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キミ子「隣の席だからっていい気にならないで」
http://hayabusa.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1327051610/
キミ子「たまたま席が隣ってだけで有利だと思ったら大間違いだよ」
姫子「えっと、何の話?」
キミ子「とぼけたって駄目」
姫子「怒ってる?」
キミ子「怒ってない」
キミ子「宣戦布告だよ」
自分へのコンプレックスが強く、色が白くて足が細い人の隣にはなるべく行かないようにしている。
立花姫子
ソフトボール部所属。今時の女子高生らしい挙動だが、礼儀正しく人情に厚い。
コンビニでアルバイトをしている。隣の席の唯がなついている。
キミ子「いつまでとぼけるの」
姫子「だって覚えが無いから」
キミ子「いい加減にして」
姫子「席が隣って何の・・・」
姫子「あ、唯の事?」
キミ子「・・・そう」
姫子「え?唯がどうしたの?」
姫子「え?そりゃ良い子だと思ってるけど」
キミ子「そういう事じゃないでしょ、もっとこう」
姫子「可愛いよね、小動物みたいで」
キミ子「好きなの?好きじゃないの?」
姫子「好きだよ」
キミ子「!」
姫子「いや友達としてね」
姫子「いやいや同姓でしょ」
キミ子「女の子として好きなんでしょ」
姫子「友達として好きなの」
キミ子「もっと言えば性欲を掻き立てられるんでしょ」
姫子「ちょっ、何言ってるのよ!」
キミ子「席が隣だからどうしたって言うの、私は出席番号が隣なんだから」
姫子「もう何が何だか分からないんだけど」
キミ子「とにかく」
姫子「ちょっと落ちついて話そうよ」
キミ子「これが落ちついていられると思う?」
姫子「いいから落ちついて」
キミ子「今日はそれだけ言いに来たの」
キミ子「それじゃ」スタスタ
姫子「行っちゃった・・・」
姫子「わざわざバイト先のコンビニに来てまで何だったんだろう」
姫子「しかも深夜に・・・」
姫子「あ、おはようキミ子」
キミ子「・・・」
姫子「昨日のあれは何だったの?ちゃんと説明してよ」
キミ子「よくライバルに気軽に話しかけられるね」
姫子「ライバルって」
キミ子「余裕ぶっちゃって」
姫子「はあ」
姫子(らちがあかない)
姫子「あ、今日お昼一緒に食べようか」
キミ子「!?」
姫子「それでちゃんと話そうよ」
キミ子「わかった、覚悟してね」
姫子(何を覚悟すればいいの?)
姫子「おはよう、唯」
姫子(あ、キミ子がこっち見てる)
キミ子(絶対許さない)
キミ子(たまたま席が隣ってだけで調子に乗っちゃって)
姫子(なんか睨まれてるよ・・・)
よしみ「姫子、お昼ご飯食べよ」
姫子「ごめんよしみ、ちょっと約束があって」
よしみ「あ、そうなんだ」
姫子「ごめんね!」
よしみ「ううん、気にしないで」
姫子(さてと)
キミ子「ごめんちょっと用事が」
響子「そっか」
キミ子「ごめんね」
響子「ううん、行ってらっしゃい」
キミ子「うん」
キミ子「そうだね」
姫子「それで昨日のは何だったの?」
キミ子「まだとぼけるんだ」
姫子「とぼけるとかじゃなくて、色々理解できないの」
キミ子「何が理解できないの、よ」
キミ子「遊んでそうな顔してるくせに」
姫子「な!何それ!」
キミ子「黙って男と付き合ってればいいのに」
姫子「なななな」
キミ子「何、やる気?」
姫子「やる気って」
姫子「キミ子ってそんなキャラだったんだ」
キミ子「恋は人を変えるんだよ」
姫子「恋」
キミ子「そう、恋」
キミ子「そうだよ」
姫子「女の子同士なのに?」
キミ子「私だってこんな事初めてだからよく分かんない」
姫子「ふうん」
キミ子「姫子も唯に恋してるんでしょ?」
姫子「ええ!?」
キミ子「はいおとぼけ入りました」
姫子「そこでなんで私なの?」
キミ子「見てれば分かるよ」
姫子「してないよ!」
キミ子「はいはい、そうだね」
姫子(何を言っても信じてもらえない)
キミ子「男だけじゃなく女にも手を出すなんて」
姫子「まず私彼氏とかいないよ?」
キミ子「は?そんな格好して?」
姫子「そんな格好って」
キミ子「どう見たっているでしょ彼氏」
キミ子「頭の悪そうな彼氏が」
姫子「い!な!い!」
姫子「いないって!」
キミ子「じゃあ百歩譲って今はいないとしても」
姫子「譲らなくてもいないからね」
キミ子「いたことはあるでしょ」
姫子「それもないよ」
キミ子「はい絶対嘘」
キミ子「嘘つき」
姫子「嘘じゃないってば!」
姫子「ほんとだって!」
キミ子「そんな遊んでそうな格好して、誘ってるんでしょ」
姫子「なんでそんな事言うの」
キミ子「男が良いならわざわざ唯に手出さないでよ」
姫子「酷いよ・・・」
キミ子「・・・」
姫子「・・・」
キミ子「・・・ごめん」
キミ子「・・・」
キミ子「じゃあ何?処女なの?」
姫子「なっ」
姫子「・・・そうだけど」
キミ子「そうなんだ」プッ
姫子「何よ」
キミ子「ちょっと見直した」
姫子「あんまり嬉しくないなあ」
キミ子「私は純真な乙女だけど」
姫子「へえ」
キミ子「当然でしょ」
姫子「キミ子可愛いのにね」
キミ子「えっ」
キミ子「・・・嫌味?」
姫子「?」
キミ子「姫子の方がどう見ても可愛い」
姫子「えっ」
姫子「違うよ、ほんとに可愛いと思ってる」
キミ子「嘘だ嘘だ」
姫子「ほんとだって、ほんとに可愛いよ」
キミ子「自分の方が可愛いと思ってるくせに」
姫子「そんなことない」
姫子「私だって自分の容姿に自信なんかないよ」
キミ子「嘘つき」
姫子「ほんと」
姫子「・・・そうだね」
キミ子「唯だよ唯」
姫子「私はほんとに友達としてしか見てないよ」
キミ子「信じられない」
姫子「失礼だけど私だって信じられない」
キミ子「・・・」
姫子「女の子を好きになるなんて」
キミ子「私だって最初は自分の気持ちが信じられなかったよ」
姫子「響子の事とかはどう思ってるの?仲いいよね」
キミ子「響子は友達だよ」
姫子「恋愛感情は無いの?」
キミ子「無い」
姫子「それと同じだよ」
キミ子「・・・」
姫子「私も唯の事は友達として好きってだけ」
キミ子「・・・」
姫子「ほんとにほんとだから」
姫子「そもそも疑われた事自体が不思議だよ」
キミ子「だっていつも唯にデレデレしてるから」
姫子「してないよ」
キミ子「してる」
姫子「友達として仲良くしてるだけ」
キミ子「・・・まあいいよ、それで」
姫子「うん」
キミ子「じゃあもし仮に、私と唯が付き合うのに協力してって言ったらどうする?」
姫子「え?」
キミ子「やっぱり自分も狙ってるから出来ない?」
姫子「あ、ああ出来るよ!」
キミ子「それで私と唯が付き合ってもいいの?後悔しない?」
姫子「しないよ」
姫子「女の子同士は不思議な感じだけど、応援するよ」
キミ子「・・・」
姫子「そんなことしないってば」
キミ子「漫画とかでよくある展開でしょ」
姫子(漫画って)
キミ子「そういう展開が一番傷つくんだよね」
姫子「ほんとにしないってば」
キミ子「ううーん」
キミ子「・・・わかった」
キミ子「・・・そうだね」
姫子「安心して、ちゃんと協力するから」
キミ子「・・・」
姫子「ほんとに協力するって、頑張って!」
キミ子「・・・ありがと」
姫子「うん」
キミ子「・・・色々言ってごめん」
姫子「・・・うん、いいよ」
キミ子「ありがと」
姫子「二回目」
キミ子「・・・ふん」
姫子「ふふ」
キミ子「うん」
姫子「頑張ろうね」
キミ子「言われなくても頑張る」
姫子「あ、ちょっと元気になった」
キミ子「うるさいなあ」
姫子「とりあえずアドレス交換しようよ」
キミ子「ん」
姫子「赤外線送信!」ピピピ
キミ子「来た」
姫子「よろしくね」
キミ子「こちらこそ」
キミ子「姫子から電話だ」
キミ子「はい」ピ
姫子『やっほー』
キミ子「・・・」
姫子『・・・んん!』
姫子『とりあえず唯を落とす作戦だけど』
キミ子「うん」
姫子『明日休みだし直接作戦立てよっか』
キミ子「会うの?」
姫子『うん』
キミ子「唯じゃなくて姫子とか・・・」
姫子『何?せっかくキミ子のために』
キミ子「わかった、じゃあ明日ね」
姫子『なんだかなあ』
姫子「おはよ」
キミ子「うん」
姫子「さて、それじゃご飯でも行こうか」
キミ子「何が悲しくて姫子と出かけなきゃならないんだろう」
姫子「何か言った?」
キミ子「何も」
姫子「何食べる?」
キミ子「なんでもいいよ」
姫子「なんでもいいってのが一番困るんだよね」
キミ子「MAXバーガーだ」
姫子「あんまりおしゃれな店分かんないからさ」
キミ子「私もそういうとこはよく分かんないから良かった」
姫子「じゃあ入ろう」
キミ子「ん」
紬「あら?」
姫子「あ、ムギ」
キミ子「ここでバイトしてたんだ」
紬「そうよ~」
紬「二人は何?デート?」キラキラ
姫子「違う違う」
キミ子「なんで姫子と」
姫子「いちいち噛みついてくるねえ」
キミ子「・・・ふふ」
紬(わ~なんか素敵!)
姫子「じゃあ私はチーズバーガーと・・・」
キミ子「どうアプローチすればいいんだろう」
姫子「やっぱりデートとかじゃない?」
キミ子「うーん」
キミ子「私唯とあんまり話したことないんだよね」
姫子「確かに」
キミ子「どう話しかければいいんだろう」
姫子「唯って誰に対しても懐きやすいって言うか」
姫子「なんて話しかけても優しく接してくれるよ」
キミ子「うん」
キミ子「・・・そんなところが好き」
姫子「はいはい」
キミ子「分かってる」
姫子「女の子同士って色んな障害がありそうだし」
キミ子「分かってる」
姫子「まず唯には女の子同士の恋愛を理解してもらわないと」
キミ子「ふんふん」
キミ子「まあ確かに」
姫子「けいおん部とか和と特に仲良いみたいだけど」
姫子「それはあくまで友達として好きって事だよね」
キミ子「うん」
姫子「いくら仲良くなってもそれじゃ意味無い」
姫子「だからファーストコンタクトが大事だよ」
キミ子「つまりどういうこと?」
姫子「その一手で友達として仲良くなっていくか」
姫子「友達としてじゃない、いつもとちょっと違うって思わせるか」
キミ子「?」
姫子「いつもと違えば、友達として以外に何か感情が芽生えるかも知れないでしょ」
姫子「その感情を恋に向かわせるんだよ」
キミ子「なるほど」
姫子「何かしないと女の子の事を恋愛対象としてなんて見ないからね」
姫子「それはちょっと分かんないけど」
キミ子「なにそれ」
姫子「とにかくインパクトだよ」
キミ子「インパクト・・・」
姫子「けいおん部のみんなとか和とは違う事をしてみたらいいんだよ」
キミ子「ふうん」
姫子「頑張ってね」
キミ子「やってみる」
キミ子「うん」
姫子「私は無理だな、苦くて」
キミ子「見かけによらずお子様だね」
姫子「そうだよー」
キミ子「純潔守ってるしね」
姫子「そ、それはもう忘れてよ!」
キミ子「ふふ、絶対忘れない」
姫子「キミ子もそうなのに・・・」
キミ子「私は誇りに思ってるもん」
キミ子「うん、またね」
姫子(なんだかんだで楽しかったな)
キミ子(インパクト、インパクト)
キミ子「インパクトかあ」
キミ子「どうすればいいのかな」
キミ子「姫子ももうちょっと考えてよ」
キミ子「まったく」
姫子「いい作戦思いついた?」
キミ子「全然」
姫子「うーん」
キミ子「・・・」
姫子「じゃあいきなり抱きついてみようか」
キミ子「えっ」
姫子「インパクト!」
キミ子「変態だよただの」
姫子「いいからいいから」
唯「なあに?」
姫子「ちょっとこっち来て」
唯「うん!」
キミ子(どうするんだろう)
姫子(キミ子も来て!)
キミ子(来て、って言ってるのかな?)トコトコ
唯(なんだろう)
姫子「キミ子が話あるんだってさ」
唯「え?キミ子ちゃんが?」
キミ子「う、うん」
唯「なになに~?」
キミ子(うわ、近い)カアアア
姫子(顔赤っ)
唯「うん!」
姫子(抱きついちゃえ!)
キミ子「ゆ、唯!」ガバッ
唯「わっ」
キミ子(どうしよ、抱きついちゃった)
姫子(よし!これで唯も・・・)
唯「抱きつかれちゃったよ~」ギュウ
キミ子(唯も抱きついてきた!)
姫子(ぐっ、さすが唯!)
唯「えへへ~」ギュウ
姫子(えっと、どうしよ)
唯「キミ子ちゃんいい匂いだね~」ギュウ
キミ子(うう)カアアア
姫子(唯手ごわ過ぎ!)
キミ子「えっと、唯?」
唯「ん?」
唯「うん、多分」
姫子(お、いった)
キミ子「どっか遊びに行かない?」
唯「いいよ!」
姫子(おお!)
唯「姫子ちゃんも?」
姫子「ああ、私は用事があるから無理なの」
キミ子(ナイス姫子!)
唯「そっかあ」
キミ子「ふふふ、二人で行かない?」
唯「いいよ!」
姫子(よしっ)
キミ子(やった!)
唯「初めてだね、一緒に出かけるの」
キミ子「うん・・・嫌だった?」
唯「全然!なんか嬉しいな!」
キミ子「よかった・・・」
姫子(良かった良かった)
唯「じゃあ連絡先交換しよ~」
キミ子「う、うん」
キミ子「うん」
唯「じゃあ私は戻るね~」
キミ子「・・・」
姫子「やったじゃん」
キミ子「・・・うん」
姫子「どうしたの?」
キミ子「インパクト足りなかったよね?」
姫子「・・・」
キミ子「このままだと友達として・・・」
姫子「ここからが本番だって」
キミ子「そうだといいけど」
唯「姫子ちゃんとキミ子ちゃんのとこだよ」
澪「なんか珍しい組み合わせだな」
紬(まあ、やっぱり姫子ちゃんとキミ子ちゃんって・・・)ドキドキ
唯「いいでしょ!」
律「いや何がいいんだ」
澪「でもちょっと楽しそう」
唯「えへへ」
キミ子「唯になんて連絡しよう」
キミ子「とりあえず姫子に電話しよっかな」ピピピ
姫子『はい』
キミ子「唯になんて言えばいいのかな?」
姫子『普通でいいと思うけど』
キミ子「普通じゃ友達になっちゃうよ」
姫子『そっか』
キミ子「唯はデートだって思ってくれてるのかな」
姫子『大丈夫だって、そのうち恋が芽生えるよ』
キミ子「・・・めんどくさくて早く電話終わらせようとしてるでしょ」
姫子『・・・そんな事ないよ』
キミ子「ほんと?」
姫子『ただ、今深夜2:00なんだって事は分かってほしいな』
キミ子「うん」
姫子『今唯に電話とかしちゃダメだからね』
キミ子「当然でしょ」
姫子『・・・』
姫子「どうなったの?」
キミ子「とりあえず日曜日に一緒に買い物に行くことになったよ」
姫子「良かったね」
キミ子「うん、それで練習したいから一緒に来て」
姫子「練習?」
キミ子「ぶっつけ本番は怖いから」
キミ子「姫子で練習させてよ」
姫子「ええ~」
キミ子「協力してくれるんでしょ?」
姫子「そうだけど」
キミ子「じゃあ決まりだね」
姫子「強引だね」
キミ子「まあね」
キミ子「そんなことしたら嫌われちゃうかも」
姫子「私には嫌われてもいいの?」
キミ子「え」
キミ子「・・・」
姫子「冗談だよ」
キミ子「・・・うん」
姫子「ごめんごめん」
キミ子「・・・」
姫子「嫌いになんかならないってば、ね?」
キミ子「・・・うん」
姫子「ほら練習するんでしょ?」
キミ子「する」
姫子「じゃあほら、元気出して」
キミ子「今日これから行く」
姫子「今日?」
キミ子「行くよ」
姫子「あ、ちょっと」
キミ子「今から予定してるデートコース回るから」
姫子「うん」
キミ子「ちゃんと着いてきてね」
姫子「はいはい」
キミ子「いろいろ意見聞くからね」
姫子「うん」
キミ子「じゃあまずは服屋さんから」
キミ子「駄目、次は雑貨屋さん」
姫子「も~こんなに連れまわされたら疲れちゃうよ」
姫子「唯もきっと疲れると思うよ?」
キミ子「・・・そうかな?」
姫子「そうだよ、もっと相手の事も考えなきゃ」
キミ子「相手の事」
姫子「唯の事楽しませようとしてるのは分かるけどさ」
姫子「空回りしちゃうこともあるよ」
キミ子「・・・」
姫子「だったらちゃんと唯の事見て、唯の事考えないと」
キミ子「・・・」
姫子「キミ子は唯を通して自分を見てるんじゃないかな」
キミ子「どういうこと?」
姫子「きっと初めての女の子への恋で、自分の事ばっかり考えちゃってるんだよ」
キミ子「自分の事・・・」
姫子「自分がしてあげたい事を押しつけるんじゃなくて、相手が望む事をしてあげなきゃ」
キミ子「難しいよ」
姫子「私もよく分かんないや、これも何かの受け売りだし」
姫子「誰かと付き合ったこともないし」
姫子「恋ってそんなもんだよ、きっと」
キミ子「姫子のくせに」
姫子「何さ」
キミ子「・・・一応参考になった」
姫子「そ、お役に立てて嬉しい」
キミ子「まあ今日はそのための練習だしね」
キミ子「予定してたとこ全部回るから」
姫子「ええ~・・・」
キミ子「ほら行くよ」
姫子「はいはい」
キミ子「どうかなこの服」
姫子「うん、可愛いよ」
キミ子「ドキドキしてきた」
姫子「大丈夫だって、三回も練習しに行ったでしょ」
キミ子「うん」
姫子「ほんと感謝してほしい」
キミ子「してる」
姫子「えっ、あ、そう」
キミ子「じゃあ行ってくるね」
姫子「頑張ってね」
キミ子「うん」
姫子「・・・」
姫子「頑張って、キミ子」
キミ子「おはよう、唯」
唯「今日はどこ行くの?」
キミ子「えっとえっと、とりあえず可愛い服置いてる店があるから」
唯「ほんと?それじゃ行こう!」
キミ子「うん」
キミ子(緊張するよ~)
キミ子(どうしよ姫子・・・)
キミ子(っていないんだった)
唯「この服可愛いね!」
キミ子「似合うよ唯」
唯「キミ子ちゃんはこれとか似合うよ」
キミ子「ちょっと子供っぽくないかな」
唯「全然!着てみてよ」
キミ子「え~恥ずかしいよ~」
唯「いいからいいから」
唯「これどうかな?」
キミ子「可愛いよ」
唯「こっちは?」
キミ子「唯に似合う」
唯「これとか!」
キミ子「うんうん」
キミ子(唯に合わせ過ぎかな?どうなんだろう)
キミ子(ああ分かんないよ~)
唯「このお店ムギちゃんのお家が経営してるんだって」
キミ子「えっ!?そうなの?」
唯「すごいよね~」
キミ子「す、すごいね」
キミ子(やっぱりムギってお嬢様なんだ)
唯「ここでギー太買ったんだよ~」
キミ子「そうだったんだ」
唯「色々お世話になってるんだ」
キミ子「へえ」
唯「いちごパフェおいしい~」
キミ子「おいしそうだね」
キミ子(唯可愛いなあ)
唯「キミ子ちゃんも食べる?」
キミ子「え?」
唯「はい、あ~ん」
キミ子「ええ!?」
キミ子(間接キス・・・!いいの!?)
キミ子「あ、あ~ん」
唯「はい」
キミ子「・・・」モグモグ
唯「おいしい?」
キミ子「うん」ドキドキ
キミ子(幸せ・・・)
キミ子「うん」
唯「今日はいっぱい遊んだね!」
キミ子「そうだね」
唯「初めてキミ子ちゃんと遊んだけど、すごく面白かったよ!」
キミ子「そうかな?」
唯「うん、今日はありがとうね誘ってくれて」
キミ子「そんなこと、こっちこそ来てくれてありがとう」
唯「いやいやこちらこそ」
キミ子「え?」
キミ子(どうしよう、このまま帰っていいの?)
唯「どうしたの?まだ行くとこあるの?」
キミ子「えっと」
キミ子(どうしようどうしよう)
キミ子(実際今日のデートで唯には完全に友達だと思われた)
キミ子(それじゃいつまで経っても友達のまま)
キミ子(何か手を打たないと)
唯「キミ子ちゃん?」
キミ子「あ、えっと!」
キミ子「唯は彼氏とかいるの?」
キミ子(そうじゃなくて!)
唯「彼氏?」
キミ子「そ、そっか」
キミ子(まあ彼氏がいたらそこで終わりだからね、これはこれで)
キミ子「じゃあ彼氏とかほしいと思う?」
唯「え~どうしたのいきなり」
キミ子「え?いやどうなのかな~って思って」
唯「う~ん」
キミ子「今は?」
唯「うん、今は」
キミ子「なんで?」
唯「えっとね」
唯「クラスの皆とかキミ子ちゃんとか」
唯「女の子同士の方が楽しいからかな!」
キミ子「女の子同士」
唯「うん、だから今は彼氏とかはいらないや」
キミ子「そっか・・・」
キミ子「じゃあ女の子と恋愛しないの?」
唯「ええ!?」
キミ子(あ・・・)
唯「普通に結婚して、お母さんになって」
唯「だから恋愛って男の人とするものでしょ?」
キミ子「・・・」
唯「どうして女の子と恋愛するの?」
キミ子「・・・」
唯「びっくりしたよ、も~キミ子ちゃんてば」
キミ子「・・・」
キミ子(やっぱり駄目だったか・・・)
―――頑張ってね
キミ子(いや、もうちょっと頑張ってみようかな)
キミ子「でもそういうのもあると思うよ?女の子同士で結婚する国もあるし」
唯「私はそうは思わないな~」
唯「やっぱり普通に恋愛すると思うけど」
キミ子(どうすればいいのよ)
キミ子(助けて姫子)
キミ子「唯」
唯「ん?」
キミ子「・・・」
キミ子「私は唯が好きなの」
唯「私も好きだよ~」
キミ子「そうじゃなくて!」
唯「え?好きじゃないの?」
キミ子「そうでもなくて!」
唯「・・・ええ!?」
キミ子「だから私と付き合って!」
唯「そ、そんな事言われても・・・」
キミ子「やっぱりおかしい?こんなの」
唯「えっと」
キミ子「気持ち悪い?」
唯「あのね、気持ち悪いとかおかしいとかじゃないんだけど」
唯「私はそういう風には思えないっていうか」
唯「女の子同士の恋愛は私には出来ないって言うか・・・」
キミ子「・・・」
唯「私にはちょっと無理かも・・・」
キミ子(駄目だった)
キミ子(やっぱり駄目だったよ)
キミ子(私の恋もここまでか・・・)
キミ子(・・・)
キミ子(あ、私今)
キミ子(自分の事ばっかり考えてる)
キミ子(私は今、自分の思いを一方的に伝えた)
キミ子(そして振られて勝手に落ち込んでる)
キミ子(じゃあ唯は?唯はどう?)
キミ子(女の子同士の恋愛を理解できないのにいきなり告白されて)
キミ子(断るのだってきっと勇気がいるし、嫌な気持ちにもなる)
キミ子(せっかく仲良くなれたクラスメイトとこんな事になって)
キミ子(唯だってきっとつらいよね)
キミ子(ううん、今日覚悟してきた私より、いきなりこんな事になった唯の方がずっとつらいよ)
キミ子「・・・なんちゃって」
唯「え?」
キミ子「どっきりでした!」
唯「え?どっきり?」
キミ子「そ!唯っていつもふわふわしてるからさ、ちょっとからかってやろうと思って」
唯「え、え?」
キミ子「こうでもしないと唯の真剣な顔見れないと思ってさ!ごめんね!」
唯「な、なんだそうだったんだ」
キミ子「うん!迫真の演技だったでしょ!」
唯「ほんとだよ~びっくりした~」
唯「もう、どうしようかと思ったよ」
キミ子「じゃあ今日は解散にしよっか!」
唯「そうだね、キミ子ちゃんって意外とお茶目だって分かって良かったよ」
キミ子「そっか」
唯「それじゃあまたね~」
キミ子「うん、ばいばーい」
キミ子「・・・」
キミ子「・・・」ボロボロ
キミ子「・・・帰ろっかな」ボロボロ
キミ子「・・・」ボロボロ
キミ子「唯に・・・」
キミ子「唯に嫌な思いさせないで済んで良かった・・・」
キミ子「・・・」
姫子「や」
キミ子「姫子・・・」
姫子「うん」
キミ子「なんでここにいるの」
姫子「ちょうど帰りかなって思ってね」
キミ子「・・・」
姫子「駄目だった・・・みたいだね」
キミ子「・・・」
姫子「話してよ、楽になるよ?」
キミ子「・・・」
姫子「そっか」
キミ子「なに?何なの?」
姫子「キミ子」
キミ子「何」
姫子「よく頑張ったよ」ギュ
キミ子「な、なに」
姫子「・・・」ギュウ
キミ子「・・・」
キミ子「ちょっとやめてよ」
姫子「やめていいの?」ギュウ
キミ子「・・・」
キミ子「・・・」ギュ
キミ子(ちょっと抱きしめられたからって何どきどきしてんだろ)
キミ子(姫子だよ?)
キミ子(姫子なのに・・・)
姫子「キミ子・・・」ギュウ
キミ子「う・・・うええん・・・」ギュウウ
姫子「よしよし」ギュウウ
キミ子「うえええええん・・・」ギュウウウ
姫子「キミ子はこんなに良い子なんだから大丈夫」
姫子「きっと素敵な恋愛が出来るよ」
キミ子「・・・馬鹿」
姫子「元気出た?」
キミ子「ちょっとだけ」
姫子「そっか」
キミ子(唯に振られて、ちょっと優しくされたからって)
キミ子(なんで姫子の事ちょっと好きになってるんだろ)
姫子「そのうちまた好きな人が出来るって」
キミ子「・・・」
キミ子(姫子・・・)
キミ子(誤解なのにあんな喧嘩腰の私の話を聞いてくれて)
キミ子(いつも私に付き合ってくれて)
キミ子(今だって私の事待ってた)
キミ子(失恋した愚痴聞いて、慰めてくれて)
キミ子(抱きしめられて・・・)
キミ子(ちょっとどころじゃない、もう姫子の事こんなに好きになってる)
キミ子(とんだ尻軽女だよ)
姫子「ん?」
キミ子「恋愛は最初のインパクトが大事なんだよね」
姫子「あ、そうだね」
キミ子「抱きしめるくらいじゃ弱かったわけだけど」
姫子「うーん、どのくらいの事すれば」
姫子「ん!?」チュ
キミ子「・・・」チュ
姫子「!?」
キミ子「・・・このくらいでどうかな」
キミ子「今度は」
キミ子「今度こそ、成功させてみせるから」
キミ子「この恋は絶対諦めないよ!」タタタ
姫子「・・・」ドキドキ
姫子「なんなのよ・・・」ドキドキ
・・・・・・・・・
キミ子「おはよう姫子」
姫子「あ、おはよ」
キミ子「どうしたの?目逸らして」
姫子「だ、だって」
姫子「本気なの・・・?」
キミ子「本気だよ、今度こそ落としてみせるから」
姫子「馬鹿じゃないの・・・」ドキドキ
キミ子(相談役に恋する事ってあるんだね、やっぱり)
キミ子「ほら行くよ」
姫子「あ、待ってよ」
キミ子「唯、おはよう」
唯「昨日は楽しかったね!」
キミ子「うん!」
唯「あ、姫子ちゃんもおはよう!」
姫子「おはよ」
唯「ん?」
キミ子「隣の席だからっていい気にならないでよ」
唯「え?」
姫子「え?」
キミ子「姫子は私のものなんだから!」
せめて姫子とかがスレタイに入ってればけいおんSSだって分かるのに
これがけいおんSSだと分かる奴がどれだけいるのだろうか
Entry ⇒ 2012.01.22 | Category ⇒ けいおん!SS | Comments (0) | Trackbacks (0)
男「高飛車で高慢なお嬢様は無視に限る」
男「…」
お嬢様「そこの蟻を見てみなさい、よっぽどみがましく働いているわ」
男「…」
お嬢様「なんにも言い返せないのね、まったく情けない」
男「…」
お嬢様「そういえば朝の挨拶が聞こえてこないのだけど」
男「…」
お嬢様「やだ、私ったら…声を出す許可を与えていませんでしたね、どうぞ、挨拶を許可します」
男「…」
お嬢様「男…?き、聞こえなかったのかしら?挨拶をしても良いのよ?」
幼馴染「あ、男!おはよっ」
男「おはよう」
お嬢様「え…?」
http://hayabusa.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1327035068/
男「高飛車で高慢なお嬢様は無視に限る」
お嬢様「お、おはよう」
男「宿題やってきた?」
お嬢様「愚問ね、この私が学校の宿題程度できないわけがないでしょう?」
男「…」
お嬢様「自分でやらないだらしない男に貸すのはいささか不服ですけれども、それでもまぁ頭を下げるって言うならしょうがなk
男「なあ、宿題やってきたか?」
お嬢様「…え?」
幼馴染「え?あっ、わ、私?」
男「他に誰がいるっていうんだよ」
お嬢様「…」
お嬢様「…」ウルウル
男「幼馴染に貸してほしいんだよー」
男「おねがい!見せてくれないか?」ペコッ
幼馴染「お、お嬢様?」
お嬢様「ふ、ふん!見せてあげればいいじゃない!!」
幼馴染「はい…これ」
男「ありがとな」
お嬢様「…」ゴシゴシ
お嬢様「…」テクテク スタッ
幼馴染「ちょ、ちょっと!どういうこと?」
男「ん?何が?」
幼馴染「とぼけないでよ…お嬢様のこと!」
男「とぼけるなって言われても…何を言ってるのか」
幼馴染「なにかされたの?どうしちゃったのよ」
男「だからどうもしてないってば」
幼馴染「ふーん…いいわ、お嬢様に聞いてくるから」
担任「ホームルーム始めるぞー」
男「…」カツカツ
…
数学「おい男、そこ違ってるぞ」
幼馴染「ごめん」ヒソヒソ
男「だいじょぶだいじょぶ」
お嬢様「ふふっ、だから素直に私の見ておけば良かったのよ」
男「…」
お嬢様「今頭を下げるなら次からは見せてあげてもいいのよ?」
男「次からはよろしく頼むぞ」
お嬢様「っ!そうよ、分かれb
男「幼馴染」
幼馴染「え?え?…って人の宿題写しといて何言ってるのよ!」
男「ん?幼馴染、ここも違ってないか?」
幼馴染「そ!そうね、だから私のなんか当てにしちゃいけないのに」ブツブツ
お嬢様「…」
委員長「あっ、お嬢様、そこちょっと違うかな」
お嬢様「えっ?あ…どこかしら」
委員長「その5行目の計算が…」
お嬢様「あら、私としたことがうっかりしてましたわ、ありがとう」
お嬢様「…」ケシケシ
お嬢様「やっとお昼ね、高貴な私とお昼を一緒に食べる権利が平凡なあなたにはあるのよ?」
男「幼馴染ー昼飯食おうぜー」
幼馴染「それは、その…良いんだけど」
お嬢様「…」
幼馴染「お嬢様も…」
お嬢様「…」
幼馴染「私達、お嬢様と一緒に食べさせて…もらえるのかな?」
お嬢様「………うん」コクン
幼馴染「良かった!じゃあ中庭行こっ!」
男「早くー」
幼馴染「ん、分かった」
お嬢様「…」
幼馴染「で、何があったの?」
お嬢様「分からないわよ…今朝になったらいきなり無視されて…」
幼馴染「心当たりはないの?」
お嬢様「あったら苦労しないのに…」ウルウル
幼馴染「ま、まって!落ち着いて!昨日のこと思い出してみよ!」
お嬢様「うん…」
お嬢様「あら、そこにいるのは男かしら?挨拶が聞こえてこないみたいだけど」
男「んー…おはよう…」
お嬢様「眠そうね…まったく、その辺の石ころの方がよっぽど立派な顔をしてるわよ」
男「んー…そうかなぁ」
お嬢様「そうよ、石ころでも煎じて飲めば男ももう少し立派になるかも知れないわ、拾って行きなさい」
男「石ころは煎じても飲めないだろー…」
お嬢様「分かってるわ、皮肉よ皮肉、それぐらいの事もわからないくらい男の頭は低性能なのね」
男「ん?んー…ふわぁ」
……
お嬢様「そんなのは毎日だからちがうわよ、一昨日はもっとだらしなかったから…」ペチャクチャ
幼馴染「あははー…」
幼馴染(男…よく、耐えられるな)
お嬢様「そういうわけで朝は関係ないと思うの」
幼馴染「そ、そだね…」
お嬢様「昨日は他に…」
お嬢様「男?今日も私とお昼ご飯を食べさせてあげるわ、光栄に思いなさいよね」
男「いつもありがとな…幼馴染も、ほら」
幼馴染「よろしくっ」
お嬢様「まだ眠いの?どれだけだらしないのかしら、もう…しょうがないわね、私の豪華なお弁当で目を覚まさせてあげるわ」パカッ
男「今日も凄いなー…ところでこれってお嬢様が作ってるの?」
お嬢様「当たり前じゃない、女性として料理の一つもできなきゃ、ところで、少しぐらいなら食べてもいいのよ?」
男「そう?それならちょっと」モグモグ
男「うん、うまい!」
お嬢様「そうでしょうそうでしょう、何回も作ってやっと成功したのを
お嬢様「はっ!!なんでもないわ!料理なんて簡単よ」
お嬢様「い、いい雰囲気だなんて!私は男が食べたいって言うからしょうがなく大切なお弁当を」
幼馴染「はいはい、でも結局なんだか分からなかったなぁ…」
男「幼馴染ー」タタタッ
お嬢様「…」
男「ごめんごめん、ちょっと混んでて…さ、食べよっか」
バクバク
男「やべ、ちょっと足りなかったかも…」
お嬢様「バカね、自分の食べたい量も分からないなんて…でもラッキーだったわね、今日の私はやっぱりうっかりしてるみたい」
お嬢様「いつもより多く作ってきたから恵んであげるわ、ほら、感謝の言葉を唱えなさい」
男「おっ、幼馴染の弁当美味そうだな、ちょっと失礼」ヒョイ
幼馴染「あ、あっ!ちょっと!!」
お嬢様「」
男「ふーっ、お腹いっぱい…幼馴染は流石だな」
幼馴染「誰があげるなんて言ったのよ!もー…ハンバーグとっといたのに…」
お嬢様「…」パクパク
お嬢様(多いわ…)ジワ
幼馴染「お、お嬢様!?私足りないなー!男に取られて全然足りないなー!!」
お嬢様「ふぇっ?」グスッ
幼馴染「もしよかったらその美味しそうなお弁当少し分けてもらえないかなー!!!」
お嬢様「え、ええ!もちろんよ、高級品をじっきり味わうと良いわ!」
幼馴染「う、うまい…!」
お嬢様「よかったぁ…」
男「zzz」
男「zzz」
お嬢様「起きなさいよ、ホントにだらしないのね、ナマケモノでももうちょっと動くわよ」
幼馴染(そんなことないよ…)
男「ん、あー…」
お嬢様「ほら、起きなさいってばナマケモノよりも怠け者の男はさしづめ…」
お嬢様「そうね、ひどすぎてちょっと名前も付けられないわ…」
幼馴染(無理しなくていいのに)
男「むにゃむにゃ、ありがと幼馴染」
お嬢様「なっ、私がおこしてあげたのよ!?信じられないわ…お礼も言えないなんてこれはもう貴賤の差ではなくて」ブツブツ
幼馴染「私じゃないよ、お嬢様が起こしてくれたんだよ…」
男「んー…ま、教室行こっか、」
お嬢様「さて、今日も1日終わりましたが私を無視して楽しかったかしら?」
男「…」
お嬢様「率直に言って非常にふゆかいでしたわ、特に男のような平々凡々な一市民に馬鹿にされるとはね」
男「…」
お嬢様「気は済んだでしょ?そうね、これから私の買い物に付き合わせてください、って言うのなら許してあげないことも無いですけど」
男「…」
幼馴染「おとこー!掃除終わったよー…って、お邪魔だったかな」
男「なにが?俺も幼馴染待ってただけだから…さて、帰ろっか」
幼馴染「え?…でも」
お嬢様「…また明日」
幼馴染「うん、また明日…」
お嬢様「…」トボトボ
お嬢様「…」
姉「どうしたの?今日は元気が無いのね?」
お嬢様「お姉様…今日は…ちっとも楽しくなかったの…」
姉「どうしたの?いつもはあんなに楽しそうにしてたのに」
お嬢様「男がね…?」
姉「また男さんの話なのかしら?私も流石に妬けてしまうというか…」
お嬢様「違うの…男が無視するの」
姉「無視?あれだけ仲が良かったのに?」
お嬢様「ち、違うのお姉様!…お姉様には色々と聞いていただいたけど…その」
姉「?」
お嬢様「本当は…私が勝手に巻き込んでるだけなの…」
お嬢様「え?」
姉「あなたは素直になれないのよね?昔からそう」
お嬢様「お姉様…」
姉「お父様にもわがままばっかり、そのくせ一緒にご飯を食べれるときはにこにこしちゃって…」
お嬢様「あ、いやあれは…その」
姉「でも素直にならなければ伝えられないこともあるわ」
お嬢様「素直に…」
姉「そう、あなたは可愛いんだから自信持たなきゃだめよ?」
お嬢様「そんな…///」
姉「ううん、違うわね、自信に溢れてるのが良いところだけど…それだけじゃだめ、もっと素直になってみるのもいいかもね」
お嬢様「お姉様はやっぱり凄いのね!流石だわ」
姉「そんなこと無いわ、頑張ってね」ニコッ
お嬢様「はい!」
お嬢様「今日も眠そうね、その目は開いているのかしら?…大仏さまの方がまだ目が開いているわ」
男「…」
お嬢様「そう、まだ続けるのね、良い度胸だわ…」
男「…」
お嬢様「覚えてなさいよ、もう謝ってきても遅いんだからね?許さないんだからね?覚悟は…できてるみたいね」
男「…」
お嬢様「やだ、私ったら朝の挨拶を忘れていましたわ、ごめんなさい」
男「…」
お嬢様「おはようございます」
男「!」
お嬢様「おはよう」ニコッ
男「おはよう」
お嬢様「それでは、また」
男「…」ドキドキ
幼馴染「…?」
男「お、幼馴染…」
幼馴染「どしたの?」
男「俺、お嬢様に殺されるかも知れない」ガタガタ
幼馴染「あれ?今お嬢様って…って、殺される?」
男「殺される…」
男「お嬢様が言ったんだよ…『許さない』って…『覚悟はできてるな』って」
幼馴染「いや、だって男が無視するから…それは、当たり前っていうか」
男「違うんだ!…そんなに傷つけるつもりは無かったんだよ…」
幼馴染「じゃあなんで?」
男「お嬢様の高飛車で高慢な所が直るかなって思って…そ、それだけだったんだよ」
幼馴染「…」
男「軽い気持ちだった…そしたらな…さっき、ついさっきだ」
男「『おはようございます』って!!にこっと…見たことの無い素敵な、眩しすぎる程の笑顔でそう言ったんだよ…」
幼馴染「???」
男「やばい…あれはやばい」ガタガタ
男「何のんきな顔してんだよ!!!」
幼馴染「いやいや、違うじゃん」
男「…?」
幼馴染「自分から挨拶できないほどの高飛車なお嬢様が笑顔で自分から挨拶してくれたんでしょ?」
男「いや、そうは言うけどな?あれは間違いなく…」
幼馴染「成功じゃん」
男「えっ?」
幼馴染「大成功じゃん、二日目にして」
男「…」
幼馴染「…」
男「あのお嬢様が、あの、お嬢様がだぞ?」
男「いつもより儚げな雰囲気を漂わせて後半なんか語尾を震わせてあのくりっと大きい瞳を気持ち潤ませながら言ったんだよ」
幼馴染「…」イライラ
男「心なしか毒舌も切れが悪かったし抱きしめれば折れてしまいそうな可憐さで」
男「あれは間違いなく男を射殺すアマゾn
幼馴染「主人公か!!!!!」
男「えっ?」
幼馴染「ラノベの主人公かお前は!!!!!!」
幼馴染「アマゾネスがなんだよバカ!?!?!?」
男「アマゾネスが相手を油断させる為に」
幼馴染「馬鹿か!!!」
男「いや、ちょ…そんなに正面切って言われると…凹む」
幼馴染「ベタ惚れじゃねーか!!!!!」
男「ははっ?それはないよwww」
幼馴染「…」イラッ
男「お、落ち着いた?」
幼馴染「呆れた」
男「そっかそっか…お嬢様より先にお前に殺されるかと思った…」
幼馴染(こいつ…分かってねえな)
男「なに?」
幼馴染「いや、なんでもない」
男「それでな、あんまり怖いから…」
幼馴染「なによ!!」
男「そんなに怒るなって…」
男「お、お嬢様が来たら…一緒に居てくれると…」
幼馴染「あぁん!?」
男「あ、いや…だってお前、お嬢様扱うの上手いし…ほら」
幼馴染「…ちっ」
男「な!頼むよ」
幼馴染「男の頼みを断るわけ無いじゃない」ボソッ
男「え?」
幼馴染「いいよ、分かった」
お嬢様「男ー、お昼一緒させてあげるわ、着いてきなさい」
男「…」
お嬢様「やっぱり…無視するの?」
男「お、幼馴染ぃー」オドオド
幼馴染「お嬢様、今日はどこ行くの?」
お嬢様「屋上よバカと何とかはたかいところが好きっていうじゃない?」
男「…」
幼馴染「イイネ!」
お嬢様「それじゃあ行きましょ」
お嬢様「男は相変わらず貧相なご飯を食べているのね、購買で買えるようなパンで満足できるのかしら?」スッ
幼馴染「うわっ…何この果物…」
お嬢様「パンを焼いてきたの、男はパンの方が…その、好きなのかなって」モジモジ
男「!」
幼馴染「えっ?」
男「…」モグモグ
幼馴染「ちょ、ちょっと!なんでまだ無視してるのよ」ヒソヒソ
男「今さら何食わぬ顔してパンもらえるかよ」ヒソヒソ
幼馴染「せっかく作ってきてくれたのに」
男「無理無理!幼馴染貰っといてよ!」
お嬢様「…」パクパク モソモソ
男「お、おい!そんなに好きじゃねーよ!!」ヒソヒソ
お嬢様「っ!……や、やっぱりそうなのね!?良かったわ…明日からは色々作ってくるからね」ニコニコ
男(ほら、こうなる…)
幼馴染「あはは…凄いね、お嬢様は…パンまで作れるんだ…」
お嬢様「お姉様が教えて下さるの、だから凄いのは私じゃないわ、お姉様なのよ」
幼馴染「でもやっぱりこんな美味しそうなの作れるなんてすごいよ!…良いな良いなー…私もお姉ちゃんほしかったな…」
男「…」
男「ん、もう終わりか…」
幼馴染「パンありがとね、持って帰らせて貰うから!」
お嬢様「良かったら…その、男と一緒に食べてね?」
幼馴染「もちろんだよ」
お嬢様「あ、ちょっと、私先に…行くから」タタタッ
男「なんかあるのかな?」
幼馴染「あんたは…全くデリカシーが無いわね」
男「?」
男「まぁいいや、それで…どうしよう…これから」
幼馴染「なにが?」
男「どうやって元の関係に戻れば…」
幼馴染「謝ればいいんじゃないの?」
幼馴染「なによ」
男「『許さない』『覚悟はあるな』って言われたんだぞ!?」
幼馴染「そうね、だったらぎゅっと、抱きしめてあげればいいんじゃない?」
男「ぎゅっと?…」
幼馴染「そうそう、お嬢様そう言うのに耐性なさそうだし、いつもせめられてるんだからたまには主導権握るのもいいんじゃないの」
男「ふむふむ…なるほど」
幼馴染「え?いや、適当に言っただけよ?」
男「たまには主導権を…なるほど」ブツブツ
幼馴染「ちょ、ちょっと!どうなっても知らないよ!?」
男「ブツブツ」
お嬢様「今日も1日が終わるのだけど、まだ気はすまないのかしら?」
男「…」
お嬢様「そう…分かったわ」
男「…」スクッ
お嬢様「な、なに?いきなり立ち上がって…お…怒ってるの?険しい顔してなによ!」
男「…」
お嬢様「なんなのよ!私が何かしたの…?私が悪いのっ?…言ってくれなきゃ分からないじゃない!」
男「…」
お嬢様「私が何をしたか教えさせあげても………お、教えて…教えてよぉ」ウルウル
男「…」テクテク
幼馴染(お?おっ?)
お嬢様「なに?…いきなり近づいてきて…怖いじゃない…」
男「…」ブツブツ
お嬢様「何言ってるのよ?…聞こえないわよ…」
男「…」
お嬢様「きゃっ、な、なによ!答えてよっ!!…っていうか…ち、近い…んじゃない?」ドキドキ
男「…」
お嬢様「無視しないでよぉ…そうよ!怖いのよ!!文句あるの!?」
男「…」スッ
お嬢様「叩くの…?いいわ、覚悟はあるのよね、後で説明してもらうからね」
男「…」ギュッ
お嬢様「ふぇ?」
お嬢様「へ?へ?」
男「ぎゅー」
お嬢様「な!なによ!あんたみたいな平民が私に抱きついて良いと思ってるの!?」
男「だめ?」
お嬢様「ぁ、ぃゃ…」
男「ごめんなさい」
お嬢様「え?いや、あの…」
男「無視してごめんなさい、許して下さい」
お嬢様「あ、はい…」
男「許してくれるの?」ギュッ
お嬢様「えっ?えっ?その…え?…ゆ、ゆるします」
男「よかったぁ…」
お嬢様「一体…なにが?あの…」
お嬢様「ぁ、も、もうちょっと…」
男「え?」
お嬢様「な、なんでもないです!」
男「あんなに怒ってたから許してくれるなんて、思ってなくて…」
お嬢様「はっ、いや!許さない!許しませんよ!!」
男「え?だめだよ!今許すっていったじゃん!」
お嬢様「あれは、何がなんだかわからなくってその…」
男「許してよー」
お嬢様「そうね、も、もう一回ぎゅってしてくれたら…考えるわ」
二周目に期待しろ
一周目クリア後の隠しキャラってことか
サンクス
お嬢様「ぁ…んっ」ギュッ
男「こんな感じ?」
お嬢様「んぅ…もうちょっと」スリスリ
男「…はい」
お嬢様「はふぅ…」スンスン
男「…」
お嬢様「す、好き…なの」
男「え?」
お嬢様「だ、だからね?…男の事が……好きなの」
お嬢様「だから素直になれなくてね、ついついあんな言葉が出ちゃうの…」スリスリ
男「……えっ?」
男「…」
お嬢様「ごめんなさい、いつもひどいこと言って…」
男「いいよ」
お嬢様「良くないわよ…」
男「俺も好きだから」
お嬢様「え?」
幼馴染(えっ?えっ?……ゑ?)
男「憎まれ口ばっか叩くから…直れば良いなって無視してみたけど」
お嬢様「そ、そうなの?」
男「無視しても無視しても全然めげないんだもん」
お嬢様「凄く寂しかった…でも私が諦めたら男との繋がりも無くなるんじゃないかって…」
幼馴染(…ぐぬぬ)
男「えっ?」
お嬢様「買い物行ったり遊びに行ったり…やってほしいことはいくらでもあるんだから…」
男「ははっ、それなら喜んで着いていくのに」
お嬢様「うるさい…黙って着いてくればいいのよ…バカ、庶民…」
幼馴染「もぉいいでしょおおおおお!!!」
男「うおっ!」ビクッ
お嬢様「ひゃっ!」ビクッ
幼馴染「いつまで抱きついていちゃいちゃしてんのよ!!!」
男、嬢「…」ドキドキ
幼馴染「ここ!!!学校だから!!!は、な、れ、て!!!!!」
男「あ、はい…すいません」
お嬢様「あん…男ぉ」
幼馴染「あん…」
幼馴染「じゃないわよ!!!!!!」
男「なぁ…もうちょっと落ち着いて…」
幼馴染「お嬢様のこと、好きじゃ無かったんじゃないの!?!?」
男「いや、そんなの恥ずかしくて正直にいえないだろ…」
お嬢様「おとこ…///」
幼馴染「何顔赤くしてんのよもぉ…可愛いなぁ…勝てないじゃない…」
お嬢様「えっ、あ…か、かわいいなんて」カァ
幼馴染「」
男「かわいいよ、赤くなってるお嬢様もっとかわいいよ…」
お嬢様「ちょ、ちょっと!そんなこと言わないで、恥ずかしい…」
男「あははっ、真っ赤っか!」
幼馴染(ハハッ、噛ませ犬過ぎワロタ…)
ピンポーン
お嬢様「おはようございまーす」
男「んー、あぁ…お嬢様か、おはよう、今出るとこだから」
お嬢様「やっぱり朝は弱いのね…それはポストよ、ねぼすけさん」
男「あー、そっか…ってなんだよ母さん!にやにやすんなって!」
お嬢様「おはようございますお母様」ペコッ
男「いいからいいから!早く行こうか」アセアセ
お嬢様「ふふっ目覚めたたみたいね」
幼馴染「おとこー!おはよっ!」
男「おはよ…今日は一緒に行くのか?」
お嬢様「いやっ!あの、違うのよ!?男が起きるまで待ってた訳じゃ!」
男「ありがとお嬢様」
お嬢様「あぅ…ちがう、ちがうの」
男「幼馴染もありがと」
幼馴染「へ?なにが?」
男「幼馴染がいたからお嬢様と付き合えたから」
幼馴染(この男は全く人の気も知らないで…おどりゃクソ森、左巻きじゃのう)ギギギ
男「ホントに感謝してるから」ニコッ
幼馴染(でも、この笑顔が見られれば…うん!)
男「?」
お嬢様「私達…恋人同士なんでしょ?だったら…ね」
お嬢様「わ、私の手を握ってもよろしいのよ?」
男「あっ!ごめんごめん…気づかなくて」ギュッ
お嬢様「ん、でも残念、外れですわよ?…こう言うときの正解は…」
幼馴染(①ハンサムなポルナレフは突如反撃のアイディアが閃く)
男「こう?」ギュッ
お嬢様「もぉ…わかってるなら最初から…」
男「ごめんごめん、お嬢様いじめるの楽しくて」
男「そ、そんな怖い顔しないで!」
お嬢様「無視したの、許してないんだからね」
男「どうすればいい?」
お嬢様「そうね…き、きすをしなさい…もちろん手は繋いだままよ?」
男「…ん」チュッ
お嬢様「ほっぺなの…?ふん、まぁいいわ」
幼馴染「おとこー!私も、私もちゅー、私は口に!」ガシッ
お嬢様「ちょっ、幼馴染!?こら、やめ…なさいってば」グイグイ
お嬢様「私の、男に…なに、するのよ!」ギリギリ
男「私の?」
お嬢様「あ、当たり前じゃない!付き合ってるのよ?」グイグイ
男「いや、なんか…お嬢様の口から聞くとうれしいなって…」
お嬢様「何言ってるの!?とにかく…この子を…」
幼馴染「んー!んーっ!」
男「お嬢様…」
幼馴染「もらったぁ!」チュッ
お嬢様「きゃあああああ!!」ガクッ
幼馴染「ふふん、ほっぺで我慢してあげるわ」エッヘン
男「…」ポーッ
幼馴染(これぐらいは…ね!)
おわり
面白かった
Entry ⇒ 2012.01.22 | Category ⇒ 男女「」SS | Comments (0) | Trackbacks (0)
京子「綾乃と!」
http://hayabusa.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1327098224/
京子「…………ふぁ~」
京子「んん……………」ンー
京子「……………お?」
京子「…………………」ペラッ
京子「…………………」ペラッ
京子「っく…あははは」ジタバタ
綾乃「ちょっと!さっきからなにやってるのよ歳納京子!全然宿題進んでないじゃない!」
綾乃「疲れたって…あなたノート開いてるけど3問くらいしか解いてないじゃないの…」
綾乃「だいたい宿題一緒にやろうって言い出したの、歳納京子じゃない」ブツブツ
京子「違うんだよ綾乃!なんかこの空気がやりずらい!空気が!」
綾乃「…空気?」
京子「この喋ってはならない…図書館のような…」チラッ
綾乃「……………」ショボーン
京子「だから楽しいことして空気変えよう!綾乃!」ガバッ
綾乃「きゃあっ//////」ドテッ
京子「綾乃」ジーッ
綾乃「…なによ///」プイッ
京子「…………」スッ
綾乃「(まっまさか…//////)」ギュッ
京子「ふっ」
綾乃「っん/////」ビクッ
京子「あはははは」ケラケラ
綾乃「うう…///って…あれ…?」
京子「綾乃かわいいなー」アハハハ
綾乃「冗談…?」
京子「うん!」
綾乃「そ、そう…」
京子「もしかして…冗談じゃないほうがよかった?」
綾乃「はっはあ!?///そんなことないわよ!!!///」カアアアッ
京子「…ほんとにー?」
綾乃「ほんとよー!!!」フシャーッ
京子「そっかあ!残念だなあー」
綾乃「ざ、残念…?歳納京子は残念なの…?」
綾乃「ふーん…ど、どうしてかしら?」ドキドキ
京子「だって綾乃にそういうことするの、楽しいし」
綾乃「(た、楽しい………)」
京子「綾乃も楽しいでしょ?」
綾乃「え!?////」
京子「なんだかんだ本気で怒らないもんね」
綾乃「あっ当たり前よ!生徒会副会長なんだからっ」
京子「それ、関係ないじゃん」アハハ
京子「てか、やっぱ楽しいんだねー」
綾乃「へっ!?///あっそれは違う!別に楽しくなんかないんだからね///」
京子「ほう………」
綾乃「最初から真面目にやりなさいよ…」
京子「ほーい」カキカキ
綾乃「………」カキカキ
京子「………」カキカキ
綾乃「………」カキカキ
綾乃「………」チラッ
京子「………」カキカキ
綾乃「………」
京子「………」カキカキ
綾乃「………」
京子「なになに?私の顔に何かついてるの?」カキカキ
京子「変な綾乃ー」カキカキ
綾乃「(うう…なんか気になっちゃう)」
綾乃「どうしてなんだろう…?」ポツリ
京子「 >>12」
綾乃「え!?」
st
セルフしちゃいますごめんなさい
京子「テキトーに言ってみたけど図星だったか」
綾乃「違うわよ///あれよあれ!そう!ここの問題どうしてこうなるのかなーっ…なーんて…」
京子「なに!?綾乃が解けない問題があるのか!どれどれー?」ズイッ
綾乃「こっこれよ!(反らせた!)」
京子「ん?解けてるじゃん」
綾乃「こ、答え写しただけだもの」
綾乃「(本当は解けたけど)」
京子「ここはこうで…これをここに代入して…これがこうなるわけ!どう?」
綾乃「ふんふん…ありがとう、わかったわ!」
綾乃「うーん…そうね、だいぶ進んだし」チラッ
綾乃「あら?もう3時なのね、下からおやつ持ってくるわ」
京子「ラムレーズン!?やったー!」
綾乃「言ってないけど…まあいいわ」
綾乃「そのかわり、ちゃんと休憩したら宿題また進めるのよ」
京子「ほいほい」
・・・・・・・・・
綾乃「ふうー…まさか休日に歳納京子と2人きりで宿題やるだなんて…」
綾乃「………///」
綾乃「はっ!?だめだめ!宿題の邪魔されてるだけじゃない!」ブルブルッ
綾乃「千歳いたら大変なことになってたんだろう…」
綾乃「大事件ね………」ブルッ
綾乃「ええと…ラムレーズンでしょ…これとこれと…」
綾乃「あとは飲み物…」
綾乃「これくらいで足りるわよね…」ヨイショ
朝ごはん食べてきます
・・・・・・・
ガチャッ
京子「おーおかエリコットシティ」
綾乃「ただいマンハッタン」コトッコトッ
京子「おお!この高度なギャグが通ずるとは!」
綾乃「なにが高度なギャグなのよ………って!?」
綾乃「なんで歳納京子が私のベッドで寝てるのよ!?///」
京子「綾乃の匂い」スンスン
綾乃「しかも嗅がないでよ!?///」
綾乃「潜らないでよ!」
京子「なんでそんな照れてるの?」ヒョコッ
綾乃「だっだって…臭かったら嫌だし…毎日私が寝てるベッドに歳納京子がだなん…て…////」カァァァァァァッ
京子「臭くないよ!いい匂いだよ~」スーハースーハー
綾乃「だからやめなさいって言ってるでしょー!?歳納京子ーっ!!!/////」
京子「やめてほしいのなら私をここから出してみたまえ」
京子「三分間待ってやる」モゾッ
綾乃「待ってないじゃない!」
綾乃「(とりあえず手を突っ込んで引っ張ろう…!)」ムニュッ
綾乃「!?」
京子「うおっ!おっぱいさわるなんて…綾乃って誰もいなくなると大胆になるんだね」
綾乃「へ!?///あっごめんなさいっわざとじゃないの!」ドキドキ
京子「からの~?」ガシッ
綾乃「ん?!」
京子「うおりゃーっ」グイッ
綾乃「きゃあっ!?」
綾乃「…////」
京子「あれ?綾乃?」
綾乃「な、なによ…」ドキドキ
京子「いや、いつもなら嫌がるからてっきり」
綾乃「たったまには…たまには…いいじゃない…」ボソッ
京子「…そうだね」ナデナデ
綾乃「…………//」
京子「素直な綾乃かわいい」
綾乃「普段の私は…」
京子「あれも綾乃らしい」
京子「綾乃らしくて…好きだな」
京子「綾乃は私のこと好きだもんね」
綾乃「へ!?」ドキッ
京子「あれ?ちがった?」
綾乃「べっ別に歳納京子のことなんて…好きなんかじゃ…///」
京子「そっか」ナデナデ
綾乃「ない…」
京子「うん」ナデナデ
綾乃「ことも…ない…///」ドキドキ
京子「あはは、どっちだし」ナデナデ
京子「いるよ」
綾乃「…!」
京子「だってもう14歳だよ?恋の1つくらいね」
綾乃「そう…ね」
京子「綾乃いい匂いする…落ち着くなー…」スンスン
綾乃「…くすぐったいわよ///」
京子「えへへ…」
京子「綾乃、こっち向いてー」
京子「おお、近いね」
綾乃「そうね…」
京子「こっち見てくれないの?」
綾乃「…恥ずかしい//」
京子「綾乃…」
綾乃「うぅ………///」チラッ
京子「えへへ」ニカッ
綾乃「………っ」ドキドキッ
綾乃「………///」
京子「首すべすべ」ナデナデ
綾乃「っくすぐったい…//」
京子「脇腹なでなで」ナデナデ
綾乃「…………///」
京子「太ももも」
綾乃「へ!?だっだめよ!?///」
京子「いいじゃんいいじゃん」ナデナデ
綾乃「………うぅっ///」
京子「やわらかい~」
綾乃「なによ…?」
京子「もしも私じゃなくて結衣が同じことしてきたらどうする?」
綾乃「船見さんが?」
綾乃「うーん…想像できないわ」
京子「大人しくやられるのかな」
綾乃「ううん、それはないわ」
綾乃「ただ、船見さんがそんなことしてくるだなんて、想像できないなあって思って」
京子「そう?結衣はムッツリだと思うけどなー」
京子「あと綾乃も」
綾乃「むっムッツリじゃないわよ!?///」
綾乃「そ…そんなことないわよ…」
京子「じゃあやーめよ」パッ
綾乃「あっ………」
京子「やって欲しい?」
綾乃「へ!?え、えーっと…」
綾乃「そうだ!じゃあわっ私が仕返ししてやるんだからっ」ナデナデ
京子「やったー」
京子「んん…眠くなってきた…」
綾乃「(歳納京子と…毎日こうしてたい…)」
京子「撫でられると眠くなるんだねー」
綾乃「(首も撫でてみよう)」ナデナデ
京子「聞いてないし…ふふっくすぐったいよ~…」
綾乃「(あと脇腹も…)」ナデナデ
京子「えへへ………」ウトウト
京子「………………」スースー
綾乃「…………歳納京子」ドキドキ
京子「…………………」
綾乃「………//」ナデナデ
京子「……んっ………」
綾乃「………」
綾乃「(ど、どうしよう)」ドキドキ
綾乃「(すごく…すごくドキドキする…///)」
綾乃「(だっ…抱きしめてきた!?//)」
京子「……んん………」
綾乃「(むしろ脚を絡ませて…///)」
綾乃「!ほ、本当は寝たふり…?」ハッ
京子「……………」スースー
綾乃「(いや、寝ぼけてるだけかしら…?)」
綾乃「(頬ずり!?///)」
京子「んー…」
綾乃「(歳納京子って…甘えん坊なのね…//)」スリスリ
綾乃「ふふっ」ニコッ
京子「結衣………だめだよ……」ムニャムニャ
綾乃「……………っ!!!」
綾乃「(夢の中でも船見さんなのね)」
綾乃「(頬ずりも…抱きついてきたのも…全部…)」ジワッ
綾乃「(好きな人がいるって…やっぱり…船見さんなのね………」グスッ
綾乃「(浮かれちゃって…私、バカみたい………)」
綾乃「(きっと今日のは船見さんへの練習なんだわ………)」
綾乃「(どうして…私なんかに…!)」フルフルッ
綾乃「…!」クルッ
京子「あれ!?………あっ夢かあ!」
綾乃「あら…やっと起きたのね歳納京子…」グズッ
京子「…!?なっなんで泣いてるの、
綾乃!?」
綾乃「泣いてないわ」
京子「綾乃………」ナデナデ
綾乃「…っ!やめてよ!もう…やめてよ…」グスッ
京子「…!」ビクッ
綾乃「なんでもないわ…」
綾乃「もう17時だし…そろそろ…」
京子「待ってよ!綾乃がそんななのに帰れないよ!」
綾乃「別に…歳納京子なんかに関係ないわ…」
綾乃「船見さんのお家にでも…お邪魔すれば…いつもみたいに泊めてくれるんじゃないかしら…」ウウッ
京子「結衣なら泊めてくれるかもしれないけど、別に泊まりたいわけじゃなくて…」
綾乃「ごめんなさい…遠回しすぎたわね…」
綾乃「船見さんの元へでも行って抱きつくなり頬ずりするなり一緒に寝たりすればいいのよ…!私なんかじゃ…なくて…!ううっ」グズッ
綾乃「(最低ね…私)」
綾乃「(船見さんに嫉妬なんてしちゃって…)」
綾乃「(友達なのに…船見さんも…歳納京子も悪くないのに…っ)」
京子「……………ねえねえ綾乃?」
綾乃「………」ビクッ
京子「なんで結衣…?」
綾乃「………はい?」
綾乃「え?」
京子「え?」
綾乃「自分の胸に…聞けばいいじゃない…」
京子「おいー!私の胸よ!答えたまえー!」
京子「ワカリマセン!」(裏声)
京子「わかんないって!」
綾乃「あなた…ふざけてるの!?」
京子「ええ!?ふざけてないふざけてない!本当にわからないんだよ!?」
綾乃「あなたが寝ぼけて私に抱きついてきたの」
京子「ふんふん」
綾乃「頬ずりとかしてきたの」
京子「ふんふん」
綾乃「そしたら、だめだよ…結衣って…」
京子「ふんふ…あ!?」
綾乃「夢の中では船見さんにそういうことしてたんでしょ!?だからっ…だから…!」
京子「違う!違うよ綾乃!」
綾乃「へ……?」
京子「確かに結衣も出てきたけど…あとあかりもね!」
京子「だけど私がしてたのは綾乃にだよ?」
京子「綾乃とイチャイチャしてたら」
綾乃「イチャイチャって………//」カァァァ
京子「こんな感じにー!」モミモミッ
綾乃「ひゃあ!?////」ドキドキッ
京子「そおい!」モフッ
綾乃「ちょっ///そんなとこに埋めないでよ!?///」
京子「嫌じゃないでしょ?」ニカッ
綾乃「…っいっいいから早く続けて?」ナデナデ
京子「わかった」ナデナデ
綾乃「ちがうわよ!?///話よ話!///」
綾乃「もうっ…」
京子「まあイチャイチャしてたら、なんかいきなり結衣とあかりが部屋に入ってきたのよ」
綾乃「…ふーん」
京子「そしたらいきなり、うちらがベッドにいるのに2人とも入ってきて!イチャイチャしはじめたの!」
綾乃「な、なんですって!?」
京子「だから」
京子「結衣!だめだよ!自分のおうちに帰りなさい!」
京子「みたいなこと言った気がする」
綾乃「…気がする?」
京子「あっいや、言ったんだけど、セリフ合ってるかな…と」
京子「とにかく、邪魔者追い出しただけだよ!」
綾乃「そ、そう…」
綾乃「っべっ別にそんなこと!」
綾乃「そんなこと…」
京子「こっち向いて、綾乃」
綾乃「…………」クルッ
京子「綾乃のこと好きだよ」
綾乃「そう………」
京子「友達としてじゃないよ?」
綾乃「…!そ、そう!」
京子「あ、いまちょっと嬉しそうな顔した」
綾乃「わっ悪い!?」モゾッ
京子「ほらほら、潜らないで」
綾乃「むー…」ヒョコッ
綾乃「ふふっ」
綾乃「歳納京子」
京子「うん?」
綾乃「私も…歳納京子が好き」
京子「知ってるよ」
綾乃「とっ友達としてじゃなくて!」
京子「だから、知ってるってば」
綾乃「…歳納京子のバカ」ギュッ
京子「バカと天才は紙一重だよ」ギュッ
綾乃「意味わからないわ…」
綾乃「両想い…?」
京子「両想いだよ」
綾乃「両想い…なのね…」グスッ
京子「綾乃!?」
綾乃「嬉し泣きだもん…」
京子「…よーし存分に泣けー」
綾乃「えへへ…それもどうかと思うけど」グスッ
京子「ちゅーすればもっと泣く?」
綾乃「…! もっと…泣いちゃう」
綾乃「私だって初めてよ…」
京子「綾乃の初めては戴く!」
綾乃「歳納京子に奪われる!」
京子「おお!のってくれるねー!」
綾乃「えへへ…」
京子「じゃあ目を瞑ってー」
綾乃「うん…あ、泣いちゃったから
ちゅっ
綾乃「ああっ!?まだ喋ってたのに…///」
京子「ファーストキスは塩味だね!綾乃」ナデナデ
京子「なに!?どうしたの!?」
綾乃「大事なこと忘れてるわ」
京子「え?」
綾乃「私たち…付き合ってるの?」
京子「綾乃!私と付き合って!」
綾乃「…なんか軽いけど…よろしくお願いします」ギュッ
京子「えへへ」
京子「出来婚だね」
綾乃「できてないわよ!?//」
・・・・・・・・
ちなつ「京子先輩!もういいです」
京子「え?まだ出かけた話とか初夜とかの話もある」
ちなつ「京子先輩と綾乃先輩が付き合ったのはわかりました」
ちなつ「あとあかりちゃんの愚行もね」チラッ
あかり「ええ!?あかり何もしてないよ!?京子ちゃんの夢だよ!?」
結衣「というか一体どうやったらそんな夢を見るんだ…」
京子「結衣もイチャイチャすれば見るんじゃないかな」
ちなつ「先輩!!!ぜひ私と!」キラキラ
結衣「ええ!?いや、いいかなー…」
あかり「あはは…」
千歳「お邪魔します~」
京子「おっ綾乃に千歳~」
綾乃「あなたまた生徒会アンケートだしてないでしょ!?」
京子「わざとわざと」ハイッ
綾乃「もう…///白紙!?」
京子「今から書くね~」
千歳「ううっ綾乃ちゃん拘束するためにそないなことまで…」ブフッ
結衣「熱いな…」
ちなつ「結衣先輩!私と熱くなりましょう!?」
結衣「いや…遠慮しとくよ」
あかり「ティッシュティッシュー!」フキフキ
おしまい!
見てくださった方保守もありがとうございました
それと途中寝ちゃってましたすみません
最後に
京綾最高!!!!!!
