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エリー「あ、安価で人見知りを…克服、します…」
http://hayabusa.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1330608404/
エリー「安価で、いろんな人に会いに…行きます」
ネロ「頑張れー」
エリー「>>5さんのところへ…行きます」
ネロ「いきなりハードル高いと思うなぁー…止めた方がいいと思うよ」
エリー「でも…一番インパクトあるし…」
エリー「あの人に耐えきれれば…かなり自信がつくと、思う…」
ネロ「まー頑張ってねー、僕は魚釣ってくるからさー」スタスタ
エリー「ありがとう…ネロ」バイバイ
エリー(でも怪盗は…どこに行けば会えるのかな…)
エリー(とてもよく似ている…二十里先生は学校にいる…けど)
エリー(とりあえず…>>14に行ってみようかな…)
エリー「とりあえず…学院から出てみたけど」
エリー「人が…多い」ガヤガヤ
エリー「こんなにぎやかな、場所には…いないかな?」
トゥエンティ「母なる海ィ!水を湛える港ォ!!いつだって美しい僕トゥエンティィーーー↑!!!」ヌギッ
エリー「あ…いた…」
トゥエンティ「さぁ!僕を見ろォ!!この今世紀最大の美しさという衝撃を受け止めろォォーーー!!!」ヌギヌギ
エリー(…話しかけたくない)
エリー「でも…行かなくちゃ…!」グッ
トゥエンティ「んん!?ミルキィホームズじゃないかっ!!僕を逮捕しに来たのかぁい!?」
トゥエンティ「美しさを閉じ込めておける檻があるならっ!捕まえるがいい!捕らえるがいいッ!!保存するがいいッー!!」
エリー「勘弁してくださいぃ…」
トゥエンティ「冗談はさておき…何か用?」
エリー「あ、あの…」
エリー「私…人見知りを克服しようと、思うんです…」
トゥエンティ「で?」
エリー「えっと、その…あの…」
エリー「私と…>>24してくれませんか…?」ビクビク
トゥエンティ「なん…だと…」
エリー「公園にいる人達から…より多く声援をもらえた方の、勝ち…です」
トゥエンティ「その勝負!乗ったッ!」
トゥエンティ「愚かだね!僕を前に美しさを競う勝負を仕掛けるなんて!」
トゥエンティ「さぁ道を行く人々よ見るがいい!!ダンスと言う型にハマった美しい僕の姿をッ!!」バッ
エリー(い、勢いで…へんな勝負を、仕掛けちゃった…)
エリー(人が…いっぱい、集まってる…!)
エリー「~~~~!」バッ
圧倒的なまでのナルシズムを基調に、『美』を前面に押し出した軽やかな動き、
見たもの目に強烈な衝撃を残していくその舞踊は、一種の芸術と言っても過言では無かった…。
ただ…乳首が物凄く伸びていることが、彼を観客の目から背けさせていた。
トゥエンティ「見ろ!もっと美しい僕のTI☆KU☆BIをみろぉぉぉぉ」バッバッ
人「もしもし警察ですか?」
…
続いて後手、エルキュールのダンス。
勿論踊りなど今まで踊った事は無く、彼女自身得意なものという訳でもない。
不安と技量不足、そして大きな羞恥心が彼女の足に枷をハメていた。
しかし…一生懸命さと、そこはかとないエロスを醸し出すステップは、
少ないながらも、確かに、観客の心をとらえていた…。
地の文疲れた…。
エリー「や、やりました…!」ハァハァ
トゥエンティ「さぁ!勝ったのはどっちだ!!」バッ
勝者>>35
エリー「これは…?」
トゥエンティ「どうやら…引き分けのようだね」
トゥエンティ「認めざるを得ない、君の美しさが僕に匹敵した…と言う事を!」
トゥエンティ「また雌雄を決しよう…!僕の美しいライバルよ!」
エリー「は、はいっ…!」
小衣「見つけた!怪盗トゥエンティ!逮捕するっ!!」バッ
トゥエンティ「さらばだっ!!」バッ
エリー「…………」
エリー(なんだか…思っていたほど、悪い人じゃない…みたい)
エリー「次は、誰のところに行こうかな…」
エリー「……>>45さんのところに」
知らなかったらハッケイ島シープりズンの獄長さんとこ
悪い、二期まだ見てないんだわ
再安価>>50
エリー「でも…今はこの街には…」
エリー「どうしよう…」
エリー(でも…もしかしたら都合よく帰ってきてるかも、しれないし…)
エリー「小林さんの、いそうなところ…」
エリー「…>>56かな?」
エリー(何も考えずに歩いてたら…いつの間に、こんなところまで)
エリー「確か…シャロのアルバイト先の…近く?」
エリー「ちょっと…寄ってみようかな…」スタスタ
エリー「…………」ガラッ
シャロ「へいらっしゃい!」
小林「シャーロック、僕のタンメンまだ?」
シャロ「まだですー」ベリベリ
エリー「!?」
小林「といっても、またすぐに発たなくちゃいけないんだけど…」
エリー「そ、そうだったんですか…」ドキドキ
シャロ「私もびっくりしました!」ベリベリ
小林「久しぶりだね、エルキュール」ニコッ
小林「元気でいるみたいで…本当に嬉しいよ」
エリー「小林さんも…」
エリー「………」オドオド
小林「…なにか困った事でもあるのかい?」
小林「僕が力になれることなら…」
シャロ「初耳です!」
エリー「だから…小林さんに協力してもらっても…?」
小林「もちろんだよ!」
シャロ「私も協力しますー!」ベリベリ
エリー「ありがとう…ございます」
エリー「じゃあ…>>67してもらっても、いいですか…?」
小林「!?」
エリー「さっきも…怪盗トゥエンティと激しいバトルを、繰り広げてきたんです…」
エリー「人見知りを克服するための…武者修行の旅…」
エリー「小林さん、お手合わせ願います…!」
小林「え、エルキュール…なんだか変わったね」
シャロ「エリーさん!私も協力します!」
エリー「シャロ、ありがとう…」
小林(なんだ…これ)
シャロ「本気で行きますよ!エリーさん!」
エリー「うん…本気できて…!」
小林(僕がいない間、この子たちに何があったんだろう)
小林「えっと、じゃあ…東、シャーロック山~!西、エルキュール海~!」
シャロ「……………!」ギンッ
エリー「………………」ザンッ
小林「はっけよい…残った!」
小林オペラの手から軍配が降ろされた…!
しかし、互いは睨みあったまま牽制、動かず!
二人は全身を研ぎ澄まして場の流れ、空気を感じ取り…
動く、その時を待っていた…!
小林(相撲ってこんなのだっけ…)
エリー「…………」
小林(……いや、見た目は確かにおかしな様子に見えるかもしれない)
小林(でも僕は感じる…!二人の間に流れる、真剣勝負の空気を!)
小林(二人の体を通して出る力…!そのぶつかり合う様を感じるぞ!)
永遠無限に感じる…睨みあいの時。
しかし、沈黙は一陣の風によって断ち切られた!
二人の背中を押すように吹き抜けた風が、エルキュールの鼻孔を突き抜けたのだ!
エリー「はぅ…!?へっ、へっ…へっくちゅ!」クシュン
シャロ「スキありですッ!!」バッ
エリー(しまった…!)
エリー「きゃっ…!」
小林(エルキュールが一気に土俵際まで追いつめられた!)
シャロ「エリーさんが相手でも…!手加減はしません!」
シャロ「このまま…!押し切りますぅ…!」グググ…
エリー「んっ…!しゃ、シャロ…だ、だめぇ…!」ググググ
エリー「こ、このままじゃっ、(土俵から)出ちゃうぅ…!出ちゃうからぁ…!」
シャロ「んぐっ…!は、早くっ!早く(土俵の向こう側に)イってくださぃ…!」ギギギギ
エリー「あんっ!やだぁっ…!(土俵の向こう側にイっちゃう…!」ハァハァ
シャロ「エリーさんっ…!(土俵の向こう側に)イって!イってください…っ!!」ゼェゼェ
シャロ「先生は黙っててくださいっ…!これはっ…!」グギギギギ
エリー「女と…!女のっ…真剣勝負…!!」グギギギギ
シャロ「(土俵の向こう側に)イっちゃってくださいエリーさーーーん!!!」
エリー「い、イっちゃう…!もう(土俵の向こう側に)イっちゃうぅーーーっ!!!」
小林「あわわ…!」ガタガタ
エリー(このままじゃ…負けちゃうっ…!)
エリー(でもトイズは…トイズは、だめ…!)
エリー(対等な…条件で、フェアに勝たないと…!)
エリー(人見知りを克服なんて…できない…!)
エリー「うぅ…」
小林「…よく頑張ったね、エルキュール」ポンッ
シャロ「エリーさん…とっても強かったです!」
小林「うん、すごいよあそこまで追いつめられて耐えるなんて」
エリー「で、でも…勝てなかった…です」
シャロ「勝ち負けなんて関係ありません!」
シャロ「どれだけ頑張って、戦い抜いたかが…!それが勝負に大切なことなんです!」
小林「うん、そうだね、お疲れ様二人共」
シャロ「さぁ次は先生とエリーさんの勝負です!」
小林「うん、そうだね……えぇっ!?」
小林「ちょ、ちょっと待ってシャーロック…!?本当に!?」
シャロ「にぃしぃ~、えるきゅ~るうみぃ~!」
小林「きょ、協力するとは言ったけど…!」
シャロ「みあって~みあって~」
小林「エルキュールも何とか言って…!」
シャロ「はっけよぉ~い…」
エルキュール「お願いします…!」キッ
シャロ「のこったぁ~!!」
小林「えぇーーーっ!?」
小林「くっ…!」ガッ
エリー「よいしょ…!よいしょ…!」グイグイ
小林(エルキュール…本気だ…!)
小林(トイズなしでは非力な彼女が…本気で、男の僕と戦っている…)
小林(そうだ…シャーロックだって、言ったじゃないか)
小林(『どれだけ頑張って、戦い抜いたかが…!それが勝負に大切なこと』だって!)
小林(僕の全力で!エルキュールと相撲をとる!)
小林(それが…彼女に協力するって事なんだ!)
小林(そうなんだよね…シャーロック!)キリッ
シャロ(あの雲、かまぼこみたいですー)ボケーッ
エリー「くぅっ…!ん…!」プルプル
小林「エルキュール…!(本気で)イくよっ…!」
エリー「はいっ…!(本気で)きて…くださいっ!!」
小林「うおぉぉーーっ!!」ガッ
エリー「あっ…!」
エリー(小林さんの腕…!太くて、がっしりしてて…私とは違う)
エリー(こうして体を{スポーツ的な意味で}重ねていると…)
エリー(小林さんを近くに感じる…香りを、鼓動を、存在を…)
エリー(私、今…小林さんと一つになってる…!?)ドキドキ
小林「い?」
シャロ「胃?」
エリー「いやああああああああああああああーーーーっ!!」シャキィン!!
小林「えっ!?ちょっ待っエルキュール!トイズはなsグボァ!!」
エリー「いやあああああああああああん!!!」ドッガァバキィグシャアメキョメキョ
小林「ぎにゃああああああああああああああ」
エリー「ごっ…ごめんなさあああああああああああい」ブンッブンッ
小林「ぎにゃあああああああああああああああああ」
シャロ「先生ええええええええええええええええええ」
小林「ぎにゃあああああああああああああああああああああ」
小林「ははは…」ボロッ
エリー「お、男の人があんなに近くにいるって…思ったら…!」グスグス
エリー「ごめんなさい…!ごめんなさい…!」ベソベソ
小林「いいよ、エルキュール」
小林「最初から全てうまくいくわけないさ」
小林「今回はうまくいかなかったかもしれないけれど…」
小林「少しずつ、少しずつでいいから前に進んでいこう?」ニコッ
小林「そうすればきっといつか、人見知りも克服できるよ」
エリー「小林…さぁん…!」グスッ
シャロ「そうですよエリーさん!ファイトです!」
エリー「…行って…しまうんですか?」
小林「うん…ちょっとの間、またさよなら…だね」
シャロ「先生…!」
小林「でも、絶対に僕はまたみんなのところに帰ってくるから、ね?」
エリー「……小林さん」グスッ
エリー「私、約束します…次に会う時までに、きっともっと成長してるって…!」
シャロ「私もです!絶対に名探偵になって、先生のところに…!」
小林「…楽しみにしてるよ」
エリー「ありがとう…ございます、小林さん…!」ペコッ
小林「……ところで僕のタンメンまだ?」
シャロ「まだですー」
でも、きっとまた会える、その時までにもっと成長していることが、
小林さんの生徒としての…私の、彼との約束。
エリー「そのためには…もっといろんな人と、触れ合わなきゃ…」
エリー「次は…>>106さんのところに…」
エリー「アドバイスを…もらえたら…」トテトテ
ヨコハマ警察
G4執務室
エリー「お、おじゃまします…」ドキドキ
小衣「あーっ!エルキュール!!」
エリー「は、はいっ!?」ビクッ
小衣「アンタ何悠長に怪盗とダンスなんか踊ってんのよ!?」
エリー「ご…ごめんなさいっ…!?」
小衣「あんたが捕まえとけば逃がさなかったかもしれないのにぃー!!」ムキー
次子「はいはい、人にやつあたりしなーい」
エリー「あ…銭形さん…」
エリー「え、えっとぉ…そのぉ」ビクビク
エリー「私…今、人見知りを克服しようと思って、いろんな人の所に…お伺いしてるんです」
次子「それでここに?」
エリー「はい…銭形さんから、なにかアドバイスをもらえたら…って」
次子「ふーん…なるほど!」
次子「それじゃ、私と>>116してみるってのはどう?」
次子「女同士なら普通じゃない?」
エリー(た、確かにシャロとネロは、一緒におトイレ行ったりしてるけど…)
エリー「わ、私にはハードルが、高いですっ…!」ドキドキ
咲「トイレトークは女子の基本だしー」カタカタ
平乃「確かに女の子は連れだってトイレに行くものですよね?」
エリー「うぅぅ~…!」
次子「さぁ私についてこーい!レッツゴートイレー!」ズルズル
小衣「トイレトイレうっさいのよ!行くならさっさと行って来ーい!!」
エリー「私…普段は一人でトイレに行くので…分かりません」
次子「んー…?なにしてるっていってもなー?」
次子「…世間話?」
エリー「せ、世間話…ですか?」
次子「あはは、別に用を足すのに連れ立っていくわけじゃないし」
次子「化粧を直す間に世間話とか…ちょっと人前ではできない話とかする時に、結構便利じゃん?」
エリー「はあぁ…!」
次子「そこまで感心されても…」
エリー「そ、そうやってみんな、親睦を深めていくんですね…!」
次子「うーん…?そうなのか…?いや、そうでいいや」
次子(友達いるの?)
エリー「勉強になりました…それじゃあ…」
次子「待った!」ガシッ
エリー「ひゃああ!?」
次子「せっかくトイレまで来たんだしさぁ…ちょっとガールズトークしていかない?」
エリー「が、がーるず、とーく?ですか…?」
次子「あんまりエルキュールと喋ったことないからさぁ…結構気になってるんだよね」
平乃「その辺りは私も興味あります!」
咲「同じくー」
エリー(どこから!?)
平乃「是非聞かせて頂きたい話題ですね!」ズズイッ
咲「エルキュールかわいいしー」ズズズイッ
エリー「え、え、えぇ…!?」カアァ
咲「好きな人とかいるのー?」
平乃「あ、もう付き合ってる人とかいます?」
エリー「あ、安価全然関係なくないですかぁ…!?」
次子「あれは正直無理!細かい事は気にするな!!」
エリー「うぅ…!す、好きな人…なんて…!」
咲「いるの?いないの?」
エリー「…>>137」
次子「えっ、本当に!?」
平乃「だ、誰ですかっ!?」
咲「吐けー」
エリー「……こ」
エリー「小林…さん…ですっ」カアァ
平乃「小林さん!」
次子「ほぅー…なるほど…!」
咲「kwsk」
エリー「あうぅ…!」
エリー「私が普通にお話できた…初めての男の人で…」
エリー「こんな私でも、めんどくさがらずに接してくれる…」
エリー「そして…」
エリー「………」
エリー「今は、遠い所で」
エリー「私の成長を待ってくれている…」
エリー「大切な、人…です」
平乃「なるほどなるほどー!」
咲「わっふるわっふる!!」
次子「で、で!?二人はどこまでいってんの!?」
エリー「え、えぇっ!?」カアァ
小衣「いつまでサボってんだーーーー!!!!」ガァッ
エリー「でも、正直助かったかも…」
エリー「次は…誰のところにいこうかな…」
エリー「……>>162さん、とか?」
エリー「目立ちたがり屋な先生なら…人前でも、普通に振る舞う方法を…」
エリー「学院に戻らなきゃ…」トテトテ
ホームズ探偵学院
美術室「小美神の黄昏」
エリー「失礼します…」ガラッ
二十里「美しき芸術に囲まれる美しき僕ッ!!もはやこれは擬態だっ!」
二十里「さあぁ美しき僕を真似ろ!!僕をすみずみまで模倣しろおぉぉぉぉ!!!」
エリー「うわぁ…」
二十里「ん…?エルキュール・バートン?」
エリー「し、失礼しま…!」ガラガラ
二十里「待ちたまへっ!!」ガッ!
エリー「ひぃっ!!」ビクッ
エリー「し、失礼…しますぅぅ…」ガックリ
二十里「っで!何用かな!?」バンッ
エリー「その…あのぉ…!」オドオド
二十里「さぁさぁ遠慮はノー・センキュー!美しい僕に美しい質問をするがいい」バンバンバン
エリー(な、なんでこんなに…親切なんだろう…)
エリー「えっと…実は」
二十里「O.K!!人見知りを克服したいだって!?」
エリー「ま、まだ何も言ってな…」
二十里「美しい生徒の為に美しい教師が美しく協力するなんて美しく当然!!僕に任せろッ!!」
エリー「え、えっと…!」
二十里「ずばりッ!人見知りを治すには>>172だ!!」
不思議!
二十里「昔は僕も、ひどい人見知りだった…!」
エリー「……!?」
二十里「自分の殻に籠っていた僕は…自分の美しさを世界に広めることができないのがたまらなく悔しかった!」
エリー「………」
二十里「この二律背反に、僕の心はひどく傷み…そして美しくなくなっていった…!」
エリー「………」コソコソ
二十里「そこで僕は…自らの殻を突き破った!!」
エリー「………」ソーッ
二十里「そして、僕は蛹から蝶へ進化した…!美しさを世界に、刻み付ける事が出来た…!」
エリー「………」ソロソロ
二十里「さぁ君も美しく羽ばたくんだ!!エルキュール・バートンッ!!」ガッシィ
エリー「いやああああああああああ」
エリー「見せないで…ください…!」
二十里「何故だ!?美しい君なら美しい僕のTI☆KU☆BIの美しさが分かるだろう!?」ヒュンヒュン
エリー「近づかないで…」
二十里「恥ずかしがるなっ!!今こそあの蒼空に舞い上がれエルキューーーーーーール!!」ビュンビュン
エリー「乳首…回さないでくださぁいぃ…!」プルプル
二十里「さあ!さぁさぁ!!」
エリー「ほ、ほんとに…人見知りが治るんですか…」
二十里「無論だ!!」
エリー「………」ドキドキ
二十里「男は美しく後ろを向いていよう!!」クルッ
エリー「…………」ドキドキ
エリー(ここには…私と、二十里先生しか、いない…)
エリー(それに、部屋の中だし…恥ずかしくない…よね?)
エリー(先生も…後ろを向いているし…)
エリー「…………」スルッ
エリー「…………っ!」パサッ
エリー(う、上着…!脱いじゃっ…た…)ドキドキ
エリー「ど、どうしよう…?」ドキドキ
エリー(その下は…下着、だけ…!)
エリー(恥ずかしい…!)プルプル
エリー(で、でも…ここで勇気を出せたら…)
エリー(人と話す事なんて…大したことじゃ…ない、かも)
エリー(大丈夫…大丈夫…!)グッ
エリー(一度だけ、勇気をだそう)
エリー(誰も、見ていない…一度だけ…)シュルッ
エリー(一度…だけ…!)パサッ
根津「二十里せんせー、アンリエット様がお呼びで…」ガラッ
エリー「ひっ」
根津「あぁ?」
根津「…………」
エリー「…………」シャキィン
エリー「………ッ!!」ガッ
根津「ああぁ!!?」
エリー「見ないで…ください…!!」ガッゴッドガッメシャアァッゴキンッ
根津「あぁああぁぁぁぁぁあああぁぁぁあぁぁあぁああぁぁあああああ!!!」
エリー「恥ずかしい…です…!」ボキボキメリッドスッブチブチィドッズァ
根津「あぁぁぁぁあぁぁぁぁぁああぁぁぁああぁぁあぁああああぁぁああぁぁああああ!!!!」
二十里「美しい連続攻撃だ!!」グッ
エリー「もう…二度と、したくない…です」カアァ
エリー「でも…これくらいで、あきらめちゃ…だめ」
エリー「次は…>>198さんに話を聞きに…」
エリー「確か、さっき二十里先生に保健室に運ばれてた…」スタスタ
エリー「失礼…します」ガラッ
根津「ひぃっ!?エルキュールっ!?」ビクッ
エリー「ご、ごめんなさいっ…!」ペコッ
根津「え…」
エリー「その…私、恥ずかしくて…!」
エリー「つい…トイズを…ごめんなさい…」ペコッ
根津「……ま、まぁいいよ、別に大したことねーし!」フンッ
エリー「………」
根津「こんなの全然痛くねーし?別に気にすることないっていうか…!」ゴニョゴニョ
エリー「…ありがとう」
根津「だ、だから大した事ないって…!」
エリー「…………」ジーッ
根津「…背中、湿布貼ってもらおっかな」ボソ
エリー「はい…」
根津「…お前さぁ」
エリー「はい…?」ペタペタ
根津「…なんで、あんなところで脱いでたんだ?」
エリー「………!!」シャキィン
根津「と、トイズは止めろよ!?」
エリー「はっ…!」ビクッ
根津「ったく…!」
エリー「人前でちく…胸を晒したら人見知りを克服できる、って聞いて…」
根津「はぁ!?馬鹿かお前はっ!!」
エリー「…!」ビクッ
根津「そんなの…二十里先生にしか許されないだろ…」
エリー「その言い方も…どうなんでしょう」ペタペタ
根津「…どっちかと言うと、それ目立つ方法だし…」
エリー「そ、そういえばそうですね…」ペタペタ
根津「……あのさぁ」
エリー「はい?」ペタペタ
根津「その…お前が、焦る気持ちも分からなくはないけど」
根津「……ちょっと落ち着けよ」
根津「…もういいよっ」ガタン
エリー「あ…」
根津「アンリエット様に呼ばれてんだ」スタスタ
エリー「………」
根津「…………」
根津「……エルキュール!」
エリー「は、はいっ」
根津「~~~~!」
根津「が、頑張れよ!じゃあな!」ガラッ
エリー「……根津君」
エリー「さて…誰の所に行こば…」
エリー「じゃあ…>>209さんのところに、行きます」
エリー「普段からたくさんの人と接している石流さんなら…」
エリー「食堂にいけば…会えるかな?」
食堂「多すぎる料理長」
石流「…………」
石流(夕食の下ごしらえもすんだ…さて…)
エリー「……あのぉ」
石流「…ん、エルキュール・バートンか」
石流「言っておくが貴様らに出す夕食は芋しかないぞ」
エリー「ち、違います…」
石流「私に何か用か?」
エリー「…はい」
エリー「…はい」
石流(確かに…エルキュールの人見知りは異常だ)
石流(だが…私がどうにかしてやる義理もあるまい)
エリー「…………」
石流「…………」
エリー「……………」
石流「……………」
石流「…私に、どうしろというのだ…!」
エリー「え、えっと…」
エリー「その…少し、手伝っていただけたら…と」
石流「…………」
石流(人と会う仕事…と言っても)
石流(朝…敷地を掃除しながら生徒にあいさつし…)
石流(昼はひたすら一人で掃除&厨房に籠り…)
石流(夜に配膳するくらいか)
石流(果たして…人見知りを治すきっかけになど…?)
石流(いや…確かに不特定多数の目に触れると言う意味では間違っていないか…)
石流「ふむ…」
エリー「は、はい…」
石流「明日一日…私の仕事を手伝ってみるというのは…」
石流「ミニスカートで」
エリー「あ、はい…それなら」
エリー「………えぇっ!?」
石流「…聞くところによると、お前は人目に肌を晒す事に羞恥を感じるらしいな」
エリー「はい…」
石流「自らの柔肌を晒しつつ、数多の視線を掻い潜れば」
石流「人見知りなんて気にならなくなるのではないか?」
エリー「た、確かに…!」
石流「明朝、寮の前に集合だ!」ガタンッ
エリー「え、えぇ…!?」
石流「返事は『はい!』だ!!」
エリー「は、はいぃ!?」
エリー(な、なんでこんな…事に…!?)
石流「解散」
エリー「はいぃ…」
石流「返事は『はい!』!!」
エリー「は、はい!!」
寮「奇巌城」前
エリー「おはようございます…石流さん」
石流「うむ、お早う」
石流「早速だがこれに着替えてこい」パサッ
エリー「……これ、は?」
石流「それで今日一日、私の仕事を手伝って貰う」
エリー「はぁ…」
エリー「………」ピラッ
エリー「この服は…!>>225!」
石流「当たり前だろう、私をなんだと思っているんだ」
エリー「いえ…石流さんも、男の人…ですから」
石流「貴様ッ!?」
エリー「き、着替えて…!きます…!」
…
エリー「ふぅ…」ゴソゴソ
エリー「…こんな、感じかな」
コーデリア「あら?エリーどうしたの?」
エリー「コーデリアさん…」ハッ
エリー「今日は、石流さんのお手伝いで…」
コーデリア「ふーん…なんだか短いわね…」
エリー「………!!」ハッ
エリー「お待たせ、しました…」
石流「遅い!!」
エリー「うぅ…」カクシカクシ
石流「…………!」
エリー「…あの?」
石流「何故…ニーソックスを履いている…!?」
エリー「え…」
石流「その白い肌を人目に晒すと言ったはずだ!わざわざ覆い隠してどうする!?」
エリー「は、恥ずかしい…ので…」
石流「それを克服する練習だろう!!さぁ脱げ!今すぐ脱ぎ捨てろ!」
エリー「え、あうぅ…!」
石流「さぁ早くそれを脱いで白い珠肌を眼前に晒し…!」
エリー「石流さん…変態みたい…」
石流「貴様アァァァ!!」
石流「まずは通学路の掃除だ、隅から箒で掃いてごみを集めてこい」
石流「登校する生徒にあいさつを忘れるなよ」
エリー「はい…」
石流「………ふぅ」サッサッ
生徒「石流さん、おはようございまーす」
石流「はい、お早う」
根津「石流さんうーっす」
石流「うむ」
エリー「………」サッサッ
ネロ「エリー!おっはよー!!」
エリー「お、おはようございます…」ペコリ
エリー「おはようございます…シャロ」ペコリ
ネロ「コーデリアから聞いたよ、今日一日お手伝いだって?」
エリー「うん…」
生徒「エルキュールさんうーっす」
エリー「おはよう…ございますっ」ペコッ
ネロ「よくやるねぇ、エリーに出来るの?」
シャロ「でもでもエリーさん!なんだかちょっとずつ人見知り治ってきてる気がします!」
エリー「そ、そう…?」テレテレ
生徒「エルキュールさんおはよー」
エリー「おはようございます…」ペコ
ネロ「ほんとだ…なんかすごい」
エリー「え、えへへ…」
石流(確かに…なかなかよくできている)チラッ
ネロ「でもさー?スカートちょっと短いんじゃなーい?」チラッ
エリー「こ、これは…石流さんが」
ネロ「えー…石流さんの趣味?なんだか普通過ぎて逆に怪しく見えるなー、ちょっと悪意を感じるよ」
石流「おいっ!!」クルッ
ネロ「こんだけ短いと…やるしかないよね!えいやー!」メクリッ
エリー「きゃっ!!」
シャロ「おー!もーれつぅ!!」
石流「!!?」
エリー「え…?」
石流「………!」
シャロ「あぁー…」
ネロ「…ごめん」
エリー「見ました…か?」プルプル
石流「薄緑では無い!!断じて薄緑では無い!!!」
ネロ「うっわ…」
シャロ「…………かける言葉が見つからないですぅ」
石流「じ、実行したのは貴様だろう!何故私が悪いかのようになっている!?」
エリー「…もう、お嫁にいけません」グスッ
石流「さて…次は厨房での仕事だ」
エリー「は、はいっ」
石流「…と言ってもここでは人の目はないな…」
石流「普通に食事の仕込みをしていてくれ、ともかく量が半端ではないからな」
エリー「分かりました…」
石流(このまま夜までは手伝いをさせておけばいいだろう…)
エリー(簡単なお仕事で、よかった…)
エリー(お料理は得意なほう…)
エリー「…………」グツグツ
エリー「…………?」ピクッ
エリー(な、なんだか感じる…視線を…)
エリー(ねっとりと…絡みつく、ような…)
エリー(見られている…?誰かに…)モジモジ
エリー(でも…ここには、石流さんしか…)チラッ
石流「……………」モクモク
エリー(違う…?でも、誰かが私を…見ている?)
エリー(熱い視線…なんだか、おかしくなりそうな…)
エリー(誰…?誰が私を見ているの…?)ドキドキ
エリー「うぅ…!」
二十里「ふふ…!美しい僕が美しい君を見てるよ…!」ジーッ
石流「貴様は授業に行け!!」
エリー「はっ…!」ビクッ
石流「夜の仕事はこれだ、生徒に夕食を配膳する」
石流「簡単に見えるが難関だぞ、ここには全校生徒が集まっている」
石流「全ての視線を一身に浴びながら…の仕事だ」
石流「できるな?」
エリー「は、はいっ…」
エリー「頑張ります…!」
根津「おーい、パンくれー」
エリー「はいっ…ただいまー」スタスタ
ネロ「エリー!!僕にもパンくれー!」
コーデリア「ケーキがなければ~私にパンを~食べさせて~♪」
石流「貴様らは芋だ」
ナンデエルキュールサンガハイゼンシテンノー?
エリー(うぅ…注目されて…る)ガヤガヤ
生徒「こっちにもパンー、はやくー」
エリー「は、はーい…!」トテトテ
エリー(見られてると…思うと)
エリー(緊張して…頭のなかが、真っ白に…!)ドキドキ
二十里「美しい僕の活力の源っ!!さぁはやくパンを寄越したまえ!!」
エリー「分かりましたぁ…!」トテトテ
エリー「~~~っ…!」カアァ
ガッ
エリー「あっ…!?」フラッ
石流(エルキュール…!?躓いてっ…!)ハッ
エリー「…………っ!!」
エリー「…………?」
アンリエット「…大丈夫ですか?」
エリー「あ、ありがとう…ございます」
アンリエット「自らを高めるのも結構ですが…ちょっと落ち着いた方がいいですね」
エリー「ご、ごめんなさい…」
アンリエット「謝る事はありませんよ?」
アンリエット「誰も貴女を責めたりはしていません…」
アンリエット「自分に圧し掛かる大きな壁…乗り越えられるといいですね」スッ
エリー「……はいっ」
二十里「ベリーサンキュー!美しい君に感謝だっ!!」
根津「だーから!落ち着けって言ったろー?」
石流「…だが、仕事はこなせている…文句はあるまい」ホッ
エリー「石流…さん」
石流「うむ…今日一日、よく頑張った」
石流「…ご苦労だったな、と言っておいてやる」
エリー「…ありがとう、ございました!」
シャロ「エリーさーん!」ダキッ
ネロ「転びそうになってたけど…大丈夫だった!?」
コーデリア「だめよ!足元には気をつけないと!」
シャロ「そんなことより!エリーさんすごいです!」
エリー「え…?」
ネロ「そういえば…」
エリー「………あ」
コーデリア「人見知り…ちょっとは治ったんじゃない?」
エリー(…そういえば)
エリー(前よりは、恥ずかしくなかった…かも)
エリー(前の私なら…きっと人前に出る事だって、出来なかった…)
エリー「………えへへ」
シャロ「大成長です!」
エリー「ありがとうございます、みんな…」ペコッ
石流「……ふん、精々精進するがいい」
根津「べ、別に?俺は何もしてねーって…」
二十里「君の美しさがそうさせたのさ☆」
エリー(ちょっとずつ…ちょっとずつ前に進んで、いこう)
エリー(まだ、道は長いかも知れないけど)
エリー(焦らず、落ち着いて…)
エリー「…頑張ります」
石流「…でエルキュール、その作業着を返却して欲しいのだが…」
エリー「…………え?」
ネロ「えー?石流さん、エリーの着た服どうするつもりだよー?」
コーデリア「エリーのはいた~ミニスカ~石流さんが~♪」
シャロ「犯罪のにおいがしますっ!」
石流「きっさまらああああああああ!!!!」
ゲーム未プレイだから先生のキャラ分からんかった
いい感じに締まったな!乙!
Entry ⇒ 2012.03.16 | Category ⇒ ミルキィホームズSS | Comments (0) | Trackbacks (0)
阿良々木暦「僕が契約して魔法少女になったよ」
http://hayabusa.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1330438312/
QB「正直言って…男子高校生が魔法少女になれる素質を有していたなんて」
QB「これまで前例のないことだよ」
QB「君は胸を張って活躍すればいい」
暦「ちょっと待ってくれ…ッ!?」シャララーン
暦「どうして僕のコスチュームが女物になっているんだあああッ!!?」フリフリ
暦「今優先すべきことはそんなことじゃない…!」
暦「…きゅぅべぇとか言ったな。お前に言っておかなければならないことがある…」キリッ
QB「何だい?…ありゃりゃりゃぎこよみ君?」
暦「お前の声…どこかで聞いたような気がするぞ…!?」
QB「それはもはやネタにされ尽くしたネタと言えるね」
ほむら「」
暦「」
QB「助けてくださいありゃりゃぎこよみ君!」ヒシッ
ほむら「もしもし…警察ですか?」
ほむら「はい、路上に変質者が(ry」
暦「ちょっと待ってくれないか」
暦「君が頭に被っている女性物のピンクの下着は一体何なんだいッ!?」ビシッ
QB「…君達は案外気が合うんじゃないかな。勿論アブノーマルな意味でね」
暦「実はこの町に襲来すると風の便りで聞いた怪異を倒しに来たんだ」
QB「そのためには僕と契約することが必要不可欠なんだ」
暦「と言われたから、とりあえず契約したんだ」
QB「後で容易に解約できると説明してね」
ほむら「阿良々木暦、あなたは豆腐の角に頭をぶつけて死にたくても死に切れないレベルの低脳馬鹿ね」
暦「初対面の相手に対して発した第一声とは思えないほどひどいのかひどくないのか良く分からない言い草だな」
QB「はぅ!?」カンツー
暦「 」
QB「あ、りゃ…りゃ、ぎ・・・さん」バタッ
暦「八九寺ィ―――――――――――――――――――――――ッ!!?」ヒシッ
暦「―――普通に2匹目だろ」
ほむら「あら、意外と現状追認が早いわね」
ほむら「やるわよ阿良々木暦」ガシッ
暦「何をだい、戦場g」
ほむら「 ほむほむ・ザ・ワールド! 」キュルルルルルルルルルル
暦「君の人格にはかなりの問題があることはよく分かった」
ほむら「ところであなたの武器は何なのかしら?」
暦「特にないみたいだ」
ほむら「この役立たず」
暦「でも、吸血鬼になった当初と同様の身体能力と治癒力を獲得したらしいね☆」
ほむら「早く私をお姫様だっこして宙を駆けまわったらどうなの?」
暦「君は一体何がやりたいんだい?」
ほむら「私と触れていないとあなたの時間も無様に停止するからに決まっているじゃない、このあんぽんたん」
暦「…仕方ないな」ヒョイッ
ほむら「何するのよこの変☆態」ポカッ ポカッ
暦「どう考えても君の方が変☆態だ」キリッ
ほむら「あら・・・早くも時は、動き出すわ」キュルルルルルルルルルルルル
QB「本当に何がやりたいんだい、君達は」シュタッ
杏子「ほらよ。言ってた額、持って来たぜ」バサッ
貝木「いいだろう。相当の対価だ」ジャラッ
杏子「…どうやって手に入れたかは知らねーが」
杏子「取引成立だ。貰ってくよ、グリーフシード」コロンッ クルッ
杏子「汚い、カネだけどな」シュタッ
貝木「今回の件からお前が得るべき教訓は、カネに綺麗も汚いもないがモノには汚いものもあるということだ」
貝木「聞く耳すら持っていなかったようだが、な」
暦「一人暮らしなのか?」
ほむら「見ず知らずの女子中学生の家に無理やり押し入るなんて」
ほむら「下心がスケスケのミエミエね、阿良々木暦」
暦「真顔で何となくいやらしい発言はよせ」
ほむら「言っておくけれど、私はまどか以外の生命体など眼中にないわ」
暦「いや聞いてないから」マドカ…ヒロシ?
暦「何故って…」
暦「僕には四六時中超絶破廉恥な服装で町を練り歩くような、キケンな趣味はないからさ」
ほむら「あまり自己否定をし過ぎると生きていくのが辛いわよ」
暦「どういう意味だよ…?」
ほむら「あなたから変態成分を取り除くことは、魔法少女からソウルジェムを奪い取るくらい重大なことなのよ」
暦「例えが実に分かりづらいんだが、僕が変態を捨てることは魂を売るのと同じくらい致命的なことだとでも言いたげだな」
暦「僕の名前はアララギだ」
ほむら「失礼、噛みマミさん」ファサ
暦「おいやめろ・・・いや何ていうか本当にやめてください」
暦「…ていうかさっきさりげなく重大過ぎる事実を告げられたような気がするんだが!?」
ほむら「まあ、気にしないでいいわ」
暦「気になるよ!?」
暦「切り替え早いよほむらちゃん!?」
ほむら「―――本題に入るわ」
暦「………」
ほむら「あなたは、魔法少女になることで」
ほむら「―――どんな願いを、叶えてもらったの?」シャフドッ
暦「………………」キッ
暦「―――決まって、いるだろう」
貝木(命に値段など付けられないと、綺麗事を喧伝する輩は多い)
貝木(だが、命も少し形を変えれば容易に売買の対象となりえてしまう)
貝木(今回の一件で俺が得た教訓は、皮肉な蜜の味のする世界ほど商売には最適だと知り得たことだな)ジャリ
スレチガイ
中沢「おい、今のおっさん…何か薄気味悪くなかった…?」ヒソ
上条「…確かに。何だか不吉なオーラを纏っていたような気がするよ」ヒソ
中沢「・・・ま、それはともかく。お前腕治ってよかったよな~」
上条「まあね。…医者も奇跡としか言いようがないってさ」
QB「人間の感情を理解できない僕には、なかなか目的の達成が困難な場合があるんだよ」
QB「そこで君に業務委託をして以来、契約の新規取付件数が大幅に上昇しているよ」
QB「本当に感謝している」
貝木「感謝される筋合いは無い」
貝木「偽善の“種”を蒔いて、勝手に育って増殖した“果実”を回収して取引材料に使う」
貝木「俺は巡り巡ってカネになる阿漕な商売をやっているだけだ」
スレチガイ
仁美(上条くん…///)コソコソ
真宵「私と契約して、魔法少女になりませんか?」
撫子(ま・・・魔法少女・・・?)
真宵「その代わりに、どんな願いでも一つだけ叶えて差し上げましょう」
撫子(どんな・・・願いでも・・・ッ!!?)
撫子「暦お兄ちゃn」
真宵「その願いは聞き入れられません。私の権限の範疇を大幅にオーバーしていますから」
真宵「ちなみにあなたはラスボスなので、不条理を覆すレベルの魔法少女になることができますよ」
撫子「???」
真宵「勿論その後のことも織り込み済みです。あなたは(邪・蛇)神になりますよ…!」
撫子「か、・・・神さま」
火憐「待て――――――――――っ!!」ズダダダダダダダダ
真宵「ちょっとお待ちくださいありゃりゃぎさんとこのデッカイ方の妹さん!?」ヒィィィ
真宵「私はただ中の人ネタを駆使して軽いジョークを言っただけでしてぇぇ!!」ヒィィ
火憐「問答無用ッ!正義の鉄槌を下してやる――――――――――ッ!!」コチョコチョコチョコチョ
ワーキャー ワーキャー ワーキャー ワーキャー
月火「大丈夫だった!?…千ちゃん?」タッタッ
撫子「う、うん…」
羽川(…それにしても阿良々木くん、一体どこに行っちゃったんだろう…?)ナンデモハシラナイ
暦「――――八九寺さ」
ほむら「…八九寺真宵のことね。何故か察しがつくわ」
暦「あいつ…色々あって、今は浮遊霊やってるんだけど」
暦「もしかしたら…そのうちどこか遠くにいってしまうんじゃないかって」
暦「でも僕は…あいつにもずっと、身近にいて欲しいんだ…」
暦「だから・・・願ったよ」
暦「――――八九寺真宵が成仏しませんようにって」
ほむら「…そうだったの」
QB「さて、そろそろお遊びは終了だよ、ありゃりゃぎ君」シュタッ
ポゥ
暦「え・・・?」キュウウウン
暦「僕のソウルジェムが…体の中に戻っていく…!?」
ほむら「これは…一体どういうことなの!?」
QB「僕はね、御承知の通り嘘はつかない主義なんだよ」
暦「ということは…」
QB「ちゃんと説明したじゃないか、後で容易に解約できるって」
QB「女子中学生と男子高校生では…魂のステージが異なるんだよ」
QB「前者は繊細で扱いづらく、後者は鈍感で扱いもたやすいようだ」
QB「だから君の魂(ソウルジェム)は、再び肉体と融合することができた。割とあっさりとね」
ほむら「へえ~」
暦「・・・ひどい言いようだな」
QB「 美樹さやかの足もとにさえ及ばないんだよ…!!! 」
ほむら「…ご愁傷様、阿良々木暦。それから、身長もね」
暦「二重三重の意味で僕を馬鹿にしているよなお前達…!?」
忍「…もう良いじゃろう、お前様」シュウウン
暦「…忍。で、でも…僕は怪異を…!」
ほむら「その“怪異”を倒すのは、私の役目なのよ」
ほむら「あなたの守るべきものは、ここにはいない」
ほむら「―――あなたの戦場は、ここじゃないのよ」ファサ
暦「・・・ほむらちゃん」
忍「帰るぞ。勿論帰り際に、ミスタードーナツに寄ってもらうがな」~♪
暦(―――そうだよな)
暦(やっぱり、守りたいものは自分の力で守るべきだよな)
暦(今度また困ったことがあったら、必ず僕が助けてやるよ)
暦(だから、消えないでくれよ?………八九寺)
ほむら「お別れね」
暦「ああ」
ほむら「短い間だったけれど、あなたとのやりとりは…割と退屈しなかったわ」
暦「…ああ、僕もだよ。というより…楽しかったさ。――誰かさんと同じくらい」
ほむら「さようなら」シュタッ
暦(バイバイ・・・ほむらちゃん)
忍「あ~むっ//////」パクッ
カアー カアー カアー カアー カアー カアー カアー
さやか「見つけた」ザッ
まどか「・・・・・・・・」ゴクリ
貝木「―――――これはこれは」
貝木「はじめまして…というわけではなかったかなあ…?」
さやか「 黙 れ 」クワッ
貝木「予め言っておくが、クーリング・オフ請求ならお門違いだろう」
貝木「―――――もっとも、いずれにせよもう手遅れではあるが」
さやか「 」ワナワナ
まどか「ひ・・・ど・・・い・・」ウル
さやか「ソウルジェムが、…魂に等しいものだってことを…」
貝木「お前が聞かなかったから答えなかった、それだけのことだろう?」
さやか「そ、それは…」
貝木「正当な取引をもって、お前はインキュベーターと契約した」
さやか「あんた、…それでも同じ、人間なわけ…ッ!?」ギリッ
さやか「ぐぅあ・・」ガクガク
貝木「第一、契約後のことは自己責任だろう?――――――違うか?」
さやか「あた・・・しは・・・」ガクッ
貝木「今回の件でお前が得るべき教訓は、人を見たら詐欺師だと思え…ということだ」
貝木「―――そう思うだろう、鹿目ぇ?」チラリ
まどか「こんなの絶対、おかしいよ」ホロリ
貝木「ご希望とあらば、アフターケアとして(有料で)カウンセリングをしてやっても構わない、と言いたいところだが」クルッ
貝木「俺はもう、この地方には用はない―――――従って」
貝木「お前がインキュベーターと契約するか否かは、もはや俺の眼中にはないのだよ」
貝木「――後は好きにすればいい」ザッ
さやか「ぅ・・・ぅあぁぁぁぁぁっ」ポタ…ポタ…
まどか「わ・・・たしは・・・」ヘタリ
QB「鹿目まどか―――僕と契約して、魔法少女になってよ!」
<完>
とりあえず>>1乙
Entry ⇒ 2012.03.16 | Category ⇒ 化物語SS | Comments (0) | Trackbacks (0)
杏子「あー!ねこ来た!ねこー!」
http://hayabusa.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1330950321/
杏子「にぼし食うかい?」すっ
ねこ「にゃーん」すたこら
杏子「あー…ねこ行っちゃう…ねこー…」
/i´Y´`ヽ
ハ7'´ ̄`ヽ.
〃∩ l ,イl//`ヘヘ!
⊂⌒ リノ(! ゚ ヮ゚ノリ あーねこきたねこ
`ヽ_つ ,.ヘ_ヘつ
( )
u,__っ) ))))
´ `Y´`ヽ
γ´ ̄`ヽ7ヽ
〃∩//`ヘヘヘlλ!
⊂⌒ 、゚ ヮ ゚ !)λ| あー。ねこいっちゃうねこ
.ヘ_ヘ, `ヽ_つ_~つ
( )
u,__っ) )))))
杏子「あー!またねこ来た!ねこー!」くるっ
QB「にゃーん」
杏子「おまえかよッ!」ぺちんっ
QB「きゅぷッ!?」ふらっ
QB「騙してなんかいないよ。僕はねこの鳴き声を真似していただけさ。それよりも僕にはにぼしをくれないのかい?」
杏子「…食いたきゃ食えよ」すっ
QB「なんやかんやで優しいね。君は」もぐ
杏子「うるせー!」
杏子「んあ?」
QB「……あー!ねこ来た!ねこー!」
杏子「!」ドキッ
QB「あー…ねこ行っちゃう…ねこー…」
杏子「…」プルプル
QB「あー!またねこ来た!ね…」
杏子「やめろォッ!」ぺちん
QB「きゅぷぷッ!?」ふらっ
QB「やれやれ…わかったよ。さっきの杏子のことは誰にもしゃべらないよ」
杏子「絶対だぞ!絶対の絶対だぞ!」
QB「インキュベーターウソツカナイ」
杏子「…ふん…じゃああたしそろそろ行くから」すくっ
QB「どこに行くんだい?」
QB「へぇ、ちょっと興味があるな。僕も連れていってよ」
杏子「え?別にいいけど…」
QB「つかまえたカブトムシはやっぱり食べるのかい?」
杏子「食うわけねーだろ!」ぺちんっ
QB「きゅぷら!?」ふらっ
――
――見滝原郊外の山
とことこ
杏子「うーん…3時間も探しているのにカブトムシなかなかいないな」
QB「いないね」
杏子「なんでいないんだろ」
QB「よく考えればまだ春先だからカブトムシなんているわけないよね」
杏子「な、なんだってー!?どうしてそれをはやく言わないんだよー!」ガーン
QB「君はアホ可愛いね」
QB「落ち込みすぎだよ」
杏子「あれ?ここどこ?どうやって下山すりゃいいんだ?」キョロキョロ
QB「わかんないよ。どうやら迷っちゃったようだね」
杏子「な、なんてこった…」ガーン
杏子「ん?なんだ…?」くるっ
くま「グガァー!」
杏子「う、うわー!くま来た!くまー!」
QB「くまだね」
杏子「くそーッ!やってやるぜーッ!」ジャキンッ!
杏子「えっ…キュゥべえ?」
QB「人類みな兄弟…ここは僕が平和的に話し合いで解決してみせよう」
杏子「おまえが言うと胡散臭いぞ!」
QB「やあ、くまくん。こんにちは。僕の名前はキュゥべえ。ねぇ、ちょっと僕と平和について語り合わないかい?」
くま「グガァァーッ!」ブンッ
グシャアッ!
QB「」
杏子「キュゥべえーー!」
QB「やれやれ。気の短いくまくんだな」
杏子「あっ…復活した」
QB「彼が納得するまで僕はがんばるさ」ぴょんっ
くま「グルルル…!」
QB「ねぇ、くまくん?争いは何も生まない。君だってそう思うだろ?だから…」
くま「グガァァーッ!」ブンッ
グシャアッ!
QB「」
杏子「キュゥべえーー!」
QB「ぐぬぬ…!話を聞こうとすらしないとはこれ如何に…!」
杏子「あっ…また復活した」
QB「僕は負けない!」ぴょんっ
くま「グルルル…!」
QB「ねぇ、くまくん?君はなんでも暴力で解決するつもりかい?君はそんな生き方で満足なのかい?どうなんだい?」
くま「グガァァーッ!」ブンッ
QB「無駄ァッ!」ひょいっ
杏子「避けた!」
くま「!?」ビクッ
QB「きゅぷァッ!」ドゴォ
くま「…!?」がくんっ
杏子「あっ…耳毛で殴った」
くま「!?」
QB「きゅぷきゅぷきゅぷきゅぷきゅぷきゅぷきゅぷきゅぷゥーーッ!!」ズドドドドドドドッ!
QB「きゅぷきゅぷきゅぷきゅぷきゅぷきゅぷきゅぷきゅぷゥーーッ!!」ズドドドドドドドッ!
QB「QPYYYYYYYYYYYY!!」ズドドドドドドドッ!
QB「きゅっぷいィーーーッ!!」ドカァッ!
ズドォォォンッ!
くま「」ばたっ
杏子「やっつけた…」
QB「はぁはぁ…」
杏子「おい。平和的に解決するんじゃなかったのか?おもいっきり暴力で解決してんじゃん」
QB「あれれー?そうだったっけー?僕そんなこと言ったっけー?」
杏子「しらばっくれるなよ…ていうかおまえ、感情ないとか言ってたけど本当はあるだろ」
QB「~♪」すー すー
杏子「無視すんな!あと口笛吹けてないぞ!」
杏子「んあ?なんだよ…?」じっ
おまえら「…」ずーん…
杏子「あ、あれは…!いかにも陰鬱な顔をした男がロープを木にくくりつけてるぞ!こ、これはやばい空気がぷんぷんだぜ!」
QB「ぷんぷんだね」
杏子「待ちな!」
おまえら「!」ビクッ
QB「死ぬつもりかい?」
おまえら「な、なんでこんなところに女の子が!?ていうかこの白い生き物はなんだ!?」おろおろ
杏子「あれ?こいつキュゥべえの姿見えてんの?」ひそひそ
QB「僕が姿を見せようと思った人間には僕の姿は見えるというご都合主義設定さ」ひそひそ
おまえら「い、いいんだ俺なんて…もうこんな世の中嫌なんだ…!俺みたいなやつはさっさと死んだほうがいいんだァーーーーッ!」
杏子「そんなこと言うなって…えっと…」おろおろ
おまえら「ははは…心配してくれてありがとよお嬢さん…でも俺、逝くよ…さよなら…」ぐいっ
杏子「ちょ、ちょっと待てよ!おい!」
QB「きゅぷァッ!」ドゴォ
おまえら「ぬごぉッ!?」ずしゃぁぁ
杏子「いきなり殴った…」
おまえら「はは…無限の可能性か…今さらそんなもん信じる年齢でもないんだよ…だからもうほっといてくれ…俺はもう死ぬよ…」
QB「君はもしこの場で女の子の脱ぎたてパンティーがもらえるとしても死ぬのをやめないのかい?」
おまえら「え?」ピクッ
杏子「は?」
QB「一生懸命生きるって約束するなら君にプレゼントしてあげよう」
おまえら「生きます」キッパリ
杏子「え?」
QB「決まりだね…杏子」じろっ
杏子「えっ……えっ?」おろおろ
杏子「!」
QB「えいっ!えいっ!」ぐいぐい
杏子「ちょ、ちょっと!ホットパンツを下ろそうとすんな!や、やめろ!」ぐにぐに
QB「えいっ!えいっ!」ぐいぐい
杏子「やめろっ!お、おいっ!」ぐにぐに
QB「えいっ!えいっ!」ぐいぐい
杏子「やめろって言ってるだろ!このやろぉーーーッ!」ばしっ
QB「きゅっぷぅッ!?」がくんっ
QB「まったく…こんなに嫌がるなんてわけがわからないよ」
杏子「嫌に決まってんだろ!」
おまえら「あの…パンティーは…?」
QB「しかたない…君にはこれをあげよう」すっ
おまえら「こ、これは…!?」
QB「こっそり拝借してきた洗濯前のマミのタイツさ。脱ぎたてじゃないけど我慢してね」
杏子「おい」
QB「これを励みに強く生きるんだよ」
おまえら「はい!がんばります!ありがとう君たち!さよなら!」くるっ
タッタッタッ…
QB「いいことするって気持ちがいいね。杏子」
杏子「こいつ…」
杏子「今度はなんだよ…」じっ
「…」のそのそ
杏子「あ、あれは…!ワカメみたいなモノが二足歩行していやがる…!新手のクリーチャーか!?」
QB「クリーチャーかな」
杏子「え…?あんたは…えっと…さやかとまどかの友達の…仁美だっけ?」
仁美「はい!あなたは…杏子さんですよね!えっと…そっちの白い方は…?」
QB「僕はキュゥべえ。よろしく」
仁美「こちらこそ!よろしくお願いしますわキュゥべえさん」にこっ
QB「…ワカメのクリーチャーじゃなかったね」ひそひそ
杏子「…ああ」ひそひそ
仁美「?」
仁美「カブトムシをつかまえに来たのです!しかし、3時間以上歩いているのにまったく見つかりませんの…」
杏子「あっ…あたしと一緒だ」
QB「仁美、まだカブトムシがいる季節じゃないよ」
仁美「な、なんですってー!?」ガーン
QB「君もアホ可愛いね」
杏子「あ!帰り道わかるの?あたしたち迷っちゃってさ…」
仁美「ええ、大丈夫ですわ。わたくしにおまかせください!」
杏子「やった!ありがとな仁美!にぼし食うかい?」すっ
仁美「いただきますわ!あっ、わたくしも非常食におしゃぶり昆布と茎わかめを持ってきたのですが…あなたたちも食べますか?」すっ
杏子「いただきます!」もぐ
QB「きゅっぷい」もぐ
――
とことこ…
杏子「無事に下山できたな!」
QB「よかったよかった」
仁美「はい!カブトムシは手に入りませんでしたが代わりに…」
ドッサリ!
杏子「タラの芽にコシアブラ…山菜が大量に採れたな!」
仁美「下山途中にあんなに見つかるとは思いませんでしたわ」
QB「道の駅で買い取ってもらおうよ」
――
――道の駅
杏子「ろ…ろろろろろろ、6000円で売れたぞ…おい…」ふるふる
QB「売れたね」
仁美「売れましたわね」
杏子「そ、それじゃあ3人で山分けしようぜ…ひ、1人2000円だな…」ふるふる
QB「僕はいいよ。お金なんて持っていても使う機会がないからね」
仁美「わたくしも…おこづかいを十分もらっていますし…それに一番張り切って山菜を採っていたのは杏子さんですわ。だからそのお金は杏子さんがもらってください!」
杏子「キュゥべえ…!仁美…!あ、ありがとう…!」ほろり
仁美「うふふふふ!」
QB「きゅぷぷぷぷ!」
仁美「たしかに…」ぐぅ
QB「おなか空いたね」ぐぅ
杏子「よっしゃ!決まりだ!鮎の塩焼きとか食べに行こうぜ!」
仁美「美味しそうですわ!」
QB「食べたい!」
杏子「おーし!出発だー!」
仁美&QB「おー!」
わいわい! きゃっきゃ! うふふふふ…! きゅぷぷぷぷ…!
マミ「あれぇ…おかしいなぁ…」がさごそ
マミ「私のタイツ…1つ足りないわ…どこにいったのかしら…」がさごそ
おわり
乙
あんこちゃんもやい結びできるのか
Entry ⇒ 2012.03.16 | Category ⇒ まどかマギカSS | Comments (0) | Trackbacks (0)
恒一「見崎がマゾだった」
http://hayabusa.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1330950387/
恒一「ん? なに?」
鳴「私をぶって欲しいの」
恒一「………………えっ?」
鳴「だから、私をぶって欲しいの。思いっきり」
恒一「えっ、ちょっと待って、えっ」
鳴「ほら早く、私の頬に思いっきりビンタして」
恒一「いやいやちょっと待ってって」
鳴「なんならグーでもいいから。それとも腹とかのほうがいい?」
恒一「オーケー、少し落ち着こうか」
鳴「別にそんなことはないけど」
恒一「じゃあなんでそんなこと言うんだよ!? そんな自分のことをぶって欲しいなんて……」
鳴「いいから、試しに一回だけぶってみて」
恒一「いやいやいや、そんな女の子をぶつなんてできるわけないだろ!?」
鳴「一回だけ、一回だけでいいから榊原くんにぶって欲しいの」
恒一「ぼ、僕はいやだよ、そんな見崎を……」
鳴「……お願い、榊原くん」
恒一「…………いや、そんな上目使いしても駄目だから!」
恒一「いや、ぶつ理由がないからだよ……」
鳴「……わかった」
恒一「え?」
鳴「わかったわ、じゃあまずは頬をつねるのから始めましょう」
恒一「見崎は一体何がわかった結果そう言う結論に至ったんだ?」
鳴「榊原くんはいきなりビンタだとハードルが高いんでしょ? ならまずはソフトなものから」
恒一「ここまで会話が成立しないのは知り合って以来初めてだよ」
恒一「そっくりそのままその言葉を返したい」
鳴「ちょっとつねるだけでいいから。こう、ぐいーっと引っ張ってみて」
恒一「いやだよ」
鳴「お願い」
恒一「だからいやだってば……」
鳴「一生のお願い」
恒一「そんな小学生みたいに一生を安売りしないでよ……」
鳴「お願い……少しだけでいいから」
恒一「だから……(だんだん面倒臭くなってきた)」
鳴「本当に、少しだけでいいから。それで我慢する……」
恒一「……」
鳴「!」
恒一「本当に少しだけだからね?」
鳴「うんっ」コクコク
恒一「えーっと……頬をつねればいいの?」
鳴「そう。ぎゅぅううう、って」
恒一「……ぎゅー?」
鳴「違う。ぎゅぅううう、って思いっきり」
恒一「……はいはい。ぎゅー、ね」
鳴「違う! ぎゅぅううう!」
鳴「ん」スッ
恒一「……」ギュッ
鳴「あっ」
恒一「……」ムニムニ
鳴「あ、あぅ」
恒一「……(やわっこいな)」ムニムニ
鳴「あうあぅ」
恒一「……(マシュマロみたい)」ムニー
鳴「いうっ!? ふ、ふぁ……」
恒一「……」
恒一(なんだろうこの妙な気持ちは)
恒一「え? なに?」ムニムニ
鳴「も、もっほ」
恒一「もっと?」ムニムニ
鳴「もっほ、つよふひっはっへ」
恒一「……こう?」ギュー
鳴「うあっ!? ……そ、そう」
恒一「……」グニグニ
鳴「いっ、あうぅう……」
恒一(涙目の見崎、ちょっとかわいいかも……)
鳴「いうっ、あっ」
恒一「……」グニグニ
鳴「あっ、やっ、さはひばらっ、くんっ……」
恒一「……」ギュゥウウ
鳴「いっ!? あっ、いたっ、いはいっ……!」
恒一「っ……」ゾクッ
鳴「ふあぁ……」
鳴「あっ……」
恒一「十分もやってたんだから十分でしょ」
鳴「…………うん」
恒一「あーあー……頬赤くなっちゃってるよ。大丈夫? ヒリヒリするでしょ?」
鳴「平気」
恒一「……本当に? 一応冷やした方が良さそうだな……とりあえずうちに行こうか」
鳴「え? 榊原くんの?」
恒一「うん、氷用意するからそれで冷やそう」
鳴「……わ、わかった」
恒一「はい、ビニール袋に氷水入れたから暫く当てておいて」
鳴「うん、ありがとう」
恒一「……まあ、やったのは僕だから気にしないで」
鳴「ううん、榊原くんは悪くない。私がお願いしたんだから」
恒一「それは……と言うかなんでいきなりつねってほしいなんて――」
鳴「それじゃ次ね」
恒一「…………は?」
鳴「次はそうね、今度こそビンタとか?」
恒一「いやいやいや、次ってなに? まさかまだするつもりだったの?」
鳴「騙して悪いけど、あの発言は嘘なの」
恒一「おい」
鳴「それに少しと言う言葉の意味の範囲を正確に設定してなかった」
恒一「だから屁理屈のレベルが小学生なんだけど」
鳴「さっきのほっぺぎゅーぐらいじゃ少しの十分の一にもならない」
恒一「本当に見崎はどうしたの? 豆腐の角にでも頭強打した?」
鳴「いいから!!!!! とにかく私をいじめてよ!!!!!!!!」
恒一「キャラ崩壊もいい加減にしろよこの野郎!!!!!!!!!!」
恒一「……なに?」
鳴「私は……榊原くんにいじめてほしいの」
恒一「は?」
鳴「なんでもいいからいじめてほしい。言葉でも暴力でも、なんでも」
恒一「……なんでそんな自分を苦しめるようなことを?」
鳴「……榊原くんが」
恒一「……? 僕がなに?」
鳴「榊原くんのことが好きだから」
恒一「…………えっ?」
恒一「えっ、なっ……え? えっ? す、好きって……」
鳴「もちろん、恋愛感情としての好きよ?」
恒一「いや、そ……それはわかるけど、なんでいきなりそんな告白なんか……」
鳴「さっき言ったでしょ? 告白するって」
恒一「そ、そんな……この流れでそっちの告白なんて予想できる訳ないだろ?」
恒一「と言うか、その……見崎が僕を好きなのと、いじめて欲しいのに何の関係があるんだよ?」
鳴「……それは」
恒一「それは?」
鳴「それは……私が、マゾだから」
鳴「そう、マゾ」
恒一「マゾって……あのマゾ?」
鳴「あのって?」
恒一「暴力を振るわれて喜ぶっていう……」
鳴「そう、そのマゾ」
恒一「……見崎がそれなの?」
鳴「……そう」
恒一「いやそんな……気持ち悪いと言うよりかはびっくりした、けど」
鳴「そう……よかった」
恒一「……なんでいじめられて喜ぶの?」
鳴「…………安心するの」
恒一「安心?」
鳴「そう。私が必要とされてる、構ってもらえてるって」
恒一「……えっと」
鳴「だから、榊原くんにいじめてほしい。私を必要としてほしい」
鳴「えっ……」
恒一「僕も……僕も、見崎のことが好きだから」
鳴「……ありがとう、でも……」
恒一「でも?」
鳴「それでも……やっぱり安心できないの、言葉だけの繋がりじゃ」
恒一「……」
鳴「榊原くんには私を見ていて欲しい……我が儘だってわかってるけど……」
恒一「見崎……」
鳴「だから、私をいじめてほしいの」
恒一「そうは言っても、僕は見崎に暴力を振るうなんて絶対に無理だよ。最低ラインがさっきの頬をつねるぐらいだし」
鳴「大丈夫、安心して。何もいじめるってのは暴力を振るうだけじゃないから」
恒一「え?」
鳴「ちょっと待ってて」ガサゴソ
恒一(……鞄漁り始めた?)
鳴「……あった。はいこれ」
恒一「えっ……こ、これは……!」
鳴「これは目隠し、これはロープ、これは手錠、あと猿轡にギャグボール……」
恒一「いやそういうことじゃなくて。なんでこんなものを出してきたのかって聞いてるんだけど」
鳴「当然、私を拘束してもらうため」
恒一「……ですよね」
鳴「緊縛と言い直してもいい」
恒一「いやそういうことじゃないんだけど」
鳴「私はじっとしてるから、それらで思うままに縛ってみて」
恒一(帰りたい……あ、ここが僕の部屋だった……)
恒一「見崎……どうしてもやめるつもりはないんだね」
鳴「ええ、もちろん」
恒一「僕はあまりやりたくないんだけど……」
鳴「大丈夫」
恒一「……なにが?」
鳴「榊原くんもその内楽しくなってくる」
恒一「なに言ってるの見崎?」
鳴「その内私をいじめるのが楽しくなってくる」
恒一「頭大丈夫なの見崎?」
鳴「……私知ってるの、榊原くん」
恒一「……なにを?」
鳴「さっき私の頬をつねってたとき、少し楽しかったでしょ?」
恒一「はぁ!?」
鳴「私のことをいじめて楽しんでた」
恒一「いや、楽しくなんかなかったって!」
鳴「……いいわ、それが本当かどうか、今からまた私をいじめてくれれば分かるから」
恒一「その理屈はおかしいとしか言えないんだけど……」
鳴「うん、じゃあまずは手錠から」
恒一「はいはい……じゃあ後ろに手回して」
鳴「ん」スッ
恒一「えーっと……手錠ってこうでいいのかな」ガチャリ
鳴「あっ……」
恒一「それで、次はどうすれば……」
鳴「足……足首のほうにも、手錠かけて」
恒一「足にもかけるの? ……わかった」
鳴「んっ……」
恒一「……しかし、こうして手足を縛っちゃうと芋虫みたいだね」
鳴「っ!!」ビクッ
恒一「えっ? ど、どうかしたの見崎」
鳴「い、いい……」
恒一「は?」
鳴「今の罵倒、とってもいい……」ポー…
恒一「……いや、罵倒したつもりはなかったんだけど」
鳴「そうなの? ……榊原くん、結構才能あるかも知れないね」
恒一「なんの才能だよ……」
恒一「はいはい……それじゃ眼帯邪魔だから取っちゃうよ」スッ
鳴「ひゃっ……んんっ」
恒一「変な声上げないでよ……」スルスル
鳴「ごめんなさい……榊原くんの手がちょっとくすぐったくて……んぁっ」
恒一「そうなの? ごめん、じゃあもっと優しく触るよ」サワッ
鳴「んひっ!?」
恒一「え? 今のも駄目だった?」
鳴「さ……榊原くん、実はわざとやってる?」
恒一「そんなことないって……」
鳴「……さ、榊原くん?」
恒一(ん?)
鳴「そこにいる……よね? 見えなくて、ちょっと不安なんだけど……」
恒一「ああ、ここにい――」ハッ
恒一「……」
鳴「榊原くん?」
恒一「……(今見崎には僕のこと見えないんだよな……)」
鳴「ねえ、榊原くん? 返事して?」
恒一(もしここでずっと返事しなかったらどうなるんだろうか……)
恒一(い、いや……でも、そんな見崎をこのまま放置するなんて……)
鳴「ね、ねえ? お願いだから返事して?」
恒一(そんな……見崎をいじめるような真似……)
鳴「榊原くん、何処にいるの? ねえっ」モゾモゾ
恒一(でも、ちょっと気になる……いやいや、やっぱりだめだろ……)
鳴「ねえ、榊原く――きゃあっ!?」ベシャッ
恒一「うわっ!?」
恒一「あ、転んだのか……駄目だよ見崎、手足使えないのに無理に動いちゃ」
鳴「だって、榊原くんが返事しないから」
恒一「あっ……ご、ごめんごめん、ちょっと考え事してて」
鳴「……私を置いて何処か行っちゃったのかと思った」
恒一「ごめんってば……あー、鼻打っちゃったみたいだね。赤くなってる」
鳴「……ヒリヒリする」
恒一「大丈夫? 絆創膏張ろうか?」サスサス
鳴「ん……平気」
恒一「そ、ならよかった」
鳴「……! ついに榊原くんもノリノリになってきた……!」
恒一「いや、さっさと終わらせたいだけだよ」
鳴「……」シュン
恒一(見崎、落ち込むとアホ毛が萎れるんだな……)
鳴「……まあいいわ、じゃあ次が最後」
恒一「やっと最後か……」
鳴「最後は私の口にギャグボールを嵌めてほしい」
恒一「ギャグボールって……これか」
鳴「その隣の猿轡でもいい」
恒一「……いや、ギャグボールの方でいいよ。猿轡の方が苦しそうだし」
恒一「それじゃ、またじっとしてて」
鳴「うん」
恒一「えっと、口開いてこのボールを嵌めるのかな……?」
鳴「多分そう」
恒一「じゃあ見崎、あーんして」
鳴「あーん……むぐっ」
恒一「苦しくない? 大丈夫?」カチャカチャ
鳴「はいほーふ」モゴモゴ
恒一「なに言ってるかわからない……」
鳴「はひはほう」モゴモゴ
恒一「……これでどうすればいいんだ?」
鳴「ふひにひへひーよ」モゴモゴ
恒一「だから何を言ってるのかわからないんだけど」
鳴「もご……」
恒一「そうだ! 筆談で……って手錠で手も使えないじゃないか」
鳴「ほひあへふかひへ」クイックイッ
恒一「え? 取りあえずペン渡せって?」
恒一「後ろ手で書くつもり……?」
鳴「んっ……」カキカキ
恒一「目隠しもしてるのに器用だなあ……」
鳴「かへは」スッ
恒一「ん? 書けたの? どれ……」
『縛られてる私を好きにしていい』
恒一「………………えーーーーっとぉ?」
鳴「うーっ、うーっ」モゾモゾカキカキ
恒一「また新しいメモ……なになに?」
『好きにいじめていい』
恒一「い、いじめる……?」
鳴「ん」コクコク
恒一「いやいや、いじめるってなにすれば……」
鳴「ん……」カキカキ
『なにしてもいい』
恒一「えぇええぇぇ……」
鳴「んぐ……」タラー…
恒一「……あ、見崎涎垂れてきちゃってるよ」
鳴「っ! んぐむ……」
恒一「あーまあその状態じゃ拭けないよね……」
鳴「んっ……ふぅー……ふぅー……」
恒一「……? 見崎、息荒いけど大丈夫? 苦しいの?」
鳴「っ! は、はいほーふ……」
恒一「相変わらず何言ってるのか……取りあえずハンカチで拭くよ」フキフキ
鳴「むぐっ!? んむむ……」
鳴「は、はひはほう」タラー…
恒一「……って言ってる傍からまた垂れてきてるんだけど」
鳴「あ……ほめんなはい」カァ…
恒一「まあいいけど、そのままだと制服にまで垂れちゃうね。上着だけ脱がしちゃっていい?」
鳴「!? ぬ、ぬがふ!?」
恒一「シャツだけならまあ、汚してもなんとかなるでしょ……ほら見崎、じっとしてて」
鳴「む、むぐぐ」
恒一「あ、一度手錠も外さなきゃいけないのか……面倒だな」カチャカチャ
鳴「もごっ……」
恒一「ほら見崎、動いちゃ駄目だって」
鳴「んっ、むぐ……」
恒一(女の子の制服を脱がしてあげるなんて相当まずいことしてるんじゃなかろうか……)カチャカチャ
鳴「んくっ」
恒一(と言うか……)
鳴「んっ……ふぅー……ふっ……」
恒一(さっきからどんどん見崎の息遣いが荒くなって、顔も紅潮してきて……)
鳴「ふぅっ、ふぅっ……んくっ……」
恒一(涎もダラダラ垂らして……なんというか……)
鳴「んあっ……ふぅー……」
恒一(……え、エロい)
恒一(そんな、見崎が拘束されてる姿に興奮するなんて……)
恒一(それこそ……見崎が言った通りじゃないか。僕は断じてそんな変態じゃない!)
鳴「さ、さふぁひばらふん?」
恒一「っ!? な、なに? 見崎」
鳴「もうおわっは?」
恒一「あ、ああ、脱がし終えたよ。それじゃ手錠付け直すね」カチャリ
鳴「ん……」
恒一「これでよし……」
鳴「……」
恒一「……」
鳴「……」
鳴「んー! んー!」カキカキ
『はやくいじめて』
恒一「だからいやだって……そもそもいじめるって何をすればいいのかわからないし」
鳴「むぐぐぐ」カキカキ
『なんでもいいから』
恒一「なんでもって……例えば?」
鳴「むぐー!」カキカキカキ
『ののしったりとか』
恒一「罵る? 悪口を言えってこと?」
鳴「ん」コクコク
鳴「っ!!」ビックゥ
恒一「!? ど、どうしたの見崎? 今痙攣した?」
鳴「も、もっほ……」
恒一「え?」
鳴「もっほいっへ……」ハァハァ
恒一「えー……今のでいいの?」
鳴「ん、ん」コクコク
恒一「なんかおかしい気がするんだけど……」
鳴「んぅっ」ビクッ
恒一「……こんなことを僕にお願いして、恥ずかしくないの?」
鳴「っ!!」ビクウッ
恒一「まさか見崎がこんな変態だなんて思いもしなかったなあ」
鳴「……っ!!」プルプル
恒一「手錠されて、目隠しまでされちゃって」
鳴「……っ」
恒一「あまつさえ口まで塞がれたみっともない格好で、人として恥ずかしくないわけ?」
鳴「ふぁっ……!」ビクンッ
恒一「……」
恒一(ちょっと楽しいかもしれない)
恒一「えっと……正直、マゾとか気持ち悪いと思うよ」
鳴「あうっ……」ゾクゥッ
恒一「こんなことに付き合ってられるのは僕ぐらいじゃないかな?」
鳴「んっ……」
恒一「クラスの皆が見崎のこんな姿みたら、どう思うだろうね?」
鳴「っ……!!」ビクンビクン
恒一「そうだ、今から誰かうちに呼ぼうか?」
鳴「っ!?」
恒一「見崎の恥ずかしい姿、皆にも見て貰おうか?」
鳴「……!」フルフル
鳴「んうんんっ!!」フルフル
恒一「……どうしたの見崎? いやなの?」
鳴「んうっ、んうっ」コクコク
恒一「他の人には見られたくないってこと?」
鳴「んう……」コクコク
恒一「そうだなあ……どうしようかなあ……」
鳴「お、おへはい……さはひばらふん……それだけふぁ……」
恒一「……」
鳴「んんむ!!?」
恒一「……あ、もしもし勅使河原? 今からちょっとうちにこない?」
鳴「んーっ!! んーっ!!」
恒一「いやさ、今くればちょっと面白いものが見れるんだけど」
鳴「んうっ!! んーっ!!」モゾモゾ
恒一「……うんわかった、それじゃ待ってるね」ピッ
鳴「んむぅっ……!」
恒一「……じゃ、今から勅使河原が来るよ。ついでに望月や風見、赤沢さんも連れてきてくれるって」
鳴「……!!」
恒一「……」
鳴「い、あぁ……」フルフル
恒一「……なんてね」
鳴「ふぇっ……?」
恒一「いや、冗談に決まってるでしょ。こんなところ誰かに見られたら僕まで変態扱いされちゃうよ」
鳴「……ふあ」ガクン
恒一「さっきも電話かけたフリをしただけ……って見崎!?」
鳴「……うぅ……ふあうぅ……」ブルブル
恒一「見崎? どうしたの? 急に倒れて」
鳴「よ、よかっふぁ……」
恒一「え?」
鳴「さいほうだっふぁ……」
恒一「……」
鳴「ん……」コクコク
恒一「……」
恒一(それにしても……)
鳴「んぐ……」モゾモゾ
恒一(さっきは色々とやばかった……まるで途中から口が勝手に動いて……)
鳴「ん……んんん……」カキカキ
恒一(まさか見崎が言った通り僕は……)
鳴「あむ……」カキカキ
恒一(見崎をいじめるのを、楽しんで――)
鳴「さあひばらふん」
恒一「っ!? あ、な、なに?」
恒一「え? ああ、メモね。なになに……」
『つぎはどうぐをつかって』
恒一「……道具?」
鳴「ん」コクコク
恒一「道具って、なんの? そもそもどこにあるの?」
鳴「んっ……」カキカキ
『わたしのかばん』
恒一「……見崎の鞄?」
鳴「んん」コクコク
恒一「勝手に開けていいの?」
鳴「ん」コクリ
恒一「……じゃあ、とりあえず中見させてもらうね」
恒一「……ってこれは」
鳴「んぐ……」カキカキ
恒一「なんだこれ……鞭に蝋燭、羽ペンに……このピンクの丸いのはなんだ? コードがくっついてるけど……」
鳴「んっ」スッ
恒一「ん? またメモ? いい加減この筆談面倒くさいな……」
『それらをすきにつかって わたしをいじめて』
恒一「……このよくわからない道具を使うの? と言うか見崎、普段からこんなもの持ち歩いてたの?」
鳴「ん……」カキカキ
『しゅくじょの たしなみ』
恒一「えぇええええぇぇぇ……」
恒一(鞭や蝋燭はまずいだろ……このよくわからない丸いのとか棒状のものとかは使い方が……)
恒一(やっぱりこの羽ペンが一番安全かなあ……)
鳴「はやふ、はやふっ」
恒一「はいはい……」
恒一(羽ペン……やっぱりくすぐるためなんだろうなあ)
恒一「そーっと……」
コチョ
鳴「んむぅうっ!?」
恒一「えっ……? は、反応凄すぎない?」
鳴「う、うあっ……」
恒一(ちょっと二の腕くすぐっただけで、これは……)
鳴「う……も、もういっはい、やっへ」
恒一「……」コチョコチョ
鳴「いうっ!? ひゃっ、ふあっ」ビクンッ
恒一「……見崎、くすぐったい?」コショコショ
鳴「あっ、あうっ」ビクビクッ
恒一「……」コチョコチョコチョ
鳴「う、うあぅっうぅううっ!!」
鳴「ひうっ、あっ、やっ、ふああっ!」モゾモゾ
恒一「……足の裏とかくすぐったら、どうなるのかな」
鳴「っ!?」ビクッ
恒一「ほら見崎、靴下脱がすよ」
鳴「い、いあぁ……」モゾモゾ
恒一「逃げちゃだめだよ」ガシッ
鳴「んあっ……むぐう……」ジタバタ
恒一「……暴れると、羽ペンの逆の方で刺しちゃうよ?」
鳴「!?」ビクッ
鳴「う……」
恒一「よいしょ……っと」ヌガシヌガシ
鳴「ふあっ……」
恒一「……見崎、足も綺麗なんだね。すべすべで」ツーッ
鳴「うあっ!? あっ、うあっ」ビクンッ
恒一「指で足裏なぞられただけで全身のけぞらせて……すごい敏感なんだね」ツィーッ
鳴「んああっ! あっ、ぐっ、うぅううっ」ビクンッビクンッ
恒一「……そろそろ羽ペンでくすぐってあげるね」
鳴「うっ、うあぁあ……」ビクッビクッ
鳴「うぐっ!?」ビクウッ
恒一「……」コショコショコショ
鳴「ひっ!? あっ、んあっ、あぐっ、ふ、ふひゃっ」
恒一「見崎、くすぐったい?」コチョコチョ
鳴「んあっ、あぐぅうっ、んっ、んんっ、んむぅうううっ」ビクッピクン
恒一「……それとも気持ちいい?」コチョ
鳴「んぎいっ!? はっ、はひゃっ、あ、あぐうぅううぅううっ」ビクンッ
恒一「ほら、返事してよ」ツン
鳴「ふぐぅっ!!?」
恒一「ちゃんと言ってくれないと、このまま羽ペンの先で刺しちゃうよ」ツンッツンッ
鳴「いっ!? あっ、ふやっ!」
鳴「あぐぅっ、あっ、やっ、やえてっ」ビクッビクッ
恒一「それじゃ、ギャグボール外してあげるね」スッ
鳴「ふぇっ……あっ」
恒一「……これでよし、っと」カチャカチャ
鳴「んあっ……はぁー……はぁー……」ゼェハァ
恒一「うわっ、ギャグボールがベルトまで涎まみれだよ……汚いなあ」
鳴「っ!」ビクンッ
恒一「……それで? さっきのはどうだった?」
鳴「え……さ、さっきの?」
恒一「さっき羽ペンでくすぐられて、気持ちよかった?」
恒一「ほら、答えて」コショ
鳴「ひゃっ!?」
恒一「こういう風に首筋をくすぐられて、気持ちいい?」コショコショ
鳴「あっ、はっ、ひはっ、んあっ」ビクビク
恒一「早く答えないとやめちゃうよ?」コショ
鳴「あっ……き、きもひ、いいです」
恒一「ん?」
鳴「さ、榊原くんに、くすぐられて……ひゃっ、き、気持ち、いいで、すっ、んあっ」
恒一「……よく言えたね」コショコショコショ
鳴「あっ!? んあっ、あっ、ひああぁあっ!」
鳴「あっ……」
恒一「次はどの道具で遊ぼうか……て、あれ?」
鳴「……」
恒一「……見崎、なんか床が濡れてない?」
鳴「えっ……あっ」ピチャ
恒一「……これ、汗じゃあないよね?」
鳴「あっ、こ、これは……違くて……」
恒一「違うって何が?」
鳴「う……」
鳴「あっ……」
恒一「少しぬるぬるするけど、これってもしかして愛液?」
鳴「……っ!」ビクゥッ
恒一「見崎、くすぐられて感じちゃったの?」
鳴「……っ」
恒一「羽ペンでくすぐられただけで感じて、股を濡らしちゃったんだよね?」
鳴「ぅあっ……あ、あの……」
恒一「僕の部屋の床を汚して、見崎はいけない子だね」
鳴「あ……ご、ごめんなさ……」
鳴「お、お仕置き?」
恒一「うん。悪い子へのお仕置きは決まってるよね……見崎、床に顔を付けて」
鳴「え?」
恒一「だから、床に顔を付けて舐め取ってよ。自分で汚した分は自分で綺麗にしないとね」
鳴「えっ……そ、そんな……」
恒一「ほら、早くして」グイッ
鳴「きゃっ!?」
鳴「いっ、いたっ……か、髪引っ張らないで……」
恒一「見崎は痛いのが好きなんでしょ? そしたらこのぐらいが丁度いいって」グイグイッ
鳴「あっ、うあっ……いたっ……」
恒一「ほら、舐め取って。舌を犬みたいに伸ばすんだよ」
鳴「う……ぺろ」
恒一「そうそう、その調子」
鳴「ぺろ、れろ……れろ」
恒一「……こうしてると、ほんとに犬か猫みたいな動物だね。見崎は人間よりも畜生の方が様になってるんじゃない?」
鳴「っ……!」ビクッ
恒一「うわあ、必死そうに舐めちゃって……自分の愛液がそんなに美味しいの?」
鳴「っ……は、はい……美味しいです」
恒一「ははっ、見崎は本当に変態だね」
鳴「っ! れ、れろ……れろ」
恒一「……うん、そろそろ綺麗になったんじゃない? もうやめていいよ」
鳴「ふ、ふぁい……」
恒一「……あっと、一つ忘れてた」
鳴「え……?」
恒一「見崎、僕の指も綺麗にしてくれる?」
恒一「さっき見崎の愛液に触っちゃったからさ……ほら早く」グイッ
鳴「んぐっ!? あっ、ふあっ」
恒一「ほら、指に舌絡めて舐め取ってよ」
鳴「くるひ……ま、まっへ」
恒一「苦しいの? じゃあもっと奥に指入れてあげるね」グッ
鳴「んぐぅっ!!? あ、あがっ、えぇほっ、げほっ」
恒一「ほら、早く舐めないともっと奥に入れちゃうよ」グッグッ
鳴「あぐっ、げほっ……れ、れろ、ぴちゃ」
恒一「そうそう、その調子その調子」
鳴「んんむぅ……れろ、ぺろ、れろろ、ぴちゅぴちゃ」
恒一「……ん、そろそろいいよ」
鳴「え、えぐっ、えほっ! えほっ! ……ぜぇ、はぁ……ぜぇ」
恒一「よく頑張ったね、偉いよ見崎」
鳴「……あ、ありが、とう」
恒一「ありがとう?」
鳴「え?」
恒一「ありがとうございます、でしょ?」グイッ
鳴「えぐっ!? げほっ、ごほっ……あ、ありがほ、ございまひゅ」
恒一「そうそう、それでいいよ」
鳴「はぁ……はぁ……んはぁ……」
恒一「そうだなあ……ねえ、見崎。これってなんていうの?」
鳴「え……あ、そ、それは……」
恒一「なんていうの?」
鳴「で……電気アンマ、です」
恒一「へえ……電気アンマってマッサージ器具じゃなかったっけ? なんでこんなものが入ってるの?」
鳴「え、えっと……その、それは……」
恒一「これをどうやって使うの? 説明してくれる?」
恒一「え?」
鳴「敏感なところに当てて……使います」
恒一「へえ、敏感なところって例えば?」
鳴「えっ……あ、あの……」
恒一「どこ? 敏感なところって?」
鳴「あ……む、胸とか……」
恒一「胸ねぇ……他は?」
鳴「あ、あと……せ、性器、とか、にも……」カァアアア
恒一「ふーん……」
鳴「っ!」ビクッ
恒一「それじゃ、邪魔だからシャツ脱がすよ?」
鳴「あっ……やっ」
恒一「……へえ、見崎の下着ってこんななんだ」
鳴「あっ……」カァアア
恒一「思ったよりも大人っぽいもの着けてるだね……胸はこんな小さいのに」モミ
鳴「ひあっ!?」
恒一「前から思ってたけど、見崎って貧乳だよね。ちゃんと食べてるの?」モミモミ
鳴「あっ、んやっ……い、言わないで……」
鳴「はっ……んあっ」ピクン
恒一「安心して、僕は見崎の小さな胸が大好きだから」
鳴「っ!!」ビクンッ
恒一「あれ? どうしたの見崎?」
鳴「あ、ぅあ……」
恒一「……もしかして、軽くイっちゃった?」
鳴「! ち、ちがっ……」
恒一「胸揉んだだけでこれなら、電気アンマなんて使ったらどうなるんだろうね? 楽しみだなあ」
鳴「う……あ、ふあ……」
鳴「っ……!」
恒一「えーっと……これがスイッチか」カチッ
ブブブブブブブブ
鳴「っ!」ビクゥッ
恒一「うわ、結構振動激しいね……もしかしたら手元狂っちゃうかもなあ」
鳴「……!」
恒一「それじゃ、まずは振動弱からかな……下着ずらすね」スッ
鳴「んあっ……」
恒一「……じゃあ、ゆっくり近づけるからね」
鳴「ふぁ、ふぁい……」
鳴「う、うぅ……」
恒一「ほら、もうすぐ乳首の先に当たるよ」
鳴「はぁっ、はぁっ……はやく、して……」
恒一「ん? 早く欲しいの? それじゃあ、今当ててあげる……」
ブブブブブブブ
鳴「う……! はぁ、はぁ……」
恒一「乳首に当たるよ……あ、手元狂った」カチッ
ブブブブブブブブブブ!!
鳴「いっ!!? あっ、んあぁあああぁああっ!!」
恒一「あちゃー、間違えて振動マックスにしちゃった。大丈夫? 見崎」
鳴「あっ、あひっ、んあぁああぁあっ、やっ、止めっ」
恒一「ああ、大丈夫そうだね」
鳴「いあっ、あひっ、んあああっ、だめっ、だめぇえっ!」
恒一「あはは、気持ちよさそうだね」
鳴「おねがっ、おねがいっ、止めっ、止めへぇっ!」
恒一「それにしても胸だけでこんなによがれるって凄いな。見崎って相当感度いいんだね」
鳴「ひぃいあっ、んああっ、あっ、あっ、あぐぅっ」
恒一「ほら見崎、もっと強く押し当ててあげるよ」グッ
鳴「っ!!!! んぁあああっあぁあああああ!!」ビクゥンッ
恒一「うわっと……うわ、盛大に仰け反ったね。イったの? 見崎」
鳴「は、ふあっ、あっ……はぁー……はぁー……」
恒一「……放心しちゃってるか、ちょっと無茶し過ぎたかな」
鳴「……ふぇ? ……榊原、くん?」
恒一「あ、起きたか。ごめんね、ちょっと調子乗り過ぎた」
鳴「……私は、大丈夫」
恒一「ん……まあでも、もう今日はこのぐらいでいいでしょ? 見崎も限界っぽいし」
鳴「……」
恒一「……それじゃ、拘束解くよ――」
鳴「榊原くん」
恒一「――な、なに?」
鳴「このまま私を犯して」
恒一「……は?」
恒一「……み、見崎、それって」
鳴「……榊原くん、私の言った通りだったでしょ?」
恒一「……」
鳴「榊原くん、私のこといじめて楽しんでた。興奮してた」
恒一「……」
鳴「やっぱり、私が思った通りだったね。榊原くんは好きな人をいじめて悦ぶ人だった」
恒一「……うん、そうだね。見崎の言う通りだったよ」
鳴「きゃっ!?」ドサッ
恒一「確かに、見崎の泣き顔を見て興奮したよ。いじめられて泣きじゃくる見崎はとても可愛かった」
鳴「榊原くん……」
恒一「見崎のこと言えないね、僕も変態だったなんて……」
鳴「榊原くん、お願い。私を犯して。もっといじめて」
恒一「うん……わかった」グイッ
鳴「いっ!?」
恒一「ほら見崎、今から犯すんだから、お尻高く上げて」
鳴「……う、うん」
鳴「ひっ……あっ、んあっ」
恒一「これなら前戯なんて必要ないね……ま、元からするつもりなんてなかったけど」
鳴「あっ、んあっ……はあっ……」
恒一「それじゃ、今から入れるよ。力抜いててね……ゆっくり入れるから」
鳴「んあっ……ふぁ、はい」
恒一「よいしょ……くっ」グッ
鳴「あっ……ふあっ」
恒一「……」グンッ!
ブチブチブチィッ!
鳴「いぎぃいっ!!?」
恒一「ああごめん、ちょっと手元狂っちゃって。一気に入れちゃったね」
鳴「ぞ、ぞんな……ゆ、ゆっく、りって……」
恒一「だから手元が狂ったんだって。痛かった? 見崎」
鳴「あっ、ぎっ、い、いだっ、いだいっ……」
恒一「そっか……まあ、そんなの僕には関係ないけどね」ズッズッ
鳴「あぎいぃぁっ!? あっ、待っで、うごか、動かないでっ」
恒一「やだよ」ズッズッズッズッ
鳴「ひぎいっ!? あっ、いだっ、いっ、あっがっ、あぐぅうっ!?」
恒一「……」ズッズッズッ
鳴「ぎっ!? あっ、あうっ、あっかっ、かはっ」
恒一「……」ズッズッ…
鳴「ひぎっ……えっ? な、なんで止まっ――」
バチンッ
鳴「ぎぃっ!? お、お尻、いたっ」
恒一「……そういえば、お仕置きし忘れてたよね」
鳴「お、おしお、き……?」
恒一「そう、お仕置き」バチンッ
鳴「っっっ!! あっ、いだっ、い」
鳴「いだっ、っつ! ……そ、それは」
恒一「……見崎は僕のものなんだから、勝手な行動しちゃだめだよ」バチィンッ
鳴「あぐっ!!? かはっ、はぁっ……さ、榊原くんの……もの……?」
恒一「そう、僕のもの。今ここで誓ってよ、僕のものになるって」
鳴「…………あ」
恒一「ほら早く」バチンッ
鳴「いぎっ!? ち、誓い、ますっ! 私は榊原くんのものに、なり、なりますっ!!」
恒一「そう、誓ってくれるんだね」
鳴「は、はい……誓います、私は、見崎鳴は、榊原くんのものです……」
鳴「え……あ、あかし?」
恒一「うん、見崎の中にね」
鳴「な、中……? ……っ! ま、待って、それは――ふあっ!?」
恒一「ほら、見崎。もっと締め付けてよ」パンパンパン
鳴「ひあっ、あっ、あぐっ、だめっ、ま、待って、それはっ!」
恒一「なに? もしかしていやなの?」パンパン
鳴「ちがっ、ちがうっ、けどっ、あっ、んあっあっ」
恒一「くっ……見崎の中、気持ちよすぎてそろそろ僕も限界だ」パンパンパン
鳴「あっ、やっ、待って、まってぇ、あっ、んやっ、あぁあっ」
鳴「あっ、ひああっ、んあっ、だめっ、あっ、わ、私もっ」
恒一「見崎もイきそうなの? いいよ、イって」パンパンパン
鳴「あっ、んああっ、あっ、も、もうっ、もうだめっ、んあああっ」
恒一「あっ……ぐっ! で、るっ……!!」ドピュッ
鳴「あっ!? あっつ……あ、んぁあああっ!!」ビクンッ
恒一「くっ、はぁっ……はぁっ……」ビュルッビュル
鳴「んあっ、あっ、中に、熱いのっ……」ビクッピクッ
鳴「んはっ、はぁっ……うん、私は、榊原くんのもの……」
恒一「……それじゃ、もう一回しよっか」
鳴「えっ?」
恒一「まだ見崎の泣き顔見足りないから」
鳴「えっ、まっ、待って、ちょっと休ませ――ひぎっ!?」
恒一「なに? 口答えする気?」バチンッ
鳴「あぐっ!? ご、ごめんな、さい……」
恒一「ほら、また腰上げて」
鳴「はいっ……あ、んあぁああっ――」
恒一「……」カチャカチャ
鳴「……」
恒一「……」カチャカチャ
鳴「……」
恒一(……僕は……僕はなんてことを……)
鳴「……」
恒一(こんな……見崎とこんな……しかも最中のとき色々とやばいこと……そもそも中に……うわぁあああ)
鳴「……榊原くん?」
恒一(色々とリミッターが外れちゃってたとはいえ……も、もし赤ちゃんできちゃったらどうしよう……いやでも見崎との子なら……)
鳴「榊原くん?」
恒一「は、はいっ!?」
恒一「えっ、あっ、そ、そうか……」
鳴「うん、取ってくれてありがと」
恒一「いや、そもそも手錠付けたのは僕だし……ってさっきも似たような会話したね」
鳴「ふふっ……そうだね」
恒一「……あのさ、みさ――」
鳴「榊原くん」
恒一「っ!? な、なに?」
恒一「え? あ、明日も?」
鳴「うん。私は榊原くんのものだから、榊原くんのしたいことなんでも」
恒一「え、あ……そ、それは」
鳴「……捨てたら、嫌だよ?」
恒一「っ! ……う、うんっ!」
鳴「ふふっ……」
恒一(……)
恒一(見崎がマゾだった……けれど)
恒一(これはこれで、最高かもしれない)
終わり
スレタイからエロ臭プンプンだろwww
乙
スレタイェ・・・
じゃあ次は『恒一「見崎がサドだった」』で立てるわ
保守支援してくれた方どうも、そしておやすみ
Entry ⇒ 2012.03.16 | Category ⇒ AnotherSS | Comments (0) | Trackbacks (0)
結衣「ネコ耳セット……」
http://hayabusa.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1331108212/
西垣「あぁ、ソイツはそこの戸棚に入れてくれ」
結衣「はい、分かりました」
西垣「いやー悪いな船見、こんな雑用手伝ってもらって」
結衣「いえ、合宿のときに先生にはお世話になりましたし」
結衣「これくらいでしたらどうってことないですよ」
西垣「あぁ松本、お前のほかにも爆友がふえ――」
結衣「すません、それだけはお断りです」
りせ「……」
西垣「はぁ、残念だ」
結衣「当たり前でしょうが」
結衣「会長さん体が小さいのによく働きますね」
りせ「……」
りせ「……」
結衣「だ、ダメだなに言ってるのか全然分からない」
西垣「小さいなんて失礼ね、私脱いだらすごいのよ、だと」
結衣「えっ!?」
りせ「……」ポカポカ
西垣「わはは、すまんすまん、叩かないでくれ松本」
りせ「……」
結衣「あまりからかっちゃダメですよ先生」
西垣「そうか?毎日こんなもんだぞ」
結衣「そ、そうなんですか」
西垣「ああ、船見さんも頑張っているわ、ありがとう」
西垣「でも無理しちゃだめ、休み休みでいいからね、だとさ」
りせ「……」コクコク
結衣「そうですか」
結衣「……優しいんですね、ありがとうございます」
結衣「でも昔から体力には自信あるんです、大丈夫ですよ」ナデナデ
りせ「……!」
結衣「す、すみませんつい頭撫でてしまいました……」
りせ「……」ニコッ
西垣「ふふ、松本のやつまんざらでもなさそうだな」
りせ「……」ケホッ
結衣「ほこりあまり吸わないようにしないといけませんね」
りせ「……」コクッ
結衣「マスクでもあれば良かったんだけど」ゴソゴソ
結衣「……おやこれは?」
結衣「ね、ネコ耳のカチューシャ、あとしっぽ……」
りせ「……」
結衣「あ、いえ何でもありませんよ、仕事続けましょう」
りせ「……」テキパキ
結衣「ふう、疲れた……」
結衣「それじゃ私はごらく部に戻りますね」
りせ「……」
西垣「そうだな、コーヒーと菓子の一つでもでも出さないと失礼か」
結衣「いえいえ、そんなお構いなく」
西垣「いや、職員室にちょうどショートケーキがあったんだ」
西垣「いま持ってくるから待っててくれないか?」
結衣「そうですか、それじゃお言葉に甘えて」
西垣「松本、お前も手伝ってくれ」
りせ「……」
ガラッ バタン
結衣「ふふ、京子たちには内緒にしないとな」
結衣「……」
結衣「……」チラッ
結衣「……黒猫を模したのかな、可愛いかも」
結衣「い、いやダメだ、京子ならともかく」
結衣「私が付けるなんてキャラじゃないしな、うん」
結衣「……」チラッ
結衣「……」チラッチラッ
結衣「……」
結衣「……」チラッ
結衣「で、でも誰も見てないしな」
結衣「将来ネコ耳付けるのがスタンダードな世界がくるかもしれないし」
結衣「うん、その練習だから」
結衣「そもそもこんなところにネコ耳セットがあるのがいけない」
結衣「付けて下さいと言わんばかりじゃないか」
結衣「……ふふふ」
結衣「カチューシャと、尻尾は先がクリップになってるのか」
結衣「ど、どれどれ……」カチャカチャ
結衣「う、うわぁこれはひどい……」
結衣「……」
結衣「にゃ、にゃーん」
りせ「……」
西垣「ああ、船見ならきっと松本の友達になってくれるさ」
りせ「……」
西垣「ほんとだって、私が今までにウソついたことがあるか?」
りせ「……」コクッ
西垣「ははは、なかなか手厳しいな松本は」
ガラッ
西垣「おーすまん船見、ホラ、イチゴたっぷりのショートケーキだ……」
結衣「にゃ、にゃんだよコレ!?引っ張っても外れにゃい!!!」ジタバタ
西垣「ふ、船見にコスプレの趣味があったとはな……」
りせ「……」
結衣「ち、違いますよ!!」
西垣「いや別に軽蔑しているワケではない」
西垣「そもそもよく似合ってるというか」
りせ「……」ニコニコ
西垣「ホラ松本も、可愛いわ船見さん、だとさ」
結衣「だ、だからこれには深いワケが……」カァー
西垣「おいおい、そんなバカな話があってたまるか」
西垣「なぁ松本?」
りせ「……」フルフル
西垣「む、確かに冗談を言うような人間でもないからな船見は」
西垣「どれどれ、ちょっとこっち来てくれるか、チッチッチー」
結衣「そのチッチッチって言うの止めて下さ――」
西垣「……」グイグイッ
結衣「いだだだだだだ!」
西垣「おおう」
結衣「フーッ、フーッ」
西垣「爪で引っ掻くとはな、まるでネコだよ」
りせ「……」
西垣「ああ大丈夫だ、船見が深爪で良かった」
りせ「……」ナデナデ
結衣「……」
結衣「……にゃーん」スリスリ
西垣「いよいよネコだな」
りせ「……」
西垣「松本、ネコはノドを撫でると喜ぶらしいぞ」
りせ「……」
りせ「……」スッ
結衣「か、会長さんくすぐったいです」
りせ「……」スリスリ
結衣「ふにゃ……」
結衣「……」ペロッ
りせ「!?」
西垣「ほっぺ舐めときたか、いよいよネコだな」
結衣「はっ!?」
結衣「す、すみません会長さん……」
りせ「……」フルフル
西垣「ネコと人間の半々っていったところかな」
西垣「とにかく引っ張っても取れないとなると……」
結衣「……」グスッ
りせ「……」
りせ「……」ナデナデ
結衣「会長さん……ありがとう、でも大丈夫ですから」
西垣「ううむ……」
結衣「ええっと、その木箱に入ってたんです」
西垣「コレか?」
結衣「はい……」
りせ「……」フニフニ
結衣「ひゃっ、し、しっぽ触らないで下さい!!」
りせ「……」ナデナデ
結衣「ぜ、絶対遊ばれてる……」
西垣「おい船見この木箱にこんな紙があったんだが」
結衣「にゃんです?」
結衣「にゃんて書いてあるんです、西垣先生」カリカリ
西垣「コラコラ、私の白衣で爪はとげないぞ船見」
結衣「す、すみません、体が勝手に……」
りせ「……」クスッ
西垣「どうも直接生きたネコから毛皮をはぎ取って作ったモノみたいだな」
結衣「ひっ……」
西垣「そのせいか知らんがちょっとした呪いが込められてるらしい」
結衣「外れにゃいのはその呪いのせいにゃんでしょうか」
西垣「多分な、ここに一日限定って書いてある」
結衣「ず、ずいぶんと良心的にゃ……な呪いですね」
西垣「恐ろしいのか可愛いか分からん呪いだな」
結衣「えぇ、このまま外れにゃかったらどうしようかと……」
結衣「そんな禍々しいもの置いておか、な、いで下さいよ」
西垣「すまんすまん、どこかで譲り受けたんだろうな」
西垣「……『な』を『にゃ』って発音してしまうんだな」
結衣「……意識して言わないとそうにゃっちゃいます」
結衣「……また、もうやだ」グスッ
りせ「……」ナデナデ
結衣「うぅ、会長さん」
結衣「ホント一日だけで良かった……」
西垣「いや、なんというか、なあ松本」
りせ「……」コクッ
西垣「違和感ないくらい似合ってるぞ」
結衣「褒め言葉にゃんですかそれは……」
結衣「とにかく絶対京子には見つからにゃいようにしにゃいと」
結衣「な、な、な、にゃ……」
結衣「うぅぅ、やっぱりうまく発音できない……」グスッ
りせ「……」ギュッ
結衣「尻尾握らにゃいで下さい……」
結衣「オモチャにされるのが目に見えますよね……」
りせ「~♪」ナデナデ
結衣「す、すでに会長さんに遊ばれてますし」
西垣「はは、まぁ今日はここでゆっくりしていけばいいさ」
西垣「下校時間が過ぎて人がまばらになったら、私がタクシーで送ってやる」
結衣「……先生って意外と常識あるんですね」ホロリ
西垣「おいおいお言葉だな船見、私ほどの常識人はいないと思うぞ」
結衣「常識人は爆発で理科室吹っ飛ばしません」
りせ「……」コクコク
結衣「しばらくゆっくりさせてもらいます」
西垣「あぁ、っとケーキ持ってきたんだ」
西垣「ほら松本、船見」カチャカチャッ
りせ「……」
結衣「すみません、ありがとうございます」
結衣「ふふ、この生クリーム濃厚ですね、スポンジもふかふか」ペロペロ
結衣「……」チロチロッ
西垣「ふ、船見、ネコに戻ってるぞ!手を使え!フォークを使え!」
結衣「はっ!?……す、すみません」モキュモキュ
りせ「……」クスッ
結衣「はいブラックでも大丈夫です」
りせ「……!」
結衣「どうしたんです会長さん、そんな目を丸くして」
西垣「まぁお前らの歳ならブラックを飲める船見のほうが珍しいだろ」コポコポ
西垣「ほら」
結衣「ありがとうございます先生」ズズッ
結衣「あっ、あつ!?」
西垣「……ネコなだけに」
結衣「……ネコ舌になってますね」
結衣「……はぁ」
結衣「ふふ、くすぐったいですよ」
結衣「このままにゃにごともにゃく終わればいいにゃあ……」
西垣「……なんかお前ら見てると和むな」
ガラッ
京子「やっほー西垣ちゃん、結衣どこにいるか知らない?」
綾乃「西垣先生、この書類にハンコお願いします」
西垣「つ、机の下に隠れろ船見」グイッ
結衣「っ!?」
京子「へへへ、会長さんこんにちは」
綾乃「こんにちは松本会長」
りせ「……」ニコッ
綾乃「まったく、歳納京子ったらいきなり生徒会室に来て」
綾乃「船見さんを探すの手伝えだなんて……」
京子「いやーごめんごめん、お詫びに今度プリン食べてあげるからさ」
綾乃「お詫びになってないわよ!」
結衣「……」
結衣「(急に机に押し込まれたからお尻を突き出す感じになってしまった……)」
結衣「(ただの変態じゃないかこれじゃ、でも動けないし……)」
綾乃「船見さんもう帰ったんじゃないのかしら」
京子「うーん……」
綾乃「あ、あれ西垣先生コーヒーカップが3つあるのは……」
結衣「!?」
パタパタッ ピコピコ
京子「に、西垣ちゃんいま黒い尻尾みたいなのが動いたんだけど……」
綾乃「ええ、私もはっきり見えたわ」
西垣「お、おいおいどうしたんだよ2人とも、しっかりしてくれよ」
りせ「……」ドキドキ
京子「むう……」
綾乃「怪しい……」
りせ「……」
京子「西垣ちゃん」
綾乃「松本会長」
京子「どうしてそんな汗だくなの?」
綾乃「ええ、いつも冷静な松本会長まで」
京子「……その机の下になにか隠してるでしょ」
ピコピコッ パタパタ
西垣「まさか、そんなワケないだろ」ギュッ
結衣「ひゃ、ひゃう……」
結衣「(し、しっぽ握られたから声漏れてしまった……)」
綾乃「ええ、しっかり聞こえたわ」
京子「西垣ちゃん、悪いけどその机調べさせて」
西垣「うぐっ……」
西垣「そ、それだけは無理だな」
綾乃「また校長に伝えますよ、そしてPTAにも伝えますよ」
綾乃「七森中の理科室には爆弾魔の先生がいるって」
綾乃「……」ニコッ
西垣「ぐううう……」
ピコピコッ! ピコピコッ! パタパタ! パタパタ!
西垣「松本もすまん……」
りせ「……」
京子「えへへ、ありがと西垣ちゃん」
綾乃「脅すようなマネしてすみません、でももう爆発はやめたほうがいいですよ」
西垣「スマンそれは無理だ、私のライフワークだからな」
京子「……」
綾乃「……」
ピコピコ パタンパタン
京子「尻尾だ……」
綾乃「黒猫のしっぽね……」
綾乃「じ、地面かしら」
京子「……」ギュッ
綾乃「……触り心地はどう?」
京子「柔らかくて、ふかふかしてるよ、気持ちいいな」
綾乃「つ、つんつんしちゃったり……」ツンッ
パタパタッ ピコピコ パタピコ
京子「なんか触られてこの尻尾喜んでるね」
綾乃「はぁ、なんか病みつきなっちゃうかも……」
京子「さて、正体の解明といきますか」
綾乃「ええ、そうね」
綾乃「きっとなにか生き物がいるんだわ……」
京子「……」ゴクッ
京子「……」
綾乃「……」
京子「いっせーのーでっ!!」
結衣「……」フルフル
京子「ゆ、結衣?」
綾乃「ふ、船見さん四つん這いになんかなってどうしたのよ!?」
綾乃「……」ギュッ
結衣「あ、綾乃、尻尾は敏感だから……」ビクッ
綾乃「ご、ごめんなさい……」
京子「なーんだ、結衣に尻尾が黒猫のしっぽが生えただけか」
結衣「そうそう、ただそれだけにゃんだよ」
綾乃「うふふ、船見さんったらネコ耳まで生えてるわよ」
結衣「あはは、まいったにゃあ」
結衣「それじゃ私はこれで帰らせてもらおうかにゃ」
京子「……ちょっと待ってよ」ガシッ
綾乃「……」
綾乃「こ、この尻尾どういう仕組みなのよ……」ギュッ
結衣「だ、だから尻尾握るのダメだってぇ……」
京子「このネコ耳も引っ張っても取れない!!」
結衣「いだだだだだだ」
結衣「もう終わりだ、全部終わりだ……」シクシク
西垣「あーその、今までのいきさつを説明するとだな……」
京子「うわぁ、結衣踏んだり蹴ったりだな」ナデナデ
綾乃「まさに厄日ね……」スリスリ
結衣「2人とも近づきすぎ」
京子「だってねえ」
綾乃「かわいいもの」
結衣「おい、綾乃までそっちに回ったらツッコミきれにゃいぞ」
綾乃「そのにゃっていうのが自然で可愛いわね」
京子「へへへ、よしよし」
結衣「ノド触るにゃって……」
結衣「犬じゃねえ!」
綾乃「ね、ねえ船見さん、写真一緒に撮ってくれないかしら」
結衣「いいわけにゃいだろ!」
りせ「……」ギュッ
結衣「だから尻尾はだめにゃんです!」
西垣「ははは、ツッコミが冴えるな船見」
結衣「誰のせいだと思ってるんですか……」
京子「結衣ーあかりとちなっちゃんにも見せに行こうよ」
結衣「えぇ……」
,⌒8´ `8⌒ヽ
( /_ノLL/L) ソ )
)レ从ル゚ヮ゚ノルlノ いえ私はいたって冷静です
( つ首輪O
と_)_)
結衣「もう京子と綾乃なんて嫌いだ、ほっといてくれ」
結衣「……」ピーン
京子「あーもうこの尻尾最高に可愛い」
綾乃「うふふ、尻尾が垂直のときは構ってもらって嬉しいってサインらしいみたい」
京子「ほんとに!?」
結衣「うっ……」
京子「普段はそっけないくせにほんとはそんな事考えてたんだ……」
結衣「ち、違う」
綾乃「顔が真っ赤なのはなぜかしら?」
結衣「もうやだ……」
結衣「やだ……」
綾乃「と、歳納京子、ふにゃみさんの写真お願いね……」
結衣「だれがふにゃみさんだ」
京子「おー、何枚でも撮っておくよ」
結衣「撮らせねえよ」
京子「じゃあね3人ともー」グイッ
りせ「……」フリフリ
綾乃「ふふふ、可愛かった」
西垣「船見、すまん……」
結衣「え、いつの間にこんなもの」
京子「あとね、できるだけ私が後ろに立って尻尾隠すからね」
結衣「うん」
京子「なんかあまり結衣が他の子にきゃーきゃー言われるのみたくないかな」
京子「ごらく部は別だけど……」
京子「そ、それだけだよ、深い意味はないよ」
結衣「……」ピーン
京子「結衣、尻尾が垂直になってる」
結衣「……うるさい」
結衣「……帽子ありがとにゃ」ポスッ
結衣「……」みょーん
京子「(耳隠しきれてないけど、可愛いから黙っておこう)」
ちなつ「正確には京子先輩がいないと、だけどね」
あかり「ふふふ、確かにそうかもね」
ちなつ「結衣先輩遅いなあ、どうしちゃったんだろう」
あかり「そうだねえ」ズズッ
ちなつ「……結衣先輩ってネコ耳似合いそうだと思わない?」
あかり「ず、ずいぶんと唐突だね」
ちなつ「あかりちゃんと京子先輩は犬耳が似合いそう」
あかり「えへへ、わんちゃんかぁ」
あかり「確かに結衣ちゃんって上品な黒猫っぽいもんね」
ちなつ「結衣先輩のネコ耳姿を見れたら……どうなっちゃうかな私」
ちなつ「えへへ」
あかり「まぁ結衣ちゃんに限ってそんな事はしないと思うけど……」
ちなつ「だよねえ……」
あかり「あ、噂をすればなんとやらだよぉ」
ちなつ「結衣先輩、こんにち……」
結衣「や、やあ2人とも」
ちなつ「あれ、帽子なんて被ってどうしたんですか?」
結衣「あーえっとね……」パタパタッ
京子「むふふ動揺が尻尾に表れてるなぁ」
あかり「ゆ、結衣ちゃんこの尻尾なあに?」ギュッ
結衣「っ!」ビクッ
京子「もう帽子もとっちゃえよー」バッ
結衣「あっ……」
ちなつ「……にゃーん」
あかり「えへへ、結衣ちゃん似合ってるよぉ」ナデナデ
結衣「あ、あかりあまり触らないで恥ずかしいから……」
京子「またまた、尻尾は嘘つかないもんなぁ」スリッ
結衣「んぅ、だ、だから尻尾も触るにゃって……」
あかり「あはは、にゃ、ってなりきってるね結衣ちゃん」
ちなつ「……せんぱい」
ちなつ「……ゆいせんぱい」
ちなつ「……ゆいせんぱいがネコ耳付けてる」
結衣「……ち、ちにゃつちゃん?」
結衣「にゃ、にゃんだいちにゃつちゃん……」
京子「な、なんだいちなつちゃん……」
ちなつ「と、とってもに可愛いです、よっ」
ちなつ「可愛いなんかじゃ足りない、でも語彙が少なすぎて形容できない……」
結衣「ふふ、ありがとち、な、つちゃん」
結衣「よし、上手く言えたにゃ」パタパタッ
あかり「ね、ねえ結衣ちゃん、その尻尾動いてるんだけど……」
京子「あぁ、これはな実は西垣ちゃんが――」
ちなつ「確かにエグイですね……」
結衣「まぁそういうことにゃんだ」
結衣「決してコスプレとかが好きってワケじゃにゃいからな」
あかり「……」
あかり「ふふふ」
結衣「……どうしたの、あかり」
あかり「にゃんでもないよぉ、結衣にゃん」
結衣「……あかりの制服で爪といでやろうか?」
あかり「ひいっ!?」
結衣「はは、冗談だよ」
あかり「顔が笑ってないよ、結衣ちゃん!」
京子「ほんとだ、もう下校時間だな」
あかり「……」
ちなつ「……あかりちゃん」
あかり「たぶん考えてる事は同じだね、ちなつちゃん」
京子「もうちょい結衣と遊びたかったなぁ」
結衣「……遊ぶってにゃんだよ」
京子「へへへ、尻尾がピーンとなってる」
結衣「あーもう……」
あかり「ゆ、結衣ちゃん……」
結衣「うん?」
ちなつ「きょ、今日お泊りしに行っていいですか!!」
結衣「えっ……」
あかり「あ、あのね、結衣ちゃんそんな体だから不便じゃないかと思って」
ちなつ「だから少しでも結衣先輩の力になれれば……」
結衣「ふ、2人とも……」
結衣「ふふ、それじゃお言葉に甘えようかにゃ」ピーン
あかちな「わーい!」
結衣「というわけだから、じゃあにゃ京子」
京子「ちょ、ちょっと待った!!」
京子「私も泊まるに決まってるだろう!」
結衣「……はぁ」ピーン
結衣「まったくしょうがにゃいにゃ、京子は」パタパタ
京子「忙しい尻尾だな」
結衣「……意識しても『な』が上手く言えなくなってきたにゃ」
結衣「はぁ、本当に1日で戻れるんだろうか」
結衣「……」ペタッ
結衣「へえ、しょんぼりすると尻尾もふにゃーってにゃるんだ」
結衣「……みんにゃの事を考えると尻尾がピーンって張る」
結衣「……1人だけじゃきっと不安でしょうがなかっただろうにゃ」
結衣「ふふふ、早く来ないかな」パタパタッ
結衣「よしっ上手く言えた」
ピンポーン!
