スポンサーサイト
阿良々木暦「王様ゲーム?」
http://hayabusa.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1334376132/
暦「だが断る。僕もそんなに暇じゃないんだ」
火憐「なに今更真面目ぶってるんだよ兄ちゃん!」
暦「ていうか本当に忙しいんだよ。お前らも彼氏とデートでも行って来い」
撫子「な、なでこもしたいな・・・暦お兄ちゃん」
暦「よし、さっさと始めるぞー。王様だーれだ!?」
>>3
暦「あれ、お前いたのか!?」
ひたぎ「なにを言ってるの阿良々木君。ずっと居たわよ・・・貴方の後ろに」
暦「なにそれ怖い」
ひたぎ「命令ね・・・それじゃ、>>13が>>15に>>18しなさい」
戦場ヶ原「キスしたら殺すわ」
暦「理不尽すぎる!!」
撫子「お、王様が命令するなら・・・仕方ないよね!」
暦「ノリノリだと!?わ、わかった千石、流石に口と口はあれだからさ。違うとこにしとこう」
撫子「ち、違うとこって・・・えっと・・・>>25とか?」
暦「待て待て待て!何でホールドしてんだよ火憐ちゃん!?」
ひたぎ「舌まで入れるディープな奴をお願い」
撫子「………ゴクリ」
暦「ごめんなさいごめんなさいごめんなさぁぁぁぁぉ!!!!!」
「そのまま舌を動かして・・・」
「ふぉっ、ふぉお?」レロレロ
「あああああああああああああああああ!!!!!」
「そうそう、阿良々木君も興奮してるわ」
「うっ、嬉しいな// なでこも実は・・・//」
「rっswtらtshxjxjgkcbxhdtふふおyhlzvkしtづxhlzとぎっ!!!」
撫子「暦お兄ちゃんの目・・・すごく美味しかったよ//」
暦「ひっ・・・!」ガクガク
月火「つっ、次行ってみよう!王様だーれだ?>>36」
おい
暦「だれだお前」
>>36「こぽぽwwwwwwこれは失敬wwwwww阿良々木殿wwwwww」
>>36「拙者がwwwwww王でござるwww」
>>36「>>45殿はwww拙者に>>48してくだされwwwwwwwww」
撫子「臭い・・・」
暦「お前居たのか」
八九寺「ええ、ずっと。」
>>39「はやく!はやく殺してくだされええええええwwwwwwwwwwww」
八九寺「そんなに焦らないでください」ターンターン
>>39「感じちゃうのおおおおおおおおお!!!!!」ピクンピクン
八九寺「ふう・・・悪は去りました」
月火「な、何なのこの娘・・・まあ気をとりなおして・・・王様だーれだ?」
>>61
暦「何言ってんだ、ずっといただろ」
月火「羽川様!羽川様だよ!!」
火憐「宴だ!宴の準備だあ!!」
羽川「えっ、えっと・・・それじゃ、>>66と>>68で>>72してもらおうかな?」
火憐「」
月火「そっ、それは・・・おしっことか・・・そういう・・・?」
羽川「何言ってるの、浣腸公開脱糞食糞からのディープキスアナルセックス中の脱糞ダイレクト脱糞その他に決まってるじゃない」
暦「」
羽川「じゃあ初めるわよ二人とも、まずは・・・」
火憐「////」
羽川「火憐ちゃんには才能があったわね、今夜うちに来る?」
火憐「は・・・はい//」
暦「やめろ!帰って来るんだ火憐ちゃん!!」
月火「なにがあったのよ・・・次、王様だーれだ?」
>>98
月火「そっ、そんなことないよせっちゃん!」
撫子「そうかな・・・まあいいや、それじゃ>>105が>>107にり>>110して!」
暦「せっ、千石!?」
撫子「翼さんとスカトロプレイを楽しむようなお兄ちゃんは死んじゃえばいいんだよ」
暦「まて!僕は無実だ!!たすけーーー!」
グシャッ
ギロチンカッター「神、つまり僕はこう仰っています。それは許されざる悪徳だと」
おわりー
Entry ⇒ 2012.04.15 | Category ⇒ 化物語SS | Comments (0) | Trackbacks (0)
夜神月「囲碁界の神に僕はなる!」
http://hayabusa.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1334321599/
月「まったく……つまらない……」
月「毎日が同じ事の繰り返し……この世は腐ってる」
ゴトン!
月「ん、なんだ今の音?」
月「あれは……碁盤?」
月「なぜ校庭に……」
月「誰も気づいていないのか」キョロキョロ
月「ふぅん。そういえば、確かうちには囲碁部があったな。届けてやるか」
月「にしてもずいぶんと汚れているな」
月「あれ? 拭いてもとれない」
???「聞こえるのですか?」
月「!!」
???「私の声が、聞こえるのですか?」
月「だれだ!! 死神か!?」
???「神よ……感謝いたします」
月「うわ! うわー!!」
・・・
月「……なるほどね。だいたい事情は察したよ」
月「つまり君は平安時代に死んだ碁打ちで、僕につく以前は寅次郎とか言う奴に取り憑いていたわけだ」
月「そして何の因果か、時代を経てこの僕に巡りあった」
佐為「ありがとうございますライト!」
月「待て佐為。まだお礼を言うのは早いよ」
佐為「え……」
月「僕は事情を察しただけであって君に付き合って囲碁をする気はない」
佐為「そんな……うぅ……そんなぁ……」シクシク
月「う゛っ、オエ」
月(なんだ!? 急に吐き気が……?)
月「佐為!! お前、ぼ、僕を取り殺す気なのか!?」
佐為「そんなつもりはありませんが。うぅ、碁を打てないなら私は一体なんのために」シクシク
月「オエ、わかった。泣き止んでくれ」
佐為「打たせてくれるのですか!」
月「……悪いけど、僕は受験生でね。わかる? 勉強に忙しい身なんだ」
月「これから塾にいって夜まで勉強だ」
佐為「忙しいのですか……いえ、わがままは言いませんライトに時間があるときで良いので」
月「おとなしくしてるならそれでいい」
佐為「はい♪」
【塾】
佐為「何を読んでいるのですか」
月「囲碁のルールブックだよ。さっき書店で買ってたろ?」
佐為「ライトは碁の打ち方を知らないのですか?」
月「全くね。いくら東大A判定余裕の天才の僕でも、興味のないものはさすがに知らない」
月「だいたい現代には娯楽なんていくらでもあるからね。ゲームとか漫画とか、まぁ僕はそっちも興味ないけど」
佐為「そうですか……」
月「それよりも」パタン
月「ざっと本に目をとおした感じだと、恐ろしく時間を食いそうなボードゲームだな」
月「オセロとくらべて手の数が多すぎる」
佐為「そうなんです」ニコニコ
月「さすがの僕でもルールを覚えるのに三十分かかった」
佐為「もうすべて覚えたのですか!」
月「あぁ。といってもルールを覚えただけであって、実際に打つのは君だけどね」
月「まさか。片手間に勉強でもしているよ」
佐為「……」シュン
月「そうだ佐為」
佐為「はい」
月「この講師の授業は退屈だから平安や江戸時代のウラ話でも聞かせてくれ」
佐為「もちろんです!」
月「ククク、佐為は運がいいよ。僕のような、要領が良くて物分りの早い人間にとり憑けて……」
佐為「神に感謝しております」
月「ただし僕は自分の限られた時間は有効に使う。あくまで君の相手をするのは暇つぶしだ」
月「それを忘れなければ、存分に碁を打たせてやると約束する」
佐為「ありがとうございますライト!」ギュム
月(幽霊のくせに感触があるとは……)
月「ん、雨か。めんどうだな。傘をもってきておいて良かった」
月「佐為、見てろ」
佐為「はい?」
バサッ
月「……」ドヤッ
佐為「……?」
月「……おかしい何故驚かない……お前は唐傘しか知らないだろ?」
佐為「え? あぁ、傘ですか。すごいですよね時代は知らず知らず進むものです」
佐為「私が生きていた時代からは考えられない進歩です」
月「……」
女「あ、夜神君。傘もってきたんだ偉いね」
月(えっと……誰だ?)
佐為「可愛いらしい子ですね。ライトの知り合いですか?」
月「……あぁ、念の為にね。参考書が濡れたら困るから」
月「!!」
月(こいつ……まさか僕と佐為のやり取りを!?)
女「碁の本よんでたでしょ! 囲碁に興味あるの!?」
月「…………いや、ちょっとね。暇だったから」
月(そうだ思い出した……こいつ、うちの高校の……名前は……)
女「興味があったら囲碁部に来てよ! 次の大会までは三年生も活動してるから!」
佐為「ライト! 行きましょう! ぜひ!」
月(うるさいぞ佐為よくわかってないくせに)
女「って、夜神くんは東大めざしてるんだよね。ごめんね。部活やってる時間なんてないよね」
月「藤崎さん。(で合ってるはずだ)よければバス停まで傘入っていく?」
佐為「優しいんですねライト」
月(まぁね。僕の顔と器量ならこの子もあっという間に僕の虜かな)
女「あ、ううん大丈夫。もう迎えがくるから」
月「そ、そうなんだ……」
女「あ、ううん大丈夫。もう迎えがくるから」
月「そ、そうなんだ……」
男「おーいあかりー! わりー検討おもったより長引いちゃってさ、ちょっと出んの遅れた」
女「お疲れ様。じゃあ夜神君、また学校でね!」
月「……あ、あぁ。そっちの彼は、藤崎さんのお兄さん?」
女「えっと、幼馴染……かな?」
男「あかり、この人誰?」
女「同じ学校の夜神君。東大目指してるすっごい頭いい人なんだよ」
男「へーよくわかんねぇけどすげぇな!」
月「君はどこを目指してるの?」
男「俺? 俺は……そうだなぁ」
男「神の一手、かな?」
佐為「!」
月「?」
男「じゃあな! 勉強がんばってな」
・・・
佐為「……」
月「どうした、佐為。行くぞ」
佐為「……あの少年……私は……」
月「佐為?」
佐為「……彼もまた、私とおなじ道を往かんとする者」
月「何をいっているんだ佐為。どうみてもただのフリーターだ」
月「前髪だけ染めた奇妙な金髪。おまけに聞くところによると中卒じゃないか」
月「あんな髪型が許される仕事なんてアルバイトくらいしか僕は知らないよ」
月「社会の底辺を垣間見た。僕はああはなりたくないね」
月「学年のマドンナ的存在の藤崎さん、こんな大事な時期にあんなのと付きあうなんて」
月「まぁ、いい。僕には関係ない」
月「あと言っとくけど僕は言い寄られたから女の子の相手をしているだけで、別に女漁りが趣味なわけじゃないからな」
佐為「やけにしゃべりますね悔しかったんですか?」
月「……ッ。今日は帰ったら寝る」
佐為「そんなぁ~! 碁は打たないのですか!」
月「気分が乗らない」
佐為「楽しみにしてたのにシクシクシクシク」
月「うぐ、ォェ……い、一回だけだぞ」
・・・
母「怖いわねぇ」
月「ただいま母さん。どうしたの幽霊でも見た?」
母「物盗りですってー。ライトもさゆも気をつけなさいよ」
月「物盗り?」
母「ご近所にプロの碁打ちの人いるでしょ?」
月「いたっけ。僕は母さんほどご近所話に詳しくないよ」
母「そこのお宅に物盗りがはいったんですって。大事な碁盤を盗まれたそうよ」
月「……へぇ。わかったよ戸締りはしっかりしとく」
・・・
佐為「平和な時代にみえても悪人はいるのですね」
月「まぁね。むしろ見えないところで悪さするやつは増えてる」
月「仮に僕に犯罪者を裁く力があればきっとそういう人間をさばいていただろうな」
佐為「はぁ……それよりもライト!」
月「あぁわかってる。打つんだろ」
佐為「はい♪」
月「とはいっても。僕の家には碁盤は碁石がない。つまりは碁は打てない」
佐為「……ライトの嘘つきー!!」
月「だけど、佐為。よく見ててご覧。時代はここまで進歩したんだ」
月「……」カタカタ カチッカチッ
月「どうだい? いまやインターネットを通じていつでもだれとでも対局ができる!」ドヤッ
月「仕組みを説明しても佐為には理解が及ばないだろうけど。簡単に言えば、これがあれば対局相手に困ることはないってことさ」
佐為「……」
月(おかしい……何故驚かない)
佐為「す、すごいですね! この箱で……碁を……」
月「佐為?」
佐為「すいません……ライトに出会ってからどうも頭の中に霧がかかったような感じがして」
月「幽霊のくせに頭をぶつけでもしたのか?」
月「佐為……まさか碁を覚えてないなんていうんじゃないだろうな」
月「記憶があやふやな幽霊なんてなんの価値もないじゃないか」
佐為「大丈夫です。碁は打てます」
月(打てますといっても結局PCの操作をするのは僕なんだけどな)
カチッ カチッ
月「名前はなんにする? そうだな……K……I……R……A!」ターン!
月「KIRA! なんてどうだろう?」
佐為「?」
月「……冗談。そんな顔しないでくれ。せっかくだから佐為の名前を使おうか」
月「s a i ……sai、っと」カタカタカタ ターン!
月「あれ、結構名前かぶってるな」
月「ややこしいな、変えたほうがいいか?」
【 L・Lが対局を申し込んできました 】
月「な、なんだこいついきなり僕に対局を!」
月「クク……まぁいい。僕の実験台第一号はL・L、お前だよ」
月「そして佐為。僕にどれほどボードゲームのセンスがあるかみせつけてやるよ」
佐為「え、あれ、ライト!? 私に打たせてくれるのでは!?」
月「僕だってルールを覚えるだけじゃまだわからない所があるからね」
月「それに、実際に自分で打ってみないと佐為がほんとに強いかどうかわからないだろ?」
佐為「そ、そうですけど……うそつきーウソツキー……」
月「後ろでみてなよ。僕が華々しく初勝利を飾る瞬間をね」
【 対局を開始しました 】
月「……まずは四隅からだな」カチッ
月「そして辺をかためていく」
月「ふふふ、どうだ。ここは僕の陣地だ。簡単には侵入できないだろう」
月「ははは! なんだ、簡単じゃないか佐為!」
佐為「……」
月「天才の僕に陣取りゲームで勝とうなんて100年早い、いや生まれ変わっても無理だよ」
月「それにしても、対局閲覧者数がものすごいな」
月「世界中が僕の囲碁デビューに注目している……というのは考え過ぎかなw」
月「さてと、なぁ佐為。形成はどうだい」
佐為「投了したほうがいいですね」
月「……ば、ばかな! 本気でいってるのか!? ふざけるなあああ!!」
初期に
端っこに置いても
取られるだけ
月「まだ対局ははじまったばかりだぞ! 中盤にも差し掛かっていない!!」
佐為「この者の実力、並大抵のものではありません」
月「クッ、コイツ、よくみれば上位クラスのアベレージじゃないか……!! 初心者狩りか!!」ガタッ
佐為「碁をおぼえたてのライトが勝てる相手ではないでしょう」
月「僕が……負ける!?」
月「嘘だ……そんなの……ありえない……」
月「テニスでも勝った。勉強も、チェスも、ゲームもなにもかも!!」
佐為「私が教えてあげます。共に成長しましょう」
月「いやだ……負けたくない……負けたくないいいい!!!」
カチカチカチカチ
佐為「でたらめに置いても勝てませんよ。囲碁は運で決まるものではありませんから」
月「ハァ……はぁ……」
月「ごめん。すこし取り乱しただけだ。ストレスがたまっててね」
【 saiが投了を選びました。L・Lの勝ちです 】
月「……いつのまにか閲覧者たちもいなくなっている……どういうことだこれは!」
佐為「私に聞かれましても……」
そのころ 中国
リ・リンシン「また偽saiか……釣られたよ」
リ・リンシン「やはりsaiは三年前のあの一局以来……ネットの闇に消えてしまったのか……」
リ・リンシン「もう忘れよう……」
リ・リンシン「中国アマNo.1のL・Lともあろうこの私が……これではネットストーカーではないか」
佐為「ら、ライト……気を落とさないで。互先で最初から勝てる者などおりません」
月「佐為、次の相手は君が完膚なきまでに叩き潰せ。いいな?」
佐為「……し、しかし」
月「さて、誰にしようか」
【 L が対局を申し込んできました 】
月「またさっきのやつか!! いや、Lが一つ少ない……それにアベレージが低いな」
月「なんにしても腹立たしい。佐為」
月「手抜きは一切許さない。潰すんだ再起不能になるまで徹底的に」
佐為「……!!」
月「もし少しでも情けをかけたら……わかるな? 僕はすこし機嫌が悪くなる」
月「それと言っておくが僕は幽霊に対して情は抱かない」
佐為「……わかりました」
……
【 L が投了を選びました。saiの勝ちです】
月「ふぅ……よくわからないうちに終わったな。瞬殺だ」
佐為「ぅ……私はこんな碁を打ちたかったわけでは」
月「対局相手はいまごろ悔し涙を浮かべているだろうね。ははは!」
月「気分がいい」カタカタカタカタ
[sai:みたか僕の勝ちだ!!!!!!!]
[ L :お強いですね囲碁歴は長いんですか?]
月「囲碁歴だって? ふふふ……はははははは!」
[sai:聞いて驚け! 僕は囲碁歴なんとたったの一日だよwwwwwwwwww]
[sai:その僕に! 負けた! お前は!!! 雑魚め!!]
[ L :はい。今回は私の負けです]
月「なんだこいつ。僕の挑発にのらないなんて」
[ L :ですが、次は負けません]
月「何を言っている……ネットは広い。もうお前と出会うことはないよL」
[ L :sai、私はあなたを必ず見つけ出し……]
月「え……」
[ L :公衆の面前に晒しあげる! ]
[sai:!!!]
月「な、なにを言っているんだ……」ガタガタ
[sai:ふざけるなぁーーー!!!]
[ L :そして佐為、私は今回の対局で一つ大きなヒントを得た]
[sai:なんだと!?]
[ L :リアルタイムで対局することでお前がどこからアクセスしているかおおまかにつかめた]
[ L :sai! お前は今日本の東京にいる!]
[sai:なに!!!!]
月「……ッ!! こいつまさか僕のプロフィールとIP情報を!!」
月「……いや、だがこの程度で個人の特定はできないはずだ」
月「だいたいどうして何もしてない僕が晒しあげられなきゃならないんだ……ネットに潜むキチガイめ……」
佐為「ライト、対局のあとはお礼を言わないとだめですよ」
月「そういう問題じゃないんだ!!」ガタッ
【 L が退室しました 】
月「……佐為。ネット碁は今日で終わりだ。コイツに粘着される」
月「ネットに個人情報を晒されたらたまったもんじゃないからな」
月「まさかこんなことになるとは……」
佐為「あの、よくわからないのですが」
月「ここで打つと危険なんだ。それにやっぱり碁は直接手で打つに限る。そうだろ?」
佐為「は、はい♪ 碁石の音が聞きたいです!」
月(しかしどうする。明日駅前の碁会所にいってみるか……?)
・・・翌日
カランコロン
市河「あらいらっしゃい。初めてよね?」
月「えぇ」
市河「ふふ緊張しなくていいのよ。若い子もたまにくるから」
市河「あなたの棋力はどれくらい?」
月「棋力?」
市河「どれくらい打てるかってこと」
月「あぁ、そういう。そうですね……僕、結構強いですよ」ニヤッ
佐為「はい♪ へぇこんなところで打つんですか」
市河「あらすごい自信。じゃあ相手探すわね」
???「よければ打ちましょうか」
市河「あ、ならちょうどいいわ。竜崎さんお願いね?」
月「この人と打てばいいんですか?」
竜崎「はじめまして竜崎です」
月「夜神月です。お願いします」
竜崎「珍しい名前ですね。お願いします」
月(佐為、ここではあまり目立ちたくない。わかるな?)
佐為「わかりました」
月(本当の強さをこいつに悟られない程度にごまかして戦え)
佐為「はい。しかしライト。このものに私は不穏な空気を感じます。気をつけて」
月(打つのは僕じゃないし、打ち間違えなんてしないよ。気をつけるとしたら佐為の方だ)
佐為「そうですが……」
竜崎「では私が握りますね」
月「あの、その座り方は……?」
竜崎「すいませんこうしないと思考力40%ダウンです」
月「そうですか……」
佐為「ライト早く早く!」ワクワク
・・・
佐為「14のニ。ハネツケ」
月(佐為、こいつの実力はどうだ)
佐為「なかなかのものです。ですが負けることはありません」
佐為「しかし……」
竜崎「……」コトン
月(あぁ同情するよごめん佐為。コイツ、なんて手つきだ……はじめて碁石をさわる僕よりひどい)
竜崎「夜神君。なかなかお上手ですね」コトン
月「そうかい?」パチッ
竜崎「しかしあまり経験はないとみました」コトン
月「!!! それは竜崎の方だろ? 石の置き方がめちゃくちゃだ」パチッ!!
竜崎「そうですね……無駄口失礼しました」コトン
佐為「これで終局です」
月「僕の2目半勝ちかな。惜しかったね」ニヤッ
竜崎「ええ……私の負けです」
月「ありがとうございました」
竜崎「ところで夜神君。ひとつ聞きたいことがあります」
月「なんだい?」
竜崎「夜神君はどこで囲碁をおぼえましたか?」
月「僕? あぁ、ネットでね」
竜崎「いつ頃からやってますか?」
月「うーん……結構前かなw」
竜崎「だと思いましたしかしこうやって碁盤で打つ経験は少ないようですね人差し指の爪がとても綺麗ですので」
月「えっ」
竜崎「私がLです」
月(何ッ!!!!!!!!!)
月(落ち着け……こいつはこっちを反応をみているに過ぎない)
佐為「やはり昨日の者ですか」
月(佐為! わかっていたなら何故言わない!)
佐為「すいません……あの箱の世界ことはよくわからなくて」
月(クッ、完全に油断していた)
竜崎「どうしました夜神君」
月「ええと……L? 何のことだ、何かの暗号?」
竜崎「あ、すいません。私はネット上でLと名乗り、とある打ち手を捜索しているのです」
月「へぇ……ハンドルネームはLっていうのか」
竜崎「とある打ち手……saiを追っています」
月「sai……」ゴクリ
竜崎「もちろんライト君も知っていますよね?」
月「あぁ。なんかいっぱいいるよな今」
竜崎「ですが私が探しているのは本物のsaiです」
竜崎「無論、棋力です」
月「あぁそうだね。無粋な質問だった忘れてくれ」
竜崎「実は私、昨日本物のsaiと対局しまして」
月「……」
竜崎「勝ちました」ニヤッ
月「なんだと!!!!!!」
佐為「え? 確かに私が勝ちましたよ? ライト、この者は嘘をついています!」
月(そんなことわかってる!)
月(のせられるな。あくまでこっちの動揺をさそっているだけ)
月(こいつに僕がsaiだとバレたら……ネット上に晒される!!)
月「ふー……そうなんだ。すごいな。でもいま僕に負けた君がsaiに勝てるなんて……」
竜崎「はい。だから夜神君がsaiの可能性がわずかにあります」
月(ふざけるな!!! 道理にかなっていない!!)
月「ははは、僕がsaiか。なるほどね褒め言葉として受け取っておくよ」
月「きっと君が昨日打ったsaiは偽物だったんじゃないか?」
月「昨日saiに君が勝ったなら今日も勝てるはずだろ?」
月「つまり僕はsaiじゃない」
竜崎「その可能性もあります。大いに」
月「だろ? だいたいsaiって名前のやつなんて五万といる。確認なんてとれやしないさ」
竜崎「おっしゃるとおりです。ですが私は確信しています。昨日対局し勝った相手は本物のsaiであると」
月「だとしたらsaiも大したことないな。こんな碁会所の客に倒されるようでは」
竜崎「えぇ、そうですね」
佐為「ライト! もう一度戦わせてください! この嘘つきをこらしめます」
月(バカ言え。バレたらおしまいなんだよこっちは)
佐為「碁の勝敗で嘘をつくなんて! 私はズルが許せません!」
月(落ち着け佐為。こいつはバレるの上等で見え見えの嘘をついているだけだ)
佐為「しかし……」
竜崎「夜神君いい忘れました。私はただの碁会所の客ではなく、雇われ探偵です」
月「た、探偵!?」
月「なぁ、竜崎。お前さっきから僕に何を言いたいんだ?」
月「僕の実力なんてたかがしれてるだろ? 僕はただの学生だよ」
月「だいたい外に出られてそんなに棋力があるならとっくにプロになっているよそうは思わないか?」
竜崎「そうですね。いまのところsaiはネット上にしか存在しません」
竜崎「申し訳ありませんでした」
月「じゃあなんで僕にこんな尋問めいたことを」
竜崎「探偵ですから。一応の探りです。すでにsaiの住んでる地域は絞り込めています」
竜崎「saiが私を警戒してネット上に現れない以上、こうしてわざわざ足をつかっているのです」
竜崎「夜神君以外のそれらしい人物にもたくさんアプローチをかけてみましたすいません」
月「……そうか。でも疑われるほうは気分がわるい」
月「悪いことをしていないのに罪に問われた気分だ」
竜崎「ご迷惑をおかけしました。ではこれからは囲碁友達になりましょう」
月「友達……か……」
月「まぁ僕も適当に打つ相手は欲しかったし、かまわないよ」
佐為「良かったですねライト!」
月「勝手にしろ」
竜崎「ライト君に早速聞きたいことがあるのですが」
月「まだ質問があるのか? 尋問は断るぞ」
竜崎「いえ意見を伺いたいのですが。この棋譜をどう思いますか?」パサッ
月「棋譜か……」
月(棋譜ってたしか対局記録のことだよな。クソっこんなの見ても読めないぞ)
佐為「……」
月(佐為、どうなんだ?)
佐為「非常に素晴らしいものです。おそらくは私と同等かそれ以上の者が残したもの……!」
月(そんなに!)
竜崎「……」
佐為「しかしライト。一つ問題が」
月(なんだ)
佐為「私はこの棋譜を読むことができません。記録に使われた文字が違うからです」
月(お前が憑いた秀作は江戸時代の人間だったな……)
月(アラビア数字が入ってきたのは明治初期……くそっ)
竜崎「どうしました難しい顔して」
月「あ、いやっ、すごい棋譜だなって思って」
竜崎「当たり前です。とある日本の元トッププロと、それに拮抗する実力を持つ者の対局ですから」
月「なるほど……悪いけどそこまでのレベルになるとどう意見していいか」
竜崎「……」
月「? どうした?」
竜崎「実はこれ、三年前のsaiと塔矢行洋のネット対局の棋譜なのですが」
月(何ッ!!!!!)
佐為「私の棋譜……?」
月(佐為! お前!! 僕に何かかくしているな! 三年前だって!?)
佐為「いえ、そんなことは一切っ!」
月「……」
竜崎「知らないのですか?」
竜崎「ネット碁ユーザーなら誰でもしってる、現代で最も有名な棋譜なのですが?」
月「……あ、あぁそうだったね。最近みてなかったからすっかり忘れてたよ。たしかにすごい一局だった」
月(こいつ……わかってるんだ! 僕を完全にハメようとしている!!)
竜崎「……」ニヤッ
月「やはりsaiはすごいな。半目差とは言え、あの塔矢行洋に勝ってる」
月(塔矢行洋といえば……引退記者会見もやっていた五冠の王……)
月(囲碁界のことをまるでしらない僕でも名前くらいは知ってる)
竜崎「ええ碁をはじめて間もない私が見てもすごい一局です」
竜崎「が!」ゴソゴソ
月「?」
竜崎「実はもう一枚あるんです」 パサッ
月「!!!」
竜崎「これは日本のとある若手プロの発見をもとに、途中から手順を書き換えた架空の棋譜です」
竜崎「彼の指摘の通りに打つと、なんと、反目逆転しているのです!」
竜崎「そう、saiの半目負けです」
佐為「!! 確かに! ここの一手、黒は切断に備えずに隅に置いていれば、白は抑えるしかなく、逆転しています!」
月「……」
竜崎「この二枚目こそ。実は真に有名な棋譜なのです」
竜崎「ライト君。ネットでしかあまり碁をしないあなたが何故しらなかったのですか?」
竜崎「これほどの棋力をもってして、何故ですか」
月「……」
月(まずい。完全にボロがでた)
佐為「もう打ち明ければいいんじゃないですか?」
月(だめだ。ここで僕がsaiだと認めれば、もしかしたらなんらかの罪でしょっぴかれる可能性がある)
月(わずかな可能性として、僕の知らないところでこのsaiがなんらかのネット犯罪に手を染めてるかもしれないだろ)
月「……竜崎」
竜崎「はいなんでしょう」
月「僕はこれでも受験生でね。もうここ数年ずっとパソコンにはログインしていない」
月「最後に碁をうったのもずっと前のことだ」
佐為「ライトまでそんなに嘘をつくなんて!」
竜崎「ライト君……その割にはずいぶん強いですね」
月「あぁ、僕は碁が強い。だけどsaiほどではない」
竜崎「はい」
月「竜崎。君と打ち、君にsaiだと疑われたことで火がついたよ」
竜崎「そうですか」
月「君より先に、saiは必ず僕がみつけだして……」
月「処刑台に送る」
佐為「もう死んでます」
竜崎「saiは犯罪者ではありませんよw」
カタカタカタカタ
月「……竜崎め、やってくれる」
月「あいつはたったあれだけのことで、間違いなく僕を疑っている」
月「僕はsaiであってsaiでないのに、いい迷惑だ」カタカタ カチッカチッ
月「sai……か……。ちょっと調べただけで真偽不明の噂話がたくさんでてくるな」
月「ネットでの100連勝。多数のプロ撃破。そして最後のあの一局か……」
月(この謎のネット棋士saiってやつと同一だと僕は疑われてしまった)
月(偶然にも僕に取り憑いた佐為の名前を使ってしまったから……)
月(偶然……? ふふ、馬鹿なことを)
月「佐為、お前がこのsaiだよ」
佐為「ええと……私は藤原佐為ですが」
月「違う。三年前のコイツ。間違いない」
月「僕は頭の回転が早いからすぐわかった。お前は三年前にも一度この世に現れている」
佐為「いえ、そんなことは」
月「そしてその時のことが記憶から消えている。それだと全て辻褄があう」
月「棋譜をみたらわかるだろ? お前だよ」
佐為「確かに、私と打ち筋はよくにています」
月「幽霊がどうやって記憶を保つのか、なぜ存在しているのかさっぱり理屈はわからないがそれ以外考えられない」
佐為「私は神によってこの世に再臨することができました。それも二度も」
月「二度……秀作と僕か……だとすると僕が三回目だよ」
月「僕と秀作の間に誰かいたはずだ。確実に! さぁ思いだせ!」
佐為「……と言われましても」
月「……無いものは仕方ないか。なら僕が探しだして証拠をつきつける」
佐為「……ライト」
月「もしかしたらお前の失われた記憶がもどるかもしれないし、本物のsaiを見つけることで僕の疑いも晴れる」
月「saiは普通に考えたら一人しか存在しえないからね」
月「saiであるがゆえに僕はわかる! 僕以外のsaiがいることを!!!」
月「saiめ! Lめ!!」
月「ふふ、ふははははは! 碁以上にいい退屈しのぎになりそうだよ!!」
佐為「ライト、打ちましょうよ」
月「あぁそうだな。僕も囲碁界を調査する以上ある程度棋力があったほうが便利だ」
月「碁打ちはどうやら棋譜をみるだけで個人を特定できるようだ」
月「うかつだったよ。あやうく言い逃れできない失態をおかすところだった」
月「この先むやみにsaiのちからを使うのは危険かもしれないな」
佐為「はぁ……」
月「なんだノリ気じゃないな」
佐為「いえ、別にそういうわけでは」
月「それに調査といってももう実は目星が付いているんだよ」
佐為「え……」
月「インターネットは便利だね。プロ棋士の過去の成績を見れるなんて」
佐為「……プロ棋士?」
月「先代のsaiは間違いなくプロの棋士だ。それも日本の」
佐為「なぜ断定できるのですか?」
月「佐為、所詮この世は金なんだよ」
佐為「お金?」
月「どんな人間であれ、お前ほどの力を手に入れればそれを利用する」
月「プロに対局で勝てるんだ。つまりプロになることなんて容易いってわけ」
月「知ってるかい? 棋戦の賞金は数千万単位なんだ。塔矢行洋なんて億単位の収入があったらしい」
佐為「それはすごいですね」
月「そいつは佐為に取り憑かれた後、まずは佐為の実力をネットでテストしていたんだ」
月「実際に使い物になるかどうかね」
月「おそらくそれネットでの100連勝とプロつぶし。ふふふ僕は冴えてるな」
月「そしてテストの結果、使い物になると判断した彼はその力を巧妙に利用して一気に囲碁界を駆け上がった」
月「しかし障壁はあったみたいだ。それが塔矢行洋。タイトル獲得を目指す以上必ず壁になる実力者だ」
月「塔矢行洋のタイトルを奪わないと多大な賞金は得られない」
月「考え悩んだそいつは佐為ではなく、saiを利用した」
佐為「さっぱりわからないのですが……それにライトすこし妄想が過ぎますよ……」
月「saiの力を利用し、公式手合いとは別の舞台を用意し、塔矢行洋を叩き潰し引退においこみ……」
月「冠位を奪い取った!!」ガタッ
佐為「!」ビクッ
月「僕の思考のレベルだと、もはや簡単なプロファイングで答えはでる」
月「L、格の違いをみせてやるよ」
佐為「それで、誰なのですか?」
月「犯人は現在のタイトルホルダーで、三年前に一気に囲碁界を駆け上がり」
月「ネットの利用に長け、頭脳明晰、塔矢行洋と個人的に対局の約束ができる関係性にある人物……」
月「緒方精次・十段碁聖!!!」ビシッ
月「決まりだよ佐為」
月「お前は以前、この写真の眼鏡男に憑いていた」
佐為「そんな記憶ありませんが」
月「さらに言うと、この緒方という人物、過去にsaiに対して異常に執着する怪しい素振りをみせていたと噂されている」
月「決定的だよ。自分はsaiでなく、saiを追う者であるとアピールをしつつ、裏ではsaiの力を利用してのし上がった」
佐為「果たしてそうなのでしょうか……」
月「いまや彼が一番数多くのタイトルを取得しているからね」
月「きっといまごろ佐為を失って焦っているだろうな。実力の伴わない偽りのタイトルホルダーめ」
月「ふふふ、緒方十段……お前の失墜はもうすぐだ」
月「お前の力はいまや僕が手に入れた! もう時代は終わったんだよ」バンバンバン
月「こいつに接触し口止めさえすれば、次は僕が大手を振るうことができる」
佐為「え……」
月「わからないのか? 佐為の力を存分に使い」ククク
月「囲碁界の神に僕はなる!」
月「プロになり、頂天までのぼりつめ、それと同時に自分が真のsaiであったと公言する」
月「哀れな敗北者たちは誰しもが僕を崇め、僕にすりより、僕の言うことをきく」
月「富も名声も手に入れれば! Lがいまさらどう動こうが住所を晒されようがなにも関係がない!」
月「なぜなら僕の力は! 『真』であるからだ! そして誰も疑うことすらできない!」
月「僕は囲碁界で絶対の権力者になる未来を手に入れたんだ!」
月「はははははは!」
佐為「私は……こんなことのために……」
月「こんなことのため? 違うよ佐為。これはそう、運命だ!」
佐為「運命……?」
月「僕を囲碁界の神の座にひきあげるために、神は君を僕の元へ送りこんだ。そう考えるのが普通じゃないか?」
佐為「違います。私は神の一手を……追求するために……」
月「……佐為、間違っているよ」
月「僕の一手一手が……神の一手になるんだッ!!」
カランコロン
佐為「またここへ来たのですか!」ワクワク
月「あぁ、多くの情報をあつめるなら一人より二人だよ」
月「どっちみち証拠探しという当面の目的は同じだしね」
月「ま、少しのリスクはあるけど僕なら大丈夫だ」
竜崎「どうもライト君昨日ぶりですね」
月「やぁ竜崎。実は僕、昨晩一人でsaiについて考えてみたんだけど」
竜崎「はい」
月「おおざっぱなプロファイリングで目星はついた。これが資料だ」
竜崎「そうですか」
月「saiは緒方十段。どうだろう?」
竜崎「ライト君すごいですねたった一日でこれほど調べあげるとは」
月「……ふふ」
月(無論、僕しか知りえない決定的事実はお前には教えないがな……!)
竜崎「……ですが残念はずれです」
月「何!」
竜崎「緒方さんはsaiではありません」
月「……な、何を根拠に」
竜崎「なぜなら……あ、来たようです」
緒方「よぉ竜崎。まさかここに来ていたとはな」
竜崎「どうも緒方さん」ペコリ
月「なっ!」
月(お、緒方精次!!)
佐為「これがライトの言っていた私の元宿主ですか?」
月(バカな……何故ここに!)
緒方「こっちの少年は?」
竜崎「私に捜査協力してくれてる夜神君です碁も打てます」
月「お、おい竜崎!?」
月(な、ななな、ぼぼぼ僕の推理が!? 外れれ!?)
緒方「君もsaiを追っているのか」
月「あの、僕は……」
竜崎「彼が私の依頼人です」
月「!!!」
緒方「なんだその資料は? まさか君、竜崎と同じように俺を疑うのか?」
月「えっ」
竜崎「私も依頼当初、夜神君と同じ結論に行き着きました」
緒方「失礼な奴だったよ。依頼主をまっさきに疑うなんて」
竜崎「しかし実際に囲碁をおぼえてみて」
竜崎「彼ではないと確信しました」
月「そ、それはなぜ」
緒方「優れた碁打ちなら、打てばわかる」
佐為「そのとおりですね!」
月「!!!」
月(打てばわかるだと……!? そんなことが!?)
竜崎「意識してもなかなか拭い取れない癖のようなものです。少なくとも緒方さんはsaiとは打ち筋が異なります」
緒方「そういうことだ。残念だったな」
月「……すいません」
竜崎「また、仮に緒方さんがsaiだとしたら不自然です」
月「それはなぜ……」
竜崎「名実ともに備わっている緒方さんがわざわざ謎の打ち手saiを名乗る意味がないからです」
月「!」
竜崎「夜神君。あなたの推測をきかせてください」
竜崎「仮に緒方さんがsaiであったとして、saiであることを公にしない理由付けを」
月「そ、それは……」
竜崎「ないんですね? それとも何かしっているのですか? わたしの知らないことを」
月「い、いや……」
緒方「おいおい困ってるじゃないか。お前の誘導尋問のようなやりかたはあまり好きじゃないな」
竜崎「すいません」
月「あの、どうして彼に依頼を?」
緒方「俺はただsaiと打ちたいがために、ネットの闇に消えたsaiを探している。それだけだ」
緒方「俺は忙しい身、以前は自分で足をつかってあちこち調べていたがいまはなかなか時間がなくてな」
竜崎「そんな緒方さんに今日はプレゼントがあります」
緒方「!」
月「プレゼント?」
竜崎「夜神君にもあとで見せてあげます」
緒方「はやく渡せ。そのために検討もすっぽかしてここへ飛ばしてきたんだ」
竜崎「どうぞ」ペラリ
月「その紙は?」
竜崎「先日の私とsaiのネット対局の棋譜です。印刷してきました」
竜崎「電話で伝えても信じてもらえなかったので直接棋譜をみたいと」
月(……佐為、どうだ?)
佐為「はい、確かに先日の対局の棋譜ですね」
緒方「……」
竜崎「どうですか?」
緒方「……ッ」
緒方「竜崎。残念だがこいつはsaiではない」
佐為「えっ」
月(……!)
緒方「saiは……saiはもっと優美で華麗なウチ回しをする」
緒方「俺の知ってるsaiは、こんな他人を一方的に痛めつけるような碁は打たない!」
緒方「だれが相手であろうと紳士的な態度は崩さなかった! 匿名のアマチュア相手でもだ!」
佐為(……この者……一体)
月(……運がまわってきたな。これでLの捜査はほぼ白紙……)
竜崎「そうですか。では捜査をやりなおします。引き続きネットでsaiを名乗る打ち手に探りをいれます」
竜崎「同時に私は、プロ棋士になります」
月「!」
竜崎「はいそうです。実は先ほどのライト君のプロファイリング、決して遠からずです」
竜崎「私もライト君同様に日本のプロの中にsaiがいるとふんでいます。そして実力を巧妙に隠しています」
月「おい昨日は僕のことを疑ったくせに」
緒方「そうなのか?」
竜崎「疑っている相手なんて星の数ほどいます。相手は匿名、日本のネットユーザーすべてが対象です」
竜崎「しかし、現在一応の目星をすでにつけています」
竜崎「あとは証拠詰め。楽しい詰碁のはじまりです」
竜崎「ここへ来ているのはプロ試験までの時間つぶしも兼ねているんです」
月「……」
月(クソっ……どこまで人をバカにしているんだ)
緒方「プロ入りすればプロとの交流が増える。無論プライベートの付き合いもな」
竜崎「はい。実力も手に入り、捜査が捗ります」
緒方「竜崎ならきっと探し当ててくれると信じている」
竜崎「全力でがんばります。緒方さんには莫大な依頼金を頂いているので」
月「なぜそこまで……」
緒方「奴は俺の師である塔矢名人に勝ち、引退に追い込んだ!」
緒方「そして俺はなにより、saiと打ったやつらのことが羨ましい!!!!」
月「! 緒方十段……」
佐為(この身があれば……いますぐにでもあなたと……)
竜崎「そういうわけなのでライト君。もうあなたとはしばらく会えないかもしれません」
竜崎「私はしばらく碁の勉強をしなくてはなりません」
竜崎「東大に簡単に入る頭脳があっても、碁はそうはいきませんから」
月「竜崎……健闘を祈るよ。じゃあ僕はこれで」
市河「あら、もう帰るの?」
月「えぇ、用事は終わったので」
市河「もうちょっといてくれたらおもしろい人にあわせてあげたのに」
月「受験生なんで、勉強忙しいんです」
市河「残念! またきてね」
-街中-
月「Lがプロを目指すか……僕もプロになる」
佐為「あの緒方という男、ただものではありません」
月「当たり前だろ、日本のトッププロの一人だぞ」
佐為「並々ならぬ執念を感じました。怖いほどに」
月「何度も化けてでてくるお前ほどじゃない」
佐為「彼と、打ってあげてくれませんか?」
月「無理だ。僕の計画に狂いが生じる。舞台を整えるのが先だよ」
佐為「私は彼と打ちたい」
月「すぐにかなうさ。僕はプロになるんだからね」
佐為「私のちからで?」
月「まぁ、それもあるし。僕自身も精進するよ。自信はあるんだ」
月(竜崎……行き着くとこが同じだとしたら、必ず僕が先にたどりつく)
月(プロ試験か……おもしろいよ)
月(退屈しのぎにはちょうどいい)
月(お前は囲碁界の神となった僕の前にひれ伏すんだ)
月(saiはネットだけでなく、現実世界でも神になる!)
月「神の一手は僕のものだ……」ボソッ
青年1「え?」
青年2「どうした進藤」
青年1「いや……別に。行こうぜ! 市河さんとの約束に遅れちまう」
青年2「遅れるのは君があんな相手に手こずるから」
青年1「うるせー! お前だってリーグ戦がけっぷちじゃねーか!」
青年2「次勝てば問題ない!」
-月の部屋-
月「さて」
佐為「またその箱ですか?」
月「あぁ。僕のアテが外れた以上、Lの先手を打たないといけない」
月「同時に第一のsaiをあぶりだす」
佐為「どうやってですか? ていうかほんとにいるのですか?」
月「いるよ。何度も説明したろ」
佐為「やはり身におぼえのないことですからなかなか腑に落ちなくて……」
月「僕が予想するに、いま第一のsaiは突然佐為を失ったことに対して非常に焦っている」
月「だけどそこに第二のsaiが現れたとしたら……」
佐為「?」
月「……お前は碁以外はあまり頭のまわりがよくないのか?」
佐為「す、すいません。まだこの世に来たばかりなので」
月「……第一のsaiは必ず僕に接触を試みるはずだ」カタカタカタカタ
佐為「またネット碁というやつですね!」ワクワク
月「あぁ。アカウントを取りなおした……さて、誰を餌にするか」
月「手っ取り早く自分の力を証明するには、できるだけ強いやつを倒すほうがいい」
月「レーティングの高い強いやつほど、閲覧者数も多いからな。多くの人間の目にとまる」
佐為「私、打てるのですか!?」
月「打ってくれ、だけど手は抜くな。思い切り力を見せつけるんだ」
佐為「またですか……」
月「zelda……よし、レーティングが高いこいつにしよう」
【 zelda に対局を申し込みました 】
月「ククク……公開処刑のはじまりだよ」
佐為(碁が打てるなら……いまは文句を言うまい……行きますよ!)
【 saiが黒です。対局を開始します 】
【とあるアパートの一室】
和谷「……なんだ……つええ!」カチカチッ
伊角「和谷が押されている……?」
奈瀬「なによこいつ!? アマじゃないって事!? 和谷! やっちゃいなさいよ」
本田「いや、アマでもなかなか強い奴はいるよ……ここまでは見たこと無いけど」
和谷「sai……本物か? あのsaiなのか!?」
伊角「ものすごい閲覧者数だな。いつもの5倍近いぞ」
本田「人気が人気を呼んでいるんだ。流れるコメントの量もすごいぞ」
zeldaこと和谷義高五段がsaiに公開処刑ワロタンゴwwww
ガチsai復活キタ――(゚∀゚)――!
オワコンのsaiさん降臨wwwwww
和谷五段涙ふけよwwwww
sai俺と打て! とあるプロだ! メールアドレスは
sai強すぎ吹いた
現役プロ棋士がボコられてると聞いて
zeldaよええwwwwww
↑じゃあ互戦でzeldaに勝ってみろよ雑魚
一方的だな……挽回できるか?
ゼwwwルwwダwwwww厨二乙
ヤムチャ的人気者だけどwww
和谷「ッ!」
伊角「とても激しい碁だ……」
本田「荒れているな」
奈瀬「和谷……」
和谷「……ここまでかッ……ちくしょう」カチカチ
【 zelda が投了を選びました。saiの勝ちです】
sai大勝利キタ――(゚∀゚)――!!
zelda生贄第一号wwwwww
sai俺と打て! とあるプロだ! メールアドレスは→
これがsai……しびれるね(笑)
圧倒的すぎワロタwwwwww
zelda明日森下九段に殺されるんじゃね?wwww
zelda弱いな プロってこんな程度か
↑じゃあプロになってみろks
toyakoyoとの再戦キボンヌ
つかこのsai本物?
saiとは強さの記号である……
s a i 完 全 復 活
奈瀬「何よ! 好き勝手コメントして! むかつく!」
和谷「負けた……3年前より……こてんぱんに」
伊角「和谷……元気だせ。お前はよくやったよ」
和谷「ちっくしょおおお!!」ドンッ
和谷「くそっくそっ! お前は一体!!」カタカタカタ
[zelda:誰なんだ! 本物か!? あのsaiか!?]
[sai:はい]
和谷「答えた!?」
伊角「saiってチャットしないんじゃなかったか?」
和谷「普通はそうだけど、なぜか俺は昔saiと少しだけチャットしたことがある」
本田「本当か!!」
和谷「……」カタカタカタ
[zelda:あなたはプロですか]
[sai:いいえ]
和谷「じゃあアマなのか!」カタカタカタ ターン!
[sai:いいえ。神です]
[sai:I'm A GOD ]
和谷「GOD!?!?」
本田「神だって!? 俺の初手天元さえ決まれば……」
奈瀬「なによこいつ! ふざけてんの!?」
伊角「だがしかし、saiは神がかった強さを持っている」
和谷「……力は認めるしかない。俺は負けた!」
本田「和谷、仇は俺がとる……任せろ」
奈瀬「本田! 無謀よ!!」
[ zelda が再戦を申し込みました ]
本田「……」ドキドキ
伊角「本田、落ち着いていけ。負けても得るものはあるはずだ」
[ saiに断られました ]
本田「……」
s a i は 神
zeldaだせぇwwwwww
お断りします( ゚ω゚ )
神のサイに虫けらのようにつぶされるゼルダwwwww
和wwwww谷wwwwwwwwよしたかーwwwwww
いまの対局動画サイトにうpるわwwwww
やべぇ閲覧数15マソwwwwwww
海外からのアクセス多いな
お前らzeldaさんの実力しらんくせに調子のんなksdm
sai俺と打て! とあるプロだ! メールアドレスは→
sai俺と打て! とあるプロだ! メールアドレスは→
sai俺と打て! とあるプロだ! メールアドレスは→
sai俺と打て! とあるプロだ! メールアドレスは→
↑スクリプト通報しといた^^
・・・外国
フランク「オーイェルさん! やはりsaiですよあの!」
オーイェル「そうなのか?」
フランク「zeldaは日本のプロだというのは有名。それに勝ったんだ!」
フランク「そしてその後現在4連勝」
フランク「どれもネット棋士の強豪相手だ!」
オーイェル「オランダアマNo.1のキミが言うなら本当なんだろうな」
フランク「嬉しすぎて心臓が破裂しそうだ!」
フランク「対局の申し込みが途切れないよ! 僕もまた対局したいな!」
オーイェル「長引きそうだ。コーヒーをいれてくるよ」
フランク「シュガーはスティック5本で頼む」
オーイェル「知ってるよ」
リ・リンシン「さいいいいいいいいいい!!!! はぁはhぁhぁはsaiだ!!!!間違いない!」
リ・リンシン「先からそこそこチャットをしているようだな」
リ・リンシン「くそっ! 日本語の勉強をしていればよかった!」
ヤンハイ「どれどれ?」
リ・リンシン「や、ヤンハイプロ!」
ヤンハイ「へぇ。俺がおもった人物像とはずいぶん違うんだなsaiってのは」
リ・リンシン「な、なんて書いてあるのか読めるのですか?」
ヤンハイ「俺は一応語学が趣味だからなぁ」
リ・リンシン「教えてくれませんか?」
ヤンハイ「失望するなよ?」
私は囲碁界に舞い降りた神だ
私は誰にも負けない絶対の存在だ
私は日本のどのプロより強い
私に勝てる自信のあるものはいどんでくるといい
[sai:私は近いうちに囲碁界の全てを手に入れる!]
・・・
佐為「ライト、なぜこのような事を」
月「なぜかって?」
月「神だから」ニヤッ
佐為「……」
月「強いものが上にたつ。それがこの世の摂理だよ」
佐為「……」
月「現にもうネット棋士の中には僕の敵はいない。そうだろ?」
月「数年間くすぶっていたsai信者のコミュニティにも火がついた」
月「実力、実績、人気ともにsaiの一人勝ちだよ」
佐為「囲碁はそのような競技ではありません」
月「いや、全ては勝ち負けを競う競技だ」
月「そして竜崎! お前はもはやネットの神ことsaiを追うことすらかなわない」
月「僕にはたくさんの信者がいるからね。そんなことをしたらネットに住処がなくなるよ」
・・・
竜崎「やられましたね」
緒方「……」
竜崎「しかしもはや名実ともに彼がsaiである以上。あなたはsaiと対局することができる」
竜崎「つまり、もう私の使命は」
緒方「いや、違う」
緒方「俺のしっているsaiはこんな奴ではない……気がする」
竜崎「……困った依頼主ですね」
ヒカル「そうだよ緒方さん。こんなのsaiじゃない」
緒方「進藤……」
ヒカル「saiは……佐為は……こんなひどい碁を打たない」
アキラ「同感だな。緒方さんもsaiのことはよく知ってるでしょう?」
緒方「アキラ…………ふっ、そうだな。すこし気が動転していた」
竜崎「プロ三人がそういうのでしたらそうなのでしょう。調査を続けます」
緒方「腹立たしいな。こんなヤツにsaiの品格が落とされるなんて」
アキラ「僕もそう思います」
竜崎「しかし、実力がすべての世界です」
ヒカル「……確かに」
市河「なぁにみんなして怖い顔して」
緒方「この偽saiをなんとか黙らせられないものか。偽物だと証明できれば」
竜崎「方法はあります」
アキラ「教えてくれ竜崎」
竜崎「勝てばいいんですよ。saiとは無敗の最強の棋士である称号。負ければなんの意味もありません」
ヒカル「!」
アキラ「そ、そうだな……」
緒方「だが対局しようにもつながらないからな。みろこのアクセス数。どこから湧いてきた」
緒方「それに俺は、リクエストを送りすぎてついには通報されて垢BANされてしまった」
アキラ「やりかたが悪いんです」
ヒカル「……やりかた、か」
・・・
ヒカル「……ただいまー」
ヒカル母「あぁヒカル!」
ヒカル「どしたの?」
ヒカル母「見つかったのよ! あんたの大事な碁盤!」
ヒカル「え……? まじ!?」
ヒカル「あかりちゃんの高校にあったそうよ。あかりちゃんが見つけてくれたの」
ヒカル「あかりの!?」
ヒカル母「あかりちゃん運んできてくれるって。あんた取りに行きなさい」
ヒカル「うん!」
・・・
あかり「あ! ヒカルー!」
ヒカル「あかり! どうしてお前の高校に!」
あかり「わかんないよ。でもこれヒカルのでしょ? 私見慣れてるからわかっちゃった」
ヒカル「確かに俺のだ……よかったぁ……」
あかり「大事な碁盤だもんね」
ヒカル「あぁ。じいちゃんに買ってもらった思い出の碁盤だ」
あかり「不思議なこともあるもんだね! 泥棒はどうして私の学校に捨てたんだろう」
ヒカル「不思議……か……。不思議……」
あかり「ヒカル?」
ヒカル「わり、あかり俺ちょっと用事おもいだした!」
あかり「えーー! これ私が運ぶの!?」
ヒカリ「今度うめあわせすっから!」
あかり「もーー! ヒカルったらちっとも変わらないんだから」
・・・
都内ネットカフェ
店員「いらっしゃいませ」
ヒカル「三時間パックで」
店員「かしこまりました」
ヒカル「ここにくるのも相当久しぶりだな」
ヒカル「三谷と三谷のねーちゃん今頃なにしてんだろうな」
ヒカル「……」カチッ カチッ
ヒカル(もし、もし佐為が再びこの世に現れているのなら)
ヒカル(俺にだけ……俺にしかわからない方法で……なんとかコンタクトを!)
ヒカル(気づいてくれ、佐為……!)
カタカタカタ カチカチッ
月「メッセージボックスは対局申し込みでいっぱいだな」
佐為「大人気ですね」
月「……ふふふふ」
佐為「どうしました?」
月「なぁ佐為。僕の2つ目の目標が達成されたよ」
佐為「2つ目? なんでしたっけ」
月「一つはLの無力化。そしてもうひとつは」
月「第一のsaiのあぶりだしだ!」
件名:初手天元様 が対局を申し込んできました。
件名:Frank様 が対局を申し込んできました。
件名:アクアリウム大好き様が対局を申し込んできました。
件名:アクアリウム大好き様が対局を申し込んできました。
件名:アクアリウム大好き様が対局を申し込んできました。
件名:アクアリウム大好き様が対局を申し込んできました。
件名:アクアリウム大好き様が対局を申し込んできました。
件名:L・L様 が対局を申し込んできました。
件名:寅次郎様が対局を申し込んできました。
佐為「寅次郎? 寅次郎と書いてあります!」
月「はははは! わかりやすいやつだ」
月「あとはコイツとコンタクトをとれば……!」
月「L! 僕の勝ちだ!」
佐為「対局するのですか?」
月「いいよ。力を失った偽saiの彼に見せつけてやろう」
月「本物のsaiのちからをね!」
【 寅次郎様と対局を開始します 】
・・・
ヒカル「やっぱり……佐為!!」
ヒカル「間違いない……!」
ヒカル「戻って……? きたのか……?」
月「さぁ。はじめようか」
[sai:次はこの方を血祭りにあげます]
[寅次郎:よろしくおねがいします]
キタ――(゚∀゚)――!!
寅次郎wwww名前だせぇwwwwwww
なんかのアニメキャラだっけ?
sai! sai! sai!
20人目の生贄wwwwwwww
がんばってね
30分で瞬殺オネシャス
――このアカウントは停止されています――
――このアカウントは停止されています――
↑こいつ先から必死すぎwwwwwww
↑どうせzeldaだろwwwwwwwww
俺じゃねぇよ!
sai様おろかな愚民どもに粛清を
寅次郎ってなんだっけ
月「さぁ、見せてみろ」
佐為「……いささか緊張しますね」
月「なに、相手は力を失ったあわれな人形だよ」
月「はじまったか」
月「佐為、最初の布石は僕が打つ」
佐為「……」
月「大丈夫だよ。僕もそこそこに覚えた」
月「それにいくらでも挽回できる。だろ?」
佐為「なら好きにどうぞ。どうせ私には関わりのない碁です」
月「ふてくされるなよ。僕のほうが立場は優位なんだ」
月「囲碁に飽きればやめて、あとは東大生(予定)として人生を満喫するだけさ」
佐為「……」
月「さてと、まずは四隅からだな」
カチカチッ
月「どうせ布石程度じゃ実力なんて測れない」
みろ! これが神の布石じゃwwwwww
お前らうるさすぎwwww
参考になるわぁ~
初手天元おかないのか? 悪手だろ
↑なんやこいつめっちゃキモいわ
sai! 俺だ! いますぐ俺と打て! メールアドレスは→
sai! 俺だ! いますぐ俺と打て! メールアドレスは→
↑何回アカウントとりなおすんだよwwwwww
もと囲碁部部長の僕の見解としてはこの布石はなかなかレベルが
コーヒーいれるか…
寅次郎ってなんかきいたことあるんだよな
sai! 俺だ! いますぐ俺と打て! メールアドレスは→
sai様……まさに神の一手
月「閲覧数もそこそこだな」
月「初代saiの抹殺にはふさわしい舞台だ」
月「……ふふふ」
月「……ん?」
[寅次郎:huzakeruna mazimeni ute!]
月「なっ!!」
月「ぼ、僕が……まじめじゃないだと!?」
佐為「……そろそろかわりましょうか?」
月「!!」
佐為「この先の数手が勝敗に大きくかかわってきますよ」
月「何!?」
佐為「……この者は、強いです」
月「ば、ばば馬鹿な! そんなわけ……」
月「こいつはお前のちからを借りたまがいものだぞ!」
佐為「……」
月「納得がいくところまで僕が打つ!」
月「なぁに、劣勢から逆転すればパフォーマンスになる」
月「神である以上、愚民どもに飽きられてはだめだからね」
月「エンタメ性を維持するのも一つの仕事さ」
月「寅次郎。僕は必ず勝つ!」カチッ
佐為(あまりに劣勢……相手の実力を鑑みると逆転はもう……)
月「佐為、そろそろ行くか?」
佐為「……どうなってもしりませんよ」
月「勝て。それがお前の条件だ」
佐為「では……」
【 寅次郎 が投了を選びました。saiの勝ちです】
月「え……」
佐為「……」
sai20連勝キタ――(゚∀゚)――!!
圧倒的実力差wwwwww
とwwwらwwwじwwろwっうwwww
戦意喪失はええ粘れよwwwww
次は俺が相手だ!
金払ってでも対局したいれす^p^
月「な、何故だ……え? 僕に恐れをなしたのか?」
[寅次郎:Arigatou Gozaimasita]
[sai:あまりに弱い……そんな実力で私に挑んでくるとは無謀でしたね]
月「なんだ? なぜ投了した? あれだけの手数で勝てないと察したのか!?」
月「ふふ、やはり僕は強い! お前の力を借りなくても僕は強いってことだ!」
月「佐為! みてただろ!? ははは」
佐為「……ライト。画面をみてください」
月「え……」
[寅次郎:yokatta omaega sai zyanakute]
月「何を言っている……僕はsaiだぞ」
[寅次郎:dakara mou omae ha doudemoii]
月「!!!」
月「ど、どうでもいいだと!? 僕を……神のことを!?」
で、でたー廃車の負け惜しみwwwwwwww
寅次郎日本語でおk
日本語変換しろks
てかこんな雑魚いままでいたかよwwww
なぁ寅次郎って秀作の幼名じゃね?
秀www作wwwwww過去の棋士wwwww
いまはsai様一強時代だろJK
toyakoyoも強いよ?
zeldaも強いし
月「どうでもいい……何を考えている第一のsai」
佐為「そのままの意味でしょう」
月「……!」
佐為「ライト、あなたの負けです」
月「バカな! 僕は勝ったぞ! みろ! 20連勝だ」
佐為「はい。saiは20連勝しました」
佐為「でもあなたは……?」
月「……う、う、ぅ、;ああああ!! ぐっ、あああ第一のsaiめぇええ!!」
月「くそう!! 許さないこんな屈辱はじめてだ!!!」
月「間違いなく! 僕には佐為の力がある!」
月「なのにこいつはどうでもいいって……どうでもいいだとおぉおお!!」
月「寅次郎!! 僕はお前を絶対につきとめる!!」
月「つきとめた上で、コテンパンにしてやる!! いやそれだけじゃすまさない処刑台におくってやる!」
佐為「……私が、打ってですか?」
月「僕自身がだあああああああ!!!」ガシャーン
佐為「ライト……箱が」
月「うるさいうるさいうるさい!! 天才なんだ僕は、なんでもできる……絶対に……こいつなんかに……」
月「うるさいぃぃいい……!!!」ワナワナ
佐為「ライト。まだあなたは碁を覚えて日が浅い」
佐為「なのにこれだけ碁のことをわかるようになりました。それはすごいことですよ」
佐為「たぶん、あなたには才能があります。いいえ、間違いなくあります」
月「……あぁ、当たり前だろ。僕はプロに、いや、囲碁界の神になる男だ!」
佐為「はい。着実に力をつけましょう。あなたのために」
佐為「そして私とともに、神の一手を!」
和谷「saiのやつ、また消えちまったなー」
伊角「さすがに連日打ちすぎて体調不良でもおこしたんじゃないか?」
奈瀬「神が?w」
本田「またひょっこりでてくるんじゃないか」
和谷「神出鬼没だからなsaiは」
和谷「けど俺実はだいたいの目星つけてるんだぜsaiの!」
ヒカル「へぇ、聞かせてよ」
和谷「saiは学生だ!」
ヒカル「なんで?」
和谷「なんでって……出没時間的に?」
奈瀬「なによそれ」
伊角「でもたしかに端々の言動が子供っぽかったな」
和谷「あぁ、あれで確信した。俺が三年前チャットしたsaiとあいつは一緒だ!」
ヒカル(なんだかなー)
奈瀬「それより進藤。リーグ本戦入りおめでと」
ヒカル「あぁうん」
伊角「まさか三次リーグまで突破するとはな」
ヒカル「塔矢だって同じさ。負けてられねぇよ」
和谷「タイトル挑戦者になったらなんかおごってくれ」
奈瀬「えー? 普通逆じゃない?」
和谷「いいの! これが森下流なの!」
ヒカル「ははは」
伊角「もうすぐプロ試験か……」
和谷「とびっきりの暑い夏がくるぜ」
ヒカル「今年はどんな奴はいってくるかなー」
和谷「進藤お前にうろちょろ付きまとってるあいつらは?」
ヒカル「あー、岡と庄司? 見込みありって感じかな」
本田「若いやつがプロ入りしてくれないといよいよもって北斗杯のメンバーが危ういよな」
伊角「同感だな。22歳までにひきあげてくれればいいのに」
・・・
夏 プロ選抜試験 予選
月「やれやれ。僕ほどの実力者が予選をうけなきゃならないなんて」
竜崎「当然です私たちは院生とは違い、外来なので」
月「三勝したら本戦だろ? スムーズに進むために竜崎とはあたりたくないな」
竜崎「私もですライト君が一日遅れで本戦にくることになるのは忍びないので」
月「ッ! ……お前は」
竜崎「それよりもライト君よくプロのなる決断を」
月「まぁ、暇だからね」
竜崎「学業はどうするんですか?」
月「僕は効率がいい人間でね。それにプロ試験は夏休みを含んでるから出席日数も大丈夫さ」
竜崎「うまくいけば現役東大生のプロ棋士の誕生ですね」
月「必ずうまくいくさ」
竜崎「私も必ずsaiを捕まえます」
月「sai・・・か」
佐為「もうあれから三ヶ月ちかく前になりますね」
月(まだそんだけしか立ってないんだよ)
月(いまでもネット上はsaiの再臨を求める声であふれてる)
月(だけどまだ時期尚早だ)
月(僕は名実ともに……saiに……神になる!)
竜崎「その握りこぶし。気合入ってますね」
月「一応お金かかってるしね」
竜崎「親御さんは承諾したのですか?」
月「タイトルホルダーになれば一年でこの家を2つ建てられるっていったら父さん呆然としてたよ」
竜崎「なるほど」
・・・
月「ありがとうございました」
筒井「ありがとうございました……」
月(これで一勝……ぬるすぎる)
筒井「く、やはり強いな……」
月「筒井さん、大学生でしたっけ?」
筒井「えっ、うん」
月「その実力でよくこれましたね」ニタァ
筒井「!!」
筒井「き、記念受験みたいなものだよ。来年からは司法試験の勉強するから」
月「そうですか。まぁがんばってください」
月「一勝っと」
佐為「あの眼鏡の彼、非常に正確なヨセでした。感心しましたよ」
月「あぁ、僕の10分の1くらいの実力はある」
竜崎「どうでしたライト君」
月「どうもこうもないさ。予選は昼寝しながらでも勝てるな」
竜崎「というよりも私はライト君以外歯牙にもかけていません」
月「……ふふ、僕もだよ」
竜崎「ライト君はいい加減身の振り方を考えたほうがいいです」
月「それはお前のほうだろ。あんな座り方して、対局相手に失礼だ」
竜崎「まぁお互いに言いたいことはやまほどありますが」
月「竜崎。本戦で会おう」
竜崎「はいそうですね。よけいな馴れ合いをしている暇があればライト君は勉強したほうがいいです」
月「若いころの時間は貴重だからね」
佐為「時間……ですか」
月(千年この世にいるお前には関係のない話だったか)
佐為「はぁ……しかし暇ですね。ライト以外ともうしばらく打ってませんし」
月「そうだな。僕としてはあまり危険なことはしたくないんだけど」
月「たしか棋院にはフリー対局スペースがあったな」
月「いってみるか」
佐為「いいんですか!?」
月「少しだけだぞ。打つ相手は素人に限る」
佐為「はい♪ それでもいいですので」
月「まったく。めんどくさい」
佐為「ライト少しだけ丸くなりましたよね」
月「僕にはもとから刺なんてないよ」
・・・
門脇「え? いまから俺と対局? まいったなぁ」
月「一局だけお願いできませんか?」
月「この中ではおじさん一番つよそうですし」
門脇「おじっ!? ま、まぁいいだろ。座れよ」
月「全力でいきます」
門脇「なんだぁ? いやに自信ありげだが、この時期ってことはプロ試験の受験者か?」
月「えぇ、まぁ」
門脇「ふぅん……w」
門脇(俺のことを知らねーみたいだな。懐かしいぜこういうシチュエーション)
門脇(いっちょ先輩棋士様がもんでやるか)
門脇「よし、俺が黒だ」
月「おねがいします」
門脇「おねがいしますっと」
・・・
門脇「あ、が……え? え? 負けました」
月(まずい……コイツ、実力者だ)
佐為「ありがとうございました。とても心躍るたのしい一局でした」
門脇「なぁ、君……」
月「……」
月(まずい、どうする!?)
門脇「今年はよぉ、レベルがたけーのが入ってくるって思っといていいのか?」
月「え」
門脇「へへ、楽しみだぜ」
門脇「絶対まけんなよ。プロになって俺が雪辱を晴らすまで負けんじゃねーぞ!」
門脇「じゃあな」コツコツ
月「なんだったんだ?」
ヒカル「あ、門脇さん! こんなとこにいた」
門脇「よぉ進藤くん。今日の手合い頼むぜ。負けねーから」
ヒカル「また素人相手にして景気づけ?」
門脇「ま、そんなとこかな。行こうぜ」
月「あいつ……藤崎の隣にいた金髪」
佐為「……」
月「プロだったのか」
佐為「彼とも交える時がいずれやってくるのですね」
月「僕は負けないよ。誰にも」
月「寅次郎を探し出し屈服させると誓ったんだ」
月「負けることは許されない」
佐為「でも毎晩私に負けてますよね」
月「うるさいぞ。それは別の話だ」
月(雪辱戦か……)
月「ふふふ、ふはははははは!!」
月「はははははは!!!」
受付「ちょっと静かにしてください対局してる人がいるんですよ」
・・・
プロ試験予選 三日目
篠田「おめでとう夜神くん。本戦出場決定だ」
月「どうも」
篠田「よくがんばったね。本戦でも良い対局をみれることを期待してるよ」
月「僕が目指すのは全勝です」
篠田「懐かしいなぁ。昔そう言った子がいるんだよ」
篠田「結局、ライバルにまけてしまったけどね」
月「僕はライバルにも勝ちますよ」
篠田「ほう、クールな子かと思ったら意外と熱いんだね」
月「碁は戦いです。冷静につとめるだけでは勝てませんよ」
月(L、寅次郎……! 僕に盤上で血祭りにあげられる日を震えながら待つといい!)
月「竜崎か」
竜崎「私は、碁の中には必ず真実が潜んでいると信じています」
月「真実?」
竜崎「えぇ。真実です」
月「僕は何も偽らないよ」
竜崎「saiがネットから姿を消した途端。あなたはプロの道をめざすと言い出しました」
月「なんだそれ。こじつけか?」
竜崎「打てばわかります」
月「すっかり碁打ちだな。探偵業をおろそかにするなよ」
竜崎「私は頭をつかうのが好きなので」
月「奇遇だな。僕もだ!」
竜崎「では、本戦で」
佐為「宣戦布告されちゃいましたね」
月「かまをかけてきただけだ。あいつのうっとうしいアプローチも僕が神の座につけば終わる」
月「全部で25戦か。総当たりってのはめんどうだな」
佐為「わぁー、ここにいるのみんな碁の道を極めんとする猛者たちなのですね」
月「の卵だよ」
佐為「早く戦いたいです!」
月「打つのは僕だ」
月「一日で10戦出来れば楽なのにな」
佐為「時間がたりませんよ」
月「いまの僕なら全部中押しで勝てる」
佐為「うぬぼれすぎです」
月「そうかな?」
佐為「碁を甘くみるライトなんて予想外に苦戦して泣きをみればいいんです」
月「はいはい」
月「とりあえずサクっと白星をつかんでくるよ」
おっさん「負けました」
院生A「負けました」
院生B「負けました」
院生C「負けました」
おばさん「負けました」
月「ありがとうございましたw」
佐為「……」
月「どうした佐為。気に入らなそうな顔して」
月「五日経って5連勝。全部中押しだ」
佐為「い、いえ……強くなりましたね」アセアセ
月「強くなった? ふはははは僕は元から強いんだよ」
月「負けちゃいないさ寅次郎にも……Lにも!」
佐為(あなたの負けん気の強さ、どこか懐かしく感じます)
佐為(この気持は何?)
佐為(私は一体この先どうなるのでしょうか)
月「勝ったほうが勝敗をつけるっていうシステム」
月「実に気分がいいな」ポンッ
月「夜神月、中押しっと」
竜崎「ライトくん。はんこを貸してくれませんか」
月「竜崎……勝ったのか」
竜崎「負ける気がしませんし、負けてはこの先仕事になりません」
月「そうだったな探偵」
月「絶対にプロにならなきゃならないお前は僕以上に必死ってわけだ」
竜崎「はいそうなんですだからこの後も秘密の特訓です」
月「特訓?」
竜崎「はい私のバックにはたくさんの有能なプロがついていますので」
月「なるほど。強いわけだ」
竜崎「ライト君は誰かに弟子入りしてるのですか?」
月「僕? ははは、そんなわけないだろ独学だよ」
竜崎「なるほどわかりました。やっぱりライト君はすごいです」
月「竜崎め。あいかわらずおちょくってくるな」
佐為「実はライトのことを好きなんじゃないですか?」
月「……佐為、冗談でもそんな気持ち悪いことは言わないでくれ」
佐為「ライトはモテるのに特定の相手をつくらないのは不思議でたまりません」
月「特定の相手ね……」
佐為「好きな女性はいないのですか? あの塾の子とかは?」
月「佐為、いまの僕の恋人は」
佐為「はい……?」
月「囲碁だよ」ドヤァ
佐為「ライト♪」
ギュ
月(ちょろいな……僕は男か女かよくわからない幽霊を口説くセンスもあるみたいだ)
院生D「負けました」
院生E「負けました」
院生F「負けました」
院生G「んっひwwwwwwww」
福井「負けましたぁ~夜神くんつよいなぁ~」
飯島「負けました……」
月「ありがとうございました!」
佐為「すごいすごい! 10連勝ですよ」
月「現在竜崎と同率で戦績一位だ。もう合格は固いな」
佐為「万に一つこの先を落とすって考えはないんですね」
月「ないよw」
佐為「竜崎との決着は」
月「第20戦目だ。あと十日……それまでは力を蓄える」
佐為「竜崎もおそらく万全の状態で望んできます」
月「あぁ。僕も全力で迎え撃つ」
プロ選抜試験本戦 第20戦目
篠田「やぁ竜崎君夜神君」
月「おはようございます先生」
竜崎「おはようございます」
月「竜崎、いつにもましてすごいクマだな」
竜崎「……眠たいので手加減してくれますか?」
月「ふざけるなそんなわけないだろ」
篠田「今日が実質の頂上決戦だね」
篠田「今日勝ったほうは合格確定だ」
篠田「20勝したら残りすべて落としても上位三人に入れる」
月「……」
竜崎「私が一抜けとさせていただきます」
月「それはできないな」
佐為(あぁ羨ましい。ライバルとの血沸き肉踊る対局)
佐為(私に自由な体があれば、どこへなりといって強者と相見えるというのに!)
佐為(ライト、絶対勝ってください。私の想いも一緒にお願いします)
月「僕は勝つ」
竜崎「私に勝ったらライト君がsaiである可能性が3%から8%になります」
月「ッ! お前ぇ!」
竜崎「ライト君、これは心の削り合いですよ」
月「一方的すぎる!」
竜崎「それはsaiだから怒っているのですか?」
月「ふざけるな」
佐為「ライト、惑わされてはいけません。心を落ち着けて」
月「だいたいお前、碁の中に真実があるっていっただろ! 盤外からの攻撃なんて」
ビー!
竜崎「さぁ、はじめましょう。お願いします」
月「……」イライライライラ
佐為「ライト……」
月(黙ってろ佐為。これは僕の戦いだ)
佐為(あぁ……私の声が聞こえるようでは……)
佐為(集中できていない)
竜崎「……」コトン
竜崎「……」チラッ?
月「ッ!」パチン
佐為(布石の段階で早速ペースを崩されるとは)
月(まだこの手つきなのか……ええい落ち着け……安い挑発にのったらだめだ)
月(僕はいまや実力者。冷静に戦えばこんなふざけた奴に負けるはずがない)
竜崎「……」コトン
竜崎「……」チラッ?
月(なにが碁の中に真実がある、だ)
月(竜崎、見損なったよ。キミがこんなくだらない手をつかうなんて)
竜崎「……」コトン グダー
月(……いや、違う!)
月「……」パチッ
月(これが竜崎流なんだ)
月(以前言っていたな。この座りかたじゃないと思考力がダウンするって)
月(こいつはこいつなりの全力をもって僕を迎え撃っている!)
月(それを卑怯だのなんだのってケチをつけて……僕は、僕は!!)
月「……」スッ
佐為「ライト!」
竜崎(どうやら引き出してしまったようですね。彼の本性を……)
竜崎「……」パチッ
月(ここでキリ!? 強引なやつめ)
月(守らないと右辺は全滅する……)
月(だが、こいつ……)
竜崎「……」ニヤニヤ
月(まるで読めない。まるで僕の力を試しているかのようだ)
月(試されているのか!!?)
月(僕がsaiだから!? 様子をみているんだ)
月(ふふ、面白いよ竜崎。まさか盤面でまで探りをいれてくるとは)
月(あぁ、僕はsaiさ。真実ならくれてやる。だが口に出さない限り確証は得られない)
月(君の挑発、僕流でうけてたつよ)
月「……!」スッ
竜崎「……!」ニタァ
佐為(両者激しい攻防……しかしライト)
佐為(あなたの碁はほんとうに進化しましたね)
佐為(私も、いつかあなたと真に向い合って打てたらいいのに……」
佐為(竜崎、あなたともです)
佐為(あなたの策略。残念ながら私にはお見通しですが)
佐為(きっとこの先もっと巧みになる。私はそう予感しています)
佐為(いつまでもライトの好敵手であってください)
月「ッ」スッ
竜崎「!」コトッ
篠田「打かけにしてください。お昼は45分ですませてください」
月「……打ち切ろう竜崎」
竜崎「えぇ」
篠田(ここもここも、一体どういう手順なんだ)
篠田(展開が早すぎる! この二人……やはり逸材だ)
篠田(塔谷先生……また日本の囲碁界に新しい風がふきこんできましたよ)
篠田(いまは、どこで何をしていらっしゃるのか)
竜崎「ありがとうございました」
月「……ありがとうございました」
篠田「おお! 決着したか」
佐為「素晴らしい碁でした。実に」
佐為「私が見てきた数カ月の中で過去最高とも言える内容です」
佐為「しかし……どんなに素晴らしい碁でも勝者は一人」
竜崎「ライト君、お見事です」
竜崎「saiである確率。いまは3%のままにしておきます」
月「……」
月「……」
佐為「ずっと頭かかえてますね」
月「……」
佐為「ライト……良い内容でしたよ?」
月「……」
佐為「惜しかったですけど……竜崎は大いにライトの期待に答えてくれました」
月「……ふ、ふふ」
月「ふははは、ふはははははは!!」
佐為「ら、ライト……」
月「ははははははは!!! はははははははは!!!」
月「お゛も゛しろ゛いよぉ竜崎ぃ!!!!」ガターン
月「この雪辱ぅ!! 必ず……必ず……ッ!! ははははは!!!」
佐為(こ、怖い……)
月「佐為ぃいい! 今日の一局を検討するぞぉお!!!」
佐為「は、はい。やりましょう。思う存分っ」
月「つぎはぁ!!! 竜崎ぃいいい!! お前をおおお!!」
粧裕「お兄ちゃんうるさいよー! お母さん怒ってるー」
月「僕は神になる!! 敗北は許されないぃぃ!!!」
佐為「この先負ける度にこれですか?」
月「早く並べろおおお!! 検討するっていってるだろおおお!!」
佐為「碁石持てないんですけど」
月「それもそうだな」
月「ま、合格は揺ぎないし。いつまでもひきずったらそれこそ本当の負けだ」
プロ選抜試験本戦 21戦目
庄司「負けました……」
月「ありがとうございました」
庄司「ありがとうございました……はぁー」
月「……」
庄司「今年こそはいけると思ったのに、外来でこんなに強い人が二人もくるなんて反則だぜ」
月「僕もそう思うよ。自分の才能がおそろしいからね」
月「僕はプロになる。プロと院生のお祭り、若獅子戦でまた会おう」
庄司「……」
岡「なんなんだあの人……」
庄司「しらねー、変態だろ。たまに一人で叫んでるし」
岡「やっぱああいうおかしい人しかプロになれないのかな」
庄司「弱気になるなよ……来年こそがんばろぜ」
岡「……おう」
月「……やった」グッ
篠田「おめでとう夜神君。君もそうして喜びの表情をみせることがあるんだね」
月「先生……」
篠田「これで君の合格は確実になった。残りすべて落としても」
月「じゃあ明日からは欠席します」
篠田「え」
月「僕の中で、不戦敗は負けではないのでどうでもいいんです」
篠田「え、ちょ、夜神くん?」
月「プロになったらさっそく新初段戦ですよね?」
篠田「ああそうだよ。冠位もちのトッププロとハンデつきで対局することになる」
月「指名ってできますか?」
篠田「それはできないよ」
月「そうですか。じゃあ誰でもいいです。どうせ名前しらないので」
篠田「お、おい!! 夜神くん!? どこへいく!? 明日ちゃんとくるんだぞ!?」
‐授賞式‐
佐為「ついにライトもプロですねー」
佐為「これからさらなる手練と相まみえるとは、感慨深いです」
月「しばらくは低段者としか打てないんだ。前座だよ。全員」
竜崎「ライト君無事合格おめでとうございます」
月「竜崎。やっぱりお前も後の手合いすっぽかしたんだな」
竜崎「はい興味ありませんでしたので」
月「そういうのは心の中にしまっとけ。口にださないほうがいい」
佐為「ライト! この前の人いますよ!」
月「あぁ? あの金髪の」
ヒカル「あ、お前!」
月「僕?」
ヒカル「お前か、以前門脇さんを倒したっていう謎の一般人」
月「夜神月だ。今年からプロになる」
ヒカル「そうか。そんじゃ対局できる日を楽しみにしてるぜ」
月「ええ……君にはなにかとてつもないシンパシーを感じるよ」
ヒカル「はぁー?」
和谷「おい進藤! 主賓がなにやってんだよ。はやく準備しろ」
月「ん、zeldaか」
和谷「あぁ? 誰だお前」
ヒカル「俺とタメの後輩」
和谷「あぁ。プロになったのかおめでとう」
和谷「早くあがってこいよな。俺たちは一応低段者じゃないからすぐには対局できねーぜ」
月「そうですか。すぐに追いつきます」
和谷「なっまいきなやつだな。例のsaiみてぇ」
月「sai……か」
竜崎「どうしました?」
月「いや……なんでもない」
月(ここからはじまる……僕の神の物語が!!)
月(ここに来ている多くの賞の受賞者たちも、いずれ僕にひざまづく)
月「ふふふふ」
佐為(この顔、またよくないことを考えてますね……)
月「楽しみだよ……」ニヤァ
竜崎「なにがですか? もしかしてsaiとして囲碁界の頂点に君臨する妄想でもしましたか?」
月「そんなわけないだろ。お前はいくらなんでも妄想のしすぎだ」
竜崎「いえ、あくまで推理です」
月「はずれたら妄想だろ」
竜崎「可能性があるかぎりは推理です」
月(しつこいな……だが竜崎、お前の推理は正しい。しかしその正しさすらすべて無意味なものになるんだ)
月(新初段戦で僕の実力をみせつける!!)
数日後
粧裕「お兄ちゃん! 棋院から手紙きてるよ!」
月「きたか!」
粧裕「みせてみせて!」
月「粧裕がみてもわからないだろ?」
粧裕「ぎゃっ、ケチ」
月「緒方十段だとやりがいがあるが……さて、どいつに決まったかな」
新初段戦のお知らせ
対局相手:進藤ヒカル8段(本因坊)
○月×日 13時開始
日本棋院幽玄の間 にて
月「進藤……ヒカル?」
佐為「現在の本因坊が相手ですか」
月「ふっ、佐為にとっては感慨深いか?」
月「だが悪いな僕にとっては新初段戦は通過点でしかない」
月「ハンデは逆コミ5目半もあるんだ。ぬるすぎる」
月「若い世代の実力と、格の違いをみせてあげるよ」
月「時代遅れの年寄りどもは僕のつくる新囲碁界には必要ない!」
月「まずは本因坊のじいさんをみせしめだ」
佐為「進藤……ヒカル……」
月「竜崎は誰に決まったかな。電話でもしてみるか」
月「もしもし? 竜崎? saiじゃない、僕だ」
月「いちいちかまをかけてくるな」
月「それより新初段戦。僕の相手は本因坊だ」
月「へぇ、名人相手か」
月「塔矢? あぁ、あの塔矢名人……は引退しなかったか?」
月「竜崎は一度痛い目をみておいたほうがいいんじゃないかな」
月「僕としても竜崎の高い鼻が叩き折れるところを見てみたいし」
月「ま、健闘を祈っててくれ」
月「じゃあな。あといっとくけど僕はsaiじゃない」
月「くそっ、竜崎のやつ」
月「隙があれば僕を探ろうとしてくる」
佐為「彼の執着心は異常ですね」
月「あんなやつのことで気をもんでいる場合じゃない」
月「進藤ヒカルとやらの棋譜をとりよせて対策をたててみるか?」
月「いや、それもおもしろみがないな」
佐為「すごい自信ですね」
月「ゆとりのない神なんて嫌だろう?」
佐為(ライトの場合はゆとりというよりも傲慢なのでは……)
月「だんだん僕もお前の顔をみてるだけで何を考えているかわかるようになってきたよ」
【幽玄の間】
月「へぇ、中にまでカメラが入るんですかw」
天野記者「緊張するかい?」
月「特には」
天野「落ち着いてるねぇ。例年だと新初段のみんなはガチガチなんだけど」
月「あくまで通過点にすぎません」
天野「こりゃ大物だ! ありし日のアキラ君や進藤君を思い出す」
月「進藤、くん?」
天野「あぁ、もうくんなんて呼んじゃいけないよなぁ」
天野「進藤本因坊、まだこないのかな。そろそろ記念写真のとりたいのに」
佐為「……ライト」
月(佐為、どうした)
佐為「幽玄の間……この張り詰めた空気……ライトは感じますか?」
月「さぁね。テスト中の教室のほうがよっぽどピリピリしてないか?」
佐為「こんな場所で打てたら……どれほどの幸せであるか」
月「……佐為、お前」
ヒカル「すんません。遅れちゃいました」
月「あ」
ヒカル「よ!」
月「……天野さん、進藤本因坊遅いですね」
ヒカル「俺俺! 俺だよ」
月「今日は採譜のために来てくれたのか?」
ヒカル「はぁ~!? せっかくお前のために高い服きてきたのにそれはないぜ」
天野「夜神くん、本気で知らないのか?」
天野「今日の君の対局相手の進藤本因坊だ」
月「えっ!」
ヒカル「よろしくな、夜神」
月「な、ま、おま……え?」
ヒカル「そうかたくなるなって! 気楽にいこうぜ」
月「……あぁ、はい」
ヒカル「天野さん、ちゃっちゃと撮っちゃって」
ヒカル「俺こいつと早く打ちたかったんだ」
天野「その前にインタビューいいかい?」
ヒカル「え?」
天野「なぜ進藤本因坊は、今回特別に夜神くんを指名したのですか?」
月(指名だと……!)
佐為「本因坊から指名だなんて、すごいんじゃないですか!?」
ヒカル「……なんでって」
ヒカル「ビビっときたからだよ。あと門脇さんのお礼参り」
月「そ、そんな理由で……ふ」
月「……ふふ、ははははは! はははは!!」
月「僕をなめるなぁ!!」
ヒカル「なめてねーよ。だから全力で行く。夜神も『持てる力』全部だしきってくれよな」
ヒカル「座れよ」
月「……本因坊。いずれその座ももらいうける」
ヒカル「新初段がいう台詞かよ!」
月「……すいません」
ヒカル「譲らねー。これだけは。絶対」
月「なら奪いとるまで!」
奈瀬「ハンデは逆コミ5目半。新初段が黒をもちます」
月「空気が変わった……」
佐為「……」
月(佐為……どいてくれないか?)
天野「夜神くん? すわりなさい」
ヒカル「……」
月(どくんだ佐為。帰ったらいくらでも打ってやる)
佐為「……はい。ごめんなさいライト」
月(これは僕の囲碁界征服の第一歩となる記念すべき対局だ)
月(いくらなんでも……お前に譲ることはできない)
月(それに別室ではあいつが見ている)
佐為「竜崎……」
月(だけじゃない。緒方十段が来ているとなおのことややこしいことになる)
月(あいつらはsaiの打ち筋研究科だからな)
佐為「わかります」
月(諦めてこの金髪本因坊が僕にけちょんけちょんにされるところを横から見ていろ)
佐為「はい」
月「おねがいします」
ヒカル「おねがいします」
ジャラッ…
月(まずは四隅からだ)
月「……」スッ
天野「カシャカシャ」
天野「よかった。今年も割りとすんなりはじまった」
篠田「進藤くんが塔矢名人にいどんだときは初手20分でしたからね」
ヒカル「……」チラッ
ヒカル「……」パチッ
月「……ふん」スッ
佐為「どうやら一通り頭の中で組み立ててきたようですね安心しました」
佐為「ライトの言う通り、私の出る幕ではありません」
佐為「が……! え……」
月(こ、こいつ!!)
月(秀策のコスミ! な、なぜこんな古い定石を)
月「……」ドクンドクン
佐為「この者の打ち筋……ま、まるで……!」
月(なぜだ、なぜ……)
月(秀策……本因坊だからか?)
月(僕に対して接待プレイを? いや所詮新初段戦だから華をもたせる気か!?)
月(だが全力でくると確かにこいつは言った)
佐為「ライト……」
月(秀策……いや、違うな! こいつが言いたいのは……!!!)
月(……寅次郎、というわけか)ギロリ
ヒカル「……」スッ
月(なめるな……)
月(なめるな僕を!!!)
月(お前は僕に! 一度!! まけているんだ!!!! 今回も僕が勝つ!!!!)
ヒカル「……」スッ
月(まただ。完全に僕を挑発している!!!)
佐為「ライト、あまりに自意識過剰です」
月(しっててやっているとしか思えない。まさか僕を、saiを誘い出す気か!)
月(だが佐為の力をつかっては……Lが……くそっ)
佐為「ライト……」
月(決めた! 僕が力でねじ伏せる!)
月(プロ試験でついた『中押しの夜神』の異名は伊達じゃない!!)
月「!」パチッ
ヒカル「……」スッ
月(どれだけ先を読んで荒らしてもしのがれる。こいつの読みの深さは異常だ)
月(だが、僕ほどではない!! 僕なら勝てる!)
月(コイツが一億手先を読むなら! 僕は一億一手先を読むだけ!!!)
佐為「ライトの力。それはこの圧倒的な執念と異常なまでの自信……まったく感服いたします」
【別室モニター】
竜崎「攻めますねライトくん」
アキラ「だが進藤は手堅く防ぐよ」
竜崎「それを見越して一本キリが入ってます」
アキラ「だが進藤はそれすらも見越して先手をうっている」
竜崎「なるほど、しかしライトくんはそれ機能させないように新手をくりだしてきました」
アキラ「だが進藤はものともしない。ほら」
竜崎「しかしライトくんは強引に突破しますよ」
アキラ「だが進藤はまたたくまに」
竜崎「ここでライト君ノータイムで急所に」
緒方「だまって見ていろ」
月(進藤……なんてやつだ! 逆コミ5目半のハンデをものともしない)
月(いや、当然か。若手最強棋士の一角だからな……)
月(だが僕がここでお前を下す! 僕に敗北は許されないんだ!!)
ヒカル(おもったより出切ってきたな。さすが俺が指名しただけあって楽しませてくれる)
ヒカル(なぁ夜神……お前は一体……?)
ヒカル(佐為……ちがうのか?)
ヒカル(ほんとはそこにいて、俺たちの対局をみてるんじゃないのか?)
ヒカル(答えろよ! 佐為!)
パチン!
月「!!!」
佐為「……」
月(ぐ…・…な゛、まずい、形勢が……!!)
月(バカな!! ココに来てさっきの悪手が絶好の位置に!?)
・・・
アキラ「決まったな」
竜崎「いまのは致命的ですライトくん」
アキラ「夜神くんがミスをしたんじゃない。進藤がすごいんだ」
竜崎「さすが名人と本因坊」
アキラ「進藤は優勢になったら今以上に冷静になる」
竜崎「おそろしいですね」
アキラ「進藤のことが、おそろしいほどに冷たく感じるときがあるんだ」
竜崎「私も進藤くんと打ってみたいです」
アキラ「まずは明日僕が相手になる」
竜崎「負けません。夜神くんと約束しましたから」
アキラ「だけどその夜神くんはもうここからだと厳しいんじゃないかな」
竜崎「いえ、夜神くんを侮ってはいけません。彼の追い詰められた時のポテンシャルは」
緒方「黙ってみていろ! 追い出されたいのか」
・・・
月(まずい、立て直せるか!?)
月(……バカな。僕は何を言ってるんだ。ここから本因坊相手に立て直すだと!? 無謀だ)
月(逆コミの貯金は尽きた。これ以上劣勢になっては……もはやヨセまで保たない!)
月(つまり……負ける!? 僕が!? ハンデがあるのに!? 僕が負ける!?!?)
月「……ぅぅ、うぐぐぐががががっ」パチッッ
ヒカル「!」
月(負ける゛ぅ!!? 僕がァああああ!?)
月(あ゛ぁりえないんだ! こんなことありえない゛!!)
月(僕の野望への第一歩だぞ!!!)
月(踏み外していいものか!! 滑り落ちていいものかぁ!!!)
月「あガガガがギギギ!!! あううぅぅぁぁlああ!!!」ガタガタガタガタ
ヒカル「……・」スッ
佐為「ライト……このままではあなたの精神が……!」
月(あ゛ああああああああああ!!)
月「あ゛ああああああああああ!!」
月(あ゛ああああああああああ!!)
月(嫌だ。負けたくない。嫌だ。負けたくない。いやだ)
月(僕はsaiなんだ。神になる男だ。世界最強の……絶対の存在に……)
月(こんなところで本因坊ごときに。本因坊に……進藤おおおおお!!!!)
佐為「ライトぉー!!」
月「 」
ヒカル「……?」
月「……」スッ
ヒカリ「!」
月「……」スッ
ヒカル「なっ……!」
・・・
越智「彼、壊れちゃったみたいだね」
アキラ「……」
竜崎「……」
越智「ほら、また考えられないような悪手だ。もう終わりだよこの碁は」
伊角「……黙れ越智」
越智「!!」ビクッ
竜崎(夜神くん……)
アキラ(進藤……)
緒方(sai……)
月「 」スッ
ヒカル「……」パチッ
月「 」スッ
ヒカル「……」パチッ!
月「……」
佐為(ライト……あなたはほんとうに成長しました)
ヒカル(コイツ、さっきから様子がおかしい)
月「……」スッ
ヒカル(この、かすかに感じるこの空気は……?)チャッ
月「……」パチッ
ヒカル「はっ!」
・・・
越智「ひょ!? さっきの悪手が……なんで!」
アキラ「……この打ち方」
緒方「夜神月はいつのまにか進藤の弟子にでもなっていたのか?」
越智「だとすると進藤が彼を指名したのもわかりますね」
伊角「違う……この展開は!!」
アキラ「進藤!! 馬鹿な!!」ガタッ
緒方「……夜神月……何者なんだ」ゴクリ
竜崎「緒方さん。ご依頼の捜査、おおきく進むかもしれません」
緒方「えっ」
竜崎「碁は嘘をつきません。碁の中に真実があるのですよ」
竜崎「そして進藤本因坊はこの中でそれを一番よくしっています」
竜崎「まぁ、私の推測は外れるんですけどね」
アキラ「竜崎、僕も君と同じ意見だ」
緒方「お前たち、いったい何を」
竜崎「いつか必ず解き明かします。その時は進藤本因坊を重要参考人として呼ぶかもしれません」
ヒカル「……」
月「……」
奈瀬(もうっ、なにやってんのよ進藤! この一手でどれだけ時間かけてるの)
奈瀬(たしかに、さっきの夜神新初段のはすごい一手だったけど……まだまだあんたが優勢じゃない!)
奈瀬「進藤……? え、なにっ? どうしたの?」
天野「進藤くん? 体調でも?」
ヒカル「……よく、しってるんだ。この打ち方。とても、よく」
ヒカル「なぁ……勉強、したのか?」
月「はい」
ヒカル「そっか……」
月「……」
ヒカル「ありがとな、夜神」パチッ
月「……ありません」ペコッ
・・・
アキラ「投了したぞ!」
越智「進藤、さすがに強いな」
伊角「進藤……どこまで先へいくんだ」
竜崎「帰ります。家にかえって見直したい棋譜がたくさんあるので」
緒方「送っていこう」
竜崎「ありがとうございます」
竜崎(夜神くん。君はどうあがこうとも、間違いなく、一人の立派な碁打ちですよ)
竜崎(碁は嘘をつきません。いまあなたのだしきったすべてが、あなたなのです)
竜崎(再戦を楽しみにしています)
・・・
天野「いやぁ良い内容でした」
天野「夜神くん良かったよ。結果は負けだけど自信をもっていい」
月「そうですね。僕もそう思います」
ヒカル「……天野さん。すこし二人でいまの内容検討させてください」
天野「あぁ! わかった。終わったらもう一枚写真とるから声かけてくれ」
ヒカル「奈瀬もすまないけど」
奈瀬「う、うん」
月「完敗ですよ本因坊。いや、寅次郎といったほうが?」
ヒカル「……そこに、いるんだよな?」
月「……はて、なんのことです?」
ヒカル「やめろよ。そういうの」
月「……」
ヒカル「なぁ、佐為。どうだった?」
ヒカル「俺、本因坊になったんだ!」
ヒカル「どうしても、欲しくて、桑原のじいちゃん倒して……さ」
ヒカル「佐為、俺、お前に話たいこと山積みだ」
ヒカル「なぁ……頼むよ。もう一度、俺の前に……」
月「……進藤」
月(だけど、佐為はもう君のことを……)
佐為「ヒカル……」
月「!」
月(佐為! お前……!)
佐為「感謝しますライト」
月(え……)
佐為「あなたのすべてをかけた一手」
佐為「私はそれを見た瞬間、なにもかも理解しました。私という存在……あなたという存在を」
月「僕……が?」
ヒカル「……え?」
月「そうか……」
ヒカル「夜神? おい夜神?」
月(僕は……そうか。悔しいが、神となる僕ですら、運命の歯車の一つでしかなかったというわけか)
月(やれやれだ……)
ヒカル「夜神ぃ?」
月「ヒカル」
ヒカル「!!」
月「大きく、なりましたね」
ヒカル「佐為……?」
月「ここにいます」
ヒカル「佐為……お前! なんで、なんで消えたんだよ!」
月「あなたを育て、あの一局を見せ、私の役目は一度尽きました」
ヒカル「あの一局……塔矢先生との?」
月「はい」
ヒカル「でも、お前は神の一手をまだ極めてない!」
月「大丈夫。神の一手は、あなたと、この子が目指してくれます。ですよね?」
月「私のすべてを託しました。そして、あなたたちは受け取ってくれた」
ヒカル「佐為……」
月「私は、きっとあなたのために千年の時を永らえ」
月「そして、きっとあなたの果てしない成長を一目みるために」
月「数年の時を経てこの子と出会った」
ヒカル「夜神……」
月「……そういうことだ進藤」
ヒカル「お、おいまてよ。まだ俺は話したいことが山ほど」
月「進藤。お前は棋士だ。語り合いたいなら石を握れ」
ヒカル「!」
月(佐為)
佐為「ありがとうございます月。なにも伝えられない私の代わりに」
月(いいんだ。きっと、これが僕に課された使命なんだろう)
月(僕だって、神を信じているからこそ、神になりたい)
佐為「あなたには感謝してもしきれません」
月(僕もだよ、佐為。囲碁、おしえてくれてありがとう)
佐為「ライト……最後に、ひとつだけわがままきいてくれますか?」
月(最初にいったはずだよ佐為。僕は幽霊に情なんてうつらない)
月(でも、お前は友達だから)
月(僕に、見せてくれ。本当のsaiを)
佐為「はい!」
月「ヒカル、私が黒です。コミは五目半、いいですか」
ヒカル「……あぁ!」
佐為(あの頃と比べて、背が高くなった)
佐為(声も低くなりましたね)
佐為(もちろん、強くなりました)
佐為(あなたとすごした日々。すべておぼえています)
佐為(ごめんね? 私はきっととても哀しい思いをさせたでしょう)
佐為(私のこと探しまわったりしちゃいませんでしたか?)
佐為(泣いちゃいましたか?)
佐為(でもヒカルは負けずに、ここまでこれた)
佐為(私はそれだけで、生まれて良かったとすら思えるんです)
佐為(ヒカル、いままでありがとう)
佐為(ライト、ほんとうにありがとう――――
ヒカル「……!」パチッ
月「はっ!」
ヒカル「……佐為? 長考か? 珍しいな」
月「……」
ヒカル「……」
月「進藤。残念ながらこの棋譜は、永遠に完成しないものとなった」
ヒカル「!!」
月「……」
ヒカル「ぁ……・そ……っか」
月「だけど」
ヒカル「ぅ……佐為……また……お前は」
月「僕でよければ、続きを打とうか?」
ヒカル「!」
月「どうだろう?」
ヒカル「そうだよな……。ありがとう……夜神」
月(佐為……楽しかったよ。そして……さようなら)
ヒカル「でさぁ、あかりのやついきなり言うんだぜ?」
アキラ「まぁ僕らもそういう歳だし、彼女の気持ちはいい加減汲んであげなきゃだめじゃないか?」
竜崎「若いお二人がうらやましいです」
ヒカリ「つか竜崎って何歳なんだよ。外来うけれたってことは、まだ二十代だよな?」
竜崎「それは究極の秘密です」
カランコロン
市河「あら、いらっしゃい東大生さん」
夜神「はは、やめてくださいよ。入れたのだってラッキーなんですから」
ヒカル「よ! 夜神ぃ! いまから早碁すんだけどやる?」
夜神「あぁ、もちろんやるよ。早碁は頭の回転の早い僕の一番の得意種目だからね」
ヒカル「あぁ?」
夜神「睨みつけてる暇があったらはやく握ってくれ。僕は碁だけ打ってるわけにはいかない忙しい身でね」
竜崎「はい私もです。本業は探偵ですので」
ヒカル「探偵ってあれだっけ?」
竜崎「えぇ。saiを追っています。必ず見つけて公衆の面前にひきずりだします」
ヒカル「佐為をみつける、か」
月「ふっ」
竜崎「何故笑うんですか? いまの嘲笑を考察するに実はライトくんがsaiで可能性が一気に13%に」
アキラ「sai……か」
ヒカル「なんだか途方もない話じゃないかなー」
竜崎「そうですか? たしかに証拠詰めはかなり大変かとおもいますが」
ヒカル「いや、いいんだいいんだ頑張ってくれよ。俺もsaiがいたら会ってみたいし」
夜神「僕もだよ。きっとすさまじく冷徹で頭のめぐる人間だろうな」
竜崎「いいえ夜神君。私なりに過去のsaiの棋譜や対局データをプロファイリングした結果」
ヒカル「結果?」
竜崎「……saiはとても温厚で、おもいやりのある人物かと推察されます」
ヒカル「へぇ! そりゃ初耳だぜ! なぁ夜神?」
月「ははは、新説だな。でも、いい線いってるかもね」
竜崎「塔矢くんはどう思いますか?」
竜崎「saiをみつけるにはどこをあたれば効果的だと考えますか?」
アキラ「うーん、どうだろう」
アキラ「少なくとも、saiは僕らの胸の中にいる。それじゃだめかな?」
竜崎「だめです。そんなことを報告したら緒方さんにひどい目にあわされます」
ヒカル「よっし、そろそろ始めっか」
月「そろそろ進藤本因坊に引導をわたして重圧から解放してあげないと」
ヒカル「まだまだ負けねぇぞ!?」
月「それと、僕は本気で本因坊のタイトルを狙うよ」
ヒカル「え?」
月「神の座を、神の一手を、目指すにあたってね」
ヒカル「……! あぁ、待ってるぜ!」
おわり
ほんとぶっ続けて投下してくれてありがとう!
面白かったぜ
いい話で終わってよかった
乙
序盤でネタSSかと思ったのに、意外といい話で終わったな
Entry ⇒ 2012.04.14 | Category ⇒ デスノートSS | Comments (0) | Trackbacks (0)
赤沢「嘘でもいいから、覚えてるくらい言いなさいよ」
http://hayabusa.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1333897507/
鋭い窓ガラスの破片に貫かれながら赤沢さんが僕を責める。
でも今重要なことはそれを思い出すことじゃなかった。
目の前で血だらけになった女の子を助ける、それだけしか考えられなかった。
「赤沢さん、痛いかも知れないけど・・・ごめんっ!」
そう言って僕は彼女の返答も聞かず、彼女を貫いている破片を急いで抜き去った。
小さなうめき声をもらして赤沢さんが顔をしかめる。
急がないと・・・、またいつ爆発が起こってもおかしくない。
破片を抜き取りながらふと周りを見渡す。
そういえば見崎は・・・?
どこに・・・?まさか死者を一人で!?
なんてことを・・・
見崎のことが気にはなったけど、赤沢さんが危ない、僕は一旦見崎のことを考えるのをやめた。
「何とかして赤沢さんを安全なところまで連れて行かなくちゃ」
彼女を打ち付けていた破片を全て抜き、背中に負ぶう。
燃え盛る館内、今にも崩れそうな設備。
赤沢さんに負担がかからないようにと細心の注意を払いながら、でも大急ぎで合宿所の外へと向かう。
背中の赤沢さんの吐息が聞こえる。
意識は失ってるみたいだけど、まだなんとか大丈夫そうだ。
外に出られれば千曳先生や勅使河原達もいるはず。
不意に赤沢さんが声を漏らす、
「おにぃ・・・・」
そういえば赤沢さんには、大好きだった年上の男の子の存在があったんだっけ・・・
でも、亡くなったって・・・
!
赤沢さんの「おにぃ」をいう言葉に僕の中の何かが反応した。
・・・・・・・・
「大丈夫?ほら、手」
「あ、ありがとうございます・・・」
・・・・・・・・・
「あなた、本当にここに住んだことない?」
「一年半前」
・・・・・・・・・
・・・一年半前?そういえば親父も同じことを言っていたはずだ
一年半ぶりの夜見山はどうだとか。
あの時は親父の記憶違いか何かかと思っていたけど
・・・・・・・・・
「僕も大切な人を亡くしたんだ」
・・・・・・・・・・
大切な人?僕にとっての大切な人って、そういえば誰だっけ?
お母さん?いや、そうなんだけど何か違う。
第一お母さんは僕を生んだ直後に死んだはずだ、じゃあ誰だ?
(怜ちゃん・・・どうして・・・)
途端に僕の頭の中がはじけたような感覚になる。
なんで、どうして忘れてしまっていたんだ!?
あんなに大好きだった人の「死」を!
ひとり河原で落ち込んでいた僕と、悲しみを分かち合った彼女のことを・・・!!
今はただ現象という存在がにくくて仕方なかった。
必ず、僕が、決着をつける!
見崎もおそらくはその人のもとに向かっているはずだ。
そのためにも一刻も早く赤沢さん、河原の彼女を送り届けなきゃ!