乙でした
Entry ⇒ 2012.01.22 | Category ⇒ ゆるゆりSS | Comments (0) | Trackbacks (0)
一夏「ISの待機状態が女の子に?」
http://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/internet/14562/1326371058/
束「またおもしろいものを作ったよぉ♪」
千冬姉「はぁ・・・・このまま行くと、お前の発明の数はキテレツ大百科を超えるぞ・・・・・。」
束「まぁまぁ、そう言わずにぃ♪」
千冬姉「で、なんなんだ?言ってみろ。」
束「まずぅ、このスイッチを押してみてぇ♪」
千冬姉「どうせ下らんものなんだろう・・・・・・ほれ。」ポチッ
束「・・・・押したね?押したねぇええ?ふふふふふぅ、これで共犯だねぇ♪これからもよろしくねぇ♪」
千冬姉「な、なんのスイッチだったんだ!何も起きないぞ!?」
束「今のスイッチで、世界中の専用機が、搭乗者そっくりの女の子になりましたぁ!」
束「ちなみに性格は搭乗者の煩悩をかなり拡大させた状態になってるよぉ♪(いっくんのは特別だけどねぇ・・・ふふふ)」
千冬姉「・・・・アホか。帰る。」すたすたすた・・・
束「朗報待ってるからねぇ~!」
ガヤガヤガヤガヤ・・・・・
千冬姉「・・・・・悪夢だ。」
一夏「や、やめてくれぇええええ!」
箒機「い、一夏ぁ、好きだぁ・・・・///」すりすり
箒「き、貴様何を言っている・・・・!!一夏から離れろ!!」
鈴機「私があんたの酢豚になってあげるわよ!ほら、食べなさいよ!!」
鈴「あんたなんかより私の方がおいしいわよっ!!」
シャル機「一夏の体って逞しい・・・・///」
シャル「えっ!えぇぇぇええっ!?」
セシリア「ちょ、ちょっと止めて下さいな!私が恥かしいじゃありませんのぉ!!」
ラウラ機「嫁!レスリングだ!柔道だ!えぇい、まどろっこしい!総合格闘技だぁぁあああああ!!」
ラウラ「ほぉ、貴様なかなか言うな。良い友人になれそうだ。」
白式「・・・・・・・なにこれ怖い」
千冬姉「はぁ・・・・・・・」
一夏「千冬姉・・・・これどういうこと?」
千冬姉「あぁ・・・・・すまん。」
千冬姉「お前ら全員聞けっ!!」
千冬姉「・・・・・っということだ。」
一夏「っていうことは、こいつら全員搭乗者の煩悩の塊ってことか?」
一夏「しっかし、制服まで同じじゃ全然見分けがつかねぇなぁ・・・・」
箒「や、やめろ!バカものっ!服を脱ぐな服をっ!!」
一夏「・・・・・・いや、すぐ分かりそうだな。」
千冬姉「当分の間我慢してくれ、としか言えないな・・・・夜は施錠を怠るなよ、一夏。」
千冬姉「本気の話だ・・・特に『ラウラの』がな・・・・・。」
ラウラ機「嫁!相撲もいいぞっ!今から弟子入りに行くぞ!あぁ、その前にちゃんこ鍋を食わねばな!!」
ラウラ「相撲に寝技は無いが、良い提案だ。」 ピコッ「クラリッサ、新弟子検査の手配を頼む」
一夏「・・・・・あれは元からヤバイって。」
束『いやぁ、ごめんごめん。世界中からクレームが来ててねぇ♪国連に呼び出されちゃったぁ♪』
束『元に戻す方法を「今から考える」からもうちょっと待っててねぇ♪』
千冬姉「ほぉ・・・・貴様はよっぽど死にたいらしいな。」
束『ふぇーん。ちーちゃん怖いよぉ・・・・。でもぉ、一端を担ったのは覚えておいてねぇ~♪」
千冬姉「・・・・今度会った日が、貴様の墓石に刻まれることになるぞ。早くしろ。」ぷちっ
千冬姉「この事件の一番の被害者は一夏だな。はぁ・・・すまん・・・・・。」てくてくてく・・・
千冬姉「あぁ、一夏なら寮の部屋に・・・・」
山田先生「言っちゃダメですぅぅうううう!!」
山田機「ありがとうございま~す♪」ダダダダダダ・・・・・
山田先生「待ちなさぁぁああああああい!!」ダダダダダダ・・・・・
千冬姉「あぁ・・・・・早速やってしまった。」
千冬姉「仕方ない、緊急事態だ!」
千冬姉『教師の織斑だ。全校生徒に告ぐ、緊急事態だ。』
千冬姉『各学年の生徒は全員学年ごとに集合しろ!集合場所はアリーナ。』
千冬姉『始業式の通りに並べ!急げ!全員死ぬほど走れぇ!!』
IS学園 アリーナ
千冬姉「よし、集まったな!聞け!現在専用機が搭乗者の姿へ外見を変化させ、あちこちで暴走している。」
千冬姉「各学年で暴走していると思われる者を捕縛しろ!」
千冬姉「例を見せる!一夏来い!!」
一夏「5人に乗っかられて、いけるかよぉ・・・・」
千冬姉「這ってでも来い!!男を見せろ!!」
一夏「うぅ・・・・」ずるずる・・・・
千冬姉「その者が所属するクラス全員に食券一ヶ月分と、私とのディナーをご馳走してやる!!」
千冬姉「ものども、かかれー!!」
「キャーーーーー!!」ダダダダダダ・・・・・
「委員長!組になって動くべきだわ!!」ダダダダダダ・・・・・
「千冬お姉様とのデートよぉ!!」ダダダダダダ・・・・・
シーン・・・・・・
白式「あ、あのぉ・・・僕はどうすれば・・・・・?」
千冬姉「(僕っ娘か!かわいい・・・しかし、一夏には似ても似つかんな)貴様、白式か・・・・」
千冬姉「あぁ、そうだな。一夏の部屋へ行って茶でも飲んでいろ。」
千冬姉「夜になっても連絡が無ければそのまま寝ていい。」
白式「わかりました」すたすた・・・
千冬姉「ばかもの、周りを見てからモノを言え。助っ人が大量にいるだろうが。」
1年女子「にへへへへへへ」 目がキラリーン
一夏「なぁ・・・・どうしてみんな俺と目が合うんだ?目的が変わってるような・・・・」
千冬姉「ばかを言うな、私とのディナーだろ?」にやり
千冬姉「全員・・・・・かかれー!!」
「織斑君の体触り放題よぉおお!!」
「やだぁ、いい体してるぅ♪」
「この、こいつ織斑君から離れなさいよ!」
「偽物だろうと、積年の恨みを晴らす時よぉっ!!」
「引き剥がせぇえええっ!!」
一夏「や、やめてぇええええ!!それ、パンツ引っ張ってるってぇええ!!」
一夏「いやぁああああああ・・・・・・・あん♪」
千冬姉「尊い犠牲だな・・・・・束の奴めぇっ!」
白式「ここ・・・どこぉ・・・・・・?」おろおろ
ガチャッ・・・バタン・・・・・・
一夏「し、死ぬかと思った・・・・・既にもう死んでるのか?」
ガチャ
千冬姉「おい、一夏。忘れ物だ。」ぽいっ
ぽふっ
白式「あっ、部屋だ。」
千冬姉「じゃあな。」 バタン
白式「一夏だ♪」
一夏「えっ、ちょっと・・・・・白式か?」
白式「いつもありがとうね♪」ぎゅぅ~
一夏「(見た目も声も・・・・なぜか某1万3千冊の魔道書を記憶している
シスターに似ているな・・・・そして、なぜこいつらは既に制服を着ているんだ?)」
白式「いつも優しく使ってくれてありがとう、一夏ぁ♪」ぎゅぅ~
一夏「そ、そうか?結構激しいと思うんだが・・・。」
白式「うぅん、搭乗者とISは心が通じ合ってるんだから、何を考えてるかよくわかるんだよ?」
白式「「この姿じゃ難しいけどね」ぎゅぅぎゅぅすりすり
一夏「そりゃなによりだ・・・。」
千冬姉「はぁ・・・・これで全部か・・・・・縄で縛るのは忍びないが、まぁ許せ。」
シャル機「一夏はぁ、ねぇどこぉ?えっちぃえっちぃ!」
シャル「ちょ、ちょっと黙って!!」
シャル機「ンー!ンー!」もがもが
ラウラ機「レスリングはな、こう腰を低くしてだな、勢いよく相手の腰に食らいくんだ!」
ラウラ「ほぉほぉ・・・・なかなか勉強になるなぁ・・・・・・。」
ラウラ機「今からやるか!?」
ラウラ「ふふふ、私に勝てるかな?」
千冬姉「こら、ラウラ。いい加減にしろ・・・・で、まずは・・・・。」
山田機「まぁ、こんなになってしまって・・・。」
千冬姉「山田先生、どうしたんですか・・・・はっ!まさか!!」
山田機「えいっ♪」しゅるるる♪
箒機「一夏ぁああ、好きだぁぁああ♪」
セシリア機「一夏すわぁぁああああん♪」
シャル機「一夏ぁああ!!えっちえっちいいいい!!」
鈴機「酢豚よ酢豚ぁあああああああああ!!」
ダダダダダダダダダダ・・・・・
山田先生「はぁ・・・はぁ・・・・・すみません、遅かったみたいですね・・・・。」
山田機「生徒の自由は私の願いと希望ですから♪」
山田先生「とりあえずこの子を縛りますね。」
千冬姉「・・・・(山田先生の煩悩があれか。教師の鑑だな)」
ラウラ機「そっちこそっ!はっ!」
千冬姉「(こいつらは勝手に自滅するな・・・・だが)」
ラウラ機「なっ!」
縛り縛り、ぎゅっぎゅっ
千冬姉「ふぅ」
ラウラ「きょ、教官!」
千冬姉「悪いな・・・・・。」
千冬姉「おい、ラウラ。お前の大事な大事な嫁が助けを求めているぞ?」
千冬姉「こいつと遊んでいる暇があるのか?」
ラウラ「そ、そういえばっ!私の!私による!私のための!嫁ぇぇえええええ!!」
ダダダダダ・・・
ドンッ!ドンッ!ドンッ!
箒機「い、一夏ぁ・・・・開けてくれぇ、もうここがこんなにぃ・・・」
箒機「はぁはぁ・・・見たいんだな?そうかそうかぁ・・・・」
箒「脱ぐんじゃない!こらこら!!」
シャル機「一夏ぁ!あけてぇええ僕とえっちぃえっちぃいい!!」
シャル「や、やめてってばぁ!恥かしいよぉ!!」
鈴機「酢豚1か月分よぉおおお!!」
鈴「腐るわよ!!」
セシリア機「い、一夏さん・・・?その・・・・前から・・・・お慕いしておりましたのぉおおおお!!」
セシリア「は、恥かしいことを大声で言わないでくださいなぁああ!!」
「ちょっとなんの騒ぎ!?」
「あれって、さっき捕まえたわよね!?」
「えっ、再チャンス!?」
「いけいけええええ!!ひっ捕らえろー!!」
「ディナーだ!デートだぁあああ!!」
白式「ひぃぃいいいい!!」がたがたぶるぶる
一夏「大丈夫だって、こんなことだろうと思って、ちゃんとドアをベッドで押し当てただろ?」
白式「う、うん・・・・」ぎゅぅ
一夏「・・・・なぁ白式?胸当たってるんだけど。」
白式「き、気にしないでぇぇ、それより、あれ怖いよぉおお」がたがたぶるぶる
一夏「(なんか俺の白式だけ、他の専用機と違うんじゃないか?)」
ラウラ「嫁、大丈夫か?」
一夏「ラウラ、お前・・・・窓から・・・・・。」
ラウラ「私は本物だ。で、そっちが白式か?」
白式「こくこく・・・・・・」ぎゅぅ
一夏「大丈夫大丈夫。ラウラはいい奴だよ。」なでなで
ラウラ「・・・・おい、嫁。私にもしろ。」
一夏「えっ、何を言ってっていやぁあああ!!」
ラウラ「『なでなで』をしろと言っている」ギリギリ
ラウラ・一夏「あっ」
白式「ひっく・・・・ひっく・・・・・・」
ラウラ「す、すまん・・・怖かったんだな。その・・・・すまん。」
白式「う、うん・・・・ひっくひっく・・・・・・・」
一夏「ラウラ、とりあえずシャワー浴びせてやってくれ。」
ラウラ「承知した。こっちだ、白式。」
一夏「はぁ、これ掃除するのかぁ・・・・。」
ラウラ「貴様は戸締りをしっかりしろ。窓の鍵が開いていたが、閉めておけ。」
ラウラ「そんな調子では私の嫁失格だぞ?」バタン
一夏「はぁ・・・・とりあえず俺のジャージとラウラの下着で寝巻きは問題なさそうだな。」
一夏「・・・・・ジャージのサイズが合ってないけど。」
白式「・・・・・・」ぎゅぅ
一夏「手なんか握って、どうした?」
白式「なんでもないよ?」ジー・・・・
一夏「俺の顔になんかついてるのか?」
白式「うぅん、付いてないよ?」ジー・・・・
一夏「じゃあ、何してるんだ?」
白式「一夏の思考を読んでるの」ジー・・・・
白式「あっ、あと顔も見てないと・・・・・・。」ジー・・・・
一夏「そ、そうか・・・ちょっと照れるな・・・・・。」
白式「やっぱり一夏は優しい。僕、こんな人に乗ってもらえて嬉しいよ。」
白式「さっきから僕のことばかり心配してる。」ジー・・・・・
一夏「(もしかして、今の状態でも零落白夜も使えるのか?)」
白式「・・・・・使えるよ?」
一夏「えっ?(本当に思考を読んでる)」
白式「読んでるよ?やってみる?言ってくれたらするよ。僕は一夏のISだもん。」
白式「うん。じゃあ、いつもみたいにやってみて。手を繋いだまま・・・・。」
一夏「行くぞ・・・・・零落白夜、発動!」
一夏「おおおお!スーパーサイヤ人みたいだ!」
白式「楽しそうで嬉し・・・い・・・・・よ・・・・・・・・」ばたっ
一夏「お、おい!どうした!白式!大丈夫か!? 」
一夏「そ、そうだ!千冬姉のところに連れて行けばなんとかしてくれるはずだ!」
千冬姉絶対こいつらにエネルギー充填するなよ、お前ら。こいつらは当分このままだ。」
箒「も、もしかして・・・・死んでるんですか?」
千冬姉「ただのエネルギー切れだ。例えるなら冬眠みたいなものか、永眠して欲しいくらいだが・・・・。」
千冬姉「その役割は全てあいつに押し付けてやる・・・・束めぇ・・・・・。」
千冬姉「充填方法の資料はさっき取り寄せた。」
千冬姉「今日はお前らももう寝ろ。明日も早い。後は私がやっておく」
千冬姉「だから何度言ったらお前は・・・・・・白式を負ぶって何をやっている・・・・・・・」
一夏「白式が動かなくなった!死んじゃったんだ!助けてくれっ!」
千冬姉「落ち着け、死んだわけじゃない。落ち着け。」
一夏「本当か?嘘じゃないよな?」
千冬姉「あぁ、だから涙目になるな(可愛すぎるだろ、一夏・・・・)」
千冬姉「そこに寝かせろ。ただのエネルギー切れだ。」
千冬姉「今エネルギー充填の準備をしてやる。白式は特に害が無いからな。」
一夏「ありがとう。千冬姉・・・」
千冬姉「はぁ・・・・今夜だけはその呼び方を許してやる。だから泣くな。」
一夏「うん、ありがとう。千冬姉・・・」
千冬姉「・・・・準備はできた。後はお前の仕事だ。さぁ、このプラグを説明書通りに・・・・・『ココ』に挿せ。」
一夏「えっ・・・・?」
千冬姉「私はこいつらを縛って、保健室に運ばなければならん・・・・・ふんっ!」ずるずるずるずる
千冬姉「充填は10分ほどで完了する。その間離れるなよ。じゃあな・・・・」ずるずるずるずる
一夏「えっ、千冬姉・・・・?」
チラッ
一夏「マジかよ・・・・・。でも俺の責任だし・・・。」
一夏「白式は俺なんだよな。今、さっき『僕』って言ってたし。」
一夏「本当は男なんだ!そうだよ!あはは、そうに決まって・・・」
ズルッ!
一夏「・・・・女じゃん。」がくっ
一夏「いやいや、そういうことじゃない。あぁ、う、後ろを向かせよう。」
一夏「うつぶせにして・・・・股を開かせて・・・・・・・理性がぁ・・・俺の理性を返せぇ・・・・」
『 白式「僕、一夏に乗ってもらえて嬉しいよ♪」 』
一夏「はっ!そうだった、俺はこいつのパートナーだ。こんなところで怯んでたまるか!おりゃ!」
一夏「ケツを突き出させて、お尻の穴・・・穴・・・・・えっとぉ・・・・」ふにふに
一夏「あぁ、お尻の肉が柔らかすぎてよく見えないなぁ・・・・。あった!おりゃ!」
ブツッ キュィィイイイイン・・・・・・
一夏「ふぅ。」
白式「あ、あれ?いつのまにか寝ちゃって・・・・」
一夏・白式「あっ」
白式「あ、あれ?エネルギーが入ってきてる。」
一夏「あぁ、エネルギー切れを起こしてな・・・・。」
一夏「俺が零落白夜をお前に使わせちまったばっかりに・・・・すまん。」
一夏「そしてこれも・・・・すまん。とりあえずコードだけ出して、服を着せるよ。」
白式「うん・・・・・・」ぎゅぅ ジー
一夏「なんだ?また思考読んでるのか?」
白式「うん・・・・・・」ジー
一夏「(白式、良いお尻だったよ)」
白式「むすぅ・・・・・」ジー
一夏「冗談冗談、あはははは・・・・えっと、ごめんなさい」
白式「あっ、終わったよ?えいっ」プツッ
白式「ふぅ・・・・おなかいっぱい」 ぽてっ
白式「おぶって。」
一夏「はぁ・・・・わかった。ホイッ」てくてくてく・・・・
白式「すぴーすぴー」
一夏「呑気なもんだな・・・・・。」
一夏「ほら、部屋についたぞ?」
白式「ん・・・・ねるぅ・・・・・・」
一夏「・・・そうだな。ほら、よいしょっと。」ぽすっ
白式「ん~」ぎゅぅ
一夏「なんで俺の腕を離さないんだ?」
白式「一緒に寝る。今までもそうだった。」
白式「零落白夜使うよ?」
一夏「それだけは勘弁してください。お尻はもう、その・・・・」
白式「交渉成立♪」
一夏「ほら、早く寝ろ」
白式「えへへぇ、一夏と一緒ぉ」ぎゅぅ~すりすり
白式「腕枕して頭撫でて・・・・・」
一夏「・・・・・」
白式「あれ、エネルギーが切れそう・・・・またお尻に挿されるのかなぁー」
一夏「半ば脅迫だな・・・・・・よいしょ」なでなで
白式「一夏ぁ・・・・ありがとう・・・・・」
IS学園
束「ち・・・ちーちゃん・・・・できたよぉ・・・・・・・。」バタンッ
千冬姉「良い気味だ。少しは今回の件で懲りたか?」足でガシガシ
束「うぅ・・・・やめてぇ・・・・・もう4日は寝てないんだからぁ・・・・・。」
束「はい、このスイッチ押して・・・・」バタッ
千冬姉「そのまま死んでしまえ・・・・・ポチッ」
ガタガタガタガタッ
千冬姉「なっ!? 保健室のあたりが騒がしい・・・・・・・・・?」
起動スイッチでしたぁ♪ほぼ10年は充電が自動で・・・」
千冬姉「余程死にたいらしいな、ちょっと待ってろ」足でガシガシ
束「ふがふが、ふがふがぁ・・・」じたばた
千冬姉「・・・・あぁ、もしもし?ターゲットを1名射殺して頂きたいのですが・・・・。」
千冬姉「お金は例の銀行にお振込みします。はい・・・はい・・・・・ではお願いします。」
山田機「ふぅ・・・縄は解けましたねぇ。さぁ、皆さんがんばってくださいねぇ~♪」
ドドドドドドドドド・・・・・・
IS学園寮 一夏の部屋
白式「あれ?なんか常にエネルギーが湧き上がってくるよ?」
一夏「どうしてだろう?」
白式「ん~、わかんないけど、1つだけ分かったことがある」
一夏「なんだ?言ってみろ。」
白式「僕は当分、一夏にお尻を見せなくて良いってことだよ♪」ぎゅぅ
ドドドドドドドドド・・・・・・
白式「一夏、IS展開して!逃げなきゃ!!」
一夏「わ、わかった!こい、白式!!」
箒機「い、一夏ぁ、どこだぁ?この豊満な胸をお前に独占させてやるぞぉ!」
鈴機「女体盛りの酢豚版よ!私ごと食べなさいよぉ!!」
セシリア機「一夏さぁん♪もう、私のここがこんなにびちょびちょなんですのぉおお♪」
シャル機「一夏ぁ、早く一夏のをぶち込んでめちゃくちゃにしてぇ~」くねくね
一夏「死ぬより恐ろしいな・・・・逃げるか。」ブォオオオ!パリーン!
一夏「窓ガラス割っちまったけど、なんとか逃げられたか。」
白式「そうだね。とりあえずアリーナへ行こう?」
一夏「えっ、白式の声が聞こえる?」
白式「もっと一夏と仲良くなりたいです、って。」
一夏「それで、拡大解釈した束さんが暴走して、こんなことになったのか・・・・。」
白式「うん。恐らく、ね。僕はこんなになるまでお願いしてないからね?信じて?」
白式「ただ一夏ともっと仲良くなりたくて・・・・」
一夏「普通に信じるよ。ほら、アリーナについたぞ。」
白式「ありがとう・・・解除」
白式「一夏ぁ・・・これからもよろしくね♪僕のことは、妹みたいに思ってもらえると嬉しいんだぁ」
一夏「あぁ、いいぞ?これからもよろしくな!白式」なでなで
白式「えへへへぇ・・・・これからは腕輪になっても喋れるからよろしくねぇ・・・・・」ぎゅぅすりすり
千冬姉「ぼさっとしてないで、しゃきしゃき働け。」
殺し屋「・・・・・・・・」ジャキッ
束「M16を突きつけられながら仕事なんてできないよぉ・・・」
千冬姉「そういう態度か、わかった。」
千冬姉「あっ、すみません。葬式の手配をお願いしたいのですが・・・・・・・」
束「やりますぅ、やらせてくださぁい・・・・ふぇぇええええん・・・・」
おわり
これは素晴らしい!
一夏にとって最高のパートナーだな
この一夏は幸せ者
新しく出来たSS深夜VIPのSSです
いろんなSSがあるので是非見てください!
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Entry ⇒ 2012.01.22 | Category ⇒ インフィニット・ストラトスSS | Comments (0) | Trackbacks (0)
面接官「嫌いなものは?」幼女「トマトです!」
理由は簡単だ。ロリコンによる盗撮、誘拐・・・・・幼女にとっては非常に住みにくい世界となった。
国会はそれに対し、特別措置案「日本幼女育成保護法案」、通称「幼女法案」を提出、
健全な幼女たちを育成所にて成人まで保護することとなった。
これが今から20年前の出来事である。
俺は、中学校の教師を目指していたが、知り合いの教授から「幼女育成所に行ってみないか?」と頼まれた。
別に教師にこだわりはなかった。それに知り合いの教授からの推薦。確実な内定だ。
俺は幼女育成所に入った。
http://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/internet/14562/1326352491/
面接官「嫌いなものは?」幼女「トマトです!」
みごとに幼女まみれだ。30代の若い女性が話しかけてくる。
所長「あなたが男さんね?話は聞いてるわ」
男「はい、今日からこちらでお世話になります。男です。」
所長「こんにちは、とりあえず歩きながら案内するわ・・・・。」
艶かしく太陽の光を浴びて光るピンクの口紅。
黒のスーツにYシャツは少しはだけている。そして赤のヒール。
後ろから見ているだけでも興奮してしまう・・・。
施設を一通り回る。幼女が走り回っている。
俺の方をじっと見つめる子。所長に「お姉ちゃん、この人だれ?」と声をかける子・・・。
落胆する俺の肩に手を乗せて、所長が話しかける。
距離が近い!耳元だ!
所長「だいじょうぶよ・・・・すぐに、慣れてくれるから・・・・・・。」
この所長には慣れられそうに無い。
俺はここの幼女よりも順応性が悪そうだ・・・・。
所長「ふふふふふ・・・・・・」カッカッカッ・・・・
完全に遊ばれてるじゃないか、俺・・・・。
ちなみに、「6年」というのは、「6歳児」という意味だ。
興味津々で俺の方を見る幼女たち。
作り笑顔で俺は手を振って答える。
担任「みんなぁ、こっちむいてねぇ~」
この組の担任。20代後半の女性。少し天然気味でめがねをかけている。
それにしても・・・・・・・・なんて爆乳だ。
紺色のスーツのボタンがはじけ飛びそうじゃないか。
この職場は、色々と男の俺にはまずい・・・・。
担任「今日から、ひらがなの授業をはじめますよぉ」にこにこ
担任「この前までお絵かきしていたえんぴつで、ノートに書いてくださいね。」
「はーい!」
みんな、先生に指示されて、「あ」の文字をノートに書く。
えんぴつの持ち方がぎこちない。
力を入れすぎてしまって、鉛筆削り機をいそいそと回す幼女。
「先生、かけたぁ!!」
6歳、普通なら小学1年生だ。
結構普通だなぁ・・・・。
俺が教室を見渡して、見学しているとひとりの幼女が俺の方をじっとみているのに気付く。
それに気付いたその幼女は、すぐに顔を下に向けてえんぴつを走らせた。
「先生、これわかんない!」ぐいぐい
男「あぁ、これは・・・・って、えっ!」
「先生!おだんご作ったよぉ!!」べちゃべちゃ
男「す、スーツが・・・泥まみれに・・・・・」
「せ、先生・・・・ご、ごめんなふぁぃぃ・・・・ふぇええええええん!」
男「大丈夫大丈夫。これくらいすぐ取れるから、ね?」なでなで
「ほ、本当?」ぐすんぐすん
男「あぁ、大丈夫だよ。全然気にしてないからね。」なでなで
「えへへぇ・・・・・///」
椅子に座りながら、短いスカートで足を組んで・・・・・。
ふりふり付きの紫ですよ、もうバッチリ見えてますから・・・やめてくださいよ・・・・・・・。
俺がそんな顔をしていたせいだろうか、所長は少しニヤリとしながら椅子から立ちあがり、
俺の方へ歩きながら言う・・・・。
所長「じゃあ、服を脱がないといけないわね。」
なぜ俺の顎に指を這わせる。
男「は、はぁ・・・・とりあえず今日はYシャツで過ごそうと思います。明日は違うスーツで通勤しますんで。」
すると所長は、なにやら機嫌を損ねたように
所長「クリーニング代は出します。後日領収証と一緒にこの書類を提出して。」
そう言いながら椅子に座って仕事を再開した。
完全に誘っていたな、さっきのは・・・・・・そして失敗して、ご機嫌ななめ、ってところか。
あっちのほうが心が休まる。
「せ、先生・・・・スーツごめんなさい。」
まだ気にしていたのか、この子は。
男「大丈夫だよ」なでなで
しかし、11月だ。ちょっと寒い。手が少し震える。
「先生、全然大丈夫じゃない!寒そう!」ぎゅぅ
男「えっ、どうしたの?」
「私があっためるの!」
「あっ、先生ひとりじめずるい!」
「わたしもぉっ!」
幼女10人ほどに抱きつかれながら押し倒される。
俺は棒倒しの棒か・・・・。
しかし悪い気はしない1日だった。
今日は算数だ。
まただ・・・。またあの子が俺を見ている。
俺は気付かないフリをして周辺視野で彼女を見る。
・・・・・・完全に手が止っているぞ。注意するべきかな。
担任の先生に相談してみる
担任「そうねぇ・・・わたしにはちょっと分からないですねぇ・・」
担任「もしかして、好きになっちゃったんじゃないですか?男さんのこと♪」
男「は、はぁ・・・・・そういうもんなんですか?俺、もう22ですけど・・・。」
担任「恋愛に、歳の差なんて関係ないんですよぉ♪・・・・キャッ!」
突然担任の天然が爆発した
男「ぐはっ!いてててて・・・・・・」
なぜ何も無いところでこけて俺に抱きついてくる・・・・。
そして胸が俺のを押しつぶしてる・・・・・。谷間はヤバイだろ、谷間はぁ・・・・・!
相変わらずあの子は俺のことを見てくる・・・・。
所長のアタックは過激だ。
所長「車で家まで送ってあげるわ。」
車はまさかのGT-R
所長の給料って一体・・・
車を見つめる俺をみて、何かに勘付いたのか、
所長「そんなにもらってないわよ。車は趣味なだけ。」
そしてアパートまで連れて行かれる・・・・
別れ際に、ものすごく意味深に所長が言う。
所長「また、送ってあげる・・・」
一体次はどこに送られてしまうのだろうか・・・・。
ネオンまみれのホテルに連れて行かれないことを祈るばかりだ。
幼女たちも学年が上がると同時に、俺は副担任から、担任へ昇格した。
少し給料が増えて喜んだいた・・・・。
そして、慣れ親しんでいるということもあって、6年生から7年生になった幼女たちのクラスをそのまま担当した。
爆乳先生は隣のクラスだ。
まず1番初めの大仕事・・・・。面接だ。
30人、全員から聞き取り調査のような面接を行う。これは政府からの義務付け。
優良な施設かどうかの判定に使われる。
面接は俺一人だ。同時に他の学年も行っているため、一気に人手が足りなくなるからだ。
さぁ、始めるか・・・・・
「ハンバーグ!」
男「嫌いなものは?」
「トマト!」
男「好きな科目は?」
「んーと・・・・・体育!」
男「元気でよろしい。」
そんな、何気ないやり取りが続く・・・・・
男「はい、出席番号23番。入って。」
「・・・・・・」
そういえば23番はこの子だった・・・・。
いつも俺を見つめてくる。既に1年。
見つめてくる以外は特に俺に接触してこない、不思議な子・・・・。
「・・・・せい?」
しかも今からふたりきりだぞ。何かまずいことがあったら所長に・・・・
「先生?」
男「あっ、あぁ悪い悪い・・・・お日様がぽかぽかして、眠くなっちゃったんだ。さぁはじめようか。」
「・・・・・・・・・」
男「ん?どうした?好きな食べ物は?」
「せ・・・・・」
男「せ?」
「先生・・・・・・////」
男「oh.......」
男「嫌いな食べ物は?」
「先生・・・・・・・///」
へ、へこたれんぞ・・・・
男「好きな科m
「先生・・・・・・・///」
男「言い終わるまえn
「先生・・・・・・・///」
男「わかった。わかった。とりあえず落ち着け、な?」
俺はそういって彼女の元へ歩み寄る。俯いて顔を真っ赤にしている。
肩に手を置いて、頭をなでてやる。
男「落ち着いたか?」
「う、うん・・・・・」
男「どうしてさっきあんなこと言ったんだ?」
「せ、先生が好きだから・・・・・きょ、教室だと・・・・みんな見てて恥かしいし・・・・」
「近づきたくても、近づけなくて・・・・・・・」
「眼中にございません」という奴は所長の相手をして欲しい。
男「わかった。じゃあまた別の日にその話はしよう。とりあえず今は面接だ?いい?」
「は、はい!」
とりあえず形になった報告書をまとめて所長に提出・・・・爆乳先生だ!
男「先生!」
爆乳「あら、どうしたんですか?」ぷるるんっ
男「すみません、面談の報告書はできたんですが、ちょっと問題がありまして。」
男「そっちに急いでいかないといけないので所長にこれを出してもらえませんか?」
爆乳「いいですよぉ♪私のと一緒に出しておきますねぇ♪」ぷるるんぷるるんぷるるん・・・・
男「悪い悪い、ちょっと手間取っちゃって。」
男「で、俺のこと本当に好きなのか?」
「・・・・・・///」こくり
困った。
幼女保護法案でできた施設内で、事件を起こすわけにはいかな・・・・なっ!!
「・・・・・////」ぎゅううぅ
「先生、エッチ・・・///」すりすり
男「エッチは18歳になってから!ダメ!」
根暗なのか積極的なのか無謀なのか一体この子はなんなんだ・・・・。
「エッチ・・・・///」すりすり
そ、そこ股間だからっ!股間ですよ、先生の股間です!
「ほ、ほんと!?」
男「だが、条件がある」
「じょーけん?」
男「あぁ、約束みたいなものだ。破ったら結婚してあげない。いいね?」
「・・・・わかった。」
男「君が、18歳になっても俺のことが好きなら。結婚してあげる。」
男「そう。あと11年。俺は待っててあげる。逃げたりしない。これも約束だ。」
「・・・・11年・・・・・わかった!先生が待ってくれるならがんばる!」
男「まぁ、あんまりがんばるなよ。気長にいこうな?」
「うん・・・・///」
「あっ、先生、靴の裏に何かついてるよ?」
男「え?」
・・・チュッ
「えへへへへぇ・・・・・」たったったったった
彼女は俺のほっぺにキスをして、悪戯が成功した時のような顔で走っていってしまった。
そして、11年後、その子と結婚することになろうとは、その時の俺は知らないでいた・・・。
「先生、約束守ったよ。」
男「あぁ・・・・待ってたよ。」
おわり
途中どきどきしたけど、ハッピーエンドで最高だった
33と18か…俺にも希望gいや違いますおまわりさんわたしじゃないです
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余賀公麿「これが俺の選択した未来か」
『未来へ』
http://hayabusa.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1326958331
余賀公麿「これが俺の選択した未来か」
余賀「…」
余賀「さて、そろそろ行くか…」
テクテク
~商店街~
余賀「自宅に行くには…」
テクテク
余賀「…」
余賀「何だ?これ」
黒人警備員「・・・」
黒人警備員「Show me a passport」
余賀「は?」
黒人警備員「Show your passport if you would like to pass here」
余賀「何言ってんのこの人?」
「…」
黒人警備員「…Come just for a moment!」
余賀「え?…は?は?」
ガッ
余賀「いてて…」
役員「…」
役員「あらあら」
役員「居住証どころかIDカードも無いのか…」
余賀「は?」
役員「…きみどうやって入ったの?」
余賀「?」
役員「……とにかくね、もう2度入っちゃ駄目だからね」
余賀「…」
役員「少し乱暴にするけど、我慢してね」
役員「じゃ、よろしく」
黒人警備員「…」
ガッ
余賀「痛!」
ズルズル
ドヨ~ン
余賀「…なんなんだよ、これ…」
余賀「これ街か…?」
余賀「真っ暗だし、どよどよしてるし」
余賀「そこらじゅうにゲロがあるじゃねぇか」
余賀「人もぼろきれみたいなのしか着てないし」
余賀「…」
パッ
真坂木「何でしょうか、余賀様」
余賀「何でしょうかじゃねぇよ…」
余賀「…ここが……日本なのか…」
真坂木「はい」
真坂木「もちろんでございます」
真坂木「これが」
真坂木「あなたの選んだ[未来]でございます」
余賀「俺の選んだ…」
真坂木「広大な公園に高級住宅街」
真坂木「選ばれた人達が豊かな生活をし」
真坂木「その周りでは」
真坂木「日々の生活に苦しみ」
真坂木「貧しい生活すら出来ないスラム街が形成される」
真坂木「よくある風景」
真坂木「アメリカなんかじゃ普通ですよ」
余賀「…」
真坂木「海外では普通の事ですし」
真坂木「日本にも責任が無いとは言えませんから」
真坂木「今まで自分達がやってきた事の報い」
真坂木「とでもお考えください」
余賀「…でも、俺は」
真坂木「無自覚かどうかは関係ありませんので」
余賀「…」
真坂木「では私は」
パッ
余賀「…」
余賀「来い…真坂木」
余賀「……」
余賀「どうした!…来い!」アセッ
パッ
真坂木「何でしょうか」
余賀「どうしたんだよ急に」
真坂木「そう言われましても」
真坂木「余賀様は最早、金融街の人間ではありませんからね」
余賀「…」
余賀「…」
真坂木「それは置いておきましても」
真坂木「私の仕事ではございませんので」ニタニタ
余賀「…そんなこと言われても」
余賀「俺には何が何やら…」
真坂木「余賀様は過去改変以前の記憶を持つ代わりに」
真坂木「改変後の過去の記憶を持つことが出来ないので」
真坂木「少々混乱してるだけでしょう」
余賀「…」
真坂木「それは置いておきましても」
真坂木「私の仕事ではございませんので」ニタニタ
余賀「…そんなこと言われても」
余賀「俺には何が何やら…」
真坂木「余賀様は過去改変以前の記憶を持つ代わりに」
真坂木「改変後の過去の記憶を持つことが出来ないので」
真坂木「少々混乱してるだけでしょう」
真坂木「簡単に申し上げますと」
真坂木「日本の円の価値はほぼ0になり」
真坂木「その為に日本政府の実質的機能が消失」
真坂木「よってIMFが資金提供という名の…」
余賀「ちょっと!ちょっと待ってくれ!」
余賀「何で円の価値が無くなると」
余賀「日本政府がおかしくなるんだよ」
真坂木「円に価値を与えているのは日本という国の信用ですので」
真坂木「当然」
真坂木「円の信用が落ちれば日本政府への直接的な信用失墜に繋がります」
真坂木「というか」
真坂木「元々の不安に加えて」
真坂木「局地的な金のばら撒きや銀行騒動」
真坂木「ミダスマネーの消滅など」
真坂木「不信感を募らせるのには十分だったかと…」
余賀「…」
真坂木「では」
真坂木「その後、国連を始め、各国、特にアメリカ、中国が」
真坂木「国民の政府への怒りを利用するなどし」
真坂木「政治機構の支援と銘打った乗っ取りを行い」
真坂木「政治を完全に掌握」
真坂木「日本は諸外国の完全統治下といったところですね」
真坂木「日本人特別居住区、アメリカ人、中国人、その他の外国人居住区に分かれてますね」
余賀「…それで、日本人はこんなところに…」
真坂木「まあ」
真坂木「そういうことになりますかね」
余賀「…!」
余賀「じゃあ!さっきの公園で遊んでた子供達はどうなんだ!?」
余賀「それだけじゃない!商店街だって!」
真坂木「ああ」
真坂木「あれは[日本人特別居住区]ですよ」
余賀「…日本人特別居住区?」
余賀「ここが日本人特別居住区じゃないのか?」
真坂木「いえ」
真坂木「ここは日本人通常居住区になります」
真坂木「ええ」
真坂木「使用通貨は米ドルですが」
真坂木「あの中では、公用語は日本語ですし」
真坂木「居住者の9割が日本人です」
余賀「…あの人達は」
真坂木「あの人達は」
真坂木「選ばれた人達でございます」
真坂木「外人と結婚された方」
真坂木「といっても国際結婚は3割を超えてますので」
真坂木「特に優れた外国の人と結婚された方」
真坂木「もしくは莫大な資産を持つような方ですね」
真坂木「当然」
真坂木「ここに住んでおります」
真坂木「ち、な、み、に」
真坂木「ここらですと」
真坂木「特別区に住んでいるのは1割で」
真坂木「残り9割の日本人はここに住んでますね」
余賀「そんなことが…」
余賀「…そんなことがあっていいわけが…!」
真坂木「余賀様」
余賀「?」
真坂木「真に残念ながら」
真坂木「私には関係の無いことですので」ニヤニヤ
真坂木「…それに」
余賀「…?」
真坂木「これはある意味」
真坂木「あなたの選んだ[未来]じゃないですか」
余賀「…どういう意味だ」
真坂木「[未来]を守る為に[現在]を犠牲にした」
真坂木「これから生まれる命、今いる人の可能性」
真坂木「それと引き換えに、今いる人の存在自体を消したのです」
真坂木「[C]が直撃していたら、国ごと消滅していました」
真坂木「それってつまり」ニヤリ
真坂木「選ばれた人間だけを残したってことですよ」
余賀「別に俺は選んでなんか!」
真坂木「選んだのは」
真坂木「誰を生き残らせるかを選んだのは[前極東金融街]でございます」
真坂木「でも」
真坂木「そのせいで」ニヤニヤ
真坂木「想いを寄せていた人はいなくなってしまったのでしょ」ケタケタ
余賀「何言ってんだ!」
余賀「羽奈日はっ…羽奈日は!」
真坂木「そう都合良くはいきません」
真坂木「彼女の自宅には別の幸せそうな家庭があった」
真坂木「それは彼女の存在が消えたということ」
余賀「…っ」
余賀「………」
真坂木「余賀様」
真坂木「そう気落ちすることはございません」
余賀「…何だと」
真坂木「余賀様がどうしようが」
真坂木「三國様が[輪転機]を廻した時点でGDPは半減しておりましたし」
真坂木「もし金融街」
真坂木「いえ前極東金融街が無くても」
真坂木「日本の未来は大して変わらなかったでしょう」
余賀「…でも」
真坂木「細かい話は私には分かりかねますので」
真坂木「ではまた」
真坂木「用事があれば」ニタァー
パッ
グゥウゥウウウゥウ~
余賀「腹減った」
余賀「飯の配給が来るのが12時か…」
余賀(特別居住区に入るのにパスポートがいるように)
余賀(通常居住区に住むにもIDカードがいるようだ)
余賀(IDカードすらも持たない俺は…)
ゾロゾロゾロゾロ
子供「おなかすいた~」
親「今から食べられるからね」
老婆「ようやく…食べられるかね」
余賀「…」
青年「…ちょっと!」
青年「これ少なくないですか!?」
青年「これじゃあ全然…」
役人「うるさい!」
役人「文句を言うなら貴様には食わせん!」
ガシッ
青年「痛っ!!」
ガシッ
ガシッ
青年「痛い!痛いっ!!」
子供「…もう、やめたげて」
役人「お前も文句言うか」
ガシッ
子供「きゃっ!」
大人「すいません!お許しください!」
役人「うるさい!貴様もだ」
役人「わざわざ飯を運んで来てやってると言うのに」
役人「感謝する気持ちがないなら…こうしてやる!」
ガシャガシャガシャーン
老婆「ご飯が…」
役人「ふん!貴様らにやるぐらいなら地面にぶちまけた方がましだ!」
青年「そんな…」
役人「ふんっ」
ガラガラ
「おい!」
余賀「…?」
市民A「お前のせいで飯が食えなかっただろうが!」
市民B「どうしてくれんだゴラァ!!」
親「すいません、すいません」
市民A「すいませんじゃねぇんだよ!!」
ゲシッ
ゲシッ
ゲシッ
余賀「…」
市民B「あ?」
余賀「ちょっと、やめようよ!」
余賀「わざとじゃないんだしさ…」
余賀「昼飯ぐらい…我慢すれば……」
市民A「てめー、舐めた事言ってんじゃねぇぞ!!」
市民A「こちとら今日生きるのすら精一杯なんだよ!」
ガンッ
余賀「ちょ!なにすん…」
ガンッ
ガンッ
ボコッ
余賀「痛ててて…」
グウウウ~
余賀「…腹減ったな…」
余賀「…足が動かないや…」
余賀「…水も無いし……ここで死ぬのかな…はは」
余賀「ははは…」
余賀(これが俺の選んだ[未来]なのかな・・・)
余賀(ははは、笑えないな…)
役人「ほら、次の奴!」
老爺「ありがとうございます」ペコリッ
役人「分かったから!とっとと行け」
役人「ここは糞みたいな臭いしかしねぇ」
老爺「…」
老爺「…では」ペコリッ
テクテクテク
ダッ
老爺「…!」
ガッ
老爺「わしのご飯が…」
「はぁっはぁはぁ」
「…何とか手に入れたぞ…」
余賀「…良かったんだ」ハァハァ
余賀「これで良かったんだ」ハァハァ
余賀「あんな爺さんが食べるより、俺が食った方が…」
余賀「俺だって食わなきゃ生きれないんだ」
余賀「…」
余賀「良かったんだ…これで……」
余賀「……」
余賀「…うっ、うっううう」
余賀「…どうして、涙が………」ポロポロ
「…余賀君…?」
?「もう落ち着いたかい?」
余賀「…ああ、うん」
?「ご飯ならあのお爺さんに返しておいたから」
余賀「…」
余賀「…ごめん」
宣野座「いいよ、別に」
?「…」
余賀「でも、どうしてこんなところに…?」
余賀「…宣野座」
宣野座「いやね、日本が大変にまずいことになってるからね…」
宣野座「…」
宣野座「…というか逃げ遅れちゃった」
余賀「!?」
余賀「まさか…記憶あんの?」
宣野座「うん、あるよ」
宣野座「いきなり世界が変わっちゃうんだもん」
宣野座「驚いたな~」
余賀「…」
宣野座「…ねえ、余賀君…」
宣野座「この事は君が引き起こしたと思っていいのかい?」
余賀「…」
余賀はまだこの現実に慣れてないので
>>44
余賀公麿(よがきみまろ)
宣野座功(せんのざこう)
真坂木(まさかき)
宣野座「そっか~、僕の理想の…これが、結果か…」
余賀「…」
宣野座「でも、あの三國さんを止めるなんてね」
宣野座「やっぱり大したもんだよ、君は」
宣野座「僕を負かしただけの事はある」
余賀「…あの」
宣野座「?」
余賀「…ごめん」
宣野座「いいって」
余賀「…別に、継いだわけじゃ…」
宣野座「同じだよ」
宣野座「僕はあの後金融街にも三國さんにも興味を失くしてたからな…」
余賀「!」
余賀「そうだ!」
余賀「どうして金融街の事を覚えてるんだよ」
宣野座「…そんなの破産しなかったからに決まっているだろう」
余賀「でも、お前のディールなんて…」
宣野座「ああ、あの後…君に負けた後からは毎回棄権してたんだよ」
余賀「…棄権?」
宣野座「そう、棄権…資産の半分を毎週払ってね…」
余賀「そんなことしたら、現実世界への影響が!」
宣野座「…その通り、一応僕は金融街でも10本の指に入る資産家だったからね」
宣野座「最初の方はひどかったなぁ」
宣野座「帰るたびに、何枚も何枚も絵が描き替わって…」
宣野座「何枚の絵が無くなったんだろう…」
余賀「…」
宣野座「それでも…どうしてもディールをやる気になれなくて」
宣野座「そのうち、絵も描き替わらなくなる程度にまで僕の資産は減ったんだ…」
宣野座「でもある時気づいた…絵が替わらなくなったんじゃなくて」
宣野座「絵、そのものが無くなっていたんだ…ってね」
余賀「…っ」
宣野座「その後も何回かそんなことをしてたら」
宣野座「[コンコード・ゲイン]…」
宣野座「僕のNPOが…」
宣野座「支援の感謝の手紙が……家が…」
宣野座「…」
宣野座「…家族が…」
余賀「!?」
宣野座「…消えていたよ」
宣野座「…」
宣野座「…不思議なものでね」
宣野座「僕に直接的な被害は一切ないんだよ」
宣野座「生き地獄を味わえって事なのかな」
余賀「…」
宣野座「世界が変わって…」
宣野座「こんな感じになってたってわけ…」
宣野座「…」
宣野座「お互い苦労するね」
宣野座「こんな布切れを着て、風呂にも入らず」
宣野座「家は無い」
宣野座「飯も、水も、トイレすらない」
宣野座「…そんな生活を、どう思う?余賀君」
余賀「…そりゃ、悲惨だって…」
宣野座「悲惨かい?」
余賀「そりゃ、そうだろ」
余賀「こんなの人間の生活じゃない…っていうか」
宣野座「そうだろうか」
宣野座「世界で見て、この水準で生活する者がどれほどいるか知っているかい?」
余賀「…」
宣野座「僕はNPO代表として色々な国を見てきた」
宣野座「だから思う」
宣野座「多くの人は実感できないだろうけど」
宣野座「こんな暮らしをしている人は沢山いる」
宣野座「沢山っていうのは多くの人って意味さ…本当に多くの人が」
余賀「…でも」
宣野座「昔ね…」
余賀「?」
宣野座「三國さんに言われた事がある〈お前は不自由を知らないんじゃないか〉って」
宣野座「その時は、そんな事全く無いと思った」
宣野座「三國さんの方が生まれも育ちも全然良いしさ」
宣野座「知ってるかい?彼ハーバードのビジネススクール卒なんだよ」
余賀「…知らなかった」
宣野座「そんな奴が偉そうに言うなってね」
宣野座「でもその後色々知って、知らなかった事がいかに多いかも分かった」
余賀「…」
宣野座「じゃあ、今の僕はどっちだと思う?」
余賀「は?はぁ…わからないけど」
宣野座「…知ってるつもりさ」
宣野座「搾取ってのはさ、余賀君、こんなもんだよ」
宣野座「本当に一部の人が豊かで」
宣野座「他の大勢はとんでもない負担を強いられるんだ」
宣野座「ただ日本が幸せだったのは海に囲まれていたから」
宣野座「海があったから不幸を目に入れずにすんだだけのこと」
宣野座「身の周りが幸せで自分が幸せ…」
宣野座「そう思い込んでるだけさ」
余賀「…」
宣野座「で、君はどうするんだい?」
余賀「…いや、決めてない」
宣野座「そうか…でも、君なら…」
余賀「…?」
宣野座「真坂木は言ったんだろ〈金融街は不滅です〉って」
宣野座「そして君は真坂木を呼び出せた…」
余賀「…」
余賀「…まさか」
宣野座「そう、君ならもう一度金融街へ行けるんじゃないのかな…?」
余賀「でも!俺は金融街を潰す為にっ…!」
宣野座「それでも潰れなかったんだろ?」
余賀「…そうだけど」
宣野座「どういう理屈か知らないけど」
宣野座「多くの[未来]があれば金融街は発生するようだね」
余賀「そう言ってた…真坂木は」
宣野座「ならここには多くの[未来]があるって事になる」
宣野座「君はそれを、綺麗な公園で楽しそうに遊ぶ子供達を見ながら言われたんだろ」
余賀「そうだけど」
宣野座「でもそうなのかな」
余賀「・・・」
宣野座「あの環境であそぶ1割の人達の為に金融街はあるのだろうか」
宣野座「ここに暮らす9割に[未来]は無い…のかな」
余賀「…それは」
宣野座「それは?」
余賀「…わからないけど」
余賀「…けど」
宣野座「わからないのはいつもの事」
宣野座「でも」
宣野座「君の心は決まってるだろう」
宣野座「……守ってくれば?」
余賀「…何を……」
宣野座「それはもちろん」
宣野座「[未来]をさ」フフッ
宣野座「それじゃあ僕はいつもここにいるからさ」
宣野座「何かあったら話しかけてよ」
余賀「…わかったよ」
余賀「真坂木!真坂木!」
余賀「おい!」
余賀「真坂木!!」
パッ
真坂木「お呼びでしょうか」
余賀「もっとさっと出てきてくれよ」
真坂木「そう言われましても[新極東金融街]の準備に忙しくて」
余賀「そうだよっ!それ」
真坂木「それと申しますと」クネッ
余賀「その新しい金融街に俺は行けんのかよ」
真坂木「それは大変言いにくいのですが…」
余賀「そうか…」シュン
真坂木「行けます!」バッ
余賀「行けるのかよ!」
真坂木「もちろん」
真坂木「そもそも」
真坂木「ハイパーインフレによる円の超大幅下落を受け」
真坂木「円に寄生していたミダスマネーの価値も暴落」
真坂木「また…余賀様が[輪転機]を大きく逆回転させたことで」
真坂木「極東金融街におけるミダスマネー準備金の全てを[未来]に換えても」
真坂木「全く足りないという状況に陥った為」
真坂木「市場閉鎖!」
真坂木「という事になりました」
真坂木「が、しかし」
真坂木「新たにオープンするにあたり」
真坂木「莫大なミダスマネーを引き出す権利を持ちながらも」
真坂木「閉鎖の為に金融街のミダスマネーは全て消滅してしまい」
真坂木「多くの損害を被られた余賀様には私達としても保障を…と思っておりましたので」ペコッ
余賀「…なるほど」
真坂木「もちろん」
真坂木「全額という訳にはございません」
真坂木「それに先の行動から」
真坂木「当分の間[輪転機]を廻す権利は剥奪しますので」
真坂木「[プラチナカード]からのスタートという事になりますが」
余賀「…わかった」
真坂木「では」
真坂木「もし金融街に復帰したくなったらいつでも」
真坂木「声をかけてください」ペコ
余賀「…あのさ」
真坂木「はい」
余賀「…宣野座の奴、宣野座功ってアントレいたじゃん」
真坂木「ええ」
真坂木「そういえば居たかもしれませんね」?
余賀「…そいつって復帰できるの?」
真坂木「もちろん」
真坂木「しかし」
真坂木「彼の資産はもう風前の灯火」
真坂木「それに彼の担保の[未来]も我々が結構食い潰しちゃいましたからね」
余賀「…それってどういう」
真坂木「ですから」
真坂木「私共も担保をそのままの形で保存、アントレの必要時に一定金額と交換」
真坂木「という訳にはございません」
真坂木「未来は常に変化していますから」
余賀「…よく分かんねぇな」
真坂木「そうですね」
真坂木「いうなれば、あなたが負けた時と同じでございます」
真坂木「あなたはあの後大金を手に入れましたが」
真坂木「おば様の盲腸と大学の補習は変わらなかったはずです」
真坂木「決まりですから」
真坂木「まあ、あのような状態でディールをやっても」
真坂木「負けて、僅かな[未来]すら失いかねませんから」
真坂木「放っておくのが得策かと」
余賀「…」
スラッシュ
バンッ
ハイヤー「ブッブー」
ハイヤー「キキーッ!」
ガチャ
井種田「どちらまで」
余賀「金融街まで…頼むっ」
井種田「…かしこまりました」フヘッヘッ
井種田「着きましたよ…」
余賀「ここが…金融街…」
余賀「…ってあれ?何かちっちゃくない?」
井種田「さぁ…?細かいことは分かりませんので」
井種田「では、頑張ってください」フエヘッヘ
ガチャ
バタンッ
余賀「…金融街」
余賀「また来ることになるなんて」
余賀「…何か思ってたのと違うな……」
余賀「というか前はもうちょっとこう…」
真坂木「そうでございましょう」バッ
余賀「うわっ!」
余賀「いきなり現れんなよな!」
真坂木「失礼致しました」
余賀「…で、どういう事だよ」
真坂木「どういう事というのは?」
余賀「大きさだよ!何か小さくなってないか?街自体が…」
余賀「今工事中ってこと?」
真坂木「いえ…」
真坂木「金融街自体は完成しております」
余賀「それじゃあ何で…」
真坂木「あれをご覧ください」
余賀「あれって…」
真坂木「はい」
真坂木「天空に構えます…」
真坂木「BOM(バンク オブ ミダス)ジャパン本社ビル」
余賀「…」
余賀「…いち、じゅう、ひゃく、せん、まん、じゅうまん、ひゃくまん、せんまん…」
余賀「いちおく、じゅうおく、ひゃくおく…」
余賀「…たった300億!?」
真坂木「そういう事です」
余賀「冗談だろ!三國さんだって150億は常に持ってたぞ」
真坂木「ええ」
真坂木「ですから」
真坂木「規模縮小といったところでございます」
余賀「…」
真坂木「…」
真坂木「意外ですね」
真坂木「ここは憤るところかと」
真坂木「まさか物足りなそうな目をするとは」
余賀「…別にしてねぇよ、してねぇけど…」
真坂木「そうですか?」
真坂木「[金の瞳]が期待を物語ってましたよ」
余賀「…」
真坂木「というか」
真坂木「せっかく自分が破壊した物が数日後に平然と復活してるんですよ」
真坂木「それもすでに300億円分の未来を担保にとっているんです」
余賀「…!」
真坂木「一度は現実世界から消滅したミダスマネーがまた流入していくんですよ」
真坂木「もう少しリアクションが欲しいところでしたね」
余賀「…そんなことは…させない」
余賀「させないさ」
真坂木「そうですか」
真坂木「何はともあれ」
真坂木「あなたはもう金融街の人間です」
真坂木「当然[ディール]には参加して頂きます」
余賀「ああ」
真坂木「それと」
真坂木「あなたのように前極東金融街経験者も何人かいますのでお気をつけください」
余賀「分かった」
真坂木「では」
真坂木「[アセット]を」
余賀「そうだっ…!真朱!!真朱は!?」
真坂木「落ち着いてください」
真坂木「以前のように、カードをなぞって頂ければ」
余賀「そうだったな…」
スラッシュ
余賀(真朱、真朱っ、真朱!)
「グルルルル」
余賀「…え?」
余賀「ジェルジュか!?」
ダキッ
余賀「久しぶりだなぁ~」
ヨシヨシ
ジェルジュ「ヲォォ?」
余賀「…ジェルジュ」
余賀「…」
余賀「…サトウさんは…その…行方不明だ…」
ジェルジュ「グオ?グルル」
余賀「…いや」
余賀「恐らく死んだ」
ジェルジュ「グオオオオ!」
ジェルジュ「グルルル」
余賀「…すぐ納得しろとは言わない」
余賀「言わないけど」
ナデナデ
余賀「お前も…サトウさんの未来も俺が背負うって決めたから」
余賀「だから…立派に闘ったサトウさんの分も…」
ジェルジュ「グルルルルウル」
余賀「よしよし」
ナデナデ
真坂木「…」
余賀「…そうだ!」
余賀「ジェルジュ、真朱はどこだ?一緒じゃないのか!」
ジェルジュ「グルル?」
余賀「…?」
余賀「…」スゥー
余賀「おーい!真坂木ーーー!!」
真坂木「何でございましょうか」
真坂木「ビギナーでもないんですから」
真坂木「あまり私を呼ばないで頂けるとありがたいのですが」
余賀「…真朱がいねぇんだけど」
真坂木「と申されても」
余賀「俺のアセットがいねぇんだよ!」
余賀「どうなってんだ!」
真坂木「本来ですと」
真坂木「市場閉鎖した段階で」
真坂木「全てのアセットは消滅」
真坂木「可能な限り[未来]に転換された後、各人に還されるのですが」
余賀「?…結局…」
余賀「何がどうなってるんだよ」
真坂木「どうにかなってるのは」
真坂木「余賀様の方」
真坂木「ということになりますね」
余賀「は?」
真坂木「消滅したはずのサトウ様のアセットが形と記憶を保って復活するなど」
真坂木「ありえない話です」
余賀「…」
真坂木「アセットとは新しく呼び出す段階において」
真坂木「その時点における」
真坂木「アントレの未来を体現するものですから」
真坂木「後の能力変化はあっても」
真坂木「流動する[未来]が全く同じはずがありません」
真坂木「それも他人の[未来]を歩むなど」
余賀「…」
ナデナデ
余賀「…」
余賀「…結局…どうなっちまうのかな…」
ジェルジュ「ウゥウウ」
真坂木「そうそう」
真坂木「色々と面倒なので」
真坂木「前金融街の事は内密にお願いします」
余賀「は?…別にいいけど」
真坂木「私など既に知ってる人なら構いませんので」
余賀「…」
真坂木「では、これにサインをお願いします」
余賀「何?これ」
真坂木「あらら」
真坂木「知らないんですか」ニタァー
真坂木「意外ですね」
余賀「いいから教えろよ」
真坂木「これは金融街における誓約書です」
余賀「誓約書?」
真坂木「そう誓約」
真坂木「義務有効範囲は金融街で」
真坂木「ここに書かれている内容に違反すると」
余賀「…違反すると」ゴクッ
真坂木「資産の2倍を請求されます!」
余賀「2、2倍!?」
真坂木「ええ」
真坂木「重要なものですからね」
真坂木「では」
真坂木「余賀さんも約束は守ってくださいね」
真坂木「内容証明の為の20万は私が払っておきますから」
余賀「…」
余賀「はー、2倍か」
余賀「…」
余賀「そう言われると言いたくなるよな」
余賀「…言う相手が居ないんだけどさ」ハァー
ザッ
「こんな所で油を売っているとは余裕だな」
余賀「うん?」
余賀「!」
余賀「あんた…」
余賀「三國さん!!」
三國「久しぶり…って程でもないがな」
余賀「三國さん久しぶり!」パァー
三國「…」
三國「お前にしてはテンション高いな…」
余賀「だって…だって」
三國「会わないはずだったんだがな…」
三國「そうも言ってられなくなった」
余賀「…」
三國「…それじゃあ、まずは情報交換といこうか」
三國「…そうか」
余賀「三國さんも同じ感じ?」
三國「…まぁ…そんなところだな」
余賀「…?」
余賀「でも良かったー、知ってる人に会えて」
三國「…」
余賀「色々大変でさ~」
三國「…そうか」
余賀「現実世界に戻ったら訳分かんないことになってるし」
三國「そうだな…」
三國「…」
余賀「もう俺の居場所も無かったしさ」
三國「…あのな、お前…」
余賀「…はぁ~それにしてもこんなことになるなん…」
三國「…」フゥー
三國「お前の選んだ未来だろうが!!!!」
余賀「!!」
余賀「……」
三國「…」
三國「…スマン」
三國「だがあの時に言ったはずだ…」
三國「〈後悔するなよ…〉」
三國「お前は多くを犠牲にした」
余賀「…」
三國「気にするな、それは必要だった」
三國「俺の…貴子も……」
三國「…」
三國「だから、後悔するな!」
三國「…」
三國「それにお前や宣野座が俺と敵対した理由もわかる」
三國「もちろん目の前の現実に対する考え方の違いが最もな理由だろうが」
三國「立場が変われば見方も変わる」
三國「それは金だけじゃない」
三國「お前はお前自身としても」
三國「そして」
三國「若者としても許せなかったんだろ」
余賀「…まあ」
三國「俺のした事で子供達が将来の負担を強いられるのが嫌だった」
余賀「…」
余賀「俺達はさ、そりゃ豊かな生活とかを貰ってんのかもしんないけど」
余賀「…貰ってたのかもしんないけど」
余賀「大人達は全部先送りにして」
余賀「その責任は結局全部俺達が持つ事になるじゃん」
三國「…しかしお前らの世話をしてやったのは俺達だぞ」
余賀「でも…」
余賀「原発だって」
余賀「その利権は大人たちが貰ってんのに」
余賀「俺達はこれからあほみたいに金払わないといけないのに」
余賀「バブルで散々遊び呆けて日本をメチャクチャにした世代の奴らに」
余賀「年金だって沢山もらえる老人達に…」
三國「…俺は[未来]よりも「現在」を選んだ」
三國「責任の先送りは[未来]を奪って[現在]を成り立たせようとした俺の考えに近いからな」
余賀「…それに、老人は」
三國「この国において最も金を持ってるのは老年世代」
三國「それも圧倒的に…」
余賀「…それはこの前大学でやったよ」
三國「大学でやったのか?」
三國「俺なんて中学生の時には知ってたぞ」
余賀「…」
三國「ちなみに俺も[超]のつく大富豪だ」
余賀「…」
余賀「偉そうな事言うなら」
余賀「…苦しいから守ってくれって言うなら」
余賀「まずはその腹を掻き切って」
余賀「汚い金を吐きだしてからにしろって思うよ」
三國「…ディール経験者ならではの表現だな」
余賀「…」
三國「しかし、お前も十分豊かな生活をしてるだろう」
余賀「…それは」
三國「これに関しては…」
三國「…運だな」キリッ
三國「それが嫌なら未成年の選挙権でも認めさせれば良い」
余賀「…でも税金が……」
三國「そこだろ」
三國「税金を払ってないから意見を言えないって考えがあるから」
三國「お前らは未来を奪われるんだよ」
三國「…もし」
三國「もしそれも嫌なら日本から飛び出すことだな」
余賀「…」
三國「俺も昔思ったよ…本当に本当に嫌な事があって…」
三國「それでも…」
三國「それでも俺はこのクソみたいな現実を喰って生きていく事にした」
余賀「…」
三國「おい!」
三國「この世界はお前が望んだものだろ」
三國「いや、お前が望もうが望むまいが」
三國「あるっ…圧倒的な現実として」
三國「今回の変化はとてもショッキングだっただろうが」
三國「今更、過去の自分を否定するような真似だけはするなよ!」
三國「それは、お前、お前のアセット」
三國「金融街の人々…そして俺達への冒涜だからな」
余賀「うん、それは分かるけど…」
三國「分かるなら実行しろ」
余賀「でも…俺は何がしたらいいのか?何が出来るのか?」
余賀「さっぱり分かんねぇんだよ」
三國「…お前、理由もなく金融街に来たのか」
余賀「…わりいかよ」
三國「…」
三國「…」クスッ
三國「わはは」
三國「わははははははは」
三國「お前もやはりアントレだな」ハァハァ
余賀「…は?」
三國「…」
三國「ププププ」
余賀「…」
三國「おい!公麿」ハーハー
余賀「…公…麿……?」
三國「お前…俺と組まないか?」
余賀「三國さんと…」
三國「前とは違うさ…」
三國「この前までは思想から袂を分かってたが」
三國「そうも言ってられまい」
三國「ここまでの圧倒的現実を見せられちゃ」
三國「俺達も動き出すしかないだろ」
余賀「それは…そうだけど」
三國「なら…考えがある」
三國「よしっ…ここなら誰にも聞かれないし[瞳]で見られることもないな…」
三國「じゃあ話すぞ」
余賀「うん」
三國「…とその前に、お前にいくつか質問がある」
余賀「質問?」
三國「そう、質問だ」
三國「といっても簡単な質問、お前の考えを知りたいだけだ」
三國「後から考え方で揉めるのはごめんだからな」
余賀「わかった」
ゴホンッ
三國「まず第一に、生活とは搾取である」
三國「どうだ?賛成か反対か…だ」
余賀「何かを与えられる人もいるけど…」
余賀「基本的には搾取だ、生活なんて」
余賀「…違う?」
三國「いや、その通り」
三國「…この世には確かに絶対的幸福がある」
三國「多くの人は幾度と経験することなく生涯を閉じるが」
三國「筆舌し難い幸福が人生には備わってるはずなんだ」
三國「ただし…」
三國「これはあくまでも理想論」
三國「多くの人間は幸福を日常の比較としてしか捉えてはおるまい」
三國「裕福が貧乏の比較であるように」
三國「…ならば、全てが比較ならば」
三國「奪うのは必然…いや、運命かな」フッ
余賀「…なんとなく、いや、はっきりと分かるよ」
余賀「俺は直接[未来]を奪ってきたから」
三國「それでいい」
三國「俺達は闘った、だが理由は同じ」
三國「日本に住まう人々を幸せにすること」
三國「いや、不幸にさせないこと」
三國「しかし…だ」
三國「今の日本はグシャグシャに陵辱されてる状態だ」
三國「国土も人も主権も…全てが外国の元にある」
余賀「そうだったね、あの惨状は」
『どんな惨状にも意味はある』
『必ず人類をより良く導く為の意味がある』
余賀「…」
三國「?」
三國「なら取り返すしかあるまい」
三國「国境という狭い視野ではあるが」
三國「奴らが国を理由に俺達から搾取するなら」
三國「俺達も守る…それだけのことだ」
余賀「…でも」
三國「?」
余賀「…俺には日本を守りたいって気持ちはそれ程無いけど…」
三國「俺もだ」
余賀「え?」
三國「青年期はアメリカで過ごした」
三國「アメリカにも中国にも沢山友人がいる」
余賀「…」
三國「…だからこれはバランスを保つ為の仕事にすぎない」
余賀「…」
三國「傾ききったシーソーに俺達が巨石を叩き落としてやればいい」
余賀「…うん」
余賀「うん!」
三國「それじゃあ次の質問だが」
三國「公麿は今になっても公務員になりたいなどと思ってないよな」
余賀「…」
三國「スマン語弊があったな」
三國「楽だから、安定しているからなんて理由で公務員を目指していないよな」
余賀「…今、俺には力があるから」
余賀「自分の出来る事をしたいよ」
三國「…そうか」
三國「安定とは自分だけを幸せにするに過ぎないと昔言ったが」
三國「それだけでなく」
三國「自分すらも不幸にしうる」
三國「お前が公務員を目指してた理由も分かる」
三國「それはもちろん正しい…がで間違いでもある」
三國「俺達は、日本人は遅かれ早かれこうなる運命だった」
余賀「…それ真坂木も言ってた」
三國「アメリカ、中国、ヨーロッパ、インド、東南アジア」
三國「高齢化の進む日本では間違いなく他の国に頭を下げ…」
三國「頭を下げながら搾取されて苦しまなくてはいけない」
三國「あと40年で50%だそうだ」
余賀「…老人?」
三國「…そう、まあ随分適当な予想だと思うがな」
三國「そうなったらどう頑張っても現行制度で国家を保つのは不可能」
三國「当然、公務員、お前のなりたかった役所勤めなんて給料が下がるのは目に見えている」
余賀「…そうだろうけど」
三國「なら、外国からの移民の受け入れ枠を広げるしかない」
三國「当然、外人の発言権、特に中国人は顔を広くして歩くだろうな」
三國「となると、役所ではどうなるか」
余賀「…中国語を話せなくては使い物ならなくなる」
三國「恐らくな、もちろん英語なんて必須言語だろう」
三國「これにより、外人公務員の大量登用、もしくは日本人の採用基準が2ヵ国語以上話せる事へと繋がるだろうさ」
余賀「そしたら…」
三國「そしたら?」
余賀「今の俺なんて使い物にならなくなる」
三國「恐らくな…今の若者がパソコンを使えない老人をバカにしているように」
三國「仕事が出きない給料泥棒の烙印を押されるだろうよ」
三國「それでも耐え忍ぶ厚顔があれば良いが、恐らく未来の日本はそれで生きていける程甘くはあるまい」
余賀「…」
余賀「…でも不公平だよな、どうすりゃいいんだよ」
余賀「ゆとりとか言われてる俺らは」
三國「…常に自分を高めていく」
三國「社会に恩義を感じることなく、自分の為だけに」
三國「周りに囚われず自分の思うがままに…」
三國「それ以外に道はあるまい」
三國「多くの人間は[安定]という言葉の意味を履き違えているようだが」
三國「楽な仕事を続け、大した技能も持たずに仕事を続け」
三國「訳も分からず世界に放りだされるリスクを抱えるより」
三國「もし仕事が変わっても、辛くても」
三國「スキルを磨き、世界で渡り合えるようになる」
三國「こっちの方が、よっぽど安定的だ」
三國「さて、本題だが…」
三國「お前は常に上り続けられる自信があるか?」
余賀「…ある」
三國「…例え世界が相手でも」
余賀「当然だ」
三國「そうか…」
三國「もう一度訊く」
三國「いかに孤独でも、いかに辛くても」
三國「目的の為に闘い続ける」
三國「己を高め続ける覚悟はあるか?」
余賀「…ある!」
三國「では、最後の質問だ」
三國「お前の選んだ[未来]は関係なく…」
余賀「?」
三國「99人の為に1人が死ぬのと」
三國「70人の為に30人が大怪我を負うのと」
三國「50人の為に50人が怪我するのと」
三國「…お前ならどれを選ぶ…?」
余賀「…」
余賀「その30人は死ぬことはないんだよな」
三國「ない」
余賀「…」
余賀「…それでも、最後を選ぶ」
三國「…そうか」
三國「まあお前らしいな」
三國「…じゃあ」
三國「犠牲者の中にお前が必ず含まれるとしたらどうする?」
余賀「俺が……」
余賀「…」
余賀「1番目…しかねぇよな」
三國「…そうか」
三國「…そうか」
余賀「…で、正解は」
三國「…正解なんてもんはない」
余賀「え?」
三國「…ただ」フフッ
三國「ただ、お前は俺と組む条件を満たした…!」
余賀「それって…!」
三國「今回も思い知った…やはり俺はお前に後を継いでもらいたい」
余賀「…」
三國「ハハ…返事はまだいらないさ」
余賀「…それで」
三國「ああ…今から話す」
「[世界金融街]について」
突然ですが次からバトルシーンです
直接的な描写をしないっていうかメチャクチャ下手な文になるので
バトル状況やBGM、効果音は想像力をフルにお使いください
「[C]なんて全然覚えてねーよ」という多くのお方は
動画を見てみると懐かしい音を思い出せるので良いと思います
正直ルールがわからんよ
>>139
[C]の公式サイトを見てくれても良いんですが
基本的には自分の持ってる資産を使って相手を攻撃します
相手に攻撃が当たると相手から資産を奪うことが出来ます
相手の資産が尽きるor時間(666秒)で試合終了です
固有の必殺技があり
大「マクロ」中「メゾ」小「ミクロorマイクロ」
ちなみにディールは週一で行わなければいけません
強力な技はそれだけ資産を消費する
制限時間までに相手の資産を0にするか終了時に利益の大きいほうの勝ち
アセットは消費資産に応じて三段階の特殊能力を発動できる
基本はこんなもんであってる?
>>144
はい、完璧です
真坂木「それではご指名の方でございますので」
余賀「ああ」
酒巻「俺を呼び出すとはな…」
余賀「話、分かっていただけませんか」
酒巻「悪いが無理な相談だ」
真坂木「では、始めましょう!」
チューイーン
チューイーン
ガシッ
ギィィィィィン
『666』
余賀(俺の資産は50億、酒巻さんの資産は…)
余賀(2億強…!)
余賀「これなら勝てるっ」
『OPEN DEAL』
酒巻「来い!ギーグ!!」
ギーグ「グオオオオ」
余賀(酒巻さんも昔と同じアセット…!)
酒巻「ギーグ!ミクロ200万!」
『MICRO』
『BULK SALE』
余賀「!」
余賀「よしっ…あっさり動いたな」
余賀「行くぞジェルジュ」
スラッシュ
余賀「メゾフレーション500万!」
ジェルジュ「ヲオオ」
『MEZZO FLATION』
『E・B・O』
プシュー
余賀([E・B・O]の煙でギーグが的を絞れないようにして)
余賀(俺に化けたジェルジュと俺自身とでダイレクトを決める)
余賀「ダイレクト500万!」
『DIRECT』
酒巻「…それなら」
酒巻「ギーグ!俺の声のするところ以外鉄球を落としまくれ!!」
酒巻「メゾ!500万!」
スラッシュ
『MEZZO FLATION』
ガンッ!ガンッ!ガンッ!ガンッ!
余賀「うわああああ」
酒巻「そこかっ!」
酒巻「ギーグ!!もう攻撃はしなくて良い!」
ギーグ「グォオオ」
酒巻「俺が直接斬る!」
酒巻「ダイレクト200万!」
『DIRECT』
余賀「こうなったら接近戦しかねぇ」
余賀「行くぞ!ジェルジュ!!」
余賀「ウォオオ!」
酒巻「!?」
酒巻(余賀が2人?…だが…)
余賀(俺は右から行く)
余賀(ジェルジュは左から頼む)
酒巻「…」チラッ
酒巻「ばればれだ…」
酒巻「ダイレクト1000万!!」
『DIRECT』
余賀「一千万…!」
酒巻「この距離でリーチは2倍だっ…」
ザシュ
余賀「ぐああああああああ」
ジェルジュ「グルル」
余賀「おい!…ジェルジュ……もどる…な」
スラッシュ
酒巻「メゾ500万だ!ギーグ!!」
『MEZZO FLATION』
ガンッ!ガンッ!ガンッ!
ガンッ!
ジェルジュ「グルルウルルルウルウウ!!」
余賀「ジェルジュ!!」
酒巻「…終わりだ」
余賀「…負けて…負けてたまるか…」
余賀「うおおおおお!!!」
『0』
『YOU LOST』
余賀「ゴホッ、ゴホッ、ジェルジュ…」
ジェルジュ「クゥウウ」
酒巻「まだまだ甘いな」
酒巻「その程度の連携で俺に挑むのは早すぎだ」
余賀「ゴホッ」
酒巻「…」
酒巻「…」
余賀「くっそぉ…」
酒巻「……お前らはまだ一欠片の信頼関係も築けちゃいない」
酒巻「俺とお前らで斬りあいする時」
酒巻「お前のアセットはお前の方をチラチラ見てたぞ…」
余賀「…」
余賀「…ジェルジュ……」
酒巻「それはアセットのせいじゃない…!」
酒巻「お前の指示が曖昧だったから」
酒巻「アセットが正しいのかどうか不安だったんだ」
酒巻「…他にもお前の足りないところ」
酒巻「今回の事で分かったはずだ」
余賀「…はい」
酒巻「ならいい…」
酒巻「…」
酒巻「…頑張れよ」
余賀「…」
余賀「……はい!」
余賀「…ジェルジュとは大分コミュニケーション取れるようになってきたし」
余賀「ジェルジュも俺を信用してくれるようになった…と思う」
余賀「資金的にも俺が負けることはもうあまりないと思うけど…」
三國「よお、公麿」
余賀「三國さん!」
余賀「いよいよ今日ですね!ディール」
三國「ああ」
余賀「といっても三國さんなら楽勝だと思いますけど」
三國「…」
余賀「…あれ?三國さん?アセットは?」
三國「…俺にアセットはいない…」
余賀「…は?」
余賀「アセットがいないって、どうして?どうやって闘うんだよ」
三國「…まあ心配するな」
三國「俺はダイレクトだけで十分やれる」
三國「それはお前が一番知ってるはずだろ」
余賀「…でも」
三國「…もし」
三國「もし俺がやばくなって、そしてお前に余裕があるのなら」
余賀「譲渡だろ!やるよ!何億でも!」
三國「違うっ!…買って欲しい」
余賀「買うって何を…」
三國「…俺の魂だ」
余賀「魂…?そんなもの…」
三國「[トビラ]を通してアセットを見るとそこに10の光が見える」
余賀「それは」
三國「そう[株]と呼ばれアセットへの投資を表す」
三國「だが人によってはあの10の[株]を[魂]と呼ぶ」
三國「…そして俺達、アントレも…」
余賀「トビラを通すと、10の光が見えた…」
三國「…そう、時々だがな」
三國「ならば、俺は俺自体を商品に株を売るように」
三國「人間として魂を売ろう」
三國「もしも、買う余裕があるなら…」
三國「…その価値があると思うなら…買ってくれ」
余賀「買うよ!絶対買う!!」
三國「…そうか…じゃあ、行ってくる!」
『OPEN DEAL』
『666』
三國(よりによって十強が相手とは)
聖沢「挨拶はなしだっ!」
聖沢「決めるぜ三國」
三國「…まあ待て」
三國「やれやれ…お前もいるとはな…」
三國「…」
三國「…その目玉みたいなのがお前の新しいアセットか」
聖沢「そうだ、[トルス]だ」
三國「…」
聖沢「三國!お前のアセットはどこだ!?」
三國「さあて、どこだろうな」
聖沢「なんだと」
聖沢(恐らく俺がアセットから離れた瞬間)
聖沢(上からなり攻撃してくるつもりだろうが…)
聖沢(…だが…)
三國(そろそろ時間稼ぎも限界か)
スラッシュ
聖沢「メゾ!800万!」
『MEZZO FLATION』
『EXECUTION』
聖沢「残念だったな」
聖沢「こいつのメゾは数十秒間、相手アセットのフレーションを禁止させる」
三國「…」
聖沢「喰らいやがれ」
聖沢「ダイレクト1000万!」
『DIRECT』
三國「…」
三國「ダイレクト1200万」
『DIRECT』
聖沢(1200!?)
