぁ、私もあの2人で妄想してきますか!」
春香「……ど、どっちがどうなんですか?」
小鳥「決まっているじゃない、プロデューサーさんが攻め!」
亜美「あまとうは総受けだと思う」
響「自分もそうだとおもうぞー」
P「どうしたんだよ、冬馬?こんなにしちまって」
冬馬「うる……せェ……!」
P「そういや、お前最近そわそわしてるよな」
冬馬「だって、あんたが、……ツレねぇから」
P「ん、聞こえない」
冬馬「アンタが……!黒井のおっさんや、北斗ばっかりにかまうから!」
P「それで、俺に犯される妄想してズリセンこいてたのか…」
P「そりゃぁ、脱がされるだけでこんなになっちまうわけだな」
冬馬「あ、あんたは……、本当にタチの悪い男だな」
P「そこがいいんだろ?その、減らず口。塞いでやろうか……」
冬馬「そのための減らず口だよ…」
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
小鳥「よし!」
春香「なんだかんだいって、従順そうですよね!」
響「でも、たまには逆転してみるのもいいぞ!」
亜美「おお!ひびきんったらマニアックですなぁ?」
小鳥「……やってみますか!!!」
P「くっ……、冬、馬!」
P「お、俺には心に決めたアイドルが……!」
冬馬「なんだよ、その眼……、いままで散々アイドルを食ってきた男の眼にはみえないな」
冬馬「それで女に飽きかけて、それを試したいって言ってきたのはあんただろ?」
P「くっ……あっ」
冬馬「ほら、もう乳首もこっちも、ビンビンじゃないか」
冬馬「なんで、俺を選んだよ、なぁ…?」
P「お、お前が……、すげえウマいって、有名だから」
冬馬「じゃあ、俺の技をみせてやらないとなぁ……?」
冬馬「安心しろよ、痛くはしねぇから……、肩の力ぬいて」
冬馬「俺に全てを委ねな……」
P「ふぁああ……とう、……まぁ……」
冬馬「くっ、流石に狭ぇな……、いい締りしてやがんぜ!」
~~~~~~~~~~~~~~~~~~
小鳥「……いいですね」
春香「はい」
千早「最初に誰か特定の相手を匂わせているのがいいですね」
響「NTRさー!」
亜美「流石ピヨちゃん……」
真美「真美、妄想がとまらないよ」
春香「冬馬くん、こういうのもいいけれど」
千早「やっぱり、彼は受けよね」
小鳥「そうね……、受けで光る男よ、彼は」
千早「高木社長と黒井社長とか」
小鳥「王道ね!」
春香「黒井社長は確実に受けだと思います!」
春香「ああいうひとが、いざっていうときには受けに回るのはベタだけどいいと思うんです!」
響「プロデューサーが、スポンサーの人相手に枕営業するのもいいと思うぞ」
亜美「亜美たちのために、知らないおじさんに抱かれるわけですな」
真美「いいね、真美そういうの好きだよ!」
高木「……君も感じたかね」
P「ええ、なんだか……」
────────────────
冬馬「でさ、あっち側もすげえやる気でよ……!?」
高木「……感じたか」
冬馬「ああ、なんていうか……」
P・冬馬「殺気すら生ぬるい何かを感じた」
END
ありがとう、見てくれて。とても楽しめてかけた。
ライダーはいつか書きたいな、って思った。
ライダー楽しみにしてる
ライダーSS、どうぞ
Entry ⇒ 2012.10.03 | Category ⇒ アイマスSS | Comments (2) | Trackbacks (0)
ニャース「おミャーらを許さないニャ……」ピカチュウ「……」
ピカチュウ「……」
ニャース「毎回毎回同じパターンで飛ばされながらも考えてきたけど……」
ピカチュウ「……」
ニャース「やっぱりおミャーらはやりすぎニャ」
え?
え?マジで?
ロケット団に捨てられてサトシに飼われてたことがあった
今は知らん
いつの話だよ
ニャース「挙げ句の果てに電撃を浴びさせられてメカが爆発して吹き飛ばされる……」
ニャース「普通の人間ならバラバラになって即死だニャ」
ピカチュウ「……」
ニャース「ニャー達も今までそれに耐えて、おミャーを捕まえる為に来る日も来る日も汗水流して頑張ってきたニャ……」
ピカチュウ「……」
ニャース「だけど……やっぱり人間には限界があったニャ。……この前飛ばされた時にムサシとコジロウは……」
ニャース「死んでしまったニャ」
ドゴーン
ニャース『はぁ、またこうなるのニャ』ヒュー
ニャース『やーニャかんじーwwww』ヒュー
ソーナンス『ソォーナンス!』
ムサシ『』ヒュー
コジロウ『』ヒュー
ニャース『あれ?二人ともどうしたのニャ?』ヒュー
ニャース『ムサシー?コジロウー?』ヒュー
ムサシ『』ヒュー
コジロウ『』ヒュー
ドサッ
ニャース『毎回のことながら痛いのニャ……』
ムサシ『』
コジロウ『』
ムサシ『』
コジロウ『』
ニャース『まさか……』ピト
ムサシ『』
コジロウ『』
ニャース『し、心臓が動いてないニャ……』
ニャース『と、とにかく病院!早く病院に連れてかニャイと……!』ダダダダ
―――――――――――――――
ニャース「……その後急いで病院に連れて行ったけど……」
ニャース「病院に着いた頃にはもう手遅れだったニャ……」
ピカチュウ「……」
ニャース「ソーナンスも落ちた時に木の幹に心臓を貫かれて即死だったニャ……」
ピカチュウ「……」
ニャース「ニャーはしばらく立ち直れなかったニャ……」
ニャース「一時期はみんなのあとを追おうかとも考えたニャ」
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
『……ス!……ース!』
ニャース『んん……誰ニャ……?』
ムサシ『ニャース!』
ニャース『ム、ムサシ!?』
コジロウ『お、やっと起きたか!』
ニャース『コジロウも!』
ニャース『ニャンで……?二人とも死んだはずじゃ……』
ムサシ『バッカねー。私達があの程度で死ぬわけないでしょー』
コジロウ『そうだそうだー!』
ムサシ『そうよ!さ、さっさと準備してジャリボーイ達の先回りをするわよ!』
コジロウ『今度こそピカチュウゲットするぞー!』
ニャース『そうニャ!そしてピカチュウをボスに献上すれば……』
『かんぶーしょうしん!じむちょうしゅうにん!』
『いいかんじー!』
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
BWになってからつまらなくなったのは間違いない
それは君が大人になったからだよ…
大人になると純粋に楽しめなくなるし、思い出補正も付くからなあ
大人になるって悲しいね
も一度子供に戻ってみた~い~
ニャース「……もちろん夢だったから、起きた時には誰もいなかったニャ……」
ピカチュウ「……」
ニャース「そして、気づいたニャ」
ニャース「もうああやって、借金してまでメカを作ったり、落とし穴を掘ったり、昼ご飯のビスケットを三人で分けたり……」ポロポロ
ニャース「そんなことは……そんなことはもうできないのニャ!」
ニャース「おミャーらの!おミャーらのせいで!」
ニャース「ムサシと……コジロウは……」ポロポロ
ピカチュウ「……」
ピカチュウ「……」
ニャース「二人を殺した後ものうのうと生きてるおミャーらを……」
ニャース「ニャーは絶対許さないニャ!!」
ピカチュウ「……」
ニャース「おミャーを殺した後は、ジャリボーイ達も殺してやるニャ……」
ニャース「ニャーの憎しみは……苦しみは……おミャーらを殺すまで……」
ニャース「消えることはないのニャ!!」
ピカチュウ「……」
ピカチュウ「……」スクッ
ピカチュウ「……」スタスタ
ニャース「な、何ニャ!やるニャーか!?く、来るなら来いニャ!」
ピカチュウ「」ポン
ニャース「!!」
ピカチュウ「辛かったな……」
ピカチュウ「そう構えるな……俺は今お前に危害を加えたりはしないさ」
ニャース「な、何ニャ急に!?」
ピカチュウ「まぁ、待ってくれ。まずは俺の話を聞いてくれ」
ニャース「ふざけるニャ!おミャーの話なんか聞きたくもないニャ!いいからとっととニャーと……」
バッ
ニャース「!?」
ピカチュウ「……すまなかったっ……!」
ピカチュウ「すまなかった……!今の俺にはこんなことぐらいしかできないが……」
ピカチュウ「今はただ、こうやって誠心誠意謝ることが……」
ピカチュウ「死んでしまったお前の仲間にできるせめてもの弔いだ……!」
ニャース「や、やめるニャ!そんなことしたって二人は帰ってこないニャ!」
バキッ
ニャース「……っ!?」
ピカチュウ「現実を見ろおぉぉぉぉぉ!!」
ニャース「いや、今のはそういうんじゃなくて……その、比喩っていうか、決まり文句みたいな……」
ピカチュウ「…………!!」
バッ
ピカチュウ「すまなかったっ……!」
ピカチュウ「すまない……!とんだ早とちりをしてしまったっ……!」
ニャース「まったく……いきなり殴ってくるから何事かと思ったニャ……」
ピカチュウ「すまんっ……」
ニャース「いいから頭をあげるニャ……まぁ、謝ったところでニャーはおミャーを許すつもりはないニャ……」
ピカチュウ「待て……。さっきも言ったが、まずは俺の話を聞いてくれ……」
ニャース「……何ニャ」
ピカチュウ「二人は確かに俺の電撃のせいで死んだ……」
ニャース「……あぁ、そうだニャ」グッ
ニャース「……どういうことニャ」
ピカチュウ「よく考えてくれ。人に飼われているポケモンは誰かの指示で攻撃を出す……」
ニャース「トレーナー……」
ピカチュウ「そう。そして俺のトレーナーは……」
ニャース「……ジャリボーイ!!」
ピカチュウ「そう……サトシだ」
ピカチュウ「とんでもない……。俺はむしろお前らの仲間になりたかったぐらいだ」
ニャース「……は?」
ピカチュウ「よく考えてみろよ。お前らは何でいつもいつも、すぐに俺達を見つけられると思う?」
ニャース「そりゃあ、ニャー達が必死に探して……」
ピカチュウ「違うな。逆だよ。俺がサトシ達をお前らから見つけやすいような道にわざと誘導させてたんだよ」
ニャース「なっ……!」
ニャース「で、でも!いつもニャー達には威嚇してるような態度で……」
ピカチュウ「それは演技だ。お前らに媚びてるような顔をしたら、サトシが警戒してお前らとの接触回数が減るかもしれないからな」
ニャース「……それでも……毎回あんなにフルパワーで攻撃することはないんじゃニャいか!?」
ピカチュウ「わかんねぇ奴だな。だからそれも演技だ。力をセーブしたりしたら不審に思われるかもしれないだろ?」
ニャース「でも……」
ポン
ニャース「!!」
ニャース「……?」
ピカチュウ「縛り付けられた生活、毎日同じ食事、やりたくもないジム戦の特訓」
ピカチュウ「……そして、強要されるお前らとの戦い」
ニャース「……」
ピカチュウ「俺はお前らが羨ましかった……いつも仲がよくて、助け合って、それでいて自由気ままで……」
ピカチュウ「いつも楽しそうだった」
ニャース「……」
ピカチュウ「こっちはダメだ。ポケモン同士の過剰な馴れ合い、根性だの気合いだのでごり押しさせる単細胞トレーナー」
ピカチュウ「心から楽しいと思えることなんて……一つもなかった」
ニャース「……」
ピカチュウ「お前は、一人じゃない」
ニャース「……っ」ポロポロ
ピカチュウ「今日から俺はあいつらの元を抜けて、お前と一緒に行く」
ピカチュウ「それが、お前や、死んでいった二人にできるせめてもの償いだ……」
ピカチュウ「あとソーナンスもな」
ニャース「……本当に信じていいニャか?」グスッ
ピカチュウ「あぁ……」
ニャース「おミャーは、かつての仲間を殺されても、いいのか?」
ピカチュウ「さっきも言ったろ。俺は元々お前らの仲間になりたかったんだ。仲間になったらあいつらは敵だ。憎むべき相手だ。未練はない」
ニャース「……その言葉、信じるニャ」
ピカチュウ「ありがとう」
ピカチュウ「……じゃあ、仲間になるのを誓っての握手だ」スッ
ニャース「!……何だか恥ずかしいニャ……」ギュッ
ピカチュウ「」ギュッ
二人が固い握手を交わしたその時――
ガサガサッ
「あれー?ピカチュウ!こんなとこにいたのか!」
ニャース「!?」
サトシ「ピカチュウ!探したぞー!」
ニャース「(ジャリボーイ……!)」ギリッ
サトシ「さぁ、行くぞピカチュウ……って、ん?」
ニャース「!?」
サトシ「お前……ロケット団のニャースか!?」
サトシ「お前ピカチュウと一緒にいるってことは……!またピカチュウを連れて行こうとしてたな!」
ニャース「……そんなとこだニャ」
サトシ「他の二人はどうした?」
ニャース「!!……二人は……いない、ニャ」
サトシ「いない?何でだ?捨てられたのか?」
ニャース「……っ」ギリッ
サトシ「じゃあ、なん……」
ニャース「うるさいニャアァァァァァ!」
サトシ「!?」
ニャース「二人は死んだニャ!おミャーのせいで!」
サトシ「ど、どういうことだ……?」
ニャース「分からないならいいニャ……。その代わり、死んでもらうニャ」
サトシ「え?」
ニャース「ピカチュウ!やるニャ!」
ピカチュウ「」コクッ
サトシ「……え?」
ニャース「いけニャアァァァァァァァァァァ!!!!」
ピカチュウ「チューーー!!!」カッ
ドシャァァァーン
ニャース「ニ゛ャア゛ァァァァァァァァァァ!?」ビリビリ
ピカチュウ「ピッカァ!」
ニャース「……にゃ、んで……」ピリピリ
サトシ「よし、じゃあ行くぞピカチュウ」
ピカチュウ「ピカァ!」
タッタッタッタッ
ニャース「……や、やにゃ、かん……じ」ガクッ
~~~~~~~~~~~~~~~
ピカチュウ「(すまんなニャース)」
ピカチュウ「(でも、俺の演技も結構イケるもんだな)」ニヤリ
サトシ「おーい、行くぞーピカチュウ?」
ピカチュウ「ピッカァ!」
おしまい
即興で書き進めてって、もしもしだから書き溜めもしてなかったけど無事完結できてよかったわ
初SSだったけど、楽しんで読んでもらえれば光栄っすわ
最後まで付き合ってくれてありがとう
ニャースがわりかし本気で殺そうとしてきそうだったから隙を作るためにこんなことした
まぁ、そんなことしなくても10万で一発KOだけども
次⇒ニャース「もう騙されないニャ……」ピカチュウ「……」
Entry ⇒ 2012.10.03 | Category ⇒ ポケモンSS | Comments (2) | Trackbacks (0)
魔梨威「私は目先の利益に騙されてなどいない!」
木胡桃「わぁい!お昼だぁ!」
手寅「まぁ、コンビニでなんだけどね。色々買ってきたから好きなの選んで?あ、飲み物もあるから」
木胡桃「えっとー、私メロンパン!」
丸京「弁当でいいかな」
苦来「テトラちゃんは何食べるの?」
手寅「私?私は余ったのでいいよ」
苦来「そう……じゃあ私はおにぎり」
魔梨威「じゃあ私サンドイッチなー」
魔梨威「なんだよ、私がサンドイッチ食べちゃ悪いかよ」
手寅「悪くはないけど、確かにちょっと似合わないかも」
魔梨威「じゃあ何なら似合うんだよ?」
丸京「立ち食いそば」
苦来「牛丼」
木胡桃「焼き鳥」
魔梨威「全部オヤジくせーなオイ!」
全員「いただきまーす!」
魔梨威「っただきまーす」ぱくっ
魔梨威「!?おい、これ……」
木胡桃「マリーさんどうしたんですか?」もふもふ
魔梨威「このサンドイッチ、具がほとんど無いじゃないか!」ぺらっ
苦来「本当、表から見えるところにしか具がない」
魔梨威「くそう、騙された!!具沢山だと思ったから選んだのに!!」
魔梨威「食事ごときで本質だの考えるかよ普通!」
手寅「そうよガンちゃん。普通考えないわよ」もぐもぐ
木胡桃「テトちゃん……その肉まん、すごく具沢山じゃないですか?」
手寅「そう?」
魔梨威「ホントだ、肉がやけに多い…!」
苦来「そういうのって、品質一定なんじゃないの?」
丸京「考えずともアタリを引くテトは置いといて、実際問題、見た目で騙される事はどこにでもあるんだよ!」
手寅「実際のハンバーグとか、かなり薄っぺらかったりするよね」
丸京「実際のオムライスがふわふわじゃなくてカチカチだったり」
木胡桃「実際のパフェ、アイスかと思った部分がクリームだったり」
魔梨威「実際のナポリタンとか立ってねーもんな」
苦来「…え?」
丸京「食品サンプル通りに立ってると思って注文する奴はいないだろ」
魔梨威「え?いないのか?私だけ?」
手寅「あー、わかるわかる。お店の明かりのせいで綺麗に見えたりするよね」
木胡桃「家で着ると微妙なのは、照明のせいだったんですね」
丸京「照明だけじゃない。洋服屋の鏡は、痩せて見えるように出来ているらしい」
魔梨威「なんかズルいなそれ……」
手寅「あとネット通販で買う物って、イメージと微妙に違ったりするよね」
苦来「勝手に良いほうにイメージしちゃう自分も悪いんだけど」
丸京「騙してるわけじゃないだろうけど、騙された気はするよな」
魔梨威「何?今ケータイを変えると一万円キャッシュバックだって?」
丸京「お得に見えるだろう?」
苦来「それって一万円は戻っても、結局機種代はうん万円するじゃない」
魔梨威「はぁ?何言ってんだよ。何も戻らないよりは一万円戻るほうが得だろ?」
苦来「まぁ、それはそうだけど……」
魔梨威「じゃあケータイ変えても良いじゃないか!」
木胡桃「目先の利益に騙された!」
魔梨威「私は目先の利益に騙されてなどいない!」
手寅「騙されてるじゃない」
・綺麗事のマニフェスト
→(実行しない)
・可愛い自撮り画像
→(角度が違うと微妙)
・可愛いアニメアイコン
→(中身はオタク)
・事故率の高いヘリ
→(配備された型の事故率は低い)
・100円パソコン
→(当社ブロードバンド契約時)
・昔のゲームのHDエディション
→(中身は前と同じ)
・ムービーの綺麗なゲーム
→(中身は一本道)
・漫画:ヤス
→(原作はシモネタ漫画家)
丸京「所詮、誰もが見た目で……顔で相手を選ぶんだよ!」
木胡桃「でもやっぱり、顔含めての第一印象は大事です!」
木胡桃「はい、ピンク色で甘くて美味しいです!」
丸京「それならよかった」ニヤリ
木胡桃「え…?なんですか!何が言いたいんですか!?」
丸京「成分に コチニール って入ってないか?」
木胡桃「入ってますけど……」
丸京「それ、虫を潰して作った色素だよ」
魔梨威「マジかよ!?」
丸京「見た目に可愛らしいピンク色は、実は虫を潰して作った色なんだよ!!」
木胡桃「うわああん!もういちごミルク飲めないぃ!!」
丸京「ほーら、いくら第一印象が良くても、本質に近づくと恐ろしくなったろう!」
苦来「でもその話って割と有名よね。多分蚕の糞よりは」
手寅「まぁ、どっちも天然由来の色素だから合成着色料よりは安全らしいけど」
苦来「赤色○号とか、いかにも体に悪そうだしね」
木胡桃「…え?まさかこれも」
丸京「そう、コチニールは布地の染色にも使われている。ピンクの服に使われている可能性は十分にある!」
木胡桃「うわぁぁん!!」
丸京「更に追い打ちするなら、化粧品の赤色。口紅や頬紅にもコチニールはよく使われている!」
木胡桃「いやあああああああ!!!」
魔梨威「おい丸京、あんまりいじめるなよ!キグが泣いちゃうだろ!?」
木胡桃「うぅ…」グスン
魔梨威「よーしよしキグ、大丈夫だぞー?きっと虫は虫でも可愛い虫だからな!」
魔梨威「そうだとも!きっとバグズ・ライフくらい可愛い虫だよ!」
木胡桃「あれは可愛くないです……」
魔梨威「えー?アンツよりは可愛いだろ?」
苦来「ジャイアント・ピーチくらい可愛くないとダメでしょ」
丸京「スターシップ・トゥルーパーズ!」
苦来「それはキモいから!全然毛色違うし…!」
手寅「あ、コチニールの原料。今調べたらこんな虫らしい」
(閲覧注意)
http://blog-imgs-55.2nt.com/s/s/h/ssh123/Cochineal_drawing.jpg
木胡桃「いやああああ!!思いっきり虫です!!!」
魔梨威「一番デカい追い打ちするなよ!!大丈夫だよキグぅ!」
苦来「……マリーさんの服も赤いけど、やっぱり使われてるのかな…?」
木胡桃「…!」ススッ
魔梨威「おい!引くなよ!」
魔梨威「引いてるだろ!?…どうしてくれるんだ丸京!」
丸京「どうもこうも、私は真実を、そして見た目に騙されるなと教えただけだ」
木胡桃「見た目に騙されない…?」
手寅「そう。マリーさんの羽織は赤く見えるけど、実際は赤じゃないかもしれない!」
魔梨威「なんだよそれ」
手寅「自分の見ている色と他人の見ている色は、同じではないかもしれない!」
苦来「あぁ、クオリア?」
手寅「自分の見ている放送版と他人の見ているBD/DVD版は、同じではないかもしれない!」
丸京「いや、それは実際にほんの少し違うから」
苦来「ほんの少しだけ違う話はともかく、放送版ですら違った十二話とかどうなるんだろう」
丸京「領有権主張してきたら楽しそうだな」
手寅「あのカレーは、本当は温めるだけのレトルトかもしれない!」
苦来「だとしたら爽快かも……」
手寅「マリーさんは本当に男の子かもしれない!」
魔梨威「いや、それはないから!」
手寅「でもそう考えると、いざマリーさんが本当に男でも 騙された! とは感じないじゃない?」
魔梨威「そうだけど、男じゃないからな?本当に!」
手寅「見た目に騙されたくなければ、色んな角度から物を見れば良いのよ」
木胡桃「色んな角度から?」
魔梨威「なんだよ?」
手寅「マリーさんを後ろから見ると……」つつ…
木胡桃「わ!後ろだけ裸!」
丸京「びんぼっちゃま君かよ」
魔梨威「えぇぇ!!?なんだよこれ!!いつやったんだよぉ!?」
苦来「マリーさん、私達を騙してたのね!」
魔梨威「騙してねーよ!っていうか逆に私が騙されてるだろコレ!」
魔梨威(よく考えたら、いつもいつも私は尻を晒したり、尻を晒したり、はたまた尻を晒したり……)
魔梨威(色んな角度から考えると、こいつらもしや私の敵!?)
手寅「どうしたの?マリーさん」ニコニコ
木胡桃「考え事ですか?」ニコニコ
苦来「顔色悪いよ?」ニコニコ
丸京「尻色も悪いぞ?」ニコニコ
魔梨威(まただ…!また笑いながら私を陥れるつもりだ…!)
魔梨威「ダマサレルモノカ ダマサレルモノカ…」ブツブツ
手寅「ちょっとマリーさん、本当にどうしたの?」
魔梨威「……やられる前に」ボソ
丸京「何?」
魔梨威「やられる前に、やらいでか!!!」ぐわばっ!
木胡桃「きゃあああ!!!」
魔梨威「ダマサレルモノカ ダマサレルモノカ…」ブツブツ
医者「マリーさん、気分はどうですか?」
魔梨威「サイアクだよ!四六時中電磁波で攻撃されてるからな!」
魔梨威「それよりお前か!?私を監視しているのは!電波で悪口を言うのはお前かぁ!?」
丸京「マリーさん、すっかり疑り深くなってしまった」
手寅「色んな角度から見てるんだね!」
苦来「それ被害妄想っていう一つの角度だから…!」
木胡桃「赤色怖い…赤色怖いよぉ…!」
おわり
駄文ですいませんでした
さては本人だな
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Entry ⇒ 2012.10.03 | Category ⇒ 版権物SS | Comments (1) | Trackbacks (0)
まどか「ごめん、ね……ほむらちゃん……」
ほむら「まどか……!しっかりして、まどかぁ!!」
さやか「あれ、まどかにほむら?何やってんの?」
ほむら「大変なの!まどかが、まどかが……!紙で指を……!」
さやか「ッ……!?う、うそでしょ!?」
さやか「……!う、うっすら血が滲んで……!」
まどか「はぁっ……はぁっ……」
ほむら「まどかぁ!しっかりして、まどかぁ!」
さやか「ど、どうしよ、どうしよ……そうだ!あ、あたし、マミさん呼んでくる!
マミさんならきっと、なんとかしてくれるはずだよ!」
ほむら「さやか……!」
さやか「待っててね、まどか!すぐ戻ってくるからね!」
マミ「お待たせ!2人とも!」
ほむら「巴さんっ……!」
マミ「大丈夫、鹿目さ……!?ひ、酷い……!」
さやか「そんな!?さっきまで滲んでる程度だったのに……血が、垂れてきちゃってる……!」
ほむら「は、早くなんとかしてあげて!私にはもう、指を心臓より高い位置に上げるくらいしか……!」
さやか「何か良い方法があるんですか!?」
ほむら「ポーチなんか取り出して、何を……まさか!」
マミ「あったわ!これを鹿目さんに!」
さやか「ば、絆創膏!!」
ほむら「すごい……これがあれば、傷を治せる……!」
まどか「ぁ、ぅ……」
ほむら「くっ……!片手でまどかの手を支えながらじゃ、テープが上手くはがせない……!」
さやか「そ、そんな!せっかく絆創膏があるのに、そんなことって……!」
マミ「っ……暁美さん!私も手伝うわ!」
ほむら「巴さん……!」
ほむら「で、でもそんなことをすれば、ゴミを捨てる人が……」
さやか「ご、ゴミならあたしが捨てるよ!」
マミ「美樹さん、あなた……!」
さやか「だからほむら、早くテープをはがして!!急がないと、まどかが……!」
ほむら「っ……ありがとう……!」
すごい、これなら……これならきっと……まどかを救える!)
マミ「支えたわ……!今よ、暁美さん!」
ほむら「えぇ!」
さやか「ほむら、ゴミを!」
ほむら「頼んだわ、さやか!あなたが戻る頃には、きっとまどかは、元気な顔を見せてくれるから……。
だから、絶対に戻ってくるのよ!約束して……!」
さやか「もっちろん!じゃあね、絆創膏、頼んだよ!」
マミ「……!傷が、絆創膏で覆われて……!」
まどか「……ぅ……ぁ、あれ、わたし……」
ほむら「まどか……!」
まどか「ほむらちゃん、マミさん……。あ、そっか、わたし、紙で指を切っちゃって……
そしたら血が滲んできて、それで……わ、わたし、わたし……!」
マミ「鹿目さん……」
ほむら「怖かったのね、まどか……でも、もう大丈夫よ」
まどか「うっ……ぅわぁああああん!!怖かった、怖かったよぉおお!!」
ほむら「安心して、もう絆創膏を貼ったから。ね?」
マミ「えぇ。だからもう、何も怖がることはないわ。そんな傷なんて、すぐに治っちゃうから」
まどか「えっく……ぅく……ほむらちゃん、マミさん……」
まどか「っ!さ、さやか、ちゃん……」
ほむら「あなた、ゴミを無事に捨てて来れたのね……!」
さやか「良かった……良かったぁ!助かったんだね、まどかぁ!」
まどか「うん、うん……!でもさやかちゃん、その、ゴミって……?」
マミ「美樹さんはね……絆創膏のゴミを捨ててきてくれたの。それも、自分の意志で」
さやか「あはは、なんていうんだろ……。
目の前でまどかが苦しんでるの見てたら、居ても立っても居られなかったっていうか、
あんまり深いこと考えてなかったや。ただただ、まどかを助けなきゃって、そう思ってさ」
まどか「さやか、ちゃん……ごめんね、ありがとう……!本当に、ありがとう……!」
ほむら「さやかは向こう見ずだけれど……でもそのおかげで、まどかを救うことができた」
マミ「えぇ。美樹さんも鹿目さんも、本当に無事で良かったわ」
マミ「あら、今日は志筑さんは一緒じゃないの?」
まどか「はい、今日もお稽古事らしくて。
今日は新作パフェが出るから仁美ちゃんも連れて行ってあげたかったんですけど」
さやか「あぁ、かわいそうな仁美……。
仕方ない、明日も仁美のためにパフェを食べに付き合ってあげますか!」
ほむら「あなたが食べたいだけでしょう」
さやか「あはっ、バレた?まーとにかく、早く喫茶店行こうよ!」
まどか「うん、楽しみだなー、新しいパ……」グゥゥウ~
マミ「……え?」
マミ「鹿目、さん……?今、何か……」
ほむら「……そんな、まさか……」
さやか「あ、あははは……き、きっと聞き間違えだよ!
まどか「そ、そう、だよね?聞き間違え、だよn」グゥウウゥウウ~
ほむら「うそ、そんな……!」
さやか「お、お腹の音!?そんな、なんで……!?」
まどか「や、やだ、やだっ!どうして、どうしてこんな……!」
ほむら「いけない、このままじゃ、まどかが……!」
まどか「や、やだぁ……そんなの、やだよぉ……!」
マミ「い、急いで何か口に入れないと!」
ほむら「駄目、遠すぎる……ここからじゃ、どんなに急いでも5分はかかるわ!」
さやか「で、でも……」
ほむら「喫茶店に着くまでの間、ずっとまどかにお腹の音を響かせ続けろと言うの!?
冗談じゃないわ!そんなの、あんまりよ……!」
マミ「暁美さん……」
ほむら「何か、何か別の方法を考えないと、何か、喫茶店に行く意外で、別の方法を……。
そ、そうだわ!2人とも、何か食べるものは持ってないの!?」
まどか「あ、あぁあ……」グゥウウウ~
さやか「え、待って、うそ、やだ……!な、何もない……!」
マミ「わ、私も……非常用のカロリーメイトしか持ってないなんて!こんな時に……!」
ほむら「そん、な……。それじゃあ、どうすれば良いの!?
何か別の方法を探さないと、何か、何か……!」
まどか「良い、よ……」
ほむら「え……?」
ほむら「まどか……駄目!そんなことしたら、あなたが……!」
まどか「ううん、良いの……私は平気……。
それにね……喫茶店のパフェ、すっごく楽しみだったから……えへへ」
マミ「鹿目さん、あなた……」
まどか「だから、ね……?みんなで一緒に、喫茶店に……」グゥウウウゥウ~
さやか「っ……!まどかぁああ……!」
杏子「ん……?よぉ、あんたら何やってんだ?」
杏子「……なんだ。何かただ事じゃないみたいだね」
さやか「ま、まどかが大変なの!」
杏子「まどかが……!?おい、まどか!どうした、何があった!?」
まどか「杏子、ちゃん……」
杏子「腹なんか押さえて……痛いのか!?どうしたんだ!」
ほむら「お腹の……お腹の音が鳴ったの……!」
さやか「杏子、あんた……!」
杏子「いてっ!?な、なんだよ!急に肩なんか掴んで……」
マミ「佐倉さん……!?そんな、はっきり……!」
杏子「はぁ……?」
まどか「う、ううん……良いの……。わたし、分かってたから……」
ほむら「まどか、あなた……!」
ほむら「まどか、そんなことない、あなたは……!」
さやか「ぅくっ……ぐすっ……」
杏子「なんで泣いてんの?」
まどか「そうだよ、泣かないで、さやかちゃん……」
マミ「……えぇ、泣いてる暇なんてないわ。今は一刻でも早く、鹿目さんに何か食べさせてあげないと……!」
さやか「で、でも……あたしもほむらも何も持ってないし、マミさんだって、非常用のカロリーメイトしか……」
杏子「その非常用のカロリーメイトとやらを食わせてやれよ」
ほむら「佐倉杏子……あなた、そこまで思慮分別のつかない人間だったかしら」
マミ「佐倉さん、話を聞いてなかったの……?」
杏子「は……?」
さやか「良い!?マミさんのカロリーメイトは非常用なの!取っておかなきゃいけないの!わかる!?」
杏子「いや、まぁそりゃ非常用ってんなら、こんなくだらないとこで使わないのが普通だろうけどさ……」
ほむら「……あなた、今なんて?」
ほむら「あなた、今……なんて言ったの……?」
杏子「だから、非常用ってんなら、こんなくだらないとこじゃあ……」
ほむら「ふざけないで!!」
杏子「なっ!銃!?」
マミ「暁美さん!駄目!」
ほむら「ッ……!」パァン
マミ「暁美さん、今は仲間割れなんてしてる場合じゃないわ!」
ほむら「フーッ……フーッ……!くだらないですって……!?
まどかのお腹が鳴ってるのに、くだらないですって……!?」
さやか「杏子……謝ってよ」
杏子「はぁ!?なんでだよ!?いきなり発砲されて、謝って欲しいのはこっちだっつーの!」
さやか「良いから謝って!今すぐ謝って!訂正して!!」
杏子「は、はぁ?」
マミ「人が困ってるところを助けるなんてくだらない……また、そんな考え。
最近は昔のあなたに戻ってきたと思っていたのは、私だけだったのね……」
さやか「……幻滅したよ、杏子」
ほむら「消えて……私が殺してしまう前に、早く消えて……!」
杏子「っ……どうしちまったんだよ、あんたたち……!」
マミ「っ!待って!」
杏子「あん!?なんだよ!」
マミ「あなた、今口に加えてるそれ……何なの……?」
杏子「見りゃわかんだろ。ロッキーだよ」
さやか「ロッキーって……あのロッキー!?お菓子の!?」
ほむら「杏子……お願い。そのロッキーを、まどかにあげて……!」
杏子「ちっ……なんだよ、急に手のひら返しやがって」
さやか「あたしからもお願い……。まどかもあんたが咥えたやつなら気にしないはずだよ!ね、まどか!」
まどか「うん……わたしは、気にしないよ。杏子ちゃんなら……」
杏子「しかも今咥えてるやつかよ!?だったら箱ごとやるわ!」
マミ「えっ……!?」
杏子「どこにロッキー1本だけ加えて出歩く人間が居るんだよ……」
さやか「ほ、ほんとに、くれるの……?箱ごと、まどかに……?」
杏子「あーもうどうでも良いよ。ほら、さっさと食えってんだ」
ほむら「あ、ありがとう……!杏子、本当にありがとう……!」
杏子「はぁ……わっけわかんね。なんか疲れたしあたしはもう行くわ。じゃあね」
マミ「さぁ鹿目さん、早く食べて!」
まどか「はい、それじゃ……」グゥウウウゥウ~
さやか「!ちょっと待って!」
ほむら「どうしたの。早く食べさせてあげないとお腹の音が……」
さやか「あのさ……あたしたち今から、新作パフェ食べに行くんだよね?」
ほむら「そのためにも早くまどかのお腹に何か入れないと」
さやか「ちょっと思ったんだけどさ……。
ロッキー食べちゃったら、パフェが入らなくならない?」
まどか「っ……!ほ、ほんとだ……!」
さやか「ただでさえまどか少食なんだから、ロッキー1箱なんて食べちゃったりしたら……」
ほむら「……きっと、せっかくの新作パフェも美味しく食べられないわね」
もう少しで大変な間違いを犯してしまうところだったわね」
さやか「でも、1つ問題があって……。まどかに空腹を我慢してもらわないと……」
ほむら「まどか、大丈夫?我慢できる?」
まどか「うん、大丈夫……。今までも、我慢してきたんだもん……わたし、頑張るよ」
ほむら「……あなたは本当に強い子ね、まどか。でも、我慢できなさそうだったらすぐに言うのよ。
その時はみんなで全力で走りましょう」
マミ「そうね。それじゃあ、行きましょうか!」
マミ「これはきっと定番メニューになるわね。私、毎日通っちゃおうかしら、ふふっ」
ほむら「少し量が多めだったわね。まどか、大丈夫?」
まどか「うん、大丈夫!でもやっぱりちょっとお腹いっぱいかな?」
さやか「あ、そう言えば杏子にもらったロッキーどうしよ?」
まどか「うーん……わたしはもうお腹いっぱいだし、みんなで食べて良いよっ」
マミ「残念だけど、それは無理かな……。だってそのロッキーは鹿目さんがもらったものですもの」
ほむら「幸い箱ごと貰ったから持ち歩くのには苦労しないから……杏子に返すというのはどうかしら」
マミ「そうね、それしかなさそうね」
さやか「それじゃ今からみんなで杏子探しに行きますか!」
マミ「どうする?手分けして探しましょうか?」
ほむら「えぇ、それが一番効率的ね」
マミ「私は美樹さんとね」
まどか「うん、そうだね。あ、ロッキーは私が持ってても良いかな?」
さやか「そりゃまぁ、まどかが貰ったやつだし」
ほむら「そうと決まれば早速探しに行きましょう」
マミ「えぇ!また後でね、2人とも!」
まどか「あ、居た!杏子ちゃーん!」
杏子「あん?まどか、それにほむら……?」
ほむら「こんなところに居たのね、探したわよ」
杏子「何よ、また何か用?」
ほむら「ちょっと待って。今、美樹さんとさやかを呼ぶから」
杏子「……?」
マミ「良かったぁ、見付かったのね」
杏子「なんだかよく分からないが……あ、そう言えばまどか。腹の音はおさまったのかい」
まどか「うん!パフェ食べたら治ったよ!」
杏子「ん?パフェ?ロッキーじゃ足らなかったってか?」
まどか「ううん、ロッキーは食べなかったの」
杏子「は?」
杏子「……なんだそりゃ……」
まどか「でも気持ちはとっても嬉しかったよ!ありがとう!」
杏子「……まぁ良いや。で?用事ってのはなんだよ。
わざわざみんな集まったんだ。大事な話じゃないの?」
さやか「えっ?用事なら済んだよ」
杏子「は?」
マミ「鹿目さんがパフェでお腹いっぱいになったから、ロッキーを返しに来たのよ」
まどか「杏子ちゃん?どうしたの?」
杏子「いや、なんでもない。もうツッコむ気力も失せただけだ」
ほむら「……?」
杏子「それより、あんたら気付いてないの?まぁ気付いてないんだろうな……」
マミ「なぁに?どうしたの?」
杏子「魔力探知してみなって。この辺りでもうすぐ結界が出来るよ」
マミ「じゃあ鹿目さんは結界の外で……」
ほむら「駄目よ、まどかを1人にするなんて出来ないわ!」
さやか「それじゃ、結界の中に連れてくの?そんな危ないこと、もっと出来ないよ!」
杏子「いや、誰かが外に残ってやれば……」
QB「それなら僕に良い考えがあるよ」
さやか「良い考えって何よ?」
QB「君たちが問題にしてるのは、まどかが自分の身を守れないということだろう?
だから1人には出来ないし、連れて行くことも危険だから出来ない。そういうことだね?」
マミ「えぇ、その通りよ」
QB「だったら簡単なことじゃないか。まどかが僕と契約して、魔法少女になれば良いんだよ!」
杏子「……あのさぁ。いつになったら懲りるのさ。何回勧誘しようが……」
ほむら「確かに……キュゥべえの言う通りね」
まどか「そっか、わたしが契約すれば良いんだ。そうすればみんなと一緒に結界に入って行けるよね!」
マミ「盲点だったわ。さすがはキュゥべえね!」
さやか「たまにはやるじゃん!」
ほむら「そうと決まれば早速契約しましょう、まどか」
まどか「うん!わたしの願いごとは……」
杏子「ま、待てよてめぇら!何言ってんだ!」
ほむら「でも仕方ないじゃない。
今のままじゃまどかを1人残すことも出来ない、連れて行くことも出来ない。
このまま結界の外で立ち往生しろと言うの?」
マミ「あなたもしかして……魔女を見逃す気……?」
さやか「杏子あんた、使い魔だけじゃなくて魔女まで見逃すの!?」
まどか「ひ、酷いよ杏子ちゃん!そんなのあんまりだよ……!」
杏子「は、はぁ!?」
マミ「誰かって、誰?」
さやか「あたしたちはみんな、正義の魔法少女なんだよ。
魔女と戦わずにただ見てるだけだなんて出来るわけないじゃん!
そんなことしたら正義の魔法少女失格だもん!」
ほむら「だったらあなたが残る?杏子」
杏子「っ……」
せめてあたしが居ないと……!)
杏子「くそっ……!じゃあもう分かった!まどかも連れて行くぞ!」
ほむら「あなた……話を聞いてたの?それは危険だってさっき……」
杏子「うるせぇ!こいつはあたしが守る!何か文句あるか!?」
ほむら「!」
まどか「杏子ちゃん……」
杏子「心配すんな、まどか。あんたはあたしが責任を持って守ってやるからさ」
マミ「私も!後輩にばかり良い格好させられないもの!」
ほむら「まどかを守るのはこの私よ。今までも、これからも」
まどか「み、みんな……ありがとう……!」
杏子「じゃあ全員で結界に入るってことで良いな!行くぞ!」
QB「やれやれ……みんな入って行ったね。無事で済むと良いんだけど」
さやか「これはまた不気味な結界だね……」
マミ「もう結構歩いたけど……」
ほむら「……まどか?」
まどか「……い……痛い……」
杏子「!?なんだ、どうした!?」
まどか「わ、わき腹が……」
ほむら「まさか……食べてすぐ歩き回ったから……!?」
さやか「そ、そんなことって……!」
まどか「ごめん、なさい……。わたし、もう……歩けそうに、ない……」
マミ「……私のせいだわ」
ほむら「巴さん……?」
マミ「私が今日、新作パフェを食べに行こうなんて提案したから……私のせいで……!」
ほむら「そんな……それを言ったら、私だって!杏子を探しに行こうと言い出したのは私よ!
私があんなことを提案しなければ、まどかが歩き回ることもなかった!
まどかのわき腹が痛くなることだって、なかった!全部、私が悪いのよ!」
さやか「ち、違うよ……。2人とも、悪くないよ。あ、あたしが……。
あたしが、ロッキーを食べずにパフェを食べようなんて言わなければ……。
あ、あたしがあんなこと言わなかったら、まどかのわき腹は……」
杏子「あんたたち、今そんなこと言ってる場合かよ!?」
ほむら「杏子……!」
杏子「わき腹が痛くなってんだぞ!まずまどかを心配してやるべきだろうが!」
マミ「そうね……。後悔も落ち込むのも、鹿目さんが元気になってから!
まずは鹿目さんのわき腹の痛みを抑えてあげなきゃ!」
まどか「き、杏子、ちゃん……わたし……」
杏子「もう喋るな、まどか……。ここで少し休もう」
まどか「でも、魔女は……」
杏子「魔女なんかより、まどかの方を優先するべきだよ」
ほむら「何か良い手があるの……!?」
杏子「魔法だよ……魔法を使うんだ!」
さやか「えっ!?で、でもわき腹の痛みをなくす魔法なんて……」
マミ「美樹さん……魔法にはいくらでも応用が利くのよ!」
さやか「あぁ!マミさんのリボンがまるで包帯のように……!」
マミ「応急処置みたいなものだけど、やらないよりはずっと良いでしょ?たぶん」
まどか「あ、ありがとうございます……!ずいぶん楽になったような気がします!」
杏子「さすがはマミだな!」
ほむら「もう痛みは大丈夫?まどか」
まどか「うん、もう平気だよ!マミさん、ありがとうございました!」
マミ「ふふっ、どういたしまして」
さやか「いやー、魔法にあんな応用の仕方があったとは。勉強になります」
杏子「しかし、まどかに何事もなくて本当に良かっ……」
魔女「オォオオオオオオオオ!!」
さやか「げえっ!魔女!いつの間に!」
マミ「私も保護結界を張るわ!」
さやか「あ、あたしも!」
ほむら「まどか、ここから動かないでね!」
まどか「み、みんなありが……」
魔女「オォオオオオオオ!!」
まどか「きゃっ!?」
杏子「し、しまっ……」
マミ「よろけて、こけ……」
ほむら「まっ……まどかぁああああああああ!!」
まどか「……ほむら、ちゃん……」
ほむら「まどか、しっかりして、まどかぁああ!!」
まどか「……え、へへ……ごめん、ね……ほむらちゃん……こけちゃった……」
さやか「や、やだ!まどかぁ、まどかぁ!!」
杏子「くそっ……くそっ、くそっ、くそぉおおお!!
まどかのことを考えれば怯んでこけるくらいのこと、想定できたはずなのに!!
馬鹿野郎……あたしの、大馬鹿野郎がっ……!」
まどか「どうして、だろ……なんだかね、すごく、眠いんだ……」
ほむら「い、いや、いやぁ!目を開けて、まどか、お願い、まどかぁあ!!」
まどか「甘いもの食べて、お腹、いっぱいになって……歩き回って……疲れちゃったから、かな……。
今ね、とっても、 眠いの……えへへ……」
まどか「……みん、な……わたしのことは、放っておいて……。
わたし、なんかより……魔女、を……」
マミ「か……鹿目、さん?」
まどか「…………」
さやか「ま、まどか、やだ、まどか……。まどか、まどかぁ、まどかぁああ……!ぅわぁあああああん!!」
杏子「……許さねぇ……殺してやる……殺してやる……ぶっ殺す、絶対に、ぶっ殺す!
てめぇだけは、絶対にぶっ殺してやる!うぁあああああああああ!!」
魔女「オォオオオオオオ!!」
ほむら「……私の戦場は……もう、ここじゃない……。でも……お前だけは、殺してやるわ」
さやか「死ねぇえええええええぇえええ!!」
杏子「だぁらぁあああああああああああ!!」
ほむら「まどか……ごめんね。すぐ、終わらせるからね」
魔女「ギャァアアアアアアアアアアア……!」
QB「いくらなんでもやりすぎじゃないかな」
ほむら「……終わったわね」
マミ「……あら……?」
杏子「ん、なんだ……?なんか、記憶が……」
まどか「ん……ふわぁあ……あれ?わたし、なんで寝ちゃってるの?」
さやか「キュゥべえ!どういうこと?」
QB「君たちは今の今まで、魔女の呪いの影響を受けていたんだよ。
今日1日の記憶がところどころぼやけてるのは、そのせいだ」
ほむら「……?」
マミ「私たちが、魔女の呪いを……?どんな魔女なの?」
QB「簡単に言うと、人間の庇護欲に付け込む魔女さ。
杏子、君は結界に入る頃から急に記憶が曖昧になってはいないかい?」
杏子「あぁ、確かに。まどかを守ると決めてから……あぁ、そういうことかい」
QB「まぁ、何はともあれ魔女も倒せたし、みんなが元に戻って良かった」
まどか「はい!……あっ!」
さやか「おわっ!まどか、大丈夫?」
杏子「おいおい、何もないとこでこけるとか、しっかりしなよ?」
マミ「怪我はない?一応絆創膏は持ってるけど。酷いようなら魔法で治しましょうか?」
まどか「いたた……いえ、ちょっとお尻打っちゃったけど、大丈夫で……」
ほむら「まっ……まどかぁああ!!大丈夫!?本当になんともない!?あざになったりしてない!?」
まどか「あはは、平気だよ。ありがとう、ほむらちゃん」
QB「うん、みんな元通りだね。一件落着だ」
おしまい
みんなかわいかった
Entry ⇒ 2012.10.03 | Category ⇒ まどかマギカSS | Comments (0) | Trackbacks (0)
女「だって、君はボクの友達だろう?」
男「……あのなあ」
女「ん? なんだい」
男「なんでいるんだ?」
女「君が起きるのを待っていたのさ」
男「勝手に帰れよ……ふわぁ……もう夕方か」
女「うん、太陽も沈みかけてる」
男「だいぶ寝てたみたいだな……」
女「部活でもないのに、放課後に残っているのはボク達ぐらいかもね」
男「そうだな」
男「あくまで一緒に帰るのか?」
女「うん、嫌かい?」
男「別にそうじゃないんだが、先に帰ってても良かったんだぞ?」
女「ふふ、そうもいかないよ。君はここ最近お疲れ気味だったからね。眠くなるのも当然さ」
男「確かに、文化祭の企画、未だにできてないんだよなぁ」
女「手伝おうか?」
男「いや、いい」
男「手伝いたいのか?」
女「もちろん」
男「ほぼ雑用だぞ、こんなの進んでやるのは……」
女「変かい?」
男「んー、ドMに近い印象だな」
女「なんだ、それならボクはうってつけじゃないか」
男「……お前、ドMなのか!?」
男「おお……あっさり暴露したな」
女「痴女と行っても、触ると言うよりは見せる、方だけど」
男「聞きたくない情報だった」
女「だからクラスの女の子と同じくらいスカートが短い」
男「そういうことだったのか……」
女「今日は下に何も穿いていない」
男「えっ」
女「嘘、だけどね」
女「期待しちゃった?」
男「しないけどな」
女「見ないとわからないよ?」
男「見せるなよ、放課後のこんな時間に変なことをするな」
女「んー、盛り上がってきたね」
男「きてねえよ」
女「おや、どうしてだい?」
男「俺はあと少しだけ企画考えてから帰るから」
女「ふむ、そうか」
男「……」
女「……」
男「なんで改めて席に座るんだ?」
女「待ってるからさ」
女「君は色んな顔をして面白いね」
男「……バカにしてんのか?」
女「そうじゃないよ、とても素敵だって、言ってるのさ」
男「……はぁ、お前いると集中できないんだけどなあ」
女「ボクのことは、何もないと考えてくれてもいいよ」
男「本気で無視するぞ?」
女「うん、構わないよ。その代わりここで脱ぎ始めるけど」
男「いや、無視できるはずがねえだろ」
女「なにか、問題が?」
男「……どうして俺のこと、待つんだ?」
女「そんなこと、決まってるじゃないか」
男「……なんだよ?」
女「言わなくてもわかると思うけれど」
男「言わんとわからんだろ」
女「じゃあ、言うよ」
男「ああ」
女「君の、友達だからさ」
……友達ねえ。
男「友達って言っても、俺がつるんでるおとこどもはみんな帰っちまったぞ?」
女「彼らよりも友達なのさ。体ごとつるんでるからね」
言い方おかしいな。
男「お前とは体ごとではないと思うが」
女「おや、違ったかい? あの日、ボクと君は過ちを犯してしまったではないか」
なぜ目を潤ませる。
女「犯し……?」
男「字が違う!」
女「そうか、君が一方的に犯し……」
男「話を続けるな」
こんがらがるだろう。
女「ボクも、抵抗することはできなかった……」
男「あー……そろそろ戻ってきてください」
女「いや、しなかった、痴女だから」
男「しなかったのかよ!」
思わずツッコんじまったじゃねえか。
女「いやいや、ついついやってしまうんだ」
反省をしているように、頭を掻いた。
女「……んっ?」
男「ど、どうした?」
女「ついつい、ヤってしまった?」
男「いや、それは俺言ってねえぞ!?」
あっという間に外は暗くなり、部活の喧騒も、少しずつ小さくなっていく。
男「け、結局全然進められなかった……」
女「それは大変だ。文化祭に支障をきたしてしまう」
誰のせいだ、誰の。
女「それじゃあ、ボクが人肌脱ごうか?」
そう言って、彼女は静かにブラウスの一番上のボタンを外す。
男「そっちかよ!」
彼女はゆっくりと、第二のボタンに手を移動させていた。
男「痴女になるぞ!」
女「痴女だが?」
そうでした。
女「襲われてしまうかもしれないね」
誤解されるんだ。
ふふっ、と彼女は軽く笑って、
女「驚いた顔、とっても危機迫る感じがあっていいね」
男「そりゃな……」
いきなり同じクラスのおんなが、目の前でボタンを外し始めたら。
それはそれは驚く、困る、怖い。
周りの目が、怖い。良かった、放課後で。
女「酷いなあ。一緒に帰るっていうのに」
男「家そんなに近くないだろ」
女「同じ方向じゃないか」
まあ、そうだけども。
女「ふふ、ボクみたいな痴女と、一緒に帰りたくないかい?」
男「逆にお前が一人で帰って露出しないか心配だ」
女「おや、ボクを心配してくれてるのかな?」
俺がバッグに荷物を入れていると、彼女は椅子から立ち上がり、スカートのしわを伸ばした。
男「なんだよそれ」
痴女じゃないじゃないか。
それは嬉しい。いや、見せないことではなく。
俺以外に見せないことが嬉しいわけではない。
断じて。
女「言い方を変えると、限定痴女、かな?」
彼女はキメ顔をして、こちらを見た。
俺は、何も言えなかった。
女「ははは、ここはお世辞でも『今からその限定のモノを見せてもらう』って言ってくれなきゃ」
お世辞でも言えない。
そう言って、胸を隠すような仕草をする。
女「これから育ち盛りだから、もうしばらくの辛抱を」
男「辛抱って……」
女「もうしばらくの待望を」
男「待ち望んでねえよ!」
どんだけ俺はお前の成長に期待してるんだよ。
男「全然意味違うじゃねえか」
成長するか、しないかみたいに使うな。
女「確かに、ボクは胸も……ミニマムだし、お尻も大きくない。身長も、あまり高くない」
男「そういうの好きな人もいるんじゃねえか?」
女「君は好き?」
男「……んー」
胸はでかい方が好きだし、尻もちょっとは大きい方がいいと思う。
女「微妙な反応だね」
女「うん、それはそうだと思う。ボクも、大きな胸と、大きなお尻は大好きだ」
もちろん女の子のだけどね。
と、付け加えた。
男「レズ?」
女「ふふっ、それはどうでしょう」
ぼかすな。
男「えっ?」
腕時計を見てみる。
男「! もうこんな時間なのか!?」
女「疲れたからホテルにでも行こうか? もちろんラブだが」
男「んな冗談に付き合ってる暇はねえ、さっさと出るぞ」
女「ああ、わかった」
女「ふふ、怒られてしまったね」
男「誰のせいだ、誰の」
女「君が企画を考える、と言ったんじゃないか」
男「お、俺のせいなのか?」
女「君の責任だよ。……責任、取ってくれるかい?」
なんのだ。
女「なるほど、自慰か」
職員室の前で堂々と言うな。
男「帰るぞ」
女「ああ」
まったく、困った奴だ。
女「やっと帰れるね」
そう言うなら先に帰ればよかったのに。
女「ああ、これは皮肉じゃないよ。勘違いしないでくれ」
女「おや、機嫌を損ねてしまったかな?」
別に。
そんなことで損ねるようなこどもじゃない。
まあ、とりあえず黙っておくか。
女「ふむ、これは困ったな」
顎に手をあてて考えているようだ。
そして、彼女は考えた結果、次の行動に移った。
女「よしよし、機嫌直してね」
背伸びをして、頭を撫でてきた。
男「俺はこどもか!」
居ても立ってもいられなくなり、つい叫んでしまう。
男「ああ、それならお前は赤ちゃんだな」
女「赤ちゃんプレイがお好みかい?」
男「ちげえよ!」
身長とか、そういうの鑑みてだ。
女「それにしても、大きいね、君」
男「下を見て言うな」
勘違いされるだろ。
男「明らかに誤解されるな、それ」
女「でも、何センチくらいだい?」
背伸びをして、頭に触れようとする。
女「おっと」
体勢を崩して、俺にもたれかかってきた。
女「あはは、ごめん」
少し顔を赤くして、微笑んだ。
何やってんだ、こいつは。
男「離れろ、暑苦しい!」
女「ふふっ、ちょっと発情してるから暑苦しいかもね」
発情中かよ。
女「君には勝てそうにないなぁ、身長」
ここから俺を越したら流石に引く。
女「何を食べれば、そんなに大きくなるんだい? おかずは?」
下を見るな。おかずってどういう意味だ。
女「へえ、巨乳は?」
男「基本的には、やっぱり牛乳かな」
女「タンパク質を分泌してるんだ、タンパク質を摂ったほうがいいんじゃないかな?」
話が噛み合ってねえ!
ドッジボールみたいだ!
男「あのなあ、いちいち下品にするなよ」
女「そうだね、おタンパク質をもっと……」
『お』をつければいいってもんじゃないけどな。
女「うむ、それよりも一番驚いたのは巨乳より牛乳ということだ」
男「いや、そのおかずじゃねえからな!?」
女「『その』おかずって?」
ニヤリと笑って、彼女は顔を近づけてきた。
しまった。
女「どんなおかずだい? ボクに教えてくれないかな」
トンッ、と軽く頭に手刀。
女「うっ……」
ボケーッとした顔をして、直立不動に。
男「何してんだ」
女「俗にいう、賢者タイムを体感してみた」
なんか嫌な予感はしてたんだ。
女「賢者タイムって、どんな気分なんだい? どうして、賢者になるんだい?」
知りたがりめ!
女「そうだ、ボクは初めて電気を開発した自家発電大好きな、エジソンさ!」
自家発電は違うだろ!
女「そういえば、男の子も自家発電をするらしいね」
関連付けて話が広がっていく!
男「あー! もうこの話なーし!」
男「しねえよ、こういう話は終わりが見えねえから」
女「君もよく、教室で話をしているじゃないか」
……聞こえてるのか!?
女「今日はクラスの女子を見て品定めをしていたようにも見えたけれど」
男「ああ……」
やべえ、筒抜けだ。
女「君はその時、胸の大きい人がいい、と言っていたね」
知ってたのかよ!
ならなんでさっき質問したんだよ!
男「いや……えっと……」
やばい、なんだこれ。
めちゃくちゃ恥ずかしい。
身内でがやがや笑って話してるのに。
すげえ恥ずかしい。
女「……だから、ボクとこういう話をするのも、別に構わないんじゃないかな?」
男「な、なんでだよ……」
女「ボクは友達だからさ、そうだろう?」
下を向いた俺を、覗きこむように伺っている。
女「ふふっ、顔が真っ赤だよ。熱でもあるのかな?」
女「ずるい? バイバイありがとうさようなら?」
ネタが古い。
男「上手く誘導するのが、ずるい」
女「誘導なんてしてないよ。ボクはただ、君とありのままに話がしたいのさ」
にっこりと笑ったように思えたが、顔が見えないのでわからなかった。
あたりが、もう本当に暗い。
男「ああ、そうだな」
照明のない道を、歩いて行く。
暗ければ、少しずつ目も慣れてくるだろうから、それまでの辛抱だ。
女「ふふっ、何も見えないと、都合がいいね」
男「どういう意味だよ」
女「実は、既にボクはブラウスを脱いだ」
男「は!?」
男「お前マジか!?」
女「おっと、こちらを見ないでくれ、ボクが痴女だとはっきりとわかってしまうからね」
嘘だな。
きっと、嘘だ。
いつものことのように、冗談だろう。
男「ったく、流石にそんなことできないだろう」
女「ふふっ、そうだね」
そう言って。
彼女は俺の手を持って、彼女の体を触らせた。
男「……」
ぬ、脱いでね?
女「どういうことって、こういうことだろう?」
この感触は、生身の体……?
ブラウスの感触じゃない。
まさか、本当に……?
確認しないと、やばい。
主に、隣を歩いている俺は、やばい。
しかも触ってるし、やばい!!
しかし、こちらを見てニッコリと笑う、やつの顔が一瞬見えた。
まずい、監視されてる。
女「ふふっ、手が汗ばんできたよ」
そりゃそうだ。
色んな気持ちがぐるぐると体の中をかき乱していく。
男「お前、何やってんだよ」
女「ふふっ、ナニも?」
言い方おかしいって。
男「……」
もう、我慢できん。
俺のためにも、こいつのためにも。
男「おい、いいかげんにしろよ!」
俺は思い切って、彼女の方を向いた。
すると。
女「ふふっ、どうしたんだい?」
ブラウス姿の、彼女がいた。
男「お、お前……は、裸は……?」
女「ふふっ、引っかかったかい?」
どうやら、嘘だったようだ。
でも、肌の感触は……?
暗闇に慣れてきた目でよく見てみると、ブラウスがスカートからはみ出している。
まさか、そこに手を入れたのか?
女「とっても驚いているね。さっきとはまた、違う顔だ」
彼女は口の両端を軽くつりあげた。
女「あはは」
彼女は珍しく、すこし声をあげて笑った。
いつもは小さく一笑なのだが。
男「そういう、本気で騙そうとする冗談はやめろ」
女「怒ってるのかい?」
男「怒ってはいないけど」
それに、なんだろう。
男「……普通に、体とか触らせるなよな」
彼女は、言葉を失った。
さらに、顔もいつもと違っている。
女「ああ、そうだね」
静かに、そうポツリと言った。
男「? どうした」
女「いや、なんでもないよ」
男「……?」
いつもの余裕が、なくなった?
男「ん?」
女「暗すぎて、ビックリだ」
確かに、今日はいつになく、暗い。
まだ真っ暗になるのには、ちょっと早すぎる時間。
女「何か過ちがありそうな予感だね」
男「ねえよ」
即答した。
そりゃもう、すぐに。
どうなってるんだ。
男「あのな、確かに周り何も見えないけど、あくまで外だからな?」
女「わかってるさ」
だからこそだよ、と。
堂々と宣言する。
女「青姦なんて、素晴らしいじゃないか」
何がだ。
ゾクゾクっと、体を震わせた。
女「考えただけで、ダメだ」
男「ああ、ダメだ」
相当ダメだ。
女「ボクのやってみたいことリストに入っているよ」
男「実にいや響きのリストだな」
他のは聞きたくない。
女「ふふっ、応援してくれるのかい?」
男「いや、しないけどな」
女「そう言うと思ったよ」
彼女はゆっくりと伸びをした。
女「ふぅ」
息をもらして、ニッコリと笑った。
女「君があの日、話しかけてきてくれなければ、こんな日も、なかったんだよね」
俺とこいつがこうやって話をするようになってのは、数ヶ月前のことだ。
女「あれが初めて、君の優しさに触れたところかな?」
男「なんか、その言い方照れるな」
女「君がボクの初めてを奪ったんだからね」
なんの初めてだ。
男「どんな成り行きだったか忘れちまったなぁ」
女「そうなのかい? それは残念だなぁ」
そう言って、彼女はすこし、顔をふくらませた。
男「そうなのか」
女「まあ、言わないけどね」
男「言わないのかよ」
言う流れじゃねえか。
女「ふふっ、あっという間に家だね」
男「ああ、本当だ」
女「今日は、一緒に帰ることができて、とっても楽しかったよ。また」
男「おう、また明日」
女「うん」
手を振って、別れた。
なんだか、濃い帰り道だったな……。
ポツーンと、声が響いた。
親は、まあ基本的には夜中まで仕事だしな。
妹は寝ちまったかな?
男「腹減ったな」
これならあいつと一緒に食えばよかったかな。
まあ、そうも言ってられないな。
しかし、何かあるだろうか。
ゴツっと、何かに当たった。
男「うおっ、なんだ?」
妹「……」
頭をぶつけたように見える、妹がいる。
男「おう、ただいま」
妹「……どこに行ってたの」
男「学校」
妹「なわけないじゃん、遅いじゃん、どう考えてもおかしいじゃん」
すげえご機嫌斜めだ。
男「は、はい」
妹「当てたら怒らないであげる」
男「おそらく4時間前くらい?」
妹「……」
あれ、合ってたか?
妹「合ってたけど不正解だよ!」
理不尽な!
妹「ご飯作っといたげたのにさ」
男「おお、お腹ペコペコだから食べさせてくれよ」
妹「はぁ!? 『あーん』とか絶対にしないからね!」
いや、頼んでない。
男「とりあえず、それはどこに?」
妹「ん」
顎で示すなよ。酷い扱いだ。
妹はふいっ、とそっぽを向いた。
男「いただきます」
妹のやつは、怒りながらも、料理の出来を気にしているらしく、
妹「どうなの?」
と、聞いてきた。
男「ああ、美味しいよ」
すると、顔がにやけて、「でしょでしょ?」という顔になった。
男「なるほど、いつもがそんなでもないから今日は美味いのか」
妹「その言い方は酷いよ?」
男「わるいわるい」
結局妹は笑顔になった。
まだまだ子どもだな、こいつも。
料理は、俺以上だが。
男「ん?」
妹「クラスの女の子とは、どんな感じで話してんの?」
男「どんな感じって?」
妹「んー、ほらさ。私みたいな接し方とかしてない?」
男「こんなに愛でた接し方してないよ」
妹「は、はあ? バカじゃないの?」
凄く嫌な顔をして、引かれてしまった。
男「んー、別にあんまり変わらないかな。お前と」
妹「あー……そうなんだ」
男「?」
少し深刻そうな顔をして、俺の様子を窺っていた。
妹「それじゃあ、なんか彼女はできなさそうだね」
男「は?」
いきなり極論を言われた。
妹「だって、それじゃあ平行線って感じだしさ」
男「……と、いうと?」
妹「だからさ、お兄ちゃんの付き合いは、ただの友達ってこと」
男「友達」
妹「うん、友達」
男「別にそれでいいじゃねえか」
悪いこと、あるのか?
大げさに、大きめにテーブルを叩かれた。くそ、ビビっちまった。
妹「好きな人ができても、そのままずっと平行線のままなんだよ?」
悲しくないの? と、強い瞳に気圧される。
男「……まあ、そりゃ困るだろうけど」
妹「だから、少しは改めるべきだよ」
男「改めるっつってもなぁ……」
妹「私が教えたげよっか?」
妹「なんでさー!」
男「妹に教わることなんかなにもないね!」
そう言って、ご飯を口に放り込む。
全部食べきって、俺は椅子から立ち上がった。
男「じゃあ、後片付け頼んだ!」
妹「あー! また私にさせるの!?」
さっきの笑顔はなくなり、一気にぷりぷりと怒った顔になった。
ベッドに横たわって、今日のことを思い出す。
男「文化祭、どうしようかなぁ」
目を伏せて、すこし考える。
駄目だ、何も浮かばない。
男「やっぱり、みんなの意見を聞くのが最善かな」
一人の考えより、みんなの多数決の方が決まるのは早い。
男「……それよりも」
さっき、妹に言われた言葉が引っかかる。
それのどこが悪いんだ。
しかし、あの妹の呆れた顔は、正直悔しかった。
男「……つってもなぁ」
いきなり態度変えることも、できねえし。
いつもは、みんなでワイワイするのが好きなわけで。
別に、好きだとか嫌いだとかは、どうでも良くて。
男「まあ、苦手なやつが苦手なんだが」
気にすること、ないか。
いつも通りにしておけば、別に。
今なにか支障がでてるわけじゃないし。
男「風呂入るかな」
妹は既にパジャマだったので、おそらく風呂はもう入っている。
さっさと入って寝よう。
今朝は、放課後に寝ていたせいか、あまり眠くなく、起きるのは苦ではなかった。
ただ寝付きが悪かったのが、少し嫌なところだ。
男「……ん」
食卓に500円がある。
多分、昼食代だ。
男「飲み物代も込みで頼むぜ……」
ため息をつき、500円をポケットに入れる。
妹「おはよう」
男「おう、おはよう」
男「ほい、もう行くのか?」
妹「うん、日直だから」
男「了解」
妹「今日はしっかり帰ってきてね、あと、朝食の感想もよろしく」
小さな紙を俺に差し出して、妹は早々と家を出た。
毎回感想を書かせるのは、どうかと思うんだが。
既に制服に着替えていた俺は、朝食をすませて、外に出た。
ドアを開けて、他には誰もいないので鍵を閉める。
ツーロックなので、二つとも施錠。
自分でドアを閉めたことを指を差して確認していると。
「とても、用心深いんだね」
と、そんな声が聞こえた。
男「この声は……」
女「やあ」
平然と、俺の家の前に、彼女は立っていた。
男「なんだその変な名詞は」
言いたいことはわかるんだが。
肉体……?