あかちな「おじゃましまーす」
京子「ぷぷ、みんにゃだって」
ちなつ「それが最高に可愛いんじゃないですかっ!」
あかり「ふふふ、だよねえ」
結衣「一気に騒がしくにゃったにゃ……」
結衣「晩ごはんカレーで大丈夫だったよね」
京子「へへへ、やりい、お腹ペコペコだよ」
あかり「結衣ちゃんよそうの手伝うよ」
ちなつ「あ、私もやりますよ!」
京子「うむ、皆の衆がんばりたまえ」
結衣「アンタも手伝うの」
京子「へーい」
京子「お、なかなかの味じゃん」
あかり「カレーとオムライスは結衣ちゃんには勝てないよぉ」
ちなつ「……幸せ」グスッ
結衣「良かった、好評みたいだにゃ」
京子「あのさ、どうして結衣はまだ制服きてるの?」
結衣「あぁ、尻尾が引っかかって上手く脱げないんだ」
あかり「そ、そういえば尻尾が生えてるって事は……」
結衣「うん、制服のワンピースに穴が開いちゃったみたいでさ」
結衣「ジャケットの部分は無事だったけど」
京子「ちなみに尻尾はどこから生えてるの?」
結衣「お尻のちょっと上あたりかな」
ちなつ「……うふふ」
あかり「うん、いいよぉ」
ちなつ「……いいなぁあかりちゃん」
京子「な、なんであかりなんだよ!?」
結衣「いや、にゃんとにゃく」
結衣「な、んと、なく」
結衣「……末期だにゃ、ほんと」
ちなつ「でもホント似合ってますよ結衣先輩」
結衣「にゃんかまじまじと言われると照れちゃうよ」
結衣「……」パタパタッ
結衣「……」ピーン
京子「尻尾のこの一連の動作を喜びの舞と名付けよう」
結衣「……るさい」
あかり「ふふふ、わざわざ言い直さなくてもいいのに」
結衣「ほんと困ったもんだよ」
あかり「あかりは可愛いと思うけどなぁ」
結衣「……」ピーン
あかり「くすくすっ」
結衣「あかりの顔で爪とぐぞ」
あかり「ごめんなさいごめんなさい……」
結衣「ほら脱衣所行くよ」
あかり「うん」
京子「……」
ちなつ「……いいなぁ」
ちなつ「ふふふ、結衣先輩が喜びそうなとっておきをですね……」
京子「へえ奇遇だな、私もだよ」
京子「これさえあればもうメロメロだろうな~結衣は」
ちなつ「その言い方引っかかりますね、なに持ってきたんです?」
京子「ひ・み・つ」
ちなつ「むむむ、京子先輩のいじわる……」
京子「わっはっは、拗ねてるちなっちゃんも可愛いぞー」
ちなつ「暑苦しいです、私は結衣先輩に抱き着かれたいんです」
京子「もしかしたらそうなるかもね」
ちなつ「えっ?」
京子「んにゃ、なんでもないよ」
あかり「ううん、気にしないでよぉ」
京子「あかりー結衣の肌どうだった?」
あかり「ええっと、お餅みたいに真っ白ですべすべ――」
結衣「やかましい」コツン
あかり「えへへ、ごめんね結衣ちゃん」
結衣「京子も変にゃこと聞くにゃって」
京子「わりいわりい、あれジャージとかじゃなくてスカートなんだ」
結衣「こうしないと尻尾が窮屈だからにゃ」パタパタ
ちなつ「相変わらず元気な尻尾ですよね……」
結衣「だね……」
京子「……いや、コレが自然なんだろうな」
あかり「……ネコだからね」
ちなつ「段ボールに入って満足げな顔をする結衣先輩……」
結衣「うっ、無意識のうちに段ボールに……」
結衣「は、恥ずかしい……」イソイソ
京子「んー写真に撮れば良かったな」
あかり「な、なかなかシュールな光景だよね」
ちなつ「確かにもう二度と見られないかも……」
結衣「うぅ……」
京子「下着穿いたら付け根が隠れちゃうんじゃない?」
あかり「少し下げてる感じかな、ね結衣ちゃん」
ちなつ「……!?」ガタッ
結衣「まぁそんな感じだ」
京子「あと、嬉しいと尻尾ピーンて立つじゃん?」
結衣「……」
京子「ウエストのゴムを押しのけちゃうじゃん?」
京子「結衣のおしr」
結衣「……作戦変更だあかり」ガンッ
結衣「安物のジャージのお尻の部分を尻尾の直径だけ切るか」
あかり「……あはは」
京子「……」ピクピクッ
京子「お尻のちょっと上に尻尾が生えてるって言ったじゃん?」
京子「下着穿いたら付け根が隠れちゃうんじゃない?」
あかり「少し下げてる感じかな、ね結衣ちゃん」
ちなつ「……!?」ガタッ
結衣「まぁそんな感じだ」
京子「あと、嬉しいと尻尾ピーンて立つじゃん?」
結衣「……」
京子「スカートがどんどん捲れちゃうじゃん?」
京子「結衣のお尻まるみえじゃ――」
結衣「……作戦変更だあかり」ガンッ
結衣「安物のジャージのお尻の部分を尻尾の直径だけ切るか」
あかり「……あはは」
京子「……」ピクピクッ
京子「いや、でも私が気づいたからこそ恥ずかしい思いをしなくて済んだというか」
結衣「……まあにゃ」
ちなつ「き、京子先輩が気づかなければ……」
あかり「ち、ちなつちゃん……」
結衣「そうだ、お風呂湧いてあるから、どんどん入っちゃって」
京子「……ネコってお風呂入るの?」
結衣「そりゃ入るだろ」
結衣「……あれ、なんか乗り気がしないにゃ」
あかり「ネコさんは水が怖いってよく聞くよねぇ」
ちなつ「だね」
結衣「まぁ我慢すればなんとかなるよきっと」
京子「そいじゃ、一番風呂いただこうかなー」
あかり「うん、ちなつちゃんはあかりと一緒に入ろうよ」
ちなつ「そうだね、その方が早く済むしね」
結衣「ふふ、ほんといい子だにゃ2人とも」パタパタッ
あかり「尻尾を大きくゆっくり振っている時は……?」
ちなつ「機嫌が良くてリラックス、安心しているときだって」ペラッ
あかり「ふふふ、そうなんだぁ」ナデナデ
結衣「ん、ち、ちにゃつちゃんその本は?」
ちなつ「ネコちゃんと仲良くなろうって本です」
ちなつ「お家にあったんで持ってきちゃいました」ニコッ
結衣「完全にネコ扱いだ……」
あかり「あはは……」
結衣「……」プイッ
あかり「えぇ……」
ちなつ「残念です……」
結衣「……」ピーン
あかり「すごいすごい、尻尾がピーンと立ってるね」
ちなつ「ええっと、尻尾が垂直のときはかまってほしいのサインみたい」
あかり「えへへ、素直じゃないんだから結衣ちゃんってば」
結衣「……」ゴロンッ
あかり「仰向けに寝ちゃった」
ちなつ「仰向けにねるのはな、なでて欲しいときのポーズだって」
あかちな「……えへへ」
あかり「ゆーいちゃん、いっぱい構ってあげるからね」
結衣「にゃ、にゃんの話だよ……」
ちなつ「耳とか首、背中を優しくなでてあげるととっても喜びます」
ちなつ「撫でるときは大きな声は出さず、優しく小さい声で」
あかり「ふむふむ」
あかり「あかりは耳を撫でるから、ちなつちゃんは首をお願いね」
結衣「だ、だからにゃんで撫でるのを前提としてるんだよ」
あかり「……よしよし」フニフニ
ちなつ「……ノド気持ちいいですか?」スリスリ
結衣「……ふにゃ」
ちなつ「……結衣先輩結衣先輩結衣先輩」スリスリ
結衣「んう、くすぐったい」
結衣「そろそろやっ、やめてよ2人とも」トローン
ちなつ「……」
ちなつ「そうですね、結衣先輩が嫌がってることをムリしちゃいけませんね」
あかり「そうだね、ごめんね結衣ちゃん」
結衣「えっ……」
結衣「……」ピーン
ちなつ「……」ニヤッ
ちなつ「あかりちゃん、お風呂空くまでゲームやろうよ」
あかり「えへへそうだね」
ちなつ「結衣先輩、テレビとゲーム借りますね」
結衣「……」ゴローン
あかり「ふふふ」
あかり「そっかぁ、それなら漫画でも読もうかな」
ちなつ「ミラクるん持ってきたんだ、一冊貸してくれる?」
結衣「ま、漫画見るのもダメ!!」
あかり「……」
ちなつ「……」
結衣「うぅ、もっと撫でてくれよ!もっとかまってよ!!」
結衣「2人ともお願いだから……」
あかり「えへへ、しょうがにゃいにゃー」
ちなつ「……はぁはぁ」
あかり「そうそう、素直が一番だよぉ結衣ちゃん」ナデナデ
結衣「ノド触られると落ち着く……」
ちなつ「うふふ、可愛いですよ結衣先輩」スリスリ
ちなつ「あ、そうだ結衣先輩にプレゼント持ってきたんです」
結衣「えっ、にゃににゃに?」
あかり「にゃににゃにって、可愛い……」
ちなつ「えへへ、ほらこの首輪です」
結衣「く、首輪……」
ちなつ「黒と白のストライプです、きっと似合いますよ」
あかり「ふふふ、黒猫の結衣ちゃんにはピッタリかもね」
結衣「い、いやコレを付けたら人としてもう終わりな気がする……」
結衣「……」
結衣「……」カチャッ
ちなつ「はわわわ……」
あかり「結衣ちゃん可愛い……」
結衣「はは、もう明日には完全に四足で歩いてそうだにゃ」
結衣「ちにゃつちゃん、素敵なプレゼントありがとね」
ちなつ「ゆ、結衣先輩……」
ちなつ「もうここで死んでもいいです、わたし」
結衣「い、いや私が困るよ」
あかり「……」ギュッ
結衣「し、尻尾は敏感だからダメだって!」
京子「おーっす2人とも、お待たせ!」
ちなつ「うぅぅ、名残惜しいですけどまたお風呂上りに遊びましょうね!」
結衣「ふふ、はいはい」
京子「……くふふ」
結衣「……」
京子「ついに人間やめてしまったか結衣にゃん」
結衣「ちにゃつちゃんのプレゼントだからにゃ、無下にはできにゃいよ」
京子「いやでもよーく似合ってるぞその首輪」
結衣「喜んでいいのやら……」
京子「あ、私も結衣にプレゼント持ってきたんだ」
結衣「……!」ピーン
京子「尻尾」
結衣「……るさい」
結衣「ボクシンググローブを贈られたこともあったしにゃ」
結衣「どうせ京子のことだし、変にゃモノにゃんだろ」フリフリ
結衣「……」パタパタッ
京子「ふむふむ、立ったまま尻尾を大きく振るのは興奮状態の表れか」
結衣「……」
京子「もう素直になったらどうだ結衣」
結衣「……」
結衣「……嬉しいよ、プレゼントもらうのは」
結衣「どんなものだろうと嬉しいに決まってるよ」パタパタッ
京子「へへへ、可愛いやつめ」ナデナデ
結衣「……撫でるのやめろ」ピーン
結衣「……もうやだこの尻尾」
結衣「あ、あぁ……」
京子「取り出したのはこのスプレーです」
結衣「これがプレゼントにゃのか?」
結衣「……香水には見えないし」
京子「これを私にしゅっしゅと吹きかけます」シューッ
結衣「お前がかけてどうするん……」
結衣「にゃ、にゃんだ……」
結衣「あたまのなかぽーっとして」
結衣「くらくらする」
結衣「きょーこ、なにそれえ」ギュッ
京子「うはは、マタタビ入りのスプレーだよ結衣にゃん」ナデナデ
京子「おっと危ないな、私がぎゅっとしててあげるから」ギュッ
結衣「んっ……」
結衣「京子のにおい好き……」スンスン
京子「いまどんな感じかな?」
結衣「京子にぎゅっとされへ、体がぽかぽかしてにゃ、頭ふわふわする」ギュッ
京子「ろ、ろれつが回ってないぞ結衣」
結衣「きょうこ、きょうこ……」スリスリ
京子「……うへへ」
京子「ゆ、結衣、大事な部分をスリスリするはさすがに」
結衣「だ、だって、京子の匂いかいでたら……」
結衣「体が熱くなってきて……」ギュッ
結衣「じ、自分の体なのに、勝手に動いちゃって……」
結衣「こ、こわいよ、助けて、京子」ギュッ
京子「……大丈夫だよ、怖くなんかない」
京子「すぐ治まるからね、それまでぎゅっとしててあげるからね」ギュッ
結衣「ん……」チュッ
京子「っ!?」
結衣「……ん……ちゅっ」
京子「ゆ、ゆひ……やっ…舌…ふぁ……」
結衣「ん……」ギュッ
京子「……」
結衣「……ごめんにゃ」
京子「……い、いやマタタビなんか使った私が悪いんだ」
結衣「……あんな大人のキスまでしちゃったんだ」
結衣「気持ち悪いって自分でも分かるよ」グスッ
結衣「はは、もう京子に嫌われても私は文句言えにゃいな……」
結衣「……」ペターン
京子「尻尾がへたれてる……」
京子「私は悪い気しなかったな、結衣にキスされて」
結衣「……ほんと?」
京子「いや、むしろ……へへへ」
京子「えっ?」
結衣「……お風呂上がりの京子の匂いがほんと心地よくて」
結衣「ぎゅっとしてると心がぽかぽか温かくなっていってさ」
結衣「にゃ、にゃんか上手く言葉にできないけど」
結衣「……時間が止まってくれたらいいにゃって」
結衣「……そういうこと」
京子「……」
京子「あ、あのさ結衣、手、握っていい?」
結衣「……」ギュッ
京子「……なんか恥ずかしいね」
結衣「……そうだにゃ」
あかり「結衣ちゃーん、お風呂空いたよぉ」
ちなつ「ふふふ、いいお湯でしたよ」
結衣「あ、あぁ今行くよ」
京子「……」
ちなつ「ゆでダコみたいに顔真っ赤ですけど京子先輩」
あかり「ふふふ、墨はきそうだね」
京子「う、うるさいあかりのくせに!」
京子「ちなつちゃん、あかりのお団子でキャッチボールしようぜ!」
ちなつ「い、いやですよ、そもそも外れるんですかソレ」
あかり「……」ニコッ
ちなつ「うんうん、クールなのに寂しがり屋ってギャップが可愛いよね」
京子「ははは、口ではツンツンなくせに尻尾はパタパタだからなぁ」
京子「ホント可愛いやつ」
京子「にしても西垣ちゃんの理科室って面白そうなモノありそうだなー」
京子「くふふ、明日遊びにいってみよーっと」
あかり「あまり迷惑かけちゃダメだよ京子ちゃん」
ちなつ「そうですよ、ただでさえ迷惑かけてるんだから」
京子「ひどい言われよう……」
ガラッ
結衣「……寒い寒い」
結衣「いや、にゃんというか、浴槽に入るのが怖くて……」
結衣「シャワーにしておいた」
京子「ネコだからな……」
ちなつ「あぁ……」
あかり「なるほど……」
結衣「そろそろ寝ようか、みんにゃ悪いけど布団は2つしかにゃいからね」
京子「えーじゃあ私結衣と一緒の布団かよ」
結衣「別に嫌にゃら無理するにゃよ」
結衣「……」ヘタッ
京子「くふふ、なーんてな、嫌なんかじゃないよ」
結衣「……」パタパタッ
ちなつ「……このお団子大きい」zzz
あかり「……うーん」zzz
京子「……」
結衣「んっ、あう、はぁ……」
結衣「コイツ、絶対マタタビ撒いただろ……」
結衣「……」ギュッ
結衣「……こ」
結衣「きょーこ……」スリスリ
結衣「こ、こんなのもう我慢できにゃいよ……」ギュッ
結衣「っ!こんなのっ、こ、声漏れるにきまってる……」
結衣「でも、ゆび、とまらな、いよ……」スリスリ
結衣「んっ、京子、京子……」ギュッ
京子「……ふーん」
結衣「……っ」ビクッ
京子「結衣はみんないるのに1人でしちゃう変態さんなんだ」
結衣「きょ、京子違うんだ……」
京子「私ずっと起きてたよ、だって結衣がもぞもぞしてうるさいんだもん」
結衣「き、京子お願いだからみんなには言わにゃいで……」スリスリ
京子「言ってる側から腰動かして、ほんとしょうがないな結衣は」
結衣「うっ、う……」グスッ
結衣「……んっ、ふぁ……」ビクッ
京子「聞いちゃいねえ、ほんと盛ってるな……」
京子「こ、声が漏れないように口は塞いでてあげるからね」
京子「……」チュッ
結衣「んっ………ちゅっ」
結衣「……っ」スリスリ
結衣「ちゅっ……きょ……こ」
京子「……」ナデナデ
結衣「み、耳……だめ……」ビクッ
結衣「んっ、も……むり……ちゅっ」
結衣「っ!……」ビクビクッ
京子「……」チュッ
京子「ちゃんと気持ちよくなれた?」
結衣「んっ……」ギュッ
京子「へへへ、良かった良かった」ナデナデ
結衣「ごめん、京子のパジャマちょっと汚れちゃったかも……」
京子「いいってことよ、明日シャワー浴びれば大丈夫」
結衣「……ごめんにゃ、ほんと」
結衣「……ごめん京子」グスッ
京子「にしし、普段お世話になってるのに比べたら些細なことだよ」ギュッ
京子「おやすみ、結衣」
結衣「ん……」
ちなつ「んふふ、お団子食べ放題……」ハムッ
あかり「きゃ、きゃあ!あ、あかりのお団子かじらないでよぉちなつちゃん!!」ペシペシ
ちなつ「ほえ、おはよーあかりちゃん……」
京子「うるへー……」
結衣「みんな、朝ご飯できてるよ」
結衣「歯磨きしたらご飯食べよう」
あかり「あ、あれ結衣ちゃんネコ耳取れたんだ」
ちなつ「ほ、ほんとだ、良かったですね結衣先輩」
結衣「あぁ、なんか起きたらあっさり取れてた」
京子「ちぇっ、つまらんなー」
結衣「うるさい」
あかり「ふふふ、ネコ耳の結衣ちゃん可愛かったなぁ」
京子「ふいー、シャワーさっぱりした」
京子「結衣もまんざらじゃないって感じだったよな」
結衣「バカ言え、もうごめんだよあんなの」パクッ
京子「ネコになったことで本当のネコ化が防げたのかもな」ズズッ
あかり「どういうこと??」
結衣「……ドアホ」
京子「にしし、いやー面白かったなぁホント」
ちなつ「次はだれが呪われちゃうんでしょうね」
結衣「そんな簡単に呪われたりはしたらたまったもんじゃないよ……」
京子「ははは、だなー」
ちなつ「ふふふ、ですね」
あかり「ネコになったことでネコ化、どういうことなんだろう……」
京子「おいーっす西垣ちゃん、遊びにきたよ!」
京子「あれ、誰もいないのかな……?」
京子「……」キョロキョロ
京子「おおう、なんだこの禍々しい木箱は」
京子「犬耳のカチューシャと尻尾……?」
京子「へへへ、なかなか可愛いじゃん」
京子「……」イソイソ
京子「わんわーん♪」
京子「あー空しい、ごらく部戻るか」
京子「……」グイッ
京子「外れない……」
おしまい!
結衣にゃんよかった
乙
Entry ⇒ 2012.03.15 | Category ⇒ ゆるゆりSS | Comments (0) | Trackbacks (0)
岡部「バイト戦士が野宿をしていただと?」
http://hayabusa.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1331029030/
ダル「うん。昨日の夜にあそこの公園で見たんだお」
岡部「ふむ…」
鈴羽「~♪」カチャカチャ
岡部「随分と愉快そうだな、バイト戦士よ」
鈴羽「あれ?岡部倫太郎、珍しいね」
岡部「毎日会っているだろう」
鈴羽「そうじゃなくてさ、自分から店に来るなんて、なかなかないじゃん?」
岡部「ん…まぁ、そうかもな」ポリポリ
鈴羽「ふぇ?」
岡部「?どうしたのだ?」
鈴羽「い、いや、急に名前で呼ぶから…」
岡部「あ…あぁ、まぁ、たまにはな…」
岡部「それで……なぁ、バイト戦士よ」
鈴羽(戻った…)ショボン
岡部「バイト戦士、お前、野宿をしているというのは本当なのか?」
鈴羽「ああー……えっとね…」
岡部「言いにくい事なら無理には聞かないが…」
岡部「野宿ではいろいろとキツイものがあるんじゃないか?」
鈴羽「ん…まぁ」
岡部「……もし嫌でなければ」
岡部「俺の…ラボに来ないか?」
紅莉栖「ハロー………って」
紅莉栖「何で阿万音さんがいるの?」
鈴羽「悪い?」
岡部「ああ、紅莉栖。よくきたな」
紅莉栖「ちょっと岡部、何でこの子がラボにいるのよ?」
岡部「ん。実は昨日からラボで寝泊まりさせる事になったのだ」
紅莉栖「ちょ、何それ!?初耳なんだけど!!」
岡部「昨日決まったばかりだからな」
鈴羽「そゆことー♪」ニヤニヤ
紅莉栖「ぐぬぬぬ…」
鈴羽「一緒に寝たよー?」
岡部「うむ。何かとわからん事もあるだろうしな」
紅莉栖「そ、それって同衾…」
岡部「いや、俺は床で寝たしバイト戦士はソファで寝た」
紅莉栖「そ、そう…」ホッ
鈴羽「私は一緒に寝ようって言ったんだけどね」
岡部「馬鹿を言うな」
岡部「この狭いソファで二人も眠れるか」バンバンッ
紅莉栖(寝られれば一緒に寝るのか…!?)
岡部「お前とだって一晩共に過ごした事があるだろう、紅莉栖」
鈴羽「え゛」
紅莉栖「ま、まぁ…」
紅莉栖「!」
紅莉栖「そうね、あの晩はお互い(研究)に夢中だったわね」
鈴羽「夢中ッ!?」
鈴羽「お、岡部倫太郎…?牧瀬紅莉栖とは一体どういう…」オロオロ
岡部「うん?」
岡部「マッドサイエンティストとその助手だが?」
紅莉栖「誰が助手か!」
鈴羽「??」
まゆり「トゥトゥルー♪まゆしぃでーす!」
岡部「まゆりか。頼んでおいたドクペは…」
まゆり「はーい」ドサッ
まゆり「流石に十本は重かったのです…」フゥ
鈴羽「ぐぬぬ…」
紅莉栖「ふふーん」
まゆり「うーん?」
まゆり「オカリン、あの二人は何してるの?」
岡部「わからん」
まゆり「ふーん。鈴羽ちゃんがラボにねー」
岡部「ああ」プシッ
紅莉栖「ね、ねぇ、まゆり。まゆりは反対よね?若い身空の二人が同じ屋根の下で寝泊まりなんて…」
岡部「随分古めかしい言い回しをするな、クリスティーナよ」
紅莉栖「う、うるさい!あと、クリスティーナって言うな!」
紅莉栖「それより、まゆりはどうなの!?」
まゆり「うーん…」
まゆり「オカリンはへたれだから、スズさんに手を出す事はないと思うのです」
岡部「へたれ!?」ガビンッ
まゆり「それより、スズさんを追い出してまた野宿させる方がどうかと思うなぁー」
紅莉栖「うぐ…」
岡部「うん?」
鈴羽「私、もうあの生活に戻りたくないよ…」ウルウル
岡部「ぐぅっ!?」
岡部「あ、安心しろ、バイト戦士!お前を追い出したりはせん!」
紅莉栖「ちょっ、岡部…!」
鈴羽「やったぁ!」ダキッ
むにゅんっ
岡部「うぉ…!」
鈴羽「えっへっへー♪」ムニムニ
紅莉栖「くっ…サノバビッチ…!」
ダル「それで、結局阿万音氏がここに寝泊まりするようになった訳かお」
岡部「あぁ、まぁな」
ダル「ふーん。とりあえずオカリン爆発しろ」
岡部「はぁ?」
ダル「あんな可愛い子で一つ屋根の下とか、羨まし過ぎるだろJK」
岡部「お前まで紅莉栖と同じような事を言うな」
ダル「そうそう。それで、その紅莉栖氏は結局折れた訳?」
岡部「ん…それなのだが…」
<おーい、岡部ー
ダル「んん?」
ダル「牧瀬氏?何やってるんー?」
紅莉栖「あ!橋田、いい所にいた!」
紅莉栖「ちょっと荷物運ぶの手伝ってよー!」
ダル「荷物…?」クルッ
岡部「………」
ダル「どーいう事だお?」
岡部「……仕方なかったんだ」
ダル「オカリン爆死汁」
岡部「…うるさい」
紅莉栖「ふぅ…重かったぁ」
ダル「阿万音氏だけでなく牧瀬氏まで一緒に寝泊まりとか、エロゲの主人公でもまだ節操があるお」
紅莉栖「ねぇねぇ、私の寝袋ここに置いていい?」
岡部「好きにしてくれ…」
ダル「オカリン…マジでこのままにするつもりなん?」
岡部「うぐ……」
ガチャ
鈴羽「たっだいまー!」
岡部「あぁ、おかえり」
ダル「おかえりんこー」
紅莉栖「…おかえりなさい」
鈴羽「くぅー!返事が返ってくるのってやっぱりいいねー!」ジーン
鈴羽「あ…」
岡部「カップヌードルならあるぞ」
鈴羽「えへへ、…いただきます」
紅莉栖「む…」
紅莉栖「岡部!私もお腹減った!」
岡部「あぁ、待て!今まとめて湯沸かすから!」
鈴羽「むぅ…」
ダル(なんぞこの空気。…今日は早めに引き上げよ)
ダル「じゃ、僕はもうお暇するおー」
紅莉栖「ん。またね、橋田」
岡部「気をつけて帰れよ」
鈴羽「おやすみ、橋田至!」
ダル「うーい。じゃねー」
カチャ、バタン
紅莉栖「橋田も帰ったし、そろそろ交代でシャワーにしましょうか」
岡部「ん、俺は別に…」
紅莉栖「入れ」ギロッ
岡部「はい…」
岡部「どうしたのだ?バイト戦士よ」
鈴羽「いや、替えの下着が…」
岡部「今から買いに行くか?」
鈴羽「んー…」
紅莉栖「………」ジトッ
紅莉栖「…阿万音さん、ちなみにスリーサイズいくつ?」
鈴羽「えっとね…」
ゴニョゴニョ
紅莉栖「!?!?」
紅莉栖「嘘だっ!」
鈴羽「わっ!な、何!?」
むにむに
鈴羽「ひゃあぁっ!!」
岡部「お、おい…!落ち着け、紅莉栖!」
紅莉栖「私がデブだと言いたいのか!?ああ!?」クワッ
鈴羽「な、何言ってるのかわからないよぉッ!!」
紅莉栖「こほんっ」
岡部「…」
鈴羽「うぅぅ…」
紅莉栖「…さっきは取り乱してごめんなさい」
岡部「まぁ、人間何かしら譲れないものもあるだろう」
紅莉栖「そういう事にしといて…」
紅莉栖「とりあえず、お詫びも兼ねて私が阿万音さんの下着買ってくるから、岡部は先にシャワー浴びててよ」
岡部「いや、俺は…」
紅莉栖「入れ」クワッ
岡部「はい…」
鈴羽「う、うん」
鈴羽「…ありがとね、牧瀬紅莉栖」
紅莉栖「…まぁ迷惑かけたしね」
紅莉栖「じゃ、いってきます」
カチャ、バタン
鈴羽「………いってらっしゃい」
鈴羽「いってらー」
岡部「……そんな言葉遣い、どこで覚えた」
鈴羽「橋田至がよく言ってたよ」
岡部「……余り変な物は真似するなよ」
鈴羽「?わかった」
岡部「喉が渇いたら冷蔵庫に入ってる飲み物、何でも飲んでいいぞ?」
鈴羽「うん。あ、岡部倫太郎が飲んでたのって何?」
岡部「ドクペか?あれなら昼間まゆりが大量に…」ガチャ
鈴羽「あ、いいよ。この飲みかけ貰うから」
岡部「あ、おい!」
鈴羽「んぐ?」ゴクン..
岡部「……いや、もういい」
鈴羽「あははは…」
鈴羽「………」
<シャァァァァア....
鈴羽(岡部倫太郎、ちゃんとシャワー浴びてるみたい…)
TV『嫌やわ、本当【ピー】あかんやろ…』
鈴羽(色々伏せてるけど、これって…)
鈴羽(お、岡部倫太郎にもあるんだよね…)
鈴羽(………)
覗きにいく?
安価下1~5の多数決で
岡部『……ふぅ』
鈴羽(ちょっとだけ、ちょっとだけ…)コソコソ
カラ...
岡部「~♪」シャァァァ
鈴羽(!!)
鈴羽(わっ、わっ…!)ドキドキ
岡部「だからいま、いちびょーごとに~♪」シャァァァ
鈴羽「こ、これが岡部倫太郎の…」ボソッ
岡部「うん?」クルッ
シャァァァアア…!!
鈴羽「うわわわ…!」
岡部「な…!鈴羽?何やってるんだ…!」
鈴羽「ごごごご、ごめんっ!」ドタバタ!
紅莉栖「ただいまー」
岡部「……おかえり」
鈴羽「……」
紅莉栖「どうしたの?二人とも」
岡部「いや、まぁ、なんというか…」
岡部「………気まずい感じだ」
鈴羽「…」
紅莉栖「はぁ?」
紅莉栖「とりあえず、はい、阿万音さん。替えの下着」
鈴羽「ん…ありがと」
紅莉栖「ね。岡部、ちゃんとシャワー浴びた?」
鈴羽「あ、えっと…」カァァァ
ガチャ
鈴羽「出たよー」ホカホカ
紅莉栖「じゃ、次は私ね」
紅莉栖「岡部、駒の位置操作するんじゃないわよ?」
岡部「ふん、この鳳凰院凶真にそのような小細工、必要ないわ!」
鈴羽「何やってたの?」
紅莉栖「チェスよ。今の所私の連勝中」
鈴羽「ふーん…」
紅莉栖「私がシャワーを浴びてる間、岡部がズルしないか見張っててくれると助かるわ」
鈴羽「あ、うん。わかった…」チラッ
岡部「む…」ポリポリ
<~♪
岡部「……」
鈴羽「…」チラッ
岡部「…なんだ?」
鈴羽「べ、別に…、ズルしてないかな、って」
岡部「心配するな。そんな事をするほど腐ってはいない」
鈴羽「う、うん…」
岡部「…」
岡部「なぁ、バイト戦士よ」
鈴羽「な、何?」ドキドキ
鈴羽「う…やっぱり、聞くよね…」モジモジ
岡部「………変な事をしていた訳ではないよな?」
鈴羽「………」
鈴羽(なんて答えよう…)
安価下1~5多数決
①「岡部倫太郎が裸だと思うと、いてもたってもいられなくって」→バイタ戦士ルート
②「気になっちゃうんだ、岡部倫太郎の事が…」→微HENTAIルート
鈴羽「その……岡部倫太郎の事が…」
岡部「俺の事?」
岡部「ま、待て待て待て…!時に落ち着け!」
岡部「それは、つまり、どういう意味だ…?」
鈴羽「ん……何て言うか、岡部倫太郎の事を考えると頭がボウッとなって、一緒にいると訳もなく嬉しくなったりして…」
鈴羽「……くっついていたくなっちゃうんだよね」チラッ
岡部「!!」
岡部「……」
岡部「~~~!」
岡部「む……う…」
岡部(何故フラグ以外の可能性を提示できないのだ…!?)
岡部(落ち着けぇ…。リアルにこれほどあからさまなフラグが存在する訳…)
鈴羽「ねぇ、そっちに行ってもいい?」
岡部(ある……のか……?)
鈴羽「……ダメ、かな」
岡部「…いや、構わん」
岡部(断れるか…そんなもん…!)
鈴羽「ありがと」スッ
ストンッ
岡部(ぬわぁぜ俺の膝に座るううぅぅぅ!!?)
岡部(馬鹿な…これ以上は俺の理性が…)
------ギュッ
鈴羽「ん…」ギュッ
鈴羽「えへへ。何だか嬉しくなっちゃうな」
岡部(………理性などなかった)
鈴羽「ん…」
岡部「鈴羽…」
鈴羽「好きだよ、岡部倫太郎」
鈴羽「…大好き」
チュッ
岡部「ん…む…」
鈴羽「んちゅ……っはぁ…」
鈴羽「ふふ。君の返事は態度で示してくれると嬉しいな」
岡部「しかし、今は紅莉栖が」
鈴羽「………」
安価下1~3多数決
①「たぶん、牧瀬紅莉栖も同じ気持ちだから」→両手に花END
②「見せつけてあげてよ…」→バイタ戦士、覚醒END
③「一つだけ教えて、君の気持ちだけ」→秘密の関係END
コンコン
鈴羽「牧瀬紅莉栖、ちょっといい?」
紅莉栖「え?ちょ、ちょっと待っ…」
ガラッ
鈴羽「なーんて、答えは聞いてないんだけど」
紅莉栖「なっ…えっ!?」
紅莉栖「何して……何で裸なの!?」
鈴羽「牧瀬紅莉栖だって裸でしょ?」
鈴羽「ねぇ、そんな事よりさ」
紅莉栖「そんな事って…!」
鈴羽「牧瀬紅莉栖に聞きたい事があるんだ」
紅莉栖「ちょ、顔近いって…」
鈴羽「答えて」ズイッ
鈴羽「ふふ。じゃあ質問」
鈴羽「岡部倫太郎の事、好き?」
紅莉栖「……!」
鈴羽「ちなみに、私は大好きみたい」
鈴羽「牧瀬紅莉栖の答え次第では、私はすぐにでも岡部倫太郎とそういう関係になるつもり」
紅莉栖「…」
鈴羽「さぁ、答えは?」
紅莉栖「私は…」
岡部「…」
鈴羽「お待たせ!」
岡部「ああ…」
紅莉栖「岡部…」
岡部「紅莉栖、俺は…」
紅莉栖「ま、待って!」
紅莉栖「口には出さないで…」
鈴羽「態度で示して、岡部倫太郎」
鈴羽「裸の私達を抱きしめるか…」
紅莉栖「服を着せて寝かせるか…」
二人「二つに一つ、だから、ね?」
両手に花END
シュタインズゲートの選択だろ?
Entry ⇒ 2012.03.15 | Category ⇒ シュタインズゲートSS | Comments (0) | Trackbacks (0)
マミ「キュゥべえがタンスの角に足の小指をぶつけて死んだ」
http://hayabusa.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1331195023/
マミ「ちょっと待ってて。もうすぐできあがるから…」トントントン
QB「はやくー…」とことこ
ガッ
QB「ぬがぁぁぁぁ!!タンスの角に足の小指ぶつけたぁぁぁ!!いったぁぁぁ!」じたばた
マミ「キュ、キュゥべえ!?」
QB「ああああぁぁぁ…!!」じたばた
QB「」ばたっ
マミ「キュゥべえーーーーッ!」
マミ「キュゥべえ!しっかりして!キュゥべえったらー!」ゆさゆさ
QB「」しーん…
マミ「し、死んでる…!!」
マミ「そ、そんなぁ…!キュゥべえ~!」ぐすぐす
しゅたっ
QB(新しい個体)「きゅぷァッ!」トンッ
マミ「あ…」ばたっ
マミ「」
QB「ふぅ…マミの首筋を手刀で『トンッ!』ってやって気絶させることができたよ…」
QB「インキュベーターの極秘事項であるこのことをマミに知られれば僕はこの家を出ていかなければならないだろう…」
QB「今の平穏な暮らしは快適だ。最近は仕事そっちのけでダラダラしてるけどこの気楽さは捨てがたい」
QB「だから僕は全力で現状を維持する…」
QB「インキュベーターは静かに暮らしたい!」
QB「それにしても…まさかタンスの角に足の小指ぶつけただけで死ぬとは思わなかったよ…」
QB「まあいいや。はやくこの死体を食べて証拠隠滅しないとね」
QB「それじゃあいただきます」もぐ
もぐもぐもぐ
QB「…ぎゅぶ」
QB「なんだろう…あんまり食欲がわかないよ…これ以上食べられない…」
QB「しかたない…この死体は見つからないように冷凍庫の奥で保存しておこう…また明日にでも食べればいいし…」ぐいぐい
マミ「…う、うわぁぁぁ!マミったぁぁぁぁ!」がばっ
QB「!」ビクッ
マミ「ふあぁ…あれ…?」キョロキョロ
QB「…」
マミ「な、なんだ夢か…あー、こわかった…私、いつのまにか眠っちゃったのね…」
QB「お、おはよう…マミ…」
マミ「あれ?キュゥべえ…?たしかキュゥべえはタンスの角に足の小指をぶつけて死んだような気が…」
QB「それも夢だよ…きっと…」
マミ「そうよね、そんなわけないものね…ふぁぁ…夢でよかったぁ…」
QB(ごまかせたぞ!)キリッ
――
――次の日
マミ「キュゥべえ~お風呂の準備できたわよ~」
QB「うん。入ってくるよ」
――
――お風呂
QB「さてと、湯船に浸かろう」ぴょんっ
ざっばーん!
QB「ぐ、ぐあああああああ!あっちぃぃぃぃ!湯加減最悪だぁぁぁぁ!」じたばた
QB「ああああぁぁぁぁぁ…!」じたばた
QB「」ぷかーん…
マミ「キュゥべえどうしたの?なんか叫び声が聞こえたけど?」
QB「」ぷかーん…
マミ「キュ、キュゥべえ!?」
QB「」ぷかーん…
マミ「し、死んでる…!」
QB(新しい個体)「手刀でトーン!」トンッ
マミ「あ…」ばたっ
マミ「」
QB「ふぅ…またマミを気絶させることに成功したぞ…それにしても熱湯風呂に浸かっただけで死ぬとはこれ如何に…」
QB「とにかく死体を処理しないと…いただきます」もぐ
QB「……おえっ!」
QB「なぜだかまったく食べる気が起きないぞ…しかたない、この死体も冷凍庫で保存しておこう…」ぐいぐい
マミ「…みんな死ぬしかないじゃないっ!」がばっ
マミ「…はっ!?」キョロキョロ
マミ「ふぁぁ…また夢かぁ…こわかったぁ…」
QB「マミ、おはよう」
マミ「あれ…?キュゥべえ?たしかキュゥべえはお風呂で死んでいたような…」
QB「夢だよ。間違いなく夢だよ。絶対夢だよ」
マミ「そうよね…あー…それにしても縁起の悪い夢ね…」
QB(マミをだますのはちょろいな)
――
――また次の日
マミ「キュゥべえ~冷蔵庫からお豆腐出して。お味噌汁に入れるから」
QB「わかったよ」バタンッ
QB「よいしょっと…」そいっ
QB「うわっ!?」つるっ こけっ
びちゃっ
QB「ぐわぁぁぁぁぁ!豆腐の角に頭ぶつけたぁぁぁぁぁ!うわぁぁぁぁぁ!!」じたばた
マミ「キュ、キュゥべえ!?」
QB「」ばたっ
マミ「キュゥべえーーーーッ!」
マミ「し、死んでる…!キュゥべえが豆腐の角に頭をぶつけて死んでる…!」
しゅたっ
QB(新しい個体)「すまぬ」トンッ
マミ「あ…」
マミ「」ばたっ
QB「はぁはぁ…豆腐で死ぬなんて前代未聞だぞ!どうなっているんだ…」
QB「今日こそ全部食べるぞ…冷凍庫にはまだ2体も残っているんだ。これ以上死体を増やすわけにはいかない!」
QB「…おえっ!あんまり食欲ないけどいただきます」もぐもぐもぐ
QB「んごぉ!?」びくん
QB(ん…んがぁぁぁぁぁぁ!?喉に詰まったぁぁぁぁぁ!!)じたばた
QB「ぎゅびびびびびびぃぃぃぃ!」じたばた
QB「」ばたっ
QB(死体で死んだ死体)「」
しゅたっ
QB(新しい個体)「ぐぬぬ…またしても死体が増えてしまったぞ…まさか死体を喉に詰まらせて死ぬとはなんという負のスパイラル…」
QB「……まったく食欲がわかないぞ…この2つの死体も冷凍庫に入れておこう…しかたないよね…」ぐいぐい
――
――またまた次の日
ばたんっ
マミ「ただいま~!アイス買ってきたわよ~!」
マミ「キュゥべえ~?」キョロキョロ
マミ「あれ?出かけているのかな?せっかく一緒に食べようと思ったのに…」
QB(タンスで死んだ死体)「」
QB(お風呂で死んだ死体)「」
QB(豆腐で死んだ死体)「」
QB(死体で死んだ死体)「」
マミ「う、うわあああああああああ!なにこれぇぇぇぇ!キュゥべえがいっぱい冷凍保存されてるぅぅぅ!」
マミ「いやあああああああーーーっ!」
マミ「」ばたっ
QB「ただいま、マミ~。ちょっと仕事に行っていたんだ」
QB「マミー?」
マミ「」
QB「はっ!?マミが冷凍庫の引き出しを開けたまま気絶している!」
QB「み、見つかってしまった…!僕の秘密が…!」
QB「く…!なんとかしないと!マミが気絶しているうちにこの死体全部を食べつくすんだッ!」ダッ
QB「死体を解凍したぞッ!包丁装備ッ!」しゃきーん
QB「きゅぷぷぷぷぷぷぷゥーーッ!」トントントントントントントンッ!
QB「こま切れだッ!」トーンッ!
QB「サラダ油ッ!」どばっ
QB「こま切れ死体を強火で一気に炒めるッ!」どばばばっ
QB「そーいッ!そーいッ!」くるんくるん ジュージュー
QB「てぃーろッ!てぃーろッ!」くるんくるん ジュージュー
QB「塩コショウッ!」ぱっぱっぱっ
QB「お醤油ッ!」じゅわーー
QB「そして食器に盛り付けるッ!」どばばばばっ
QB「インキュベーター炒め完成だッ!」バーン!
QB「はっ!?まずい!マミが目覚めそうだ!」
QB「マミが目覚める前に一気に食い尽くすッ!」がっ
QB「きゅぷァーーーーーーッ!!!」もぐもぐもぐもぐもぐ
QB「きゅぷきゅぷきゅぷきゅぷゥーーーッ!!!」もぐもぐもぐもぐもぐ
QB「きゅっぴんきゅっぴんーーーーッ!!!」もぐもぐもぐもぐもぐ
QB「きゅっぷいーーーッ!」ごっくん!
QB「はぁはぁ…!ごちそうさまでした…かなりきつかったけどなんとか死体4体分を食べ切れたぞ…おえぇっぷ…」げぷ
マミ「…わ、私がアイドルデビュー!?」がばっ
QB「!」ビクッ
マミ「ふえぇ…?」キョロキョロ
マミ「な、なんだ夢か…ちょっと残念…」
QB「マミ、大丈夫かい…?」
マミ「あれ?キュゥべえ…?はっ!?冷凍庫にキュゥべえが冷凍保存されていたんだった!」がばっ
マミ「あれ…?入ってない…」キョロキョロ
マミ「夢かぁ…夢でよかったぁ…」
QB「よかったね」
マミ「…それよりもキュゥべえ?」
QB「なんだい?」
マミ「突然太ったわね…」
QB「はっ…!?」ぶよぶよ
マミ「えい」ぺちっ
QB「うわぁ!」こてんっ
QB「ぬ…ぐぬぬ…!ふ、太りすぎて自分で起き上がれない…!ぬがぁぁ!」じたばた
マミ「キュゥべえ…ちょっとダイエットしたほうがいいわよ…私も付き合ってあげるから」
QB「う、うん…」
――
――次の日、堤防上の道
タッタッタッ…
マミ「ほら、キュゥべえ!がんばって走りなさい!」
QB「はぁはぁ…マ、マミ…!は、速いよ…はぁはぁ…うぅ…!」ぶよぶよ
マミ「何言ってるのキュゥべえ!もっとがんばらないと痩せないわよ!?」
QB(うう…虚弱体質は治ったみたいだけど……つ、つらい…)
QB「はぁはぁ…そ、そんなこと言ったって…」ふらふら
ぐねっ ガッ
QB「あっ」
ゴロゴロゴロゴロゴロゴロゴローーーーッ!
QB「うわあああああああ!?」
マミ「キュゥべえーーーッ!?キュゥべえがつまづいて土手を転がり落ちてしまったわーーーッ!」
ゴロゴロゴロゴロゴロ バッシャーンッ!
QB「うわああああ!川まで転がり落ちちゃったよぉぉぉ!つめたあああぁぁぁ!」ざぶざぶ
ずおぉぉぉぉ!
QB「うわああああ!流されるぅぅ!泳いで岸に戻りたいけど太りすぎてうまく泳げないよぉぉぉ!」じたばた
QB「ぬがあああああ!!」じたばた
QB「ぬがっ!?な、なんか針みたいなものがほっぺたにひっかかったぞ!?」
ぐいぐい
QB「いでででででで!う、うわぁぁぁ!なにこれ!?釣り針!?引っ張られるぅぅ!いでででで!」じたばた
ぐいっ! びゅーんっ!
QB「うわぁぁぁ!釣り上げられたぁぁぁぁぁ!!」ふわーり
QB「うぐぐ…」ぴくぴく
杏子「キュゥべえじゃん…なにしてんのさ…?ていうか太ったな、おまえ」
QB「きょ、杏子…助かったよ…ありがとう…さ、寒い…!」がたがた
杏子「なんだか知らないけど寒そうだな…たき火してるからあたたまっていけよ」
QB「お、恩にきるよ…杏子…」がたがた
QB「あ、あったかい…」ぬくぬく
杏子「へへ、よかったな…でもなんか焦げ臭いぞ…?」
QB「ん…?」じりじり
めらめらめらめら!
QB「う、うわあああああ!?知らぬ間に僕のしっぽに火が燃え移ってるぅぅぅ!ぬがああああ!」
杏子「キュゥべえーーー!」
QB「あぢぢぢぢぢぢっ!ぬがあああああ!!」じたばた
杏子「キュ、キュゥべえーー!」
QB「あぢぢぢぢぢっ!み、水をぉぉぉ!!」ダッ ぴょーんっ!
ザッバーーーンッ!
QB「うわぁぁぁ!しっぽの火を消すために川に飛び込んだのはいいけど今度はつめたあああぁぁぁ!うわぁぁぁぁ!」じたばた
ずおぉぉぉぉ!
QB「そして流されるぅぅぅ!太ってるから泳げないぃぃ!うわあああああ!」じたばた
QB「うわぁぁぁぁぁ!」ぷかぷか
QB「うわぁぁぁ…!」ぷかぷか
QB「ぁぁ…!」ぷかぷか
QB「ぁ…!」ぷか
しーん…
杏子「キュゥべえ…ずっと下流まで流されて見えなくなっちまった…」
――
ざばーん ざばーん
QB「…」すーすー
QB「…はっ!?…ここは!?」がばっ キョロキョロ
QB「はぁはぁ…!どうやら海まで流されちゃったみたいだけどどこかの浜辺に打ち上げられて助かったようだぞ…!」
QB「くそう!ここ最近の不幸の連続はなんなんだ…突然とんでもない虚弱体質になったり激太りしたり川に流されたり釣り上げられたりしっぽに火がついたり…」
QB「インキュベーターは静かに暮らしたいのに!」
QB「…あれ?ここはどこなんだ…?周りには舗装された道路だとか民家だとかそういうものが一切見当たらないぞ…?」キョロキョロ
QB「ん?看板がある…」
『ここは無人島です☆』
QB「な…!」
QB「なにィーーーーッ!?ぼ、僕はいつの間にか無人島に流れ着いていただとォーーーッ!?」ガーン
QB「なんてこった…」がくん
QB「ん?空から封筒が降ってきた…なんだろ?」ぱしっ
『見滝原市周辺担当キュゥべえちゃんへ」
QB「ほ、本部からの手紙!?中を見てみよう…」ぺらっ
『サボりすぎですよ!君はクビです!そういうことで! 本部より』
QB「うがああぁぁぁぁ!!」ばたっ
QB「それよりも…無人島から脱出する手段が見当たらない…マミの家に帰れないよ…」
QB「さようなら…僕の穏やかな生活…」
QB「うぅ…」ぽろ
――
――半年後
QB「ウォォォォォォッ!」ブンッ!
ブスッ!
イノシシ「」ばたっ ぴくぴく…
QB「ヒャッハーーーッ!こいつぁ美味そうなイノシシだぜェーーーッ!さっそく持ち帰って食っちまおう!」ぐいぐい
――
ジュ~ ジュ~
QB「お!いい具合に焼けたな!それじゃあいただきまーすッ!」ガブ
QB「うご…はふ…うめぇぇぇぇ!肉うめぇぇぇ!」ガブガブ
QB「きゅっぷいッ!」ごくん
QB「ふぅ…!ごちそうさんっと!」げぷっ
ガサッ…
QB「!?…誰だッ!」
「おひさしぶりでし。キュゥべえさん」
QB「お、おまえは…!見た目は僕が一回り小さくなった感じのインキュベーター見習いのちびインキュベーター、通称ちびべえじゃないか…!」
ちびべえ「はい。そうでし。キュゥべえさん、見ない間にずいぶんワイルドな外見になっちゃいましたね」
QB「そりゃあこんな無人島で一人生きてきたんだから自然とそうなるさ…イノシシ食うかい?」すっ
ちびべえ「遠慮しとくでし」
QB「それよりもなんの用だい?僕はもう本部とは関係ないんだろ?」
『サボりすぎですよ!君はクビです!そういうことで! 本部より』
ちびべえ「これは表でしよね。で、裏面が…」ぺらっ
『なーんちゃって嘘だよー!焦った?焦ったー?仕事はいいからちょっと本部に戻ってね。伝えたいことがありまーす!そういうわけで現在地をテレパシー信号で本部に送って!迎えに行きますねー☆』
ちびべえ「こっちが本文でし。ちゃんと見てなかったでしょ?」
QB「ふざけんなッ!」ぺちんっ
ちびべえ「きゅぷし!?」ふらっ
ちびべえ「キュゥべえさんはあわてんぼうさんだなぁ」
QB「それよりも本部が伝えたかったことってなんだい…?」
ちびべえ「ああ、えっとでしね、インキュベーターのボディに致命的なエラーが発見されましたのでし」
QB「エラー?」
ちびべえ「はい。キュゥべえさん、やたら死にまくった時期があったでしょ?」
QB「あ、あった…しょうもないことで死にまくったよ、僕…」
ポンッ
QB「こ、このボディは…!」
ちびべえ「人間の5歳くらいの男の子ボディでし。そのインキュベーターなりきりパーカーはサービスで付けときまし。注意事項として死んだらもう生き返りません。人間とまったく同じでし」
QB「えぇぇ!僕、人間になっちゃたの!?」
ちびべえ「はい。ちゃんと成長もするんでよろしくでし」
QB「すげぇぇぇ!!」
QB「えっ?なんで?」
ちびべえ「倫理的によろしくないし、ぶっちゃけ僕ら感情あるし、宇宙がどうなろうと今が楽しければそれでいいじゃない!っていう本部の意思でし」
QB「え…じゃあ現存の魔法少女と魔女は…」
ちびべえ「みんな人間に戻りました」
QB「うーむ…なんという強引でご都合主義な展開だ…」
QB「う、うん…」
ちびべえ「浮かない顔でしね。どうしたんでしか?」
QB「僕、マミの家に帰りたい…でも…マミとはもう半年も会ってないし…この姿でマミに会っても……マミは僕だとわかってくれるかな…?自信がないんだ…」
ちびべえ「きっと大丈夫でしよ。自信を持ってくださいキュゥべえさん。行きましょう!」
QB「うん…ありがとう…ちびべえ…」
――
――マミさん家
ピンポーン
マミ「はーい?」ガチャッ
ちょこん
QB「…」そわそわ
マミ「あなたは…?」
QB「え、えっと…その…」そわそわ
QB「えっ…マミ…?」
マミ「キュゥべえーーーっ!」だきっ
QB「きゅぷっ!?」ぎゅう
マミ「どこに行っていたの!?川に流されたまま全然帰ってこないから本当に心配したのよ!何度も探しに行ったのにまったく見つからないし…!」だきしめっ
QB「マ、マミ…僕がキュゥべえだってわかるの…?人間の体になっちゃったのに…?」ぎゅうぎゅう
マミ「うぅ…!当たり前じゃない!あなたは私の大切なお友達なのよ!?うぅ…!キュゥべえ~!」ぽろぽろ
QB「マミ…!」ほろり
QB「うん…!これからはずっとマミのそばにいるよ!僕たちはずっと一緒だよ!」
マミ「う、うぅ…!約束よ!約束だからね!キュゥべえ!」ぽろぽろ
QB「うん!約束だ!」
マミ「キュゥべえ~!」だきしめっ
QB「マミ!」だきしめっ
QB「そういえば…」ぐぅ
マミ「よーし!今夜はキュゥべえの大好きなハンバーグ作ってあげる!キュゥべえが帰ってきたお祝いよ!」
QB「ほ、ほんと!?やったー!」バンザーイ
マミ「よしっ!がんばって作るから待っててね!」ふんすっ
QB「うん!ありがとうマミ!」
わいわい! きゃっきゃ!
~
ちびべえ「キュゥべえさん…マミさん…よかったでしね…!お幸せに!」
おわり
スレタイからは想像できないほのぼの感を最後にありがとう
ギャグかと思ったらいい話だった
面白かった
いい話だった
Entry ⇒ 2012.03.15 | Category ⇒ まどかマギカSS | Comments (0) | Trackbacks (0)
件名『私メリー、あなたの後ろにいるの』 男「メール…だと!?」
http://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/internet/14562/1330084832/
このSSはSS深夜VIPのSSです
『拝啓
突然のお便りで申し訳ござ
いません。
この度、私メリーはあなた
様にとりつかせていただく
運びとなりましたこと、謹
んで御礼申し上げますとと
もに重ねてお詫び申し上げ
ます。
かしこ 』
男「文章がすごく丁寧だっ!!」
男「ん?またメールだ」
『いやー。
なかなか見てくれないから
どうしようかと思いました
よー (´・ω・`) 』
男「急に絵文字とか使うんだ……ていうか、これどっかから見られてる?」
ティロリーン
『ですから後ろにいるの。
と。
あ、件名でしか言ってませ
んでしたっけ? 』
男「いや、そういう意味じゃなく。ホントにうしろにいるんです……か?」
ティロリーン
『いますよー (*´∇`*)ノ 』
男「意外とノリ軽いんですね……。」
ティロリーン
『おかげさまで。
メリーさんやらせていただ
てます (。・ω・)ゞ 』
男「いやいや、メリ-って名前じゃないんですか?」
ティロリーン
『そういう…職業(?)とでも
思って下さい。
現世に残るにはしないとい
けないんです (´Д⊂) 』
男「はぁ。あの、お若いのに大変ですね……。」
ところで、これってどうやって送ってるんですか?」
ティロリーン
『心の送信ボタンです!
v(`ゝω・´) 』
男「あぁ……。えぇっと、アドレス『meri_follow_you@』ってなってますけど?」
ティロリーン
『お手数ですが登録お願いし
ます。 (*u_u*) 』
男「あ、登録とか普通にアリなんだ……。」
ティロリーン
『メール主体の時代ですから
ね。 (o^─^o) 』
男「そういうもんなんでしょうか?」
ティロリーン
『時代を捕らえることはどん
なことに対しても大切なの
です。
と、なにかの本で読みまし
た。 』
男「勉強熱心なんですね……。」
ティロリーン
『普通に電話すると驚いて逃
げられちゃうんですよ
(;ω;) 』
男「逃げられたらこまるんですか?」
ティロリーン
『幽霊には幽霊のルールがあ
りまして…
毎日誰かに見つけてもらえ
ないと、消えてしまうんで
す。 』
ティロリーン
『どちらかというと消滅です
。
多分。 』
男「多分……と言いますと?」
ティロリーン
『なんとなく仕組みが分かっ
てるって感じだったので…』
男「……フワっとしてますね。なんかこうもっと説明的なモノはなかったんですか?」
ティロリーン
『ありませんでした
(; ̄~ ̄)
呼吸の仕方は意識しなくて
も知っていますよね。
それと同じで残るためには
こうしなきゃいけないと… 』
男「なんとなく深い話に聞こえるから不思議ですね……。」
『それに、猶予が49日間し
かないというのも分かって
たので。
考えるよりいろいろ試そう
と…。 』
男「誰かに見つけてもらうための実験を?」
ティロリーン
『はい。
その49日間を使い切る前
に自分なりのやり方を決め
なきゃ! (`・д・´)ゞ
と。 』
ティロリーン
『電話だと逃げられちゃうか
ら毎日違う人を探さなきゃ
ならなかったんです。 』
男「で、思いついたのがメールでメリーさん?」
ティロリーン
『怖かったですか?
(`・д´・ ;) 』
男「シュールでしたwメール見るまでずっと付いて来てたって考えるとなかなかにホラーかもしれませんけど。」
ティロリーン
『でも、あなたは逃げないで
くれました。 』
男「まぁ、まだ実感わいてないからかもしれませんが。」
ティロリーン
『幽霊です私!
(σ≧∀≦)
って言う女の子が現れたら
信じてくれるんですか? 』
男「うん。無理ですね。……あ、でも消えたり透けたりしたら。」
ティロリーン
『使える能力は一日にひとつ
だけみたいで… (´・з・) 』
男「いろんな能力があるの?」
ティロリーン
『たとえば姿を見せるだけと
か。
その場合、声などは伝えら
れないようなんです。
(´・ω・`) 』
男「なるほど、ただの無口な人ですね。」
『そこで良く聞く話なんです
が…
タクシーの運転手さんが山
道で女性を乗せて…って話
知りませんか? 』
男「あぁ、しばらく進んで振り向くとシートがぐっしょり濡れて……」
ティロリーン
『シートが濡れてるかはわか
りませんけど、姿が消えて
いるって奴です。 (゚艸゚;) 』
男「でも普通に見えるならそれで大丈夫なんじゃないですか?」
『ところが気のせいやイタズ
ラと思われてもダメなんで
す (;ω;)
これは幽霊の仕業だって気
づいてもらわないと。 』
男「なるほど、運転中に消えたら幽霊だって気づく……と。
僕もこうやって会話してなかったらイタズラだとおもったかもしれないですし。」
ティロリーン
『だからメリーさんが現れた
のは携帯が普及したからな
んですよ (*゚ー゚*) 』
ティロリーン
『一人に出てもらわないと意
味ないんです。
自分の居場所にだんだん近
づいてくる誰か…
最後は自分の真後ろにっ!
((( ;゚Д゚))) 』
男「怖い怖い怖いっ!!」
ティロリーン
『怖がらせるのも大事なんだ
とは思います…けどね。 』
男「まぁ『幽霊=怖い』だしねぇ。」
『で、実際には振り向いても
誰もいない。
でも自分がどこにいるのか
何をしてるのか電話相手は
知ってる、と。 』
男「そっか。イタズラ電話じゃなく見えない何かに見られてると……
あ、でも怖がらせると逃げちゃうから効率が悪い……なるほど、それで行き着いたのがメールでメリーさんと。」
ティロリーン
『良い考えだと思おもいませ
んか!? (*゚д゚*) 』
男「少なくとも僕には効果抜群でしたねw」
男「えーと……毎日誰かに見つけてもらえないとってことは、明日も僕の後ろに?」
ティロリーン
『お願いしたいんですが…
(´・д・`)ゞ 』
男「つまり……取り付かれてるってことですか?」
ティロリーン
『そう、ですね…。 』
ティロリーン
『大丈夫です。
普通は幽霊の仕業って分か
らせるために取り付くので
あって。
あなたは私が幽霊だって知
ってますから…。 』
男「じゃあ……死なない?」
ティロリーン
『もちろん!
気づいてくれる人は幽霊に
とって貴重なんですよ!
(*´д`*) 』
ティロリーン
『それもお化けとして毎日見
つけてくれるからだと思い
ます… (;´-∀-`) 』
男「僕もメリーさんを毎日見つければいいと?」
ティロリーン
『はい!
ぜひお願いしたいのですが
…? (p*゚w゚*q) 』
男「具体的にはどうしたら?」
ティロリーン
『ただ認識してくれたら良い
んです。
ただ、眠ると全部夢だと思
うかもしれないので。
毎朝メールさせて下さいね
(o^─^o) 』
男「はぁ。……まぁそれくらいなら。やれるだけやってみます。」
ティロリーン
男「ふぁあ~、こんな朝から誰だよ……」
『おはようございます。
私メリーさん、今あなたの
お家の前にいるの。
(。・∀・。)ノ 』
男「あぁ、そういやメリーさんがそんなこと言ってたっけ……えっと返信できるのかな?」
(ポチポチ)『すぐ支度して降りてくから少し待っててね』
男「お、送れた。」
ティロリーン
『わぁ!頭の中に文字が浮か
びましたよ! ヽ(゚∀゚)ノ
待ってますからゆっくり支
度して下さいね。 』
ティロリーン
『私メリーさん、あなたの目
の前にいるの。
(*´∇`*)ノ 』
男「おはよーメリーさんwちょっと思ったんだけど、どうやって僕のアドレス知ったの?」
ティロリーン
『近くにある携帯に直接言葉
が送れるんです。
具体的なアドレスは分かり
ません。 (;ω;) 』
ティロリーン
『たとえ分かっても教えてあ
げませんよ ヾノ・`д・´) 』
男「ちょっ!?幽霊って考えてることも分かるの!?」
ティロリーン
『幽霊じゃなくても分かりま
す! (( ̄ ^  ̄ )プィッ 』
男「そんな……。あれ?てことは近くにいないと僕にも送ってこれないの?」
ティロリーン
『あ、さっき返事くれた時に
アドレス覚えたのでこれか
らはいつでも送れる…のか
な? 』
男「メリーさんにも圏外あったりするのかな?w」
男「おぅ。実は……いやいやw」
ティロリーン
男「おっと。友、ちょい待って。」
『お友達ですか? (*・∀・*)』
友「お?朝からメール!まさかついに男に彼女がっ!?wwwwww」
男「いや、その……(メリーさんとメールしてるなんて誰も信じないよなぁ……)」
男「そんなんじゃね~よ。」
(ポチポチ)『こいつは友って言うんだ。メリーさんとメールしてるなんて言っても信じてもらえないから黙っておくねw』
ティロリーン
『分かりました!そのほうが
都合がいいのでしたら。 』
友「即攻で返事がくるとはwwwお熱いこってwwwwww」
男「だから違うっつーの。」
男「女さんのアドレスなんて知らないよ。僕が知りたいくらいだって。」
ティロリーン
『絶っっっ対に教えてあげま
せんからね! (#゚Д゚) 』
(ポチポチ)『そんな、トドメささなくても!』
友「ちくしょーせめて席代われよ!www」
男「お前だって一番後ろの特等席なんだから良いだろ!」
ティロリーン
『楽しい人ですね~(〃゚艸゚)』
友「またかよ、ちくしょー。むしろ人w生w代wわwれwよw!wwwwww」
男「あぁもう~!ごちゃごちゃするっ!!」
先生『で、このⅹとyは連立しているとあるから――」
男「ふぁあ~ぁ……」
ブブブ ブブブ
『ノート取らなくていいんで
すか? 』
(ポチポチ)『数学は嫌いなの。それにテストは一夜漬けで公式覚えればなんとかなるし!メリーさんは数学とか得意だった?』
ブブブ ブブブ
『分かりません。
というか、実は生前をあま
り覚えていなくて… 』
(ポチポチ)『…そっか。』
ブブブ ブブブ
『だからですか?男さんのア
ドレス分かりやすいのは。
(´ー`) 』
(ポチポチ)『いいでしょ?「the-otoko@」』
ブブブ ブブブ
『簡単に覚えられました! 』
ポチポチ『分かりやすいメアドにしてよかったよw』
…… ……
男(ニヤニヤ)
女「……?」
教師「そして、そのとき時の政府がとった政策が――」
ブブブ ブブブ
『あ、そこの漢字間違ってま
すよ。
専は点なしで博は点がつき
ます。 』
(ポチポチ)『そうなんだ。ずっと両方とも点なしで書いてた。メールだと漢字変換楽そうだねw』
ブブブ ブブブ
『楽ではないですよ。
というか私が書ける字しか
変換されてないみたいです
し。 (。-д-。) 』
ブブブ ブブブ
『ほとんど困らずに変換でき
るので生前から詳しかった
んだと… 』
(ポチポチ)『なるほど…バラってかける?w』
ブブブ ブブブ
『薔薇? ((φ(・д・。) 』
(ポチポチ)『すごwじゃあ…ちみもうりょう』
ブブブ ブブブ
『魑魅魍魎 o(≧∇≦)o
どうでしょう!? 』
(ポチポチ)『すげぇw そんけ |
教師「こらー。男~、授業中にメールすんな~」
男「っ!ごめんなさい電源切っときます!」
クスクス クスクス
――
男(なんてねwサイレントモードにして――ノートに……と)
(カキカキ)『おこられちゃった』
…… ……
『なるほどコレなら内緒でお
話しできますね! 』
(カキカキ)『だれにもバレないで会話できるっていいね』
…… ……
『って、ちゃんと授業受けて
くださいよ~!
(*´・з・`) 』
…… ……
『…なんとなく読書は好きだ
った気がします。
ずっと本ばかり読んでたよ
うな。 (´・ω・`)
ごめんなさい。あんまり覚
えてません…。 』
(カキカキ)『あやらないで どんな人なのかなって気になっただけだから』
…… ……
『自分の未練も思い出せない
ようじゃ幽霊失格ですよね
… 』
(カキカキ)『ちょっとずつ思い出せばいいよ ボクもできることは手伝うから』
…… ……
『ありがとうございます。 』
男(未練が思い出せない……か)
女「ねぇ男くん!相手だれなの?数学のときもずっとメールしてたみたいだしw」
男「え?いやw」
友「あぁ~終わった終わった。男~怒られてんじゃwねwぇwよwwwwww」
男「うるせぇ。」
友「こいつ朝からずっとこうなんだよ。彼女だぜwwwwww」
女「えぇっっ!そうなの!?」
男「だから!彼女なんていないってば!」
ティロリーン
『彼女ってことにしちゃえば
いいんじゃないですか?
(*゚∀゚) 』
ティロリーン
『私は全然良いですよ。
って別に変な意味じゃない
ですけど…
あの…その…。(〃ノωノ) 』
男(ニヤニヤ)
友「もうデレデレだなコイツwむしろドロドロになれば良wいwのwにwwwwww」
女(彼女さん返事早いなぁ……)
友「ところで男、この後、帰りにどっか寄ってくか?www」
男「……いや、悪りぃ。今日ちょっと用事あるから」
友「そっか。じゃあまたなwwwwww」
男「おぅ。じゃあな。」
―――
ティロリーン
『どこかに行くんですか? 』
男「言ったでしょ。僕も手伝うって。」
『ここ…図書館ですか? 』
男「そう、読書が好きって言ってたから何か思いだすかなって。」
ティロリーン
『私のためにありがとうござ
います。 (。v_v。) 』
男「いいのいいの。コレくらいしか出来ること無いし。何か思い出せそう?」
ティロリーン
『いいえ…まだ…。 』
男「……中に入ってみればきっと思い出すよ。行ってみようか……」
ブブブ ブブブ
『私は始めて来たような気が
します。 』
男「図書館自体に……ってこと?」
ブブブ ブブブ
『はい。
なんだかとても遠いところ
だって気がするんです。 』
男「この辺なら図書館なんてだいたいどこも近くにあるはずだけど……。遠い町なのかな……?」
『あの…ココって男さんのご
家族が勤めてたりしません
か? 』
男「ん?母さんがココの司書だけど。何で分かったの?」
ブブブ ブブブ
『朝、男さんの家で感じたの
と同じ携帯が奥にあるみた
いなので。 』
男「へぇ、そんなことも分かるんだ。」
ブブブ ブブブ
『はい。やっぱりなんとなく
…ですけど。 (´・д・`) 』
男「お、噂をすれば。」
母「??何のこと?」
男「なんでもない。それよりココって古い新聞とか保管してない?」
母「いつか必要になるかもって思って、一年分くらいとっといてあるけど……どうして?」
男「それだけあれば十分。ちょっと見せてほしいんだ。」
母「いいけどちゃんと片づけなさいよ。奥にあるから入っていいわ。」
男「ありがと。」
ティロリーン
『さっきのが男さんのお母さ
んですか。
綺麗な方ですね…。 』
男「ちょっと若作りしてるだけだよ……ええと、ここだな。」
ティロリーン
『新聞を見てどうするんです
か? 』
男「昨日49日間で能力を決めるって言ってたでしょ?
逆算したらメリーさんは49日以内に亡くなったはずだから、もしかしたらなんか載ってるんじゃないかなって。」
ティロリーン
『…そうですよ、ね。 』
ティロリーン
『…少し。
でも、何か思い出せるなら
がんばります! 』
男「僕もついてるから。……メリーさんが気がついたのって何日前か分かる?」
ティロリーン
『…男さんにメールをしたの
がちょうど最後の49日目
でした。 』
男「そっか。じゃあ昨日から49日前の新聞は……と――」
ティロリーン
『隣町の、通り魔殺人…です
か。 』
男「もしかして……この被害にあった女子高生って……」
ティロリーン
『あれ?でも、この事件49
日前に起きたんですよね?』
男「うん。だからちょうどメリーさんになった日の……」
ティロリーン
『はい。
ですからこの事件が起きた
時に私はもう幽霊になって
いたはずです。 』
男「あ、そうか。じゃあこの事件は無関係……よかった。」
『でもこの事件、まだ犯人は
捕まってないんですね… 』
男「そういえば今朝ニュースでもやってたっけ。この前また女子高生が襲われたって。その子も重傷らしいし。」
ティロリーン
『…この子も幽霊になったん
でしょうか? 』
男「……どうだろう。僕なら、犯人を呪うかもしれない。」
『成仏、できたのでしょうか
…。 』
男「……?どういう意味?」
ティロリーン
『犯人を呪ったとして。
たとえば犯人を…殺して。
それで、納得できますか…
? 』
男「でき、ない……かな。多分一番の未練は――。」
ティロリーン
『死にたくなかった。
…ですよね 』
ティロリーン
『ん~。どうなんでしょう?
少なくとも今は死んでいる
ことを悲観してないんです
よね。 (´・ω・`) 』
男「でも幽霊は未練があって現世に残った人なんだよね?」
ティロリーン
『はい。それは間違いありま
せん…けど。
ただ、私は死んでしまうこ
とが嫌なのではなく、やり
残した事があるから幽霊に
なった…の、かな。たぶん 』
ティロリーン
『そのはずです。
ですが、もしこの被害者の
子のように幽霊になったの
なら…
ただ生きていたかっただけ
なのなら… 』
男「……未練があっても、成仏できるとは限らないかも知れない、か。」
ティロリーン
『私もそうかもしれません…
未練が分かっても、それが
実現できない…かも。 』
ティロリーン
『…お気使いありがとうござ
います。
でも、やっぱり私は知りた
いです。
なぜ私がこの世に残ってい
るのか。
…巻き込んでしまってごめ
んなさい。 』
男「気にしないで……。その、僕も興味あるから……なんて言ったら不謹慎かもしれないけど。」
ティロリーン
『出会ったのが男さんで
良かったです。
本当に。 (*u_u*) 』
男「それは答えが見つかってから言ってよwさてと、次を探そうか――」
ティロリーン
『名前も知らずに分かるもの
なんでしょうか? 』
男「推測だけどね。『メリーさん』を知ってたりメールの感じから僕とそんなに年は変わらないと思うんだけど……
メリーさんが気がついた時周りに何か無かった?」
ティロリーン
『意識が無いまま風に流され
ていたようで…
気がついたときは知らない
場所でした。 』
ティロリーン
『何か知ってる人…ですか?』
男「寺生まれのTさん……は無いか。でも幽霊の先輩とかさ。」
ティロリーン
『…他の幽霊には会ったこと
がありません。 』
男「え?この辺にいるのはメリーさんだけってこと?」
ティロリーン
『…いえ、きっと他にもたく
さんの幽霊はいるんだと思
います。
でも、誰も感じられません
でした。 』
…… ……
男「……メリーさん?」
ティロリーン
『最初は道行く人に声をかけ
たりしましたが…
お互いを認識して話が出来
たのは…男さんが初めてで
した。 』
ティロリーン
『…そうです。 』
男「……49日間……どうしてたの?」
ティロリーン
『まずは、手当たりしだい声
をかけてみました。
…空耳だと思われましたけ
ど。 』
男「……。」
ティロリーン
『次は姿を見せてみて。
でも、みんな素通りして行
っちゃいました…。 』
男「……生前を知ってる人には出会わなかった?」
ティロリーン
『多分…誰も声はかけてくれ
ませんでしたし。 』
男「ただ知らない人が立ってるだけじゃ、幽霊とは思わない……か。」
『その後に思いついたのが
「メリーさん」でした。
電話で。あなたの後ろに…
って。 』
男「それなら有名だし気づいたんじゃ?」
ティロリーン
『はい。成功はしました。
ただ…
その人は携帯をその場に投
げ出して走って逃げてしま
いました…。 』
男「まぁ……ね。」
ティロリーン
『覚悟はしていましたけど、
人に怖がられるのは…少し
…つらかった。
…です。 』
男「……。」
『それからはしばらく何も
しませんでした。
出来ませんでした。
誰かを傷つけるくらいなら
…怖がられるくらいなら、
このまま消えてしまおうか
…って
でもそうやってただ街を歩
いていたら、メールをして
いる人達をたくさん見かけ
て… 』
男「メリーさんメールを思いついた……?」
『はい。
でも、また怖がられてしま
うんじゃないか…
不安で…
最後に一度だけ…と。 』
男「それで、49日目に送ったのが……僕。」
ティロリーン
『はい。
あの時あの場所で偶然お見
かけした携帯にメールした
んですが… 』
男「そっか……。それが僕でよかったよ。」
ティロリーン
『本当に。
ありがとう。 』
コン コン
がちゃり
母「ちょっと男、そろそろ閉館時間だから片付けて頂戴。」
男「おっと!うん。今ちょうどやろうと思ってたとこ。」
母「学校の宿題か何か?調べたいことは終わったの?」
男「まぁ、だいたい。」
母「そう、じゃあ早く片しちゃってね。」
男「うん。わかった……。――よし!帰ろっか。」
ティロリーン
『はい。
ありがとうございました。 』
支援支援
ティロリーン
『浮遊霊ですから特に…
住んでるとかはないかと。
(* ̄∀ ̄) 』
男「じゃあ寝泊りは?」
ティロリーン
『幽霊は眠らないんです。
疲れたりもしないので夜は
ふらふらしてます。 』
男「……今までずっと?」
ティロリーン
『そう…ですね。 』
ティロリーン
『いいんですか!?
ヽ(゚∀゚)ノ 』
男「まぁ眠らないんじゃ泊まるも何もないかもしれないけど」
ティロリーン
『女の子を家に引き入れて何
する気ですか…?
|ω・`) 』
男「えっ!あ、いや、その……ほら!女の子を外にほっぽり出すのは気が引けるっていうか
まぁおもてなしも少しは……あ、そっか家族には内緒で、あ、いや内緒っていっても変な意味じゃなくて――」
ティロリーン
『あの、冗談ですけど…。
Σ( ̄Д ̄ll) 』
『で、本当に伺っても良いん
ですか? (。・Д・。) 』
男「もちろんメリーさんがよければだけど。」
ティロリーン
『あ、ええと私の方は大丈夫
なので、OKなら「いいで
すよ」と言ってらえません
か?
お邪魔してもいいですか?』
男「?……いいですよ。」
ティロリーン
『ありがとうございます。 』
ティロリーン
『これもお化けのルールです
。
幽霊は「生者が所有してい
る空間に無断で立ち入りで
きない」んです。 』
男「えっと、……所有する空間っていうのは?」
ティロリーン
『たとえば住んでる家とか。
聖域って言うらしいですけ
ど。
その人が他人に踏み込んで
ほしくない場所が聖域にな
るみたいです。 』
ティロリーン
『「線からこっち俺の土地だ
かんな~!」_〆(-∀-*)
っていう小学生の近くも駄
目でしたから、けっこう適
当みたいですけど。 』
男「ははは!最初から思ってたんだけど幽霊のルールって、結構いいかげんだよね。」
ティロリーン
『そもそも全部のルールがなん
となく知ってるって状態です
から (ll-д-)
でも、それでうまく回ってる
ってことは良い加減なのかも
しれません。 』
男「なるほど。言いえて妙ってやつだ。」
ティロリーン
『あの…お邪魔します。 』
男「いらっしゃい。」
ティロリーン
『なんか…緊張しますね。
男の子の部屋に入るのなん
て初めてです… (*μ_μ) 』
男「そ、そうなんだ……
まぁ僕も家族以外の女の子を入れたの初めてなんだけど……」
…… ……
男「何か言ってよ!w」
ティロリーン
『えっと…じゃあ…あの…
勉強机の鍵付引き出しが聖
域になってるんですが…
何が入ってるんですか? 』
男「そこは触れちゃらめぇ~!!!あのっ、ほら!
男には自分の世界があると言いますか、例えるなら空を駆ける一筋の流れ星と言いますか――」
男「あれ?メリーさん?ご、ゴメンなさい!
確かに中にあるのはエロ本ですがこれは男ならしょうがない物でして、むしろ犯罪に走らないよう己をおさえ――」
ティロリーン
男「ん?」
『私メリーさん、窓の外に押
し出されたの。
何か大切なものが入ってい
たんですね。
急に聖域が拡大して外まで
押し出されちゃいました。
もう失礼なことはお聞きし
ないので入れて下さい。
(m´・ω・`)m 』
男「よし。落ち着け……大丈夫。僕はノーマルからは外れてない。健全なエロ本だから大丈夫。」
ティロリーン
『あの、戻ってます…
なるほど…
そういう本ですか…
仕方ないですよね…。 』
男「ミステイクっ!!! いやその違うんです。だから――」
男「――ぉおっとぉおっ!!!これは妹が帰ってきたのかな出迎えなくちゃ!
すぐに鍵を開けるよ妹ちゃ~ん!!!」
ティロリーン
男「おぉっと!手が滑って読まずに削除しチャッタ!あははははは。」
ティロリーン
男「また手が!いやぁ今日はよく手が滑る!そんなことより妹が!わははははははは――」
がちゃり
妹「ただいま。……女のにおいがする。」
男「おかえ……えっ?!」
ティロリーン
妹「っ!……。……私の部屋には来ないでね。」
男「お、おぅ……ゴメン。」
妹「……。」
『無視とか、私一番傷つきま
すよ… (;Д;)
男さん、本当に妹さんいた
んですね。 』
男「はい。ごめんなさい……。あの通りちょっと変わってるんだけどね。」
ティロリーン
『妹さんがいるなんて気づき
ませんでした。
朝も今も何も感じなかった
ですし。 』
男「あぁ、あいつ携帯持ってないからね。」
さっきの反応見ると僕が携帯持つのもイヤみたいだし。いまどき珍しい奴なんだ。」
ティロリーン
『でも、お母さん似で美人で
すねぇ (*´ω`*) 』
男「あいつ母さんに習ってるから料理とかうまいし、二人とも性格以外は『良い嫁さん』なんだけどね。」
がちゃり
母「ただいま~。あら男、玄関で何してるの?」
男「……母さんて噂するとすぐ出てくるね。」
母「??何のこと?」
男「なんでもない……」
母「あらそう、ならいいけど。じゃあ、すぐご飯にしちゃうからね。」
ティロリーン
『素敵なご家族ですね… 』
男「ごちそうさま~。」
妹「ごちそうさま。」
母「おそまつさまでした。じゃあ妹ちゃん先お風呂は言っちゃってね~。」
妹「うん。」
男「じゃあ僕は部屋にいるからあがったら呼びにきて。」
妹「……やだ。それならお兄ちゃんが先入って。」
男「う、うん。良いけどさっきお前、部屋に来るなって……。呼びに行かなくていいの?」
妹「あがったらそのまま呼びにきて。すぐ来るならいい。」
男「わかんないけど、わかった……。」
(ポチポチ)『ということらしいのでメリーさんは部屋で待っててね。』
ティロリーン
『分かりました。ごゆっくり
どうぞ~ (o^─^o) 』
妹「……。」
ティロリーン
『いえいえ~ (。>∀<。)
妹さんの部屋にはもういっ
たんですか? 』
男「うん。すぐにとの仰せだったしねw」
ティロリーン
『でも、仲良さそうな兄妹で
すね~。 』
男「どこが~?なんか今日は特にご機嫌斜めだったのか、いつも以上に避けられてたよw」
ティロリーン
『普通あれくらいの年頃の子
だったら「お兄ちゃんが入
った後はいや!」とか言い
そうですけど、そういうの
じゃないですし。
兄弟とか羨ましいです。 』
男「メリーさんは一人っ子だったんだ?」
ティロリーン
『そうみたいですね。
って人事みたいになっちゃ
いますけど (ノω`*) 』
『ところで、触れていい部分
なんでしょうか…
夕飯のときお父さんがいな
かったんですが…。 』
男「あははwww大丈夫。ちゃんと健在だよwただの海外赴任。」
ティロリーン
『お一人でですか? 』
男「うん。母さんいろいろ放任主義だしwまぁ、昔はあの二人もいろいろ大変だったんだって。なんでも駆け落ちらしいからねw」
ティロリーン
『駆け落ち!
素敵じゃないですか!
ロマンチックです
(*>∀<*) 』
男「大恋愛の末の逃避行だよw」
ティロリーン
『大恋愛、ですか…。 』
男「今からじゃ想像できないけどねw――。」
ティロリーン
『男さんはどんな子供だった
んですか? 』
男「う~ん。あんま覚えてないけどなぁ。って僕もメリーさんとおんなじ様な答えになっちゃうねw」
ティロリーン
『あはは (。>∀<。)
友さんとは古くからお知り
合いなんですか? 』
男「うん。家も近いしずっと一緒。一緒に撮ったアルバムもたくさんあるよ。見る?」
ティロリーン
『見せてください! 』
男「えっと……。これこれ!……ほら。友の奴、いつも爆笑してんだよなぁw」
ティロリーン
『本当ですね (〃゚艸゚)
あれ?この写真変なの写っ
てません?肩のトコ。
あ、こっちの写真も… 』
男「ちょっw怖い事いわないでよwww――。」
…… ……
ティロリーン
男「う、う~ん……。」
…… ……
ティロリーン
男「ん、んぁ……。」
…… ……
ティロリーン
男「…… ……。」
ティロリーン ティロリーン ティロリーン
ティロリーン ティロリーン
ティロリーン ティロリーン ティロリーン
男「――うおっっっ!!!」
『私メリーさん。
おはようございます!
(´・∀・)ノ 』
『そろそろ起きて~!
朝ですよ~ (*´・з・`) 』
『こら~!
起きないと遅刻しちゃいま
すよ!! 』
『お 』
『 き 』
『 て 』
『 く 』
『 だ 』
『 さ 』
『 い 』
『 (#`Д´)』
男「!!!やっべぇもうこんな時間だ!」
ティロリーン
『私は何回も起こしました!』
バタバタ
テレビ「次のニュースは連日○○市周辺で起きている通り魔事件の――」
母「あらあら。男、おにぎりくらい食べてきなさい。お昼食べれないかもしれないし。」
男「いや、学校は昼休みあるから……。いただきます。……ごちそうさま!」
妹「……行ってきます。」
男「おい!待てよ!お前いつもなら起こしてくれるのに!!!」
ティロリーン
妹「……。」
男「おい!待てよ!!」
母「こら男!『行ってきます』は?」
男「あぁ!もう!行ってきます!!!」
ガタンゴトン
男「あぁ……これは間に合うかぁ?……そういやメリーさんがなんか言ったっけ?」
『いつもは妹さんに起こして
もらってるんですか?
(〃゚艸゚) 』
(ポチポチ)『…恥ずかしながら。寝すぎると悪いものが集まるとか言ってたかな?よくわかんないけど。』
ブブブ ブブブ
『うらやましいです。
いや、うらめしい…か
な? (・ω・) 』
(ポチポチ)『やめてwまぁココんとこ機嫌悪いみたいだけど、ありがたい話だよ。』
『いいなぁ。
私にもそんな家族があった
のかなぁ… 』
男「……」
(ポチポチ)『僕で良かったら…なんて。』
ブブブ ブブブ
『え? (。-д-。)
そんな意味で言ったんじゃ
ないですけど。 』
(ポチポチ)『…おうふ!お恥ずかしいw』
ブブブ ブブブ
『冗談ですって。
(。>∀<。)
ありがとう。 』
男「ふぅ……ギリギリ間に合った……。」
女「お疲れさまw」
友「わはははwww男~。今w日wもw元w気w良wいwなwww彼女と遅くまで話してて寝坊か?wwwwww」
男「うるせぇ!だいたい彼女はいねぇし遅刻でもねぇよ!」
ティロリーン
『友さん良いカンしてますね
~ (* ̄∀ ̄) 』
友「ほらまた来たぞ~!www」
女「彼女じゃないなんて言うから怒ったんじゃない?w」
男「あ~もう。うるせえ全部うるせえ!!!w」
教育実習「はい次、問3は~、棒線2とあるが~、こう記した筆者の考えは――」
男「はぁ~……。」
(カキカキ)『メリーさんみてるー?』
…… ……
『見てますよー?
|ョω・) 』
(カキカキ)『メアド覚えたからいつでも送れるかもって言ってたけど できたのかな?』
…… ……
『そういえば試してませんで
したね。
どうなんでしょう? 』
(カキカキ)『じゃあ今ためしてみてよ とりあえず校内まわりながらメールしてみて!』
『私メリーさん、いま教室の
前にいるの 』
…… ……
『私メリーさん、いま2階ト
イレ前にいるの 』
…… ……
『私メリーさん、階段を上っ
てるの 』
…… ……
『私メリー、3階に着いたの』
…… ……
『私メリー屋上に付いたの。
前ならもう送れないはずで
すけど…どうでしょう? 』
『私メリーさん、あなたの後
ろにいるの。 (。・∀・。)ノ
どうでした? 』
(カキカキ)『おかえりw ジッケン大成功 全部とどいたよ』
…… ……
『やった!
どこでもメリーさん完成で
す v(`ゝω・´) 』
(カキカキ)『www なにそのマスコットほしいw』
…… ……
『あぁアレは尾行して道を覚
えて、近づいてるフリして
るだけだと思います。
本当はずっと近くにいるは
ずですよ (´・ω・`) 』
(カキカキ)『ガンバって道おぼえてるって想像するとなんかカワイイねw』
…… ……
『正体を知ればそんなもので
すよ。
幽霊の正体見たり枯れ尾花
ってことです。
(´ー`) 』
(カキカキ)『いやいやホントの幽霊に言われましてもw』
女「……。」
男「ふぃ~。さぁメシだメシだ!友~今日はどうする?」
友「あぁ、悪い。今日は部活で外せないんだ。」
男「部活って陸上部?昼錬なんてあったんだ?」
友「いや今日はそっちじゃなくて。ちょっと急がないと。スマン!」
男「おぅ。……さてどうしよう。」
ティロリーン
『良かったら屋上で食べませ
んか? 』
男「……。よし、じゃあ購買でなんか買って屋上行くか。」
女「……」
ティロリーン
『食堂プリン!? (*゚д゚*)』
男「月に一回学食でプリンサービスになるんだ。食堂のオバチャン手作りらしくてすげぇ旨いの。」
ティロリーン
『邪魔しちゃいました? 』
男「いやいやおかげで屋上独り占めだしwここ景色良いから好きなんだよね。」
ティロリーン
『はい。わたしもさっきそう
思って。
天気がよくて飛んでいけそ
うだなぁ (。・Д・。)
なんて。 』
男「あれ?普通に飛べるんじゃないの?」
ティロリーン
『…そう、ですね。
幽霊になってから普通に飛
んでるのに。
……なんでだろ? 』
…… ……
男「あれ?ほんとに飛んでっちゃった!?」
ティロリーン
『いえ…。
私、思い出しました。
小さいとき、鳥になって飛
べたら良いのになって
そう思ったんです。
夢だったんです…。 』
男「僕も小さいときには良くそんなこと思ってたなぁ。正義のヒーローになって――」
女「男くん……ちょっと、良い?」
男「お、女さん!?」
男「え、それってもしかして――」
女「(コクリ)」
男「わ、分かった。…ち、ちょ、ちょっと待って」
(ポチポチ)『メリーさんゴメン。大事な話だから電源切らせて!!!』
プツ
女「……よく、メールしてるよね。最近。えっと、相手は彼女じゃないんだったよね……。」
男「え、え~と。うん。そうだね。まぁ……あの――」
女「メールの相手……もしかして、幽霊?」
女「え、ホントに?」
男「えっ!『え、ホントに?』って、…えっ?」
女「いやいやwカマかけてみただけなんだけど。やっぱり私、霊感あるみたい。」
男「いや霊感って……」
女「冗談。で、本当は授業中に男君のノート見ちゃったの。ノートに書くだけでメールが返ってくるみたいだからおかしいなって。
……ホントに相手は幽霊なの?」
男「……えっと。どう説明したものか。……メリーさん、電源切ってゴメンなさい。今電源入れますんで。」
ティロリーン
『私メリーさん、今男さんの
後ろにいるの。
ていうか電源切るとか無視
とか本当やめて下さいって
言ったじゃないですか。な
にデレデレしてたんですか
もう!告白されるとか思っ
てたんですか!そうですか
。それで邪魔者扱いですか
!?うわ~ん!!!!
・゚・(ノДヽ)・゚・ 』
男「ホント、すいませんでした……という事なんだけど。」
女「……えっと、いやいや。コレ本当に幽霊のメール?w」
~♪~♪
『申し遅れました。メリーで
す。
男さんの後ろにいるのです
が…
|ω・`) 』
男「僕、女さんのアドレス知らないよね。イタズラじゃないってことは分かったでしょ?」
女「そういえば、まだ教えてなかったもんね……」
男「だからアドレス交換してほしいんだけど。」
ティロリーン
『…結局私をダシにしてアド
レス聞くんですね。
ふ~ん… (#^ω^) 』
男「あ、うん。ゴメン……なさい。」
~♪~♪
『心の送信ボタンです!
v(`ゝω・´) 』
女「なんでメールでメリーさん?w」
男「あぁ、もぅ!そのやり取りはもうやったの!説明すると長くなるんだけど――」
―― ――
女「ふ~ん。なるほど。そういうことなら友君に相談すれば良いのに。」
男「え?なんで友になんか?」
女「だって友君。オカルト研究部でしょ?」
男「え?……えっ!?」
『あれ?男さんは陸上部だっ
て思ってましたけど? 』
女「うちの陸部は緩いから。文化部となら兼部オッケーなの」
男「ていうか友からオカルトなんて聞いたことないけど……?」
女「ホント!?私には陸部でロードワークの時とかイロイロ話してくれたけど?」
男「つーかウチにオカ研なんてもんがあったことも初めて知ったよ!?」
女「まぁ部員一人だけだしね。でもその手の人たちには結構な有名人なんだって。」
男「結構付き合い長いはずなのに全然知らなかった……。」
『そういえばさっきも忙しい
とか言ってましたね。 』
女「……確か理科実験室が部室だっていってたけど。」
男「実験室って勝手に使っていいもんなの?器材とか薬品あるだろうし」
女「友君は化学や物理の先生から信頼厚いから。」
男「えっ?!アイツ理系得意だったの?同類だと思ってたのに……」
女「理系というかオカルトに関わることならなんでも。
一見オカルトに見えても科学的に解明できるものも沢山あるから物理学とか心理学の知識が必要なんだって。」
~♪~♪
『幽霊には不便な世の中にな
りました… (;ω;) 』
女「そのイメージ怖いよw
でも、陸部にいるのもオカルトの為なんだって。なんでも『オカルトは足で稼ぐもんだ』とか、口癖みたいに言ってるよ。」
男「全然聞いたことないや。実は嫌われてんのかな、僕……。」
女「そんなことないと思うよ。私といるときは男くんの話ばっかり。『あいつホントは奇跡的にすごいやつだ!』とか。」
男「なにその謎の信頼?むしろ怖いわ。」
ティロリーン
『男同士の友情ってやつです
ねぇ。
素敵です! (p*゚w゚*q) 』
女「今日も何かやってたみたいだよね?」
男「うん。忙しいっていってたけどあいつだし、良いでしょ。理科実験室だっけ?行こう。」
ティロリーン
『お二人とも、ありがとうご
ざいます。 』
女「……?」
男「あ、『ありがとう』って。」
女「私はなんにもしてないけどね。」
『私に気づいてくれただけで
も嬉しいです。 』
男「……?」
女「『気づいただけでも嬉しい』って。」
男「あぁ……。」
二人「……」
ティロリーン
『どうしたんですか? 』
男「……女さん。たぶん同じ事思ってるよね……?」
女「うん。メリーさんには悪いけど――」
二人「この伝言システムめんどくさいっ!!!」
男「うお!理解はえぇな!」
友「霊現象ってのは結構一般的なんだよw人がいる数だけ霊に変わる可能性があるんだしwww」
男「少なくとも俺は身近に起こるなんて思いもしなかったよ。」
友「今まで気づかなかっただけでお前の周りにはたくさんのオカルトがあふれてるんだよwww
大体、男があんなに頻繁にメールするなんておかしいと思ってたんだwwwwwww 」
女「あからさまにニヤニヤしてたしねw」
男「そ、そんなことないって……!」
スチャ
男「お。お前メガネなんてしてたんだ?」
友「オカルト関係のときだけですよ。伊達ではあるんですがね。
迷信には迷信を。源かつぎのようなものです。」
ティロリーン
男「 」
女「キャラが変わってるっ!!」
『 』
ティロリーン
~♪~♪
you got mail!
『これでいいですか? 』
男「お!」
女「これ、もしかして?」
友「えぇ。メールリストを作りました。メリーさん、これからみんなに連絡するときは利用してください。」
ティロリーン
~♪~♪
you got mail!
『よろしくお願いします! 』
やはりメリーさんは未練があるため霊化能力を得たというのが有力だと思います。
未練を解消することにより成仏できると考えるのが妥当でしょう。」
男「でも、メリーさんはよく覚えてないって。」
友「死後のショックなどで記憶があいまいになるという事例も過去にありますので特別なことではないでしょう。
何かに取りついて霊化したのではなく浮遊霊となったことからもほぼ間違いないと思います。」
you got mail!
『では私の未練はどうすれば
思い出せるのでしょうか? 』
友「思い出すためには情報を集めるしかありませんね。
まぁ、心当たりがなくはないのですが……。」
友「いえ、慎重にならざるおえないのですよ。
メリーさんにとっては自分の死因に触れることになるのです。精神的衝撃により暴走した場合には悪霊化する……
なんてこともあるかも知れません。」
you got mail!
『大丈夫です!
覚悟はできてます! 』
友「強い人ですね……。分かりました。では。
……最近このあたりである事件が起こっているのは知っていますか?」
女「もしかして、連続通り魔事件?女子高生ばっかり襲われてるっていう?」
友「えぇ。さすが女さんです。私が今日ちょうど調べていた事件ではあるんですが……。」
男「それは僕も調べたよ。でも、事件が起こったときメリーさんはもう霊になってたんだ。無関係だよ。」
友「それはどうでしょうか?」
男「いや、遅刻しそうだったから見れなかったんだけど。」
女「また昨日被害が出たってやつでしょ、今回は軽傷で済んだみたいだけど。」
友「そうです。この事件はおかしいのです。普通じゃない。」
男「そりゃ通り魔なんて普通じゃないだろ。」
友「『普通の通り魔』ではないんです。通常の連続通り魔というのは被害がだんだん大きくなっていくものなんです。
最初はスリルを求めて犯行に及ぶ、そしてだんだん強い刺激を求めるようになっていく。
まずは犬猫を襲う。次は人間を傷つける。そして殺人。というように……。」
男「ところが、今回はどんどん被害が軽くなってる……のか。」
友「えぇ。ですから、もしかして通り魔として発覚する前にもっと大きな犯罪をしていたのかもしれないと。」
男「考えすぎ……じゃないのか?」
友「そうであってほしいです。が、その可能性もありえるのではという話です。」
男「……つかなんで犯罪についてそんな詳しいんだよ。」
友「一見するとただの事件と思えるものも、意外なところでオカルトにつながることがあるのですよ。
今回も私はこの事件に、別の解釈を疑っています。」
男「別の解釈?」
友「……霊による介入がある。と。」
男「っ!……まさか。」
友「まぁこれこそ考えすぎかもしれませんが、犯人そのものが霊だという可能性もなきにしもあらず。」
『でも幽霊には一つしか
能力はないはずです。』
女「この通り魔は被害者が目撃もしてるし、やっぱり霊じゃないんじゃない?」
友「その能力について少し引っかかるものがあるのですが……。
でも、強い恨みを持ったものは悪霊となって強力な能力を持つということも言われていますし、ゼロではないかと。
……もちろん我々で犯人を突き止めようなんていうのは無理な話です。
ですが、事件が発覚した隣町を調べることでメリーさんの手がかりはつかめるかも知れません。」
男「隣町……か。」
友「私は明日から土日をつかって隣町を調べるつもりでしたがどうでしょう?一緒に行きませんか?」
ティロリーン
『…はい。平気です。
今は、まだ…。
でも、少しでも自分のこと
が分かるなら……
がんばります!
私は真実を知りたい。 』
男「……よし。行こう!」
ティロリーン
『…はい! 』
友「どのみち人手は必要ですし。私もそれまでに最低限の手回しはしておきます。」
男「よし、じゃあ明日また集合ってことで。」
女「がんばろー!!」
ティロリーン
~♪~♪
you got mail!
『ありがとうございます。
(`・д・´) 』
友「さてと。そろそろ昼休みも終わりますし、詳細は追って連絡しますので。
今回はお開きにしましょう。お疲れ様でした――。」
スチャ
友「――つーか昼メシ食い忘れたwwwめっちゃw腹w減wっwてwいwるwwwwww」
ティロリーン
男「 」
女「何その変身システムっ!?」
『 』
友「男さん!こっちです、通り過ぎないでください!」
男「うぉ!今日はもう眼鏡モードだったのか!?」
you got mail!
『そのモードだと雰囲気違い
すぎて分かりませんね
(;´∀`) 』
友「土日は基本的にこうなんですがねぇ……。」
チリンチリン
女「みんなお待たせ~」
男「あれ?女さん自転車で来たんだ?」
女「だってこの町のいろんなとこ調べるんでしょ?メリーさんはともかく歩きで調べるつもり!?」
友「オカルトは足で稼ぐものですから。」
男「ホントにその『足』って意味だったのっ!」
でも、女さんも陸上部だし実は『足』でも大丈夫だったんじゃない?w」
女「う~ん。でも、私やってるの高飛びだから。」
男「あ、そか種目があるんだっけ。」
you got mail!
『ちなみに友さんの種目は?』
友「もちろん私は長距離です。走り回る必要がありますから。」
女「しかも全国レベルの実力保持者。でもほとんど大会に出ないんだよねぇ……」
友「大会は休日開催ですからねぇ。優先はオカルト研究ですよ。」
ティロリーン
『せっかくの才能なのに… 』
友「ん?メリーさん何か言いました?」
you got mail!
『なんでもありませ~ん
(。-ε-。) 』
友「そのためにもう一人と待ち合わせしてるんですが。そろそろ……。」
婦人警官「ちょっと君たち!今日学校は!?」
男「っ!!い、いや。今日は土曜日でウチの学校は休みなんです!」
友「……なにベタなネタやってるんですか姉さん。」
男「そうそう、まさかこんなベタな婦警さんいるのかと、思わずパニクって……って、姉さん?えっ?姉さんっ!?」
you got mail!
『友さんのお姉さん警察官な
んですか!? Σ(゚Д゚ノ)ノ 』
婦警「ドモー。あねでーすwww」
男「ええぇぇぇええええええええええええええ~~~~~~~~!!!!!!!!!!」
女「私もコレは驚いた……。」
友「あれ、言ってませんでしたっけ?というか両親も警察官ですし代々警察一族ですよ?」
婦警「エリート家族でーすwww」
男「最近どんどん友の知らないとこが飛び出てくるな……。姉さんと歳がはなれてるとは聞いてたけど。」
婦警「離・れ・て・ま・せ・んっ!!そんなには。……ていうかアンタ言ってなかったの?コイツってば将来も警察確定コースなのよwww」
友「勝手に決めないでください。ヤですよ警察なんて。オカルトの存在を認めてくれないような仕事は……。」
婦警「そんなこと言って、こないだも迷宮入り寸前で『犯人は幽霊かも』なんていう事件がアンタの意見で解決したじゃないwww」
友「それは偽オカルトを許せなかっただけです!ただのトリックをオカルトのせいにしたから論破しただけです!」
ティロリーン
『せっかくの才能なのにっ!』
友「誰か何か言いました?」
you got mail!
『なんでもないですってば~
(。-ε-。) 』
婦警「はいはい。……でも~。いくら刑事課でも~、私担当じゃないし~。
だいたい部外者に話せる事ないし~。ニュースでも言ってることくらいしか教えられないし~。」
友「それでいいです、早く。」
婦警「もぅ。怒んないでよ。はいコレ。
この地図に現場の詳しい場所と簡単な状況だけ書いといたから。コレくらいができる限界。」
友「分かりました。ありがとう。」
婦警「でも、気をつけなさいね。……父さんも心配してたよ。『友の意見は参考になるけど本職になってからにして欲しい』ってwww」
友「……まぁ、考えておきます。」
婦警「うん。ま、私的にはやりたい様にやんなさい!って感じだしwwwケガだけすんなwwwじゃ、仕事もどるwwwwww」
――
ティロリーン
『強烈な人でしたね…
(´・ω・`) 』
男「うん。なんか、『友の完成系』を見た気がする……。」
男「この地図の印んとこで事件が起きたのか……。」
友「はい。ですからこの現場に直接行ってみましょう。メリーさんが何か思い出すかも知れません。」
男「メリーさん……いいね?」
ティロリーン
『はい。行きましょう! 』
女「……でも、けっこう距離あるね。やっぱ自転車で来て正解だったw」
男「うわぁ、時間もそんなないし走ることになりそうだな……しまった。」
友「そんなことないと思いますよ……。」
男「ん、どゆこと?」
友「まぁ行ってみれば分かります。」
この……隣、町……って……。坂……おおい……のね……。はぁはぁ。」
――
友「さぁて、ここが第一現場ですね。」
男「最初の事件……亡くなったんだよね。その、女子高生が。」
友「えぇ、姉さんのメモにもかなり出血があったと書いてありますね。さすがにもう綺麗に掃除されてますけど。」
男「なんか信じられないな、こんな普通の場所で殺人があったなんて……。」
友「普段は気にしないだけで日常のすぐ近くで事件はおこってるんですよ。悲しいことですが。この世で死んだ人の全くいない土地はないでしょう……。」
男「……うん。……メリーさん、大丈夫?」
ティロリーン
~♪~♪
you got mail!
『平気です。
…お花、そなえませんか?
もし、その子が見ていたら
。
やっぱり…。 』
男「……うん。そうしよう。」
そうだと思って、さっき買ってきたよ。なのにみんなドンドン先のぼって行っちゃうんだもん。」
男「あ、ごめんwでも、さすが女さん。ありがとう。」
女「うん。そういうのは、大事にしたいし……。」
―― ――
友「さて、ところでメリーさん。何かおもいだしたこと、感じたことはありませんか?」
ティロリーン
~♪~♪
you got mail!
『うーん、何も。
この町並も見たことあるよ
うなないような… 』
男「まぁ、このときはもう幽霊になってたし直接関係はないはずだしね。」
友「それでも何かの刺激にはなるかもしれません。気づいたことがあったらなんでも行ってください。」
you got mail!
『はい (。・Д・。)ゞ 』
男「じゃあ、次いってみようか。」
女「また、坂登るの……。」
友「――収穫なしですか……。」
you got mail!
『ごめんなさい。何にも思い
出せません…
(´・ω・`) 』
友「私の思い過ごしでしょうか……。しかし、やはり現場に来るとおかしい。」
男「なにが?さっきと同じふつうの住宅街って感じだけど。」
友「正確には『さっきより奥まった』住宅街です。……人目につきにくいと言ってもいい。」
男「隠れて犯行しようとしたんじゃないか?」
友「先ほどの現場は大きな往来の真ん中だったのにもかかわらず?
なぜ急に二度目の犯行では隠れようとしたのでしょう。」
男「慎重になったって事……かな?」
友「はい。にもかかわらず二人目の被害者は重症。慎重になったはずなのに被害は軽くなっている。」
男「結局そこが問題か。」
友「……次の現場にも言ってみましょうか。」
友「女さん、大丈夫ですか?ちょっと休みましょうか?」
女「だ、大丈夫。
だけど、ちょっと、さっきそこにあった公園に自転車止めてくる。どうせ帰りにまたこっちくるでしょ?」
男「そうだけど、代わりにとめてこようか?」
女「それ、もっと早く言って欲しかった……。よし!平気、行ってくる――」
友「……しかしここまでメリーさんについて何も得られなかったのは誤算でした。」
you got mail!
『見覚えのないものばかりな
んですよねぇ (´・ε・`) 』
男「だから、起こった事件は調べたって言ったじゃん。ね。」
男「僕もこの辺きたことなかったし、そもそも出会ったのもウチの近くだったんだよ?」
友「メリーさん、その前は『風に流されているような』感覚だったんですよね?」
you got mail!
『はい、意識がないままフワ
フワと… 』
友「幽霊とは感覚の塊ですから、『そう感じた』というのはほぼ確実に真理なんです。
つまりメリーさんは本当に風に流された。」
男「ウチの風上は高台になってるこの辺ってことか。」
友「そういうことです。」
男「お前そんないろいろ考えてたんだ……」
友「物事の真実は多角的に見ないと分からないものですから。通り魔=幽霊説も誰より私自身が否定的ですよ。」
男「その割にはオカルト全般は信じてるんだなw」
徹底的に否定しきった結果が常識とはかけ離れていても、それはもっとも真実に近い。そう思っているのです。」
you got mail!
『その言葉、どこかで聞いた
ような…? (。・Д・。) 』
友「おや、そういえばメリーさんは読書がお好きなんでしたっけ。少しアレンジしていますが元は――」
男「友っ!あぶねぇ!!!」
友「おっと。」
キィーーーーーーーーブロロロロ…
男「友、大丈夫か!?何だあの車!狭い道であぶねぇな。」
友「ありがとうございます、男さん。……何でしょう。あの運転手――」
女「きゃあ!っ!!――。」
男「!!今の声、女さん!?向こうかっ!!」
~♪~♪
男「!今の着信音は……これだ!女さんのケータイ――。」
『落としたみたいです! 』
男「このケータイの近くにある赤いのって……。」
友「血痕……まさかさっきの車!でも、どうして車で――いや、それより今は!!」
男「な、んで……。」
友「考えてる暇はありません!男さん地図をどうぞ!捜してくださいっ!
私は姉さんに連絡します!今ならまだ『隣駅』近くにいるはずです、後で合流しますから!」
男「わ、わかった!」
友「メリーさん!あなたが頼りです!では、急いでください!――」
男「おうっ!」
ティロリーン
『友さんの言った私が頼りっ
てどういうことでしょう?
ケータイは落としててココ
にあるわけですし 』
男「わかんないよ!とにかく捜さないと!」
ティロリーン
『でも、闇雲に捜しても! 』
男「どこだ!どこだっ!どこだっ!!」
ティロリーン
『落ち着いてください!
車で移動してるんですよね
!
だったらこの辺にある狭い
路地は通れないはずだから』
男「――車、路地……大きい道の――」
通り魔「なんなんだ!なんなんだよぉおおおおおおお!!!」
女「んんーーー!!んんんんーーーーーーーーっ!!」
通り魔「うるせえっ!!黙れ!!どいつもこいつも!!うるせえ!うるせえ!うるせえぇええええ!!」
女「っ!……。」
通り魔「よ、よし!ここなら……おいっ!降りろ!来い!!暴れるな!!!いいな!!!」
女「……。(コクリ)」
通り魔「この中に入れ!!!」
女「んんっ!……んっ。」
通り魔「いいな!来るな!!来るなよっ!!!お前もおとなしくしろ!いいな!!!」
女「……。」
通り魔「来るな、来るな!!どいつもこいつも邪魔ばかりしやがって!!!!くそお!!!!」
女「……。(この人、何を言って?)」
通り魔「……やっと!やっと静かになったか!……これで――」
女「っ!……んん!んんん!!!」
通り魔「――これでゆっくり女の腹が開ける!!!!!!」
女「んんんーーーーーーーー!!!!!!!」
男「車で通れるような道なんていくらでもあるし……。」
ティロリーン
『男さん、地図を!
連れ去ったってことはどこ
かで必ず降りるはずです。
隠れられるような場所に 』
男「あぁ!どうしてっ!落ち着け!落ち着け。――通り沿いで……隠れられる
――そうだメリーさん!このあたりに聖域はっ!?」
…… ……
男「メリーさん?……メリーさんっ!?」
女「んーーーーーーーー!!!ぷはっ!!いや、いやぁあああああああ!!!」
通り魔「やっぱり、悲鳴ってのは良いよなぁ。やっときけたよ……。」
女「たすけ……。男、く……ん。」
通り魔「大丈夫。やつらが来る前に終わらせ――っ!!!!……なんで、お前ら!!!どうして!!!!!!!!」
女「!!……っ?……な、なに?」
通り魔「どうやってここに入ったんだっ!!!!」
女「誰?……のこと?」
通り魔「やめろぉおお!!いやだっ!いやだぁあああ!
く、……『来るなぁあ嗚呼ぁああああああ゙あ゙ぁあああああああああ』」
男「メリーさん!メリーさんどうしたの!?返事して!!」
……ティロリーン
男「メリーさんっ!」
『私メリー
男さん、いま駅の反対側に
います!
巨大な聖域ができて、ここ
まで押し出されました!
今私がいる所と男さんの場
所の延長線に誰かが隠れて
ます!! 』
男「――地図で駅とココの延長線上にあるのは……廃校か!?」
なぜだ、入ってこれないんじゃないのか!!!なんなんだ!!!!!」
女「……!」
男「――女さんっ!!!」
女「男君!!」
通り魔「うわぁあああ!!!!!うわああああああああああああああああああああ!!!!!!」
男「あいつ、何やってるんだ!?」
女「わからない。何か来たとか。突然、暴れだして……。」
男「とにかく逃げよう!今、手足をほどくから――」
女「男君!後ろっ!!!」
通り魔「邪魔すんなぁあ嗚呼ああ!!!!!」
男「っ!!――!」
女「いやぁあああ男君!!男君っ!!!!!!」
通り魔「くそぉおおおおお!!!!!くそぉおおおおお゙お゙お゙お゙!」
男「だ、だいじょう……ぶ。」
女「だって!お腹……血が。な、ナイフで……!!!」
女「え……何?」
男「あの、おんな……の子。あぶな、い……。」
女「男君!?どうしたの!?」
???「……あなた、私が見えるの?」
男「君、は……?」
???「そう、あなたコッチに近いのね……。」
女「しっかりして!男君!いや、男君っ!!!」
???「でも、私は見えないはずなのに。
私の能力は『この殺人狂に、わたし以外の霊を見せる』こと。ふふっ……この世で死人の出てない土地なんてないものね。」
男「……何、を……言って?」
???「 オ マ エ ガ シ ヌ マ デ ユ ル サ ナ イ 」
通り魔「うあわぁああ―――――――――――――――――――――――」
女「男くん!!!だめっ!!」
友「――女さん!!男ぉ!!!!」
婦警「お前!!動くな!!!」
通り魔「あ、ああああ、ぁあっあっ、あっ……ぁ――。」
女「友君!男君がっ!男君が!!!」
男「……あ、れ?……友?……へへっ、めが……ね、はずし……――」
友「男!おいっ!男ぉお!!!!」
女「いやぁああああああああああああぁあああああああああああ」
ティロリーン
</font>
男「――あ、れ?ここは……?」
女「……男君?目がさめたの!?……ここは病院だよ。」
男「病院……。俺、確か……通り魔に刺されて?」
女「うん。そのまま気を失って近くの病院に運ばれたの。今は日曜日の朝。……かすり傷。だって。」
男「そっか、かすり傷……え?かすり傷っ!?」
女「うんwせいぜい絆創膏で良いくらい。先生が何で気絶したのかわかんないレベルだってw」
男「あれれ?だって、血とかいっぱい。」
女「血は犯人の。そもそも私が車に押し込まれたときからあの人怪我してたんだよね。
その後暴れだした時にも出血したみたい。」
男「それに、変な女の子とか見えて……そうだ!メリーさんは!?」
女「たぶん、ここにいる。ハイこれ。」
男「俺のケータイ……。」
女「いちお、病院内だから電源は切ってあるよ。屋上でなら電源入れていいって。あとで確認してあげてね。」
女「今は警察で事情聴取受けてる。友君だからメリーさんのことはうまくごまかしてくれると思う。
犯人は錯乱してるみたいだから刑事責任がどうとかって言ってたけど。」
男「そっか。……まぁ、あの様子なら。どうなっても一緒だな……。」
女「?……あ!そうそう。退院は今日にでもできるけど。お母さんが心配してたから連絡してあげてね。」
男「あぁ、そうだね――とかいう話をすると……ほら。」
女「ん?」
母「あら、男気づいたのね!それに女ちゃん、今日も来てくれたの!?