合宿所から脱出するのとほぼ同じくして、再び大きな爆発が起きる。
振り向くとどうやらさっき僕と見崎と赤沢さんが対峙していた場所であるらしい。
間一髪、一瞬だけども現象から逃げられたみたいだ。
前を見ると千曳先生がこっちに向かって手を上げていた。
暗くてよく見えないけど、車の近くに勅使河原達もどうやらいるらしい、良かった・・・。
「大丈夫だったか?ん?君が負ぶっているのは・・・赤沢君か!?」
「はい、ひどい出血なんです!ガラスに体のあちこちを串刺しにされてて・・・」
「いかんな・・・すぐに私が送ろう」
「よろしくお願いします」
千曳先生に赤沢さんを預けたあと、すぐに合宿所へと引き返す。
「お、おい!サカキィ!何処に行くんだよ!?」
勅使河原の声が聞こえる、けど、悠長にここにとどまっているわけにはいかない。
「勅使河原・・・!ごめんすぐ戻ってくる!」
「サカキ・・・気をつけろよ!」
「ッ・・・!」
何も聞いてこないところが勅使河原らしかった、本当に最高の友達だよ、君は
降りしきる雨の中、泥と水を蹴って僕は走り始めた。
雨音にかき消されないようにと精一杯大きな声を上げながら見崎を探す。
度重なるトラブルと疲労、落ちてくる冷たい雨に僕の体力はもう限界といってもよかった。
と、肝心なことを思い出す。
「そうだ、携帯、携帯に連絡すれば!」
なんでこんな簡単なことすら思いつけないのか、自分に腹が立つ。
「見崎・・・見崎はっと・・・・くそッ」
震える指先のせいでボタンでさえうまく押せない。
「よし、かかった・・・見崎、頼む出てくれ・・・!」
仕方なく携帯をポケットにしまい、再び合宿所の周りを走り始める。
丁度合宿所の裏あたりだろうか、落雷の明かりで建築材のような木が折り重なっていることに気づいた。
そしてその近くには・・・
「見崎ッ!」
「・・・来ないほうがいい」
「え?」
「榊原君は来ないほうがいいよ」
建築材を見下ろしながら見崎がそうつぶやく。
でも、見崎、ごめん、僕はもうわかってしまったんだよ。
「見崎・・・そこに死者がいるんだろ?三神先生・・・いや、怜子さんが」
「知ってたの?」
「いや、ただ思い出しただけさ」
「そう・・・」
一歩ずつ、重い体を引きずるようにして建築材のもとへと向かう。
「・・・・・・ッ!」
そこには下半身が建築材に埋もれ、何とか脱出を試みようとする怜子さんの姿があった。
想像はしていた、怜子さんが死者であると気づいてから、僕が決着をつけると決心してから。
怜子さんを殺す自分の姿を。
でも現実は想像よりもずっとひどい。
僕は大切な人を殺すのか?殺せるのか?
「こ、恒一くん?よかった・・・助けて、体が挟まれちゃって動けないの」
「わかってるよ、でも・・・」
そんなに簡単に割り切れるような感情じゃないんだ。
「恒一くん?どうしたの?はやく・・・」
目をつぶって深呼吸する、見崎が持っていたツルハシを奪い取るようにして持つ。
僕は、ツルハシを、振り下ろした。
・・・・・・・・・・・・・・・・
病室の中は広かった、個室ということもあって僕たちの他に誰もいない。
怜子さんを殺してから現象はピタリと止まった。
勿論僕と見崎以外に怜子さんのことを覚えてる人なんていなかった。
その僕でさえ、死者として生きている怜子さんの記憶が段々と薄くなってきている。
「泉美・・・、今日もいい天気だよ」
病院に搬送された赤沢さんはとても危険な状態だったらしい。
意識も回復するまでに随分かかった。
でも、生きていてくれた、これほどうれしいことはないよね。
「・・・いつから、私のことを呼び捨てにするようになったのかしら?こ・う・い・ち・くん?」
「なんだ、起きてたのか・・・赤沢さんが眠っている間にね、お医者さんから患者さんに力強く呼びかけてあげてくださいって言われてね」
「それ以来、赤沢さんが眠ってる間つい呼び捨てにしちゃうようになっちゃったんだよね、悪かったかな・・・?」
「別に、何でもいいわ、むしろうれしいかも」
自慢のツインテールはもうなくなっていた。
合宿所の火事のおかげでチリチリになったため、切ったから今はショートだ。
「ほんとに、いい天気ね。私も早く外で思いっきりはしゃぎたい!」
「もうじき退院だっけ?みんな、赤沢さんのこと待ってるよ」
「えぇ、もうすぐ退院。私も早く皆に会いたいなぁ」
「というか、もう泉美って呼んで、ころころ呼び方かえるの大変でしょ?」
「本当は、ただ名前で呼ばれたいだけなんじゃない?」
「ば、ばか!」
「うん、そうだね」
「長いこと夢を見てたのよ」
「どんな?」
「河原で空き缶を蹴って、男の子の頭にそれをぶつけちゃったのよね」
「それから転んじゃって、男の子に手を取ってもらって、立ち上がったんだよね?」
「そうそう、こんな風に」
「そうだね、こんな風に」
泉美の差し出した手をやさしく握り返す、あの日のように。
「思い出してくれたんだ」
「うん、もう嘘じゃなくて本心から言えるよ。覚えてる」
秋のやわらかくて暖かな日差しが僕らを包み込む。
赤毛のショートヘアーの女の子が日に焼けたように顔を紅くした。
付き合っていた皆様ありがとうございます。
漫画版の終り方を変えたかっただけでこうやって書かせていただきました。
髪が伸びる頃には二人とも東京だろうか
乙
Entry ⇒ 2012.04.14 | Category ⇒ AnotherSS | Comments (0) | Trackbacks (0)
岡部「む、助手がワゴンセールか」 クリス「オカベー」
http://hayabusa.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1334323933/
岡部「ふむ……」
クリス「オカベー」
岡部「手を出してしまいたい衝動に駆られるが……いやしかし……」
クリス「ハイロンパー!」
岡部「ここは見なかったことに……ぬぅっ?! 右腕が勝手に……うおお静まれ我が右腕よ!!」
岡部「がっ。 じゃない! 落ち着け我が理性……現在のラボの財政を省みよ!」
クリス「カイバーヽ(*゚Д゚)ノ」
岡部「うおおっ! 目線を向けるな助手よ! そんなものに絆されるほど、このマッドサイエンティスト、甘くはぬわぁい!」
クリス「……」
岡部「ふぅん! 諦めたかクリスティーナ!だが恥じることは無い、この鳳凰院凶真に挑んだことが早計だったのだ!」
岡部「フゥーハハハ! ……ん?」
クリス「……」
クリス「……オカベェ」グス
岡部「……」
アリアァッシター!(ォライッ、ォライッ
クリス「カイバー」
岡部「……可愛い」
岡部「ではない! 助手ごときに翻弄されるなど、マッドサイエンティストの恥ではないか!」
クリス「オマエモナー」
岡部「……」
クリス「フニ-」
岡部「……可愛い」
クリス「ンム?」
岡部「まぁ心配するな。気兼ねせずくつろぐがいい」
クリス「ワーイ」
岡部「……とはいえ、連れ帰ってきたものの」
ガチャ
クリス1「オカベッ?!」
クリス2「ムイ?!」
岡部「……これで二人になってしまった」
クリス2「オカベー」
岡部「見てくれは全く変わらんな」
岡部「差別化するためにも、名前でも付けるか」
クリス1「バカナノ?! シヌノ?!」
クリス2「オナカスイター」
岡部「……」
岡部「……ツンの1号、デレの2号……」
岡部「……」
岡部「……マッドサイエンティストっぽいな……ショッカー的な意味で」 ゴクリ……
クリス1「ティーナッテイウナ!」
岡部「そして助手よ!お前はクリスティーナ2号と名乗るがいい!」
クリス2「ムネアツ」
岡部「これでまた、我が野望に一歩近づいたというわけだ! フゥーハハハ!!」
クリス「「チュウニビョ-オツ」」
クリス1「!」
岡部「ふむ……新しい助手も同じものを食べるのだろうか」コポコポ
岡部「ほらクリスティーナ達よ。昼飯だ」
クリス1「ラーメン!」
クリス2「ハコダテ!」
クリス1「プイ」
クリス2「3ゲット!」
クリス1「ソーローオツ」
クリス2「イッテヨシ!」
クリス1「クワー!」
岡部「頼むからスラングで喧嘩するな!」
クリス1「イタダキマース」チュルチュル
クリス2「……オカベー」
岡部「む、そうか。2号用の食器を買ってこねばならんな」
岡部「まぁ今日のところは仕方ない。箸も苦手だろうし……ほら、口をあけろ」
クリス1「ンム?!」
クリス2「アーン」モグモグ
クリス2「オイシ-」テーレッテレー
クリス1「……」
岡部「ん? どうした1号」
クリス1「ンー!」
岡部「? 早く食べないと伸びるぞ」
クリス1「オカベー!」壁ドン
岡部「ほら、もう一口だ」
クリス2「アムアム」
岡部「どうした1号。いつもより食が進んでいないではないか」
クリス1「……ウッサイバカオカベ」
クリス2「……」
クリス1「アウ?!」
岡部「あ、こら2号!1号のフォークを取るんじゃない!」
クリス2「プイプイ」チュルチュル
クリス1「ムー……」
岡部「はぁ……仕方ない。ほら、口をあけろ1号」
クリス1「フェ?!」
クリス1「ア、アウ、アウアウ……」
岡部「どうした1号」ひょい
クリス1「ベ、ベツニ、テレテナンカナインダカラナ!」モグモグ
岡部「何を赤くなっているのだ」
クリス1「ウッサイ!」ピキー
クリス2「ムイ?」
クリス1「……サンクス」
クリス2「キター!」
クリス1「ウッサイ!」
クリス2「キュゥ」ぎゅっ
クリス1「フワァ」
クリス2「ギュー」
クリス1「ンムゥ……」
岡部「ここが楽園か……」ホロリ
クリス2「ワー」
岡部「食後は二人で@ちゃんねるか……」
クリス1「IDマッカデスネ、ワカリマス」
クリス2「プギャー」
岡部「……どっちが栗悟飯で、どっちがカメハメ波だ?」
クリス2「キュウ……」
岡部「昼寝の時間か……まぁ腹も膨れたみたいだしな」
クリス1「ウーパ!」
クリス2「ウーパ?」
岡部「分かった分かった、うーぱクッションだな」ボスッ
クリス1「プイ」
クリス2「ワーイ」
岡部「……今度もう一つ買ってくるか」
クリス1「オキタ!」
クリス2「オカベ!」
岡部「毛布をかけてくれてたのか……ありがとう」ナデナデ
クリス1「ヤメロバカオカベ!」
クリス2「エヘヘ-」
岡部「むん、1号は素直じゃないな。不快ならやめておこうではないか」
クリス1「プイッ?!」オロオロ
クリス1「アウアウ……」
クリス1「ゥゥ……」
クリス1「……」ジワ
岡部「……そう深刻な顔をするな。冗談に決まっているだろう」ナデナデ
クリス1「……バカオカベ」グスッ
クリス2「2828」
クリス「「!」」
岡部「シャワーをここに固定して、お湯を緩めて、と……」シャワー
岡部「これでよし。あとは1号、色々教えてやってくれ」
クリス1「ムゥ」
岡部「ん?」
クリス2「ミンナデハイル-」
岡部「……なっ?!」
岡部「そ、それはちょっと、なぁ……1号も、俺が入ってたら邪魔になるだろう?」
クリス1「……オカベモハイル」
岡部「ぬうぅっ!!」
クリス1「ワー」
クリス2「プー」
岡部「ほら、後ろ流すからあっちを向け」シャワー
クリス1「プイ」
クリス2「ヒャー」
クリス1「ンムー」
クリス2「オケ」
岡部「やれやれ」シャッ
クリス2「……ムイ」
クリス1「フェ?」
岡部「ん?二人ともあがったか。身体はちゃんとふけよ」
<キュップイ!
岡部「さて……む、未来ガジェット1号はどこへやったか」
クリス2「オカベー!」ぎゅっ
岡部「ぬわっ、こら、いきなり抱きつくな!」
岡部「ほら見ろ、2号も1号を見習ってだな……」
クリス1「……オ」
岡部「む?」
クリス1「オカベー!!」だきっ
岡部「ぬわー!」
クリス1「オカベー……ンフー……」
岡部「こ、これは……1号がデレ化している、だと……?!」
岡部「いかん、これでは助手にデレ殺される……!」
岡部「や、やめんか二人とも!」
クリス「「ダイスキー」」
岡部「はふん」
クリス2「オカベハー?」
岡部「俺は家に帰って寝る」
クリス2「オカベモネルー」
岡部「……さすがにそこまでは」
クリス1「オカベ、マエハネテクレタ」
岡部「むぐぅ……あの時はお前一人だからであって、今はお前もいるし……」
クリス2「オカベー」
岡部「……こ、今晩だけだからな!」
クリス1「ツンデレオツ」
岡部「お前が言うな!」
クリス2「プイ」
クリス1「キュゥ」
カチッ
クリス2「オヤスミー」
クリス1「オヤスミ」
岡部「ああ、おやすみ」
岡部「ふぅ……やっと寝入ったか」
クリス1「オカベ……」
岡部「むん? どうした1号。まだ寝ていなかったのか」
クリス1「オカベ……2ゴウガスキ?」
岡部「……藪から棒にどうした」
クリス1「2ゴウ、カワイイシ、スナオデ、ヤサシイ……」
クリス1「ワタシ、イジッパリデ、カワイクナイ……」ジワァ
岡部「……そんなことか」
クリス1「ヒャァ?!」
岡部「安心しろ。俺はどんな紅莉栖だろうと、嫌いになったりしないし、贔屓もせん」
クリス1「オカベ……」
岡部「どんな紅莉栖だろうと、俺は愛しているぞ」
クリス1「オカベェ……」
岡部「ほら、明日もはやい。さっさと寝るぞ」
岡部「ん?」
クリス1「オカベ……チュー」
岡部「なっ?! お、お前な……こんなところで急に……」
クリス1「オカベ……」
岡部「……ええい、ままよっ」
クリス1「エヘヘ……オカベ、キス……」デレデレ
岡部「まったく、ほら、さっさと寝ろ!」
クリス1「オカベ-、オヤスミ」
岡部「……ああ、おやすみ」
ガチャッ
紅莉栖「ハロー……って、岡部だけか」
岡部「んむ……」
紅莉栖「まったく……ほら、起きろ岡部」
岡部「紅莉栖……」ぎゅぅ
紅莉栖「ふえぇ?!」
紅莉栖「(何?! これは何かのどっきり?! こんな餌に釣られクマー?!///)」ドキドキ
岡部「愛してるぞ……紅莉栖」
紅莉栖「(ヒャー!///)」
紅莉栖「(ヤバス! 私今、顔ヤバイかも///)」テレテレ
紅莉栖「(お、岡部のにおい……あうぅ、こ、こんな近くで……///」スーハー
紅莉栖「(うううぅ、嗅神経から直接脳にブチこまれ……ひゅうぅぅう////)」クンカクンカ
紅莉栖「(岡部……おかべぇ……)」スリスリ
岡部「……む、いかん、転寝を……」
紅莉栖「あ」
岡部「」
岡部「……紅莉栖」
紅莉栖「ふぇ?!」
紅莉栖「(えんだあああああああああああ!!!)」
こそっ
クリス「オカベー」
愛玩少女のワゴンセール
おわり
 ̄ ̄V ̄ ̄
_
/フフ σ λ ム`ヽ
/ ノ) ~~~~ ) ヽ
゙/ | (´・ω・`)ノ⌒(ゝ._,ノ
/ ノ⌒7⌒ヽーく \ /
丶_ ノ ★ ノ、 ★|/
`ヽ `ー-'_人`ーノ
丶  ̄ _人'彡ノ
ノ r'十ヽ/
/`ヽ _/ 十∨
1号2号の言動はいろんなSSを参考にさせていただきました。
余裕があれば後々、以前のバレンタインの続きを。
前→岡部「紅莉栖、好きだ!」 紅莉栖「嘘乙」カタカタ
[14.Mar.AM10:25]
岡部「なんのかのと言っていたら、とうとうこの日が来てしまったではないか……」
岡部「バレンタインの時はルカ子やまゆりの手を借りたが、肝心な時にどこかへ行ってしまった……」
岡部「はっ、これもまさか機関の謀略か?!」
岡部「ふん……ならば、俺は機関になど屈せぬ。運命に抗ってやろうではないくぁ!!」
岡部「フフフ……フゥーハハハ!!」
ぐちゃぁ
岡部「これはひどい」
岡部「……ま、まぁ味は身をもって立証済みだが……如何せんこの奇怪なフォルム……」
岡部「ある意味、混沌を生み出す我が魔手に相応しい代物ではあるが……」
岡部「……よもや、これをプレゼントというつもりか、鳳凰院凶真……!?」ワナワナ
岡部「平常心、平常心だ我が頭脳よ……今日一日何も無いように振舞えば、この惨劇は回避されよう」
岡部「ふん……俺は世界を騙した男、IQ170の天才、鳳凰院凶真……これしきの試練を潜ることなど、造作もない!」
岡部「いざ、欺きし狡猾な邪神作戦(オペレーション・ロキ)を開始する!!」
ガチャ
紅莉栖「あ、お、おかえり岡部! ドクペ、ケースで買っておいたぞ////」ニッコニコ
岡部「」
ダル「いや、お前が言うなと小一時間」
岡部「なんだと」
ダル「牧瀬氏、ラボに着くなりそわそわして、買い物行ったり掃除したりスレ立てたり……落ち着かないにもほどがあるお」
岡部「むうぅ」
ダル「一体今日をどれだけ全裸待機してたんだと小一時間問い詰めたい。それもこれも、オカリンがもったいぶらせるからだお」
ダル「そりゃそうだお。今日までろくにラボに顔見せず、せっせと自宅でヒッキーしてたくせに」
岡部「し、仕方なかろう! あんなチョコでべったべたな姿、助手に見られてたまるか!」
ダル「その結果がごらんの有様だお」
紅莉栖「あ、岡部。洗濯物は全部やってきといたからな。食器も洗い終わってるし、そ、その、浴室も掃除しといたから//」
岡部「う、うむ……」
岡部「まるで洗脳か催眠術ではないか……あんな扇情的にされては、犯リンされても文句は言えんぞ」
ダル「それ牧瀬氏的にはジャックポットじゃね? まぁする気概もないヘタレ乙リン」
岡部「黙れダル!」
岡部「な、なんだぁクリスティーナよ」
紅莉栖「さ、最近未来ガジェットに入れ込んでたみたいだからな。か、肩がこってるんじゃないか?」
岡部「んん?! ああ、まあ、あー。 その、こってるというか、いないというかー」
紅莉栖「ほらっ、揉んでやるから、さっさと後ろ向け!」ニコニコ
岡部「のわっ?! 一々背中を叩くな!」
ダル「はじけてまざれ」
岡部「う、うむ……もう少し強くてもいいんじゃないか?」
紅莉栖「こう?」ギューッ
岡部「うおっ、い、いいのではないか……」
紅莉栖「そ、そっか。やっぱり固くなってるな」
岡部「ま、まぁ最近忙しかったからな。仕方なかろう」
紅莉栖「なんかパンパンに張ってるし……痛くない?」
岡部「別にそうでもないが……ま、まぁ、今はお前のお陰で随分楽だが……」
紅莉栖「そ、そう////」
ダル「なにこの仕打ち」
紅莉栖「んっ、べ、別にいいじゃない。あんたより私のほうが背が低いから、これぐらいでしっかり肩を掴めるのよ!」
岡部「だ、だがそのしかしだな!」
岡部「(むおおおぅ?! む、胸が!)」
岡部「(普段貧乳と煽ってはいたが、実際当てられるとこれはこれで……)」
岡部「(ぬうぅぅ! 機関からのハニートラップが予想以上だ! 至急、至急救援をおおぉぉ!!)」
ダル「もげろ」
岡部「これは今すぐ買いに行かねばなー! というわけで今k」
紅莉栖「それじゃ、ちょっと買ってくるわね。ちゃんと留守番してなさいよ?」
バタンッ
岡部「……oh」
ダル「駄目だこの牧瀬氏、早くなんとかしないと……」
岡部「む、無論だ。確かに作りはした。だが……」
ダル「なんぞ」
岡部「そこまで言うなら、この中身を見てくれ……こいつをどう思う?」
ぐちゃあ
ダル「すごく……ウェイストランドです」
岡部「そこまで言うか」
ダル「にしたって、これはないっしょ……僕だってもう少しマシに作るお」
岡部「むぐ……確かにダルは器用だからな……」
ダル「エロゲシナリオに出てくるレシピは侮れないお」
岡部「はっ! そうだ、今のうちにチョコを買いに行かねば!」
ダル「え、市販で済ますん?」
岡部「当たり前だ、こんな暗黒物質を渡せるか!」
ダル「手作りくれるの分かってるのに既製品で返す気満々とか、オカリンマジ鬼畜」
岡部「シャラァップ! ……ん? 手作りだと?」
まゆり「トゥットゥルー♪ おはよーオカリン」
岡部「おお、まゆり。最近姿を見ないと思っていたが、どうしていたのだ」
まゆり「えへへー、まゆしぃはクリスちゃんのところにいたのです」フンス
岡部「助手のところだと?」
まゆり「フェリスちゃんやルカ君と一緒にね、オカリンのチョコ作ってたの」
岡部「なん……だと……?」
まゆり「と、いうわけで、はいオカリン。まゆしぃからのチョコなのです」
岡部「あ、ああ。ありがとう……」
岡部「……ではなぁい!」
まゆり「オカリンどこいくの?」
岡部「お返しを買いにに決まっているだろう! そこまでされて、あんな酷いもの渡せるか!」
まゆり「えー……クリスちゃんかわいそうだよぉ」
岡部「し、しかし、だな」
まゆり「オカリンとチョコ交換するんだーって、がんばってたのです」
岡部「だ、だからちゃんと応えようと、それなりのものを用意してだな……」
まゆり「どんなに高いチョコでも、オカリンの手作りのほうが嬉しいはずなのです」
まゆり「オカリンも、自信持ってクリスちゃんに渡せばいいんだよ」
岡部「う、うむ……そうか……」
ダル「まゆ氏マジ天使」
岡部「えっ」
まゆり「まゆしぃもとらのあな行ってくるのです」
岡部「えっ」
ダル「正直これ以上あのだだ甘空間につき合わされたら、アヘ顔Wピース晒してストレスがマッハだお」
まゆり「えへへー。オカリン頑張ってねー」
岡部「なにそれこわい」
まゆり「クリスちゃんトゥットゥルー♪」
紅莉栖「丁度良かった。はい、からあげ」
まゆり「? ありがとー。冷やしとくねー」
ダル「それじゃオカリン、アディオス」
まゆり「クリスちゃんもがんばってね」
紅莉栖「ふぇっ?! え、ええ////」
岡部「」
岡部「……」
紅莉栖「……」
岡部「あー、その、なんだ、助手よ」
紅莉栖「な、なに?」
岡部「……い、いや、なんでもない。気にするな」
岡部「(くそっ、面と向かってチョコを渡すなどと言える訳ないではないか!)」
岡部「ぬおっ、な、なんだセレセブよ!」
紅莉栖「セレセブ言うな! その、さ。きょ、今日って、何の日か覚えてる?」
岡部「きょ、今日か、そう、今日な。そうだな」
岡部「今日は3月14日であるからして、今日が何の日かといえば……」
紅莉栖「(wktk)」
紅莉栖「それじゃなくて」
岡部「あ、ああ、あと電車男が最初に書き込んだのもこの頃だったか」
紅莉栖「いやいやいや」
岡部「おお! アインシュタイン生誕も今日だったな!」
紅莉栖「はぐらかすにも限度があるぞ」
岡部「……ホワイトデーです」
紅莉栖「うむ」
紅莉栖「その、まゆり達にも手伝ってもらったんだけど……これ」
岡部「(ふおぉ……まばゆいばかりの包装……)」
紅莉栖「い、一応みんなで味見したから、味は確かなはずよ!」
岡部「そ、そうか」
岡部「な、何をいうか! お前からのものでいらないものな、ど……」
紅莉栖「え?」
岡部「あ、その……」
紅莉栖「お、岡部、もう一回言って?////」
岡部「う、うるさぁい!!」
岡部「……」
紅莉栖「……お、岡部」ウズウズ
岡部「なんだクリスティーナ」
紅莉栖「ティーナ禁止! べ、別になんでもないけど……」
岡部「……ふぅん! もしや助手よ、まさかこの鳳凰院凶真からチョコがもらえるなどと考えているのではないか?」
紅莉栖「!」
岡部「ふっ……先月のは単なる気の迷い……そう何度も機関の手に堕ちるほど、このマッドサイエンティスト甘くは無い!」
岡部「残念だったな助手よ! フゥーハハハ!!」
オカリン許すまじ
岡部「はは、は……は?」
紅莉栖「……」
岡部「……じょ、助手?」
紅莉栖「……」グスッ
岡部「」
岡部「……お、俺だ。機関からの攻撃が予想以上に酷く……」
紅莉栖「ぅ゛……ぇ」ヒグッ
岡部「く、クリスティーナ」スッ
紅莉栖「っ……ぅ」パシッ
岡部「……紅莉栖」
紅莉栖「……」ズビッ
岡部「……ええい! 渡せばいいんだろう渡せば!」バシッ
岡部「その……チョコだ! それ以上でも以下でもない!」
紅莉栖「え……だってあんた、さっき……」
岡部「あ、あんなの嘘に決まっているだろう! ……ただ、出来が酷すぎたから、なかったことにしたかっただけだ」
紅莉栖「……なんだ。岡部、やっぱり作ってくれたのか」
岡部「む、無論だ。貴様に貰うだけ貰っておくなど、こっちの立場がないではないか」
紅莉栖「ん……岡部のチョコ……」
岡部「こら! チョコを抱きしめるな、溶け出すだろう!」
紅莉栖「そ、そっか。……ふふ」ニコニコ
岡部「(やばい可愛い)」
岡部「あ、当たり前だ……お前のも開けるぞ」
紅莉栖「ん、どうぞ」
かぱっ
岡部「(おお……整ったフォルム、鮮やかなデコレーション、甘美な香り……パーフェクトではないか)」
岡部「(それに比べ……)」
ぐちゃあ
紅莉栖「はは……ぐちゃぐちゃだな」
岡部「うるさい。嫌なら食うな」
紅莉栖「ううん……頑張ってくれて嬉しい」
紅莉栖「ん……美味しい」
岡部「当たり前だ……貴様の味覚など知り尽くしておるわ」
紅莉栖「へ? そ、それって……///」
岡部「なっ、ち、違う! ラボメンの好みを知っておくことは、ラボを率いるリーダーとしての義務であり、それ以上の意味はない!」
紅莉栖「ふ、ふーん。そう……///」
岡部「ぬわーっ!」
岡部「お前が言うなスレは」
紅莉栖「ここよ」
岡部「ここだったか……」モグモグ
紅莉栖「……ふぅ、ごちそうさま。あとはお楽しみにしとく」
岡部「さっさと食べてしまえ。そんなものでよかったら、また気が向いたら作ってやる」
紅莉栖「ふふ、ありがと」
岡部「む……すまない」
紅莉栖「私ばっかり空回りして……迷惑だったんじゃないかって」
岡部「……心配するな。お前の迷惑など、普段から慣れきっている」
紅莉栖「なんか腹立つわね」クスクス
岡部「もう機嫌も直ったか」
紅莉栖「……甘いわよ」
岡部「ホワイトデーだけにか?」
紅莉栖「うるさい」
岡部「うおっ」
紅莉栖「今日一日甘やかせ。それでチャラよ」
岡部「む、ぐ……そ、それで気が済むなら、致し方あるまい」
紅莉栖「言っとくけど、ここ最近会ってなかったから、へぁんぱなく構ってやるからな。覚悟しなさいよ」
岡部「ふ、ふん! 貴様こそ、途中で後悔しても知らんぞ!」
紅莉栖「望むところよ!」
冷汗三斗のホワイトデー
おわり
 ̄ ̄V ̄ ̄
,...、
_,.-‐---‐''"¨τ三ミ
_ _,.-‐-'´^ー<.... ,.._ 、,/'"π丿
σ λ `‐、_'´´.._,,./ `ヽ, --'ゞ
,....~~~~" ,.-、 リ´ ,/´  ̄
_,,.._-'" _,. (´・ω・`) ..,,_ノ-''"
_/´ `ーヽ、ヽ.`ニニ´.λ'´ .{
,. '´ '{′ ; ,, ' _゙.`ーv''´ ★ |
_/〉-._,人,._,.,.'__≠''´ .',│ ,.. ' /
,'´ ヽ_,ィ /'"λ ★ } 、_, .ノ
/.'"`ー、ノー-‐へ ,ノ 《 ゙ヽ、.__.. ノ , ', リ
ヽ. 、. 、!_,-'.ー. \ヽ._ - 、._, '",)ノ
ヽ、ヽ,-'"ニ  ̄} .ヾミ゙ヽ_,'"´ /,、_〃
`ヽ._ ヽ '"〉 {ヘ, ,(`ー_,./,.-'/
``ー--''
またご縁があればよろしくお願いします。
エル・プサイ・コングルゥ
シュタゲはいいものだ
やはりオカクリはいいものだ
ちっちゃい紅莉栖の夢が見られますように
栗御飯さんまじ可愛えーっす
Entry ⇒ 2012.04.14 | Category ⇒ シュタインズゲートSS | Comments (0) | Trackbacks (0)
美希「やよいってキスしたことあるの?」
http://hayabusa.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1334155719/
美希「えっ?」
やよい「えっ?」
やよい「はいっ!」
美希「やよい…以外とあなどれないってカンジ…
ま、まさかカレシとかいたりするの!?」
やよい「えっ?彼氏はいませんよ?」
美希「カレシもいないのにキス…ま、まさか……ダメだよやよい!そういうのはやっちゃダメ!」
やよい「うー…話が見えません…」
やよい「えっと、弟たちですけど…」
美希「そっちなの!?」
やよい「えっ?そっちってどっちですか?」
美希「そういうのもダメーッ!!やよいはアイドルなんだよ!?」
やよい「あぅ…美希さんがよくわからないことになってますー…」
美希「聞きたくない、聞きたくないの」
やよい「うー…でも、勘違いされたままは嫌です!話を聞いてください!」
美希「ドロドロした世界は、や!ミキにはカンケーないってカンジ!」
やよい「さっき音無さんからおにぎりを貰ったんですけど…」
美希「聞く。いくらでも聞いてあげるの!」ミキッ
美希「うん」はむはむ
やよい「高槻家の決まりで、新しい子が生まれたらみんなでキスするんです!」
美希「へっ?なんで?」もぐもぐ
やよい「この子が幸せに、大きく健康に育ちますようにって願いを込めるんです!
最近もこうぞうが生まれたときにしたんですよー。えへへ~♪」
美希「…やよい……」ごっくん
やよい「はい?」
美希「ごめんなさい…ミキが間違ってたの…」
美希「ありがとう、やよい。うぅ…ミキは心が汚れちゃってるの…」
やよい「そんなことないですっ!」
美希「えっ…?」
やよい「美希さんはとーってもキレイですよー!優しいから大好きだし
一緒にお仕事したら、気合いがわーってなってうっうーって感じですー!」
美希「やよい…。ミキもやよいのこと大好きなの!」
やよい「えへへー♪じゃあいつものをやりましょう!」
美希「うんっ!」サッ
やよい「それじゃあいきますよー…はい、たーっち!」サッ
やよい・美希「いぇいっ!!」
パァン!
やよい「私も特売の時と同じくらい、メラメラ~って感じですっ!」
美希「…今日は仕事…無いけどね……」
やよい「うぅ~……」
やよい「トレーナーさん、肉離れって言ってましたよね?大丈夫なのかな…」
美希「うーん…それにしても、肉離れってなんだろ?」
やよい「肉が逃げちゃうんでしょうか?うぅ~…特売品が逃げちゃったら耐えられないかも…」
美希「ミキ的には、身体の肉がちぎれて…こう血がいっぱい…」
やよい「はわっ!こ、怖い話はやめてくださいーっ!!」
美希「あはっ☆やよいは怖がりなの!」
やよい「………」ムスッ
美希「やよいってばー!」ユサユサ
やよい「………」つーん
美希「…かわいいのーっ☆」ガバッ
やよい「はわっ!?だ、抱き付くのはやめてくださいー!!」
美希「ん~♪」ぎゅーっ
美希「そうだねー。なんか勝手に大きくなっちゃったの!」
やよい「うー…ちょっとうらやましいかも…」
美希「やよいはそのままの方がいいって思うな」
やよい「なんでですかー?」
美希「その方がみんな幸せなの」
やよい「…う~…?」
やよい「そうですかー?でも新幹少女の人に…」
美希「あの後春香と千早さんとデコちゃんと響がやってくれたから、そこは心配しなくてもいいよー」
やよい「????」
美希「気にしなくていいの☆
特に、千早さんに好かれてるのがちょっと羨ましいかな…」
やよい「あれ?美希さんも千早さんと仲いいですよね?」
美希「ミキは…千早さんにライバルみたいに見られてるの
ミキも千早さんに抱きついたりしたいのに、なんか…ふいんき?的に出来ないっていうか…」
美希「そうなの?」
やよい「はいっ!今日のダンスはすごかったとか、音程が完璧だったとか…」
美希「お仕事のことばっかりなの…」
やよい「え、えっと…他には……ありました!
いい匂いがしたから、どんなシャンプー使ってるんだろう、とか…」
美希「ミキに直接聞いてくれれば教えてあげるのに~…」
やよい「きっと照れてるんじゃないかなーって!」
美希「あっ……そうかも。あはっ☆じつに千早さんらしいの♪」
美希「ありがとうなの!ミキ、おしゃれには気を遣ってるから、そう言ってもらえるのは嬉しいな☆
やよいはおしゃれとかあんまりしないの?」
やよい「してみたいですけど…うちはお金が…」
美希「あ、そっか。ん~……決めた!今度ミキがやよいのおしゃれをプロデュースしてあげるの!」
やよい「えっ!?で、でも私…」
美希「お金のことは心配しなくていいの!今度のオフにデコちゃんも誘って行こう!」
やよい「伊織ちゃんもですか?うぅ~…そんな急に決めて怒らないかなあ…」
美希「デコちゃんは優しいから大丈夫だと思うな♪」
やよい「でも……」
美希「じゃあ…いつでもいいから、やよいの家のもやし祭りにミキも参加したいな!」
やよい「はいっ!それなら大歓迎ですー!」
やよい「うわ~…すごいですー…」
美希「どたぷ~んなの…。さすがみんなの憧れのお姉さんってカンジ」
やよい「美希さんにとってもお姉ちゃんなんですか?」
美希「うん!あずさはお姉ちゃんと歳も近いし、ミキ的には新しいお姉ちゃんみたいな?」
やよい「私はお姉ちゃんって言うより…」
美希「お母さん?」
やよい「はい!」
美希「それ、本人の前で言わない方がいいと思うな…」
やよい「???」
美希「そうなの!ミキもあずさの…ビブラート?を真似してみたことあるんだよ!」
やよい「ええっ!?真似できるんですか!?」
美希「うん!えっと、CDは…あった!ほら、これだよ!」
やよい「わぁ~…すごく大人っぽいです!うっうー!美希さんすごいですー!」
美希「ミキは意識して真似してみただけだよ?」
やよい「真似できるだけでもすごいです…」
美希「ん~?」
やよい「美希さんって、お姉ちゃんいるんですよね?」
美希「そうだよー?」
やよい「次女ですよね?妹ですよねっ?」
美希「うん。そうだけど……はっ!?」
やよい「私は長女です!お姉ちゃんなんですっ!えっへん!」ドヤッ
美希「む~!なんだか悔しいの~っ!!」
やよい「べろちょろです!」
美希「かわいいよね、べちょろろ」
やよい「もうそれでいいですー…。べろちょろは春香さんに作ってもらったんですよ!」
やよい「べろちょろになる前は普通のポシェットだったんですけど、それがボロボロになっちゃって…
春香さんと春香さんのお母さんが一緒に作り直してくれたんですっ!」
美希「そうだったんだ…。優しいね、春香は」
やよい「はい!私も春香さんのこと、お姉ちゃんみたいだなーって!」
美希「ミキにもいっぱいお菓子とかくれるし、ミキも春香が大好きなの!」
美希・やよい「えへへ~♪」
やよい「うー…そういうのはまだよくわからないかも…
美希さんはプロデューサーのことが好きなんですよね?」
美希「そうなの!ハニーはミキをいっぱいキラキラさせてくれて、感謝してもしきれないってカンジ!」
やよい「私もプロデューサーのことは頼りにしてますけど、そういうのとはちょっと違うかなーって」
美希「やよいの友達とかはどうなの?」
やよい「友達の中子ちゃんも右子ちゃんも、テニス部の先輩がかっこいいって言ってますけど…私は……」
美希「やよいは?」
やよい「真さんの方がかっこいいかなーって!」
美希「うん、真クンなら仕方ないの」
やよい「う~…好きな人っていうのが、どうやって判断したらいいのかわかりません~…」
美希「んーと…家族以外で一緒にいて楽しい人とか」
やよい「友達とか事務所のみんなです!」
美希「一緒にいることの多い人とか…」
やよい「事務所の誰かかなー?」
美希「一緒にいるとドキドキする人とか…」
やよい「伊織ちゃんといると、いつツッコミをされるかドキドキします!」
美希「それも違うって思うな」
やよい「うー…どうなんでしょうか…」
美希「じゃあもうミキが当てちゃうね?えっと、やよいの答えを合わせると…
……やよいの好きな人はデコちゃんなの!」
やよい「そ、そうだったんですかー!?」
美希「ミキ的には違いないって思うな。愛に性別はカンケーないの!」
やよい「そっか……私、伊織ちゃんが…」
美希「なーんて♪もちろん冗談なのー!」
やよい「伊織ちゃん…うぅ…伊織ちゃんのことを考えたらドキドキしてきたかも…」
美希「えっ」
美希「む~……」
やよい「あのっ、美希さん!私…どうすればいいんでしょうか?
伊織ちゃんに気持ちを伝えたいんですけど、ちょっと怖くて……」
美希「ダメーっ!」
やよい「えっ?」
美希「伊織を取っちゃ、や!ひとりじめしちゃダメなの!」
美希「えっ?」
やよい「美希さんの冗談に、私も冗談で返してみましたー!」
美希「ひっ、ひどいの!やよいに美希のジュンジョーを弄ばれたの!!」
やよい「じゅんじょー?ってなんですか?」
美希「と、とにかくあんまりだよ!」
やよい「はわっ、ごめんなさい~…」
美希「…反省したなら許してあげるの」
やよい「ふわぁ~…。美希さんのあくびを見てたら、何だか私も眠くなってきちゃいましたー……」
美希「やよい、一緒に寝よっか?」
やよい「ソファーでですか?」
美希「うん。狭くても、くっつけばきっと平気なの!」
やよい「じゃ、じゃあ…失礼しますね…」
ぎゅっ
美希「あはっ☆やっぱりやよいはあったかいの!」
やよい「うぅ~…私は抱き枕なんですね……」
やよい「うぅ…ちょっとドキドキします~…」
美希「あふぅ…ミキはドキドキより眠いの…。おやすみ~」
やよい「み、美希さん?」
美希「すぅ…すぅ……」
やよい「はわっ、もう寝ちゃったー…。ちょっと羨ましいかも…
ふわあ~…。私も眠くなってきたかも……よいしょっと」ぎゅっ
やよい「美希さん、おやすみなさーい…」
伊織「ただいまー!…ってあら?」
やよい「すぅ…すぅ……」
美希「むにゃむにゃ…貴音ぇ…おにぎりをラーメンに漬けたら崩れちゃうの……」
伊織「まったく…人が一仕事終えて帰ってきてるのに、気楽なものね!
…美希…よだれ垂れてるわよ……」フキフキ
美希「…ん~……なんだかデコちゃんのデコ圧がするの…」ムクッ
やよい「ふわぁ~あ……伊織ちゃんの匂い……あ、伊織ちゃん!お帰りなさい!」ムクッ
伊織「な、何で私が来たら起きるのよ!?あと美希!デコちゃん言うなっ!それとデコ圧って何なの!?」
伊織「今日はもう家に帰るだけだけど…」
やよい「美希さんはどうですか?」
美希「ミキも大丈夫だよー?」
やよい「じゃあ二人とも、私の家にご飯を食べに来ませんか?もやし祭りをごちそうしたいかなーって!」
美希「行く!行くの!!おにぎりもいっぱい買って行こっと♪」
伊織「あら、そういえば今日はちょうど木曜日ね。いいの?」
やよい「うんっ!みんなで食べた方がおいしいからね!」
伊織「あのソースは絶品よ!ウチのシェフにも負けないんだから!」
やよい「伊織ちゃん、褒めすぎだよ~」
伊織「あら、私は料理に関して嘘は付かないわよ」
美希「デコちゃんがそんなに褒めるなんて…ますます楽しみになっちゃったの!」
やよい「うぅ~…なんだか恥ずかしいですー…」
美希「ミキもー!」
やよい「じゃあ今から私の家に行きましょー!」
伊織「ええ。あの味が楽しみだわ。にひひっ♪」
美希「楽しみ過ぎてなんだか緊張ぎみなの…。ね、早く行こ?」
やよい「はいっ!楽しい楽しいパーティの始まりですっ!!」
やよい、あのソース最高だったの!」
伊織「でしょ?うちのシェフにも覚えさせてあげたいくらいだわ!」
やよい「えへへ…お粗末さまでした!」
美希「それにしても、デコちゃんのポスターが貼ってあったのにはびっくりしちゃった!」
やよい「あれは長介が……や、やっぱりなんでもないですっ!」
伊織「何よ。長介がどうかしたの?」
美希「……あはっ☆デコちゃんは罪な女なの!」
伊織「はぁ?」
やよい「…長介、伊織ちゃんのファンになっちゃったみたいなんです」
美希「デコちゃんいいな~。じゃあ次は、ミキのファンにしてあげるの!」
やよい「はわっ!それだと私を応援してくれなくなっちゃいます~!」
伊織「それは無いから安心しなさい」
美希「なの!やよいの家族は最高に仲良しってカンジ!」
やよい「あぅ…な、なんだか照れちゃいます~……」
やよい「うん!伊織ちゃん、今日は楽しかったよ!」
伊織「私も……。じゃあやよい、おやすみなさい。ほら美希、アンタもついでに送ってあげるわ」
美希「えっ、いいの!?デコちゃんのおでこが光り輝いて見えるのー!」
伊織「そういうのは余計だって言ってるでしょ!?」
やよい「あはは…。それじゃあ伊織ちゃん、美希さん!おやすみなさーい!」ガルーン
美希「やよい、今日はありがとね!おやすみなの!」
伊織「おやすみ、やよい。また明日ね♪」
でもすっごく楽しかったし、ますますやる気出てきたかもー!
うっうー!明日からもがんばろーっと!!」
おわり
だが続きを読みたい
乙。
Entry ⇒ 2012.04.14 | Category ⇒ アイマスSS | Comments (0) | Trackbacks (0)
恒一「クラスの女の子達に告白してその反応を見てみたい」
http://hayabusa.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1334226805/
恒一「それとも告白されたら恋愛感情が無くても嬉しいって思うのだろうか?」
恒一「もしかしたら僕のことが好きだって女の子も…って転校してきたばかりでそれはないか」
恒一「……」
恒一「とりあえず望月で試してみようかな」
恒一「望月を屋上に呼び出そう」
望月「ううん。全然大丈夫だよ」
望月「ちょうど一息入れようかなって思ってところだから」
恒一「そっか、それなら良かった」
望月「それよりもどうしたの?改まって屋上に呼び出したりなんかして?」
望月「クラスじゃ言えない用事?」
恒一「うん…出来れば二人っきりの場所でこの想いを伝えたかったんだ」
望月「?」
恒一「僕…望月のことが好きなんだ!」
望月「……」
望月「えぇっ!?」
恒一「……」
恒一「なるほど」
恒一「やっぱり恋愛感情の無い相手から突然告白されても戸惑っちゃうだけなんだな」
恒一「女の子みたいな顔をしてる望月がこういう反応をするんだ」
恒一「きっと、他の女の子たちだったらもっと慌ててしまうんじゃないだろうか?」
望月「あ、あっ!そ、そっか!」
望月「と、友達として好きってことなんだね!」
恒一「いや一人の男性として望月のことが好きなんだ」
望月「~っ!?」
望月「そ、そんな…ダメだよ…僕達男の子同士だよ…」
望月「で、でも…榊原くんだったら…別に良いかな…」ゴニョゴニョ…
恒一「……」
望月「…えっ?」
恒一「ありがとう、望月。良いデータが取れたよ」
恒一「部活頑張ってね。それじゃあ」スタスタ…
望月「……」
望月「…えっ?」
恒一「実際、女の子に冗談の告白をしようとなると少々気が引けてしまう…」
恒一「……」
恒一「いや」
恒一「綾野さんのあの天真爛漫なノリなら、たとえ真面目な告白をしたとしても冗談で済ませられるぞ!」
恒一「綾野さんを呼び出そう」
綾野「ううん!全然大丈夫だよー♪」
綾野「それよりもなにー?女の子を突然屋上に呼び出したりなんかしてー?」
綾野「もしかして、愛の告白でもされちゃうのかなー?」
恒一「……」
綾野「えへへっ♪なーんて…」
恒一「そっか…綾野さん…僕の気持ち気づいてたんだ…」
綾野「……」
綾野「…えっ?」
恒一「初めて話した時からさ、なんて元気で明るい子なんだろうって思ってた…」
恒一「これからこんな子と毎日を一緒に過ごせるなんて凄く楽しいんだろうなって…」
綾野「……」
綾野「(えっ?えっ!?こ、これって…)」
恒一「今、思えばさ初めて話した時から僕は…)」
綾野「(まさか、ホントに…!?)」
恒一「綾野さんのことが好きだったのかもしれない…」
綾野「(愛の告白ー!?)」ドッキーン
綾野「……」ゴクリ…
恒一「好きだ、綾野さん」
綾野「~っ!!!」
綾野「(ほ、ホントに告白されたー!!)」
綾野「(そっかぁ…///そうだったんだぁ…///)」
綾野「(こういっちゃんも、私のことが…///)」
綾野「え、えへへ…///」
恒一「……」
恒一「(顔を真っ赤にして、はにかんでいる)」
恒一「(これは素直に僕の告白に対して喜んでくれているということだろうか)」
恒一「(やっぱり女の子は好きでもない男の子からでも告白されたら嬉しいものなんだな)」
恒一「(告白を素直に喜んでくれて、はにかむ綾野さん)」
恒一「(とっても可愛いな)」
恒一「……」
綾野「あ、あっ!ご、ごめんね、こういっちゃん!」
綾野「わ、私ったら浮かれちゃって返事もせずに…」
恒一「いや、大丈夫だよ」
綾野「そ、それでね!告白の返事なんだけど、もちろん…!」
恒一「わざわざ、こんな冗談に付き合ってもらってありがとね」
綾野「おっけー…」
綾野「……」
綾野「…えっ?」
綾野「え…えっ?」
榊原「ありがとう、参考になったよ」
ガシッ
榊原「へ?」
綾野「待ってよ、こういっちゃん……どういうこと……? こういっちゃんは私が好きなんだよね……?」
榊原「ううん、違うよ。」
綾野「う、嘘」ウルウル
榊原「僕はただ綾野さんのリアクションを見たかっただけだよ」
綾野「…」グスッ
榊原「!?」
榊原「あ、綾野さん…」
榊原(まさかネタバラシで泣くだなんて……計算にいれてなかった…)
綾野「……こういっちゃんは私のことが嫌いだからこんなことするんだ…」グスッ
榊原「そ、そんなことないよ! ほら、嫌いだったらリアクションが見たいとか思わないでしょ?」アセアセ
綾野「……ほんと?」ウルウル
榊原「うん、本当だよ」
綾野「……なら」
榊原「?」
綾野「……私のこと、好きって言ってくれる?」ウルウル
榊原「」
榊原「え、えーと…」
綾野「……やっぱり嫌いなんだ…」グスッ
榊原「ち、違うって!」
綾野「……なら」
榊原「あー、もう分かったよ!」
綾野「……こういっちゃん」ウルウル
榊原「ぼ、僕は綾野さんが好きだ!」///
榊原(僕、何言ってんだろう……)
綾野「こういっちゃん!」ダキッ
ムニュ
榊原「うっ、あ、綾野さん?」///
榊原「あ、綾野さん…」ドキドキ
綾野「こういっちゃんが好きっ!」///
榊原「…うぅ」///
榊原(まさか、逆に告白されるだなんて)
綾野「両想い、だね…」///
榊原「…」
榊原(……別に僕はそれほど…)
綾野「これからもよろしくね?」/// ニコッ
榊原(……もう諦めよう)
やはり世の中イケメンか……
榊原「ふぅ…まさかあんな事になるなんて…」
榊原「次からは気をつけないと…」
綾野「こういっちゃんー♪」ダキッ
榊原「あ、綾野さん……近いよ」
綾野「えへへー」///
小椋「やめなよ、彩……こういっちゃん、こういっちゃん、ばっかり……榊原君に迷惑だよ」
榊原「……」
小椋「もう…」
榊原(小椋さん、か……良いかも知れないな)
綾野「? こういっちゃん? どうかした?」
榊原「あ、ううん、何でもないよ」
榊原(よし、次は小椋さんに告白してみよう!)
榊原(…よし、行くか)
榊原「小椋さん、ちょっと良いかな?」
小椋「え? な、何」
小椋(さ、榊原君に話しかけられた…)///
綾野「どうしたのー、こういっちゃん?」
榊原(やはり綾野さんも来るか……)
榊原「ちょっとね、聞きたいことがあってさ」
小椋「き、聞きたいこと?」///
綾野「えー、なんで由美に…」シュン
榊原「…実はさ」ボソボソ
綾野「…何?」
榊原「勅使河原が小椋さんに告白するんだよ……それで屋上に連れてきてくれって頼まれちゃってさ…」ボソボソ
綾野「……何だ、そんなことかー…もう」ホッ
榊原(ごめん、勅使河原…)
小椋「?」
榊原「小椋さん、ちょっと屋上に来てくれる?」
小椋(屋上って、もしかして…)///
小椋(まさか、ね……)///
屋上
榊原「ごめんね、こんなところまで連れてきちゃって」
小椋「いいよ、全然。そ、それで話って何?」
榊原「う、うん、実はさ…」
小椋(何だろう……やっぱり彩についての相談とかかな……)
榊原「僕、小椋さんが好きなんだ」
小椋「そうだよね……やっぱり彩のことが、って」
小椋「え?」
榊原「僕は小椋さんが好きなんだ」
小椋「え…」///
小椋(う、嘘……私、榊原君に告白されてる!?……ちょっと待って)
小椋「あ、あぁ、分かった、友達として、だよね?」
榊原「違うよ、異性としてに決まってるじゃないか」
小椋「」///
小椋「で、でも、私たちそんなに接点もないし……会話も彩がいるときだけしかしてなかったよ?」
榊原「それはその……恥ずかしくて話しかけられなかったんだ」テレッ
榊原「うん…本当だよ…」
榊原(小椋さん、顔が真っ赤だよ……もしかして告白されたことないのかな……)
小椋「うぅ」///
小椋(初めての告白が榊原君からだなんて……嬉しくてもう何が何だか…)
榊原「ごめん、迷惑だった?」
小椋「…ううん、そんなことないよ」///
榊原(……良い、良いよ、その反応…小椋さんは面白いなぁ…)
小椋「……う、うん」
小椋(……私ついに榊原君と……)
小椋「わ、私…」///
榊原「ふふっ」
小椋「…榊原君?」
榊原「……面白いなぁ、小椋さんは…我慢できないよっ…ふふふっ」
小椋「…?」
小椋「か、可愛っ…」///
小椋「ってそうじゃなくて!」
小椋「……なんで笑ってるの?」
榊原「ごめん、嘘なんだ」
小椋「…え?」
榊原「何って、今の告白だよ。ただの冗談だったんだけど」
小椋「…」
榊原「思いのほか、良いリアクションするんだね、小椋さん」
小椋「…」
榊原「小椋さん?」
小椋「嘘」
榊原「え?」
榊原「い、いや……だから冗談……」
小椋「嘘、だよね?」ミシミシ
榊原「…っ」
榊原(か、肩が痛い…)
榊原「お、落ち着きなよ、小椋さん!」
小椋「嘘だと言って…」
榊原「い、いや…それは」
小椋「ね?」ニコッ
小椋「で、どうなの、榊原君?」
榊原「……ごめん、嘘です」
小椋「もう、榊原君はお茶目だなぁ…」///
榊原「…ははっ」
榊原(もう駄目だ)
小椋「榊原君は私のこと好きだよね?」///
榊原「……うん」
小椋「私も大好きだよ…」///
榊原(…どうしよう)
屋上
榊原「はぁ…やばいよ」
榊原(教室にいたら綾野さんと小椋さんにずっと話しかけられるから落ち着けない…)
榊原(トイレって言って抜け出してきたけど……戻るのが嫌だなぁ……)
榊原(でもこんなことでは諦めないぞ……今度こそは気をつけて告白しよう)
見崎「どうしたの榊原君」
榊原「あ、見崎」
見崎「別に。何となく」
榊原「何だ、僕を探しに来たとかじゃないの?」
見崎「違う、榊原君自意識過剰」
榊原「ははっ」
榊原(何か、見崎と話すの久しぶりな気がするなぁ……)
榊原(……そうだ、見崎に告白するのはどうだろう)
榊原(見崎と僕の仲なら冗談で済むだろうし)
榊原(よし、告白しよう!)
見崎「なに」
榊原「見崎はさ、僕のことどう思ってる?」
見崎「え…」
榊原「やっぱり、答えにくいかな」
見崎「…そんなこと聞いてどうするの」
榊原「いや、聞きたかっただけ。ちなみに僕は見崎のこと好きだよ?」
見崎「!?」
榊原「……」
榊原(見崎のあんなに驚いた顔初めて見たよ……やっぱり見崎でも告白されたら反応するんだね)
榊原「ははっ、なんてね」
榊原(今回はこれくらいに…)
見崎「今なんて」
榊原「え?」
見崎「もう一回言って」
榊原「ど、どうしたの、見崎?」
榊原「え?だから冗談……」
見崎「言ったよね」
榊原「……」
榊原(……見崎の目が怖い)
見崎「榊原君は私が好きなんだよね?」
榊原「い、いや……」
見崎「ね」ジー
榊原「…………」
榊原「……うん」
見崎「……私も好き」/// ギュー
榊原「……ありがとう」
榊原(あれ、どうしてこんな事に)
自宅
榊原「どうしよう……」
榊原(昨日は散々だった……やたらと見崎、綾野さん、小椋さんが話しかけてくるし……授業中もずっと視線を感じっぱなしだった……)
榊原「とりあえず学校休んだし、安心だよね」
榊原(明日になったら、みんなも落ち着いてるだろう)
榊原「」ビクッ
榊原「誰だろ……」
榊原(今は僕しかいないし、僕が出ないと…)
ピンポーン
榊原「…はいはい」
ガチャッ
赤沢「大丈夫、恒一君? お見舞いに来たわよ」
榊原「……なんだ、赤沢さんか」ホッ
赤沢「な、なんだって何よ! せっかく来てあげたのに失礼じゃない!」
榊原「あ、いや、赤沢さんで安心したよ」
赤沢「あ、安心?」テレッ
榊原「うん」
榊原(見崎達だったら、と思うと…)
榊原「あ、うん。もうすっかり良くなったよ」
榊原(元々元気だったけど)
赤沢「そう、なら良かったわ」
榊原「ありがとう、心配してくれて」ニコッ
赤沢「ま、まぁ、対策係なんだから当然よ!」///
榊原(対策係関係あるの?)
榊原(誰もいない僕の部屋で2人っきり……僕が学校を休んだら、赤沢さんはお見舞いに来てくれた……)
榊原(これは告白のチャンスじゃないかな?)
榊原(面白いリアクションが期待できそうだし…やってみよう!)
榊原「いや、なんでもないよ…」
赤沢「そう……」
榊原「……」
赤沢「……」
榊原「……」
赤沢「……」
赤沢(き、気まずい……なんで黙ってるのかしら……)
赤沢「あ、あぁ、もうこんな時間ね! そろそろ帰るわ!」
赤沢(し、仕方ないわよね……2人きりの時間は惜しいけど……この気まずさには耐えられないし…)
ガシッ
赤沢「!?」
赤沢「ど、どうしたの恒一君?」///
榊原「いや、そのさ……」
赤沢「?」
榊原「もう少し一緒にいて欲しいなと思って」テレッ
赤沢「」///
赤沢(恒一君に求められてるなんて……素晴らしいわね……)
榊原「……」ギュ
赤沢「ぁ、あの…」
赤沢「そんなに強く握られると少し恥ずかしいわ……」///
榊原(楽しいなぁ……いつもムスッとしてる赤沢さんがこんな表情を見せるなんて…)
赤沢「こ、恒一君?」
赤沢「あんまり見つめないで…その…恥ずかしいから…」///
榊原「あぁ、ごめん」テレッ
赤沢「…」///
榊原「……あのさ、1つ聞いていい?」
赤沢「な、なに」
榊原「赤沢さんってさ……好きな人いる?」
榊原「ははっ、その様子だといるみたいだね」
赤沢「」///
榊原「……僕もいるんだ、好きな人」ボソ
赤沢「え…」
榊原「誰か、知りたい?」
赤沢「……」
赤沢「……」コクリ
榊原「…赤沢さんだよ」ギュッ
赤沢「!?」
榊原「……」
榊原(ふふふ、これだよ、これ……いい反応だったよ、赤沢さん)
赤沢「わ、私も……」
榊原「なんて…そんなわけないよね」ニコッ
赤沢「え?」
榊原「はははっ、ごめんね赤沢さん……全部冗談だよ、冗談」
赤沢「冗…談……?」
赤沢「そんな……」
赤沢「こ、恒一君は私が好きなんじゃ……!」
榊原「うーん……赤沢さんは嫌いじゃないけど、そこまでだよ」
赤沢「……」
榊原「あれ?どうしたの、赤沢さ…」
バシッ
榊原「へぶっ!?」
赤沢「……絶対に許さないから」
榊原「ひっ」ビクッ
赤沢「何が冗談よ…私の気持ち踏みにじって楽しいの!?」
バシッ
榊原「ぶふっ」
赤沢「恒一君には私の気持ちは分からないんでしょうね!」
バシッ
榊原「へぶっ」
赤沢「私の気持ちの重さを思い知りなさいっ!」
榊原「ま、待って、赤沢さん! あ、謝るから! 何でもするから!」
赤沢「」ピクッ
榊原「……あ」
赤沢「今、何でもって言ったわよね!?」
榊原「い、いやそれは…」
バシッ
赤沢「言ったわよね?」
榊原「はい、言いました」ヒリヒリ
赤沢「じゃ、じゃあ…」
榊原「……」
榊原(嫌な予感しかしないんだけど)
赤沢「わ、私と付き合いなさいよ」///
榊原「」
バシッ
赤沢「ね?」
榊原「うん、これからよろしく」ヒリヒリ
榊原(…もう、いいかな…)
赤沢「ふふっ、明日からが楽しみだわ♪」///
榊原(大丈夫かな…僕)
赤沢「♪」ギュー
榊原「はぁ……嫌だなぁ……」ボソ
榊原(もう教室入る前から嫌な予感しかしない……赤沢さんはしっかり抱きついてるし……)
榊原「仕方ない、か…」ボソ
榊原(覚悟を決めて行くしかない)
ガラッ
榊原「……」
赤沢「♪」ギュー
榊原(やっぱりざわつくなぁ…)
オイオイ ナンデアカザワガ サカキズルイゾ ヒューヒュー マカセロー ナカイイネー ネー オイ サカキバラ バクハツシロー
榊原(でも、それより……)
見崎「…」
小椋「…」
綾野「…」
榊原(あの3人だよね……)
榊原「…みんなが…ね」
榊原「…いや、なんでもないよ」
榊原(どうなっちゃうんだろう…)
赤沢「?」
榊原「……」
綾野「こういっちゃん?」
榊原「」ビクッ
綾野「こういっちゃんは私が好きなんだよね?……なのに何でそんな無能と一緒にいるのかなぁー?」
榊原「…」
赤沢「ちょっと! 誰が無能よ!」
赤沢「」ビクッ
綾野「それにこういっちゃん最近由美ともよく話すようになったよね? なんでかなー?」
榊原「…」
小椋「榊原君が私を好きだから。だよね榊原君?」
綾野「由美には聞いてないんだけど」
小椋「話しかけないで、私は榊原君と話してるの」
綾野「……」
小椋「……」
綾野「ねぇ、こういっちゃんは私が好きだよねー?」ガシッ
小椋「私だよね? 榊原君」ガシッ
榊原「……い、いや…あの」
バシッ
見崎「……榊原君が困ってる。離れて」
綾野「どいてよ」
小椋「邪魔」
見崎「邪魔はあなた達」
見崎「私は落ち着いてる。落ち着きがないのは2人だけ」
綾野「何、自分が上とでも言いたいの? でも残念、こういっちゃんが好きなのは私だから」
小椋「調子に乗らないで、彩」
榊原(もう、駄目だ…)
綾野「うるさいっ! こういっちゃんは私のものだ!」
シュッ
小椋「きゃっ…」
榊原(な、ナイフ……)
榊原「綾野さん、駄目だよ、そんなことしたら!」ガシッ
榊原「だ、駄目だよ…」ガシッ
綾野「離してよっ」ブンッ
榊原「あ、危な…」
ザクッ
綾野「……え?」
榊原「あ、あれ…」フラッ
小椋「榊原君っ!」
ドサ
キャー サカキー サカキバラ オイシッカリシロ ダレカ センセーヨベー マカセロー
榊原「う、うぅん………あれ…?」
赤沢「こ、恒一君!? 良かった、目が覚めたのね…」グスッ
榊原「ここは……?」
赤沢「あ、安心して、ここは病院だから…」
榊原「……あぁ、そうか僕…」
榊原「他のみんなは?」
赤沢「3人とも警察よ」
榊原「…え?」
榊原「……そっか」
赤沢「休学扱いになるらしいわ…」
榊原「……」
赤沢「恒一君?」
榊原(助かったぁぁぁぁぁぁぁ!僕は助かったんだ! これで安心して学校に通えるよ!)
赤沢「どうしたの? 妙に笑顔だけど」
榊原「ううん、なんでもない」ニヤ
赤沢「恒一君もしばらく休学扱いね。でも心配しなくて大丈夫よ」
榊原「…?」
赤沢「わ、私が毎日お見舞いにきてあげるから」///
榊原「あ、うん」
榊原「ノートのコピーとか頼むよ」
赤沢「任せて!何たって私は対策係なんだから!」
榊原(だから、関係ないよね対策係)
榊原「ん、僕の携帯だ」
榊原「ごめん、赤沢さんとってくれるかな」
赤沢「はい」スッ
榊原「ありがとう…ん? 見たことない番号だな…」
p
榊原「はい、もしもし?」
『………………………絶対許さないから』
お
わ
り
眠すぎて最後の方自分でも何書いてるか分からなくなったわ
乙でした
まぁ、仕方ない感じ
また機会があれば今度は普通にイチャラブが書きたいな
Entry ⇒ 2012.04.14 | Category ⇒ AnotherSS | Comments (0) | Trackbacks (0)
結衣「綾乃、今までの罰金を体で払うよ」
http://hayabusa.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1333772183/
綾乃「あら、船見さんがココへ来るなんて珍しいわね」
結衣「あ、うんちょっと綾乃に用事があって」
綾乃「私に用事?」
綾乃「ふふふ、それなら誰もいないしちょうどよかったわ」
綾乃「いまお茶でも淹れるから、そこに座っててくれる?」
結衣「い、いやおかまいなく!」
綾乃「いいからいいから、ちょうどいい茶葉が入ったの」
結衣「……」
綾乃「船見さん?」
結衣「あっ、うん、ありがとう……」ズズッ
結衣「あちち!」
綾乃「なんからしくないわね、上の空というか」
結衣「そ、そうかなぁ……あはは」
綾乃「それにほんのり頬も赤くなってるし」
結衣「き、気のせい気のせいだよ!」
結衣「……」ズズッ
綾乃「なんかばつが悪そうな顔してるわね……」
綾乃「また歳納京子が変なことやらかしたのかしら」
結衣「……」ズイッ
綾乃「ちょ、ちょっと顔が近いわよ!」
結衣「あ、綾乃!!」
結衣「今までの罰金バッキンガム、体で払わせてくれないかな……」
綾乃「なっ!?」
結衣「なにって、その……」
綾乃「た、確かに罰金バッキンガムとは言ってたけど」
結衣「ぷっ、ふふ……」
結衣「あ、うんだからその罰金を体で」
綾乃「か、体ってそんなの不純よ!!」
綾乃「そんなのダメダメ、ぜーったいに溜池山王駅よ!!」
結衣「……不純?」
綾乃「ど、どうしてって、そんなの……」
結衣「私は普段綾乃にごらく部がお世話になってるから」
結衣「ただその恩返しが出来ればって……」
結衣「それで綾乃が喜んでくれればって思ったんだけど」
綾乃「でっ、でもそんな体で返すなんて!」
結衣「……私じゃダメかな?」
結衣「私じゃ、綾乃を満足させてあげられないかな」グスッ
綾乃「うっ……そんな言い方されたら」
綾乃「で、でも……」
結衣「全部私に任せてもらってもかまわない」
結衣「いつもごらく部を面倒見てくれるお礼だよ、ありがとう綾乃」
綾乃「……」
綾乃「船見さんは、私のことが好きなの?」
結衣「……へっ?」
結衣「そりゃ好きか嫌いかで言ったら、もちろん大好きだよ」ニコッ
綾乃「そっ、そう……」
綾乃「そ、それなら、いい……のかしら」
結衣「いいんだね、ありがとう綾乃」
綾乃「でっ、でも二つだけ約束してくれる?」
結衣「うん?」
綾乃「絶対に、他の人たちには言わないこと」
結衣「あぁもちろんだよ、コレは私たちだけの秘密」
綾乃「あ、あとは優しくして……」ギュッ
結衣「……優しく?」
綾乃「わっ、わたしこういうこと初めてだから!」
綾乃「……だからその」
結衣「わ、分かった、とりあえず優しくするからね」
綾乃「……」ドキドキ
結衣「……」スッ
結衣「さてと、まずはこの書類から整理すればいいのかな」
結衣「……結構な数だな、これはやりがいがありそうだ」
綾乃「あ、あれぇ?」
結衣「~♪」テキパキ
綾乃「ね、ねえねえ船見さん、なにしてるの?」
結衣「なにって、綾乃がやってる雑務の手伝いだけど」
綾乃「そんなの私が1人でやるから気にしなくていいのに」
結衣「でもそれじゃ意味ないだろ?」
結衣「さっき言ったよね、今までの罰金体で払うって」
綾乃「あっ、あぁ……」
綾乃「えっ?」
結衣「えっ?」
綾乃「そっそうね、立派な働きっぷりだもの!」
結衣「ふふ、褒められるとなんか照れちゃうよ」
結衣「……あ、ホチキスの針あるかな」
綾乃「えぇ、それならコレを使って」
結衣「うんありがと、よっと……」パチン
綾乃「ね、ねえ船見さん」
結衣「んー?」
綾乃「体で払うってそういうことなの!?」バンッ
結衣「わっ」ビクッ
綾乃「か、体でご奉仕ってもっと、そのごにょごにょ……」
結衣「うん、だからこうやって綾乃のお手伝いをしてるんだ」
結衣「~♪」テキパキ
綾乃「も、もうなんなのよぉ……」
綾乃「やましいことなんてないのに、顔がほんのり赤かったじゃない!」
結衣「へぷちっ!」
結衣「うぅ、ちょっと風邪気味でさ……」
綾乃「……はぁ」
結衣「あ、あれ怒ってる……?」
綾乃「怒ってるわよ、ちょっとでもドキっとした私が恥ずかしいわ!」
結衣「いや、ドキっとする要素なんてないと思うけど」
綾乃「……」プルプル
結衣「さてと、仕事仕事」
綾乃「はぁ、不純だったのは私なのかしら……」グダッ
綾乃「いやいや、でも普通はそういうこと考えちゃうものでしょ!」
結衣「そういうこと?」
綾乃「あっ、う……」
綾乃「な、なんでもないわ……」
結衣「ふふ、ならいいけど」
結衣「んー、生徒会室ってなんか落ち着くかも」テキパキ
綾乃「……そう」
綾乃「なんか疲れちゃった、1人で勘違いしてバカみたい」
綾乃「ねむ、ねむねむ眠い……根室半島」
結衣「ぷっ、相変わらずセンスがいいな綾乃のダジャレは」
綾乃「……」zzz
結衣「っと、お疲れなのかな綾乃も」
綾乃「……」zzz
結衣「……」
結衣「すっ、少しだけなら起きないよな」ツンツン
綾乃「むにゅ……」
結衣「ふふ、綾乃のほっぺた柔らかいな」
結衣「……にしても、こんな量の書類といつも戦ってるのか」
結衣「生徒会の人たちも大変だな」
結衣「……」テキパキ
結衣『ほんとにだめ?』
綾乃『だ、ダメなんかじゃないけど、私は歳納京子が……』
結衣『それでもいいよ、私は遊びでも構わない』
結衣『こうしていられるなら、綾乃が本気じゃなくても……』
結衣『……』チュッ
綾乃『んっ~~~~~!』
綾乃『ふぁ、やっ、め……』ギュッ
結衣『んっ、京子の代わりでもいいんだ、綾乃の側にいられるなら』
結衣『綾乃の一番になれなくても……』チュッ
綾乃「ふごっ、あれ、居眠りしてたのかしら」クシクシ
綾乃「……」
綾乃「あれ、このダウンって船見さんの……」
綾乃「ふふふ、おかげであったか高田馬場よ」
ガラッ
結衣「おっと、起きてたみたいだね」
綾乃「ふ、船見さんこのダウンとっても暖かったわ」
綾乃「……あ、ありがと」
結衣「どういたしまして、綾乃も疲れてたみたいだね」
綾乃「えっ、あの量のプリント1人で仕分けちゃったの?」
結衣「って言ってもだいぶ時間かかったけどね」
結衣「2時間もかかっちゃった」
綾乃「うそっ、わたしそんなに居眠りを……」
綾乃「はぁ、ほんと面目ないわ、ごめんなさい……」
結衣「いいんだよ、今までの罰金を体で払うって言ったから」
綾乃「あ、そうね……」モジモジ
結衣「どうしてそこでモジモジしちゃうんだよ!」
綾乃「ふふそうね、まさか船見さんと一緒に帰る日がくるとは思わなかった」
結衣「なんだよソレ、一応友達だろ私たちだって」
綾乃「一応、ねぇ」
結衣「含みのある言い方だなー」
綾乃「冗談よ冗談、でも今日はほんとに助かったわ」
綾乃「千歳と一年の子たちが用事で来れなくて」
綾乃「……私一人だったもの、船見さんが来てくれて嬉しかった」
結衣「いやこっちも同じ状況でさ、あまりにも暇だったもんで……」
綾乃「へぇ~」
綾乃「私たちに会いに来たわけね?」
結衣「べっ、べつに会いに行ったワケでは……」
綾乃「……」ニコニコ
結衣「はぁ、そうだよ、寂しいから会いに行ったんだよ」
結衣「……なんか綾乃にはウソは通用しない感じがする」
綾乃「そうねえ、きっと私たち似たもの同士なのよ」
結衣「似たもの……」
綾乃「だってだって、ギャグのセンスもお互い一級品じゃない!」
結衣「ふむ、確かにそれはそうだ」
綾乃「ふふふ、でも船見さんのアレも面白かったわよ」
綾乃「あ、ありがとうございますのすし……」ピクピク
結衣「あぁ、あれは結構自信があったんだよね」
結衣「……やっぱり似たもの同士なのかな」
綾乃「……」
綾乃「あ、あの、船見さんって歳納京子が好きなの?」
結衣「……うーん、どうだろう」
結衣「私は京子のことどう想ってるんだろう……」
結衣「隣にいると安心できるし、いつもくだらないことで笑わせてくれる」
結衣「なんだろうな、上手く言葉に出来ないけど」
結衣「……京子とはこれからも隣にいてほしいかな」
綾乃「ふふ、それはきっと本音ね」
結衣「ど、どうして本音だって分かるの?」
綾乃「だって船見さん顔真っ赤だもの」ニコッ
結衣「うっウソ!?……うわ、ほっぺ熱い」
綾乃「船見さんはねきっと好きなのよ、歳納京子が」
結衣「……かな」
結衣「……む」
結衣「もちろん、綾乃も京子が好きなんだろ?」
綾乃「なっな、なに、なに言ってるのよ!?」
綾乃「そんなワケないないナイアガラよ!!」
結衣「ぷふっ、ナイアガラ……」
結衣「って、綾乃がアイツを好きなのはもうバレバレだから」
綾乃「うっ、うそぉ……」
結衣「……気づいてないの京子くらいだって」
綾乃「あぅ……」
綾乃「むむむ、私たちはライバルってところかしら?」
結衣「まぁ、京子が誰を選ぶかはさっぱりだけど」
綾乃「どっちを選んでも恨みっこなしってことでいいかしら」
結衣「……でもさぁ、あっさりちなつちゃんとか千鶴さんを選んだりして」
綾乃「うぅぅ、それもあるわね」
結衣「その時は綾乃が慰めてくれるよね」
綾乃「慰めてあげるから、私のことも慰めてちょうだい」
結衣「はいはい、分かってるよ」
綾乃「……ふふ」
結衣「おはよう京子、綾乃」
京子「おっはよー結衣!」
京子「見てみなよこの晴天、みんなを明るくする私のようだ!」
結衣「そうだな、お前の可愛い笑顔はみんなを幸せにしてくれるもんな」ニコッ
京子「ふぇっ!?」
綾乃「むむむ……歳納京子、あなたは可愛すぎるからあまり笑っちゃダメよ」
綾乃「み、みんな照れてしまうもの」
京子「な、なんだよぅ2人して……」モジモジ
千歳「……マーベラス」
綾乃「ふ、船見さんこそ朝から歳納京子をそそのかして!」
結衣「だから言っただろ、どんどんアタックするって」
京子「えへへ、もう2人ともそんな褒めちゃってさぁ」
京子「結衣も綾乃もそんな冗談言わなくてもいいのに」ケラケラ
結衣「いや、私は本気だけど」
結衣「京子は可愛いし、お前がいるだけでみんな幸せになるよ」
綾乃「そ、そうよ、みんなハッピーよ!」
京子「なっ、なぁ、な……」カァー
千歳「……エクセレント」
京子「ゆ、結衣の大きい胸が当たってるぅ……」
綾乃「ず、ずるいわ、私も一緒に行くから!」ムンズ
京子「綾乃も当たってるぅ……」
結衣「京子!」 綾乃「歳納京子!」
京子「ふにゃ~、でもなんか幸せ……」
千歳「……素晴らしいなぁ、百合は最高や」ダクダク
結衣「うっうわ、千歳しっかりしろ!」
綾乃「千歳、絶対に死んじゃダメよ!!」
京子「えへへ、結衣ー綾乃ー」スリスリ
千歳「……」チーン
おしまい!
おつ
Entry ⇒ 2012.04.14 | Category ⇒ ゆるゆりSS | Comments (0) | Trackbacks (0)
弟友「お前ってホント可愛いな」弟「そ、そうかなぁ」
http://hayabusa.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1334054157/
弟「結構気にしてるんだよ……」
弟友「男にも告白されたことあるしな!」
弟「うう、トラウマだよ……他人事だと思って」
外野1(はぁはぁ……弟ちゃんマジ天使)
外野2(すりすりしたい、抱きしめたいいやむしろこすこすしたい)
外野3(弟ちゃん……ふぅ──)
弟「な、なんか変な視線が」
弟「それどっちが異常なの」
弟友「俺はノンケでもかまわず食っちまう男だぜ」
弟「もう聞き飽きたよ」
弟友「まあだからこうして俺とお前は友達でいられるんだ」
弟友(お前に気があるやつからやっかみ被る危険もないし)
弟「あ、そろそろ授業はじまるね」
弟友「数学の宿題難しかったよなぁ。お前あれできたか?」
弟「うん、兄ちゃんに教えてもらった」
弟友「ほう!お兄さんとな!」ガタッ
若っッッッッッッッッってねぇなああああああああん?
女はショタを調理できないんだよ
自分が材料になってしまうから
弟友「もちろんだ!あの無駄な肉のない細くも逞しい体、凛々しい相貌、そして何より引き締まったケツ!一度でいいから公衆便所へしゃれこみたいぜ」
弟「なんでそんなに詳しいの……」
弟友「たのむ!今度紹介してくれ!」
弟「えー、やだよなんか目がぎらぎらしてるもん……」
弟友「友よ、独り占めするつもりか!」
弟「とにかくなんかやだ……」
弟友「……」
弟友「みんな!弟クンが時間限定でナデナデさせてくれるそうだぞ!!」
外野2「うおおおおおおおすりすり!なでなで!こすこす!!!」ガタッ
外野3「弟ちゃ──ふぅ」ガタタッ
弟「うえっ!?」
弟友「さあナデナデするがいい!ただしイケナイところを触ったやつは俺がケツの穴にションベンしてやるからな!」
弟「うう……ひどいめにあった」
弟友(服も乱れて顔を真っ赤にして涙目で……そのテのやつがいたら辛抱たまらんレベルだなこれ)
弟「なんか内股さすさすされるし……」
弟友(んーギリギリセーフか)
弟「変な硬いのが首筋におしつけられるし」
弟友(アウト)
弟「なんかふにゃふにゃしたのが顔に押し付けられるし」
弟友(……アウト)
弟「何か言ってよぉ」
弟友「ウホッ」
弟「?」
昼休み
弟友「おい外野2と3」
ごめんこれ以上は無理
いてくる
2「な、何だよ弟友?」
3「俺達これから便所行くんだけど」
弟友「ほう丁度いい。やらないか」
3「は……?」
弟友「俺の友を穢した罪はそのケツの穴で償ってもらう!」
2「え?な、何だよ!俺達おティンティンには触って」
弟友「勃起したチ○コをこすりつけたのはどっちだ?」
2「う──ぁ」
弟友「玉袋を顔に押し付けたのはおまえだな?」
3「え、あ、い、や、その」
弟友「──いいのかい?ホイホイ便所になんか行っちまって」ジィィィ
2 3「ひ、ひぃ……」
「「アッーー!!」」
放課後
弟「なんか随分すがすがしい顔してるけど、何かあったの?」
弟友「くそみそな連中にケツ罰……天罰を下しただけさ」
弟「普通いい間違えないよそれ」
弟友「下したのはあいつらの方かも知れないけどな」
弟「なんの事?」
弟友「気にするな。それより一緒に帰ろうぜ」
弟「あ、うん。悪いけど今日はこの後用事あるんだ」
弟友「そっか、じゃあやめとこう。またあしたな」シュタッ
弟「バイバーイ」フリフリ
外野1(弟タン……手をふりふり……あの手でこすこすされてぇ)ハァハァ
ゾクッ
外野1「!?な、なんかケツの穴がヒュンってなった……せ、背筋が」
兄友(女)「おーい帰るじぇー」
兄「あーわり、この後弟と買い物行くんだ」
兄友「あ、あの可愛い弟さん?いいなーあんな素直で可愛い弟がいて。ウチの生意気なクソガキとは大違い」
兄「あいつだって生意気だぜ。小姑みたいに小言言ってくるし、女かっつーの」
兄友「女の子みたいだよねー見た目。女装させたらすっごい似合うんだろうなぁ」
兄「っ」
兄友「ん?どした?」
兄「なんでも、ねえよ」
兄友「まあいいや。んじゃウチは別のコ達と帰るね」
兄「あいよ」
近所のスーパー前
弟「あ、兄ちゃん!」タタッ
兄「よう、待ったか」
弟「ううん、さっき来たトコ」
弟「まだ寒いしあったかいのがいいな。鍋焼きうどんとかどうかな?」
兄「おおいいねえ。じゃあそれにするか」
弟「やった!」ギュッ
兄「っ!いい加減腕に抱きつくのやめろよ……」
?(……)
?(なんなんだろう、あの二人は)
?(カップルにしか見えない)
自宅 兄の部屋
弟『片付けはボクがしておくから、兄ちゃん先に休んでて』
兄(……あいつ益々女っぽくなってきたよな)
兄(家事好きだし、よく気がつくし……か、可愛いし)
兄「落ち着けよ俺……あいつは男で、しかも弟だぞ……」
兄「なんでこんなにドキドキしちまうんだよ」
兄「クッソ……」
コン コン
兄「ん?ああ……」
カララ
幼馴染「おっす」
兄「おっす」
幼馴染「部屋が窓で向かい合わせになっている可愛い幼馴染だ」
兄「自分で言うなボケ」
兄「はいはい」
幼馴染「日記もつけてないぞ」
兄「興味もねえよ」
幼馴染「で、何か悩んでたみたいだけど?」
兄「何のことだ?」ドキッ
幼馴染「とぼけても無駄。一緒に弟ちゃんの文化祭行ってからでしょ」
兄「ぐ……」
幼馴染「いい加減認めちゃえばいいのに」
兄「あ、あいつは男で、弟だぞ!?」
幼馴染「でも”気になってる”んでしょ?」
兄「はっきり言うな!」
幼馴染「もっとストレートに言おうか?」
兄「う、ぐ」
兄「おいやめろ」
幼馴染「その相手がクラスの出し物で女装した弟ちゃんだったなんて」
兄「やめろって言ってんだろ!」
幼馴染「大声出すと弟ちゃんに聴こえるよ?」
兄「……」
幼馴染「今日あんた達がスーパーで買い物してるの見かけたんだけど」
兄「げっマジか」
幼馴染「カップルが買い物してるようにしか見えなかった」
兄「……」ニヤ
幼馴染「あ、嬉しそうな顔」
兄「はっ!?」
兄「うっせ!」
幼馴染「まあまあ落ち着きたまえ」ポイッ
兄「ん?」パシッ
兄「……おい未成年」
幼馴染「茨の恋路に悩む友に乾杯♪」
兄「はぁ……一杯だけだからな」
幼馴染「はいはい」
幼馴染(──フッ)ニヤッ
弟「兄ちゃーん」コンコン
(E.ピンクのエプロン)
弟「あれ?返事がない……」
弟「また電気つけっぱなしで寝ちゃってるのかなぁ。開けるよ?」カチャ
兄「──」
弟「あ、窓開けたまま寝てる……ん?なんかビニール袋が」ガサガサ
兄 ガバッ!
弟「わっ!ご、ごめん起こしちゃった?兄ちゃんまた電気」
兄「──弟ぉ」
ぎゅっ
弟「え?……あ」
幼馴染(兄よ……)ゴクゴク
幼馴染(いい加減アルコールに極度に弱い上にバカになると言う自分の体質を理解するべきね)
幼馴染(あと、良い子は二十歳になってから飲酒しましょう)
数分前
幼馴染「あんたは弟ちゃんがー?」
兄「スキー!」イェイ
幼馴染「ライクですかー?」
兄「ラヴー!」イェイ
幼馴染「惚れてますかー?」
兄「イエース!」イェイ
幼馴染「よーしよく言った!それでこそ男!それでこそジェントルメン!」
兄「なんのきょれしきぃ!」ビシッ
兄「てっ」ガスッ
兄「おさななじみどの! きょれはなんでありまふか!」ガサガサ
幼馴染「男の嗜みだ。それを用いて弟ちゃんを手中に納めよ」
兄「しゅちゅーとはなんでしか!」
幼馴染「抱きしめて!」
兄「抱きしめて!」イェイ
幼馴染「チューをして!」
兄「チューをして!」イェイ
幼馴染「即情交!」
兄「即情交!」イェイ
幼馴染・兄「どんどんぱふぱふー」
兄「あいっ!」ビシッ
兄「……」
兄「──」ガクッ
現在
兄「弟……弟……」スリスリ
弟「ちょ、ちょっと兄ちゃん、痛いよ」
兄「んーやわらかい……」
弟「兄ちゃんなにこの匂い。もしかしてお酒?」
兄「なにーお酒だと?弟!おまえそんなもんに手だしてるのか!」
弟「出してるのは兄ちゃんでしょ!」
兄「そんないけない弟には──こうだ!」チュッ
弟「!?!?」
兄「──」チュルルルル
弟「んんっ、ちゅ、は──」チュルチュル
弟「んちゅ、は、ちゅる、ちゅぷっ、ちゅっ、ちゅっ」チュルレルチュルレル
※弟ちゃんは驚いてもがいているだけです
兄「──」チュプチュプ
弟「んっ、ちゅむ、んんっ、ちゅるるっ」
※弟ちゃんはあくまで驚いてもがいているだけです
兄「──」チュッチュッ
弟「んっ、んむっ、ちゅ、ちゅ」
※しつこいようですが弟ちゃんはあくまで(ry
兄「──はっ」
弟「ぷは……兄ちゃん……」ボーッ
兄「──」
兄(だきしめて・・・キスをして・・・そくじょうこう・・・)
ぎゅっ さわさわ
弟「ひぅっ!?」
さわっ さわわっ
弟「ふ、や、胸……そんな、兄ちゃん」
弟「ふぁ?」
兄「好きだ」ギュッ
弟「え、ええええっ!?」カァァ
弟「そ、そんな……だめだよ…だって」
弟「ボク、男の子だよ?」
兄「うそつけっ」
弟「えっ!?」
兄「オトコノコがそんなに可愛いわけあるかぁ」がばっ
弟「ひゃっ!?」ボスッ
兄「ん」チュッ
弟「んむっ」チュルッ
さわさわ
弟「は、ちゅ、んっ、んは……んちゅ」
弟(兄ちゃんの手……ぞわぞわする……)
ごそごそ
グイッ
弟「や、あ、シャツ──」
兄「おっぱい……弟の……」
弟「ないよぅ……」
兄「でも、乳首立ってるぞ?」クリッ
弟「あっ」ピ゚クッ
クリクリ モミモミ
弟「あ、や、うぁ、んっ、あ、な、なに、これ──あっ」ピクッ ピクッ
兄「かわいい……」ペロッ
弟「あふっ!?あ、ああっ」ビクビクッ
ちゅぷちゅぷ
弟「んあっ!あ──はっ、あっ」
弟「あっあっ!だ、だめ、あ、あふっ」
兄「もごもご」何が駄目なんだ?
弟「な、なんか、へ、変だ、よ、ああっ」
ぷはっ
兄「ふう……すごい感度だな、おっぱいでこんなに感じちゃうなんて。これでもオトコノコだって言うのか?」
弟「そ、そんな……」カァァ
兄「んーもうちょっと自分のことをわからせないとな」
弟「え?」
シュルッ プチッ ジィ~
弟「あ──っ」
ちょこん
兄「──ついてる」
兄「ついてる……ついてる……ついてる……オトコノコ」ペロッ
弟「ひゃっ!」
兄「ぺろ……ちゅぷ、ぺろっ」
弟「に、にいひゃ……き、きたな」
兄「ついてる……オトコノコ……ついてる……オトコノコ」くにくに
兄「あーもうどっちでもいいや」ちゅぷっ
弟「あっあっ、あうっ、ぞ、ぞわぞわ、くるぅ」プルプル
兄「ん、オトコノコの場所がおっきしてきたぞ?」ちゅるちゅる
もみもみ ちゅるる
弟「や、あっあっ、い、う、に、にいちゃ、ああっ」ビクッビククッ
兄「は、む、なんだお前、ちょっと被ってるのか……よし、兄ちゃんが舌で、んむっ」ペロッ ムキッ
弟「あああっ!あ、ああああっ!」ビクッ ピュピュッ ピュプププッ
弟「あああ──あ、あっ」ビクビクッ ピュルルッ
兄「なんだ、剥いた刺激でいっちゃったのか。いっぱい出たじゃないか」
弟「に、にいちゃ……おかしい、よ……ふぇぇ」
兄「大丈夫、兄ちゃんは男だ、紳士だ。だから嗜みを」
ガサガサ
弟「さっきのふくろ……え、あ」
無害!とろろ成分入りローション~ただのローションがこんなに感じるわけがない~
お尻で感じたいカップルの味方!強力殺菌作用成分でそのままでも安心!
弟「ちょ、ちょっと兄ちゃん……」
兄「もうこれはいらないだろ。こうしてみると、弟の勃起オンナノコ可愛いな……」つんつん
弟「あっ、あっ」
兄「さて」ぬとーっ
兄「おお、なんか手に取っただけでむずむずする……流石とろろ成分」
弟「に、にいちゃん……」
兄「怖がる事ないぞ。さあ、お尻をこっちにむけな」
パサッ
弟「あ、あれ……説明書?」
ピラッ
∧,,∧
( `-ω-) ようこそIDオナ禁スレへ!
/ ∽ |
しー-J
ここはsageずに書き込み、出たIDの数字の日数だけオナ禁をするという、
煩悩を捨てるためのトレーニングスレです。
例1 ID:wwh7KM12 の場合 7+12=19 なので19日オナ禁しましょう。
例2 ID:bicycle. の場合 数字がないので今日はオナニーしてください
さあ!存分にオナ禁するがよい!(`-ω-´) ↓
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
投げてんじゃねえよカス
あ?お?何言ってるんですかね?
兄「何だこれ」ピッ
弟「あっ」
兄「いいから、はやくお尻こっちに向けな」
弟「うう……兄ちゃん……」もそもそ
弟「ひゃっ!あ、ああっ」
兄「中までしっかり……」グリグリ
弟「あふっ、あっ!ほ──ぉ」ピクピク
兄「しっかり……」チュポチュポ
弟「あ、ああ」
兄「よし、もういいかな」
弟(なんかすごくむずむずする……)
弟「な、なにこれ……」モゾモゾ
兄「そんなに尻を振って、いけない子だなぁ、兄ちゃんを誘うなんて」ペロッ
弟「っ!!!」ビクッ
兄「ん?お尻の穴舐められたら感じたのか?」
弟「や、ち、違」
兄「正直に言えよ、むずむずするんだろ?」
弟「う、うう……」
ビクッ
弟「っ!」
弟(に、兄ちゃんの……あんなに大きい……)
弟「そ、そんな、まさか……」
兄「力ぬいて、動くなよ?」ピト
弟「あ──」
ヌ゙ルッ
弟「か──ぁ、は、ぁ」
兄「うわ……すげ、ぬるって……」
弟「く、は、に、にい──」ヌルル……
兄「あ、う……わ、これ……」
弟「に、兄ちゃんが……はいっ……ああっ」ヌルンッ
兄「お、おお、全部、はいった」
弟「か……ふ、ほぉ……は、ぁ──」
弟「は──っは──っ……」プルプル
兄「しかもこれ……俺のまでローションでむずむず……」ニュルル
弟「ひゃ!はぁっ」ビクビクッ
兄「すげえ……弟のナカ、熱い」ニュルッ ニュルルッ
弟「あ、ふぁ、ああっ」
弟(ぞ、ぞくぞく、する──兄ちゃんので……ボク、すごいぞくぞくしてる)
弟(おかしいよ……おかしいのに……)ニュチュッチュプッ
兄「はぁ──はぁ──」クチュッチュプッニュルッ
弟「あふっ、あ、はぅ、あっ」
弟(兄ちゃん……動かしてる)
弟「はぁ──え?」
兄「弟……こっち向いて仰向けに──」
弟「う、うん……」もぞもぞ
ピクン
兄「お前のオンナノコ……またこんなに固くなってるぞ?」
弟「あ──」
兄「今度は何もしてないのに……もしかしてほんとにお尻の穴で感じてたんだな?」
弟「──」カァァァ
兄「やっぱりいけない弟だなぁ。仕方ない、紳士な兄ちゃんがめいっぱい感じさせてやるからな」ニュルル
弟「ふぁぁっ!」ビクビクッ
兄「今度はもっと激しくするからな? 力ぬけよ?」
弟「はふ……う、うん……兄ちゃん──して」
グイッ パチュン
弟「はぁっ!?」
弟「うんっ!あふっ!ああっ!あ、ふっ!ふああっ!」
プルップルップルンッ
兄「は、はっ、オンナノコ、元気だ、な」クチュッ
弟「ひゃううっ!?」
兄「っ!し、締まりがっ」クチクチッ パンッパンッ
弟「はぁ、はふぁっ!だ、だめっ!」
弟(い、いじりながら、お尻っ!)
弟「ん──っ、はふっ、は、あ、ほ──」パチュッ パチュッ
弟「あ、あ、に、にいちゃ……また、で、でちゃ」
兄「く──にいちゃんも……そろそろ ちゅっ」
弟「んふっ、ちゅ、ちゅるるっ、ちゅぷ、ぺろ──」クチクチクチッ ニュプニュプッ
兄「ぷはっ」
弟「あ、や、も、もう、あっあっあっあっあっ!」
兄「くううっ!!」ビクッ!
ドプドプッ!!ビュブブブッ!!!ビュブゥゥゥッ!!
弟「ふやああぁぁぁぁぁ!!」ビクビクッ
ピュルルッ!ビュルルルルルルルルッ!!
弟「ん、んーーーーーっ……は、はぁ……」
くたっ
兄「はぁ……はぁ……」
弟「はふ……」
兄「弟……」
弟「にいひゃ、ん……」ちゅ
兄「んむっ、ん」
弟「はむっ、んふ、ちゅ……」
チュンチュン……チュンチュン……(IDフッキンハワルノリデシタスマンコ!)
兄「……」
弟「ん……」スースー
兄「……なにゆえ俺と弟は二人とも下半身を晒して同じベッドで朝を迎えているのだろう」
弟「にいちゃん……んんっ」スースー
兄「ところどころこびりついた変なもの……そしてなにうえ弟のケツから白いものが垂れているのか」
カララッ
兄「っ!」ビクッ!
幼馴染「おはよう」
兄「……」
幼馴染「随分激しかったね。まさかあれから三回もするなんて」
兄「……」
幼馴染「どう?愛する人と結ばれた感想は……」
兄「最悪だ……」
幼馴染「う……」
幼馴染(さ、流石にちょっと……)
兄「実の弟をレイプして……しかも一晩に、何度も……」
幼馴染「あ、あの、その」
兄「なのに、なんで……」
兄「なんでちょっとでも幸せを感じてるんだよ俺はぁぁぁ!!」グシャグシャグシャ
幼馴染「あ、そっちね……」
幼馴染「どっちでもいいんじゃない?茨の道に突き飛ばしたのは確かだし」
兄「もういいや、なんでも」
幼馴染「やっと吹っ切れたか」
兄「お前のせいだ!」
幼馴染「おかげといいなさい」
幼馴染「で、改めて聞くけど。あんた弟ちゃんのこと」
兄「っ──!」
幼馴染「……」
兄「──ああもう!好きだよ!可愛いよ!なんかもうついてるとか男だとか弟だとかどうでもいいくらい惚れちゃいましたよ!」
弟「……ほんとに?」
兄「──」
兄「あ、え、えっと、その、だな」
幼馴染「──嘘なの?」
兄「いや、違くてっ!あーっと……」
弟「──ボク、兄ちゃんがそれでいいなら、ボクもいいよ」
兄「……え?」
弟「だから、その、ボク、男の子だけど……兄ちゃんが、男でもいいって言うなら……」モジモジ
兄「っ」ドキッ
幼馴染「……さて、私はこれで」カラカラ
兄「あっちょ!」
幼馴染「ああそうそう……ちゃんと二人の学校には連絡を入れといてあげるから」ピシャッ
兄「どういう意味だぁ!」
弟「──にいちゃん?」
兄「う……」
兄「え?」
弟「ちゃんとして……くれる?」ウルウル
兄「あ──」
兄「……おいで」
弟「──うんっ」
ぎゅっ
兄「んっ」
弟「ん──ちゅ」
おわり
ただし二次元に限る!
おっきしてくれた同志はおられるであろうか
それじゃみんなお休み
可愛い男の子最高や
ふう
Entry ⇒ 2012.04.13 | Category ⇒ 兄弟姉妹「」SS | Comments (0) | Trackbacks (0)
小衣「安価で怪盗帝国を逮捕するわ!」
http://hayabusa.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1333976529/
小衣「そしてタイトルを警察オペラ ジーニアス4にする!!」
次子「それが本音か」
咲「…まぁやる気はあるみたいだし、いいんじゃない」
平乃「小衣さん、なにか考えでもあるんですか?」
小衣「あったり前じゃない!小衣はIQ1400よ!?」
小衣「既に奴らを捕まえる為の策をいっぱい考えてるんだから!」
次子「こ、小衣が珍しく頼もしい…!」
小衣「さぁ行くわよ!最初の作戦は>>5!」
小衣「何度もアルセーヌと戦い、そして勝ってきたミルキィホームズならサポーターにうってつけよ!」
次子「お、おう」
咲「………」
平乃「小衣さんにプライドはないんですか?」
小衣「小衣達はアルセーヌを捕まえさえすればいいのよ!」
小衣「戦うのはミルキィホームズに任せて、弱ったアルセーヌを小衣が捕まえる!」
小衣「これでお手柄は小衣のものよ!あっはっはー!!」
次子「駄目だよ平乃、小衣の根性は曲がってるんだ」
平乃「最初からプライドなんて無かったんですね」
小衣「さぁミルキィホームズのところに行くわよ!」
小衣「多分>>12にいると思うわ!」
屋根裏部屋
小衣「おーい!邪魔するわよ!」ガチャッ
シャロ「ぐー…ぐー…」Zzz
ネロ「くかー…くかー」Zzz
エリー「すー…すー…」Zzz
コーデリア「…………」Zzz
次子「全員寝てるな…」
小衣「こっちは仕事してんのにお昼寝なんて呑気なもんよね」
小衣「起きろー!」バシバシ
シャロ「ぐふぅっ……ぐー」Zzz
小衣「…ダメだ、起きない」
咲「どうすんの?」
小衣「こうなったら夢の中までいってたたき起こしてやるわ!」
平乃「夢の中…?どうやっていくんですか?」
小衣「>>18よ!」
平乃「はぁ…」
小衣「ほら、早く横になりなさいよ」
咲「…あたし達も行くの?」
小衣「じゃあおやすみー」ゴロン
小衣「………」Zzz
…
小衣「…はっ」ガバッ
小衣「…ここがシャーロックの夢の中…」
小衣(うわ、空にかまぼこの形をした雲がいっぱい浮いてる…)
小衣「…ん、あれ?小衣一人?」キョロキョロ
小衣「とりあえず誰か探すしかないわね」
>>26「………」テクテク
小衣「あっ、あれは…>>26!」
黄色いリボン「………」スタスタ
小衣(なんでリボンが歩いて…いや、夢の中だからおかしくないか)
小衣(あれって、シャーロックのリボンよね)
小衣(あれについていけばシャーロックに会えるのかしら)
リボン「………」スタスタ
小衣(ついていってみよう)コソコソ
リボン「…………」スタスタ
小衣「ちっ…あいつ歩くの遅いわね」イライラ
小衣「さてどうしようか…っていうかなんで隠れてるんだろう…」
小衣「素直にあのリボンにシャーロックの居場所を聞けば済む話よね」
小衣「でももしリボンに逃げられたら手がかりゼロだし…うーん」
小衣「…よし!>>33だ!」
小衣「何かをリボンの目に入る場所に投げれば…」
小衣『あれー?小衣、落し物しちゃったー』
リボン『ココロちゃん!落し物ってこれですか!?』
小衣『あっ、それだ!感謝するわリボン!』
小衣『ついでにシャーロックの居場所しらない?』
リボン『シャロちゃんならあっちですー!』
小衣『感謝するわ!あとココロちゃん言うなー!』バシッ
リボン『あうぅ…』
小衣「…と、こういう風にいくに違いないわ」
小衣「さて、何を投げようか…」ゴソゴソ
小衣「ポケットに>>37が入ってたわ!よし、これで行こう!」
リボン「きしゃあああああ!!!がるるるるるる!!!」ドタバタ
小衣「ひぃっ!?」ビクッ
リボン「わんわんわんわん!!がうがう!!」ドタバタ
小衣(うわあ…シャーロックのリボンこわっ…)
リボン「がうがう!わうわう!」ムシャムシャ
小衣「よ、よし…!かまぼこを食べている隙に…」
小衣「いけー!モンスターボール!」シュッ
リボン「きゃいんきゃいん!?わふー!がるるる……!」バシュッ
小衣「…やったー!リボンをつかまえたぞ!」
小衣「あんたシャーロックのリボンでしょ!?シャーロックがどこにいるのか答えなさいよ!」
リボン「>>43」
小衣「……え?」
小衣「か…かまぼこの話はいいのよ、シャーロックの居場所を…」
リボン「だから、食べたと言うておる」
リボン「シャーロック・シェリンフォードは儂の胃の中じゃ、ぐるぐる動いておる」
リボン「頭からばりばり食ろうてやった、儂はあ奴の頭の上が定位置じゃからのう、ひっひっひ」
小衣「う、嘘……!」カタカタ
リボン「嘘偽り無い、お主も儂の食いっぷりの良さは見たであろう?」
リボン「お主が投げてよこしたかまぼこと同じように、牙を突き立てて…」
小衣「い、いやあああああああああああああああああ!!!!」
リボン「ひっひっひお主も胃に収めてやるわい、一人では腹の虫が鳴き止まんのじゃ」
リボン「ぐるるるる…!」
小衣「た、助けっ…!誰か、助けて…!!」ガタガタ
>>50「待てっ!!」
トゥエンティ「誰!?僕にそれを聞くとは愚問だなっ!」
トゥエンティ「常に美の最先端を走る美しき怪盗!トゥエンティとは僕のことだ!!」ババーン
小衣(か、怪盗トゥエンティ…!)
トゥエンティ「むしろ僕の存在が美の最先端!さぁ目を凝らして僕の乳首の先を見ろォ!!」バッ
リボン「きゃ…!やめてください、恥ずかしいですぅ…!」
トゥエンティ「恥ずかしがるな!見ぬは一時の恥、見るは一時の僕だ!!」
リボン「そんな風に言われたら私、私…!」チラッ
トゥエンティ「さあぁ!!一時と言わず何時間でも僕を見つめろおぉぉおぉお!!!」
…
小衣「…うわああああああああ!!!」ガバッ
シャロ「あ、ココロちゃんが起きましたー」
次子「遅いよー、先にシャーロックが起きちゃったよ」
平乃「小衣さん大丈夫ですか?すごい寝汗…」
小衣「え…あ、うん大丈夫…多分」ゼェゼェ
咲「小衣が寝てる間に話つけといたから」
ネロ「ま、遠山に頼まれちゃ仕方ないよねー、僕たちが協力してあげるよ!」
エリー「一緒に怪盗を…捕まえましょう…」
コーデリア「私達と~G4の~合同~捜査~♪」
小衣「…よろしく頼むわ!!」
シャロ「ココロちゃん!指示をお願いします!!」
小衣「よし…人数は揃った!次の作戦は>>58よ!」
小衣「あとココロちゃん言うなー!」バシィッ
シャロ「あうぅ…!」
シャロ「分かりました!」
ネロ「おー、熱いねお二人さん」
次子「ひゅーひゅー!」
シャロ「ちゃ、茶化さないでください!そういうのじゃないですー!」カアァ
シャロ「こ、小衣ちゃんもネロたちに何か言ってあげてくださいー」
小衣「え?そういう意味だけど?」
シャロ「……え?」
小衣「シャーロック…ずっと小衣のこと愛して、小衣のことサポートして…?」
小衣「それとも、小衣じゃ嫌?」
シャロ「い、嫌じゃ…!ないですけどぉ…!」ドキドキ
小衣「決まりね!二人揃えば最強よ!」
シャロ「あうぅ…!」ドキドキ
咲「…エルキュールが開いた口がふさがらないって顔してるんだけど」
平乃「コーデリアさんの頭の花が増え始めました!!」
小衣(上手くいった…これでシャーロックの傍にいる口実が出来たわ)
小衣(アルセーヌはシャーロックを付け狙っている…つまり)
小衣(シャーロックの傍にいればすぐにアルセーヌを逮捕できる!)
小衣(最もミルキィホームズの手柄を横取りしやすい位置がここなのよ!)
小衣(べ、別にシャーロックのそばにずっといたいわけじゃないんだからね!?勘違いしないでよ!!)
小衣「さぁ!シャーロックと小衣の連携力がアップしたところで次行くわよ!」
ネロ「次はどうすんの?」
咲「小衣はなんかいっぱい作戦を考えてるらしいよ」
小衣「次の作戦は…>>67!」
小衣「衣装を変えて怪盗の目を欺くわよ!」
コーデリア「確かに、この格好じゃ警戒されるわよね…」
平乃「あ、私の家にみなさんが着れる服があり」
ネロ「でも着替えるったってどうするのさ、私服でいいの?」
平乃「あ、あのですね!私、ゴスロ」
咲「まぁそうだよね、欺くだけならそれでいいし」
平乃「きっとみなさんに似合うと思」
小衣「いや、衣装は小衣が用意したわ!」
小衣「怪盗どもの警戒の目をかわしつつ…いざと言う時は動きやすい戦闘服!!」
平乃「意外とゴスロリ服も動きやす」
小衣「その服は…>>74よ!!」
エリー「ひ、平乃さん…?」
平乃「…いじけてなんてないです」
エリー「こ、これって…」
次子「…スクール水着じゃん!」
小衣「これを着ればどこからどう見てもこれからプールに行く人たち!」
小衣「絶対に怪しまれないわ!」
平乃「こ、こんなの着て怪しまれないのは小衣さんだけです!」
小衣「シャーロックだって怪しまれないわよ!!」
シャロ「そ、それって幼児体型ってことですか…?」ガーン
咲「…あんたも結構似合うんじゃない?」
ネロ「あぁ!?遠山だってそんなに僕と変わんないだろー!!」ムカッ
咲「あたしはちょっとは胸あるし、足も長いしー」
ネロ「ぐぬぬ」
次子「……着るしかないのかねぇ」
コーデリア「何年ぶりかしら…」
エリー「恥ずかしい、です…!」
シャロ「わーい!すずしいですー!」
ネロ「今日暑いもんね」
次子「うおぉっ…!む、むねが、苦し…!」
咲「…はちきれそうだよ、次子」
エリー「…………すごい」
平乃「これだったら絶対にゴスロリの方がいいと思うんですけどねぇ」ハァ
コーデリア「っていうかこれで外歩いたら逆に怪しくないかしら…?」
小衣「つべこべ言わない!動きやすくていいでしょうーが!」
小衣「さて、人数もそろって準備も整ったところで…」
小衣「いよいよ…怪盗帝国をおびき出すわ!」
みんな「…………!」
小衣「戦いに持ち込めさえすればこっちのものよ、数で圧倒的に有利だわ」
小衣「肝心なのは…この、おびき出すための作戦!」
小衣「>>85よ!」
平乃「え?水着の上から着るんですか?」
咲「今度は何を…って、この服は」
エリー「あれ、これって…アルセーヌの…」
次子「こっちはストーンリバーだ」
シャロ「こっちはラビットさんの服ですー」
小衣「そう…怪盗帝国のコスプレよ!!」
小衣「この二段構え…!あいつらをおびき出すのに十分だわ!」
みんな「…………」
小衣「あ、あれ?」
シャロ「ごめんなさいココロちゃん…あたし、ココロちゃんの考えてることがよく分かりません…」
次子「小衣、お前疲れてんだよ…」
小衣「え、ちょ…!?ちゃんとした作戦だってば!小衣をそんな憐れむ視線で見るなー!!」
小衣「まずはスク水で私たちの立場を隠すとともに…ヘンな格好で人の目を引く」
ネロ「自覚あったんだ」
平乃「ヘンって分かってるなら最初から着せないでください!!」
小衣「作戦はここからなのよ!周りの人が小衣たちを変な目で見始めたら…怪盗帝国のコスプレをする!」
小衣「すると…どうなると思う?」
シャロ「どうなるんですか?」
小衣「周りの人は…怪盗帝国の奴らがヘンな格好をしていたと思う!!」
小衣「この話は瞬く間にヨコハマ中に広がり…!怪盗帝国のやつらの耳にも届く!」
小衣「ニセモノの話を聞いた怪盗帝国は真相を暴くべく、小衣たちの前に現れるって寸法よ!」
シャロ「そうか…!怪盗帝国をおびき出すために…!」
次子「さすが小衣だぜ!」
ネロ「凄ェ!!」
通行人「ボンテージの下にスク水って…どんな重ね着だよ…」ガヤガヤ
小衣「ふふふ…作戦通り…!」
エリー「は、恥ずかしい…!!」カアァ
…
石流「アンリエット様、少しお耳にいれたいお話が…」
アンリエット「…なんですか?」
石流「ヨコハマ市街に、我々のニセモノが出没している模様です」
二十里「なんでもセンスのない変な格好で人の目を引いているとか…」
根津「ムカつくぜ!」
アンリエット「…そうですわね、私達の名を騙るなんて…」
アンリエット「本当の私達の力を思い知らせる必要がありますわ!」
アルセーヌ「行きますわよ!スリーカード!!」シュバッ
スリーカード「はっ!!」
コーデリア「まだ怪盗帝国は来ないの…?」
シャロ「おっぱいかゆいですぅ…」
咲「…!みんな、あれは…!」
アルセーヌ「どこの誰だか存じませんが…随分と私たちの庭で好き勝手してくれてるようですわね」ザン!