男「というか、どうしてここにいるんだ」
女「一緒に行こうかと思ってね」
男「おいおい、お前遠くなってるじゃねえか」
女「そういう考え方もあるかもしれないね」
他の考えがあるのか。
女「でも、君と会うには最高の近道だ」
女「それに、君がボクの家を素通りする可能性も、あるからね」
男「誘って行くことなんてないからな」
女「確かに、いなかったら大変だね」
男「逆に、俺がいなかったらどうするつもりだったんだ?」
女「ふふっ、それはありえないから」
サラッと言い切られた。
男「なんで知ってんだよ」
女「君が教室に来る時間から逆算すれば簡単さ」
恐ろしい。
確かにこいつ、いっつも俺より先に来てるな。
それで、決まったようにニヤリと笑って「おはよう」と言ってくる。
男「とりあえず、行くんなら行くぞ」
女「ああ」
女「眠そうだね」
男「いや、なんか気が緩んだ」
女「ボクに会ったからかい?」
男「そうなのかね」
女「ボクも、君に会ってからここがやけに締まってるんだ」
どこを指さしてるんだ。
女「やれやれ、といったところだね」
自分にやれやれと思う奴がこんなところにいたとは。
男「ああ」
きっと文化祭のことだろう。
男「でも、まったく思いつかなかったな」
女「そうか」
珍しく、話が途切れた。
女「ふふっ、初めてというのは緊張するものだね」
男「初めて?」
女「下校は何度かあるけれど、一緒に登校するのは初めてだろう?」
男「ああ……確かに」
別に、あんまり変わらないと思うけど。
きょろきょろと周りを見渡して。
女「ボクの色んなところを、みんなが見てる……見られている」
男「自意識過剰すぎるぞ」
女「それくらいがちょうどいい」
いや、良くないだろ。
女「教室でも一番前の席だと、誰かが自分の後頭部を凝視しているかもしれない……」
男「あんまり考えねえけどな、そんなこと……」
女「ボクは君の後頭部をよく凝視することはあるけど」
お前かよ!
女「だから、誰かがやっていてもおかしくないだろう?」
まあ、そう考えることもできるか。
女「ボクが自慰をしているのがいつバレるかとても怖いよ……」
お前は授業中になにをしてんだ!?
男「嘘をつくな」
女「君はボクの監視下にいるから、そんなことできないよね」
いや、しねえよ。
女「友達の行動を見るのは、普通のことだろう?」
君は見ていて飽きないからね、と。
にっこりと笑った。
男「……俺はお前のこと見てないぞ」
女「見てくれたら、笑顔で応えるよ」
手も振っちゃうと、本当に手を振りながら言った。
女「怒られて職員室に連行はいやだね」
男「ならやるなよ」
女「ふふっ、怒られることより君に応える方が最優先だよ」
俺、だいぶ比重があるのか。
女「文化祭、今日も考えるのかい?」
男「いや、今日は放課後にささっとみんなに意見を聞くことにした」
女「それはいいね。君にしては名案だ」
俺にしては、だと?
女「ボクは構わないけどね」
男「お前が構わなくても、他は困るだろ?」
女「ボクは構ってしまうね」
男「……?」
女「君のことを、かまわないことなんてできないよ」
……意味が違うようだな。
男「ああ」
学校が見えてきた。
話をしていると、すぐに終わってしまう。
女「文化祭、何になるか楽しみだね」
男「そうだな。色々と会議とかもあってだるいんだけどな」
女「委員になっただけでも、偉いよ。ボクはエロいだけだし」
言いたかっただけだろ、それ。
女「君が頼むのなら、いいよ」
男「すげえ上から目線だな」
女「そうでもないよ、友達の頼みは、聞かなきゃ」
男「じゃあ、フォロー頼んだ」
女「フェラーね」
いや、無理があるだろ、それ
女「ボクはまだしたことがないから、下手なのは大目に見てくれ」
期待してねえし、させねえよ。
女「ふふ、テクが凄いからね」
話術のテクか。
女「おや」
男「どうした?」
ある、一通の手紙が彼女の下駄箱に入っていた。
女「これは?」
男「そ、それはまさか……」
いわゆる、ラブレター?
女「ラブ、レター?」
キョトンと、首を傾げた。
女「ラブホテルみたいなものか?」
男「なわけないだろ」
そんなの下駄箱に入ってたら恐ろしい。
女「……恋文?」
男「そう、そう」
なんか古い言い方だな。
男「お前の下駄箱に入ってるんだからそうだろ」
女「そ、そうか……そうなんだね」
いきなり顔を赤くして、慌てふためいた。
女「でも、ボクなんかで、いいのかな……」
男「とりあえず、読んでみろよ」
女「ああ、その前に教室に行こう」
そうしないと、ゆっくり読めないからな。俺はさっさと了解した。
机に座って、丁寧にラブレターを読んでいる。
男「誰からだ?」
女「学年が同じようだが、知らない人だね」
男「へー」
こいつ、わりと人気あるのか。
女「違うクラスの人が、どうしてボクに?」
男「知らねえよ」
女「こんなド淫乱雌豚野郎に?」
卑下しすぎだろ
女「屋上に来てくださいと書いてある」
男「屋上か、それっぽいな」
女「それっぽいって?」
男「告白する時とかって、屋上とか、校舎裏がセオリーだからな」
女「君は、告白されたことがあるのかい?」
なんでそんなに焦った感じなんだ。
男「されたことねーよ、悪かったな」
ホッと息を吐かれた。畜生。
俺に先越されるのは嫌か。
男「で、どうするんだ?」
女「うーん……」
唇に人差し指をあてて、思いふけっている。
女「ふふっ、どうするんだろうね」
他人事みたいに言うなよ。
男「なんだよ、それ」
女「ちょっと、顔が近いかな」
男「んっ……」
確かに、近くになっていた。
すこし、熱中してた。
女「危うく唇を奪うところだったよ」
奪われるんじゃなくて、奪うのかよ。
強引だな。
まあ気にすることはない。
こいつと付き合うやつの顔が見てみたいが。
放課後になればわかることだ。
女「さて、そろそろみんなが来るね」
男「そうだな」
ホームルーム手前に来る奴が多いので、まだ全然来ていない。
しかし、数分すると、一気に全員集合する。
俺はできるだけ、遅刻ギリギリは避けようと早めに来ているから、そんなことないけどな。
問題を出されて焦ったりしていると、授業はあっという間に過ぎていった。
昼食は500円しっかり使って食べれるものを食べた。
珍しく、やつは食べている最中、あまり話さなかった。
やっぱり、ラブレターを気にしているらしい。
男「って、わけで、みんなに色々と意見出して欲しいんだけど……」
ホームルームに、時間をもらって、文化祭の出し物を決める。
たくさんの意見の結果、メイド喫茶になった。
しかし、メイド喫茶は他のクラスも何個かあった気がするんだが……参ったな。
まあ、当然だろう。
やつを見ても、笑顔にならない、手も振らない。
早速嘘をつかれた。
男「それじゃあ、メイド喫茶でいいな。もしも通らなかったら、また今度決めるから、みんな協力頼んだ」
そう言って、ホームルームは終わった。
女「いい指揮だったよ。とてもスムーズに事が運んでいたね」
男「で、お前はいいのかよ、屋上行かねえのか?」
女「ああ、今から行くよ」
男「ついていってやろうか」
冗談で言ってみた。
女「ははは、いいよ」
きっぱりと断られて、
女「これは、ボクの問題だから」
女「だから、ボク一人で解決したい、かな」
なんだか、煮え切らない。
男「まあ、結果は教えてくれよ。今日は先に帰るぞ」
女「待っててくれてもいいんだよ、別に」
男「いや、いい。OKされたらそいつと一緒に帰れよ」
女「……そうか、そうなるんだね」
男「じゃあな、健闘を祈る」
女「はは、まるでボクが告白するみたいだね」
実際は逆だけど、な。
男「ああ」
そう言って、俺は教室を出た。
男「……」
気持ちが、変だ。
なんだか胸騒ぎがするというか、なんというか。
男「なんだよ、あいつ」
友達だって、言い張るくせに。
自分の問題は、自分一人で解決かよ。
なんか、納得いかねえな。
昨日とは違って、長く感じた帰り道だった。
黙々と帰ると、歩けど歩けどたどり着かないような気持ちになる。
妹「おかえり、今日は早かったんだね」
男「お前に会いたかったからさ」
妹「だったら昨日も早く帰ってきてよね」
軽く流されたが、まあいい。
妹「ん?」
妹「お兄ちゃん、なんかあった?」
男「えっ、なにがだ?」
妹「なんか変な顔してる」
いつもだけど、と。
余計なことを付け加えてきた。
男「悪かったな」
妹「それはいいから、何かあったんなら言ってよ」
男「いや、ないよ」
妹「もしかして、朝食まずかった?」
妹「感想が『びみ』ってひらがなで書いてあるから、美味なのか微味なのかわかんなかったよ……」
男「それはお前を悩ませるために無理にそうしたんだ」
妹「なによそれ、不安になるからやめてよ」
男「不安なもんを食べさせるなよ」
妹「うっさいなー、作ってもらってるだけ感謝してよね」
まあ、確かに。
妹「……で、なにがあったの?」
男「あくまで聞いてくるんだな……」
男「……えーっとだな」
そして、とりあえず今日あったことを話した。
やつが告白されたこと、文化祭の出し物がメイド喫茶に決まったこと……など。
妹「確実にお兄ちゃん、それって……」
男「お前に言及される気はない、話したから部屋に行くぞ」
妹「えー待ってよー!」
俺は無視して、階段を登った。
あいつは携帯を持っていない。
だから、結果を今メールで聞くことはできない。
電話するほどでもないと思うし。
男「寝るか」
上手くいかない気持ちを抑えこんで、俺はまぶたを閉じた。
男「!」
妹「晩御飯まだでしょ、それに制服のまま寝たらシワになっちゃう!」
男「お前……俺より年下なのにしっかりしてるな」
妹「ダメなお兄ちゃん持つとこうなるのよ!」
と言って、部屋を退出する間際に、
妹「あ、ちゃんとご飯食べて風呂入んなきゃダメだよ。気分もすっきりしないんだから」
男「……あー」
まるで母親みたいな妹だ。
まあ、妹の言う通りかもしれない。
まだ残暑が残る日、ベタリとした体のままだと気持ちもジメジメしちまう。
どうやら、少し寝ていたようだ。
飯を食って、風呂に入ろう。
それでももやもやするなら、寝よう。
男「よいしょっと」
俺はのんびりとベッドから立った。
「気にしなくてもいいぞ」と言ったが、聞いちゃいない。
妹「そんな顔されたら、気にしないなんてできないから」
そんな、大人みたいなことを言う。
なんか、情けない。
妹「お兄ちゃんにはいつも迷惑かけてるんだから、こういう時ぐらいね」
良い妹を持ったなあと、痛感する。
だが、気分は晴れない。
晴れるわけ、ない。
男「……」
ちゃぷんと、小さく波紋が広がる。
男「はぁ……」
汗のジメジメはなくなったのに、気分はスッキリしない。
男「なんなんだ、この気持ちは」
頭をくしゃくしゃと掻いた。びしょ濡れの髪の毛は、そのまま形を保っている。
男「……駄目だ」
呟いて、風呂を上がった。もう、寝よう。
いつになく、ベッドから起き上がれない。
男「あー……」
今日は休もうか、というくらいに体が重い。
男「つっても、そりゃ無理か」
変に学校を休んでちゃまずい。
ただでさえ、文化祭まで時間がありそうでないんだから。
男「ふぅ……」
一度、深呼吸をして、ゆっくりと上半身を起こした。
男「おう、おはよう」
妹「お兄ちゃん、昨日は寝れなかったみたいだね」
男「ああ……」
小さく俺がそういうと、妹はニッコリと笑って、
妹「まあ、お兄ちゃんもそういう気持ち、味わった方がいいと思うよ」
男「どういうことだ?」
妹「なんでもなーい」
すこし無邪気に言葉を伸ばして、妹は食パンを頬張った。
腫れ物に触るような感じで接されると逆に困るというか。
男「いただきます」
妹「今日はお弁当作ってみました」
男「おお」
妹「さらに、今日は自信作なので不安じゃないです」
そりゃ珍しい。
妹「今珍しいと思わなかった?」
男「いいや、まったく」
心が読まれている気がした。
男「ん、今日は何かあるのか?」
妹「なにもないけど、早めに行ったらお得な気がするから」
得……するのか?
妹「じゃあ、いってきます」
男「ああ、行ってらっしゃい」
俺も用意された朝食を食べる。
妹のやつ、俺は味噌汁とかなのに自分は食パンなのか。
なんか、悪い気がするなぁ。
飯を食い終え、片付ける。
男「俺も行くか」
時計をみると、いつもより少し早い。
男「……」
さて、学校に行くか。
振り返っても、誰もいない。
男「当然、か」
何を期待していたんだ、俺は。
期待する必要なんて、ないだろう。
男「いってきます」
小さく、家に向かってひとりごち、学校に向かった。
昨日は聞こえなかったように思える。
それもこれも、話をしていたからかもしれない。
男「……早いな」
平均より、10分くらい早い。
男「こんなに雰囲気、変わるもんなんだな」
まったく違うところに来たみたいだ。
教室には、誰もいなかった。
男「鍵取りに行かねえと」
職員室に行こうと、方向転換したが。
その必要は無くなった。
女「やあ」
男「お、おう」
彼女が鍵を握りしめて、やってきた。
女「どうぞ」
男「すまんな」
女「いつものことだから」
確かに、この前もそうだった。
「鍵取ってくるから、先に行っててくれ」と、ラブレターをいそいそとバッグに入れながら、職員室に行っていた。
男「……」
女「ふふ、入らないのかい?」
男「お前が先に入れよ」
女「そうか、わかった」
男「……」
バッグを机に置いて、少し間があった。
俺もやつも、静かに何も言わない。
切り出そうにも、切り出しづらい。
女「文化祭はメイド喫茶に決まったけれど、やっぱりメイド服を着ることになるのかな」
と、ぽつりと俺に向けて彼女は口を開いた。
男「まあ、これから色々と話を決めていかないといけないから、まだわかんねえよ」
女「そうか。雑用か、料理がいいのだけれど」
男「料理? お前、料理できるのか?」
女「多少は、ね」
女「ふふ、そういう話、しないからね」
いきなり変なネタに突入するせいでな。
男「……」
今なら、聞ける。
女「よいしょっと」
男「ん?」
バッグの中身が、やけに膨らんでいる。
男「なんか、持ってきたのか?」
女「あ、ああ……」
男「……」
女「お弁当をね」
女「うん、ちょっと多めに」
こいつの弁当は、あまり大きくなかったはず。
女の子が食べるような、小さめの弁当箱だ。
女「……まあ、そんなことは置いとこうよ」
置いとけるかよ。
男「なあ、昨日のことなんだけど」
俺は、思い切って、聞いた。
男「返事……どうしたんだ?」
男「……」
女「OKしたよ」
男「……」
女「だからこその、弁当なんだから」
そう言って、大きいサイズの弁当箱と。
いつものやつの弁当箱を出した。
女「どれほど食べるかわからないから、とりあえず量は多めにしたんだ」
男「……」
女「どうしたんだい?」
男「いや、なんでもない」
なんでもない。
わけが、ない。
ニコッと笑った。
その笑顔が、なんだか違う笑顔に見えた。
幸せのような、なんというか。
形容しがたい、何かに。
男「そ、そうか……そうだったのか……」
彼女は、告白されて、OKをした。
つまり、彼女には彼氏がいる。
そういうことになる。
男「えっ……」
女「ボクと君は友達なんだから」
『友達』。
そうだ、『友達』だ。
それ以上でも、それ以下でもない。
俺は、何を考えてたんだ。
バカみたいだ。
女「……」
にんまりと、彼女は笑っていた。
男「……じゃあ、そろそろ席に着くわ」
女「まだ、時間はあるよ、お話でもしようじゃないか」
男「いい。ちょっと、寝る」
女「今日はいつもより早かったからね、了解した」
机に突っ伏して、俺は目を閉じた。
このまま、目を開ければ何もなければいいと。
心から願った。
男「……」
チャイムの音で、目が覚める。
今日も授業がはじまるのだ。
何も変わらず、何も起こらず。
ただ淡々と、時が流れていくのだ。
人の気持ちも知らないで、ゆっくりと、着実に。
そのまま、ずっと流れなければいい。
男「……」
でも、何も変わらないのは嫌だ。
男「くそ」
小さく、声を漏らす。
男「くそ……」
そして、また机に突っ伏した。
静かに頭を上げて、軽い口調で詫びる。
ふいに、やつを見た。
なぜか俺の方を見ていて、笑顔で応えて、手を振ってきた。
俺はすぐに目をそらした。
なんだか、嫌だった。
男「なんでだよ」
変にかまうなよ、俺に。
こっちはどう反応すればいいか、わからないだろう。
男「……」
ノートに落書きをはじめる。
しかし、駄目だ。
何故か、文字ばかりを書いてしまう。
落書きすらできないくらいに、気分が良くなかった。
勉強に身が入るわけがない。
ただでさえ、真面目にうけてないのに。
今の状態で受けられる奴なんて、相当破滅願望のあるやつだ。
破滅……?
なんで俺は、破滅したと思ってるんだ?
そんなこと、ないだろう。
勝手に気落ちして、勝手に複雑な気持ちになっているだけじゃねえか。
男「……馬鹿馬鹿しい」
自分に嫌気がさす。
男「別に」
どんな想いでも、ねえだろ。
ただ話かけてくるから、話をしていただけじゃねえか。
特別、何かを求めているわけでもない。
そうだろう、男。
男「……」
うんざりする。
平然とした顔で、通りすぎていく。
男「……飯、食うか」
ふと、周りを見てしまう。
やつは、教室を出ていく途中だった。
男「……」
関係ないことだ。
これから、離れていく存在なんだから。
俺には、関係ない。
どうして俺は。
あいつを追いかけているんだろう。
男「……」
やつは二つの弁当箱を持って、屋上に向かっているようだった。
どうして俺は、やつについていってるんだ。
バカだ、本当に。
自分を本当の絶望に沈めないと気がすまないみたいだ。
本当に、終わってやがる。
男「……やめるか」
そう口では言っているのに、歩みは止まらない。
止まる気配は、まったくない。
屋上への階段を、やつとだいぶ間をあけて、歩く。
もう、どう思われてもいい。
最悪なやつだと、
最低なやつだと、
絶好と言われても、構わない。
確かめたかった。
どんな結果になろうとも。
手が震える。
何を弱気になってるんだ。
終わらせようぜ、全部。
決心して、俺は勢い良くドアを開けた。
女「やっぱり、来てくれたんだね」
満面の笑みをした、やつがいた。
男「……えっ」
女「ふふっ、驚いた?」
男「ど、どういうことだ?」
女「どうもこうも、こういうことだよ」
弁当を差し出して、彼女はハニカむ。
女「昨日弁当が無かったから、作ってきたんだ」
男「それ、彼氏のじゃ……」
女「あー……やっぱり本気で信じてたんだ」
嘘、だったのか?
女「ふふ、君を驚かせようとしたんだ。あんなにビックリした顔してたから、すこし、面白かったな」
男「な、なんだよそれ……」
俺は、こいつに騙されてたのか。
強ばっていた肩の力が、一気に抜ける。
女「でも、やっぱりやりすぎちゃったかな」
ああ……まったくだ。
女「はは、ごめんごめん」
手を合わせて、頭を下げてきた。
男「……」
女「いくらなんでも、友達にするには少し酷すぎることをした、謝ろう」
男「……友達じゃねえよ」
女「……え?」
彼女は戸惑った声をだす。
女「だって、君はボクの友達だろう?」
男「俺はお前のこと、友達として見てねえ」
俺は、
男「俺は、お前のことが、好きなんだから」
俺は今何を口走った?
自分で、いったいどんな馬鹿げたことを、漏らした?
女「えっ……ええっ……?」
顔を真っ赤にして、驚いている。
男「い、いや、なんでもない、今のは……」
『嘘だ』とは、言えない。
嘘でも冗談でもない。
正真正銘、俺の本音だ。
女「ボクのことが……好き?」
俺は頭を下げて、腹に力をグッと押し込んで、
男「お前が、大好きだ。変な口調も、変に下品なとこも、貧乳も、小さい尻も、短い髪も、全部含めて」
女「……」
自分の気持ちに嘘をつくことは、できそうになかった。
もう、どうなってもいいから。
女「……ふふっ」
彼女は笑って、
女「貧乳とか、ちょっと余計かな」
と、俺の頭を撫でた。
頭を撫でながら、彼女は言った。
男「……それは」
女「うん、ボクは君のこと、君以上に大好きだよ」
男「……!」
俺が頭をあげた瞬間、彼女は俺に抱きついてきた。
女「ほらね、君を離したくないって、思ってるみたい」
女「うわっ……!」
驚いて、ビックリしている。
女「ふふふっ、君もボクを、離したくないのかい?」
男「離したくないに決まってんだろうが」
女「熱い言葉だね……嫌いじゃないよ」
むしろ大好きだよ、と。
涙を流して、笑った。
彼女は自分が涙を流していることに気づくと、とてもあたふたとしはじめた。
女「どうして、嬉しい時に、涙が出ちゃうんだろう」
男「……嬉しい、のか?」
女「うん、当たり前だよ。君と、両想いだったんだから」
ゴシゴシと、涙を拭いて、笑い直す。
女「ごめん、変な顔、しちゃってるかも」
そんなこと、ない。
男「いつもとなんか雰囲気違ってて、可愛いぞ」
女「か、可愛い!?」
ボッと顔を真っ赤にした。
男「彼女になるやつ以外に、逆に使いづらいと思うんだが」
女「そ、そうなのかな……」
顔をうつむかせて、彼女は一つ小さく咳払いをした。
女「……それじゃあ、ご飯、食べる?」
男「ああ」
女「……きっと、美味しいよ」
俺に弁当を渡して、
女「すっごく、気持ちが入っているからね」
女「うん、やましい気持ちと、いやらしい気持ちと、すさまじい気持ちが入ってます」
うわ、食いたくねえ。
女「もしかしたら、体の一部が入ってるかもね」
男「食う気を削ぐなよ……」
女「ふふっ、残さず食べてくれよ?」
男「もちろんだ」
一口食べただけで、こいつの料理は相当うまいことがわかる出来だった。
女「やっぱり、男の子だね、全部食べ切っちゃうなんて」
男「そうか、これくらい普通だぞ」
女「じゃあ、もっといるかい? ボクは少しお腹いっぱいなんだけれど」
というよりは、気持ちがいっぱいになってる、と。
恥ずかしいことを言ってくる。
男「じゃあ、食べてやるよ、貸せ」
女「ううん、はい」
あーん。
男「……美味い」
女「そうか、それは良かった」
……どうしよう。
やべえくらい恥ずかしい。
男「……」
なんか、放心状態だ。
色んなことを体験しすぎたせいか、体が熱い。
女「これからも、作っていいかな?」
男「ああ、いいぞ」
いつもパンとかを買って食ってるからな。
それは凄く嬉しい。
……ん。
男「あっ!!!」
男「……」
妹の弁当、忘れてた。
今日は自信作だって言ってたのに……。
これはやばいな、とりあえず、帰るまでに食うしかない……!
女「相当まずいことに気づいてしまったみたいだけど、ボクは力になれる?」
男「難しいかもな」
はぁ、どうしよう。
教室は何も変わらず、いつも通りだ。
そして、友人達に報告してみた結果、
「お前たち、まだ付き合ってなかったのか」
という言葉が返ってきた。
女「はは、なんだか、恥ずかしいね」
頭を掻きながら、彼女は照れくさそうに言った。
男「なあ、女」
女「なんだい、男」
男「この大量の弁当はいつになったら、終わるんだろうな」
妹の弁当は、女の以上に量があった。
女が作ってくれた弁当と、女が残した弁当を食べた俺には、相当な、莫大な量だった。
男「し、死ぬ……」
女「死んだら、困るよ」
いや、冗談だから、今そんな真剣な顔しないでくれ。
男「また先生にこっぴどく叱られた……」
女「ふふっ、先生に渡す時にゲップを何度もするからね」
男「うるせー……」
でもまあ、食べれたのは正直びっくりした。
吐くこともなく、なんとかなったしな。
そして、二人で夜の道を歩いていると、
女「あ、そういえば」
口を開いたのは女。
女「まだキス、してないね」
確かに、俺も気にしていたけれど。
女「……君に、まかせようかな」
男「……」
俺にまかせる!?
ど、どうしよう。
初めてだから、どうすれば、わからない。
女「あ、でも」
彼女は離れて。
女「お弁当食べたばっかりだから、遠慮するね」
男「な!」
なんだよそれ!
女「ふふふっ」
俺のドキドキを返せ!
男「酷い言いようだな!」
なんか悲しくなってきた!
女「キスは、おあずけにしようよ」
男「ん、あ、ああ」
別に、俺も今すぐしたい、ってわけじゃないしな。
女「だから、さ」
ギュッと手を繋いで。
女「こうして、帰ろう」
男「……ああ」
彼女はニッコリしながら俺をみて、うんうんと頷いた。
月がとっても綺麗な、そんな日だった。
END
男「おう、遅くなった、悪い」
妹「いいよいいよ、それより今日のお弁当はどうだった? 美味しかったでしょ!」
男「……うぷっ」
妹「!?」
男「あ、ああ、美味かった……」
妹「……? そ、それなら良かった。それじゃあ晩御飯食べよ」
男「晩御飯……いらない」
妹「は、はあ!?」
男「俺、食ってきた……」
妹「……もー、なんなのよー!!」
終
面白かった
Entry ⇒ 2012.10.02 | Category ⇒ 男女「」SS | Comments (0) | Trackbacks (0)
P「暇だからネット掲示板で釣りしよう」
今月の使用料金ヤバイ ゴールドプラン入っとけば良かった
P「まあ今更こんなのに引っかかるやつは……」
千早「し、使用料金!?」
あずさ「そんなものがあるのね~」
真「聞いてないよ……」
雪歩「あぅぅ……」
亜美「これはちょっと洒落になんないかも……」
真美「無料だって書いてたじゃん……」
美希「こんなの嘘っぱちなの!!聞いたこと無いもん!」
響「だ、大丈夫。自分そんなに使ってないし……」
貴音「なんということでしょう」
春香「こんなの誰にも相談出来ないよ……こんなサイト使ってるなんて……」
あー、もうそんな時期か すっかり忘れてた
以下、名無しにかわりましてローソン店長がお送りします
つーか計画的にやってるから余裕
りっちゃんは今月は20万ぐらいだった
春香「に、20万!?」
以下、名無しにかわりましてデコちゃんがお送りします
ああ、その程度の金額なのね
安心したわ
千早「全然安心できないわよ!!」
以下、名無しにかわりましてドタプーンがお送りします
あのー、この掲示板は無料だと聞いていたのですが
P「おっ、何かのっかってくれてる」
以下、名無しにかわりましてPがお送りします
閲覧
1スレッド 25円
ニュース・文化・ゲーム 3分1円
書きこみ
1レス 10円
スレ立て 500円
■書きこみ放題(3ヵ月)
プラチナプラン 4800円 閲覧無料 スレ立て200円、通常3スレ/月、実況5スレ/週の
無料サービス
ゴールドプラン 3500円 閲覧無料 スレ立て半額
厨房プラン(夏限定) 2000円 閲覧無料 スレ立て無料(一回限り)
支払日:毎月末or毎年末(支払われなかった場合、然るべき措置をとる次第です。)
住所の登録:必要なし。IPアドレスから各プロバイダ(全てのプロバイダとは、契約済み)を通し、
使用した瞬間から住所が登録されます(proxyなどは、無効になっています。)
響「うぎゃああああああああああ!!嘘だあああああああああああ!!」
亜美「ちょ、まずいじゃんよ!!」
雪歩「こ、今月真ちゃんの事で一杯書き込んだり閲覧したりしたから……」
貴音「らぁめんと書き込むだけで料金がかかるのですね……」
真「トレーニングの参考にしようと思って色々見ちゃったよ……」
以下、名無しにかわりましてデコちゃんがお送りします
ふーん、妥当な値段って所かしら
もう少し上げても問題ないと思うけど
美希「何言っちゃってくれてるの、この人」
プラン入るのいっつも忘れるから困る
以下、名無しにかわりましてわた、春香さんがお送りします
プランって後からでも入れますか?
以下、名無しにかわりましてPがお送りします
とりあえず未納料金全て払ってからじゃないと無理かと
以下、名無しにかわりましてDあるもんがお送りします
どうしてそう言う事を管理側は目立つ所に書かないんですか!!!!!!????
明らかにわたsた地にお金を払わせたいだけじゃないすあくぁwせdrftgyふじこlp
小鳥「ちょっとからかってあげようかしら」
以下、名無しにかわりましてピヨがお送りします
2年前の高校生時代に家に人が来てマジで焦った
以下、名無しにかわりましてローソン店長がお送りします
いつ来るか分からない恐怖感 あれは地獄
以下、名無しにかわりましててぃんがお送りします
私も若いころはよくやってしまったよ
雪歩「家に来ちゃうんですか……」
響「ちょ、ちょっと、自分何も悪い事してないぞ……」
どこにふりこんだら良いの?
以下、名無しにかわりましてPがお送りします
そんぐらい調べろ
以下、名無しにかわりましてピヨがお送りします
これだからゆとりは
以下、名無しにかわりましてデコちゃんがお送りします
調べても分からないから聞いてるのに
以下、名無しにかわりましてAFUUUUUUUUがお送りします
新参の人のために教えてあげたら?可哀想だし
つか、ヤバイヤバイ言ってる人達使用料金晒してよ
以下、名無しにかわりましてPがお送りします
約10万ですた
以下、名無しにかわりましてピヨがお送りします
34000
以下、名無しにかわりましてウィセレブがお送りします
182000だけど
以下、名無しにかわりましてローソン店長がお送りします
結局20万の私が大勝利ということで
美希「せっかくさりげなく振り込み方法を聞きだそうと思ったのに流れが変わっちゃったの……」
真美「皆お金かかりすぎだよ……どうすんの……」
デコ→伊織
ローソン店長→律子
ドタプーン→あずさ
春香さん→春香
Dあるもん→千早
てぃん→社長
AFUUUUUUUU→美希
ウィセレブ→黒井社長
使用料金とやらはどのようにして知る事が出来るのですか?
以下、名無しにかわりましてPがお送りします
それ釣りか?
以下、名無しにかわりましてピヨがお送りします
書き込み欄に「!PIYOKAWAI」で出てくるけど
ちなみに私はもうやったから出ないピヨ
以下、名無しにかわりましてあまとうがお送りします
マジなんだろうな!?
以下、名無しにかわりましてエリーがお送りします
テスト 【87600円】
亜美「うぅ……怖い……」
千早「でも……やらなきゃ……」
!PIYOKAWAI
以下、名無しにかわりましてデコちゃんがお送りします
!PIYOKAWAI
以下、名無しにかわりましてドタプーンがお送りします
!PIYOKAWAI
以下、名無しにかわりましてDあるもんがお送りします
!PIYOKAWAI
以下、名無しにかわりましてまっこりんがお送りします
!PIYOKAWAI
以下、名無しにかわりましてドリラーがお送りします
!PIYOKAWAI
以下、名無しにかわりましてあみんちゅがお送りします
!PIYOKAWAI
以下、名無しにかわりましてまみんちゅがお送りします
!PIYOKAWAI
以下、名無しにかわりましてAFUUUUUUUUがお送りします
!PIYOKAWAI
以下、名無しにかわりまして完璧な我那覇響がお送りします
!PIYOKAWAI
以下、名無しにかわりましてらぁめんまんがお送りします
!PIYOKAWAI
ちょっと出ないじゃないですか!!
以下、名無しにかわりましてPがお送りします
えっ
以下、名無しにかわりましてローソン店長がお送りします
何この一体感
以下、名無しにかわりましてチャオ☆がお送りします
すごい一体感を感じる。今までにない何か熱いチャオを
以下、名無しにかわりましてウィセレブがお送りします
マジレスすると表示されないやつは相当使ってる
直接管理者に聞いた方が良いと思うよ
以下、名無しにかわりましてピヨがお送りします
教えるなよ屑
せっかく気付かず破産してく連中が大量にいたのに
たかが掲示板で破産するはずないじゃない
馬鹿みたい
以下、名無しにかわりまして完璧な我那覇響がお送りします
そうだぞ
以下、名無しにかわりましてあまとうがお送りします
神様頼む 10000円以内でお願いします
!PIYOKAWAI
以下、名無しにかわりましてまみんちゅがお送りします
だよねー これじゃ詐欺じゃん
以下、名無しにかわりまして豆タンクがお送りします
ママに怒られませんように!!!!!
!PIYOKAWAI
以下、名無しにかわりましてエリーがお送りします
ちなみに使用料金を踏み倒すとk……おや、誰か来たようだ
【79000円】
これ強制徴収とかちょっと酷いですよ!!
知ってたらスレとか立てなかったのに
以下、名無しにかわりましてローソン店長がお送りします
お小遣い貰ってる厨房は大人しくしてなさいってことだ
以下、名無しにかわりましてあみんちゅがお送りします
どうしたらいいの?
以下、名無しにかわりましてPがお送りします
俺だってお金払いたくねえよ
よくよく考えたら住所なんか分かるはずありません 書き込んだだけで
以下、名無しにかわりまして完璧な我那覇響がお送りします
そうだよね
以下、名無しにかわりましてエリーがお送りします
書き込み→IP割→回線割→住所→特定しますた
以下、名無しにかわりましてDあるもんがお送りします
そんんあの犯罪sじゃあれすか!!勝手に住所特定とかダメですよ!!
以下、名無しにかわりまして!_?がお送りします
【100800円】
まあ10万ちょっと越えるぐらいかな?
以下、名無しにかわりましてピヨがお送りします
えっと掲示板に書き込むってのはそれ相応の行為なんだけど
むしろ公に住所を晒さないだけマシだと思う
中の人
まあ誰もが一度は通る道だ 気にしないで良い
親に土下座するというのがいつか大きな財産になる
以下、名無しにかわりましてわた、春香さんがお送りします
そんな
どうにかならないんですか?知らなかったんです
以下、名無しにかわりましてPがお送りします
知らないで済んだら警察いらない
以下、名無しにかわりましてドタプーンがお送りします
あの、料金が表示されない時ってどのくらいの金額ですか?
以下、名無しにかわりましてピヨがお送りします
まあ軽く7ケタですね
以下、名無しにかわりましてあまとうがお送りします
母ちゃんに泣いて謝ってくる 死にたい
以下、名無しにかわりまして豆タンクがお送りします
100万円ってお小遣い何カ月分だろう あははははははは
そりゃこれだけ釣り甲斐があればな
ハニーごめんなさい キラキラどころか捕まっちゃうかも
以下、名無しにかわりましてDあるもんがお送りします
ああああああああばなばあなあばんあばばっばば!!!!!!!!!!!!!1111
以下、名無しにかわりましてらぁめんまんがお送りします
これだけのお金があればらぁめんが何杯食べられるのでしょうか
P「こいつら何だ……マジで釣られてるのか?」
小鳥「見てて少し可哀想になってきた……」
律子「まさか今頃こんなのに引っかかるなんて……」
しょうがないなぁ 料金帳消しにする方法教えてあげようか?
千早「えっ!?何なのそれ!?」
あずさ「帳消し……?」
真「ええええええええええ!!まだ助かるの!?」
雪歩「何が何でも教えてもらわないと……」
亜美「よーしよしよし」
真美「教えてくれたらご褒美に何でもしてあげる」
美希「お願い、あなたが頼りなの……!」
響「信じてる……」
貴音「なんと素晴らしい方なのでしょうか……」
伊織「流石に百万単位を失うのは……こいつに期待するしかないわね」
春香「この人に全てが……」
お願いします!
以下、名無しにかわりましてデコちゃんがお送りします
ありがとうね
以下、名無しにかわりましてドタプーンがお送りします
本当に本当にありがとうございます
以下、名無しにかわりましてDあるもんがお送りします
世の中が皆あなたみたいな人ばかりだったら良いのに
以下、名無しにかわりましてまっこりんがお送りします
良い性格だってよく言われるでしょ!
以下、名無しにかわりましてドリラーがお送りします
あの、何も出来ませんけどお願いします……
以下、名無しにかわりましてあみんちゅがお送りします
いかすぜ兄ちゃん!
以下、名無しにかわりましてまみんちゅがお送りします
姉ちゃんかもしれないけどサンキュー!
以下、名無しにかわりましてAFUUUUUUUUがお送りします
ハニーの次に大好きだよ
以下、名無しにかわりまして完璧な我那覇響がお送りします
感謝してもしきれない
以下、名無しにかわりましてらぁめんまんがお送りします
どうか私たちに慈悲を
以下、名無しにかわりましてあまとうがお送りします
お前最高だぜ
以下、名無しにかわりまして豆タンクがお送りします
ママに殺されちゃいます!!!お願いします!!!
それだけお願いされたら仕方ないなぁ
名前欄にね「fusianasan」って入力したら全部チャラだよ!
P「やよいは俺に泣きついてこないよな?借金がとか意味が分からない文字が出て怖くなったとか言わないよな?」
やよい「何の事ですか?」
P「やよいはネット掲示板なんか使ってないよな?」
やよい「ネット繋がってませんし……」
P「それで良いんだ……!やよいはかしこいなぁ」ナデナデ
やよい「?」
終わり
面白かった
Entry ⇒ 2012.10.02 | Category ⇒ アイマスSS | Comments (1) | Trackbacks (0)
翔太「えっ!ドーナツが半額!?」北斗「あぁ」
冬馬「100円セールじゃなくて半額かよ。すげぇな」
翔太「何が半額なの!?ハニーディップあるの!?」
北斗「落ち着け翔太。ほら、これがチラシだ」
翔太「貸してっ!」
冬馬「チラシまで持ってくんなよ……」
北斗「事務所の掲示板に貼ってあったから拝借してきたんだ」
冬馬「芸能事務所になんでドーナツのチラシが貼ってるんだよ」
北斗「社長の趣味じゃないか?」
冬馬「……まぁそんなとこだろうな」
P「俺が引き抜き!?」黒井「ウィ」
P「冬馬が765プロに?」黒井「ウィ」
P「冬馬はどんな女が好みなんだ?」冬馬「そうだな……」
P「今日真美と亜美の誕生日なんだよ」冬馬「へぇ」
P「ピジョンの次なんだっけ?」北斗「コダックですよ」
冬馬「寿司食いに行かね?」P「いいな」
P「そういえば律子も二十歳になるんだよな」黒井「ほう」
黒井「生レバーが……終わってしまった」P「そうですね」
冬馬「海老グラタンパイねーの?」
北斗「ドーナツだけみたいだな」
冬馬「Dーポップもないとかミスドわかってねぇなー」
翔太「ねぇ冬馬君!北斗君!ドーナツ買いに行こうよ!」
冬馬「今日収録入ってるだろ。これいつまでやってんの?」
北斗「明日までだったか?」
翔太「じゃあ明日行こうよっ!お願い!」
冬馬「つーか翔太一人で行けばいいじゃねーか。俺エンゼルフレンチとポンデリングな」
北斗「オールドファッションとゴールデンチョコレート」
翔太「そんなつまんないこと言わないで皆で行こうよっ!」
冬馬「単に食欲だろ……まぁそこまで言うなら行ってやってもいいけどよ」
翔太「やった!」
北斗「今日の夕飯からカロリー抑えておかないとな」
冬馬「ドーナツなんて久しぶりだぜ」
翔太「そういえばクロちゃんも誘うの?」
北斗「俺達だけで行ったら拗ねそうだしな……声だけかけておくか」
ガチャ
黒井「その必要はないぞ」
冬馬「うおぁ!?」
翔太「あっクロちゃん丁度いいとこに。明日なんだけど」
黒井「ウィ。話は全て聞かせてもらった。当日は私も行こう」
翔太「さっすがクロちゃん!セレブ!」
黒井「もっと褒めていいぞ。私はセレブだからなはーっはっはっは!」
北斗「ずっと聞き耳立ててたんですか……」
冬馬「ガキみたいなおっさんだな……」
黒井「では明日の夜はドーナツパーティだ」
翔太「ドーナツパーティ?」
北斗「ようするにドーナツ食べて喋るだけだな」
翔太「いつもの僕たちじゃん」
黒井「まぁそう言うな。最近は忙しく全員揃う時間がとれなかったからな」
黒井「社員を労うのも王者たる私の役目だ」
冬馬「ただドーナツ食いたいじゃね」
翔太「そこは黙ってようよ」
北斗「どうせですし、765のプロデューサーさんも誘っておきますか?」
黒井「既にメール済みだ。抜かりは無い」
冬馬「速すぎだろ」
翔太「有能なクロちゃんは顔からセレブが滲みでてるねっ!」
黒井「鈍感不手際765プロとは何もかもが違うのだよ」
件名 :ドーナツシャイニーフェスタ招待
「明日」に行われるドーナツフェスティバルに、「ジュピター」と「私黒井」が参加する予定だ
要注目のフェスティバルだから、合格すれば、「10万人」はファンが増えるだろうし
君にはいいことが、あるかもしれないな。ただし、出場を辞退し続ければ
いつか必ずしっぺ返しが来るだろう。そう、最後には必ずね
ま、ムダだと思うが、恥を晒したければ明日の昼、961プロに来てみたまえ!はっははは!
P「10万人ってなんだ……」
響 「メールか?プロデューサー」
P「え、あぁ。業者からの迷惑メールだったよ」
響 「最近多いよなー。おかげで自分アドレス変えてばっかりだぞ」
P「長いアドレスにしたら届きにくいらしいぞ」
響 「へぇー」
亜美「皆で今から行こうYO!」
あずさ「いいわね~」
P「えらく騒がしいな」
響 「どうしたんだー?」
真 「あ、響!これ見なよ!」
響 「広告?……ドーナツ、半額……半額かぁ」
P「これのことか……」
真美「ねぇりっちゃんいいっしょ?皆でドーナツ買いに行こうよ~」
律子「ダメよ!今週撮影があるのにドーナツなんて食べちゃダメ!」
亜美「えぇー!」
美希「酷いの!人権侵害なの!訴えてやるってカンジ!」
律子「馬鹿なこと言ってないでレッスンの準備しなさい!」
ギャーギャーギャー
物陰から覗くトップアイドル(予定)天海春香は、朝自宅でチラシを見た瞬間から、この機を伺っていた。
春香(春香ちゃんと言えばクッキーと言われがちな私ですが、ドーナツだって作れるんですよ!)
春香『あちゃ~まぁお店のドーナツってカロリー高いし食べ過ぎちゃうからね!』
真美『はるるん……』
春香『でも、手作りドーナツなら大丈夫なんだよ?そう、ハルカードーナツならね』
千早『素敵!抱いて!』
P『すごいな春香!さすが裏芸能界一緒に墓に入りたいランキングぶっちぎり1位なだけあるな!』
春香「うへへ……よっし」
春香「ハルカ・アマミ!インベル、出ます!」
響 「じゃあ今度自分がサーターアンダギー作ってきてあげるよ!」
春香「!?」
亜美「あんたがたどこさ?」
響 「サーターアンダギーっていうのは……」
貴音「サーターアンダーギーは、沖縄県の揚げ菓子の一種ですよ」
貴音「首里方言でサーターは砂糖、アンダーギーはアンダとアギーで揚げ物を意味します」
貴音「その名の通り砂糖を多めに使用した球状の揚げドーナツで、気泡が小さくて密度が……」
真美「あ、はい」
美希「揚げパンみたいなお菓子なの」
P「揚げパンか。美希は物知りだな」
美希「ふふん、なの」
あずさ「そういえばこの前デパートで売ってたわね~」
亜美「この際ドーナツっぽいなら何でもいいから食べたいYO!」
響 「うん!あんまーに教えてもらったから一通りのことはできるんだ」
真 「すごいね響!」
響 「え、そ、そう?……へへっ自分完璧だからな!」
貴音「摂氏140から150度で数分間揚げるのです。低めの油温から揚げ始めそこから油温が……聞いていますか真美」
真美「はい」
やよい「おはようございまーす!」
伊織「おはよう。何盛り上がってるのよ」
雪歩「響ちゃんがお菓子作ってきてくれるんだって」
やよい「はわっ!楽しみですー!」
伊織「お菓子ぃ?あんた達今週のスケジュール忘れたの?」
小鳥「じゃあ伊織ちゃんの分は私が貰うわね!」
伊織「ちょっと!食べないなんて言ってないでしょ!」
春香「ソウダネ」
律子「だから今週は撮影が……聞いちゃいないわ」
P「一人ひとつくらいなら大丈夫だろ。調整すればいけるさ」
律子「まぁそうですけどね……」
小鳥「ドーナツも捨てがたいんですけどねぇ。今朝すっごい行列できてましたよ」
P「並んでまで食べたいものなんですかね」
小鳥「普段より安い、というのがキモなんですよ」
律子「120円だと60円ですからね」
P「確かにでかいな……ん?お、おい!時間やばくないか!?」
律子「え……?げ!!」
律子「皆!もうレッスンまで時間ないわよ!」
響 「あ、律子!自分達今から伊織の家でお菓子作りしてくるから!」
律子「 早 く 準 備 し な さ い ! ! !」
響 「ひぃ!」
高木「おはよう諸君!巷で噂のドーナツを買ってきたよ!」
律子「もうドーナツの話はやめてください!」キッ
高木「な、なんだね……」
P「これから皆を送ってきますんで!失礼します!」
美希「ミキ黒糖味が食べたいな」
響 「ちゃんと用意しておくさー」
貴音「生地に南瓜、紅いも等を練り入れたばりえいしょんも存在するらしいですよ」
真美「はい」
雪歩「春香ちゃんも早く!」
春香「ウン」
小鳥「ちょっとタイミングが悪かったみたいですね」
高木「たくさん買ってきたんだがなぁ」
小鳥「じゃあ私達で食べちゃいましょうか!お茶淹れてきますね!」
高木「そうするか……」
真美「ガッテン!必要以上にカロリーを消費するんだNE!」
亜美「それドーナツ!ドーナツ!」
美希「ドーナツ!ドーナツ!」
やよい「ドーナツ!ドーナツ!」
講師「凄い気迫だわ……近いうちにライブでもあるのかしら」
伊織(お菓子のためなんてとても言えないわね……)
響 「ドーナツじゃなくてサーターアンダギーだぞ」
亜美「それ言いにくいからドーナツってあだ名つけたんだよ!」
響 「あだ名なら仕方ないなぁ」
高木「それでは今週もランキングどっとっぷTVが始まるよ!」
千早「今日は内容の濃いメニューで良かったわね」
雪歩「で、でも疲れるね……脚が痛くって……」
真 「普段の倍くらい動いてたしね」
伊織「小鳥なんか丸くない?」
小鳥「き、気のせいじゃないかしら……」
P「あ、そういえばメール返事してないな」
P「了解ですっと」
響 「何してるんだ?」
P「明日オフだろ?仕事の付き合いで人と会う約束してたんだよ」
響 「休みでも大変なんだなープロデューサーは」
P「半分以上遊びに行くようなもんだけどな……あ、そうだ」
響 「?」
黒井「ようやく返事がきたか。要領の悪い男だ」
翔太「ずっと正座で待ってたもんね」
北斗「まるで恋する乙女だな」
冬馬「気持ち悪いこと言うなよ……」
翔太「で、なんて書いてるの?」
黒井「承諾と一人同伴させたいとのことだ」
冬馬「難しいな」
北斗「ドーナツ繋がりですか」
翔太「うーん……やよいちゃん?」
北斗「どうだろうな」
冬馬「つーか俺達と765プロの連中皆で買いに行くのかよ?週刊誌にすっぱ抜かれたらどうすんだ」
黒井「厳重に変装すれば問題ないだろう。策は用意してある」
羅刹「策ってこれかよ……偽名の名札とか意味わかんねーよ」
白井「念には念を入れろと言うだろう」
南斗「そうかもしれませんが、これは……」
TOTO「……」
羅刹「お、来たみたいだぜ」
P「悪い!遅れ……」
響 「はいさ……!?」
羅刹「よう」
南斗「こんにちは。プロデューサーさん。もう一人って響ちゃんだったんですね」
TOTO「こんにちは……」
P「え、なんなのこの人たち……」
響 「うぎゃー!変態がたくさんいるぞっ!」
P「いや、普通に帽子と眼鏡だけでいいじゃないですか。名札とゼッケンとか変態ですよ」
白井「妬くなセンスの無い765プロ。ちゃんと貴様の分も用意してある」
響 「P-Dragonって書いてあるぞ」
P「完全にパクりじゃないですか……」
P「翔太は人ですらないし、訴えられますよ」
白井「訴えられるのは困るな……全く庶民の感覚はわからんものだ」
黒井「仕方あるまい。全員名札とゼッケンは外せ」
冬馬「ったく。とんだ羞恥プレイだったぜ」
北斗「スタッフさん達の生暖かい視線がきつかったな……」
翔太「ありがとうプロデューサーさん……」
P「な、泣くなよ……そんなに辛かったのか……」
P「ん?」
響 「なんでプロデューサーと961プロが一緒にいるんだ?」
冬馬「今の俺達はジュピターの枠を超えた戦士なんだぜ」
翔太「意味わかんないよ冬馬君」
北斗「ライバル同士でもオフではそこまで仲は悪くないってことだよ」
P「そういうわけで今日は響が一緒だ。皆仲良くしてやってくれ」
響 「まぁプロデューサーが一緒ならなんくるないさー?」
P「なんくるないなんくるない」」
冬馬「なんくるねぇな」
北斗「あぁ。なんくるない」
黒井「では行くか。約束の地へ」
冬馬「仕方ねぇだろ。顔バレしたら大騒ぎどころじゃすまねぇし」
響 「黒井社長は変装する必要ないんじゃないの?」
P「まぁ一応有名人になるのか?」
黒井「私ほどのセレブになると顔から王気(オーラ)が滲み出るからな」
冬馬「ただの若作りしたおっさんがよく言うぜ」
黒井「何か言ったか?」
冬馬「セレブなら今日は社長の奢りだよなって言ったんだよ」
黒井「菓子の100や200など宇宙一のスーパープレジデント黒井祟男に任せておけ」
響 「なんで大統領なんだ?」
北斗「社長を英語で言ったらプレジデントなんだよ」
響 「へぇーフランス語で言わないんだな」
黒井「えっ」
冬馬「普段からウィだのアデューだの使ってるなら知ってるよな」
黒井「……」
北斗「社長?」
冬馬「俺フランス語なんてフランスパンしか知らないぜ」
翔太「それは違うと思うよ……」
P「フランスパンはフランス語でバゲットらしい」
冬馬「うどんヌードルみたいなもんか」
北斗「その例えはどうかと思うぞ」
黒井「さぁもうすぐ到着だ!」
響 「あれ?フランスパンは……」
黒井「黙れ汚い765プロ!ドーナツを買うのが目的だったろうが!」
響 「ご、ごめん」
響 「なんだ?」
冬馬「ほら、あいつは今日一緒じゃないのか?」
P「あいつ?ハム蔵さんなら今日はいらっしゃらないぞ」
冬馬「あんな雑魚じゃねえ!我那覇と一緒にいた豚……」
響 「ブタ太のことか?」
冬馬「そう!あの豚だ!」
響 「今日は留守番してるぞ」
冬馬「お前もう帰れよ」
響 「んな!?」
北斗「人の趣味には寛容にいこうな」
翔太「うん」
P「お前アイドルのくせに可愛い女の子より豚を選ぶのか」
冬馬「女なんて見飽きたぜ。今の時代は豚だろ」
P「どの時代に人間より豚を選ぶ男がいるんだ……」
響 「自分ブタ太以下だったのか……」
北斗「ところで社長はさっきから黙ってどうしたんです?」
黒井「……あれを見てみろ」
ガヤガヤ
翔太「あれって目当てのドーナツ屋じゃない」
冬馬「なんか人多くねえ?」
P「いや、多いってもんじゃないだろあれ……」
響 「店外にまで行列できてるぞ!」
黒井「来るのが遅すぎたか!急げお前達!」
黒井「店の外だけでも20人はいたな」
P「そこまでドーナツが食べたいのか……」
響 「店員さんも大変だろうなぁ」
冬馬「今のうちに何買うか決めておこうぜ」
P「俺はなんでもいいよ」
響 「自分ココナッツチョコレートとポンデリングがいいな」
北斗「社長はどうします?」
黒井「全部だ」
冬馬「は?」
黒井「ノンノン。961プロはどこぞの事務所と違って他のお客様の迷惑になるような真似はしない」
P「うちだってしませんよ……」
冬馬「じゃあ何個買うんだよ」
黒井「15種類を5個ずつだ」
響 「15×5って75個も買うのか!?」
P「すごいな響。かけざん早いじゃないか」
響 「えっそうかな……えへへ」
北斗「まぁそれでも5千円以内には収まりますか」
冬馬「半額セールはすげぇなぁ」
黒井「これだけあれば口寂しくなることもないだろう」
P「響は食べ過ぎないように注意しろよ」
響 「食べた分運動するから大丈夫さー」
P「どこまで見に行ってるんだろうな」
翔太「……」トボトボ
北斗「噂をすれば、ですよ」
冬馬「何人くらい並んでたんだ?」
翔太「お店の中まで見てきたんだけど……」
P「かなり混雑してただろ」
翔太「なかったよ……」
響 「え?」
冬馬「なかったってドーナツか?やっぱ半額だから在庫少ないのな」
北斗「どれが余ってたんだ?」
翔太「なにもなかった……」
P「」
翔太「全部売り切れてた……」
黒井「なん……だと……」
翔太「うん……お店の入り口に張り紙がしてあったよ……ぐすっ」
冬馬「な、泣くなよ……たかがドーナツだろ」
P「で、でも追加でどんどん作ってるんじゃないか?これだけの行列なのに告知もないし」
北斗「そうですよ。きっと今頃中は大忙しですよ。もう少しの辛抱だぞ翔太!」
店員「真に申し訳ございません!ドーナツの製造が追いつかないため一時閉店させていただきます!」
店員「19時をめどに再開予定になっております!真に申し訳ございません!」
P「……」
北斗「……」
響 「今何時だっけ……」
黒井「2時だな……」
P「5時間待ちですか……」
冬馬「ねずみの国じゃねぇんだぞ……」
冬馬「そ、そんな落ち込むなって……ココ壱でも行くか?奢ってやるからよ」
翔太「ドーナツがいい……」
P「他だとクリスピードーナツとかか?」
北斗「今ならお客さんも少なそうですね」
翔太「半額……」
黒井「我侭を言うな翔太よ。他に策はないのだから仕方あるまい」
響 「うーん……。あ、そうだ。いい事思いついたぞ!」
P「なんだ?スーパーで特売のドーナツでも買うのか?」
冬馬「それはいくらなんでもねーよ」
響 「半額どころか無料でドーナツ食べられる場所知ってるよ!」
翔太「無料っ!?」
北斗「ひ、響ちゃん……あんまり無茶言うと翔太がまた落ち込んじゃうよ」
響 「無茶なんかじゃないぞ。自分考えたんだ」
響 「自分が作ればお店で買う必要なんかないってね!」
響 「ブタ太達のご飯作ってるのも自分なんだぞ。最近は忙しくて市販のフードになってるけど」
冬馬「すげぇ……」
P「そういえば昨日ドーナツを作るとかなんとか話してたな」
響 「今日多めに作って明日皆に持って行けば丁度いいんさー」
響 「まぁ材料費はかかるけどな。きっとお店で買うより安いぞ」
冬馬「いや普通に店のほうがやすむごご」
黒井「お前は黙ってろ。では悪いが頼めるか?」
響 「わかやびたん!」
P「今のは沖縄方言でわかったって意味なんだぞ」
冬馬「なんであんたが詳しいんだよ」
翔太「ドーナツ食べられるの?」
北斗「それもタダらしいぞ」
翔太「わぁ……!あ、ありがとう響さんっ!」
響 「自分を誘ってくれたプロデューサーのおかげだなっ!」
響 「うん。調理器具全部家にあるし」
冬馬「じゃ、じゃあ豚いるんじゃねぇの!?」
響 「い、いるけど……」
冬馬「ファインプレーだぜ我那覇!さっさと行こうぜ!」
響 「なんか冬馬と会わせたくないさー……」
北斗「ただ動物が好きなだけだよ。……多分」
翔太「これからどうするの?響さん」
響 「昨日に足りない材料確認しといたからな。まずスーパーに行って材料を買おう」
冬馬「先に家にいかね?俺豚と遊んで待ってるからよ」
P「年頃の娘さんの部屋にお前一人置いていくとか正気の沙汰じゃない」
黒井「通報されたければ好きにするがいい」
冬馬「ちっ……わかったよ。俺も行くよ」
P「過程を吹っ飛ばしたな」
黒井「無駄は省くのがセレブなのだ。贅肉のついた765プロにはわかるまい」
P「太ってるスタッフなんていませんよ……」
響 「えーっと。一人何個くらい食べるんだ?」
P「2、3個じゃないか?」
翔太「僕5個くらい食べたいな」
響 「ふんふん。じゃあ家にある分じゃ足りないから卵も買って……」
響 「後はバターとバニラエッセンス……は残ってるんだったな」
P「全くわからん」
北斗「俺達は見守るだけですね」
冬馬「なぁ牛乳はあんの?」
響 「牛乳なんて何に使うんだ?」
冬馬「ドーナツ作るならいるだろ」
響 「?」
響 「うん」
P「何むきになってるんだ?」
北斗「冬馬は料理が趣味ですから思うところでもあるんですかね」
P「危なそうなら止めるぞ」
北斗「わかってますよ」
冬馬「あ、水にすんのか。俺基本は牛乳だったから見逃してたぜ」
響 「使わないぞ」
冬馬「……お前それ本当にドーナツなの?」
響 「あ、正式にはドーナツじゃないぞ。ドーナツはあだ名だからな」
冬馬「はぁ?」
響 「サーターアンダギーを作るんさ!」
響 「丸っこいあれだぞ」
冬馬「あれ牛乳使わねーの?」
響 「うん。あんまーから教わったから間違いないよ」
冬馬「なるほどな……あぁだから生地が重いのか。そうなると温度も低音にしねぇと……」
響 「変なやつだな……必要なの揃ったからレジ行ってくるね」
P「あ、俺が」
黒井「おい!ドデカイラーメンチキンが特売だぞ!6個持ってきた!」
P「何やってんだこの人」
北斗「社長……」
黒井「なんだラーメンおつまみのほうが良かったか?まぁ両方買ってやろう」
黒井「お前達も好きなものを買え!私はセレブだからなはーっはっはっは!」
翔太「僕蒲焼さんと焼肉さんとウメトラマン!」
黒井「私を高木と一緒にするなよ。王者は部下思いでなくてはならん」
P「なんで冬馬はオレンジなんて買ったんだ?」
冬馬「皮刻んで生地に加えたら美味そうだろ」
響 「へぇー色々考えてるんだな」
冬馬「ちょっと作り方違うだろうから後で台所使わせてくれよ」
響 「いいぞー」
P「疎外感を感じる」
北斗「俺達は食べ専ですしね」
黒井「タクシーを呼んである。行くぞ」
翔太「相変わらず羽振りいいねぇクロちゃんは」
黒井「こんな時くらいしか金を使わんからな
冬馬「」ドキドキ
P「もう突っ込むのも疲れてきたな」
響 「ただいまー!みんな留守番させてごめんなー」
いぬ美「ばうばう!」
P「うわっ」
北斗「プ、プロデューサーさん!!!冬馬と翔太は逃げろ!ここは俺が……!」
翔太「ひぃぃぃ!!」ガタガタ
冬馬「な、なんで熊が我那覇の家にいるんだよ……」ブルブル
いぬ美「ぺろちゅぱ」
P「舐めすぎだいぬ美!ちょっと離れてくれ!」
いぬ美「ばう!」
北斗「い、犬……?」
いぬ美「ばうわう!」
響 「ちょっと他の子みてくるなー」
冬馬「へ、へっ……驚かせやがって……い、犬なんてこれっぽっちも怖くねーぜ」プルプル
P「震えてるぞ……あぁ服がべちょべちょだ」
北斗「そ、れにしても大きい犬ですね」
P「俺も最初は驚いたよ」
翔太「こ、これ犬なの?」
P「犬だよ。な?」
いぬ美「ばうばう!」
北斗「俺こんな犬見たの初めてですよ……これは社長も驚いたんじゃ……社長?」
黒井「」
冬馬「気絶してるぜこのおっさん……」
いぬ美「ばう!」ヒョイ
黒井「」
翔太「た、食べたりしないよね?」
P「いぬ美は美食家だから大丈夫さ」
響 「何やってるんだ?早く入ればいいのに」
ブタ太「ブー!」
冬馬「豚!豚じゃねえか!」
北斗「と、とりあえずお邪魔させてもらおうかな」
響 「今さんぴん茶出すから部屋でくつろいでて!」
いぬ美「」ドスドス
P「おい冬馬も入るぞ」
冬馬「おう!行こうぜ豚!」
ブタ太「ブヒ!」
冬馬「んじゃ一口……これジャスミン茶じゃねーか」
響 「違うぞーほら。パッケージ見てみろ」
北斗「さんぴん茶って書いてるな」
P「似てるよなぁやっぱり」
黒井「さんぴん茶の語源は、中国語の香片茶(シャンピェンツァー)からきているからな」
P「うわっ!」
翔太「しぇんぴん?」
黒井「シャンピェンツァーだ翔太よ。ジャスミン茶のことだな」
北斗「つまり双子のようなものですか」
黒井「ウィ。察しが良くて助かるぞ」
冬馬「急に起きんなよ。びっくりしたじゃねーか」
黒井「私にも一杯くれ」
響 「はいはい」
冬馬「俺達調理部隊の出番ってわけだな」ガタタッ
P「俺は何もできないからテレビでも見てるよ」
北斗「あ、トランプでもしませんか?俺持ってきたんですよ」
黒井「賭けてポーカーでもするか。ベビースターでもつまみながら」ポリポリ
翔太「うまうま」モグモグ
冬馬「おい!今から作るのに菓子食ってんじゃねーよ!」
響 「プロデューサーは手伝ってよ!」
P「えぇ……でも俺洗い物くらいしかできないぞ」
響 「いいからっ!」
P「仕方ないな……」
冬馬「さぁて、まな板と包丁借りるぜー」
響 「あ、オレンジは冷蔵庫に入れてるから勝手に使っていいぞー」
冬馬「助かるぜ。よし、豚はちょっとあっちで待っててくれよな」
ブタ太「ブゥ」
冬馬「我那覇が作るやつって生地寝かしたりすんの?」
響 「しないぞー。あ、プロデューサー卵取って」
P「ん」
響 「……いっぱい作るのになんで卵1個なんだよっ!」
P「じゃあ何個なんだよ……」
響 「えーっと、今回は10個くらい使おうかな」
P「10個な。ほれ」
響 「ありがと!あとは薄力粉をふるいにかけてっと」
P「たまにテレビで見るけどなんで粉をシャカシャカするんだ?」
響 「さぁ?あんまーがそうしろって言ってたからなー」
冬馬「そのまま使うと固まった粉がダマになっちまうからな」
P「ダマ?」
冬馬「小麦粉が溶けずに塊ができちまうんだ。それを防ぐために一度解してやるんだよ」
響 「へぇー」
冬馬「ある程度のことはできるぜ。鍋借りるぞ」
響 「あ、うん」
P「あと何かすることあるか?」
響 「うーん。応援?」
P「じゃあ心の中で応援しながらポーカー混ざってくるよ」
響 「ここで応援してよっ!」
P「何やってるかもわからないのに酷なことを……」
響 「プロデューサーも料理すれば?節約できるぞ」ドバァ
P「うわっお前これ砂糖入れすぎじゃないのか?」
響 「これくらい入れないと美味しくないからね」
P「でも流石にこれは……」
響 「まぁまぁ食べたらわかるってば!」
黒井「コール」
翔太「あーあまたブタだよ」
ブタ太「ブ?」
翔太「あ、君じゃないよ」
北斗「先に役言ったらダメじゃないか……ん?」
ゴソゴソ
北斗「社長の近くの揺れてるのって何です?物陰でよく見えないな」
黒井「猫かモモンガだろう。我那覇響が言っていた」
翔太「へぇー!僕ハムスター好きなんだ!出ておいでよ!」
ワニ子「……」ノソノソ
翔太「きぇあああああああああああ!!!」
北斗「う、うわぁぁぁぁあああああ!!」
ヘビ香「シュルシュル」
黒井「ひ、ひぃぃ……」
冬馬「うおっ!」ビクン
P「な、なんだ?」
響 「あぁワニ子あたりが驚かせちゃったのかな。自分ちょっと行ってくるね」
響 「あ、やっぱりワニ子とヘビ香じゃないか!ダメだろお客さん驚かせちゃ!」
冬馬「俺こっちにいてよかった……」
P「噛んだりしないから意外と可愛いんだぞ」
冬馬「可愛くても怖いもんは怖いんだよ……っとこれで生地は出来たな」
P「もうできたのか?」
冬馬「後は1時間くらい冷蔵庫に寝かせて揚げたら完成、だぜ!」
P「こっちは後何するんだろうなぁ」
冬馬「へぇ、本当に水も牛乳も入れてねぇな。この臭いはバニラエッセンス使ったのか」
P「あぁバニラの匂いのするやつな。タバスコみたいな入れ物に入ってたよ」
冬馬「どうせならシロップって言おうぜ……」
P「3人ともなんともなかっただろ?」
響 「黒井社長が気絶しちゃったからまた寝かせておいたさー」
冬馬「どこの乙女だよあのおっさんは」
響 「さぁて後はバターを入れてー混ぜて混ぜてっと!」
響 「こっち先に作っちゃっていいか?」
冬馬「俺のはまだ時間かかるからな」
響 「じゃあ油温めるぞー」
冬馬「温度どれくらいなんだ?」
響 「150度だぞ」
冬馬「やっぱ低いな」
響 「あ、もう大丈夫だからプロデューサーはあっち行ってていいよ」
P「了解。楽しみにしてるよ」
冬馬「俺も時間あるから一緒に行くよ」
響 「できたら呼ぶからなー」
ねこ吉「にゃーん」
北斗「癒されますね……」
黒井「ウィ……」
うさ江「……」
モモ次郎「……」
翔太「ぐーぐー」
いぬ美「スンスン」
シマ男「ヒュヒュヒュヒューン」
冬馬「ふれあい動物園じゃねーか」
ブタ太「ブィ」スリスリ
冬馬「豚ぁ!」
P「テレビでも見てるか……ほら、お前達もおいで」
ワニ子「……」ノシノシ
ヘビ香「シャー」
響 「みんなお待たせー!我那覇家のサーターアンダギーが出来たぞー!」
冬馬「じゃあ撮るぜ。社長の口癖はー?」
北斗「ウィー」
P「ウィー」
翔太「ウィー」
黒井「ウィ」
冬馬「あ、犬!お前こっち向いてねぇから失敗しただろ!」
いぬ美「きゅーん」
響 「何してるんだ?」
P「響王国の住人と記念撮影会だよ」
響 「じ、自分だけ写真に入ってないなんて酷いじゃないか!」
響 「本当だろうな……」
黒井「この男にはしっかり目線を入れるから顔バレの心配はしなくていいぞ」
ヘビ香「シャー」
黒井「王者の私の前ではコブラですら従順になるようだなはーっはっはは!ほら食え!」
冬馬「ヘビにへんなもん食わせんなよ!」
響 「自分が料理してる間に随分仲良くなったんだなぁ。コブラじゃないけど」
翔太「出来たんなら食べようよー」
北斗「写真は後回しにするか」
黒井「ところでこのスカンクはあまり臭わないな」
響 「シマ男はシマリスだぞ!」
翔太「僕この大きいのもらいっ!」
北斗「いい匂いだな」
冬馬「これ揚げる前はピンポン玉くらいなんだぜ」
黒井「では頂くとしよう」
響 「50個くらいあるから一4個は食べても大丈夫だからね」
P「50!?そんなに作って大丈夫なのか?」
響 「残りは765プロの皆にあげればいいんさー」
北斗「お、結構甘いね」
黒井「柔らかいな……それでいてしっとりしている」
P「ドーナツとはちょっと違うけど、これはこれで美味いな」
響 「そりゃあんまーに教わったからな!」
冬馬「畜生!うめぇ!畜生!」モグモグ
黒井「こいつは何を怒っているんだ」
北斗「料理好きとして悔しいんでしょう」
P「あぁすごいよ響は。これでオーディションも合格できたら完璧だな」
響 「うぎゃー!今日は仕事の話は無しにしてほしいぞ!」
冬馬「あぁ畜生うめぇ……くそっ」
翔太「結構お腹にくるねこれ」パクパク
北斗「俺は3個で十分だな」
黒井「私は2個でいい。おやつカンパニーの策に乗せられてしまってな」
P「自分から地雷原に突撃しただけでしょうに……」
翔太「僕もう1個食べてもいい?」
響 「いいぞー。家族以外に食べてもらうなんて初めてで嬉しいさ」
冬馬「あぁーよし!そろそろだな」
翔太「どうしたの?」
冬馬「今度は俺が作ったのを食べてみてくれ!どっちが美味いか勝負だぜ!」
北斗「俺もう腹いっぱいだから響ちゃんに1票」
冬馬「は!?」
翔太「僕1個くらいなら食べられるかな」
黒井「いらんぞ」
冬馬「プロデューサー!」
P「テイクアウトで」
冬馬「おい!!」
響 「じ、自分食べ過ぎたら律子達に怒られるから……ごめんな」
冬馬「ち、ちくしょう……」
ブタ太「ブヒ」
冬馬「豚……」
ブタ太「ブヒヒ」
冬馬「豚……!俺をわかってくれるのはお前だけだ!」
冬馬「待ってろよ!今すぐ最高のサーターアンダギーを作ってやるからな!」
ブタ太「ブゥ!」
翔太「ブタ太と会話してるんだけど……」
北斗「ショックで頭のネジが緩んだのかもな」
響 「いい話だなぁ」
P「えっ響今のわかったのか?」
響 「えっわからなかったのか?」
P「あ、あぁ……」
ブタ太「ブヒブヒ!」
冬馬「さぁ食ってくれ!火傷すんなよ!いっぱいあるから慌てんな!」
響 「あ、ブタ太にこんな砂糖いっぱいのお菓子食べさせたらダメだぞ!」
冬馬「な!?」
ブタ太「!?」
響 「これは皆で分けて持って帰ってもらおうな」ヒョイ
ブタ太「ブ、ブヒャアア!!」ダッ
響 「あっ!ブタ太!?ブタ太ー!」ダッ
P「出て行ってしまった……」
冬馬「確かに豚にこんなもん食わせたら腹壊しちまうよな……」
冬馬「負けたよ我那覇……お前がNo1だ!」
P「そしてお前は何一人で完結してるんだ」
P「よしっ!いけ!」
冬馬「おい!俺ばっか狙うなよ!」
北斗「悪いな。これも作戦のうちだ」
響 「な、何やってるんだ?」
翔太「クロちゃんが持ってきたスマブラしてるんだよ!よしっ!冬馬君最下位ー!」
冬馬「あぁくそ!」
黒井「すやすや」
響 「じ、自分抜きでゲームするなんて酷いじゃないか!」
P「だって響の携帯ここに置いてあるから連絡のとりようがなかったんだよ」
響 「自分だって遊びたいのに……」
P「悪い悪い、じゃあ皆で人生ゲームでもやるか」
翔太「銀行係は最下位の冬馬君ね!」
冬馬「違うゲームになったらリセットに決まってんだろ!」
響 「やったぞー!自分ついに1位になれたんだ!」
北斗「おめでとう響ちゃん」
冬馬「まさか1位になるまで連戦するとは思わなかったぜ……」
P「同じ人生ゲーム何回もやるのは結構くるな……」
翔太「っていうかもう遅いしそろそろ帰らないと不味くない?」
P「もうそんな時間か」
冬馬「久々に長時間遊んだな」
北斗「夕飯どうします?」
P「ドーナツもどきが結構腹に溜まってるからなぁ」
黒井「今日は無しでもいいだろう。解散後各自の判断で食べればいい」
黒井「カロリーを考えて軽めにしておけよ」
冬馬「了解だぜ」
北斗「じゃあ帰るよ響ちゃん」
響 「あ、自分皆の散歩あるから途中まで一緒に行くよ」
冬馬「年寄りくせぇ声出すなよ」
P「お前達と違ってもう学生じゃないからな」
黒井「鍛え方が足りんぞ」
P「ジョギングでも始めようかな……」
響 「じゃ、じゃあいぬ美達の散歩手伝ってよ!いい運動になるでしょ?」
P「そうだなぁ」
北斗「……」チョイチョイ
冬馬「んあ?……あぁ」
北斗「いいんじゃないですか?ジョギングよりまずはウォーキングのほうが効果あるんですよ」
冬馬「運動不足にジョギングは長続きしねぇしな」
P「確かにいきなり走るのは厳しいかもな」
響 「じゃ、じゃあ!」
P「時間空いた時にでも付き合わせてくれるか?」
響 「もちろんだぞ!これでプロデューサーと、じゃなかったプロデューサーも健康になれるな!」
響 「まずはいぬ美とブタ太とねこ吉と……今日は人手が足りてるから全員いけるな!」
黒井「コブラよ。私の背に乗るがいい」
ヘビ香「シュルシュル」
P「いぬ美ー乗せてくれー」
冬馬「あんた最初からやる気なさすぎだろ。運動するんじゃなかったのかよ」
P「座りすぎて疲れた……」
翔太「おじさんぽいよプロデューサーさん」
響 「乗せなくていいからな。プロデューサー引っ張ってやってくれ」
いぬ美「ばう!」ダッ
P「うわっ!おいやめろ!服が伸びる破ける千切れる!うぉおおお!!」
北斗「どうします?駅まで歩いて電車で帰りますか?」
黒井「ある程度歩いたらタクシーを拾えばいい」
翔太「ちゃんと考えてるんだねー」
黒井「ウィ。セレブだからな」
P「はっはっはっ……ちょ、ちょちょちょっと止まってくれ!本当に死ぬ!」
いぬ美「ばう!」
P「はーっ……はーっ……つ、疲れた……」
P「か、かなり……は、離れただろうし……少し休憩……ふぅ」
タッタッタッタッ
北斗「お待たせしましたプロデューサーさん」
P「ぇ……北斗?お前走ってきたのか……」
冬馬「こんなもん走ったうちに入らねーだろ」
翔太「食後の運動は気持ちいいねー」
P「冬馬に翔太もか……ということは響も……」
響 「オウ助ー!今まで忘れててごめんなー!自分が悪かったから帰ってきてくれー!」タッタッタッ
P「行ってしまった……」
黒井「はっ……はっ……き、鍛えがはっ!……き、鍛え方が、違う、からな……っ」
P「俺より死にそうじゃないですか」
P「そうしてください……」
冬馬「だらしねぇな」
北斗「普段鍛えてる俺達と一緒にしちゃ可哀想かもな」
翔太「響さんはさすがの体力だねー」
冬馬「どっか行っちまったけどな……」
冬馬「あ、そうだ。今のうちに渡しておくぜ」
P「はぁ……ふぅ……ん?何だこれ」
冬馬「俺が作ったやつだよ。オレンジの皮入ってるんだぜ」
P「そういえば食べてなかったな」
冬馬「今度感想くれよな」
黒井「の、乗るぞ……お前達……ふぅ」
翔太「タクシー来るの超早くない?」
黒井「5万上乗せすると言ったらこの結果だ。世の中金だな」
北斗「愛以外はお金で買える時代ですね」
冬馬「すげぇデジャビュを感じる」
翔太「あ、それ言おうとしたのに」
P「まぁ食べたらメールなりで連絡するよ」
黒井「明日の朝にでも食べてみるか」
響 「な、何やってるんだ?」
P「冬馬が作ったサーターアンダギー貰ってたんだよ」
響 「自分がいない間に渡すなんて酷いじゃないか!」
冬馬「お前そればっかだな……ほら、これ我那覇の分」
響 「おぉ!ありがと!」
翔太「僕前乗るねっ!」
P「なんで3台あるんです?」
黒井「私達の車、貴様の車、我那覇響ファミリーの車だ」
響 「自分歩いて帰れるぞ」
黒井「さっきまで走っていただろう。少しは休まないと明日に響くぞ」
P「まるでプロデューサーみたいだ」
冬馬「あんたが言うな!」
響 「じゃあお言葉に甘えて……皆乗ってくれー!」
ワニ子「……」ノソノソ
いぬ美「フンフン」ドスドス
オウ助「……」バサバサ
運ちゃん「ひゃあああ」
北斗「その分楽しかったですよ。響ちゃんもお菓子美味しかったよ」
冬馬「豚……また会いに行くからな」
ブタ太「ブヒィ……」
翔太「最初我侭言っちゃってごめんねみんな」
P「ま、気にするなよ。結果的にドーナツより美味いの食べられたんだしな」
響 「今度は本当にドーナツ皆で食べたいな!」
黒井「時が来ればそんな事もあるだろう。では今日はここまでだ」
北斗「チャオ☆」
冬馬「豚も元気でな!」
翔太「お疲れ様ー」
響 「じゃあなー!」
P「響はまた明日だな」
響 「うん!また明日。プロデューサー!」
P「うーん……胃が重い……昨日と朝続けてサーターアンダギーはヘヴィだな……」
P「おはようございまーす」
美希「えぇー!すごいの!絶対食べたいの!」
小鳥「でしょ!?こんな機会もうないわよ!」
真美「りっちゃん!」
律子「アンタ達ねぇ……」
P「なんだまだドーナツの話してるのか?」
真 「あ、プロデューサー!これ見てくださいよ!」
P「チラシ?なになに……10000店出店記念ピザLサイズ全品半額」
バン!