アンタ感謝しなさいね、女ちゃん昨日も付きっ切りで心配してくれたんだから。かすり傷なのに。」
女「い、いえ。私のせいで怪我させちゃったことには変わりないですし……。」
男「そっか!ありがとう女さん。」
女「べ、別に私は……。もう、帰るし……。」
男「ありがとう。」
女「……うん。じゃ、……またね。」
男「わかった。……でもその前にちょっと外の空気吸ってくる。屋上行ってから出るよ。」
母「じゃあ母さんはそのまま帰っちゃうから。……そうそう、男。」
男「ん?なに?」
母「もしこの先、一人で抱えきれないようなことが起きたら何でも言ってね。母さん、これでも結構頼りになるんだから!」
男「もう変なことには首突っ込まないよ。まぁ、わかった。心配させてごめんね。」
母「はいは~い。じゃ、おうちで待ってるわ。」
男「うん。」
(ポチポチ)
『着信メール 1289件』
男「怖えぇっ!」
ティロリーン
『ごめんなさい… (*ノД`)
心配で、つい。 』
男「それにしても多くない?w」
ティロリーン
『だ、だって私にとってはも
うメールするのが当たり前
の表現手段で。
ふつうに話しかける感覚で
送るようになっちゃったん
だもん…
ていうかそもそも気を失う
ようなことにならなきゃこ
んなに話しかけてあげませ
んもん! (( ̄ ^  ̄ ) 』
男「ごめんw心配かけたね。」
『まったくです!
何でかすり傷で気絶しちゃ
うんですか (*´・з・`) 』
男「面目ない……。でもさ、気を失う直前にいた女の子ってもしかして?」
ティロリーン
『何のことです?
私は友さんに連絡をしてそ
のまま一緒に廃校に行った
ので、そのときのこと知ら
ないんです。 』
男「その時も何も気づかなかった?」
ティロリーン
『はい。さっぱり。
でも、その…。
思い出したことなら…
』
ティロリーン
『はい。
私…
私、この場所を知ってます
。 』
男「ここ!?確か『隣町病院』だよね!!」
ティロリーン
『はい。今見えている景色も
見たことがあります。 』
男「そっか!やっぱ友の言ってた事はあってたんだ。メリーさんは隣町に住んでたんだよ!」
ティロリーン
『この風景
とてもよく知ってるんです
… 』
……でも、なんで昨日町を歩いたときは何も思い出さなかったんだろう?」
ティロリーン
『そうだ!
じゃあ今日はもっと普通に
町を歩いてみましょうよ!
ほら、きっと!
きっと事件の捜査してたか
ら見え方が変わって… 』
男「……そうだね!今日は天気もいいし、このままどっか、普通に遊びに行くようなところに行ってみようよ!」
ティロリーン
『…うん。
ありがとう。 』
ティロリーン
『そうです…ね。
この辺にあるのは、確か…
繁華街、とか?
なんか、人が集まりそうな
…? 』
男「よし!決定!なんか楽しくなってきたw」
ティロリーン
『私も。…です。 』
ティロリーン
『な、なんか想像以上に賑や
かですね…。
こんな感じなんだ… 』
男「……メリーさんも始めて?」
ティロリーン
『い、いえ!
あ、ほらあれ!
m9(*゚д゚*)
こういうトコきたら定番じ
ゃないですか? 』
男「いや指差されてもwどれのこと?」
ティロリーン
『クレープ~!
美味しそう (*゚¬゚*) 』
男「お、いいじゃん!?メリーさんはここでちょっと待ってて。」
ティロリーン
『え!?あ、いや。待ってま
すけど… 』
ティロリーン
『いーえ。
て、ふたつも食べるんです
か? (;´д`) 』
男「いや、一個はメリーさんの。」
ティロリーン
『え!私…
だって…その。 』
男「だって、今日は『普通に』町歩くんでしょ?こういうのも大事じゃない?」
ティロリーン
『…そうですね。
うん!ありがとう
(*ノωノ) 』
男「最後には両方とも僕が食べることになりそうだけどね。それはまぁ、お供えも最後は食べるってことで……なんてw」
ティロリーン
『おいコラ。 (#^ω^)
…いいですけどぉ。 』
男「ごめんゴメンwwwじゃ、いただきます――。」
ティロリーン
『はーい!次
あそろ行きたいです!ゲー
ムセンター! 』
男「また、定番だねw」
ティロリーン
『いいじゃないですか~
私行ったことないんですも
ん。 』
男「僕、UFOキャッチャー得意だよ~。」
ティロリーン
『え、じゃあ腕前見せてくだ
さいよ~! (。>д<。) 』
男「まかせてw」
男「!!とと、さすが日曜。なかに中に入るとうるさいなw」
ティロリーン
『え?何か言いました? 』
男(う~ん。さすがに大声出すのは気が引けるし……そだ。)
(ポチポチ)『中はうるさいね。』
ティロリーン
『あぁ。ですね!
やっぱり、こういう時メー
ルって便利 (*゚∀゚) 』
(ポチポチ)『だねw』
ティロリーン
『あ、これブサかわいいです
(*゚д゚*)
「どぜうさん」?のぬいぐ
るみ。これがいい! 』
(ポチポチ)『あ、なつかしい。けっこう古いゲームのキャラだよ。
…箱入りか。うん。この位置なら!w』
男「……。」
――
男「ん?」
――
男「あれ?」
――
ティロリーン
『ダメジャン (〃゚艸゚) 』
(ポチポチ)『今日は調子悪いだけなんだ…。ホントに…。』
ティロリーン
『そんなときもありますよ。
入院してたんですし。 』
(ポチポチ)「かすり傷でね…w」
ティロリーン
『そうでしたっけ?
(ノω`*) 』
(ポチポチ)『なんか、もうチョイ簡単なのならできるはずだから。』
ティロリーン
『大丈夫ですって。
(ll-д-)
帰り道のお金もあるでしょ
? 』
(ポチポチ)『あと一回分なら何とかなる!ラストチャンスください!w』
『じゃあ…
このストラップはどうです
か? 』
(ポチポチ)『ミッチーラットのやつ?うん、これなら。…一発勝負!』
――
男「お!」
ティロリーン
『とれた!
すご~い!ホントに一回で
!
o(≧∇≦)o 』
(ポチポチ)『よかったぁ。腕前わかっていただけました?』
ティロリーン
『ちょっと格好良かったです
。 (。>∀<。) 』
ティロリーン
『うん。ありがとう!
では。
男さんにプレゼントです。』
(ポチポチ)『え、いいの?』
ティロリーン
『もともと私じゃつけられま
せんし。
それに、男さんのケータイ
って何もついてないじゃな
いですか、これだったら似
合うかと思って。 』
(ポチポチ)『もしかしてそのためにメイリーラットじゃなくてミッチーにしてくれた?』
ティロリーン
『ダメもとでしたけど
(>艸<) 』
(ポチポチ)『あれ~wじゃあ、つけておくね!』
財布はすっからかんだからお金かからないトコじゃないとダメだけどw」
ティロリーン
『う~ん。あとなにがあるの
かなぁ? 』
ゴーンゴーンゴーン・・・
男「ん、鐘の音?」
ティロリーン
『そういえば、この辺は教会
があるとか。
日曜はミサとかやってるら
しいですよ! 』
男「教会なんていったことないよ!行ってみよう!」
ティロリーン
『たぶん? 』
ガヤガヤ
男「っと。いっぱい人出てきたけど……ミサってのは終わっちゃったみたい。」
ティロリーン
『でも、一日開放って書いて
ありますね。 』
男「じゃ、入っちゃえw」
ティロリーン リーン リーン
『ステンドグラス、綺麗です
ね…。 』
男「わ、音響くwいちおうマナーにしとこう。」
ブブブ ブブブ
『はーい (* ̄∀ ̄)
でも、…私みたいなのが教
会なんて来てよかったんで
しょうか? 』
男「幽霊お断りとは書いてないよwそれに事情を知ったら神様だって許してくれるよ。」
ブブブ ブブブ
『神様、ですか。 』
男「うん。こういうところに来るとなんか身が引き締まるね……。」
男「……。」
ブブブ ブブブ
『……。
私、男さんに謝らないと。
こういう場所だから『懺悔
』っていうか…。 』
男「……どうしたの?」
ブブブ ブブブ
『私、男さんに嘘をついてい
る事があるんです…。 』
男「……そんなの気にしないけど?」
ブブブ ブブブ
『でも。
私のことで大切なことだか
ら…。
私…
私、すべてを思い出しまし
た。 』
ブブブ ブブブ
『本当は、病院で…全部。
全部思い出してたんです。』
男「……そっか。」
ブブブ ブブブ
『…ごめんなさい。 』
男「……やっぱりw」
ブブブ ブブブ
『え!?
…気づいてたんですか? 』
男「だって、メリーさん嘘つくの下手だもんw今日ずっと様子がおかしかったしね。」
『わかってて付き合ってくれ
たんですか…? 』
男「うん。だって、何かわけがあったんでしょ?……教えて。メリーさんの事。」
ブブブ ブブブ
『…はい。
私…
生きていたとき…
あの病院の中しか知らなか
ったんです。
あの病院で生まれ、あの病
院で育って。
そして、…あの病院で死に
ました。 』
『先天性の病気だったんで…
ずっと身体が弱くて。
生まれてから一度も退院し
たことがなかったんです。
だから、町のことが知りたく
て… 』
男「そっか。でも、それならそうって言ってくれたらよかったのに。」
ブブブ ブブブ
『でも、…これはワガママかな
って。 』
男「前に言ったよね?僕にできることなら協力するって。
メリーさんが成仏しちゃったら……悲しいけど。でも、メリーさんはこのままでいいなんて思ってないんでしょ?」
ブブブ ブブブ
『それは…。 』
男「メリーさん言ったじゃん。真実を知りたいって。そのためならがんばるって。……なら僕はそれを応援する。」
ブブブ ブブブ
『本当、…に? 』
男「もちろん。メリーさんとじゃなきゃできない体験たくさんできたしね。……メリーさんと会えてよかった。」
ブブブ ブブブ
『私も…。
最後にもうひとつ、
…ワガママを言ってもいい
ですか? 』
男「何でもきくよ!……お金のかからないことならw」
ブブブ ブブブ
『大丈夫。
最後に行きたいたい所があ
るんです。 』
ブブブ ブブブ
『あそこって坂をけっこう登
ったトコにありますよね。
あの公園、私が入院してた
病院の屋上から見えるんで
す。
あそこからなら、私がずっ
といた病院も、私がずっと
知りたかったこの町も、全
部見えると思うから…。 』
男「わかった。……でも今からあそこに行くと、けっこう時間かかっちゃうけど……間に合う、よね?」
ブブブ ブブブ
『それは、大丈夫です。
まだ…。
それはわかってます…。 』
男「そっか。でも、……急ごう――。」
――――
けど!……メリーさん!間に合ったよね!?」
ティロリーン
『私メリーさん。
ちゃんと、あなたの後ろに
いるよ。 』
男「……この公園、こんな高台にあったんだね。」
ティロリーン
『町明かりが綺麗ですね。 』
男「うん。キラキラしてる……。」
ティロリーン
『私の病院も、明かりがつい
てる。 』
男「うん。……見える。」
ティロリーン
『これで、私の見たいもの、
…全部。
見れちゃいましたね。 』
ティロリーン
『今日、楽しかったですね。』
男「……うん。」
ティロリーン
『クレープ食べて。ゲームセ
ンター行って。 』
男「……うん。」
ティロリーン
『教会なんて行っちゃって。
今なんか、星空と夜景が見
える公園にいますよ? 』
男「……。」
ティロリーン
『そろそろ…かな。
ちゃんと、言わなきゃ。
ね。 』
男「……。」
不安で不安でどうしようも
なくて
分からないないことがたく
さんあって
でも、やらなきゃいけない
こともたくさんあって
何とかしようとしても
人を傷つけちゃって
あきらめようとしたけど
最後の望みで思い付きを試
してみて。
はじめに何て送ったら良い
かわかんなくって
変にお堅い文章になっちゃ
って
男さんと出会って。 』
いてなくて
友さんは笑ってばっかで
女さんは優しくって
お母さんは変に鋭くって
妹さんは…
ちょっと変わってて?
でも、二人とも美人で
あったかい家族で
そだ、男さんは鍵付き引き
出しにエッチな本を隠して
るんですよね
妹さんに見つからないよう
にしてあげてね? 』
そうになったり
女さんに見つかって
結局私を使って女さんのメ
アド聞き出しましたよね?
実は友さんは凄くって
なんで眼鏡で変身するんで
すかね? 』
『そして
通り魔事件を調べて 』
れてましたね
もったいないなぁ
そして女さんが、大変なこ
とになって
あ、でも怪我はしてなかっ
たんですよね
代わりに男さんが怪我しま
したけど
女さんずっと手を握って心
配してたんですよ
ただのかすり傷なのにねぇ
ホント
いろいろありましたね。 』
すよ
明日からが普通になるんで
すよ
明日から朝のメールはなく
なります
妹さんが起こしてくれるん
でしょ?
だから
眠ると全部夢だと思うかも
しれませんね
きっと、そうです。
』
ティロリーン
『何か行ってくださいよ。 』
男「……。」
ティロリーン
『…ねぇ。 』
男「……。」
ティロリーン
『じゃあ、最後にとっておき
のこと教えてあげます。 』
男「……。」
ティロリーン
『私の未練。
この町を見ることじゃない
よ (。-ε-。) 』
男「……え?」
『男さん、勘違いしてたでし
ょ?
面白いから黙ってました。
(。>∀<。) 』
男「え?……じゃあ!――」
ティロリーン
『私の未練は「恋がしたい」
ってこと。
私の分も恋してくださいね
。
出会ったのが、貴方でよか
ったです。
ありがとう。
男さん、大好きですよ。
』
男「ふぁああ~。あぁ~よく寝た……。」
コンコン。
妹「お兄ちゃん?起きてるの?」
男「うん。今起きた……。」
ガチャ
妹「おはよう。――女さんがいちおう病み上がりだからって心配して迎えにきてくれてるよ。」
男「ん~。わかった。でもお前今日は起こしに来てくれたんだ?ここんとこなかったのに。」
妹「なんのこと?……変な夢でも見てたんじゃない?」
男「まぁ、いいや。じゃあすぐ支度する。」
妹「うん。」
ガチャリ。
男「――なんか、すごく長い夢でも見てた気がするな……。」
…… ……
全部夢……。
夢。……なんて、思えるはずないじゃないかっ!!
ずっと一緒にいたのに!
ずっと話してたのに!
……忘れられるわけないだろ!!!」
…… ……
何か言ってよ!何か答えてよ!……メリーさんっ――!!!
…… ……
……。そういえば、別れの言葉も言ってなかったっけ……。」
(ポチポチ)
『メリーさん、ありがとう。』
ケータイ、買い換えるかな……。
……もう、……いい、よね。
…………さようなら。メリーさん。」
ガチャリ
……バタン
ティロリーン……。
fin.
えらい読みづらいもんを読んでくれてありがとうございました。
Entry ⇒ 2012.03.15 | Category ⇒ その他 | Comments (0) | Trackbacks (0)
貴音「私の秘密が…ばれてしまいました…」
http://hayabusa.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1331133626/
律子「貴音に限ってまさか…ねぇ…」
やよい「うっうー!お揃いですー!」
春香「げ、元気出してください貴音さん!誰でもコンプレックスぐらいありますよ!」
響「そうだぞ!自分なんて逆に羨ましいもん!」
今、私は愛する仲間達に慰められています。どうしてこうなってしまったのでしょう?
そう、事の発端は皆で慰安旅行に来たということです。そして待望の天然温泉の浴場へ…
しかし、私は重大な事実を忘れておりました。私自身が…
亜美「あーっ!お姫ちん生えてなーい!」
真美「パイパンだよ!パイパン!」
そう…私が無毛症であることを…!
この空気…とても耐えられるものではありません…。何か行動を起こさなければ…
>>5
やよい「?」
しかしやよいは先程「お揃い」と言ったこともあり、つるつるのすべすべです
この場合は……
>>14
貴音「千早…お覚悟をっ!!」
千早「えっ?ちょっ、ちょっと四条さ…」
ブチッ
千早「んあーーーーーーっっ!!!!」
伊織「あ、アンタ…いきなり何やってるのよ!?」
千早の隣にいた伊織がこちらを睨みつけています。さて…
>>23
こうなれば、全員の陰毛を抜いてしまいましょう!まずは私の両隣にいる者へ…
ブチブチィッ
響「うぎゃーーーーーーっ!!!」
あずさ「きゃああああああっ!!」
響、あずさの両名の陰毛を引き抜いた私は、それをやよいの局部に備え付けました
貴音「やよい、あなたの局部にもやしのぷれぜんとです」
やよい「え、えっと…ありがとうございますー……」
何やら腑に落ちないようですね。まだ対象は残っていますが…
>>29
冷静になって辺りを見回してみると、目の焦点が合わずに痙攣している千早
股間を押さえて私を睨みつける響、下を向いてこらえるあずさの姿が目に入ってくるではありませんか…
私は、こう言うことにしました
貴音「>>35」
どれがいいですか?
そう、これは宣戦布告。冷静になったとて、もはや引き返せるものではありません
真「貴音!突然何を言い出すんだよ!?」
雪歩「お、落ち着いてくださいぃ…」
美希「そうなの!それに燃やしちゃったら大変なの!」
貴音「なるほど、それは一理ありますね」
…何を納得しているのですか、私は……
ここは>>40に>>44をすることに致しましょう
貴音「ふんっ!!」
ブスッ
真美「あっ、あれは…カカシ先生の大技・千年殺し!?」
亜美「それも二本だよ!二千年殺しだよ!!」
貴音「あ…あぁああ……っ!」
耐え難い痛覚と快感が、私を襲ってきます
やよい「あ、あのっ…大丈夫ですか?」
なんと…このような状況になっても、私を心配してくれるのですね…
健気なやよいを無視するわけにはいきません。私は溢れ出る脂汗を抑え込み、やよいにこう言いました
貴音「>>51」
私はなんという卑怯者なのでしょう…。あどけない少女に、このような卑猥な事をさせるなど…
やよい「わ、わかりました!貴音さんが楽になるのなら、私も頑張ろうかなーって」
モミモミ
小さなその手で、必死に私の胸を揉み始めるやよい。その力加減がほどよく…
貴音「はぁ…ん…くぅ…っ」
思わず嬌声が漏れてしまいました
伊織「なっ…なななな、なにやってるのよアンタたち!?この変態っ!!」
貴音「んっ…伊織、それは違います。私はやよいと>>56をしているのです」
伊織「そんなヨガがあるわけないでしょ!?ダルシムもびっくりよ!!」
やよい「貴音さんの胸…すごいです…」モミモミ
貴音「や、やよい…それ以上はっ…!」
お尻の方からも快感が…もう…限界です!
貴音「はやーーーーっ!!」
私は襲い来る快楽に身をくねらせ、とうとう液体を射出してしまいました
俗に言う「潮を吹く」というものでしょうか。このような感覚は、今までに経験がありません
貴音「はぁ…はぁ……」
ぐったりした私を皆が面妖なものを見る目で見ています。次の行動は…
>>62
そう、今までの出来事は全て夢だったのです。私は少し安心致しました
ですが、この手に毟った陰毛の感覚が抜けません…。何故でしょうか?
>>70
指定の安価から or 終了
やはり私は、確かに千早の陰毛を毟り取っていました
伊織が私を睨みつけています。さて…
>>76
ナデナデ
伊織「な、何するのよ!!ちょっと!千早の毛がおでこに当たってるじゃない!」
照れと拒絶。二つの意思が混ざり合った時、このような表情になるのですね…
千早「ん……あ……」
春香「千早ちゃん、大丈夫?しっかりして!」
……さて…
>>80
私は伊織のおでこに毛を押し当て、伊織ごと味わうことにしました
伊織「や、やめっ…ひぃっ…!お、おかしいわよアンタ!!」
千早の陰毛は、温泉の熱気による汗の味がしました。ほぼ伊織の味だとは思いますが…
千早「ん……は、春香…?」
春香「よかった!目を覚ましたんだね!」
どうやら千早は目を覚ましたようです。それはともあれ、私は…
>>87
貴音「発見!おいしそうな女の子 じゅるるん♪」
伊織「は、はぁ…?」
貴音「ああ…伊織…伊織……」クンカクンカ
伊織「嗅ぐなっ!」
貴音「はあぁぁぁあああんっ!!」ビクンビクン
伊織「本当に何なのよ!?どうなってるのよ!?」
やはり、おでこ系女子の香りは最高ですね…
次は>>92に>>96を致しましょう
この高揚感を、プロデューサーにも味わってもらいたい…
そう思った私は、プロデューサーの元へと走りました。全裸で
ガラッ
貴音「あなた様!!」
P「うおっ!?た、貴音?っておい!何で裸なんだ!?」
貴音「あなた様が知る由もありません。お覚悟を!!」
私は渾身のきん肉どらいばあを決め、三かうんとをとった後に浴場へと舞い戻りました
今度は>>101に>>105をしてみましょう
とはいえ、私も生娘。接吻などは全くの未経験でありますが、勇気を振り絞って雪歩に伝えました
貴音「雪歩、少しこちらへ」
雪歩「は、はいぃ……」
貴音「…私の初めてを、貰っていただけますか?」
雪歩「えっ?んっ…!?」
貴音「はむっ…じゅる…ちゅぱっ……」
そう、仏式の接吻とは、いわゆる「小鳥のきす」などではなく「でぃーぷきす」であるとのこと
美希から借りた雑誌の情報が、このような場面に役立つとは…
雪歩「四条…さんっ…ん…あぅ…れろっ…」
接吻が終わる頃、雪歩は快感に身を震わせておりました
雪歩「わ、私…四条さんと……えへへ…♪」
ふぅ…我ながら初めてにしては上出来だと思います
…しかし、そろそろ私も皆ものぼせてしまいそうです。これが最後の機会ですね…
>>117
しかし、いくら私がヤーネフェルトの者とはいえ、そのようなことは出来かねます
ですから、ここはこう致しましょう
貴音「雪歩」
雪歩「ひゃ、ひゃいぃっ!?」
貴音「私のらあめんになりなさい」
雪歩「えっ?あの…それはどういう…?」
貴音「そうですね…私の主食はらあめんです」
雪歩「はい。それは知ってますけど…」
貴音「つまり雪歩、あなたはらあめんのように、毎日私に食べられるべきだということです」
雪歩「えぇっ!?つ、つまりそれって…!」
貴音「率直に申しましょう。雪歩、私はあなたをお慕い申しております」
亜美「ひゅーっ!お姫ちんやるねー!」」
真美「この状況でまさかそうくるとは思わなかったよー!」
あずさ「あらあら、素敵よ~♪」
春香「な、765プロから女の子同士のカップルが誕生ですか!?」
やよい「はわっ!素敵です~!」
響「えへへっ、貴音ってやっぱりすごいね!いろんな意味で」
真「雪歩、良かったね!」
美希「あーあ、ミキも素敵な彼氏欲しいな~」
伊織「どういうことなの…」
律子「安心しなさい。私もわけがわからないわ…」
千早「私…どう考えても毟られ損よね…」
貴音「さあ雪歩、どうか答えをお聞かせください」
貴音「ありがとう、雪歩。今より私達は恋人同士です。そういう事ですから、皆…」
『おめでとーっ!!』
私達を包む祝福の声。これより私は、らあめんと共に雪歩を食していく毎日になるでしょう
束の間の休息で手に入れた愛しき人。私は雪歩と共に、どこまでも…
願わくば、この者と共に故郷へ
貴音「愛しています、雪歩」
雪歩「えへへ…私もですぅ♪」
了
P「あまりに意味不明な光景に頭がおかしくなりそうだったが、これは百合をテーマにしたデュオを売り出すチャンスかもしれない!」
P「ユニット名は『高嶺の雪』。安直だがこれでいこう」
P「よしっ!これで竜宮小町を追い抜いてやるぞ!!」
律子「何考えてるんですかあなたは…」
本当に終わり
出番が無かったアイドルのファンのみなさん、ごめんなさい
乙です
乙
Entry ⇒ 2012.03.15 | Category ⇒ アイマスSS | Comments (0) | Trackbacks (0)
ゆり「私、実は音無くんのこと好きなのよ?」音無「は?」
http://hayabusa.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1331220646/
音無「……誰が?」
ゆり「私が」
音無「……誰を?」
ゆり「あなたを」
音無「」
ゆり「……そんなに驚くことかしら?」
音無「あ、ああ、驚いたよ。……というか本気、なのか?」
ゆり「別にあなたにこんな嘘をつく必要がないでしょう?」
音無「まぁ、そりゃそうだけど……」
音無「あ、ああ……」
ゆり「……」
音無「……」
ゆり「……」
音無「……」
ゆり「……あと、たぶんあなたのことが好きなのは私だけじゃないわよ?」
音無「……え?」
音無「……マジで?」
ゆり「マジもマジ、大マジよ」
音無「……」
ゆり「私が言えるのはここまでよ。あとはその子達がどうするかだけど」
音無「……えっと、その、ゆり、お前は……」
ゆり「ああ、私はいいわよ。少なくとも今はね」
音無「……」
ゆり「ただ、その子達に負けるつもりはないわ。それだけはあなたも覚えておいて」
音無「あ、ああ……」
ゆり「それじゃあ、私の話はこれで終わりね。あとは好きにしていいわよ」
音無「あ、ああ、それじゃあ……」
音無(ゆりが俺の事を……?本気、だったのだろうか……?)
音無(しかも、他にも俺を好きな奴がいるって……)
音無(俺、まったく覚えがないんだけど……本当、なのか……?)
音無「うーん……」
かなで「……結弦?何してるの?」
音無「ああ、かなでか……」
かなで「どうしたの?何か悩み事?」
音無「ああ、ちょっと、な……」
音無「……あー、うーん……」
かなで「?……言いにくい事なの?」
音無「……言いにくいというか、なんというか……」
かなで「……私じゃ、力になれない?」
音無「あー、いや、そういうわけじゃないんだけどさ……」
かなで「?」
音無(かなでに相談しても大丈夫なんだろうか?あんまりこういう事を他人に言うのは良くない気がするけど……)
かなで「なに?」
音無「もし、かなでが突然知り合いに告白されたとしたら……どうする?」
かなで「告白?何の?」
音無「あー、要するに、好きって言われたらだよ」
かなで「……場所をわきまえてくれているのであれば、ちゃんと返事をするわ」
音無「……まぁ、そりゃそうだよな……(大山ェ……)」
音無「……まぁ、そうだと、思う……」
かなで「……」
音無「……かなで?」
かなで「……なに?」
音無「え?ああ、いや、黙ってどうしたのかなって思ってさ」
かなで「別に、なんでもないわ」
音無「そ、そうか。……それじゃあ、俺は行くよ。これはやっぱ俺が自分で解決しないといけないしさ」
かなで「どこに行くの?」
音無「いや、ちょっと頭冷やしたいから、適当にぶらつくだけだよ」
かなで「……そう」
音無「ああ、話し聞いてくれてありがとな。それじゃ」
かなで「……うん」
かなで(……なんだろう、この気持ち……少し、胸が痛いわ……)
音無(……とは言ったものの、どうすりゃいいんだ……)
音無(そりゃ、ゆりは良い奴だと思うし……可愛いと思うけど……)
音無(しかも、他にも俺を好きな奴がいるって言われてもな……)
音無「……どうすりゃいいんだよ……」
岩沢「……ん?記憶無し男じゃないか。ここで何してるんだ?」
音無「ああ、岩沢か。……まぁ、ちょっとな」
岩沢「なんだ、はっきりしない言い方だな。何かあったのか?」
音無「あったと言えばあったんだけど、さ……」
音無「!?……まぁ、そんなとこ、だよ」
岩沢「……え?」
音無「……だから今、正直困ってるんだよ」
岩沢「だ、誰に告白されたんだ?」
音無「……え?……ああ、いや、でもそれ言っていいものなのか……?」
岩沢「……そうだな。それは、良くない、か……」
俺得過ぎる
岩沢「……そうか」
音無「……参考までに聞くけど、岩沢は誰かに告白された事はあるか?」
岩沢「……いや、私はそういうのは……」
音無「そっか。まぁ、俺も初めてだったから、ちょっとよくわからなくてさ、ははは……」
岩沢「……」
音無「まぁ、とりあえず、向こうは待ってくれるみたいだから、もう少しゆっくり考えるつもりだよ」
岩沢「……そうか」
岩沢「……ああ」
音無「……ああ、あとさ」
岩沢「?」
音無「いつだったかくれた飲み物、ありがとな。美味かったよ」
岩沢「!?」
音無「じゃ、それじゃあ俺はこれで」
岩沢「……まっ、待て!」
岩沢「……あっ、その、だな……」
音無「?」
岩沢「………~~~ッ!」
音無「???」
岩沢「……好きだ……」
音無「……は?」
音無「……」
岩沢「……」
音無「……」
岩沢「……」
音無「……」
岩沢「……な、何か言え……ッ!///」
音無「え?あっ、いや、その……」
音無(嘘、だろ?岩沢が俺を?……ゆりが言っていたのは、岩沢の事だったのか……)
岩沢「……それだけ、か?」
音無「え?……あ、ああ、う、嬉しいよ」
岩沢「……」
音無「……」
岩沢「……ふぅ……まぁ、突然こんなこと言われてもそれが普通の反応か……」
音無「い、岩沢?」
岩沢「ふぅー、なんかすっきりした。以前から気になっていたんだ、お前の事がさ」
音無「そ、そうなのか……」
音無「あ、ああ、まぁ、そうか……」
岩沢「お前、あれ飲んだんだよな?」
音無「あ、ああ、飲んだけど?」
岩沢「間接キス、だよな、それ」
音無「!?」
岩沢「責任、取ってもらうぞ?」
音無「い、いや、その……///」
岩沢「……はは、冗談だよ。……ただ、覚えておいてくれ。さっきのは本心だから」
音無「……」
音無(岩沢も、俺の事が好きだったのか……)
音無(……ゆり、岩沢、一体どうしたっていうんだ……)
音無「はぁ、どうすりゃいいんだ、俺は……」
椎名「……」
音無「はぁ……」
椎名「……おい」
音無「!?……な、なんだ椎名か、驚かすなよ」
椎名「私は驚かしたつもりはない」
音無「いや、気配遮断してただろ……」
椎名「……あさはかなり」
書いてくよ
音無「にしても椎名、珍しいな」
椎名「……何がだ」
音無「いや、緊急事態でもないのに、こんな風に話すのがさ」
椎名「……」
音無「あっ、別に悪いわけじゃないぞ。……気に障ったのなら謝る。悪かった」
椎名「……別にいい。ただ私は別に話さないわけじゃない」
椎名「あ、あれは……」
音無「改めて言うまでもないけど、お前は俺なんかよりもよっぽど強いぞ?」
椎名「……」
音無「俺よりもずっと運動神経いいしさ。俺はかなで……天使となんて戦ったら一瞬でやられるだろうしさ」
椎名「……お前の強さは、そういうものではない」
音無「え?」
音無「い、いや、俺は別に……」
椎名「……お前が来て、この戦線は少しずつ変わってきている」
音無「……」
椎名「……それが良いことかどうかは私には判断できない。だが、私はそのお前の強さは認めている」
音無「椎名、お前……」
椎名「……だから、私はお前に少し興味がある」
音無「……え?」
音無「……」
椎名「……お前は私より確かに弱い。戦闘も集中力も私はお前に劣るとは思わない」
音無「……まぁ、そりゃそうだろうけど」
椎名「……だが、お前の意志の強さは、私のそれに勝るとも劣らない」
音無「い、いや、そんなことないぞ?俺はただ……」
椎名「……私はそのお前の強さがどこからくるのか知りたくなった」
そこんとこよろしく
音無「……椎名、俺はそんな大した人間じゃないよ」
椎名「……」
音無「俺はたださ、俺が死ぬ直前で手に入れることができた、報われた気持ちをみんなにも味わってほしかっただけだ」
椎名「……」
音無「この世界の住人は、それを持つ事無く死んでしまった者たちだ。……俺はそれを悲しいと思った」
椎名「……」
音無「だから、俺と同じ気持ちをみんなも持てたら良いはずだ……そんなある種の俺の我侭なんだよ」
音無「え?」
椎名「……いや、なんでもない……」
音無「……救うよ」
椎名「!」
音無「椎名が、それを望むのなら、俺は救ってみせるよ」
椎名「……」
椎名「……なら、私と結ばれろ」
音無「……は?」
椎名「……わ、私の望みは、私より強い男と結ばれる事だ……///」
音無「」
音無(……おい、これって、まさか……)
音無「……」
椎名「……そもそも、私より強い男など私の周りにはいなかった」
音無「だ、だったら俺だって……!」
椎名「……お前は違う。お前のその強さは、私にはない強さだ」
音無「そ、そんなことないって!お前だってさっきそう……」
椎名「……他人を想う強さ。それがお前の強さだと、やっとわかった」
音無「……」
音無「……」
椎名「……だから、お前なら……いや、お前が私の傍にいてくれるなら、私は……」
音無「……」
椎名「……返事はすぐでなくともいい。いずれ聞かせてくれればそれでいい」
音無「……その、椎名、俺は……」
音無「……ま、待ってくれ。……その、椎名は、相手が強ければいいのか?それとも……」
椎名「……お前だからいいんだ。そんなこと言わせるな……///」
音無「!?」
椎名「……]
音無「……椎名、ありがとう……でも、少し考えさせてくれ」
椎名「……」コクリ
音無「……あー、その、嬉しかったよ」
椎名「!?……あ、あさはかなり……///」シュ!
音無(まさか椎名までもが俺の事を……)
音無(ゆり、岩沢、椎名……まだ、いるのか?)
音無(……俺、いつの間にこんな……)
音無(……どうすりゃ、いいんだよ)
音無「……はぁ」
遊佐「……音無さん?どうしたんですかこんなところで?」
遊佐「ええ、今日は少し暇をもらったので」
音無「……そっか。いつも見張りご苦労様」
遊佐「いえ、私の性に合っているので、逆に助かりますよ」
音無「……そうか……まぁ、今日くらいはゆっくりしてくれ」
遊佐「?音無さん?どうかしたんですか?何か悩み事でもある風ですが……」
遊佐「……色恋沙汰ですか」
音無「!?……な、なんで」
遊佐「図星ですか……まぁ、一応、これでも戦線一のオペレーターだと自負しているので」
音無(オペレーターだからって、あんま関係ないんじゃ……)
音無「……はは、俺達も優秀なオペレーターを持ったもんだよ」
遊佐「それで?一体どうしたんですか?誰かに告白でもされたんですか?」
遊佐「……音無さんって随分とわかりやすい方ですね」
音無「……はぁ、遊佐には敵わないな」
遊佐「これでも戦線一のオペレーターですので」
音無(自負じゃなくなったよ……)
音無「……まぁ、とりあえずそんなところだよ」
遊佐「……なら、もう少し喜ぶべきではないでしょうか?女子に告白されるのは男子としては嬉しいのでは?」
音無「そりゃ嬉しいさ。嬉しいけど……」
音無「……お前、どうしてそんなに鋭いんだ」
遊佐「これでも死んだ世界一のオペレーターですので」
音無「……まぁいいや……とりあえず、そんなこんなで悩んでるんだよ」
遊佐「……」
音無「どうすればいいんだ……これからどんな顔してあいつらに会えば……はぁ……」
音無「えっ!?何かあるのか!?」
遊佐「はい。まぁ、音無さん次第ではありますが」
音無「なになに!教えてくれ!」
遊佐「……そんなに知りたいですか?」
音無「ああ!頼む!」
遊佐「……それじゃあ」
音無「……」ゴクリ
遊佐「……私と音無さんがすでに付き合っている事にすればいいんです」
音無「……は?」
音無「ま、待て!それはまずいだろう!」
遊佐「何がですか?」
音無「何がって……まず遊佐に悪いだろう」
遊佐「……」
音無「好きでもない相手と付き合うフリなんて誰だって嫌だろ?……それに、今日俺に告白してくれた奴にも騙して悪いし」
遊佐「……じゃあ、私が音無さんを好きなら問題ないわけですよね?」
音無「え?」
音無「それはそうだけど……って、ちょっと待て!?なんか色々とおかしいぞお前!?」
遊佐「別段おかしくはないと思いますが?」
音無「いやおかしいだろ!?まず遊佐、お前、俺のことなんか好きじゃないだろ!?」
遊佐「いえ、好きですよ?」
音無「」
音無「……それは、別に俺が恋愛対象で好きってわけじゃ……」
遊佐「……鈍いですね」
音無「え?」
遊佐「そんなことだからいつの間にか色んなフラグが立つんですよ」
音無「……」
遊佐「……はぁ、じゃあはっきり言いますよ?……好きです、音無さん……これでいいですか……?///」
遊佐「……確かに、私達には直接的な接点はあまり多くはありません。……ですが、私は通常、どういう役割でしたか?」
音無「……オペレーター」
遊佐「そうです。私はオペレーター。その役割は情報の収集、伝達、そして状況確認と監視などです」
音無「えっと、それが一体?」
遊佐「つまり、私は屋上とかから皆さんの動きをよく見ていたんですよ。別に変な意味じゃなく」
音無「……」
遊佐「音無さんが戦線に参入して来てから、私は音無さんも見る必要があったんですよ。別に変な意味じゃなく」
遊佐「正直、最初は変な人だなって思っていたんです」
音無「変な人?」
遊佐「はい。最初、あなたからは何かをしようとかっていう気が感じられませんでしたから」
音無「……」
遊佐「いつもゆりっぺさんの、戦線の流れに合わせているだけ……私はそんなあなたを見て思いました」
音無「……何をさ?」
遊佐「この人は一体何を考えているんだろう?何がしたいんだろう?どうしてここにいるんだろう?と」
音無「……」
音無「……」
遊佐「私も四六時中あなたを見ているわけにもいきませんから、あなたの行動全部が全部と言えるわけではありませんが……」
音無「……」
遊佐「……あなたの行動は、基本誰かのためなんですね」
音無「!?」
音無(そんなこと、椎名も言ってたな……)
音無「そんなこと……」
遊佐「ゆりっぺさん、日向さん、ユイさん、敵であった直井くん、そして戦線の宿敵である天使に対してまで、分け隔てなく」
音無「……」
遊佐「この戦線が今こうして変わってきているのも、確実にあなたの力によるものです」
音無「それは……」
遊佐「そんな姿をずっと見てたら、そりゃ誰だって好きになりますよ」
音無「……」
音無「あ、ああ、いや、その……ありがとう。こんな俺を好きになってくれてさ」
遊佐「……いえ、私が勝手にあなたを好きになっただけですから。気にしないで下さい。最悪、忘れてしまっても結構です」
音無「それはできない」
遊佐「……え?」
音無「……時間はもらうことになるけど、ちゃんと考えるから。それまで待って欲しい」
遊佐「……あぅ、わ、わかりました……待っています……///」
音無「ありがとう……それじゃ、俺はもう行くよ。……ちゃんと考えるから」
遊佐「……はい。どんな結果であろうと構いません。……ただ待っています」
音無「ありがとう……それじゃあ、な」
遊佐「……はい」
音無(ゆり、岩沢、椎名、そして遊佐……)
音無(俺を好きになってくれたのはスゲー嬉しいけど……)
音無(……俺なんかのどこがいいんだ……)
音無(そして、俺はどうすればいいんだ……)
音無「……はぁ、でもちゃんと決めて返事しなきゃな……」
かなで「……結弦?」
音無「……ああ、かなでか。また会ったな」
かなで「……なんだか、さっきよりも深刻そうな顔してるけど、何かあったの?」
かなで「……同じ人から?それとも違う人から?」
音無「……違う人から」
かなで「……」
音無「……みんな、真剣に俺を想ってくれてるみたいだから、さ……俺もちゃんと決めて返事しなきゃって思って……でも……」
かなで「……決めれないの?」
音無「……悩んでるんだ。みんな、良い奴だと思ってるし、みんな、その……可愛いし……」
かなで「……」
かなで「……結弦の好きなようにすればいいんじゃないの?」
音無「え?」
かなで「……結弦、少し屈んで、目を閉じて」
音無「え?なんで?」
かなで「お願い」
音無「……わかった」スッ
音無「!?か、かなで!?な、何を!?」
音無(な、なんで頭抱えられて、抱きしめられてんだよ!?……む、胸が……///)
かなで「……目を瞑って、黙って私の心臓の音を聞いて」
音無「そ、そんなこと言われても……///」
かなで「結弦。お願い」
音無「!?……わかった」
音無(なんで、こんなに真剣なんだ……?)
音無(俺の、本当に好きな人……?)トクン…トクン…
かなで「……結弦。あなたの心に刻まれてる人は、誰?」
音無(俺の、心に刻まれてる人……)トクン…トクン…
かなで「……結弦。あなたが誰よりも守りたい人は、誰?」
音無(俺が、誰よりも守りたいと思う人は……ッ!)トクン…トクン…
かなで「……結弦。どうだった?」
音無「……ああ、決めたよ。というか、最初から決まってたんだ」
かなで「うん」
音無「あいつから告白されて、突然の事に上手く自分の気持ちを言えなかったんだ」
かなで「うん」
音無「情けねぇ……あいつは自分の気持ちを言ってくれたってのに、俺はそれから逃げようとしたんだ……」
かなで「……そうね」
音無「その迷走した挙句、他の奴らの気持ちを俺は……」
音無「な、なんで……」
かなで「その子達があなたに想いを告げたのは彼女達の意思。それは結弦のせいじゃない」
音無「でも俺が、すぐ返事できてれば……」
かなで「結弦がすぐ返事をしていれば、彼女達は結弦に想いを告げる事さえできなかった、そうじゃない?」
音無「それは……そうかもしれないけど……でも……」
音無「……」
かなで「想いを告げてくれた相手には、ちゃんと返事をしなくちゃいけないの。……それが断りの内容であっても」
音無「……そうか。そうだな。……それが、俺の最低限の責任だよな」
かなで「……うん」
音無「……ありがとう、かなで。お前のお陰で、決心がついたよ」
かなで「ううん、気にしないで。全部、結弦自身の力だから」
音無「いや、違うよ。かなでのお陰さ。かなでが心臓の音で、俺を落ち着かせてくれたからだよ」
かなで「ふふ、それが結弦自身の力なの」
音無「?」
音無「……ああ、そうだな……まずは、気持ちを伝えに行くよ」
かなで「……うん、頑張って」
音無「ああ、行ってくる……ほんとにありがとな、かなで」
かなで「ううん、いいの……それじゃあ、いってらっしゃい」
音無「ああ!」ダッ
かなで(……私はずるいのね。結弦にアドバイスなんてできる立場じゃないのにね……)
かなで(……どうか、彼女達がこの先幸福な人生を歩める事を……)
音無「……返事を言いに来た」
???「……」
音無「……でも返事を言う前に少し話したい事がある」
???「?」
音無「今日さ、お前の他にも複数人にから告白された」
???「……」
音無「色々と迷走しちゃったけどさ、最初から俺の心は決まってたんだよ」
???「……」
音無「突然の事だったからさ、すぐ返事できなかったけど、今ちゃんと返事をしたい。そしてもう一度、君の言葉を聞かせて欲しい」
???「……」
音無「…………好きだ…………………………ゆり……」
音無「ゆりでいいんじゃない、ゆりがいいんだ」
ゆり「!?……わ、私、こう男勝りだし、か、可愛げだってないわよ……?」
音無「そんなことない。ゆりは可愛いと思うぞ」
ゆり「そ、そんなこと……///」
音無「それに、男勝りって言ったけど、それは戦線のリーダーとして立派にやってるからだろ?」
ゆり「わ、私の性格が元々そうだから、よ……///」
音無「ならそれも含めてゆりだろ?俺はそんなゆりが、仲村ゆりが好きになったんだよ」
ゆり「!?」
ゆり「……///」
音無「戦線のリーダーとして、戦線を守るお前を、俺は守りたい……ダメか?」
ゆり「……う、ううん、ううん……あり、がとう……音無くん……ぐすっ……///」
音無「ゆり……」ダキッ
ゆり「あっ……ありがとう、音無くん…………あなたが、好きです……///」ギュッ
音無「こちらこそ、ありがとう……」
音無「それも俺がちゃんと返事をする。だから大丈夫だ」
ゆり「……悲しむ、でしょうね……私は、みんなのリーダーなのに……」
音無「……そう言わないでくれ、ゆり。俺が全部受け止める。その覚悟ももうしてるから」
ゆり「……うん」
音無「……だから、ゆりは笑っていてくれ。俺はゆりの笑顔が見たいから……」
ゆり「……うん///」ニコッ
音無「……ありがとう。そして、これからよろしく」
ゆり「……うん、こちらこそ、よろしく……結弦……///」
エピローグ
音無「……ふぅ、まぁ、こんなもんかな……ゆり、あと何か必要なものはあるか?」
ゆり「いえ、もう大丈夫よ、結弦。……少し休憩しましょ?」
音無「ああ、そうだな……じゃあ、ちょっと飲み物でも買ってくるか……何か飲みたい物あるか?」
ゆり「うーん、そうね。じゃあ、Keyコーヒーをお願い。微糖で」
音無「了解。すぐ戻ってくるよ」
ゆり「うん……ま、待ってるから、早く来なさいよ……!///」
音無「はは、了解したよ。……それじゃ行ってくるよ」
音無「さてと、さっさと行かなきゃな……ん?」
岩沢「……ん?ああ、記憶無し男……じゃなくて音無か。どうしたんだ?」
音無「……いやなに、ちょっと休憩がてら飲み物でも買いに行こうと思ってさ」
岩沢「……ふーん、どうやら、ゆりとはうまくいってるみたいだな」
音無「あ、ああ、まぁな……///」
岩沢「……はは、それは何よりだ」
音無「岩沢……その、さ」
音無「岩沢、お前……」
岩沢「残念ではあったが、相手がゆりなら、な。それにお前はちゃんと私の気持ちも受け止めて、その上で返事をくれた」
音無「……」
岩沢「それが断りの内容であっても、私は嬉しかったよ。お前が私の事を真剣に考えてくれてさ」
音無「……ありがとな、岩沢」
岩沢「……こちらこそ……まぁ、それに私には音楽があるからな。それだけで十分生きていけるんだよ」
音無「……はは、相変わらずの音楽キチっぷりだな」
音無「ああ、それじゃあな。……バンド、頑張れよ」
岩沢「ああ、言われずとも」
岩沢(……悔しくない、はずがない……)
岩沢(……初恋は、上手くいかないっていうけどね……)
岩沢(……でも、私は良い奴に恋をしたものだ、ホント)
岩沢「……さて、じゃあバンドの練習でもすっか!」
音無(……岩沢は、ああ言ってたけど、ホントはどうなんだろうな……)
音無(あいつは、俺を恨んだりしてないのか……?)
音無(俺は……)
椎名「……」
音無「うーん……」
椎名「……おい」
音無「……ん?なんだ椎名?」
音無「まぁ、慣れてきたしな。そう毎度毎度驚いてたまるか」
椎名「……あさはかなり」
音無「……お前は相変わらずだよなー」
椎名「?どういうことだ?」
音無「いや、そのまんまの意味だよ。ホントぶれないなと思ってな」
椎名「……そうでもない」
音無「え?」
音無「……椎名、その……」
椎名「……ふっ、冗談だ」
音無「え?」
椎名「……確かに、お前に断られた時は少しばかり残念に思ったが、それだけだ」
音無「……」
椎名「……私は忍だ。強さを求めるくノ一だ。男など二の次だ」
椎名「……それに相手があのゆりならば、頷ける」
音無「え?」
椎名「……あいつは強い。心も体も。女でありながら、この私と同じくらい」
音無「……」
椎名「……だが、それ故に自分を犠牲にしようとする事がある」
音無「……そう、だな」
音無「……」
椎名「……それがお前ならば特にな」
音無「椎名……」
椎名「……強い女の側には、強い男がいるべきだ」
音無「……ああ、ゆりは俺が必ず守るよ」
音無「ああ、俺も行かなきゃ。ゆりが待ってるし」
椎名「……ふっ、そうか。ならば行け」
音無「ああ。椎名、色々ありがとな」
椎名「……礼には及ばん」
音無「……それじゃあ、な。また今度色々話そうぜ」
椎名「……ふっ、あさはかなり」シュッ
音無(椎名も、ホントに良い奴だな……)
音無(……でも、岩沢も、椎名も、何故ああも応援してくれるんだろうか……)
音無(俺は、あいつらを……)
音無「……後悔は、してないはずなんだけど、な」
遊佐「何が、後悔してないはず、なんですか?」
音無「!?ゆ、遊佐!?」
音無「あ、ああ、わ、悪い」
遊佐「それで?さっきのは一体どういうことですか?」
音無「あっ、いや、別に……」
遊佐「……私を、いえ、私達を振った事を、ですか?」
音無「……」
遊佐「図星ですか。相変わらずわかりやすい方ですね、音無さんは」
遊佐「後悔してくれないと困りますよ」
音無「え?」
遊佐「だってこんな美少女を振ったんですよ?後悔してくれないとこっちがへこみます」
音無「……えっと」
遊佐「……ですが、私達じゃなく、ゆりっぺさんを選んだことには後悔はしないで下さい」
音無「……ああ、それだけは絶対にしない」
音無「遊佐、お前は……」
遊佐「音無さんは私の事も真剣に考えてくれたんですよね?」
音無「ああ、もちろんだ」
遊佐「少なくとも、私はそれで十分です。選ばれなかったのは残念ですが、ゆりっぺさんなら納得もできるので」
音無「……遊佐、ありがとな」
音無「そ、そうだよな。ははは……」
遊佐「……さてと、それはそうと音無さん。何かご用事があったんじゃないんですか?」
音無「あっ!やばい!ゆりを待たせてるんだ!そ、それじゃあな!また今度!」ダッ
遊佐「はい、ではまた」
遊佐(ホントに見ていて飽きない、不思議な人ですね……)
遊佐(……さて、これからもいっちょ頑張りますか)
音無(遊佐も、ホントに良い奴だな……)
音無(岩沢、椎名、遊佐……ゆり、俺達は良い仲間を持ったよな)
音無(にしても……)
音無「……まずい……結構時間経ってるよな……」
かなで「……結弦?」
音無「おお、かなで。何してるんだ?」
かなで「校内の巡回。結弦は?」
かなで「ふたつ?」
音無「ああ、ひとつはゆりのだよ」
かなで「……そう。うまくいってるみたいね」
音無「……はは、みんな心配してくれるんだな」
かなで「みんな?」
音無「ああ、前に俺に告白してくれた奴らだよ。さっきも会ってさ」
音無「そうだって?何が?」
かなで「結弦とゆりを応援するってこと」
音無「……」
かなで「?結弦?」
音無「……実際のところ、どうなんだろうな」
かなで「?」
音無「あいつらを疑うわけじゃない……けど、それでも俺は、あいつらから……」
音無「……俺は優しくなんて……」
かなで「優しいから、彼女達を振ったのを苦しんでるんじゃないの?」
音無「……」
かなで「結弦。それは結弦の良い所だと思う」
音無「……」
かなで「でも、それであなたが苦しむのは間違いだわ」
かなで「彼女達はあなたとゆりを応援してくれてる。心に想いは残ってるだろうけど」
音無「……」
かなで「でも、あなたは彼女達のことを真剣に考えて結論を出したんでしょ?」
音無「……ああ」
かなで「彼女達は、それに満足していなかった?」
音無「してくれてた、みたいだけど……」
かなで「なら、あなたはそれを疑わずに信じなきゃダメ」
かなで「そして、あなたはあなたの意思を貫いて」
音無「……」
かなで「ゆりの側で、ゆりを支えてあげて」
音無「……ああ、わかった」
かなで「みんな、心からそれを応援してくれると思うから」
音無「……ありがとう、かなで。約束するよ。俺は俺の意思を貫く。……ゆりを守る」
音無「ああ、頑張るよ……かなでには、ホント励まされてばっかりだな」
かなで「ううん、私は大したことなんかしてない。それに……」
かなで(……それに、あなたは私に、命をくれたから……)
音無「それに?」
かなで「……ううん、なんでもない。……それよりもいいの?ゆりを待たせてるんじゃないの?」
音無「あ!悪いかなで!とりあえずまた今度な!」ダッ
かなで「うん。また」
かなで(……どうか、あの二人に末永い幸せが訪れますように……)
音無「わ、悪い、ゆり!遅れた!」
ゆり「……そう、別にいいわ」ゴソゴソ
音無「ゆ、ゆり?……怒ってる?」
ゆり「……別に怒ってないわよ」ゴソゴソ
音無「じゃ、じゃあ、どうして顔向けてくれないのかなって……ははは……」
ゆり「……い、今作業中だから、ちょっと待ちなさい!」
音無「お、おう……」
音無(やっぱ、怒ってるよなぁ……まぁ、しょうがないか……)
ゆり(ああー、もう!なんであんな恥ずかしい事かなでちゃんに言うの……!///)
ゆり(でも……)
ゆり「……ね、ねぇ、結弦」ゴソゴソ
音無「!?な、なんだ?」
ゆり「……これからも、私の側にいてくれる?」ゴソゴソ
音無「……ああ、もちろんだ」
音無「ホントだよ」
ゆり「……ホントにホント?」
音無「ホントにホントだよ」
ゆり「ありがとう……結弦……」
音無「ゆり……」ダキッ
ゆり「あっ……!///」
ゆり「……うん……///」ギュ
音無「これからも頑張ろう。二人で、そして戦線みんなで……」
ゆり「ええ、あなたが、みんながいれば、私は頑張れる……」
音無「ゆり…………好きだ…………」
ゆり「……うん、私も大好き……」
音無(そう言って微笑んだ彼女の顔は、何よりも眩しくて―――)
音無(俺はそんな笑顔を、これからもずっと守ろうと改めて誓った―――)
Fin
舞台裏の悲しき者達
野田「意エアwyほら;vほwjヴぃはうvhヴhh!!!」
直井「そんな、バカな……神である僕が、あんな下賎な女に……お、音無さぁあああああああああんッ!」
日向「お前ら……」
ユイ「ホント、アホですね♪」
ほんとに終わり
それじゃいつかまた
さて、ここから個別ルートとハーレムルートか…
野田ェ…
Entry ⇒ 2012.03.14 | Category ⇒ 版権物SS | Comments (0) | Trackbacks (0)
魔王「貴様誰だ!」スネーク「武器を捨てて両手を頭の後ろに回せ!」
http://hayabusa.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1330943970/
スッ
スネーク「動くな!」
ターンッ
魔王「がっ・・・・・・」
カランカランッ
魔王「わ、私の杖が・・・・・そんな距離から」
スネーク「もう一度言う!両手を頭の後ろに回せ!」
魔王「うっ・・・・・・この迫力・・・・・・」
グッ
魔王「これでいいのか」
スネーク「そのまま床に伏せろ!」
魔王「わ、分かった」
ペタッ
スネーク「お前以外全て行動不能にした。あとはお前だけだ」
魔王「な、なに!?」
スネーク「こんないい加減な警備システムでよく今まで無事だったものだな」
魔王「な、何者だ!」
スネーク「ただの傭兵だ。コードネームはスネーク」
魔王「スネーク?ゆ、勇者じゃないのか!」
スネーク「勇者・・・・・・懐かしいなだ・・・・・・」
魔王「し、知ってるのか!やつはどうした」
スネーク「勇者、戦士、僧侶、魔法使い・・・・・・いいやつはみんな早死にしてしまう」
魔王「し、死んだの!?」
魔王「早いな!で、ではほとんどお前一人で・・・・・・」
スネーク「すまないが、話している余裕はない。早く核発射シークエンスを中止するんだ!」
魔王「え!?な、何それ!」
スネーク「とぼけるな!!情報はとってあるんだ!」
グギギギギ
魔王「や、やめて!腕そっちにまがらないから!」
スネーク「はやくしろ!世界を滅ぼしたいのか!」
魔王「せ、征服するほうだから!私は!」
スネーク「拷問では口をわらないか」
魔王「ふ、ふぅ・・・・・・」
魔王「お、お前が落ち着け」
スネーク「ほらっ、お前も入れ」
トンッ
魔王「な、なんだこれは」
スネーク「知らないのか?ダンボールだ。入ると落ち着くぞ」
ペタンッ
魔王「こ、これに入るの?」
スネーク「ほらっ、どうした遠慮するな」
魔王「わ、わかった」
ペタンッ
魔王「・・・・・・」
スネーク「・・・・・・」
魔王「な、なんか捨てられた猫になった気分だな」
スッ
魔王「す、吸わない」
スネーク「あいにく葉巻しかないがな、どうだ?」
魔王「だ、だから吸わないって」
スネーク「そうか。どうしても話さないか」
魔王「あ、あの私の部下達は・・・・・・」
スネーク「安心しろ。麻酔で眠っているだけだ」
魔王「そ、そうか。無事でよかった」
スネーク「核攻撃をしても賢者の遺産は手に入らないぞ」
魔王「な、なにそれ?」
スネーク「遺産はすでに別の場所に移された!お前の目的はもう失われているんだ!」
魔王「だ、誰か通訳を!」
スネーク「さあっ!早く核を止めるんだ!」
魔王「い、いたたた・・・・・・」
スネーク「言わないと折れるぞ!」
魔王「や、やめて・・・・・・」
ボキンッ!」
魔王「ぎ、ギアアアアアアア!」
スネーク「なっ、メタルギアだと!?」
魔王「うぐぐぐぐぐっ腕がああ」
スネーク「まさか!核はメタルギアの中か!」
魔王「か、回復!」キューンッ
スネーク「どこだ!」
魔王「な、何言ってるのこの人!」
魔王「こ、今度は一人で喋りだした!」
スネーク「そうだ!しかもメタルギアの名前まで出てきた」
魔王「何この人こわい・・・・・・」
スネーク「そうか!わかった試してみる」
魔王「も、もう帰ってくれないですか?」
スネーク「城を案内しろ!」
魔王「え!?ま、まだ何かやるの?」
スネーク「ここに核があることは間違いない!」
魔王「かくってなに!?」
スネーク「さあ立て!いつまでダンボールに入っている!」
魔王「あんたが入れたんでしょ!」
グイッ
魔王「わ、私の寝室だ」
スネーク「開けろ。妙なそぶりを見せたら撃つ」
魔王「だ、だめ!」
スネーク「ここか!」
魔王「ち、違う!何もないから!」
スネーク「いいから死にたくなければ開けろ」
魔王「ううっ」
ギギィ
スネーク「先に行け」
魔王「は、はい」
トテトテ
魔王「な、何やってんの!?」
スネーク「金属探知機だ。あやしいものがないか調べる」
魔王「な、何もないですよ!」
スネーク「黙っていろ!」
ピーッ!
スネーク「ここか!」
魔王「や、やめて!」
スネーク「この引き出しか。罠は・・・・・・ないようだな」
魔王「お願い!それだけは!」
スネーク「オタコン!喜べ!ここらしい。中の写真を撮ってそちらに送るぞ」
魔王「しゃ、写真なんてやめてー!」
ガラッ
パシャパシャ
スネーク「お、女のくせにこんな玩具まで・・・・・・」
魔王「うっ///」
スネーク「こ、こんなものどうやってつかうんだ!?」
パシャパシャ
スネーク「まったく!性欲をもてあます!」
魔王「い、言わないで///」
スネーク「オタコン映像送ったがどうだ!?あやしいものはないか」
スネーク「何!?魔王の写真も一緒に送って欲しいだと」
スネーク「おい、ちょっとこっち向け」
魔王「///」
パシャパシャ
スネーク「よし!送ったぞ!」
スネーク「そうか!オタコン、かんばってくれ。あとは任せろ」
ゴゴゥ
スネーク「ぐぁ!」
魔王「はーっはっは!油断したな!変質者め!」
スネーク「もぐもぐ」
魔王「な、なにをしている!?」
スネーク「動くな!」
ダンッ
魔王「がっ!なっ!あの火傷でどうして動ける!?」
スネーク「そのまま床に伏せていろ」
魔王「なっ、無傷だと!?」
スネーク「なんだ!?知らないのか?これを食べると傷が治るんだぞ」
まずいけど
スネーク「携帯食料のレーションだ」
魔王「た、食べ物で傷が治るなんてそんな非現実的なことがあってたまるか!」
スネーク「何を言っている!アメリカ海軍でもイギリス空軍でもどこでも常識だぞ!」
魔王「ま、まじで!?」
スネーク「手癖が悪いみたいだな。悪いが拘束させてもらう」
ガシャリ
魔王「て、手錠・・・・・・」
スネーク「さて、これでゆっくり探せるな」
魔王「やめろ!見るな!変態ー!」
魔王「だから言っただろ!下着までじっくり調べおって!変質者!」
スネーク「核を撃つようなやつに言われたくない」
魔王「だから知らないって!それに下着ポケットにいれただろう!」
スネーク「次のスニーキングミッションに必要かもしれん」
魔王「うそだ!」
スネーク「そんなことを・・・・・・ちょっと待て通信が入った」
スネーク「どうしたオタコン!お前の分ならちゃんと確保したぞ!」
スネーク「何!?情報が間違っていた!?」
スネーク「分かった。すぐにそっちへ向かう」
魔王「おい!」
スネーク「なんだ」
スネーク「聞き間違いだ」
魔王「言った!言ったもん!聞いたもん!」
スネーク「間違いは誰にでもある」
魔王「早く手錠をはずせ!」
スネーク「それはだめだ」
魔王「なんでー!?」
スネーク「メタルギアのことを知っている以上一緒に来てもらう!関係ないとは思えん!」
魔王「だから知らないって!」
魔王「えっ、ほんとに行くの!?ちょっちょっと!」
スネーク「なんだ」
魔王「き、着替えとか!パジャマとか持っていかないと!」
スネーク「装備品は現地調達が基本だ!余計な荷物を持っていくな」
魔王「今すぐポケットの中を捨てろ!!」
スネーク「いくぞ!さあ歩け!」
グイッ
魔王「だ、誰かー!」
誰か続きを
私は寝ます(´・ω・`)ノシ
おい
Entry ⇒ 2012.03.14 | Category ⇒ 勇者魔王「」SS | Comments (0) | Trackbacks (0)
橘「塚原先輩とお茶をしよう」
http://hayabusa.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1331131486/
橘「先輩と二人きりっていうのは珍しいですね」
塚原「そうだね。クスっ、君はやっぱりはるかがいたほうがようかったかな?」
橘「い、いえそういうわけじゃ……」
塚原「そう?」
橘「はい」
塚原「はぁ、なるほどね」
橘「?」
塚原「そういうところ、か」
橘「はい?」
塚原「ううん、こっちの話」
【心配】
塚原「ちなみにはるかは今図書室で勉強中よ」
橘「そういえばこの前、図書室で勉強してるのを見かけました」
塚原「ちゃんと勉強してたかしら?」
橘「はい、ちゃんと勉強してましたよ」
塚原「まぁ、あの子も受験生だものね。それはそうよね」
橘「え?」
塚原「うん?」
橘「あ、受験勉強の話ですか」
塚原「……どういう意味なの?」
橘「いえ、この前話かけた時は子犬の写真が載った本を見て、勉強中って言ってたので、
なにかそういう勉強でも必要なのかと……」
塚原「……」
塚原「ちょっと心配になってきたから見てきてもいいかしら?」
橘「なんかお母さんみたいですね」
塚原「う……はるかにも言われたことがあるけど、それは褒め言葉なの?」
橘「はい?」
塚原「なんだか老けてるっていわれてるみたい」
橘「いえっ、そういうことではなく!!」ガタッ
塚原「た、橘君?」
橘「つい包まれたくなるような母性があるといいますか……そう、いうなれば包容力!
そういう包容力がすごく魅力的で」
塚原「ちょ、ちょっとキミ」
橘「はっ……!」
橘「(しまった……つい力説してしまった)」
塚原「うん、そのとりあえず落ち着こうね」
橘「……はい」
塚原「うん……なんというか……ね?」
橘「(あれ、塚原先輩の顔が真っ赤に……これはレアだぞ!)」
【以心伝心】
塚原「~~~~~」
橘「~~~~」
塚原「ふふ、そうね……あっ」
橘「どうかしました?」
塚原「今、はるかが問題が解けなくて呻いてるわね」
橘「……!?」
塚原「きっともうすぐサボりはじめるんでしょうね、はぁ……」
橘「エ、エスパーですか」
塚原「え?」
【犬畜生】
塚原「橘君ははるかのお気に入りだからね」
橘「えっ、本当ですか!?」ガタッ
塚原「えぇ、最近よく話してるもの」
橘「……た、例えばどんな風に」ゴクリッ
塚原「そうね、懐いてくる様子がワンちゃんみたいだとか」
橘「ほ、他には」
塚原「怒られた時にシュンとする目がワンちゃんみたいでかわいいとか」
橘「……はい」
塚原「あとはしっぽがあれば完璧ね、とかかしら」
橘「……」
【大丈夫じゃない】
橘「(くっ、まさかこれほどまでに犬野郎に思われていたなんて……)」
塚原「橘君、大丈夫?」
橘「(いや、でも別に犬としても悪くないっていうか、むしろ犬にしかできないこととか)」
塚原「おーい」
橘「(そう例えばお風呂とか!! いいっ、いいぞ! 犬ならば飼い主と一緒にお風呂に入ってもおかしくないし」
塚原「」
橘「うん、いいぞ犬人生!」
塚原「ねぇ、橘君?」
橘「はい」キリッ
塚原「頭は大丈夫?」
【お手上げ】
橘「そういえば、先輩はお医者さんになるんでしたよね」
塚原「……ごめんなさい橘君」
橘「はい?」
塚原「さすがに私でも橘君の頭は治してあげられそうにないわ」
橘「……」
【意地悪ひびきちゃん】
塚原「と、まぁ冗談はおいといて」
橘「(冗談だったのか……)」
塚原「私の相手は小さい子ばかりだから、キミはどっちみち関係ないね」
橘「あ、そうですね」
塚原「あ、でも大きな子供って意味では……」
橘「先輩、さっきから地味にグサグサきます……」
塚原「クスッ、ちょっとした意趣返しってやつかな」
塚原「私ももう卒業なのよね」
橘「そうですね」
塚原「3年間なんて早いものね」
橘「あはは、楽しい時間はすぎるのが早いっていいますし」
塚原「そうね……うん?」
橘「なにかありました?」
塚原「ううん、今この三年間で楽しかったことを思い出そうとしてたんだけど」
橘「?」
塚原「なんで真っ先にでてくるのがはるかのフォローしてるところなんだろうね」
【輝日東の女王】
塚原「そういうのもはるかのおかげで楽しいことがいっぱいあったからなんだろうけどね」
橘「あぁ、なんとなくわかります。森島先輩の周りにいると楽しいことがたくさん起こる気がします」
塚原「いろんなことの中心にいるような子だからね」
橘「あの空気はきっと森島先輩にしか出せないんでしょうね」
塚原「ふふっ」
橘「どうかしましたか?」
塚原「いえ、橘君ははるかのことをよく見てるなって」
【物陰にて】
???「くしゅん。むむむ、二人とも私が勉強してる間に仲良くしちゃって~」
美也「♪」スタスタ
美也「あ、森島先輩こんにちはです。こんな物陰に隠れてなにを……」
森島「美也ちゃん! 見て、そして聞いて」
美也「はい?」
森島「あそこあそこ」
美也「塚原先輩と……おにいちゃん!?」
森島「そうなの。二人とも私が勉強に励んでいるのを置いてイチャイチャしてるのよ~」
美也「せ、先輩……勉強はいいんですか?」
森島「あ、もう美也ちゃんまでそんなことを言うのね~」
森島「そういうこはこうよ~」ギュー
美也「ふみゃー」
森島「ふふふ、美也ちゃんは温かいわねぇ」
美也「にゃー」
【予感】
塚原「む、またはるかが誰かに迷惑をかけている気が」
橘「あはは、先輩は今勉強中なんでしょう? なら気のせいなんじゃ」
塚原「……そうね。さすがにはるかも今の時期にそんな、ね?」
橘「ですよね」
塚原「……」
橘「……」
塚原「橘君、今ちょっと心配にならなかった?」
橘「……ちょっとだけ」
【沈黙】
塚原「でも、ああ見えてもはるかは色んなこと考えているから大丈夫よ」
橘「そうですね。今も勉強を頑張ってるのがその証拠ですよね」
塚原「……」
橘「……」
塚原「橘君、なんでちょっと黙ったのかしら」
橘「塚原先輩こそ」
【人には言えない】
塚原「橘君は七咲とも仲がよかったわね」
橘「まぁそうなんですかね」
塚原「ふぅん……」ニヤニヤ
橘「?」
塚原「そういえば何をきっかけに知り合ったの?」
橘「何を……えっとあれは……七咲のスカーt……」
塚原「?」
橘「い、いえ。えぇっと、どうだったかな……あはは」
塚原「?」
【部長】
橘「水泳部は安心ですね」
塚原「えぇ、そうね。七咲はしっかりしてるから」
橘「……寂しいですか?」
塚原「どうだろうね」
橘「先輩?」
塚原「やっぱり安心感みたいなのがあるじゃない。七咲になら、っていう」
橘「あぁ、なるほど」
塚原「そういうのが真っ先にあるから、安心したっていうのが強いかな」
橘「部長って大変ですねえ」
塚原「……大変なのかな?」
橘「そういえるところが塚原先輩の凄いところだと思います」
塚原「そう、かな?」
橘「えぇ」
塚原「なんだか照れるわね」
【覗き常習犯】
塚原「といっても、来年の部長はまだ楽させてあげるつもりよ」
橘「(うん……? どういう意味だろう)」
塚原「ふふ、だって来年ははるかがいないじゃない」
橘「……ああ、なるほど」
【覗き常習犯2号】
塚原「あ、でも……」
橘「はい?」
塚原「……はるかの置き土産的な子が目の前にいたわね」
橘「……!?」
塚原「さて、七咲に注意しておかないと」
橘「せ、先輩!」
塚原「ふふ、冗談よ」
【タイムの伸び】
塚原「っていっても、そう気負わせるわけにもいかないんだけどね」
橘「七咲ですか?」
塚原「ええ、肩に力が入ってたら水泳はタイムおちちゃうからね」
橘「なるほど」
塚原「切り替えがうまくできる、っていうのならいいんだけど」
橘「? ……七咲ならできるんじゃ」
塚原「ふふっ、それができたのなら七咲はタイムで悩まなかったのかもしれないわね」
橘「?」
塚原「なにかあったら支えてあげてね?」
橘「……?」
橘「はい」
【一緒に焚き火を囲むような関係】
橘「塚原先輩はどうだったんですか?」
塚原「私? そうね、私はなんだかんだ言ってはるかに助けられてたのかもしれないわね」
橘「…先輩と森島先輩の関係はなんだかいいですね」
塚原「クスッ、そう? ありがとう」
塚原「でも、キミと梅原君みたいなものじゃないかしら」
橘「ぼくと梅原ですか?」
塚原「えぇ、そんな感じの関係じゃないかしら」
橘「……」ウーン
塚原「橘君?」
橘「つまりはお宝本を共有しあうような関係ですかっ!?」
塚原「は?」
【肩入れ】
塚原「あ、そっか……」
橘「?」
塚原「私が七咲を頼むって言ってしまえば、七咲に肩入れした形になるのね……」ボソッ
橘「先輩?」
塚原「でもはるかに対しても……」
橘「えーっと、先輩」
塚原「え? あ、ううん。なんでもないのよ?」
橘「はぁ」
【タイプ】
塚原「うーん……」
橘「(先輩どうしたんだろうか)」
塚原「ねぇ、橘君。一つきいていいかしら?」
橘「はい?」
塚原「橘君の好きなタイプって?」
橘「そうですね……ってはい!?」
塚原「だから橘君の女性の好み。少し参考にしたいの」
橘「(ええええええええええ、なんなんだ……え? うん、参考にしたいって……え?)」
塚原「じっー」
橘「(あれ、つまりはそういうことなのか……先輩が……?)」
塚原「(……橘君はどうして固まってしまったの?)」
塚原「……あっ」
塚原「(……もしかして私はとんでもないことを口にしたんじゃ)」
塚原「(橘君の好みが知りたいって……充分誤解させる……)」
塚原「……」
塚原「あ、あのね橘君、誤解よ?」
橘「へ?」
塚原「そういう意味じゃないのよ? ただ単に会話の一環としてそういう話をしただけよ」
橘「あぁ、なんだ。てっきりそういう意味なんじゃないかと期待してしまいましたよ」
塚原「き、期待!?」
橘「あっ。いえ、その、今のはついと言いますかなんというか……」
塚原「……///」
???「森島先輩に……美也ちゃん? なにしてるんですかこんなところで」
森島「わおっ、今日は1年生祭りね」
美也「あ、逢ちゃん。た、たすけて」
七咲「……? とりあえずなんでこんなところで森島先輩は美也ちゃんに抱きついてるんですか?」
森島「ふふ、あれよあれ」
七咲「はい?……あれは……塚原先輩と橘先輩?」
森島「そうなのよっ! あのひびきちゃんと橘君が二人だけできゃっきゃうふふしてるのよ!」
七咲「へぇ……」じっ
森島「ふふ、逢ちゃんも興味しんしんなのね?」
七咲「な、なんでそうなるんですか」じっー
森島「といいながらも、視線は向こうなのね」
美也「(みゃーはいつになったら開放されるんだろう……)」
七咲「……あ、なんだか塚原先輩が真っ赤になってるんですが……」
七咲「まさか橘先輩が塚原先輩にもセクハラまがいのことを……!?」
森島「ふふ、逢ちゃん今は「見」よ! 「見」に専念するのよ」
森島「溜めて溜めてあとでひびきちゃんたちに詰め寄っちゃうんだから♪」
【も】
美也「(……どうでもいいけど)」
美也「(今、逢ちゃんが「塚原先輩にも」って言ったけど)」
美也「(「も」ってことは……)」
美也「(まさかにぃに……)」
美也「(……き、聞き間違いだよね……?)」
美也「……」
美也「(……ま、みゃーし~らないっと)」
塚原「年もあければいよいよ最後の学期、ね」
橘「そのころには、もう卒業式を残すだけって感じなんですかね」
塚原「そうね、あとは生徒会選挙くらいかしら」
橘「生徒会選挙……塚原先輩とか似合いそうですね」
塚原「ふふ、でも私はもういないよ」
橘「残念です」
塚原「クスッ、お世辞でもありがとう」
塚原「そういえば、年もあけて一ヶ月もすればバレンタインね」
橘「塚原先輩は誰かにあげるんですか」
塚原「ふふ、残念ながら相手が、ね」
塚原「でも、そうねはるかにはあげないとなにか言われそうかも」
橘「塚原先輩はやっぱり手作りだったり?」
塚原「……はぁ」
橘「先輩?」
塚原「できればいいんだけどね……駄目なのよ……」
橘「はい?」
塚原「その料理は……そんなに得意じゃないというか……」もじもじ
橘「なるほど……でも」
塚原「?」
橘「うまくできた市販品と一生懸命作った手作りの二つだったら、
森島先輩は後者のほうが喜んでくれると思いますよ」
塚原「……そっか。そうね」
【責任】
塚原「ふふ、私をその気にさせた橘君にはどう責任をとってもらおうかしら」
橘「え?」
塚原「例えば、味見役とかね」
橘「……」
塚原「……嫌、かな?」
橘「いえ、よろこんで!!」
塚原「でも、そんなに期待したらダメだよ。 本当に私は拙いから……」
橘「それでも期待しますよ」
塚原「え?」
橘「だって塚原先輩の手作りですよ。 おいしいとかおいしくないとそういう次元をこえてますって」
橘「それに料理って状況によっておいしさとかかわるじゃないですか」
塚原「うん、まぁそういうこともあるね」
橘「塚原先輩の手作りって状況を考えると、おいしいに決まってるじゃないですか」
塚原「……」
橘「(……う、あまりの嬉しさについ昂ぶってしまったぞ)」
塚原「はぁ、まったくキミは……」
橘「はぁ、すいません」
塚原「謝ることないのよ……うん、でもそうね。そういうところが、なのね」
橘「?」
塚原「なんでもないわ、クスッ」
【複雑な問題】
塚原「でも、橘君なら何個か普通にもらえるんじゃない?」
橘「……」
塚原「なんとなくごめんなさい」
橘「いえ……」
【辛口】
塚原「そういえば、彼女はどうなの? よく一緒に実行委員の仕事をしてたのを見かけたけど」
橘「……絢辻さんのことですか?」
塚原「そう」
橘「……」
塚原「……?」
橘「(仮にもらえたとしても、間違いなくなにか仕掛けが……なんて言っても信じてもらえないだろうしなぁ)」
???「あの先輩方、ここでなにをしてらっしゃるんですか?」
森島「うん?」
七咲「え?」
絢辻「いえ、さきほどからここで動いていないようなので、なにかあったのかと」
森島「わおっ、絢辻さん」
絢辻「は、はい?」
森島「ふふ、絢辻さんも橘君の匂いに釣られてきたのね~」
絢辻「は? 橘君?」
森島「あれよあれよ♪」
絢辻「あれ?……橘君と塚原先輩ですか」
森島「そうなのよ、二人ともさっきからいい感じなのなんのって……」
絢辻「……」じっー
絢辻「へぇ……いないと思ったらこんなところで、ねぇ」ボソッ
七咲「(……!? いまなんか絢辻先輩のほうから寒気がしたけど……き、気のせいだよね)」
【帰りたい】
森島「じっー」
七咲「じっー」
絢辻「じっー」
美也「……」
美也「(結局絢辻先輩をも森島先輩は引き込んでしまった……)」
美也「(みゃーはいつになったら帰れるんだろう)」
美也「(……まんま肉まん食べたい)」
【3倍】
塚原「そっか。なら他にもらえるあてとかは?」
橘「あ、義理なら」
塚原「へぇ、なかなか橘君も……」
橘「うん?」
塚原「いいえ、なんでもないわ。続けて」
橘「といっても、20円チョコなんですけどね」
塚原「ふふ、かわいらしいわね」
橘「……」
塚原「どうしたの」
橘「いえ、ホワイトデーの取立てを考えると……」
塚原「なるほどね」
【サボリ常習犯】
橘「薫に毎年哀れみの目でみられながら……あぁ、今年もそんなことに……ぐぬぬ」
塚原「あぁ、棚町さんのことなのね」
橘「あ、先輩はそういえば補習とかで薫をしってるでしたね」
塚原「えぇ…………なかなか補習にも出てこないみたいだけど……」
橘「……薫の代わりに謝っておきます。なんかすいません」
【看板娘】
塚原「棚町さんは運動神経いいのにね」
橘「ああ、あいつはたしかに運動は凄くできますね……ただ本人が」
塚原「?」
橘「気分屋ですから」
塚原「……少しもったいないって思ってもいいのかしら」
橘「あ、やっぱりそう思いますか」
塚原「えぇ、正直水泳部に勧誘したかったかもね」
橘「まぁでもあいつの場合、バイトがありますから」
塚原「駅前のファミレスでウェイトレスさんをしているんだっけ?」
橘「いえ、用心棒です」
塚原「え?」
橘「用心棒です」
塚原「でも、そうね。きちんと補習にでてくるようには言っておいてもらえるかしら?」
橘「僕が、ですか?」
塚原「えぇ」
橘「……正直に言っていいですか?」
塚原「?」
橘「僕が薫にそれをつたえるとします」
塚原「うん」
橘「なぜか補習を僕に押し付けて逃げていく姿しか思い浮かばないです」
塚原「……」
橘「きっと薫って男の名前にもありがちだから、バレないとかいって押し切られそうな未来が見えます」
塚原「そ、その時は私が橘君を指導してあげるわ?」
橘「!!」
橘「……って、先輩。趣旨かわってませんか?」
塚原「そうね……言った後に私も気付いたわよ」
???「絢辻さん、あんたこんなところでなにしてんの?」
絢辻「げっ、棚町さん」
薫「あんた今、げって言ったわね」
絢辻「……言ってないわよ」
薫「……まぁ、いいわ。こんなところで大所帯で何を」
森島「あっちよあっち」クイックィッ
薫「へ?」
七咲「あ、森島先輩。なんか和やかな雰囲気で会話が進んでますよ」
薫「……」
絢辻「見ての通りよ」
絢辻「え?」
薫「なによっ!面白そうなことしてるじゃない。あたしも混ぜなさい」
美也「(また一人増えてしまった……みゃーが帰れる日は来るのか……)」
薫「ふふふ、見なさいあの純一の顔。きっとなにか怒られてるのよ」
【どうして……】
森島「うーん、やっぱりここからじゃ表情とか見えにくいわねぇ」
薫「あ、森島先輩、あたし双眼鏡もってますよー」
森島「わおっ、ナイスよ棚町さん」
絢辻「なんであなたそんなもの持ってるのよ……」
薫「たまたまよ、たまたま」
美也「(……どうしてこうなった)」
【頼り】
橘「でも、先輩は物事を教えるのが凄く上手そうですね」
塚原「そうなのかな?」
橘「そうですよ。
七咲が凄く尊敬してますし、やっぱり信頼されるってことはそういうところがあるんですよ」
塚原「ふふ、なんだかくすぐったいわね」
橘「……先輩ひとつ聞いて良いですか?」
塚原「なにかしら?」
橘「水泳部とかで、自分に自信がない子とかいませんでした?」
塚原「え、うん。まぁそうね。そういう子も中にはいるわね」
橘「そういう子にはどういったアドバイスをしているんですか?」
塚原「……その前にひとついいかしら。橘君、キミはどうしてそんなことを聞くのかな?」
橘「い、いえ、ちょっと身近といいますか、近くに凄く可愛くていい子なのに自信がない子がいまして」
塚原「それで?」
橘「それで成り行きじょう、それを克服するのを手伝うといいますか……」
塚原「そっか。なるほどね、だから私に」
橘「はい」
塚原「でも、いいかしら?」
塚原「その子はキミを頼ったのよ? 橘君をね。 その意味をよく考えてみてほしいの」
橘「はい……」
塚原「それでもなにかほしい?」
橘「いえ、そうですね。これは僕が考えることでした」
塚原「ちなみにその子はどんな子なの」
橘「えっ? えっと、そうですね」
橘「一年生の背は小さくて、小動物系といいますか、それなのに出るところは出て」
塚原「……橘君、その説明のしかた他の女の子にはしないほうがいいわよ」
橘「え?」
塚原「きっと反感かっちゃうからね」
【溜息】
塚原「にしても……」
橘「?」
塚原「(この子の周りはレベルが高いわね……)」
塚原「はぁ……」
橘「先輩?」
塚原「(あらっ、なんで私が溜息をついているのかしら……)」
塚原「(……きっとはるかや七咲のことを思って、ついただけよね)」
塚原「(……)」チラッ
橘「?」
塚原「うっ……///」
橘「先輩?」
???「み、美也ちゃん?」
美也「紗江ちゃん!!」
七咲「中多さん」
紗江「あ、逢ちゃんも。……一緒に帰ろうって言っていたのに、いないから探したよ?」
美也「ご、ごめんね紗江ちゃん。ついこの状況で」
森島「わおっ、またかわいい子が増えたわ」
森島「今年の一年生は本当にキュートねぇ」
紗江「え? あわわ」
森島「ふふ、なんてふかふかなの!」ぎゅう
紗江「ええ……こ、この状況は……」
美也「(あぁ、紗江ちゃんも捕まってしまった……)」
美也「(はたしてみゃーが帰れる日が来るのか……)」
【いつものはなし】
塚原「きみはいつもはるかとどんな話をしてるの」
橘「どんな、ですか……そうですね」
塚原「ふふ、ならはるかと話をするみたいにして、少し話してみましょうか」
橘「あはは、面白そうですね」
橘「(……っていってもどんな話をしてたっけなぁ……とりあえずこの前話したのは……」
橘「修学旅行の時に備え付けのテレビで、アダルトチャンネルを見たことあります?」
塚原「!?」
橘「(しまったあああああああ、つい思い出したことが口にでてしまったああああああ)」
塚原「た、橘君……?キミはいつもはるかとそんな会話してるの!?」
橘「い、いえそういうわけじゃ」
橘「(まさか愕然とする塚原先輩を見ることになるとは……)」
橘「(いや、でもレアな顔を見れたと思うとアリ……なのか……)」
塚原「はぁ……ちなみにはるかはなんて言ってたの?」
橘「同じ部屋の子が悪ふざけで付けたって……」
塚原「あぁ、そういえばそんなことも……」
橘「ちなみに塚原先輩が顔真っ赤にしてたって話もききましたよ」
塚原「あの子ってば、なんてことを……」
橘「あはは、でもそういう先輩もかわいいと思いますよ」
塚原「うぅ……」
塚原「にしてもはるかったら、自分のことを棚にあげて……」
橘「へ?」
塚原「自分だって顔を真っ赤にしてたのよ?」
橘「えっ? でも自分は平気だったって……」
塚原「ふふ、きっとキミの前で先輩ぶりたかったのよ」
橘「そういうものなんですか?」
塚原「くすっ、きっとそうよ」」
橘「あ、でもそれを言っちゃ駄目なんじゃ」
塚原「はるかも私のこと言ってたみたいだからおあいこ」
橘「あはは、なるほど。そうですね」
橘「前にこうしてリンゴジュースをご馳走してもらったことありましたよね」
塚原「ああ、あのときね」
橘「正直、テラスに呼び出されてって告白されるのかと思っちゃいましたよ、はは」
塚原「え?」
塚原「……」ボンッ
橘「ま、ありえないことだったわけですけど」
塚原「……」
橘「塚原先輩?」
塚原「……た、たまにキミはまっすぐすぎるところがあると思うよ//」
橘「はぁ」
【幼馴染】
塚原「そういえば、橘君は桜井さんと幼馴染なんだっけ?」
橘「え、なんで先輩がそれを」
塚原「ふふ、桜井さんに聞いたのよ」
橘「……あっ、そっか。あいつも水泳補習の常連でしたっけ」
塚原「真面目にはやってるんだけどね」
橘「あはは、りほ……っと、桜井は運動が苦手ですから」
塚原「そうなの?」
橘「でも、一生懸命やってるのは確かですよ。僕が保証します」
塚原「ふふ、仲がいいのね」
【女の子の気持ち】
橘「あ、泳ぐ前に水泳はかなりカロリーを消費するって言ってやれば、ペースは上がるかもしれませんね」
塚原「それを私が言うの?」
橘「え、はい」
塚原「無理よ」
橘「え?」
塚原「それはキミと彼女の距離感だから言えることね」
塚原「それに私が言うと変に思われちゃうでしょ」
塚原「なんで、この人に悩みが分かるのって」
橘「あ、なるほど」
塚原「気をつけないと駄目よ?」
???「あれ~、こんなところでなにしてるの~」
美也「り、りほちゃん」
梨穂子「はおー、美也ちゃん。……えっ? なんでこんなところでみんなかたまって」
森島「わおっ、ナイスな挨拶ね」
梨穂子「えへへ、そうですか~」
森島「グーよ♪」
薫「あ、森島先輩。純一が怒られはじめました」
梨穂子「え?純一?」
七咲「そうなんですか?」
森島「そうなのよ。こう、めっ!てかんじで」
七咲「へぇ~。クスッ、なんだかかわいらしいですね」
森島「そうなの。怒ってるひびきちゃんも怖いけどかわいいから困るの」
絢辻「(塚原先輩……心中お察しします)」
梨穂子「えぇっ、純一が塚原先輩に怒られてる?」
美也「(りほちゃん……マイペースすぎるよ……)」
絢辻「き、お、つ、け、な、い、お、た、め、お、っとこんなものかしら……」
薫「……あんた読唇術なんてどこで……」
絢辻「私くらいじゃ一人しか追えないし、あやふやにしかわからないけどね」
薫「……無駄に万能ね」
絢辻「無駄じゃなかったじゃない」
森島「本当にすごいわねぇ、絢辻さん」
絢辻「いえ、たまたまできただけですから」ニコッ
薫「(どんなたまたまなのよ……)」
塚原「さてと、そろそろお開きとしましょうか」
橘「あ、そうですね。結構話してましたね」
塚原「そうね、時間も結構たってたみたい」
塚原「それに……どうやらキミは本当に人脈が広いみたいね」チラッ
「!?」 ガサガサ
橘「塚原先輩、なにか向こうのほうにあるんですか?」
塚原「クスっ、いいえ、なんでもないのよ」
橘「?」
塚原「? えぇ、いいわよ」
橘「今日は楽しかったですか?」
塚原「……」
塚原「そうね、楽しかったわ。いろんな話もきけたしね」
橘「そうですか、よかった」
塚原「ふふ、それじゃあ。よかったらまた誘ってね」
橘「はい、是非」
【冷えるよ?】
スタスタ
塚原「……っと、橘君はもう行ったわね」
塚原「……」
塚原「あなたたちも風邪をひかないうちにもどったほうがいいわよ」
「!?」ガサガサ
塚原「ふふ、それじゃあね」
【物陰にて 番外】
???「まさかあの塚原先輩とまで仲良くなってるなんて」
???「橘君……」
???「それにしても、陰で見てたあの人たちはなってないよ!」
???「場所取りも気配の消し方も、あんなんじゃすぐにわかっちゃうよ」
???「ふふふ、やっぱり私しか橘君を守ってあげられないね」
???「……」
???「私も橘君とお茶会したいなあ……」
???「いっぱいお話して、それでいっぱい橘君のことを聞いて、もっと好きになって」
???「私のことも知ってもらって……それで、そのあとはあんなことやこんなことになっても仕方ないよね」
???「きゃー///」
【後日 図書室にて】
森島「ひ、び、き。なにを読んでるの?」
塚原「は、はるか!? もう、急にあらわれないでよ」ガサッ
森島「えー、ひびきちゃんが教室にいないから探したんだからねっ」
塚原「そ、そうなの?」
森島「うん。そ・れ・で、なにを後ろに隠したの?」
塚原「か、隠してないわよ?」
森島「じっー」
塚原「う」
森島「じっー」
森島「……料理の本?」
塚原「そうよ……わかった?」
森島「なるほどね、とうとうひびきちゃんも花嫁修業をはじめたのね」
塚原「はい!?」
森島「隠さなくっていいんだから」
塚原「……」
森島「……あれ、違うの?」
塚原「違うわよ! はぁ……まったくはるかったら」
森島「だって、ひびきちゃんが真剣にだったから、そうかと」
塚原「う……私そんなに真剣に眺めてた?」
森島「うん」
塚原「うぅ……そっか」
森島「?」
森島「?」
塚原「いいえ、こっちの話……ってはるかも関係あるか」
森島「うん?なんの話?」
塚原「今年ははるかにあげるバレンタインチョコを手作りにしようかなって話よ」
森島「わおっ、本当ひびきちゃん!」
塚原「こんなことで嘘をついてどうするのよ」
森島「わおっ、じゃあ今年は私も手作りねっ」
塚原「またはるかのお兄さんやお母さんにとめられるんじゃない?」
森島「そ、そんなことないんだから」
塚原「ふふ、どうだか」
保守させてすまんかった。あとありがとう
ひびきちゃんかわ
Entry ⇒ 2012.03.14 | Category ⇒ アマガミSS | Comments (1) | Trackbacks (0)
犯人「お宅の娘を預かった」母『ええ?何ゆえ?』
http://hayabusa.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1330953018/
母『え?え?あの、娘は……』
犯人「心配するな」
母『いえいえ。まだ、10歳ですよ?』
犯人「そうだな」
母『そんな……まだ、早いと思いますけど』
犯人「何の話だ?」
母『あと五年は待っていただけないでしょうか?』
犯人「バカか。今すぐ必要なんだ」
母『まぁ、そういう性癖なんですか?』
犯人「あ?」
母『え?』
母『あの、娘をどこで?』
犯人「小学校の前だ」
母『あら、ランドセルが好みなんです?』
犯人「好み?いや。別にランドセルに興味はない」
母『じゃあ……どこに惹かれて?』
犯人「金だ」
母『うちのこ、財布にはいつも500円しか入ってないはずですけど』
犯人「ちょっとまて」
母『はい』
犯人「おい」
少女「ん?」
犯人「お前の母親、バカなのか?」
少女「しらん」
犯人「……」
犯人「もう何もいうな。俺の言うことだけを黙ってきけ」
犯人「ん?おい!!聞こえているのか?おい!!」
母『―――すいません。うちのジョンが餌がほしいって、おほほほ』
犯人「お前、状況が呑めてないようだな」
母『と、いいますと?』
犯人「いいか?俺はお前の娘を預かったんだ。それはわかるな?」
母『ええ』
犯人「よし。事の重大さも分かるな?」
母『ごめんなさい。数学は苦手で……』
犯人「もういい。三時間後にもう一度連絡する。5000万用意しろ」
母『えっと……ジンバブエドルで?』
犯人「円だ」
母『わかりました』
犯人「頼むぞ」
少女「……おい」
犯人「あ?」
少女「この私の両腕の自由を奪っている楔をとってくれ」
犯人「お前、変な本でも読んでるだろ?」
少女「はやくしろ」
犯人「解くわけないだろ」
少女「そうか。ならばおしっこを盛大に放射するがよろしいか?」
犯人「やめろ。……ほら、たて」グッ
少女「むぅ……この楔さえ解ければ、すぐに厠へいけるというに」
犯人「……」
少女「くぅぅ。これが我が暗黒パワーを封じ込めている鎖かぁ!!」
犯人(頭いてぇ……)
犯人「おい。立場が分かってないのか」
少女「分かっている。お前は私を殺すことはできない」
犯人「……」
少女「ふふーん」
犯人「てめ……」ペシーン
少女「いたっ!?」
犯人「調子にのるなよ……糞ガキ……」
少女「な……」
犯人「てめえの小便ぐらいてめえで流せ」
少女「……」
犯人「ふんっ」
少女「脚払い!!」ザンッ
犯人「おわっ?!―――っとと!!おまえ?!」
少女「私は誘拐された身だぞ!!手厚くもてなして!!」
少女「それに私の触手は封印されている。これでは水を流すことも叶わない」
犯人「……」ゴソゴソ
少女「まぁ、1割の力でも地球を割ることなんて簡単に―――」
犯人「……黙ってろ」ペタッ
少女「むー!!!むー!!!!」ジタバタ
犯人「……誘拐する家庭をもう少し調査するべきだったな」
少女「むー!!!むー!!!」
犯人「だまれ!!」
少女「……」
犯人「それでいい」
少女「……」グゥ~
犯人「……腹がへったのか?」
少女「むぅ」コクコク
犯人「……」
少女「むー!!」ジタバタ
犯人「ちっ……」ベリベリ
少女「ぷはぁ!!」
犯人「黙って食え」
少女「いただきまぁーす!!!!」
犯人「黙って食えっていっただろ!!」
少女「いただきますって大事でしょ!!」
犯人「もういいから、静かにしてろ!!」
少女「はぁい」
犯人「はぁ……はぁ……」
少女「……」モグモグ
犯人「……」
少女「……」モグモグ
犯人(聞き分けはいいようだな……)
犯人「む……。そろそろ電話するか」
少女「ぐぅ……ぐぅ……」
犯人「のんきな奴だな……」トゥルルル
母『もしもし?』
犯人「5000万は用意できたか?」
母『それが、高収入のアルバイト広告を見ていたんですけど、どこも年齢制限があって……』
犯人「なに稼ごうとしてるんだ!!」
母『え?まだ、若い子には負けませんよ』ムフー
犯人「やめろ。体は大事にするんだ」
母『あら。お優しいのね。ところで娘は?』
犯人「まだ手を出してない。安心しろ」
母『意外と硬派なんですね。私も安心しました』
犯人「お前、バカだろ?」
母『ば、バカ?!し、しつれいですっ!!流石のわたしも名誉きそんでうったえますよっ!!』プンスカ
母『急に言われてもご用意できません……』
犯人「お前の夫は大企業の重役だろうが。それぐらい調べはついているぞ」
母『あら、旦那をご存知なんですか?いつもお世話になっております』
犯人「なってない!!」
母『じゃあ、誰なんですか?』
犯人「なんでお前が少し怒ってるんだ」
母『だって……お名前も聞いてませんし』
犯人「俺はお前の娘を誘拐したんだぞ?名乗れるわけないだろ?」
母『誘拐?』
犯人「そうだ。俺は誘拐犯だ。身代金の5000万を早く用意しろ』
母『逆探知は成功だ。無駄な抵抗はやめろ』
犯人「なんだと?」
母『うふふ。うそでーす』
犯人「……」イラッ
犯人「よかったな」
母『ちなみに1位は『おまえはもうしんでいる。あべしー!!』です』
犯人「それはセットか」
母『はい』
犯人「あ、いやいや。とにかく5000万だ。早く用意しろ!!」
母『そんなぁ。意外と重いんですよ、5000万ペセタ』
犯人「円だっていってるだろ?!」
母『今、円高で……』
犯人「関係ないだろ!?」
母『えー?』
犯人「えーじゃない!!早く用意しろよ!!」
母『わかりましたよぉ……タンス預金に100万ほどありますね……たしか』トテトテ
犯人「足りないだろ」
母『前金じゃだめなんですか?』
母『私、小説読まないので……』
犯人「小説の世界にもいない」
母『最近読んだのは容疑者ワイ!でした』
犯人「聞いてないし、エックスだろ」
母『あら?そうでした?確かあの本……』
犯人「探すな。おい、またかけ直す。いいな。早急に5000万円を用意しろ」
母『体で?』
犯人「現金だ!!」
母『げんきんなやつねー。なんちゃって―――』
ガチャン!!!
犯人「ふー!!ふー!!!」
少女「……ん?どした?」
犯人「お前の母親、なんだあれ?バカとかのレベルじゃないぞ」
少女「しらんがな」
少女「半分は?」
犯人「……優しさでできてるよ」
少女「バッファロー」
犯人「もういい……疲れた。少し休む……」
少女「逃げるぞ?」
犯人「ふん。逃げられるなら逃げてみろ」
少女「両手が封印されていても……私には……大地を踏みしめられる足があるんだぁー!!!」テテッ
ドガッ
少女「うわぁーこけたぁー」キャッキャッ
犯人「ふぅ……」
少女「おこせー!!」
犯人「ねてろ」
少女「了解でありますっ!!」
犯人(負けるな……諦めるな……金のためだ……金のため……)ウルウル
犯人「ん……?」
少女「もう1時間経過したぞー」
犯人「あぁ……そうか……」
犯人「ありがとよ」
少女「いえいえ」
犯人「……」トゥルルル
母『はぁーい。天下の王将でーす』
犯人「……餃子一日」
母『ひゃく……まんこっ』
犯人「変なところで言葉を切るな。5000万は?」
母『あのぅ。マコトに申し訳ないのですがぁ』
犯人「なんだ?もうなんでもいえ」
母『口座番号を教えてくれませんかぁ?』
犯人「……手元に用意しろよ」
犯人「もういい。口座番号を教えれば……いや!!だめだ!!」
母『なんでですか?』
犯人「足がつく」
母『誰にもいいませんって』
犯人「信用できない」
母『あら。心外ですわっ』
犯人「……ありえないと思うが……警察とかいないだろうな?」
母『え?』
犯人「警察だ。いないだろ?」
警官『いるよー』
犯人「?!」
警官『かわいいお母さんだとおもった?残念でしたー、おまわりさん―――』
ガチャン!!!
犯人「……バカな……くそ!!あいつ……バカのふりをしてたのか……!!?」
犯人「だ、だまれ!!……いや、まだ俺には人質がいる……大丈夫だ」
ピリリリリリ!!!
犯人「な、なんだ!?」
少女「着信アリだぁ」
犯人「……も、もしもし?」
警官『いきなり切るなよ。渾身の一発ギャグを疲労したのに電話切られてるとか、ないわー』
犯人「なんでこの電話番号がわかった?」
警官『ふふ。おわかりいただけただろうか?」
犯人「……」
警官『そうだ。逆探知だ!!ふはーははー!!』
犯人「母親に代われ」
警官『おかあさん、かわってって』
母『はいはい。―――もしもし?なんでしょう?』
犯人「娘の命はないと思え」
犯人「いいか?娘の命はないと思え!!」
ツーツー
犯人「切れてる……」
ピリリリ
犯人「もしもし?」
警官『どうだ?ちょっと寂しかっただろ?』
犯人「わかったから母親に代われ」
警官『ロリコンでマザコンか。すくえんな』
犯人「いいから!!」
警官『おかーさーん』
母『はいはい。―――もしもし?今、刑事さんたちにお夕飯を準備していて忙しいの。またにしてくれる?』
犯人「ふざけんな!!娘がどうなってもいいのか?!」
母『まだ男性との経験はないと思いますので、できるだけ優しくしてあげてください』
犯人「警官にかわれ!!話にならない!!」
犯人「いいか?バカ女の旦那を連れて来い。直接話がしたい」
警官『ファザコンも患ってるのか。お前、キャラ濃いなー』
犯人「違うっ!」
警官『おとーさん。よんでるよー。―――はぁーい。パパだよぉ?』
犯人「あそぶんじゃねえ!!」
警官『なんだよ。場を和ませようとしてるんじゃないか』
犯人「こっちには人質がいるんだぞ!!」
警官『む……無事なんだろうな?』
犯人「さぁな。五体満足で帰られるかはお前らの態度次第だ」
警官『性奴隷にだけはするなよ。捕まるぞ』
犯人「しねーよ!!」
警官『で、娘さんの声を聞かせろ。本当に無事なのか確認したい』
犯人「ふん……おい」
少女「なんだぁ?」
少女「なにかって?」
犯人「なんでもいい」
少女「天光満つる所に我はあり。黄泉の門ひらく所に汝あ―――」
犯人「この通り元気だ」
少女「さいごまでいわせてよー!!」
警官『出でよ!!神の―――』
犯人「5000万だ!!いいな!!」
警官『5000万元?』
犯人「円だよ?!わかれよ!?」
警官『通貨単位を言わないとわからないし』
犯人「なんで拗ねてんだ……」
警官『わかった。5000円な』
犯人「……」
警官『冗談!冗談だって!!もう!!冗談が通じないやつだなぁー』
警官『アイアイサー』
ガチャン
犯人「……」
少女「こがはざん」
犯人「はいはい」
少女「疲れてるな。肩でももんでやろうか?」
犯人「……」
少女「私はにげないっ!!」ドーン
犯人「縛られた状態で偉そうに……」
少女「私の肩もみ・肩たたきはうまいって定評があるんだよ」
犯人「大人は子どもに対して皆そういうんだ」
少女「乙女ショック!!」
犯人「……」
少女「よよよ……私はまた大人の汚さをしり……そして私も穢れた大人になるのね……」
少女「あれ?縄ほどくの?」
犯人「もう疲れた……好きにしろ」
少女「えー?」
犯人「俺には無理だったんだ……誘拐なんて……」
少女「……」トコトコ
犯人「リストラされて……就職先もなくて……もうこうするしか……おもいつかなくて……」
少女「……」
犯人「何ヶ月もシミュレートして……誘拐する子どもも……その家庭環境も念入りに調べたのに……くそぅ……」
少女「……」トントン
犯人「……何の真似だ?」
少女「気持ちいい?」
犯人「好きにしろっていっただろ」
少女「だから肩をたたいてるんでしょ!!バカぁか!!?」トントン
犯人「そ、そうか……」
犯人「……」
少女「かゆいところはありませんかぁー?」モミモミ
犯人「全然違うな、それ」
少女「私は背中がかゆいです。かけ、おらぁ」
犯人「……ここか?」ポリポリ
少女「違うよ。もっと下」
犯人「ここか?」ポリポリ
少女「違う違う。もっと下」
犯人「あー?ここか?」ポリポリ
少女「ふっ。少女の尻をかくとはいい度胸だ。豚箱いきだよぉ!!」
犯人「……」
少女「ふふふ。誘拐犯と前科にかかれるか、それとも女児に悪戯とかかれるか……その運命は私がにぎったぁ!!」
少女「故にお前はもう、私に逆らえない!!―――さぁ、チョコレートを買ってこい。いちごのやつだぞ」
犯人「でてけ」
少女「きゃう!?」
犯人「もういい。面倒みきれん」ガチャ
少女「今、冬ですよ?!さむっ?!」ブルブル
犯人「知らん」
少女「まって!!ぎゃくたーい!!」
犯人「家にかえれ」
少女「どこよここ!?早速迷子だぞ!!」
犯人「そこの道路をまっすぐ南にいけば駅がある!!」
少女「500円でかえれんのぁ?!」
犯人「……」
少女「それは無理な顔だー!!うわーん!!」
犯人「お、おい……大声でなくな……」
「なんだ?なんだ?」
「女の子がないてるぞー?」
犯人「いってねーよ!!」ふざけんな!!」
少女「うわーん!!ソーセージがふっといよぉ!!」
犯人「お前本当に小学生か!?」
ざわざわ……
「ロリコンだ……」
「うわぁ……」
犯人「くっ……!!はいれ!!」
少女「やったぜ」グッ
「……」ジーッ
犯人「えっと。うちの妹で……」
少女「ごめんね。おにーちゃん!」
「なんだ。微笑ましいうらやま兄妹か」
犯人「……」
少女「はやくこたつでみかんたべよっ!」
犯人「はぁ……」
犯人(追い出すこともできないのかよ……)
ピリリリ
犯人「……」
少女「電話だ。もしもーし、人質でーす」
母『もう八時だけど、まだ帰れそうにないの?』
少女「もうちょっとかかり―――」
犯人「勝手にでるな!!!」
少女「あぁん」
犯人「もしもし?」
母『あ、いたいた』
犯人「旦那は?」
母『残業だそうで』
犯人「つれもどせ……たのむ……」
犯人「いるかっ!?」
母『でも、半分っこなら……うふ』
犯人「変な想像するな」
母『あぁ……そんなところに……あぁ……』モジモジ
犯人「5000万円は?」
母『あ、そうそう。ご用意できたんです。それを伝えようと思って』
犯人「真っ先に伝えろ!!」
母『ご、ごめんなさい。娘が出るとは思わなくて、思わず忘却のかなた」
犯人「よし……いいか?今から指示するところにその金を置いて来い」
母『え?』
犯人「なんだ?」
母『でも……こんな大金をどこかに放置したら……餓鬼どもが群がりますよ?』
犯人「お前、娘にどんな本を読んでるんだ?」
母『死神代行するあれです。うふっ』
警官『んー?なんだぁ?今、奥さんの作ってくれた焼きそばに舌鼓をうってたんだけど?」ズルズル
犯人「こっちはなにも食べてないぞ」
警官『またまたー。10歳の女の子を食べたんだろー?んー?』
犯人「だまれ」
警官『んで、なんだ?』ズルズル
犯人「金があるな?」
警官『おう。すごいな。俺が欲しいぐらいだ』
犯人「△町○丁目×番地にある公園、わかるな?」
警官『うん』ズルズル
犯人「0時丁度に金を何かに詰めて公園の中央に置け」
警官『なんで?』
犯人「金を受け取りたいからだよ!!」
警官『そこの住所教えてくれた郵送するけど?』
犯人「できねーよ!!!それぐらいしってるだろ?!小分けして送る気かぁ!?」
犯人「……ズルズルやめろ」
警官『おう』
犯人「とにかく言うとおりにしろ。詰める物は……そうだな、アタッシュケースにしろ」
警官『わかった』チュルルン
犯人「……よし」
警官『おーい!!アタッシュケース用意してくれー!!』
警官『うーっす!!』
警官『あ!!こら!!一万円抜き取ろうとするなよ!!』
警官『一枚ぐらいばれないですって―――』
ツーツー
犯人「……」
少女「んで、どうなった?」
犯人「……最後の仕上げだ。付き合ってもらう」
少女「ま、まじで……ま、まぁ……その……あの……いいけど……」ポッ
少女「初デートでドライブとか洒落てるね」バタン
犯人「……」ガチャ
少女「音楽なにがあるの?」
犯人「ん?そこにCDがあるだろ?」
少女「えっと……えあろすみす?なんじゃこれ、二酸化炭素でも感知してボラボラボラ?」
犯人「……全然違うな。というか、お前、やっぱり小学生じゃないな?」
少女「ボラーレヴィーア」
犯人「いくぞ」ブゥゥン
少女「海がいいなぁー」
犯人「公園だ」
少女「え?海の見える?」
犯人「海好きだな」
少女「なんか、いいじゃん?」
犯人「よくしらんが」
犯人「……」
少女「ここー?なにもないね」
犯人「まだ出るな」
少女「なんで……はっ?!まさか……カーセック……」
犯人「違う」
少女「つまんね」
犯人「……おれはそう言う犯罪者になりたくない」
少女「リクライニング、ドーン!!!」バターン
犯人「……」
少女「もういっかい!もういっかい!!」キャッキャッ
犯人「……あと5分か」
ピリリリ
犯人「はい?」
警官『ごっめん!!道に迷った!!3分遅れる!!』
警官『んだよ。のりわるいなぁ。さっきまでのノリはどこいったんだべ?』
犯人「もう深夜だ」
警官『深夜のほうが変にテンションあがんじゃん。なにいってんだよ』
犯人「いいから急いで来い!!!」
警官『おっけーおっけー』
警官『おーい!!こっちに交番あるぜー!!』
警官『ナイス!!でかした!!』
警官『うっわ!!巡回中だってよ!!警察おわってんなぁ!!』
ツーツー
犯人「……ふん」
少女「ふわぁ……」
犯人「ねるか?」
少女「……いいよ?しよ?」
犯人「マジで殺すぞ?」
少女「すぅ……すぅ……」
犯人「ん?」
母「……」トテトテ
犯人「あれは……?」
母「……」キョロキョロ
犯人「……」ガチャ
母「あれー?いない……刑事さんたちも……犯人さんも……どゆことー?」オロオロ
犯人「おい」
母「はい?」
犯人「……金は?」
母「……あ!!貴方が?!」
犯人「ああ……誘拐犯だ」
母「まぁまぁ。まだいらしたんですね。お金は受け取ってくれました?」キャッキャッ
犯人「まだだ。どこいった?」
犯人「誰一人きてない」
母「あららー。そうですかぁ」
犯人「……娘は車の中だ」
母「そうなんですか?」
犯人「つれて帰ってくれ」
母「えぇ?何ゆえ?」
犯人「何ゆえもくそもない。もう負けだ……諦めた」
母「はぁ?誰にお負けになったのです?」
犯人「お前と!!お前の娘だ!!」
母「あらぁー……もう再起不能?」
犯人「どこみてんだよ!!」
母「あら、やだ。わたしったらド淫乱……」ポッ
犯人「いいから、娘を―――」
母「あ、そーだ。犯人さんが何も食べてないって刑事さんが言ってましたので、焼きそばタッパーに入れてもってきました。冷めてますけど、どーぞ」
少女「ん……あ、母上ー」
母「久しぶりー。12時間ぶりかなぁー?」スリスリ
少女「16時間ぶりだよぉー!!」スリスリ
母「ちょっと見ない間に……女になったのね」
少女「うん……」ポッ
犯人「いい加減にしろ」
母「まぁまぁ。照れなくてもいいですのに」
犯人「照れてない!!」
少女「あれがツンデレか……」
犯人「マジで呆れてんだよ!!!」
母「で、焼きそばおいしいで……あれ?食べてないんですか?」
犯人「……箸」
母「きゃー!!ママったらうっかりしちゃってましたぁ!!そーですよね。インド人じゃあるまいし、お箸いりますよねー」
少女「あっは♪お母さんのドジっこがぁー」
少女「おくってけー」
犯人「ここから家まで徒歩2分ぐらいだろ!!知ってんだぞ!!それぐらい!!」
母「まぁまぁ。ガソリン代はお支払いしますから……体で」
犯人「やめろ!!旦那がいるんだろ!!!」
母「あらやだ、娘がですよー」
少女「うっふん。かもーん」スルスル
犯人「ぬぐな!!」
母「人妻の魅力が分かる人に悪い人はいませんけどね……うふっ」
犯人「……」
少女「はやく車だしてー」
母「だしてぇ」
犯人「……あぁぁ!!!!はやくのれ!!」
少女「やったぜ」グッ
母「やったぞ」グッ
犯人「ここでいいな?」
母「はい」
少女「たのしかったぞ。また誘拐してくれ!」
犯人「二度としない!!!」
母「はっ!!次はわ、私ですね……」ブルブル
犯人「顔がにやけてるぞ」
母「あれ?そうですか?」
少女「またなー」
犯人「二度と会うことはねーよ」
少女「ふっふっふ。こっちは電話番号をつかんでるんだぜ?」
犯人「すぐに破棄するに決まってるだろ」
母「あの……どうして誘拐なんてしたんですか?もっと派手な銀行強盗とかあるのに……」
犯人「うるさい。説教するポイントが違うんだよ」
少女「この人、リストラされてニートなんだって」
犯人「ああ……必死に10年働いて……それでも駄目だった……」
母「あの……ちょっと待っててください!!」テテテッ
犯人「あ、おい!!」
少女「ねえねえ。今度はどんな羞恥プレイする?」
犯人「プレイじゃねーよ!!!」
母「はやく!!」
父「な、なんだよ」
母「はい!お待たせしました!!」
犯人「え?」
父「この人か」
母「うん。面接してあげて」
犯人「え?え?」
父「むむ……ママが選んだ男だ。おーし!!採用!!来週からうちの会社にこい!!」バンバン
犯人「……は?」
父「やめないかぁー。そう言うことはベッドの上だぞー?」
母「もう!絶倫なんだからっ!」ポッ
父「あははは!!」
犯人「……」
少女「よかったなぁ!!父上の会社は世界中に社員がいて10万人規模の大企業だぞ」
犯人「おい!!ふざけんな!!」
父「なんだと?」
犯人「簡単に決めるな。ちゃんと面接してからにしろ。俺の何がわかるっていうんだ……!!」
父「むぅ……折角誘ってやったのに」
犯人「いいか?!俺はお前の娘を攫ったクズだぞ?!」
父「うむ」
犯人「そんな奴を雇ってどんなメリットがあるんだよ!!」
父「履歴書を相手に見せてから会話するのと、こうして出会って会話するのも同じだと思わないか?結局、第一印象が大事なんだよ」
犯人「誘拐犯の第一印象って破滅的じゃないのか?」
母「私はそんなこと思わないけど……」
少女「頑固だなぁー」
犯人「もういい……。でも、誘ってくれて嬉しかったです」
父「そうか」
犯人「それじゃあ、失礼します」バタン
少女「またつれさってねー!!」
母「焼きそば、たべてくださいねー」
犯人「……」ブゥゥゥン
犯人「……」
犯人(はぁ……)
犯人(疲れただけだったなぁ……)
犯人(さてと……行くか……)
ブゥゥゥン
犯人「……」バタン
犯人「……」スタスタ
ガチャ
警官「ん?どちらさま?」
犯人「女の子を誘拐しました」
警官「え?その女の子どこよ?」
犯人「……もう返しました」
警官「えー?証拠は?」
犯人「調べればすぐにわかります」
警官「……逮捕されたいの?マゾ?」
犯人「違います……。営利誘拐したんです」
警官「証明するものがないと、こっちも誤認逮捕になっちゃうし」
犯人「……もういいです……かえります……」
警官「んー。お大事にー」
犯人「疲れた……」
犯人「寝よう……」モゾモゾ
犯人「はぁ……」
少女「疲れてんな」
犯人「うお?!」
少女「肩もんでやろうか?」
犯人「な、なんで……」
少女「パパの情報網を甘くみたなぁー?電話番号から住所ぐらい割り出せるんだぜ」
犯人「いや……さっきとのところとは違う場所なんだが……」
少女「母上と父上から許可を貰ってきたから、これからは一緒な」
犯人「なんだと?!」
少女「よろしくいっといって」
犯人「うわぁぁ!!!」
少女「ひゃっはー」
犯人「……」
少女「よぉー、朝飯できるぜー」
犯人「……」ゴシゴシ
母「うふふ。顔を洗ってきてくださいな」
犯人「……おい」
少女「朝ごはんを作りにきてくれたんだー」
母「娘はまだ料理が駄目なんで」
少女「包丁が血を欲するが故に手を切っちゃうんだ」
犯人「―――もう自首させてくれぇ!!」
テレビ『今日未明、大金をもった警官10人が飲食店で酒に酔い、店員に暴行を加える事件がありました』
テレビ『その警官10名はもれなく御用になりました。次のニュースです。ペンギンが逃げ出して人間が大慌てするという凄惨な事件が―――』
おしまい
Entry ⇒ 2012.03.14 | Category ⇒ その他 | Comments (0) | Trackbacks (0)
女僧侶「勇者様にプロポーズされました」
http://hayabusa.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1330764570/
女僧侶「……」
男「ごめん。いま何て?」
女僧侶「勇者様に……プロポーズ、されました」
男「え……そ……そう……なのか……」
女僧侶「うん。きみには、言っておこうと思ったの」
男「……」
女僧侶「ううん。実は魔王討伐の前から、言われてたの。帰ったら、結婚してくれないかって」
男「そうなのか?こっちに帰ってきてから、そんな話一言も」
女僧侶「返事は保留してたんだ。私も突然でビックリしてたし、お付き合いをしてたわけでもなかったし」
女僧侶「でも、つい昨日、また申し込まれて」
男「いきなり結婚を申し込んだってこと?お互いのこと何にも知らないんじゃ」
女僧侶「もしかしたら知らない間にそんな感じだったかも……うん。たぶん、そうだと思う」
男「……受けるの?」
女僧侶「うん。受けようと思う」
男「!」
女僧侶「勇者様はお父様を亡くされて、とってもつらそうだった。できる限り、支えてあげたいんだ」
男「そ、そうか……そりゃあ、また…」
男「…おめでとう……」
男「は、はは…。そっか、うん。そうだな…幼馴染だもんな、俺ら」
女僧侶「うん」
男「す、すげえよ!勇者様の伴侶か!」
男「参ったな、世界を救った二人が結婚か……こりゃ国をあげての大騒ぎになるだろうな」
女僧侶「……そうだね」
男「おめでとう。お前みたいな幼馴染がいて、ホントに誇らしいよ」
女僧侶「ありがとう。ふふ…きみならそう言うと思ってた」
男「お、おう。またな」
女僧侶「うん。またね」タタタ
男(……)
男(そうか……結婚するのか、あいつ)
男(あいつが……)
青年「今日からこの村に越してきました。よろしくお願いします。こっちが、娘です」
幼馴染「……」ギュッ
父「やあ、よろしく!友人が増えて嬉しいよ。ほら男も挨拶しろ」
男「……」ギュッ
青年「どうやらお互い人見知りなようですね」クスッ
父「まったくで」ハハッ
父「おい。挨拶はちゃんとしなさい、ほら」
青年「お前も、ほら」
幼馴染「ん……」
男「……」
男「…………」
幼馴染「…………」
男「……よろしくな」
幼馴染「!は、はい!」
父「よしよし。素敵な彼女ができて良かったなあ」ナデナデ
男「うぅ///」ナデナデ
男「うりゃあああ!」バシャーン
幼馴染「きゃああ///」バシャーン
青年「おーい。二人とも!あんまり水辺で騒ぐなよ、気をつけて」
青年「1年は早いな。子どももあっという間に仲良くなる」
父「幼ちゃんは良い娘だ。子どもが少ないこの村ではいいお友達だよ」
父「何より優しい娘だ」
青年「はははっ。ありがとう。誰に似たのか、死んだ妻かな。男親としてはこれからが心配だけど」
父「うちも家内に似れば良かったんだがなあ。どうも粗雑で」
青年「男の子はあれぐらいがちょうどいいよ」
幼馴染「あ、あ!あん!やあ、やめてえぇえ///」
青年「ごらああああ!!うちの娘になにしてやがんだああああ!」
<ギャー
<キャー
父「はっはっは。お互い妻を持たないと苦労するね」ハハッ
男「とーさん頑張れ!」
幼馴染「あうう……お、お父さん!頑張って!」ドキドキ
青年「だ、そうだ。そろそろ訓練も終わりにしよう、お昼も食べないといけないしね」チャキ
父「っ」チャキ
青年「はっ!」キン!