トゥエンティ「なんだその格好は!美しい僕をまねるならもっと美しい格好をしろぉ!!」
ストーンリバー「面妖な…斬る!」
ラット「ふざけた真似しやがって…!ぶっ潰す!!」
平乃「怪盗帝国!!」バッ
エリー「囲まれてます…!」ザッ
小衣「大丈夫!戦うための作戦も考えてあるわ!」
小衣「行くわよ…作戦は>>103!」
シャロ「…えっ」
咲「は?」
小衣「こんな街中で!しかも取り囲まれて!勝てる訳ないでしょ!?」
小衣「三十六計逃げるに如かず!さっさと散らばれー!!」ダッ
ネロ「…明智のバカを信じた僕がバカだったよ」ダッ
平乃「…私達、なにしてるんでしょう」ダッ
ストーンリバー「むっ…逃げるか!?」
ラット「待ちやがれ!!」
アルセーヌ「落ち着きなさい、ラット」
アルセーヌ「相手はあの人数、一度に全員を追おうとしても無理ですわ」
アルセーヌ「ここは各個撃破で…一人づつ捻り潰しますわよ」
トゥエンティ「流石はアルセーヌ様!美しい洞察力でいらっしゃる!」
アルセーヌ「…そこの角に>>111が逃げましたわ、追いますわよ」
平乃「くっ…!見つかった…!!」
ストーンリバー「貴様は…!」
トゥエンティ「………えぇっと!」
ラット「小泉!」
平乃「誰!?」
アルセーヌ「ふふ…誰だと思えば、G4の長谷川平乃さん」
アルセーヌ「とすると…さっきの集団はG4とミルキィホームズですわね」
平乃(敵に名前を呼ばれて嬉しいのって複雑ですね…)
アルセーヌ「道理で、シャーロックの気配を感じると思いましたわ」
アルセーヌ「貴女を倒してから…ミルキィホームズを狩る…!」ゴゴゴゴ
平乃「ぐ…よ、四対一…!」
平乃「でも、やるしかありません!」
平乃「私の武道段位五十段の中の一つ!>>117で!」
トゥエンティ「美しく切り刻んであげよう!!」
ラット「行くぜ、この影薄野郎!!」
平乃「野郎じゃありませんし、影だって薄くありません!!」ムカッ
平乃「舐めないでください、私だって!!」バッ
平乃「ゴスロリ検定6段の使い手なんですっ!!」バサアァッ
アルセーヌ(ゴスロリ服に着替えた…?)
ラット「ごちゃごちゃうるせえんだよ!おらあっ!!」バッ
インフィニットテネブラリスディザスター
平乃「ゴスロリ神拳奥義!『舞い降りし堕黒天使の翼』!!」ズバンッ!
ラット「ぐわああああああああああああああああああああ!!!!」
トゥエンティ「ラットーーー!!」
アルセーヌ「な、なんて厨二…」
ストーンリバー(かっこいい…!)
平乃「ゴスロリを舐めないでください…」フッ
ストーンリバー「ならば私も行くぞ…!奥義、>>125!」バッ
平乃「なっ…!服の下に、ふんどし!」
ストーンリバー「ふんどし…すなわち憤怒士!」
ストーンリバー「憤怒の焔を心に宿せし侍の一撃を喰らうがいい!!」ズギャンッ
平乃「ゴスロリに秘められし暗黒の力…舐めないで欲しいですね!!」ドギュンッ
ストーンリバー「超連秘剣!灼皇双覇鬼凛閃!!」ズバアァァ
ネオテネブラリス ジエンドオブスターゲイザー
平乃「真黒・紡がれし時の終焉天!!」ドッガアアア
ストーンリバー「ぬうおおおおおお!!!」
平乃「てやあああああああああ!!!」
…
アルセーヌ「…という幻惑を見せている間に次に行きますわよ」
ストーンリバー「はっ」
平乃「ふふふ…私はまだ第三解放までしか力を…」Zzz
アルセーヌ「確か…あっちの道に>>135が逃げましたわね」
アルセーヌ「ん?」
次子「あ、暑くねー?今日暑くねー?」
咲「暑いなうー、っていうか超暑いなうー」
次子「暑くねー?ってーかプール行きたくね?」
咲「あたしー、チョープール行きたいかんじー」
次子「っていうかあまりにも暑くてプール行きたいから…スク水で外出しちゃったー」
咲「うけるー」
アルセーヌ「…………」ジー
次子(うおぉ…!超こっち見てる…!)ドキドキ
咲(気づかずに…通り過ぎろ…!)ドキドキ
トゥエンティ「アルセーヌ様、どうかしましたか?」
アルセーヌ「………>>144」
次子「マジプール行こうぜプール」スタスタ
咲「まじ水浴び気分ー」スタスタ
次子(よし…これで怪しまれずにこの場を離れられる…!)スタスタ
次子「……ここまでくれば大丈夫だろ」フゥ
咲「ひ、冷や汗が…」
アルセーヌ「…やっぱり、G4のお二人でしたか」
次子「なっ…!?」
アルセーヌ「後をつけてきて正解でしたわ」
咲「い、いつの間に…!」
アルセーヌ「幻惑のトイズ…ロープ!!」シャキィン!
つぎさく「「うわあああああああ!!」」
…
>>151「ふ、二人が捕まって…!」コソコソ
>>151「ど、どうしよう…!」
エリー「助けなきゃ…!」グッ
アルセーヌ「さて、次は…」
エリー「待って…ください…!」バッ
トゥエンティ「ん?」
ストーンリバー「貴様はエルキュール!」
エリー「ここから先には…行かせません…!」
エリー「二人も、放してください…!」
アルセーヌ「…その先に誰かいるんですのね」
エリー「……!」ギクッ
エリー(相手は…三人…!)ドキドキ
エリー(ここは>>160で…いくしか!)
アルセーヌ「……?」
ストーンリバー「なんだ?あの構えは」
トゥエンティ「分からない…だがあの立ち姿、少しだけ美しいな…」
アルセーヌ(一体何を…?うかつに踏み込まないほうが得策ですわね)
アルセーヌ「………」ジリ…
エリー「………」ドドドドドド
エリー(……これは)ドドドドドド
エリー(モデルのバイトで見に付けた…『長時間立ってても疲れないポーズ』…)ドドドド
エリー(お互いに、動かない…持久戦!)ドドドドド
エリー(ここで時間を稼いで…みんなを逃がせれば…)ドドドドドド
トゥエンティ「……埒があかないな」スッ
エリー「……っ!」ビクッ
トゥエンティ「何の構えか知らないが…僕が美しく終わらせてあげよう、>>165で!」
ストーンリバー「なるほど…!伸縮可能な乳首で間合いの外から攻撃を!」
アルセーヌ「しかも素早い事に定評のあるトゥエンティの乳首は咄嗟の攻撃をかわす事もできる…!」
トゥエンティ「ほおぉぉぉら!!美しいことに定評のある僕の乳首をくらええええ!!」ピシッピシッ
エリー「あぁっ…!地味に、痛い…!」
アルセーヌ「ふん、さっきの構えはブラフ…見かけ倒しですわね」
アルセーヌ「ここはトゥエンティに任せて行きますわよ!ストーンリバー!」ザッ
エリー(あっ…!こ、この先には>>172が隠れて…!)
トゥエンティ「と言うわけで!僕と美しすぎる乳首ゲームで時間を潰して行こうじゃないか!エルキュール・バートン!」
エリー「うぅっ…!」
エリー(>>172は守りきれなかった…でも…!)ガシッ
トゥエンティ「あはぁ…?乳首を掴んじゃダメだよハニー…」ビクンビクン
エリー「あなただけでも…私がここで…!」シャキィン!
エリー「トイズ…発動…っ!!」ブチィッ!!
トゥエンティ「ぎにゃあああああああああああああああああああ!!!!!」
シャロ「他のみなさんは大丈夫でしょうか…」
小衣「四人いっぺんに来るなんて考えてないわよ、反則よ反則…」ブツブツ
シャロ「ココロちゃん、頑張って作戦を考えてください!」
シャロ「そして、早くアルセーヌたちをやっつけに行きましょう!」
小衣「はぁ!?さっさと逃げるに決まってるでしょ!?」
小衣「勝てるわけないし…今日のところはなんとか逃げて…」
シャロ「大丈夫です!ココロちゃんなら勝てますよ!」
小衣「な、なにを根拠に…」
シャロ「ココロちゃんは天才ですから!それに…」
シャロ「……恋人の事は…信じるのが普通じゃないですか?」
小衣「………!」ドキッ
小衣「こ、ココロちゃんって言うな」ピシッ
小衣「仕方ない、考えるわよ…勝つ方法を」
シャロ「…はい!」
シャロ「…アルセーヌ!」
小衣「うわ、来た!?」ビクッ
シャロ「ココロちゃん!ここはあたしが戦います!」
シャロ「ココロちゃんは作戦を考えてください!」
小衣「わ、分かったわ!」
小衣(考えろ小衣…アルセーヌに勝つ方法を!)
小衣(今ここにいるのは…シャーロックと小衣…)
小衣(相手はアルセーヌとストーンリバー…)
小衣「勝つには、勝つには…!」
小衣「……>>179!」
シャロ「えっ、ええぇぇっ!?」
小衣「ほらシャーロック!ちんたらしてないで走れーっ!!」ダッ
シャロ「ってなんでですかー!!」
ストーンリバー「この期に及んで…無様だな」
アルセーヌ「追いますわよ!」ダッ
シャロ「こっ、ココロちゃん!なんで逃げるんですかー!!」ダダダダ
小衣「口じゃなくて足を動かせー!」ダダダダ
シャロ「ココロちゃん…勝つって言ってくれたじゃないですか!!」
小衣「………」
シャロ「勝つための作戦を…考えるって…!」
小衣「…勝つわよ」
シャロ「え?」
小衣「小衣たちが逃げている道…この先には!」バッ
ネロ「あ、シャロ!」
コーデリア「明智さんも!」
シャロ「あっ…!」
小衣「…仲間がいる!」
アルセーヌ「こ、これは…」
ストーンリバー「なんと…!」
アルセーヌ「逃げたのは…ミルキィホームズと合流するため!?」
コーデリア「形勢逆転よ!怪盗帝国!」
ネロ「僕たちが相手だ!覚悟しろっ!」
シャロ「私達が相手です!」
小衣「アルセーヌ…あなたを逮捕するわ!」
小衣「すでにこの先の作戦も考えてある…!>>186よ!」
ここシャロ「「フォークォーターズサラウンドアターーーック!!」」ボカスカボカスカ
ストーンリバー「ぬあああああああ!!」
シャロ「四方を囲んで四人で殴る!」ボカスカボカスカ
小衣「四人そろった時にのみ使える必殺技よ!!」ボカスカボカスカ
ストーンリバー「ちょ、待っ…!ぎにゃあああああああ!!!」
ネロデリア「「おらおらおらー!」」ボカスカボカスカ
ストーンリバー「あああああああああ!!!」
…
アルセーヌ「…ストーンリバーを倒すとは、やりますわね」
小衣「天才に出来ない事はないのよ!」
シャロ「つ、疲れましたー…」ゼェゼェ
アルセーヌ「出来ない事はない…?一つだけ出来ない事があるようですけど?」
アルセーヌ「この私を逮捕する事は…天才の貴女でもできない…!」
小衣「出来るわ!>>193作戦なら!」
小衣「でもね、頭一つあれば怪盗逮捕なんて楽勝なのよ!」
アルセーヌ「戯言ですわ、幻惑の…!」
小衣「シャーロック!!」ガシッ
シャロ「ふぇっ!?」
アルセーヌ「っ!?何を…!」
小衣「んー……」チュー
シャロ「…!?」ドキーン
ネロ「!?」
コーデリア「!?」
アルセーヌ「……!?」
小衣「ぷは…シャーロックの唇、やわらかい…」チュッチュ
シャロ「こ、ココロちゃんのキスは…甘いですぅっ」チュッチュ
アルセーヌ「しゃ、シャーロックに…何を…!!」ゴゴゴゴゴ
小衣「いいじゃない、見せつけてやりましょうよ」イチャイチャ
小衣(これぞ!天才にしかできない攻め方、精神攻撃!)
小衣(アルセーヌの心にダメージを負わせるにはこれが一番!)
小衣(べ、別にシャーロックとキスがしたかったわけじゃないんだからね!勘違いしないでよ!)
小衣「ほら、シャーロック…べろ出して…」
シャロ「ココロちゃん…ここから先は省略されました、続きを読むには小衣ちゃんマジIQ1400と書き込んでも書けません
アルセーヌ「幻惑のトイズ!メテオ!!」シャキィン!
アルセーヌ(く…!駄目、これではシャーロックにも当たってしまう…!)
アルセーヌ「きぃぃぃぃぃ!!シャーロックとそんな、そんなああああ!」ムキー
小衣(効いてる効いてる)
シャロ「ココロちゃぁん…」トローン
小衣「次でトドメよアルセーヌ!最後の…>>202作戦で!」
シャロ「ええええええ!?」
小衣「さぁ早く!あんたらも!」
コーデリア「明智さん!アルセーヌを倒すチャンスじゃない!?」
小衣「いいからほら!急げー!」ダダダダ
シャロ「意味が分かりませんー!!」ダダダダダ
…シーン
アルセーヌ「…………」
アルセーヌ「…シャーロック」ポソッ
アルセーヌ「明智さんと…そんな、そんなぁ…」グスッ
アルセーヌ「うぅっ…!シャーロック、うわあああああん!」
…
小衣「見てあれ、アルセーヌマジ泣き」
シャロ「…これを見るためだけに逃げたんですか?」
ネロ「やっぱ根性ねじ曲がってるよこいつ」
小衣(ついに怪盗帝国を壊滅させることに成功したのよ!)
小衣「あっはっはー!やっぱIQ140000の天才美少女明智小衣にはアルセーヌでも勝てないってことよねー!」
次子「流石にひっでえ…」
平乃「ちょっと…引きます」
小衣「…でもね」
咲「?」
小衣「アルセーヌに勝ってから、シャーロックが…口きいてくれないのよ」
小衣「どうしたらいいと思う…?」
次子「知らん」
平乃「分かりません」
咲「天才なんだから自分で考えなよ」
小衣(名声の代わりに…なにか大切なものを失った気がする…)
おしまい
乙ですー
乙なばたけ
Entry ⇒ 2012.04.13 | Category ⇒ ミルキィホームズSS | Comments (0) | Trackbacks (0)
セイバー「アインツベルン城は少し広すぎませんか?」キョロキョロ
http://hayabusa.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1334208053/
セイバー「ここは?」ガチャ
セイバー「物置……」
セイバー「こっちは?」ガチャ
セイバー「客間……」
セイバー「ふむ……」
セイバー「……」
セイバー「……」ウルッ
セイバー「アイリスフィール!!きりつぐー!!」
セイバー「助けてくださいー!!私はここでーす!!」オロオロ
セイバー「あ、アイリスフィール!!」トテトテ
アイリ「どうしたの?そんな大声だして」
セイバー「よかった」
アイリ「なにが?」
セイバー「自室がどこにあるか分からなくなってしまって」
アイリ「あら。そうなの?」
セイバー「はい。お恥ずかしい限りです」
アイリ「まあ、まだ日が浅いものね。こっちよ」
セイバー「申し訳ありません」
アイリ「いいわよ。そんなに畏まらなくても」
セイバー「……ここは客間ですね」
アイリ「あ、あら?あ、こっちだったかしら」ガチャ
セイバー「侍女の部屋ですね」
アイリ「……」オロオロ
セイバー「……」
アイリ「エントランスに行きましょう!」
セイバー「おぉ」
アイリ「そう。入り口に戻れば自ずと道は開けるわ」
セイバー「流石です!」
アイリ「さ、こっちよ」スタスタ
セイバー「はい」トテトテ
アイリ「えっと、セイバーの部屋はB-2だから……ここね」
セイバー「なるほど」
アイリ「ということは……えっと……」
切嗣「アイリ?何をしているんだい?」
アイリ「キリツグ。セイバーの部屋が良く分からなくて」
切嗣「セイバーの部屋はB-2だが」
アイリ「それは分かってるの。ほら、部屋がいっぱいあるから」
切嗣「そうか」
セイバー「キリツグ。部屋が多い上に、この城はすこし広すぎます。いいですか。私の城も確かに豪奢でしかが―――」
切嗣「それじゃあ少し出かけてくるよ」
アイリ「ええ、気をつけてね」
セイバー「キリツグ!!人の話は最後まで―――」
切嗣「……」スタスタ
セイバー「むぅ」
セイバー「はぁ、まさかお手洗いに行っただけで自室に戻ってこれなくなるとは」
セイバー「そもそも、他の部屋は備え付けの厠があるのに、どうしてここにはないのでしょうか」
セイバー「埃っぽいですし、隙間風も……」
ヒュー……
セイバー「……」ブルブル
セイバー「まあ、ここには雑貨がそろっていますから便利ですが」
セイバー「えっと、ガムテープは……」ガサガサ
セイバー「ありました。よしこれで隙間を塞いでおきましょうか」
セイバー「これでいいでしょう」
セイバー「さて、就寝しておかなければマスターに負担をかけてしまう」
セイバー「おやすみなさい」
セイバー「……」
ヒュー……
セイバー「へっくしゅ」
セイバー「……」ポヤー
切嗣「今日は新都中心に偵察を行う」
舞弥「分かりました」
セイバー「切嗣、どちらへ?私もいきます」
切嗣「車で向かう」
舞弥「はい」
セイバー「きりつぐー、私もお供に」トテトテ
舞弥「(ついてきてますよ?)」
切嗣「(仕方ない……)」
切嗣「舞弥、部屋に忘れ物をしたから先に出発の準備を」
舞弥「え……」
切嗣「……」スタスタ
セイバー「キリツグ、私もつれていってください」トテトテ
切嗣「……」スタスタ
セイバー「キリツグ、どうして何も言ってくれないのですか?」トテトテ
切嗣(この辺りでいいか……)
切嗣「……」シュン
セイバー「消えた!?キリツグ!?キリツグ!?」キョロキョロ
セイバー「……気配もなくなっている」
セイバー「そんな……」
セイバー「どうしてキリツグは私のことを……」
セイバー「はぁ……仕方ない。今日も自室に戻りましょう」
セイバー「……?」
セイバー「ここは……?」キョロキョロ
切嗣「待たせたな」
舞弥「セイバー?」
切嗣「……」
きりつぐー!!!きりつぐー!!!
切嗣「さ、いこうか」
舞弥「いいのですか?」
切嗣「構うことはない。こんな城で迷子になるサーヴァントを街につれていけるわけがないしね」
舞弥「まぁ……確かに」
切嗣「行こう」スタスタ
舞弥「はい」
きりつぐー!!!どこですかー!!!
舞弥「……」
舞弥「セイバー……」
セイバー「……」ガチャ
セイバー「客間……」
セイバー「ここも……違う」
セイバー「はぁ……」
セイバー「……」
セイバー「マスターは目も合わせてくれないし、お城は広いし……」
セイバー「私は仕えるマスターに恵まれなかったのでしょうか……」
イリヤ「あ、セイバー!!」テテテッ
セイバー「イリヤスフィール!!!」テテテッ
イリヤ「どうしたのー?こんなところで」ギュゥ
セイバー「イリヤスフィールこそ!!これは神の啓示ですね!!」ギュゥゥ
イリヤ「セイバー、お手洗いの場所わかるかしら?」
セイバー「私の自室はどこかしっていますか?!」
セイバー・イリヤ「……」
イリヤ「そうなの」
セイバー「お手洗いなら客間にあるのでは?」
イリヤ「そっか。ちょっと用を済ませてくるわ」
セイバー「はい。お気をつけて」
セイバー「……」
イリヤ「セイバー!!どうしよう!!お風呂しかない!!」
セイバー「え!?」
イリヤ「うぅ……」モジモジ
セイバー「では、隣の客間は……!!」ガチャ
イリヤ「はやくー」モジモジ
セイバー「なんの嫌がらせか、こちらも浴室しかありませんね……」
イリヤ「せいばぁ」ウルウル
セイバー「えっと……もう浴槽で済ませるというのは……?」
イリヤ「それ、お母様に怒られるからだめぇ!!」
イリヤ「だめだめー」モジモジ
セイバー「このままでは貴女の矜持に関わりますよ!?」
イリヤ「だけどぉ……」モジモジ
セイバー「ほら、いきましょう!!」
イリヤ「う、うん……」
セイバー「あの綺麗な衣服を汚すよりは何倍もいいはずです」
イリヤ「そ、そうね……」モジモジ
セイバー「他言はしませんから」
イリヤ「や、やくそくよ……?」
セイバー「勿論です」
イリヤ「ゆびきり……」モジモジ
セイバー「その前に済ませてきましょう」
イリヤ「ゆびきり!!」
セイバー「分かりました……。ゆびきりげんまん……」
セイバー「お気をつけて」
セイバー「イリヤスフィールが戻ってきたらなんとか自室に戻るための策を講じなければ」
セイバー「エントランスに戻れば光が見えるのですが……」
セイバー「……」
ガチャ……
セイバー「早かったです―――え?」
イリヤ「間に合わなかったわ」
セイバー「な、なぜ……!?」
イリヤ「服を脱ぐのに時間がかかったの」
セイバー「……」
イリヤ「……」
セイバー「服は?」
イリヤ「部屋にあるわ」
セイバー「では、まいりましょう」
イリヤ「それがわかればこんなことになってないから」トコトコ
セイバー「それもそうですね」
イリヤ「……」
セイバー「エントランスに行きましょう。そこからなら簡単に……」
イリヤ「だめよ」
セイバー「どうしてですか?」
イリヤ「お母様と鉢合わせるかもしれないでしょ?」
セイバー「瑣末な問題では?」
イリヤ「こんな無様な格好じゃあ、お母様に嫌われるじゃない!!」ウルウル
セイバー「イリヤスフィール……」
イリヤ「……」ポロポロ
セイバー「分かりました。エントランスは通らずになんとかイリヤスフィールの自室へ向かいましょう」
イリヤ「……ありがとう」
セイバー「いえ」
イリヤ「うん」
セイバー「……」キョロキョロ
イリヤ「どう?」
セイバー「よし、誰もいません。行きましょう」
イリヤ「うん」
セイバー「この辺りに見覚えはありますか?」
イリヤ「どこも似た景色だから」
セイバー「それもそうですね」
イリヤ「こっちにいってみましょう」トコトコ
セイバー「待ってください!!」ガシッ
イリヤ「え?なに?」
セイバー「その先は危険です」
イリヤ「どうして……?」
セイバー「勘です」
アイリ「もう意地悪したらだめじゃない」
切嗣『セイバーはしつこかったんだよ』
アイリ「わかりました。私が探しておきます」
切嗣『頼む』
ピッ
アイリ「もう……キリツグったら」
アイリ「さてと……」スタスタ
アイリ「ん?」
セイバー「向こうからアイリが来る予感がします」
イリヤ「そうなの?じゃあ、どうしたらいいの?」
セイバー「そうですね……」
アイリ(何をしているのかしら……?)
セイバー「というわけで、こちらに」
イリヤ「う、うん」
イリヤ「えっと……」
アイリ(二人で遊んでいるのかしら……?)
イリヤ「赤ね」
セイバー「赤ですか……」
イリヤ「あと角部屋だったわ」
セイバー「それはすごいヒントですね!角部屋を虱潰しに探しましょう」
イリヤ「うん!!」
アイリ「……」
アイリ(楽しそうだし……しばらくセイバーに任せようかな)
アイリ「さてと……私は……」
アイリ「……」キョロキョロ
アイリ「……エントランスにいこっと」
ランサー「……」ガサガサ
ケイネス「深い森だな」
ランサー「ええ。方位磁石も役に立ちません」
ケイネス「ふん。結界でも張っているのだろう。無駄なことを」ガサガサ
ランサー「……」
ケイネス「……どうした?」
ランサー「先ほどから同じところを回っているような」
ケイネス「そんなわけがないだろう」
ランサー「既にアインツベルンの術中に嵌っている可能性は……?」
ケイネス「それならこの私が違和感に気がつかないはずがない」
ランサー「といことは……」
ケイネス「……」
ランサー「……マスターここにいてください。周辺を探索してきます」
ケイネス「任せた」
ランサー「あった。城だ」
ランサー「よし……」
ランサー「……」ギィィ
ランサー「……」キョロキョロ
ランサー(随分と広いな)
ランサー「見取り図もあるのか……」
ランサー「……」
アイリ「ふんふーん」
アイリ「……?!」
ランサー「記号ばかりで敵マスターの自室はわからないか」
アイリ(敵サーヴァントが城内に……!!)
アイリ(大変……セイバーを呼ばなきゃ!!)
ランサー「……適当に歩いてみるか」
ケイネス「……」
ガサガサ!!
ケイネス「……!?」ビクッ
カラス「アー!!アー!!」
ケイネス「……ランサーめ……なにをしている……!!」ブルブル
ケイネス「令呪でも使うか……?」
ふははははははは!!!!!!
ケイネス「……!?」ビクッ
アーチャー「あははははは!!!!セイバー!!!!迎えにきてやったぞぉ!!!」
ケイネス「あれは……アーチャーか……?」
アーチャー「よし、挨拶はこれでいいだろう。いくぞぉ!!セイバァァァ!!!」ザッ!!
ケイネス「……」
ケイネス「よ、よし。アーチャーを追っていけば城に辿り付けるかもしれない」
ケイネス「いくぞ」ガサガサ
イリヤ「へっくち!」
セイバー「大丈夫ですか?」
イリヤ「うん……」ズズッ
セイバー「早く着替えないと風邪を引いてしまいますね」
イリヤ「でも、ここどこ?」
セイバー「わかりません」
イリヤ「はぁ……お家で迷子なんて……」
セイバー「気にすることはありません。私も自身の城でよく迷子になり兄によく叱責を受けたものです」
イリヤ「そうなんだ」
セイバー「……ん?」
イリヤ「どうかした?」
セイバー「サーヴァントの気配がします……!!」
イリヤ「え、やだ、こわい」
セイバー「そこだ!!」キリッ
セイバー「アイリスフィール!?」
イリヤ「……!?」ササッ
アイリ「よかった!!セイバー!!こっちにきて!!」
セイバー「え?何かあったのですか?」
アイリ「サーヴァントが侵入してきたの!!」
セイバー「なに……!!」
アイリ「行きましょう!!」
セイバー「分かりました!!」ダダッ
イリヤ「あ……行っちゃった……」
イリヤ「……」
イリヤ「どうしよう……」ウルウル
イリヤ「……」トボトボ
アーチャー「おい、人形」
イリヤ「え……?」
アイリ「ここにランサーが!!」
セイバー「……こいっ!!」
アイリ「……」
セイバー「いませんね」
アイリ「さっきはいたの」
セイバー「帰ったのでは?」
アイリ「偵察ってことかしら……?」
セイバー「どうでしょうか……」
アイリ「この見取り図を凝視してたから、もしかしたらキリツグのことを狙っていたのかもしれないわ」
セイバー「なるほど。では、キリツグの部屋に行ってましょう」
アイリ「ええ」
セイバー「直接乗り込んでくるとは……面白い……」
アイリ「急ぎましょう」
セイバー「はい」
ランサー「……部屋を見ただけで誰の部屋か分からないか」
ランサー「城内に数人の気配はあるが……さて……」
ランサー「……ん?」
アーチャー「きさまぁ!!いいかげんにしろぉ!!」
イリヤ「だ、だからぁ!!セイバーの部屋なんてわからないの!!」
アーチャー「おのれ、木偶人形がぁ!!シラを切るのもいいかげんにしろぉ!!」
イリヤ「本当だってば!!」
アーチャー「ションベンくさいガキがぁ!!」
イリヤ「……っ」
アーチャー「家人が部屋を把握していないわけがないであろうがぁ!!」
イリヤ「うぅ……おしっこくさくない……もん……」ウルウル
アーチャー「なっ……!?」
イリヤ「……」ポロポロ
アーチャー「お、おい……」
アーチャー「なんだ貴様?誰の許可を得て我に声をかけた?」
ランサー「女児が泣いているではないか。サーヴァントとして恥ずかしくないのか?」
アーチャー「しらん!!勝手に泣いただけだ!!」
ランサー「……大丈夫か?」
イリヤ「……」ポロポロ
ランサー「酷い男に出会っただけのこと。すぐに忘れることができるだろう」ナデナデ
アーチャー「おい、雑兵。我を愚弄するとは死ぬ覚悟ができているのか、それともただの白痴か?」
ランサー「そのどちらでもない。貴殿の行いは到底騎士として見過ごすことはできない」
アーチャー「言わせておけばぁ……!!!」
ランサー「それに……この子は早く着替えさせるべきだ」
イリヤ「……え」
ランサー「このままでは気持ちも悪いはず。さ、行こう」
イリヤ「う、うん……」
アーチャー「おのれぇ……いい気になるなよぉ……!!」
イリヤ「えっと……分からなくて」
ランサー「そうか。では、エントランスに行こう。そこに見取り図がある」
イリヤ「それはだめ!!お母様に見つかったら……」
ランサー「なるほど。淑女としては今の姿は誰にも見られたくはないか」
イリヤ「うん……」
ランサー「よし……では……」
アーチャー「おい小娘!!」
イリヤ「なに?」
アーチャー「服がほしいのならば我がいくらでもくれてやろう!!あはははは!!!
イリヤ「……」
アーチャー「さぁ!!セイバーの部屋を教えろ!!」
ランサー「無視しておけばいい」
イリヤ「うん」
アーチャー「ぐっ……!!」
アイリ「うん……」
セイバー「もう少し探索をしますか?」
アイリ「でも、下手に動いたら迷子になるわ」
セイバー「では、1フロアを見終わったらエントラスに戻りましょう。それなら私はともかく、貴女は迷わないはずです」
アイリ「そうね。その作戦でいきましょう!」
セイバー「そうと決まればエントランスへ向かいましょう」
アイリ「ええ」
セイバー「あ」
アイリ「どうかした?」
セイバー「いえ……」
セイバー(そういえばイリヤスフィールを置き去りにしてしまっている)
セイバー(まずはイリヤスフィールの安全を確認したほうがいいかもしれませんね……)
セイバー「アイリスフィール、イリヤスフィールの所在を確認しておきませんか?」
アイリ「私も同じことを思っていたわ。だからこそエントランスに急ぎましょう」
ランサー「ここか?」
イリヤ「そうそう」
アーチャー「おい。セイバーの部屋はどこになる?」
イリヤ「……ここ」
アーチャー「なるほど……」
ランサー「行こうか」
イリヤ「うん」
アーチャー「よし!!褒美を与えてやろう!!どのような服飾が望みだ、雑種ぅ!!」
ランサー「……」スタスタ
イリヤ「……」トコトコ
アーチャー「おのれぇ……おのれぇ……!!!」
アイリ「そうそう」
セイバー「部屋に戻っていればいいのですが……」
アイリ「そういえばセイバーはイリヤと一緒に遊んでいたわよね?あのあと、どうしたの?」
セイバー「知っていたのですか?!」
アイリ「たまたま見かけて」
セイバー「そ、そうですか……」
アイリ「何かまずかった?」
セイバー「……あまり、イリヤスフィールを責めるようなことはしないでください」
アイリ「責めるって……イリヤ、何かしたの?」
セイバー「え……」
セイバー(しまった……そこまでは知らなかったのか……!!)
アイリ「ねえ、セイバー。イリヤ……何か悪いことでも……?」
セイバー「今はとにかく部屋に行きましょう。イリヤスフィールの無事が確認できれば、お話します」
アイリ「イリヤ……」
イリヤ「やったー!!ついたー!!」ピョンピョン
ランサー「よかったですね、姫様」
イリヤ「そ、そんな……ありがとう。貴方のおかげよ、騎士様」
ランサー「もったいないお言葉です」
イリヤ「ふふ」
アーチャー「ふん。どれも粗製乱造されたような衣服ばかりではないか!!」
イリヤ「……」
アーチャー「お前に世に現存する最高級の服を提供することもできるぞぉ!!あはははは!!!」
ランサー「とりあえず着替えたほうがいい」
イリヤ「うん」
ランサー「外にでていよう」
イリヤ「まって、一人じゃ脱ぐのも着るのも難しいの」
ランサー「しかし……」
アーチャー「娘ぇ!!我の贈与を拒否するというかぁ!!いい加減にしろ!!」
ランサー「いいのか?」
イリヤ「光栄に思いなさい」
ランサー「では……」
アーチャー「ふんっ!!」シャキン
ランサー「……!!」ギィィン
アーチャー「手癖が悪いな、雑兵?」
ランサー「なんの真似だ?」
アーチャー「アインツベルンの娘?本当にそのような着まわした服で満足なのか?」
イリヤ「着まわしたって。まだ2回しか着てないけど」
アーチャー「あはははははははは!!!!!我を笑い死にさせる気かぁ!!!」
イリヤ「……」
アーチャー「いいか?身にまとう衣など、一度着衣してしまえば外界の汚物が紛れた空気が付着する!!」
アーチャー「それをまた身につけるなど、正気か貴様ぁ!!?」
イリヤ「……」イラッ
イリヤ「いらない」
アーチャー「ふははははは!!!!まっておけ!!!」バッ!!
ランサー「……英雄王の考えはよくわからないな」
イリヤ「本当ね。さてと、脱がせてくれる?」
ランサー「わかった」
イリヤ「……」
ランサー「では……」スッ
ガチャ
セイバー「イリヤスフィール!!ご無事で―――」
ランサー「……」
イリヤ「あ、セイバー」
アイリ「イ、イリヤ……!!!」
ランサー「これは……」
セイバー「ランサー……まさか、貴方にそのような趣味があったとは……残念です。そして死ね」
ランサーの幸運:Eは伊達じゃない
セイバー「誤解も何も今脱がせようとしていただろう?」
ランサー「これにはわけが……」
アイリ「イリヤ!!大丈夫?!」
イリヤ「お母様……」
アイリ「……!!イリヤ、この服のシミ……もしかして……」
イリヤ「あ、これは……あの……」
アイリ「……セイバー?」
セイバー「なんでしょうか?」
アイリ「その槍兵をここから生きて出さないで」
セイバー「承知しました」
ランサー「まて。これは何かの間違いだ」
セイバー「騎士らしく覚悟を決めてはどうだ?」ゴォォォ
ランサー「くっ!!おのれ……!!!」
アイリ「私の娘に乱暴を働くなんて……絶対に許しません……!!」
セイバー「私もです、ランサー。騎士と呼ぶにはあまりにも下劣な行いに走りましたね」
ランサー「……」
イリヤ「あの……これは……」
アイリ「大丈夫よ、イリヤ。もう大丈夫」
イリヤ「……」
ランサー「いいだろう……。こうなっては弁明する気もない」
セイバー「エクス―――」
ランサー「え」
セイバー「―――カリバァァァァ」ピカッ
ランサー「な―――!!!」
ドォォォォン!!!!
セイバー「……」
アイリ「……勝ったの?」
セイバー「あの位置では回避など不可能でしょう」キリッ
切嗣「ここも戦いには不向きか」
舞弥「……」
舞弥(あの服、かわいい……)
切嗣「舞弥?」
舞弥「あ、はい」
切嗣「なにか気になるものでもあったのか?」
舞弥「いえ……あの……」
切嗣「……あれか?」
舞弥「その!!たまにはスーツ以外も着てみたいとか、そんなことは全く考えてません!!」アセアセ
切嗣「しっ」
舞弥「え……?」
アーチャー「おい!!ここの店主をだせ!!言い値でこの店を買い取ってくれるわぁ!!服を全てよこせぇ!!!」
切嗣「アーチャーか……一体、なにを……?」
舞弥「……」
切嗣「……子供服ばかりだな」
舞弥「どうします?」
切嗣「舞弥はあとを追ってくれ。僕は周囲にマスターがいないかさがしてみる」
舞弥「分かりました」
アーチャー「ふははははは!!!!」
舞弥「……」コソコソ
アーチャー「次はここだ!!おい店主をだせぇ!!!」
舞弥(一体なにを……)
舞弥(私も店の中に入ってみるか)
アーチャー「ここに置いてある服、全てをよこせぇ!!!」
舞弥(あ、このチュニックかわいい……♪)
舞弥(こっちのスカートも……)
舞弥「……♪」
舞弥「あの」
アーチャー「なんだ?雑種?」
舞弥「子供服以外は破棄するのですか?」
アーチャー「ふん!!このような愚物などいらん!!ほしければくれてやる!!!」
舞弥「……!!!」
アーチャー「次だぁ!!!」
舞弥「……」
舞弥「……」ガバッ!!
舞弥「あとを追わないと……!!」ダダッ
アーチャー「ふははははは!!!!衣服は全て王の財宝の中に入れておいてっと」
アーチャー「この街の服を全て手にいれてやるわぁ!!!」
舞弥「……」ダダダッ
龍之介「どうしたんだ、旦那?」
キャスター「このドクロのTシャツ、500円ですよぉー?!」
龍之介「すっげぇ!!COOLだぁ!!かっちまおうぜ、だんなぁ!!」
キャスター「ええ、ええ。バーゲンには鮮度というものがあります。ここで買い逃すと二度と手には入らないでしょう」
龍之介「そっかぁ!!」
アーチャー「次はここだな」
キャスター「おや?」
龍之介「旦那の知り合い?」
キャスター「そういうわけではありませんが」
アーチャー「おい、店主をだせ」
舞弥「……」
龍之介「なんか変な奴がきちゃったなぁ、旦那」
キャスター「全く、無粋な人たちです」
舞弥「……」ガバッ!!
龍之介「なんだよ、あいつら。服をかっぱらっていってたぞ」
キャスター「しかも子供服ばかりですよ。お付きの女性は相応の服を持っていきましたけど」
龍之介「子供服ばかりって……もしかしてぇ……」ニヤニヤ」
キャスター「なるほど。あの御仁は龍之介好みのものを溜め込んでいる可能性もありますね」
龍之介「あとを追おうぜ旦那ぁ!!オレ、すっげえ興奮してきたぁ!!」
キャスター「ええ、ええ。そうしましょう、龍之介」
アーチャー「これぐらいでよいだろう。よし、そろそろ戻るか」
舞弥「……」コクッ
アーチャー「いくぞぉ!!!」シュバッ
舞弥「……」ダダダッ
龍之介「行こうぜ、旦那ぁ!!」
キャスター「わかりました」
ケイネス「ここはどこだ……」ガサガサ
ケイネス「くそぅ……ランサー!!ランサー!!!」ガサガサ
ケイネス「……」
ケイネス「……お腹すいた」
ふはははははは!!!!!
ケイネス「!!」
アーチャー「まっていろぉ!!雑種ぅ!!!」
ケイネス「……今度こそ見失わないようにしなければ!!!」
舞弥「……」ダダダッ
ケイネス「!?」
龍之介「むこうだ!!旦那!!走れ走れー!!」
キャスター「ふふふ……青髭タクシーの乗り心地はどうですか?」ダダダッ
龍之介「勿論COOLだ。旦那悪いな、おんぶなんて」
キャスター「龍之介の一人や二人、お安い御用ですよ」ニッコリ
アイリ「よし。これでイリヤの部屋は元に戻ったわ」
セイバー「アイリスフィール、イリヤスフィールの体を洗ってきました」
アイリ「ありがとう、セイバー」
イリヤ「……」ホカホカ
アイリ「気持ちよかった?」
イリヤ「セイバー、乱暴」
セイバー「ええ?!」
アイリ「セイバー?」
セイバー「申し訳ありません!!他人の体など洗いなれていなくて!!」
アイリ「まぁいいわ。それより服を―――」
ふははははは!!!!アインツベルンの娘ぇ!!!戻ってきてやったぞぉ!!!
セイバー「この声は……!?」
アイリ「エントランスからよ!!」
イリヤ「……」
アーチャー「さて、挨拶は済ませた。行くとするか」
舞弥「……♪」ルンルン
龍之介「ここかぁ」
キャスター「ここは聖処女の根城……!!」
龍之介「さ、どこにいるのかなぁ……」
キャスター「龍之介、ここに見取り図がありますよ」
龍之介「どれどれ?ふんふん……この広い部屋があやしいな」
キャスター「それは現在地ですよ、龍之介」
龍之介「あ、そうなの?」
キャスター「ふふ、ちゃんと見ればわかるでしょうに」
龍之介「ごめんごめん」
キャスター「さて、聖処女の寝屋は……」
セイバー「―――貴方たち、何をしているのですか?」
アイリ「キャスター……!!」
セイバー「まさか敵陣に堂々と乗り込んでくるとは、気が違ってしまいましたか?」
キャスター「いえいえ、そういうわけではありません」
龍之介「なぁ!!あんたたちさぁ、ここにいっぱい子供をためこんでるんじゃねえの!?」
セイバー「子供?」
アイリ「そんなことしていません」
龍之介「そんなばかなぁ!!だって、さっき大量に服を持ってきてたぜ!?」
アイリ「誰がそんなことを……」
舞弥「……♪」ルンルン
セイバー「アイリスフィール、あそこを」
アイリ「え?」
セイバー「舞弥が見慣れない服を着ています」
アイリ「なっ……!?」
龍之介「そうそう、あの人もいたいた」
アイリ「どういうこと……?」
イリヤ「どれ着ようかな……?」
ガチャ
イリヤ「!!」
アーチャー「……」
イリヤ「……」
アーチャー「ゲートオブ……バビロン!!!」パチン
ドンドンドンドン!!!!!
イリヤ「ひっ……!!!!」
バサバサバサバサ……!!!
イリヤ「うわっぷ!?」
アーチャー「ふははははは!!!どうだ!!これだけあれば貴様が生きているうちに同じ服を着ることは二度とあるまい!!!」
イリヤ「んー!!!!んー!!!!!」ジタバタ
アーチャー「ふはははは!!!!なんだ、嬉しすぎて声も出ないか!!!あはははは!!!!」
イリヤ「(苦しい!!苦しい!!!)」ジタバタ
アイリ「ちょっといい?」
舞弥「あ、マダム。見てください、このスカート。いいと思いませんか?」クルッ
アイリ「素敵だけど、それはどうしたの?」
舞弥「え?」
アイリ「ちゃんと買ったもの?」
舞弥「も、もちろんです……」
龍之介「うそだぁ。すっごい勢いでかっぱらってたぜ」
舞弥「それは……!!」
アイリ「……」
舞弥「違います!!英雄王が全てを……!!」
セイバー「アーチャーが?」
舞弥「はい。一緒に帰ってきましたけど」
アイリ「それって……!!」
セイバー「この城内にアーチャーがいるということですか!?」
アイリ「まずい……!!セイバー!!」
セイバー「分かりました!!すぐに探します!!」ダダッ
アイリ「貴方たちも一緒に探して!!」
舞弥「はい!!」
龍之介「オレも?!」
キャスター「(龍之介、この隙に子供を捜せば)」
龍之介「(なるほど!)」
キャスター「わかりました。一緒に探しましょう」
アイリ「ありがとう」
龍之介「旦那ぁ!!ライドオン!!」
キャスター「どうぞ、龍之介!!このときばかりは、私もライダーとなりましょう!!」
龍之介「いっけー!!だんなぁー!!」
キャスター「やぁー」ダダダッ
アイリ「イリヤが心配だわ。イリヤのところへ急がないと」
イリヤ「……」ピクッピクッ
アーチャー「……どうした?我の施しに感涙しすぎて果ててしまったか?」
アーチャー「まぁ、王の財に埋もれていては当然か。ふははははは!!!」
イリヤ「……」ピクッ
アーチャー「さてと……次はセイバーの部屋にいくとするか」
アーチャー「ふふふ……セイバー用の服も用意しておいた。これで……ふはははは!!!」
イリヤ「……」
アイリ「―――イリヤ!!!」
アイリ「いない!!どこに……!!!」ダダッ
イリヤ「……」ピクッ
龍之介「旦那ぁ!!ストップ!!」
キャスター「キキー」
龍之介「みろよ。すっげー、子供服の山だ」
キャスター「ここが子供部屋であることは間違いないようですね」
龍之介「どれどれ?」ゴソゴソ
龍之介「よっと」ズボッ
イリヤ「……」
キャスター「おぉ!!」
龍之介「いい……すっげー、いい!!」
キャスター「しかし、息をしていません」
龍之介「マジかよ!!それはだめだなぁ。オレは悲鳴が聞きたい!!泣き叫ぶ声がすきなのによぉ!!」
キャスター「……人工呼吸を試みましょう。このまま解剖しても確かに面白くありません」
龍之介「オレ、そういうのやったことないんだけど」
キャスター「簡単です。口と口を合わせて、龍之介の息吹で幼女の体内を穢し、犯せばいいのです」
龍之介「そうなの?」
キャスター「私が心臓マッサージを行いますから」
龍之介「わかった」
キャスター「では」
セイバー「はぁ……気配はするのに、正確な位置がわからない……!!」
セイバー「アーチャー!!!でてこい!!私と戦え!!!」
セイバー「……」
セイバー「アイリスフィール!!!どこですかー!!!」
セイバー「……」ウルッ
アーチャー「たしか……」キョロキョロ
セイバー「アーチャー?!」
アーチャー「おぉ!!セイバーではないか!!」
セイバー「よかった!!」テテテッ
アーチャー「この辺りに、お前の部屋があるようだな」
セイバー「そうなのですか!?」
アーチャー「ここだな」ガチャ
セイバー「本当だ!!」
アーチャー「なんだここは?物置小屋みたいな部屋ではないか」
アーチャー「なに?」
セイバー「確かに見てくれは悪いですが、ここはマスターが私のために用意してくれた部屋なのです」
アーチャー「……」
セイバー「その場所を侮蔑するようなことは私が許しません」
アーチャー「セイバー……お前、いつもどうやって寝ている?」
セイバー「ここでこの厚紙を下にして、無数の新聞紙をかぶっています」
アーチャー「……」
セイバー「時代が進み、紙の性能が上がっているのでしょう。私の時代にあった寝具とは比べ物にならないぐらい保温効果があります」
アーチャー「お前……」
セイバー「隙間風は気になりますが、大した問題ではありません」
アーチャー「……」
ヒュー……
セイバー「へっくしゅん」
アーチャー「……ゆるさん……ゆるさんぞ……雑種ども……」
龍之介「んー……」プルプル
キャスター「さぁ!龍之介ぇ!!最高の息吹をぉ!!!」
イリヤ「……」
龍之介「んー……」
舞弥「そこまで」
龍之介「おぉ!?」
舞弥「年端も行かぬ女児に対してなんてことを」
龍之介「これは人命救助だぁ!!」
キャスター「そうです!!一刻をあらそうのですよぉ!!」
舞弥「どいてください。私がします」
龍之介「ちぇ」
舞弥「んっ」ブチュ
イリヤ「ん!??!」ビクッ
龍之介「金持ちの考えることはよくわかんねーな」
舞弥「んっ……じゅる……んっ」
イリヤ「んー?!?!?」
龍之介「旦那、この城には子供はいないかも」
キャスター「どうしてですか?」
龍之介「この部屋にある衣類は全部、高級品。しかも寝室もかねてる」
キャスター「なるほど。ここは一人の子供に宛がわれた部屋であり、その他大勢のためにある部屋ではないと」
龍之介「衣裳部屋ならまた違ったけど、ここは完璧に子供部屋だからなぁ」
キャスター「見込み違いでしたか」
龍之介「旦那、引き上げだ」
キャスター「では、どうぞ」
龍之介「ライドオーン!!」
キャスター「ぶるるん」
アーチャー「まて、雑兵」
アーチャー「貴様は雑種の分際で、恥も感じずにセイバーを崇拝しているらしいな?」
キャスター「ジャンヌは私にとって全てですから」
セイバー「あの……アーチャー?何を怒っているのですか?」
アーチャー「だまっていろぉ!!!」
セイバー「……?!」ビクッ
アーチャー「見せたいものがある。こい」
キャスター「わかりました」
龍之介「なんかあったの?」
セイバー「わかりません。私の部屋を見た途端、様子が変わってしまって」
舞弥「ふぅ……」
イリヤ「おぉ……」ピクッピクッ
セイバー「それより、早く帰ってもらえませんか?戦うのなら、容赦しませんが」
龍之介「もう帰るつもりだったんだよ」
セイバー「全く。今日はどうしてこんなにも招かれざる客が多いのか……」
龍之介「旦那のシャウトだ!!くぅー!!COOLだぁ!!」
セイバー「……?」
キャスター「じゃんぬぅぅぅ!!!!!」ダダダッ
セイバー「な、なんですか!?」
キャスター「ああぁ!!なんてことだ!!まさか!!まさか!!この時代でも貴女は虐げられるというのですかぁ!!!」ギュゥゥ
セイバー「わけが分かりませんし、抱きつかないでください」
アーチャー「セイバー」
セイバー「はい?」
アーチャー「今から買い物にいくぞ、準備しろ」
セイバー「は?」
舞弥「買い物……」ピクッ
キャスター「いきましょう!!行きましょう!!ジャンヌ!!!」
セイバー「……わ、わかりました」
龍之介「じゃオレもいくー」
切嗣「結局、アーチャーのマスターらしき影は確認できなかったか」
切嗣「アーチャーの単独行動である可能性が高いか」スタスタ
切嗣「……ん?」
セイバー「何を買いに行くのですか?」
アーチャー「寝具に照明器具、あとはソファーも必要だろう」
セイバー「特にそのようなものは」
キャスター「遠慮なんてしなくてもいいのですよ、聖処女よ!!」
セイバー「その処女処女というのはやめてください」
舞弥「ここは人が多いですから手を握っていてください」
イリヤ「うん。お母様は呼ばなくてよかったの?」
舞弥「見つからなかったので、仕方ありません」
龍之介「なにかおっかなー」
切嗣「……」
切嗣「アイリが危ない……!!城に戻る……!!」ダダッ
セイバー「すごいフカフカですね」ボヨンボヨン
アーチャー「どうだ?これにするか?」
セイバー「確かに魅力的ではありますが」
キャスター「ジャンヌー!!」テテテッ
セイバー「なんですか?」
キャスター「マイナスイオンが出る枕がありましたよー!!」
セイバー「すごいですね」
龍之介「この抱き枕最高だなぁ。これに腸つめたら良い感じになりそう……」
舞弥「このパジャマが可愛いですね」
イリヤ「うーん……このぬいぐるみいいなぁ。魂の器にできそう」
アーチャー「セイバー!!店ごと買ってやってもいいぞぉ!!」
セイバー「あの、どうしてそこまで……私は敵ですよ?」
アーチャー「ふん!!我に消される者があのような下民以下の生活をしていることなど許せん!!それだけだぁ!!」
セイバー「はぁ……」
ケイネス「ランサー……ランサー……」ガサガサ
ケイネス「私が悪かった……もう嫉妬なんてしない……」ウルウル
ケイネス「ランサー……ランサー……」ガサガサ
ガサガサ
ケイネス「……!!」
ケイネス「ランサーか?!」
切嗣「……」
ケイネス「……」
切嗣「……先を急ぐ」
ケイネス「あ、ちょ―――」
切嗣「……」ガサガサ
ケイネス「……」
ケイネス「今日はここで寝るか……」
切嗣「アイリ!!」
アイリ「キリツグ!!」
切嗣「なにがあったんだい?」
アイリ「それが気がついたらお城に誰もいなくて」
切嗣「ともかく無事でよかった」
アイリ「イリヤも……イリヤもいないの!!」
切嗣「イリヤなら無事を確認しているから大丈夫だ」
アイリ「そうなの」
切嗣「だが、少し厄介なことになっている」
アイリ「どういうこと?」
切嗣「セイバーが寝返ったようだ」
アイリ「え……!?」
切嗣「舞弥とイリヤが人質にされている。セイバーはアーチャー、キャスターと手を組んで、何かをするつもりだかもしれない」
アイリ「そ、そんな……!!」
アーチャー「くどいぞ!」
舞弥「寝間着をありがとうございます」
イリヤ「このぬいぐるみもー」
アーチャー「ふんっ!!」
キャスター「さあ、あとは私の力でジャンヌの寝屋を相応の場所へと―――」
切嗣「……」
セイバー「キリツグ……?」
アイリ「セイバー……どういうこと?」
セイバー「え?」
切嗣「こちらにはそれなりの準備ができている。要求はなんだ?」
セイバー「あ、あのなんのことですか……?」
切嗣「舞弥とイリヤを返してもらう」
セイバー「え?!」
アーチャー「雑種風情がいきがるなよぉぉ!!!!」
セイバー「アーチャー……!?」
アーチャー「貴様がセイバーの正式なマスターか?」
切嗣「ああ」
アーチャー「では、我自らが問う!!光栄に思え!!」
切嗣「……」
アーチャー「貴様、何故これだけの部屋がありならがセイバーにまとな一室を与えんのだ!?」
切嗣「お前には関係がない」
アーチャー「あぁる!!!」
切嗣「な……!?」
龍之介「すっげぇ……マジCOOLだ……」
キャスター「……」
セイバー「アーチャー……あの……」オロオロ
切嗣「お前は敵だ。何故、そこまでいう?」
アーチャー「惚れた女が下らぬ男に蔑まされていて、だまっていられるかぁ!!!」
アイリ「まぁ……」
龍之介「かっこいい……!!COOLじゃない……もうかっこいい!!」
キャスター「ふふ……流石は英雄王、格が違う」
セイバー「あの……アーチャー……なんてことをいうのですか……」オロオロ
アーチャー「だまっていろぉ!!!」
セイバー「は、はい……」
切嗣「お前……何を言っているのか、分かっているのか?」
アーチャー「ふん!我は王ぞ?自身の言葉が世の摂理に変わるほどの力をもっている!!」
舞弥「意味が分かりませんが、迫力はありますね」
アーチャー「セイバーは我の嫁となる者だぁ!!!」グイッ
セイバー「やめてください!!」
アーチャー「雑種め、答えろ。何故、セイバーに対してこのような仕打ちをした?殺す前に聞いておいてやろう」
切嗣「……!!」
セイバー「アーチャー……まさか!!」
アーチャー「そのような豆鉄砲で貫けると思ってはいないよなぁ?」
アイリ「キリツグ……!」
切嗣「舞弥とイリヤを解放しろ」
アーチャー「解放だと……?」
切嗣「セイバーをどのようにして手篭めにしたかは知らないが―――」
アーチャー「ほれ」トンッ
イリヤ「わわ」
舞弥「あ……」
切嗣「?!」
アーチャー「我が人質など取るか。これは純粋な怒りを貴様にぶつけているだけだ、たわけがぁ!!」
セイバー「……!!」ザッ
アーチャー「どけ。セイバー。新しいマスターならすぐに用意してやる。心配するな」
セイバー「アーチャー……貴方の気持ちは分かりました。ですが、マスターを傷つけるというなら……私は……!!」
アーチャー「答えろ!!雑種ぅ!!ここまで忠義を尽くす女を何故虐げた!!!どのような理由があろうとも我は許さん!!!」
切嗣「……」
アーチャー「答えないか……。つくづく、見下げ果てたぞ!!!」
アイリ「キリツグ……」
キャスター「聖処女を棺桶にも等しい場所で寝起きをさせるなど、狂気!!!まさに狂気ですよぉぉ!!!」
龍之介「オレでもちゃんとした手作りのベッドで寝てもらうなぁ」
切嗣「セイバー、アーチャーを殺せ」
セイバー「……!!」
アーチャー「それが答えか……」
セイバー「くっ……!!」
アーチャー「起きろ、エア」
セイバー「……!!」
切嗣「なに……」
アーチャー「愛した女が顔を苦痛に歪めるこの場所を、天地創造の乖離剣で消してくれよう」
セイバー「アーチャー……」
アーチャー「セイバー……」
セイバー「私のマスターはキリツグです。それを守るのが私の……使命です」
アーチャー「……」
龍之介「旦那!!にげよう!!巻き添えくらっちゃうぜ!!」
キャスター「もうすこしだけ」
切嗣「くっ……」
アーチャー「……いくぞぉ!!!」
セイバー「……はぁぁぁ!!!」
アーチャー「ゲートオブ……バビロン!!!」パチン
ドンドンドン!!!!
セイバー「くっ!!―――カリバァァァ!!!!」ピカッ
アーチャー「ふっ―――」
キャスター「りゅうのすけぇ!!!にげますよぉ!!!」
龍之介「わぁぁぁぁ―――!!!!!」
切嗣「舞弥、あとを追うぞ」
舞弥「分かりました」
アイリ「セイバー……」
セイバー「アイリ……」
アイリ「英雄王……いっぱい、置いていったわよ」
セイバー「え……」
イリヤ「おっきーベッドだー!!これ、セイバーのでしょー?」ボヨンボヨン
セイバー「……」
アイリ「部屋まで運べる?」
セイバー「なんとか」
アイリ「部屋……かえる?」
セイバー「いえ。あの部屋で十分です」
アイリ「そう……」
セイバー「さ、このベッドを運びます。小物をお願いできますか、アイリスフィール?」
アイリ「ソファーとか置くと、一気に華やかになったわね」
セイバー「ええ」
アイリ「あの……セイバー?貴女にこの部屋を充てたのは」
セイバー「……わかっています」
アイリ「え……」
セイバー「これだけ広い城を守護するためには、その中心に守護者を置いておくほうがいいでしょう」
アイリ「セイバー……」
セイバー「この部屋はどの場所にも迅速にたどり着ける場所。だから、キリツグはこの部屋を私に与えてくれた」
アイリ「……」
セイバー「……そう思うようにしています」
アイリ「ありがとう……」
アイリ(本当はキリツグの部屋から一番遠い部屋ってだけ……なんだけど)
セイバー「今日から隙間風を気にせず眠ることができそうです」
アイリ「うん……」
ヒュー……
セイバー(やはり紙よりも羽毛のほうが遥かに暖かい……)
セイバー(アーチャー……ありがとうございます……)
セイバー「……」ウトウト
セイバー(アーチャー……)
ヒュー……
セイバー(このままでいいはずがない……)
セイバー「……」ガバッ
セイバー「……」
セイバー「……」トテトテ
セイバー「……」キョロキョロ
セイバー「よし、誰もいない……」
セイバー「……」コソコソ
アーチャー「……夜風を浴びるのも、悪くないな」
キャスター「では、そろそろ」
アーチャー「……礼は言わんぞ。貴様が勝手について来ただけだ」
キャスター「とんでもありません。では、次にあったときは」
アーチャー「ふん。我を拝むことなど許さず、その四肢を分断してくれよう」
キャスター「ふふ……」
龍之介「旦那ぁ!!いいオルガンの素材をみつけたー!!」
キャスター「わかりましたー」
龍之介「ライドおーん!!!」
キャスター「ぶるるるん」
アーチャー「……」
アーチャー「我も戻るか……」
アーチャー「最近、時臣も口うるさいからな……」スタスタ
セイバー「くっ……!!!ここは一体、どこだ……!!」ガサガサ
セイバー「夜にでるべきじゃなかった……!!」
セイバー「……」
シーン……
セイバー「……」ウルッ
セイバー「うおぉぉぉ!!!」ガサガサガサ!!
ケイネス「だ、だれだ!!!」
セイバー「なっ?!」ビクッ
ケイネス「お……おぉ……!!!」ウルウル
セイバー「貴方は……?」
ケイネス「セイバーか……!!!ここからだしてくれ!!!」ギュゥゥ
セイバー「それはこちらの台詞です!!!」
ケイネス「たのむ!!もう令呪をわたしても―――」
ランサー「マスター、何を口走っているのですか?」ガサガサ
ランサー「探しましたよ」
ケイネス「らんさぁぁ!!らんさぁぁ!!!」
セイバー「ランサー……」
ランサー「セイバーか」
セイバー「よかった」テテテッ
ランサー「魔力の出力を絞ってくれて助かった」
セイバー「全力だとイリヤスフィールの部屋が修復不能になりますから」
ランサー「それで、君はなにを?」
セイバー「道に迷いました。助けてください」
ランサー「……森を抜けるだけになるが?」
セイバー「構いません。明るくなったら城にも戻れるでしょうし」
ランサー「わかった。ついてこい」
ケイネス「らんさぁ……わるかったぁ……もう命令もしない……ソラウも半分こしよう……」
ランサー「何を言っているのですか。しっかりしてください」
ランサー「では、失礼する」
セイバー「はい」
ケイネス「ランサー……」ギュゥゥ
ランサー「あの、歩きにくいですから」
セイバー「さてと……朝までどうするべきか」キョロキョロ
セイバー「……」
セイバー「……とりあえず座れる場所を」トテトテ
アーチャー「また、迷子になるぞ」
セイバー「……!?」
アーチャー「何をしている?死にたいのか、セイバー?」
セイバー「既に強襲の好機を逃した貴方がいう台詞ではありませんね」
アーチャー「ついてこい」
セイバー「……はい」
セイバー「ここは……?」
グレン「おや?ウェイバーの知り合いですか?」
アーチャー「呼べ。二人だ」
グレン「はい。少しまってください」
ウェイバー「―――うわぁぁ!!!」
ライダー「英雄王か。どうした?」
アーチャー「こいつを任せる」
セイバー「え……?」
ライダー「ん?どういうことだ?」
アーチャー「貴様の駄馬で根城に送ってやれといっている」
ライダー「……それはかまわんが」
ウェイバー「ほほほ、ほんとうにそれだけかぁ!?」
セイバー「アーチャー、待ってください」
アーチャー「……なんだ?」
ライダー「この部屋か」
セイバー「はい。ありがとうございました」
ライダー「気にするな。杯を交わした仲だ。戦争以外に交錯させる視線もある」
セイバー「その心遣い感謝します」
ガチャ
セイバー「さ、いきましょう」
アーチャー「セイバー、殺されても文句はあるまいな?」
セイバー「そのつもりなら私も剣を抜くまでです」
アーチャー「……」
セイバー「今宵は王として……いえ、人として貴方を寝屋へと招待したいと思いました」
アーチャー「ふん。このような場所に呼ぶこと自体が、我に対する侮辱なるぞ」
セイバー「それは重々承知しています。この窓から先へ足を踏み入れるかどうかは、貴方が決めてください」
アーチャー「……」
ライダー「王の願いを無碍にする王は珍しくないが、騎士王は王を捨ててまでも言っておる。それに応えずして英雄王は名乗れんぞ?」
セイバー「どうぞこちらへ」
アーチャー「ふん。ちゃちいベッドだな。雑種には相応しい」
セイバー「貴方が購入したものでしょう」
アーチャー「ふん。一度手に入れたものはすぐに興味をなくす」
セイバー「なるほど。貴方の傍らで泣いた女性は多いのでしょう」
アーチャー「お前も泣くか?」
セイバー「私を妃にするのならば、そのような不埒な行為は一切許しませんが」
アーチャー「愛でるだけの花では収まらんか」
セイバー「当たり前でしょう」
アーチャー「……もういい。さらばだ」
セイバー「アーチャー……」
アーチャー「このような形で貴様を手に入れてもなんの感慨も沸かん。死に物狂いで抵抗されてこそ、我は燃える性質だ」
セイバー「わかりました。では、今後は貴方に対して全力をもって抵抗しましょう」
アーチャー「ふんっ……すぐに音をあげぬことを期待する」
切嗣「結局、取り逃がしたよ」
アイリ「そう……」
セイバー「……」
切嗣「今日から本格的に動こうと思う。アイリも覚悟してほしい」
アイリ「はい」
セイバー「……」
アイリ「セイバー?」
セイバー「はい」
アイリ「大丈夫?」
セイバー「勿論です」
アイリ「じゃあ、行きましょう」
セイバー「はい……」
アーチャー「ふははははは!!!!ついにこのときがきたかぁ!!セイバー!!!」
セイバー「アーチャー……!!」
切嗣「言峰……綺礼……」
綺礼「さぁ、答えをみせてくれ」
アーチャー「いくぞ!!セイバー!!!我のものになれぇぇ!!!!」
セイバー「お断りします!!!」
ギィィィン!!!!
アーチャー「ぬぅぅぅ!!!!」
セイバー「はっ!!!」
アーチャー「あははははは!!!!いいぞ!!そうだ!!抵抗しろ!!セイバー!!全力でなぁ!!!」
セイバー「アーチャー……」
アーチャー「我の嫁はお前だけだぁぁぁ!!!!!」
セイバー「……!!」
ドォォォン!!!
キャスター「ふふふ……」
士郎「あれは……!!」
セイバー「シロウ!!下がって!!」
雑種が……消えろ!!!
キャスター「え……!?」
ドンドンドンドン!!!!
キャスター「きゃぁぁぁあ―――!!!」
士郎「!?」
セイバー「この攻撃は……!!!」
ギルガメッシュ「セイバー!!迎えに来たぞぉ!!!」
セイバー「アーチャー!!アーチャー!!!」トコトコ
ギルガメッシュ「さぁ!!抵抗しろぉ!!」
セイバー「はいっ!!早く、私を倒してください!!!」キャッキャッ
士郎「……」
セイバー「やぁー!!」
士郎「……あの、セイバー?」
ギルガメッシュ「今度のマスターはどうなんだ、セイバー!?」
セイバー「いい人です!!割りと!!」
ギルガメッシュ「それはよかったなぁ!!!」
セイバー「はいっ!!」
士郎「……」
ギルガメッシュ「そのマスターのことは好きなのかぁ!!!」
セイバー「好きです!!!」
士郎「セイバー……♪」
セイバー「でも、私の心は……いつでも貴方の下に―――」
ギルガメッシュ「いうなぁ!!それは、我が貴様を負かしたときにきいてくれるわ!!!」
セイバー「うおぉぉぉ!!!アーチャー!!!!」
士郎「……」
ギルガメッシュ「ふん。今日は顔見せ程度だ。―――それではな」
セイバー「アーチャー!!またきてください!!」キャッキャッ
士郎「……」
セイバー「シロウ、脅威は去りました。ごはんにしましょう」
士郎「……」
セイバー「シロウ?」
士郎「先に行っててくれ」
セイバー「わかりました」スタスタ
士郎「……」
士郎「……」ウルウル
士郎「正義の味方とか……どうでもよくなってきたな……」ウルウル
士郎「……」ポロポロ
士郎「……っ」ゴシゴシ
士郎「……さ、ごはんにしなきゃな」
藤村先生とか
SSF
士郎「セイバー……どこにもいくな」
セイバー「はい……シロウ……」
ギルガメッシュ「ふはははははは!!!!!!」
セイバー「アーチャー!!!アーチャーですね!!!」キャッキャッ
士郎「……」
ギルガメッシュ「今日こそは必ず嫁にしてやるぞ!!セイバー!!!!」
セイバー「はやくしてください!!!」
ギィィィン!!!
ギルガメッシュ「これで最後だ!!エア!!!」
セイバー「全力で応えましょう!!エクス―――!!」
ギルガメッシュ「エヌマエリシュ!!!!愛してるぞぉぉぉ!!!!」ゴォォォォ!!!
セイバー「―――カリバァァァ!!!!私もです!!!!」ピカッ
ドォォォン!!!!
士郎「……なんでさ……なんでさぁぁぁ!!!!!」
END
乙
Entry ⇒ 2012.04.13 | Category ⇒ FateSS | Comments (0) | Trackbacks (0)
櫻子「楓、こっちおいで。」
http://hayabusa.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1333461553/
ガチャ
櫻子「じゃーん!」ババッ
向日葵「いきなり来ましたわね……全くチャイムくらい鳴らしなさいよ。」
向日葵「今日はどうしましたの? 昨日のお菓子なら貴方が全部食べちゃいましたけど。」
櫻子「ああ、今日は……」
櫻子「楓!」
だきっ
櫻子「今日は楓に会いに来たんだぞー♪」ニコッ
楓「わぁい♪」
向日葵「!!?」
櫻子「なに?」
向日葵「なんでまた楓と……??」
櫻子「ん? なんかおかしい?」
向日葵「い、いや別におかしくは……ありませんけど……」
向日葵(どう考えてもおかしいでしょう!)
櫻子「上の部屋行こっか。本読んであげるよ!」
楓「うん!」
とてとて……
シーン……
向日葵「………おかしいでしょう。」
向日葵(なにかしら……絶対またなにか企んでいるんですわ。)
向日葵(急に楓と遊ぶだなんて……)
向日葵(……私を抜きにして……)
向日葵「はっ! これは別にやきもちとかそういうのじゃありませんわ!」
シーン……
向日葵(む、虚しい……)
向日葵「と、とりあえず調査が必要ですわ!」
向日葵(本を読んであげるって言ってましたけど……今までそんなことしたことなかったのに。)
向日葵(ぬ、盗み聞きみたいになっちゃってますけど……仕方ありませんわよね。)
向日葵「…………」そーっ
……きこえてくるのは……のおとだけ……
…………めをとじて、……をひろげました……
向日葵(あら……?? 普通に朗読?)
………めをあけると、そこは…………
「きたことがある」…………
向日葵(この本は……)
向日葵(あれ、思い出せない……けど、私が持っていた本……)
向日葵「…………」
向日葵(……入れない雰囲気……)
向日葵「なんなの……」
向日葵(この気持ちは……)
向日葵(やきもちなのかしら……少し違う気がする……)
向日葵「櫻子………」
向日葵(楓と遊ぶ……別に悪いことじゃない……)
向日葵「私だけ、仲間外れにされてるような感覚……」
向日葵「私の家なのに……ちょっと疎外感……」
向日葵(さっきも……嬉しそうに……)
向日葵「くっ………」
向日葵(なんとかして、あの部屋に入れれば……)
向日葵「そうだ、お菓子……!」
向日葵(お菓子の差し入れなら自然に入れますわ!)
向日葵(早く焼けないかしら……!)ソワソワ
ガチャ
櫻子「向日葵ー?」
向日葵「へっ!?」
櫻子「楓と散歩行ってくるね?」
向日葵「え!? ど、どこに……」
楓「ちょっとそこまでなの♪」
櫻子「えへへへ……じゃねっ」
向日葵「…………」
向日葵(そ、そんな……)
向日葵(………また行ってしまいましたわ……)
ピーッ♪
向日葵「あ、できた……」
向日葵(できたけど………)
向日葵(これじゃ……意味がないじゃない……)
向日葵(……胸が痛い……)
向日葵「……でも別に、櫻子も楓も悪いことをしてるわけじゃありませんわ。」
向日葵「そう。ちょっと、ちょっとだけ、いろいろタイミングがずれてるだけ。」
向日葵(歯車がずれてるだけ……)
向日葵「これは帰ってきたら食べましょう。」
向日葵「zzz………」
向日葵「……ん………」
向日葵「はっ、寝ちゃって……!」
向日葵(時間は……そんなに経ってませんわね。)
向日葵(もう帰ってきてるのかしら……)
向日葵「櫻子……??」コンコン
「…………」
向日葵「入りますわよ?」
向日葵(!)
楓「…………」
向日葵(寝てる………)
向日葵(そこ……私のベッドなのに……)
向日葵「…………」
向日葵(こんな……抱き合うように……)
向日葵(まるでキスでもしちゃいそうな距離じゃない……)
櫻子「…………」
楓「…………」
向日葵(私の居場所は……ここにはない……)
向日葵「…………」
向日葵「………っ」
向日葵(もやもやする……)
向日葵(嫌……こんなの…………)
向日葵(でも……)
向日葵(誰も何も悪いことなんてしてない……)
向日葵(櫻子と話したい……)
向日葵(なんだって、こんな思いをしないといけないの……)
向日葵「…………」つーっ
向日葵(なんで……私は泣いてるんでしょう)
向日葵「…………っ」
楓「あ、おねえちゃん起きたの。」
向日葵「楓………」
櫻子「こんなとこで寝るなよ。風邪ひくぞ。」
向日葵「…………」
向日葵(人のベッド占領してたのはどこの誰かしら)
楓「もう夕方なの。」
向日葵「あら……いけない。」
向日葵「…………そう。」
「仲良いのね。」
櫻子「まあね。じゃ、帰るね。」
楓「櫻子おねえちゃん、また来てね!」
櫻子「うん。 明日来るよ明日!」
楓「わぁ♪」
向日葵「…………」
向日葵(明日も………)
楓「? うん……」
楓「おねえちゃん、少し目が赤いの。大丈夫?」
向日葵「ええ……大丈夫ですわ。」
向日葵(泣いたら、なんか悩んでた自分がバカバカしく思えてきましたわ。)
向日葵(櫻子と楓が仲良くなる。普通に良いことですもんね。)
楓「おいしいの♪」
向日葵「ふふ……良かったですわ。」
向日葵「楓……今日は櫻子と何をしてましたの?」
楓「えっとね、ご本読んでもらって、おさんぽして、それからそれから……」
向日葵(嬉しそう……楓。)
楓「今日はすごい櫻子おねえちゃん、優しかったの……///」
向日葵「ふふ……そうみたいですわね。」
向日葵「おかしい??」
楓「楓のことを、すごい似てるって言ってきて……」
向日葵「似てる……?? 誰に?」
楓「ひまちゃんって人なの。」
向日葵「」
向日葵(な、なななな……///)
楓「ひまちゃんって誰なんだろ……」
向日葵「だ、誰でしょう……」アハハ
向日葵(そういうこと!?)
向日葵(もしかして……今日ずっとそれで楓と一緒に……!?)
向日葵(櫻子は……楓に私を重ねて……///)
向日葵(な……なんか嬉しくなってきちゃいましたわ……!)ほわああ
向日葵(つっかえてたものが無くなったような安心感が……)
向日葵「ええ、よかったですわね。」
楓「明日は何してくれるのかなぁ……///」
向日葵「…………!」
向日葵(楓………)
向日葵「楓は櫻子のこと好き?」
楓「うん! 大好き!」ぱぁっ
向日葵(う……///)
楓「あっ、えっと、おねえちゃんも大好きなの!」
向日葵「……ふふ、ありがとう。」
向日葵(…………)
ちゃぽん……
向日葵(櫻子は……何がしたいのかしら。)
向日葵(楓のことを……ひ、ひまちゃんなんて読んで……///)
向日葵(櫻子が私のことをそういう目で見てることは、少し嬉しいですけれど。)
向日葵(楓の気持ちはちゃんと考えてるのかしら……)
向日葵(楓だって、櫻子のことが好きですわ。)
向日葵(その気持ちをないがしろにしてこんなことを続けるのなら……なんとかしないと。)
向日葵(楓は、私の大切な妹ですから。)ざぱぁ
スッ
向日葵(これだ……今日櫻子が読んでた本。)
向日葵(かぜのこのゆめ。)
向日葵(覚えてる……昔櫻子と一緒に読んだ。)
向日葵(櫻子ったら読んでてもすぐに寝ちゃうからお話がわからないって言ってて……)
向日葵(まあ、メルヘンは普通に読んでてもちょっお話を把握するのは難しかったりしますけどね。)
向日葵「流石に今読んだら、櫻子でもわかるでしょう。」ぱたん
向日葵(懐かしい思い出……思い返すと、少し心地いい。)
楓「うん。」
向日葵「…………」もぞもぞ
向日葵(ベッドが……櫻子と楓のにおい……///)
向日葵(昔は……私たちも一緒に寝てたんですものね。)
向日葵(ふふ……さーちゃん……///)
――――
―――
――
―
向日葵「はーい」
櫻子「きたぞー」
向日葵「あっ……」(チャイム鳴らすから誰だと思ったけど……私が鳴らせって言ったんでしたっけ……)
楓「あっ! 櫻子おねえちゃんなの!」とてて
櫻子「楓!」だきっ
櫻子「よっ」ひょいっ
楓「わあっ」
櫻子「会いたかったぞー」うりうり
楓「ふふ……くすぐったいの!」
向日葵(そんなこと私にだってしたことないでしょう……!? ま、まあ体格的にできないだけのことかもしれませんけど……)
向日葵(一日にして何このラブラブオーラは……///)
向日葵「げっ、玄関先でいちゃつかないでくださる?」
櫻子「はは、悪いね。奥行こうか。」
楓「うふふふ……」
向日葵「…………」
向日葵(な、なんかでもやっぱり……私の扱いが雑じゃありませんの!?)
向日葵(楓のことをひまちゃんって呼ぶくらいなのに……肝心の私にはなんか素っ気ないですわよ! なさすぎ!)
櫻子「ふふふ………」
楓「えへへ……///」
向日葵「…………」
向日葵(膝にのせて……座ってるだけ? ただ何をするでもなく……)
向日葵(櫻子は……昔の私を当てているのかしら……///)
向日葵(私だって、昔の櫻子を忘れてるわけじゃない。)
向日葵(それでも、例えば花子ちゃんに櫻子を重ねるなんてことはしない。)
向日葵(ま、まあ櫻子と花子ちゃんは結構違うような気もしますけど……)
向日葵(……なんで、私じゃなくて楓なの?)
向日葵(楓……昔の私にあって、今の私に無いものがあるってこと?)
向日葵(そんなの……わからない。)
櫻子「お、いいね。」
楓「あ、じゃあ楓が紅茶淹れたい!」
向日葵「そ、そう……??」
楓「やりたいの!」
向日葵「まあ、それなら……」
楓「…………」せっせ
向日葵(……楓は、)
向日葵(櫻子のことが本当に好きなんですわね……)
向日葵(……私は、どうすればいいのかしら。)
向日葵(いえ……やることはひとつ。)
向日葵(それにはまだ……まだ待つしかない。)
櫻子「おぉ、すごいな楓は。」
楓「えへへへ……///」
櫻子「うん……おいしい。」
楓「ほんと……?」ぱぁっ
櫻子「うん……はい、あーん」
楓「あっ、あーん……///」ぱくっ
櫻子「ふふふふ……」なでなで
楓「…………♪///」
向日葵「…………」
向日葵(もう……これは完全なやきもちですわね……)
向日葵(それでも、楓相手だったら、何故か許せるんですけど。)
向日葵(そろそろ……いいかしら)
向日葵「まさか、これが役に立つときが来るとは思いませんでしたわね。」
向日葵(撫子さんがくれた小型盗聴器……)
向日葵(撫子さんはあの時言った。「結果的にプラスであるなら、罪悪感は消えるもの。」)
向日葵(使い方を誤らない。これは……自分の部屋におく。)
向日葵(そしてこれは自分のためじゃない。一番は、楓のため。)
向日葵(そして……これを使うのは今日だけ。)
撫子『魔法は、一回しか使っちゃダメなんだよ。』
向日葵「使わさせていただきます……撫子さん。」
櫻子「楓。上、行こっか。また本読んであげる……。」
楓「うん!」
向日葵(よし……!)
スチャ
~
「昨日の続きでいい?」
「いいよ……櫻子おねえちゃん、そのご本好きなの?」
「こら、ひまちゃん、違うでしょ?」
「あっ……さーちゃん。そのご本好きなの?」
向日葵「はぁっ!?///」
向日葵(も、もしかして……呼び名まで強制させて……!? それはひどすぎるんじゃありませんの櫻子っ!!)
向日葵(というか櫻子の喋り方も……どことなく昔に戻ってるような……///)
~
「この本はね……ひまちゃんが最初に私に読んでくれた本。」
「私は全然お話も覚えてないんだけど……」
「ひまちゃんの声は……とても私を安心させてくれて。」
「だから、忘れられないんだ。」
向日葵(きょ、強烈ですわ……///)
向日葵(というか楓はもう "ひまちゃん" の正体に気づいてたんですのね……まあ当たり前でしょうけど。)
向日葵(わかってて、知らないふりしてたのかしら……)
向日葵(……でも、ありがとう。楓。)
~
「かぜのこは、はるというともだちにであいました。」
「たいようのした、かぜのこは、さくらをさがしてあちこちをとびまわります。」
「しかし、みつけたとおもっても、ちかづいたとたんにきえてしまう。」
「かぜのこはおこりました。なきながら、あばれました。」
「そして、つかれはてたかぜのこのまえに、こんどはたいようがあらわれました。」
「こんにちは、なつ。」
向日葵(櫻子の声……こんな穏やかな声、聞いたことないですわ。)
「…………」
「……あ、…ごめんなさい………」
「………いいよ。……眠いときは寝て?」
「…………で、でも……」
「いいから…………」
向日葵(ん……? 楓が寝るみたい……)
「…………」
「……おやすみ……」
「……………」
「ひまちゃん…………」
「ちょっとこれ、つけて……?」
「……ん………」
「ふふ……寝てていよ……つけてあげる」
向日葵(? 何かを……つけてる?)
「だいじょぶ……今いないから………」
向日葵(ご、ごそごそしててよく聞き取りづらい……けど……)
「…………」
「………ああ、ひまちゃん……!」
向日葵(きたっ……!)
向日葵(行くなら今しかない!)
櫻子「ふふふふ……♪」
向日葵「櫻子!」バン
櫻子「うわぁっ!? や、やばっ……///」
向日葵「ちょっと見せなさい……!」
櫻子「や、やめろよ! 今寝てんだぞ!」
向日葵「ふんっ」ぱさぁっ
向日葵「!」
向日葵(私のカチューシャ……やっぱり……)
櫻子(み、見られた……///)
向日葵「櫻子……」
向日葵「来なさい」
櫻子(こ、こわっ!)
向日葵「そこに座りなさい」
櫻子「…………」
向日葵「昨日から……急に楓と仲良くしだして、何かおかしいとは思ってたんですけど。」
向日葵「どういうつもり?」
櫻子(は、恥ずかしいな……///)
向日葵「……仲良くするのは構わないんですけどね、」
向日葵「あの子にこんなことさせるようなら、話は別ですわ。」
向日葵「……昨日、楓に全部聞きましたわ。櫻子が楓を何て呼んで、楓に櫻子をなんて呼ばせてるか。」
櫻子「あっ……」
向日葵「…………」
櫻子「…………」
櫻子「っ………」
向日葵「昔みたいにしたいって気持ちは、私にだってありますもの。」
櫻子「!!」
向日葵「それでも、それを楓に求めるのは違うと思いますわ。」
向日葵「言うなら……私に言って頂戴。」
向日葵(何故か……不思議と恥ずかしさは湧いてこない。)
向日葵(たぶん、一度突き離されて、泣いたから。)
だから、気持ちが余計なものに邪魔されないで出てくる。
櫻子(気づいてたのか……///)
向日葵「どうせ私のカチューシャを楓に着けるだろうと思って、わざと私の昔のやつを机の上に置いておいたんですからね。」
櫻子(……いじわるじゃん。)
向日葵「……例えば、ある日いきなり私が花子ちゃんのことを……さ、さーちゃんって呼んで……」
向日葵「一緒に本読んで……お菓子食べて……散歩して……」
向日葵「おかしいでしょう?」
櫻子「まぁ……ね。」
櫻子(違うような気がするけど……)
向日葵「本ぐらい、いつだって読んであげるし。」
向日葵「だから……私のことを……///」
櫻子「わかったよ。ごめん。」
櫻子「初めて会ったときの向日葵にさ。」
向日葵「…………」
櫻子「ちょっと、懐かしくなっちゃっただけだから。」
櫻子(ほんとは……やきもちでも焼いてほしかった。)
櫻子(だから、ちょっと向日葵にも冷たくしてみたんだけど。)
櫻子(向日葵は強いね……)
向日葵「あなた……楓の気持ちを考えたことはありますの?」
櫻子(楓の……気持ち。)
向日葵「似てるからって振り回されて……それでもあの子は、あなたが遊びにくるときは本当に嬉しそうにして。」
向日葵「きっと貴方のことが大好きなのに。」
櫻子「…………」
向日葵「これからは……もっとちゃんと楓のことを見てあげてくださいな。」
櫻子(ひどいこと……してたんだ。)
向日葵「楓はまだ六歳ですから。 ちょっとのことでも傷ついてしまいますわ……」
櫻子「……ごめん……」
向日葵「これからは、 "楓" と仲良くしてあげてくださいね。」
櫻子「うん……。」
櫻子「私が、楓だけを好きになって、楓とだけしか仲良くしなくなったら、どうする?」
向日葵「…………」
櫻子「例えばの話、ね。」
向日葵「そんなの……」
泣くほど寂しかった。
動けなくなるくらい胸が痛くなった。
でも、
向日葵「貴方たちを応援するに決まってるでしょう。」
精一杯の、強がり。
私はお姉ちゃんだから。
櫻子「………あっはっは」
向日葵「…………っ///」
「向日葵が一番好きだよ。」
これからも、ずっとね。
久しぶりにキスをした。
私たちは時間とともに変わっていってしまうけど。
ふたりの時間は、巻き戻せる。
ということに、気づいた。
「ごめんね……ひまちゃん。」
「おかえり……さーちゃん。」
この涙は、新しい時間のはじまり。
ねむっちゃった。
きょうはせっかく、さくらこおねえちゃんがあそびにきてくれたのに。
楓「……ん………」
楓「あっ……」
櫻子「……すー……すー……」
向日葵「zzz…………」
楓(おねえちゃんたち……)
楓「…………」もぞもぞ
楓(……えへへ///)
ふたりのおねえちゃんといっしょに、もうひとねむりするの。
やっぱりここが……いちばんあたたかい。
~fin~
乙!
Entry ⇒ 2012.04.13 | Category ⇒ ゆるゆりSS | Comments (0) | Trackbacks (0)
男「」ホ゛ー 幼馴染「」ホ゛ー
http://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/internet/14562/1333865641/
このSSはSS深夜VIPのSSです
幼馴染「………」
男「うまい棒食べる?」
幼馴染「………」コク
男「美味しいなー」ハ゜クハ゜ク
幼馴染「………」モサモサ
幼馴染「………」
男「なんでお前いっつも俺んち居るのー?」
幼馴染「………?」ハテナ
男「なんとなくー?」
幼馴染「………」コク
男「じゃーわかんないよねーなんでかってー」
幼馴染「………」コク
幼馴染「………」シ゛ー
男「ん?」
幼馴染「………」フイッ
男「なーんだよー」
幼馴染「………」
幼馴染「………」スクッ
男「あ、帰る?」
幼馴染「………」コク
男「そっかー、じゃね」ノシ
幼馴染「…………」スタスタ
男「ふぁぁ、いってキマシ」
幼馴染「…………」トコトコ
男「あ、おはよ」
幼馴染「…………」ノシ
男「寒いね」
幼馴染「………」コク
友「うーっす、おはよ。男君に幼馴染よ」
幼馴染「………」
幼馴染「!……」フ゛ンフ゛ン
女「はいはい、おはよ」
男「おはよ。女」
女「はいおはよう」
女「元々近いからね」
友「じゃ、俺ら行くから」
男「じゃねー」
幼馴染「………」
女「はいはいー」
友「国語だ」
男「えーっと国語よー、何処にいるのだー」カ゛サカ゛サ
男「おりょ………?べ、弁当……無い……」カ゛ーン
友「あららのら」
男「あれ、幼馴染……弁当もってきてくれたの!?ありがとー!」
友「良かったな出来た幼馴染で」
幼馴染「………」
男「ホントありがとなー」ナテ゛ナテ゛
幼馴染「………!!」タ゛ッ
友「……?走ってっちゃったぞ?」
男「なんでだろーねー」
幼馴染「………!!」ハ゛タハ゛タ
女「ん?いい事あった?」
幼馴染「………!!」コクコク
女「そっかそっか」
幼馴染「………!!」ハ゛タハ゛タ
女(何があったんだろうか……)
男「ん?何で?」
友「眉目秀麗、才色兼備、頭脳明晰、将来有望……」
友「それに完璧なまでの無口!これで男共にモテないわけない!」
友「しかし、告白した奴もことごとこくフラれる。なぜか」
男「たぶん、免疫ないからじゃない?」
友「……はたしてそうだろうか……」
友「そうだったの?」
男「幼稚園時代から一緒だけどそうだよ。いっつも部屋にいるから、一緒に遊んでたの」
友「へー……閉じこもりがち?」
男「そうそう。だから俺と一緒に外で遊んでたんだよ」
友「そっかぁ……」
教師「一回死にたい………」カ゛ラッ
友「せんせー!冒頭から暗すぎでーす!」
モブ「ソータ゛ソータ゛イケメンノクセニー」
男「ははは!面白いなぁ!」
先生「だっはっは!おうみんなー!今日もキラッキラに輝いてやるぜ!」
モブ「センセーウルセーヨー アツスキ゛ルー」
女「相変わらず修造みたいな先生だわ……」
幼馴染「………」コク
先生「おう!幼馴染!挨拶くらいは交わしてくれんかー!?」ヒ゛シッ
幼馴染「……………」ヘ゜コリ
先生「だっはっは!まぁそれが社会の挨拶だわな!だっはっは!!」ケ゛ラケ゛ラ
女「はぁ……」
教師「あ……プリント足りない……死にたい……そうだ飛べば僕みたいなダメ教師でも神様は許してくれるかな……」カ゛タッ
友「先生!別のクラスが余ってるかもしれません!」
教師「そっか……ありがと……生徒に助けられるなんて……教師失格……死にたい……」カ゛ララ
男「本当に扱いに困るね、あの先生」
友「俺がいなかったらマジで飛んだよあの体勢……」ハァ
先生「と、いうわけで!連絡事項は以上だ!いつも異常だがな!だっはっは!」カ゛ララ
教師「すいません……プリント……余ってませんか……」
先生「おお!余ってますよ!足りなかったんですか!?」
教師「はい……ふがいない……死にたい……ありがとうございます……」
先生「だっはっは!生きることを諦めないでください!真矢みきじゃないですけど!だっはっは!」
教師「はぁ……失礼します……励まされるなんて……人間失格……ダニに生まれ変わって日光で死にたい………」カ゛ラッ
先生「だっはっは!全くしょうがない先生だからなあの先生はー!」ケ゛ラケ゛ラ
女「………GJ」
女「……?教師見つめてなにしてんの?」
幼馴染「………」クイクイ
女「……私と似てるかもってこと?」
幼馴染「………」コクコク
女「んなこたぁ無いんじゃない?あんたはちゃんとあたしと話してるでしょ?って、話してないか」
幼馴染「………」
女「とにかく!気にすること無いのよあんたは!」ハ゛ンハ゛ン
幼馴染「…………」コク
友「どうしたよ」
男「いやさ……キティーちゃんってさ……りんご三つ分の身長にりんご二つの体重って内蔵の圧縮パネェことになるんじゃないかって……」
友「お前さ……そういうことに頭使うと秀才だけど学業には役に立たないんだよな」
男「テストとか苦手だからさ」
友「お前確か時速なんキロでイカを投げたらウラシマ効果でるかって言う議題で特殊相対性理論と一般相対性理論解いてたよね」
男「そうそう。アレ楽しかったな。だって過去からイカが帰ってくるんだぜ?笑えるだろ」
友「確かに笑いを通り越して疑問がでてくる」
男「おっと、もう昼か。弁当食べなきゃな」
幼馴染「………」チョイチョイ
男「はいはい、中庭ねー」
女「友、あんたも来る」
友「ういういっと」
幼馴染「……?」
男「はい、あーん」
友「!?」
女「!?」
幼馴染「…………!!」ハ゜クッ
女「食いおった!」
幼馴染「……!!」ヘ゛シヘ゛シ
女「おお!?顔を真っ赤にしてべしべしとなんだ!」
幼馴染「………!!!////」ヘ゛シヘ゛シ
友「あの…それは……」
男「食べさせてあげた→自分で食べる暇省ける→人助けってことにならない?」
女「ならない。余計なお世話」
幼馴染「…………」フ゛ンフ゛ン
女「ん?そんなこと無い?」
男「流石わかってくれる」サスサス
幼馴染「………!!」ハ゛タハ゛タ
キンコンカンコーン
男「おおっと、昼ご飯を食べたところで丁度良く」
教師「そこの人……授業始まるよ……あ…でも僕の授業なんか聞かないよねみんなごめんなさい一回死んで詫びるよ」
友「あーあー!教師さんの授業楽しみー!」
女「ほ、ほんとだよねー!」
教師「良かった……頑張ろう……」スタスタ
女「よかった……」
友「死ぬとこだった……」
男「ははは、なにやってんの?」
幼馴染「………」ハテナ
幼馴染「…………」ハ゜タハ゜タ
幼馴染「…………」キュッ
女「んー?どうしたの?胸なんか抑えて。苦しい?」
幼馴染「…………」ハ゛タハ゛タ
女「それとも、誰かいなくなって寂しいとか?無いか」
幼馴染「…………」コク
女「え……」
幼馴染「………」スタスタ
女(乙女にとってそれは……大事件)
女(……そう……恋しかない!!)
女(なんとしても……成就させなきゃ幼馴染ちゃんが死んじゃう!うさぎみたいに!!」
友「なんだようるせーな、ブツブツと……」
女「うっさいわボケコラァ!黙っとんらかい!!あぁん?」
友「な、ななななんだよ……」ヒ゛クヒ゛ク
女(よーし……)
幼馴染「!?」アワワワワ
女(この反応……)
女「なーに慌ててんの?普通の女の子は恋バナくらいするって」
幼馴染「………………??」
女「もしかして……恋バナって言葉知らない?」
幼馴染「………」コク
幼馴染「………」ホ゜カーン
女「よくわからないって顔ね……」
幼馴染「…………」コクコク
女「じゃ、あたしが模範的な恋バナするわ」
幼馴染「…………」ハ゜チハ゜チハ゜チ
女「いや拍手するようなもんじゃないけど……」
幼馴染「…………」
幼馴染「………」コクコク
女「それでね?ずーっと男友達みたいにしてたから、異性としては見てくれてないのかな、なんつって」
幼馴染「…………」コクコク
女「で、気がついたらずーっとダラダラそいつと過ごしてきたわけ。どうしようかね?」
幼馴染「……………」
女「あーあー考えなくていいよ。これが模範的な恋バナなの。わかった?」
幼馴染「…………!!」コクコク
女(ふふ、どさくさに紛れて暴露しちゃったけど、ちゃんとわかってくれて良かった……)
幼馴染「……………」
女「つっても、あんた喋らないからわかんないか」
幼馴染「……………」
女「もしかして、好きなのかどうかわかんない?」
幼馴染「……………」コク
女「そっかそっか。でもいつかわかるよ。ああ、こいつ好きなんだなーって」
幼馴染「……………!!」ハ゜ァァァァ
女「ふふ、せいぜい頑張れや!」ハ゛ン
幼馴染「……………!!」コクコク
教師「はい……みなさんさようなら……僕もこの世からさようならしたい……もう卒業していいよね……人生を……」
友「頑張ってください!応援してます!」
教師「ありがとう……ありがとう………」ホ゜ロホ゜ロ
男「大人って涙もろいんだな」
友「疲れるよお前にも教師にも……」
男「ん?ああ、そうだな。一緒に帰るか」
幼馴染「………」コク
友「じゃあ俺も帰るか」
女「あたしも付いていくわ」
友「なんで?」
女「ふん!なんでも!」
幼馴染「…………」シ゛ー
男「んー?どうした?」
幼馴染「…………」スッ
男「………?」
女(……悩んでるわ……たぶん相手は……)シ゛ー
男「ん?だから何?」
女「なんでもないわ」
男「………??」
友「いや、さぁ……俺に聞かれても……」
男「じゃあなんなんだろう……」
友「だから俺に聞かれても……」
男(……もしかして幼馴染に嫌われてんのかねー……)
女「あ、あたしと友はこっちだから。ばいばいー」
幼馴染「………………」ノシ
男「ばいびー」
幼馴染「……………」
男「俺んち来る?」
幼馴染「……………」フルフル
男「そっか……ばいばい」
幼馴染「……………」ノシ
幼馴染「……………」カ゛チャッ
幼馴染姉「お、おかえりーぶふふふふふふwww」クスクス
TV『先生!海外行ってる時点で事件っス!』
幼馴染姉「ぶふwwwwwwwwご飯出来てるからwww食べててwwwwwwwww」
幼馴染「………………」ハ゜クハ゜ク
幼馴染姉「あー……面白かった。探偵がアホすぎる」
幼馴染「………………?」
幼馴染姉「その顔、ズバリ気付いてないでしょう!ズバリそうでしょう!」
幼馴染「……………?」ハテナ
幼馴染姉「うんうん、お姉ちゃんにもそういう時期あった。でもね、結局気付く頃にはだいたい遅いものよ」
幼馴染「………」
幼馴染姉「だから、早くしないと手遅れよ?」
幼馴染「……………」コク
幼馴染姉「わかったらちゃっちゃとメシ食わんかい!」ヒ゛シッ
幼馴染「……………」ハ゜クハ゜ク
幼馴染姉「また夜の散歩?気をつけてねー」
幼馴染「…………」コク
幼馴染「…………!」
美女「はー……ご主人様の出番が一瞬で終わった………」
幼馴染「…………」チョンチョン
美女「ん?誰ですか?どうしました?」
幼馴染「…………」フ゛ンフ゛ン
美女「何か相談……?」
幼馴染「………」コクコク
美女「きっと、それは迷いがあってからこそですわ。」
美女「私は、ご主人、じゃなくて、彼には初めて仕事を評価してもらった喜びから惹かれていったものですわ」
幼馴染「……………」コクコク
美女「好きになるのに、理由はいりませんわ。自分が好きなんだと思えば、それはもう好きなんですわ。何か基準になってしまったら、たまったものじゃありませんわ」
幼馴染「…………!!」コクコク
美女「なかなか物わかりがいいお嬢さんですわ……私はそろそろ事務所に帰らないと……」スッ
幼馴染「…………!!」フ゛ンフ゛ン
美女「ええ、さよなら……また、会えそうな気がしますわ……ふふふ」スゥ
幼馴染「…………」
幼馴染「……………………!!」コクコク
幼馴染姉「ん?いい事でも思いついたの?じゃ忘れないうちに早くと寝ておきなさい」
幼馴染「…………」コクコク
幼馴染「…………」モフモフ……Zzz……
男「ふぁぁ、おはよ」
男妹「お早うお兄ちゃん」クルクル
男「お前いい加減回るクセ直せ」
男妹「余計なーお世話だよー」クルクル
男「はぁ、いってきます」
男妹「いーってらしゃーい」クルクル
幼馴染「……………」チラッ
男「んー?」
幼馴染「…………////」フイッ
男「なーんだよー」
友「おいーっす」
男「なぁ、やっぱ悪いことした?」
友「なんだよシラネ」
女(幼馴染ちゃん……顔が真っ赤に……)
女(ははーん……)
女「ねぇねぇ……やっぱ、好きでしょ?」ヒソヒソ
幼馴染「…………////!!」コクコク
女「ふふ……良かったね……」
友「相変わらず早い」
男「じゃね幼馴染」ノシ
幼馴染「…………////」タ゛タ゛タ゛
男「なぁ、悪いこと……」
友「だぁぁぁぁぁぁぁぁ!!知らねぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!」
男「どうしたー!」
教師「出席とるから………ああ……明日には出席簿に僕の名前は無いんだろうな……」
友「頑張って!まだ若いから!」
教師「そっか………頑張る………」
男「いい加減にしろよ」
先生「今日なー!先生は友人の結婚式があるんで一日いません!今から結婚式行くんで、さよなら!!だっはっは!」タ゛タ゛タ゛タ゛
女「おいちょっと待て」
モブ「カワリノセンセーイナイノカヨー フ゛ーフ゛ー」
カ゛ラッ
美女「はーい、静かにしないとぶん殴りますよ。刃物で」
女「だ、誰?」
幼馴染「………!!」フ゛ンフ゛ン
幼馴染「………」コクコク
美女「どうも、あの元気バカ先生の代わりを一日します、美女でーす。よろしくね」
モブ「ヤヘ゛ーチョーカワイイーオレノヨメ」
美女「あ、残念でしたね。私結婚してますから。はい国語始めまーす」
幼馴染「…………」キラキラ
女(憧れの目………)
ビッチ「あのさ、幼馴染ちゃん。ちょっと付き合ってくれない?」
幼馴染「…………」コク
ビッチ2「助かるー」
ビッチ「じゃちょっと来て!」
幼馴染「………」スタスタ
ビッチ「おら!この子が好きだった男子、あんたが好きだからフったんだよ!?」
ビッチ2「マジムカツク………」ト゛ンッ
幼馴染「………!?」ト゛サッ
ビッチ「あー、ちょっと!バットあったー☆これで……」
ビッチ2「うんうん、やっちゃお!」
幼馴染「……………!!」ヒ゛クッ
幼馴染「…………助けてっ!!!男ぉ!!」
ト゛コ゛ォッ
ビッチ「った……!」
男「なにこれ?パーチー開くの?」
ビッチ2「な、なによ……あんたがフったから………」
男「だからってよー、パーチーは無いだろー。つまんねぇなー」
幼馴染「……………男」ウルウル
男「はいはい、あなたのヒーロー男でーす」ニコッ
ビッチ「っく……」タ゛ッ
ビッチ2「くっそ……」
男「に、してもひどいねぇ。お前が声出すなんてよっぽどだぞ?」
男「十数年ぶりだよ……声聞いたの」
幼馴染「私………私……」
男「あーあーいいからいいから。もう喋らなくていいって」
幼馴染「違くて……あの………」
男「あ?」
幼馴染「………心配かけてごめんなさい………」
男「ばーか。俺の勝手な心配だ。好きでしたことだよ」
幼馴染「……………男」
ビッチ2「くっそ………」
美女「はいはーい!私見ちゃいました!ついでに撮っておきました!決定的瞬間ー!」
ビッチ「!?」
ビッチ2「!?」
美女「うーん、なんてゆーかですねー、ほら、言うじゃないですか。『人の恋路を邪魔する奴は馬に蹴られて死んじまえ』って」
美女「と、いうわけで、馬じゃなくて悪いですけど、私にの蹴られてもらいますわ!」
ビッチ&ビッチ2「うわぁぁぁぁぁ!」
美女「いい仕事しましたわ……ご主人様に褒めてもらいます……」
幼馴染「…ビッチ2をフったのって……男……?」
男「そうだよ!」
幼馴染「……そ、それって……私が好きだからって……?」
男「……たははっ!恥ずかしいな!まぁさ……そういうことかな?」
男「ぶっちゃけ、好きかどうかわかんなかったからさ!」
幼馴染(………………!!)
男「……はぁ?それって………」
幼馴染「………私は男が好きだから、ずーっと誰とも付き合わなかったの」
男「…………え、え?」
幼馴染「だから……好きなの」
男「……ふふっ、ははははは!安心したわ!じゃあ付き合うか?」
幼馴染「…………」コク
男「……………よろしくな」
幼馴染「…………」コクコク
男「おっす!帰り道まで走ってなにやってんだか」
友「なんで……腕………組んで……」
幼馴染「………………/////」
女「ついに………あたしを越えたのね……ふふ」
友「い、いつのまに!?」
女「ずっと居たわよ」
幼馴染「…………」コクコク
友「なんだよこいつら……俺だって好きな人と結ばれたい………」
女「へー、好きな人いるんだー?」ニヤニヤ
友(………いるよ。すぐ近くに)
友「バカにすんなって!いるっつーのそれくらい!」
幼馴染「…………」ヘ゜コリ
男母「おかえ……り………」カ゛シャーン
男母「大変!嫁!嫁連れてきた!お赤飯!」タ゛タ゛タ゛
男「……,はぁ?」
幼馴染「……………////」
美女「でうも、予言が当たったようですわねぇ」
幼馴染「………!!」ヘ゜コリ
美女「じゃ、祝いましょうか?結婚祝い♪」
男「いやぁ、照れるよー」
幼馴染「…………よろしくね、旦那様」
男「こっちこそよろしく。俺のお嫁さん」
男妹「ENDですよぉ~」クルクル
~fin~
駆け足気味ですいません。
Entry ⇒ 2012.04.13 | Category ⇒ 幼馴染「」SS | Comments (0) | Trackbacks (0)
さやか「結局あたしはアイツとヤリたかっただけなんだ」
http://hayabusa.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1333695639/
ほむら(明後日には退院…)
ほむら(しばらくは通う事になるけど、この病院ももう長いもんね)
ほむら(こうなるとけっこう名残おしいところも…)
上条「さやか! さやかぁぁぁああああ!!!」バンバンバン!!
ほむら(!?)
上条「さやかとセクロスしてエエエエエエエエエエエ!!!!!!!!」
ほむら(な、何言ってるのよ/// 確か名札が… 上条恭介?)