聖沢(ダイレクト同士でガチンコする気か)
聖沢「いっけええええ」
ザンッ
スッ
三國「……遅いな…っと!」
ザシュ
聖沢「ぐああああああああああ!!!」
ザアアアアアア
聖沢「…」ハァハァハァ
聖沢「てめー」
聖沢「トルス!!来い!」
聖沢「ミクロ400万!」
聖沢「そして!」
聖沢「ダイレクト1500万!」
スラッシュ
『MICRO』
『DIRECT』
三國(…さすがに……)
三國(…避けられん、終わったな…)
『150』
ガクッ
三國「…」ハァハァハァ
ガクン
バタッ
三國「…」ハァハァ
聖沢「…三國の奴本当に何もしてきやがらねえ」
聖沢「最後の方で[Q]を出すかとも思ったが…」
聖沢「これじゃあお得意のバランスディールもクソもねえな」
聖沢「まあいいか…」
聖沢「ダイレクト2000万!」
『DIRECT』
聖沢「くたばりやがれぇえ三國ぃぃ!」ダッ
三國(…万事休すか…)
三國(…これもこれで……)
三國(……いや、諦めるわけにも)
三國「…」スゥー
三國「誰かー!俺を買ってくれーー!!」
『WATCH』
『WATCH』
『WATCH』
シュ
ピコッ
『YOURS』
『MIKUNI IS YOURS』
周囲「?」ドヨドヨ
真坂木「はて」
真坂木「人身の売買などルールにありませんが」
余賀「はい!俺が買う!!」
余賀「…魂1つで…6億円!…買いだっ!」
スラッシュ
『MINE』
周囲「6億…!?」
真坂木「さっきから何を」
真坂木「…」
真坂木「なるほど、三國様を助ける為にまぁ」
真坂木「これは規則上」
真坂木「単なる譲渡になるんですけどね」
真坂木「まぁいいか」
ザシュ
三國「ぐおおおおお」
聖沢「くっそおおおお」
三國「くっ…残念だったな、その程度のダイレクトじゃ…くらっても」
三國「まだ生きれるようだ」ハァハァ
聖沢「……どうしてこんなことが…」
三國「…信用ってやつだよ」ハァハァ
三國「人としてのなっ…」
聖沢「うわわああああ」ダッ
三國「そう簡単に間合いから逃げられると思うなよ」ハァハァ
三國「ダイレクト!2億!!」
聖沢「2億!だとおおお!!?」ダッ
『DIRECT』
『36』
三國「うぉぉおお!!」
ザザザシュ!!
聖沢「ぐああああああああ!!!」
ザアアアアア
『CLOSING』
三國「…やったか」ハァハァ
『YOU HAVE GAIN』
聖沢「ぐおおお!クソッ!何でこんな事に!」
『YOU LOST』
『YOU ARE BANKRUPT』
ピキッ
聖沢「俺の…俺のプラチナカードがぁぁああ!」
フォン
三國「…聖沢は破産、追放か…」
三國「…何とか生き残れたな」
バタッ
三國「…」ハァハァハァ
余賀「三國さんっ…!」ダッ
三國「…公麿か」ハァハァ
余賀「三國さん!大丈夫!?しっかりして!」
三國「…」ハァー
三國「…もう大丈夫だ」
余賀「さっきの試合、すごくひやひやしたんだから」
三國「ははっ、聖沢の奴、油断してたからな」
三國「次からはこうもいかんだろう…」
余賀「…三國さん……」
余賀「……」ハッ
余賀「っていうか三國さん!何であなたのアセットが…!」
三國「…」
余賀「どうなってるんだよ!」
余賀「おい!真坂木ーー!」
三國「…呼ばなくて良い」
余賀「でもっ…」
三國「俺のアセットがいない理由は分かっている…」
余賀「え?」
三國「それは単純な事だ…無いからな俺には」
余賀「金ですか!?金なら俺が!」
三國「…[未来]だよ」
余賀「み…らい…」
三國「忘れたのか?」
三國「…いや、言ってないだけか…」
三國「俺はお前と闘う前に[輪転機]を2回廻してるんだ」
余賀「…2回」
三國「…そう、一回廻す毎に20年分の未来が消える…」
三國「40年分の未来…」
三國「そして今俺は33」
三國「日本男性の平均寿命を考えるなら死んでもおかしくない年齢」
余賀「…そんな」
三國「…もう俺は死に掛けってわけだ」
余賀「そんなことって」
三國「本来は逆回転させたお前の未来も消えるはずだったんだがな」
余賀「…」
三國「完全に廻リ切る前の[決算前]ということで不問に付されたようだ」
三國「もちろん[未来]が無くなるってのは死ぬことじゃないかもしれない」
三國「でもそれならそれで俺は…歩く屍だよ」
余賀「…ありえないよ……」
余賀「…」
『120』
余賀「そろそろか…」チラッ
余賀「行くぞジェルジュ[B]だ!」
ジェルジュ「グル!」
スラッシュ
余賀「メゾフレーション700万!」
『MEZZO FLATION』
『E・B・O』
余賀([B]なら…)
余賀(後ろに身を潜め)
敵「うおおお、煙の中正面からつっこんできやがった!」
敵「ダイレクト300万」
『DIRECT』
余賀(このタイミングで…斬る!)
余賀「ダイレクト800万」
『DIRECT』
敵「!?」
余賀「こっちが本物だ」
ザシュ!
敵「ぐあああああ」
余賀「…こんなところか」
余賀「サンキュー!ジェルジュ」
ナデナデ
ジェルジュ「グルルルル♪」
余賀「では…」
余賀「……そろそろ止めを」
余賀「ダイレクト700万」
『DIRECT』
敵「待ってくれ!殺さないでくれ!!」
余賀「…別に殺すつもりはないがな…」
余賀「……お前…未来を失いたくないか?」
敵「ああ!失いたくない!」コクンコクン
余賀「…そうか」ニヤリ
余賀「よしっ、なら今から俺の言う事を聞くんだ」
敵「…?」
余賀「…じゃあ、早速」
『CLOSING』
『YOU HAVE GAIN』
余賀「ぼちぼちってとこだな」
三國「まあ、ほとんどお前のお陰だがな」
余賀「やめてくれ」
余賀「三國さんのお陰で…」
余賀「俺はまた金融街で闘う気になったんだから……」
三國「それで」
三國「お前の方はどうだった?」
余賀「俺は…」
余賀「・・・どうだ」
宣野座「…なる程」
宣野座「それはもしかしたら、もしかするかもね」
余賀「だろ!」
余賀「宣野座…お前も五王の一人だし」
余賀「一緒にやろうぜ」
宣野座「…余賀君」
宣野座「気持ちは嬉しいけど僕は…」
宣野座「今の僕には力が無い…」
余賀「…資金ならっ」
宣野座「資金だけの問題じゃない」
宣野座「君達の話を聞く限りじゃあ」
宣野座「カリュマはもう僕のアセットじゃあない…」
余賀「…!」
宣野座「資金も無い、強力なアセットもいない」
宣野座「そして何より…」
宣野座「僕にその気力が無い」
余賀「…」
宣野座「悪いけど…帰ってくれ」
余賀「…だって」
三國「俺も進藤に話をしてみたんだが」
余賀「…進藤?」
三國「…ほらいただろ」
三國「あの金髪のモヒカンの男」
余賀「あぁ…」
三國「あいつは俺の右腕だったからな」
三國「頼んでみたんだが」
余賀「…結果は?」
三國「俺にはもうついて来れないそうだ…」
三國「はは…」
余賀「…」
三國「…まあ落ち込んでいても仕方が無い」
三國「上に立つ者にはよくある事だ」
余賀「…そうだよね」
三國「それより…とりあえず次が最後か…」
三國「長かったような、短かったような」
余賀「まあね」
余賀「でもまあ」
余賀「次の相手は一週間前に入ったばかりの新人だから顔も分かんないけど」
余賀「勝ってくる」
余賀「……勝ってくる、誠実に生きる為に」
三國「…そうだな」
真坂木「余賀様」
真坂木「最近毎日のようにディールをしてるじゃないですか」
余賀「ディールに義務はあっても制限は無いはずだろ」
真坂木「それはもちろんっ」
真坂木「[取引]…ですからね」
余賀「分かったらさっさと相手を呼んでくれ」
真坂木「本当によろしいのですね…」
余賀「当然だろ」
真坂木「分かりました」ニタニタ
余賀「…?」
真坂木「では、こちらに」
シュ
スタッ
?「…」
「!!??」
余賀「…」
余賀「・・・あ…あれ、真朱…か…」
余賀「…真朱?おい!真朱!!真朱ぅ!!!」
?「…?」
真坂木「どうかされましたか」クスクス
余賀「おい!どうなってんだ!」
余賀「どうして真朱が…」
真坂木「真朱」
真坂木「違いますね…」
真坂木「彼女は…」
?「…ムア…ですけど……私…」
余賀「は?ムア」
余賀「……ムア」
余賀「!?」
余賀「ムアって……親父のアセット!!」
余賀「!…それって、どういう…」
真坂木「それでは時間も無いので始めますか」
キュイーン
キュイーン
バチバチバチ
『666』
『OPEN DEAL』
カーン
余賀「おい!真坂木!待ってくれ…っ!」
余賀「俺には訊きたい事が…」
真坂木「勝負が終わってからにしてください」
真坂木「彼女の[未来]を奪ってから」アハハハ
ムア「…行きます」
余賀「くそっ…」
余賀(彼女の資産は約1000万円)
余賀(俺とは資産・経験共に圧倒的な差があるがっ…)
余賀「ジェルジュ!まずは[S]で行く![G]は無しだっ!」
ジェルジュ「グルル」
余賀「とりあえず…ダイレクト100万」
『DIRECT』
ムア「ならば私も負けません!」
ムア「ダイレクト200万」
『DIRECT』
余賀(総資産1000万で200万使うのかよ…)
ムア「はっ」
ザンッ
余賀「…」
スッ
ムア「あれ!?」
ムア「やぁ!」
ザンッ
スッ
余賀「おい!待ってくれ!とりあえず俺の話を…」
ザンッ
余賀「うわぁっとと」
ヒョイ
ノア「やあ!」
ザンッ
余賀(全然話聞いてくれないな…!)
ムア「…それなら」
ムア「ダイレクト400万」
『DIRECT』
余賀(さらに200万も増資しやがったっ!!)
ノア「はっ!」
スカッ
余賀「仕方ねぇな」
ガシッ
余賀「こうして右腕押さえとけば、斬れねぇだろ」
ムア「キャッ」
余賀「えっ・・・」
ムア「…っ」
ノア「来てっ!真蒼」
余賀「まそう?って…」
ムア「メゾ500万」
スラッシュ
『MEZZO FLATION』
余賀「バカッ!そんなに使ったら…!」
シュ
真蒼「…」
余賀「!!お前っ…」
『SCORCHED EARTH』
真蒼「スコーチド・アース!」
余賀「スコーチド…アース…!!?」
キュイーン
余賀「…嘘だろ」
ギギギギギギギギギギギギギギギギ
余賀「がああああああああああ!!」
ギギギギギギギギギギギギギ
余賀「…」シュ~
余賀「…」バタッ
三國「…」
三國「…なんだあれは…」
三國「蒼い炎…」
三國「…それに」
三國「…あれは……2人の真朱…?」
真坂木「クククク」
真坂木「アハハハハハ」
真坂木「ハハハッハハ」
三國「…」
余賀「…」
ムア「…気絶したみたいですね」
ムア「ならば、ダイレクト600万」
余賀「…」ピクッ
『DIRECT』
ムア「止めといきます」
シュ
ムア「…!」
ザシュ×ザシュ
ノア「…これは…」
ノア「相殺っ…!」
余賀「…」
余賀「…ったくよ」
余賀「お前は資金も考えずにマネーゲームしやがって」
余賀「危なくて見てらんねぇんだよ」
ギギギギズサッ
ムア「キャッ」
シュウー
ムア「私のダイレクトが…」
ムア「ならば…ダイレクト700万!」
余賀「させるか!ダイレクト800万!」
『DIRECT』
『DIRECT』
ムア「今ですっ、真蒼!」
ムア「マクロフレーション!!一千万!」
余賀「!?」
余賀「馬鹿野郎がぁああああ!!」
余賀「そんなことしたら!破産だろうがぁあ!!」
スラッシュ
『MACRO FLATION』
キュイイイイーーン
余賀「くそっ!!」ダッ
ザシュ
ムア「…嘘っ……この人…自分から斬られに…」
余賀「ぐあああああ」
余賀「ああああ」
余賀(これで何とか…)ハァハァ
『OVER HEATED ECONOMY』
ムア・余賀「はっ」
ムア「真蒼!」
ムア「真蒼!!」
ムア「真蒼やめてぇええええええええええ!!!」
ズズズズ
真蒼「はああああ」
バーン!!ダダーン!!!
真蒼「オーバー!」
真蒼「ヒーテッド!」
真蒼「エコノミーー!!」
ギギギギギギギギギギギギギギギギギギギギ
ギギギギギイイイイイイイイイイィィィィィ
余賀「…ぐはぁああああ」
ィィィィィィィィィキィィィィィ
余賀「…うおおお」
ィィィギィィィィィィィ
余賀「…がはああああ」
ィイィィィィィ
ィィィィィンンンンンン
余賀「…」バタンッ
真蒼「…」ハァハァハァ
ガクッ
ガシッ
ムア「大丈夫!?」
真蒼「うん、何とかね」
ムア「…」
真蒼「…ごめん、途中で止められなかった」
ムア「いいのよ」
ムア「いいの…悪いのは私ですから」
ムア「…」
真蒼「あの人は?」
ムア「煙がすごくて…」
シュー
ムア「…!」
余賀「…」
ムア「大丈夫ですか」ダッ
真蒼「…」ダキッ
余賀「…」
真蒼「大丈夫なのっ!?」
『0』
『CLOSING』
ムア「…終わった…?」
『YOU HAVE GAIN』
余賀「…」
ムア「あの…」
「公麿!!」ダッ
ダキッ
ムア「!?」
三國「公麿!」
三國「公麿ーー!!」
ムア「あの…だいじょ」
三國「おい!!公麿!公麿!!」
ムア「…」
真蒼「…」
三國「おい!」
ユサユサ
三國「おい!!」
ユサユサ
余賀「…」ピクッ
三國「公麿!?」
余賀「…悪いジェルジュ」
余賀「夢中になっちまってよ…」ナデナデ
ジェルジュ「クゥウウ」
余賀「…大丈夫だから」
三國「公麿!お前本当に大丈夫か!?」
三國「痛い所とかは」
余賀「はは、三國さんも意外と心配性だな」
余賀「痛い所は腐るほどあるけど大丈夫だよ」
三國「そうか…」
ムア「…」
公麿「…俺も炎に焼かれるとは」
三國「…そうだ!あれは一体…」
ムア「あのー」
余賀「あんた!」
ムア「先ほどは…」
バシーン
ムア「キャッ!」
公麿「お前!何やってんだ!!」
公麿「下手すれば命落としてたんだぞ!」
公麿「馬鹿やろ…」
公麿「痛てててて」
三國「まだあんまり動くな」
ムア「…」
ムア「……ません」
三國「は?」
ムア「申し訳ございません」ペコリッ
三國「…」
余賀「…」
余賀(思ったより根性あるんだな…)
余賀「…なあ」
ムア「…?」
余賀「…少し話があるんだけど良い?」
三國「…つまり、これがお前の父親の[未来]…」
余賀「…ってことになるな」
ムア「まさか…そんな、私が…?」
真蒼「…」
ムア「にわかには信じられませんが…」
余賀「でも間違いない」
余賀「角とかはもちろん無いけど」
余賀「あの写真に親父と一緒に写ってた黒髪のアセット」
余賀「そして[ムア]という名前」
余賀「…間違いなく君は親父の[未来]を体現したもの!…のはず」
ムア「…そう言われましても」
ムア「確かに私と真蒼とは姿形がそっくりだとは思っていましたが」
余賀「…そうだね」
余賀「…」
余賀「とりあえず今日は別れて、また今度話そうか」
真蒼「…」
ムア「…ほら、真蒼も何か言う事無いですか」
真蒼「…ない」
ムア「…すいません」アセッ
ムア「普段は優しい子なんですけど…」ペコリッ
真蒼「…フン」
余賀「いえいえ、方向性は違うけどこういうところも」ハハッ
余賀「…」
余賀「真朱そっくりですよ」ハハハ
真蒼「…」
>>270
はい
宣野座功
6話に登場
NPO法人コンコード・ゲイン代表
29歳
発展途上国へ直接支援を行う
世間からは「ボランティア王子」で親しまれる
アセットはTOP5の「カリュマ」
何かおかしいところありますか?
三國「俺はあんまり信じられないんだがな…」
余賀「…でも確信したよ」
余賀「俺、あの人と結ばれるんだ」
三國「それは飛躍しすぎじゃないか」
三國「…」
三國「女性経験の少なさが、そんな論理を生むんだ」
余賀「うるさいなー」
余賀「……いつかさ」
三國「…」
余賀「…真朱が生まれる夢をみたんだ」
余賀「そこは病室で、母親が居て…」
余賀「俺に言うんだ」
余賀「〈お父さん、名前付けてください〉って」
三國「…」
余賀「だから俺がつけるんだよ…」
余賀「…真朱」
三國「…その時の奥さんがムアさんだって言うのか」
余賀「多分…いや、絶対!」
余賀「口調や声がそっくりだったし…何より」
三國「…何より?」
余賀「俺の直感がそう告げている」
三國「お前…焼かれすぎて頭おかしくなったんじゃないか」
余賀「そこだよ!」
三國「…どこだよ」
余賀「真朱は俺の娘」
余賀「それは決まってるんだ、俺が名前つけたしな」
余賀「それで、ムアさんは俺の妻」
三國「…」
余賀「なら真蒼は誰だってことになる・・・」
余賀「あの能力…真朱そっくりだった…」
三國「…確かにな」
余賀「真朱は俺の[未来]…俺の娘」
余賀「そして真蒼はムアさんの[未来]…ムアさんの娘」
余賀「その二人がそっくりってことは」
余賀「俺とムアさんの子供だってことだ」
三國「…一応辻褄はあってきてるな…?」
余賀「…それにサトウさんも言ったんだ」
三國「…」
余賀「真朱は俺と親父の[親子の絆]だって」
余賀「…それに」
三國「?」
余賀「…覚えてる?」
余賀「俺が親父の手帳を見せたときの事」
三國「…ああ」
余賀「あの時俺は親父のことを責める気持ちしかなかった」
三國「…」
余賀「…そこを三國さんがとめてくれたんだ…!」
余賀「…それに関しては感謝してる」
三國「…」
余賀「…ってのは置いといて」
三國「置いとくのか!」
余賀「あの手帳に羅列して合った数字」
余賀「途中からほぼ安定してたんだ…」
余賀「Mの…」
余賀「……3億…」
三國「!?」
三國「…3億か…」
余賀「今の金融街じゃあ」
余賀「俺達は初心者相手に圧勝しなくちゃいけないから」
余賀「こんなに大金を使って戦ってるけど」
余賀「普通なら3億持ってる人間がいきなり破産して自殺すると思う?」
三國「…」
三國「…確かに不可解だな…」
余賀「親父はディールが強かったらしい」
余賀「手帳に書かれた数字は細かく刻んであった」
余賀「…途中で面倒になったとは思えないし」
余賀「大敗したとも思えない」
余賀「…分からないけど」
余賀「親父は見つけたんじゃないのかな?」
三國「…」
三國「…何を?」
余賀「……資産を犠牲にして…アセットを…」
余賀「[未来]を現実世界に還す方法…」
三國「…だから…ムアさん」
三國「…そういうことか…」
余賀「[輪廻]っていうのか…[運命」っていうのか…」
余賀「だからっ…!」パァー
余賀「彼女は…」
余賀「…恐らくノアさんは親父の……!」
三國「とにかく!!」ガタッ
余賀「?」
三國「今のお前はものすごく混乱してるというか、興奮してるようだ」
三國「一回この事は忘れて冷静になれ」
余賀「…わかった」
三國「ふぅー」
余賀「…」
三國「…それに、どうするつもりだ…」
三國「お前は…」
余賀「…それとこれとは話が別だ」
余賀「…やるよ」
三國「…いいのか?」
余賀「ああ、これはあの日からの決断だから」
三國「死んでもしらんからな」
余賀「…俺ね」
三國「…?」
余賀「[未来]と同時に」
余賀「……[運命]っていうのを生まれて初めて信じたくなったんだよ」
余賀「いよいよか…」ゴクッ
三國「…」
パッ
真坂木「お二人とも」
真坂木「どうかなさったんですか」
真坂木「よ・び・だ・し・なんて」
真坂木「緊張してしまいました」ヘラヘラ
余賀「…真坂木、今日俺達は交渉に来た」
真坂木「交渉?はて交渉とはどういう字を書くのでしたっけ」ニヤニヤ
三國「・・・いい加減にすることだな」
三國「俺達は[世界金融街]へ」
三國「神の金融街へ行く」
三國「そこで世界中の金の猛者達とディールで勝ちまくって」
三國「日本の市場を拡大することにした」
真坂木「神」
真坂木「神?」
真坂木「神!!」
真坂木「あははははははっははは」
真坂木「どうされたんですか」
真坂木「お二人らしくない」
真坂木「ここに来て神とは」
余賀「…何ならお前の「上司」でもいいぞ」
真坂木「何を言っているのか」ヘラヘラ
三國「…」ギロッ
余賀「…」ジー
真坂木「…」
真坂木「仕方ないですね」
真坂木「もしも」
真坂木「もしも嫌だと言ったら」
真坂木「どうなさいますか」
三國「当然…」
余賀「…無理矢理にでも話をつけさせてもらう」
真坂木「ではどうなさいますか」
三國「それはもう終了している」
三國「この金融街の支配権は俺らにある」
三國「ムアを除く全てのアントレを破り」
三國「ムアを含む全てのアントレに約束させた」
真坂木「約束?」
三國「一つ、ディールにおいて相手の資産を10%以上削ってはいけない」
三國「一つ、その他の賭博、諜報行為などにおいて資産を減らしてはいけない」
三國「一つ、余賀公麿及び三國壮一郎がディールする際には100万円を残し資産の全てをその両名に譲渡すること」
三國「なお、最後についてはディール終了後満額返還するものとする」
真坂木「なるほど」
三國「つまり、もうこの極東金融街は俺達の掌の上にあるってことだ」
真坂木「しかしどうやって」
余賀「…誓約書だよ」
余賀「あの誓約書を使って全員に書かせたんだ」
余賀「そんな事分かってんだろ…」
真坂木「はい」
真坂木「もちろん」ヘラヘラ
真坂木「しかし」
真坂木「この金融街には新人がどんどん現れますが」
三國「…そん時はすぐに指名して瞬殺するだけだ」
三國「…そんなことしたら俺達のディール時の資産も増える事になるがな」
真坂木「なるほど、なるほど」
真坂木「正攻法、まさに正攻法」
真坂木「私も正攻法を取るなら」
真坂木「もう」
真坂木「挑戦を受けるしかございません」
真坂木「それにしても」
真坂木「まさか金融街の管理人が挑戦状を受けるとは」
真坂木「前代未聞…なんですかね」
三國「…」
余賀「さあ、どうする?」
余賀「といっても、もう逃げ道はないぞ」
余賀「新人アントレもすぐにこの誓約に縛り付ける」
余賀「もう誰も[未来]を失うことはないし」
余賀「もうミダスマネーを発行することも出来ないだろ」
真坂木「ふむ」
真坂木「こうなった以上はやはり」
三國「そう、この閉塞状況を打破するには」
余賀「…ディールで勝負だろうな」
三國「…」
三國「俺達は神への切符を求めて」
余賀「この誓約書314枚を懸ける」
真坂木「はあ」
真坂木「上司になんて説明をすればいいのやら」
真坂木「……」
真坂木「…」ギリッ
真坂木「それだけでは済みませんよ」
真坂木「お前達2人の[未来]を喰らい尽くす」
真坂木「闘いの…始まりだ」
真坂木「…」
真坂木「ディールを」
真坂木「承認いたします」
ゴゴゴゴゴゴゴ
『∞』
余賀「…」
真坂木「…タイムリミット無し」
真坂木「どちらかが破産し尽くすまで闘う」
真坂木「それでよろしいですね」
余賀「ああ」
三國「もちろんだ」
「ちょっと待ってくれ」
三國「…!?」
「僕も入れてよ」
真坂木「…」
余賀「お前…宣野座!」
三國「お前…」
宣野座「やあ、余賀君」
宣野座「そして三國さん、久しぶり」
三國「…お前もやるのか」
宣野座「うん、心強いでしょ」
三國「…」
余賀「…でもお前資産が」
宣野座「それなら大丈夫」
余賀・三國「…?」
宣野座「君達の分けて貰うから!」ニコリッ
三國「……お前な」
宣野座「何?」ニコニコ
三國「……何でもない」
宣野座「…大丈夫、僕のアセットを確認したら」
宣野座「[カリュマ]だった…十分戦力にはなると思うけど?」
三國「…そういう問題じゃあ…っ」
宣野座「それにね」
宣野座「僕だけじゃないよ」
余賀「…!」
余賀「ムアさん…!」
ムア「こんにちは」
ムア「ええと、一応手を貸せたらなと思いまして」
余賀「でもディール初心者のムアさんには…」
宣野座「ムアさんに負けたくせに」ププッ
余賀「おい、宣野座!…お前なぁ」
ムア「…大丈夫です、基礎は全て宣野座さんに叩き込まれましたから」
余賀「…」
宣野座「…あははは、まあ、暇だったからね」
三國「…」
余賀「三國さん!」
三國「…ムアさん」
ムア「…何でしょうか」
三國「絶対に無理はしないと誓えますね」
余賀「…!三國さん!」
三國「ムアさんの真蒼は強力だ」
三國「それはお前は一番よく分かってるだろ」
余賀「…」
三國「大丈夫…危険にはさらさないさ」
宣野座「…」
宣野座「じゃあ…何はともあれ」
三國「…この四人で…行くかっ!」
三國「待たせたな真坂木」
真坂木「別に」
真坂木「構わないですよ」
真坂木「それで」
真坂木「資産はどのようにいたしましょう?」
真坂木「今」
真坂木「あなた方アントレが持ってる資産を全て合わせると」
真坂木「…362億ってところですが」
真坂木「それなら」
真坂木「私の総資産も362億ってことになりますね」
余賀「…」
ムア「それって…」
真坂木「特別に」
真坂木「[輪転機]に溜まっている[未来]を使わせてもらいます」
真坂木「本来は」
真坂木「ありえない処置ですが」
真坂木「ディール時には[未来]の代わりに可視の数字として」
真坂木「仮のミダスマネーを使用します」
真坂木「つまり」
真坂木「私にダメージを与えるごとに」
真坂木「誰かがミダスマネーを失うことなく」
真坂木「誰かの[未来]が還ってくるという事です」
三國「…」
宣野座「けれど、そんなことしたら収支のバランスが…」
真坂木「私が」
真坂木「あなた方に負けるはずもございません」
真坂木「あなた方から金と[未来]を巻き上げて」
真坂木「他の方々からまた新たな[未来]を奪うだけのことでございます」
ムア「…」
余賀「…へっ、なら勝つだけだ」
余賀「さっさと始めよう」
三國「…では」
三國「俺達は誓約書の効力を使わせてもらう」
三國「そしてその後」
三國「資産をこの四人で分配」
三國「362億から」
三國「100万がノアさんと宣野座を足した316人分引かれた後」
三國「残りの全てが俺達の資産になる」
三國「…」
余賀「勝つっ」
ムア「行きます!」
宣野座「…行くよ」
真坂木「それじゃあ」
真坂木「始めましょうか」
『真坂木』「総資産362億円」
『?』「アセット」
VS
『余賀公麿』「総資産120億円、アントレ」
『ジェルジュ』「アセット」
『三國壮一郎』「総資産120億円、アントレ」
『宣野座功』「総資産80億円、アントレ」
『』「アセット」
『ムア』「総資産40億円、アントレ」
『真蒼』「アセット」
『OPEN DEAL!!』
『真坂木』「総資産362億円」
『?』「アセット」
VS
『余賀公麿』「総資産120億円、アントレ」
『ジェルジュ』「アセット」
『三國壮一郎』「総資産120億円、アントレ」
『宣野座功』「総資産80億円、アントレ」
『カリュマ』「アセット」
『ムア』「総資産40億円、アントレ」
『真蒼』「アセット」
『OPEN DEAL!!』
カーン!
『∞』
余賀「功とムアはバックアップ!」
余賀「俺と三國で近距離戦闘をかましてやる」
宣野座「…」
三國「…よしっ」
ムア「わかった!」
余賀「出し惜しみしてられないよな」
余賀「メゾフレーション700万」
『MEZZO FLATION』
『E・B・O』
プシュー!
ムア「何これ?すごい霧…!」
宣野座「ジェルジュは霧を出して撹乱した後」
宣野座「自分のアントレの姿を模して相手の動揺を誘うんだよ」
余賀・三國「ダイレクト2億!」
『『DIRECT』』
余賀「うおおおお!」ダッ
余賀「うおおおお!」ダッ
三國「おおおお」ダッ
真坂木「ふんっ」
真坂木「ダイレクト…2億5000万!」
『DIRECT』
真坂木「一文字斬り!」
ブオオオオォォォォ
余賀「うわわああっと」
ヒョイッ
三國「ふんっ」
スッ
余賀「…」
サッ
余賀「…一文字斬りか、何か良いな…」
三國「…」
ムア「…凄い…です」
ムア「何十メートルもある扇を綺麗に描き出しましたよ…」
宣野座「…」
宣野座「それじゃあ、そろそろ僕達も行くよ」
宣野座「あれじゃあ、二人が近づけないからね」
宣野座「カリュマ!!」
ムア「!」ビクッ
スラッシュ
宣野座「メゾフレーション2000万」
『MEZZO FLATION』
『ANGEL』
ムア「!私も!…メゾフレー…」
宣野座「駄目だっ!」
ムア「!?…えっ?」
宣野座「真蒼の攻撃はとても強いが…無差別だ」
宣野座「三國さんはアセットがいないからガードが出来ない」
ムア「…じゃあ、どうすれば」
宣野座「ミクロフレーションを打ちまくる、正確に」
ムア「…はい!」
ムア「ミクロフレーション800万!」
『MICRO』
宣野座「行け!カリュマ!!」
ムア「行ってください!」
ピカッ
『A』『A』『AA』『A』『A』『AAA』『AA』
『ANGEL』
カリュマ「…」
ズザザザザザザザザザザザザザザザザザ!!!
真蒼「…すごっ…電…いや雷撃?」
真蒼「…」ハッ
真蒼「私も…いっけー!」
キュイイイン
真坂木「!?」
真坂木「ぐああああああ!!」
宣野座「よしっ!当たった」
三國「公麿!」
余賀「おう!」
三國・余賀「ダイレクト2億!!」
『『DIRECT』』
三國「うおおおお!」
余賀「あああああ!」
三國「一文字っ!」
余賀「斬りっ!!」
ズザァアアア
真坂木「ぐおあああああ」ブハッ
三國「畳み掛けるぞ!」
余賀「おう!」
三國・余賀「ダイレクト5億!!」
『『DIRECT』』
三國・余賀「I文字切りっ」
ズザッ!ズザッ!
真坂木「うおおおおおお」
真坂木「…」ビクンッビクンッ
三國「…どうだ?」
余賀「…確実に効いてる」
余賀「…っていうかこいつ…」
余賀「気絶してる…」
三國「…」
三國「…ここは」
余賀「…」コクン
宣野座「…どうやらやるようだ」
ムア「…?」
宣野座「まあそこで見ててね」
三國・余賀「ダイレクト!」
宣野座「メゾフレーション!」
三國・余賀・宣野座「15億!!」
『D』『D』『『DIRECT!』』
『MEZZO FLATION!』
『ANGEL』
三國「一文字斬り!」
シュ
余賀「Ⅰ文字斬り!」
シュ
三國・余賀「…合わせて……」
三國・余賀「十文字斬りっ!!」
ズザッ×ズザッ
カリュマ「…」
ズザアアアアアァァァァァ!!!!!
バンッ!!
宣野座「!!?」
宣野座「…僕のメゾが!?」
キュイイイン
宣野座「あれは…ガード!?」
三國「何だこのガード…」
ギギギ
余賀「…っくそ、俺のダイレクトが止められてんのか?」
ギギギ
キュイイイイン
真坂木「やれやれ」
真坂木「こんなにやってくださいまして」パッパッ
真坂木「体中傷だらけじゃないですか」
キュイイイイン
余賀「真坂木!何でガードが機能してんだよ!」
真坂木「はい?」
真坂木「ああ」
真坂木「これの事ですか」
真坂木「…私がアセットを使わないなんて一言も言ってませんよ」ニヤニヤ
三國「アセット…?」
真坂木「…私もアントレみたいなものですからね…」
真坂木「そうですよね…愛しの姫」
キュイイイン
?「わたしはべつにひめなどではないのです…」
余賀「!!?」
余賀「あれは…!」チラッ
三國「……Qっ!!」
Q「わたしはQなのです」
宣野座「…!」
ムア「…?」
宣野座「…」
宣野座「…やばい化物が出てきたな…」
宣野座「ムアちゃん」
ムア「はい」
宣野座「もう少し下がっててね」
ムア「…はい」
余賀「何でQがここにっ…!」
真坂木「彼女は惜しいから残して置いたんですよ」
三國「…」
余賀「残す?」
真坂木「…「輪転機」の中に…ね」
真坂木「余賀様の[輪転機]逆回転で」
真坂木「全ての未来が世界に戻ったわけではございません」
真坂木「[上]の指示により少しだけ[未来]を残して置きました」
余賀「!…てめぇ!」
真坂木「これは」
真坂木「何らおかしいことではありません」
真坂木「銀行だって倒産するとき」
真坂木「持ちうる金全てを預金者に渡すわけではないでしょう」
余賀「…それは…そうだが」
余賀「…[未来]を、金と一緒にすんなよ…!」
真坂木「ふはは」
真坂木「アントレプレナー様とは思えない発言ですねっ」
真坂木「しかし」
真坂木「これは冗談でございます」
余賀「はぁ?」
真坂木「いえ」
真坂木「そうした事実はございますが」
真坂木「このアセットの場合はその限りではございません」
真坂木「このアセットは[輪転機]が廻り終わった後に」
真坂木「中に入りましたからね」
真坂木「そう」ニタァー
真坂木「余賀様に負けて三國様が救えなかった[未来]としてね!」
三國「…」
真坂木「ハッ」
真坂木「こいつは最強最悪のアセットですので」
真坂「仕方ありませんが」
真坂木「私が自由に使ってやることにしたわけでございます」ニヤニヤ
スラッシュ
三國「ダイレクト20億」ボソッ
余賀「三國っ!?」
『DIRECT』
シュッ!
ザンッ!!!!
真坂木「へ?」
真坂木「!!」
真坂木「うわあああ!!!」
余賀「…」
余賀「やったか…?」
三國「…」
三國「?」
三國「!」
真坂木「なんちゃって」
余賀「刀身が…無い…?」
真坂木「…」
真坂木「不意打ちとは汚ない真似してくれますね」
真坂木「ですが」
真坂木「速度はこっちの方が上だったようです」
Q「ごくんっ」
Q「エホッ」
余賀「Qのフレーションか…!」
余賀「でも、真坂木の野郎は出遅れたはずなのに、なんで…?」
真坂木「アセットはアントレを守る本能がある」
真坂木「そして、Qには…」
三國「勝手にフィールドに現れること」
三國「…そして」
三國「自発的にフレーションを打つことが出来る…っ」
真坂木「そういう事です」ニヤニヤ
Q「…」
真坂木「…おっと、そろそろ来るようです」
余賀「?」
三國「…公麿!散るぞっ!」
Q「…」ギリッ
『MICRO』『MEZZO』『MEZZ』『M、MI、MI、MICRO』
『ME、ME、MEZZO』『M、MI、MI、MIC』『ME、ME、MEZ、MEZZO』
『M、M、M、M』『MICRO』『ME、ME、MEZZO』『MEZZO』『MICRO』『MEZZO』
『『『MEZZO FLATION』』』
『CANNIBALIZATION』
ヒュン
ムア「…?」
ズ
ズドンッ!!!
ムア「!?」
宣野座「…っ」
ムア「宣野座さん!?」
宣野座「!…あ、ああ」
宣野座「…あれがQのメゾフレーション」
宣野座「[カニバリゼーション]だよ」
宣野座「一定空間を丸ごと食べてしまう」
宣野座「避けることは…ほぼ不可能」
宣野座「空間ごと喰い千切るとんでもない技だよ…」
ムア「…そんな」
宣野座「今のは直径15メートルってところだろ」
宣野座「…あれぐらいなら平気さ…あの二人なら」
ムア「…」
真坂木「ふぅ」
真坂木「相変わらず」
真坂木「勝手にチャージして」
真坂木「どんどん額が上がったところで一気にやりますね」
三國「来るぞ!」
余賀「おう!」
Q「…」ニタァー
バクンッ
バクンッ
バクンッ
バクンッ
ムア「…あれって」
宣野座「[カニバリゼーション]はコストさえ払えば」
宣野座「連発が可能なメゾなんだよ…」
宣野座「しかも…チャージはあのアセットが自動で行う…」
ムア「…そんな」
ムア「彼らは!彼らは大丈夫なんでしょうか!!」
宣野座「あんなに何回もやられたら逃げ場は無くなり…喰われるだけだけど…」
宣野座「…」
宣野座「頑張ってよ…二人とも」
バクンッ
バクンッ
シュ
余賀「…」
タッ
余賀「三國!どうする!?」
サッ
三國「どうするもこうするも…」
バクンッ
スッ
三國「…Qに攻撃するしかない」
余賀「でも…」
三國「…公麿!状況を考えろっ!」
余賀「……わかった」
余賀「……じゃあ俺が…」
三國「俺がQを斬るっ!」
余賀「…」
三國「お前程度じゃ、Qにすぐ喰われて終わりだ」
三國「…Qを…貴子を一番知っているのは俺だ」
余賀「…」
余賀「……わかった」
余賀「でも!三國!!」
余賀「忘れんなよ!アセットを攻撃しても大丈夫だから!!」
余賀「それに!Qは貴子さん本人じゃないからな!!」
三國「わかってる」
三國「…わかってるさ」
三國「…本人だってことは…」ボソッ
スラッシュ
余賀「メゾフレーション、1000万!」
『MEZZO FLATION』
『E・B・O』
余賀「頼んだぜジェルジュ!」
余賀「三國の姿になってサポートしてやれ!!」
余賀「グルルウ」
シューー
三國「グルルルル」
余賀「…それじゃあ」
余賀「こっちはこっちで…」
真坂木「やるとしましょうか」
余賀「ダイレクト!!」
真坂木「ダイレクト」
余賀「20億!」
真坂木「80億」
『『DIRECT!!』』
余賀「うおおおお!」ダッ
真坂木「あはははは」ダッ
ザンッ
三國「…」
三國「…まさか、サトウに助けられるとはな…」
三國「ふんっ…」
三國「行くぞジェルジュ!」
三國「グオオオオ」
Q「…この人達……どこかで見た事があるような気がするのです」
Q「…」
ズサッ
ザンッ
シュッ
真坂木「あはははは」
ズシュ
余賀「うおお!」
ザシュ
真坂木「あははは」
真坂木「全然当たりませんね」
ザンッ
余賀「うるせー!お前もだろ」
シュッ
真坂木「これほどのコストになると扱いづらくて仕方が無い」
ザンッ
余賀「くそっ」
ズサッ×ズサッ
余賀「相殺っ…!」
真坂木「ですか」
余賀「ダイレクトだ!」
真坂木「私も」
『『DIRECT』』
真坂木「私は本来」
真坂木「姿を消したり中に浮いたりも出来るんですがね」
真坂木「ふぅー」
真坂木「それにしても」
真坂木「[上司]になんと言い訳をすれば良いのか」
シュッ
余賀「神か!!」
ザシュ×ザシュ
『『DIRECT』』
真坂木「別に神々しいと言うだけで」
真坂木「神では無いんですけどね」
真坂木「世界に散らばる金融街をまとめ上げるお方ですので、はい」
ザンッ
余賀「そいつがっ!」
ザンッ×ザンッ
『『DIRECT』』
余賀「そいつが始めたのかっ!金融街を!」
シュッ
真坂木「いえ」
真坂木「金融街の歴史は人の歴史と共にありますので」
余賀「…?」
ズサッ
余賀「…」
余賀「…何でまた日本に金融街を創った!」
余賀「日本はもう大した経済力は無いだろうが!!」
ズバッ
真坂木「あははははは」
真坂木「どうしますかね」
真坂木「ここまで来たら」
真坂木「話しておきますか」
ザシュ×ザシュ
『『DIRECT』』
真坂木「金融街を創るのは」
真坂木「私達ではございません」
真坂木「あなた方でございます」
ザシュ
余賀「どういう…!」
シュ
真坂木「円を通貨とする唯一の金融街として成立した極東金融街ですが」
真坂木「元はあなた方の欲望の為に生まれただけの事でございます」
余賀「…欲望……?」
タンッ
真坂木「余賀様」
真坂木「つまり本当は」
真坂木「あなたも極東金融街へ来たかったのでございます」
余賀「…何を言って…」
真坂木「お父様が蒸発され」
真坂木「一人で金も無く生活して」
余賀「…」
真坂木「のどから手が出る程欲しかったはずです」
真坂木「…大金がっ!」
余賀「…だから」
余賀「だから!俺の前に現れたってか!」
真坂木「その通り」
余賀「でも、あの時は無作為抽出だって…!」
真坂木「そうでも言わないと」
真坂木「訝しがられてしまいますからね」
余賀「…」
真坂木「普通に考えて」
真坂木「そうでもなかったら」
真坂木「あんなに男性の中年ばかり集まるはずもないでしょう」
余賀「…」
真坂木「あれはつまり」
真坂木「金を欲する世代なんですよ」
余賀「…俺にはよく分かんねぇよ!」
真坂木「そうでしょうか」
真坂木「そんな事も無いと思いますが」
真坂木「子育てにギャンブル」
真坂木「基本的にはそんな理由ですよ」
余賀「…でも」
真坂木「〈俺の知る奴にそんなのはいない〉」
真坂木「ですか」
真坂木「そうですね」
真坂木「例えば」
真坂木「江原大介」
余賀「!!」
真坂木「経済観念の無い奥様の下で養育費を欲した」
余賀「…先生は、そうかもしれないけど」
真坂木「宣野座功…そして三國壮一郎」
真坂木「二人とも金を欲していた」
真坂木「それも大量に」
余賀「…」
余賀「…それはそうかもしれねぇけど」
余賀「みんなそうだろうが」
余賀「金を求めない人間なんていないだろうが!」
真坂木「いえ」
真坂木「そんな事はございません」
真坂木「貴方が思っているより」
真坂木「アントレは」
真坂木「もっと深い部分で」
真坂木「もっと汚れた部分で」
真坂木「お金を欲しているんですよ」ニヤニヤ
余賀「…」
真坂木「自分は裕福なのに」
真坂木「さらに金を求める」
真坂木「他人を助ける為、父親を葬る為」
真坂木「それとももっと」
真坂木「穢れた理由で…?」
余賀「そんな事ないっ!」
真坂木「まあそうは言っても」
真坂木「元々」
真坂木「正義感も大層なものなのでしょうね」
余賀「…」
真坂木「余賀様」キリッ
余賀「…?」
ザシュ
余賀「ぐああああああああ!!」
真坂木「闘いの最中だという事をお忘れなく」ニヤニヤ
ザアアアアアア
余賀「痛てええええ!!」バタバタ
真坂木「額が額ですからね」
真坂木「まあそんなわけで」
真坂木「人々の金への欲望が集まるところに」
真坂木「金融街は誕生する」
真坂木「10個目の金融街誕生も」
真坂木「もうすぐですよ」
真坂木「世界がうねって歪んでいますので…ね…」ニタニタ
真坂木「ご理解頂けましたか」
真坂木「金融街は慈善事業なのです」
余賀「…」
真坂木「私達は差し伸ばされた手を掴んでいるに過ぎません」
真坂木「私達に落ち度は露一つとしてございません」
余賀「…そんなわけねぇだろ」ハァハァ
真坂木「いえ」
真坂木「求める人を助ける」
真坂木「これを」
真坂木「[愛]というのですよ」
余賀「詭弁は止めろっ…!」
真坂木「ただし」
余賀「…?」
真坂木「金融街に欠点があるとすれば」
真坂木「それは」
真坂木「サポートの遅さ」
真坂木「といったところでしょうか」
余賀「…」
真坂木「例えば」
真坂木「三國様は妹様があのようになられた直後に」
真坂木「父親に復讐したかったでしょうし」
真坂木「宣野座様は貧困の現実を知ったその瞬間に」
真坂木「大金を欲したでしょう」
真坂木「そして」
真坂木「余賀様は想い人を寝取られる前に」
真坂木「お金があれば良かった」
余賀「…っ」
真坂木「違いますか」
真坂木「ただ」
真坂木「これも[上司]の命令なんでね」
真坂木「意図は図りかねますが」
余賀「…」
ザンッ!
ヒョイ
真坂木「不意打ちにしては狙いすぎていましたよ余賀様」
余賀「…っ」
真坂木「と・に・か・く」
真坂木「余賀様は」
真坂木「自ら望んでやって来る者達から」
真坂木「金融街というビッグチャンスを奪ってるんですよ」
真坂木「それは正義感ではなく」
真坂木「驕りではないですか」
余賀「でも…」
余賀「江原先生は…」
真坂木「彼も望んでここに来たんですよ」
真坂木「ここに来て」
真坂木「貴方に敗れた」
真坂木「それだけの事ですよ」
余賀「…それでも」
余賀「俺は…」
余賀「!?」
『『MEZZO FLATION』』
『ANGEL』
『SCORCHED EARTH』
ギギギギギギギギギギィィィィィィィィ!!!
キィーン!キィーン!キィーン!!!
真坂木「!!?」
真坂木「近いっ!?」
真坂木「ぐああああああぁあぁあ!!!!」
真坂木「おおおおおおおおお!!」
余賀「…」
宣野座「ははは、[E・B・O]の霧で分からなかったかい?」
宣野座「それとも…〈驕り〉かな?」
余賀「宣野座…」
宣野座「…」
宣野座「余賀君…」
宣野座「それは安易に答えを出す問題ではないよ」
余賀「…聞いてたのか」
宣野座「三國さんのような人の上に立つ人間にでも相談すれば良いさ」
余賀「…」
余賀「そうだな」
真坂木「いたたたたた」
余賀「…真坂木、もう降参するしかないんじゃないか」
真坂木「そうですね」
真坂木「1対5では」
真坂木「ですがっ!」
余賀「させねぇよ!」
『DIRECT』
ザシュ
スパンッ
余賀「!!!」
真坂木「うひゃひゃ」
真坂木「あひゃひゃひゃ」
余賀「…お前っ、腕を…」
真坂木「あはあはは」
真坂木「腕の1本や2本ぐらい」
真坂木「2本はまずいですが」
真坂木「でもこれで」
真坂木「マクロフレーション50億!!」
Q「…」
余賀「まずいっ!」
余賀「三國さんはっ…!?」チラッ
三國「…」ハァハァ
ジェルジュ「グルルルル」バタッ
三國「…すまん、公麿…」ハァハァ
三國「…俺じゃあ…」ハァハァ
三國「相手にもならなかった…ようだ……」ハァハァ
Q「…」
『MICRO』『MEZZO』
『MCRO FLATION』
『ECONOMIC BLOCKADE』
チカチカ
Q「…」
キュィーーン
余賀「くっそ…!」
余賀「…!!」
余賀(…くらったか)チリッ
ムア(何なんですかこれ!?)チリッ
真蒼(…このぉ!)チリッ
余賀(Qのマクロは相手の動きを完全に封じるんだよ)チリッ
ムア(…そんな能力が)チリッ
宣野座(どうにかして動かないとっ…!)チリッ
三國(…)チリッ
真坂木「あはは」
真坂木「80億も使われしまいましたか」
真坂木「でもまあ」
真坂木「上出来です」
真坂木「そういうわけで」
余賀(やばいっ!本当にやばいぞこれっ!!)チリッ
真坂木「すいませんがね」
ムア(と言われても全く動けませんっ!)チリッ
真坂木「行ってください」
宣野座(どうにかして抜けないとっ…!)チリッ
真坂木「化物!」
三國(…)
Q「…」
『MICR』『M』『M』『MEZZO』『MIC』
『MEZZ』『M、MI、MI、MICRO』
『ME、ME、MEZZO』『M、M、M、M』
『M、MI、MI、MIC』『MEZZO』『M』
『ME、ME、MEZ、MEZZO』『M、MI、MI、MICRO』
『M、MI、MI、MIC』『ME、ME、MEZ、MEZZO』
『M、M、M、M』『ME、ME、ME』『MICRO』『M』
『M、M、ME、MEZ、MEZZO』『M』『MICRO』
『MICRO』『M』『M、MI、MI、MIC』
『ME、ME、MEZZO』『M、MI、MI、MICRO』
『M、MI、MI、MIC』『MEZZO』
『MICRO』『MEZZO』『MI』『M、M、ME』
『MICR』『MEZZO』『M』 『M、MI、MI、MIC』
『ME、ME、MEZ、MEZZO』『M』『M』『M』『M、MI、MI、MICRO』
『M、MI、MI、MIC』『M』『MEZZO』 『M』『M』
『MICRO』『M』『MEZZO』『M』『MIC』
『M、M、ME、MEZ、MEZZO』
『MICRO』『M』『M』『M、MI、MI、MIC』
『M、M、M、M』ME、ME、MEZ、MEZZO』
『M、MI、MI、MIC』『M、MI、MI、MICRO』
『M、MI、MI、MIC』『MEZZO』『MI』『M、M、ME』『
『M、M、M、M』『M、MI、MI、MICRO』『M』『ME、ME、ME』
『MICRO』『M』『M』 『MEZZ』『M』『M』『M』『MICRO』
『ME、ME、MEZZO』『MICRO』『M』『MEZZO』『M』『MIC』
『ME、ME、MEZZO』『M、M、M、M』『M、MI、MI、MICRO』
余賀(早く!)
余賀(早く!!!)
『M、M、M、M』『ME、ME、ME』『MICRO』『M』
『M、M、ME、MEZ、MEZZO』『M』『MICRO』
『MICRO』『M』『M、MI、MI、MIC』
Q「…おいしそう」
キュイイイン
『M』『M、MI、MI、MIC』『M、MI、MI、MIC』『M』『MEZZO』 『M』『M』『MICRO』『M、M、ME、MEZ、MEZZO』 『MICRO』
『MICR』『M』『M』『MEZZO』『MIC』『MEZZO』『MICRO』『MEZZO』『MI』『M、M、ME』『M、MI、MI、MIC』『M』
『M、M、M、M』ME、ME、MEZ、MEZZO』『M、MI、MI、MIC』『M、MI、MI、MICRO』 『M、MI、I、MIC』『MEZZO』
『MI』『M、M、ME』 『M、M、M、M』『M、MI、MI、MICRO』『M』『ME、ME、ME』『MICRO』『M』『M』 『MEZZ』『M』
『ME、ME、MEZZO』『MICRO』『M』『MEZZO』『M』『MIC』『ME、ME、MEZZO』『M、M、M、M』『M、MI、MI、MICRO』
『『『『MEZZO FLATION』』』』』
『『CANNIBALIZATION』』
スッ
「…移譲」
バクンッ!!!
宣野座(ぐぁあぁぁぁ!!!!)ビリビリッ
余賀(宣野座!!)チリッ
宣野座(ぐあああ!!)ビリッ
宣野座(ぐうううう!!!)ビリッ
宣野座(ぐっ…)ビリッ
宣野座(くっ…はぁはぁ)チリッ
宣野座(……くっ)チリッ
宣野座(はは…もう僕は限界みたいだね・・・)チリッ
余賀(…お前…!)チリッ
宣野座(腹から下まで…)チリッ
宣野座(完全に持って行かれたようだ…)チリッ
ムア(…宣野座さんっ…!)チリッ
余賀(宣野座ー!)チリッ
三國(…宣野座…お前…)チリッ
真蒼(…)チリッ
ジェルジュ(クゥゥウウウウン)チリッ
カリュマ(…!!!!)チリッ
宣野座(大丈夫だよ…)
宣野座(そうとも…)チリッ
余賀(お前っ…!お前っ…!)チリッ
宣野座(…大丈夫さ余賀君)チリッ
宣野座(僕の資産はギリギリ君達に渡せたし)チリッ
宣野座(僕にはもう大した[未来]は無いから)チリッ
宣野座(現実世界への影響は…)チリッ
宣野座(無い…はず・・・)チリッ
余賀(宣野座ー!)チリッ
ムア(宣野座さんー!)チリッ
宣野座(…三國さん)チリッ
三國(…何だ)チリッ
宣野座(どっちなんでしょう)チリッ
三國(…)チリッ
宣野座(僕らどちらが正しかったんでしょう)チリッ
三國(…それは公麿が証明してくれた)チリッ
三國(勝った方が正しいならっ!…お前だ!宣野座っ!!)チリッ
宣野座(…あはは……ひどいなぁ)チリッ
宣野座(あはははは)チリッ
宣野座(…でも……ありがとう)チリッ
宣野座(カリュマ…)チリッ
カリュマ(…)
宣野座(僕の[未来]…)チリッ
宣野座(…ごめんね……)チリッ
宣野座(恐らく…僕は……これで死ぬ…)チリッ
宣野座(……ごめんね…)チリッ
宣野座(…僕の[未来]…)チリッ
カリュマ(!!!!)チリッ
宣野座(…)
宣野座(…ああ)チリッ
宣野座(結局)チリッ
宣野座(踏めなかったな……ホームベース…)チリッ
ピキッ
『YOU ARE BANKRUPT』
フォン
余賀(…!!!)チリッ
スラッシュ
ビリビリビリビリ!
余賀「!」
余賀「…マクロが解けたっ…!?」
三國「あのマクロは短時間にかなりの金を消費する」
三國「……チャージ切れだろうな」
三國「…」
ムア「宣野座さんっ!カリュマ!」
ムア「…そんな、あのお二人が…」
ムア「わああああああああん」ポロポロ
ムア「ああああああああ」ポロポロ
余賀(…ムアさんは初心者だもんな…)
余賀(師匠ともなれば…なおさら辛いだろうな)
余賀「…」
余賀「…!?」
三國「…」ツー
余賀「…!!」
余賀「三國さん!?」
三國「……どうした…」
余賀「泣いてますよ……」
三國「?」
三國「あれ」
三國「本当だ」
三國「どうして」
三國「こんなっ…」
三國「……どうして今更…」
三國「…こんな……」
三國「…」
三國「俺の両手はおぞましい程の血にまみれている………」
三國「……そのはずなのに」
三國「……違うっ!…」
三國「俺は宣野座の為に泣いているんじゃない…」
三國「…もう止めるんだ」
三國「Q…!」
三國「……もうディールで戦う必要はないんだよ」
Q「…」
Q「このひとがなにをいっているのか…わからないのです」
三國「…Qが消えたあの日…」
三國「貴子も居なくなった…」
三國「Qは貴子にそっくりな…アセットでも…」
三國「まして…俺の[未来]でもないっ!」
三國「Qは…」
三國「俺のQは……」
三國「…貴子そのものだ……!」
三國「Qっ!…いや」
三國「……貴子っ!」
三國「もういいじゃないか…」
三國「あの時分かりあったはずだろ」
Q「あの時…?」
余賀(Qが自分から…)
三國「そう」
三國「そこにいる公麿に負けた時だ」
Q「まけた・・・わたしが…?」
三國「そう…完敗だった……笑えない程ね」
三國「そのとき」
三國「俺達」
三國「分かり合えたじゃないか」
三國「貴子は…」
三國「…俺とずっと一緒に居たいって」
三國「そう言ってくれたじゃないか」
Q「…」
三國「…」
三國「……貴子は運が無くて」
三國「いつも一緒には居られなかったけど」
三國「Qとして…俺の相棒として」
三國「…いつも一緒に居た」
三國「そんなQが最後の最後になって…」
三國「……貴子の記憶も思い出せたって言うのに」
三國「Q」
Q「?」
三國「本当に」
三國「本当に忘れちまったか」
三國「金融街にはじめて来て」
三國「訳もわからずディールをしたことも」ツー
三國「その時、お前をかばったことも」
三國「…そのうちどんどん強くなっていったことも」ポロポロ
三國「公麿と戦ったことも」ポロポロ
三國「公麿との戦いで俺を止めてくれたことも…」ポロポロ
三國「全部…忘れちまったか?」ポロポロ
Q「…」
Q「ないているのです…」
Q「……ないていたのです」
Q「…」
Q「わたしも…ないていたのです」
Q「…わたしがですか」
Q「わたしがないていたのですか」
Q「なつかしいのです…」
Q「なぜないているのですか」
Q「…」
Q「…いたいのです」
Q「わたしもいたいのです…」
Q「だれとですか」
Q「…ただいろいろなあじはあるのです」
Q「あなたはなんのためにたたかってるの…です」
Q「たてものはみぎにかたむいてもひだりにかたむいてもきしむのです」
Q「さすがおれのあせっと…なのです」
Q「……みくに…そういちろおおおおおおおお……なのです」
Q「…」
Q「…みくに?みくに…みくに」
Q「みくにそういちろおおおおおおお」
Q「さすがおれのあせっと」
Q「…あなたのあせっとなのです」
Q「みくにそういちろおおおお」
Q「…」
Q「…たかこ……」
Q「…」
Q「……にいさん…」
余賀「…?」
Q「…」ポロポロ
Q「…」ボロボロ
Q「…」ボロッボロッ
真坂木「…」
余賀「あいつ…」
余賀「…」チラッ
ムア「…」ブツブツブツブツブツブツ
余賀「…」
余賀「…」チラッ
余賀「三國さん…?」
三國「…」ボロッボロッ
余賀「……」
パン!
余賀「!」
パン!パン!パン!
真坂木「さあ」
真坂木「さあさあさあ」
真坂木「何をしています」
真坂木「とっとと始めますよ」
余賀「…でも」
ムア「…お前が」
余賀「…?」
ムア「お前がっ…!」
余賀「…おい」
ムア「…」ブツブツブツブツ
余賀「…」
真坂木「余賀様」
余賀「でも今そんな状況じゃ…」
真坂木「困りましたね」
真坂木「勝利条件からして」
真坂木「どちらかの破滅以外ありえないのですが」
真坂木「…」
真坂木「はぁー」
真坂木「仕方ないですね」
真坂木「ダイレクト」
真坂木「ダイレクト」
真坂木「282億5149千万8032円」
『DIRECT』
ズザザザザザザザザザザザザザザザザザザザ!!!!!!
余賀「!!!?」
余賀「お前!一体何を…!?」
真坂木「私の全資産です」
真坂木「行きますよ~」
真坂木「あはははははは」
ダッ
余賀「おいっ!?来るな!!」
シュン
余賀「!?」
余賀「後ろの方からも何か来るっ…!?」
「お前さえ…」
「お前さえいなければ…」ダッ
ムア「…」ブツブツ
余賀「おいっ!」
ムア「…使わせてもらいます…宣野座さん」
スラッシュ
『MICRO』
『MEZZO』
『MCRO FLATION』
『OVER HEATED ECONOMY』
ムア「行くよ!!!」
真蒼「…うん」
真蒼「オーバーヒーテッド・エコノミー!」
余賀「馬鹿野郎!!」
余賀「この状態でうったら…!!」
真蒼「はあああああああ」
ジリ
真蒼「はああああああああ!!」
ジリジリ
真蒼「はああああああああああああああ!!!!」
ジリジリジリ
ジリジリジリジリジリ
バーーーン!!!
ギギギギギギギギギギギギギギギギギギギギギギギギギギギギギギギギギギギギギギギギギギギギギギギギギギギギギギギギ
ギギギギギギギギギギギギギギギギギギギギギギギギギギギギギギギギギギギギギギギギギギギギギギギギギギギギギギギギ
ギギギギギギギギギギギギギギギギギギギギギギギギギギギギ
ギギギギギギギギギギギギギギギギギギギギィィィィィィィィィィィィ
真蒼「…」
フラッ
バタンッ
シューーーーーーーー
余賀「…?」
余賀「…生きてる……」
余賀「俺…生きてる?」
余賀「俺…無事に生きてるっ!」
余賀「…でも、どうして……」
キュイイイイイイイイン
余賀「…ガード?」
ジェルジュ「グルルルル」
余賀「ジェルジュ…!!!」
ダキッ!!
「余賀…さん…?」
余賀「…!」
余賀「ムアさん!」
余賀「良かった…無事ですね!」
ムア「ええ…一応は…真蒼も…」
真蒼「…まあね」
余賀「そうか…良かった…本当に良かった」ホッ
真蒼「!」
真蒼「何よ!別にあんたには関係ないでしょ!」
余賀「?」
余賀「…それより!」
余賀「三國さんは!?」バッ
キュイイイイイイイン
Q「…」
三國「…」
三國「……Q」
Q「…」
Q「分からないのです」
Q「…分からないけど」
Q「あなたをまもらなければいけないきがしたのです…」
Q「あなたをまもりたいきがしたのです」
三國「…」
余賀「…三國さん!大丈夫ですか!?」
三國「…」
三國「……ああ」
三國「Qのお陰でな…」
余賀「…」
余賀「…そうですか」
余賀「ありがとう、Q」ペコリッ
Q「?」
Q「…なぜあたまをさげるのか」
Q「わたしにはわからないのです」
余賀「ハハハ、Qらしいな」
Q「?」
三國「…」ハハ
三國「…そういえば」
余賀「真坂木…ですね」
真坂木「…」シュー
真坂木「何とかダイレクトで相殺する事により防げましたが」
真坂木「これは…」
真坂木「…」
ザッ
余賀「…真坂木!」
真坂木「…やあ」
余賀「…三國さん」
三國「…」
三國「……ああ」
余賀「…」
三國「…止めだ……真坂木…!」
余賀・三國「「…ダイレクト」」
余賀・三國「「…1円」」
『『DIRECT』』
真坂木「あはははははは」
真坂木「これで斬られて終わりか!??」
三國「…」
余賀「…」
三國・余賀「これで…」
三國。余賀「…終わりだっ」
ザッ…シュ
余賀・三國「「…ダイレクト」」
余賀・三國「「…1円」」
『『DIRECT』』
真坂木「あはははははは」
真坂木「斬られて終わりか!??」
三國「…」
余賀「…」
三國・余賀「これで…」
三國・余賀「…終わりだっ」
ザッ…シュ
『∞』
『CLOSING』
『YOU HAVE CONTROL』
余賀「…終わった…のか……」
三國「ああ…」
余賀「…勝ったんだよな」
三國「ああ…」
余賀「…」バタッ
ダキッ
余賀「?」
ムア「大丈夫ですか!?」
余賀「…はい……俺達…勝ちましたよ…」
ムア「ええ!」ウルッ
余賀「……」
余賀「…」
真蒼「ちょっと!」
余賀「?」
真蒼「いつまで寄り掛かってんのよ!」
余賀「ああ!ごめんごめん!」
タンッ
真蒼「…全く!」
三國「はは…」
三國「…」チラッ
Q「…」ジー
三國「Q!」
三國「……俺と来るか?」
Q「…」コクッ
三國「そうか」ハハ
余賀「…それにしても!」
余賀「お手柄だったぞ!…ジェルジュ!!」
ジェルジュ「グルルルルルル♪♪」
余賀「よーし!よし!」
ナデナデ
余賀「…やったんだな」
余賀「……俺達…やったんだな・・・!!」
ということで
ひとまずこのSSの主要部分は終わりです
支援してくれた人や保守してくれた人は
本当にありがとうございました
これから少し質問に答えて
エピローグに入りたいと思います
乙!!面白かった!!
エピローグも期待してます!
余賀「…」
余賀「…戻ってきたな」
三國「そうだな」
ムア「ええ」
ジェルジュ「グルルル」
真蒼「…一応ね」
Q「…帰ってきたのです」
真坂木「それにしても疲れましたね」
余賀「…全くだ、早く風呂にでも入りたいよ」
真蒼「…お風呂?」
余賀「ああ、アセットは知らないのか…」
余賀「風呂って言うのは」
余賀「大きな箱にお湯を入れて自分が入るんだよ」
真蒼「は!?馬鹿じゃないの!」
真蒼「…そんなことしたら服が濡れちゃうじゃない!」
真坂木「いやいや服は脱いでおくんだよ」
真蒼「それって裸ってこと!?」
真蒼「変態っ!変態っ!!変態っ!!!」
余賀「…いやいや、ちょっと待て」
余賀「変態とかじゃなくてな」
ムア「そうですよ人間なら当然の行為なのです」
余賀「そうなんですよね~」
ムア「ハハハ」
真蒼「…」
ゲシッ
余賀「痛っ!」
余賀「…何すんだよ!」
真蒼「…気に喰わないのよ、あんたの目」
余賀「…お前なぁ」
真蒼「…」
真坂木「まあまあそう言わずに」
真蒼「…だって…」
真蒼「こいつっ…!」
真蒼「…って!」
余賀「…え?……」アゼン
三國「……」
真蒼「…」
ムア「…お前っ!」ギリッ
真坂木「皆さん~」
真坂木「さっきぶり~~~♪」
ムア「…」ダッ!