冬馬「プロデューサーいるか!」
冬馬「ちょっとずつ間違えてんじゃねぇ!俺は天ヶ瀬冬馬だ!」
雪歩「あ、おはようございますぅ」
伊織「あんた何でこんなとこに来てんのよ!」
冬馬「そんなことはどうでもいい!それより今日の広告見たか!?」
北斗「チャオ☆765プロのエンジェル達!」
翔太「僕達とピザパーティしようよ!」
黒井「高木!会員登録できんのだ!なんとかしろ!」
高木「急に来ていきなり何を言い出すんだお前は……」
貴音「なんと黒井社長まで」
真美「一体何が始まるんです?」
亜美「第三次アイドルマスターだ!」
律子「プロデューサー殿?説明していただけますか?」
P「俺達の戦いはこれからだ……!」
おわり
悔しかったので書きなぐった。支援、保守ありがとうございました。お疲れ様でした。
お疲れ様でした
Entry ⇒ 2012.10.02 | Category ⇒ アイマスSS | Comments (0) | Trackbacks (0)
咲「もしも三年生と一年生が逆だったら…」
久「最近落ち目の風越より、随分と学費が安くて助かったわ。まぁ、清澄は二年前に突然現れた無名の高校だったし…」
久「しかし、麻雀部に入部届けを出しに来たけど、人多いわねぇー」
久「全国個人戦の一位と三位と十位を抱えてるから当たり前か。原村和さんなんて、アイドル並みにカワイイし、胸もボインボインだし」
まこ「おお、一年か?入部希望か?」
※全国の一年と三年が逆です。二年生は据え置き。
まこ「おぉ、見た事ある顔じゃと思ったら、上埜の所の嬢ちゃんか!って今は竹井じゃったか」
久「はい、雀荘ではお世話になりました」ペコリ
まこ「お主なら、入部テストも合格して一年からレギュラーに選ばれるかもなー。すまんなー、今年は入部希望者が多くて部長が入部テストするゆうてなー」
和「まこ、お知り合いですか?」
久(うわー、本物の原村さんだー!テレビで見たまんま!オッパイすごーい!)
和「そうですか。まぁ、打ってみないとわかりませんが」
優希「だじぇー。聞いて驚けー、一年坊主達よ。今日の入部テストは、あの宮永咲直々に相手してくれるんだじぇー」
モブ一年A「うそっ!あの宮永咲さんが!」
モブ一年B「私、麻雀楽しまされるのかなぁ」ブルブル
久(楽しそうじゃない!)ニヤリ
和「…」
まこ「ふふふ」
和「入部テスト辞退する一年生も出ましたね」
まこ「そりゃー、全国大会のチャンピオンと麻雀打って勝てるなんて思う小娘はなかなか居ませんよー。まぁ、一人闘志を燃やしてるようじゃが…」
優希「咲ちゃんは相変わらず、大人数の前で喋るのは苦手なんだじぇー」
和「コホン、部長の原村和です。みなさん、入学おめでとうございます。我が清澄高校は…」
長いのでキンクリ
和「では、咲さん。いつものアレお願いしますね」
咲「あっ、うん。最近、封印してけど、多分大丈夫。わかった、調整してみる」
咲「お疲れ様です。±0で二位です」
モブA「やったーーーー!!!!!!!!チャンピオンに勝ったーーーーーーー!!!!!!!後でクラスのみんなに自慢しよっと!!」ワーイ
和「…」
優希「…」
まこ「…」
久「」プルプル
久「あ、あの!もう一度、打たせて下さい!!お願いします!!」
まこ「ほぅ…」
モブA「えー、私も入っちゃおうかなー。チャンピオンに二連勝しちゃったりしてー」チラッ
優希「ダメだじぇー。一位を取った子は、テスト終わりだじぇー」
まこ「じゃといいなー」
久(あの子、気づいてないの!?宮永先輩、ずっと±0で二位しか取ってないのに!!)
久「…」
優希「おぉー、あの一年根性あるなー。もう四回目だじぇー」
モブB「あの竹井って人、ずっと最下位なのに、まだ打とうとしてる。麻雀弱いんだから、大人しく帰ればいいのに」プッ
まこ「こらぁ、一位取った人は終わりじゃゆうとろーが。さっさと帰るー」
宮永咲 37000
竹井久 15000
モブC 24000
モブD 24000
モブE「おっ、やっとチャンピオンが一位かー。でも、もう何局も打って、やっと一位だなんて…。これなら龍門か風越行けば良かったなー」
久「…ありがとうございました」
咲「えーっと、竹井さんだったよね?貴方の悪待ち、面白いね」ニコッ
久「自信喪失だわー。しかも収支もダントツで一年生で最下位。これは来年に賭けるしかないわねー」
久「まぁ、高校生活は三年もあるし一年くらい待っても…」トボトボ
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
和「咲さん、最後の局」
咲「うん、出来なかったね。±0」
優希「あの一年、かなり面白いじぇ。次は私が東風戦で打ちたいじぇ」
和「ハッキリ言って私から見れば、そう大した事ないように思えましたけどね。わざと待ちを悪くするとか何を考えてるんでしょうか」
あっ(察し)
流石に2年間咲さんにボコられたら身の程をわきまえると思う
多分
アレは決して本心からそう思ってるわけではなくて、
自信なんてない自分を必死で奮い立たそうとしてるだけだろいい加減にしろ
咲「そうだね。レギュラーもほぼ確定だね。染谷さん、頑張らないと?」フフフ…
まこ「えぇー、わしのレギュラーも危ないんですかー!」
優希「ワカメスープでも飲めば、強くなるんじゃね?」
和「こらっ、優希。私達もレギュラー落ちもありえますよ!実力主義ですからね!」
咲「うーん、私も油断してたら二軍かなー」
まこ・優希・和「「「そんなオカルトありえません(ありえないじぇ)」」」
誠子「くっそー、また逃げられた!」
尭深「大星先輩、めんどくさい事はいつも私達に押し付けるんだから」ズズズ
誠子「入部テストだって言うのに、部長が居なくてどうするんだよ!」プンプン
尭深「あの人、打倒宮永咲にしか興味ないから…。とりあえず私達で、入部テストやろうよ」
白糸台高校屋上
淡「あーあー、かったるいなー。なんで私が部長に選ばれたんだかー」
淡「そりゃー、私が原因でもありますよー?」
淡「去年は、一回戦で清澄と当たっちゃったからなー。大将戦前で、6万点も差つけられて、あの魔王咲ちゃんだよ?」
淡「諦めなかった、私は偉い。まぁ、負けたのは事実だけどねー」
淡「にしても、阿知賀の脳筋猿にすら負けたってレッテル張られたのは…、ぐぬぬ」
淡「あの猿の諦めなさは、私以上だよー。まぁ、所詮は脳筋猿だけどねー」
淡「とりあえず、入部テストで上位20位とか入れればいいんじゃない?そう考える私は屋上で、サボってるわけだよ諸君」
淡「さてさて、そろそろ入部テスト終わったかなー。見に行きますかー。もし、誠子か尭深を飛ばすようなルーキー居たら、私が打っちゃうんだけどなー」
淡「居るわけないよねー」
・
・
・
淡「なに…ここれ…」
誠子「トビで」
尭深「トビ」
白糸台一軍三年「トビっす」
淡「ちょっと待ったーーーーー!!これアンタの牌譜表?」
照「はい、そうです。大星淡さん、ご活躍、テレビで拝見しておりました。お会い出来て光栄です」
淡「ふーん。まぁ、私、有名人だしーって…、そんな事はどうでもいいのよ!ねぇ、アンタ、私と打たせてあげる!光栄に思いなさい」
照「…はい、ぜひ、お手柔らかにお願いします」ペコリ
淡(あぁ…、ゾクゾクする。この小娘、間違いなく魔物級!!捻り潰してみたい!!二度と麻雀したくないって思うくらい!!)
水着とネコミミが似合う小学生雀士すこやん
淡「えっ…、私、二位?」
照「飛ばせなかった…」チッ
誠子「ってか、大星先輩が二位とか、しばらく見た事無かったな」
尭深「あの宮永照って一年生、怖い」ブルブル
照「あの、もう一局打ちませんか?」
淡「えぇー、いいですともー、いいですともー、クソ生意気な一年のお嬢ちゃんをボコボコに沈めるまで、勝ち逃げなんかさせませんよー、ほほほほー」ピキピキ
淡「はっ!?ここはどこ!私は誰!」
誠子「おはよーっす。あぁ、大星先輩は、宮永と麻雀打って倒れましたよ」
淡「私、一位取った!?」
誠子「あっはい。倒れる直前に。しかし、あの一年、先輩より強…」
淡「コホン、その先は言わなくてよろしい。わかってるから、その辺は」
誠子「でも、チャンピオンの関係者が清澄に入らないとか変ですよね。なんでわざわざこんな所に」
淡「そんな事はどうでもいい!って、一応聞いてみるか」
誠子「珍しく部長っぽいですね、大星さん」
淡「あー、そうですねーそうですねー。ってか一年に部長補佐出来そうな真面目で成績優秀な子居ない?」
誠子「居ますよー。去年のインターミドル一位かつ、入学試験でも主席の一年」
誠子「名前は確か、弘世菫とか言ったような」
菫「はい!私、○○中学からやって参りました…」
淡「あーうん。わかったわかった。あんたとは確か照と打った時に同卓してたわね。えー合格。ついでに一軍の座もくれてやるよー。まぁ、何と言いますか…」
菫「はい」ドキドキ
淡「三年神、二年人間、一年奴隷。アンタ、私の奴隷になりなさい!」
菫「えぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!!!!!!!!!」
・
・
・
淡「スミレー、あの書類、全部やっといてねー」
菫「…了解です(この金髪クソビッチ早く死ねばいいのに)」
照「はい」
淡「でさー、なんでアンタ、清澄に入らなかったわけ?」トン
照「大星さんは、宮永咲さんと何度も打った事ありますよね?」チー
淡「うん、あるよー。なんと言うか人の皮を被った魔物だよねー。私の永遠のライバルだよ!」トン
照「そうですか…。対局してみてどうでした?」ポン
淡「んー、手加減されてる感じが半端なくウザいよね。ライバルって言ったけど、まずあの女の本気の本気を出させてみたいかな」トン
淡「で、あんた。咲やんの何なの?」トン
照「妹です」
淡「やっぱりねー。だと思ってた」トン
照「私、全国で本気のお姉ちゃんと闘ってみたいです!!」チー
淡「ふーん、あの女、家族麻雀とかでも手加減してるわけだ」トン
照「はい、優しい姉で、自慢の姉です」ロン
淡「ふーん、あんた姉を超えたいんだ。まぁ、気持ちはわかるなー。手加減されてるってわかったのいつくらい?」
照「小学生の時、負け続けて、ずっとコツコツと貯めてた豚さんの貯金箱を壊した日からです。あの日からちょっとずつ、賭けてたお年玉が返ってきて…」
淡「ふむふむ、いつの間にか失ったお年玉が返って来たっと」
照「はい、そしてお姉ちゃんの貯金が減ってるのも気づきました」
照「全然、うれしくなかった!!私はずっと、手加減されて、恵んで貰えた勝利に喜んでたなんて!!」
照「はい、自慢の姉ですが、麻雀は別です。最低の打ち手だと思ってます」
淡「あの女さー、あれだけの実力持ってながら、プロになる気ないんだって。高校で三連覇達成したら、麻雀も辞めるんだと」
照「…」
淡「このまま引退させたら、私の負け越し確定なんだよねー。だから、私は私自身のために麻雀やるわけだよー。負けず嫌いだからねー」
照「そうですか。私も姉が居ない、長野以外ならどこの強豪校でも良かった。負けず嫌いですから」
照「負けず嫌いです」
淡「先鋒で10万点削らなきゃ、負けって言われたら?」
照「削ります。私の能力なら、可能ですから」
淡「ふーん、言うねー。咲やん以外にも、強い高校生はいっぱい居るよ?二年の神代小蒔とか」
照「私の敵は姉だけですから」
淡「私は大将と言うポジション動けないわけだから…、そうだなー。じゃあ、白糸台の先鋒はクソ生意気な一年生にしちゃおうかな」
照「えっ?」
淡「まぁ、せいぜい各高校のエースにボコボコにされて来なさいな。お姉ちゃんに会う前に負けたら、それまでって事ね」
照「先鋒はエースを置くのが、主流とされますが…。私でいいんですか?」
淡「いいよー。まぁ、大量失点されても、主将にはこの白糸台の真のエース、大星淡ちゃんが居るわけだからね!」ドヤッ
淡「菫のヤツ、もうちょっと鍛えてみようかなー。一年で二人もレギュラー出したら、三年生が怒るかなー。でも仕方ないよねー。」
淡「勝ちたいんだから!」
淡「さぁ、今年の夏は団体戦も楽しめそうだなー」フフフ
終わり
泉「船Q、今日は入部テストの日やで!!今年は私の最後の年や!最強の千里山女子に二条泉ありと言われたるでー」
船Q「えぇ、まぁ先輩は最後の年ですね、張り切る気持ちはわかりつもりです(うっざいなー、ここ最近ベスト8にも入ってないやんけ)」
泉「いい新人入って来るとええけどな!ちょっと、私が揉んだるでー」
船Q「はいはい、 データありますけど見ます?」
泉「いらん。一年坊主達なんか、私の実力で粉砕してくれるわ!まぁ、あんまりやり過ぎても、誰も入部しやんからなー」
泉「ほどほどに、ほどほどに、手を抜かんとなー」ニヤニヤ
船Q「二年の船久保浩子です。このアホ…いえ部長の補佐をしてまして、副部長です」
泉「今から、入部テストを行う!全国大会クラスの実力を身を持って体感して欲しい」
泉「正直、飛ばなければ合格と言ってもいいくらいや」
セーラ(あっちゃー、あのタレ目女おらんやん…。アイツは姫松受けたかー)
泉「おい、そこの学ラン!お前は、男か!」
セーラ「むっ」カチン
泉「公式戦は、制服じゃアホー」
セーラ「先輩こそ、改造制服ですやん」
泉「うちはいいんや。うちは」
セーラ「そんなん筋が通ってないっす!」
泉「生意気な一年めー(でもアイツ、特待生か。カモ二人欲しい所やな)」
怜「」ゴホゴホ
泉「むっ、そこの一年!先輩が喋ってる途中に、音立てるとはなんやこらー!やる気がない証拠や」
泉「体弱い?今年の夏は、うちの最後の年やからビシバシしごくで。そんな調子じゃ入部しても、パシリも出来んやん」
竜華「…怜をパシリですか?」
泉「せや。実力主義の世界やで千里山女子は。しかも一年。パシリでもありがたいと思わな」
竜華「…」ゴゴゴ
怜「竜華、うちはいいんや。うちは元々、ここの入部テストに受かる雀力を持ち合わせてないんやから…」
泉「はっ!?誰に物言うてるんや!うちは全国大会で、活躍する二条泉やで!?今年のドラフトの目玉にもなるんやで!」
船Q(清水谷竜華っと、あーあかん。アレ怒らせたら、あかんタイプや)ポチポチ
泉「いいやろ。やれるもんなら、やってみ!船Q、同卓入って!」
船Q(うちが三年の時に最強の千里山作ればいいわ…。さて、今年は清水谷と江口のために犠牲になって貰おか…)
船Q「来年の夏が非常に楽しみやね」
勝敗はもちろん、泉ちゃんの飛び終了
もう一個カン
憧「今年でうちらもいよいよ引退かー」
穏乃「うん、今年の夏は和と長く長く遊んでたいよね」
玄「負けなければ、ずっと遊んでられますねー」
憧「玄の妹さん、今年入って来るんでしょ?」
玄「はい、宥ちゃんって言うんですよー。とってもカワイイ妹で、そしておもちは姉の私より大きくてですねー、うへへ」ポワーン
灼(おっぱい偏差値、上がっちゃうのか)スカスカ
やえ「このニワカ先生、なかなかいい目利きをしてる。この私の圧倒的、麻雀力に気づくとは」
やえ「この私が入ったからには、全国優勝も夢ではないぞ。ニワカども。奈良県をおおいに盛り上げよう」
やえ「略して、N(奈良県を)O(おおいに盛り上げる)K(小走やえ)、NOK団」
憧「こらぁ」ゴチン
やえ「あ、いッッー。なにをするニワカ!」
憧「先輩には敬語を使う!中学校で習ってこなかったの!これだから、最近のゆとりは…」
やえ「貴様もニワカでゆとりだろうがー」
憧「敬語!」ゴチン
やえ先輩は憧が卒業するまで最後まで敬語を使いませんでしたとさ
もう一個カン
ていうか書いてください
桃子「この子、スポンジが水を吸収するがの如く、どんどん成長するっすねー」ポチポチ
桃子「才能あるっす。いやー、麻雀教えるのがこんなにも楽しいとは。ここはこれを切ると待ちが増えるっすよー」ポチポチ
東横桃子はネット麻雀が趣味だった。どうせ誰も入らないだろと、麻雀同好会まで作った始末だ。
ホントはのんびりサボれる場所が欲しかっただけだが。
ゆみ「私、桃子お姉さんの学校に行きたいです!」カタカタ
桃子「辞めとくっすよー。ゆみちんは、才能あるから清澄でも風越でも龍門でも好きな所に行くといいっすよ」カタカタ
ゆみ「私は、麻雀を教えてくれた桃子お姉さんに恩返しがしたいんです!」カタカタ
桃子「いやー、カワイイ中学生っすねー。まぁ、気持ちだけで十分っすよ。どーせ誰も私に気付かない…」
そうして東横桃子二年の冬が終わり…。
睦月「うむぅ。ここなら投牌の練習が好きなだけ出来る」
睦月「いやー、いい場所見つけたなー」
桃子(まーた、来たあの一年。今は二年っすかね。注意したくても、私の声聞こえるんっすかねー。私のサボり専用部室になってますし)
桃子(うーん、言うべきか悩む。麻雀同好会の活動らしい活動もしてないし)
桃子(まぁいいっす。ほっとけば飽きて、来なくなるかもしれないっす)
ゆみ「桃子姉さん、どこだ!私は君に会うために鶴賀に入学して来た!!」
ゆみ「居たら返事をして欲しい!!」
睦月「う、うむぅ!?」ビクッ
蒲原「わはは、先輩ですか?ゆみちんがご迷惑かけてすいません。わははー」
佳織「あっ、同じ学年の津山睦月さんだよ。こんにちわー」
睦月「あぁ、妹尾佳織ですね。こんにちわ」
蒲原「わはは、もう探してない部屋はここくらいだしなー。麻雀同好会って言うから、ここがビンゴだと思ったけど、わははー」
桃子(あれは…いつかの写メ交換で見せて貰った、ゆみちん!)
桃子(本当に私に会いに、鶴賀に入学するなんて…。清澄にも簡単に入れるくらいの子なのに…)
桃子「バカな後輩っすね。先輩がきっちり指導してあげないと」
ゆみ(あれ、急に目の前が真っ暗になった!)
桃子「えへへ、だーれだ//」
もう一個、カン、四槓子
Entry ⇒ 2012.10.02 | Category ⇒ 咲-Saki-SS | Comments (1) | Trackbacks (0)
綾乃「恋愛相談?」向日葵「はい……」
放課後・・・
綾乃「今日は千歳と会長と大室さんが先生の手伝いで呼び出されていて、生徒会室で仕事するのは私と古谷さんだけか……」
向日葵「よろしくお願いしますわ、杉浦先輩」ニコッ
綾乃「ええ。一緒に頑張りましょう?」ニコッ
~10分後~
向日葵「はぁ……櫻子……」ハァ
綾乃「えっ?」
向日葵「あっ! えっと、なんでもありませんわ!」オロオロ
向日葵「ただ、いつも騒がしいあの子がいないと、仕事がはかどりますわ!って思っただけで……」
綾乃「古谷さんは大室さんといつも一緒ですものね」ウフフ
向日葵「べ、べつに好きで一緒にいるわけでは!」カァァ
向日葵「……あの、杉浦先輩……」
綾乃「何かしら?」
向日葵「悩み事……聞いてもらってもいいですか?」オズオズ
綾乃「ほえっ!?」
綾乃「何か悩みがあるなら、よかったら話してみてくれないかしら? 私でよかったら、その……力になるわ。微力ながら、ね」ニコッ
向日葵「杉浦先輩……///」
綾乃「古谷さんは私の大事な後輩ですもの。遠慮しないでいいわ」
向日葵「ありがとうございます! えっと、それでは、その……」
向日葵「実は私、恋……しているみたいなんですの」
綾乃「」
綾乃(……れ、れれれれ恋愛相談!?)ガーン
綾乃「」ギクッ
向日葵「そ、その子とはケンカばっかりだったはずなのに、ライバル関係のようなものだったはずなのに、でも、その子のことを考えると心が暖かくなるというか、顔が熱くなるというか……」カァァ
綾乃「」ギクギクッ
向日葵「でも私は、いつも素直になれなくて……」
綾乃「」ギクギクギクッ
向日葵「これはやっぱり、恋なんでしょうか……?」
綾乃(あなたは私かッ!!)
綾乃(いやいやいやそれ以前に! この私が恋愛相談!? 相談に乗って欲しいのは私のほうよ!)
綾乃(私だって、四六時中歳納京子のことが頭から離れなくてライバル関係的なはずなのに歳納京子のことを考えると心が暖かくなるしいつも素直になれないし……)
向日葵「杉浦先輩? あの、やっぱり迷惑でした……?」
綾乃「い、いえ? そ、そそそんなことはないないナイアガラよ! つ、続けて続けて」
向日葵「あの子が私以外の誰かと結ばれる未来を想像したら、とても悲しくて……あの子が幸せならそれでいいって考えようとしても、嫉妬心を抑えきれなくて……」
向日葵「ですから私は、さk…あの子とお付き合いがしたいって、そう考えて……でも……」
綾乃「な、なるほどね。つまり古谷さんは恋に素直になって、おおm……その人と交際したいんだけれど、恋に踏み出してアプローチする決心がまだつかない、ってことかしら?」
向日葵「そうですわ! さすが杉浦先輩、頼りになりますわ!」キラキラ
綾乃「」
綾乃「……古谷さん?」
向日葵「はい、なんでしょうか?」
綾乃「恋というものは……早い者勝ちなのよ!」
向日葵「!?」
向日葵「!?」ガーン
綾乃「モタモタしていたら持ってかれる。ウジウジしてたら攫われる。いつまでも素直になれなかったら……負けよ」
向日葵「そ、そうですわよね! さくらk…じゃなかったあの子は、明るくて社交的でクラスの人気者で……そんなあの子ですもの、競争率も高いに違いありませんわ!」
綾乃「そうよ! でも、古谷さんだってきっと競争率は高いはずよ」ニコッ
向日葵「えっ!?」
綾乃「私が、保証してあげる」ニコッ
向日葵「す、杉浦先輩……///」
綾乃「だから頑張って! 私はいつでも、あなたに力を貸すわ」ニコッ
向日葵「は、はい! ありがとうございます……本当に、ありがとうございますわ!」ウルッ
※綾乃自宅にて
~その夜~
綾乃「死にたい……」ズーン
綾乃「いくら後輩の背中を押すためとはいえ、自分のことを完ッ全に棚に上げて、あんな……」
綾乃『恋というものは……早い者勝ちなのよ!』キリッ
綾乃「バカバカバカバカ私のバカァ!」ポカポカ
綾乃「バカバカバカ……バカ……」グスン
~廊下の片隅で~
向日葵「杉浦先輩、昨日は本当にありがとうございましたわ」ペコリ
綾乃「い、いえ! 全然気にしないでいいのよ?」
向日葵「感謝してもしきれませんわ。おかげで私、覚悟を決めることができましたの」
綾乃「そ、そう。よかったわ……」ホッ
向日葵「それで、その……手始めに、今から櫻子にクッキーをプレゼントしに行こうと思いますの。よろしかったら、その……見守ってていただけないでしょうか?」オズオズ
綾乃「ほえっ!?」
綾乃(うん、知ってたわ)
向日葵「私はよく櫻子にお菓子を作ったりしてあげているんですけど、この気持ちを恋だと意識し始めたら急に照れくさくなって……///」モジモジ
綾乃(古谷さん可愛いなぁ…)フフッ
綾乃(乗りかかった船だし、協力するって約束したし……最後まで応援するわ! ホントはそんな余裕ないんだどね……)トホホ
向日葵「杉浦先輩も自分の恋で忙しいのに、本当にごめんなさい」ペコリ
綾乃「なっ/// べ、べべべべべつに私は恋なんて!!」カァァ
綾乃「わ、私のことはいいから! 古谷さんよ古谷さん!」アワアワ
向日葵(照れ隠しする先輩も可愛いですわ)フフッ
向日葵「でも、正直意外でしたわ」
綾乃「えっ?」
綾乃(そ、それは事実よ!)
向日葵「けど、『恋は早い者勝ち』って……杉浦先輩も真剣に自分の恋路を歩んでいるんですね」ニコッ
綾乃「はうっ!」ズキッ
綾乃(耳が痛い……)
『モタモタしていたらもってかれる。ウジウジしていたら攫われる。いつまでも素直になれなかったら……負けよ』
…この言葉を胸に刻ませてもらいますわ」ニコニコッ
綾乃「はううぅ!」ズキン
綾乃(やめて! それ以上私の傷をほじくらないで!)
綾乃(そんな……そんな尊敬の眼差しで見ないでちょうだい! あれはちょっと見栄張ってみただけなの! 本当の私はウブでヘタレなのよ! ごめんなさい!)
向日葵「? 杉浦先輩?」
綾乃「な、なんでもナイアガラよ! と、とにかく、勇気が出たみたいで、わ、私も嬉しいわ!」オドオド
向日葵「は、はい! それと一緒に、櫻子をデ、デデデデートに誘おうかなって……///」キャッ
綾乃(いいなぁ、デートかぁ……)
向日葵「ヤダ私ったら! よく2人きりで遊んだりするのに、なんでこんなに緊張するんですの!?」ソワソワ
綾乃「お、落ち着いて古谷さん! 平常心、平常心よ……。あくまで誘うのはいつも通りで、本番はデート当日! ここはさりげなく切り抜けるのよ!」
向日葵「はい、さすが杉浦先輩ですわ!」
綾乃「うぅ……///」
櫻子「なんだよひまわり~、こんなところに呼び出してさ」
向日葵「えっと、その……」モジモジ
綾乃(壁に隠れて見守ってるんだけど……バレたりしないかしら?)
向日葵「…………」チラッ
綾乃(あ、あまりこっち向かないで!)オロオロ
綾乃(え、えっと……頑張れ! 古谷さん!)サムズアップ!
向日葵(ありがとうございますわ!)
櫻子「おおクッキー! ちょうどお腹減ってたところなんだよね! ありがとう!」
向日葵「ど、どういたしまして、ですわ///」
向日葵「そ、それで、来週の日曜日……よかったら、一緒にお出かけでもしません?」オズオズ
櫻子「おへはへ? もぐもぐ……いいおー! おほいく?」モグモグ
向日葵「ちゃんと飲み込んでから喋りなさいな……」ヤレヤレ
向日葵(でも……やりましたわ、杉浦先輩!)チラッ
綾乃(おめでとう、古谷さん!)ホッ
向日葵「杉浦先輩、ありがとうございました」ペコリ
綾乃「よかったわね。バッチリだったわよ」ニコッ
向日葵「あの、お礼にこれ、受け取ってください」スッ
綾乃「これ、大室さんに作ったクッキー?」
向日葵「杉浦先輩の分も作らせていただきましたの。お口に合うかわかりませんけど、よかったら召し上がってください」
綾乃「ふふっ、ありがとね、古谷さん」ニコッ
綾乃(古谷さん、上手くいくといいわね……)
綾乃(そういえば、生徒会に入ったおかげで、こうして後輩の子ともお友達になれたのよね)
綾乃(初めは千歳しかお友達がいなかったけど、生徒会のみんなやごらく部のみんなともお友達になれて……)
綾乃(感謝しないとね)フフッ
綾乃(古谷さんがくれたクッキー……)
綾乃(……もぐもぐ……美味しい!)モグシ
千歳「綾乃ちゃん、最近何かあったん? ため息ついたり肩落としたり、かと思えば嬉しそうな顔したり……あ、まさか歳納さんと!」クワッ
綾乃「ちちち違うわよ! 心配はノンノンノートルダムよ!」
綾乃(言えない……後輩の前で見栄張って偉そうにした黒歴史を思い出して悶々としているなんて!)
綾乃(……でも、後輩に頼られて嬉しいなぁ、なんて思っちゃってることは……もっと言えない!)
向日葵「ふふっ」ニコニコ
向日葵(杉浦先輩、ありがとうございますわ)
櫻子「なんだよ向日葵、ニヤニヤしてて気持ち悪いなぁ」
向日葵「な、なんですって!?」
櫻子「あ、そうそう、そういえば日曜どこ行くかまだ決めてないじゃん! どーする?」
向日葵「あ、えっと…/// い、今は仕事中ですから、後にしましょう///」
ガラッ
京子「綾乃いるー?」
千歳「あら、歳納さん。どうしたん?」
京子「綾乃……ちょっと来てもらっていいかな?」
綾乃「えっ?」
京子「突然呼び出したりしてごめん」
綾乃「ど、どうしたっていうのよ。何か用かしら?」ワクワク
綾乃(こっちから茶道部室に行く手間が省けたわ!)
京子「あのさ、悩み事……聞いてもらってもいいかな?」
綾乃「……えっ?」
京子「実は私……結衣に恋してるのかもしれない」
綾乃「………………………」
綾乃「………………………………!?」
京子「でももう限界で、最近ずっと気持ちがぐちゃぐちゃしてて気持ち悪くて、すぐに誰かに相談したくて……綾乃だけが頼りなんだ! あかりやちなつちゃんには言いにくくてさ……」
京子「まだよくわかんないんだ! 恋かどうかなんて。けど、どうにか気持ちを落ち着けたくて……」
京子「……? 綾乃……?」
綾乃「……え、ええ。なんでもないわ。続け……て……」
京子「迷惑かけてごめんね。……このままじゃ私、ごらく部のみんなと会えないよ……」
綾乃「…………………」
綾乃「こ、恋というものは……は、早い者勝ち、な、なのよ……」
京子「綾乃……?」
綾乃「け、けど……」ガクガク
綾乃(見栄を……張りなさいよ! 古谷さんのときみたいに、カッコつけてみせなさいって!)
綾乃「あ、ああ、あなたがその人に恋しているように……」ブルブル
綾乃(歳納京子が他の人に恋するんなら……応援して、あげなくちゃ……)
綾乃(応援して……応援して……)
綾乃「他の誰かも……『あなた』に恋しているかもしれないのよ!!」ダッ
京子「綾乃!? 待ってよ! どこ行くんだよ!」
ウジウジしていたから攫われた。
いつまでも素直になれなかったから……負けたんだわ
※
向日葵「まだ負けだなんて……はぁはぁ……決まって、い、いません……わよ……」ハァハァ
綾乃「ふ、古谷さん!? どうしてここに……?」ビクッ
向日葵「は、走って追いかけて……来たんですの……」ハァハァ
向日葵「探しましたわよ……そこら中……」ハァハァ
向日葵「まさか、学校からこんなに離れた公園にいるなんて……」
向日葵「歳納先輩が来たとき、なんだか嫌な予感がしたから……すみません、あとをつけてしまいました」ペコリ
綾乃「じゃ、じゃあ全部見てたの!?」
向日葵「はい。本当に申し訳ありませんわ。けど……」
綾乃「謝らなきゃいけないのは私よ!」
向日葵「」ビクッ
綾乃「偉そうにあれこれ言ってごめんなさい! 私は本当は、どうしようもないヘタレなの!」
綾乃「私に、あなたの恋を応援する資格なんて……」
向日葵「杉浦先輩!!」
ギュッ
綾乃「!?」
向日葵「私が杉浦先輩からたくさん勇気をいただいたのは……紛れもない事実ですわ」
向日葵「私は櫻子のことが大好き。その気持ちを行動に移すことができたのは……全部杉浦先輩のおかげ。杉浦先輩は私の……」
向日葵「私の自慢の先輩ですわ」ニコッ
向日葵「それだけじゃないですわ。入学したてで右も左もわからなかった私と櫻子を辛抱強く指導してくださったのも、他ならぬ杉浦先輩。優しくて頼りになる……私の憧れです」
向日葵「……歳納先輩は、『これが恋かはまだわからない』って、言っていましたよね?」
向日葵「それなのに諦めてしまっては……もったいないです」
向日葵「杉浦先輩にとってもったいないだけじゃなくて……杉浦先輩みたいな人を恋人にできないなんて、歳納先輩にとってももったいないことだと思いますの」ニコッ
綾乃「……ありがとっ///」
向日葵「どういたしまして」ニコニコ
向日葵「……どうやら、私の出番はここまでのようですわね」
綾乃「えっ?」
ダッダッダッ
京子「あやのー!」
京子「あ、綾乃! ……ここに……いたんだ…………って、あ、あれ? なんでおっぱいちゃんが…ここ…に?」ハァハァ
向日葵「帰り道で偶然会ったんですの……って、その呼び方はちょっと……」
綾乃「歳納京子……突然逃げ出したりして、ごめんなさい」
京子「ううん、いいの。それより綾乃! 大丈夫? 私、もしかして何か酷いこと……」
綾乃「ねえ、歳納京子……」
向日葵(杉浦先輩……!)チラッ
綾乃(……古谷さん!)
綾乃「私はね、歳納京子……あなたのことが……あなたのことが大好きなの!」
京子「……え、ええっ!?」
京子「ちょっと待って、それどういう……」
綾乃「ずっと前から、あなただけを見つめてきた! あなたは私の憧れで、時々目を逸らしたくなるくらい眩しくて、私は素直になれなくて……」
綾乃「それでもあなたは、いつだって気さくに話しかけてくれた! 私に笑顔をくれた! そんなあなたのことが、世界中の誰よりも……」
綾乃「好き……好きなの!」
綾乃「歳納京子は悪くない!」
京子「えっ!?」
綾乃「私がいつまでも、ウジウジしていたから。言葉にしなきゃ、行動にしめさなきゃ……伝わるわけないのにね……」
京子「綾乃……」
綾乃「お願いします!」ペコッ
京子「ま、待って待って待って! 私やっぱりまだ、頭がこんがらがって……///」オロオロ
京子「えっ……綾乃が私を、す、好!?」カァァ
向日葵(おや? これはもしかして……)
綾乃「と、歳納京子……?」ドキドキ
向日葵(脈アリですわ!)クワッ
京子「嬉しい……すごく嬉しいよ綾乃!」
京子「でも、ちょっとだけ待って……私まだ、気持ちの整理がつかないっていうか……もう少しよく考えたいっていうか……///」
綾乃「待つわ。歳納京子が、ちゃんと返事をくれるなら……」
京子「うん。ありがと……///」
京子「あー、えっと……学校、戻ろっか///」
綾乃「え、ええ! そうね///」カァァ
綾乃(私……しちゃったんだ! 歳納京子に、こ、ここここ告白……///)プシュー
綾乃(い、今更ながら、恥ずかしくなってきたわ///)
向日葵「…………」ニコッ
※茶道部室にて
~数日後~
ガラッ
綾乃「とーしのーきょーこー!」
京子「あ、綾乃///」
綾乃「えっ/// あっ///」
京子「……お、おはよー///」
綾乃「い、今は昼間よ///」
結衣(最近何かあったのかな?)
あかり(2人とも顔真っ赤だなぁ)
ガラッ
向日葵「失礼しますわ」
京子「あれ? おっぱいちゃんじゃん、どーしたの?」
向日葵「すみません、櫻子来ていませんでしょうか?」
結衣「ここには来てないよ」
あかり「櫻子ちゃんなら、『石焼き芋の屋台の声が聞こえたから行ってくる』って言ってたよぉ」
向日葵「まったく、あの子ったら……」ハァ
向日葵(せっかくパンケーキ焼いてきましたのに……)
京子「あっ、いっけね! 忘れてた!」
綾乃「まったく、歳納京子ったら……」ヤレヤレ
向日葵(どうやら、歳納先輩からまだ返事はもらっていないようですけど……)
京子「そういえば、今度の日曜どこ行くかまだ決めてなかったよね。どーする?」
綾乃「えっ!?」
京子「あっ……」
ちなつ「あれ? もしかして2人っきりでお出かけするんですか?」
綾乃(バ、バカ! みんなのいる前で!)
結衣(めちゃめちゃ焦っとる……)
向日葵(……どうやら、順調に関係は進展中のようで……なによりですわ)ニコッ
ガラッ
櫻子「ひまわりいるかーい?」
向日葵「あら、櫻子」
櫻子「ほら、焼き芋買ってきてやったぞ! ありがたく食べるがよい!」エッヘン
向日葵「あ、ありがとうございますわ///」
綾乃(古谷さんの恋も、まだまだこれから。……けれど順調そうね)ニコッ
向日葵(……お互い頑張りましょうね? 杉浦先輩)ニコッ
おわり
恋愛要素よりは友情要素のほうが多くなったかもしれない
京綾もひまさくも両方好きなので、こんな形で書いてみました
Entry ⇒ 2012.10.02 | Category ⇒ ゆるゆりSS | Comments (1) | Trackbacks (0)
黒井「えー、お騒がせいたしております」キーン
P「ライバルプロダクションに、アポ無しで拡声器を持って乗り込んでくるとは……穏やかではありませんね」
美希「ある晴れた昼下がりの、絶好の昼寝日和になんの用なの?」
雪歩「ま、真ちゃん……」ブルブル
真「雪歩、ボクの後ろに隠れて」
伊織「ふうん。単身で乗り込んでくるとは、いい度胸じゃない」
貴音「英語で言えば『ぐっどどきょう』ですね」
亜美「! お姫ちんが、え→ごを!」
あずさ「最近、勉強を始めたらしいのよ~」
春香「だから、いったい何の用なんですか!?」
千早「春香、気をつけて!」
真美「かえれかえれ!!」
やよい「あ。今、お茶を出しますねー」
美希「やよい、そんなの出すことないの」
黒井「毎度お馴染み、不要品回収業者でございます」キーン
響「え?」
P「は?」
黒井「ご不要になられました、日用品、雑貨、古新聞、古雑誌にダンーボール……アイドルなどございましたら……」キーン
アイドル一同「!」
P「!」
黒井「高級化粧紙、トイレットペーパーと交換させていただきます」キーン
伊織「ば、ばっかじゃないの! ここには不要になったアイドルなんて……」
春香「そ、そうだよ。私たちは、みんな家族みたいな……」
P「……ほう」
雪歩「え?」
真美「に、兄ちゃん?」
やよい「ぅっぅー……プロデューサー、まさか……」
P「黒井社長、ひとつ伺いたい」
黒井「なんなりと」キーン
P「そのトイレットペーパーだが……」
黒井「無論、シングルロールなどではない。ダブル! ダブルロールだよ、君ぃ!」キーン
P「ほほう……」
亜美「兄ちゃん? 兄ちゃん……」
響「まさか、まさか……」
あずさ「嘘、ですよね~?」
黒井「そしてティッシュは、セレブな私にふさわしく鼻セレブだ!」キーン
P「ほほう!」
美希「やよい、舐めたことあるの?」
貴音「面妖な!」
黒井「いかがかな?」キーン
春香「ぷ、プロデューサーさん? こんな話、まともに相手をしたりしませんよね?」
伊織「私たちを、交換に出したりしないわよね? ね!?」
貴音「あなた様?」
P「なかなか魅力的な提案、だと思います」
亜美「兄ちゃん!?」
雪歩「いやあああぁぁぁーーーっっっ!!!」
真「嘘ですよね? 嘘って言ってくださいよ!」
黒井「ありがとうございます!!!」キーン
P「とはいえ、765プロにはそんな……不要なアイドルなんて……」
響「そ、そうだぞ!」
真「みんな、がんばってるもんね!」
亜美「あ、亜美、もうお菓子とかがまんして、買って買ってとかいわないから……」
真美「まっ、真美ももう兄ちゃんに宿題やらせたりしないから!」
美希「ミキ、これからはもうサボらずにレッスンするの!」
千早「グラビアでもバラエティでも、好き嫌いせずになんでも出演します!」
貴音「らぁめんを1日3食までにいたします!」
春香「こ、個性を身につけます!!」
あずさ「痩せます!!!」
P「……あっ!」
アイドル一同「「えっ!?」」
P「穴……」
雪歩「!」ビクッ
P「最近、給湯室の床に穴が……」
真「ぷ、プロデューサー!」
春香「あ、穴は塞ぎます! 雪歩にもよく言ってきかせますから!」
P「……シャベル」
響「え?」
美希「な、なんなのハニー?」
P「シャベルが無ければ……シャベルさえ無ければ、もう穴について心配しなくてもいいんだよな……雪歩はいいんだけど、シャベルがなあ……」
真美「しゃ、シャベル! 亜美、シャベル持ってきて!!」
亜美「はい、兄ちゃん! シャベルだよ!!」
雪歩「わ、私のシャベル! ゾーリンゲン製の最高級円匙……」
貴音「雪歩、ここは耐えるのです。たとえシャベルを失っても、わたくし達は雪歩を失いたくはありません」
春香「そうだよ、雪歩!」
雪歩「貴音さん、春香ちゃん……うう、わかりました」
P「黒井社長、これを交換して欲しいんですが」
伊織「さあ、これでもう気が済んだでしょ。帰りなさいよ!」
黒井「ありがとうございましたー!」キーン
あずさ「昨日は大変だったわね~」
亜美「大変なんてモンじゃないよ!」
伊織「まったく! 思い出すだけでも腹立たしいわね!」
律子「? どうしたの?」
亜美「そっか、りっちゃんはいなかったんだっけ。あのね→……」
黒井「えー、お騒がせいたしております」キーン
亜美「うわ! でた→!!」
伊織「性懲りもなく、また出たわね」
あずさ「……」(お腹空いたわね~)
律子「黒井社長? どうも、おはようございます」
律子「流石に、そうもいかないでしょ。それで? わざわざ楽屋に何のご用ですか?」
黒井「毎度お馴染み、不要品回収業者でございます」キーン
律子「え?」
黒井「ご不要になられました、日用品、雑貨、古新聞、古雑誌にLBX……ユニットメンバーなどございましたら……」キーン
律子「!?」
黒井「高級化粧紙、トイレットペーパーと交換させていただきます」キーン
伊織「耳を貸しちゃダメよ、律子」
亜美「りっちゃ→ん」
あずさ「竜宮小町に、不要なメンバーなんて~」
律子「……へえ」
あずさ「ええ!?」
亜美「り、りっちゃん?」
黒井「今なら、ティッシュペーパーもお付けいたします」キーン
律子「へえ!」
あずさ「じょ、冗談……ですよね?」
黒井「携帯にも便利な、ポケットティツシュもサービスいたします」キーン
律子「へええ!!」
亜美「もうやだよ、亜美。毎日こんなの→」ウルウル
律子「なかなか魅力的なお話ですけど……生憎、竜宮小町に要らないメンバーなんて……」
伊織「そ、そうよ!」
亜美「亜美、いい子になったんだもん」
あずさ「私、一日で100グラムもダイエットに成功したのよ~」
律子「……あ」
伊織「え?」ビクッ
律子「そういえば……」
亜美「り、りっちゃん?」
律子「うーん……」
亜美「もう勝手にりっちゃんの化粧道具、使ってみたりしないから!」
あずさ「もっと痩せます!」
律子「……ゲーム」
伊織「え?」
律子「待ち時間にゲームばっかりして、挨拶回りとか行かないメンバーが……」
あずさ「伊織ちゃん、ゲーム機よ!」
伊織「はい、律子!」
亜美「あ、亜美のゲーム機……」
律子「亜美はいいのよね。亜美は。このゲーム機さえなければ、亜美はいいんだけど……」
伊織「亜美、ここは我慢よ」
あずさ「いいわよね?」
亜美「……うう。サヨナラ、亜美のミッシングム→ン……」ポロッ
律子「いいのね? じゃあ黒井社長、このゲーム機を交換お願いします」
伊織「さあ、これでもう気が済んだでしょ。帰りなさいよ!」
黒井「ありがとうございましたー!」キーン
伊織「……て、いう事があったのよ!」
亜美「も→最悪だよ、黒井社長!」
雪歩「私のシャベルも……」
千早「困ったものね。もう、来ないといいんだけど……」
黒井「毎度、お騒がせいたしております!」キーン
春香「で、でたー!」
真「そんなに毎日来たって、交換に出すものなんてないぞ!」
黒井「毎度お馴染み、不要品回収業者でございます」キーン
真美「だから→!」
響「765プロに、要らないアイドルなんていないぞー!」
小鳥「ピヨッ!?」
黒井「高級化粧紙、トイレットペーパーと交換させていただきます」キーン
千早「……駄目よ」
真「そ、そうだ。そうだ!」
春香「こ、小鳥さんも、大事な765プロの仲間。家族なんだから!」
小鳥「みんな……」(ちょっと間があったみたいだけど、気のせいよね)
黒井「今なら……」キーン
伊織「はいはい。これ、交換ね」
小鳥「ピヨッ!! 私の秘蔵の薄い本!!!」
あずさ「小鳥さん、これも小鳥さんを交換に出さないためですよ~」
真美「そ→そ→。真美たちもホントはこんなこと、したくないんだよ」
雪歩「私たち、小鳥さんを守るために心を鬼にして……」
亜美「ね→」
伊織「いいのね? じゃあ、これ」
黒井「では、トイレットペーパー1巻と交換で」キーン
小鳥「ピヨピヨッ!! や、安すぎませんか!?」
黒井「ありがとうございましたー!」キーン
小鳥「うう……」
春香「良かったですね。小鳥さんが連れて行かれなくて」
やよい「うっうー!」
小鳥「……うん」(……なんか、体よく本を処分された気も……)
P「へえ。そうなんですか」
春香「とか言っていると、また来るかもしれないですよ」
美希「さすがにそんなに毎日は来ないと、ミキ思うな」
黒井「毎度、お騒がせいたしております!」キーン
春香「って、本当に来た!?」
亜美「しつこいよ→」
黒井「毎度お馴染み、不要品回収業者でございます」キーン
伊織「アンタね、いいかげんにしないと……」
響「……ちょっと待つんだぞ。今までの流れでいくと……」
真「え?」
響「アイドル、ユニットメンバー、事務員……次に黒井社長が、交換として狙っているのは……」
雪歩「ええと……」
千早「たぶん……」
あずさ「きっとプロデューサーさんね~……えっ!?」
真美「兄ちゃん! いっちゃだめだYO!!」
やよい「プロデューサー。私、プロデューサーがいなくなっちゃったら……さびしいかなーって」ポロポロ
美希「ハニーは絶対に渡さないの!!!」
貴音「黒井殿、あの方だけは渡せません」
黒井「ご不要になられました、日用品、雑貨、古新聞、古雑誌にサンポール……」キーン
真「みんな! プロデューサーを、守るんだ」
黒井「プロダンション社長など、ございましたら……」キーン
あずさ「みんなでプロデューサーさんを死守……え?」
春香「社長、さん?」
黒井「高級化粧紙、トイレットペーパーと交換させていただきます」キーン
真美「……」
亜美「……」
やよい「……」
美希「……」
響「……」
千早「……」
真「……」
雪歩「……」
貴音「……」
あずさ「……」
律子「……」
小鳥「……」
春香「あ、じゃ、じゃあ……」
伊織「これ、お願いね」
春香「黒井社長、あれから来なくなりましたね」
千早「そうね」
律子「もともと高木元社長が、目的だったのかもね」
小鳥「今は高木社……さんも、961プロで黒井社長さんと仲良くやってるみたいですよ」
伊織「まったく、ツンデレとか傍迷惑よね。素直になればいいのに」
真美「!」
やよい「えへへー。そうだね、伊織ちゃん」
あずさ「でもああいうアタックの仕方もあるのね~」
貴音「参考になります」
亜美「どうゆ→こと?」
響「まだ亜美には早いさー」
真「押しても駄目なら、もっと押せ! だね」
雪歩「違うと思うよ? 真ちゃん」
あいつそれなりに有能なんだろ?
一同「「はーい! P新社長!!!」」
黒井「毎度、お騒がせいたしております!
毎度お馴染み、不要品回収業者でございます。
ご不要になられました、日用品、雑貨、古新聞、古雑誌にザーボンさん……国会議員などございましたら、高級化粧紙、トイレットペーパーと交換させていただきます」キーン』
終わり
ありがとうございました。
最後までテンション変わらなかったな乙
Entry ⇒ 2012.10.02 | Category ⇒ アイマスSS | Comments (2) | Trackbacks (0)
ルルーシュ「マオはHなC.C.を妄想していれば余裕で勝てる」C.C.「」
C.C.「ほう?どうするんだ?ロープウェイでは完敗だったくせに」
ルルーシュ「奴はお前にかなり心酔しているようだな?」
C.C.「そうだろうな。……私の所為だ」
ルルーシュ「なら簡単だ」
C.C.「しかし、あいつのギアスは心を読む。お前では……いや、お前だからこそマオには勝てない」
ルルーシュ「奴の所為で俺はシャーリーを失った……!!許すわけにはいかない……!!」ギリッ
C.C.「お前……どうするつもりだ?」
ルルーシュ「ふははは……!!!」
ルルーシュ「C.C.!!お前でエッチなことを妄想していれば奴は確実に取り乱す!!そこを突けば余裕だ!!!あははははは!!!!」
C.C.「お前、結構バカだな」
C.C.「いや、なんでそういう考えに至ったのか理解できない」
ルルーシュ「奴の挙動、顔つきを見て俺は直感した。―――こいつは童貞だ、とな」
C.C.「……」
ルルーシュ「あのときはシャーリーがいたから上手く考えが纏まらなかったが、童貞には童貞の弱点がある」
C.C.「それは?」
ルルーシュ「女の体を神格化し、エッチな行為そのものを神秘的なものだと思い込んでいる」
ルルーシュ「そんな神聖なものを他人が、しかも自身の惚れている女で妄想していれば誰だって動揺する」
C.C.「お前もか?」
ルルーシュ「答える義理はない!!!」
C.C.「……」
ルルーシュ「俺の大切な人を奪ったあいつに同じような苦しみを味合わせてやる……」
C.C.「ルルーシュ、誰が一番傷つくか考えているか?」
C.C.「なぁ、一番の被害者は誰かきちんと分かっているんだろうな?」
ルルーシュ「シャーリーだ」
C.C.「……もういい。好きにしろ」
ルルーシュ「好きにさせてもらおう」
C.C.「……」
ルルーシュ「ふふふ……まずは資料が必要だな」
C.C.「はぁ……」
ルルーシュ「ネットでその類の情報を閲覧するか」カタカタ
C.C.(どうしよう。妄想の中とは私は犯されるのか……)
C.C.(あまりいい気分ではないな)
ルルーシュ「……」ハァハァ
C.C.「……」
C.C.(そもそもキスすら無理やりされたこの童貞坊やにそんな卑猥な妄想ができるのか?)
ルルーシュ「まずはスクール水着を着せて……それから……胸の部分を切って……」
C.C.(だめだ。童貞だからこそ妄想が無駄にゲスい)
C.C.「……おい」
ルルーシュ「なんだ?」
C.C.「恐らくだがお前の妄想ではマオを動揺させることは難しい」
ルルーシュ「黙れ、魔女。俺の計略に穴はない」
C.C.「いや……どうせするならもっと純愛に満ちた―――」
ルルーシュ「よし、これでプランはできた」
C.C.「まて!!」
ルルーシュ「奴は遊園地にいるんだな?」
C.C.「こら!!」
ルルーシュ「お前もこい。本人が隣にいたほうがより確実だ」
C.C.「なんでお前はそう……!!」
マオ「C.C.まだかな~」ワクワク
C.C.「マオ」
マオ「しーつー!!!会いたかったよ!!しーつー!!!」タタタッ
C.C.「……」
マオ「さあ、遊ぼう?ここは僕たちのネバーランドなんだ!!」
ルルーシュ「待て」
マオ「……ルルーシュ」
ルルーシュ「マオ。シャーリーを奪い、C.C.まで得るつもりか」
マオ「何を言っているんだい?C.C.は―――は?」
ルルーシュ(C.C.がスクール水着を着た。俺はそこで局部だけを露出させるように水着を切る)
マオ「……」
ルルーシュ(そしてそこからいきり立った俺のチン―――)
マオ「あははははははは!!!!なんだいそれはぁ!!!!」
ルルーシュ「なに……!?」
ルルーシュ(バカな……動揺するどころか、勝ち誇っている……だと……?)