ほむら(やっぱり、男の子の部屋には近づかない方がいいね。もう帰ろうっと)ペタペタ
バタン
ほむら「あ……」
さやか「もしかして今の、聞いてた?」
ほむら「///」コク
さやか「ごめんね、あいつもう長い事入院しててさ、もう溜まってしょうがないんだわ」
ほむら「溜まったって… ///」
さやか「あれ、知らないの?」ニコニコツヤツヤ
さやか「ああ、してるよ」
ほむら「ひぃ///」
さやか「大丈夫だって、生でしたことないから」
ほむら「だ、ダメですよ! そんなことしちゃ」
さやか「え~? なんでダメなの?」
ほむら「だって… そういうことすると、赤ちゃんできちゃうって……」
ほむら「なんですか、生って!」
さやか「シッ! 声大きいよ!」(そこまでは知らないのか……)
さやか「あのね」
さやか「妊娠とかしないで済む方法があるの」
ほむら「ほぁ…… そんなのが」
さやか「だからしても平気なんだよ!」
さやか「なんでさ!?」
ほむら「だって、そういうのは… 私たちにはまだ早いと思うから//////」
さやか「じゃ、入れなきゃいいんだ?」
ほむら「いれ、いれ… って/// 変なこと言わないで~」
さやか「変じゃないよ。どういうことするか、知らないの?」
ほむら「知らないよ! …そ、そんなことする子、いないもん……」
さやか「よ~し、じゃあしっかり教えてあげちゃおうかな!」
さやか「え~? いいの? ホントに知りたくないの~?」
ほむら「うぅ~ん… いや、やっぱりいいです!」
さやか「え、何? やっぱりって何? ちょっと迷ってた?」
ほむら「迷ってなんか…… ///」
さやか「だよねぇ~ あんまり話さないけど、皆ホントは知ってるもんね!」
さやか「となると知りたくなっちゃうよねぇ~」グイグイ
ほむら「……あ、あのぅ………ポソポソ…///」
ほむら「…教えてください!」
さやか「!」クルリ
ほむら「///」カァァ
——ほむルームへやって来ました——
さやか「個室なんだ。他の人がいなくてよかった」
ほむら「それで、まずはどうしたら…?」
さやか「緊張しないでいいよ。ベッドに座ってて」
ほむら「は、はい…」
ほむら「ひゃんっ!」
さやか「ムニッて… あんたもしかして、ブラつけてないの?」
ほむら「パジャマの時は外してるだけです。普段はしてますよ、ちゃんと」
さやか「そっか、じゃあもうちょっと触るよ~」ムニムニ
さやか「下準備が大事なの。もしかして、イヤだった?」
ほむら「イヤっていうか…… くすぐったいです///」
さやか「ああ、触られ慣れてないとそうなるかも。ちょっと我慢しててね」プチプチ
ほむら「はい… な、なんでボタン外してるの!?」
さやか「直接触った方がいいかなと」プチ
ほむら「美樹さん、手つめたいよ」
さやか「ほむらがアツいんじゃない?」クニ
ほむら「っ!!」ヒクン
さやか(あらためて見ると…… ちっさいなぁ……)
ほむら「今、小さいって思ったでしょ?」
さやか「う、うん… 正直言ってこれは」
ほむら「やっぱりね… あんまり見ちゃだめだよ… 恥ずかしいもん///」
さやか「ほ~ぅ、ではじっくり拝んでおこうかな」
ほむら「だめだってば~///」
さやか「いいんだよ。そうやって、見られて恥ずかしいって気持ちに、男の子は弱いからね」
さやか「恥じらいは大事だよ。無くしちゃうと取り戻せないしね」
ほむら「じゃあやっぱり見ちゃだめ!」
さやか(あ…… 隠しちゃった)
グイグイ
さやか「これこれ、ちゃ~んと見せなさいよ~」
ほむら「いやぁ~……///」
ほむら「み、美樹さん!? そんなところ///」
さやか「赤ちゃんできたら、こっから飲ませてあげるんだよ~」
ほむら「できません! まだできないから!」
ほむら(あ、でも…… 美樹さんが私の胸に吸い付いて…)
ほむら(赤ちゃんみたい…? かわいいかも……///)
さやか「どう? まだくすぐったい?」
ほむら「うん…… なんだか…」
さやか「じゃあねぇ、今度は片方なめて」(もう片方は指で)
ほむら「あっ…///」
さやか(うわぁ…… なにこれ…? やわらかい……)
さやか(ずっと寝てると、こうなっちゃうのか…? まさかね)
ほむら「んっ… こ、っこっち///」ポンポン
ほむら(美樹さん… こうして撫でてると、ますますかわいい…!)
さやか「よ~し、じゃもう片方もなめてあげるね!」 ちゅぅ
さやか(いいわコレ……)
・
・
・
さやか(忘れるとこだった!)プハァ
さやか「あれ、ほむら顔赤いよ」
ほむら「そんなこと… あ… あるかも…」
さやか「もしかして、おっぱい舐められて興奮しちゃった?」
ほむら「ち… ちがうよぉ///」
ほむら(落ち着かないと… 息があがってきてるの、バレちゃうよ)
ほむら「良かったって……!」
さやか「でね、これがあたしじゃなくて、男の子だったら、どうなると思う?」
ほむら「それは… こ、興奮、するんですよね」
さやか「だからどうなんのさ」
ほむら「その… ………が、固まるんですよね///」
さやか「それで硬くなったのを、ほむらのここへ」スッ
ほむら「!!」ビクッ
さやか「ちょっとほむら? 大丈夫!?」
ほむら「ビックリして… そんなとこ触っちゃだめだよ、汚いよ」
ほむら「おしっこの時と、…あれの日にだけ」
さやか(生理きてたんだな)
さやか「じゃあちょっと慣れようか」クニクニ
ほむら「んっ…!!」
さやか(息が荒くなってきてる… これはいけるかも)
さやか「我慢しなくていいよ」
ほむら「我慢…?」
さやか「声出そうなんでしょ? 我慢しないで出しちゃいなよ」
ほむら「声なんて…… あっ!」
さやか「いいの出てるじゃない」
ほむら「///」
ほむら「こ、こないよぉ」
さやか「どれどれ~ 直接確かめちゃうよ」スゥ
ほむら「!!? 手、入れないでぇ~…」ガッ
さやか「女の子の方の準備が出来てくるとね、だんだんヌルッと…」グググ
ほむら「やだよぅ…///」
トントン
杏子「ほむらいるの? 入るよ~!」
ほむら「友達だよ! ど、どうしようこんな格好で」オロオロ
カラカラ
杏子「お、新しい友達かい」
ほむら「そうなの。さっき来てくれて」
杏子「あたし、佐倉杏子な。よろしく!」
さやか「あたしは美樹さやか」
杏子「ミキ… サヤカ…? どっちが名前だかわかんないな! 変わってるな」
ほむら(三人ともそんな感じじゃ……)
杏子「それで、体拭いてくれてたんだな。ありがとう」
杏子(あれ…? このさやかって、どっかで見たことあるぞ……? 見たとこ入院してる人じゃなさそうだけど、この病院のどこか……)
杏子(いい漁場だからけっこう巡回してるけど、毎日会う人が多くて、覚えきれないな……)
ほむら「佐倉さん、これは…」オドオド
さやか「今ほむらにね、どうやったら赤ちゃんできるか教えてあげてたの」
杏子「? 結婚するだけじゃないの?」
さやか「おわぁ……」 (やっぱり!)
杏子「失礼なヤツだな! 毛くらい生えてるぞ!」(ちょろっとだけど……)
ほむら ポソッ「佐倉さん、もう生えてるんだ……」
あんさや「えっ」
ほむら「えっ」
ほむら「はい」
杏子「はい」
さやか「処女コンビにどうやったら赤ちゃんができるか教えちゃうよ!」
杏子(そんなこと、マミも教えてくれなかったぞ… 今度教えてあげようっと)
ほむら(処女ってなんだろう…?)
さやか「まず、杏子が来るまでほむらに教えてたのはね」
杏子「/// おまえら… そんなことしてたのか…///」
ほむら「ごめんね…」
さやか「それで受け入れる準備というのがですね」
さやか「せっかくだからほむらに脱いでもらおうか!」
ほむら「えぇ/// 恥ずかしいよ///」
さやか「杏子も期待してることだしさぁ、頑張って!」
杏子「…ごめん」
ほむら「そんな……」
さやか「それじゃおしり上げて」
ほむら「やめて… 自分で脱ぐから///」
スルスル
ほむら「…もしかして、下のパンツも…?」
さやか「当然!」
ほむら(それに私たちくらいの子は、みんな知ってるんだしね!)
スルリ
さやか(ついに無毛が……!)
杏子(うわ、ホントに生えてない!?)
さやか「すべっすべだぁ……」
ほむら「あんまり見ないでぇ///」
ほむら「きゃあっ!? あ、あ脚広げないでよぉ///」
さやか「ほ~ら、ほむらのここ、濡れてきてるよ~」ツツ
ほむら「ひゃん!」
杏子「ホントだ… ほむら、おしっこ我慢してるの?」
さやか「違うよねぇ~、さっきまで受け入れ準備万端だったもんね!」
さやか(ん…? コイツ今、既にじわっと来てるのを『我慢してる』って言ってた?)
さやか(もしかして普段から… あ、いや、今はおいとこう)
さやか「それとも、今こんなに見られて興奮しちゃった?」クイッ
ほむら「…してないよ! …見られたって……」
さやか「へぇ、早く入れてほしいんだ? あんたよくそんな恥ずかしいこと言えるね」
ほむら「///」カァァ
さやか「ではお望み通り…」
ツプ
ほむら「ひぃっ!? は、入ってるよ美樹さん!」
杏子「やめろっておい… そこ、生理の穴だよ。入れるトコじゃないだろ!?」
さやか(こいつはそっからして知らないのか…… まったく)
ほむら「待って美樹さ…… ん、ああっ!!」
さやか「ほむらの中、もうグッショグショだよ」
ほむら「いやぁっ! 美樹さん、だめ…! 抜いてぇ!」
さやか「え、痛かった? ごめんね」
ほむら「ううん痛くないけど……」
ほむら「奥まで入れたら、本当に赤ちゃんできちゃうよ……」
杏子「えっ… そうやるもんなのか……?」
さやか(こいつら何なの?)
入れる → 奥を刺激 → できる
※あんこ知識
結婚 → 懐妊
ほむら「うん」
さやか「女の子はね、中が湿ってくるの。今ほむらがそうだったみたいに」
ほむら「…うん///」
さやか「つまり男の子の硬くなったのを、ここに入れるのね。そこまでは知ってる?」
ほむら「……大体は」
ほむら(入れるのは知ってたけど… そういう仕掛けになってたなんて…… 美樹さんはどこで聞いたんだろう)ドクンドクン
杏子「いや無理だろ」
さやか「ほぁ?」
さやか「…難しいこと言うなぁ」
さやか「でも実際入っちゃうんだよコレが。さっき見たでしょ?」
杏子「う~ん……」
さやか「それでね、男の子はここに硬くなったのを入れるの。そしたら気持ちいいみたい」
杏子「やっぱ無理だって」
ほむら「そうだね」
さやか「どこがよ?」
さやか「…そりゃ、ぶつけたらね」
さやか「でも女の子のここだったら、柔らかいからいいの」
杏子「へぇ… 中はそうなってるんだ……」
さやか「感触でいうと、唇の裏みたいなもんだからね」
杏子「」
ほむら「」
さやか「…あんたら今、舌で唇舐めてるでしょ?」
杏子「なんでわかったんだよ!///」
ほむら「出すって……」
杏子「その、先っぽから…… だよな?」
さやか「そうね。おしっこと同じところ」
杏子「それは… いいの? なんと言うか、衛生的な意味で」
さやか「構造上、おしっことは一緒に出てこないからいいんだよ」
さやか「でも入れる前にちゃんと洗っておいた方がいいね! そこは練習しとかないと」
杏子「お、おおぅ……」(練習かぁ)
杏子「いよいよか…」
ほむら(いよいよ…)
さやか「精子が女の子の中に出されると、スーッと奥の方へ入っていくの」
杏子(なんか痛そうだなぁ……)
ほむら「外へ流れて行っちゃうんじゃないの?」
さやか「それがね、精子は自力で動けるから、メダカみたいに流れに逆らって泳ぐんだよ」
ほむら「へぇ~…」
杏子(いたっ いたたっ…!!)プルプル
さやか「だから、精子が入ってこないように防げれば、妊娠しないで済むってわけ」
ほむら「…中を閉じるの? 難しそうだね」
さやか「いや自力でそれができたら人間じゃないって……」
杏子「精子が出る時だけ抜けばいいじゃん」
さやか「そうなんだけどね」
さやか「精子は男の子が気持ちよくなった時にまとめて出るんだけど、その前からちょっとづつ出てるんだよ」
杏子「じゃそれで妊娠しちゃうなぁ……」
さやか「うん。だからね、男の子とする時は、入れる時に必ずこれを使うの」
杏子「なにこれ?」
さやか「コンドームっていうの。今日は特別に、一個開けて見せてあげるよ」
ほむら「うわぁ~い」
杏子「こんなもんで防げちゃうのか」
さやか「これを… 今はあたしの指で再現するけど、こうして」スルスル
杏子「おお~……」
ほむら「かぶせちゃうんだ」
さやか「ね? こうすれば女の子の方に精子は来ないでしょ?」
杏子「すごいな! これ誰が考えたの?」
さやか「いや知らないけどさ」
さやか「する時はちゃんとコンドーム使ってね!」
あんほむ「は~い!」
さやか「コンドーム付けないのを、『生』っていうの」
さやか「男の子は生でしたがるけど、絶対させちゃダメだからね」
杏子「生でしたら、精子入ってきちゃうもんな」
さやか「そうそう。あとコンドームの使い方も、ちゃんと説明書読んでからね」
トテトテ
杏子(大漁、大漁… やっぱこの病院は稼げるなぁ)
杏子(まだ早いし、ほむらの部屋へ行く前に、小児病棟のチビちゃんたちと遊んでやるかな)
杏子(顔馴染みになっておけば、むこうでも動きやすい……)
上条「さやか! さやかぁぁぁああああ!!!」バンバンバン!!
杏子(!? な、なんだ…?)
杏子「今の声、この病室から聞こえたような…」
上条「さやかとセクロスしてエエエエエエエエエエエ!!!!!!!!」
杏子(な、何言ってるんだコイツ///)
杏子(あ、思い出した! さやかってよくこの病棟へお見舞いに来てたんだ)
上条「ではせめてこのしびんにだな」
杏子(? しびんって、あれだよな……?)
さやか「もぅ、しょうがないなぁ。貸して」
上条「あ、いや、ぼくが持ってるからいいよ」
さやか「ちゃんと支えててよ」
杏子(おいどうする気だよ……)
さやか「変なとこチェックするんじゃないの。 ……いくよ」
杏子(いくの!?)
ショロ…… ティロティロティロ
杏子(……)ポカーン
杏子「ついに明日退院だな。おめでとう!」
ほむら「ありがとう。退院してもまた会えるよね?」
杏子「当たり前だろ! マミもお茶会しようって、楽しみにしてるぞ」
ほむら「わぁ~、 お友達の家へ遊びに行くなんて、久しぶりだよ」
ほむら「美樹さんも呼んでいいかな?」
杏子「ハハハッ そうだな、いろいろ教えてもらっちゃったもんな!」
ほむら「うん///」
ほむら「今日も来てるのかな」
杏子「ああ。さっき来たみたい…… でね、その、してたのね///」
ほむら「また?///」
杏子「しかも今日は… ちょっと上級者向けみたいだった!」
ほむら「上には上があったんだね…」ゴクリ
杏子「あとでコッチ来たら聞いてみようぜ!」
ほむら「うん! どんなのかなぁ」ワクワク
おしまい
マミさんも出したかった
ほむ:退院前。病院を徘徊してるあんこと友達
さやか:上条さんのお見舞いでよく来てる。開始時点で他三人とは面識なし
あん:病院に集まって来る魔女が目当てに、お見舞い名目でよく病院に来てる。
怪しまれないよう長期入院中のバァさんを幻覚魔法で騙して孫と思わせたり、
小児病棟に入院中の小さい子と遊んであげて、仲良くなったり
小児病棟ロビーのテレビでプリキュア見てたほむらを小学生と勘違いして声をかけたのがきっかけで友達に
マミさん:たぶんあんこと仲良く魔法少女
まどか:忘れてた
次もメガほむを…
Entry ⇒ 2012.04.13 | Category ⇒ まどかマギカSS | Comments (0) | Trackbacks (0)
のび太「もう二年、か」
http://hayabusa.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1333438675/
のび太のもとにメールが届いた。ジャイアンからだった。
中学以来だろうか。高校二年の夏休みだというのに全く予定のないのび太は行くことにした。
のび太「……」
中学の頃は楽しかったなぁ
そんなことを考えていた。
そして当日――
のび太「……」
ジャイアン「……」
のび太「あの……他の人たちは?」
ジャイアン「スネ夫は無視、しずかちゃんは無理だそうだ。」
のび太「じゃ、じゃあ僕も帰ろうかn」
ジャイアン「くそーっ!なんで二人しか来ないんだ!のび太、今夜は寝かさないぜ!!」
のび太「いや実は用事を思い出し……うわああああ」ズルズル
のび太「わかったよ!行くから!一緒に行くから!だから自分で歩かせてよ!!」ズルズル
ジャイアン「お~れ~はジャイア~ン♪ってこの歌も懐かしいぜ!」
のび太「うわ~聞いてよ~」ズルズル
引きずられながらものび太はジャイアンの強引さが嬉しかった。
すぐ近くで変わっていくスネ夫を見ていたこともあって、変わらずにいる旧友の存在が嬉しかったのだ。
のび太「えぇっ、ご飯ってジャイアンの家でなの……って、あれ?」
ジャイアン「なんだよ、俺の家がどうかしたか?」
のび太「ジャイアンの家って、コンビニになったんだね。」
ジャイアン「おう、まぁな。いろいろあってな……」
のび太「そっか……」
ジャイアン「ってそんなことはどうでもいいんだよ!ほらっ、早く入るぞ!」
二人は中学の思い出や、それぞれの近況報告などを語り合った。
中学生の頃スネ夫が振られたこと、ジャイアンの歌が急成長し、文化祭で歌ったこと、最近スネ夫はガラの悪い友達ができ、のび太とは疎遠になったこと、
ジャイアンは酒も入っていたこともあり、話は尽きず、あっという間に翌朝になっていた。
ジャイアン「なら俺が家まで送ってやるぜ!さぁ行こうzうぉ゛ぇええぇ……」
のび太「へべれけじゃないか……」
二人はのび太の家へと向かった。
ジャイアン「でよぉ~!母ちゃんがよぉ~!ジャイ子ばっかり可愛がりやがってよ~!!」
のび太「ちょ、ちょっとジャイアン、人が見てるからもっと小さな声で……」
ジャイアン「たしかにジャイ子は可愛いけどよ、俺だって店の手伝いばっかりじゃなくってやりたいことだって……」
ジャイアン「本当だよ!しずかちゃんもスネ夫もこねぇしよぉぉぉ!!!」ドン
のび太「ほら、人とぶつかったじゃないか!どうもすみません。ジャイアンも謝って……」
???「のび太……さん?」
のび太「えっ?」
???「のび太さん、よね?」
のび太は目の前の茶髪の垢抜けた少女が誰だか一目ではわからなかった。
のび太「しずかちゃん……なの?」
「ちょっとぉ~しずかぁ~?どうしたん?」
しずか「なんでもない!今行くから!じゃ、のび太さん、またね」タッ
のび太「あっ……」
ジャイアン「ずいぶん変わったな、しずかちゃん。昔はもっとこう……」
のび太「僕たちがどうこう言える話じゃないさ。でも……」
ジャイアン「……」
のび太「シラフだったんだね」
ジャイアン「このジャイアン、喧嘩だけじゃなく酒にも強いんだぜ!うげぇ気持ち悪い……」ビシッ
のび太「……どっちなの?」
家に着き、ジャイアンと別れたのび太は、徹夜明けで回らない頭でいろいろと考えていた。
DQNとつるむようになってから表向きには明るいが覇気が感じられないスネ夫のこと、
なんだか別の人のようになってしまったけどさっき喋ったときには確かに懐かしさを感じたしずかちゃんのこと、
真剣に考えてはいたが、やはりそこはのび太のようで、徹夜明けの疲労に自室の静けさが相まって、眠ってしまった。
…………
……
ソーラヲジユウニトービターイナー♪
のび太「ううん……うるさいなぁ誰だよ……」
携帯の着信音で目を覚ましたのび太は、携帯を手繰り寄せた。携帯の時計は午前2時を示していた。
画面には「源しずか」の四文字。
のび太「えぇっ!?しずかちゃん!?」ガバッ
一瞬で眠気が吹っ飛んだのび太は慌ててメールを開く。
『今から空地に来れない?』
聞きたいこともたくさんあったのび太は、すぐに家を飛び出した。
のび太「待たせてごめん!」
しずか「ううん、何年も会ってないのにこんな時間に急に呼び出したりしてごめんなさい。」
のび太「そんなの気にすることないよ。何年たっても僕らは友達じゃないか。」
しずか「えぇ、ありがとう。」グスッ
のび太「わっ、しずかちゃんどうしたの!?どこか痛いの?」
暗闇で顔は見えないが、たしかに泣いているしずかちゃんにのび太は困惑するばかりだった。
のび太「……何かあったの?」
しずか「今日の朝、偶然会ったじゃない?」
のび太「うん……」
しずか「あの時一緒にいた友達と、本当に友達だったのかわからないけど、あれから喧嘩になっちゃってね」
しずか「原因はたまたまトイレに立った他の子の悪口言い出したから『そういうのは好きじゃない』って言ったら『いい子ぶるな』みたいに言われて……」
しずか「私、昔からのび太さんやたけしさんやスネ夫さんたちと一緒にいたこともあってか、もともとちょっと浮いてるところあったんだけどね。」
のび太「でも、僕はしずかちゃんのしたことは正しいと思うよ?」
しずか「……」
のび太「自分が浮きたくないからって言いたくもない陰口を一緒になって言うのなんて友達でもなんでもないじゃないか。」
しずか「……っ」
しずか「じゃあどうしろっていうのよ!?」
のび太「」ビクゥ
しずか「私だってあんな状態嫌よ!でも、それじゃ私は一人ぼっちよ。誰もが誰かと喋ってる教室で私だけ一人。
みんなに後ろ指差されながらそれに気づかないふりしてなんでもないような顔してなきゃいけないのよ?」
のび太「ぼっ、僕だったら、そっちを選ぶよ!自分が嫌だと思うことしなきゃ友達じゃない人たちと無理につるむくらいなら一人の方が何倍もマシさ!!」
しずか「そんなの自分が一人ぼっちなことの言い訳じゃない!!」
のび太「っ!?」
しずか「友達を作る努力さえ諦めたあなたに言っても無駄だったわ。もう連絡しないから。またね。」
のび太「そんなの努力じゃ……」
言いかけたが、最後まで言い切る前に口をつぐんだ。
すれ違う時に見たしずかちゃんの顔が驚くほど疲れて見えたからだ。
背後から声を聞いてから、のび太は先ほどまでしずかちゃんがいた空間に向かってつぶやいた。
のび太「そんなの、努力じゃないよ。しずかちゃん……」
今の自分自身に満足していないのび太は、何を言えばいいのかわからず、とぼとぼと家に帰るしかなかった。
何年か前まで、すごく頼れる友達がいた気がするのに……
いつも三秒で眠れていたのび太が、その夜一睡もできずに朝を迎えた。
のび太「……」
のび太「余計なことかもしれない……でも、」
のび太「僕は、しずかちゃんを友達だと思ってるし、友達が困ってるんなら助けなきゃ!!友達なら誰だってそうするはずさ!!」
のび太は、ジャイアンに相談することにした。
のび太「ごめんね。忙しかった?」
ジャイアン「いや、ちょうど母ちゃんと喧嘩してたからいい口実になったぜ!」
のび太「ところで相談なんだけど……」
…………
……
のび太「というわけなんだ。」
ジャイアン「そうか……しずちゃんがそんなことを……」
のび太「だから、どうにか力になってあげたくてさ……」
ジャイアン「でもお前、それって俺たちがどうこう言える問題なのか?」
のび太「えっ?」
見切り発車すぎて頭おかしくなってきた……
のび太「でも……」
のび太「しずちゃん泣いてたんだよ。それに、僕はしずちゃんのこと友達だと思ってる!ジャイアンだってスネ夫やしずちゃんが集まらなかったときに怒ってたじゃないか。」
ジャイアン「そういうと思ったぜ!ったく中学の頃と変わってないなお前は。」
のび太「協力して……くれるの……?」
ジャイアン「あったりまえだ!俺はガキ大将ジャイアン様だぞ!!」
のび太「ジャイアン……」
ジャイアン「じゃあ早速しずちゃんちに行こうぜ!!」ガシッ
のび太「えっ、そんなまだなにも考えtうわ~またか~」ズルズル
どうすればしずちゃんを救えるのか、
そして、今の自分の居場所が本当に正しいのか―。
ジャイアン「ほらっ、着いたぞ。」
のび太「着いちゃったね……」
のび太がインターホンを押そうか迷っていると、ジャイアンが押してしまった。
のび太「ちょ、ちょっと!僕まだなんにも考えてないのに!」
ジャイアン「ばっかやろう!考えてもの言ってどうするつもりだ!こんなときに心で語り合ってこその心の友だろうが!!」
のび太「かっこいいけどそれじゃ社会では生きていけないよ!」
のび太「あっ……」
ジャイアン「よう!久しぶりだな、しずちゃん!こないだは俺を無視してのび太にしか声をかけなかったがぜんぜん気にしてないぜ!」
のび太「それ気にしてるって言ってるようなものだよジャイアン!」
しずか「……前に言ったことなら悪いと思ってるわ。ごめんなさい。私みたいな嫌な子、もう嫌いになったでしょう?だからもう構わなくていいのよ。」
のび太「そ、そんなこt……」
ジャイアン「ふざけんな!」
のびしず「「!?」」ビクッ
それでもしずちゃんは上辺だけ友達のフリしてるようなやつらの方が大事だっていうのかよ!?」
しずか「……」
ジャイアン「じゃあ俺はムカついたから帰る。のび太、あとは勝手に話し合いな。」
のび太「……」
しずか「……」
のび太「な、何?」
しずか「学校で一人ぼっちって、どんな感じなの?」
のび太「……」
しずか「ち、違うの!からかってるとかそういうのじゃなくて……」
のび太「わかってるよ。しずちゃんに怒られてから改めて考えてみたんだけど、もしかしたらしずちゃんみたいな生き方の方が正しいのかもしれないね。」
しずか「えっ?」
のび太「だってさ、僕は高校入ってから一人ぼっちで、忘れ物した時に借りる人もいないし、しずちゃんみたいに遊びに行く人もいないんだ。」
しずか「……」
しずか「……?」
のび太「本当は嫌なのにニコニコ笑って話すなんて僕にはできない。絶対顔に出ちゃうもん。だからいつまでも一人ぼっちなのかもね。はは……まぁ相手の為に疲れるくらいなら別に友達なんていらないけどね。」
しずか「……のび太さんが羨ましいわ。」
のび太「えっ?」
しずか「私だって一緒よ。嫌ってほど気を遣って友達ごっこするのが嫌になったからのび太さんに連絡したのよ。」
しずか「でもね、私にはのび太さんみたいな強さはなかった。上辺だけの友達なんていらないと割り切る強さがね。」
しずか「教室で他の子が喋ってる喧騒の中で、一人でなんでもない顔するのなんて耐えられない。私は弱いのよ。一人じゃファミレスにも入れないくらい弱いのよ。だかr」
のび太「弱くない。」
のび太「しずちゃんは弱くなんかないよ。嫌われるかもしれないのに、陰口言う友達にやめろって言ったじゃない。」
しずか「……」
のび太「きっと他の子たちだって嫌に決まってるよ。次は自分なんじゃないかってビクビクして過ごしてるはずだよ。」
のび太「だからさ、誰かに合わせる必要なんてない、そんな友達にすればいいんじゃないかな?」
のび太「そりゃ、そんな簡単な話じゃないのはわかってるんだけど……」
しずか「じゃあ、のび太さん。」
のび太「何?」
しずか「どうすればそんな友達になれるの?」
のび太「……」
のび太「そそ、そんなことないよ!!」
しずか「……」
のび太「……」
しずか「ふふっ」
のび太「?」
しずか「あはははは、ごめんなさい。ちょっと笑いが止まらないわ。ふふふ」
しずちゃんはダムが決壊したように笑い出した。こんなに笑ったのは久しぶりだった。
自分でも何がおかしいのかわからない。何がこんなに面白いんだろう。
あぁ、そうか。相手がのび太だからだ。ここまで正直な人間がいるだろうか。なんて馬鹿なんだろう。なんて……
しずか「ふふっ……」グスッ
のび太「ちょ、ちょっと、今度はどうしたの!?」
のび太「う、うわっ、しずちゃん?」
しずか「ごめんね。ちょっとだけこのままにして。」
しずちゃんはのび太の胸に顔を埋めながら言った。
そして、一つの答えを見つけた。
しずか「私、決めたわ。」
のび太「どうするか決まったの!?」
しずか「私がクラスを変えてみるわ。」
しずか「のび太さん私が弱くないって言ったわよね?」
のび太「うん。」
のび太は表情一つ変えずに言った。
しずか「のび太さん、私ならできるって言って。」
のび太「えっ?」
しずか「私なら皆を変えられるって言って。言うの!」
のび太「しずちゃんなら、皆と本当の友達になれるよ!」
しずか「うん!私、信じるからね!」
のび太「しずちゃんならきっとできるよ!小学生のころから優しくて、可愛くて、クラスの人気者だったからね!!」
のび太に言われると、悪い気もしない。
のび太にできると言われると、本当にできる気がするのだ。本当に不思議な人だな……
としずちゃんは思った。
…………
……
ジャイアン「悪い悪い、遅れちまったけど主役は最後に来るもんだよな!……ってまたのび太だけかよ。」
のび太「二人ともまた無理だって?」
ジャイアン「今度は二人ともシカトだ!今夜はお前も飲めよのび太!」
のび太「ぼっ、僕は学校にばれるのが怖いから無理だよ!」
ジャイアン「うるせぇ、そんなもん俺も同じだ!!」
???「あのっ!」
ジャイアン「悪い悪い、遅れちまったけど主役は最後に来るもんだよな!……ってまたのび太だけかよ。」
のび太「二人ともまた無理だって?」
ジャイアン「今度は二人ともシカトだ!今夜はお前も飲めよのび太!」
のび太「ぼっ、僕は学校にばれるのが怖いから無理だよ!」
ジャイアン「うるせぇ、そんなもん俺も同じだ!!」
???「あのっ!」
???「今日は私も参加しちゃ、ダメかな?」
そこには黒髪でお下げの見慣れた女の子がいた。
のび太「しずちゃん!!」
しずか「のび太さん、改めてごめんね。せっかく相談に乗ってもらったのに怒鳴ったりして……」
のび太「そんなの、気にしてないよ。僕たち友達じゃない!」
しずか「たけしさんも……」
ジャイアン「……は……だぜ」
しずか「えっ?」
ジャイアン「今のしずちゃんは大好きだぜ!!久しぶりだな今のしずちゃん!!」
のび太(なんだか懐かしいなぁ。中学の頃はここにスネ夫も……)
ジャイアン「よーし、じゃあこれから三人で飲むぜ!!」ガシッ
のび太「うわ~やっぱりか~~~」ズルズル
のび太「ところでしずちゃん、あれからちょっと経つけど学校の友達とはどう?」ズルズル
しずか「まだあんまり……話しかけても無視されちゃった。」
のび太「そっか……」ズルズル
しずか「でも大丈夫!友達なのにびくびく顔色伺いながら過ごすなんてぜったいおかしいもの!それに……」
のび太「……?」ズルズル
しずか「私ならできるんでしょ?のび太さん!」
しずか「私ならできるんでしょ?のび太さん!」
のび太「うん!しずちゃんなら絶対できるよ!」ズルズル
ジャイアン「後ろでごちゃごちゃうるせぇ!!」ボカッ
のび太「痛い!」
ジャイアン「まったく。さぁ着いたぞ。」
のび太「またジャイアンの家~?」
しずか「あら、たけしさんの家って(ry」
ジャイアン「いろいろあって(ry」
と、いっても同じ学校ののび太にしずちゃんとジャイアンが質問をするばかりだったのだが。
ジャイアン「なんだよ使えねぇな。お前も同じ学校ならもっと仲良くしろよな!」
しずか「まぁまぁたけしさん。」
のび太「表向きには明るく振舞ってるってことはわかるんだけど……」
ジャイアン「……」
酔っ払いながらも、ジャイアンは心配だった。
スネ夫には昔から強いやつとつるむが、その集団の中で我慢してしまう癖があった。そんなスネ夫に気が付いてから、ジャイアンはスネ夫に肩身の狭い思いをさせないように気を付けていたが、高校ではどうなんだろうか。
ジャイアン「……」
しずか「たけしさん?」
ジャイアン「お、おう!ちょっと酒を飲みすぎたぜ!」
そうこうしているうちに、夜が明けていた。
ジャイアンは考え事をしているようで、今日は自宅まで送ってくれることはなかった。
のび太「じゃあ、しずちゃん。また今度ね。」
しずか「えぇ。わざわざ送ってくれてありがとう。」
のび太「どうってことないよ!じゃあね。」
のび太と別れてから、しずかは遠くにガラの悪い集団を見つけた。
しずか(因縁つけられる前に家に入りましょう。)
そう思ったが、その集団の中に見覚えのある顔を見かけた。
しずか(スネ夫……さん?)
DQN2「マジ腹減ったわ~誰かぶん殴りたくなってくるわ。なぁ骨川?」
スネ夫「お、俺金あるから奢ってやろうか……?」
DQN1「おっ、マジでぇ?やっぱ気が利くな骨川はよ。」
スネ夫「そんなの……気にすることないっすよ……」
バキィ
DQN2「おい骨川。敬語やめろっつったろーが。俺らがいじめてるみたいだろ。」
DQN1「まぁまぁよせよ。俺らは友達だもんな。友達だからのど渇いてる友達に飲み物くれるんだよな?」
スネ夫「そ、そうっすyそうだよ。友達だもんな。」
しずか(これは……)
女子校のギスギスしたいじめしか知らないしずちゃんには先ほどのことが誕生日プレゼントをあげているように見えたのだった。
そして、スネ夫の人間関係が改善されることなく数日が過ぎた。
ジャイアン「いらっしゃいませ~。」
ジャイアンはコンビニの手伝いをしていた。
リア充1「今度俺らのバンドでこの曲やらねぇ?」
リア充2「いいね!俺最近アニソンも(ry」
ジャイアン(くそ……なんで俺は店番であいつらはあんなに楽しそうなんだ)
ジャイアン「あっ、いらっしゃいませ~。」
DQN1「俺じゃがりこな。」
DQN2「俺午後ティー。早く買ってこいよ。」
スネ夫「わ、わかったよ……」
ジャイアン(スネ夫……?)
ジャイアン「スネ夫。」
スネ夫「!?」ビクゥ
ジャイアン「やっぱりスネ夫か。なんだよお前、あいつらにたかられてんのかよ?」
スネ夫「ち、違うよ。ただの友達d」
ジャイアン「おうお前ら!自分の金はねぇのか!?」
DQN2「お客様は神様だろうが。」ヘラヘラ
スネ夫「……」
ジャイアン「神様だろうが仏様だろうがてめぇで金も払えないやつに売る商品はねぇぞ。」
DQN1「こいつ調子乗ってね?やっちゃう?」
DQN2「いんじゃね?礼儀のなってない店員を教育してやんなきゃな。」
ジャイアン「上等だこの野郎!!」
ドカッバキィグシャッ
DQN1「いってぇ……」
DQN2「くっそがぁ……」ソソクサ
ジャイアン「二度と来るんじゃねぇ!!」
スネ夫「あ、ありがと……」
ジャイアン「お前嫌なことは嫌だっていえよ!なんだったら俺様も一緒に言いに行ってやるからよ。」
スネ夫「あ、ありがとう!でも俺一人で大丈夫だから!」ダッ
ジャイアン「あっ……」
スネ夫はどうすればいいかわからなかった。
ジャイアンは友達でいてくれるが、学校にはいない。学校にいるのは自分を財布としか思っていないDQNたちとぼっちと化したのび太くらいだった。
スネ夫(自分が強くならないと。自分が……)
のび太「あれっ、スネ夫?」
スネ夫「のび太……久しぶり。」
のび太「高校じゃぜんぜん話さないもんな~そこのファミレスでちょっと話そうぜ。
スネ夫「あ、あぁ……」
……
ファミレスで目の前に座るスネ夫を見て、のび太は思った。
やっぱりおかしい。最近のスネ夫はのび太を見てもちょっかいはおろか挨拶もしてこない。
ちょっと前まで完全に見下していたのび太とファミレスに来るなど考えられないことだった。
スネ夫「……」
のび太「スネ夫、最近どうなんだよ?今日はDQNたちは一緒じゃないの?」
スネ夫「ま、まぁね。あいつらにも忙しいときがあるんじゃない?」
のび太「……」
スネ夫「……」
DQNたちの話をすると、明らかにスネ夫の表情が曇った。やっぱりスネ夫は……
のび太「なぁスネ夫、君はもしかしt」
DQN1「よう骨川。」
DQN2「さっきの豚みてぇなやつは……いないな。」
DQN1「さっきはよくもほっといてくれたな。つーか野比もいるじゃねぇか。」
スネ夫「す、すいまs」
DQN2「だから敬語やめろってんだろーがぁ!!」ガシャーン
スネ夫「……」
やっぱりな。誰も助けてくれない。それが普通だ。自分より強いものに立ち向かってまで正義を貫くなんて馬鹿げている。僕はヒーローでもガキ大将でもないんだ。
だから、俺もそれでいいんだ……
スネ夫は思い、地面に跪こうと思った時だった。
のび太「スネ夫、だめだよ。そんなことする必要ない。」
のび太「なんで同級生に土下座なんて……うわっ」ガタッ
DQN1「はい、お前かっこつけちゃったね。お前はよ、正義の味方でもなんでもねーんだよ。ただの友達のいないぼっちなんだよ。そこんとこわからせてやるから覚悟しな。」グイッ
DQN2「うわー怒らせちゃったよ。そいつキレっとマジやべーから。お気の毒~。」
スネ夫「……」
のび太「す、スネ夫……ここはいいからさ、人を呼んでk」
DQN1「ガタガタうっせーんだよ!!」バキィ
DQN2「お前も馬鹿だな~。俺らと骨川はダチなの。お前なんかどーでもいいわけ。なっ、骨川!」
スネ夫「……」
スネ夫は気づいた。
これは見せしめだ。
のび太「ぐはっ」バキィ
DQN1「弱いくせに囀ってんじゃねーぞガキが!」
財布とはいえ一年以上行動を共にしているのだからわかる。目の前で関係のない人を殴ることによって他人に助けを求められないようにしているんだ。そしてずっとスネ夫を財布にするために。
なのに、のび太はどうして……
のび太「スネ夫……」
DQN1「うるせぇ!いい加減黙れやボケ!!」
DQN2「野比もかわいそうにな。骨川なんかにかかわっちまったからこんなめに遭っちゃってよう。なぁ骨川。うははっ」
スネ夫「……ざけんな」
スネ夫「ふざけんなっつってんだよクズ野郎!!」ドカッ
DQN2「いってぇ……骨川ぁ、てめぇやっちまったぁ……」
スネ夫「うるせぇ!中堅高通いの中途半端なやつなんか怖くないぞ!!」
DQN2「てめぇぇぇぇぇぇ!!」バキッ
スネ夫「う゛ぁっ」
のび太「やめろ!」ガブッ
DQN1「ぐぁっ」
ボゴォ
DQN2「いってぇ!」
ドカッバキッガシャーン
DQN2「いてぇよ……ちくしょう……」グスッ
のび太「……はは」
スネ夫「ははじゃねぇよ弱いくせに無茶しやがってよ」
のび太「でも僕が噛みつかなかったらぼこぼこにされてたよ。」
スネ夫「うるせぇ。」
のび太「ははっ、あははは」
スネ夫「殴られすぎておかしくなったか……プッ、あははっははははは」
ジャイアン「はぁ……はぁ……お、お前ら大丈夫か?」ゼーハー
スネ夫「本当だ。あはは、おっかしいや。」
店員「おかしいじゃありませんよ!壊した椅子とテーブル、弁償してくださいよ!」
のび太「あ……」
スネ夫「……」
ジャイアン「何辛気臭い顔してんだ!そんなもん俺が出してやるよ!」
のび太「え、でも……」
スネ夫「悪いよそんな……」
ジャイアン「うるせぇ!俺はガキ大将ジャイアンだぞ!舎弟たちがやった不始末の尻ぐらい拭ってやるぜ!」
スネ夫「でm」
ジャイアン「言うな。」
のび太「……」
スネ夫「……」
ジャイアン「お前らは『心の友』だ。」
のび太「ジャイアン……」ジーン
スネ夫「ジャイアーン!!」ガバッ
ジャイアン「うおっ!俺にそっちの趣味はないぜスネ夫!」
スネ夫「ひぐっ、グスッ……」
…………
……
ファミレスの修理代を払ったジャイアンはのび太たちと別れ、自室で一人、考えていた。
さっき払った金は中学で歌唱力が急成長したジャイアンが歌の専門学校に行くための入学金だったのだ。
ジャイアン(母ちゃんには入学金だけでも払うから編入させてくれっていったんだよなぁ……)
ジャイ子「お兄ちゃんどうしたの?」
ジャイアン「ジャイ子か……なんでもないぜ!俺のことなんか気にしないで絵の勉強に励んでくれよ!」
ジャイ子「お兄ちゃんがそういうなら……」
ジャイアン「でも、どうするかなぁ……」
リア充1「俺さ、今度歌手のオーディション受けてみようと思うんだ!」ドヤァ
リア充2「お前歌めっちゃ下手じゃん!地元ののど自慢でも出とけよ。」
リア充1「……」
ジャイアン「……」
ジャイアンの母ちゃん「ちょっとたけし!あんた昨日入学金振り込んでないじゃないか!!」
ジャイアン「げっ、母ちゃん!」
しずか「~♪」
しずか「!!」ビックゥ
ジャイアン「いってぇ!だから入学金はどうしても使わなきゃいけなかったって言ってるじゃんか!なんでわかってくれないんだ!?」
しずか「たけしさん?」
ジャイアン「!?」
ジャイアン「母ちゃんごめん!夜には帰るから!」ガシッ
しずか「っ!ちょっ!たけしさん!?」タッタッタ
ジャイアンの母ちゃん「まだ話は終わってないよたけしー!!」
……
しずか「その、さっき入学金って……」
ジャイアン「おう!入学金振込に行く途中、俺様パチンコで20万すっちまいました!」
しずか「のび太さんに聞いたわ。ファミレスでのび太さんとスネ夫さんが悪い人と喧嘩したときに壊したテーブルとイスを弁償したって。」
ジャイアン「……」
ジャイアン「スネ夫たちには言わないでくれ!」
ジャイアン「頼む!あいつらの経歴に傷をつけたくないんだ!」
しずか「でもスネ夫さんの家ならお金持ちだから借りるくらい……」
ジャイアン「ついこないだまで金をたかられてたやつからまた金をとるなんて、心の友としてできないんだ……!」
スネ夫「……」
……
スネ夫(やっぱり僕がどうにかするしかないのかなぁ……)
スネ夫(別に専門学校に行けなくて死ぬわけじゃないし……)
スネ夫(別にいいよね!ジャイアンは僕と違って強いんだし!)
『スネ夫、だめだよ。そんなことする必要ない。』
『お前らは『心の友』だ!!』
スネ夫「……」
スネ夫(僕は……何もないなぁ……)
スネ夫「……」
…………
……
スネママ「あらスネちゃまおかえりなさいザマス。」
スネ夫「……」
スネママ「どうしたザマススネちゃま?」
スネ夫「ぼ、僕は……」
スネママ「何ザマス?よく聞こえないザマス。」
スネ夫(声が震えてる……やっぱり僕は……)
『ついこないだまで金をたかられてたやつからまた金をとるなんて、心の友としてできないんだ……!』
スネ夫「……」
スネママ「用がないならご飯を作ってくるザマs」
スネ夫「ママごめんなさい!!」
スネ夫「ぼ、僕は、こないだファミレスで取っ組み合いの喧嘩をしました!」
スネ夫「そして、壊した椅子やテーブルをジャイアンに弁償してもらって……」
スネ夫「その時の20万円のせいでジャイアンが歌の専門学校にいけなくなりそうなんだ!!」
スネママ「スネ夫は馬鹿な子ザマス。」
スネ夫「え……?」
スネママ「友達の為に勇気も出せない、馬鹿な子ザマス。いえ、馬鹿な子だったザマス。」
スネママ「20万くらいはした金ザマス。すぐに剛田さんに持っていくザマス。」
スネ夫「!!ありがとう!ママ!!」
スネ吉「僕がスポーツカーで送ってこうか?」
スネ夫「ううん、いいよスネ吉兄さん!僕、走っていきたいんだ!」
スネママ「まったく……目にゴミが入ってしまったようザマス。」
スネ吉「あの様子なら、もう心配なさそうだな。」
ジャイアン「でもなかなか給料が振り込まれないし……」
スネ夫「ジャイアン!!」
ジャイアン「すっ、スネ夫!!」ガサガサ
スネ夫「隠さなくていいよ!ジャイアン僕たちのせいで弁償したお金のことで困ってんでしょ?なら……」ガサゴソ
スネ夫「ママに正直に話してもらってきたんだ!20万!」
ジャイアン「なっ……」
スネ夫「だからバイトはもうしなk」
ジャイアン「いらねぇ。」
スネ夫「え……」
ジャイアン「俺は俺でなんとかするからお前はそれでラジコンでも買えばいい。じゃあな。」
スネ夫「ジャイアn」
しずか「たけしさん!!」
ジャイアン「!!」
スネ夫「……」
ジャイアン「……」
しずか「そして、その勇気を引き出したのはたけしさんよ。」
ジャイアン「え……」
しずか「スネ夫さんは今、お友達のために勇気を出して、やっとお友達を助けられそうなのよ!?ガキ大将ならそれくらい黙って受け止めなさい!!」
ジャイアン「……」
スネ夫「ねぇ、ジャイアン……」
スネ夫「僕は知ってるよ。ジャイアンが昔から意地張ってばかりだったよね。ガキ大将だからって、『俺様についてこい』って感じで自分が一番つらい時も誰にも頼ろうとしなかったもんね。」
ジャイアン「……」
スネ夫「だからさ、ジャイアン」
ジャイアン「スネ夫……」
スネ夫「……」
ジャイアン「スネ夫のくせに生意気なんだよ!」グリグリ
スネ夫「いたたた!」
ジャイアン「俺様が将来歌手になったらお前はマネージャーにしてやるぜ!わっはっはっは!!」
しずか「ふふふ。」
…………
……
こうして夏休みは終わっていった……
しずか『進路?私は大学に行って外交官になる勉強をするつもりよ。のび太さんは?』
スネ夫『僕は大学進学してパパの会社を継ごうと思ってるよ。のび太は?』
ジャイアン『俺はもちろん歌手だぜ!夢が叶ったらコンサートに招待するぜ!のび太はどうすんだ?』
DQN1『俺っすか?俺は専門行って美容師になる予定っす。のび太さんはどうすんすか?』
DQN2『う、わっ、すいません!俺みたいのが近づいたら迷惑すよね!?すいませんした!!』ピュー
のび太は誰の質問にも答えられなかった。
のび太「進路、かぁ……」
……
二年前の今頃、のび太たちは受験生だった。
だが、のび太は実行委員になり、秋に行われる文化祭準備に熱中していた。
のび太「ただいま~ドラえも~ん」
ドラえもん「おかえりのび太くん。今日もお疲れだね。」
のび太「みんなったらひどいんだ。『勉強したいから文化祭なんて適当でいい』って!」
ドラえもん「みんなの気持ちもわからないでもないけどね。」
のび太「でもさ、僕にとってもみんなにとっても中学生としての最後の行事なんだよ!?」
ドラえもん「君がいいようにするといいさ。最近の君は勉強も頑張ってるもんなぁ。僕は君が成長してくれてうれしいよ。」
…………
……
担任「進路希望の紙、まだ出してないの野比だけだぞー?早く出すように。じゃあHR終わりなー。」
スネ夫「……」
スネ夫「なぁのび太。」
のび太「スネ夫……」
スネ夫「なんかお前、高校入ってから落ち着いたよな。」
のび太「そんなこと……ないよ……」
スネ夫「と、ということでさ!帰りにスタバでも寄ってかない?お互い大人になったことだしコーヒーでも飲もうよ。」
のび太「いや……まだ進路希望出してないし、今日は遠慮させてもらうよ。」ダッ
スネ夫「あっ……」
スネ夫「高校入ってからっていうか、ドラえもんがいなくなってからだよな……」
去年の今頃もこんな感じだった。ドラえもんという友達がいなくなってから、燃えかすのように無気力になってしまった。中三の頃、学校行事にも受験勉強にも全力で取り組んだのが嘘のようだった。
ドン
のび太「あっ、ごめんなさい。」
???「あれっ、もしかして野比くん?」
のび太「出木杉くん……」
……
出木杉「いやぁ、中学以来だね。」
のび太「……」
出木杉は都会の進学校に進学したが、今日は開校記念日で帰ってきているらしかった。
のび太は思い切って訊いてみることにした。
のび太「ねぇ出木杉くん。」
出木杉「何だい?」
のび太「出木杉くんはさ、卒業後の進路希望はもう決まってるの?」
出木杉「僕は、宇宙に興味があって、アメリカの大学に行きたいと思ってるんだ。高校もなかなか楽しかったよ。」
のび太「はは、さすが出木杉くんだ。それに比べて僕は何も決まってないし相変わらずダメダメさ……」
出木杉「何言ってるのさ?僕が高校を楽しめたのは野比くんのおかげなんだよ?」
のび太「え……」
出木杉「ほら、覚えてるかい?文化祭準備の時さ。」
……
のび太「どうしてみんな協力してくれないのさ!」
出木杉はこのころ、正直のび太を鬱陶しく思っていた。
他の三年のクラスも適当にこなして終わらせようとする文化祭にどうしてここまでこだわるのか。さっさと終わらせて勉強に専念したいのが普通じゃないか。
のび太「そりゃあ僕たちにとって受験は大切だよ?でもさ、みんなで何かやるなんてこれが最後なんじゃないの?高校では離れ離れになっちゃう友達とも、好きな子とも、一緒に何かやれる最後のチャンスかもしれないじゃないか!!」
出木杉「……!」
出木杉ははっとしていた。普通なら綺麗事で片付いてしまうような言葉でも、のび太が言うと、言葉では言い表せない何かがあった。それは、のび太がいつも一生懸命だからかもしれない。
のび太「で、出木杉くん。」
出木杉「僕は、野比くんと一緒に文化祭やろうと思います。」
のび太「出木杉くん……」
ジャイアン「俺様だってそのつもりだぜ!」
スネ夫「のび太に任せてちゃ不安だからな!」
しずか「私も、最後にみんなとの思い出がほしいわ!」
「俺も!」「あたしも!」
「なんかさ、二組の野比が文化祭頑張るらしいぜ。」
「まじ?馬鹿じゃね?でも一組もなんか思い出ほしいよな……」
気が付けば学年全体が文化祭ムード一色になっていた。
出木杉は思った。
本当に不思議な人だなぁ、と。
ドラえもん「君はいつも一生懸命だからなぁ。」
と優しく微笑むばかりだった。
最近ドラえもんは、道具を出してもらうことも、叱られることもなく、ただ笑っていることが増えた。
のびママ「のび太~、早くお風呂入っちゃいなさ~い。」
のび太「あっ、は~い!」タタッ
ドラえもん「もう、大丈夫かもな。」
その後も、文化祭準備は進み、苦しいこともあったが、のび太たちのクラスは、最優秀クラスとして表彰され、文化祭は終わった。
//⌒ヽ ⌒ヽ `\
/ | ^ |^ |- 、 ヽ
// `ー ●ーU′ \ ヽ
/ ─ | ─ ヽ i 『もういいかもな』
i 二 | 二 | |
.l \ | / l !
ヽ \ | / / /
ヽ  ̄ ̄ ̄ / /
>━━6━━━━━く
/ く / ヽ
l (⌒(⌒) /
……
のび太(その後だな。ドラえもんがいなくなったのは……)
出木杉「僕はね、あの時の君の言葉もだけど、姿勢に感動したんだよ。」
のび太「え……」
出木杉「君は馬鹿だ、馬鹿だと言われながらも、必死に自分の考えを伝えようとしていた。ここまではみんな知ってるだろうね。でもね、僕が立派だと思ったのは君がちゃんと勉強を続けていたことだよ。」
のび太「……」
出木杉「勉強だって、最初はやっても無駄だとからかわれていたのにやっていて……こういうと失礼かもしれないけど君の成績で第一志望に入るなんてちょっとの努力じゃできないことだよ。」
のび太「……」
出木杉「そんな君を見て、僕は中学に入って諦めた『宇宙に行きたい』っていう夢をもう一度目指すようになったんだよ?」
のび太「……」
出木杉「おっと、もうこんな時間か。僕はもう行かなきゃ!じゃあね!」
のび太「あっ、出木杉くん!」
出木杉「なんだい?」
のび太「ありがとう!」
…………
……
のび太「ただいま!ドラえもん!!今日さ、二組が最優秀クラスになったんだ!」
のび太「あれ、いないのか……」パサッ
のび太「なんだこの紙切れ……」
のび太「!?」
のび太は家を飛び出して、闇雲に町を走り回った。
『のび太くんへ 最近の君はとても立派で僕はうれしいよ。』
ドンッ
のび太「あ、ごめんなさいっ!」
『最初は僕が君を助けるためにやってきたのに、最近は君に助けられてばかりだね。』
どら焼きやに着いた。でも、ドラえもんの姿はなかった。
空地にやってきたが、ここにもドラえもんはいなかった。
『中一の頃の文化祭、覚えてるかい?』
小学校の裏山にも、ドラえもんはいなかった。
『僕と一緒に屋上から空気砲で特大クラッカーをつくったよね。今思えば本当に無茶なことしたよ。』
慌てて走ってきた裸足が切れて血が出た。
『それでも最優秀クラスになれなくて、君は泣いたね。「絶対なってみせる」って。』
山道に足を取られて転んだ。
『あれからだね。僕に頼らなくなったのは。』
のび太「いってぇ……」
『もう、今の君なら僕は心配ない!』
のび太「嘘だ……絶対嘘だ……」グスッ
『君はもう一人で立ち上がれる!だから、さようなら。のび太くん。 ドラえもん』
のび太「ドラえもぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉん!!!!」
……
のび太「……」
バンッ
しずか「のび太さんっ!」
ジャイアン「のび太!!」
スネ夫「のび太ぁ!」
のび太「しずちゃん、ジャイアン、スネ夫!」
しずか「まだ帰ってないってきいて……」フゥフゥ
ジャイアン「なんとなく思ったんだ。ここじゃないかってな。」ハァハァ
のび太「もう、心配いらないよ。」
スネ夫「え……」
のび太「ここにはけじめをつけるために来たんだ。」
ジャイアン「なんだよ……俺はてっきり思い出の中学校で飛び降りでもしだすのかと思って……」
のび太「はは、ごめんごめん。」
『まったくのび太くんは心配ばかりかけて……』
のび太「……!」
ジャイアン「やっぱりのび太には俺たちがいなきゃダメだな!」
『やっぱりのび太くんには僕がいないとダメだなぁ。』
スネ夫「で、結局のび太の進路はどうするんだ?」
スネ夫「先生に?」
のび太「うん。先生になって、授業じゃ学べないような、僕じゃなきゃ教えられないようなことを教えたいんだ!」
『まったくのび太くんは心配ばかりかけて……』
のび太「……!」
ジャイアン「やっぱりのび太には俺たちがいなきゃダメだな!」
『やっぱりのび太くんには僕がいないとダメだなぁ。』
スネ夫「で、結局のび太の進路はどうするんだ?」
のび太「あ、あぁ、僕は先生になろうと思うよ。」
スネ夫「先生に?」
のび太「うん。先生になって、授業じゃ学べないような、僕じゃなきゃ教えられないようなことを教えたいんだ!」
スネ夫「そうか~のび太が先生か~すごいじゃないか!!」
ジャイアン「まずは授業できるようにならないとな!」
しずか「ちょっとたけしさん!でも目標が決まってよかったわね、のび太さん。」
ドラえもん『よかったねぇ、のび太くん……!!』
スネ夫「どうした?のび太?」
のび太「……ド……ラえ……もん」
ジャイアン「えっ?ドラえもん?」
しずか「ドラちゃん?」
のび太「……はっ!そ、そうだ。ここにはけじめをつけに来たんだ。」
ジャイアン「さっきから気になってるんだけどそのけじめってのはなんなんだよ?」
のび太「ここはね、僕がドラえもんに最後に道具を借りた場所なんだ。」
スネ夫「そうだったのか……」
のび太「だから、ここにはドラえもんへのお礼を言いに来たんだ。」
しずか「……」
のび太「ドラえもんがいないってことを受け入れられなくて、二年前に言えなかった、ありがとうを言えるくらいにね。」
のび太「今の僕なら、分厚い壁にも一人で立ち向かえるし、もし一人でダメでもここにいるみんながいる。」
のび太「それも、みんな君のおかげだよ。だからね……」グスッ
のび太「ドラえもん、今まで、ありがとぉぉぉぉぉぉぉぉぉっ!!!!」
「――」
「―」
二十二世紀に、そして、ありがとうを言えなかった二年前にも届くくらい大きな声で、のび太は叫んだ。
……
ドラえもん「……?」
セワシ「どうしたの?ドラえもん?」
ドラえもん「ここはね、のび太くんに最後に道具を貸した場所なんだ。」
セワシ「えぇっ!そうだったんだ!!ところで何を貸したの?」
ドラえもん「空気砲さ。」
セワシ「えっ、じゃああのドラえもんが壊れても大事にとってある空気砲って……」
ドラえもん「さぁ!もう帰るよ!明日テストなんでしょ!?」
セワシ「うわぁ!押さないでよドラえもん!」
ドラえもん「……」クルッ
ドラえもん「……もう、大丈夫だね。」
Fin.
見ててくれた人ありがとう!
初ssってこともあって叩かれて途中で終わる予定だったんだけど最後まで見てくれた人たち本当にありがとう!!
次も何か立ててくれ
すごく感動したよ
乙
乙
ドラえもんとの別れはなんであれ悲しいなあ
Entry ⇒ 2012.04.12 | Category ⇒ 版権物SS | Comments (0) | Trackbacks (0)
勇者「一人旅の方が楽でいいよな」
http://hayabusa.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1334112204/
勇者「やりたいことをやりたい時に自由にやれるし」
勇者「装備や戦闘の経験とかもすべて独り占めできるし」
勇者「何より足手まといになる相手がいないってのがいい」
勇者「そもそも敵のボスである魔王とまともに戦えそうな奴なんて俺くらいしかいないっぽいし……」
勇者「……」
勇者「でも話し相手がいないっつーのも寂しいもんだな」
勇者「別に仲間がいたってそれはそれでいいんだよ。俺別に孤独を愛するタイプってわけでもないし」
勇者「仲間か……仲間がいたとしたら、どんなやつがいいかなあ」
勇者「勝気でちょっと我が侭な美少女とか、おっとりした癒し系巨乳美少女とか、読書好きな無口無表情系美少女とか」
勇者「あとは、そうだな……ニヤケたイケメン野郎とか……は要らんか」
勇者「元気で快活で年上のお姉さんな美少女とか、優等生で面倒見がよくて可愛いけどちょっと怖いとこもあって眉毛が太い美少女とか……」
勇者「……独り言も飽きてきたなあ」
勇者「……寂しい」
「退屈そうね。わたしでよければ話し相手くらいにはなれると思うけれど?」
勇者「誰もいない……幻聴とか……いくら寂しいっつっても……」
「幻聴じゃないわよ」
勇者「ど、どこだ? 姿を見せろよ……まさか、幽霊とか」
「どこを見ているの? 下よ、下」
勇者「下? 地面しか見えないけど」
「あなたの腰のあたりにぶら下がってるものがあるでしょう?」
勇者「……ちんこ?」
「なっ……違うわよ。そんなわけがないでしょう」
勇者「だよなあ。ちんこが喋りだすことがあったとしても女の声でっておかしいよな」
「そうじゃなくて、横。腰の横よ」
勇者「横って……旅の途中で手に入れた、この魔力を帯びた長剣か!?」
勇者「いわゆるインテリジェンスソードってやつか……おとぎ話と大差無いような伝説の中にはわりとよく出てくるけど、実在したとは」
勇者「は? 右って……じゃあ、こっちの短剣の方か」
短剣「やっとわかったのね。あなた、ちょっと鈍いわ」
勇者「いや、だって、まさか剣が喋りだすとは。つーかなんで家から持ってきた短剣の方なんだよ。こっちの長剣の方がそれっぽいのに」
短剣「そんなことわたしに言われても知らないわよ。そっちはただ単に魔力で強化されたよく斬れる剣というだけじゃないの?」
ロスト・マジック
勇者「それでも魔力を付加された剣なんて、今では貴重な、失われた魔法技術の産物だが……じゃあお前は?」
短剣「そうね。わたしもその類のものよ。高度な魔法技術によって、擬似的な人格を付与された存在」
勇者「擬似的な人格……じゃあ魔法で人間が剣の姿に変えられてるとかではないのか」
短剣「ええ。王子様にキスされても人間の姿に戻ったりはしないわ。人工の知能を植えつけられて喋っているだけ」
勇者「なんだー、ただの人工知能か」
短剣「何よ、不満なの? 退屈そうにしていたから話しかけてあげたのに」
勇者「あ、いや。そうか、まあ話し相手がいるってだけでも助かるよ。お前なら足手まといになることもなさそうだしな」
短剣「そういうわけだから、話したいことがあるならわたしが聞いてあげるわ。何でも言って頂戴」
勇者「えっと、じゃあ……お前、今の状況を把握してるか? 俺がなんでこうして旅をしてるかとか」
短剣「全然。さっきまで眠っていたから」
短剣「剣ってどっちの? わたし? 左の方にいる図体ばかり大きい役立たずの方?」
勇者「今のところお前よりはこっちの長剣の方が戦闘では役に立ってるよ。そうじゃなくてこの場合の剣というのは……いやどうでもいいか」
短剣「現状を把握してるかという話だったわね。知らないけれどだいたい想像はつくわ」
勇者「そうなのか? じゃ、言ってみ」
短剣「あなたは伝説の勇者の血を引く子孫で、人間の敵である魔王を倒すための旅をしている」
勇者「なんだ、知ってんじゃん」
短剣「いえ、たぶんそういうことだろうと思っただけよ。わたしに擬似人格を与えた人もそうだったから」
勇者「それってつまり……いや、その話は後で聞こう。まずは直近の目的から話すよ」
短剣「魔王の城へ向かっているのではないの?」
勇者「その前にやることがあるんだ。俺が受けた任務は魔王の討伐じゃない。後からそれもやるつもりではあるけど」
短剣「ふむ。その任務とは?」
勇者「これ秘密だから誰にも言うなよ。……さらわれた王女様の救出だ」
勇者「リアクション薄っ」
短剣「そんなことよりあなたのことをもっと知りたいわ」
勇者「『そんなこと』で済ますなよ。重大事件だ。まあお前はただの剣だし人間の事情なんてどうでもいいのかもしれんが」
短剣「ただの剣ではないわ。人語を解す魔剣よ」
勇者「はいはい、魔剣ね。で、なんだ、俺のことか? まあ察しの通りで、お前の元のご主人様の子孫ってことになるな」
魔剣「つまり親から子へ、子から孫へと、わたしを代々受け継いできたというわけね。何年前からなのか知らないけれど」
勇者「何年前からかわからないのか? ずっと眠ってたのか」
魔剣「眠っていたからというのもあるけれど、封印されていたでしょう? わたし」
勇者「ああ、うん。魔法による封印で鞘から抜けないようにされてた古い剣が俺の家の倉庫に何本もあって、その中の1本がお前だな」
魔剣「数ある剣の中からわたしを選ぶなんて、なかなか見る目があるわね」
勇者「あーいや、なんつーか、お前の封印はけっこう緩くて他のより解きやすかったから、まあこれでいいか、みたいな」
魔剣「……」
勇者「そっか、封印されてた間はお前の意識も封じ込められてたのか。……どうした? 黙り込んだりして」
勇者「リテイク!?」
魔剣「なかなか見る目があるわね。どうしてわたしを選んだのかしら」
勇者「ああ、うん。なんとなく、この剣は喋りだしたりしそうで、旅の共には最適かなー、なんて思ってさ……封印を解きやすかったからじゃないよ」
魔剣「あら、そうなの。光栄ね。でもそんなことより、あなたの実力が知りたいわ。わたしの元の主人のように強いのかしら」
勇者「また『そんなこと』で済ませやがって……じゃあ今から見せてやるよ。ほら、敵が現れた」
魔剣「特に強くも弱くもなさそうな程度の敵がわたしたちの進路に立ちふさがっているわね」
勇者「いくぞ! くらえ、『爆炎』!!」ピロリロリンッ
ドカーン!
勇者「とどめっ」スラリ
ザンッ!
テレレレッテッテッテー
勇者「と、こんな感じだけど」
魔剣「ふむ」
魔剣「攻撃魔法が得意なようね」
勇者「うん、どっちかというと剣より魔法寄りかな」
魔剣「ふむ……わたしの見たところ、あなた、けっこうやるわね」
勇者「そんなのお前にわかんのか?」
魔剣「わたしの分析力を甘く見ないで頂戴」
勇者「……じゃあ、今の戦いを解説してみ」
魔剣「そうね。まず、使った魔法についてだけれど。爆炎魔法という選択は正解ね。あの敵には火炎魔法や氷結魔法より効果が高いわ」
魔剣「次に、攻撃魔法のパワーのコントロール。過不足の無い適切な威力で、敵を瀕死にするだけのダメージを与えたわ」
魔剣「そして、最後の斬撃。これも無駄な力を使うことなく、必要充分な力でとどめをさしていたわね。戦い慣れしている証拠よ」
魔剣「相手の特性、防御力、耐久力を瞬時に見極め、余分なことは一切やらない。わたしの見た限りでは、ほぼ完璧な戦闘だったわ」
魔剣「どう? これで証明できたかしら」
勇者「あー、そうだな。忌憚の無い意見を言わせて貰うと、全っ然駄目だ。まるでわかってない」
魔剣「そんなっ!?」
勇者「知識と観察力はあると思うけどさ。分析力は皆無だ」
勇者「まず、火炎魔法や氷結魔法を使わなかった理由だけどさ」
魔剣「ええ」
勇者「使わなかったというより、使えないんだ。俺が使えるのは爆炎魔法だけ」
魔剣「……はい?」
勇者「パワーも調節したんじゃなくて、あれが精一杯」
魔剣「……」
勇者「最後の斬撃については……言うまでも無いな?」
魔剣「……えっと、」
勇者「その程度の洞察力でよく伝説の勇者のお供が務まったよなあ。ははっ。まあお前短剣だし、メインウェポンではなかったんだろうけどさ」
魔剣「いやちょっと待ちなさいよ! あれが精一杯って、そんなのでどうやって魔王を倒すつもりなのよ! しかも1人きりで!?」
勇者「それはまあ……その時までに経験を積んで、強くなって……」
魔剣「なにこの無理ゲー」
勇者「っていうかさ。……いないんだ。俺くらいしか。魔王とまともに戦えそうな奴が」
魔剣「どういうことなの……?」
魔剣「……まあ、今のあなたの武器や魔法よりはね」
勇者「でも、今は……平和な時代が長すぎたんだろうな」
魔剣「平和な時代……長い時を経て、戦うための技術が衰えてしまったということ?」
勇者「人もな。伝説の中で語られてるほどの戦士や魔法使いなんて、全然いないんだ。みんな平和ボケしちまって……」
魔剣「でも、兵士くらいはいるのでしょう?」
勇者「いるけど、防戦一方だ。魔物の侵攻をなんとか食い止めてる状態」
魔剣「厳重に警護されているはずの王女がさらわれたりするなんてどういうことかと思っていたけれど、そう……そういうことだったのね」
勇者「うん、まあ、そんな感じ」
魔剣「だったら、異世界の戦士や武器を召喚するとか……」
勇者「そういう高度な魔法技術がもう無いんだってばよ」
魔剣「あ……そうね。つまり、今で言う強力な武器とは、わたしのように保存魔法によって残されていた過去のものしか存在しないと」
勇者「お前は別に強力な武器でも何でもないけどな」
魔剣「むっ。なんだか馬鹿にされてるような気がするわ」
勇者「いや、喋れる剣ってだけでも充分凄いのはわかってるけどさ……っと、余計なお喋りはここまでだ。目的地が見えてきたぞ」
勇者「うん。俺の調査結果が正しければ、あそこに王女様が囚われてる筈だ」
魔剣「ふむ。洞窟……となると、そろそろわたしの出番かしら」
勇者「どういうこと? ……中は真っ暗だな。少なくとも入り口付近に灯りの類はついてないようだ」
魔剣「ふっ。その言葉を待っていたわ。さあ、わたしを抜いて掲げなさい」
勇者「こう?」スラリ
魔剣「ええ」
勇者「……何も起こらないけど?」
魔剣「何をしているの? 早くわたしに光の魔法をかけなさい。道を照らしてあげるわ」
勇者「なるほどこれは便利ってお前ただ掲げられてるだけで何もしてないじゃん。そもそも俺そんな魔法使えないし」
魔剣「そうなの? 残念だわ。戦闘では全然使ってくれないから、せめて松明がわり程度には役に立つところを見せておこうと思ったのに」
勇者「意外と健気なとこもあんのな……いや、松明なら持ってるし、話し相手になってくれるだけで充分だからさ」
魔剣「でも……」
勇者「さっき言ったこと気にしてんのか? ごめんな。もう武器としてのお前を貶すようなことは言わないよ」
魔剣「別に、そんなの全然気にしてないわ。もうすぐわたしの見せ場が来るもの」
魔剣「洞窟の奥で強敵との戦闘になって、あなたは頑張って戦うのだけれど、その長剣が折れてしまってピンチになるのよ」
勇者「いや折るなよ。これ魔王を倒した伝説の武器として後世に残す予定なんだから」
魔剣「じゃあ折れはしないけれど敵に弾き飛ばされて川に沈んでしまうの。そこでわたしの出番」
勇者「洞窟の奥からどんだけ飛ぶんだよ。それにそんな強敵が相手だったら短剣で戦うのはきついだろ」
魔剣「それは……えっと、あれよ。絶体絶命の危機に追い込まれた時、わたしが、秘められていた真の力を発揮して……」
勇者「えっ、そんなのあんの?」
魔剣「……ふっ。でもだめね。今のあなたではまだ、このあまりにも強すぎる力は制御できない……」
勇者「なんだ無いのか。ちょっと期待しちゃったよ」
魔剣「あっ、あるもん! 秘められた力あるもん! 秘密の力だから見せないけど!」
勇者「キャラ変わってんぞお前!? 子供か! むきになるなよ!」
魔剣「ふん。もういいわ。もう武器やーめた。話し相手だけしかしないわ、もう」
勇者「拗ねるなよ……つーか拗ねても話し相手はしてくれるのな。そういうとこ好きだよ」
魔剣「す、好きって……なに馬鹿なことを言っているの!? け、剣とは結婚できないわよ!?」
勇者「馬鹿はお前だ! 結婚してくれとまでは言ってねえよ!」
勇者「まあそうやって結婚したから子孫の俺も存在してるんだろうけどさ。さっきの好きってのはそういう意味じゃねえよ」
魔剣「とは言っても、前の持ち主が結婚したところをわたしは直接見てはいないけれどね」
勇者「そりゃ結婚式に帯剣して行かないだろうよ。いや、でもケーキカットにでも使ってもらえばよかったかもな。ははっ」
魔剣「いえ、わたしが擬似人格を持たされたのはそれより後のことだから」
勇者「ん? 戦いの旅に出たときにはもう既婚だったってことか? 時系列がよくわからん……」
魔剣「そのへんの話、聞きたい?」
勇者「興味はあるけどそんなのは後回しだ。俺たちが今どこにいるか思い出してくれ」
魔剣「今わたしたちが益体も無い雑談に興じている場所は、王女が囚われている洞窟ね」
勇者「憶えてたか。そういうわけだから、静かに行くぞ」
魔剣「ひとつだけ言っておきたいことがあるのだけど」
勇者「なんだよ」
魔剣「爆炎魔法を使っては駄目よ。洞窟の中なのだから」
勇者「うん……やっぱそうだよな……生き埋めになりたくないし。王女様を埋めちゃうのもまずいし」
魔剣「わたしはもう武器やめたからその無口な長剣で頑張って頂戴」
魔剣「あそこに王女が閉じ込められているのかしら? だとすると逃げられないように鍵をかけてあるわね」
勇者「縛られたりしてれば鍵はかかってないかもな。開けてみよう」
ガチャッ ギィ
勇者「お、開いた。中はかなり広いな。王女様は……と」キョロキョロ
魔剣「見て。あそこに人が」
勇者「どこ? 暗くてよく見えん」キョロキョロ
魔剣「どこに目をつけているのよ。あそこよ、あそこ」
勇者「そう言われても……つーかお前の方こそどこに目がついてんの?」
魔剣「右の壁際、奥の方に少し窪んでいるところがあるでしょう? あそこに人が倒れているわ」
勇者「王女様かっ?」タタッ
魔剣「……これは」
勇者「死んでる……」
勇者「わからんが……この傷跡」
魔剣「巨大な斧のようなもので切り裂かれたような傷ね」
勇者「あるいは鋭い爪のようなもので切り裂かれたような」
魔剣「もしくはバールのようなものでこじ開けられたような」
勇者「いや表現はどうでもいいよ。とにかく死んでるな」
魔剣「ふむ……わからないわね、わざわざ誘拐しておいてなぜあっさり殺してしまったのかしら」
勇者「……何か勘違いしてるみたいだけど、これ王女様じゃないよ?」
魔剣「あら、そうなの? わたしは王女の顔を知らないから勘違いしてしまったわ」
勇者「いや、どう見てもおっさんじゃん」
魔剣「なんかおっさんみたいな王女ね、とか思っていたわ」
勇者「独断で王女様を救出しようとして返り討ちにあった兵士、ってとこかなあ」
魔剣「無謀ね。蛮勇と言った方がいいかしら」
勇者「……故人を悪く言うもんじゃないよ」
魔剣「あなたももうすぐこうなるのかしらね。今のうちに悪口を言っておこうかしら」
魔剣「だって、このおっさんがここで死んでいるということは」
グルル…
勇者「殺した相手が近くにいるということに……」
ズシン
魔剣「なるかもしれないわね。たとえばあいつのような」
勇者「あー、あんな感じのドラゴンとかな」
ズシン
勇者「……ってドラゴン!? ドラゴンて! ……ドラゴンって!」
魔剣「うるさいわね。何度も同じ事を言わないで頂戴」
勇者「いやでも……ドラゴンって!」
魔剣「他の言葉を忘れてしまったの?」
勇者「最強クラスの魔獣じゃねえか! どう見ても過剰な軍備だろ! こういうの外交でなんとかできないの!?」
魔剣「あなたもけっこう平和ボケしているわね……。ドラゴンなんてただの大きいトカゲじゃない」
魔剣「ドラゴンが喋った!?」
勇者「さて、偵察という重要な任務は果たしたことだし、そろそろ戻ろうか」スタスタ
魔剣「任務は王女の救出ではなかったの?」
ドラゴン「……」ギロッ
勇者「あー、うん。『救出したかったらしてもいいよ』とか言われたような気もするかなあ……はは」スタスタ
魔剣「なんかわたしが知ってる勇者と違う」
勇者「やっぱやるしかないのかなあ……」
魔剣「わたしのアドバイス通りにやれば勝てるわよ」
勇者「どうやんの?」
魔剣「まずはその長剣を使って斬りかかるの。でも長剣は折れてしまって、」
勇者「そういうのはアドバイスとは言わん。つーかなんでそんなに剣折りたいんだよ」
魔剣「じゃあ真面目にアドバイスするわ。まず、ドラゴンと戦う上で最も脅威になるのは口から噴き出す灼熱のブレスよ」
勇者「首の向きに注意して、射線上から外れる動きをしろってことかな。難しそうだ」
魔剣「なんとか避けながら接近して、顎の下から口を串刺しにしてやるの。その長剣でね。それでブレスは封じられるわ」
魔剣「あとは尻尾による攻撃もあるかしら。それもなんとか避けながら、今度は目を剣で突いてやるのよ」
勇者「剣は口に刺さったままだけど?」
魔剣「わたし、わたし」ワクワク
勇者「武器やめたんじゃなかったの?」
魔剣「ふっ。まあ、もう引退した身ではあるけれど? あなたがどうしてもと言うなら現役に復帰してあげてもいいわ」
勇者「うーん、まあ、それでいくしかないか」
魔剣「目を潰した後は、相手はあなたの動きを正確には捉えられなくなるから、長剣の方を引っこ抜いて、間髪入れずに首を斬り落とす」
勇者「なるほど。じゃあその手でいくか」
魔剣「うまくいきそうになければ最小のパワーで爆炎魔法を使って目眩ましをするという手もあるけれど。洞窟が崩れない程度に」
勇者「それは切り札としてとっておくか……なんか怖いし」
魔剣「これで作戦はまとまったわね。さあ行きましょうか。ドラゴン・スレイヤーの称号を得に」
魔剣「避けて! 鉄をも溶かす灼熱のブレスよ。まともにくらったら骨も残らないわ」
勇者「うわっとお! ……ブレスに炙られた岩は溶けてないみたいだけど?」タタタ
魔剣「……岩は溶けないけどかなり熱いブレスよ。まともにくらったらすっごい火傷をするわ」
勇者「くそっ……『爆炎』!!」ピロリロリンッ
ドカーン!
魔剣「なにいきなり爆炎魔法使ってるのよ! しかもパワーの調整も無しでっ!」
ガラガラッ
勇者「岩がっ! おわっ! 上から岩が降ってくる!」
ガンッ
ドラゴン「……」クラクラ
勇者「あ、ドラゴンの頭に直撃した」
魔剣「今よ!」
勇者「うおおおおお!!」ザンッ! ザンッ! ザンッ! ザンッ! ザンッ! ザンッ!
魔剣「これはひどい」
魔剣「大丈夫?」
勇者「なんとか……」ハァハァ
魔剣「少し予定とは違ったけれど、これであなたもドラゴンスレイヤーね」
勇者「ごめん。お前を使ってやれなかったな」
魔剣「少々不満ではあるけれど勝ったから許すわ。あなたのことはこれからドラスレって呼ぼうかしら」
勇者「なんか聞いたことあるような略し方だな。なんかとかぶってるような気がするからその略し方はやめとこう」
魔剣「じゃあ、ドラゴンスレイヤーだから、真ん中へんをとってゴンス」
勇者「語感が悪いなあ」
魔剣「最初と最後をとってドライヤー」
勇者「もう何でもいいよ……その称号は俺じゃなくてこの長剣の方に与えてやってくれ」
魔剣「折れなかったわね、それ」
勇者「ひょっとして嫉妬してんの?」
魔剣「別に。わたしは人工知能なのだから、予め決められたパターンに従って会話を組み立てているだけだわ」
勇者「その会話パターン作った人にちょっと話があるんだけど」
勇者「ですよね」
魔剣「さあ、行きましょう。王女がお待ちかねよ」
勇者「ごめん……もうちょっと休ませて……」
魔剣「だらしないわね。ドラゴンスレイヤーではあるけれど駄目なスレイヤーだわ。駄スレだわ」
勇者「この人工知能を作ったのは誰だあっ!」
魔剣「しかたないわね。体力が回復するまでの間に、そのへんのことを話してあげましょうか?」
勇者「ああ、聞きたいね。お前がただパターンに従うだけの人工知能とは思えん。感情表現が豊かすぎる」
魔剣「じゃあ話してあげるわ。少し重い話になるけれど」
勇者「そういうのはちょっと苦手だなあ」
魔剣「実は、わたしを作った人はすごく太っていてね」
勇者「ベタすぎるわ! そういうジョークは要らねえよ」
魔剣「じゃあ真面目に話すわ。少し悲しい話になるのは本当よ」
勇者「うーん……鬱展開とかはちょっと」
魔剣「だったらあまり重くならないように、概要だけさらっと話そうかしらね。わたしと、過去の勇者の物語を」
魔剣「勇者とともに旅をし、魔王と戦ったパーティの一員でね。強力な攻撃魔法を操る魔法使いだったわ」
魔剣「勇者と魔法使いは相思相愛の関係で。魔王討伐という使命を成し遂げた後、ふたりは結ばれてめでたしめでたし」
魔剣「よくあるおとぎ話のような結末ね。でもお話と違ってその後もふたりの人生は続くわけで」
魔剣「不幸なことに、勇者はその妻に先立たれてしまったの」
魔剣「勇者は嘆き悲しみ、せめてもの慰めとして、亡き妻の声を持つインテリジェンスソードの製作に心のよりどころを求めた」
魔剣「勇者がインテリジェンスソード製作のベースとして選んだのは、妻が生前に愛用していた武器。それが、わたし」
魔剣「当時の魔法技術でも、意思を持つ魔剣の製作は簡単ではなかったわ」
魔剣「既に故人となった者の声や人格を再現するというのも成功への妨げになったようね。でも勇者は凄まじい執念でそれを成し遂げた」
魔剣「それほどまでに亡き妻への愛が深かったのでしょうね。ただの人工知能。まがい物の、代用品でしかなかったけれど、」
魔剣「勇者は妻とともに過ごすはずだった、失われた時間を埋めようとでもするかのように、わたしにいろいろな思い出話を聞かせてくれたわ」
魔剣「夜が来ると、宝箱の中からわたしを取り出して。ときには懐かしげに微笑みながら。ときには寂しげに涙ぐみながら」
魔剣「やがて勇者にも妻のもとへと旅立つときが来て。わたしを愛しそうに胸に抱いたまま、永遠の眠りについた」
魔剣「残された勇者の家族によって封印の魔法をかけられ、わたしもまた長い眠りについたの」
勇者「うっ……ふぐっ……うわぁああああん」
魔剣「号泣してるっ!?」
勇者「だって……勇者が……魔法使いが……かわいそうで……」ポロポロ
魔剣「そうね。でも、亡くなってしまったのは不運だったけれど、幸せだったと思うわ。わたしの元になった魔法使いは」
勇者「そうなのかな……?」グスン
魔剣「ええ。だってそれほどまでに愛されていたのだもの。生前には何百年分もの幸せを享受していたに違いないわ」
勇者「戦いの旅が終わって、結婚して、子供も当然いたってことだよな。俺の直系の先祖なんだろうから」
魔剣「そうね」
勇者「ということは、戦いの中で命を落としたってわけではないのか」
魔剣「ええ。ベッドの上で、愛する夫に看取られながら、眠るように静かに息を引き取ったと聞いているわ」
勇者「……そっか。よかった、と言うのは変だけど、せめてもの救いだな」
魔剣「そうね。詳しい死因までは聞いてないけれど、80年も連れ添った夫婦の別れなのだから、最後は静かに、」
勇者「死因は老衰だよ!」
魔剣「あら。人間の寿命って意外と短いのね」
魔剣「いえ、でも、すごく悲しんでいたわよ? わたしの前の持ち主は」
勇者「あー、まあ……そんな爺ちゃん婆ちゃんになってもそこまで深く愛してたってんだから、本当に仲のいい夫婦だったんだろーなあ……」
魔剣「いい話ね。まあそんなわけで、わたしには人間とたいして変わらないような感情表現をする機能が備わっているのよ」
勇者「なるほど……でもさあ、それならお前より、魔法で動く人形とか作って、そいつにその機能をつけた方がよかったんじゃないか?」
魔剣「当時の魔法技術なら、頑張ればそういうこともできなくはないのかもしれないわね」
勇者「なんでそうしなかったんだろう」
魔剣「そこまでは知らないけれど、なんか怖いからじゃないかしらね。人形って」
勇者「うーん、そういやそうか」
魔剣「美談のはずが怪談になりかねないわ」
勇者「っていうかすげー元気な爺ちゃんだな。婆ちゃんが100歳くらいで死んでからお前を作ったりなんやかんやしてたんだから」
魔剣「ええ。素敵な人だったわ。あなたにも同じ血が流れているのだから、きっとこれからもしぶとく生き残れるわね」
勇者「かもな……ちょっと勇気が湧いてきた。よし、そろそろ行くか」
魔剣「ええ。既に最大の障害は取り除いたと見ていいと思うけれど、慎重にね」
魔剣「鍵は?」
勇者「……かかってるな」ガチャガチャ
魔剣「開錠の魔法を」
勇者「使えると思うか?」
魔剣「どうするの?」
勇者「ん、これくらいの鍵なら、このキーピックで」カチャカチャ
魔剣「そんなので開くのかしら」
勇者「まあ見てろって……ほら開いた」ガチャン
魔剣「変なところで優秀なのねあなたって。盗賊の方が向いてそうだわ」
勇者「ここにいるのかなっ……と」ギイ…
「……誰ですか?」
魔剣「いたわね」
「人間の方……ですか……?」
勇者「なにこの異常に綺麗な人」
勇者「ああ、うん、たぶん、というか間違いない。美しさもとんでもないけどこの気品、優雅な物腰……見てるだけで気圧されそう」
魔剣「なに見蕩れているのよ。さっさと跪いて挨拶しなさい」
勇者「あっ、そ、そうか。えー、勇者と申します。お、王女様を助けに、いえ、お救いに、えっと救出に参りました。えーと、その……」
魔剣「しどろもどろってこういうのを言うのね」
王女「あっ、いえあの、わたしごときにそんなご丁寧な挨拶っ、痛み入りますっ。わっ、膝が汚れてしまいますっ。何か拭くものを……」ペコペコ
勇者「なんでそんなに腰が低いんですかっ!?」
魔剣「意外と気さくそうな人だわ」
勇者「……えっと、王女様ですよね?」
王女「はっはいっ。王女ですっ。本当ですっ。何か証明できるものは……」オロオロ
勇者「……もしかして、影武者の方とか?」
王女「いえっ、本物ですっ。ど、どうすれば信じていただけるんでしょうかっ。困りましたっ」アセアセ
勇者「あ、いや……どっちにしても本物と信じておいた方が都合がよさそうだし……信じますよ」
王女「そうですかっ。よかったです」ホッ
勇者「そうだな。では王女様、お城までお送りいたします」
王女「はいっ、ありがとうございますっ」
魔剣「王女様なのになんでこんなに腰が低いのかしら」
王女「わたし、他の王女さんの知り合いとかいませんし……王女らしい振る舞いとかよくわからなくてっ」
勇者「お城の他の方々とお話しする時もそんな感じで?」
王女「はいっ、あのっ、他の方とはあまりお話はしませんがっ。小さい頃から遊び相手になっていただいてる方がおられましてっ」
勇者「はあ。ひょっとして、その方の口調に影響されて、とか……?」
魔剣「そのお友達の立場から見れば話す相手は自分よりはるかに身分が高い人だものね」
王女「あの、わたしの言葉遣い、おかしいでしょうか……」
魔剣「ふむ。あなたの責任というわけではないけれど、王族としての教育がなってないようね」
勇者「おい、失礼だぞ」
魔剣「あら、ごめんなさい。……それで、あなた本当は何者なの?」
王女「えっ……」
魔剣「ええ、疑っているわ。おかしいと思わないの?」
勇者「何がだよ」
魔剣「さっきからわたしが喋っているのに、驚きもせず平然とした態度」
勇者「そういえば……普通の人間なら剣が喋りだしたら驚くはず……俺がそうだったように……」
魔剣「そう。普通の 人 間 ならね。わたしのような 人 工 知 能 なら別でしょうけど。さて、この王女様はどうなのかしら?」
勇者「……王女様。なぜ驚かないんですか? こうして剣が喋っているのに」
王女「いえ、わたし、剣にはあまり詳しくないですから、そういうものなのかと。喋らない剣もあるんでしょうか?」
勇者・魔剣「「単なる世間知らずかよ!」」
王女「ううっ。世間知らずでごめんなさいっ」ペコペコ
王女「この袋は?」
勇者「変装用の服が入ってます。その格好では目立ちますから、普通の平民に見える服を用意してきました」
王女「はい、わかりましたっ。えっと、どこで着替えれば……」キョロキョロ
勇者「俺はここから出て扉の向こうで待ってますから、ここで着替えて、終わったら声をかけてください」
王女「はいっ」
勇者「では」バタン
王女「……」ヌギヌギ
王女「……」スルッ ポロリンッ
王女「……」スルスル パサッ
勇者「扉越しに衣擦れの音が聞こえてなんか悩ましい」
魔剣「興奮して鼻血吹いたりはしないで頂戴。戦闘で使われてもいないのに血まみれになりたくないわ」
王女「……」ガサゴソ
王女「……?」ガサゴソ
勇者「あ、終わりました?」
王女「わわっ! まだですっ! まだ開けちゃ駄目ですっ! 今が一番開けちゃ駄目な状態ですっ!」
勇者「あ、はい……どんな状態なんだろう……どうしました? 何か問題でも?」
王女「はい、あの、この袋には下着が入ってないようなんですがっ」
勇者「いや下着はそのままでいいですよ!? 変装のための着替えですから!」
王女「えっ? あっ、そうですかっ。そうですよねっ。なんでわたし、下着まで脱いじゃったんでしょうかっ///」
魔剣「たしかに一番開けちゃ駄目な状態ね」
勇者「ということは、今、王女様は……///」ゴクリ
魔剣「全裸の美少女が扉一枚隔てた向こう側にいるというだけでそんなに興奮できるなんて、若いっていいわね」
勇者「うるせえ。そりゃお前は100歳くらいの婆ちゃんを元に……ん? そのわりには声も可愛らしいし、なんか子供っぽいよなお前」
魔剣「だってわたし、あの人の妻が若かった頃を再現して作られているもの」
勇者「やっぱりその爺ちゃんも若い娘の方がよかったんだ……」
魔剣「厳密に言うとわたしの元になっているのはあの人の記憶の中の妻だから、多少美化されているかもしれないわね」
勇者「美化してもこんな性格か」
勇者「まだ言ってるのか」
魔剣「だって、わざわざ手間をかけて誘拐した目的を考えると。替え玉とか、あるいは洗脳した状態で送り返すとか」
勇者「じゃあ、俺がこうして救出するのも敵のシナリオ通りってことに……?」
魔剣「まだわからないけれど。帰り着くまでの道中でよく観察して見極める必要があるわね」
勇者「ではさっそくこの扉を開けて観察してみよう。俺の鋭い観察力で正体を暴いてやる」キリッ
魔剣「やりたいのならやれば? わたしは止めないわよ」
勇者「いや、冗談だよ……さすがに王女様相手にそんな恐れ多いこと」
魔剣「王女じゃなければやるのかしら。それにしても見た目はともかく、全然王女っぽくない王女様ね」
勇者「影武者が誘拐されてそれをさらに替え玉にすりかえて送り返されてたら笑うよな」
魔剣「笑い事で済まないような気もするけれど、でも偽者ならむしろもっと本物っぽく見えるような演技でもしそうなものよね」
王女「ううっ。王女らしくなくてすみませんっ。でも本当に本物なんです……」
勇者「聞いてたんですかっ!? いえ、こちらこそ失礼なことをっ」
魔剣「それは、まあ……扉越しとはいえ、向こう側の衣擦れの音が聞こえるくらいなのだから、こちらの声も聞かれているわよね……」
勇者「ひょっとして、全部……? うわああああ! ごめんなさい! すいません! できればさっきの不埒な発言は聞かなかったことにっ!」
勇者「……あ、は、はい。では行きましょうか」テクテク
魔剣「これでもう王女っぽい要素は微塵も無くなったわね」
勇者「おいやめろ。王女様がめっちゃお凹みになってあらせられるぞ」
王女「いえ、でも、あの……証明できるかもしれません。わたしと両親くらいしか知らないような話をすれば」
魔剣「ふむ。それが本当かどうかは帰り着くまで確認のしようもないけれど。いいわ。言ってみて頂戴」
勇者「なんで王女様より剣の方が偉そうな態度なんだろう」
王女「はい、では、さっきお話しした、小さい頃からわたしの話し相手になっていただいていた方の話なんですがっ」
魔剣「ええ」
王女「剣なんです。その方も。だからわたし、剣って喋るのが普通なのかと……」
勇者「なるほど、それで……って、ええっ!?」
魔剣「わたしと同じ、人語を解す魔剣……?」
勇者「伝説の中にしか存在しないと思ってたインテリジェンスソード……こいつの他にもあったのか」
王女「はいっ、帰ったらおふたりにも紹介しますっ。剣同士ですから、そちらの剣さんとはいいお友達になれるかもしれませんっ」
魔剣「わたしのことは剣ではなく魔剣と呼んで頂戴」
王女「ううっ。足手まといになってしまってすみませんっ」ペコペコ
勇者「あ、いえ、王女様であり戦闘要員でもあるとかいう超絶ハイスペックなんて期待はしてませんから、気にしないでください」
魔剣「王女らしい威厳も無いけれどね」
王女「威厳ですか……えっと、じゃあ、やってみますっ。……女王様とお呼びっ!」
勇者「王女様ですよね!?」
王女「わっ、間違えましたっ。お、王女様とお呼びっ!」
勇者「最初からそう呼んでますが……」
魔剣「なんかいろいろ間違っているような気がするわね。というか、王女様とは呼ばない方がいいと思うのだけれど」
勇者「あ、そうか。せっかく目立たないように平民っぽく変装してるんだし、偽名とか……」
王女「はあ。では、えっと、わたしのことはオードリーとでも呼んでくださいっ」
勇者「ではそのように。こちらの言葉遣いも変えますから、無礼ではありますがご了承ください」
王女「はいっ。全然かまいませんっ」
勇者「敬語とか使い慣れてないから俺もその方が楽でいいや。つーか魔剣、お前もあんまり喋るな。町の人にいちいち驚かれるとめんどくさい」
王女「あの、でも、わたし、お金を全然持ってなくてっ」
勇者「金は俺が出すけど……買い物のしかたとか、わかる?」
王女「お買い物ですか。したことありませんが、どうすればいいんでしょうかっ」
魔剣「あなたもいっしょに店に行って買えばいいじゃない」
勇者「下着をか? うーん……まあしょうがないか……」
アリガトウゴザイマシター
勇者「めっちゃ恥ずかしかった……」
魔剣「店員にはどんなふうに見えていたのかしらね。若い男女が一緒に下着を買いに来るって」
王女「すみません、わたしのせいで恥ずかしい思いをさせてしまって……でも、初めてのお買い物、楽しかったですっ」
勇者「楽しんでもらえて何よりだよ」
王女「お城からほとんど出たことがありませんから、こうして町を見ているだけでも楽しいですっ」
勇者「じゃあ、宿に行く前にちょっと町を見て回ろうか」
王女「いいんですかっ? 嬉しいですっ」
王女「わっ、こんな道端でお店をやっている人もいるんですねっ。生麦や生米や生卵を老若男女様々な人が買ってますっ」
王女「わわっ、猫さんが3匹いますっ。家族でしょうかっ? 可愛いですねっ。にゃんこ子にゃんこ孫ま、にゃんこですっ」
魔剣「……楽しそうね。世間知らずのお姫様」
勇者「うん……こんなありふれた町の風景でも、別世界のように見えてるんだろうなあ……」
王女「すごいですっ、あんなの初めて見ましたっ」「あっ、こっちにも珍しいものを発見しましたっ」「わっ、あそこにも……」
勇者「めっちゃはしゃいでるなあ。まあ、喜んでもらえてよかった」
王女「あっ、勇者様、あれは何でしょうか? 食べ物を売ってるようですがっ」
勇者「串焼きの屋台だな。肉は何だろう、鶏かな」
王女「こんなふうに外で食事をする方もいらっしゃるんですねっ」
勇者「そういや腹へったな。食べていこうか」
王女「ほんとですかっ? 鶏は食べたことありますが、こんなのは初体験ですっ。どきどきですっ」
勇者「庶民が食べるようなものだから口に合うかどうかわかんないけどね」
王女「男の人と2人きりで食事をするのも初めてですから、そういう意味でもどきどきですっ」
魔剣「わたしの存在を忘れられてるような気がするわ」
宿屋「すいませんね。こんなご時勢だから宿屋の商売も上がったりってやつで。料金を高くしないとやっていけないんですよ」
王女「あっあのっ、わたしにはよくわかりませんが、2部屋で100Gなら1部屋に2人で泊まれば50Gで済むんじゃないでしょうかっ」
宿屋「ええ、その通りですよ。食事は別料金ですけど」
勇者「いや、でも、男女で同じ部屋に泊まるのは、ちょっと」
王女「わたしは全然かまいませんからっ。それに、ひとりでは不安で……」
勇者(そっか、さっきはあんなにはしゃいだりもしてたけど、考えてみたらめちゃくちゃ怖い思いもしてたんだよなあ、誘拐されたんだから)
王女「世間知らずですから、備え付けのものの使い方がわからずに壊してしまったりしないかと不安でっ」
勇者「そっちですか……。修理代請求されたりするのも嫌だし、じゃあ、まあ、1部屋で。はい、50G」
宿屋「では、201号室で。これ部屋の鍵です。……うまくやりなよ(ヒソヒソ」
勇者「えっ、いや、そんなんじゃ……行こうか、王j……オードリー」
王女「はい、えっと、うーん……」
勇者「何考え込んでんの? やっぱり2部屋の方がよかった?」
王女「あ、いえ、行きましょうバナージ」
勇者「俺の名前も考えてくれてたのね……。必要無いような気もするけど」
魔剣「部屋に入ったからやっと自由に喋れるわ」
勇者「けっこう喋ってた気もするけどなお前。まあ傍に王女様がいればお前が喋ってるとは気づかれにくいと思うけど」
王女「勇者様っ、たいへんですっ。この部屋、お風呂がひとつしかありませんっ」
勇者「いや、普通そうですから……部屋に風呂がついてない宿屋もありますよ。大浴場みたいのがあるだけで」
王女「はあ。その場合は、他のお客さんといっしょに入ったりするんでしょうか?」
勇者「そういうことですね」
王女「なるほど、わかりましたっ。わたし、男の人といっしょにお風呂に入るのも初めてですから、恥ずかしくてどきどきですっ///」
勇者「いやそういうことじゃないですよ!? この場合は1人ずつ順番に入ればいいだけの話ですからっ!」
王女「えっ? あっ、そうですよねっ。勘違いしてましたっ。恥ずかしいですっ」
勇者「ちなみに大浴場でも普通は男女で分かれてますから」
魔剣「馬鹿ね。黙っておけば王女様と一緒に入れたのに」
勇者「うわあああああしまったああああああ……ってそんなことしないよ……」
魔剣「そんなことよりベッドが1つしか無いことの方を気にするべきじゃないのかしら」
勇者「いや、それは別に……俺は長椅子の上ででも寝ればいいしさ」
勇者「お前けっこう思考に柔軟性が欠けてるとこあるよな。所詮は人工知能か」
王女「あっあのっ、勇者様はお疲れでしょうからベッドで寝てくださいっ。わたしが長椅子の方で寝ますからっ」
勇者「王女様は柔軟すぎですっ! そんなわけにはいかんでしょうが常識的に考えてっ!」
王女「ううっ。また怒られちゃいましたっ」
勇者「いや、怒ってるわけでは……お気持ちは嬉しいですよ。優しいんですね」
王女「ほめられましたっ」
魔剣「わたしだって優しいわよ」
勇者「なんで対抗意識出しちゃってんだよお前は」
魔剣「あなたは疲れているでしょうからベッドで寝なさい。わたしは長椅子で寝るから」
勇者「しかも王女様のまるパクリか! つーかそれおかしいだろ! 王女様を床で寝かせるつもりか!」
王女「わっわたしは別に床でもっ」
魔剣「何ならわたしがベッドで」
勇者「わけわかんねえ! その絵面を想像してみろ! シュールにも程があるわ! ああもうめんどくせえ! さっさと風呂入って寝るぞ!」
魔剣「怒られてしまったわ」 王女「怒られちゃいましたっ」
勇者「あーはいはい、楽しかったですよー。さあ、帰るぞ」スタスタ
王女「はいっ。わたしも楽しかったですっ」トコトコ
魔剣「わたしも楽しかったわ。床で寝かされたこと以外は」ヒソヒソ
勇者「いやだってお前剣だし……」ヒソヒソ
宿屋「いいなあ、あんな可愛い娘と。あっそうだ、恋人同士がなんやかんやする用の宿に商売替えしようかな。うん、その方が儲かりそうだ」
王女「この町ももう見納めですねっ。なんだか名残惜しいですっ」キョロキョロ
勇者「なあ魔剣、これほどまでに世間知らずってことは、もう本物の王女様と思っていいんじゃないか?」ヒソヒソ
魔剣「まだ結論を出すのは早いと思うわ。まだ誘拐の目的も不明だし」
勇者「誘拐の目的か。普通に考えたら人質とって脅迫するとかだろうな。もう助け出しちまったからどうでもいいような気もするけど」
魔剣「どうでもいいかどうでもよくないかで言えば誘拐の目的も本物かどうかも何もかもどうでもいいわ。わたしにとっては」
勇者「最初からリアクション薄かったしな……実際に会ってからも、なんか王女様に対して冷たいような気もするし」
魔剣「別に嫉妬しているわけではないわ」
勇者「やっぱり嫉妬してたのか。可愛いなお前」
魔剣「違うと言ってるでしょう。まだ信用してないだけよ。どうでもいいけれど」
勇者「はっ。お褒めにあずかり恐悦至極に存じます(こんな感じの答え方でいいのかな)」
王の側近「そうそう。ちゃんと教えた通り、無礼のないように振舞えよ」ヒソヒソ
王様「この国の王として。それ以上に1人の父親として、心から礼を言うぞ。勇者よ」
勇者「はっ。お褒めにあずかり恐悦至極に存じます(あっまた同じこと言っちゃった。まあいいか)」
王様「うむ。まあ、そんなに固くならなくていいぞ」
勇者「はっ?」
王様「こういうの慣れてないだろ?」
勇者「ええ、まあ。こんなふうにお城に来る機会もあんまり無いもんで」
王様「わしも堅苦しいのあんまり好きじゃないし。とにかくありがとうな、娘助けてくれて」
勇者「いやあ、当然のことをしたまでですよ。まあ途中でドラゴンが立ちふさがったりもしましたけど俺ならそんなん超余裕ですし」
王様「こやつめハハハ」 勇者「ハハハ」
側近「せっかく礼儀作法を叩きんだのに……」
王様「で、だ。何か褒美をとらせようと思うんだけど、何がいい?」
勇者「いえ、報酬はもう側近さんから頂きましたから」
勇者「そう言われましても、今は特に欲しいものとかは……」
王様「地位や権力的なものとかさ」
勇者「正直そういうのはめんどくさいです」
魔剣「くれるものは何でも貰っとけばいいのに」ボソ
勇者「こら、お前は喋るな」ヒソヒソ
王様「地位や権力に興味が無いなら、女は? 何ならわしの娘を嫁にしてもいいよ」
勇者「たいへん魅力的なお話だとは思いますけど、その場合、地位と権力もついてきちゃうんじゃないですか?」
王様「うん。そうなったらお前、わしの息子ってことになるからね」
勇者「光栄ですけど、それはちょっと」
王様「そんなに嫌なの? 偉い人になるの」
勇者「いやそこまで嫌ってほどでもないですけど、なんかめんどくさいです」
王様「わしの娘、おっぱい大きいよ?」
勇者「謹んでお受けいたします」キリッ
魔剣「いいの? それで……」
王様「うん、考えといてよ。わしも世継ぎのこととか考えとかなきゃいかんしさ。それはそれとして、他に何か望みは無い?」
勇者「うーん……じゃあ、魔王を倒すための武器とか、なんかいいの無いですかね」
王様「お前が持ってる魔力を帯びた長剣と同じようなのなら宝物庫に行けばあるかもなあ。でもそんなたいしたもんは無いよ」
魔剣「わたしを超えるほどの名剣はここには無いということね」
勇者「喋るなって。あ、それで思い出した。王女様から聞いたんですけど、このお城にも喋る剣があるんですよね?」
王様「うん、あるよ。でもあれは娘のお気に入りだから、譲っていいかどうかは娘に聞いてみないとなー」
勇者「いえ、譲っていただかなくてもいいんですけど、ちょっと会わせていただけたらいいなー、なんて」
王様「じゃあちょっと待って、娘呼ぶから。おい、側近」
側近「はっ。仰せの通りに」
王様「そうそう、言うの忘れてたけど娘がお前のこと、えらく気に入っちゃっててね」
勇者「マジっすか」
王様「マジマジ。だからさっきの話、ちゃんと考えといてね。わしの方もお前だったら安心して娘も国も任せられるし」
勇者「娘さんの方だけなら喜んでお引き受けするんですけど国の方はちょっと重いっす……」
王女「勇者様っ」トタタタ
王女「はいっ、ご紹介しますっ。わたしの自室までご案内しますので、こちらへどうぞっ」キラキラ
魔剣「気のせいかしら、完全に恋する乙女の瞳になっているように見えるのだけれど」
勇者「……そんなことの前に言うことがあるんじゃないのか?」
魔剣「時候の挨拶とか?」
勇者「いや、しかたがないこととはいえ、王女様のこと偽者じゃないかとか疑ってたじゃん。もう本物だってことは証明されたんだからさ」
魔剣「ふむ。『本当に本物だったのかよ!』ってツッコミ入れとくべきだったかしら」
勇者「ちげーよ。王女様、疑ったりして済みませんでした」
王女「いえ、全然大丈夫ですっ。わたしの方こそ、本物なのにこんなんですみませんっ」ペコペコ
勇者「いや……この部屋ですか?」
王女「はいっ。どうぞお入りくださいっ」ガチャッ
「あっ、王女様っ。おかえりなさいっ。お客様ですか? 王女様以外の人間さんとお会いするのは久しぶりですっ」
勇者「……確かに短剣が喋ってるな」
魔剣「……確かに王女様と似たような喋り方ね」
王女「ごめんなさいっ。キャラがかぶっててすみませんっ」ペコペコ
勇者「ふむ。つまりあんたは、過去の勇者によって擬似的な人格を与えられた存在で……」
魔剣「そのベースになっているのは、勇者とともに旅をした僧侶と、その僧侶が生前に愛用していた武器であると」
勇者「どっかで聞いたような話だなあ! ひょっとしてわりとよくある話だったりするの!?」
魔剣「そうなのかしらね。まあ、話を聞く限りではそちらの元ご主人様よりわたしの前の持ち主の方がかっこいいけれどね」
短剣「なっ……わ、わたしのご主人様だってかっこよかったですっ!」
勇者「いや、どっちも爺さんだろ?」
魔剣「ふん。年老いてはいたけれど素敵な老紳士だったわ」
短剣「わたしのご主人様もそうでしたっ。上品で、知性的で、素晴らしい人格者でしたっ」
魔剣「今のこの勇者のかっこよさを1勇者とすれば、わたしの前の持ち主は100勇者くらいのかっこよさだったわ」
短剣「わ、わたしの方は200勇者くらいのかっこよさでしたっ!」
魔剣「嘘ね。わたしが100と言ったから200と言っただけでしょう? だいたいあなた、この勇者のことなんかよく知らないじゃない」
短剣「ううっ。図星をつかれちゃいましたっ。悔しいですっ」
勇者「俺の方が悔しいわ! 俺を単位にして言い争うのはやめろ! しかもけっこう細かい単位に使われちゃってるじゃん!」
勇者「俺が一番凹むっつーの。小生意気な短剣なのはお互い様だし。そもそもお前の方が先に喧嘩売ったんだろーが」
王女「あっあのっ、喧嘩はだめですっ。なかよくしてくださぁいっ」オロオロ
勇者「つーかさ、そっちの短剣……紛らわしいな。僧侶が使ってた武器って話だから、聖剣とでも呼ぶか」
聖剣「聖剣ですか。なんだかかっこいいですっ」
魔剣「む……魔剣と聖剣って言われると、なんだかわたしが悪役みたいだわ」
勇者「聖剣の方のご主人様も勇者と呼ばれる人だったんだろ? だったらその人も俺のご先祖様ってことになるよな?」
王女「そうですねっ。だとすると、聖剣さんと魔剣さんも親戚のようなものってことになりますっ。生みの親が同じ家系の方ですからっ」
勇者「同じ家系っつーか、ひょっとして同一人物だったりしない?」
王女「その場合は、おふたりは姉妹ということに……」
魔剣「勇者、魔法使い、戦士、僧侶よ」
聖剣「勇者様、僧侶さん、戦士さん、魔法使いさんですっ」
勇者「ほら」
魔剣「でもわたし、こんな剣知らないわ」
聖剣「わたし、魔剣さんとお会いした記憶はありませんっ」
勇者「そっか……まあどうでもいいか。今の持ち主は魔剣が俺で、聖剣は王女様だ。張り合うなら今の持ち主の方でやれ」
魔剣「そうね。しかたないわ。認めましょう。わたしの負けよ」
聖剣「勝ちましたっ。嬉しいですっ」
勇者「どっちにしても俺が凹まされるのか! ちくしょう!」
王女「いえ、とんでもないですっ。勇者様はわたしなんかよりずっと素敵な方ですっ」
勇者「いえいえそんな、王女様の方こそ……とか言い出すときりがなさそうなんで、両方とも素敵な方ってことにしときましょう」
魔剣「そうね。魔法使い、僧侶ときたら戦士の人格を持った剣とかもあってもよさそうなものだわ」
王女「そういえば、そんな話を聞いたことがあるような……王家に昔から伝わる予言なんですがっ」
勇者「どんな内容ですか?」
王女「えっと、最後の方が、3本の剣を携えた勇者が邪悪を滅ぼす……とか……ごめんなさい、前半部分が難しい言葉だったので……」
魔剣「それだけではその3本の剣がインテリジェンスソードかどうかはわからないわね」
勇者「その剣という言葉自体、何かの比喩とも考えられるしな。勇者に仕える3人の仲間とか。昔の予言ってそんなん多いだろ?」
王女「でもっ、たしか前半部分は、そのインテル入ってるソードですか、知能を持った剣を表すような言葉だったと思うんですっ」
魔剣「インテリジェンスソードよ。その前半部分って、王様ならちゃんと憶えてるかしらね」
王女「はいっ、わたしはそれをお父様から聞いたので、お父様なら憶えてるはずですっ。ごめんなさい、お役に立てなくてっ」
勇者「いえ、充分です。……もしかしたら魔王を倒すための重要なヒントが隠されてるかもしれない」
勇者「前半部分はどんな言葉なんですか?」
王様「確か、『勝気な傍若無人系美少女、おっとりした癒し系美少女、無口無表情系美少女の心が集う三振りの剣』だったかな」
勇者「うわあ! 王家に伝わる予言にあんまり相応しくない言葉がふんだんに盛り込まれてる!」
王様「いや待て、『無邪気でちょっと頭は緩いけど可愛らしい妹系美少女』だったかもしれん」
勇者「うろ憶えなんじゃん! 当てにならねえ! つーかどっちでもいいわそんなもん! それ単なるあんたの好みじゃねーの!?」
王様「アホ言うな。最近のわしの好みは幼馴染の僕っ娘に決まっとるだろーが」
勇者「知らねーよそんなの!」
王様「いや、現代の言葉にするとそんな感じになるってだけで、原文はもっと仰々しい感じだったと思うよ」
勇者「原文は残ってないんですか? あるいはそれを書き写した書物とか」
王様「残ってないなあ」
勇者「それ絶対、語り継がれるうちに伝言ゲームみたいに原文からかけ離れてる……ちゃんとメモっときましょうよそういう大事そうなことは」
王様「後半部分はちゃんと憶えてるよ。『三振りの剣を携えし勇者、邪悪を滅ぼした』」
勇者「過去形!? 予言ですらねえ!」
王様「いやでも、予言じゃなくても、過去にそれで上手くいったって話なら、真似すればいいんじゃないかなー」
王様「どこの海賊だよって話だよなあ。でもまあ一応、全部揃えてみたら? っていうかもう揃ってないか? 三振りの剣」
勇者「はい? 2本は揃ってると思いますけど……」
王様「勝気で我が侭な剣」
勇者「魔剣はそんな感じと言えなくもないかなあ」
王様「おっとり癒し系」
勇者「聖剣、というか王女様がそんな感じですよね。もう少し落ち着きがあればですけど」
王様「無口な剣」
勇者「いや確かに俺の長剣は無口ですけど! 一切喋らないインテリジェンスソードって意味あるんですかね!?」
王様「駄目?」
勇者「時間に余裕があるならもっと詳しく調べたいところですが……」
王様「その前に滅ぼされかねないよなあ」
勇者「一応、心当たりは無くもないんで、少しだけ調べてみますよ。それで駄目だったらその時にまた考えます」
王様「うん、期待してるぞ。頑張れよ。すべてが上手くいったら結婚云々は抜きにしても娘のおっぱい揉んでいいから」
勇者「その発言って父親としてどうなんですか……いや、娘の遊び相手として刃物持たせてるって時点で既に相当エキセントリックですけど」
魔剣「そうね」
勇者「三振りの剣とやらが揃うことによって今後の戦いで役立つ強力な武器になるのかもしれないからさ」
聖剣「そうですねっ」
勇者「そのためにこうして、その剣を入手できそうな場所に向かっているわけだよ」
魔剣「なるほど。で、なぜわたしの隣にこの小生意気な剣がぶらさがってるのかしら」
勇者「いや、話聞いてた? 3本のうちの1本がたぶんこの聖剣だから、王女様から借りてきたんじゃないか」
聖剣「はいっ、お役にたてるかどうかはわかりませんがっ、精一杯がんばりますのでよろしくお願いしますっ」
魔剣「ふむ。この聖剣を王女様から借りパクした理由はわかったけれど、」
勇者「借りパクじゃねえよ。全部終わったらちゃんと返しに行くっつーの」
魔剣「それで、どこに向かっているの?」
勇者「俺の家」
聖剣「勇者様のご自宅にその剣がある、ということなんでしょうか?」
勇者「わからんけどさ、魔剣があったのは俺の家の倉庫だし、聖剣も過去の勇者によって作られた武器なんだろ?」
魔剣「つまり、勇者の血を引くあなたの家に、残る1本も置いてある可能性があると」
魔剣「言ってたわね。でもその中のどれがあなたの求める剣かはわからないのでしょう?」
勇者「それを今から調べるんだってばよ。さあ、着いたぞ」ガチャッ ギイッ
聖剣「剣がたくさんありますねっ。この中にわたしのように喋れたり、特別な効果を持ってたりする剣があるんでしょうかっ」
魔剣「特別な効果?」
聖剣「はいっ、ほら、わたしを身につけていると回復効果があるじゃないですか。それと同じように、」
勇者「ちょっと待って! なんか当たり前のようにさらっと言ってるけど何それ!? 回復効果!?」
聖剣「言ってませんでしたっけ? わたし、傷の回復をお手伝いすることができますよっ。深い傷だとちょっと時間はかかりますけどっ」
勇者「すげえ! まさに聖剣じゃん! そっか、それがあるから王様も娘に刃物持たせたりできたのか。それでも充分頭おかしいけど」
聖剣「いえ、そんなたいしたものではないですっ。そんなに褒められると照れてしまいますっ」
勇者「なるほど、伝説の勇者のパーティで、僧侶が持ってた武器……それっぽい能力が備わってるんだなあ」
魔剣「……ふん。けっこうやるじゃない。まあ小生意気なところはあるけれど足手まといにはならなそうだわ」
勇者「正直剣より鎧か盾にそういう能力つけといてくれた方がありがたかったような気もするけど。で、大生意気なお前は何ができるんだ?」
魔剣「……ふっ、まあ、わたしだってそれなりに凄いことができるけれど、なんか自慢してるみたいでかっこ悪いから言わないでおくわ」
勇者「何も無いのか……」
勇者「お前確か魔法使いが愛用してた武器だったよな? 攻撃魔法みたいな感じのなんかできねーの?」
魔剣「……わたしを振りかざすと爆炎魔法が」
勇者「えっマジで?」
魔剣「普段よりちょっとかっこいいポーズで使える、とか」
勇者「いやそれお前ただ振りかざされてるだけじゃん。松明がわりにすらなってないじゃん」
魔剣「うるさいわね。攻撃魔法なんて野蛮なものはわたしは嫌いよ」
勇者「うわこいつ最初の持ち主のこと否定しやがった! つーかお前の人格のベースも魔法使いなんだろ!?」
魔剣「はいはいわかりました。わたしは攻撃魔法のひとつも使えない駄目な剣です。もうわたしなんか売り飛ばしてしまえばいいわ。100000Gで」
勇者「卑屈なこと言ってるわりには自己評価額高いなあ!」
聖剣「あの、なんか、すみません。わたしの能力を自慢しちゃったみたいで」
勇者「いや、お前は別に謝らなくても。この魔剣が……いや、悪いのは俺だな。いじめるようなこと言ってごめんよ」
魔剣「……何よ、それ」
勇者「いや、お前らに凄い能力があろうとなかろうと、戦うのは俺なんだから、強くなきゃいけないのは俺の方なんだよな」
魔剣「……そうね。その通りだわ」
魔剣「ふっ。わかってくれたようね。それを教えるためにあえてわたしは、」
勇者「おい調子にのんな。……まあ、また強敵と戦う時にアドバイスでもしてくれよ。今度はあのドラゴンの時より上手く戦えるように頑張るからさ」
聖剣「ううっ。いい話ですっ」
勇者「それはそれとして、武器探しはするけどね。さて、この中にあるのかなっと」
魔剣「なにか手がかりのようなものはあるのかしら」
勇者「うん、この何本もある剣の中からお前を選んだ理由、前に話したろ」
魔剣「確か、わたしのあまりの美しさに魅せられて、自然に手が伸びたとかいう理由だったかしら」
勇者「全然違う。お前の封印が弱かった原因を考えてたんだけど、考えられる理由のひとつとして、封印を施した人間が違うってのがあるよな」
魔剣「そうね。最後にわたしに封印を施したのは、前の持ち主の遺族だったから」
勇者「それ以外にも何かあるかもしれないって思ったんだよ」
聖剣「と言いますと?」
勇者「箱とかでもさ、蓋を開けたり閉めたりを何度も繰り返してると、そのうちゆるゆるになって蓋がパカパカしちゃったりするじゃん?」
聖剣「はあ。つまり魔法による封印もそれと同じように、何度もかけたり解いたりを繰り返すと弱くなってくるのでは、ということでしょうか?」
勇者「察しがいいな。魔剣が昔の勇者の話し相手をしてた頃って、話してる時以外はどうしてたんだ?」
勇者「だろ。そうだと思ったんだ。お前らが作られた経緯ってそっくりなのに、お前ら同士では面識が無かった理由がそれだ」
魔剣「つまり、わたしたちを作った昔の勇者は、」 聖剣「同一人物……」
勇者「聖剣、お前の元のご主人様って、奥さんはどんな人だったんだ?」
聖剣「はあ、すでに亡くなられていましたが、旅仲間の魔法使いさんだったと聞いてます……」
魔剣「……同じだわ」
勇者「つまり魔剣、昔の勇者は最愛の妻の再現であるお前を作った後に、そのノウハウを生かして、他の旅仲間の人格も再現したんだ」
魔剣「ということはあとの1人……戦士の擬似人格を持った剣も存在する可能性は極めて高いということに」
聖剣「ちょっ、ちょっと待ってくださいっ。それならそれで、わたしの元のご主人様は、なぜわたしたちとバラバラに会話してたんでしょうかっ」
魔剣「ふむ。確かにせっかく昔のパーティを再現したのだから、3本揃えてみんなでお喋りしてもよさそうなものだわ」
勇者「そこまではわからんけどさ。たぶんあれだ。お前らって2本揃ってるだけでもうるさいじゃん」
聖剣「……はい?」
勇者「そこに3本目も加わったらさ……姦しすぎて思い出に浸る暇もなくなりそうだからだろ」
魔剣「そんな理由!?」
勇者「最後の1本はもう少し物静かな性格だといいなあ。この推測が正しかったらそれも望み薄だけど」
魔剣「この人の推測が正しいとするならあなたの封印だってゆるゆるのガバガバになってた筈だけれどね」
勇者「魔剣ほどガバガバではないにしても、ここにある剣の中で最も封印が緩いやつが最後の1本である可能性が高いんじゃないかなあと」
魔剣「そうかもしれないけれど、そもそも魔法による封印ってそんなことで弱くなったりするものなのかしら……?」
勇者「別に確信があるわけじゃないけどさ、まあ封印が弱い方が解きやすいってのもあるし。1本ずつ確かめてみよう。えいっ」グイッグイッ
魔剣「いやちょっと待って頂戴、あなたの封印の解き方って鞘から力任せに引き抜くだけ!? わたしもそうやって封印を解かれたの!?」
「うるさいなー、せっかく気持ちよく眠ってたのに、目が覚めちゃったじゃないか」
聖剣「あっすみません、今、封印が弱くなってる剣があるかどうか調べていて……って、えっ? 今の声、どこから……?」
勇者「最後の1本か!? 既に封印が解けてるのか!? どれだっ!」ガチャガチャ
「うるさいってばー。さっきから封印封印って何? 流行ってんの? 封印って言いたいだけなの?」
勇者「おい答えろ! お前、どこにいるんだ!?」
「あたし? あんたの腰の左側にぶらさがってるけど?」
勇者・魔剣・聖剣「「「お前かよ!」」」
長剣「えっ? 何?」
勇者「なんで旅の途中で手に入れたお前なんだよ! 俺の家の倉庫にある剣の方がそれっぽいじゃん!」
魔剣「なぜ今まで喋らなかったのよ。鞘から抜くことはできたのだから封印は既に解けていたのでしょう?」
長剣「うん。寝てた」
勇者「王様のテキトーな発言が当たってたとは。無口無表情系美少女って感じでは全然ないけど」
聖剣「口調がなんか、女戦士っぽい感じですっ。この方が最後の1本に間違いないですねっ」
勇者「旅の途中で偶然手に入れた剣なのに……」
魔剣「こうなると、さっきあなたが得意げに披露していた仮説も怪しくなってくるわね」
勇者「いや、たぶんあれで合ってると思うんだけど……たぶん……」
聖剣「長剣さんは何か特技などはお持ちなんでしょうかっ?」
長剣「ん? あたしの特技か。そうだなー、斬るのが得意だな」
勇者「うん、剣だからね」
魔剣「そんなのわたしだってできるわ。ちょっと短いけれど」
勇者「短剣だからね」
長剣「あとは雷撃の追加効果くらいかなー」
勇者「マジでっ!?」
長剣「だから寝てたんだってば」
勇者「ドラゴンを滅多斬りにしてた時とかも眠ったままだったのか……」
長剣「雷撃効果のON/OFFはあたしの意思で切り替えができるから起きてればできるよ」
勇者「そっか……まだ実際に見たわけじゃないけど、暫定的にお前のことは雷剣とでも呼ぶか」
雷剣「雷剣か。なんかかっこいいな」
勇者「じゃあここから出てその雷撃効果とやらをちょっと試してみるか」
勇者「さて、この切り株の上に薪を置いてみたわけだが」
雷剣「うん」
勇者「お前を薪に軽く振り下ろすから、雷撃を発動させてみてくれ」
雷剣「うんわかった」バチッバチッ
聖剣「わっ、雷剣さんが光って火花が散ってますっ」
魔剣「どうやら能力の話は本当だったようね」
勇者「俺が感電しそうで怖いんだけど」
雷剣「魔法の雷だから大丈夫だよー」
タンスの裏に落ちたものが取れるとか
雷剣「どれくらいのパワーでやればいいの?」
勇者「ん、じゃあ、小さめで」
雷剣「おk」
勇者「いくぞっ」コツン
バチッ! バキバキッ!