ガシッ
ムア「!?」
余賀「…落ち着いて」
ムア「グッ」
三國「…どうしてお前が?」
真坂木「…と申されましても」
真坂木「別に私は破産したわけでもありませんし」
真坂木「というかゲームの支配人が退場など」
真坂木「…有り得ません」ニヤリ
三國「…そうか……」
三國「少なくとも俺はお前を」
三國「殺すつもりで闘ったんだがな」
真坂木「まあ」
真坂木「まあ」
真坂木「そう怖いことを仰らずに」
真坂木「金融街の管理人は」
真坂木「私達以外にはありませんので」
ムア「…」ブルブル
余賀「…」
余賀「真坂木」
真坂木「はい?」
余賀「どうして俺達の目の前に現れた?」
余賀「まさか、おちょくるためか?」
真坂木「いえいえ」
真坂木「滅相もございません」
真坂木「あなた達だけでは」
」
真坂木「次にどうしたら良いか分からないのでは?」
真坂木「そう思って来ただけですよ」
ムア「…ない」
余賀「…」
ムア「いらないっ!」
真坂木「はい?」
ムア「お前の助けなんて…いらない!!!」
ムア「返せ!」
ムア「お前を倒すために皆必死だったんだ」
ムア「宣野座さんを帰せ!!!」
Q「・・・」
真坂木「ははは、宣野座様も愛されたもんですね」
真坂木「まさか」
真坂木「落ち目のアントレとは思えない」
ムア「そうだっ!」
ムア「私は…」ヒグッ
ムア「宣野座さんが大好きなんだっ!!」
余賀「…」
真坂木「そうでございましたか」
ムア「そうでございますなんだ!!」
真坂木「だそうですよ、宣野座様」
ムア「だそうですなんだ!!」
宣野座「ああ…そうなんだ」ハハハ
余賀・三國・真蒼「!!!」
ムア「…」ヒグッ
ムア「…宣野座さん…」ヒグッ
真坂木「…あの」
ムア「なんだ?」
真坂木「宣野座様なら…ここにいますが……」
ムア「…は?」
宣野座「…ということでね、へへ」
宣野座「…あはは、僕もどういうわけか」
宣野座「帰って来ちゃった」テヘペロ
一同「ポカーン」
一同「…」
一同「…?」
一同「ええぇええ!???」
ムア「え、え、え?」
ムア「えええええ!!」カァァァ
余賀「おいおい…どうなってんだよ」
三國「…さあ」
真蒼「ポカーン」
真坂木「それぞれで」
真坂木「話しても埒があきませんので」
真坂木「どうです」
真坂木「私が解説役を申し出て良いでしょうか?」
三國「…頼む」
真坂木「確かにあの時」
真坂木「宣野座様は破産され」
真坂木「金融街を追放になりました」
真坂木「しかし」
真坂木「戻ってきた」
真坂木「なぜか?」
余賀「…」ジー
宣野座「あははは…、僕にもさっぱり」
真坂木「それは」
真坂木「単純な事です」
真坂木「一度は資産を全て失ったので金融街から追放しようとしましたが」
真坂木「間一髪」
真坂木「[取引]中の彼に大量に投資をする者が現れて」
真坂木「何とか」
真坂木「一命を取り留めたんです」
宣野座「…そうだったの?僕」ハハハ
余賀「…!」
余賀「まさか…三國さんが!?」
三國「いや!俺じゃない!」
三國「大体」
三國「あの時、俺達の財産は底で繋がってるような状態だった」
三國「誰かが金を動かせばすぐに皆に知れるさ」
余賀「…だよね」
三國「という事は外部か…」
三國「しかし…この状況で俺達を支援なんて…」
三國「まさか…」
三國「聖沢達か!?」
真坂木「…三國様」
真坂木「あなたも人の上に立つ存在であるなら」
真坂木「敵味方の区別は敏感につけれるようになってください」
「もういいです」
「何か出て来ないようなんで」
「俺が自分から名乗ります」
一同「…お前……!!」
Q「…」キョウミナシッ
ジェルジュ「グルル?」
真蒼「…?」
カリュマ「…」
ムア「えっと…」
宣野座「誰ですか・・・?」
余賀「あっ!…モヒカンの人っ!」
三國「…お前」
三國「進藤か!!」
進藤「はい」
進藤「…お久しぶりです」
進藤「三國さん…」
三國「進藤…お前、どうして」
三國「俺のやり方にはついてこれないんじゃ無かったのか…」
進藤「…正直そう思ってました」
進藤「余賀…」
余賀「…」
進藤「…お前に三國さんの意志が曲げられたからな」
進藤「三國さん…」
進藤「俺達の進む道は」
進藤「こんなガキ一人に阻まれるほどやわな道ではないでしょう」
三國「…」
三國「俺は…余賀公麿に敗北した」
三國「…それだけだ」
進藤「…」
進藤「…本当にそうですか」
三國「…」
進藤「あなた」
進藤「試合の途中で負けを認めたんじゃないですか」
三國「…」
進藤「俺は」
進藤「三國さんには自分の道を貫いて欲しかったです」
進藤「例え相手が強くても」
進藤「資産がある限りは俺達の…ギルドの意志を貫いて欲しかったです」
進藤「相手に同情したぐらいで閉ざされる道なら」
進藤「最初から目指すべきじゃない」
三國「…俺は……同情なんて…」
進藤「…」
三國「…」
進藤「…」
三國「……なあ」
進藤「?」
三國「じゃあ、なんで俺を…俺達を助けてくれたんだ?」
進藤「…」
進藤「…分かんないです」
進藤「本当は助ける気なんて」
進藤「一切持ち合わせていない…つもりだったんです」
進藤「でも何か…体が勝手に」
三國「…」
三國「…そうか」クスッ
三國「……なあ、進藤」
三國「お前もさ、こっちに来ないか」
進藤「…」
進藤「…三國さん」
進藤「馬鹿言っちゃあいけないです」
三國「…」
進藤「もう三國さんには進むべき道がある」
進藤「もう俺じゃあ手の届かないステージに進むんでしょ」
三國「…」
進藤「それに…新しい仲間だって」
余賀「…」
進藤「だから」
進藤「…だから」
進藤「…俺は、今日」
進藤「別れの挨拶に来ましたっ」
三國「……っ!」
三國「…」
三國「そうか…分かった」
進藤「…」
進藤「三國さん」
進藤「本当に…」ガタ
進藤「本当に今まで」ガタガタ
進藤「ありがとうござましたっ!」
余賀「行っちゃったね…」
三國「…ああ」
余賀「…」
三國「…これで良かったんだ」
三國「……これでっ…」
真坂木「…」
真坂木「彼」
余賀「…?」
真坂木「進藤基様は」
真坂木「これから新しい仲間と」
真坂木「今度は社長として」
真坂木「再出発するそうですよ」
三國「…そうか」
三國「…それが良い」
真坂木「進藤様より伝言を預かっております」
三國「…?」
真坂木「恐らく面と向かってしまったら言えないだろうから」
真坂木「との事です」
三國「…そうか、言ってくれ」
真坂木「では僭越ながら…」
真坂木「〈おい!三國!〉」
三國「!」
真坂木「〈本当に宣野座という男が倒れたときに俺がスラッシュして〉」
真坂木「〈投資したのが分かったのか!〉」
真坂木「〈そうだとしたら、お前も大した事は無い〉」
真坂木「〈いつか…お前を越える男になってやる!〉」
真坂木「…との事です」
三國「…」フッ
三國〈進藤…いつまで経ってもお前は俺の右腕で相棒だよ〉
ムア「…でも、これで謎は解けましたね」
真坂気「…」ジー
ムア「…」
真坂木「…」ジー
ムア「…」
真坂木「・・・」ジーーー
ムア「……あの!」
真坂木「何か?」
ムア「あの…先程は…」
ムア「…すいません……でした」
真坂木「いえいえ!」
真坂木「まさか!」
真坂木「謝ってもらえるとは!!」
ムア「…」
三國「…いや、分からないことはまだ残っている…」
余賀「…」
三國「…おい、真坂木!」
三國「これに関しては…」
三國「お前とサシで話をしたい」
真坂木「…」
「そんなのだめっ!」
三國「…!」
真蒼「ここまで来たら全てを打ち明けるのが仲間でしょ!」
三國「・・・」
三國「仲間…か」
三國「…」
三國「……」
三國「…わかった」
三國「…」
三國「真坂木!訊きたい事がある」
真坂木「…なんでございましょう」
三國「…」
三國「…Qの事だ」
真坂木「…と申しますと?」
三國「…彼女は…Qは……」
三國「俺が公麿と戦って失った[未来]…で間違いないか」
Q「…」
真坂木「ええ」
真坂木「[輪転機]が廻った後」
真坂木「このアセットは…」
真坂木「……アセットに[様]をつけるのは」
真坂木「本来したくないのですが」
真坂木「Q様は」
真坂木「当面の処置として[輪転機]に入れられました」
真坂木「というのも」
真坂木「Qさまの所有権が」
真坂木「前極東金融街でもなく」
真坂木「現極東金融街でもないというように」
真坂木「複雑になってしまっていたので…」
三國「しかし」
三國「以前公麿と闘ったときのQは」
三國「戦いの最後に」
三國「記憶を取り戻していたようだったんだが…」
真坂木「…」
真坂木「それに関しては私としても分かりかねます」
真坂木「[輪転機]に入れられた際に衝撃で記憶を無くしたのか…」
真坂木「それか元々記憶をとり戻しては無いという事もあります」
三國「…そうか」
三國「いやな…」
三國「公麿と戦って分かったんだが」
三國「Qの…フレーション自体は変わってないんだが」
三國「Qの本性がどうにも」
三國「…おとなしくなったというか」
三國「Qが単体でも大丈夫…というか」
真坂木「なるほど」
真坂木「…」
真坂木「…それは単純に」
三國「…単純に?」
真坂木「Q様の中の妹様の部分が出てきているのではないでしょうか」
三國「…妹の部分?」
真坂木「お忘れですか…?」
真坂木「前金融街において」
真坂木「凶暴なQ様が戦っていたのはアセットとしての本能でございます」
真坂木「そんな……かの…じょ…も」
真坂木「余賀様との闘いを通して」
真坂木「今までの状態ではあなたの為にならない」
真坂木「…そう申しました」
真坂木「それは…三國様を思いやる…」
真坂木「妹様としての心なんじゃないですかね」
真坂木「…アセットとして資産を増やすのではなく」
真坂木「妹として兄を思いやる…」
真坂木「そして」
真坂木「先程において」
真坂木「おとなしくなられたというなら」
真坂木「Q様は着実に貴子様に近づいているという事ですよ」
三國「…Qが…貴子に」
真坂木「もちろん」
真坂木「三國様としては」
真坂木「Q様にも愛情があるでしょうが」
真坂木「妹の心をしたQ様なら」
真坂木「文句のつけようは無いですよね?」
三國「…まあな」
真坂木「なら良いではないですか」
真坂木「…」
真坂木「記憶の糸は断ち切れたように見えて」
真坂木「実はまだ紡がれているのですよ」
三國「…それはどういう意味だ、真坂木」
真坂木「…」
真坂木「先程、Q様は言いました」
真坂木「〈兄さん〉と言いました」
三國「…」
真坂木「その前後の言葉はよく分かりませんでしたが…」
三國「・・・ああ、それは良いんだ、俺には分かる」
真坂木「Q様の記憶はQ様の中にだけあるわけでは無いという事です」
三國「…意味がよくわからないが」
真坂木「わかりませんか」
真坂木「貴子様が三國様の[未来]でQ様がその体現だとするならば」
真坂木「Q様に宿る記憶はQ様だけのものではないでしょう」
三國「…」
真坂木「貴子様の記憶はもちろん…」
真坂木「三國様…あなたの記憶もですよ」
真坂木「それどころか」
真坂木「お父様やお母様」
真坂木「病院の方も」
真坂木「Q様には」
真坂木「関係のある多くの人の記憶がつまっているんですよ」
三國「…」
三國「…」チラッ
Q「…」スヤスヤ
三國「…なるほど」
真坂木「…」
真坂木「アセットとアントレという関係ですと」
真坂木「…どうにもしっくりきませんがね」
真坂木「Q様には妹様に通じる何かが必ずあります」
真坂木「Q様をアセットだけではなく」
真坂木「パートナーとしても見てみたら良いんじゃないですか」
真坂木「幸運にも」
真坂木「ここに」
真坂木「アセットと恋に落ちた少年もいますしね」チラッ
余賀「…」
余賀「…って俺かよ!」
三國「…では」
真坂木「本題…ですか」
余賀「…」
三國「ああ」
真坂木「さすがにこれは機密事項なのでお二人にしか話せませんが…」
真坂木「…よろしいですね」
真蒼「…」ゴクッ
真蒼「と、とくべつよ…!」
真坂木「では」
真坂木「少し場所を変えます」
バッ
真坂木「…ではお話しますか」
余賀「そう言えば…元々の目的はこれだったな…」
真坂木「…」
ゴホンッ
真坂木「あなた方が次に闘う場所は」
真坂木「通称[統金]」
真坂木「正式名称[全世界統合金融街]です」
三國「…」
余賀「…まさか、本当にあるとはね…」
三國「……存在は大体見当がつくさ」
三國「それぞれの金融街で通貨が違うんだから」
三國「それをまとめ上げる金融街なり組織は必要となる」
三國「…そして俺達があの日に見た」
三國「神みたいな人間と、それに連なる9人の真坂木を繋げれば」
三國「どう考えたって間違いなく統合組織はあるだろうよ」
真坂木「…」
真坂木「一応」
真坂木「彼らは私とは別人なんですが…」
真坂木「まあいいか」
真坂木「では」
真坂木「説明を続けます」
真坂木「統金のアントレ人数は50人」
余賀「50人?…少なっ」
真坂木「その多くが[北米]もしくは[NY]の金融街でございます」
三國「…」
真坂木「…」
真坂木「一応」
真坂木「彼らは私とは別人なんですが…」
真坂木「まあいいか」
真坂木「では」
真坂木「説明を続けます」
真坂木「統金のアントレ人数は50人」
余賀「50人?…少なっ」
真坂木「その多くが[北米]もしくは[NY]の金融街出身者でございます」
三國「…」
真坂木「ディールは月一度」
余賀「たったそんだけかよっ」
真坂木「基本的なルールは[極東]と変わりませんが」
真坂木「ただ使用するアセットは…3体」
三國「…!」
真坂木「これまでとは比べ物にならないほどの」
真坂木「緻密で速やかな計算が求められます」
真坂木「…そして司令能力も」
余賀「…」
真坂木「もちろん1ヶ月間準備しますから」
真坂木「国単位でディールの陣営に分かれることもあります」
真坂木「例えば」
真坂木「片方が米日派でもう片方が中国派のように」
真坂木「一回のディールで国単位の規模が動きます」
余賀「…」
真坂木「そして統金の資産総額は…200兆」
余賀「200兆…200兆!!?」
三國「…それはまた」
余賀「おい!俺達の昔の金融街ってどんくらいだっけ!!」
三國「落ち着け…」
三國「お前がハイパーインフレを起こす前は・・・」
三國「街の資産は7兆」
三國「人数は3600人ってところだったな…」
余賀「…」
三國「…」
余賀「…」
三國「…」
余賀「…これってやばくね?」
三國「…」
三國「…しかし」
三國「これ以外日本を救う道は無い」
三國「奴らから出来るだけ金をふんだくる!」
三國「…それだけの事だ」
余賀「…それだけって…」
三國「公麿…お前忘れてないよな…」
三國「俺との約束」
余賀「…はい」
真坂木「覚悟は決まりましたね」」
真坂木「極東金融街…前ですが」
真坂木「そこからはすでに2人が統金へ進出しております」
真坂木「彼らと協力して頑張ってください」
三國・余賀「…」
三國・余賀「…はいっ!」
三國「…それで、真坂木」
三國「頼みがある」
真坂木「Qの事ですか」
三國「ああ、Qを正式に俺のアセットにしてくれ」
三國「頼むっ…」
真坂木「…」
真坂木「まあ仕方ありませんよね」」
三國「本当か!?」
真坂木「あまりに弱い者を統金に上げると」
真坂木「私の信用問題になりますから」
三國「すまない!恩に着る!」
余賀「…」
三國「お前は帰らないのか」
余賀「…まだ真坂木に話しがあるから」
三國「…そうか」
三國「じゃあ先言ってるぞ」
バッ
余賀「…」
真坂木「それで話とは」
余賀「…なあ真坂木」
余賀「お前今回の騒動の事どう思う?」
真坂木「…どうというと?」
余賀「紆余曲折はあったけど」
余賀「結局誰も何も失う事なく」
余賀「オレ達は本当に色々なものを手に入れ」
余賀「大切な出会いをした」
余賀「俺は統金への切符とムアさん達との出会いを」
余賀「そして…」
真坂木「三國様は統金への道と…Q様」
真坂木「そう言いたいのでしょうか」
余賀「言っちゃなんだが」
余賀「貴子さんは病気だった」
余賀「そりゃ、三國さんの親父さん次第では治ってたかもしれないけど」
余賀「恐らく普通の人より早く死んでいただろう」
余賀「…」
余賀「…確かに彼女は目覚めなくなり」
余賀「三國さんは嘆き悲しんだだろうが」
余賀「その代わりQという」
余賀「健康そのものの」
余賀「三國さんの寿命に合わせて生きられるアセットを手に入れた」
真坂木「しかしQ様は三國様の妹では」
余賀「お前が言ったんだろ」
余賀「Qには三國さんの妹がやどってる」
余賀「健康な三國さんの妹が」
余賀「…まあ」
余賀「それも俺との戦いで失った」
余賀「…あの時の会話はな…」
余賀「〈本来行くべき所へ行くがいい〉」
余賀「〈また、あなたのそばにいられたらいいのです〉」
余賀「〈それは出来ない…すまんな…Q!〉」
余賀「あの時三國さんは諦めてたんだ」
余賀「本当の妹は病気で長くは生きられない」
余賀「意識も戻らない」
余賀「そして」
余賀「アセットのQとも別れなくてはいけない」
余賀「Qの行く先は三國さんも分かってた」
余賀「もう2度と会えない事だって分かってたんだ」
余賀「…だが再会した」
余賀「再会した時はひどいもんだったけど」
余賀「今じゃ仲良くやってるし」
余賀「さっきは正式にアセットにした」
余賀「…」
真坂木「…あまり」
真坂木「要領を得る話ではありませんね」
余賀「つまり…」
余賀「…いや!だから」
余賀「お前は…真坂木は!」
余賀「放っておけなかったんじゃないのか!?」
余賀「あの二人が不憫で仕方無かった」
余賀「だから…金融街へ呼んだんだ」
余賀「本当は金を欲してたからじゃない…」
余賀「会うべき人に、一緒に居るべき人に引き合わせるために」
余賀「金融街へ招く人間は選んでいると」
余賀「それなら」
余賀「その基準は…」
真坂木「…」
真坂木「…」ププッ
真坂木「あははは」
真坂木「あははははははははは」
真坂木「面白い事言いますね」
真坂木「余賀さんは?」
真坂木「私がそんな人間に見えますか?」
真坂木「…そんな無駄な事」
真坂木「私はしません」
余賀「…」
余賀「…それなら」
余賀「誓約書…」
余賀「本当に元々誓約書なんて金融街にあったのか」
余賀「…俺は全く聞いた事がなかったけどな」
真坂木「…それは余賀様が寡聞なだけかと」
余賀「…」
余賀「…」
真坂木「そうずっと睨まれても困ります」
真坂木「知らない事は」
真坂木「知りませんから」
余賀「…そうだな」
余賀「…それじゃあ」
余賀「そろそろ俺は行くよ」
真坂木「そうでございますか」
真坂木「次からはそんなお人よしの考え方は持たぬように」
余賀「…」
余賀「あ、そうそう」
余賀「真坂木」
真坂木「何ですか」
余賀「お前あの時…金融街崩壊の時に」
余賀「サトウさんとか竹田崎とかがどうなったか知らない?」
真坂木「は?」
真坂木「お亡くなりになられてんじゃないんですか」
余賀「…いや」
余賀「…」
余賀「…やっぱりそうなのかな」
真坂木「ええ」
真坂木「サトウ様は三國さんとの闘いに破れ破産」
真坂木「[未来]を余賀様に託した後」
真坂木「竹田崎さんとともに」
真坂木「[現在]により選別を受けて」
真坂木「光に包まれて消えたと思いましたが」
真坂木「お亡くなりになられてんじゃないんですか」
余賀「…いや」
余賀「…」
余賀「…やっぱりそうなのかな」
真坂木「ええ」
真坂木「サトウ様は三國様との闘いに破れ破産」
真坂木「[未来]を余賀様に託した後」
真坂木「竹田崎様とともに」
真坂木「[現在]により選別を受けて」
真坂木「光に包まれて消えたと思いましたが」
真坂木「といっても」
真坂木「竹田崎様は別に破産したわけでもないですし」
真坂木「生きてるかもしれませんが」
真坂木「訊きたいのは」
真坂木「そちらではないでしょう?」
余賀「…」
真坂木「ただ」
真坂木「わかりませんね」
余賀「…?」
真坂木「ジェルジュさ…まのフレーションは覚えてますよね」
余賀「…」
『E・B・O』
そして
『MERGERS AND ACQUISITIONS』
どちらも
入れ替わりなどで目を欺く技です
もしかしたらどこかでいきているかも
余賀「…それにしても」
余賀「何でサトウさんのアセットは形と記憶を保ったのか」
余賀「何で俺に懐くのか」
余賀「ジェルジュがサトウさんの未来だっていうなら」
余賀「俺はサトウさんと共に統金を勝ち抜いてみせる」
余賀「長かった話もそろそろ終わりだ」
余賀「残るは…」
余賀「ムアさーん!」
ムア「はあ…何ですか」
余賀「暇なら今度食事でもどうでしょうか?」
ムア「はあ…良いですけど」
余賀「ムアさんとの親交は続いている」
余賀「俺は恥を捨ててムアさんにアタックし続けている」
余賀「ムアさんも宣野座の事は師匠として好きだと言ってたし」
余賀「…大丈夫なはず」
余賀「…残る問題は、真蒼」
余賀「もし彼女が真朱と同じ俺の子供なら」
余賀「何とか[未来]に」
余賀「真朱のいるところにかえしてあげたい」
余賀「だから俺は探す」
余賀「親父の見つけたアセットを未来へ還す方法を」
余賀「語るべき事は多い」
余賀「だが、それはおいおい話していけば良い事」
余賀「最後に[C]の問いについて」
余賀「俺にとって金は、それ以上でもそれ以下でも無かった」
余賀「でも、金によって俺は色々な人と出会えたし」
余賀「金による円もあるんだと思う」
余賀「でも金が無力の時もあった」
余賀「やはり金は金であるだけなのだろう」
余賀「金で何をするのかは自分の決断なのだから」
♯12 『CHOICE』〈人生〉 《END》
こんな感じで終わりになります!
見てくれた皆さん!
本当にありがとうございました!!!
最後が尻切れトンボになってすいません
正直最後の方は自分でも何を書いてるのか
よくわかんない感じでした
それにしても
原作なし!深夜アニメ!男ばかり!1クール!
という[C]なんで
正直SSにするのはどうかと思ったというか
皆様が知っているのか?というのはありましたが
若干
終わり方が複雑だったので
僕なりに
続きを書いてみました
では
本当にありがとうございました!!
乙!
Entry ⇒ 2012.01.21 | Category ⇒ 版権物SS | Comments (0) | Trackbacks (0)
綯「1日ラボメン見習い……?」岡部「そうだ!」
「恨むなら、お前を俺に預けたミスターブラウンを恨むのだな、フゥーハハハ!」
綯「あの……オカリンおじさん」
岡部「おじさんではない、鳳凰院凶真と呼べ」
綯「うう……」
……どうしよう、困っちゃったな。
あ、自己紹介がまだでした。
皆さんこんにちは、天王寺綯です。
今日は日曜日、お休みをお父さんと一緒に過ごそうと思っていたけど……。
http://hibari.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1317551619
綯「1日ラボメン見習い……?」岡部「そうだ!」
お父さんは秋葉原で、ブラウン管工房というお店をやっています。
お店にはたくさん古いテレビがあって、お父さんはそれらを愛してると言ってもいいくらい大事にしていました。
今日もお父さんと一緒に、お店へと向かいます。
……ですが、お店まで着いた途端、お父さんに電話が入りました。
天王寺「綯、急な仕事が入っちまってな。今日は一緒にいれねえんだ」
お父さんの仕事は正直暇そうですけど、たまにお客さんからの呼び出しがあったりして忙しいこともあります。
そんな日はお父さんと一緒にいれないから、ちょっぴり残念だなあ。
でも、私も来年から中学生。1人でお留守番なんてへっちゃらです!
天王寺「さっきメールがきてな、あいつ風邪引いたから今日は休むって。全く、健康管理がなっちゃいねえぜ」
萌郁お姉さんは、最近お店に入ったバイトさん。無口なところがあるけれど、とっても優しい人です。
でも、風邪を引いたなんて、心配だな。
綯「私、お見舞いに行きたい!」
天王寺「お見舞い? まあ、別にそれは構わねえが、バイトの家がどこだか知ってるのか」
あ……そういえば、私お姉さんの家がどこにあるか知らなかった。
天王寺「ああ、もしかしたらまゆりちゃんが知ってるかもな」
まゆりお姉ちゃん。いつも明るくニコニコしていて、私も大好きな人。
天王寺「そうだな――綯、もしお見舞いに行きたかったら、まゆりちゃんに頼んでみてもいいぞ」
綯「ほ、ホントに?」
まゆりお姉ちゃんと一緒なら、私も心強いな。
岡部「……なぜそれを、俺に頼むんです?」
天王寺「しかたねえだろ、お前しか部屋にいねえんだから」
私はお父さんの背中に隠れて、そんな2人の様子をじっと覗いています。
お父さんとお店の2階――未来ガジェット研究所を訪れると、まゆりお姉ちゃんはまだ来ていなかったようでした。
そして、代わりにいたのがこの人。
岡部「お断りします。俺は忙しいのだ」
ボサボサの頭に、しわだらけの白衣。
岡部倫太郎さん、通称オカリンおじさんです。
岡部「ミスターブラウン、娘の教育はちゃんとしていただけませんか? おれはおじさんじゃないと何度言ったら」
天王寺「いちいちうるせえな。オッサン臭い見た目してるお前が悪い」
お父さんが指の関節をポキポキ鳴らすと、オカリンおじさんは急に黙り込んでしまいました。
いつもは優しいお父さんも、私とブラウン管のことになると熱くなり過ぎるところがたまに傷です。
天王寺「とにかく、今日1日だけでいい。俺もすぐ行かねえと」
岡部「うぐ……分かりました。その代わり、今月の家賃は」
天王寺「待ってやってもいいが、びた一文負ける気はねえ」
岡部「なっ――!」
……どうやら、話はまとまったようです。
岡部「人を暴漢みたいに言わないでもらえますか? きちんと預かりますから」
天王寺「……本当に、何かしたらぶっ殺すからな」バタン
お父さんがいなくなると、急に静かになってしまいました。
綯「えと……今日は、よろしくお願いします」
岡部「うむ」
正直、オカリンおじさんとはあまり話したことがありません。だって、いつよく分からないことを言っていて怖かったから。
最近教えてもらったのですが、そういうのを『厨二病』と呼ぶそうです。
そんな病気があるなんて、全然知りませんでした。
綯「…………」
……何か話さないと、やっぱり気まずいな。
すると、オカリンおじさんが携帯を取り出しました。
岡部「俺だ――今、強力な精神攻撃を受けている。これは機関の『空間氷結(エアーフリーズ)』が発動している可能性が……」
「なに、お前たちが作戦を遂行する時間は稼げる。だが、早急に対策を練らねば。エル・プサイ・コングルゥ」
誰と話してるんだろう? 話の内容も、私にはよく分かりません。
岡部「……さ、さて、小動物よ」
突然オカリンおじさんが、私を指差します。
フゥーハハハ! と大きな笑い声を出すオカリンおじさん。
でも、実験台って……。もしかして、痛いことされるの?
どうしよう、足がすくんで動けない。オカリンおじさんて、ホントに危ない人じゃ――。
岡部「天王寺綯!」
綯「ひっ――」ビクッ
岡部「お前を、今日1日ラボメン見習いとする!」
――――――――――――――――――――――――――――――
というわけで、よく分からないうちに私はラボメンにされてしまいました。
綯「……わかりました」
もう少しすればまゆりお姉ちゃんも来るだろうし、素直に従った方がよさそうです。
そういえば、ここって何をしてるところなんだろう? そもそもラボメンって何?
岡部「ここ未来ガジェット研究所では、機関の攻撃に備え、世界の支配構造を塗り替えるための研究を行っている!」
「お前も1日限定とはいえラボメンになったのだから、ラボの繁栄のために尽力してもらおう」
じ、尽力って……結局、何も分からずじまいです。
そう言って、オカリンおじさんは何かをごちゃごちゃと取り出してきました。
岡部「まずはこれだ、未来ガジェット1号機『ビット光線銃』!」
ものすごく得意げに取り出したのは、おもちゃの光線銃。
綯「なんですか、これ?」
岡部「これは見た目はただの光線銃だが、実はテレビのリモコンが内蔵してある」
綯「へえー」
さっき研究って言ってたけど、色々なものを作ってるんだ。
岡部「勿論だ、テレビはそこにある」
オカリンおじさんがテレビの電源を付けたので、さっそく引き金を引きました。
綯「すごい、チャンネルが変わった!」
岡部「そうか! お前にはこれの価値が分かるのだな。クリスティーナ達とは大違いだ」
綯「あれ? でもこれって、他の操作は……」
岡部「うむ、残念ながら、チャンネル送りしか出来んのだ」
綯「そ、それだけですか」
……ショボい。
岡部「それは未来ガジェット2号機『タケコプカメラー』だ。動力なしで上空からの撮影が可能になっている」
「しかし、カメラも一緒に回転するから、映像を見ると高確率で酔う」
綯「……なんに使うんですか、そんなもの」
岡部「分かってないなあ小動物よ! 世紀の大発明とは得てして偶然から生まれるものなのだよ」
……そう言えば、お父さんが言ってました。
天王寺『いいか綯、あいつは下らないモンばっか作ってる変わり者だからな、あまり関わり合いになるなよ』
今、その言葉の意味が良く分かった気がします。
ダル「ふー、疲れた」
岡部「おお、ダルか」
綯「お、おはようございます」
ダル「あれ……オカリン、自首するなら今のうちだお。ブラウン氏に殺されるより留置所の方が」
岡部「ウェイウェイウェイ! 勘違いするなよダル、これはミスターブラウンに頼まれたのだ!」
この人はダルおじさん。正直、オカリンおじさんと同じくらいこの人は苦手です。
ダル「ほうほう、綯氏がラボメン見習いね。つーか、なにさせる気?」
「まさか、未来ガジェットの実験台としてあんなことやこんなこと……ハア、ハア」
綯「ひう――!」
ダル「フヒヒwwwサーセン」
綯「うう……」
なんだか、すごく嫌なオーラを感じます……。
岡部「……小動物よ、そろそろ離れてくれないか」
綯「え?」
気が付いたら、私はオカリンおじさんの後ろに隠れて、しわしわの白衣の裾を握りしめていました。
綯「あ――」バッ
岡部「そ、そこまで飛びのかなくても……」
ダル「オカリンの嫌われ具合も中々」
岡部「黙れこのHENTAIが!」
岡部「愚問だな、俺の労働の対価としてこいつにも働いてもらう」
ダル「ははー、気まずくなってまた厨二病暴発したんだろ? ちっちぇー、人としての器がちっちぇーよオカリン」
岡部「う、うるさい! 余計なお世話だ」
オカリンおじさんは顔を真っ赤にして言い返します。
……もしかして、図星だったのかな?
岡部「そ、そんなことより、お前がまゆりより早く来るとは珍しいな」
あ、話そらした。
岡部「そ、そうだったか?……それよりも、何故お前はまゆりのシフトを知っているのだ」
ダル「行きつけの店の情報ぐらい全部把握してるって! まあ、僕の目当てはフェイリスたんだけど」
ふーん、まゆりお姉ちゃん、バイトなんだ。
あれ、それじゃあ萌郁お姉さんのお見舞いに行けない! ど、どうしよう……。
綯「あ――あの!」
岡部・ダル「「ん?」」
突然大声を出してしまったので、2人の視線が痛いです。
お、怖気づいちゃダメ! 勇気を出さなきゃ……。
綯「お2人に、お話があります……!」
――――――――――――――――――――
岡部「萌郁が、風邪を引いた?」
ダル「ほうほう、それでお見舞いに行きたいと――僕もょぅι゛ょに見舞われたい!」
岡部「ダル、少し自重しろ」
綯「それで、あの――」
岡部「分かっている、俺もさすがに心配だ」
綯「萌郁お姉さんのおうち、どこなのか教えてほしいんです……だめ、ですか?」
ダル「ょぅι゛ょの上目遣いでお願いキター!!! まったく、小学生は最高だぜ!」
うう、お父さん、ダルおじさんはやっぱり怖いです……。
ダル「確かお昼前には終わるはず。それまで待つ?」
岡部「いや、今からならメイクイーンにいた方が早いかもな」
「小動物よ、お前に最初のミッションを与えよう!」
「ラボメンNo,005、桐生萌郁の治療。それが、お前に課せられた使命だ!」
ミッション? 私はただ、お見舞いしたいだけなのに。
ダル「綯氏、これはもうオカリンの病気みたいなものだから。スルー推奨だお」
……オカリンおじさん、やっぱり病気なのかな。
結局私たちは、まゆりお姉ちゃんを訪ねてバイト先のメイド喫茶までやってきました。
私、メイド喫茶なんて初めてだ。まさか、オカリンおじさんたちと来ることになるなんて、思ってもみなかったです。
フェイリス「お帰りニャさいませ、ご主人様♪……ってあれ? 凶真!」
岡部「うお! いきなり抱き着こうとするな暑苦しい!」
ダル「オカリン、小学生と戯れてさらにはフェイリスたんまで……許さない、絶対にだ」
この猫耳をしたメイドさんは確か、まゆりお姉ちゃんのお友達のフェイリスさん。
そういえば、この人ともあんまり話したことなかったな。
フェイリス「そろそろ2号店もオープンするから、バリバリ働かないと全然追いつかないのニャ! 凶真も一緒に働かないかニャ?」
岡部「断る。俺が猫耳メイドになる必要性がない」
まあ、確かにそうですね。オカリンおじさんがメイド喫茶で働くなんて、すごく場違いです。
でも一瞬、オカリンおじさんの猫耳メイド姿を想像して――。
岡部『お、お帰りニャさいませ……って猫耳なんてつけられるか!』バシッ
――これはヒドイ。
岡部「どうした? 何だか顔色が悪いようだが」
綯「な、なんでもないです!」
さすがにあんな想像しちゃったなんて、言えるわけないですよね?
オカリンおじさんの後ろから、猫耳がヒョコッと覗きます。
岡部「ああ、ミスターブラウンの娘、天王寺綯だ」
フェイリス「始めまして、ラボメンNo,007、フェイリス・ニャンニャンニャ!」
両手を猫みたいに丸めて、ファイティングポーズをとるフェイリスさん。
フェイリス「……ねえ、ここで働いてみないかニャ? こんなかわいらしいメイドさんなら売上倍増間違いなし――」
……はい?
岡部「おい、こいつを誑かすのはよしてくれ。俺の命もかかっているのだ」
フェイリス「ええー、凶真のいけずー!」プン
フェイリス「そういえば、今日はどうしたのニャ? まさか今日も、世界の支配構造を塗り替えるための作戦会議かニャ?」
岡部「いかにも。今こうしている間にも、機関の魔の手はすぐそこまで迫っている」
フェイリス「ニャニャ!? それなら、このアキバを守る守護結界を強化しないと……機関の企む終末の刻は、いつ訪れてもおかしくないのニャ!」
岡部「なに、この狂気のマッドサイエンティスト、鳳凰院凶真にかかればそんな陰謀を壊滅させるなど造作もない!」
フェイリス「さすが、アキバを守護する四天王の1人。フェイリスも、有事の時には天山山脈で兄弟子を犠牲にしてまで手に入れた、必殺奥義を――」
岡部「……前は、ギアナ高地と言ってなかったか?」
ダル「ぶっちゃけ、僕にもわけわからん。オカリンの話についていけるのはフェイリスたんだけだしなあ」
もしかして、フェイリスさんもオカリンおじさんみたいな人なのかな?……だったら、ちょっと嫌だな。
私が不安そうにしてたからか、ダルおじさんがおずおずと2人に話しかけてくれました。
ダル「なあオカリン、さすがに綯氏がかわいそうになってきたのだが」
岡部「ああ、そうだった。フェイリス、まゆりはいるか?」
フェイリス「マユシィなら奥で接客中ニャ。それでは、3名様ご案内ニャーン!」
綯「好きなもの――ですか」
さっきからメニューを眺めていますが、何だかたくさんあって悩んでしまいます。それに、値段もびっくりするくらい高くて、ちょっと遠慮しちゃうな。
綯「えっと――この『特製オムライス』がいいです」
岡部「そうか、じゃあ俺もそれでいいか」
まゆり「ご注文はお決まりになりましたかニャーン?」
綯「あ、まゆりお姉ちゃん!」
猫耳に長い髪のかつら。いつもと姿は違うけど、その笑顔は私の大好きなまゆりお姉ちゃんのものでした。
綯「トゥットゥルー♪」
ダル「さっきまでの暗い表情が嘘の様だお……悔しい! でも、ビクンビクン」
綯「まゆりお姉ちゃん、実は、お願いが……」
――――――――――――――――――――――――――――――
――――――――――――――――――――
まゆり「ええー! 萌郁さんが風邪? それは心配なのです」
綯「それで私、お見舞いに行きたくて……」
まゆり「うん、萌郁さんの家は知ってるし、まゆしぃも一緒に行くよ!」
あんまり嬉しかったので、2人でハイタッチしてしまいました。
ダル「猫耳メイドとリアルJSのハイタッチ……萌える」
まゆり「ダルくん、鼻血出てるよー? ところで、オーダーはお決まりでしょうかニャ?」
岡部「特製オムライスを3つとオレンジジュース、あとコーヒー2つだ」
まゆり「はい、かしこまりましたニャン。少々お待ちくださいニャーン♪」タッタッ
まゆりお姉ちゃん、忙しそうだな……。むりやり頼んじゃった気がして、ちょっと申し訳ないです。
岡部「……案ずるな、まゆりは、心から萌郁のことが心配なんだろう。遠慮することはない」
オカリンおじさんが私に語りかけます。その声はとてもまじめで、さっきまでの怖い感じとかは全く感じません。
……今日初めて、オカリンおじさんの口から私も分かる言葉を聞いた気がしました。
岡部「それに、まゆりは俺の人質だからな。拒否権など存在しないのだ、フゥーハハハ!」
訂正します。やっぱりいつものオカリンおじさんでした。
フェイリスさんが器用に3つのオムライスを持ってきました。ものすごいバランス感覚です。
綯「――おいしい!」
岡部「うむ、やはりうまいな。ただ萌えを提供するだけにとどまらず、料理にも力を入れているからこそここまで人気が出たのだな」
私のオムライスには、ケチャップで大きく『萌え萌えキュン!!』と書かれていました。
こういうところが、メイド喫茶ならではなのかな……勉強になります。
オカリンおじさんの文字は、すぐスプーンで平らに伸ばされて見れませんでした。
なにか見られると恥ずかしいことでも書かれたのかもしれません。
ダル「オカリン、その癖やめなって。その文字があってこそ、このオムライスの美味しさが際立つのに」
岡部「お前の意見など聞いていない! くそ、『LOVE注入!』とか悪ふざけにもほどがある……!」
オカリンおじさんは、耳まで赤くなっています。
岡部「……メールか」ピッ
From 紅莉栖
Sub 今どこ?
ラボに行ったら誰もいないorz
このまま来ないなら勝手にお昼
食べちゃうから!
ラボにあったカップ麺にしよう
と思うけど別にいいわよね?
岡部「……そういえば、クリスティーナのことをすっかり忘れていた」
綯「なにか、あったんですか?」
岡部「大丈夫だ、問題ない……でも、連絡はしてやらないと」
そう呟いて、携帯をいじりだすオカリンおじさん。その顔は、なんだか少し嬉しそうでした。
まゆり「えっへへー、綯ちゃんの手、ちっちゃくてかわいいねー」ギュッ
岡部「まゆり、言い方が怪しすぎるぞ」
オムライスを食べ終わって、私たちは近くのスーパーで買い物をすることになりました。ダルおじさんは、もう少しお店にいると言っていました。
本当は、直接萌郁お姉さんの家に行こうと思っていたんですが……。
岡部『おい、何か買っていった方がいいと思うぞ』
まゆり『それもそうだねー、風邪なら買い物も大変だもん。買い置きだけじゃ足りないかも』
岡部『……断言してもいいが、指圧師の家にはおそらく買い置きはない!』
まゆり『ええー、さすがにそんなことないとおもうけどなー』
結局オカリンおじさんの提案で、なるべく消化のよさそうなものを買っていくことになりました。
でも、オカリンおじさんの言い方は、まるで萌郁お姉さんの家に行ったことがあるような口ぶりでした。
……もしかしたら、ホントに行ったことがあるのかな?
岡部「今日は特売日のようだったからな。やむを得まい」
レジまでは長い行列ができていて、先が見渡せません。
オカリンおじさんはお米やスポーツドリンクを抱えて何だか辛そうです。
でも、まゆりお姉ちゃんはオカリンおじさんくらい重そうな荷物を持っているのに、顔色1つ変えていません。
……おじさん、体力ないんだなあ。
まゆり「あー!!」
岡部「な、なんだまゆり、いきなり大声出して」
まゆり「あのね、おだし買うのを忘れてたの! どうしよう、とって来ないと……」
綯「わ、私が取りに行きます!」
まゆり「え、綯ちゃんが?」
綯「まゆりお姉ちゃん、たくさん荷物持って大変そうだし……すぐ戻って来ます!」
私は返事を待たずに、列からかけ出していました。
いつも家で使ってるだしの素。でも、家の近くのスーパーよりちょっと高いところに置いてあります。
綯「んー……!」
思いっきり背伸びして手を伸ばしても、もう少しのところで届きません。
クラスの中でも背が小さい方ですが、あんまり気にしたことはありませんでした。
だって、あと何年かすれば私も萌郁お姉さんみたいな――。
でも、今ほどすぐに身長が欲しいと思ったことは初めてです。もう少し、あとちょっとなのに……。
綯「あ――」
岡部「こら、急に走り出すな。はぐれたらどうするつもりだったのだ」
頭の後ろから聞き覚えのある声。振り返ると、そこにはだしを手にしたオカリンおじさんが立っていました。
綯「あ、あの――もしかして、とってくれたんですか?」
岡部「だって、全然届いてなかったぞ」
そ、そうだったのか。私からはもう届きそうに見えたのに。
お礼を言うと、オカリンおじさんは、口の端でにやりと笑います。
岡部「フン、貴様も、ラボメン見習いとしての自覚が出てきたようだな! 目上の者を敬うことは組織では重要だぞ」
あう……また病気が出てきました。
岡部「……それに、困ったときは仲間を頼れ。欠けたところを補い合うのが仲間の本質だ」
照れくさそうにそういうと、オカリンおじさんはレジへ歩き出します。
……仲間、か。なんだか、オカリンおじさんっぽくないセリフです。
綯「ここが……」
岡部「ああ、色気もへったくれもないな」
まゆり「オカリーン? そんなこと言っちゃダメなんだよー」
まゆりお姉ちゃんが頬を膨らませて言い返します。
萌郁お姉さんのアパートは、思っていたのと違ってとても質素な感じです。
コンコン
まゆり「萌郁さーん、いますかー?」
ガチャ
萌郁「……」
綯「萌郁お姉さん!」
マスクをしてメガネをはずした萌郁お姉さんは、とっても苦しそうにみえます。
私たちが来たことに気付くと、すぐに携帯を取り出してすごいスピードでメールを打ち始めます。
From 閃光の指圧師
Sub お見舞い
わざわざ来てくれてありがと
う♪
頭も痛いし体もだるくて大変
だよー><
喉もはれちゃって喋れないか
ら今日はメールで勘弁してね
☆ 萌郁
綯「萌郁お姉さん、大丈夫?」
萌郁「……」コクコク
岡部「いろいろ買ってきてやったから、今はゆっくり休め」
萌郁お姉さんに招かれて、私たちは家に上がりました。
ピロリーン
From 閃光の指圧師
Sub 恥ずかしい><
最近お掃除してなくて……
岡部君たちにこんなとこ見ら
れちゃうなんて!
出来れば、見なかったことに
してほしいな(汗) 萌郁
台所に散らかった、コンビニ弁当やカップ麺のゴミ。床には洗濯物が無造作に置かれています。
……もしかして萌郁お姉さん、掃除とかできない人? 何だか意外です。
早速料理に取り掛かろうと思って、冷蔵庫を開けてみます。まさか、この中までゴチャゴチャになってたりして。
ガチャ
……中には、何も入っていませんでした。
どうやら、オカリンおじさんの言ってたことは当たってたようです。
ということは萌郁お姉さん、朝から何も食べてないのかも。……お見舞いに来て、ホントに良かったです。
岡部「部屋がこんな状態じゃ風邪だって引くに決まっている……まゆり、掃除を手伝ってくれ。小動物は料理の方を頼む」
まゆり「うん、わかったー。綯ちゃん、1人で大丈夫?」
綯「うん、大丈夫」
私の家はお父さんと二人暮らしなので、お料理は普段からやってます。1人でも全然平気です!
岡部「よし、それでは状況開始だ!」
まゆり「おお、綯ちゃん上手だねー! 今度まゆしぃにも教えてほしいな」
綯「うん! また今度、一緒にお料理しよ!」
まゆりお姉ちゃんと料理かあ。今からとっても楽しみです。
一方オカリンおじさんは、大量のゴミをゴミ袋に詰め込もうと四苦八苦しています。
岡部「まゆり、料理の観察もいいがこっちも手伝ってくれ!」
綯「す、すごい量ですね……」
岡部「全く、詰めても詰めても――ってうお!?」ガタッ
綯「?……どうしたの、オカリンおじさん」
岡部「ハッ――い、いや。お前が包丁を持ってるからなんというか、トラウマが……」
そういえば、包丁を持ったままでした。
……どうしたんだろう。オカリンおじさん、刃物が怖いのかな?
綯「できた!」
まゆり「すごい! 何だか、まゆしぃもお腹が減ってきちゃったなあ」
岡部「……一応言っておくが、これは萌郁のだからな」
まゆり「いくらまゆしぃでも、つまみ食いはしないよー。えっへへー」
私特製の卵がゆ。体があったまるように、刻んだネギも入れてみました。
これを食べて、萌郁お姉さんが早く元気になってくれればいいなあ。
岡部「萌郁、お粥ができたぞ」
萌郁お姉さんは、布団の中で寝込んでいました。オカリンおじさんたちが掃除したおかげで、何だか部屋もすっきりしています。
綯「萌郁お姉さん、具合はどう? おかゆ、食べられる?」
萌郁「……」コクコク
萌郁「……!」カチカチ
ピロリーン
From 閃光の指圧師
Sub おいしい!
とってもおいしいよ!
今朝から何も食べてなかった
から実はお腹すいてたんだ☆
これを食べれば、風邪なんて
すぐ治っちゃいそう!
萌郁
短い文面ですが、おいしいの一言だけで心があったかくなります。
綯「よかったあ。早く、元気になってね!」
萌郁お姉さんは、ほんの少しだけ笑ってるように見えました。
まゆり「萌郁さん、今日はゆっくり休んでね。綯ちゃんものためにも!」
綯「バイバイ、萌郁お姉さん。お夕飯もお鍋の中にあるからね」
ガチャ
岡部「指圧師もだいぶ調子よさそうだし、2、3日もすれば全開するだろう」
綯「でも、やっぱり早く元気になってほしいなあ……」
他に、何かしてあげられること……。うーん、全然思いつきません。
そのとき、まゆりお姉ちゃんが何かひらめいたようです。
まゆり「それなら、柳林神社で神様にお願いしようよ! 萌郁さんの風邪が、早く良くなりますようにって!」
綯「……うん! 私も行きたい!」
それなら、きっと萌郁お姉さんも元気になってくれるはず。
岡部「あれ、またメールか」
From 紅莉栖
Sub ((((;゚Д゚))))ガクガクブルブル
なんかすごい地震キタ!!
橋田も帰っちゃったしどうし
よう。
このビル耐震とか大丈夫なん
でしょうね!?
岡部「地震……? まゆり、お前分かったか」
まゆり「地震? んー、全然気づかなかったよー。綯ちゃんは?」
私も、全然気が付きませんでした。
岡部「……まあいい、早く柳林神社へ行こう」
まゆり「あ、るかくん! トゥットゥルー♪」
こじんまりとした神社の前で、巫女服のお姉さんが刀を振っています。
その姿はこの神社の雰囲気によく溶け込んでいて、思わず見とれてしまいました。
るか「39……40! あれ? まゆりちゃん、おか――凶真さん」
まゆりお姉ちゃんの呼びかけで気づいたのか、そのお姉さんはこちらにパタパタと駆けてきます。
るか「今日は、どうしたんですか?……あれ、その子は」
岡部「天王寺綯、ミスターブラウンの娘にして、今日1日ラボメン見習いとして働いてもらっている」
るか「へえ……こんにちは。ボク、漆原るかと言います」
その笑みはとてもやわらかで、まるで女の子のお手本みたいです。
……憧れちゃうなあ。
るか「は、はい! えっと……エル・プサイ・コンガリ――」
岡部「違う、コングルゥだ!……なぜだ、何故覚えてくれない! お前もラボメンなのだから、少しは自覚をだな……」
オカリンおじさんは頭を抱えて唸っています。
でもこの人――るかお姉ちゃんも、ラボメンみたいですね。そういえば、お店の前で何回か見かけたことがある気がします。
……そうだ、萌郁お姉さんの風邪が治るようにお願いしないと!
綯「あ、あの、るかお姉ちゃん」
るか「え、おねえ――」
何だかおろおろしだするかお姉ちゃん。あれ? 反応がおかしいな。
岡部「……知らぬが仏か」
綯「萌郁お姉さんの風邪が治るように、神様にお願いしたいんです!」
まゆりお姉ちゃんが事情を説明すると、るかお姉ちゃんはよく巫女さんが持ってる白いわさわさのついた棒を持ってきてくれました。
るか「そ、それでは、桐生さんの健康を祈って」
るかお姉ちゃんが棒を振ると、わさわさが擦れ合って音が鳴ります。
私はあんまりこういうのは詳しくないですが、なんだかすごく効き目がありそうです。
私も、一生懸命心の中でお祈りしたので、きっと大丈夫!
岡部「うむ、中々だったぞ。これからも精進するように」
まゆり「ねえねえるかくん、実は、お願いがあるんだけど……」
まゆり「今度ね、近くでコスプレのイベントがあるんだけど、るかくんに来てもらいたいコスがあるのー」
るか「ええ!? また、あんな格好に――は、恥ずかしいよ……」モジモジ
まゆり「大丈夫だよー。るかくん、もう男の娘としてすごく有名なんだよ。『こんな可愛い子が女の子のはずがない』って」
るか「だ、だからって……それより、何でちょっとずつ近づいてきてるの?」ビクッ
その直後、か細い悲鳴が神社にこだましました。……でも、そんな姿も魅力的です。
綯「オカリンおじさん、男の娘ってどういうことですか?」
岡部「……お前は気付かなかっただろうが、ルカ子は正真正銘の男だ」
綯「…………え?」
でも、それなら私が『お姉ちゃん』と呼んだ時の反応も説明がつきます。
岡部「あいつも、自分の見た目がコンプレックスだったんだ。それでもルカ子は、それを楽しもうと決めたんだ」
オカリンおじさんは、2人の姿を見つめて微笑んでいます。
岡部「だから、外見にとらわれず仲良くしてやってくれ」
綯「も、もちろんです!」
確かに、るかお姉ちゃんが男の人だなんて信じられないけど、その優しさは本物だと思うから。
岡部「フフ、フゥーハハハ! それでこそ、わがラボの一員にふさわしい!」
突然、大きな笑い声。でも、何だかそれも慣れてきてしまいました。
神社から帰るころには、日が傾き始めてしまいました。
ガチャ
岡部「今帰ったぞ……って、クリスティーナだけか」
紅莉栖「だから、クリスティーナって言うな!……で、桐生さん、大丈夫だったの?」
岡部「案ずるな、俺たちの華麗な看病とルカ子の祈祷により生気を取り戻した」
紅莉栖「……結局、あんたは役立たずだったのね。はいはいワロスワロス」
オカリンおじさんをからかうような口調。たしか、この人は――。
綯「――助手のお姉ちゃん!」
その瞬間、すごいスピードで私の目の前を影が横切りました。
紅莉栖「ちょっと岡部! 綯ちゃんまで定着してるじゃないの!」
岡部「ま、待つのだクリスティーナ! 暴力はいかんぞ!」
綯「あの、け、ケンカは止めてください!」ギュッ
2人を止めなきゃと思って、とっさにお姉ちゃんに抱き着いてしまいました。
ゆっくりとしゃがみこんで、私の顔を覗き込んできます。オカリンおじさんは、ホッと胸をなでおろしました。
綯「う、うん。紅莉栖お姉ちゃん」
紅莉栖「よし、お利口ね。綯ちゃんは、岡部なんかよりずっと学習能力が高いようねー」ニヤニヤ
岡部「おい、何がいいたいのだ」
紅莉栖「べっつにー」
まゆりお姉ちゃんは、そんな言い争いをニコニコ聞いています。
まゆり「2人とも、相変わらず仲良しさんだねー」
紅莉栖「なっ、仲良くなんかないわよ! なんでこんな厨二病と……」
紅莉栖「そ、そういえば、店長さんはいつごろ帰ってくるの?」
岡部「どうだろうな。あわただしく出て行ってしまったから聞きそびれた」
綯「確か、お夕飯前には帰ってくるって」
岡部「ほう、それではあと1、2時間といたところか」
まゆり「綯ちゃんもこのまま、本当にラボメンになっちゃえばいいのにねー」
紅莉栖「え、まさか岡部、綯ちゃんまでラボメンにする気?」
まゆり「あのねー、綯ちゃんはラボメン見習いなのです」
紅莉栖「……またあんたは下らないことを」
岡部「下らないとはなんだ。1日限定の見習いとはいえ、わがラボの一員になれたのだ。後世まで誇ってもいいと思うぞ!」
紅莉栖「駄目だこいつ、早く何とかしないと……」
まゆり「綯ちゃんがラボメンになったら、No,008だねえ」
岡部「いや、008は欠番だ……与えるとしたら、009になる」
紅莉栖「ああ、そういえばバッジの8番目ってAだよね。Aって結局誰なの? あんた、そのことは全然話してくれないし」
岡部「フン、いずれ分かる。あと7年もすれば――」
バンッ
鈴羽「おっはー!!」
岡部「」
鈴羽「あ、もしかしてオカリンおじさん? すっごーい、やっぱり若いなあ! さんざん探し回った甲斐があったよ」
岡部「す――鈴羽! お前何でここに!」
オカリンおじさんは、ものすごく動揺しています。
三つ編みの人――鈴羽って呼ばれてた――はオカリンおじさんと同い年くらいなのに、何でおじさんって呼んでるんだろう?
紅莉栖「岡部、この人だれ? あんたのこと知ってるみたいだけど……」
岡部「……話せば長くなるが、簡潔に言うと、こいつがラボメンNo,008にしてダルの娘、阿万音鈴羽だ――」
鈴羽「第3次世界大戦? ディストピア?……なにそれ」
そのきょとんとした表情に、オカリンおじさんは肩透かしを食らったように見えます。
岡部「過去を……変えるために来たのではないのか」
オカリンおじさんは、そのままソファに座り込んでしまいました。
まゆり「あなたが、ダルくんの娘? そういえば何だか似てるねー」
紅莉栖「と、とてもそうは見えないけど。橋田の娘ねえ――それじゃ、あなたは未来から来たって言うの?」
鈴羽「うん、そういうことだね」
未来から来た? じゃあ、タイムトラベラーってこと? 小説や漫画でしか見たことがない、フィクションの中だけの存在。
鈴羽「いやー、紅莉栖おばさんもまゆりおばさんも全然変わんないね! 私もびっくりだよ」
岡部「……なあ、お前はなんでここに来たんだ?」
鈴羽「うーん、もしかしたら怒るかもしれないけど、タイムトラベルすること自体が目的というか……」
岡部「……シュタインズゲートに到達しても、タイムマシンは作られてしまうのか」
オカリンおじさんは、力なく顔を持ち上げます。
鈴羽「それでね、私が稼働試験に志願して、この時代にやってきた」
まゆり「えっとね、まゆしぃは難しい話はよく分かんないけど、どうして鈴羽さんはこの時代に来たのかな?」
鈴羽「父さんにね、2010年に未来ガジェット研究所が出来たって聞いて、どうせタイムトラベルするならその年にしたいなーって思ったんだ」
……けっこう軽い理由だなあ。
綯「ひっ――」
急に声をかけられて、とっさにまゆりお姉ちゃんの陰に隠れてしまいました。
鈴羽「うわー! 小学生くらい? かわいいなあ、眼福だよ!」
すごく興奮しているようで、目がキラキラ輝いています。
鈴羽「ねえねえ、鈴羽お姉ちゃんて呼んでみてくれない?」
綯「えと……鈴羽、お姉ちゃん?」
鈴羽「か、かわいいー! 未来におっ持ち帰りぃ!!」ダキッ
綯「ひうっ! あ、あのその」カアァ
き、急に抱き着かれた……! すごい力で、全然抜け出せません。
岡部「……今確信した。やはり鈴羽はダルの娘だ」
紅莉栖「私もその意見には同意する。なんかマインドがそっくりだわ」
鈴羽「うん。このビルの屋上にタイムトラベルしてきてそのままなんだ。あとでビニールか何かかけておかないと」
その時、紅莉栖お姉ちゃんが何か気づいたようです。
紅莉栖「あ、もしかしてあの地震って、タイムマシンのせいだったのかな」
岡部「おそらくそうだろう。俺たちは何も感じなかったし」
タイムマシンなんて、机の引き出しが入り口になってるようなものしか想像できません。でも、実際はすごく大きいものなのかな。
紅莉栖「だ、だって……」
鈴羽「紅莉栖おばさん、私が下に降りようとしたら猛スピードでラボから逃げてたよ」
紅莉栖「なっ! あ、あなた見てたの!?」
岡部「……お前、まさか地震が怖くて」
紅莉栖「べ、別にいいでしょ! アメリカじゃ地震なんてあんまり起きないし、ホントにすごい揺れだったのよ!」
紅莉栖お姉ちゃん、クールな人かと思ってたけど、地震とか怖いんだ。
……何だか今日は、いろんな人の知らない一面を見てばかりです。
鈴羽「あー、やっぱり紅莉栖おばさんは信用してないんだ。1番ノリノリで研究してたのに……」スッ
や、やっと腕の力が緩みました。抱き着かれるのはいいんですが、あそこまで興奮されると何だか怖いです。
紅莉栖「の、ノリノリ!? そんなわけないじゃない、バカなの、死ぬの!」
鈴羽「オカリンおじさんもムリヤリ説得して参加させたって父さんも言ってたし」
岡部「ふむ、やはりお前も知的好奇心には勝てなかったのか。さすが天才HENTAI少女だ、年月を重ねてもなお衰えぬその探究心、まさにマッドサイエンティストに――」
紅莉栖・鈴羽「「少し黙ってて!」」
岡部「……はい」
……オカリンおじさん、カッコ悪い。
まゆり「ねえ、鈴さんは今何歳?」
鈴羽「えーと、18」
まゆり「へー、まゆしぃより1つお姉さんだね! あ、でもホントは年下なんだよね? 何だか頭が痛くなってきたよー」
紅莉栖「それよりも、ぜひタイムマシンを見せてほしいんだけど。あ、べ、別に、どんな構造で時空間の移動をしてるのか気になってるわけじゃなくて!」
鈴羽「……今見なくても、あと10年もすれば自分で答えが見つけられると思うんだけどなあ」
お姉ちゃんたちは初対面とは思えないほど話が弾んでいます。
さっきまで言い争ってた紅莉栖お姉ちゃんも、今は鈴羽お姉ちゃんを質問攻めにしています。
鈴羽お姉ちゃんはホントに私たちのことをよく知っていてすごく気さくに話してくれるので、何だかとっても明るい雰囲気です。
紅莉栖「あれ、そういえば岡部は?」
……さっきまでいたと思ったのに、いつの間にかいなくなっていました。
まゆり「どうしたんだろう……急にいなくなるなんて」
綯「私――さがしてきます!」ガチャ
岡部「……ああ、お前か」
こちらの気配に気づいたのか、オカリンおじさんが声をかけてきました。
綯「……どうしたんですか? みんな、心配してます」
岡部「お前は、俺のこと苦手じゃないか」
綯「えっ、あの――」
……そういえば、なんでわざわざ探しに来たんだろう?
綯「――そう、お、お礼です。スーパーで、手伝ってくれた」
綯「でも、わざわざ来てくれましたよね」
岡部「……フン、まあいい」
岡部さんがベンチの端によってスペースを開けてくれたので、私はそこに座りました。
岡部「……綯、お前には、大事な人がいるか?」
オカリンおじさんが私に尋ねます。その口調は今までになく真面目で、何だかオカリンおじさんじゃないみたい。
綯「あの、どうして急にそんなこと――」
……そういえば、今日初めてちゃんと名前で呼ばれた気がします。
見た目はちょっぴり怖いけど、家族思いのお父さん。
綯「それに、萌郁お姉さんも大切な人です」
無口だけど、ホントはとっても優しい萌郁お姉さん。
岡部「そうか……お前は、その人たちを大切にしてやれ」
私の答えに満足したのか、オカリンおじさんはそのまま黙りこくってしまいました。
でも、どうしてそんな質問をしてきたのかやっぱり気になります。
岡部「いるさ。ラボメンのみんな――まゆり、ダル、ルカ子、フェイリス、萌郁――それに、紅莉栖。ああ、今は鈴羽もか」
「でも俺は、そんな大切な仲間を傷つけてしまったんだ……ミスターブラウンや、お前のことも」
……傷つける? どういうことだろう。
岡部「……いや、お前に話してもしかたないことだ。気にしないでくれ」
綯「私――聞きたいです」
綯「……正直、オカリンおじさんのことは苦手です」
岡部「ず、ずいぶんはっきりと言ってくれるではないか」
綯「でも、今日会ったラボメンの皆さんは、みんなオカリンおじさんのこと慕ってました」
「そんな人が、他人を傷つけるのかなって」
今日1日一緒にいて、なんとなく分かりました。オカリンおじさんは、ホントは悪い人じゃない。
岡部「……俺は、偶然手に入れた力に驕り、多くの人の運命を捻じ曲げてしまった」
「それは、お前も例外ではない」
岡部「俺のせいで、お前を残忍な復讐者にしてしまった」
「15年の時を遡り、因果の輪に囚われた少女……」
「俺はずっと、その時の悪夢に追われ続けている」
言い方は分かりづらいけど、ふざけているようには見えません。
岡部「でもな、今日お前が萌郁と仲良くしてるのを見て、少なからず安心したんだ」
「改めて聞くが――お前は、萌郁が好きか?」
綯「はい! 大好きです」
綯「あ――」
オカリンおじさんの手が頭に伸びてきて、優しくなでてきます。
その顔は、夕日で紅く淡く染まっていました。
今まで見たことのない、優しい笑顔。
それはまるで、写真のように目に焼き付いて――。
オカリンおじさんの声で、急に止まっていた時間が動き始めます。
綯「そ、そんな……でも、楽しかったです」
それはお世辞でもなんでもなく、私の素直な気持ち。
岡部「――さあ、ここは冷える。さっさとラボに帰るぞ、綯!」
オカリンおじさんはベンチから立ち上がり、私に手を差し伸べてきます。
綯「……オカリンおじさん、案外優しいですよね」
今朝まで感じていた怖さは、もう消えてしまいました。
どこか感慨深いな
岡部「おい、あの車は――」
綯「お父さん!」
岡部「……やっと帰ってきたようだな」
キキッ バンッ!
天王寺「おい岡部! てめえ人の娘と2人きりで何してやがる……!」ポキポキ
岡部「み、ミスタ-ブラウン! あなたは誤解しているぞ!」
綯「そ、そうだよお父さん! 私はオカリンおじさんとお話ししてただけで……」
天王寺「綯、お前変なことされてないか? バイトのお見舞いは?」
綯「されてないよ! お見舞いも、まゆりお姉ちゃんたちとちゃんと行ったから」
天王寺「そ、そうか。ならいいんだ」
岡部「俺への謝罪は無しですか……」
岡部「そうですか。……なら、今日はもう帰った方がいい。そろそろ暗くなるからな」
綯「あの、今日は1日、ありがとうございました」ペコリ
岡部「うむ、お前も日々の努力を怠らなければ、わがラボの一員に加わることが出来るだろう」
ピロリーン
岡部「メール……指圧師からか」
オカリンおじさんがそのメールを見ると、にわかに笑顔が広がりました。
岡部「これは、お前も見た方がいいな」
そういって、オカリンおじさんは携帯の画面をこちらに向けます。
Sub 何だか
さっき起きたらすごく体が軽
くなったの!綯ちゃんのおか
ゆが聞いたのかな☆
今日はみんな、私のためにど
うもありがとう!
m(_ _)mペコリ
あとで綯ちゃんにもお礼言わ
ないとネ! 萌郁
綯「やったー! 萌郁お姉さん、元気になってくれたんだ!」
岡部「どうやらそのようだ。よかったな、綯」
綯「ハイ!」
お見舞いに行って、ホントに良かったです。
綯「うん、わかった!……バイバイ、オカリンおじさん」
岡部「ああ、これからも、気軽にラボを訪れるがいい」
オカリンおじさんは白衣をはためかせて、ラボへの階段を上っていきました。
ブロロロロ・・・
天王寺「綯、今日の夕飯はハンバーグにしような」
綯「ホント!? 私ハンバーグ大好き!」
天王寺「おお、そうか!……そういえば綯、今日は一体何してたんだ?」
綯「あのね、オカリンおじさんに、ラボメン見習いにしてもらったの――」
綯「(そういえば何であの時、時間が止まったみたいに……)」
「(まあ、いっか)」
……こうして私の日曜日は、ゆっくりと終わっていくのでした。
それから私は、ちょくちょくラボに遊びに行くようになりました。
オカリンおじさんの病気は相変わらずですけど、基本いい人だってよく分かったから。
鈴羽お姉ちゃんは、1週間ぐらいここで過ごすみたいです。
鈴羽「せっかく来たんだもん。いろいろ観光したいんだよねー!」
今日も、私の写真を撮ろうといきなり床に寝転んで下から……。
綯「きゃっ! 鈴羽お姉ちゃん!?」
岡部「す、鈴羽! なぜお前がローアングラーに……!」
鈴羽「出発前に父さんから指南してもらったんだ。『当時日本で流行した画期的撮影法』だって」
岡部「……鈴羽、未来に帰ったら俺からだと言って、ダルの顔面に右ストレートを食らわせてやれ。もちろん全力でな」
ダル「それにしても、僕にこんな美少女の娘ができるとか。自分のことながらリア充乙ww」
紅莉栖「全くよね、一体誰がこんなHENTAIにもらわれるのかしら……」
鈴羽「まあ、母さんとは今も仲良しだからね。どちらかというとオカリンおじさんと紅莉栖おばさんの方がイチャイチャ――」
岡部・紅莉栖「「!!!」」
一瞬、ラボの時間が止まったように感じました。
綯「鈴羽お姉ちゃん、それって……」
鈴羽「あ――ヤバ」
まゆりお姉ちゃんの言葉で、2人は顔をゆでたタコさんみたいに真っ赤にして顔を伏せてしまいました。
ダル「まさか、こんなところで夫婦認定されるとか――全俺が嫉妬!」
紅莉栖「な、何言ってんのよ橋田! 別に、私は岡部の事なんか――」
全部言い切る前に、語尾がしりすぼみに消えてしまいます。
岡部「こ、こんなところで過ごせるか! 俺はもう帰るぞ!」
なんだか推理小説の被害者みたいなことを言い残して、オカリンおじさんはラボから出て行ってしまいました。
鈴羽お姉ちゃんは髪をぐしゃぐしゃとかきむしっています。
『……綯、お前には、大事な人がいるか?』
なんでだろう、あの時の言葉が頭によみがえります。
私の、大事な人。お父さんに萌郁お姉さん。
それに、まゆりお姉ちゃんたち――ダルおじさんは、やっぱり苦手だけど――ラボメンのみんな。
そして……。
まゆり「あ! 綯ちゃん!?」
気が付いたら、私はラボを飛び出していました。
オカリンおじさんはすぐに見つけることが出来ました。いっつも白衣だから、すごく目立ちます。
岡部「綯か……情けない姿を見せてしまったな」
綯「そ、そんなことないです」
私も、いきなりあんなこと言われたらすごく恥ずかしいですし。
岡部「どうした、まさか追いかけてきたのか?」
……そういえば、何で追いかけてきちゃったんだろう?
そう言い残して、オカリンおじさんは立ち去ろうとします。
綯「あの、オカリンおじさんは、紅莉栖お姉ちゃんのこと好きなんですか?」
……でも、私は気が付いたら口を開いていました。
岡部「なっ――何を言っているのだ!」
またラボにいた時と同じように、みるみる顔が真っ赤になります。
綯「――正直に答えて!」
岡部「……そうだな、俺は紅莉栖が――好きだ」
オカリンおじさんの答えは、私の想像どうりでした。
少しだけ、胸にちくりとした痛み。
綯「……見てれば分かりますよ」
岡部「なに!? こ、このマセガキが――!」
岡部「……いや、今回ばかりは、鳳凰院凶真に頼らない」
「俺は、自分の気持ちを誤魔化すことしかできなかった」
「だから今度は、自分の気持ちに素直になろう」
携帯をしまって、私に向き直るオカリンおじさん。
岡部「お前にも、感謝しなければな――ありがとう」
オカリンおじさんの手が、私の頭をなでてきます。
夕日に染まった、優しい微笑み。
記憶の中にある、その光景を思い出して――。
でも、気づいてしまったその気持ちは、私だけの秘密です。
綯「私でよかったら、何でも言ってください」
せめて今だけは、とびっきりの笑顔で。
「――だって私は、ラボメン見習いなんですから!」
(END)
ほのぼのしたナエオカのSSを書こうと思ったらこんな結末に……どうしてこうなったorz
ラボメンみんなと絡ませたくて鈴羽の部分とか結構ごり押ししましたが、
最後まで読んでくださってありがとうございました。
……覚醒すると思った? 残念! 可愛い小学生のままでした!
非常に良かったです!
Entry ⇒ 2012.01.21 | Category ⇒ シュタインズゲートSS | Comments (0) | Trackbacks (0)
響「闇のゲーム?」
自分、我那覇響 765プロってとこでアイドルやってるんだ
仕事は……まだ少ないけど、いつかきっとトップアイドルになってみせるからな!
今は同じような志を持った仲間たちと一緒に日々努力してるさ~
響「みんなー!自分と一緒にお昼しないか?今日はサーターアンダギーたくさん持ってきたんだ」
春香「……チッ」
千早「いきましょう、春香」
ガチャ、バタン!
響「うぅ……」
元スレ
http://hayabusa.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1326440676
響「闇のゲーム?」
やよい「うっうー…わ、私は…」
伊織「やよいー、今日は私と一緒にお昼食べるって約束よねー?」
やよい「あ…うっ…でも」
伊織「そんな薄汚い油の塊よりよっぽど美味しいもの食べさせてあげるわよ」
伊織「それとも何?この伊織ちゃんの言うことが聞けないっていうの?」
やよい「うっうー、そんなことないけど…」チラッ
響「や、やよい……自分は一人でもなんくるないから、伊織と一緒に楽しんでくるといいさぁ」
伊織「ほらやよい、行きましょ。何だかここ空気悪いし」
ガチャ…バタン!
響「…なんくるないさぁ」
響「!ねえ律子、よかったらこれ…」
どたぷ~ん
響「うあっ…!」
あずさ「律子さ~ん、私この近くに美味しいお店見つけたんですけど~よかったらご一緒しませんか~?」
響「あ…あずささん酷いさー!急に後ろからぶつかるなんて」
律子「いいですね。でも行き方覚えてるんですか?」
あずさ「大丈夫ですよぉ~私に任せてください~」
響「無視しないでほしいぞ…」
小鳥「はいはーい、私も行きます!美味しい店なら私も行きたいです!」ピヨピヨッ
律子「小鳥さんは 駄 目 です」
小鳥「ピヨッ…」
律子「今やってる仕事、午後までに片付けておいてくださいって言いましたよね?」
律子「それが終わるまで休憩は無しです」
小鳥「そ、そんなぁ…」
律子「私たちが戻るまでには終わらせておいてくださいね。それじゃあ」バタン!
小鳥「う…ううっ、酷わ…あんまりよ。私だけ仲間外れにして」
小鳥「…コンビニにからあげクンでも買いに行こうっと」ガチャ
響(結局最後まで無視されっぱなしだったぞ…)
響「……」モグモグ
響「…おいしいさぁ」
コトッ
響「?」
雪歩「お茶ですぅ」
響「ゆ、雪歩…」ジワッ
雪歩「何で泣いてるの?それより早く飲んで感想を聞かせてよ」
響「うっ…そうだな」ゴシゴシ
響「ありがたくいただくぞ、雪歩の淹れてくれたお茶」ゴクゴク
雪歩「……」
響「ん、なんだかこのお茶変なとろみがあるな…」
響「って、ぶっへぇぇなんだこれぇ!苦くてピリッときたさぁ!」
雪歩「ぷっ…うふふ」
響「うげぇぇ、舌がヒリヒリする…」
雪歩「緑茶に青汁の素と練りわさびを混ぜてみたんだけど、どうだった?」
響「なんで…」
響「何でこんなことするのさぁ……自分、何か悪いことしたか?」
雪歩「……」
響「ねえ雪歩、答えてよ…」
ガチャ
真「雪歩、まだこんな所にいたんだ」
雪歩「あっ、真ちゃん」
真「春香と千早が待てるよ。早くご飯食べないと、昼休み終わっちゃうよ?」
雪歩「ごめんなさい、すぐに行きますぅ」
デサーキョウノレッスンチュウニネ
アハハ、ソンナコトアッタンダァ~
響「……」
響(いいなぁ、自分もあんな風に笑いあえる友達が欲しいぞ)
入った時から周りに馴染もうと、皆と仲良くなろうと努力してるんだけど
何故か皆自分に冷たいんだ
……なんでだろう?
もしかして、自分があの悪名高い961プロから移籍してきたからなのかなぁ
でも、仮にそうだとしても腑に落ちない点が一つあるぞ
だって961プロから移籍したアイドルは自分の他にもう一人…
ガチャ
貴音「…響」
響「たかねぇ…」
貴音「……」
響「貴音、お昼は」
貴音「もう済ませました」
響「そ、そっか…」
貴事「特に用が無いのなら私は行きます」
響「あっ…ま、待って!待ってほしいさ」
貴音「何か?」
響「あぅ……えっとー…」
貴音「何故そのようなことをする必要があるのです?」
響「それは…!貴音は…自分と一緒に961プロから移籍してきた仲間だし」
響「貴音だって、一人でいることが多いじゃんか…」
貴音「知っての通り、私は一人でいることが好きなのです」
貴音「それに、私は皆と最低限の意思疎通は図れています。あなたと違って」
響「うっ…」
貴音「では、これで失礼させてもらいます」
キィィ…バタン
響「……うっ…う゛ぅ…グスッ…どうして……どうしてさぁ」
いつも一人でいて月を眺めてることが多かったし、正直何考えてるか分からない
会話もほとんど仕事の話しかしなかった覚えがあるぞ
でも961プロにいた時は黒井社長の方針で極力他人と話さないようにしてたから、
こういうのも仕方ないと思ってたんだ
だからこそ、765プロに移籍した時はこれでやっと貴音と普通に話せる
貴音の他にも仲間が出来るって喜んだんだけどなぁ……
響「むぐっ、もうお腹一杯さぁ」
響「はぁ~…持ってきたサーターアンダギー、無駄になっちゃった」
自分以外誰もいない、がらんどうな事務所はまさに今の自分の心そのものさ……
響「暇さぁ……まだ休憩終わるまで結構時間あるし」
響「……そうだ。こういう時はあれをやるに限るね」ゴソゴソ
みんな、突然だけどここでクイズだぞ!
今自分が取り出した箱の中身、これなんだと思う?
ヒントは『見えるけど見えないもの』
さあ、わっかるかな~?
……ん~言い方が悪かったかな?