父「ぐっ!」ギィン!、カラン
青年「勝負ありだな」
男「あー……」
幼馴染「えへっ」ニコニコ
幼馴染「あっ!やああ!あん!お、お父さん助けてぇええ」
青年「やめんかごらあ!」
男「」ビクッ
幼馴染「ふぇえ…」
青年「まったく…もうちょっと女の子の扱い方を頼むよ」
父「い、いや~。悪い悪い……それにしたって本当に強いな、お前は」
父「前から不思議だったんだが、どこかで剣の訓練を積んでたんじゃないか?」
青年「ははっ。買いかぶりだよ」
父「まあ、おかげで俺もこうして教えてもらえるんだけど」
父「……最近は魔物の動きもますます活発化してきたからな。やはり自衛くらいはできるようにならんと」
青年「……そうだな」
父「よっしゃ、昼飯くったらもう一度だ」
青年「ああ」
魔物A「ぐるるる」
青年「ぜあっ!」ズバッ
魔物A「ぎゃあああ――」
魔物B「きしゃあああ!」
青年「まだいたか!」キンッ
魔物B「ぐるる」
魔物C「ぎししし…」
青年「……」
青年「……」チャキ
魔物「「きしゃああ!」」
青年「…ハヤブサ斬り」
キン!ジャキィィィン!
――ギャアアアア……ドサドサッ
父「………」ゴクリ
男「……」
幼馴染「お父さああん!」ガバッ
幼馴染「うぇええん……」
青年「なに泣いてるんだ。あんな魔物に父さんが負けるわけないだろ」
幼馴染「だってぇええ…」ブワッ
青年「だあ!鼻水!!」
男(すっげー……)
男(幼のお父さん…めちゃくちゃ強い……)
青年「問題ないよ」
父「お前、本当に何者なんだ?あんな技…とてもそこらの剣士とは思えないな」
青年「……」
父「……お前が話したくないならいい。ともかく、ありがとう!おかげで村は助かったよ」
青年「くっくっ。とても隅で震えていた男のセリフとは思えないな」
父「う、うるせー!強すぎんだろいまの!!」
青年「はっはっ。まだ鍛練が足りないんだよ」
父「ぐぬぬ」
青年(……)
青年(……確かに、いまの魔物……これまでとは格が違った)
青年(やはり魔王……本格的に動き出したか……しかし……)グッ
――
男(幼のとこ行こうかな……っと)タタタ
男(ん?)
『……です』
男(何だろ、話声が…)コソッ
兵士「やっと、見つけましたよ」
青年「………」
男(おじさん?……なにしてるんだろ)
兵士「どうかお戻りになってください。魔物の勢いはもはやとどまるところを知りません」
兵士「あなた様がお戻りになれば兵たちの士気もあがるはずです」
男(……兵隊、さん?)
青年「ぼくは、戻らない。この村で静かに娘と暮らしたいんだ。どうか邪魔しないでくれ」
青年「……頼む。妻を亡くしたぼくの気持ちは、きみも知ってるだろう」
兵士「奥様は残念でした。だが今は国が滅びるかどうかの瀬戸際なのです!」
男(……?)
青年「……もう娘を一人にしたくないんだ。妻は魔物に殺されて……」
青年「……あのとき、ぼくが家にいればあんなことにはならなかった」
青年「あのときの娘の顔……きみは、見てないからそんなことを言えるんだ」
青年「泣くでもなく、怒るでもなく……ただただ呆然として、まるで死人のようだった」
青年「この村に来て、ようやく以前みたく笑うようになった」
青年「もうあいつには……二度とあんな顔して欲しくないんだ」
兵士「…………」
兵士「…また、来ます」ザッ
青年「…………」
青年「……」
青年「男。そこにいるんだろう」
男(!?な、なんで)ビクッ
青年「いまの話は、誰にも言うな。もちろん幼にも」
男「……おじさん」スッ
青年「頼む」
男「……うん」
青年「ありがとう。そうだ、きみは剣を学びたいそうだね。幼から聞いたよ」
男「あ……でも、お父さんからは『まだ早い』って」
青年「だがこの先、世界はどんどん魔物が勢力を増していくはずだ」
青年「早いうちに剣を学んで損はない。どうだ?今の話を黙っててくれるなら、代わりに剣を教えよう。もちろんこっそりね」
男「!ほ、ほんと!?」
青年「ああ」
男「ありがとう、おじさん!」
男「うん」
青年「なら剣は明日からにしよう。毎日…そうだね、昼すぎから一時間ほど教えてあげるよ。明日また来るといい」
男「うん!!ホントにありがとうおじさん!!」
男(やった……やったあ!)
男(おじさんから剣を教えてもらえる!)
男(……でも)
男(何だったのかな…)
男(さっきのは……)
男(ま、いいか)
父「……最近は……魔物のせいかな。作物もすっかり育たなくなってきてる」
青年「王もそこは考慮してくれている。無理な税の徴収もない」
父「そりゃそうだが……このままじゃ、食料も底をついちまう」
父「隣の村も魔物に襲われたらしいし……弱ったよ」
青年「………ああ」
男「お父さんたち、ずいぶん話しこんでる」
幼馴染「うん……みんな、つらそう……」
幼馴染「わかんない。でも……お父さん、最近つらそうなんだ。すごく悩んでるみたい」
幼馴染「それに最近、剣をよく振ってるの」
幼馴染「……どうしたんだろう。少し、怖いよ」
男(……)
男「大丈夫だよ。お前には俺も、その…ついてるし」
幼馴染「え…あ///」
男「お、おう。だから安心しろ」
幼馴染「……う、うん//」
男「あは、あははは///」
幼馴染「えへへ///」
青年「……」ジャキン
父「落ち着け」
青年「むっ」ギン!
男「てあ!」キン!
青年「ふむ」ガギン
青年(なかなか筋がいい。この1年で成長したな)
青年(しかし、まだ甘い。……それにだな)
幼馴染「男!頑張って~!」
青年「これは親として負けられんな!」ガギン!!
男「うあっ!」カキン!
キン……カタンッ
青年「ふっ」チャキ
男「くっそ~……」
幼馴染「!」タタタ
青年「やあ、幼。どうだ、パパの勇姿を見
幼馴染「男!!」
青年「」
男「へーき、へーき!こんなのいつものことだって…悔しいけど」
幼馴染「あんまり無茶しないでね」ウルウル
男「大げさなんだよ、お前はさ。泣き虫か」
幼馴染「うぅ……」ウルウル
男「おじさん!次は絶対に勝つからな!!」
青年「……ふっ」
青年「ああ。楽しみにしてるよ。……またな」
男「…?う、うん」
青年(……)
――
兵士「では一週間後、お迎えに参ります」
青年「ああ。それと約束は忘れてないな」
兵士「はい。村の減税および食料支援、並びに周辺地域の警戒強化。すべて王より承っております」
兵士「こちらがその確約書です」
青年「うん…ありがとう。すまないね、我が儘を言わせてしまって」
青年「ああ。それと、例の剣は?」
兵士「こちらです」
兵士「隼の剣…どうぞ。お返しいたします」
青年「……うん」
青年「またこれを持つことになるなんてなあ」チャキ
青年「……ああ」
―――
――
幼馴染「……え?」
青年「聞いた通りだ。パパは一週間後、お城へ戻る。そしたら幼は男くんたちと住むんだ。父には話をしてあるから」
幼馴染「………嘘」
青年「突然ですまないね。けど、パパは決めたんだ」
幼馴染「そんな……そんなのっ!」
青年「だから……」
青年「……」
青年「男と、仲良くな」
幼馴染「……ん」
幼馴染「こんなものかな」
男「おーい、幼。まだ洗濯かかる?」
幼馴染「ううん。いま終わったとこだよ」
男「そっか。じゃあ行こうぜ。父さん待ってる」
幼馴染「うん」
幼馴染(もう……1年か。早いなあ)
男「おじさんから手紙きてたぞ」
幼馴染「!本当!?」
男「ほらこれだ。読んだら来いよ?」
幼馴染「うん。ありがとう!」
男(嬉しそうな顔しちゃってまあ)タタタ
幼馴染「……」ドキドキ
幼馴染「……」パラッ
10才の誕生日おめでとう!
ぼくはいま、とある火山の近くの街にいる。
心配はしなくていい。順調に魔物の討伐は進んでる。心強い兵士たちも一緒だしね。
なあに、かすり傷ひとつない。パパを誰だと思ってるのかな?はっはっは。
仮に死んでも化けて出るのがパパさ!
ああ、男くんは元気かい?仲良くやってる?
……いいかい。彼は素直でいい子だが、簡単に心を許したらいけないよ!!
少なくともパパが戻るまでは絶対にね!!!
そうそう、そう言えば…』
男「っと」サクッ
男「よっ」サクッ
男「ふぃ~」
幼馴染「畑、頑張ってるみたいだね」トテトテ
男「ん?うん。土の匂いって落ち着くしね」
幼馴染「ふふっ。でも少し休憩したほうがいいよ。さあ、お弁当たべよ。こっち来てね」
男「おう」
男「おじさんは元気?また手紙きてたろ」
幼馴染「うん。……危ない地域に入るから、しばらく連絡とれないかもって」
男「そっか。まあおじさんなら大丈夫だろ……と」ポフッ
男「さ~て、腹へった。くおうぜ」
幼馴染「う……うん」
男「いっただきま~……」
男「……んあ?」
幼馴染「え?どどど、どうしたの?」
幼馴染「あはは?お、おじさん頑張ったんじゃないかな」
男「かな~。まあいいや、いただきまーす」
ぱくっ。
男「……」モグモグ
幼馴染「…………」ゴクリ
男「まずっ」
幼馴染「」
幼馴染(……お父さんから手紙がこなくなって、もう1年以上になる……)
幼馴染(お父さん。元気にしてるよね……?)
幼馴染「……はぁ」
男「どうした?ため息なんかついて」
幼馴染「あ……ううん。何でもない」
男「おじさんのことか?」
幼馴染「……うん」
男「心配するなって。あれだけ強かった人が、そんな簡単にどうにかなるかよ」
幼馴染「……うん」
男「……」
男(うん)
男「なあ、幼。遊びにいかないか?」
幼馴染「……」
幼馴染「ふぇっ?」
―――
――
男「つうわけで」
幼馴染「あわわわわ」
男「来たぜ地下水道!」
幼馴染「あ、遊びに行くっていったのに!」
男「え?遊びじゃん」
幼馴染(oh...男の子)
幼馴染「わたしは……?」
男「はいこれ。ひのきのぼう」
幼馴染「えっ」
男「っしゃー!いくぞおおおおお!!」ダダダダダ
幼馴染「あ、あっ!待ってよ~!!そんなに急いだら怪我するよ~!!」トテテテテ
男「……痛い……」
幼馴染「だから言ったのに……だから言ったのに」
幼馴染「むうぅ。……ほら脱いで」
男「え///」
幼馴染「ちち、違うよ!?変な勘違いやめて///」
幼馴染「怪我したとこ見せてって言ってるの!」
男「んだよ、最初からそう言えよ」メクリ
幼馴染「……け、けっこう痛そうだね」
男「まあ地味に」
幼馴染「一番やさしい魔法だから、安心して」……
男(あ……)
幼馴染「……」パァァ
男(傷が…)
幼馴染「……」パァァ
男(ふさがってく……)
幼馴染「……んっ。これでいいかな。痛くない?」
男「うん」
幼馴染「えへへ。よかった……ちょっと自信なかったんだ」
幼馴染「うん。お父さんに教えてもらってたの」
幼馴染「お父さん……剣だけじゃなくて、魔法も凄く勉強してた」
男「へぇ…」
幼馴染「男はお父さんから剣を教えてもらってたし」
幼馴染「私も……何か覚えないとって思って。でも、私は剣はわかんないし」
幼馴染「だから、魔法かなあ……って」
幼馴染「それに、治癒魔法なら何かあったとき治してあげられるし」
幼馴染「今みたいにね?」エヘヘ
幼馴染「うん」
男「ありがとな」
幼馴染「見直した?」
男「見直した見直した。割とマジで」
幼馴染「え……えへへ//」
幼馴染「……」
幼馴染「うん。役に立ってよかったよ。さあ、もう上に戻ろ?」
男「だな」
幼馴染「うん!」
その日は雨が降っていた。
幼馴染「……」
男「………」
幼馴染は、家の軒先でぼんやりと外を眺めている
幼馴染「……」
男はそっと彼女の横に座った。
幼馴染「…ねえ、男」
男「……」
幼馴染「……」
彼女が握りつぶしている手紙。そこには淡々と、こう綴ってあった
『討伐隊、破れる』
『青年、死す』
『――遺族へ』
幼馴染「……つらいよ」
彼女は、泣いていた。
そして噂は国中を駆け巡る
『剣聖、堕つ』
父「……教会に、入る?」
幼馴染「はい。城下町の教会に入って、僧侶になろうと思うんです」
男「なんで急に……」
幼馴染「急じゃないよ。…お父さんが死んだって聞かされたあの日から、ずっと考えてた」
幼馴染「いつまでも、おじさんたちに甘えるわけにはいかない」
幼馴染「自立しなきゃって思った」
幼馴染「それなら教会かなって――」
父「幼」
幼馴染「は、はい」
父「俺はお前を預かったあの日から、ずっとお前のことを……
息子以上に可愛いがってきた」
男「えっ」
息子とは大違いだ」
男「えっ」
幼馴染「はい。わかっています」
男「えっ……」
幼馴染「だから」
父「ダメだ」
幼馴染「――っ。ど、どうしてですか……!」
父「お前は、まだ13才の子どもだ。しかも預かっている身だ」
父「自立したい気持ちはわかったが、すぐに「はい」とは言えない」
父「俺にはお前が道を踏み外さないよう見守る責任がある」
父「わかってる。お前が拍子でそんなことを言う子でないことはしってる」
父「他人の幸せを、心から願える子だ。きっと僧侶に向いているだろう」
父「いや。『向きすぎている』と言ってもいい。だから怖いんだ」
父「自分を犠牲にしてでも他人を救いたいと思う……思ってしまう」
父「そんなお前だから……もう少しゆっくり考えて欲しい」
父「こんな時勢だ。いったん教会に入り僧侶の道を踏み出せば、否応なく危険な道を行くことになる」
父「あるいは優しい心が、お前自身を滅ぼしてしまいかねない」
父「そんなことになれば、あいつに…顔向けできん」
幼馴染「……」
父「俺が充分に考えたうえでお前を送ると決め、そのときまだ幼の決心が変わらないままなら」
父「……そのときは、笑顔で送りだしてやる」
幼馴染「おじさん……」
父「それまでは今まで通り自分で勉強するんだ。いいかい?」
幼馴染「……はい」
男(……幼)
―――
――
幼馴染「うん?」
男「本気で教会に入るつもりなのか?」
幼馴染「本気だよ」
男「そっかー」
幼馴染「……男はどう思った?」
男「オレ?」
幼馴染「私が教会に入るの、やっぱり反対?」
男「はあ?反対するわけないじゃん」
幼馴染「え」
男「いいんじゃない。オレは応援するよ」
男(止めたって聞かないだろうし)
幼馴染「……そっか」
男「おう」
男「それにああは言ってたけど、父さんだってもうわかってるさ」
男「お前の気持ちは変わんないだろうし」
男「なら、あとは父さんが覚悟を決めるだけだろ。どう決着させるかは知らないけど……」
幼馴染「……」
幼馴染「……うん。あの、さ。男……」
男「お礼とか、むずがゆいからやめてくれよ」
幼馴染「ん」
幼馴染「あはっ――」
幼馴染「うん。わかった。でも勝手には出ていかないよ」
幼馴染「おじさんが良いって言ったら、行く。そこまで迷惑はかけたくないよ」
男「そっか。なら……待ってな」
男「でも、あの父さんだからな~。たぶん長いぞ。優柔不断だし」
男「1年は見といたほうがいいな」
幼馴染「待ってるよ。それくらい……だから、それまではよろしくね」
男「おう!」
神父「それでは、お預かりいたします」
幼馴染「……今までお世話になりました」
男「元気でな」
父「いいか、幼。寂しくなったらいつでも帰ってくるんだぞ?お前の家はうちにあるからな?いいな!?」ブワッ
男「やめろよ、みっともない……」
男(結局、幼の14才の誕生日だもんな…時間かかりすぎだろ)
男「うん。またな……あ」
男「ねえ、神父さん」
神父「はい?」
男「こいつに渡したいものがあるんだけど、教会ってそーいうの平気?」
幼馴染「!」ッ
神父「……俗世を離れ神に捧げる身なれど、愛すべき友より贈られる品を拒む理由はありませんね」
男「そうか。なら良かったよ。断られたらどうしようかなとか思ってた」
幼馴染「これ……ロザリオ?」
男「女僧侶になるなら必要だろ?なけなしの小遣いで買ったんだぜー」
神父「まあ教会から配布されますけどね、それ」
男「なん……だと……」
幼馴染「あはっ」
幼馴染「……嬉しいよ。すごく嬉しい。絶対大切にする。……ありがとう」
男「……おう」
男「またな」
幼馴染「……またね」
男「武道家さん?」
武道家「うむ?」
男「あ、やっぱそうなんだ……いや、カンだったんだけど」
武道家「何か用かボウズ」
男「あのさおっちゃん…実は俺、剣を使うんだけど」
武道家「ふむ」
武道家「カッ!まあ確かに怖くはあるな」
武道家「しかし気を高めれば我が拳……鋼はおろかオリハルコンさえ打ち砕く」
男「おお」
武道家「……予定だ」
男「予定かよ!」
男「そんなん完成したら、魔王倒せるんじゃないの」
武道家「ふむ?そうだな……魔王討伐か。道を極めるに必死で考えたこともなかったが……」
武道家「なるほど、悪くない考えだ。道中、我が拳の完成も早まるかもしれん」
武道家「なるほど、ガキンチョ!そうするべきか!はっはっは!」
男「俺もう15だし。ガキンチョじゃねーよ」
武道家「なに、嫌味のつもりはない。そうだな……礼をしてやるべきか」
男「なに?何かくれるの?」
武道家「いや。我が拳が完成した曉には、お前に我が拳舞を見せてやる!目の前でな!!!」
男「い、いらねえ……」
武道家「まあそう言うな!はっはっは!!」
男「ちぇっ……」
――
女僧侶「……」
神父「女僧侶」
女僧侶「……神父様?」
神父「祈りの最中、すみませんね。あなたに尋ね人です」
神父「懺悔室にいらっしゃいます。ぜひあなたに聞いて欲しいことがあるそうです。行ってきなさい」
女僧侶「私…ですか?」
神父「ええ」
女僧侶「誰だろう……」
?「……」
「迷える子羊よ」
?「……はい」
「悔い改めることあらば、神に祈り懺悔なさい。神は慈悲深くあなたの罪をお許しになるでしょう」
?「……」
?「幼馴染さん。私は兵士長と言います」
「!」
兵士長「ずっと、あなたに伝えねばならないことがありました」
兵士長「許されずとも構いません。私の罪をどうか、お聞きください」
「………」
女僧侶「男!久しぶり!」
女僧侶「神父様からお許しが出たの。今日はゆっくり出来るよ」
男「……」
女僧侶「……えと……お、男?」
男「え?あ、ああ……」
男(2年合わないうちに……すっげー可愛くなってるような……)
男(き、気のせいだよな……ちっちゃい頃から知ってるし今さら)
男(服装のせいもあるな、うん。青いし)
男「……ひ、久しぶりだな幼」
女僧侶「ふふっ。今は僧名をもらってるから、女僧侶だよ」
女僧侶「いいよ、幼のままで。きみからはそっちで呼んでもらいたいよ」
男「そうか……そうだな。じゃあ、幼」
女僧侶「なに?」
男「え?……いや、呼んでみただけ……すまん」
女僧侶「ふふっ。うん、わかってるよ?」
男「からかうなよ」
女僧侶「からかってないよ」
男「からかってるだろ」
女僧侶「バレた?」
男「……くくっ」
女僧侶「えへへ」
女僧侶「ただいま、男」
男「ま。色々話もあるからさ、家に入って――」
ガチャッ
父「幼おぁぁお!」ガバッ
女僧侶「きゃあああ!?」
父「こいつ!こんなにおっきくなりやがって……なりやがってんはあ!」グニグニグニ
女僧侶「おじさん、やめ、ひゃああ///」グニグニグニ
男「父さん!!」
女僧侶「やああ//やめて、やめてくださいぃ///」
父(青年よー、お前の娘は立派に育ってるぞー)
男「やめろっつってんだろうが!早く離れろ!」
女僧侶「あわわわ…///」
――
父「久しぶりだね、幼」
女僧侶「今さら真面目な顔したってダメです」
父「手厳しいね」クックッ
父「……お帰り、幼。立派になったな」
女僧侶「はい。まだまだ修行中の身ですけど……」
男「こっちにはいつまで?」
女僧侶「明日のお昼。それが終わったら、またしばらくは来られないかな」
男「そっか…短いんだな」
男「おう」
女僧侶「うん」
男「んじゃ、飯もくったし俺の部屋行こうぜ」
父「え///」
女僧侶「なな、なんでおじさんが顔赤くするんですかっ!」
父「その…大胆だなと思って」
男「いや、違うし」
女僧侶「変な勘繰りはやめてください!」
父「冗談だよ。お前ら兄妹みたいなもんだしな」
男「え?妹だろ」
女僧侶「私がお姉ちゃんだよ。男が怪我したときも、治してあげたでしょ」
男「地下水道の話か?それなら基本オロオロしてたのお前じゃん」
女僧侶「私が姉です」
男「俺が兄だろ」
父「父です」
女僧侶「いいよ、もう……部屋に行こ?」
男「だな」
父(無視された。悲しい)
男「で?」
女僧侶「え?」
男「どうなんだ、教会は」
女僧侶「うん。みんな優しくしてくれるよ。いい人たちばっかり」
男「そりゃ良かった」
女僧侶「男は?その…どうなの?か、彼女とか…できたり?」
男「うん」
女僧侶「」
男「嘘に決まってるだろ……まさかそんな固まるなんて」
女僧侶「からかわないでよ……」
男「可愛いなお前」
女僧侶「だから!からかわないでよ」
男「真面目に言ってる」
女僧侶「……」
女僧侶「ふぇっ?」
女僧侶「あ……えーと」
女僧侶「……あ、ありがと……」
男「……」
女僧侶「……」
女僧侶「///」ボッ
男「///」
父「あかーーん!!」ガチャッ
男「!?」女僧侶「!?」
父「ええい、なんだこの耐えられざる空気は!青春か!甘酸っぱいわ!」
女僧侶「ち、違います!」
父「お前らやっぱ兄妹じゃねえ!男と女だわ!!油断も隙もねえなホント!!」
女僧侶「ちちちちち違がががが///」
女僧侶「や、やめてください、おじさん……」
父「テメェら同じ部屋じゃ寝せないからな!父は許さないから!」
女僧侶「だから違います!!!」
男(……疲れる……)
父「聞いたか、男」
男「何を?」
父「神託があったそうだ。ついに勇者様が誕生されたと」
男「勇者様が……?」
父「ああ。これはいよいよ魔物たちとの決着がつくかもしれないな」
父「それと、驚け。神託を受けたほか三人のお供…」
父「その一人が、幼だ」
男「!!」
父「……親父も素晴らしい剣士だったけど、血は争えないのかね」
男(幼が、勇者様のお供)
男「……」
男(そうか…凄いな、お前……)
男(……死ぬなよ、幼)
魔物A「ぐるるるる…!」
男「っ」ザンッ!
魔物A「が――」
魔物B「きしゃああ!」
男「はあっ!」ザシュ!
魔物「――」ドサッ
男「……」チンッ
男「ふぅ」
男「みんな、もういいよ」
村人「はぁ……」
父「おお……お、お前……強くなってたんだなあ」
男「訓練は欠かしてないからね」
男「おじさん?……まあ、そりゃ師匠だし」
父「えっ?あいつから剣を習ってたのか?」
男「あれ、そうか。父さんには内緒にしてたっけ」
父「悲しい」ブワッ
男「仕方ないだろ、あんときは止められてたし」
父「前にもまして魔物が活発化してるのもあるが…」
男(兵隊たちの周辺警備も最近はとんと薄い。…余裕がないんだろうな)
男「とりあえず、俺はまだ魔物がいないか少し村中を見て回るよ」
父「気をつけてな」
男「へーきへーき」
男(幼。いまどこだ?無事なのか?お前は……)
男(……幼)
女僧侶「女神ルビスの名において……」
女僧侶「……アーメン」
村長「……」
村人A「……」
村人B「……」
勇者「……」
女戦士「……」
武道家「……」
女僧侶「……皆さん、顔をおあげください。故人への優しき祈りは神に届き、その魂は天に召されました」
女僧侶「御心に導かれた彼らはまた、女神に安息を約束され、天より皆様をお守りくださることでしょう」
女僧侶「では、どうか故人のため棺に花を……」
女僧侶(魔王に近づけば近づくほど……魔物たちは、強くなり数を増す)
女僧侶(村や街は荒れ、人は傷つき……倒れる)
女僧侶(この1年でも見慣れたりしない)
女僧侶(……つらいよ)
女(……男)
――
村長「ありがとう……ございました」
村長「これで死んだみなも救われたと思います、僧侶様」
女僧侶「礼など不要です。神に使える身として当然のことですから」
村長「ありがとうございます……ありがとうございます……」
女僧侶「……」ビクッ
女僧侶「で、では……失礼いたします」
村長「はい。ありがとうございます……ありがとうございます……」
女僧侶「……」トテトテ
女僧侶「……ふぅ」
女僧侶(ダメ……私は僧侶なのに。乗り越えなきゃいけないのに)
女僧侶(でも、ダメ。遺族やみんなの顔を見てると……怖くなる)
女僧侶(胸が引き裂かれそう!……苦しいよ)
女僧侶(……まだ私は……未熟ですね。神父様)
勇者「女僧侶」
女僧侶「ゆ、勇者様」
勇者「村人…大丈夫か?」
女僧侶「はい。呪いも解けました。さ迷える魂は1人足りともありません」
勇者「そうじゃない」
女僧侶「はい?」
女僧侶「え?あ――も、申し訳ありません」
勇者「謝らなくていいさ。ただ、つらかったら言ってくれ……仲間を支えることくらいできる」
女僧侶「はい。お心遣い感謝いたします……勇者様」
勇者「……ああ」
勇者「それじゃあ、そろそろ次の場所へ急ごう。女戦士が退屈してたよ」
女僧侶「はい!」
勇者「――帰ったら、結婚してくれないか」
女僧侶「……」
女僧侶「ふぇっ?」
勇者「はは……驚いたな。きみでも、そんな声を出すんだ」
女僧侶「――!!ま、待ってください勇者様!何を仰います!」
勇者「……魔王まで、あと少し。長かった旅ももうすぐ終わるはずだ」
勇者「ぼくらは必ず魔王に勝てる。そして国に戻ったとき……」
勇者「ぼくは、みんなの前で、きみを妻に迎えたい」
女僧侶「――!!」
女僧侶「わ、私ごときを妻にだなんて」
勇者「……聞いてくれ」
勇者「魔王を倒しても、すぐに世界が平穏になることはない」
勇者「いや。あるいは魔物という存在が消えることで…もしかしたらより多くの血が流れるかもしれない」
勇者「それまで魔王が支配していた地域を、大国はこぞって奪いにくるだろう」
勇者「穏便に話し合いですめばいいが……残念ながらそれはないと思ってる」
女僧侶「……はい」
勇者「人々はいま魔王の攻勢で疲弊しきっている」
勇者「ようやく訪れた平和……そこにもし国々の争いなんてことになれば」
勇者「……世界はさらに混乱する」
勇者「だから人々には象徴が必要だと考えてる」
女僧侶「象徴、ですか?」
勇者「ああ」
勇者「魔王を打ち倒せば、ぼくは必ず国の政治に利用される」
女僧侶「勇者様!我が国の王は、決してそのような方では」
勇者「ああ、違う違う。そうじゃない。王を信頼しているからこそだ」
勇者「『抑止力』になると言いたかったんだ」
女僧侶「抑止力……」
勇者「魔王を倒したあと、王は『平和の象徴』としてぼくを『使ってくださる』はずだ」
勇者「国々の争いを抑えるために、ぼくは必要不可欠になる」
勇者「もちろん、きみたちも。たぶんぼくらは、ぼくらが思っている以上に人々の象徴になる」
勇者「魔王を討ち滅ぼした勇者――そして仲間たち」
勇者「混乱するであろう世界を支える存在」
女僧侶「……世界を……」
女僧侶「……つまり、その存在をより強固にするものとして。……私を?」
勇者「……いや。それは、建前だよ」
女僧侶「……」
勇者「たぶん、ぼくも……疲れる」
勇者「いまはこんな聖人君子みたいなこと言ってるけど」
勇者「……疲れると思う。だから、きみにそばにいて欲しい」
女僧侶「……」
勇者「きみと旅をして、きみの優しさを知って……きみといるとホッとする」
勇者「本音を話せる」
女僧侶「……」
勇者「きみの存在は、勇者にもぼくにも必要なんだ」
勇者「だから……結婚して欲しい」
女僧侶「――!!」
勇者「もちろん答えはすぐじゃなくていい……けど」
――この旅が終わったら。
――真剣に、考えて欲しい
――ぼくは、きみを……愛してる
――勇者ご一行、凱旋!
――魔王を討ち果たす!
――世界に平和あれ!
――国に栄光あれ!
――民に、幸あれ!
父「ふぅむ……魔物か」
父「……幼のやつ、帰って来ないな」
男「ん?……ああ、忙しいんだろ。今は国をあげての大騒ぎだ」
男「きっと祝賀会やらなんやらで泡食ってるんだろ」
女僧侶「誰が?」
男「あはは。お前に決まって……」
父「」
男「!?」
女僧侶「ふふっ」
女僧侶「はい。ただいま戻りました、おじさん」
父「幼おおおおおおお!!!」ブワッ
女僧侶「きゃあ!?おじさん!ちょ、くっつかないでくださ、ひああ///」
父「んはああああ!この柔らかさは間違いなゴズン
父「」
女僧侶「はぁ…はぁ…」
男(強くなってる…)
男「……安心した?」
女僧侶「……うん」
男「……」
女僧侶「……」
男「お帰り、幼」
女僧侶「ただいま……男」
父「」
その日は幼を迎える大騒ぎになり、村の明かりは一時も途絶えることはなかった
そして 夜 が あけた!
―――
――
ガチャッ
女僧侶「……」
男(あ……)
窓を開き、その身に朝日を受けながら。
彼女は目をつむり膝をついて、ひたすら静謐にそこに『いる』
そのとき、彼女が手にしているロザリオにふと目がいった。
本来なら輝かしい銀色にきらめいているはずの十字架だが、それは少しばかり塗装がはげ、茶色い下地が見えていた。
男「……」
男(朝の祈り……かな)
男(そっか。僧侶だったな)
男(……綺麗だ)
女僧侶「男。おはよう」ニコッ
男「お、おう」
女僧侶「?どうしたの?」
男「なんでもない。朝飯、出来てるぞ」
女僧侶「うん。ありがと」
男「……あ、ああ」
女僧侶「?……変な人」クスッ
男「……」
食事のあと。
幼と二人で、かつて彼女が住んでいた家に赴いた。
女僧侶「もっと汚れてるかと思ってた」
男「ちゃんと定期的に掃除してたからな」
女僧侶「男が?」
男「みんなが」
女僧侶「……そっか」
男「……おじさん、喜んでるだろうな」
男「実の娘が、なんたって世界を救ったんだからさ」
女僧侶「やめてよ。…きみの前では、幼馴染でいたいよ」
男「そ、そっか?なんか、ごめん」
男「……」
女僧侶「……」
男「家具も、きちんと揃えないとな」
女僧侶「え?あの、そ、それは……」
男「さすがにこの年じゃ、一緒に住むにゃ抵抗あるだろ?」
男「あとは食器とか寝具とか…ちゃんとお前が住めるようにしないとな」
女僧侶(あ……)
女僧侶「……」
男「?」
女僧侶「そうだね。でも、もうしばらくはあの家にいたいな」
女僧侶「きみたちと一緒にいたいよ」
男「そうか?お前がいいならいいけど」
女僧侶「うん」
男「んじゃ、これからもよろしくな」
女僧侶「……うん」
今日。
――『勇者様からプロポーズされました』
――『受けようと思う』
男(幼が……結婚)
男(……考えたこともなかったな)
男(小さい頃から、ずっと一緒にいて……)
男(そりゃあ、確かに離れてた時期も長かったけど)
男(……それが、当たり前だと思ってた)
男(……そりゃそうか)
男(あいつ、女の子だもんな……いつかは結婚する)
男(ただ、相手が勇者様ってだけで)
男(……ははっ。勇者様の伴侶か。すげぇや)
男(……)
コンコン
男「……うん?」
男「ああ。いいよ」
父「入るぞ」
男「どうしたん?」
父「……実はさっき、幼が来てな」
男「……うん」
父「結婚するそうだな」
男「うん」
男「畑の様子を見てくるよ」
父「まあ、待て。俺も行くよ」
男「足はもういいの?」
父「あんなもんで延々休めるか。任せっきりにゃできんよ」
男「そうか。じゃあ行こうよ」
父「うむ。剣は持ったか?」カチャ
男「なんで剣?もういらなくね」
父「少なくなったとはいっても、まだいなくなったわけじゃないだろ」
男「ん~……そだね。じゃあ持ってくか」カチャ
父「おう」
父「……」テクテク
父「幼、今日にも王へ報告に行くと言ってたぞ」テクテク
男「そっか」テクテク
父「……」
父「なあ、男。意地を張るのはやめたらどうだ」
男「意地なんて張ってないよ」
父「いいや。張ってる」
男「張ってないよ」
父「素直になれ」
男「うるさいな」
男「父さんが勝手に邪推してるだけだろ?」
男「……大切な人だよ」
父「……」
男「ああ、わかった。言うさ。好きさ。大好きだよ。いつからか知らないけど、大好きだ」
男「……ずっと一緒なのが当たり前だって思ってた。離れてたって、帰ってくると思ってた」
男「幼だって……そう思ってくれてると、思ってた」
男「……そうさ……そう」
父「……」
男「なら今さら伝えたって迷惑なだけだろ?
自惚れるつもりはないけど、万が一それであいつの心が揺れたら……」
男「相手は勇者様だ。俺なんかじゃ側にいる資格もないし」
男「国を相手すんのと同じさ。世界を相手にすんのと同じだよ」
男「あいつは世界を救った選ばれた人間で」
父「かぁぁぁぁぁつ!」
男「」
父「相手が勇者様だからとか世界を救った人間だからとか」
父「言い訳ばっかすんじゃねえぞ。お前、もし幼がただの女の子だったとしても」
父「断言してやる。お前は何も言わない」
父「伝える勇気がないだけだろうが」
男「っ」
父「ずっと、一緒にいると思ってた?」
父「じゃあ何か?幼のやつから『きみが好き』と言うのを待ってたってか?」
父「なめんな……人生なめんな!!あんないいコが一緒に住んでたこと自体が奇跡だろうが」
父「んな都合いいことばかりが人生でひょいひょいあると思うなよ!!」
父「大抵の物事はな。自分から踏み出さねえと始まらねえんだよ」
男「……っ」
父「酸っぱいわ!むずがゆいわ!青春か!」
父「恋愛なんぞ当たって砕けろ。ダメで元々、くよくよすんな」
父「だけどな、これだけは言える」
父「伝えずに終わった気持ちはな……伝えて終わった気持ちより」
父「何倍とつらいぞ」
男「う……」
父「言い訳せずに、言ってこい」
父「いいじゃねえか平民風情」
父「主人公か!!?」
父「走れや!」
父「行ってこい!!」
男「――」
父「相手は勇者様だ!気合いいれてけよ!!」
心臓が痛いほど高鳴っている。
思えばこの十数年、こんな気持ちになったことはなかった
――大抵の物事はな
――自分から踏み出さなきゃ始まらないんだ
父の言葉が、痛かった
すでに夕刻。
あるいは勇者たちは報告を終え、家路についた可能性もある。
だが不思議な確信があった――『間に合った』
男「城は……あっちか!」
男「っ!」
走る。走る。
城門へ。
そして――
兵士A「止まれ!!」
兵士B「何者だ!!」
門番が立ちふさがる。
勇者以外には易々と通ること叶わぬイベント――
男「どいてくれ!」
兵士A「馬鹿なことを言うな!!」
兵士B「ここは城だ!平民がおいそれと立ち入ってよい場所ではない!」
兵士A「まして今は『勇者様たちが来ておられる』のだぞ!」
腰にある鞘から、剣を引き抜く。
兵士A「キサマ…この神聖なる王の御前にて!逆賊めが!」
兵士B「切り捨ててくれる!」
男「どけよ!!」
「何の騒ぎだ」
剥き出しの殺気が、一瞬にして鎮まった。
城門より出てくる影がふたつ……
武道家「まったく騒がしいな。このめでたい日に」
女戦士「なんの騒ぎだ?おい」
女戦士「へえ」
男「……!!」
ゆらり、と。
こちらを向いた女戦士の笑顔は、かつて感じたことのない圧力を孕んでいた
それもそのはずだ。
彼女が背負った得物は、身の丈を遥かにこす特大長剣――
目を疑う。
あれを扱う人間がこの世にいる、それが信じられなかった
選ばれし者たち。
そんな一言が頭をよぎった
女戦士「……おい、お前」
男「……う……」
男「……男……です」
女戦士「男……何の用事か知らねえけどよ」
女戦士「剣を持って乗り込んでくるからには、ちったあ腕に自信があるんだろうな、ええ?」
片腕が背中に伸びる。
またぞろ信じ難いことに、彼女は背中の大剣を、右手一本で軽々と振り扱った
まるで曲技のように、長大なそれが小枝のごとき軽さで虚空に軌跡を描く
女戦士「ちょうど退屈してたんだ……楽しませろ」
男(……)ゴクリ
男(これ…殺される……)
圧倒的な存在感と迫力で、身体中の毛が逆立つ。
動けなかった。
――「カッ!」
そんな状況を破ったのは、小気味よい笑い声だ。
武道家「くくく……」
女戦士「……なんで笑ってんだ?」
男「……はい」
女戦士とはまた違う、静かな殺気だった。
彼女を剣そのものに例えるなら、彼は毒針だった。
一見頼りないが、その実は必殺の技を備えている。
そんな人間だった。
武道家「お前、なんの用事でここに来た?」
女戦士「なあ、もういいからやらせろよ」
武道家「まあ落ち着け」
武道家「……で、なぜだ?」
武道家「うん?」
男「本当に今さらだけど……後悔するから」
男「…女僧侶を……幼馴染に、伝えに来たんだ」
兵士「……」
平民「……」
どっ、と笑いが起きた。
何を戯れ言を、と嘲り笑う民衆がいた。
なんと愚かなと呆れる兵士がいた。
兵士A「おい。そんな訳のわからんことで命を落とすこたないぞ」
兵士B「そうだな。さすがにくだらん
悪いことは言わん。死なないうちに去れ」
笑いが大きくなる。耳鳴りのように響く。
武道家「変わってないな、ガキンチョ」
その瞬間。
彼の隣にいた女戦士がぶっ飛んだ。
兵士「」
男「」
派手な音とともに真横の城壁に叩きつけられ、石細工が見事に瓦解した。
しかし彼女はすぐに這い出てくると、狂気の目を武道家へと向けた。
女戦士「てめぇ……おい、武道家、なんの真似だ」
武道家「おいガキンチョ」
男「えっ」
女戦士「無視してんじゃねえぞ!」
男「え?え?」
武道家「『我が拳が完成した曉には、お前の目の前で披露しよう』」
男「……」
男「え……あ、あのときのおっちゃん!?」
武道家「はっはっ!まあ、お前は運がいい!!」
武道家「行くがいい。今度はお前の道、俺が示してやる……おい」
兵士A「は、はい?」
武道家「そいつを通してやれ。なに、責任は全て俺と勇者が取る」
兵士A「し、しかし」
武道家「ただし勇者は強いぞお……我々よりはるかに強い。行くならば心せよ」
男「……おっちゃん」
兵士A(聞いてない)
女戦士「いやいや、わかってるぜクソ野郎」
女戦士「てめえ面白がってるな。くくく、いいね」
女戦士「実を言うと、お前とは一回戦ってみたかったんだよ……なあ……」
真っ黒な狂気に濡れた目が見開かれる。
大剣を振りかざすと、巻き込むように風が吹き荒れ、周囲の壁が弾け飛ぶ。
同時に飛び上がった女戦士は、勢いそのまま剣を武道家に叩きつけた
――しかし。
信じがたいことに、武道家はまたその一撃を、左腕で『受け止めていた』。
武道家「くっくっ……」
女戦士「へへへ……」
武道家「はっはっは!!」
女戦士「ははははは!!」
二人「「――殺す!!」」
兵士A「た、退避!!退避いいい!周辺の民衆を避難させろ!死人が出るぞ!」
男(そこまで!?)
女戦士が大剣を振るう度に空気が唸り、
武道家が踏み込むほどに大地が震える。
肌が焦げるほどの熱気が辺りに爆砕し、息をつくことすら躊躇われた。
およそ考えられる限りにある人間の戦いではない。
平民として生きてきた自分に口出しできるものでもなかった。
武道家いわく、勇者は彼らより強いらしい。
男(ケンカ売る相手、間違えたかな……)
慌ただしく動く兵士たちのどさくさに紛れ、男は城内へと駆け込んでいく
しかし兵士は城内にこそ多くいる。
次から次に現れては、彼の行くてを阻む。
兵士長「止まれ!」
男「どきやがれぇえ!」ギン
兵士長「っ!」キィン
兵士長「神聖な王の御前で、こいつ!」カキン
男「うるせえ!」キィン
兵士長「!!」
兵士長「黙れ!」
男(もう逃げないって決めたんだ……!)
男(お前に伝えるんだ!)
男「幼ぉおおお!!!」
―――
――
女僧侶「!」ビクッ
勇者「ん?」
勇者「外が騒がしいね」
女僧侶(今の声は……!?)
女僧侶「っ」
勇者「……行こうか」
女僧侶「……はい」
もう心は決まっている。
王に会いさえすればそれは二度と揺るがないだろう。
人々の象徴になる。
それこそが、真の平和への道となる。
謁見の間はもうすぐそこにある。
あと少し、もう少し前に足を踏み出していくだけでいい。
……なのに。
女僧侶(なんで……なんで来たの……?)
女僧侶(なんで…もう少し早く、私があの村にいるときに……)ジワッ
女僧侶(言って、くれなかったの……!)ポロポロ
勇者「……女僧侶?」
足が止まる。
女僧侶「うぅ……う」
男「待てと言われて待つかこらああああ!」
追いかけてくる兵士を背に階段をかけ上がり、まっすぐに走り抜ける。
男「畑仕事で鍛えた脚力なめんな!!」
男「――!!」
男「幼!!」
女僧侶「!!」
勇者「――!」
男「一緒に村に帰ろう!」
男「一緒に来てくれ!」
女僧侶「っ!」
兵士C「こいつ!」ジャキ
兵士D「捕らえろ!」ガチャ
男「はなせ、いつ!」
勇者「静まれ」
兵士長「……」
男「……」
女僧侶「……」
勇者「どうぞ、お静かに…彼と少し話がしたい」
兵士長「は……はい」
男(空気が……変わった)
男(この人が、勇者様)
男(なんて、落ち着いてるんだろう)
男(なのに、この、存在感)
男(おっちゃんたちとも、比べものにならない)
男(この人が世界を救った……勇者様)
勇者「正直、何が起こってるか」
勇者「わからないんだ」
男「……はい」
勇者「外の騒ぎはきみ?」
男「だいたいそんな感じです」
勇者「あの二人をよくかわしてこれた」
男「その二人が争ってるので」
勇者「えっ」
勇者「……そうか。まあ、そういうこともあるかな」
男「あります…かね?」
勇者「あはは。いろんなことがあったからね。今さら驚かないよ」
男(ああ……そういや)
男(俺も……勇者様に喧嘩ふっかけるつもりで息巻いてたけど)
男(いつの間にか、普通に話してる)
男(……違う。俺なんて、当たり前で。おじさんたちとすら違う……)
器がちがう。
男(勇者様なんだ……この人が)
男「……えと」
勇者「狙いは彼女?」
男「……はい」
女僧侶「……」
勇者「きみは彼女のなんだろう?」
男「幼なじみです」
勇者「……そうか」
勇者「わかった」
勇者「……みな!剣を納めよ!!」
兵士長「!?しかし、勇者様」
勇者「彼は女僧侶の大切な人だ」
男「……」
女僧侶「あ…」
勇者「ですから、剣をお納めください」
女僧侶「わ、私からもお願いします!!」
兵士長「女僧侶様まで…」
女僧侶「すみません。たぶん……いえ、絶対に。この責任は私にもあります」
女僧侶「ですから、どうか剣を……」
男(う……)
兵士長「……」ハァ
兵士長「勇者様からの願いを、なぜ我々が拒めましょう」
勇者「ありがとうございます」
兵士長「……はい」
勇者「無礼は承知ですが、王には遅れることもお伝えしてください」
兵士長「はい!」
勇者「ありがとうございます」
女僧侶「勇者様、申し訳ありません。これは私の不徳のいたすところです」
勇者「気にしなくていい。きみの隣人なら、ぼくにとっても大切な人だ」
女僧侶「ありがとうございます……勇者様」
男「……」
女僧侶「なんてことをしているの?あなたは……!」
男「……っ」
男「……」
男(ああ、そっか)
男(当たり前だろ。怒られて、当たり前のことしたんじゃないか)
男(……けど……すげー、なのに)
男(悔しい……!!)
―――
――
男「い、いきなり核心つくんですね」
勇者「こんなことまでしたんだ、察しはつくよ」
男「……はい。好きです。幼のこと、ずっと好きでした……」
男「ただ、言い出す勇気がなくて……けど!」
男「やっと勇気が出て……もちろん、勇者様には失礼なことだとわかってます」
勇者「……」
男「でも……一緒に、村に帰りたいんです」
勇者「それはぼくらが決めることじゃない。彼女が、決めることだ」
勇者「気持ちを伝えたい?」
男「はい」
勇者「とめないよ。…彼女は隣の客間だ。行ってくるといい」
男「……はい」
勇者「ぼくはここで待ってる。彼女がきみの気持ちに応えるなら、一緒に帰るといい」
男「はい」
勇者「……ただ、勘違いしないでくれ。ぼくは彼女を『その程度』と思ってるわけじゃない」
勇者「信頼してるから待つんだ」
男「……はい。行ってきます」
男「……」
……パタン
マジもんのイケメンや
男「幼」
男「一緒に村に帰ろう」
女僧侶「……どうして?」
男「好きだ」
女僧侶「……っ」
男「いつからかは分からない。けど、俺は……お前が好きだ」
男「ずっと一緒なのが当たり前だと思ってた」
男「そして、お前も……たぶん、同じ気持ちでいてくれると思ってた」
男「勝手に……思い込んでた」
女僧侶「……」
男「好きだ。俺と一緒に……村に、帰ってくれ」
女僧侶「………」
女僧侶「……ね、男」
男「……?」
女僧侶「覚えてる?一番やさしい魔法……あなたが、地下水道で怪我をしたときに使った魔法」
男「ああ」
女僧侶「私ね。それまで、一回もあの魔法が成功したことなかったんだ」
男「そうなのか?」
女僧侶「……うん」
女僧侶「あなただけが知ってる、私」
女僧侶「……嬉しかった。魔法を使えたこともそうだけど、何よりきみを治せたことが」
女僧侶「お父さんからの手紙が途絶えて……落ち込んでた私を元気づけようとしてくれたこと優しい気持ちがすごく嬉しかった」
女僧侶「あの魔法が使えたのはきみのおかげ」
男「……」
女僧侶「ありがとう。今の私がいるのもきみのおかげだよ」
女僧侶「そんなきみにだから淀みなく応えたい」
体から力が抜けていく気がした。
頭が、真白になる。
女僧侶「勇者様はとても、尊敬できるお方」
女僧侶「そしてこれからの世界には、確かに…平和の象徴が必要になる」
女僧侶「これは私個人だけの問題じゃない。昨日今日の話でもない。ずっと考えて、そう結論を出した」
男「……」
女僧侶「……だけど」
女僧侶「あなたについていくわけには、いきません」
男「……」
女僧侶「今まで、ありがとう」
――さよなら
――勇者様、女僧侶様、ご婚約!
――世界に平和あれ!
――国に栄光あれ!
――民に、幸あれ!
……そして……
なんてリアルな展開
男「あれ……何か足りないような気がする」
父「弁当忘れてるぞ…なんだ成長しないな、お前」
男「うるせー」
父「……今日は、幼たちの結婚式だな」
男「だね」
父「パレードは出なくていいか?」
男「やめとく。さ、んなことより畑仕事行こうぜ」
父「くっくっ。まだ時間がかかるみたいだな」
男「そりゃね」
父「また次の恋が見つかるさ。な!」
男「……うん」
男「わかってるって」
父と歩くいつもの道。
心地よい風も吹いている。
辺りにはたくさんの麦穂が揺れていて、まるで黄金色の絨毯のようだった。
男「……」
もう少し早く自分の気持ちを伝えていれば、何かが違ったかもしれない。
だけど、それは過去の話。
『もし、あのとき、こうしていれば』なんて意味がない。
だから前を向くしかない
男(結婚式、か)
男「いい天気だな」
――空は確かに、晴れやかだった。
―――
――
女戦士(しかしよー、僧侶のやつ綺麗だなー)ヒソヒソ
武道家(くくっ。お前も着たくなったか?)ヒソヒソ
女戦士(うるせー、相手がいねっつの)ヒソヒソ
だからかもしれない。
「白いウェディングドレスはよりいっそう映える」と神父から言われた
神父「汝は幼馴染を妻とし、健やかなるときも病めるときも生涯を共にすることを誓いますか」
勇者「はい。誓います」
晴れやかな日。
各国の王や仲間、これまでに出会った様々な人が集まり、彼女を祝福している
神父「――新婦、幼馴染。汝は勇者を夫とし、健やかなるときも病めるときも生涯を共にすることを誓いますか」
女僧侶「……」
女僧侶「誓います」
女僧侶(今となっては……これが正しいと思える)
女僧侶(だから、私が貫き通した純潔は、今日このときより勇者様へ)
女僧侶(ねえ、男)
神父「では指輪の交換を」
女僧侶(……あなたと会えて……本当に……)
女僧侶(――良かった)
と、いつから錯覚していた
指輪をはめる直前。
突然、式場の扉が開かれた。
勇者「!」
女僧侶「!?」
場内の視線が、一斉にそちらへと向けられる。
「……ダメだな」
兵士長(……ん?)
「エピローグにはまだ足りない」
女僧侶「……え?」
兵士A「捕らえろ!」
兵士長「待て!!」
兵士長「……そんな」
女僧侶「!!」
「何が足りない?お前ならわかるだろ、幼」
女僧侶「う……そ」
「またご挨拶だね。それで新郎とは恐れ入る」
「いいさ。知らないなら、教えてやる。ぼくはその娘の――」
青年「父親だ」
父「畑は問題ないな」
男「実りもいいね」
父「今年は豊作だ。これなら……」
兵士長「失礼」
男「!」
男(騎兵さん?なんでまた今日この日に…)
兵士長「男くんだな」
兵士長「悪いが、私と一緒に来てもらいたい」
父「男をお連れするのですか?……まさか、こないだの件で」
兵士長「違う。その件はもはや終わったこと。これはある方のご意向である」
男(騎兵さんが、結婚式のこの当日に?……まさか、幼の身になにか)
兵士長「案ずるな。女僧侶様の身になにかあったわけではない。いや、なかったわけではないが」
兵士長「急いでいるゆえ、馬に乗って欲しい」
男「……でも」
男(……行ったって何にもならない)
男(俺は……伝える言葉は全て伝えたんだ)
男(今さら……)
男(……なのに)
男「……わかりました」
男「…うん。断ったらそれこそ死罪になりそうだ」
兵士長「減らず口を。……まったく、城の件といい、お前はつくづく問題を起こすのが好きなようだ」
兵士長「さあ、乗れ」
男「はい」
父「気をつけてな」
兵士長「さて、飛ばすぞ。掴まれ――はっ!」
掛け声にあわせて馬が高々と足をあげ、嘶きとともに走りだす。
父「死ぬなよ!」
兵士長「だから、そういうことではないと言っておるに……」
兵士長「問題ない」
男「何があったんですか?」
兵士長「それは自分の目で確かめよ。私が口にするにはあまりにおそれ多い」
男「……はい」
兵士長「ときに……剣聖様がおなくなりになって、どれほどになるか」
男(剣聖……?ああ、幼の親父さんのことか。そんな噂、聞いたっけか)
男「7年ほどになります」
兵士長「そうだ。7年……あの日から7年だ」
兵士長「……」
兵士長「いまだかつてあの方ほど強いお方を見たことがない」
男「勇者様より?」
兵士長「私は勇者様と旅をしたわけではないから下手なことは言えない。しかしそうであって欲しいと思わせる強さはあった」
兵士長「隼の剣。そして、一太刀乱舞の瞬神技」
男「…見たことあります」
兵士長「奥方様を亡くされ傷心なされたあと、幼かった女僧侶様を連れてきみの村へ行き……」
兵士長「あの方は、しかしそれでも立ち直り、我々とともに魔王討伐へ向かってくださった」
兵士長「…本来なら、あのときに魔王討伐は終わっていたはずだった」
兵士長「あの方は……私を庇い、倒れたのだ」
男「……」
兵士長「忘れもせぬ!魔王のあの醜悪な笑みを!私は必死に逃げ出し……いつか仇討ちをと願った!!」
兵士長「そのために鍛練を積み、兵士たちを率いる立場にまでなった」
兵士長「だが勇者様たちが旅立ち、魔王は倒された。お仲間にあの方の娘さんがいたことは…まさに運命と言えるが」
兵士長「しかし!それでも我が無念は消えぬのだ!」
兵士長「私さえいなければ……平和はとっくに訪れていたはずだ」
兵士長「女僧侶様も!!!きっと!!平和なときを、ただ過ごせたのだ!」
兵士長「余計なことは考えず!!自らの気持ちに純粋に従い!!」
兵士長「世界平和など謳わず!女としての幸せを歩んでいたはずなのだ!」
兵士長「……」
男「……」
兵士長「そして、私にだけ胸のうちを明かしてくださった!」
――私には、支えてくれる大切な人がいるから。
――だから、お父さんがいなくなっても、強く生きていけます。
兵士長(……)
兵士長(女僧侶様は、悩んでおられた)
兵士長(己の信念に従うか己の気持ちを優先するか)
兵士長(ハッキリは仰らなかったが……女僧侶様は、信念に従ったのだ)
兵士長(あの方がいらっしゃるこのときだけは!)
兵士長「私もまた己が信念を貫こう!このときこそ我が道と知れ!!」
兵士長「走れ!!」
馬はさらに早く早く。
城下町はすぐそこだった。
女戦士「……ぐっ」
武道家「っ……ぬう」
青年「……」
女戦士(冗談きついぜ…)
武道家(これほどの使い手が……!)
二人が呻く。
闖入者を排除しようと飛びかかった彼らは、だが青年の見えざる剣によって、壁に叩きつけられていた。
女戦士「くそっ!」ザッ
武道家「っ!!」ザッ
そして再び。
青年「……」チャキッ
結果は同じだった。
軽やかな動作から生まれた一太刀乱舞の瞬神剣が二人を弾き飛ばす。
青年「……」
立ち込める闘気。
ただ「居る」だけで放たれる圧倒的な存在感。
武道家(間違いない!)
勇者「二人とも、やめるんだ」
勇者(……この人は……)
勇者(ぼくと、同じだ)
女僧侶「お父さん……」
青年「……」
女僧侶「なんで、生きてるの?」
青年「その言い方ひどくないか?」
女僧侶「……」
青年「…ああ。ぼくは死んでるよ」
女僧侶「!」
女僧侶「そんなの理由になってない!」
青年「……」
青年「……なあ、幼」
青年「お前はそれでいいのか」
女僧侶「当たり前でしょ!何を言ってるの!」
青年「……幼」
青年「お前に、普通の女の子として生きて欲しかったよ」
青年「だからあの村に引っ越して……そして」
青年「安らかに過ごして欲しいと思った」
青年「なぜぼくが、お前を置いて旅立てたか……わかるだろ?」
女僧侶「……」
青年「彼らが……いたからだ」
青年「お前を託すに信頼できる友人……そして」
青年「お前を心から笑わせてくれる、存在」
女僧侶「……」
青年「運命は皮肉だ」
青年「だが、そんなことはどうでもいい」
青年「……勇者」
勇者「はい」
青年「きみはこの娘を幸せにできるか?」
勇者「その…つもりです」
青年「そうか」
青年「いい自信だ」
青年「なら、あとは……幼が応える番だ」
青年「おい馬鹿ムスメ」
女僧侶「」
青年「結婚に一番大事なのはなんだ」
青年「誓いの言葉を思い出せ」
青年「『生涯愛することを誓いますか』」
青年「お前の言葉には、愛が足りない。心が足りない」
青年「そして……ぼくは知らない」
青年「勇者か。…『彼』なのか。お前の愛がどこにあるのか」
女僧侶「――!」
そして。
もう一度、式場の扉が開く
男「……幼!」
女僧侶「!」
勇者「!!」
青年「来たか」
男「……え?」
青年「久しぶりだな、いやあ大きくなった」
男「おじさん…なんで」
青年「疑問は後回しだ」
青年「役者は揃った!さあ幼!いまこそ俺に!パパに聞かせてくれ!!」
青年「勇者がお前と旅し、苦難の末に魔王を倒したことを」
勇者「……!」
青年「勇者がお前を心から愛していることを」
青年「……知ってるさ」
青年「男が、ずっと、お前を支えてくれたことを」
青年「……男が、お前に、本音でぶつかったことを」
男「……」
青年「……二人の男から愛されるなんて、お前は本当に幸せだな」
青年「だから、幼」
青年「全員が揃った、いまこの場で言ってくれ」
青年「お前が愛する者の、名前を」
青年「女僧侶としてではなく!『幼馴染』として!」
女僧侶「……私は……勇者様と…」
勇者「……幼」
女僧侶「!勇者様…」
勇者「聞かせてくれ」
女僧侶「けど……だけど」
女僧侶「そんな……の」
男「なあ、幼」
女僧侶「…!」
男「ま、気にすんな。俺も聞きたいだけだ」
男「俺も――お前の気持ちを聞きたいよ」
女僧侶「……」
女僧侶「私……私は…」
幼馴染「……私は」
道標なき苦難をともに乗り越えた者
幼いころより支えてくれた親しい者
愛を囁くに充分すぎる二人だった。
だけど。
女僧侶としてではなく。
娘として。
『幼馴染』として語れと、言われたとき――
幼馴染「……」
幼馴染「小さいときから、ずっと支えてくれた」
幼馴染「いつだって、側にいてくれた」
幼馴染「……あなたが好きで」
幼馴染「私もいつからかは分かんないけど!!ずっとずっと、好きで!」
今こそ言おう。
幼馴染「だから……私は」
世界で一番やさしい魔法。
幼馴染「――あなたが、男が……大好き!!」
青年「……よく言ったな」ナデナデ
青年「きみには、悪いことをした」
勇者「……」
青年「だが、父として……娘の気持ちだけは、大切にしてやりたかった」
勇者「……いえ。なんとなく予想はしてました」クスッ
幼馴染「うっ…ぐすっ。……はぃ……」
勇者「行くんだ」
幼馴染「……」グスッ
勇者「ありがとう。大丈夫…きみの気持ちが聞けて、スッキリした部分もあるんだ」
勇者「気にしなくていいさ。ぼくは勇者だから…困難なんて、あるのが当たり前なんだ」
勇者「だから、幸せに」
幼馴染「……」ズビーッ
勇者「……男くん」
男「!は、はい」
勇者「もしきみが幼を泣かすようなら、ぼくが彼女を今度こそ迎えに行くからそのつもりでね」
男「…はい」
幼馴染「ゆうじゃざま…」グスッグスッ
勇者「くっくっ。一度、こういうの言ってみたかったのかもしれないね」
男「うん」
男「幼!」
幼馴染「!」
男「帰るぞ!村に!!」
幼馴染「……」
幼馴染「……はいっ」
純白のウェディングドレス姿のまま、愛する男のもとへ。
女戦士「なあ……私らさ」
武道家「うむ。置いてきぼりだな」
青年(幸せにな、幼)
そして青年の姿が消えた。
夢か幻想か、まるで霧散する露のように。
幼馴染「……お父さん?」
男「おじさん……」
それは女神の慈悲。
道半ばにて倒れた、かつての『勇者』の強い想いが、為した奇跡。
しかしそれは今、語られる物語ではなく――
幼馴染「…ありがとう」
今はただ、愛する二人を、祝福してほしい。
女僧侶「勇者様にプロポーズされました」
今度こそ、Fin
保守支援つまんねその他、何から何まで感謝!
いい意味で背中がかゆくなる話だった
面白かった乙
わりと嫌いじゃないよこういうの
Entry ⇒ 2012.03.14 | Category ⇒ 勇者魔王「」SS | Comments (0) | Trackbacks (0)
榊原「えっ?佐藤さんが僕のパンツを盗んだ?」
http://hayabusa.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1330662072/
榊原「そんなバカな…」
赤沢「目撃証人だっているわ」
杉浦「ええ。私、見ちゃったのよ…。佐藤さんが榊原くんのパンツ盗んでる現場を」
榊原「そんな…何でそんな事を…」
赤沢「とにかく、佐藤さんに言及するしかないわね」
赤沢「教室に戻ってきたら追求しましょう」
榊原「て言うか…僕このままノーパン?」
赤沢「!!」
鳴「…」ピクッ
多々良「…」ガタッ
江藤「…」ジュワッ
杉浦「しばらく我慢してもらうしかないわね」
榊原「まぁ仕方ないか」
佐藤「ん…んんっ、あっ…!」クチュクチュッ
佐藤「榊原くんのパンツ…!ああっ」クチュピチャ
佐藤「榊原くん好き…あああっ!あっ…んっ!」マチュピチュ
佐藤「あ…ッ!」
佐藤「ふぅ…」
佐藤「…」
赤沢「佐藤さん。話があるんだけど」
佐藤「え?」
杉浦「単刀直入に言うわ。あなた榊原くんのパンツ盗んだでしょ?」
佐藤「…ぬ、盗んでません」
赤沢「佐藤さん、嘘ついてもいずれバレるわよ?」
佐藤「嘘なんてついてません…」
榊原「佐藤さん…」
佐藤「榊原くんは信じてくれるよね…?」
榊原「…」
佐藤「…」
杉浦「でも念のため、持ち物検査させてもらうわよ?」
佐藤「何もそこまでしなくても…」
赤沢「これは列記とした盗難事件よ。当然のことだわ」
佐藤「…」
榊原「ねぇ…ちょっとやりすぎじゃないかな?」
赤沢「何言ってるのよ恒一くん。あなた被害者なのよ?」
榊原「でも、佐藤は盗んでないって言ってるじゃないか」
赤沢「恒一くんって本当に甘いわね…」
杉浦「榊原くん…」
赤沢「調べて見れば答えが出るわ。ほら佐藤さん、早くポケットの中出しなさい」
佐藤「はい…」
赤沢「な、ない!?」
杉浦(おかしいわね…盗んでるのは確かに見たのに…)
佐藤(バカどもめ…)
榊原「僕は佐藤さんを信じてたよ」
佐藤「榊原くん//」
杉浦「こんなはずは…」
赤沢「ぐぬぬ」
杉浦「ごめんなさい佐藤さん。私の見間違いだったみたい…」
佐藤「ううん、気にしないで杉浦さん」
赤沢「…ごめんなさい」
佐藤「嫌」
赤沢「え?」
佐藤「赤沢さんは許さない」
赤沢「は?」
赤沢「なっ…」
佐藤「私だってポケットの中見せてたんだから、赤沢さんだって見せてよ」
赤沢「…何でよ」
佐藤「だって不公平じゃないですか。違いますか?私間違ってます?」
杉浦「さ、佐藤さん、私も見せるから…」
佐藤「ううん、杉浦さんはいいよ。赤沢さん、早く出して」
赤沢「わかったわよ」
赤沢(別に何も出てきやしないんだし…)ゴソゴソ
赤沢「やだ…うそ…?」
榊原「?」
榊原「赤沢さん…それ…僕のパンツ……」
杉浦「泉美あんた…」
佐藤「…」ニヤッ
赤沢「こんなの嘘よ…!嘘よ!」
佐藤「赤沢さん、自分で盗んでおいて人に罪着させようとするなんて…最低ですね」
赤沢「ち、違う…」
榊原「赤沢さん、何でこんなことしたのさ」
赤沢「違うの恒一くん、信じて!」
佐藤「榊原くん、こんな女ほっとこうよ」
榊原「…」
佐藤「ほら榊原くん、早くあっち行こうよ」
榊原「赤沢さんの話も聞いてあげようよ。一方的に責めるのは駄目だよ」
赤沢「恒一くん…」
榊原「まず聞くけど、赤沢さんが盗んだの?」
赤沢「それは違うわ!」
杉浦「でも事実、ポケットから出てきたわけだし…」
赤沢「誰かに嵌められたのよ!」
佐藤「嘘つき」
榊原「僕は、赤沢さんを信じてみようと思う」
榊原「赤沢さん…とりあえず、僕のパンツ返してよ」
赤沢「あっ、うん。ごめん」
杉浦「結局犯人は分からず終いか…」
榊原「パンツは無事戻って来たし、僕はそれだけでいいよ。無理に犯人探しする必要もないし」
杉浦「まあ榊原くんがそう言うならいいんだけど」
榊原「うん」ハキハキ
榊原(あれ…なんか湿っぽいぞ?)
榊原(妙に生暖かいし…何か気持ち悪い…)
榊原(でもなぜか勃起してしまう…)ギンギン
杉浦(やだ…榊原くん勃起してる…)
佐藤(ふふふっ)
勅使河原「おっしゃー!」
赤沢(何としても榊原くんの横を確保しなくては…)
佐藤(ふふっ)
猿田 桜木 柿沼 風見 勅使河原
中尾 前島 中島 望月 和久井
水野 渡辺 杉浦 金木 松井
米村 高林 綾野 小椋 多々良
藤巻 川堀 佐藤 榊原 赤沢
王子 辻井 江藤 有田 見崎
赤沢(よっしゃああああ!)
佐藤(ふふっ)
有田(ふひひwww)
見崎「…」
江藤(やった!)
赤沢「恒一くん、よろしくね」
多々良(榊原くん見放題…夢のような席だわ)
有田(ああっ…榊原くんに私の後ろ姿見られてるかと思うとゾクゾクしちゃうよ!)
小椋(これで榊原くんの髪の匂い嗅ぎ放題…)
江藤(斜め後ろに榊原が…その事実だけで私…)
佐藤「ふふふっ」
綾野(これじゃ授業に集中できないなぁ…いつも集中してないけどさ)
榊原(うわ…気付いたら周り女子ばっかりじゃないか…。やだなぁ)
猿田 桜木 柿沼 風見 勅使河原
中尾 前島 中島 望月 和久井
水野 渡辺 杉浦 金木 松井
米村 高林 綾野小椋多々良
藤巻 川堀 佐藤榊原赤沢
王子 辻井 江藤有田見崎
榊原「…ちょっと、何か僕に寄ってきてない?」
赤沢「気のせいよ」
佐藤「うんうん」
綾野(こういっちゃんとセックスしたいなぁ…)
佐藤(榊原くんのおちんぽしゃぷりたいなぁ…)
江藤(榊原くんにアナル開発してもらいたいなぁ…)
小椋(榊原くん犯したいなぁ…)
有田(榊原くんに私のアナルの匂い嗅いでもらいたいなぁ…)
多々良(榊原くんに縛られて調教されたいなぁ…)
赤沢(恒一くんに全身舐められたいなぁ…)
見崎(榊原くんと子作りしたいなぁ…)
杉浦(あの集団からもの凄い邪心を感じるわ…)
杉浦「そうよ。このままじゃ何しでかすか分からないから、この際はっきりしときましょう」
赤沢「面白い…!」
榊原「え…何?どういう事?状況がうまく把握できないんだけど」
杉浦「榊原くんは大人しくしてて」
榊原「何で僕は縛られてるの?」
佐藤「わかりました」
杉浦「じゃあまず対戦相手から。順番に引いて」
第1試合
赤沢泉美vs有田松子
第2試合
江藤悠vs佐藤和江
第3試合
小椋由美vs多々良恵
第4試合
見崎鳴vs綾野彩
赤沢「わかったわ」ガサゴソ
赤沢「…な、何よこれ…」
有田「手コキ勝負?」
杉浦「手コキで榊原くんを早く射精させた方が勝ちよ」
赤沢「タイムトライアル競技か…」
有田「ふひひ」
榊原「何なんだよその競技は!」
榊原「あっ…」ポロンッ
杉浦「Wow…It's girls dream…」
赤沢「や…//」
有田「フヒヒッ」
杉浦「(いかんいかん) では、先行・赤沢泉美!」
赤沢「はい!」
杉浦(いつになく凛としてるわね、泉美…)
榊原「ああああああっ!」
赤沢「どう?恒一くん?そろそろなんじゃない?」シュッシュッ
榊原「ウッ」ドピュッ
杉浦「タイム、2分45秒7!」
赤沢「ま、こんなところかしらね」
有田「ふひひ…では私が」
榊原「も、もう嫌だー!」
榊原「うああああっ!」
有田「ほらほら榊原くんっ、カモンカモン!」シュシュシュッ
榊原「うわぁぁぁぁ!僕のアポロ13号が月面着陸しそう!!」
有田「いいのよ?来て!」
榊原「トム!」
有田「ハンクス!」
榊原「うっ」ドビュッシー
杉浦「記録、2分44秒1!」
赤沢「負けた…?」
有田「ふふっ」
江藤「はいっ!」ガサゴソ
江藤「これは…」
佐藤「愛液勝負…?どういうことですか?」
杉浦「あなたたちのマン汁の味を榊原審査員に評価してもらうの」
佐藤「なるほど…ふふっ」
榊原「…」
江藤「ああっ!もうダメ、出ちゃうぅぅ!」
杉浦「榊原くん、口開けるのよ!」
江藤「ああああっ!私のバックトゥがザフューチャーしちゃうっ!」
杉浦「ほら榊原くん!江藤さんのデロリアンをペロリアンしてあげて!」
江藤「あああっ!マイケル・J!!」
榊原「フォックス!!」
江藤「あっ」プシャアァァァッ
杉浦「どう?」
榊原「うん…ほのかな甘みの中にも、深みを感じる味だ」
榊原「…」
佐藤「だ、だめ…!もう私のソーシャルがネットしてワークしちゃいそうだよぉぉ!」
杉浦「ほら榊原くん、佐藤さんのデビッドをフィンチャーしてあげるのよ」
佐藤「マーク!」
榊原「ザッカーバーグ!!」
杉浦「どう?」
榊原「後をひく美味しさだけど、味が濃すぎるな…甘ったるいとも言える」
杉浦「勝者、江藤悠!」
小椋「はい」ガサゴソ
多々良「どれどれ?」
小椋「テニス勝負…?」
小椋「榊原くんとった!」
多々良「ず、ずるい!」
小椋「ふふん。早い者勝ちよ」
多々良「くっそぉ…誰と組もう…」
多々良「仕方ない、猿田くん来て」
猿田「え、ワシ?」
多々良「ツイストサーブ!?」
猿田「多々良しゃん、わしにまかせるんじゃー!」
多々良「猿田!」
猿田「ふんぬっ!」バコンッ
榊原「返された!?」
小椋「まだまだぁ!」
猿田「な、なんじゃあ?打っても打っても、まるで小椋さんにボールが吸い寄せられるように…」
赤沢「これは…!」
杉浦「小椋ゾーン…!」
小椋「ちいっ!」
猿田「やった!小椋さんを抜けおった!」
榊原「だめじゃないか多々良さん、僕をフリーにしちゃ…」
多々良「!」
小椋「榊原きゅん!」
榊原「現象ドライブ!!」
スパァァァァンッ
杉浦「勝者、小椋由美!」
見崎「はい」
見崎「…キス我慢?」
綾野「う…自信ないなぁ…」
見崎「…」
榊原(なんか僕が緊張しちゃうなぁ)
見崎「…」
榊原「…」
榊原「…」
綾野「チュッ」
榊原「//」
杉浦「そこまで!綾野彩、失格!」
綾野「クソッ!」
準決勝
小椋由美vs見崎鳴
有田松子vs江藤悠
小椋「よーし」ガサゴソ
見崎「…」
小椋「え…こ、これは…」
杉浦「準決勝第1試合、パイズリ対決!」
榊原「そ、そんなことないよ…」
小椋「榊原くん…!」
榊原「ああっ…僕の沈黙の要塞が崩壊しそうだ…!」
小椋「榊原くんのグリマーマン…すごいヌルヌルして来た…//」
榊原「も、もうダメだ!ICHIGEKIしちゃうよ小椋さん!」
小椋「いいわよ榊原くん!由美のおっぱいでDENGEKIして!」
榊原「あああああっ!スティーブン!!」
小椋「セガール!!」
榊原「うっ」チャックノリスッ
杉浦「記録、1分37秒6!」
榊原「そんなことないよ見崎…すごく…うっ…いいよ…」
見崎「榊原くん…」
榊原「ああっ…僕のルークがスカイウォーカーしそうだ…!」
見崎「いいよ榊原くん。我慢しないでアナキンをスカイウォーカーさせなよ」
榊原「も、もうダメだ!ハンがソロしてチューバッカしちゃいそうだ!」
見崎「いいよ榊原くん!オビをワンしてケノービして!」
榊原「あああああっ!ファントム!!」
見崎「メナス!!」
榊原「うっ」ジェダイッ
杉浦「記録、1分56秒1!」
杉浦「勝者、小椋由美!」
有田「うーん」ガサゴソ
江藤「腋コキ対決!?」
榊原「ああ…有田さんの腋、汗でしっとりしてる…」
有田「気持ちいい?」
榊原「ああっ…僕の羊たちが沈黙を止めそうだ…!」
有田「いいよ?クラリスをレクターして!」
榊原「あああああっ!ハンニバルがライジングしちゃうっ!」
有田「そのままジョディーをフォスターさせなさい!」
榊原「アンソニー!」
有田「ホプキンス!」
榊原「うっ」バッファロービルッ
杉浦「記録、2分10秒8!」
榊原「すごい…江藤さんの腋、チクチクして気持ちいい…」
江藤「嬉しい…!」
榊原「ああっ…僕のホームがアローンしそうだ…!」
江藤「いいよ?榊原くんのリッチーをリッチさせて!」
榊原「あああああっ!マイ・ガールッッッ!」
江藤「そのまま麻薬で逮捕っっっ!」
榊原「マコーレー!」
江藤「カルキン!!」
榊原「うっ」コカインッ
杉浦「記録、2分7秒3!勝者、有田松子!」
ガラッ
千曳「榊原くん」
榊原「千曳」
有田「ちょっと邪魔しないでください!」
小椋「邪魔すんなよクソジジイ!」
千曳「最後の勝者はこの私だ。榊原くんは私のものだ」
小椋「ふざけんな白髪!」
榊原「ごめんなさい。僕ホモに興味ないんで」
望月「そんな!」
千曳「うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ」
おわり
乙!
Entry ⇒ 2012.03.14 | Category ⇒ AnotherSS | Comments (0) | Trackbacks (0)
P「伊織がヤンデレ化してこわい…」
http://hayabusa.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1330513281/
最初にプロデュースしたのは伊織だった…
伊織「こんにちは、水瀬伊織ですぅ」
P「こんにちは!(とても可愛い子だな)」
プロデュースするとき、俺はそう思っていたが…
伊織「ちょっとっ!この馬鹿プロデューサーっ!」
伊織「私が飲みたいのはぶどうジュースじゃないわよっ!」
伊織「今のレッスン全然わからないわよっ!」
P「す、スマンっ!」
彼女は猫を被っていて、1日を待たずして牙を剥いたのだった
しかし、次第に彼女の扱いにも慣れ…
P「お疲れ伊織、ハイこれ」
伊織「あっ、オレンジジュースね。あんたにしては気が効くじゃない」
P「今日のライブお疲れ、小さい規模とは言え疲れただろ?」
伊織「この水瀬伊織にかかれば、どうってこと無いわよっ、にひひっ♪」
彼女も俺に心開くようになってくれた…
伊織「はい、アンタの分」
P「こ、これはオレンジジュース?」
伊織「プロデューサーも今日は疲れたでしょ?」
P「い、伊織…ありがとう!わざわざ俺のためにっ!」ジーン
伊織「ちょっ、何泣いてるのよ」
伊織「べ、別にたいしたことじゃないでしょっ」
口ではこういってるが、彼女なりの表現だと…思ってる
そんな俺に転機は突然訪れた
P「へ?別のアイドルも掛け持ち?」
社長「うむ、今も伊織君で忙しいのは分かっている」
社長「しかし、人手不足で他のアイドルにプロデューサーを回す事ができないのだ」
P(もっと雇いましょうよ…)
社長「すまないが、彼女…高槻やよい君も一緒にプロデュースして欲しい」
P「は、はぁ…」
新しく、アイドルを受け持つことになったのだ
やよい「高槻やよいです、よろしくお願いしますっ!」
P「よろしく、今日から俺は君のプロデューサーだ」
やよい「うっうー!私、早くアイドルになるように頑張りますっ!」
P「あはは、一応今日からアイドルだけどね」
P(おっと、突然のことだったから伊織に言い忘れてた)
P(後で伊織にも言っておかなきゃな)
伊織「ふーん、あなたもアイドルになったのね」
やよい「はいっ、高槻やよいですっ!」
伊織「水瀬伊織よ、よろしくね」
伊織(………)
伊織「プロデューサー、アンタやよいの担当になったの?」
P「いや、伊織と掛け持ちでプロデュースすることになったんだ」
伊織「そうなの…」
伊織「ま、当然よねっ!」
伊織「ほらやよいっ、一緒にレッスンよ!」
やよい「はいっ!うっうー、頑張りますっ!」
伊織「プロデューサーも、もたもたしてないでよねっ」
P「元気だなぁ…お前ら…」
やよい「プロデューサー、大丈夫ですか?」
P「いや慣れてるから、平気平気」
伊織「まったく…ほらタオル」
P「ありがとう、すまないな」
伊織「いつものことでしょ、一々気にしないのっ」
伊織「プロデューサー、今日の予定は?」
P「伊織は午前はレッスンで…午後は休みだ」
伊織「あら、珍しいわね…?」
P「ああ、そして午前中も途中までは見てやれるんだが…」
伊織「何か予定?」
P「途中からは、やよいの仕事が午後まで入ってるんだ」
伊織「そうなの…やよいも人気が出てきたもの、仕様がないわよ」
伊織「せっかく早上がりなんだし、午後はゆっくりさせてもらうわ」
伊織「途中まで一緒にレッスンしましょ、やよい」
やよい「はいっ!」
P「そろそろ時間だ…やよい、行こうか」
伊織「やよい、頑張ってきなさいよ?」
やよい「はいっ!私、お仕事頑張りますっ!」
P「伊織はどうする?もうあがるか?」
伊織「…まだやっていくわ」
P「そうか、あまり無茶するなよ」
伊織「プロデューサーに言われなくても、分かってるわよ」
P「それもそうだよな…伊織、お疲れ様」ガチャ
バタン
伊織「………」
伊織「…お疲れ様、プロデューサー」
ガチャ
P「ただいま戻りましたー」
小鳥「あら、プロデューサーさん、お疲れ様でした」
小鳥「やよいちゃんはお家ですか?」
P「はい、やよいの仕事も終わったので、送ってから戻ってきました」
小鳥「ところで、伊織ちゃんは?」
P「え…今日は午前のレッスンで終わりですけど」
小鳥「そう、ですよね?」
P「え、何か問題が?」
小鳥「いえ、こちらに一度も戻ってきてないから…」
P「直接帰ったんですかね?」
P「連絡入れてみます」
プルルルル プルルルル プルルルル
伊織「………」ピッ
伊織「もしもし、どうしたの?」
P「もしもし、今何処にいるんだ?」
伊織「…もう家よ、午後はゆっくりしてるって行ったじゃない」
P「そうなのか?765プロに戻ってないようだったから心配になってな」
伊織「悪いけど直接帰らせてもらったわ」
P「そうか、わかったよ」
伊織「用はそれだけ?」
P「おう、わざわざすまなかったな…おつかれ」
伊織「はいはい、お疲れ様」ピッ
レッスン場
伊織「………」
伊織「ハァハァ…」
伊織(流石に、心配掛けさせるわけにも行かないわよね)
伊織(やよいも人気が出てきたから…)
伊織(少しでもアイツへの負担を減らさなきゃ…!)
伊織「でもっ…」
伊織「うまく…いかないわね」
P「帰ってたみたいです」
小鳥「そうなんだ、よかった」
小鳥「荷物も置いてあるから驚いちゃった」
P「いやいや、忘れ物ですよそれっ」
P「もっと早くに行ってくれれば…」
P「でも、荷物のことも行ってなかったし…大丈夫なのかな」
伊織「おはよう、プロデューサー…ふぅ」
P「おはよう伊織、最近疲れてないか?」
伊織「そ、そんなこと無いわよっ?」
P「いやいや…絶対疲れてるって」
伊織「何を根拠に言ってるのよっ」
P「俺が今まで、どのくらいそばで見てきたと思っているんだ?」
伊織(っ!)
伊織「…そ、そうね、少し疲れてるわ」
P「だろ?あまり無理するなよ?」
伊織「ふ、ふんっ!アンタに言われなくたって分かってるわよ」
P「それなら良いが…もうやよいのプロデュースもあるから細かくは見られないぞ?」
伊織「そのくらい知ってるわよっ!!!」
P「うおっ!?」
伊織(!)
P「そこまで怒鳴らなくても良いだろ…?」
伊織「…っ!」タッタッタッタ
P「ど、どうしたんだ?」
P「…いや待てっ!朝から仕事入ってるぞっ!?」タッタッタ
P「本当に、すみませんでしたっ!」
伊織「………」
記者「いえいえ、最近人気ですからね水瀬伊織ちゃん」
記者「なかなかお時間が取れないのも分かりますよ」
P「いや、あらかじめ時間を調整していたのに…こちらのミスです」
P「(ホラッ、伊織も謝って?)」
伊織「…すみませんでした」
記者「気にしないでくださいよ、それよりもインタビュー、始めましょうか?」
P「はいっ、よろしくおねがいしますっ」
P「話の分かる人でよかったぁ」
P「運が悪ければその場で評価崩しちゃってたからな」
P「でも今度からは、気をつけような?」
伊織「……ご…なさぃ」
P「ん、どうした伊織?」
伊織「ごめん…なさいっ!」ポロポロ
P「い、伊織っ!?」
ここまで泣いた伊織を見たのは初めてだった
伊織「…私、プロデュ…サーに…っ!」
伊織「迷惑…かけない…よう…に…」
伊織「頑張…ったのにっ…!」
P「伊織…」
伊織「私の…ぁいても…できな…いから…っ」
P「だ、大丈夫だよ伊織」
P「俺は伊織のプロデューサーじゃないかっ!」
P「だから、迷惑かけても良いんだぞ?」
伊織「そしたらっ!…やよいが…っ!」
P「そうか…やよいをプロデュースする時間のことを…」
伊織「やよいも…っ!プロデュースしなくちゃ…いけないのに…っ!」
ナデナデ
P「ありがとう伊織…」
伊織「ふぁ…」
P「ありがとう…!」
P「プロデューサーなのに、アイドルに負担かけていたなんて」ナデナデ
P「恥ずかしいな…俺」ナデナデ
伊織「そんな…そんなこと…ない」
P「安心してくれ伊織、しっかりお前も見るからな?」
伊織「うぅ…」
ギュ
伊織「うぁっ…!」
P「…よしよし」ポンポン
ガチャ
やよい「おはようございまーすっ!」
P「おはようやよい、今日も元気だね」
やよい「えへへ、私元気がとりえですからっ!」
やよい「ところでプロデューサー」
P「ん?どうしたやよい?」
やよい「なんで伊織ちゃんを、抱っこしてるんですかー?」
伊織「…っ!?」
バッ
伊織「は、離れなさいよ変態、ど変態っ!」
P「お、俺のせいなのかっ?」
いつしか伊織は、二人だけになると甘えてくるようになった…
伊織「プロデューサーっ♪」
P「ど、どうしたんだ伊織?」
伊織「呼んでみただけっ」
伊織「プロデューサー?」
P「どうした伊織」
伊織「私今日、仕事頑張ったでしょ?」
P「そうだな、上出来だったよ」
伊織「じゃあ頭撫でてぇ…?」
P(…今までの伊織は嘘だったのか?)
普段は凛としているのだが、二人になるとすぐに溶けたようになってしまう…
そんな時期もあったのだが、二人は更に活躍するようになって遂に…
P「竜宮小町?」
律子「はい、私が今後プロデュースする3人のアイドルユニットです」
P「3人も?」
律子「はい、私が企画書を出してその提案が採用されましたっ」
P「すごいじゃないか律子っ!」
律子「これからは同じ事務所ですが、よきライバルとして切磋琢磨しましょうね、プロデューサー殿」
そのメンバーの中に、伊織がいると言うことはそのときに初めて知った…
やよい「伊織ちゃん、すごいですねっ」
P「…あぁ、すごいな」
伊織「この伊織ちゃんがリーダーをして、他の二人を引っ張らなきゃね、にひひっ♪」
P「伊織…俺聞かされてなかったんだけど?」
伊織「サプライズよ、驚いた?」
P「…驚きすぎて、本当かどうか今も分からないよ」
伊織「まぁこれでアンタへの負担はなくなるでしょうね」
伊織(その分、甘えて…)
竜宮小町は、律子とメンバーの頑張りであっという間に有名になり…
伊織「ねぇプロデューサー」
P「なんだ伊織?」
伊織「私の活躍見てくれた?」
P「あぁ、しっかりと事務所のテレビで見ていたから」
伊織「直接見に来て欲しかったのにぃ」
P「こっちもやよいの仕事があるからな」
伊織「むぅ…」
伊織がこうしている時間も…
伊織「プロデューサーっ♪」ガチャ
シーン
日に日に、少なくなっていくのだった…
プルルルル プルルルル ピッ
P「もしもし伊織、どうした?」
伊織「ねぇプロデューサー?今何処にいるの?」
P「今か?やよいの家にいるよ」
伊織「やよいの?」
P「やよいがご馳走してくれるって言うからな」
伊織(やよいの…家に…)
P「え?今、伊織が電話掛けてきてくれたんだよ」
P「誘う?分かった…伊織もやよいの家分かるだろ、今から来ないか?」
伊織「…私はまだ竜宮小町の仕事が残ってるからっ」
P「ん?そうなのか…俺に用事があったのか?」
伊織「…アンタも仕事頑張ってるか、確認しただけよ」
P「あはは、さっきまでは頑張っていたけどな」
伊織「そうなの…」
P「ん?伊織はまだ仕事があるって」
P「じゃあやよい、代わるか?」
伊織「!…いいわよ、もう行かなきゃ行けないから切るわねっ」
P「そうか?」
伊織「うん…じゃあねプロデューサー」
P「おう、仕事…頑張れよ」
ピッ ツーツーツー
伊織「……ヒック…」
伊織「プロデューサー…ヒック…うぅ…」
双方のオフの日・仕事時間は、見事に重なり合い、伊織と会う時間は無くなってしまった
P「3通と、5件…か」
P(今日も伊織からメールと着信が着てる…)ピッ
プルルルル ピッ
伊織「もしもしっ、プロデューサー?」
P「お疲れ伊織…今、大丈夫か?」
伊織「もちろんよっ!」
P「仕事中で出られなくてごめんな?」
伊織「ううん、寂しいけど…忙しいんだもの、仕方ないわよ…」
P「そ、そうだっ!1週間後、俺はオフなんだが…時間は取れないか?」
伊織「ホントっ!?」
P「ああ、近いのはその日くらいしか、余裕はなさそうだからなぁ」
伊織「あっ…でも…」
P「仕事か?」
伊織「…うん」
P「そうか…本当に忙しいんだな」
伊織「そうね…このあとも」
イオリー! ジュンビハ デキター?
P「律子の声…もう次の仕事か?」
伊織「うん…ばいばいプロデューサー…」
P「ああ、頑張れよ」
ピッ
伊織「いや…辛い…」
バタン
P「もしもし、お疲れ様です小鳥さん」
小鳥「ぷ、プロデューサーさんっ!」
P「な、何ですか急に」
小鳥「伊織ちゃんがっ!」
P「…え?」
病院
P「あ、小鳥さんっ!」タッタッタ
小鳥「プロデューサーさん、こっちですっ」
P「伊織は今…」
小鳥「今はもう、個室に移されました…こっちです」
ガチャ
P「伊織…!」
律子「しー、静かにしてください」
P「す、スマン…伊織は?」
伊織「スゥ…スゥ…」
律子「今は寝ています」
P「な、何があったんだ?」
律子「分かりません」
P「ど、どういうことなんだ?」
律子「音がして部屋に入ったら、もう伊織は倒れていました」
P「何かの病気なのか?」
小鳥「いいえ…過労だそうです」
律子「最近はずっと働き詰めでしたからね…」
P「でも、あずささんや…亜美でも頑張ってるじゃないか?」
律子「肉体的疲労だけなら、皆同じですけど…」
P「それだけじゃないのか?」
律子「精神的にも疲労がたまっているそうです…」
律子「伊織は、竜宮小町のリーダーですから」
律子「二人以上にプレッシャーがあったんだと思います」
P「………」
P「ところで、他の二人はどうしたんだ?」
律子「現場で待機させています…私もすぐに戻らなくちゃいけなくて」
P「そうか、それじゃあ俺は無いからここにいるよ」
律子「はい、お願いします…それでは失礼します」
ガチャ バタン
伊織「スゥ…スゥ…」
小鳥「よく眠ってますね、伊織ちゃん」
P「…そうですね」
小鳥「プロデューサーは、私達より心配ですよね」
P「ずっと見てきましたからね…」
P「こんなことになるのも初めてですし」
小鳥「そうですね…やっぱり、リーダーって負担が大きいのね」
P「………」
P「そうかもしれませんね」
ガチャ
高木「遅れてすまなかったっ」
小鳥「社長、こちらです」
伊織「スゥ…スゥ…」
高木「…眠っているようだね」
小鳥「はい、今は休んでいます」
高木「そうか、それと…しばらく席をはずしてくれないかね?」
小鳥「はい…では、私も先に765プロに戻っていますね」
P「お疲れ様でした、小鳥さん」
小鳥「はい、それでは…」
ガチャ バタン
P「俺に何か用事でしょうか?」
高木「そうだな、やはり彼女のプロデューサーである君なら」
高木「何か原因が分かるのではないかとね」
P「…過労で倒れたそうですけど?」
高木「伊織君は君がプロデュースしている間、倒れたことは一度も無かった」
P「そうですね」
高木「もちろん、新しい環境で…そしてチームメイトができて」
高木「そのリーダーとなった彼女には、他の二人以上に負担はかかるだろう」
高木「だが、私は一人でいるときのほうが…プレッシャーと言うものは大きいと思うのだよ」
P「………」
高木「仲間と言うのは、お互い支えあっていくものだからね」
高木「それとは逆に、一人のときは全て一人で抱え込まなくてはいけない」
P「…はい」
高木「分かち合う仲間は、そこにはいないのだ…」
高木「だから…というわけではないが、プロデューサーである君が」
高木「彼女の不安や喜びを、分かち合ってきたのではないのかね?」
P「…!」
高木「まぁ、私が勝手に思っているだけのことだ」
高木「今回起こったことは、別に君や律子君に問題があったわけでも無い」
高木「だが、できれば彼女のそばに…少しいてやってはくれないか?」
P「…え?」
高木「安心したまえ、彼女が回復する間やよい君は、こちらで切り盛りしよう」
P「…わかりました、お願いします」
高木「おっと…話し込んでしまったようだねぇ」
高木「私はこれで失礼するよ、君」
高木「よろしく頼んだぞ」ガチャ
P「はいっ!」
バタン
P「そうか…竜宮小町に行っても」
P「俺が伊織の支えになってたの…かな」
伊織「スゥ…スゥ…」
伊織「ん…んぅ?」
P「起きたか、伊織?」
伊織「…プロデューサー?」
P「ああ、大丈夫か?」
ギュ
伊織「にひひっ…ホントにプロデューサーだぁ」
P「あぁ、俺だよ」
P(声に覇気がないな…)
P「伊織、倒れたんだよ…知ってるか?」
伊織「うん…プロデューサーと電話して…」
伊織「切ったら悲しくて、苦しくなって…」
伊織「そしたら…プロデューサーが来てくれた」
P(やっぱり、依存してるの…かな?)
P「今はまだ休んでろよ」
P「オレンジジュース、買って来ようか?」
伊織「うん…お願い」
ガチャ
P「ほら、買って来たよ…」
伊織「ありがと…プロデューサー」
プスッ チュー
P「うまいか?」
伊織「うん…うん…」チューチュー
ポタポタ
P「伊織?」
伊織「プロデューサー…美味しい…美味しい…」チューチュー
P「そうか…おかわりが欲しかったら言ってくれよ?」
ポタポタ
伊織「うん…うんっ…」チューー
その後、伊織が泣き止み眠りについたのは、面会時間終了ぎりぎりだった…
俺は毎日、朝から晩まで…それこそおはようからおやすみまで、伊織をプロデュースすることになった
ガチャ
P「伊織、今日も来たぞー?」
伊織「プロデューサーっ!」
P「お、今日はもう起きてたんだな」
伊織「あ、アンタは遅いのよっ」
P「悪い悪い、お詫びにオレンジジュースを買ってきたよ」
伊織「…ホントに?ありがとう、プロデューサー!」
P「あはは、お店で買ってきたちょっとお高い奴だからな」
伊織「………」コクコクコク
しかし過労でずっと入院しているわけにもいかず、いよいよ退院も間近となった
ガチャ
P「おはよう伊織」
伊織「おはよう、プロデューサー」
P「もうすぐ退院できるぞ、やったな?」
伊織「…えぇ、そうね…」
P「?…元気が無いけどどうした?」
伊織「そんなこと…ないわよ」
P「のどが渇いたのか、オレンジジュース買って来ようか?」
伊織「えっ?」
P「行ってくるよ」
伊織「いやっ」ガシッ
P「え?」
伊織「の、のど渇いてないから…ここにいて」
P「………水、飲むか?」
伊織「……………ぅん」
退院が近づくにつれて、伊織は一緒にいる時間を増やしたがるようになった…
P「伊織、もう時間だからっ!なっ?」
ギュー
伊織「いやっ!まだ一緒にいてよっ!」
P「で、でも規則だからっ」
伊織「行かないで…行かないでよ…」ポロポロ
P(………)
P「…ちょっと待ってて、伊織」
退院前日、とうとう病院に断りをいれ、一緒にいることになった
P「伊織、寝なくても大丈夫なのか?」
伊織「…寝たくないの」
P「明日退院できるんだから、少しは体調休めておいたほうが良いよ」
伊織「寝たらプロデューサーが…行っちゃうから」
P(………)
伊織「ねぇ、プロデューサー」
P「どうした伊織?」
伊織「手…握ってて」スッ
P「…あぁ」
ギュ
伊織「にひひっ…これでもう…逃げられないわよ…?」
P「そうだな」
伊織「…行かないでね?」
P「行かないから、安心して寝るんだ…伊織」
伊織「いーやっ、にひひっ」
P「伊織…!」
伊織「…昔はいつも一緒だったのにね」
P「………」
伊織「仕事のときも…」
伊織「たまにオフのときも…つき合わせて」
P「そうだ…ったな」
伊織「アンタが覚えて無くても…私は覚えてるわよ…?」
伊織「…竜宮小町に入れば…プロデューサーも疲れないし」
P「…っ!」
伊織「…楽になるって…思ってたのよ」
伊織「でも…全然違った…」
伊織「やよい一人に専念する分…やよいの仕事は増えて…」
伊織「竜宮小町も…律子の考えどおり…有名になったわ…」ギュー
ポタポタ ポタポタ
P「………」
伊織「甘えたかった…もっと甘えたかったのっ!」
伊織「どんなに有名になっても…」
伊織「プロデューサーが近くにいなきゃ…いや…」
P「…伊織」
P「昔は、一人でずっと頑張ってこられただろ?」
伊織「それはぁ…プロデューサーがぁ…」
P「もちろん、俺もいたよ……あぁ、二人だったな」
P「初めてのライブでも、まるで緊張しなかったじゃないか」
P「あいさつ回りやコンサートやテレビ出演」
P「どんなときでも、頑張ってこられたじゃないか」
伊織「…うん」
P「そのときは、俺がプロデュースしていたけど」
P「今のプロデューサーは、律子だ」
P「そして、あずささんや亜美もいる…」
P「困ったときは一緒に悩んで、嬉しかったら一緒に喜べるだろ?」
P「それが3人と共感できるんだ…すごいよそれは」
伊織「………」
P「だからさ」
P「もう伊織は一人でもないし俺がいなくても大丈夫だろ?」
伊織「………」
P「伊織…?」
伊織「………」
P「ははは、寝ちゃったか…」スルッ
P「俺はもう行くな?」ガチャ
P「おやすみ、伊織…」
バタン
伊織「………ぃゃ」
P「zzz…」
プルルルル プルルルル
P「んぁ…?」
プルルルル プルルルル ピッ
P「ふぁぁ…もしもし?」
伊織「プロデューサー?」
P「んー?伊織かー?」
伊織「あったり…にひひっ…」
P「…え?伊織っ!?」
伊織「他に誰がいるって言うのよ?」
P「ど、どうしたんだ?急に電話なんてっ?」
伊織「今…病院の前にいるの…こられない?」
P「わ、分かったっ!すぐに行くからっ!」
伊織「まってるわよっ♪」ピッ
P(でも何で病院の前なんだ?)
P(そんなの看護師が許可するはず無いだろう)
P「でも今は、伊織が待ってると信じて…行かなくちゃ」
病院前
P「伊織は…」
伊織「………」
P「いたいた、伊織ー!」
伊織「ちょっと、遅いじゃないのっ!」
P「夜中にいきなり電話掛けてくるからだよっ」
伊織「そうよねぇ、どっかの誰かさんは、もうとっくに私をおいて帰っちゃったわよねー」
P「うっ…」
P「い、伊織もぐっすり寝たと思ったからな…」
伊織「『行かないから安心しろ』って言ったのは何処の誰かしら~?」
P「ぐ…そこを突かれると痛いな…」
P(なんだか妙に元気になってないか…?)
伊織「まさか、謝罪のひとつも無いのかしら?」
P「ご、ごめんなさい」
伊織「『すみませんでした、伊織お嬢様』よ」
P「すみませんでした、伊織お嬢様!」
伊織「分かればいいのよ、にひひっ♪」
P(調子が昔と同じだな…)
P「と、ところで伊織?」
伊織「なにかしら?」
P「何で俺呼び出されたんだ?」
P「やっぱり、途中で抜け出したからか…?」
伊織「そうねぇ、それもあるけど」
伊織「私…気がついたことがあるのよ」
P「何に気がついたんだ?」
伊織「一緒にいられる限界についてよ」
P「限界?」
伊織「私は明日退院するわ…」
P「?…そうだな」
伊織「そうするとやっぱり、プロデューサーと会う時間って無くなるのよ」
P「伊織…だから俺は」
伊織「そして入院しているとき…プロデューサーはずっと看病してくれた」
伊織「毎日毎日、私のところに来てくれた…」
P「ああ…そうだな」
伊織「それでも…朝と夜は、プロデューサーがいなかった…」
伊織「欲張りかも知れないけどっ、寂しいのよ…」
P「二人とも仕事をやめて同棲しろってか…?」
伊織「それが素敵なんでしょうけど…そんなにまどろっこしいことはしないわ」
P「そ、そうか…まどろっこしい?」
伊織「プロデューサー、病院って良いわね…」
伊織「皆が心配してくれる、自販機のだけどオレンジジュースもある」
伊織「そして…」ダキィ
ドンッ
P(お、押したお…された?)
伊織「プロデューサーがいてくれる」
キキー
ドンッ
………
……
…
プ…デュー…ー プロデュー…ー
P(あー、あったかい…)
プロデューサーサン!
P「………んん…」
小鳥「プロデューサーさん!」
P「んぁ…小鳥さん?」
小鳥「うぅ…良かったっ!本当に…!」
P「な、なに泣いて…うぅ…」
小鳥「む、無茶しないでくださいっ!」
P「こ、ここ…は?」
小鳥「病院です」
P「な、なんで…病院に…」
小鳥「二日前…伊織ちゃんの退院前日」
小鳥「プロデューサーさん、交通事故にあったんです」
P「お、俺が…事故?」
小鳥「しかも病院前で…車とぶつかったそうです…」
P「よく…無事だったな俺…」
小鳥「本当にそうですよっ!」
小鳥「打ち所が悪ければ二人とも即死だったんですよっ!?」
P「ふ…たり…?」
P(確か俺は……っ!)
P「い、伊織はっ!…うぅっ…」
小鳥「む、無茶しないでくださいっ!」
小鳥「伊織ちゃんも生きてますからっ!」
P「そ、そう…ですか…」
P「それで…伊織は何処に…?」
小鳥「プロデューサーさんの隣のベッドですよ」
P「え…?」
小鳥「伊織ちゃんのほうが傷は浅かったようですよ」
小鳥「それでも二人とも大怪我ですけどね…」
小鳥「本当は部屋も別々になるはずだったんですけど…」
小鳥「社長や私…なにより伊織ちゃんがお願いして、一緒にしてもらいました」
P「………」
伊織「ぷ、プロデューサー…」
小鳥「あら、伊織ちゃん…起こしちゃったかしら?」
P「…伊織」
伊織「プロデューサー…こ…」
これからも、一緒よ…にひひっ♪
ごめん、ちょっと…休憩
とりあえず乙
病んでる側とそのデレ対象の命に関わらないタイプのヤンデレなら好きだな
監禁タイプ
P「zzz…」
プルルルル プルルルル
P「んぁ…?」
プルルルル プルルルル ピッ
P「ふぁぁ…もしもし?」
伊織「プロデューサー?」
P「んー?伊織かー?」
伊織「あったり…にひひっ…」
P「…え?伊織っ!?」
伊織「他に誰がいるって言うのよ?」
P「ど、どうしたんだ?急に電話なんてっ?」
伊織「…プロデューサーは、何処に行っちゃったの?」
P「お、俺は…」
伊織「行かないって言ってくれたのにっ!」
P「………お、おちつけ伊織」
伊織「やっぱり駄目だった…プロデューサーがいなくなったら駄目だった…」
P(じょ、情緒不安定になってるな…)
伊織「ねぇ、プロデューサー…何処にいるのぉ?」
伊織「教えてよ…ヒック…どこぉ…」
P「じ、自分の家だよ伊織」
伊織「…なんでいなく…なっちゃったの?」
P「ご、ごめん…もう伊織が寝てたから…」
伊織「私は、行かないでって…言ったのにぃっ!」
P「わ、分かったから…落ち着け…な?」
伊織「いやっ!プロデューサー、いなくなったら駄目っ!」
伊織「そばにいてよ…うぅ…」
P「と、とりあえず深呼吸、深呼吸」
伊織「プロデューサー…プロデューサー…」
P(は、話を聞いてくれないな)
P「と、ところでこんなに遅くに…電話して大丈夫なのか?」
伊織「グスッ…へ?」
P「いや、病院の中ってそういうのって駄目じゃないの…?」
伊織「個室では…使えるわよ…」
P「そうなのか…」
P「じゃあ、今はベッドで寝ながら話してるのか?」
伊織「違うわ…今、XXXX…」
P「え?」
P(俺の家の近くじゃないか…)
P「い、伊織…?病院はどうした?」
伊織「そんなこと、どうでもいいのっ!」
伊織「プロデューサー…会いに来てぇ」
伊織「今…プロデューサーの家に向かってるよ…?」
P「だ…だろうな…」
伊織「来なくても、迎えに行くからぁ…」
P「わ…分かった、すぐに行くからっ!」
P「まったく…伊織は何を考えているんだ…?」
伊織「ぁ…」
伊織「プロデューサーっ!」
P「…伊織!」
ボフッ
伊織「プロデューサー、プロデューサーっ!」
P「おーよしよし…」ナデナデ
P(って何悠長なことしているんだ俺は)
伊織「どこに行ってたのぉ…行かないでよぅ…」
P「ご、ごめんな伊織…」
伊織「ずっと、会いたかった…寂しかったぁっ!」
P(1日もしないでこれか…)
P(少しでも落ち着かせないと駄目だよな…)
P「よしよし…もう大丈夫だよ、俺はここにいるから…」
伊織「…離れない?」
P「うん、離れない」
伊織「何処にも行かない?」
P「うん、行かない行かない…ずっといる」
ナデナデ
伊織「ほ、ホントにぃ?」
P「ああ、嘘はつかないよ」
伊織「じゃ、じゃあ…私が入院している間にね…家に頼んでおいたの…」
P(?)
P「何をだ?」
伊織「プロデューサーと、私の部屋っ!」
P「お、俺と伊織の部屋っ!?」
伊織「うんっ!だから、そこに行こう…?」
P「ちょ、ちょっと待ってくれ…!」
P(部屋?いきなりすぎて意味が分からない…)
P(家にって、水瀬に…だよな)
P「えと、今から…か?」
伊織「うんっ♪」
P「さ、流石に今からはちょっと…」
伊織「えっ…駄目…なの?」
P「ほ、ホラ…いきなり部屋って言っても…俺にも家はあるし…」
P「女の子と…しかもアイドルと同じ部屋になんて…」
伊織「いやっ!一緒にくるのぉ!!」
P「こ、声が大きいよ伊織っ!」
伊織「来てよ…一緒に来てよっ!」
P(とりあえずこの場をしのごうっ!)
P「よ、よし!行く、行くよ伊織っ!」
伊織「ホントっ!?」
P「あぁ…行こう、伊織」
伊織「うんっ!にひひっ♪」
P「そ、それで…?」
伊織「なぁに?プロデューサー」
P「その部屋は…やっぱり伊織の家にあるのか?」
伊織「それなんだけどね…な・い・しょ♪」カチッ
ビリビリビリビリッ!
P「いっ・・・!」
P(いおり…)
ドサッ
P「ん…んあー…?」
ジャラジャラ
P「ん、体が・・・動かない?」
ジャラジャラ
P「…鎖?」
ガチャ
伊織「ご、ごめんなさいっプロデューサーっ!」
ガバッ
伊織「痛かったでしょ?痛かったでしょ?ごめんなさい、ごめんなさいっ!」
P「ど、どういうことなんだ…?」
伊織「プロデューサーっ、プロデューサーっ!」
P「俺…確か伊織にスタンガンで…?」
伊織「そうなの…本当にごめんね?プロデューサー」
P「いや、それはたいしたこと無いから平気だよ…それより」
ジャララ...
P「この鎖は…なんだ?」
伊織「痛い?鎖、痛い?」
P「痛くは無いけど…これじゃあ動けないよ…」
伊織「ごめんなさいっ、はずしてあげられないの…」
P「な、なぜなんだ?」
伊織「鎖をはずしたら…プロデューサーがまたどこかに行っちゃう…」
P「お、俺がどこかに行っちゃう?」
伊織「そんなの耐えられないっ!いやっ!」
ギュー
P「苦しいよ…伊織…っ!」
伊織「!…苦しかった!?ごめんなさい、プロデューサーっ」
P「ゴホッ…ゴホッ…」
伊織「ごめんなさい…痛かった?プロデューサー?」
P「大丈夫…だから…」
P「ところで伊織…これから俺を、どうするつもりなんだ?」
伊織「プロデューサーをどうにかなんて…しないわよ…」
P「な、なら俺をここから出しt」
伊織「それは駄目なのっ!」
P「なっ…」
伊織「ずっと一緒って…居てくれるって…言ったのっ!」
P「そ、それはそうだけど…こういうことじゃないだろ?」
伊織「離れちゃダメぇっ!どこかに行ったらいやぁっ!」
P(これじゃあ、どうすることもできない…)
P「じゃ、じゃあ俺はこれからずっと…」
伊織「ここに居るのぉっ!」
伊織の話では、竜宮小町はまた3人に戻り今も活躍している…
765プロはプロデューサーが一人辞めて、新しいプロデューサーを雇ったらしい
その人は優秀で、前のプロデューサー以上にアイドル達に熱を入れている
やよいは…一時的ではあったが、ショックから立ち直り、新しいプロデューサーにプロデュースしてもらっている
伊織は今日も、俺に色々な話をしてくれる…
―今、何時だろう
でもよかったです。
なんかありがとうございました
束縛って物理的じゃなくて、精神的なものだと思うんだっ
P失明も考えたけど、ヘビーじゃなくても良いと思ったんだぜ
P「伊織ぃ…何処に居るんだぁ?」オロオロ
伊織「はいはい、ずっと近くに居るわよっ」
ギュッ
P「伊織…怖い、真っ暗だ……怖い…」
P「手…離さないでくれ…」
伊織「もう、しっかりつかまってなさいプロデューサー?」
目が見えなくなって…伊織が俺の支えになった…
※他の方が響のSSを書きます
響「う、うん」
P「今日も結構詰まってるからな、無理せず余裕を持って行こう」
響「了解さー。……」
伊織「……ふん」
美希「ハニー……」
春香「プロデューサーさん……」
P「ん? どうした?」
響「自分のこと、すっごく大事にしてくれるのは嬉しいし、
いつも一緒にいてくれてるのにはほんとに感謝してるんだけど……
伊織とか美希とか、春香が寂しそうだぞ……」
P「あぁ、……それはこの間、小鳥さんにも言われたよ」
お前は765プロで初めてのAランクアイドルになったばっかりで、
ある意味一番危ない時期なんだよ。
仕事が、じゃなくて、響の身体が、な」
響「……」
P「もちろん仕事も大事だが、俺はそれ以上に響が大事なんだ。
アイドルとして頑張ってもらうのに、響自身が疲れちゃったら
せっかくのチャンスも台無しだろう?」
P「だから今は、出来るだけ近くでお前をプロデュースしたいんだ。
響は頑張り屋だから、知らずに無理してることもあるかもしれない。
そう言うのに気付くには、やっぱり一緒にいるのが大切だからな」
響「うん……それはわかるぞ。でも……」
P「大丈夫、他のやつもちゃんと解ってくれてるさ」
俺も全力で応援してる。
響が仕事の波にうまく乗れるようになったら、
その時は改めてあいつらと一緒に頑張るさ。
でも、今はとにかくお前が大事なんだよ」
響「……自分がちゃんとAランクアイドルとして、
自立できるようになったら、いいんだな?」
P「ん、まぁそうだな」
自分、頑張って、早くプロデューサーが
伊織たちのことも見て上げられるようにするぞ」
P「響は優しいな」
響「そ、そうかな?」
P「きっとみんな上手く行くさ。
響は何も心配しないでいいからな」ナデナデ
響「……うん、プロデューサー」
自分、全然優しくなんかないんだ。
ほんとは、プロデューサーをひとりじめするために、
ずっと頑張ってたんだぞ。
でも、プロデューサーにいい子だって思われたいから、
あんなこと言ったんだ。
自分だけを見ててほしいのに。
自分……うそつきの、悪い子なんだぞ……)
今日は東京でも食べられちゃう、すっごく美味しい沖縄料理を教えるぞ!」
司会「響ちゃんは沖縄出身なんだよね?」
響「うん!