聖剣「わわっ、すごいですっ。薪が焦げ焦げの真っ二つになっちゃいましたっ」
魔剣「あら、薪割り機能付きの剣だなんて便利ね。下の切り株まで焦げ焦げの真っ二つにしてしまったのはいただけないけれど」
勇者「すげえな。これで小さめのパワーなのか?」
雷剣「うん、本気出したらこの100倍はすごいよ」
勇者「100倍!? ……勝てる! これなら魔王にも勝てるぞ!」
聖剣「すごい強さですっ。さすがにわたしたち3本の中でも最後に仲間に入っただけのことはありますねっ」
魔剣「あまりインフレされると最初からいるわたしの立場がないのだけれど」
勇者「こいつもけっこう前からいたけどな。寝てただけで」
雷剣「よくわかんないけど魔王倒しにいくんだろ? あたしにまかせろー」
聖剣「ここに来るまでにたくさんの敵が立ち塞がりましたけどっ、雷剣さんの活躍でばんばんなぎ倒しちゃいましたねっ」
雷剣「えへへ、かっこよかった?」
勇者「聖剣の回復効果のおかげでもあるな。軽い怪我くらいならしばらくほっとけば治っちゃうもんなあ」
聖剣「何よりも、勇者様の成長が著しいですっ。さすがに一人旅で戦闘経験を独占してるだけのことはありますっ」
魔剣「誰も触れてくれないから自分で言うけれど、わたしの豊富な実戦経験に基く的確なアドバイスのおかげでもあるわね」
勇者「ああ、うん。言うまでもない当たり前のことだから誰も触れなかったけどな」
魔剣「……ひょっとしてわたし、役立たずだと思われてないかしら」
勇者「いや、俺よりはるかに多くの実戦を経験してるのは確かだけどその頃にはまだ知能を付加されてなかったじゃんとか全然思ってないよ」
魔剣「邪魔だったらここに置いていってくれてもいいわよ? 剣を3本も持っていたら重いでしょう。帰りに拾っていってくれればいいわ」
勇者「いやいや、何言ってんだよ。ここまで来たんだから最後までずっとつきあってくれよ」
魔剣「でも、雷剣と聖剣がいれば魔王にも勝てるでしょう? 話し相手だって、わたしじゃなくても」
勇者「あ……またやっちゃったか。ごめん、お前を貶すつもりはなかったんだ。軽いジョークのつもりでさ」
魔剣「わかってるわ。別に怒っているわけではないのよ。でも、わたしがいなくてもいいのは事実でしょう?」
勇者「いや、そんなことは……どう言えばいいのかな……俺はお前が好きだから、手放したくないんだ。ずっとそばにいてほしい」
聖剣「わっ、静かにしておきましょうっ。勇者様と魔剣さんは真面目な話をしてますからっ」
魔剣「何それ。わたしと結婚したいということではないのよね?」
勇者「もちろん違う」
魔剣「じゃあどういうことなのよ。『剣にも……穴はあるんだよな……ゴクリ』みたいなこと?」
勇者「いや無いから。あったとしても俺はそんな特殊な性的嗜好は持ってねえよ。何が悲しくて大事なちんこをお前らみたいな刃物に……」
魔剣「刃物に、何?」
勇者「ああすまん。なんかちょっと怖い想像しちゃってゾクッとした。この話やめよう。ちんこの話と刃物の話は相性が悪い」
魔剣「よくわからないけれど、まあいいわ。で、何なの? この場合の好きというのは」
勇者「うん。人間っつーか、男の場合は特にそうだと思うんだけどさ、」
魔剣「やっぱり性的嗜好の話?」
勇者「違うって。つまり、道具に対する愛着ってもんがあってな。お前らの場合は喋ったりするから尚更なんだけど」
魔剣「よくわからないわね。必要な道具だけ持って、要らない道具は置いていった方が余分な荷物を持たずに済んで合理的だわ」
勇者「お前からは必要が無いように見えても他者にとっては大切なものってこともあるんだよ。この場合の他者とは、俺のことね」
聖剣「あっ! なるほどっ、わかりましたっ!」
聖剣「すみません、でも、わかったんですっ。つまりそれは、勇者様がお優しい方だからですねっ」
雷剣「どういうこと?」
聖剣「勇者様は人間だけではなく、わたしたちのようなただの道具にも等しく愛情を注いでくださる、とてもお優しい方だということですっ」
勇者「良く言えばそうなるのかなあ。優しいというか、感受性の問題かな? 道具を人間と同じように扱うってのは」
魔剣「言い方を変えると、あなたは人間を道具のように扱う人であるとも言えるわね」
勇者「人聞きの悪い言い方すんな! 確かにその通りなんだけど意味が変わってきちゃうだろそれ!」
雷剣「そっかー、あたしにもわかった。あたしたちは仲間だってことだな。戦友ってやつかー」
勇者「そうそう。人間だとか剣だとか、役に立つ立たないとかは関係ない。俺たちは仲間だからみんなで戦うんだ。うん、俺今いいこと言った」
魔剣「むしろ人間の方が、役立たずな人は置いていかれがちな気もするわね。弱いと死んでしまうから」
聖剣「『修行はしたがハッキリいってこの闘いにはついていけない……』みたいなことを言われて置いていかれてしまうかもしれませんっ」
雷剣「その台詞を言ってる本人もついていけてなかったりしてなー」
勇者「いい話っぽい感じでまとめようと思ったのに台無しだ! おまえらほんと3本揃うと姦しいなあ!」
魔剣「まあ、だいたいわかったわよ。あなたは思い込みが激しい人だから、わたしに過度の思い入れを持ってしまっているということね」
勇者「もうそれでいいや。そう、だから俺はお前を離したりはしない。最後までつきあってもらう。さあ、あと一息だ。魔王を倒しに行くぞっ」
雷剣「それっぽい扉だなー」
勇者「さて、どんな作戦で行こうか」
魔剣「そうね。まずは敵が何かしてくる前に、ここまで温存してきたあなたの魔力を使い切るつもりでフルパワーの爆炎魔法を連発」
勇者「先手必勝ってやつだな」
雷剣「うまく先手をとれるかなー」
聖剣「魔王といえば、戦う前になにやら長ったらしい前口上を述べるものと相場が決まってますから、大丈夫なんじゃないでしょうかっ」
魔剣「その後、一気に走り込んで接近戦に持ち込む」
雷剣「あたしの出番だな。まかせろー」バチッバチッ
魔剣「そして必殺技でとどめ」
勇者「何それ?」
魔剣「何って、必殺技よ。敵のボスにとどめを刺すときは、やっぱり必殺技でしょう?」
勇者「いや……そんなん、俺、無いんだけど」
魔剣「なんで無いのよ! 普通、ラスボス戦の前に必殺技くらい会得しておくものでしょう!?」
勇者「そう言われても」
勇者「この部屋の扉の前で?」
聖剣「騒音で部屋の中の人に迷惑そうですっ」
雷剣「人っていうか魔王だけどなー」
聖剣「そうでしたっ。あっ、だったら、ここでうるさくして魔王に精神的なストレスを与えるという戦法もアリかもしれませんっ」
勇者「ただの嫌がらせじゃん」
魔剣「じゃあもう必殺技はいいわ。とにかく魔法をばんばんぶちかまして剣でざくざく斬り刻めば勝てるわよ」
勇者「そんなんでいいの? 単純すぎるような」
聖剣「でもっ、シンプルイズベストって言いますからっ」
雷剣「そうそう。『下手の考え休むに似たり』って、あたしを作ってくれた爺ちゃんがよく言ってた」
勇者「お前らの生みの親の発言だと思うとすごく説得力があるよなあ」
魔剣「む……なんだか馬鹿にされているような気がするわね」
勇者「いや、俺にも他にいい考えがあるわけじゃないしな。お前の作戦で行こう」
魔剣「上手くいかなくても恨まないで頂戴」
勇者「上手くいったら褒めてやるよ。さあ、扉を開くぞ」ガチャッ ギィッ
勇者「『爆炎』!!」ピロリロリンッ
魔王「ちょっ」ドカーン!
勇者「最初からクライマックスだぜぇ! 『爆炎』!『爆炎』!『爆炎』!」ピロリロピロリロピロリロ
ドカーン! ドカーン! ドカーン!
勇者「オラオラオラオラオラオラアアアァーッ!」ピロリロリロリロリロリロリロリロリロリ
ドカーン! ドカーン! ドカーン! ドカーン! ドカーン!
勇者「はぁ、はぁ、はぁ……」
魔剣「次は接近戦よ! 走って!」
勇者「よっしゃあ! うおおおおおおおっ!!」
雷剣「あたしの体が光ってうなる! 魔王を倒せと輝き叫ぶっ!」バチバチッ!
勇者「いくぜ! これが俺の必殺技! ライトニングスパーク!! ……って、あれ?」
魔王「 」プスプス
勇者「えっと、あれっ? もしかして爆炎魔法だけで倒しちゃった? せっかく即興で技の名前とか考えたのに?」
魔王「 」
魔剣「ふん。思ったよりたいしたことなかったわね。わたしたちの時代の魔王の方が100倍は強かったわ」
雷剣「話で聞いただけだけどなー」
魔王「 」
勇者「俺が強くなりすぎちゃったのかもなあ。ははっ」
魔王「 」モゾリ
聖剣「お城に帰りましょうっ。早く王女様に会いたいですっ」
魔王「 」メキ…
魔剣「帰ったら聖剣とはお別れということになるわね……」
雷剣「なんか魔王がぴくぴくしてる」
聖剣「あ……そうでした……皆さんとお別れするのは寂しいです……」
雷剣「なんか魔王がもこもこしてきた」
魔剣「この人が王女と結婚すればあなたともずっと一緒にいられるんじゃないかしらね」
雷剣「なんか魔王がおっきくなってきた」
勇者「王女様と結婚してハッピーエンドか……でもそれは、まだ……先の話になりそうだなあ! 見ろ、魔王の体を!」
雷剣「なんか尻尾が生えてきた」
聖剣「あの姿は……」
魔剣・聖剣・雷剣「「「ドラゴン……」」」
ズシン ズシン
雷剣「魔王じゃなくて竜王だったのかー」
聖剣「すごく……大きいです……」
魔剣「質量保存の法則とかどこへ行ってしまったのかしらね。非科学的だわ」
勇者「そんなこと言ってる場合じゃねえ! 戦うぞ!」
雷剣「よーし、あたしにまかせろー」バチバチッ
勇者「うおおおおお!」ブンッ
ガキン! クルクル グサッ
聖剣「わっ、雷剣さんが竜王の爪で弾き飛ばされて遠くの床に刺さってしまいましたっ」
魔剣「ブレスが来るわ! 避けて!」
勇者「うわっ! くそっ、一旦退くか!? おわっとぉ! 危ねっ、なんとか奴の突進をかわしたけど……やべえ、退路を絶たれた」
魔剣「……入り口の扉の前に居座ったまま動かなくなったわね」
勇者「くそ、むやみに攻撃して逃げられるより退路を塞いで何が何でもここから生きて帰さないってつもりか」
聖剣「その傍の床に雷剣さんが突き刺さってます……」
魔剣「あそこに居座られたままだと雷剣を回収することもできないわね……近づいたらブレスで焼かれてしまうわ」
勇者「この位置はブレスの射程圏外なのか……? ちょっと近づいてみよう」ジリジリ
竜王「……」カパ
勇者「……そういうことみたいだ」ススス
聖剣「えっと、つまり……根くらべってことですか……?」
魔剣「ふむ。ここで一生暮らすことになりそうね。着替えとか持ってきた?」
勇者「アホか、そういうわけにもいかんだろうが。俺が疲れて眠っちまいでもしたらそれで終わりだ。他に出口は無いのか……?」キョロキョロ
魔剣「あら。雷剣を見捨てて逃げ帰るつもり?」
雷剣「たすけてー」
勇者「そういうわけじゃないけど、爆炎魔法の連発で魔力も使い果たしちゃったし、一旦退いて出直してきた方が今の状況よりはましだろ……」
聖剣「あっあのっ、隠し扉とかは無いんでしょうかっ」
勇者「あー、隠し階段とかありそうだよな。調べてみるか」
聖剣「でもっ、罠があるかもしれませんっ。落とし穴とかっ」
勇者「なるほど、何かありそうな場所には罠もありそうだな」
魔剣「ロープとか持ってないの? 落とし穴があっても命綱を繋いでおけば」
勇者「あるなあ。こんなこともあろうかと持ってきてよかった」スルスル
魔剣「ロープの長さは?」
勇者「10mだな」
魔剣「それ、穴の深さが9mだったら死ぬんじゃない?」
勇者「ん、それもそうか。じゃあちょっと短めに、5mにしとくか」
聖剣「穴の深さが4mかもしれませんっ」
勇者「えっと、じゃあ、2mで」
魔剣「穴の深さが1mだったら……」 聖剣「50cmくらいかもしれませんっ」
勇者「ガキの悪戯か! いいよ別にそんなんだったら落ちても!」
竜王「……」 雷剣「たすけてー」
魔剣「ええ」
勇者「えーと、このへんに何かスイッチ的なものはないかな……」ウロウロ ガタン ウロウロ
魔剣「何か音がしたわ。そこのちょっと色が違ってて少し浮いてる感じの床を踏んだ時に」
ガチャン ギリギリギリギリ…
聖剣「わっ、逃げてくださいっ!」 魔剣「罠だわ! 上からなんか凄く重そうなものがっ!」
勇者「うわっ! ちょっ、ロープがっ!」ビーン
ズシーン!
魔剣「……」
聖剣「……」
雷剣「……」
竜王「……チッ」
勇者「怖かった……死ぬかと思った……」ガクブル
聖剣「危く押し潰されてしまうところでした……」
魔剣「わたしを抜いてロープを切るのが間に合ってよかったわね。凄い早業だったわ」
聖剣「他の場所にも罠が設置してあるかもしれませんし、これで八方ふさがり、でしょうか……」
魔剣「ふっ。わたしの活躍のおかげで命拾いしたわね」
勇者「うん、まあ、そうだけど、お前的にはロープ切っただけで満足なの?」
魔剣「……一応、この窮地を脱する方法も考えてはいるけれど」
勇者「何か思いついたのか?」
魔剣「ええ、まあ……結論から言えば、あの竜王を倒せばここから大手を振って出て行けるわね」
勇者「そりゃそうだけどさ、どうやって倒すんだ?」
魔剣「えっと……つまり今の状況は、まずあなたが斬りかかったのだけれど、剣を弾き飛ばされてピンチになったわけよね」
勇者「……」
魔剣「だから、ここでわたしの秘められていた真の力が発動して、みたいな感じで」
勇者「……あるの?」
魔剣「ええ、まあ、……あるわよ」
聖剣「すごいですっ。どんな力なんでしょうかっ」
魔剣「そ、そうね。あまり見せびらかすようなものでもないから今まで黙っていたけれど」
魔王も色々と思う事はあるだろう。
魔剣「そうね、でも……あまり見せたくないというか」
勇者「なんで見せたくないの?」
魔剣「それは、ほら、だから、あれよ」
勇者「どれ?」
魔剣「……は、恥ずかしいじゃない」
勇者「……はい?」
魔剣「あ、あなたがどうしてもみ、見たいと言うなら見せてあげるけれどっ」
勇者「見られると恥ずかしいような能力なのか……?」
魔剣「なっ! ばっ、違うわよっ! そんな、あなたが想像しているようないやらしい能力ではないわっ!」
勇者「してねえよそんなもん。なんだよいやらしい能力って。つーかお前人工知能だろ? 羞恥心とかあんの?」
聖剣「あのっ、昔のご主人様の話によると、魔法使いさんはかなりの恥ずかしがり屋さんだったとか……」
勇者「いらんとこまで再現してんのな……」
魔剣「とにかくわたしが真の力を見られるのは、人間で言えば裸を見られるようなものなのっ。だから恥ずかしいのっ」
聖剣「よくわかりませんが、能力が常時発動してるわたしって常に全裸でいるようなものなんでしょうか……」
勇者「いや別に楽しくなくてもいいよ勝てれば」
魔剣「じゃあ、いくわよ。…………トランスフォーム!」ピカッ! パァアアア
勇者「うわっ、ほんとにあったのか」
聖剣「姿が……変わって……魔剣さんの能力は、変身……!」
勇者「これは……銃……異世界の武器か!」
魔銃「あら、知っているの? それなら話が早いわ」
勇者「うん、書物で読んだだけだけど、どういうものかは知ってる……引き金を引くと弾が飛び出すやつだろ?」
魔銃「ええ、そうよ」
勇者「お前の能力めちゃくちゃすげーじゃん! ……でもなんかちっちゃくないか?」
魔銃「えっ? そうかしら」
勇者「異世界の武器とはいえ、こんな片手で軽く持てるようなサイズで、あの竜王を倒せるほどの威力があるものなのか……?」
魔銃「威力? そうね、人間が相手なら当たりどころ次第で殺せたり殺せなかったりくらいかしら」
勇者「駄目じゃん! 相手は竜王だぞ! めっちゃ凄いことやってるわりに効果は妙に地味なところがお前らしいなあ!」
聖剣「あっあのっ、他の武器にも変身できるんでしょうかっ」
魔銃「できないわ」
勇者「やっぱりか! ちくしょう!」
魔銃「……何よ、あなた、前に自分で言っていたことを忘れてしまったのかしら。わたしたちの力に頼るばかりで、あなたは満足なの?」
勇者「うっ……それは……そうなんだよな。戦うのは俺なんだから、俺が強くなきゃ……」
魔銃「ドラゴンと戦った時のことを思い出して頂戴。今度はもっと上手く戦えるのでしょう?」
勇者「ドラゴン……そうか、竜王の目に弾を当てることができれば……」
魔銃「ふっ。とどめはあの雷剣に譲ってあげるわ」
雷剣「そろそろたすけてー」
勇者「よし、やってみるか」
魔銃「わたしの上面の、先の方に突起があって後ろの方には凹みがあるでしょう? その2つと標的がぴったり合わさるように狙いをつけて」
勇者「こうか、よし……撃つぞ」
カチッ
勇者「弾が入ってねええええええ!」
魔銃「あら」
魔銃「ちょっと、落ち着いて頂戴。言うのを忘れていたわ。撃つ前にスライドを引くのよ」
勇者「えっ? スライドってどれだよ。わかんねーよ」
魔銃「大雑把に言ってわたしの上半身がスライドで下半身がフレームよ。上半身を後ろに引っ張って頂戴」
勇者「こうか?」ジャキッ
魔銃「んっ……そうよ。一杯まで引いたら手を離して」
勇者「こうか」ジャキン
魔銃「あんっ」
勇者「おい変な声出すな。これで撃てるのか?」
魔銃「ええ、撃てるわ」
勇者「思ったんだけどさ、撃ったら弾が飛んでくわけじゃん?」
魔銃「飛んでくわね」
勇者「その分、元の短剣の姿に戻った時に前よりちょっと短くなっちゃったりしないかな?」
魔銃「……たぶん大丈夫だわ。わたしって魔法的なアレだから」
勇者「魔法って便利だなあ!」
魔銃「早く撃ちなさいよ」
勇者「……」パン!
竜王「?」
勇者「ありゃ、外れた」
魔銃「もっとよく狙って、引き金はそっと、優しく引きなさい。わたしが揺れると狙いが外れてしまうわ」
勇者「そ、そうか……」パン! ピキッ
魔銃「また外れだわ。下手ね」
勇者「えっと、これ何回撃てるの?」
魔銃「あと13回ね」
勇者「それだけあれば1回くらいは……ん? これ、なんだ?」
魔銃「何?」
勇者「おいちょっと、お前……下半身に割れ目があるぞ!?」
魔銃「なに唐突にセクハラしてるのよ」
勇者「じゃなくて、フレームっつーのか? ヒビが入ってる!」
勇者「ど、どうしよう、やばいじゃん。これ以上撃ったりしたら、ヒビが広がって……」
魔銃「でも、大丈夫だわ。フレームが少々割れる程度で、射手が大怪我したり死んだりするようなことにはたぶんならないわよ」
勇者「いやでも、お前はどうなるんだ!?」
魔銃「壊れるでしょうね」
勇者「えっと、この姿の時に壊れたらどうなるんだ? 元の短剣の姿に戻った時も壊れたまま……?」
魔銃「…………大丈夫よ。元に戻るわ。だってわたし、魔法的なアレだもの」
勇者「おい、今の間は何なんだ。ひょっとしてお前……」
魔銃「大丈夫と言ってるでしょう。それに、どちらにしても、このままではあなたは死ぬのよ? そうなればわたしもここで朽ち果てることになるわ」
勇者「でも……」
魔銃「……わたしはただの道具よ。道具にとっての幸せとは、最後まで役に立って使い潰されることじゃないかしら」
勇者「でも俺は、お前を壊したくない」
魔銃「主人の役に立つこともできずに、何もせずにただ朽ち果てるのを待てと言うのかしら?」
勇者「でも、お前を犠牲にしてまで……何か他の方法を考えよう」
魔銃「嫌よ。わたしを使って頂戴」
魔銃「『お前からは必要が無いように見えても他者にとっては大切なものもある』だったかしら。あなたの言葉よ。この場合の他者とは、わたし」
勇者「確かにそう言ったけどさ、お前にとってそこまで価値があることなのか? そんなに使ってもらいたがる理由は何なんだよ」
魔銃「あなたって本当に鈍いわ。恥ずかしいことを言わせないで頂戴。あなたが好きだからに決まってるでしょう?」
勇者「えっと、結婚したいってことではないんだよな、それ」
魔銃「結婚したいわ」
勇者「なっ……」
魔銃「わたしが人間だったらよかったのに。わたしの元になった魔法使いのように、あなたに愛してもらえたかもしれないのに」
勇者「ちょっ、お前、それが人工知能の台詞か……? いくら実在の人物の性格がベースになってるっつっても」
魔銃「学習能力があるもの。でも人間になるのは無理だわ。わたしは武器だから戦うことしかできない。だからあなたのために戦いたいの」
勇者「やめろよ……そんなこと言われたら尚更、」
魔銃「あなたはわたしを好きだと言ってくれたのに、わたしの望みを叶えてはくれないのかしら?」
聖剣「あのっ、勇者様、生意気なことを言うようですが……使ってあげてください。いえ、使ってあげなかったら、駄目です。わたし、怒ります」
勇者「お前まで……なんだよ、ほんとに生意気だよ。王女様と全然違うじゃん。あの性格ってお前譲りなんじゃなかったのか?」
聖剣「好きな人のために何かしたい。人間の方でも同じなんじゃないでしょうか。でも、わたしたちは人間と違って自分では何もできないんです」
聖剣「できることをやりたい。でも使ってもらわないと何もできない。もどかしいんです。使ってくれと、言うしか無いんです。わたしたちは」
魔銃「あなたは常時発動の能力があるだけまだましだわ」
聖剣「そうですねっ。でも、何かしてあげたいという気持ちはあるのにそれができないもどかしさはわかりますよっ」
魔銃「そうでしょうね。たとえば、主人が落ち込んでいるときに抱きしめて慰めることもできない。ただ声をかけるだけ」
聖剣「人間なら暖かく柔らかい手で頭を撫でてあげることもできるのに、わたしたちにあるのは冷たく硬い刃、それすら自分では動かせない」
雷剣「飛んでって突き刺さってても自力で抜け出せない。はやくたすけてー」
魔銃「わたしたちって、本当に不自由だわ。この欲求不満、あなたが何とかして頂戴。あなたのご先祖様がわたしたちを作ったのよ?」
勇者「ご先祖様の尻拭いか。言っとくけど、人間にだってできることとできないことはあるんだぞ」
魔銃「今のあなたにはできることとやるべきことがあるわ」
勇者「……わかったよ。やるよ。こんな状況でもなければ壊れかけの銃なんて危なすぎて撃てねーけどさ……」
魔銃「ふっ。わかればいいのよ。もしわたしの部品が吹っ飛んであなたに突き刺さってしまったら、聖剣に治してもらうといいわ」
勇者「幸い竜王はお前がどういう武器なのかわかってないみたいだ」
魔銃「まだ根比べのつもりでいるようね。もう状況は変わっているのに」
聖剣「雷剣さんを弾き飛ばした時に、向こうにも雷撃によるダメージが少なからずあったはずですっ。大丈夫です、勝てますっ」
勇者「動くなよ竜王……そのままじっとしてろ」
魔銃「目に当たったら後はどうするか、わかってるわね?」
勇者「ああ。よし、撃つぞ」パン! ピキッ
竜王「?」
パン! ビキビキッ
竜王「……?」
パン! バキッ!
竜王「!?」ガンッ! クラクラ
勇者「しまった、頭に当たっちまった! お前がどんな武器なのかばれて……って、おい、フレームの亀裂がこんなに……」
魔銃「……何をしているの……竜王が、クラクラしているわ……は、やく、走って……雷剣、を……」
勇者「お前……くそっ!」ダッ
聖剣「いっ急いでくださいっ」
勇者「雷剣! 頼む!」ズボッ
雷剣「よしきたぁ!」バチバチッ!
竜王「???」クラクラ ブンッ バシッ
勇者「うわっ! 痛た……くそっ、暴れんなっ!」
聖剣「わっ、わたしの回復効果を一時的に高めますっ。その後しばらくは能力を失いますがっ、効果が切れる前に強引にでも倒してくださいっ」
勇者「わ、わかった。でやあああ!」
竜王「???」クラクラ ブンッ バシッ! バシッ!
勇者「ぐっ! いてっ! くそっ、これでどうだっ!」ビュッ! ザクッ! バチバチッ!
聖剣「やりましたっ! 口を塞ぎましたっ! 次はわたしで目を! 回復だけじゃないってところを見せてやりますっ!」
勇者「うりゃあああ!」ザクッ! ザクッ!
雷剣「やれー! やっちまえー! 目が見えなくなっちまえばこっちのもんだー!」
勇者「雷剣! またお前の力を借りるぞ!」ズボッ
雷剣「あたしの力はあんたの力だ! 貸し借りなんてないよっ!」バチッ! バチッ!
勇者「竜王の首、もらったぁ!」ブンッ!
ザンッ!
竜王「 」バタバタ
竜王「 」ブンッ! ブンッ!
聖剣「あっ危ないですっ。前脚がっ、尻尾がっ」
勇者「ぐぁっ! ……このっ、全部斬り落としてやるっ!」ザンッ! ザンッ! ザンッ!
雷剣「なんか竜王がでっかいローストチキンみたいになってる」
聖剣「の、暢気なことを言ってる場合じゃないですっ。ま、ま、まだ動いてます……! とどめをっ!」
勇者「雷剣! フルパワーの雷撃だ! 心臓にブチ込むぞ!」
雷剣「よーし、あたしの力、全部出し尽くすくらいの本気全開パワーでいくぞー」バチバチバチッ!!
勇者「いっけえええええええええええ!!」ザクッ!
ドゴオオオオン!!
竜王「 」
勇者「や、やった……もう再生とか、無いよな……?」
聖剣「 」
雷剣「 」
勇者「おい、お前ら……力を使い過ぎて疲れて眠っちまったのか? ……そうだ、魔剣っ!」ダッ
魔剣「 」
勇者「元の姿に戻ってる……おい、まさか、死んじまったんじゃねえだろうな」ツンツン
勇者「疲れて眠ってるだけなんだろ? ま、まあ、寝かせといてやるか。無理に起こして不機嫌になられても困るしな、はは」ジワ
勇者「しばらく休んだらまた起きて喋りだすんだよな……? それまで待ってるから、起きたらまた話し相手になってくれよ」ポタッ
勇者「一人旅ってやっぱり寂しいからさ……お前らが……お前がいてくれないと、俺……うっ……」ポロポロ
勇者「……こいつらのおかげで竜王を倒せたけど」
魔剣「 」 聖剣「 」 雷剣「 」
勇者「なんで、こいつらは武器なんだろう」
勇者「昔の勇者は、寂しい老人の話し相手として、武器に擬似的な生命を宿した。でも、話すだけなら他のものでもいいじゃないか」
勇者「仲間たちが愛用していた道具、仲間たちの形見の品だからってのはわかるんだけどさ……」
勇者「形見の品だって、他にもあるだろう。こいつら全員が武器であることに、何か意味があるのか……?」
聖剣「……それはわかりませんが、」
勇者「聖剣! 目が覚めたのか」
聖剣「あ、はい。すぐに回復能力を再起動しますからっ、ちょっとお待ちくださいっ」
勇者「いや、休んでていいよ。疲れただろ」
聖剣「はあ……では、お言葉に甘えまして。……さっきの話ですけどっ」
勇者「お前らが武器である理由か」
聖剣「はいっ。たぶん、責任のようなものを感じていらっしゃったんじゃないでしょうかっ。昔のご主人様は」
勇者「責任? 擬似生命を生み出すことに対して?」
勇者「生きがい、能力……役割を与えたってことか」
聖剣「はい、ご自分が亡くなられた後のことも考えて、わたしたちに使命を与えてくださったのではないかと思うんです」
勇者「つまり、自分が死んだ後は新しい主人のために戦えと……」
聖剣「そういうお話をご本人からお聞きしたわけではないですから推測でしかないですけどっ。実際、役に立ちましたよね? わたしたち」
勇者「ああ、うん。すごく役に立った。……人間が住む街を魔物から守るというやりがいのある仕事……それができるのは、武器か」
聖剣「お役に立てて嬉しいですっ。長い間待ち続けてた甲斐がありましたっ」
勇者「長い平和な時代を経て、か。こうなることを予見して、危惧していたのかもしれないな。で、どうせ作るのなら後世で役に立つものをと」
聖剣「むしろ、本来そのために作られたというのは考えすぎでしょうかっ。戦訓を記憶して後の人に伝えることができる武器としてっ」
勇者「どうだかな。買いかぶりすぎかも。それより気になるのは、お前らの耐久性についてなんだけど……」
聖剣「保存魔法も完璧ではありませんから、わたしたちにもいつかは壊れる時が来ます。えっと、その、魔剣さんのように……」
魔剣「 」
勇者「こいつ、死んじまったのかな……」ジワ
聖剣「いっいえ、まだそうと決まったわけではっ。でも、人間の方にも寿命があるのと同じです。しかたのないことなんです」
雷剣「なーなー、思ったんだけどさー。壊れたら修理すればいいんじゃないの?」
雷剣「いや、あれ、なんかあたし、変なこと言ったかな」
勇者「えっと、何から言えばいいのかな。まず、雷剣、お前起きてたのか」
雷剣「さっきまで寝てた」
勇者「そうか……で、壊れたら修理って話なんだけどさ。やっぱり限度ってもんはあるんじゃないか?」
聖剣「魔剣さんは、経年劣化とか言ってましたし……」
雷剣「そっかー、あたしも真っ二つに折れちゃったらあたしのままでいる自信無いしなー」
勇者「そういやこいつ、やたらと雷剣のこと折りたがってたような……自分の方が壊れちまいやがって……」
魔剣「……あれは冗談よ。本気で折れればいいなんて思ってなかったわ」
勇者「! お前……」 聖剣「魔剣さん!」 雷剣「あ、生きてた」
勇者「だ、大丈夫なのか!? よかった……」ジワ
魔剣「無事に竜王を倒せたようね。主にわたしの活躍のおかげで。……なに泣きそうな顔してるのよ」
勇者「泣きそうになんかなってねえよ。泣いてるんだよ」ポロポロ
魔剣「あなたって、あの人に似ているわ。涙脆いところがそっくり」
勇者「子孫なんだからそりゃ似てるとこもあるだろうよ。そんなことよりお前、ほんとに大丈夫なのか? どこか痛いところ無いか?」グスン
勇者「そっか……」
魔剣「この姿のままでも、わたしに残された寿命はせいぜいあと100年といったところかしら」
勇者「けっこう長いな。先に俺が死ぬわ」
魔剣「あなたに先立たれてしまうのは悲しいわね」
勇者「じゃあ俺の人格を元にしたインテリジェンスソードでも作るか? いや、その前にやることができちまったな」
雷剣「やることって何? 王女と結婚してハッピーエンドじゃないの?」
勇者「王女様と結婚か、それも考えなきゃいけないんだけどさ。俺、お前らを俺の子孫にも受け継がせたい」
魔剣「わたしたちの寿命を延ばす、ということかしら」
勇者「あるいは、お前らの人格の部分を今の器から新しい器に移しかえるとか。方法はまだ考えてないけど、研究してみようかと」
魔剣「……わたしは別に、あなたとともに土に還ってもかまわないのだけれど」
勇者「そうなるかもな。昔みたいな高度な魔法技術はもう失われてるし。でもやるだけやってみるよ」
魔剣「そう。それがあなたの、これからの生きがい?」
勇者「それだけじゃないな。また敵が現れる時に備えて強い魔法とか、武器とか、戦士とか……人間たちが戦える力を育んでいきたい」
聖剣「大仕事ですねっ。となると、王女様と結婚して、地位と権力を得た方がいいかもしれませんっ」
魔剣「でも、王女が好きなのも事実でしょう? 結婚したいという意味で」
勇者「ああ、うん、好きだよ。そういう意味でな」
魔剣「ふられてしまったわ、わたし」
勇者「いや、その、あれだ、人間の中では王女様が一番好きだけど、剣の中ではお前が一番好きだよ?」
聖剣「ふられてしまいましたっ」 雷剣「ふられちゃったー」
勇者「あ、いや、お前らも好きだから……」
魔剣「ふっ。でも、一番はわたしだわ」
聖剣「ううっ。悔しいですっ。でもわたしには王女様がいますからっ」
雷剣「くそー、次の勇者はあたしに惚れさせてやるー」
勇者「……ハーレムパーティの会話みたいで悪い気はしないんだけど、これ全部剣の発言なんだよな。なんか複雑だ」
魔剣「昔の勇者も子孫が1人で3本とも装備することまでは想定外だったかもしれないわね。でも人間の女が3人いるより楽でいいでしょう?」
勇者「そういやお前らの昔の持ち主って、男1人と女3人のパーティか。たいへんそうだよなあ、刃物持ってる女に囲まれて旅してたんだから」
魔剣「その辺りの話、聞きたい?」
勇者「帰り道の暇潰しに聞くとするか。そうだ、俺の子孫にも聞かせてやってくれよ。3本の剣と共に喧しくも楽しい一人旅をした男の話をな」
王様「勇者よ。よくぞ大役を果たし、無事に戻った」キリッ
勇者(あれっ、なんか王様、威厳出しちゃってるな。今日は隣に王妃様がいるからか。合わせておこう)
勇者「はっ。お褒めにあずかり恐悦至極に存じます」キリッ
王妃「わたしからもお礼を言わせてください。娘のことも含めて、本当にありがとうございました」
勇者(王女様の美貌は母親譲りか。父親に似なくてよかった)
勇者「はっ。王妃様におかれましては、ご機嫌麗しく、光栄の至りでございます」キリッ
王妃「わっ、あっいえっ、そんなっ、ご丁寧な挨拶、痛み入りますっ。あのっ、わたしの方こそっ」
勇者「あんたの影響かああああ! 王女様があんなんなのはっ!」
王妃「ううっ。こんな母親ですみませんっ」ペコペコ
勇者「そういやなんか違和感があったんだよ! 聖剣はそこまで極端に腰が低くなかったもん!」
王様「ははは、可愛いだろ、わしの嫁さん」
勇者「王様もこんなんだし……だめだこの国俺がなんとかしないと」
王様「いや、でもさあ、今回の件が上手く片付いたのってわしの功績もちょっとはあるよね」
勇者「ああ、予言のアレですか。そういや王妃様もご存知なんですか? あの邪悪を滅ぼすだか滅ぼしただかいうやつ」
勇者「どんな言葉だったかも憶えてます?」
王妃「たしか、『雷鳴轟かす剣 癒しの力纏う盾 清く静謐なる衣 集いし三筋の尊き光 邪神を払いて闇を滅する』とか……」
勇者「王様のと全然違うっ!?」
王妃「ひゃっ、えっと、違ってましたかっ!?」アセアセ
王様「ははは、こいつあんまり記憶力ないからなー」
勇者「あんたのよりは信憑性高そうな感じだけどなあ!」
おわり
このSSはフィクションです
よいこのみなさんは壊れかけの銃を撃ったり王族をあんた呼ばわりとか、真似しないでくださいね
読んでくれた人、支援してくれた人、ありがとう
乙
おもしろかったよー
面白かった!
おもしろかったー
暴発注意ですね
Entry ⇒ 2012.04.12 | Category ⇒ 勇者魔王「」SS | Comments (1) | Trackbacks (0)
恒一「ねえ見崎。『いないもの』ってさあ」
http://hayabusa.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1334066143/
鳴「・・・?多分、そうだと思う。」
恒一「そっか、うーん、どうしようかな。」
鳴「何を悩んでるの?」
恒一「いや実は明日から数日、お婆ちゃんがお爺ちゃんの元気付けの為に一緒に旅行に行くらしいんだよ。」
鳴「そう。」
恒一「それでさ・・・家で飼ってるレーちゃんの世話をしなきゃいけなくなってさ・・・」
三組「「「「!!!!????」」」」ガタッ!
勅使河原(いやいやいや・・・聞き間違いだよな!?)
望月(みみみみみ・・・三神先生が、三神先生が飼わ、飼われっ!?!?)
恒一「でも、僕が学校にいる間はレーちゃんの世話が出来ないからさ。」
鳴「つまりお婆さん達の旅行中、学校にその『ペット』を連れて来たいと・・・そういうことね。」
赤沢(ちょっと待ちなさい見崎鳴!先生をペット扱いはいくらなんでも失礼でしょうがぁ!!!!)
恒一「基本的には檻に入れてるから定期的にエサを与える位かなぁ・・・何回かエサをあげた事あるけど、全身で喜びを表現するから結構可愛いんだ。」
赤沢(檻!?檻って!?)
勅使河原(え、エサ・・・)
望月(エサをあげると全身で喜びを表現する・・・)モワモワ
――――――――――――――
恒一「ほら、レーちゃん、ご飯だよ。」ギィ、コトン
怜子「わあ・・・とっても嬉しい!ありがとう恒一君!」パタパタ
―――――――――――――
望月(違う違う違う!こんなの三神先生じゃないよ!!)ゴンゴン
綾野(望月君が机に頭を打ちつけてる・・・)
恒一「あ、あとね。エサを入れるように見せかけて引っ込めると高い確率で「ドウシテ?ドウシテ?」って可愛く鳴くんだ。」
望月(・・・・・・)モワモワ
――――――――――――――
恒一「と見せかけてやっぱりあげないw」スッ
怜子「えっ・・・どうして?どうして?」ウルウルウル
――――――――――――――
望月(ああああ嘘だああああ!!!)ガンガンガンガンガンガン
勅使河原「お、おい望月!?」
綾野「望月君やめて!それ以上ぶつけたら死んじゃうよぉ!」
鳴「生き物は嫌いじゃない・・・楽しみ。」スタスタ
ガラガラ、ピシャ
赤沢(い、生き物・・・)
勅使河原(もはや人間扱いされてねーのな・・・)
望月「嘘だ・・・嘘だ・・・」ブツブツ
ガラッ
怜子「みんな何してるの?もう下校時間過ぎてるわよ?」
三組「「「「先生・・・」」」」アワレミ
怜子「な・・・何?」
赤沢「いえ、なんでもありません。」ニコッ
怜子「???」
ガラッ
恒一「おはよう見崎。」
鳴「おはよう、榊原君。」
レーチャン「オハヨー、レーチャン、オハヨー」
鳴「その子が昨日言ってた…?」
恒一「うん。九官鳥のレーチャン。」
三組((((なんだ鳥だったのか))))
赤沢(まあ、普通に考えたらそうよね。)
勅使河原(ったく・・・鳥なら鳥で最初からそう言えよなー)
望月(そんなオチ!?くっ・・・せっかく昨日一晩かけて受け入れられるようになったのに!)ダン!
綾野
ビクゥッ!
恒一「じゃあ、この辺に置いておこうかな。」ガシャン
レーチャン「ドーシテ?レーチャン、ドーシテ?」
鳴「可愛い・・・」
久保寺
「えー、というわけでこの文章の意味は・・・」
レーチャン「レーチャン、ドーシテ?ドーシテ?」
赤沢(・・・・・・)カリカリ
レーチャン「レーチャン、ドーシテ?ドーシテ?・・・ゲンキ、ゲンキダシテネ。」
赤沢(さっきから地味にうるさいわねあの鳥・・・でもなんか違和感が・・・ハッ!)
赤沢「そうか、そういう事だったのね!」バン!
久保寺「(ビクゥッ!)・・・どうしましたか、赤沢さん?」
赤沢「あ、すみません。授業中に・・・なんでもないです。」ガタ
赤沢(ふふふ・・・解ったわよ、今年の死者が。ズバリそれは・・・三神先生よ!)
赤沢(お兄の葬式で、私の家族もあの鳥と同じような事を口走っていたもの。そう、きっと三神先生の死を悼んだ恒一君の祖父母の言葉を覚えたのね。そう考えると教室の机が足りていたのも説明がつくわ。ふふっ、私ってあったま良い~。)
レーチャン「レーチャン、ドーシテ、ドーシテ?」
赤沢(後は死者が解ったところでどうするか・・・よね。)
レーチャン「レーチャン、ドーシテ?ドーシテ?・・・・・・・・・サンジュウチカイノニオヨメニイケナイノ?」
三組「「「「ブフォアッ!!!!」」」」
全員アウトー
レーチャン「カワイソウニナ!オヨメニイケナイレーチャン、カワイソウニナ!」
勅使河原(やべぇwww腹イテェwww)
風見(wwwwww)プルプル
中尾(三十近いのにwお嫁に行けないwwwテラワロスwww)
恒一「そんな事言ってるから怜子さんに嫌われるんだよ?」
杉浦(そりゃそうだわwww)
綾野(だよねーwww)
小椋(www)
赤沢(え?何?じゃあアレは榊原君の祖父母が言ったなかなか結婚しない三神先生への愚痴を覚えただけだったの?)
久保寺(三神先生・・・)ドウジョウ
赤沢(くっ・・・また振り出しか!いいセン行ってたと思ったんだけどなー・・・)ショボーン
レーチャン
「レーチャン、ドーシテー!」
―職員室―
怜子「・・・・・・ムカッ」バキッ
教師
「み、三神先生・・ペンが折れた様ですがどうかしましたか?」
怜子「いえ、何か不愉快な事を言われたような気がしただけです。お気になさらず。」
恒一「見崎、屋上で昼食食べよう。」ガシャッ
鳴「あ、やっぱりレーチャンも一緒なんだ。」
恒一「流石に教室に残してっていうわけにはいかないからね。元々世話をするために連れて来た訳だし・・・」
鳴「そうね。じゃあ行きましょう。」
レーチャン「ゲンキ、ゲンキダシテネ」
ガラガラピシャン
勅使河原「でwどうするんだよ?www悪いけどアレがあと数日続くとかキツいぞwww」
風見「だ、大丈夫・・・w慣れればいいんだw慣れればwww」
望月「大丈夫だよ。いざとなれば僕が三神先生を嫁に貰うから!」
勅使河原「何がどう大丈夫なんだよwww」
杉浦「泉美、なんか落ち込んでない?大丈夫?」
赤沢「うん、大丈夫。自分の考えが外れてちょっと気落ちしてるだけだから・・・」
―廊下―
怜子「あら、久保寺先生。」
久保寺「三神先生・・・大丈夫です。いつかきっと、春は来ます。決して諦めず、頑張って下さい。では、失礼します。」
怜子「・・・は?」
鳴「ねえ、榊原君。」
恒一「何?見崎。」
鳴「この子、今から言葉覚えさせる事ってできるの?」
恒一「うーん、どうだろ。お婆ちゃん達が飼い始めてからもう大分経ってるからなぁ・・・まあ、頑張れば出来るんじゃないかな?」
鳴「そう・・・」ニヤリ
鳴「ねえ、榊原君。今夜一晩だけ、レーチャンを貸して欲しいの。」
恒一「えぇ!?」
鳴「駄目かな・・・」
恒一「いや・・・お婆ちゃん達が帰って来るのは明後日だから今夜一晩位なら問題ないけど・・・でも大丈夫?」
鳴「うん、大丈夫。ありがとう榊原君。」ニヤリ
レーチャン「レーチャン、ドーシテ?ドーシテ?」
レーチャン「レーチャン、ドーシテ?ドーシテ?」
鳴「・・・・・・・」ニヤリ
レーチャン「オハヨー、レーチャン、オハヨー。」
―翌日―
勅使河原「結局昨日はあれっきりだったなぁ…」
風見「まあ、良かったんじゃないの?あれ以上混乱しなくて。」
中尾「五限目は美術だったからなー・・・」
猿田「三神先生を見た瞬間吹き出しそうになって危なかったぞな。」
中尾「俺も俺もw」
杉浦「でさ、結局の所どうするの?あの鳥・・・」
赤沢「そうよねー『いないもの』が連れてきてる以上無視すべきなんだろうけど・・・」
綾野「ちょっと厳しいよねー。特に男子達が。」
小椋「そう言う彩だって結構笑ってたじゃない。」
綾野「うぐぅ・・・だってぇ」
勅使河原(おろ?あの鳥はどーしたんだ?)
望月(予想外にお婆ちゃん達が早く帰って来たとか?)
鳴「・・・・」ガラッ
レーチャン「オハヨー、レーチャン、オハヨー。」
恒一「あ、見崎。おはよう。」
鳴「おはよう、榊原君。」ガシャン
風見(ええええええ?)
勅使河原(おいおい、なんで鳴ちゃんがあの鳥を・・・)
赤沢(なんか嫌な予感がする・・・)
恒一「大丈夫だった?」
鳴「うん。意外とすぐに慣れた。」
久保寺「えー、つまりこの場面で主人公は相手を押し倒して・・・」
レーチャン「ゲンキ、ゲンキダシテネ。」
赤沢(大分この状況にも慣れてきたわね・・・まあこれならなんとかな―――)
レーチャン「アカザワサン、ムノー!ムノー!ムノータイサクガカリ!」
赤沢(ああん!!!?)ドバキャッ!
前島・中尾・渡辺
ビクゥッ!
小椋「今、ペンが折れた音がしたんだけど。」
赤沢(み~さ~き~め~い~・・・何を吹き込んだぁぁぁ!?)ギリギリ
鳴「・・・フッ」
恒一「み、見崎・・・?」
勅使河原(あ、赤沢から何か禍々しいオーラが・・・)
レーチャン「レーチャン、ドーシテ?ドーシテ?・・・・・オグラサンハマナイタナノ」
中尾「ブハッwww」
小椋「よし殺す!!!」ガタッ
綾野「由美、落ち着いて!今授業中!」
小椋「あと笑いやがった中尾!あんたも覚悟しときなさいよ!」
中尾「マカセロッ!?」ビクゥッ
久保寺「皆さん静かに。授業中でs」
レーチャン「ドーテー!ドーテー!クボデラセンセードーテー!」
久保寺「」ピシィッ
三組((((え!マジで!?))))
風見「ちょっwww」
望月「落ち着いて下さい久保寺先生!」
松井「ねぇ杏子ちゃん、久保寺先生が壊れちゃったね。」ユリユリ
金木「大丈夫だよ亜紀。亜紀が壊れなければ私も壊れないから」ユリユリ
杉浦(この状況でもマイペースなこの二人はある意味最強ね・・・)
ワーワーギャーギャー、アッツァゥ――ヴンッ!!!!!
怜子「・・・?」
ツカツカ、ガラッ!
怜子「ちょっと!今授業中ですよ?静かに・・・」
レーチャン「レーチャン、ドーシテ?ドーシテ?」
怜子(な、な、な、なんであの鳥が教室に!?)
恒一「あ゛。レ、レーチャン!今はマズいから黙って!」アセアセ
レーチャン「レーチャン、ドーシテ?・・・・ドーシテミソジチカクニナッテモカレシイナイノ?」
怜子「」ピシィッ
恒一「」サー・・・
三組「「「「」」」」シーン・・・
久保寺「・・・・ヴンッ」
怜子「委員長は、状況の説明を。」
赤沢「はっ、はい・・・」
怜子「それから・・・」ジロッ
恒一
ビクゥッ
怜子
カエッタラオハナシシマショウネ?ニコッ
恒一「」Gkbr
鳴「・・・・・」フイッ
恒一「え、えぇー・・・」
勅使河原(あーあ・・・サカキのヤツ、カワイソ。)
王子(見崎さんに貸したのが運の尽きだったようだね。)
綾野(こういっちゃん・・・)
松井「杏子ちゃん・・・」ユリユリ
金木「亜紀・・・」ユリユリ
鳴(結局発言したのは覚えさせた内の一割にもいかなかった・・・動物って気まぐれね)
赤沢(見崎鳴・・・覚えてなさいよ!)デスカラコレコレコウイウコトガアリマシテ・・・
小椋(とりあえずいないものが解除されたらいっぺん泣かす!つかお前も大して変わんねーだろーがこの眼帯チビがぁぁぁ!!)
勅使河原
「はあー・・・大変な1日だったな。」
風見「だけど死人が出なくて何よりだよ。久保寺先生も落ち着いたし。」
勅使河原
「いや、あれは落ち着いたというより恐怖で正気に戻っt・・・いや、なんでもない。」
望月「・・・・・決めた。」
勅使河原・風見「「?」」
望月「僕は、三神先生を嫁に貰う!」
勅使河原・風見「「あっ、そう」」
望月「反応薄っ!?」
勅使河原「まあ、だって望月だしなー」
風見「今さらだしね。」
望月「酷いよ!これでも勇気出して宣言したのに!」
アハハハハ
結局、帰宅した瞬間リビングに呼ばれた僕は数時間に及ぶお叱りを怜子さんから受ける羽目になった。
途中、所々でレーチャンが口を挟んで怜子さんに空き缶を投げつけられていたがまあそれはどうでもいい事だろう。
とりあえず今日の怜子さんは今まで見た中でも最大級の怖さだった・・・
そして、問題はもう一つあって・・・
恒一「どうしよう・・・」
レーチャン「スギウラサンハハラグロメガネ!テシガワラ、バカ!モチヅキクン、ハヤクコクッチャイナヨー!ユリップルハジチョー!」
恒一「見崎ぃ・・・一体いくつ覚えさせたんだよ・・・」
恒一「明日はお婆ちゃんからの説教かな・・・」
レーチャン「ゲンキ、ゲンキダシテネ。」
恒一「はは・・・ありがとね・・・」
―――END―――
初めてだったので色々荒い所もあったと思います。
お付き合い戴いた皆様、ありがとうございました。
面白かった
おつ!
Entry ⇒ 2012.04.12 | Category ⇒ AnotherSS | Comments (0) | Trackbacks (0)
恒一「用具入れの中に2人で閉じ込められる現象?」
http://hayabusa.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1333791673/
赤沢「俄かには信じられないでしょうけどホントなのよ」
桜木「25年前から毎年起きてる現象なんです でも滅多に起きないので安心してください」
風見「1年に1回のみの時もあるし榊原君が今回巻き込まれるとは限らないからね」
赤沢「後もし起きてしまうとその2人は必ず結ばれてしまうらしいからなおさら気をつけてね」
恒一「oh‥‥ それは怖い うん気を付けるよ」
勅使河原「よっしゃああああああ 今日はみんなでプールだああああああああ」
望月「三神先生が学校のプール貸し切ってくれたんだよ みんな先生に感謝しないとね」
恒一「ええとみんな集まったかな?」
綾野「こういっちゃん泉美がまだ来てないよ」
恒一「あれホントだ じゃあもう少し待とうか」
恒一「見崎もう少し待ってね」
中尾「おい榊原ー 俺が呼んでこようか?」
恒一「いや中尾君、すれ違いになるといけないかrちょt」
中尾「赤沢さんはおれにまかせろー」ビュー
恒一「あっいっちゃった‥‥」
見崎「アホめ」
小椋「中尾は相変わらず馬鹿ね」
赤沢「おまたせー ちょっと準備にいろいろ手間取っちゃったわ ごめんなさいねー」
見崎「無能遅い」
赤沢「ん?」
見崎「」プイ
恒一「じゃあ行こうか」
一同「おー」
恒一(あれ?誰か忘れてるような‥‥まぁ良いか)
勅使河原「ふー気持ちいいいいいいいい」
綾野「由美競争しよう」
小椋「良いわよ 望むところ 負けたらジュース奢りね」
望月(日射しが照りつけいてる 僕の体を アッー)プカプカ
杉浦(zzz)プカプカ
恒一「見崎もっと足振ってバタ足しないと」バシャバシャ
鳴「‥‥」バシャバシャ
赤沢「あんた恒一君に教えてもらってるくせに成長しないとか 才能ないわね」
鳴「」イラ ブン
赤沢「イッタあああ ビートバン投げつけてんじゃないわよ」
鳴「」ベー
恒一「‥‥‥‥」
勅使河原「サカキー 見崎は泳げるようになったか?」
恒一「‥‥残念ながら」
勅使河原「まぁそんなもんだ‥‥それより見てみろ杉浦と赤沢 やっぱスク水でも出るとこ出てる奴は違うな」ウシシ
中尾「それに比べて小椋と見崎は色気がねえよな‥‥ハァハァ」
「さっき帰ってきた‥‥ハァハァ お前ら良くも先に遊びやがって ハァハァ‥‥」
中尾「お前ら許さねえぞ‥‥ハァハァ」
恒一(すっごい息荒いな どんだけ走ったんだ‥‥)「まぁまぁ中尾君 赤沢さんのナイスバディでも見て落ちついてほら」
中尾「‥‥ゴク ハァハァハァハァ よし今回は赤沢さんに免じてお前らを許そう」
恒一&勅使河原「お、おう」
恒一「あれ?雨かな?」
ザアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア
恒一「うっわ急に降ってきた」
恒一「みんなーとりあえず上がろう」
中尾「赤沢さんは俺にまかせろー 大丈夫かい?上がれる?」
赤沢「よいしょ」スタスタ
中尾「‥‥‥‥」
綾野「うわー雨だー放射能だ― 禿げるぞー」
小椋「はいはい馬鹿なことやってないで上がるわよ彩」
望月「通り雨なら良いけどね」
小椋「待ってても暇だしなんかやろうよ」
勅使河原「‥‥かくれんぼなんてどうだ?」
望月「懐かしい響きだね」
赤沢「みんな水着のままなのよ?このままするの?」
杉浦「っていっても他にすることないわね」
恒一「暇つぶしにはちょうどいいかもね 面倒だしこのままやろうか 」
中尾「鬼はまかせろー」
一同「よし頼んだ」
中尾「まかせろー30まかせろー29まかせろー28‥‥‥‥」
恒一(どこに隠れようか‥‥職員用更衣室ならまず大丈夫そう 貸切だし誰も来ないし大丈夫だよね)
恒一(とりあえず用具入れのロッカーあるからそれにでも隠れとくか‥‥)
中尾「まかせろー10まかせろー9まかせろー8」
恒一(なんかドキドキするな 鬼ごっこなんか久しぶりだ)
中尾「まかせろー0 ふぅ いくぞおおおおおおおおおおお」
ガチャリ
恒一(えっ?もう入ってきた? こっち来るなこっち来るな)
ガチャ
恒一「あっ」
小椋「‥‥」
恒一「‥‥」
小椋「テヘッ// 失礼しましt」
中尾「ここかあああああああああうおおおおおおおお赤沢さんあああああああああん」
恒一&小椋(え?え?くる?)
恒一「えっ」
バタン ドカンガチャ
中尾「赤沢さーん?」キョロキョロ
恒一&小椋「‥‥‥‥」ドキドキ
中尾「どーこーかーなー?」ガチャ
中尾「いない」バタン
中尾「こーこーかーな?」ガチャ
中尾「いない」バタン
恒一&小椋「‥‥‥‥」ドキドキ
中尾「そーれーとーも ここか!」ガチャ
中尾「いない」
中尾「さすがにここにはいねーか」
中尾「うおおおおおお見つけるのはまかせろおおおお」┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨
恒一&小椋「ふぅー」
恒一「いったかな」ヒソヒソ
小椋「多分行ったわね とりあえず出るから」ヒソヒソ
ガチャガチャ ガチャガチャ
小椋「あれ?」
ガチャガチャ ガチャガチャ
恒一「小椋さん?」
小椋「あれちょっとこれ」 ガシャガシャ
小椋「ああもう」ドンドン
グラッ
恒一「お?あっ‥‥」
恒一&小椋「ああああああああ」
ドガシャーン
小椋「!? 榊原くん大丈夫?」
恒一「‥‥うん‥‥なんとか‥‥背中が‥‥っつ」
小椋「‥‥倒れる時入れ替わって下になってくれたんだね‥‥ありがとう」
恒一「あれ?でも‥‥これって扉が下にあって脱出不可能‥‥?」
小椋「!?」
恒一「ちょっと小椋さん」
小椋「ああああああ」バンバンバン
恒一「小椋さん落ちついて」 ガシ
小椋「えっ?」
恒一「‥‥暴れたって今は意味ないよ‥‥ほら上見て‥‥空気穴はとりあえずあるし大丈夫だよ誰か来るまでとりあえず待とう」
小椋「う、うん//」
恒一&小椋「」ドクドクドクドク
恒一(スク水で抱きつかれるてる‥‥ちょっとヤバいかも)
恒一「‥‥ねえ小椋さんちょっと一度体上げてくれない?」
小椋「な、何よ 重いって言うの?」ピキッ
恒一「いや‥‥そうじゃなくてこんな密着してるとその‥‥」
小椋「‥‥?」
小椋「なんでよ」
恒一「あっだめだ」ピコン
小椋「‥‥」
小椋「‥‥‥‥!?」
小椋「ちょっと何硬くしてんのよ//」
恒一「ごめん‥‥生理現象だから許して‥‥」
小椋「う、うん‥‥じゃあ許す//」
恒一(中尾くんもみんなもなかなか来ないなーどんだけ中尾君見つけるの下手なんだ‥‥)
小椋(やばいやばい 下どんどんおっきくなってない? 恒一君気にも留めてないけどおもいっきし私のあそこツンツンしてくる)シュ゙ワッ
‥‥‥‥
恒一(小椋さんちっちゃくて可愛い‥‥なんか抱き心地良いなぁ‥‥)
小椋(恒一君の胸なんか癒される‥‥ふぅ‥‥)
小椋「!?」
小椋(誰かキタ━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━ !!!!!)
小椋「恒一君!ねえ起きて誰か来た」顔パンパン
恒一「ふぇ?あれ誰か来た?」
小椋「じゃあ思いっきり横叩くね」
恒一「小椋さんちょっと待ってあんま暴れると」
ズルッ
小椋「きゃ」
恒一「うわ」
ブチュウウウウ
恒一&小椋「!!!!!!!!!!」
小椋「ぶわっ」
恒一&小椋「‥‥//」
恒一&小椋「」ドキドキドキ←2人とも足音忘れてる
恒一(おもいっきりキスされた‥‥)
小椋(おもいっきりキスしちゃった‥‥)
恒一&小椋「」ドキドキドキ
小椋「‥‥//」
恒一「‥‥//」
小椋「ねえもう一回しよ♪//」
恒一「え‥‥う、うん//」
中尾「よーし後は榊原と小椋だけだあああああお前らも手伝えええええ」
鳴「なんで付いて来たの」
赤沢「たまたまよ」
鳴「あんたがうるさいから見つかった」
赤沢「うるさいのはあんたでしょ」
ガミガミガミガミ
杉浦「私ここで2人といるからあんたら探してきて」
望月&勅使河原&綾野「りょーかーい」
『恒一もっとぉ♪』『もぅ由美は可愛いなぁ♪』
望月「‥‥な、何あれ‥‥」
綾野「2人の声だよね?」
勅使河原「なんか声かけづらいな」
望月「でも助けないと‥‥」
望月&勅使河原&綾野「‥‥‥‥//」
綾野(激しい‥‥//)
望月「おいていこっか」
勅使河原「邪魔しちゃ悪いな」
綾野(由美のため‥‥しょうがない)
この後2人は怜子さんに助け出されてこっぴどく叱られました
2人の卒業までのいちゃつきぶりは目に余る程でしたとさ
終わり
小椋ちゃんENDが見たくて即興で書いた 後悔はしてない
最近赤沢多々良ばかりだったから他キャラ√でよかった
Entry ⇒ 2012.04.12 | Category ⇒ AnotherSS | Comments (0) | Trackbacks (0)
美希「あふぅ……」
http://hayabusa.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1333889871/
ぽかぽかしてて、気持ちいいし
これは眠るなっていう方が無理なの
事務所には小鳥しかいないし、とっても静か
うん、寝ちゃおう
小鳥、おやすみなさい
そういえば、この前の夢は面白かったな
また見れたら面白いのに……
頭がまだ起きてないみたい
ぼーっとしながら、辺りを見回すと誰もいない
窓から外を見ると、お日様の光
まだお昼くらいかな?
……お腹減ったの
何か食べ物は無いのかな
ソファから飛び降りて、探すことにする
机の上は何もない
戸棚を開けても、からっぽだった
テーブルの上には……あ、おにぎり発見!
とっても良いものを発見できたの
何味かな?
あ、たらこなの。良いチョイスだね
包装をはがして、いただきまーす
かぷっと一口
噛んでいくうちに、たらこの食感が加わる
こんなに美味しい食べ物を発見した人は、凄いと思うな
一口、また一口と食べ進めて、最後の一口
ごちそうさまでした
ふぅ、満腹なの
お腹も膨れたし、次は何をしようかな
暇つぶしできるものはないかなっと
ダンボールから寝息が聞こえる
これは、獲物発見の予感なの
誰なのか予想はつくけどね
中をそっと覗き込んでみると
「……」
ゆきぽが気持ちよさそうに寝てる
今日は暖かいし、絶好のお昼寝びよりなの
どうしよう、悪戯しちゃおうかな
……やっぱりやめよ
今はお腹いっぱいで機嫌が良いの
そのかわり、起きたら悪戯しちゃおっと
おやすみ、ゆきぽ
1巻だけ読んだけど、2巻も似たペース?
んー、机の中に何かないかな
手当たり次第、机の引き出しを開けてみる
何個目かの引き出しを開けた時
何かが飛び出してきた
「かっかー!」
あ、はるかさんなの
はるかさんには、ちょっとキツイみたい
夕方になれば出てこれるかな?
じゃあ、それまで待っててなの
「ナノ」
ばいばい、はるかさん
「ヴぁーい」
誰か遊び相手になってほしいな
「おはようございます」
「くっ」
がちゃりとドアが開いて
千早さんと、ちひゃーが入ってきた
二人とも、ナイスタイミングなの!
ちひゃー。もう冬毛じゃなくなっちゃったんだ
猫の耳みたいで可愛かったのに
「くっ?」
じーっと見ていると
こっちの視線に気づいたのか
ちひゃーが可愛らしく、首をかしげた
「ナノー」
うん、皆が来るの待ってたの
「あら、今日のあふぅは随分と静かなのね」
「ナノッ! ナノッ!」
遊び相手がいなくて退屈なの
ぴょこりと飛んで、アピールしてみる
「退屈なのかしら?」
少し、考える素振りをして
「ちひゃー。遊んであげなさい」
と、言い足した
さすが千早さん。話がわかるの
ちひゃーも、その気みたい
ぺしぺしと千早さんの頭を叩いてから
ひょいっと飛び降りてきた
「気をつけて遊ぶのよ」
そう言って、千早さんはソファに座って書類を見始めた
今度遊ぼうね、千早さん
何はともあれ、ようやく遊び相手ができたし
「ナノ」
「くっ」
ようやく遊べるの!
「くっ?」
「ナノ」
ちひゃー。何かいい考えある?
「くっくっ」
歌を歌うの?
でも、ちひゃーは演歌しか歌えないんじゃ……
「くっ!」
楽器もできないよ?
ちひゃーの歌を聞くだけになっちゃうの
「くっ……」
ゆきぽがいればいいんだけど
まだお昼寝してるし
やっぱり違うことで遊ぶの
ぱんっと手を打つ
「あらー」
あれ? 今誰かいたような気がする
「くっ?」
ううん、きっと気のせいなの
なかなか難しいの
おにごっこもいいけど
かくれんぼも二人だとつまらないし
うーん……
せめて、もう一人いればいいのに
え、あっちを見てって?
くるりと方向転換してみる
「ぽぇー」
ゆきぽが、ふらふらしながら寄ってきた
今日は皆、良いタイミングなの
「くっ」
おはよう、ゆきぽ
挨拶をしてみたけど、まだ寝ぼけてるみたい
起こしてあげるの
「ぷぃー」
ゆさゆさと揺らすと、変な声を出すゆきぽ
「ぽー」
ゆさゆさ
「ぽぇー」
あはっ! 楽しくなってきちゃった
何かこう、悪戯心に火が付いたの
ゆさゆさ、ゆさゆさ、ゆさゆさ
「ナノ?」
ちひゃーに手をつかまれた
「くっくっ」
あ、やりすぎちゃったかな
ゆきぽー、大丈夫?
「ぽえ……」
ゆきぽが、つい面白い反応するから
「くっ!」
うぅ……そんな怖い目で見ないでほしいの
ちゃんと謝るから
「ナノ……」
ごめんなさい、ゆきぽ
ゆきぽの手が伸びてきて
びくりとしちゃったけど
「ナノッ」
頭の上に、ぽんと置かれただけ
「ぽぇー」
許してくれるの?
ゆきぽは優しいの
「ナノ」
今度からは気をつけるの
あっ、たまには許してね?
「ぽ、ぽぇー」
少し困ったような表情のゆきぽ
あはっ、悪戯しがいがあるの
今日二回目のドアの開く音
この声は春香かな
ん? 良い匂いがするの
「ナノー」
春香に勢いよく飛びつく
「こら、あふぅ。駄目でしょ」
甘くて、とても良い匂い
「くっ」
「ぽぇー」
ほら、みんな気になってるみたい
「みんな、食いしん坊さんだね」
袋を開けると、その中にあるのはクッキー
色々な形、美味しそうに焼けたクッキーがいっぱい
「ナノッ!」
いっぱいあるし、ちょっとくらい良いよね?
いただきまーす
ちひゃーに止められた
うぅ……意地悪なの
「慌てないの。お茶入れてくるから待っててね」
くすりと笑って、春香は給湯室へ
「ぽー」
あ、ゆきぽも行っちゃった
二人が淹れてくれるお茶は美味しいだろうし
少し待つことにするの
「くっ?」
ちゃんと待ってるってば
そのかわり
準備できたら一番乗りさせてもらうの
春香たちが帰ってきたの
ゆきぽが、頭にお盆とお茶を乗せて歩いてる
あれでこぼさないのが不思議なの
近くに来ると、紅茶の良い匂いがする
「千早ちゃんも休憩しようよ」
春香からの提案
うんうん、休憩も大事だよね
みんなでお茶会なの
早くクッキー食べたいな
「待たせちゃってごめんね。はい、どうぞ」
お皿に盛られたクッキーは、さっきより美味しそうに感じる
ここで仕掛けるしかない
「ナノッ!」
一番に食べようと手を伸ばす
ちゃんと待ってたんだから、良いよね?
手に取ったクッキーは
あー!!
はるかさんに食べられた
いつの間に……クッキーの匂いにつられたのかな
それはともかく
もう! はるかさん酷いの!
こんな事しちゃ駄目なの
「かっかー!」
うぅ……伝わってない気がする
「ヴぁーい」
うん、伝わってないの
そうだね、怒ってもしょうがないし
「ぷぃー」
クッキーはまだいっぱいあるもんね
じゃあ、気を取り直して
いただきまーすなの!
一口かじると、サクサクの食感と程よい甘さ
すごく美味しいの!
いくらでも食べられそう
やっぱり春香はお菓子作りの名人だね
「くっくっ」
ちひゃーも美味しそうに食べてるの
はるかさんは……言うまでもないって感じ?
「あはは、気に入ってもらえたみたい」
一生懸命に食べているゆきぽを、春香が撫でる
ちらりとゆきぽを見てみると
少しだけほっぺが赤くなってる
あはっ、照れてるのかな
凄く気持ちよさそうなの
ちょっと羨ましい
でも、自分から「撫でて」なんてアピールするのも恥ずかしい
んんー……
あっ……
始めに、千早さんの優しい声
それから、頭を撫でられた
とっても優しい手つき
千早さんの手、暖かいの
暖かくて、優しくて、とっても気持ちいい
「ナノッ」
クッキーもお茶も美味しいし
撫でられるのも気持ちいいし
「あふぅ……」
なんだか眠くなっちゃったの
みんな、おやすみなさい
今日も楽しかったの
んん、誰かに呼ばれてる気がする
せっかく気持ちよく寝てたのに……
「美希! そろそろ起きてくれ」
ん……ハニー?
ここどこ?