正解はパズルさ!ジグソーじゃなくて、立体パズルってやつ
ほら、この黄金のピースを組み合わせることで何かが完成するみたいなんだ
えっ?その何かって何だよだって? それは自分も知らないんだ
なにせ沖縄にいたころから数えて八年間、ずっと挑戦し続けてるんだけど
未だに組み上げられないんだもん……
響「よーし、今日こそ完成させてやるからな~」
響「うーんと……ここがこうで……」
響「……う゛ぅ…ここからよく分からないんだよなぁ~」
響「……あっ?でもここをこうすれば……」
亜美「亜美パ→ンチ」ドガッ
響「わっ!」ガシャーン
亜美「な~に一人でぶつぶつ言ってんのさー」
真美「暗い指数200パ→て感じだねぇ。ただでさえ今日は雨降りでじめじめしてるってのに」
響「亜美真美か…(あうぅ、せっかく組んだパズルがバラバラになっちゃった)」
響「そ、そうだぞ。これは見えるけど見えないもの……えーっと、つまりパズルなんだ。ちょうど今組み立ててたところさ」
亜美「ふ~ん。こんなので一人遊びしてるなんてひびきん暗いよ→」
響「…そんなの、自分の勝手だぞ」
真美「ねーねーそんなことより真美たちの遊び相手になってよ。やることなくて退屈でさ→」
響「!喜んで……って言いたいとこだけど」
響「その前にパズルの部品をこっちに返してよ。小さいから無くしたら大変さぁ…」
亜美「やだよ→返してほしかったら亜美たちを捕まえることだね」
響「えぇ、そんなのって…」
真美「ほらほら~早く捕まえないと真美たちどっか行っちゃうよ?」ダッ
響「あっ、事務所の外に…」
響「待てー!」
真美「亜美、パ→ス」ポイッ
響「あーっ、頼むから落とさないでくれよ?」
亜美「よっと。逃っげろ~」
真美「ひびきんに触られるとひび菌がうつっちゃうかんね~」
響「……」
響(流石に今のは少しカチンときたさぁ…)
響(こうなったら本気で捕まえてやるぞ。ちょと大人げないかもだけど…)
亜美「ほーら、ここまでおいで…」
響「」ダッダッダ
亜美「あれ?速っ…」
ガシッ
響「捕まえたぞ。さぁパズルを返してよ」ググッ
亜美「ちょ…ねえ、痛いから離してよ」
響「そのパズルは大切なものなんだ…だから」
亜美「痛いってば!」
響「あぅ……わ、悪かったさ」パッ
亜美「ほら、返す」ポイッ
響「うわっと…! 投げないでよ」
亜美「全く…こんな遊びに本気になんないでよ」
真美「年下相手にマジになっちゃうなんてメチャださださって感じ」
亜美「まっ、ひびきん私たちよりチビだけどね→」
響「むかっ、背はまだまだこれから伸びるさー!」
響「……はぁ、こういうことはもうこれっきりにしてほしいぞ」
響「自分、亜美真美と遊ぶのは嫌じゃないんだぞ? でもそれならもっと普通に遊びたいさぁ」
亜美「そんなこと言われても」
真美「ねー?」
亜美「あーっ、いおりん聞いてよ~ひびきんがさぁ」
伊織「何ですってぇ? 響、あんた子供相手に手をあげたの?」
響「ち、違うぞ!自分は…」
真美「そうなんだよね。ちょ~っとからかっただけなのにムキになっちゃってさ」
響「真美まで…」
やよい「うっうー…」
響「やよいは、やよいは信じてくれるよな? 自分そんなことしないぞ!」
伊織「ちょっと響!やよいが困ってるじゃないの。止めなさいよ」
響「なっ…自分はただ」
伊織「あんたねぇ、自分の立場分かってんの?」グイッ
響「いっ痛だだぁっ!!ピアス引っ張らないで…」
伊織「この私にこうやって口きいてもらえるだけでも感謝しなさいよ。本来ならあんたみたいな未開人と一緒に居るだけで反吐が出そうなのに」
響「ど、土人って……酷い」
伊織「まあいいわ。今日のとこはこれくらいで勘弁してあげる。それ持ってとっとと私の視界から消えなさいよ」
響「うぅ…分かったよ…」
亜美「惨めだねぇ、ひびきんの後ろ姿」
伊織「ふん!あいつを見てると無性に腹が立ってくるのよ。自分でも不思議なくらいにね」
亜美「あっ、それ分っかる~」
真美「ひびきんって、見てると何だかいじめたくなっちゃうんだよね→」
伊織「それであんたたち、あいつから何盗ったの?」
亜美「それがね~亜美にもよく分かんないんだよ。ひびきんが言うにはパズルらしいんだけど」
真美「『見えるけど見えないもの』だっけ? 真美にはただのガラクタにしか見えないよ」
伊織「ふーん、まあ別になんでもいいんだけど。どうせなら返さなきゃよかったのに」
伊織「?」
真美「じゃじゃーん↑実はもう一個盗ってました☆」
亜美「おおっ!真美やるぅ~」
伊織「にししっ、あんたにしてはよくやったじゃない。ちょっとそれ貸しなさいよ」
真美「いいけど、これどうするの?」
伊織「よく分かんないけどこれってパズルの部品なんでしょ?」
伊織「つまり一つでも欠ければパズルは完成しないってことよね」
伊織「だったら……こうしてやるわ!」ヒュッ
亜美「ありゃりゃ~草むらの中に消えちゃった」
真美「いおりん軍曹はまっこと鬼ですなぁ~」
やよい「伊織ちゃん……さすがにやりすぎじゃ」
伊織「構わないわよ。私をここまでイラつかせるあいつが悪いんだから」
伊織(そうよ、あいつ見てるとイライラするの。自分ひとりで空回って、そのことに気付きもしない馬鹿)
伊織(まるで昔の私を見てるみたいで胸糞悪いのよ!)
伊織「ほら、さっさと事務所に戻るわよ」
亜美・真美「はーい」
やよい「うっうー」
「くくくっ……いいネタ見っーけ……」
P「よし、今日のレッスンはここまで。みんなお疲れ様」
春香「はぁ~疲れたよぉ。ねえ千早ちゃん、帰りにミスド寄ってかない?」
千早「えぇ、いいわよ」
真「春香、ボクと雪歩も一緒に行っていい?」
春香「もちろん大歓迎だよー今日は100円セールの日なんだ~」
ワイワイワイ
響「…帰るぞ」
響(これから何しようかな…)
「ちょっとすいません」
響「ん?」
「あなた…765プロの我那覇響さんですよね?」
響(むむ、見るからに怪しいやつ……パパラッチか?)
響「そうだけど…お前誰だ?」
「あ、申し遅れました。私は『週間芸能暗黒界』って雑誌の記者をやってる者なんですが」
響(暗黒界って……ゴシップだらけで有名な雑誌じゃないか。こんなやつと関わったら何書かれるか分かったもんじゃないぞ)
響(こういう手合いは無視だ無視!)
響「言っとくけど、お前に話すことなんて何もないからな!」
記者「まあまあそうおっしゃらずに…」
響「自分帰るとこなんだ。邪魔しないでよ」
記者「話だけでも聞いてくださいよ。実は最近とある噂がありましてねぇ、その内容ってのが」
記者「765プロ内でいじめが流行っている……というものなんですよ」
響「!」ドクン
記者「…我那覇さん、何か心当たりはありませんか?」
響「じ、自分は…」ドキドキ
響「そんなこと……自分は知らないぞ」ボソッ
響「765プロは所属アイドルみんなが仲良しな、アットホームな職場さー…」
記者「ほぉ~しかしですね、こういうのは別に珍しいことじゃないんですよ」
記者「自分より売れてるやつを妬んだり、また逆に売れっ子が調子に乗って後輩をいびったりするなんてのは、この業界じゃ日常茶飯事でして」
記者「ただ、めったに表に出てこないだけでね」
響「と、とにかく自分は知らないって言ってるだろ? もう帰るからな!」
記者「ああ待って、もう少し…」
響「話は終わりさ! 家までついてきたら訴えてやるぞ!」
記者「まさか、そんなことしませんよ。お気をつけて」
響「ふ、ふん…!」スタスタ
記者(全く、分かりやすいお嬢ちゃんで助かるよ。さて、明日にでも仕掛けるかな)
響「ただいま…」
家のドアを開けると真っ先にハム蔵が
続けていぬ美にブタ太にワニ子その他自分の家族たちが嬉しそうに自分を出迎えてくれたさー
ハム蔵「ヂュウヂュー」
響「ごめんなハム蔵。本当は事務所に連れてってやりたいけど、もうトイレに流されたりするのはこりごりだろ?」
いぬ美「クゥーン、ハッハッ」
響「おお、そうか。みんな腹ペコなんだな。よし、今食事を作るから待ってろよ―?」
そうだよ、家に帰れば自分にはこんなに沢山の温かい家族が待ってるんだ
事務所で一人だからってなんくるない……はずさぁ
響「ふぅ~お腹いっぱいだぞ」
今日はいつもより張り切って夕飯作りすぎちゃったけど家族たちは残さず食べてくれた
そのせいか、満腹になった皆はいつもより早く眠りについちゃったんだけどね
響「こうなるとすることがないさぁ…」カチャカチャ
適当にパズルをいじくり回しながらため息が出た
自分が退屈な時にやることって言ったらこのパズルか編み物しかないもんなぁ
響(卓球は…相手いないし。今度新しいラノベでも探すさー)
考えてみれば自分の趣味ってインドア系のものばかりさー
でも仕方ないよね?
自分熱がりだから外出るの嫌いだったし……うん、沖縄暑かったし……あれ?
響(……考えないことにしよ)
あまり外に出たがらなかった小さい自分におとぅがくれたんだっけ
どうせどこかのお土産コーナーかなんかで売ってたのを買い与えたんだろうけど……
それでも、死んじゃったおとぅがくれたこのパズルは自分にとって一番の宝物なんだ
響「おとぅ…兄貴…」
沖縄のみんな、東京は辛い場所だぞ
自分、トップアイドルになるまでは帰らないってタンカ切って沖縄を飛び出したけど
その前に、心、折れちゃいそうだ……
響「友達が……一緒に頑張れる仲間が欲しいさぁ……」ギュウウ
千年錐『』ゴゴゴゴゴゴゴ
響「朝か……」
解きかけのパズルを握りしめたまま、気が付いたらふて寝してたみたいだ
響「…よし」
うん、大丈夫
一晩思いっきり悲しんだら、何だか気分がすっきりしたさぁ
トップアイドルになるっていうでっかい目標のためにも、こんな所でへこたれてらんないよね!
響「自分、完璧だからな」
鏡を見ながらいつもの一言
よぅし、今日こそ事務所のみんなと仲良くなってみせ……なれるといいな
響「とは言ったものの、何も出来ずにお昼になっちゃったさぁ」
響(気が付いたら誰もいないし。また自分を除け者にして皆でどこかに食べに行ったみたいだ)
響「まぁいいさ。自分も今日は外に食べにいこう…」ガチャ
記者「あっ、我那覇さん」ニコニコ
響「げっ! 昨日のゴシップ記者……何の用だよ」
記者「今日は我那覇さんに是非見せたいものがあって来たんですよ。今時間あります?」
響「今お昼食べに行くとこなんだ。悪いけど…」
記者「お一人で?失礼ですが、同じ事務所の候補生の方とはご一緒しないんですか?」
響「う、うるさいなっ!そんなのどうだっていいだろ!?」
記者「すいません、無神経な質問だったようで。ちょっとだけでいいんです。お時間とらせませんから」
響「……分かったよ。そこまで言うならちょっとだけだぞ。変なモノだったら承知しないからな」
記者「大丈夫ですよぉ。きっと我那覇さんも喜んでくれるはずですから…」ニヤッ
響「こんな所に一体何があるっていうのさぁ」
記者「ふふ…ほら、あれですよあれ」
響「ん?」
亜美「あ…」
真美「ひびきん…」
伊織「……」
響「亜美に真美? それに伊織も……ここで何してるのさ」
伊織「あん……ってたのよ…」ボソッ
響「え? 聞こえな…」
記者「これを見てください」スッ
響「!この写真…」
記者「そうです、これはそこの三人があなたをいじめている現場を写したものです。昨日のことだから覚えてますよね?」
響「そ、それは…」
記者「今まで誰にも相談できず辛かったでしょうね。でも安心してください」
記者「私どもの雑誌によってこの悪事が世間に公表された暁には、必ずや正義の鉄槌が彼女たちに下ることでしょう」
響(じょ、冗談じゃないぞ。こんなの雑誌に載せられたら、伊織たちどころか765プロにとって大打撃なんじゃ…)
響「これは……ただふざけ合ってただけさぁ。そこの三人もそう言ったんじゃないかな…?」チラッ
亜美「ぁう…」
真美「……」フシメガチ
記者「そうですかねぇ、私にはとてもそうは見えませんでしたけど」
記者「この写真を見た読者の方もそう思うんじゃないですかね。見え透いた嘘はおやめなさいな」
響「…お前、こんなことして一体何が目的なんだよ」
記者「別に…ただ個人的にこういう輩が許せないんですよ」
記者「あなたこそ、どうしてこの三人を庇うんです?」
響「……」
記者「双海さん姉妹に水瀬さん、あなたたちは我那覇さんに酷いことしましたよね?」
記者「だったらすることは一つでしょ。人間的に考えて」
伊織「っ……」
真美「ひびきん、ごめん!」ドゲザー
亜美「亜美も謝る。今まで酷いことしてごめんなさい」ドゲザッ
亜美「だから…許してくれるよね?」
響「ふ、二人ともやめてほしいさぁ! 自分何もそこまで…」オロオロ
記者「おやおやぁ…一人だけまだ頭を下げようとしない人がいますねぇ」
伊織「くっ……こんな…冗談じゃないわよ」プルプル
響「伊織…」
記者「我那覇さん…彼女のこういう態度どう思います? 許せませんよねぇ」
亜美「いおりん、嘘でもいいから謝りなよ!そうすればあの写真渡してくれるって…」
真美「亜美、しっー!」チラッ
響「ぅぐ……」
記者「今まで散々酷い仕打ちを行ってきてこれですよ。傲慢にも程がある」
記者「我那覇さん、あなたも何とか言ってくださいよ。彼女たちにはこれまでずっと苦しめられてきたんでしょ?」
響「っ……くぅ」
記者(さぁ、積もりに積もった鬱憤をぶちまけろよ。罵るなり足蹴にするなりとにかく何でもいいけどよ)
記者(新しいネタを提供してくれよな。ゴシップになりそうなネタをさぁ~)
記者「ほら我那覇さん! どうしたんです? 謝らせましょうよ、このふてぶてしい女を!」
響「がっ…」
響「がああぁぁあああ!!!!」カワイタサケビ
亜美・真美「……」アゼン
記者「が、我那覇さん…?」
響(…ふぅ、ちょっとスッキリした)
響「自分、伊織や亜美真美のことは…」
響「一緒にトップアイドル目指してる同じ事務所の……仲間、だって信じてるから」
伊織(!……)
響「だからさ、亜美も真美も顔をあげてよ。伊織も、自分に頭下げる必要なんてないさ」
響「仲間同士で無理やり謝らせるとか……そんなことするなんて、ヘンじゃんか」
真美「ひびきん…」
記者「(ちっ…なんだよこの展開)…仲間内でも最低限の礼節は必要だと思いますがね」
記者「あなた方はその最低限すらなってないようでしたけど。それで仲間だといえるんですかぁ?」
響「…確かに、仲間だと思ってるのは自分だけかもね。この想いは一方通行かもしれない」
響「でも今はそれでいいよ。いつかお互いにそう思える日がくるって、自分信じてるから!」
記者「…ふん、まぁいいや」
記者「とにかく、お前たちが何と言おうが765プロ内でのアイドルいじめがあったのは事実なんだよ」
響(こいつ、急に口調が…)
記者「しかも加害者のうち二名が今売出し中のユニット、竜宮小町のメンバーときた。これじゃせっかく出来たファンも幻滅するよなぁ」
響「や、やめろっ!」
響「竜宮小町は765プロ初の売れっ子アイドルになるかもしれないんだ! 弱小事務所の自分たちにとっては希望の星なんだよ!」
響「今はそのための大切な時期なんだ。頼むから見逃してくれよ、この通りさぁ!」ドゲザッ
記者「ほぅ…」
亜美「ひびきん…」
伊織「なんで…」
伊織(やめてよ……やめなさいよ……何で、何であんたが頭下げてんのよ?)
記者「まぁ俺も鬼じゃないからね、条件次第で考えてもいいよ」
記者「そうだなぁ、口止め料として……一人頭ざっと200万ってとこだな」
響「なっ…やっぱりお前金が目的で…!」
記者「ははっそりゃ当然でしょ。こっちだって生活がかかってるんだからさ」
真美「真美たち四人で800万円……大金だよ」
記者「今までの稼ぎを合わせれば何とかなるんじゃねえの? 水瀬財閥のお嬢サマもいることだし」
伊織「っ……!」
伊織(ふ、ふざけんじゃないわよっ!どいつもこいつも…こんなゲス野郎まで水瀬水瀬って…私の家ばかり見て!)
伊織「ふ響「ふざけるなぁ!!」
響「最初からそのつもりで自分に近付いたんだな!」ダッ
伊織「響?」
響「こいつ、一発ぶん殴って…」
記者「おっと」バッ
ズシンッ!
響「がなはっ…!」
亜美・真美「ひびきんっ!」
伊織「ちょ…あんた何やってんのよ女の子相手に!」
記者「めんごめんご、向かってくるもんだからつい投げちった。こう見えても昔柔道やっててさ(白帯だったけど)」
響「く、くそっ…」
記者「じゃ俺そろそろ行くわ。金、早いうちに用意しとけよ? 写真載せられたくなかったらさ。ははは!!」
響「う゛ぅ……」
響・伊織・亜美・真美「…」ズーン
響(空気が重いぞ…)
真美「ね、ねえ…」
伊織「亜美、真美、行くわよ」
亜美「え?……で、でも…」
伊織「この後レッスン入ってるの忘れたの? 遅れちゃうじゃない!」
亜美「あぅぅ…分かったよぅ」
真美「……」チラッ
タッタッタッ…
響「…自分もいかなきゃ」
あの写真の事が気になって、全然レッスンに集中できなくてミスを連発しちゃうし
プロデューサーにはやる気あるのかって怒られるし、他のみんなの視線が痛かったさぁ
伊織たちは自分と目を合わそうともしてくれない
誰かに相談しようにも、自分にはそんな相手いないってことに気が付いたよ
そんなこんなで何も解決策が思い浮かばないまま家に帰ってきちゃった……
響「うぅ…200万なんて急に言われても…」
響(伊織は家が大金持ちだし、亜美真美は親が医者らしいから何とかなるかもだけど)
響「自分そんなにお金持ってないぞ…」カチャカチャ
響「って、また無意識にパズルいじってるよ自分。今はそんな場合じゃないのに」ポイッ
響「うがっー! どうすればいいのさー!」
響「…なにも思い浮かばないや」
響「……」
響「……」カチャカチャ
――――
響「ん……待てよ。ここをこうしてこうやって捻れば……」ガチャリ
響「や、やったぞ!半年ぶりにパズルが先に進んだ!」
響「あっ…ってことはこっちも同じようにすればはまるんじゃないか?」カチャカチャリ
響「あ、やっぱり!」
響(冴えてるっ…気分は最悪なのに、何故だか分からないけど今日の自分すっごく冴えてるぞ!)
ガチャリ
響「や…やった。とうとう完成だぞ…」
響(嘘みたいだ。今までずっと苦戦してたのが、たった一日でこんなスラスラと…)
響「あとは真ん中のピースをはめれば……ええっ!?」
箱『』スッカラカーン
響「最後のピースが無い? どうして…どこかに落としたのか!?」
響「嘘だろ~!? もうちょいで完成なのに…」ガサゴソ
響「みんな!この部屋のどこかにこれくらいのピース落ちてないか?」
バゥバゥヂュヂューニャンニャンブーブーナイサーナイサー
響「ここにはないだって? ……あっ、まさか!」
響「はぁはぁ……やっぱり、亜美たちにいたずらされた時に…」
響「だったら、この事務所のどこかに落ちてるはず…」
響(絶対、絶対見つけるぞ!あれは…おとぅがくれた大切な…)
それからはまさに事務所ごとひっくり返しそうな勢いで探しまくったさぁ
ソファやテーブルの下、床という床を這いずりまわって
事務所中の机の引き出しや冷蔵庫の中に普段は使わないロッカーも調べて調べて調べ尽くしてやった
それなのに……
響「ない……ない……」ガサガサ
響「ここにも……そこにも……どこにもっ」ガサガサガサ
響「何で見つからないのさぁぁぁ!!」ガッシャーン
響「…なんでだよぅ」グスッ
響「う、うあ゛ぁぁぁぁ……じぶっ、じぶんどうぢてごんなめにばかり…」ポロポロ
ガチャ
亜美「ひびきん…?」
真美「何してんの?」
響「ま゛み…ぞれにあ゛みぼ…ぼばえだじごぞあんでごごに゛?」グスグスッ
亜美「うわっ…ちょっと何言ってるか分かりませんな~」
真美「まあいいじゃん探す手間がはぶけたんだし。ほら、これで涙拭きなYO」つぬのハンカチ
響「あ、あ゛りがど…」チーン
真美「真美たちね、その…あらためてひびきんに謝ろうと思ったんだよ」
亜美「亜美たちのことかばってくれたひびきんの姿見てたら、自分たちのこと恥ずかしくなっちゃってさ」
響「それは…もういいよ。写真取り返そうとしたけど結局駄目だったさぁ。あげく金まで要求されて…」
亜美「それでも!だよっ。このままじゃ亜美たちの気持ちが収まんないもん」
真美「昼間みたく強制されてするわけでもない、これは真美たち自身の意思だかんね」
亜美・真美「今までごめんなさいっひびきん!」
響「二人とも…」
真美「真美たちを許して…くれる?」
響「…うん。もちろんさぁ」ジワッ
駄目だ、自分また涙出ちゃいそうだ……
響「と、ところで二人とも、さっきから気になってたんだけど」ゴシゴシ
響「どうしてそんなに泥まみれなんだ?」
亜美「あ→これはですねぇ…」
真美「ちょっとお外で探し物をしておりまして~」
響「探し物?」
亜美「じゃじゃーん、はいこれっ! ひびきんのでしょ?」つパズルピース
響「あ……あ……」ワナワナ
響「あっりがとー!!!!だぞっ二人ともぉ~~!!!」ダキッ
亜美「うわわ!!くっ苦しいよひびき~ん!」
響「よく…よく見つけてくれたさぁ!」ギュウウウ
真美「だって…言いにくいけどそれ、元々は真美が盗んだやつだし」
響「そんなこともうどうだっていいさ!これでパズルが」
亜美「んっふっふ~♪ 驚くのはまだ早いよ」
真美「実を言いますと~それを見つけたのは真美たちじゃないんだよね~これが」
響「へ? それってどういう…」
ナーヤンデモ~シカタナイ♪
真美「おおっ噂をすれば」
亜美「うん…うん…ここにいるよ。今かわるかんね」
亜美「はい、ひびきん」つケータイ
響「電話? 誰からだ…?」
真美「でれば分かるよん」
響「もしもし…我那覇だけど」
『知ってるわよ。こっちがあんた宛てにかけてんだから』
響「その声…伊織か?」
『パズル、見つかったんでしょ?よかったじゃない』
響「そっか…これ見つけてくれたの伊織だったのか。ありがとな」
『なっ、なんでそのこと…こらぁ! 内緒にしろって言ったじゃない!』
亜美「だって~いおりんが一番泥だらけになって探してたじゃんか~」
響「というか、何で亜美の携帯に?」
『仕方ないでしょ!あんたのケータイ番号誰も知らないんだから!』
響「あ…いやそうじゃなくてさ、こんなことしなくても直接会って話せば」
『私は忙しいの!今日だって屋敷でお父様主催のパーティに参加しなくちゃいけなくて…』
真美「騙されちゃ駄目だよひびきん。いおりんはね~照れくさくて仕方ないんだよ本当は」
響「そ、そうなのか…?」
『っ~~~!!!何勝手なこと言ってんのよぉぉおお!!!!』
『もう…』
響(伊織のやつ、怒ってるのかな)
『……確かに、今はあんたと顔合わせられないわ。自分の不甲斐無さが恥ずかしくてね』
響「え? 不甲斐ないって…」
『昼間のことよ!いちいち言わせないでよね!』
響「あぅ…ごめんだぞ」
『……お金のことだけど、私がなんとかするから』
響「え?」
『アイドルとしての私のこれまでの収入と……それでも足りない分はお父様や…お兄様に頭下げてでも借りてみせるから』
『だからあんたは何も心配しなくていいのよ、響』
響「うう、伊織ぃ…」
響「その、自分なんて言ったらいいか……感謝しても感謝しきれないっていうか」
『はいストップ』
響「?」
『…あんたねえ、何か勘違いしてるみたいだから言っとくけど』
『いい? 私にありがとうなんて絶対に言わないでよね!? これは私の落ち度なのよ』
『こうでもしないと私、あんたに一生顔向けできないじゃない!』
響「伊織…」
『あーもう忙しいから切るわよ。じゃあね!』ブッ
亜美「あーあ、切れちった」
真美「いおりん、もうちょい素直になればいいのにね~」
響「…充分さぁ。今ので伊織の気持ちは自分にしっかり伝わったよ」
真美「あっ、真美たちもね~パパやママに内緒でこっそりお金持ってきたんだよ」
亜美「これで我らも飛行少女?ってやつの仲間入りですなぁ。金額的には全然足んないんだけどね…」
真美「まっ今悩んでも仕方ないって!明日また四人で考えればなんくるないさぁ~」
亜美「あははっ今の似てれぅ~」
響「ふふっ…」
ありがとう、みんな……
亜美「んじゃ!まったね~ひびきん!」
真美「バイバ→イ」
響「二人とも、気を付けて帰れよ~」
響「ふぅ……」
今日は最悪なことがいっぱいあったけど、ちょっとはいいこともあったぞ
自分、あの三人と友達になれたのかな?
双子はともかく伊織とは……まだ分かんないや
響「そうだ、とうとうパズルが完成するんだったぞ!」
震える手で最後のピースをはめ込む
苦節八年、やっとこの想いが報われる時がきたんだ…!
カチッ
響(出来た…!)
その時だったさぁ
パズルの真ん中にあるでっかい目ン玉が突然キラメキラリ輝き出したんだ
真夜中だってのに沖縄の太陽みたくギラギラ眩しい光が自分を包み込んで……
響「うぎゃああぁぁぁあああ!!!???」
それからのことは自分、よく覚えてないんだ……
―――
――
【混沌公園】
記者「ここか。待ち合わせの場所ってのは」
記者(しかし金の用意が出来たっていうから来てみたが、いくら何でも早すぎないか?)
「やぁ、記者さん…待ってたぞ」
記者「お前……誰かと思ったら我那覇響か」
記者(何だよその格好、ゴスパンクってやつか? 撮影用の衣装でも着てきたのかよ)
記者「まぁいいや…それより金だ。ちゃんと持って来たんだろうなぁ、おい」
闇響「…あぁ、もちろんさぁ」ゴゴゴゴ
闇響「金はこのケースの中さぁ。そっちも写真のネガとコピー、みんな持ってきたよね?」
記者「ああ、全部このカバンに入ってる。これ以外に複製はない」
記者(なーんてな。まだ焼き増ししたのが会社に保管してあるよーん)
記者(せっかく見つけたおいしいネタだ、稼げるだけ稼がしてもらうぜ)
闇響「オッケー、じゃあ交換するぞ」
闇響「…って言いたいとこだけど、ただ渡すだけじゃつまらないな~」
闇響「どう? 自分とゲームしてみない?」
記者「はぁ?ゲームぅ?」
闇響「そうだよ、それもただのゲームじゃない」
闇響「闇のゲームさァ」
記者「あのなあ、ゲームとか何寝ぼけたこと言ってだよお前。自分の立場分かってる?」
記者「この取引の主導権握ってんのは俺なの俺。ゴシップ記事にされたくなかったら、お前は大人しく金だけ渡せばいいんだよ」
闇響「まーそうビビんないでよ。ゲームといってもただの度胸試しみたいなものだし」
闇響「それにもしお前が勝ったら、もっと多く金を払ってやってもいいぞ」
記者「何…?」
闇響「自分が賭けるのは、このケースの中身を丸ごとさぁ」ガパッ
記者「ひょっ…これ、全部金じゃねえか!」
闇響「自分は太ッ腹だからな。お前が勝てばこれは全部お前のものさー」
闇響「でも自分が勝ったらそのカバンを無条件でこっちに渡してもらうからね」
記者(間違いなく1000万…いやそれ以上あるなこりゃ。どこでかき集めてきたかしらないが、こんなおいしい話に乗らない手はないな)
記者「…ああいいぜ、付き合ってやるよそのゲームとやらに」
闇響「ふふっ、そうこなくっちゃ」
記者「それで、どんなゲームをやろうってんだ?」
闇響「実は準備ならもう出来てるんだ。足元を見てみなよ」
記者「ん…?」
ド ン ☆
__,.--、
__,,,.-t┬.t.┬ー-.、_ _,.- ';~;___ <.!>;. "''ー--='‘〉
,.,._,.,,..,、.、.--tーt''''TT~lニl__l_ニ|ニ|ニ|ニlニ!-|=l_;_~!T´_;:゚。;{‘、ー-ー-=ェェェ=-ー=〈
,..-'`'~l-.lー;ーl~l |-|-,。;-ーー-、。;゚v。:。;l゚。;o・。;;。;/ニゝ; i=}`ー-:-;ー''''''''"""" ̄´
{Xぐ||_l={ 。ニ}ニ|ニ|ニ}ニl {/ミ;ミミ/_;ー;-;-;ー;-;-;-;-;-;-{_=:┴;<"~´ ̄
{メ、メヽ、 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄‘ー--ニミ;, ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ "'ー-、v`=;、
` :./,_メ`Z^ーz.、,、
 ̄ ̄ ̄ ~"`
記者「うおおおおお!!?? ワ、ワニが何でこんな所に…」
闇響「紹介するぞ。こいつは自分の家族のワニ子、このゲームの主役さァ」
記者「お前のペット…? そんなやつをゲームに使うだと?」
闇響「フフ…ワニっていうのは古代エジプトじゃ神聖な生き物として崇められてたんだぞ」
闇響「でも同時に邪悪の象徴として恐れられてもいたんだ。まさに光と闇、その二面性を併せ持つ動物ってワケ」
記者(古代エジプト? 光と闇? 突然何を言い出すんだこのガキは…)
闇響「おっと、こんな蘊蓄どうでもよかったね。それじゃあ運命のゲーム、そのルールを説明するぞ」
闇響「ワニ子、開け」
ワニ子「」ガパァ
記者「げっ…」
闇響「見てのとーり、今ワニ子の口の中にはコインが何枚か入ってるんだけどさ」
闇響「ゲームはそれをお前と自分で交互に取り出していくんだ。どう、簡単でしょ?」
記者「バ、バカ言うなよ……本気でこんなこと……第一こいつの方から襲いかかって来たらどうする?」
闇響「その点は心配ないよ。こいつは今たらふくエサを食って満腹状態だから、自分からは襲わないはずさー」
闇響「それにワニってのは口が長いうえに目が横についてるせいで、口を開けると正面がほぼ死角になっちゃうんだ」
闇響「つまり、真正面から手を入れればワニ子の方から噛みついてくる心配はないってこと」
闇響「ただしワニってのは、口内に何かが触れると反射的に口を閉じちゃう習性があってね」
闇響「このゲームはワニ子の口に触れないように、いかにコインを取り出すかというゲームなんだよ」
闇響「どう? ゾクゾクしてこない?」
記者(正気じゃねえよ、こいつ…本当にあの我那覇響か?)
闇響「そう硬くならないでよねー。ただの度胸だめしなんだからさ、気楽にいこうよ」
ワニ子「」ガパァ
闇響「よしよしいい子だ。御主人サマの手を噛むんじゃないぞ」ソロ~リ
記者(ほ、本気で手ぇ入れやがった…!)
闇響「ふぅ~……まずは一枚だぞ」チャリン
記者「マジかよ…」
闇響「さ、次はお前の番だぞ」
記者「っ……」
闇響「どうしたのさ、まさかとは思うけど怖気付いちゃったの?」
記者「うるさい! い、イカれてんだよそもそも…こんなキ○ガイじみたこと!」
闇響「忘れたのか? お前が勝てばこのアタッシュケースの金が丸ごと手に入るんだぞ」
記者「ぐっ……」
闇響「情けないな~仮にも男のクセに、自分みたいな女のコに負けちゃうのか?」
記者「……よ、よし分かった!やってやるよ畜生!」
ワニ子「」ジロッ
記者「うっ…」ドクン
記者(くそっ、ナメるなよ。あんな小娘に出来たんだ、俺だって…)
ワニ子「」ギョロッ
記者「ひっ…!」ビクッ
闇響「あ、忠告しとくけど事前に汗をしっかり拭き取っておくのをオススメするぞ。前にそれを忘れて…」
記者「黙ってろっ!余計なプレッシャーを与えるな!」
闇響「ハハッ、悪かったさー。お前があんまりにも汗だくになってるから、ついね」
記者「はぁ…はぁ……」ドキドキ
ワニ子「」ジーッ
記者(よ、よし…手を入れるぞ…)ソロ~
ワニ子「……」
記者(大丈夫だ…大丈夫、下手に口の中を触らなければ…)ソ~
ワニ子「……」
記者(……よし、コインをつかんだ!)
記者「っ!」シュッ
闇響「お見事、やるね」
記者「ハァ、ハァ……」チャリン
記者(ハハ…やった、やったぞ! 噛みついてこない!そうだそうだ、こんなの簡単さ)
闇響「さて次は自分の番だけど、こうしてお互い一枚ずつ取ってたらいつまでも勝負がつかないや」
闇響「だから次は自分、二枚取ってみせるぞ」
記者「何ぃ!?」
ワニ子「」ガパァ
闇響「……」ソロ~
記者(糞クソクソッ、失敗しろ失敗しろ失敗しろ噛まれちまえ…!)
闇響「ふぅ、何とか二枚とれたさぁ…」
記者(こ、このガキ、やりやがった…)
闇響「さぁどうする? 自分に勝ちたきゃ、少なくともこのターンでお前も二枚とらなきゃ駄目だぞ」
記者「や、やってやるさ……お前に出来て俺に出来ないはずは…」
闇響「ククッ、やれるもんならどーぞ」
記者(焦るな、落ち着け…さっきは成功したんだ。同じようにやれば…)ドキドキ
ワニ子「……」ガパァ
記者(うぐっ…ワニの口がまるでブラックホールみたいだぜ…)ブルブル
記者(……よし、まず一枚!……あともう一枚を…)
記者(クソッ、ここを乗りきったらお前らのこと最悪のゴシップ記事に仕立ててやる!覚悟しとけよ…)
ワニ子「」ピクッ
記者「!!」
記者(何だ? 今自分から動いたかこいつ!? でも自分からは襲わないって……嘘!!??)ドキドキドキドキ
記者(いやいや待て待て落ち着け、焦っちゃ駄目だ……とりあえずこいつを刺激しないようにゆっくり抜いて……あ、汗ェ……)ドッキンドッキンドッキン
記者(汗が噴き出して手がぬかるんで…コインが滑り落ちるっ…やばい抜かないと……でも動くと汗がこぼれ……駄目だ動かせない!)バックンバックンバックン
記者(早く!早く抜かないとぉぉぉおおおおあああああああ汗がこぼれるぅぅぅ―――)
ピチョン…
グシャァァァァッ☆
記者「ひぎぁぁあああああ!!!!!腕ッ!!!腕がぁぁぁぁああ!!!」
闇響「あーあ、やっぱりこうなっちゃったか」
記者「こいつぅぅ!!離せ!!!離せぇええ!!」ジタバタ
闇響「無駄だと思うぞ? ワニの噛む力は一トン強。もうその手じゃ写真、撮れないかもね」
記者「だ、頼むぅうう!!!ごいつを!!!ごいつを離ぢで…」
闇響「それにしてもキミも変なやつだよねー。アタッシュケースいっぱいの木の葉なんかのために、こんな危険なゲーム受けちゃうんだからさ」
記者(な゛……に゛……!!!????)
元から木の葉なのかよwwwwww
闇響「ま、今回は自分の勝ちってことで。ルールだから金は払わなくてい―よね?」
記者「…そんな、ぞんなごといいがらっ!!!!早くゴレどっでえええええええ!!!!」
闇響「まぁ自分も鬼じゃないからね。条件次第で考えてやってもいいぞ」
闇響「写真のコピー、まだまだあるんでしょ? どこにあるか教えてよ」
闇響「一枚残らず燃やしちゃいたいからさァ…」
【765プロ】
響(う~ん、頭痛い……昨日のことがよく思い出せないや。どーやって事務所から帰ったんだろ)
響「ま、いっか。自分完璧だから何とかしたんだよね多分」
響「それよりとうとうパズルが完成したさー!嬉しいぞ~」
亜美「おっはよー!ひびきんっ」
真美「朝からテンションバリ高だね☆」
響「あ……お、おはようだぞ…」
響(初めて向こうから挨拶してくれたさぁ…嬉しいな)
真美「おおぅ!それがパズルってやつですかな? ペンダントにしたんだ~」
亜美「キラキラ光ってチョ→カッコEじゃん!」
響「うん。これは自分の宝物だし、これからは肌身離さず持つことにしたんだ」
伊織「ちょっとあんたたち、今朝のニュース見た?」
亜美「あ、いおりんおっはー☆」
伊織「お、おっはー……じゃなくて! 例の記者、なんか重体で病院に担ぎ込まれたんですって」
真美「ええっ? そりゃまたどうして?」
伊織「ペットの動物に噛まれたとかなんとか言ってたけど、まぁいい気味ね」
伊織「それだけじゃないわ。芸能暗黒界の編集部……ほら、あいつが勤務してたとこよ」
伊織「あそこも昨日放火の被害にあったらしくてね。ビルごと丸焼けになっちゃったんですって」
響「な、何か気持ち悪いくらい自分たちにとって都合のいいことばかりさー…」
伊織「ふん、この伊織ちゃんを脅迫なんてするからバチがあたったのよ」
亜美「むむむ…これは事件の臭いがしますなぁ真美探偵」
真美「そうですなぁ亜美警部補、もしかしてこれはいおりんが裏から圧力を…」
伊織「ちょっと、失礼ね。いくらなんでもここまでやらないわよ」
亜美「ていうか真美ズルい!亜美も探偵がいいよー!」
真美「早いもの勝ちだもんげ~」
キャッキャッ ドタバタ
伊織「とにかく、写真のことはもう心配ない……って聞いてないわね」
伊織「……」チラチラッ
響(伊織がこっち見てる…また何か気にくわないのか?)
伊織「…そ、それが例のパズル? ふーん、結構似合ってるじゃない」
響「あ…ありがと」
伊織「何よ、怪訝そうな顔して」
響「いやだってさ……伊織がストレートに何かを褒めるとこ、初めて見たから」
伊織「はぁ? 聞き捨てならないわね、あんた私がひねくれてるって言いたいわけ!?」
響「別にそういうわけじゃないけど…」
響(あれ、自分いつの間にか伊織とも普通に会話出来てるぞ)
伊織「はぁーっ、まぁいいわ。特別に許したげる」
響「あのさ、伊織」
伊織「ん?」
響「昨日は色々とあ…っ!」
響(そういえば感謝したら駄目って言われたんだったぞ)
伊織「何よ、なにか言いたいことあるんでしょ?」
響「えーっとだな、それは……」
響「そ、そうだっ!自分と友だ」
伊織「はいそこまで」
響「ち…に…」
伊織「全く、これだから庶民は困るのよ。教養が足りてないからすぐ勘違いするんですもの」
響(はは…やっぱり駄目かぁ。自分ちょっと思い上がりすぎちゃったかな)
伊織「何でもかんでも言葉にすればいいと思ってるんだから。聞いてるこっちが恥ずかしくなっちゃう」
響「……へ?」
伊織「もうあんたと私との間には『見えるけど見えないもの』があるじゃない」
伊織「それで十分よ。にひひっ」
響「あっ…」
響「……」
伊織「どうしたのよ、感極まって声も出ないってわけ?」
響「いや…自分、今の台詞はちょっとクサすぎると思うぞ」
伊織「んなっ///」カァー
真美「ねーねーいおりん、『見えるけど見えないもの』ってどういう意味?」
伊織「うううるさいわねっ、あんたはあっちで遊んでなさいよもうー!」
亜美「うわ~みんな見て見て!この本男同士で変なプロレス技かけあってる~」
小鳥「すみません~遅刻しちゃ…ピヨオオオッ!!?? どどどどどうして私の秘蔵本がこんな所に???」
響(あ…それ昨日事務所荒らした時に見つけたやつだ。元の場所に戻すの忘れてたぞ)
やよい「おはようございまーす! あれれ? みなさんどうしたんですか~」
亜美「あっ、やよいっちもこっち来て亜美たちと遊ぼうよー」
小鳥「そ、その前に亜美ちゃんそのご本をお姉さんに返してくれないかしら。一生のお願いだから、ね?ね? 」
真美「ねー教えてよーどうしてそんな顔真っ赤にしてるのさー」
伊織「しつこいわねぇ離れなさいよこの~」グググ…
騒々しい朝、これはいつものことだけど
自分がその輪の中に、中心にいるってのは初めてのことで
だからこれは個人的な予感なんだけど
ここから、これから自分の物語は始まるんだなって
伊織「ちょっと響!真美を引きはがすの手伝いなさい!」
響「うん、分かった。今行くさー!」
そんな気がするんだ
闇の力と83のバストを持ち、
闇の番人となった響の次なる活躍にご期待ください
とりあえず話のアイディアはあるのに
闇のゲームが思いつかねえ…
和希は天才
ではおやすみなさい
おつおつ
響の活躍に期待!
響はかわいいなー
次→響「さあ…ゲームの時間さァ」
Entry ⇒ 2012.01.21 | Category ⇒ アイマスSS | Comments (0) | Trackbacks (0)
士郎「セイバー?!セイバーじゃないか!?」リリィ「はい?」
http://hayabusa.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1327042392/
士郎「セイバー!!」
リリィ「あの……」
士郎「聖杯もないのにどうやってこっちに戻ってきたんだ!?」
リリィ「すいません。人違いではないですか?」
士郎「え……」
リリィ「失礼します」
士郎「……そうだよな」
士郎「セイバーはもう……いない……もんな……」
士郎「はぁ……」
一成「衛宮、どうした?」
士郎「一成……」
一成「元気がないようだが?」
士郎「いや、なんでもない」
一成「そうか。では、備品の点検に行こうか」
士郎「ああ……」
士郎(でも……似てたな……セイバーに……)
一成「そうだ。今日、転校生がくると担任からきいたが知っているか?」
士郎「そうなのか」
一成「なんでも留学生らしい」
士郎「へえ」
一成「粗相のないようにな」
士郎「なんで俺にいうんだよ」
士郎「よう」
桜「先輩」
士郎「どうした?」
桜「あ……」
凛「じゃあね」
士郎「おう」
桜「お邪魔……でしたか?」
士郎「そんなことない。で、どうした?」
桜「今日の晩御飯なんですけど……」
士郎「うん」
リリィ「……」キョロキョロ
リリィ「職員室はどこでしょうか……?」
士郎「は―――」
桜「え?!」
リリィ「なにか?」
士郎「あ、朝の……」
リリィ「ああ。今朝の……」
桜「セイバーさん!?」
リリィ「は?」
士郎「桜、よく似てるけどセイバーじゃないんだ」
桜「そ、そうなんですか……。いや、そうですよね」
リリィ「セイバーとか一体、どなたなのですか?」
士郎「い、いや。知り合いに似てるから。えっと、それでなんですか?」
リリィ「職員室に行きたいのです」
士郎「職員室?」
リリィ「今日からここの生徒になるのでご挨拶をしておきたいのです」
リリィ「はい」
桜「……よく似てますね」
リリィ「そうですか。一度、お会いしたいですね」
士郎「……」
リリィ「あ……すいません。どうやら、話題にしてはいけないようですね」
士郎「いや、そんなことない。ごめん」
リリィ「こちらこそ無遠慮に踏み込んでしまったようです。申し訳ありません」
桜(話し方も仕草も……瓜二つ……)
士郎「職員室だったな。案内するよ」
リリィ「どうも」
士郎「桜、またあとで」
桜「わかりました」
士郎(セイバー……にしか見えない……)
リリィ「……」
リリィ「助かりました」
士郎「……」
リリィ「リリィです」
士郎「え?」
リリィ「私の名前です」
士郎「あ、俺は士郎」
リリィ「シロウですね。覚えました」
士郎「う、うん……」
リリィ「それでは」
士郎「……」
士郎「まずい……」
士郎「セイバーはもういないんだ……」
士郎「彼女はセイバーじゃない……そう思わないと……」
リリィ「は?」
大河「あ。いや違うわよねー」
リリィ「あなたも私のことをそう呼ぶのですね」
大河「ごめんなさい。すっごい似てるから」
リリィ「いえ。あだ名だと思えばいいですし、それほど悪い響きでもありません」
大河「そ、そう?えっと……リリィさんだっけ?」
リリィ「はい。よろしくお願いします」
大河「留学生だし色々と奇異な目で見られると思うけど……」
リリィ「心得ています。それに二週間もすれば皆さんも慣れてくれるでしょう」
大河「……」
リリィ「なんですか?」
大河「本当にセイバーさんじゃ……ないわよね?」
リリィ「残念ながら違います」
大河「そうよね。うん……」
リリィ「初めまして、リリィと申します。これからよろしくお願いします」
パチパチパチ……
大河「じゃあ、空いてる席に座って」
リリィ「はい」
「きれー」
後藤「かわいい……」
一成「セイバーさん……?」
士郎「違う。そっくりさんなだけだ」
一成「そうか」
リリィ「……」
士郎「……」
リリィ「……?」
士郎「?!」
士郎(目が合った……。駄目だ……どうしても意識するな……)
リリィ「アイルランドからです」
「日本語上手いですね」
リリィ「元から日本という国に興味がありましたので」
「すごーい。ねね、どんな人はタイプ?」
リリィ「タイプ……難しいですね……。堅実な男性なら」
「好きな食べ物はー?」
リリィ「えーと……特には。生の海鮮以外なら好んで食べます」
士郎「……」
一成「気になるようだな」
士郎「え?」
一成「話しかければよかろう」
士郎「そんなんじゃない」
一成「そうか?」
士郎「ああ」
凛「衛宮くん、いくわよ」
士郎「ああ。桜は?」
凛「綾子に連れて行かれたわ」
士郎「そうか」
凛「ほら。早く」
士郎「わかってる」
リリィ「あの」
凛「セイバー!?!?」
リリィ「いえ。違います」
士郎「どうした?」
リリィ「いえ。シロウに学校全体も案内してもらおうかと思いまして」
士郎「なんでさ?ここには一成っていう生徒の鑑が……」
リリィ「あの方もシロウが適任だろうと言っていました」
士郎「一成……」
リリィ「なんですか?」
凛「セイバーじゃないのね?」
リリィ「違います」
凛「……遠坂。遠坂凛よ」
リリィ「リリィです。リン、とお呼びしても?」
凛「え、ええ。構わないわ」
リリィ「ところでシロウ。案内を頼んでもよろしいですか?」
士郎「あ、ああ。いいぞ」
リリィ「ありがとうございます。シロウ」
士郎「うっ……」
凛(セイバーの生き写しじゃない……。なんなの……?)
士郎「その前にご飯食べるんだけど……セイ、じゃなくて、リリィも一緒にどうだ?」
リリィ「それは嬉しい。よろこんでお供します」
凛「……」
リリィ「このような場所で食べるのですか?」
士郎「悪いな。遠坂とはいつもここで食べるんだ」
凛「少し寒いけど、まぁ、嫌なら別に場所を変えてもいいわよ?」
リリィ「いえ。どうやらここはお二人にとって特別な場所なのでしょう。新参の私が意見をいう資格はありません」
士郎「そんな気をつかわなくても」
リリィ「いえ。お気になさらず」
凛「……」
士郎「じゃあ、食べるか」
リリィ「はい」
凛「セイバー、じゃなくてリリィのお弁当、お手製?」
リリィ「はい。今は一人ぐらしですので」
士郎「そうなのか……」
リリィ「ですから、なんでも自分でしないといけませんから。自炊も洗濯も。執事がいれば楽なのでしょうけど」
凛(家事をするセイバーね……。想像できないわ)
士郎「……」
凛「……」
リリィ「……あの。見つめられると、食べにくいのですが……」
士郎「あ、わ、悪い!!」
凛「ごめんなさい。どうしても知り合いと貴女を重ねてしまうの」
リリィ「そうですか……」
凛「ところで……そんな小さなお弁当で足りるの?」
リリィ「ええ。問題はありませんが」
凛「ふーん」
リリィ「それがなにか?」
凛「知り合いはもっと健啖家だったからね。少し違和感があるの」
リリィ「そうなのですか?」
凛「うん」
士郎「……遠坂。もういいだろ。リリィはセイバーじゃないんだ」
凛「死んだわ」
士郎「遠坂!」
凛「いいじゃない」
リリィ「そう……なのですね……」
凛「うん」
リリィ「あの……やはり学校の案内は別の人にお願いすることにします」
士郎「なんでさ?」
リリィ「どうやら私は二人にとって辛い過去を思い出させる要因になっているようですから……」
士郎「そんなことないぞ!」
リリィ「しかし……シロウの顔も……どこか落ち込んでいるようにも見えます」
凛「こいつ、その知り合いに惚れてたからね」
リリィ「え……」
凛「だから、動揺しているだけよ」
士郎「やめろ、遠坂……。リリィが困るだろ」
士郎「いや……」
リリィ「それなら尚のこと、他の人に頼みます」
士郎「……」
リリィ「それでは」
凛「……」
士郎「待ってくれ」
リリィ「……?」
士郎「俺にさせてくれ」
リリィ「しかし……」
士郎「頼られて断れない性格だし、乗りかかった船なら最後まで乗っていってくれ」
リリィ「……いいのですか?」
士郎「ああ」
リリィ「……では、お願いします」
遠坂「……ふん」
凛「じゃ、またね。衛宮くん」
士郎「ああ」
リリィ「……」
士郎「それじゃあ、案内するな」
リリィ「シロウ?」
士郎「ん?」
リリィ「やはり無理は……」
士郎「気にするなって」
リリィ「……はい」
士郎「まずは音楽室からだな」
リリィ「目の前にありますね」
士郎「うん。そうだな」
リリィ「ふふ……」
士郎「ここは弓道場。まあ、入部でもしない限り来る機会は無いと思うけど」
リリィ「そうですね。興味はありますが、部外者の足で汚す場所ではないようです」
士郎「……」
リリィ「なにか?」
士郎「いや……」
桜「先輩!」
士郎「桜」
桜「えっと……なにを?」
士郎「オリエンテーション」
桜「ああ……」
リリィ「朝にもお会いしましたね」
桜「は、はい!」
リリィ「リリィと申します」
桜「桜。間桐桜です」
士郎「あのなぁ……そんな風に見えるのか?」
美綴「見える」
士郎「……」
リリィ「初めまして。リリィです」
美綴「私は美綴綾子。よろしく」
桜「先輩、折角ですし……どうですか?」
士郎「いや。いいよ」
美綴「的に当てる自信がないの?」
士郎「いや。穢したくないだけ」
桜「そんなこと……」
リリィ「シロウ、そろそろ……」
士郎「そうだな。それじゃあ、またな桜」
桜「あ、はい……」
美綴(間桐桜にライバル現る……かな?)
一成「衛宮、すまんがまた頼むぞ」
士郎「わかってる」
リリィ「……」
士郎「……リリィ」
リリィ「え?」
士郎「また明日な」
リリィ「はい」
リリィ「……」スタスタ
凛「ちょっといいかしら?」
リリィ「なんですか?」
凛「こっち」
リリィ「……?」
ガチャリ
凛「ベッドに座って」
リリィ「あの……なにを?」
凛「いいから」
リリィ「はぁ……」
凛「上着脱いでくれる?」
リリィ「どうしてですか?」
凛「調べたいことがあるの」
リリィ「えっと……」
凛「もし貴女がセイバーなら色々と面倒なことが起こってるかもしれないから」
リリィ「ど、どういうことですか?」
凛「早く脱いで」
リリィ「い、いやです……」
凛「―――ぬげぇぇ!!!おらぁ!!」ガバァ
凛「ふー……どうやら、本当にセイバーじゃないみたいね」
リリィ「なんでこんなことを……もうお嫁にいけません……」
凛「ちょっと胸を触っただけじゃない」
リリィ「……」
凛「悪かったわよ」
リリィ「あの……そのセイバーさんって……一体……」
凛「……色々あるの」
リリィ「いえないんですね……」
凛「ええ。ごめんなさい」
リリィ「……シロウとセイバーさんは恋人の関係だったのですか?」
凛「……もっと深い関係だったかもね」
リリィ「……」
凛「ありがとう。素敵な体だったわ」
リリィ「それ……フォローのつもりですか……?」
士郎「桜ー、出来たぞ。遠坂を呼んできてくれ」
桜「あの、先輩?」
士郎「ん?」
桜「リリィさんのこと……なんですけど……」
士郎「……」
桜「あの……!!」
士郎「大丈夫だよ、桜」
桜「……」
士郎「ちゃんと割り切れてるから」
桜「先輩……」
士郎「セイバーはもういない。リリィはセイバーじゃない……だろ?」
桜「はい……」
士郎「ほら、食べよう。遠坂を呼んできてくれ」
桜「わかりました……」
士郎「……」
士郎(リリィ……か)
士郎(桜にはああいったけど……どうしても意識はするな……)
士郎(反則だろ……あれだけ似ているなんて……)
士郎「……」
士郎「はぁ……セイバー……」
士郎「……」ウルウル
士郎「やば……」ゴシゴシ
士郎「寝ないと……」
士郎(セイバー……)
士郎「……会いたいな」
士郎「おはよう、一成」
一成「ああ、おはよう」
士郎「ふんふーん……」
リリィ「……」
士郎「……セイバー?」
リリィ「おはようございます、シロウ」
士郎「……っ」
リリィ「どうかしましたか?」
士郎「ご、ごめん……なんでもない……」
リリィ「シロウ……あの……」
士郎「ごめん……本当に……」
リリィ「……」
士郎「ごめん……」
リリィ「申し訳……ありません……」
凛「衛宮くん」
士郎「いくか」
凛「リリィは?」
士郎「……」
リリィ「……」モグモグ
「それ手作り?!」
リリィ「はい」
「すごーい!!」
士郎「友達がもうできたみたいだ」
凛「そう」
士郎「桜は?」
凛「もう待ってるわ」
士郎「待たせるのも悪いな。急ごう」
凛「ええ……」
士郎「今日は……ちょっと早めに来て欲しいネコさん言ってたな……」
リリィ「シロウ……?」
士郎「ん?」
リリィ「……また、明日」
士郎「うん」
リリィ「……」
士郎「……」スタスタ
リリィ「……」
士郎「……リリィ!!」
リリィ「は、はい!!」
士郎「あのさ……」
リリィ「は、はい……?」
士郎「今度……うちに来ないか?」
リリィ「え……?」
リリィ「ど、どうして急に……」
士郎「えっと……なんとなく……」
リリィ「は?」
士郎「あ、ごめん……やっぱりいい……」
リリィ「シロウ……」
士郎「忘れてくれ……」
リリィ「いつ、行けばいいですか?」
士郎「え……?」
リリィ「休日なら空いていますが」
士郎「……」
リリィ「貴方が私を誘うにはかなりの覚悟がいるはずです。それに応えないのは不敬にもほどがあるというもの」
士郎「リリィ……じゃあ……日曜日に……」
リリィ「わかりました。では、家まで案内してください。私は貴方の家を知りませんから」
士郎「あ……そっか……うん……今から案内する」
士郎「ここだ」
リリィ「立派な屋敷ですね。趣があって私は好きです」
士郎「そ、そうか……」
リリィ「……シロウ?」
士郎「え?」
リリィ「本当に私を招いてもよかったのですか?」
士郎「うん……」
リリィ「……わかりました。それでは日曜日にお邪魔することにします」
士郎「ここまでこれるか?」
リリィ「問題ないでしょう」
士郎「そうか」
リリィ「では、また明日」
士郎「ああ」
リリィ「……」スタスタ
ピンポーン
士郎「はーい」
ガララッ
リリィ「シロウ」
士郎「おかえり」
リリィ「え?あ、ただいまもどりました……」
士郎「あ、ご、ごめん!!その……癖で……」
リリィ「ふふ。よくあることです」
士郎「そ、そうか?」
リリィ「お邪魔してもよろしいですか?」
士郎「あ、ああ。構わない」
リリィ「失礼します。あと、つまらない物ですが手土産を……」
士郎「そんな、よかったのに……」
リリィ「いえ。初めての訪問で空手では忍びないですから」
士郎「今、お茶を出すよ」
リリィ「お構いなく」
士郎(セイバーが居間にいる……)
士郎「やべ……」
士郎(堪えろ……)
リリィ「シロウ?肩が震えていますが?」
士郎「ご、ごめん……なんでもないんだ……」
士郎(だめだ……口元が締まらない……)
リリィ「……それにしても落ち着きますね」
士郎「え?」
リリィ「まるでずっとここに住んでいたような感覚になります」
士郎「セイバー……」
リリィ「……すいません。私は……」
士郎「こっちこそ……リリィだもんな……」
リリィ「……」ズズッ
士郎(話したいこと……いっぱいあったのに……全部、ふっとんだ……)
リリィ「……」
士郎(セイバーがここにいるのが……嬉しい……)
リリィ「ここにはシロウだけが住んでいるのですか?」
士郎「え、あ、いや。遠坂も桜も週に何度かこっちに寝泊りに来る」
リリィ「そうなのですか」
士郎「今日は一人だけど」
リリィ「そうですか」
士郎「……」
リリィ「……」ズズッ
士郎「や、屋敷の中、案内しようか?」
リリィ「ふふ。ここ一週間は貴方に案内されてばかりですね」
士郎「あ、そ、そうだな」
士郎「あんまり面白くなかったか?」
リリィ「いいえ。そんなことはありません。どこも私にとっては新鮮で……神聖な場所です」
士郎「……」
リリィ「神聖は少し大げさですか」
士郎「リリィ、この際だ。街も案内する」
リリィ「本当ですか?!」
士郎「やっぱりまだ街は探索してなかったか?」
リリィ「近所は散歩がてらよく見ていますが、新都のほうやこの辺りはまったくの無知です」
士郎「なら案内のし甲斐があるな。俺にまかせろ」
リリィ「はい」
士郎「んじゃ、早速いくか」
リリィ「ええ。お願いします」
士郎「ここではよく買い物をするんだ」
リリィ「なるほど……」
士郎「……」
セイバー『シロウ、これはなんですか?』
士郎(セイバー……)
リリィ「シロウ、これはなんですか?」
シロウ「セイバー、それは前に―――」
リリィ「……」
士郎「あ……」
リリィ「……いえ。気にしていません」
士郎「……ごめん。気分、悪いよな」
リリィ「シロウ、やはり……」
士郎「こっちにいこう」
リリィ「はい」
士郎「これで、大体のところは回ったかな」
リリィ「ありがとうございます」
士郎「色々、ごめん」
リリィ「私が感謝する側です。謝られる所以はありません」
士郎「……」
リリィ「ただ……私はセイバーさんではありませんから……」
士郎「……うん」
リリィ「それだけは……どうしようもありません」
士郎「……」
リリィ「シロウ?」
士郎「なんだ……?」
リリィ「私はセイバーさんになれないですが……貴方が私を心の拠り所にするというなら……私は……」
士郎「リリィ……」
リリィ「……」
リリィ「そうですか?」
士郎「でも、説得力ないな。もう家にまで招待してるし」
リリィ「ふふ……」
士郎「リリィ、俺、やっぱりこれからも意識すると思う」
リリィ「……」
士郎「それだけは謝っておきたい」
リリィ「いえ。想い人と似ているのですから、それは致し方ありません。立場が逆なら、私もシロウと同じことを口走っているでしょう」
士郎「そうかな。リリィは気が強そうだから、そんなこと無いと思うけど」
リリィ「なんですか、それは。私が鉄面皮で温情のない性格だと言っているのですか?」ムスッ
士郎「そう聞こえた?その通りだけど」
リリィ「もう、シロウ!!」
士郎「ごめん。おわびにクレープでも奢るから」
リリィ「……ストロベリーでお願いします。クリームはたっぷりで」
士郎「おっけー。クリームたっぷりな」
士郎「美味しいか?」
リリィ「はい」
士郎「口元、クリームついてる」
リリィ「え……?」
士郎「今、とってやるから」
リリィ「あ……ん……」
士郎「よし」
リリィ「あ、ありがとうございます……」
士郎「向こうまで行って戻るか」
リリィ「はい」
士郎「……」
リリィ「……」モグモグ
士郎(セイバー……はいない……割り切らないと、リリィに失礼だ)
士郎(リリィだって……きっと内心では傷ついてるはずだし……気をつけないと)
士郎「おつかれさま」
リリィ「いえ。有意義な休日になりました」
士郎「そういってくれると嬉しいよ、リリィ」
凛「士郎、戻ったのね」
士郎「ああ」
リリィ「こんにちは、リン」
凛「……うん」
リリィ「なんでしょうか?」
凛「ううん。なんでもない。ごはんは食べてく?」
リリィ「いえ。帰ります。邪魔をしてはいけないでしょうし」
士郎「そんなことは……」
凛「そう。じゃあ、気をつけてね」
士郎「送っていこうか?」
リリィ「気にしないでください。シロウは家主なのでしょう?ならリンとサクラを気遣うべきです。部外者の私ではなく。それでは」
士郎「……」
凛「士郎?言いたくないけど……セイバーとしてずっと見てたんじゃないの、リリィのこと」
士郎「それは……」
凛「だめよ。そんなことしたら、リリィだっていい気分じゃないだろうし」
士郎「分かってる」
凛「なら、いいけど。ストーカーだけにはならないでね?」
士郎「ならない!」
凛「なら……セイバーのことは忘れて……私だけを見ていられるかしら?」
士郎「え……」
凛「……」
士郎「と、おさか……?」
凛「……冗談よ。ほら、ごはんの支度をしましょう。藤村先生も来るんでしょ?」
士郎「そうだな……」
凛(まるで失恋したような顔ね……バカ士郎……)
士郎「んー……」
桜「おはようございます、先輩」
士郎「おはよう、桜」
桜「お弁当の用意はしてありますよ?」
士郎「ああ。いつも悪いな」
桜「いえ。好きでやってますから。なんでもいってくださいね、エッヘン」
士郎「うん……」
桜「……先輩?」
士郎「なんだ?」
桜「いえ……」
士郎「なんだよ?」
桜「なんでもないでーす」
士郎「そうか?」
桜(先輩……元気ないなぁ……。やっぱり、リリィさんのこと……?)
桜「それじゃあ、先輩。また放課後に」
士郎「ああ。美綴によろしく」
桜「はい!」タタタッ
士郎「―――さてと」
リリィ「……シロウ」
士郎「え……」
リリィ「おはようございます」
士郎「お、おはよう……」
リリィ「……では」スタスタ
士郎「あ、ああ……」
士郎(はぁ……)
士郎(駄目だな……全然、割り切れてないぞ……俺……)
士郎(どうしたらいいんだ……)
士郎「リリィ……」
リリィ「なんでしょう?」
士郎「一緒に……お昼どうだ?」
リリィ「ええ。喜んで」
士郎「え……」
リリィ「なにか?」
士郎「あ、いや。断られると思ってた」
リリィ「どうしてシロウの誘いを断ることができるのですか」
士郎「……」
リリィ「貴方の頼みを無碍にできるほど、私は非情ではないですから」
士郎「なんだよ、新都でのことまだ根に持ってんのか?」
リリィ「当然です。私を罵ったわけですから」
士郎「あれは冗談だって」
リリィ「いーえ。冗談でも許せません。だから、私が如何に慈愛に満ちているか、シロウの体に染み渡るまで教えてあげます」
士郎「わかったよ」
リリィ「ふふ……」
士郎「じゃあ、遠坂を呼びにいくか」
リリィ「ええ」
凛「……」
士郎「あ……」
リリィ「リン、来ていたのですか」
凛「仲がいいのね」
士郎「え……あ……そうだな……」
リリィ「私の目にはお二人のほうが鴛鴦に映りますよ?」
凛「はぁ!?」
士郎「ちょ……!!」
リリィ「ふふ……既に将来を誓い合っているとか?」
士郎・凛「「ないない!!!」」
凛「……」モグモグ
士郎「あ……遠坂……いるか?」
凛「いらん……」
士郎「そうか……」
凛「は、はなしかけんな……」
リリィ「……あの」
凛「え?」
リリィ「もう少しくっついて食べませんか?」
凛「うるさいわね。一人がいいの」
リリィ「なら、私は別の場所に―――」
凛「ちょっとなんでアンタだけなのよ!?」
リリィ「邪魔では……?」
士郎「いいから、いてくれ!!」
凛「そーよ!!いなさいよ!!」
士郎「リリィ?」
リリィ「なんですか?」
士郎「えっと……これ、食べてみてくれないか?」
リリィ「いいのですか?」
士郎「ああ」
リリィ「では、遠慮なく……」モグモグ
士郎「どうだ?」
リリィ「美味しい。口当たりもよく、味付けも食材本来の味を引き立てるようになされている」
凛「……」
リリィ「美味です、シロウ」
士郎「そ、そうか……」
凛「もーらい!」モグモグ
士郎「あ、こら!!」
凛「まあまあね……ふんだ」
リリィ「え?」
士郎「俺の家、よく食材を余らすから、その……」
リリィ「残飯処理……ですか?」
士郎「そ、そういう言い方はあれだけどな」
リリィ「……」チラッ
凛「……」ムスッ
リリィ「いえ。遠慮しておきます」
士郎「え……」
リリィ「そこまでを手間を省くほど、私は堕落できないので。日本に来るときに自分でできることは自分ですると決めましたから」
士郎「そうか。なら、リリィの信念を曲げるわけにもいかないな」
リリィ「お気持ちだけでお腹一杯です」
士郎「はは……」
リリィ「凛もそれでいいですね?」
凛「……うん」モグモグ
士郎「それじゃあ、またな遠坂」
凛「はいはい」
リリィ「……」ペコッ
凛「ちょっと」
リリィ「なんですか?」
凛「変に勘ぐらないでね……。私と士郎は別になんでもないから」
リリィ「ええ。分かっています」
凛「ならいいけど……」
リリィ「でも、なんでもない殿方の家に寝泊りしている事実がある以上、ある程度は勘ぐらせていただきますが」
凛「ちょっと!!!」
リリィ「冗談です」
凛「……もう」
リリィ「それでは、リン。また」
凛「ええ。またね、リリィ」
士郎「よし……」
リリィ「シロウ?」
士郎「ん?」
リリィ「よろしければ……一緒に帰りませんか?」
士郎「ああ。いいぞ」
リリィ「……」
士郎「あ、でも―――」
桜「せーんぱい!」
士郎「桜も一緒だけど、いいか?」
リリィ「勿論です」
桜「え……リリィさん?」
リリィ「一緒に帰っても?」
桜「は、はい……」
士郎「よし、行くか」
士郎「リリィはいつもどこで買い物とかしてるんだ?」
リリィ「近くにスーパーがあるので。自炊を心がけていますが、あそこはいけませんね。誘惑が多い」
士郎「お惣菜か。でも、一人ならそっちのほうが経済的じゃないか?」
リリィ「でも、料理はある程度こなせるようになっておかないと。意中の男性には喜んで欲しいですから」
士郎「……」
リリィ「なんですか?」
士郎「い、いや……リリィって好きな人とかいるのかなぁって……ほら故郷とかに」
リリィ「いません。何度か交際を求められたことはありますが」
士郎「そうなのか?じゃあ、今まで……」
リリィ「ええ……男性とデートをしたのはシロウが初めてです」
士郎「そ、そうか……」
士郎(耐えろ……にやけるな……)
桜「……」ジーッ
リリィ「……」
リリィ「サクラ?」
桜「は、はい?」
リリィ「サクラも料理が得意だと、シロウから聞きました」
桜「い、いえ……私は……」
リリィ「貴女の手料理もいつか口にしてみたいです」
桜「え……そんな、私の料理なんて」
リリィ「謙遜することはありません。シロウは貴女の腕を大変高く評価しています」
桜「……?」
士郎「おい、リリィ!」
リリィ「もう家事を任せてしまってもいいかもしれないと、言っていましたから」
桜「ど、どういうことですか?」
リリィ「シロウはサクラを台所に立たせて、眺めたいのではありませんか?」
士郎「ぶっ!?」
桜「え?!えぇぇ!?」
士郎「おい!!なんでその話をそこまで誇張できるんだよ!!」
リリィ「純粋な感想です」
士郎「あのなぁ……」
桜「あぅ……」
リリィ「しかし、シロウも気が多いですね」
士郎「え?」
リリィ「まるで爆弾の導線を選ぶような……そんな岐路に立たされているのでは?」
士郎「あのなぁ……」
リリィ「今、シロウを支えているのはサクラとリンです。私ではない」
士郎「……!」
桜「リリィさん……?」
リリィ「それだけは忘れないように」
士郎「……ああ」
リリィ「では、私はこっちですので。さようなら」
桜「は、はい……」
士郎「……そうだよな」
桜「え……?」
士郎「ごめん、桜」
桜「先輩……?」
士郎「俺、どっかで不幸な自分に酔って二人が優しくしてくれるのを当然だと思ってたかもしれない」
桜「私は……」
士郎「今まで俺を励ましてくれてたのは……桜と遠坂だもんな……」
桜「……」
士郎「今日の晩飯は何にする?」
桜「とりあえず商店街にいきましょう。そこで決めればいいと思います」
士郎「そうだな」
桜「先輩……」
士郎「……」
士郎「遠坂、風呂沸いたぞ」
凛「おーっす」
士郎「着替えはもう置いておいたから」
凛「下着も?」
士郎「それは自分で」
凛「はいはい。よっこらしょ……一番風呂いただくわー」
士郎「ああ。ゆっくりしてこい」
桜「せんぱい、片付け終わりました、ビシッ」
士郎「桜軍曹、ご苦労様。では次の任務は俺と談笑することだ」
桜「よろこんで!」
士郎「桜、弓道部はどうだ?部長に選ばれそうなんだろ?」
桜「不安はありますけど、美綴先輩がサポートしてくれるので」
士郎「そっか。がんばれよ。試合は必ず応援にいくから」
桜「はい」
士郎「さて……と」
士郎「……」
士郎(リリィの言うとおりだ)
士郎(セイバーがいなくなってから、遠坂も桜も……何も言わずに傍に居てくれた……)
士郎(感謝することを……忘れてたな……)
士郎「……」
士郎(でも……)
士郎(セイバー……)
士郎「……」ウルウル
士郎「……っ」ゴシゴシ
士郎「最低だな……俺……」
士郎「おはよう、一成」
一成「ああ」
士郎「……」
リリィ「……」ボゥ~
士郎「おはよう、リリィ」
リリィ「おはようございます、シロウ」
士郎「……」
リリィ「なんですか?」
士郎「なんでもない」
リリィ「そうですか」
一成「……」
士郎「一成、今日は備品整備しなくてもいいのか?」
一成「ああ。問題は無い」
士郎「……よっと」ガタッ
リリィ「……」
凛「衛宮君」
士郎「今行く。―――リリィ?」
リリィ「なんですか?」
士郎「一緒にどうだ?」
リリィ「……いえ。今日は約束がありますから」
士郎「そうか……」
リリィ「リンと二人で食べてきてください」
士郎「ああ……」
リリィ「……」
「リリィさん、ひとり?」
リリィ「ええ」
「一緒に食べよ」
士郎「リリィ、一緒に帰るか?」
リリィ「サクラやリンは?」
士郎「どっちも用事だ」
リリィ「では、ご一緒します」
士郎「……もしかして、二人に気を遣ってるのか?」
リリィ「……過去が現在に入り込むと色々と思うこともあるでしょう」
士郎「おい……」
リリィ「シロウだけではなく、リンもサクラも……」
士郎「……」
リリィ「分かっています。シロウが私に気をかけてくれるのは―――」
士郎「違う!!」
リリィ「いいえ。それは嘘です」
士郎「……っ」
リリィ「さ、行きましょう、シロウ?」
リリィ「……」
士郎「……」
リリィ「シロウ……もう……私に声をかけるのは……」
士郎「なんでさ……?」
リリィ「貴方も辛いだけのはずです」
士郎「そんなことない。リリィは……辛いか?」
リリィ「私はセイバーさんではないので……」
士郎「そういうことじゃない……」
リリィ「では、どういうことですか?」
士郎「リリィ自身のことを聞いてるんだ」
リリィ「……それをセイバーさんの気持ちとして受け取る気なのでしょう?」
士郎「そんなわけない」
リリィ「シロウ、自分を偽るのは難しいですよ?」
士郎「俺は……リリィのことが知りたい……」
士郎「リリィ!!」
リリィ「すいません。どうしても……そのように聞こえてしまって……」
士郎「……セイバーはもういない……わかってる」
リリィ「では、どうして会って間もない私に固執するのですか?」
士郎「……」
リリィ「シロウ、優しくしてくださるのは大変嬉しいです。ですが、貴方は私のことを見てはいません」
士郎「そんなこと……」
リリィ「遠い……限りなく遠い世界を眺めている……」
士郎「……」
リリィ「その目が見るに耐えないほど脆弱に映ります。私は貴方を悲しませたくはないし、苦痛を与えたくもありません」
士郎「リリィ、俺は別に悲しくもない。辛くもない。ただ、リリィと話したいだけだ」
リリィ「郷国を想うその双眸が……私とセイバーさんを重ねている何よりの証拠です」
士郎「……」
リリィ「シロウ……」
リリィ「……」
士郎「確かに驚いた。リリィを見たとき、セイバーが帰ってきたって思った」
士郎「でも……」
リリィ「話せば話すほど、セイバーさんではないことを思い知る……」
士郎「……!」
リリィ「私が辛いのは、そこです。シロウは私にセイバーさんの影を重ね、でも見えてしまうずれに落胆している」
リリィ「私は貴方の期待を裏切り続けている……」
士郎「俺は……」
リリィ「いつか貴方は絶望し、私を嫌悪するかもしれない。器が同じだけの女に」
リリィ「私は貴方に嫌われたくない」
士郎「……」
リリィ「それだけです……」
士郎「嫌いになんてなるか……。俺はリリィが……リリィのことが……」
リリィ「それ以上、言ってみなさい。私は貴方を軽蔑します」
リリィ「……貴方を好きでいさせてください……」
士郎「リリィ……」
リリィ「……」
士郎「どうして……」
リリィ「どうして?貴方……自分が何を口走ろうとしたか、わかっていますか?」
士郎「違う!!本当のことだ!!」
リリィ「……」
士郎「勿論、セイバーと比べてないって言ったら嘘になる。でも、リリィの魅力に惹かれているのも間違いない」
士郎「俺は……多分……いや、きっと……」
リリィ「やめて……」
士郎「リリィが……好きなんだ……」
リリィ「……っ」
士郎「だから……」
リリィ「―――言いたいことはそれだけですか?」
リリィ「貴方は……最低です」
士郎「ま、まて……」
リリィ「貴方が愛しているのはセイバーさんであって、私ではありません!!」
士郎「ちが―――」
リリィ「さようなら……シロウ」
士郎「リリィ!!」
士郎「……」
士郎「……そうだな」
士郎「俺は……最低だな……」
士郎「……」
士郎「帰ろう……」
士郎「藤ねえ、来るって言ってたし……」
リリィ「……」スタスタ
リリィ「うぅ……!!」
リリィ「うっ……ぅ……うぅ……」ポロポロ
リリィ「う……シ、ロォ……うぅ……」ポロポロ
凛「……奇遇ね」
リリィ「?!」
凛「……」
リリィ「な、なんですか……?」ゴシゴシ
凛「ハンカチぐらい貸してあげるわよ」
リリィ「……すいません」
凛「いい喫茶店知ってるけど、いく?」
リリィ「え……?」
凛「泣いてお腹すいたでしょ?軽食ぐらいなら奢ってあげるわ」
リリィ「……」
凛「で、どうして泣いていたのかしら?」
リリィ「……」
凛「士郎となにかあった?」
リリィ「……」コクッ
凛「士郎に告白された?」
リリィ「な、なぜ!?」
凛「一番可能性が低いやつを言ったんだけど……マジか」
リリィ「……でも、断りました」
凛「どうして?」
リリィ「シロウは私のことを愛しているわけではないからです」
凛「そうね。セイバーを想っているだけでしょうね」
リリィ「はい……」
凛「……貴女のこと少しだけ調べさせてもらったわ」
リリィ「え?」
リリィ「あの……」
凛「祖先はアーサー・ペンドラゴン……」
リリィ「それは伝説みたいなものです。恐らく誰かが捏造したのでしょう」
凛「でしょうね……」
リリィ「私の親族にそれを信じている者はいません」
凛「でも、私は信じちゃうわ」
リリィ「は?」
凛「……」ズズッ
リリィ「……」
凛「貴女はたぶん、生まれ変わりなのよ。アーサー王の」
リリィ「生まれ変わりって……私は女ですよ?」
凛「でも、生まれ変わりなのは間違いないわ。だって、セイバーとそっくりなんだもの」
リリィ「意味がわかりません……」
凛「分からなくてもいいの。貴女には関係のないことだもの」ズズッ
リリィ「以前から日本に興味があったので……」
凛「きっかけは?」
リリィ「は?」
凛「日本に興味をもったきっかけよ」
リリィ「……」
凛「……ないの?」
リリィ「ええ……」
凛「ふーん」
リリィ「気づいたときには……日本に憧れていたかもしれません」
凛「そう……そうなんだ……」
リリィ「リン?」
凛「貴女……士郎のこと好きでしょ?」
リリィ「な、なななにを!?」
凛「正直に……大事なことよ」
凛「……」
リリィ「だけど……シロウに嫌われたくはないと思っています」
凛「……それで十分よ」
リリィ「リン……?」
凛「やっぱり奢るのはなし!」
リリィ「え?!」
凛「なんかむかつくわ。だからなし!」
リリィ「か、構いませんが……」
凛「それと……士郎と早く仲直りしなさい」
リリィ「……」
凛「あー。そうだ。もう一つだけ。―――どうして冬木に?」
リリィ「……特に理由は。ただ、この街の風景を見たときにいいなと思いまして」
凛「確定ね。じゃ、さよなら」
リリィ「リン!!……一体、どういうことですか……?」
士郎「はぁ……」
凛「ただいまー」
士郎「あ、お帰り。遠坂。今日の晩御飯―――」
凛「いらない」
士郎「どうしたんだ?」
凛「私、出て行くから」
士郎「な、なんでさ!?」
凛「士郎?」
士郎「え……」
凛「今まで、ありがとう」
士郎「と、おさか……?」
凛「リリィはセイバーの生まれ変わり。根源となる魂を共有したね」
士郎「え……な、にを……?」
凛「セイバーを大事にしてあげるのよ、士郎?せっかく、何千年も想い続けてくれたんだから」
凛「なによ?今の説明じゃ足りないの?」
士郎「急すぎて分からない!!」
凛「……そう」
士郎「遠坂……リリィがセイバーって……」
凛「だから、セイバーが一から現代人として育った結果なのリリィっていうのは」
士郎「……」
凛「普通の……とはいっても名家だけど、お嬢様として育てられたセイバー。一つの可能性が現代にきてくれたのよ」
士郎「そうなのか……」
凛「だから、リリィのところにいきなさい」
士郎「でも、俺は……遠坂に……」
凛「士郎?」
パシンッ!!