マオ「そんな妄想!!!僕はいつだってしてきたんだ!!!」
ルルーシュ「なんだと?!」
C.C.「え?」
マオ「残念だったね、ルルーシュ。僕を動揺させるつもりならもっと洗練された脚本にしないとだめだよ」
ルルーシュ「ぐぅぅ……!!」
マオ「僕はね、ルルーシュ!!C.C.で可能な限りの妄想をし尽くしたんだよ!!」
ルルーシュ「?!」
マオ「他人の声が聞こえない場所で一人でいるとそういう妄想で遊ぶしかなかったからねぇ」
ルルーシュ(そういうことか……!!俺は確かに女には恵まれていたから、そういう妄想をすることも少なかった……)
マオ「黙れ!!ルルーシュ!!!!リアルが充実しているのがそんなに偉いのかぁぁぁぁ!!!!!!」
ルルーシュ(ちっ……失敗だな……)
C.C.「なんかマオが動揺しているが、何を妄想したんだ?」
ルルーシュ「一時退却だ。帰るぞ、C.C.」
ルルーシュ「まさか、奴があれほどとはな」
C.C.「なあ、どんな妄想をしたんだ?教えろ」
ルルーシュ「奴に勝つためには、奴の妄想力を上回る必要があるか……」
C.C.「おいってば」
ルルーシュ(いや……培ってきた時間が違いすぎる。付け焼刃で勝てる相手ではない)
C.C.「……」
ルルーシュ「となれば……」チラッ
C.C.「な、なんだ?」
ルルーシュ「C.C.、少し協力してもらおうか」
C.C.「なにをするつもりだ?やめろ」
ルルーシュ「お前は共犯者なんだろ?」
C.C.「心までお前のものになるつもりはない」
ルルーシュ「くくく……」
C.C.(覚悟を決めるか……)
マオ「C.C.まだかな~」ドキドキ
C.C.「マオ」
マオ「しーつー!!!また来てくれたんだね!!!うれしいよ!!しーつー!!!」
C.C.「……」
リヴァル「……」
マオ「C.C.?誰だい、そのガキは」
C.C.「えっと……」
リヴァル「……」
マオ「……!?」
C.C.(マオ……)
マオ「嘘だ……!!言うな!!!やめろぉぉ!!!C.C.はそんなことしない!!!」
リヴァル「……」
マオ「やめろぉ!!!C.C.はゆるくないんだ!!!ゆるくなんてぇぇぇ!!!!」
C.C.(ルルーシュめ、どんなギアスをかけたんだ……)
ルルーシュ「見知らぬ男から唐突に告げられるC.C.の淫らな行為……」
ルルーシュ「お前の妄想力も範疇の外から攻撃されては意味はないようだな……ふふふ……」
マオ「うおぉぉ!!!!」
リヴァル(C.C.は簡単にやらせてくれた。少しエロいことを耳元で言ったらすぐに濡れた)
リヴァル(乳首を少し摘んだら、自分から喘ぎ始めたぐらいだ)
マオ「ちくしょぉぉ!!!C.C.は……!!簡単に体を許してくれない!!!ゆるしてくれないんだぁぁ!!!」
C.C.「……」
ルルーシュ「そろそろいくか」
マオ「やめろ!!ちがう!!ちがうんだ!!!C.C.は一緒にお風呂すらはいってくれないんだぁぁ!!!」
C.C.「マオ……」
マオ「部屋ではいつも下着のくせに!!!一緒のベッドで寝てくれるくせに!!!一切!!!そんなことはないんだぁぁ!!!」
ルルーシュ「魔女だな。お前」
C.C.「いや……だって……」
ルルーシュ「分かっている。童貞は常に必死だからな。引いてしまうんだろ?マオも無様だな。まさに絵に描いたような童貞っぷりだ」
なるほど
リヴァル(C.C.の髪の毛をあそこに巻きつけて抜いてやった。最高に気持ちよかった)
マオ「……いうなぁぁ!!!!」ドゴォ!!
リヴァル「ぐえ?!」
ルルーシュ「リヴァル?!」
リヴァル「いってぇ……!!ど、どこだここ?!」
マオ「許さない……!!C.C.を玩具にして……!!殺してやる……!!」ギュィィィン
C.C.「チェーンソー!?」
ルルーシュ「ちっ……!!行き過ぎた童貞は感情すらもコントロールできなくなるのか!!」
リヴァル「うわぁぁぁ!!!」
マオ「しーつーはぁぁ!!!!そんなことしないんだぁぁ!!!!」
C.C.「マオ!!やめろ!!」
マオ「しー……つー……違うよね?C.C.はそんなエロくないよね?処女だもんね?」
C.C.「……」
ルルーシュ「今だ!!リヴァルを回収してこの場を離脱する!!」
ルルーシュ「はぁ……手ごわいな」
C.C.「ルルーシュ、もうやめよう」
ルルーシュ「それはできない。奴はシャーリーを俺から奪った。絶対に許すことは出来ない」
C.C.「……」
ルルーシュ「しかし、下手な妄想は奴を逆撫でするのか」
C.C.「もうやめてくれ」
ルルーシュ「こればかりはやめるわけにはいかない」
C.C.「しかしな。私にもイメージってものが」
ルルーシュ「その外見から滲み出ているエッチなオーラを振りまきながらイメージだと?笑わせるな」
C.C.「なっ……」
ルルーシュ「他になにかないか……」カタカタ
ルルーシュ「ん……?」
ルルーシュ「ふははははは!!!これだ!!これなら!!!」
C.C.「次はなんだ?」
マオ「C.C.……」
C.C.「マオ」
マオ「しーつー!!!しーつーなんだね!!!」
C.C.「ああ」
マオ「嬉しいよ!!C.C.!!!僕のしーつー!!」
ミレイ「……」
マオ「ん?誰なの?」
C.C.「こいつは……」
ミレイ(C.C.はいつも私と裸になって一緒のベッドで寝ているわ)
マオ「……!?」
ミレイ(いつも可愛い声で鳴いてくれるのよ)
マオ「……ルルーシュ!!でてこい!!!いるんだろ!?」
ルルーシュ(なに?!バレた?!)
マオ「これは流石に大嘘だ!!!ふざけるなぁ!!!」
ルルーシュ「よくわかったな、マオ」
マオ「いいか?C.C.は……女性と一緒に寝るのは疲れるって言ってたんだよぉ」
C.C.「ばっ?!」
ルルーシュ「ほう?」
マオ「女性は果てがないから、多くの場合朝まで寝ることができないって言ってた。そうだよね、C.C.?」
ルルーシュ「そうなのか、C.C.?」
C.C.「ちがう!!マオ!!嘘をいうな!!」
マオ「嘘じゃないよ!!忘れちゃったの?あのとき、僕に話してくれたじゃないか。で、どうして寝れないの?」
C.C.「あれは……その……失言だったと翌日に訂正しただろ……」
ルルーシュ「面白いな。続けろ」
C.C.「やめろ!!私は帰るからな!!」
マオ「あぁ!!待ってよ!!C.C.!!」
ルルーシュ「仕方ない。会長を回収して帰路につく」
ミレイ「……あれ?ここはどこ?」
ルルーシュ「埒が明かないな……」
C.C.「……」
ルルーシュ「いつまで部屋の隅で膝を抱えている?」
C.C.「私はノーマルだからな。マオの言っていたことは……あれだ……一夜限りの間違いでだな……」
ルルーシュ「さて……次の作戦に移るか……。今日中に奴を……マオをしとめる……!!」
C.C.「はぁ……」
ルルーシュ(だが……生半可な妄想では奴を揺らすことはできない)
ルルーシュ(かといって、他人に妄想させるのは危険だった)
ルルーシュ(ここは俺がなんとかするしか……しかし……どうする……)
ルルーシュ「くそ……!!どうすれば……!!」
C.C.「はぁ……私はノーマルだ……普通なんだ……」
ルルーシュ「普通……?」
ルルーシュ「そうか……ふはははは!!!!それだ!!C.C.!!!」
C.C.「なにがだ?」
マオ「しーつー……おそいなぁ……」
C.C.「マオ」
マオ「あー!!しーつ―――え?」
ルルーシュ「どうした、マオ?顔が引きつっているぞ」ギュッ
C.C.「……」ギュッ
マオ「なんで……手を繋いでいるんだよ……ルルーシュ……!!離れろ!!!」
ルルーシュ(馬鹿か?恋人なんだから手ぐらい繋ぐ。勿論、こんな風に指を絡めてな)
マオ「C.C.!!違うよね!?こんなガキを好きになったりなんか……!!」
C.C.「……」モジモジ
マオ「うわぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!」
ルルーシュ(初めにここへ来たときの妄想だが。あれは妄想じゃないんだよ)
マオ「な、なんだと……!?」
ルルーシュ(あれは俺とC.C.の赤裸々な夜の営みだ)
マオ「だまれぇぇぇ!!!ルルーシュ!!言うな!!!いうなぁぁぁ!!!」
マオ「やめろっていってるだろぉ!!」
ルルーシュ(だから遠まわしに諦めてくれるように策を練ったんだが……。お前はあまりにも強情すぎた)
マオ「C.C.!!!違うんだろぉ!?こんな童貞のクソガキに惚れるなんて嘘なんだよね?!ねえ!!」
C.C.「……」モジモジ
マオ「モジモジしてないでなんとかいってよぉ!!C.C.!!!!しぃぃつぅぅぅ!!!!」
ルルーシュ(ふははははは。無様だな。マオ!!童貞がこの俺を童貞を罵る姿は実に滑稽だったぞ?)
マオ「おのれぇ!!ルルーシュ!!!どうせC.C.にギアスをかけたんだろ!?」
ルルーシュ(C.C.にギアスは通じない。知っているだろ?)
マオ「うぁ……!?」
ルルーシュ(そう……これはC.C.の意思!!想いだ!!)
マオ「ちがぁぁう!!!C.C.は僕しかないんだ!!僕だけがC.C.を愛しているんだ!!」
ルルーシュ(それにC.C.と俺は婚約も交わした。お前の敗北は決定事項だ)
マオ「え……」
C.C.(な、なんだ……マオの顔つきが変わった……)
マオ「……そこまでいうならして見せてよ」
C.C.「え?」
ルルーシュ「何をだ?」
マオ「キスぐらいできるんだろうなぁ?」
C.C.「キ……!?」
ルルーシュ(お前、他人のキスを間近で見て興奮するのか?変態め!!)
マオ「うるさい!!お前には僕に証明する義務がある!!!」
ルルーシュ「きさま……」
マオ「キスしてみせろよ!!できれば僕は諦めて田舎に帰るよ!!!」
C.C.「おい!ルルーシュ!!なんて言ったんだ!!」
ルルーシュ(お前……そんな場面を見て正気でいることができる自信があるのか?惚れた相手だろうが!!)
マオ「黙れ!!このまま何も見ずに帰るのだけはできない!!」
ルルーシュ(仮に俺がキスをしたとして、お前はその後どうするつもりだ!!)
マオ「いいからやれよ!!御託はいらないんだ!!キスをしろよ!!はやくぅ!!!」
マオ「できないっていうなら……C.C.を渡せ。君の中途半端な覚悟じゃC.C.とは一緒に暮らせない!!」
ルルーシュ(馬鹿が。既に一緒に住んでいる!!)
マオ「何十年も連れ添えるわけがないんだ!!キスもできないようじゃ!!!」
ルルーシュ「マオ……!!」
C.C.「おい!どうしてキスをするしないの話になった!?答えろ!ルルーシュ!!」
ルルーシュ(好きな女が目の前で嫌いな男に奪われるのをそんなに見たいのか?俺はそんなの絶対に見たくないがな)
マオ「僕だってみたくないさ!!ああ!!見たくない!!だけどね……C.C.の心が聞こえない以上、君の片思いである可能性だってある!!」
ルルーシュ(片思いだと?はっ、何を言っている)
マオ「C.C.はただ、君にギアスを渡したからそういっているだけかもしれない!!そうだ!!そう違いない!!!」
マオ「だから……お前がキスしようとすれば、きっとC.C.は嫌がる!!」
C.C.「マオ……」
ルルーシュ(それを知ってどうする?)
マオ「C.C.は僕が救い出す!!僕はC.C.の王子様になるんだぁ!!!」
C.C.「……」
ルルーシュ(お前は……底なしの変態か)
マオ「ああ!!C.C.の王子様になれるになら僕はピエロにだって変態にだってなってやる!!!」
C.C.「ルルーシュ……おい……どうしてこんなことになったんだ?」
ルルーシュ「……」
マオ「……嘘か」
ルルーシュ(しまった……!!つい先のことを思考してしまった……!!)
マオ「ふ……ふはは……あははは!!!そうかぁ!!!やっぱりねえ!!!そうだと思ってたんだよ!!!」
マオ「お前がぁ!!お前みたいなガキがぁ!!C.C.をモノにできるわけないだろうが!!!」
ルルーシュ「くっ……マオめ……!!」
マオ「さあ、行こうよ、C.C.。こんな童貞の傍に居たってなんの得もないよ?」
C.C.「……」
マオ「どうしたの?C.C.?こんな男、気持ち悪いだろ?」
C.C.「いや……あの……」
ルルーシュ「ここまでだな。この作戦だけは使いたくなかったが……仕方ないか……」
ルルーシュ(一番最初に思いついた作戦だったが、あまりに残酷だろうから思いとどまっていたのだが……)
マオ「なんだって……?」
警察「……」ダダダッ
マオ「な……」
ルルーシュ(俺との問答で近くまで来ていることに気がつけなかったお前のミスだ、マオ)
マオ「ルルゥゥゥシュ!!!」
C.C.「おい!!ルルーシュ!!やめろ!!この作戦は……!!」
ルルーシュ「流石の奴もこの数では手に負えない」
C.C.「だが……」
ルルーシュ(じゃあな、マオ)
C.C.「さよならだ」
マオ「C.C.!!まってよ!!どこにいくの!!」
警察(C.C.のお尻ってエロいな。噛み付きたい)
マオ「……!?」
こりゃキツイ
警察(きっとガバガバなんだろうなぁ)
マオ「うるさい!!やめろぉ!!やめろよ!!黙れお前ら!!!」
警察(そそるわ。とくにあの尻。顔に擦りつけほしいな)
マオ「黙れっていってるだろぉ!!!」
警察(あんな女でもウンチするんだよな……)
マオ「C.C.はそんなことしない!!!しない!!!!もう何も喋るなぁ!!!」
警察(ああいう女は意地悪して泣かせたいな)
マオ「C.C.が可哀相だろう!!」
警察(散々惚れさせて簡単に振ったら、泣いてすがり付いてきそうだな)
マオ「C.C.はそんな心が弱くなぁぁい!!!」
警察(濃厚なキスしてぇ)
マオ「僕だってしたいのにぃぃぃ!!!!!しぃぃぃつぅぅぅぅ!!!!!」
ルルーシュ「苦しめ、マオ!!俺の受けた苦痛はこれ以上だったのだからなぁ!!!!ふはははははは!!!!!!」
C.C.「……」
ルルーシュ「―――ああ、その件は扇に任せてある。扇に聞いてくれ」
ルルーシュ(黒の騎士団も順調だな……このまま行けば……くくく……)
ピリリリ
ルルーシュ「ん?」
ルルーシュ「―――これは?!ナナリー……!?」
ピリリリ
ルルーシュ「誰だ!?」
マオ『僕だよ……ルルーシュ……』
ルルーシュ「マオ……貴様!!ナナリーになにをした?!」
マオ『画像……見てくれたんだ……。どうだい?大事なものを奪われた心境は?苦しいだろ?辛いだろ?』
ルルーシュ「ナナリーは関係ないだろうが!!」
マオ『それを君が言うんだ。へえ……』
ルルーシュ(俺の思考が読めていない……?近くにはいないのか)
マオ『ルルーシュ……僕はね……相当、怒っているんだ。だから、何をするか分からないよ?』
マオ『僕のC.C.を取ったくせに何を抜けぬけと……』
ルルーシュ「おのれ……マオ……!!」
マオ『今、声を聞かせてあげるよ』
ナナリー『お兄様!?助けてください!!』
ルルーシュ「ナナリー!?わ、わかった!!すぐに助け出す!!」
マオ『そう簡単に見つけられるかな?猶予は3時間でいいかな?』
ルルーシュ「上等だ……!!」
マオ『そうそう……5分おきに電話をするから必ず5コール以内に出てね』
ルルーシュ「なに?」
マオ『出ないと……可愛い妹の飛び散った肉片動画を送りつけてやるから』
ルルーシュ「やめろ!!マオ!!!」
マオ『それじゃあ、がんばってね』
ルルーシュ「マオォォ!!!!」
ルルーシュ「くそ……シャーリーだけではなく……ナナリーまで……マオ……ただで済むと思うな……!!」
ルルーシュ「スザク!!」
スザク「え?なに?」
ミレイ「どうかしたの?」
ルルーシュ「こい!!」
スザク「どうしたんだ?」
ルルーシュ「いいから!!」
スザク「……わかった」
リヴァル「おーい!ルルーシュ、どうしたんだよ」
ニーナ「ルルーシュ……なにか焦っていたみたい……」
シャーリー「……?」
ルルーシュ「スザク……ナナリーが攫われた」
スザク「なんだって……?」
ルルーシュ「お前の力を借りたい」
スザク「ああ、僕でいいならいくらで使ってくれ。で、相手の要求は?」
スザク「わからないって……まさか、ブリタニアが……」
ルルーシュ「いや、それはないと―――」
ピリリリ
ルルーシュ「俺だ」
マオ『はい。5分たったよ、ルルーシュ。妹の居場所はわかったかな?』
ルルーシュ「警察に通報する手段を考えていた」
マオ『それでもいいよ?分かった瞬間、バーンだけど』
ルルーシュ「だろうな」
スザク(やはり警察はダメか)
ルルーシュ「それで要求はなんだ?」
マオ『まぁまぁ……じゃあ、ナナリーに一つ目の質問をしようかな』
ルルーシュ「質問……?」
マオ『ナナリーに好きな人はいるかい?』
ルルーシュ「やめろぉぉぉ!!マオ!!!!ふざけるんじゃない!!!!」
マオ『―――いるって』
ルルーシュ「うえあぁあああああ?!?!」
マオ『はい。じゃあ、また5分後にかけるからね』
ルルーシュ「マオ……まさか……!!」
マオ『ナナリーに対する質問はどんどん過激になるよ?早く見つけないとねえ……ルルーシュ、大変だよ』
ルルーシュ「貴様……は……!!」
マオ『いいねえ!!その悲痛な声!!あははははは!!!』
ルルーシュ「必ず見つけ出す……!!!」
マオ『がんばってね』
スザク「ルルーシュ、何があった?」
ルルーシュ「ナナリーの秘密を開示していくと言って来た」
スザク「なんだって?!はやくナナリーを助けよう!!このままじゃナナリーが学校に通えなくなる!!」
ルルーシュ「いくぞ、スザク!!」
スザク「ああ!」
ルルーシュ「はぁ……はぁ……くそ……」
スザク「ルルーシュ!!」
ルルーシュ「どうだった?」
スザク「ダメだ」
ルルーシュ(くそ……どうすれば……!!)
ピリリリ
ルルーシュ「……なんだ」
マオ『ナナリーに質問。お兄様の嫌いなところってどこ?』
ルルーシュ「マオ!!!!マオォォォォォ!!!!」
マオ『……そんな……バカな……』
ルルーシュ「え……?」
マオ『う、嘘だ!!一つもないなんて!!!嘘だぁ!!!』
ルルーシュ「ふ……ふはは……あーっはっはっはっはっはっは!!!!!」
マオ『くそ!!また5分後にかけるからなぁ!!!調子になるな!!ルルーシュ!!!』
ルルーシュ「いや……大丈夫だ」
スザク「そうか。それじゃあ僕は向こうを探してくるよ」
ルルーシュ「ああ、頼む」
ルルーシュ(ありがとう……ナナリー……)
ルルーシュ(おかげで少し冷静になれた)
ルルーシュ(少なくとも奴は近くにはいない。俺が奴のギアス効果範囲外にいるからそれは確実だ)
ルルーシュ(そして……僅かに水の音が聞こえていたな……)
ルルーシュ(地下水道か……!!)
ルルーシュ(よし……居場所さえ分かれば……スザクに―――)
ルルーシュ(いや……そう簡単に終わらせてたまるか……)
ルルーシュ「……」トゥルルル
C.C.『なんだ?今、空港に―――』
ルルーシュ「それはキャンセルしろ。緊急事態だ」
C.C.『なんだと?』
ルルーシュ「よし、第一条件はクリアだ」
ルルーシュ「あとは……」
スザク「ルルーシュ!!ダメだ!!こっちにもいなかった」
ルルーシュ「そうか」
スザク「ルルーシュ?どうしたんだ?妙に落ち着いているというか……」
ルルーシュ「スザク、奴の居場所が判明した」
スザク「なに?」
ルルーシュ「今からその場所に向かいたい。だが、俺は行けない」
スザク「どうして?」
ルルーシュ「奴を油断させたい」
スザク「ルルーシュ……何を考えている?」
ルルーシュ「いいか?俺が合図をしたら今から伝える場所に直行してくれ。途中、電子ロックされた扉もあるだろうから、その解除方法も教えておく」
スザク「……わかったよ」
ルルーシュ「俺とお前ならどんなことでもできる……確実にな」
ルルーシュ「俺だ」
マオ『まだ分からないの?大変だねえ』
ルルーシュ「まだ30分ほどしか経っていないだろうが!!それで探し出せるほうが無茶なんだよ!!!」
マオ『なら……次の質問にいってみようか』
ルルーシュ「やめろ!!」
マオ『ナナリー?自分で一番いやらしいと思う言葉ってなんだい?』
ルルーシュ「お前……俺に苦痛を与えるだけではないのか!!!」
マオ『当然じゃないか。ナナリーにも辱めを受けてもらう』
ルルーシュ「マオ……外道め……!!」
マオ『ナナリー……君は……』
ルルーシュ「なんだ?どうした?」
マオ『また5分後にかける……』
ルルーシュ「まて!!ナナリーはなんと言った!!答えろ!!」
マオ『黙れ!!ナナリー、殺すよ!!!お前は僕の言うことを聞いていればいいんだ!!!』
ルルーシュ(だが、今は待つしかない……時間には余裕がある……)
ルルーシュ(C.C.……頼むぞ……)
スザク「ルルーシュ、まだなのか」
ルルーシュ「ああ……まだだ」
スザク「わかった……」
ルルーシュ(ちっ……そろそろ5分か……)
ピリリリ
ルルーシュ「もうやめてくれ!!!」
マオ『ふん……どの口が言うんだい?僕はね……君をすっごく苦しめてから殺すって決めたんだ!!』
ルルーシュ「……ナナリーは関係ないだろ……」
マオ『じゃあ、質問だよ、ナナリー?お兄様の恥ずかしい秘密を言ってみてよ』
ルルーシュ「マオ!!!」
マオ『……え?ナナリー……それ……え……?』
ルルーシュ「どうした?次はなんだ?!」
ルルーシュ(なんだ……?マオが動揺している……?)
マオ『1日罰ゲームで自分の言いなりになったから、お姫様抱っこをさせた!?そのときの表情!?』
ルルーシュ「ナナリー……」
マオ『そんなのあいつにとっては恥ずかしくともなんともないんだよ!!!もっと変態的なことだ!!』
マオ『ぐ……!!!一緒にお風呂に入らなくなったこと?!なんだそれ!?』
マオ『え?私のことを意識し始めたからだろうから、きっとそんな自分を恥ずかしいと思っている……!?』
ルルーシュ「ふっ……」
マオ『なんだよぉ!!これじゃあただの仲のいい兄妹じゃないかぁ!!!!』
ルルーシュ「マオ。どうやら誘拐する相手を間違えたようだな」
マオ『くそ……じゃあ、ナナリー!!好きな人の名前をいえ!!!』
ルルーシュ「やめろ!!」
マオ『ルルーシュ……!?おまえもぉぉ……ルルーシュだってぇぇ……!!!!』
マオ『ちくしょぉぉぉ!!!!』
ルルーシュ「ふははははは!!!!マオ!!!お前の負けなんだよ!!!」
>マオ『1日罰ゲームで自分の言いなりになったから、お姫様抱っこをさせた!?そのときの表情!?』
・・・・・・表・・・情?
目が見えてた頃と考えるんだー
ルルーシュ「まだだ」
マオ『くそ……!!くそ……!!こうなったら……!!!木っ端微塵にしてやる!!』
ルルーシュ「まて。貴様、そんなことをしていいのか?」
マオ『いいに決まっているだろ?僕にとって必要なのはC.C.だけで、他の人間なんていらないんだ!!』
ルルーシュ「そのC.C.は今、どこにいるのか理解できていないようだな」
マオ『なに……?』
ルルーシュ「もう少ししたら画像を添付して送ってやる」
マオ『ま、まて……C.C.は不死なんだ。変な脅しは……』
ルルーシュ「バカが。凶器をちらつかせるだけが脅しだと思っているのか?」
マオ『ルルーシュ!!何をした!!』
ルルーシュ「まあ、待っていろ。大事な交渉の道具だ」
マオ『ルルーシュ!!なんだ!!いえよ!!おい―――』
ルルーシュ「ふん。これで第二条件もクリアだ」
スザク「ルルーシュ。すごく悪い顔になっているけど、大丈夫なのか?」
マオ「くそ……なんだ……ルルーシュのやつ……僕のC.C.に一体なにを……」
ナナリー「あの……」
マオ「なんだ!?」
ナナリー「こんなことをしても意味はありません。きっと貴方が後悔するだけです」
マオ「黙れよ。本当に殺しちゃうよ?」
ナナリー「貴方が今、どのような表情をしているのかわかりませんが……声で分かります」
マオ「……」
ナナリー「貴方は今、お兄様を恐れている」
マオ「黙れ……黙れ……!!!クソガキぃ!!心と全く同じ声を口からだすなぁ!!!」
マオ「もういい……。君を殺すよ」
ナナリー「……っ」
マオ「さよな―――」
ピリリリ
マオ「……?なんだ?メール……?」
ピリリリ
マオ「ルルーシュ!?」
ルルーシュ『ふははは……届いたか?』
マオ「なんだ……これ……!!C.C.を縄で縛ってぇ!!!」
ルルーシュ『亀甲縛りにして天井から吊るし、声が出ないように猿轡もする。そして目隠し。監禁するならこれぐらいしないとな』
マオ「やめろぉ!!こんなことするなぁ!!!」
ルルーシュ『どの口が言う?』
マオ「いいのか?ナナリーを殺すよ?」
ルルーシュ『やるならやれ。その代わり、数日後には動画でC.C.が男の股間ナシでは生きられなくなった様子を送りつけてやる』
マオ「な、なんだと……!?」
ルルーシュ『奴は不老不死。困ったなぁ、マオ?早く王子様が現れないと、C.C.が涎をだらしなく垂れ流し続けることになる』
マオ「きさまぁ……!!!」
ルルーシュ『まぁ、童貞では救えないだろうけどな』
マオ「うぁぁぁぁ!!!!いい加減にしろ!!C.C.を玩具にするなぁ!!!』
マオ「……C.C.の声を聞かせろ」
ルルーシュ『いいだろう』
C.C.『あぉ!うぉ!!』
マオ「僕だよ!C.C.!!」
C.C.『あぉ!んお!!』
マオ「C.C.!!すぐに助けてあげるからね!!」
C.C.『んへぇ!?』
ルルーシュ『さぁ、マオ?取引だ』
マオ「分かったよ……ナナリーは返す……」
ルルーシュ『よし……』
マオ「だから、C.C.を―――」
スザク「―――そこまでだ!!!」
マオ「え?」
スザク「自分はブリタニア軍所属、枢木スザク准尉である!!お前を拘束する!!!」
ルルーシュ『遊園地と同じだな。学習しないな、お前』
マオ「気を逸らして……ルルーシュ!!」
ルルーシュ『ふはははは……。では、約束通りナナリーは返してもらおうか』
マオ「くそ……」
スザク「ふっ!!」ドガァ
マオ「ふごぁ!?」
スザク「少し大人しくしているんだ」
マオ「くそぅ……しーつー……しーつー……」
スザク「ナナリー、大丈夫かい?」
ナナリー「スザクさん。ありがとうございます」
スザク「爆弾は……?」
ナナリー「爆弾?」
スザク「あれ……爆弾はないのか?」
ナナリー「爆弾なんてあるのですか?」
マオ「……爆弾なんてないよ」
スザク「え……」
マオ「そう……爆弾はただの脅し……だ……」
スザク「君は……」
ナナリー「スザクさん、この人はお兄様に大切なものを奪われる気持ちを教えたいと言っていました」
スザク「ナナリーを殺すつもりはなかったのか」
マオ「途中、何度も殺そうとした……だけど……できなかった……」
スザク「なぜだ」
マオ「……心と同じことしか言わないんだ……こいつ……」
スザク「心?」
マオ「お前だって今、考えているのは別のことなのに!!!今のナナリーは本気で僕の心配をしている!!」
スザク「……」
マオ「もし、お前が僕を殴ればナナリーは止めようとしている……それがわかるんだよ、僕にはぁ!!」
スザク「何を言っているんだ……」
スザク「何のことなんだ……?」
ナナリー「あのスザクさん。なんとか見逃してあげれないでしょうか?」
スザク「それはできないよ。理由はどうあれ、彼は罪を犯したんだ。然るべき場所で裁かれないとならない」
ナナリー「そうです……よね……」
マオ「くそ……あいつの妹なんて……殺したいのに……こんな心を持った人間を僕は……殺せないじゃないかぁ……」
スザク「とりあえず君を拘束する。いいね?」
マオ「……さわるなぁ!!!」
スザク「?!」
マオ「この偽善者め!!」
スザク「な……!?」
マオ「僕はお前みたいな奴が一番嫌いだ……」
マオ「自分の父親を殺したくせに……」
スザク「ど、どうして……」
ナナリー「スザクさん……?」
ナナリー「お兄様!!」
ルルーシュ「な……!?」
マオ「お前が父親を殺したんだ!!!」
スザク「うあぁぁぁ……!!!」
ルルーシュ「なんだこれは……」
ナナリー「お兄様!!スザクさんの様子が!!」
ルルーシュ「マオ!!」
マオ「ルルーシュ……やっと来たね……」
ルルーシュ(貴様、スザクになにをした!?ギアスで何を聞いた?!)
マオ「ふん……君には関係ないよ。さあ、ナナリーは解放したんだ。C.C.を返してよ」
ルルーシュ(スザクに何をしたのか言え。でなければその要求には応じられない)
マオ「ふーん……。これでも?」グイッ
ナナリー「あぁ!!」
ルルーシュ「貴様!!ナナリーから離れろ!!」
ナナリー「C.C.さん……?」
ルルーシュ(マオ、もう見苦しいことはやめろ)
マオ「黙れ……僕が……C.C.を救い出すんだ!!」
ルルーシュ(やめろ!!ナナリーには―――)
ナナリー「えっと……C.C.さんはいつも幸せそうにしていますよ?」
マオ「え……」
ルルーシュ「ナナリー?」
ナナリー「どうして貴方がそのような言い方をするのかは分かりませんが、少なくともC.C.さんはお兄様といるとき楽しそうです」
マオ「やめろ……!!うそだ……!!!」
ナナリー「嘘ではありません。お兄様は少し、C.C.さんに強い言葉を言うときもありますが、それもC.C.さんは快く受け取っています」
ナナリー「きっと、見えない信頼関係があるのでしょうね」
マオ「やめてくれぇ……もう聞きたくない……やめろぉ……なんで心からそんなことをいうんだぁ……!!」
ナナリー「お兄様も普段はあまり感情を表に出しませんが、C.C.さんの前だとうろたえることも多くて、新鮮です」
マオ「うわぁぁぁぁ!!!!!しぃぃぃつぅぅぅぅ!!!!」
マオ「うそだぁ……しーつーがぁ……うそだぁ……」
ナナリー「あ、あの……」オロオロ
マオ「僕の心配なんてするなぁ!!!やめろぉ!!!やめてくれぇぇ……うっく……ぐすっ……」
ナナリー「はい……ごめんなさい……」
ルルーシュ「スザク、立てるか?」
スザク「あ……ルルーシュ……すまない」
ルルーシュ「行こう」
スザク「え……でも……」
ルルーシュ「アイツはもういい」
スザク「しかし」
ルルーシュ「いいんだ」
スザク「……」
ナナリー「お兄様……」
ルルーシュ(C.C.に事後処理を任せるか)
C.C.「マオ」
マオ「あ……C.C.……」
C.C.「すまなかったな」
マオ「C.C.……」
C.C.「……」
マオ「……殺すの?」
C.C.「このまま大人しく帰るなら……何もしないさ」
マオ「うん……分かったよ……」
C.C.「マオ……」
マオ「バイバイ……C.C.……」
C.C.「ああ。もう会うことはない」
マオ「……」
C.C.(マオ……本当に悪かったよ)
C.C.(せめて……穏やかに生きてくれ……)
マオ「……」
ルルーシュ「マオ」
マオ「ルルーシュ……」
ルルーシュ「C.C.のことは忘れろ」キュィィィン
マオ「……」
ルルーシュ(これがC.C.の願いだ……マオ……)
マオ「ルルーシュ……なんでかな、僕は君を恨んでいるんだろう……」
ルルーシュ「よくあることだ。理由無き憎悪なんてな」
マオ「そう……でも、殺す気にはなれないんだ」
ルルーシュ「なぜだ?」
マオ「君を殺せば……大切なものを失う気がするから……」
ルルーシュ「そうか」
マオ「またね……ルルーシュ」
ルルーシュ「ああ」
ルルーシュ「スザクは?」
マオ「……」チラッ
ナナリー「お仕事に向かわれました」
ルルーシュ「そうか」
ナナリー「えっと……そこにいるのは……」
マオ「ナナリー……」
ナナリー「先ほどの……?」
マオ「マオって言うんだ」
ナナリー「マオさんですか」
マオ「うん」
ナナリー「もう行かれるのですか?」
マオ「え?」
ナナリー「それではまた。お元気で」
マオ「……うん」
ルルーシュ「今日は天気がいいな」
ナナリー「はい。とってもいい匂いがしますね」
C.C.「本当だな」
ルルーシュ「おまえ!!部屋にいろとあれほど!!!」
C.C.「小さいことは気にするな。今日は休日。生徒も疎らだ」
ルルーシュ「そういう意味じゃないんだよ!!!」
ナナリー「お兄様、落ち着いてください」
マオ「そうだよ。全く、ナナリーのお兄様にしては器が小さいねえ」
C.C.「な……?!」
ルルーシュ「マオ!?」
ナナリー「え?マオさん?」
マオ「会いたかったよ!!ナナリー!!!」
ナナリー「どうも」
C.C.「マオ!?どうしてここに!?」
C.C.「おば……?!」
ルルーシュ「(マオはお前のことを忘れている)」
C.C.「あ、ああ……そうだったな」
マオ「でも、不思議だ……。おばさんからは心の声が聞こえない」
C.C.「おばさんはやめろ……」
ルルーシュ「マオ、なんの用だ?」
マオ「お兄様に用はないよ。用があるのは……ナナリー!!」
ナナリー「なんですか?」
マオ「ああ!!最高だ!!僕のエンジェル!!!君は心を言葉にしている!!最高だぁ!!!」
ナナリー「あの……」
マオ「ナナリー。僕は君のことならなんでも分かるよ。君の好きなものから君が一番いやらしいと思う言葉まで!!」
ナナリー「マオさん、お兄様がいるので……そういうことは……」オロオロ
マオ「さぁ!!ナナリー!!デートでもしようか!!!君にぴったりの服も用意したんだぁ!!」
ルルーシュ「マオ!!その汚い手でナナリーに触れようとするな!!!」
ルルーシュ「誰が貴様などにくれてやるかぁ!!!」
マオ「今のナナリーはルルーシュのことしか頭にないみたいだけど、そのうち……僕も……ふふふ」
ルルーシュ「きさまぁぁ!!!!また繰り返す気かぁ!!!」
マオ「さぁ!!ナナリー!!!一緒に―――」
ナナリー「……」
マオ「え……そんなぁ!?ナナリー?!どうしてだい?!どうして気持ち悪いなんて!!!」
ナナリー「お兄様……」ギュッ
マオ「ナナリー!!!」
ルルーシュ「去れ、マオ」
マオ「ふふふ……なら……いいよ!!ナナリー!!君が僕と付き合ってくれないというなら!!公表しちゃうよ!!」
C.C.「マオ!やめろ!!」
マオ「ナナリーが一番いやらしいと思う言葉を!!!」
ナナリー「……構いません。どうぞ、公表してください。それで気が済むのでしたら」
マオ「……」
マオ「ルルーシュ……!!」
ルルーシュ(お前を幸せにすることはできない。お前のその性格は誰かを不幸にするからな)
マオ「なに……!!」
ルルーシュ(だから田舎に帰って、一人孤独に生きろ。それがお前のためだ!!)
マオ「無理だよ!!僕はナナリーが大好きなんだ!!愛している!!」
マオ「ほら、盗聴してナナリーの声を録音したんだ。それを毎日、こうして聞いているぐらい好きだ!!」
C.C.「うわぁ……」
ナナリー「……」
マオ「ナナリー……どうして……帰ってなんていうんだい?おかしいよぉ!!おかしいよぉ!!!」
ルルーシュ(いい加減にしろ!!マオ!!!)
マオ「ふふふ……なら、お望みどおり!!!公表してあげるよぉぉ!!!」
ルルーシュ「マオ!!」
マオ「ナナリーが一番いやらしいと思っている言葉は……オマーン湖なんだよぉ!!!あっはっはっはっは!!!」パチパチ
ナナリー「……」
ナナリー「お兄様……はしたない妹でごめんなさい……」
ルルーシュ「いいんだ。今日はもう帰ろう」
ナナリー「はい」
マオ「あれ……ナナリー?どうして……心の声が聞こえない……」
C.C.「ナナリーはお前に対して心を閉ざした」
マオ「すごい!!益々理想の女の子になったんだねぇ!!ナナリー!!!」
C.C.「マオ……」チャカ
マオ「え―――」
バァン!!
C.C.「……やっぱり、初めからこうしておくべきだったよ」
C.C.「じゃあな」
END
乙
楽しかった
そうだったこれどうなんだよ
この真偽はよ
咲世子ががんばって縛ったと思う
ちょっとそこ詳しくお願いします
Entry ⇒ 2012.10.01 | Category ⇒ コードギアスSS | Comments (1) | Trackbacks (0)
P「無差別にほっぺをつんつんする」
やよい「ぷ、ぷろひゅー……?」
P(かわいい)ツンツン
P「かぺ?」
響「じ、じびゅん!」
響「っ~~!!」
P(かわいい)ツンツン
美希「……むー」
美希「ふぁにー!」
P(おもしろい)ツンツン
真美「うい!」
P「ふぁい?」
真美「ふふふ」
P(やり返された…)
貴音「あう」
P(鼻血出た…)
千早「……あにょ」
千早「っ……!!」
千早「………あの、これに何の意味が」
P(かわええ)
雪歩「ひぅ……」
雪歩「んにゅい!」
雪歩「あぅぅ」
P(何言ってるかわからん…)
P(でもかわいい)
真「まっこまっこりゅん!」
P(りゅん?)
真「りゅんりゅん……新しいかも」
真「まっこりゅんりゅーん!」
P(何故だか危険な気がする)
あずさ「もう……めっ、ですよ」
P「すいましぇん」
P「んん?」
あずさ「ふふっ、引っかかりましたね~」
P(かわいい)
亜美「こっちだYO!」
P「むむ、手ごわい」
亜美「んっふっふ~、あみゃい……」
亜美「ふかく…」
P(かわいい)
春香「あむっ!」
P「」
春香「ふふふ」
P(咥えやがったぁぁぁぁ!!)
伊織「っ~~~!!」
伊織「ふぇん……っ!!」
伊織「ふんっ!」
P(かわいい)
P「……」
小鳥「あ…あー、あー」
P「……」
小鳥「無視は酷いでふ」
小鳥「……っ!」
P(かわいい)
律子「ぴゅ…」
律子「………ふん!」
P「いたっ!」
律子「悪戯もその辺でやめてください!」
律子「まったきゅ…」
律子「……」
P(かわいい)
皆可愛い
Entry ⇒ 2012.10.01 | Category ⇒ アイマスSS | Comments (0) | Trackbacks (0)
絹恵「お姉ちゃんお姉ちゃんお姉ちゃんお姉ちゃん……」
洋榎「何や」
絹恵「今日、末原先輩と二人で話しとったやろ……」
洋榎「最近そればっかりやなー」
絹恵「気になるもんはしゃーないやん」
洋榎「ふふふ、まあ絹はうちのこと大好きやしなー」
絹恵「……好きやで」
洋榎「おー、うちも絹のことは……」
絹恵「……っ、ちゃう! あんな、恋愛対象として好きなんや……」
洋榎「……えっ」ドキッ
絹恵「……お姉ちゃんが他の子と仲ようしとるのを見るのは耐えられへん」
洋榎「なっ……なこと言われても……」
洋榎「……それは、ちょっと」
絹恵「な、なんで! もし私にダメなところがあるなら、なんでも……」
洋榎「ほ、ほらな? うちら、同性やし……」
絹恵「でも、私は本気で!」
洋榎「第一な、姉妹やんけ……」
絹恵「な……それだけ?」
洋榎「ん……まあ、そうなるんかな……」
絹恵「…………」
絹恵「うん……おやすみ」
洋榎「お、おやすみ……」
洋榎の部屋
洋榎「……ふぅー、あかんあかん、むっちゃドキドキしてもうた」
洋榎「……絹、あの子一人で大丈夫かいな?」
絹恵の部屋
絹恵「お姉ちゃん、なんであかんの……」
絹恵「同性やから?姉妹やから? だから、あかんってゆうてんのか……?」
絹恵「なんで……じゃあもう、チャンスなんかないやん……」
絹恵「……他に、気になる子でもおるんか? お姉ちゃんが私より、他の子を優先するのは嫌や……耐えられるわけあらへん」
絹恵「あかん、なんで、なんでなんでなんでなんで……」
絹恵「お姉ちゃんお姉ちゃんお姉ちゃんお姉ちゃん……」
絹恵「お姉ちゃん、おはよ」
洋榎「おおう、おはよう……」
絹恵「……どないしたん?」
洋榎「ん、いや」
洋榎(案外、平気そうやんな、よかったわ)
通学路
絹恵「なあ、お姉ちゃん」
洋榎「なんや?」
絹恵「手え繋がへんか」
絹恵「……えへへ」ギュッ
洋榎「…………」
絹恵「………‥」
洋榎「な、なんか喋らへんのか」
絹恵「え? うん……」
洋榎(なんや絹、ようわからへんな……)
洋榎「トイレートイレー」
絹恵「もしかして、これ」
絹恵(お姉ちゃんの飲みかけに口つけるチャンスやないの……間接キス……)
絹恵「…………」
絹恵「……んっ」
洋榎「何しとるん?」
絹恵「うわあっ!」
絹恵「え、えっと、私もお姉ちゃんが飲んどるののみたいなー、なんて」
洋榎「んー、せやったら全部飲んでも構わへんで」
絹恵「じゃ、じゃあ……」ゴクッ
絹恵(…………)
絹恵「……はい」
洋榎「どないしたん? 全部飲んでええよ」
絹恵「さすがに、全部飲むのもどうかと思うて……」
洋榎「ええ子やなー。 ま、んならもろうとくわ」ゴクッ
絹恵「……っ」
絹恵(あかん、なんやこれ、興奮する……ごめんなさい、お姉ちゃん、ごめんなさい……)
絹恵(……よだれ入れてもうて、ごめんなさい)
洋榎「んー」
絹恵「聞いとる?」
洋榎「CM入ったらなー」
絹恵「……私が乾かしたろか」
洋榎「お? せやったら頼むわ」
絹恵「どう?」
洋榎「うーん、ええ感じ」
洋榎(ただ正直、やかましくてテレビの音が聞こえへんけども……ま、ええか)
絹恵(……ずっと、こうしていたいな)
絹恵「はい、終わったで」
洋榎「ありがとなー」
絹恵「……ふふ」
洋榎「なあ恭子、最近うちの私物がようなくなるんやけど」
恭子「そないなこと、私が知るわけないやないですか」
洋榎「うちが凍死してもええっちゅうんか! 昨日なんか毛布がなかったんやで!」
恭子「雅枝さんに言わなかったんですか」
洋榎「酒飲んだ後で、思いっきり寝とった……」
恭子「はぁ、それで」
洋榎「まあ結局、絹と一緒に寝ることにしたんやけどな」
恭子「主将、ほんまに絹ちゃんと仲ええみたいですね」
洋榎「ん……仲ええだけやったら、なあ」
恭子「喧嘩でも?」
洋榎「あんなあ……この前、絹に告白された……」
恭子「……はい?」
恭子「え、告白って、あの告白?」
洋榎「その告白以外あらへんわ」
恭子「返事はなんて?」
洋榎「咄嗟に、姉妹やから無理、って……」
恭子「あー、それ絹ちゃん傷ついとるやろなあ。 断るにしても、もうちびっと言葉選ばんと」
洋榎「う……」
恭子「……で、実際のところ、主将はどう思っとるんですか?」
洋榎「もう、もうええやろこれは!」
恭子「自分が言っといて逃げるのはなしですわ、むっちゃ気になりますやん」
洋榎「……そんなん、ようわからへんわ」
洋榎「絹ー? うちのシャツ知らへんー?」
洋榎「……おらんな。 絹が着とるもんやと思ったのに」
洋榎「しゃーない、後は絹の部屋やな」
洋榎「……絹、入るでー」ガチャッ
絹恵「っ!」
絹恵「あ、ノックくらいして……」
洋榎「すまんな、うちのシャツしらへ……ん……」
洋榎(な、なんで絹のとこにうちの毛布……昨日はなかった……)
絹恵「う、あ……」
洋榎「……それと、絹」
洋榎「なんや、あの瓶に入ってる赤いの……」
絹恵「あれ? ……わかっとるくせに」
洋榎「え……」
絹恵「……お姉ちゃんの、髪の毛やで」
洋榎「なっ……!」
洋榎「ひっ……」
絹恵「なんで逃げようとするん……なんで受け入れてくれへんの」
絹恵「ねえなんで?なんで?なんでなんで……」ギリッ
洋榎「いたっ……き、絹……」
絹恵「私は、こんなにも好きなのに!」
洋榎「……っ」
絹恵「……あはは、油断した」ガチャッ
洋榎「……はっ? て、手錠……?」
絹恵「決まっとるわ、ずっとこうしたかったんやから」
絹恵「これでお姉ちゃんを独り占めできる……やっと……」
洋榎「い、いや……」
絹恵「お姉ちゃん……ちゅっ」
洋榎「……ぁ」
絹恵「ふ……んっ」
洋榎「っ……」
洋榎「ぅ……ん、ぁ……」
絹恵「好き、好き……ちゅ」
洋榎「絹、絹……もうやめ……っ!」
絹恵「んむっ……ん……」
洋榎(あ、舌が……この子、本気かいな……)
洋榎「……ふぁっ」
洋榎「はぁ、はぁ……」
絹恵「幸せ……えへへ」
洋榎「なあ、絹、離して……」
絹恵「あかんわ……ぺろっ」
洋榎「ひぅ!」
絹恵「んにっ」
洋榎「ぃ、たっ……噛むな……」
絹恵「……ふふ、ええこと思いついてもうたわ」
洋榎「え……」
絹恵「お姉ちゃん、私のものにならんかな? ……えへへ」
洋榎「や、いやや……堪忍……」
絹恵「んぎっ」
洋榎「いっ、がぁっ!」
絹恵「……お姉ちゃん、可愛い」
洋榎「ぇ、げほっ……」
絹恵「……あぐっ」
洋榎「あ、いだっ……ぃ」
洋榎(痛い、染みる、痛い痛い……)
絹恵「……ふぅ、はぁっ……あぁっ」
洋榎(お……終わったんか?)
絹恵「お姉ちゃん、舌出して」
洋榎「なっ、まだ……」
絹恵「……んむっ」
洋榎「ぅ……んっ」
洋榎(……て、鉄の味? まさか……)
洋榎「ふぅ、っ……き、絹……」
絹恵「……えへへ、お姉ちゃん?」
洋榎(なんやねん……怖い怖い、痛い、嫌や……)
絹恵「……美味しかったで」
恭子「主将、おはようございます」
洋榎「ん、ああ……」
恭子「ちゅうかどないしたんです、そのマフラー」
洋榎「……最近、寒くなってきよったからな」
恭子「そんなでもないでしょう。 阿知賀女子にでも憧れたんですか」
洋榎「……そんなところや」
恭子「なんや歯切れの悪い」
洋榎(おかんが帰ってくる前に、絹に解放されて)
洋榎(風呂入る前に鑑を見たら、首から、血……)
洋榎(こないな傷晒して街中あるけへん……それに、舌に、鉄っぽいのがあたったのは……)
洋榎(嫌や……絹が、怖い……)
洋榎(怖いけど……うちが拒絶したら、絹はどうなってまうんやろ……)
恭子「主将、今日どないしたんですか」
洋榎「何がや」
恭子「振り込みばかり、それ以前に、リーチして当たり牌見逃して流局はないでしょう」
恭子「顔色もあかんし、これで何もあらへんほうがおかしいですよ」
洋榎「……なんでもあらへん、って」
恭子「手、震えてます」
洋榎「…………」
恭子「……失礼します」バサッ
洋榎「ちょ、取ったらあかん……」
恭子「っ!」
洋榎「…………」
恭子「主将!」
洋榎「……うぁっ」
恭子「ちょ、何があったんですか!?」
洋榎「……なぁ、聞いてくれるんか?」
恭子「当たり前やないですか」
洋榎(黙る気でおったのに……はは、結局、喋らずにはいられへんっちゅうことか)
洋榎(絹、弱いお姉ちゃんを許したってや……)
洋榎「……なんか言ったらどや」
恭子「……なんでそんなん黙っとったんですか」
洋榎「元々は、うちが絹の気持ちに気付かれへんかったのがいけなかったしなぁ……」
恭子「だからって……」
洋榎「絹が満足するんやったら、うちはそれでええわ」
恭子(手、まだ震えとるやないですか……)
恭子「……せやかて、こないなこと続けても、主将はもちろん絹ちゃんにもあかんやろ」
洋榎「……まあ、正直むっちゃ怖いしな……はは」
洋榎「できれば、普通に愛して欲しいわ」
恭子「…………」
恭子(主将も、もう、壊れとるんやないんですか……?)
絹恵「末原先輩と、何の話しよったん……?」
洋榎「ん……絹の話をちびっと」
絹恵「違うやろ!」
洋榎「なっ……」
絹恵「私が傷つけたって相談しとったんとちゃうか……?」
洋榎「……っ」
絹恵「なんでや、なんで……嫌、お姉ちゃん……私から離れないで、ダメダメダメ……」
絹恵「嫌や、嫌や嫌いやいや!……離れないで、お姉ちゃんお姉ちゃんお姉ちゃん!」
絹恵「……あ、はは、ははは……そっか、末原先輩が悪いんやな……やったら話は早いわ!」
洋榎「ちょっ、絹!」
洋榎(恭子も絹も傷つけとうない……なら、うちが傷つけばええんか? なぁ、絹……)
洋榎「……ちゅっ」
絹恵「っ!」
洋榎「……すまんな、前はあんなこと言うて」
洋榎「うちらは姉妹やけど、なら一緒にいられる。 なあ、絹……好きやで」
絹恵「うん、うんうん……私も……」
絹恵「……お姉ちゃんは私の、私だけの……私も、お姉ちゃんだけのもの……」
洋榎「……せやな」ギュウ
洋榎(……うちがこうしていれば、絹は落ち着ける……せやろ、絹)
洋榎(やったら、うちは構へんわ……へへ)
絹恵「お姉ちゃん……」
洋榎「……なんや」
絹恵「好き、好き……愛してる……なぁ、も一回、も一回」
洋榎「っ……んっ」
絹恵「……幸せ」
洋榎「…………」
おわれ
Entry ⇒ 2012.10.01 | Category ⇒ 咲-Saki-SS | Comments (0) | Trackbacks (0)
モバP「幸子に虐げられるのももう限界だ!」
幸子「あ、プロデューサーさん。喉が渇いたのでジュース買って来てくれますか?」
幸子「イヤとはいわせませんよ? このカワイイボクの頼みを断ろうなんて無礼ですね!」
幸子「プロデューサーさんはこっちとこっち、どっちの服がボクに似合うと思いますか?」
幸子「ふーん、そうですか……え、ボク? ボクには両方似合うに決まってるじゃないですか。だめだなぁプロデューサーさんは」
幸子「買いものにいきましょうか、プロデューサーさんの奢りで!」
幸子「プロデューサーさんは本当に使えませんねぇ……」
幸子「ほら、なにボサっとしてるんですか! ただ見てるだけなんてお飾りなんですか?」
幸子「プロデューサーさんは本当にどうしようもない人ですね」
P「……」プッツーン
P「もう限界だ」
P「……幸子か」
幸子「さっき、ジュースを頼んだでしょう? いつになったら持ってきてくれるんですか。使えない人ですね!」
P「……」
幸子「……プロデューサーさん? 聞いてますか?」
P「うるさい」
幸子「むっ……なんですかその口のききかたは。なってませんね」
P「……」
幸子「しょうがないですね、プロデューサーさんは。待っていてあげますからさっさと買って来てくださいよ」
幸子「えぇ、お仕事をかなり張り切りましたから、すっかり疲れてしまったんですよ。このままじゃカワイイボクの声が嗄れちゃいます」
P「……」ヒュッ
幸子「うわっ!? と、ととっ……なんなんですか! もう買ってあるならさっさと渡せばいいでしょう。投げてよこすなんて何を考えてるんですか」
P「……」
幸子「プロデューサーさん?」
P「ちゃんと渡しただろう。文句はないはずだ」
幸子「……ふん、もういいです」
P「……」
P「……そんなつもりはないが」
幸子「さては、カワイイボクのお付きとしてやっていく自信が無くなったとか……」
P「……!」バンッ!
幸子「ひっ……!?」
P「……別に意味はないがな。へそなんて曲げてない」
幸子「そ、そうですか。ふーん……」
P「……」
幸子「……な、なんで何も言わないんですか?」
P「何がだ?」
P「……やめた」
幸子「な、なんでですか?」
P「別に。いつも通りだったからだ」
幸子「確かに、ボクはいつもカワイイしお仕事も完璧にこなしますけど……毎回の再認識が大切なんですよ?」
P「ふーん」
幸子「ふーん、ってなんですか! まったく、それでもボクのプロデューサーなんですか?」
P「そうだ。俺はプロデューサーだ」
幸子「だったら、仕事の出来を認めるぐらいできないんですか? ダメですね」
P「だから、必要以上にかかわるのはやめた」
幸子「えっ?」
幸子「ア、アイドルの頼みを聞くのは当然の義務でしょう?」
P「そうかもな。だがもう我慢の限界なんだよ」
幸子「我慢……?」
P「……もういいだろ」
幸子「ま、待ってくださいよ! いきなりすぎて何が何だか」
P「うるさい!」バンッ
幸子「ひぅっ……」
P「……さっさと次の現場に行くぞ」
幸子「……プロデューサーさん、今回の仕事はどうでしたか?」
P「まぁまぁじゃないのか」
幸子「素直に、褒めてくれても構わないんですよ?」
P「いや、これぐらい普通にこなしてもらわなくちゃ困るからな」
幸子「それってつまり、ボクに期待してるってことですか?」
P「別に。どちらかといえばダメなほうだしな」
幸子「なっ……!?」
P「……」
幸子「このカワイイボクが、ダメなほうですって!? とんでもない暴言ですね!
幸子「ふ、ふーんだ! 何をへそを曲げてるのか知りませんけど、ボクがダメなんてありえませんね!」
P「そうか」
幸子「そうですとも!」
P「……」
幸子「な、なんですか。言いたいことがあるなら言ってくださいよ」
P「別に、何も」
幸子「……」
P「そうか」
幸子「……な、なにがあったかは知りませんけど。へそを曲げてまともにプロデュースができなくなったりなんてオチはやめてくださいね」
P「……」
幸子「プロデューサーさん?」
P「あぁ、わかってる」
幸子「わかってるならもっときっちりした返事をですね……」
P「……」バンッ!
幸子「ひっ……い、いいですよ。別にもう!」
P「……」
P(うぅん、幸子にはいつもぞんざいな扱いを受けてたからなぁ……もっとインパクトのあることを……)
P(インパクトか……うーん)
P「……台バンした時の幸子の脅え方は可愛かったな」
P「その路線でいくか、うん」
P「……」
ちひろ(なんだかよくわからないけど、プロデューサーさんがすごく邪悪な笑みを浮かべてる……)
ちひろ(面白そうなことが起きる予感がビンビンしますよ!)
P「番組コンセプト的にこっちだな」
幸子「そうですか。ふーん……じゃあこっちにしておきます」
P「そうか」
幸子「……」
P「……」
幸子「ボクにはどっちも似合いますけど、プロデューサーさんがオススメするのでこっちにしてあげます」
P「そうか」
幸子「……」
P(明らかに不満そうだが、無視だな)
P「まぁまぁだな」
幸子「ふふん、ボクの仕事に目が肥えてしまったんですね? 仕方ない人ですねプロデューサーさんは」
P「あぁ、そういえば卯月は最近いい感じだな」
卯月「えっ……あ、ありがとうございます!」
P「うん。鼻が高いよ。頑張ったな」
卯月「はいっ! 頑張りました!」
P「今度ご褒美にケーキでも食いに行くか?」
卯月「い、いいんですか? やったぁ! ……で、でも幸子ちゃんは」
P「幸子はいいや」
幸子「……」
P(うらめしそうな視線。うむ、ゾクゾクくる)
P「……」
幸子「ふふん、あまりの可愛さに声も出ませんか! しかたありませんね、存分に見とれてください!」
P「いや、微妙だな」
幸子「なっ……どこが微妙だっていうんですか!」
P「色合い。着こなし。ちょっと指示と違うな」
幸子「そんなこと言われても……」
P「まぁ、言っておくから脱いで戻しておけ」
幸子「……わかりました」
P「オフ?」
幸子「えぇ、どうせプロデューサーさんは1人さびしく過ごすんでしょう? それならボクが一緒に」
P「悪いけど先約があるから」
幸子「なっ……い、いったい誰とですか?」
P「卯月とかな子」
幸子「……な、なんならボクがついていってあげても」
P「ごめん、ケーキショップの優待券3枚しかないから」
幸子「……ふ、ふんだ! じゃあいいですよーだ!」
P「そうか」
幸子「……ほ、本当についていってあげませんからね?」
P「そうか」
幸子「……」
P「は?」
幸子「ふふん、ボクはカワイイだけじゃなくて料理もできるんですよ。しかも優しいですから」
P「そうか」
幸子「この、ボクお手製のお弁当をわけてあげてもいいですよ!」
P「別にいらない」
幸子「まぁ、分けてほしいのならそれ相応の……え?」
P「だから、別にいらない」
幸子「な、なんで……」
P「俺、料理ぐらいならできるしなぁ。いいや」
幸子「……ふ、ふーんだ! このカワイイボクの手料理を食べるチャンスを自ら逃すなんて素直になれない人は可哀そうですね!」
P「そうか」
幸子「い、今なら分けてあげても……」
P「いらない」
幸子「……」
P「喉?」
幸子「ふふん、ボクはカワイイだけじゃなくて体調管理も万全なのでドリンクを持ち歩いてるんです」
P「そうか」
幸子「今日は暑いですからね。熱中症とか怖いでしょう? あなたがお願いするならわけるのも吝かでは……」
P「いや、俺も自分の分ぐらい確保してるから」
幸子「えっ……」
P「……それだけか?」
幸子「ふ、ふん! ボクのプロデューサーをしてるだけあって体調管理程度はできて当たり前ですよね! なら別にいいです!」
P「そうか」
幸子「……」
P(最近あまり関わらないようにしているが、幸子からの干渉が激しくなったな。うむ、可愛いぞ)
P「……」
幸子「あー、流石にカワイイボクといえど、今日の収録はなかなかにハードでしたねー」チラッ
P「……」
幸子「あぁ大変だ、普段は持ち歩いてるボトルの中身がもうない……」
幸子「喉が乾いて大変だなぁ、どうしましょうか……」チラッチラッ
P(ふむ、前なら直接喉が渇いたから買ってこいとねだって来たのに遠まわしになったな)
幸子「このカワイイボクが、水分不足で倒れちゃうかもしれませんねー、どうしましょうか」
P(……だが……)
P「……」スクッ
幸子「あれ、プロデューサーさんどうしたんですか? ひょっとしてプロデューサーさんも喉が渇いてるとか……」
P「……」バンッ!