だからちょっと厳しくコメントしちゃおっかな?」
司会「本場の舌はごまかせませんねぇ。
でも、響ちゃんに認められれば本物の味ってこと!」
響「保証するさー!」
司会「そこは……」
響(プロデューサー、見ててくれてるかな?
誉めてくれるかな……また、頭撫でてくれるかな……)
響が仕事の波にうまく乗れるようになったら、
その時は改めてあいつらと一緒に頑張るさ。
響(……誉めてほしい。
完璧な自分をプロデューサーにたくさん見てほしい。
でも、自分が完璧だったら、プロデューサーはもう自分だけのこと、
見てくれなくなっちゃうのかな……)
P「お疲れさまでした!」
響「お疲れさまでしたー!」
P「響、今日もすごくよかったぞ。
ディレクターも店の人も、喜んでくれてた」
響「ほんと?」
P「あぁ。
この調子なら、トップアイドル定着もすぐだな!」
響「――――自分、完璧だからな!」
響は先に事務所に戻っててくれ」
響「うん、わかったぞ」
P「くれぐれも、気を付けてな?」
響「タクシーに乗るのに、気の付けようがないと思うけど」
P「まぁそれもそうだが……」
響「平気だってば。
プロデューサーも次の仕事に集中しなきゃだぞ!」
響「……ちなみに、誰の営業なんだ?」
P「ん、まぁ765プロ全体だが、企画としては伊織の売り込みかな」
響「そっか。……そっか」
P「心配するな、大丈夫だって。
じゃあ、また明日な」
響「うん、プロデューサー。
……いってらっしゃい」
P「おう」
響「……」
伊織「!」
春香「プロデューサーさ……」
美希「ハニー! おかえ、り……」
響「……ただいま。
プロデューサーは営業に行ったぞ」
伊織「……」
美希「そう……なの」
春香「プロデューサーさん……忙しそうだね……」
今は踏ん張りどころなわけだし」
美希「でも、もうずっとハニーとお仕事できてないの。
寂しいよ……響が羨ましいの……」
春香「美希、そんなこと言ったら響ちゃんが困っちゃうよ?」
美希「あ……ごめんなの、響」
響「じ、自分は別に……」
春香「うん、そうだね」
美希「……ハニー、もうミキたちのこと見てくれないのかな……」
伊織「!……」
春香「……っ」
響「美希……」
プロデューサーさんはちゃんとみんなのこと考えて……」
伊織「そうよ、アイツのことだもの、いくら忙しくたって……」
美希「でも、でも、……ミキ、怖いの。
ハニーに見捨てられちゃったらって……
すっごくハニーに大事にされてる響を見てたら、
余計にそう思っちゃうの……」
伊織「……」
美希「……」
響「じ、自分は……
……そんなこと、ないって、思うぞ。
今日の営業だって、伊織を売り込むためだって言ってたし」
響「うん。765プロ全体の営業と、その中で伊織の企画だって、
プロデューサー言ってた」
春香「ほ、ほらぁ、やっぱり美希の考え過ぎだよ!
私たちも頑張れってことだよ!」
美希「ハニー……ミキ、明日からもっと頑張るの!」
伊織「わ、私も……!」
響「……」
自分も、伊織たちのこと、応援してるぞ。
自分がここまで頑張れたのも、プロデューサーとみんなのおかげだし。
一緒に、頑張ろ?」
伊織「響……」
春香「響ちゃん……私たちもすぐAランクアイドルになってみせるから!」
美希「ハニーのひとりじめもそこまでなの!」
自分も、頑張るからさ」
伊織「響、……ありがと」
春香「響ちゃん、ありがとう!」
美希「悔しいけど、響がAランクアイドルな理由が、
ちょっとわかった気がするの」
響(……また、うそつき。
うそつきだぞ、自分……)
響にとっては逆に辛いでえ…
そんなこと思ってるんだぞ、自分……
プロデューサーもみんなも必死になって頑張ってるのに、
みんなを騙して、自分は、最低のうそつきなんだ……
自分、プロデューサーに見てもらえる資格なんて、
ほんとは……そんなの、ないんだぞ……)
P「あぁ。
主役ってわけじゃないが、ほとんどヒロインだな。
まだしばらく先の話にはなるが」
響「……」
P「できそうか?」
響「どうかな……演技とかってちゃんとやったことないけど……」
P「おいおい、そうじゃないだろ?」
響「え?」
響「……あはは、そうだな。うん。
やるよ。プロデューサー。絶対やりきって見せる。
自分、完璧だからな!」
P「よく言った!
そうと決まれば、色々とそれを見越したレッスンを入れなきゃな!」
響「うん!」
好きだったんです……あなたのことが』
『ずっと、言えなかった』
『私にはあなたしかいないの』」
P「お疲れさん。今のは結構よかったんじゃないか?」
響「うー、やっぱりちょっと恥ずかしいぞ……」
響(……台本なら、言えるのにな……)
細かい変更はあるかもしれないが、大体最終版と考えていいそうだ」
響「ん。
……プロデューサーはもう読んだのか?」
P「あぁ、まぁ、ざっとはな。
楽しみにしてるよ、ひとりのファンとしても」ナデナデ
響「……自分、頑張るから……」
P「うん、頑張ってくれ」
……自分、いつからプロデューサーのこと、好きだったんだろ……
事務所に上手く馴染めなかった自分に、優しくしてくれたから?
初めてオーディションに受かったとき、思いっきり抱きしめてくれたから?
自分のこれからのことを、すごく真剣に考えてくれたから?
……どれも、ちょっと違う)
伊織。伊織が自分より先にオーディションに受かって、
それで一日中プロデューサーに誉められてるのを見て、
それから、自分も、誉めてほしいって、
伊織より、自分だけを見てほしいって、……
プロデューサーの全部がほしい、自分の全部をあげたいって、……)
……。
……今は、この仕事に集中しよう。
上手くできたら、きっと、プロデューサーにいっぱい誉めてもらえる……)
響(そうだ。プロデューサーは、今は自分を見ててくれてる)
響「『離してよっ! どうせ、……どうせまた、嘘なんでしょ!』」
響(自分だけを見ててくれてる)
響「『……うそつき』」
響(……自分だけの、プロデューサー……)
響「そうなのか?
自分は別に平気だけどさ。また営業?」
P「伊織と美希、それから春香のオーディションがあるんだ。
それぞれバラバラな上に、結構大きなやつでな。
これが掴めたらデカいんだが」
響「――――おぉ!
さすが自分をここまで育てた敏腕プロデューサーだな!」
響「三人に『応援してる』って、伝えといてほしいぞ」
P「あぁ、わかった。
ちゃんと伝えておくよ」
響「自分も負けないように頑張らないとなー」
P「監督も、ほかの役者さんも響のことべた褒めしてたから大丈夫だって。
響に合わせてちょっと脚本を書き換えるぐらいだからな」
P「近いうちにもっと活躍できるようになるさ」
響「そっか……よし、やるぞー!」
P「その意気だ!
でもその前に、今の仕事がクランクアップしたら、
何かお祝いしないとな。どこでも連れてってやるぞ!」
響「ほ、ほんとに?」
P「あぁ、約束だ。だから、最後までしっかりな」
響「うん!」
響(プロデューサー)
響「『ひどい……ひどいです。ずるいですよ、そんなの……』」
響(プロデューサーは、どうして自分に優しくしてくれるんだ?)
響「『私だって!……私、だって……』」
響(こんな、自分なんかに)
響(こんな、うそつきの自分なんか)
響「『でも、これは、ほんとの気持ち』」
響(……ほんとは知ってるのかな。
知らないふり、してくれてるのかな)
響「『好き、です。好きだったんです』」
響(自分の嫌な、汚いところ……)
響(今から事務所に戻ったら、プロデューサーと会えるかな……)
監督「おい我那覇、ちょっと来い」
響「え? あ、はい」
響(な、なんだろ……怒られるのか……?
プロデューサーに迷惑かかっちゃったらどうしよう……)
監督「そうだ。最後の台詞の後にそれを加える。
確認を取ったら、765の社長はお前に任せると言っていた」
響「……」
監督「俺としては、画の質を上げる最短の方法だと思ってる。
どうする?」
響「少しだけ……考えさせてください」
監督「なら次の収録までに決めろ」
響「……はい」
どうしようどうしようどうしよう……
監督は『お前次第でどこまでも良い画になる』って言ってたけど……
でも、キス、なんて……まだ、初めても……なのに……
……プロデューサーに、相談する?
プロデューサーなら、きっと何かアドバイスをくれる……
うん、そうしよう、プロデューサーならきっと……)
「……!」
響(? なんか事務所がざわざわしてるな……)
ガチャッ、
春香「あっ、響ちゃんお帰りなさい!」
美希「お疲れさまなの!」
伊織「遅かったわね、響」
P「お、響か!
ちょうどよかった、今連絡しようと思ってたんだよ」
響「どうしたんだ?」
響「――――」
春香「響ちゃんが励ましてくれたおかげだよ!」
美希「響に追いつくまであとちょっとなの!」
伊織「どんどん追い上げていくわよ」
響「そう、なのか。
はは、やった。やったな、三人とも!」
響もどうだ? と言うか、春香たちが」
春香「一緒にご飯食べに行こうよ!」
P「って言ってるんだけど」
響「えと……」
P「どうする?」
響「……ごめん、自分ちょっと用事があるんだ」
伊織「残念ね」
P「ん、じゃあ、気を付けて帰れよ」
響「……うん。ごめんね。
誘ってくれてありがとう」
春香「今度は一緒に行こうね!」
響「楽しみにしてるよ。
じゃあ、お先に」
ガチャ、
……バタン。
響「……」
せっかくお祝いしようってムードなのに、水差したら……
プロデューサーも、すごく嬉しそうだったし、
今、心配掛けたら、ダメ……うん。
自分は、自分で頑張らなきゃ……みんなにも追い付かれちゃうし……
……、……)
響「プロデューサー……」
……ここで、キス、か……)
バサッ、…
響(プロデューサー、プロデューサー、……
プロデューサーに、全部話してしまいたい。
自分が最低のうそつきだってことも、全部ぜんぶばらしちゃいたい。
苦しいよ、プロデューサー……)
響「うん……どうしても、プロデューサーがいると緊張しちゃって」
P「そうか……わかった。
それなら仕方ないな」
響「わがまま言ってごめんなさい」
P「いや、いいよ。響のしたいようにやってくれ。
俺も出来る限りの協力はするからさ」
響「……ありがとう、プロデューサー」
響「うん。自分、頑張ってくるね」
P「あぁ、期待してるぞ」ナデナデ
響「ん……」
響(……止めてほしかった。
プロデューサーに。キスなんかするな、って。
そんなの、言わなきゃわかるわけないのに……)
響(プロデューサーに、もらってほしかったなぁ……)
よくやったな」
響「うん。自分、頑張ったぞ。
いっぱい、頑張ったぞ」
P「あぁ、あぁ、完璧だった。
やっぱりお前は完璧だよ。本物のトップアイドルだ」
響「プロデューサー、あのな、自分、……」
P「ん?」
響「……」
今日ばっかりはどんなことでも聞いてやるぞ?」
響「……いや、いいよ。
プロデューサーに迷惑掛けたくないし……」
P「今更そんな水臭いこと言うのか?
俺はお前に迷惑掛けられたらなんて思ったこと、一回もないぞ?」
響「……プロデューサー、優しいもんな」
響「全然だぞ。プロデューサーなんか甘々だ。
だから、時々、甘えたくなっちゃうんだよ」
P「まぁ、たまにぐらいなら良いぞ。
美希みたいにべったりなのは困るが」
響(あぁ。ほんとうに、この人は。
自分の本心を知ったら、どれだけ幻滅するのだろう)
自分の泥みたいな、暗いところを、全部知ってほしい。
いままでついた嘘を、ぜんぶ告白して、
これからつく嘘もぜんぶ吐き出してしまいたい。
それで、自分なんか、ゴミみたいに捨ててほしいんだ。
自分なんかプロデューサーには相応しくないって、
証明してほしいんだ……)
『こんな自分でもいいよ』って、言ってくれるかもしれない。
万に一つだけ、こんな自分でも、受け入れてくれるかもしれない。
もしそうなら、どんなに嬉しいだろう。
嬉しすぎて、死んじゃうかもしれない。
考えただけで、泣いちゃいそうだ)
自分は、こんなに汚い子です。
うそばっかりつく、悪い子です。
プロデューサーに嫌われたくて、また嘘をついています。
プロデューサーに嫌われたくなくて、こんな嘘をついています。
言おう。言おう。
言って、嫌われたら、嘘でしたってことにしよう。
それで元通り……元通り……)
響「……え?」
P「どうしたんだ、うわの空になったと思ったら、
急に泣き出したりして。びっくりしたぞ。
どこか痛いのか? つらいのか?」
響「……うぅん。大丈夫だぞ、プロデューサー。
心配させてごめんなさい」グシグシ
響「ほんとに平気だってば。
ただ、急に緊張が解けて……そんな感じだよ、うん」
P「……」
響「大丈夫だから。
ほら、……もう泣いてないぞ?」ニコッ
P「……響、お前の笑った顔は、誰より可愛いと俺は思ってる。
けど、俺の知ってる響は、そんなつらそうな笑い方はしない」
P「頼む。言いたいことがあるなら、言ってくれ。
俺に出来ることがあるならなんでもする。
なくても、話だけでも、聞かせてほしい。
俺に話せない話なら、それでもいい。
そうだと言ってくれ。
響、頼むよ。お前の力になりたいんだ。
お前には、笑っててほしいんだよ」
そんなに優しくするから、悪いんだから……)
P「なぁ、響? 話してくれないか?」
響「……わかったよ。
ぜんぶ、正直に話す。ぜんぶ、全部」
P「あぁ、聞かせてくれ」
響「――――自分、アイドルをやめたいんだ」
響「伊織と、美希と、春香がAランクアイドルになったら、
自分、アイドルをやめたいんだ。プロデューサー」
P「……」
響「それで、自分はただの女の子になって、
プロデューサーのお嫁さんになりたい」
仕事の愚痴をきいたり、一緒に765プロのアイドルが出てるテレビを観たり、
他にもたくさん、……したいんだ。
アイドルじゃなくて、お嫁さんになりたい。
プロデューサーの、お嫁さんになりたい」
プロデューサーが全部ほしい。
自分だけを特別に見てほしい。
プロデューサーに全部あげる。
自分の特別を、ぜんぶあげる。
今、自分が持ってるものを、ぜんぶあげる。
だから、プロデューサーのもぜんぶほしい。
誰にも渡したくないんだ」
プロデューサーが消えろって言ったら消える。
プロデューサーが死ねって言ったら死ぬ。
プロデューサーが、そばにいていいよって言ってくれたら、
こんな自分だけど、そばにいさせてもらう。
プロデューサー以外は何もいらない。
プロデューサーしかいらないよ、自分」
それで、誰より早く、誰よりたくさん、
プロデューサーに誉めてもらいたくて、
必死になってAランクアイドルになった。
みんな、真剣にトップアイドルを目指してるのに、
自分はそんなのどうでもよかった」
でも、プロデューサーに迷惑を掛けたくなかった。
プロデューサーは自分を特別扱いしてくれたけど、
他の子もやっぱりプロデューサーの特別だった。
他の子と一緒はやだ。でも、プロデューサーに嫌われるのはもっとやだ。
だから、いっぱい嘘をついた」
自分はみんなを騙してたんだ。
嫌われるのが怖くて、ずっと、真剣にアイドルをやってるふりをしてた。
プロデューサーがあんなに頑張って自分を応援してくれたのに、
自分はほんとは、プロデューサーに言ってほしかったんだ。
『頑張らなくても、響は特別だよ』って」
それに、こんな自分、どうせプロデューサーには相応しくない。
嫌われて当たり前だもん。
だから、プロデューサーが困るって知ってて、
こんな話したんだぞ。
自分、悪い子だから、
プロデューサーの気持ちなんか、考えなかったんだ」
うそつきでごめんなさい。
わがままでごめんなさい。
悪い子でごめんなさい。
嫌な子でごめんなさい。
……なのに、大好きでごめんなさい、プロデューサー」
P「……、……」
もし、自分のこと、お嫁さんにしてくれるなら、何か言って。
自分、言いたいことはぜんぶ言ったから」
P「……」
響「……」
P「……」
響「……」
P「……」
響「……」
響「――――うん。
よかった。
何も言ってくれないで」
P「……」
響「だいじょうぶだぞ、プロデューサー。
ちゃんと、こうなることはわかってたから。
ずっと前から、わかってたから」
P「……」
響「明日からは、全部元通り。
今のも全部うそだから。
なんくるないさー、って」
響「まだ喋っちゃダメ」
P「……」
響「……」
P「……」
響「……明日からも、プロデューサーが、
もうお前なんかいらないって言うまでは、
自分はアイドルだから。
特別扱いなんて、しなくていいから。
……うん。じゃあ、自分、帰るね。
ばいばい、プロデューサー」
響「……」
響「……」
響「……走って来て、後ろから抱き締めてくれないかなー、なんて。
ドラマみたいにはいかないもんさー」
響「……」
響「……」
響「嫌われたかな。嫌われたよね。
あぁあ。……最低だ」
好き、だったんです』
春香「……」
美希「……」
伊織「……」
P「おい、お前ら、いい加減に帰らないと」
春香「しーっ!
もうすぐラストシーンなんだから、静かにしてください!」
P「やれやれ……」
伊織「ちょっ、バカっ! やめなさいよっ!」
美希「ネタバレ厳禁なの!」
P「はいはい……」
響『私は、うそつきのままいます。
だから、……あ……』
響『……、……』ポロポロ…
美希「き、キスシーン……」
伊織「ちょ、ちょ、ちょっと、あんた!
これ、これってありなの!?」
P「――――」ガタッ
なんでだろう……嬉しいはずなのに……変ですね。
止まらない……』ポロポロ…
響(……今ごろ、みんなびっくりしてるかなぁ。
結局、言えなかったもんな。言えるわけないよ。
好きな人に、その人じゃない人とキスする話なんて。
それも、それがお仕事で、ファーストキスなんて)
もう、嫌われちゃったし。
あれ以来、すっかり距離取られちゃったし。
もうすぐ、あの三人がAランクになったら、
自分なんて、すっかり忘れられるんだ……
それで、いい。
このうそつきの自分が、
プロデューサーにプロデュースしてもらったアイドルの自分なんだもん)
プロデューサーに、いらないって言われても、まだ好きでいられる。
この自分が、プロデューサーと自分の最後の絆なんだもんな。
……プロデューサーにあげるつもりだったもの、
全部、この自分にあげるのも、いいかもね)
~♪
~♪
~♪
響「――――ひょっとしたら、万が一、なんて、期待してたけど……
プロデューサーさんから、電話……」
嫌な自分になるのになぁ……
嫌だなぁ……嬉しいなぁ……」ピッ
P『もしもしっ、響かっ?』
響「うん、そうだぞ、プロデューサー」
P『今どこにいる!?』
響「えーと……どこだろう? わかんない。
海。どこかの海にいるよ。
オフだったし、ちょっと遠くにおでかけしたんだ」
地名とか、建物の名前とか……』
響「んー、暗くてよくわかんない。
けどプロデューサー、そんなの聞いて、どうするの?」
P『どうするって……そんなの、迎えに行くに決まってるだろっ!!』
響「迎えに来てくれるんだ。
でも、いいよ、もう遅いし、迷惑になっちゃう」
頼むから、場所を教えてくれ、響……!』
響「だって、プロデューサー、迎えに来てくれるだけなんでしょ?」
P『だけ……?』
響「うぅん、なんでもない。
わがまま言ってごめんなさい。
心配させてごめんなさい。
やっぱりプロデューサーは優しいね」
P『響……、頼むから、そこがどこかを、言ってくれないか。
外にいるんだろう? もう寒い。早く帰らないと風邪ひくからさ。
だから、すぐに迎えに行きたいんだ』
響「……」
P『響……約束したじゃないか。
ドラマの撮影が終わったら、一緒にどこかに行こうって』
もう、忘れちゃった」
P『俺は覚えてる。ちゃんと約束したぞ。
お祝いに、何か食べに行こうって』
響「さすが、プロデューサー。
スケジュール管理も完璧だな」
P『……響、お願いだ。
これは俺のお願いなんだよ』
響「……」
今、どこにいるのかを、俺に教えてくれ。
迎えに行かせてくれ』
響「……プロデューサーのお願いなら、断れないな」
P『響……!』
響「ねぇ、プロデューサー、あのドラマ見た?」
すごい出来映えだったな』
響「自分のキスシーン、どうだった?
上手く出来てたと思う?」
P『……』
響「あのシーン、ほんとはNGだったんだ。
けど、監督がそのまま使ったんだって」
P『……何が、NGだったんだ?』
響「……」
伊織「えぇ……」
美希「あれ、多分演技じゃないよ。
本物の涙だと思うの」
春香「……響、ひょっとして、あれが初めての……?」
美希「……」
伊織「……そんな……」
春香「だから、プロデューサーさんにも言わずに……」
美希「響……」
伊織「……」
響は無理やりでもなきゃ、そんなことする性格じゃないよ!」
春香「けど、嫌だったら嫌だって、プロデューサーじゃなくても、
誰かに言えたはずだよね……?」
伊織「……止めてほしかったんじゃないかしら」
美希「……」
春香「……」
伊織「ほんとは、プロデューサーに止めてほしかった、とか……」
響「……」
P『響がずっと悩んでたのに、気付いてやれなくて、ごめんな』
響「……プロデューサーは、悪くないぞ。
自分が言わなかっただけだから……」
P『言えなかったんだよな?
言いたくても、怖かったんだよな?』
響「……うん」
ごめん……』
響「もし、キスシーンがあるって知ってたら、
プロデューサーはどうしてた?」
P『……止めたさ。
全力で止めたに決まってる』
響「それは、自分がプロデューサーのアイドルだから?」
P『違う。
響だからだ』
響「……」
お願いだから、謝らせてくれ。
会って、謝らせてくれないか』
響「プロデューサーが……?
そんなの、プロデューサーが謝るようなことなんて……」
P『俺は、響から逃げてた。
響の本音から逃げてたんだ。
それを、謝らせてくれ』
あんなの、気持ち悪いもん……誰だって、逃げるよ……」
P『気持ち悪くなんか無い。
ただ、響は人より純粋だっただけだ』
響「うそ、うそ。
プロデューサーのうそつき。
自分、純粋なんかじゃないぞ。
汚くて、悪いやつなんだ」
P『違う! 響は汚くない! 悪くない!』
自分のことなんか、嫌いなくせに……」
P『嫌いなわけないだろ!
……いや、そんな風に思わせてしまったことを、謝りたいんだ』
響「うそ、うそだ……」
P『ほんとだ。
響、もう一度ゆっくり話そう。
色んなことを話そう』
せっかく、やっと、あきらめられたのに……
こんなやつだから、仕方無いって、
やっと、やっと、あきらめられたのに……」
P『今すぐにってわけには行かないが、
お前が俺のお嫁さんになるって話も、一緒に考えよう。
響、今すぐ迎えに行くから、たくさん話そう』
響「そんな……そんなのっ……!」ポロポロ…
ザザァァン……
P「響……こんなに冷たくなって」ギュッ
響「……プロデューサー……ほんとに来てくれたんだ……」
P「当たり前だろ。
心配させやがって」
響「ごめんなさい……
……やっぱり、嫌いになった? 自分のこと……」
P「バカ。早く来い。
もう日付替わってるんだぞ」
P「おい、何やってるんだ?」
響「もうちょっとだけ、このままがいい……」
P「……全く。響は甘えん坊だな」ナデナデ
響「いっぱい誉めて、いっぱい叱って、
いっぱい厳しくして、いっぱい甘やかしてくれないと、やだぞ……」
P「あぁ、わかってる」
ほんとの気持ちを、プロデューサーに言うのが……
プロデューサー、自分、うそつきのままでいてもいいかな?」
P「ダメだ。
俺ももう響には嘘はつかないし、隠し事もしない。
だから、響も……」
響「……ん……」
響「……うそつきのアイドルじゃなくて、
ほんとの我那覇響にとっては、これがファーストキスだぞ……プロデューサー」
ザザァァン…
ザザァァン……
【HAPPY END】
本当に冷たい体で発見されなくて本当によかった
BADEND直行かと思ってたんだけどな。
スレタイと関係無いのを長々書いて悪かった。ごめん。
ID:mgtX2W8A0に対するリスペクトと対抗心でやった。今は反省している。
響可愛いよ響。
風呂入ってくる。寒い寒い。
ハッピーエンドと銘打ったということはバッドエンドもあるんですかい?
クランクアップと同時に三人がAランク昇格
Pとの時間は日に日に減ってゆく
そんな中、伊織に恋愛相談を持ち掛けられた響は、協力を決意
そして伊織がPに告白を敢行したその日、
響は本当の自分を捨てた『アイドル』となり、更なる快進撃を始めるのだった
しかし、彼女の目はまるで……
いわゆる内向きのヤンデレ、大好物。
おやすみ。
Entry ⇒ 2012.03.13 | Category ⇒ アイマスSS | Comments (0) | Trackbacks (0)
悪魔「俺を召喚したのはお前か?」女「そ、そうです・・・」
http://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/internet/14562/1329406294/
このSSはSS深夜VIPのSSです
女「え、えと、私の願いを叶えてもらえますか?」
悪「いいぜ。それが仕事だしな。だがお前貧乏くじを引いたな。」
悪「一生に一回しかできない悪魔の召喚で俺みたいな悪魔を呼び出すなんて。」
悪「俺は悪魔は悪魔でも知恵の悪魔だ。知恵や知識に関すること以外の願いはかなえられない。
悪「つまり不老不死や世界征服みたいな壮大な願いは無理ということだ。残念だったな。」
女「そうなんですか?でも大丈夫です。」
女「それならそれで叶えてほしい願いがありますから。」
悪「そうか、それでお前の願いは?」
女「私に今までにない最高の経済学の理論を教えてください!」
悪「俺は契約に則り、お前の願いを一つかなえる。そしてその代償として死後、お前の魂を頂く。なにか質問は?」
女「えと、魂を取られるとどうなるんですか?」
悪「お前は死後永遠に魔界で俺の下僕、奴隷になることになる。」
女「…わ、わかりました。それでいいです。」
悪「本当にいいのか?今ならまだ引き返せるぞ?」
女「だ、大丈夫です。契約して下さい。」
悪「分かった。じゃあ、この契約書にサインしろ。それで契約成立だ。」
女「悪魔さんとの契約も契約書なんですね。もっと禍々しいものかと思ってました。」
悪「まあ、そういうやつもいるが、俺はこれが一番好きなんでな。」
女(スラスラ)「はい、できました。」
悪「では、契約成立だ。お前の願いが叶うのを待っているがいい。」
女「ん~よく寝ました~。さて、さっさと準備して研究所に行かないと。」
女(そういえば、昨日ので契約ってちゃんと成立したんですかね?出てきた悪魔さんもあまり悪魔っぽくなかったですし…。まさか夢オチなんてことはないですよね…)
悪「ああ、おはよう。朝ごはんできてるぞ。」
女「ふえ?…キャーーーーーーーー!!!!」
女「な…なんで悪魔さんがここにいるんですか?」
悪「ああ、それなんだが、昨日あのあとお前の願いを叶えようと色々準備を始めたのだが、どうにもお前の言う『最高』の意味が分からなくてな。お前に聞きに来たんだ。」
悪「だが、気持ちよさそうにお前は寝てるし、起こすのも悪いんで、こうして暇つぶしに朝飯を作りながら待ってたわけだ。」
女「そこは起こして下さいよ!恥ずかしいじゃないですか?!」
悪「だからそれが悪いくらい気持ち良さそうに寝てたんだよ。」
悪「だが、まあ、そのなんだ。女が涎垂らしながら寝るのはちょっとどうかと思うぞ…」
女「イヤーーーー!」ジタバタ
女「え、えと、それはですね。今までのどんな経済学の理論よりも素晴らしいという意味です!」
悪「だからそういうあいまいなのでは困るんだ。『素晴らしい』と言われてもお前の言う『素晴らしい』と俺の考える『素晴らしい』に齟齬があるかもしれないからな。」
女「意外と細かいんですね。悪魔さんたちってもっと大ざっぱな生き物だと思ってました。」
悪「おい。それは偏見だぞ。」
悪「まあ、理由を説明するとだ。魂という対価を頂いてる以上、悪魔には相手の願いを100%完全にかなえる義務がるんだ。」
女「は~悪魔さんたちって職業意識高いんですね。常にお客様満足度100%を目指すとは。」
悪魔「変なところに感心している場合か。」
女「は、はい。その、悪魔さんに頼んだらなんとかなるって思ってました…」
悪「ハア…なら、仕方がない。俺はしばらくお前に取りつく。お前を観察してお前の願いの詳細を探ることにする。」
女「え、えええええええ?!そ、そんな困ります!」
悪「仕方がないだろう。他に方法がないんだから。」
女「無理です、無理!だってそれって男の人と四六時中一緒ってことじゃないですか?!」
悪「まあ、そうだな。でもそれなら大丈夫だ。別に襲ったりなんかしねえよ。俺は貧乳には興味ないしな。」
女「う~ヒドイです。気にしてるのに。安心できたのになぜか釈然としません…」
悪「嫌だったらさっさと願いを詳細まで詰めるんだな。それを俺に伝えた時点で俺は願いを叶えて消えるから。」
女「はい…」
女「あ、じゃあ頂きます。なにがあるんですか?」
悪「とりあえずご飯とみそ汁は作った。希望があれば他にも作るが?」
女「いえ、それだけあれば大丈夫です。」
女「それにしても私、こんなに豪華な朝ごはんは久しぶりです。いつもは食べないことも結構あるんで。」
悪「そんなだから胸が小さいんじゃないか?」
女「またそれを言いましたね?」
悪「はは、冗談だ。さあ、食べるぞ」
悪・女「「いただきます」」
女「ご馳走様でした~」
悪「お粗末様でした」
女「悪魔さんって料理上手なんですね。」
悪「この程度は誰にだってできる。」
女「そんなことないですよ。前に私が味噌汁を作ろうとしたらお鍋が爆発しましたから。」
悪「…は?」
女「いえ、だから爆発したんです。」
悪「俺は知恵の悪魔だが、俺でも味噌汁を爆発物に変える方法は知らないな。」
悪「お前、錬金術師の才能でもあるんじゃないのか?」
女「そんな才能いらないです」
悪「それもそうか」
女「え?」
女「あー!もう遅刻確定です!色々あり過ぎて完璧に頭から消えてました!どうしてくれるんですか?」
悪「俺のせいにするな。のんびり朝飯食べ出たくせに。」
女「だからそれも原因なんですよ!あんなに美味しく作るから。」
悪「知らん!いいからさっさと準備しろ!」
ギルクラ見ながらになるから少しの間ペース落ちるかも
悪「用意できたか?」
女「はい」
悪「つか、急がなくていいのか?走ったりすれば間に合うんじゃないのか?」
女「…いえ、もうさっき体調不良で遅刻しますって連絡を入れましたから大丈夫です。」
女「どうせ間に合わないんですからゆっくり行きましょう」
悪「嘘吐きは地獄に落ちるんだぞ。」
女「私は吐かなくても落ちますから。」
悪「…そうだな。」
悪「ああ、わかった。」
バタン
ジャー
悪(? 水の音?)
バタン
女「お待たせしました~」
悪「あ、ああ。つか、さっき蛇口の音がしたんだがどうかしたのか?」
女「あ、いえ、ちょっとお喉が渇いたのでついでにお水を飲んでました。」
女「さ、そんなことよりも行きましょう?」
悪「しかし、人の世はいつ来ても面白い。常に変化と活気に満ち溢れている。」
女「あ、やっぱり今までにも召喚されたこともあるんですか?」
悪「ああ。前に召喚されたのは5,60年前くらいかな。その時は確かウォーレン・バフェットとかいうおっさんに呼び出されたな。」
女「…なんですかそれ?!悪魔さん、あんな凄い人と契約したんですか?!」
悪「違う逆だ。俺が契約したからあいつはあそこまで凄くなったんだ。ちなみにあいつのその時の願いは『どのような時でも利益を出すことのできる投資法を教えて欲しい』だったな。」
悪「正直、そんな願いをするくらいだから金の亡者なのかと思っていたが、なかなかどうして。面白い慈善家になったものだ。」
女「…」(ポカーン)
悪「要は俺をうまく使えばお前でもあいつクラスの人物になれるということだ。賢く使えよ。」
女「は、はい」
悪「他人からの見え方に関しては切り替えられるようになっている。願いによってその辺は変わるからな。融通が利くようになってるんだ。」
悪「ちなみに今は両方できない設定になっている。お前を観察するにはそっちの方が便利だからな。」
女「あ、じゃあ、別に悪魔さんの分の電車賃とかはいらないわけですね。」
悪「そういうこと。まあ、外で俺に話しかけるときにはせいぜい気を付けるんだな。」
アイムバック…心折れそう
悪「これが日本のラッシュアワーというやつか…」
女「はい、毎朝憂鬱になります。」
悪「…どうやって乗るんだ?これ?」
女「そこは気合です!さあ、乗りますよ。」
悪「ま、今霊体みたいな俺には関係ないんだけどな。」
女「…ずるいです、うらやましいです。」
女「あ、さすがに電車の中では喋れないので。」
悪「ああ、了解」
ぞろぞろぞろぞろぞろ
悪「しかし見れば見るほど凄いな。」フヨフヨ
悪「なるほど、この中吊り広告というのは面白い。電車内で手持無沙汰な人間の目が行くのを狙っているのか。人は無意識に文字を読もうとするからな」
女「…」
悪「…あいつ何やってるんだ?」
女「あ、あの止めて…下さい…お願いします…」
痴漢「へへへ」
悪「ちっ!」ガシッ
悪「おい、人の連れになにしてくれてるんだ?」
痴「え、ちょ、お前、いったいどこから・・・?」
悪「ごちゃごちゃうるさい。いいから離せ。」
痴「ヒ、ヒイイ」
痴(今だ!)ダッ
悪「あ!くそ!ちっ…」
悪「おい、大丈夫か?」
女 コクコク
女「あ、あの助かりました。」
女「ありがとうございます。今までにも何度かされてて困ってたんです…」
悪「別にいいさ。それに安心しろもう二度とあいつに悩まされることはないから。」
女「どういうことですか?」
悪「あいつに呪いをかけておいた。今後一生あいつは女に触れるたびに死ぬほどの腹痛に襲われる。」
悪「痴漢どころか一生女性と手も繋げまい。」
女「ちょっと可哀そうな気もしますね。」フフッ
悪「お、やっと笑ったな。まあ、嫌なことはさっさと忘れることだな。」
女「そうですね。あ、着きましたよ。この駅です。」
女「おはようございます。」
教授「ああ、女君。おはよう。体調の方は大丈夫なのかね?」
女「はい、もう大丈夫です。ご心配をおかけしました。」
女「教授、今日はなにをお手伝いすればよろしいでしょうか?」
教「そうだねえ…今日はこの論文に必要なデータの収集をやってもらおうかな。」
女「…はい。承知しました。」
悪「ふむ、ここがお前の働いている研究所というやつか。面白そうだな。俺はまあ適当に色々と見ているぞ。」
女「どうぞ~。あ、今はまた見えないようになってるんですね?」ヒソ
悪「ああ、そうだ。だから気にせずお前の研究をしているがいい。」
女「…できないですよ。教授の研究のお手伝いがありますから」ヒソ
悪「ああ、なるほど、あの教授とやらがお前の上司なのか。んで、お前はあの教授の研究を手伝いつつ、自分の研究をしてると。」
悪「んで、まあお前は自分の研究の方に俺の力を貸してほしいといったところか。」
女「そうです。」ヒソ
悪魔「ふむ、じゃあ、お前の研究をするときになったら教えてくれ。それまで俺はその辺でうだうだしている」
女「分かりました」ヒソ
悪「…」ジー
女「(カタカタカタカタカタカタ・・・・・)」
悪「…」ジー
女「(カタカタカタカタカタカタ・・・・・)」
悪「…おい、いつのなったらお前の研究に移るんだ?」
女「ははは…仕方ないですよ。平の研究員に自分の研究をする時間なんてほとんどありませんから…」
悪「変な話だな。それでは新しい人材がいつまでたっても育たないじゃないか」
女「そうですね。でも、仕方ないですよ。そういうことになっていますので…」
悪「ふむ…」
悪(しかしこれじゃあ、らちが明かないな。こっちとしてはさっさとお前個人の研究に取り掛かってほしいのだが…。あ、そうだ!)
女(あれ、悪魔さん教授の方に行ったけど、どうしたんでしょう? )
悪「ふん!」ヴォン
教「あばばばばばばばばばばばばばばばば!!!!!」
女「教授、どうかされましたか?!今なにかすごい悲鳴が・・・」
教「いや、なんでもないよ。ところで女君。私の研究の手伝いの方はもういいよ。それは悪魔君がやってくれるそうだから。君は自分の研究に専念しなさい。」プシュー
女「は。はあ。ってなんで悪魔さんが?!」
悪「いやいや。女さんひどいですよ。僕もこの研究所の一員じゃないですか。教授のお手伝いするのは当然ですよ。」
悪「ささ、僕は今個人的に取り組んでいることはないんで、こっちは僕に任せてください。」
女「…」
女「え、えと、説明してもらってもいいですか?」
悪「うむ、あのおっさんを洗脳して俺も研究所の一員だということにした。」
女「さっきの痴漢の件でも思いましたけど、悪魔さんってなんか、こうメチャクチャですね」
悪「お前には自分の研究に専念してもらわないと困るんでな。俺はそれを見ながらお前の願いを考えることにする。」
悪「お前はお前で研究をやりながら願いが明確化されたらすぐに言えよ。その場で叶えてやるから。」
女「分かりました」
女「データ集めも大事な過程ってのは分かってるのですが。やっぱり作業っぽくてつまらないですし、自分の好きな理論のことを考えてる時が一番楽しいです。」
女「…あ、ごめんなさい。愚痴っぽくなっちゃって。」
悪「別にいいさ。それに人のダメなところを受け入れて肯定するのが悪魔って存在らしいぞ。」
悪「さて、じゃあ話も終わったし、昼飯行こうぜ。この辺りに何か美味しい店ないのか?」
女「そういえば悪魔さんって意外と食い意地張ってません?」
悪「まあな、久しぶりの人間の食事だから懐かしくてな。」
女「5,60年ぶりですもんね。あ、なにか食べたいものありますか?」
悪「そうだな、せっかく日本人に召喚されたんだ。日本食がいいな。」
女「そうですね。でしたらお蕎麦とかどうですか?」
悪「蕎麦か。日本の麺だな。知識では知っているが食べるのは初めてだな。よし、そこにしよう。」
女「あ、そうだ。さっきの痴漢のときのお礼に私が奢ります」
悪「あーいいよ別に。そういうつもりで助けたわけじゃないしな。」
女「そうですか? あ、でも悪魔さん、お金大丈夫なんですか?」
悪「それなら大丈夫だ。悪魔だからな。お金位いくらでも作り出せる。ほら。」じゃらじゃら
女「…やっぱり私が奢ります。」
悪「ふむ、別に贋金ってわけじゃないから問題ないぞ」
女「そういう問題じゃありません!」
女「…いいですか、お金っていうのは頑張ってる人に与えられるものなんです。」
女「会社はサリーマンの人たちが頑張って働いているからお給料を払います。」
女「人々は会社が頑張っていい商品やサービスを提供するからそれにお金を払います。」
女「そして、私もここの蕎麦屋のおじさんが頑張って美味しいお蕎麦を作ってくれるからそれにお金を払います。」
女「たとえお金自体は本物でも、偽物の頑張りで作り出されたお金で対価を払おうとするのは、頑張っている人たちに失礼です!」
悪「…」
女「…ごめんなさい。その、言いすぎました。」
悪「ごめんなさい」ペコリ
女「わ、分かればいいんです。さ、顔を上げてください。お蕎麦を頼みましょう。」
女「おじさん、ざるそば二つ。」
店主「あいよ~」
女「あ、来ましたよ。食べましょう」
悪「ああ」
女「頂きます」
悪「頂きます」
女「スルスル」
悪「ズルズル」
女「ね?おじさんが頑張って打ってくれたお蕎麦は美味しいでしょう?」
悪「…ああ」
女「へ?」
悪「悪魔は寝なくても平気だし、お前が寝ている間は観察していても無駄だしな。その間に働くことにする!」
女「は、はあ…が、頑張ってください!」
悪「うむ、頑張る」
悪「そういや気になってたんだけどさ。」
悪「あんたってなんで経済学の勉強してるんだ?願いも経済学がらみだったし。」
女「…」
悪「どうかしたか?」
女「いえ、そんな話すほど大した理由じゃないですよ?ただ単に進学するときに潰しが利く学部を選んだら、思いのほか好きになっただけです。」
女「あ、もうそろそろ昼休みが終わっちゃいますよ。早く食べ終わって戻りましょう!」
悪「…ああ。」
続き考えながら寝やす。
女「あーあ、今日も全然進みませんでした~」
悪「見ていたところお前自身なにを目指しているのか分かっていないみたいだったが?」
女「そうなんですよね~。私のやりたいことが経済学にあるのは分かってるんですけど、具体的に経済学でなにをしたいのかが自分でも突き詰めれてなくて…」
女「ちょっと急がないといけないですね。悪魔さんをずっとこうやって拘束するわけにもいかないですし。」
悪「まあ、そう気にするな。俺自身は結構お前との生活気に入ってるんだぞ。」
女「…え?あの、それって…」
悪「今までに契約したことのないタイプの人間だからな。悪魔として興味深い。」
女「…」
悪「? どうした? 不満そうな顔して? 俺何か悪いこと言ったか?」
女「別に何でもないですー」
悪「そうか、ならいいが。」
悪「そうだな、ほとんどの人間は召喚したとき俺たちにかなり具体化した状態で願いを言うんだ。」
悪「なぜなら、具体性のないぼんやりとした願いを悪魔を呼び出すに至るまでの執念で抱き続けるなんて基本は不可能だからな。」
悪「だが、お前はそうではなかった。しかし、その願いを叶えること自体に対する執念は嘘ではないらしい。その辺が俺の好奇心をそそるんだよ。」
女「…」
悪「…でな、ここで一つ相談なのだが、俺を呼び出した理由をそろそろ全部ちゃんと話してくれないか?」
女「えと、どういうことですか?」
悪「だからさっきも言った通り、具体性のない願いを悪魔を召喚するほど強く持ち続けるなんて基本は不可能なんだ。だが、お前はそれしている。そして、俺は願いを叶えるものとしてその理由を知りたい。」
女「別にそんな特別な理由なんてないですよ。きっとただ単に私の研究者としての名誉欲が人よりも強いだけですよ。」
悪「いや、お前はどう見てもそういうタイプじゃない。それくらいは俺にも分かる」
女「じゃあ、私にも分からないですね。」
女「それにそんなこと契約に関係ないじゃないですか? 私にも一応プライベートはあるんです。必要でないなら聞かないでください。」
悪「…分かった。まあ、言いたくないなら無理には聞かないさ」
女「…」
しばらくは書き溜めがあるから早いかも
女「いいですねー、美味しそうです。」
女「それにしても悪いですね。毎日朝晩とご飯を作らせてしまって。」
悪「まあ、仕方ないとはいえ居候の身だしな。」
悪「それにお前の料理の腕前は初日の晩で分かったしな…」
女「そ、それは言わないでください…」
悪「さてと、じゃあ俺はバイトに行ってくるわ」
女「今日も工事現場ですか?」
悪「ああ、今日も朝帰りになると思うから先に寝ててくれ」
女「分かりました。頑張ってきてくださいね。」
悪「ああ。じゃあ、行ってくる。」
バタン
女「…」
女「特別な理由か…」
女「私の場合、間違いなく『アレ』ですよね…」
女「やっぱり、いつかは話した方がいいのでしょうか…」
・・・
悪「こんばんは。お疲れ様です。」
作業員「おう、悪魔のあんちゃんか。お疲れ!」
悪「今日も頑張りましょうね。」
作「おうよ!」
悪「ふんっ」カツーン
作「おりゃ」カツーン
悪「ふんっ」カツーン
作「おりゃ」カツーン
作「ところでよ、あんちゃん。今日なんかあったんか?妙に元気がなさそうだが。」カツーン
悪「…まあ、ちょっと」カツーン
悪「彼女じゃないですって。ただの同居人ですよ。でも確かに今回も彼女が原因ではあるんですけどね。」カツーン
作「どうしたんだい?」カツーン
悪「実は彼女ちょっと隠し事をしてるみたいで。そのことを聞いてみたら怒られてしまったんです。」カツーン
作「ほう」カツーン
悪「たとえ同居人でも他人のプライベートに首を突っ込むべきではなかったですね。」カツーン
作「…いや、時には他人の心の中に入り込んでいかないといけない場合もある。」カツーン
悪「そうですか?」カツーン
悪「いや、俺は別に他人と距離なんて…」カツーン
作「いんや、明らかに目に見える形で拒絶してないからそう見えないだけで俺には分かる。」カツーン
作「あんちゃんはいつも相手が一歩近づいてきたらさりげなく一歩引いて近寄らせないようにしてる。」カツーン
作「心の底から人間を嫌ったり、怖がったりしてるやつの特徴だ。」カツーン
悪「…」カツーン
作「俺も昔そうだったからな。わかっちまうんだよ。」カツーン
悪「え…?」ピタ
作「それである日帰ったらいないときた。流石にあんときはショックだったよ。」
作「それで人間ってやつが信じられなくなってな。酒浸りの毎日を送ってた。」
作「でもまあ、ある日そんなんじゃあダメだって思えてなあ。なんとか立ち直って今こうしてるって訳だ。」
作「それでもなあ、あんちゃん、今でも時々あのとき踏み込んでればなあって思っちまう。後悔しちまう。」
作「だからな、あんちゃん、今日はもう上がれ。帰って彼女さんと話してこい」
悪「え、いや、それじゃ…」
作「いいから、あんちゃんがここんところ毎日出てくれてるおかげで予定より進んでるし、風邪ってことにして帰っちまえ。親方には俺から言っておく」
悪「…ありがとうございます」
作「おう」
女「さてと、悪魔さんが帰ってくる前に早く済ませてしまいましょう。朝帰りとは言っていましたが念のため。」
女「まあ、どうせ気休め程度のものなんですけどね」
女 (ガサゴソ)(ジャー)(パキッパキッ)
バタン
悪「ただいま。先輩が今日はもういいって早めに上がらせて…」
女「あ!」ポト サッ
悪(あれはっ・・・)
悪(どうする…見なかったにもできる。だが、それじゃあ今までと一緒だ。)
悪(今回だけは逃げない!)
女「…なんのことですか? ちょっと今日は寝つきが悪いから睡眠薬を飲もうと思っただけですよ?」
悪「…とぼけるな。悪いが俺は薬学にもしっかりと精通しているんだ。お前がさっき落とした薬は…」
悪「心臓病の薬だ…」
女「あ~あ、ばれちゃいました。はは。最後までなんとか黙っておくつもりだったんだけどなあ…」
悪「…どうして黙ってた?」
女「いや、だって格好悪いじゃないですか?『死期を悟った女が最後に生きた証としてなにかを残すために悪魔と契約した』なんて思われたら。安っぽいドラマみたいじゃないですか?」
悪「…そんなに悪いのか?」
女「はい、お医者さんにはもってあと3か月って言われました。『もうどうしようもない状態だから残りの時間は好きにしなさい』って匙を投げられちゃったくらいです。」
女「せめてもの気休めとして薬は飲み続けてたんですが、それでばれちゃいましたね。はは…」
悪「…」
女「…」ポロ、ポロ
女「ぐす、ごめんなさい。ばれたら、ぐす、色々と緊張が緩んじゃったみたいです。今まで、ぐす、誰にも、ひく、言って…なかったので…」
悪「…」ポン
~~~数十分後~~~
女「ありがとうございます。だいぶ落ち着きました。」
悪「気にするな。」
悪「しかし悪かったな。隠してたことをこんな形で暴いてしまって。」
女「ううん、気にしないで下さい。どうせきっと遅かれ早かれいつかはばれてたことですから。それに逆にすっきりもしました」
悪「そうか」
女「どうせここまで知られたなら悪魔さんにもっと私のことを知ってもらいたいですし、その………私ももっと悪魔さんのことを知りたいです。」
悪「そうだな。そういうのもいいな。」
女「じゃあ、言い出しっぺの私から話しますね。」
女「実はですね、こう見えて私いいところのお嬢様だったんですよ。」
悪(あーだからこんなに色々ととろいのか・・・)
女「今何か考えてませんでしたか?」
悪「いや、なにも」
女「…まあ、いいです」
女「父が事業をしていて、本当に冗談みたいな豪邸にも住んでたんですよ。」
女「でも、その事業がある日完璧に傾いてしまったんです。」
女「最初はちょっとしたミスってレベルだったんですけど、そこをどんどんライバル会社に付け込まれちゃって、それで完璧に倒産しました。」
女「それで父と母は蒸発して、私だけが残ったんです。」
悪「…」
女「競争相手を倒そうとするのは会社として当然の動き方ですし、両親も同じことを言ってましたから。」
女「前にお蕎麦屋さんで聞かれて誤魔化しましたけど、実は私が経済学を勉強しようって思ったのはこれが理由なんです。」
女「私はあの件のことを恨んでるわけじゃないですし、別段苦労もしませんでした。引き取ってくれた叔父さん夫婦がいい人たちだったので。」
女「ただ、そうじゃない人たちだって世の中にはいくらでもいるんです。」
女「私はそういう人たちを少しでも減らせるような、少しでも今より幸福が多いような世界を作れないかなって思って経済学を勉強しだしたんです。」
女「まあ、残念ながら、それを実現できるほどの頭は私にはありませんでしたけど…」
悪「大丈夫だ。そのために俺がいる。」
女「…そうですね」
悪「大丈夫だ。前にも言っただろ、人のダメなところをすべて受け入れて肯定するのが悪魔だって。」
女「…はい」
女「私が悪魔さんに隠してたのはこれくらいですね。あの、今度は悪魔さんの話を聞かせて下さいよ。」
女「ほら、悪魔さんたちがどういう風に生まれるのかとか気になりますし。」
悪「そうだな。まあ、期待しているところ裏切って悪いが俺は生まれつき悪魔だったわけじゃないんだ。」
悪「俺は元々人間だったんだよ。」
女「え?!えと、どういうことですか?」
悪「まあ、最初から全部話そう。」
悪「そんなだから周りもこぞって俺に勉強させたし、俺自身も知識欲や好奇心はあった方だからひたすらに勉強したよ。」
悪「それで勉強して、勉強して、勉強して、そうしているうちに俺はこの世のすべてを知り尽くしていた。」
悪「知らないことはなくなってたし、あっても持ってる知識の応用ですぐに解き明かすことができた。」
悪「でもな、当然だがそのすべてってのには目を瞑りたくなるような醜いものも含まれてるんだ。」
悪「特にきつかったのはやっぱり人間のそれを完全に知ってしまった時だな。」
悪「賞賛をしながら嫉妬をする。侮蔑の念を抱きながら友達面をして一緒にいる。相手のためと言いながら自分の評判を気にする。言い出したらきりがない。」
悪「それが分かってからは周りの人間をまともに見れなくなったよ。ありていに言ってしまえば怖くなったんだ、人間が。」
悪「そうして人間に絶望して、人間でありたくない、人といたくないって思いながら過ごしているうちに気が付いたら悪魔になってた。」
悪「それで、今に至るって感じだな。」
女「…」
女「やっぱり人間に戻りたいとはもう思わないんですか?」
悪「そうだな。俺を含めて悪魔といっても全員変な能力を持っていること以外はほぼ人間と変わらないし。魔界も悪魔にとってはこの人間の世界と別段変わらないしな。」
悪「それにやっぱり、悪魔には俺の能力が利かないのは俺にとって大きいんだ。さっき言った負の側面を見なくて済むからな。」
悪「まあ、それでも悪魔の仕事には時々嫌気がさすことがあるけどな。」
悪「やっぱり同意の上とはいえ魂をもらうってのは罪悪感もあるし、やっぱり悪魔を呼び出すほどの執念をもった願いってのは人の負の側面を見させられることが多いんだよ。」
悪「聞こえのいい願いを言っててもその裏に物欲や名誉欲、自己顕示欲が透けて見えるなんてことはごまんとある。」
悪「そして時には『あいつを社会的に陥れて復讐したいから知恵を貸してほしい』なんてストレートなものもある。」
悪「俺が悪魔になった経緯と合わせて、そういうのはやっぱり・・・つらいな。」
女「ごめんなさい…そうとは知らずに、私…」
悪「気にするな。それが悪魔なんだから。」
悪「なんだ?」
女「私に、可能な限り誰も不幸にならなない、みんなが幸福でいられる経済モデルを教えて下さい。」
女「これぐらい具体的なら大丈夫ですか?」
悪「ああ。しかしな、実をいうとだ、あの悪魔が相手の願いを100%完全にかなえなきゃいけないというのは嘘だ。」
女「ほえ?・・・・嘘お?!」
悪「ああ、本当は俺の解釈で適当に叶えても問題はない。騙してすまなかった。」
女「…それにしても、なんでそんな嘘ついたですか?」
悪「賭けてみたくなったんだ。お前は今までに見たことのないタイプの人間だったからな。」
悪「ふと、もしかしたら、こいつならもう一度俺に人間を信じさせてくれるかもしれないって思えてな。近くで観察してみたくなったんだ。」
女「…私なんかに賭けたら、後悔するかもしれないですよ?」
悪「ああ、かもな。だが、それでもいい。そもそもが賭けなんだからな。」
女「…そうですか」
悪「ああ」
昼飯行ってきやす
悪「? 研究やあのおっさんの手伝いか?」
女「いいえ、それよりもっと大切なことです。」
女「まあ、明日になれば分かりますよ。」
悪「まあ、いいか。おやすみ。」
女「おやすみなさい。」
悪「しかし、まさかあんなにきれいさっぱり研究所を辞めるとはなぁ」
悪「あれでよかったのか?」
女「いいいんです。私の願いはほぼ決まりましたし、残った時間を有効に使うためにも、もうあそこにいる理由はないですから。」
悪「そうか。」
悪「んで、お前はこれからどうするんだ?」
女「そうですねえ。とりあえず、とにかく色々と今までできなかったことをやりたいですね。」
女「…悔いが残らないように。」
悪「…そうだな。」
女「まずは旅行ですね。色々なところを回りたいです。」
悪「楽しそうだな。だが、あまり無理はするなよ。」
女「大丈夫ですよ。無理な運動とかをしない限りは基本は問題ないですから。」
悪「なら、まあいいが。少しでも何かあったらすぐに言うんだぞ。」
女「はい」
女「さてと旅行の第一弾ですよ」
悪「どこに行くんだ?」
女「○○神社です。日本で五本の指に入る有名な神社です。すごくきれいらしいです。」
女「あ、悪魔さんって神社とかって大丈夫ですか?成仏とかしちゃいませんよね?」
悪「成仏って…。まあ、大丈夫だ。多少きついかもしれないが浄化とかをされる心配はない。」
悪「こう見えて俺は地獄では魔王の次に位が高い悪魔だからな。低級の悪魔とかとは違ってよほどのことがない限りは大丈夫だ。」
女「…悪魔さんって意外とすごい人だったんですね。」
悪「意外とは余計だ。お前は今まで俺のことをどう思ってたんだ…」
女「だってほら、最初に合った時に自分のことを『貧乏くじ』って言ってたじゃないですか。それでてっきり結構卑屈な下っ端の悪魔さんなのかなあと…」
女「そんなことないですよ?私は悪魔さんと一緒にいられて毎日楽しいですから。」
女「それに調べたんですけど、命の悪魔さんは対価として他人の命を要求するらしいですね。」
女「私は他人の命を犠牲にしてまで生きたいとは思いませんから。」
女「それに私の目的は生きることじゃありませんから。」
女「だから、私は悪魔さんと契約で来て幸せですよ?」
悪「…ありがとう」
女「だからそんなつらい顔しないでください。ね?」
女「さ、湿っぽい話は終わりにしてそろそろ出発しましょう?新幹線に遅れちゃいますよ。」
悪「そうだな」
悪「荷物をよこせ。持つから。」
女「大丈夫ですよ、これくらい。」
悪「いいから。俺が持ちたいんだ。」
女「フフッ 変わった悪魔さんですねえ。でも…ありがとうございます。」
女「着きましたー」
悪「綺麗なところだな…」
女「ですねえ…でも、本当にすごいのはここからですよ。さ、本堂の方に行きましょう」
悪「ああ」
悪「しかし平日なのに案外人が多いんだな。」
女「そうですね。観光地として魅力的ってのもあるんでしょうが、やっぱりそれだけ神様にお願いしたいことがある人が多いんでしょうね。」
悪「…なあ神は人の願いを叶えないって話知ってるか?」
女「え、なんですか?それ?」
悪「だが、それだけの数の願いが集まれば、ある願いを叶えることによって別の願いを潰してしてしまうといった矛盾が必ず生まれる」
悪「例えばある人に幸せになってほしいって願いと不幸になってほしいって願いを同時にされたらその時点で両方を叶えるのは不可能だろ?」
悪「そして神は可能な限り平等でなくてはならない。選り好みしてある人の願いは叶えるが別の人の願いを叶えるってのはあってはならない。そんなことをすれば世界は崩壊するからな」
悪「そしてそんな状況で神に取れるもっとも平等な選択って何かわかるか?」
女「…誰の願いもかなえないこと」
悪「正解」
悪「神は平等に誰の願いも叶えない。そして矛盾の発生しにくい、わざわざ願わなくても簡単に叶うようなとても小さな願いだけに応える。そんな存在なんだよ。」
女「…それでも私は祈りや願い事が無意味だとは思いません。」
女「だってそれは人に許された最後にできる行動ですから」
悪「…そうだな」
女「あ、着きましたよ!さ、お参りしましょう?たとえ無駄だとしても少しは効果があることを祈って。」
悪「ああ…」
悪「…」パンパン
女「悪魔さんはなにをお祈りしたんですか?」
悪「ククッ 内緒だ。こういうのは言うと効果がなくなるんだろう?そういうお前は?」
女「フフッ じゃあ、私も内緒です」
悪魔「そうか」
悪「…なあ、実はさっきの話には続きがあるんだ。」
女「え?」
悪「そうして作られたのが平等性などを一切考慮せず、代償を要求することでバランスを取りながら、ただされた願いに応える存在。」
女「それって…」
悪「ああ、俺たち悪魔のことだ」
女「…」
悪「まあ、その、なんだ俺が言いたかったのはだな…救いはこうやってちゃんと用意されてるってことだ。」
悪「あの夜からお前が病気について吹っ切れたのは素直に嬉しい。だが、反面少し無理をして明るくしているようにも見えてな。」
悪「…まあ、だから少し安心して欲しかったんだ。お前にはちゃんと俺がいるって。」
女「…そうですね。確かに少し空元気だったかもしれません。気を付けます」
悪「ああ、それがいい」
女「それじゃあ、今日はホテルに戻りましょうか?」
女「今日は結構歩きましたし、明日も…ウッ」グラッ
悪「おい!?どうした!?大丈夫か?!」
悪「ちっ…救急車!」
女「…」
悪(あの日倒れてからこいつはまだ眠り続けている)
悪(とりあえずは安定したが、それでも今後どうなるかは分からない)
悪(…あいつに残されてた時間はもうそんなになかったんだな)
医「とりあえずは安定はしているが、それでも油断は許されない状態だ」
悪「そうですか」
医「…その、こんな時に言うのもなんなんだが、心の準備はしておいあ方がいい」
悪「え…」
医「女君の心臓はもう限界に近い。もうそんなに長くはない。いつそうなってもいいように覚悟だけは決めておきなさい」
悪「…」
医「では」
悪「…待て」
医「なんだね?」
悪「あいつのカルテとこれまでの検査結果を全部見せろ。俺なら治療方法が分かるかもしれない!」
医「いや、病院には守秘義務があるのでね、たとえ親族などであっても見せられない決まりに…」
悪「うるさい!いいから見せろ!」ヴォン
医「あばばばばばばばばばばばば」バリバリバリバリ
回想終わり
悪(それにおそらく次の発作にあいつの心臓は耐えられない。リミット長くてもあと一ヵ月といったところか。)
悪(…俺は本当に無力だ。あいつの願いを叶えることはできても、あいつを助けることはできない。)
女「ん…」
悪「!」
女「あれ…悪魔さん…?ここは…?」
悪「目が覚めたか!ここは病院だ。お前は発作で倒れたんだ。」
女「そう…でしたか。すみません…またご迷惑を。」
悪「いいんだ。とりあえず俺は医者を呼んでくる。おとなしくしてるんだぞ。」
女「はい…」
医「うん、今は安定しているね。でもしばらくは絶対安静だ。ベッドでおとなしくしているように」
女「はい、分かりました…あの、先生」
医「ん?なんだね?」
女「私の命、あとどれくらい持ちそうですか?」
医「っ…」
女「隠さなくてもいいですよ?自分のことですから、なんとなく分かるんです。私はもう長くないですよね?」
医「ああ…おそらくだが君の心臓は次の発作には耐えられない。それが来たら…」
女「そうですか」
医「力になれなくて申し訳ない…」
女「仕方ないことですから」
医「…それでは私は失礼させてもらうよ。」
女「はい」
悪「そうだろうな。」
女「…少し一人にしてもらってもいいですか?」
悪「ああ…分かった」
悪「だが、その前にこれだけ渡しておく。」バサッ
女「なんですか、これ?」
悪「お前の願いだ。『可能な限り誰も不幸にならない、みんなが幸福でいられる経済モデル』の理論がまとめてある」
女「ありがとうございます…これで私たちの契約も終わりですね。」
悪「ああ…だが、ここまで来たのなら最後まで付き合うさ。」
女「そうですか…」
悪「…またあとでな。多分、下のどこかにいるからなにかあれば呼んでくれ。」
女「はい」
悪「はあ…契約を終わらせた悪魔は魔界にすぐ帰らなければならないことになっているが、まあ今回みたいなケースなら許されるだろう。」
悪「どうせ…そんなに長く残るわけじゃないしな。」
悪「俺もなに考えてるんだか。残ったところで、あいつになにかしてやれるわけじゃないのに…」
悪「はあ・・・」
悪「ん…なんだあれ?」
屋上 メラメラ
悪「!屋上でなにか燃えてる!」ダッ
屋上
悪「一体何が…」
女「…」
悪「ってお前いったいそこで何してるんだ?!」
女「ああ、悪魔さんじゃないですか」
女「見てわかりませんか?燃やしてるんですよ、悪魔さんに貰った論文を。」
悪「…理由を聞いていいか?」
女「そうですね、もう私にとって必要も意味もないものになってしまったからでしょうか?だからせめてもの反逆としてこういう形で利用させてもらいました」
悪「…どういうことだ?」
女「…悪魔さん、私は神様に復讐をしたかったんです。」
女「私の人生は常になにかを奪われることの連続でした。」
女「会社を奪われ、両親も奪われ、幸せな家庭も、なにもかもを奪われました。そして今は私自身の命さえ奪われかけています」
女「私は私にそんな人生を強いた神様に復讐したかった!少しでも抗いたかった!」
女「だから悪魔との契約に手を伸ばしました。悪魔の力を借りて何かをなせば、それが神様への反抗になるんじゃないかと思って!なのに…」
女「その悪魔でさえ、結局は神様が生み出したシステムの一つだった!」
女「…結局、私は神様の掌の上で踊り続けるしかなかったんです。」
あ、ID変わりましたけど1です。
女「私はあなたの望み通りには死んでやらない!この人に力を借りてあなたに抗ってみせる!って」
女「まあ、それも無駄でしたけど。」
悪「…」
悪(ははは…笑えるな。俺はあいつの力になるどころか、あいつの夢を潰しただけじゃないか。)
悪(やっぱり俺は最後の最後まで貧乏だったということか…)
女「抗って抗って、最後の手段に手を出したのに、それさえも無駄だった。」
女「もう…いいですよね?」
悪「ああ…」
悪(俺には…なにも言うことはできない…)
女「色々とお世話になりました。」ガシャンガシャン ストッ
女「そういえば私はここで死んだあと、魔界で悪魔さんの奴隷になるんでしたっけ?」
悪「ああ…」
女「聞くのを忘れていましたが、私の記憶や意思って残るんですか?」
男「なんでそんなことを聞く?」
女「いえ、研究者ってお仕事自体は好きだったので、魔界に行った後も空いた時間で研究とかが出来たらいいなと思いまして。」
悪「…結論から言うとどちらも残る」
女「そうですか…」
悪(一旦、奴隷になってしまえば、俺に仕えること以外は考えられないようになる。)
悪(だがな…悪いがそんな残酷な現実をここでお前に叩きつけられるほど俺は強くないんだよ。)
悪(だから、せめて優しい嘘で見送らせてくれ。)
悪(弱い俺を許してくれ)
悪「いいさ、お前の気持ち…少しわかるからな」
悪「俺は人間のすべてが信じられなくなって絶望した。お前はそれが神様なだけで状況は一緒だ。」
悪「俺にお前を否定する権利はない」
女「…ありがとうございます、責めないでくれて」
悪「言っただろ。悪魔は人のダメなところを受け入れて肯定する存在だって」
女「そういえばそうでしたね」
悪「ああ」
女「…こんなことを言っても無理かもしれませんが、今回のことはあまり気にしないでください。」
女「私がここで死ぬのは勝手に私が選んだだけで悪魔さんのせいではありません。」
女「だから悪魔さんが気に病むことはなにもありません。」
悪「…ああ」
女「こんな終わり方になってしまって申し訳ありません。でも、あなたと最後に過ごせた日々は楽しかったです。ありがとうございました。」
悪「俺もだ。」
悪「結局、お前の力になれないどころかお前の夢をつぶす結果になって申し訳ない。だが、俺もお前と過ごした時間はけっこう楽しかったぞ。」
女「フフッ 最後の最後でまったく同じこと考えるなんて、私たち案外相性はよかったのかもしれないですね」
悪「そうだな…」
女「それでは、また。」
悪「ああ、またな」
女 トンっ
ヒューーーーーーグシャ
悪(今の俺を見たらお前はなんて思うだろうか)
悪(未練がましく、惨めに、お前の真似事をしている今の俺を見たら…)
悪(人間の世界を劇的に変えるような研究をしてそれが完成しては人間界に送り込む)
悪(悪魔による人間界への干渉は禁止されているが、だからこそそれがお前のしたかった反抗になるのではないかと信じて)
悪「…無様だな、俺は」
悪「…入れ」
奴隷「失礼します」
奴「先日、承った『腐敗の発生しない官僚制度』を作り上げるために必要なデータの収集が終わりましたのでご報告に」
悪「そうか、ありがとう。今日はもういいぞ。」
奴「はい。…失礼ですが悪魔様少し御顔色が優れないようですが?」
悪「…お前に似てる人のことをちょっと思い出してな。そのことを少し考えていただけだ」
悪「特に問題はない。もう下がっていいぞ。」
奴「そうですか。では、失礼します。」
悪「ああ…ご苦労様。」
バタン
悪「…女」
~~~BAD END~~~
奴「はい、どちら様でしょうか?」
?「私よ、女悪魔よ。入れてもらえるかしら?」
奴「それは失礼いたしました。本日はどのようなご用件で?」
女悪魔「悪魔に会いに来たの。開けてもらえるかしら?」
奴「承知いたしました。どうぞお入りください。」キー
アフターというかトゥルーのようなものです。
奴「失礼ですが一つ質問をしてもよろしいでしょうか?」
女悪魔「いいわよ、答えるかどうかは知らないけど」
奴「女悪魔様は時々いらっしゃいますがご主人様とはどのようなご関係なのですか?」
女悪魔「恋人」
奴「…」
女悪魔「冗談よ。そうね、あいつの保護者ってところかしらね。」
奴「というと?」
奴「はい、たしか元々は人間である日突然悪魔になって魔界に来たと以前お話しされてました。」
女悪魔「うん、その通り。それでいきなりの魔界で右も左もわからずに困っていたところを助けて保護したのが私なの。」
女悪魔「それがきっかけでこうしてズルズルと腐れ縁が続いてるってわけ。」
奴「そうでしたか」
女悪魔「しかし、あの時はあいつがこんなに出世するとは思わなかったなー。今では魔王の次に位の高い悪魔の一人にまでなるなんて」
奴「私もそのような方にお仕え出来て鼻が高いです。」
奴「はい、なんなりと」
女悪魔「あなたがここにきてもうしばらくたつけど、どう?あいつは優しい?」
奴「はい、それはもう!ご主人様は私に大変良くして下さいます。」
女悪魔「そう…それはよかった」
奴「あ、着きました。こちらです。」
女悪魔「ありがとう。」
奴「失礼します。お客様をお連れしました。」
悪「…今は会いたくない。帰らせろ。」
奴「ですが…」
悪「いいから!」
女悪魔「うるさいわね!それこそいいから入れなさい。」ガチャ
悪「…また説教に来たのか?」
女悪魔「ええ、あなたの保護者としてね。」
悪「お前が勝手に名乗ってるだけだ。」
女悪魔「そうね、でもあの時の仮があるのも事実よ。」
悪「…」
悪「奴隷、とりあえずお前は下がれ。またなにかあれば呼ぶ。」
奴「承知しました」バタン
女悪魔「あの子に格好悪いところを見せたくない?」
悪「うるさい」
悪「お前には関係ない。」
女悪魔「それがそうでもないのよね。あなたが人間界にしていることが神や魔王に感づかれ始めてる。おかげで監視が厳しくなって私たちも行動しにくい状況なのよ」
悪「それは悪かったな。だが、それでこそ意味がある。」
悪「神が動いてるということは俺がしていることが奴への反抗になっているということだ。」
悪「それで最後に俺を疎ましく思った神に消されれば最高だな。」
悪「どうせそんなに時間はかからないはずだ。もう少しだけ我慢してくれ。」
悪「…なんだと?」
女悪魔「だから、また逃げるのって聞いてるの。」
悪「俺は逃げてなんかいない。あいつがしたかったことを代わりにしてるだけだ。」
女悪魔「嘘ね」
女悪魔「あなたはただそれを言い訳に逃げているだけ。」
女悪魔「あの件で傷ついたあなたはただすべてを怖がって逃げているだけよ。」
女悪魔「生きて行動を起こしてまた前みたいになってしまうのは怖い」
女悪魔「でも、すべてを捨てて死ぬほどの勇気もない」
女悪魔「そして何より自分の無力さを認めてしまうのが怖い」
女悪魔「だからこうして『あいつの代わりに』を言い訳に意味のないことをしながら誰かに殺してもらえるのを待つ。」
女悪魔「それが今のあなたよ」
女悪魔「そうね。もちろんすべてを分かり切ったつもりはないわ。」
女悪魔「でも、一つだけ分かることを言ってあげる」
女悪魔「最後の最後に諦めたけれども、あなたが力になろうとした彼女はあなたよりもずっと頑張っていたわ。」
女悪魔「本当の最後の最後まで、打てる手がなくなるその時まで神に抗おうとした」
女悪魔「あなたと彼女、どちらの方が一生懸命に生きようとしているか。頭のいいあなたなら少し考えれば分かるわね?」
悪「…」
女悪魔「だったらひたすら考えなさい。どんなに無理に見える状況でも覆すような一手を考えだせる。それがあなたの力なんだから。」
女悪魔「かつてその知恵で魔界を建て直した時の力をもう一度今度は自分のために使いなさい。」
女悪魔「それが本当の『あいつのために』なることでしょう?」
悪「…」
女悪魔「私は伝えたいことは全部伝えたわ。あとはあなたが一人で決めなさい。」
バタン
悪「少し女悪魔のところへ行ってくる。帰りは遅くなる。」
奴「承知しました。いってらっしゃいませ。」
バタン
~~~女悪魔の家~~~
コンコン
女悪魔「どちら様?」
悪「俺だ。」
女悪魔「いらっしゃい。どうしたの?」ガチャ
悪「頼みごとをしに来た。」
悪「俺はこれから少し大きな勝負に出る。結果によっては生きて帰ってこれないかもしれない。」
女悪魔「…」
悪「だからそうなったときのために後のことを頼みに来た。」
悪「俺をここまでけしかけたのはお前なんだからな。嫌とは言わせないぞ。」
女悪魔「…分かったわ。で、具体的にはどうすればいいの?」
悪「使用人たちのことを頼む。適当に家や土地を売って退職金として渡しておいてくれ。」
女悪魔「分かったわ。」
悪「あと…」
女悪魔「あと?」
悪「あいつだけはお前のところで雇ってやってくれないか?」
女悪魔「いいわ。なかなかいい子そうだし、気も利きそうだし。」
悪「恩に着る」
悪「ああ」
女悪魔「ふ~ん…いい顔になったじゃない。少し前とは大違い。」
悪「色々と覚悟がきまたからな。」
女悪魔「そう。まあ、頑張ってらっしゃい。それで駄目だったとしても、またあの時みたいに私が拾ってあげるわ。」
悪「ありがとう。じゃあ、またな。」
女悪魔「ええ」
側近「魔王様、知恵の悪魔が来ました」
魔王「通せ。」
スタスタ
魔「久しぶりだな、知恵の悪魔よ。貴様の方から儂に会いたいとは珍しい。」
悪「そうですね。前回お会いしたのは今年の社会情勢の予測とそれへの対応策をお伝えに来たときですから、丁度半年前ですかね。」
魔「うむ、お前には毎度世話になっておる。ところで今日は急にどうした?ついに儂の側近になりたくなったか?」
悪「いえ、そうではないです。」
魔「そうか、それは残念だ。貴様ならかなりの待遇で迎え入れたいのだがな。」
悪「あまりそういうのには興味がないので。」
悪「今日は魔王様に私のお願いを申し上げに来ました」
側「貴様!魔王様を呼び出すだけでなく、その上要求をしようなど無礼な!今すぐつまみ出すぞ!」
魔「よい。ふむ、貴様には大きな借りがあるからな。とりあえずは聞こうか。」
側「…」
悪「それでは申し上げます。私の要求は三つです。」
悪「一つ、悪魔である私に悪魔と契約召喚する権利を与えること」
悪「二つ、本来は契約召喚時に無作為に選ばれる悪魔を私に選べるようすること」
悪「三つ、一生に一度しかできない悪魔の契約召喚を二度まで可能にすること」
悪「以上の三つです」
悪「はい」
魔「貴様が要求したことはどれも禁忌とされていることだ。」
魔「当然だな。そのどれか一つでも認めてしまえば世界はたちどころに崩壊するであろう。」
魔「特に一つ目は最高位の禁忌の一つだ。元々特別な力を持つ悪魔に更に別の悪魔との契約をさせればなにが起こるかわからないからな。」
魔「…だが、このような願いをただ儂に言う貴様ではないよな?」
悪「はい」
悪「…私は悪魔になって魔界に来て以来、混沌にあった魔界のあらゆるものを建て直しました。」
側「貴様!くだらないことをぺらぺらと喋っておらず、さっさと魔王様の質問に答えろ!」
魔「貴様は少し黙っておれ!…続けろ。」
側「…」
悪「有事の際に備えて私はそれらを建て直す際に時限式で発動する罠を仕掛けておきました。」
悪「今までは毎年魔王様にお渡ししている対応策にそれを防ぐものをさりげなく織り交ぜていました。」
悪「ですが、私がそれを止めれば魔界の経済、政治、福祉、行政などはたちどころに崩壊し、魔界は私が来る以前以上に衰退するでしょう。」
悪「そうなれば非難を受けるのは表向きではそれらをすべて成したことになっている魔王様です。」
悪「要約すれば、今の地位を失いたくなければ私の要求を飲んで下さいということです。」
魔「…」
魔「貴様ほどの悪魔がここまでする理由はなんだ?」
悪「…女のためだ。俺には助けきれなかった女がいる。俺は今度こそあいつを助けたい。だからお前の協力がいる。それさえ叶えたら他には何もしない。」
魔「…分かった。お前の要求を飲もう。」
悪「感謝する」
側「魔王様、そんな下種の要求など聞く意味ありません!今言ったこともきっと嘘です。」
側「兵士に捕えさせて拷問にかけましょう?!それで罠を発動させない方法を吐かせればいいんです!」
魔「無駄だ。こいつはそんなことで吐く奴じゃない。それにたとえ拷問にかけたとしても自殺でもされればその瞬間に儂たちが終わりなのは一緒だ。」
魔「おい、知恵の悪魔、こっちへ来い」
悪「…」スタスタ
魔「ふんっ!」ヴォン
悪「…案外あっけないもんだな。まあ、いい。俺はもう行くぞ」
魔「そうか。ああ、その前に最後にもう一つだけ儂の質問に答えてから行け。」
魔「貴様はこの交渉の間に儂に対して何回嘘を吐いた?」
悪「…一回だ。」
魔「…やはりお前の作ったシステムは完ぺきだということか。やっぱりお前は儂の側近にしたい。」
悪「悪いがそれはできない相談だ。他を当たってくれ。」
魔「そうか、残念だ。」
悪「じゃあな。」
魔「うむ」
バタン
魔「…貴様はまだ分からんのか?」
側「というと?」
魔「あいつは儂らのために先の交渉をしに来たのだ。」
側「は?」
魔「それで魔界が崩壊し、その責任で儂らが追放されたあとに今度は奴が表だって崩壊した魔界を建て直せばよい。一度同じことをした奴にしてみれば簡単なことだろう。」
魔「そうすれば次の魔王として君臨できるのは確実だ。その後、魔王の権利として堂々と禁忌に関する法を変えればよい。これが一番簡単だ。」
魔「だが、奴はそれをしなかった。」
側「そ、それはあやつが言った仕掛けとやらが嘘やハッタリだからでは?」
魔「だとしても、また別な方法で魔界の社会を衰退させ、クーデターや革命でも引き起こせば同じことだ。」
魔「直し方を知っているということは壊し方も知っているということだからな。」
側「…」
魔「いくら儂が魔王だとはいえ、最高位の禁忌を犯したということが明るみになれば当然かなりの非難は受ける。」
魔「だが、儂の地位と魔界の衰退を叩きつけられたということにできれば、そこまで致命的なダメージにはならない。」
魔「奴はそこまで計算していた。そして儂はそれに気が付いたから、あやつの要求を飲んだのだ。」
側「…」
魔「今後はその口を軽率に開かないことだな。」
魔(だがな、知恵の悪魔、儂はそんなことをされなくとも貴様の願いなら聞き入れるつもりだったぞ。)
魔(儂が貴様にこれまでにどれほどの借りを作っていると思っている。それに比べれば禁忌の一つや二つ犯すくらいなんてことはない。)
魔(…お前の本当の願いが叶うことを願っているぞ)
悪(ふう…)
悪(魔王が投げやりになって向かってくるのとあのバカな側近が血迷うことだけがリスクではあったが、なんとかなったな。)
悪(しかし、あいつも伊達に魔王はやってないんだな。俺の本当の真意まで見抜いてくるとは。)
悪(…今回のことがなければあいつの部下として生きていくのも悪くなかったかもしれないな。)
悪(とにかく、これですべての準備は整った。あとは実行に移すだけだ。)
悪「待ってろよ…」
悪「これでよし…」
悪「まずは…出でよ!時間の悪魔!」バリバリ
時間の悪魔「我を呼び出したのは汝か…?って知恵の悪魔様!?」
悪「よう」
時「え、な、なんで知恵の悪魔様がわっしなんかを!?というか悪魔は悪魔を召喚できないはずじゃ…」
悪「まあ、色々と事情があってな。詳細は省くが今の俺にはそれができるんだ。」
悪「そんな訳で悪いが俺と契約してもらうぞ。」
時「は、はあ…分かりやした。」
悪「俺を五年前にタイムリープしてくれ。」
時「過去への時間移動ですね。承知しやした。」
時「それでは契約の確認を致しやすね。わっしは知恵の悪魔様を五年前に時間移動させやす。そしてその対価として悪魔様の積み重ねたものを頂きやす。」
悪「積み重ねたもの?」
時「はい。時間とは積み重ねでございやす。過去に戻る…つまりはその積み重ねをやり直す対価としてわっしは今まで積み重ねてきたものを頂いているんです。」
悪「なるほどな。具体的には俺はなにを差し出せばいい?」
時「そうですねえ…知恵の悪魔様であれば今の魔界での地位や立場であれば十分対価になるかと。」
悪「分かった。それで構わない。」
時「本当にいいんでございやすか?わっしなんかにせっかく手に入れた今の地位を差し出してしまって。」
悪「問題はない。もとよりそんなものに執着はないさ。」
時「左様でございやすか。」
時「この手を握り返した瞬間に対価が支払われ、わっしは知恵の悪魔様を過去に飛ばしやす。」
悪「分かった。頼んだぞ。」グッ
時「では!」バシュン
時「…あなた様のような方がなぜこんなことをされのかはわっしには分かりやせんが、成功をお祈りしていやす。」
悪魔「ハッ…」
悪魔(病院…ってことは時間移動は成功ってことか。)
悪魔(とりあえずあいつの病室に行ってみるか…)
~~~女の病室~~~
女「…」
悪「よう…久しぶりだな。…大分寄り道することにはなったが、やっとここまで来たぞ。」
悪「待ってろ。次ですべてが終わる。」
悪「準備完了っと。これで最後だ…出でよ!」バリバリ
女悪魔「私を呼び出したのはあなたかしら?ってなんだ悪魔じゃない?どうしたの?」
悪「決まってるだろ。悪魔を召喚をしたのならばやることは一つだ。お前と契約がしたい。」
女悪魔「悪魔による悪魔との召喚契約は禁忌として禁止されているはずだけど?」
悪「それなら大丈夫だ。魔王を脅迫してその権利を手に入れた。」
女悪魔「…あの口ぶりからかなりのことをしでかすとは思ってたけど、まさかそこまでやるとはね。」
女悪魔「あなたこそなにを言ってるの?わざわざ私の家まで来てそのことを言いに来たじゃない。」
悪「…俺は魔王に会った後、時間の悪魔と契約して5年前に時間移動したんだ。」
悪「だからここで召喚されるのは五年前のお前のはずだ。そしてそのお前があの時の会話のことを知っているはずがないんだ。」
女悪魔「…きっとこういうことじゃない?」
女悪魔「あなたは時間転移したとはいえこの時代から見ればどこまで行っても未来の存在。だから悪魔を召喚しようとすると元いた時代の悪魔が呼び出される。」
女悪魔「きっと時間の悪魔も知らなかったことでしょうね。今までに二度も悪魔の契約召喚をした例なんてあるはずがないもの。」
悪「さっきも言ったが俺と契約してくれ。女悪魔、いや今は命の悪魔って言った方がいいか。」
命の悪魔「…それもやっぱりあの彼女のためよね?」
悪「ああ」
命「あなた、私との契約の対価を知らない訳じゃないわよね?」
悪「ああ、契約者自身の命を救う場合は他者の、他者の命を救う場合には契約者の命だろ?」
命「…ねえ、契約の前に答えて。あなたがそこまでする理由はなに?いえ、聞き方がずるいわね。彼女にあなたがそこまでする価値はあるの?」
悪「今まで散々俺をけしかけてきたお前がなんで今更そんなことを問う?」
命「折角助けた命をくだらない意地や大した価値もない人間のために使って欲しくないのよ。それが気に入っている悪魔のなら尚更ね。」
悪「…」
命「それはそうよね。だって超えないといけない問題の数とレベルがおかしいもの。」
命「ううん、それよりも人間嫌いのあなたが誰かのためにそこまで動くこと自体が最大の計算外だった。」
悪「だったらなぜそもそも俺をけしかけた?放っておけばよかっただろう?お前が俺を焚き付けるようなことをしなければ俺は動かなかった。」
命「それも理由は簡単よ。気に入ってる悪魔の情けない姿を見たくなかった。それだけよ。」
悪「我儘だな。」
命「ええ、でも女ってそういうものよ?」
命「私はあなたが彼女を救えなかったという自責の念や意地でああなっていると思ってた。」
命「だから、あなたをある程度頑張らせて、それに失敗しつつもそれであなたが義理を果たせたと感じて、元のあなたに戻ればそれでいいと思った。」
命「なのにまさか本当に彼女を救うところまでやってくるとはね…」
命「だからねえ、答えて。あなたをそこまで突き動かすものはなに?」
悪「…お前には関係ない。お前には辛いかもしれないが悪いが契約をしてもらうぞ。」
悪「は?」
命「人間に悪魔との契約という一生に一度の好機が与えられているように、悪魔にも一生に一度の反抗が許されている。」
命「まず使われない権利だから忘れてたみたいね?それとも私があなたに敵対するとは思わなかった?」
悪「まさか…」
命「そうよ。悪魔には一生に一度だけ召喚した人間との契約を断る権利が与えられている。」
命「あなたは悪魔だから確実に有効かは分からないけど、多分問題はないはず。」
悪「頼む…後生だ。」
命「だったら私の納得させてみなさい!証明しなさい!あの彼女は私に愛した男を殺させるほどの価値があると!」ポロポロ
悪「…」
悪「人間には価値があると、人間嫌いの俺がすべてを捨てて助けることで証明したい。」
悪「人間の醜さを嫌というほど見せつけられた俺だからこそ、その奥にある人間の素晴らしさを信じてみたい。」
悪「確かにあいつの心の底にあったのは神への復讐心だった。」
悪「だが、その隣にはちゃんと世界をよくしたい、自分と同じ境遇の人を少しでも減らしたい、自分の願いでみんなを幸せにしたいって思いがあった。」
悪「人間に絶望した俺には絶対に抱けない思いだ。だから俺はそれに賭けたい。応援したい。」
悪「だから俺はあいつを助けたい。」
命「…あなたらしくないわね。言ってること、支離滅裂で意味不明よ。なにを言いたいのかさっぱり分からないわ。」
命「でも、あなたが本気だってことだけは分かったわ。」
悪「だからさっきからそう言ってるだろう!」
悪「なんでだ?!」
命「だってあなたは賭け終った段階でもうこの世にいないじゃない!」
命「自分の命を賭けるだけ賭けておいて、捨てるだけ捨てておいてその結末を見届けずにいなくなるなんてあんまりよ…」
悪「それは…」
命「あなたが契約することで救われる者や残される者の気持ちをあなたは考えたことあるの?!」
命「そんなのどれだけ本当に彼女のためだったとしても自己満足以外の何物でもないわ!」
悪「だったらどうすればよかったんだ?!」
悪「これが俺に取れる最善の手段だったんだ!これなら最小限の犠牲で、俺の命一つであいつを救える!魔界への影響も少ない!」
悪「俺にこれ以上どうしろと言いたいんだお前は?!」
命「もっと他人を頼りなさいって言ってるのよ!」ポロポロ
悪「…」
命「あなたはいつもそう!…なんでも分かるくせに周りの気持ちには気付かずに自分のことを最後にして他人を助ける!」ポロポロ
命「私は確かにあなたに考えなさいと、頑張りなさいと言ったわ!でも、一人で全部やりなさいとは一言も言ってない!」ポロポロ
命「なんで一言私に相談してくれなかったの?!私はあなたの頼みだったら契約なんてなくても力を使ったのに…」ポロポロ
悪「…人間界に対して契約外のことで悪魔の力を行使すればペナルティが発生する。ちょっとした呪いとかならともかく悪魔の能力となれば…」
命「そんなこと知ってるわよ!それでも言ってるの!」
悪「…」
悪「…なんだ?」
命「あなたは人間の醜悪さを忘れている。それはあなたが言っているほど、善性に目を向ければ霞むほど甘いものじゃない。」
悪「かもしれない…。少し長い間魔界にいたからな。俺はそれでも…」
命「違う、そうじゃない。」
悪「?」
命「あなたは忘れているけど、あなたは前に一度同じことをしたことがあるの。そして、その結果は凄惨たるものだった。」
悪「なんのことを言っている?」
命「今から私は封印したあなたの記憶引き出す。」
命「それを思い出してから、もう一回考えてみなさい!」ヴォン
悪「ぐああ!!!」バタリ
少年「ご依頼の作戦計画書です。」
大将「おお、ご苦労であった。これでまた次もいい戦果が挙げられそうだ。」
少「それはなによりです。」
大「うむ、では儂は失礼させてもらうよ。」
少「はい、では。」
ガチャ
父「どうだった?大将はお喜びされていたか?」
少「はい。」
父「よくやった。お前は我が家の誇りだ。これからもこの調子で頼むぞ。」
少「分かりました。」
少「父さん…少し疲れたので庭で休んできます。」
父「おお、分かったぞ。だが、ほどほどになお前には軍から新兵器の設計依頼も来ているんだからな。」
少「はい」
少「ふう…」
少(我が家の誇りね…。父さん、労いのつもりなんだろうけど国に恩を売って会社を大きくすることしか考えてないのが見え見えだよ。)
少(しかし、さっきの大将の目はつらかったなあ。『軍のエリートである儂がなぜわざわざこんなガキのところまで…』とか考えてたんだろうなあ。)
少(それにしても疲れた。こうして一人で庭のベンチに寝転がっているときが一番休まる。)
少(ん…なんだあれ?鳥?にしてはやけに大きいな。)
~~~上空~~~
命「ふい~疲れた~。といっても契約して願いを叶えただけだけど。」パタパタ
命「契約はつらいけど、こうして終わった後人間界を散策できるのはちょっとした救いよね。今の魔界はなんにもないし。」パタパタ
命「あら?誰か私のことを見てる?そんな訳ないわよね?ちゃんと人間には見えないように…忘れてた。」パタパタ
命「…」ピュー
少(あれ、シルエットからすると多分人間だよね?でも、パラシュートも何もつけてないみたいだし…ってこっち来た?!)
命「ねえ、あなた、私のこと見てたわよね?」スタッ
少「は、はい…」
命「あの、実はね、私は悪魔なの。いつもは人間には見えないようにしてるんだけど、今日はうっかり忘れちゃっててね。」
少「は、はあ…」
命「人間に知られると色々と不都合だから悪いけどあなたの記憶を消させてもらうわね。」
少「…どうぞ」
命「…と思ったけど、止めるわ。」
少「え、なんで?」
命「だってあなた今にも死にそうな顔してるんだもの。特に目、ひどいわよ?なんの光も宿ってない。」
少「…」
少「…なんで、僕に構うんです?そんな面倒なことせずにさっさと記憶を消していけばいいじゃないですか?」
命「私はね、命の悪魔なの。人間と契約して誰かの命を代償に別の誰かの命を助ける、そんなお仕事をしているの。だから命の大切さは誰よりも知ってるつもり。」
命「そんな私の前に今にも死にそうな顔してる人がいたらそりゃ話しかけるわよ。」
命「…ってこんな話をいきなりしても信じられないか。」
少「…いえ、信じます。お姉さんを見てもなにも分かりませんから。」
命「どういうこと?」
少「僕は見て少し考えただけでなんでも分かってしまうんです。本当になんでも。」
少「でも、お姉さんは見てもなにも分からない。多分、人知とかを超えた存在ってことなんでしょうね。」
命「…なるほどね」
命「察するにあなたがつらそうにしてるのもその力が原因ってところかしら?」
少「そうです。他人の考えてることが全部筒抜けみたいなものですからね。本当につらいですよ?」
命「…そう。」
命「私は今誰とも契約していないから長くは人間界にいられない。でも、あなたと契約すればそれを遂行するまではあなたと一緒にいられる。」
命「見てもなにもわからない私となら一緒にいても平気でしょ?私があなたの相談相手になってあげる。」
少「でも、僕別に助けたい命とかないですよ?」
命「別にいいわよ。悪魔との契約はすぐに遂行する必要はないの。いつか助けたい命ができた時にでも遂行すればいいわよ。最後までできなければ契約を破棄すればいいしね。」
少「でも、それってお姉さんに迷惑なんじゃ…?」
命「ううん、全然。人間界は好きだし。今にも死にそうな人間を見捨てることの方がよっぽどストレスだわ。」
命「だから、ほら子供は余計なこと考えずに大人の好意に甘えておきなさい。」
少「…分かりました。じゃあ、お願いします。」
命「じゃあ、契約成立ね。」
少「はい」
少「え…//////」
命「それが私との契約の方法なの。子供にはまだ早いかもしれないけど頑張りなさい。」
少「///////」チュ…ピカー
命「はい、これで契約成立よ。」
少「は、はい。えと、これからよろしくお願いします、お姉さん。」
命「こちらこそよろしくね。でも、そのお姉さんは止めてもらえるかしら?その、恥ずかしいから…」
少「すみません。じゃあ、なんて呼べばいいですか?」
命「うーん、そうね…女悪魔でいいわ。」
少「どうぞ、ご依頼の新兵器の設計図です。」
大「おお!待っておったぞ!これで大分戦争を有利に進められるはずだ!感謝する!」
少「いえ、恐縮です。」
大「それでは儂は失礼させてもらう。すぐにこれを軍本部に届けなくてはならないのでな。」
少「分かりました。では。」
大「うむ。」
ガチャ
女「あなたはいつも人と会った後は疲れ切ってるわね?」
少「仕方がないよ。やっぱり人の本音が透けて見えるからね。」
女「ちなみにあのおやじはなんて考えていたの?」
少「『まったく次から次へと画期的な案や匹を出しおって。頼りになるのは確かだが、気持ち悪い』だと思う。」
女「分かったわ。あのおやじ殺してくる。」ゴゴゴゴゴゴ
少「い、いいよ!ある意味当然の反応だし。」
女「…そう。」
女「昔なら無理だったかもしれないけど、今なら私がいるわよ?」
女「あなたの両親に義理立てしてるというならもう十分したと思うけど?」
少「違うよ。」
女「じゃあ、なんで?」
少「僕が軍に協力しなければそれだけ戦争が長引く。そうすればより多くの人が死んでしまう。」
少「他のこともそう。僕が薬を開発しなければ、それだけ病で死ぬ人が増える。僕が安全な機械を発明しなければ、それだけ昔の危険な機械で怪我をする人が増える。」
少「でも、たとえそれらを考えれたとしても世に出すには他の人の力がいる。」
少「だから僕はこうして頑張るんだ。それがこんな力を持って生まれてしまった僕の使命だと思うから。」
女「…」ウルウル
少「それに今は女悪魔がいるからね。前ほどはつらくないよ。」
女「…うん」
少「だから泣くのを止めていつもみたいに面白い話をしてよ。」
女「…分かったわ。任せなさい。」
少年改め青年「やっと戦争が終わったか…」
女「そうね。あなたが協力したからあの規模の戦争がこの短さで終わったのよ。誇っていいわ。」
青「いや、それでもかなりの被害が出ていることには変わりはない。これからは復興の方に協力することになるだろうな。」
女「そうね。でもいいじゃない、そっちの方がお人よしのあなたには向いているわ。」
青「だな。」
女「それにしても最近のあなたはいい顔をしてるわね。」
青「そうか?」
女「ええ、昔のあなたとは大違い。」
青「まあ、今は女悪魔がいるからな。普通に話すことができる存在がこんなに尊いとは思わなかった。」
女「フフッ」
青「それに頑張れば女悪魔に褒めてもらえるからな。他の人間の薄っぺらいお世辞とは違う本物のな。」
女「じゃあ、もっと頑張らないとね?」
青「そうだな。今日は確か大統領が来るはずだ。挨拶がてら復興案について話に行ってくるよ。」
女「いってらっしゃい」
父「どういうことですか?!」
大統領「先程から何度も説明している通りだ。」
大「あなたのの息子が開発した兵器や戦術は確かに戦争の早期決着に貢献した。だが、そのあまりの効果故今では世界中から非人道的であったとの非難を受けている。」
大「そのような者や家族を表彰するわけにはいかん。悪いが諦めてくれ。」
父「そ、そんな…」
大「あなたたちに責任を負わせないだけ感謝して頂きたい。それではもう失礼させて頂くよ。ここにいることさえ私にとっては危険なのだからね。」
父「…」ガク…
青「失礼します。」
父「…」
青「あれ?お父様、大統領はどちらですか?たしか今日いらっしゃる予定では?」
父「…帰られたよ。」
青「え?意外とお早いお帰りですね。やっぱり忙しいんで…」
父「お前のせいだ!」
青「!」
父「お前の考えた兵器や戦術は効果がありすぎて非難されているそうだ!」
父「そのせいで大統領からは今後の協力はおろか表彰さえ断られてしまった!」
父「この戦争を機に会社を成長させる私の計画がこれでパアだ!どうしてくれる?!」
青「お父様、僕は…」
父「まったく、昔から気持ちが悪いガキだったが頭はよかったから今日まで育ててみたものの…その結果がこれか。」
父「ああ、お前のような奴に期待した私が馬鹿だった。もういい、貴様にはなんの価値もない!どこへなりとも消えろ!」
青「…」フラフラ
青「ははは…」
青(俺はやっぱりそういう存在だったということか…)
青(いや、それはいい。分かっていたことだ。俺は人間から見れば訳の分からない気持ちの悪いものだってことは。)
青(しかし、そうか、俺が今までやってきたことは無意味だったということか。)
青(ああやって世界のためにって頑張っていけばいつかは認めてもらえるんじゃないかって期待していたが駄目だったか。)
青(俺が世界のためとか言ってやってきたことはすべて無価値な自己満足だったということか。)
青(いや、無価値どころか非人道的ときたか。ああ、そうか、人間じゃないってことか。)
青(もう無理だ。俺にはもう人間と一緒に生きていける自信がない。人間でいようとしていられる自信がない。)
青(女悪魔、悪いな。せっかく助けてもらった命だけど無駄になりそうだ。)ガシッ
青「…本当にすまない」カチ
バン!!!!!!!
女「なに?!今の音!?拳銃!?」
女(物置の方からだったわね。…嫌な予感がする!)
~~~物置~~~
女「!」ダッ
青「…」グッタリ
女「あなた、なにをしたの!?」
青「…俺と…俺のしてきたことは…人間にとっては無価値の…気持ち悪いものらしい…だから…」
女「もういい!喋らないで!」
青「そうか…悪かったな、こんなことに…ガフッ」
女「青年!!!」
女「…そうだ!契約よ!私とした契約を今果たすわ!」
女「生きたいと願いなさい!そうすれば契約が遂行される!多分、あなたの父親あたりが犠牲になるけど、あなたは助かる!」
青「いや…いい」
青「俺は…誰かを犠牲にしてまで…生きたいと思わない。」
女「馬鹿!そんなこと言ってる場合じゃないでしょう!それにあんな父親なら別にいいじゃない!」
青「それに…」
女「それに?」
青「俺にはもう…人間と生きていく自信がない。人間として生きていける…自信がない。」
青「もう…死なせてくれ」
女「だったら!悪魔として生きていけばいい!」
青「?!」
女「私は今から残っているあなたの人間としての命を対価にあなたに悪魔としての命を吹き込む!これならいいわね!?いえ、断ってもするわ!」
青ああ…分かった。頼む。」
女「じゃあ、やるわよ!はあ!!!!」ピカー
悪魔「…」
女(…なにがあったのかは記憶を読ませてもらったわ。)
女(あれはあまりにも悲惨なものだった。だから、あなたのために封印させて貰ったわ。)
女(私と出会ってから数年間の記憶を…)
女「目が覚めた?」
悪「ここは…どこだ?」
女「魔界よ。」
悪「…魔界?俺はなんでこんなところに?」
女「あなたはしっかりと覚えてないかもしれないけど、あなたは人間から悪魔になったの。きっと人間を嫌いになりすぎたせいね。」
悪「ああ、なんか断片的に覚えてるな。ところでお前は?」
女「私は女悪魔。魔王の命であなたの世話係になったの。」
女(嘘だけど…)
女「まあ、そんなだからよろしくね。」
悪「あ、ああ」
~~~回想終わり~~~
悪「ああ…」
命「あなたはあの時と同じことをまた繰り返そうとしてる。」
命「人間に認めてもらおうと、人間を信じようとして、自分を犠牲に人間を助けようとしている。」
命「でも、これで分かったでしょ?それは報われないって。」
命「あなたが人間のためなんかに犠牲になる必要はない。あなたは悪魔のまま生きていくのが幸せなの。」
命「違うわ。私は私のエゴでやっているだけよ。ただ、あんたを人間なんかのために不幸にしたくないっていうね。」
悪「それが優しいっていうんだよ。」
命「ふん…」
悪「なあ、考えたんだけどさ。俺とお前は要は同じなんだよ。」
命「なにが?」
悪「お前が俺に優しくしてくれるように、俺も人間に、あいつに優しくしたい。ただそれだけなんだよ。」
命「あなた、まだ諦めてないの?」
悪「ああ」
命「だって全部思い出したんでしょう?」
悪「ああ」
命「あなたは自分の心を削りながら人間のために頑張って、結果すべて報われずに終わってしまった。」
悪「そうだ。」
命「なのになんでまだ人間のために頑張るなんて言えるの!あなたまさか辛すぎる記憶を見たせいでおかしくなったんじゃないの?!」
悪「そんなことはないさ。」
悪「今度は逃げないって決めたからさ。」
悪「思ったんだ。もし、俺があの時諦めずに自分の命を絶つようなことをしなければ、ちゃんと人間と向かい合い続けてればいつか認められる日が来たんじゃないかって。」
悪「でも、俺は逃げてしまった。目の前のことがあまりにも恐ろしすぎて。だから、あんな結果で終わってしまった。」
悪「だから今回は逃げない。最後まで見届ける。どんなに途中に辛いことがあっても最後にはいいことがあったってお前に報告できるように。」
命「あなたはなにを言ってるの?!あなたは私との契約で命を対価として奪われる。最後まで見届けるなんてことはできない!さっきそう言ったじゃない!」
悪「そうだな。だから…力を貸してくれ。…お姉さん。」
命「!」
悪「この年になってお姉さんは恥ずかしいな。でも、なんか妙にしっくりくる。」
命「やっやめなさい!恥ずかしいのはこっちよ!」
悪「ははっ 久しぶりにいつもの顔を見た気がするよ。ずっと泣き顔か怒り顔しか見てなかったから。」
命「ふん…」
悪「ああ簡単だ。今から俺がすることを黙って見ていてくれ。あと多分、お前を全力で走らせることになると思う。」
命「?」
悪「この方法なら多分、俺もあいつも助かる。場所がよかった。もしかしたらお前に少しペナルティが発生するかもしれないが、そんなに重くはないはずだ。」
命「あなた、さっきからなにを言って…」
悪「なあ、魔王、魔界と悪魔の管理役のお前なら今も見ているんだろう?聞いてくれ!」
悪「俺は過去にこの命の悪魔と契約した際に不当に契約を遂行された!」
命「なっなにを!?」
悪「この命の悪魔はかつて俺に対してこう述べた!『私は今から残っているあなたの人間としての命を対価にあなたに悪魔としての命を吹き込む!これならいいわね!?いえ、断ってもするわ!』と。」
悪「俺はこの言葉に押し切られて、とっさに権利を遂行してもよいと返事してしまった!」
悪「しかも、この悪魔はそれだけでなく、そのことを隠ぺいしようと俺の記憶を今まで封じてきた!」
悪「これを不当と言わずになんというのだろう!」
悪「よって以前の契約の遂行を無効とし、またそれによって俺が失った時間と被った被害の補填として、この悪魔との対価の存在しない契約を認めてほしい!」
魔王『…承知した。貴様の要求を認めよう。』
命「あなたって本当に悪知恵が働くわね。まさかこんな方法で対価をなくすなんて。」
悪「まあ、知恵の悪魔だからな。さて、じゃあ時間もないしさっさと契約をしてもらうぞ。」
命「分かったわ。」
悪「えと、確か傅いて手にキスをすればいいんだったな…」
命「…いいえ。こっ今度は口にしなさい////」
悪「なっ…お前、ふざけてる場合じゃ…」
命「ふざけてなんかないわ!…私がどれだけあなたのことを心配したのか分かってるの?」ウルウル
命「死んじゃうかもしれないって…何回思ったことか…」ポロポロ
命「これぐらいしてもらわなきゃ…割に合わないわよ…」グスッ
悪「分かった。…悪かったな。」
命「ふん…」
命「え、ええ…」ス…
悪「ん…」
命「ん…」ピカー
命「それじゃあ、あなたの願いを言ってもらえるかしら?」
悪「ああ、俺の契約者である女の心臓病を直して、あいつの命を救ってやってくれ。」
命「分かったわ。今回の契約は特例により対価はなしよ。」
悪「ああ、頼んだぞ。…お姉さん。」
命「え…?」
命(そうか!私との最初の契約が無効になれば、私が契約を遂行して悪魔にすることによって命を助けたという事実も無効になる。)
命(この馬鹿!いや、怒るのは後よ!まずは急いで医者を呼んでこないと!)