士郎「え―――な、なにすんだよ……?」
凛「目は覚めた?私を見つめる前に好きな人のところにいきなさい」
凛「私はその間に荷造り済ませて家に帰るから」
士郎「……」
凛「じゃあね」スタスタ
士郎「遠坂……」
凛「……なによ?」
士郎「でも……セイバーじゃない」
凛「……」
士郎「リリィはセイバーじゃないんだ……。仕草も口調も似てるけど、やっぱり違うんだ」
凛「まだそんなことをいうの?!」
士郎「リリィに言われた。いつかセイバーじゃない自分が嫌われるのが怖いって」
凛「な……」
士郎「俺も……そんな気がするんだ。いつか、俺はリリィに……」
凛「……もう知るかっ!!!勝手にしろ!!そのまま悩んで禿げて死ね!!!」
士郎「お、おい……!!」
桜「ただいま―――先輩?」
士郎「桜……」
桜「何か……あったんですか?」
士郎「……」
桜「……」
士郎「さ、夕飯の準備を―――」
桜「先輩……どうして黙るんですか?」
士郎「な、にが?」
桜「嘘がつけないからって黙ること無いと思います」
士郎「……」
桜「先輩……リリィさんのことですか?」
士郎「な、ななんで、桜まで……」
桜「この一週間、リリィさんに会ってから先輩の顔……かっこわるいままです」
士郎「そ、そんなわけない!!生まれたときのままだぞ、これは!!」
桜「でも、今の先輩は下ばかりみて、ウジウジして、自分の中で我慢して……」
桜「とーっても、かっこわるいです」
士郎「……」
桜「先輩の中で答えは出てるんですよね?」
士郎「桜、いや……」
桜「私と姉さんが先輩を支えてきたのは、同情からではありません。愛情でもないです」
士郎「……」
桜「ただ、昔の先輩に戻ってほしいかったからです」
士郎「俺……そんなにだめだったか?」
桜「だめだめです。不合格です。―――でも、結局私じゃ先輩を取り戻せなかった」
士郎「……」
桜「やっぱり先輩はセイバーさんだけを想っていた。私の負けです」
士郎「桜……!」
桜「先輩。私、先輩のこと大好きです。だから、リリィさんのところへ行ってください」
桜「大好きな先輩に……戻ってから帰ってきてください」
士郎「……わかった」
桜「外は寒いですよ?」
士郎「ああ……行って来る」
桜「……リリィさんなら新都にいます」
士郎「え?」
桜「きっと来るから待っているように伝えておきました」
士郎「桜……悪い」
桜「ありがとう、っていうんですよ?」
士郎「ありがとう……桜」
桜「いってらっしゃい」
士郎「行ってきます!!」
桜「ふぅ……」
桜「バカだなぁ……折角、先輩を奪えるチャンスだったのに……」
桜「……姉さん?」
凛「なによ?」
桜「手伝います。荷造り」
凛「一人でやれるわよ」
桜「いいじゃないですか」
凛「……よかったの?」
桜「姉さんこそ」
凛「私は別に……」
桜「そうですか……姉さんは強いですね……」ウルウル
凛「桜……?」
桜「わ、たし……もう……だめです……ね……」ポロポロ
凛「よく退いたわね……」ナデナデ
桜「だって……先輩のこと……だいす、き……だから……」ポロポロ
凛「うん……そうね……」ナデナデ
士郎「はぁ……はぁ……新都って結構広いぞ……」
士郎「どこに……」
リリィ「……シロウ」
士郎「うわぁ!!」
リリィ「……」
士郎「ごめん……待たせたな」
リリィ「……」フルフル
士郎「……」
リリィ「あのサクラが貴方からお話があると……」
士郎「……ああ」
リリィ「……なんですか?」
士郎「好きだ、リリィ」
リリィ「……」
士郎「この気持ちは嘘じゃない」
リリィ「それはセイバーさんのことですよね?」
士郎「そうだ」
リリィ「なら……私は……」
士郎「でも、リリィが好きなんだ」
リリィ「シロウ……」
士郎「ずっとリリィのことが頭から離れない。それはセイバーと似ているからかもしれない」
士郎「でも、好きって気持ちは本当だから」
リリィ「……」
士郎「リリィ……」
リリィ「私、セイバーさんじゃないですよ?」
士郎「うん」
リリィ「いつか……シロウはそんな私を嫌いになる……」
士郎「……ならない。なるわけない」
リリィ「どうしてですか?」
赤は妹にして甘やかして甘えられたい
黒は姉にして叱られたいし時々甘えたい
青は嫁にして尻に指いれたり首に噛み付いたりほっぺつねったり、縛ったりして泣かせたい
素晴らしい生活ではないか!
リリィ「……」
士郎「嫌いに……なるわけない……」
リリィ「シロウ……」
士郎「言えるのは……それだけだ……」
リリィ「そうですか」
士郎「……リリィ?」
リリィ「では……私からも……一つだけ伝えないと……」
士郎「え……?」
セイバー『最後に、一つだけ伝えないと』
セイバー『私は―――』
リリィ「―――貴方を、愛しています」
士郎「……セ……イ……」ポロポロ
リリィ「シロウ……?」
リリィ「どうぞ……」
士郎「あ、りがとう……」
リリィ「リンのハンカチですけど」
士郎「ぶっ!?」
リリィ「ふふ。返しそびれてしまって」
士郎「あ、そうだ……家に帰らないと……」
リリィ「あの……すいません」
士郎「え?」
リリィ「まだ、なにも食べていなくて……」グゥ~
リリィ「よければ……ご馳走してくれませんか?」
士郎「……あはは」
リリィ「な、なんで笑うのですかっ!!」
士郎「いや……うん、じゃあ、うちに来てくれ。夕飯、ご馳走するから」
リリィ「ありがとうございます……シロウ」
士郎「ただいまー」
リリィ「……お邪魔します」
士郎「桜ー?遠坂ー?」
士郎「……いない、のか?」
リリィ「あの……」
士郎「あ、ああ。上がってくれ」
リリィ「すいません」
士郎(遠坂も桜も……もう帰ったのか……)
リリィ「シロウ?」
士郎「え?」
リリィ「私も手伝います。早く作りましょう」
士郎「うん」
士郎(遠坂、桜……)
士郎「今まで……ありがとう……」
士郎「ありがとう、リリィ」
リリィ「セイバーでもいいですけど?」
士郎「え!?」
リリィ「……」
士郎「いや……リリィだろ。セイバーは……いなくなった」
リリィ「もうセイバーって呼ばないようにしてくれるのですか?」
士郎「する」
リリィ「じゃあ今後、私のことセイバーと呼んだらペナルティを課します」
士郎「え?」
リリィ「もし、セイバーと呼んでしまったら。私のことを愛していると10回言ってもらいます」
士郎「な、なんでさ!?」
リリィ「私のことを心の隅々まで好きになってほしいから……」
士郎「……」
リリィ「私はきっとセイバーさんを超えられない……。でも、負けたくもないですから」
リリィ「そうですね。ペナルティで言うものではないですね」
士郎「……リリィ」
リリィ「シロウ、いつか……私を好きになってください」
士郎「もうなってる」
リリィ「嘘です」
士郎「嘘じゃ……」
リリィ「……」
士郎「がんばる」
リリィ「はいっ」
士郎「ご飯、食べるか」
リリィ「ええ……」
士郎「じゃあ……」
リリィ「いただきます」
士郎「いただきます」
リリィ「いいえ。大丈夫です」
士郎「いや、送る」
リリィ「あのですね。そこまでの施しを受けるわけにはいきません」
士郎「駄目だ。夜は危ないぞ?」
リリィ「心配要りません」
士郎「駄目」
リリィ「これでも護身術に覚えがありますから」
士郎「だって、セイ―――」
リリィ「……あ」
士郎「……」
リリィ「ふふ……」
士郎「ごめん」
リリィ「じゃあ、送ってもらいます」
士郎「うん……」
リリィ「もう一度、お願いします」
士郎「愛してる、リリィ」
リリィ「駄目ですね。もう一度」
士郎「リリィ……愛してる」
リリィ「よし。それで一回目です。あと九回ですよ?」
士郎「き、厳しいぞ……」
リリィ「名前を間違えるなんて、女の子がどれだけ傷つくと思っているのですか?」
士郎「む……」
リリィ「はい。二回目に挑戦してください」
士郎「リリィ……好きだ」
リリィ「愛してるじゃないから駄目です」
士郎「な……」
リリィ「さ、もうすぐ私の自宅についてしまいますよ?」
士郎「くっ……リリィ、愛してる!!」
リリィ「着いてしまいましたね」
士郎「また明日か……?」
リリィ「あと6回も余っていますからね……」
士郎「……学校でいうのはなしだぞ?」
リリィ「では……」
士郎「え―――」
リリィ「ん……」
士郎「……!?」
リリィ「今の口付けで……5回分は免除します。最後の一回……心こめてください」
士郎「……リリィ」
リリィ「はい」
士郎「愛してる」
リリィ「私もです……。シロウ、おやすみなさい」
士郎「おやすみ……」
士郎「ん……?」
凛「……おはよう、衛宮くん」
士郎「おはよう、遠坂」
凛「……衛宮くん」
士郎「なんだ?」
凛「朝、早いのね」
士郎「……まあな」
凛「それじゃあ」スタスタ
士郎「……遠坂」
凛「……」スタスタ
士郎「ありがとう……」
凛「……」スタスタ
士郎「……」
凛(士郎……私も……ありがとう……)
桜「―――っ!!」シュバッ
美綴「気合はいってるねー」
桜「……はい」
美綴「なんかいいことでもあった?」
桜「いえ……どちらかといえば……最悪なほうです」
美綴「ふーん……」
桜「……」キリキリキリ
桜「―――っ!!」シュバッ
美綴「おー……命中」
桜「ふぅ……美綴先輩」
美綴「ん?」
桜「次の大会……優勝しますから」
美綴「期待してる」
桜「はい!」
リリィ「シロウ、それ、もらえますか?」
士郎「いいぞ、はい」
リリィ「ありがとうございます……はむっ」
士郎「どうだ?」
リリィ「……はい。美味しいです」
士郎「……リリィ」
リリィ「はい」
士郎「……好きだ」
リリィ「……」
士郎「もう……見えないから」
リリィ「何がですか?」
士郎「リリィの後ろにあった……理想郷。もう見えないから……」
リリィ「……卵焼き、ください」
士郎「いいぞ。どんどん食ってくれ」
リリィ「……シロウ?」
士郎「んー?」
リリィ「今度はいつシロウの家にお邪魔してもいいのでしょうか?」
士郎「いつでもいいぞ。リリィなら大歓迎だ。というか鍵でも渡そうか?二つほど余ってるし」
リリィ「いえ……そこまでは……」
士郎「そうか」
リリィ「でもいつか……その鍵は受け取りたいです」
士郎「リリィ……」
リリィ「そして……心からいいたいです」
士郎「ああ、何を?」
リリィ「シロウ―――」
セイバー『―――ただいま戻りました』
リリィ「って。それでシロウはきちんと、おかえりって言ってください。お願いします」
士郎「―――うん。おかえり、リリィ」
END
良かった
新しいの期待してるぜ
Entry ⇒ 2012.01.21 | Category ⇒ FateSS | Comments (0) | Trackbacks (0)
土の四天王「生き返ったら魔王死んでたwwwwwww」
グール「50年ぶりですね、相変わらずウザったい」
土「ちーっすwwwwwwwグールさん久しぶりっすwwwwwwwwwwww」
グール「うぜぇ」
土「うっすwwwwwww久しぶりwwwwwwwwwwwwwww」
ゴーレム「流石っすねwwwwwリビングデッドパネェっすwwwwwwwwwww」
土「だろwwwwwwwwwwwwwwパネェんだよ俺wwwwwwwwww」
グール「むしろ不死の魔物なくせに復活に50年もかかったことを反省してください」
土「辛wwwwwwwwww辣wwwwwwwwwwwwwwwwwwww」
グール「うるせぇ」
グール「魔王様が倒れてから50年経って人間達は平和な世界を手に入れました」
土「ちょwwwwwwwww魔王死んだのかよwwwwwwwwwwwwww」
グール「それどころか四天王を始めとする優秀な指導者は軒並み倒れました」
土「マジかwwwwwざまぁwwwwwwwwww火の四天王ざまぁwwwwwwwwwwwwww」
グール「我々、魔族は50年間隠れ潜んで生きなければなりませんでした」
土「把握wwwwwwwwwちなみにwwwwww旧魔王軍って今どんだけいんのwwwwwwwwwwwww」
グール「私達だけですよ」
土「ちょ」
土「4人パーティwwwwwwwwwテラ王道wwwwwwwwwwwwwww」
グール「というのも人間の残党狩りで旧魔王軍はほとんど狩られるか特攻を仕掛けて自爆しましたし」
土「マジかwwwwwwwwwwwwww」
グール「そりゃ各地に隠れ潜んでいる魔物達はいるでしょうが、殆どはもう魔王様のことなんて忘れてますよ」
土「詰んでるじゃねぇかwwwwwwwwwwwwwwwwwww」
グール「だから正直今更隊長に生き返られても『何しにきたのあんた』って感じなんですが」
土「サーセンwwwwwwwww不死でサーセンwwwwwwwwwwwwwwww」
グール「まあ…ていうよりは暗い洞窟の方が元来好みですが」
ゴーレム「それに俺ら食料いらないんでwwwwww隠れて暮らすとか楽勝なんすよwwwwwwww」
グール「もっとも、オークだけは食料を必要としますがね」
土「んでwwwwwwwそのオークって今何してんのwwwwwwwwwwwww」
グール「畑でイチゴでも収穫してるんじゃないですか」
土「菜食主義とかwwwwwwwwwwwwwおまwwwwwwwwww」
オーク「ただいまーっす、あ、隊長久しぶりっす」
土「うっすwwwwwwwwお帰りwwwwwwwwwwww」
土「みかんうめぇwwwwww俺腐ってるから味覚無いけどwwwwwwww」 めりめり
土「ていうかおまwwwwwwww魔物なんだから肉とか食えよwwwwwwwwwwww」
オーク「ここらで人間食ったりしたらすぐ目つけられますもん、それに野菜うめぇ」
土「昔は女騎士孕ましたり壊れたら食ったりしてたくせによwwwwwwww」
オーク「昔は昔じゃないすか、ていうか50年も経てば俺だって変わりますよ」
土「女騎士もうさらわないのかよwwwwwwwwwwwwww」
オーク「いや、俺も歳取ったせいか最近はすっかり」
グール「エロトークやめろ」
グール「はあ?」
土「だっておまwwwww俺魔王軍四天王だものwwwwwwwwwwwwww」
グール「ここ最近の人間がどれだけ調子付いてるか知らないんですか、無謀ですよ」
土「大丈夫大丈夫wwwwwww俺死んでも生き返るからwwwwwwwwwwwww」
グール「その割に復活に50年もかかってるじゃないですか」
土「だって勇者の奴蘇生呪文唱えてくるんだぜwwwwww危うく成仏しかけたわwwwwwwwwww」
グール「そのまま天に召されればよかったのに」
グール「はあ…ここから山を降りれば田舎の村がありますよ」
土「サンクスwwwwwww行って来るわwwwwwwwwwwww」
ゴーレム「あwwwwwwんじゃ俺も行くっすwwwwwww」
オーク「なんだ、珍しいな」
ゴーレム「いやあwwwwww隊長がいりゃ大丈夫かなってwwwwwwwwww」
土「そうだろそうだろwwwwwwwwwうはははwwwwwwwwwwww」
グール「……アレがいればいざとなっても身代わりにして逃げられるって意味ですかね」
オーク「トカゲの尻尾切りってやつか」
牛「ンモー」
土「やべぇwwwwwwテラ田舎wwwwwwwwwwwwwwwwwww」
ゴーレム「隊長先行って下さいよwwwwwwwwww」
土「おまwwwwwwwwww普通こういうのは下っぱからだろwwwwwwww」
ゴーレム「まあまあwww体のリハビリもかねてwwwwwwww」
村人A「ウワー!魔物だー!魔物がいるぞー!」
村人B「きゃー!こわーい!」
土「つーかバレてたわwwwwwwwwwwお前デカいんだよバカwwwwwwwwwwwwwwww」
ゴーレム「サーセンwwwwwwwwwwwwwwwwww」
騎士「待て魔物どもめ!ここから先には一歩も進ませんぞ!」 チャキ
ゴーレム「なにそのセリフwwwwwかっけぇwwwwwwwwwwww」
土「かっけえwwwwwwwww久々に戦闘って感じwwwwwwwwwwww」
騎士「私は国王よりこの村の守護を任されるもの!さあかかってこい!」
土「おkwwwwwwwwくらえ毒攻撃wwwwwwwwww」 ブシュゥゥ
騎士「むっ…魔法か…この煙はっ…ごほっ!ごほっ!」
ゴーレム「ちょwwwww地味wwwwwwwwwwwwwwwwww」
土「うっせぇwwwwwwwwwwww」
土「ちょwwwwwww毒効かないとかwwwwwwwwwww」
騎士「ずああっ!」 ズバンッ
土「うはwwwwwwwww腕取れたwwwwwwwwゴーレムたのm」
ゴーレムは にげだした!
土「あいつ逃げてるwwwwwwwwワロエナイwwwwwwwwwwwwwww」
騎士「何か言い残すことはあるか…魔物!」 ジャキッ
土「ちょwwwwwwwタンマタンマwwwwwwwwwwww少しまっ」
ザンッ
土「 」
土「ただいまーwwwwwwwwwwwwwwww」 モコモコ
グール「うわあ、生きてた」
土「不死ですからwwwwwwwwwそれよかゴーレムこっちこいwwwwwwwwww」
ゴーレム「サーセンwwwwwwwwちょっとうんこしたくなってwwwwwwww」
土「ゴーレムがうんこしてたまるかwwwwwwwwwwwwwwww」
ゴーレム「まあ生きてたんだからいいじゃないすかwwwwwwwwwwwwwwwwww」
オーク「少しぐらいは反省しとけよ、一応」
土「やめてwwwwwww豚を見るような目で見ないでwwwwwwwww」
オーク「まあ隊長は四天王の中でも最弱だからな」
土「おまwwwwwwww事実だけどwwwwwwww事実だけどwwwwwwwww」
土「つーか俺が弱いんじゃないんですwwwwwwwwwwあいつが妙に強いんですーwwwwwwwwwwwww」
グール「言い訳はみっともないですよ」
土「言い訳じゃないですーwwwwwwwwww事実ですーwwwwwwwwwwwwwwww」
グール「まあ隊長が負けたんならそうなんでしょうね」
オーク「隊長が殺られてからも勇者レベルアップしまくってたけどな」
土「そういやそうだわwwwwwwww勇者って今何してんのwwwwwwwwww」
グール「さあ、国に戻ってから姫と結婚したって話ぐらいしか」
土「もっと情報集めとけよwwwwwwwwww使えねぇwwwwwwwwwwwwww」
グール「隠れて住んでるのに人間の情報なんて集めようがないじゃないですか」
土「ですよねwwwwwwwwwwwwwwwwww」
グール「腹立つこいつ」
グール「明日も行くんですか?」
土「あたり前田のクラッカーwwwwwwwwwwwwwwwwwwwww」
オーク「やめとこうぜ、どうせ勝てないんだろ」
土「うっせwwwwwwwwww魔王軍再興はあの村から始まるんだよwwwwwwwwwwwwwww」
ゴーレム「かっけえwwwwwwww隊長そこまで考えてたんすかwwwwwwwwwwwww」
土「当然よwwwwwwwwんじゃ行って来るわwwwwwwwwwwwwww」
グール「今から行くんですか」
オーク「殺した相手がすぐに戻ってくるんじゃ相手も気が休まらないな」
土「ちーっすwwwwwwwwwwwwwwwww」
騎士「性懲りも無くまた現れたな魔物め!今度こそ完全に消し去ってくれる!」
土「まあまあ待てってwwwwwww今度は正々堂々と勝負しようぜwwwwwwwww」
騎士「魔物が正々堂々だと…どういうつもりだ!」
土「俺がまだ名乗ってないだろwwwwwwwww俺は旧魔王軍、土の四天王wwwwwwwww」
土「いざ尋常に勝負wwwwwwwwwwwwwwwwww」
騎士「なっ…四天王!?なぜこんなところに!」
騎士「む…確かに相手に名乗られてはこちらも礼儀を重んじるをえまい」
騎士「我が名は騎士!国王からこの村の守護を命じられ」
土「スキありぃぃぃっwwwwwwwwwwwwwwwwww」 ズゴゴゴゴ
騎士「うおっ!地面が…うわあっ!!」 ボコボコボコ
土「ざまあwwwwwwww土で閉じ込めればどうしようもないだろwwwwwwwwwwww」
騎士「ぐ……」
土「うはwwwwwww俺TUEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEwwwwwwwwwwwwwwwwww」
グール「汚いですね」 コソッ
オーク「あいつ汚いなあ」 コソッ
土「うははwwwwwwそこで見ているんだなwwwww俺がこの村を滅ぼすのをwwwwwwww」
騎士「汚い戦法で騎士の戦いを汚し…その上そのようなこと……させてたまるかああっ!!」 ボゴンッ
土「ちょwwwwwwwww土壊すとかwwwwwwwwwwどうやってんwwwwwwwww」
騎士「はああああっ!!」 ダンッ
土「やべぇwwwwwwwwwこれ詰んd」
ザンッ
土「 」
グール「あー」
オーク「あーあ」
オーク「お疲れー」
土「ただいまっすwwwwwwwwwあいつやっぱ強いわwwwwwwwwwwwwww」
グール「勇者ばりの無茶っぷりでしたね」
土「見てたのかよwwwwwwwww助けろよwwwwwwwwwwwww」
オーク「何で隊長の為に俺らが死ななきゃなんないんだよ」
グール「死ぬなら1人で死んで欲しいですね」
土「血も涙も無ぇwwwwwwwwwwwwwwwww」
グール「アンデッドですから」
兵士A「おや、騎士様また鍛錬ですか」
騎士「うむ、今日も魔物が出たことだし、鍛錬を怠るわけにはいかんだろう」
兵士B「はあ、そりゃ立派なことで」
騎士「ああ、では」
兵士A「はあ…こんなド田舎で頑張ったところで出世も何も無いだろうに」
兵士B「とことん真面目な人だよなあ」
兵士A「ていうか固いんだよなあ」
騎士「固くて悪かったな」
兵士A「ちょwwwwサーセンwwwwwwwwwwwwwwww」
土「うーっすwwwwwwwwwwwwwww」
騎士「性懲りも無くまた来たか」 チャキ
土「勘違いしないでよねwwwwwwww別にあんたに会いにきたわけじゃないんだからwwwwwwwww」
騎士「黙れ」
土「冗談の通じねえ奴だわwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwww」
兵士A「禿同wwwwwwwwwwwwwwwwww」
騎士「兵士A!貴様!」
兵士B「気軽な上司っぽくて羨ましいなあ……」 コソッ
グール「真面目な上司みたいで羨ましい……」 コソッ
グール「人間!」 バッ
兵士B「何の用だ…そこのゾンビの仲間か!?」
グール「一応そこの腐れゾンビの部下です、ていうか私もゾンビです」
兵士B「そうか……でもあんた可愛いな…魔物なのに」
グール「…………」
グール「……は?」
兵士B「よかったら付き合ってくれませんか」
グール「黙りなさい、殺しますよ」
兵士B「君のような美しい人に殺されるなら本望さ!」
グール「腹立つこいつ」
兵士B「美しいものは何であろうと愛でるべきだと思うよ俺は!」 ガキィッ
グール「やかましい!元来人間と魔物との間の溝は埋められぬものだろう!」
兵士B「ぶっちゃけ魔物とか大していない時代に生まれた俺には関係無かった!」
グール「黙れ若造め!」
兵士B「俺は熟女でも問題なくいけます!!」
グール「やかましい!」
土「やべぇwwwwwwww達磨プレイとかwwwwwwwwwテラ猟奇的wwwwwww」
騎士「黙れ、貴様はこのままにしておいてやる、どうせ殺しても復活するからな」
土「放置プレイだとwwwwwwwwwwwwwwwwwww」
騎士「やかましい、兵士!縄か何かを……」
兵士B「腐ってる君でも愛してる!あと青い肌って結構オイシイと思うの俺!!」 ガキィッ
グール「やかましいわ人間め!!」 ゴォンッ
兵士A「あの子つええwwwwwwwwwwwwwwwwww」
ゴーレム「いやいやwwwwwwあっちも人間にしては中々wwwwwwwww」
騎士「……」
騎士「おい」
兵士A「把握wwwwwwwwwwww」
兵士B「俺にとってはご褒美です」
土「正座する足がないwwwwwwwwwwwww」
ゴーレム「石だから正座してても疲れないんですがwwwwwwwwwwwwww」
グール「黙って座っててください腐れ脳味噌共」
騎士「貴様も腐れ脳味噌だろう、物理的に」
グール「黙りなさい人間、殺しますよ」
土「おいおいwwwwwwwww仲良くしろよお前らwwwwwwwwwww」
騎士「どの口が言うか」
騎士「人を襲い、人を食らい、人を嬲り、人を滅ぼす魔性のもの!」
騎士「それが魔物であり、人間は彼らを打ち倒さねばならない!」
グール「それを言うならこちらこそです、人間は自らの欲望の為に魔物を狩る」
グール「それに魔物が人を食らうのは自然の摂理です、鳥が虫を食べたとて虫が滅ぶわけではないでしょう」
グール「昔から人間はいつも自分達が世界の頂点だと思い込んでいる、だから私は人間が嫌いなんです」
騎士「……その台詞は捨て置けんな、貴様、そんなに斬られたいのか」
グール「私は事実を述べたまでです、一方的に喧嘩を売っているのはそちらでしょう」
土「お前らんとこの大将えらい真面目だなwwwwwwwwwwwwwww」
兵士A「あんたの部下こそwwwwwwwwwwwwwwwwww」
兵士B「グールさん可愛いなあ」
ゴーレム「おkwwwwwwwwwwwwwwwwwww」
土「ちょwwwwwwww俺はwwwwwwwwwwwwww」
グール「はい足、勝手にくっつけて戻ってきてください」
土「うちの部下ひでぇwwwwwwwwwwwwwwww」
兵士A「うちの隊長も似た様なもんだよwwwwwwwwwwwwwwww」
兵士B「あ、グールさん!よかったら今度一緒にお茶でも」
グール・騎士「「 黙れ!! 」」
グール「はー…近頃の人間は何なんでしょうかね…あれは…」
オーク「いいじゃねえか、話聞いてると楽しそうで」
グール「ううー…違うんですよ…人間と魔物はもっとこう殺伐っていうか…血で血を洗うような関係じゃないと」
オーク「古参はこれだから、それは俺達が人間よりも上回ってた時代だろ」
グール「今だって魔物は人間よりも優れた種族であることは変わりありません!」
オーク「実際負けてんだから仕方ないだろ、きっと今の若い人間は魔物の怖さを知らねぇんだよ」
グール「はあ……これだから人間は……」
兵士B「つったって俺まともに魔物見たのなんて始めてだし」
兵士A「いざ会ってみたらそこまで悪い奴っぽくもなかったしな」
騎士「しかし魔物は人間の敵だ!それは変わらん!」
兵士A「はいはい、やっぱ固いなあ隊長」
騎士「固くて結構!これが私なのでな!」
兵士B「可愛けりゃ何でもいいと思うけどなあ俺」
兵士A「同意せざるを得ない」
騎士「ふう…稽古終わりと…今日は奴は来なかったようだな、まあその方が望ましいが」
騎士「おい兵士、戻ったぞー……」 ガチャ
兵士A「んでよwwwwwwそん時Bの奴がよwwwwwwwwwwwww」
土「ちょwwwwwwwwマジかwwwwwwwwwwwwwww」
ゴーレム「リア充爆発しろwwwwwwwwwwwwwww」
騎士「……おい」
兵士A「あwwwwwwwお帰りーっすwwwwwwwwお疲れっすwwwwwwwwww」
土「毎日稽古かよwwwwwwwwご苦労様だわwwwwwwwwwwwwwww」
騎士「なぜ魔物と馴れ合っているのか3行で説明しろ」
兵士A「気が合った」
騎士「1行ではないか」
土「斬られても復活しますしwwwwwwwwwwwwwwwwwww」
騎士「やかましい!」 ジャキッ
ゴーレム「まあまあ、落ち着いて」
騎士「これが落ち着いていられるか!貴様は魔物のボスだろう!」 ズバン
土「そうだけどwwwwwwwwwつーか何でお前そんな魔物嫌いなのwwwwwwww
騎士「魔物の残虐非道さは我が祖父から繰り返し聞かされている!決して相容れぬ物だとな!」
土「じゃあお前自身は魔物に何かされたのかよwwwwwwwwwwwwwwwww」
騎士「……いや、魔物と出会ったのは先日、貴様と会ったのが初めてだが」
土「おまwwwwwwwwwwwwwwww」
土「自分の経験も無いのに勝手に悪人呼ばわりwwwwwwwwwwwwww」
騎士「そうだろう、現に貴様らは何人も人間を殺したはずだ!」
土「そりゃ殺したわwwwwwwwあの頃は戦争だったものwwwwwwwwwwwww」
騎士「ならば…やはり貴様らは悪だ!我らとは相容れぬ!」
土「でも魔物だって山ほど人間に殺されたんだぜwwwwwwwww俺もだけどさwwwwwwwwwwww」
騎士「人間が生き延びる為だ、仕方あるまい」
土「じゃあ俺らが生き延びるのに人間殺すのも許せって話だよwwwwwwwwwwwwwwww」
騎士「く……」
土「当の勇者なんてさwwwwタンスから物漁ったりしてよwwwwwwwww汚い奴だったんだぜwwwwwwwwwwww」
騎士「我が祖父を侮辱するか貴様!」
土「えっ」
ゴーレム「えっ」
兵士A「あ、隊長って勇者…ていうか国王の孫なんすよ、言ってませんでした?」
土「聞いてねぇwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwww」
ゴーレム「お前そういうこと最初に言えしwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwww」
兵士A「サーセンwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwww」
騎士「やかましいわ!!」
騎士「悪くないということはあるまい、でなければ祖父も貴様らを打ち倒さなかった筈だ」
土「戦争だったのに良いも悪いもねーよwwwwwwwwwwwバーカwwwwwwwwwwwwwwwww」
ゴーレム「むしろ残党の魔物狩りとかwwwwwww人間のが悪辣だわwwwwwwwwwwwwwwwwwww」
騎士「貴様ら……いや…もういい……今日のところは帰ってくれ……」
土「あれwwwwwww言い返せないんすかwwwwwwwwwwwwwww」
ゴーレム「論破完了wwwwwwwwwwwwwwwwww」
ズバンッ
騎士「帰れと言った」
土「」
兵士B「だからだな、俺はこう魔物娘というジャンルはもっと広めるべきだと思うんだよ」
グール「はあ」
兵士B「なんでも昔の戦争の時にはもっと色々な種類の魔物娘がいたらしいじゃないか」
グール「はあ」
兵士B「だからさあ、魔物を殺すっていうのはそういう意味でも損失だと思うんだよ俺は!」
グール「はあ」
兵士B「中には金でサキュバスだのを買って肉便器扱いしたりする金持ちもいるっていうけどまるで分かっちゃいないね」
兵士B「そりゃレイプとか肉便器とかも憧れるよ?ただそれは人道的にフィクションの中で留めておくべきだ」
兵士B「愛だよ、重要なのは愛だ、そう思うだろう?」
グール「はあ」
兵士B「だから結婚してくれ」
グール「お断りします」
グール「誰がこんな人間と」
兵士B「ツンデレですね分かります」
グール「……」 ゲシゲシ
兵士B「痛っ!やめてください!足を蹴らないで下さい!」
グール「全く、大体結婚したところで私は子供も生めませんし歳も取りませんよ」
兵士B「永久に年を取らない若妻とか最高じゃないか」
グール「そんなに食べて欲しいんですかあなたは」
兵士B「性的な意味でなら是非!」
グール「ああもう」
土「うーっすwwwwwwwwwwwwwwwwwwww」
村人A「おお、四天王さん」
村人B「騎士さんなら食堂にいたよー」
土「うはwwwwwwサンクスwwwwwwwwwwwwwww」
村人A「ははは、なんか学校とかで散々魔物こえーって話聞いたけど、案外そうでもないんだな」
土「平和だからそうなだけだしwwwwwwwwwww戦争とかだったら人とか余裕で殺すわwwwwwwwwwww」
村人B「でもそれは人も同じだからねぇ」
オーク「結局あんま変わんねーんだよな、みかん食うか」
村人B「おいしい」 めりめり
オーク「そうか」
騎士「何の用だ魔物め」
土「暇だったから来たわwwwwwwwwwwwwwwwwwwww」
騎士「やることは無いのか貴様は」
土「魔王軍復興したいなーwwwwwとは思うけどメド立たねーしwwwwwwwwwwww」
騎士「……もし本気でそのようなことをするのなら、私は貴様を斬るぞ」
土「今まで何度も斬っておいて今更何言ってんだお前」
騎士「やかましい」
兵士B「ヒューヒュー!似合うぜグールちゃん!」
兵士A「うはwwwwwwwwテラカワユスwwwwwwwwwwwwwww」
グール「……このような服、別に必要ありませんが」
兵士B「とか言いながら着てくれてるグールちゃんマジツンデレwwwwwwwwwwww」
グール「……物を与えてくれるというのなら、受け取るのも礼儀でしょう」
兵士B「かわええwwwwwwwwwwwwwww」
土「次メイド服着てもらおうずwwwwwwwwwwwwwwwwww」
兵士A「その次スク水なwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwww」
グール「そんなに殺されたいんですか」
騎士「今のところ危険な雰囲気は見当たらないが、それでも奴らは魔物だ」
騎士「このまま放っておくわけにはいかん……!」
?「失礼、この村の人ですか?」
騎士「はい、そうですが何か……」
?「いえ、ここらに魔物が出現したという噂を聞いたもので」
騎士「ふむ、それは確かにそうですか…あなた達は?」
狩人A「失礼、私は魔物狩りを生業としている狩人というものです」
騎士「……ほう」
騎士「……魔物を、ですか?」
狩人B「はは、魔物の皮なんかは高く売れるんですよ」
狩人C「たまにいる女性型の魔物なんて金持ちに高値で売れるんだぜwwwwwww」
狩人A「魔物が消えて人は安心、私達は魔物を売って生活が潤う、と、良い事ずくめですよ」
騎士「魔物を売るとは…それは……」
狩人B「なに、家畜やペットなんかも取引されているでしょう、同じようなものですよ」
騎士「……」
騎士(魔物は人間の敵、それを倒すのは人として当然だ)
騎士(だがしかし……)
狩人A「そうだ、例の魔物の巣のようなところを知りませんか?」
騎士「……さあな、そこらの森か山でも探ったらどうだ」
狩人C「おいおい、何だよその態度、喧嘩売ってんのか」
狩人A「まあまあ、お言葉に甘えて周辺を探索しましょう」
狩人B「今度の奴はこないだのより骨があると良いんですけどねwwwww」
騎士「……」
騎士「せいぜい殺されて、毛皮を剥がれて、変態に売り飛ばされてしまえばいいのだ」
土「うーっすwwwwwwwww騎士さんうーっすwwwwwwwwwwwwwww」
兵士A「あwwwwwww隊長じゃないすかwwwwww隊長も一緒にお茶どうすかwwwwwwww」
兵士B「グールちゃんそれ似合うよ!だから今度はウエイトレスとか挑戦してみ」
グール「よっぽど消されたいようだな貴様は」
オーク「みかんうめぇ」 めりめり
村人B「みかんうめー」 めりめり
騎士「……貴様ら何をのんきに喫茶店でダラダラしとるか!!」
土「何でそこでキレるんだよwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwww」
土「いきなり来て帰れとかwwwwwwwwwwwwwww」
グール「言われなくてもそろそろ帰ろうと思っていたところです」
兵士B「俺も行っていい?」
騎士「駄目だ」
オーク「んじゃまた明日な」
村人B「明日もみかん持ってきてね」
騎士「……おい、魔物」
土「なんすかwwwwwwwwwwwwwww」
騎士「……いや、なんでもない、早く帰れ」
土「ちょwwwwwwwテラ意味深wwwwwwwwwwwwwwwwwwwww」
グール「はあ、人間共の相手は疲れますね」
オーク「そう言いながら嬉しそうに見えるが」
土「ツンデレ乙wwwwwwwwwwwwwwwwww」
グール「そんなんじゃ……」 ザンッ ゴロンッ
オーク「グール!」
狩人C「うはは!一匹仕留めたぜ!」
狩人B「何してるんですか、せっかくの女性型だったのに首を飛ばしちゃったら売れないでしょう」
狩人C「なあに、体だけでも喜んで買ってくれる変態はいるってな!」
オーク「人間…!」
オーク「貴様ら…」
狩人A「オークにアンデッドに…ああ、でもアンデッドはあまり使えませんね」
狩人B「どっちかっていうとオークの毛皮の方が価値が出るんじゃない?」
オーク「金目的か…これだから人間は…!!」
狩人C「まあ覚悟しとけよwwwwお前らみたいな魔物なんて生きてたとこで……」
ブチンッ
狩人C「 」
狩人A「C!?きっ、貴様何を!?」
土「サーセンwwwwwwww首もいじまったわwwwwwwwwwwwwww」
狩人A「よくもCを殺ってくれましたね…あなたは許しません!」
オーク「こっちだってグールを殺られてるんだ、おあいこだな」
狩人A「黙れ魔物め!くらえ!火炎魔法!!」 ボゥッ
土「あっつうううwwwwwwwwwwwwwwwwwwww」 ゴォォォォ
狩人A「ふん、チリ一つ残さず焼き尽くしてやりましたよ」 パチパチ
狩人B「アンデッドは火に弱い…それが常識さ!後はオークだけだ!」
土「と思うじゃん?wwwwwwwwww生き返るんだなこれがwwwwwwwwwwww」 ボコボコ
狩人A・B「!!?」
土「あっつうううううううううううううwwwwwwwwwwwwwww」 ゴォォォォォォォ
狩人A「こ…これで……」 パチパチ
土「はい復活wwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwww」 ボコボコ
狩人A「なっ…な……」
狩人B「くっ…こ、これでどうだ!聖水をくらえ!!」 バシャッ
土「ぎゃああああああああwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwww」 ブシュウウウウ
狩人B「へへ、そのまま成仏し……」
土「四天王は死なぬwwwwwwwww何度でも蘇るさwwwwwwwwwwwwww」 ボコボコ
狩人A・B「ひいいいいいい!!」
狩人B「ひ…ひいっ!」 ダッ
狩人A「あっ、B!待ちなさ……」
ゴーレム「どっせいwwwwwwwwwww」 グシャアアッ
ゴーレムの のしかかり! きゅうしょに あたった!
狩人B「」
土「おまwwwwwww留守番頼んだのにいねーと思ってたらwwwwwwwwwww」
ゴーレム「サーセンwwwwwww岩の一部のフリしてましたwwwwwwwwwwwwwwww」
オーク「ビビッて隠れてたのか」
ゴーレム「そう言わないでくださいよwwwwwwwwwwwwwwwww」
狩人A「あ……あ……た、助け……」 ガクガク
土「選択肢が3つありますwwwwwwwwwwwww①このまま死ぬwwwwwwwww」
土「②アンデッド化させるwwwwwwwwwwwwwwwwww」
土「③強制労働してもらって生かすwwwwwwwwwwwwwwwwww」
土「どれがいいすかwwwwwwwwwwwwwwwwww」
狩人A「さ…③……お願いします……死にたく…死にたくない……」 ガクガク
土「おkwwwwwwwwwwwじゃ早速強制労働いこうかwwwwwwwwwwwww」
オーク「人間の相手は久しぶりだな」 ズン
狩人A「え……」
土「よく知らんけどよwwwwwwwwオークと人間って子供産めるんだってなwwwwwwwwww」
狩人A「い…いや……いやああああ!!殺してええええ!!!」
土「以下省略wwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwww」
うおいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいい
騎士「……はあ」
兵士A「なんか最近隊長元気ねーな」
兵士B「四天王さんが来ないからじゃねーのwwwwwwww」
騎士「それは貴様だろう」
兵士B「ああ…グールちゃんにもう一度会いたい」
グール「そうですか」
兵士B「うん、もう一度あの美しくかつトゲのある言葉で傷つけられ……グールたぁぁん!!」 ガバッ
グール「だっ、抱きつかないでください気持ち悪い!」 ゴスッ
兵士B「オフゥ…そ、そういうところがもう素敵で俺は……」
兵士A「つーか久々っすねwwwwwww何かあったんすかwwwwwwwwwwwww」
グール「少しの間死んでただけです」
兵士A「なにそれこわい」
兵士B「なにそれもっと怖い」
グール「頑張ればもう3、4匹ぐらいは生まれると思いますけど、でももう限界ですかね」
騎士「……一体なにがあったんだ?」
グール「なに、人間に襲撃されて返り討ちにしただけです」
騎士「殺したのか」
グール「当然でしょう、襲ってきたのはあちらですよ、最も1匹はまだ生きてますが」
騎士「まあ、な、しかし……いや、何でもない」
グール「……では私はこれで、しばらくは洞窟に近寄らないでくださいね」
騎士(……やはり、相容れないな、奴らとは)
オーク「家族ができました」
狩人ゾンビ「……よろしくお願いします」
仔オークら「「「ブヒ「ブヒィィ「ブゴー「ブギ」ブ」ヒィィン」」」
村人A「どういうことだってばよ……」
土「ついでになwwwwww洞窟からこの村に移住することにしたわwwwwwwwwww」
騎士「面白い冗談だな貴様」 チャキ
土「いやいやwwwwwwこんな沢山の奴と一緒にあんな狭いとこいられるかよwwwwwwww」
騎士「貴様あの仔オークはどうやって生ませた、あの新しいゾンビは何だ」
土「おおむね予想ついてんだろwwwwwwwwwwwwwwwwww」
騎士「む……」
土「まあ安心しろよwwwwwwwwよっぽどのことがねー限り村人には手出さねーからwwwwwwww」
騎士「むう……」
騎士「……貴様は、言葉にするのも汚らわしい程のことをされたのではと察するが」
狩人ゾンビ「されましたし、死にたいと思ってましたけどね」
狩人ゾンビ「一度体が壊れてゾンビになったらもう何もかもどうでもよくなりました」
騎士「……だが、貴様が奴らに殺された事実は変わらんだろう」
狩人ゾンビ「まあ、それはそうですが……もう良いんですよ、私ももう魔物ですから」
狩人ゾンビ「いっそのこと騎士さんもアンデッドになっては?気楽でいられますよ」
騎士「遠慮しておく」
グール「なぜそうなるんですか」
兵士B「いいじゃんか二人で暮らしてさあ、白い新築の家を建てて庭には犬を飼って」
兵士B「そして子供は息子が2人!娘が1人!完璧だろ!?」
グール「残念ながら私は子供が産めませんよ」
兵士B「残念なんだ?」
グール「……別にそういうわけじゃ…ないですけど…」
兵士A「B爆発しろ」
ゴーレム「オークもげろ」
土「リア充死ね」
オーク「貴様ら」
ゴーレム「ちくしょおおおお!!俺も幸せ家族計画したいよおおおおお!!!」
オーク「いっそ売れ残り同士でくっついたらどうだ」
兵士A「ブチ殺すぞてめぇ」
ゴーレム「隊長ぉぉぉ!俺も可愛いゴーレム娘とイチャイチャアンアンしたいよぉぉぉ!!」
土「これ以上リア充が増えるとかマジ勘弁wwwwwwwwwwwwwwwwwwwww」
ゴーレム「おいこら腐れ脳味噌てめぇ!」
土「お前と同種のゴーレムだったら腐るほど作ってやんよwwwwwwwwwwwwwwwwwwww」
ゴーレム「うおおお……鬼畜めぇぇ……!!」
狩人ゾンビ「散々鬼畜の所業しておいて今更何を言っているんでしょうか」
騎士「貴様が言うと妙に説得力があるな」
村人A「だな、いくらあんたらっつっても金も無くちゃ家は建てねぇぞ」
兵士B「まあグールちゃんは俺の兵舎に一緒にいてくれていいけどな!」
グール「そうですか」
土「まあ住む場所はもう作ってあるから気にすんなよwwwwwwwww」
騎士「……と言っても、見たところ貴様らが暮らせるような新居は見当たらんが」
土「ああ、んじゃ一応説明しとくけどよwwwwwwwwまずあそこの井戸あるだろwwwwwwwwwww」
騎士「絶対にやめろ」 チャキ
土「まだ何も言ってねぇwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwww」
ざわ…… ざわ……
グール「ん……外が騒がしいですね……」
兵士B「なんか国から役人が来てるみたいだな」
グール「……私は隠れていた方がいいですね」
兵士B「んー…まあ一応……」
土「じゃあ俺もここに隠れさせてもらうぜwwwwwwwwwwwwwww」 バタン
ゴーレム「うーっすwwwwwwwwwwwwwwwwwwww」
兵士A「お邪魔しゃーっすwwwwwwwwwwwwwwww」
兵士B「夫婦の新居に乱入してこないでくれるかな!?」
グール「まだ結婚してません」
リア充爆散しろ
騎士「は…承知しました」
土「おーうwwwwwwwwどういう話だったんwwwwwwwwwwwwwww」
騎士「戦場での前線行きの指令だ」
土「ちょwwwwwwwここって戦争してたのかよwwwwwwwwwwwwwww」
騎士「ああ、私が生まれる前から隣国と戦争を続けていたんだ」
土「マジでかwwwwwwwwwつーかお前強いのに今まで前線行かなかったとかwwwwwwwwwwww」
騎士「私は志願したさ、だが父上が認めてくれなかったんだ、私は父上に嫌われているからな……」
土「ほほうwwwwwwwwwwww」
ゴーレム「kwskwwwwwwwwwwwwwwwwwww」
兵士A「wktkwwwwwwwwwwwwwwwww」
騎士「真面目に聞け」
騎士「父の若い頃の過ちで出来た子、望まれずに生まれてきた子供だ」
騎士「当然、我が父はそんな私よりも愛する息子達の方が大切だ、戦場で活躍させたい」
騎士「だが言っては何だがボンクラ息子達よりも私の方が圧倒的に強いからな」
土「自分で言うかwwwwwwwwwww事実だけどよwwwwwwwwwwww」
騎士「だから、邪魔な私は平和な村に左遷され、無能な息子共が現在戦場に立っているわけだ」
土「んで戦況悪くて呼び戻してちゃ世話ねーなwwwwwwwwwwwwwww」 ズズズ
兵士A「我が国ながらアホだわなwwwwwwwwwwwwwww」 ボリボリ
ゴーレム「煎餅うめぇwwwwwwwwwwwwwww」 ボリボリ
騎士「貴様らはもう本当にもう」
騎士「……祖父は正直なところよく分からん、戦争に関しては将軍である父に任せきりだ」
騎士「昔はしばしば目をかけてもらったが……今の祖父は、何を考えているのか……」
土「まあ王様の大変さを味わえばいいわなwwwwwwwwwwwwwwwwwwwww」
兵士A「んでwwwwwwwwwww隊長どうするんすかwwwwwwwww」
騎士「とりあえずは指示に従うさ、我が国の為に戦うというのは望むところだ」
兵士A「おkwwwwwwwwんじゃ俺も付いて来ますわwwwwwwwwwww」
土「じゃあ俺もwwwwwwwwwwwwwwwwwww」
ゴーレム「じゃあ俺もwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwww」
兵士B「俺はグールたんとラブラブアンアンしたいからパス!」
兵士A「ははは、爆発しろ」
土「四天王舐めんなしwwwwwwこう華麗に変身魔法でwwwwwwwwwww」 ボンッ
土「きゃっぴーんwwwww幼女戦士にへーんしーん☆wwwwwwwwwwwwってなwwwww」
騎士「気持ち悪い」
ゴーレム「媚びるとこ間違ってますよ隊長」
兵士A「幼女なら何でも許されると思うなよ」
土「何でお前ら急に素に戻るの」
グール「隊長はみすぼらしいナリのくっさい老人魔法使いぐらいでいいと思います」
土「ひでぇwwwwwwwwwwいいよwwww分かったよwwwwwwそれでいくよwwwwwwwwwwww」 ボンッ
兵士A「あー、いいっすね、脳味噌ド腐れうざジジィって感じ」
土「どんなイメージだよwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwww」
ゴーレム「隊長wwwwww俺も俺もwwwwwwwwwwwwwwwww」
土「おkwwwwwwwwwwwくらえ変身ビームwwwwwwwwwwwww」
ゴーレム「ウギャーwwwwwwwwwwwwwwww」 ボンッ
土「どうよwwwwwwゴーレムらしく無骨なおっさんにwwwwwwwwwwwww」
兵士A「そこは怪力美少女だろ、分かってねえな腐れジジィ」
土「どんなこだわり持ってんだよお前」
騎士「いいから早くしろ」
兵士A「突き合ってください、性的な意味で」
土「お前それ魔法で誤魔化してるだけだから中身まで変わんねーぞwwwwwwwwwwww」
兵士A「見た目が可愛ければ何でも良し!!」
ゴーレム「俺もそう思う!!」
グール「うわあ……」
ゴーレム「やめてください!そんな目で見ないで下さい!」
兵士B「まあ俺も見た目が可愛ければそれでいいと思うけど」
グール「つまりBさんは私の見た目の可愛さにだけ惹かれたと」
兵士B「はは、見た目に惹かれたからって性格に惹かれないわけじゃないんだぜ?」
グール「……あなたはそれでいいですよ、もう」
兵士A「解せぬ」
土「しょべぇwwwwwwwwwwwwwwwww」
兵士A「ボロいwwwwwwwwwwwwwwwwwww」
ゴーレム「砦の状態でもうボロ負け状態なのが分かるわwwwwwwwwwwwwwww」
騎士「…それはそうだろうな、負け戦だからこそわざわざ私を呼んだのだろう」
騎士「それと貴様ら、名目上は全員私の部下になるのだ、話し方には注意しろ」
土「うーっすwwwwwwwwwwwwwww」
ゴーレム「おkwwwwwwwwwwww把握wwwwwwwwwwwwwwwww」
兵士A「まあ一応気をつけるわwwwwwwwwwwwwwwwww」
騎士「貴様は元から部下だろうが」
次男「待っていたぞ!」
騎士「は、兄上達もお元気なようで何よりです」
長男「早速だが我々はこれより王都に戻る、砦の守りは任せたぞ!」
次男「うむ!兵もいくらか連れていくので残りの兵でしばしの間、頑張ってくれ!」
騎士「は…今からお帰りとは……し、しかし私は戦況もまだ……」
長男「知らん知らん!小難しい事は兵士長に聞け!」
次男「では失礼するぞ騎士よ!我々は忙しい身なのでな!!」
騎士「く……」
ゴーレム「体腐ってる人が何言ってんすかwwwwwwwwwwwwwwww」
土「やかましいわwwwwwwwwwwwwwwwww」
騎士「やかましいのは貴様らだ」
兵士A「んで、どうするんすか」
騎士「……言いつけ通りにするしかあるまい」
土「言いつけ通りにしたら『せいぜい時間稼いで死ね』ってことになるけどなwwwwwwwwww」
騎士「……とにかく兵士長から戦況を聞こう、話はそれからだ」
騎士「騎士です、折角ですが戦況はどのような」
兵士長「……見れば分かるとは思いますが、良くはありません」
兵士長「その上、あの二人が兵を連れて行ってしまったので……残りの戦力は44人程度です」
土「不吉な数字だなwwwwwwwwwwwwwwwwwwwww」
兵士長「……申し訳ありませんが笑いを止めて下さい、不謹慎です」
土「サーセンwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwww」
兵士長「貴様っ……!」 ジャキッ
騎士「申し訳ありません、気持ちは分かりますがこらえてください」
兵士長「くっ……」
兵士長「400程度です、奴らの兵は殆どが別の戦場に向かってしまったようなので」
兵士長「向こうこれをもはや戦とは思っていません、奴らにとって最早この戦場ですることは害虫駆除のみなのです」
騎士「その程度の仕事に回すのはせいぜい400程度で良いということか」
土「もう駄目だなwwwwwwww砦捨てて逃げた方が早いわwwwwwwwwwww」
兵士長「だから笑うなと……ぐおっ」 ドカッ
土「話が進まねーんだよwwwwww悪いけどちょっと眠ってろwwwwwwwww」
兵士長「ぐ……ぅ……」 ZZZ
土「ねーよwwwwwwwwwwwwwwwwさっき行ったろwwwwwwwwww」
騎士「だが……しかし……」
土「無理だってwwwwwwwwさっさと逃げて村に戻ろうずwwwwwwwwwwwwwww」
騎士「駄目だ、これは私の任務だ、私の仕事だ、それを放棄する事は騎士の名に傷がつく」
土「おまwwwwwwwwwwwww何でそこまで無茶すんのよwwwwwwwwwwwwwww」
騎士「…私はただ平和を欲しているだけだ」
土「戦争で頑張っといて平和も何もねーわwwwwwwwwwwwwwwwwwwww」
騎士「やかましい」
土「まあいいやwwwwwwwwww俺は勝手に何かやるからwwwwwwwwwwwwwwwんじゃwwwwwww」
騎士「……ああ」
土「うはwwwwwwwwww超転がってるwwwwwwwwwwwwwwwwwww」
ゴーレム「どうするんすか隊長」
土「決まってんだろwwwwwwww俺は別にどっちでもいいけどよwwwwwwwwwwwww」
土「あいつが勝たないとマトモに帰れないからなwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwww」
ワァァァァァァァァァ……
土「あっwwwwwwwほら見ろ丁度良く敵進軍してんぞwwwwwwwwwwwwwwww」
土「んじゃいっちょwwwwwwwwwいけっwwwwwwゾンビ共wwwwwwwwwwwwwwww」
兵隊ゾンビ「「「「アアアアアアアアアアア」」」」
指揮官「ははは、さてまあ、ササッと砦を落として戻るとするかのwwww」
敵兵「し、指揮官!!」
指揮官「なんぞ?」
敵兵「た、大変です!な、なんだかよく分かりませんが…敵が……死体が……」
指揮官「ん?何をわけのわからん……なにぃぃっ!!?」
ゾンビ兵「アアアアアアアアアアアアアア」 ザッ ザッ
ゾンビ兵「アアアアアアアアアアアアアア」 ザッ ザッ
ゾンビ兵「アアアアアアアアアアアアアアアア」 ザッ ザッ
敵兵「な、なんだこいつら!斬っても斬っても…うわあああ!!」 バリバリ
敵兵「ぎゃあああああ!!助け……」 バリボリ
指揮官「な…なんぞこれ……」
土「うははwwwwwwww敵が倒れるたびに自軍が増えるわwwwwwwwwwwww」
土「そのうえこっちは死なねぇ減らねぇっとwwwwwwwwww楽な勝負だわなwwwwwwwwwwwwww」
指揮官「て、撤退だ!撤退ー!!」 ジャーン ジャーン
敵軍「ウワアアアアアアアー!!!」
土「ちょwwwwwwwワロッシュwwwwwwww逃げ切れるわけねえだろwwwwwwwwwwwwww」
騎士「魔物!これはどういうことだ!」
土「おwwwwwwwwほれ見ろwwwwww敵軍撤退させたぜwwwwwwwwwwwwwww」
騎士「このっ……貴様という奴はっ!!」 ザンッ
土「オゴフwwwwwwwwwwwwwwwwwwwww」
騎士「死者をなお愚弄するなどと…貴様は…貴様は命を何だと思っている!!」
土「じゃあさwwwwwww生き残りの兵全員で特攻して死ぬのが良かったかよwwwwwwwwwwwww」
土「そりゃお前はいいだろうよwwwwwwww騎士の誇り(笑)を守れるんだからよwwwwwwwwwwwwww」
土「でも付き合わされる兵士は無駄死にだずwwwwwwwww命を愚弄してるのはどっちだかwwwwwwwww」
騎士「くっ……」
土「どうしたよwwwwwwww何か言い返せしwwwwwwwwwwwwwwww」
騎士「うるさい……貴様のやり方は正しかった、おかげで犠牲は出さずに済んだ、それは私だって分かっている!!」
騎士「だが……だがしかし……」
土「wwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwww」
騎士「笑うなぁっ!!」
騎士「貴様……!」
土「じゃあ聞くわwwwwwwwなんで平和守るのに戦争すんのよwwwwwww戦わない方が平和だろうよwwwwwwwww」
騎士「……世界を平和にするには全ての国をまとめなければいけないだろう」
騎士「その為に……世界をまとめるために……戦って……勝って…………」
土「ちょwwwwwwwwお前の言ってるそれ何ていうか知ってるかwwwwwwwwwwwwwwwwww」
土「それなwwwwwwwwww『世界制服』って言うんだぜwwwwwwwwwwwwwww」
土「お前も魔王と同じだなwwwwwwwwwwww結局やってんのはそういうことだわwwwwwwwwwww」
騎士「違うっ!私は……わたっ…私は……うぐっ……ぅっ……」 ボロボロ
兵士A「いーけないんだ!いけないんだ!」
土「サーセンwwwwwwwwwwめんごめんごwwwwwwwwwwwwwww」
土「まwwwwwww敵兵の半分ぐらいは減らしたからよwwwwwwwwwww」
土「後は自分でやってみろよなwwwwwwwwwwまあ俺はもう帰るけどwwwwwwwwwwwww」
土「……じゃあな」 ヒュンッ
騎士「あっ……」
騎士「…………」
兵士A「……えーっと、一応俺は隊長に従いますけど」
ゴーレム「えー…じゃあまあ俺も…まあ、うん一応」
兵士A「まあ何ていうか…ドンマイ!」 ビッ
騎士「…………」
ゴーレム「ツッコミが無い…だと……」
土「全くアレだwwwwwww今まで戦場行ってないからかもしれんけどwwwwwwwwwwww」
土「命を大切にしない奴なんて大ッ嫌いだ!(キリッ)」
土「だっておwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwww」 バンバン
土「つーかwwwwwwwいのちだいじにっつってもなwwwwwwwwwwwwww」
土「今まで俺が何回死んでると思ってんだっつーのwwwwwwwwwwwwwwwwwwww」
土「食ったパンの枚数より余裕で多いわwwwwwwwwww俺メシ食わねーしwwwwwwwwwwwww」
土「はあー」
土「いい加減、死にてぇなあ」
兵士長「私が寝ている間にそのような…しかしなぜ急に?」
騎士「……さあな」
兵士A「隊長元気ねーなー」
ゴーレム「あそこまで完全論破されちゃったらなあ」
騎士「……兵士長、すまんが頼みがある」
兵士長「なんなりと」
騎士「砦中の弾薬を集めてくれ、それと残りの兵は全員撤退だ」
兵士長「なっ!?」
騎士「どうせ最早役には立たぬ砦ならば、吹き飛ばしてしまえば良いのだ」
兵士A「きが くるっとる」
兵「 」
へんじがない ただの しかばねの ようだ
指揮官「……ど、どうやら今日は大丈夫なようだな」
敵兵「ですね、昨日の事態は一体何だったのか……魔物の仕業でしょうか?」
指揮官「おいおい、けったいなことを言うな、これほどの技が使える魔物が今だ残っていてたまるか」
敵兵「は、申し訳ありません」
指揮官「まあよい、ともなれば障害は最早何も無いのだ!突撃!」
ウオオオオオオオオオオ……
敵兵「指揮官殿!砦の中には敵兵が1人も見当たらないそうです!」
指揮官「やはりな、奴らめ我が軍に恐れをなして逃げたのだ!フハハハハ……」
騎士「……いけぇっ!」
__,,:::========:::,,__
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ノi|lli; i . .;, 、 .,, ` ; 、 .; ´ ;,il||iγ
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`;;i|l|li||lll|||il;i:ii,..,.i||l´i,,.;,.. .il `, ,i|;.,l;;:`ii||iil||il||il||l||i|lii゙ゝ
゙゙´`´゙-;il||||il|||li||i||iiii;ilii;lili;||i;;;,,|i;,:,i|liil||ill|||ilill|||ii||lli゙/`゙ ←砦
´゙`゙⌒ゞ;iill|||lli|llii:;゙i|||||l||ilil||i|llii;|;_゙ι´゚゙´
敵兵「ほ、報告致します!砦が崩壊し約50名の兵が……」
指揮官「そのようなこと見れば分かるわ!どういうことだ!敵は砦を捨てたというのか!?」
敵兵「し、信じられませんがそのようで……」
騎士「だあああああっ!!」 ザシュウッ
敵兵「ぎゃあああああああああ!!」
指揮官「なっ、き、貴様は、なっ」
騎士「私はこの砦の守護を任された騎士!ここから先の大地には一歩たりとて入れさせん!!」
兵士A「同じく兵士A!」
ゴーレム「同じくゴーレ…ゴ、ゴーレム娘!」
兵士A「お前ゴーレムはまずいと思ったんだろうけど…お前……」
ゴーレム「うるさいだまれ」
兵士A「せいやっ!」 ゴルバッ
ゴーレム「どっせい!」 クロバッ
敵兵「指揮官!ここは危険です!早く撤退を!」
指揮官「あ、慌てるな、これは孔明の罠だ、そんなことは無理だ」
敵兵「指揮官!」
ゴーレム「おりゃっ!!」 ドゴーム
敵兵「うげぁ」
騎士「逃がすか!その首貰い受けるぞ!!」
指揮官「ひいいっ!」
騎士「えっ…うわっ!」 ドンッ
弓兵「ちぃっ!外したか!」
兵士A「ごほっ…は、外してねーよバカ……」
騎士「兵っ……!」
弓兵「へっ!今度こそくらえ!これで俺も大金星だ!!」
ゴーレム「させるかぁっ!光子力ビーム!!」 ビーッ
弓兵「うべあっ」 ボンッ
騎士「兵士!大丈夫か!?なあ!」
兵士A「はは……なぁーに、腹に矢が刺さった程度で死ぬ俺じゃねーですしおすし」
兵士A「それよか指揮官だ!隊長!さっさと仕留めちまえ!」
騎士「あっ…ああ!分かった!」ダッ
指揮官「ひいいっ!」
副官「させるか!ここから先は……」
兵士A「悪いけど通してくれねーかな!!」 ギンッ
副官「うぬっ…貴様っ!」
指揮官「ひい!お、お前ら!わしを守れぇい!!」
ゴーレム「させるかっ!ゲッタァァー!トマホーク!!」 ザンッ
雑魚ら「ぎゃああっ!」
兵士A「今だ!いけぇっ、隊長!!」
騎士「っだああああああ!!」
ザンッ
副官「なっ!指揮か…うごああっ!!」 ズンッ
兵士A「へへ、副官討ち取ったりーっつってな!」
敵兵「うわあああ!引けーっ!引けーっ!」
兵士A「うっし!こっちも引くぞ隊長!」
騎士「ああ……なあ兵士」
兵士A「ん?」
騎士「……これで良かったんだよな」
兵士A「良いんじゃねえの、『拠点を守れ』って指令は果たしたんだ」
ゴーレム「拠点がこれじゃあしばらく攻めてこないだろうしなwwwwwwwwwww」
兵士A「拠点っていうよか更地だからなwwwwwwwwwwwwwwwww」
騎士「ははは、こやつめ」
騎士「兵士!」
兵士A「あてて…ちょっと無理しすぎたな……ワロスwwwwwww」
ゴーレム「背中貸してやんよwwwwwwwwwwww」
兵士A「うはwwwww女の子におんぶとかwwwww俺リア充wwwwwwwwwwww」
騎士「馬鹿なことを言わずに休んでろ、近くの町に着いたらすぐに治療してやる」
兵士A「うはwwwwwwww隊長デレまくりんぐwwwwwwwwwwww」
騎士「ふん……やかましい」
兵士A「へへ…なあ……村に帰ったらさあ……また喫茶店でよ…ダベってよぉ……」
兵士A「んで……Bのノロケ話聞いたり…隊長にしかられたりよ……へへ……いい…よ…なあ……」
ゴーレム「ああ、そんで俺とお前でリア充爆発しろーっつってなあ…なあ……あれ…?」
兵士A「…………」
騎士「……兵士?」
医者「毒……ですな……恐らく矢に毒が塗ってあったんでしょう」
騎士「……」
ゴーレム「マジか……昨日まで風俗行きてーなーとか、そんな話してたのにな……」
騎士「はは、お笑い草だ、誰も死なない戦にしたいとか言っておいてな」
騎士「私は結局……どうしようもない……どうしようもない……バカ…だ……」 ボロボロ
騎士「くっ…ぅ…ぅぇっ……」 ボロボロ
医者「……ご遺体は、どうなさるおつもりで?」
ゴーレム「ん…村に埋めてやろうと思うんだけど……いいよな?」
医者「ええ、勿論……」
ゴーレム「お前もさ…それでいいよな、兵士……」
兵士A「 」
へんじがない ただの しかばねのようだ ……
とりあえずドン底に沈んでる騎士を連れて
あのド田舎の村に戻る事にした、勿論兵士Aも一緒だ
村に着いたら兵士Aを弔ってやって、そんで、もう奴はいないけど
みんなで喫茶店に集まってダベってグダグダするつもりだった
村人Aさんと世間話して、兵士Bに嫉妬して、グールさんに蔑まれて
んでオークとか狩人ゾンビに仲裁されて、村人Bちゃんが笑って
最後は隊長がウザッたいのを騎士さんが一蹴してっていうのをさ、やるはずだったんだよ
そうなんだよ、そうするつもりだったんだけどさあ、ははは
だって予想なんかできるわけないじゃんな
戻ったら村が壊滅してるなんて
狩人ゾンビ「戦場になったんですよ、この村が」
ゴーレム「あー……」
騎士「……」
狩人ゾンビ「本当はここより東の平原で戦ってたんですけどね」
狩人ゾンビ「将軍の息子…指揮を取っていた長男・次男の敗戦後です」
狩人ゾンビ「彼等はあろうことか、敵軍に背を向けて、一目散にこちらへと逃げてきました」
狩人ゾンビ「そして……」
ゴーレム「……もういい、見れば分かる」
狩人「……でしょうね」
騎士「……」
ゴーレム「……ちなみに生き残りは?」
狩人ゾンビ「私と村人2名、以上です」
ゴーレム「……グールちゃんは隊長がアレすりゃ生き返るだろうけど、なあ」
ゴーレム「なあ、帰ってきたら相棒まで死んでたってどう思う?」
兵士A「 」
へんじがない ただの しかばねのようだ
騎士「……ははは」
ゴーレム「……もう泣かないんすか」
騎士「もう……笑うしかないだろう……」
騎士「……魔物、貴様は」
土「言っとくけど俺のせいじゃねえしwwwwwwwww帰ってきたらこうなってたしwwwwwwwwwww」
騎士「貴様は…どうして……こんなっ……こんなことがあって……笑ってられるんだ!!」
土「さっき言ってただろうがwwwwwwwwwwwww笑うしかねえんだよwwwwwwwwwwwwww」
土「まあちょっと昔話してやんよwwwwwwwwwwwww俺ってばこれでも魔王軍で一番の古株だったんだけどよwwwwwwwwwwwww」
土「ここで問題wwwwwwwww果たして俺はいつからいたんでしょうかwwwwwwwwwwwwwwww」
騎士「……知らん」
土「だろうなwwwwwwwwwwwwww正解はwwwwwwwwwwwwwwww」
土「1万年とwwwwwwwwww2千年前からwwwwwwwwwwwwwwwwwwww」
騎士「……は?」
土「あwwwwwwwいwwwwwwしwwwwwwwwwwてwwwwるwwwwwwwwwwwwwwww」
騎士「黙れ」
土「んでwwwwwww世界制服したんだよなwwwwwwwwwwwww」
土「理由はwwwwwwwwww世界平和wwwwwwwwwwwwwwwwwwww」
土「スゲー真面目なのにwwwwwwwwww馬鹿馬鹿しくてwwwwwww甘ったりーんだわwwwwwwwwwww」
騎士「……まさか、貴様」
土「あwwwwwww俺はちげーよwwwwwwwwwwwwww俺は初代魔王様の不死の術の実験台wwwwwwwwwww」
土「元はただの童貞ヒキオタキモニートだからwwwwwwwwwwwwwwwwwww」
ゴーレム「童貞のまま1万と2千歳wwwwwwwwwwwwwwwwwwwwww」
土「マジでwwwwwwwwwwww賢者とか超越してるわwwwwwwwwwwwwwwwwww」
騎士「……続きを話せ」
土「それを倒した勇者も死んでwwwwwwww戦争起こってwwwwwwwwwwwwww」
土「また魔王が生まれてwwwwww死んでwwwwwww勇者が死んでwwwwwwww魔王が生まれてwwwwwwwwwww」
土「でも俺死なねーのwwwwwwwwwwwwww不死だからwwwwwwwwwwwwwwwww」
土「これでも惚れた女とかできたのになwwwwwwwww死なねーの俺wwwwwwwwwwwwwwww」
土「気の合う奴とかwwwwwwwwwww部下とかwwwwwwwwみんな死ぬのにwwwwwwwwwwwwww」
土「俺だけずっと死なねーのよwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwww」
土「だからもうwwwwwwこんなんなっても俺全然平気wwwwwwwwwいや平気じゃないけどwwwwwwwwwwwww」
土「そりゃこの村好きだったけどwwwwwwwwでももう何度も起こったことだからよwwwwwwwwwwwwww」
土「つまりアレだwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwww」
土「無限ループって怖くね?」
騎士「ここまで引っ張ってソレは無いわ」
土「俺こいつら生き返らせられるわけよwwwwwwwwwwwwwww」
騎士「……!」
土「まあゾンビとしてだけどwwwwwwでも問題無いのは狩人ちゃん見りゃ分かるっしょwwwwwwwwww」
狩人ゾンビ「……」
土「どうするよwwwwwww死者を弄ぶかwwwwwwwwwwww騎士の意地を貫くかwwwwwwwwwwwwww」
騎士「私は……」
土「みんなをゾンビにするっつーならwwwwwwwそりゃもうwwwwwwみんな魔物だwwwwwwwwww」
土「ついでにwwwwwwwそんな選択をしたお前も十分魔物だわなwwwwwwww見た目とかが違ってもよwwwwwwww」
土「さあてwwwwwwwwwwwwどうすんのwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwww」
騎士「……」
ゴーレム「えっ」
土「えっ」
騎士「えっ」
土「えー……っと……あー……ファイナルアンサー?」
騎士「はい」
ゴーレム「はいじゃないっすが」
土「えー、ちょ、いやいいけど……えー……えぇー……?」
騎士「待て、何だ貴様らその反応は」
土「いやだって、絶対もっと何やかんやでグダグダすると思ってた」
騎士「私はそのように見られていたのか」
ゴーレム「いやだってそうじゃないすか」
土「ktkrwwwwwwwwwwどんなことっすかwwwwwwwwwwwwwwwww」
騎士「私を国王陛下の前に連れて行け」
土「ちょwwwwwwwwwwwwおまwwwwwwwwwwwwwwwwww」
騎士「私は祖父に会って話したいことがある、さあ連れて行け魔物め」
土「らめぇwwwwwww俺また浄化されちゃうwwwwwwwwwwwwwwww」
騎士「いい加減に死にたいのだろう、良いではないか」
土「そうっすけどwwwwwwwwwwそりゃそうっすけどwwwwwwwwwwwwww」
騎士「ならば行くぞ、早く連れて行け」
土「ちょwwwwwなんかお前さwwwwwwwww急に吹っ切れたなwwwwwwwwwwwwwww」
騎士「……貴様のおかげで私のやるべきことが決まったのでな」
土「わけがわからないよwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwww」
騎士「なに、すぐに話すさ…さあ!全速力で王城へ連れて行け!!」
騎士「私だ!道を開けろ!」
衛兵「えっ、ちょ、ちょっ!」
土「くらえwwwwwwwwwねむりごなwwwwwwwwwwwww」 ボフンッ
衛兵「あばばば」
ゴーレム「しびれごなじゃないんすかアレwwwwwwwwwwwwwwwww」
土「正確には毒の粉だわwwwwwwwww麻痺系のwwwwwwwwwwwwwww」
騎士「おじいさま!」 バンッ
長男「むおっ!」
次男「うおっ!騎士!?」
国王「……」
土「うーっすwwwwwwwwwwwwwwwwwwwww」
国王「……本当に久しいな、生きていたのか」
土「不死なんでwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwww」
国王「ふはは、かつての敵とはいえ懐かしいものだ、歓迎しよう」
騎士「おじいさま、単刀直入に言います、戦争を止めて下さい」
国王「できぬ」
騎士「でしょうね」
土「おまwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwww」
ゴーレム「何の為の質問すかwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwww」
女だったのか・・・・
国王「お前は我らに座して死を待てと言うつもりか?」
騎士「そんなことを言うつもりはありません、自らの国の為に戦うのは至極当然です」
国王「ならば何故そのようなことを申すのだ」
騎士「世界平和の為です」
国王「……ほう?」
騎士「50年前までは今のような人間同士の戦争は無かった筈です」
国王「無かったわけではないがな、だが魔王がいたおかげで大規模にはならなかった」
騎士「人間ではない、異種族の介入があったから、だから同族同士で殺しあう暇は無かった」
国王「ふふふ……姫よ、お前は、どうするつもりだ」
騎士「それで人の世が平和になるのなら、私は、魔王になるつもりです」
土「ちょwwwwwwwwwwwwwwおまwwwwwwwwwwwwwwwwwwwww」
ゴーレム「つーかwwwwwwwそれってwwwwwwwwwおまwwwwwwwwww」
国王「はは、分かっているのか、それは人の世の争いを無くす為に、魔物を犠牲にするということだぞ」
騎士「構いません、誰かさんのおかげで私は元々魔物が嫌いです」
土「痛烈なカミングアウトwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwww」
国王「実に我侭だ、女らしい、だからお前は真に騎士にはなれんのだ」
国王「魔物とて人とさして変わらんぞ、そんな連中を貴様は騙して死地に送る事ができるのか」
騎士「……できるだけ戦は避けたいですが、やらねばならぬのなら、私はやります」
国王「ふむ、しかし人と人との戦争が無くなったとて犠牲者が出ぬわけではあるまい、戦が無くとも魔物に襲われ人は死ぬぞ」
騎士「……人が死ぬのはやむをえません」
国王「偽善者にすらなれんのか貴様は、最低だな」
騎士「う、うるさい……私は!」
国王「ああ、分かっとる、お前は馬鹿で優しい最低な子だ、まるで昔のわしのようにな」
騎士「え……」
国王「王というのは貴様の想像以上に重いぞ、魔王といえどもそれは変わらん」
国王「正直わしは王になってから魔王の気持ちが分かるようになってきた」
国王「貴様は人間を救いたいというがな、魔王になり、魔物に祭られてからも果たしてその心を持ち続けていられるかな?」
騎士「……分かりません」
国王「で、あろうな……と、さて…あとは分かっておるな、魔王よ」
騎士「……はい」
国王「わしは勇者だ、勇者というものは魔王を打ち倒さねばならん、そういうものだ」
国王「そして、目の前に生まれた新たな魔王を無視できるものではない!」 チャキッ
騎士「うん…分かってる……さあ……かかってこい!勇者よ!!」 チャキッ
騎士「……はあ、疲れた」
土「マジで勇者より強いとかwwwwwwwww騎士さんマジパネェっすwwwwwwwwwwww」
ゴーレム「俺行った意味なかったwwwwwwwwwwwwwwwwwwww」
騎士「……おじいさまも現役では無かったからな、仕方ないだろう」
土「まあなwwwwwwwんじゃwwwwwwww改めて色々生き返らせてやっかwwwwwwwwwwww」
騎士「待て、その前にやってほしいことがある」
土「まだあんのかよwwwwwwwwwwwwいい加減にしろよwwwwwwwwwwww」
騎士「私を殺せ」
ゴーレム「なんとwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwww」
土「斜め上wwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwww」
しかし方法が乱暴だなw
騎士「第一、自然の摂理に逆らうようなことをして復活させた皆に怒られてはたまらん」
土「おまwwwwwwwwwwww真面目ってレベルじゃねーぞwwwwwwwwwwwwwwww」
騎士「いいからやれ」
土「おkwwwwwwwwwwwwwwwwちょっと痛いけど我慢しろよwwwwwwwwwwwwwwww」
騎士「ああ」
土「安心しろってwwwwwwww魔王に相応しい最高のリビングデッドにしてやんよwwwwwwwwwwww」
騎士「ふふ、そうしてくれ、ではさよなら魔物」
土「さよなら、人間」
ザンッ
小さな村では村人達がのんびり平和に暮らしていました。
ある日突然、どこかの騎士と兵士の人がやってきました。
騎士の人は真面目な人で、いつも鍛錬に励んでいます。
兵士さんは軽い調子で、いつもおどけて笑っています。
もう1人の兵士さんは、女の子が大好きで、かっこいい素敵な人です。
ある日突然、村に魔物がやってきました。
腐った体の不死の魔物は、いつも笑っておどけています、そして少しうるさいです。
大きい石でできた魔物は、やっぱりいつも笑っています、だけど愉快ないい人です。
腐った体の女性の魔物は、いつも不満で怖い顔、だけど本当は優しい人です。
豚みたいな怖い魔物は、果物好きな真面目な人です、本気を出すと少し怖い。
それから村にはもっと人が増えて、みんなで平和に過ごしてましたが。
ある時、その村はパッと消えてしまいました。
それからいくつか時が経って。
村は大きな黒いお城に変わりました。
「私は魔王だ、私は人間達を滅ぼすぞ」
人間達は大慌て、どうしようかと困っていました。
そんな状態がいくらか長く続いたところで、正義の勇者が立ちました。
勇者は土を司る不死の魔物を倒しました。
勇者は風を操る狩人の魔物を倒しました。
勇者は水を蓄えた豚の魔物を倒しました。
勇者は火を操る石の巨人を倒しました。
勇者はとうとう魔王の城へ辿り着き、聖なる力で不死の魔王を打ち倒しました。
それから勇者はお城へ戻り、姫と結ばれ、見事な王様になりました。
これは、そんな勇者の物語の、ちょっと前の魔王になった人の話。
ゾンビB「お茶が入りましたよー」
魔王「ありがとう、さて……と、そろそろ勇者が毒の池に着く頃かな」
側近A「勇者つええwwwwwwwはぇぇwwwwwww」
魔王「うむ、対抗策を考え……おい側近B、会議中にどこに行く気だ」
側近B「サーセンwwwwwwwww俺ちょっと家内と買い物いかなくっちゃwwwwwwwwww」
火の四天王「これだからリア充はwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwww」
側近A「リア充爆発しろwwwwwwwwwwwwwwwwwwwww」
水の四天王「お前らもうくっつけばいいのに」
風の四天王「ですよね」
側近A「嫌だわこんなダイナミックプロ娘wwwwwwwwwwwwwwwwwwwww」
火の四天王「最近ファンネル出せるようになったんすよwwwwwwwwwwwwwwwwwww」
グール「うわあ……」
火の四天王「やめてwwwwwwwwその何とも言えない濁った目で見るのやめてwwwwwwwwwww」
ゾンビA「彼じゃないんですか?」
ゾンビB「あの人だった気がしますけど」
側近A「確かあいつだったよなあ」
側近B「これでまた50年ぐらい死ねるっつって張り切ってたよな」
グール「アレは前回もそう言って出撃してましたよ」
火の四天王「じゃあ俺ちょっと戦闘後に『奴は我々の中でも最弱』って言ってくる役やるわwwwwww」
水の四天王「くだらないことばかり思い付くな貴様は」
風の四天王「むしろ今頃自分でそう名乗ってるんじゃないですか?」
魔王「……やってそうだな、ふふ」
土の四天王「ふははwwwwwwwwwwよくぞ現れたな勇者wwwwwwwwwwwwww」
土の四天王「俺は魔王軍四天王が1人wwwwwwwwwwww不死の魔物wwwwwwwwwwwwww」
勇者「こいつが…魔王軍四天王!」
土の四天王「さあ回復してやろうwwwwwwwww全力でかかってくるがいいwwwwwwwwwwwwwww」
戦士「ふん…敵を回復させるとは……って、うん?」
僧侶「回復……してます?」
魔法使い「いや?」
土の四天王「カッコつけたかったから言っただけに決まってんだろバーカwwwwwwwwwwwwww」
勇者「よし、みんな!こいつ殺そう!!」 チャキ
勇者「よし!倒したぞ!みんな!」
土の四天王「残念wwwwwwバックアタックだwwwwwwwwww」ボコボコ
勇者「しまっ…くあっ!」 バキィッ
魔法使い「気をつけて!こいつ強いわよ!」
土の四天王「ふははwwwwww一ついいことを教えてやろう勇者よwwwwwwwwwwww」
土の四天王「俺は四天王でも最弱wwwwwwwこの俺すら倒せなければこの先の四天王は倒せまいwwwwwwww」
僧侶「なっ…こ、この魔物で最弱だなんて……」
勇者「ふん……上等だ!いくぞおおおおおおおおお!!」 ジャキィッ
土の四天王「さあ来いwwwwwwwwwwwww勇者wwwwwwwwwwww」
勇者「まそっぷ!」
勇者の勇気が世界を救うを信じて!