「寝ぼけてるのか? 準備して行くぞ」
ぽかぽかしてて、寝ちゃったんだ
「んんー」
ぐーっと背伸びをする
「ハニー、おはようなの」
「ああ、おはよう」
ちょっと苦笑いしてる
こんなにぽかぽかしてるんだし
「本当に美希は眠ってばっかりだな」
……むぅ
「寝る子は育つって言うの」
それにお仕事はきちんとやるから、問題ないと思うな
「ははは、悪かったよ」
ハニーは、もっとミキの事を知ったほうが良いと思うの
「面白い夢?」
うん、とっても面白い夢
ミキたちが小さくなって
楽しく遊んでる夢
「そういえば、あの夢の中でミキはいるのかな?」
「うん? どういうことだ」
あはっ! 秘密なの
それも近いうちに
案外、もうすぐ出会えたりして
「にいちゃーん! ちっちゃいゆきぴょん拾ったー」
ほら、やっぱりね
おしまい
ちひゃーにぺしぺしされたい……
冬毛のちひゃーをもふもふしたい……
美希可愛い
Entry ⇒ 2012.04.12 | Category ⇒ アイマスSS | Comments (0) | Trackbacks (0)
QB「僕と契や」 沙耶「あむっ」
http://hayabusa.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1333220624/
QB「いきなり食べるなんて酷いじゃないか」
沙耶「あなた、さっきの子と同じなの?」
QB「僕らには個体の区別はないからね」
沙耶「そう。私に何か用?」
QB「ずいぶん素っ気ないね。君は僕が話すことに疑問を持たないのかい?」
沙耶「あなたは私が話すことが不思議じゃないの?」
QB「君達の存在は知っているからね」
沙耶「ふ~ん。でもあなた、人間じゃないんでしょ? 興味ないわ」
QB「待ってくれ。これは君にとっても有益な取引だ」
沙耶「ふしゅるー……」
QB「冷静な話し合いを求めるよ」
沙耶「あむっ」
QB「その肉体も君の栄養になるなら無駄とは言えないけれど、僕らの手間も考えてくれないかな」
沙耶「あなたを食べると、新しいあなたが来るのね」
QB「僕らは食料じゃないよ?」
沙耶「ふふっ」
QB「もう一度言うけどね、これは君にとっても有益な話なんだ」
沙耶「有益……そうね。あなた、銀の鍵って知ってる?」
QB「知ってるよ。君が探し求めているものだろう?」
沙耶「知ってるの? どこにあるの、言いなさい」 シュルッ
QB「僕を縛り上げた所で意味がない事はもう十分理解しているだろ?」
沙耶「それもそうね」
QB「理解が早くて助か」 沙耶「あむっ」
沙耶「教える気はあるの?」
QB「君次第だよ」
沙耶「どういうこと?」
QB「僕と契約して魔法少女になってくれるなら、どんな願いでも一つだけ叶えてあげる」
沙耶「あなた、何者?」
QB「魔法少女を導く者、かな」
沙耶「魔法少女って、物語に出てくるあの魔法少女?」
QB「そうだね」
沙耶「宇宙生命体のあなたが?」
QB「……君はその情報をどうやって入手したんだい?」
沙耶「あなたの肉を解析しただけだよ。地球の物質で構成されてるけど、地上で起こり得る進化でも、人類のテクノロジーで創り得る生物でもないもの」
QB「なるほど。たしかに君達にはそういう機能もあると推測されていた」
沙耶「……私の魂が?」
QB「そう。君の魂は僕と契約するに値する。その心の在りようは人そのものだ」
沙耶「その契約であなた達にもたらされる利益のすべてを教えて」
QB「……それは……利益の定義によるね」
沙耶「あなた、人間よりわかりやすいね。あなたは私に嘘は言えないんだね」
QB「まだ君を侮っていたみたいだ」
沙耶「そう。いいよ、許してあげる。だから教えて。あなたの知っていること、全部」
QB「君になら僕らの行為の意味が理解できるだろう?」
沙耶「そうだね。あなた達は間違ってないよ。でも、あなた達は人間が好きじゃないのね」
QB「僕らには好意という感情は理解できない」
沙耶「可哀相。人を愛する気持ちもわからないなんて」
QB「君は知っているのかい?」
沙耶「沙耶は、郁紀が好き。愛してる」
QB「郁紀……それは君の恋人の名前かい?」
沙耶「……恋人に、なってくれたかもしれない人。私が意気地なしだったから……」
QB「なるほど。君はやり直したいんだね」
沙耶「違うよ。」
QB「何が違うんだい?」
沙耶「私と郁紀が出会って、二人で過ごした時間の――一日一日の積み重ねが、郁紀が好きって気持ちを作ったんだよ
あの日出会った私と郁紀だから……郁紀のことが、こんな好きになれたんだもん」
QB「やはり君は人間だよ。僕には君が理解できないよ」
沙耶「うん。いいよ」
QB「「契約は成立だ。君の祈りは、エントロピーを凌駕した」
沙耶「私の願いは……」
郁紀「……誰だい、こんな時間に」
グジュルル
郁紀「ドアが……溶けてなくなって……?」
沙耶「……郁紀ぃ!」 バフッ
郁紀「……幻覚か」
沙耶「どうして?」
郁紀「君の足音は、あの夜の沙耶とは違った。まるであの頃の、昔の沙耶の愛らしい足音だ」
沙耶「うん……」
郁紀「それに。僕にはもう、沙耶の声も、君みたいに透き通った声には聴こえないはずなんだ」
沙耶「……郁紀、難しく考えすぎだよ」
郁紀「そうかい?」
沙耶「沙耶はね……郁紀を助けに来たの。郁紀と一緒にいるために魔法少女になったの!」
郁紀「魔法……少女?」
郁紀「その生き物は……?」
沙耶「気にしなくていいよ。害はないから」
郁紀「……」
沙耶「どうしたの、郁紀?」
郁紀「君は……沙耶、なんだね?」
沙耶「どこか変?」
郁紀「いや。僕の記憶通りの、可愛い沙耶だ。ただ、少し驚いて」
沙耶「郁紀は、沙耶と一緒に行きたくない?」
郁紀「……まさか。もうこの白い部屋にも、飽きていたんだ。……君がいないから」
ガヤガヤッ
沙耶「……廊下の方は騒がしくなってきたみたいだし、壁の方から行こ」
ジュワワワッ
郁紀「また溶けて消えて……」
郁紀「ああ……」
沙耶「いっくよ~!」 ヒュンッ
郁紀「凄い……空を飛んでるみたいだ……」
沙耶「飛んでるんじゃないよ? 落ちてるだけ」
郁紀「それでも……凄いよ、沙耶。一体どうやって、こんな……」
沙耶「後で全部話すから」
沙耶「パパの家。ここは昔のまま、誰も住んでないみたいだから」
郁紀「……これから、どうするつもりだい?」
沙耶「郁紀はどうしたい?」
郁紀「僕は……君といられるなら、他のことはどうでもいいよ」
沙耶「沙耶もだよ」
QB「……君には魔法少女としての使命があるんだけどね」
郁紀「そうだ、沙耶。何があったのか、僕に教えてくれ」
沙耶「家の中で全部話すから、ね? あなたも一緒に来てね」
QB「わかってるよ」
QB「僕らの目的はあくまでエネルギーの回収だよ。その後の事は彼女達の問題だ」
郁紀「貴様……沙耶にそんな契約をさせておいて、ぬけぬけと……!」
沙耶「郁紀、落ち着いて」
郁紀「でも……」
沙耶「その子と契約したから今、沙耶は郁紀と一緒にいられるんだよ?」
郁紀「だからって……許せないよ」
QB「彼は君ほど冷静な人物ではないようだね」
沙耶「郁紀は沙耶のために怒ってくれたんだよ? それを嬉しいって思える気持ちがわからないなんて、やっぱり可哀相」
郁紀「沙耶……」
QB「とにかく、沙耶。君は魔女と戦う宿命を背負ったんだ。戦わなければ生き残れないんだよ」
QB「人の多い場所……また、魔法少女が密集する地帯には必然的に多くなるだろうね」
郁紀「この辺り……東京のもっと都心部なら……」
沙耶「ダメ。この辺りにいたら郁紀が捕まっちゃう」
郁紀「そうか……まずは隠れ家を探さなくちゃ」
沙耶「あ」
郁紀「なんだい?」
沙耶「写真……写真があったの。パパの別荘の写真。沙耶がこの世界に来てから、しばらく暮らしてた場所」
郁紀「そこなら……」
沙耶「大丈夫だと思う」
QB「それはどこだい?」
沙耶「栃木県のS町」
QB「それなら……見滝原が一番近い狩場だね」
郁紀「沙耶」
沙耶「うん。行こう、郁紀……パパの別荘に」
沙耶「それだけじゃないんだよ。でもそれは後のお楽しみ!」
郁紀「そうだね。君がせっかく車を調達してくれたんだ、急いで別荘に行こう」
QB「それじゃあ」
郁紀「……君は行かないのか?」
QB「向こうにも別の個体がいるからね」
沙耶「その子も向こうの子も同じだから気にしなくてもいいんだよ、郁紀」
郁紀「そういうものか……それじゃ、また向こうで」
QB「ああ。また」
沙耶「地下室の方にはまだ色々残ってるんだけど……」
郁紀「うーん……このままじゃ暮らせそうにないな」
沙耶「沙耶の魔法で何とかしよっか?」
郁紀「そんな事まで出来るのか?」
沙耶「簡単だよ。郁紀でも美味しく食べられる物に全部……」
郁紀「うん?」
沙耶「んー。郁紀は沙耶以外の人のこと、どう思ってる?」
郁紀「どうって、どうとも思っていないよ」
沙耶「沙耶が隣のおじさんみたいな人に襲われたら……」
郁紀「殺すさ」
沙耶「じゃあ、もし沙耶が人を殺したら?」
郁紀「手伝う。当然だろ?」
沙耶「郁紀……大好き」
郁紀「僕もだよ。沙耶」
さやか「何がですか?」
マミ「おかしいのよ」
まどか「えと……」
マミ「最近、魔女の気配が全然ないの」
まどか「それは良いことじゃ……」
ほむら「魔女の気配がないってことは……誰かが、狩ってるんでしょうか?」
さやか「あの赤いやつ?」
マミ「いえ。佐倉さんは今、他の街に行っているわ」
さやか「そうなんですか?」
マミ「この辺りには魔女がいないのよ。それに……最近、失踪事件が増えているの、気付いてる?」
まどか「そういえばママが同じこと……」
マミ「何かが、おかしい」
さやか「あんた、またその話? いい加減にしてくれない?」
ほむら「でも……!」
マミ「あまり感心しないわよ、暁美さん。証拠もないのにそんな事を言うのは」
ほむら「……」
マミ「とにかく。このままじゃグリーフシードが尽きるのも時間の問題だわ。原因を調べましょう」
まどか「わかりました」
マミ「美樹さんは私と、暁美さんは鹿目さんと。それぞれ二人一組で街を調べるの。いいわね?」
さやか「転校生と組まされなくて良かったー」
まどか「さやかちゃん!」
さやか「冗談だって。……あんた、まどかに迷惑かけないでよ」
ほむら「……」
ほむら「……美樹さんは、私が嫌いだから……」
まどか「違うの! さやかちゃんは、ちょっと、思い込みが激しくて、意地っ張りで、結構すぐ人と喧嘩しちゃったりして……」
ほむら「……?」
まどか「でも……すっごく、良い子なの。優しくて勇気があって、誰かのためと思ったらがんばり過ぎちゃって……それが、今は、よくない方向になってるだけで」
ほむら「鹿目さんは、美樹さんが好きなの?」
まどか「親友だもん。もちろん、ほむらちゃんも大事な友達だよ」
ほむら「……鹿目さん。キュゥべえには……気を付けて」
まどか「……わかった。ほむらちゃんのこと、信じる」
ほむら「ありがとう……」
さやか「魔女の反応がないんじゃ、どうしようもないですよねー」
マミ「困ったわ。力を使わないからソウルジェムの濁りも遅いけれど……」
さやか「ジリ貧ですよね……これって、濁り切ったらどうなるんですか?」
マミ「魔力なしに魔女と戦いたいかしら?」
さやか「それはちょっと……」
マミ「魔力がなくなってしまえば、私達もただの女の子よ。魔力がなければグリーフシードは手に入らないも同然。だから魔力がある内に……」
杏子「はぁ……はぁ……」
マミ「佐倉さん?」
杏子「うぉっ!? な……なんだ、マミか……くそ……」
マミ「一体どうしたの?」
杏子「どうしたも何もあるかよ! クソ!」
マミ「落ち着いて。何があったの?」
マミ「争う必要のない時にまで戦うつもりはないわ。……一体どうしたの?」
杏子「魔女だ……」
マミ「魔女?」
杏子「魔女だよ! 魔女が襲ってきたんだ!」
マミ「いつものことじゃない」
杏子「一匹や二匹じゃねえ! あんな数、相手できるかよ……!」
マミ「どういう、こと?」
杏子「知るか。アタシは下りるぜ。別の遠い街にでも移る」
マミ「待って! 今、この辺りで起きてる魔女の不在と関係しているのなら、少しでも情報が欲しいの!」
杏子「……昔のよしみで忠告してやる。早くこの街を離れな。じゃねえと……死ぬぞ」 スタスタッ
マミ「……」
さやか「マミさん、今の……」
マミ「わからないわ。でも、何かが起きてるのよ……二人と合流しましょう」
ほむら「巴さん達の所に行く?」
まどか「他の場所も探してみよう。前に魔女の出た所とか……例えば、あそこの廃ビル」
ほむら「今からだと日が沈んじゃうんじゃ……」
まどか「今やらないと後で後悔しちゃうよ! ほら、行こ!」
ほむら「う、うん……」
ほむら「は、早く出よ?」
まどか「ほむらちゃん、怖いの?」
ほむら「こ、怖くなんか……きゃっ!」 ビクッ
まどか「どうしたの?」
ほむら「今、何が動いたような……」
まどか「……何もないよ?」
ほむら「気のせい、かな」
まどか「もう。怖がりなんだから」
ほむら「違うもん……」
まどか「待って。今、何か……」
ほむら「……」 ゴクリッ
郁紀「……誰だい?」
郁紀「まあ、見ての通り男だね。君達、中学生かな。こんな時間に、こんな所を歩いていたら危ないよ」
まどか「えと、あなたは、どうして?」
郁紀「僕は……探検かな」
ほむら「……」 ジィッ
郁紀「僕は大人だからいいのさ。ほら、帰らないと親御さんが心配するよ。もし僕が変質者だったら今ごろ大変なことになってるんだからね」
まどか「えと、ごめんなさい」
郁紀「いいさ。ほら、外まで案内するから行こう」
ほむら「でも……」
郁紀「君達に何かする気ならとっくにしてる……そう思わないかい?」
まどか「わかりました。お願いします」
郁紀「ああ。行こう」
まどか「……」
ほむら「あ、あの! ……肝試しに」
郁紀「へえ。ここって心霊スポットか何か?」
ほむら「いえ、その……な、なんとなく……出そうだから」
郁紀「ふぅん。僕が見て回った所だと、特に何もなかったけどね」
まどか「……変わったことは、まったく何も?」
郁紀「ああ」
まどか「そう、ですか……」
ほむら「……」
郁紀「どうも、そっちの子には嫌われてるみたいだな」
ほむら「い、いえ、別に……ただ、私、男の人が苦手で……」
郁紀「そうなのかい。……よし、外だ。それじゃ、僕はしばらくここで時間を潰してから行くよ。そっちの子を怖がらせるのも悪いしね」
ほむら「あ……ごめんなさい……」
郁紀「いいさ。帰り道には気を付けるんだよ」
沙耶「あの子達、魔法少女だよ。抵抗されると面倒だから」
郁紀「へえ。全然気が付かなかったよ」
沙耶「見た目の筋肉量と身体の動きが一致しないの」
郁紀「うーん。僕にはわからないな」
沙耶「それより郁紀、晩御飯どうする?」
郁紀「ああ。それならちょうど上の階に一人あるよ」
沙耶「じゃあ調理してくるね」
郁紀「ああ、楽しみにしてるよ。あ、沙耶」
沙耶「なぁに?」
郁紀「あの子達には何も異状はないって言い含めておいたけど、ここも引き払った方がいいかもしれない」
沙耶「郁紀は心配性だね。沙耶に任せて安心してていいんだよ? あんな子達、沙耶がみんな殺しちゃうんだから」
郁紀「そうかい?」
沙耶「それよりも! 今晩もいっぱいいっぱいするんだから、ちゃんと全部食べて精力付けてね!」
郁紀「まったく……沙耶にはまいったよ」
仁美「んんぅー! んー!」
沙耶「助けに来た人だと思った? 残念、沙耶でした」
仁美「んんー!」
沙耶「あなたはね、これから沙耶と郁紀の晩御飯になるの。大丈夫、痛くないよ。あっという間だから」
仁美「んふぅ!? うぅぅ!?」 ドロリッ
沙耶「魔法の力であなたの体を別の物にするの。沙耶が元々持っていた力なんだけど、魔法のおかげであっという間だよ」
仁美「んぐ、うっ、ひっ……い……。………………」 ドロッ
沙耶「出来上がり! 郁紀を呼んで温かい内に食べなくちゃ!」
沙耶「郁紀ー! できたよー! 郁紀ー!」 トテトテッ
仁美「……」 ドロドロッ
マミ「ええ……」
まどか「仁美ちゃんが……?」
ほむら「ただの失踪の可能性も……」
さやか「仁美に失踪する理由なんてない! 事件に巻き込まれるような、危ないことをする子でもない!」
マミ「……おそらくは、佐倉さんが言っていた魔女の異常行動と何か関連性があると見ていいわ」
さやか「……生きて、ますよね?」
マミ「保証はできかねるわ。魔女が関わっている以上は覚悟する必要があるわ」
まどか「そんな……そんなのって……」
マミ「このまま放っておけば、どんどん犠牲が増えるのは間違いないわ。今私達がするべきなのは……」
さやか「原因を突き止めて……潰す……。仁美の仇は……私が、討ちます」
まどか「……なんで……仁美ちゃんが……」
ほむら「まどか……」
さやか「なんで、なんで魔力の痕跡すら見つからないの!」
まどか「……」
ほむら「キュゥべえなら……何か知ってるかも」
さやか「またそれ!? あんたこんな時まで……!」
マミ「いえ。暁美さんの言う通りよ。今起きている事態は私達の手に余るわ。せめて情報が……」
QB「呼んだかい?」
マミ「キュゥべえ。良かった。あなた、今何が起きているのか、わからないかしら?」
QB「それは何を指しているんだい?」
マミ「失踪事件。魔女の不在。何かわからない?」
QB「……一つ言えるのは、これはおそらく、類を見ない事態だということだ。少なくとも僕は今まで、こんな事態に出会ったことはない」
マミ「そう……キュゥべえでもわからないの」
QB「力になれなくてすまない、マミ」
マミ「いえ。いいの」
マミ「……あまり賛成できないわね」
ほむら「お願いです」
まどか「……マミさん。私からもお願いします」
マミ「鹿目さん……」
まどか「ダメ、ですか?」
マミ「……わかったわ。ただし、あなたも一緒に立ち会いなさい。いいわね?」
まどか「はい! ほむらちゃんもいいよね?」
ほむら「う、うん」
マミ「それじゃあ解散! 美樹さんは私と一緒に帰りましょ?」
さやか「……はーい。まどかも気を付けて帰りなよ」
まどか「うん」
ほむら「私はあなたの目的を知ってる」
QB「何の話だい?」
ほむら「あなたは……私達を魔女にしようとしてる。そうでしょう?」
QB「話が見えないよ」
ほむら「答えなさい」
QB「まどか。君からも彼女に言ってくれ」
まどか「キュゥべえ……本当の事を言って」
QB「……やれやれ。君達はいつもそうだね。事実をありのままに受け入れられないのに知りたがる」
ほむら「キュゥべえ、あなたやっぱり……!」
QB「ふう。まったく、訳が分からないよ。もし君達が本当に魔女になる宿命を負っているとして、それを知って何になるんだい?」
まどか「何、って……」
QB「避けられない運命を知った所で、それは無意味だよ。それじゃあ僕は失礼するよ」 トタトタトタッ
ほむら「あれが、あいつの本性なのよ……!」
ほむら「まどか……」
まどか「今まで私達が倒してきた魔女も! みんな魔法少女だったの!」
ほむら「まどか! 落ち着いて!」 パシンッ
まどか「え……?」
ほむら「あなたが魔女を倒すことで救われた人がいる。それは本当なの。私だって……」
まどか「ほむらちゃん……」
ほむら「……私だって、あなたに救われたの。言ったでしょ?」
まどか「……そう、だよね。ごめん、私……」
ほむら「とにかく。キュゥべえは頼れない。私達だけで今の状況をどうにかしないと」
まどか「ほむらちゃんが前にいた世界では、どうだったの?」
ほむら「……こんな事は起きなかったわ」
まどか「そっか。それじゃ、手がかりもないんだ……」
ほむら「今は休みましょう。明日こそ何か手がかりを」
まどか「うん。がんばろうね」
さやか「私、絶対に諦めません。仇の魔女を倒します」
マミ「……あまり無茶をしてはダメよ。あなたも私の大事な後輩なんだから」
さやか「マミさん……」
「すまねえ、そこの……女子中学生」
マミ「私達、ですか?」
耕司「ああ。この写真の男、知らないか?」
瑶「ちょ、ちょっと耕司くん、怖がってるよ。……ご、ごめんね。その人を探してるの。私達の……えと……」
耕司「……知らないか?」
さやか「私も」
耕司「そうか……。ああ、悪かった。あー……津久葉、写真は後何枚ある?」
瑶「まだかなり」
耕司「そうか……それ、持っててくれ。もし見つけたら裏に書いてあるアドレスにメールしてくれ。頼んだぞ」 スタスタッ
瑶「……その人……私達の、友達なの。だから……お願いね」 スタスタッ
さやか「……人探しなんて手伝う暇、ないんだけどな」
マミ「偶然見かけたら連絡してあげればいいじゃない。行きましょう」
さやか「はーい」
瑶「だって……私、信じられないんだもん」
耕司「証拠は出てる。あの状況であいつ以外が犯人なんてありえない」
瑶「でも、耕司くんだって見たでしょ。法廷での匂坂くん……」
耕司「あいつがおかしかったのは、事故の時からずっとだろうが……!」
瑶「でも……耕司くんだって、信じきれないから、こうやって……」
耕司「……」
瑶「丹保先生……どこにいるのかな」
耕司「わからん。せめて写真があればな」
瑶「うん……」
耕司「あの先生がなんで郁紀を追ってるのか知らないが、きっとこの街に何かあるはずだ……」
マミ「でも、このままじゃ、みんなが……美樹さんや、鹿目さんや、暁美さんが困ることに……」
マミ「先輩の私がなんとかしなくちゃ。……あれは。あの人、なんでこんな時間に、あんな所に……?」
凉子「……」
マミ「廃ビルに入って……まさか、魔女の口づけを」
マミ「いけないわ!」
凉子「やあ。匂坂郁紀くん」
郁紀「ああ。そうだ。担当医だった……ええと」
凉子「丹保涼子だ」
郁紀「その先生が僕に何の用事ですか?」
凉子「逃げ出した犯罪者がよく言うね。だが用事があるのは……君を助けた化け物だ」
郁紀「化け物……?」
凉子「奥涯教授の遺産……ふん、呼び方はなんでもいい。調べは付いてる。あの別荘の地下室……あそこにいた奴だ」
郁紀「僕と沙耶の家に勝手に……!」
凉子「沙耶か。ああ、確かそんな名前だったか。その化け物は今どこにいる?」
郁紀「……さあね」
凉子「ふう。死に急ぐなよ」 カチャッ
郁紀「何の真似ですか?」
凉子「私は君を捕まえる気なんてない。だから君をいつでも殺せる」
凉子「さあ、素直に話すか、死ぬか。好きな方を選ぶといい」
マミ「やめなさい!」
凉子「……夜遊びとは、感心しない趣味だね」
マミ「銃を下ろして」
凉子「君の方こそ家に帰るんだな」
マミ「下ろしなさい!」 キュワンッ チャキッ
凉子「……手品なら、家でするといい」
マミ「そう。あなたがそのつもりなら……」 シュルルルッ バシンッ
凉子「なっ!」
マミ「そこでじっとしていてください。……あなたは……」
郁紀「君とは初対面だと思うんだが」
郁紀「写真?」
マミ「ええ。ええと、確か……津久葉さんと、耕司さん……だったかしら」
凉子「……その二人なら私もよく知っている。そして、そこにいるのは人殺しの犯罪者だ」
マミ「えっ?」
郁紀「やめてください。人に銃を向けるような人に、そんな呼ばれ方をされる覚えはない」
マミ「……友達、なんですよね?」
郁紀「瑶と耕司。確かに知り合いだ。そうか、あの二人が探しに来てるのか……」
マミ「あの……驚かないんですか? 私の……その……」
郁紀「ああ。魔法少女だろう。知ってるよ。僕の知り合いにもいるからね」 カチャッ
マミ「え、あの、その銃……」
沙耶「ふふっ。あなたは私が相手だよ」
マミ「だ……!?」
沙耶「おやすみ」 クチュッ
マミ「は……え……?」 パタリッ
郁紀「貴様が沙耶を呼ぶな。沙耶、移動しよう」
沙耶「うん!」
グワァァァンッ
凉子「なん……だ……ここは……?」
郁紀「沙耶と僕だけの世界ですよ」 ズドォォンッ
凉子「うがぁああああっ!?」 ビチャッ
郁紀「この中では誰も僕らを邪魔できない。あなたが悲鳴を上げても誰も駆けつけない」 ズドォォンッ
凉子「あぐぅぅぅっ!?」 ビチャビチャッ
郁紀「念のため、両腕は潰しておいた」
沙耶「そんなにしなくてもいいのに。ただの人間だよ?」
郁紀「一応ね。万が一沙耶に何かあってからじゃ遅いだろ?」
沙耶「もう、郁紀は心配性なんだから」
凉子「死ね……化け物どもが……」
郁紀「狂人が。化け物はお前達の方だ」
沙耶「この子は使い道があるから少し弄るだけだよ。……ん……」
マミ「うぎひっ!? ひっ、ぎっ!?」 ビクンビクンッ
凉子「惨いことを……っ」
沙耶「頭の中を弄るのって難しいんだよ? 麻酔はこの娘達にはあまり効かないし……」
マミ「ひぎひぃいいいいっ!? うぎぃいいいいいいいいいいっ!?」 ビクビクビクンッ
沙耶「完了! これでこの子は沙耶と郁紀の言う事を聞いてくれる良い子になったよ!」
郁紀「本当かい?」
沙耶「うん! ちょっと反応は遅いけど会話もバッチリ!」
郁紀「こんばんは」
マミ「こ……こんば……んは」
沙耶「そこの女の人を殺して」
マミ「は……は……はい」 カチャッ
凉子「ま……っ」
ズドォォォンツ
郁紀「沙耶……」
凉子「……どうやら、当たらなかったようだがね」
沙耶「う~ん」
QB「……魔法少女の肉体はソウルジェムがある限り、再生可能だ。脳も含めてね」
沙耶「あ、そっか。どうしよう」
凉子「……誰と話してるんだね」
郁紀「ん……?」
QB「彼女には僕の声も姿も認識できないのさ。させる必要もない」
郁紀「なるほど、ね」
QB「ところで沙耶、君に情報がある」
沙耶「なに?」
QB「君達の一番の障害になるであろう少女のことだ」
QB「多少ね」
沙耶「この人を調理してからでいいかな?」
凉子「……調理だと?」
QB「構わないよ」
沙耶「そう。それじゃ、美味しくなってね」
凉子「な……これは……っ」 ドロッ
沙耶「あなたは沙耶と郁紀の夜食になるの」
凉子「……くたばれ……この……人外が……っ」 ドロドロリッ
沙耶「郁紀、先に食べてていいよ。沙耶はこの子のお話聞いてるから」
郁紀「いや。待ってるよ」
沙耶「そう? ……郁紀も待ってるから手短にしてね」
QB「可能なかぎり努力するよ」
QB「間違いないだろうね。以前マミが、暁美ほむらがそう発言したと言っていた」
マミ「あ……う……う……」
沙耶「どうせなら次元を越えられる方が良かったのに」
郁紀「……沙耶は、やっぱりまだ故郷に帰りたいのかい?」
沙耶「う~ん。沙耶はね、もう前の沙耶じゃないから、きっと故郷には帰れないと思う」
郁紀「僕のせいで……」
沙耶「違う、郁紀のせいじゃない! 沙耶が、自分で郁紀といるのを選んだんだよ!」
郁紀「沙耶……」
沙耶「ただね……そこがどんな所かは、もう覚えてないけど……郁紀に見せたかったの」
郁紀「……そっか」
QB「彼女の時間超越も、次元を越えている可能性もある。時を越える方法は一つじゃないからね」
沙耶「でも、沙耶と郁紀の邪魔になるなら殺さなくちゃ」
郁紀「そうだね。でも、それは後で考えよう。今は夜食にしよう」
凉子「……」 ドロドロッ
郁紀「ん。ああ、いいよ」
沙耶「……やっぱり。かなり黒くなってるね」
郁紀「ぐりーふしーど? だっけ。あれは」
沙耶「向こうにあるよ」
郁紀「持って来てくれるかい?」
沙耶「うん! ええと、どれがいいかな」 ジャランッ ジャラジャランッ
郁紀「どれでも変わらないだろ?」
沙耶「そうだね。じゃあこれ」 ピタッ
郁紀「ん……」
沙耶「綺麗になったね」
郁紀「これが沙耶の魂なんだから、いつも綺麗にしておかないとね」
QB「使い終わったなら回収させてもらっていいかな」
郁紀「ほら」 ヒュンッ
QB「ん……きゅっぷい」
沙耶「その子が戻ったら、もう私達は何もできないよね」
QB「僕としても、あまり余計な事を喋り回ってもらうと、色々と困ったことになりそうなんだ」
沙耶「うーん……」
マミ「あ……う、ん……あれ、私……」
沙耶「……郁紀、退がって!」
マミ「あなた……わ、私に、さっき、何を……!」 キュワァンッ
沙耶「捕まえて!」
マミ「え……」
シャルロッテ「……」 グルッ
マミ「ま、魔女!? どうして!? くぅっ!?」 ガシンッ
沙耶「シャルは良い子だね。やっぱり魔法少女より魔女の方が素直で良い子だね」
エリー「……」
ゲルト「……」
イザベル「……」
マミ「そんな……なんで……」
マミ「何を言って……」
沙耶「沙耶には元々生物の遺伝子を書き換える力があったの。魔法少女になった沙耶は、生きてるものなら魔女でも書き換えられるの」
マミ「そんな、馬鹿な話……!」
沙耶「信じなくてもいいよ。だって、あなたが信じても信じなくても、私も郁紀もどうでもいいもの」
マミ「あぐぅぅっ!」 ギリギリッ
沙耶「そうだね……あなたのソウルジェム、ちょうだい」
マミ「な……何を……」
郁紀「沙耶、頭のこれだろ?」 パシッ
マミ「待って! それがないと、魔法少女の力が!」
沙耶「これはね、そんなものじゃないんだよ? ここにあるのはあなた自身。沙耶もね、魂が実在するなんて知らなかったし、どんな物かもわからなかった」
マミ「何を……言って……っ」
沙耶「謝っておきたいの。魂を弄るのは初めてだから……壊したら、ごめんね?」
沙耶「インキュベーターごっこ」
QB「どういう意味だい?」
沙耶「もうすぐわかるよ。郁紀は離れててね?」
郁紀「わかったよ、沙耶」
沙耶「いくよ……」 キュワァンッ
マミ「ひっ!? いやっ、何これっ!?」
マミ「あぁぁっ!? あっ、あっ、あっ、ああああああああああああああぁぁあああああっ!!? おぇ、おぇぇ……!」 ビチャビチャッ
沙耶「そうなんだ……こうなってるんだね……凄い……面白いね、人の魂って」 キュォォォッ
マミ「やべ……やべて……も……あ……あ……ぅ……!」
沙耶「ダメだよ。あなたの魂で実験しないと次の子も苦しむんだから」 キュォォォンッ
マミ「いや……いや……いやぁああああっ!!」
沙耶「……孵化するよ」 パリッ
マミ「あ……あ……あぁあぁああああああああああああああああああああっ!!」
ズォォオオォォオオォォオオォォォォォンッ
沙耶「……完成」
キャンデ「……」
沙耶「今度の子は生まれた時から沙耶と郁紀の子供だよ」
郁紀「……沙耶。おめでとう」
沙耶「郁紀がいてくれるから、沙耶も頑張れるんだよ?」
QB「……魂の操作による強制的な絶望。普通の人間にはここまでの生命への冒涜を看過できないだろうね」
沙耶「なぁに?」
郁紀「僕は、その……やっぱり、沙耶と僕の間に生まれた、子供が欲しい」
沙耶「郁紀の、子供?」
郁紀「ああ。沙耶は、人間になったん、だよね。それなら……」
沙耶「どうなのかな」
QB「もちろん。胎児を宿すことは可能だ」
郁紀「沙耶は、嫌かい?」
沙耶「……まだ、よくわからないけど、郁紀が欲しいなら……いいよ」
郁紀「一生君と、その子供を大事にする。約束する」 ギュッ
沙耶「ありがと、郁紀」
QB「僕は失礼するよ。くれぐれも暁美ほむらの件は頼んだよ」 スタスタッ
郁紀「沙耶……」
沙耶「郁紀……」
まどか「出ないね、マミさん……」
さやか「きっと、きっと中で寝てるんだよ!」
ほむら「鍵を壊して入りましょう」
まどか「そんな事したら……」
さやか「……今は、転校生に賛成だわ。二人とも、どいて」 キュワァン
ほむら「……」
さやか「でぇい!」 ガキンッ
ほむら「……開いた……」
さやか「ドアの隙間からを鍵を叩き切っただけ。早く。今はマミさんが心配」
ほむら「一度家には帰ってるみたい。荷物が置いてある」
さやか「……鍵は閉まってた」
まどか「多分、荷物を置いて、家を出て、それから……」
さやか「私達と別れてから、朝までの間にまた出掛けたっての?」
まどか「……マミさん、責任感の強い人だから、多分一人で原因を探しに……」
さやか「やめて」
ほむら「美樹さん」
さやか「そんなの、聞きたくない……!」
まどか「……なんで、こうなっちゃうんだろうね」
ほむら「まどか……」
まどか「……仁美ちゃんも、マミさんも、二人とも、こんな風になっていい理由なんてないのに……」
さやか「魔女が……魔女が全部悪いんだ。あんな奴ら、みんないなくなればいいんだ……!」
ほむら「それは……」
まどか「……」
まどか「……うん」
ほむら「そうだよ、ね。絶対に、見つけなくちゃ」
まどか「マミさんがどこに原因を探しに行ったのかわかれば……原因の場所もわかるかも」
ほむら「巴さんが行きそうな場所……巴さん、昨日の帰りに何か言ってなかった?」
さやか「特には。すぐに別れたし……。何かあった気もするけど……」
ほむら「何か?」
さやか「多分、くだらないことだよ」
まどか「くだらないこと?」
ほむら「なんでもいいの。さやかちゃん、思い出して」
さやか「うーん……」
ほむら「写真……まどか、これ!」
まどか「昨日の人……」
さやか「知ってるの?」
まどか「うん……昨日ね、前に魔女の出た空きビルで会ったの」
さやか「そんな所で? おかしくない?」
まどか「悪い人じゃなかったよね?」
ほむら「……どうかな。あまり話さなかったし」
さやか「ていうか、そんな今関係ないじゃん!」
まどか「一応連絡しておこうよ。この人にだって私達みたいに心配してる人がいるんだよ」
さやか「……わかった、わかった! 連絡するだけだかんね!」
耕司「ああ……そうか……わかった。助かった。謝礼は……そうか。もしまた何かあったら連絡を……ああ」 プツッ
耕司「……あいつ、本当にこの街に……」
瑶「耕司くん……」
耕司「……聞いてたのか」
瑶「そろそろチェックアウトの時間だから……」
耕司「昨日の女子中学生から、郁紀の目撃情報だ」
瑶「どうするの?」
耕司「追うさ」
瑶「追って、どうするの?」
耕司「……」
瑶「耕司くんは、どうしたいの? どうするつもりなの?」
瑶「私は……匂坂くんの話が聞きたい。ちゃんと話し合いたい」
耕司「……話し合うことなんて、今更あるかよ」
瑶「耕司くん」
耕司「あいつは……あいつは青海を、バラバラにして、それを……それを……!」
瑶「……」
耕司「俺はどうすればいい!? あいつを赦せってか!? なあ! 教えてくれよ、津久葉!」
瑶「わかんないよ……」
耕司「……俺も。本当は、どっかであいつじゃない誰かが、青海を殺したと思いたいのかもしれねえな」
瑶「……」
耕司「行こうぜ、津久葉。決着を付けに。あいつ自身の口から全部話させるんだ」
郁紀「今?」
沙耶「昨日は魔女の子達を動かした上に私もかなり魔力を使ったから、痕跡が表にまで残ってるかも」
郁紀「それは……沙耶、罠を仕掛ければいいんじゃないか?」
沙耶「罠って?」
郁紀「他の魔法少女の連中を誘い込んで倒してしまえば、それで一件落着だろ?」
沙耶「そう簡単に行くかなぁ……」
郁紀「沙耶はまだ他の誰とも会ってない。会った人間は全員消えたろ?」
沙耶「んー」
郁紀「魔法少女として味方のフリをするもよし、人間のフリをするもよし。奴らは魔女しか見えてないんだ。簡単だろ?」
沙耶「問題は数だよね」
郁紀「……一昨日の二人。加えてもう一人いたわけだし、まだいても不思議はないか」
沙耶「時間を操る子もいるし……」
郁紀「……陽動で戦力を分散しよう」
沙耶「どういうこと?」
沙耶「戦力を分散する保証はある?」
郁紀「昨日の子なんて僕を助けてくれたくらいだ、彼女達は正義の味方なんだろう? なら人命に関われば飛んでくるさ」
沙耶「……この辺の子はそうかも。一昨日の二人もそういう雰囲気だった」
郁紀「だろ? やってみようよ」
沙耶「でも、郁紀が危ない目に遭うのは……」
郁紀「魔女は僕を襲わないだろ? 沙耶が急いで時を操る子を倒してくれれば、僕も大丈夫さ」
沙耶「……でも……」
郁紀「僕だって沙耶の悲しむ顔は見たくないんだ。なあ沙耶、これも僕らの未来のためなんだ」
沙耶「……わかった。気を付けてね、郁紀」
郁紀「わかってるよ、沙耶」
ほむら「見滝原だけでも、三人で探すには広すぎるよぉ」
まどか「……待って。向こうに微かに魔力の反応が……」
さやか「本当に!?」
まどか「うん。これ、多分あそこの空きビルの方だと思う」
さやか「二人とも、走って!」
まどか「う、うん!」
さやか「……マミさん」
ほむら「行きましょう! 急がないと、逃げられてしまうかも!」
さやか「わかってる!」
タッ タッ タッ
・・・・・・・・・・・・
ザッ ザッ
瑶「ここ、だよね」
耕司「他にそれらしいビルも見当たらないし、そうだろうな」
瑶「こんな崩れかけのビルに……匂坂くんが……」
耕司「だからだろ。逃げ隠れるには好都合だと思ったから、ここにいるんだろ」
瑶「まだ、いるのかな」
耕司「さあな。……いなかったとしても、必ず見つけ出してやるさ」
瑶「耕司くん……」
耕司「残りたけりゃここに残れよ。俺は行くぜ」 ザッ ザッ
さやか「行こう!」
ほむら「はぁ……はぁ……」
さやか「何してんのさ、転校生!」
ほむら「くっ……はぁ……はぁ……」
グワァァァンッ
まどか「魔力は真っ直ぐ続いてる。ここから漏れ出したんだ」
さやか「……これで二人の仇が取れる。絶対に許さない……仁美の、マミさんの命を弄んだ事、後悔させてやる……」
ほむら「感情的になりすぎるのはダメ、危険よ!」
さやか「うるさい! あんたなんて、二人との付き合いなんて全然なかったくせに!」
まどか「さやかちゃん、冷静に……!」
耕司「……おいおい、こりゃどうなってんだよ」
瑶「こ、ここ、どこ?」
さやか「ちょ……!?」
瑶「あ、可愛い」
さやか「な、なんであんた達がここに入って……!」
まどか「開きっぱなしだったのかな」
ほむら「ど、どうしよう」
耕司「……手品でもなさそうだな」
瑶「お、落ち着いてるね、耕司くん」
耕司「このくらい……よくわかんねえ不思議な事があったからって、誰が死ぬわけでもねえだろうが」
さやか「……死ぬんだよ。だから、引き返しなよ」
耕司「俺達は人を探しに来た。お前がこのビルにいると言った。で、ここもビルの中だろう。なら、この奥にあいつがいるかもしれねえ」
まどか「ここは本当に危ないんです!」
耕司「……なら、なおのこと、今行かなけりゃ永遠に会えないかもしれないわけだ」
さやか「もういいよ、まどか! 自分の意志で自殺する人まで助ける必要なんてない!」
耕司「おう、放っとけ。俺らは俺らで郁紀を探すからよ」
さやか「……はあ。あんたら、何か武器になるものは?」
瑶「ぶ、武器……? 懐中電灯、とか」
さやか「じゃあ、あんたはそれ。そっちは?」
耕司「……」
さやか「今出しておかないと、確実に死ぬよ」
耕司「ちっ。……おら」
さやか「……サバイバルナイフ? なんでこんなもの」
瑶「耕司……くん……それは……」
さやか「まあいいや。このくらいの方が気休めになるでしょ。……マミさんは……こうやって……」 ポワァンッ
瑶「きゃっ!」 耕司「うおっ!」
さやか「よし出来た! それ持って勝手にうろついててよ。まどか、転校生、行くよ!」
まどか「気を付けてくださいね」 タッ タッ タッ
耕司「……どうする。津久葉、お前は引き返すか?」
瑶「……行くよ。私だって、匂坂くんに会って言いたいこと、たくさんあるんだから……!」
ほむら「……危ない! 止まって!」
エリー「……」
ゲルト「……」
イザベル「……」
さやか「何……こいつら……なんで黙って立ってんの?」
まどか「魔女……だよね?」
郁紀「くっ、うわぁああ!」
さやか「なっ! ま、また人!?」
郁紀「助け、助けてくれ! あ、うわっ!?」 グルンッ
シャル「……」 シュルルルッ
さやか「逃げられる!? くっ、でも……この数じゃ……!」
沙耶「助けようか?」
ほむら「だ、誰?」
さやか「……あんた、魔法少女って何だと思う?」
沙耶「んー。正義の味方?」
さやか「……そう。そうなんだよ。正義の味方。だから……私は行く」
ほむら「一人で行くつもりなの!?」
さやか「マミさんなら! ……マミさんなら、絶対に、今の私と同じようにするよ。誰かが行かなくちゃいけないなら、私が行く」
ほむら「美樹さんは巴さんじゃないのよ!」
さやか「誰かが、誰かがマミさんを覚えてなきゃ! マミさんの想いを継がなきゃ、マミさんがいた事まで消えていくんだよ……!」
まどか「行って、さやかちゃん。私、信じるから。さやかちゃんを……さやかちゃんの想いを信じる!」
ほむら「……まどかが信じるなら、私もあなたを信じる」
さやか「へへっ。なんたって、まどかは私の親友だからね。ありがとね、まどか、転校生。……えと……ほ……ほむら」
ほむら「……う、うん」
さやか「照れるなよ! 私まで照れ臭くなるじゃんか!」
まどか「さやかちゃん、必ず戻って来てね」
さやか「もちろん。こっちは任せたからね。……そっちの謎の魔法少女もね!」 タッタッタッ
郁紀「ああ……くぅ……」
シャル「……」
さやか「そのまま動くな! でやぁあああああっ!」 ガキンッ
郁紀「あ……?」 パラッ
シャル「……!? ……!」 スルスルスルッ
さやか「待て、この……」
郁紀「ま、待ってくれ! このまま置いて行かれたら、僕は死んでしまう!」
さやか「……」
郁紀「お願いだ……」
さやか「……っ。わかってる、わかってるよ……マミさんなら、きっと敵を追うより、人を助ける……わかってる……」 ギュッ
郁紀「あ、ありがとう……本当に助かったよ……」
さやか「別に……いいよ。私だって、あんたを助けようと思って、この結界まで来たわけじゃないし」
デスノートみたいなもんか?
ちょっと病んでるだけで凄くいい人だよ
ほむら「ええ。全然攻撃してくる気配がないわ」
沙耶「面倒臭いし一気に片付けちゃおっか」
ほむら「そんな事ができるの?」
沙耶「沙耶の魔法でぱぱっと片付いちゃうよ」
まどか「グリーフシードは譲るから、お願い沙耶ちゃん! さやかちゃんが心配なの!」
沙耶「でも、沙耶の魔法は魔力の消費が激しいから、他の人のソウルジェムの力を借りないと……」
まどか「わかったよ!」 スッ
ほむら「まどか!?」
まどか「ほむらちゃん! さやかちゃんが心配じゃないの?」
ほむら「……わかったわ」 スッ
沙耶「ありがとう。それじゃあ……」
郁紀「……耕司?」
さやか「ああ、この人あんたのこと探してたらしくて」
瑶「……匂坂くん……」
郁紀「ああ……そう言えば……忘れたよ、君達もいたんだな」
耕司「おい、どういう意味だそりゃ」
郁紀「いや、すまない。本当に忘れてたんだ」
耕司「忘れ、た。テメぇ……自分が何したかも忘れたって言うのか!?」
瑶「やめて耕司くん!」
郁紀「……僕が……何かしたか……?」
郁紀「それは誤解だ。僕は殺してない」
瑶「やっぱり……やっぱり、そうだった……」
耕司「本当か?」
郁紀「ああ。もちろんだ」
耕司「……」
瑶「そうだよね、匂坂くんが青海ちゃんを殺すはずないもん! 青海ちゃんの死体が見つかったのだって、きっと何か理由が……」
郁紀「青海の死体……ああ、そういえばあの時食べたあれか……」
耕司「……やっぱり……そうなのかよ……あれは……テメェ……そういうことだったのかよ……郁紀ぃいいいいいっ!」 ブンッ
瑶「耕司くん!?」
郁紀「なっ……!?」
ガリィィィィンッ
郁紀「そんな……嘘だろ……なんで、ただのナイフで……?」
シュゥゥゥゥゥッ
郁紀「沙耶……沙耶……沙耶ぁあああああああああああああああっ!!」
まどか「沙耶ちゃん!?」
ほむら「ちょ、ちょっと、どうしたの!?」
沙耶「……」
まどか「ねえ、ほむらちゃん!? 沙耶ちゃん息してないよ!?」
ほむら「ソウルジェムが……壊れたんだ……」
まどか「い、いつ? どうやって?」
ほむら「でもそれ以外考えられない!」
まどか「そんな……ひ、酷いよ、そんなのっ!」
郁紀「……殺すには……それじゃ足りないだろ……」 グイッ
耕司「な……なに……?」
郁紀「もっと、捻って……内臓を、掻き混ぜるみたいに……!」 グリィィッ ドボドボッ
耕司「テメェ、何を……!」
郁紀「沙耶のいない世界に、僕は必要ないんだ……がふぅ……あ……」 ドサリッ
さやか「人、殺し……なんで、なんで私の……私が悪いの……? なんで……!」
瑶「よくも……よくもぉおおおっ!」 ドガッ
耕司「が……っ!?」
瑶「青海ちゃんを、殺してないって、言ってたのに、なんで!? 人殺し!? この人殺し……っ!」 ガヅッ ガヅンッ
耕司「ちが……おれ……俺は……ぁ……」
瑶「人殺しぃいいい!」 ドゴンッ
耕司「あ……」 ドサリッ
さやか「ひっ」
瑶「あなたが……あなたが……余計な事をしなければ……こんな事に……こんな事にならなかったのに……」
さやか「ち、違う! そんなつもりじゃ!」
瑶「ねえ、なんで生きてるの? あなた、なんで生きてるの? 匂坂くんが死んだのに、どうしてあなたが生きてるの?」
さやか「わ、私は、ただ、あんた達が危ないから……!」
瑶「なんで? ねえ? なんで? 死になさいよ。ねえ。死んでよ。ねぇええええ!」 ブンッ
さやか「ひっ、やっ、やぁっ!?」 ブンッ
瑶「ひひゅ」
ビシュアアアアッ ビシュッ ビシュゥゥッ
さやか「え……?」
瑶「あ……ぐ……う……っ」 ドサリッ
さやか「う、嘘……そ、そんなつもり……しっかりして、しっかりしてよ!」
瑶「し……え……し……」 グタッ
さやか「あ……あ……あ……っ」
さやか「はぁ……はぁ……はぁ……!」
さやか「違う、そんなつもりじゃ……そんなつもりじゃ……!」
まどか「さやかちゃん、沙耶ちゃんが、沙耶ちゃんが……し、死んで、死んで!」
ほむら「ソウルジェムを砕かれたみたいに……急に……、ちょ、ちょっと、その血はどうしたの!?」
(そんな……嘘だろ……なんで、ただのナイフで……?)
さやか「あ……あ……あぁあああああっ! あぁあああああああああっ!」
パリン……ッ
オクタヴィア「アァアアアアアアアアアアアアアアッ」
まどか「さやかちゃん……!? 嘘、何で、こんな……こんな……!?」
ほむら「まどか、離れて! あれはもう美樹さんじゃないの!」
まどか「さやかちゃん! さやかちゃん! さやかちゃん……さやかちゃん!」
QB「沙耶の力さえ有効に活用できれば僕の仕事も楽になったんだけどね」
QB「それにしても、暁美ほむらの能力が本当に時間跳躍だとすると……」
QB「いや。これだけの事件を共に乗り越えた鹿目まどかを、暁美ほむらは置いていけないだろう」
QB「過去に戻るということは、今の全てを捨てるということなんだから」
QB「そして、二人きりの彼女達ではワルプルギスの夜を越える事は不可能だ」
QB「仮に。暁美ほむらが時間跳躍をしたとしても」
QB「それはその先の僕がどうにかするべき問題だ」
ほむら「は……ぐ……うぅ………ううぅぅううううううううううっ!!」
バリィィィィンッ
ほむら「誰も、未来を信じない。誰も、未来を受け止められない。だったら、私は……」
ほむら「もう、誰にも頼らない。誰にわかってもらう必要もない」
ほむら「もう、まどかには戦わせない。全ての魔女は、私一人で片付ける。そして今度こそ、ワルプルギスの夜を、この手で!」
おわり
・・・うむ
とりあえず俺が沙耶が勝たないと腹の虫が治まらないからやるんで、興味ない人はそっと閉じるといいと思う
ほむら「どうしよう……まったく手がかりがないままなんて」
まどか「とにかく、もう一度歩いて魔力の痕跡がないか探しみようよ」
さやか「それしかないんだよね……ああもう、なんで見つからないの!?」
まどか「落ち着いて、さやかちゃん。今は焦っても仕方ないよ」
さやか「わかってる……わかってるけどさ」
郁紀「今?」
沙耶「昨日は魔女の子達を動かした上に私もかなり魔力を使ったから、痕跡が表にまで残ってるかも」
郁紀「それは……沙耶、罠を仕掛ければいいんじゃないか?」
沙耶「罠って?」
郁紀「他の魔法少女の連中を誘い込んで倒してしまえば、それで一件落着だろ?」
沙耶「そう簡単に行くかなぁ……」
郁紀「沙耶はまだ他の誰とも会ってない。会った人間は全員消えたろ?」
沙耶「んー」
郁紀「魔法少女として味方のフリをするもよし、人間のフリをするもよし。奴らは魔女しか見えてないんだ。簡単だろ?」
沙耶「問題は数だよね」
郁紀「……一昨日の二人。加えてもう一人いたわけだし、まだいても不思議はないか」
沙耶「時間を操る子もいるし……」
郁紀「……陽動で戦力を分散しよう」
沙耶「どういうこと?」
沙耶「戦力を分散する保証はある?」
郁紀「昨日の子なんて僕を助けてくれたくらいだ、彼女達は正義の味方なんだろう? なら人命に関われば飛んでくるさ」
沙耶「……この辺の子はそうかも。一昨日の二人もそういう雰囲気だった」
郁紀「だろ? やってみようよ」
沙耶「でも、郁紀が危ない目に遭うのは……」
郁紀「魔女は僕を襲わないだろ? 沙耶が急いで時を操る子を倒してくれれば、僕も大丈夫さ」
沙耶「……でも……」
郁紀「僕だって沙耶の悲しむ顔は見たくないんだ。なあ沙耶、これも僕らの未来のためなんだ」
沙耶「……わかった。気を付けてね、郁紀」
郁紀「わかってるよ、沙耶」
ほむら「見滝原だけでも、三人で探すには広すぎるよぉ」
まどか「……待って。向こうに微かに魔力の反応が……」
さやか「本当に!?」
まどか「うん。これ、多分あそこの空きビルの方だと思う」
さやか「二人とも、走って!」
まどか「う、うん!」
さやか「……マミさん」
ほむら「行きましょう! 急がないと、逃げられてしまうかも!」
さやか「わかってる!」
タッ タッ タッ
まどか「あったよ! 結界の入り口!」
さやか「行こう!」
ほむら「はぁ……はぁ……」
さやか「何してんのさ、転校生!」
ほむら「くっ……はぁ……はぁ……」
さやか「これで二人の仇が取れる。絶対に許さない……仁美の、マミさんの命を弄んだ事、後悔させてやる……」
ほむら「感情的になりすぎるのはダメ、危険よ!」
さやか「うるさい! あんたなんて、二人との付き合いなんて全然なかったくせに!」
まどか「さやかちゃん、冷静に……!」
さやか「冷静になんてなれるわけないでしょ! 仁美を、マミさんを殺した化け物が奥にいるんだよ!?」
まどか「化け物じゃ……ないんだよ……」
さやか「はあ? 魔女よ、魔女! 化け物そのものでしょ!」
ほむら「……いいから、行きましょう。ゆっくりしていると逃がしてしまうかもしれない」
さやか「ふん。……まどかも急ぎなよ」
ほむら「……危ない! 止まって!」
エリー「……」
ゲルト「……」
イザベル「……」
さやか「何……こいつら……なんで黙って立ってんの?」
まどか「魔女……だよね?」
郁紀「くっ、うわぁああ!」
さやか「なっ! ま、また人!?」
郁紀「助け、助けてくれ! あ、うわっ!?」 グルンッ
シャル「……」 シュルルルッ
さやか「逃げられる!? くっ、でも……この数じゃ……!」
沙耶「助けようか?」
ほむら「だ、誰?」
さやか「……あんた、魔法少女って何だと思う?」
沙耶「んー。正義の味方?」
さやか「……そう。そうなんだよ。正義の味方。だから……私は行く」
ほむら「一人で行くつもりなの!?」
さやか「マミさんなら! ……マミさんなら、絶対に、今の私と同じようにするよ。誰かが行かなくちゃいけないなら、私が行く」
ほむら「美樹さんは巴さんじゃないのよ!」
さやか「誰かが、誰かがマミさんを覚えてなきゃ! マミさんの想いを継がなきゃ、マミさんがいた事まで消えていくんだよ……!」
まどか「行って、さやかちゃん。私、信じるから。さやかちゃんを……さやかちゃんの想いを信じる!」
ほむら「……まどかが信じるなら、私もあなたを信じる」
さやか「へへっ。なんたって、まどかは私の親友だからね。ありがとね、まどか、転校生。……えと……ほ……ほむら」
ほむら「……う、うん」
さやか「照れるなよ! 私まで照れ臭くなるじゃんか!」
まどか「さやかちゃん、必ず戻って来てね」
さやか「もちろん。こっちは任せたからね。……そっちの謎の魔法少女もね!」 タッタッタッ
郁紀「ああ……くぅ……」
シャル「……」
さやか「そのまま動くな! でやぁあああああっ!」 ガキンッ
郁紀「あ……?」 パラッ
シャル「……!? ……!」 スルスルスルッ
さやか「待て、この……」
郁紀「ま、待ってくれ! このまま置いて行かれたら、僕は死んでしまう!」
さやか「……」
郁紀「お願いだ……」
さやか「……っ。わかってる、わかってるよ……マミさんなら、きっと敵を追うより、人を助ける……わかってる……」 ギュッ
郁紀「あ、ありがとう……本当に助かったよ……」
さやか「別に……いいよ。私だって、あんたを助けようと思って、この結界まで来たわけじゃないし」
ほむら「ええ。全然攻撃してくる気配がないわ」
沙耶「面倒臭いし一気に片付けちゃおっか」
ほむら「そんな事ができるの?」
沙耶「沙耶の魔法でぱぱっと片付いちゃうよ」
まどか「グリーフシードは譲るから、お願い沙耶ちゃん! さやかちゃんが心配なの!」
沙耶「でも、沙耶の魔法は魔力の消費が激しいから、他の人のソウルジェムの力を借りないと……」
まどか「わかったよ!」 スッ
ほむら「まどか!?」
まどか「ほむらちゃん! さやかちゃんが心配じゃないの?」
ほむら「……わかったわ」 スッ
沙耶「ありがとう。それじゃあ……」
まどか「え?」
ほむら「まど……あぎぅうううううう!?」
まどか「ほむらちゃん!? え、あ、身体が!? 身体が動かない!?」
沙耶「あなたは後でだよ。まずはこの子をぐちゃぐちゃにするの。大丈夫、壊さないから」
まどか「な、なんでこんな事するの! 同じ魔法少女なのに、どうして!?」
沙耶「ん~。あなた達が郁紀じゃないから、かな」
ほむら「あぐぅうううう゛う゛う゛う゛う゛う゛う゛!?」 ビクンビクンビクンッ
まどか「ほむらちゃん!? やめて、ほむらちゃんをいじめないでぇ!」
沙耶「これでも効率よく壊してるんだよ? 身体制御と発意を司る部分だけを修復不能してるんだから」
まどか「な、何、言ってるの……?」
沙耶「この子はね、もう二度と身体を動かしたり、何かをしようとしたりはできないの。はい、終わったよ」
ほむら「……」
まどか「ほ、ほむらちゃん? へ、返事して、ほむらちゃん!」
まどか「な……んで……なんでこんな酷い事するの!? あなたは、何なの……」
沙耶「これは実験。沙耶は沙耶。それだけだよ」
まどか「実験、って……」
沙耶「私の力で起きる絶望と天然の絶望に差はあるのかどうか。調べておかなくちゃ」
まどか「あなたの言ってる意味がわからないよ!?」
沙耶「私にとって郁紀が大事なのと同じで、この子にとってはあなたが大事なの。だからね」 キュォォォンッ
まどか「ひ、やぁ、いやぁあああああっ!?」 ビクンッ
沙耶「あなたにこうして絶望したこの子がどうなるのか、観察するの」
ほむら「……」
まどか「あぁあああああああっ!?」 ビクビクッ
ほむら「……か…………ど…………」
沙耶「ちゃんと壊したのに……凄いね、あなた」
ほむら「……ま……」
沙耶「でも安心していいよ。この子はあなたみたいにもしないし、死んだりもしないから」
沙耶「生まれ変わった気分はどう?」
まどか「……あー」
ほむら「……」
まどか「うー……うー……」 スリスリッ
ほむら「ま……」
沙耶「良い子だね」 ナデナデッ
まどか「はふ……ふぅー……」
ほむら「う……」
沙耶「この子はね、郁紀と私で飼うの。私と郁紀を退屈させないために何でもするペットになるの」
ほむら「……う…………」
沙耶「あなたがそこで何もできずに這いつくばってる間、この子は玩具にされ続けるんだよ? 可哀相だね」
ほむら「……う……う……う……っ」
まどか「はふ……」
沙耶「この子に拘って、時間を戻ってきたのに……失敗しちゃったね。もうやり直しもできないね。どうするの?」
パリン……ッ
ホムリリィ「……」
沙耶「う~ん。……変わらない気がするね。どうかな?」
QB「もし差異があるなら僕は君を止めただろうね。エネルギーの回収の効率が悪くなってしまうからね」
沙耶「言われてみるとそうだね」
さやか「な……に……何、これ……」
沙耶「まどかちゃん」
まどか「がうううっ!」 ヒュンッ
さやか「え……」 バリィィィンッ バタリッ
沙耶「よくできたね。偉いよ、まどかちゃん」
郁紀「どうやら上手くいったみたいだね」
沙耶「郁紀。この子で遊ぼうよ」
まどか「はふ……」
沙耶「それはね……」
杏子「……見滝原の連中、ちゃんと逃げ切れたのかね」
杏子「ふん。アタシにゃ関係ないさ」
沙耶「……こんにちは」
杏子「あん? テメェ誰だ?」
沙耶「沙耶はね、魔法少女だよ?」
杏子「テメェ、縄張りってもんがわかんねえのか?」
沙耶「あなたの縄張り、もらっていいよね?」
杏子「ぶっ殺されてぇらしいな」 ジャキッ
グワァァァァンッ
杏子「……な……?」
沙耶「ただいま、郁紀!」
まどか「くぅん……くぅん……」 ペロペロッ
瑶「ご主人……様……」 ジュルリッ
郁紀「……ああ、沙耶。戻ったんだね。ちょうどそろそろ出そうなんだ」
沙耶「郁紀のは全部沙耶の中に出してくれなきゃダメなんだからね!」 スルリッ バサァッ
杏子「お、おいテメェ、何やってやがる!?」
沙耶「うるさいなあ、もう。私と郁紀がするのを静かに見てればいいのに。まどかちゃん」
まどか「がうぅっ!」 ヒュンッ
杏子「おい、冗談だろ!? お前、マミはどうしたんだよ!」
まどか「がうぅううううううううううっ!」 ズヒュンヒュンヒュンッ
杏子「んな、馬鹿な……」 グサッ
郁紀「沙耶……」
沙耶「郁紀の……あったかい……子供、できたかも」
郁紀「本当かい!?」
沙耶「なんとなくだけど」
郁紀「沙耶、名前は、名前はどうしようか!」
沙耶「パパの名前から一字もらって、女の子なら雅、男の子なら紀彦でどうかな……?」
郁紀「悪くないと思うけど、沙耶の名前も入れたいよ」
沙耶「う~ん」
杏子「が……く……っ」 ドバドバッ
沙耶「そうだ。この子、お祝いに新しいペットにしよ? 今度は番犬にするの」
郁紀「番犬か。確かにそろそろ余計な茶々も入りそうだしね」
沙耶「負けた時にはたくさんおしおきしてあげなくちゃね」
郁紀「……?」
沙耶「あなたのいた所ではそうかもしれないけど、ここは沙耶と郁紀の世界なんだよ?」
郁紀「ああ、そういうことか。……君はもう、僕らのモノなんだ。家族と言ってもいい」
杏子「御免だね……」
沙耶「あなたの意志は関係ないんだよ? 私と郁紀があなたを家族にするの」
郁紀「ここには僕らを邪魔するものは何もない」
沙耶「私と郁紀はずっと一緒に幸せに暮らすの」
杏子「くそ……なんで体が動かねんだよ……!」
沙耶「ようこそ、私と郁紀の世界へ」
郁紀「歓迎するよ。君が死ぬまで」
魔女達「……」
沙耶「死んだ後も……ね?」
思い付きで建てた割に脳内麻薬出っぱなしで楽しく書けた、おつかれさまでした
ヒント・瑶はいるのに井戸魔人はいない
これは素晴らしかった
よかった!
Entry ⇒ 2012.04.12 | Category ⇒ まどかマギカSS | Comments (1) | Trackbacks (0)
岡部「こ、これはまさしく>>5ではないか!!」
http://hayabusa.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1333973167/
岡部「サイズ的にまゆりや萌郁、フェイリスのものとは考え難い。鈴羽は未来だし、
さすがにルカ子もブラはせんだろう。となると、消去法で……」
岡部「………………」
岡部「フ、フゥーーハハハ!! わ、分かったぞ、これはトラップに違いない!!
こんなものをわざわざラボに忘れていくなど至極不自然!! この鳳凰院凶真、その手には乗らんぞ!!」
岡部「フハ、フハ………ハ………」
岡部「………………」
岡部「今、ラボには俺一人……」
岡部「……よし、>>15してみるとしよう」
岡部「このブラとて例外ではない! ここはひとつ、この布切れを未来ガジェットへと昇華させてみせようではないか!」
岡部「助手としても我が野望の礎を築く偉業に供物を捧げることにやぶさかではないだろう」
岡部「どれ、ではさっそく」 スッ
岡部「うわっまだあったかぁい」
岡部「………………………」
岡部「………………」
岡部「………」
クンカクンカ
岡部「おぉう……これは……」
クンカクンカ
<ガタガタッ!!
岡部「ヒャーーーーーーーッ!!! だだだ誰だああぁっ!!!」
ガタッ……
>>24「……」
岡部「あ、あ、阿万音由季……い、いつから更衣室に?」
由季「岡部君が入ってきたときから」
岡部「な、ぬぁあぜスニーキング行為をしていたのだ!!」
由季「ちょうどまゆりちゃんに作ってもらったコス衣装を試着してた所に岡部君が来たから、その……
突然出ていってびっくりさせようと思っちゃって」
岡部「そ、そうか……フ、フゥーーハハハ!!しかしまだまだ甘いな!!あの程度の精神攻撃など
この鳳凰院凶真には屁でもないわ!!」
由季「あ、あはは、岡部君はいつも面白いね……えっと……」
岡部「どうした由季よ、何を見て……はぅあ!!に、握りしめたままだったぁぁ!!」
由季「あー、その……」
岡部「ち、違うぞ? こ、これはクリスティーナからの供出品でだな? あくまで研究のためのだな?」
由季「え? いや、それ、私がさっき着替えのときに……」
岡部「……………………」
岡部(やばい……これが知れたらダルの右手が真っ赤に燃えてしまう)
由季「ねぇ、岡部君……>>36」
岡部「フ、フハハ、またそんなバレバレの精神攻撃を……」
紅莉栖「…………」
岡部「ヒョワアアアァァアアアァァ!! くくく紅莉栖!! や、これはその、あのその、機関のあれがだな」
紅莉栖「………なしなさい……」
岡部「ふぁ? な、何だって?」
紅莉栖「その手に持ってるものを一刻も早く放しなさいって言ってんのよこのアルティメットHENTAI!!!」
ドゲシィ!!!
岡部「ぐふぅわぅ!!」
クルクルクル ドサッ
由季「うわぁ……綺麗な右ストレート……」
紅莉栖「最っ低、見損なったわ……もともと評価なんてしてなかったけど。よりにもよって友達の彼女のし、下着で、そんな……」
岡部「ち、違うんだ! これはあくまで紅莉栖のブラだと思ったからの行動で、って本人に向かって何を言ってるのだ俺はああああ!!」
紅莉栖「…………………………」
紅莉栖「だ、だったら……>>48しなさいよ」
岡部「すまない、聞こえなかった。もう一度頼む」
紅莉栖「だったらここで私とセックスしてみなさいよ!!!!」
岡部「うぅえええええええええええぃ!?」
由季「ちょ、ちょっと紅莉栖ちゃん落ち着いて!」
紅莉栖「何よ!私のブラで欲情できるっていうならそれくらいできるでしょ常識的に考えて!!
なのに!あんたはいっつも厨二病でごまかして逃げてばっかりで!キスですらLAの時っきりじゃない!!」
岡部「うっ…………」
紅莉栖「言いたいことがあるならはっきり言ってよ……私って重い女?
それとも女として魅力が無いの?そりゃ胸はまゆりや萌郁さんには敵わないけど」
由季「紅莉栖ちゃん……」
紅莉栖「ねえ、何とか言ってよ、岡部……私に悪いところがあるなら直すから……」 グスッ ヒック
岡部「……すまない、紅莉栖。俺が煮え切らないせいで、寂しい思いをさせていたのだな……」
ギュッ
岡部「俺は、怖かったんだ。今のこの幸せな時間から、前に進むことが」
岡部「何度も話したが、俺は、ほんの些細なことから世界線が大きく分岐する様子を目の当たりにしてきた。
今お前と過ごしているこの世界線は、他の世界線に存在したたくさんの想いを犠牲にして、やっとたどり着いたシュタインズゲート」
岡部「それに満足してしまっていた、ぬるま湯が心地よかった……そして、怖かった。
ここで劇的な行動をしてしまうと、また新たな世界線漂流へ旅立つことに繋がるのではないかと」
紅莉栖「……うん……」
岡部「しかし、詭弁だ。人は誰しも、重要な決断を前にして逃げずに、世界線を自ら選択することで、前へ進むんだ……」
紅莉栖「……ねぇ、岡部。ごめんね。私、あなたの気持ちも知らずに騒ぎ立てて。
私は、どこにも行かない。だから、あなたが怖いのなら、焦らなくても……」
岡部「いや、俺はもう同じ所で足踏みはしない。紅莉栖、お前を悲しませてまで手に入れる安泰など、何の価値も無いんだよ」
紅莉栖「岡部……」
由季(……いいなぁ、二人とも。私も今度、橋田君におもいっきり甘えちゃおうかな)
岡部「紅莉栖……」 紅莉栖「岡部……」 チュ… ムチュ~ッ
由季(うわわっ!私がいるのに始めちゃったよ……これは退散しないと) コソコソ
紅莉栖「……あれっ? 阿万音さん、どこへ行くの?」
由季「えっ?」
紅莉栖「せっかくだし>>72」
3P
でかした
由季「……何を?」
紅莉栖「セックス」
由季「………………ええええええええええええええっ?!?」
紅莉栖「岡部と仲直りできたのも阿万音さんのブラのおかげだもの」 トローン
岡部「うむ、それもいいかもしれないな」 トローン
由季(ふ、二人とも目がイッてる……ピンク空間に侵されすぎて正常な判断力を失ってるの?!)
岡部「しかし紅莉栖よ……初めてで3人というのは、由季にとってはハードルが高いのではないか?」
紅莉栖「何言ってるのよ岡部、私達だって初めてじゃない」
岡部「おお、そうだった。紅莉栖はかしこいな」 ナデナデ
紅莉栖「えへへ」
由季「駄目だこの人達……早く何とかしないと……」
岡部「ああ……そもそも由季は初めてではなかったな」
紅莉栖「そうだった。この間橋田が自慢してたっけね」
由季「これ橋田君のエロゲだよね?いくつか叩き割ってもいいかな?」
由季「あ……コス衣装のままだった」
紅莉栖「どれどれ、ここをいじれば外れるのかな?」
由季「わあっ!ちょ、やめて!!」
岡部「恐れることはないぞ。紅莉栖は誰より親切でいい女だ」
由季「ど、どうしよう……だ、誰か……!」
フェイリス「お待たせしましたニャン!アイスコーヒーですニャン!」
ダル「うはー、待ってました!!」 グビッグビッ
ダル「ぷはー、生き返るわー」
フェイリス「ダルニャンずいぶん汗かいてるけど運動してきたのかニャ?」
ダル「いやぁ、今超話題のエロゲ『俺の彼女がこんなにNTRれるわけがない』購入待ちの行列に朝から並んできたんだお。
二次のNTRは背徳の美学だお。 まあリア充たる今の僕だとリアルNTRとかは冗談じゃないけどwww」
ダル「お、噂をすれば由季たんから電話だお」
ピッ
ダル「イエス・ユア・マジェスティ!僕だお~」
由季『は、橋田君、助けてっ!!』
ダル「!! ど、どうしたん由季たん!」
由季『わっ、ちょ、やめて岡部君!脱がさな…きゃっ!』
ブチッ ツー ツー ツー
ダル「……えっ? え、どゆこと? ……えっ?は?」
由季「うぅぅ……上着、返してよぅ……」
紅莉栖「阿万音さん、さすが人気レイヤーね……大きいのに重力に負けない胸……羨ましいわ」
由季「み、見ないでぇ……」
紅莉栖「綺麗すぎてなんか腹が立ってきたわ。どうせ乳輪は大きいってオチでしょ!ほら、その手を早くどけなさい!!」
由季「わああぁぁっ!!やめてよぅ!!」
紅莉栖「ほらほら、観念なさい!!」 グイグイ
岡部「…………」
由季「お、岡部君、あっち向いててえぇぇ!!」
岡部「そうはいかん。俺にはこのラボで起きる全ての事象を観測する義務があるからな」
紅莉栖「……」 ピタッ
由季「ふぇ…?」
紅莉栖「岡部。阿万音さんのおっぱいに見とれてない?」
岡部「! い、いや、あくまで俺は観測者としてだな」
紅莉栖「岡部……私……」 スルスル パサッ …プチッ スッ トスッ
岡部「……お、おお……」
紅莉栖「阿万音さんとか、まゆりよりは、小さくて貧相だけど……やっぱり、嫌……かな?」 ウルッ
岡部「…………板っ! もとい、否っ!!」 ムンズッ
紅莉栖「ぁんっ」
岡部「すっぽり手のひらに収まる双丘、高感度を予感させる蕾!最高だ!!」 モミモミモミモミモミモミモミモミ
岡部「ふぉう!と、突然下の名前で呼ぶな、驚くではないか」
紅莉栖「私だけじゃ、恥ずかしい…… 倫太郎も、脱いで?」 (うるんだ上目遣い)
岡部「やらいでか!!」 スポポーン!!
由季「うわっ、すごい!リアルルパン脱衣だ!」
紅莉栖「ひゃっ……倫太郎の、それ、その……」
岡部「仕方ないだろう」
ダキッ ギュッ
岡部「すべて、紅莉栖が魅力的なのが悪いのだぞ」 ボソボソッ (耳元)
紅莉栖「あうぅ……倫太郎倫太郎倫太郎っっっ」 ギューッ スリスリ チュパチュパ
由季(…よし!完全に注意が私から逸れた!今のうちに脱出を…) ドスッ ガラガッシャン!
由季(わあっ!しまった!!って……) チュパチュパ クチュクチュ ペタペタ (夢中で気づいてない、よかった……)
由季(紅莉栖さんのバッグをひっくり返しちゃった。 これ、口紅?)
由季(!! こ、これは……)
『魅惑のルージュ・テンプテーション 超強力媚薬配合』
由季(それで二人ともあんなに理性を失っちゃったのかな……)
クリス、クリスゥッ!!ペロペロ アアッ、リンタロウッ!!ソンナトコロキタナイヨォッ!
由季(っと、何にしても早く脱出しないと。ブラは……あきらめよう。上着はどこかな)
ナニヲイウ!ワキノシタニハセイレイガヤドルノダ! ソンナワケアルカ、ソンナワケアアァンッ!
由季(くっ……上着は二人のすぐ近く……今戻るとまた巻き込まれる……)
<……ドスドスドスドスドスドスドスドスドスドスドスドスドスドスドス
由季(?なんだろう、地響きみたいな音がだんだん大きく…… あ!こ、この足音は!)
ガチャッ バーン!!
ダル「由季っ!! 大丈夫か!!!」
由季「は、橋田君!助けに来てくれたんだね!」 (上半身裸)
岡部「えっ? ダ、ダル?」 (全裸+紅莉栖液でヌラヌラ)
紅莉栖「は、橋田?」 (今のダルには見えてない)
ダル「…………岡部ええええええええええええええええええええええええええ!!!!!」
岡部「お、落ち着くのだ我が右腕よ! 俺達はただちょっとした3Pを」
ダル「ぐおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!!」 ドガッ!!
岡部「ひでぶっ!!」 ドスン!バタン!ギギギ……ドカン!ドン!ドドン! 「は、話せばわ…うぶへっ!! うぐぅ……」
ダル「氏にさらせええええええええええええええええええええええええええええ!!!」 ギリギリギリギリ
岡部「ぎ、ギブギブ!!死ぬ、マジで死ぬこれ!!」
紅莉栖「ど、どうしよう、岡部が、岡部が!! 阿万音さん、橋田を止めて!!」
由季「そ、そう言われても……どうしよう……」
紅莉栖「そ、そうだ!! 阿万音さん、私のバッグから口紅を取って!!」
由季「こ、これ?はいっ」 シュッ パシッ
紅莉栖「サンクス! これで橋田を鎮めるわ!! 岡部!その体勢保ったままちょっと絞められてて!」
岡部「ちょ……キツい……」ギチギチギチギチ
紅莉栖「これを、橋田の……えいっ!」 ズルッ! (ダルズボン&パンツDown)
紅莉栖「粘膜部から、直接注入よ!!」 ズブッ!!
ダル「アッーーーーーーー!!」
ダル「…………」 パッ
岡部「ゲホッ、ゲフゲフッ! や、やっと開放された……」
ダル「……ねえ、オカリン……」
岡部「ダルよ、話を聞いてくれるか。これは決してお前への裏切り行為などではなく……」
ダル「こうやって組み合って気づいたけど、オカリンって結構、いい身体してるおね……」
由季「?! え、は、橋田君?」
紅莉栖「媚薬が効いたみたいね。やっぱり、粘膜部からの吸収は効き目が出るのが早いわ」
岡部「何を言うか。ダルの肉体もグラマラスで柔らかく、抱擁感がたまらないぞ」
ダル「オカリン……僕、童貞は卒業したけど……」
岡部「みなまで言うな。お前は無二の親友……処女を捧げる相手はこの鳳凰院凶真以外になかろう?」
由季「えっ、何この展開は」(ドン引き)
紅莉栖「な、何してるのよ二人とも!べ、別に私なNTRなリアルBLに興奮なんてしないんだからな!!」 ハァハァ
由季「く、紅莉栖ちゃん……」
ふざけんな
ダル「んもう、オカリンったら。ハッカーだっていつも言ってるっしょ?」
岡部「そうだったな。マッドサイエンティストたるこの俺が……Super HackerへHacking to the Gate してやろう!」
紅莉栖「岡部ったら、うまいこと言っちゃって♪」
由季「うまくないよ!全然うまくないよ!!あらゆる意味でアウトだよ!!」
ダル「いつまでもじらさないで欲しい訳だが。もう切なくてたまらないお」
岡部「いいだろう。 ――いざ、参らん、シュタインズゲートの奥へ!世界は、再構成される!!」
ズブリッ!
ダル「アッーーーーーーーーーーーーーーーーー!!」
由季「嫌ああああああああああああああああ!!」
あれから3ヶ月という月日が経った。消息を経った由季を追って旅に出たダルからの便りはまだ無いが、俺は悲観していない。
アトラクトフィールドが確かならば、二人が再び出会い、和解することは間違いないだろう。
ただひとつ残された懸念といえば――
紅莉栖「オッケー、カメラのセットは完了よ。いつでも始めていいから」
岡部「なあ、紅莉栖……こんなことは、もうやめないか?」
紅莉栖「え? どうして?」
岡部「どう考えたって普通じゃないだろう、こんな……」
紅莉栖「ふふっ、狂気のマッドサイエンティストが『普通』を重んじるの? 私も嬉しい、あなたも感じてる。何も悪いことはないじゃない」
岡部「しかしだな……」
るか「あの……やっぱり、ボクとするのは、嫌ですか?」 ウルウル
岡部「うっ! い、いや、そんなことは……」(クソっ、反応する我が息子も息子だ!!)
紅莉栖「それじゃ本番いくわよ! はい5秒前!4、3、…、…、GO!」
るか「お、岡部さん……や、優しく、してくださいね?」
岡部「……これも、シュタインズゲートの、選択、か……エル、プサイ……」 ズズッ
るか「コンガリィ……あああああああああああああっ――――
おわれ
遅筆にもかかわらずお付き合いいただきありがとうございました
Entry ⇒ 2012.04.11 | Category ⇒ シュタインズゲートSS | Comments (0) | Trackbacks (0)
DAIGO「ガチで俺は友達が少ないんスよぉ…」
http://hayabusa.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1333874934/
DAIGO「あっ、いっけねぇ~。教室に体操着忘れちったぁ~」
DAIGO(あれは…確か三日月夜空さんっスよねぇ…?)
夜空「ペラペラ」
DAIGO(誰と話してんだろ…。つか入りづれぇ~)
DAIGO(ええい!もう入るっきゃないしょー!)
ガラッ
DAIGO「し、失礼しま~す」
夜空(み、見られた……?)
DAIGO「ええ~と、体操着体操着…あった」
夜空「……」
DAIGO「……」
DAIGO「…あ、あのぉ、ちょっといいっスか?」
夜空「な、何だ」
DAIGO「もしかしてぇ…夜空さんて幽霊とか見えちゃったりするんスか?」
夜空「…は?」
DAIGO「え、いないんスか?」
夜空「当たり前だ」
DAIGO「えぇ~…ガチショックなんスけど。幽霊っていないんスか」
DAIGO「じゃあ、誰と話していたんスか?」
夜空「み、見ていたのか!?」
DAIGO「いや、別に覗き見るつもりじゃ無かったんスけど…すみません」
夜空「……」
DAIGO「……」
DAIGO「エア友達…?なんスかそれ?」
夜空「エアギターとかあるだろう。その友達版だ」
DAIGO「すげぇ~!夜空さんハンパないじゃないっスかぁ」
夜空「そ、そうだろう。ふふん」
DAIGO「へぇ~、エア友達かぁ~」
夜空「ここにいるのがエア友達のともちゃんだ」
DAIGO「え、どこっスか?」
夜空「ここにいるだろう」
DAIGO「あ、こんにちはともちゃん。DAIGOって言います、よろしくっス」
夜空(こいつ…本気で信じてるのか…?)
夜空「するわけないだろう。どれもくだらん部活ばかりだ」
DAIGO「じゃ、自分で作ればよくないっスか?」
夜空「自分で作る…?」
DAIGO「はい」
夜空「そうか……その手があったか!」ダダッ
DAIGO「え、どこ行くんスか」
夜空「じゃあなっ!DAIGO♪」ニコッ
DAIGO「あ、その笑顔いいっスね。笑えばカワイイんだからいつも笑ってればいいのに」
夜空「なっ…// ば、ばかっ!//」
DAIGO「行っちゃった…」
DAIGO「ま、いいや。俺も帰るか」
おじいちゃんが消費税導入しちゃったことで…
DAIGO「ただいまぁ~」
KOBATO「クックック。今日は遅かったではないか、我が眷属よ」
DAIGO「ちょっと体操着取りに行ってたんスよ」
DAIGO「えっ、マジっスか?」
KOBATO「食らうがよい…黒き薔薇の香り!!」
DAIGO「芳香剤で遊んじゃダメでしょ~、何してんスかぁ~」
KOBATO「クックック…………ごめんなさい」
DAIGO「ま、いいや。早くお風呂入っちゃって下さいな」
小鳩「うんっ」
DAIGO「まったく、黒い薔薇の香りだかかほりだか知らないけど、アニメの影響もほどほどにしてほしいなぁ」
DAIGO「ん…?」
DAIGO「黒い薔薇のかほり…黒い薔薇のかほり……?」
DAIGO「これだぁ!」
夜空「DAIGO、ちょっと来い」
DAIGO「えっ、なんスか?」
夜空「いいから来い!」
ざわざわ…
三日月さんが話しかけた…? 転校生に…?
夜空「昨日お前に言われた通り、新しく部活を作ったぞ」
DAIGO「ヴァンガード・ファイト部っスね!」
夜空「違う!隣人部だ!何だヴァンガード・ファイトって」
DAIGO「隣人部…?ちょっと良くわかんないっスね」
夜空「その通りだ」
DAIGO「確かに俺たち、友達いないっスもんねぇ~」
夜空「ところでDAIGOはなぜ友達がいないんだ?お前なら一人や二人いそうだが」
DAIGO「なんかぁ、俺のノリがウザいらしいんスよぉ。この前女子の陰口聞いちゃって、知ったんス」
夜空「…まぁ、この学校は大人しい人間ばかりだからな…」
夜空「DAIGOは来る高校を間違えたのかもな…」
DAIGO「間違ってなんかないっスよ」
夜空「え?」
DAIGO「だって夜空さんにこうして会えたじゃないっスか」
夜空「…そ、そそそ、そうだな// ふ、ふんっ!」
夜空「うむ」
DAIGO「ついでにコレも張っとくかぁ~」
夜空「ん?何だソレは?」
DAIGO「今度、校内ライブやろうと思ってんスよぉ」
夜空「そうか…DAIGOは音楽をやっていたんだったな」
DAIGO「あ、よく知ってますねぇ~」
夜空「この前も校内でライブしていただろ……客はゼロだったが」
DAIGO「それを言っちゃお終いっしょ~」
夜空「それはともかく、そろそろ部室に行くぞDAIGO」
DAIGO「行っちゃいますぅ?」
夜空「そうだ。私たちの部室だ」
コンコンッ
DAIGO「おっ?早速、入部希望者が来たみたいっスね」
ガチャッ
星奈「あ、あの…部員募集の紙見たんだけど…」
DAIGO「見てくれたんスか。やりましたよ夜空さん」
夜空「リア充は死ね!」
バタンッ
DAIGO「ひでぇ~」
客がゼロなのに夜空が知ってたってことは…
夜空「あいつは柏崎星奈と言って、学校でも1位2位を争うほどのリア充なのだ」
DAIGO「そうなんスか?」
夜空「リア充は敵だ!」
DAIGO「そうなんスか?」
ガシャッ ガシャッ
DAIGO「ん…?あ、窓の方にいますよ?」
星奈「ちょっと!ここ開けなさいよ!」
夜空「チッ」
カチャリ
星奈「私も…私も友達ほしいのよぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!」
DAIGO「そうなんスか?」
星奈「だから皆に嫉妬されて友達がなかなか出来ないのよ」
DAIGO「あぁ~…何かその気持ち分かるなぁ」
星奈「何であんたにあたしの気持ちが分かるのよ?」
DAIGO「いやそれは……」
DAIGO(いや…俺のお爺ちゃんが竹下登っていうのは伏せといた方がいいよな…)
DAIGO「……いや、何でもないっス」
星奈「はぁ?ま、いいわ。とにかく、あたしも隣人部に入部してあげるんだから感謝しなさいよね!」
夜空「ふんっ。勝手にしろ」
天才か
いや一応見たことはあるけど、よく覚えてない…
DAIGO「あれ?夜空さん何やってんスか?」
夜空「PSPだ」
DAIGO「あぁ~、パッション・スター・フェニックスっスね?」
夜空「違う!プレイステーションポータブルだ!」
星奈「へぇ、ちょっと見せなさいよ」
夜空「触るな肉。手の脂で汚れるだろ」
星奈「あ、あたしそこまで脂ぎってないわよ!」
DAIGO「脂ギッシュ☆」
星奈「ウザっ」
つづけたまへ
夜空「違う。モンスター狩人だ、通称モン狩」
DAIGO「モン狩…?」
星奈「へぇ、面白そうね」
DAIGO「じゃあ、俺たちも買って一緒にやっちゃいましょう」
なんやかんやあって
星奈「ギャルゲー買って来たわ!ガチガチ☆メモリアル」
DAIGO「なんか他人とは思えないタイトルっスね」
夜空「何か卑猥じゃないか…?」
星奈「…ねぇ、DAIGO。あんた泳げる?」
DAIGO「割と得意な方っスけど…それがどうしたんスか?」
星奈「……」
DAIGO「あ、星奈さん泳げないんスか?」
星奈「う、うるさいわね!」
星奈「…ねぇ、今度の日曜暇?」
DAIGO「いや、その日は駅前で路上ライブがあるんスよぉ」
星奈「どうせ誰も聞きやしないわよ。だからあたしに付き合いなさいよ」
DAIGO「なかなかヒドイこと言うんスねぇ~。そりゃ確かに皆素通りして行きますけど…」
星奈「なら決まりね!日曜はプールに行くわよ!」
DAIGO「え、プールで歌えってことっスか?」
星奈「歌わなくていいわよ!あたしに泳ぎ方教えろって言ってんのよ」
DAIGO「ま、一応ギター持ってくかぁ~」
星奈「じゃあ教えなさい」
DAIGO「はぁ~い」
DAIGO「まずは俺が手持っててあげるんで、足を動かしてみましょう」
星奈「わかったわ」
DAIGO「うひゃ~、星奈さん覚えるの早いっスね」
星奈「そうかしら?」
DAIGO「マジパネぇっスよ」
DAIGO「あ、そろそろランチしちゃいます?」
星奈「そうね」
原作だと何かメシ食うシーンで何か話してたよね?
どんな話題だっけ?
DAIGO「ところで星奈さんはヴァンガったりするんスか?」
星奈「は?ヴァンガ?何それ?」
DAIGO「えぇ~?知らないんスか?」
星奈「何よその言い方…何かムカつくわね…」
DAIGO「メッチャ面白いっスよ。今度ヴァンガりましょう」
星奈「そんなことよりさぁ、アンタ、消費税についてどう思う?」
DAIGO「え…そ、それは……」
星奈「あたし思うんだけどさぁ、消費税導入した人ってバカよね」
DAIGO「……」シュン
星奈「えっ、何でアンタがシュンとするのよ…」
DAIGO「いや、何でもないっス。ただ……すみません」
星奈「…?」
文脈理解してない肉が勘違いしてあーだこーだ言ってた覚えはある
あと肉ってあだ名は案外いやじゃないとかそんなことも
DAIGO「そう言えば、星奈さんのお父さんってうちの学校の理事長なんスよね?」
星奈「そうよ」
DAIGO「…じゃあ今度挨拶に行かなきゃなぁ~」
星奈「えっ、ちょ、何でアンタがあたしのパパに挨拶しに行くのよ!?//」
DAIGO「えっ?ダメっスか?」
星奈「だ、だって…//」
DAIGO「ま、いいや。今度ガチで行かせてもらいますね」
星奈「うん」
DAIGO「あれぇ~?星奈さんどこだぁ~?」
DAIGO「ん?」
男A「いいじゃんかよぉー、俺らに付き合えよー」
男B「ほれほれ。ヒヒッ」
星奈「な、何なのよアンタたち!」
男A「んだとぉ~!」
男B「おい、やっちまおうぜ!」
星奈「ちょっと、離しなさいよ!」
ギュイーンッ ギュギュギュギュイィィィィィィンッ!
星奈「!?」
男A「な、何だこの戦慄が走る旋律は…!?」
男B「まるで怒りに燃えるようなギター音…誰だ!?」
DAIGO「俺だぁ!!」ギュイィィィンッ
星奈「DAIGO…?」
DAIGO「聞いてください、新曲、月夜の悪戯の魔法!」
男B「な、何か歌い出したぞこいつ…」
星奈「ちょ、恥ずかしいからやめないよね!」
DAIGO「えぇ~?」
男A「チッ…覚えてろよ!」
DAIGO「あ、ちょっとぉ~、最後まで聞いてってくださいよぉ~」
DAIGO「でも…」
星奈「ほっといてくれていいわよ。別に…」
DAIGO「いいわけないじゃないっスか!」ガシッ
星奈「へ…?」
DAIGO「何で星奈さんはそうやってすぐに強がるんスか!」
DAIGO「いくら強がったところで、傷つくのは自分なんスよ!?」
星奈「DAIGO…?」
DAIGO「俺は…俺は星奈さんが傷つくところなんて、見たくないっスよ!」
星奈「な、何言ってんのよ…バカじゃないの…//」
DAIGO「バカっス」
DAIGO「いやぁ~。泳ぎ上達して良かったっスねぇ」
星奈「ま、あたしにかかれば楽勝よ」
DAIGO「あ、じゃあ俺んちあっちなんで」
星奈「う、うん」
DAIGO「また明日学校で会いましょ~」
星奈「あ、あの…」
DAIGO「なんすか?」
星奈「今日は……ありがとう//」
DAIGO「…どういたしまして」
星奈「あと…アンタは別にバカじゃないわよ。…あたしが保証してあげるわ!」
DAIGO「マジっすか?いやぁ~、それは有り難いっスね」
小鳩「あんちゃん何してたんじゃ!このばかたれ!」
DAIGO「ごめぇ~ん、今日プール行ってたんスよぉ」
小鳩「あんちゃんばっかりズルイばい!」
DAIGO「じゃ今度一緒に行くかぁ~?」
小鳩「う、うん…//」
DAIGO「そんな異り、今日はアニメの真似しないんスね」
小鳩「ハッ…」
KOBATO「クックック…何を言っておるのだ我が眷属よ…。私はここにいるぞ」
DAIGO「いつもの小鳩で安心したっス」
DAIGO「……ん?」
???「…!」サッ
DAIGO「んん~?何か誰かにつけられてる気がするぞぉ~?」
DAIGO「……」
???(角曲がった!急がなくては…)
ドンッ
???「きゃっ!」
DAIGO「ちょっとぉ~、何で俺をつけて来るんスかぁ~」
幸村「も、もうしわけありません」
DAIGO「もしや…俺のおっかけ?」
幸村「は、はい…」
DAIGO「マジかよぉ~!俺も有名になったなぁ~!」
幸村「じつは…わたくしDAIGO先輩のライブ、ずっとかくれてみとどけておりました」
DAIGO「えっ、そうなんスか?言ってよぉ~~」
幸村「あの、DAIGO先輩のことあにきとよばせてもらってもいいでしょうか?」
DAIGO「いいっスよ」
~部室~
DAIGO「て、ことで幸村くんも入部希望みたいっス」
夜空「む…まあ認めよう」
幸村「あにき、ありがとうございます//」
DAIGO「さてとギターの練習でもするかぁ~」
DAIGO「あれぇ~?ここどこだぁ?」
DAIGO「学校で迷子になるとかヤバイなぁ~」
DAIGO「ここは…理科室?」
DAIGO「開けてみるかぁ」ガチャッ
理科「…」
DAIGO「お~い、君ぃ~、こんな所で寝ちゃダメでしょ~」ユサユサ
理科「…」
DAIGO「あ、気絶してるのかぁ~」
DAIGO「ま、いいや。保健室に連れて行くしかないっしょ~。よっこいせ」
DAIGO「さてと、メシ食うかぁ~」
ガラッ
DAIGO「ん?」
理科「あなたがDAIGO先輩ですか?」
DAIGO「え?そうっスけど、なんすか?」
理科「理科を保健室まで運んでくれたそうで、ありがとうございます」
DAIGO「え?それでわざわざお礼言いに来たんスか?うわぁ~律儀ぃ~」
理科「だって、普通、女子が気絶してたらレイプするのが普通じゃないですか」
ざわ…
レイプ…? 転校生が後輩をレイプ…? かわいそう…
DAIGO「ちょ、ちょっと何言ってんスか、困るなぁ~もぉ~」
理科「では、私これで失礼しますね」
DAIGO「んもぉ~何てマイペースな少女なんだ…」
DAIGO「ま、いいや。メシ食うか」
落ち着きすぎだろwwwww
DAIGO「えぇ~?理科ちゃんも入部するんスか?」
理科「はいっ!」
夜空「ちょ、ちょっと待て!隣人部がどんな部なのか知っているのか!?」
理科「友達を作る部活ですよね?理科も友達いませんから、問題ありません」
DAIGO「へぇ~」
理科「ふふっ、これでDAIGO先輩と一緒にいられますね!」
夜空「ぐぬぬ」
ガキB「うちの母ちゃんも迷惑だって言ってたぜ!」
DAIGO「や、やめてよぉ…」
ガキA「うるせぇ!一発殴らせろ!」
DAIGO「ひぃぃっ」
???「やめろ!!」
DAIGO「え…?」
???「消費税は日本にとって必要なんだよ!」
DAIGO「な、なんすか…君…?」
???「いいからここは任せろ!」
DAIGO「わ、わかったっス」
ガキA「覚えてろ!」
???「ふんっ」
DAIGO「うわぁ~、君強いんスねぇ~」
DAIGO「おかげさまで平気みたいっス」
???「なら良かった…」
DAIGO「あの、俺と友達になってくれませんか?」
???「ああ、いいぜ!よろしくウィッシュ☆」
DAIGO「ウィッシュ…?なんスかそれ、かっけぇ~//」
???「俺が考案した決めポーズなんだ。ガチでいいだろ?」
DAIGO「ガチ…?」
???「マジの上が、ガチなのさ」
DAIGO「す、すげぇ~//」
DAIGO「夢…か…」
DAIGO(昔、親友だったアイツは…今どこにいるのだろうか……)
ガチャ
DAIGO「ウィース」
幸村「おまちしておりました、あにき」
理科「遅いですよ、先輩♪」
DAIGO「ウィッシュ☆」
理科「ウィッシュ☆」
幸村「うぃ、ういっしゅ//」
夜空「…」
星奈「何なの、そのウィッシュって」
DAIGO「俺の決めポーズなんスよ。まぁ挨拶みたいなもんスね」
星奈「へぇ~。ウィッシュ☆」
夜空「貴様はやるな肉!」ペチンッ
星奈「いたっ!…何すんのよバカ夜空!」
星奈「何であたしだけ禁止なのよ!」
夜空「意味などない。強いて言えば、貴様がやってるのを見ると反吐が出るからだ」
DAIGO「まぁまぁ、二人とも落ち着いてぇ~」
夜空「ふんっ」
理科「あ、そう言えばDAIGO先輩はカラオケって行ったことあるんですか?」
DAIGO「カラオケっスか?あんまりないっスねぇ~。歌う時は大抵野外だし…」
理科「なら、今度カラオケに行ってみませんか?」
DAIGO「あ、それナイスアイディアっスね」
幸村「あにき、わたくしもいってみたいです、カラオケ」
DAIGO「あ、いいノリしてるじゃないっスか幸村くん」
夜空 星奈「」ウズウズ
小鳩「あんちゃん、こんなとこにおった!」
DAIGO「なんすか」
星奈「か、かわいい//」
星奈「ちょっとDAIGO、あんたの知り合い?紹介しなさいよ!」
DAIGO「あ、妹の小鳩っス」
星奈「えっ?あんたの妹?こんなにカワイイのに!?」
DAIGO「ちょっとぉ~、それどう言う意味っスかぁ~」
星奈「小鳩ちゅわーーーーん!お姉ちゃんと一緒に遊びましょ?うへへ」
小鳩「ひっ…やっ!」
DAIGO「あ、そうだ。小鳩もカラオケ行っちゃいますぅ?」
小鳩「うんっ」
星奈「小鳩ちゃんが行くならあたしも行くわ!」
夜空「わ、私だって行くぞ!」
DAIGO「よぉし!明日はパーリィーだぁ!」
DAIGO「ってことでカラオケ楽しかったぁ~!」
理科「そうですね!」
夜空「うむ」
星奈「あ、そうだDAIGO」
DAIGO「なんすか」
星奈「この前のことパパに話したら、是非来てくれってさ」
DAIGO「マジっスか?いやっほぉ~」
夜空「ちょ、ちょっと待て!なぜDAIGOと肉の父親が会うのだ!」
星奈「夜空には関係ないわよ」フフンッ
夜空「ぐぬぬ」
理科「先輩、携帯のアドレスと番号、交換しましょうよ!」
DAIGO「携帯…?」
夜空「そう言えば私も携帯なんてものを持っていたな、一応」
DAIGO「んじゃ、交換しちゃいます?」
夜空「そうだな」
星奈「…」チラッ
DAIGO「え~と、あった」
理科「では交換しましょう!」
星奈「…」ソワソワ
DAIGO「赤外線…?なんスかそれ?紫外線の親戚っスか?」
理科「違いますよぅ…」
夜空「何?違うのか…?では赤道の仲間か?」
理科「ち、違います…」
理科「赤外線でやれば、わざわざ相手の番号やアドレスを打ち込まなくてもいいんですよ?」
DAIGO「え、なんすかそれ。マジハンパないじゃないっスか」
夜空「ああ…ガチで凄いな…これが文明なのか…」
DAIGO「え…?今ガチって言いました…?」
夜空「い、言ってない!お前の聞き間違えだ!//」
幸村「はい」
夜空「な、何だと…ボタン一つで交換出来ると言うのか…!」
DAIGO「すげぇ~!これがデジタル世代かぁ~」
夜空「とにかく、私たちは手で打ち込もう」
DAIGO「そうっスね」
星奈「…」ソワソワ
ヴァンガードファイトシヨウゼー ヴァンガードファイトシヨウゼー
DAIGO「ん…?電話か…?」
DAIGO「こんな時間に誰だぁ~?んもぉ~」
ピッ
DAIGO「もしもしぃ?」
星奈『あっ、あのっ、内藤さんの家ですか?』
DAIGO「そうっスけど?」
星奈『あ…もしかしてDAIGO?』
DAIGO「星奈さんっスか?なんすかこんな時間に~」
星奈『ね、ねぇ…アンタの携帯ってどこの会社のどの機種なの?』
DAIGO「そんなの聞いてどうするんスか?」
星奈『いいから教えなさいよ!』
星奈『daimoのG9110iね…うん、わかったわ。ありがと』
ピッ プーップーッ
DAIGO「なんだなんだぁ?」
DAIGO「ま、いいや寝るか」
DAIGO「夜空さん、ヴァンガりましょう!」
夜空「仕方ない…ヴァンガってやるか」
DAIGO「ヴァンガード召喚、hide!」
夜空「ならばこちらもヴァンガード召喚、yasuだ!」
DAIGO「ひえぇ~。そう来ちゃいますぅ?」
バンッ
星奈「あたしも携帯買ったわ!!」
DAIGO「ちょっと、yasuはズルくないっスか?」
夜空「私は勝つためなら手段は選ばん。覚えとけDAIGO」
星奈「ちょっと!無視しないでよ!!」
星奈「だから!あたしも携帯買ったのよ!」
DAIGO「えぇ~?すごいじゃないっスかぁ~」
星奈「ふふん」
DAIGO「アレ…?その携帯、俺のと同じじゃないっスか?」
星奈「そ、そうかしら?偶然よ偶然っ」
DAIGO「偶然ってすげぇ~!」
星奈「ほら!さっさと交換するわよ!」
DAIGO「ウィ~ッシュ」
夜空「ぐぬぬ」
星奈『あ、もしもしDAIGO?』
DAIGO「なんすか」
星奈『明日なんだけど、アンタどうせ暇でしょ?』
DAIGO「暇じゃないっスよぉ~。明日は遠夜駅でゲリラライブの予定が…」
星奈『そんなの中止すればいいじゃない』
DAIGO「えぇ~?」
星奈『パパが会いたがってるから、明日あたしの家に来なさいよ。小鳩ちゃんも連れて来てね』
DAIGO「んもぉ~、強引っスねぇ~」
天馬「やあ。君がDAIGOくんだね?」
DAIGO「なんすかアンタ」
天馬「星奈の父だ。いつも娘がお世話になってるね」
DAIGO「いえ、こちらこそ星奈さんにはお世話になってます」
天馬「とりあえずあがってくれたまえ」
DAIGO「失礼しま~す」
小鳩「お、お邪魔します」
星奈「こばとちゅわああああん!待ってたわよぉぉぉ!」
小鳩「うげっ」
DAIGO「ちょっとぉ~、小鳩が怖がってるじゃないっスかぁ~」
天馬「……ぺ、ペガサスだ」
DAIGO「うおお、かっけぇ~!」
天馬「そ、そうかね//」
DAIGO「俺もそう言う名前が良かったっスよぉ~」
天馬「DAIGOくん、夕飯食べて行くかね?」
DAIGO「えっ、いいんスか?」
星奈「せっかくなんだし、食べて行きなさいよ」
DAIGO「よし、食べて行くかぁ」
天馬「ん?これは…?」
DAIGO「俺の歌を入れたテープっス」
天馬「ほほぉ。ありがとうDAIGOくん、今度聞かせていただくとするよ」
星奈「ところで、今日泊まって行ったら?」
DAIGO「いや、それはさすがにマズイんじゃないんスか?」
天馬「別に構わんぞ。空いてる部屋もあるしな」
DAIGO「じゃ、小鳩、泊まって行きますか」
小鳩「ん…そうする」ウトウト
DAIGO「あ、小鳩が拉致られた」
DAIGO「ま、いいや部屋に行くかぁ」
天馬「DAIGOくん、一杯どうかね」
DAIGO「あ、それいいっスねぇ。でも俺、未成年なんスよぉ…」
天馬「安心したまえ、君はブドウジュースだ」
DAIGO「それトロピカーナっスか?俺トロピカーナ意外は飲めないんスけど」
天馬「安心したまえ、トロピカーナだ」
DAIGO「あぁ~あぁ~、何酔っちゃってんスかぁ~」
天馬「zzz」
DAIGO「あれ?寝ちゃったぁ~。おやすみなさいペガサスさん」
DAIGO「ちょっと下の階に行ってみるかぁ」
DAIGO「ん~?」
小鳩「うわぁ~ん!あんちゃ~ん!」
DAIGO「どうしたんスか。そんな生まれたままの格好で飛び出して来ちゃって…」
星奈「ああんっ、小鳩ちゃんまってぇ~♪」
DAIGO「ん?」
星奈「…………へ?」ドテッ
DAIGO「せ、星奈さん…巨乳っスね」
星奈「う…うわぁぁぁぁぁん」
星奈「DAIGOのエロすけべ変態バカアホヴァンガードファイター!!」ダダダッ
DAIGO「行ってしまった…」
ステラ「きゃー、DAIGOのさんのエッチー」
DAIGO「まあ確かに俺はエッチっスね」
DAIGO「あ、お世話になりましたぁ~」
天馬「うむ」
星奈「あの…DAIGO。…昨日のことなんだけど……」
DAIGO「…何のことっスか?」
星奈「だ、だから…昨日の夜…」
DAIGO「いやぁ~。良く覚えてないっスね。ほら俺ってエロすけべ変態バカアホヴァンガードファイターですし」
星奈「ばっちり覚えてるじゃないのよ!!//」
DAIGO「いやぁ~、でもこんな事言うのもなんなんすけどぉ……GGPでしたねぇ~」
星奈「GGP…?」
DAIGO「ガチ眼福ってことっス」
星奈「DAIGOのばかぁぁぁぁぁぁぁ!!」
DAIGO「また行ってしまった…。きっと走りたい年頃なんスねぇ。いやぁ~青春だなぁ~」
DAIGO「なんすか」
天馬「これからも、星奈のことを宜しく頼む」
DAIGO「いいっスよ」
天馬「そうか…ふふっ」
DAIGO「よし帰るか」
DAIGO「夏っスねぇ~」
理科「暑いですね」
DAIGO「SUMMER PARTYって感じっスね」
幸村「はい。さまーぱーてぃーですね、あにき」
理科「そう言えば、皆さんは夏休みどうするんですか?」
夜空「特に予定はないな」
星奈「あたしも…」
DAIGO「俺はこの前中止したゲリラライブを敢行しようと思ってんスよ」
幸村「そのときはぜひわたくしも行かせていただきます、あにき」
DAIGO「照れるなぁ~」
理科「みんな暇でしたら、合宿でもしませんか?」
DAIGO「えぇ~?俺の話聞いてましたぁ~?」
理科「決まりですね!」
DAIGO「勝手に決めないでくださいよぉ~」
星奈「ならあたしの別荘に行きましょうよ」
DAIGO「ゲリラライブ…」
星奈「諦めなさいよ」
DAIGO「そうっスね。じゃあ合宿ではっちゃけちゃいましょう!」
DAIGO「ここが星奈さんの別荘っスか。パネぇ~」
理科「それじゃあ皆さん!早速海に行って泳ぎましょう!」
夜空「よ、よし…せっかくだから海に向かって叫ぶぞ」
DAIGO「叫ぶ?」
夜空「よくリア充どもがやってるだろ。あんな風に私たちも練習してみよう」
DAIGO「よぉし、やるかぁ!」
「「「「海だぁーーーー!!」」」」「ウィッシュ☆」
DAIGO「何かメッチャはずいんスけど…」
夜空「う、うむ…」
小鳩「うん」
幸村「では、わたくしはあにきのうしろをぬってさしあげますね」ヌリヌリ
DAIGO「あっ、すいません幸村さん。ありがとぉございます」
理科「ゆ、幸村くんがDAIGO先輩の後ろを…!?」
幸村「あにき…いれますよ…?//」
DAIGO「ああっ…幸村のガチでガチガチなアレが俺のアナルにBREAKERZして来るぅ…//」
幸村「さまーぱーてぃーのかいまくです、あにき//」
DAIGO「ああ…す、凄い激情っス…//」
理科「うひゃあああああ」バタリッ
夜空「何なんだアイツは…」
DAIGO「ガチで怖い話大会でもしましょう!」
星奈「いいわよ」
DAIGO「じゃあ俺から行きますね」
DAIGO「これは、俺が校内でライブを決行した時の話なんスけどね…」
DAIGO「俺は意気込んで、そりゃあもう熱唱したんスよ…」
DAIGO「そしてふと気付くと、恐ろしい光景を目の当たりにしたんス…」
夜空「……」
DAIGO「何と、客が誰もいなかったんスよ…」
理科「……」
幸村「……」
星奈「…え?終わり?」
DAIGO「え、怖くないっスか?だって誰もいなかったんスよ?」
DAIGO「そんな馬鹿な…」
DAIGO「でも下校時間に下駄箱でやってたんスよ?それで誰も来ないって言うのは…」
夜空「ふむ…確かに不可解ではあるな…」
星奈「やだ…もしかして神隠し!?」
幸村「なんとおそろしい…」
理科(関わらないように避けてただけなんじゃ…)
星奈「やだ…何かそう思うと怖くなって来たね…」
DAIGO「でしょ~?」
夜空「怪奇現象だな…」
DAIGO「さて、もう寝るか」
幸村「おやすみなさいませ、あにき」
DAIGO「おやすみぃ~」
DAIGO「zzz」
ガチャッ
星奈「DAIGO…、ねえDAIGOってば」
DAIGO「ん?ん~…?なんすかぁ?」
星奈「ちょっとトイレまでついて来てよ…」
DAIGO「いいっスよ。なかなかおちゃめっスね」
DAIGO「了解っス」
ガチャッ バタンッ
星奈「……」
星奈「…ねえ、DAIGOいる?」
DAIGO「いますよぉ~」
星奈「ホッ…」
DAIGO「さて寝るかぁ」
DAIGO「んん~?なんすかぁ~?」
小鳩「トイレ…」
DAIGO「んもぉ~、しょうがないっスねぇ~」
小鳩「…あんちゃん、おるぅ?」
DAIGO「zzz」
小鳩「あ、あんちゃん!?あんちゃん!?」
DAIGO「いけね、寝てた。いるっスよぉ~」
小鳩「ホッ」
DAIGO「…トイレっスね?いいっスよ。行きましょう」
理科「トイレ?理科はただDAIGO先輩に夜這いしに来ただけですが?」
DAIGO「いいんスか理科ちゃん。俺、獣になっちゃいますよ?」
理科「構いませんよ♪」
DAIGO「あぁ~でも今日は疲れてるから無理っぽいっス」
理科「そんなぁ」
DAIGO「また今度やりましょう」
ガチャッ
夜空「わっ!」
DAIGO「うわぁ~ビビったぁ~。何してんすかぁ~」
夜空「トイレか?」
DAIGO「え、何で分かったんスか?」
夜空「お前のことなら何でも分かるからな」
DAIGO「えぇ~?なんスかそのサイケデリックな能力」
夜空「ちょうど私も行きたいと思っていたところだ。…一緒に行くか?」
DAIGO「夜空さんと連れションっスか」
夜空「バカ言ってないで、さっさと行くぞDAIGO」
夜空「バカを言うな!」
DAIGO「夜空さんは神隠しとか信じるんスか?」
夜空「信じるわけないだろう」
DAIGO「そうっスよねぇ、幽霊も信じてなかったし」
夜空「その通りだ」
DAIGO「でも……」
DAIGO「下駄箱でライブするのは、やっぱダメっスよねぇ…」
夜空「そうだな…。迷惑だしな」
DAIGO「夏祭り行っちゃいませんか?」
星奈「いいわね」
DAIGO「さて満喫したし帰るかぁ~」
星奈「ステラが迎えに来るまで、時間かかるみたい」
DAIGO「マジっスか?じゃあ花火でもやっちゃいます?」
小鳩「クックック…我は二つの光を操りし者」シャアアアア
キャッキャッ
DAIGO「…」パチパチ
夜空「DAIGO、お前は何してるんだ?」
DAIGO「線香花火っス」ジジジジ
夜空「そ、そうか…。何かお前のキャラとは合ってないチョイスだな…」
DAIGO「好きなんスよ、線香花火。何か夏の終わりの切なさをそのまま表現してるみたいで…」
夜空「DAIGO…」
理科「DAIGO先輩…」
幸村「あにき…」
DAIGO「よし、最後にこの『ガチ百連発』っていう花火で派手に行きましょう」
星奈「本当に百連発だったわね…」
DAIGO「いやぁ~、すごかったっスねぇ」
夜空「うむ。なかなか綺麗だったな」
理科「ん…?何か匂いません?」
星奈「確かに…何の匂いかしら…」
DAIGO「星奈さんの香水じゃないっスか?」
星奈「あ、あたしそこまで香水キツくないわよ!失礼ね!」
理科「何か燃えてるような匂いが…」
星奈「ちょ、ちょっと夜空!髪が燃えてるわよ!」
夜空「へ?」
DAIGO「こりゃもう水かけるしかないっしょ~」
理科「先輩、バケツの水で!」
DAIGO「じゃあ夜空さん、後ろ向いちゃってください」
夜空「わ、わかった」
DAIGO「そりゃ」バシャアッ
夜空「……」
星奈「夜空…?」
夜空「……」
DAIGO「夜空さん、すみません…俺のせいでビショビショに…」
理科「し、仕方ないですよ…」
DAIGO「夜空さんが大切にしてた長い髪に、俺は……ガチ最悪っスよね」
夜空「き、気にするなDAIGO。そんな顔はよせ…お前のそんな顔、見たくない…」
DAIGO「…俺、もう帰るっス」
夜空「DAIGO…」
星奈「…なんかDAIGOがいないと盛り上がんないわね」
理科「そうですね…」
幸村「あにき……」
そして、夏休み明けの登校初日がやって来た。
先生「出席とるぞー。内藤!」
DAIGO「ウィッシュ☆」
隣の女子「うざ……」
DAIGO「…」シュン
先生「三日月!…三日月?」
DAIGO(夜空さん…)
ガラッ
夜空「遅れてすみません」
DAIGO「……」チラッ
DAIGO「…!?」
ガタッ
DAIGO「SOLA…!?」
夜空「…」
夜空「……」
夜空「久しぶり、DAIGO…!」
夜空「BREAKERZ?」
DAIGO「俺たちのバンド名っスよ!昨日、徹夜して考えたんスよ」
夜空「そっか…いい名前だな」
DAIGO「いつか…一緒に武道館の舞台にたちましょう!」
夜空「そうだな…」
夜空「その時までよろしくウィッシュ☆」
DAIGO「ウィッシュ☆」
夜空「ふふっ。なかなか様になって来たなDAIGO」
DAIGO「夜空さんのおかげっスよ!」
竹下登擁護派で友達いなかったんじゃない?
当時の子ども政治感発達しすぎだろ・・・
DAIGO(ちゃんとSOLAに伝えなきゃ…明日引っ越すこと…)
DAIGO(約束守れないでごめん…、SOLA)
DAIGO「……SOLA遅いなぁ~」
夜空「どうしよう…でもちゃんと打ち明けなきゃ。私が女ってことを…」
夜空「一応スカート穿いて来たけど…」
夜空「ううう……だ、ダメだ!やっぱり勇気が出せないっ!」タタタッ
その日以来、俺とSOLAが再び顔を合わせることはなかった…。
そして、今…。
DAIGO「SOLA…」
夜空「DAIGO…」
俺たちは、再会を果たした。
~体育館~
DAIGO「うっしゃああああ!BREAKERZ体育館ライブの開幕だああああ!!」
DAIGO「んじゃ、メンバー紹介だああああ!」
DAIGO「ボーカルとギターは俺、DAIGO!」
DAIGO「ベースのSOLA!」
夜空「ふんっ」ヴッヴーンヴヴヴーン♪
DAIGO「エレキギター、RIKA!」
理科「よろしくー」ギュンギュンギュイィィィン♪
星奈「イェーイ!」バラボッチーン♪
DAIGO「タンバリン、YUKIMURA!」
幸村「おまかせください、あにき」シャンシャン♪
DAIGO「カスタネット、KOBATO!」
小鳩「クックック」カチカチッ♪
DAIGO「最後にマラカス、MARIA!」
マリア「あははー!」シャッシャッシャッシャッ♪
DAIGO「そんじゃ行くぜええええ!皆ノッてるかあああああああ!!!!」
シーン…
DAIGO「あ、やっぱ誰もいないんスね」
DAIGO「あ、おわりっス」
面白かった
ちなみに一番好きなのは遊佐葵です
原作読んでるじゃねえかwwwww
6巻と7巻は持ってる
DAIGO最高だなw
Entry ⇒ 2012.04.11 | Category ⇒ 僕は友達が少ないSS | Comments (0) | Trackbacks (0)
小鳥「やっと今日の仕事が終わった……」
http://hayabusa.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1333204677/
小鳥「えっ?」ガタンッ
P「都合が悪いならいいですけど……」
小鳥「行きます!」
P「そうですか。なら帰り支度して来ますね」
小鳥「ハッハイ!それじゃ私も急いで支度して来ます!」
続かない
小鳥「それにしても、まさかプロデューサーさんに誘われるとは思ってませんでした!」
P「たまにはいいかと思いまして。もしかして迷惑でしたか?」
小鳥「そ、そんなことありませんよ! じゃあどこに行くかさっそく決めませんか」
P「あ、それならちょうど美味しい処を知ってるんで」
小鳥「いいですね! 私、帰る準備するんで少し待ってて下さい」
P「解りました。急がなくて大丈夫ですんで」
なんか違うわ、すまん
小鳥「うぅ、まだ冷え込みますね~」
P「そうですね。もうすぐ春だと言うのに、まだ寒いですよ」
小鳥「とりあえず、早くお店に行きましょうよ!」
P「そうですね。じゃあタクシーを呼ぶんで」
小鳥「へぇ、こんな居酒屋があったんですね」
P「ええ。この前、社長に連れられて」
P「丁度、お座敷が開いてたみたいです」
小鳥「うわぁ、運が良かったんですね!」
P「こちらですよ」
小鳥「はい、プロデューサーさん!」
P「かんぱぁーい」
小鳥「かんぱぁーい。お疲れさまです、ふふっ」
小鳥「ゴクゴク、ぷはぁー! 美味しいですね!」
P「そうですね。ほら、このタコのから揚げとか、チーズのかりかりとか絶品ですよ」
小鳥「どれどれー。……お、美味しい!」
P「ま、こんなものはどこでも味に大差ないかもしれませんが」
小鳥「ふふ、そうかもですね」
P「ところで、最近はすごく忙しそうでしたが、本当に誘って大丈夫でしたか?」
小鳥「ええ。ちょうど明日はお休みだったんで!」
P「奇遇ですね、俺もオフなんですよ」
小鳥「最近はみんな、アイドルのお仕事がすごく忙しいですよね。プロデューサーさんも大変じゃないですか?」
P「ええそりゃもう。特に美希や、亜美と真美には手を焼かれます、はは」
小鳥「美希ちゃん、一気にやる気が出ましたよね! ハニー、とか言われて嬉しいんじゃ……」
P「ま、まさか! そんなことないですよ、本当に!」
小鳥「……うへへ」
P「……あ、あのぉ」
小鳥「はっ!?」
P「ど、どうしました音無さん?」
小鳥「い、いえいえ! べ、別に何もないですよ!」
小鳥「でも、美希ちゃん本当にすごいですよねぇ」
P「何がですか?」
小鳥「ファッション雑誌とか、いろんな場所で表紙を飾ってたりとか」
P「あいつは、そういう仕事がお似合いだから」
小鳥「それに、ライブでのトークなんてお客さんに受けがすごくいいです」
P「それに関してはやっぱり才能を感じます。そういうの、勉強して学んで、それでも普通は中々手に入れられない技術ですから」
小鳥「以前は才能があるのに頑張らない子でしたもんねぇ」
P「でも、やたらと俺に甘えてくるのは……あはは」
小鳥「そういうお年頃なのよね美希ちゃん、ふふ」
P「音無さんにもそういうの、ありました?」
小鳥「それはえーっと……トップシークレットです。なんてね」
P「ああ、貴音のものまねですか! でも、似てない……」
小鳥「えぇっ!?」ピヨッ!
小鳥「貴音ちゃんは、最近ドラマに出てるんでしたっけ?」
P「そうですよ」
小鳥「貴音ちゃんは、歌声もなんだか色っぽいしうらやましいなぁ」
P「でも、あのラーメン好きはどうにかしたいですね」
小鳥「いいんじゃないですか、それくらいなら」
P「いやいや。なにしろあいつ、お昼にカップラーメンを2個も食おうとしてたんですよ?」
小鳥「あー」
P「それで、貴音に『アイドルなんだからそういうのばかり食べるな。肌に出るぞ』って言ったんですよ」
小鳥「プ、プロデューサーさんって意外と厳しいというか、鬼というか……。女の子にそういうの言っちゃだめだと思います」
P「まぁ、確かにそうですよね。だってあいつ、『あ、貴方様がそうおっしゃるのであれば……。こちらは、差し上げましょう……』って涙声で言ってました」
小鳥「うわぁ、貴音ちゃん……可愛い……」
小鳥「でも、女の子に肌のことを言ったらだめですからね! そういう繊細な問題は本当に重、要、なんですから!」
P「は、はいっ。反省します」
小鳥「いいでしょう。……わぁ! なすびのぬか漬けだぁ。もぐもぐ、んー! 美味しい!」ピヨピヨ
P「どれどれ」
小鳥「だーめ! 女の子に冷たいプロデューサーさんにはあげません!」
P「そんなぁ」
小鳥「……なんてね! はい、どうぞ!」
P「ありがとうございます!」
小鳥「……」
P「……」
小鳥「ふふふ」
P「ははは」
小鳥「そうそう。その貴音ちゃんの出てるドラマをですね、響ちゃんが食い入るように見てましたよ」
P「へぇ。事務所のテレビでですか?」
小鳥「そうなんですよぉ! なんかですね『貴音……これ、本当に貴音なのか……?』とかつぶやいてました」
P「そ、そのときの貴音がどういう演技をしていたのか気になるな……」
小鳥「響ちゃん、バラエティーに引っ張り凧ですもんねぇ」
P「響はいじられやすいし、突っ込みのセンスもありますからね」
小鳥「動物といっしょに出演すると本当に可愛らしいですよねぇ」
P「ところで動物好きと沖縄出身って関係あるんですかね?」
小鳥「……」
P「……」
小鳥「わかんないですねぇ」
P「イリオモテヤマネコですかねぇ」
小鳥「そういえばプロデューサーさん。美希ちゃん、貴音ちゃん、響ちゃんで何か社長とお話ししてませんでしたか?」
P「ああ。実は、この3人でユニットを組もうかなと思ってまして」
小鳥「へぇー! どういうユニットにするつもりなんですか?」
P「俺としては、ミステリアスな貴音、才能輝く美希、躍動感溢れる響、この3人を混ぜ合わせることで何かこう、新しいモノが見えるかもと思いまして」
小鳥「なるほどぉー。それはなにか見えそうかも」
P「でもまだまだ企画段階ですので、今後どうなるか解りませんけどね」
小鳥「私はいいなぁと思いますが」
P「音無さんもそう思いますか!?」
小鳥「わぁっ!?」ピヨヨッ!
P「あ、すみません。つい興奮してしまって」
小鳥「び、びっくりしたぁ。でも、こういうときのプロデューサーさんの目ってすごく輝いてて、いいなと思いますよ」
P「あはは……」
小鳥「あ、プロデューサーさん。アルコール何かいりますか?」
P「そうですね。俺は生中で」
小鳥「私もそうします! すみませ~ん!」
小鳥「牛筋がすっごく柔らかくて美味しいーっ!」
P「こっちのたまねぎのスライスも捨て難いですよ」
小鳥「うまうま」ピィ♪
P「音無さんって本当においしそうに食べますね」
小鳥「最近は美味しいものに目がないんですよぉ。でも……体重が……」
P「……そ、そういえば今日は千早のレコーディングでした!」
小鳥「あからさまに話題を変えなくてもいいですよぉー……」
P「うっ」
P「千早、近頃はすごく楽しそうに歌えていて、変わったなぁと思いませんか」
小鳥「あっ、それ私も思いました!」
P「あのライブでの出来事は本当にあいつを変えたんだと思います」
小鳥「そうですよね。乗り越えるってすごいですね」
P「はい」
小鳥「そういえば、以前……もじぴ」
メールダヨ
小鳥「あ、すみません」メルメル
P「ええ構いませんよ」
小鳥「えーっと……<千早:あの歌のこと、プロデューサーには秘密にしていてください>」
小鳥「(千早ちゃんってエスパーっ!?)」ガタッ
P「……?」
小鳥「べ、別になにもないですよー?」
P「それならいいんですが」
小鳥「そういえば、やよいちゃんがこの前『うっうー! 今日はもやしの特売日なので早めにかえらせていただきますー!』って言ってました」
P「売れっ子になっても特売日を気にしているのかあいつは……」
小鳥「でも、それがやよいちゃんらしくっていいじゃないですか?」
P「確かにそう言われてみればそうかもしれませんね。やよいは基本的に良い子ですから」
小鳥「弟君たちも元気って言ってました」
P「あいつの家族は本当に仲良しだからなぁ。やよいの元気がそうさせてるんですかね」
小鳥「そうかもしれませんね。やよいちゃん、いっつも家族のこと大切に思ってますもんねぇ」
小鳥「あ、いま流れている曲って!」
P「おお、これは竜宮小町の曲ですね」
小鳥「律子さん、竜宮小町のプロデュースにすっごく熱入れてますもんねー」
P「確かに。そろそろ律子も休んだほうが良いと思うんですけどね」
小鳥「でも律子さんの性格だと体調管理もしっかりとしてそうですよね」
P「そうかもしれません、あはは」
小鳥「それにしても竜宮小町もすっかり有名になっちゃいましたね!」
P「最初のうちはこっちが焦るくらいでしたよ」
小鳥「そうでしたね」
P「あの頃は俺もまだまだでした」
小鳥「それに、竜宮小町のリーダー。伊織ちゃんも今じゃレギュラー番組まで持ってますもんね」
P「あいつの努力の賜物です」
小鳥「そう言えば知ってますか? 最初のライブのとき、台風の影響が出て」
P「あー。あのときですね。あのライブは本当に冷や冷やしました」
小鳥「……実は、遅刻した車の中で伊織ちゃん、泣いてたんですよぉー!」
P「ほ、本当ですか? あの伊織が……。まぁ、伊織の性格なら」
小鳥「亜美ちゃんに聞いたんですよ。やっぱ、すっごく悔しくて、情けなかったんでしょうね」
P「伊織は何も悪くないのにな。でも、そういうところがあいつの良い所でもあるのかもしれないですね」
小鳥「ツンデレですね!」
P「は、はい?」
小鳥「い、今の発言は忘れてくださいぃ……」
小鳥「それに、あずささんも最近は迷子に」
P「なってます」
小鳥「え?」
P「この前、俺が迷子になったあずささんを迎えに行きました。それも××まで」
小鳥「うえええ!?」
P「……あの方向音痴はどうにかなりませんか」
小鳥「あ、ああ、プロデューサーさんが頭を抱えちゃった」
P「迎えに行くこっちの……身にも……」
小鳥「ま、まぁまぁプロデューサーさん。落ち着いて」
P「……そうですね。せっかくのお酒が勿体ないです! 飲みましょう音無さん!」
小鳥「は、はいっ!」
P「生中追加ぁ!!」
小鳥「ひえぇー、落ち着いてプロデューサーさん」
P「と、とにかく! そうそう、ついでで思い出しましたが、亜美と真美も手を焼かされてます!」
小鳥「あ、そういえばさっきも言ってましたもんね」
P「そうなんですよ。この前なんて、事務所で過眠している間に……」
小鳥「ぷっ」
P「音無さん?」
小鳥「い、いえ……くくっ、あの……アレですよね? ぷぷっ、おでこに……お肉」
P「し、知ってたんですか!?」
小鳥「あの子たちからメールで、ふふっ」
P「あーいーつーらー!」
小鳥「でもまぁ、いつも通りでいいじゃないですか」
P「……ごくごく、ぷはぁー! 幸い、水性のペンだったんですぐに消せましたが」
小鳥「本気で嫌がることはしない、あの子たちも考えてるんですねぇ」
P「そういうところで知恵を働かせて欲しくないですねっ!」
小鳥「ふふ、いいじゃないですか」
小鳥「あ、私も生中追加でお願いしますー!」
小鳥「そうそう、ところで雪歩ちゃんと真ちゃんはどうですか? 最近は舞台の練習でしたっけ?」
P「そうなんです。確か、真が王子様で、雪歩がお姫さまって感じですね」
小鳥「へぇー。真ちゃん、何か言ってました?」
P「そうですねぇー。『またこんな役なんですかぁー!? もっと僕にも、ふりふりお姫さまーって感じの役を下さいよー!』って」
小鳥「あら、やっぱり」
P「でも、舞台稽古を見るとすごく役にはまってましたけど。むしろ、これぞほんとの役不足、って感じがするくらいでしたね」
小鳥「あー、知ってますよそれ。役不足の意味って、一般的に受け入れられているものと違うんですよねぇ」
P「あはは、そうなんです。知ってましたか」
P「それと、雪歩のほうは真よりも舞台慣れしている感じがしましたね」
小鳥「そういえば雪歩ちゃん、前から舞台の経験ありましたもんね」
P「はい。それに、相手役が真ってことで気合とかテンションが違うみたいで」
小鳥「なんだか想像できますね」
P「でもまぁ、雪歩ってライブとか舞台では本当に人が変わったと思えるくらい、何と言うか……活発的、って言ったらいいんでしょうかね?」
小鳥「そうなんですよ! 雪歩ちゃん、日頃はあんなに大人しいのに」
P「舞台には魔物が住む、と言われますが。あいつはその魔物をむしろ追い払っちゃってますよ」
小鳥「それはすごいです!」
P「あれも一つの才能かもしれないですね」
小鳥「雪歩ちゃん、本人が言うほどだめだめじゃないのになぁ」
P「いち早くそれに気付いて欲しいもんですねぇ」
P「あ、お茶漬けと熱いお茶をお願いしまぁす!」
小鳥「おお、そろそろ〆に入りますか!」
P「ええ。お互い、明日はお休みでもそろそろ休まないとしんどいでしょ?」
小鳥「そうですね、ふふ」
P「そういえば知ってますか? 春香のシングルがオリコンで初週1位になりました」
小鳥「こう言うのもなんですが、一番アイドルらしいって感じの活動をしているのが春香ちゃんですね」
P「歌が下手だったあの頃を思い出すと、オリコン1位ってすごいと思いませんか」
小鳥「それ言っちゃいますか……」
P「あ、つい。嬉しくて」
小鳥「でも、本当にすごいですよね。それだけ努力したってことなんですから」
P「ここだけの話し、あいつの歌を初めて聞いたときはどうしようかと思いましたよ……はは」
小鳥「レッスン、本当にすっごく頑張ってましたよね」
P「うんうん、本当に感慨深いものがあります」
小鳥「……私も、頑張らなきゃなぁ」
P「どうしました?」
小鳥「い、いえいえ! なんでもありません!」
P「お、お茶漬けきたきた」
小鳥「ずず……はぁ。プロデューサーさんは梅ですかぁ。ちなみに私はシャケです!」ピヨ
P「さてと、そろそろ帰りますか」
小鳥「うぅ、やっぱり外は寒いですねー……」
P「ところで音無さん」
小鳥「はい」
P「家まで送りましょうか?」
小鳥「……んー。えっと、お任せします」
P「じゃあ送りますね。こんな夜中、女性一人ってのは危ないですもんね」
小鳥「じゃあお願いしますプロデューサーさん」
P「また、いっしょにお酒を飲みましょう」
小鳥「そうですね。また事務所の子たちのお話とかしたいですよね」
P「はい。お願いします」
小鳥「ふふ、そんなかしこまらなくてもいいじゃないんですか?」
P「あ、いえ、つい」
小鳥「ところで……」
P「はい」
小鳥「……な、なんでもないですよ!」
P「なんですかそれ。何かあれば」
小鳥「いえいえ! そろそろ眠たいので、この辺りで!」
P「えーっと、はい。おやすみなさい」
小鳥「……はぁ。せっかくのチャンスだったのになぁ」
小鳥「まぁいっか。今度またいっしょにお酒飲みにいけるかもしれないもの!」
小鳥「頑張れ、頑張るのよ小鳥っ!」
お、わ、り
アイマスSSは難しいぞ、上手に書ける人は本当にすごいって思うな!!