命(だからさっき、走らせることになるかもって言ったのね!)ダッ
青「…」
命(医者による処置が間に合い、あいつはなんとか一命を取り留めた。)
命(医者によれば太い動脈を打ち抜かれており、あと少し遅れていたら間違いなく死んでいたそうだ。)
命(そんな命にかかわる大怪我だったらからか、手術が終わって三日たった今もあいつはまだ眠っている。)
命「…それともやっと色々な重荷から解放されたからかな?…あとはお姉さんに任せて今はゆっくりお休みなさい。」
命「それじゃあ、私こいつとの契約を果たしに行きますかな。たしかそろそろ目を覚ますはずよね。」
女「ん…」
命「おはよう。」
女「…ここはどこですか?あと…どちら様ですか?」
命「ここは病院よ。あなたは悪魔との旅行中に発作で倒れてここに運ばれたの。」
女「そうでしたか…あれ?でも、なんで悪魔さんのことを知ってるんですか?」
命「ごめんなさいね、自己紹介が遅れたけど、私も悪魔なの。」
女「え?」
命「私は命の悪魔。知恵の悪魔との契約であなたの命を救いに来たの。」
女「あ…悪魔さんは無事なんですか!?だってたしか命の悪魔さんとの契約の対価ってその人の命なんじゃ…うっ」
命「ほら、まだあなたは病人なんだから大きな声出さないの。」
命「大丈夫、無事よ。一回死にかけはしたけど、命は無事なはず。」
女「よかった。」
女「わ、分かりました。」
命「じゃあ、車いすに乗ってもらえるかしら」
女「はい」
~~~病院内、廊下~~~
命「~というわけ。」
女「そんなことが…」
女「悪魔さん…私なんかのために…そこまで」
命「ねえ、あいつとの契約を遂行する前にいくつか質問してもいい?」
女「どうぞ」
女「…」
命「前にあいつがあなたにした話は本当よ。悪魔は人間の願いを叶えるために神様に作られたシステムの一つでしかない。」
命「つまり悪魔が今回あなたの命を助けるのも、所詮は神様の掌の上の出来事なの。」
命「言うなれば、あなたの人生が神様に振り回されっぱなしって事実にはなんの変化もない。」
命「あなたはこの事実を受け止めたうえで今後どうするの?」
女「私は…」
女「悪魔さんが命を賭けて助けてくださった命ですから、これからは純粋に自分のために使いたいと思います。」
命「世界のための研究をすることが自分のためになるの?矛盾してない?」
女「はい。多分してると思います。でも、これが今の私の正直な思いです。」
女「悪魔さんは他人である私のために命までかけて力になってくれました。だから今度は私がどこかの誰かのために全力で力になりたいんです。」
女「それが本当の悪魔さんに対する恩返しになると思うので。」
命「それに?」
女「悪魔さんは私を助けることで人間をもう一度信じようとしました。だから、まずは私が頑張って悪魔さんに人間のいいところを見せてあげたいんです。」
命「そう…」
命「分かったわ。いいんじゃないかしら?それで。」
女「私にも本当にそれでいいのかは分かりませんけどね。」
命「そんなのきっと誰にも分からないのよ。」
命「でもよかったわ。あなたがあいつに救われた命を無駄にしなさそうで。」
命「正直に言うとね、私はあなたを試していた。この人間はあいつが命を賭けるに足るのかどうかを。」
命「不合格だったらどんな罰が待っていようと契約を破棄するつもりだったんだけど…」
命「どうやらなたは合格みたいね。…頑張りなさい。」
女「はい」
命「そろそろ病室に戻るわね。…そこで契約を終わらせるわ。」
女「はい、よろしくお願いします。」
命「じゃあ、いくわよ。」
女「はい!」
命「これが終わったら私は契約完了ということで魔界に変えるけど…あいつのことをよろしくね。やっぱり最初のうちは誰かの支えがいると思うから。」
女「分かりました、任せてください。」
命「じゃあ、頼んだわよ。…はあ!!!」ヴォン
女「んっ…」
命「はい、これでおしまい。」
女「ありがとうございます。本当に色々と。」
命「どういたしまして。」
命「悪魔は基本的に契約時以外はあまり人間界にいちゃいけないことになってるの。どんな影響があるかわからないからね。」
命「それに…いえ、なんでもないわ。」
女「そ、そうですか?」
命「それじゃあね。お元気で。」
女「は、はい!本当にどうもありがとうございました!」
命「いいえ。あとはよろしくね。」バシュン
女「は、はい…」
命(…言えるわけないじゃない。会ったらやっと着いた決心が揺らぎそうだから、なんて。)
命(人間に戻ったあいつに悪魔である私はもう会えないし、会うべきではない。)
命(頭では分かってるのに…)
命(どうしてこんなに泣けてくるんだろう…)ポロポロ
命(ダメね。最近、泣いてばかり。頑張らなきゃ。)グスッ
兵士「命の悪魔様ですね?」
命「そうだけど…」
兵「人間界からお帰りになったばかりでお疲れのところ申し訳ありませんが魔王様がお呼びです。」
命「ああ…」
兵「あなたが犯した罪に対して審議を行うそうです。」
命「そう…」
青「ん…」
女「あ、目が覚めたんですね。よかったです。」
青「…よう。」
青「その様子だとあいつはちゃんとお前の心臓を直してくれたみたいだな。」
女「はい!もう完全に健康体だそうです。」
青「それはよかった。で、あいつは?」
女「それなんですが…もう契約を果たしたということで魔界にお帰りになりました。」
青「え…?」
女「引き留めはしたんですが…」
青「あいつ、なんで…」ガバッ
女「あ、まだ動いたらダメですよ!死んでもおかしくない怪我だったんですから。」
青「なんで…せめて最後にお礼くらい言わせてくれよ…」
女「悪魔さん…」
女「やっとリハビリも終わって晴れて完全に退院ですね。」
青「そうだな。」
女「悪魔さん…じゃなかった、青年さんはこれからどうするんですか?」
青「そうだなあ。まずは仕事を探さないとなあ。これからは人間として食っていかきゃいけないわけだしな。」
青「そう言うお前に方は大丈夫なのか?旅行の前に盛大に働いてた研究所を辞めていったが。」
女「はい、それは大丈夫です!事情を説明してから土下座をしまくってもう一回雇ってもらいました。」
女「今までの貯金もありますから安心して下さいね。しばらくは青年さんを養えます。」
青「ヒモはやだなあ…」
女「じゃあ、頑張らないとですね。」
青「ああ、そんなんじゃあいつにも恰好がつかないしな。」
女「そうですね…」
?「ふ~ん、まだちゃんと覚えていてくれたんだ?」
女「い、命の悪魔さん!?」
青「な、なんでここに?!」
命「私も人間になったの。だから正確には元・命の悪魔ね。」
青「ど、どうやって…」
命「それはね…」
魔王「それでは命の悪魔による不正な契約の遂行に対する審議を始める。被告人は前へ!」
命「…」スッ
魔「貴様は以前、契約を交わした際に二つの罪を犯した。」
魔「一つは契約者の意思を無視して契約を遂行したこと。」
魔「二つ目はその後契約者の記憶を改ざんし、その事実を隠ぺいしようとしたこと。」
魔「以上で間違いはないか?」
命「ないわ」
魔「随分と素直だな。弁明があれば聞くぞ?」
命「別にいいわ。だってもうどうだっていいもの。」
魔「そうか。では貴様の罪が確定したということで次は罰の決定に移るぞ」
命「ご自由に。」
魔「更にはそれを隠ぺいしようと契約者の記憶を改ざんしたというのであれば、これは厳罰に処さざるを得ない。」
魔「よって命の悪魔、貴様の悪魔としてのすべての権限、能力をはく奪し、人間として人間界で生きていく罰を貴様に与える!」
命「え!?」
魔「聞くに貴様はなかなかの人間嫌いだそうではないか。ならばそれと同じ存在になり、それと生きていくのは十分な罰になるであろう。」
命「…ありがとうございます」
魔「ふむ、聞こえんな。まあいい、罪人の戯言になどに耳を貸す価値はあるまい。」
魔「それでは今から刑を執行するが、最後に何か言いたいことはあるか?」
命「ありがとう。あなたは最高の魔王よ。」
魔「ふん…あいつに会ったら伝えておいてくれ。『これで借りは返したぞ』とな。」
命「分かったわ。必ず伝える。」
魔「ではな。ふん!」バリバリ
~~~回想終わり~~~
青「あいつも味な真似をしてくれるな。」
女「フフッ 素敵な魔王様じゃないですか?」
青「で、お前は今何をしているんだ?」
命「無職よ。だって人間界に来たのは昨日だもの。」
青「…お互い大変だなあ。」
命「…そうね。」
命「面白そうね。」
女「いいですね!でも、お金は大丈夫なんですか?」
青「ああ、工事現場で働いていた時のお金がそのまま残っているはずだ。」
女「なるほど!」
青「じゃあ、行くか!」
女「はい」
命「ええ」
~~~TRUE END~~~
気が向いたらエピローグや書けなかった悪魔と女悪魔が魔界を建て直す話を書くかもしれないので、
その時はまたよろしくお願いします。
なんだか今更感が凄いしますが、エピローグを書かせて頂きます。
命「で、どう?数十年間こうして人間界で暮らしてみて?あなたの望む結果は得られた?」
男「そうだな…長いことここで暮らしてみたが、分かったのはやっぱり人間という存在は最悪だってことだな。」
男「自己中心的で、見栄っ張りで、強欲で、臆病で、欠点を言い出したらきりがない。」
男「でもな、今なら確信を持って言える。あのとき人間を信用しようとしたのは間違いではなかったと。」
男「見てみろよ。」バサッ
命「なになに…」
新聞「快挙!日本人初のノーベル経済学賞受賞。受賞者は女氏。」
新「女氏は『誰も不幸にしない経済モデル』と呼ばれる画期的な経済理論を開発し、その功績を称えて今回受賞が決定した。」
命「へえ…」
男「なあ、覚えてるか?あの日、三人でお祝いに行った時のこと。」
命「ええ、今でも忘れられないわ。」
女「そういえば水を注すようで悪いのですが一つ気になってることがあるんです。」
青「なんだ?」
女「私と悪魔さんが交わした契約ってどうなってるんでしょうか?」
青「ああ…。おそらくだが中断ということになっていると思う。契約を遂行する前に俺が人間に戻ってしまったからな。」
女「そうですか。」
青「お前に非があるわけじゃないからな。魔王にでも申し出れば他の悪魔との再契約くらいなら認めてもらえるんじゃないか?」
青「それか、なんだったら俺が今から契約のときに言ってた願いを叶えてもいいぞ?俺は人間にはなったが能力を失ったわけじゃないからな。」
女「そうですねえ…」
青・命「「は?」」
女「あれ?私そんな変なこと言いましたか?」
青「いやだって、普通にもったいないだろ?!」
女「かもしれませんね。でもいいんです。私にはもう必要も意味もないものですから。」
青「!」
女「どうかしましたか?」
青「…いや、なんでもない。で、なんでもういらないんだ?」
女「人間は悪魔の力や神の力なんて借りなくても十分すごいんだってことを見せつけてやりたいんです。」
女「だから今度はどれだけ時間がかかっても私一人の力でやり遂げたいんです。」
女「なので、凄く勿体ないお話ですけど、どちらもお断りします。」
青「そうか。…頑張れ。」
女「はい。」
魔王「…なんだ?」
女「私と知恵の悪魔さんが交わした契約は遂行されないまま中断してしまいました。」
女「なのでその代りに神様に会った時にこう伝えておいてください。『人間の力を見せてあげます!その日まで楽しみにしておいてください!』と。」
魔「…承知した。」
~~~回想終わり~~~
命「…そうね。」
男「この結末を見れただけでも俺がしたことは無駄ではなかったって思えそうだ。」
命「ふ~ん、あっそ。」
男「…なんでさっきからそんなに不機嫌なんだよ?」
命「別に不機嫌じゃないわよ。」
男「いや、どう見ても不機嫌だろ。理由を言えよ。」
命「…それがどんな理由であろうと、夫が他の女のことをイキイキと話すのは妻にとっては面白くないことなのよ。」
男「…ガキか、お前は。」
命「女ってのはそういうものなのよ。」
命「…キスしてくれたら許してあげる。」
男「…お前はそればっかだな。…分かったよ、ほら、こっちに来い。」
命「ん…」ス…
男「…」ス…
チュ
男「…これで満足か?」
命「…い、今はこれだけで勘弁しておいてあげる。帰ったらもっと色々としなさい…。」
男「…分かったよ。」
命「分かったわ。いってらっしゃい、大学教授殿。」
男「…からかうなよ。自分の能力を最大限に活用できる職業を選んだ結果だ。」
命「まあ、たしかに適職といえば適職ね。」
男「そういうお前だって人のこと言えないだろう?医者なんだから。」
命「私はあなたとは違うわ。私は能力を失くしても大切な人を助けられるようになりたかっただけよ。」
命「今ではこうして守らないといけない家族がいるわけだしね。」
男「…そうだな。」
男「さてと、もう出ないとな、遅刻しちまう。お前もあんまりゆっくりしすぎるなよ?」
命「残念、今日は非番よ。だから家のことは任せておきなさい。」
男「うらやましい限りだ。まあ、よろしく頼むよ。」
男「じゃあ、いってきます。」
命「いってらっしゃい、あなた。」
~~~THE END~~~
これで本当に書きたいこと全部出しきったんで終わりです。
今まで支援してくれた人ありがとうございます。
Entry ⇒ 2012.03.13 | Category ⇒ 男女「」SS | Comments (0) | Trackbacks (0)
伊織「水瀬財閥が解体……!?」
http://hayabusa.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1330254509/
伊織父「なんと言えばいいのだろうかその........ドジってしまった」コツン☆
伊織「んなぁ!ド、ドジったって...!」
伊織父「そういう訳で今日から自分で生活してくれ」
伊織父「水瀬家....解散!」ダッ
伊織「はぁ!?ちょ、ちょっとお父様!」
伊織「一体どうして.....」
伊織「はぁ.....うさちゃん私これからどうしたらいいのかしら....」
うさちゃん(裏声)「ウジウジ悩んでたってしょうないよ!」
伊織「....そうね。ニヒヒ!悩んでたってダメね!とにかく今はどうするかを考えなくちゃね!」
うさちゃん(裏声)「そうだよ!その意気だよ!」
伊織「まずは住む所ね。どこがいいかしら?」
うさちゃん「それじゃあどうするの?」
伊織「どうするって...不本意ながら765プロのみんなに泊めてもらうしかないわ」
伊織「誰に頼もうかしら?ここはやっぱりPかしら?」
伊織「そうと決まれば早速行動ね!」
うさちゃん「でも断られたらどうするの?」
伊織「断れたりなんかしないわ。なんたってこのスーパーアイドル伊織ちゃんが泊まるのよ?」
伊織「断る理由がないじゃない!ニヒヒ!」
うさちゃん「さっすが伊織ちゃん」
伊織「まずはあいつのいる事務所へ行くわよ!」
春香「あっ!おはようございますPさん!....キャッ!」ズテーン
春香「....いてててて」
P「大丈夫か春香?」
春香「はい!心配いりません!」
P「そうか。春香は朝から絶好調だな」ナデナデ
春香「えへへへ...//」
春香「伊織ならもう少しすれば来ると思いますよ。それより....ジャジャーン!私クッキー焼いてきたんです!」
P「おお、うまそうだな!」
春香「早く食べましょうよPさん!今回のは自身作ですよ!自身作!」
P「うん。確かにおいしいな」ボリボリ
春香「そう言って貰えると作った甲斐がありました!」
春香「あっ、それと一人で食べないで伊織の分も残しておいてくださいね」
春香「そうですか?伊織なら大丈夫ですよきっと」
ガチャ
伊織「ぷろでゅ....」
春香「あっ、伊織おはよう!」
伊織「...あら春香おはよう」
伊織(そういえば春香もいるんだったわ....。これじゃあ頼みづらいわね)
P「おおやっと来たか伊織。おはよう」
伊織(...水瀬財閥が解体したなんて私の口からは言えないわね)
伊織「え、ええ。今日は朝から国賓の方々との食事会があってね」
P「ヒュー!いおりんマジブルジョワ!」
伊織「ふんっ!これくらい水瀬にしたら普通よ普通!」
春香「Pさんブルジョワってなんですか?」
P「春香お前はもう少し勉強しような」ナデナデ
春香「えへへ//はい!」
伊織(ますます頼みづらくなったわね....)
伊織「気持ちはありがたいけどついさっき食べてきたばか....」ぐ~
伊織「......。も、貰うわ//」
春香「はいどうぞ!」
伊織(そいえば朝にあんなことがあったから何も食べてなかったんだわ)
P「..........」
伊織「さすが春香ね。おいしいわ」ボリボリ
春香「えへへありがとう!」
P「ん?あ、ああそうだったすっかり忘れてたよ。ありがとう伊織」ナデナデ
伊織「///し、しっかりしなさいよ!あんたは私達のPなんだから!」
P「ははは。えーっと今日の仕事は....午前にCM撮影。午後はグラビア撮影だな」
P「よし、張り切って行くぞーおー!」
春香「おー!」
伊織(なんとかして春香がいない時を作らないと!)
P「今日のCM撮影の内容は.....」
伊織(しっかしどうしたらいいものかしら)
伊織(CM撮影じゃほとんど春香と一緒のはず....)
伊織(それなら春香と別々に撮影する午後の時に言うしかないわね)
伊織(そしたらアイツの部屋でと二人きり....///)
P「....伊織聞いてたか?」
伊織「きゃぁ!////ひ、人が考え事してる時に喋りかけるんじゃないわよ!」
P「ご、ごめん....」
P「以後気をつけます....」
伊織「それで話って何よ?」
P「あ、ああ。今日のCMの内容の説明なんだけど」
P「春香扮する悪の屋台のラーメンおじさんを正義の黄色い鳥の着ぐるみを着た伊織が倒しチキン味のラーメンを勧める」
P「という感じなんだが」
伊織「訳がわからないわ...」
伊織「はぁ~、あの子にはアイドルっていうプライドがないのかしら」
春香「Pさん見てください!どうです似合ってますか!?」
P「す、凄い似合ってると思うぞ!そ、それに今にも屋台を引っ張りながらラッパを吹きそうだ!」
春香「えへへ///」
伊織「......もういっそ転職したらどうかしら?」
伊織「チッキンラーメン♪ちょびっとだっけ♪好きになてってっとてっと」
<ハイカーット!
<オツカレサマデシター!
伊織「ホント訳わからないCMだったわね」
春香「え~私は楽しかったよ」
P「春香輝いてたな。あと黄色い鳥の格好案外かわいかったぞ伊織」
伊織「んなぁ!?//あ、あたり前でしょ!この伊織ちゃんが似合わない格好なんてないのよ!」
P「ははっ、そうだな。それじゃあ次の仕事に行くぞ!」
春香「う~ん.....」
P「どうしたんだ春香?」
春香「この水着なんか小さくないですか?」
P「デブドル誕生だな」
春香「む~太ってなんかいません!」
伊織(くぅ~!早く一人になりなさいよ!)ソワソワ
P「どうした伊織?そんなソワソワして。まさかトイレか?」
伊織「ち、違うわよバカ!」
春香「天海春香全力で頑張ってきます!」ダッ
P「おう期待してるぞ!」
伊織(よし、今なら!)
伊織「ちょ、ちょっとアンタ!」
P「どうした伊織?」
伊織「す、少し頼みがあるんだけどいいかしら」
伊織「いいのよ別に。それよりも頼みを聞いてくれるかしら?」
P「おう!なんだって言ってくれ。俺が力になってやろう!」
伊織「そ、それじゃあ、わ、私を.....ア、アンタの家に泊めなさい!///」
P「はい?」
伊織「だから私をアンタの所に泊めなさいって言ってるのよ!//」
伊織「ス、スーパーアイドル伊織ちゃんが直々に頼んでるんだから断るなんて許さないんだからね!///」
伊織「そうよ!まさかさっき言った言葉忘れたんじゃないでしょうね?」
P「ぐぬぬ........わ、分かったよ」
伊織「にひひっ♪分かればよろしい」
<水瀬さん次出番です
伊織「そういうことだからよろしくね♪」
<終了でーす
<お疲れさまでしたー
春香「はぁ~やっと終わった~」
伊織「今日のカメラマン下手ったらありゃしないわ!」
P「お疲れ様二人とも」
春香「あっPさんどうでした私の水着姿!」
P「ナイスデブドルって感じだったぞ!」
春香「だからデブドルはやめてください!」
春香「はい!それじゃあ私は直帰しますから」
P「転ばないように気をつけて帰れよ」
春香「じゃーね伊織!」
伊織「お疲れ様春香」
伊織「......これで邪魔者は消えたわね」
伊織「それじゃあ行きましょアンタの家に」
P「はぁ~....はいはい分かりました」
伊織「小さい部屋ねー。ジャンバルジャンの小屋より小さいわ」
P「しょうがないだろ。安月給なんだから」
伊織「それに物は散らかってるし。何故かゴミ箱の中はイカ臭いティッシュでいっぱいだし」
伊織「ホントにここは人の住んでる所なのかしら!?」
P「急に家に来るって言うから...って、ゴミ箱の中まで見たのか!?」
伊織「ゴミ箱にあんなこんもりとティッシュが入ってれば誰だって目に入るわよ」
P「ああ......なんたる失態......」
P「それなら心配ないぞ!」ガサゴソ
P「なんたってローソンのコンビニの弁当だからな!」
伊織「はぁ?コンビニの弁当ですって!?この伊織ちゃんが食べるのよ?もっとマシなものはないの!?」
P「そう言われても家の冷蔵庫には保存の利くもの以外入ってないし...。今からスーパー行っても開いてないし...」
伊織「.....はぁ....しょうがないわ....食べるわよ」
P「よし、いただきます!」
伊織「......いただきます」
伊織「まさかあんたいつも一人でコンビニ弁当なの?」
P「そうだよ。俺基本家事まったく出来ないし」
伊織「ホントアンタはズボラね。そんなのだからアンタには彼女もできないのよ」
P「へへっ、面目ねぇ」
P「ごちそうさまでした」
伊織「ご馳走様」
P「お味はどうでした?」
伊織「まあまあね。たまにはコンビニの弁当もいいじゃないかしら」
P「そうかそれならよかった」
P「どうぞどうぞ」
伊織「言っとくけど絶対に覗くんじゃないわよ!絶対だからね!」
P「はいはい。俺は寝る準備でもしてるよ」
シャーー
伊織「....」
伊織(これからどうしよう.....。いつまでもPの家にいるわけにもいかないし....)
伊織「...困ったわ...」
P(まったく伊織も素直じゃないな。あんなの覗いてくれって言ってるようなもんじゃないか)ソローリ
P(この状況!覗かずして男と言えるか?否!)
P(大丈夫。手は出さない。そう、すこーしのぞくだけ....)
伊織「.....ちょっと何してるのよアンタ」
P「これはそのー.....スネークの真似というか...」
伊織「この変態!ド変態!変態大人!!//」
伊織「ふん!まったくアンタってやつは!//」
P「ホントに警察だけは勘弁してください!これは出来心なんです!」
伊織「そんなに許して欲しいんだったら条件があるわ」
P「なんでしょう伊織姫」
伊織「き、今日はわ、私と一緒に寝なさい!//」
P「」
伊織「ちょ、ちょっと何黙ってるのよ!//」
伊織「許して欲しいんでしょ!なら言うことを聞きなさい!!」
P「許しては欲しいけど.....さすがにアイドルと一緒に寝るのは....」
伊織「な、なによ!私の言うことが聞けないわけ!?」
P「....わ、分かりました。一緒に寝させていただきます...」
伊織「分かったなら早くベッドに来なさい!//」
P「失礼します....」
朝
チュンチュン
P(まさか伊織とあんなことにするなんて....)
伊織「あ、あんなことまでしたんだからせ、責任取りなさいよね!///」
P「.......はい」
P(アイドルとあんなことやそんなことまでするなんて......P失格だ.....)ズーン
ピンポーン
伊織「あら?誰か来たわね」
ガチャ
伊織「はーい、どちら様かし....」
伊織父「おはよう伊織。いい朝だな」
伊織「んなぁ!お、お父様!一体どうしてここに!?」
伊織父「ははは元気そうでなによりだ。どれ少しあがらせて貰うよ」
P「.....ど、どうも」
伊織「大変だったろう?伊織の世話は?」
P「はい。5キロくらい痩せた気がしますよ」ゲッソリ
伊織父「はははご苦労だったね」
伊織「お、お父様どういうことなの!?」
伊織「はぁ!?」
父「私はある目的のために嘘をついたんだ」
伊織「も、目的?」
父「そう、伊織は果たして一人で生活できるのかどうかということを調べるためにな」
伊織「そ、そんな事の為に....」
父「水瀬財閥が解体したのに世間では騒がれてないのを気にしなかったのかい?」
伊織「そ、そう言われれば」
伊織「いいもの?」
父「伊織の将来をよろしく頼んだぞP君」ポン
P「.....はい」
父「それではP君、伊織。私は次の仕事に行かねばならん、それでは」テクテク
伊織「.......」ポカーン
P「......」ズーン
伊織「.....と、とりあえず私は家に帰るわ」
P「.....お気をつけて」
ピンポーン
P(....こんな朝早くから誰だ?)
P(まさかまた伊織父か?勘弁してくれ....)
ガチャ
P「はい.....」
P「......あのー......なんでここに?」
伊織「もう!なんでじゃないわよ!伊織ちゃんが来たのよさっさと中に入れなさい!」
P「....その荷物は一体?」
伊織「ああこれ?これは私の着替えよ。ここに住むんだから着替えは持ってきて当然でしょ!」
P「ここに......住む?マジで言ってるの?」
伊織「いいから入れないよ!私が住むって決めたら住むのよ!」
伊織「責任は絶対にとって貰うんだからね!にひひっ♪」
終わり
正直伊織って思ってより扱いにくくて3レス目くらいからネタ切れだったぞ・・・
超強引な展開許して欲しいぞ
割愛した部分は書こうと思ったけど自分眠くて限界だぞ
みんなの想像で補って欲しいさー
また見かけたらよろしくだぞ
Entry ⇒ 2012.03.13 | Category ⇒ アイマスSS | Comments (0) | Trackbacks (0)
クワトロ「寝ているアムロの顔にそっと濡れタオルを置きたい」
http://hayabusa.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1331033272/
アムロ「……」スヤスヤ
クワトロ「これはまぁ……よくも無防備に寝ているものだな」フッ
クワトロ「寝室にカギも掛けていないとは、よほどイタズラをされる覚悟があると見える」
クワトロ「分かるか?これをアムロの顔にそっと乗せてやるのだ……」ククク
クワトロ「また、これはヤツのニュータイプ能力を測るテストも兼ねている……」
クワトロ「私だって、遊びでこんな事をしているわけではない」キリッ
クワトロ「……以前、カミーユに同じ事をしようとしたら、「そこぉ!」とか言われてはたき落とされた事がある」
クワトロ「ララァに至っては、きちんと寝室にカギを掛けていたからな。やはりララァは賢かった……(遠い目)」
アムロ「うぅ……く、来る……!」スヤスヤ
クワトロ「何?!寝言!」
クワトロ「まさか、この時点で私の動きを察知したのか?!」
クワトロ「いや、決め付けるのは早計か……ドムに襲われる夢でも見ているのかも知れないし」
クワトロ「……」ゴクリ
クワトロ「それっ」ふぁさっ
クワトロ「……やはり早計だったようだな。アムロ・レイも意外と大した事がない」
クワトロ「この時点で既にNT能力はカミーユ>>アムロが決定したわけだが……」
クワトロ「やはり、後々の為にも濡れタオルを振り払うまでのタイムは計測しておいた方が良いな……」カチッ
アムロ「むー、むー!!」バタバタ
アムロ「む……ムホッ?!」バタバタ
クワトロ(えぇい……!アムロ、なぜ気付かん!貴様の顔には濡れタオルが掛かっているのだぞ!!)ボソボソ
クワトロ「そういえば……アムロと一緒に来た少年、カツと言ったか。彼もニュータイプだったようだが」
クワトロ「……後でやってみるかな」
アムロ「むー……コヒュー、コヒュー」じっとり
クワトロ「嫌な汗をかいているな……なんだか見ているこっちが可哀想になってきたぞ」
クワトロ(貴様もニュータイプなら、その程度振り払ってみせろ!!)ボソボソ
クワトロ「しかし、ここまで反応がないとはな……いささか期待外れでもあるな」ガッカリ
クワトロ「並行してPCのデータを漁って恥ずかしい過去でも握ってやるかな……」のそり
クワトロ「いつか決戦するときに役に立つかもしれん」
クワトロ「アムロめ……なかなかドギツイ趣味をしているな……」ハァハァ
クワトロ「それはそうと、これは一年戦争時に撮影されたムービーファイルか?なぜこんなところに……」
クワトロ「ファイル名は……S.M.……?」
クワトロ「当時はアムロもまだいたいけな少年だった筈だ、だというのに、SMとは……それに、この点は……ハッ?!」ピキィィィン
クワトロ(まさか、S=Sayla、M=Mass……? なんだ、アルテイシアのなんのムービーを撮影したというのだ!!)ワナワナ
クワトロ「けしからん!削除を……」ググッ…
クワトロ「……いや、検閲してから削除を!!」カチカチッ
クワトロ「うむ……」
クワトロ「実の妹でありながら……これはイカンな……アムロを一発しばいておくとするか」スクッ
クワトロ「おい、アムロ。起きろ、話がある」
アムロ「」
クワトロ「まだ濡れタオルを乗せたままで……おい?アムロ?」ペシペシ
アムロ「」
クワトロ「……アムロ?」ペシペシペシペシ
アムロ「」
クワトロ「……死んでる」
クワトロ「……」チラッ
アムロ「」
クワトロ「……何度見ても死んでるな」
クワトロ「しかし……これはマズい事になったな」
クワトロ「アウドムラはハヤト・コバヤシの艦だ」
クワトロ「故意でないとはいえ、アムロ・レイがそんな中で殺されたとなると……当然、疑いの眼差しは私に向くだろう」
クワトロ「……さて、どうしたものかな」
クワトロ(レンジでチンする)チーン
クワトロ(同時に、PCの指紋も拭き取り、濡れタオルも回収……)
クワトロ(アウドムラは飛行している。丁度いい、凶器の濡れタオルはここで投棄してしまおう)ポーイ
クワトロ(あとは……この艦で味方になってくれそうな人間といえば)
クワトロ「……おい、起きろカミーユ。大変な事になってるぞ」ポンポン
カミーユ「むー……こんな夜更けに、一体なんですか、大尉……」
アムロ「」
カミーユ「……アムロ・レイ大尉ですよね?よく寝てますけど」
クワトロ「落ち着いて聞いてくれ、カミーユ……アムロ・レイは死んだ。いや、殺されたというべきだな」
カミーユ「……え?!」ガサガサ
カミーユ「本当だ……冷たくなってる、誰が一体、こんな事を!」
カミーユ「……電子レンジ? なんでこんな所に……って、コゲ臭っ?!」
クワトロ「見ろ、HDDがものの見事にバッキバキだ。これでは復元は難しいだろうな」
クワトロ「足元に転がっているアムロのPC……おそらくそこから抜き出されたものであろうと予測される」
クワトロ「アムロの口封じと、データの破壊……この2つの点を結びつかせると、ある一つの状況が見えてくる」
カミーユ「このアウドムラの中に……スパイがいるって事ですか?」
クワトロ「そう、何者かが飛行中のアウドムラに忍び込んで、アムロの持つ情報を……えッ? あ、あぁ……まぁ、そういう考えもあるな」
カミーユ「アムロ・レイの能力の高さを恐れて、寝首をかいた……って事ですか?」
クワトロ「そうだな……そういう考えもあるか。だが、アムロは直前までティターンズの監視下で軟禁されていた。何かしらの情報を覚えていてもおかしくはない……」
カミーユ「アムロ・レイの恐ろしさを知っているのは、一年戦争の頃に相対したことがある……ジオン系の軍人!」
クワトロ「ちょ、ちょっと待て、カミーユ。さっきから私の話をちゃんと聞いているか?」
カミーユ「『一年戦争時にアムロ大尉と戦った事がある、アウドムラの中に潜んでいるジオンのスパイ』が犯人だ!」ピキィィィン!
カミーユ「そんな人いないかも知れないけど……とにかく、艦長に知らせてきます!」ダッ
クワトロ「待て、待ってくれカミーユ!その……その絞り込みはマズい!早まるな!!!」
カミーユ「いえ、知りませんが……それがどうかしたんですか?」
クワトロ「テネスという軍人は、連邦側の撃墜王でな……あのアムロ大尉を押しのけて、撃墜スコア一位を飾った、それはそれはすごい人なんだ」
クワトロ「だが、それは正規兵でなかったアムロを大々的に宣伝したくなかった連邦のプロパガンダという説もある」
クワトロ「……どういう事か分かるか、カミーユ」
カミーユ「いえ、全く?」
クワトロ「つまり、ジオンだけでなくて連邦もまたアムロの恐ろしさを知っていた……その証左にはならないか?」
カミーユ「……あっ!」
クワトロ「そうだ、恐ろしいほどのひらめきだったが……残念だが、的外れという事になるな」ホッ
クワトロ「そもそも、ティターンズはなんかジオンっぽいモビルスーツをけしかけてくるが、あくまで連邦側だ」
クワトロ「現在の戦況を考えると……やはり、アムロを消そうとするのは連邦側の方が正しいと私は思うがね」キリッ
カミーユ「さすが大尉……僕にはそこまで思案を巡らせる事はできませんでした、おみそれします!」キラキラ
クワトロ「ぐ、ぐぅ?!」ズキリ
クワトロ(な、なんで今日に限ってこんなに素直なんだ、カミーユは?!心が……心が痛い!)
クワトロ「む、それは気が付かなかったな……一体、誰だ?」
カミーユ「こう……ひょろっとしてて、黒目が小さくて……ジャーナリストだって言ってましたよ」
クワトロ(カイ・シデン……!)
クワトロ「うむ、心当たりは無いが……ソイツが怪しいかもしれん。どれ、一つ調査してみるか」
カミーユ「了解しました、大尉!」
カミーユ(けど、なんだ……このザラついた感覚……なにか、何かがおかしいんじゃないのか?)
―――この証言には……ムジュンが存在しています!
憧憬は、踏みにじられる……《and respect will be betrayed...》
―――そんな……大尉が、シャア・アズナブルだったなんて!
そして、新たに現れる敵とは?!《and a new comer...》
―――ここで終わりにするか、続けるか!選べ、シャア!!
《and REBORN...》
―――アムロ・レイ……まさか、生きていたとはな
シャア「決着を付けるぞ、カミーユ・ビダン!」
カミーユ「望むところだ、シャア・アズナブル!!」
クワトロ「寝ているアムロの顔にそっと濡れタオルを置きたい」。終章。
2012年・夏。乞うご期待。
カイ「……はいよー、なんだってんだよ、今何時だと思って――」
カミーユ「すみません!セイッ!」ゴシッ
カイ「う゛ッ?!」ガクリ
カミーユ「今です、大尉!早く中に入って家探しを!」
クワトロ「あ、あぁ。了解した。さっさとやろう」コソコソ
クワトロ(私の姿を見たら警戒して入れてくれんだろうからな……許せ)
カミーユ「こちらも怪しいものは見当たりませんね……ん、これは」ガサ
クワトロ「拳銃か……! コイツは怪しくなってきたな」
カミーユ「ははっ、ふざけるのはやめてくださいよ。大尉?アムロ大尉の体に外傷は無かったんですよ?」
カミーユ「と、なると凶器は毒物やそれに準じるもの……それに、こんなご時世なら拳銃くらい誰だって持ってますよ」
クワトロ「む、それはそうか……」
クワトロ(……チッ)
クワトロ(当たり前だがな)
カミーユ「えぇ、カイさんには悪いことをしましたね……起こして事情を説明しましょうか」ペシペシ
クワトロ「!おい、やめろカミーユ?!」
カミーユ「え?! だって、カイさんを殴り倒したのは『ジャーナリストは身持ちが堅い生き物だからな、正攻法では取り合ってくれんだろう』と大尉が言ったからですよ?」
カミーユ「それなら、ちゃんと起こして話をするっていうのがスジ……ってもんじゃありませんか?」ジトッ
クワトロ「うっ?!」
クワトロ(……しかし、ここで強引に事を進めてカミーユの信頼を損なうのは痛い)
クワトロ(なにせ、この艦に私の味方である人物はカミーユただ一人なのだからな…… ええい、ままよ!)
カミーユ「すみません、カイさん。あなたを説得するのは骨が折れそうなので、強引な手段を使わせていただきました」
カイ「骨が折れそうなのは俺の方だって……お、お前は確かニュータイプ……」
カミーユ「カミーユ・ビダンです、で、こちらが上司の――」
クワトロ「クワトロ・バジーナ大尉だ」キリッ
カイ「カミーユと……あぁ?! お、お前は!」
クワトロ「クーワートーロー!大尉だ」キリッ
カイ「……あぁ、分かったよ。クワトロ大佐な」
クワトロ「ハハッ、私は大尉ですが」
クワトロ(よし!いいぞ、いいぞ!!)
カミーユ「単刀直入に言います……先程、アムロ・レイ大尉が殺されました」
クワトロ(おい、馬鹿やめろカミーユ!!)
カイ「ハァ?! おい、それぁ本当かよ?!」ユサユサ
カミーユ「ざ、残念ながら……」ガクガク
カイ「う、嘘だろ……アムロが、死んだって……」ガクリ
カミーユ「……」
クワトロ「……」
カイ「……おいおい、それは……ハヤトがそう言ったのか?」
カミーユ「いえ、そこの大尉が……」クイックイッ
クワトロ(それはマズい、マズいぞカミーユ!!)
カイ「そこの、大尉が……?クッ、ククッ、クククク……そうか、そういうことか……」
クワトロ(いかん、いかんぞ……!)
カイ「俺に罪をおっかぶせてヌクヌク生き延びようなんざ……赤い彗星も地に堕ちたもんだなぁ!」
カイ「えぇ?! シャア・アズナブルさんよぉ!!」
クワトロ「」
カミーユ「……え?」
カイ「そう思うなら、艦長呼んできて確かめてみな……なんなら、宇宙のブライトに聞いたって構わないぜ」
クワトロ「……」
カミーユ「そんな、ウソですよね? 大尉が、ジオンの赤い彗星だったなんて……」
クワトロ「……(サングラスを外す音)」
シャア「そうだ……今更申し開きをしても仕方あるまい。私はかつてシャア・アズナブルと呼ばれた事のある男だ……!」
カミーユ「シャア……アズナブル……」
シャア「……身分を偽っていた事は謝ろう、それは事実だ」
シャア「だが、カイ・シデン……私がアムロ・レイを殺しの犯人だと?」
シャア「それは聞き捨てならん冒涜だな」キリッ
カイ「?!」
シャア「私もそうだ。『アムロ・レイこそがシャア・アズナブルの生涯のライバル』……そう考えている」
シャア「そう思っている私が、眠っているアムロの顔に濡れタオルを掛けて殺すだと? フン、そんな事があると思うか?」
シャア「そんな情けない勝ち方でアムロを倒して何が面白いものか、何がジオンの赤い彗星か!!」
シャア「出来る事なら……出来る事なら、私だってアムロとはモビルスーツで闘って――」
カミーユ「歯ァ食いしばれェ!!」バッシィッ!!
シャア「――モビルスーツで闘って、勝ちたかっぐぁっほぉぉ?!」ベシャッ
カミーユ「フーッ……フーッ……!!」
カイ「おい?! どうした、どうしたニュータイプ!!」
シャア「あぐぅッ?!」ミキィ
カミーユ「シャア・アズナブルめ!シャア・アズナブルめ!!」コブラツイストッ
シャア「あぁぁぁーーーッ!!」ミシミシミシッ
カイ「や、やめろ!それ以上やったらシャアが死んじまうぞ!!」
シャア「……」ビクンビクン
カイ「で、でもよぉ……今の感じだと、どうやらアムロを殺したのはシャアじゃなさそうだぜ?」
カミーユ「そ、そうでしたね…… 本題はそこでした。つい、カッとなってしまって……ん?」ピキィィィン
シャア「……(震える手でサングラスをかける音)」
クワトロ「わ、分かっただろう? 私だってアムロを殺す動機がない……いや、むしろ殺す訳がないという事が!」
カイ「あ、あぁ……エラい凄みのある言葉だったぜ……」
カミーユ「クククッ、赤い彗星と言っても、脳味噌はお粗末なようだなぁ?」
クワトロ「?!」
カイ「?!」
カイ「ハッ!」
クワトロ「グッ?!」
カミーユ「さらに以前、まだ宇宙にいた頃……コイツは俺の寝室に忍び込み、濡れタオルを顔に掛けようとした事がある!!」
クワトロ「ぬぬぬぬ……!」
カミーユ「咄嗟にプレッシャーを感じ取って弾いたから大事には至らなかったものの……コイツにはそういう性癖があるんだ!!」ビシッ
クワトロ「無いッ!! いや、確かにそれは実行した事はあるが……そんな変な性癖は持ってないぞ?!」アセアセ
カミーユ「シャア……歯ぁ、食いしばれ……」コォォォォ
クワトロ(ハッ!カミーユの周りになんかピンクっぽいオーラが……)ピキィィィン
クワトロ(! 私が……死ぬだと?なに?!)
ハヤト「なんだ、何ごとだ!!」
カミーユ「艦長!大変です、大変なんです!!」ゼーハーゼーハー
カミーユ「……大尉が、クワトロ大尉が、シャア・アズナブルでした……」ツツー
ハヤト「……え? え、あぁ……うん……そうなの?」
カイ「それだけじゃねぇぜ…… アイツめ、アムロを暗殺して逃げやがった」
ハヤト「な?! 一ミリでもアイツを信じた俺達がバカだったのか!」
カイ「あ、あー……そうだな。結果から言うと、そうだな」
クワトロ「フーッ……」
クワトロ「……大変な事になってしまったな」
クワトロ「さて、これからどうしたものか……む、あそこに見えるのはエゥーゴのシャトルか」
クワトロ「そういえば、そろそろカミーユを宇宙に返そうと準備をしていたんだったな」
クワトロ「……よし、」カチカチッ
シャア「あぁ、連絡も出せずに済まなかったな。思ったよりチェックが厳しくてな」キリッ
ハマーン「そうか……てっきり私はお前が寝返ったのかと、ちょっとだけ心配していたのだがな」チラッ
シャア「何をハマーンらしくない……駒には一切の感情を持たず、使うだけ使ったらボロ雑巾のように捨ててやるのが信条じゃなかったのか?」
ハマーン「私は……お前に、そう思われていたのか? 心外だな……」シュン
シャア(む?! ハマーンの反応がおかしい……さては!)
ぴとっ
ハマーン「な、何をするシャア! 下がれ、下がれと言っているだろう?!」カァァ
シャア「熱は無い……が、顔は赤いな。早めに休んだほうがいいぞ。風邪でいうと、発熱は意外と後期症状だからな」
ハマーン「クッ……! そうか、そうさせてもらうよ!! 私はもう休ませてもらう!」タッタッタ…
シャア「……しばらく見ない内に、そっけなくなったな。ハマーン……」シュン
シャア「それはそうと……ハマーンもまた、優れたニュータイプだったな」
シャア「……」
シャア「……すごいな、暗闇の中だというのに、ハマーンが寝ている場所が鮮明に分かる」
シャア「あの髪の毛、蓄光だったのか……」ススス…
ハマーン「……」スヤスヤ
シャア「……さて、もうそろそろカミーユには気づかれた距離だが」
ハマーン「!」バサッ
シャア「ぅゎぁ?!」ビクーン
シャア(ええい……ここまで勢い良く跳ね起きるとは! ハマーンめ……やるな!)ドキドキ
ハマーン「シャ、シャア……その、これは……ひょっとして」ドキドキ
シャア「な、なんだ?ハマーン」ドキドキ
ハマーン「ひょっとして……よ、夜這いか?」ドキドキドキ
シャア「いや、私はヨバイでは無いと思うぞ……多分」
ハマーン「ふふ…… 謙遜するな、シャア」
ハマーン「……お前になら、任せてもいいと思ったのだがな」チラッ
シャア(任せる……そうか、私をヨバイとやらのテストパイロットにしたいというのか)
シャア「そうか、それならそう言えば良い。さあ、さっさと見せてみろ」
ハマーン「な、なに?!」
ハマーン「いや、その、まぁ何だ。お前にもこっ……心の準備が必要だろう?そういうのは……」ドキドキ
シャア「? 心の準備などとうに出来ているのだが……」
シャア「私を乗せたいのなら、早くしてほしい。はやく性能を確かめたいのでな」ウズウズ
ハマーン「う、ウズウズするなぁ!この俗物ッ!!」バシーン!
シャア「お、おごっ?!」
ハマーン(ハッ?! しまった、つい……!)
シャア(そうか、そう言えばハマーンは体調が少々悪いのだったな)
ハマーン「そ、そうだ…… 少し迫り過ぎだったな、シャア……」
シャア「悪かった。また日を改めて……今日はゆっくり休んで、明日の朝礼の時にでも正式に頼む」
ハマーン「ちょ、朝礼の時か?!」
シャア「……? ダメなのか?」
ハマーン「ダメに決まってるだろう! 出ていけ、この俗物ッ!!」ボフッ
シャア「あ、あぁ…… 分かった、また決心がついたらいつでも言うといい……おやすみ」ソッ
ハマーン「!……シャア、待っ……」
ハマーン「……」ハァ
カイ「なぁに、アイツの逃げ足の速さは今に始まったことじゃないさ……」
アムロ「あぁ、ガンダムにやられて逃げるときはいつもの3倍は出てたからな……」
ハヤト「合わせて通常の9倍だ、見失うのもしょうがないさ……」
カミーユ「でも……一晩でカラバの戦力は大幅ダウンですね……」ハァ
ハヤト「あぁ……2人も優秀なパイロットがいなくなるなんて、まるで悪夢だ……」
アムロ「おい、シャアが出奔したってのは聞いたが……もうひとりは誰だ?」
カイ「決まってるだろ……あの赤いアンチクショウに殺されちまった、アムロに……え?」
アムロ「え?」
ハヤト「え゛?!」
カミーユ「……え?」
カイ「アムロ・霊とか言ったら張り倒すぞ、ハヤト……で、お前どうしたんだよ一体?!シャアに濡れタオルを掛けられて死んじまったんじゃ……」
アムロ「おいおい……そんな馬鹿な死に方してたまるかよ。ただ、ちょっと寝ている時にプレッシャーを感じたから体温をセーブして体を仮死状態に近づけた気はしたが……」
カイ「そ、それにしたって20分間も無呼吸で生きていられるもんかよ!」
カミーユ「ハッ!そ、そうだ!確かアムロ大尉の部屋に入った時……何か蒸し暑かった気が……」
アムロ「そうか……そういえば余りに暇だったもので、寝室の空調にサイコミュを導入した事があったから、もしかすると無意識の内に室温をガンガンにあげていたのかもしれない」
カミーユ「と、言うことは……シャアが掛けた濡れタオルは、とっくの昔に乾いていた……?」
ハヤト「そうか!それならつじつまが合う!」
カイ「すげぇ!すげぇニュータイプ能力だぜ!」
ハヤト「しかし……依然としてシャアの行方は掴めていない。これは厄介な事になったぞ」キリッ
アムロ「アイツは何をしでかすかわからんからな……シャアめ、まさかこんな事で正体を明かすとは思っても見なかったぞ」キリッ
カイ「……きっと本人も思ってなかったと思うぜ」
アムロ「だが、一応の手掛かりはある……宇宙だ」
ハヤト「宇宙か……出来れば、カミーユとカツを送ってやりたいが、そのためのシャトルを奪われてしまったんだよな……」
カイ「ホント、厄介な事になったもんだ」
カミーユ「よぉし、いくぞカツ!」
カツ「ハイ、分かりました!」
ゴォォォー
ハヤト「……お前は行かなくてよかったのか?」
アムロ「あぁ……宇宙に上がると、何だかララァに会ってしまいそうな気がしてな……」
アムロ「それに、マークⅡに男3人は暑苦しすぎるよ」フッ
ハヤト「ハハッ、違いないなぁ。まったく……」
シャア「思い出しただけでも、顔から火が出そうな思いだぞ……」
シャア「……」
シャア「……なにより、その間違いを正して下さったのがミネバ様だったというのが、一番心に……」クッ
シャア『何用でしょうか、ミネバ様……』
ミネバ『ハマーンは気づいておらぬと思うが……シャア、そなた、よばいとは何か存じておるか?』
シャア『よばい……ヨバイですか。詳しくは存じておりませんが、ハマーンが私に乗って欲しいと考えている何かしらの兵器では、と……』
ミネバ『……』フッ
シャア『?!ミネバ様、今の表情、一体どのような意図が?!』
ミネバ『……よいか、シャア。よばいというのはだな……』ボソボソ
シャア『……なッ……?!』
シャア「……」
シャア「ハマーンめ……!何と歪んだ教育を……!!」ギリギリギリ
シャア「ああ、そうだな」つーん
ハマーン「……それに関してだが、エゥーゴと一度会談を開こうかと考えているのだが」チラッ
シャア「好きにすればいい」つーん
ハマーン「……エゥーゴのアーガマとだぞ!」
シャア「いいんじゃないか? あそこが実質の主力だ」つーん
ハマーン(クッ……何故だ、あんなにも迫ってきたシャアが最近冷たいぞ?!)
ハマーン(……やはり、あの時朝礼で誘っていれば、)
ハマーン(……)
ハマーン(ええい、ダメだダメだ!出来るわけないだろう!!)ブンブン
シャア「エゥーゴの諸君……紹介しよう、こちらアクシズの総帥、ミネバ・ラオ・ザビ様。そしてこちらがハマーン・カーンだ」
ハマーン「うむ、今日は互いにとって有意義な時間が過ごせるよう、願っているよ……」
ブライト「……」
レコア「……」
カミーユ「……あんたって人は、なんて破廉恥なんだ!」ガッ!
ブライト「抑えろ、カミーユ!」ググッ
シャア「そして、諸君らのよく知るであろう、この私が……シャア・アズナブル……」
シャア「そしてまたの名を……クワトロ・バジーナ!!」チャキッ!
ハマーン「?!」
シャア「……(サングラスをかける音)」
クワトロ「……『シャア』? 生憎だが、私はシャア・アズナブルではないぞ。人違いではないのか?」
ハマーン「ええい、白々しい! 出会えい、出会えい!シャアを引っ捕えよ!!」ザッザッ
クワトロ「逃げるぞ!こっちだ!」バッ
レコア「ハァ?! 勝手に引っ掻き回して何いってんですか、大尉?」
クワトロ「聞き分けのないヤツめ! ハマーンはティターンズとも会談をするつもりだ!アイツ一人に甘い蜜を吸わせる必要はないッ!」
カミーユ「誰がアンタのいう事なんかッ!」
ブライト「待て、カミーユ……クワトロ大尉。それは、信じて良いのか?」
クワトロ「無論だ!でなければ何故こんな事をするッ?!」クワッ
クワトロ「あるべき姿に戻った、と考えるべきではないのですか。ブライトキャプテン」キリッ
ブライト「お前があそこで大立ち回りを演じなければ……ひょっとすると、とても丸く収まったんじゃないのか?」
クワトロ「……失礼、そろそろ休ませて貰っても構わんか? アクシズの摂生から風邪をうつされたようでな、少々具合が悪いのだ」
ブライト「ああ……もう起きてこなくても構わないぞ……」ハァー
カミーユ「……」
カミーユ「……」コソコソ
カミーユ「エアコンに細工はされていない……」
カミーユ「タオルはしっかり厚手、湿り気も十分だ……」
カミーユ「……」
カミーユ「あなただって……」
カミーユ「あなただって、ニュータイプだろうに……」ふぁさっ
クワトロ「?! む、むー!むぅぅー?!」バタバタ
カミーユ「……おやすみなさい、大尉。いい夢を」プシッ
クワトロ「……! ……?!」
クワトロ「……」
クワトロ「」
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Entry ⇒ 2012.03.13 | Category ⇒ ガンダムSS | Comments (0) | Trackbacks (0)
綾乃「て、手でも、繋ぐ?」あかり「はひっ!?」
http://hayabusa.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1330748891/
京子「むにゃむにゃ」
京子「んぁ?」
がばっ
京子「ここどこ?」
京子「あ」
京子「そっか、合宿したんじゃん」
京子「これは、ちなつちゃんの寝顔を見るチャンス」きらーん
ごそごそ
ちなつ「すぅすぅ」
京子「あぁ、ちなつちゃん可愛ぇ」うっとり
京子「あれ?」
京子(こ、これって)
京子(もしかしてキスしても気づかないんじゃ!?)
京子(ゴメン、ちなつちゃん!)
京子(わたしは情熱を抑えきれないー!)
ちゅっ
ちなつ「ん、んんん?」
京子「!?」
がばっ
ちなつ「あ、あれ、なんか触れた気がしたんだけど」
京子(あぶなかったー)たらたら
ちなつ「誰も起きてるわけ・・・ないよね」
ちなつ「って、そうだ」
ちなつ「これは、結衣先輩の寝顔見放題じゃない」きらーんっ
ごそごそ
結衣「すぅすぅ」
ちなつ「きゃっはぁ、結衣先輩って寝てても素敵♪」うっとり
ちなつ「はっ!?」
ちなつ(てゆか、もしかして)
ちなつ(キスしてもばれないんじゃ!?)
ちなつ(イケナイわたしを許してくださいっ)どきどき
ちゅっ
結衣「う、ううん」
ちなつ「!?」
がばっ
結衣「ん、あれ、なんか柔らかい感触がしたけど」
ちなつ(あ、あぶなっ!)たらたら
京子(あぅぅ、ちなつちゃぁん)がーんっ
結衣「なんか目が冴えちゃったな」
結衣「んーっと」
結衣「そうだ、京子の寝顔でも見てやれ」
ごそごそ
京子「す、すぴーすぴー」
結衣「寝顔は可愛いのにな、京子」
結衣「お前のおかげで、毎日楽しいよ」
ちゅっ
京子「んんんー!?」
結衣「!?」
がばあっ
京子「あああ、あれー、気のせいかー!」
結衣(うわ、ギリギリだった)たらたら
京子(ひぃ、誤魔化すしかなかったー)
ちなつ(あぅぅ、結衣先輩あんまりですー)うるる
京子(寝たふりー、寝たふりー)
ちなつ(気付かれないようにしないとっ)
結衣(ばれてない、ばれてない)
ごそごそ
京子・ちなつ・結衣「!?」
京子(だ、誰が出てったー?)
ちなつ(怖くて目が開けられないよぉ)
結衣(う、動いたら負けだよね)
ごそごそ
京子・ちなつ・結衣「!?」
京子(今度は誰が!?)
ちなつ(確認したい、けど出来ないーっ)
結衣(う、動けないのがこんなに辛いなんて!)
京子・ちなつ・結衣(誰か助けて!)
あかり「はぁぁ、緊張したぁ」
あかり「友達同士でキスって、ほんとだったんだぁ」
あかり「あかりの番が来たらどうしようかと思ったよぉ」 ←超絶勘違い
あかり「!?」
あかり「あれは、杉浦先輩?」
綾乃「ひぃ!?」びっくぅ
あかり「お、驚かせてごめんなさいっ!」
綾乃「あ、赤座さんね」どよーん
綾乃「こんな時間にお散歩?珍しいわね」どよーん
あかり「いま深夜ですよねぇ!?」
あかり「見ちゃったんですか?」おずおず
綾乃「なななな、なんのこと!?」
綾乃「なにも見てないない、ナイアガラよ!」
あかり「・・・・・・」
綾乃「・・・・・・」
あかり「見ちゃったんですね」
綾乃「・・・うん」がっくり
あかり「で、ですねぇ」
綾乃「しかも船見さんにキスされるなんてーっ」
あかり「び、びっくりですねぇ」
綾乃「まるで」
綾乃「盆と正月が一気に来ちゃった感じよ」どよーん
あかり「あ、あれ?それ意味違いますよねぇ!?」
,': : : : :/. . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . .\
: : : : / : : : : : \: : : /{ : :|: : : }ヽ : : : : : : ヽ
l: : : /: : : : / : / j\/八: :¦: : :/ }/: :l : : :ハ
| : : ': : : : : i: :ィf笊弐く__\}: : :/ イ:∧: :|: :| : : |
. | : : {: :j{ : : {∨ { .::;心 ノ/ f笊ミx :|: :|∧ |
. |: : : ∨i : :八 乂こソ { ::;x} ∨:/ }ノ
. |: :/ :{|: : : 丶 _ /////V:ツ {:(__
| /: :八从: : : : : / /⌒ ー 、 j: : : :/ 別に歳納京子がそばにいるから
〉: :/.:.:.:\ゝーイ / | u .: : / 寝れなかったわけじゃないんだから!
. /: :/.:.:.:.:.:.:.:|: /八 { | イ‐く
: : : .:.:.:.:.:.:.:.:}/ : /ト 、ゝ ノ イ: :}
|: : .:.:.:.:.:.:.:.:/ : /: | }> ニニ r<ノ :ノ :ノ_
|: : :.:.:.:.:.:.:.,' : : : : | r| }/: : :/:::/> 、
|: : :.:.:.:.:.:. i: : i : : |イノ 〃/: /:::// \
|: : :.:.:.:.:.:._{: : l : : |::ト- __-‐/:∨ /:::// , ⌒\_
|: : :.:.:.:/人从: : |::|/==∨:::::∨─── 、 / /::::入
|: : :.:./ \\::::\|::{::::::::::/:::::::/ア7 , ─ \ /:::::/::::::〉
|: : :/ \\:::::::':.,::::/::::// 〈 / / ̄ \/:::::::. く
|: :/ ∨ \\::::∨// rー‐〈_/_/⌒ヽ \/ \
∨ ′ >r云K´ `ー─ 、 _ \ \
. /::\ | |ー‐ | } `\ \ ヽ
綾乃「じゃなくて、ああいう行為は生徒会副会長として」
綾乃「許せないことなのよーっ!」
あかり「杉浦先輩もされたかったんですか?」
綾乃「ななな、なんでよっ!?」
あかり「先輩って、京子ちゃんのこと」
あかり「【友達として】好きですもんね?」
綾乃「なななな、なに言ってんのよーっ!?」
あかり「友達としてキス出来るなんて」
綾乃「は?」
あかり「え?」きょとん
綾乃「・・・赤座さん、なに言ってるの?」
あかり「なにって」
あかり「大好きな友達だからキスするんですよねぇ?」
あかり「どしたんですかぁ?」
綾乃「あの、たぶん違うと思うんだけど」
あかり「え?」
綾乃「ととと、友達としてキスしたわけじゃ」
綾乃「ないと思うんだけどなー」
あかり「だって、女の子同士ですよぉ」
綾乃「あの、その、あの」
あかり「もう、からかうなんてひどいですよぉ」ぷんぷん
綾乃「あ、あぅあぅ」
綾乃「赤座さんは、わたしにキス出来ないわよね」
あかり「出来るわけないですよぉ!」
綾乃「で、でも、あの3人はしたわよね」
あかり「そうですねぇ」
綾乃「赤座さんはされてないし、しないのよね」
あかり「・・・・・・」
綾乃「・・・・・・」
あかり「あれ?」
京子『ゴメンねー、あかりー』
結衣『キスするほど、友達としてスキじゃないんだ』
ちなつ『あかりちゃんもしてくれないから、いいよね』
*・゜゚・*:.。..。.:*・゚・*:.。. .。.:*・゜゚・*
あかり「がぁぁぁぁぁん!?」
あかり「あかりだけ、友達度が低いってことぉ!?」
綾乃「・・・は?」
綾乃「あれ?わたし?」
綾乃「わたしがなんか間違えてる!?」
あかり「そんなぁ、あかり主人公なのにぃ」
あかり「みんなひどいよぉ」
ぶちっ
綾乃「わたしの話を聞きなさーいっ!」どーん
あかり「ひぃっ!?」
あかり「はひっ」
綾乃「お、女の子同士でもね」もじもじ
綾乃「れれれ、恋愛は成立したり、しなかったり」もじもじ
綾乃「でも、したらいいなーなんて思ったり」もじもじ
綾乃「つつ、つまりは、そういうことよっ」もじもじ
あかり「・・・・・・」
綾乃「・・・・・・」
あかり「あ、あの、全然わかりません」うぅ
綾乃「くぅぅ」
-‐…‐-{{-‐…‐-
/ .:::'´ `::. \
,. -‐/ ′ ヽ -‐-、
γ⌒V ∨⌒ハ
{ヽ∨ /| |ハ ∨ノノ
_ >// { /_,| ト廴_∧ マ⌒ゝ
// ′ .: 仄{´ | 、 .:l } / ', } } \
. /\_||.: / x=ミ Vハ 从 x=ミ、| ハ ハ /ヽ
|人{ {〃,.、_,ハ }/ ,.、_,ハ }l/ 从/ }´ お、女の子同士ですよ?
/ |ヘ{ V辷ノ V辷ノ ,ィ. l| 大丈夫ですか、先輩
i .:ト、 ', 、、 ' 、、 / }:. l|
| .:ハ V } r‐ 、 u 厶イ.:. リ
|八 :. Vnト、 L .ノ . イ , .: 人〈
ヽ{{ | l >ト . _ . イ }/´}/ }ハ
-┤V´}┤ ト、> . ノ
rく\\! ヽ∨ 〉 > 、
ヽ ヽヘ } ', / // 〉
| \ 〉 ∧-─‐-/ // /
r┘ i| / / マニニ7/ ´,/ }
綾乃「女の子同士で恋愛感情を持つこともあるの!」
綾乃「なにか文句がっ!?」くわっ ←結局、力押し
あかり「ありませんっ!」
綾乃「そうよね!ないないナイロビ国立公園よね!」
あかり(ナイロビ!?)
あかり「先輩って、京子ちゃんのこと」
綾乃「ひうっ!?///」
あかり「なんだ、そうなんですかぁ」あはは
ぐさぁっ
綾乃「もう殺してっ!いっそ殺してぇぇぇ!!!」ぎゃーす
あかり「えぇぇぇぇぇ!?」
綾乃「もう生きていられないわーっ!!!!」ぎゃーす
あかり「ごめんなさいっ!ほんとーに、ごめんなさいっ!」
あかり「あの、落ち着きました?」
綾乃「も、申しわけなかったわ」よろろ
あかり「それにしても、女の子同士かぁ」
あかり(ん?ということは?)
あかり「あ"!」
綾乃「な、なにかしら」
あかり「いえ、あの、別に」そろそろ
綾乃「なんで、じりじりと離れてくのかしら」
あかり「あの、あかり、そろそろ失礼しまーす」そろそろ
綾乃「別に襲ったりしないわよーっ!」がるる
あかり「ご、ごめんなさい」
綾乃「でも、その歳納京子も」
綾乃「キスしたり、されたりなのよねー」どよーん
あかり「先輩のテンションが最初に戻った!?」
綾乃「そ、そうよね、あなたも大変よね」
あかり「ですよねぇ、すっごく居ずらいですよねぇ」あぅぅ
綾乃「とりあえず、朝のみんなの様子を見ないとね」
あかり「普通だといいなぁ」
綾乃「キスしたりされたりで普通ってどうなのかしら」どよーん
あかり「あぅ」
/`ーヘ
_r-、 | )´
}ヽ y' / ヽr‐、_r 、
/ { | } {`
ヽ-ュ‐`ハ`ー-く、_,r' ノ`ー-、
j⌒´ ノo。゚o} ヽ 〈 ̄`ヽ /⌒ヽ
ノ / ∞ { ヽ丿 ノ-ヽ }ノ_ノ } しばらくお待ちください
`ー} ____ノ i `ー<ノ )`ー > /ハ -‐ァ´
`ー、__ト、ノ| | ト、_r'`ー-< o゚8, o
_______ | | ヽソ / ヽ゚。、 ヽ 娯楽部の爆発事故のニュースは
/ ----- ヽ // \ー- ' ___/ }_/
´ ̄ ̄ ̄ ̄`// //`ヽ/, ハノ 入り次第、お伝えいたします
/ゝ、 _,.--‐ 、ニヽ / / ゝ_/ レ'
`}  ̄r´ ̄//| \ヽl
フ>' / / ! !
o( { __,ノ ノ | |
。゚く( _ノハ /__,,. | |
゚o´ //`ー-‐'´ | |
ヾ | |
あかり「心配してくれるのは先輩だけですよぉ」
綾乃「それより、様子はどう?」
あかり(それよりっ!?)
あかり「起きた時は普通でしたけど」
あかり「時間がたつにつれて不自然に、うぅ」
ちなつ(京子先輩の抹殺・・・証拠隠滅・・・完全犯罪ぃー)
結衣(ばれてないよな、ばれるわけないよな)
京子・ちなつ・結衣「あ!」
京子「あー、今日もー、いい天気だねー」よそよそ
ちなつ「ほんとですねー、山で穴掘りもいいかもですー」よそよそ
結衣「ちなつちゃん、意外とアウトドア派だねー」よそよそ
京子・ちなつ・結衣「あははははは」
あかり「ですよねぇ」
綾乃「こっちも、千歳がおかしいのよね」
あかり「あ、昨日のキス魔の」たらたら
綾乃「それで千鶴も、ああなのよ」
千鶴「・・・・・・」ぼーっ
あかり「まだ昨日のままっ!?」がーんっ
千鶴(姉さんの・・・キス)うっとり
あかり「・・・・・・」
綾乃「・・・・・・」
あかり「ふ、触れないでおこっと」
綾乃「賢明だと思うわ」
綾乃「あら、赤座さん?」
あかり「杉浦先輩、こんにちはぁ」
綾乃「やっぱり、まだあのまま?」
あかり「あはは、ちょっと居づらくて」
綾乃「実はわたしも」
綾乃「千歳があのままで調子出ないのよね」
あかり「・・・・・・」
綾乃「・・・・・・」
あかり・綾乃「はぁ」
綾乃「でも、どうやって?」
あかり「・・・・・・」
綾乃「・・・・・・」
綾乃「なにかイベントやって盛り上げるとか?」
あかり「その合宿でおかしくなったんですよねぇ」
綾乃「・・・・・・」
あかり「・・・・・・」
あかり・綾乃「はぁ」
綾乃「放課後は生徒会室に来る?」
綾乃「ちょっと手伝いしてもらうことになるけど」
あかり「ほんとですかっ!?」
あかり「ありがとうございます、先輩ぃ」にぎっ
綾乃「て、手ぇ!?」
綾乃「べべ、別にあなたのためじゃないわよ///」
綾乃「ちょっと忙しいだけなんだからねっ!///」
向日葵「赤座さんは、仕事が早くて助かりますわ」
あかり「そうかなぁ」てへへ
向日葵「どっかの誰かさんとは大違いですわね」
櫻子「言いたいことあったら、正面から言えー!」がるる
向日葵「そんなことありませんわ」
向日葵「ねえ、池田先輩?」
千歳「ほわっ!?」びっくぅ
千歳「あ、当たり前やん!出血大サーヴィスやで!」
櫻子「へ?」
綾乃「いい加減、元に戻りなさいよーっ!」
綾乃「考えてみれば、二人で帰るなんて初めてよね」
あかり「ですねぇ」
綾乃「赤座さんは、いつも娯楽部のみんなと一緒だし」
あかり「先輩は、池田先輩と一緒ですもんね」
綾乃「・・・・・・」
あかり「・・・・・・」
綾乃「このままだと」
あかり「居場所なくなっちゃいますよねぇ!?」
あかり「な、なんですかっ!?」
綾乃「こんな時、千歳なら」
綾乃「居場所を無くした子猫ちゃんとか妄想するのかなって」
あかり「あはは、言いそうですねぇ」
綾乃「でしょでしょ?」
綾乃「それは、たぶんこうよ」
綾乃「居場所をなくした子猫ちゃんは」
綾乃「わたしが拾って、あ・げ・る♪」
だきっ
あかり「ひょあっ!?」
綾乃「あ、あれ?」
あかり(ど、どう反応すればっ!?)
綾乃(勢いでやっちゃったーっ)
綾乃(ど、どうしよう東照宮)がーんっ
あかり(杉浦先輩のいい匂いがっ!)
綾乃「そ、そう、こんな感じなのよー」
綾乃(赤座さん、柔らか・・・)
綾乃(わたし、なに考えてんのよーっ!)
ばっ
あかり「あははははは」
綾乃「あははははは」
あかり(ドキドキして)
綾乃(心臓が持たないっ)
綾乃「出来てないみたいだけどね」
あかり「げ、元気出してください、先輩」
綾乃「わたしじゃないわよ!千歳よ、千歳ーっ!」
あかり「でも先輩も元気ないですよねぇ」
綾乃「そそそ、そんなことないわよっ」
綾乃「うるさくなくて、逆に調子いいくらいなんだから」
綾乃「・・・・・・」
あかり「先輩?」
綾乃「嘘よーっ!悪かったわねーっ!」
あかり「逆切れ!?」がーんっ
綾乃「別に歳納京子のことなんて、本気じゃ・・・」
綾乃「本気じゃなかったんだからねっ!」
あかり「・・・・・・」
綾乃「・・・・・・」
あかり「あ、あの、ティッシュどうぞ」おずおず
綾乃「!?」
あかり「先輩、泣いてるから」
あかり「お、落ち着きました?」
綾乃「あの、その、ありがと」もじもじ
綾乃「それと、変なとこ見せてごめんなさい」もじもじ
あかり「ぜんぜんですよぉ」
あかり「先輩、ちょっと怖いなって思ってたから」
あかり「意外なとこ見れましたし」てへへ
綾乃「ななな、なに言ってんのよーっ!///」
あかり「ご、ごめんなさいっ!」ひぃぃ
, '= Z> ´  ̄ヲ´ `X
,' .水 ./ . ̄ `V
,' Z八 >、ハ
. ,' / .ヘ / Ⅶ
,' .{ V/ ./ ィ 、 ハ
,' :i| .V' ,' /{ / | .リ .∧
i| : :{ V ,' / ¬リ' 、|! .ォ V :} }
:l| . ::∧..VⅣ .Vリ _ xzz 、 :|ハ ノ |Ⅳ .|リ
,' .: : :∧ :iリ V' ≠ィヤァベ },/_ ヤ ハ!
|l . : : : :::::Vハ .〈 弋辷ノ ' x心./ ィ ノ
.i| : : : : Ⅳ .\ラ、 _フ""  ̄ Ⅳ'レ´ レ' いいい、意外って
|! : : : : V z .F´ , ""Ⅳーァ 意外に可愛いってことかしら
/ : : : : V | ト、 ノ_,ノ
/ : : : :V ,ィ| !.> , -' /´¨
/ . : : : :Vィ─ '´ |:: ! 7 ー:r <!
./ . : : : :V‐ヤニミャ :|_ ヤ 〈. \_ ,| |
..: : : :V " \\Ⅵ ト、 r ─ 、| |
. : : ::::V \ミ Ⅵ| _V 二)つ と二`ヽ
. : : :::::Ⅳ!: ’、 .`<Ⅵ,' ─}}ヤ ∩{,r─ハ
. : : : :::V { ’, l _Y rノ 八!} { 二 } ))
. : : : :::Ⅴ V V_/ /V _ノー┐ 弋_  ̄ノ
: : : : : V { .__}Ⅳ \/´|[区」 |/| |>、
綾乃「こういう時に側に誰か居るのは」
綾乃「う、嬉しいものなのね」もじっ
あかり「あかりも、生徒会室に誘われなかったら」
あかり「すごく寂しい思いしてましたよぉ」
綾乃「そ、そうかしら」
あかり「ありがとうございます、先輩っ」にこっ
綾乃「!?///」きゅんっ
あかり「え?」
綾乃「ほ、ほら千歳のことも相談したいし」どきどき
あかり「じゃあ、あかりも3人のこと相談していいですか?」
綾乃「もも、もちろんよ!」
綾乃「任せて安心、アンコールワットね!」
あかり(アンコールワット!?)
綾乃「ま、またね」
綾乃「・・・・・・」
綾乃「もう、いつまでも振りかえらなくていいのに」
綾乃「あ、コケた」あせあせ
綾乃「べべ、別に気になるわけじゃないんだからっ」
綾乃「だって、わたしは歳納京子が」
綾乃「・・・・・・」
綾乃(も、もっと仲良くなってみないと)
綾乃(なにもわからないわよねっ) ←安心の行き当たりばったり
綾乃「あ、赤座さん家に呼んじゃった」がーんっ
綾乃「なんでわたし、こんなことをーっ?」
綾乃「べべべ、別にやましいことなんてないわよね」
綾乃「ち、千歳のことも相談しなきゃだし?」
綾乃「娯楽部の3人もどうにかしなきゃだし?」
綾乃「・・・・・・」そわそわ
綾乃「・・・・・・」そわそわ
綾乃「は、早く来ないかしら」
ぴんぽーん ↓
がちゃ ↓
綾乃「い、いらっしゃい!」 ↓0.5秒
あかり「はやっ!」
綾乃「たまたま玄関にいたのよーっ!」 ←待ってた
あかり「そ、そうなんですかぁ、お、お邪魔します」
綾乃「あまり見ないで、恥ずかしいっ」ぽっ
あかり「あぅ」
綾乃「そ、それで迷わず来れた?」
あかり「はいっ、地図分かりやすかったです」
綾乃(2時間かけて描いた甲斐があったわっ!)ぐっ
あかり(な、なんでガッツポーズ?)
あかり「京子ちゃん達は来たことあるんですかぁ?」
綾乃「と、歳納京子がっ!?」
あかり「あっ!?」
あかり「ご、ごめんなさいっ」
綾乃「いいい、いいのよ、別にっ」
あかり(どうしよぉ、来て早々やっちゃったよぉ)
綾乃(へ、平常心、平常心よっ)
あかり・綾乃「あははははは」
綾乃(空気が重くなっちゃった)
あかり(あぅぅ、話しづらい雰囲気にしちゃったよぉ)
あかり・綾乃「あのっ!」
あかり・綾乃「!?」
あかり「せ、先輩どうぞっ!」
綾乃「赤座さんから、どうぞ!」
あかり「・・・・・・」
綾乃(ますます話しづらい状態にっ)うぅ
あかり(どんどん悪い空気になるよぉ)あぅぅ
綾乃「・・・・・・」
あかり「・・・・・・」
綾乃(こ、このままじゃだめよね)
綾乃(勇気ふりしぼって、赤座さん誘ったんだから)
あかり「はひっ!?」
綾乃「わたしは確かに、歳納京子が好きだった」
綾乃「でも、諦めることにしたの」
あかり「な、なんでですかぁ?」
綾乃「でも、わたしが告白したらたぶん」
あかり「た、たぶん?」
*・゜゚・*:.。..。.:*・゚・*:.。. .。.:*・゜゚・*
京子『そっかー、綾乃』
京子『元気づけるために、そんな冗談言ってるんだなー』
綾乃『へ?』
京子『気持ちは嬉しいけど』
京子『あんまり面白くないぞー』
綾乃『あぅあぅ』がーんっ
*・゜゚・*:.。..。.:*・゚・*:.。. .。.:*・゜゚・*
綾乃「よ、余計に混乱させるだけで」
綾乃「歳納京子の笑顔がもっと消えちゃう」
あかり「京子ちゃんの・・・笑顔?」
あかり「あかりも、京子ちゃんやみんなが」
あかり「笑ってないのがいやだったんだ」
綾乃「そう、笑顔のない歳納京子や千歳なんか」
綾乃「ぜんぜんあの子達らしくないわっ!」
綾乃「わたし達の力で、みんなの笑顔をーっ!」
あかり「せ、先輩」
綾乃「わたしは恋人としてあの子を幸せには出来ないけど」
綾乃「友達として、笑顔を取り戻してみせるわーっ!」
あかり「!?///」きゅんっ
綾乃「わたしも他に、好きな子が出来ちゃったり?」もじっ
あかり「は?」
綾乃「す、好きな子が出来ちゃったの!」
あかり「だ、だって、ずっと京子ちゃんのこと」
綾乃「ぐっ」
綾乃「わたし勇気のないのを後悔してたの」
あかり「勇気?」
綾乃「ず、ずっと素直になれなかったから」
あかり(そういえば先輩って、ツンデレオーラがっ)あぅぅ
綾乃「こうなってなかったかもしれない」
綾乃「し、幸せになってたかはわからないし」
綾乃「振られてたかもしれないけど」ずーんっ
あかり「あ、あの、先輩、大丈夫・・・」
綾乃「だからっ!」
あかり「は、はひっ!」びくっ
綾乃「わたしは自分に素直になるわっ!」
あかり「そ、そうなんですかぁ」
綾乃「歳納京子を諦めて、すぐだから?」
綾乃「そんな理由はノンノン、ノートルダムよっ!」どーんっ
綾乃「え、笑顔が可愛くて、優しくて」
あかり「はひ」
綾乃「か、髪型に、ととと、特徴がっ///」
あかり「笑顔で・・・【基本的には】優しくて・・・髪型が」
綾乃「・・・・・・」
あかり「ち、ちなつちゃんですかぁ」
綾乃「どうして、そうなんのよーっ!?」
あかり「ひぃぃ!?」
あかり「髪型に特徴だと、あかりになっちゃいますよねぇ!?」
綾乃「そそそ、それでいいのよ///」
あかり「・・・・・・」
綾乃「・・・・・・」
あかり「えぇぇぇぇぇ!?」
あかり「だって、あかりですよぉ!?」
綾乃「な、なんでそんなに卑屈なのっ!?」
あかり「で、でもぉ」
綾乃「お、女の子同士だし?」
綾乃「わわ、わたしじゃいやかもしれないけど」
あかり「えっと、あのぉ」
あかり「別にいやじゃないです」ぼそ
綾乃「そうよね、例えいやじゃなくても、もしかした・・・」
あかり「・・・・・・」
綾乃「・・・・・・」
綾乃「へ?」
綾乃「へ?」
あかり「さっきの先輩、かっこよかったかも」てれっ
綾乃「へ?」
あかり「・・・・・・」
綾乃「・・・・・・」
綾乃「えぇぇぇぇぇ!?」
綾乃「だって女の子同士なのよーっ!?」
あかり「先輩が、それを言うんですかっ!?」がーんっ
綾乃「だだ、だってね」
綾乃「恋人ってことになっちゃうけど!?」
あかり「こ、恋人ぉ!?」
あかり「かかか、彼女とか!?」
綾乃「彼女ぉ!?」
あかり「ごめんなさいっ!」ひぃぃ
綾乃「違うの!ちょっとドキドキして」
あかり「あ、あかりも心臓止まりそうです」よろっ
綾乃「ちょぉ!止まるのは勘弁してーっ!」
あかり「なにをするんですかぁ?」
綾乃「なにを・・・する?」
あかり「・・・・・・」
綾乃「・・・・・・」
綾乃(そこまで考えてなかったーっ!)がーんっ
綾乃「手でも繋ぐ?」
あかり「そ、そうですね」
にぎっ
綾乃(部屋の中で手を繋いで立ってるって)
あかり(一体!?)
綾乃(どうしよう、なにか言わないとーっ)
綾乃「キス・・・とか?」
あかり(いきなりハードル上がったぁ!)がーんっ
綾乃(自分で展開についていけなーいっ!)がーんっ
綾乃「ど、どうしよう正倉院」
あかり(正倉院!?)
あかり「そそ、そうですよぉ」ぜぇぜぇ
綾乃「・・・・・・」
あかり「・・・・・・」
あかり・綾乃「ぷっ」
綾乃「あはははっ」
あかり「もー、笑いすぎですよぉ」
綾乃「だ、だって赤座さんすごく緊張して、あははっ」
あかり「先輩の方が緊張してましたよねぇ!?」
綾乃「・・・・・・」
あかり「・・・・・・」
ちゅっ
綾乃「き、キスはまだレベルが高すぎ・・・た」ぷしゅぅぅぅ
ぱたっ
..-:‐…‐…‐-....
/-- .-─-< \_
〃 フ _ _ ヾY / ,>
{{ (/ '¨´ ヽ V ∧ }
,V .′ \{.xく
/./ .!i .′ |i } ヽ ヽ \
/ ./ .八{ .|i /ヽ} . \:/
 ̄ .′ /⌒{j\ |i: / ⌒.\ }. |
| | Nx=ミ ヽ:|i/ x汽ミ ヽ. |i |
. Y:{ |:{i ..ノiハ .ノi:ハ }i '! .|i |
|人ハ..弋辷ノ V辷ソ从} |
. ハ ,,, ' ''' / / / .|
. 八 {ヽ .人 / ,/ /}.ノ
\ハト、 ,≧:´:: ̄:L ャ≦ヘj//|/
{⌒´: : : : : : ___: : 〉 /三≧ x
〉: : :__/`ー’o }:ハ /三三三 ≫ 、
ヾ:_:_{ o ,r:irマニ/,三三三/ > -}
後日、あかりは語った
あかり『まあ、あの時は二人しかいなかったんですけどぉ』
あかり『頭の中に浮かんだ文字はこれでしたよぉ』
【 死 屍 累 々 】
綾乃「ということで!」
綾乃「いつまでもフヌケてるあなた達に」
綾乃「カツを入れに来たわーっ!」どーんっ
結衣「な、なにカツって」
京子「い、いきなり、なんだー?」
ちなつ「フヌケてなんか、ないですっ」
千歳「うちまで連れて来て、どゆことぉ?」
京子・ちなつ・結衣「!?」びっくぅ
綾乃「あんた達、このままでいいって言うの!?」
あかり「みんなで顔色うかがって」
あかり「こんなの娯楽部じゃないよぉ」あぅぅ
京子・ちなつ・結衣「!?」
綾乃「あんたもよ、千歳ぇ!」
千歳「綾乃・・・ちゃん?」
京子「はぇ!?」
ちなつ「ど、どど、どうして!?」
結衣「なんで、あかりが!?」
千歳「みんな、どしたん?」
千歳「キスを気にするのは、うちやんかぁ」
京子・ちなつ・結衣「!?」
京子「・・・・・・」
ちなつ「・・・・・・」
結衣「・・・・・・」
綾乃「わたしも、そんな千歳はキライよっ」
千歳「・・・・・・・」
あかり「だからね」
あかり「綾乃先輩に、呪文をかけてもらうことにしたっ」
京子「呪文?」
綾乃「わかったわ、いくわよっ」
綾乃「むーん、最強呪文っ」
綾乃「リセットぉーーーーーっ!!!」どーんっ
京子「・・・・・・」
ちなつ「・・・・・・」
結衣「・・・・・・」
千歳「・・・・・・」
京子・ちなつ・結衣・千歳「は?」
綾乃「たったいまから、うじうじするの禁止っ!」
京子「え、えーっと?」
結衣「そ、そっか、リセットされちゃしょうがないかも」
京子「ま、まあこのままじゃダメだよねー」
ちなつ「わたしも、忘れたいかも」
千歳「う、うちもそれでいいん?」
綾乃「おわびに得意の漬け物でも配ったら?」
あかり「先輩の漬け物、美味しかったですよぉ」
千歳「わかったわ、そうさせてもらうわ」
綾乃「これで問題は」
綾乃「ノンノン、ノートルダムねっ!」どーんっ
結衣「そうだな、居心地悪かったもんね」
ちなつ「結構、緊張しましたー」
結衣(ていうか、なんでこの二人も気にする必要が?)
結衣(ま、まあリセットされちゃったんだし)
結衣(考えるのやーめた)
京子「そういえば、さっき気になったんだけどさー」
京子「あかりはいつから、綾乃先輩って呼ぶように・・・」
ちなつ「あれ?」
結衣「いない」
綾乃「べべ、別に大した用事じゃないんだけどね」
あかり「はぁ」
綾乃「さ、さっきリセットしたでしょ?」
綾乃「わたし達のキスも、リセットになっちゃうのかな」
綾乃「なんて思ったり?」ちらっ
綾乃「ど、どうなのかしら」
あかり「それは」
綾乃「それは?」
あかり「またひてみれば、ひーとおもひまひゅ!」
綾乃「え"?」
あかり「噛んじゃった!あかり、噛んじゃったよぉ!」あわわ
あかり「リセットされちゃっても」
あかり「またすればいいんじゃないかなぁ///」ぼそぼそ
綾乃「!?///」ぼふっ
綾乃「そそそそ、そうよね」
綾乃「わたし達、恋人同士なんだし?」
あかり「どど、どうぞ」どきどき
ちゅっ
???「わひゃぁ!?」
あかり・綾乃「!?」びくっ
綾乃「ち、千歳ぇ?いったいいつから!?」
千歳「あ、綾乃ちゃんどないしよぉ」
千歳「うち、眼鏡かけてても妄想が見えるようにぃ」
ぶばーーーーーっ
あかり「池田先輩っ!?」
綾乃「ちょっと千歳、気を確かにーっ!」
~後日 生徒会室~
千歳「あの時はほんまにびっくりしたわぁ」
綾乃「び、びっくりしたのはこっちよ、もう」
千歳「もう、許してやぁ」たははぁ
綾乃「ま、まあ、千歳が元気になったからいいけど?」つんっ
千歳「・・・・・・」
千歳「あんなぁ綾乃ちゃん」
千歳「うち聞きたいことあんねんけど」
千歳「歳納さんのことや」
千歳「良かったん?」
綾乃「まあ、いずれつっこみ入るとは思ってたわ」
千歳「べ、別に、赤座さんがどうとか言ってるわけやないで」
綾乃「わかってるわよ、千歳」
千歳「応援?」
綾乃「そ、歳納京子を応援したくなっちゃった」
綾乃「それはもう恋じゃないでしょ?」
綾乃「だって、それは負けを認めたことだから」
千歳「・・・綾乃ちゃん」
綾乃「あーあ、わたしが負けるなんてね」
千歳「落ち込んどのか、盛り上がっとるのか、どっち?」
綾乃「両方!」
綾乃「あかりちゃんの前で落ち込んでられないわっ」
千歳「いつの間にか、呼び方変えたんやねぇ」
綾乃「べべべ、別にわたしから頼んだんじゃないわよーっ!」
千歳(頼んだんやね)たはは
綾乃「テストでも体育祭でも、絶対負けないんだからねっ!」
千歳「応援するのに、なんで張りあうんよ」
綾乃「恋愛は恋愛、他は他よっ」
千歳「はいはい、赤座さんにいい所見せんとな」
綾乃「そんなこと言ってないわよーっ!」
こんこん
あかり「失礼しまぁす」
綾乃「あ、あかりちゃん!す、すぐ終わるわっ」
綾乃「まま、待ってて」
あかり「わかりましたぁ」
千歳「あ~あ、もうでれでれやん」
END
このカップリングは批判あるのはわかるかも
結あか・京あか・ちなあかやったけどこれ一番難しい
乙乙
乙
Entry ⇒ 2012.03.13 | Category ⇒ ゆるゆりSS | Comments (0) | Trackbacks (0)
妹「犯されてしまいました・・・どうしましょう」
http://hayabusa.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1330730818/
妹「人気のないところで無理やりに押し倒されて」
妹「未成熟な私のま○こにずぶずぶって男のアレを入れられて」
妹「抵抗もできないままに蹂躙されてしまうなんて・・・」
妹「まぁ、私は遠目でもそれとわかる超絶美少女なのですから仕方ありません」
妹「油断をしたのが悪いと納得することにしましょう」
妹「この私がまさかあんなにはしたない声をあげてしまうなんて・・・ 意外でした」
妹「せめて、この相手が兄さんだったなら・・・」
妹「幸い、気をやった所で盆の窪を突いたら死んでくれましたが」
妹「私は美少女なだけでなく、暗殺術の心得もあるのです」
妹「それだけに犯されたのが余計に悔しいですね」
妹「愛する私の兄さんは超のつく処女厨」
妹「私が処女でなくなったと知るや兄さんの興味はもはや私に来ることはないでしょう」
妹「中に出された精液はティッシュでふき取りましたし、匂い消しもしましたが・・・」
妹「処女膜がなくなったのはどうしようもありません」
男「・・・・」
妹「さっき殺した男の死体ですね・・・ 死ね!もっかい死ね!」 ガスガス
妹「妊娠していなければよいのですが・・・」
妹「あ、そろそろ日が暮れますね」
妹「今日はスーパーの特売ですが・・・ 汚れた体を洗うのが先決でしょう」
妹「兄さんの帰ってこないうちに済ませなければ」
~自宅~
兄「おかえり」
妹「orz」
妹「いえ・・・なんでもありません」
妹「そんなことより、シャワーを浴びますね」
兄「いいけど・・・ 早いな」
妹「今日はちょっとあつかったので・・・汗をかいてしまいまして」
兄「ん・・・ でもさ、お前、服凄い乱れてるぞ?」
妹「!?」
兄「暑いのに?」
妹「え、ええ」
兄「変なの・・・ まあいいや、行ってらっしゃい」
妹「はい」
妹「危くばれる所でした」
妹「できれば処女膜を再生していただきたいのですが」
妹友「い、いきなりベビーな話聞かされた上に処女膜再生って、なにこれ冗談?」
妹「できないのですか?」
妹友「え? まぁ処女膜程度なら簡単だけど」
妹「ありがとうございますさすが自称マッドサイエンティストさんですね助かります」
妹友「ま、まだやるとは言ってないけどね・・・いや妹ちゃんの頼みを断るなんてできないけどさ」
妹「代わりに私のクローンを作りたいとかなんとか話してましたが」
妹「正直なんのことだかよくわかりませんし」
妹「処女厨な兄さんのため二つ返事で許可しておきました」
妹「・・・その間兄さんに非処女と気付かれないよう気をつけてないと」
妹「おっと、考え事をしていたらもうこんな時間ですか」
妹「兄さんのために急いで晩御飯の支度をしましょう」
妹「兄さんお帰りなさい。たった今出来上がったところなんですよ」
妹「冷めないうちに食べてください」
兄「おうよ!もう腹ぺこで委員会の仕事も早々に切り上げて帰ってき…ん?」
妹「どうかしましたか? ・・・はっ!」
妹「(いえそんなまさか帰ってきたあと匂いはしっかり落としてますし)」
妹「(股の間にまだ違和感はありますが行動に支障のないよう注意しています)」
妹「(ですから気付かれてはいないはず・・・しかし)」
妹「(年齢=処女厨歴な兄さんのことです、ほんのわずかな違いから感付かれている可能性も・・・)」
兄「んー・・・この匂い・・・今日はカレーだな!」
妹「(違いました)」
妹「お粗末様でした。いえカレーは誰が作っても失敗しませんから」
兄「そうか? でも俺は妹のカレーが一番好きだな」
妹「・・・///」
兄「さてと、俺は部屋に戻るぞ、切り上げてきた処女厨委員kおっと」
兄「ま、まだやらなきゃいけない仕事があるんでな、またな」
妹「・・・ふぅ、なんとかやり過ごせました」
妹友「・・・どこに話してるの?」
妹友「それで例の件なんだけどさ」
妹「処女膜再生計画の件ですね、なんでしょうか」
妹友「装置の製造に取り掛かったところだから今週の土曜日辺りにできると思う」
妹「今日が水曜日ですから・・・はい、お願いします」
妹友「そ、それでさちょっと相談なんだけど・・・妹ちゃんってバイブって持ってる?」
妹「・・・いまなんと?」
妹友「今回のはラブリーマイエンジェル妹ちゃんの、しかもやんごとなき部位を扱うわけだし」
妹友「いくら安全に配慮にしても足りないわけで」
妹「よくわかりませんが機械が設計通り動くかの確認が必要なんですね」
妹「ですが、それとバイブがどう関係・・・まさか」
妹友「うん、他に友達いないし自分が実験台になるしかなくて」
妹友「だったらまだバイブでやっちゃったほうが・・・それも怖いけど、まだいいかなって」
妹「そういうことですか、いきなりだったので驚きました」
妹友「うん、びっくりさせてごめんね」
妹友「(それに理想は妹ちゃんにペニバンで奪ってほしかっんだけど)」
妹友「(それが無理ならせめて妹ちゃんが使ったのと同じ道具で・・・)」
妹「びっくりです、まさか妹友ちゃんが処女だったなんて」
妹「・・・ごめんなさい、そういった玩具は持っていないんです」
妹友「そ、そうなの?」
妹「ええ、兄さんが処女厨ですから手違いで大切な処女膜を傷付けないように」
妹「道具を使うどころかオナニーすらした記憶がありません」
妹「あのあと妹友ちゃんは落胆したまま専用の研究室へと歩いていきました」
妹「どうやらその後はずっと篭ったままのようです」
妹「・・・この計画が終了したらたくさんお礼をしなければいけませんね」
妹「では帰りましょう」
妹「兄さんおかえりなさい。あれ? 私今日遅くなるなんて言いました?」
兄「いやさっき・・・妹友ちゃんと一緒に歩いてるの見たからさ・・・」
妹「うーん、見間違いではないでしょうか、今日もいつも通り帰ってきましたから」
妹「・・・? 兄さんなんだか様子がおかしいですよ?」
兄「そうだな・・・おかしいよな・・・なぁ」
兄「妹友ちゃんって・・・最近彼氏できた?」
兄「栗ノ花の臭い・・・あの動き・・・」
兄「我らの純潔十傑が・・・陥落・・・」
兄「・・・うわぁぁぁ」
妹「あっ、兄さん・・・部屋に走っていっちゃいました」
妹「ご飯食べないんでしょうか、せっかく作ったのに」
妹友「うん」
妹「学校に来たら妹友ちゃんに聞いてみようと思っていたんですが」
妹友「うん」
妹「・・・えーっと、隣にいるのは私のクローンですか?」
妹友「うん、作っちゃった///」
妹「その手早さは見習いたいです」
妹友「あっ、もちろん例の装置と同時進行だから安心して」
妹友「それで、昨日妹ちゃんにバイブ持ってないって言われて」
妹友「しくしく研究室に戻ってさ、なんとなく受精卵状態の妹クローンちゃん見てて、ティンてきたの!」
妹友「そうだ!クローンにちんちん生やしちゃえばいいんだ!って」
妹「あっ・・・うん、はい」
妹クローン「できあがったのがこちらです」
妹「スカートめくらなくていいです」
妹友「この子がカプセルから出てきて――産まれた瞬間、襲ってた」
妹「手が早いです」
妹友「そしてクローンだから生みの親である私には逆らえない」
妹クローン「妹友様の命令は絶対ですから」
妹友「従順な妹ちゃんwithちんちん、これはもう朝まで逆レイプするしかないよね」
妹「・・・お疲れ様です」
妹友「途中研究室から自宅に場所を移して二回戦目」
妹クローン「妹友様が我慢できずに公園のトイレで行為に及んだので正確には三回戦目です」
妹友「そうだっけ? もう何回出されたか覚えてないし」
妹「・・・おそらく兄さんはその移動しているときを見掛けたのですね」
妹「だから兄さんはうろたえていたんですね」
妹「謎は解けました」
妹「と同時に疑問が」
妹友「え? おちんちんが萎えない秘密かな? 説明してあげて」
妹クローン「はい、設計段階で既に絶倫となるよう調整さr」
妹「あっ、いえそれは予想できてましたから気にしてないです」
妹友「ええ、マッドサイエンティストならこれくらい容易いよね」
妹「・・・私のクローンを非処女にして実験台に使えばよかったのでは?」
妹友「そんなのだめ、クローンとはいえ妹ちゃんには違いないんだし」
妹友「その身体を傷付けるなんて私には出来ない」
妹「・・・ち○こ生やすのは?」
妹友「それとこれとは別問題」
妹友「うん、それはちゃんとやってるから大丈夫だよ」
妹クローン「人手の増加で作業効率もアップしています」
妹友「最終調整も兼ねたテストが・・・金曜日の夕方辺りに出来そうだから」
妹友「予定通り土曜日には処女に戻れるはずだよ」
妹「もう私には妹友ちゃんだけが頼りなので・・・よろしくお願いします」
妹友「・・・うん! よし頑張っちゃうぞー!」
妹クローン「・・・はい」
妹友「開発両方頑張っちゃうぞー!!」
妹「兄さんに非処女と気付かれないように」
妹「なるべく学校では近づかないようにしてます」
妹「なので家に帰ってからが戦いなのです」
妹「よし、では帰りましょう」
妹「兄さんおかえりなさい」
妹「なんだか昨日と同じく、いえ、それを下回る勢いでテンションが低いようですが」
妹「な、なにかあったのですか?」
妹「(私の非処女に気付いてではないことを願います・・・)」
兄「・・・十傑が・・・六傑になってた」
兄「内外からの要望もあって十傑メンバーの処女非処女再調査をしたんだ」
兄「そしたら、とりあえず妹友ちゃんは非処女確定――てかなんで妹のクローンが隣に・・・」
妹「さ、さあ?」
兄「・・・一人は男の娘だった」
妹「男の子ですか」
兄「・・・あまり気にするな」
兄「後の二人は最近彼氏とやったって情報が出てきてな」
兄「片方は幼馴染みとめでたく結ばれてって形だから、悔しいけど普通に祝福しといた」
妹「片方ですか? ではもう一方は・・・」
兄「・・・処女厨委員会のメンバーが手を出してやがった」
妹「古株・・・三年生ということでしょうか」
兄「だからこそ十傑の一人を観察するグループのリーダーに抜擢されてたんだ」
兄「なのにそいつはその立場を利用し、犯しちゃならねえ血の掟を破ってまで処女を犯しやがった」
妹「なるほどリーダーなら情報操作もできますね」
兄「というわけで奴には男を辞めてもらった」
妹「・・・驚きました」
兄「・・・今日も部屋に篭ったままになりそうなんだ」
妹「いえ兄さんが忙しいのがわかっていれば大丈夫です」
妹「でもいくら大変だからって食事を抜いたらだめですからね」
兄「そっか、昨日は一緒に食べなくてすまん」
兄「じゃあさっそく晩飯にするか」
妹「はい!」
妹「(・・・ひとまず私の非処女は気付かれてないようでよかったです)」
妹「妹友ちゃん、妹クローンさん、おはようございます」
妹友「妹ちゃんおはよ」
妹友「そうそう、例の装置だけど、今朝やったアルパカでの動物実験だと成功率100%だったよ」
妹クローン「もちろん形状弾力その他において喪失直前の処女膜と完全一致しています」
妹「それは良い知らせです!」
妹友「うん、あとは予定通り今日の夕方に私で最終テスト、明日には晴れて妹ちゃんの処女膜復活!」
妹友「どうしたの?」
妹「いえ・・・あ、あの、ここまでしていただいて図々しいとは思うのですが」
妹「もし出来たらでいいのです・・・出来れば少し予定を早めてもらえませんか?」
妹友「・・・いいなー、妹ちゃんのお兄さんは」
妹友「なんだかちょっと嫉妬しちゃうかな」
妹「妹友ちゃん・・・ごめんなさい」
妹友「だめだめ謝らないで、そんな気にしなくていいからね」
妹友「・・・よし! じゃあ放課後私の結果を見て問題無かったら」
妹友「続けて妹ちゃんの本番ってことでどうかな?」
妹「はい、お願いします」
妹友「うーん、確か妹ちゃんが犯さr・・・アレされたのって今週の頭くらいだよね?」
妹「はい、薄汚い粗末なち○こで中出しレイプされたのはその辺りです」
妹友「・・・そいつ調べ上げて人体実験していい?」
妹「もう石の中にいます」
妹友「たぶんそのくらいなら今日中には終わるかな、ただ具体的な時間はちょっとわかんないや」
妹「そうですか、では兄さんに少し帰りが遅くなるかもと伝えてきます」
妹友「うん、いってらっしゃい」
妹クローン「・・・妹友様」
妹友「なあに? さすがにみんなが見てる教室でえっちするのはちょっと」
妹クローン「・・・手を握ってもよろしいですか?」
妹友「・・・ん、お願い」
妹「確か机は窓側最後尾でした、いい位置です」
妹「・・・兄さんの周囲になんだか人だかりが出来てます」
妹「どうしたのでしょいか」
「そんなのどうでもいい」
「なにより正確な情報を」
「俺のクラス全滅だって」
「リストを改める必要が」
「そうだ!全頭検査だ!」
「妹クローンはふたなり」
「全女子生徒の一斉捜査」
「まて早まるんじゃない」
「総帥の指示を待つんだ」
「ふたなりは女子に含む」
「いや入れたらだめだろ」
「総帥!「総帥!「総帥!」総帥!」総帥!」
兄「・・・やれ」
兄「全女生徒を徹底的に調べあげろ」
妹「・・・え? なんですかあれ」
「まずどこから調べる?」
「ここはローラー作戦で」
「非処女は絶対見逃すな」
「俺できれば触診がしt」
「氏ね」「カス」「ゴミ」
「・・・考えるな感じろ」
「三年から順に調べるか」
「だったら俺授業サボる」
「お前の担任処女だぞ?」
「処女の授業はサボるな」
「処女には違わないけど」
「後ろが処女の男性教師」
「休憩時間を上手く使え」
「放課後前に二年は終了」
「放課後は帰宅部がいる」
「一年の調査は委員一丸」
「今日中に調べ尽くせ!」
妹「・・・よくわかりませんが、ピンチですね」
兄「来週の定例会、議題はふたなりと男の娘の扱いについてな」
妹「全校生徒の処女調査」
妹「これは一年生を調べるのが放課後だと話してました」
妹「今すぐ調べられるわけではないので一安心ですが」
妹「それでも妹友ちゃんの結果を待っていては間に合いません」
妹「一か八かの決断・・・よし」
妹友「あら、早い、こは妹ちゃん似じゃなかったんだね」
「いえ、それより相談が」
妹友「なあに? みんなが見てる教室でえっちはさっきしたでしよ?」
「・・・・・・妹友様の万全を期すため前もって機器の調整を行いたいのですが」
「念のため操作方法を教えていただけませんか?」
妹友「ん? それならもうカプセルの中は溶液で満たされてるから」
妹友「後は中に私が浸かって赤色のボタンを押すだけ、簡単でしょ?」
「・・・はい、ありがとうございます」
妹友「あら、おかえり・・・どうだった?」
妹クローン「どうと聞かれましても・・・思ったほど混雑はしていなかった、としか」
妹クローン「小であれば空いた男性側も使えなくはないのですが、外見を考えr・・・妹友様?」
妹友「・・・やられた」
妹「これが例の装置でしょうか」
妹「カプセル、溶液、赤色ボタン・・・間違いないです」
妹「ではさっそく入りましょう・・・濡れると困るので制服は脱いでおきます」
妹「それと、うーん、あった! 妹友ちゃんこのボールペンお借りしますね」
妹「柔らかくて微かに弾力がありそっと包み込むような・・・いえ、ふわふわした感じです」
妹「とても心地よいですね」
妹「・・・はっ! 違います違います妹友ちゃんが来る前にはやく装置を動かさなければ!」
妹「はい、当たりました」
妹「暗殺術の心得があれはこの程度朝飯前です」
妹「なるほどボタンを押すとフタが閉じ追加の注水でカプセル全体を満たs・・・あれ?」
妹「なんだか眠く・・・んっ・・・すぅ・・・zzz」
妹友「はぁはぁ・・・だめ! 間に合わなかった!」
妹クローン「妹友様は足が遅いです」
妹友「う、うるさい!」
妹友「無理にこじ開けたらどうなるかわからないし・・・」
妹友「まさか妹ちゃんが妹クローンちゃんの真似をしてくるなんて」
妹友「一生の不覚よ、もし妹ちゃんになにかあったら、うぅ」
妹クローン「・・・私は妹友様を信じてます、きっと大丈夫ですよ」
妹友「うん・・・また手を握っててもいい?」
妹友「妹ちゃん裸なのね」
妹友「今のうちにじっくり観察しておかなきゃ」
妹クローン「既に動画での撮影は開始しています」
妹友「しっかりお願いね」
「調査資料まとめました」
「三学年の全女生徒だな」
「それと全女性教師です」
「処女及び非処女の情報」
「身長体重スリーサイズ」
「家族構成更に交友関係」
「行動や思考のパターン」
「資格趣味興味長所短所」
「あと好きなパンツの色」
「お前らちょっと怖いな」
「犯罪行為はないよな?」
「「「「・・・・」」」」
「だがこれでより完璧な」
「最新版の処女リストが」
「我らの物になったのだ」
兄「諸君、休日返上でよく働いてくれた・・・感謝する」
妹「・・・なにこの集まり」
妹友「おっほん、妹ちゃんのお兄さん、ちょっといいかな?」
妹友「・・・なにこの集まり」
兄「なに?」
妹友「・・・お兄さん土日はここで総帥してたの? 家に戻ってないよね?」
兄「それが?」
妹友「留守電に『土日は帰らない』ってあったけど、念のため」
妹友「一度も帰宅してないなら、妹ちゃんも土日家に戻らなかったことも知らないよね」
妹友「ええ、結果としてはそうなるかも、ですが」
「マジかよ可愛い顔して」
「やっぱ非処女は怖いな」
妹友「・・・」
兄「・・・交換条件ってことか」
兄「このタイミングで話し掛けたってことは、最新版処女リストを渡せばいいのかい?」
「血と汗と涙の結晶を!」
「そう簡単に渡せるか!」
「しかし総帥の妹が人質」
「でも妹は確か非処女だ」
「じゃあどうでもいいや」
妹友「いやそんなのいらないですし」
妹友「・・・ところで、最後から二番目、ちょっと来なさい」
「・・・えっ?なに俺?」
「えっ・・・なんで俺が」
「呼ばれてんだから行け」
「でも・・・非処女だし」
妹友「もうめんどくさい! 妹クローンちゃんちょっと来なさい」
妹クローン「はいなんでしょうか」
妹友「あいつここに連れてきて」
「だったら従いましょう」
妹友「・・・」
妹クローン「はい、こちらです」
妹友「うん、ありがと・・・あとあいつにこれ命令して・・・」
妹クローン「はい、了解です」
「さっき?・・・えっと」
「総帥の妹は非処女って」
妹クローン「・・・非処女になったのはいつですか?」
「た、確か総帥の話だと」
「・・・小学校の一年生」
「え?俺は父親からって」
「近所のロリコンだろ?」
「もしかして複数相手か」
妹友「あら、その辺テキトーなのね」
妹友「ま、いいや・・・妹ちゃん出てきていいですよ」
幼妹「・・・」
兄「ん? なんだクローンの幼子・・・じゃないな」
兄「幼くなってるけど・・・もしかして妹か?」
幼妹「・・・うん」
妹友「その説明は後でです」
妹友「それより妹ちゃん、お兄さんになにか聞くことないかな?」
幼妹「・・・お兄ちゃん」
兄「なんだい?」
幼妹「もうこの前みたいな痛いの、しないよね?」
妹友『なにかおかしい』
妹クローン『そうですか?』
妹友『だってもう機械か作動して半日、一週間足らずならもうとっくに治ってても・・・』
妹クローン『・・・妹友様』
妹友『なあに? 妹ちゃんの寝てる前でえっちならさっきからしてるでしょ?』
妹クローン『そもそもこの装置はどのような手順で修復するのですか?』
妹友『あれ? 言ってなかった?』
妹友『修復ってのはちょっと違うかな』
妹クローン『・・・と言いますと?』
妹友『ほら、治すなら失う直前の状態で、完璧に治したいでしょ?』
妹友『なので肉体の時間を巻き戻して、結果、処女になります』
妹クローン『・・・普通に治療するほうが簡単ではないですか?』
妹友『だから、普通にやったら本当の完璧にはならないと思うの』
妹友『・・・それに普通だとマッドサイエンティストじゃない』
妹友「あっ、記憶はちゃんと残ったままだから安心してね?」
妹友「・・・まぁ妹ちゃんの場合ちょっと戻る期間が長くて」
妹友「過去と現在の記憶がごちゃごちゃになってるみたいだけど・・・これもその内安定すると思う」
兄「・・・そうか、じゃあ今妹はあのときの姿なのか」
妹友「うん」
妹友「・・・あんたが無理矢理犯した小学一年生の姿よ」
妹友「装置から出てきた後の妹ちゃんの様子でそんなの吹き飛んじゃった」
妹クローン「はい、なだめるのに苦労しました」
妹友「部屋の隅でガタガタ震えてなにかに恐怖する妹ちゃん」
妹友「てっきり身体が一気に幼くなった反動かなと思ったけど、よく声を聞いたら」
妹クローン「・・・お兄ちゃん怖いお兄ちゃん嫌っお兄ちゃん止めて・・・」
妹友「どうもお兄さんから毎日レイプされてたみたいなのよね」
妹友「・・・一応私が言いたいのはこれくらい」
兄「お兄さんからなにかある?」
兄「・・・妹は戻るのか?」
妹友「なにが?」
兄「・・・今までの、俺から襲われてた記憶を忘れた状態に」
妹友「・・・それは善処する」
「妹に手出したのかよ!」
「しかも処女の妹にか!」
「ふざけんな!マジで!」
「それでも処女厨かお前」
兄「・・・それまで散々なついてきたのに、処女奪ったら急に怯えて」
兄「おかしいだろ・・・非処女になった途端目の敵にしやがって」
兄「だから俺は非処女が嫌いなんだ」
兄「・・・嫌いになって蹴っ飛ばしたら床に頭ぶつけて」
兄「記憶まるごと無くしてたあとは、非処女でも妹だけ特別に許してやったよ」
兄「・・・なあ、妹は今処女なんだよな」
妹友「ええ」
兄「そっか・・・」
幼妹「お兄ちゃん・・・もう痛いのしない?」
兄「・・・もうしないよ」
妹友「なあに?」
妹クローン「事件が起きて犯人を逮捕、罰を受ける、というのよくある幕引きですが」
妹クローン「・・・この場合どのようにするのですか?」
妹友「警察ってわけにもいかないし・・・うーん」
「・・・・・・血の掟!」
「そうだ奴に血の掟を!」
「昔の話とはいえ・・・」
「妹の処女奪いやがって」
「絶対にやつを許すな!」
妹友「だってさ、よくわからないけど」
妹友「あらら、お兄さん連れてかれちゃった」
妹クローン「果たして無事に戻って・・・こなくてもいいですよ」
妹友「じゃあ妹ちゃん帰ろうか」
幼妹「はーい・・・あのねお姉ちゃん」
妹友「どうしたのかな? それとお姉ちゃんのことはママって呼んd」
幼妹「あのね・・・男性を女性の身体に変化させてお仕置きしたいのですが」
おわり
Entry ⇒ 2012.03.12 | Category ⇒ 兄弟姉妹「」SS | Comments (2) | Trackbacks (0)
妹「犯人は……あなたです!」兄「えっ?」
http://hayabusa.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1330868818/
前→妹「Q・E・D!Q・E・D!」兄「え?」
兄「なんでそんなことを俺に聞くんだ」
妹「お気に入りのしましまブラジャーだったんですけど……」
兄「ほうほう」
妹「兄さん、不思議なこともあるもんですね」
兄「謎だなぁ、ミステリーだなぁ」
妹「この世に謎なんてありません。あるのは論理的帰結、ただそれだけです」
兄「格好いいな、なんか探偵みたいで」
妹「その私の探偵脳が犯人は兄さんだと告げています」
兄「なんでだよ!」
妹「兄さんしか居ないんです」
兄「俺がお前のブラジャーを盗ってどうするというんだ」
妹「その、すごく言いにくいんですけど」
兄「聞こうか」
妹「パッドの部分で兄さんのいきり立ったのものを包み込み……こうして」シュッシュ
兄「パントマイムは止せよ、生々しいから」
妹「直接言ってくれれば貸してあげたのに、盗るのが興奮するんですね」
兄「だから、違うってば」
兄「こら、勝手に部屋を漁るんじゃない」
妹「この前掃除したと思ったのに、すぐ散らかりますね」ゴソゴソ
兄「いいから、そんなとこまで手を突っ込まなくても」
妹「あ、えっちなDVDを発見しました」
兄「だから止せっての!」
妹「これは更なる調査が必要ですね。今掃除機とってきます」
兄「勘弁してくれよ……」
兄「見つかったか?お前のブラジャー」
妹「今のところまだですね」
兄「盗ってないんだからあるわけないだろ」
妹「一応弁明があれば聞きますけど」
兄「ていうか大体、盗ったものをいつまでもそのままにしておくわけないだろ」
妹「ふむふむ」
兄「使ったら証拠隠滅するだろうな、俺だったら」
妹「長期にわたって複数回使用する見通しがあると思われますので、その説は弱いですね」
兄「決め付けは良くないぞ」
妹「兄さん、この雑誌の山は捨ててもいいですか?」
兄「うん、いいよ」
妹「わかりました」
兄「だから、最初からないって言ってるじゃないか」
妹「そ、そんな……私の推理が」
兄「推理じゃなくて決め付けと思い込みじゃないか?」
妹「推理を修正します」
兄「それは良かった」
妹「……出ました!犯人は兄さんでQ・E・Dです」
兄「どうあっても俺のせいにしたいようだな」
妹「これは仮説ですけど、いいですか?」
兄「一応、聞こう」
妹「私は兄さんがニートを脱却しようと、無駄なあがきをしているのを知っています」
兄「悪いか!」
妹「明日アルバイトの面接、あるんですよね」
兄「そうそう」
妹「一説によると、男性の方も気合を入れるときには勝負ブラを装着する人がいるそうです」
兄「どんな変態だよ」
妹「兄さんは明日の面接のために私のブラジャーを盗み、今現在も身に着けている……これが今回の事件の真相です」
兄「その奇想天外な発想だけは褒めてあげてもいいな」
妹「さ、兄さん。服を脱いで下さい。確かめさせてもらいます!」ズルッ
兄「あーれー!」
兄「へ、へくしっ!寒いよー」
妹「おかしいですね。身につけてないなんて」
兄「当たり前だろ!いいから服を返せ」
妹「兄さん、ゴロゴロしてる割には結構引き締まった体をしてますね」
兄「あんま食わないからな」
妹「ちょっと触ってみてもいいですか?」
兄「だめ」
妹「私は初めからそう言ってますよ?」
兄「だってお前が下着がないとか騒ぐときはいつも……いや何でもない」
妹「再び推理の修正を余儀なくされています……」
兄「どこで無くなったんだ?」
妹「干してあったのがなくなったんです」
兄「それは下着泥棒とかじゃないのか」
妹「……ですよね」チラ
兄「俺を見るな、俺を」
兄「そうなの?」
妹「現場検証を行いましたけど、私たち家族以外の足跡はありませんでした」
兄「靴を脱いで侵入してきたとか」
妹「それに、下着泥棒ならもっとたくさん盗んでいくんじゃないかと思うんです」
兄「大量の下着を持って外を歩いてたらおかしいだろ。必要な分だけ持ってたんじゃないの」
妹「それに、もっと可愛い下着も干してあったのにそれは無事でした」
兄「まぁ、そのへんは主観によるんじゃないか?」
妹「その主観を考慮すると、尚更しまもようの下着を盗むのは兄さんしか」
兄「たくさんいるって、そんな人間」
妹「そこはもう計算済みです。今日の最大風速はこれくらいで」
兄「ふむふむ」
妹「ブラジャーの重さがこれくらいで、面積がこうです」ピッポッパ
兄「電卓?」
妹「これに風向き、洗濯ばさみの圧力を加えて計算すると、家の外へと飛んでいくにはこれくらいの風速が必要となります」
兄「ふーん……ていうかお前頭いいな」
妹「流体力学くらいはマスターしないと探偵としてやっていけませんから」
兄「なんて才能の無駄遣いなんだ」
妹「そういうことになりますね」
兄「超自然説というのはどうだろう」
妹「超自然説?」
兄「例えば、幽霊が盗んで盗っていったとかそういう類」
妹「はぁ……」
兄「UFOがキャトル・シュミレーションで盗んでいったのかもしれないぞ」
妹「それはそれで面白いですけど、UFOがなぜ私のお気に入りのブラを盗むんですか?」
兄「地球の文化の研究かも知れん。あいつら裸族だし」
妹「人間の社会で起こることは、人間の手によって犯行が行われるんです。これは推理のイロハですよ」
兄「たまにはそういう推理小説があってもいいじゃない」
兄「やれやれ」
妹「私だってちゃんと裏を取ってきてるんですからね?正直に言うなら今のうちです」
兄「ウラ?」
妹「そうです。聞きたいですか?」
兄「うむ。というか聞かないと話が終わりそうにないし」
妹「それでは、今から証人を召喚させていただきます」
兄「おおげさだなぁ」
妹「お母さーん!どうぞー」
母「まったく、何なの?晩御飯の仕度があるのに……」
兄「……」
兄「一体なんだというんだ」
母「んー、だから、洗濯物の取り込みをお兄ちゃんにお願いしたって。ゴロゴロして暇そうだったから」
兄「」ギク
妹「……ありがとうございました。干した時には私のブラジャーは?」
母「ちゃんとあったわよー」
妹「さぁ兄さん。どうですか?」
兄「ど、どうですかって言われても」
妹「どうして洗濯物を取り込んだことを私に内緒にしていたんですか?」
兄「こういう風になるのが嫌だったからじゃないか……」
母「よくわからないけど、もうすぐ晩御飯だからねー」
妹「はーい、お母さん」
兄「腹が減ってきたなぁ。そろそろ行くか」
妹「まだです、兄さん」
兄「婆ちゃんまでこんなことに巻き込んでるのか」
祖母「一体なんの騒ぎかねー」ガチャ
妹「おばあちゃん、さっき私に言ったことをもう一度お願いします」
祖母「えとねー、お兄ちゃんが洗濯物の取り込みを頑張ってたよーって、そう話したけどねー」
妹「その時、私のブラジャーはありましたか?」
祖母「さーねー、あったような気もするけど……私も手伝ったけどもねー……」
妹「ありがとうございました」
祖母「喧嘩はしちゃだめだからねー。よいしょっと」
妹「ケンカじゃないですから大丈夫です……さぁ兄さん」
兄「な、なんだ一体」
妹「本当は欲しかったんですよね?」
兄「違うって」
妹「私はただ正直に話して欲しいだけなんですよ?それを忘れないでください」
兄「……」
兄「こんどは誰だよ」
妹「おとうさーん!ちょっと来てください」
兄「えっ」
父「妹ちゃんがパパに何の用なのかなっ?嬉しくて死んじゃいそうじゃないかっ!」ガチャ
兄「あからさまに怪しい奴が来たぞ、おい」
妹「お父さん、さっき私に話したことをもう一度お願いします」
父「ん?ここのごくつぶしが洗濯物をたたんでたのを見たって話をしただけだが」
兄「うるせーぞハゲ!」
父「ハタチすぎてパパに食わしてもらってるくせになんて口の聞き方だッ!コラッ!」
兄「るせー!バイトするっちゅーねん!」
妹「け、ケンカしないでください……ありがとうございました」
兄「と、言われても」
妹「つまり、洗濯物に関わってるのは兄さんだけなんですkら、これがどういうことかわかりますか?」
兄「それがお前の推理の根拠という訳だな」
妹「そうです、正直に話してくれれば今日は一緒にお風呂に入ってあげますから」
兄「なんだそりゃ、お前が入りたいだけじゃないのか」
妹「ち、違いますっ!兄さんがそうしたいかと思いまして」
兄「状況証拠が俺に味方してないのはわかったけど、決定的な証拠がないとな」
妹「それを見つけにここへ来たのですが、あてが外れました」
妹「司法の場ではそうでしょうね。しかし、人民裁判ではそうはいきません」
兄「何か恐ろしいことを言ってるな」
妹「皆さーん!私の推理はどうでしたか?」
父「有罪だな。持ってるならパパに寄こしなさい」ガチャ
兄「居たのかよ」
祖母「おやおやー」ガチャ
兄「婆ちゃんまで」
母「有罪。あんた今日は晩ご飯抜きだからねっ!」ガチャ
兄「そ、そんなー!」
妹「さぁ兄さん、もう楽になって下さい、ね?」
兄「違う……違うんだぁあああっ!」
兄「……」グギュルルル
兄「うぅう、腹減ったなぁ……」
兄「マジで晩飯抜きとか、一種のネグレクトじゃないのか?」
兄「成人後にネグレクトが適用されるかは不明だが……ちくしょう」グゥルルルル
兄「コンビニ言って何か買うにしても、金ないしなぁ」
兄「今日のあの様子だと、誰も金貸してくれなそうだし」
祖母「お兄ちゃんやー、入ってもいいかいー」コンコン
兄「ん……婆ちゃん?」
祖母「ほっほっほ、これを食べなー」
兄「お、おにぎり?た、助かったぁっ!」
祖母「たくさんあるからねー」
兄「う、うまいっ!生き返るぅっ!!ハフハフッ」ガツガツ
祖母「つまらせちゃいけないよー」
兄「ふんがとっと」
祖母「はい、お茶があるからねー」カチャ
兄「ありがとー!」
祖母「美味しかったかいー?」
兄「あぁ、中身も俺の好きなもんばっかだったし」
祖母「そいつは良かったよー」
兄「これでバイトの面接も頑張れそうだ」
祖母「お金は大丈夫かねー?」
兄「電車賃くらいはなんとか」
祖母「はい。少しだけどお婆ちゃんがあげるからねー」
兄「え?いいの?」
祖母「いいんだよー。今日は可哀相だったしねー……」
兄「婆ちゃんマジ天使」
兄「あぁ、お休み」
祖母「面接、頑張るんだよー」
兄「うん……あ、婆ちゃんちょっといい?」
祖母「ん?」
兄「ちょっといいづらいことなんだけどさ」
祖母「ほっほっほ、おこづかい、もう少し欲しいのかい?しかたないねー……」
兄「いや、婆ちゃんが今着けてる妹のブラジャーのことなんだけど」
祖母「!?」
兄「なんか口調が変になってるけど」
祖母「そんな事ないと思うよー」
兄「でもさ婆ちゃん、それバレバレだぞ。着物にブラの線が出てるし」
祖母「お、おかしいねー……っ……」
兄「可愛いから、ついつけてみたかったとか?」
祖母「」ギク
兄「やっぱりか……」
兄「いや、一緒に洗濯物取り込んだの婆ちゃんしかいないし」
祖母「見てたのかいー?」
兄「おかしなことするなぁって見てたけど」
祖母「ほっほっほ……」
兄「……」
祖母「ご、ごめんよー!!」ドゲザァ
兄「ば、婆ちゃんっ!別に怒ってないからっ」
祖母「そうなのかいー……」
兄「まぁ、おにぎりも作ってもらったし、お小遣いも貰ったし」
兄「いや、妹がイキイキしてたからさ」
祖母「妹ちゃんがかいー?」
兄「うん、推理だQ・E・Dだって騒いでるときはいつも楽しそうなんだよ」
祖母「きゅーえーでーって何かね」
兄「ま、まぁそれはいいんだけど、あいつの推理もまだまだだな」
祖母「ほっほっほ、惜しかったんだけどねー」
兄「可能性をひとつにしか絞り込まなかったのがあいつの今回の失敗だな、うん」
祖母「まだまだ若いねー」
兄「婆ちゃんが言うなよ」
祖母「ちゃんと明日には返すからねー」
兄「はいはい」
兄「ほんとにこんなにお小遣いもらっていいの?」
祖母「いいんだよー」
兄「ドゥフフ、むしろ得したかもしれんな」
祖母「それじゃーねー」ガチャ
兄「うん」
祖母「おや、何かドアの前にあるよー」
兄「え?」
祖母「お盆におにぎりがのってるよー」
兄「なんかメモがあるな……『今日は私の負けです』」
祖母「妹ちゃんかねー」
兄「多分ね」
兄「おはよう」
妹「あ、兄さん……」
兄「話聞いてたのか?ドアの向こうで」
妹「う、うぅ……聞いてました」
兄「そーいうことみたいだぞ。せっかく自分で状況を固めて犯人を絞り込んだのに」
妹「だ、だってお婆ちゃんが犯人だなんて絶対に思わないですっ!」
兄「でも、俺か婆ちゃんしか盗れる人はいなかったんだろ?お前の捜査では」
妹「そうだったら、兄さんだって思うじゃないですかっ!もうっ!」
兄「まぁ、次に起きる事件の肥やしにするがいい」
妹「ううー、悔しいですっ……」
兄「朝、いつもみたいに俺を起こしにこなかったからな。よっぽど悔しかったと見た」
妹「ふんっ!」
兄「プププ」
妹「ところで兄さん、私が今憂慮していることがあります」
兄「聞こう」
妹「兄さん朝弱いですから、自分ひとりじゃなかなか起きれないですよね」
兄「ご覧の通りだ」
妹「おにぎり沢山食べて、夜も寝付きにくかったでしょう」
兄「おかげでもうこんな時間だよ」
妹「アルバイトの面接はいいんですか?」
兄「……」
妹「……」
兄「……アッーー!!!」
前スレ
妹「Q・E・D!Q・E・D!」兄「え?」
でした。それではまた
五話も期待
Entry ⇒ 2012.03.12 | Category ⇒ 兄弟姉妹「」SS | Comments (0) | Trackbacks (0)
岡部「マ、マユリ・・・だと・・・?」
http://hayabusa.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1330276072/
グニャーン
岡部(何度やってもダメか・・・)
岡部(やはり・・・まゆりを救うことは出来ないのか・・・)
ダル「オ、オカリンどうしたん? いきなりフラついて」
岡部「ああ、いや・・・なんでもないんだ、すまない」
紅莉栖「岡部・・・あんた、顔が真っ青よ」
岡部「大丈夫だ・・・それより、まゆりは?」
ダル「」ビクッ
岡部「ん?」
紅莉栖「あ、ああ・・・マ、マユリ・・・さんはそろそろ来るんじゃないかしら?」
岡部(まゆりさん・・・だと・・・?)