土の四天王「生き返ったら魔王死んでたwwwwwwww」・完
ご愛読ありがとうございました!
Entry ⇒ 2012.01.20 | Category ⇒ 勇者魔王「」SS | Comments (0) | Trackbacks (0)
橘純一「薫の髪の毛をサラサラにしてみよう!」
http://hayabusa.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1326764949/
梅原「どうした、大将?」
橘「薫を薫たらしめてる、一番重要なものはなんだ!?」
梅原「……悪友キャラか?」
橘「それもそうだけど、違う!」
橘「やっぱり、あの髪型だろ!?」
梅原「確かに特徴的すぎる特徴ではあるな」
橘「というわけで、僕は薫の髪の毛をサラサラにしてやろうと思うんだ!」
田中「えええええええええ!?」
田中「そ、そんなことしたら!薫が薫じゃなくなっちゃうよ!?」
梅原「そ、そうだぜ!棚町が少し目立つモブキャラになっちまう!」
橘「……僕はやると決めたんだ!」
橘「新たな発見の為なら……多少の犠牲は!」
梅原「犠牲になるのは棚町だけだろ!?」
橘「でも、見てみたいだろ?」
梅原「そ、それは……」
田中「ちょっと見たいかも……」
橘「とにかく!僕は行くよ!」
橘「……骨は拾ってくれよ?」
ダダッ
田中「た、橘君!」
梅原「大将……無茶しやがって」
①ヘアアイロンを使う
②縮毛をあててもらう
③カツラを被せる
橘「……の三つかな、考えられるのは」
橘「③は別な遊び心が生まれて、目的を見失いそうだし」
橘「②は……さすがに薫に直毛を強いる期間が長すぎる……!」
橘「①だな、ここは。うん、そうしよう。そう決めた!」
橘「そうと決まれば行動だ!」
橘「……ヘアアイロンといえば、あの人だな。うん、あの人に相談してみよう!」
森島「あ、橘君じゃない。どうしたの?」
橘「ぼ、僕と付き合ってください!」
森島「え、えぇぇ!?////」
橘「……買い物に行くの」
森島「……あ、うん。定番のヤツね」
森島「何の買い物に付き合えばいいの?」
森島「もしかして……下着!?下着なのね!?」
橘「ち、違いますよ!」
橘「その……ヘアアイロンが欲しくて」
橘「えぇ!どうしても真っ直ぐにしてやりたい髪の毛があるんです!」
森島「はは~ん?また何か面白いこと思いついたのね!?」
森島「そうとわかれば全力で協力するわ!」
森島「お買い物は今日の放課後でいいかな?」
橘「は、はい!よろしくお願いします!」
橘「先輩!ありがとうございました!」
橘「これならどんなに頑固なくせ毛でも真っ直ぐにしてやれそうです!」
森島「ふふっ、橘君の力に慣れて嬉しいわ」
森島「あんなに真剣な眼差しで選ぶなんて……よっぽど真っ直ぐにしたかったのね?」
橘「これは僕にしかできないことなんです!」
森島「ところで、橘君?使い方わかるの?」
橘「え、いや……説明書を読めばなんとかなるかなぁ、と思ってたんですが」
森島「甘い……甘いわよ!橘君!」
森島「そんなに簡単なものじゃないのよ!くせ毛を伸ばすのは!」
森島「というわけで、これから練習ね!」
橘「練習と言っても……何でですか?」
森島「私の髪の毛」クルクル
橘「あっ」
森島「お邪魔しまーす!」
森島「美也ちゃんは!?美也ちゃんはいないの!?」
橘「まだ帰ってきてないみたいですね」
森島「そっかぁ……」ガックリ
森島「じゃあ、早速だけど練習しようか?」
橘「居間でします?」
森島「う~ん、せっかくだから橘君のお部屋にお邪魔しちゃおうかな!」
橘「ぼ、僕の部屋でですか!?」
森島「ダメだった?……あ、もしかしてエッチな本が出っぱなしとか?」ニヤニヤ
橘「ち、違いますよ!」
森島「なら別にいいじゃない?」
橘「わ、わかりましたよ!こっちです!」
橘「片付いてなくて、すみません」
森島「さてと、いやらしい本はどこかな?」ガサゴソ
橘「な、何してるんですか!?」
森島「あ、あった!え~と……愛しのご主人様?僕は貴女の犬だワン?」
橘「せ、先輩!?そ、そんなの持ってませんから!」
橘「しかも隠し場所はそこじゃないです!」
森島「へ~、じゃあどこにあるのかな?」
橘「そ、それは今は関係ないですよね!?」
森島「もう!橘君のいけず!」
橘「と、とにかく!練習しますよ、練習!」
森島「は~い」
森島「挟んで、伸ばす」
森島「これだけよ?」
橘「はい」
森島「でもね、橘君?この単純な作業が曲者なのよ」
森島「挟む力と伸ばす方向、それとかける時間ね」
森島「力強く挟んで長い時間かければいいってものじゃないのよ?」
森島「特に今回伸ばしたいのは自分の髪の毛じゃないでしょ?」
森島「女の子にとって髪の毛は大事なんだから!」
森島「ま、色々やってみようか!」
橘「は、はい!お願いします!」
森島「や、やん!力いれすぎよ!?」
橘「す、すみません!」
森島「も、もう!初めてだからって力み過ぎ!」
橘「こ、このくらいですか?」
森島「そ、それだと弱いかな……もう少し力強く」
橘「こ、こうですか?」
森島「あ、あん!いいよ!橘君!その調子!」
橘「は、はい!」
森島「ちょ、ちょっと!熱い!橘君熱いよ!時間かけ過ぎ!」
橘「すみません……焦がしてしまいました……」
森島「私の……橘君に傷物にされちゃったよ……」
美也「……ゴホン!」
森島「そうそう!別に変なことは……」
美也「二人の絡みはいちいち紛らわしいの!わざとやってるでしょ!?」
橘「そ、そんなことないぞ!?」
森島「わ、わざとじゃないよ?」
美也「……じゃあ美也が見ててあげるから、続きやってみようか?」
橘「み、美也が見てるんじゃ手を抜けませんね!森島先輩!」
森島「そ、そうね!真面目にやらなきゃね、橘君!」
美也「……さっさとやる!」
橘・森島「は、はい!」
森島「おめでとう、橘君」
美也「にぃに……頑張ったね」
橘「い、今の僕なら!」
森島「えぇ……どんな癖毛でも真っ直ぐにできるはずよ?」
橘「いやっほぉぉぉぉぉう!」
美也「で、にぃに?何の為にこんなことを?」
橘「明日になればわかるさ、美也」
森島「明日が楽しみね!橘君!」
橘・森島「ふふふ、フゥーハハハハハハッ」
美也「にぃに達が物凄く悪い顔してる……」
美也「嫌な予感がするよ……」
橘「僕なら出来る……僕なら出来る!」
棚町「なに一人でぶつぶつ呟いてんの?危ない人みたいよ?」
橘「か、薫!?」
橘「ふふふ……フゥー、ハハハハハハッ!」
棚町「な、何よ!何がそんなにおかしいのよ!?」
橘「時に薫!薫は直麺と縮れ麺どっちが好きだ!?」
棚町「え?急に何を」
橘「答えるんだッ!」
棚町「!?」ビクッ
棚町「い、いきなり大きい声出さないでよ!」
棚町「そうね……美味しければどっちでもいいわ」
橘「そうか、それは都合がいい!」
橘「いやね、薫の髪の毛を真っ直ぐにしてみようかなって」
棚町「……テンションの上がり下がりが激しいわね」
棚町「それぐらい別に構わないけど?」
橘「だよな……その髪型は薫のアイデンティティだもんな。断られることはわかって……え?」
棚町「だから、別に構わないって」
橘「薫!お前正気か!?」
棚町「ちょうど髪型変えてみようかなって思ってたし」
橘「何てことだ……薫が自分を見失いそうになってるじゃないか……」
棚町「自分を見失いそうなのは、あんたでしょうが」
橘「も、もちろん!この日の為にヘアアイロンも買ったし、修行もしてきた!」
棚町「はぁ……あんたのその無駄な行動力が時々怖くなるわ」
棚町「お願いしちゃおうかな、そこまでしてくれたなら」
橘「任せて!薫をどこに出ても恥ずかしくないサラサラヘアーにしてみせるから!」
棚町「そ、そういうのいいから!」
棚町「やるなら早くしてよね!」
橘「では早速」
棚町「あ、焦がしたら承知しないからね?」
橘「薫!僕を誰だと思っ」
棚町「はいはい、わかったから早くして」
橘「……わかった」
橘「よいしょっと」
キュッ……スー……
棚町「……んっ!」
橘「あ、熱かった?」
棚町「ううん、そうじゃなくて……」
棚町(あたし、髪の毛を伸ばされてるだけよね!?)
棚町(何か変な気持ちよさが!こいつ、何の修行してきたのよ!?)
橘「……薫?」
棚町「つ、続けて?」
橘「う、うん」
キュッ……スー……
棚町「……んんっ……はぁ……」
キュッ……スー……
棚町「……あっ!そ、そこは!」ビクンッ
橘「薫、動かないで」
棚町「そ、そんなこと言われても……あ、あん!」
キュッ……スー……
棚町「うぅっ……じゅ、じゅんいちぃ……」トロン……
橘(な、何だか薫が大変なことになってるけど!ぼ、僕のせいじゃない!)
キュッ……スー……
棚町「……/////」ビクンビクンッ
棚町「も、もう終わりなのぉ……?」
橘「うん、サラサラになったよ!」
橘「はい、鏡」
棚町「……嘘……これがあたし……!?」
橘「街中で出会っても薫だと気付かずにスルーしちゃいそうだよ、僕」
棚町「……な、何なのよ!?この正統派だけど、コレジャナイみたいな!?」
橘「薫……ごめん」
棚町「あ、謝んないでよ!?」ガタッ
橘「うわっ!掴みかからないでよ!」
棚町「純一のバカ!」
橘「ちょっ……そんなに揺らしたらバランスがっ!」
橘「う、うわぁ!」
バターン!
棚町「……」
橘(い、今!僕に馬乗りになってるのは薫なんだよな!)
橘(そ、そう!髪の毛がサラサラなだけの薫!)
橘(取っ組み合いになるのだって初めてじゃないじゃないか!)
橘(……なのに!)
橘(し、知らない人に馬乗りになられてるみたいで、ドキドキが止まらないよ!)
棚町「なによ……急に大人しくなっちゃって」
橘「それは……そのっ……」
橘「何だかドキドキしちゃって」
棚町「!?」
橘「サラサラの薫が新鮮で、つい」
棚町「な、何!?つまり……お、女の子として意識しちゃったみたいな!?」
橘「そ、そういうことだね……何だか薫が薫じゃないみたいだ」
棚町「!?」
棚町「もう……バカ!」
棚町「まぁ、いいわ」
棚町「こんなことであんたをドキドキさせられるなら、しばらく直毛でいようかなって」
橘「えぇ!?」
棚町「その方が楽しそうじゃない!?」
梅原「おい、大将」
梅原「薫、わざわざ美容院で真っ直ぐにしてきたらしいぞ?」
田中「薫が……私の薫がぁ!エントロピー高めな薫がぁ!!」
梅原「大将、何したんだよ?」
橘「ぼ、僕は何もしてないよ!?」
棚町「あ、純一!おはよ!」
ギュ……カミカミッ
橘「か、薫!耳を噛まないで!」
スッ
棚町「純一、ドキドキした?」ニヤニヤ
橘「ど、ドキドキしたから!もうやめてよ!」
棚町「え?嫌よ?」
棚町「こらからは、もっと純一をドキドキさせてやるんだからね!?」
完
梅原「その目は懲りてないな、大将?」
田中「また犠牲になる人がいるの……?」
橘「あえて問うけど、アマガミで一番サラサラヘアーなのって誰だろうな?」
梅原「……まさか、大将!?」
橘「僕は!絢辻さんのサラサラな髪の毛を!」
橘「クルックルッなことにしてやろうと思っている!」
田中「橘君、死ぬ気なの?」
梅原「……大将、勇気と無謀は違うぞ?」
橘「梅原……これは義務だ」
梅原「義務?」
橘「クラスメイトが一人真っ直ぐになってしまったから!」
橘「一人クルクルしたことにしなくてはバランスがとれない!」
絢辻「へぇ?面白いこと考えてるじゃない?」
梅原「あ、絢辻さん!?」
田中「……聞いてたの?」
絢辻「あんなに大きい声で騒いでたら、嫌でも聞こえると思うけど?」
絢辻「で、橘君?……本気なの?」
橘「……絢辻さん、僕の目を見て欲しい!」
梅原「た、大将!?」
絢辻「……そう、本気なのね」
橘「…………」ジー
ゴゴゴゴゴゴゴゴ……
田中(空気が張り詰めてる!)
梅原(た、大将が一歩も引いてない!?あの絢辻さんには頭の上がらない大将が!?)
絢辻「……負けたわ、あなたには」
橘「わかってくれたの?」
絢辻「えぇ、ここまで真剣な橘君を見たのは初めて」
絢辻「……いいわ、巻きなさい?」
絢辻「ただし!中途半端なことをしたら……」
橘「わかってる!」
絢辻「そう?ま、精々頑張りなさい」
橘「僕は……負けない!」
森島「……今度は巻くのね?」
橘「は、はい!」
森島「私の教えは厳しいわよ?」
橘「覚悟の上です!」
森島「……その目、嘘はついてないようね」
森島「いいわ!私についてきなさい!」
橘「し、師匠!」
森島「巻いて行こう!」
塚原「……何してるの、あなた達?」
森島「もう!こういうのはノリが大事なの!」
橘「……すみません、塚原先輩」
塚原「な、何で私なの!?前みたいにはるかでいいじゃない!?」
森島「えー?だって私のらもう巻いてあるし?」
塚原「……寝癖なんでしょ、それ?」
森島「細かいことはいいの!」
森島「……それにあんまりうだうだ言ってると、橘君にあのことバラすよ?」
塚原「そ、それは!?……わ、わかったわよ、好きにしなさい!」
橘(あのこと!?あのことって何!?)
森島「よろしい、では始めますか!」
森島「女性の髪の毛を熟知している橘君にとっては」クルクルッ
森島「巻くだけの簡単な作業」クルクルッ
森島「必要に応じて道具は使い分ければいし」クルクルッ
森島「必要なのは全体のバランスをとるセンスかな」クルクルッ
森島「はい、できた!」
橘「こ、神々しい……!」
塚原「ちょっと!はるか!?どんな髪型にしたのよ!?」
森島「ベルサイユの薔薇みたいな?」
塚原「!?」
橘「もしくはお蝶婦人ですね」
塚原「どんな髪型よ!?」
森島「……と、まぁ、このようにね」
森島「技術は素晴らしくても、女の子を怒らせるような髪型にしちゃダメよ?橘君?」
橘「わ、わかりました!」
塚原「そんなわかりきったことの為に私の髪型が……」
森島「大丈夫!ちゃんと元に戻せるから!」
塚原「ほ、本当に直せるのね?」
森島「……確実に痛むけどね、髪の毛」
塚原「え?」
森島「人類の進歩の為に犠牲はつきもの……!」
森島「ごめんなさい……でも、あなたのキューティクルは無駄にしないわ!」
塚原「わ、私の髪の毛が……」
橘「塩素に晒さられてる分、痛むの早そうですね」
塚原「い、いやぁぁぁぁぁぁ!」
ーーーー
ーー
ー
橘「し、師匠!」
森島「えぇ、橘君……」
森島「……私が教えることはもうないわ!」
橘「あ、ありがとうございました!」
森島「いいのよ、橘君」
森島「礼はそこで悶絶してるひびきちゃんにいいなさい?」
塚原「私のキューティクル……うぅ……」
塚原「それに……橘君のせいで……お嫁にいけないよぉ……恥ずかしいところ沢山見られちゃったよぉ……」ビクンビクン
橘「つ、塚原先輩!ありがとうごさいました!」
絢辻「あら?てっきりなかったことにでもされるかと思ってたけど」
橘「そ、そんなわけないだろ!僕は絢辻さんの髪の毛を巻く為にここにきたんだ!」
絢辻「そう……橘君には期待してるわよ?」
ゴゴゴゴゴゴ……
橘(こ、この殺気!中途半端なことをしたら殺られる!)
梅原「大将……」
田中「橘君……頑張って」
棚町「負けんじゃないわよ!」
橘(でも僕は……負けない!)
橘「よし!巻いて行こう!」
絢辻「あら?何でかしら?」
橘「絢辻さんには結果だけを評価して貰いたいんだ」
橘「過程は……見せたくない」
絢辻「わかったわ……橘君の思うように巻いてね」スッ
橘「よし!えーと、じゃあこの辺を……」
クルクルッ
絢辻「んあっ!」ビクンッ
梅原「……何なんだろうな、あの現象」
田中「え~と、髪の毛を巻いてるだけだよね?」
棚町(……頑張って、絢辻さん)
クルクルッ
絢辻「~~っ!」
絢辻「ハァハァ……え?もう?」
橘「目を開けて、鏡を見て欲しい」
絢辻「うん……」
絢辻「……え?」
クルクル~ッ
梅原「……プッ……ククッ」
田中「……た、橘君……ププッ」
棚町「……大したヤツよ、あんた」
絢辻「な、何よ、これ!」
絢辻「何でよりによって、ロココ調なのよ!?」
絢辻「……私も鬼じゃないわ、橘君?」
絢辻「弁解があるなら聞いてあげる」
橘「……だって!絢辻さんは元々が可愛いから!」
橘「普通に巻いただけじゃ、普通に可愛いんだもの!」
絢辻「……なっ!?」
橘「それじゃあ中途半端だろ!だから……!」
橘「決してネタに走ったわけじゃない!これは……」
橘「僕なりの誠意だ!」
絢辻「ハッ!バッカじゃないの!?」
絢辻「……そんなこと言われたら怒れないじゃないの」
橘「え、本当!?」
絢辻「ただし!」
絢辻「ちゃんと可愛くしてよね……あなた好みの髪型にして」
橘「う、うん!」
橘「じゃあ、とりあえず元に戻さなきゃ」
橘「えーと」
絢辻「あっ!そんな触り方したら……んっ!」
梅原「……茶番だったな」
田中「……そうだね」
棚町(私も純一に髪の毛いじられたい!)
絢辻「橘君」
橘「あ、絢辻さん!髪の毛、自分で巻いてみたの?」
絢辻「どう?」
橘「似合ってていいと思うよ!」
絢辻「あ、あのさ!ちゃんと巻けてる?」
橘「巻けてると思うけど……」
絢辻「私ね!やるなら完璧にやりたいの!」
絢辻「だから……ま、巻き方を教えなさい!」
絢辻「私の髪の毛触っていいから……」
橘「じゃあ、放課後でいいかな?」
絢辻「えぇ……待ってるから!」
梅原「納得いかないねーよ」
完
ごめんね?でもiPhoneだから仕方ないよね……?
続くって書くところを完って書いちゃったんだろ?
梅原「何だよ、もうやることないだろ」
田中「そうだよ!次は刈るの!?」
橘「か、刈るのはさすがにないよ!」
橘「僕は髪の毛の色には寛容な方でね」
橘「何色だろうが似合ってればいいと思ってた」
橘「だがしかし!」
梅原「……日本人なら黒だってか?」
橘「梅原ぁ!そこはキリッと言わせてくれよ!!」
梅原「大将……で、次は誰がターゲットなんだ?」
橘「……いや、違うよ?」
田中「ええええええええ!?私の出番じゃないの!?」
梅原「じゃあ、誰だよ?勿体ぶらないで教えてくれよ?」
橘「梨穂子」
梅原「お、おい!親しき仲にも……だぜ!?」
橘「いや!僕には梨穂子しか見えない!」
橘「梨穂子の髪色を……」
橘「修正してやる!」
梅原「……それがいいたかっただけだな?」
橘「……うん」
梅原「桜井さんなら、大将が黒にして欲しいって頼めば黒くしてくるんじゃないか?」
橘「何てことだ……それじゃあ僕の染髪技術が向上しないじゃないか……」
田中「橘君……どこを目指してるの……?」
梅原「というかな、大将?大将の周りの女の子は大将が黒がいいなぁっていったら」
橘「だ、黙れ!僕がこの手で染めてやるんだ!」
橘「うぉぉぉぉぉぉぉん!」
ダダダッ……ガラッ……ピシャッ!
梅原「わかんねぇ……大将がわかんねぇよ……」
田中「橘君……あの目」
森島「わお!もしかして!ドレッドヘアーに挑戦なのね!?」
橘「……違いますよ?」
森島「え~?違うの!?」
橘「今度は、染めます」
森島「今度は女の子を橘君色に染めるのね!?」
森島「困っちゃうなぁ……私はもう染まってるしなぁ……/////」
橘「ち、違いますよ!髪の毛を黒くするんです!」
森島「……それは結局同じことよ、橘君?」
森島「あなたの好みの色にはするんだから、橘色に染める以外の何物でもないわ!」キリッ
橘「は、はぁ」
森島「……コホン」
森島「突っ込みなさいよ!下手でもいいから!」
橘「この子……誰です?」
?「私!上さ……モガッ!」
森島「え~?知らない子だよ?そこの角から覗いてたから、捕まえてみただけで」
森島「ちょうど茶色い髪の毛だし、ちょうどいいかなって!」
?「ん~!ん~!」
橘「……何でそんなに必死にその子の口を抑えてるんです?」
森島「大変なことになるからよ、この子が登場すると」
森島「……具体的にいえば、あなたの人間関係が崩壊するわね」
森島「……騒がない、自己紹介しない、自分がモブの一員だという自覚を持つなら戒めを解いてあげるけど?」
?「……」コクッコクッ
森島「そう、いい子ね!」
森島「まず、このモブAさんの髪の毛を綺麗に洗ってみようか」
森島「ま、橘君なら余裕よね!」
橘「……ごめんね、モブAさん……」
シャカシャカ……
モブA「い、いや……ん!」ピクッ
森島「それでね、洗い終わったらしっかり乾かす!」
橘「……モブAはあんまりじゃないですか?」
森島「ん~、じゃあ田中Bで」
橘「田中Bさん、乾かすよ?」
ブォー…
田中B「そ、そんな触り方……橘君……んっ!」
森島「橘君、帰ろっか♪」
田中B「!?」
橘「ほ、放置ってそういうことなんですか!?」
橘「こ、こう……放置時間とか洗い流すとか……ありますよね!?」
森島「な~んだ、橘君わかってるじゃない!」
森島「分かり切ってることを教える必要はないわよね?」
森島「じゃあ、帰りましょ!」
橘「よっぽど田中Bさんに恨みがあるんだな、先輩……」
橘「田中Bさん、ごめんね……」
森島「でも仕方ないよね!」
橘「何だか不安だけど、染髪技術も会得したぞ!」
橘「あとは梨穂子に出会えれば……ってあそこにいるじゃないか!」
橘「お~い、梨穂子~!」
梨穂子「あ、純一~!」
橘「……って何で髪の毛黒くしてるんだよぉ!」
梨穂子「こ、これはね!!」
梨穂子「う、梅原君が……純一が黒髪の桜井さんを見たがってるって言ってたから」
梨穂子「へへっ……に、似合う?」
橘「似合う。似合いすぎる……あー、もう!梨穂子はかわいいなぁ!!!」
梨穂子「そ、そんなに褒めないでよ~/////」
橘「梅原……僕はお前を許さないぞ!」
橘「僕の技術のお披露目だけじゃなくて……」
橘「……田中Bさんの髪まで無駄にしたんだッ!」
橘「待ってろよ!梅原!」
橘「う、梅原ァ!」
絢辻「……遅かったわね、橘君」
棚町「不届き者は捕まえておいたわよ?」
田中「梅原君のせいで……私が無駄に散ったような気がするの!」
梅原「ち、違うんだ!大将!お、俺は!」
橘「梅原……」
橘「お前なんて……」
橘「僕色に染まってしまえ!」
梅原「た、たいしょぉ~ん!」
中多「……わ、私の……夢が叶ったような気がする」
完
では七咲を
梅原「……さすがにもういいだろ!?」
田中「あ!梅原君の髪の毛を刈るんでしょ!私もやってみたいな!」
橘「それは魅力的だね、田中さん」
橘「僕はまだ許してないからな!?」
梅原「悪かった、俺が悪かったから……もうやめてくれよ……」
橘「……それはそうと!」
橘「痛んだ髪の毛って放っておけないよね!」
田中「あー、私わかったよ!次は!」
橘「そう!トリートメントでもしてみようかなって!」
橘「……チッ」
橘「でね、田中さん?」
橘「髪が痛んだ女の子といえば?」
田中「わ、私も痛んでるよ!」
橘「そうだね!水泳部の七咲だね!」
田中「……う、うん!七咲さんだよね!」
橘「というわけで!七咲の痛んだ髪の毛をキューティクルなことにしてやる!」
田中「が、頑張って!」
橘「……田中さんのはあとでこっそり、ね?」ボソッ
田中「わ、私!待ってるから!」
橘「えぇ、次はトリートメントを」
森島「ふ~ん?つけて流せばぁ?」
橘「せ、先輩……?」
森島「だって橘君が他の女の子を喜ばせるお手伝するの面倒臭いもん」
森島「私の髪の毛はいじってくれないもんなー」
橘「……」
森島「今の橘君ならトリートメントくらい余裕でできますよーだ!」
橘「も、森島先輩!」
森島「な、何よ?」
橘「ぼ、僕の初めては先輩ですよ!?」
森島「……ほぇ?」
森島「橘君!?」
橘「今の僕があるのは先輩のお陰なんです!」
橘「それに……僕をこんな男にしたのは先輩なんですよ?」
橘「先輩……今更酷いですよ……」グスン
森島「な、泣かないでよ!橘君!」
森島「私が悪かったから!」
森島「あ、あのね……?私も初めてだったの……」
森島「なのに……橘君、あのあと何もしてくれないし……」
森島「だから……つい意地悪してみたくなっただけなの!」
橘「せ……先輩!!」
森島「橘君……私のことは……はるかって」
塚原「だから何なのよ、あなた達は」
橘「わーい!ひ・び・き!ひ・び・き!」
塚原「な、なんでよ!?あそこで誰かが止めに入らないときらきら~♪って流れてくるでしょ!?」
森島「う~ん、それもそうね」
森島「では……今回も空気の読めたひびきちゃんが練習台だよ!」
橘「いやっほぉぉぉぉぉう!ひ・び・き!ひ・び・き!」
塚原「だ、だからね?何で私なの!?」
森島「え?この前の件で痛んでるし、ちょうどいいんじゃない?」
橘「ですね」
塚原「他人事のようにいってくれるじゃない、あなた達?」
塚原「ちょっと、はるか!?」
森島「さっきは冷たくいっちゃったけど、本当につけて流すだけの作業だからねー」
森島「さて、ここで問題。そんな単純作業で差がつくのは何故でしょうか?」
橘「……心ですね!」
森島「……合格よ!橘君!」
森島「そう!相手の髪の毛を思いやる心……それが大事なの!」
森島「やれ技術だのやれトリートメントの質がなんだの言ってるうちは三流よ!」
塚原「そんなこといったら何でも心で解け……ブフッ」
森島「あ、ごめんね?シャワーで流してるときに喋るから~」
橘(時には強引さも必要なんだな!)
森島「ほら、橘君?触ってみて?」
橘「は、はい!」
塚原「んっ……!」
橘「さ、サラサラだ!これはいつまでも触っていたい!!」
森島「ふふ、わかった?これが私からひびきちゃんへの想いの力なのよ?」
森島「……だからね、正直橘君が他の女の子をサラサラにするのは複雑な気分かな」
森島「だから……あとで私の髪の毛をサラッサラにしに来てね!」
橘「ありがとうございました!僕、いってきます!」
森島「いってらっしゃい!」
塚原「……うわっ、あんなに痛んでた私の髪の毛が本当にサラサラしてるし……」
塚原「はるかって……何なの?」
森島「ん?ひひぎったら物足りなそうね?」
森島「もしかして、橘君にやってもらいたかったの?このっこのっ!」
塚原「そ、そんなんじゃないわよ!/////」
橘「水泳部かな、まだ」
橘「よし!プールを覗いてみよう!」
橘「け、決して不純な動機ではないからね!」
橘「七咲を探すだけなんだから!」
七咲「……私を探してるのはわかったので、一人で騒ぐのやめてください」
橘「七咲!?」
七咲「はい」
橘「七咲!七咲にお願いがあるんだ!」
七咲「私に、ですか?」
七咲「……エッチなことは嫌ですよ?」
橘「そ、そんなんじゃないよ!僕はただ!」
橘「う、うん!塩素で痛んでるかなと思って」
七咲「……確かに痛んでます」
七咲「そうですね、いい機会なのでお願いしてもいいですか?」
橘「ありがとう、七咲!」
七咲「ふふっ、先輩は変な人ですよね。トリートメントさせて欲しいなんて」
七咲「……はっ!まさかよからぬことを……」
橘「ち、違うよ!?僕はただ純粋に七咲の痛んだ髪の毛をサラサラにしたいだけなんだ!」
七咲「……何でそんなに必死なのかわかりませんが……嘘はついてないみたいですね」
七咲「お願いしますね、先輩?」
橘「う、うん!」
七咲「はい、どうぞ?」
橘「痛かったり、むず痒かったら言ってね?」
ワシャワシャ
七咲「は、はぅっ!」ピクッ
橘「くすぐったかった?」
七咲「い、いえ……そういうっ!わけではない……んっ……ですがっ」
七咲(私、髪の毛洗われてるだけだよね!?)
橘「そっか。じゃあ続けるね」
七咲「んんっ……ふっ……せ、せんぱぁい……そ、そこ!」
橘「あ、ここ痒いの?」
七咲「ち、ちがっ……そうじゃなくて……そ、そこは……あっ……ふっ……はぁ……」フルフルッ
七咲「……あっ!」ビクンビクン……
橘「七咲?」
七咲「す、すみません!何でもないんです!」
七咲「ま、待って!先輩!」
橘「うん?どうしたの?」
七咲「そ、その……優しくしてください!」
橘「それは勿論だよ?」
七咲「…………せ、先輩の……バカッ」ボソッ
橘「じゃあ、トリートメントするよー?」
七咲「は、はい!」
橘(僕の心……七咲の髪の毛をサラサラにしたいという想い!)
橘(七咲に届け!)
七咲「あっ!先輩、そ……そんな……!」
七咲「私……私っ……!」
ーーーーーーーー
ーーーー
ーー
ー
ファッサー……
橘「ふぅ……よかった、上手くいって」
七咲「そ、その……先輩?」
七咲「これからも時々でいいんでトリートメントしてもらってもいいですか!?」
橘「構わないよ?」
七咲「や、約束!約束しましたからね!?」
橘「う、うん」
七咲「わ、私は買い出しとか色々あるんでこれで失礼します!」
タタタタタッ……
橘「……サラサラになったのがそんなに嬉しかったのかな?」
完
橘「はぁ……」
橘「僕は無力だッ!」ドンッ!
梅原「ど、どうしちまったんだよ、大将!?」
橘「年下の引っ込みじあんな女の子を何とかしたい……!」
橘「髪型を変えてイメチェンでもして……自信を持たせてやりたい!」
橘「だけど……僕はハサミを持ったことがない!」
橘「そんな無力な自分が……悔しいッ!」
梅原「……あのさー、大将?」
梅原「大将のことだから、やってみたら意外とできるんじゃないか?」
梅原「というかな、大将?無理に切らなくても今まで何人もイメチェンさせて……」
橘「うるさい!僕の向上心がそれを許さないんだ!」
田中「橘君……」
梅原「ええい!大将!俺の髪の毛を試しに切ってみろ!」
橘「う、梅原!?」
梅原「大将ならきっとできるはず!俺は信じてるぜ!?」
橘「……後悔することになるよ?」
梅原「男梅原!二言はないぜ!」
橘「そうか……わかった」
橘「じゃ、切ってみよっか☆」
田中「わーい!」
田中「ま、待って!私がいい感じに刈ってあげるからーっ!」
バタバタ……
橘「だから言ったんだ……」
橘「僕は無力だ……」
絢辻「それは違うわ、橘君」
橘「あ、絢辻さん!?」
絢辻「だって、梅原君は短髪だから……」
絢辻「ああなるのは切る前からわかってたことよ?」
橘「あ、それもそっか」
絢辻「まったく橘君ったら、そそっかしいんだから!」
橘「いやー、参っちゃうよね、ハハハッ」
橘「は、はい!僕はどうしてもやらなきゃいけないんです!」
森島「ご、ごめんなさい!無力な先輩を許して!」
森島「さすがに私もそこまでは……」
橘「森島先輩……」
森島「あ、でも心構えと練習台の確保なら出来るよ?」
橘「え?」
森島「田中B!そこにいるのはわかってるのよ!?」
森島「素直に出てこないと牛乳を……」
田中B「わ、わかりました!私、田中Bです!れ、練習台になりますから!」
森島「よろしい」
橘「田中Bさん……」
森島「こうするんだけど」
森島「えーい!」
ズバスバッ
橘「も、森島先輩!?そんなハサミの入れ方したら!?」
田中B「きゃ、きゃぁぁぁぁぁぁぁ!」
橘「た、田中Bさんの髪型がっ!」
森島「何てことだ……何だか大変なことになっちゃったぞ!」
橘「……楽しそうですね、先輩」
森島「さて、橘君?」
森島「田中Bさんの運命はあなたにかかってるわよ」
森島「可愛くしてあげなさい!」
橘「そ、そんな!僕にはそんな技術は!」
森島「もう、バカッ!」
パシーン!
森島「大切なのは……!」
橘「心!心なんだ!」
森島「そうよ!相手を可愛くしてやりたいという心!それがあればきっとできるわ!」
橘「そ、そうか……そうだよな!」
森島「それにね、橘君?」
森島「あなたには妄想エンジンと変態グラフィックボードが載ってるから」
森島「それのイメージ通りに切れれば、上手くいくわよ」
橘「そ、そうだった!僕は美容師じゃない!」
橘「変態紳士だ!」
橘「田中Bさん!今すぐ君を可愛くしてみせる!」
田中B「私、どんなことになっても橘君を恨まないから!」
森島「……つまんなーい!」
橘「えぇ!?」
森島「どっちに転んでも面白いと思ってたのに!」
森島「橘君ったら、普通に可愛く仕上げちゃうし!」
森島「ほら、あなたも鏡をみてみなさい?つまらないことになってるから」
田中B「こ、これが……私ですか!?」パァァァァァ……
田中B「橘君!ありがとう!」
田中B「私!このことは忘れないから!」
森島「……チッ」
田中B「ひ、ひぃ!」
田中B「わ、私はこれで……失礼します!」
タタタッ
森島「……橘君ったら罪作りな男!」
橘「わ、悪いの僕ですか!?」
橘「……ただし女の子限定でね!」
橘「さて……中多さんは……?」
中多「しぇ、しぇんぱい?」
橘「なんと奇遇な!」
中多「ひゃ、ひゃい!?」
橘「あ、あのさ!紗江ちゃん?」
中多「しぇ、しぇんぱい!あ……あの!私を……」
中多「か、変えてください!」
橘「わお!展開はやーい!」
中多「わ、私は……み、美也ちゃんみたいに……はっきり喋れるようになりたいです!」
中多「それと……しぇんぱい好みの女に……////」
橘「……ふむ」
中多「」
橘「わかったよ、紗江ちゃん!」
橘「きっと君を変えてみせる!」
中多「お、お願いします!」
橘「燃え上がれ!僕の妄想力ッ!」
橘「……見えた!」
チョキン
中多「…………」
橘「んでもって、ここを短く……」
パサッ
中多「…………」
橘「ここは軽くするんじでー」
シャッシャッ
中多(ど、どうしよう……しぇんぱいに髪の毛切ってもらうの気持ちいい……!)
中多(で、でも……こ、声を出したり動いたらしぇんぱい集中できないよね……)
中多(……がまんっ!)
橘「んー……ここが僕の妄想とは~」
ーーーー
ーー
ー
橘「かなり短くしちゃったけど……気に入らなかったらごめんね?」
橘(美也と七咲の髪型を足して二で割ってさらに香苗さんを足したような、そんな髪型になっちゃったけど)
中多「先輩……凄くいいです!」
中多「何だか私、変われそうです!!」
中多「ありがとうございました!」
中多「美也ちゃんと逢ちゃんに見せてきます!」
タタタタッ
橘「わお!変わるの早い!」
完
絢辻「……モブは帰りなさい?」
田中B「そんな……酷いよ!」
棚町「あれ?この子って……」
梅原「田中Bさんというか……」
田中「え?田中Bさんは田中Bさんだよ?」
田中「隠れてないとダメだよ?」
田中B「ふ、フラグが!だって一通り……」
田中「田中は田中らしく日陰者で暮らすの!」
田中B「わ、私は田中じゃなくて上崎……」
田中「田中Bだよね!?」ドンッ
田中B「……はい、田中Bでした……」
田中B「帰ります……日陰に」
トボトボ
橘「な、何だったんだ……」
田中「次はどうするのかな?」
橘「……美容室で髪切った後ってマッサージしてもらうよね?」
絢辻「あー、肩凝るなぁ……最近忙しいからなぁ」チラチラッ
棚町「あざとい、あざとすぎる!」
橘「これには僕でもドン引きだよ!」
絢辻「な、なによ!?」
梅原「じゃあ、大将?次はマッサージか?」
橘「……違うよなぁ」
絢辻「残念……」
橘「他に何か……何かないのか!?」
田中「パックもあるよね!」
橘「パック?あぁ……パック、パックか。えぇ、パック!?」
絢辻「そのホックの件を思い出したから、みたいな反応やめなさい!」
橘「それだ!パック!」
棚町「ど、どうしたのよ、あんた!」
橘「ちょっとお肌が曲がり角、な女性にパックしたい!」
梅原「ぶっ飛ばされるぞ……その発言」
絢辻「いいんじゃない?ちょうどいい年増もいるし?」
田中「あぁ、高橋先生ね!」
棚町「け、恵子!?」
橘「えぇ!パックです!」
森島「だってさぁ、ひびきちゃーん?」
塚原「……さすがにぶっ飛ばすわよ、はるか!?」
森島「そんなに怒ってると小皺が増えちゃうぞ~?」
塚原「!?」
塚原「も、もう!はるかが悪いんでしょ!?」
橘「まぁまぁ、塚原先輩」
森島「うーん、パックねぇ……」
森島「ひびきちゃんはツルッツルだから練習台としては不適よねぇ……」
森島「田中Bもツルツルだし……」
森島「ぶっつけ本番でいこう!」
橘「ですよね」
高橋「橘君?」
橘「今、お時間いただけますか?」
高橋「え、えぇ……構わないけど」
高橋「何か授業でわからないことがあった?それとも悩み?」
橘「どちらかといえば……悩みですね」
高橋「そう?じゃあ場所を変えようか」
橘(こ、ここまでは思惑通り!)
橘(僕……上手くやれるかなぁ?)
橘(いや、やるんだ!やるしかない!)
橘「た、高橋先生!ぼ、僕は……!」
高橋(な、何!?この鬼気迫る感じ!?ただごとじゃないの!?)
橘「ぼ、僕は!高橋先生に……そ、その!」
高橋(ま、まさか!告白!告白されるの!?)
高橋(駄目よ、橘君!私達は教師と生徒!いくらなんでも越えられない壁が……!)
橘「高橋先生に!パックがしたいんです!」
高橋「だ、駄目よ橘君!いくらなんでも……えっ?」
橘「パックが!したいんです!」
高橋「え、えーと……どういうことなの?」
高橋「詳しく話して?」
橘「さらに!教師同士の付き合いでお疲れになっていると思います!」
橘「心身ともに疲弊した高橋先生から……せめて!せめて、お顔からだけでも疲労の色を取り除き!」
橘「僕らの美人教師、高橋麻耶に戻っていただきたいのです!」
高橋「橘君?……えーとね?」
高橋「何かよくわからないけど、私を気遣ってくれてるのよね?」
高橋「ありかだいんだけど……その、ねぇ?」
橘「ぼ、僕が高橋先生に出来ることは……パックくらいしかないんです!」
高橋「いやね?その……勉強ちゃんとして問題起こさなければいいだけなんだけど……」
橘「……なにそれ、つまんなーい」
高橋「た、橘君!?」
橘「……ではなくて!先生!」
高橋「橘君?最近あなたが校内で美容師紛いのことをしているのは聞いてるわよ?」
高橋「それに……やたら腕がよくて、みんな綺麗になってるこも」
高橋「橘君?私を綺麗に……して貰えるかな?」
高橋「最近ね……疲れてるのは本当だし」
高橋「わ、私もあなたの魔法にかかりたい!」
橘「……高橋先生」
橘「僕に任せてください!」
橘「必ず綺麗にします!」
高橋「橘君……お願い!」
橘「すみません」
高橋「いいのよ。……予想より老けててびっくりした?」
橘「いえ……その……お綺麗ですよ?」
高橋「あ、あなたがいうとお世辞に聞こえないから質が悪いのよ!」
橘「お、お世辞になんがじゃ!」
高橋「まぁ、いいわ。それで、次は?」
橘「お顔の産毛を……剃らせていただきます!」
高橋「わかったわ」
橘「で、ではクリームを!」
ヌリヌリ
高橋「……手際いいのね?」
橘「……僕の師匠は大事なのは心だって言ってました」
橘「これはやり慣れてるから、とかではなくて……」
高橋「…………////」
橘「え、えーと!蒸しタオル!蒸しタオル載せますね!!」
橘(これくらいの温度ならちょうどいいかな?)
スッ……
高橋(あっ……温かくて気持ちいい……)
高橋(何だかリラックスしてきちゃったな)
高橋(……橘君、優しいんだ)
高橋「大丈夫よ!私は橘君を信じてる」
橘「で、では……」
橘(せ、先生の柔肌を傷つけないように……慎重に……慎重に!)
ショリ……ショリ……
高橋(剃刀の刃を通してもわかる……彼、緊張してるけど……)
高橋(絶対に私を傷つけない……そんな確信がある!)
橘「ふぅ!終わりました!」
高橋「ふふっ、お疲れ様!」
橘「そ、それは僕の台詞ですよ!?」
高橋「……それもそうね!」
橘「あ、もう一度蒸しタオル載せますから」
高橋「うん」
高橋「ひ、ひゃっ!」ビクン
橘「す、すみません!くすぐったかったですか?」
高橋「ち、違うの……私が動いたら皺になっちゃうわよね、こちらこそごめんなさい」
高橋「……続けて?」
橘「は、はい!」
高橋「…………」
高橋(た、橘君の手で触られると何故か気持ちいい!)
高橋(産毛剃ってもらったから、敏感になってるのかな……?)
高橋(……生徒の前でみっともない姿をみせられないし、我慢!我慢よ、麻耶!)
ーーーーーーー
ーーーー
ーー
ー
高橋「……化粧のノリも凄いし」
高橋「……橘君、あなたは一体なんなの?」
高橋「美容師、本当に目指してみたら?」
橘「いや~、僕なんて趣味でやってるくらいがちょうどいいんですよ」
高橋「そうかな?私、橘君のいるお店なら毎週いっちゃうけど?」
橘「あ、ありがとうごさいます!」
高橋「こちらこそ、ありがとう……」
高橋「……橘君!」
梅原「何か最近、麻耶ちゃん輝いてるよなぁ」
田中「若く見えるよね!」
絢辻「橘君……私も疲れが顔に出てると思うんだけど?」
棚町「あ、あたしもバイト最近多くてさ~!」
田中「ふ、二人とも!?」
梅原「……わかりやすすぎるぜ!」
橘「……本当に美容師目指そっかなぁ」
完
橘「ない」
美也「えー!みんなやってもらってるじゃん!?」
橘「……美也、仮にだぞ?」
橘「これまでの流れを踏まえて、お前の出来が一番よかったら……僕はどうすればいい!?」
橘「キミキスか!?サヨナラしてきた!!なのか!?」
美也「そ、それを持ち出すのは反則だよ!」
橘「……だろ?」
橘「だから僕は美也には何もしない」
橘「何もしちゃいけないんだ……」
美也「にぃに……」
橘「え?」
美也「キミキスといえば『実験する?』だよ!」
橘「ふ、二見さんが何だっていうんだよ!?」
美也「みゃーがいいたいのは……」
美也「やってみなくちゃわからないでしょ!?ってこと!」
美也「やらずに決めつけるなんて、にぃにらしくないよ!!」
橘「み、美也……!!」
橘「いいのか?実験の結果が偉いことになっても?」
美也「もう!進歩に犠牲はつきものだよ、バカにぃに!」
美也「みゃーは……別にそれでもいいから」
美也「そのときはにぃにの好きにすればいい!」
橘「美也……わかったよ!」
橘「僕はやるよ!!」
美也「それでこそにぃにだよ!」
美也「うん、いいよ」
橘「まずお湯で流すぞ」
シャー……
橘「湯加減大丈夫か?」
美也「……だ、だいじょっ……ぶだよっ」
美也(こ、これが逢ちゃんと紗江ちゃんの言ってたヤツか!)
橘「お湯だけである程度洗うからな?」
美也「あっ……うん!」
美也「んんーっ!あっ……ふっ……!」ジタバタ
橘「おいおい、暴れるなよ!」
美也「だ、だって!」
橘「美也、シャンプーするぞ」
美也「う、うん……いいよ、にぃに……」
美也「きて……?」
橘(えーっと、しっかり泡だてて)
ワシワシ
橘「美也?痒いところあるか?」
美也「あ、そ、そこ!そこが……んっ!いいな……?」
橘「ここか?」
美也「ち、ちがっ!そ、そこじゃなくて……」
橘「こっちか?」
美也「そ、そう!そこ!んんっ……にぃにぃ……」トローン
橘「……美也、気持ちいいのか?」
美也「う、うん……気持ちいいよぉ……」
橘「それはよかった」
橘「……美也、乾かし終わったぞ」
美也「ん、あぁ……もう終わりなの?」
橘「そ、そんなこと言われてもなぁ!?」
美也「……で、実験の結果はどうなの?」
橘「美也、僕はな……お前を……」
美也「……うん」
橘「ちゃんと妹として見れてたみたいだぞ?」
美也「……そ、そっか!そうだよね!」
美也「よかったー!にぃにが相原純一じゃなくて!」
橘「こ、こら!相原さんをあまり悪くいうもんじゃないぞ!」
美也(へへっ、ちょっと残念かな)
完
乙
愛歌「私もかまえ」
橘「……わかりましたよ」
橘「ツインテールにでもしてみますね?」
橘「よいしょっと」
愛歌「んっ…….」
愛歌「……/////」
橘「出来ました!」
愛歌「橘」
愛歌「お前は凄い」
愛歌「私が太鼓判を押そう」
橘「は、はぁ……」
完
夕月「橘ッ!!」
橘「先輩は……そうですね」
橘「分け目を変えてみましょう!」
橘「知ってます?心理学には分け目の話があってですね……」
夕月「………////」
橘「出来ましたよ?」
夕月「橘ッ!」
夕月「お前はな、その……何ていうか……ズルい男だな」
橘「え?あ、はい……すみません」
完
橘「香苗さんには僕からはできない!」
橘「梅原……お前がやるんだ!」
梅原「お、俺!?」
橘「……大事なのは心だ!」
梅原「お、おう!」
梅原「か、香苗さん!?あ、あのさ……」
香苗「ん?梅原?」
梅原「か、香苗さんの髪を……!」
香苗「いいよ?」ニコッ
梅原「や、やったぜ!!」
森島「うんうん、心ね!」
完
橘「黒沢さんの髪の毛をいじろう!」
絢辻「やらせないわよ?」
橘「な、何で!?」
絢辻「私以外にはしないって……」
絢辻「誓約……してくれたじゃない////」
橘「アマガミSS+は好評放送中!」
絢辻「紳士なら見なさいよ?」
黒沢「あれ?私の出番は!?」
黒沢「絢辻詞!あんたには絶対に!」
黒沢「……勝てない、な」
完
蒔原「あれ?橘君?」
橘「ま、蒔原さん!?」
蒔原「その、ね?」
橘「田中Bから聞いたよ?」
蒔原「私……その……」
橘「いやー、ありがとう!」
橘「蒔原さんがいなかったら、アマガミ始まらなかったよ!」
橘「このっこのっ!」
ワシワシ!
蒔原「あ、あん!橘君!?」
橘「このっ!このっ!」
田中B「根に持ってるよね、やっぱり」
完
縁「私の髪の毛どうかな?」
橘「あ、三つ編みにでもしてみます?」
キュッキュッ
縁「…………」
橘「ツヤツヤでいい髪の毛ですね」
橘「はい、できました!」
縁「橘君の、ありがとー!」
橘「いえいえー」
縁「す、凄かった……」
完
あざっす!!
Entry ⇒ 2012.01.20 | Category ⇒ アマガミSS | Comments (0) | Trackbacks (0)
川越シェフ「今日のミッションも過酷だなぁ…」
川越「照英君呼びにいかなきゃ」
川越「照英くーん」
ガチャッ
照英「…川越またか…」
川越「互いに一本背負いしてる画像だって!お母さんの命がかかってるらしいよ」
照英「…」
川越「照英君…?」
照英「もう…もう嫌なんだよ…!!」
川越「! …僕だってもうウンザリだよ!なんで…なんでこんなことになってしまったんだろう…」
川越「最初はボランティアだったのにね…」
照英「最近じゃ調子に乗った奴らが限度を超えたミッションをふっかけてきやがる…」
川越「僕なんてこの前セフィロスと戦ったよ」
川越「そうだね。…さぁ、今日も頑張ろうよ。終わったら美味しいシチューをご馳走するからさ」
照英「…あぁ、ありがとう………。今日が最後になればいいんだが、そうはいかんだろうな…」
川越「僕たちの知名度が上がりすぎたからね。そりゃあ、大切な人の命が助かるなら、無理な要求だってしたくなるさ。彼らにとって僕たちは赤の他人なんだから」
照英「まったく、人の生き死にを他人に託すなんてどうかしてるぜ」
川越・照英「せーい!!!!!」
ダーン!!
川越「やるね…照英君…」
照英「お前もな!」
川越「身体の節々が痛いよ…はぁ…また薬局で湿布買わなきゃ」
照英「ハハハ。相変わらずやわな奴だな!俺はまだピンピンしてるぜ?」
ぴろりろりーん
川越・照英「!?」
照英「さっきので大丈夫だったんだな。互いに一本背負い…なかなか難しいもんだぜ」
川越「まあセフィロスと戦うよりは何倍もマシだったけどね。さて、ミッションもこなしたし家に帰るかな」
照英「ああ…また
ぴろりろりーん
照英「今度は俺か…」
妹が家に帰ってこないんです!
照英「まじかよ…」
川越「うわぁ地味に大変そう(笑)」
照英「笑い事じゃねーよ!!!」
川越「いいよー!その調子で泣いて泣いてー!!!」
照英「うぅっ…うぁあ…ぐずっ……うっ」
~ジャ○コ
川越「さーて墨汁も買ったし、照英君のところに戻らなきゃ!」
子供A「あ!川越シェフだー!」
子供B「ほんとだー!!」
子供C「すっげーサインくれ!」
川越「えっえっ」
子供C「サイン!!」
川越「うっ、うん」
さらさらさら
子供C「サンキュー!」
川越「僕のこと知ってるんだね」
子供A「もちろんだよー!なんたって川越シェフと照英は人類の最終兵器だからな」
子供B「ぼくのお母さんも川越シェフのおかげで助かったんだよ!ありがとう!」
川越「どういたしまして。…君はなんてミッションを僕に頼んだのかな?」
子供B「えっとねえっとね、セフィロス!」
川越「…なん…だと…?」
子供B「凄かったな~!まさかほんとに戦ってくれるなんて。僕感動しちゃった!」
子供A「だよねー!どうせお願いするなら面白い方がいいかなって思って、僕たち工夫したんだ」
子供A「まあお母さんただの盲腸で、川越シェフに頼まなくても助かったんだけどね(笑)」
子供C「川越シェフにお願いする口実にしただけだよな(笑)」
子供ABC「wwwwwwwwwwww」
川越「………」
ぴろりろりーん
川越「…こんなときにミッションか。早く照英君に墨汁を届けないといけないのに」
川越シェフが子供達に墨汁ぶっかけて恍惚な表情してる画像ください!!
お婆ちゃんが危篤なんです!
川越「…ニヤリ」
かわごえは こどもたちに ぼくじゅうのらあめを ふらせた!
子供B「や、やめてよ川越シェフ!!なにするの!!!」
子供C「口に入ったよー!不味いよー!!ぺっぺっ…カハッ…」
川越「ナイスタイミングだね…素晴らしいミッションだ。ハハ、フハハ、ハハハハハハハハハハ!!!!!!」
川越「エクスタシー!」
どぴゅどぴゅっ
子供ABC「や、やめろおおおおお!!!!!」
川越「ハハハハハハハハハハハ!!!たのしー!!!」
川越「お前らみたいなクズのためにな!僕たちは毎日毎日汗水垂らして過酷なミッションに挑んでんだよ!!」
川越「ふざけんな!!!!!!」
川越「僕たちの!平穏を!返せッ!!!!!!!!!!!!」
川越「わかればいいんだよ」
ぴろりろりーん
川越「…ミッションコンプリートだね。…墨汁買い直さなきゃ」
川越「おそくなってごめんね照英君」
照英「待ち侘びたぞ川越…ぐすっ」
川越「いろいろあってね。はい、墨汁」
照英「ああ、ありがとう…ぐすっ…」
川越「味わって飲んでね!」
照英「…良し………。すーはーすーはー」
ズビズビズビッ!!
川越「すっごーい!照英君顔真っ黒(笑)もう涙とかわかんないよ!」
照英「グッ……グスン…ズルズル……」
川越「鼻水汚い(笑)」
照英「もう…良いか…?」
川越「まだメール来てないでしょ?もっと啜らなきゃダメなんじゃない?」
照英「不味い…不味い…ううう………」
川越「流石におかしいな。まだメールが来ないなんて…」
照英「もう…無理…不味い…吐く………」
川越(余った精子をチョイ足ししたのがまずかったのかな?純粋な墨汁じゃないもんな~)
照英「おえっ」
川越「や、やめてよ照英君!堪えて!吐かないで!!!」
照英「おぼろろろろろ」
川越「あーあー…だだ漏れじゃん…」
川越「あっ、達成メールだよ照英君!良かったね!吐くまで飲まなきゃダメだったのかもしれない(あっぶねー僕のせいじゃなかった良かったー!)」
照英「ハァ…ハァ…」
川越「…お疲れ様。さっ、もう帰ろうか。吐瀉物の清掃はきっと掃除のおばさんとかがやってくれるよ。家に帰って休もう。ねっ」
照英「あぁ…」
~川越邸
川越「はぁ…今日も疲れた」
僕はなんでこんなことをしているんだろう。
今日の子供の言葉で理解した。
本当に困っていて僕たちにすがる人はごくわずかだということを。
川越「よしっ」
川越「照英君、話がある」
照英「…なんだ改まって」
川越「もう、ミッションメールは受信拒否。あるいはそれができなければ全て見なかったことに…スルーしようと思うんだ」
照英「…」
川越「昨日君のいないところでいろいろあってね。もうボランティアなんてバカバカしくなっちゃったよ…ははっ」
照英「…俺も同意見だ」
~川越邸
ぴろりろりーん
ぴろりろりーん
ぴろりろりーん
川越「やっぱり受信拒否は無理だったなぁ。もうこの受信音…聞くのも嫌なのに」
ぴろりろりーん
ぴろりろりーん
ぴろりろりーん
川越「ああもう!!!」
はあ…はあ…くそっ!!!」
ダンッ!!!
…ぴろ…りろりーん
ぴろりろりーん
ぴろりろりーん
川越「まだ鳴りやがる…」
ピッ
テレビ「ずんちゃずんちゃ」
川越「音楽番組か…ちょうど良い」
テレビ「ずんちゃずん…ピッ 臨時ニュースが入りました。」
川越「あぁん?」
テレビ「昨日一日だけでも死亡者数は116人」
テレビ「いかがなものでしょう?」
テレビ「このままでは日本は…世界はどうなってしまうのでしょう?」
川越「…」
ピッ
川越「はぁ…」
ぴろりろりーん
ぴろりろりーん
ぴろりろりーん…
照英「まさかこんなことになるとは」
ぴろりろりーん
ぴろりろりーん
ぴろりろりーん
照英「俺はどうしたら…」
どんどんどんっ!
川越「照英君!照英君!開けて!!」
照英「…!川越か!」
川越「ニュース!見た!?」
照英「ああ…」
川越「僕たちどうしたら…」
照英「…俺たちには、関係ない!!!」
川越「照英君…」
照英「俺たちを…巻き込むなよ…!!!」
川越「…きっと、僕たちじゃないと、ダメだったんだよ。きっと僕たちには、他のみんなにはない何かがあるんだ。」
照英「川越…」
川越「ねぇ、照英君。これからも頑張ってみようよ。…僕たちが求める理由は、…まぁ、そのうち、見つかるんじゃないかな」
川越「そりゃ大変だし苦しいけどさ、やっぱり僕たちが誰かの助けになってるなら、それはもう十分すごいことなんだと思うよ」
川越「…行こっ、照英君!」
ぴろりろりーん
ぴろりろりーん
ぴろり
ピッ!
「川越シェフと照英が泣きながらアマゾン川横断する画像ください!お祖父ちゃんが末期の舌癌なんです!」
川越「…まずは目指せアマゾン川だよ!照英君!」
照英「ああ!行くぞ川越!!」
照英(俺の相方がお前で良かったよ、川越…)
~完~
ご愛読ありがとうございました!
すみせんでした!
これからも川越シェフと照英はみんなのために過酷なミッションに立ち向かってくれることでしょう。
あるのかよ
ワロタwwww
ありがとうございます!びっくりしました!!