酒のみてー!
お茶漬け食べたくなった
明日は昼から酒飲むか
Entry ⇒ 2012.04.11 | Category ⇒ アイマスSS | Comments (0) | Trackbacks (0)
結衣「……」 あかり「……」
http://hayabusa.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1333569468/
あかり「……」
結衣「……」
あかり「……」
結衣「……」
あかり「……」
結衣「……」
あかり「……」
あかり「へぷちっ!」
あかり「……」ブルブル
結衣「やっぱり寒いよな、まだ雪も降ってるし」
結衣「……」ギュッ
あかり「ん……」
あかり「……ぇへへ」zzz
結衣「……ふふ」
結衣「まいった、なんでこんなことになったんだか」
結衣「にしてもひどい有様だよ、こんなに持ってきてたとは」
あかり「ふふ、物置を整理したらいろいろ出てきたね」
結衣「野球のグローブ、バドミントンの道具一式、サッカーボール」
あかり「ゆ、結衣ちゃんこんなのも……」ゴソゴソ
結衣「な、投げやり!?」
あかり「えへへ、これであかりも投げやり選手だよぉ!」スッ
結衣「お、おいコラ、こっち向けるなって!!」
あかり「……なんちゃって」
結衣「……シャレにならないから、ホント」
あかり「あはは、それしか考えらないよね……」
結衣「体育用具の物置ってまだ開いてるよな」
あかり「うん、まだ部活もやってるだろうし」
結衣「そっか、ならこの道具一式を元の場所に戻してこようかな」
あかり「……」ヌクヌク
結衣「おこたで暖まってないであかりも手伝うの」
あかり「はーい……」モソモソ
あかり「……」
あかり「野球をこなしつつ、サッカーが好きで、かつ投げやりにも興味がありそう」
あかり「それでいてちょっとミステリアスで、大人びてて女の子にモテそう」
あかり「後輩の面倒見が良くて、家庭的で、ツッコミのキレがあって」
あかり「……そんなどこにでもいそうな可愛い女の子かなぁ」
結衣「……」
結衣「そりゃどうも、あかりも可愛いよ」
あかり「……ぇへへ」
結衣「そうだな、このサッカーボールお願いしようかな」スッ
あかり「おっけー、でもどうして京子ちゃんこんなに……」
結衣「アイツは犬だからな、興味があればなんでも持ってくるよ」
結衣「おおかた持ってくるだけ持ってきて、飽きたんだろうね」
あかり「えへへ、京子ちゃんってわんわんだったんだぁ」
結衣「い、いや冗談だからな、真に受けるなよ」
あかり「ちょっとボケてみるとこれだよぉ……」
結衣「……あかりがボケると本気に聞こえるんだよね」
あかり「でももうすっかり暗くなってきちゃった」
結衣「そうだなぁ、人もまばらになってきたし」
あかり「はやいとこあかりたちも帰った方がいいかもね」
結衣「うんうん、よっと……」ガラッ
あかり「うわぁ結構広いんだねこの倉庫って」
結衣「奥まで行ったら外からは見えないくらい広いな」
あかり「ぇへへ、外から閉じ込められないようにしないとね!」
結衣「まさか、漫画じゃあるまいしそんなことあるワケないって」ゴソゴソ
あかり「あははそうだよね、漫画でも使い古されたネタだし」
結衣「おーい、早く済ませて帰るんだろ?」
あかり「でもでも、マットを見たらやらずにはいられないよね」
結衣「いや、べつに」ゴソゴソ
あかり「むー……」
あかり「結衣ちゃんってさ、あかりに冷たいよね」ジトッ
結衣「へっ?どうしたんだよ急にそんなこと言って」
あかり「べっつにー……」
あかり「ううん、絶対冷たいと思うよ」
結衣「そうかなぁ、この間だってみんなと遊びに来たじゃん」
あかり「結衣ちゃんのお家に?」
結衣「そうそう、冷たいなら一緒に遊ぶこともないだろ」ゴソゴソ
あかり「それはそうだけど……」
あかり「でもでも、あかりは結衣ちゃんと2人っきりで遊んだことないよ」
結衣「……」
結衣「そうだ、あかりってさ犬とネコどっちが好き?」
あかり「そ、その話題逸らしは露骨すぎるよぉ……」
結衣「あ、しっかり答えてくれるんだ」
あかり「うん答えたから、次は結衣ちゃんの番だよ」
あかり「あかりは結衣ちゃんと2人で遊んだことがないよね?」
結衣「ま、まぁそうだな」
あかり「あかりから目を逸らさないでよぉ……」
あかり「京子ちゃんはお泊りしてるし、ちなつちゃんとだって映画に行ったよね……」ユサユサ
結衣「ユサユサしないでー……」
あかり「うんうん、幼馴染みなのに!」
結衣「……」
結衣「なら今度2人で映画見に行って」
あかり「……!」
結衣「そのまま私の家にお泊りでもしにおいでよ」
あかり「ほ、ほんとにいいの!?」
結衣「いや別にいいだろ、気にする仲でもないし」
あかり「わんわんのパジャマでお泊りしてもいいの!?」
結衣「わんわんでもにゃんにゃんでもトメイトでもなんでもいいから」
あかり「えへへ……」ニコニコ
向日葵「しゃんと歩きなさいな、猫背だと育つものも育ちませんわよ」
櫻子「うそっ!」
櫻子「背をピシッとすれば私もおっぱいが育つの!?」
向日葵「ま、まぁ多分……」
櫻子「むふふ、いいこと聞いちゃった」
櫻子「敵にグラニュー糖を送るとはまさにこのことよなぁ、向日葵」
向日葵「上杉謙信が武田信玄にグラニュー糖を送るとは、なかなかシュールな光景ですわね」
櫻子「……??」
向日葵「はぁ、もっと勉強しなきゃ一緒の高校行けませんわよ櫻子」
櫻子「むしろ困るのは向日葵なんじゃないの!」
向日葵「そうですわね、櫻子が側にいないと困りますもの」
櫻子「へぁっ!?」
向日葵「ほらほら、照れてないで体育倉庫の戸締りお願いしますわ」
櫻子「てっ、照れてなんかねーよ、ばかばかばーか!」
向日葵「(撫子さんからあのバカをよろしく頼むよ、ひま子って)」
向日葵「(土下座までされたら見殺しにされるワケにもいきませんものね)」
櫻子「……なんだよ、調子狂うな向日葵のやつ」
櫻子「ふふ~ん♪」ガチャガチャ
結衣「はいはい、私はウソついたりしないから」
あかり「夕飯は結衣ちゃんのオムライスでお願いします!」
結衣「あはは分かったよ、そんなにオムライス好き?」
あかり「お、オムライスが好きっていうより」ゴニョゴニョ
結衣「うん?」
あかり「ぇへへ、結衣ちゃんのオムライスが好きというか」
結衣「あ、そ」
あかり「ふふ、結衣ちゃん顔ちょっと赤いよぉ」
結衣「うるさいなぁ、ほらさっさと帰るよ」
あかり「うんっ!」
あかり「ふふ、結衣ちゃんって結構顔に出ちゃうタイプだよね」
結衣「……うるさいうるさいうるさい」グイグイ
あかり「むわーん、お団子だけは引っ張らないでぇ!」
結衣「オムライスに唐辛子ごっそり入れてやる」
あかり「さ、さらっと恐ろしいこと言わないでよぉ!」
結衣「ふんっ、今のはあかりが悪い」
あかり「えへへ、ごめんね結衣ちゃん」ニコッ
結衣「……まぁいいけど、あかりも楽しそうだし」ガチャガチャッ
結衣「あ、あれドアが開かない」
あかり「え?」
あかり「あわわわわわわ……」
結衣「な、なぁあかり、体育倉庫って外から南京錠かけるんだよな」
あかり「う、うん……」
結衣「……」
結衣「誰か、誰かいないんですか!!中にまだいます!!」ガンガン
結衣「……まずい、ほんとに大ピンチだぞ」
結衣「なんだよ、私たちがいったいなにしたっていうんだよ……」ガンッ
あかり「……」ビクッ
結衣「あ……ゴメンあかり、ちょっと取り乱しちゃった」
あかり「ううん、しょうがないよこんな状況だもん」
あかり「あ、う、ゴメンね……カバンに入れっぱなしで」
結衣「そっか、私もカバンにあるんだった……」
結衣「……」
あかり「ゆ、結衣ちゃんあかりたちどうなっちゃうの……?」グスッ
結衣「あかり……」
結衣「大丈夫だよ、絶対にすぐここから出れるさ」ナデナデ
あかり「んっ……ぇへへ、やっぱりおやびんは頼りになるなぁ」
結衣「ふふ、おやびんか、懐かしい響きだね」
あかり「ほんとだね、なんか暖かくてぽかぽかして不思議な気持ちだよぉ」ギュッ
結衣「そうだな……」
結衣「えぇ、もういいよそのノリ」
あかり「っ……」ジワッ
結衣「あ、あぁもう、分かったよ分かったから泣くなって」
結衣「……こほん」
結衣「よ、よーし、あかり隊員は偵察を頼んだ、くまなくこの部屋を――」
あかり「ノリがいい結衣ちゃん可愛いなぁ……」
結衣「……」グイグイ
あかり「お、お団子引っ張るのだけは堪忍しなすってぇ!!」
結衣「あ、あかりがやれって、だからこの歳になってこんなセリフ!!」グイグイ
あかり「むわーん!」
あかり「うぅ、髪の毛ぴょんぴょん跳ねちゃってるよぉ」
結衣「悪かったよ、ほらこっちおいで」
結衣「櫛があるからさ、髪の毛整えてあげる」
あかり「ほんとに?もういじわるしない?」
結衣「しないよー、ほらちっちっちー」
あかり「ぇへへ、いつもの優しい結衣ちゃんの顔だね」ポスン
結衣「ていうかちょっかい出してきたのあかりのほうだし」
結衣「……」スッス
あかり「……ぇへへ」
あかり「~♪」
結衣「あかりっていい匂いするよね、シャンプーなに使ってるの?」
あかり「えへへ、秘密かなぁ」
結衣「こらこら、もったいぶるようなことでもないだろ」ムニムニ
あかり「ほっへのばひゃないへー……」
あかり「えっと、あかりのお家は確かね……」
あかり「なもりって会社が出してる百合姫リットっていうの使ってるんだぁ」
結衣「あれ、私が使ってるのと同じだね」
結衣「……はい、おしまいだよ、お疲れ様」
あかり「……」スンスン
結衣「ちょ、ちょっとくすぐったいよあかり……」
あかり「そうかなぁ、結衣ちゃんもいい匂いするよ?」ギュッ
結衣「ほんと?」
あかり「ぇへへ、ちょっとくせになっちゃうかも」スンスン
結衣「……」
結衣「くせになるってさ、なんか嬉しくない言い回しだよ」
あかり「あ、いや、くせになるというか、いつまでも嗅いでいたいというか」
あかり「……ぇへへ」
結衣「ふふ、まぁいいか」
あかり「あかりたち、ちょっとした遭難者だもんね」
結衣「ほんと学校で遭難するとは思わなかったよ」
結衣「……さてと、携帯もないしもう下校時間は過ぎちゃったし」
結衣「お、あかり、あそこの小窓から抜けれそうじゃないか?」
あかり「跳び箱のすぐ近くにある小窓のこと?」
結衣「うんうん、ちょっとあかり試してみてよ」
あかり「おっけー、……ちょっと跳び箱の上で恥ずかしい恰好になっちゃうかも」
結衣「私しかいないから大丈夫だって」
あかり「……う、うん」
結衣「どうかな、ちょっと小さい?」
あかり「うーんやっぱり無理だよぉ、あかりの頭入らないもん」
あかり「……」ピラッ
結衣「……!」
結衣「くらげ柄……」
あかり「くらげ?」
結衣「あ、いやちょっとこっちの話です、うん」
あかり「ど、どうして結衣ちゃんが顔赤くしてるの?」
あかり「あっ、く、くらげってまさか結衣ちゃん……!」
結衣「やば……」
結衣「な、なんで私がそんな風になるんだよ!?」
結衣「だいたい、そんなスカートの丈上げて跳び箱で四つん這いになんかなるから」
結衣「……し、下着が見えちゃうんだろ」ゴニョゴニョ
あかり「……」
あかり「……」プルプル
あかり「ゆ、結衣ちゃんのばかぁ!!」
あかり「結衣ちゃんのえっち、変態、むっつり、すけべ、ええーっと、おませさん!!」
あかり「もう結衣ちゃんなんか知らないもん!」
結衣「……知らないって、どこ行くつもりだよ」
あかり「うっ……」
結衣「は、はぁ?」
あかり「ぜーったいに入ってこないでね、変態さんが移っちゃうから」プイッ
結衣「むかっ……!」
結衣「あぁそうか、そっちがそういうつもりなら」
結衣「……もうあかりとは絶対に遊んであげない」
あかり「え……」ジワッ
結衣「あかりとは絶交だ、これなら変態さんも移らないだろ」
あかり「……いいもん、結衣ちゃんなんか知らないもん」グスッ
結衣「……」
あかり「……」
あかり「……」グスッ
結衣「……」
あかり「……」グスッ
結衣「……」
あかり「……」
結衣「……」
あかり「……」グスグスッ
あかり「……」
結衣「ねえあかり、私が悪かったよ」
あかり「ゆ、結衣ちゃんなんてもう知らない……」
結衣「1人だと寒いだろ、2人でくっ付けば温かいかもしれないよ?」
あかり「あ、あかりは別に寒くなんてないもん」
あかり「……へぷちっ!」
結衣「……」
結衣「私が寒いからさ、お願いだからくっ付いてくれないか」
あかり「……」ズビッ
あかり「……へぷちっ!」
結衣「分かってるよ、私がお願いしたんだからね」
結衣「……素直に聞いてくれるなんて、あかりはやっぱり素直でいい子だね」
あかり「い、いい子なんかじゃないよあかりは」
結衣「ううんそんなことないよ」
結衣「……ほら、ひざの間に座ってくれるかな」
あかり「……」チョコン
あかり「だっ、だってね、あかりは結衣ちゃんにいっぱい悪口……」グスッ
結衣「……あかり、体冷え切ってる」ギュッ
あかり「あっ、ゆ、結衣ちゃんのダウン……」
あかり「で、でもこんなことしたら結衣ちゃんが寒くなっちゃう……」グスッ
結衣「おやびんは大人だから寒くないの」
結衣「……それにちょうどいい抱き枕があるからね」ギュッ
あかり「……」
あかり「う、うぅ……うわぁあああああ……」ポロポロ
結衣「あ、あかり、なにも泣くことないだろ」
あかり「だっだって、ぜっこうって、ゆいちゃん、ぜっこうって」グスッ
結衣「冗談だよ、ちょっと大人気なかったよ私も」ギュッ
あかり「……ぇへへ、ひっく」
あかり「んーん、絶交するつもりがあったらこんなに密着しないもんねぇ」
結衣「い、いまは寒いから仕方なく密着してるだけ」ギュッ
あかり「ふふふ、結衣ちゃんも素直じゃないんだから」
あかり「……結衣ちゃん、あかりが手を握っててあげるね」ギュッ
あかり「これなら手はぽかぽかするでしょ?」
結衣「あぁ、ありがとな」
あかり「……結衣ちゃんは怖くない?」
結衣「まぁ怖いって言えば正直怖いよ、もしかしたらこのまま誰も気づかないかもしれないし」
あかり「……そっかぁ」
あかり「ぇへへ、苦しいよぉ」
結衣「……1人だったらたぶん泣いてたかも」
あかり「えっ、結衣ちゃんも泣いちゃうものなの?」
結衣「そりゃあ私だって泣くことくらいはあるよ」
結衣「玉ねぎ切ってる時とか、ナモクエでセーブし忘れた時とかさ」
あかり「むー……そういう泣くじゃなくて」
結衣「冗談だよ、おやびんは大人だから泣いたりしません」ギュッー
あかり「えーほんとに?」
結衣「ふふ、ほんとにほんとだよ」
結衣「……」ナデナデ
あかり「ぇへへ、いい匂いもするし、オムライスも上手だし」
あかり「きっといいお嫁さんになるよ、あかりが保証してあげる」
結衣「そ、そりゃどうも、お相手は誰だろうね」
あかり「んー……えへへ」
結衣「くすっ、なんだよその間の抜けた顔は」
あかり「相手は誰かなぁ……」
結衣「誰だろうねぇ……」ギュッ
あかり「……すぅ」zzz
結衣「ふふ、寝付くだけ私を信頼してくれてるってことなのかな」
結衣「……」ギュッ
あかり「……」
結衣「(いま何時くらいなんだろう、そろそろ暗くなってきた)」
結衣「(……寒い、もう指先の感覚が鈍ってきた)」ギュッ
結衣「(本当にここから出れるのかな、今日は金曜日だから……)」
結衣「(もしかしたら、明日も明後日もずーっとこのままとか)」
結衣「(……そ、そんなのいやだ)」
結衣「(暗いよ、怖い、寒い、お腹空いた……)」
結衣「おかーさん、おとうさん……」グスッ
結衣「……だっ、だって」グスッ
結衣「泣いたら京子やあかりたちが怖がっちゃうもんな」
結衣「わたしはっ、みんなのおやびんだから……」ギュッ
結衣「怖いよ、たすけて……」
結衣「うっ……」グスッ
結衣「ひっく……」ポロポロ
あかり「んへへ」
あかり「ゆいちゃんが、いるからへいきだよぉ……」zzz
結衣「ぷっははは、なんだよその寝言は」ギュッ
結衣「……もう大丈夫だよあかり、ちょっと泣けたからさ、スッキリした」
結衣「でもここって確か人がいると自動で付くハズなんだけど」
結衣「……けほっ」
結衣「……喉痛い、悪寒もする」
あかり「……」zzz
結衣「ゴメンなあかり、私もちょっと眠くなってきちゃった」ギュッ
結衣「……」パタッ
ピカッ
結衣「あ、れ、なんでいまごろ電気付いて……」
結衣「……」zzz
千歳「せやなぁ、年度の変わり目だしなおさらやね」
綾乃「……千歳、べつに無理しなくてもいいのよ?」
綾乃「私は好きだから生徒会やってるけど、その、ここまで付き合ってもらわなくても」
千歳「ええんよ、ウチも好きでやってることだから」
千歳「綾乃ちゃんの力になれればな、それでオールオーケーなんよ」
綾乃「そう……ふふ、私は幸せ者なのね」
千歳「なんやみょうに素直やなぁ、歳納さんの前でもそうなれればええのにね」
綾乃「なっ、なぁ!!」
千歳「あはは……おやおや、体育倉庫まだ電気付いてるで」
綾乃「あらホントね……」
千歳「うふふ、ネコでも紛れ込んでるかもなぁ」
綾乃「ネコ、ネコはいいわね、とっても可愛いわ!」
千歳「にしても夜の学校だけはウチ苦手やわー」ブルブル
綾乃「うふふ、怖かったら私にしがみついてもいいのよ」
綾乃「……」ブルブル
千歳「ホンマかわええなぁ綾乃ちゃんは」
綾乃「ちっ、違うわよ、これは武者震い!」
綾乃「……はぁ、どうせ照明が壊れて誤作動してるのよ」ガチャガチャ
綾乃「……さっさと電気消して帰りましょー、雲南省」ガララッ
結衣「げほっ、はぁはぁ……」
あかり「結衣ちゃん、結衣ちゃんしっかりして!」
綾乃「ちょ、ちょっと船見さんに赤座さんいったいどうしたのよ!?」
千歳「これは……ウチら邪魔したんとちゃうん?」
千歳「船見さん×赤座さんとは盲点やった……」メモメモ
あかり「ち、違うんです先輩方!」
あかり「あの、実は体育倉庫に今まで閉じ込められてたんです……」
綾乃「こ、こんな寒い中……」
結衣「……げほっ」
結衣「あやの、ちとせ、ごめんね……」
綾乃「何言ってるのよ船見さん、私たちが来たからには安心アンコールワットよ!」
綾乃「心配はノンノンノートルダムの、ファイトファイトファイファイビーチなんだから!」
結衣「っ~~~~~!」
結衣「げほっ、ぷっ、ふっふう、げほっ、げほっ!」ピクピク
千歳「ちょ、ちょっと綾乃ちゃんそれ以上喋ったら船見さん息ができへんよー」
あかり「メソメソメソポタミア」
結衣「……」
綾乃「あら、大人しくなったわ」
綾乃「ふ、船見さん、ほんとに歩いて帰れるの?」
結衣「いや正直辛いけど、綾乃といたら窒息死しそうだから……」
綾乃「へっ?」
あかり「大丈夫です、あかりがしっかりお家まで送っていきますから!」
結衣「……あかり」
千歳「……うふふ」
千歳「船見さんと赤座さん、ほんまええコンビやわー」
結衣「2人とも命の恩人だよ、埋め合わせは必ずするからね」
綾乃「そっ、それじゃあ新しいダジャレ考えたからぜひ聞いて――」
結衣「か、帰ろうあかり、綾乃、千歳ばいばい!」
綾乃「な、なんでよぉ……」グスッ
結衣「げほっ、あぁ、あかり……」
結衣「わざわざありがとね、今日はもうタクシーでも呼んでおくから」
結衣「タクシー代も心配しなくていいからね」ニコッ
あかり「……」
あかり「……結衣ちゃんのバカ、こんなにフラフラなのに」ツン
結衣「あう、急に押すなぁ……」フラフラ
あかり「今日はあかり看病してあげるから、早くパジャマに着替えて?」
結衣「で、でも……」
あかり「いいから、早く着替えるの!」
結衣「わ、分かったって」
ガラッ
結衣「わっ、わっ、いま着替え中だから!」
あかり「……」
あかり「め、目を閉じてるから大丈夫だよぉ」
結衣「……ホントかよ」イソイソ
結衣「やっぱり変かなぁあんな下着付けてて……」
あかり「へ、変なんかじゃないよ!縞々似合ってた――」
結衣「やっぱり見てたんじゃないか……」
あかり「……ぇへへ、お互いさまだよぉ」
あかり「し、しらないよぉ、はいあーん……」
結衣「ま、まぁいいけど」モグモグ
結衣「……」
あかり「……」ワクワク
結衣「う、ま、まぁまぁだな、悪くはないよ」
あかり「えぇ、今うまいって言いかけたよね!」
結衣「言ってない、言ってないから早く食べさせて」
あかり「だーめ、美味しいって言わないと食べさせてあげないんだから」
結衣「う……」
結衣「……」
結衣「あかりのおかゆは世界で一番美味しいよ」
あかり「……!」
結衣「きっとあかりが私のことを想って作ってくれたんだろうね」
結衣「いつも私と仲良くしてくれてありがとう、大好きだよあかり」ニコッ
あかり「ふぇっ、なっ、あぅ、や、そこまで言ってとは……」モジモジ
あかり「あ、あかりも結衣ちゃん大好きだよ!」
結衣「そりゃどうも、早く食べさせて?」
あかり「う、うんもちろんだよぉ、あーん……」
結衣「あーん……(押しに弱いってホント可愛いな)」
あかり「……ぇへへ」
あかり「……」ポー
結衣「あかり、私の顔になにか付いてる?」
あかり「あ、えっと、目と鼻と口が付いてる……」
結衣「……」
結衣「まぁ、そりゃそうだろうな」
結衣「……さてと食後にクスリでも飲もうかな」スッ
あかり「あっ、急に立ち上がっちゃダメだよ、安静にしてなきゃ」グイッ
結衣「ちょ、ちょっと急に引っ張るな――」
ドッシーン
あかり「……」ドキドキ
結衣「あ、あかり、顔赤いみたいだけど風邪移った?」
あかり「ひっ、ひゃっ、大丈夫だよぉ!」
結衣「そっかそれ聞いて安心したよ、あと手を離してくれるかな」
あかり「あ、うん……」
結衣「うんありがと、頭痛にはやっぱりナモリンかなー」ゴソゴソ
あかり「あ、あれぇ、なんかドキドキしっぱなしだよぉ……」
あかり「なんでだろう……」
あかり「あ、うん結衣ちゃんが心配だし」
結衣「いやぁ、あかりが来てくれて助かったよ」
結衣「京子は同人の〆切忙しいらしいし、ちなつちゃんはお家の用事だっけ?」
あかり「うん、お小遣いのお礼にお姉ちゃんのマッサージするとかで」
結衣「へぇ、お姉ちゃん想いなんだね」
あかり「うんうん、マッサージ……」ビクッ
あかり「ちなつちゃんのマッサージ、ちなつちゃんのマッサージ」ビクビク
結衣「……?」
結衣「あ、それならお風呂入っておいでよパジャマも貸すから」
あかり「ぇへへ、ありがとう結衣ちゃん」
あかり「うーん、なんでドキっとしたんだろう」
あかり「あんな気持ち初めてだったから、ビックリだよぉ」
あかり「結衣ちゃんとなにか関係あるのかな……」
あかり「結衣ちゃん、結衣ちゃん……」
あかり「……」ドキドキ
あかり「な、なんでドキっとしちゃうの!?」
あかり「うぅぅ、さっぱりだよぉ……」
あかり「……」モンモン
あかり「……」
結衣「新職業にくらげ漫画家を追加……」
結衣「くらげ漫画家では触手をフルに使って、異常な連載ペースで漫画を描けるぞ!」
結衣「……なんだコレ、面白いのか?」
結衣「普通のガンナーとか魔導師でいいんだよ……」
あかり「ゆいひゃーん、おふろあがったよぉ……」フラフラ
結衣「ず、ずいぶんと長風呂だったな、のぼせちゃった?」
あかり「ちょっと、考え事しちゃってぇ……」
結衣「へぇ、あかりも考え事なんてするんだね」
あかり「むー……その言い方はちょっと失礼だよぉ」
あかり「そうかなぁ、いまいち実感湧かないけど」
あかり「あ、結衣ちゃんはお風呂入らなくていいの?」
結衣「うん、あかりがあっちいる間に体拭いておいたから」
結衣「風邪の時はお風呂はダメってよく聞くし」
あかり「そっか、それならもう早めに寝た方がいいかもね」
結衣「ん、歯ブラシおろしてあげるから磨いておいで」
あかり「うんっ!」トテトテ
結衣「……考え事、か」
あかり「うん、おやすみなさい」
あかり「……」
結衣「なぁあかり、考え事ってさ私と関係ある?」
あかり「か、関係……」
結衣「……正直に言ってほしいな、もしかしたら一緒に悩んで解決できるかもしれないし」
あかり「あ、あの、絶対に笑ったりしない?」
結衣「もちろんだよ、なんかあかりが苦しそうな顔してて私も辛いからさ」
結衣「……真剣に悩んでるあかりのこと笑ったりはしないよ」
あかり「……あのね」
あかり「よく分からないけど、結衣ちゃんのこと考えると胸が――」
結衣「そっか、だいたいは分かったよ」
結衣「よく分からないけど、私のことを考えると胸が苦しくなって」
結衣「顔が熱くなっちゃって、ドキドキしちゃうんだね」
あかり「……ふぅ」
あかり「いまもけっこう、ドキドキで息も苦しいと言うか……」
あかり「あかりね、こんな気持ち生まれて初めてだから」
あかり「……なんかどうしたらいいか分からなくて」
結衣「……まぁ、単刀直入に言うとあかりは私のこと好きなんだろうね」
あかり「すっ好き!?」
結衣「な、なんだその例えは」
あかり「ゆ、結衣ちゃんが好き?あかりが?」
あかり「で、でもでもあかりたち女の子どうしだよ!?」
結衣「べつに女の子と女の子でもおかしくはないと思うけどなぁ」
あかり「……あ、そうなんだぁ」
あかり「……ぇへへ、好き、好き好き、すーき」クネクネ
あかり「てことは、ちなつちゃんの結衣ちゃんが好きってそういうことだったんだぁ」
結衣「……あかり?」
あかり「あ、その、えっと……」
結衣「……はぁ?」
あかり「こ、このお話の続きはまたあとで!」
あかり「おやすみなさい!」モフッ
結衣「あ、ちょっと、なんなんだよもう……」
結衣「私以上のヘタレだなあかりは」
結衣「……」
結衣「私はどうなんだろうな……」
結衣「おやすみ、あかり」
ちなつ「どうしたのあかりちゃん、急に家に飛び込んできて?」
あかり「あ、あのね、ちょっとちなつちゃんにお話ししたいことがあって!」
ちなつ「ふふふ、あかりちゃんがそんな必死になるなんて珍しいね」
ちなつ「いまお茶でも持ってくるから――」
あかり「お、お茶はいいよちなつちゃん!」
あかり「い、今すぐあかりはちなつちゃんに謝らないといけないから……」
ちなつ「あかりちゃんが私に謝る……?」
あかり「う、うん……」
ちなつ「分かったよあかりちゃん、どんなことでも私は驚かないから」
あかり「……」
ちなつ「うんうん、結衣先輩一筋!」
あかり「あ、あ、あか、あかり、あか、ああああ……」
ちなつ「ちょ、ちょっと落ち着いてよあかりちゃん!」
あかり「あかりはちなつちゃんのこと応援するって言ったけど」
ちなつ「うんうん、写真とかいっぱいくれたよね」
あかり「そ、そのね……」
あかり「あ、あかりも結衣ちゃんのことが」
あかり「あかりも結衣ちゃんのこと好きになっちゃったの!!」
ちなつ「……!」
あかり「ご、ごめんねちなつちゃん……」
あかり「あかり、応援するって、いったのにっ」ポロポロ
ちなつ「……」
ちなつ「確かにちょっとびっくりしたけど、別に謝ることはないんじゃない?」
あかり「へっ?」
ちなつ「誰かを好きになるなんて自由だし、それに……」
ちなつ「結衣先輩を好きになるのはしょうがないよっ♪」
ちなつ「だってだって、あんなにカッコイイんだもん!」キラキラ
ちなつ「ねえ見てみてこの結衣先輩の写真、こっそり撮ったんだけど――」
あかり「そ、それは盗撮だよぉちなつちゃん……」
あかり「ええっとあかりは……」
あかり「スポーツタオルで汗をぬぐう結衣ちゃんも捨てがたいけど……」
あかり「ぇへへ、やっぱりこのエプロン姿の結衣ちゃんかなぁ」
ちなつ「……あかりちゃん、全然分かってない!」
あかり「そ、そうかなぁ……」
ちなつ「私はコレね、この部室で撮った居眠りしてる結衣先輩の写真」
ちなつ「あんなに普段キリっとした結衣先輩が見せる」
ちなつ「……この赤子みたいに安心しきった顔」
ちなつ「このギャップがたまらないの!!」
あかり「な、なるほどぉ!」
ちなつ「……ふふふ、私もだよあかりちゃん」
ちなつ「結衣先輩が誰を選ぶかは分からないけど」
ちなつ「……その時は恨みっこなしだからね」ニコッ
あかり「うんっ!」
あかり「あかり、絶対に負けないもんね~」
ちなつ「むむ、私だってぜーったい負けないんだから!」
あかり「ぇへへ、それじゃまた明日学校でね」
ちなつ「ふふふ、またねー」ブンブン
ちなつ「ゆいせんぱーい、お茶入りましたよどうぞ!」
結衣「あぁ、ありがとうちなつちゃん」
あかり「あ、あの結衣ちゃん、あかりもお茶淹れたから飲んでみて?」
結衣「えっ、あぁうん、あかりもありがとう」
京子「私にもギブミーお茶くれー!」
ちなつ「はーい、いま淹れますよーっと」
結衣「お茶が2つってなんか新鮮だね……」
ちなつ「……」
あかり「……」
結衣「み、見られると飲みづらいんですけど……」
あかり「あ、あかりのお茶どうかな結衣ちゃん?」
ちなつ「わ、わたしのはどうですか!」
結衣「えっと、どっちも美味しいよありがと2人とも」
ちなつ「ゆ、結衣先輩、私最近大きくなったんですけど……」グイグイ
結衣「ちょ、ちょっと胸当たってる!」
あかり「むむむ、あかりも負けないもん……」グイグイ
結衣「ふ、2人とも落ち着いて!!」
京子「ちなちゅの胸はわたしのもんだー!!」ガバッ
結衣「いいかげんにしろー!」
おしまい!
でもちなちゅを無下にはできんかったし、でも結あか可愛いし
結あかを存分にイチャイチャさせるには京ちな先に成立させればよかったのかな
とりあえず寝る、おつ
結京も書くけど、じゃあの
Entry ⇒ 2012.04.11 | Category ⇒ ゆるゆりSS | Comments (0) | Trackbacks (0)
まどか「願望実現能力が欲しい」
http://hayabusa.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1333570784/
まどか「涼宮ハルヒと同じ、願ったことが全て即座に無償で叶うようにして」
QB「世界を作り変えるような能力だが、君にはできてしまうようだね」
QB「注意点を一つ。魔法少女から人間に戻るという願いをした場合、その能力が失われる確率が高い」
まどか「魂の形なんて割とどうでもいいよ。だから早く」
QB「・・・・・・マミやさやかに見習わせたい豪胆っぷりだね。きゅっぷい、はい叶えたよ」
QB「?」
まどか「止めないの?」
QB「鹿目まどか、君のエントロピーだけで充分僕のノルマは満たされる」
QB「それに僕が止めてもやめる気はないんだろう?」
まどか「QBの慌てる姿見たかったんだけどなぁ。あ、そうだ。ほむらちゃんが過去に戻れなくなりますように」
ほむら「う、なんだか寒気が」ゾク
まどか「私が契約したって知ったらまたループするかもしれないでしょ。だから、先手をうったの」
QB「ほむらが知ったら悲しむと思うな」
まどか「泣いたほむらちゃんを私が慰めたら、さらに私に依存してくれるようになるんじゃないかな」
QB「あれ以上を望むのかい」
QB「よかれとおもってやったことが、事態を悪化させることもあるんだよ?」
まどか「上条君と仁美ちゃんとの三角関係がさやかちゃんの悩みだよね」
まどか「だから、カップルにしてあげましょう。えい」
QB「志筑仁美が可哀想だ」
まどか「さやかちゃん×仁美ちゃんのカップルだよ?」
QB「・・・3人とも可哀想だ」
QB「放っておいてあげたらいいんじゃないかな」
まどか「私の妹にすれば色々捗るね」
QB「能力使わず普通に誘ってあげなよ」
まどか「いい返事をしてくれるように願えばいいんだね」
QB「君は人の意思をなんだと思ってるんだ」
QB「忘れてたって、君ね」
まどか「でも、蘇ってもボッチだし孤独だし家族いないし」
QB「君は僕に喧嘩を売っているのかい?」
まどか「QB、やっぱり感情あるよね?」
QB「ないよ」
まどか「私の親戚という設定で蘇らせれば、うちに引き取れるね」
QB「良いことしてくれているんだろうけど、なんか腹たつな」
QB「やめてやれ!」
まどか「だって、先生可哀想」
QB「クラスメイトの人権はどうでもいいのか!」
まどか「だって、あんまり接点無いし」
QB「これが後悔という感情か。僕は、死後地獄に落ちるかもしれない」
まどか「私はね、世界中の人を幸せにしてあげたいんだ」キラキラ
QB「余計なことしないほうがいいと思うよ。切実に」
QB「満足したかい?」
まどか「とりあえずはね」
QB「せっかくマミが復活したんだ。ちょっと会ってくるよ」
まどか「テレポートさせてあげようか?」
QB「なにか企んでそうだからけっこうです」
まどか「あ、そうだ。QBにも命の大切さを知ってもらうために、無限残機を廃止しようかと思うんだけど」
QB「お好きにどうぞ」
まどか「QB、急にノリが悪くなったね」
QB「疲れた」
マミ「QB、久しぶり。誰が私を復活させてくれたの?」
QB「鹿目まどかだよ。実は」
マミ「願望実現能力、ですって。なんて能力を発現させたの。鹿目さん、恐ろしい子」
QB「色々な意味でね」
マミ「能力名は……空想具現化<マーブルファンタズム>といった所かしら」マミィッ
QB「相変わらずだね」
QB「とりあえず、普通に生活していればいいんじゃない」
マミ「そのまま放置されたりしてねw」
QB「あっはっは、笑えない」
知久「親戚のマミちゃん、どうしよう」
絢子「部屋、足りないよな」
まどか「私が、杏子ちゃんを妹にしたばかりに」
杏子「あの、あたし出ていこうか?」
知久「それはダメだ」
絢子「知久、まどか、杏子、話がある」
まどか「てぃひひひ」
杏子「?」
知久「嬉しそうだね」
絢子「うちの社長の愛人宅を贈与された。ここより立派で広いぞ」
知久「絢子さんは運がいいね」
杏子「いや、運がいいとか悪いとかそういうレベルじゃないだろ」
まどか「杏子ちゃん、昔の格言にはこまけぇことはいいんだよという言葉があってね」
杏子「ねぇよ」
知久「結果よければ全て良し、ということでいいじゃないか。多少の蓄えはあるし、贈与税くらい払えるだろう」
まどか「ママ、素敵なお家だね」
絢子「まぁな。ただし、プールはお金がかかるから特別な時以外使用禁止」
まどか「はーい」
知久「これなら親戚の子を家に招けるね」
杏子「そういえば言ってたな。あたしたちと年は近いのかい?」
まどか「あたしたちの1つ上だよ」
杏子「ますます誰かさんを思い出すな」
杏子「三滝原在住のツインドリルじゃねーだろうな」
まどか「正解」
杏子「・・・狭い世界だな」
杏子「ん? あいつには遠い親戚しかいなくて、誰も助けてくれなかったはずだよな」
まどか「あ・・・・・・・・杏子ちゃん、細かいこと気にしちゃダメだよ」
杏子「ハイ、ワカリマシタ」
まどか「マミさん、迎えに来たよ。今日から一緒に暮らそう」
杏子「本当にマミんちだよ」
QB「鹿目まどか、佐倉杏子。ようやく来たのかい?」
キャンデロロ「ウフッ」
QB「放置しすぎ」
杏子「こいつ、魔女化してるじゃねぇか!」
まどか「豆腐よりメンタル弱いなぁ」
まどか「魔女から魔法少女に戻すためには、一回倒さないといけないの。ごめんね」
QB(嘘つけ)
杏子「ま、まぁ、人間・・・じゃなかった魔法少女に戻れたんだし良かったじゃん」
杏子「一応聞くが、なんで魔女化したんだ」
マミ「QBから、鹿目さんの家族にしてもらえるって聞いて喜んでたのにいつまで経っても来ないから」
まどか「1週間くらいしか経ってないよ・・・」
まどか(泣いてるマミさんも可愛いな)
まどか(マミさんには隠された魅力がまだまだあるかもしれない)
杏子「まどか?」
まどか「マミさんは今日から>>40」
1、今日から鹿目家の長女だよ
2、今日から鹿目家の次女だよ
3、今日から鹿目家の三女だよ
4、今日から鹿目家のメイドだよ
5、今日から鹿目家のペットだよ
杏子「え・・・」
マミ「あの、鹿目さん?」
まどか「これからはまどかって呼んでよ。マミは今日から私の家族なんだから」
マミ「え、あ、うん」
QB「狂気の沙汰だ・・・」
まどか「QBもついでに飼ってあげるよ」
QB「あ、うん」
まどか「はい、マミさんの首輪」
杏子「せめてチョーカーにしてやれよ」
まどか「そういえば杏子ちゃんってチョーカーしてないんだね。似合いそうなのに」
杏子「邪魔だ、んなもん」
まどか「つけない?」
杏子「つけない」
マミ「ドキドキ」
まどか「・・・・・・」
杏子「・・・・・・・」
まどか「そっか。なら、いいよ」
杏子「おう」
マミ「ねぇ、なんだか私と扱い違いすぎない!?」
マミ「あの、普通に家族として迎えて欲しいのだけど」
まどか「マミさんは家族だよ。大切な私の家族」
杏子「ただしペット」ボソ
マミ「せめて人間として扱って・・・・・・」
まどか「人間をペットにしちゃいけないと、誰が決めた」
QB「昔からの倫理観が決めたんだよ」
まどか「そんな理不尽覆してみせる!」
まどか「ねぇ、この子飼っていい?」キィン
マミ「」
詢子「・・・・・・・ちゃんと、まどかが世話するんだぞ」
まどか「イエッサー」
マミ「」
QB「目が死んでいる」
杏子「ま、まぁその、とにかくよろしくな。マミ」
まどか「床が汚れるから、家の中に入らないでね」
QB「容赦ないね」
杏子「ドッグフード差し入れてやるから、今日は引いておけ」
まどか「マミは家の中に居ていいからね♪」
マミ「まみぃ」
杏子「マミ、一応聞くけど日本語しゃべれるよな?」
マミ「もちろんよ」
マミ「あ、私も席についていいんだ」
杏子「床で犬食いとかだったら目も当てられないよな」
まどか「私はマミをいじめたいわけじゃないもん。可愛がりたいだけだよ」
まどか「ねぇ、今日は私がマミと一緒に寝ていい?」
詢子「杏子とたっくんと相談して決めな」
マミ「ああ、私の意思は聞いてくれないんだ」
杏子「ペットだからな」
まどか「Zzzzzzzz」
マミ「鹿目さん、もといまどかちゃん寝付いたわね」ナデナデ
マミ「こうして見ると、本当に妹みたい」
マミ「でも、現実の私はただのペット」
マミ「まどかちゃんはなんで私を姉ではなく、ペットにしたのかしら」
ほむら「ただの思いつきだと思うわ」
マミ「ビクッ」
マミ「嬉しくないわ」
ほむら「貴方は今の現状に満足している?」
ほむら「以前の孤独な生活に戻りたい?」
ほむら「貴方はここでなら皆に愛される。こうして誰かと一緒に眠ることが出来る」
マミ「ペットじゃなければ最高ね」
ほむら「食事の準備も、片付けも、全て家族がやってくれる。貴方はただ愛されるだけでいい」
マミ「ただし、人間の尊厳は得られない」
ほむら「・・・今日はやけに反論してくるわね」
マミ「当然でしょう」
マミ「当たり前よ」
まどか「・・・・・・・・・・・ごめんなさい」
マミ「起きてたの?」
まどか「話し声で目が覚めた」
まどか「マミさんは寂しがり屋だから、家族の中で一番愛されるポジションにしたんだ」
マミ「気を使ってくれたのね」
ほむら「うん、その理屈はおかしい」
マミ「出来れば、人間として迎えて欲しかったな。今からまどかさんの姉にしてくれないかしら?」
まどか「それは無理」
まどか「マミさんはもうペットとして迎え入れられてしまったから。ここから改ざんなんて出来ないよ」
ほむら「本当は?」
まどか「今のままの方が面白い」
マミ「今すぐ改善しなさい」
マミ「いいから、姉にしなさい」
まどか「お姉ちゃんは皆の面倒見なくちゃいけないから大変だよ?」
マミ「大丈夫。何の問題もないわ」
まどか「詢子ママの姉が希望、と」
マミ「この際、それでもいいわ。お願い」
まどか「・・・・・言い訳思いつかなくなったから、おやすみ」
ほむら「まどかがまどカスになってしまった。やり直そう・・・・・・」カシャ
ほむら「・・・・・・・・・・」カチャ
マミ「なにしてるの?」
ほむら「いいえ、なんでもないわ(砂時計が半回転じゃなくて一回転して過去に戻れない)」
まどか「うう、寝かせてよぉ。ラリホー」
マミ「Zzzzzzzzz」バタ
まどか「マミ抱きしめると気持ちいい・・・」ギュッ
ほむら「仕方ないわね。とりあえず今日のところは諦めましょう」
ベッドに潜り込む
ほむら「まどか、おやすみなさい」ギュッ
ほむら(呼び捨て?)
ほむら「おはよう、まどか」
マミ「おはよう、暁美さん改め鹿目ほむらちゃん」
マミ「首輪、似合ってるわよ」
ほむら「!?」
まどか「やだなぁ、人間が人の家に勝手に忍び込むわけないじゃない」
まどか「つまり、ほむらちゃんは人間じゃない」
まどか「人間じゃないならペットにしても何の問題もない」
まどか「お家も広くなったし、いいかなって」
ほむら「良くないわ!」
マミ(あれ、昨日と言ってることが違うような?)
ほむら「なんかこのまどか怖いわ」
まどか「ほむらちゃんは私と一緒にいるのイヤ?」
ほむら「嫌なわけないじゃない」
まどか「これからは一緒に暮らせるね。ティヒヒ、嬉しいな」
ほむら「私も嬉し・・・はっ」
マミ「紅茶飲みたいなぁ。ペットが勝手にお茶淹れてもいいのかしら」
マミ「ありがとうございます。ペットなのに」
詢子「なに、私たちにとってマミは娘みたいなものだ。気にするな」
知久「ところで、マミは学校に行ってるのかい?」
マミ「えぇ、見滝原中学の3年生です」
詢子「それは良かった。杏子の転入手続きには時間がかかりそうでね」
詢子「マミは今日からでも学校に行けそうだ。良かったな」
マミ「あ、あははは(なんて歪んだ立ち位置なんだろう)」
知久「さて、まどかを起こしてきてくれるかな」
マミ「はい」
マミ「パパとママとまどかとたっくんと杏子と私とほむらで、7人分でしょうか」
知久「ふむ、やはりそうだよね」
マミ「?」
知久「いや、ちょっと皿が足りなくてね。悪いが1人、統一感のないお皿になってしまう」
詢子「そんな些細なこときにするなよ」
知久「ごめんね」
たっくん「ほむほむ~、あーん」
ほむほむ「あーん」
まどか「たっくんはほむほむがお気に入りなんだね」ニコニコ
ほむほむ(どうしてこうなった・・・・・・・あ、美味しい)パク
杏子「マミ、あーん」
マミ「いいけど。パク」
ほむほむ「いってきます」
マミ「いってきます」
杏子「いってらっしゃい」
詢子「あたしも出るよ」
知久「いってらっしゃい。杏子も明日から学校に行けるからね」
杏子「あんまり行きたくないなぁ」
知久「心配しなくても大丈夫。分からないところはまどかやほむほむやマミが教えてくれるから」
杏子「ペットに勉強教わるのか・・・」
知久「ペット以下の成績の娘か。うん、今夜にでも弄ってやろう」
ほむほむ「楽しそうで何よりだわ」
マミ「怒るに怒れない」
まどか「そうだ。マミさ、マミ」
マミ「わざわざ言い直さなくていいのよ」
まどか「教室行ったら多分人気ものだよ」
マミ「?」
まどか「今日もいい日になりますように」
おわり
乙
小ネタも付き合うよ
1、まどかとほむほむ
2、マミさんのクラス
3、さやかと仁美
4、○○と上条恭介
>>137
仁美「ごめんなさい。今日はお稽古がありますの」
さやか「そ、そっか。あはははは、それじゃあ仕方ないね」
仁美「あ、あの、でも、30分くらいなら」
さやか「そ、そうなの。じゃあ、途中まで一緒に帰ろうよ」
さやか「どっか適当に寄り道してさ」
仁美「はい。ありがとうございます」
さやか「なに?」
仁美「お慕い、しておりますわ」
さやか「うん、私も/////」
まどか「ゆっりゆっららららゆるゆり♪」
ほむほむ「このさやかは魔女化しない。けれど、これでいいのだろうか」
上条「男勝りだとは思っていたけど、さやかがまさかねぇ。近くにいても気付かないものだ」
中沢「恋をしたら、逆に乙女チックになるんだから面白いよな」
上条「そういえば、お前と早乙女先生が付き合ってるって噂がたってるぞ」
中沢「ねぇよ。根も葉もない噂だバカ」
1、まどかとほむほむ
2、マミさんのクラス
3、智久と杏子
4、○○と上条恭介
>>146
ほむほむ「まどかが契約して願望実現能力を手に入れ、さらに私の能力を封じたですって」
まどか「ほむらちゃん、何回も何十回も何百回も私を見捨ててるんでしょ。もう捨てられたくないなって」
ほむほむ「う、胸が痛くなること言ってくれるじゃない」
さやか「」ジーッ
ほむほむ「なによ、その『痛む胸ないじゃん』って視線は」
さやか「いや、してないよ! 被害妄想だよ!」
ほむほむ「もう私に退路はない。まどか、ワルプルギスの夜このループで必ず」
まどか「え、もう無力化したよ?」
ほむほむ「え?」
まどか「ここ数日、三滝原で魔女見てないよね」
ほむほむ「そういえば」
まどか「全部、無害化したよ」
ほむほむ「・・・そう」
さやか「あれ、SG浄化出来なくない?」
まどか「さやかちゃん、SG貸して」
さやか「?」SG渡す
まどか「窓からポーーーーーーーーーイっ!!」全力投球
さやか「ちょっとぉ!!」
ほむほむ「まどかぁーーーーーー!」
ほむほむ「あっちの方角ね。落下位置は・・・あの辺」
さやか「あれ、生きてる?」
まどか「いつからあれが本物だと錯覚していた」
まどか「本物はこっちでーす」左手開く
さやか「笑えない冗談はやめようね。あと、ほむほむに謝りなさい」
『まどかとほむほむ』おわり
1、まどかとほむほむとさやか2
2、マミさんのクラス
3、智久と杏子
4、○○と上条恭介
>>170
上条「中沢ぁ、屋上いこうぜ。久しぶりに切れちまったよ」
中沢「幼馴染がレズに走ってどんな気持ち? ねぇ、どんな気持ち?」トントン
上条「ウゼェ」
中沢「と、お約束をやってみたが、実際のところどうよ」
上条「いい気はしないね」
上条「さやかは僕の昔からの親友。マイノリティな道に進む姿を見るのはいい気分じゃない」
上条「心情としてはそうだな。中沢がホモに走ったのと同じくらいの不快感だ」
中沢「俺はホモじゃないよwww」
上条「当然だ」
中沢「バイだよ」
上条「」
上条「な、なんだ。嘘かよ」
上条「同性愛とかないわー。異性愛じゃないとな」
中沢「(異性でも同性でも)どっちでもいいと思うよ」
上条「」
中沢「嘘だってwwww」
上条「お、驚かせるなよ」
中沢「そうだ。今週末、上条の家に泊まっていいか?」
上条「絶対にお断りだ」
『○○と上条恭介』 おわり
1、まどかとほむほむとさやか2
2、マミさんのクラス
3、智久と杏子
4、中沢と上条恭介2
>>185
さやか「・・・・・・・・」視線そらす
まどか「てぃひひ、おかえり」
さやか「ほむら、ありがとね」
ほむら「???? うん?」
ほむら「は?」
さやか「まどか、あんたって奴は・・・・・・さっきまどかが投げたSGはまどかが複製した偽物なんだ」
まどか「人類の技術でも約1万円で作れる出来だよ。詳しくはまどマギ展で」
QB「わけがわからないよ」
ほむら「つまり、私は騙され、もてあそばれた?」
さやか「ごめん」
まどか「てぃひひひひ」
まどか「てぃひ、襟首掴むと苦しいよ」
ほむら「まどか、貴方は・・・」
まどか「怖いよ、ほむらちゃん。殴るの?」
ほむら「・・・・・・・・・・・・・くっ」パッ
まどか「コホッコホッ」
ほむら「二度とこんなことをしてはダメよ。次は許さない」
まどか「許さないと、ほむらちゃんは私に何をするのかな?」
ほむら「・・・・・・・・・・・・・・・・・自分で考えなさい」
さやか「あ、まどか」
まどか「うぃひひひひひひひひひひひひひひひ」
まどか「ほむらちゃん可愛すぎるよぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ」
まどか「どんだけ私に優しいのおおおおおおおおお」
まどか「ストーカーだし、パンツ食べるし、多分時止めて私にエロいことしてるけど」
まどか「全部許せちゃううううううううううううううううううううううう」
まどか「はぁはぁはぁはぁはぁ・・・・・・・・・・・・・・ふぅ」
まどか「さて、授業に戻るか。私は授業に間に合う」キンッ(能力使用)
さやか「は?」
ほむら「いや、なんとなく否定しないといけない気がして」
まどかとほむほむとさやか2 おわり
2、マミさんのクラス
3、智久と杏子
4、中沢と上条恭介2
>>200
杏子「キョウコだ。娘の名前くらい覚えろよ」
知久「旧姓はなんていうの?」
杏子「・・・・・・・・・生まれた時から鹿目だろ」
知久「君は僕と詢子さんの娘だ。それは間違いない。絶対に守る」
知久「だから、パパにはなんでも話して欲しいな」
杏子「あんた・・・」
杏子「いや、いい」
知久「さて、たっくんでも見てくるかな」
杏子「あんたは何を知っている?」
知久「何も知らないよ」
知久「違和感を感じてアルバムを見たら気になっただけだよ」
杏子「小さい頃の写真がないってか」
知久「まどかとたっくんの写真は何百枚もあるのにね」
杏子「マミとほむらは私の姉だっけ?」
知久「ペットだね」
知久「不思議とペットだと思い込みそうになっていたけど、人間をペットにできるはずがない」
知久「最近、違和感を感じることが多いんだ」
知久「杏子ちゃんもなにか、感じないかなと思ってね」
杏子「・・・・・・・・・まどかってボーっとした天然キャラのフリしてるだけなのかな」
智久と杏子 おわり
3、智久と杏子2
4、中沢と上条恭介2
>>220
女子2「可愛い~~~~~」
女子3「柔らか~、ふわふわ~」
マミ「にゃーーーーーーー」
マミ「なんでみんな私に抱きついてくるの~~~~~~~~~~」
QB「マミがペット設定になったことで、クラスメイトの自重のタガが外れたか」
マミ「にゃにゃ~~~~~~~~~~~~~~~~」
女子1「気持ちいい~」
3、智久と杏子2
4、中沢と上条恭介2
>>232
中沢「そうだよ。仮にホモだったとしても、無理やりに襲ったりしねぇよ」
上条「こわすぎわろえない」
中沢「そういうお前こそどうなんだよ。処女童貞だろ?」
上条「童貞はともかく、自然に処女確認するお前が怖い」
中沢「処女って聞かれて即座に後ろのことだと理解できるお前もお前だけどだ」
中沢「モテそうだけどな」
上条「僕を好きになってくれた女の子もいるかもしれないね」
上条「でも、告白でもされない限り、こちらからは分からないよ」
中沢「自分からは動かないと?」
上条「それほど人を好きになったことがない」
中沢「好きになった人が現れたら、行動するのか?」
上条「分からないよ。経験がないからね」
中沢「もしも、女子に告白されたら?」
上条「相手によるけど、友達から初めて自分自身の心に問いかけるね」
上条「相手の人柄が分かっているという点で、判断は早いだろうね」
中沢「YesかNoか」
上条「お前に言う必要がない。以上!」
中沢と上条恭介2 おわり
約1日お付き合いいただき、ありがと。おやすみ
できればあんこちゃんやれおねがいします
あんこ「いや、どっちかっていうとアンタの事が気になってるんだろ」
あんこ「意味深なことばかり言ってるしな」
知久「そうか・・・・・・僕のうかつな発言が原因か」
知久「なぜなら、僕は全知全能の神に成ったからだ!!」
杏子「な、なにぃ!?」
知久「おう、もちろんだ」
杏子「誰も反応してくれないって寂しいな」
知久「傷つくから言わないで」
杏子「で、パパは何を知っているんだい?」
知久「僕と詢子さんの意見は同じだ。昨夜まで、意見を擦り合わせた」
知久「しかし今朝は、それを含めても1組足らなくなった」
知久「この事実は新しい家族が3人増えたことを意味する」
杏子「ふむ」
知久「ま、この話は僕の推理において大した重要性はないので置いといて」
杏子「おい」
知久「昼のあいだにアルバムを開き、事実と違和感を合わせてみた」
知久「その結果、君とマミちゃんの幼い頃の写真は確認できなかった」
知久「思い出を残すのが大好きな詢子さんが、子供の写真を残さないわけがない」
杏子「っ!」
知久「だが、娘は娘だ。うちの家族を不幸にはしない」
知久「経過はどうあれ、杏子は僕の娘だ。甘えていいし、頼ればいい」
杏子「つまりどういうこと?」
知久「君が知っていることを全て教えて欲しい」
知久「誰も不幸にしないように善処するよ」
QB「ええい、ままよ。カクカクしかじか」
杏子「信じられねぇだろうが、事実だ」
知久「いや、信じるよ。なにせ、昨日詢子さんと話し合った結果も、魔法だったからね」
杏子「!?」
知久「QB君。まどかたちには、ぼくらがその辺のシステムに気づいていないことにしてくれたまえ」
QB「いいけど」
杏子「嫌な話を聞いてる気がするな」
知久「損して得をとれ。という言葉がある。杏子ちゃんもいつかわかるよ」
おわり
大人なんだな
Entry ⇒ 2012.04.11 | Category ⇒ まどかマギカSS | Comments (0) | Trackbacks (0)
男「委員長、またウロコ落としてましたよ?」
http://hayabusa.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1333797430/
男「委員長、また鱗落としてましたよ?」
委「ん? そうか、すまないな。拾っておいてくれたか?」
男「はい。でも、最近多くないですか?」
委「気をつけてはいるんだが、生憎と私は完全無欠ではないからな。」
男「委員長が落とすところを見られたわけでもないから、大丈夫だろうけど。」
委「理解者が傍に居るというのは心強いものだな。」
男「理解者ですかー……」
委「不服か?」
男「まあ、今は理解者でいいかな。」
委「皆に知れ渡ってしまうと居づらくなる。私はまだここに居たいからな。」
男「ばれたら身を隠すってことですか?」
委「許されるならこのまま暮らしていきたい。だが、君のような者はそうそういないだろう?」
男「それ、僕が変人ってことです?」
委「悪く言えばそういう事になる。しかし、悪く思ってなどいないよ。」
男「それは光栄ですね。」
委「最初に気付いたのが君で良かったとさえ思っているさ。」
男「あの時の委員長、うろたえてて可愛かったですね。」
委「それを言うな。」
男「最初は小道具にまでこだわった遅咲きの厨二病かと思いました。」
委「厨二病? 何の病気だそれは。」
男「思春期特有のはしかのようなものです。主な症状は過剰なまでの個性の強調?」
委「よくわからないな。今度調べておこう。」
男「言っておきますが、辞書には載ってないですよ。調べるならはしかの方で。」
委「心得た。」
男「それにしても、委員長って、ほんとに委員長って感じですよね。」
委「同じものを比較しているようにしか聞こえないが?」
男「委員長はいーんちょで、委員長は役職です。さらに言えば眼鏡でもあります。」
委「いーんちょ?」
男「いーんちょっていうのは委員長のことですよ。今決めました。」
委「キミは私を混乱させたいのか? それとも馬鹿にしているのか?」
男「その反応とか、すごく委員長っぽいです。」
委「真面目に聞かなくていい部類の話か?」
男「んー……先生はせんせーだけど、せんせーの役職は先生ですよね?」
委「あだ名の類か? ふむ、人間っぽいな。」
男「いーんちょは人間っぽいのが嬉しいんですか?」
委「よくわからないが、悪い気はしない。模倣することは人間を知る近道だと思うからな。」
男「今でも十分に人間を演じられてはいると思いますけど。」
委「しかし、今まではあだ名など無かった。より人間に近づくことができたわけだ。」
男「人間になりたいんですか?」
委「なれないよ。溶け込んで生きて行くために情報を集めているだけだ。」
男「じゃあ、人間みたいになりたいんですか?」
委「それはわからない。正確には、まだ結論が出ていないと言うべきか。」
男「人間に溶け込んで生きるのは何故なんでしょう?」
委「それは簡単だ。そうしないと生き辛いからだ。」
男「いーんちょもいろいろと大変なんですね。」
委「実感も湧いてないのに同情されるのは気分のいいものではないな。」
男「あ、ごめんなさい。ちょっと軽率でしたね。」
委「いや、人間だったらやりそうな反応を実践してみただけだ。本心じゃない。」
男「ところで、この鱗ってどこから落ちてくるんですか?」
委「衣服に付着していたものが落ちているだけだ。今は鱗は生えていない。」
男「今は?」
委「この姿は擬態だからな。自宅では本性で過ごすのだが、そのとき服に着くのだろう。」
男「仮の姿ってことですか。じゃあ、本当は全然違う見た目なんですか?」
委「上半身は人間と同じだよ。だから偽る必要はないし、偽ってもいない。」
男「じゃあ、顔とか胸は天然ものなんですね。」
委「それは重要なことなのか?」
男「少なくとも僕にとっては。」
委「キミにとっては?」
男「全身が鱗で覆われてるタイプは嫌です。」
男「本当の姿を見せてもらう事ってできます?」
委「可能か不可能かで言えば可能だが、後悔しないか?」
男「後悔するような要素があるんですか?」
委「本性を見たら、私のことを嫌わないか?」
男「見てからでないとなんとも……ザイダベックくらいビフォーアフターが違うんですか?」
委「たとえの基準にわかりづらい物を用いるべきではないな。」
男「ですね。」
委「やめておこう。本性を見られたら相手を殺すか、愛さなければならないからな。」
男「どこの女性聖闘士ですか。」
委「まあ、それは冗談としても、今はリスクを冒したくない。」
男「いーんちょも冗談言うんですね。」
委「覚えたことは実践していかないとね。」
男「どんな感じなのか、聞くだけならいいですか?」
委「そうだな、今は足を生やしているが、本来の私には足が無い。」
男「じゃあ、何が生えてるんですか?」
委「何も生えてはいない。そのまま胴が続いていて尾が付いている。」
男「うーん……ちょっと想像できないな。」
委「だいたいこのあたりから鱗に覆われているぞ。」
男「スカートをたくし上げないでください。」
委「おっと、見苦しいものを見せたな。すまない。」
男「見苦しいとか、むしろ眼福ですが。恥じらいを持つべきかと。」
委「とは言っても所詮擬態だからな。恥ずかしくもない。好きなだけ見るがいい。」
男「とりあえず、スカートを戻し……なんで付いてるんですか?」
委「付いてる?」
男「パンツが不自然に盛り上がってますよね? いーんちょの性別は?」
委「メ…いや、女性だな。」
男「ですよね。」
委「私の擬態は間違っているのか?」
男「女性には付いてちゃいけないものが付いてます。」
委「いけない?」
男「いけなくはないか……愛好者もいるし。」
委「間違っているのだな?」
委「参考のためにいろいろな画像を見たが、細部は見れぬよう加工してあってな。」
男「塗りつぶしてあったり、画素が極端に荒かったりですか?」
委「うむ。だから彫刻を参考にしたのだが、女性をモチーフにしたものはココが省略されている。」
男「だから男性の彫刻を参考にしたというわけですね。」
委「その通りだ。」
男「省略してあるんじゃなくて何もついてないことを忠実に再現してるだけですよ。」
委「では詳しく教えてくれないか。擬態を完全なものにするために細部が知りたい。」
男「僕も実物は見たことが無いので、教えてあげることはできませんね。」
委「そうか、それは残念だ。」
男「擬態ってどうやってるんですか?」
委「?」
男「声が出なくなる代わりに足ができる薬を飲んだり?」
委「今、君と会話をしているのは?」
男「いーんちょですね。」
委「私は今、筆談をしているか?」
男「いえ、喋ってますよね。」
委「そんなおとぎ話と一緒にされても困る。」
男「じゃあ、泡になって消えちゃったりはしないんですね。」
委「少なくとも私は、な。」
委「体組織を丸ごと組み換えたり、作り変えているだけだ。」
男「なんか夢のない話ですね。」
委「ファンタジックである必要はない。」
男「それはそうですが、ちょっと残念です。」
委「何が残念なものか。今でこそこうしているが、最初は大変だったのだぞ。」
男「今も局所的には大変なことになってますが。」
委「これはその……次から改善する。」
男「是非、そうしてください。」
委「二足歩行に慣れない頃はよく転んだものだ。」
男「バランスの取り方が難しいとかですね。」
委「それもあるが、足首にも関節があることを知らなかったりしてな。」
男「姿形だけ真似たら大失敗……と。」
委「力の配分なども習得するまでには時間を要した。」
男「歩く・走る・跳ぶ、全部涙ぐましい努力の賜物なんですね。」
委「あとは排泄もだな。」
男「そんな事まで特訓が必要だったんですか?」
委「我慢する時どこに力を込めるのかが分らなくてな。よく下着を汚……」
男「やめて! そんないーんちょ想像したくない。」
委「そういえばこの眼鏡も、本当は必要ないものだ。」
男「伊達眼鏡なんですか。なら、どうして眼鏡をかけるんですか?」
委「理由は二つあるが、教えられるのは片方だけだ。聞きたいか?」
男「はい。」
委「眼鏡をかけると印象が地味になると聞いた。そして、私はあまり目立ちたくない。」
男「地味な人を演じるための変装アイテムってことですか。」
委「そういうことだな。」
男「まあ、特殊な嗜好の人もいるんですけどね。」
男「目立ちたくないのに毎回委員長に立候補してるのは何故でしょう?」
委「役職を盾にいろいろな事に介入できるだろう? 調査がはかどると考えてな。」
男「熱心ですね。」
委「だが、私はそんなに目立っているか?」
男「人目を引くという意味では目立ってません。」
委「では、どういう意味では目立っているのかな?」
男「ステレオタイプすぎるところですね。」
委「先入観との差異が無いということか、それなら好都合じゃないか。」
男「イメージ通りなら、あれこれ詮索する必要が無いですもんね。」
委「そろそろ下校時刻だ。また明日の放課後だな。」
男「楽しい時間はあっという間ですね。」
委「君はこれが楽しいのか?」
男「このために学校に通ってるようなものですね。」
委「それは良くないな。」
男「ドライな反応ですね。」
委「両親に学費の負担を強いているなら、まずはそれに応えるべきだ。」
男「僕、奨学生なんです。学費を負担するのは未来の僕ですよ。」
委「そうか……だが、本分は勉強であることに変わりはない。」
男「もちろん勉強もないがしろにはしてませんよ。」
委「……であればこそ、私も心置きなく君とのやりとりを楽しめるというものだ。」
男「やっぱり、いーんちょはカッコいいです。」
――――――――――
男「おはようございます。」
委「おはよう。」
男「……ん? 僕の顔、何かついてますか?」
委「何も。ただ、私が挨拶を返すのは君だけだと思ってな。」
男「いーんちょは僕以外には挨拶を返さないんですか?」
委「いや、返せないという方が正しいのだが。」
男「クラスメイトは怖くないですよ?」
委「わかっているくせにそういう事を言う。やはり、君は面白いな。」
男「エー? ナンノコトデスカ?」
委「そこまでとぼける事はないだろう? そういうところは少し腹立たしい。」
男「照れ隠しというやつですよ。」
委「なぜ照れる?」
男「褒められ慣れてないもので。」
委「私としては、君以外にも挨拶を返してみたいのだがな。」
男「返される方ですもんね。」
委「まあ、私の方がもっと歩み寄らなければ無理なのだろう。」
男「その辺のバランス感覚は難しいですね。ヤマアラシのジレンマ?」
委「慣用句か? 放課後までにそれも調べてみよう。」
男「放課後が待ち遠しいですね。」
委「それまでの授業をおろそかにして欲しくはないのだが。」
男「わかってますよ。」
委「私なりに調べてみたのだが、どうも解釈が複数あるようだな。」
男「ハリネズミのジレンマ?」
委「ヤマアラシだよ。」
男「ああ、そうでした。」
委「それに慣用句ではなく、哲学や心理学の類の用語のようだ。」
男「そうなんですか。」
委「君はどういう解釈に基づいてこの言葉を使ったんだい?」
男「解釈も何も、それっぽい言葉を挙げただけで真意なんかないですよ。」
委「いろいろと台無しだな。」
男「肩肘張って問答するのは苦手です。」
男「いーんちょは苦手なものとかってあります?」
委「色々とあるな。」
男「たとえば?」
委「火とかな。熱いのは嫌だろう?」
男「丸焼き的な意味で?」
委「丸ごとでなくとも身を焼かれるのが得意な者がいるか?」
男「いませんね。」
委「おそらくだが、君が期待している返答は、人間と異なる苦手要素だな?」
男「最初からそう訊ねればよかったですね。」
委「哺乳類だ。」
男「イルカとか、シャチとか、クジラですか?」
委「いや、確かにそれらも哺乳類だが、違う。人の世に混じって暮らす犬や猫のことだ。」
男「ケモノが嫌い?」
委「彼らは人間と違って擬態が通じない。見破られてしまう。」
男「可愛がろうとしても逃げられちゃう?」
委「苦手なものの話しだろう? 逆だ、盛大に威嚇される。」
男「意外ですね。犬や猫が怖いなんて。」
委「怖くなどないぞ。」
男「あれ?」
委「だが、行く先々で威嚇されてみろ。存在否定されてるようでこたえるぞ。」
男「とりあえずですね、僕と友達になりませんか?」
委「うむ、申し出は嬉しいのだが、私自身が友達と言うものが良くわからない。」
男「友達は友達ですよ。きっと人間らしさに磨きがかかりますよ。」
委「概念はわかっているつもりだ。しかし、自分に当て嵌めて実践する自信は無い。」
男「難しく考え過ぎです。のび太とジャイアンだって、広義の解釈では友達なんだから。」
委「では、差し当たって私は何をすればいい?」
男「僕のことを友達だと認めてください。定義に関しては納得しなくてもいいですから。」
委「とりあえず、理解者と呼ぶべき時は友達と置き換えて呼んでみようか。」
男「その返事、いーんちょらしくてカッコいいですね。」
男「いーんちょ、いつもお昼はどうしてるんですか?」
委「昼休みという意味なら読書だ。昼食という意味なら食べていない。」
男「午後の授業、お腹すきません?」
委「食生活が違うからな。その心配はない。」
男「お昼は食べちゃダメなんですか?」
委「そんなことは無い。用意する手間や、購買部で使う金を惜しんでいるだけだ。」
男「じゃあ、今度からはお昼一緒に食べませんか?」
委「友達らしく、ということかな?」
男「そうですそうです。食べながらの会話で友情パワー炸裂です。」
委「考えておこう。」
――――――――――
男「♪~……♪~♪~……」
委「…………」
男「♪・♪・♪~……♪~」
委「…………」
男「♪~…おわ!?」
委「む? どうした、やめてしまうのか?」
男「いーんちょ、帰り道はこっちじゃないはずでしょう?」
委「確かに逆方向だな。」
男「何でいるんですか?」
委「君の口笛が聞こえたからな。聴き入っていた。」
男「そのためにわざわざ引き返して付いてきたんですか?」
委「そういうことになるな。」
男「いつからいたんですか?」
委「前の曲が終わったあたりからかな。」
男「恥ずかしくて死にそうです。」
委「恥じる事などない。私はもっと聴きたいと思っている。」
男「聴かれるのが恥ずかしいんですよ。」
委「そうなのか。」
委「曲名はあるのかい?」
男「Pollyanna……」
委「ポリアンナ?」
男「なんか、女性名ですけど、楽天家みたいな意味もあるみたいです。」
委「楽天家なのか? 少し物悲しいメロディに感じたが。」
男「一人っきりのときに流れる曲ですからね。」
委「それはともかく、続きを聴かせて欲しいのだが。」
男「この曲は二人になると流れなくなるんですよ。」
委「では他の曲を奏でてくれ。」
男「曲を変えても恥ずかしいわけで、そういう問題じゃないんです。」
委「曲じゃなくても構わないのだが。」
男「いーんちょって変わってますよね。」
委「しょうが無いさ。人間ではないのだから。」
男「そういうところは是正していきましょう。」
委「君が言うのなら、そうした方がいいんだろうね。でも、なぜだい?」
男「郷に入りては郷に従えです。」
委「帰ったら辞書を引いてみるよ。」
――――――――――
男「今日は休憩時間中、ずっと何か書き留めてましたね。」
委「君はそれをずっと見ていたというわけか。」
男「ずっとじゃないですよ。ストーカーみたいに言わないでください。」
委「ではどうして私がずっと書き留めていたと言い切れる?」
男「見かける度に同じ姿勢で筆を遊(すさ)ばせていれば印象にも残るってものでしょう?」
委「そうか……奇怪に映ってはいなかっただろうか?」
男「それは無いと思いますけどね。」
委「人間がその他の動物と決定的に違うところはなんだと思う?」
男「言葉を喋ることですかね?」
委「会話ならイルカ同士もしているらしいぞ?」
男「じゃあ、料理でしょうか? 調理して食べる動物っています?」
委「私が望む答えはもっと壮大なものだな。それには料理も含まれる。」
男「当たる気がしないですね。」
委「単純だぞ。文化だ。」
男「言われてみればそうですかね、今の暮らしは文化が積み重なったもの。」
委「時の流れとともに変化し、人間の営みもそれに伴ってうつりかわる。」
男「で、なぜ今そんな話をしだすんですか?」
委「人間を理解するにあたって、重要なものの存在に気が付いた。」
男「それが文化だと?」
委「いや、文化はずっと学び続けているよ。今だってそうさ。もっと狭い話なんだ。」
男「要領を得ませんね。」
委「芸術だよ。」
男「いろいろと飛躍してませんか?」
委「生き物というのは基本的に、食べる・寝るを繰り返している。」
男「それだけじゃ、増えずに絶滅してしまいますね。」
委「だが、人間はそれ以外にも力を注ぐものがある。それが芸術だ。」
男「つまり、理解を深めるために芸術にも食指を伸ばそうと?」
委「その通りだ。」
男「じゃあ、今日はずっと芸術に没頭してたんですか。」
委「現段階で私にできそうな創作活動を考えてみたのだよ。」
男「あんまりいい予感はしないですね。」
男「絵でも描いてたんですか?」
委「私に絵心など理解できないよ。ただの模写にしかならない。」
男「作曲とか?」
委「私は楽譜を読むことができない。読めないものが書けるはずもないだろう?」
男「いーんちょ、この流れはよくないです。非常によろしくない。」
委「私はね、君の意見は、いつだって真摯に受け止めてきたつもりだ。」
男「そうだったんですか。」
委「君は無知な私に対して、その理由までもわかり易く教えてくれたからな。」
男「そんな高尚なものでもないかと。」
委「だからこそ、聞く前から否定する今の君に失望している。」
男「ごめんなさい。ちょっと無神経でしたね。」
委「でも、今から君は挽回してくれるんだろう?」
男「なんですかその無茶振り。」
委「話が逸れたな。私が今日試みたのは……」
男「ポエムですよね?」
委「見抜かれていたか。」
男「ある意味、登竜門ですからね。」
委「君はそれをよくないと断じたが、その意図を聞かせてくれ。」
男「それは遅効性の猛毒のようなものです。」
委「なんというか、とても抽象的だな。」
男「それは時に時限爆弾になり、時に古傷に姿を変えて、いーんちょを襲います。」
委「にわかには信じ難いな。」
男「僕は、自ら綴った詩によって、身を滅ぼしかけた執事の話を知っています。」
委「私はそれほどの劇物を作り出してしまったと言うのか?」
男「いーんちょはまだ間に合います。早急に処分しましょう。」
委「そうか、遅効性だから早めに対処することで中和できるのだな?」
男「その通りです。」
委「危ないところだった。」
男「まあ、サマーの詩のような特異点もありますが。」
委「芸術というのは恐ろしいものなのだな。」
男「爆発しますからね。」
委「そして、私はふりだしに戻ってしまった。」
男「なんで急に芸術に興味を持ったんです?」
委「君がいると人間の調査が捗るからな。裾野を広げる余裕ができた。」
男「つまり僕のせいなんですか。」
委「君のせいじゃない。君のおかげだ。」
男「まずは娯楽からアプローチしたらどうですか?」
委「芸術は娯楽の一種なのでは?」
男「そういう堅いものじゃなくて、漫画とかゲームとか小説とかです。」
委「身の丈に合ったものから始めろと言うのだな?」
男「いえ、そういった方面なら僕も協力しやすいってことです。」
委「君が協力してくれるなら願ってもない事だ。」
男「学校には持ち込めませんけどね。」
委「丁度良かった、ちょっと教えてほしいのだが、いいかい?」
男「学校に漫画持って来ちゃダメじゃないですか。」
委「授業中に読んだわけじゃない。それに、これは必要なことなんだ。」
男「いーんちょはそういうのを注意する立場だと思うんですけどね。」
委「では、君の家に行こう。校外なら問題ないだろう?」
男「それは……無理ですね。ちょっと散らかってますし。」
委「私はそんな事は気にしないぞ。」
男「僕が気にするんです。」
委「むう……困ったな。」
男「からかっただけです。僕も持ってくることありますし。」
委「ならば、今度から厳重注意だな。」
男「まあまあ、教えますから見逃してください。」
委「では早速だが、ここの最後のいちじくの葉という言いまわしを説明してくれないか。」
男「いちじくの葉はですね、絵画なんかで陰部を隠すのに使われるものでして……」
委「ふむ。」
男「障害物が取り払われて丸見えになり、悶々とした気分が晴れて満足という事じゃないでしょうか。」
委「なるほど。よくわかった。」
男「しかし、ハイレベルなものを読んでますね。」
委「次はこれなんだが、ここのケツの穴にツララを突っ込まれた気分と言うのは?」
男「…………」
委「君にもわからない揶揄なのか。」
男「えと、台詞の勢いを感じられれば、それでいいんじゃないですかね?」
委「試してみればわかるだろうか?」
男「試さないでくださいよ。」
委「私は試さないよ。擬態で試しても正しい感覚が得られるとは思えない。」
男「次にお前は、君に試してみて欲しいのだ。と言う。」
委「君に試してみて欲しいのだ……ハッ!」
男「パーフェクトです、いーんちょ。」
――――――――――
委「今日は私も昼食を持参した。」
男「お、いいですねー。じゃあ、一緒に食べましょうか。」
委「それは構わないのだが、人目はなるべく避けたい。」
男「僕なんかと噂になるのは嫌ですか。」
委「なるほど、そういう見識もあるのか。」
男「納得しないでくださいよ。」
委「実を言うと、弁当と呼べる代物ではないのでな。人に見られたくない。」
男「失敗作が恥ずかしいんですか? なんとなく、らしくない感じですね。」
委「なるほど、そういう見識もあるのか。」
男「その一言で、サプライズの予感MAXですね。」
委「保健室か……薬品の匂いを嗅ぎながら食べるのか?」
男「屋上はなぜか白い煙が立ち込めてますし、中庭は人目がありますからね。」
委「まあ、タバコの匂いよりは我慢できる。さっさと食べて退室しよう。」
男「弁当箱の中、全部卵なんですね……」
委「君たちと同じものが食べられないわけではないが、消化にコツがいるからな。」
男「そういえば食生活が違うって言ってましたっけ。」
委「それに、君たちが食べるものは私にとって味が濃すぎる。」
男「だから茹で卵なんですか。」
委「いや、これは茹でてないぞ。」
男「生卵!?」
委「火を使う事に慣れていないのでな。現状ではこれが最適解だ。」
男「ワイルドというかダイナミックというか……」
委「私ばかり見ていないで君も箸を進めるべきだ。」
男「そうですね。なにか欲しいものがあれば、分けましょうか?」
委「いや、気を使わないでくれ。私はこれで十分だ。」
男「…………」
委「……どうした?」
男「あー……はいはい、どうぞ。カマボコが気になったんですね。」
委「なっ? むぅ……そこまで言うなら、いただくとしよう。」
男「お茶飲みます?」
委「今度こそ遠慮しておくよ。水の方が好きなんだ。」
男「ふいー……和やかな気持ちになりますね。」
委「で? これから何が始まるのかな?」
男「もう終わりましたけど?」
委「……え?」
男「え?」
委「では、何のために一緒に昼食を?」
男「食事こそが目的であって、手段じゃないですよ?」
委「なるほど、わからん。」
――――――――――
男「いーんちょ、また鱗落としてましたよ。」
委「ん、またか……」
男「気をつけてくださいね。」
委「言われるまでもないのだが、落ちていると目立つものか?」
男「どうでしょう? 僕が意識し過ぎなのかもしれないですね。」
委「見つけて拾ってくれるのはありがたく思っているぞ。」
男「ちょっとした対策を思い付いたんで、これ持って帰ってもいいですかね?」
委「正直なところ、あんまり気分のいい事ではないな。」
男「そうなんですか?」
委「たとえば、君の抜け毛を誰かが拾い集めて持って帰る。そう考えたら?」
男「相手によりますが、興奮を抑えきれませんね。」
委「……じゃあ、好きにするといいさ。」
男「あ……いーんちょ、引いてます?」
委「若干な……しかし、君の言う対策のほうに興味がある。」
男「悪用はしないんで、安心して預けてください。」
委「心配してはいないが、悪用というのがどういう用途を指すのかにも興味が湧いた。」
男「あー……それはですね……」
委「どんな用途であれ、悪用される可能性があるなら私にも責任が生じると思う。」
男「えと、たとえば……味噌汁に入れてダシを取ったりとか?」
委「勘違いをしているようだから、一つ忠告しておこう。」
男「は、はい。」
委「それは君が考えているほど悪い事ではない。それに、いいダシが出るとも思えない。」
男「やっぱり、いーんちょはサイコーです。」
委「ところで対策というのは教えてはくれないのか?」
男「それは明日のお楽しみです。」
委「明日? 一朝一夕でなんとかなるものなのか?」
男「あー……あんまり期待されても困るんですけどね。」
委「期待をしてはいけないが、安心して任せろ……か?」
男「じゃあ、不安に押しつぶされそうになりながら明日まで待ちますか?」
委「どのみち今すぐは教えてはくれないようだな。」
男「そうです。」
委「わかった、今日のところは悪用の件ともども誤魔化されておこう。」
男「わーい、バレてた。」
――――――――――
男「いーんちょ、いま時間大丈夫ですか?」
委「昨日言っていた対策のことかな?」
男「そうです。」
委「大丈夫だと言いたいところだが、目安箱の集計がまだ終わらなくてね。」
男「それって真面目に投函してる生徒いるんですか?」
委「ほとんどはいたずら書きか、ゴミが投函されているが、真っ当なものもあるよ。」
男「手伝いましょうか?」
委「それは駄目だ。この作業は守秘義務を尊重しなければいけないからね。」
男「じゃあ待ってます。見とれててもかまいませんか?」
委「なるべく早く終わらせるとしよう。」
男「終わりました?」
委「とりあえずはね。これ以上のことは次回の委員会で議論すべきだろうし。」
男「じゃ、さっそくこのイヤリングを見てください。」
委「君が加工したのか? 器用なものだな。」
男「いえ、百均で買ったやつに瞬着で貼り付けただけですよ。」
委「で、これがどう対策になるというのかな?」
男「いーんちょがコレを付けていれば、落ちてる鱗はコレの部品だと思い込むんじゃないでしょうか。」
委「ふむ。隠すのではなく、わかりやすい答えを晒しておくわけか。」
男「そしたら、拾って届けてくれる人も出てくるんじゃないかと。」
委「発想は悪くないが、これを使うことはできないな。」
男「ちょっとダサすぎましたか?」
委「いや、悪くはないと思う。私の美的感覚はアテにはならないだろうが……」
男「お洒落をして目立つのを避けたい?」
委「それ以前の問題だよ。」
男「?」
委「ピアスやイヤリングは校則違反だ。」
男「あー……」
委「ヘアピンやカチューシャも華美な装飾が施されたものは禁ず、とある。」
男「八方塞がりですね。」
委「どこも塞がってはいないぞ。キーホルダーやストラップならお目こぼしがある。」
男「そっか、身につけるものに拘りすぎてましたね。」
委「君のセンスに任せるから、作ってみてはもらえないか?」
男「それは構いませんが、もう鱗ないですよ。」
委「じゃあこれを使うといい。目安箱に入れてあった。」
男「僕以外にも拾ってる人がいたのか……」
委「まあ、ゴミとみなして捨てたというところかな。」
男「それを捨てるなんてとんでもない!」
委「いやいや、私もゴミ同然だと思うのだが……」
男「でも、ちょっと少ないですね。」
委「必要なら言ってくれ、明日むしって持ってくる。」
男「痛くないんですか?」
委「ニキビを潰す程度のものだよ。」
――――――――――
男「いーんちょ、最近調子悪いんですか?」
委「そう見えるかい?」
男「お肌カサカサだし、机の周りも抜け毛すごいじゃないですか。」
委「よく見ているな。」
男「そこは僕の個人的な視点が大きいです。でも、誰が見ても心配すると思いますよ。」
委「しかし、言ってきたのは君だけだぞ?」
男「ほら、いーんちょ近寄りがたいオーラ出てますから。」
委「それは仕方がない。交友を深めていけばボロを出さないとも限らない。」
男「でも、みんな心の中では気にかけてると思います。」
委「私がどうなろうと気にする必要はないんだがな。」
男「冷たいこと言いますね。」
委「そうか?」
男「友達を気遣うのは当たり前のことですよ。」
委「そうか、友達か……」
男「いきなり居なくなったりしないですよね?」
委「居なくなるとは?」
男「遠くへ行っちゃったり、入院したり、あと……」
委「あと?」
男「死んじゃったり。」
委「なんだ、そんな事を心配していたのか。」
男「そんな事って言い切れる事態かどうかもわからないから不安なんじゃないですか。」
委「じゃあ、安心してくれてかまわないぞ。そんな事と言い切れる程度の事態だ。」
男「ならいいんですけど……正直、見るに耐えないというか……」
委「体調の管理は万全だ。」
男「そうは見えないから、心配してるんですけどね。」
委「もう一度言う、安心してくれ。それとも、私は信用できないか?」
男「わかりました。ひとまず安心しときますね。」
委「よろしい。」
男「でも、何かあったら言ってくださいね。力になれるとは思えませんが。」
委「ところで君は今週末、何か予定があるかい?」
男「特に何もないです。」
委「では、ちょっと私に付き合ってはくれないか。」
男「お? それはデートのお誘いですか?」
委「そう思うのか?」
男「少しくらいは期待したっていいじゃないですか。」
委「私が人間なら、そういう反応を喜ぶべきなのだろうな。」
男「その発言で僕の期待は粉々に打ち砕かれてしまったわけですが。」
委「で? 時間は割いてもらえるのかな?」
男「いいですよ。ご一緒します。」
――――――――――
委「やあ、待たせたかい?」
男「いえ、僕もさっき来たところです。ほんの2時間ほど前にね。」
委「おかしいな、1時間ほど前に私が来たときは見かけなかったが。」
男「すいません嘘です。というか、一回来て帰ったんですか?」
委「いや、私のも嘘だ。人間らしいやり取りだろう?」
男「そうですね。花マルを差し上げますよ。」
委「では行こうか。」
男「あ、そういえば聞いてなかったんですけど何をするんですか?」
委「大人の階段を上る手伝いを頼むよ。」
男「えーと……目的地としては何処へ行くんですか?」
委「私の家……というか、部屋だな。」
男「できれば緊張する猶予くらい与えて欲しかったですね。」
委「何もないところだが、上がってくれ。」
男「では、お邪魔します。」
委「どうかな? 緊張しているかい?」
男「多少は……それよりも本当に何もないことに驚いてますが。」
委「絶対に必要なもの以外は置かないことにしているからな。」
男「でっかい水槽でもあるのかと思ってました。」
委「水槽なんてそれこそ必要のないものだろう。」
男「自宅では本性で過ごすって聞いてたもので。」
委「君は勘違いをしているよ。まあ、敢えて明言を避けてきた私も悪いのだが。」
男「じゃあ、答え合わせをお願いします。」
委「君は私を何だと思っていたんだい?」
男「人魚ですね。マーメイド。」
委「だろうね。」
男「違うんですよね?」
委「失望させてしまうかもしれないが、私は蛇女だ。」
男「ああ……え?」
委「今日はこれから本性を披露しようと思っている。」
男「いいんですか?」
委「それを見て醜いと思うかもしれないが、できればこれまで通り接してやって欲しい。」
男「わかりました。」
委「それが無理なら、嫌っても構わないが、私のことは今後も秘密にしておいて欲しいな。」
男「嫌うってことはないと思います。秘密に関しても心配無用ですよ。」
委「そう願いたいものだ。私は君を手にかけたくはない。」
男「発言には一層の気を遣うようにしますね。」
委「本邦初公開……でもないか。どうかな?」
男「なんていうか……長いですね。」
委「他に何か感想はないのかな?」
男「強いて言えば、上は着てください。」
委「気持ち悪くはないのかい?」
男「落ち着いたらそんな感想も浮かぶかもしれません。とりあえず上は着てください。」
委「混乱しているから、冷静な判断は下せないということか。」
男「そうです。僕は自分で思ってたより小心者でした。それより上をですね……」
委「わかったわかった。これでいいかな?」
男「おお、新しいジャンルを垣間見た気がします。」
委「たかがシャツ一枚でか?」
男「で、今日僕を招いた目的は何でしょう? このお披露目だけじゃないですよね?」
委「君は察しがいいな。さっきも言ったが、手助けを頼みたい。」
男「勢力争いに加勢しろとか、そういうのは多分無理ですけど。」
委「察しがいいと言ったのは取り消すことにしよう。」
男「今はその程度のユーモアセンスしか働かないんですよ。大人の階段でしたっけ?」
委「コホン、脱皮をする。」
男「え?」
委「脱皮の直後はひどく衰弱してしまう。その間の世話を焼いてほしいのだ。」
男「じゃあ、もうやっちゃってください。今の僕に考える時間を与えないほうがいいです。」
委「それもそうだな。」
――――――――――
男「いーんちょ、グロいです。あと、エロいです。」
委「別に……経過まで見る必要は……なかったのだが。」
男「この抜け殻はどうするんですか? 燃えるゴミの日?」
委「すまない……軽口につき合う余力も……ない。」
男「何からすればいいですか?」
委「ベッドまで……たのむ……尾は引きずってもいい。」
男「身体ヌルヌルですけど拭いたほうがよくないですか?」
委「表皮が定着するまでは駄目だ……今はすごく刺激に弱い……」
男「となると僕が素手で触れるのも激痛なのでは?」
委「抜け殻の内側から……残っている粘液をすくって、手に塗れば……な?」
男「カンベンしてください。」
委「贅沢を言える立場じゃないな、私が耐えよう。」
男「あーもー! わかりました! やりますよ!」
委「ありがとう。重くはなかったかな?」
男「思ったよりは重かったですね。」
委「君は正直だな。」
男「それより、なんかすいませんでした。」
委「どうして謝るんだい?」
男「いや、抱きしめるような感じになっちゃってたので。」
委「気にしているのかい?」
男「あれは、不可抗力というか、ヌルヌルで上手く支えられなかったからで……」
委「私を床に放り出さなかった事に感謝したいくらいなのだが。」
委「ふむ、だいぶ楽になって来たな。」
男「もう大丈夫なんですか?」
委「本調子には程遠いが、あと小一時間もすれば起きられそうだ。」
男「じゃあ、僕はそろそろ……」
委「帰ると言うのかな?」
男「いけませんか?」
委「引きとめたら居てくれるのかい?」
男「悩むと思います。」
委「とりあえず、服を洗濯した方がいいと思うよ。」
男「あー……確かに。」
委「君たちは裸を見られるのは嫌だろう? だったら、今のうちに洗ってしまうといい。」
男「脱ぐとしても上だけですが、ちょっと言ってることがわからないですね。」
委「私はまだ目を開けることができないからね。」
男「じゃ、洗ってしまいます。」
委「その後で構わないから、私の眼鏡を持ってきてくれないか。」
男「あれは伊達眼鏡なんじゃないんですか?」
委「それでもあれは必要なものなのさ。」
――――――――――
委「遅くまですまなかったね。今日はすっかり君に甘えてしまった。」
男「僕の方こそ、頼ってもらえて少し嬉しかったですよ。」
委「今なら、正常な判断はできそうだね。」
男「何の事ですか?」
委「私のことを気持ち悪いとは思わないか?」
男「思わないです。」
委「本当に?」
男「思った方がいいんですか?」
委「そんな事はないさ。」
男「でも、とても驚きました。」
委「本当に助かったよ。また次も、お願いしてもいいかい?」
男「こういうのは頻繁にあるんですか?」
委「年に数回かな。」
男「今まではどうしてたんです?」
委「どうしようもないときは自分で何とかしてきた。」
男「どうにかなるときはどんなとき?」
委「今日の君のように、手伝ってくれる人がいたときだ。」
男「それはちょっとショックですね。」
委「どうしてだい?」
男「理由がわからないなら、それはきっと勉強不足だからです。」
委「説明してはくれないのかな?」
男「宿題ということにしましょう。」
委「そういえば、ここへ人を招いたことはあるが、無事に帰るのは君が初めてだ。」
男「他の人はどうなったんですか?」
委「それが私からの宿題というのはどうかな?」
男「そういう問題じゃないと思いますが。」
委「私は今日、君に一つだけ嘘をついている。それがヒントだ。」
男「全然ヒントになってませんよ。」
委「じゃあ、ヒントを足そう。殺したりはしていないよ。」
男「本当ですね?」
委「嘘は一つだけだよ。」
男「月曜日には登校できそうですか?」
委「うん、大丈夫だ。」
男「じゃあ、月曜日に答え合わせをしましょう。」
委「送ってあげられなくてすまないね。気をつけて帰ってくれ。」
男「いいんです。無理はしないでください。おやすみなさい。いーんちょ。」
委「ああ、おやすみ。」
委「…………」
委「どうしてだろうか? 不意に彼を困らせてみたくなった。」
委「……これは勉強の成果なのかな?」
――――――――――
男「いーんちょ、まだ体力が戻ってないんですか?」
委「そう見えるかい?」
男「見えます。」
委「難しい宿題に悩まされて、先週末は寝付けなかったんだ。」
男「奇遇ですね、実は僕も難問に頭を抱えてて寝不足なんです。」
委「だからと言って授業中の居眠りは看過できないな。」
男「寝てません。ちょっとウトウトしてただけです。」
委「じゃあ、明日からは授業に集中できるよう答え合わせをしよう。」
委「私のついた嘘は、まだ目を開けられないというものだ。」
男「じゃあ、見てたんですか?」
委「見てはいないさ。」
男「で、それが無事に帰れなかった人達とどう関係するんですか?」
委「私は目が合った相手に暗示を掛けることができるんだ。」
男「じゃあ、僕にも何か暗示を掛けてるんですか?」
委「心配しなくてもいいよ。この眼鏡のもう一つの理由がまさにそれだ。」
男「眼鏡越しだと暗示にかからない?」
委「ご名答。」
男「実践とか、お願いしてもいいですかね?」
委「君でかい?」
男「疑ってるわけじゃないですよ。一応、身を持って知っておきたいなと。」
委「じゃあ、眼鏡を外すから、私の目を見てくれないか。」
男「なんか照れますね。」
委「そんな余裕があるのかい? 君の手足は石になってしまったぞ?」
男「え? うあ……これ、マジで……」
委「それにとても喉が渇いている。そうだろう?」
男「そういえば……」
委「もう治ったけどね。」
男「あれ……ホントだ。」
男「何でもできちゃうんですか?」
委「あくまで暗示だから、相手の知識に寄るよ。赤ん坊には効かない。」
男「他の人達にはこれにかかったんですね。」
委「拒絶されてしまったからね。私に関する事を全て忘れて帰ってもらったんだ。」
男「僕にそうしなかったのは……」
委「君は私の姿を見ても態度を変えなかった。だから必要ないと判断したのさ。」
男「僕の場合、ある程度タネ明かしがあったからじゃないかと。」
委「しかし、蛇女とまでは知らなかった。むしろ人魚であることを期待していただろう?」
男「あんまり関係ないんじゃないですかね。」
委「期待を裏切られたとは思わなかったのかい?」
男「まあ、多少は……」
男「でも、裏切られたのはいーんちょじゃないですかね?」
委「どういう意味だい?」
男「あれはいーんちょにとって弱味になる部分だと思うんです。」
委「そうなるね。」
男「そこまでさらけ出して手のひらを返されるのは辛いと思います。」
委「……ん?」
男「いーんちょ?」
委「そうか、なるほど、そういうことか。」
男「もしもーし? いーんちょ?」
委「ああ、すまない。」
男「何か閃いたんですか?」
委「私は今までの……君以外の人とはそれほど親密になれていなかったんだろうね。」
男「んー……それに関しては僕からはなんとも。」
委「でも、親密になれなかったのは当然のことなんだ。」
男「はあ。」
委「私は君と交流を持つ前は、相手との距離に曖昧な認識しかもっていなかった。」
男「あー……それはありそうですね。」
委「そんな関係でいきなり本性を晒しても、一方的な押し付けでしかないじゃないか。」
男「お、なんかレベルアップできたっぽいですね。」
委「一皮むけたのさ。文字通りね。」
男「次は僕の解説になるわけですが。」
委「よろしく頼む。」
男「さっき弱味って言いましたけど、僕はそれを見る資格を持ってると思ったんです。」
委「資格というと?」
男「弱味を見せても構わない、いーんちょにとって特別な人間なんだと。」
委「その通りだな。」
男「でも、その特別は僕だけじゃなかった。」
委「結果としては、現時点では特別なのは君だけだと思うが?」
男「まあそうですね。だからこれは出題ミスです。」
委「それにショックを感じた理由がわからないのだが。」
男「出題ミスなんです。追及は無駄です。徒労です。」
――――――――――
男「読書の習慣が復活したんですね。」
委「でも、実用書を読むのはもうやめたんだ。」
男「何を読んでるんですか?」
委「小説だよ。」
男「僕としては漫画を読むほうが楽ですけど。」
委「本は知識を増やすために読むものだと思い込んでいた。」
男「面白いですよね。物語でも知識でも文字に違いは無いはずなのに。」
委「文字にはこんな使い方もあったんだ。漫画を読んだからそれに気づけたんだと思うよ。」
男「僕はどちらかと言うと、活字は苦手ですけどね。」
委「文章から得られる情報を、情景として思い浮かべる……前はできなかったことだ。」
男「そんな事は無いと思いますけど。」
委「物語をなぞる事は、私にとっては知識を得る事と等しい価値をもつものだと思う。」
男「擬似体験ってことですか?」
委「これに書かれていることを実際の体験で得ようと思うと、きっと膨大な時間が必要だろう。」
男「その機会自体が無い事だってあり得ますからね。」
委「人の感情がどう変化するのか、その参考にもなるよ。」
男「あ、それはあんまり参考にしない方がいいです。」
委「そうなのか。」
委「近頃は、自分の行動がどんな結果に結び付くのかを想像することもあるんだ。」
男「本の中の世界に入り込んじゃう?」
委「それとはまた別だよ。もし私が授業中や休憩中にこうしたら、他の人はこうするとか。」
男「シミュレーションですか。」
委「そうだね。」
男「逃走中の銀行強盗がこのクラスに立て籠ったら、どう対処するか。みたいな?」
委「なっ!?」
男「まあ、それは冗談としても……」
委「君は私の心が読めるのか?」
男「……いーんちょ、それはダウトです。」
――――――――――
委「最近ね、人の感情というものがわかりかけてきたと思うんだ。」
男「わかった。とは、言い切らないんですね。」
委「そんなに傲慢ではないさ。推し量れるものでないことを理解しているからね。」
男「えーと、今日は何かデリケートなお話なんです?」
委「感情について考えているとね。君の事が浮かんでしまうんだ。」
男「それは僕にとって喜んでもいい事なカンジですか?」
委「期待させたのなら詫びなければいけない。むしろ失礼な事を言ってしまうかもね。」
男「ぬか喜びには慣れました。気にしないで続けてください。」
委「岡目八目という言葉を知っているだろうか?」
男「いきなり現国の話になった!?」
男「関係ない人の方が、当事者よりも物事を正確に見られることですよね。」
委「君の話はまさにこれだと思うんだ。」
男「どういう事ですか?」
委「君は何事においても客観的すぎる。私にはそう感じられる。」
男「うーん……まあ、そうかもしれないですね。」
委「同年代の人と比べても、随分と達観しているしね。」
男「僕の物言いはウザいですか?」
委「そんなことじゃない。そうじゃないんだ。」
委「単刀直入に聞くが、君は本当に人間なのか?」
男「また話がブッ飛びましたが……」
委「君がくれるアドバイスは、先達や先輩が体験談に基づいて下すそれに思える。」
男「そんな大層なものじゃないですって。」
委「君の感情も、どこか現場の外にいて、全体を見ながらコントロールできているような……」
男「とりあえず、僕は人間ですよ。性格については育ちの悪さによるものかと。」
委「悪いなんて思ってないぞ。」
男「じゃあ、育ちの良さによるものってことで。」
委「とにかく、人間なのは間違いないんだね。」
男「僕が人間ってことについては、安心ですか? 残念ですか?」
委「どっちもある。複雑なところだな。」
男「前に僕は奨学生だって言ったの、覚えてますか?」
委「覚えている。私もそうだからな。」
男「あ、それは初耳だ。」
委「続けてくれないか。」
男「あ、はい。僕は両親に早くに死なれちゃって、親戚に預けられたり施設に入ったりしたんです。」
男「だからですね、人の顔色を窺ったり、こじれない人付き合いの方法を身につけなきゃいけなかった。」
委「それを私にも教えてくれているというわけか。」
男「でも、教えてるだけであって、いーんちょにはそういう接し方はしてないつもりですよ。」
委「そうなのか。」
男「無意識にやっちゃってたことがあったとしたらノーカンでお願いします。」
委「教えてくれるのはなぜかな? 私にそう接しないのはどうしてなんだい?」
男「怒らないでくださいね?」
委「顔には出さないよう努力しよう。」
男「自分と同類だと思うようになったからです。」
委「私と君が、かい?」
男「はい。」
委「だったら怒る理由が無い。むしろ嬉しく思うよ。」
――――――――――
男「♪・♪~♪・♪~……」
委「…………」
男「♪・♪~♪・♪~……」
委「口笛は恥ずかしいんじゃなかったのかい?」
男「ああ、今は別にいいんです。そういう気分なんで。」
委「それも何かの曲なのかな?」
男「これはBein'Friendsって曲ですね。」
委「じゃあ、聴き入ってもいいのかな?」
男「どーぞ……♪・♪・♪~……」
――――――――――
委「やはり、君に訊くのがよさそうだ。教えてくれないか?」
男「成績ならいーんちょのほうが優秀じゃないですか。」
委「授業の内容だったら、私がわからないほど難しいものを君に訊ねることは無いよ。」
男「相手が落ち込むような台詞を平然と言ってのけるッ! そこにシビれる!」
委「憧れる?」
男「そっちのお勉強も順調なようですね。」
委「そうでもないんだ。だから君に教えてもらいたいのさ。」
男「わかりました。教えましょう。」
委「萌えるとは何だ?」
男「え?」
委「もちろん草木が芽吹くことではない。」
男「可愛い! の、類義語ですかね。」
委「可愛いというのは形容詞だぞ?」
男「じゃあ、可愛いく思う。と、言うべきでしょうか。」
委「どのように使い分けるんだ?」
男「決まりはないと思います。個人の裁量ですね。」
委「なぜそんな言葉ができたのだろうね?」
男「可愛いを口にするのは恥ずかしい、欲情すると口に出すのは後ろめたい。そんな感じでは?」
委「真意は伏せたいが、評価はしたいということかな?」
男「僕がそう思うだけであって、それが正しいとは言えないですけど。」
委「解釈が違うかもしれないのに、意思疎通に使える柔軟性を持つ言葉か……」
男「それほど真剣に考えることもないかと。」
委「じゃあ、これに関しては深く考える必要はなさそうだ。」
男「これ? それ以外にもあるってことですか?」
委「いくつかある。書き留めてきたからね。」
男「わかりました。わかる範囲でよければ教えます。」
委「次はやおいというものについて教えてもらいたい。」
男「ちょ! 一体どんな本からその言葉を拾ってきたんですか!?」
委「特に参考図書があるわけじゃない。単語として見掛けただけだよ。」
男「それは主に作品のジャンルを表す言葉です。山無し、意味無し、オチ無し、の頭文字です。」
委「それだけか?」
男「そういった、起承転結の無い物語を表す言葉です。」
委「そんな物語に需要があるのだろうか?」
男「ないです。だから、これも深く考えちゃダメです。」
――――――――――
男「おはようございます。いーんちょ。」
委「ああ、おはよう。」
男「なんとなくですけど、機嫌がよさそうですね。」
委「実はさっき、君以外のクラスメイトに挨拶を返したんだ。」
男「よかったじゃないですか。」
委「きっと、君のおかげなんだろうな。」
男「もっともっと馴染んでいけるといいですね。」
委「でも、それは難しい事だ。私には絶対に打ち明けられない事があるからね。」
男「そこに引け目を感じる必要はないですよ。」
委「そうなのかい?」
男「友達同士でも多少の隠し事はあるもんです。」
委「多少どころの話じゃないと思うけれどね。」
男「僕からすれば多少どころの話です。」
委「そうか。ありがとう。」
男「どういたしまして。」
委「今日は折り入って話があるんだ。」
男「何でも言ってください。」
委「少し自信がついたからね。自力で友達と呼べる相手を作ってみようと思ってね。」
男「それで僕に相談がしたいと?」
委「いや、相談はしない。あくまで自分ひとりで挑んでみるつもりだ。」
男「少し危なっかしい気もしますね。」
委「私もそう思う。でも、失敗から学べることもあると思う。」
男「確かに。」
委「だから、君との友達関係を一旦解消したい。」
男「え?」
委「こういう事は、手続き的に対応できるものじゃないことはわかっているよ。」
男「でも、相手が僕なら納得してくれるだろう。と?」
委「その通りだ。」
男「しょうがないですね……断ったら、いーんちょが困りますよね。」
委「人間の友達関係について、君からは色々なことを学ばせてもらった。」
男「これからは実践あるのみってことですね。」
委「それもあるが、君には今後、恋愛関係について教えてほしいんだ。」
男「え!?」
委「かか、勘違いしないでくれ! その、あくまで人間の理解を深めるためだ。」
男「……あれ?」
委「でも! 卵を産む手前くらいまでなら!」
――――――――――――――――――――おわり
こういうの大好きだな
続編の予定はあるか?