岡部(以前の世界線でもまゆりがやたらマッチョだったことがあるが)
岡部(今回もそのパターンだと言うのか・・・?)
岡部(あの世界線では色々あってまゆりは死なないが、結局受け入れられなくてタイムリープしたんだが)
紅莉栖「最近雰囲気変わった・・・のよね、あの子」
岡部(やはりこの世界でもまゆりはマッチョなのか・・・)
ガチャッ
涅マユリ「やぁみんな、オハヨウ」
ダル「お、おはようマユ氏・・・」
紅莉栖「ハ、ハロー マユリ・・・さん」
涅マユリ「おいそこの豚」
ダル「は、はひいっ!」
涅マユリ「そのふざけた名前は止めたまエ、さもないとグシャグシャにするヨ?」
ダル「す、すいませんマユリさん・・・」
岡部「」
参考画像:http://blog-imgs-49.2nt.com/s/s/h/ssh123/mayuri.gif
岡部(ありのまま今起こったことを話すぜ・・・)
岡部(「まゆりだと思ったら顔を黒く塗ってるめっちゃ怖い男?が入ってきた」)
岡部(何を言ってるかわからないと思うがry)
涅マユリ「ん? ・・・そこの男?」
岡部「えっ?」
涅マユリ「キミは一体何者だネ?」
岡部「!?」
岡部(なん・・・だと?)
ダル「ちょっ、何言ってるんマユ氏」
涅マユリ「よほど生きたまま解剖されたいらしいネ」ワキャワキャ
ダル「ひいっ!?」
紅莉栖「ま、マユリ・・・さん、何言ってるの?
岡部の事を忘れたって言うの?」
紅莉栖「貴方達、幼馴染でしょ?」
岡部「えっ」
涅マユリ「・・・あぁ、そうだネ」
岡部「」
岡部(嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ)
岡部(俺はこんな不気味な男と幼馴染ではない)
岡部(俺の知っているまゆりはどこに消えたんだ・・・)
ダル「頭抱えてどうしたんオカリン・・・?」
紅莉栖「やっぱりどこか具合でも悪いの?」
涅マユリ「・・・・・・」
岡部(おかしい、おかしい)
岡部(あ、そうだ・・・この世界線無かったことにしよう、そうしよう)
岡部「ん・・・?」
ダル「ど、どうしたんオカリン?」
岡部「電話レンジがない・・・」
ダル「電話・・・レンジ?」
岡部「ここにあった電話レンジはどうしたのだ!」
紅莉栖「は、はぁ?」
ダル「・・・オカリン、何言ってるん?」
岡部「いや、だから・・・我がラボのガジェット八号、電話レンジはどこに行ったかと・・・」
ダル「・・・なぁオカリン、本当に大丈夫?」
紅莉栖「電話レンジなんてものは存在しないわよ?」
岡部「なん・・・だと・・・?」
岡部(そ、それではタイムリープすることも何も出来ないではないか・・・)
岡部(俺はこの世界線を抜け出せず・・・)チラッ
涅マユリ「不快な目線をこちらに向けるんじゃないヨ」
岡部(この男の幼馴染ということか)
岡部(なるほど)
岡部「こんな世界嫌だぁぁぁぁぁ!」
ドタタタタッ ガチャッ バタンッ
ダル「あっ、オカリーン!」
紅莉栖「どうしちゃったのよ、岡部の奴・・・」
涅マユリ「・・・・・・フム」
ダル「マユ・・・リ氏、も、どうしたん?」
涅マユリ「成程、少し読めてきたヨ」
紅莉栖「何が読めた・・・んですか?」
涅マユリ「・・・フン、君達の愚かな頭脳では理解できまいガネ・・・」
紅莉栖(くっ・・・言い返したいけど怖くて言い返せない!)
岡部「はあっ・・・はあっ・・・」
岡部(なんなのだこの世界線は・・・)
岡部(俺の知らない男が椎名まゆりのポジションとして存在している・・・)
岡部(今まで幾度もタイムリープしたが、こんな事は一度も無かった・・・)
岡部(それに、電話レンジが無い・・・というか、作られてすらいないようだ・・・)
岡部(ということは、俺はこれ以上タイムリープできないということ・・・)
岡部「完全に詰んだ・・・」
ルカ子「・・・あ、おか・・・凶真さん・・・」
岡部「おお・・・ルカ子よ、奇遇だな・・・こんなところで会うとは」
ルカ子「いえ、少し買い物で・・・それにしても、凶真さんどうしたんですか?
この世の終わりみたいな顔ですけど・・・」
岡部(あながち間違ってはいない、かもな・・・)
岡部「なぁ、ルカ子よ・・・まゆりを知っているか?」
ルカ子「ふぇ?ど、どうしたんですかいきなり・・・」
岡部「いいから教えてくれ、まゆりはどんな人物だ・・・?」
ルカ子「ま、まゆりちゃ・・・いえ、マユリさんは・・・」
岡部「まゆりさんは?・・・まゆりさん?」
ルカ子「少し近寄りがたい雰囲気ですよね・・・なんか、怖いって言うか・・・」
ルカ子「あ、この話、マユリさんにしないでくださいよ?」
ルカ子「ぼ、僕・・・か、解剖されたくは無いんで・・・」
岡部「」
岡部(やっぱりダメだ・・・この世界のまゆりはあの男に置き換わってしまっているのか・・・)
ルカ子「お、おか・・・凶真、さん?」オドオド
岡部「いや・・・なんでもない・・・すまなかったな、ルカ子よ・・・」
ルカ子「いえそんな・・・あ、凶真さん?」
ルカ子「・・・行っちゃった」
岡部(その後、一応フェイリスにもまゆりのことを聞いてみたが・・・)
フェイリス「マユシ・・・マユリ・・・さんはフェイリスのバイト仲間ニャン♪」
岡部「なん・・・だと・・・?」
岡部(あの男がメイド喫茶でバイト・・・だと・・・)
岡部(もう・・・なんかどうでもよくなってきた)
岡部(死にたい、割と真面目に)
ドシャアァァァン
岡部「うわっ!?」
岡部「い、いきなり地面が割れた・・・」
グオォォォォォォ
岡部「!? な、なんだ今の獣の叫び声のような音は・・・」
虚「グオォォォォォォ」
岡部「う、うわああああああ!?」
虚「ウガァァァァァァ」ドーン
岡部「ひ、ひいっ!? な、なんなのだこの化け物は・・・!?」
岡部「こ、これも機関の差し金だというのか・・・ッ!」
虚「オオオォォォォォ」
岡部「ひい・・・ッ!」
虚「ヌワァァァァァ」シュウゥゥゥゥ
涅マユリ「・・・ヤレヤレ、どこにいるかと思えば」
涅マユリ「手間をかけさせるてくれるネ、人間」
岡部「マ・・・マユリ!?」
涅マユリ「馴れ馴れしく呼ぶんじゃないヨ!」
岡部「」ビクッ
涅マユリ「にしても、この世界にも虚が現れるとは・・・」
岡部「虚? この化け物のこと・・・か?」
涅マユリ「フム、やはり今までの人間とは中身が違うようだネ」
岡部「お、お前は一体・・・」
涅マユリ「私は涅マユリ、護廷十三隊十二番隊隊長兼技術開発局長だヨ」
眠い
岡部「護廷・・・は?」
涅マユリ「ああ分からなくていいヨ、どうせ直ぐに何も分からなくなる・・・」スゥゥ
岡部「ちょちょちょストップ!ウェイトウェイト! この俺に何をしようとしたのだ!」
涅マユリ「? 何って、脳みそを弄くって直接情報を得ようとしただけだが・・・」
岡部「なにそれこわい」
涅マユリ「・・・にしても、岡部倫太郎、だったかネ?」
岡部「お・・・俺は岡部倫太郎ではないッ! 狂気のムァァッドサイエンティースト!鳳凰院凶真だ!」
涅マユリ「マッドサイテンティスト?ほう・・・実に興味深いネ」ワキャワキャ
岡部「ひ・・・っ・・・お、落ち着け!そのよく分からない注射器をしまえ!」
涅マユリ「やれやれジョークだと云うのに分からない奴だネ」
岡部(な、なんなのだコイツは・・・)
涅マユリ「鳳凰院凶真と言ったかネ、君の雰囲気が突然変わった理由を教えてもらおうか?」
岡部「!?」
もうダメだ・・・
残ってたらまた明日書く
岡部(俺の雰囲気が変わった・・・だと・・・?)
涅マユリ「どうやら『今の』君は私の事を知らないようだ、貴様は何者だ?どこから来た?」
岡部(まさか・・・こいつ、リーディング・シュタイナーを・・・?)
岡部(いや・・・リーディング・シュタイナーとは違う別の何か・・・?)
涅マユリ「まぁ話さないなら君の身体に直接聞くまでだが」ワキャワキャ
岡部「だぁぁぁ待て!落ち着け!話す!」
岡部「実は・・・」
涅マユリ「椎名まゆり、か・・・」
涅マユリ「なるほど・・・実に興味深い話だネ・・・」ニマァァァ
岡部「ど、どういうことだ?」
涅マユリ「私がこの世界に来たのは数日前、尸魂界の研究所でとある実験をしていたときだったヨ」
涅マユリ「その実験は『現世と尸魂界を一瞬で移動する』というものだったんだが・・・」
涅マユリ「どうやら実験は半分成功で半分失敗のようだネ」
岡部「半分成功で半分失敗・・・だと?」
涅マユリ「あァ、君の話と合わせてみると、私はどうやらどの『椎名まゆり』とやらと存在が入れ替わったらしい」
岡部「なん・・・だと・・・!?」
涅マユリ「しかもご丁寧に記憶の改変付きでネ」
涅マユリ「あと座標も大幅にズレていたようだネ、本来は空座町という町に移動する予定だったんだがネ」
岡部「じ、じゃあまゆりは今・・・」
涅マユリ「恐らく尸魂界にいるはずだヨ、護廷十三隊十二番隊隊長兼技術開発局長としてネ」
涅マユリ「実に忌々しい話だヨ、私以外の者が隊長席にいるなんて・・・」
岡部「まゆり・・・無事なのか・・・」
涅マユリ「だが、ここで大きな問題があるヨ」
岡部「問題?」
涅マユリ「私が尸魂界に戻る方法を見つけなければならないということだヨ」
涅マユリ「場所と機材さえあれば直ぐにでも出来るが・・・」
岡部「・・・フゥ~ハハハハ!!!!」
涅マユリ「? なんだネ、騒々しい」
岡部「場所?機材?それなら我がラボとラボメンが一瞬の後に揃えてみせよう!」
涅マユリ「ラボ・・・あァ、あの小汚い部屋のことかネ」
岡部「こきた・・・ッ、ともかく!直ぐにラボに向かうぞ、マユリ!」
涅マユリ「馴れ馴れしく呼ぶんじゃないと言ったハズだヨ?」グチョグチョ
岡部「あっすいません」
岡部(とりあえずダルと助手に連絡をしておくか・・・)
岡部「あ、もしもし?俺だ、鳳凰院凶真だが・・・」
――――――――――――
ダル「なるほどね、そこにいるマユリ氏はまゆ氏ではない、と・・・」
紅莉栖「普通なら信じられない話だけど・・・理解できなくもないわ」
岡部「え?」
紅莉栖「正直、マユリさんをラボメンのまゆりと認識するのに違和感を感じていたのよ」
ダル「・・・まぁ、ぶっちゃけると僕もなんだけど」
岡部「なん・・・だと・・・」
涅マユリ「ほゥ、記憶改変は完璧ではなかったようだネ・・・興味深いデータが取れたヨ」
紅莉栖「ともかく、尸魂界?と現世をつなぐマシンを作ればいいのね?」
ダル「久々に大仕事になりそうだお」
涅マユリ「? 君ら程度の手伝いがなくとも・・・」
岡部「フゥーハハハハ!何を言っているのだ!
貴様は既にラボメンナンバー9、涅マユリ!ラボメンの手助けをするのは当たり前だろう!」
涅マユリ「・・・なるほど、よっぽど私に改造されたいらしいネ」
岡部「あ、ちょっごめ・・・」
涅マユリ「・・・フン、まぁ少しくらいなら手伝わせてやらないこともないがネ」
岡部「!」
ダル「ツンデレktkr!」
涅マユリ「やかましいヨ!解体されたいのかネ!」
ダル「ひっ」
紅莉栖「と・・・とりあえず研究を始めましょう」
岡部「ああ・・・」
岡部(まゆり・・・大丈夫かな・・・)
・・・・・・そして数日後。
紅莉栖「完成、ね」
涅マユリ「みたいだネ」
ダル「マユリ氏マジパネェっす、つーか僕らアインシュタインと並んだんじゃね?」
岡部「アインシュタインは晩年霊界との交信の研究をしていたというからな」
紅莉栖「夢のようね・・・まぁ、マユリさんの協力無しにはこんなもの作れなかったけど」
涅マユリ「ふン・・・」
ガチャッ バタバタッ
????「動くな!」チャキッ
全員「!?」
岡部(ラ、ラウンダーだと!?)
岡部(この世界線ではタイムリープマシンは作っていない・・・なのに何故?)
4℃「その霊界通信機を渡してもらおうか!」
紅莉栖「な・・・ッ!?」
ダル「牧瀬氏、動かないほうがいいと思われ・・・」
岡部(狙いはこれか・・・!くそ・・・ッ、ココまで来たのに・・・)
岡部(待てよ・・・まさか)
岡部(この世界線でも「まゆり」という存在は・・・)
岡部(死ぬ・・・のか?)
4℃「そこのお前、お前には用はない」
岡部「止めろぉぉ!」
涅マユリ「!」
タァンッ
紅莉栖「マ・・・マユリさん・・・?」
ダル「マ、マユリ氏・・・」
岡部(そんな・・・嘘・・・だろ・・・?)
4℃「ハハハハハ!さて、他の三人を連行・・・」
涅マユリ「・・・随分と酷い事をするネ」
4℃「!?」
岡部「なん・・・だと・・・?」
ラウンダー達「ひいっ!」パシュッ パシュッ
涅マユリ「あァ痛い痛い」
4℃「な、なんだお前は・・・!?」ガクガク
涅マユリ「痛くて痛くて・・・頭が蕩けそうだヨ」
紅莉栖「」
ダル「」
岡部「」
涅マユリ「掻き毟れ『疋殺地蔵』・・・」
涅マユリ「ヤレヤレ、私を銃程度で殺せるわけがないだろうがネ・・・」
ラウンダー達「」ピクピク
4℃「」ピクピク
ダル「マ、マユリ氏パネェ・・・」
紅莉栖「人間じゃないわね・・・」
ダル「とりあえず警察呼んどくお」
涅マユリ「さて、と。 私はもういくヨ」
岡部「あ、あぁ・・・」
涅マユリ「・・・まァこの数日・・・なかなかに興味深かったヨ」
岡部「! ・・・フハハハハ!当然だろう!
ここは狂気のムァァッドサイテンティスト!鳳凰院凶真の秘密のラボなのだからな!」
ダル「厨二病、乙!」
紅莉栖「さよなら、マユリさん」
涅マユリ「あァさらばだ、人間共」
シュウゥゥゥゥゥン
まゆり「んっ・・・あれ?ここ・・・は・・・阿近さんは?」
岡部「まゆり!」
ダル「まゆ氏!」
紅莉栖「まゆり!・・・あぁ、なんかやっとしっくりきた感じ」
ダル「はげど!やっぱりまゆりと言ったらまゆ氏しかおらんね!」
まゆり「あれ、皆・・・?
そっか、帰ってきたのかぁ・・・えへへ・・・ただいま、なのです」
岡部「まゆり・・・」
まゆり「オカリン、ただいま!」
岡部(よかった・・・いつものまゆりだ・・・)
4℃「く・・・そッ!」
岡部「! ま、まゆりッ!」
まゆり「え・・・っ?」
4℃「死ねぇ!」
まゆり「!」シュッ バキッ
4℃「ゲホオッ!」
岡部「4℃の生存反応が・・・消えた・・・?」
まゆり「えっへへー、尸魂界にいる間に身につけた、『瞬歩』って奴なのです☆」
ダル「・・・こっちのまゆ氏も人間離れしたんですねわかります」
紅莉栖「・・・そのようね」
岡部(霊界通信機は即席だったこともあり、その後も何度も試したが機動することはなかった・・・)
岡部(その後も何回か使えもしない霊界通信機を狙って何回かラウンダーが攻めてきた)
岡部(しかし全てまゆりが「鬼道」やら「瞬歩」やら「卍解」やらで追い払った)
岡部(その内、ラウンダーの連中もラボにやってこなくなった)
岡部(そういえば、ラウンダーのリーダーが4℃だったのはタイムリープマシンを作らなかったから、なのか?)
岡部(今では確かめる術はないが、ラボメンは全員ピンピンしているからよしとしよう。
・・・あと、何故か鈴羽もこの世界線に存在している)
岡部(・・・そして、まゆりの影響かわからないが、ラボメン一同今まで見えなかったものまで視え始めた)
まゆり「とぅっとぅるー☆ 今日も虚退治なのです!」
紅莉栖「瞬歩で上手く立ち回って冷静に頭を破壊するのね」
ダル「動けるデブの力を存分に見るがいい!」
ルカ子「し、修行の力を見せます・・・!」
フェイリス「ニャニャ!今日の敵はなんだか大きいニャ?」
萌郁「メノス・・・グランデ・・・」
鈴羽「相手にとって不足なし!だね!」
まゆり「オカリン、オカリンも一緒に行こうよ!まゆしぃの卍解凄いんだよー?」
岡部「あぁ・・・今行く」
岡部(非科学的なものを信じる気はないが、こんな非日常に取り入れられたら信じざるをえまい)
岡部(死神として生きていくこと)
岡部(それが運命石の扉の選択ならば)
・・・END ?・・・
Entry ⇒ 2012.03.12 | Category ⇒ シュタインズゲートSS | Comments (0) | Trackbacks (0)
やよい「プロデューサーの下半身が電話になりましたー!」
http://hayabusa.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1330765095/
P「」プップップップップッ…
やよい「プロデューサー?どうしたんですか?」
P「」プルプルプル!プルプルプル!
やよい「はわっ!プロデューサーのそびえ立つ男根が、まるで産まれたての仔鹿のように小刻みに震えてますー!」
小鳥「やよいちゃん、ちょっと失礼していいかしら?」
やよい「あ、小鳥さん。どうぞ」
P「」プルプルプル!
小鳥「えっと…ここね」
クニッ
小鳥「はい、765プロです」
やよい「電話になってますー!」
やよい「あ、千早さん!おはようございます!」
千早「おはよう高槻さん、ところであれは何かしら?」
P「」ビクビクッ
小鳥「はい、はい…ですからその件は…」
やよい「プロデューサーのおちんちんが電話になっちゃったんですー!」
千早「へぇ…最近ずっとフルチンだったのはそういう訳だったのね」
やよい「あ…そういえばそうですね!」
千早「高槻さんはずっと近くに居て気づかなかったの?」
やよい「全然気づきませんでした…えへへっ!」
千早(高槻さん、かわいい…!)
P「」ビクンッ
小鳥「ふぅ…クレーム対応も疲れるわね」
千早「小鳥さん、お疲れ様です」コトッ
小鳥「あら紅茶ね!ありがとう千早ちゃん」
やよい「千早さんはとっても気が利きます!」
千早「一家を支えるあなたには負けるわ、高槻さん」
やよい「そんなことないですよー」
千早「ふふっ」ニコニコ
伊織「おはよう、みんな…って、あのバカなんで下半身丸出しなのよ!」
やよい「あ、伊織ちゃん!実は…」
P「」プップップップッ…
伊織「ひぃっ!な、何!?」
やよい「プロデューサーのおちんちんが電話になったんだよ!」
伊織「へぇ……って、納得できないわよ!」
P「」ピーヒョロロロロロロロ…
千早「待って、高槻さん!これは…」
P「」モリモリモリモリ
伊織「いやああああああああああああ!!!!!!」
やよい「あ!駄目ですよプロデューサー。こんなところでウンチしちゃ…」
伊織「この変態!ド変態!!変態大人ッッ!!!」
千早「やっぱり…伊織、高槻さん、よく便を見てみて?」
伊織「見たくないわよ!」
やよい「え?…こっ、これは!?」
千早「何かが印字されているわ、つまり…」
やよい「ファクシミリですー!」
小鳥「これじゃファッ糞ね。なーんて…」
千早「……」ギロッ!
小鳥「ご、ごめんなさい…」シュン
伊織「それよりどうすんのよ、コレ…」
FAX「」ホクホク
やよい「じゃーん、チリトリですー!」
千早「あら、高槻さん。気が利くわね」
やよい「えへへ!家でこういうのには慣れてますから」サッサッサッ
千早(高槻さんかわいい!)
伊織「あんた達絶対間違ってるわ」
やよい「え?もしかしてこっちからも送信できるんですか?」
小鳥「もちろん!」
千早「でもスキャナはどこにも見当たりませんが…?」
小鳥「やよいちゃん、プロデューサーさんの前に立ってもらえるかしら?」
やよい「え?こうですか?」
小鳥「しっかり前を向いててね。そして…ポチッとな」ポチッ
P「」ビクンッ
伊織「きゃっ!」
小鳥「ふふっ、今送信中よ」
千早「ハッ!まさか、プロデューサーの見たものが送られている…!?」
やよい「はぅわ!目がスキャナだったなんてー!」ガーン
小鳥「時代はペーパーレスよね」ズズー
P「」ポー ポー ポー
伊織「わけがわからないわ…」
小鳥「はい、765プロです」クニッ
千早「プロデューサーも大変ね…」
やよい「でもその分小鳥さんが楽になりましたね」
千早「ええ、あんなに高性能な複合機はなかなか無いわ」
やよい「プロデューサーはすごいですー!」
伊織「プロデューサーがちゃんと仕事した方が効率良いと思うけど」
P「」ビクンッ
やよい「どうしたんですか?」
小鳥「春香ちゃんを誘拐したって…下手な冗談よね」
伊織「春香が?」
やよい「そういえば、今日は春香さんまだ見ませんね」
千早「…プロデューサー、失礼します」クニッ
P「」プルプル!プルプル!
千早「…春香が出ないわ」クニッ
P「」ビクンッ
伊織「…それって、ホントに誘拐されたってこと?」
小鳥「まさか。杞憂よ」ズズー
千早「それもそうね。だって春香にはまだ仕事らしい仕事が無いもの」
やよい「えっと…『きゆう』ってなんですか?」
千早(高槻さんかわいい…!)
小鳥「んー、美味しい!」ズズー
伊織「えっ、これでいいの?」
千早「私、入れてきますね」
小鳥「ありがとう。でも今回は自分で入れてくるわ」スクッ
P「」プルプル!プルプル!
やよい「わっ、また電話です!」
千早「小鳥さん、タイミングが悪いわね。伊織、ちょっと出てくれない?」
伊織「な……嫌よ!絶ッッッッ対に嫌!!!」
千早「え…?どうして拒否するの…?」
やよい「千早さん、伊織ちゃんはシャイなんですよ」
伊織「もうそれでいいわ…」
P「」ビクッ
やよい「もしもし高槻です!」
千早「高槻さん、今は765プロの電話よ」
やよい「はぅあ!間違って家での出方になっちゃいました…///」
千早(高槻さんかわ 伊織「いいから早く用件を聞きなさい」
千早「……」チッ
伊織「わ、悪かったわよ…」
やよい「えっと…どちらさまでしょう?」
千早「どうしたの?」
やよい「それが、春香さんを預かったって…」
伊織「それって…さっきの脅迫電話じゃない!」
千早「またなの?信用出来ないわね」
やよい「証拠はあるんですかー?」
?『ゲフンッ…た、助けてやよい!』ビクビクッ
やよい「そ、その声は春香さんですか!?」
春香『千早ちゃんのおっぱいマウスパッドの売上は72万個』ビクビクッ
千早「春香!?」
?『ゲフン…と、とにかく!場所は月見島公園だ、わかったな?』ビクビクッ
やよい「うう…わ、わかりました…」
?『よし用件はそれだけだ。じゃあねやよ…じゃなくて、さらばだ!』ビクビクッ
シナァ…
やよい「あ…切れちゃいました」
千早「なんてことなの…」
伊織「プロデューサーのせいで全く緊張感が無かったわね」
春香「ふふふ、これで警察でも呼ばれたらスキャンダルものね…」
春香「フラッシュを浴びる春香さん!記者の質問責め合う春香さん!」
春香「そこで私の魅力を全開にすれば、私もテレビに引っ張りだこ!」
春香「天海春香デビュー計画、完璧よ!」ビシィ!
春香「あ、月見島公園ってここから結構遠い!急がなくちゃ!」バタバタ
――――
やよい「あわわ、どうしましょう!?」
千早「とりあえず警察は呼ばない方がいいわね」
やよい「どうしてですか?」
千早「こんなことが世に出たら、これからの活動が危ういわ…」
伊織「そうね、いざとなったら私のボディーガードがなんとかするわ」
やよい「プロデューサー?FAXですか?」
P「」モリモリモリモリ
伊織「ちょっ…またなの!?」
千早「これは…月見島公園までの地図?」
やよい「ルートが赤でマーキングされてます!」
P「」モリモリモリモリ…
千早「えっと…『俺も行く。いざという時は俺に頼れ』?」
やよい「プロデューサーがいるなら勇気百倍ですー!」
伊織「とりあえず車を呼んでおいたわ」
やよい「伊織ちゃん、ありがとう!」
伊織「これくらい当然よ、にひひっ!」
伊織「どれくらいかかるの?」
運転手「車ですと山を一つ迂回しないと行けません…一旦電車に乗った方が早いですね」
伊織「それじゃあ駅までお願いするわ」
やよい「電車ですかー!」
千早「プロデューサー、乗り換えルート出せますか?」
P「」ピーヒョロロロロロロロロ…
伊織「ちょっ!今は車の中よ!」
やよい「でも、もう受信が終わって……あっ!」
P「」モリモリモリモリ…
伊織「いやあああああああああああああああああああ!!!!!!!!!!」
春香「えっと、ここから電車に乗るんだね…ふっふっふっ…」
春香「切符は要らない!だって私Suicaだもん!」ババーン!
春香「これは行ける!きっと鉄道会社からのオファー殺到間違い無し!」
春香「鉄ドル春香さん誕生!なーんて、早く行かないと…」
ガシャーン! ピーッ ピーッ
春香「え?」
春香「あ、ここSuica対応して無いんだ…」
春香「うぅ…でも、これくらいではめげない!
きっとアイドルの世界はもっと厳しいんだもん!」
カァー カァー
春香「…切符買ってこよう」
伊織「全く、何考えてるのよ!」
千早「ごめんなさい、伊織。春香の事が心配でつい焦ってたみたい…」
伊織「まぁ今回はやよいがとっさにチリトリ構えてくれたから良かったけど…」
やよい「間一髪ですー!」
千早「そういえば高槻さん、それは何?」
やよい「あ、これはSuicaです!プロデューサーに買ってもらったんですよー!」
伊織「あのね、やよい…ここら辺はSuica使えないのよ」
やよい「え?」
千早「ほら、みんな切符買ってるでしょ?」
やよい「あう……私その、電車とか全然乗らなくて……///」カアアァァ
伊織「ひっ!?」
やよい「なんて書いてあるんですか?」
千早「…『やよいはかわいいなぁ』?」
やよい「えへへ、ありがとうございます///」
千早「プロデューサー…」ジトォ
伊織「いちいち出さなくていいわよ!せめて人前ではやめなさい!」
ガタンゴトン
春香「いつもと違う方面に乗るのは初めてだなぁー」
春香「えへへ、なんだか違う世界に行ってるみたい!」
春香「……ホントにこのまま違う世界に行っちゃったらどうしよう!」
春香「そこで私は聞かれるの!『君はだれだい?どこからきたの?』」
春香「私は答える!『私は恋を夢見るアメリカンガール!大好きな……』」
春香「」ハッ
ガタンゴトン
春香「人いなくて良かった……」ホッ
春香「……ちょっと寝よっと」
春香「Zzz……」
ガタンゴトン
やよい「あ!あの吊り革広告に竜宮小町って書いてありますー!」
千早「あそこのファーストフード店って高槻さんがCMしてた奴じゃない?」
やよい「そうです!覚えててくれて嬉しいですー!」
伊織「へぇ、どんな感じだったの?」
やよい「『私の大好きな食べ物は…Yes!あいらいくはんばーがー!』
…えへへちょっと恥ずかしいかも///」
P「」モリモリモリモリ
千早「えーっと…『かわいい』?当然じゃない…」
伊織「もしもしSP?一人ほど掃除係を寄越しなさい」
伊織「しかし…この電車、人いないわねー」
千早「確かここ、廃線になるらしいわ」
やよい「なんだか淋しいですね…」
…メリ…ンガール!
伊織「…なんだか前の車両がうるさいわね」
千早「春になるとたまにいるのよ…ああいうよくわからない人」
やよい「もう3月ですもんねー」
ガタンゴトン
千早「確かここからは徒歩で行けたわね」
P「」ピー!ピー!ピー!
伊織「な、何よ!?」
やよい「な、なんだかプロデューサーの様子がおかしいです!」
千早「プロデューサー!どうしたんですか!?」
P「」ピー!ピー!ピー!
伊織「一体どうしちゃったのよ…」
千早「ハッ、まさか!」
やよい「千早さん?」
千早「…ちょうどあそこにサイゼリアがあるわ、行きましょう」
伊織「ち、ちょっと千早?」
やよい「お腹いっぱいですー!」
千早「どうですか、プロデューサー?」
P「」ブオオォォォン
やよい「再起動しました!」
P「」モリモリモリモリ
千早「『ありがとう千早』?ふふ、どう致しまして」
やよい「…あ、わかりました!トナー切れですね!」
千早「そう。だから食事で補給したのよ」
やよい「うっうー、なるほど―!」
伊織「なんて下品なの…」
SP「」サッサッサッ…
やよい「疲れましたー」
千早「春香はどこかしら…」
?「ここにおるぞ!」
やよい「春香さん!?」
犯人「ふっふっふ…残念だったね」
千早「あなたが誘拐犯ね…春香をどこへやったの!」
伊織(どうみても春香がお面を被ってるだけじゃない…)
千早「くっ…要求はなんなの?」
春香「え?」
やよい「え?」
千早「要求よ。それで春香を無事に返して貰えるんでしょ?」
春香「あ…あぁ、そうだ!身代金100万円だ!」
やよい「100万円ですか!?」
千早「先に言ってくれないと用意出来ないじゃない…」
春香「ご、ごめん…」
伊織(必死になってた私がバカだったわ)
やよい「ぼ、暴力反対ですー!」
千早「伊織、お願い!」
伊織「分かってるわ…SP聞こえる?」
ツーツーツー
伊織「あ、あれ?繋がらない…」
春香「無駄だ!周りをよく見ろ!」
キラキラキラ
やよい「わぁ、綺麗な粉みたいなのが舞ってますー」
千早「…まさか!チャフグレネード!?」
伊織「ええっ!?」
春香「ご明答。ここではもう電波を使った通信手段は使えない…」
伊織「掃除係は!?」
やよい「トイレです!」
伊織「あの馬鹿あああああああ!!!!」
伊織「ねぇ春香…もう止めにしない?あんたが何を考えてるかはわからないけど…」
千早「伊織!不用意に近いちゃ駄目よ」
伊織「うるさい、あんたたちも分かってるんでしょ!あいつはお面を被った春香だってこと!」
春香「うるさいのはお前だ」ドンッ
伊織「うぐぅ!?」
やよい「伊織ちゃん!?」
千早「春香がチャフを用意出来る訳無いじゃない、常識的に考えて…」
伊織「それじゃ…コイツは……なん…なの…?」ガクッ
P「」モリモリモリモリ
千早「えーっと…『伊織いいいいいいいいいい!!!!!』」
P「」モリモリモリモリ
千早「『てめぇ…絶対に許さないぞ』…テンポ悪いわね」
やよい「全くですー!」
P「」ポー ポー ポー
千早「プロデューサー?今はチャフで電波通信は不能ですよ」
犯人「はっ、何をしようが無駄だ!てめぇらはもうすぐ終わりだからな!」
P「」バタンッ
やよい「はわっ!プロデューサーが仰向けに寝転がりました!」
千早「それに肛門を犯人に向けて…一体何を…」
犯人「な、なんだ…汚いケツをこっちに向けるな!」
千早「ハッ!まさか…高槻さん、伏せて!」ガバッ
やよい「えっ!?は、はい!!」ガバッ
ドオオオオオォォォォォォンンンン!!!!!!!
犯人「ぐわあああああああああああ」バリバリバリバリ
やよい「はわっ!プロデューサーの肛門からビームが出ましたー!」
千早「プリンタのレーザー出力を上げたのね…流石プロデューサーだわ」
P「」シュウウウウウ…
パリン!
やよい「あ、犯人の顔が割れました」
千早「まさに文字通りね…」
やよい「あーっ!この人は…!」
P「」モリモリモリモリ
千早「『知らん』」
やよい「私もですー」
犯人「覚えてろ!」フラフラ
やよい「あ、逃げますよ!追いかけないと」
千早「待って、伊織を置いていく訳には行かないわ」
やよい「うぅ、でもこのままじゃ事件は迷宮入りですー」
千早「大丈夫よ…ほら」
やよい「えっ?」
P「」ポー ポー ポー
なんとプロデューサーが機転を利かせて犯人の顔をFAXしていたのです
で、犯人の正体はそこら辺にいたチンピラだそうです
なんで私達があそこにいるのが分かったのか、そして周到な用意が出来たかは疑問ですが…
あ、伊織は軽い打撲だけで特にアイドル活動には問題無いようです
果してプロデューサーがいなかったらどうなっていたことやら…
やはり、ここぞという時には頼りになりますね
やよい「千早さん!警察からの感謝状きてますよ!」
千早「わかった、今行くわ」
これからも頼りにしていますよ、プロデューサー!
P「」プップップップッ…
黒井「フンッ!765プロを盗聴していたものの、流石に計画が急過ぎたか…」
黒井「それにしてもあの忌ま忌ましい電話機、いや複合機め……クソッ!」
黒井「見ていろ高木!次は必ず叩きのめしてやる!」
黒井「ハーハッハッハッハッハッ……」
春香「ハッ、思いっきり熟睡しちゃった!」
春香「てへぺろ☆なーんて……ハッ!これはいける!」
春香「よし、これからはドジッ娘春香さんで行こう!」
春香「それにしても暗いなぁ……ここ、どこなんだろ?」
バンッ バンッ バンッ
春香「ひっ!明かりが!?」
ジョセフ真月「ようこそモンデンキントジャパン…」
「iDolチームへ!!!!」
春香「ええええええええええええ!!!!!?????」
これが今日ここから始まる私の伝説。
私が地球を救うのはまた別のお話……
―完―
ID:tSZ5Isd/0=ID:2+udK74vOなのは立てる直前に水遁食らったせいです
今別のSS書いてて気が狂いそうになったので、これを気分転換として書きました
やっぱりやよいはかわいいなぁ
また機会があればお付き合い下さい、では
気が狂いそうなの待ってる
Entry ⇒ 2012.03.12 | Category ⇒ アイマスSS | Comments (0) | Trackbacks (0)
マミ「思いでのティロ・フィナーレ」
http://hayabusa.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1329048163/
まどか「マミさんっ」
さやか「いっけー!」
マミ「ティロ・フィナーレ!」
まどか「わぁ…!」
さやか「やったー!」
さやか「やっぱりマミさんはカッコいいねぇ!」
まどか「うんっ」
マミ「もう、遊びでやってるんじゃないのよ?危機感もちゃんと持ってよね」
さやか「イエース!わかってますって」
まどか「さやかちゃん…」
さやか「えー?本当ですよ?」
マミ「そう、良かった」
まどか「それに、マミさんがカッコいいのはほんとだもん、ね?さやかちゃん」
さやか「オフコース!」
マミ「うふふっ、ありがとう」
さやか「ユーアーウェルカム!」
さやか「なんとなくー」
マミ「…」クスッ
マミ(この子達と出会ってから数日…)
マミ(こうやって2人とも私の戦いを見学しに来てくれているわ)
マミ(2人を危険な目に合わせてる…って言うのは自覚しているわ)
マミ(だからもう少し危機感も持ってほしいわ。いざ2人が戦う時が来たら…)
マミ(…でも)
まどか「てぃひひっ!」
マミ「…ふっ」
マミ(この子達が戦う時が来ないならそれに越したことは無いわね)
マミ(だから…私が頑張らなくっちゃ!)
マミ(大切な後輩を悲しませたくないものね!)
マミ(それに2人が魔法少女になったとしても、私の役目は変わらないわ)
さやか「いやぁ、まだ…」
まどか「わたしも…」
さやか「だって難しいもんねぇ?」
まどか「うん…」
マミ「そっか、そうよね」
マミ(2人には選択の余地があるんだからね)
マミ「あれ?」
さやか「あれですよ、あれ!必殺技!」
マミ「!」
さやか「ティロ・フィナーレってカッコいいですよね!」
マミ「そうかしら?ありがとう」
まどか「マミさんが考えたんですか?」
まどか「ティロ・フィナーレかぁ…よく思い付きましたね」
マミ「ふふ、まあね」
さやか「じゃああたし達が魔法少女になった時の為に考えなきゃね!」
さやか「あたし達の必殺技!」
マミ「うふふっ、どうせならカッコいいのにしないとね」
さやか「そうなんだよなぁー、悩むよね、まどか?」
まどか「えっ?わたしは…ちょっと…」
まどか「ちょっと…ちょっとなんだけどね?」
さやか「うん」
まどか「は、恥ずかしいなぁ…って」
さやか「えぇー?何で?カッコいいのにー!」
まどか「恥ずかしいんだもん…」
マミ「…」ニコニコ
マミ「!」
まどか「えっ?」
さやか「だってほら、まるで必殺技叫んでるマミさんが恥ずかしいって言ってるようなもんじゃん」
マミ「………」
まどか「あっ…!」
マミ「鹿目さん?」
まどか「あっ…その、ご…ごめんなさい」
マミ「それに、必殺技を言っている方が珍しいのよ?」
さやか「えっ?そうなの?」
マミ「うん、どうやら私は少数派みたいね」クスッ
さやか「えぇー?カッコいいのにね、勿体ない」
マミ「それじゃあ美樹さんは必殺技を言ってくれるのかしら?」
さやか「オフコース!カッコいい必殺技で戦っちゃいますからねー!」
まどか「わ、わたしも考えようかな…」
マミ「あら?気にしなくていいのよ?」
さやか「そうそう、恥ずかしがり屋さんのまどかは言わなくてもいいんだよん」
まどか「うぅ…」
マミ「こら、ダメよ?そんなこと言っちゃ」
さやか「イエース」
まどか「もぉ、何でさっきから英語なの?」
マミ「…別にインテリっぽくないわよ?」
さやか「がーん」
まどか「てぃひひっ」
さやか「うーん…英語はインテリっぽくないのかぁ…」
マミ「そういう訳じゃないんだけれど…」
さやか「そうだ!ティロ・フィナーレって何語なんですか?」
さやか「えぇー?イタリア語?すっごい!」
マミ「そう?」
さやか「だってイタリア語だよ?カッコいいじゃん!さすがマミさん!」
マミ「て、照れるわね」テヘティロッ
まどか「何でイタリア語を使おうと思ったんですか?」
マミ「えっ?」
流行らない
まどか「あっ、そっかぁ」
マミ「………」
さやか「あ、もうそろそろ家につくね。」
マミ「あら、もうここなのね」
さやか「んじゃマミさん、今日はこの辺で」
まどか「さようなら、マミさん」
マミ「ええ、さようなら」
さやか「さよならー!」
マミ「ただいま」
マミ「…さて、お風呂に入りましょうか」
お風呂
チャポン
マミ「……ふぅ」
マミ「もう一人暮らしになって何年経つのかしら?」
マミ「随分慣れてしまったわ」
マミ「…私は…ひとりぼっちなのかな?」
マミ(学校は、それなりにお友だちもいるわ)
マミ(それに…今は鹿目さんと美樹さんが戦いについてきてくれる…)
マミ(だから、私はひとりぼっち…じゃないのよね?)
マミ「………」ブクブク
マミ(でも…この満たされない気持ちは何なのかしら?)
マミ(私は…)
マミ「やだ…風邪かしら?」
マミ「長くお風呂に入りすぎたわね」
マミ「風邪くらい、魔法を使えばすぐに治せるけど…無駄な魔力の消費は抑えていた方が良さそうね」
マミ「これからは鹿目さんや美樹さんも魔法少女になるのかもしれないわ」
マミ「だから、極力魔力は抑えてグリーフシードを節約するべきよね」
マミ「…さてと、上がってお薬飲まなきゃ」
マミ「ふぅ、後は眠るだけね」
マミ「…っていけない!宿題しなきゃ」
マミ「………」カリカリ
マミ「こほんっ」
マミ「ん…やっぱり風邪みたいね」
マミ「明日は休みだし、宿題は明日にして今日は寝ようかな」
マミ「そう言えば風邪になったのは久しぶりだわ」
マミ「昔は風邪になっても魔法ですぐに治していたからね」
マミ「…魔法少女になる前…特に小さい頃はお母さんがつきっきりで看病してくれたのよね」
マミ「懐かしいなぁ…」
マミ「………」
マミ「そう言えば風邪になったのは久しぶりね」
マミ「昔は風邪になっても魔法ですぐに治していたからね」
マミ「…魔法少女になる前…特に小さい頃はお母さんがつきっきりで看病してくれたのよね」
マミ「懐かしいなぁ…」
マミ「………」
母「あら?マミちゃんどうしたの?」
マミ「うぅ…頭がいたいよぉ」
母「ちょっとごめんね…」ピトッ
マミ「うぅぅ…」
母「うーん…お熱があるみたいね」
マミ「えぇ?マミ、お熱あるの?」
母「うん、だからお薬飲まなきゃね」
母「お薬飲まないと元気になれないわよ?」
マミ「だってお薬苦いもん…」
母「苦くても我慢しなきゃね」
マミ「うぅ…」
母「そうだわ、頑張ってお薬飲んだらご褒美をあげよっか」
マミ「えっ?ほんとう?」
母「うん、だから頑張って飲むのよ?」
マミ「…うん、マミお薬飲むね」
母「ふふっ、よく出来ました」ナデナデ
マミ「えへへ」
母「それじゃあマミちゃんはお布団で眠ってなさい」
母「眠っていたらきっと元気になるわ」
マミ「うん、眠って風邪さんとバイバイする」
母「ふふ、おやすみ、マミちゃん」
マミ「おやすみ、ママ」
マミ「すぅすぅ」
マミ「ん…」パチッ
母「あら、おはよう。マミちゃん」
マミ「ママ…?おはよぉ」
母「どう?元気になった?」
マミ「うーん…うん、元気だよっ!」
母「そう、よかった。頑張ったわね、マミちゃん」
マミ「えへへ」
マミ「わーい!」
母「はい、これよ」
マミ「わぁ、ケーキだぁ!」
マミ「いただきまーす!」
母「おいしい?」
マミ「うんっ!」
母「ふふっ、よかった」
母「それはティラミスよ」
マミ「てぃらみす?」
母「そう、ティラミス」
マミ「かっこいいお名前だね」
母「そうね、それにティラミスには意味があるのよ?」
マミ「意味?」
母「そう、イタリア語で元気付けて。って意味があるの」
母「そうよ、どう?元気でた?」
マミ「うんっ!」
母「うふふっ」
マミ「ねえ、いたりあ語って英語じゃないの?」
母「そうよ、イタリア語と英語は違うものなの」
マミ「英語で元気がでるって何て言うの?」
母「えっ?そうね…チアかな?」
母「ふふ、そうだね」
マミ「マミ、いたりあ語のお勉強するー!」
母「あらあら、どうして?」
マミ「だって、いたりあ語かっこいいんだもん!」
母「ふふ、そっか。頑張ってね」
マミ「うん、がんばるー!」
母「ママも応援してるわ」
マミ「えへへ、ママ大好きー!」
マミ「ん…」パチッ
マミ「……あの頃の夢、だったのね」
マミ「ふふ、懐かしいなぁ。私にもあんな時期があったのよね」
マミ「けほっけほっ」
マミ「んん…まだ風邪は治ってないみたいね」
マミ「今は…えっ?お昼過ぎ?」
マミ「いけない、眠りすぎてたわ」
マミ「あら?お客さまかしら?」
マミ「頭が痛いけど…仕方ないわよね」
ガチャッ
マミ「はーい」
さやか「こんにちはー!」
まどか「マミさん、こんにちは」
マミ「あら、美樹さん、鹿目さん」
まどか「お邪魔してもいいですか?」
マミ「ええ、いいわよ」
さやか「あっ、でも…大丈夫ですか?」
マミ「えっ?何が?」
さやか「いや、その…寝起きっぽいから」
マミ「あっ?ご、ごめんなさい…ついさっきまで寝ちゃってて」
まどか「じゃあ…」
マミ「でも大丈夫よ。さあ、上がって?」
まどか「おじゃまします」
マミ「ちょっと待ってて?美味しい紅茶を入れてくるわ」
さやか「いつもすみませんねぇ」
まどか「ありがとうございます、マミさん」
マミ「うふふっ、待っててね」
さやか「…ね、寝起きのマミさんってさ、ちょっと新鮮だよね」
まどか「うん、髪も下ろしてるから印象変わるよね」
さやか「そうだね」
まどか「きゃっ?」
さやか「わわわっ?」
マミ「いたた…」
まどか「ま、マミさん大丈夫ですか?」
マミ「え、ええ…ちょっと手が滑っちゃって…」
さやか「ありゃりゃ、割れちゃってるよ…」
マミ「ごめんね、今片付けるから…」
さやか「あぶないっ!」ガシッ
まどか「だ、大丈夫?」
マミ「だ…大丈夫、よ」
さやか「ちょっ?マミさん熱い!」
まどか「えっ?」
マミ「うぅ…」
まどか「ほ、ほんとだ、お熱があるよ!」
さやか「わわわ、無理しちゃダメですよ?マミさん!」
マミ「でも…」
さやか「片付けはあたしがやっとくから、まどかはマミさんを!」
まどか「うんっ!」
マミ「美樹さん…鹿目さん…ごめんなさい」
まどか「大丈夫ですか?肩貸した方がいいよね?」
マミ「でも…」
まどか「はい、行きましょう」
マミ「…ありがとう」
まどか「マミさん、寒くないですか?」
マミ「ええ、大丈夫よ。ありがとう」
まどか「どうしよう…病院に行った方がいいよね?」
さやか「うん、そうだね」
マミ「ううん、病院は大丈夫よ…お薬もあるし」
まどか「でもっ…」
マミ「心配してくれてありがとう、でも大丈夫だから」
さやか「うーん…マミさんがそう言うなら仕方ないか」
まどか「…じゃあ、何か買って来ようよ!」
さやか「ん、そだね。飲み物とか色々ね」
マミ「そんな、悪いわ…」
まどか「ううん、今だけでもマミさんの役に立ちたいし…ね、さやかちゃん」
さやか「うん、だから遠慮なんていりませんよ?」
マミ「…ありがとう」
まどか「何か食べたいものありますか?」
マミ「そうね…」
さやか「何でもいいですよ?」
さやか「えっ?ティロ?」
マミ「あっ…な、何でもないわ」
まどか「ティラミスですね?わかりました!」
さやか「あっ、ティラミスか」
マミ「…で、でも」
まどか「行こっ?さやかちゃん」
さやか「うん、行こ行こ」
まどか「マミさんは眠っててくださいね?」
さやか「無理しちゃダメですよ?」
マミ「……うん、わかったわ。ありがとう」
まどか「えへへ、いってきます」
さやか「いってきまーす」
マミ「いってらっしゃい」
マミ「ふふっ、誰かに看病してもらうのなんて何年ぶりかしら?」
マミ「嬉しいなぁ…ありがとう、鹿目さん、美樹さん」
マミ「…でもなんで私に良くしてくれるのかしら?」
マミ「私が先輩だから…?」
マミ「………」
さやか「だねぇ、まぁ魔法少女と言っても人間だしさ」
さやか「その辺は普通の人間と変わらないんじゃないの?」
さやか「不死身ってわけでもないんだし」
まどか「そっかぁ、そうだね」
まどか「…あれ?ほむらちゃんだ」
さやか「あ、ほんとだ」
まどか「ほむらちゃーん」
さやか「そんなとこで何してんの?」
ほむら「別に、たまたま通りかかっただけよ」
さやか「あっそう」
ほむら「あなた達は何をしているの?」
まどか「マミさんのお見舞いかな」
ほむら「…?巴マミのお見舞い?」
まどか「うん、マミさんお熱があるみたいなんだ」
ほむら(なぜ巴マミが…風邪なら魔法で…)
まどか「だからマミさんに色々買ってあげなきゃいけないの」
まどか「良かったら、ほむらちゃんも一緒に行かない?」
ほむら「…いえ、遠慮しておくわ」
まどか「……そっか」
さやか「んじゃ行こっか、まどか」
まどか「う、うん…ばいばい、ほむらちゃん」
ほむら「さようなら」
まどか「あはは…でも仕方ないよ」
さやか「そおー?」
まどか「うん、それよりも早く買いに行こうよ」
さやか「んー、わかってるって」
ほむら「巴マミ…」
ほむら(なぜ風邪を…?)
ほむら(魔法が使えない事情があるとでも言うの?)
ほむら(例えば…グリーフシードがなくなったとか?)
ほむら(だとすれば…)
ほむら「………よし」
ほむら「時間停止」
ほむら「ドアは開いているのね」
ほむら「魔法少女とは言え、巴マミも中学生なんだから戸締まりはきちんとしないと危ないのに…」
ほむら「仕方ないわ、後ほ私が戸締まりをしておくしかないわね」
ほむら「それよりも…」
マミ「」
ほむら「…巴マミ、こうして見るとやっぱり中学生なのね」
ほむら「さて、ここに来たのはいいけど…どうしよう」
ほむら「本人に話しかけると面倒なことになりそうだし…」
ほむら「ここは、私の勘に頼るしかなさそうね」
ほむら「んと…」ガサゴソ
ほむら「これだけあれば大丈夫かしら?」
ほむら「うん、大丈夫よね」ファサッ
マミ「」
ほむら「巴マミ……」
ほむら「これはその時のお礼…とは言えないけど、受け取って欲しいわ」
ほむら「…さようなら」
マミ「」
ほむら「さてと、後は戸締まりを…あっ」
ほむら「私が戸締まりしたら、私も外に出られないじゃない…」
ほむら「なら、戸締まりはしなくても…でも、万が一のことがあったら…」
ほむら「巴マミは魔法少女だから大丈夫だとは思うけど…でも万が一…ないとは思うけど」
ほむら「もしものことがあったら…」
ほむら「うーん………」
ほむら「……仕方ないわね」
さやか「うん、えーと?」
さやか「アイスよし!ポカリアスよし!バランスメイトよし!」
さやか「とりあえずこんなもんかな?後は…玉ねぎとか?」
まどか「玉ねぎ?何に使うの?」
さやか「ほら、首にまくと良いって言うじゃん」
まどか「玉ねぎ首にまくって…アスランじゃないんだから」
さやか「アスラン?なにそれ?もうやめるんだ?」
さやか「ん?……それ、アシュラじゃないの?」
まどか「え?あっ…!」
さやか「あははっ!まどかってほんとバカ!」
まどか「うぅ…」
さやか「まっ、間違いなんて誰にもあるさ!気にしない気にしない」
まどか「…うん、そうだね」
さやか「うんうん」
まどか「って!違うよぉ!」
まどか「何で玉ねぎを首にまくの?それってネギじゃないの?」
さやか「えっ?ん?……あぁ!」ポン
さやか「あはは!やっちゃったぜ!」
さやか「あたしってほんとバカ!」
まどか「もぉー!さやかちゃんが変な間違いするからいけないんだよ?」
さやか「はいはい、ごめんね。んじゃ帰ろっか」
さやか「あー…うん、忘れてないよ」
まどか「…」ジトー
さやか「あはは…」
まどか「もう、早くケーキ屋さんに行くよ?」
さやか「それにしても、何でティラミスなんだろうね?」
まどか「好きだからじゃないの?」
さやか「んー、そりゃそっか」
まどか「ほら、行こっ?」
さやか「うん!」
マミ「ただいま、ママ」
母「お帰りなさい、マミちゃん」
母「今日は何をして遊んだの?」
マミ「えへへ、魔法少女ごっこだよ」
母「魔法少女?」
マミ「そうだよ。マミがね、魔法少女に変身してお友だちを守るんだよ!」
マミ「うんっ!」
マミ「でもね?お友だちに『マミちゃんはひっさつわざがない』って言われたの」
母「必殺技?」
マミ「うん、良いお名前が思い付かないの…」
母「うーん…そうねぇ…魔法少女なんでしょ?」
マミ「うん」
母「なら…アイスストーム、ダイアキュートとかは?」
母「えっ、鉄砲?魔法じゃないの?」
マミ「ううん、魔法の鉄砲だよ」
母「なんで?」
マミ「かっこいいから!」
母「ふふっ、そっか」
マミ「えへへ」
母「そうね…どんな時に必殺技を使うの?」
母「最後…ならラストシューティングかな?」
マミ「らすとちゅーちんぐ?」
母「ふふ、どう?かっこいい?」
マミ「んーちがう」
母「あらっ…頭がやられても大丈夫そうな名前なんだけどなぁ」
マミ「?」
母「あっ、何でもないよ」
母「ううん、英語よ?」
マミ「いたりあ語なら何て言うの?」
母「えっ?イタリア語?」
マミ「うんっ」
母「え…なんだろう?フィナーレ…?」
マミ「ひなーれ?」
母「うーん…ちょっと調べてみるね」
マミ「わかったー」
マミ「…」ワクワク
母「あった、これは…て、ティロ…?」
マミ「てぃろ?」
母「うん、ティロ・フィナーレね」
マミ「てぃろひなーれ!」
母「ふふっ、どう?今度はかっこいい?」
マミ「うん、かっこいい!」
母「そう、良かったね」
母「気に入ったみたいね」
マミ「ママ、悪い人が来たらマミがてぃろひなーれでマミを守ってあげるね!」
母「ふふ、ありがとう。頼もしいわ」
マミ「てへへっ」
母「でもね?ママだけじゃなくて、みんなも守らなきゃね」
マミ「うんっ、ママもパパもお友だちも、マミがてぃろひなーれで守ってあげるの」
母「うふふっ、頑張ってね?」
母「それじゃあママと約束しよっか?」
マミ「やくそく?」
母「うん、マミが大きくなった時、大切なお友だちが困っていたら助けてあげてね」
母「そして、そのお友だちと仲良くするのよ?」
マミ「うん、やくそくするー!」
マミ「マミ、お友だちを守って仲良くするね!」
母「ふふ、いいこいいこ」
マミ「えへへ」
さやか「うん、ばっちりよ!」
まどか「それじゃあ帰らなきゃ」
さやか「うん」
さやか「あと少しだね」
まどか「うん…あれ?ほむらちゃんだ」
さやか「うわ、また出たよ」
さやか「で、なに?マミさんに用でもあんの?それともあたし達に?」
まどか「さやかちゃん…」
ほむら「あなた達に忠告しておくわ」
さやか「なに?また魔法少女になるなとか?」
ほむら「…そうじゃないわ」
さやか「じゃあ何さ?」
ほむら「戸締まりはしっかりしておきなさい」
まどか「あっ…」
ほむら「魔法少女とは言え、巴マミは中学生よ?万が一のことが起こったらいけないわ」
さやか「…あ」
ほむら「次からは気を付けなさい」
さやか「…う、うん。ごめん」
まどか「もしかして、ほむらちゃんが見守っててくれたの?」
ほむら「………」
シュンッ
さやか「き、消えた!?」
まどか「ほむらちゃん…」
さやか「これも魔法なの?」
まどか「うん、たぶんそうだよ」
さやか「それよりも、まさかあいつがマミさんを見守ってたって言うの?」
まどか「うん、絶対そうだよ」
まどか「ほむらちゃん、ありがとう」
さやか「あいつ、良いやつなのか、そうじゃないのか分かんないんだよねぇ」
まどか「ほむらちゃんは悪い子なんかじゃないよ?良い子だよ」
さやか「なんで分かるの?」
まどか「わたしも、ほむらちゃんとあんまり話したこと無いけど…」
まどか「でも、なんとなく分かるの」
さやか「…もっと話してくれれば色々分かるのにさ」
まどか「さやかちゃん…」
さやか「それなら友だちにだって…」
まどか「うん…そうだね」
さやか「まぁこの話はまた今度!早くマミさん家行こっ!」
まどか「…うん」
まどか「おじゃまします」
さやか「次からは気を付けなきゃね」
まどか「うん。マミさんはまだ眠ってるのかな?」
さやか「寝てるんじゃないの?」
マミルーム
まどか「失礼しまーす…」
マミ「すぅ…すぅ…」
まどか「うん」
マミ「お母さん…」
まどか「!」
さやか「マミさん…」
マミ「…ん?」パチッ
まどか「あっ…」
マミ「あら…鹿目さん…美樹さん…?」
さやか「ごめんなさい、起こしちゃいましたね」
まどか「マミさん、ティラミス買って来ましたよ」
マミ「ティラミス…?あっ!」
マミ「ご、ごめんなさい…寝ぼけてて…」
まどか「あっ、いえ、そんな…」
マミ「買ってきてくれたのね?ありがとう」
さやか「熱はどうですか?」
マミ「…うん、お陰さまで随分楽になったわ」
さやか「そっか、よかった」
まどか「でもまだ安静にしとかないと…」
マミ「ふふ、そうね」
まどか「うん、お願い」
マミ「美樹さん、ありがとう」
まどか「わたしは…あれ?」
マミ「どうしたの?」
まどか「マミさん、グリーフシード置きっぱなしですよ?」
マミ「えっ?グリーフシード?」
まどか「ほら、こんなところに」
マミ「あれ?なんでそんなところに…?見せて?」
マミ「…?このグリーフシードは見覚えないわ」
まどか「えっ?」
マミ「これも、これも、これも…私は知らない…」
マミ「これは一体…?」
まどか「あっ、もしかして…」
マミ「!」
まどか「そのグリーフシードはほむ…」
マミ「暁美さん、来てくれたのね」
マミ「ふふ、ほらこの髪の毛」
まどか「あっ、それって…」
マミ「うん、これは間違いなく暁美さんのものだわ」
まどか「ほむらちゃん…!」
マミ「でも、どうして暁美さんが?」
さやか「さっきあいつと会ったときにマミさんのこと話したから…かな?」
さやか「なんでグリーフシード持ってきたのかは知らないけどさ」
マミ「…そっか、ありがとう」
マミ「暁美さん…!」
さやか「…不器用なやつ、もっと話してくれてもいいのにさ」
さやか「それなら、あたしだって…」
マミ「そうね、もっとお話しできれば暁美さんとも仲良くなれると思うわ」ニコニコ
マミ「うん、嬉しいわ。だってあの暁美さんが私のところに来てくれたんだからね」
まどか「ほむらちゃん、ずっとマミさんのこと見守っててくれたんですよ」
マミ「えっ?そうなの?」
さやか「まあ、本人は何も話さなかったから本当かどうかは分からないけどね」
まどか「でもっ」
さやか「うん、わかってる」
マミ「今度、改めて暁美さんとお話ししたいわ」
マミ「お礼しなきゃね!」
さやか「…ま、あたしもついでに、一応」
まどか「てぃひひ!素直じゃないんだから」
さやか「い、いいじゃん別に!」
マミ「うふふっ」
さやか「それよりも、ほらっティラミスですよ」
マミ「わざわざごめんなさい」
まどか「良いんですよ、いつものお礼です」
さやか「はい、どうぞ」
マミ「うん、いただきます」
まどか「美味しいですか?」
マミ「うん…」
さやか「あれ?マミさん?」
マミ「………」ポロポロ
まどか「ど、どうしたんですか?美味しくなかったの?」
マミ「…ううん、とっても美味しいわ」
マミ「ちょっと懐かしくってね」
まどか「懐かしい?」
マミ「うん、昔を思い出したの」
マミ「小さい頃にね、私が病気になった時はよくお母さんがティラミスを買ってくれたのよ」
さやか「あっ、だからティラミス食べたかったんだ!」
マミ「ええ、懐かしくってついね」
マミ「……それに、誰かに看病してもらったのも久しぶりでね」
まどか「マミさん…」
マミ「でも、今はもうひとりぼっちじゃないのよね?」
マミ「鹿目さんと美樹さんが看病してくれて…暁美さんもお見舞いに来てくれたんだもの」
さやか「マミさん…!」
マミ「ありがとう、鹿目さん、美樹さん」
マミ「私、今凄く幸せよ!」
まどか「えへへ、ありがとうございます」
さやか「てへっ、嬉しいね」
まどか「マミさん…わたし、さやかちゃんと考えたんです」
マミ「えっ?」
まどか「わたし達、まだ叶えたい願いも、魔法少女になる決心もつけられないんです」
マミ「…そうよね、無理して契約する必要なんて無いもの」
まどか「でも、マミさんの側にいることはできるから…だから」
マミ「!」
さやか「それくらいしか出来ないけど…でもっ!マミさんの力になりたい!」
さやか「いつか魔法少女になった時も、ずっとマミさんと一緒に…!」
マミ「美樹さん…鹿目さん…」
まどか「全然役に立てないかもしれないけど…わたし、少しでも役に立てたらなって」
まどか「マミさん…ダメですか?」
マミ「ううん、ダメだなんてそんなっ」
マミ「すっごく嬉しいわ…!ありがとう!」
マミ「あなた達は最高の後輩よ!」
さやか「最高の後輩…か」
マミ「えっ?」
さやか「えっ?あ…う、嬉しいんですけど、マミさんにとってあたし達は…その」
さやか「後輩で、友だちじゃないのかな…って」
マミ「…!」
さやか「あはは…」
まどか「マミさん…」
マミ「ごめんなさい、美樹さん、鹿目さん」
マミ「あなた達は、最高のお友だちよ!」
まどか「えへへ、マミさん!」
さやか「そうこなくっちゃ!」
マミ「うふふっ」
マミ(だって、私のことを想ってくれるお友だちがいるんだものね)
マミ(私、本当に幸せよ!)
マミ(鹿目さんに、美樹さん…きちんと話し合えば暁美さんとだって)
マミ(それに…佐倉さんとも、またいつかは…!)
マミ(だから私、これからも頑張らなくっちゃ!)
まどか「がんばれー!マミさーん!」
さやか「いっけー!」
マミ(まだ私はお母さんとお父さんに会いにはいけないわ、ごめんなさい)
マミ(お母さん、私…約束したよね?)
マミ(私が大切なお友だちを守るって)
マミ(だから、またいつか会うその日まで待ってて)
マミ(私はまだまだ死ぬわけにはいかないもの)
マミ(この幸せな気持ちを守るために)
マミ(そして、ずっと仲良しでいるために!)
マミ(だから私はこれからも戦うわ)
マミ(お母さんが考えてくれた、この思いでの必殺技でね)
マミ「ティロ・フィナーレ!」
おわり
Entry ⇒ 2012.03.12 | Category ⇒ まどかマギカSS | Comments (0) | Trackbacks (0)
火憐「それじゃ私、歯磨いて寝るね……」
http://hayabusa.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1330683399/
暦「……さて、じゃあ僕も自分の部屋に戻るかな、歯磨いてから」
月火「お兄ちゃんも?ちょっと二人共、最近健康的すぎない?」
火憐「……」
暦「……」
月火「ん?」
暦「開いてるよ」
火憐「お、おじゃまします」
暦「ん、今日は遅かったな」
火憐「うん……月火ちゃんがさ」
暦「ちょっとヤバかったかもな。流石に怪しみ始めてるか」
火憐「……にいちゃん、やっぱり兄妹でこういうのは」
暦「火憐ちゃん、この間も同じこと言ってたぜ?」
火憐「……ッ」
火憐「え、ふぇ?」
暦「確かに火憐ちゃんの言うことも一理ある。普通は兄妹でこんなことはしないし、
何より月火ちゃんにばれた時のことを考えると」
火憐「え、ちょ、にいちゃん?」
暦「それに火憐ちゃんが本気で嫌がってるのなら僕は実の兄として失格だ。
僕は火憐ちゃんのよき兄のままでいたいからな。
火憐ちゃんがそう言うのなら今後こういうことは」
火憐「……さい」
暦「ん?」
暦「んー?聞こえないなー。嫌ならはっきり言ってくれよ火憐ちゃん。
僕はよき兄のままでいたいんだから」
火憐「や、やめないでください!お願いします!」
暦「へぇ?火憐ちゃん、さっきはあんなに嫌がってたじゃないか」
火憐「そ、それはにいちゃんが!」
火憐「ご、ごめんなさい!ちがいます!そ、そう、月火ちゃんが……」
暦「ふーん、今度は妹のせいにするわけね。兄だから言うけどさ火憐ちゃん、
それって結構最悪なことだと思うぜ?」
火憐「ち、ちが……ちがいます、そんなつもりじゃ……ふ、ふぇええ……」
暦「あーあ、泣いちゃったよ」
火憐「ヒッ、クッ……うぅ……」
暦「それにさ、よくよく考えてみれば気持ちいいのは火憐ちゃんだけじゃないか。
そもそも僕には何のメリットもないんだから、辞めようが辞めまいが僕的にはどっちでもいいんだけど」
火憐「う……ヒック、いやぁ……」
暦「嫌?あーやっぱり嫌なんだ。じゃあ金輪際火憐ちゃんを気持ちよくしてあげるのは無しだな。僕も貴重な時間を割かなくてよくなっt」
火憐「いやぁ!やめないでぇ!!何でもするから……何でも言うことききますからぁ!!」
火憐「ち、ちが、そんな訳……ない、です」
暦「……」
火憐「うぅ……、嘘です……くなりたいです……」
暦「聞こえない」
火憐「き、気持よくなりたいです……」
暦「なに?具体的にどうして欲しいの?ちゃんと言ってくれないとわからないぜ?」
火憐「わ、私の……エッチな口を……にいちゃんの、いやらしい歯磨きで気持よくして欲しいです!!」
暦「よく言えたね火憐ちゃん、じゃ準備しようか」
暦「ハハッ、ごめんよ火憐ちゃん。火憐ちゃんが困る顔がすごく可愛かったからさ、ついイジメたくなるんだよ」
火憐「酷いよにいちゃん……私、これっきりにいちゃんに歯磨きしてもらえなくなると思うとすっごく怖かったんだからな……」
暦「ばかだなぁ、そんな訳ないじゃないか。火憐ちゃんちゃんの歯磨きは僕のものだからな、他のやつに譲る気はねぇよ」
火憐「う、うん、にいちゃん。えと……それとね、今日はひとつお願いがあるんだ」
暦「なんだい火憐ちゃん、何でもこの僕に言ってみな。今の僕はたとえ火憐ちゃんから処女を貰ってくれと頼まれても、余裕でオッケーしちゃう勢いだぜ」
火憐「ちょ、にいちゃん!しょ、処女だなんて恥ずかしいよ……、えとね、お願いっていうのはコレ」
暦「こ、これはっ……!!」
また発泡剤の独自の配合比率により、リッチでクリーミーな泡立ちが実現した、それはまるで洗顔フォームのような心地よさの、きめ細やかな泡で「お口本来の美しさ」を引きだす、独自処方による泡『マイクロホイップ』を配合した……!」
火憐「さっすがにいちゃん!そう、これが……」
暦「あ、アクアフレッシュ エクストリーム クリーン!!!」
火憐「うん、月火ちゃんがおしえてくれたんだぁー、これで歯磨きするとすっごく気持ちいいんだって」
暦「確かに……その歯磨き粉は気持ちい。そう危険なくらい……」
火憐「ほらほらにいちゃーん、早くみがいてくれよぉ、もうがまんできねーよぉ」
暦「……ッ、だ、ダメだ火憐ちゃん、歯磨きはしてやるがその歯磨き粉だけは絶対だめだ!ほ、ほら、そんなもの使わなくたって、いつものクリアクリーン(3本パック)でいいじゃないか、な」
暦「う、あ、いや、嘘はつかないぜ?歯磨きはしてやるよ、うん、歯磨きは絶対する。その歯磨き粉が問題なだけであって、なんなら僕とっておきの「ウエルテック コンクール ジェルコートF」を使ってやってもいいんだぜ、っておいホワイトニング+じゃねーか!絶対だめだ!!」
火憐「にいちゃんがネットの情報に踊らされて買った、1,000円以上もするようなムダに高いだけの歯磨き粉なんて嫌!月火ちゃんもコレで磨いてるって言ってた!絶対コレ使う!」
暦「火憐ちゃん、いや火憐、本気……なんだな?」
火憐「もちろん!にいちゃんは何をそんなに心配してるんだ?たかが歯磨き粉じゃないか。そりゃ他よりちょっと高かったけどさ」
暦「いや、お前にその覚悟があるんなら、僕はもうなんにもいわねーよ。ほら、こっちきな」
火憐「スー……ハー、ってにいちゃん、今から歯磨きするんだよな?」
暦「あぁ」
火憐「なんで歯磨きするだけなのに、にいちゃんのベッドに横になって深呼吸しないきゃいけないんだよ」
暦「歯磨き……して欲しいんだろ。その、アクアフレッシュエクストリーム クリーンで……しかもホワイトニング+……」
火憐「いや、そうだけど……にいちゃん、なんか変だぞ」
暦「そんなことねぇよ……ほら、腕上げて」
火憐「ん、こう?」
ガチ ガチャン
暦「足は……別々で繋ぐか、火憐ちゃん、軽く足開いて、ホラ」
ジャラ
ガチャ ガチャン
火憐「ちょっと待って!にいちゃん!ちょっと待ってって言ってるじゃん!」
暦「なんだよ火憐ちゃん。僕はさっき、たしかに聞いたぜ?さっきお前、本気っていったよな?」
火憐「た、たしかに言ったけどさ、なんで歯磨きするだけで私はにいちゃんのベッドに拘束されてるんだよ。ちょっと、怖いよ……」
暦「安心しな火憐ちゃん、僕は怖いことなんてしない。むしろ逆だ、スッゲー気持よくしてやるよ。火憐ちゃんが本気なら、僕もそれに答えないといけない」
火憐「ご、ごめんなさい……」
暦「いーよ、もったいないけど最初の何グラムかは捨てるか。よし、じゃあ火憐ちゃん、目を閉じて、ゆっくり口を開けて」
火憐「う、うん……あーん」
暦「いくぞ、無理だろうけどなるべく暴れないようにしてくれよ」
暦「……」
火憐「……」
シャコシャコ
火憐「あ、ほんほら、このあわきもひいい」
暦(まだまだ余裕だな、だがこれからが本番だ。アクアフレッシュ エクストリーム クリーンのマイクロホイップは従来のそれより素早くなめらかに泡立ち、そしてお口全体に広がっていく……)
シャカシャカ
火憐「ふ…・…ん……ッ」
シャカシャカシャカ
火憐「はぁ……あ、あん」
暦「どーしたよ火憐ちゃん、もう気持ちよくなってきたのか?」
暦「そーかよ、まぁ慌てずやるさ。火憐ちゃんは奥歯から派だからな、まずは右の奥歯から」
火憐「あッ、はぁ!……ん、あぁ」
暦「次は左、歯と歯茎の間に沿って……マイクロホイップを馴染ませるようにして」
火憐「あ、あはぁ……ふぁあ」
暦「まだまだ余裕そうだな、さすが火憐ちゃんだぜ」
火憐「ほ、ほうだよ、にいひゃんの歯磨きはたしかに、きもひいいッ、けど……ッ、んあッ」
暦「けど?」
火憐「てあひ、ひばってまで……ッ、やることひゃ」
暦「そうかー余裕かーじゃあもうちょっと強くしても大丈夫だよなー火憐ちゃんなら」
ジャコジャコジャコ
火憐「ひッ!?ちょ、まっへ……んんぁああ!?」
シャカシャカシャカ
暦「ほらほらどうした火憐ちゃん?さっきよりちょっと強くしただけ、しかもまだ一番鈍感な奥歯だぜ?」
火憐「ほんなことッ……いっひゃっへぇ、はぁあん!」
暦(そう、普通なら不快に感じる強さでブラッシングしてもそれが快感に変わってしまう、従来の泡と比べて約3分の1のきめ細やかさのマイクロホップだからこそだ)
暦「ほら、次は前歯行くぞ。唇の裏まで丁寧に磨いてやる」
火憐「ほ、ほこぉ!うわくひびるのうらぁ!ら、らめぇえぇッ!」
暦「そうかそうか、僕も飛ばしすぎたかな。じゃあ今度はこっちな」
火憐「うぅ……えあぁ!?あ、あひゃああ!?」
暦「舌の裏、どうだ?気持ちいいか?」
火憐「う、うんッ!きもひッいいッ、ぃひぃい!ひひゃぁ!ひひゃのうらきもひよしゅぎひゅうぅう!」
暦「ノッてきたな火憐ちゃん、一回舌の裏でイッとくか」
シャコシャコシャコシャコシャコ
火憐「んひぃッ!らめらめ!ッほんほにひゃめぇ!にゃにかくゅうッ!にゃにかきひゃうぅううッッ!!」
暦「ほら火憐ちゃん!我慢するなって!ほらっ!」
火憐「くひゅううううんんんんッーーーーーっんッはぁあああん!」
ビクビクンッ
暦「ふう、まぁまぁ頑張ったほうだぜ火憐ちゃん。すごいじゃないか」
火憐「え……えぁ……ッ、あはぁ……」
暦「あーあー涎垂らしながら白目剥いちゃって」
火憐「に、にいひゃん……」
暦「んー?」
火憐「あにょね、ひゅごく……んッ、キモひよかったよ……」
暦「……ッ、そうかよ!クソッ!」
火憐「ひぇ?に、にいひゃん?なにを、ッんむグゥ!?」
火憐「や、いやぁ!にいひゃん!?にゃんで……ッ、い、いまぁ、びんかんだかひゃぁッ、そんにゃにつよくぅんあぁああ!?」
暦「くそッ!くっそッ!!なんで……お前が……僕の妹なんだよッ!」
火憐「ひぇ……?」
暦「もし火憐ちゃんが……僕の妹じゃなかったらッ!……いや、妹だからこそ!!」
火憐「にいひゃん……」
暦「……わ、わるい火憐ちゃん、僕どうにかしてた。ちょっと頭冷やしてくるわ」
火憐「……」
火憐「……いいよ」
火憐「だから……ね、にいちゃんなら、その……いいかなって」
暦「いいって、一体なにが……」
火憐「だから!にいちゃんなら、特別にこれからずーっと私の歯……磨かせてあげても、いい……かなって」
暦「そ、それって!」
火憐「もう!一応わたしだって女の子なんだから!女の子の口からいわせんな!恥ずかしいから早くコレ外して!」
暦「あ、あぁ!悪い」
カチャカチャ
暦「違うんだ火憐ちゃんこれはつまり相手が火憐ちゃんだからであって
戦場ヶ原とか羽川とか千石とかまぁ神原は頼んだら喜んでやってくれそうではあるが
つまりは本当に愛している人にしかしない僕なりの愛情表現であって相手が
リアル妹だからって逃げられないようしようだとか決してそういうつもりでh」
火憐「じゃあ罰として!」
暦「ば、罰としまして……?」
火憐「ギュってした後、続き……して?」
暦「ぐッ……うぉおおおおおおおおおッッッ!!!」
ギュー
火憐「や、にいちゃん、恥ずかしい……それにちょっと痛いよ」
暦「背なんて僕より高いくせになんでこんなに細いんだよ!柔らかいんだよおぉ!」
火憐「にいちゃんそれより!はやく……つづき、もっと気持ちよくなりたいよ」
暦「あぁ!気持よくしてやるよ!ほら口開けて!残りのアクアフレッシュ エクストリーム クリーン全部使うから覚悟しろよ!?」
暦「あぁわかってる、全力で火憐ちゃんに気持ちよくなてもらう」
火憐「うん、にいちゃん……あーん」
暦「いくぞ」
火憐「んあ、ん……えひゃ!?い、いきなひ、ひひゃ!?」
暦「そうさ、最初から舌を責めさせてもらうぜ火憐ちゃん!しかもいきなり根本のほうだ!」
火憐「うぐぅ、う、ぶへぇ……ウェ、ゲホッゲホ!」
暦「いい感じにエズイてるじゃないか火憐ちゃん、でも吐くまでは責めないぜ」
火憐「ウゲ、ゲホッ……ウエェ!」
暦「嘔吐一歩手前をギリギリ維持される、最初は不快でもだんだん……」
火憐「げぇ、エァ、ウ、うぅ……にいひゃん、やめ、ホントに吐きそ、ウゲェ!」
火憐「はぁ!?なに馬鹿なこと、ッウエェ、言って……ガ、ガハッ」
暦「くっそ!チクショウ!可愛いなぁマジで!羽川より可愛いんじゃないのか!?
戦場ヶ原なんて全く問題にならねーよ火憐ちゃん!!オラ、出しちまえよ!ほら!!」
火憐「あぁ……らめぇ!ホンほにッ、でひゃう、ゲェ、で、でひゃうううううえぇええ!!」
暦「おっとあぶねぇ!」
火憐「う、ゲホッゲホッ!う、うぅ……」
暦「火憐ちゃん、大丈夫か?」
火憐「この……バカアニキ!!ホントに出そうだったんだから!本当に……う、うえぇええ」
暦「ちょ、ごめんなさい。泣かないでください、何でも言うこと聞くからマジで」
火憐「ヒッ……うぅ、じゃじゃあ今度からはちゃんと普通に磨くこと!」
暦「はい」
火憐「アクアフレッシュ エクストリーム クリーンを使うこと!」
暦「え……はい」
火憐「それと、あともう一つ……」
暦「え、ちょっと今テレビ見てるんだけど、これが終わってからでm」
火憐「うわ……今すっごい吐きそう……」
暦「じゃあ月火ちゃん、僕、火憐が呼んでるみたいだから上行くわ。あ、出来たら録画しといてほしいなーなんて」
火憐「にいちゃん!吐くよ!?」
暦「ハイハイ」
月火「……」
月火「……うん?」
火憐「文句いわないの!自分でするの怖いんだもん。月火ちゃんに頼むのはもっと怖いし……」
暦「あーハイハイ、で耳かき買ってきたんだろ?ほら、膝枕してやっからコッチ来い」
火憐「えへへー、今回も月火ちゃん愛用の耳かきアイテムなんだぜー」
暦「へーそうなのかよ、まぁ歯磨きじゃないからアクアフレッシュ エクストリーム クリーンみたいなことには……、こ、これはッ!」
火憐「そう!『選ばれる品質の良さ』、厳選された天然コットンを100%使用した、ソフトでほつれにくい綿球は、抗菌コートによりバクテリアの繁殖をシャットアウト、軸は、耳や鼻にもやさしい、しっかりとした使用感の天然パルプを採用……!」
暦「完全国産製で、品質の良さから長年にわたって愛用され続けている……!」
暦・火憐「ジョンソン・エンド・ジョンソン ジョンソン コットン綿棒(200本入)!!!」
以上、ステマ終了
Entry ⇒ 2012.03.12 | Category ⇒ 化物語SS | Comments (1) | Trackbacks (0)
古畑「キルミーベイベー……?」
http://hayabusa.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1330867251/
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古畑「ミルキィホームズ……?」
古畑「IQ1300……?」
何かあったんじゃないかと気にしてあげてください。
もしかしたら何か悩みがあるのかもしれませんし、
あるいは身体の具合が悪いのかもしれません。
ひょっとしたら、人を殺した後なのかも……」
やすな『やあ、やすな。実は私は、海外に住んでいたことがあるから外国語を話せるんだ』
ソーニャ「……」
やすな『へー、すごいねソーニャちゃん。まるで私のオサイフみたいだね』
ソーニャ「…………」
やすな『え、やすな。それはどういう意味だい?』
ソーニャ「………………」
やすな『ペラペラってことさ!』
ソーニャ「………………おい」
やすな『あははははははははははははははは』
ソーニャ「いい加減にしろ、まだそのパペット持ってたのか!
しかも面白くないし!」ぐいっ
やすな『いたっいたたたた、首が、首が折れる!』
やすな「ちょっ、本当に痛いっ、指が折れちゃう!」
ソーニャ「だいたいなんだよさっきの声は。
妙に甲高い声しやがって」
やすな「へっへ~ん。知らないの?
吸い込むと声が変わるガスがあるんだよ。
パーティーグッズだよ、パーティグッズ。
元々は別の用途に使われていたんだけど……」
ソーニャ「あーそう」
やすな「ソーニャちゃんも使ってみたい?
でも残念でしたー、もう使い切っちゃったから残ってませーん」
ソーニャ「……いや、別に興味ない」
やすな「またまたそんなこと言ってー
本当は興味津々なくせにー」
ソーニャ「ないって言ってるだろ!」
やすな「ふんふんふ~ん♪」
ソーニャ「あれ、お前携帯変えたのか?」
やすな「そうなのです。最新の超薄型スマホに機種変しました!
どう、ソーニャちゃん。スマートでしょ」
ソーニャ「使ってるお前はバカっぽいけどな」
やすな「ひどい!」
ソーニャ「だいたい、お前がスマホを使いこなしている図が想像できない。
むしろ機械に使われるタイプだろ」
やすな「そんなことないよ!
今もこうやってケータイ向けの
お得なサービスを使ったりして……あ」
やすな「ソーニャちゃん。帰り、カラオケ寄って行かない?」
ソーニャ「メルマガの割引クーポンか。
まあ、お前にしては使いこなしてるな」
やすな「えへへー、このカラオケボックス、よく行くんだー♪」
……。
?「ふふふ、アイツら油断してるな。隙だらけだ」
やすな「キルミーベイベー♪ どしたのワサワサ」
ソーニャ「キルミーベイベー♪ なんでもナーミン」
やすな「キルミーベイベー♪ やるならカモカモ」
ソーニャ「キルミーベイベー♪ あんだとドーン!」
やすな「ふー、次は何歌おうかなー」
ソーニャ「待て、次は私の番だ。『アナザー・ウェイ・トゥ・ダイ』を……」
やすな「えい、割り込みー」ピッ
ソーニャ「貴様……」
やすな「ええっ!? 銃を抜くほどお怒りに!?」
やすな「はい……と見せかけて、ていっ!」ヒョイッ
ソーニャ「あ、お前、銃を!」
やすな「へへーんだ! って何この銃。
よく見ると可愛いー。オモチャみたい」
ソーニャ「可愛いとか言うな!
大統領暗殺に使われた銃がルーツになってる
由緒ある暗殺用の拳銃なんだぞ!
って言うか返せバカ!」ばっ
やすな「ダメだよ、没収だよ没収!
こんなの女の子が持ってちゃダメだよ!」ジタバタ
ソーニャ「お前が持ってる方がもっとおかしいだろ!」ぐぐぐ
やすな「痛い痛い離してー」ジタバタ
没キャラ「やいお前ら、ここであったが百年……」
パァン!
没キャラ「め……?」
――バタリ。
やすな「え……?」
ソーニャ「ば、バカ! お前なんで撃つんだよ!!」
やすな「だ、だってソーニャちゃんが掴みかかってくるから……」
ソーニャ「おい、アンタ大丈夫か!?
しかっりしろ――」
没キャラ「……」
ソーニャ「ダメだ、死んでる」
やすな「ええ――っ!?」
やすな「あわわわ、どうしよう……。
人を殺しちゃうなんて……」
ソーニャ「まあこうなったら仕方ないな。
……自首してこい」
やすな「殺し屋に自首をすすめられた!?」
ソーニャ「だって撃ったのお前だし」
やすな「ひどいよ、ソーニャちゃんは知らんぷりなの!?」
ソーニャ「知らない」
やすな「あれれー、良いのかなそんなこと言っちゃってー。
凶器の拳銃は誰のものなんでしょうねー」
ソーニャ「ちょ、お前……」
やすな「警察に捕まったら、拳銃についてあることないこと言っちゃうかも」
ソーニャ「じゃあ、口封じをするしかないな」
やすな「ああ、目が仕事をする人の目にっ!」
ここでやすなを殺すのはまずいな」
やすな「そう思うなら私の首から手を離してください……」
ソーニャ「とりあえずドアを開けっ放しで死体をそのままってのはマズイ。
部屋の中に引っ張り込むぞ」
やすな「へへーん、一蓮托生だからねソーニャちゃん」
ソーニャ「くそ、なんでこんなことに……」
今泉「キルミーベイベー♪ あそぼよワサワサ」
西園寺「キルミーベイベー♪ だまってナーミン」
今泉「キルミーベイベー♪ どしてもカモカモ」
西園寺「キルミーベイベー♪ うるさいドーン!」
古畑「…………なんなのその歌」
今泉「え、古畑さん知らないんですか?
今流行ってるんですよ、キルミーのベイベー」
古畑「ああそう」
今泉「いつもオールライト♪ だけどソータイト♪」
古畑「……私お手洗い行ってくるよ。
あ、『サントワマミー』入れておいて」
西園寺「承知しました」
ソーニャ「しかし、どうしたものか……」
やすな「このまま帰る……ってわけには
いかないよねー……」
ソーニャ「そりゃ死体置きっぱじゃな……」
やすな「…………」
――コンコン
ソーニャ「っ!」ビクゥ
やすな「はいっ!」
「あのー、ちょっとよろしいでしょうか」
ソーニャ「やばい、隠せ隠せ!」
やすな「あわわわわわわわ……」
「すみません、警察の古畑と申します」
誰かが通報を……?」
ソーニャ「いいから隠せ!
ソファーの影に押し込んで、荷物でも前においとけ」
やすな「あわ、あわわわわ」
「あのー」
ソーニャ「はいはい、どうしたっ?」
「いやー、ドアの前にですね、血の跡が……
この部屋のすぐ前なので気になりまして……」
ソーニャ「しまった。血痕を拭き取ってなかった。
もはやこれまでか……」
やすな「どんだけドーン!」ドガッ
ソーニャ「!?」
ガチャ――
古畑「あ」
やすな「すいません、古畑さんでしたっけ?」
古畑「どうされたんですか、ティッシュで鼻を抑えて。
なんというかその、赤く染まっていますけど」
やすな「さっき転んだ時に鼻血が……
えーと、それで何の用ですか」
古畑「えー、ドアの前に血の跡があったので気になったんですが」
やすな「……うわ! こんなところにも血が」
古畑「んーふふふ、相当派手にぶつけられたみたいですね」
やすな「ううう……部屋に入るときに垂れたのかな。
恥ずかしい」
古畑「あっはっは……いや、失礼しました。
私、殺人が専門なもので血を見るとつい気になってしまって」
古畑「いえいえ、そんなことはないのでご安心ください。
今日はプライベートで遊びに来ているだけで」
やすな「そうですかー、あっはっは……」
ソーニャ「お、おい、次の歌始まるぞ」
やすな「あ、ゴメンねソーニャちゃん。
じゃあ失礼します。すいません、なんか驚かせてちゃって」
古畑「いえいえ、とんでもない。
こちらが勝手に気になっただけですから。
失礼しましたー。
……あれー?」
やすな「……ど、どうかしました?」ビクッ
古畑「いえー、なんか匂いませんか?
火薬の匂いがするような」
やすな「あ、さっきクラッカー鳴らしたからかな?」
古畑「クラッカー?」
やすな「そう、パーティーとかで使うあのクラッカー。
盛り上がるかなーと思ってパンパン鳴らしたんですよ。
ね、ソーニャちゃん?」
ソーニャ「あ、ああ、そうだな」
古畑「なるほど、だから火薬の匂いが……
それは楽しそうだー。
あ、すみませんでした、邪魔してしまって」
やすな「いえいえー」
――バタン。
やすな「行ったね……」
ソーニャ「行ったな……」
やすな「心臓止まるかと思ったよー」
ソーニャ「カラオケに来る前に止まってればよかったのにな」
やすな「ひどい!」
ソーニャ「それにしても、血痕の件はお前の鼻血ってことで
なんとかごまかせたみたいだな……」
やすな「何しろ体張ったからね!
でも痛かったよおおおおお」
ソーニャ「ああ、お前はよく頑張ったよ。
急に壁に向かって思いっきり顔をぶつけた時は
ついにおかしくなったのかと思ったけど」
やすな「怪我までしたのにこの言われよう!」
咄嗟によく思いついたな。
そう言えば、銃規制のない国では
実際に銃で事件を起こした犯罪者が硝煙反応を
クラッカーのせいだと主張することもあるらしいが……」
やすな「ふっふっふ、それには理由があるのです」
ソーニャ「?」
やすな「えい」パンッ!
ソーニャ「うわあああああああああっ!?」
やすな「えへへー、びっくりした? びっくりした?
実は本当にクラッカーを持っていたのでしたー。
昨日買ったんだよ!」
ソーニャ「そんなもんばっか買ってるから、
いつも金欠になるんだろ!」
クラッカー鳴らしたくらいでそんなに驚いちゃって。
あ、もしかして銃声だと思った?」
ソーニャ「うるさいっ!!」パンパンパン!
やすな「ぎゃー!! 人に向けてクラッカーを鳴らさないでー!!」
ソーニャ「全くお前は本当に懲りない奴だな……」
やすな「うう……」
ソーニャ「……ちょっとトイレ行ってくる。
余計なことするなよ」
やすな「はい……」
ソーニャ「……ん、このトイレ窓があるのか。
ここから死体を運び出したりできないかな」
――ガラッ
ソーニャ「ダメそうだな……5階から下まで降りるのは無理だ。
せめてロープか何かあればな……。
掃除用具入れに使えそうなものはないか?」
ガチャ――
ソーニャ「モップにバケツにゴミ袋にホース……
ホースは10メートルくらいか?
ロープ代わりに使うには……長さはギリギリだな」
ウロウロ……
ソーニャ「でも待てよ、窓からなんとか下に降りても、
この構造じゃその後どうすればいいんだ……?
それに、エレベーターホールに監視カメラもあったし、
トイレに死体を運び込む時にホールを通るから映っちゃうよな……」
――ピシャン
ソーニャ「ダメだ。出よう」
ソーニャ「やっぱりエレベータホールに監視カメラがあるな……
でも、角度からすると映してるのはホールだけか?
廊下までは映っていないみたいだ」
スタスタスタ……
ソーニャ「廊下の先には外の非常階段に続くドア……
ここからなんとかできないか……?」
ガチャ――ガチャガチャ――
ソーニャ「なんだ? ドアが開かない?
ドアの外に何か置いてあるみたいだな……
くそ、消防法違反だろっ!!」
ガンッ
ソーニャ「結局、いい方法はなさそうだな……
しょうがない、部屋に戻るか。
ん……あれは?」
ソーニャ「あの部屋は……空き部屋か?
何やってんだ、あの店員?」
古畑「あのー、どうかされました?」
ソーニャ「っ!」ビクッ
店員「ああ、すみません。
この部屋にお客様をご案内したはずなのですが、
なぜかいらっしゃらないみたいで」
古畑「お客さん……? 部屋に誰もいないの?」
店員「誰も……と言うか一人です。
赤っぽい髪の、元気そうな女子高生が一人」
古畑「一人でカラオケに? んー、なんというか寂しい子だね」
店員「いえ、ヒトカラ……つまり一人でカラオケに来るお客様はそれほど珍しくはありません。
現に他にも一人で来ているお客さんはいますし。
あの、ところで失礼ですが、アナタは?」
店員「え、警察の方? 何か事件でも?」
古畑「いや、部下と遊びに来ただけ。
それより、そのお客さん本当にこの部屋に来たの?」
店員「間違いありません」
古畑「じゃあトイレに行ってるんじゃない。
あのー、ソーニャさん?」
ソーニャ「え、私!?」
古畑「ええ、ソーニャさん、ソーニャさんですよね?
さっき、そう呼ばれてました」
ソーニャ「ああ、アンタさっきの……
私がどうかしたか?」
古畑「いやー、聞こえていたと思いますけど、
この部屋のお客さんがどっかに消えちゃったみたいで。
もしかしてトイレにいなかったかな……と」
ソーニャ「なんで私に聞くんだ?」
今トイレから戻ってきたところですよね?
だってそのー……手に水滴が」
ソーニャ「……なるほど、アンタ目ざといな」
古畑「んーふふふ、仕事柄細かいとこに目が行くたちでして。
えー、それで、トイレで見かけませんでしたか?
赤っぽい髪の元気そうな女子高生らしいんですが」
ソーニャ「えーと……ど、どうだったかなー……
いなかったと思うけど……」
古畑「だってさ。やっぱり勘違いんじゃない?」
店員「そんなことありませんよ!
あ、そうだ。エレベーターホールの監視カメラに姿が映っているはずです。
そこまで言うなら、管理室で確認してみますか?」
古畑「んー、お願いできる?」
店員「では、こちらへどうぞ。
管理室は一階です」
古畑「ありがと。じゃ、行こう」
ソーニャ「…………」
やすな「あ、ソーニャちゃんお帰りー」
ソーニャ「なんでそんな呑気な声が出せるんだよお前……
それよりマズイことになったぞ。
客が行方不明になってるって店員が騒いでて、
さっきの古畑って刑事が監視カメラを確認しに行った」
やすな「え、えーと……つまりどういうこと?」
ソーニャ「その客を本格的に探そうという話になったら、
この部屋も調べられるかも……」
やすな「え、ええーっ!?
どうしよう、死体あるのに」
ソーニャ「と、とりあえず死体を運び出すぞ。
向かいの部屋が今、誰もいないはずだ」
やすな「そんな行き当たりばったりな……」
ソーニャ「うるさい! 誰のせいでこんなことになってると思ってるんだ!」ぐぐぐ……
やすな「ギブ! ギブギブ! ギブ!」タップタップ
ソーニャ「だいたい私たちの部屋で死体が見つかるよりはいいだろ!
ほら、行くぞ!!」
ソーニャ「とりあえずなんとか隠したが……」
やすな「あんなんでバレないかなあ……」
ソーニャ「しょうがないだろ!
監視カメラのせいで死体を持ち出すのも無理そうだし、
他に良い方法も思いつかないんだから!」
あぎり「お困りですかー?」
やすな「うわっ!! あぎりさん!?」
ソーニャ「なんでこんなところにいるんだよ!?」
あぎり「カラオケボックスですから、歌いにきたんですよー」
ソーニャ「ああ、そうか。一人で?」
あぎり「はいー。そこの部屋ですー」
ソーニャ「私たちの隣の部屋じゃないか」
死体を隠す忍術とかないですかウプッ!?」
ソーニャ「お前、聞きかたがストレートすぎるだろ!!」
あぎり「えー、何を隠すんですかー?」
ソーニャ「いや、こいつの言うことは気にしないでくれ!!」
やすな「ムグーっ! ムグーっ!」
あぎり「隠れると言ったら遁術セットがありますけどー?」
ソーニャ「へ、へえ……? 火遁とか、水遁とか?」
あぎり「はい。これが火遁の術ですー」
やすな「ぷはっ! 火遁ってそれ、爆弾じゃないですか!!」
ソーニャ「そんな物騒なもの出すな!」
実はただのライターですからー」
やすな「ああ、全然忍術じゃなかった!」
あぎり「色んな武器の形したライターを売っているお店があるんで、
そこで買いましたー」
やすな「しかも市販品!?」
ソーニャ「ほ、他にはないのか?」
あぎり「次はこちら、水遁の術ー」
やすな「ゴーグルにアクアラング!」
あぎり「今なら水かきも……あ、水グモの術もついてきますよー」
ソーニャ「今、水かきって言ったぞ!」
あぎり「はい、土遁の術ー」
やすな「棺桶っ!?」
ソーニャ「ある意味ではタイムリー!!」
あぎり「今ならセットでお安くしますよー」
ソーニャ「気が向いたらな……」
あぎり「では、気が向いたらいつでもどうぞー」
ソーニャ「…………」
やすな「…………」
ソーニャ「とりあえず、やれるだけのことはやったな……」
やすな「…………」
ソーニャ「あとは、死体が見つからないことを祈るしかないな……」
やすな「ねえ、ソーニャちゃん。
拳銃もどこかに捨てておいた方がいいんじゃないかな。
ほら、凶器を持ちっぱなしなのもマズイでしょ?」
ソーニャ「でも、この銃手に入れるの苦労したから手放したくないんだよ……
特殊な軽量金属でできていて結構高かったし。
それに、凶器を処分しようにも、監視カメラのせいで
ばれずに持ち出すのがまず無理そうだしな」
やすな「そっか……」
ソーニャ「…………」
やすな「ごめんね、ソーニャちゃん。
こんなことになっちゃって……」
……気にするな」
やすな「ううん、気にするよ。
私のせいでソーニャちゃんを巻き込んじゃってさ……」スッ
ソーニャ「お、おい。やすな……!?」
やすな「でも、ソーニャちゃんって優しいよね。
こんな私のことも見捨てないで助けてくれてるし」ダキッ
ソーニャ「……っ!!」
やすな「ありがとね。感謝してるよ」ギュッ
ソーニャ「き、気にするなって言ってるだろ!///」
ソーニャ「……あ」
やすな「あれ、どうしたのソーニャちゃん?
もっと抱きしめてて欲しかったー?」
ソーニャ「ば、馬鹿! そんなワケあるはずないだろっ!!」
やすな「ぎゃー! 痛いっ、暴力反対!!」
ソーニャ「全くお前は……」
やすな「てへへへ……あ、そうだ。私もトイレに行ってくるね」
ソーニャ「わかった」
店員「ほら、確かに映ってるでしょ?」
古畑「んー、本当だ。
あの階には他に出入り口はないの?」
店員「非常口があるにはありますけど」
古畑「うーん、お客さんが非常口から出ていくとは考えにくいなあ」
店員「ええ、それに……」
古畑「何?」
店員「いやー、その……
まあ、実際にその場で説明します。
こちらへどうぞ……」
ソーニャ「やすなの奴、ずいぶん遅いな……
ちょっと様子見に行ってみるか……」
ガチャ――
~カラオケ店・5階廊下~
ソーニャ「あ、やすな」
やすな「…………」
ソーニャ「戻ってくるのが遅かったから、
ちょうど今、様子を見に行こうとしてたところだったんだ」
やすな「…………」プイッ
ソーニャ「え、おい。ちょっと、どこに行くんだ?」
やすな「…………」スタスタスタ
ソーニャ「おい、待てって――」
ソーニャ「ん、エレベーターが……」
古畑「ここの監視カメラってさー、
エレベーターホールしか映してないの?」
店員「はい」
古畑「で、非常口はこの廊下の突き当りだっけ……
ん、あれ。ソーニャさん?」
ソーニャ「うわっ、あ、アンタか……」
古畑「あのー、どうされたんですか?
こんなところで突っ立って……」
ソーニャ「い、いや、何でもない」
古畑「……?」
ソーニャ「私は部屋に戻る。じゃあな」バタン!
店員「……何だったんですかね?」
店員「いや、そのー……」
ガチャガチャ
古畑「あれ、この非常口開かないじゃない。
外に何か置いてあるの?」
店員「ええ、その、荷物がですね……
ダンボールに入って幾つも積んでありまして……」
古畑「それじゃ非常口にならないじゃない。
ダメだよちゃんと片づけておかなきゃ」
店員「すいません……」
古畑「んー、でもおかしいなあ。
ここが開かないんじゃ、結局あの女の子、
どこに消えちゃったんだろうね」
店員「ええ、ですから、変なんですよ」
古畑「うーん……」
今泉「あらーしーがすぎたーあとにー♪ かーたーるーにもおちていくー♪」
ガチャ――
西園寺「あ、古畑さん」
今泉「めーまいーをふりーほどいてー♪ いちにーさんでおーどりだすー♪」
古畑「ちょっといい?
実は、この階で女子高生が一人行方不明になってるんだけど……」
今泉「しーごーろくでもおーどりだすー♪」
古畑「……」ピッ
今泉「ああ、なんで止めるんですか!? 歌ってたのに!!」
古畑「真面目な話してるんだからちゃんと聞きなさいよ」ペチンッ
今泉「あ痛っ」
古畑「そう。赤っぽい髪の元気そうな娘」
西園寺「外に出て行ったのでは?」
古畑「それが妙なんだよ。エレベーターホールにある監視カメラには、
この階に来たところは映っていたんだけど、出て行くところは映っていないんだよ。
非常口は外に荷物が積んであって開かないし」
西園寺「他に出入口はないんですか?」
古畑「店員さんに確認したんだけど、ないみたい」
古畑「でしょ? 悪いんだけど二人でこの階を探してみてくれる?」
西園寺「わかりました。行きましょう、今泉さん」ガチャ
今泉「え? あ、ちょっと待って……」
――バタン
古畑「……」
古畑「…………」
ピッ
古畑「キルミーベイベー♪ どしたのワサワサ♪」
桃井かおりの回好きだ
西園寺「我々の503号室以外にも504号室、505号室にはお客さんがいるみたいですね」
今泉「ねえねえ、どこから探すの?」
西園寺「空いている個室から調べてみましょう。
店員さん、そのお客さんは本来どの部屋を使う予定だったんですか?」
店員「501号室です」
西園寺「では、その部屋から」
~カラオケ店・501号室~
西園寺「別に変ったところはありませんね」
今泉「本当はさ、アンタの気のせいなんじゃないの?」
店員「そんなことありませんよ!
さっきの方にも監視カメラの映像を確認して貰ったんですから」
西園寺「やっぱり何もないな……
今泉さん、そちらには何かありますか?」
今泉「何もないと思うよ」
西園寺「この部屋には何もないみたいですね。次の部屋に行ってみましょう」
今泉「この部屋にも何もなさそうだけどなあ」
西園寺「念のため、隅々まで調べてみましょう」
今泉「めんどくさいな。僕、座って待ってるよ。
……ん? うわ!?」
ガターン!
西園寺「今泉さん、どうされたんですか?」
今泉「知らないよ! ソファーに座ったら、座席の部分が外れて……」
店員「ちょ、ちょっと、それ!」
西園寺「……中に人が!?」
今泉「ひいっ!! し、死んでる!!」
西園寺「赤っぽい髪の女子高生……
店員さん、この人で間違いありませんか?」
店員「は、はい……」
古畑「死んでいた?」
西園寺「はい。胸を拳銃で撃たれていました。
死体は隣の部屋のソファーの中に」
古畑「拳銃……拳銃?」
西園寺「はい、傷口からすると小型の拳銃と思われます」
古畑「その拳銃はあったの?」
西園寺「いえ、死体のあった502号室からは発見できませんでした」
古畑「署への連絡は?」
西園寺「既に」
古畑「うーん……私も、その部屋の様子見てみるよ」
西園寺「はい、ではこちらへ」
古畑「んー……確かに、これは銃創だね」
西園寺「古畑さん。確か、古畑さんは管理室で監視カメラの映像を確認されたんですよね?」
古畑「確認した」
西園寺「被害者がここに来た後、人の出入りはあったんでしょうか?」
古畑「いいや。少なくとも私が確認した範囲では」
西園寺「と言うことは、犯人はまだ、この階にいるのではないでしょうか」
古畑「だろうね。ん、これは……?」
西園寺「どうされました?」
西園寺「紙の切れ端……ですか? 黄色いですが」
古畑「……」
西園寺「古畑さん。僕は今泉さんと一緒にこの階を調べてみようと思います。
どこかの部屋に犯人が隠れているかも知れませんし」
古畑「西園寺君さー、署に連絡して用意して貰いたいものがあるんだけど」
西園寺「はい、なんでしょう?」
ソーニャ「なあ、さっきから外が騒がしくないか?
もしかして、死体が見つかったんじゃ……」
やすな「もー、ソーニャちゃんってば、本当に小心者だなー」
ソーニャ「何だと!?」
――コンコン
ソーニャ「っ!?」ビクッ
やすな「やーい、ビビってやんのー!
はいはいー、今開けます」
ソーニャ「お、おい」
ガチャ――
古畑「どーも、先ほどは」
やすな「あ、さっきの刑事さん。
えーと、確か……」
古畑「古畑です」
私は折部やすなです。よろしくー」
古畑「んーふふふ。よろしくお願いしますー」
ソーニャ「な、何か用か?」
古畑「はい。えー……その、どうか落ち着いて聞いて欲しいんですが。
えー、その……」
ソーニャ「な、何だよ……勿体ぶるなよ」
古畑「はい、実は向かいの部屋で死体が発見されまして」
ソーニャ「っ!」
やすな「ええ!?」
古畑「ソーニャさんはご存知かと思いますが、この階で女子高生が一人行方不明になりまして……」
ソーニャ「あ、ああ……さっきそんなこと言ってたな」
古畑「本格的に探してみたら、向かいの部屋で死んでいたというわけで」
ソーニャ「そうなのか……犯人は見つかったのか?」
古畑「いえ、それがまだでして――あれ?
んー、おかしいなあ……」
古畑「いえ、今ソーニャさん、『犯人は見つかったのか?』と仰いましたよね?
確かに、その女子高生は胸を拳銃で撃たれて殺されていました。
でも私、殺されたなんて一言も言っていないんですよ?」
ソーニャ「う……」
古畑「なぜ、犯人なんていると思ったのか、
理由を説明していただけるとありがたいのですが」
ソーニャ「いや、それは……」
ソーニャちゃんは殺し屋だから、人が死んだって聞くと、
まず殺しと結び付けて考えちゃうんです」
ソーニャ「おいっ!!!」
古畑「え、殺し屋?」
やすな「話を合わせてください古畑さん。
ソーニャちゃんはこの年で厨二妄想をこじらせて
自分のことを殺し屋だと思い込んでいるちょっと痛い子なんです。
でもそれを真っ向から指摘すると泣き出しちゃうんです」(ヒソヒソ
ソーニャ「おい聞こえてるぞ」
古畑「え? あー……」
ソーニャ「……」
古畑「これは失礼しました。
殺し屋じゃ仕方ないですね」
ソーニャ「(ああっ、人を憐れんだ目に!!)」
もう帰ろうか、ソーニャちゃん」
ソーニャ「え、あ、ああ……」
古畑「いえ、申し訳ないんですが、それはちょっと困ります。
犯人はまだこの階にいる可能性が高いんです。
せめて、安全が確保されるまではここにいて貰わないと」
やすな「えー、でもー」
古畑「今、私の部下がこの階を調べています。
そんなに時間はかからないと思います。
お二人の安全のためにも、どうかご協力を」
やすな「まあ、そこまで言うなら」
ソーニャ「……」
古畑「んーふふふ、ご協力感謝しますー」
やすな「どういたしまして」ニコッ
古畑「おや、私の部下かな? ちょっと失礼」
ガチャ――
西園寺「古畑さん、一通りこの階を調べ終えました」
古畑「ご苦労様。外で話そうか」
――バタン。
ソーニャ「……」
やすな「……」
ソーニャ「誰が厨二妄想をこじらせた痛い子だって……?」ぐぐぐぐ……
やすな「しょうがないじゃん、他に言い訳思いつかなかったんだから……」ジタバタ
西園寺「隅々まで探したんですが、どこにも怪しい人間は隠れていませんでした」
古畑「だろうね。拳銃は見つかった?」
西園寺「いえ。この505号室以外は徹底的に探しましたが、どこにも」
今泉「もう犯人は逃げちゃったんじゃないかな。
いつまでも犯行現場にいてもしょうがないだろうし」
西園寺「でも今泉さん。この階から出て行った人間はいないんですよ」
古畑「西園寺君さー、じゃあ犯人はどこに隠れていると思う?」
西園寺「はい。考えてみたんですが、犯人は隠れてなんかいないんじゃないでしょうか。
個室の中で、客として堂々と振る舞っているのでは?」
古畑「んーふふふ」
この中の誰かが犯人……そう言えば、古畑さんはなぜ、505号室の二人と話していたんですか?」
古畑「さて、何だと思うー?」
西園寺「もしかして、この二人を犯人だと考えてらっしゃるのでは?」
古畑「んーふふふふ」
西園寺「そうなんですね?」
古畑「ところで、さっき頼んだものはある?」
西園寺「はい、こちらに」
古畑「ありがと。ちょっとここで待機してて」
ガチャ――
古畑「すいません、お待たせして――」
やすな「犯人は見つかったんですか?」
古畑「いえ、それが見つからなかったんです。はい」
やすな「えー……それじゃあ、もう逃げちゃったんじゃないですか」
古畑「……」
やすな「何にしろ、犯人が近くにいないなら、もう帰ってもいいですよね?」
古畑「ええ、私としましてもお二人をお帰ししたいのは山々なんですが――
私の部下がですね、お客さんの中に犯人がいるんじゃないかと言い出しまして」
やすな「え、それってもしかして私たちも疑われてるってことですか?
どうしよう、ソーニャちゃん。私たち容疑者だって」
ソーニャ「……え、どうしようって、その――」
お気に障ったのなら申し訳ありません。
ただ部下がですね、死んだ赤毛の子がこの部屋に来ていないか
確認するべきだと言っていまして……」
やすな「やだなー、知りませんよ。
ね、ソーニャちゃん」
ソーニャ「……ああ、知らないな。
何でそんなこと言ってるんだか」
古畑「ええ、それがですね。死体の服にこんなものがついてまして」
やすな「何ですかそれ、紙切れ?」
古畑「はい、えー黄色い紙の切れ端です」
ソーニャ「それがどうかしたのか?」
古畑「はい。この紙切れ何なのかと考えてみたところ、
一つ思い浮かぶことがありまして……
これ、クラッカーの紙ふぶきじゃないでしょうか?」
ソーニャ「あ……」
折部さんがクラッカーを鳴らしたと言っていたことを思い出しまして。
そのことを部下に話したら、
被害者はこの部屋に来ていたんじゃないかと言い出しましてね」
ソーニャ「それは……」
やすな「えー、でもそんな人、来てませんよ?」
古畑「しかし、クラッカーの紙が……」
やすな「はあ。あの、それが?」
古畑「……」
やすな「え? だってクラッカーなんて日本中どこでも売ってるし、
紙切れがついてたからって、
その人がこの部屋に来たってことにはならないですよね?」
古畑「えー……はい。私も部下にそう言ったんです。
ところが部下は頑固な奴でして、念のためこの部屋と
お二人の荷物を調べるべきだと言って聞かないんです。
凶器の拳銃が見つかるかも知れないと」
やすな「やだなー、私たち、ただの女子高生ですよ?