幸子「ひっ……!?」
P「……」
幸子「な、なんなんですか! なにか言いたいことでもあるんですか?」
P「……」
幸子「ちょっと、プロデューサーさん……?」
P「……」
幸子「な、なにか言ってくださいよ……」
P(可愛い)
幸子「プ、プロデューサーさん」
P「……」
幸子「……」
P「……」
幸子「なんなんですか……なんで、ボクのことをないがしろにするんですか!」
P「なんのことだ」
幸子「なんのこと、じゃありませんよ!」
P「……」
幸子「うっ……」
幸子「こんなに、ひどい扱いにすることないじゃないですか……」
P「……」
幸子「もっと、前みたいに……かまってくれてもいいんですよ……?」
P「……」
幸子「……」
P「幸子……」
幸子「プロデューサーさん……ボクだって」
P「くぁいい」
幸子「は?」
P「カワイイ」
P「反省する幸子可愛い」
幸子「ま、まぁボクがカワイイのは知ってますけど、なんですか急に」
P「虐げていた事実を反省する幸子可愛い」
幸子「べ、別に虐げていたつもりは」
P「ジュース買ってこいとかパシリ代わりは辛かったけど可愛い」
幸子「う……」
P「普段素直に褒められることが少ないからひるんじゃう幸子可愛い」
幸子「も、もうっ! やめてください!」
P「そうか」
幸子「そうです! いくらボクがカワイイからって……」
P「だが、虐げられる幸子の可愛さは新鮮だったな」
幸子「なっ……」
P「一生懸命構って欲しくていろいろ遠まわしにアピールする幸子可愛い」
幸子「ち、違います! ちょっといろいろ気になっただけです!」
P「ふーん、そうか」
幸子「そうですとも! うぬぼれないでください!」
P「……幸子の作ったご飯って美味いのかなー」
幸子「うぐっ」
P「そうか」
幸子「そうですとも!」
P「そうかそうか」
幸子「なんですか、気持ち悪い笑みを浮かべないでください! 不愉快です!」
P「幸子は俺のことを嫌ってるのか―」
幸子「そ、そういう意味じゃなくてですね……」
P「……あぁ、そういえば。この前いったケーキ店の優待券がここに2枚あるんだが」
幸子「へ、へぇ……?」
P「いやぁ、美味かったなぁ。今度は誰といこうかな……」
幸子「あ、相手がいないんですか? さびしい人ですね」
P「そうだなー」
幸子「1人でケーキショップなんて可哀そうな人にしか見られないでしょうね、どうするんですか?」
P「そこなんだよなー。どうしようかなー」
幸子「まぁ、どうしてもっていうならボクが……」
P「よし、今度はみくでも誘うかー」
幸子「!?」
P「……」
幸子「ま、前川さんはきっと甘いものとか……」
P「大好きって言ってたしなー。うん、それがいいかなー」
幸子「うぐぅ……」
P「?」
幸子「ボクも……連れて行ってくれてもいいんですよ……?」
P「あー、券に余りが無くてなぁ……」
幸子「……」
P「さて、みくに電話を……」
幸子「待ってください!」
P「うん?」
幸子「……ボ、ボクもいきたいから……連れて行ってください……」
P「……うん、もちろん!」
幸子「や、やった……ってあれ? 券がいっぱい?」
P「そりゃあ仕事でもらったものだし、たくさん融通してもらったわけだよ」
幸子「なっ……」
P「言われなくても連れてく気はあった」
P「しかし素直な幸子は可愛いなぁ。ついいじわるしたくなる」
幸子「ふ、ふんだ! プロデューサーさんは本当に性格が歪んでますね!」
P「そうかなぁ」
幸子「ボクはどんな風だってカワイイに決まってるでしょう! なんなんですか、もうっ!」
P「何って、プロデューサーだけど」
幸子「そういうことを聞いてるんじゃありません!」
P「そうか」
幸子「そうです!」
幸子「……買いもの?」
P「なんなら欲しいもの買ってやるから。な?」
幸子「……ふーん……わかりました」
P「お、いいのか?」
幸子「えぇ。ボクが欲しいものはボクに似合うものすべてですから!」
P「えっ」
幸子「男に二言はないですよねぇ、プロデューサーさん?」
P「……」
幸子「あぁ、楽しみだなぁ……ふふーん♪」
P「財布、大丈夫かな……」
幸子「特に、トップアイドルの座なんかはカワイイボクにぴったりですよね♪」
P「えっ?」
おわり
書いてる内容が話題の反復横とびみたいになってきたし投げます
ごめんなさい
保守支援ありがとうございました
Entry ⇒ 2012.10.01 | Category ⇒ アイマスSS | Comments (0) | Trackbacks (0)
伊織「た、台風が怖いわけないじゃない!」
伊織「そ、それは、その…」
P「(伊織かわいい)」
小鳥「今日は台風が直撃するでしょうねー…」
伊織「えっ!?そうなの?」
小鳥「あら、伊織ちゃんニュースとか見てないの?」
伊織「昨日は疲れてすぐ寝ちゃったし、今日はすぐここにきたし…」
伊織「えっ…じゃあ私、今日なにしにきたのよっ!」
P「まあまあ伊織、せっかくだし午後まで事務所でゆっくりしていけ」
伊織「…オレンジジュース」
P「はいはい、今用意します。すみません音無さん、ちょっと行って来ます」
小鳥「お気をつけて」
P「雨は降ってないけど…風が強くなってきたな…」
P「えっと、オレンジ100…と」ポチッ
ガランゴロン
P「ついでに俺のエメマンを」ポチッ
ガランゴロン
P「つっ…もう降ってきたか…早く帰らなきゃ…っ?」
伊織「べ、別にあんたのために傘二つ持ってるわけじゃないんだからっ…」
P「ははっ、ありがと、伊織」
伊織「か、感謝はいらないからもういっこオレンジジュース」
P「はいはい、お嬢様」
伊織「そ、そうねっ…」
P「伊織、どうした?」
伊織「な、なにがよっ…」
P「いや、なんか傘が尋常じゃないほど震えてるぞ」
伊織「そ、そそそんなことっないわよ…」ガタガタ
伊織「そ、そうなのっ!大人用の傘だから、ちょっと重くて…」
P「そっか、じゃあ俺が持ってやるよ」
伊織「ふぇっ?で、でもあんたはどうすんのよ…」
P「一緒に入ればいいじゃないか」
伊織「そうね、一緒に…一緒…?一緒…//////」ボフッ
伊織「///////」
P「伊織、そんな離れてると濡れるぞ」
伊織「べ、別に離れてないわよ…」
P「いやいや、どう見たって離れすぎだろ。ほら、こっち寄って」
伊織「ちょっ!急に肩を掴まないでよっ/////」
伊織「そ、それと…」
P「?」
P「えっ?別に、学生時代は友達とかだな。一番最近は律子とか音無さんだけだぞ?」
伊織「学生時代の友達はいいけど…律子と小鳥は女の人じゃない…」
P「それがどうかしたか?」
伊織「あんた…そういうデリカシーってものはないわけ?」
P「?何を言ってるんだ伊織…?」
P「?」
伊織「す、好きな男の子と一緒にしたいことの中でもかなり人気のものなのっ!///」
P「いや、別に律子も音無さんも会社の同僚だから」
伊織「…鈍感…」
P「ん?なんか言ったか?」
伊織「べ、別になんでもないっ!!」
P「ただいま」
伊織「…」
春香「あっお帰りなさいプロデューサーさんっ!雨、大丈夫でしたか?」
P「ああ、伊織が傘を持ってきてくれたから大丈夫だったよ」
美希「デコちゃん、抜け駆けはずるいの…」ムスッ
伊織「で、デコちゃん言うな!それに抜け駆けってなによ!」
美希「今日はデコちゃんのデコがデコすぎてついていけないの…あふぅ」
伊織「デコすぎるってなんなのよ!」
真美「兄ちゃんのとくこうががくっと下がってしまいましたなー」
やよい「伊織ちゃん、普段はプロデューサーのことすっごく楽しそうに
話してくれるんですよー?」
千早「高槻さん、今度私の家で2人っきりでゆっくりプロデューサーについて
語り合いましょう!2人っきりで」
P「ああ、ありがとう雪歩。ありがたくいただくよ」
雪歩「い、伊織ちゃんもよかったら…」
伊織「…ありがと」
真「伊織はプロデューサーに対して偉そうなんだよ」
伊織「なっなによ急にっ!」
真「本当のことだよっ!いっつもいっつもプロデューサーをこきつかって!」
伊織「私のプロデューサーなんだから当たり前じゃないっ!」
真「プロデューサーはみんなのプロデューサーだよっ!」
P「まあまあ2人とも…」
真&伊織「うるさいっ!」
P「」
小鳥「もう、ケンカはだめって言ってるじゃない…」
伊織「ごめんなさい」
真「…ごめんなさい」
P「まあ真、俺が好きでやってる事だ。別に伊織が俺をこきつかってるわけではない」
伊織「ほっほらねっプロデューサーならそういってくれると思ったわ」
P「でも俺はお前だけのプロデューサーじゃない。みんなのプロデューサーだ」
伊織「っ!…」
P「それだけはわかってくr「いや」
P「おいおい、わがまま言うなよ」
伊織「そんなの、嫌よ…あんたは、あんたは私のことだけ見てればいいのよっ!」
P「い、おり…?」
小鳥「(無意識の告白キタコレぴよ)」
伊織「あんたが私をプロデュースしてくれるって知った時、
どれだけ、嬉しかったか…やっと私、デビューできるんだっ…て…」グスッ
P「伊織…」
小鳥「みんな、ここは2人に任せて」
亜美真美「え→」
春香「えーじゃないの2人とも。さ、こっちおいで」
亜美真美「ぶ→」
P「うん」
伊織「最初はっプライドだけ高いただのお嬢様で…大人の言う事なんか全く
耳を貸さなくて…」
P「あのころは大変だったなー。仕事先で怒鳴り散らして帰ってっちゃうんだもんな」
伊織「でも、あんたのおかげで、私変われたのよ、ホント…自分でもびっくりするほど
大人になれたわ」
P「ばーか、お前はまだまだ子供だ」ナデナデ
伊織「っ/////な、撫でないで、よ…/////」
P「まあ、俺と律子の2人しかいないからな」
伊織「それが私には…辛かったのよ、とても…」
伊織「いつも隣にいてくれて、服を一緒に見に行ったり、遊園地に行ったり
いつも私が頼むとすぐに、オレンジジュースを、買ってきてくれて…」
P「伊織…?」
伊織「わ、わたしあんたがっ「プロデューサーさん、大変ですっ!」
P「どうしました?」
小鳥「あずささんから、この台風の中道に迷ったって、今公衆電話から電話が…」
P「っ!探しに行ってきますっ!」ダッ
伊織「…私も行くわ」ダッ
小鳥「伊織ちゃん、ファイト」
P「す、すごい雨だな…傘なんか意味ないぞ…」
伊織「だ、だから雨合羽持ってったほうがいいって言ったじゃないっ…」
P「そ、それにしても手がかりもなしにどうやってあずささんを探せば…」
伊織「あんたならいつもみたいに勘で見つかるわよ」
P「だ、といいんだがな」
伊織「雨が強すぎて、目、があけれ、ない…」
P「伊織、俺の手をしっかり握っとけ」
伊織「う、うん…///」
P「確かここらへんに、あずささんの好きな喫茶店が」
あずさ「あら~プロデューサーさん~こっちですよ~!」
P「あ、あずささんっ!大丈夫ですか?」タッタッ
あずさ「ええ、やっぱりプロデューサーさんは、私をいつも見つけてくれるんですね」
P「そりゃあなたのプロデューサーですからね」
あずさ「それだけじゃないかもしれませんよ~うふふ」
P「えっえっ?」
伊織「…」
伊織「ただいま」
あずさ「帰りました~」
小鳥「おかえりなさいプロデューサーさん、あずささん、伊織ちゃん」
小鳥「他のみんなは早めに帰らせておきました~っって、べたべたじゃないですか
2人とも!」
P「いや~傘が壊れちゃって…」
伊織「もうっ最悪!」
あずさ「あらあら~」
小鳥「あずささんはちゃんと雨合羽かぶってたんですね」
あずさ「はい~。プロデューサーさんが、持っていけって」
伊織「…」
P「はい、任せてください」
あずさ「私は小鳥さんと一緒にここで過ごすわ~」
P「はは、あんま飲みすぎないでくださいね」
伊織「…」
P「なあ、伊織?」
伊織「なによ」
伊織「た、台風が怖いわけないじゃない!」
P「じゃあなんで俺の裾を掴んでいる」
伊織「そ、それはその…」
P「ん?」
伊織「こうしてると落ち着くの…///」
小鳥「(なんか違うとこにストライクキタコレ)
P「そ、そうか。じゃあ行くぞ」
伊織「うん////」
ブーン
P「しっかしワイパーの速さが追いつかないな…」
伊織「そうね…」
P「またあの風格ただよう執事さんに会わなきゃいけないのか…」
伊織「別にただの執事よ」
P「でもこんなべたべたで会うのはどうかと思う」
伊織「私も早く着替えたいわ」
P「男の人の前でそういうこというな」
伊織「後ろよ」
伊織「私の家だと遠すぎて風邪ひいちゃうわ」
P「かもな」
伊織「だから、あんたの家でシャワー浴びてくわ」
P「そうだな…ってえええええええええええ」
P「ど、どうぞ」
伊織「え、ええ。お邪魔させてもらうわ」
P「き、着替えとかどうする?」
伊織「あ、あんたのTシャツとか適当に着れば良いでしょ」
P「そ、そっかじゃあてきとうに準備しとくぞ」
伊織「じゃ、シャワー借りるわね」
P「アイドルが自分の家でシャワーを浴びてるとかどんな状況だよ全く…」
P「台風も捨てたモンじゃないな」
伊織「お、お待たせ///」
P「い、伊織なんだその格好は」
伊織「い、いいじゃない別に//////」
P「い、いやでもバスタオルだけっていうのは…」
伊織「いいから!あんたもシャワーあびてきなさいっ!////」
P「お、おお」
P「あいつは全く何を考えてるんだか…」
P「いくらまだ中学生とはいえ意外とスタイルいいからなあいつ…」
P「いやしかし俺はロリコン、ではない…はずだ」
P「いーおりん、お・ま・た・せ?」
伊織「いや、でもまだ中学生だしさすがに最後までって言うのはだめよね、うん。
第一あいつご、ごごゴムとかちゃんと持ってるのかしら…」ブツブツ
P「」
伊織「あっ…////い、いらっしゃい」
P「いらっしゃいってなんだよ////」
P「あ、当たり前だ!」
伊織「よ、横、座りなさいよ…」
P「お、おう」
伊織「///」
P「/////」
伊織「な、なによ…////」
P「とりあえずお前、服着ろよ/////」
伊織「い、いやっ////」
P「なんでだよ…・」
伊織「だ、だって、その…」
伊織「す、スーパーアイドルにもプライベートってものがあるのよ」
P「いや、しかしだな…」
伊織「…なに…しって…」
P「?」
伊織「そんなに私って魅力ないの?」
P「は?何を言ってるんだ伊織「だって!」
伊織「なんで、なん、で…なんで何もしてこないのよぉ~…」グスッ
P「伊織…」
P「ありがとうな」
伊織「だから、ね?その…あんたが喜ぶ事、してあげたいのよっ」グスッ
P「…」
伊織「私はあんたに嫌われていたのね…そりゃそうよね、こんな偉そうな態度ばっかりで
あんたに感謝の言葉一つ言えずに…」
伊織「私がバカだったわ…じゃあ、ね…グスッ」ダッ
P「待て伊織」
伊織「な、なによ…も、もういいのよ私のことは…グスッアイドルはちゃんと続けるから
心配はいらないわ…」グスッ
伊織「な、によ…」
P「お前はなんでアイドルになったんだ?」
伊織「そ、それはお父様やお兄様に認めてもらうためよ」
P「その目標に向かってお前は頑張ってきたよな」
伊織「そ、そんなことは今関係ないじゃないっ!」
P「関係あるんだよっ!」
伊織「っ!」
P「それなのに、思春期の恋愛感情なんかに任せてこんなことをして」
P「お前はそれでいいのか?なあ、水瀬伊織!」
伊織「…」
P「お前はそんなくだらない人間じゃないだろ!」
伊織「くだらないってなによ…私のこの気持ちは!くだらなくなんかない!」
伊織「っ…もういいわ。かえ、る」
P「伊織、お前はホントプライドが高いな」
伊織「なによ、いまさら説教なんて…」
P「お前は自分に自信があって、でもちゃんと周りの人のことも考えれて」
P「だからこそ自分のミスが許せなくて、次は失敗しないんだってがんばって」
P「ただお前はまだ子供だ。だからそういう感情に流される」
伊織「っ!もういいわよ説教は!」
童貞の俺が言うんだから間違いない
P「だからな、伊織…」ギュッ
伊織「あっ////」
P「今はこれで、我慢してくれ」チュッ
伊織「ん…////わ、わかったわ/////」
伊織「あ、雨が強いわね…」ギュッ
P「おい伊織、20にもなって台風が怖いのか?」
伊織「た、台風が怖いわけないじゃない!」
完
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棚町薫「アタシが〝薫〟と呼ばれる理由」
橘「ご、誤解だって! 僕は決して…っ!」
棚町「誰だってそう言うのよ、こういうときは絶対にね」
橘「違うよ! いや、違わなくも無いけど……でも、絶対にそうとは言い切れないって!」
棚町「へェー、じゃあ認めるのね?」
橘「ち、ちがっ……そうじゃない! そうじゃなくてッ!」
棚町「……アンタの意見はもうどうだっていいの、このアタシがいる時点で」
棚町「アンタの罪はもう決まったも当然」
橘(ぐぉっ……な、なんなんだこの娘っ…!?)
棚町「いいから、大人しくそれなりの……アタシからの対処を受けなさい」ズチャッ…
橘「ひっ…!」
棚町「この、ストーカーッ!!」
駅前ゲーセン
橘(……ふぅ)
橘(確かこの辺に来てたはずだ、後ろ姿しか見えなかったけど…)
橘「…居るのかな、この近くに」
橘「少し、探してみるか……この辺は僕も詳しいし」すた
どんっ
橘「───あ、すみません…!」
「あ、こっちこそすみませんっ」
橘「前を向いていなかったもので……」
棚町「まあ、こっちも見てなかったので……」
橘「ん?」
橘(あれ、この髪型どっかで見た事あるような……)ちらっ
棚町「…?」
橘(………。あ、輝日東中の核弾頭!!)
棚町「………」
橘(残した伝説は数知れず、ムカツイた男子を歩道橋から突き落としそうとしたり!
何も関係のない女子を転校にまで追いやったと言われる中学生の悪魔ッ……!!)
橘(……えーと、それで、名前はなんて言ったんだっけ?)
棚町「…まあ、いいわ。ちょっとアンタに聞きたいことがあるんだけど、いいかしら?」
橘「うぇっ!?」びくぅ!
棚町「…うぇ?」
橘「あ、あははっ……いや、なんでもない! 何でもないよっ!」
棚町「あ、そうなの…? 変なやつね」
橘(あ、危なかった…! 変にご機嫌損ねたら、僕まで何をされるかわかったもんじゃないよ…っ!)
棚町「…それで、ちょっと聞きたいんだけど」
橘「は、はいィ! なんでしょうかっ!?」
棚町「……この辺で、ここまでの髪の長さの女の子。見なかった?」ちょんちょん
橘「え? えーっと、女の子…?」
棚町「ま、知らないっていうならそれでいいわよ」
橘「あ、うん……ごめん、別に僕は見かけてはない……かな?」
棚町「そっか、ん、まあてんきゅ。それじゃあこれで」
橘「う、うん」
棚町「…ったく、どこ言ったっていうのよ恵子は」すたすた…
橘「………」
橘(誰か探してるのかな? ここのゲーセン、けっこう広いし…)
橘「……あのっ」
棚町「……ん? なに?」
橘(あ、なに呼び止めちゃってるの僕!?)
棚町「……なによ?」
橘「あっ……えっと、あのその…!」
棚町「……」じぃー
橘(めちゃくちゃ見られてる…! そりゃそうだ! 呼び止めたの僕だもの!)
棚町「僕も?」
橘「───僕も一緒に、探そう……かな?」
棚町「は?」
現在
棚町「覚悟しなさいよッ!」
橘(それからどうしてこの流れになったんだ……)
棚町「最初からな~んか、怪しかったのよね~……このアタシを見る目つきとか、まるで品定めしてるよな感じでッ」
橘「し、品定めって……!」
棚町「いいからおとなしくしてなさい、警備員着ちゃうじゃない…その前に一発、腹にドカンと……」すた…
橘「うひっ…!?」
橘(こえええ! 恐いよ! これが普通の女の子が出していいオーラなの?!
僕は絶対に、これからさきこんな恐い女の子は出会わないはずだよ…! くそ、なんとして切り抜けなきゃ…!)
橘(……ッ! どうする、まずは何をしてくるか確認を───)
ゴビュッ!
橘「……!?」
棚町「───あら……」すた…
橘(な、なんだっ…!? 今の速さは…!)
棚町「…避けるのね、やるじゃない」
橘「っ…!」
棚町「アタシの回し蹴りを避けるのは───……ふふっ」
棚町「アンタが初めてよッ!」ブン!
橘「うわあああっ!?」ひょい
棚町「ッ…そう躱すと思ってたわ! おりゃっ!」ぎゅるびゅる
橘(何!? 回転蹴りで行った威力を抑えること無くまたその場にて回転…!
そして勢いに乗ったまま、力強く放つその左手は……!)
ブン!
橘「───ごはぁっ!?」ドス!
橘「ぐっ……」よろ…
棚町「…嘘、耐えるんだ、ひゅ~♪」
橘「……っはぁ!」
棚町「………」
橘(…い、今の拳の重さはなんなんだよ…バケモノかよ、女の子なのかよ本当に…!)
棚町「だけど、そんな対応じゃー…アタシの気も少し、晴れないわね」
橘(ああ、よかった…! お腹の中に、三冊分お宝本を隠しておいて…! だいぶ、衝撃が薄れたよ…!)
棚町「………」すっ
橘(だけど──この次が来る、次はお腹以外にくる可能性だってあるはずだ……!)ババ!
棚町「…逃げないのね」
橘「ッ……あ、当たり前だよ! 言われもないことでっ、振るわれる暴力にっ…!」
橘「僕はっ……決して屈しないのだから!」
棚町「………」
橘(───でも、どうして僕…ストーカーって呼ばれてるんだろう…)
橘(んー、なにが行けなかったのかな……もしかして、彼女に僕が)
橘(今日はどんな悪事を働いてるの? とか、今日はどれだけの男子を泣かしたの?)
橘(とか、言ったからかなぁ……え、でも不良とかってそれを誇りに思ってるとか漫画に書いてたようなきがするんだけど…)
棚町(コイツは絶対にそうだわ……! 最近、アタシの後ろで視線を感じる正体…!)
棚町(しかも、コイツが言ったこと全部……最近アタシがやったこと言い当ててるし、なによ…どうして男子を殴ったこと知ってるのよ…)
棚町(ちょっと酷くやりすぎちゃったから、誰にも言わないようソイツに強く言っておいたのにッ……)
棚町&橘(とにかく、コイツは危険……ッ!)
橘「……くっ」
棚町「くっ……」
橘「……僕は、ひとつだけお前に言いたいことがある!」
棚町「……なによ」
橘「お前は……」
橘(えーと、何を言おうかな……)
橘「───そんなんじゃ、探してる人には会えないぞ!」
棚町「ッ……!?」
橘(こ、こんな感じかな…? そ、そうだよ! こんな風に騒ぎを起こしてしまったら、
探し人にも逢えるはずなんてないよ、絶対に…!)
棚町(こ、コイツッ……! 恵子の場所を知ってるの!?
もしかして、アタシがどれだけ探しても見つからない理由って……もしかしてっ!)
棚町「……良い度胸ね、アンタ」
橘「え?」
棚町「いいわよ、受けて立ってあげる……このアタシが目の前に居るんだから、そんなフザけたことはしなくもいい……」ぎりりっ
橘「え?」
棚町「その腐った人格を……このアタシの拳で、叩きなおしてあげるから…ッ」
橘「え、ちょ、まって!」
棚町「問答無用ッ!」
橘「ふぇっ!?」
棚町「アンタをボッコボコにした後にッ……恵子の居場所も、吐いてもらうわよっ!」だっ
橘「ひぃいい!?」
「───きゃあっ!?」
棚町「っ……!?」ぴたっ
橘「っ……ひぃいっ……」がくがく…
棚町(この声……恵子、の声よね…?)
棚町「───恵子っ!? どこにいるのっ!?」ばっ
橘「ううっ…顔だけは、顔だけはやめて……」
橘「……ん? あれ?」きょろ…
橘「……」
橘「どっか、居なくなった…?」
~~~~~
棚町「恵子っ!?」
「や、やめてくださいっ…」
男子「ねえ、いいじゃん? 暇なんでしょ?」
「だ、だから私は友達と待ち合わせをしててっ…」
男子「なーにいってるの、どこにも居ないじゃん。それにここまで付いてきたんだから、それなりの…ね?」
「う、ううっ……」
棚町「………居た…」ズンズン…
男子「ね? ほら、こんなゲーセンよりもいいところ知ってっから───」
棚町「──それなら、アタシも知ってるわよ…この場所よりも、良い所」
男子「え?」
「あっ……」
棚町「それは……こんな場所よっ!」ぐいっ!
男子「うわぁっ!?」
どん!
棚町「………」
男子「なッ……ちょっ…お前ッ…!」
「あ、か、薫……!」
棚町「もう大丈夫よ、恵子。アタシがついてるから」
田中「あ、うん…!」
男子「なん、だよッ……お前! 力強っ…!」
男子「がっ……ぐっ…」ぐいっ
棚町「無駄よ、アンタみたいなヒョロヒョロに…解けるような力じゃー無いわよ」
男子「や、やめっ…!」
棚町「ええ、やめてあげる。だけど、アンタが知ってる情報を全部吐きなさい」
男子「意味がっ…わかっ…!」
棚町「………」ぐりっ
男子「うぎっ…!?」
棚町「───良いから、無駄なことは言わない」
田中「っ…っ……っ…」おろおろ…
男子「ッ…!」
棚町「早くしないと、気を失うわよ。答えるなら縦に一回、答える気がないのなら横に一回首を振りなさい」
男子「…ッ……」
棚町「どうしたの、早く」
「───おーい、まだナンパしてるのかよ…早く、ってうお!?」
「み、見ろよ…! なんか捕まってるぞ!」
「ええっ!?」
棚町「……仲間?」
田中「ふぁっ…?」
男子「けほっ……た、助けてくれ!」
「……おい、なにやってるんだお前」
棚町「…いいわね、もっと聞き出す相手が増えたじゃない」ぱっ
ドサ…
「だ、大丈夫…!?」
男子「ゲホッ…カホッ…! 急にソイツが掴みかかって…!」
男子2「どういうことだ、お前。こいつが言ってることは本当か」
棚町「………」
女子「ひ、酷い…ねえ! 警察呼ぼうよ警察!」
男子2「いいから答えろ、どうしてこんなことをした」
棚町「それはアンタ達が答えることじゃないの?」
男子2「はぁ…?」
棚町「アンタ達が何を隠してるかは知らない、だけど…」
棚町「…アタシは絶対にそれを聴きだして、全力でそれをぶっ潰すだけ」
女子「…何言ってるの?」
男子2「………」
棚町「…いいから吐きなさい、さもないと」
男子2「──調子に乗ってるんじゃない、ふざけるな」
棚町「っ……」
男子2「意味わんねーこと言ってるんじゃねーよ」
棚町「ハッ……反抗する気?」
男子2「………」
棚町「…アンタは早く、誰か呼びに行きなさい」ぼそっ
田中「えっ…!?」
棚町「いいから、早く」
田中「で、でも…」
棚町「良いから!」
田中「っ………う、うん……」
たったった…
男子2「…あの子をどうして逃した」
棚町「さあ? その倒れてる奴に聞けばいいじゃない」
男子「けほっ……」
男子2「お前、なにかやったのか?」
男子「……な、なにも…」
棚町「しらばっくれてんじゃないわよ……」
男子2「…俺が知ってるのは、さっきの女の子をナンパしてたことしか知らない」
男子2「もし、それがしつこいようだったのなら……謝る」
棚町「………」
男子2「だが、ここまでやられるようなことをしてないのなら……」ずいっ
男子2「──いくら女だからって、許さねえ」
棚町「…へぇ、いい度胸ね。それってなに、仲間意識ってやつ? 笑えるわね」
男子2「…殴るぞ」
棚町「こっちも殴るわよ」
男子2「……」
棚町「……」
女子「ちょ、アンタらやめなって…!」
棚町「──先手必勝……」ばっ
男子2「なっ……」
「───ちょいと待ったぁ!」
棚町「っ…!?」
男子2「……!?」
「待った待った! 待つんだそこの人た……ごはぁっ!?」ドサ…
棚町「あ…反射的に殴っちゃった」
男子2「……」
「…痛いよ! どうして殴るんだ!?」
棚町「あ、アンタが急に前に出てくるから悪いんでしょ!?」
橘「違うよ! お前が拳を止めてから前に出たろうちゃんと!?」
棚町「そ…それでも! アタシの喧嘩に割って入ったことは罪に決まってるじゃない!」
橘「罪ってなんだ罪っ! お前は神様にでもなったつもりかよ! 僕はだな、ただ、こんなことを───」
橘「だから違うって! ……ん、僕? それは逆に僕が聞きたいよ! お前誰だよ!」
棚町「あんたも仲間なんでしょ!? ……言ってやりなさいよ、コイツ邪魔だって!」
男子2「え、ええっ!?」
橘「なんだよ…! 君をかばったせいで僕は殴られたんだぞ!」
棚町「あんた仲間ならコイツどうにかしなさいよ! 邪魔なのよさっきから!」
男子2「…? …!?」
橘「邪魔ってなんだよ! せっかくお前の喧嘩を止めようとしたのに!」
棚町「ハァッ!? 誰がそんなこと頼んだのよ! 」
橘「誰も頼まれてない! ただ、僕がやろうと決めただけで!」
棚町「あーわかった! そいつらに頼まれたんでしょう!? それで後からアタシを罠にはめるために…!」
橘「はぁっ!? なにいってるんだこの…!」
棚町「あ、あんたこそ何言って…!」
男子2「……………」
棚町「………」バチバチバチ
男子2「…お、おい」
橘&棚町「ああんっ!?」
男子2「……いや、なんでもない」
橘「あ! ほら、そうやって相手をビビらせるから無駄な喧嘩になるんだろ!?」
棚町「なにをわかったような口、聞いてんのよゴラァ…! 元はといえば、全部あんたのせいでしょ!?」
男子2「………」
「──あのーよ、そこのヤツ。ちょっといいか?」
男子2「……え?」
「どうも聞いた限りだと、こんな雰囲気だとは思はなかったんだが…まあ、いいぜ」
梅原「ちょいと、顔。貸してくんねえかな? あ、いや。別に喧嘩しようってワケじゃない」
男子2「…アイツらの知り合いか?」
梅原「おう? んー、どうだがなぁ……まあ、片方は知り合いだな」
棚町「……死にたいらしいわね、ありがとう、その名前で呼んでくれたのを感謝するわ」ゴキ!
男子2「…よくわからないが、大変だなお前」
梅原「しゃーなしだ、友達だからな」
梅原「というわけで、こんな感じでいいか?」くる
田中「う、うん……ありがとう! 梅原くん…で、いいんだよね?」
梅原「おう、同じクラスの子の頼みって言われちゃー断ることなんてできやしねえぜ」
田中「なんてお礼をいったら……」
梅原「いいってことよ、後はキチンと俺に任せな」
梅原「……とりあえず、田中さん。あんたはあっちのことを任せたぜ?」
橘「うぉおおおおおおお!!」
棚町「ぐっ……やるわねアンタ!! 負けないわよ!!」
田中「う、うん……出来るかな私に…」
橘「はぁっ……はぁっ……」
棚町「はぁっ……ふぅっ……」
田中「…あの」
橘「…ま、まだだ…っ」
棚町「そ、そうねっ……」
田中「じゃあ、次の勝負に入るの…かな?」
橘「あ、ああっ……ジャッジを頼むよ……田中さん…!」
棚町「け、恵子っ……後、ジュース買ってきて……!」
田中「え? あ、うん……炭酸でいいの?」
棚町「いや、最近出た限定品のトマトジュースで……いいから…」
田中「わ、わかったよ…橘くんもなにかいる?」
橘「み、水で……!」
田中「うんっ」たったった…
棚町「……当たり前でしょ…狙うんじゃないわよ」
橘「し、失敬な! 僕はそんなホイホイと女の子を狙うようなっ…!」
棚町「っはー……わかってわよ」
橘「え…?」
棚町「そんなこと、こんな馬鹿らしいことやってれば嫌でもわかる」
橘「…どういうこと?」
棚町「………」
橘「お、おい」
棚町「……ひとつ聞いていいかしら」
橘「なんだよ…?」
棚町「アタシって、もしかしてなにか勘違いしてる感じ?」
橘「…はあ?」
棚町「だ、だからっ…その、なんかいつもと違うなって思うワケよ! こう…スッキリしないっていうか…!」
棚町「っ……なんでもない、わよ」ぷいっ
橘「……?」
田中「──あ、薫~! ごめんね、限定品のトマトジュースなかったからラーメンの缶詰を……」
棚町「恵子!」
田中「は、はいぃっ!?」びくっ
棚町「…か、帰るわよ!」ぐいっ
田中「えっ? えっ?」
棚町「いいから! とにかく帰るの!」
田中「えっ、でもっ……!」
棚町「ぐっ……」
橘「………」
棚町「そこのアンタ!」
橘「な、なんだよ…」
橘「は? もっと大きな声で言ってくれ」
棚町「っ……アンタの名前! 教えなさいよ!」
橘「…え、ええ…それはちょっと…」
棚町「なんで嫌がるのよ!?」
橘「う~ん……」
田中(…薫の聞き方が悪いって思うんだけど…言ったら怒られるだろうな)
棚町「いいから早く! 言いなさい! あと学年も!」
橘「うっ……し、仕方ないなぁ…」
橘「───橘純一、三年だよ」
棚町「…へ? 同じ学年?」
橘「そうだけど」
棚町(年下だと思ってた…)
棚町「っ……な、なんでもない、とりあえず聞いただけ…よ」
棚町「そ、それじゃあ! 帰るから! ついて来ないでよ!」
橘「だ、だから別に僕はストーカーじゃないって!」
棚町「…フン!」
田中「あはは……またね、橘くん」ふりふり
橘「あ、うん…またね田中さん」
橘「………」
橘「…なんだっていうんだよ、本当に…あいてて…頬が、痛いよ…ぐすっ」
梅原「───波乱がありそうだな、うむうむ」
橘「うおわぁっ!? う、梅原!?」
梅原「よう! 元気か大将!」
橘「げ、元気かって…この顔を見てみろよ、元気にもなれそうにもないから」
橘「うん……絶対に明日、腫れてるよねこれ」
梅原「まあ言うだろ? 怪我は男の勲章だってよ、なあ大将?」
橘「時代を考えてくれ…」
梅原「ははは、それでそれで……ちょっとばかし橘にお願いがあるんだが」
橘「…ん、なんだよ?」
梅原「ジュース三本分の代金、もらおうか?」
橘「へ?」
~~~~~~~
橘「……もうからっぽだよ…」
梅原「しかたねーだろ、ちゃんと説明しなかったお前が悪い」
橘「だ、だからってさ~…普通は殴ってくるか? おかしいだろ?」
橘「…うん」
梅原「そんなヤツ相手にまともにやっかむ方が罪ってもんだぜ?」
橘「……んなこと、わかってるよ僕だって」ごにょごにょ
梅原「はぁ~……いーや、わかってないな橘は」
梅原「───今回のことで、お前は相当なことをやっちまったんだよ」
橘「……どういうことだよ」
梅原「はぁー……いいか? 大将、俺はお前のことを大層信頼してるし、そこまでの男だと思ってるつもりだ」
橘「あ、ありがとう……なんだよ、気持ち悪いな急に…」
梅原「ああ、だけどよ? こういった場合、お前さんはどうなっちまうのかってのは……俺にもさっぱりわからねえんだ」
橘「つまり?」
梅原「つまり、俺もわかってない」
橘「…何が言いたいんだよ、お前は」
橘「いっ…!?」
梅原「…大丈夫だって、お前ならなんだってやって退けるだろ? な? うん?」
橘「……い、意味がわからない! どうして僕は叩かれた!」
梅原「あっはっはっは! それじゃー家まで競争だ!」だっ
橘「なっ…ちょ、お前部活やってるんだから卑怯だぞ!」
梅原「剣道部舐めるなよー!」だだだだだ!
橘「くそっ…待て! さっきのジュース代のワケを教えてもらおうか!」だっ
橘(あーもう、どうして今日はこんな目に…! 僕はただ…)
橘(…あの子の姿を、見に来ただけだっていうのに!)
橘「待て! 梅原ァー!」ダダダダ!
~~~~~~
学校
橘「おはよー」
橘「おう、今日もお宝本か?」
ケン「あったりめーだろが」
マサ「俺らに油断はありえない」
橘「…後で僕も参加させてくれ」
ユウジ「ああ、良いぞ! 橘の目利きは俺らは信頼してるからな!」
ケン「そうだな、今度またお宝本説明会を開いてくれよ」
マサ「男子はこぞってやってくるぞ、絶対に」
橘「ああ、まかせろ!」
ユウジ「…ところで、その頬の湿布は何なんだ?」
橘「……うん、聞かないでくれると嬉しいよ」
ケン「ま、まさか…! 前に言っていたローアングル探偵団の実行を…!?」
マサ「ヒュ~♪」
橘「……」
橘「───それは、お前らにはまだ荷が重いからだよ!」
ユウジ&ケン&マサ「なん、だと……?」
橘「言うべきか、言わざるべきかと悩んでいたが……ふふ、しかし、ここは男同士の約束にて結束された仲間…」
橘「…僕も正直に言うが、お前らにはまだ早いんだ!」
ケン「くっ…橘がいうと説得力があるぜ…」
マサ「ああ、だなっ…!」
ユウジ「なるほどな…それで、お前は一体全体…誰にそのローアングルアイを行ったんだ?」
橘「え?」
ケン「気になるな、教えろよ橘」
マサ「参考程度に教えてくれ!」
橘「あ、うん……えっと、あはは…! それはねぇ~…うーん…」
橘「う、うーん……それは内緒かな?」
ユウジ「おいおい、橘ともあろう男が……出し惜しみだと?」
ケン「わかちあおうぜ、その勇姿をよ」
マサ「大丈夫、俺らにはわかってるよ」
橘(なんだよその生暖かい目は…! コイツら、絶対に僕が失敗して殴られたと思ってるな!)
橘(くっそ~…見てろよ、そしたら、適当に誰か名前をあげて…あっと言わせてやるからな…!)
橘「あ、ああっ…! いいだろう、じゃあ言ってやろうじゃないか!」
ユウジ「おお! 誰なんだ一体?」
橘「う、うん! それはだな! 同じクラスの蒔───」
「───失礼するわよー!」がらり
橘「……ん?」
ケン「お、おい…馬鹿!」
マサ「……!」
ユウジ「あわわわっ…!」
ケン「…なんで、このクラスに…!」
マサ「ひぃいっ…!」
「──………」きょろきょろ
ユウジ「…だ、誰か探してるぞ…!」
ケン「エモノだ! 獲物を探してやがるんだ!」
マサ「誰だよ…あの核弾頭を怒らせた奴は…!」
橘「………………ちょっと、僕、トイレに行ってくるね」ダラダラダラダラ…
「───あ、居た」
「───探したわよ、ヘェ…やっぱ三年だったんだ。知らなかったわね」
橘「………」ダラダラ…
「───何よ、さっきからそっぽ向いて……こっち向きなさいよ、アンタ」
橘「……な、なんだよ…僕に何の用だよ!」
棚町「んー? 別に? 特に用なんてないけど…あって欲しいの?」
橘「い、いやっ……そうじゃなくて、そうじゃなくて! どうして僕を!」
棚町「だから、特に意味ないってば」
橘「う、嘘だ! あ、あれだろ!? 昨日のことで……!」
棚町「………昨日のこと?」
橘「…え?」
棚町「いやー、アタシって基本馬鹿だからさー。色んな事忘れちゃうのよね、あははー」
橘「あははーって…嘘だよね? 昨日のこと忘れるとかありえないよね…?」
棚町「うーん、アタシにとってけっこう日常茶飯事のことだし……アタシが覚えてるのって」ちらっ
橘「っ…?」
棚町「んふふ───……アンタの顔ぐらいよ、本当に」
橘「…は?」
棚町「そういうコトだから、今日の放課後開いてるでしょ?」
棚町「ちょっと付き合いなさい、一緒に行きたい所あるからさ」
橘「へ…? いやちょっと待って…!」
棚町「いいから、いーから、ね? そんじゃまった~」ふりふり
がらり…ぴしゃっ
橘「……なん、だったんだ一体…」
ユウジ「……お、おい」
ケン「あ、ああ……」
マサ「た、橘……」
橘「…え? なに?」
ユウジ「お前…もしかして、あの棚町薫に……」
ケン「…手を出したっていうわけじゃ…」
マサ「な、ないよなっ! なっ!?」
橘「……ええっ!? 何言ってるの!?」
ユウジ「っ……すっげええええええ! 橘! おま、お前!」
ケン「あの悪魔にローアングル決めやがったとでも言うのかよ!」
マサ「大物だ……怖いもの知らずだ…命が惜しくないとでもいうのかよ!?」
梅原「───ちぃーす、どうした、今日も元気だなお前ら」
梅原「は?」
ケン「死ぬ気なんだってよ! 止めてくれヨォ!」
マサ「お前なら出来るだろ! コイツを止めることをよ!」
橘「い、いや…お前ら勘違いっていうか…その、ちょっと黙っててくれ五月蝿いから!」
「ねえ、今の訊いた…?」
「橘くん、自殺するの…?」
「というか棚町さん、橘くんのこと誘ってなかった…?」
橘「っ……ほら! 黙って! 勘違いが広がる前にさ!」
「───ねえねえ、橘くん」
橘「っ……あ…!」びくっ
「さっきのって、薫だよね?」
橘「……あ、うん。そ、そうだよ…うん」
橘「───蒔原、さん…」
橘「うぐっ……えーと、なにか言いたいことでもあるのかな…?」
蒔原「ううん、べっつに~……なんだかちょーっとだけ、なんだけど」
こそ…
蒔原「……悔しいかなって、思ってさ」ぼそ
橘「えっ……?」
蒔原「あははー」
橘「そ、それって……」
梅原「だぁーから! お前らさっきから何言ってるんだって!」
ユウジ「うめはらァ…! 惜しいやつをっ…! 惜しいやつをッなくそうとしてるんだぞぉ~…!」
ケン&マサ「橘ぁー!」だだっ!
橘「え…? あ、ちょ…お前ら! こっちに走り寄ってくる────」
橘「……」
「…ねぇねぇ、どうなるんだろうね?」
「うんうん、気になるよねー!」
橘「……」
「来るのか……あの悪魔が…」
「来るだろう…絶対に……」
橘「……」
「ううっ…橘ァー」
「…もういいってそのノリ」
「どうしてそこまで橘が好きなんだよお前」
橘(なんだろう、この注目されてる感じ……!)
橘(…だけど)ちら
「…おい、アレが橘か?」
「ひょろひょろしてんな、本当にアイツなのかよ」
橘(っ…どうして他のクラスの人達も僕を見に来てるわけ!? どうしてさ!)
梅原「よう、大将」
橘「う、梅原……」
梅原「おう、なんていうかよ」
橘「う、うんっ…」
梅原「……」ぐっ
橘「人事だと思いやがって……ッ!」
梅原「あっはは、すまんすまん……だがよ、俺が言ったとおりじゃねーか」
梅原「───いやはや、とんでもねえことしちまったな? 橘?」
梅原「大丈夫だ、俺もわかってねーから」
橘「……」
梅原「…まあ、とにかく、俺が大将に居ることはこれぐらいだ」
橘「…え?」
梅原「色んな道を、見てこいってよ」
橘「…う、うん…?」
梅原「それだけだ、俺に言えることはそんだけだよ」
梅原「…んじゃ、帰るわー。頑張れよ~」すたすた
橘「えっ、お、おい…! どういう意味だよ梅原…!」がたっ
梅原「自分で考えろって、お前ならわかるってもん──」
がらり
梅原「──って、おう!?」
「──残ってるでしょうね!」
梅原「──おう、棚町さんよ…アイツならそこにいるぜ」
棚町「あん? ……アンタそういえば、昨日ゲーセンに居た…」
梅原「お、覚えててくれてんのかい? 嬉しいねぇ」
棚町「…いや、違う。恵子がちょっと頼ってたやつじゃない、なに、恵子とどんな関係よ!」
梅原「ええっ!? そこ疑われてる感じ!? い、いやっ…俺は部活の集まりでちょっと話す程度でよっ…!」
棚町「…本当にぃ~?」じっ
梅原「本当だって!」
棚町「…ま、信用してあげなくもないけど。とにかく、恵子に酷いことしたら許さないから」
梅原「だからしねーって…!」
棚町「ま、そんなことより! ……ん~、あ! いたいたっ」
橘「っ……」びくっ
棚町「なによ、用意万端じゃない。立ち上がって待っててくれたの? んふふ」
橘「えっ? いや、そういうことじゃなくて…これは」
橘(…正直、行きたくないとは言えない…!)
棚町「それじゃあ、さっそくだけど。行っくわよ~」ぐいっ
橘「えっ…? ちょ、まって…!」
棚町「カバンは置いて行きなさい、どうせ中身なんて入ってないんでしょ? わかるわかる、アタシもそうだからさ~」すたすた
橘「そ、そうじゃなくって…!」
棚町「…なによ、なにかまだいいたいことでもあるわけ?」
橘「い、いや…その、お前は一体なにがしたいんだよ…?」
棚町「…さあ?」
橘「へ?」
棚町「知らないわよ、そんなこと考えてないし。ただただ、やりたいことだけをやってるだけ」
棚町「───アタシという女に、行動する理由はやりたいって気持ちだけよ?」
棚町「さぁー? んじゃ、聞きたいことは終わったみたいだし、行くわよー」ずりずり…
橘「おおっ…! 力、強っ…!」
棚町「それぇー!」
びゅんっ!
橘「うわぁああああああああああああああああ!!」
ぱたん
「…おお、連れて行かれた…」
「きゃー! 棚町ってば大胆!」
「安らかに眠れ……橘…」
「お前の残したお宝本は…俺らが後生大事に使ってやろう…」
「うむ……」
蒔原「…………」
梅原「…はっ、やっぱ面白いなぁ大将は」
棚町「───着いたわよっ」
橘「はぁっ…! はぁっ…! こ、ここは…っ?」
棚町「見れば分かるじゃない、ファミレスよファミレス」
橘「い、いやっ…わかるけど! そうじゃなくてどうしてここにっ…!」
棚町「いーから、入るわよ黙って!」
かんからーん
橘「えっ、ええっー! どうして僕が……」
~~~~~
棚町「んー、どれにしようかしらね~……あ、これとか美味しそうじゃないっ」
橘「…おい」
棚町「ん、なーにー?」ぺら
橘「…どうして僕をココに連れてきたんだよ」
橘「食べたかったものって……」
棚町「その商品はちょっとアタシ一人じゃ食べれないものでさ、だからアンタも連れてきたってワケ」
橘「いやいや、どうして僕なんだよ。だったら…田中さんでもいいじゃないか」
棚町「ダメよ、恵子は。というかアンタ……どうして恵子の名前知ってるの?」
橘「え? だって元同じクラスだし…」
棚町「へェー、そうなんだ。ふーん」
橘「…なんだよ、さっきの梅原みたいに僕を怒るつもりか? 言っとくけどな、あの時も行った通り…」
棚町「知ってるわよ、そんな男じゃないって言いたいんでしょ?」
橘「あ、うん……覚えてるじゃないか」
棚町「だっから行ってるじゃない、アンタのことなら覚えてるって」
棚町「んふふ、そういうことっ」
橘「っ……」
橘(なんだよ、そういうのちょっと卑怯だと思うよ!)
棚町「…ん~、やっぱり余計なモノ頼むと食べれなくなりそうね、これだと」
橘「…おい、一体何を頼む気なんだ」
棚町「来れば分かるわよ……すみませーん、注文いいですかー」
橘(…なんだろう、一体何を頼む気なんだ…?)
~~~~~~
店員「おまたせしましたー、超ラブリーエキサイティングプロレスパフェです」
ドンッ!!
橘「……っ!?」
橘「えっ……あ、はい……」
棚町「さぁー食べるわよ~」
橘「ちょ、ちょっと待て! これって一体…!?」
棚町「パフェじゃない」
橘「パフェだね! い、いやそうじゃなくって…これ、なんていうかその~……」ちら
橘「……うっ…」
橘(なんだかこう、カップル御用達のっ…! イチャイチャするようなパフェじゃないかっ!?)
棚町「なんなの、アンタって甘いの嫌いなタイプ?」
橘「えっ? す、好きだけど…」
棚町「じゃーいいじゃない、食べましょ食べましょ」
橘「んぐっ……で、でも! その……お前、気づかないのか…? 周りの視線とか…っ」
橘「ええっー……」
棚町「言っとくけど、これ割り勘だから」
橘「なにっ!?」
橘(ね、値段はっ!? ……なんだこの値段は!? 酷いよ! 流石にこれは酷い!)
棚町「ぱくぱくっ……早くしないと、アタシが全部頂いちゃうわよ~?」もぐもぐ
橘「あっ……く、くそっ…!」
橘「っ……し、仕方ない! 据え膳食わぬは男の恥だ!」ぐっ
棚町「ふっひっひ~、いい度胸ふぉほうひゃふぁい!」
橘「い、イチゴは僕のものだぞ! 食べ過ぎだ!」
棚町「ぱくぱくぱく」
橘「あー! バナナはだめだよ! 僕が食べるから! もぐもぐ!」
棚町「──ふぃー……もう、当分甘いモノは食べなくていいわ~……」
橘「うっぷ……僕も一生食べなくてもいいかも…」
棚町「くっく、だめね~…それじゃあ」
橘「お前……よく食えたな、こんだけの量を…僕、半分も食べてないぞコレ」
棚町「だって女の子だし、甘いモノは別腹よ別腹」
橘「…そういうものか、だめだ座ってるのもキツイ」ぱたん
棚町「ぎょーぎが悪わね、牛になるわよ?」
橘「牛になってもいいよ……というかもう、生クリーム食べ過ぎで本当に牛になりそうだ…」
棚町「…しょうがないわね、んしょっと」ぱたり
橘「……」
棚町「……ん、なに?」
橘「…いや、机の下で視線が合うのって不思議な感じがして…」
棚町「ふふ、そうね…確かに」
棚町「…そおーかしら?」
橘「そうだって、二人してソファーに寝転がってるんだぞ? 対向かい側でさ」
棚町「んふふ、言われてみれば確かにそうかも」
橘「……なぁ」
棚町「ん」
橘「結局…お前って何がしたかったの?」
棚町「どーいうこと?」
橘「…こうやって僕を教室から釣れだして、みんな僕達のことに注目してただろ」
棚町「そうだっけ?」
橘「そうだよ、そして今朝のこともそうだし……そしてファミレスに連れてきたこともだ」
棚町「………」
橘「…なんだよ、言えないっていうのか」
橘「だ、だめだ」
棚町「どうしても?」
橘「どうしてもだっ」
棚町「……特に、意味なんて本当に無い」
橘「嘘だ」
棚町「ホントよ、アンタを連れだしたのも…こうやってファミレスに来たことも」
棚町「───ただただ、アタシの興味本位でやったこと」
橘「ただの興味で、人を釣れ出すことが出来るのか?」
棚町「ふふん、それが棚町薫って女よ?」
橘「…大した自信だ、だけど自慢になってない」
棚町「…かもね、ふふっ」
橘「……」
棚町「あ、でもっ! ここのファミレスに連れてきたことは…ちゃんと理由はあるわよ?」
棚町「そそそ。それはね…ほら、アタシたちの学校ってバイト禁止じゃない?」
橘「…そうだな」
棚町「それでさー、高校になったら色々なバイトしようと思ってて~。まずは下調べってのをしたかったのよね」
橘「ここで働くつもりなのか?」
棚町「うん、そのつもり。だからまずはその場所の名産品って奴を味わってみたかったの」
棚町「…そうすれば、ここはどういう場所なのかなってわかったりするし、それに店側に印象が残ったりするじゃない」
橘「…確かにな。こんなデカイの頼めば印象にも残るだろうさ」
棚町「そーいうのも含めて、ちょっとここには来ておきたかったのよ。
だから恵子とはこれなかった感じ、だって男女じゃなきゃアレ頼めないし」
橘「………」
棚町「まあ、理由も言わず連れてきたことは……うん、きちんと謝る。ごめんなさい」
棚町「…だけど、やっぱり、来たかったのよ。ちゃんとね」
ちゃんとした考えも持ってるんだな。意外…でも無いか、普通に考えれば)
棚町「…それに」
橘「…うん?」
棚町「………」もじ
橘「…なんだよ、どうした?」
棚町「……アタシだって、その……恥ずかしかったわよっ…こういうのっ」
橘「えっ……?」
棚町「だ、だからっ…………パフェとか、男子と二人で食べたこと無いし……」
棚町「その…………けっこう、照れるというか……うん、そんな感じ! いーーーだっ!」んべっ
橘「いーって……いやいや、恥ずかしいなら頼むなよ」
棚町「ふんっ」ぷいっ
棚町「え?」
橘「僕はそれで納得してやる。お前はお前で、それなりの理由があった」
棚町「う、うん」
橘「だから僕をココに連れてきて、パフェを一緒に食べた」
棚町「そ、そんな感じ」
橘「じゃあそれで納得する」
棚町「…納得しちゃうの?」
橘「いいってば、嘘だったとでも言うのかよ」
棚町「う、嘘じゃないわよ!」
橘「うん、じゃあそれでいいじゃないか。僕は信用するから、お前の言ってること全部さ」
棚町「………」
橘「ん、なんだよ。なんか変なこと言った?」
棚町「……アンタって、その」
棚町「……ううん、やっぱり、なんでもない……うん」
橘「……?」
橘(なんだよ、急に黙って……変な空気になっちゃっただろ。
変なことを言ったと思ったのなら、怒ればいいものの…いや、怒られる意味が分からないけど)
橘「というか、それよりもたち───」
店員「───お客様」
橘&棚町「はいぃいっ!?」ばっ
店員「店内でおくつろぎの所、申し訳ございません。ですが、当店は他のお客様の目がある為…もう少し」
橘「わ、わかりました! すみません!」
棚町「あ、あははっ! どーも! ごめんなさい~!」
店員「いえいえ」にこ
すたすた…
橘「……」
棚町「……」
棚町「…そ、そうね…目的の物は食べたし」
橘「……」
棚町「……」
橘「じゃあ、先に出てくれ……僕が払っておくから」
棚町「えっ…?」
橘「お勘定、僕が払うよ」
棚町「はっ? いや、だって割り勘って言ってたじゃない…」
橘「…いや、僕だってちょっといい経験ができたんだ」
棚町「へ? 経験?」
橘「う、うん……だって、僕だって初めてだったから」
橘「お、女の子とっ……一緒に、パフェ食べたの」
棚町「………」
橘「そういうことだから! 先に出てくれ、なっ!」
橘「な、なんだよ! お前だって、恥ずかしがってただろ!?」
棚町「だからって……全部払うとか、なに、男らしさアピールそれ?」
橘「ぐぬぬっ……払ってやらないぞ、そんなこと言ってると!」
棚町「あはは~! では、おねがいします~」たたっ
橘「くっそ……なんだよ、正直に言えばからかいやがって」
橘「………」
橘「……なんだよ、本当に」
橘「…よくわからないな、アイツも…」すたすた
~~~~~~
棚町「ごちそーさまですっ」
橘「うむ」
棚町「本当に奢ってくれるなんて、なになに、アンタっていいところの坊ちゃんなの?」
橘「…違うよ、たかろうとしても無駄だからな」
橘「………」
棚町「うっ……なによ、その目は…!」
橘「別に、僕はなにも言ってないよ、ただ見つめてるだけだから」
棚町「な、なんか言いたそうにしてるじゃないっ! その感じの眼は!」
橘「べっつにー…」すたすた
棚町「んぐっ……この、背がアタシより小さいくせにっ」
橘「っ」カチン!
棚町「…あ、もしかして気にしてた?」
橘「───男にとって、女の子から背を馬鹿にされることは屈辱なんだ……」
橘「……幾ら僕でも、怒るときは怒るぞ!」
棚町「あはは~」
橘「笑って誤魔化すな!」
棚町「だ、大丈夫よ! こ、これからがあるじゃない! …もう三年だけど」
橘「ぐぉー!」
そういえば三年って行った時、驚いてたよな!? そうか背が小さいから年下だと思ってたのか!?」
棚町「ひゅ、ひゅ~……♪」
橘「口笛へたくそ! くそっ…悪かったな! 僕の家系は背がみんな小さいんだよ!」
棚町「そ、それは……ご愁傷様です」
橘「哀まれた!? なんだこのっ……!」
「──あ、純一~!」
橘「…え? この声は……」
橘「───……梨穂子?」
梨穂子「う~ん! こんばんわ~、学校の帰り~?」
橘「うん。そうだけど……梨穂子も帰りか?」
梨穂子「そうだよ~、ちょっと街に用があってね~……あれ?」
棚町「……」
梨穂子「あ、棚町さ~ん。こんばんわ~」
棚町「…こんばんわ」
梨穂子「同じクラスだよ~、ね?」
棚町「…そうね」
梨穂子「え、えっと~……その、えへへ」
橘「おい、お前……なんだよ、いきなり素っ気ないな」
棚町「……ちょっとアンタ」ぐいっ
橘「な、なんだよ…うおっ!」
棚町「……あの子、桜井さんよね」
橘「そ、そうだけどっ……?」
棚町「…友達? アンタと?」
橘「お、幼馴染みだよっ…それがどうした…!」
棚町「…ふーん、そうなんだ」ぱっ
橘「……?」
棚町「──あ、ごめんなさい桜井さん。急に変な空気出しちゃってさ~」
梨穂子「あ、うん……大丈夫だけど、純一こそ棚町さんと知り合いなの?」
橘「えっ? 知り合いっていうか…うん、なんというか…」
棚町「ただの知り合いよ」
梨穂子「え? そうだんだ、けっこう仲良良さそうに見えたけど~…?」
橘「…おい、何を疑ってるんだ梨穂子」
梨穂子「ふぇっ!? あ、うんなんでもないよっ! うんうん!」
棚町「あのね桜井さん、コイツの言ってる通りアタシらはなんの関係も───」
店員「───お客様~! 超ラブリーエキサイティングプロレスパフェを頼んだお二人様~!」
店員「完食の場合に出される、景品のほうを貰われてないようですけどー!」
棚町&橘「……」
棚町「…逃げるわよ」
橘「…ああ、今僕もそう思ってた所だ」
梨穂子「えっ?」
棚町&橘「うぉおおおおおおおっ!」
ダダダダダダダダ!!
梨穂子「ひぁっ!?」
店員「──あ、逃げた! 完食カップル二人、逃走! 追跡用バイト準備!」
店員ab「ラジャー!」
店員「射ッーーーーー!!!」
店員ab「ゴオ!!」ズバッシュッ!
梨穂子「ひゅわぁっ!?」
ダダダダダダダダ!!
~~~~~
橘「はぁっ……はぁっ……まいたか?」
棚町「しっ!」
「どこへ行った……絶対に逃さん!」
「探さなければ、俺達がどやされる!」
橘「……」
棚町「……」
ダダダダダダダダ……
棚町「───行った、見たいね……ふぅう」
橘「な、なんだあの人達は……えらく執拗に追いかけてきたけど、そこまでする必要はあるのか一体…!」
棚町「…あそこのファミレスは情熱が凄まじいのよ、噂に聞いてたとおりね」
橘「…えらい所にバイトする気なんだな、お前」
棚町「…だってソッチのほうが楽しいじゃない」
橘「よくわからないよ…僕には」
棚町「うふふ、でしょうね」
橘「……というか完全に逃げなくても良かったんじゃなかこれって、
そもそも梨穂子に変に疑われることを避けるために………」
棚町「………」じっ
橘「ん、なんだよ僕のこと見つめて」
棚町「…アンタってさ、こう、なんていうのかしら」
橘「なんだよ」
棚町「……面白いやつよね、やっぱ」
橘「馬鹿にしてるのか」
棚町「そうじゃない、そうじゃなくて……」
棚町「……上手く言えないけど、最初に会った時から初めてな感じがして…」
棚町「………」
橘「……おい、なんだよ。もしかして走りすぎて具合でも悪いのか?」すっ
棚町「っ……」びくっ
ばしっ
橘「いたっ…!」
棚町「───あ、ごめんっ…!」ばばっ
橘「お、おう……?」
棚町「ごめん、急に手を叩いて…」
橘「いや、僕の方こそ変に近づいて悪かった……」
棚町「う、うんっ……だけど、アタシも何も叩かなくても…」
橘「気にし過ぎだって、お前はそういったやつだろ? 僕もキチンと理解してるよ」
棚町「……うん」
橘「おう、それにしても凄い力だなぁ~…なにか鍛えてるのか?」
橘「へえ、そうなんだ」
棚町「………」
橘「……いや、本当に大丈夫か? 具合悪いんなら、無理せず家に…」
棚町「……ねえ、アンタ」
橘「ん、なんだよ」
棚町「アンタってさ……その」
橘「うん?」
棚町「────好きな人、いるの?」
橘「………」
橘「え?」
~~~~~~
自宅
橘「ただいま~」
橘「ん」ずい
美也「なにそれ? おわぁっ!? こ、これってあそこのファミレスの有名な…!」
橘「それ食べてきたんだ、そしたら貰った」すたすた
美也「でもあれってカップルじゃないと食べれないんだよ!? に、にぃにもしかして……」
橘「梅原と食べた」
美也「……なにそれー」
橘「あはは」
美也「期待しちゃったみゃーに謝ってよ! もうっ~……あ、美味しそう。クッキーなんだねこれ」
橘「美也が食べていいよ、全部」
美也「ほんとっ! にっしし、にぃに好きだよー」すたすた…
橘「ったく、こんな時だけ言いやがって……」
橘「………好き、か」
~~~~~
橘「ど、どういうこと?」
橘「っ……どうして、お前がそんなこと気にするんだよ…?」
棚町「いいから、答えて」
橘「……」
橘(ど、どういうことだ…? え、もしかして僕に……ちょっと好意を寄せてるってことか!?
どうして!? 何があってそうなってるの!? いや、でも恋は唐突にってよく言うしな……)
棚町「……」
橘(この思いつめた表情……間違いない、これは僕に恋をしている表情だ!)
橘(なんて僕は罪づくりな男なんだろう……こんな悪魔とまで謳われた女の子を…ふふ、恋に落とさせるなんてさ!)
橘(…だが、僕はこれでもれっきとした男。そして、きちんとした日本男子!
女子に恥をかかせるべきでもないし、そして自分の気持ちに正直にならなければならない!)
橘「……居るよ、好きな子」
棚町「っ……本当に、居るの?」
橘「ああ、居るよ」
橘「……」
橘(ああ、居るんだ……僕には好きな子が。そしてそれは───お前じゃない)
橘(三年になってからずっと憧れていた、あの子……僕はあの元気な笑顔を見るだけで、それだけでいいのだから)
棚町「…でも、その好きな奴とは付き合って無いんでしょ?」
橘「えっ? あ、うん……まだ僕の片思いだけど?」
棚町「…そう、よね。どうもそれっぽいし」
橘「……?」
橘(まさか! 付き合ってないのなら、アタシにもチャンスはあるわよね!? 的な流れ!?
なん、だと……そんなこと、お宝本でしか聞いたこと無いよ!?)
橘(そうなると、僕は……いやいや待て待て! 橘純一! しっかりしろ! 僕の好きな女の子は一体誰だ!?)
橘(その子のためなら、なんだってすると決めていたはずだ! だから……よし、ここはちゃんとお断りを…っ)
棚町「──わかったわ、よし!」
橘「…うえ?」
棚町「そういうこっとね~……うんうん、アタシもお人好しね~ほんっと」
橘「…えっと、どういうこと?」
棚町「とにかく、アタシの中で整理は着いたわ。これでアンタ…にたいして引け目無く」
棚町「これからちゃんと付き合っていけると思う」
橘「…はい?」
棚町「だーかーら、こう……なんていうのかしら。さっきみたいにさ、誰彼に勘違いされるときに」
棚町「表立って、嘘偽りなく、アンタの……トモダチだって言えるってコト!」
橘「トモダチ?」
棚町「そそそ! 友達、友達よアタシと」くいっ
棚町「アンタはねっ」
橘「…友達…」
棚町「いや?」
棚町「そーよ? やっぱりこういうのって、中学生だと恥ずかしいノリかしら?」
橘「いや、そういう訳じゃなくてっ……友達? なの?」
棚町「しつこいわね……嫌なら嫌ってハッキリ言いなさいよ」
橘「………」
棚町「………」
橘「……よ、よろしく」
棚町「よろしくっ」
~~~~~~
自宅
橘「はぁー……何だったんだ、本当に…」
橘(あのあと、店員に見つかって無理やり景品渡されたけど…あっちはあっちで…)
橘(嬉しそうに景品貰ってるしさ……意味がわからないよ)
橘「アイツ、どうして僕に…友達なんて言ってきたんだろう」
橘「……全くわからない」
橘「……友達、か」
~~~~~~
風呂場
棚町「………」
棚町(──あー…本当今日は疲れた、人生の中で一番疲れたかも)
棚町(まあ、でも、それなりに収穫はあったし…ま、いっか)
棚町「………アイツってば、変な顔してたわね」
棚町「うふふっ……まったく、どーせ下らない勘違いでもしてたんじゃないかしら」
棚町(あそこで普通は誰だって、勘違いすると思うし……好きな奴入るかって聞けばさ)
棚町(アタシがイジワルな聞き方したせいよね、うんうん)
棚町「……友達、か」
棚町(こうやって言葉にして友達……とか、ちょっとこっ恥ずかしいわよね)
棚町(アタシも何をやりたかったのか、なんて、ちっとも自分でわかってないし)
棚町(……だけど、アタシはこれだけは分かってる)
棚町(ちょっとだけ、ほんのちょっとだけ、アイツのことを気に入ってると)
棚町(他人から知り合いに、それから……友達になりたいって)
棚町(…なんだかとっても、居心地がよくて、まるで……)ぶくぶく…
棚町「ッ……ぷはぁ!? し、死ぬ!? 溺れ死ぬっ…!?」
棚町「はぁっ…はぁっ……ふふっ、あははっ」
棚町「はぁーあ、久しぶり……こういう感じ」
棚町「…早く明日に、ならないかなぁ」
次の日
橘「おはよう、梅原」
梅原「うっす、橘」
梅原「おう、もうじき冬だぜー…大将…」
橘「……」
梅原「……受験」
橘「言うな」
梅原「…おう」
すたすた…
橘「……そんなことはわかってるんだよ、梅原」
梅原「おう、だがよぉ……考えなくちゃいけないことだろ」
橘「…まあな、うん」
梅原「…まだ大将は良いぜ、得意科目があるんだからよ」
橘「梅原は……頑張れ」
梅原「……応援してくれよ、大将」
「──な~にあんたら、辛気臭顔して~」
棚町「ぐんもっ!」びしっ
梅原「ぐんもって……お、おう…おはよう棚町さんよ」
棚町「おはよう梅原君、それに……」ちら
橘「…なんだよ」
棚町「…んふふ、ぐんも!」
橘「………」
棚町「あら? 返してくれないの…?」
橘「…おはよう」
棚町「よろしい」
梅原「…なんだなんだ、急に昨日から仲良くなってやがるな二人共ぉ!」
棚町「わかる? そうなのよ~…コイツとアタシ、ちょっと距離が…ふふ!」
梅原「な、なんだぁその意味深な回答は!? 橘!? どういうことだ!?」
棚町「やーねー、こういうことも出来ない友達だなんて…アタシは、嫌」
橘「だからって…! ちょっと、くっつきすぎだって!」
梅原「ん? ん? 結局どっちなんだ?」
橘&棚町「友達!」
梅原「…そ、そうか」
橘「友達ならもっと節度ある付き合い方をだな…!」
棚町「そんなの誰が決めたのよ? アンタ? 違うでしょ?」
橘「一般的に、ってことだよ! お前は一般的思考が欠けてる!」
棚町「アンタも人のこと言えないでしょー? 同類よ同類!」
梅原「………」
梅原「…おい、ちょっと待ってくれ、俺を置いていくな二人共!」
橘「…はぁー」
橘(疲れた……朝から疲れた…色々と考えなくちゃいけないことがあるっていうのに…)
橘「…なんだっていうんだよ、本当に」
「おはよー、橘くん」
橘「…え? あ、ううん、おはよう……」
橘「って、おはよう! おはよう蒔原さん!」
蒔原「うん、おはよ~」
橘「あ、えっと~……あはは! ごめんね? なんか雑な挨拶になっちゃって…」
蒔原「いいよー。気にしてないから~」
橘「そ、そっか……」
蒔原「…大丈夫? ちょっと顔色悪い気がするけど…?」
橘「えっ!? あ、うんっ…大丈夫だよ! 平気平気!」
橘「…うん? 僕の顔に何かついてるかな…?」
蒔原「ちょっとごめんね、よいしょっと」ぴた
橘「っ~~~~!?」
橘(ま、蒔原さんの手がっ……! 僕のおでこに…!?)ドキドキドキ!
蒔原「う~ん、ちょっと熱が……あるかもね」
橘「…ふぇっ!?」
蒔原「橘くん、熱がすこしあるかもよ? 気をつけないと、受験も近いんだしさ」
橘「そ、そうだね! うん! 気をつけるよ!」
蒔原「そうだよ、気をつけなきゃダメだからね?」
橘「あ、ありがとうっ…!」
蒔原「ううん、いいんだよ、それじゃね」すたすた
橘「……」ぽやー…
橘(ああ、蒔原さんっ……なんていい子なんだろう…!)
橘「………」
橘「…しばらく、おでこは洗わないようにしておこう…」
昼休み
橘「さて、ごはんごはんっと……今日の弁当はなにかな~」
がらり!
棚町「はろー! きたわよー!」
橘「……さて、弁当食べようかな」
棚町「今日は一緒に……あら?」
橘「確かー…ここにあったような、あれーないなー」
棚町「んー、なになに? 無視ってワケ? へーそうなの、そういう感じ…よいしょっと」すとん
橘「どこにしまった───…うおっ!?」
棚町「ふんふーん♪」
橘「お、おい! お前っ……ちょっとどうして僕の机に座るんだよっ」
橘「机の上ってなんだよ!? おかしいだろ!?」
棚町「どこで食べようとアタシの勝手じゃない」
橘「そうかもしれないけど、ここは僕の机だ!」
棚町「あら、机の上が嫌なら……アンタの膝の上にでも~」
橘「………わ、わかった。了解した!」
棚町「膝の上で食べていいの?」
橘「ち、違う! それはそれは……じゃなくて! …い、一緒に食べるから勘弁してください」
棚町「うふふ、最初からそーいえばいいのよ、まったく」すとん
橘「ぐぬっ…」
棚町「さーて、ちょっとこの辺の席を勝手に借りてもいいわよねー」ガタガタ…
橘「…いいんじゃなか、僕は知らないけど」
棚町「冷たいわね~。ま、勝手に座るけど」すとん
棚町「アンタって弁当なの? いいわね、家の人に作ってもらってる感じ?」
橘「…そう、だけど。お前は今日はパンなのか」
棚町「そそそ。お母さんが働いてるからさ」もぐもぐ
橘「あ、そうなのか…僕の所も共働きでさ、だけど弁当だけは作ってくれるんだ」ぱか
棚町「感謝しなさいよ、そういうのって本当に大変なんだから」
橘「わ、わかってるよ。五月蝿いな……」もぐ
「……なんかいい雰囲気だな二人」
「昨日一体、なにがあったというのだ…!?」
「橘ァ……橘ぁー!」
橘(なにか、また注目されてるような気がする……)
「──あの、ちょっといいかな」
橘「え……? あ、蒔原さん…?!」
棚町「ん、蒔原じゃない。どうしたの?」
蒔原「…あのさ、薫。ちょっと私も……一緒に食べていいかな?」
橘「えっ!?」がった!
棚町「ちょ、アンタ五月蝿い! …アンタも? 一緒に?」
蒔原「ダメ?」
棚町「…別に構わないけど、アンタは平気?」
橘「う、うんうん! だだだっだ、大丈夫だよ!」こくこく
蒔原「本当に? ありがとう、橘くん!」
橘「う、うん…!」
「きゃあ! マッキー言ったよ!」
「まけるなー!」
橘「……?」
棚町「あ、そういえば忘れてたけどこっちも人を呼んでるのよね」
棚町「そうよー、そろそろ来ると思うけど……あ、きたきた」
田中「薫~? あ、やっぱり居た…」
梨穂子「…えーと、おじゃましま~す」
棚町「こっちこっち! 二人共~!」
橘「田中さん!? それに……梨穂子!?」
田中「あはは~…こんにちわ、橘くん」
梨穂子「えへへ」
橘「ど、どいうことだよ…!」
棚町「アタシが呼んだの」
橘「ど、どうしてっ?」
棚町「な~に言ってるのよ、アンタのためでしょ?」
橘「…はい?」
棚町(アンタのためを思って、やっとの思いで連れてきたんじゃない…! わかりなさいよ、そういうところ!)