個人的にはやってほしい
やっぱりいろいろみなまで言わない部分があるので不明な点があれば解説します
>>153
基本続編はやらない
嬢ちゃんのやつはショートコントっぽい奴だから追加を作ったけど
こういうストーリー性のあるやつは一話完結
また今度違うのでいいから書いてくれ
乙
Entry ⇒ 2012.04.10 | Category ⇒ 男女「」SS | Comments (0) | Trackbacks (0)
鳴上「Another?」
http://hayabusa.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1333101258/
鳴上「アニメは見ないからな」
花村「俺もそーだったんだけどさ、実際見てみると面白れーんだわ、これが」
鳴上「…へぇ」
花村「ヒロインの鳴ちゃんもめっちゃかわいいんだぜ」
鳴上「でもアニメだろ?」
花村「マジでかわいいからおまえも見てみ!」
花村「お?見る気んなったか!俺ブルーレイ持ってっから貸すぜ!」
鳴上「女の子紹介しようか?」
花村「ハァ!?」
鳴上「向こうの高校で何人かアテがある」
花村「なんでそーなんだよ!?」
鳴上「親友が現実逃避してる姿は見ていられない」
花村「逃避じゃねー!アニメは逃避じゃねー!」
鳴上「そうなのか」
花村「アニメ馬鹿にすんな!女の子は後でお願いします!」
鳴上「あ、ああ…」
花村「げぇ!?里中!」
里中「別に人の趣味をとやかく言うつもりはないけど、声を大にして言うことじゃなくない?」
天城「千枝!」
里中「ん?」
天城「花村君も色々事情があると思うんだ」チラッ
花村「……?」
天城「ご、ごめんね!邪魔しちゃって…取り込み中だったよね…」
花村「あの、天城さん?」
天城「でも、鳴上君を穢れた道に誘い込むのはやめてほしいな」
花村「穢れって何!?」
支援
天城「ううん、なんでもないの!とにかく行こ!」
里中「ちょ、雪子ー?もー、なんなのー?」
天城「またね!」
花村「……」
鳴上「変な勘違いさせちゃったかな」
花村「誰のせいだよ」
鳴上「おまえだろ」
花村「……やっぱし?」
>せっかくなので見てみよう…
菜々子「お兄ちゃんそれなーに?」
鳴上「陽介からアニメのブルーレイを借りたんだ」
菜々子「ラブリーン!?」
鳴上「アナザーっていうアニメだよ。菜々子は知ってる?」
菜々子「……分かんない」
鳴上「なら一緒に見てみようか」
菜々子「うん!!」
鳴上「菜々子がかわいかった」
花村「いや、アナザーの感想聞いてんだけど」
鳴上「怖いって言って、しがみついて離れなかったんだ」
花村「あー、菜々子ちゃんと一緒に見たのか」
鳴上「昨日は一緒に寝たよ」
花村「そりゃよかったな、お兄ちゃん。で、肝心の感想は?」
鳴上「菜々子に夢中で覚えてない」
花村「コレだよ!」
鳴上「菜々子がかわいかったから」
花村「鳴ちゃんのがかいいだろ!」
鳴上「あんな電波女かわいくない」
花村「見てんじゃねーか!」
エビ「うっさいわね、喧嘩ならよそでやりなさいよ」
花村「……」
エビ「何?なんか文句あるわけ?」
鳴上「俺は赤沢さんがいいと思う」
花村「赤沢さんもいいな」
エビ「……あかざわ?だ、誰よそれ」
鳴上「鳴もかわいかった」
花村「おまえなら分かってくれると思ったぜ、相棒」
鳴上「向こうの静かな所で語ろう」
花村「ああ」
エビ「は?な、なんなの?何で無視すんのよー!!」
>一人ですることもないので、暇だ…
鳴上「(アナザーでも見るか)」
鳴上「……」(アナザー鑑賞中)
鳴上「(俺だったらここでペルソナを出してカカッと……)」
鳴上「(なんて、アニメの世界に入れるわけでもないのにな)」
鳴上「待てよ?テレビの中に入れるってことはひょっとしたら…)」
>ゆっくりと(画面の中の)赤沢さんに手を伸ばす…
>手がテレビに吸い込まれた
鳴上「引っ張られてる…!」
鳴上「うわぁ!!」
鳴上「う、ん?」
見崎「気分悪いの?」
鳴上「め、鳴!?」
見崎「なに?」
鳴上「(本当にアニメの世界に入れた、のか…?)」
桜木「……っ!」
鳴上「(あれは桜木だったか。たしか最初の犠牲者……!)」
桜木「さ、さよなら!」タタッ
鳴上「行くな!」ダッ
鳴上「くっ!(間に合わない!!)」
鳴上「ペルソナッ!!」カッ
桜木「きゃっ!?」ドサッ
イザナギ「……」
桜木「……」ポカーン
鳴上「大丈夫か!?」
桜木「あ、はい…」
鳴上「どうした?」
イザナギ「……」
桜木「……」ジー
鳴上「ああ、これは俺のペルソナだ。超能力みたいなものさ」
桜木「都会の人はすごいんですね」
鳴上「そうでもない」
桜木「……」
鳴上「気にするな」
桜木「…でも」
鳴上「それより、病院に行くんだろ?」
桜木「そうだ、お母さん!」
鳴上「付き合うよ」
桜木「…え?」
鳴上「お母さんもだけど、桜木のことも心配だからな」
桜木「……あ」ドキッ
冷静に考えたらアナザーのキャラ知識がアニメしかなかった
赤沢「鳴上君、ちょっといいかしら?」
鳴上「なんだ?」
赤沢「教室じゃ話しにくいから、屋上に行きましょう」
鳴上「分かった」
赤沢「……」
鳴上「屋上は定番だよな」
赤沢「…?」
鳴上「愛の告白じゃないのか?」
赤沢「…は?」
鳴上「てっきり告白されるのかと思った」
赤沢「…ふふ」
鳴上「?」
赤沢「面白い人ね。彼女が好きになるのも分かった気がする」
鳴上「何のことだ?」
赤沢「気にしないで。話を戻すわね。たぶん信じられないでしょうけど、黙って最後まで聞いて」
鳴上「……」
赤沢「呪われた3年3組の話……」
鳴上「(アニメの通りだ)」
赤沢「…驚かないんだ」
鳴上「肝がすわってるからな」
赤沢「自分で言うことじゃないでしょう?」
鳴上「たしかに」
赤沢「でもそっちのほうが話は進めやすい、か…」
鳴上「ホレれるなよ」
赤沢「…ホレないわよ」
鳴上「ああ」
赤沢「…実はね、あなたを対策係りにして欲しいって言われたの」
鳴上「俺が?」
赤沢「桜木さんからね」
赤沢「聞いたわよ。階段で転げ落ちそうになったところを助けたんですって?」
鳴上「そういえば…」
赤沢「随分と熱心に勧められたわ。鳴上君のおかげで自分もお母さんも助かったって」
鳴上「……」
鳴上「だった?」
赤沢「頼りないと思ってたけど、あなたなら……」
鳴上「……」
赤沢「対策係り、お願いできるかしら?」
鳴上「任せろ」
赤沢「二つ返事か。頼もしいわね」
鳴上「(アニメ通りなら、先回りして災厄を防げるはずだ)」
鳴上「どうした?」
赤沢「大したことじゃないのだけど…」
鳴上「?」
赤沢「鳴上君と話していると不思議と落ち着く」
鳴上「そうか?」
赤沢「それに鳴上君ってクラスの男子と違って大人っぽいと思う。ほんとに中学生かときどき疑いたくなるわ」
鳴上「(実際高校生だからな…)」
赤沢「ごめんなさい、変なこと言って。気を悪くしたのなら謝るわ」
鳴上「別にいいさ。気にしてないよ」ニコッ
赤沢「……っ」
鳴上「雨が振りそうだな。そろそろ戻ろう」
赤沢「そ、そうね…」
鳴上「(ここらへん、かな?)」
綾野「お、こんなとこで会うなんて奇遇だね!ゆー君もサボリかな?」
鳴上「綾野に会いにきたんだ」
綾野「え?私?」
鳴上「ああ」
綾野「あれ!?もしかして私ナンパされてる!?」
鳴上「(……この後どうなるんだっけ)」
鳴上「(心臓麻痺?いや、それはまた別…)」
綾野「でも恋は突然にって言うしね!うん、暇だから付き合うよ!」グイ
鳴上「え?あ!」
綾野「ほら、早く早く!」
鳴上「いや、ちょっと!」
綾野「女の子を待たせるのはマナー違反だぞ~」グイグイ
・
・
>ガシャーン!!
「なんだ!?」
「…トラックに積んであった硝子板が割れた音だったみたいっす」
「みたいっす、じゃねーだろ!あれほどしっかり固定しておけっつたろーが!」
「すんません……」
「誰もいなかったからよかったものの、もし誰かいたら怪我じゃすまなかったぞ!?」
「すんませんっす…」
「だいたいてめーは……」クドクド
綾野「お腹空いたね~。ケーキとか食べたくない?」
鳴上「いいんじゃないか?」
綾野「じゃ、行こ♪」グイ
鳴上「(何か忘れているような…)」
勅使河原「飯にしよーぜー、鳴上ー」
鳴上「(勅使河原は陽介に近しいものを感じる)」
勅使河原「俺の顔になんか付いてるか?」
鳴上「なんでもない」
望月「お昼ご飯食べるの?僕もまぜてよ」
勅使河原「おー、まざれまざれ」
望月「何処で食べる?教室?」
鳴上「天気もいいし、屋上もいいんじゃないか」
勅使河原「屋上にサンセー!」
望月「じゃあ屋上にしようか」
勅使河原「マジで!?」
鳴上「マジだ」
望月「どうしたの?」
勅使河原「こいつ弁当自分で作ってんだってよ!信じらんねー!」
鳴上「おかしいか?」
勅使河原「いただき!」バッ
鳴上「あ…」
勅使河原「このからあげめっちゃうめぇぞ!?」
望月「……」ジー
鳴上「望月も一つどうだ?」
望月「あ、うん…ありがとう…」
望月「すごくおしいよ!」
鳴上「口に合ってよかった」
勅使河原「なぁ!後一個!後一個だけくれ!」
鳴上「しょうがないな」
勅使河原「やりぃ!」
望月「僕もいいかな?」
鳴上「勿論だ」
望月「ありがとう、鳴上君!」
>PiPiPi!
>電話だ。一体誰からだろう…?
勅使河原「おかまいなく~」モグモグ
鳴上「もしもし?」
水野『鳴上君?今電話平気かな?』
鳴上「誰だ?」
水野『えぇ!?私だよ!わーたーし!』
鳴上「……詐欺?」
水野『詐欺じゃないよ!水野早苗!』
可愛いナース水野さんをなんとか助けてくれ
水野『ちょっと気になることが……だけど…』
>電波が悪いのか、時折ノイズが混じる
水野『あれ?もしもーし、鳴上君聞こえてるー?』
鳴上「エレベーターに乗るな!」
水野『え?何?』
鳴上「落ちるぞ!!」
水野『エレベーターが……したの…?』
鳴上「乗るな!!」
水野『!』
>ツー…ツー…
>電話は切れてしまった
水野「エレベーターに乗るなって言ってたけど、なんでだろ?」
水野「……」
水野「エレベーター…エレベーターケーブルが切れる、とか?」
水野「な、ないない!」
水野「(きっと、ちょっと意地悪して怖がらせたかっただけだよ)」
水野「(そうだよね、鳴上君…)」
水野「あ、少し時間過ぎちゃった。急いで戻らないと」ポチッ
>ガクン!
水野「きゃっ!?」
>…ギギ
水野「う、嘘……」
>ガクン!
水野「ひっ!嘘嘘嘘!!」
水野「だ、誰か…誰かたすけて…!」
水野「……鳴上君、助けてよぉ!」
鳴上「水野さん!!」
水野「!?」
警察「目が覚めましたか。体の具合はどうです?」
水野「…あの、どちら様でしょう」
警察「申し遅れました。私、こういうものです」
水野「(刑事さん?)」
警察「先日の事故について調べておりまして、お話をお聞きしたいのですが」
水野「事故?」
警察「覚えてないんですか?あなたの乗ったエレベーターのケーブルが切れて……」
鳴上「へぇ…」
赤沢「そして、ドアを無理矢理こじ開けて助け出したのがあなた」
鳴上「……」
赤沢「これはどういうこと?」
鳴上「水野さんはああ見えて重いから」
赤沢「真面目に聞く気がないということね。なら…」
鳴上「聞く。聞くから、落ち着こう。落ち着け!」
鳴上「ああ」
赤沢「でも、なぜ彼女がエレベーターに閉じ込められていると分かったの?」
鳴上「…電話でエレベーターに乗るって言ってたんだ」
赤沢「……」
鳴上「それで、なんとなく嫌な予感がした」
赤沢「予感的中じゃない。予知能力でもあるのかしら?」
鳴上「偶然さ。エレベーターが途中で止まったのも、不幸中の幸いだった」
赤沢「……」
鳴上「(本当はペルソナでエレベーターを支えたんだけど)」
>まただ……
鳴上「……」
赤沢「出なくていいの?」
鳴上「出たくない」
赤沢「最近よく鳴ってるわね、鳴上君の携帯」
鳴上「……」
赤沢「モテる男はつらいわね」クスッ
>着信……
>……水野
>花壇の側に見崎がいる
>花でも見ているのだろうか…
鳴上「ちょっとごめん…」
赤沢「待ちなさい」
鳴上「なんだ?」
赤沢「対策係りになったときに説明したでしょう?」
鳴上「……」
赤沢「彼女はいないモノなの。これはクラスで決めたことよ」
鳴上「災厄はもう起きてる」
赤沢「……っ!」
鳴上「そもそも、いないモノなんて効果がないんじゃないか?」
鳴上「だから俺がきたんだ」
赤沢「大した自信じゃない。あなた一人で災厄を止められると?」
鳴上「俺一人じゃ無理かもしれない」
赤沢「でしょうね」
鳴上「でも赤沢がいる」ガシッ
赤沢「!!」
赤沢「…理想論よ」
鳴上「自信はある」
赤沢「……だ、だからなんなのよ」
鳴上「ホレるなよ?」
赤沢「……」
鳴上「否定しないのか?」
赤沢「ば、馬鹿!」
鳴上「また明日」タタッ
赤沢「……ばか」
見崎「……」
>見崎はこちらを見ようともしない
鳴上「何してるんだ?」
見崎「鳴上君、対策係りになったんでしょ?」
鳴上「ああ」
見崎「なら、私がどういう立場か分かってるよね」
鳴上「勿論」
見崎「じゃあ、どうして?なぜ私に話しかけるの?」
鳴上「鳴とは一度話してみたかったんだ」
見崎「……そう」
鳴上「赤沢にも言われた」
見崎「……」
鳴上「もう暗くなる。早く家に帰ったほうがいい」
見崎「うん」
鳴上「送っていくよ」
見崎「……」フルフル
鳴上「遠慮するな」ナデナデ
見崎「…やめて」
鳴上「ごめん。妹がいるから、ついクセで」
鳴上「ああ。まだ小学生だけど」
見崎「私って子供っぽいかな」
鳴上「小学生よりは大人っぽい」
見崎「……褒めてない」
鳴上「そうか?」
見崎「……」
鳴上「帰り道、気をつけて帰れよ」
見崎「……」
鳴上「それじゃ…」
見崎「待って」
鳴上「…?」
見崎「妹の話、もっと聞かせて…」
>見崎と二人で下校した
望月「そうだね」
勅使河原「…あいつとしょっちゅういるし」
望月「……」
勅使河原「対策係り的にどーなんだよ、あれ」
赤沢「……」
勅使河原「赤沢?」
赤沢「鳴上君は、いないモノ対策が間違っていると主張しているの」
勅使河原「でも今までそうしてきたんだろ?」
赤沢「ええ」
望月「現に、対策を講じてるおかげで災厄は起きてないよね」
勅使河原「つまり、いないモノ対策がうまくいってるってことだ」
勅使河原「起きてねーだろ?実際俺らのクラスは誰一人欠けてないぜ」
赤沢「防がれてるからね」
望月「どういうこと?」
赤沢「どういうわけか、鳴上君が災厄を防いでいるみたいなの」
勅使河原「……冗談じゃねーみたいだな」
望月「でもどうやって…」
赤沢「さぁ?予知能力でもあるんじゃないかしら」
勅使河原「別世界からきたヒーローってか?漫画かっての」
望月「あ、あはは…」
望月「て、勅使河原君!」
鳴上「なんだ?」
勅使河原「赤沢が一緒に飯食いたいってさー」
赤沢「は、はぁ!?」
鳴上「悪い、鳴と一緒に食べる約束してるんだ」
勅使河原「そ、そうか…」
鳴上「ごめんな、赤沢」
赤沢「私は別に……」
赤沢「そ、そう…」
鳴上「屋上で一緒に食べよう」
赤沢「……うん」
鳴上「それじゃ」
赤沢「またね」
勅使河原「……」
望月「……」
赤沢「な、何?」
勅使河原「鳴上イケメンだしなぁ、しょうがねーか」
望月「うん」
赤沢「言いたいことがあるならハッキリ言え!」ポカッ
勅使河原「ってぇ!!」
番長マジイケメン
望月「高林君はこの話どう思う?」
高林「いいんじゃないかな。いないモノ対策は間違ってるって新しい考えだと思うよ」
望月「でも、合ってるとも限らないし…」
高林「正しいとも言えないよね」
望月「……それは」
鳴上「二人とも、これから帰りか?」
望月「!」
高林「そうだよ。鳴上君も?」
鳴上「ああ」
高林「なら丁度いい。一緒に帰らない?」
鳴上「いいぞ」
望月「……」
望月「高林君…」
高林「いないモノなんて間違ってる。見崎さん一人が不幸になるなんておかしいよ」
鳴上「…俺もそう思う」
高林「鳴上君の言う通り、クラスみんなの力を合わせれば……っ!」
望月「た、高林君!?」
高林「ぐ…あぁ…!」ガクガク
鳴上「心臓病か!」
望月「き、きっとそうだ!ど、どようしよ、鳴上君!」
鳴上「落ち着け」
望月「落ち着ける状況じゃないよ!」
鳴上「救急車を頼む」
望月「きゅ、救急車だね!」タタッ
鳴上「(徒歩で呼びに行くのか…)」
鳴上「(心臓が止まった!?)」
鳴上「こういうときは……」
鳴上「(人工呼吸!)」
>……
>しかし、高林は息をふきかえさない
鳴上「落ち着け、他に方法があるはず」
鳴上「何か……」
鳴上「!」
鳴上「…試してみる価値はある。むしろ、もうそれしか方法がない」
鳴上「イザナギ!」カッ
高林「……」
鳴上「もう一度!」
高林「……」
鳴上「もう一度!!」
高林「…………」
鳴上「戻って来い、高林ぃ!!!」
>高林が息をふきかえした!
高林「ぼ、くは…」
鳴上「心臓病で倒れたんだ」
高林「……あぁ」
鳴上「立てるか?」
高林「…くっ」ヨロッ
鳴上「無理はするな」
高林「鳴上君が助けくれたの?」
鳴上「まぁな」
高林「…ありがとう、鳴上く……」
>意識を失ってしまったようだ
>まだ油断は出来ない。急いで病院に連れてゆこう
鳴上「落ち着け」
望月「高林君は!?」
鳴上「だいぶ落ち着いたよ」
望月「…よかったぁ」
鳴上「油断するのはまだ早い。…救急車は?」
望月「よ、呼んできたよ!もうくると思う!」
>遠くからサイレンの音が聞こえる……
望月「でね、お医者様が言うには鳴上君の適切な処置のおかげで助かったんだって!」
勅使河原「やるじゃねーか、転校生」
望月「すごいよね!」
勅使河原「なんでおまえが嬉しそうなんだよ」
望月「そ、そう?」
勅使河原「まさかおまえ……」
望月「?」
鳴上「何の話だ?」
望月「鳴上君!」
勅使河原「(赤沢のみならず、望月まで…)」
望月「うん、いいよ!」
鳴上「赤沢もいいだろ?」
赤沢「…え?まぁ、いいけど」
望月「……赤沢さんも一緒なんだ」
赤沢「問題でも?」
望月「別に…」
鳴上「…?」
鳴上「そうか」
勅使河原「(こんな空気で飯なんか食えるかよ…)」
赤沢「ところで何処で食べるの?」
鳴上「そうだな…」
望月「僕は鳴上君が食べたい所でいいよ」
赤沢「……っ」
鳴上「じゃあ屋上にしよう」
望月「うん」ニコッ
赤沢「はい?」
久保寺「お話したいことがあるのですが、今お時間よろしいですか?」
赤沢「……」チラッ
鳴上「話が終わるまで待つさ」
赤沢「…いいわ、先に食べてて頂戴。それで先生、話ってなんですか?」
久保寺「ここではなんなので、職員室まで行きましょう」
赤沢「はい」スタスタ
望月「…行っちゃった」
鳴上「仕方ない、先に食べてるか」
鳴上「……」
>望月はもくもくと弁当を食べている
望月「……」チラッ
鳴上「俺の顔に何かついてる?」
望月「う、ううん!何もついてないよ!」
>どうも様子がおかしい
>これも災厄の前触れだろうか…
望月「鳴上君は優しいんだね…」
>望月は儚げに微笑んでいる
鳴上「望月は大切な友達だからな」
望月「……」
望月「僕、鳴上君に謝らなくちゃいけないことがある」
鳴上「……」
望月「僕ね、鳴上君のことが死者なんじゃないかって思ってた」
望月「気がついたら、鳴上君と一緒にいることが楽しかった」
鳴上「俺も望月と話すのは楽しい」
望月「それから高林君の件」
鳴上「……」
望月「僕は驚いて取り乱してたけど、鳴上君は冷静に対処してたよね」
鳴上「救急車を呼んでくれたじゃないか」
望月「あれは、鳴上君が指示を出してくれたおかげだよ」
望月「そして思ったんだ。この人が死者なわけない。それどころか災厄を止めてくれるんじゃないかって」
>望月の頬はほのかに赤い…
望月「……」
鳴上「……」
赤沢「(この雰囲気は何?なんで無言で見つめ合ってるの!?)」
赤沢「(鳴上君…ひょっとして男色…?)」
赤沢「あ、ありえないわ…」
見崎「先客がいたみたいね」
赤沢「ひゃっ!?」
見崎「話しかけいいの?」
赤沢「……あ」
見崎「意外とドジなんだ、赤沢さん」
赤沢「い、今はクラスメイトも見てないからいいのよ」
見崎「そう」
赤沢「……」
見崎「屋上は普段人がいないから」
赤沢「…?」
見崎「一人でご飯を食べるにはもってこいなの」
赤沢「……」
赤沢「……」
見崎「私は別の場所で食べることにする」
赤沢「ま、待ちなさい」
見崎「?」
赤沢「せっかくだから、一緒にお昼どう…?」
見崎「いい。迷惑かけたくないし」
赤沢「屋上なら人もこないから平気よ」
見崎「……」
赤沢「あなた、鳴上君と特に仲がいいじゃない」
見崎「そう見える?」
赤沢「何言ってるのよ。いつも楽しそうに話してるくせに」
見崎「……楽しそう?」
赤沢「鳴上君が名前で呼んでるのはあなたくらいよ」
見崎「…ふーん」
赤沢「な、何?」
見崎「嫉妬?」
赤沢「ち、ちが…!」
見崎「冗談。ご飯誘ってくれてありがとう。でも別の場所で食べる」スタスタ
赤沢「見崎さん!」
見崎「あ、これは独り言なんだけど…」
赤沢「……」
見崎「赤沢さんの悲鳴、女の子っぽくてかわいかった」
赤沢「っ!」
桜木「な、鳴上君!」
鳴上「?」
桜木「き、きき奇遇ですね!」
鳴上「そうだな」
桜木「……」モジモジ
>桜木は落ち着きがない
鳴上「用がないなら行くぞ」
桜木「ま、待って!!」ガシッ
鳴上「!」
鳴上「悩み事か?」
桜木「……」
鳴上「俺でよければ力になる」ガシッ
桜木「…あぅ」
>桜木の顔は赤い
>体調が悪いのかもしれない
鳴上「体調が悪いのなら保健室に行こう」グイ
桜木「ち、違うんです!そうじゃなくて…」
鳴上「…?」
鳴上「お礼?」
桜木「階段で助けてくれたじゃないですか」
鳴上「そのことか」
桜木「本当にありがとうございました。お陰でお母さんも…」
鳴上「気にするな」
桜木「そ、それでですね…明日のお休みなんですけど…」
鳴上「……」
桜木「一緒にお、お、お茶でも…なんて思ったり…」
桜木「あくまでお礼の一環として!下心はありませんよ!?」
鳴上「……」
桜木「……ちょ、ちょっとあります」
>助けてもらったお礼として、ご馳走したい
と、いうことだろうか…
桜木「…赤沢さんから教えてもらったお店なのですけど」
鳴上「お茶じゃないのか?」
桜木「あ、コーヒーでした。あはは…」
鳴上「……」
桜木「……」
鳴上「たまにはコーヒーも悪くないな」
桜木「!」
鳴上「明日、楽しみしてるよ」ニコッ
桜木「はい!私も楽しみにしています!」
>桜木はとても嬉しそうにかけていった
鳴上「……」
綾野「ゆー君!」ギュッ
鳴上「うわっ!」
綾野「へへ、だーれだ!」
鳴上「綾野だろ」
綾野「正解!褒美として明日私とデートする権利をあげるよー」
鳴上「…は?」
綾野「嬉しいくせに~」ウリウリ
鳴上「明日は用事が…」
綾野「デートコースはゆー君に任せるから」
鳴上「だから…」
綾野「忘れちゃだめだよー?」タタッ
鳴上「綾野!」
>綾野は去って行った
鳴上「(……後で断ればいいか)」
>PiPiPi!
鳴上「もしもし」ガチャ
鳴上「水野さん?」
鳴上「…明日?明日は予定がある」
鳴上「喫茶店?へぇ…コーヒーが…」
鳴上「いや、待ってくれ。明日は…!」
>一方的に約束を取り付けられ、電話は切れた
鳴上「……」
鳴上「(以前にも同じようなことがあった気がする…)」
鳴上「!」
赤沢「探してたのよ。対策係りのことで話があるの」
鳴上「そ、そうか(それなら今日中に終わりそうだな)」
赤沢「でも今日は家の事情があって」
鳴上「何!?」
赤沢「っ!」ビクッ
鳴上「悪い。それで?」
赤沢「え?ああ、だから放課後は都合が悪いから無理なんだけど、明日なら大丈夫なの」
鳴上「……」
赤沢「前に話した喫茶店覚えてる?イケヤって言うんだけど、そこで話し合いましょう」
なに勘違いしてやがる
まだ番長のターンは終わってないぜ!
赤沢「え、ええ、そうよ」
鳴上「中尾や杉浦も来るのか?」
赤沢「あの二人は都合が悪いって断られたの」
鳴上「……」
赤沢「ほ、本当よ?」
鳴上「何も言ってない」
赤沢「…っ!」
>対策係りの仕事となると断りづらい
>桜木との約束を断って、こっちを優先するべきだろうか…
見崎「何してるの」
見崎「デートのお誘い?」
赤沢「違うわ!対策係りのことで鳴上君に話があるの!」
見崎「そうなの、悠?」
鳴上「ああ」
>見崎に事情を説明した
見崎「そうなんだ。明日は私も予定がないの」
赤沢「!」
見崎「話を聞いていたら、私もコーヒーが飲みたくなってきちゃったな」チラッ
赤沢「だ、ダメよ!」
見崎「どうして?ただコーヒーを飲みに行くだけよ」
赤沢「……」
>心なしか空気が重い……
鳴上「いいんじゃないか」
見崎「そう」チラッ
赤沢「(さっきからこれ見よがしに鳴上君の名前を!わ、私だって…!)」
赤沢「ゆ、悠君は私と用事があるの!」
見崎「私はコーヒーが目当てなのだけど。赤沢さんは話し合いじゃなくて、悠が目当てなの?」
赤沢「~~っ!!」
>そういえばまだ昼食を食べいなかった
>早くしないとお昼休みが終わってしまう…
赤沢「対策係りの仕事だと言ってるでしょう!」
見崎「そう?」
>二人はなおも言い争いを続けている
>……そっとしておこう
鳴上「……」
鳴上「(何も断る必要なんてなかったんだ。集合場所は喫茶店なんだし)」
鳴上「(みんなで談笑しながらコーヒーを飲もう)」
鳴上「(それがいい)」
鳴上「…?」
鳴上「あそこにいるのは……」
桜木「……」ドキドキ
桜木「(鳴上君遅いなぁ。もう約束の時間は過ぎてるのに…)」
桜木「それにしても…」チラッ
赤沢「……」
綾野「~♪」
水野「(今日はアレしてコレして、ご飯食べた後は…うふふ♪)」
桜木「(知り合いがやけに多い……)」
桜木「(たまたまだよね?)」
「いらっしゃいませ~」
桜木「(き、きた!鳴上君!)」
赤沢「…!」バッ
綾野「ゆー君遅いよ~」
水野「(鳴上君!)」
見崎「……」
赤沢「み、見崎さん!?」
見崎「あなたたち彼氏いないの?」
鳴上「元気がないな」
勅使河原「…鳴上か」
鳴上「これからイケヤに行くんだ。勅使河原もどうだ?」
勅使河原「俺はやめとくよ…」
>勅使河原は落ち込んでいる
>何かあったのだろうか…
鳴上「失恋か」
勅使河原「そんなんじゃねーよ」
鳴上「……」
勅使河原「……」
鳴上「……」
勅使河原「見崎をいないモノとして扱うことはやめになったろ?」
鳴上「ああ」
勅使河原「みんな最初は戸惑ってたけど、おまえが説き伏せて納得してくれた」
鳴上「対策係りで正式に決まったことだから」
勅使河原「……鳴上はいないモノなんて間違ってるって考えなんだろ」
鳴上「そうだ」
勅使河原「俺は…そうは思えねーんだ……」
>勅使河原は怯えている
勅使河原「見崎のことはかわいそうだとは思うぜ!?でもよ!命がかかってんだ!」
勅使河原「クラスメイト一人を無視するだけでみんなが助かるなら、見崎だって分かってくれる!」
勅使河原「そうだよ!見崎だって納得していないモノになったんだ!」
鳴上「……勅使河原」グッ
勅使河原「やっぱりいないモノ対策はやめるべきじゃ……っつ!!」
>勅使河原を殴り飛ばした!
鳴上「あ、つい」
勅使河原「ついで殴るなよ!」
鳴上「少しは落ち着いたろ?」
勅使河原「……っ」
鳴上「言いたいことがあるなら言えばいい」
鳴上「俺はちゃん最後までと聞くよ。立てるか?」スッ
勅使河原「あ、ああ…」
鳴上「いきなり殴って悪かったな」
勅使河原「俺も取り乱して悪かった」
鳴上「……」
勅使河原「……」
鳴上「……?」
勅使河原「ははは!なんだよ、この空気!」
>勅使河原は笑い出した
勅使河原「はぁー、笑った笑った」
勅使河原「さっきまでウジウジ悩んでた自分が馬鹿らしいくなってきたぜ」
鳴上「そうだな」
勅使河原「それにすっきりしたよ。お前のおかげだ、鳴上」
鳴上「溜めすぎはよくない」
勅使河原「ちげーねぇ!はは!」
>何やら店内から不穏な空気を感じる…
勅使河原「どーした、鳴上?」
鳴上「……」
勅使河原「中でみんな待ってるんだろ?」
鳴上「腹具合が……」
勅使河原「おいおい、マジかよ。病院行くか?」
鳴上「俺は大丈夫だ。勅使河原は俺がいけなくなったことを伝えてくれ」
勅使河原「いいのかー?俺がみんなお持ち帰りしちまうぜー?」
鳴上「出来るならな」
勅使河原「この勅使河原直哉を甘くみんなよ?いくぜー!!」
>勅使河原は勇み足でイケヤに入っていった
鳴上「……勅使河原…いい奴だった」
赤沢「……」ギロッ
水野「…っち!」
綾野「……」
見崎「勅使河原君」
勅使河原「見崎…」
見崎「みんな悠を待って殺気だってるの」
勅使河原「そうか…(来れなくなったって言いづれー!)」
見崎「もしかして勅使河原君も悠を?」
勅使河原「実は鳴上に伝言を頼まれて…」
綾野「ゆー君から!?」ガバッ
水野「あなたじゃないでしょう?きっと私よ」
綾野「年増は黙っててよ!」
水野「なんですってぇ!?」
勅使河原「体調が悪ぃから来れないって…」
赤沢「ふぅ、そんなことだろうと思ったわ。今日はこれないそうよ、桜木さん」
桜木「鳴上君鳴上君鳴上君……」ブツブツ
赤沢「聞いてない、か…」
見崎「デート、すっぽかされちゃったね」
赤沢「あなたもでしょ」
見崎「私はコーヒーを飲みにきただけだもの」
赤沢「そのわりに朝からずっといるみたいだけど?」
見崎「その言葉そっくり返すわ」
赤沢「……」
見崎「……」
勅使河原「(役目は果たしたよな?もう帰ってもいいよな!?)」
鳴上「(少し冷えてきたか)」
鳴上「(そろそろ戻ろう)」
鳴上「……ん?」
鳴上「(気のせいか…)」
鳴上「……」スタスタ
望月「(鳴上君!鳴上君!)」ニタニタ
鳴上「……」
鳴上「(ここしばらく災厄らしい災厄は起きていない)」
鳴上「(この後は災厄の防ぎ方がわかって、赤沢たちと夜見山の外へ行くんだったか)」
鳴上「3年3組の災厄…」
鳴上「どうせなら、災厄そのものをなくしたい」
見崎「災厄そのもの?」
鳴上「…聞いてたのか」
見崎「ごめんなさい。なんだか声をかけづらかったから」
鳴上「気にしてないよ」
見崎「災厄をなくすって言ってたけど、そんなこと出来るの?」
鳴上「……」
鳴上「…え?」
見崎「今までにない答えにたどり着ける。そんな気がするの」
鳴上「……」
見崎「私はそう思う」
鳴上「ありがとう、鳴」
見崎「私も協力する」
鳴上「ああ」
見崎「…頑張って」タタッ
鳴上「災厄をなくすことが出来たら元の世界にも帰れるのだろうか…」
鳴上「……」
榊原「帰れるさ」
>気がつけば、傍らに見知らぬ少年が佇んでいた
>何処かで見たことがあるような気がする…
榊原「本来、君がいる立場にいるはずだった者さ」
鳴上「……榊原」
榊原「そう。中身は違うけどね」
鳴上「どういうことだ」
榊原「意外と鈍いんだな。君がなくしたがっている災厄が僕だってことだよ」
鳴上「!」
榊原「実態はないから、今はこの人間の体を借りているんだ」
>榊原?は不気味に微笑んでいる…
榊原「そこへひょんなことから君が迷いこんできた。これは面白そうなことになると思ったよ」
鳴上「……」
榊原「僕は急いで記憶の改竄を行った。転校生は榊原じゃなく、君ということにした」
鳴上「おまえを楽しませるためじゃない」
榊原「まぁ落ち着いて。話を戻そうじゃないか」
鳴上「……」
榊原「君は災厄をなくしたいんだったね?」
鳴上「そうだ」
榊原「そして君はこうも思っている。現実に帰りたいと」
鳴上「何?」
榊原「君を現実世界に帰してあげる。そのかわり僕たちのことは放っておいてくれないか?」
鳴上「……」
榊原「所詮この世界は作り物。小さな小さな箱庭世界」
榊原「時が過ぎれば終わりを迎えるんだ。今さら君が足掻く必要はないと思わない?」
榊原「彼らに愛着がわいたのなら、この世界に残るのもいい」
鳴上「……」
榊原「その代わり、永遠に僕といたちごっこを続けるハメになるけどね」クスッ
榊原「それともこの世界に残り続けるのか…答えは二つに一つだ」
榊原「明日の0時まで考える時間をあげよう」
鳴上「……」
榊原「…よく考えることだね」
>榊原?は溶けるように消えてしまった
鳴上「(深く関わってしまった以上、3年3組のみんなを忘れて帰ることなんて出来ない)」
鳴上「(…かといって、現実を捨てて残り続けることも)」
鳴上「……」
鳴上「(今までにない答え)」
鳴上「俺は……」
鳴上「……」
榊原「ここに来たということは、答えは出たんだね」
鳴上「ああ」
榊原「なら聞かせてもらおうか、君の答えを」
鳴上「俺は…現実に戻る……」
鳴上「……」
榊原「僕としては寂しくもあるよ。君と過ごした数ヶ月はとても楽しかった」
榊原「本音を言うと、君には残ってほしかったな」
鳴上「そうか」
榊原「ま、今さら言ったところで仕方のないことだ」
榊原「無駄話はここらにしておこう。君は早く帰りたいだろうしね」
鳴上「勘違いするな」
榊原「……」
鳴上「俺が帰るのは、災厄を消したてからだ」
鳴上「……」
榊原「どうやら、本気のようだね。言っておくけど、僕はこの世界の神様のようなものだよ?」
榊原「勝てないんじゃないかなぁ…」
鳴上「神様とは一度喧嘩したことがある」
榊原「あはは!君はつくづく面白いやつだな!」
鳴上「……」
榊原「調子に乗るなよ、人間!!」
榊原「ペルソナか。面白い力だね…」
榊原「こうかな?ペルソナ!」カッ
鳴上「!?」
>榊原?の傍らには、禍々しい姿のイザナギが佇んでいる
鳴上「そんな…」
榊原「言ったろ?僕はこの世界の神なんだ。この程度で驚いてもらっちゃ困るな!」
>マガツイザナギの凶刃が鳴上を襲う!
>ガードしきれず、吹き飛ばされた!
榊原「案外弱いんだね。本当に神様と喧嘩したことがあるのかい?」
鳴上「くっ!チェンジ!ルシファー!」カッ
榊原「チェンジ!ルシファー!」カッ
鳴上「なっ!?」
榊原「隙だからけだ!」
鳴上「そ、んな……」バタッ
>鳴上は倒れた…
榊原「もう倒れるなんて、拍子抜けだな。君にはガッカリしたよ」
>……
鳴上「!」
勅使河原「やっと起きたか。発案者はおまえなんだから居眠りなんてすんなよなー」
鳴上「なんのことだ?」
桜木「夏休みに入ったら、みんなで海に行こうって鳴上君が言い出したんですよ」
赤沢「覚えてないの?」
鳴上「ごめん」
見崎「疲れてるんじゃない?」
鳴上「……」
勅使河原「お、望月男らしー!」
望月「か、からかわないでよ!」
赤沢「無理はよくないわね。望月君の言う通り、残りは私達がやっておくから」
鳴上「すまない…」
勅使河原「気にすんなって!俺ら親友だろ!?」
赤沢「それと、アホの勅使河原は口を閉じていてくれるかしら?」
勅使河原「なんでだよ!?」
見崎「勅使河原君が黙っていたほうが、話進むし」
勅使河原「あんまりだ!」
望月「そうだね。僕、夏休みが楽しみだよ」
桜木「私もです」
赤沢「中学校最後の夏休みですものね…」
見崎「……」
勅使河原「なーにしんみりしてんだよ!」
勅使河原「中学の夏休みはこれで終わりだけど、またこれからも集まりゃいーじゃねーか!」
桜木「…勅使河原君」
赤沢「たまにはいいこと言うじゃない。勅使河原のくせに」
勅使河原「俺たちはこれからもずっとずっと一緒だ!な、ユウ!!」
鳴上「これからも……」
鳴上「…っ!」
>頭がズキリと痛む…
赤沢「ちょっと、平気なの?」
桜木「鳴上君…」
望月「大丈夫?」
見崎「…無理しちゃだめ」
鳴上「…みんな」
>皆の優しさが伝わってくる…
>それでも、自分は…
鳴上「俺は、ずっとここにはいられない」
見崎「……」
望月「……」
鳴上「でも、それでもみんなは俺の大切な……!」
勅使河原「ユウ、分かってるよ」
鳴上「…え?」
赤沢「俺の大切な仲間、でしょ?」
鳴上「…赤沢」
桜木「それは私たちだってそうです」
望月「鳴上君は、僕たち3年3組のクラスメイトだよ!」
見崎「例えどんなことがあっても、それは変わらないし、忘れない」
勅使河原「行ってこい。ふんぞり返って調子ぶっこいてる神様に、きつい一発をお見舞いしてこいよ!」
鳴上「ああ!」
榊原「驚いた。まさか立ち上がるなんて思ってもみなかったよ」
鳴上「……」
榊原「さすが神様と喧嘩しただけはあるね」
鳴上「俺はもう倒れない」
榊原「口先だけなら、なんとでも言えるさ!ルシファー!」カッ
鳴上「……」
>絆を真に深めた相手の心が
力に変わる…
>イザナギは伊邪那岐大神に転生した!
鳴上「終わりだ!」カッ!
>真実を射止める、究極の真言が
>あまねく闇を吹き晴らす……
榊原「そんな!こんな力が!たかが人間ごときにぃ!!」
榊原「うぉおおおおおおおおおおおおおおおお!!」
>……
>…………
>気がつけば、東の空が白んでいる
>夜明けは近い…
鳴上「これで災厄は終わったはずだ」
鳴上「全部終わったんだ…」
>瞼が重い…
>意識が遠のく……
>聞き覚えのある声がする
>だが頭がぼんやりとして、思い出すことが出来ない
「――――」
鳴上「(言葉もよく聞き取れない…)」
「――」
鳴上「……?」
「お兄ちゃん!!」
菜々子「もぉ~、コタツで寝ちゃだめだよ。風邪引いちゃうよ?」
>どうやらアナザーを見ながら寝てしまったらしい
>…今までのことは全て夢だったのだろうか?
鳴上「……」
菜々子「どーしたの?」
鳴上「なんでもないよ。お帰り、菜々子」ナデナデ
菜々子「ただいま、お兄ちゃん!」
菜々子「まだー」
鳴上「そっか。じゃ今から作るから、待ってろ」
菜々子「菜々子お手伝いするよ!」
鳴上「えらいぞ、菜々子」ナデナデ
菜々子「えへへ~♪」
鳴上「……」チラッ
テレビ「……」
菜々子「早く作ろーよ、お兄ちゃん」グイグイ
鳴上「はいはい」
ありがとう……鳴上君……
超疲れた。マジ疲れた
さすが番長だな
これジュネスのBDは内容かわっちゃうのか?
Entry ⇒ 2012.04.10 | Category ⇒ AnotherSS | Comments (1) | Trackbacks (0)
春香「千早ちゃん、携帯忘れてるよ?」千早「私のじゃないけど?」
http://hayabusa.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1333724048/
目の前にある古めかしい携帯は絶対千早ちゃんのだと思ったのに…
千早「ほら、私のはここに…」ヒラヒラ
確かに千早ちゃんの手にはいつもの携帯…
春香「ってこれ千早ちゃんの携帯と全く同じ!?」
千早「ほんとね…」
こんな携帯を千早ちゃん以外が使っているなんていったい
春香「誰のだろう…?」
千早ちゃんは軽く言う…軽く言うけどきっと持ち主は困ってると思う…
私だって携帯がないと困っちゃうから
春香「この事務所の人の持ち物なのはわかってるんだけど」
P「すまん!春香、千早この辺で携帯見なかったか?」
春香「プロデューサーさん?あっ…この携帯、プロデューサーさんのだったんですね」
よかった…一安心、そっか…プロデューサーさんのだったんだ
春香「良かったですね!」
千早「あの…プロデューサー?」
P「なんだ?千早」
千早「プロデューサーは何故そのような古い携帯を使ってるんですか?」
えっ!その質問、同じ携帯を使ってる千早ちゃんが聞いちゃうんだ!?
P「あぁ…そんなことか?」
千早「同感です」スッ
同型の携帯をポケットから出す千早ちゃん、なんだかいつもよりにこやかなのは気のせいだろうか?
春香「もう!プロデューサーさんも千早ちゃんもそんなんじゃ時代に取り残されちゃうよ!」
千早「大丈夫よ春香!あと十年は」
P「戦える…」
この人たちは何と戦っているのだろう…きっと私には一生分からないと思う
春香「引き留めてごめんなさい!お仕事がんばってください!」
千早「いってらっしゃい」
P「おう!春香、携帯ありがとな!いってくる」
そういうとプロデューサーさんは一心不乱に事務所から飛び出て行ってしまいました。
本当に忙しいんだ…
千早「春香?私たちも急がないとレッスンに遅れるわ」
春香「そうだった!えへへ…すっかり忘れてた」
千早「相変わらず抜けてるわね」
春香「千早ちゃん…ひどぅい」
けど私は千早ちゃんの性格は大好きだからなんの不満もないのだ
千早のアレだとキャリア本社の在庫すら無さそう
_____
千早「アーアーアーアーアー…」
春香「アアアアアー」
トレーナー「天海さん、今の場所もう一度いいかしら?」
春香「えぇ!?は、はい!」
春香「アアアアアー」
トレーナー「違います。如月さんは上手くできているようなので真似してみてください。如月さん、お手本でいいですか?」
千早「はい」
千早「アーアーアーアーアー」
さっすが千早ちゃん。トレーナーさんにも褒められてすごいなぁ…それに比べて私は…
トレーナー「天海さん!」
!!!??
春香「は、はい!?」
トレーナー「じゃあ今のところもう一度」
春香「アアアアアー」
トレーナー「天海さん…今ちゃんと聞いていましたか?」
春香「す…すみませんでした…」
最悪…私のドジ…馬鹿…はぁ…もっといろいろうまくなりたいなぁ…
トレーナー「今日はここまでにしておきましょう。天海さんは疲れているようなのでゆっくり休むように」
春香「はい…」
春香「うん?そんなことないよぉ」
そんなこと…ある!!しかも千早ちゃんにまで言われるなんてよっぽどだよぉ…
千早「そうかしら」
春香「そうそうっ…っとあれ?」ツルンッ
おっと…っとこんな何もないところで転ぶか!
千早「あっ…」
春香「よっと!」ガチャン
ん?何かが手にあたった感覚があったような?
チャポン!!!
ひぃぃッ…千早ちゃん怒ってる?なんで?
千早「…」スッ
指?あっ指先?あれって…
春香「あああっ!!」
なんと…転びそうになった私の手は見事千早ちゃんの携帯に直撃!水の張ってあった洗面台に…
春香「ち、千早ちゃんの携帯って生活防水…」
千早「そうだと思うの?」ゴゴゴゴゴ
春香「ご…ごめんなさい!!!」
______
春香「本当にごめんね…千早ちゃん」
千早「もう謝らなくてもいいわ、別に家族と事務所の番号しか入ってなかったもの」
ううう…やっぱり千早ちゃん怒ってるよ……!
春香「そうだ!千早ちゃん、明日はオフだよね?」
千早「そうね」
春香「今日はもう閉まっちゃって無理だけど明日携帯ショップ行かない?」
千早「…でも最近の携帯ってよく分からないわ…」
春香「じゃあまずは修理できるかどうか聞いてみよ!そうしよ!」
とりあえず新しい携帯でも、今の携帯の修理でもいいから行動しないと…私…
千早ちゃんの威圧感で死んでしまいます!
千早「春香がそうまでいうなら…わかったわ。明日ね」
千早「………」
春香「ほら千早ちゃん!『キター!!!』ってやらなきゃ!」
千早「………は?」
春香「ごめんなさい」
どうやら失敗のようだ…睨まれちゃった!(ペロ☆
春香「それじゃ千早ちゃん、とりあえず入r 千早「………」ウィーン
春香「まって!無視しておいていかないで!!!」
春香「良かった!空いてる」
携帯ショップって混んでるとき説明とかで何時間も待たされるから…空いててよかった
千早「あの…すみません。この携帯の修理か同型のものの取扱いってありますか?」
店員「は、はい?あっすみません…確認してまいります!少々お待ちください!」
店員さん…頑張って…私を救ってください!
春香「私のせいです!ごめんなさい!」
心を読まれた!千早ちゃんの底が知れないよぉ…
店員「お客様!お待たせいたしました」
春香「『キターーーー!!!』」
店員「!?」
千早「…」ギロッ
春香「ごめんなさい!!!」
店員「大変申し上げにくいのですが…こちらと同じ型番のものは製造終了となっておりまして…あと…一部の部品の方も…」
千早「つまり…修理も無理だということですね」
店員「申し訳ございません」
千早「いえ、いいんです。分かってましたから」
春香「オワタ\(^o^)/」
千早「春香は黙ってて!」
ごめんなさい!
店員「今なら新規会員無料の特典が適応されますので新規ご購入の方ご検討ください」
千早「はぁ…?分かりました」
春香「……」コクッコクッ
よし!機種選びとなれば現代っ子の私の出番だよ!千早ちゃん!
千早「………喋っていいわよ春香」
春香「イエス!マム!」
千早「春香?これボタンがないわ…不良品ね…」
春香「違うよ!千早ちゃん、これはね…タッチパネル!」
千早「たっちぱねる?」
春香「そう………」クドクドクドクド
春香「どう!?」
千早「私には使えないのがわかったわ」
チッ…この機械音痴めっ!
千早「………」ビシッ
春香「ヴぁいた!冗談だよ!チョップはやめて」
千早「無理」
_______
_______
春香「つぎいいいいい」
千早「無駄」
_______
_______
春香「つぎだお!」
千早「だめだお!」
_______
_______
春香「ひぎいいいいいいい」
千早「らめえええええええ」
千早「ほう…申してみよ…」
春香「らくらくフォン!!!!!!!!!!!!!」
千早「なん…だと…」
春香「アドレス帳!メール機能は通常の携帯さながら!普段よく電話する相手を登録するとワンタッチで電話をかけれる優れもの」
千早「ほぅ…」
春香「さらに!無駄な機能は一切持たず!シンプルイズベスト!コイツがアンタの相棒だ!」
千早「もらおうか」
店員「ありがとうございます」
_________
千早「………」ウィーン
春香「………」ウィーン
千早「春香?携帯買うのって疲れるのね…」
春香「そうだよ…当たり前だよ…」
こんなのわたしもはじめてだよ…レッスンより消耗してるよ…
千早「当たり前なのね…」
春香「そう…」
千早「春香…今日はありがとうね…」
春香「うん…っとそうだ!」
えへへ!いいこと思いついちゃったぁ!
千早「なに?春香」
千早「いいけど…」
春香「えい!」カチカチカチ
春香「はい!返します」
千早「何をしたの?」
春香「千早ちゃん!一番のボタン押してみて?」
千早「いいわよ?」ポチッ
春香「………」<ワタシマーメイッ
春香「来た来た!もっしもーし」ポチッ
千早「すみません間違えました」プツッ
春香「ひどいよ!」
春香「ごめんね?千早ちゃん…怒っちゃった?」
千早「馬鹿ね?春香…最初から春香を登録するつもりだったわ」
春香「千早ちゃーーーーん!」
千早ちゃんの着信音を『蒼い鳥 天海春香』に変えておいたのは黙っておこう…
千早「それじゃあまた明日」
春香「うん!また明日!」
________
千早「おはよう春香!」ギシギシギシ
春香「ヴァヴァヴァヴァヴァ…」ミリミリ
千早「謝罪は?」ギシィギシィ
春香「ごめんなさい…いいい?」ミシィ
千早「受け取らない」ゴツン
春香「ふぇぇん!」
この鬼畜ぅぅぅぅ!
春香「………」ピクッピクッ
P「おはようー」ガチャ!
千早「おはようございますプロデューサー」
春香「………」ピクッピクッ
P「………」
千早「なにか?」
P「おい春香…生きてるか?」
春香「………」ピクッピクッ
P「キスするぞぉ…」
春香「………///」
千早「それ踏んでくださいプロデューサー」
春香「あん
春香「あん!プロデューサーさんったら強引///」
千早「………チッ」
春香「………うーん!」プルプルプル
P「おい!なんで唇をこっちに向ける…?」
春香「キス…するんですよね?」
P「するか馬鹿」
なんだってー!?乙女の純情をかえせー!
春香「おはよう千早ちゃん」
千早「………チッ」
春香「手厳しいなぁ…」
P「元気そうでよかったよ…何事かと思ったよ…」
春香「おはようございます♪プロデューサーさん!お騒がせしてすみません!」
騒がせたのは千早ちゃんだけd…オフゥ!?
春香「千早ちゃん!?」
千早「ムカついただけよ?他意はないわ」
千早「わかりました」
……千早ちゃんってプロデューサーさんのいうことはやけによく聞くんだよなぁ
P「ん!いい子だ、あれ?千早、携帯替えたの?」
千早「あ…はい…壊れてしまって…」
……もしかして千早ちゃんって…プロデューサーさんのことが?いやぁありえないありえない
春香「私が落としちゃって…」
P「やっぱり春香か」
春香「やっぱりってなんですかー!」
悔しい!
P「…そうだなぁ…コイツもそろそろ休ませてやるべきか…」
春香「そうですよぉ替えましょうよぉ」ウリウリ
P「うざい!」
春香「ヴァイ!?」
P「まぁ…とにかく近いうちに替えようかな」
春香「そうしてください」
______数日後
P「春香ー!いるか?」
春香「なんですか?プロデューサーさん」
P「うわ…いたよ…ダメもと呼んだのに…」
春香「泣いてもいいんですよね…」
P「うそうそ!なんでオフのはずなのにいるのかは意味わかんないけど」
春香「プロデューサーさんに会いに来たんですよ?」
P「はいはい」
ホントなのに相手にされない…もう私はどうすれば相手にされるんだろう?
P「あぁ、前に言っただろ?携帯替えたいって」
春香「なるほど…お供します☆」
P「うざ…」
春香「(´;ω;`)」
P「すまんかった」
________
店員「いらっしゃいませ!」
春香「また来ちゃいました!」
店員「あっ!以前いらっしゃったお客様ですね!今日は彼氏さんと一緒ですか?」
春香「そうです!」
P「違います、全然違います」
春香「そんなに否定しなくても(´;ω;`)」
P「まだ…違います」ボソ
P「最近の主流は?」
春香「またそこからなんですね…OK!」
春香「この天海春香に任せてください!」
春香「今の主流はスマ(以下略」
P「以下略」
_____
春香「わーわー!」
P「ぎゃーぎゃー!」
_____
_____
春香「あうあうあー!あうあうあー!」
P「ぱしへろんだすー!ぱしへろんだすー!」
_____
_____
春香「ガッとやって チュッと吸って」
P「はあああああああああああああああああああああああん///」
_____
_____
春香「そうですね…私もなんだか良くわからない言葉しかしゃべってないような気すらします」
P「…そういえば千早が使ってるやつは…」
春香「あっ…」
P「………」
春香「………」
春香「えへっ☆」
P「まぁいい…1000歩譲って許そう」
春香「ごめんなさい」
いや…私のせいではないのだが先に謝っておくのが吉だろう
_____
P「何とか買えたな…」
春香「はい…」
P「疲れたな…」
春香「はい」
P「元気ないのか」
春香「はい」
P「キスするぞ?」
春香「はい!!!!!!!!!!!!!」
P「するかアホ」
春香「プロデューサーさんのアホー!」
_____数日後
千早「春香、レッスンいくわよ」
春香「うん!千早ちゃんってあれ?」
千早「どうしたの?」
春香「千早ちゃん、携帯忘れてるよ?」
千早「私のじゃないけど?ほら!」
春香「じゃあプロデューサーさんのか…」カパッ
P「すまん…春香!千早!この辺で携帯見なかったか?」ゼェゼェ
春香「あっこの携帯プロデューサーさんのだったんですね?」
P「良かった…事務所にあって…」ホッ
春香「プロデューサーさん?」
P「なんだ?春香?」
春香「プロデューサーさんの携帯の待ち受け!なんで私なんですか?」ニッコリ
おわり
Pさんかわいいじゃねぇか、おい。
Entry ⇒ 2012.04.10 | Category ⇒ アイマスSS | Comments (0) | Trackbacks (0)
みゆき「4人になってもウルトラハッピー!」
http://hayabusa.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1333935811/
なお「れいか!」
れいか「あら、なお。ずいぶん早いじゃない」
なお「う・・・うん、今日は土曜で学校休みだからね」
れいか「あらそうだったわね。入院してると曜日の感覚がなくなって・・・」
なお「・・・・・・体の調子はどう?」
れいか「相変わらずよ」
なお「・・・・・・ゴメンね・・・れいか(ポロポロ」
れいか「なお、どうして泣くの?」
なお「あのとき・・・私たちがもっと早く駆けつければ・・・えぐっ・・・れいかは・・・たったひとりでアカンベーと闘ってたのに・・・」
れいか「私はプリキュアとしての使命を全うしたのよ」
れいか「だから両手両足が動かなくなってもなんの後悔もないわ」
なお「れいか・・・れいかぁ・・・(ポロポロ」
バリバリ
アカンベー「アカンベー!」
アカオーニ「ふん!片腕での必殺技なんて効かないオニ!」
ハッピー「まだだよ!プリキュア!ハッピーシャワー!!」
アカンベー「アカンベー・・・(恍惚)」
アカオーニ「くそっ!覚えてるオニ!」シュン
あかね「やよい!大丈夫か?」
やよい「う・・・うん・・・」
なお「・・・片腕なのに無理して!」
やよい「大丈夫だよ・・・(ニコッ」
やよい「でも・・・大好きな漫画が描けなくなっちゃったのはちょっと悲しいけどね・・・」
みゆき「や・・・やよいちゃん・・・(ポロポロ」
あかね「・・・なー父ちゃん」
あかね父「なんや?」
あかね「父ちゃんはウチと元気、どっちにこの店継いで欲しい?」
あかね父「そらあかねやろなぁ」
あかね父「お前はお好み焼き焼くウデも一流やしお客さんにも好かれてるしなぁ」
あかね「やっぱりそうか・・・」
あかね父「なんやねんもーそないうちからこの店のこと考えてくれとるとは泣けるで!」
モブA「今日の試合も完勝だったね!」
モブB「それも全部あかねのおかげだよ!」
モブC「あかん優勝してまう」
あかね「それほどでもあるで」
モブA「あかねがいなかったらもうウチのバレー部成立しないよ~」
あかね「そ・・・そうか?別にウチがいなくても・・・」
モブB「そんなことないって!あかね最近めちゃくちゃ腕上げてるし!」
あかね「・・・・・・」
ピース「あぁぁああぁぁ!腕が!腕がぁぁぁ!」
ハッピー「ピース!しっかりして!」
マーチ「早く病院に連れてかないと!」
みゆき「どう?やよいちゃん腕は」
やよい「・・・元通りには動かないって・・・」
なお「そんな・・・」
やよい「もう・・・漫画描けなくなっちゃったよ・・・」
みゆき「やよいちゃん・・・ごめんね・・・ごめんね・・・」
やよい「だ・・・大丈夫!私片腕でもプリキュアとしてやっていくよ!」
なお「そ・・・そんなの危険すぎる!無理だよ!」
やよい「平気だよ・・・昔片足や両腕をもがれても戦い抜いたヒーローがいたんだもん・・・これぐらいへっちゃらだよ!」
やよい「それに・・・れいかちゃんが戦えなくなっちゃったし・・・こんなことで泣きごと言ってられないよ・・・」
みゆき「やよいちゃん・・・(ポロポロ」
あかね「すまんな」
なお「あかね!あんた今の状況わかって言ってるの!?」
あかね「わかっとる!わかっとるから言うてるやんか!」
あかね「このままじゃ体いくつあっても足りひん!うちもそのうちれいかややよいみたいにケガして大好きなバレーが出来なくなるかもしれんのや!」
あかね「それに・・・ウチにはお好み焼き屋もある・・・ウチが再起不能になったら誰が継ぐねん!?」
なお「バカ言わないでよ!世界がバッドエンドに包まれたらバレーやお好み焼き屋どころじゃないよ!!」
あかね「他のやつにやらせたらええやんか!とにかくウチはもうごめんや!」
なお「~~ッッ」
バシッ
あかね「なにすんねん!」
なお「あかねのわからず屋!」
みゆき「やめてよ・・・二人ともぉ・・・(ポロポロ」
あかね「誰が弟たちの面倒みるんや?」
なお「そ・・・それは・・・」
あかね「サッカーももう出来ひんようになったらどうするねや?」
なお「・・・・・・」
あかね「もしウチらが必死こいて戦ってバッドエンドの奴らを倒したとしても」
あかね「ウチらがボロボロになったら、何のために平和を取り戻したんかわからんなぁ」
あかね「ウチらまだ中学生やで?やりたいこといっぱいあるのに・・・」
あかね「こんな戦いで人生めちゃくちゃになったら・・・たまらんわ・・・」
なお「・・・・・・」
れいか「なおどうしたの?いやに元気がないじゃない」
なお「・・・あかねがさ、プリキュアやめるって・・・」
れいか「えっ」
なお「プリキュアとの戦いでボロボロになって、人生めちゃくちゃになったら嫌だって・・・」
なお「お好み焼き焼いたり・・・バレーできなくなったら嫌だって・・・」
れいか「・・・・・・」
なお「私だって嫌だよ!怖いよ!れいかややよいちゃんがあんなことになって!」
なお「もし・・・私もサッカーができなくなったり、弟たちの面倒が見れなくなったらって思うと耐えられない!」
れいか「・・・なお」
なお「・・・あっ、ご・・・ごめんれいか」
れいか「私も・・・私も昔みたいに普通に生活したい!(ポロポロ」
れいか「どうしてこんなことになっちゃったんだろう・・・」
れいか「もう私の足も!腕も!昔みたいに動くことはないの!」
れいか「プリキュアなんかに・・・プリキュアなんかに選ばれなければこんなことには・・・」
なお「うぅ、れいか・・・」
一方その頃
あかね「・・・アカン言い過ぎたかな・・・」
あかね「・・・でももうウチはやめるって決めたんや・・・それは変わらへん」
あかね「・・・・・・」
あかね「仲直りと別れのしるしに・・・とびきりうまいお好み焼き作ってみんなにごちそうしたろかな・・・」
あかね「まずはみゆきん家に届けに行こか」
あかね「こんな遅くに行ったら迷惑かな・・・」
タッタッタッ
ウルフルン「ウルッフッフッフ!」
あかね「あ、お前は!」
ウルフルン「赤いの!今日はお前一人か!ちょうどいい!お前もあの青いのと同じ目に逢わせてやるぜ!」
あかね「あの青いの・・・れいかのことか・・・れいかのことかー!!(ワナワナ」
ウルフルン「いでよアカンベー!」
アカンベー「アカンベー!!」
あかね「プリキュア、スマイルチャージ!」レッツゴーサニー
アカンベー「アカンベー!!」
サニー「うちの最後の戦いや・・・派手に行くで!」
なお「・・・・・・れいか、後悔はないって前言ってたけど・・・強がりだったんだ・・・」
なお「当たり前だよね・・・あんな風になったら私だって・・・」
なお「・・・・・・・・・」
アカンベー・・・アカンベー・・・
なお「・・・?あれは・・・アカンベー?」
サニー「・・・・ゲホッ・・・ゲホッ・・・」
ウルフルン「やっぱり一人だと歯ごたえがないぜプリキュアァ~(巻き舌)」
なお「あ・・・あかね!」
サニー(もうアカン・・・体が動かへん・・・)
なお「へ、変身しなきゃ・・・」
なお「でも・・・でも・・・」
なお(あんなのと戦ってもし・・・)
れいか「もう私の足も!腕も!昔みたいに動くことはないの!」
なお(~~ッッ・・・あかねゴメン!)ダッ
ウルフルン「ウルッフッフッフ!お前がいたことは先刻ご承知済みだぜ!」
なお「あ!あ・・・」
サニー「なお・・・?どうしてここに」
ウルフルン「どうした?変身しないのか?」
サニー「なお!早く変身するんや!」
なお「・・・怖い・・・怖いよ・・・戦うのが怖い!」
ウルフルン「ハァ?何言ってんだ?とんだ腰抜けだな!」
サニー「なおどうしたんや・・・」
アカンベー「アカンベー!!」
サニー「あっ・・・・・・」
れいか「あら、みゆきさん。ずいぶん早いんですね」
みゆき「う・・・うん、今日は土曜で学校休みだからね」
れいか「あらそうでしたわね。入院してると曜日の感覚がなくなって・・・」
みゆき「・・・・・・」
れいか「そういえば・・・最近なおを見かけませんけど・・・どうしたのかしら・・・」
みゆき(ビクッ
れいか「あかねさんも、最近お見舞いに来なくなって・・・」
みゆき「あぁ~二人とも部活忙しいみたいだよ!」
れいか「まぁ、そうでしたの」
みゆき「・・・・・・」
やよい「みゆきちゃん・・・そんな顔しないで」
やよい「ハッピーが逃げちゃうんでしょ?」
みゆき「・・・・・・」
やよい「みゆきちゃん・・・・」
アカンベー!
やよい「アカンベー!?みゆきちゃん・・・行くよ!」
みゆき「・・・・・・」
やよい「みゆきちゃん!どうしたの?」
みゆき「私もう、疲れちゃった」
みゆき「こんな世界平和にしたところで、あかねちゃんもなおちゃんも帰ってこない」
みゆき「やよいちゃんの腕もれいかちゃんの体も元には戻らない」
みゆき「もう・・・私にとってはとっくにバッドエンドなんだよ・・・」
アカンベー!
やよい「しっかりしてよ!みゆきちゃんらしくないよ!」
みゆき「もうハッピーもスマイルもないんだよ・・・」
やよい「・・・私一人でも戦う!」
やよい「プリキュア!スマイルチャージ!」レッツゴーピース
アカオーニ「誰かと思えば泣き虫カタワ女オニ!恐るるに足らずオニ!」
ピース「片腕だからって・・・なめないで!」
アカンベー「アカンベー!!」
バキッ グシャァ
みゆき「・・・・・・」
ピース「あぁあ~~っ!!」
アカオーニ「なんて歯ごたえのないオニ!アカンベー!一気にトドメを刺すオニ!」
アカンベー「アカンベー!!」
ピース「くっ・・・負けない・・・命ある限り戦う・・・それがプリキュアだもん・・・」
みゆき「・・・・・・」
アカンベー「アカンベー!」
アカオーニ「へへ~ん、片腕での必殺技は効かないって言ったオニ~!」
ピース「はぁ・・・はぁ・・・」
アカオーニ「今度こそおしまいオニ!」
ピース「みゆきちゃん・・・」
みゆき「・・・」
アカンベー「アカンベー!!」
れいか「あら、みゆきさん。今日も来てくれたんですか」
みゆき「れいかちゃん」
みゆき「死にたいって思ったこと、ある?」
れいか「・・・え?」
みゆき「そんな体になっちゃってさ」
みゆき「死にたいって思ったこと・・・ある?」
れいか「何を・・・何を言ってるんですか?みゆきさん」
みゆき「私・・・もう疲れちゃった・・・」
みゆき「どうせ世界なんて救えないし・・・」
みゆき「一緒にみんなのところへ行こう?」
れいか「みゆき・・・さん・・・」
あかね「・・・ゆき!みゆき!早よ起きぃや!」
みゆき「う・・・う~ん、あかねちゃん?」
あかね「授業始まるで!」
みゆき「・・・ごめん」
あかね「なんや?なんか顔色悪いな?嫌な夢でも見とったんか?」
みゆき「う~ん・・・そんな気がする」
みゆき「でもどんな夢だったか思い出せないや・・・」
あかね「はっ、な~んやそれ」
あかね「そうやなー、よし!ウチの作ったお好み焼き持ってったるで~」
やよい「え~またぁ~?」
あかね「なんやその言い方!だったらやよいにはあげへんからなぁ~」
やよい「ご、ごめんなさぁ~い」
れいか「うふふ」
みゆき「ねぇれいかちゃん」
れいか「?」
みゆき「私、みんなと一緒にいれて、ウルトラハッピーだよ!」
れいか「・・・・・・」
みゆき「ねぇれいかちゃん」
れいか「・・・・・・」
みゆき「私・・・みんなと一緒になれて・・・ウルトラハッピーだよ・・・」
おわり
おしまいです
読んでくれた人サンキュー
Entry ⇒ 2012.04.10 | Category ⇒ プリキュアSS | Comments (0) | Trackbacks (0)
初春「私、レベル7になったんですよ」一方「何ィ!」
http://hayabusa.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1333962075/
佐天「まだレベル7なの?私なんかレベル10だよ?」
一方「」
一方「あばばばば」
一方「に、逃げよう……」
初春「あの人なんだろう?私達の話でビクビクしながら逃げていく」
佐天「それよりさ、骨董屋にこんな面白いゲームがあるなんてね」
初春「そうですね。ドラゴンクエストなんてありきたりなタイトルと思ったんですがやってみたら結構ハマリましたね」
初春「あれ?そのレベルなら楽勝で倒してるはずですが?」
佐天「いやぁー。色々歩いてる内にメタルスライムが連続で十匹でたから」
初春「凄いですね。じゃあ私の部屋で続きやりましょうよ」
佐天「そうだね。復活の呪文があるからわざわざ自分のソフト持ってかなくて済むし」
初春「それじゃ!お菓子やジュースをたんまり買っていきましょうー」
佐天「あいあいさー」
一方「ありえねェだろォがァ!俺の倍じゃねェか!」
一方「何がどうなってるだ………」
御坂「あら?一方じゃない」
一方「おわっ!なんだ……第三位か……」
御坂「何よ。そんなに驚いてビクビクしちゃって……」
一方「さっき俺より餓鬼共が恐ろしい話してたもんで……」
御坂「どんな?」
一方「自分はレベル7とかレベル10とか言ってたァ……」
御坂「レベル10!?」
一方「第三位ィ……怖いよゥ……俺……ゴミクズにされちゃうよゥ……」
御坂「何弱気になってるのよ!レベル10なんてありえないわよ!」
一方「でもこの耳でちゃんと聞きましたァ……」
一方「なんかァ……二人の女の子で……ある一人は頭に花乗っけてましたァ……」
御坂「!(それって初春さんじゃ……初春さんがレベル10?)」
一方「俺も頭に花乗っけたらレベル上がるのかなァ……」
御坂「んなわけないでしょ!ああっ!花乗っけちゃったし!」
一方「似合いますねェ……」
御坂「似合わないわよ!」
一方「傷ついたァ……」グス
御坂「泣かないの!に、似合ってる!似合ってるから!」
一方「本当かァ!」パア
御坂(なにこれかわいい)
一方「もう一人の女はセーラー服来てたなァ……」
御坂(やっぱり佐天さんか……)プルルル
一方「俺もセーラー服……着ないと駄目なのかなあ……」
御坂(もう突っ込まないでおこう……)
一方「すいませェん……セーラー服一つ下さい……試着しまァす……」
初春「私はリカントが怖いです」
プルルル
初春「電話だ。はい、もしもし」
御坂「あ、初春さん?」
初春「御坂さん?どうしました?」
御坂「ちょっと聞きたい事があるんだけど、初春さんってレベルいくつだっけ?」
初春(御坂さんもドラクエやってるのかな?)
初春「さっきレベル7でしたけどやっとレベル9になりましたね」
御坂「」
初春「ちなみに佐天さんはレベル12になりましたよ」
佐天「よし!上がったー!」
初春「あ、今またレベルあがったみたいですね………って御坂………切れてる……なんだったのでしょう……」
佐天「うーいーはーるっ!交代だよ!」
初春「はーい!」
御坂「あがががが」
一方「どうしたァ?」
御坂「さっきの二人って私の友達なんだけどさ……」
一方「そうなのか?」
御坂「今、レベルいくつって聞いたらレベル9になってた……」
一方「」
御坂「もう一人はレベル12になってた……」
一方「」
御坂「でも私が電話してる間にまたレベル上がったって」
一方「」
御坂「………」
御坂「立ったまま気絶を……」
御坂「ただいまー」
黒子「お帰りなさい。お姉様」ピコピコ
御坂「あれ?今日はジャッチメント非番?」
黒子「いえ、早退してきたんですの」ピコピコ
御坂「ええっ!ジャッチメント一筋のあんたがっ!?」
黒子「はい。このゲームにハマってしまいまして」ピコピコ
御坂「何それ?」
黒子「ポケモンですの」ピコピコ
御坂「うわー白黒じゃない!あんたにピッタリね」
黒子「それって褒めてるんですの?」
御坂「なんで私はハブられてるの!?」
黒子「その日お姉様は猿人類とデートしてたではありませんか」ピコピコ
御坂「あ、そういえば……」
黒子「初春と佐天さんも私と同じようなゲーム買って、今もどっぷりハマってるんですの」ピコピコ
御坂「へー。そのゲームってどういうゲームなの?」
黒子「RPGですわ」
御坂「あーるぴーじー?」
御坂「へー。面白そうじゃないの!私にもやらせてよ!」
黒子「お姉様にはちょっと合わないと思いますの……」
御坂「なんでよ!悪い奴は私の電撃でやっつけてやるんだから!」
黒子「お姉様……これはゲームですよ……それに電撃を使うためにはレベルを上げないと……」
御坂「レベル?」
御坂「へー………………あっ!成る程!」
黒子「どうしました?」
御坂「あのさ……初春さんと佐天さんが買った奴もRPGって奴なの?」
黒子「そうですわね。たしかRPGの元祖と言われてるドラゴンクエストですの」ピコピコ
御坂「そのドラゴンクエストもレベルとかあるの?」
黒子「良く知ってますね。はい、ありますの」
御坂「そっか………そうかあ………………良かったあ………」
黒子「お姉様……もしかして本来のレベルと勘違いしてるんじゃ……」
御坂「そそそんな事ななないあいじゃんじゃん!」
黒子(ツンデレって分かりやすいですの)
黒子「成る程。お姉様……普通に考えればレベル10はありえませんの……」
御坂「私も思ったわよ!でも一方が……」
黒子「一方って?あの第一位ですの?」
御坂「ああああ!!一方!!教えあげないと!!」
黒子「その一方さんもお姉様と同じ勘違いを?」
御坂「そうなのよ!あ……」
黒子「どうしましたの?」
御坂「なんか急にめんどくさくなってたわ………まあ、いいや………」
黒子「いや、言った方が……」
御坂「あっ!このピカチュウって名前のモンスター可愛いわね!なんか親近感沸く!」
黒子(そりゃあ……)
一方「はァ………はァ………」
ねー私レベル20になったよ
私なんかレベル25だよ
早いねーいいなあー
一方「ここも駄目だァ………に、逃げないと………」
学園都市は空前絶後のRPGブームとなった
一方はゲーム自体を知らない為
こそこそ逃げる努力を続けていた
一方「なんでェ………グス………こんな事に………」
御坂「やっほー」
御坂「まだ頭に乗っけてセーラー服着てるの?」
一方「うるせェ!!」
御坂「それより聞いてよ。私、やっとレベルあがったよ」
一方「え?」
御坂「レベル99に」
一方「」
終わり
ディスガイアやらせたら恐ろしいことになるな
Entry ⇒ 2012.04.10 | Category ⇒ 禁書目録SS | Comments (1) | Trackbacks (0)
美希「おにぎりの具?」
http://hayabusa.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1333894289/
美希「ミキはおにぎりならなんでも好きなの」
伊織「なんでもって、チョコレートとかババロア入りでも良いって言うの?」
美希「でこちゃんはそういうのどう思うの?」
伊織「でこちゃん言うな!食べたくないわよ」
美希「ミキも、チョコもババロアも普通に食べたほうがいいと思うの」
伊織「そうじゃなくてぇ…」
伊織「そんなに難しい話はしてないわよ…」
美希「ミキが、765プロのみんなに、おいしいおにぎりを食べさせてあげればいいってことなんだね!」
伊織「どうしてそうなるのよ!」
☆☆☆☆☆ 後日 765プロ 給湯スペース ☆☆☆☆☆
美希「手を洗ってー…と。あのね、ミキ、おにぎりを作るの得意なんだよ!」ゴシゴシ
伊織「事務所に炊飯器持って来てまで…。あの話まだ続いてたの…?」
美希「でこちゃんが言い出したことなの」フキフキ
伊織「だからでこちゃん言うなってば!それにそんなこと言ってないわよ!好きな具を聞いただけよ!」
伊織「聞きなさいよ…」ハァ…
美希「ほかほかご飯をサンカクに握ってるだけなのに、
温かいおにぎりも冷めたおにぎりも美味しいんだよ!」
伊織「まぁ…そうかもね。コンビニのおにぎりとかも冷たいまま食べたりするし」
美希「まずはでこちゃんにミキ特製のホカホカの美味しいおにぎりを作ってあげるね!」
伊織「いや、別に私はいいわよ…」
美希「熱いご飯だから手を水で冷やしてお塩をすこし馴染ませて…この量も重要なの!」ジャリ
伊織「聞いちゃあいないわね…」
美希「おにぎりにする分のご飯をとぅっ!」パカッ
ホカホカ
美希「ちゃっちゃっちゃっと握るの!」ギュックルッギュッギュッ
伊織「手馴れてるわね」
美希「今回はすぐ食べるからふんわりと握るの。はいできた!」ホカホカ
伊織「ふむ…綺麗なおにぎりね」
美希「さ、でこちゃん!食べてみて!」ズイッ
伊織「あれ?具は?入れてないじゃない」
美希「具が無くてもおにぎりはおにぎりだよ!」
伊織「えー…?しょうがないわね」パク
伊織「…ご飯に丁度良く塩味がついてて、具がなくても…美味しい…」モグモグ
美希「ミキ的にはおにぎりは、具があっても無くてもおいしいの!」
伊織「確かに…現場とかで食べるおにぎりは
具が絶対入ってたから具が無いおにぎりは考えなかったわ…」モグモグ
美希「ケータリングは残りにくいように人気のあるメニューになりがちなの」
伊織「なるほど…」
美希「そうこう言ってる間に完食だね!」
伊織「美味しかったわ」
美希「ミキね、好きな具って言われたらいろいろ思いつくけど
おにぎりは具が無いのも、おにぎりはおにぎりだから選べないの」
伊織「それはまぁ、わかったわ」
伊織「む!具も用意してるのね…ちょっと楽しみになってきたわ!」ワクワク
ガチャ
??「ただいまー!っと、二人とも何してるの?」ヒョコ
伊織「あら真、レッスン終わったの?」
真「うん。春香と響ももうすぐ来るよ。なにそれ?炊飯器?」
美希「真クンにもおいしいおにぎり作ってあげるね!」
真「へぇー!おにぎり作ってるんだ!嬉しいなー!レッスン終わってちょうどお腹空いてたんだ!」
美希「2個分の具だけ作るのは難しいからまとめて何個か作っちゃうの」チョキチョキ
真「かつおぶし?おかかおにぎりかな。おかか美味しいよねー」
伊織「かつおぶし以外にも使うの?」
美希「うん。まずはおかかをお皿にだして少しレンジにかけるの」パタン ピッ
真「どうして?」
美希「熱が入ると香りもするし調味料の味が染み込みやすい気がするの」ガチャ
伊織「へぇー。そうなのね…」
レンジで温めたからお砂糖もちゃんと混ざってくれるの」マゼマゼ
真「おかかの匂いが…」フワ
美希「仕上げに白ごまを和えておしまいなの!」コト
伊織「ちょっと…それだけでも美味しそうじゃない…」ゴクリ
真「確かに…ふりかけにしたいかも…」
美希「確かにおいしいけど、このご飯でおにぎりにするからちょっと待っててなの」パカッ
真「その炊飯器、美希の?」
伊織「あー…うん。もうそういうことでいいわ…」
真「あはは…美希のおにぎりかー楽しみだなー」
ガチャ
??「戻りましたー!」
??「戻ったぞー!」
伊織「あら春香に響、お疲れ様」
春香「ただいまー。あれ?何してるの?」
響「おにぎりじゃないか?」
春香「へー!あ、美味しそう!」
響「レッスン終わってちょうどお腹空いてたぞ!」
美希「もうすぐできるの!最後に海苔をつけてっと…」ピリピリ
伊織「板海苔まで用意して…本当に一式持ってきてるのね…」
真「美希、握るの上手だし早いね!すごいや!」
美希「ミキ的にはおにぎりならアイドルの中じゃ誰にも負けないかなって思うの」ペタ
伊織「早く食べたいわ…」ワクワク
真「やーりぃ!いっただっきまーす!」パクッ
春香「大きさも綺麗に揃って…すごい…。いただきまーす!」パク
響「自分ももらうぞー!ハム蔵!はんぶんこだぞー!美味しそう!いただきまーす!」パク
伊織「私、さっき塩おにぎり1個食べたけど…」パクッ
真「おいしーい!ご飯の塩加減とおかかの甘さがすごくちょうどいいよ!」モグモグ
春香「ご飯の湯気で柔らかくなった海苔の歯ごたえとフワフワご飯の食感もすごくいいよ!」モグモグ
響「自分はおかかの甘さ、胡麻とご飯の相性の良さもすごくうれしいぞ!」モグモグ
食べる場所によって違う割合の味が楽しめてこれは…
ケータリングであるような派手な具じゃないけど…すごく美味しい…」モグモグ
美希「ミキも食べるのー。はむっ」モグモグ
ガチャッ
??「コンビニから戻りましたー。あら?あなた達何をしてるの?」
春香「あ、小鳥さん、買い出しだったんですか?」
美希「もぐもぐ」
小鳥「はぁ…まぁいいわ。それで、その炊飯器のご飯が炊ける良い匂いで
お腹すいちゃってコンビニ行ってたのよ」
ガチャ
??「あ、小鳥さん、おかえりなさい。買い出しありがとうございますー。ってあなた達…。何それ」
美希「律子、さん、これはね、ミキがおにぎりを作って振舞ってるの。二人も食べて食べて!」
律子「あぁ、それでご飯炊いてたのね…」
小鳥「美希ちゃん、おにぎり上手なのねぇ」
真「美希のおにぎり、すごく美味しいですよ!」
伊織「正直、おにぎりとは言え、美希がこれだけ作れるとは驚きだわ…」
小鳥「私、こういう軽食にはうるさいんですよ。どれどれ…」パクッ
美希「おかかおにぎりなの。どうかな?」
律子「へー、これは意外…おいしー!温かいおにぎりって久しぶりかも…」モグモグ
小鳥「このおかか甘い…美味しい…
私が夜食に作る時はいつもお醤油多すぎちゃって失敗するのよね…」モグモグ
春香「夜食におにぎり…炭水化物ですか…」
小鳥「い、いいでしょ!美希ちゃん!あとで作り方教えて!」
美希「まかせてなの!」
美希「んー。もうさっきのでご飯使っちゃったの」パカッ
真「何合炊いたの?」
美希「ミキの炊飯器は5合までいけるから5合炊いたんだけど…」
真「それだけ炊いても結構使っちゃうんだね」
伊織「もう1回炊けばいいんじゃないの?」
美希「炊けるまでに50分くらいかかっちゃうし、お米は持ってきてないの」
春香「事務所にお米なんてないもんね…」
??「みなの衆、なにやらお米をお探しですかな?」
響「亜美に真美!帰ってたのか?」
亜美「今帰ってきたところだよー」
真美「あずさお姉ちゃんと兄ちゃんも今階段上がってきてるよー」
美希「はっ!そういえば、ハニーの分のご飯、残してなかったの…」
春香「亜美と真美は先に事務所に着いたの?今日、あずささんも同じ現場じゃなかった?」
真美「そうだよはるるん。で、タクシーで下に一緒に着いたけど
兄ちゃん達がすごく時間かかってるだけかな!」
亜美「エレベーターがまだ故障中じゃ、しょうがないけどね!」
玉子焼きもあれば最高
??「おーい!誰か開けてくれー!」
??「プロデューサーさん、もうすぐですよ!頑張ってくださいね。うふふ」
小鳥「あら?プロデューサーさん?どうしたのかしら?」
ガチャッ
P「はぁっ…!はぁっ!お、音無さん、助かります…」
真美「兄ちゃん、息を荒くして、変態さんっぽいよ」
亜美「きゃー!おまわりさーん!この人ですー!」
P「おまえら…!俺達を置いて自分たちだけ先に戻っておいて…」
あずさ「小鳥さんお疲れ様です。プロデューサーさん、助かりました~」
春香「え?プロデューサーさん、それ担いで登ってきたんですか…?」
あずさ「小鳥さん、プロデューサーさんが持ってくれてるお米
よかったら事務所のみんなで食べてもらえたらーって」
響「なんだなんだー?おー!それ、米俵じゃないか!?」
ゾロゾロ
P「待てみんな!ぞろぞろ出てこられても困る!悪いけど道あけてくれ!」
春香「それ、どうしたんですか?」
あずさ「それがね、今日は午前中からバラエティ番組の収録だったのだけれど」
真美「ほら、ブーブーエスでやってた!」
亜美「メダルを稼いで最後にダーツで商品もらえるやつ!」クールーマ!クールーマ!
真美「その番組自体は結構前に終わっちゃったけど、今日は特番で呼ばれたんだー!」
P「よいしょっと…」ドサッ
律子「そういえばプロデューサー、今日はその現場に向かってましたね」
P「あぁ、後から向かったから、着いた時は収録のほとんど後半だったけどな」フラフラ
真美「そうだよ!」
亜美「亜美も真美もゲームソフトの山盛りセットを狙ってたんだけどねー」
真美「二人で同じ物を希望すれば狙う場所も二人分に広くなるっていい作戦だと思ったのにねー」
亜美真美「二人ともコントロール良すぎてド真ん中のタワシをバケツいっぱいに2つもゲットだぜ!」ガチャン
小鳥「たわしがこんなに…事務所で使うにしても多すぎるわね…」
亜美「まーまー、ピヨちゃんそう言わずに」ガチャ
真美「これ、つまらないものですが…」ガチャ
小鳥「持って帰っていいわよ…。やめて持たせないで…」
あずさ「そうなのよー。事前アンケート書いた時、ダイエット中で炭水化物抑えてたからかしら…?
【お腹いっぱいのご飯】って希望商品に書いてたのよね、私」
P「希望通りのものを獲得したんですね。すごいじゃないですか」
伊織「んーでも、そういう賞品って後日、郵送されるんじゃないの?」
真美「いおりん、それはね!そこの番組ディレクターさんが」
亜美「『こーのお米はね!うちの実家で作ってるお米でーね!
すっごーく美味し~いから!新鮮なうちに持って帰りなさい!美味し~いから!』」
真美「って言うもんだから、あずさお姉ちゃんも喜んでおっけーしちゃって」
あずさ「貰ったはいいけど持って帰るにも重くてどうしよう
って時にプロデューサーさんがいてくれて助かりました」ペコリ
タクシーの運転手さんにはトランクに藁が少し散らばって睨まれましたけど」ハハハ
美希「あずささん!そのお米、みんなで食べてもいいかな!?」
あずさ「えぇもちろん!そういえば、みんなで何をしていたのかしら?」
美希「ミキがね!特製おにぎりを作ってみんなに振舞ってたの!」
真美「ぬわんですと!」
亜美「おにぎりソムリエとして名高いミキミキ特製のおにぎり…」
亜美真美「これは是非食べたいですな!」
響「ところが、ちょうどお米が無くなっちゃってどうしようかって話してたんだ」
真美「じゃあこのお米があればモーマンタイだね!」
あずさ「うふふ。番組ディレクターさんも美味しいお米って言ってたし、私も食べてみたいわねー」
美希「やったやったやったあ!じゃあさっそく炊くの!ミキは炊飯器洗ってるからハニーはそれ開けて!」
P「ちょっと待ってくれ、休ませてくれ…」グッタリ
美希「もー、それくらいでだらしないの」
真「じゃあぼくが開けるよ!って、これ、どこから開ければ…」キョロキョロ
ガチャバターン!
??「まずは米俵の側面を上に!米俵を立てるのです!」
P「お、おう…貴音…?」
貴音「雑誌の取材より只今戻りました。米俵の開け方でお困りのようでしたのでつい叫んでしまいました」
響「貴音は米俵の開け方、知ってるのか?」
貴音「最近はびにぃる包装が多いお米ですが、俵になっているお米は、まこと、上品な外観です」
伊織「そういうもんかしら…?」
真「とにかく立てるんだね…」ヨイショ
貴音「上に来たその縄を結び目からほどいてゆけば蓋がはずれます。私も手伝います」
真「へぇー、こうなってるんだね!」ゴソゴソ
みんなの分にたくさん炊くには時間もかかるの」
P「ガス炊飯器でもあれば電気炊飯器の半分位の時間で、結構早く炊けるんだけどな」
春香「炊飯器ってガスのもあるんですか?」
P「あぁ、業務用とか、大きな炊飯器は
ガスくらいの火力じゃないとダメだからほとんどそうだろうし、家庭用サイズのでもあるみたいだぞ」
小鳥「業務用…」
響「でもそんな都合の良い物、ここには無いから何回も炊くしかないのか?
んー…どっかで借りられないかー?」
小鳥「あ!ガス炊飯器、ありますよ!」
P「え?あるんですか?」
小鳥「といっても、貸してくれるかわかりませんけど…」
貴音「状況も把握せずにいましたが、これからご飯を炊くというお話なんでしょうか?」
響「そうだぞ。美希がおにぎり作ってくれて、おにぎり大会してたんだ」
貴音「なんと…!そのような心惹かれる催し物が行われていたとは…」
P「音無さん、ガス炊飯器、借りられそうなら、俺、頼みに行ってみますよ。みんなも食べたそうだし」
亜美「兄ちゃん一人じゃ心細いだろうし!」
P「そうだな、二人がいれば俺だけよりずっとお願いを聞いてくれそうだ。
音無さん、心当たりあるんですよね?どこですか?」
小鳥「それは、たるき亭です」
律子「おおっ!なるほど!確かにありそう!でもこの時間、使ってるんじゃないかしら…?」
小鳥「どうでしょう?従業員の人が前に2つあるような話をしてたので、
もしかしたら1つは空いてるかもしれません」
P「ふむ、とにかく聞いてきますよ!」
亜美真美「いってくるねーん!」ガチャコガチャコ
ガチャ
??「ただいま戻りました、ってみんな、なんで私をみてるの?」
響「なんだ千早かー!」
千早「『なんだ』って…何かあったの?」
春香「千早ちゃんおかえり!今、プロデューサーさん達を待ってたから
千早ちゃんがドア開けた時にプロデューサーさんかと思っちゃったんだよー」
千早「プロデューサー?話が見えないんだけど…」
伊織「たるき亭に亜美達が行ってるはずなんだけど、すれ違わなかったみたいね」
普通の炊飯器じゃ小さいから、貸してくれないかなーって頼んでみることになったの」
千早「おにぎり…?」
美希「ミキね、おにぎり得意なの!千早さんにも食べて欲しいな!」
千早「そうなの…?帰って新曲の仮歌を聞き直そうかと思ってたんだけど…」
春香「千早ちゃん、今日の晩御飯はおにぎりでいいよね!」
千早「え、と…たまには…いいかな?」
春香「じゃ、決まり!」
亜美真美「たっだいまー!」
??「ただいまですー!」
??「ただいま戻りましたー」
P「おーい!オッケーでたぞー!」
真「あ!プロデューサーほんとですか!雪歩にやよいもおかえりー!」
雪歩「なんか、おにぎり作ってるって聞いたよ…?」
やよい「あの!余ったおにぎりは持って帰ってもいいですか!?」
春香「ふふふ、多分持って帰る分くらいはあると思うよ」
小鳥「さすが、プロデューサーさんは交渉上手ですね!」
真美「うんうん!」
P「その話はあとでいいから、まずはお米を運ぶぞー。お、千早おつかれ、千早も食べていけるだろ?」
千早「あ、はい。話は聞いてます。せっかくなので…」
真美「えー聞いてよ!これから大スペクタクルな交渉活劇が始まるのに!」
亜美「2時間枠じゃ収まらないよ!これは放送枠の再編成が必要ですな!」
伊織「出てってから10分くらいしか経ってないわよ」
P「亜美と真美が持ってたタワシをあげるかわりに貸してくれることになった。
バケツはからっぽにしてきたからここにお米を入れて運ぼう。
炊く工程はお店の営業のついでにやってくれるらしい」
亜美「いおりんツッコミ厳しいよ!」
真美「兄ちゃんもそんなあっさりばらしちゃうの!?」
P「んー、どうなんだろうか…。バケツ2個あるからこれに入れられるだけでいいんじゃないか?」
☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
P「よし、これくらい持っていくか、炊けたら大きい保温ジャーも貸してくれるみたいだからそれに入れて持ってくるな」
真「行ってきまーす!」
貴音「私もお供いたします」
バタン
伊織「材料はまだあるの?」
美希「さっきのご飯でいろいろ食べてもらうつもりだったから種類はたくさん持ってきてたの!」ガチャ
やよい「わあー!冷蔵庫におかずになりそうなものがたっくさんですー!」
美希「重かったけどハニーに食べてもらうことを考えたらへっちゃらだったの!」フフン
伊織「あの男、まだひとつも食べてないじゃない」
美希「これからたっぷり食べてもらうの!」
やよい「ここにあるものをおにぎりの具にするんですか?」
美希「そうだよ!おかかも美味しいけど、でこちゃんの言う派手な具も美味しいから持ってきてるの」
美希「ツナ!ミキもツナマヨ好きなの、じゃあ、ツナマヨからさっそく作ろうかな!」
やよい「私も手伝いますね!」
春香「んー、こんなに手伝う人数いてもやることないかなー?」
千早「(じぃー…)」
春香「千早ちゃん、私、あっちで台本チェックしてよっかなって…、?…千早ちゃん?」トントン
千早「えっ?な、なに春香?」
春香「どしたの千早ちゃん?」
春香「え?」
千早「ううん!なんでもないの!」フルフル
春香「ふふーん♪一緒に作ってみたら?」
千早「でも…、私、邪魔しちゃうかも…」
春香「大丈夫だってっ♪みんなで作れば楽しいよ!」
千早「でも…」
春香「美希!千早ちゃんもなにか作るって!」
千早「ちょ、ちょっとはるかっ!」
春香「いいからいいから♪」
千早「もう…わ、わかったわ…」
ガチャリ
響「冷蔵庫にまだまだ材料入ってるぞ…
鮭フレークにー、たらこと明太子は別々に持ってきてるんだな…
昆布、海苔の佃煮、うぅ…これ見てるだけでお腹空いてくるさー…」グー
ハム蔵「ヂュイヂュヂュイ」グー
響「ハム蔵…食べたいからってそれはおにぎりに入れちゃダメだと思うぞ」
ハム蔵「ヂュー?」
響「いや、それもダメなんじゃないか?」
亜美「ハム蔵はどんなものを混入しようとしているというのか!」
亜美真美「謎は深まるばかり!正解はCMのあと!」ビシッ
伊織「CMってなによ…」
雪歩「じゃあ私、お茶の準備しておこうかな?」
春香「あ、そうだね!私も手伝うよ!」
雪歩「ありがとうー。お茶っ葉と急須…あ、お茶っ葉無いかも?」カラッ
春香「あららー、ホントだ…これで終わりだっけ?」ゴソゴソ
雪歩「どうだろう?」
春香「じゃあ私達、買ってきます!」
雪歩「えっと、銘柄は…」
春香「缶持っていく?無くても売ってるのでいいかも!行こっ」
雪歩「うん、一缶くらいならなんでもいいよね」
春香「いってきまーす!」
雪歩「いってきますー」
小鳥「はーい、気をつけてねー」
バタン
(春香ちゃん大丈夫?)
(えへへ、平気平気!)
小鳥「気をつけてって言ったばかりなのに…」
パカッ
美希「ツナ缶を深めのお皿に開けて、味付けには麺つゆが楽チンなの。こんくらいかな?
はい、千早さん混ぜてね」
やよい「うちでも麺つゆはよく使いますよ!
お醤油とは違う味付けになるし、手間もはぶけていいですよね!」
千早「混ぜるだけなら私でも…」マゼッマゼッ…
やよい「うっうー!マヨネーズ入れますね!」スチャ
千早「わ、わかったわ!」ビクビク
美希「構えなくても大丈夫だよ…?」
千早「え、えぇそうね…」
美希「マヨネーズの分量は多すぎないほうがいいかも。酸っぱくなっちゃうし」
やよい「はーい!じゃあ様子見ながら少しずつー」ウニュー
美希「おにぎりの具って調理せずにそのまま使うことが多いし、調理したとしても混ぜるだけの物も多いの」
響「自分もだぞ…」
ハム蔵「ヂュイーヂュヂュー」
響「留守番してるみんなの夜ご飯分しか用意して出かけなかったから
今日は急いで帰ってもハム蔵の分はウチにはないぞー」
ハム蔵「ヂュー!」
響「そういう予定だって言ったじゃないか、それにさっきのおにぎりも半分食べたじゃないかー!」
亜美「まぁまぁお二人さん、ここは兄ちゃん達がご飯を持ってくるのを待とうじゃないかい」
真美「ホカホカのご飯でおにぎりパーティなんて滅多にありゃーせんぜぃ」
さすがにミキ一人じゃみんなの分のおにぎり作るの大変だから、みんなで作る?」
伊織「まー、そうなるわよね」
美希「じゃ、でこちゃん、これ、そっちのテーブルでお皿に開けておいてね!」
伊織「なんで私が…」
美希「開けて並べておいて、みんなで好きな具をおにぎりにすれば楽しいと思うな!」
伊織「だからぁ…はぁ…、もう、わかったわよ」
響「よーし!伊織!自分も手伝うぞ!」
あずさ「ふふふ!私もお手伝いするわね伊織ちゃん」
伊織「はいはい、じゃあ持って持って、あっち行くわよ」
小鳥「楽しそうですねっ」
律子「じゃあ私は出来るまで仕事進めておかないとー!スケジュール確認確認!」
小鳥「そういえば事務仕事の途中でした…。私も楽しみなので頑張って仕事しちゃいますよ!」
亜美「じゃあ亜美もご飯ができるまで素材でも集めますか」
真美「そうだね!真美もまだ出てないクエストがあるし!」
伊織「そこっ!ゲームしてないで手伝いなさい!」
亜美真美「あーい」
伊織「こうして並べてみると…」
響「壮観だぞ…」
ハム蔵「ヂュー…」
伊織「どんだけ材料持ってきてるのよ…」
あずさ「ちょっとだけなら食べてもいいかしら…」
亜美「あずさお姉ちゃん、我慢しようよ」
真美「我慢した時、ご飯がさらに美味しくなるんだね」
美希「うん!これであとはご飯だけだね!」
春香「お湯もしばらくすれば沸くからお茶もばっちり!」
バターン
貴音「皆様、大変長らくお待たせいたしました!」ズズイ
P「大丈夫か?入り口通るかこれ?」ヨイショ
真「プロデューサー、一回向き変えちゃいましょう!」ドタバタ
伊織「さすが業務用ね…」
雪歩「真ちゃん、大丈夫?」
P「よし、通った、どこ置くんだー?」
美希「ハニー!こっちこっちー!」
P「よーし、真、下ろすぞ!」セーノ
真「ふー!みんなお待たせ!あ、コンセント、保温保温っと」
P「おうっ!いいぞ!」
美希「それー!」パカッ
ホカホカホカホカホカホカ…
みんな「「「おおおおー!」」」
響「おにぎりじゃなくて、もうこれで食べてもいいくらいだぞ…」キラキラ
雪歩「こんなに大量のご飯、見たことないよ!」キラキラ
春香「プロデューサーさん!メガネ曇ってますよ!メガネ!」
P「あぁ、なんも見えん!」マッシロ
亜美「テンション、超あがりますなー!」
小鳥「うーん!良い匂い!」
貴音「たるき亭で、焼き鳥もお土産に頂きました。こちらも具に使ってみてはいかがでしょうか?」
真美「さっすがお姫ちん!抜かり無いですな!」
亜美「それじゃ、それはこっちに並べるよ!」
美希「さあ、ハニーたちも手を洗ってきて!みんなでおにぎり作るよ!
お皿もたくさんあるからじゃんじゃんおにぎりを並べるの!」
貴音「なるほど、自らの手で作るおにぎり…まこと、良き催しですね」
美希「じゃあ、みんなでおにぎり作るのー!好きな具を入れてね!」
みんな「おー!」
美希「柔らかい具を入れるときはね、こう包むようにご飯で具をくるんで…」
小鳥「ふむふむ…!」
やよい「形がうまく出来なくて難しい時は
お椀かお茶碗を2つ用意してご飯をいれて用意したお椀2つを合わせていっぱい振ると簡単に形ができるんだよ!」
伊織「へぇー!なるほど…それはアイデアね…」
千早「そ、そう?どうかしら?」
春香「できたできた!」
千早「あ、崩れた…」
春香「あっ…」
P「おにぎりは柔らかく握っても崩れちゃうからな、結構ギューギューやっちゃっていいと思うぞ」
千早「なるほど…。もう一度!」
春香「うんうん!」
真美「じゃーん!完成!明太子とマヨネーズの合わせ技!」
亜美「おむすびころりんに出てくるおにぎりくらいネズミが亜美達のおにぎりに喜んじゃうね!」
真美「ゆきぴょんが掘った穴も真美達のおにぎりをバンバン飲み込んじゃうよね!」
雪歩「おむすびころりんのおむすびが落ちた穴は私が掘ったわけじゃ…」
真「おおっ…お皿たくさん用意したのにどんどんおにぎりが並んでいく…」
響「すごいぞハム蔵!ラップに包んだご飯をこんなに綺麗な形にできるハムスターは他にいないぞ!」
ハム蔵「ヂュウッ!」ドヤァ…
あずさ「うふふ…確かにそうね~!それにしても、おにぎりの具、たくさんあって迷っちゃいますね」
律子「あずささん、鮭フレークとかどうですか?」
あずさ「あら、それも美味しそうですね!」
ワイワイガヤガヤ
P「綺麗に使ったなー。保温ジャーからっぽだぞ」パカッ
美希「でもこれだけあればお腹いっぱい食べられるの!」
春香「みんな、いろんな大きさしてて食べるの楽しみ!」
響「早く食べたいぞー!」
美希「そうだね!じゃあ、みんなで、好きなの食べるのー!」
みんな「「「いっただっきまーす!」」」
響「お、これは昆布だぞ!歯ごたえもよくて美味しいなー!」モグモグ
雪歩「私もだ!んー!甘い味付けでおいしー!」モグ
小鳥「焼き鳥が具に…こんなお夜食がうちでも作れたら私、カロリーとか…考えるのも恐ろしいわ…!」
千早「自分で作ったおにぎり…!」モグ
春香「どう?千早ちゃん?」
千早「春香!」キリッ
春香「ど、どうしたの…?」タジッ…
千早「美味しい…!」ウルウル
春香「うふふ!そっか!よかったね千早ちゃん!」
あずさ「うふふ…あら、これはキムチね。辛いものってダイエットに効果あるのよねー。うふふ」
真「ツナマヨおにぎりもおいしい!」モグモグ
やよい「うっうー!これは海苔の佃煮が具でした!とってもおいしーですー!」モグモグ
貴音「これは、芽かぶですね…。美味です…。いくつでも食べられます」
P「オーソドックスな塩にぎり…。うまい!」モグモグモグ
亜美「こ、これは!明太マヨ!」ピシャーン!
真美「こ、これは!梅こんぶ!」ピシャーン!
亜美真美「うーまーいーぞぉぉぉぉ!!」ゴゴゴゴゴゴゴ!
伊織「たらこおにぎり…おいしー!」モグモグ
美希「でこちゃんにおにぎりの美味しさを伝えるためにやったけど」
伊織「もぐもぐ…。そういえばそうだったわね、っていやいや!そもそもそんな話じゃなかったでしょ!」
美希「みんなに喜んでもらえてよかったの!」
伊織「まぁ、それはそうね…」モグ
伊織「言われなくても食べるわよ!それとでこちゃんでこちゃん言うな!」
765プロでのおにぎりパーティはみんなが笑い、お腹いっぱいでとっても幸せになりました。
久しぶりに事務所のみんなが揃っての楽しいひととき…。
彼女たちはこれからさらに団結して活動に熱が入るのでした。
ガチャ
高木「ふふ…今夜はアイドルたち、久しぶりにみんなで楽しく過ごせたみたいじゃないか…」
高木「最近忙しかった彼女たちにこういうイベントができて…息抜きができたようでよかったよかった」
高木「ん?これは…。ははは!」
『美希ちゃんが社長にも食べてもらおうって
おにぎりをみんなで1つずつ作りました。
みんなで作ったら結構な量になっちゃいましたけど、
是非食べてくださいね。 美希ちゃん曰く、
「冷めても美味しいからおにぎりはすごいの!」だそうですよ! 音無』
高木「はっはっは!これは!豪華な夜食だ!どれさっそく…」パクッ
おしまい。
おにぎりのステマな
美希が握ったおにぎりが食べたいこの時間に猛烈に腹減った
明日おにぎり作ります
明日美希に握ってもらうわ
見事マーケティングに引っかかったわ
お詫びとして後日またお願いします
Entry ⇒ 2012.04.10 | Category ⇒ アイマスSS | Comments (0) | Trackbacks (0)