拳銃なんて持ってるわけないじゃないですか」
んーふふふ、拳銃ぐらい持ってるんじゃありませんか?」
ソーニャ「う……それは」
やすな「やだなー古畑さん。ソーニャちゃんが殺し屋って言うのは
あくまで本人がそう思い込んでいるだけですよ。
別に本当に殺し屋なわけじゃないんだから銃なんて……」(ヒソヒソ
古畑「はい、承知してます。でも殺し屋だと思い込んでるなら
ここで私が疑わないのも不自然かと思いまして……
んーふふふ。ご協力お願いできませんか?」(ヒソヒソ
やすな「…………」
ソーニャ「おい、やすな……?」
どうぞ好きなだけ調べてください!」
ソーニャ「おい!」
古畑「ご協力ありがとうございます」
やすな「ほら、ソーニャちゃん。
ここにいると邪魔になるから私たちは外に出てようよ」グイグイ
ソーニャ「わ、こら。引っ張るな!」
古畑「廊下で立ちっぱなしと言うのもなんですから、
我々の部屋で待っていてください。
ご案内します、こちらへどうぞ」
ガチャ――
今泉「黄色いサクランボ♪ 黄色いサクランボ♪」
古畑「ちょっと……何やってるの?」
今泉「え、カラオケを……」
古畑「そんなこと聞いてるんじゃないよ。
なんでこんなとこで遊んでるのかって聞いてるんだよ。
ほら、西園寺君を手伝ってきなさい。
ほら、早く!」
今泉「うわ、ちょっと、押さないでくださいよ古畑さん!」
古畑「バイバイ」バタン
ソーニャ「……」
やすな「…………」
古畑「いやー、すみません。お見苦しいところを。
今の奴、今泉って言うんですがどうにも役に立たない奴で――
あ、どうぞおかけください。何でしたら何か歌っていただいても」
やすな「あ、今の人の歌の点数が出てるよソーニャちゃん。
すごい、96点だって!」
ソーニャ「ああ、そうだな。すごいな……」
古畑「では、折部さんどうです。一曲」
やすな「えー、前の人がこんな高得点だと歌いにくいなー。
それより古畑さんこそ何か歌ってくださいよー」
古畑「え、私ですか? あ、いや参ったなー……
それじゃ失礼して」ピッ
やすな「イエーッ!」
ソーニャ「……(まあ銃はポケットに入ってるから
さっきの部屋を調べられても大丈夫だが……)」
古畑「あなたの好きな人と♪ 踊ってらしていいわ♪」
ソーニャ「……(持ち物調べられたら終わりだよなあ……)」
古畑「ラスト・ダンス♪ 忘れないで♪」
やすな「さあさあ、点数はー?」
ソーニャ「……58点」
やすな「さっきの人より低い……
古畑さん、歌ヘタですね」
古畑「んー……マイマイクじゃないと調子が出ない」
――コンコン
古畑「あ、終わったのかな。
ちょっと失礼します」
ガチャ――
古畑「どう、見つかった?」
西園寺「いえ、荷物も部屋の中も徹底的に探しましたが、見つかりませんでした」
古畑「……そう」
やすな「古畑さーん。どうでした、何か見つかりました?」
やすな「だから言ったじゃないですかー、
私たち、ただの女子高生なんだから銃なんて持ってるわけないって。
さ、もう帰ってもいいですよね?」
古畑「いえー、まだです」
やすな「えー、何でですか?」
古畑「いやー、部下がですね、
ボディチェックもするべきだって言ってまして」
ソーニャ「……っ!!」
古畑「申し訳ないんですがご協力願えませんか」
やすな「いい加減にしてくれませんか古畑さん。
あんまりしつこいと、ソーニャちゃんの暗殺拳が火を吹きますよ?」
ソーニャ「そ、そうだ……私の暗殺拳が火を吹くぞ!」
ソーニャ「何でそんなに私たちを疑うんだよ!
犯人は逃げちゃったって考えた方が自然だろ!」
古畑「いやー、それがですね。エレベーターホールの監視カメラには、
この階から出て行った人間は映っていないんです」
ソーニャ「非常口から逃げたのかも知れないだろ!」
古畑「いえ、ありえないんです。非常口、外に荷物が置いてあって開かないんですよ。
だから犯人はまだこの階にいるはずなんです。
お願いです、ご協力ください」
ソーニャ「うぐぐ……で、でもほら、あんまり身体とか触られるの嫌だし……」
古畑「ご安心ください。署から金属探知器を持ってきて貰いました。
指一本触れずにチェックできます」
ソーニャ「ううう……」
ソーニャ「おい、やすな――」
やすな「しょうがないよソーニャちゃん。
良いって言うまで帰してくれなさそうだしさ。
でも古畑さん。これで最後にしてくださいよ?」
古畑「はい、お約束します」
やすな「では、私からどうぞ」
古畑「はい、では失礼して――」
…………。
やすな「……どうですか?」
古畑「んー、何も反応しませんね」
古畑「はい、ご協力ありがとうございます。
それでは、ソーニャさんも」
ソーニャ「ちょっと待て、私は――」
古畑「失礼」サッ
ピー! ピー!
ソーニャ「……(……終わった)」
お手数ですが、そのポケットの中のものを取り出して貰えませんか」
ソーニャ「ああ……」スッ
古畑「これは……ナイフ?」
やすな「ほら、何しろソーニャちゃんは殺し屋ですから」
古畑「んー、あんまりこういうものを持ち歩くのは
褒められたものではないんですが、刃渡りが短いので今は不問としましょう。
えー、続けます」
ピー! ピー!
ソーニャ「……」ガサゴソ
古畑「んー、またナイフだ……
あのすいません、まだナイフ持っていたら全部取り出してください」
古畑「んー、随分ナイフを持ち歩いてますねー……」
やすな「何しろ殺し屋ですから」
古畑「これで全部ですか?」
ソーニャ「ああ……。(銃を取り出すわけにはいかないし……
でもこのままじゃ見つかるし……どうすれば……)」
古畑「では、また失礼します」
ソーニャ「……(ダメだ。打つ手がない……終わった……)」
古畑「んー……」
やすな「反応ないみたいですね、古畑さん」
ソーニャ「え……」
古畑「うーん、確かに反応がありません」
ソーニャ「(え……何でだ? 銃はこのポケットに入れてたはずなのに……)」ガサゴソ
やすな「じゃあもういいですよね。私たちいい加減に帰りたいんですけど」
ソーニャ「(……ない。あれ、銃がないぞ……どこに行った?)」ガサゴソ
古畑「うーん、おかしいなあ……他のところは全部探したんですが」
やすな「やっぱり、犯人はもう逃げちゃったんじゃないんですか?」
やすな「それ、私も考えてみたんですけど、
やっぱり犯人は非常口から出て行ったんじゃないかなー」
古畑「しかしですね、ドアの外には荷物が……」
やすな「きっと犯人が出て行った時には塞がっていなかったんですよ」
古畑「店員さんの話では、結構前から荷物が置きっぱなしだったみたいですが」
やすな「だったら、犯人は荷物をどかして非常口から入ってきて、
その後に非常口から出て行ってまた荷物を積みなおしたんじゃないかなー」
古畑「……」
やすな「それで説明はついてますよね?」
古畑「…………んー、はい」
さ、行こっか。ソーニャちゃん」グイッ
ソーニャ「あ、ああ……」
古畑「すいません、最後に一つ確認しておきたいことが」
やすな「……まだ、何か?
さっきこれで最後だって言ってましたよね?」
ソーニャ「……」
古畑「そんな怖い顔しないでください。
一応、連絡先だけ教えて頂きたいなと思いまして。
ご自宅か、携帯電話の番号、よろしいですか?」
ソーニャ「……ああ、ちょっと待て、確認する」ガサゴソ
やすな「……」
ソーニャ「私の携帯の番号はXXX-XXXX-XXXXだ」
古畑「……メモしました。ありがとうございます。
あ、折部さんも教えて頂けますか?」
ソーニャ「……?」
やすな「あれ、どこ行ったかな……
ソーニャちゃん、悪いんだけど私の番号、
古畑さんに教えてあげて」
ソーニャ「ああ……分かった。
えーと、やすなの番号はXXX-XXXX-XXXX……」
古畑「…………。
はい、ありがとうございました」
やすな「それじゃあ、私たちはこれで失礼しますね。
さようなら、古畑さん」
古畑「……はい、ご協力ありがとうございました。
それでは、また」
やすな「……行こ、ソーニャちゃん」
ソーニャ「あ、ああ……」
――バタン。
古畑「…………」
ソーニャ「……なあ、やすな。私の銃、どうしたんだ?」
やすな「え、何のこと?」
ソーニャ「とぼけるな! さっき私に抱きついた時にすりとったろ!」ぐぐぐ……
やすな「だ、大丈夫、大丈夫! 後で取りに行けると思うから!」ジタバタ
ソーニャ「本当か……?」
やすな「……タブン」
ソーニャ「……」ぐぐぐぐぐぐぐ……
やすな「痛い! 外れちゃう外れちゃう!」
古畑「…………」
――コンコン
古畑「どうぞ――」
ガチャリ――
西園寺「失礼します。もう一度この階を調べてみましたが、
やはり拳銃は見つかりませんでした」
古畑「うーん、そう」
西園寺「また、監視カメラの映像も確認し直してみましたが、
やはり5階で人の出入りは無かったみたいです」
古畑「そう」
西園寺「ただ、人の出入りではないんですが、
非常に気になる映像が映っていました」
古畑「何?」
西園寺「はい、古畑さんが管理室にカメラの映像を確認しに行っていた間、
折部やすながエレベーターホールを何度も横切っているんです。
個室と女子トイレの間を往復していたみたいなんですが、
その回数が異常に多くて」
西園寺「百往復以上です」
古畑「ひゃく……え、何往復だって?」
西園寺「百往復以上です」
古畑「百往復以上!? 何でそんなに」
西園寺「そこなんです。彼女は一体なぜそんなことをしていたのでしょう」
古畑「何か手に持っていなかった? 例えば、拳銃を持ち運んだりとかは」
西園寺「いいえ、手ぶらでした。
ただ、凶器の拳銃は恐らく小型のものですから、
服の下に隠して持ち運ぶことはできたと思いますが――」
古畑「うーん……」
西園寺「もしかしたら、拳銃をトイレの排水溝から流したのかと思って
調べてみたんですが、それらしい痕跡はありませんでした」
西園寺「ありました。ただ、そこから持ち出すのも無理です」
古畑「何で?」
西園寺「女子トイレの窓の外はビルの裏側に繋がってるんですが、
そこは他のビルにも囲まれていて、外には繋がっていないんです。
ちょうど、中庭みたいな形になっていると言えばいいでしょうか」
古畑「そこにも拳銃は無かったの?」
西園寺「はい。ありませんでした。
女子トイレの窓から拳銃を投げ捨てたのなら、
ビルに囲まれたスペースの中で見つかるはずなんです。
しかし、見つからなかった以上は
ここに捨てられたわけでもないということになります」
古畑「他のビルの窓の中に投げ捨てられたってことは」
西園寺「他のビルは、その空間に面した壁に窓がついていませんでした」
古畑「うーん……」
荷物をどかして非常口から侵入した後、
また非常口から出て行ったのでしょうか……」
古畑「いやー、違うと思うんだけどなあ」
今泉「あ、何の話してるんですか?」
古畑「何でもないよ」
今泉「そんな、仲間外れにしないでくださいよ。
どしたのワサワサ? どしたのワサワサ?」
古畑「うるさいドーン!」バチンッ!
今泉「痛っ!! そんな強く叩かなくてもいいじゃないですか!」
西園寺「今泉さん。504号室のお客さんに話を聞いていたのでは?」
今泉「そうなんだけどさ、なんか変な娘なんだよ。
自分のことを忍者って言っててさ……」
古畑「うーん、ちょっと話を聞いてみようか」
あぎり「呉織あぎりですー。
あ、これ、名刺代わりの手裏剣です。どうぞー」
古畑「えー、頂戴いたします。
その、呉織さんは忍者でいらっしゃるとか?」
あぎり「はいー。あ、これ忍法の遁術セットですー。
お安くしときますよー」
古畑「遁術?」
あぎり「はい、右から火遁の術、水遁の術、土遁の術ですー」
今泉「ね、古畑さん。何だか変な娘でしょ?」
古畑「うーん……今日は殺し屋に会ったり、忍者に会ったり、
変な日だなあ」
古畑「あれ、お知り合いなんですか?」
あぎり「ええー。同じ学校に通ってますよー」
古畑「ひょっとして、折部やすなさんもご存じで?」
あぎり「はいー、知ってますよー」
古畑「あのー……ちょっとお聞きしたいことがあるんですが……」
あぎり「…………はい、そうですけどー?」
古畑「なるほど、ありがとうございます。
ちょっと失礼……」
古畑「えー、ようやく拳銃がどこに消えたのか分かりました。
これでこの事件も無事、解決しそうです。
皆さんは、折部やすながどうやって
拳銃を消してしまったのか分かりましたか?
ヒントは……、忍法ぉ~! んーふふふ。
古畑任三郎でした」
途中でさるくらった時はどうしようかと思ったけど、すぐに再会できて良かった。
>>159で、けすなってなってるのは単なるミスで、あぎりさんの変装だったからじゃないぞ。
また、しばらくトリック当ての時間をとる。
推理をどうぞ。
前回の小衣ちゃんが一時間くらいだったから、とりあえず二時までとろうかと思うけど、
正解が出たら前倒しで解答編に入る。
さすがに棺桶はないだろ
どうにかして分解した後ホースに詰めて水流で吹き飛ばしたとか?
特殊な軽量金属がミソだと思うんだがなあ、こころちゃんの時も理科的トリックだったし
↓
限界まで入ったら零さないように残った方にも栓をする
↓
10M の棒完成
↓
ゴミ袋に証拠品を入れて棒にくくりつける
↓
窓から屋上に投げ飛ばす
と考えたがヒント完全無視だな…
拳銃はデリンジャー?
問題文中で言及されていないけど、【屋上にも凶器は存在しない】
>>201
そう。デリンジャー。
デリンジャーってよくある2発のやつ?
それともリンカーン大統領暗殺に使われ単発のやつ?
単発。なぜなら2連式より軽いから。
あぎりさんの忍具:爆弾型ライター、アクアラングとゴーグル、水かき、棺桶
やすなの持ちもの:クラッカー、携帯電話(取り調べ時点では紛失)
・個室とトイレを100往復以上したやすな
・凶器の拳銃は隠し持てるほど小型で、特殊な軽量金属でできている
他になにかあったっけ?
やすなが返事をしなかった理由
すごく納得したけど、>見直したら>9で使いきっちゃったって言ってるぞ
超薄型のスマホを使いこなすやすなというのはヒントなのか
やすなはヘリウムを入れられるような容器も持ち運んでないんだぜ。
後で回収できると思うという確信のない返事はGPSたどって探しに行かなきゃいけないってのと合うし
風船で飛ばすのは忍術の凧で飛ぶ奴っぽい
なんとなくつじつまあってきたかな?
それほど大きいもの、つまり棺桶!
いや割とマジで関係ある気がしてきた
アクアラングってボンベ含む?
解答編入る。
>>251
含む。
やすな「うわあ……暗いよー」
ソーニャ「そんなにくっつくな! 歩きにくいだろ」
やすな「そう言いながらソーニャちゃんだって、
私の服をつかみっぱなしのくせにー。
やーい、怖がりー」
ソーニャ「うるさい! お前が迷わないようにしてやってるんだ!
ほら、こっちだ。行くぞ」
やすな「うう、暗くて怖いー」
ソーニャ「何だよ、お前だって怖がってるじゃないか。
……ついたぞ、この辺りだ。手分けして探すぞ」
やすな「あ。ソーニャちゃん、電話かけてみればすぐに見つかるかも」
ソーニャ「……それもそうだな。それじゃ」ピッ
キルミーベイベー♪ どしたのワサワサ♪
ソーニャ「……あそこか。
ふー、一時はどうなることかと思った」
ガサゴソ……
ソーニャ「ようやくこの銃も手元に戻ったな」
やすな「うおっ、眩し!!」
ソーニャ「なんだこの光!? サーチライト!?」
古畑「えー、お待ちしておりましたー」
ソーニャ「この声、さっきの刑事か!? 何でここに……」
古畑「んーふっふっふ。
いやー、危ないところでした。あのまま拳銃が見つからなかったら、
完全犯罪になってしまうところでした」
ソーニャ「くそ、近づくな!
こっちには銃があるんだ。撃つぞ」チャキッ
古畑「あーあー、行けませんそんな。
未成年者が喫煙なんかしては」
ソーニャ「……何言ってるんだ?」
そういうライターを売っている店があるので、買ってきてすり替えておきました。
そこにあった拳銃は――あ、見えますか? はい、これですー」ヒラヒラ
ソーニャ「……」カチッ
やすな「あ、火が……」
古畑「んーふふふ。残念でした」
やすな「何でここが……」
古畑「えー、それにお答えする前に私からも質問を。
お二人は何でここに拳銃があると分かったんですか?
私の答えは、それと全く同じです」
やすな「……」
結局拳銃は見つかりませんでした。
ただですね、女子トイレには窓がありました」
ソーニャ「……」
古畑「窓の外は付近のビルで囲まれた空間になっていて、
そこからも拳銃は発見できなかったんですけれども……
その空間は空に繋がっていました。
ふふふ……拳銃は、そこから空へ飛んで行っちゃったんですねー」
やすな「……うう」
古畑「引っかかったのはですね、折部さん。
あなたが個室と女子トイレを百回以上も往復もしていたことです。
まあどう考えても異常ですからねー。
一体なんでそんなことをする必要があったのか……
それを考えたら謎が解けましたー」
やすな「……」
えー、お二人もご存知ですよね? 彼女がいました。
そして、彼女は水遁の術と称して潜水用のアクアラングを持っていました。
アクアラング……酸素ボンベです」
ソーニャ「……」
古畑「ただ、酸素ボンベの中身って、100%酸素というわけではないんです。
そんな高濃度の酸素を吸ったら死んじゃいますからね。
酸素自体の濃度は20%程度で……じゃあ他は何なのかと言うと、
ボンベのタイプにもよるんですが、彼女の持っていたボンベは
残りの80%がヘリウムでした。
ヘリウム、ヘリウムと言えば声が高くなるパーティグッズに使われたり、
んーふふふ、風船を浮かせたりします」
やすな「……」
古畑「風船用のヘリウムは純度が100%なので吸い込むと酸欠になりますが、
酸素が20%混じった混合ヘリウムなら吸い込んでも大丈夫です。
で、この混合ヘリウム、風船に入れると浮くんです。
えー、細かい計算は……ああ、ちょっと待ってください、メモしてきたんです」
古畑「はい、1モル、つまり22.4リットルあたりの重さが空気の場合は約29グラム。
酸素20%ヘリウム80%の混合気体は9.6グラム。
空気の重さから混合ヘリウムの重さを引いた約20グラムの浮力が発生します。
1リットル辺りに直すと約0.9グラムの浮力ですね。
一方、人間の肺活量は平均して3リットルくらいで……んーふふふ。
いや、面白いことを考えたものです」
やすな「……」
古畑「折部さん、あなたは肺の中に混合ヘリウムを入れて運搬することにより、
女子トイレで風船を膨らましたわけです。
実際に風船として使ったのは、掃除用具入れにあったゴミ袋ですか?
一回辺り、3グラム程度の浮力を発生するヘリウムを運搬して……
んーふふふ、百回以上も。いや、ご苦労様でした」
やすな「……くそう、くそう」
しかもこれ、素材のせいか随分軽い。
200グラムくらいしかないんじゃないですか?」
ソーニャ「……」
古畑「そのまま消えちゃえば証拠もなくなっていたかも知れませんが……
この銃を回収しようとしたのは失敗でしたね。
連絡先を確認したとき、折部さんが携帯を持っていなかったのを思い出しまして……
それで気づいたんです。
携帯も一緒に飛ばして、GPS機能を使って回収するつもりなんだと。
私も先ほど聞いた折部さんの電話番号から、
携帯の位置を特定してここで待っていたわけでして」
ソーニャ「私があの銃を手放したくないって言ったせいで……」
古畑「えー、以上です。
こんな山の中にいつまでいるのもなんですし、
こちらへどうぞ」
古畑「ただ、私にも一つだけ分からないことがありまして……
結局、なんで銃なんか持っていたんです?」
やすな「いやー……それは……」
ソーニャ「殺し屋だからだ」
古畑「…………ああ、それはさきほど聞きました」
ソーニャ「殺し屋だから」
古畑「…………はあ」
ソーニャ「殺し屋だから」
古畑「……まあ、それについてはゆっくり話をお聴きします。
君、パトカー出して」
(おしまい)
まあ、どうにかして現場から凶器を持ち出さないとアウトだったから一か八か空にリリースしたと思って貰えれば……
以上、お疲れ様。
よくこんなマジキチじみたトリック解けたな。
推理物のトリックなんてたいていマジキチじみてますから
てかトリックってどうやって考えるの?
できれば教えて
古今東西のトリックを研究して分解して組み合わせる。
あと、見聞きした情報をトリックに応用できないか考えてみる。
今回はフロッグボイスと風船に入っているのが両方ともヘリウムってところから、色々調べてこのトリックにした。
スマフォごと風船に付けて飛ばした、って解いた人の奴見てそれっぽかったから
アクアラングってスキューバダイビングの事だっけ?だったらボンベの気体がヘリウムと関係あるんじゃね?
って思って調べたらビンゴだった
よくこんなトリック思いついたな
トリックすげーな、面白かった。乙
自分が何かマズイことをしたんじゃないかと考えてみてください。
口に出さなくても心の中では、とても怒っているのかもしれません。
ひょっとしたら……殺してやりたいとか思われているのかも」
今泉「ちくしょう! いつもいつも、古畑のやつ、俺をいじめやがって!」
桑原「今日はいつになく荒れてるねー」
今泉「だってひどいんだよ! 今日も人の額をぺチぺチぺチぺチとさ!
まったく、俺をなんだと思ってるんだ!」
桑原「それにしても今日の事件は変わった事件だったみたいだね。
犯人、女子高生で現役の殺し屋だって?」
今泉「うん、そうなんだよ。信じられないよね」
桑原「いやー、殺し屋って本当にいるんだねえ」
今泉「俺もビックリしたよ。
裏には巨大な組織があるかもしれないって話になってた」
桑原「うわあ……怖いなあ……」
確かメモを貰ったような……」ガサゴソ
桑原「ちょっと、オタクそんな物騒なもの持ち歩いてるの?
落としたりしたらどうするの」
今泉「大丈夫大丈夫。
あったこれだ。この番号に電話すればいいんだな」
桑原「って、何かけようとしてるの!?」
今泉「いや、依頼しちゃおうかと思ってさ。
これで古畑の奴を……」
桑原「ちょっとちょっとやめなさいよ今泉さん!!」
今泉「えい」ピッ
桑原「ああ!?」
今泉「……あ、もしもし。
はい、依頼をお願いしたいんですけど……」
桑原「ちょ、ちょっと!」
きっと声変えてるんだよ」(ヒソヒソ
桑原「うわー、何だか本格的だねえ」(ヒソヒソ
今泉「あのねえ。横暴な上司に悩まされてるんだけど、何とかして貰えませんかねえ」
桑原「…………」
今泉「うーん、まあ、命は勘弁してやってもいいんだけど、
ちょっと脅かすくらいしてやりたいんですよ」
桑原「殺し屋に何頼んでるのアンタ」
今泉「はい、はい、じゃあ報酬はそれで……
そうです。古畑って奴です……
え、なんであんた古畑さんの名前知ってるの?」
桑原「……?」
はい、はい……はい、お疲れ様でした!!」
桑原「ちょっと、どうしたのよ今泉さん!」
今泉「……電話の相手、古畑さんだった」
桑原「…………」
今泉「…………」
桑原「…………」
今泉「…………うわあああああん!!」ダキッ
桑原「…………」
(おしまい)
楽しかったよ
Entry ⇒ 2012.03.11 | Category ⇒ キルミーベイベーSS | Comments (0) | Trackbacks (0)
兄「ウィィィン」妹「お兄ちゃんだ!なんか機械音がするけど!」
http://hayabusa.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1330823446/
その発想は無かった
VIPまだ終わってなかった
人としては終わってるけどな
妹「お兄ちゃん」
兄「オ、オハヨウ」
妹「?」
兄「オニイチャン デスヨー」ウィィィ
ナデナデ
妹「……」
妹「なんか変だよ」
兄「ナ、ナニガ」
兄「ドウミテモ ニンゲン ダロ」ウィィィ
妹「……」
妹「表情がかたいよ」
兄「ウ、ウルサイ」
兄「ブアイソウ デ ワルカッタナ」
妹「お兄ちゃん、どうしちゃったの……?」
兄「ダ、ダカラ、ナニモ……」
妹「……」ウルウル
兄「……」
妹「……っ」タタッ
兄「ア……」
バタンッ
……
……
妹(なんで、なんで……)
妹(ばかにしてるの……?)
妹(いや、違う、お兄ちゃんはそんなことしない)
妹(じゃあ、ほんとに、お兄ちゃんは、お兄ちゃんは……)
妹(あれじゃ、まるでロボットみたいだよぉっ……)
妹「うぅぅっ……」
……
……
兄「……」
兄「ア、イモウト、オカエr……」
妹「……」
兄「……?」
兄「ソノ、テ ニ モッテル ノハ……?」
妹「……」
ドンッ
兄「!」
兄「……」
兄(ガ、ガソリン……?)
兄「ナ、ナンダ ソノ メ ハ……」
妹「……」
兄(『オマエナンカ、コレデモ ノンデロ』……?)
妹「……」ウルウル
兄「……」
妹「うぅっ」タタタッ
兄「ア……」
……
……
コンコン
妹「……」
「ハイッテ イイカ」
妹「ぐすっ……」
妹「だめ……」
「……」
「ア、アノナ、イモウト……」
「ホントハ オニイチャン ハナ……?」
妹「う……」
妹「うるさいぃっ!」
「……!?」
妹「お兄ちゃんじゃない!」
妹「話しかけないで、いやだっ!」
「……」
妹「嫌い、嫌いっ」
妹「大嫌いなのぉっ……」
妹「ぐすっ……」
「……」
ウィィ
ウィィ
……
……
妹「うぅぅ、ぅぅ……」
妹「……」
妹「……」
……
……
妹「……」
妹「ん……」
妹「寝ちゃってた……」
妹「……」
妹「……」
妹(お腹すいた、ご飯買いに行こ……)
……
妹「……」テクテク
妹「……」
妹「ん……?」
『ロボット医療ならお任せ、ロボロボ整形外科』
妹(ロボット医療……)
妹(お兄ちゃん……)
テクテク
……
医者「……?」
妹「だ、だから、あの……」
妹「お兄ちゃんを、人間のカラダに戻してあげられませんか……?」
医者「ははは、何を言ってる」
医者「キミのお兄さんはロボットなのかい?」
妹「た、多分……」
妹「何か、変な音鳴ってて、表情もかたくて……」
医者「まだ、ウチで人体をロボットに改造した患者は、一人しかいないんだよ?」
医者「それに、ウチはロボットから人体に戻すことはできないよ」
妹「そ、そうですか……」
妹「……」
医者「……」
医者「……ん?」
妹「……?」
医者「記憶を……、そ、そうか、そうか……」
妹「え……?」
医者「ははは、はは……」
妹「な、何がおかしいんですか」
医者「いやぁ、ははは……」ゴシゴシ
医者「お兄さんには、謝ってあげないといけないなぁ」
妹「……?」
医者「キミが、だよ……?」
妹「……」
医者「……」
医者「いやぁ、通りで見たことある顔だと思った」
妹「うぅっ」
妹「早く教えてくださいっ」
医者「……」
医者「キミのお兄さんは、一回死んだんだよ」
妹「……」
妹「……?」
医者「信号無視して突っ込んできた車にキミが引かれそうになって」
医者「お兄さんが、とっさに身代わりになったんだ」
妹「……」
医者「当然、お兄さんは吹き飛ばされ、」
医者「カラダはボロボロ、このままでは命はないという状態にまで陥った」
妹「……」
医者「お兄さんを、ロボットのカラダにする手術をしたんだ」
妹「……」
妹「……で、でも」
医者「そんな覚えがないんだろう?はは」
医者「そりゃそうだ、目の前でお兄さんがキミを守って引かれたんだから……」
妹「……」
医者「キミのカラダに外傷は全くなかったが、」
医者「心に傷は残った……」
医者「その事故が起きたときの記憶を、全て失ってしまったんだ」
医者「だから、私もほとんどキミの顔は見たことがなかった」
医者「……」
医者「もう、分かったかい?」
医者「キミのお兄さんは、キミを守って……」
ダッ
医者「……はは」
医者「それでいい」
医者「早く行ってやりなさい」
医者「お兄さんのところへ……」
兄(シタク ハ デキタ……)
兄(ナガカッタ、コノ イエ デノ セイカツモ、モウ オワリカ……)
兄(イモウト トモ、コレデ……)
兄「……」
ガチャッ
兄「……」
兄「ゴ、ゴメン、スグニ デテ……」
ギュッ
兄「!?」
妹「……」
妹「……」ギュゥゥ
兄「……」
妹「……」
兄「……」
妹「大好き……」
兄「……」
妹「お兄ちゃん……」
兄「……」ポロ ポロ
ありがとうって言って
抱き締めて
それでもまだまだ足りないかも知れないけど……
もう絶対に離れない
お兄ちゃんは、私が守る
私が、ずっと一緒にいる
そばにいる
……
「……」ウィィ
「えへへ……、お兄ちゃんとお散歩、久しぶり」
「ウン」
「……」
「お手手、つなご?」
「……」
「ウン」
ギュッ
握ったその手は、とっても、暖かかった。
おわり。
Entry ⇒ 2012.03.11 | Category ⇒ 兄弟姉妹「」SS | Comments (0) | Trackbacks (0)
京子「彼氏ぐらいほしいよね~♪」 結衣「そ、そうだな」
http://hayabusa.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1330681283/
結衣「何?京子?」
京子「私達ってさ進学したら共学に行くこともあるんだよね」
結衣「まぁ、そうだな」
京子「ってことはやっぱり結衣って高校で彼氏作ったりするの?」
結衣「……」
結衣(え…?何言ってるんだ京子…?)
結衣(彼氏…?)
京子「いや~結衣ってもてそうじゃん?やっぱ彼氏とか作るのかなって」
結衣「……」
結衣「そ、それはわからないなぁ…」
京子「わからない…?」
京子「わからないって…もしかして結衣ってレズなの!?」
結衣「っ!」
結衣「ちげーよバカ!できるかわからないって意味だよ」
京子「あ、そういうことね」
結衣「……」
結衣「そういうお前はどうなんだよ…」
京子「何が?」
結衣「いつもちなつちゃんに抱きついてるだろ、お前こそそっち系じゃないのか?」
京子「あれはスキンシップに決まってるじゃ~ん」ケラケラ
京子「私だって彼氏ぐらい作ってデートしたいよ♪」
結衣「じゃあ…まずはその適当な性格から直すんだな…」
京子「失礼な!これは個性だよ!」
結衣「ははは…」
結衣「……」
『わからないって…もしかして結衣ってレズなの!?』
『ちげーよバカ!できるかわからないって意味だよ』
結衣「何であんな必死に否定したんだろ…」
結衣「……」
結衣「ああそうか、京子に引かれたくなかったからか…」
結衣「まぁ普通に考えれば気持ち悪いよな…」
結衣「はぁ…」
結衣「そもそも女同士ってのが始めからおかしかったんだよ」
結衣「それに、これで京子一生とお別れなわけじゃないだろ、これからも親友として京子と一緒に居られるじゃないか」
結衣「そうだよ、落ち込むことなんてなにもない」
結衣「なにも…」
結衣「……」
結衣「もう寝よう…」
―――
――
―
京子『あ~…』
京子『ゴメン、今日はちょっと無理かな~』
結衣『何か用事でもあるのか?』
京子『えへへ///』
結衣『なんだよ、気持ち悪い』
京子『驚かないでよ…』
京子『実は今日彼氏とデートなんだ~♪』
結衣『っ!』
京子『とうとう京子ちゃんにも春が来ちゃったよ~』
結衣『……』
結衣『え…?』
京子『もしかして驚いて声も出なかった?』ニヤニヤ
結衣『そ、そうだな…ビックリしたよ…』
京子『でしょでしょ~』
結衣『うん…』
京子『だからゴメンね結衣』
京子『今度また泊まりに行くから』
結衣『ああ…』
京子『そんじゃ私はデートに行ってくるね~』ビシッ
結衣『行ってらっしゃい…』
―――
――
―
結衣「っ!!」ガバッ
結衣「はぁ……はぁ……はぁ……」
結衣「……」
結衣「夢…?」
結衣「何で…こんな…」
結衣「……」
結衣「水でも飲んでこよう…」
結衣「ふぅ…」
結衣「……」
結衣「はは…私って案外弱い人間なんだな…」
結衣「あれはただの夢だろ…?」
結衣「しっかりしろよ私…」
結衣「……」
結衣「京子…」ポロポロ
結衣「やっぱり…つらいよ…いやだよ…」
結衣「京子と一緒にいたいよ…」
結衣「なんで…なんでなんだよ…」
結衣「きょうこ…きょうこぉぉ…」
京子「でさ~これがホント可愛くってさ~」
ちなつ「ほんとですかぁ?」
京子「いやいやホントホント、可愛いんだってこれが~」
結衣「……」
あかり「……」ジー
あかり「結衣ちゃん?」
結衣「……」
あかり「結衣ちゃん!」
結衣「え…?」
結衣「な、何?あかり?」
あかり「最近結衣ちゃん元気ないよ…?」
結衣「え…?」
あかり「ずっとしかめっ面してるんだもん、心配だよぉ」
結衣「……」
結衣「大丈夫だよあかり、たいしたことじゃないよ」
結衣「心配してくれてありがとうな」
あかり「う、うん…」
京子「…って二人とも私の話聞いてるのか~?」
結衣「ごめん、まったく聞いてなかった」
京子「なぬー!!」
あの日以来、私は京子に普段どうりに接することができなくなっていた
私はもう京子を普通の目で見ることができない
自然と私達の間には壁ができていった
京子『え…?あ~えっと…』
京子『さすがにしょっちゅう泊まるのは…』
結衣『何遠慮してるんだよ、中学時代いつも泊まってただろ』
京子『そ、そうかな…?』
結衣『そうだろ、しょっちゅう泊まってたぞお前』
京子『……』
結衣『勝手に居座ったこともあったけな、はは…懐かしいな…』
京子『やめてよ…』
結衣『私とお前の仲だろ?今更遠慮することなんて…』
京子『もうやめてよ!』
結衣『』ビクッ
京子『知らないの…?』
京子『最近さ私達二人がデキてるって学校中で噂がになってるんだよ…?』
結衣『え…?』
京子『あの二人はレズなんじゃなかって』
京子『気持ち悪いって…』
結衣『そ、そんな根も葉もない陰口言わせておけばいいだろ…』
京子『おかげで彼氏に振られそうなんだよ…?』
京子『ずっと気まずくてさ…あんまり口利いてくれなくなったんだよ…』
京子『これで振られたらどうしてくれるの!?』
結衣『っ!』
結衣『何でだよ…なんでそんなこと言うんだよ…』
結衣『ずっと一緒だって子供の頃約束したじゃないか!』
結衣『それなのに彼氏彼氏って…そんなにアイツのことが大切なのかよ!!』
結衣『そんなにアイツと一緒にいたいのかよ!?』
京子『……』
結衣『あ…』
京子『やっぱり結衣はそういうのなんだね…』
結衣『ち、違う…』ガシッ
京子『離してよ…』
結衣『は、話を聞いてくれよ京k…』
京子『離して!!』バシッ
京子『最低…』
結衣『ち、違う、私はただお前と一緒に居たいだけで…』
京子『私と一緒に居たい…?』
京子『なんなのそれ…?』
京子『結衣の勝手な独りよがりに私を巻き込まないでよ…気持ち悪い…』
結衣『きょ、京子…?』
京子『もう私に二度と近づかないでよ!!結衣なんてだいっきらい!!』
―――
――
―
結衣「うわあああぁぁぁっ!!!」ガバッ
結衣「はぁ……はぁ……はぁ……」
結衣「……」
結衣「…………」
結衣「ははは…」
結衣「一生お別れなわけじゃない…?」
結衣「これからも親友として京子と一緒に居られる…?」
結衣「ははははは!!」
結衣「ほんっと馬鹿みたいだよな!」
結衣「一緒に居れるわけないだろ!当たり前じゃないか!!」
結衣「そうだよ、とっくに気づいていたさ…」
結衣「当たり前じゃないか…」
結衣「……」
結衣「京子は何も間違ってない…間違ってるのは私だ…」
結衣「大切にしないと…」
結衣「今京子といるこの時間を…」
結衣「えっと…他に買うものは…」
結衣「そうだ、京子のためにラムレーズン買っておかないと」
結衣「あいつと一緒にいる時間はもう限られて…」
結衣「あれ…?」
京子「……」テクテク
結衣「京子…?」
京子「――――」テクテク
男「――――」テクテク
結衣「え…?」
結衣(あれ…?なんで京子が知らない男と一緒にいるんだ…?)
結衣(なんで京子が男と並んで歩いてるんだろ…?)
結衣(あはは…おかしいなぁ…)
京子「―――!―!!」
男「―――」
結衣(楽しそうに話してるや…)
結衣(……)
結衣(ああ…)
結衣(そっか…最近京子に感じてた違和感はそういうことだったのか…)
結衣「ああ…」
結衣「うわあああああああぁぁぁぁぁぁぁ!!」
結衣「はぁ……はぁ……はぁ……」
結衣「京子が知らない男と…楽しそうに…」
結衣「私に内緒で…付き合って…どうして…何で…」
結衣「京子が…汚い男と…嫌だ…」
結衣「京子が汚される…触られて…迫られて…」
結衣「やめろ…やめろよ…」
結衣「……」
結衣「ふふ…」
結衣「あははは…何考えてるんだよ私…」
結衣「ダメだダメだしっかりしろ…」
結衣「京子はあの男に騙されてるんだ…」
結衣「京子の体が目当てで…近づいて…」
結衣「私の京子を弄んで…」
結衣「助けないと…」
結衣「私が助けてやらないと…京子のこと守ってやらないと…」
結衣「京子を正気に戻さなきゃ…」
結衣「……」
結衣「私の京子をあんな奴に汚させてたまるか…」
結衣「ねぇ、京子」
京子「な~に?結衣?」
結衣「今日うちに泊まっていかないか?」
京子「むむ、結衣から言ってくるなんて珍しいね」
結衣「そうか?」
京子「そうだよ」
京子「さては夏休み早々私が居なくて寂しくなっちゃたとか?」ニヤニヤ
結衣「ねーよ」
結衣「何言ってるんだよお前」
京子「テヘッ」
結衣「……」
結衣(大丈夫だよ京子…私がお前のこと守ってやるからな…)
結衣(絶対にアイツをお前の傍に近づけさせないから…)
―――
――
―
京子「ん…ぁ…」
京子「あれ……?」
京子(私いつの間に寝てたんだろ…)
京子「ふわぁ…」
ジャラ
京子「……」
京子「え……?」
ジャラ ジャラ
京子「何これ…?」
京子「鎖…?」
京子「な、何で!?どうして…!?」グイグイ
京子「動けない…」
結衣「あ、やっと起きたんだ」
京子「ゆ、結衣…?」
結衣「全然起きないから心配したよ…」
京子「ねぇ…結衣、なんで私は鎖で繋がれてるの…?」
京子「これって…結衣がやったの…?」
結衣「そうだよ」
京子「な、何で?どうして?」
結衣「どうしてって…」
結衣「京子を守るためだよ」
京子「え…?」
結衣「触られて弄ばれて汚されて…」
京子「何…言ってるの…?」
結衣「でも安心していいよ」
結衣「もう誰にも私の京子を汚させたりしないから…」ギュッ
京子「ゆ、結衣…!?」ビクッ
結衣「大好きだよ…京子…」ギュウ
京子「な、何で…?だって結衣は…」
結衣「もう自分に嘘をつくのはやめたよ…」
京子「嘘…?」
京子「え…?」
結衣「親友としてじゃなくて…家族としてじゃなくて…」
結衣「一人の女の子として、恋愛対象として京子のことが『好き』なんだよ」ニコ
京子「……」ゾク
結衣「好きだよ、京子」
京子「っ!」バタバタ
結衣「暴れても誰も助けにこないよ…京子…」
結衣「それにその鎖は絶対に外れない…」
京子「ゆ、結衣…」
結衣「京子、お腹空いたでしょ?」
京子「え…?」
結衣「すぐ朝ごはん作ってあげるから待ってってね」
結衣「それじゃ、いい子にして待ってるんだよ」
京子「っ!」
京子「ま、待ってよ結衣!行かないd…」
ギィィィッ
バタンッ!
―――
――
―
京子「……」
結衣「食べないと体に悪いよ」
京子「いらない…」
結衣「どうして?」
京子「何でこんなことするの…?」
結衣「……」
京子「ねぇ…結衣、もうこんなことやめよう…おかしいよ…」
京子「今なら私も黙ってるから…」
結衣「ふふ…」
結衣「そんなに彼氏のことが大事なんだ?」
京子「!?」
京子「な、なんで…結衣が知ってるの…?」
結衣「私が知らないとでも思ったのか?」
結衣「商店街で楽しそうにイチャついてただろ」
京子「っ!」
京子「そんな…見てたの…?」
結衣「うん、憎くて憎くてしかたなかったよ」ニコ
京子「」ゾク
結衣「あの男、私の京子に気安く近づいてさ…本当に苦しかったなぁ…」
結衣「もっと早くに気づくべきだったよ…」
京子「それじゃあ…何…?私が男と付き合ったからこんなことするの…?」
結衣「そうだよ、京子が汚されるのを黙って見過ごすわけないじゃないか」
京子「っ!」
結衣「京子はあの男に騙されてるんだよ…?」
結衣「京子の体が目当てで近づいてさ」
結衣「だから私が守ってやらないとな」ニコ
京子「なんでなの…」
京子「結衣はそんなに私が男と付き合うのが気に入らないの!?」
結衣「……」
京子「結衣に一体何がわかるの!?」
京子「私達はお互いに好きあってるんだよ!?」
結衣「……」
京子「結衣は女の子同士で好きあうのがおかしい事だってわからないの!?」
京子「結衣の勝手な独りよがりに私を巻き込まないでよ!!」
京子「気持ち悪い…」
京子「気持ち悪いよ!!結衣なんて大嫌い!!」
結衣「っ!」
バチンッ!
京子「あうっ!」
結衣「……」
京子「ぅ…」
結衣「京子…すっかりあの男に騙されてるんだね…」
結衣「こんなに毒されて…可哀相に…」
結衣「でも大丈夫、私が正気に戻してやるからな」ギュッ
京子「」ビクッ
結衣「ごめんね京子、痛い思いさせて…」ナデナデ
結衣「京子のためなんだ…」
京子「ぅぅ…」
私の言うことを素直に聞いてくれるようになったのは嬉しかったけど
あんなに元気で無邪気だった京子から笑顔が消えたのはとても辛かった
これも全部あの男のせいだ…早く京子を…
京子「ん…」
結衣「はい、あ~ん」
京子「……」パクッ
京子「……」モグモグ
結衣「おいしい?」
京子「……」
結衣「……」
結衣「はぁ…」
結衣「明日はもっとがんばるよ」
―――
――
―
結衣「やっぱりこの前叩いたことをまだ根に持ってるのかな…」
結衣「何とかして京子のご機嫌を取らないと…」
結衣「……」
結衣「そうだ…」
結衣「京子にプレゼントを買ってあげよう!」
結衣「うん、それがいい!」
結衣「何がいいかな、ラムレーズン?」
結衣「いや…もっと別のがいいな…」
結衣「楽しくなってきたぞ」
―――
――
―
結衣「今日の晩御飯はどうだった?」
結衣「今日のは結構腕によりを掛けて…」
京子「……」プイ
結衣「……」
結衣「やっぱりダメか…」シュン
京子「……」
結衣「ふふふ」
結衣「実は今日、京子にプレゼントがあるんだ!」
京子「え…?」
京子「プレゼント…?」
結衣「そうだよ」ガサゴソ
結衣「京子に似合いそうなの探してきたんだよ、喜んででくれるかな」ヒョイ
京子「何…それ…」
結衣「首輪だけど?」
京子「く…首輪…!?何で…?」
結衣「京子に着けてあげるんだよ」
京子「え…?」
結衣「お前も手足を鎖に巻かれてずっと苦しかっただろ?」
結衣「首輪ならお前も苦しくないだろ?」ニコ
京子「ひっ…」
結衣「ほら顔上げて」
京子「い、いや…来ないで…」
結衣「逃げるなよ」ガシッ
結衣「暴れるなって…着けられないだろ…」
京子「やめて…やめてよ結衣ぃ!!」ジタバタ
結衣「……」グイッ
京子「私こんなのいらない!!」
京子「嫌!いやだぁ!」ブンブン
結衣「チッ…」イラ
結衣「大人しくしろよ!!」
バチンッ!
京子「あぐっ!」バタン
結衣「せっかく京子のために買ってきてやったんだぞ!お前はそれを無駄にするのか!?」グイッ
結衣「お前が苦しそうだからせっかく気を使ってやったのに、何で抵抗するんだよ!?」グイグイ
京子「く、苦しい…」
結衣「京子のためなんだぞ、どうしてわかってくれないんだよ!」
結衣「それなのにお前はいつもいつもそうやって自分勝手に振舞って!」
結衣「わかってるのか!?」ドンッ!
京子「ぐっ!」バタッ
結衣「はぁ…はぁ…」
京子「ぅ…ぁ…」
結衣「なぁ、聞いてるのか?京子?」
京子「…なさい…」グス
京子「ごめんなさい…ごめんなさい…」ポロポロ
京子「暴れないから…嫌がらないから…もう叩かないで…」ポロポロ
結衣「……」
京子「お願い…」
京子「お願い…します…もう許してください…」ポロポロ
結衣「京子…」
結衣「……」ギュッ
京子「あ…」
結衣「お前が落ち込んでたから、励まそうと思って…」
結衣「私だって本当はこんなことしたくないんだよ…許してくれ…」ナデナテ
京子「……」
京子「結衣は…悪くない…悪くないよ…」
結衣「京子…分かってくれて嬉しいよ…」ニコ
京子「うん…」
結衣「それじゃ、首輪着けるから顔上げてごらん」
京子「……」クイッ
結衣「いい子だ」ガチャ
ガチャ ガチャ
結衣「首輪着けたら手足の鎖は外してやるからな」ガチャガチャ
京子「ぅ…」
ガチャガチャ
ガチャン
結衣「できた…」
京子「ぁ…ぅ…」
結衣「鎖が減って少し楽になっただろ?」
結衣「手足は自由になったし少しは動き回れるようになった、これで一緒の布団に寝られる」
結衣「お前も床で寝るのはもう嫌だろ?」ナデナデ
京子「うん…」
京子「ありがとう…結衣…」
結衣「っ!」
結衣「そう言ってもらえて嬉しいよ京子!」
京子「……」
結衣「さっそく一緒に寝ようか、京子」
結衣「ほら、おいで…」
京子「うん…」ゴソゴソ
結衣「ふふ…」ギュッ
京子「ぅぅ…」
結衣(ああ…京子の温もりがこんなに近くに感じられる…)
結衣(やっぱり京子は私の傍にいてくれるんだね…)
結衣「おやすみ、京子」ナデナデ
京子「うん…」
京子「おやすみ…結衣…」
―――
――
―
京子は前にも増して口を聞かなくなった
でも特に嫌われたというわけではなく
むしろ京子の方から積極的に私に体を預けてくれるようになった
素直に嬉しかった
京子「……」
結衣「京子と離れるのは嫌だけど、学校はちゃんと行かなきゃなダメだよな」
結衣「京子、一人でお留守番できる?」
京子「……」コクン
結衣「うん、いい子だ」ナデナデ
結衣「昼前には帰ってくるから、
京子「……」コクコク
結衣「それじゃ、行ってくるよ京子」
京子「……」
京子「行って…らっしゃい…」フリフリ
結衣「っ!」
結衣「うん、行って来るね京子!」
結衣「……」
結衣(京子が居ないと…こんなに退屈なんだな…)
結衣(早く帰りたい…)
綾乃「船見さん」
結衣「綾乃?何かな?」
綾乃「今日は歳納京子はお休みなのかしら?」
結衣「ああ、そうらしいね」
綾乃「もう!夏休み最初の登校日なのに何やってるのかしら歳納京子は!」プンプン
綾乃「学校を無断欠席するなんて罰金バッキンガムなんだから!」
結衣「ブブッ!」
綾乃「な、ななな何いってるのよ千歳!!/// そ、そそそんなわけないでしょ!!///」
綾乃「わ、私は歳納京子が無断欠席したことが許せないだけよ!///」
千歳「せやろか?」ニヤニヤ
綾乃「そうよ!!」
結衣「ははは…」
結衣「……」
結衣「綾乃だったら…まだよかったのにな…」ボソ
綾乃「え?何か言ったかしら船見さん?」
結衣「いや、何でもないよ」
綾乃「?」
結衣「ただいま、京子」
京子「お帰り…」
結衣「うん、ただいま」ニコ
結衣「寂しかっただろ?」ギュッ
京子「うん…寂しかった…」
結衣「ごめんな京子…明日はずっと傍にいてやるからな」
京子「うん…」
本当に些細なことだけど
京子との距離が縮まっていくのを、絆が強くなっていくのを感じた
やっぱり私は京子のことが好きなんだと改めて実感する
いや私だけじゃなくてきっと京子も私のことが…
私は幸せだった…
結衣「……」ギュッ
京子「んん…」
結衣「京子…」ナデナデ
京子「うん…」
結衣「……///」ドキドキ
結衣(京子の心臓の鼓動が伝わってくる…)
京子「……」
結衣(京子も私と同じでドキドキしてるんだ…///)
結衣(ああ…)
京子「結衣…?」キョトン
結衣「っ///」ドキ
結衣「……」
結衣「京子、こっちに顔向けてごらん」
京子「……?」
結衣「ん…」チュッ
京子「っ…!?」
結衣「ちゅっ……んむ……」チュー
京子「~~~っ」
結衣「ぷはっ…」
京子「う…ぁ…」
京子「な、なんで…こんな…」
結衣「ああ…ドキドキしてきたよ…京子…///」ギュッ
京子「ゆ、結衣…!?」
結衣「ねぇ…していいかな…?」
京子「え…?」
京子「するって…何…を…?」
結衣「何言ってるんだよ…もうわかってるだろ?」
京子「っ!」
結衣「京子…」ナデ
京子「ぃ…ゃ…」
京子「離してっ!」ドンッ
結衣「きょ、京子…?」ヨロ
京子「い、嫌…いやっ!」
結衣「何で逃げるの?」
京子「ひっ…こ、来ないで…!」
結衣「何でそんなに怯えてるの?」
京子「おかしい…おかしいよ!!」
京子「だって私も結衣も女の子なんだよ!?」
結衣「関係ないだろ」
京子「何…言ってるの…?」
結衣「お互い愛し合ってるんだ、これぐらい当然だろ」
結衣「ほら、おいで…京子」
京子「もうやめてよ!!」
結衣「え…?」
京子「関係ない…?」
京子「お互い愛し合ってる…?」
京子「勝手に決め付けないでよ!!」
結衣「な、何いってるんだよ…お前だって私のこと好きだろ…?」
京子「っ!」
京子「ふざけないでよ!!そんなの全部結衣の身勝手じゃん!!」
京子「私にはちゃんと好きな人がいるんだよ!?」
京子「それなのに私の気持ちを無視してさ!!」
京子「結衣ことなんてだいっきらい!!」
結衣「っ!」プチン
結衣「……」
京子「……」
京子「ゆ、結衣…?」
結衣「ふふふ…」
結衣「ああ…そうなんだ…やっぱり京子は…」ユラ
京子「え…?」
結衣「そうだったのか…」
結衣「ふふふ…」
結衣「あははははははははははは!!!」
京子「」ビクッ
結衣「そうだよ!!お前の言ってることが正しいよ!!間違ってるのは私さ!!」
結衣「お前は女の私じゃ嫌なんだろ!?」
結衣「お前だって大好きな彼氏としたいんだろ!!」
京子「っ!」
結衣「あははははははは!!!」
結衣「はははは…」
結衣「はぁ…」
京子「」ビクビク
結衣「あ~あ~京子と相思相愛になれたと思ってたのになぁ…」
結衣「ははは…私の勘違いだったのかぁ…」
結衣「まいったな…」
京子「ゆ、結衣…?」
結衣「ふふ…」
京子「っ……!」ゾクッ
ジャラジャラ
結衣「来いよ…」
京子「え…?」
結衣「来いっていってるだろ!!」グイッ!
京子「がっ…!」
結衣「そうだよ、始めっからこうしとけばよかったんだよ…!」グイグイッ!
京子「結衣っ!引っ張らないで苦しい…っ!」
京子「ぐっ!」
結衣「はははは!」
京子「ゲホッ…ゴホッゴホッ!」
結衣「ふふ、捕まえたよ京子…」ガシッ
京子「ひっ…」
京子「い、嫌だ…離して!離してよ!!」バタバタ
結衣「逃げられるわけないだろ、力は私の方が上なんだから…」
京子「嫌だ嫌だいやだぁぁ!!」バタバタ
結衣「あはははは!京子は本当に可愛いなぁ!!」ギュウッ
京子「はなしてよぉ…」ポロポロ
結衣「おいおい泣くなよ!こっちがシラけるじゃないか…」
これはいかに
結衣「暴れるなよ、服が脱がしにくいだろ…?」
京子「なん…でっ…なんでっ!」
結衣「大人しくしろ…」ガバッ
京子「んぐぐ…」
結衣「京子!…きょうこっ…!」
京子「い、嫌…恐いよ!…やめて!やめてよ結衣!!」
結衣「はぁ…はぁ…はぁ…」
京子「うあぁぁ…」
京子「いやあああああああぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」
京子「ねぇ、結衣」
結衣「何?京子?」
京子「私達ってさ進学したら共学に行くこともあるんだよね」
結衣「まぁ、そうだな」
京子「ってことはやっぱり結衣って高校で彼氏作ったりするの?」
結衣「……」
結衣「どうしてそんなこと聞くんだよ…?」
京子「いや~結衣ってもてそうじゃん?やっぱ彼氏とか作るのかなって」
結衣「……」
結衣「それはわからないなぁ…」
京子「わからない…?」
京子「わからないって…もしかして結衣ってレズなの!?」パァー
京子「っ……!」
京子「あ、そういうことね」
京子「大丈夫だって結衣って結構可愛いし普通にもてるよ!」
結衣「そういうお前はどうなんだよ…」
京子「何が?」
結衣「いつもちなつちゃんに抱きついてるだろ、お前こそそっち系じゃないのか?」
京子「あれはスキンシップに決まってるじゃ~ん」ケラケラ
京子「私だって彼氏ぐらい作ってデートしたいよ♪」
結衣「じゃあ…まずはその適当な性格から直すんだな」
京子「失礼な!これは個性だよ!」
結衣「ははは」
京子「……」
『もしかして結衣ってレズなの!?』
『ちげーよバカ!できるかわからないって意味だよ』
京子「うわああああぁぁぁぁ!!!」
京子「え?え…?」
京子「嘘でしょ…マジで…?」
勘違い
あれ?
京子「あはは…」
京子「結衣はてっきり私のことが好きだと思ってたのに…」
京子「告白する前に終わっちゃったよ…」
京子「結衣ってそういうのダメだったのかぁ…」
京子「ちなつちゃんにキスしたりしてたからてっきり私は…」
京子「……」グス
京子「あ…ヤバイ…泣きそう…」
京子「うう…」ポロポロ
京子「いやだぁ…なんで…なんでなの…結衣…」ポロポロ
京子「こんな振られかったってないよ…あんまりだよ…」ポロポロ
京子「うわあああぁぁぁぁん!!」ポロポロ
―――
――
―
結衣『ん?ダメに決まってるだろ』
京子『え…?なんで…』
結衣『今日は彼氏が泊まりに来るんだよ』
京子『っ!』
結衣『ごめんな、京子』
京子『あ、うん…』
結衣『はいはい…』
結衣『と言うかお前もいつまでも私に引っ付いてないで彼氏ぐらい作れよ』
京子『わ、私は結衣にぞっこんである!』
結衣『はぁ…』
結衣『何馬鹿言ってるんだよ』
結衣『あかりやちなつちゃんだってもう彼氏がいるんだぞ』
結衣『お前もいつまでもそんなこと言ってないで…』
―――
――
―
京子「ふざけんなぁぁぁぁぁ!!!!!」ガバッ
京子「はぁ……はぁ……はぁ……」
京子「……」
京子「え…?」
京子「な、なんだ夢かぁ…」
京子「……」
京子「流石にきっついなぁ…これは…」
京子「結衣もあかりもちなつちゃんも…?」
京子「いやいやいや笑えないよ…これは…」
京子「彼氏か…」
『私だって彼氏ぐらい作ってデートしたいよ♪』
京子「……」
京子「あ…ヤバッ…気持ち悪くなってきた…」
京子「うう…」ガクッ
京子「無理だよ…」
京子「結衣みたいな王子様がずっと傍にいるんじゃ…いまさら戻れるわけないだろ…」
京子「……」グス
京子「あははは…」ポロポロ
京子「なんで…」ポロポロ
京子「なんでこうなっちゃったのかなぁ…」ポロポロ
たぶん結衣に嫌われるのが…気持ち悪がられるのが恐かったからだと思う
今思えば、結衣にかまを掛けたのは正解だったのかもしれない
もしあのまま告白でもしようものなら
今の関係すら壊れていたかもしれないのだから
京子「ぎくしゃくしてるなぁ…最近…」
京子「はぁ…こうなるなら聞かなきゃよかった…」
京子「結衣と一緒に居るのが最近恐いよ…」
京子「好きなのに…どうして…」
京子「はぁ…」
男「あの~ちょっとすみません」
京子「え?」
―――
――
―
男「ああ、ここですか」
男「すみません、わざわざ道案内までさせてしまって」
京子「い、いえ…」
男「助かりました」
男「それじゃ、自分はこれで」
京子「ど、どういたしまして」カチコチ
京子「……」
京子「あはは…私ってここまで男耐性なかったんだ…」
京子「汗掻き過ぎだよ…」
京子「相手ちょっと引いてたし…」
京子「うん!無理!」
京子「よく考えれば最近話した異性はお父さんと先生と結衣だけだし…」
京子「おまけに通ってるのは女子校、そりゃこうなってもしかたないよね!」
京子「……」
京子「あれ…?今何か変なこと言ったような…」
京子「ん~…」
京子「まっ!いっか!」
結衣「ねぇ、京子」
京子「な~に?結衣?」
結衣「今日うちに泊まっていかないか?」
京子「っ!」
京子「むむ、結衣から言ってくるなんて珍しいね」
結衣「そうか?」
京子「そうだよ」
京子「さては夏休み早々私が居なくて寂しくなっちゃたとか?」ニヤニヤ
結衣「ねーよ」
結衣「何言ってるんだお前」
京子「テヘッ」
京子(やっぱり結衣が傍にいると落ち着くなぁ~)
京子(恐いなんてやっぱり私の思い込みか…)
―――
――
―
京子「ん…ぁ…」
京子「あれ……?」
京子(私いつの間に寝てたんだろ…)
京子「ふわぁ…」
ジャラ
京子「……」
京子「え……?」
ジャラ ジャラ
京子「何これ…?」
京子「鎖…?」
京子「な、何で!?どうして…!?」グイグイ
京子「動けない…」
京子「ゆ、結衣…?」
結衣「全然起きないから心配したよ…」
京子「ねぇ…結衣、なんで私は鎖で繋がれてるの…?」
京子「これって結衣がやったの…?」
結衣「そうだよ」
京子「な、何で?どうして?」
結衣「どうしてって…」
結衣「京子を守るためだけど…?」
京子「え…?」
結衣「触られて弄ばれて汚されて…」
京子(へ?悪い男…?)
京子「何…言ってるの…?」
結衣「でも安心していいよ」
結衣「もう誰にも私の京子を汚させたりしないから…」ギュッ
京子「ゆ、結衣…!?///」
京子(ちょ、ちょちょ!///え?え…?)
結衣「大好きだよ…京子…」ギュウ
京子(えええぇぇぇぇ!?///)
京子「な、何で…?///だって結衣は…」
結衣「もう自分に嘘をつくのはやめたよ…」
京子「嘘…?」
京子「え…?」
結衣「親友としてじゃなくて…家族としてじゃなくて…」
結衣「一人の女の子として、恋愛対象として京子のことが『好き』なんだよ」ニコ
京子「……///」ドキッ
結衣「好きだよ、京子」
京子(え…?じゃ…じゃあ…何…?)
京子(結衣は私のことが好きだから監禁したの…?)
京子(私を自分のモノにしたいから…?独り占めしたいから…?)
京子(それじゃ…結衣は私のこと…)
『一人の女の子として、恋愛対象として京子のことが『好き』なんだよ』
京子(……)
京子「~~~//////」カァー
京子(も、もしかして両思いだったの!?///)
京子(結衣が私に嫌われないためにノンケのフリをして…)
京子(それを私が誤解して…勝手に落ち込んで…)
京子(でも本当は結衣は私のことが大好きで…)
京子(……)
京子(ただのすれ違いだったのかよ!!)
京子「~~~~///」バタバタ
結衣「暴れても誰も助けにこないよ…京子…」
結衣「それにその鎖は絶対に外れない…」
京子(ちげーよ!!!)
わろた
結衣「ふふ、そうだ…」
結衣「京子、お腹空いたでしょ?」
京子「え…?」
結衣「すぐ朝ごはん作ってあげるから待ってってね」
結衣「それじゃ、いい子にして待ってるんだよ」
京子「っ!」
京子「ま、待ってよ結衣!行かないでよ!!」
京子「違う…違うの!!私はてっきり…」
ギィィィッ
バタンッ!
京子「行っちゃった…」
京子「……」
京子(監禁かぁ…)
京子(結衣がこんなことするなんて思ってもみなかったよ…)
京子(それにあんな恐い結衣初めて見た…)
京子(でも…)
『京子を守るためだよ』
『もう誰にも私の京子を汚させたりしないから…』
京子「ちょっとだけかっこよかったな…///」
京子「えへへ~///」
京子「…って何考えてるんだ私はー!!!」
京子「監禁!監禁だよ!」
京子「早くこの状況から脱出しないと…」
京子「って言っても…まぁ、普通に両思いだし」
京子「私も結衣のことが大好きだって伝えればすぐに開放さr…」
京子(いや…待てよ…)
京子(この状況…)
京子(監禁なんてこれから先絶対に経験できないよね…)
京子(これって結衣の新しい一面を見れるチャンスなんじゃ…)
京子(……)
京子(好きな人の事をもっと知りたくなるのは当然のこと……だよね…?)
京子(よしっ!)
京子(せっかく監禁されたんだ…全力で抵抗してやるか…)
―――
――
―
結衣「ほら京子、口を開けて」
京子「……」
結衣「食べないと体に悪いよ」
京子「いらない…」
結衣「どうして?」
京子「何でこんなことするの…?」
結衣「……」
京子「ねぇ…結衣、もうこんなことやめよう…おかしいよ…」
京子「今なら私も黙ってるから…」
結衣「ふふ…」
結衣「そんなに彼氏のことが大事なんだ?」
京子「!?」
京子(か、かかか彼氏!?)
京子(今彼氏って言ったよね!?)
京子(ちょ、ちょっと!それどういう設定なんすか結衣さん…)
京子「……」
京子(ま、まあ…とりあえず適当に話を合わせときますか…)
京子「な、なんで…結衣が知ってるの…?」
結衣「私が知らないとでも思ったのか?」
結衣「商店街で楽しそうにイチャついてただろ」
京子(私男の人と話してなんか…)
『あの~ちょっとすみません』
『すみません、わざわざ道案内までさせてしまって』
京子(……)
京子「っ!」
京子(あの時かぁぁぁ!)
京子(ちょっと、ちょっと待て…いやいやいや…)
京子(さすがにそれは自己完結すぎるよ結衣…)
結衣「うん、憎くて憎くてしかたなかったよ」ニコ
京子「」ゾク
京子(憎んでるのかよ!?)
京子(ははは…こりゃすごい嫉妬心だ…)
京子(なんかおもしろくなってきたなぁ~)
結衣「あの男、私の京子に気安く近づいてさ…本当に苦しかったなぁ…」
結衣「もっと早くに気づくべきだったよ…」
京子「……」
京子(ふむ…)
京子(ここはちょっと一芝居打ってみるか…)
結衣「そうだよ、京子が汚されるのを黙って見過ごすわけないじゃないか」
京子「っ!」
京子(ヤンデレかよ!)
結衣「京子はあの男に騙されてるんだよ…?」
結衣「京子の体が目当てで近づいてさ」
結衣「だから私が守ってやらないとな」ニコ
京子「なんで…」
京子「なんでなの…」
京子「結衣はそんなに私が男と付き合うのが気に入らないの!?」
結衣「……」
京子「結衣に一体何がわかるの!?」
京子「私達はお互いに好きあってるんだよ!?」
結衣「……」
京子「結衣は女の子同士で好きあうのがおかしい事だってわからないの!?」
京子「結衣の勝手な独りよがりに私を巻き込まないでよ!!」
京子「気持ち悪い…」
京子「気持ち悪いよ!!結衣なんて大嫌い!!」
結衣「っ!」
京子(……決まった…)
結衣「……」
京子「ぅ…」
京子(うう…叩かれた…)
結衣「京子…すっかりあの男に騙されてるんだね…」
結衣「こんなに毒されて…可哀相に…」
結衣「でも大丈夫、私が正気に戻してやるからな」ギュッ
京子「っ///」ドキッ
結衣「ごめんね京子、痛い思いさせて…」ナデナデ
京子(やめろぉ///頭撫でるなぁ///)ゾクゾク
結衣「京子のためなんだ…」
京子「ぅぅ…///」
京子(……)
京子(結衣…愛がすごく重いよ…)
結衣は私に対してすごく優しくなった
結衣がご飯も食べさせてくれるし、体も結衣が洗ってくれる
黙ってても結衣がなんでもやってくれた
鎖で拘束されてることを除けばまるでお姫様みたいな扱い
悪い気は…全然しなかった!
結衣「京子の好きなラムレーズンだよ」
京子「うう…///」
結衣「ほら…あ~ん」
京子「あ~ん///」
京子「……」モグモグ
結衣「おいしい?」
京子「……」プイ
結衣「ああ…」シュン
京子(……///)ドキドキ
京子(弱った結衣ってこんなに可愛かったんだ…///)
結衣「京子…せっかく一緒にいるのに寂しいよ…」ギュッ
京子「あう…///」
京子(ほんと無駄に抱きしめてくるなぁ…)
結衣「つらいよ…」ギュウ
京子「うう…///」
京子(やめてよ…そんな風にされたら私も抱き返したくなっちゃうだろうが///)
京子(……)
京子(まぁ…手足動かせないんだけどね…)
―――
――
―
結衣「今日の晩御飯はどうだった?」
結衣「今日のは結構腕によりを掛けて…」
京子「……」プイ
京子(ごめんね結衣…)
結衣「……」
結衣「やっぱりダメか…」シュン
京子(いえいえ、今日もすっごく美味しかったよ!)
京子「……」
結衣「ふふふ」
結衣「実は今日、京子にプレゼントがあるんだ!」
京子「え…?」
京子「プレゼント…?」キラキラ
京子(何かな何かな~)
結衣「京子に似合いそうなの探してきたんだよ、喜んででくれるかな」ヒョイ
京子「え……?」
京子「何…それ…」
結衣「首輪だけど?」
京子(……)
京子(首輪!?)
結衣「京子に着けてあげるんだよ」
京子「え…?」
京子(Oh…まじっすか…)
京子(結衣ってそういう趣味あったんだ…)
結衣「お前も手足を鎖に巻かれてずっと苦しかっただろ?」
結衣「首輪ならお前も苦しくないだろ?」ニコ
京子(はぁ…適当に抵抗しときますか…)
結衣「ほら顔上げて」
京子「い、いや…来ないで…」
結衣「逃げるなよ」ガシッ
京子「は、離してっ!」バタバタ
結衣「暴れるなって…着けられないだろ…」
京子「やめて…やめてよ結衣ぃ!!」ジタバタ
結衣「……」グイッ
京子「私こんなのいらない!!」
京子「嫌!いやだぁ!」ブンブン
結衣「チッ…」イラ
結衣「大人しくしろよ!!」
京子「あぐっ!」バタン
京子(うう…またぶたれた…)
結衣「……」
結衣「なんなんだよ…」
結衣「せっかく京子のために買ってきてやったんだぞ!お前はそれを無駄にするのか!?」グイ
結衣「お前が苦しそうだからせっかく気を使ってやったのに、何で抵抗するんだよ!?」グイグイ
京子「く、苦しい…」
京子(ちょ、ちょっと…愛が重い…愛が重いよ!!)
結衣「京子のためなんだぞ、どうしてわかってくれないんだよ!」
結衣「それなのにお前はいつもいつもそうやって自分勝手に振舞って!」
結衣「わかってるのか!?」ドンッ!
京子「ぐっ!」バタッ
結衣「はぁ…はぁ…」
結衣「なぁ、聞いてるのか?京子?」
京子「…なさい…」グス
京子「ごめんなさい…ごめんなさい…」ポロポロ
京子「暴れないから…嫌がらないから…もう叩かないで…」ポロポロ
結衣「……」
京子「お願い…」
京子「お願い…します…もう許してください…」ポロポロ
結衣「京子…」
京子(う~ん、私ってむっちゃ演技派!)
結衣「……」ギュッ
京子「あ…///」
結衣「お前が落ち込んでたから、励まそうと思って…」
結衣「私だって本当はこんなことしたくないんだよ…許してくれ…」ナデナテ
京子「……」
京子(結衣って本当にヤンデレの素養があったんだなぁ…)
京子(こりゃ浮気したら殺されそうだなぁ…ははは…)
京子「結衣は…悪くない…悪くないよ…」
京子(悪いのはからかってる私です…ほんとごめんなさい…)
結衣「京子…分かってくれて嬉しいよ…」ニコ
京子「うん…」
京子「……」クイ
結衣「いい子だ」ガチャ
ガチャ ガチャ
結衣「首輪着けたら手足の鎖は外してやるからな」ガチャガチャ
京子「ぅ…///」ドキドキ
京子(なんでドキドキしてるんだろ私…///)
ガチャガチャ
ガチャン
結衣「できた…」
京子「ぁ…ぅ…///」
京子(結構…悪くないかもしれない…///)
結衣「手足は自由になったし少しは動き回れるようになった、これで一緒の布団に寝られる」
結衣「お前も床で寝るのはもう嫌だろ?」ナデナデ
京子「うん…」
京子「ありがとう…結衣…」
結衣「っ!」
結衣「そう言ってもらえて嬉しいよ京子!」
京子「……」
結衣「今日はもう疲れたろ?」
結衣「さっそく一緒に寝ようか、京子」
結衣「ほら、おいで…」
京子(あ、添い寝だ…///)
結衣「ふふ…」ギュッ
京子「ぅぅ…///」
京子(結衣に意識的に抱きしめられて寝るのは初めてだなぁ///)
京子(ああ…結衣の温もりがこんなに近くに…)
結衣「おやすみ、京子」ナデナデ
京子「うん…///」
京子(おやすみ…結衣…)
―――
――
―
京子「んん…」
京子「……」
京子(目が覚めちゃった…)
京子「……」
「嫌だ…」グス
京子「……?」
結衣「嫌だよ…」ポロポロ
京子「結衣…?」
京子(寝言…?)
結衣「京子…一人にしないで…」
結衣「一緒に…いたいよ…つらい…よ…」
結衣「苦しい…よ…」ポロポロ
京子「……」
京子(寝てるし…ちょっとだけなら…いいよね…)
結衣「待ってよ…待ってよ京子…」
京子「大丈夫…私はどこにもいかないよ…」
京子「私はずっと結衣の傍にいるから…」
京子「だから泣かないで…結衣…」ナデナデ
結衣「きょう…こ…」グス
京子「よしよし…私はここにいるよ…」ナデナデ
結衣「ぅぅ…」
結衣「……」スヤスヤ
京子「……」
京子「おやすみ…結衣…」
―――
――
―
京子「……」
京子(とうこうび…?)
京子(……っ!)
京子(ヤベッ!登校日が今日だってこと忘れてた!どうしよう!)
結衣「京子と離れるのは嫌だけど、学校はちゃんと行かなきゃなダメだよな」
結衣「京子、一人でお留守番できる?」
京子「……」コクン
結衣「うん、いい子だ」ナデナデ
結衣「昼前には帰ってくるから」
京子「……」コクコク
京子「……」
京子「行って…らっしゃい…」フリフリ
結衣「っ!」
結衣「うん、行って来るね京子!」
バタンッ!
京子「……」
京子「あ~学校サボっちゃったな~」ゴロン
京子「まぁ、監禁されてるんだし…仕方ないよね」
千歳「そないなこと言うて、ほんまは歳納さんにずっと会えんで寂しいんやろ?」
綾乃「な、ななな何いってるのよ千歳!!/// そ、そそそんなわけないでしょ!!///」
綾乃「わ、私は歳納京子が無断欠席したことが許せないだけよ!///」
千歳「せやろか?」ニヤニヤ
綾乃「そうよ!!」
結衣「ははは…」
結衣「……」
結衣「綾乃だったら…まだよかったのにな…」ボソ
綾乃「え?何か言ったかしら船見さん?」
結衣「いや、何でもないよ」
綾乃「?」
【結衣のマンション】
京子「あっはっはっは!ばっかでーこの主人公」ゲラゲラ
京子「あははは!」ゲラゲラ
京子「はぁ…」
京子「首輪になったおかげでずいぶん楽になったなぁ~」ゴロン
京子「漫画も読めるし、テレビも見放題だ~!」ゴロゴロ
京子「あ~ラムレーズン食いて~」
京子「……」
京子「冷蔵庫に届くかな」
京子「いやいや勝手に食べたらさすがにばれるよね…」
京子「でも今の結衣だったら冷静な判断ができない可能性も…」
京子「……」
京子「く、苦しい…首が…絞まる…」
京子「冷蔵庫まで…あと…ちょっとぉ…!」
京子「うぐぐぐぐ…」
京子「はぁ…はぁ…はぁ…」
京子「やっぱり無理か!畜生め!」
京子「結衣~早く帰ってきてくれ~」
結衣「ただいま、京子」
京子「お帰り…」
結衣「うん、ただいま」ニコ
結衣「寂しかっただろ?」ギュッ
京子「うん…寂しかった…///」
結衣「ごめんな京子…明日はずっと傍にいてやるからな」
京子「うん…///」
結衣と一緒に過ごす日々はとても居心地がよかった
結衣に愛されてることが強く感じられる生活なんだから当然といえば当然か
この前まで結衣に感じてた壁が嘘みたいだった
結衣「……」ギュッ
京子「んん…」
結衣「京子…」ナデナデ
京子「うん…///」ドキドキ
京子(結衣の心臓の鼓動が伝わってくるよ…)
結衣「……」
京子(結衣も私と同じでドキドキしてるのかな…?///)
結衣「……」ジー
京子「結衣…?」キョトン
結衣「っ///」
結衣「……」
結衣「京子、こっちに顔向けてごらん」
京子「……?」
結衣「ん…」チュッ
京子「っ…!?」
京子(え…?結衣…?)
結衣「ちゅっ……んむ……」チュー
京子「~~~っ///」
結衣「ぷはっ…」
京子「う…ぁ…///」トロン
京子「な、なんで…こんな…///」
京子(ゆ、ゆゆゆ結衣とキスしちゃった///キスしちゃったよ///)
結衣「ああ…ドキドキしてきたよ…京子…///」ギュッ
京子「ゆ、結衣…!?///」
結衣「ねぇ…していいかな…?」
京子「え…?」
京子「するって…何…を…?」
結衣「何言ってるんだよ…もうわかってるだろ?」
京子(するって…まままま、まさか…!?///)
結衣「京子…」ナデ
京子「ぃ…ゃ…」ドキドキ
京子(いやいやいやいや)
京子(さ、さすがに私達には早いってぇぇぇ///)
京子(に、逃げなきゃ!!///)
結衣「大好きだよ…京子…」
京子「離してっ!」ドンッ
結衣「きょ、京子…?」ヨロ
京子「い、嫌…いやっ!」
結衣「何で逃げるの?」
京子「ひっ…こ、来ないで…!」
結衣「何でそんなに怯えてるの?」
京子「だって私も結衣も女の子なんだよ!?」
結衣「関係ないだろ」
京子(うん!結衣と私の愛の前にそんなこと関係ないね!)
京子(でも…そういうことやるのはまだ早いって~!)
京子「何…言ってるの…?」
結衣「お互い愛し合ってるんだ、これぐらい当然だろ」
京子(もちろん!私と結衣は相思相愛だよ!)
京子(でも、まだそういうことはやっちゃだめなんだって~!)
京子「やめてよ…」
結衣「ほら、おいで…京子」
京子「もうやめてよ!!」
結衣「え…?」
京子「関係ない…?」
京子「お互い愛し合ってる…?」
京子「勝手に決め付けないでよ!!」
結衣「な、何いってるんだよ…お前だって私のこと好きだろ…?」
京子「っ!」
京子(ぐぐ…負けるか!)
京子「ふざけないでよ!!そんなの全部結衣の身勝手じゃん!!」
京子「私にはちゃんと好きな人がいるんだよ!?」
京子「それなのに私の気持ちを無視してさ!!」
京子「結衣ことなんてだいっきらい!!」
結衣「っ!」プチン
京子(ごめんね結衣…大好きだよ…)
結衣「……」
京子「……」
京子「ゆ、結衣…?」
結衣「ふふふ…」
結衣「ああ…そうなんだ…やっぱり京子は…」ユラ
京子「え…?」
結衣「そうだったのか…」
結衣「ふふふ…」
結衣「あははははははははははは!!!」
京子「」ビクッ
京子(え?え…?何!?なに!?)
結衣「そうだよ!!お前の言ってることが正しいよ!!間違ってるのは私さ!!」
結衣「お前は女の私じゃ嫌なんだろ!?」
結衣「お前だって大好きな彼氏としたいんだろ!!」
京子「っ!」
京子(ゆ、結衣が壊れたぁ!!)
結衣「あははははははは!!!」
結衣「はははは…」
結衣「はぁ…」
京子「……」
結衣「あ~あ~京子と相思相愛になれたと思ってたのになぁ…」
結衣「ははは…私の勘違いだったのかぁ…」
結衣「まいったな…」
京子「ゆ、結衣…?」
結衣「ふふ…」
京子「っ……!」ゾクッ
京子(何か結衣が恐い…恐いよ…)
ジャラジャラ
結衣「来いよ…」
京子「え…?」
結衣「来いっていってるだろ!!」グイッ!
京子「がっ…!」
結衣「そうだよ、始めっからこうしとけばよかったんだよ…!」グイグイッ!
京子「結衣…引っ張らないで…苦しい…っ!」
京子「ぐっ!」
結衣「はははは!」
京子「ゲホッ…ゴホッゴホッ!」
結衣「ふふ、捕まえたよ京子…」ガシッ
京子「ひっ…」
京子(うわああぁぁぁぁ!!///)
京子「い、嫌だ…離して!離してよ!!」バタバタ
京子(ちょ、ちょちょっちょ!強引過ぎるって結衣ぃ!///)
結衣「逃げられるわけないだろ、力は私の方が上なんだから…」
京子「嫌だ嫌だいやだぁぁ!!」バタバタ
京子(ほんとやばいってやばいって///)
結衣「あはははは!京子は本当に可愛いなぁ!!」ギュウッ
京子「はなしてよぉ…」ポロポロ
結衣「おいおい泣くなよ!こっちがシラけるじゃないか…」
結衣「暴れるなよ、服が脱がしにくいだろ…?」
京子「なん…でっ…なんでっ!」
結衣「大人しくしろ…」ガバッ
京子「んぐぐ…///」
京子(う…あ…///)ドキドキ
結衣「京子!…きょうこっ…!」
京子「い、嫌…恐いよ!///…やめて!やめてよ結衣!!///」
結衣「はぁ…はぁ…はぁ…」
京子(ゆ、結衣の顔がこんな近くに…///)
京子「うあぁぁ…///」
京子「いやあああああああぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」
結衣「……」
京子「……」
結衣「は…?」
京子(あ、ヤベッ…!)
結衣「え、えっと…」
結衣「や、優しくするわけないだろ!!今からお前を犯すんだ!!」
京子「いやあぁぁぁ!結衣に犯される~!!」
結衣「……」
結衣「ん…?」
結衣「いやいやいや…」
京子「チッ…」
結衣「おかしい…何かがおかしい…」
京子「何もおかしくないよ~」
結衣「ちょっとまて」
京子「……」
結衣「……」
京子「……」
京子「ぷくくくっ…」プルプル
結衣「きょ、京子…?」
よかった・・・
結衣「え?え…?」
京子「はぁ…」
結衣「え…?」
京子「結衣だ~いすき!!!」ガバッ
結衣「へ!?///」
京子「大好き!!大好き!!」ギュッ
結衣「なっ///ななな…」
京子「もう絶対離さないよ!!」ギュウッ
結衣「うえええぇぇぇ!!!?///」
―――
――
―
結衣「私をからかってたと…」
京子「失敬な!結衣のこともっと知りたいから体張ってがんばったんだよ!」
結衣「あ~…うん…」
京子「でも病んだ結衣はほんと可愛かったぁ~」
京子「それにかっこよかった!」
結衣「……」
京子「京子は今悪い男に騙されてるんだ…(キリッ」
結衣「っ!」
京子「でも大丈夫、私が正気に戻してやるからな…(キリッ」
京子「もう誰にも私の京子を汚させたりしないから…(キリリッ」
結衣「うわぁぁぁ…」
結衣「うわあああああぁぁぁぁ///」ダッ
京子「え…ちょ…どこに行くの!?結衣!?」
京子「結衣!結衣さ~ん!!」
バタンッ!
京子「行っちゃった…」
―――
――
―
結衣「はぁ…はぁ…はぁ…」
京子「お、おかえり…」
結衣「ただいま…」
京子「どこ行ってたの…?」
結衣「外走ってきた…」
京子「そ、そうですか…」
京子「……」
結衣「……」
京子「でも大丈夫、私が正気に戻してやるからな…(キリッ」ボソ
結衣「もうやめて…」グス
京子「ご、ごめん…」
結衣「いや、謝るのは私の方だよ…」
結衣「京子にあんな酷いことしようとして…」
京子「私は気にしないよ、楽しかったし!」ケラケラ
結衣「叩いたりもしたし…」
京子「だから気にしないって!」
結衣「でも…」
京子「……」
京子「はぁ…」
京子「結衣…おいで…」
結衣「え…?」
結衣「京子…?」
京子「ほ~ら~捕まえた~」ギュッ
結衣「うわっ///」
京子「えへへ~」
結衣「~~~///」
京子「……」
京子「大丈夫、私はどこにも行かないよ」
結衣「っ!」
京子「私はずっと結衣のそばにいるから」
京子「心配しなくてもいいよ…」ギュウッ
結衣「……」
結衣「うっう…ごめん…ごめん京子…」ポロポロ
京子「だから気にしないって」ナデナデ
結衣「うぅぅぁ…」ポロポロ
結衣「あああぁぁぁぁぁ!!」ポロポロ
京子「はぁ…」
京子「ほんとに困った王子様だなぁ…」ナデナデ
―――
――
―
グイグイ
京子「う、うぐっ…りょ、了解っす!」
ジャラ ジャラ
結衣「……」
京子「お、終わったよ」
結衣「ありがとう」ニコ
京子「ど、どういたしまして…」
ジャラ ジャラ
グイグイ
京子「う、うん…ちょ、ちょっと待って…」
結衣「早くしろよ」ニヤニヤ
グイイィィ
京子「うぐぐ…」
結衣「どうした?京子?」
京子「なんでもないです…」
ジャラ ジャラ
京子「うん」
ジャラ ジャラ
京子「……」
京子「ねぇ…結衣…」
結衣「何?京子?」
京子「もう、首輪はずしてくれない…?」
結衣「ダメ」
京子「いいじゃん!もう私はどこにも行かないってぇ!」
京子「うっ…!」
結衣「それにお前が私の気持ちを弄んだことに変わりはない」
京子「ううっ…!」
京子「でも結衣だって私に色々やったじゃん!」
結衣「お前、気にしないって言ってなかったっけ?」
京子「うぐっ…!」
結衣「まぁ…私の気が済むまで我慢するんだな」ナデナデ
京子「うう…///」
京子「っ!」ギクッ
京子「そ、そんなわけないだろ!///」
結衣「本当に?」ギュウッ
京子「ほ、本当だってぇ…///」
結衣「ふふ…」ナデナデ
京子「ふぁ…///」
京子(ど、どうしよう…)
京子(まだ監禁生活は終わりそうにないよ…)
結衣「まだ夏休みはたっぷりあるからな…」
結衣「まだまだこれからだぞ」ニヤァ
京子(このままじゃ結衣に調教されてしまう!!)
おわり
彼氏なんて初めからいなかったんや!
乙
乙
乙
Entry ⇒ 2012.03.11 | Category ⇒ ゆるゆりSS | Comments (0) | Trackbacks (0)
女賢者「うおおお!!くたばりやがれぇぇぇ!!!」
魔物「うげぇ」
賢者「っしゃあ!さっさと行くぜ勇者!」
勇者「お、おう」
勇者(これはどういうことだ)
賢者「おう勇者!!これからどこ行くんだ!!?」
勇者「あ、ああ、北の方に町があるから、とりあえずそこかな」
賢者「町か!うっし!道中の魔物は任せとけ!!」
勇者「……俺賢者ってもっとこう…落ち着いてる人達だと思ってたよ」
賢者「馬鹿だなあ!時代は肉食系だぜ!!もっとアグレッシブに行こうぜ勇者!!」
勇者「お、おう」
魔物「うぐあーっ」
賢者「ぜやぁぁっ!!」 バキッ
魔物「ぎゃあーっ」
勇者「うわあ……賢者強いね……」
賢者「そりゃ賢者だからな!賢い者だぜ!!超強いぜ!!?」
勇者(賢さが感じられないんだけど)
賢者「魔物どもめ!!くたばりやがれぇぇぇ!!!」 バギャッ
魔物「ぎゃあーっ」
賢者「あ、やべっ!!棍棒折れた!!!やべぇ!!どうしよう!!!」 オロオロ
勇者「ほらひのきの棒あるから」
賢者「わあ!流石勇者!!すげぇ!!すげぇ!!!」
勇者(賢い……者……?)
賢者「どうする!?まず武器屋行こうぜ!!武器屋!!」
勇者「まあ賢者にひのきの棒じゃ困るもんな」
賢者「俺さ!次はもっと硬くてデカくて太い棍棒がいいな!!!な!!!」
勇者「棍棒限定なんだ」
賢者「ハンマーでもいいぜ!!やっぱこう打撃系がいいよな!!!男のロマンだよな!!!」
勇者「賢者は女の子じゃんか」
賢者「細かいこたぁいいんだよ!!あっ、ほら見ろ勇者!!ハンマー!!ハンマー!!!」
勇者「賢者なんだから杖とかせめて剣とか」
賢者「おー!!ほら勇者!!あるじゃねえか俺にピッタリの棍棒が!!!」 ブンブン
勇者「いや賢者、あのさ、その棍棒あんま強くな」
賢者「すげー!!強そー!!!かっけー!!!」
勇者「……まあいっか」
主人「お部屋は二部屋でよろしいですか?」
賢者「一部屋で!!!」
勇者「いや二部屋で」
賢者「なんでだよ!!俺の棍棒のせいで金無いんだろ!!?」
勇者「いやそりゃそうだけど、賢者は一応女の子だし」
賢者「でも別に勇者は俺のこと襲ったりしないだろ!!!?」
勇者「そりゃまあそうっていうか襲っても勝てないけど」
賢者「なら全く問題ないぜ!!俺は全然気にしないぜ!!!」
勇者(これが普通の賢者のセリフだったらさぞかし萌えるんだろうなあ……)
主人「どうします?」
勇者「……一部屋で」
賢者「うっしゃー!!!」
勇者「んー、じゃあ窓際で」
賢者「あっ……!!」
勇者「……やっぱ壁際で」
賢者「やった!!じゃあ俺が窓際な!!よっしゃー!!!」
勇者「よーし、じゃあ着替え……うーん、どうしような」
賢者「なにがだ!?」
勇者「いや、着替えるのにさ……流石に同じ部屋で着替えるのは……」
賢者「じゃあ俺は廊下で着替えてもいいぜ!!!」
勇者「やめて!!!」
※トイレで着替えました
賢者「おう!!良いベッドだったぜ!!!またな!!!」
勇者「ちょちょちょ、賢者!!めったなこと言わない!!」
賢者「だってあんなに柔らかいベッド久しぶりだったぜ!!な!!?」
勇者「だからな、お楽しみっていうのはそういう意味じゃなくて」
賢者「それに飯も旨かったぜ!!な!!風呂も気持ちよかったぜ!!?」
勇者「だから……」
賢者「ここの宿屋すげー楽しかったぜ!!!?」
勇者「……そうだな!」
勇者「なんでもここの洞窟に魔物が住み着いて困ってるらしい」
賢者「マジか!!やべーな!!許せねーな!!!」
勇者「まあ被害としては精々畑が荒らされる程度らしいんだけどな」
賢者「馬鹿野郎!!農家の人達が一生懸命作った野菜荒らすとか許せねえだろ!!!」
勇者「お、おう……そうだな……」
賢者「うおらああああっ!!!農家の人達の恨みぃぃぃぃ!!!」 ドゴンッ
魔物「ぶぎゃあっ」
賢者「農家の気持ちを思い知れよ!!!」
勇者(こいつ本当は農家なんじゃないのか)
勇者「お前がここのボスか!!観念してもらうぞ!!」
ボス「ふん、たかだか野菜を奪った程度で……」
賢者「うるせぇぇぇ!!!黙れぇぇぇぇっ!!!」 ゴキャッ
ボス「げふぅ!」
賢者「毎年野菜作るのにどれだけの手間がかかってると思ってんだ!!!」
賢者「それをお前は……お前はあああっ!!!」 ゴンッ ゴンッ
ボス「あだだだだ!!ちょっ、まっ、だあっ!!」
賢者「うおらああああああああああああッッ!!!!」 ブゴンッ
ボス「ぎゃぴっ」 ブチッ
勇者「ミンチよりひでぇ」
ボス「すいませんっしたあ!!」
農民A「あの魔物を倒すなんて流石は勇者様だべ」
農民B「勇者様はすげーべなー」
賢者「やったぜ!!褒められてるぜ勇者!!!」
勇者「俺あんまり戦ってないんだけどな」
農民A「お礼にオラ達の作った野菜を持っていってくだせぇ」
勇者「いやそれは……」
賢者「あっ!!これ昨日宿屋で食ったやつだ!!なあ勇者!!これスゲェ旨いやつだぜー!!!」
勇者「お前さっき野菜であんなに怒ってたのに」
賢者「くれるってんなら貰った方が良いじゃんかー!!!なー!!!」
ボス「なー」
勇者「うーん、今度は西の方の都かなあ」
ボス「お、そっちの方は今魔王軍が攻めてるところだぜ」
賢者「マジか!!そんじゃ放っておけねーな!!行こうぜ勇者!!」
勇者「その前にさ、なんでお前付いてきてんの」
ボス「はっ!一度拳を交わした仲だからな!」
賢者「ああ!!拳を交わせばフレンドだぜ!!拳を通して相手を理解するんだぜ!!!」
勇者「お前ら拳交わしてないし一方的にボコられただけだったろ」
ボス「そういうことじゃねえんだよ、分かってねえな」
賢者「勇者!!分かり合うってのは魂の殴り合いなんだよ!!!理屈じゃねえんだよ!!!!」
勇者「そっすか」
賢者「でっけぇ!!!」
ボス「そりゃあまあ都だからな、さっきのとことは訳が違うぜ!」
門番A「待て!貴様ら何者だ!!」
勇者「あ、俺は勇者です、魔王を倒す為に旅を」
門番B「いや、そっちの奴は魔物だろ!貴様ら敵だな!?」
賢者「違うぜ!!こいつと俺は殴り合って互いを深く理解したんだ!!!」
ボス「ああ!!俺はもう敵じゃねぇ!!フレンドだ!!!」
勇者「お前らちょっと黙っててくれるかな」
門番A「ええい!やかましい!!ひっとらえろー!!!」
賢者「捕まったぜ!!!」
勇者「お前らのせいだけどな」
賢者「違うだろ!!俺達は悪くないだろー!!!」
ボス「そうだそうだ!」
勇者「賢者はともかくお前は擁護のしようが無いわ」
賢者「こいつも悪くないだろ!!こいつだって!!こいつだってな!!!」
ワー ワー
勇者「静かに、ちょっと外が騒がしいな」
ボス「魔王軍が攻めてる町だからな、多分今まさに攻められてんだろ」
賢者「なんと!!!?」
ボス「助けるったってどうやってだよ」
勇者「この牢屋から出れなきゃどうしようもないからなあ」
賢者「何でだよ!!諦めんなよ!!!俺達の力は檻なんかに止められる程度のもんだったのかよ!!!」
賢者「こんな檻なんてなあ!!ぐぬぬぬ……!!!」 メキメキ
勇者「無茶するなよ賢者、待ってれば俺が勇者だってちゃんと分かって出れるって」
賢者「馬鹿野郎!!勇者にはあの助けを呼ぶ声が聞こえないのかよ!!!」
賢者「牢屋が何だってんだよ!!魔物が何だってんだ!!!」
賢者「牢屋も魔物もなあ!!俺の気合で……ブチ壊してやらあぁぁぁっ!!!!」 バギーン
ボス「や、やったっ!!?」
勇者(凄いけど魔法使えよ)
門番B「くそっ、いつもより数が……」
賢者「おらあああああっ!!!」 グシャーン
魔物「ぐぺぇっ」
門番A「なっ、あ、あいつらどうやって……」
賢者「馬鹿野郎!!お前ら何やってやがる!!!」
門番B「な、なんだと!?」
賢者「自分の町だろうが!!もっと戦えよ!!!立ち上がれよ!!!」
賢者「まだやれるだろ!!!お前らこんなところで終わりじゃないだろぉ!!!」
門番A「くっ…黙って聞いてりゃあ……!!」 ググ……
門番B「俺達だって…こんなところでやられたりしねぇぇ!!!」 グッ……
賢者「そうだ!!立てよ!!!気合入れやがれよぉぉぉ!!!!」
ワァァァァァァァァァァァァァ……!!!!
勇者(なんだこれ)
門番B「おとといきやがれぇぇぇぇ!!!!」
賢者「やった!!やったぜお前ら!!!すげーぜ!!!」
勇者「気力って大事だなあ」
門番A「悪かった!まさかお前らみたいな奴らを疑うなんて……俺はっ……!!」
賢者「いいんだ!!いいんだよ!!理由があったんだろ!!?仕方なかったんだろ!!?」
門番B「賢者さん……くうっ!!」
ボス「へっ……泣かせやがるぜ……」 グスッ
勇者「えっ、ここ泣くところなの?」
勇者「どうするかは考えて無かったのか賢者」
賢者「こういうもんは勢いが大切なんだよ!!!どうすんだよ!!!」
勇者「うーむ、まあ状況を把握しないとどうしようもないからな」
勇者「とりあえずはここの王様に会わせてもらって……それで対策を練ろう」
門番A「おー……」
ボス「なるほど……」
賢者「すげー!!すげーな勇者!!!なんか頭良い奴みたいだな!!!」
勇者「本当は俺よりも賢者の方が賢くないと駄目なんだけどなあ」
賢者「おうとも!!」
勇者「じゃあその間に賢者は風呂にでも入っててよ」
賢者「そうだな!!埃だらけだからな!!行ってくるぜ!!!」
勇者「……よし、ボス、ちょっといいか?」
ボス「なんだよ」
勇者「いくら魔王軍が強いっつってもそう簡単に城壁越えて街中まで攻め込めるもんか?」
ボス「あー、まあ場合によるけどなあ、飛べる奴らなら余裕だろうし」
勇者「だけどさっき相手をした限り、飛行できる魔物よりもむしろ獣っぽい魔物が多かった」
勇者「兵士も別に弱いわけでも少ないわけでも無いし、俺が思うに指揮官がよっぽど有能なのか、あるいは……」
ボス「……お前ひょっとして頭いいのか?」
勇者「お前らが馬鹿なだけだよ」
女王「よくぞ参った勇者よ、此度は何でも我らが苦労しておる魔物を討伐してくれるとか」
勇者「はい」
賢者「任せとけ!!!」
女王「ふふ、自信はたっぷりあるようだな」
勇者「時に女王様、魔物に関しての情報を話していただいても?」
女王「そういうことは兵士に聞いてくれ、私は魔物が攻めてくると毎回地下へ避難してしまうのでな」
勇者「なるほど、地下にですか」
女王「うむ、なので魔物に関してのことはよく知らんのだ、すまんな」
賢者「まあ気にすんなよ!!大丈夫だって!!!」
女王「馴れ馴れしいぞ、おい」
勇者「……」
兵士長「はっ、恐らくは二日後あたりでしょう」
勇者「なるほど、素早いですね」
兵士長「勇者殿、何か策を授けて頂けると……」
勇者「うん……まあいくらか思いついてはいるんだけど……」
勇者「とりあえず兵の配置はこんな感じでやってもらえますか?」 カキカキ
勇者「それで……ゴニョゴニョ……ゴニョゴニョ……」
兵士長「はっ、し、しかしそれは……」
賢者「なあ勇者!!!俺もなんかやることないか!!!?なあ!!?」
勇者「あ、賢者は道具屋とかで適当に買い物でもしといて」
賢者「おっしゃ!!分かった!!!」
兵士長「……いいんですか?」
勇者「あの子がいると話が進まなくって」
勇者「ふー……」
賢者「お疲れ!!勇者お疲れ!!!」
勇者「ああ、疲れてるから少し静かにしてもらっていいかな」
賢者「あ、うるさかったな!!ごめんな!!」
勇者「だから……まあいいか」
賢者「お詫びにこれ!!なっ!使えよ!!」
勇者「これは……聖水?」
賢者「凄いだろ!!聖なる水だぜ!!?それ飲んだら絶対に疲れ取れるぜ!!?」
勇者「聖水は飲むものじゃないし体力回復するもんでもないんだけど」
賢者「!!?」
兵士長「勇者殿!!魔王軍がこちらへ向かっているらしいです!!」
勇者「よし、じゃあ当初の予定通りに」
兵士長「はっ」
賢者「うっしゃあ!!じゃあ俺も行ってくるぜ勇者!!!」
勇者「ストップ」
賢者「止めるな勇者!!俺は行くぜ!!!」
勇者「いいから話聞けって、ゴニョゴニョ」
賢者「えっ!!それってマ」 ガバッ
勇者「大声出すなバカ!!」
賢者「バカじゃねーよ!!!賢者だよ!!!!」
女王「兵は出たようね、これで……」
勇者「やっぱりそういうことか」
女王「!」
勇者「兵士長から聞いて気付いたんだけど魔物共は毎回警戒の薄いところを突いて侵入していた」
勇者「だから俺は内部にスパイがいるんじゃないかなって思ったんだよ」
勇者「そんで戦闘になると毎回女王が地下に潜むって聞いて、女王を容疑者の第一候補に挙げた」
勇者「多分魔物が女王に化けてるか、取り憑いてるんだろう?」
勇者「で、魔法か何かしらの手段で毎回警戒の弱いところを相手に知らせてたってわけだ」
賢者「……どういうことだか全く分からないぜ!!!」
勇者「女王が魔物だと思う」
賢者「把握!!!」
女王「あなたをここで殺せばいいだけのことよ!!」 ズズズ……
勇者「ボス、あの魔物の情報を」
ボス「あー、憑依する系の奴だな、宿主を殺すか僧侶的な人に頼んで祓うしか」
勇者「……じゃあ賢者!頼む!」
賢者「おっしゃあああ!!任せとけぇぇぇぇぇ!!!」 ブンッ
女王「ふっ!!」 ガギッ
勇者「賢者!!とにかく早く女王から魔物を引き剥がし」
賢者「しゃらくせええええええええええっ!!!!」 ドゴッ
女王「げふぅっ!」
勇者「聞いちゃいねぇ」
賢者「あったりまえだろ!!?賢者だもの!!!」
勇者「じゃあそれであの魔物をちょっと祓ってくれよ!!!」
賢者「おっしゃあ!!任せとけ!!!」
女王「させるか!!」 バキィッ
賢者「ぐあっ!!やっ、やったなあああっ!!!」 バキィッ
女王「ぐぅっ、この程度ッッ!!!」 ゴスッ
賢者「ええい!!くたばりやがれぇぇぇぇぇっ!!!!」 ギュワアッ
女王「ふっ、この程度で私を祓えると思うなよ!!」 バキッ
賢者「あうっ!!!」
女王「そうそう簡単に取れはしない!!それこそこの女を殺さない限りはな!!!」
勇者「ちっ…賢者……!」
賢者「なるほど……じゃあ要するに邪心を取っ払えば良いんだろ!!!」
女王「ふふん、そのようなことができるとでも……」
賢者「できるさ!!!拳を交わして心を伝えれば!!!出来ぬ事など何も無い!!!」
女王「戯言を……ふんっ!!」 バギッ
賢者「ぐっ……こんなものぉぉぉぉぉっ!!!」
女王「!?」
賢者「歯ぁぁぁ食いしばれぇぇぇぇぇぇぇっ!!!!!」
バキィィィィッ
賢者「違うだろ!!?あんたがやりたかったのはこんなのじゃないだろ!!?」 バキッ
女王「がっ!」
賢者「目覚ませよ!!あんた女王様なんだろ!!?国を守りたかったんだろ!!?」 ゴスッ
女王「うぐぅっ!!」
賢者「じゃあ魔物なんかに負けてんじゃねえよ!!!もっと心を燃やしてみせろよ!!!!」 ベキィッ
女王「こっ、こいつ……ぐうう……」 シュウウウウ……
勇者「今だ!聖水をくらえ!!」 バシャッ
女王「ぎゃあああああああああああああああ!!!!」 ジュウウウウウ
賢者「聖水つええ!!!!」
賢者「波ァァァァァッッ!!!!」 バシュッ
魔物「う、ウギャアアアアアアアアアアアアッッ!!!」 バシュウウウウウウウ……
賢者「ふっ、悪霊退散だぜ!!!」
ボス「寺生まれって凄い、改めてそう思いました」
賢者「まあ俺は農家生まれなんだけどな!!!」
勇者「ああ、やっぱそうなんだ」
賢者「あっ、それより上の奴ら!!兵隊とか大丈夫かよ!!!なあ!!!」
勇者「大丈夫だよ、兵士長には女王に嘘の配置を報告するように言っといたからさ」
勇者「今頃魔物連中は警備が薄いと思ってた所に突っ込んで兵士にボコボコにされてるだろ」
賢者「勇者すげぇ!!!」
勇者「せやろ?」
勇者「なんのなんの、女王様は問題ありませんか」
兵士長「はっ、体調は優れてスッキリした気分だそうです」
賢者「良かったな!!!やっぱ元気が第一だもんな!!!」
兵士長「ですが……」
勇者「どうかしたんですか?」
兵士長「いえ……不憫なことに顔や体がボコボコになってしまっていまして……」
兵士長「まるで顔に殴られたような痕も出来てしまって……全く嘆かわしい……」
賢者「…………」
勇者「……大変ですね」
兵士長「くうっ、おのれ魔物共め……!!」
ボス「あの場にあれ以上いづらかったもんな!!」
賢者「流石は勇者だぜ!!!戦略的撤退ってやつだな!!!凄いな!!!」
ボス「で、次はどこ行くんだ?」
勇者「賢者はどこか行きたいとこある?」
賢者「海に行きたい!!泳ぎてぇ!!!」
勇者「じゃあ南の国に行くか」
ボス「海が好きなんて子供だな賢者さんは」
賢者「バッカ野郎!!海すげーんだぞ!!生命の源とか何かそういうアレなんだぞ!!!」
勇者「はいはい」
賢者「海だー!!勇者!!泳ごうぜ!!!」
勇者「その前に水着買わないと」
ボス「すいませんスク水ひとつください」
勇者「待てい」
ボス「水着っつったらスク水だろうがフザケンな勇者!!」
勇者「俺ビキニ好きなんだよね」
賢者「俺は別に裸でも良いんだけどな!!!」
勇者「やめて!!!」
勇者「そうだなー」
賢者「えへへ、ほら!実は俺の国って海とか無くってさ!!」
賢者「俺さ!海に来るの初めてなんだぜ!!えへへへ!!!」 バシャバシャー
勇者「そうかそうか」
賢者「それに俺の家さ!!農家だからさ!貧乏だからさ!!」
賢者「こんなリゾートっぽいのも初めてなんだよ!!スゲェ楽しいよ!!!」
賢者「えへへへ!!ありがとうな勇者!!!」 バシャバシャ
勇者「……おう」
賢者「照れんなよー!!うへへー!!勇者ー!!!」 バシャー
ボス「もしもし壁殴り代行の方ですか」
賢者「だって賢者ってすげーじゃん!!強いんだぜ!!賢いんだぜ!!!」
賢者「それにな!賢者になれば就職にも有利だしな!!引く手あまたなんだぜ!!!」
賢者「だからな!俺な!!頑張って勉強してな!!賢者の資格取ったんだ!!!」
勇者(資格で取れるもんなんだ、ていうか勉強してコレなんだ)
賢者「あのなー、将来はもっと稼いでなー、田舎の農家の親に楽させてやるんだ!!!」
勇者「……賢者は意外と立派だなあ」
賢者「褒めるなよー!!!恥ずかしいだろー!!!えへへー!!」
勇者「いや別に褒めたつもりは」
ボス「棒倒し超楽しい」 ザー
勇者「そんな良い湯だったみたいに言われても」
賢者「前から思ってたけど勇者テンション低いよな!!!もっと熱くなれよ!!!」
勇者「こればっかりは性格だから仕方無いなー」
賢者「へへへ、でもそこが好きだぜ!!!クールなところがカッコいいよな!!!な!!!」
勇者「お、おう」
賢者「照れんなよー!!!勇者照れんなよー!!!」
勇者「ててて、照れてねーし!」
賢者「へへへー、なあ勇者!!今度また金溜めたらここ来ようぜ!!」
勇者「……おう」
ボス「はいはい、ノロケ糞野郎共め、新情報入ってんぞこら」
ボス「えーとな、さっきそこの魚人に聞いたんだけどな、魔王軍が進行計画立ててるらしいわ」
賢者「マジか!!!」
勇者「ここにか?」
ボス「いや、こっから北西ぐらいの……ちょい地図貸せ、ここらだな」
勇者「あ、案外うちの国の近くじゃないか」
ボス「おうよ、山輸送ルートになってるし、ここ抑えられたら地味にヤバイな」
賢者「あっ」
勇者「うん?」
賢者「そのへん俺の地元だわ!!!」
勇者「マジで!!?」
ボス「ちょっ、まっ……おなかいたい……」
賢者「大丈夫だって!!やればできるって!!!もっと頑張れよ!!!」
ボス「で、でも……」
賢者「諦めんなよ!!お前ってそんなもんじゃないだろ!!!まだ全力出してないだろ!!!」
ボス「え、ええい!やったらああ!!」
賢者「そうだよ!!やれば出来るじゃねえか!!!よっしゃ急ぐぞ!!!」
勇者「賢者、地元は……」
賢者「大丈夫だって!!農家って強いんだからな!!!魔物なんかに負けないって!!!」
賢者「絶対大丈夫だって!!俺が信じないでどうすんだよ!!!信じないとどうしようもないだろ!!!」
勇者「……おう」
賢者「……っかしいな!!このへんだったハズなんだけどなー!!」
勇者(……正直予想はしてたけど)
賢者「あのな、前はな!ここに教会があったんだよ!!ハゲた神父さんがいてさ!!」
賢者「んでな!!ここな!道具屋だったんだよ!!村で一つだけだったんだよ!!!」
賢者「こっちは宿屋だったしな!!たまにホラ、旅人とか運び屋とかが泊まってってさ!!!」
賢者「んでな!!ここな!ここ……ここがさ、俺の家だったんだけどさ……」
ボス「……なんもないな」
賢者「……本当にさ、良い親だったんだよ、優しくてさ、熱くてさ、なあ勇者」
勇者「おう」
賢者「親父にさ……お前を……会わせたかったよなあ……」
ボス「外にいるけど……えー、お前どうすんのアレ」
勇者「どうするもこうするも」
ボス「だってホラ、励ますにしたってよー……お前これこういう空気……」
勇者「大丈夫だよ、俺がどうにかするから、お前は寝てろよ」
ボス「つったってなー……」
勇者「それよか魔王軍の状況は?」
ボス「あ、そこの近くの山に潜んでるっぽいけど」
勇者「うし、じゃあ明日の朝出発な」
ボス「えー、いや、うん……えー……?」
勇者「おっす」
賢者「……おっす」
勇者「……」
賢者「親父さ、熱い人だったんだよ」
勇者「ああ」
賢者「なんかむやみやたらに熱くてさ、でもまあ一本筋は通っててさ」
賢者「だから多分、魔物が来ても真正面から熱血でかかってったんだと思うんだ」
勇者「ああ」
賢者「母ちゃんは優しかったけどさ、でもちゃんとするところはちゃんとしてて……」
賢者「俺さ、親父も母ちゃんもさ、村の人達も大好きだったんだ……」
勇者「ああ」
賢者「でもなれた時にはみんな凄い喜んでくれてよー、なー」
勇者「……」
賢者「なんだってこうなっちゃうかなあ……」
勇者「……こうならない為に魔王を倒すんだろ」
賢者「そうだけど……そうだけどよぉ……」
勇者「……泣きたい時は泣いた方がいいぞー」
賢者「うぐっ……うぅ……ぅー……ぅぇっ…」ボロボロ
勇者「よしよし」
賢者「うぇぇ……」 ボロボロ
賢者「お楽しみしてねーし!!!」
ボス「二人で朝まで外にいて何も無かったとか言わせねーからな」
勇者「何も無かった」
ボス「言われた!」
賢者「うっし……んで!!敵の居場所は!!?」
勇者「あそこの山の中らしいぞ」
賢者「っしゃ!!そんじゃ行くぜ!!弔い合戦だ!!」
賢者「今日ばっかりは手加減しねぇ!!!あいつら全滅させてやる!!!」
勇者「よっしゃ、ま、頑張ろうぜ」
賢者「おう!!!」
魔物B「ちょwwwwwwwwwwwwwテラダルシムwwwwwwwwwwwww」
賢者「オラァァァァァッ!!!」 ゴバギャ
魔物A・B「 」
魔物C「ちょ、なんぞこいつ!!」
賢者「見れば分かんだろうがあああ!!!カチコミじゃああああああい!!!!」 ゴスッ
魔物C「オゴッフ」
賢者「くたばりやがれぇぇぇっ!!!」 ゴギンッ
魔物D「げふぅっ!」
魔物E「やべぇ!こいつ強えぇ!!」
賢者「やぁぁってやるぜぇぇぇぇ!!!」 ベゴキ
魔物E「ごぶはっ」
魔物T「あ、ボス!やっちゃってくださ」
賢者「どっせぇぇい!!!」 ゴギャンッ
中ボス「うおっ、なるほど、騒がしさの元凶は貴様か!」
賢者「テメェだけは許さねぇ!!覚悟しろ!!地獄に送ってやるぜ!!!」
中ボス「ふん、張り切っていられるのも今のうちだ!!」 バギィッ
賢者「うぐっ……こんなもんでぇぇぇぇぇっ!!!!」 ゴギィッ
中ボス「ふんっ!効かんな!!」
賢者「なにィ!!!?」
ボス「あっ、やべ、あいつ打撃効きづらい系のボスじゃねーか」
勇者「ちょっ……賢者……!!」
賢者「しゃらくせぇぇぇぇぇぇっ!!!!」 バギャアッ
中ボス「おごっ!なっ……なんっ……」
勇者「効いた!!」
賢者「俺はどうにも不器用な賢者でね!!一番得意な魔法は攻撃力強化呪文なのさ!!!」
賢者「さあこい!!かかってこい!!!お前の拳をぶつけてみせろ!!!」
中ボス「やっかましいわ人間風情がああっ!!!」 バゴッ
賢者「いっ……たくねぇっつってんだろがぁぁぁぁっ!!!」 ゴギャアッ
中ボス「ごほぉっ!?」
賢者「全然痛くねぇんだよ!!全然効かねぇんだよ!!!」
賢者「もっと本気出して見せろよ!!!魂を燃やし尽くしてみせろよ!!!」
中ボス「うるせぇぇぇぇぇっ!!!!」
賢者「ぐっ!!?」 クラッ
中ボス「ははは!!どうだ見たか!この魔法は相手に毒を与え、相手は毒の痛みと精神的ショックで」
賢者「やっかましいわぁぁぁぁ!!!!」 ベギャアッ
中ボス「オゴフッ!?」
賢者「毒だとか何だとかよく分からんことやってんじゃねえ!!!男なら正面からかかってこい!!!」
勇者「よく分からんてお前」
中ボス「こっ、こいつ……」
賢者「よくもっ……よくもよぉ!!!お前なんかにッ!!!」
賢者「逃げようったってそうはいかねぇぇ!!!」 バッ
中ボス「くっ!!そこを退けやあ!!」 バギィッ
賢者「こんなっ!!パンチでなあっ!!!この俺をッッ!!!」
中ボス「ひ……!」
賢者「目だ!!」 ブチッ
中ボス「ぎゃあ!」
賢者「耳だ!!!」 ブチィッ
中ボス「ぎゃああっ!」
賢者「鼻だ!!!」 ブヂィッ
中ボス「ぎゃああああ!!!」
賢者「くたばりやがれぇぇぇぇぇぇっ!!!!!」
賢者「ふんっ!!」 ブチッ
中ボス「 」
勇者「お疲れ」
賢者「……おう」
ボス「なんだよ、勝ったのに元気無いな」
賢者「……こんな奴に親父が殺されたかと思うとよ……ちょっとな……」
勇者「……賢者」
賢者「いいんだよ!!大丈夫だから!!俺は大丈夫だからさ!!!」
勇者「……おう、さっさと魔王倒そうな」
賢者「おうともよ!!!」
勇者「とうとう魔王城かー……」
賢者「ああ!!後は魔王倒せば終わりだぜ!!」
勇者「ああ、頑張ろうな」
賢者「へへ、なあ勇者!!魔王倒したらさ!!約束通りもっかい海行くからな!!!」
賢者「そんでさ!!海行ってさ……そしたら……」
勇者「ああ、結婚しような」
賢者「おおお、おまっ、こっ、こっちが恥ずかしくってアレだったのに!!!」
勇者「照れんなよ」
賢者「照れるぜ!!!」
賢者「おうよ!!」
魔王「ふん……来たか勇者め」
勇者「ああ、覚悟しろよ魔王!」
賢者「貴様を地獄に叩き落してやる!!!」
魔王「やってみろ勇者!!!」
完
クソして寝ろ!!!!!!!!!!!
終わり方打ち切りかよ!
勇者と賢者の愛が世界を救うと信じて……!みたいな終わらせ方しやがって
最後までやりきるって言っただろ!!!
Entry ⇒ 2012.03.11 | Category ⇒ 勇者魔王「」SS | Comments (1) | Trackbacks (0)