橘(ま、まったく意味がわからないんだけど…っ!)
棚町(ハァ!? アンタが昨日、アタシに向かって好き───)
梨穂子「───あの、その~」
棚町「あ、うん! どうしたの桜井さん?」
梨穂子「う、うん…やっぱりその、私は自分のクラスで…」
棚町「え~! そんなこと言わないで、桜井さん一緒に食べたらいいじゃない~」
梨穂子「でも……」ちら
橘「?」
棚町「ほら、アンタからも何か言いなさいよっ」どすっ
橘「うごっ! ……よくわからないけど梨穂子…いいよ食べよう一緒に…うん」
梨穂子「い、いいのかな?」
梨穂子「あ、うん…! いいよ、私も大丈夫だから!」
棚町「じゃあみんなで仲よく、食べましょ!」
橘「……」
蒔原「…なんだか、人が多くなってきたね橘くん」こそっ
橘「えっ!? あ、うん…そうだね!」
蒔原「…やっぱり、ちょっと嫉妬しちゃうな」
橘「え……それって…」
蒔原「…橘くんの周りって、いろんな人が集まるよね」
橘「あ、うん…?」
蒔原「そういうの、ちょっと憧れる…かな? あはは」
橘「えっ……そ、そうかな…? あはは、えへへ!」
棚町「ちょっとそこの二人、机動かすの手伝って!」
橘「お、おおっ!」すたすた
蒔原「……………」
梅原「──よう、マサ……何やってるんだ廊下で」
マサ「っ!? う、梅原! ちょっと見てくれ!」
梅原「なんだよ…こっちは早く飯を食べたいんだがよ……」ちらっ
梅原「っ……!?」
ケン「…信じられるか、俺は信じられねえ」
ユウジ「橘ァ! 橘ァ…!」
棚町「アンタのそれって、卵焼き? アタシのちょっとくれない?」
橘「嫌だ」
田中「あはは、薫…これなら上げるよ?」
梨穂子「わぁ~美味しそう! それって手作りなの?」
蒔原「橘くん、このおかずいる?」
橘「えっ!? じゃ、じゃあもらおうかな……」
棚町「ぱくっ」
橘「あああああっーーーー!!」
蒔原「ど、どうも」
田中「…薫、行儀悪いよ」
梨穂子「あはは~」
橘「許せんっ…お前は! お前は!」
棚町「むぐぅっ!? んっ!? けほっ!?」
橘「ど、どうした!? 喉に詰まったのか!?」
棚町「っ……っ……っ…」こくこくっ
橘「え、ええっ! なにやってるんだよお前はっ……梨穂子水!」
梨穂子「は、はいっ」ずいっ
橘「コレをゆっくり飲むんだ……って、カラじゃないか!」
梨穂子「あ、全部飲んじゃったの忘れてた……えへへ」
橘「えへへ、じゃないよ! ど、どうしよう!」
蒔原「それよりも、誰かに水をもらったほうが…!」
橘「いや、それよりも僕のがある!」ずいっ
橘「ゆっくり飲めよ……そうそう」
棚町「ごくっ…ごく……こく……」
橘「ど、どうだ…?」
棚町「ぷはぁー…けほっ、けほ……うん、大丈夫…」
田中「よ、よかったー……」
梨穂子「一時はどうなるかと思ったよ~……」
蒔原「……でも、それって間接キスだね、二人とも」
橘&棚町「!?」
蒔原「あ、ごめん。余計なこと言っちゃったかな…? えへへ」
棚町「こんの、変態っ!」
橘「え、ちょまて理不ぐはぁ!」どたっ!
マサ「くっそくっそ……くやっしい~!」
ケン「…アイツは、なんだってそうだったさ…あの時だってそう、何も知らぬ女の子を…」
ユウジ「橘ぁああああ!!」
梅原「……はぁ、色々大変だな…ほんとによ」
~~~~~~
放課後
橘「いてて……」
棚町「ごめんって言ってるじゃない…もう」
橘「ごめんって言えば治るものじゃないよ、これって!」
棚町「だからってそう、見せつけるようにしなくたっていいじゃない」
橘「見せつけたくもなるよ! ったく……まあ、お前が無事だからいいけどさ…」
棚町「あ、うん……ちょっとさ、また付いてきて欲しい所が~…あったりして」
橘「………」
棚町「っ……で、でも! 別にアンタが嫌だっていうのなら無理に誘わないけど…」
橘「……なんだよ、いつもらしく強引に連れて行けよ」
棚町「えっ…?」
橘「お前さぁ……いや、ワザとそうしてるかわからないけど、時々ひ弱になるよな」
棚町「………」
橘「…そういうの、見てるとなんかこう……」
棚町「…アタシらしくない?」
橘「…まな」
棚町「そっか、そうよね……うん」
棚町「んじゃ、アタシらしくいうけど。ちょっとこれからアタシに付き合ってくれない?」
橘「断る!」
橘「…冗談だ、行ってやるよ」
棚町「な、なによそれ…! びっくりするじゃないっ」
橘「あはは、どーだ。僕もやられっぱなしじゃないんだぞ?」
棚町「ぐぬっ…」
橘「あはは」
棚町「…と、とにかく一緒に来てくれるんでしょうねっ」
橘「ああ、いいよ。もうどこにでも連れていけばいいさ」
棚町「……後悔しても遅いんだから」くるっ
橘「………」
すたすた…
「………」
蒔原「……………」
「──さあ、棚町だし何も考えてないんじゃない?」
「──あはは、それ言いすぎだから~!」
蒔原「………」
「──だけど知っててアレやってるなら最低だよね~」
「──そうそう、蒔原が可哀想じゃん」
「──どっちにしたって、あれだよ。マッキーが……」
蒔原「…ううん、別に平気だから」
「本当に? でも…」
蒔原「ちょっと悔しいよね、でも、やっぱさ」
「橘くんってわかり易いほど、マキのこと好きだもんね~」
蒔原「……」
「こういうのって、ちょっと負けた気がしないでも……あ、ううん、なんでもないよ!」
蒔原「───アタシにベタ惚れだって思うよ?」
「きゃー! 大胆!」
「いうねぇーマッキー!」
蒔原「だから、そういうのってちゃんと期待に沿わなくちゃだめじゃん?」
蒔原「負けたとか、勝ったとか、そういうのって……もとから」
蒔原「無いに等しいんだよ、こういうのって」
~~~~~~
街
橘「ここは…?」
棚町「…その、紳士服売場かしらね?」
橘「………」
棚町「さ、さーて! 入るわよー!」うぃーん
棚町「そ、そうね……」
橘「…ところで、どうして僕をこんなところに?」
棚町「っ…え、えーと! その……うん!」
橘「いや、うん! じゃなくて」
棚町「なによー、このアタシから問いただそうってわけ?」
橘「普通に聞いてるだけだ」
棚町「っはぁ……そうね、確かにこんな場所に連れてくるにはそれなりの理由が必要よね」
橘「おう」
棚町「それはね」
橘「なんだ?」
棚町「………やっぱり言えない」ぷいっ
橘「おい!?」
棚町「あ、アンタは黙って…! 大人しくスーツを着ればいいのよ! ほら早く!」
橘「……ん、これとかどうだ? 僕に似合ってない?」
棚町「……」
橘「……なにか言ってくれよ」
棚町「あ、うん! に、似合ってる…かも?」
橘「似合ってないならそういえばいいじゃないかっ」
棚町「あはは~」
橘「ったく……それで、お前はなにを買うつもりできたんだ?」
棚町「え? アタシは別に買うつもりなんて…」
橘「いいよ誤魔化すな、こんな用も無さそうな所に来たんだ……元から何を買うつもりか決めてるんだろ?」
棚町「……」
橘「手伝ってやるよ、昨日みたいに」
棚町「アンタ……」
棚町「……うん、ありがと」
橘「ネクタイ?」
棚町「うん、ネクタイ……こういうのってセンスとか意外と問われるじゃない?」
橘「まあな、ブランドとか…よく偽物も多いらしいし」
棚町「だからちょっとアタシも不安でね…うん、まあアンタに聞いたってしょうがないことは分かってるけど」
橘「お前的には、それがいいって思ってるの?」
棚町「…うん」
棚町「赤色が……凄く似合うって、そう思うから…コレを選ぼうって思うんだけどさ…まだ少し、踏ん切りがつかなくて」
橘「…プレゼントなのか」
棚町「へっ? あ、うんっ……そういう感じ、かな? あはは~」
橘「………」
棚町「どうなのかな…やっぱ、もっとお金を貯めて…マシな奴を買ったほうが…」
橘「それでいいと思うよ、僕は」
棚町「え…?」
橘「───お前みたいな奴が、そんなにも一生懸命に悩んで買うやつなんだ……」
橘「……ちゃんと相手も、嬉しがってくれるに違いないよ」
棚町「………」
橘「そういうもんだろ? プレゼントってさ」
棚町「…そう、よね」
棚町「………」
棚町「…うん、わかった。コレ買ってくるから、ちょっと待ってて!」くる
橘「おう」
棚町「…ありがと、助かったわ」
橘「いいってことよ」
棚町「…てんきゅ」
すたすた…
橘「ほれ、トマトジュース」ぽいっ
棚町「おっ? てんきゅ!」ぱしっ
橘「…限定品とか書いてあったけど、本当にそれでよかったのか?」
棚町「そそそ、これが飲みたかったのよ。何処にも売ってなくてさ~……マズッ」
橘「だろうと思った」
棚町「ナニコレ~……うげぇー…まぁ全部飲むけどっ……ううっ…!」
橘「…あはは、変なやつだな本当に」
棚町「んぐっ……なによ、急に失礼なことを言って」
橘「いや、やっぱり変なやつだよお前」
橘「……そのジュース、今日プレゼントする人の好物のやつだろ?」
棚町「っ……な、なんでわかったのよ!」
橘「赤色」
棚町「…そ、それだけ?」
棚町「…こっちはまんまとはめられた気分よ」
橘「はは、ここ最近好き勝手してくれたお返しだよ」
棚町「……ほんと、なによアンタってさ」
橘「…ん?」
棚町「…どうして、あの時アンタ…アタシを止めたのよ」
橘「あの時って……ゲーセンの時のこと?」
棚町「うん」
橘「それは……なんとなく?」
棚町「嘘、そんなのありえない…だって、アタシはアンタを殴ろうとしてたじゃない」
棚町「それから後すぐのことだったのに……アンタはアタシの喧嘩を止めに来た」
橘「………」
棚町「今になっては全部、勘違いってわかることだけど…その時はアンタも全部を理解してたはずじゃないでしょ?」
棚町「じゃあ、どうして止めれたのよ」
橘「…なに、それが気になってるのか?」
棚町「…まあね、それなりに」
ごく…
棚町「ぷはっ……そんなヤツ、アタシは初めて会ったから」
橘「ふーん、初めてか……」
棚町「…それで? どうしてアンタは止めにこれたのよ?」
橘「別に理由なんてないよ」
棚町「だから、そんな嘘をついても───」
橘「──嘘じゃないよ、これは」
棚町「………」
橘「本心さ、ただたんに駄目だって思ったからお前の喧嘩を止めただけ」
橘「そこにたいそれた理由なんて無いし、志があるわけじゃない」
棚町「…止めたいから、止めたってワケ?」
橘「そのとーり、お前と一緒さ僕は」
橘「お前もやりたいから、こうやって僕を連れて回れる。
僕もやりたいから、ああやって人の喧嘩を止めることが出来る」
橘「簡単に言えば、空気が読めないお人好しってわけだ、僕の場合はな」
棚町「………」
橘「今までそうやって生きてきたし、まぁ実際の所……いい目にあったことも少ないけれど」
橘「これが僕だから、しょうがないんだよ」
棚町「……なんか、カッコいいわねアンタ」
橘「…だろ? 惚れてもいいぞ、答えるつもりはないけど」
棚町「なによそれ、惚れていいって言うなら責任取りなさいよ」
橘「いやだー、お前みたいな女は責任取りきる自信が無い」
橘「…それはどうも、すみませんねぇ」
棚町「………」
橘「………」
棚町「くすっ……」
橘「ぷっ……」
棚町「あははっ……くすくすっ…なによ、惚れていいって…ばかじゃないの」
橘「お前こそっ…いくじなしって、僕が良いよって言ったらどういうつもりだったんだよ」
棚町「…はぁーあ、アンタってホント馬鹿よね」
橘「お前に言われたくない」
棚町「アタシもアンタに言われたくない」
橘「…まあお互いに馬鹿ってことで、ここはひとつ」
棚町「…ま、それでいいわ。だけど、これから先、そういった事言ったら怒るわよ」
橘「肝に銘じて置きます」
橘「ん、どうした……っておいおい!」
棚町「よいしょっと…」
橘「ぷ、プレゼントなんだろ? どうして箱から出すんだよ…!」
棚町「んーん、いいから黙ってなさい……ほら、動かないで」くいっ
橘「お、おお……」
しゅるる…
棚町「ん……こうかしら、うん」
橘「……」
棚町「───よし、出来た。どう? 着けた心地は?」
橘「おとなになった気分、かな」
棚町「うふふ、馬鹿っぽい返事」
橘「そりゃ悪かったな」
棚町「……。でもよかった、サイズはぴったりみたいね…」
棚町「…本気で言ってるの?」
橘「まさか。そろそろ僕だって気づいてるよ」
棚町「ど、どう気づいてるっていうのよ」
橘「───お父さんにだろ、このプレゼントは」
棚町「……」
橘「それに、昨日のファミレスのパフェ…
…それもまあ、なんだ、お父さんと食べに行くつもりなんじゃないか?」
棚町「そ、それは……っ」
橘「…どうなんだ、ここまで付き合ったんだ、教えてくれてもいいだろ」
棚町「…………」
橘「…うん?」
棚町「……そうだけど、それがなにっ」ぷいっ
橘「別にぃ? いやいや、ちょっとお前にも可愛い所あるんだな~ってさ」
橘「や、やめてください……」
棚町「……」
橘「で、本当の所はどうなんだ?」
棚町「…………っはぁー、そうよ全部アンタの言うとおり…」
棚町「…お父さんのために、色々としてたのよ」
橘「………」
棚町「誕生日が……近いから、アタシも……色々と送りたくて」
棚町「だからー……らしくないなって思っても、アタシは……一応お礼としてさ」
棚町「……こうやってものを贈ろうって、そう思ってるのよ、悪い…?」ちら
橘「悪くないよ、かっこいい」
棚町「……うん」
しゅる…しゅるしゅる
橘「ん」
棚町「……」
棚町「…アンタの身長、馬鹿にしてごめんね」
橘「別にいいよ、本当のことじゃないか」
棚町「…なんかね、こう…いつも通りにしちゃったのよ」
橘「いつも通りって?」
棚町「……お父さん、との」
橘「どうしてそこで、お父さんが……あ、もしかして」
棚町「気づいちゃった? そうなの、アタシのお父さんも…アタシより低くてさ」
棚町「──そしてちょっと、アンタにそっくり…くす」
橘(だから……最初から僕に馴れ馴れしかった、という訳か?)
橘「…ふーん、そうなんだ」
棚町「…ん、取れたわ」
橘「…おう」
棚町「………」
橘「………」
棚町「…本当にアンタって不思議なやつ」
橘「…そればっか言ってるな、お前」
棚町「それしか思えないのよ、アタシは…アンタにそうとしか思えないの」
棚町「…びっくりするじゃない、それだけ、そっくりだとさ」
すっ…
棚町「う~っん! っはぁー、今日も付きあわせちゃってごめんなさいね」
橘「うん…」
棚町「それじゃ、これで。帰り道わかるでしょ?」
橘「わ、わかるよっ」
橘「………」
橘「……なんだよ、本当に」
橘(お父さんのために、とか…不思議な奴とか……ごめんなさい、とか)
橘(僕が知っている…周りが知っている、棚町薫ってヤツと……全然印象が違うぞ)
橘「……でも」
橘「どうして、あんなふうに……寂しそうに笑うんだろう」
橘「…全く意味分からないよ」
~~~
「………」
蒔原「……」すっ…
蒔原「───いい雰囲気とか、ムカツクなぁ……くすくす」
橘「………」
橘(今日はアイツ、全然姿を見せないな…なにかあったのかな)
梅原「よう、大将。今日も辛気臭い顔してやがんな」
橘「…なんだよ、梅原」
梅原「はは、本当のこと言っただけだろ?」
橘「……」
梅原「まあ周りの奴らの受験やらで忙しそうだしな、みんな同じ空気だって」
橘「まあな…」
梅原「…それで、今日は着てねえみたいだな、棚町さんもよ」
橘「うん、それは…僕も気になってた」
梅原「おっ? お前さん……もしかして?」
橘「ち、違う。変に勘ぐるなよ…お前はそうやってすぐになっ」
梅原「オー怖い怖い、大将はすーぐ怒るんだからよ~」
橘「………」
橘(最近はアイツ、あれから全然姿を見せないな…なにかあったのかな)
梅原「よう、大将。今日も辛気臭い顔してやがんな」
橘「…なんだよ、梅原」
梅原「はは、本当のこと言っただけだろ?」
橘「……」
梅原「まあ周りの奴らの受験やらで忙しそうだしな、みんな同じ空気だって」
橘「まあな…」
梅原「…それで、今日も着てねえみたいだな、棚町さんもよ」
橘「うん、それは…僕も気になってた」
梅原「おっ? お前さん……もしかして?」
橘「ち、違う。変に勘ぐるなよ…お前はそうやってすぐになっ」
梅原「オー怖い怖い、大将はすーぐ怒るんだからよ~」
梅原「…そんなに気になるんなら、教室に確認行けばいいじゃねえか」
橘「…それは」
梅原「なんか違うってか、はぁーん。それはそれは…なんていうか、恥ずかしいのか?」
橘「っ……違うって言ってるだろ、もう!」がたっ
すたすた…
梅原「…ありゃ、少し押しすぎたか。怒らせちまったぜ」
梅原「…………」
梅原(…大将、もっといろんな物を見てくれ。コレはチャンスだからよ…)
梅原(答えはひとつだけじゃない、そのことを…もしかしたら棚町さんは…見せてくれるかも知れねえから)
梅原「……頑張れ、橘」
~~~~~
渡り廊下一階
橘「……っはぁー…」
橘(僕も、気にし過ぎなんだよ…本当にさ)
橘「水でいっか……」きゅ…
じゃばじゃば…
橘「……冷たっ」
「──あら、そこにいるの…」
橘「え?」
棚町「はろー」
橘「んぐっ……お前!」
棚町「な、なによ。そんな大きな声を出さなくもいいじゃない……びっくしりした」
橘「あ、うん…ごめんごめん」
棚町「ひっさしぶりに顔を見れば……もう、アタシをびっくりさせるなんてやるじゃない」すたすた
橘「別にびっくりさせようとしたわけじゃ…」
棚町「あっはは、知ってるわよそんぐらいのこと」
きゅっ
棚町「…というか、水を出しっぱなしにしないの。もったいないでしょ」
棚町「…んー?」じっ
橘「な、なんだよ…?」
棚町「アンタ、ちょっとまた顔色悪くなってない?」
橘「えっ? …別に具合は悪くないけどな」
棚町「そうよねぇ、別に熱なんて……無いと思うし」すっ
橘「っ……」
棚町「───ん、やっぱり無いわね。ちゃんと平温だし」
橘「……」
棚町「…なによ? アタシの顔を見つめて」
橘「…女の子って、そんな風にオデコ触るのって……普通のことなのか?」
棚町「え? んー……普通ってことはないと思うけど、まあ、それなりに仲良ければするんじゃない?」
橘「…そ、そういうものか」
橘「……それで、どうして最近は顔を見せなかったんだ」
棚町「へ?」
橘「ここの所、僕がいる教室……来なかっただろ」
棚町「もしかして……寂しかったの?」
橘「違う、急に居なくなったから…教室の奴らがうるさいんだよ」
橘「橘くんふられちゃったの? やら、残念だな~とかさ」
棚町「あらあら、まあまあ」
橘「来れば騒がしくって。来なくても騒がしいって…どういうことだ本当に」
棚町「前者は謝る、だけど後者は知らないわよ」
橘「全部お前のせいだっ」
棚町「言いがかりよ、ぜーんぶはアタシのせいじゃない」
橘「……ぐむ…」
棚町「ま、来なかったのには色々と……理由があったのよ、隣いいかしら?」
棚町「聞いてくれるんだ、てんきゅ」
橘「ぐっ…いいから、話せって」
棚町「まー色々と? ちょっと問題があってさ~……特にアンタに話せることはそんなに無いんだけど」
橘「……」
棚町「ちゃんと、あのプレゼントは渡せたわよ。無事にね」
橘「そうか、喜んでたか?」
棚町「そりゃーもう! 当たり前よ、好みに合わせて買ってあげたって言ったら、凄く喜んでた」
棚町「…本当に、びっくりするぐらい、喜んでた」
橘「………」
棚町「…ありがとね、感謝してる」
橘「いいよ、それを聞けただけで僕も安心だ」
棚町「…うん」
橘「それじゃあ、後はあの……超ラブリーパフェだっけ? あれを一緒に食べるだけだな」
橘「まあ、僕が思うに。あんなの二人じゃ絶対に食べきれないと思うけどな…僕も頑張ったところもあるし」
棚町「……」
橘「お父さん甘いの好きなのか? そうだったとしても、年配の方にあれだけ糖分を取らせるのは…
…あ、それならお母さん連れて三人で食べれば────」
棚町「………」
橘「──ん、どうした?」
棚町「………」
橘「お、おい?」
棚町「あっ、うんっ! そうよね! 三人で食べれば…いいわよねっ」
橘「う、うん……」
棚町「…そうよね、確かに」
橘「……?」
棚町「………」
「薫ぅー!!」たたたっ
棚町「えっ?」
橘「な、なんだ?」
田中「はぁっ…はぁっ…やっと見つけた…」
橘「田中さんどうしたの? そんなにも焦って…」
田中「橘くんっ…えっと、薫にちょっと用があって…っ」
棚町「どうしたの、恵子?」
田中「そ、そのねっ…えっと、輝日南中の方でっ……色々と問題が起こったらしいのっ…」
橘「…問題?」
田中「…うんっ、っはー……そのね? 落ち着いて聞いてね?」
田中「───輝日東中の生徒が一人、輝日南中に連れて行かれたらしいのっ…!」
橘「…え、どういう意味?」
田中「よくわからないんだけどっ……その、やっぱり…この前のことじゃないのかな…?」
橘「この前って……もしかして、ゲーセンの時の…?」
田中「う、うん…どうやらあの時の女子中学生を、輝日南が探してるみたいで…っ」
田中「それでっ……色々と聞き出すために、とりあえず誰かを連れて行ったって…」
棚町「っ………」だっ
橘「なんだよ、それ───ちょっ! お前どこに行くつもりだ!?」
棚町「行ってくる! 恵子とアンタは、先生に具合悪くなったって言っておいて!」だだだっ
田中「か、薫っ……!?」
橘「なにを無茶なことをっ……それで!? 田中さんもっと詳しく教えて!」
田中「えっええ!?」
橘「いいから、もっとくわしく教えてくれ!」
橘「はぁっ…はぁっ…!」
田中『あのね、どうやら連れて行ったのは…輝日南の女子生徒たちって言われてるみたい…』
橘「んくっ……アイツ、足早すぎだろ…!」
田中『聞いた感じだと、まったく無関係の女の子みたいで…しかも、薫のことも全然知らない子で…!』
橘「くそ、このままじゃ間に合わないっ…あ、そうだ!」
橘「だけど、ここから教室も遠い……仕方ない、アレをやるかっ……!」
橘「すぅううううう────」
橘「───うめはらまさよしぃいいいいいいいいいいい!!!」
「な、なんだ…!?」
「外から声が…!」
がら…がらり
橘「うめはらぁああああああ!! 自転車のかぎぃいいいいいいいいいい!!」
「…あれ、橘?」
「なにやってるんだ、授業もう始まるぞ…」
橘「はぁっ…はぁっ…お願いだ、気づいてくれ…梅原…!」
「──おらよ!!」ぶんっ
橘「っ……!」ぱしっ
梅原「──行ってこい大将! よくわかんねーけど、急いでるんだろ!?」
橘「っ……ああ、ありがとな! 行ってくる!」だだっ
梅原「おうよっ!」
橘「ありがとう、梅原……!」
~~~~
橘「はぁっ…はぁっ…!」ぎぃぎぃ!
ぎぃぎぃ……
橘「──はぁ、ふぅ……でも、どうにか着いた…!」がしゃんっ
橘「はぁっ…はぁっ…静かだな、授業始まってるだもんな、そりゃそうだよ…」
橘「…んく、駄目だ。怖気着いたってしかたない」
橘「アイツ……大人しくしてろよ、本当にっ…!」だっ
~~~~
輝日南 廊下
橘「……」こそっ
橘(…どうにか入り込むこと出来たけど、どうしよう! これって不法侵入だよね!?)
橘(凄く今更だけど、怖くなってきた! ど、どうしよう…受験で問題になってきたら、あわわっ…!)
橘(と、とにかく…早急にアイツを見つけて、連れて行かないと…っ)こそこそ…
がやがや…
橘「あれ? なんだろう、授業中だっていうのに…騒がしいな…?」
がやがや…
橘(もしかしてあそこにいるのか…? ううっ、でおm知らない生徒ばっかり……どうしよう、僕…!)
橘「っ……恐れるな、橘純一…っ…! 大丈夫!」パンパン!
橘「……よし、行くぞ」すたっ
~~~~~~
「……なんか静かになったよね?」
「さっきの子のせいなのかな…?」
「やっぱり先生呼んでこようよ…」
橘「あの…すみません」
「…え? あ、誰?」
橘「えっとー……その、輝日東中の~」
「あ、さっき入っていった女子の知り合いっ?」
「そうそう!」
「貴方、その人と関係者!?」
橘「ま、まあ…そうなるかも」
「じゃ、じゃあ止めてあげて!」
橘「と、とめ…?」
「さっきからトイレの様子が変なんだよっ! いや、あの、それなりに理由は知ってるんだけど…」
「…いいっていわなくて、問題になったらどうすんの」
「だ、だって…このままじゃ…」
橘「…えっと、もう少し詳しく状況を教えてくれないかな?」
「あ、あのねっ……ウチの学校の生徒が、その、輝日東の人に聞き出すって話しをしてて」
「それを女子トイレで話してたんだけど…そのとき、いきなり輝日東の女子が入ってきて…」
橘「…連れ出す、話しをしてた?」
「そうそう!」
「貴方、その人と関係者!?」
橘「ま、まあ…そうなるかも」
「じゃ、じゃあ止めてあげて!」
橘「と、とめ…?」
「さっきからトイレの様子が変なんだよっ! いや、あの、それなりに理由は知ってるんだけど…」
「…いいっていわなくて、問題になったらどうすんの」
「だ、だって…このままじゃ…」
橘「…えっと、もう少し詳しく状況を教えてくれないかな?」
「あ、あのねっ……ウチの学校の生徒が、その、輝日東の人に聞き出すって話しをしてて」
「それを女子トイレで話してたんだけど…そのとき、いきなり輝日東の女子が入ってきて…」
橘「…聞きだす、話しをしてた?」
「ほら、余計なこというからっ…」
橘「どういうことかな、聞き出すって…僕らの学校の生徒で、なにか問題でもあったの?」
「…うっ……」
「その…色々と…あってさ…」
橘「…詳しく教えて」
「……」
「……その、ね。この前のことなんだけど…ゲーセンで輝日東と輝日南の生徒でいざこざがあったらしくて…」
橘(ゲーセンって言えば、やっぱり僕がいた時のこと…かな)
「それで、そのときの女子生徒を……探しだそうって、話になってて…」
「まあ、ホントにやるかってのはわかってないけど……その…」
橘「…そっか、ありがとう」
橘「じゃあ誰かが連れて行かれたとか、そういったことじゃないんだね」
「えっ? まさか、そんなこと!」
「ありえないよっ…!」
橘「…うん、だと思った」
橘(田中さんが言っていたことと、
少し矛盾がある…どこから聞いた話か分からないけど、所詮は噂程度)
橘(ったく、それを真っ向から信じやがって……何やってるんだよ、アイツはっ)
橘(…だけど、あれから全く女子トイレから出てこないだなんて)
「…ど、どうする?」
「やっぱり、先生を呼びいったほうが…ちょうどウチら自習中だし…職員室に行けば…」
橘「っ……ちょっと、だけ待ってくれないかな!」
「えっ…?」
「で、でもっ…」
橘「お願い、いきなりこんな事言われて…迷惑だってのもわかってる!」
橘「…だけど、コトを大きくしたくは無いんだ…っ! どうか、お願いします!」ばっ
「……」
「……でも、どうするの…?」
橘「──僕がどうにかするから!」
「えっ?」
「どうにかするって…そりゃ、アタシたちも生徒だけでどうにかしたいけどっ…」
橘「だ、大丈夫! 僕が…僕が絶対にどうにかするから!」
「え、ええっ…!」
橘「……」
「でも、〝女子トイレ〟だよ…? 入ったらそれだけで、問題になるんじゃ……」
橘(確かにそうだ……場所は他校の女子トイレ、例え止める言葉目的だったとしても…
その場所に足を踏み入れるのは、なんていうか、僕としての立ち位置が今後変わってしまう…)
橘「………っ…」
『───…びっくりするじゃない、それだけ、そっくりだとさ』
橘「……ああ、わかった…僕はアイツに…」
橘「──悲しい顔をして、ほしくないんだ……」
橘「…アイツは何時だって笑ってて、我侭で、そして元気で…」
橘「…今の僕に無いものを、沢山持っている」ぐっ…
橘「それは決して、僕が見過ごしていいものじゃない……ちゃんと、ちゃんと…っ」
橘「……友達として、アイツの横にたってやらないとダメなんだ!」すたっ!
「え、あっ……!」
「は、入った…!」
橘「──薫!! ここにいるんだろ!!」
「な、なに…?」
「きゃああ! だ、男子!」
橘「ぐっ、お、お前っ…やめろそういうことは! 例え薫が怒ったとしても、
それは勘違いであって、それにお前が出るような場所でも無いんだよ!!」
薫「あ、うんっ…って、そうじゃないわよ!」
橘「そうなんだよ! 僕はだな、お前がまた変なことをして受験に失敗でもしたら…
…お父さんに顔見せ出来ないだろ!? と、友達としてな! 友達としてだぞ!!」
薫「え、ちょっ…アンタ!」
橘「なんだよ!」
薫「ちょっと落ち着きなさいって! 何を急にわけのわからないことを…っ」
橘「だから言ってるだろ!?」
薫「っ…だから何よ!」
橘「お前が心配なんだよ!! 薫!!」
薫「っっ…」
お前は僕の気持ちなんてっ…さっぱりだろうけど! でも、僕はお前を止めに来た!」
薫「止めに来たって…」
橘「友達だから! 僕ら友達なんだろ…そういったよな!?」
薫「う、うん……!」
橘「友達なら、友達っていうのなら……僕は薫の間違いを訂正してあげなくちゃいけない」
橘「なにかをしようとしてるのなら、全力で手伝ってあげるさ!」
橘「だけど! 今のお前は……間違ってる! だから友達として、僕は薫を止めてやる!」
橘「───そんな僕が邪魔だと言うのなら殴れ。だが、それでも僕は薫を止めるぞ!」
薫「………」
「………えっと…」
「……棚町さん、その人は…?」
薫「……っはぁ~、ただの馬鹿よ」
橘「ふぅーっ! ふぅーっ!」
橘「なんだよっ」
薫「アンタ、ちょっと少しは冷静になって…この状況を見て、アタシが何かしでかすように見える?」
橘「えっ?」
「あはは…」
「こ、こんにちわ…?」
橘「……」
橘「え?」
薫「……はぁー、何を勘違いしてるのかわっかんないけど、あれ?」
薫「───もしかして、アタシが喧嘩してるとでも思ってたわけ?」
橘「う、うん……違うの?」
薫「ちっがーうわよ! どーしてアタシがそんな無茶なことしなきゃいけないのよ!」
橘「だ、だって…薫だし…核弾頭だから…」
薫「フンっ!」ブン!
薫「…それ、言ったら怒るって言ったわよね」
橘「…は、はい…」
薫「…なんかごめんなさいね、びっくりしたでしょ?」
「う、うん……なんていうか、ちょっと」
「で、でも…心配しにきてくれたんでしょ…?」
薫「うっ……そう、みたいだけどさ…」
橘「……」ぴくっぴくぴく
薫「あのね、そのまま聞いてて欲しいんだけど…」
薫「…アタシは別に、恵子が言ったこと信用してないわよ」
橘「で、でもっ……お前、凄い速さで走っていったから…」
薫「馬鹿ね、そういうことじゃないわよ。ただ単に、情報が欲しかっただけ」
橘「じょ、情報…?」
薫「そう。最近さ、アタシ誰かに見られてるような気がしてたのよ」
薫「そう、だから恵子が言ってたことが少し…関係があるのかもって」
薫「それに、ちょっとばかし野暮用もあったから」
薫「…もう一度言うわね、あの時、本当にごめんなさい」
「あ、うんっ! いいんだよ……アイツも悪かったんだし、あのあともこっ酷く叱っておいたから」
薫「でも…首を締めるほどじゃなかったと思うし」
「そんなわけないよ! かっこいいよ、そういうのって、憧れるし」
薫「あ、憧れるって…ま、嫌な気分じゃないけど」
「アタシたちも、その御礼っていうか…そういうの言いたくってさ」
「色々と探してたんだけど…なんていうか、これでチャラになったね」
薫「あはは、そうねっ」
橘「…大変わかりました…」
薫「よろしい、それで…あら?」
「あのー……」
薫「えっと…まさか、結構人……集まっちゃってる感じ? それ?」
「う、うん……だけど、さっきの人が入ってから…みんな聞き耳立てるから…状況は、はい…わかってるかな?」
薫「そ、そっか…ふぅ、アンタもなにしでかしてるのよ! 女子トイレよここ!」
橘「わ、わかってるよ……」
薫「あら、復活早いわね」
橘「…そりゃ慣れてるからな、友達として」
薫「そ、そお…?」
「それと…すみません、もうひとつ報告が…」
「先生がこっちにきてます、騒ぎを聞きつけて…っ」
「だから、そのー……にげたほうがいいのかなって、あはは」
橘「……」
薫「……」
橘「──薫、トイレの窓から行くぞ!」
薫「──りょーかい、アンタ達! その先生とやらを足止めしといてくれない!?」
「はいよー!」
「は、はやく逃げて逃げて!」
橘「いけるか? 足持つぞ?」
薫「勢い付けて飛ぶから、手で支えてて…!」ぴょん!
橘「よいしょっと!」
薫「届いた! アンタも……───」
薫「───純一も、早く手を貸して!」
「……」
純一「おう! 引っ張ってくれ! 薫!」
純一「うおおおおっ!」
薫「っ…ヤバ、先生とやら着てるわよ!」
純一「おおお!!」
薫「もうちょっと静かに走りなさいよ!」
純一「うん、そうだな……」
薫「それで……ああもう、この坂を降りてるところで後ろ姿がバレそう…!」
純一「……」
薫「もっと早く移動できるものがあればっ…!」
純一「あ、そうだ! 自転車がある!」
薫「あるのっ!? はやくそれに乗るわよ!」
純一「わ、わかった! あ、あったアレアレ!」
薫「純一が漕ぎなさいよ!」
純一「わかってるって! 早く乗れ薫!」
ぎい…ぎいい…
薫「ちょ、ちょっと…アンタ大丈夫なの!? 遅いわよ!」
純一「だ、だいじょうぶだって…坂に入れば……スピードは出るから…!」
薫「来てる来てるわよっ! はやくはやくっ!」ドスドス!
純一「いって、痛い! 殴るなよ!?」
薫「しょうがないでしょ!?」
純一「もう、坂に入るからさっ…よいしょっと!」ぐぉっ!
しゃー!
純一「……入った!」
薫「ダメよ! 油断してないで漕ぎなさい!」
純一「あいよっ!」きぃきぃ!
薫「早い早い! イケるわよ純一!」
純一「あったりまえだよ!」
純一「うぉおおおおおお!!」
薫「あっは! きもちぃい…!」
純一「ああ、そうだな…! 風が気持ちいな!」
薫「…くっす、あはは! うふふ…なによこれ…っ」
純一「えっ? なにか行ったか薫!?」
薫「うんっ! ───アンタ…薫って呼んだわね!」
純一「お前だって! 僕のこと純一って呼んでるじゃないか!」
薫「アンタが下の名前で呼ぶからでしょ!?」
純一「そりゃまあな!」
薫「どうしてっ……下の名前で呼んだの!?」
純一「どうして!? そんなの当たり前だろ!?」
純一「──お前と僕は、友達だからに決まってるじゃないか!」
純一「ああ、そうだ! 僕はお前と友達! だったら下の名前で読んだって不思議じゃないだろ!?」
薫「っ……あはは、そうね! 確かにそう!」
薫「だけど、友達っていうのは…ちょっと違うかも!」
純一「えー! どういうことだよ!?」
薫「こんな馬鹿みたいなことやって、受験だってもしかしたら問題になるかもって思うのに!」
薫「なのにアンタはそんなアタシに加担してくれて! ここまでのことをしてくれてる!」
純一「おう!」
薫「それってさぁー! 所謂アレってやつじゃない!?」
薫「──悪友って言う奴よ!!」
純一「なんだそれ! あはは! 上手いな薫!」
薫「でしょ!」
薫「あははっ」
純一「だったら僕はっ……その言葉通り、もっとお前と付き合ってやる!」
薫「どういうことー!?」
純一「お前の我侭に、ずっと付き合ってやるって言ってるんだよ!」
薫「我侭って! ぶっ飛ばすわよ純一!」
純一「あはは! 御免被る!」
薫「っ……アタシだって、純一にずっと加担して上げてあげるわ!」
薫「どんなことがあろうと、アタシはずっと純一に付き添っててあげる!」
純一「嬉しいこといってくれるじゃあないか! それ、もっとスピード出すぞ!」
薫「きゃー!」
純一「あははは!」
薫「んーー、なにー?」
純一「……ありがとうな、お前のお蔭で元気が出たよ」
薫「え? なにー? 聞こえないー?」
純一「…いや、いいよー! 聞こえなかったらそれでー!」
薫「なによー! 言いなさいよはっきりとー!」
純一「秘密だ!」
薫「何よ本当にー! もうっ……」
薫「……馬鹿なんだから、純一は」ぎゅっ…
~~~~
純一「はぁっ……」
薫「はぁっ…死ぬかと思った…」
純一「ああ、あの坂の後のカーブ…よく曲がれたよな僕達…」
薫「絶対に頭ぐっしゃーいったと思ったわよアレ…」
薫「平気だし……いいわよね?」
純一&薫「……ぷっ」
「あははっ……」
「うふふっ……」
数十分後
梅原「おう、おかえり大将」
純一「おう、ただいまー」
梅原「こってり絞られてきたか?」
純一「ん、まあな!」
梅原「そうかそうか、んなのに元気だな…」
純一「まあな!」
梅原「…いや、本当に元気だな橘」
梅原「おう、そうか。そりゃまーよかったぜ」
純一「……色んな物が見えたよ、なんていうかさ」
梅原「……」
純一「小さな事で悩んでた僕は、本当に小さな人間だったんだなって…」
純一「できることと、できないこと。そうやって二つに分けて自分のことをわかってたつもりだったけど…」
純一「…まあ、なんていうか、出来るんだな人って奴は」
梅原「そうか、んまー……いつもの大将に戻ってくれただけで、いいんだぜ俺は?」
純一「え?」
梅原「──受験、頑張ろうぜ?」
純一「うぉおおっ……思い出させるなよ、お前…!」
「───あの、橘くん……」
純一「あ、蒔原さん」
蒔原「だ、大丈夫だった? なんかい色々とやってたみたいだけど…?」
蒔原「…橘君?」
純一「うん、大丈夫だったよ! 大変だったけど、全部どうにかしたからさ!」
蒔原「そ、そうなんだ…」
純一「…それでさ、蒔原さん」
蒔原「あ、うん! なにかな?」
純一「……ちょっとお話があるんだけど、いい?」
~~~~~~
屋上
棚町「……」ずずっ…
棚町「…やっぱまずわね、これ」
棚町「トマトジュースとか、どうしてのめるのかしら……」
「───ここにいたんだ、棚町さん」
棚町「…んむ?」
梨穂子「こんにちわ~」
梨穂子「…ちょっとだけね、うん」
棚町「……?」
梨穂子「隣、いいかな?」
棚町「いいケド……どうぞ」
梨穂子「ありがとう」すっ
棚町「……」
梨穂子「…今日は、純一と色々とやってたみたいだね」
棚町「ぶはぁっ……あ、やっぱりいろんな人が知ってる感じ?」
梨穂子「うん、輝日東中の殆どが知ってるんじゃないかな…?」
棚町「そ、そおなんだ……やっば~…本当にアタシって馬鹿…」
梨穂子「…くす」
棚町「…何よ桜井さん、笑わなくたっていいじゃない」
棚町「え?」
梨穂子「……純一が、やっと純一らしくなったなって」
棚町「アイツが、アイツらしく…?」
梨穂子「…うん、そうなんだよ。最近の純一って、ちょっと…暗くてね」
梨穂子「棚町さんは……あれがもしかして純一だって思うかもしれないけど」
梨穂子「もっともっと、笑う人だったんだ~……うんっ」
棚町「へえ……」じゅるる…
梨穂子「それでね、今日…廊下でたまたま純一の顔を見た時…あ、いつもの純一だって思ったの」
梨穂子「───いつもの、私が知っている純一だって…そう思えたんだ」
棚町「…そんなに違ってたの? アイツ?」
梨穂子「うん、すっごーく違ってたよ? びっくりするぐらいにね」
梨穂子「…だから、ありがとうって言いたくて。棚町さん」
棚町「あ、アタシに? 別にアタシは特になにも…っ」
梨穂子「純一があんな風に笑えるようになったのは……」
梨穂子「……私には無理だったから、ね」
棚町「……でも、アイツは…」
梨穂子「……純一は、好きな子がいるんだよ」
棚町「っ……そ、それ…!」
梨穂子「だけど、私じゃないんだ」
棚町「……え?」
梨穂子「えへへ、やっぱり~…棚町さん勘違いしてたでしょ?」
棚町「ち、違うのっ? だってアイツ、え?」
梨穂子「私と純一は幼馴染、そういってなかったかな?」
棚町「…う、うん」
梨穂子「だからね、それ以上はなくて…それ以下でもなくて」
梨穂子「私と純一は、そんな関係なんだよ?」
梨穂子「……」
棚町「…桜井、さん?」
梨穂子「純一が、女の子を好きになるのって……多分、今回が初めてなんだなって思うんだ」
梨穂子「だから純一がどんな子を選んでも…それが、純一が本当に好きだって思えるのなら」
梨穂子「…それは、ただしい『恋』なんだなって思うの」
棚町「…どういう意味、それ?」
梨穂子「……あはは、どうなんだろうね、これって」
梨穂子「私には……うん、わからないよ、ごめんね」
棚町「………」
梨穂子「…それじゃあ、これで」すっ
梨穂子「──純一を、これからもよろしくね?」
すたすた…
棚町(一体…なにがいいたのか、さっぱり……)
棚町「…………」
棚町「…アイツが好きなら、それが正しい恋か」
棚町「……どうしてそんな達観したようなこと、言えるのかしら」
棚町「幼馴染だから…?」
棚町「……………」
「──今度のクリスマスにっ…」
棚町「…ん?」
「──その、僕とで、デデデ!」
棚町「なにあれ、校舎裏で誰か……純一!?」
「──デートを……してくれませんか!?」
棚町「デート!? えっ? えっ? 相手は誰───」
蒔原「………」
棚町「………!」ぐっ
棚町「純一ッ…!」くるっ
「───待てよ、棚町」
棚町「っ…?!」
「どこ行く気だ、ええ?」
棚町「ッ…どきなさいよ、アンタには関係無いでしょ」
「いや、関係あるな。アイツの所に行こうってんなら」
梅原「───俺は、お前を止めなくちゃいけねえ」
棚町「…いいからどきなさいよ」
梅原「駄目だ、落ち着け棚町」
棚町「っ…何も知らないくせに、いいからはやくアタシは純一の所に…!」
梅原「──今回の件、黒幕は誰か俺は知ってるよ」
梅原「お前がどうして輝日南に行ったのか、そしてどうして行かなければならなかったのか」
梅原「…大体は予想がつく、そしてどうしてそうなったのかもな」
棚町「アンタッ…!」
梅原「棚町もわかってるんだろ? だからそんなにも怒ってる」
梅原「……アイツと蒔原が、近くにいることに対してな」
棚町「わかってるんならっ…そこをどきなさいよ! アイツがどんな奴に何を言おうとしてるか…!」
梅原「………」
棚町「わかってるなら! 止めなきゃダメじゃない!」
梅原「…駄目だ」
棚町「どうしてよっ!」
梅原「っ……アイツが選んだことだからだよ!」
梅原「あの橘が、ちゃんと考えて、選んだことだからだ!」
梅原「アイツはっ…口では色々というけどよ! すっげー臆病者なんだよ!」
梅原「恋に対して…これでもかってぐらい、真剣に悩むやつで…!」
梅原「好きな女の子にたいして、真面目に考える馬鹿なやつで…!」
梅原「だから、そんなヤツが……今回、キチンと自分の考えを持って…」
梅原「……ああやって、女の子を誘えたんだ」
梅原「そんな橘の努力と勇気を、邪魔するわけにはいかねえだろ!」
棚町「──だからって! なんでアイツなのよ!」
棚町「アイツは! 絶対に……なにか裏でものごとを考えてるやつよ!?」
棚町「今回のことだってそうじゃない! わかるわよ、どうせアタシを罠にはめようとかそういうことだったんでしょ!?」
棚町「気に入らないから、アタシをっ…輝日南に向かわせて、問題を作ろうとした…!」
棚町「そこから何が待ってるのかなんて、結果がどうなろうと、アイツは全く…ッ!」
梅原「…それでも、駄目だ」
棚町「ぐっ…アンタに何を言っても無駄ね、退きなさいさもないと殴るから!」
梅原「駄目だ」
棚町「な、なんでよっ!」
梅原「…ダメだって、棚町」
棚町「っ……なんでよ、どうして…っ…!?」
梅原「……」
棚町「どうして……ダメなのよ、アタシは…アイツに……」
梅原「……俺だって、アイツを止めてやりたい」
棚町「っ……」
梅原「どうしてあんな奴を好きになったんだよって、俺だって…そう言ってやりたい」
梅原「だけど……だけどよ! …だけど、それは…言えるわけねえだろ……」
梅原「…アイツが一生懸命に悩んで悩んで…それでも、好きだって思った相手をよ」
梅原「──この俺が、ダメだって言えるか?」
棚町「っ……」
梅原「俺は、ダメな親友だ……なんでもわかってるつもりでも、なんにもアイツを救ってやれねえ…馬鹿な男だ」
梅原「だが、それでも……やっぱり、俺はアイツにとって親友でありたいんだよ」
梅原「橘純一ってやつを、認めていたんだいよ!」
棚町「………」
梅原「絶対に…今回のことは、否定してやっちゃいけねえ! アイツの本当の気持ちを、蔑ろにしちゃいけねえんだ!」
梅原「あの男は正しいんだって! 唯一、全部知ってる俺だからこそ! 言わなくちゃいけない言葉だろ!?」
棚町「………」
梅原「……その後に、何が待ってるかなんて。考えたくもねぇ…信じたくもねえし、なってほしくないと思ってる…」
梅原「…だけど、それでも俺は…こうやって、お前を止めるアイツの『親友』でありたい思ってる!」
棚町「……」
梅原「殺す気でかかってこい、俺もそれなりの覚悟で挑む」
梅原「───俺は命を張ってでもアイツの覚悟を守り切るからな」
棚町「……なによ、それ」
棚町「…アンタはただ、そうやっていい親友って奴を…演じたいだけじゃない」
梅原「……」
棚町「アイツにたいして…現実を突きつけるのが恐いから…アイツがショックを受けるのが…恐いから」
棚町「──ただ単に、それが恐いからそんなこを言えるんでしょ!? 最低よアンタはッ!!」
梅原「………」
棚町「そんなものッ……アタシがやってやるわよ! アイツがどんなに傷つこうとも!
このっ…このっ! 悪友のアタシが! ちゃんとしっかりとアイツに───」
梅原「──……」ぼそっ…
棚町「──えっ…?」
棚町「……なに、それ、マジで言ってるの…?」
梅原「…ああ、本当のことだ」
棚町「うそ、ありえない、どうして……」
梅原「……そうだな、確かにありえないだろうな」
梅原「だけど、アイツはそういうやつだって俺は知っている」
棚町「ばか、なんじゃないの…?」
梅原「……いいや、馬鹿じゃない、アイツは本気だ」
梅原「───今回の件のこと、黒幕のこと、アイツは全部知っている」
~~~~~
梅原「アイツは変えようとしてるんだ…蒔原のことを」
棚町「…なんで」
梅原「…好きだからに決まってるだろ」
純一「──……!」
蒔原「───……?」
梅原「あの男は……あそこで頑張ってやがる男は、そういう奴なんだよ」
棚町「………」
純一「───……!?」
蒔原「───くすくす…」
棚町「……どうして、言い切れるのよ」
梅原「なんで知ってるかってか? …そりゃまあ、俺だって知りたい」
梅原「だけど、アイツは知ってた。俺にそうやって…伝えてきたんだ」
『──僕はそれでも、好きだから』
梅原「っ……アイツは、馬鹿なやつだ。本当に、俺だって…止めてやりてぇよ」
梅原「だけど、橘は……好きだからって、自分が初めて好きになった女の子だからって…」
棚町「……」
梅原「意味がわっかんねーよな、俺だって……さっぱりだ」
梅原「ずずっ……だけど、やっぱ期待したくなっちまうだろ。言い切られちまうとよ…」
梅原「…だから、俺はアイツを信用する」
棚町「………」
梅原「もしそれがダメだったとしても、俺は…絶対にアイツの側に居てやるんだ」
梅原「そして毎年クリスマスによ…男どもで盛大に祝ってやってさ、馬鹿だったなぁあの頃はって」
梅原「…笑ってやりたいんだよ、俺は」
棚町「……」
梅原「…アイツに次の大事な人ができまで、俺は……おう、一緒にいてやるんだぜ」
棚町「………」
梅原「…ばかだって思うだろ?」
梅原「くはは! だろだろ! …それに俺たちも馬鹿だ」
棚町「……」
梅原「こうやって…アイツの恋の頑張りに、一生懸命になっちまってる」
梅原「…大丈夫だ、なにがあっても幸せしか残ってねえよ、これってよ」
棚町「……」
梅原「…棚町、お前もずっとアイツのそばに居てやってくれ」
棚町「……」
梅原「しあわせになろうが、不幸になろうが、それでも…ずっとその『悪友』のままでいてくれ」
棚町「……」
棚町「……言われなくたって、そんなの」ぼそっ
梅原「そうか、そりゃーよかったぜ。俺も安心だよ」
棚町「……」
蒔原「───……」こく…
棚町「あーあ、あんなに嬉しそうにしちゃって…」
棚町「馬鹿ね、本当に……アンタってどうしてそこまで、こうなのよ…」
棚町「……ばか、それじゃあアタシも…」ぎゅっ…
棚町「……応援したく、なっちゃうじゃない…」ぼそ…
梅原「……。さーて、飯でも食いに行くかぁー」すたすた
棚町「…アタシは、もうちょっとここにいる」
梅原「そうかい、おう……んじゃまたな、棚町」
棚町「………」
ざぁあああああ~……ひゅうう~……
棚町「…寒いわね、今日も」
棚町「…クリスマスってアンタ、当分先じゃない」
棚町「ぷっ……テンパりすぎよ、ホント」
棚町「あーあ、そこまでアイツ……ちゃんと真っ直ぐにすきでいられるのかしらねえ~…」
棚町「……」
棚町「……仕方ない、このアタシが最後までキチンと!」
棚町「メンドウ見てあげようじゃないのっ!」
棚町「…このアタシが、悪友としてね」
棚町「…………」
ざぁあああああ~………
「………」
「……っはぁー…寒いなぁ」
「一段と冷えてきた気がするよ……あはは、なんといっても…」
「僕の心がぽっかりと、穴が開いてる……からかな」
「……どうして、来てくれなかったんだろう」
「やれることは、やったつもりだったのに。色んな人に女の子の喜びそうなものを聞いて…」
「それから、デートではどんな場所で過ごせばいいのか…一生懸命、一生懸命…」
「…だけど、彼女は来てくれなかった」
「…………」
「……あはは、寒いなぁ」
「ああ、そうだな…それは…受験とか恋とか、そういうことで悩んでた時期かな」
「あの時の自分は、自信がなくて…度胸がなくて、そして……周りに迷惑ばっかりかけてて」
「どうしようもない僕で、どうしようもなかった僕で……」
「………」
「…だけど、いつの時からか…それは急にガラリと変わって」
「僕は、色々と頑張ることが出来たんだ」
「………なんでだっけっかな。どうして僕は頑張れたんだっけ」
「あ、そうか……あの時、僕はアイツと──出会ったから…」
「彼女と、あの…僕より背の小さくなった女の子と一緒に…」
「ここまで頑張ってこれたから……かなぁ」
「………」
「彼女に、ここまで僕を強くしてくれて……ありがとうと、この気持ちを伝えたい」
「ここまで頑張れたのは、君のお陰だよって……感謝の気持ちを彼女に伝えたい」
「…あはは、僕も弱ってるなぁ。アイツに感謝なんてさ」
ふわ…
「──あれ、これって……まさか雪?」
ふわふわ…
純一「ホワイトクリスマスだなんて…今年も寒かったからなぁ」
純一「………」
純一「この景色を……僕は、一体誰と見たかったのだろう」
純一「雪の降る夜景が広がる……この公園で、僕は」
純一「僕は、誰と……」
きぃ…
純一「…ん?」
純一「…なんだよ、心配して見に来てくれたのか?」
薫「さあ? なんのことかしら?」
純一「すっとぼけるなよ、全部わかってたくせに」
薫「…くす、見事にふられちゃった感じ?」
純一「…泣くぞ」
薫「いいわよ、アタシの胸の中でたーんとお泣きなさい」
純一「え、いいの?」
薫「…コラ」
純一「あはは、冗談だよ……ほら、見てくれ薫…雪だよ」
薫「知ってるわよ、自転車でここまで来たんだから」
純一「そっか……でも、雪だ。雪が降ってるんだ」
薫「………」
薫「……」
純一「ゆっくりと……ゆっくりと……」
薫「…純一」
純一「…だけど、僕は……雨が良かったな」
薫「……」
純一「そうすれば、そうすれば……色々と隠せたのに…」
純一「…こんなにも綺麗で、ゆっくりと降るのなら……、っぐす……」
純一「……もう、隠せないよ……」
薫「……馬鹿ね、本当にアンタは馬鹿よ」
純一「…ああ、そうだな……」
薫「……それに、頑張りすぎよ……本当に」
純一「あはは、だな……うん…ぐすっ…」
純一「っはぁー……泣いちゃだめだよな、こういうのってさ」
薫「…うん」
純一「ちゃんと、前を向かなきゃいけないよな……わかってるんだ」
薫「うん」
純一「だけど、だけどっ……やっぱり悲しくって、僕は…」
薫「……うん」
純一「…あーもう、嫌だ嫌だ。お前に甘えてばっかりで、嫌になるよ」
薫「うふふ、甘えればいいじゃない。今日ぐらいは、許してあげなくもないわよ?」
純一「……本当にか?」
薫「うそ」
純一「くそっ、ジュースの一本でも驕らせようと思ったのに…」
薫「甘い甘い、それぐらい棚町さんなら見破れるってもんよ」
薫「当たり前でしょ、それがアンタにとってアタシじゃない」
純一「…そうだな、確かに…」
純一「───そうだったな、お前はさ……」
薫「………」
薫「さーて、純一! 今日はいっぱい騒ぐわよ!」
純一「……あはは、言うと思った」
薫「なーによそれ、可愛くないわね。そこは『え…薫…?』とか言ってくるもんでしょフツー」
純一「言って欲しいのか?」
薫「気持ち悪いから、ヤダ」
純一「だろ、だから言わなかったんだよ」
薫「…んふふ、ちょっと調子が戻ってきたんじゃない?」
純一「ん、そうかもな」
薫「あったりまえじゃない! どこにだって連れてってあげるわよ?」
純一「んー、例えば?」
薫「そうね~……あ、ファミレスとか!」
純一「また~…?」
薫「またってなによ、またって。じゃあアンタが行きたい場所言いなさい、それなら」
純一「結局人任せかよ……いいよ、だったら連れってやる。自転車借りるぞ」
薫「あ。アタシも載せなさいよ」
純一「当たり前だろ? …いつまでも一緒にいるって言ったじゃないか」
純一「…ほら、またあの時のように。二人乗りするぞ!」
薫「…ふふ、そうね」すとん
薫「じゃあー! 純一&薫号! はっしーん!」
純一「あいよっ!」
きぃこきぃこ…
薫「ん?」
純一「…その、ありがとな」
薫「えー? なに? きこえないー?」
純一「う、うそつけ! 今回は聞こえてただろ!」
薫「あっは、バレた? ついでに言うと、前の時も聞こえてたわよ?」
純一「なっ……!」
薫「…ありがとうな、お前のお蔭で元気が出たよ……ぶっほ! ひっひ、ひぃ~! か、かこよすぎ純一っ! あっははは!」
純一「な、なんで一字一句覚えてるんだよ!?」
薫「あんなの忘れようにも忘れられるわけないでしょ、ずっとずっと覚えててあげるんだからっ」
純一「や、やめてくれ!」
薫「だーめっ」
ぎゅうっ
純一「おわぁっ…!? ちょ、急に抱きついたら危ないだろ薫……!」
純一「お、おう……」
薫「だったら大人しく、真面目に漕ぐの! …その代わりアンタを応援しててあげるからっ」
純一「途中で運転変わったりとか僕、望んでるんだけど…」
薫「だめよ! 頑張りなさいっ!」
純一「うわぁっ!? だから抱きつくなっての…!」
薫「あははっ……純一!」
純一「な、なんだよっ…?」
薫「ちょっと薫って、呼んでくれない?」
純一「え、いつも呼んでるじゃないか……」
薫「ちっがーうのよ、それはいつも通りの『薫』でしょ?」
純一「…なんだよ、これからは違うとでもいうのか?」
純一「ああ、もう…甘えるなよ…わかったから、呼ぶよ呼んでやるって」
薫「うんっ」
純一「はぁ……じゃあ言うぞ?」
薫「…うん」
純一「薫」
薫「っ……なあに、純一?」
純一「へ? いや何も考えてないけど…?」
薫「えっー! 考えて起きなさいよ! ばか純一!」
純一「馬鹿ってなんだよ…って、コラ! 怒るぞ暴れると!」
薫「あはは! うりうり!」
純一「っだあああああ! 薫! やめろって!」
薫「やだー! ずっとずっと、こんな風にやってあげるんだから!」
薫「…覚悟しておきなさいよね、純一? んふふ!」
久々にアマガミやろうかな
また書いてください
あったわー
Entry ⇒ 2012.10.01 | Category ⇒ アマガミSS | Comments (2) | Trackbacks (0)
純「ダリィ」白望「ダルい」
http://hayabusa.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1348923405/
マイナーカプが苦手な人は気をつけろ!
塞「好きな人ができたァ!?」白望「うん」
http://ssweaver.com/blog-entry-1723.html
白望「芋けんぴ、髪に付いてたよ」
http://ssweaver.com/blog-entry-1729.html
一応前作だけどお話のつながりはないです
期待
白望「ダルい……」
純「え?」
白望「んー?」
純「…………」
白望「…………」
純「…………」
白望「…………」
純「……なんか喋れよ」
白望「……ダルい」
白望「うん」
純「二回戦見てたぞ」
白望「サインなら書かないよ」
純「いらん」
白望「そう」
白望「……なに、ナンパ?」
純「違う!」
白望「そう」
純「……言っておくが、オレは女だ」
白望「見ればわかる」
純「……そ、そうか」
純「え?」
白望「そこの自販機に」
純「あ、ああ、さっきの質問の返事か」
白望「うん」
白望「で、買う前にベンチに座ったら、ダルくて立てなく……」
純「おいおい」
白望「仕方なく迎えを待ってる」
純「ダメ人間のお手本だな」
白望「ん?」
純「送ってやるから、さっさと立てよ」
白望「……やっぱナンパ?」
純「違うわ!」
白望「冗談」
純「ったく……」
白望「まっすぐ行って左」
純「すぐそこじゃねぇか!ダラけすぎだろ!」
白望「歩き始めるまでが一番大変」
純「……それはまぁ、わからなくもない」
純「1分もかからなかった……」
白望「……あ」
純「?」
白望「ジュース買い忘れた」
純(こいつ……)
白望「買ってくる」
純「戻るのかよ!」
純「どうした?」
白望「なんで着いてきてるの?」
純「……なんでだろう」
白望「まあいいけど」
純「気になるならどっかいくぞ」
白望「別に……」
純「え、買ってくれんの?」
白望「迷惑かけたお詫びに」
純「おぉ、迷惑という言葉を知ってたのか。コーヒーで」
白望「失礼な……」ピッ ガコン
白望「はい」
純「サンキュ」
白望「オレンジ」ピッ ガコン
純「へぇ、ほうじ茶とか飲むのかと思ってた」
白望「それは偏見……」
…
-宮守女子控え室-
塞「……遅い」
豊音「そろそろ30分だよー」
エイ カキカキ
胡桃「ん、寝てる人の絵?……シロ寝てるんじゃないかって?」
エイ コクコク
塞「いや、さすがにそれは……んー、でも、シロだしなぁ」
胡桃「ないとも言い切れないんだよね」
塞「寝てたら叩き起こしてね」
胡桃「まかせなさい!」
豊音「ら、乱暴は駄目だよー」
胡桃「わかってるよ。じゃあ行くね」
エイ フリフリ
胡桃「まったく、世話が焼けるなぁ……」
胡桃「ベンチに座ったら立てなくなったとかかな」
胡桃「ダルいダルい言ってたりして」
純「で、透華だけがユニフォーム着て来てさ」
白望「まじめな人だね」
胡桃「……?誰かと話してる?」
胡桃 ヒョコッ
胡桃「……」
胡桃「……!?」
胡桃「シ、シロがイケメンにナンパされてる……!!」
バタンッ!
胡桃「大変だよみんな!」
豊音「わっ、びっくりしたー」
塞「どうしたの?」
胡桃「シロがイケメンにナンパされてるんだよ!」
豊音「えっ!?」
エイ「!?」
塞「はぁ?」
胡桃「でも、結構話弾んでるみたいだったよ!」
エイ「シロガ……?」
豊音「プロのナンパ師さんとかかなー?」
塞「そんなのいるの!?」
胡桃「と、とにかくみんなきて!このままじゃシロが傷物に!」
純「国広くんがタバスコジュース引き当ててな」
白望「おっちょこちょいなんだ」
エイ「ナ、ナイスガイ……!」
塞「イケメンだ……!」
胡桃「だから言ったでしょ!」
豊音「……どこかで見たようなー……?」
白望「楽しそうだね」
エイ「ホントニハナシハズンデル……」
塞「話術まで得意とは、なんたるイケメン……!」
胡桃「ああ、このままじゃシロの初めてが……」
豊音「うーん、どこだったかなー?」
白望(何してんだろ……)
純「んで証拠隠滅に……って、どうかした?」
白望「んー、……何でもない」
純「?」
白望「……」ジー
エイ「シロ、コッチミテル……?」
塞「うえ、ばれた!?」
胡桃「気づいたなら声かけてくれれば……」
胡桃「ナンパがしつこくて抜けられないんだ!」
塞「……いや、なんか違わない?」
エイ「シロタスケル!」
塞「エイスリンまで乗り気になってるし……」
豊音「テレビで見たようなー……」
胡桃「いくよみんな、ほら、トヨネも!」グイッ
豊音「えっ、えっ?」
純「あれ、あんたのお仲間さんじゃね?」
白望「うん」
純「なんで殺気立ってんだ?」
白望「……さぁ」
胡桃「シロ、大丈夫?体とか触られてない!?」
白望「……え?」
純「は?」
純(こいつオレをナンパと勘違いしてんのかよ!)
純「おい、誤解d」
胡桃「ほらシロ、こんなナンパほっといて控え室戻るよ!」グイグイ
白望「ちょ……タンマ」
エイ「ハヤクアルク!」
白望「えぇ……」
塞「し、失礼しました」ペコリ
純「…………」
純「戻るか……」トボトボ
一「おかえりー。ずいぶん遅かったね?」
透華「何かございましたの?」
純「ああ、聞いてくれよ」
…
一「あっはっはっはっは!」
純「……笑うなよ」
一「いやごめんごめん。何とも純くんらしいエピソードでつい」
一「今日の純くん、それほど女の子らしい格好でもないのにねー」
純「……そういやそうだな」
一「何て人だっけ?」
智紀「岩手の先鋒は、小瀬川白望」
純「へー、そんな名前だったのか」
純「小瀬川白望か……」
胡桃「撒いた!?」
塞「そもそも追ってきてないよ」
白望「だる……」
胡桃「で、シロ、あのナンパに何かされなかった?」
白望「別になにも。というかあの人ナンパじゃないよ」
胡桃「えっ!?」
胡桃「そ、そんなことが……」
塞「失礼なことしちゃったなぁ……謝らないと」
エイ「シャザイ?ユビツメ?」
胡桃「何怖いこと言ってんのエイちゃん!?」
白望「見ればわかるでしょ」
胡桃「わかんないよ!」
塞「高身長のイケメン以外の何者でもなかったよね」
エイ「ナイスガイデシタ」
豊音「あーーー!!」
豊音「思い出したよあの人!」
豊音「去年の長野代表の、龍門渕高校の先鋒だった人だよー!」
胡桃「あの人が!?」
白望「へー」
豊音「ど、どうしよー。サイン貰いに行かないとー」アワアワ
塞「いや、さすがにもう遅いから諦めなよ」
豊音「ううー」クスン
胡桃「明日からは清澄と姫松の応援だよ!……あ、そういえば清澄って」
塞「ああ、長野の代表だね。あの人も清澄の応援に来てたのかもね」
豊音「じゃあ、清澄を応援してればまた会えるかも!」
豊音「天江衣さんもいるのかなー」ワクワク
エイ「コロモ?」
豊音「去年のインターハイの最多得点プレイヤーだよー!」
エイ「スゴイ!」
白望「…………」
塞「シロ?」
白望「あ、ああ、うん」
エイ「ドウカシタ?」
白望「……なんでもない。帰ろう」
胡桃「…………」
胡桃(これは、まさか……!?)
-宮守女子宿泊先-
白望「うーん」
エイ「シロ?」
白望「……ちょっと散歩してくる」
エイ「ジャアワタシモ、」
白望「ごめん、一人になりたいから」スタスタ
エイ「……シロ?」
白望「んー……」
白望「まいったなぁ……」
白望「さっきから、あの人のことばっかり考えてる」
白望「……そういえば、名前なんていうんだろう」
白望「トヨネに聞いておけばよかったかな」
白望「……独り言ダルい」
白望「座ろ……」
白望 ポケー
「夜に女一人で出歩くのは危ないぞ?」
白望「え?」
ガバッ!
白望「!!?」
白望(何……!?)
純「オレだよオレ」
白望「……!?」
白望「なんでここに」
純「いや、散歩してたらあんたがいたから、驚かせようかと」
白望「……びっくりした」
純「ごめん。まさか泣くほど驚くとは思わなかった」
純「涙目だぞ」
白望「……!?」
白望 ゴシゴシ
白望「泣いてない」
純(やべぇ、かわいい)
純「……もっと動じない性格だと思ってた。ごめんな」
白望「泣いてないって」
純「はいはい」
純「人のこと言える立場か?」
白望「う……」
純「まああれだ、ちょっと一人になりたくてな」
白望「なら、声かけなくても良かったんじゃ……」
純「いや、あんたのこと考えてたからさ」
白望「!?」
純「あ、べ、別に変なことは考えてないぞ」
純「ほら、初対面でオレのこと女だってわかってくれる人って少ないからさ」
白望「あ、ああ、そういう……」
純「……なぁ、なんでオレが女だってわかったんだ?」
白望「え?」
純「オレってどう見ても男顔だし……服とかも女っぽくなかっただろ」
白望(どう考えても女の子としか思えなかったし……)
白望(んー……強いて言うなら……)
白望「匂い……かなぁ?」
純「!?」
白望「うん、よく考えれば、見た目よりそっちのほうが大きかったかも」
白望「うん、女の子の匂い……っていうのかな」
純「……お、女の子の……オレが……」
純(な、なんかわからないけど、嬉しい……のか)
純(やば、顔赤くなってるかも)
白望「……それに」
純「お、おう?」
白望「綺麗だったから、かな」
白望「本心なんだけどなぁ……」
白望「肌綺麗だし……。指とか、結構気使ってるんじゃない?」スッ
純「ちょ、……!?」
白望「うん、やっぱり綺麗」
純「お、おお……」
白望「まぁ、大体そんな感じかな」
純「そ、そうか」
純「帰んの?」
白望「んー、そうだね」
純「そうか……」
白望「……あ、そういえば」
純「?」
白望「名前、聞いてない」
純「そういや言ってなかったな」
純「オレは井上純。改めてよろしく」
純「あーちょいちょい、こっちきて」
白望「?」
純 チュッ
白望「……!?」
純「じゃーな、白望♪」タタッ
白望「え?名前?なんで?」
白望「……キスされた///」
純「あー、格好つけすぎた///」
純「失敗したら超恥ずかしいことになってたなぁ……」
純「上手くいってよかった」
純「それにしても、何か忘れてるような……」
純「…………あ、連絡先、聞いてねえ」
白望「ただいま……」
エイ「オカエリ、オソカッタネ?」
白望「うん、……ちょっとね」
エイ「?……カオアカイ……ネツ?」
白望「ううん……。今日は寝る」
エイ「??」
白望(初めてだったんだから、責任取って貰わないと……)
白望(次に会うときは、覚悟して……純)
おしまい
こんな二人もいいものですね
Entry ⇒ 2012.09.30 | Category ⇒ 咲-Saki-SS | Comments (0) | Trackbacks (0)
リンク「うわあぁぁ怖いよナビィぃぃいいいい」
リンク「ん~……」
ナビィ「おーきーて! デクの樹サマがお呼びなの! 一緒に来て!」
リンク「ん……よう……せい……?」
ナビィ「私、妖精のナビィ! 貴方の相棒よ、よろしくね」
リンク「僕の……僕の相棒……!?」
リンク「うっぐすっ……うわあぁぁあああん」
ナビィ「っ!? ど、どうしたのいきなり泣き出して」
リンク「もっミドにっいじっぁっくえっうっ」
ナビィ「く、苦労してるのね……」
ナビィ「ほら、泣き止んで! いそぎましょ!」
リンク「うん……」グシグシ
サリア「やっほーリンクー!」
リンク「ざり゛あ゛ぁ……づいに、づいに僕のと゛ごろにも」
サリア「ついにリンクのところにも妖精が来たのね! おめでとう」
リンク「うん……うん……」
リンク「うん……サリアのおかげで、ミドとその子分以外からはいじめられてないっていうか……」
リンク「サリアがいなかったら、僕、今頃死んでた……」
ナビィ「あら……」
ナビィ(こんないじめられっこが、ハイラルの運命を握ってるなんて本当なのかしら……?)
ミド「ここを通りたかったら剣と盾くらい持ってこいや」
リンク「え……刃物なんて危ないよ」
ミド「とにかくもってこいっつってんだよ! じゃなきゃ通さねーからな!」
リンク「……ぐすっ」
リンク「どうしてこの岩転がってるの!? 物理法則を無視してるじゃんかうわああああああ」
ナビィ「ほらあそこ! 宝箱があるわよ!」
リンク「うわああああああギャッ!」ドゴォッ
ナビィ「きゃあああリンク大丈夫!?」
リンク「いだい……痛いよ゛ぉ……」
ナビィ(本当に大丈夫なのかしら……)
リンク「剣は手に入れたけど……」
リンク「触るの怖いよ、怪我しそうだし……」
ナビィ「とりあえず、振る練習をしましょ」
リンク「うん……」
リンク「5ルピー足りない……あっ」
ナビィ「どうしたの?」
リンク「しっ」
リンク「……レジのすぐ横に落ちてた」
ナビィ「えっと……ラッキーね」
リンク「よし、剣も盾も手に入れた!」
ナビィ「これでデクの樹サマのところにいけるわね!」
リンク「ミドに復讐できる!」
ナビィ「えっ」
リンク「冗談だよ! 人に剣を向けたりはしないよ……復讐はしたいけど」
ナビィ「…………」
リンク「自分がこの剣で切られる可能性は考えた?」
ミド「えっ……ひっひいいいいいい弱虫の癖に偉そうに!」ダダッ
リンク「あ、行っちゃった……ちょっと意地悪し返してやろうと思っただけなのに」
ナビィ「けっこう怖いわよ今の」
ミド「……モンスターがいるから、親切で持って来いっつってやったのに」
ミド「けっ」
ナビィ「デクの樹サマを助けたくはないの!?」
リンク「助けたいよ! でも僕には無理だよ! なんか中暗そうだし!」
)谷(「お願いじゃ……リンク……お前にしか成せぬことなのだ」
リンク「うっ……ぅぅっ……わかり……ました……」
リンク「うわ……モンスターがデクの樹サマの中に……」
ナビィ「その剣と盾を使って倒すのよ!」
リンク「ひっ……」ガクガク
ナビィ「待ってリンク! スタルウォールが」
リンク「っうわあぁぁぁあああ! あいたたた……」
リンク「なんか紫になって襲ってきたよおおおおお」
ナビィ「パチンコを使って倒すのよ!」
リンク「パチンコって最初の文字を伏せると大変な単語になるよね」
ナビィ「…………」
ナビィ「さあ勇気を出して!」
リンク「いやだよおお他の手段探そうよ!」
ナビィ「リンクなら大丈夫よ!」
リンク「いやだああああああ」
ナビィ「……いい加減にしなさい!」ドンッ
リンク「えっ……うわあああああああああああああああ」
ナビィ「……あ゛」
リンク(穴からズレた! やばい! 地面にぶつかるううううううう!!)
リンク「あうぃぃぃ……」
ナビィ「……骨折くらいするかと思ったら擦り傷程度じゃない!」
ナビィ「その異常なまでの丈夫さがあれば平気よ! ワンモア!」
リンク「うっ……ナビィが怖いよおおぉぉ」
ナビィ(私だって……私だって本当はこんなことしたくないのに……)
リンク「なんとかクモの巣は破れたけどやっぱり落ちたら痛いよ……」
ナビィ「よく頑張ったじゃない! さあ、奥へ進みましょ!」
リンク「なんか金色のクモまでいるし何なんだよもう……」
ナビィ「幼生ゴーマよ! ほら、剣で攻撃して!」
リンク「い……いやだ……こっちこな……で……うわああああ!!」ブンブン
リンク「はあ、はあ……怪我しちゃった……痛いよ……」
リンク「助けてサリアぁ……」
ナビィ「リンクは頑張ってるよ!」
ナビィ(弱虫にもほどがあるわ……)
タマゴが落ちて来る前に、あらかじめパチンコで破壊しておけば戦闘は避けられたのだが
彼にそれを知る由はなかった
リンク「でもなんか変な音してる……」
ナビィ「リンク、上よ!」
リンク「え? ひっうわあああああ」
(÷)「キシェアアアアア」
ナビィ「呪いの元凶だわ!目を狙って!」
ナビィ「今よ! パチンコで目を討って!」
リンク「外しちゃったよおおおおお」
ナビィ「ああ……幼生ゴーマが……」
リンク「うっぐすっ」
ナビィ「泣いたら視界が悪くなるわよ!」
リンク「剣が重くて上手く使えないよ……あ、そうだデクの棒!」
ナビィ「やったねリンク!」
リンク「あれ? 幼生ゴーマが親に群がってる……」
ナビィ「……倒さないと」
リンク「モンスターでも、家族を亡くしたら悲しいのかな」
ナビィ「それでも敵よ。呪いの元は断たないと」
リンク「……ごめんね」
ザシュ
リンク「…………」
リンク「デクの樹サマ、僕勇気なんて無いです!」
)谷(「魔物を倒したのじゃ……おまえならできる!」
リンク(無理だよ……)
)谷(「外の世界に行くのだ!」
リンク「外の……世界……?」
リンク「外に行けば……僕、もうミド達にいじめられなくて済むの!?」
)谷(「うむ……まあ、物理的な距離は離れるからの……」
リンク「やったああああああ」
リンク「ちょ、違……」
少女「ねえ……リンクがデクの樹サマを殺したって本当?」
少年「ミドのアニキが言ってたんだぜ……」
少女「やだ……まさかいじめられていた腹いせに……?」
リンク「…………」
リンク「こんな森出てってやるうううううう!!」ダダッ
ナビィ「り、リンク!」
リンク「サリア……サリアは信じてくれるよね? 僕、デクの樹サマを助けようと思って……」
サリア「わかってるよ! サリアはリンクの友達だもん」
リンク「サリア、あり……がと……」
サリア「このオカリナ、あげる」
サリア「リンク、他のコキリの皆とはどこか違うなって思ってたの」
サリア「でも、そんなの関係ない。私達はずっとトモダチでしょ!」
リンク「うん……うん!」
ナビィ(一応理解のある友達はいるのね……)
リンク「なんだか自分がはじけ飛んで、消えてしまいそうで怖い……」
ナビィ「さ、早くお城に行きましょ!」
リンク「さっきのケポラゲボラって一体何者なんだろ? 鳥なのに喋るなんてさ」
ナビィ「そうねえ……」
ババババババババ
リンク「うわっ何あのおっきいの!」
ナビィ「ピーハットよ! 下の方にある突起を狙って!」
リンク「待って、怖い! 無理! うわああああああ」
リンク「って、木に引っかかって追って来れなくなってる! ラッキー!」
ナビィ「ここで倒して剣の練習をしてほしかったんだけど……」
ナビィ「ほら見えてきたわよ! あそこ!」
リンク「あっほんとだ!」
リンク「よし、ついt」
ガラガラガラガラ
リンク「閉まらないでえええええ!」
ガシャン
ナビィ「あちゃあ……」
リンク「地面からガイコツが沸いてきたよナビィ!」
大スタルベビー「」ブンッ
リンク「でかっ! うわああああ!」ボシャン
リンク「……あ、こいつら水の中に入って自滅してる!」
リンク「一晩中川に入っていれば安全だ!」
ナビィ「溺れないようにね」
コケコッコー
リンク「くしゅんっ! けほけほ」
ナビィ「風邪ひいちゃったわね……」
リンク「じゃあ僕が探してくるよ! これから城に用があるからさ」
ナビィ(この子、直接兵士さんに相談しに行った方が良いんじゃ……)
リンク「何回挑戦してもお城に入れないよナビィ」
ナビィ「せっかく保護色な服を着ているんだから上手く奴等の目を掻い潜りましょ」
リンク「……お堀に入るの? 水の音で気づかれない?」
ナビィ「そっと入るのよ」
リンク「この水臭いよ……」
リンク「熱っぽいし……・ヘックション!」
ドサッ
リンク「いたたっ木から何か落ちてきた!? うわあクモだ……」
ナビィ「倒しちゃいましょ」
ナビィ「木から落ちてきた黄金のスタルチュラにぶつかるなんて、運が悪いわね……」
リンク「この人がマロンのお父さんかな?」
リンク「……やっぱり大人の人だなあ。僕、街に入るまでは大人なんて見たことなかったからさ。憧れるんだ」
リンク「城下町に入ったらたっくさんいたからびっくりしちゃったし」
リンク「僕も大人になれたらなあ……」
ナビィ「コキリ族はずっと子供だもんね」
ナビィ「起きないわね……」
リンク「何て名前なんだろうね? マロンのお父さんで丸っこい体系だから、マルオだったりして!」
ナビィ「ちょっと失礼じゃない?」
リンク「そうなの?」
兵士「まだ子供じゃないか! 追いだせー!」
リンク「ひいいいいいい」
ナビィ「リンクー……もうちょっと上手く兵士に見つからないようにできない?」
リンク「も……だめ……くらくらして……きた…………」バタン
ナビィ「リンク? リンク!? しっかりして!」ユサユサ
リンク「……ぅ…………」
ナビィ「リンクー!」
リンク「……あれ? ここは……」
インパ「やっと気がついたか」
ナビィ「リンク、良かった……」
リンク「ええと、僕は確か……」
インパ「お前に会いたがっているお方がいる。ついて来い」
リンク「は、はあ……」
リンク(この人怖い……)
リンク(ただでさえ大人の人は体がおっきくて怖いのに)
ナビィ「偉い人の肖像画じゃないかしら」
リンク「へええー! 緑色のトカゲみたいなのと、金髪の女の人と、赤い帽子を被った人が描かれてるね」
インパ「このお方だ」
リンク「っ!」
リンク(かっ、かわいい……)
ゼルダ「貴方が、妖精を連れた……森からの使者ですか?」
リンク「え、あ、はい! リンクっていいます!」
ゼルダ「リンク……不思議……懐かしい響き」
リンク(でもちょっと電波なのかな?)
ナビィ「帰りたくはないのね……」
リンク「だって僕、デクの樹サマ殺しの疑いをかけられてるし……うっ」
ナビィ「思い出さない思い出さない! さ、山に登りましょ!」
リンク「ハイリアの盾?」
兵士「なンでも屋って店に行って買って来た方が良いぞ」
リンク「戻るの大変だなあ……でもやっぱ怖いし手に入れておこうか」
ナビィ「まあけっこう近いしね」
墓荒らしをすればタダで手に入れられるということを、純粋無垢な少年が知る由はなかった
リンク「うわああいてっ!」
ナビィ「岩がたくさん転がってきてるね。気をつけて」
リンク「ううっ……また化け物と戦ったりすることになったら嫌だなあ」
ナビィ「あんなおっきな岩にぶつかってもかすり傷くらいしかつかないリンクなら大丈夫よ」
リンク「体がだめでも心が死んじゃうよお……まだ風邪治りきってないし……」ジュルジュル
リンク「うわっ岩が動いてる!」
ナビィ「ゴロン族よ。石を食べる種族なんだよ」
リンク「ええー……石を……」
リンク「どうしよう……どうにかして機嫌を取りたい」
ナビィ「う~ん……」
リンク「あれ? あちこち火がついてない燭台があるよ。付けてみよう」
リンク「わー中央のおっきいのが回ってる! 僕も回る!」グルグル
ナビィ「楽しそうね」
リンク「目が回った……」フラフラ
ナビィ「もう……」
ナビィ「行ったところでどうするの?」
リンク「サリアがノリの良い曲をよく吹いてたんだ! きっとその曲があればダルニアさんも機嫌を直すよ」
ナビィ「んなあほな」
ケポラ「音のする道を行くのが良いじゃろう」
リンク「うんわかってる! 多分、サリアはよく一緒に遊んだ場所にいるはずだし!」
リンク「って何でこんなところに狼がああああうわあああああひっかかれたああああああ」
ナビィ「ウルフォスよ!」
リンク「オコリナッツもたくさんいる……サリアは一体どうやってここを通ったんだろう」
ナビィ「リンクよりも強いんじゃない?」
想像したらワロタww
ナビィ「まあまあ……疲れたし、ちょっと里で休んでいかない?」
リンク「……ぐすっ」
ナビィ「あ、ごめん、そうだったね……」
ダルニア「この熱いビート!!」
リンク(うわあ……)
リンク「よし、岩は壊したし、中に……入りたくないけど行こっか」
ナビィ「ここから飛び降りたらすぐ入り口に着くわね」
リンク「え? 嫌だよ、もう飛び降りるのは嫌だよ!」
ナビィ「つべこべ言わない! 勇気を出すのよリンク!」
リンク「わああああスカートの中身見られちゃうううううううう」
ナビィ「叫んだら舌噛んじゃうよ」
ナビィ「端っこのほうなら大丈夫よ」
リンク「いやいや火傷しちゃうって! ブーツが焦げるよ!」
ナビィ「進むのよ!」
リンク「うう……うぁああ……」
ナビィ「泣き虫なんだから、まったく……」
リンク「わわっ地面から何か出てきた!」
ナビィ「ベビードドンコよ」
リンク「えいっ!」ザシュ
リンク「あれ、意外とよわ……えっ」
ナビィ「リンク、敵が!」
リンク「えっ何コイツ! 魔物なのに剣持ってる!」
リンク「待って待って!」キンキン
ナビィ「ハイリアの盾で亀さんごっこしてるだけじゃ勝てないよ!」
リンク「でも無理だよぉおおおお」
ナビィ「まあまあ落ち込まないで」
リンク「ううっ僕はもう駄目だ」
ナビィ「あ、その石像に不用意に触ると」
リンク「え? うわあああああああああああああああ」
アモス「ブゥゥ」ダンッダンッダンッダンッ
ナビィ「デクの盾買えて良かったね、リンク」
リンク「……この穴に飛び込むの?」
ナビィ「勇気を……勇気を出すのよ!」
リンク「やだよ! 他のルート探そうよ!」
ナビィ「マップには他の道なんて載ってないよ! さあ!」
リンク「うう……ごめんサリア、僕死んじゃうかもしれない」
ナビィ「デクの棒を使えばすぐだったね」
リンク「でもあいつおっきくて怖かったよ……ちょっとちびっちゃったし」
ダルニア「リンク、よくやったゴロ!」
リンク「やったぁ! 炎の精霊石GE……っと……」
ゴロン達「オラたちキョーダイ」ザッザッザッザッ
リンク「ひっ! う、うわあああああああああ」
ナビィ「ハイリアの盾で防いだらどうかな」
デクの盾を構えながら走っても無傷で行けるが、臆病な少年には到底不可能だった。
大妖精の泉
リンク「王家の紋章……? ゼルダの子守歌を吹けばいいのかな」
リンク「わあ、綺麗な女の人だね、ナビィ!」
ナビィ「う、うん」
ナビィ(怖がると思ったのに)
リンク「やった! 僕魔法が使えるようになったよ!」
ナビィ「やったねリンク!」
カカリコ村
リンク「ううっ……ケポラゲボラに連れてきてもらったのは良いけど」
ナビィ「良い景色だったわね」
リンク「怖いし酔うしでそれどころじゃなかったよ……」
ナビィ「ああ、飛び慣れてないもんね」
タロン「マロンの婿にならないだか?」
リンク「え? う、うん?」
タロン「冗談だーよ、子供にはまだわからないだ」
リンク「ねえナビィ、ムコって何?」
ナビィ「旦那さんのことよ」
リンク「だんなさん?」
ナビィ「外の世界の人は、男の人と女の人が結婚して家庭を築くの」
リンク「そういえば、外の人ってどうやって仲間を増やすの?」
ナビィ「あ、えーと、それは……」
リンク「ナビィでも知らないことがあるの?」
ナビィ「ええっと」
リンク「外にはデクの樹サマみたいな存在はいないのかな?」
ナビィ「男の人と女の人が結婚すると子供が生まれてくるんだよ」
リンク「ふうん? ……どうやって?」
ナビィ「う、う~ん……」
リンク「半漁人だあ!」
ナビィ「王様はお姫様がいなくなったせいでまともに話ができない状態だし……どうしよう」
リンク「潜水ゲームだって! やってみようかな」
ナビィ「リンクの苦手な飛び降りだよ?」
リンク「下に水があるから大丈夫だよ」
ナビィ「この高さじゃあ水に落ちてもかなり痛いと思うけど……」
リンク「まさか水面に飛び出てる岩にぶつかるなんて……」
ナビィ「もう、ドジなんだから。止血しないと……」
リンク「キングゾーラ、どくの遅いよ」
ナビィ「シッ!」
リンク「もう三十秒くらい経ってるよね……」
ジャブジャブ様のお腹
リンク「うわっ気持ち悪い……見た目も臭いも……」
ナビィ「きついね」
リンク「喉チンコ討ったら扉が開くって一体どんな仕組みなんだろう」
リンク「この妙に硬いシャボン玉も一体何なんだ……」
ルト「何か言ったゾラ?」
リンク「なんでもないです」
ルト「さっさと母上の形見を見つけ出すゾラ!」
リンク「もう……投げ捨てて良いかなこの子」
ナビィ「リンク、がまん」
リンク「やばい皮膚が融けてきた」
ナビィ「一刻も早く見つけて此処を出ないと!」
リンク「うわっあの丸が連なったの何!?」
ナビィ「テールパサラン。まだ倒せないから逃げて!」
リンク「うわ、ちょ、来ないでええええ!」ビリビリ
ルト「何をやってるゾラ……」
ナビィ「うっかり吸いこんじゃったんじゃない?」
リンク「あのでっかい棒みたいなの何?」
ナビィ「寄生虫の触手よ」
リンク「しょくしゅ?」
ナビィ「根元の細くなってるところをブーメランで攻撃して!」
リンク「うん、わかった!」
ナビィ(やっと少しは度胸が身に付いてきたかな)
ルト「ジャブジャブ様の中にあんなものがあるなんて気味が悪いゾラ……」
リンク「ひいいいい電撃避けれない! 無理!」
ナビィ「横っ飛びでどうにかするのよ!」
リンク「ブーメランで狙いを定めながらそんなことするなんて無理いいいいいい」
ナビィ「なんだかんだでできてるじゃない!」
ナビィ(運動神経は本当にすごいのにこんなに気が弱いなんて一体どうしてかしら)
リンク「ねえナビィ、ふぃあんせって何?」
ナビィ「婚約者ってことよ。結婚する約束をした人」
リンク「えっじゃあ僕とルトの間に子供ができるの!?」
ナビィ「う~ん……種族が違うから無理なんじゃないかしら」
リンク「種族が同じじゃないと子供はできないの?」
ナビィ「詳しいことは旅が終わってから教えてあげるから、今はゼルダ姫の元へ急ぎましょ!」
リンク「うん……」
リンク「ゼルダ!?」
ゼルダ「リンク…………!」ブンッ
リンク「うわ、今すごい力でオカリナを投げてたよ!」
リンク「壊れないのかな?」
ナビィ「大丈夫だから投げたんでしょ、多分」
ガノンドロフ「小僧、今、白馬が走って行っただろう。どっちへ行った?」
リンク「え、あ、いや、知りません」
ガノンドロフ「知らないはずがあるものか!」
リンク「ほんとに知らないんです! ほんと! ほんとに!」
リンク「あー……怖かった」
ナビィ「情けないよ、リンク……」
リンク「いや、だってあそこで死んだら元も子もないし……」
ナビィ「リンクってさ、サリアともゼルダ姫とも間接キスしてるよね」
リンク「かんせつきす?」
ナビィ「あーうん、なんでもないよ」
ナビィ「うん。……さあ吹いて、時の歌を!」
ゴゴゴゴゴゴゴゴ
リンク「……すっごくゾクゾクする!」
ナビィ「あれは、伝説の剣……マスターソード!」
リンク「この剣があれば、弱虫な僕でも、きっとガノ……何て名前だったっけ、あいつ」
ナビィ「ガノンドロフよ」
リンク「この剣があれば、弱虫な僕でも、きっとガノンドロフを倒せる!」
ナビィ「うん……多分ね」
目覚めよ……
選ばれし勇者、リンクよ!
リンク「あ、れ……?」
リンク「僕、大人になってる? どうして?」
ラウル「お前は時の勇者となるには幼すぎた。故に、七年の間眠り続けていたのだ」
リンク「七年……? 七年も!?」
リンク「というか僕が勇者になんてなれるはずがない」
ラウル「ならばその手の甲を見よ!」
リンク「これは……」
リンク「絵の具か何かで細工したんだ!」
ナビィ「そんなことしても何にもならないよ……」
リンク「嘘だ嘘だ嘘だ! 大人になってること自体おかしいのに!」
シーク「おい」
リンク「ううっ何かの間違いだよぉ人選ミスだよぉ……」
シーク「なあ」
リンク「ぐすっサリアぁ……」
シーク「時の勇者」
リンク「何で僕白タイツなの? ラウルって賢者の趣味なの?」
シーク「いい加減気付け!」
リンク「わわっ!」
シーク「ああ。……どうか頑張ってくれよ」ピカッ
リンク「うわっ消えた!? ちょっと待ってよ!」
リンク「カカリコ村で何すれば良いんだよぉ……」
ナビィ「とりあえず行ってこようよリンク」
リンク「怖い目に遭ったら嫌だなあ……」
シーク「……ヒントは墓地だ」
リンク「え、あ、ありがとう!」
リーデッド「キイイイイイイイイ」
リンク「うわあああこっち来ないでえええ」
ナビィ「リンク、そっち路地裏……」
リンク「うわ兵士の死体だあああ」
兵士「まだ生きてるぞ……」
リンク「す、すいません」
兵士「君は……そうか、七年前に城に侵入してぶっ倒れて」
兵士「インパ様に保護された、あの少年か……」
リンク「恥ずかしいので忘れてください」
兵士「その剣……そうか、伝説の剣か。どうか、ハイラルを……」
リンク「ちょっ……あ、あの」
ナビィ「……こと切れたみたい」
リンク「よりにもよって幽霊だよおおおおおおお」
ナビィ「落ち着いてリンク!」
リンク「ううっ走れば良いんだろう走れば!」
リンク「あちちっ! この火、ヒントにはなるけどそれ以上に危険だよ……」
リンク「……見失っちゃった……どうしよう……」
リンク「あ、ルピーだ! 目印かな?」
リーデッド「キィィィイイイイ」
リンク「うわああああああ」
姫川 明のやつ?
うん
時オカはミドが適度に活躍しててよかった
ゲームでも確か路地裏行けばいるはず
リンク「何でこんなに広いの? リーデッドがいるの?」
リンク「もう帰りたいよ……あれ? 僕の帰る場所、どこだっけ」
リンク「もしかしたら噂も風化して、コキリの皆にも優しくしてもらえたり……」
ナビィ「リンク……」
リンク「そうだ、サリアに連絡してみよう!」
ファラシーファラシー
リンク「もしもしサリア?」
サリア「リンク……リンクなの!? 良かった、生きてたのね」
いるよ 少年時代で時のオカリナ拾った後に1回だけ話せる
そうでした
サリア「聞いて! 今森が……きゃあああ!」
プツッ ツーツー
リンク「サリア? サリア!」
ナビィ「サリアに何かあったの?」
リンク「危険な状態みたいだ……急がないと!」
リンク(何だろう……股間がムズムズしてきた)
ナビィ「リンク? どうかしたの?」
リンク「いやっその」
リンク「……一人で考え事をしたいなって」
ナビィ「あ、そっか……久しぶりに里に帰るんだもんね」
リンク「…………」
リンク(何か気持ち良かったけど一体何だったんだろうあの衝動……)
リンク(暗くてあまりよく見えなかったけど、何か白くてドロドロした液体が出てきたし)
リンク(何かの病気だったらどうしよう)
リンク(僕死ぬの? 死んじゃうの!?)
ナビィ「リンク……調子でも悪いの?」
リンク「いやっ何でもないんだっ!」
リンク(ナビィには……女の子には言っちゃいけないことのような気がする……)
リンク(けどもし本当に病気だったら……)
ナビィ(冷や汗かいてる……やっぱり森に帰るのが怖いのかな?)
ナビィ「デクの樹サマがいなくなったから好き放題やってるんだよ!」
リンク「皆は……サリアは無事なのかな」
リンク「ミドは……痛い目見ててもざまあとしか……」
ナビィ「でも流石に死んでたりしたら悲しいでしょ?」
リンク「う~ん……けっこう酷くいじめられたし」
ナビィ「……」
リンク「とりあえず家に入って情報を集めよう」
ナビィ「……」
リンク「ただ体が大きくなっただけで、僕は何も変わってないのに」
リンク「僕……やっぱりコキリ族じゃなかったのかな」
リンク「マスターソードを捨てれば、子供に戻れるのかな」
ナビィ「……サリアを助けに行こう、リンク」
リンク「僕は……僕は一体…………」
リンク「…………」
ミド「サリアと約束したんだ、ここは誰も通さない!」
リンク「どけよ」
ミド「なっ」
リンク「どけって言ってんだよ!」ガッ
ミド「うわっ!」
リンク(こいつ、僕がリンクだって気付かなくても、まだ僕に……!)
ナビィ「落ち着いて!」
ミド「あれ、そいつ……リンクが連れてた妖精じゃねーか」
ミド「にーちゃん、あいつを……あいつを知ってんのか!?」
ミド「それ以来帰ってきてなくてさ……」
リンク「……知ってるよ」
ミド「本当か!? 今、あいつはどこに」
リンク「死んだ」
ミド「え……」
リンク「死んだよ」
ナビィ「…………」
リンク「コキリ族は外では生きていけない。知ってるだろ?」
リンク(コキリ族の僕は、自分をコキリ族だと思い込んでいた俺は、もう……死んだんだ)
リンク「……」
ナビィ「ねえ、リンク……」
リンク「俺さぁ、自分がリンクだって言うのが怖いんだ」
リンク「あいつらが知ってる俺と、俺が知ってる俺はもう違うんだから」
ナビィ「…………」
リンク「あいつ、俺が死んだって聞いて後悔してるだろうな! 自分がいじめたせいでリンクが死んだって思うだろ?」
リンク「一生罪の意識に苛まれれば良いんだよ! ははっ!」
リンク「お前、スタルフォスにならないの?」
リンク「俺以外の外の人間が森に入ったら化け物になるはずじゃん」
シーク「……」
リンク「まあいいや」
リンク「サリアって、どうやってこの神殿の中に入ったんだろ?」
リンク「俺はフックショットがないと入れないのに」
ナビィ「さあ……」
リンク「まあ、サリアは精霊と話をしたり、どこか不思議なところがあったからな」
リンク(声が変わったのに、サリアだけは俺がリンクだって気付いてくれた)
リンク(俺を受け入れてくれるのは、もう……サリアだけ……)
ナビィ「怖がりは相変わらずのままなのね」
リンク「うわっ何で近づいたら絵が消えるの? 怖っ!」
リンク「何でスタルフォス復活してくるの!? ちょ、一回倒せばもう十分じゃん!」
ナビィ「できるだけ素早く倒して!」
リンク「もうやだ……」
リンク「どう配置すれば良いのかわかっても重すぎて普通に間に合わないよ」
ナビィ「頑張ろうよ、サリアを助けるんでしょ?」
リンク「うん……」
地下
リンク「この壁意外と軽い」
ナビィ「リンクが力持ちなんでしょ、部屋全体の壁を動かせるなんて」
リンク「何だろこの部屋……絵ばっかり」
シャキン
リンク「俺情けなく謝りまくっちゃったからあんまり顔合わせたくないんだけど……って幻影かよ」
ナビィ「絵の中から出てくる瞬間を狙って!」
リンク「やばいはずsうわあああああ」
バリバリバリバリ
ナビィ「上手いこと回転アタックで避けられないかな……」
第二形態
リンク「うわっ弾打ってくるだけかと思ったら突撃してきた!? 怖っ!」
ナビィ「満身創痍だよ! 気をつけて!」
リンク「怖い……けど、サリアのためなら戦い抜いて見せる!」
リンク「何でだよ! サリアがいなくなったら、俺は……」
サリア「歌を吹けばいつでも話せるよ。それに」
サリア「離れていても、ずっと……私達はトモダチ。そうでしょ?」
リンク「……」
サリア「ミドとも、もう一度話をしてあげて。貴方がいなくなってから、ずっと悔やんでたから」
リンク「……森の賢者として目覚めた。もう帰って来ない」
ミド「そ……んな……」
ミド「あいつもいなくなって、サリアまで……」
ミド「ちくしょう……ちくしょう!」
ミド「なあ、俺が悪いのか? 俺があいつに意地悪ばっかりしてたから!」
リンク「……」
ミド「あいつ……サリアといつも仲良くしてたから……それで……」
リンク「…………」
リンク「……………………死んだなんて、嘘だよ」
リンク「驚かせて、ごめん」
リンク「リンクは生きてるよ」
ミド「ほんと……なのか?」
リンク「ああ、もしかしたらまた会えるかも」
ミド「……そしたらさ、あいつに伝えてくれないか」
ミド「意地悪して、ゴメンってさ」
リンク「ミドがサリアと仲良くしたいって気付いてたのに、ずっとサリアとベタベタしまくったりさ」
ナビィ「リンク……」
リンク「小さい頃なんて、よくサリアと一緒に寝てたし」
リンク「嵐が酷い夜なんて特にさ」
ナビィ「…………」
リンク「妖精なしって馬鹿にしてたのも、本当に妖精がいないことを理由に言ってたんじゃなくって」
リンク「もしもっと早くナビィが来てたって、同じようにいじめてきていただろうし」
リンク「それに、たかが子供のいじめでうじうじしてるなんて大人気ないだろ?」
ナビィ「リンク……」
ナビィ(成長したんだね……)
リンク「うわぁああ!!」
デクの樹の子供「ボク、デクの樹の子供DEATH!」
リンク「そっか、やっぱ俺、ハイリア人だったんだな」
ナビィ「…………」
リンク「吹っ切れたよ、色々」
リンク「ところで君さ、ハイリア人の生態とか詳しい? 体の仕組みとかさ!」
デクの樹の子供「何DEATHか?」
リンク「その…………」
リンク(大人っていろいろ大変なんだな……)
ナビィ「何の話してたの?」
リンク「な、何でもない!」
ナビィ「?」
リンク「まあ、大人の体にも大分慣れてきたしこれから頑張るよ」
ナビィ「そっか」
ナビィ(コキリ族じゃないんなら、性教育とかしてあげるべきかな……)
リンク(本当に何の話してたかとか気付かれてないよな? な?)
リンク(どうやって女の人のめしべ的なところにくっつけるんだろう)
リンク(気になる…………)
ナビィ(女の人と間違いを起こしたりしなければ良いんだけど……)
ナビィ「うん、ずっと気になってたんだけど」
リンク「行ってみようか。他の賢者がいるかもしれない」
ゴロンシティ
リンク「全然ゴロンがいない……」
ナビィ「あ、あそこ。転がってる!」
リンク「爆弾当たらないんだけど」
ナビィ「う~ん……」
リンク「くそっ……」
ナビィ「それだけ気に入られてるってことだよ」
リンク「ダルニアに子供がいるってことはさ、奥さんもいるのかな?」
ナビィ「多分そうだと思うけど」
リンク「ゴロン族って、どうやって子孫を残すんだろうね?」
ナビィ「う、うん……」
ナビィ(やっぱりそういうことに興味あるのかな)
リンク「ねえ、あそこに宝箱あるけど重要なのかな? 無視できないかな」
ナビィ「一応見て行った方が良いよ。ハンマーかもしれないし」
リンク「足場細いな……いや、ここでこそ勇気をdうわファイアキースやめ」
リンク「ちょうわあああああああ」
リンク「あの高さから落下するのは流石の俺でもキツイ」
ナビィ「頑張って! 今度は先に敵を殲滅しておきましょ!」
リンク「制限時間に間に合わない……」
リンク「5回くらい落ちたけどまだ辿り着けない」
リンク「……泣いていい?」
ナビィ「がんばろ、リンク」
リンク「こいつの炎やばいって!」
リンク「うわっ岩落ちてきたし! やばいやばい死ぬぅぅうううう」
ナビィ「頑張って避けて!」
リンク「何か効率のいい倒し方ないの!?」
ナビィ「とにかくハンマーだよ!」
リンク「絶対的な安全地帯があったりはしないのかよおおおおお」
リンク「妖精がなければ死んでたよ俺……」
ナビィ「よく頑張ったよリンク、昔ほど怖がらなくなったし!」
リンク「うん……まあ大人になったわけだし、みっともないことはしない方が良いかなって……叫ぶ癖はまだ治らないけどさ」
リンク「やっぱり俺、外の世界の人間なんだ」
リンク「……ナビィは、俺がコキリ族じゃないってわかっても、まだ相棒だと思っててくれてる?」
ナビィ「もちろんだよ! ナビィはずっとリンクの妖精だよ」
リンク「うん……ありがとう」
ゾーラの里
リンク「うわ……氷漬けになってる」
リンク「昔の感覚で飛び込んだりしたら一大事だ」
ナビィ「リンクなら少し怪我するだけで済むと思うけど」
リンク「いちいち凍らされて凍傷だらけなんだけど」
ナビィ「無理しちゃだめだよ!」
リンク「とりあえずブリザドは爆弾で攻撃しよう」
リンク「ディンの炎だと魔法力の消費が大きいし、囲まれた時だけ使うよ」
ナビィ(頭が良くなってる……!)
キングゾーラ「助けてくれた礼にゾーラの服を」
リンク「あ、すみませんもう買いました」
キングゾーラ「ならば余の熱いキッスを……」
リンク「えっと……昔から気になってたんだけどキスって何? ナビィ」
ナビィ「口と口をくっつけることよ」
リンク「え、ちょ、遠慮しておきます! すみません!」ダダッ
キングゾーラ「つれないゾラ……」
ナビィ「嫌がられはしないと思うよ! だってリンクは勇者なんだもん」
リンク「勇者……か、ははは。俺、本当に勇者らしくなれるのかな」
ナビィ「なってきてるよ! リンクならきっとハイラルを救えるよ!」
リンク「そっか」
リンク(俺ならきっと、か)
リンク(……大丈夫、きっとやれる)
マロン「そうなの……牛たちに乱暴はして欲しくないのに全然大切にしてくれないし」
マロン「馬も……ただのお金儲けの道具としか見てないみたいで」
マロン「ここまま、魔王に従い続けるのかと思うと、私……」
リンク「……」
リンク「俺がきっとどうにかしてみせるよ! インゴーさんの目を覚まさせてみせるから!」
ナビィ(リンク……頼もしくなって)
ナビィ(このままこの調子が続いてくれれば良いのだけれど)
リンク(多分内側に回った方が有利だ)
リンク(もし追い抜かされても、隙を狙ってコースの内側から追い抜き返せば多分勝てる!)
二回戦目
リンク「 負 け た 」
ナビィ「早かったもんね……でも何回でも挑戦しようよ!」
リンク「そうだね! 俺めげないよ!」
リンク「スタートダッシュマジ大事」
インゴー「ガノンドロフ様に献上するはずの馬をよくもおおおお」
リンク「エポナは俺にしか乗りこなせないよ! なんせ暴れ馬だからな!」
リンク「というか可愛い女の子にあんなゲルドの大男が乗ること自体おかしいって」
リンク「エポナはメスだもんなー俺が好きなんだもんなー」ナデナデ
エポナ「」スリスリ
リンク「閉じ込められたのに華麗にジャンプで脱出。マジかっこよくね?」
ナビィ「カッコ良いカッコ良い!」
インゴー「少しくらい欲望持ったっていいじゃねえかよ……」
リンク「ああ、つらかったんですね……」
リンク「でも、昔通り真面目に仕事をすればきっと報われますよ!」
リンク「人々を苦しめている魔王に従うのはやっぱり良くないです」
インゴー「うう……」
リンク「ねえ、ナビィ」
ナビィ「何?」
リンク「インゴーさんがマロンと結婚して牧場を継げば何もかも解決じゃないか?」
ナビィ「年の差大き過ぎない?」
リンク「そうなの? コキリ育ちだから、外の世界の年齢感覚がつかめなくて……」
リンク「あ、うん。でももし無理なら野宿するけど」
マロン「牧場を救ってくれたのに、野宿なんてさせるわけないでしょ!」
マロン「だから、その…………」
リンク「……?」
マロン「頑張って料理するね! ロンロン牧場の牛乳を使った料理はほんとおいしいんだから!」
リンク「ほんと? やった! 旅をしていたら硬い干し肉を食べることがどうしても多くなるからさ」
リンク「手料理はありがたいよ」
リンク「世話になったよ。ありがとう」
マロン「ううん。……また来てね」
リンク「近くを通ったら寄るよ。じゃあまた!」
マロン(結局何もしないまま行っちゃった)
マロン(私の王子様……だと思ったんだけどなあ)
リンク「マロン、顔を赤くすることが多かったけど一体どうしたんだろ?」
ナビィ「このニブチン!」ポカッ
リンク「いてっ! 何するんだよナビィ」
ナビィ(まあ、間違いを起こさなかっただけ良かったかな)
ルト「おおリンク、生きておったゾラか!」
リンク「ルト、久しぶりだね」
リンク(相変わらず全裸……恥ずかしくないのかな)
リンク「ねえナビィ」
ナビィ「どうしたのリンク」
リンク「この神殿、いまいち方向感覚がつかめないんだけど」
ナビィ「うん……苦しいね、ここ」
リンク「やばい。次何処行けばいいの」
ナビィ「しらみつぶしに探索しよう」
リンク「ルトは何処に行ったんだよ……」
ナビィ「素早く上のリフトに上がるのよ!」
リンク「ちょ、照準合わない! やばい!」
ナビィ「流される前に早く!」
リンク「急かさないでくれええええええ!」
ナビィ「扉はあるけど鉄格子で守られてるね……あれ? リンク……」
リンク「どうしたの?」
ナビィ「影が……リンクの影が消えてる……」
リンク「え……? ?だろ……? 俺死んじゃったの……!?」
ナビィ「どうしよう!リンクが死んじゃったら世界は終わりだよ!」
リンク「まじやばい! うわ俺いつの間に死んだんだよ自覚ねえよおおおおおおおまだ回復の妖精だってあるのに!」
リンク「ぐすっいやだぁ……俺死にたくなかったよお……」グスグス
ナビィ「リンク、泣かないで……って、あれ? あの木の下に誰かいる?」
ダークリンク「くくく……」
リンク「真っ黒で目だけが赤く光ってて怖いけど……」
ナビィ「モンスターの気配がするよ! こいつ、モンスターだよ!」
ダークリンク「俺はダークリンク。お前の影だ」
リンク「俺の……影?」
リンク「なら俺、死んだわけじゃなかったんだ。良かった……」
ダークリンク「安心してる暇はないぜ!」シャキン
リンク「うおっ!」
ダークリンク「その扉をくぐりたければ、自分自身を倒すんだな!」
ブンッ キィィィン!
リンク「くそっ真似ばっかしやがって!」
ダークリンク「言っただろ? 俺はお前の影だ」
リンク「でもハンマーは持ってないみたいだな!」ゴンッ
ダークリンク「ゴフッ」
リンク「地面の中に落ちた?」
ナビィ「リンク、後ろ!」
リンク「っ!?」
ダークリンク「油断大敵だぜ? くくっ」
リンク「俺より声が低くてかっこいいのがむかつく」
あれステータスまで同じなのか
リンク「壁を背にすれば、俺の背後をとれないためどうやら奴は木の下から復活するらしい」
ナビィ「良く気付いたね!」
ダークリンク「くそっ……なあ、時の勇者さんよぉ。おかしいと思わねえか?」
リンク「な、何をだよ」
ダークリンク「いきなり七年間という大事な大事な時間を奪われ、一人で扱き使われて」
ダークリンク「故郷に帰っても、誰もお前が誰だか気付かない」
リンク「っ……」
ダークリンク「危険な仕事は全部お前に任せてさぁ、一緒に戦おうとする奴は一人もいないなんて明らかにおかしいだろ?」
ダークリンク「まあ仲間と言えば精々その妖精くらいか」
ダークリンク「本当にガノンドロフの支配から逃れたいなら、お前一人に押し付けず、旅に協力しようとする戦士がいるのが普通じゃないか?」
ナビィ「リンク、耳を貸しちゃだめ!」
ダークリンク「だってそうだろ? 大人っつってもまだ10代のガキだ」
ダークリンク「何で誰もお前を助けようとしないんだろうな?」
リンク「俺は選ばれた勇者だから、頑張って戦って、ハイラルを救わなくちゃいけなくて……」
ダークリンク「一人でもか? 孤独でもか?」
リンク「俺は一人じゃない!」
ダークリンク「お前は一人だ。どんなに頑張って表現したって一人と一匹だ」
ナビィ「馬鹿にしてるの!?」
ダークリンク「この国の民はな、他力本願なんだよ。そんな奴等に助ける価値なんてあるのか?」
ダークリンク「帰る場所すらないお前に、本当にこの国を救えるのか?」
ダークリンク「どうなんだよ、時の勇者さんよぉ……?」
ナビィ「リンク、惑わされないで! これは罠よ!」
ダークリンク「どうしてそんなに自分の気持ちがわかるのかって顔してるな」
ダークリンク「言っただろ? 俺はお前の影だって」
ダークリンク「器だけじゃない。お前の心の闇そのものなんだよ」
リンク「あ……ああ…………」
リンク(気にしないように、してたのに)
リンク(忘れようと、してたのに)
リンク「僕は、僕は…………」ガクガク
ダークリンク「怖かったよな、苦しかったよな、寂しかったよな」
ダークリンク「弱虫のお前に無理矢理仕事押し付けた奴等のことなんて忘れちまえよ」
ナビィ「リンク、リンク!」
ダークリンク「あいつらはさ、お前をただの道具だとしか思ってないんだよ。自分達が救われるための道具だって」
リンク「やめ……て……くれ……」
ダークリンク「こっちに来いよ、心の闇に身を任せちまえ」
リンク「……い…………」
ダークリンク「何なら俺が今此の場で楽にしてやるよ。そしたら俺こそが本物だ」
リンク「うるさいうるさいうるさい!」
ナビィ「来ないでダークリンク!」
ダークリンク「へへ……」シャキ
リンク「う……うぅ……ぁぁぁ……」
シーク「――――リンク!」
リンク「しー……く……・?」
シーク「心の闇を、倒すんじゃない。受け入れるんだ」
リンク「でも、僕は、僕は……」
シーク「……君には、あまりにも重すぎる運命を押し付けてしまった」
シーク「だが、君にしか成しえないことがあるんだ」
ダークリンク「チッ……」
シーク「自分を人生を顧みるんだ」
シーク「……助けたい者や、助けたかったのに助けられなかった者が、いるだろう」
リンク「…………」
リンク「……俺には、ナビィ以外の協力者なんていらない。自分から求めなかったんだ」
リンク「いや、仲間は欲しかったけど、巻き込みたくなかったんだ」
リンク「だから俺は、ナビィと賢者達がいればまだ戦える」
ダークリンク「や……めろっ……」
リンク「帰る場所がないなら探せば良いさ!」
ダークリンク「自分から戦おうとしない奴等のために……お前自身を犠牲にしようってのか!?」
ダークリンク「お前を! 俺を!」
ダークリンク「やめろっ!」
リンク「大体、戦う力を持った男とかは僕が寝てる間にかなり死んじゃったらしいから仕方ないし……」
リンク「そりゃ、あまりにも理不尽な人生で何もかも投げ出したくなったりはするけど」
リンク「その感情も、抱えて生きていかなくちゃいけないんだ!」
ダークリンク「やめ…………」
リンク「お前がここにいるのは、僕が自分の汚い部分を拒絶したからだと思う」
リンク「だから、僕はお前を……迎え入れる!」
ダークリンク「ちく、しょう…………勇者らしくなりやがって……」
リンク「……はあ」
ナビィ「やったよリンク!」
シーク「いや……君一人に使命を負わせてしまった事は事実だ」
ナビィ「私もいるよ!」
リンク「俺、頑張るよ。俺も人間だからさ、思わず見返りが欲しくなったりすることがあるんだ」
リンク「それもあって勇者に向いてないんじゃと思ったこともあった」
リンク「けど、俺は勇気のトライフォースに選ばれたんだ」
リンク「何の意味も無しに、選ばれるはずはない」
リンク「……デクの樹サマは、俺が宿命を負っていることを感じたから育ててくれたらしいけど」
リンク「理由がどうであれ、大切にしてもらったことは事実だし」
リンク「…………デクの樹サマを助けられなかったのは、本当に悔しかったし悲しかった」
リンク「だから、俺は後悔しないように、皆のために戦う」
リンク「え? うわああああ痛い痛い!」
リンク「あ……でもマッサージされてるみたいでちょっと気持ちい」
ナビィ「早く抜け出して!」
リンク「はいはい」
ナビィ「あっ……///」
リンク「? どうしたの?」
ナビィ「……自分の体を見てみて」
リンク「? うわああああ全裸になってるう! まさか服が下着ごと全部食べられるなんて!」
ナビィ「やだ……変態みたい」
リンク「俺そんなんじゃないよ…・・!」
リンク「コイツの核、壁の隅に追い詰めたらすぐ倒せたよ」
リンク「触手に捕まった時はどうしようかとおもったけど」
ナビィ「水が干上がっていくよ!」
リンク「このプールの中の水、全部あいつの体だったんだ……」
リンク「じゃあ俺あいつの体の中泳いでたの? やだなあ」
リンク「ねえナビィ、夫婦の契りって?」
ナビィ「まあまあ」
リンク「宿命を負ってるのは俺だけじゃない。賢者達だって、元の世界では生きられないっていうとても苦しい運命を背負ってるんだ」
リンク「俺ばっか弱音吐いてちゃだめだよな」
ナビィ「でも、愚痴くらいなら聞くからね!」
リンク「ありがとう、ナビィ」
ナビィ「急ぎの旅ではあるけど、ストレス解消にちょっとだけ釣堀い行こっか」
リンク「え? 良いの!? やったあ!」
ナビィ「勇者の心が死んじゃったら元も子もないからね」
釣堀
リンク「ねえねえナビィ、あそこ、水面に少し木が出てる所があるでしょ?」
ナビィ「うん」
リンク「あそこに上って釣ってみてもいいかな?」
ナビィ「足を滑らさないようにね」
リンク「あ、ちょうどすぐそこにおっきいのがいる!」
リンク「村が……燃えている!?」
ナビィ「大変!」
シーク「下がっていろ、リンク」
リンク「一体何が……」
シーク「っ!? うわぁぁぁああああ!」」
ナビィ「シークが揺れてる廻ってる!?」
リンク「魔物がいるのか!?」
リンク「ってちょ何これ不気味怖い!」
リンク「あれ……俺、倒されちゃったのか。参ったな」
シーク「リンク……聞いてくれ。井戸の底に封じていた魔物が復活したんだ」
シーク「以前まではインパの力で封じていたのだが……」
リンク「封印が解けたのか」
シーク「彼女は再び封印をするために闇の神殿に向かったが、このままでは危険だ!」
シーク「この村は僕がなんとかする。どうかインパを助けてくれ!」
リンク「わかった。必ず助ける!」
ナビィ「ああ……」
――――――――七年前
リンク「この家荒れてるけど空き家かな……?」ギイィ
ナビィ「リンク、勝手にはいっちゃだm」
リンク「うわあああ大スタルチュラだうわあああああ!!」キンキン
クモ「シェギャァァアア」クルクルクル
リンク「うわあああああああ」
――――――――
リンク「そういえば、『女の人の隠れた穴に反応して震える悶え石』っていうのを20匹倒した後で貰ったんだけど」
リンク「一体どういう道具なんだろ?」
ナビィ「そんな怪しいもの貰ってたの!? ダメ! 捨てなさい!」
リンク「えー……」
リンク「七年間を奪われたって、ダークリンクは言ってたけど」
リンク「普通に七年前に戻れるんじゃんか」
ナビィ「さあ、はやくカカリコ村に行きましょ!」
おじさん「まわる、まわる……あれ、まわりすぎ?」
リンク「どうして風車が早く回ったら井戸が涸れるの?」
ナビィ「村にそういう仕組みがあるんでしょ」
リンク「どういう仕組みかって聞いてるのに……」
リンク「……ここ、何だか怖くない?」
ナビィ「怖くない怖くない!」
リンク「いかにも幽霊系の魔物が出てきそうだし!」
ナビィ「この部屋に漂ってる魂の声……」
ナビィ「『まことの目を求めよ』だってさ」
リンク「やっぱり成仏できずに霊が漂ってるの!? いやだあああああ」
ナビィ「シャキッとしなさい! ほんとは私だって怖いんだから!」
リンク「嫌だあああ手を放してよおおおお!!」
ナビィ「きゃあああ!」
リンク「顔恐い顔恐い! 何で手に捕まらないと出て来ないんだよ!?」
ナビィ「爆弾とかでおびき出せないかなぁ」
リンク「こいつの見た目が無理! 怖い! やだ!」
リンク「わっ!? 変なところまで掴むなよ! くすぐったい!」
ナビィ「早く手から逃れないと攻撃されるよ!」
ナビィ「ナビィもちょっと……精神的に来てる……」
ナビィ「まあ、マスターソードを抜けば、刺した直後の時間に行けるわけだしちょっとくらいゆっくりしても良いと思うの……」
リンク「宝箱屋でズルして罪悪感」
ナビィ「まあ……うん」
お面屋「信じなさい……信じなさい……」
ナビィ「……新興宗教?」
リンク「お面教?」
リンク「井戸の底みたいな、怖い死んでんじゃなければ良いんだけど」
ナビィ「……いかにも怖そう」
目が光っている壁「闇の神殿……それはハイラルの血塗られた闇の歴史……欲望と怨念の集まりし所……」
リンク「やっぱ無理っ……いやみっともなく叫んだりはしないっ」
デドハンド「ショギャァァアアア」
リンク「またこいつかよおおおおおおおおおおおうわあああああああ」
ナビィ「なかなか癖って治らないものね」
リンク「針付きの落ちてくる天井もあるし」
リンク「ここ、神殿と言うより牢獄だったんじゃ……」
ナビィ「この美しいハイラルの裏側、闇の歴史をギュギュっと詰め込んであるのよ……」
リンク「一体何があったんだよこの国……」
リンク「わっ船の上でスタルフォスとかマジねーよ!」
ナビィ「頑張って!」
リンク「水の中に落としてやる!」ボシャン
ナビィ「あら上手」
リンク「スタルベビーも水が苦手だったから、もしかしたらこいつらもかなって」
リンク「ってやばいこの船沈む沈む!」
ナビィ「さあ……見られるのが恥ずかしいんじゃないかな?」
※C↑を押すと奴は消える
リンク「いきなり左右からトゲが生えた壁が迫ってくるとかマジビビった……」
ナビィ「七年間のリンクなら確実に挫折してたね」
リンク「足場安定しないしまともに弓矢使えないよおおお」
リンク「ホバーブーツ履いても上手くいかないし!」
ナビィ「縁の方はまだ振動が弱いわよ!」
リンク「もう片方の手を狙ってたら先にはたかれた……」
リンク「ってかまことのメガネであいつの姿見たらマジグロイやばい攻撃したくない」
ナビィ「我慢! ナビィだって我慢してるんだから!」
リンク「何で首に目が埋め込まれてるんだよ……」
リンク「本当に……!?」
ナビィ「いったいどこにいらっしゃるのかしらね」
リンク「今は分からないけど、きっとまた会える! 希望が湧いてきたよ」
村人A「あ、リンクだ!」
村人B「勇者様!」
村人C「村を救ってくださってありがとうございますありがとうございます……」
リンク「怪我人とかって……」
子供「軽い火傷を負った人はいるけど大丈夫だよ!」
リンク「そっか……良かった」
リンク「いや、当たり前のことをしただけだし」
ナビィ「『一晩中水に浸かって、風邪ひいてぶっ倒れていた小僧がよくここまで成長したものだ』って、褒められてたね!」
リンク「褒め言葉だったのかな、それ……」
リンク「君とって、インパは特別な存在なの?」
リンク(いつもは冷静なのに、けっこう必死に頼んでたし……)
シーク「……いや、ハイラルを救うために必要だったから君に頼んでいただけだ」
リンク「…………そっか」
リンク「大工の仲間はこれで全員助けたんだよね?」
ナビィ「うん!」
リンク「また捕まってたりして」
ナビィ「……可能性が無いとは言い切れないけど」
ゲルド「お前、なかなかやるじゃないか」
ゲルド「どうだ、一晩……」
リンク「え……」ドキッ
ナビィ「……まだ知らなくて良い事よ」
ナビィ(いや、もしかしたら教えた方が良いのかもしれないけど)
ナビィ(歪んだ理解をして、リンクが変な子になっちゃったら困るし……)
リンク「えー教えてよー!」
ナビィ「…………」
リンク「にしても、何回矢で討っても復活するゲルドの女の人達ってすごいね!」
ナビィ「ああ……そうね」
いや何でもない
たまに城下町へボーイハントしに行くってゴシップストーンさんが言ってた
まことのお面・・・!!
確かにそんなこと行ってたな!夢が広がりんぐwwww
>>1の時オカ愛が素晴らしい
ナビィ(他の種族の良い男を狙うのよね……それで純粋なゲルドの子が生まれるから不思議)
リンク「会員証貰ったら、あの毒々しい赤いスープ飲ませてもらえたよ」
※バック転で中に入るとルピーが手に入る。ゴロンの服を着ればダメージを受けずに済む
ナビィ「えっ……おいしかった?」
リンク「香辛料が多くて辛かったけどなんとか食べれた」
リンク「にしてもさ、感謝してもらえるって嬉しいね」
リンク「村の人達や、大工の人達から感謝してもらえて、俺嬉しかった」
リンク「頑張って戦って良かった」
ナビィ「そう……」
読んでて楽しいよ>>1
リンク「うわああ幽霊……って、道案内してくれるみたいだ」
ナビィ「ついていきましょ!」
巨大邪神像
ナビィ「あれ? あそこ、ひび割れしてる……」
リンク「爆弾で壊してみようか」
リンク「相変わらず大妖精は美人だなあ」
ナビィ「う、うん、そうね」
リンク「ネールの愛GET」
ナビィ「うん」
リンク「……魂の神殿ってさ、いかにも幽霊出そうな名前じゃない?
ナビィ「ああ……まあ闇の神殿みたいな雰囲気ではないし行ってみようよ」
ナボール「もしとって来てくれたらさ……イイコトしてやるよ!」
リンク「うん!」
リンク「ねえナビィ、イイコトって何かな?」
ナビィ「う~ん……何だろうね?」
ナビィ(健全な内容なら良いんだけど……)
ナビィ「普通の魔物ならもう怖くない?」
リンク「怖いけど、ちゃんと戦えるよ」
対アイアンナック
リンク「こいつ攻撃力やばい! マジやばい!!」
ナビィ「一撃一撃が重い代わりに隙が大きいわ! 斧が床に刺さってる時を狙って!」
ケポラ「リンクよ、お前はすっかり勇者の風格を身に……付けたな?」
リンク「疑問形だと自信なくすんだけど……」
ケポラ「この先、お前の勇気にハイラルの全ての民の未来がかかっておる」
リンク「わかってるからプレッシャーかけないで……!」
ナボール「アタイを何処へ連れて行く気だい!? 放せっ!」
ナビィ「!? 今の声は!」
ナボール「てめえらっガノンドロフの一味だなっ!」
ナボール「リ、ンクっ……逃げろ!」
リンク「ナボール! 渦みたいなのに飲み込まれてるよ! 助けないと……」
ナボール「こいつら、妖しい魔法を……」
ナビィ「……一歩遅かったみたいね」
リンク「くそっ……!」ダンッ
リンク「助け……られなかった」
リンク「七年寝るんじゃなくて修行した方が強くなれるよね俺」
ナビィ「まあそうだけど……眠っている間は安全だから、保護の意味もあるんじゃないかしら?」
リンク「ナボール……この神殿の何処かにいるはずなんだ……」
スイッチ「我に光を!」
リンク「やっぱりこのスイッチ悪趣味だよなあ」
コウメ「ヒッヒッヒ……そのようですねぇ、コタケさん」
リンク「こいつら、ナボールを連れ去った……!」
ナビィ(コマツさんはいないのかしら……?)
リンク「またアイアンナックだ……でも、今は大人だから、もっと上手く戦えるはず」
ナビィ「でも、普通の敵じゃないみたい……」
リンク「ナボール!」
コタケ「おや、おや……正気に戻ってしまったようですよ、コウメさん」
コウメ「たかが小娘とは言え、こいつを慕う輩もいますからね、コタケさん」
コタケ「もう少し、ガノンドロフ様の役に立ってもらいましょう……ホッホッホ」
コウメ「ではもう一度、洗脳し直してあげましょう……ヒッヒッヒ」
シュバッ
ナボール「キャァァアアア!」
リンク「あっ……」
ナビィ「消えちゃった……」
リンク「嘘だろ……ちくしょう!」
リンク「あいつら……絶対倒す!」
リンク「攻撃が直撃したり、床に当たったりしたらかなり危険だけど」
リンク「ミラーシールドで受ければ平気だ!」
第二形態
リンク「が、合体した……!?」
ツインローバ「セクシーダイナマイツアタ~ック!」
リンク「ねえナビィセクシーってどういう意味!?」
ナビィ「そんなこと言ってる場合じゃないでしょ!」
リンク「な、なんかその姿だと切りづら」
ナビィ「倒すんでしょ! 躊躇わないの!」
リンク「躊躇いはしてないけどさ!」
リンク(何か変な声も出してるし女の人ってわけわかんないよ!)
ナボール「あの時の約束……守ってやりたかったね……」
リンク「結局イイコトって何だったんだろう……」
ナビィ(逆にほっとした……)
リンク「ついにガノンドロフとの決着を付ける時が来た、か……」
リンク「……俺、勝てるかな?」
ナビィ「勝てるよ! そう信じなきゃ何もできないよ!」
リンク「……そうだね! よし、ラウルが言っていた通り、時の神殿に行こう!」
リンク「…………俺を待ってる人、かあ」
リンク「シーク?」
シーク「リンク……よく、数々の苦難を乗り越え、六賢者を目覚めさせてくれたね」
リンク「俺を待ってる人って……君?」
シーク「…………ついにガノンドロフとの対決の時を迎えようとしている」
シーク「だが、その前に……君だけに話しておきたいことがあるんだ」
シーク「シーカー族に伝わる、神話を……」
シーク「奴は、残りのトライフォースを持つ二人の人物を探し始めた」
シーク「一人は、勇気のトライフォース宿りし者、時の勇者リンク」
シーク「そしてもう一人……知恵のトライフォース宿りし者」
リンク「……まさか」
シーク「賢者の長となる、七人目の賢者……」
リンク「トライフォースが光って……!」
ゼルダ「この私……ハイラルの王女、ゼルダです」
リンク「…………!」
リンク「せっかく……せっかく再会できたのに!」
リンク「ガノンドロフに連れ去られるなんて……くそっ!」
ナビィ「助けに行こう!」
リンク「ああ! ……あいつ、俺が戦って来られたのは、俺の力じゃなくて勇気のトライフォースの力だって言ってた」
リンク「……すっげー悔しい」
リンク「あいつを倒して、ゼルダを……そしてハイラルを救ってみせる!」
ナビィ「一体ずつ倒しましょ!」
リンク「……ごめん。二体とも目を覚ましちゃったみたい」
ナビィ「え」
リンク「やばいやばいやばいやばいやばい!」
リンク「はあ、はあ……」
ナビィ「もう……もうすぐ敵の親玉と戦うんだから、体力は温存しなきゃだめだよ!」
リンク「ごもっともです」
…………
ガノンドロフ「返してもらうぞ!」
リンク「トライフォースを渡すものか!」
リンク「ハイラルも、トライフォースも、お前が好き勝手にして良いものじゃない!」
リンク「奪われた物を取り戻すのは……こっちだ!」
リンク「つらかったら離れてて! 大丈夫、俺一人でもなんとかするさ!」
ナビィ(リンク……立派になったんだね)
ナビィ(もう、ナビィがお世話しなくても大丈夫なくらいに……)
リンク「やばいやばい五連発打ち返しきれない!」
ナビィ(やっぱだめかも……)
リンク「何で血が緑色なんだ!?」
リンク「ガノンドロフって虫!? 虫だったのか!?」
ナビィ「ああ、うーん……」
リンク「血が銅でできてるのかな……」
ナビィ「それよりはやく脱出しよう!」
リンク(シークの身体能力があるなら、もっと早く走れないのかなゼルダ……)
リンク「いてっ!」
リンク(ゼルダのすぐ後ろに付いていったらやけに瓦礫が落ちてくるし)
リーデッド「キイィィィイイイイイ」
リンク「やばい動けないうわあああ」
ナビィ「頑張ってリンク!」
リンク「こいつを回避する方法無かったの!?」
ナビィ「気合よ気合!」
※タイミングに合わせて回転アタックすれば逃げられる
ナビィ「ナビィもう逃げない! 一緒に戦う!」
リンク「ナビィ……無理はしないでくれな!」
リンク「こんな醜い姿に……トライフォースが暴走すると俺もこうなるのかな」
ナビィ「リンクはそんなことにはならないよ!」
リンク「くそっ……弱点どこだよ!」
リンク「ん、尻尾だけ色が明るい……よし」ザンッ
ナビィ「やった 効いてるよ!」
リンク「これが……最後の一撃だ!」
ガノン「ギャァァアアアアアア」
リンク「終わっ…………た…………」
リンク「これで、全部……」
ゼルダ「時の扉を閉ざせば、時を旅する道も閉ざされてしまいます」
ゼルダ「……ですから、どうか七年前に帰り、失った時間を取り戻して」
ゼルダ「貴方がいるべきところへ……貴方があるべき姿で」
帰りたくない気持ちと、七年間を取り戻したい気持ちの両方があった。
七年前に戻って、俺のやってきたことの結果が見えなくなったって、ナビィがいればきっと楽しく旅ができる。
そう思ってた。
なのに
どうして消えちゃったんだよ、ナビィ
俺、ナビィがいなくても旅をするよ。
というより、君を探すための旅なんだけどさ。
リンク「ねえナビィ、俺さ、あいつと……ガノンドロフとは、言いようのない因縁を感じたんだ」
リンク「きっとあいつはいつか復活して、再びハイラルに厄災をもたらすだろう」
リンク「こっちの世界でだって、例え俺が時のオカリナを持ってこの国を離れても、何らかの形で奴はトライフォースを手に入れるんじゃないだろうか」
リンク「なんの根拠もないけど、なんとなくそう感じるんだ」
リンク「七年後の世界のトライフォースは俺の手から放れたのに、俺には新しくこっちの世界のトライフォースが宿っていた」
リンク「これこそ、俺とあいつとの因縁の証なんじゃないかなって思うんだ」
リンク「でも、本当にガノンが復活したとしても俺は何度でも戦うよ」
ナビィ『リンクを見てたら、そうじゃないなって思えるようになったんだよ』
ナビィ『恐れを知った上で、必死に振り絞った勇気こそが本物なんじゃないかなって』
ナビィ『リンクにいろいろ教えてあげるはずが、ナビィがリンクからいろいろ教わっちゃったよ』
リンク「エポナ、俺と一緒に来てくれる?」
リンク「ナビィを探すんだ!」
END
リンク「ねえエポナ、俺さ、ナビィがいなくなった理由を仮定してみたんだ」
リンク「そのいちー!」
リンク「大妖精に昇格が決まった!」
リンク「ナビィなら、きっと他の誰よりも可愛い大妖精になれるよ!」
リンク「う~ん、でもナビィが大妖精になる理由ってあるのかな?」
リンク「七年後の功績も、こっちの時代じゃないことになってるし」
リンク「やっぱり可能性低いかな?」
エポナ(いつもナビィと喋ってたから、誰かと話してないと落ち着かないのね……私もリンクと会話ができたらなあ)
リンク「命が尽きた」
リンク「最終決戦で、ナビィは無理に闇の波動に耐えて戦ってくれた」
リンク「もし、その闇の波動が、妖精の命に係わるほど有害なものだとしたら……?」
リンク「………なんだろう、ありえそうで怖い」
リンク「もし、このまま旅をしても見つけられなかったら……」
リンク「やだよ……そんなのやだぁ……ぐすっ」
リンク「この説は考えないでおこう」
リンク「安心して隠居生活開始!」
リンク「俺がちゃんとした勇者になれたからナビィもほっとして休んでるんだ」
リンク「……それなら一言くらい伝えてから去るよなあ……」
リンク「まあ考え込んでても仕方ないや」
リンク「エポナ、森も深くなってきて足場も悪いけど大丈夫?」
リンク「いつか、またナビィと再会できますように」
おやすみ
久しぶりにゲームやりたくなっちゃうじゃねえか…
久しぶりに時オカやりたくなった
リメイクって結構オリジナルと変わってんのかな
ヒントくれる石が各所に配置されただけで全然変わってない
裏ゼルダもあるからお得
64は初期版しかやってなかったから3DSのはある意味新鮮だった
微妙に変わってるけどほとんど一緒
3DS版の方が、デクの樹サマの周りのゴシップストーンの所に行きやすくなってる
Entry ⇒ 2012.09.30 | Category ⇒ 版権物SS | Comments (0) | Trackbacks (0)
京太郎「な、なんだこの生き物は?」鬼巫女「……」ビクビク
小蒔「……」ドキドキ
初美「あ、姫様 それロンですー」
小蒔「ええ!?」
初美「8000いただきますよー」
小蒔「は、はい…お疲れ様でした…」
霞・初美・春「お疲れ様でした」
小蒔「か、霞ちゃん…」
霞「小蒔ちゃん、気の毒だけど、ルールはルールだから…」
小蒔「うぅ…」
霞「今日も小蒔ちゃんはおやつ抜きね」
小蒔「」ガーン
霞(県予選までの間に 神様を降ろさない素の小蒔ちゃんを強化したくて始めた罰ゲームだけど…なかなか上達しないわねえ)
小蒔「春ちゃぁん…」ウルウル
春「…ポリポリ」チラッ
霞「小蒔ちゃん、もちろん黒糖もダメよ?」ニコッ
春「と、いうわけなので」ポリポリ
小蒔「うぅ~」グスン
霞(心を鬼にしないと…)
小蒔「…」グゥ~
小蒔「お腹がすきました…」
小蒔「朝昼夕三食だけじゃ足りないよぉ」
小蒔「でも六女仙を従える巫女として買い食いなんてできませんし…」
小蒔「甘いものが食べたい…別腹が空っぽです」グスン
小蒔「わかってる…神様を降ろせない時でも最低限戦えるくらいに私を鍛えるため…だけど…」グゥゥ
小蒔「お腹すいたよぉ…」
小蒔「霞ちゃんなんて…霞ちゃんなんて…」グスッ
小蒔「きらい…」
ボンッ
鬼巫女「……」テテテテテ
-朝-
霞「小蒔ちゃん、起きてるかしら?そろそろ学校に…」
霞「…小蒔…ちゃん…?」
その日、神代小蒔は鹿児島から姿を消した――――
ついでに神代家の冷蔵庫の中身も―――
和「ロンです、7700」
京太郎「なんですとーーー!?」
和「須賀君…それは明らかに危険牌じゃないですか、不用心すぎます」
優希「おい犬!最下位の罰だじょ!学食でタコス買ってこーい!」
京太郎「はいいいいいい!」
咲「京ちゃん…」
京太郎「東場の時点で優希に絞られて、いけると思ったら咲に鳴かれて嶺上嶺上…」
京太郎「あいつらに勝てる自分が想像できない…はは、泣きそうだ…」
京太郎「こんなんで俺、個人戦で生き残れるのかな…体力ばかりついてくぞ…」
京太郎「あれ?学食が閉まってる?おかしいな まだ閉店時間じゃないはず…」
京太郎「なんでだよ!?これじゃ町までタコス買いに行かなきゃならねーじゃねーか!」
京太郎の友達らしきモブ「俺もよく知らんけどさ、噂によると食材が何者かに盗まれたんだとさ、クックック」
京太郎「マジかよ・・・食材泥棒なんて今のご時世いるのか…?」
京太郎の友達らしきモブ「学食はあきらめろ、じゃーな 部のパシリ頑張れよ!クックック」
京太郎「ちくしょおおおおおおおおおおお誰だよお前ええええええええ」
京太郎「た、タコス…4つ、いや6つください」
店員「ぁありゃしたー!!」
京太郎「ふう、なんとか入手できた…早く帰らないと優希にドヤされるぞ」
京太郎「それもこれも、なんもかんも泥棒が悪い!もし俺の前に出てきたらとっ捕まえて警察に突き出してやる!」ゴゴゴゴ
キャードロボウヨーダレカー
京太郎「わお」
京太郎「待ちゃあがれぃ!おめえの悪行!お天道さんが許してもこの俺が!」
鬼巫女「っ!!」テテテテテテテ
京太郎「な、なんだありゃ!?人?いや動物か!?」
京太郎「と、とにかく捕まえる! ってはえええええ!!?」
京太郎「だがしかし!部活(パシリ)で鍛えた俺の脚力をなめるなよ!アイシールド21もびっくりだぜ!」
京太郎「だらっしゃあああああとったどーーー!」
鬼巫女「っ!!」ジダバタ
京太郎「こら、暴れんな!盗ったもんを返すんだ!」
京太郎「よかったな、許してもらえて」
鬼巫女「…」ショボン
京太郎「しかしお前、ほんとになにもんだ?子供…にしちゃ小さいし、角生えてるし、巫女服か?それ」
京太郎「どこから来たんだ?帰るところあるのか?家族とか…」
鬼巫女「っ……」ジワ
京太郎(ワケありか…)
鬼巫女「……」グウゥゥゥ
京太郎「んで、腹減ってんのか」
鬼巫女「…?」ビクビク
京太郎「たくさんあるから一個くらいはくれてやるよ いらないんなら俺が食っちまうぞ?」
鬼巫女「…!」ムシャムシャムシャ
京太郎「はは、すげえ食いっぷり 腹減ってたんだなー」
鬼巫女「…!…!」ペコペコ
京太郎「いいっていいって気にすんな そんでさ お前、これからどうするんだ?行くあてでもあるのか?」
鬼巫女「……」ショボン
京太郎「ないのか… んー、だったらさ」
鬼巫女「?」
京太郎「悪い悪い 学食が閉まってて街まで買いに行ってたんだよ ほら、みんなの分もあるぞ」
咲「わあ、ありがとう京ちゃん」
京太郎「あー…それでさ みんなに相談したいことがあるんだよ」
和「相談?」
京太郎「皆の家でさ ペットっつーか…その、家族が一人増えても大丈夫ってとこはないか?」
咲「そんな家、あるほうが珍しいと思うけど…?」
カピバラ自体が高い50万円前後
鬼巫女くらい余裕で養えるわ
京太郎「犬っていうか、鬼っていうか巫女っていうか……」
和「??? 意味がわかりません」
京太郎「だよな…ま とりあえず見てくれよ おーい、入ってこいよ」
鬼巫女「……」ビクビク
和「きゃあああああああ!! なんですかこれはーー!?」
京太郎「実はかくかくしかじかで…」
鬼巫女「……」ショボン
京太郎「なんかほっとくのもかわいそうになっちまってさ」
咲「京ちゃん…」
和「すみませんがうちは父が生き物…?は苦手で…連れて帰るのは難しいかと…」
優希「うちも無理だじぇー」
咲「私も…ちょっと難しいかな」
京太郎「そっか…」
咲「ごめんね、京ちゃん」
バンッ
??「話はきかせてもらったわ!!」
久「全部聞いてたわ、なかなかおもしろいのを拾ってきたわね~ 須賀くん?」
まこ「ほほ~確かに巫女で鬼じゃのう、服も…おぉう!ちゃんと脱げるんか!?」
鬼巫女「~~~っ!!」ジタバタ
京太郎「部長はどうですか?こいつ、連れて帰るわけには…」
久「悪いけどうちは無理ね~ それほど大食いだとちゃんと世話できる自信ないわ」
まこ「うちも雀荘じゃし…食べ物も扱うからペットは無理じゃのう」
京太郎「そうですか…」
京太郎「うーん うちにはもうカピバラがいるんですよね…この部室でってわけには…」
咲「京ちゃん こんなところに置いておくのはかわいそうだよ…」
京太郎「だよな…」
鬼巫女「…」シュン
京太郎「そ、そんな顔すんな!わかったよ、部長の言うとおり ここまで連れてきた俺に責任がある!嫌じゃなければうちに来い!」
鬼巫女「…!」パアア
ひしっ
優希「おおう、すっかり京太郎になついてるじぇ」
京太郎「名前…そう言えばなにも考えてなかったな」
和「あなた、お名前はあるんですか?」
鬼巫女「…!」テテテテ ピョンピョン
まこ「ホワイトボードの前でジャンプし始めたぞ」
久「須賀くん、だっこしてあげなさいな」
京太郎「はい ほら、ペン持てるか?」
和「それより、字が書けるんですかその子…」
鬼巫女「~~♪」
「コマキ」
京太郎「ふう…なんとか家族も説得できてよかった、小遣いが減らされちまったのは痛いが」
※説得シーンはワカメがキンクリしました
コマキ「…」グウゥゥ
京太郎「もう腹減ったのか?夕飯までまだ時間あるし…ほら、ポッキーでも食っとけ」
コマキ「!!!」パアアアアアアア
コマキ「♪」ペカー
ポテ
京太郎「あれ?まだ残ってるぞコマキ?」
コマキ「♪」ブンブン
京太郎「満足したのか…?もしかしてコマキの主食って…お菓子?」
京太郎「た、助かった…かもしれん」
コマキ「♪」ゴロゴロ
京太郎「やれやれ、のんきな奴だな さて、俺は夕飯までネトマでもやってるか」
京太郎「うがああああああやっちまったああああああ…だって!俺も聴牌してたんだもんんんんん!」
京太郎「も、もう駄目だ…まくるには次のオーラスで倍満は出さないと…」
コマキ「…」テテテテ ピョン
京太郎「うぅ…コマキ…見ないでくれ、こんな俺の体たらくを…」グスン
コマキ「……!」ペカーーーー
PC「南四局」
京太郎「配牌は…え?な、なんか筒子がやけに多いな…」
PC「ツモ 清一色 三暗刻」
京太郎「な、何いいいいいいいいいいいいいいい!?」
巴「か、霞さん 元気を出してください 姫様もきっとすぐに見つかります…」
霞「えぇ……そうね」
霞(小蒔ちゃん…どこへ行ってしまったの…)
初美「霞さん……」
霞(あの子を強くしたい一心で…傷つけてしまっていたのね…また会えたら謝らないと…)
霞(昔から お菓子が大好きだったものね…)
春「……」スック
初美「はるる?どこに行くんですかー?」
春「…電話、人探しが得意な人に心当たりがある」
春「…霞、元気出して… きっとお姉ちゃんがみつけてくれる」
~ひとまずカン~
だいたいストックたまったらまた立てて書くんで このスレは落としちゃってください
見てくれてありがとうございました
県予選とか全国とかやれたらやりたい
おう、京ちゃんに懐いたから添い寝もするし一緒に風呂も入る
責任取らないとな
次も楽しみにしてるで~
乙だし
Entry ⇒ 2012.09.30 | Category ⇒ 咲-Saki-SS | Comments (7) | Trackbacks (0)
櫻子「向日葵に頭ナデナデされたい」
向日葵「・・・はぁ?」ペラッ
櫻子「頭を撫でろよ!!」
向日葵「いきなりなんなんですの?遂に頭でもおかしくなって・・・」パタム
櫻子「確かめるためにも撫でろよ!!!」
向日葵「・・・末期かもしれませんわ」
向日葵「頭撫でるだけでそこまでされるなんて思わなかったですわ・・・」
向日葵「・・・はぁ」
ポンッ
櫻子「・・・!」
向日葵「これでいいですの?」ナデナデ
櫻子「ふぁ・・・っ」
向日葵「へ、変な声出さないでくださる!?」
櫻子「えへ、えへへ」
ナデナデ
櫻子「・・・・・・ん、向日葵・・・もっt」
向日葵「はい、おしまい」
櫻子「え!」
向日葵「え!じゃないですわ、もう腕が痛いんですもの。だから終わりですわ」
櫻子「・・・!?」
櫻子「そ、そんな・・・!いいじゃん、もっと撫でてくれたって!」ガシッ
向日葵「そ、そんな必死になることですの・・・?」
向日葵「理由を聞かせてくれたら、まぁ、考えてあげなくも・・・?」
櫻子「うぅ・・・」カァァ
向日葵(やだ、この娘。可愛い)キューン
櫻子「う」
向日葵「う?」
櫻子「う、うるさいっ!いーじゃないか!そのたぷたぷの二の腕を細くするついd」
向日葵「ふんっ!」ドボァ
櫻子「ぎゃうっ」
向日葵「ふん」プィ
向日葵「もう、ぜーったい!撫でてあげませんわ!」
櫻子「・・・!?」
向日葵「 さ よ な ら ! 」
バタン
櫻子「」
櫻子「」
櫻子「」
櫻子「」
櫻子「そ、そんな・・・」
櫻子「」もくもく
櫻子「」ずずー
櫻子「」だばー
花子「撫子お姉ちゃん」
撫子「ん?」
花子「あれ・・・」
撫子「・・・」
櫻子「」ずずー だばー
撫子(ひま子と喧嘩でもしたのか)
撫子「大丈夫。ほら食べちゃいな」
花子「ええ!?」
櫻子「」もく
撫子「はい、おかずもあーん」
櫻子「」もく
撫子「よく噛んでー」
櫻子「」もくもく
撫子「ごっくーん」
櫻子「」ごっくん
撫子「美味しい?」
櫻子「」コクッ
花子(介護かし!!)
櫻子「・・・」
撫子「じゃあ次にお風呂に一緒に」ナデナデ
櫻子「・・・」
ナデナデ
櫻子「はっ」バシーン
撫子「!?」
花子「!?」
櫻子「姉ちゃんは、なんか違う・・・」ダッ
撫子「」ガァン
ネェ,ハナコ?ナデナデサセテヨ...
エ,エ?チョ,チョットナデシコオネエチャンメガコワイシ...!
櫻子「・・・はぁ」ポフッ
向日葵『ほら、これでいいですの?』ナデナデ
櫻子「・・・」
向日葵『もう、ぜーったい!撫でてあげませんわ!』
櫻子「」グスン
櫻子「向日葵、頭撫でて欲しいよぅ・・・」
カポーン
楓「♪」パチャパチャ
楓「お姉ちゃん、お風呂気持ち良いね」
向日葵「・・・」
楓「お姉ちゃん・・・?」
向日葵「え?あぁ、そうですわね」
楓「・・・また、櫻子お姉ちゃんと喧嘩したの?」
向日葵「ちょっとだけですわ」
向日葵「・・・ごめんね、楓」
楓「早く、仲直りしてね?」
向日葵「ええ、ありがとう、楓」ナデナデ
楓「えへへ」
向日葵「さ、上がってアイスでも食べましょうか。買ってきたんですの」
楓「ほんとっ!?」
向日葵「ほら、早く身体拭きましょう」
楓「うんっ」
楓「すぅ・・・すぅ」
向日葵「風邪引かないようにっと・・・」スッ
楓「むにゃ・・・」
向日葵「ふふ、おやすみなさい。楓」ナデナデ
ナデナデ
向日葵「・・・」
櫻子『ふぁ・・・っ』
向日葵「・・・!」
向日葵「・・・」
向日葵「撫でててこっちまで気持ちよくなるような
櫻子『・・・・・・ん、向日葵、もっt』
向日葵「なんで私途中でやめてしまったのかしら・・・はぁ」
櫻子『二の腕たぷたp』
向日葵「・・・・・・」イラッ
向日葵「・・・ふん、でも撫でてなんかあげませんわ!」
向日葵「撫でてなんか・・・」
櫻子「・・・」チラッ
向日葵「・・・」カリカリ
櫻子(ま、まだ怒ってる・・・)グスッ
向日葵「・・・」チラッ
櫻子「・・・」グスッ
向日葵(うぅ・・・どう切り出せばいいんですの。もう気にしてないって一言言えれば・・・)
チラッ
櫻子「・・・あ」
向日葵「・・・!」
向日葵「・・・っ」プィ
櫻子「・・・あ」
向日葵(私のばかーー!)
向日葵「・・・あの」チラッ
櫻子「・・・・・・」ポロポロ
向日葵(!?)
櫻子「・・・・・・ひ、向日葵、ごめ」
あかり「・・・櫻子ちゃん?お腹とか痛いの?」
ちなつ「先生、櫻子ちゃんg」
向日葵「!?」
向日葵「さ、櫻子!ちょっと来なさい!」ガシッ
櫻子「・・・っ」
向日葵「ほ、保健室に連れていきますので私、付き添いで・・・!では!」
ガララッ ピシャッ
パタン
~トイレ~
向日葵「ぜぇ・・・はぁ・・・。あ、危なかったですわ・・・」
櫻子「あ、あの、向日葵・・・」ポロポロ
向日葵「ちょ、ま、待ちなさいな、今息が・・・」
櫻子「あ、謝るから、土下座するから、顔もボディも許して・・・」カタカタ
向日葵「殴るとかじゃないですわよ!?」
櫻子「うぅ・・・」
向日葵「・・・私はもう気にしてないのに、櫻子は気にしすぎですわ」
櫻子「ご、ごめん・・・・・・え?」
向日葵「気にしてないですわよ。昨日の事なんか。貴女に言われるのなんて日常茶飯事ですもの、慣れましたわ」
櫻子「・・・!」
向日葵「怒ってませんわ」
櫻子「ほんとに?」
向日葵「ほんとですわ」
櫻子「ほんとにほんとにほんとにっ?」
向日葵「ほんとにほんとにほんとにですわ」
櫻子「ほんとにほんとにほんとにほんとに・・・」
向日葵「しつこい」バシッ
櫻子「あう」
向日葵「気がすみまして?」
櫻子「うん、良かった。許してくれて!」
向日葵「じゃあ・・・戻りますわよ。皆、心配してますわ」ガチャ
櫻子「・・・あ、向日葵待って」ガシッ
向日葵「とと・・・なんですの?次は体育なんですから早くしないと・・・」
櫻子「な、仲直りのしるしにさ、あの・・・頭、撫でてよ」
向日葵「・・・」
櫻子「・・・駄目、かな」
向日葵「・・・え、えと、その」
櫻子「向日葵に頭、撫でて貰うの好きなんだ。こう、他の人とはちょっと違くて、安心するというか・・・」
櫻子「き、気持ちいいというか・・・」カァ
向日葵「・・・!」キューン
櫻子「向日葵・・・?」
ポフッ
櫻子「ふぁ・・・」
モフッ
モフッ
サラッ
櫻子「・・・ん、あ・・・う。ひ、向日葵?」カァァ
向日葵「・・・そ、そんなこと言われたら、撫でないわけにはいかないじゃありませんの」カァ
向日葵「・・・そうやって貴女はいつもなにもかもうやむやにしちゃうんですわ」ナデ
櫻子「・・・えへへ」
向日葵「次の授業、始まってしまいますわ」ナデナデ
櫻子「・・・ここでやめられたら死ぬ」
向日葵「止めなかったら?」
櫻子「溶けて死ぬ」
向日葵「ふふ、どっちもどっちじゃあありませんの」
櫻子「頭撫でられて死ぬならほんもー。でも、途中でやめられて死ぬのは嫌ー」
向日葵「もう・・・この娘は」
櫻子「えへへ、泣いたら慰めで頭撫でてね」
向日葵「もう・・・」ナデナデ
モフッ
モフッ
サラッ
櫻子「・・・ん、ふ」プルプル
向日葵(さらさらもふもふで、気持ち、いいですわ・・・なにもかもどうでもよくなってしまいそう)
モフ
向日葵「実際、イケないことですわ。こんな、授業サボって」
櫻子「ごめんね?」
向日葵「・・・」
向日葵「ばか、責任とりなさいよ」
櫻子「えへへ、怒られて向日葵が泣いたら、私が頭撫でて慰めてあげるからねっ」
向日葵「はいはい」
向日葵「ん・・・狭いんだからあんまり動かないで」
櫻子「もっともっとー」
向日葵「はいはい」ナデナデ
櫻子「~♪」
向日葵「・・・」ナデナデ
向日葵(ふふ、いつまで続けたら良いのかしら?)
櫻子「ひーまーわーりーっ♪」ギュウ
向日葵(一日中?・・・まさか、ね)
おわり
読んでくれてありがとばいばいノシノシ
すばらしかった
Entry ⇒ 2012.09.30 | Category ⇒ ゆるゆりSS | Comments (0) | Trackbacks (0)
モバP「蘭子の発言を徹底的に曲解する」
蘭子(ふぅ……今日のお仕事、大変だったなぁ)
蘭子(あ、プロデューサーさんだ)
蘭子「我が下僕よー!」
P「ん、蘭子?」
蘭子「闇に飲まれよ!」
P「……そうだったのか」
蘭子「……?」
P「蘭子の下着は黒なのかー」
蘭子「!?」
P「え、だって闇に飲まれよって言っただろ?」
蘭子「確かにその通りだが、何故……」
P「だから、闇っていうのは黒い色だろ? で、飲まれよってことはそれを身につけてると」
P「だから『闇に飲まれよ!』っていうのは『今日の下着は黒です』っていう意味に……」
蘭子「な、ならぬわっ、愚か者っ!」
P「そうなのかー」
蘭子「そうだっ!」
蘭子「何故わからぬのだ、愚か者め……我が下僕たるものがその様でどうする!(な、なんでわからないんですかプロデューサー!? いつもはわかってくれるじゃないですか!)」
P「なるほど、わからん」
蘭子「……」
P「涙目なのが可愛いがわからん」
蘭子「このっ……!(も、もうっ……!)」
P「闇に……闇? まさか」
蘭子「よ、ようやく解したか……(わ、わかってくれましたか?)」
P「わしにしね というんじゃな?」
蘭子「!?」
P「だって……闇に、飲まれよ、だぞ?」
蘭子「……」
P「闇って、暗いし怖いじゃないか。それに飲まれるってことは……」
蘭子「え、えっ……」
P「死ね、と……俺のことが嫌いだと言いたかったわけか……」
蘭子「ち、ちがっ……」
P「うん? 血が? 血が欲しい?」
蘭子「否っ! 我が言霊を正しく解せー!(違います! そんな意味じゃありません!)」
P「うーん、やっぱりわからないなー」
P「そんなこと言われてもなぁ……うーん……」
蘭子「もう知らぬ!(もう知りませんっ! ふーんだ!)」
P「あ、そうだ蘭子」
蘭子「……何用だ(……なんですか?)」
P「お疲れ様。今日もよかったぞ」
蘭子「……ふ、ふふん! 我が力の前では些事に等しい!(あ……はい! ありがとうございます!)」
P「さじ? ……ふむ、楽勝だったってことか」
蘭子「あ……多少は歯ごたえが……(え、少し……いえ、だいぶ大変だったけど……)」
P「よーし、激しい仕事増やすぞー」
蘭子「にゃぁっ!?」
蘭子(ふぅ……今日はとっても暑いなぁ……)
蘭子(あ、プロデューサーだ!)
蘭子「我が下僕よー!」
P「お、蘭子?」
蘭子「煩わしい太陽ね!」
P「太陽? うーん、確かに今日はやたら日が照ってるなぁ」
蘭子「地獄の釜が開き、灼熱の業火に焼かれるかのよう……(本当に暑くて太陽がまぶしくて……)」
P「……」
蘭子「生命の雫がこぼれそう……(汗、いっぱいかいちゃいそうです)」
P「うん? トイレか?」
蘭子「!?」
P「あれ、違うのか?」
蘭子「あたり前だ、恥を知れーっ!(あたりまえですっ、は、恥ずかしいこと言わないでください!)」
P「うぅん、だけど生命の雫がこぼれそうなんだろう?」
蘭子「う、うむ……(は、はい。暑くて汗が……)」
P「生命の雫ってことは……つまり、身体から出るものってことだ」
蘭子「……」
P「だから、トイレかなーって」
蘭子「何故そうなるのだっ!(な、なんでそうなるんですかぁっ!)」
P「まったく、乙女がはしたないなーって思ったんだけど、オブラートに包んでるのかなって」
P「捻じ曲げたつもりはないんだけどなぁ……俺は、思った通りに解釈しただけで」
蘭子「むぅ……小癪な……(なんなんですか、もうっ……)」
P「……あっ」
蘭子「如何した?(どうしたんですか?)」
P「ひょっとして、生命の雫ってさ」
蘭子「よ、ようやく解したか!(わ、わかってくれたんですか!?)」
P「……こういうことだよな、ほら」
蘭子「……? なんだ、これは……?(なんですか、これ……?)」
P「ナプキンだけど」
蘭子「なぷっ……!?」
蘭子「な、ななななっ……」
P「あれ? つまり生理が来たってことじゃ……」
蘭子「愚か者!」ポカッ
P「いてっ!?」
蘭子「お、おろか、ものっ!」ポカポカ
P「痛い痛い、地味に痛い! やめて、叩かないで!」
蘭子「わ、我が言霊を何と心得る! 貴様の思うように捻じ曲げようとは、恥を知れー!(な、なんてこと言うんですか! 私そんなはしたない子じゃありません!)」ポカポカ
P「ははは、何言ってるのか全然わからないなー」
蘭子「……!」ポカポカ
P「いたたっ、いたい、痛いから、ごめん、ごめんなさいっ!」
蘭子(最近プロデューサーが変な風に解釈しちゃうから、憂鬱だなぁ……)
蘭子(なんでなんだろう……よーし、じゃあ今日はちょっと変えてみよう!)
蘭子(って思ったら、プロデューサーがあんなところに……ゆ、勇気を出して……)
蘭子「プ……プロ……プロデューサー!」
P「おう蘭子……蘭子!?」
蘭子「ど、どうし……た、んですか?」
P「……おぉ……普通に話してる……」
蘭子「ふ、フハハハ! この程度容易い!(わ、私だってやる気になればこれぐらいできちゃうんですよっ!)」
P「あ、戻った」
蘭子「ぅぁ……」
蘭子「い、いつも……プロデューサーが、私のいうことを……」
P「言うことを?」
蘭子「捻じ曲げ……曲解、するから……」
P「……」
蘭子「何故……なんで、そんなこと、するんですか……?」
P「……」
蘭子「……プロデューサー?」
P「そうだな……」
蘭子「……」
P「あえて言うなら……」
蘭子「……っ」
P「可愛いからかな」
蘭子「……ふぇっ?」
蘭子「そ、そんな……」
P「だからつい、な?」
蘭子「……」ムスッ
P「あぁ、そんなにふくれないでくれよ……」
蘭子「愚か者めっ、私がどのような思いだったか……(プロデューサーのばかぁ……私、すごく嫌な気分だったんですよ……?)」
P「ごめんってば……」
蘭子「我が言霊を解せる者は希少だというのに、まったくっ!(わかってくれる人、あんまりいないんですから! もうっ)」
P「ははは……まぁ、確かに蘭子はしゃべりかたが特徴的だからなぁ」
P「……」
蘭子「……? 如何した? (どうしたんですか?)」
P「生贄か……」
蘭子「そう、漆黒の甘き罪や……(そうですよ、例えばチョコレートケーキとか……)」
P「じゃあ、俺が生贄ってことでどうだろう?」
蘭子「え……?」
P「私を捧げましょう! ……なんて、な?」
蘭子「ぁ……えっと……」
P「……どうした、蘭子?」
蘭子「……プ、プロデューサーを、くれるんですか……?」
P(あ、可愛い)
蘭子「……ダメ……?」
P(上目づかいか……うむ、実に素晴らしい。最高だ)
蘭子「……」
P「よし、わかった。俺が生贄だ! どんと来い!」
蘭子「……! その言葉、偽りはないな?(う、嘘じゃないですよね?)」
P「あぁ、勿論さ!」
蘭子「で、では告げる……!(じゃ、じゃあ言いますね……)」
P(セクハラしまくったわけだし多少は俺も痛い目みないとな……さぁ、鬼が出るか蛇が出るか……!)
P「……?」
蘭子「だが、孤独たる王は絶対ではない……(でも、きっと1人じゃ頑張れないと思うんです……)」
蘭子「故に、再度誓おう!(だから……!)」
蘭子「我が友として認めしそなたと共に、この世界を制覇せんと!(私、やっぱりプロデューサーと一緒が一番だと思うんです!)」
蘭子「……常に、そなたは我と共にあれ!(これからも、一緒にいてください!)」
P(天使が出た)
P「……うーん、よくわからなかったなぁ」
蘭子「えっ……」
P「ごめんな、うまく翻訳できなかったよ。なんて言ったんだ?」
蘭子「う……ぅうー……」
P「そんなに睨まれても、困るなぁ……」
蘭子「……プロデューサーの、いじわる……」
P(可愛い)
P「あ、おい蘭子……ちょっとどこに……」
蘭子「一緒に、トップアイドルになりたいっていったんです!」
P「……!」
蘭子「……うぅ、やっぱり恥ずかしい……プロデューサーの、ばかーっ!」
P「ちょ、ちょっと待って! 蘭子、ストップ! おいてかないでくれ!」
蘭子「い、今は我が『瞳』が暴走を起こしつつある! こちらを見るな!(は、恥ずかしくって顔が見れないんですおいかけないでください!)」
P「何それ見たい! 蘭子、待って! チョコケーキおごるから! 絵の具セットも買うからー!」
おわり
すみませんでした。でも蘭子ちゃんかわいいですね
保守支援ありがとうございました!
やみのま!
Entry ⇒ 2012.09.30 | Category ⇒ アイマスSS | Comments (0) | Trackbacks (0)
紅莉栖「全部思い出したら大変な事になってしまった……」
紅莉栖(全部、思い出した……)
紅莉栖(α世界線で岡部と過ごした事、全部……)
紅莉栖「どうしよう……」
紅莉栖(全部思い出したせいで今まで以上に岡部の事、好きになっちゃった……)
紅莉栖「岡部が好き過ぎて胸が痛い……」
紅莉栖(私のために何度もタイムリープして、最後まで足掻き続けて……)
紅莉栖(救えないって私を抱きしめながら謝って、好きだってキスされて……)
紅莉栖(そしてパパのナイフから私を庇って、血まみれになって……それでも助けてくれて)
紅莉栖「そ、そんな事された惚れちゃうだろ……ばか岡部」
紅莉栖「……」
紅莉栖「ぬ、ぬわああああ!!な、何を言っとるんだ私は!」ジタバタ
紅莉栖(だいたい、何で岡部は何も言ってくれなかったの!?)
紅莉栖(α世界線の大まかな経緯や、私を救った事は説明してくれたけど……あ、あんな関係だったなんて)
紅莉栖「いや、私なら岡部の言葉なら絶対信じていた」
紅莉栖(そしたら……またあんな関係に……)
紅莉栖「え、えへへ……岡部」
紅莉栖(ああ、ヤバい。顔がにやける……会いたい、早く岡部に会いたい……)ウズウズ
紅莉栖「で、でもいま私はアメリカに居るし……」
prrrrr
岡部『紅莉栖!?どうかしたか!?』
紅莉栖「ふぇ?」
紅莉栖(な、なんでこんなに動揺してんの?っていうか名前呼び!?)
紅莉栖「えっ、あっ、べ、別に大した用じゃないんだけど……」
岡部『なに?そう、なのか……?』
紅莉栖「う、うん……」
岡部『……緊急の用ではないのだな』
紅莉栖「そう、だけど……」
紅莉栖(あれ、なんか……怒ってる?)
岡部『……いまこっちは何時だと思ってる』
紅莉栖「あっ」
岡部『時差を考えろ、まったく……相変わらずドジっこだな助手よ』
紅莉栖「助手って言うーな」
紅莉栖(さっきは紅莉栖って呼んでくれたのに……)
岡部『助手の分際でこの鳳凰院凶真の眠りを妨げるとは……偉くなったもんだなクリスティーナよ』
紅莉栖「だから謝ってるでしょ!あとティーナも禁止っ」
岡部『まあいい、それで用とはなんだ?』
紅莉栖「えっ」
岡部『メールでも律儀に時差を考えて送るお前が、こんな時間に電話を掛けてきたんだ。何かあったんだろ?』
紅莉栖(い、言える訳ないじゃない!ただあんたの声が聞きたかったからだなんて……でも)
紅莉栖「ほ、本当に大した用じゃないの。ただちょっと……」
岡部『なんだ?』
紅莉栖(でも、全部思い出したんだから……少しくらい素直になっても、いいよね)
紅莉栖「岡部の声が、聞きたかったから……」
岡部『なっ……』
岡部『……』
紅莉栖「えっと、岡部……?」
岡部『……俺も』
紅莉栖「えっ?」
岡部『俺も、お前の声が聞きたかった、紅莉栖』
紅莉栖「!!」
岡部『次は、いつこっちにこれそうなんだ?』
紅莉栖「ふぇ?ま、まだ決まってないけど、近い内に休みが取れると思うからその時に……」
岡部『そうか……その時はラボメン全員で空港に迎えに行ってやろう。感謝するんだな』
紅莉栖「うん……ありがとう、岡部」
岡部『くっ、今日は機関からの精神攻撃が激しいな』
紅莉栖(顔を見て言うのは難しいけど、電話越しなら素直になれる……)
紅莉栖「岡部に会えるの、楽しみにしてる」
岡部『俺もお前に早く会いたい、紅莉栖』
紅莉栖「なっ!?」
岡部『じゃあな。研究、がんばれよ』
ツーツーツー
紅莉栖「……」
紅莉栖「ぬわああああ!!」ジタバタ
紅莉栖「岡部デレすぎだろ……」
紅莉栖(あ、あんな事、言われてたら、私……)
紅莉栖「岡部……好き過ぎて胸が痛い」ギュッ
紅莉栖(会いたい……早く……)
ラボ
紅莉栖「という事で来ちゃった」
岡部「」
紅莉栖「岡部?」
岡部「来ちゃったって、お前……研究は?」
紅莉栖「区切りのいいところで終わらせてきたわ」
岡部「お前の仕事に支障がないならいいが……」
紅莉栖「ごめん……急いでてそこまで気が回らなかった。まゆりたちには悪い事したわ」
岡部「まあ、帰りに空港までラボメン全員で見送りすればいい」
紅莉栖「……ありがとう、岡部」
紅莉栖「なに?」
岡部「その、昨日の電話といい、どうしたのだ?」
紅莉栖「えっ?」
岡部「少し、様子がおかしいというか……やはり何かあったのか?」
紅莉栖「……」
岡部「……紅莉栖?」
ギュッ
岡部「えっ……」
紅莉栖「岡部……」
紅莉栖「……たの」
岡部「なに?」
紅莉栖「全部、思い出したの。α世界線で過ごした岡部との出来事、全部」
岡部「なっ……」
紅莉栖「岡部……」ギュッ
紅莉栖「好き……大好き」
紅莉栖「あの時の返事、ちゃんと言いたかったから……」
岡部「あ、あの時って……それも思い出したのか」
紅莉栖「……うん」
岡部「そう、か……」
紅莉栖「……」
岡部「……」
紅莉栖(い、勢いで告白してしまった……で、でも仕方ないじゃない!全部思い出して、岡部の顔見て、我慢なんて出来るワケないじゃない)
紅莉栖「あっ……」
紅莉栖(岡部の体……温かい)
岡部「紅莉栖、目を瞑れ」
紅莉栖「ふぇ!?そ、それって」
岡部「……全て思い出しのなら、意味は分かるだろ」
紅莉栖「そ、それは……」
岡部「なら……」
紅莉栖「わ、わかった……」パチ
チュ
紅莉栖「……んっ」
岡部「……紅莉栖」
チュ
紅莉栖「んむっ、はむっ……んっ」
紅莉栖(ちょっかカサカサのの唇、舌を絡ませた時の感触、仄かなドクペの味……あの時と全部同じだ)
岡部「ぷはっ……」
紅莉栖「んっ、……えへへ」
岡部「なんだ?」
紅莉栖「私たち、これで両思いになれたんだよね?」
岡部「そ、そうだな」
紅莉栖「つ、つまり恋人同士って事でおk?」
岡部「こ、恋人!?」
紅莉栖「……違うの?」
岡部「あ、いや、その……お前がそういう関係を望むなら、俺もその関係を望む」
紅莉栖「なら、決まりね」ギュッ
岡部「こ、こら……引っ付きすぎだ」
紅莉栖「いいじゃない。私たち、恋人同士なんだから」
岡部「恋人同士、か……なら仕方ないか」
紅莉栖「そうよ、諦めなさい」
岡部「なんだ?」
紅莉栖「どうして……α世界線での私との関係を話してくれなかったの?」
岡部「それは……」
紅莉栖「話してくれたら、もっと早くこういう関係になれたのに……」ムギュ
岡部「リーディング・シュタイナーは誰しもが持つ能力だ。お前が発現しているのも観測している。だが、全て思い出す保障なんてなかった」
紅莉栖「……」
岡部「あれら全ての世界線は俺以外にとって『なかった事』だ。その『なかった事』を引き摺るのは俺だけで十分だ。そう思って、話さなかった」
岡部「それに……」
紅莉栖「それに?」
岡部「例えお前が全て思い出さなくとも、俺がお前を好きという感情に変わりはない」
岡部「だが、そうだな。α世界線の事は話せなくても、好きだと伝えていれば、もっと早くこういう関係になれたもしれんな」ムギュ
紅莉栖「……」
岡部「……? 紅莉栖?」
紅莉栖(な、なにこのイケメン……惚れてまうやろ。惚れてるけど)
紅莉栖(お、岡部にこんなに愛されてるなんて……や、ヤバい!顔が赤い!あ、頭がフットーしそう!)
紅莉栖「……」ボー
紅莉栖(ああ、岡部ぇ……好き、大好き)
岡部「紅莉栖?大丈夫か?」
ギュッ
岡部「む?」
紅莉栖「おかべ……」
岡部「どうした?」
紅莉栖「えへへ、ふひ、なんでもない」
岡部「そ、そうか」
岡部「なんだ?」
紅莉栖「ううん、呼んでみただけ」
岡部「そ、そいか」
紅莉栖「えへへ」
岡部「……」
紅莉栖「……倫太郎」
岡部「!?」
紅莉栖「名前……」
岡部「なに?」
紅莉栖「いつまでも岡部のままじゃダメかなって……」
岡部「別に俺はそれで構わん」
紅莉栖「その、不便じゃない」
岡部「不便?」
紅莉栖「い、いつかは二人とも『岡部』になるんだから。い、言わせんな!恥ずかし」
岡部「」
紅莉栖「でも、岡部呼びで馴れちゃったら、いざそうなった時にちゃんと呼べないし……」
岡部「だからって……」
紅莉栖「それに……」
岡部「なんだ」
紅莉栖「私自身、あなたの事をちゃんと名前で呼んでみたいし」
岡部「……っ」
紅莉栖「お、岡部が嫌って言うなら別に今は岡部呼びでもいいけど」
岡部「……二人きりの時だけ」
紅莉栖「ふぇ?」
岡部「二人きりの時だけ、特別に名前呼びでも構わん」
岡部「……ああ」
紅莉栖「い、いまって二人きりよね?」
岡部「そう、だな……」
紅莉栖「……」ゴクリ
紅莉栖「り、倫太郎」
岡部「」ビク
岡部「……やはり違和感がある」
紅莉栖「なら、これから馴れていかないと。ね?倫太郎!」ギュッ
岡部「……くっ」
岡部「なんとなく、締まりがない名前だからだ」
紅莉栖「そう?いい名前だと思うけど。少なくとも鳳凰院凶真(笑)さんよりはずっと素晴らしい名前よ?」
岡部「貴様!我が真名を愚弄するか!」
紅莉栖「あはは、でもあんたにピッタリの名前だと思うけどな。いっその事、あだなで呼ぶとか?」
岡部「お前にだけはオカリンと呼ばれたくないな」
紅莉栖「なら倫太郎をとってリンリンとか?」
岡部「却下だ!なんだ、そのパンダに付けるような名前は!?」
紅莉栖「ふふっ、冗談よ」
紅莉栖「ん?なに?」
岡部「お前は、俺の名前、いいと思うか?」
紅莉栖「ええ」
岡部「そう、か……」
紅莉栖「それがどうしたの?」
岡部「あ、いや……お前が、そう言うならこの名前も悪くない、かもな」
紅莉栖「倫太郎……」
岡部「くっ、やはり違和感はあるがな……」
岡部「名前で呼ばず『あなた』呼びでも構わないがな」
紅莉栖「ふむん、そうね。それなら名前で呼ばなくてもいいわね」
岡部「……」
紅莉栖「……」
岡部「な、なあ」
紅莉栖「な、なに?」
岡部「お、俺たち、もしかしてとんでもない会話をしてないか?」
紅莉栖「『あなた』呼びとか、はは、わろすわろす……」
岡部「フゥーハハハ!」
紅莉栖「ふぅーははは!」
岡部「……」
紅莉栖「……」
紅莉栖「は、はい!」
岡部「その、だな……が、学生結婚はするつもりはないからな!」
紅莉栖「あっ、えっと……うん、その、待ってる」
岡部「あ、ありがとう……」
紅莉栖「うん……」
岡部「あと、えっと、お、お前がアメリカがいいと言うなら俺もアメリカに住むが……」
紅莉栖「そ、そんな、倫太郎に悪いわよ……」
岡部「お前には研究に集中してほしい。だが、日本とアメリカで離ればなれもご免だ」
紅莉栖「いい、ね?」
岡部「無論だ」
紅莉栖「倫太郎……」
岡部「紅莉栖……」
ギュッ
――
紅莉栖「んっ、ねえ、倫太郎」
岡部「どうした?紅莉栖」ナデナデ
紅莉栖「えへへ、んっ、あの、ね」
岡部「なんだ」
紅莉栖「私たち、これからもずっと一緒、よね?」
岡部「無論だ」
紅莉栖「ふふっ……そっか」
ギュッ
岡部「もう二度と離したりはしない……俺はずっとお前の傍にいる」
紅莉栖「んっ……倫太郎」
チュ
岡部「んっ、俺もだ。紅莉栖」
チュ
紅莉栖「んむっ……えへへ」
岡部「これからずっと一緒だ。例え体が物理的に離れていても、心は共にある」
紅莉栖「倫太郎と一緒……ふふっ」
岡部「ああそうだ。なんたってこれが――」
紅莉栖「シュタインズ・ゲートの選択、でしょ?」
岡部「ほぅ、分かってるではないか」
紅莉栖「無論だ!だって私は鳳凰院凶真の助手にして伴侶でもある鳳凰院紅莉栖なのだぜ?」
岡部「ふっ、そうだったな」
岡部「フゥーハハハ!」
紅莉栖「ふぅーははは!」
おわり
書き溜ないから遅くてごめんね
読んでくれた人、保守してくれた人、ありがとニャンニャン
Entry ⇒ 2012.09.30 | Category ⇒ シュタインズゲートSS | Comments (2) | Trackbacks (0)
C.C.「今日は学校サボって私とデートしろ」 ルルーシュ「…は?」
C.C.「不服か?」
ルル「不服だ」
C.C.「理解に苦しむ童貞坊やだな。私のような絶世の美人にデートを求められて断る男がどこにいる?」
ルル「自画自賛もいいところだろう、お前」
C.C.「それとも何だ、私をこの屋敷に置いたままで世間の目に晒すのが怖いのか」
ルル「……俺は今学校に向かう準備で忙しいんだが」
C.C.「全く、童貞のくせに女を囲うことを覚えてしまったモヤシっ子はこれだから困る」
ルル「朝一番からワケの分からない事を聞かされるという時点で、
現状で一番困っているのは間違いなく俺だというのが根底にないのか、お前は……」
C.C.「それはな、ルルーシュ。 お前のためを思っての事だ」
ルル「……は?」
C.C.「激化するブリタニアとの戦い、黒の騎士団の長として奔走する立場、
それを隠しながら学生という二足の草鞋を履き続ける生活…心労は相当なものだろう」
ルル「……俺が自ら望んでその場に立ったんだ、その程度の辛さは覚悟の上さ」
C.C.「しかし、いずれはガタが来る。張り詰めた糸がプツンと脆く切れるように」
ルル「……」
C.C.「そんなお前を見るのは忍びない。何せ私とお前は『共犯者』だからな」
ルル「C.C.…お前、そこまで考えていてくれて……」
C.C.「それにな」
ルル「?」
C.C.「屋敷にずっと籠っているのは存外暇だから、外の空気くらいたまには思いっきり吸いたいんだ」
ルル「それが本音か貴様」
ルル「ええぃ! 俺は俺でやらねばならんことが多々あるんだ!
お前の思いつきで今日計画していたプランを台無しにつもりは毛頭無い!」
C.C.「ちなみに、そのプランというのはどういう内容になっているんだ」
ルル「午前中は授業を受けつつ、株の売買で騎士団の資金繰り。
午後は生徒会に顔を出して怪しまれないよう振舞いつつ、ヴィレッタと今後の連携について提示報告。
夜はそのまま騎士団に直行して、扇やカレンに指示をして2週間後を目安にブリタニアの第四部隊撃破を目論んでいる」
C.C.「なんだ、それくらいなら明日にでも回せるな。では早速私とデートの準備を始めるとするか」
ルル「お前絶対さっきの話聞いていなかっただろう…」
ルル「なんだ、しつこいぞC.C.。俺は今日忙しいと…」
C.C.「お前はいつもそうやって忙しい忙しいと言う。
いつでも作れる休みを二の次にして、身を粉にして戦い続けている」
ルル「ああ。そうでもしないとブリタニアを潰すことなぞ夢のまた夢だからな」
C.C.「さっきも言った。そのままではいずれか倒れてしまう。
…お前が自分を大切に出来ないなら、それはそれでいい」
ルル「……」
C.C.「だがな、自分を大切に出来ない分だけ私に目を向けることくらい容易いだろう?」
ルル「……」
C.C.「倒れられたら困る、などという大前提の元に
お前の為を思って言うほど私は優しくないぞ。私は私の為に言おう」
ルル「……」
C.C.「……たまには、構ってくれてもいいじゃないか」
ルル「……ふん」
C.C.「?」
ルル「…………今日だけだからな」
C.C.「ふん、最初からそう言えば事は早かったんだ。
妙にモタモタして間遅れするのは相変わらず童貞坊やらしい行動だな」
ルル「お前という奴は本当に傲岸不遜だな…」
C.C.「当然だろう? 私はC.C.だからな」
C.C.「おい、貧弱モヤシっ子」
ルル「なんだ。言っておくが出かけるのはAM9:00以降だ。それまでに支度を済ませておけ」
C.C.「まぁ何だ。その、本当に聞いてくれるとは思わなかったからな」
ルル「どうした? お前らしくもない歯切れの悪さだな」
C.C.「……少しくらいは感謝してやらんことも無い」
ルル「……そういう素直さをいつも出してくれたら、俺は助かるんだがな」
C.C.「馬鹿を言うな。貴様のような捻じれに捻じれた捻くれ者に素直になるのは愚者の挙行だ。調子に乗るなよ」
ルル「……ほんの数秒前に抱いた俺の気持ちが台無しだぞ」
ルル「おい、C.C.。準備は出来たか?」
C.C.「女性を急かすのは男として落第点だぞ、ルルーシュ」
ルル「時間にルーズなのは人として落第点と思っているから問題ないな」
C.C.「減らず口を」
ルル「こういうのは無駄口と言うんだ。 それよりまだか、もう予定の時間だぞ」
C.C.「後は上着を着るだけなんだが、こう、なんだ、くっ…な、かなか苦戦しているんだ」
ルル「どうした? サイズでも合わなくなったのか」
C.C.「ま、前は…入ったんだが……どうやら、私の豊満な胸が、またサイズアップしてるようでな……
な、なんとか着て見せるから少しだけ待ってろ」
ルル「ピザ食っては寝てばかりの生活だったからな、お前は」
C.C.「……」
ルル「こう言っては何だが、ひょっとして太ったのではないか?」
C.C.「お前後で絶対に殺すからな、待っていろ」
C.C.「待たせたな」
ルル「ああ、待ったぞ」
C.C.「お前が急かすから、思ったよりも服の品定めが出来なかったじゃないか」
ルル「それに関しては少しくらい悪いと思っているさ」
ルル「おい、C.C.」
C.C.「なんだ、さっさと行くのだろう? キリキリ歩いてロスした時間を短縮するぞ」
ルル「その服装、悪くないな」
C.C.「……もっとストレートに褒めろ」
ルル「似合っているぞ」
C.C.「なんだ、恥ずかしい奴め。口説くにせよ、褒めるにせよ、中途半端極まりないな。
悪いが私はちょっと先を歩くぞ。そういう男にリードされるのは心外だからな」
ルル「……はいはい」
ルル(なんとなく言ってはみたが、どんだけ顔赤くしているんだアイツ……)
C.C.(不意打ちか……、童貞坊やのくせに生意気な……!)
C.C.「そんなの私が決める事では無いだろう。適当に街にでも出るぞ」
ルル「なんだ、計画無しか」
C.C.「そういうお前は何かプランでもあるのか?」
ルル「一応考えては見たんだが、お前の好きなものって何なのか存外分からなくてな」
C.C.「ふふん、では私の趣味嗜好を知るために午前中はぶらついてみるか?」
ルル「なんで偉そうなんだお前…まぁいい、それで行くとしよう」
ルル「ああ、そうだな」
C.C.「マオと対峙したとき以来か」
ルル「そういう事になる」
C.C.「……」
ルル「……あの時の」
C.C.「?」
ルル「あの時のお前のゴスロリ姿は衝撃だった」
C.C.「なんだ、似合っていたとでも言いたいのか?
ふふん、そう思うのも致し方が無い。絶世の美女は何を着ても映えるからな」
ルル「ああ、まぁ、…そうだな」
C.C.「何故そこで茶を濁した!?」
C.C.「普段が普段の服装なだけに、様々な服を着るのは楽しいからな。
必然的に服の種類も増えていくというワケだ」
ルル「後はその服を脱ぎ散らかさずに、ちゃんとタンスに収納するのを覚えれば完璧だな」
C.C.「どこぞの顔だけはいい家政婦が後始末してくれるから問題ない」
ルル「誰が家政婦だ」
C.C.「別にお前の事を指しているワケじゃないぞ。咲世子だって顔がいいだろう。
これだから自意識過剰な坊ちゃんは困る」
ルル「俺以外がお前の服を収納することなぞ今まで一度も無かったろうが!」
C.C.「ふふ、これからも精々励んでくれよ」
ルル「……全く」
ルル「なんだ?」
C.C.「さっきの服の話だがな」
ルル「まだ掘り下げるか」
C.C.「お前が今まで見てきた私の服装で、一番良かったのは何だ?」
ルル「……は?」
C.C.「今後の参考がてらに聞いておこうと思ってな」
ルル「なんだその『今後』というのは。俺が言った服をこれから着てくれるとでもいうのか」
C.C.「気持ちの悪いことを言うなこの変態が。ただの参考だと言っているだろうが」
ルル「冗談に決まっているだろうが」
C.C.「……お前が望むなら、考えてやらんことも無いがな」
ルル「何をボソボソ言ってるんだお前」
C.C.「黙っていろ包○。お前的に良かった服はあるのか、無いのか、どっちなんだ」
C.C.「!」
ルル「とは言ってもシンプルだがな」
C.C.「ま、まぁ一応聞くだけ聞いてやる」
ルル「拘束服だ」
C.C.「……は?」
ルル「だから、お前が着ている白の拘束服だ」
C.C.「……ルルーシュ」
ルル「?」
C.C.「お前は、本当に変態さんだな…母の愛を充分に注がれなかったのが原因か…。
済まなかったな、今まで散々辛く当たってしまって……」
ルル「おい、なんで慈愛の目で俺を見つめてくるんだ。言っておくが絶対誤解しているからな!」
インパクトが強くて脳裏に焼きついてるというか、あの服が一番お前にしっくりくる」
C.C.「……拘束服が一番しっくり来るというのも考え物な発言だがな」
ルル「他意はない」
C.C.(……帰ったら久々に拘束服、着てみるか)
ルル「ようやく着いたか」
C.C.「意外と遠かったな」
ルル「お前は兎も角、俺は学校を無断で休んでいるからな。
アッシュフォードから少し離れた郊外の地になるのは仕方ないだろう」
C.C.「別に近場でもそうそう見つかるもんじゃないだろう。
相変わらず随所で器の小ささが計り知れる男だな、ルルーシュ」
ルル「喧しい。さっさと降りるぞ」
C.C.「了解した」
ルル「時間を潰すのに最適ではあるな」
C.C.「では、本格的にデートの開始だな」
ルル「……ふん」
C.C.「手でも繋いでみるか? 周りからは存外お似合いのカップルと思われるかも知れんぞ?」
ルル「遠慮する。お前と手を繋いだら、それだけでからかわれるタネになりそうだからな」
C.C.「つまらん男め、そこは『畏まりましたC.C.様。不肖このルルーシュめがエスコートさせて頂きます』と言って
優しく手を差し伸べるのが当然だろうが」
ルル「……お前は一体どんな本に感化されたんだ」
C.C.「ん?」
ルル「C.C.、お前はどこか行ってみたい場所はあるか?」
C.C.「そうだな…まず最初に向かうとすれば……」
1. C.C.「まずはカフェで落ち着きたいな」
2. C.C.「服や小物でも見てまわるか」
3. C.C.「ゲームショップとか面白そうだな」
>>35
C.C.「服や小物でも見てまわるか」
ルル「随分としおらしいな。本当にそんな一般的なものでいいのか?」
C.C.「やかましい、私だって女の子だぞ」
ルル「歳相応の発言を願いたいんだが」
C.C.「お前も怖いもの知らずだな。血を見るだけが地獄ではないんだぞ?」
ルル「……さて、真向かいに見えるファンシーショップにでも入ってみるか」
ルル「これはまた、何とも……」
C.C.「チ、チーズ君が、沢山いるじゃないか……」
店員「いらっしゃいませー。本日より、ピザ○ットと提携してチーズくんフェアを行なっておりまーす!」
C.C.「おい! 見ろ、ルルーシュ! チーズ君スリッパなんてあるぞ!」
ルル「あ、ああ…」
C.C.「こ、これは幻の『押したら鳴く等身大チーズ君ぬいぐるみ』じゃないか!」
ルル「これが等身大か。思ったより大きいんだな」
C.C.「ルルーシュ! ここは凄いな、いや、凄いぞ! なんかもう、凄い!」
ルル「ええぃ、少しは落ち着け!」
ルル(あんなに楽しそうにはしゃぐC.C.は稀有だな。そんなに嬉しいか…)
店員「あら、彼氏さんですかー?」
ルル「断じて違う」
店員「彼女さん、可愛いらしいですね。
あんなに綺麗な人があそこまで喜んでくださると、私たち一同としても喜ばしい限りです」
ルル「だから彼女ではないと…」
店員「どうですか、ここはお一つプレゼントとか如何でしょう?」
ルル「……」
C.C.「むぅ、まだ堪能したりないが…まぁいい。流石にここで一日を潰すわけにはいかないからな」
ルル「正気に戻ってくれたようで何よりだ」
C.C.「馬鹿を言うな、元々正気だというに」
ルル「信頼できるような発言ではないな、さっきの様子から考えると…」
C.C.「…少し舞い上がっていただけだ、さっさと出るぞ」
<オカイアゲ アリガトウゴザイマシター
C.C.「ん? 何か買い物したのか?」
ルル「さぁな、どうせ客でも見間違えたんだろう」
ルル「もう昼食の時間に差し掛かっているな」
C.C.「ここに着くのに時間がかかったのと、さっきの店で思いのほか足止めをくらったのが原因か」
ルル「後者は完全にお前が原因だろうが」
C.C.「煩いぞ、ルルーシュ。そもそもアレは相対性理論の所為だ」
ルル「いきなり何を言い出すかと思えば」
C.C.「楽しい時間は早く過ぎる、さっきの店で私はそれを実感したよ」
ルル「それは重畳だな」
C.C.「…今日一日も、なかなか過ぎる時間は早く感じるがな」
ルル「…少しだけ同意してやろう」
C.C.「素直じゃない奴め」
ルル「それはお互い様だ」
ルル「ああ、カレーうどんだろう」
C.C.「阿呆か貴様は。ピザの美味い店一択だろうが」
ルル「俺だってたまには好物を心置きなく食べたいんだ!」
C.C.「えぇい! そもそもデートの昼食でカレーうどんとか童貞こじらせすぎだぞお前!」
ルル「お前相手にデリカシーなぞ知ったことではない!」
C.C.「くうっ、何という水掛け論の予感だ…!」
ルル「な、なら妥協案を提示しよう」
C.C.「…ほぅ?」
C.C.「私はピザが食べたい」
ルル「この意見から同案できる部分をピックアップすると…」
C.C.「カレー、うどん」
ルル「ピザ、チーズ だな」
C.C.「相違ない」
ルル「つまり挙げるとなれば…」
・カレーライス(チーズトッピング)
・ピザ
・力うどん
ルル「上記の三つになるか」
C.C.「いくらなんでも偏りすぎだろう……」
C.C.「で、結局は……」
ルル「カレー味のピザ、になったな。この組み合わせは盲点だった」
C.C.「そうか? 今ではかなり一般的なメニューだと思うぞ」
ルル「そもそも俺はあまりピザを食べないからな。
そういった意味では新しいメニューを知れて色々と新鮮ではある」
C.C.「ふふん、私が毎度ピザを頼んでいて良かっただろう?」
ルル「それとこれとは別問題だ」
C.C.「……ノリの悪い奴め」
ルル「ああ。一人で4枚も食べたら、さぞ腹も苦しいだろう」
C.C.「もう2枚はいけたが、腹八分で抑えるのが美容の秘訣だ」
ルル「あれだけ食べてまだ入ったのか…底なしだな」
C.C.「褒めるな褒めるな、少し照れるだろうが」
ルル「俺の言葉のどこに褒める要素を見出したかは知らんが、それは勘違いだとだけ伝えておこう」
ルル「お前はどこか行きたい場所など無いのか?」
C.C.「思ったよりもモールが広いからな。行き場所で迷うのは仕方ないことだ」
ルル「確かにこれだけ広大だと、一日では周りきらないな」
C.C.「……場所でも変えるか?」
ルル「ほぅ、その場所にもよるが良い提案だな。
どこか目星でもついているのか?」
C.C.「そうだな……」
1. C.C.「広い草原でゆっくりするのも、結構いいな」
2. C.C.「自宅に帰ってゴロゴロするか」
3. C.C.「適当に郊外でもぶらついてみよう」
>>60
C.C.「広い草原でゆっくりするのも、結構いいな」
ルル「確かに、交通機関を使用して少し移動したら草原はあるが…」
C.C.「不服か?」
ルル「…いや、むしろ賛成だ」
C.C.「では早速移動することにするか」
ルル「ああ、そうしよう」
C.C.「ちなみに移動手段は?」
ルル「そうだな…バスが一番手っ取り早いだろう」
―― 小高い丘に大木が1本だけそびえる 緑の草原――
C.C.「ルルーシュ」
ルル「……」
C.C.「いい眺めだな」
ルル「ああ」
C.C.「ルルーシュ」
ルル「……」
C.C.「帰りのバスが一本も無いというのはどういう了見だ?」
ルル「田舎を侮っていた、としか返せないな……」
ルル「……」
C.C.「それとも何だ、私と二人きりになりたかったとでもいうのか」
ルル「……」
C.C.「……お、おい。冗談にくらい返事をしろ」
ルル「……俺だって、ゆっくりしたい時がある。お前もそう言ってたろう?」
C.C.「……そ、それは確かにそうだが」
ルル「よっ、と」
C.C.「いきなり寝転ぶとははしたないぞ、ルルーシュ」
ルル「ふん、別に今くらいは構わんだろう」
ルル「なんだかんだでお前も寝転がっているじゃないか」
C.C.「勘違いするな。お前が寝転がっていて私が立っていたら、スカートの中を覗かれるだろうが」
ルル「そういう恥じらいがあるなら、下着一枚で部屋をうろつくのは勘弁願いたいものだ」
C.C.「それとこれとは別物だ」
ルル「……お前の判断基準は相変わらず分からん」
C.C.「当然だろう? 私はC.C.だからな」
C.C.「なんだ?」
ルル「いい天気だな」
C.C.「まぁまぁだな」
ルル「……こんな穏やかな時間は、久しぶりだ」
C.C.「感謝しろ」
ルル「少しくらいならな」
C.C.「なんだ、やけに素直じゃないか」
ルル「ふん、勝手に言っていろ」
C.C.「それは人間が生まれ持った気質だ。お前だけじゃないさ」
ルル「……少し、寝る」
C.C.「最近のお前は激務で寝ることすらままならんかったからな。
……たまにはゆっくり眠れ。膝枕のサービス付きだぞ?」
ルル「ふん、やけに優しいじゃないか」
C.C.「いつもの事だ」
ルル「ああ、そう…だったな……」
C.C.「…おやすみ、ルルーシュ」
ルル「…おやすみ、○○」
~ppppp ppppp~
ルル「……休む暇もない、か」
C.C.「騎士団からの呼び出しだな。しかも緊急コールときた」
ルル「もう少しゆっくりしたかったが、仕方ない。
ここにはロロにでも迎えに来てもらうか」
C.C.「全く…余韻も何もあったもんじゃないな」
ルル「残念か?」
C.C.「……少しだけ」
ルル「俺は結構残念だ」
C.C.「……変に素直だと調子が狂うからやめろ」
C.C.「なんだ、ルルーシュ」
ルル「まぁ色々あったが、今日の事は感謝してやる」
C.C.「ふん、童貞坊やなぞついでだ。私は私で羽を伸ばせたから感謝される覚えなどない」
< 兄さん、あと1分足らずでそっちに着くから準備しといて!
ルル「…では、行くぞ」
C.C.「了解した、ゼロ」
【エピローグ】
―屋敷にて―
C.C.(緊急コールだから急いで向かってみたものの、歯ごたえのない任務だったな)
C.C.(実際ロロとカレンだけれで絶対どうにか出来たろうに…)
C.C.(無理にゼロを戦線に向かわせるから、アイツの疲労が取れないというのが分からんのか)
C.C.(ふふん、まぁその辺りを理解してやれるのは『共犯者』である私だけ、という事か)
C.C.(……内助の功、というのか。これは?)
C.C.「くふふ………」
咲世子「あら、ニヤニヤしちゃってどうかされましたか~。何かいい事でもありました?」
C.C.「ふぉぉう!? い、いきなり現れて驚かせるな!」
咲世子「あら? ルルーシュ様でしたら先ほどバタバタして帰ってきて、すぐ出ていきましたけれど」
C.C.「ん? さっき帰ってきていたのかアイツ?」
咲世子「はい、何か大きな荷物運んでらっしゃいましたよ」
C.C.「ふぅん。 まぁ、私には関係ないな。
部屋に戻るんで風呂の準備が出来たら呼んでくれ」
咲世子「はい、かしこまりました」
C.C.「こ、これは………」
C.C.「等身大、チーズ君の…ぬいぐるみ……」
C.C.「それに、メッセージカード…?」
気まぐれで買ってしまったからお前にやる。
せいぜい大切にしろ。
今日は有難う。 ルルーシュ
C.C.「梱包までしておいて気まぐれも何もあったもんじゃないだろうに……」
C.C.「ふふ…本当に、愛しいくらい不器用なヤツめ」
C.C.「私も気まぐれに、今日は拘束服でも着てアイツの帰りでも待ってやるか…!」
~END~
少しでも時間つぶしのお供になれたのなら幸いです
素敵なスレタイを考えた>>1に全力で敬意を表しつつ、この辺りで失礼を
ニヤニヤできてよかった
乙だ
Entry ⇒ 2012.09.29 | Category ⇒ コードギアスSS | Comments (1) | Trackbacks (0)