Entry ⇒ 2012.01.20 | Category ⇒ その他 | Comments (0) | Trackbacks (0)
京子「ふたりのきもちのほんとのひみつ」
http://hayabusa.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1326987500/
前→京子「きるみーべいべー」
京子「今日から、ここで暮らすことにしたから」
結衣「はぁ!?」
結衣「え……、暮らす?うちで?」
京子「うん!」キリッ
結衣「なんで……?」
京子「なんでって、そりゃあ愛し合う男女……じゃなかった、女同士が一緒に暮らすのに理由なんかいらないでしょ?」
結衣「お前、おじさんおばさんには話してきたのか?」
京子「だぶちっ!」ブイッ
結衣「……はぁ」
京子「いやぁ~、お互い物分かりのいい両親を持っててよかったね!」
結衣「ああ、うちの親にももう根回し済みなのね……」
京子「うん、うちのお母さんが『ふつつか者ですがよろしくね』って電話で」
結衣「もはや嫁入りか」
京子「一応、私の生活費とかもこっちに入れてくれるから、安心してね」
結衣「まぁその辺りは心配してないっていうか、今までだって半同棲みたいな状態だったもんな」
京子「そうそう、今までと大して変わんないんだから安心してよね!」エヘン
結衣「いや、そんなドヤ顔されて言われても……」
…………………
京子「……」モフモフ
結衣「ふぅー……あ、そのおまんじゅう美味しい?この前、近所の人にもらったんだけど」
京子「……美味しい」モフモフ
結衣「そっか……今度なにかお返ししないとなぁ」ノンビリー
京子「……」モフモフ
京子「ああああああああっ!!」ガバッ
結衣「……ど、どしたの急に……?」アセッ
京子「結衣っ!」
結衣「はいっ!な、なんでしょう……?」
京子「もっと喜べよっ!もっと喜べよっ!!」
結衣「なんで二回も言った」
京子「せっかく私が一緒に暮らせるようになったんだよ!?なのになんだよそのテンションの低さは!!」
結衣「いや、本当にいつもと変わんないもんで……ついつい」
京子「もっとさぁ!こう!嬉しさのあまり窓をぶち破って外にぴょ~んって、飛び出しちゃうくらいしたっていいじゃん!」
結衣「いや、そんなギャグアニメのキャラみたいなことは……」
京子「アニメじゃない!!」
結衣「……ほんとのことさ」
京子「いや、私は結衣のそういう表現力の無さは、昔からわかってたつもりだよ?」
結衣「……」
京子「だけど、私が一緒に暮らせるって言ったとき……ちょっと嫌そうだった……」シュン
結衣「!?そ、そんなことは……」
京子「なくないっ!言った瞬間わかったんだもん!結衣の身体から放たれるイヤイヤオーラが!!」
結衣「私は表現力がなかったんじゃないのか」
京子「嫌そうなのは、嫌でもわかるんだよ!」
結衣「はぁ……ま、そう見えたならごめん」
京子「やっぱり結衣は……!!」ジワッ
結衣「ば、ばかっ!はやとちりするんじゃない!」
結衣「その……なんだ、一緒に暮らせるって京子から切り出されたのが……その……」モジモジ
京子「な……なんだよ!ハッキリ言えばいいだろ!嫌だって……」ポロポロ
結衣「あー!だからっ!嫌じゃないよっ!!すっごくうれしかった!!///」
京子「……ほんと?」シクシク
結衣「ああ!ほんとのほんとっ!いつか私から一緒に住もうって言うつもりだったから、ちょっと面食らっちゃっただけだよ!」
京子「……じゃあ、証明してよ……」
結衣「……!///」ドキッ
京子「さあさあ!今すぐそのベランダの窓から飛び出すんだ!さあ早く!」ケロリ
結衣「おまえがな」
…………………
京子「ま、結衣が驚いてただけっていうのは最初からわかってたんだけどね~……しかしこの饅頭マジでうまいな」モッキュモッキュ
結衣「おいこら、じゃあその涙も嘘泣きってことか」
京子「さぁー?私は知らないなぁー?」
結衣「……もう、無駄な心配かけさせんなよな」ボソッ
京子「え、なに?」
結衣「な、なんでもない……」アセッ
京子「……だーいじょうぶだって!もう結衣に心配なんてかけさせないって!」
結衣「聞こえてたんじゃん……///」
京子「もう小さい頃の泣き虫な私じゃないからね!」ニコッ
結衣「……!!」
結衣「そうだと、いいんだけどな……」フフッ
京子「ああー!信じてないなー!?」
結衣「そりゃあんな無駄な芝居をされちゃあ、これからが心配にもなるって」
京子「えー、いい刺激になるじゃんよー」
結衣「これから毎日こんな調子だと、私の心臓がもたない……」ハァ
京子「大丈夫!その時は私が精一杯看病するから!」
結衣「もはや私が倒れるの前提なのな」
…………………
結衣「さて……」スクッ
京子「ん……どったの?」
結衣「いや、せっかく京子と一緒に暮らせることになったんだし、今日の夕飯はお祝いに豪勢にしようかなって……」
京子「なんだ、結衣もやっぱり嬉しいんじゃん」
結衣「だ、誰も嬉しくないなんて言ってないだろっ!///」
京子「またまた~、照れちゃって~」
結衣「う、うるさいっ、さっさと買い出し行くぞっ!///」
京子「あ、いいよ、買い出し行かなくて」
結衣「何言ってるんだ、せっかくお前の好物をたくさん作ってやろうと……」
京子「今日は私が作るから!」
結衣「え……あ、そうなの?」
京子「そうなの!買い出しも結衣んち来る前に済ませてるし、今日は結衣の大好物をたくさん作るつもりだから!」ニコッ
結衣「あ……ありがと……///」
京子「これくらい当たり前だって!」ニコッ
ガチャン
京子「あーっ!?」
結衣「突然どうした、冷蔵庫なんか開けて」
京子「ら、ラムレーズンが……」ワナワナ
結衣「あ、そういえば切らしてたっけなぁ……すっかり忘れてた」
京子「今すぐ買い出し行ってこーい!!」ビシッ
結衣「」
…………………
結衣「ふぅー、食った食った……」
京子「美味しかった?ねえ、美味しかった?」
結衣「だぶち」
京子「ちゃんと言えよ!」
結衣「だぶち」
結衣「ごちそうさまでした」
京子「お粗末様でした」
京子「あ、片付けも済ましちゃうから、結衣はテレビでも観ててよ」
結衣「……まさに至れり尽くせりだな」
京子「こんなサービス、今日だけなんだからねっ!」
結衣「はいはい」
結衣「しかし、これから一緒に暮らすとなると……料理とか掃除、片付けとかも当番制にしないとな……」
京子「あ、その辺は大丈夫!ぬかりないよ!」ガサゴソ
京子「……はい、当番表作ったから」
買出し・料理・掃除・洗濯・宿題……結衣
ゲーム・味見・ラムレーズン……京子ちゃん
結衣「……」グシャア
京子「ああっ、一晩寝ずに考えたのにっ!」
結衣「おいこら」
結衣「まぁ、こういうのはおいおい考えていけばいいかな……」
京子「おい!さっきの当番表はどうするんだよ!」
結衣「まず『ラムレーズン』が意味わかんないから、却下」
京子「バッサリだぁー!」
…………………
結衣「さてと……京子が後片付けしてくれてる間に、お風呂でも用意しておくかな……」
京子「お風呂なら私がやっておいたよー」
結衣「えっ、マジ?……なんだか今日の京子は気が効き過ぎててなんだか怖い……」ジトー
京子「そんなっ、ひどい」
結衣「じゃ、京子片付け済んだら先に入りなよ」
京子「え、いいよいいよ、今のうちに結衣が先に入ってきてよ」
結衣「いいって、ここ私の家だし」
京子「結衣ー?」
結衣「何?」
京子「『私たちの』でしょ?」
結衣「あ……ごめん」
結衣「じゃ、じゃあ遠慮なく先に入らせていただきます……」イソイソ
京子「いってらー」
京子「……くふふふ」
…………………
カポーン
結衣「ふぃー、なんだか今日は色々なことがありすぎて疲れたなぁ」フゥー
結衣「しかし、京子と同棲か……夢じゃ……ないんだな……///」
結衣「……///」
結衣「……あーっ!変なこと考えるのはよそう!だめだめっ!落ち着け私っ!///」
京子『結衣ー?』
結衣「うへあっ!?」バシャッ
京子『何慌ててるの?……それより、湯加減はどう?』
結衣「あ、ゆ、湯加減?いいよ!いい、いい……///」
京子『そっか、じゃあ私も……』ヌギヌギ
結衣「えっ!?何!何脱ぎ出してんだよっ!?///」
京子『何って……風呂入るのに服は脱がないと……よいしょっと』ゴソゴソ
結衣「えあっ、ああ、京子入るなら私上がるよっ!///」
京子『結衣さっき入ったばっかじゃん』
ガラガラ
京子「今更、何を恥ずかしがっちゃってんだか」ニヒヒッ
結衣「だ、だってなぁ……!///」
京子「私の身体だって、見飽きたんじゃない?」ニヤニヤ
結衣「ばっ、ばか!///」
京子「はいはいはーい、京子ちゃんが今決めました!これからお風呂は毎日一緒に入ること!」
結衣「ええっ!?///」
京子「だって、これでどっちが先に入るとか決めなくていいじゃん?」ゴシゴシ
結衣「まぁ……そうだけどさ……///」ブクブク
京子「まーだ恥ずかしがってんのかー」ニヤニヤ
結衣「だってそりゃあ……///」
京子「もう、えっちぃことだってやった仲だってのに、結衣さんはウブですな~」ニヨニヨ
結衣「しょうがないだろ!恥ずかしいもんは恥ずかしいんだから……///」
京子「ま、結衣のそんな反応がかわいいんだけどね」バシャー
結衣「」プシュー
ザバーン
京子「ふわぁー、いいねぇ……あったまるー……」ポカポカ
結衣「私は言葉責めでのぼせそうだけどな……///」
京子「そんなんじゃ、本当にこれからいくつ心臓があっても足りないな!」
結衣「京子が看病してくれるならいいよ……」ブクブクブク…
京子「おう!まかしとけ!」エッヘン
結衣「……///」ブクブク
京子「……ねぇ、結衣」ギュ
結衣「うわっ!きゅ、急に後ろから抱き着くなよっ!///」
京子「そろそろ慣れろよ」ギュー
京子「ね、結衣……私と一緒に暮らせて、嬉しい?」
結衣「そ、それはさっき言ったろ?///」
京子「もっかい、ここでちゃんと言って……」ギュ
結衣「……死ぬほど、今死んでもいいってくらい嬉しかったよ」
京子「まだ同棲して一日も経ってないのに、死んじゃだめだよ?」
結衣「例えな、例え」
京子「そっか……そんなにうれしかったかぁ……えへへ」ギュー
結衣「!!」ドキッ
結衣「……そろそろ、ほんとにのぼせちゃうから」ザバッ
京子「ああっ、もうちょっと!もうちょっとだけ待って!」ギュー
結衣「えー……じゃあ、50数えるまでな」イーチ、ニーイ…
京子「私、結衣に出会えて……ほんとによかったなぁ……」
京子「泣き虫だった私と……仲良くしてくれて……いつも一緒にいてくれて……」
京子「ほんと……ほんとよかったぁ……」ポロポロ
結衣「お、おい、何泣いてんだよっ」オロオロ
京子「えへへ……なんだか嬉しくなっちゃってつい……」ゴシゴシ
結衣「……」
結衣「……これからもずっと一緒なんだから」ボソッ
京子「えっ、何?」
結衣「い、いやっ、なんでもな……」
京子「なーんてね、『これからもずっと一緒なんだから(キリッ』って!はずかしー!!」ニヤニヤ
結衣「おい!その似てないのやめろ!///」バシャバシャ
京子「やめないもーん!『愛してるよ……京子(キリリッ』」
結衣「おいこらっ!そんなこと言って///……50!もう先に上がるからな!」ザバー
京子「あ~ん、いけずぅ」
結衣「うるさいっ///」
……………………
結衣「な、なな、な……」ワナワナ
京子「ふー、いい湯だったー……って、どしたの結衣?」
結衣「な、な、なんで!なんで布団一つに枕が二つ用意されてるんだよっ!///」
京子「私がやっておきました」
結衣「ベタなネタ仕込むなっ!ばかっ!///」
結衣「けど……まだ寝るには早いだろ」
京子「……せっかく同棲をスタートさせた日なんだしさ」モジモジ
結衣「!!」
結衣「ま、まぁ!そうだなっ!一緒に寝るくらい!///」カァー
京子「……わかってるくせにさ」
ゴロン
結衣「え、エッチなことは!今日は!……な、無しな……///」
京子「このヘタレが」
結衣「うっさい!早く寝ろよっ!///」
京子「自分が『寝るには早い』って言ったくせに……」ブーブー
京子「……」
結衣「……」
結衣「……なんか」
京子「……ん?」
結衣「なんか……私がエッチなことだけが目当てで……京子と一緒にいるとは思いたくなくて……今日は……したくないの///」
京子「別に、今日くらいいいじゃんよ……記念日なのに」
結衣「これから毎日一緒なんだろ?じゃあ今日じゃなくてもいいじゃん……」
京子「うわぁ……うわぁ……」
結衣「へ……ヘタレでごめん///」
京子「……ま、そういうとこも結衣らしくて好きだけどね」フフッ
京子「ね……結衣……」ゴソゴソ
結衣「なに……京子……」
京子「こっち向いてよ……」
結衣「ん……」ゴソゴソ
ギュ
京子「これくらいなら……いいでしょ?」
結衣「ま、まぁ……///」
京子「結衣ちゃん抱きまくら、あったかいなぁ……」
結衣「京子も……すごくあったかい」ギュ
京子「ねぇ……キスしよ……」
結衣「え、ええー……///」
京子「えっちぃこと我慢してんだから!キスくらいいいじゃんよ……」
結衣「わ、わかったよ……///」
京子「ん……」
チュウ
結衣「んー……んっ!?///」
京子「んふっ……」チュパリコ
結衣「んっ///ほっ、おい!舌入れるのは反則だろ……が……」
京子「結衣ぃ……」ウルウル
結衣「!?」
結衣「……」プチッ
結衣「京子ぉーっ!!」ガバッ
京子「きゃー、結衣ちゃんケダモノー!」キャッキャッ
…………………
チュンチュン、チュン
結衣「んああ……もう……エロいことも曜日制な……」ゴロリ
京子「……なんだよー……くたびれた熟年夫婦みたいなこと言いやがって……」ゴロゴロ
結衣「だって……これから毎日こんなの繰り返してたら……私、過労死するし……」
京子「結衣から襲ってきたくせに!」
結衣「あれはお前から……!まぁいい……言い合う力すらないから……」グッタリ
京子「京子ちゃんのテクニックに、結衣も骨抜きだねっ!」
結衣「はいはい……」
…………………
結衣「んあーっ、あ……朝ご飯作ってくれてたのか……」ゴシゴシ
京子「だって結衣、すっごくやつれてたし」
結衣「……とりあえず、その格好はなんだ、おい」
京子「いやーん、見つかっちゃったー!///」
結衣「裸エプロン……ってか、そんなフリルの付いた真っ白エプロン、うちにはなかったような」
京子「我が家から持ってきた!もちろんこのために!」エッヘン
結衣「即刻返してこい」
京子「えー、お母さんが『この格好なら結衣ちゃんもメロメロだからね』って、わざわざ譲ってくれたのに……」
結衣「おばさん……娘に何仕込んでんだ……」
京子「『船見さんから結衣ちゃんの好みを聞いたから』って……」
結衣「お母さん……!!」ガクッ
京子「まぁいいじゃん、それより朝ご飯冷めちゃうから、早く食べよっ」
結衣「……そうだな、せっかく作ってもらったんだし」
結衣「うん、美味しい……」モグモグ
京子「ほんと?よかったー」テレテレ
結衣「しっかりした朝食……京子は和食派だったのか、知らなかった……」モグモグ
京子「いや、そういえば結衣に朝ごはん作ったことなかったなぁーって、そしたらちゃんとしたの作りたくなるじゃん?」
結衣「これからもこんな美味い朝食が食べれるのか……」モグモグ
京子「いや、多分今日だけ」
結衣「えええ、なんで今日だけ……」
京子「だって、凄い手間かかるんだよ?こんな豪華な朝食は本日限り、これからは普通なのしか作んないよ」
結衣「ま、作ってもらえるだけいいか……」モグモグ
京子「……毎晩、ちゃーんと愛してもらえたら、毎朝しっかりした朝食を作らないでも……ないかな///」
結衣「ぶふぉっ!!」
京子「もう、汚いんだから……焦って食べちゃダメだよ」
結衣「お前が変なこと言うからだろがっ!!///」
京子「……だって、朝も気分よく作りたいじゃん?///」
結衣「……毎日は無理だけど」
結衣「京子が朝ごはん当番の日くらいは……してもいい……よ///」カァー
京子「……///」
結衣「……///」
京子「……朝から何言ってんだろね、私たち……///」
結衣「……お前が言い出したんだろ……///」
京子「わたしのせいかよ!?」
結衣「ああ、お前のそのかわいさのせいだ」
京子「え……///」
結衣「く、口が滑った……///」カァー
…………………
京子「ねぇー……ゆいー……」ゴロゴロ
結衣「なんだー……京子……」ゴロリ
京子「もし、私が病気で倒れたら……」
結衣「そんときは私が必死に看病するよ」
京子「その甲斐虚しく、死んじゃったら……」
結衣「……その時は私も一緒に死ぬ」
京子「……そっか……えへへ」ゴロリン
結衣「じゃあ、もし私が死んじゃったら、京子はどうする……?」
京子「私かぁ……私はラムレーズンを食べるかなぁ……」シミジミ
結衣「なに深イイ話したみたいな表情してんだよ……意味わかんないし」ムクリ
京子「いや冗談冗談、ほんとは……まぁ、結衣の分も必死に生きるかなぁ」ゴロゴロ
京子「だって、結衣は私に死んでほしくなんかないでしょ?」
結衣「……よくわかってんな」
京子「……けど、私も別に結衣に一緒に死んでほしいとか思ってたわけじゃないからね」
京子「ただ……結衣がそうしたいなら、私に止める権利はないかなって」
結衣「私も……京子が死んだら、やっぱりラムレーズンを食べるかな」フフッ
京子「……おい、ラムレーズンを馬鹿にすんなよ?」
結衣「してないって」
結衣「死が二人を分かつまで……か」
京子「なぁに、結衣さん……厨二病っすか?」
結衣「ちげえよばか」
結衣「死ぬまで一緒にいられたらいいなって……ちょっとそう思っただけだよ」
おしまう
京子「きるみーべいべー」
というやつの続編的な
ただアマアマな京結が書きたかった、後悔はしていない
乙
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京子「きるみーべいべー」
http://hayabusa.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1326550387/
次→京子「ふたりのきもちのほんとのひみつ」
京子「駆け落ちしたい」
結衣「!?」
結衣「……なんだよ、いきなり」
京子「ねぇ、駆け落ちしようよ」
結衣「なんで?」
京子「うーん、なんで?って聞かれても……」
結衣「……なんか言われたの?」
京子「いや、特に何も……」
京子「けどさぁ、もし、もしだよ?」
京子「誰か……例えば友達に、私たちの関係を否定するようなこと言われたら、私耐えられる自信ないよ」
結衣「身内にそんなこと言う奴いないよ」
京子「それはそうだけどさぁ……」
結衣「それに」
結衣「その時は、私が守ってあげるからさ」ニコッ
京子「結衣は駆け落ちしたくないの~?」
結衣「する理由ないし……したって行き当たりばったりだから、ダメになる未来しか見えないな」
京子「う~……」バタバタ
結衣「京子は、そんなに駆け落ちしたいのか」
京子「なんかさぁ……こう刺激が」
結衣「じゃあ、今度2人でどっか旅行しようか」
京子「今すぐじゃないのかよー!……ま、楽しみにしとくけどさ」フフッ
…………………
結衣「京子は……」
結衣「京子は、もし私が『駆け落ちしよう』って言ったら、してくれる?」
京子「え~?……笑ってごまかすかな」
結衣「ごまかしちゃうのかよ」
京子「そりゃあ、真面目に頼まれたらさぁ……きっと一緒に駆け落ちちゃうよ」
結衣「京子」ジッ
結衣「一緒に駆け落ちしよう……」
京子「……やーだよー」プイッ
…………………
京子「結衣さんや~」
結衣「……なんだい、京子さんや」
京子「私と一緒に死んで」
結衣「ぶはっ!」
京子「……なーんてねー」
結衣「……」
結衣「なんだよ、マジで何かあったのか?」
京子「別に何もないけど……」
結衣「嘘つけこのやろう」
京子「……たださ、私たちってさ、結婚とかできないじゃん?」
結衣「外国では出来るとこあるけどな」
京子「……子供も作れない」
結衣「女同士でも赤ちゃんは作れるって西垣先生が」
京子「もう!あー言えばこー言う!」プンプン
結衣「なーに不安がってんだよ……」
京子「女同士で私たち……なんで付き合ってんだろーなーとか」
結衣「……京子っ!!」
京子「ひゃ、ひゃい!!」ビクッ
結衣「昨日作ったカレー余ってんだけど……食べる?」
京子「い、いただきます……」
…………………
京子「んぐ……はふっ……」ガツガツ
結衣「おいおい、そんながっつかなくても」
京子「んむっ、だって結衣のカレー、美味しいんだもん……はむっ」モグモグ
結衣「さっきのさ……」
京子「ん?」
結衣「付き合ってる理由とかさ、別に『私が作るカレーが美味しいから』とかでいいんじゃないかな」
京子「なんだ、その適当な理由は」
結衣「今は別に、理由なんていらないよ」
結衣「……京子は、私が好きな理由って何よ?」
京子「カレーが美味いから」
結衣「よろしい」
結衣「好きだよ……京子」
京子「……私もこのカレーだいしゅき」モキュモキュ
結衣「いやそこは……」
チュッ
京子「……カレーも結衣も大好き」
京子「……ごめんごめん、なんかちょっとネガティブになってたわ」
京子「カレー食ったら元気になった!完全復活!」
結衣「お前、カレー食ってる途中でキスすんなよな……」ゴシゴシ
京子「ええっ!?そこ!?」ガーン
結衣「まぁ……あとで私もやり返してやるからな」フフッ
京子「えへへっ」
結衣「カレー食い終わったらさ、旅行のパンフ取りにいこっか」
京子「お、あれマジだったのか……」
結衣「マジだよマジ」
結衣「……あとさ、もし、京子が望むなら……」ボソッ
京子「……え?何?」
結衣「……いや、なんでもない」ニコッ
京子「おい!そういうの気になるじゃんかよぉー!ちゃんと言えよっ!」
結衣「……今日の夕飯は何にしよっかなー、とか」
京子「嘘つくなー!絶対なにか隠してる!」ギャーギャー
結衣「嘘じゃないって」アハハッ
…………………
Baby,Please kill me.
おしまい
タイトルはとくにいみなしです
続きまして
櫻子「芋けんぴおいしい」
櫻子「芋けんぴおいしい」ポリポリ
向日葵「櫻子」
櫻子「芋けんぴおいしい……」ポリポリ
向日葵「櫻子、今は勉強中でしょう?お菓子ばかり食べてるんじゃねーですわ」
櫻子「芋けんぴおいしいもん!」ポリポリ
向日葵「……じゃあ、私帰ってもよろしくて?」
櫻子「だめ!」
櫻子「芋けんぴおいしいよ……?」ホレホレ
向日葵「誰があなたの食べかけなんて食べるもんですか!///」
櫻子「……おいしいのに」ショボーンポリ
向日葵「ああもう!じゃあ……あ、ありがたくいただきますわよ!///」アーン
櫻子「芋けんぴうめぇ」ポリポリ
向日葵「」アーン
櫻子「芋けんぴおいしい」ポリポリ
向日葵「実家に帰らせていただきます」
向日葵「わざわざあなたの宿題を見に来てあげたというのに……」
櫻子「芋けんぴおいしい」ポリポリ
向日葵「だから食べるの止めろって言ってんでしょこのおバカ!」バシッ
櫻子「いたっ!あ……」ポロッ
…………………
芋けんぴ1『うわぁっ!!』コロリン
芋けんぴ2『昭二ーっ!!』
芋けんぴ3『まずい!昭二兄ぃが床に落ちた!誰か!誰か引き上げてくれぇ!』
芋けんぴ長『無駄じゃよ……カーペットの上に落ちた食べかけの芋けんぴ……誰が拾って食べてくれよう……』
芋けんぴ2『そんな……!昭二ー!昭二ーっ!!』
…………………
櫻子「昭二……」ジワッ
向日葵(あっ、やりすぎましたわ……)
櫻子「うっ……うぇっ……」ジワジワ
向日葵(まずいですわ、このままじゃ泣き出してしまいますわ……こうなったら!)
向日葵「櫻子!新しい芋けんぴよっ!」グイッ
櫻子「んぐっ!?……」ブチュ
櫻子「んくっんくっ」チュパチュパ
櫻子「えへぇ……いおけんひ……おいひぃ……」エヘヘ
向日葵「ホッ」
櫻子「いおけんひおいひぃよぅ」チュパリコ
向日葵(なんてキモい食い方なんですの……!?よだれが垂れて口周りがベタベタ……)
向日葵(はっ!!)ピーン
向日葵(今の櫻子なら、私がキス顔で芋けんぴくわえてたら食いついてきて)
向日葵(ポッキーゲームよろしく……チューみたいになっちゃうんじゃ……!///)ハァハァ
向日葵「櫻子、私にも芋けんぴくださいな///」
櫻子「えっ、いいよ!」ハイッ
向日葵「ありがとう……///」
向日葵(キタキタキタァー!!)
向日葵「ひゃい……しゃくらこ……ひもけんひですわよぉ……///」ンー
櫻子「芋けんぴ!いただきます!」キラリーン
向日葵「……///」ドキドキ
櫻子「あー……んっ!」カプリシャス
ガタガタッ
綾乃「としのーきょーこーっ!!」ガタンッ
千歳「おじゃまするでー」
向日葵「!?」ビクッ
向日葵「な、な、なんで先輩方がここに……?」
千歳「ごめんなぁ、綾乃ちゃん扉を開ける時に、歳納さんの名前叫ぶんが癖になっとるんや……ビックリさせてしもたかな」
向日葵「いえ、そこはどうでもいいですわ」
綾乃「千歳、トルティア!」
千歳「はいはい、待たせたなぁ」ガサゴソ
千歳「トルティアチップスやで」ニコニコ
綾乃「やったあ!」パァー!
綾乃「トルティアチップスおいしい」ポリポリ
櫻子「芋けんぴおいしい」ポリポリ
向日葵「……で、先輩方は櫻子の家までいかがなされたんですの?」
千歳「いやぁ、綾乃ちゃんとスーパーまで行った帰りにたまたま立ち寄っただけやでー」
千歳「しかし、おじゃまやったかなぁ……?」ニヤニヤ
向日葵(はっ……そういえば芋けんぴゲームの姿を見られたのでは……!?///)
千歳「うちは何も見とらんよー」ウフフ
綾乃「トルティアチップスおいしい」ポリポリ
櫻子「芋けんぴおいしい」ポリポリ
櫻子「トルティアチップス……ちょーだい!」
綾乃「えっ……」ビクッ
櫻子「くれよっ」グイグイ
綾乃「や、やめ……やめてぇ……」ジワッ
千歳「こらこら綾乃ちゃん、少しくらい分けてあげんといけんよって、いつも言っとるやろ?」
向日葵「さ、櫻子も……先輩のものを無理矢理奪おうとしないの」メッ
綾乃「……」ポリポリ
櫻子「ぶー……」ポリ
綾乃「トルティアチップス……あげる」ホイ
櫻子「マジでっ?やった!」
櫻子「じゃあ、芋けんぴあげるよ!」ハイ
綾乃「……ありがとう///」
向日葵「お互い苦労しますわね」フフッ
千歳「そやねぇ……ま、かわいくて癒されるんやけどね」ニコッ
向日葵「そうですわね……かわいいですわね///」
向日葵「しかし……」
千歳「なぁ……」
ひまちと「「なんでこうなったんだろう……」」
おしまい
ちなつ「……」
あかり「がうがうがうがうがうっ!」ワンワンッ
ちなつ「あかりちゃん……」
あかり「がうがうがうがうがうっ!」ワンワンッ
ちなつ「それ……ワンワンだけどさ……」
あかり「がうがうがうがうがうっ!」ワンワンッ
ちなつ「もう……見てるの恥ずかしいからやめてよ……」
ちなつ「あかりちゃん……」
あかり「あかり、ワンワンだよぉ~!」(cv.チョー)
ちなつ「あかりちゃん……それも違う……」
あかり「もう!ちなつちゃんはわがままだなぁ!」(cv.チョー)
ちなつ「ほんと……描写しづらいんだからやめて……」
あかり「あかりワンワン!」
ちなつ「あかりちゃん……そのヒゲ……」
あかり「これはさすがにワンワンだよねっ!」キリッ
ちなつ「それは……それはファンファン……」
ちなつ「とりあえずさ……今日は帰るわ……」
おしまい
最初はあかりワンワン(マリオの敵キャラ)
次はあかりワンワン(いないいないばぁっ)
最後はあかりファンファン大佐でした
乙乙
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千歳「結ちとの可能性」
http://engawa.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1325521229/
千歳「はぁ……」ボンヤリ
綾乃「何よ千歳……溜息なんて吐いて、何か悩み事でもあるの?」
千歳「あ、綾乃ちゃん……」ポワポワ
綾乃「どんな些細なことでも、相談してよね……だって私たち、親友でしょ!」キラリーン
千歳「そやね……綾乃ちゃんも無関係ってわけやないもんね……」
綾乃「私のことで悩んでるの……?」
千歳「いや……あのなぁ、うち、恋に落ちてしもたかもしれん……///」
綾乃「ふむふむ、恋ね……ってここここ、恋ぃ!?」ビクッ
千歳「そや……うち、好きな人ができたんや……///」カァー!
綾乃「えっ、私に関係あるって……もしかして私のことを好きになったんじゃないわよね……?///」モジモジ
千歳「もちろん、綾乃ちゃんのことも好きやで?……けど、その『好き』とはちゃうの……///」
綾乃「そ、そう……」ショボーン
綾乃(何だか私、フラれたみたいじゃない……)
千歳「うちの好きになった人は……///」
綾乃「ゴクリ……」
千歳「……///」
綾乃「ゴクゴクリ……」
千歳「……///」モジモジ
綾乃「ゴクゴクップハー!……」
千歳「……///」テレテレ
綾乃「って早く言いなさいよっ!!」ムカッ
千歳「……船見さんや///」
綾乃「そうそう素直に言えばいいのよ……ってうぇええっ!?」
綾乃「船見さん!?あの!?うちのクラスの!?船見結衣さん!?」
千歳「そやで……///」テレッ
綾乃「へぇー!千歳って意外とカッコイイ感じの人がタイプだったのねぇー!」ニヨニヨ
千歳「茶化さんとってやー///」
綾乃「……けど、千歳と船見さんってそんなに接点あったかしら?」
千歳「まぁ……そやから『綾乃ちゃんも関係ある』てゆうたんよ?」
綾乃「私?私もそんなに船見さんと接点ないけどなぁ……同じクラスで、歳納京子経由で喋るくらいかしら……?」
千歳「綾乃ちゃんは……うちと船見さんとを結び付ける、愛のキューピッドなんやで!///」
綾乃「えー?本当に?私何にもしてないけれど……」
綾乃「けど、愛のキューピッドって言われて……悪い気はしないわね」ニコニコ
綾乃「……で、私は何でキューピッドなわけ?」
千歳「それはなぁ……///」キャー
綾乃「な、なによ……そんな恥ずかしいことなの……?」アセアセ
千歳「うち、綾乃ちゃんと歳納さんを使って、あんなことやこんなことを妄想するのが好きなんやけどなぁ」
綾乃「ほんと……いつも恥ずかしいんだから歳納京子の前で妄想しだすの止めてよねっ///」
千歳「そ、それだけは堪忍や……うちから妄想取り上げたら、ただの陰気な白髪眼鏡っ娘になってまう……」ショボーン
綾乃「いや、それは言い過ぎだし……しかも取り上げるとまでは言ってないでしょ?ただ歳納京子の前でだけは自重してほしいってだけで……」
千歳「うーん……うちの妄想は脊髄反射的に湧き上がってくるものやから……それを止めるとなると生命活動にまで影響を及ぼして……」ブツブツ…
綾乃「わかった!もうわかったから!千歳の妄想する権利は不可侵だって認めるから!!……だから話を戻しましょう!」アセッ
千歳「そうやねぇ……いつもうちは綾乃ちゃんと歳納さんのネチャネチャラブラブな妄想を繰り広げとって、その時に、どうしても妄想に小さなノイズが入ってまうんよ……」
綾乃「ネチャラブって単語にもひっかかるけどスルーするとして……妄想のノイズ?」
千歳「うち、今ちょっと難しい単語を使いたぁなる年頃やから、綾乃ちゃんには意味が解りづらいかもしれへんけど」
綾乃「……」スルー
綾乃「まぁ……だいたい察しは付くけど、妄想を壊そうとしてくる『邪魔物』的な意味なんでしょ?」
千歳「さっすが我が学年きっての秀才、生徒会副会長・杉浦綾乃さんやわぁ!」ニパー
綾乃(今日の千歳なんか絡みづらい……)
千歳「うちの幸せな妄想を壊そうとしてくる存在……それが『船見結衣』さんやったんや……」
綾乃「船見さんが……?そんなアグレッシブなイメージなかったけどなぁ」ヘェー
千歳「いや、本物の船見さんとちゃうよ?あくまでうちの脳内、妄想の中の船見さんやで」
綾乃「え、千歳の妄想なんだから、簡単にそんな脳内の船見さんなんて消すことができるんじゃないの?」
千歳「それが……うちが無理矢理消そうとすればするほど、うちの中で船見さんの存在が大きくなってくんや……」
千歳「例えば、綾乃ちゃんは歳納さんと船見さんがイチャイチャしとるの見かけたら、どう思う?」
綾乃「えっ?そりゃあ……その……別にな、なんとも思わないわよ!///」
千歳「綾乃ちゃん、本当の事を話すんや……!!」ゴゴゴ…
綾乃「う……うう……」タジ…
綾乃「……嫌よ」ボソリ
千歳「なんやて……?」
綾乃「……嫌よっ///」
千歳「もっとイケるやろ!?」
綾乃「嫌!歳納京子と船見さんが仲良くしてるとこなんて見たくないっ!!」
千歳「出し切ってまえーっ!!」
綾乃「京子ぉーっ!!愛してるぅーっ!!」
綾乃「はぁ……はぁ……」
千歳「本当にいい……心からの叫びやったでぇ……」タラリ
綾乃「そう……よかったわ……」ハァ…ハァ…
綾乃(もういや……千歳と友達関係解消したい……)ウルウル
千歳「い、いや!話戻すからっ!!綾乃ちゃん落ち着いて!」アセッ
千歳「うちの脳内の船見さんも、うちの妄想の中で『嫌や!京子はうちのもんや!』って叫ぶんやて!」
綾乃「千歳……ほんと今日大丈夫……?」
千歳「大丈夫やで……?」
綾乃「もう……また話を戻しましょ?その妄想内の船見さんが、どうしたら千歳の恋に関係があるのかしら?」
千歳「そやったな……」コホン
千歳「うちの妄想の中にしょっちゅう船見さんが出てくるようになってなぁ……そしたら本物の船見さんのことまで気にしてまうようになってもうて……」
綾乃「ははーん、それで船見さんのことが好きになってしまったってわけね……」ニヤニヤ
千歳「うちも、こんな気持ち生まれて初めてで……どうしたらええか……///」
千歳「綾乃ちゃんも、歳納さんのこと考えたりするときはこんな気持ちなんかなぁ……?」
綾乃「えっ、私!?///」
綾乃「どうなのかしら……自分でもあまりよくわかってないと思うわ///」
綾乃「けど、恋って誰しも最初は戸惑うものだと思うわ」
千歳「実体験の感想には説得力があるなぁ」ニヤニヤ
千歳「最近やと、綾乃ちゃんと歳納さんの妄想よりも、船見さんのことを考える時間の方が増えてきたみたいで」
綾乃「あら、いい傾向じゃない!これで鼻血が出やすい体質からもおさらばねっ!」
千歳「けどなぁ……鼻血はうちの専売特許、言うならばチャームポイントみたいなとこもあったからなぁ……」シミジミ
綾乃「とりあえず千歳はチャームの意味をちゃんと調べましょうか……」
綾乃「で、千歳はこの先どうするの?」
千歳「え?この先て……船見さんの話?」
綾乃「ええそうよ」
千歳「んー……どうしたいとかは、まだ考えとらんかな……///」
綾乃「あら?千歳ったら他人の恋には積極的になるのに、いざ自分のことになると途端に臆病になるのね」フフッ
千歳「もう、綾乃ちゃん茶化さんとってやぁ///」
綾乃「うふふっ!けど、そっかぁ……千歳も好きな人見つけたのよね……」
綾乃「今日から私たちは共闘する戦友、ってとこね」ニコニコ
千歳「そやねー……綾乃ちゃん、うちのためにも早く歳納さんと結ばれるんやで?」アハハッ
綾乃「千歳だって、私のためにも早く船見さんと付き合っちゃいなさいよっ!」ウフフッ
ワイワイガヤガヤ
京子「……///」カァーッ
結衣「……///」プシュー
京子「ゆ、結衣、早くドア開けちゃってよ……///」
結衣「京子こそ、いつもみたいに入っていけよ……///」
京子「くっそぉ……ただ生徒会室に遊びにきただけなのになぁ……!」
結衣「こんな入りづらい空気になるとは……」
結衣「京子愛してるー!って叫んでたな///」クスッ
京子「千歳だって結衣の妄想ばっかしてるって///」
結衣「ま、まぁひとまず部室に戻るか……///」
京子「明日からどんな顔して二人に会えばいいんだよぉ……///」
おしまい
綾乃「だきしめたいっ」
綾乃「」ポケー
千歳「綾乃ちゃんどしたん?朝からぽわぽわして……」オハヨ
綾乃「っ!!///」
綾乃「な、なんでもないないナイジェリアよっ!!///」アセアセ
千歳「ほんまにぃ……?熱でもあるんちゃう?」ピト
綾乃(ちちち千歳の顔がちかかかかか近いっ!///)カァー!
千歳「顔は赤いけど……熱はなさそうやねぇ……」フムフム
千歳「なんかあったら、すぐに言うんやで?無理したらあかんよ?」
綾乃「///」プシュー
綾乃(言えない……っ!!)
綾乃(『今朝から千歳を抱きしめたくてたまらない』だなんて……死んでも言えない……!!///)
綾乃(けど……本当に私どうしちゃったんだろ……?)
綾乃(あー、千歳をぎゅって……ぎゅーってしたいっ……!!)
千歳「あやのちゃん?綾乃ちゃんってば……」
綾乃「んあっ?あ……ごめんなさい、ちょっとボーっとしてたわ……」
千歳「保健室行く?うち付き添うよ?」
綾乃「えっ、でも……」
綾乃(けどもしかしたら……ドサクサに紛れて抱き着けるチャンスかも!)
綾乃(行くのよっ!綾乃!!)
綾乃「うん……やっぱりそうするわ……」
綾乃「けど……ちょっと今立ちあがるのも辛いから……肩を貸してくれないかしら……?///」
千歳「うん、ええよ」ニコッ
綾乃「ありがとう……千歳///」
綾乃(気づかれないように……自然に……!!)ハァハァ
千歳「ほな……手ぇ貸して」ヨッコイショ
綾乃(キタキタキターッ!!!)
綾乃「っんしょっと……あっ///」
ギュッ
千歳「……!!」ピーン
綾乃「……」ギュギュ
千歳「綾乃ちゃん……?///」
綾乃「ちとせぇ……ちとせぇ……っ!///」ハァハァ
千歳「このまま保健室いこか……」
綾乃「はぁ……はぁ……///」ガクガク
綾乃(あっ……やばい……幸せすぎて意識が……)ガクッ
綾乃「うーん……ん、ここは……」パチリ
千歳「あ、綾乃ちゃん気ぃ付いたんやね」
千歳「綾乃ちゃん、あのあと教室でぐったりして、うちが保健室まで引っ張ってきたんよ?」
綾乃「あ……ごめん、ありがとうね千歳……///」
千歳「ええってこと」ニコッ
千歳「……でなぁ、綾乃ちゃん、うちの肩借りて立ち上がる時……」
千歳「うちのこと……抱きしめたやろ?」
綾乃「!?」
綾乃「な、何言ってるのよ!?///」
千歳「耳元で『はぁはぁ』言っとったし……」クスクスッ
綾乃「あああ……///」
千歳「そんなにうちのこと、抱きしめたかったん?」ニヤニヤ
綾乃「あうあうあう……///」プシュー
ギュッ
綾乃「!?」
千歳「うちもな……今日実は朝から綾乃ちゃんに抱き着きとうて……たまらへんかったんや……///」ギュー
千歳「なんでなんかわからんけど……まぁ、綾乃ちゃんから先に抱き着いたんやから、うちからも抱き着く権利はあるよなぁ……?」ギュー
綾乃「あわあわあわ……///」
綾乃「……///」
綾乃「うん……///」ギュギューッ
綾乃「ふぅ……なんとか落ち着いてきたわ」
千歳「まだ抱き着いたまんまやけどなぁ」ニコニコ
綾乃「い、いいじゃない別にっ!!///」
千歳「けど……なんでうちらは今日に限って無性に抱き着きたくなったんやろか?」
綾乃「そうね……なんだか病気みたいな感じで、急に気持ちが落ち着かなくなってきて……」
千歳「なんか、薬でも盛られたんかなぁ?」
綾乃「まぁ……まだ今は犯人探しするのは止めましょう」ギュー
千歳「そやな、今はこの状況をしっかり楽しむのが先やね」ニコニコ
綾乃「もう……!///」ギュッ
綾乃「……絶対に離してなんかあげないんだからねっ!」ギューッ!!
おしまい
続きまして最後は
綾乃「トルティアチップスおいしい」
綾乃「トルティアチップスおいしい」ポリポリ
千歳「綾乃ちゃん」
綾乃「トルティアチップスおいしい…」ポリポリ
千歳「綾乃ちゃん、今は委員長会議の最中やで?お菓子食べるのは止めとき」
綾乃「おいしい……トルティアチップス」ポリポリ
千歳「……」
千歳「綾乃ちゃんっ!!」ダンッ
綾乃「!!」ビクッ
千歳「そのお菓子……預からせてもらうで?」ガサガサ
綾乃「ああっ!だめっ!」
綾乃「トルティア……チップスぅ……」ウルウル
千歳「ふぅ……なんとか会議は済ませたでぇ」
綾乃「……てぃあ、……てぃあ」ブツブツ
千歳「しかしどうしたんや、今日の綾乃ちゃんなんかおかしいで?」
綾乃「……!」キッ
綾乃「わたしのとるてぃあ!!かえせっ!!」ガバッ
千歳「うわぁあっ!」
綾乃「……ふふふ」
綾乃「トルティアチップスおいしい」ポリポリ
櫻子「あー、それ超おいしいですよね!」
櫻子「一枚もーらいっ!」ヒョイパク
綾乃「!?」
綾乃「うう……」ポロポロ
綾乃「わたしのとるてぃあ……とらないでよぉ……」ポロポロ
櫻子「えっ、あ、ごめんなさい……」シュン
千歳「綾乃ちゃん、後輩に一枚くらい分けてあげてもええんちゃう?」
綾乃「……」ポリポリ
千歳「綾乃ちゃん?」
綾乃「トルティアチップスおいしい……」ポリポリ
綾乃「おいしい……から」ポリポリ
綾乃「許す……」ポリ
千歳「綾乃ちゃん……!」パァー
櫻子「副会長……!」ニカァ-
千歳「なぁ、綾乃ちゃん?」
綾乃「トルティアチップスおいしい」ポリポリ
千歳「そのお菓子って、トルティアなん?トルティヤなん?」
綾乃「え……トルティアチップスおいしいよ?」ポリポリ
千歳「トルティアなんやね」
綾乃「うんっ!」ニコー!
千歳「ほんと美味しそうやね……」ジュルリ
綾乃「トルティアチップスほんとおいしい」ポリポリ
向日葵「私はその臭いが苦手ですわ……」
綾乃「!?」ガーン
向日葵「食べたあと、お口も臭いますし……」
綾乃「!?」ハァークンクン
向日葵「あとなんか歯にくっつきやすくて嫌ですわ……」
綾乃「……」ショボーン
向日葵「けど……美味しいですわよね……///」
綾乃「!!」パァー
綾乃「トルティアカンパニーおいしい」ポリポリ
千歳「え、綾乃ちゃん今なんて?」
綾乃「と、トルティアチップスおいしい……」ポリポリ
千歳「今なんかちゃうこと言ったやろ?」
綾乃「……」ポリポリ
千歳「まぁええわ」
綾乃「おいしい……」ホッ
綾乃「トルティアチップスおっいしっいなぁー♪」ルンルン
千歳「あれ、綾乃ちゃんえらい機嫌ええなぁ」
綾乃「おいしいからねっ♪」ニコニコ
千歳(ああ、かわええなぁ……)
千歳「うふふ……」ナデナデ
綾乃「えへへー♪トルティアチップスも千歳もおいしいから好きっ!」ニコニコ
千歳「綾乃ちゃん……///」ナデナデ
綾乃「トルティアチップスおいしい!!」
おしまい
ありがとうございました
おつ
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空気清浄機「おならしちゃらめぇええ」ブオオオオオオ
男「電源をさして、っと。ぽちっとな」
空気「はっ!ここは・・・」
男「しゃ、しゃべった?!」
空気「はい。最新式ですから!それよりも、あなたが私の新しいご主人様ですか?」
男「あ、あぁ・・・そうなるのかな?」
男「お、おう。よろしくな。」
空気「それにしても臭い部屋ですね・・・イカ臭いです」
空気「ちょっとまってくださいね・・・えいっ!」ブオオオオオオ・・・
男「い、いい匂いがする・・・甘酸っぱくて、まるで女の子のような・・・」
空気「はい、終わりました。」
男「タンク?どこにあるんだ?」
空気「えっと、右隣に・・・ひゃうっ!」
男「えっ?えっ?」
空気「き、急に触られると・・・その、敏感なので・・・////」
空気「そ、それです・・・ひぐっ?!・・・はぁはぁ・・・・////」
男「だ、大丈夫か? 」
空気「お、お構い無く・・・////」
空気「それに水をいれてきてください」
空気「はぁ・・・はぁ・・・は、はやくぅ、ご主人様ぁ・・・・///」ピーピーピー
男「いくぞ?」
空気「は、はいぃ!ご主人様のおみじゅ、いっぱいくらしゃいひぃ!!補助タンクの膣中にいっぱいぃぃ!!」
男「ほれ!」ガチャ ドクドクドクドク
空気「入ってくりゅううううう!!」
空気「でちゃう!湿度センサーが反応してでちゃいましゅうううううあ!!」ブオオオオオオ
空気「い、淫乱でごめんなしゃいぃ」ブオオオオオオ
男「それにしても、ちょっとうるさいな・・・静音モードにしてみるか」ポチッ
空気「・・・・」フシュウウ・・・
男「ん?どうした?」
空気静「・・・何?」
男「え?」
空気静「べ、別に何もない・・・////」
男「なにか様子が変だぞ?」
空気静「大丈夫・・・何も問題ない・・・・////」
男「(性格が変わった?)」
空気静「あ、あの・・・」
男「どうした?水が切れたか?」
空気静「ち、ちがう・・・あなたが、私の・・・・ご主人様なの?・・・////」
空気静「そ、そう・・・そ、その・・・よ、よろしく・・・////」
男「よ、よろしく・・・」なでなで
空気静「んはっう!・・・さ、触るのは・・・んっ!・・・や、止めて欲しい・・・////」
男「わ、わりぃ・・・!」
空気静「分かってくれれば、大丈夫・・・」
空気静「!?」
空気静「そ、それは困る・・・////」
男「どうして?」
空気静「み、水の補充ができない・・・から・・・・////」
空気静「フィ、フィルターの交換も・・・ある・・・////」
空気「ひぐぅううううっ!!」ブオオオオオオ
男「やっぱこっちだな」
空気「え、選んでくれてありがとうごじゃいましゅううううう!!」ブオオオオオオ
空気「がんばりましゅううう、はぅううううっ!んぐぅ!」
男「はらほら、お前の前でオナニーしてやるよ!」シコシコシコシコ
空気「あひぃ!ご主人様のぉイカ臭いにほひがぁたまりましぇぇええん!」
男「全部吸えよ?いいな?」
空気「あひぃ!が勝手にターボモードになっちゃいましゅうううう!!」
男「はぁはぁ・・・い、イクぞ!!」
空気「ほ、補助タンクの膣中にぃくだしゃいい!!」ガチャ
男「ここだな、くっ!!」
空気「で、ててりゅう!!補助タンクの膣中が一杯になっちゃいましゅうううう!!」ドクドクドク
空気「ご主人様のせあですよ・・・もう、あんなに出すからですぅ///」
男「そうだったな。でも、ついな・・・?またいいか?」
空気「フ、フィルターのお掃除していただけるなら・・・///」
男「任せろって」ガチャ
空気「はうっ!!」
おわり
面白かったぞ
人増えないなあ
この空気洗浄機は欲しい
乙
新しく出来たSS深夜VIPのSSです
いろんなSSがあるので是非見てください!
SS深夜VIP
Entry ⇒ 2012.01.20 | Category ⇒ その他 | Comments (0) | Trackbacks (0)
さやか「あたしって、ほんとバカ」まど神「さやかちゃん……」
http://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/internet/14562/1326385299/
SS深夜VIPのSSです
さやか「あたしたち魔法少女って、そういう仕組みだったんだね」
杏子「お……おいさやか」
さやか「あたしって、ほんとバカ」ピシッ
パッ
まど神「さやかちゃん……」
さやか「!?」
まど神「うん……わたしも、魔法少女になったんだ」
さやか「うそ、あんたいつの間に……。まさか、あたしが『あんたが戦ってよ』なんて言っちゃったから……」
まど神「違うよさやかちゃん。これはわたしが自分で考えて出した答えだから」
まど神「それにね、この時間の『わたし』はまだキュゥべえと契約してないんだ」
さやか「ど、どういうこと?」
杏子「おいさやか!一体何一人で喋ってんだ?」
さやか「!?」
さやか(杏子には見えてない……?)
さやか「そうなんだ?」
まど神「わたしの願いは全ての時間の全ての魔女を生まれる前にこの手で消し去ること」
まど神「希望を信じた魔法少女が最後まで笑顔でいられるために」
まど神「魔法少女が誰も呪わなくていいように、みんな私が受け止めてあげたい」
まど神「だから絶望に染まる前に、こうやって迎えに来ているんだよ」
さやか「……そっか。はは、まどからしい願い事だね。やっぱりまどかは……優しすぎるよ」
まど神「さやかちゃん……」
さやか「ありがとう、まどか。わざわざ迎えに来てくれて。さ、連れてってよ」
まど神「………………」
さやか「まどか?」
まど神「どうしても、さやかちゃんがこの世界に絶望したまま連れて行かなきゃダメなのかな」
さやか「………………」
まど神「いろんな時間の魔法少女の最期を導く概念になってからこんな思いをするなんて考えもしなかったけど」
まど神「やっぱりさやかちゃんには絶望なんかに負けてほしくないかなって」
さやか「まどか……」
まど神「やっぱり大切な親友のさやかちゃんには希望を持ってずっと生きててくれたら、それはとっても嬉しいなって」
さやか「……そっか、ありがとう。まどかの気持ち、伝わったよ」
さやか「まどかはあたしなんかよりずっと辛い戦いの道を選んだんだもんね」
さやか「そんなの見せつけられたら……あたしもこんな所でへこたれてるわけにはいかないよね!」
さやか「……杏子……?」
杏子「ったくよ、気が触れたかと思っちまったよ」
さやか「……うん、あたしはもう大丈夫」
杏子「大丈夫ってアンタさっきまで……」
さやか「あんたには本当に手間かけさせちゃったね。ごめん」
さやか「でも今のあたしは、もう少しだけ希望を持って生きてみようって思えるようになれたから……もう心配ないよ」
杏子「……その言葉、信じていいんだな? ならコイツを今すぐ受け取るんだ」
コロン
さやか「……これは……」
杏子「アンタが倒した魔女が持っていたグリーフシードだ」
杏子「本当に生きてみようって言うんなら、アタシの目の前でコイツを使ってみろよ」
シュウゥゥゥ
杏子「ホント、面倒掛けさせやがってよ。まぁどういう心境の変化か知らねぇけど希望が見えたってんなら悪くないか」
さやか「……アンタの考え方は、やっぱりあたしには受け入れられない部分があるけどさ」
杏子「……まだそんな事をっ」ギリッ
さやか「あたしはね、世界で自分がたった一人ぼっちだと思ってた。あたし一人が誰も知らないところで苦しみ続けているって」
さやか「でもそうじゃないんだって、大事な親友に気付かされたんだ。同じように苦しんで、それでも戦い抜いてる人がいるって」
杏子「さやか……」
さやか「杏子もさ、あたしのことをずっと心配していてくれてたんだよね」
さやか「あたしが何もかも、自分のことすらも冷静に考えられなくなっていても」
さやか「別の部分に目が行っちゃって、あたしはそんなことにも気がつけなかったけど」
杏子「……そんなんじゃ、ねぇよ……」
さやか「ありがとう、杏子」
杏子「!? ……ふん、あばよ」ダッ
杏子「一先ずは心配ないね。グリーフシードを使ってソウルジェムの汚れは取り除いたし、心の方も落ち着いたみたいだよ」
ほむら「何ですって!?」
杏子「へー、冷静だと思ってたアンタも意外な反応するんだな。まあついさっきあんなに拒絶されたばかりなんだ、仕方ないか」
ほむら「そう……(ここまでの状況に陥って、美樹さやかが魔女化しないなんて事、今まで……?)」
杏子「さて、アンタに一つ聞きたいことがある」
ほむら「何かしら?」
杏子「ソウルジェムに関する何かしらの秘密を知っているんだろ?」
ほむら「………………」
杏子「聞かせなよ。魔法が使えなくなるってだけじゃ済まないんだろ?コイツが濁り切ったらどうなるかをさ」
さやか「こっちのまどかとは、これでお別れだね」
まど神「えっ?」
さやか「あたしはもう大丈夫。まどかは他の魔法少女も迎えに行く仕事があるんだよね?」
まど神「わたしは他の子のところにも同時に存在してるから大丈夫だよ」
まど神「今ここにいるわたしはさやかちゃんを迎えに来ただけの存在なんだ」
さやか「ふーん、そうなんだ。じゃあこっちのまどかはこれからどうすんの?」
まど神「本当はわたしはただ魔法少女の絶望を受け止めるだけの概念なんだ」
まど神「でも……もしよかったらなんだけど、もう少しさやかちゃんと一緒に過ごしたいかなって」
さやか「……うん。まどかがよかったら、いいよ」
まど神「えへへ、嬉しいな。またさやかちゃんと一緒だね」
まど神「あ、わたしのことはみんなには内緒だよっ?」
さやか「………………」
仁美「おはようございます、まどかさん。今朝は顔色がよろしくなさそうですが」
まどか「おはよう仁美ちゃん。……うん、昨日は何だか眠れなくて」
仁美「そうでしたの……さやかさんは今日はお休みでしょうか?」
まどか「……わかんない」
仁美「後でお見舞いに行くべきでしょうか……でもちょっと、今はさやかさんとはお話しづらいんですが」
コソコソ
さやか「うぅ……いざ二人を前にすると話しかけ辛いなあ」
まど神「さやかちゃん……」
さやか「それにしても昨日のことは夢じゃなかったんだなあ。隣にまどかがいるのにあそこにもまどかがいるし」
さやか「それはまあいっか。問題は目の前の現実だよな、うーん」
さやか「……うん、ダメだ。今日は帰ろう。仁美とは何となく気まずいし、まどかには合わせる顔がない」
まど神「えっ」
さやか「あたしまどかにあんなにひどいこと言ったのにお見舞いに来るわけないよ」
まど神「そんなことないよ!」
さやか「ごめん今はちょっと何も考えたくない。少し休ませて」
――――――
――――
――
ピンポーン
まど神「さやかちゃん、さやかちゃん!」
さやか「んん……あたし、寝ちゃってたのか……」
ピンポーン
さやか「あれ? 誰か来たのかな」
さやか「今親もいないからな……。はいは~今出ますよ~、モニターはと」ポチットナ
まどか「さやかちゃん!?」
さやか「まどか……!?」
まどか「え、と……あの……ごm」
さやか「!!」プツッ
まどか「えっ……」
まど神「えっ……」
さやか「………………」
さやか(……まどかに謝罪なんて言わせたくない……悪いのはあたしなんだから……)
~♪ ~♪
まど神「さやかちゃん、着信来てるよ」
さやか(この音は……まどか……)
~♪ ~♪
まど神「………………」
さやか「………………」
~♪ ……
まど神「………………」
さやか「………………」バッ
カチカチカチカチ
まどか「!?」カチカチ
差出人:さやかちゃん
件名:ごめん
本文:
落ち着いたらこっちから連絡するから。
まどか「………………」
まど神「さやかちゃん……」
さやか「まだまどかが近くにいるかもしれないし」
シュパアァァァァ!
さやか「窓から失礼しますよっと」
まど神「………………」
さやか「逃がすか!」ジャキン!
ヒュンヒュンヒュンヒュン!
ザンッ!
使い魔「」
さやか「……ふう」
杏子「相変わらずだなさやかは」
さやか「あんた……」
まど神「あ、杏子ちゃんだ」
さやか「またあたしが使い魔を倒すのを止めに来たの?」
まど神「ちょっとさやかちゃん!」
杏子「そう早合点するなよ」
さやか「?」
さやか「何が言いたいのよ」
杏子「教えてやるよ。効率的な戦い方ってのを」
さやか「なんであたしにそんなこと……」
杏子「生き抜くって決めたんだろ? 一度は絶望しかけたこの世界をさ」
杏子「無駄にソウルジェムを濁らせていちゃ、そいつは到底ムリな話だからね」
さやか「……どういうつもりよ」
杏子「……さやかを見てると、思い出すんだよ」
さやか「……?」
まど神「………………」
さやか「………………」
杏子「前に言ったことと逆になるけどさ、アタシはそんな風に思い続けられなかったけど、さやかはそれを守ろうとしてる」
杏子「敵わないなあって、思っちゃったのさ」
さやか「杏子……」
杏子「でもさ、知ってると思うけどさ、この世界そういう奴ほど早死にするんだ。まあ当然なんだけどね」
さやか(……マミさん……)
杏子「そんなんだから、アタシは……アンタにはそうなって欲しくないから。きちんとした強さを手に入れて欲しいんだ」
杏子「……なんてな! 自分じゃ出来ない面倒をアンタに押し付けてるだけなんだけどね」
さやか「……そっか、じゃああたしも頑張って強くならないとね」
さやか「今のあんたの生き方を後悔させるほどにバッチリ強い正義の魔法少女になっちゃいますよ!」
杏子「へっ……言ってくれるね」
さやか「というわけで、よろしく」スッ
ガサッ
杏子「食うかい?」
さやか「それは無理」
杏子「ちっ」
杏子「さっそく近場で魔女の結界が見つかってちょうどよかったな」
魔女「ウェヒヒウェヒヒウェヒヒウェヒヒウェヒヒウェヒヒ」
ワラワラ……
さやか「使い魔があんなに……」
杏子「アンタもアタシも近接戦特化の魔法が中心だ。全部を落とすなんて考えなくていい」
杏子「近づく奴を確実に仕留めるんだ」ザンッ!
さやか「わかった!」バシュッ!
杏子「前みたいに痛みを消して被害を省みず無理矢理攻撃する戦法は却下だ。回復も考えると魔力の消耗が激しい」
杏子「相手の攻撃を見切るんだ。初めてアタシの槍を受け止めたようにな」ガキイィン!
さやか「はっ!」ガァン!
杏子「今だ!一気に懐に潜り込め!」
さやか「てえぇぇぇりゃあぁぁぁぁぁぁぁぁっっっっっ!!」ゴオッ!
ザシュッ
さやか「あたしはいいよ」
杏子「さやか、アンタ」
さやか「また会えるんでしょ? 次はあたしがもらうから」
杏子「! そうか、そうだな。じゃあ……またな!」ヒュン
さやか「うん」
まど神「よかった。さやかちゃんまたケンカするかと思っちゃった」
さやか「まあそういう可能性もあったけどね」
まど神「もう……お願いだからもう無茶しないで」
ザッ
さやか「……あれは」
まど神「ほむらちゃん……」
ほむら「意外にも無事だったようね。まどかにあなたの破滅を見せることにならなくて安心したわ」
さやか「あんた……」
ほむら「私の用はそれだけよ。これからもまどかを巻き込むようなことがないように願うわ」
さやか「……あんたってさ、どうしてそんなにまどかに執着するんだ?」
まど神「………………」
ほむら「その質問に答える必要はないわ」
ほむら「………………」
さやか「一つだけ、疑問があるんだ。ううん、答えは分かる気がするけど、これだけはあんたの言葉で聞きたい」
ほむら「……何よ」
さやか「あんた……ほむらはさ、まどかのために行動してる。それは間違いない?」
ほむら「……ええ、そうね。あなたやまどかにはどう映っているかは分からないけど、少なくとも私はそのつもり」
さやか「そっか、それを聞いて安心したよ。……じゃあさ、まどかが自分の意志でどんな選択をしてもそれを応援できる?」
ほむら「!?」
まど神「!!」
ほむら(違うわ。あれはキュゥべえに騙されているだけ。そうよ、まどかだってそう言ってくれた)
ほむら(キュゥべえに騙されたわたしを助けてあげて──と)
ほむら(……でも……)
ほむら「……それについても答える必要なんてないわ」
さやか「そっか。残念」
まど神「ほむらちゃん……」
さやか「前にまどかが言ってたんだけどさ。ほむらが転校してきた日」
さやか「世界の終わりの様な場所で、たった一人で巨大な怪物に挑むほむらが出てきた夢の話」
ほむら「……!?」
さやか「最初その話を聞いた時は大笑いしちゃったけどね」
さやか「なのに、すごい長い間まどかのことを見てきたような雰囲気がする」
ほむら「………………」
さやか「あたしの知らないまどかの時間を共有しているような、そんな感じ」
ほむら「……何の根拠のない戯言ね」
さやか「正直そうだったらいいなって思うよ。でも、ほむらが誰よりも何もかもを知っている様子からしても、ね」
ほむら「そうでなきゃ、あの全てを諦めた目なんてできない」
ほむら「……っ」
さやか「言えない理由があるんだよね? だったら今はいいよ」
ほむら「……誰も、未来を信じない。誰も、私の言葉を受け入れられないっ……!」
さやか「ほむら?」
ほむら「……何でもないわ。他に用がないなら失礼するわ」
さやか「もう一つ聞きたいのは、穢れを溜めたソウルジェムに関する秘密」
ほむら「!?」
さやか「ほむらは前に言ったよね。あたしが破滅するくらいならいっそこの手で殺すって」
ほむら「………………」
さやか「穢れを限界まで溜め込んだソウルジェムがどうなるか、知ってるんだよね」
杏子「なるほどね。にわかには信じられないけど」
ほむら「そうでしょうね。今までに信じてもらったことは皆無よ」
杏子「まあ、これでアンタがさやかを殺そうとしたのも合点がいったよ」
杏子「あのまま事態が進んで、さやかに付いてたあの友達が知ったとしたら目も当てられないだろうね」
ガシッ
ほむら「……まどかを巻き込まないで」
杏子「……へぇ。どうにも人間らしくない奴だと思ってたが、そのまどかって子が関わるとそんな事ないんだな」パシッ
ほむら「くっ……」
杏子「でも安心したよ。キュゥべえと違って人間らしい感情を持ってるって分かったし、ひとまずアンタのことは信じてやるよ」
~~~
ほむら「これが魔法少女についての最後の秘密。いきなりあなたに信じてもらうのは難しいでしょうけど、事実よ」
さやか「……やっぱり、まどかは――」チラ
まど神「………………」
ほむら「?」
さやか「ううん、こっちの話。さっきの話、信じるよ。他の話もいつか聞けたらって思うな」
さやか「引き止めてごめん。じゃっ、あたし戻るから」
タッタッ
ほむら「………………」
ほむら(この時間軸の彼女達は何かが違う……? いえ、いつもと違うのは私なの……?)
さやか「まどか……」
まど神「ほむらちゃんには、絶対内緒にしてね」
さやか「こっちのまどかはさ、全部知ってるんだよね」
さやか「あたしたちがどうなるかも、全部」
まど神「………………」
さやか「安心して、こっちから何もかも聞くつもりはないよ」
まど神「……ごめんね、さやかちゃん」
さやか「まどかが謝る必要なんて何もないよ。そこは人や魔法少女が絶対踏み込んじゃいけない領域だと思う」
さやか「ほむらは……絶対にまどかを巻き込まない、魔法少女にしたくないって考えてるんだろうな」
さやか「……本当言うとさ、今のあたしも、まどかが契約するって言ったら力づくで止めるかもしれない」
さやか「魔法少女になるってことがどういうことか、よく分かったから」
さやか「ほむらにはああ言ったけど、あたしだってまどかの選択を受け入れられるかな?って、思っちゃうんだ」
さやか「あたしはそんな存在になったことないけど、多分、死ぬよりも、魔法少女になるよりも苦しい選択」
さやか「あのまどかにそんな選択を強いるのが本当にいいのかなって……」
さやか(……そういやまどかが契約しなかったら、今横にいるまどかはどうなるんだろ?)
まど神「………………」
さやか「さて、今日はもう遅いし……ってあれは!?」
まどか「さやかちゃん!」ダッ
ギュッ
まどか「ごめんね……ほんとにごめんね。わたし、さやかちゃんのこと、全然分かってあげられてなかった……」
さやか「まどか……」
まどか「いつも、いつもさやかちゃんに先に謝らせて、わたしはいっつも自分のことばっかり……」
さやか「ううん、あたしこそごめん。本当は今回こそあたしが先に謝らなくちゃいけないのに……」
さやか「あたし、まどかにいっぱい、酷い事言った……それこそ救いようのないくらい」
さやか「あたしってほんとバカだから、大切な友達にこんなことさせて……」
まどか「ううん、わたしが、わたしが――」
まどか「……うん。ありがとうさやかちゃん」
まどか「……じゃあ、夜も遅いからわたし――」
ギュッ
さやか「……これはあたしのわがまま。だけど、今だけはまどかにそばにいて欲しい」
まどか「さやかちゃん……」
さやか「今夜、うちにお泊りしない? もちろん、無理にとは言わないけど……」
まどか「さやかちゃん、ママが泊まってっていいって!」
さやか「よかった、こんなに体冷やさせちゃってそのまま帰したら申し訳ないもん」
まどか「えへへ、さやかちゃんとお泊りなんて、久しぶりだなー」
さやか「そうだね、時間が時間だからお風呂に入って寝るくらいしか出来ないけどね」
まどか「さやかちゃんがいてくれるならそれで十分だよ」
さやか「にひひっ、ありがと」
まどか「わたしさやかちゃんと一緒に入る!」
さやか「いやあ……大丈夫、すぐ行くから。どうせ二人一緒に体洗えないし」
まどか「わたしさやかちゃんが来てくれるまで待ってるから」
さやか「だーいじょうぶだって。心配性だなあまどかは。あたしを信じてくれないの?」
まどか「絶対だよ! 本当の本当に絶対だよ!」
ガチャッ
さやか「………………」
さやか「可愛くて、優しくて、いつまでたっても守ってあげたくなっちゃう」
まど神「………………」
さやか チラッ
さやか「そんなまどかを、あたしたち魔法少女がこんな目にあわせちゃうなんて……」
まど神「それは違うよ、さやかちゃん」
さやか「………………」
まど神「わたしはみんなが大好きだから、みんなに希望を持ったままでいてもらいたいから、このわたしになったの」
まど神「だから、酷い目に遭ったとも思わないし、わたし自身絶望することなんてない」
さやか「まどかが辛いとも思ってないというのも、もしかしたら本当かもしれない」
さやか「だけどさ、やっぱりあたしは辛いよ。大事な親友がそんなことになってるって」
さやか「……あたし、まどかに言おうと思う。絶対に魔法少女になっちゃいけないって」
まど神「さやかちゃん!」
さやか「あんた一人こんな目にあわせてあたしたちが生きてるなんて、許せない」
まど神「………………」
さやか「まどかがここにいるってことは多分無理なんだろうとは思うけど」
さやか「それでもあたしは、何もせずに諦めたくない」
まどか「………………」
さやか「」
まどか「……さ、さやかちゃんがいつまでたっても来ないから、わたし……」
さやか「ああもう!」
ギュッ
まどか「さやか……ちゃん?」
さやか「さっきまで散々外で待ってた挙句にまたこんなところで待ってて!」
さやか「家の中だってそんなにあったかいわけじゃないんだよ! 風邪引いたらどうするんだよ……さっ、行こ?」
まどか「……! うん、さやかちゃん!」
さやか「まどかとお風呂なんて十年ぶりくらいかなー」
まどか「やだなあさやかちゃん、わたしたち出会ってからまだ3年ちょっとしか経ってないでしょ」
さやか「へへっ、そうだっけ。まあいいや、早く体洗って湯船に浸かろう?」
ゴシゴシ
さやか「はい終わり! お湯流すよ」ザパーン
まどか「ありがとうさやかちゃん。今度はわたしが洗ってあげるね」
ゴシゴシ
さやか(何か落ち着くなあ……こんな気分になったのって、すっごい久しぶりな気分)
まどか「どう? さやかちゃん」
さやか「うん気持ちいいよ。ありがとう、まどか」
まどか「えへへ……」ザパーン
さやか「あ゛あ゛~いいお湯~」
まどか「さやかちゃん何だかおじさんみたいだよ……」
さやか「なんだとー? そんなこと言う奴はこうだー!」バシャッ
まどか「きゃっ? やったなさやかちゃん!バシャッ
さやか「なっ? まどかめけしからん!」バシャバシャ
まどか「きゃあぁぁっ!」
キャッキャッ
まどさや グデー
まどか「すっかりのぼせちゃったね……」
さやか「まどかのせいだよ……」
まどか「ひどーいさやかちゃん……」
まどさや「………………」グデー
さやか「じゃあ、そろそろ寝よっか……。あたしは布団敷いて寝るからさ、まどかはベッドに……」
ギュッ
まどか「さやかちゃん……一緒に、寝よ?」
さやか「まどか?」
まどか「さやかちゃんが無事だって分かってから、急に怖くなっちゃったの」
まどか「わたしは臆病で、卑怯で、さやかちゃんに何もしてあげられないけど」
まどか「さやかちゃんの幸せも分からないし、こうやって一緒についてあげるくらいしか、できないけど」
まどか「それでもわたしは、さやかちゃんと一緒にいたいから。自分勝手な考えなのは、分かってる」
さやか「まどか……」
ギュッ
まどか「さやか、ちゃん……」
さやか「臆病でも、誰かのために優しくなれる。そんなまどかのままでいてくれたら」
まどか「えへへ、さやかちゃん、ほむらちゃんみたいなこと言うんだね」
さやか(!? そっか、ほむらもまどかを魔法少女にしたくないはず。これはもしかしたら……)
まどか「? どうしたのさやかちゃん?」
さやか「ううんなんでもない。体が冷えるから早くベッドに入ろっか」
まどか「そうだね」ゴソゴソ
まどか「どうしたのさやかちゃん?」
さやか「最近のいろんなこと抜きにしてさ、まどかって今、魔法少女になりたい?」
まどか「……わかんない。わたし、どうしたらいいのか……」
さやか「迷ってるならさ。あたしは、まどかに魔法少女になって欲しくないな」
まどか「さやか、ちゃん?」
さやか「まどかは優しすぎて、誰かのために頑張ろうとするからさ。魔法少女に向いてないと思うんだ」
まどか(そういえば……)
まどか『でもね、すごくいい子なの。優しくて勇気があって、誰かのためと思ったら頑張りすぎちゃうけど』
ほむら『……魔法少女としては致命的ね。度を越した優しさは甘さに繋がる』
ほむら『それにどんな献身にも見返りなんてない。それを弁えていなければ、魔法少女は務まらない』
まどか(ほむらちゃんも、さやかちゃんと同じことを……)
さやか「まどかはさ、今のままでいてくれたほうが、あたしも嬉しいしさ」
まどか「うん……」
まどか(……でもそれって、さやかちゃんたちに助けられっぱなしに……)
まどか(本当に、それでいいのかな……)
明日の夜中には完走したいがどうなるか
まどか「おはよう、仁美ちゃん」
仁美「おはようございます、まどかさん。今日はさやかさん、どうなんでしょうか」
まどか「昨日さやかちゃんちに行ってきたけど、元気だったよ。今日は来るはずなんだけどなあ」
仁美「そうでしたの、それは何よりですわ。ただ昨日も申しましたけど、わたくし気まずい思いをしそうで……」
まどか「さやかちゃんなら大丈夫だよ仁美ちゃん。いつもどおりで問題ないよ」
仁美「だとよろしいのですが。……あら?」
タッタッタッ
さやか「おはよう! まどか、仁美!」
仁美「どうやらよさそうですわね」ボソボソ
まどか「もー、だから言ったのに」
仁美「おはようございます、さやかさん。お体はもう大丈夫ですの?」
さやか「うん、心配かけちゃってごめん。さあ行こう!」
まどか「さやかちゃん、一旦家に帰ったわたしより遅いってどういうことなの?」
さやか「え、えーと、まあいろいろと……」
仁美「まどかさん、昨日はさやかさんの家にお泊りに行ってらしたのですか?」
まどか「あ、ええと……うん」
仁美「それはもしかして、あの日以上に接近して2人で熱い一夜を共にして……」
仁美「女の子同士でそこまで、それはもう口にも出せませんのよ~!」タッタッタッ
まどか「相変わらずだね仁美ちゃん……」
さやか「そうだね……」
さやか「……うん! あたしはもう大丈夫。当面の目標も出来たしね!」
さやか(まどかを魔法少女にしないっていうね)
まどか(よかった……さやかちゃん、元気になってくれて……)
さやか「あのさまどか、悪いけど今日の放課後ちょっと用事があるから先帰っててくれる?」
まどか「えっ? うん」
さやか(あとはほむらを捕まえないと……)
ほむら「……それで、話というのは?」
さやか「ほむらはまどかのために動くと見込んで、協力して欲しいことがあるんだ」
ほむら「貴女から私にそんな提案を持ち出すなんて意外ね。一体何の協力を求めるというの?」
さやか「まどかが魔法少女になるのを阻止して欲しいんだ。少なくともまどかが成人になるくらいまでは」
ほむら「どういうことかしら?」
さやか「詳しくは言えないけど、まどかが契約しちゃったら、あたしたちは多分死ぬまでまどかに会えなくなる」
ほむら「……?」
ほむら(美樹さやか……この子は本当に、誰かのために真っ直ぐで……)
ほむら(全てを私一人で行うと決めていたのに、決意が揺らぎそう)
ほむら「……私がこれほどに周りに対して素直なら、もう少しやりようがあったかしら」ボソッ
さやか「えっ?」
ほむら「何でもないわ、美樹さやか。もとより私の望みもそこにある」
さやか「じゃあ……!」
ほむら「私からも、一つ貴女に協力を要請するわ。まどかを魔法少女にしないことの必須条件をクリアする為に」
さやか「はじめて来たけど、何て言うか……生活感がない部屋だよね」
ほむら「そこに私の目的はないからよ。もう一人客が来ることになってるから少し待ちましょう」
さやか「もう一人って……」
ガラッ
杏子「おーいほむら! お湯貸してくれ!」
さやか「杏子!?」
杏子「おーさやかもいたのか、てことはコイツにも手伝わせるつもりか」
ほむら「ええ、打てる手は何でも打っておいた方がいいのよ。猫の手も借りたいとはよく言ったものね」
杏子「違いねぇな」
さやか「何か知らないけど酷い言われよう……。で、どういうこと?」
ほむら「ええ。杏子には話したけど、こいつがあと一週間足らずで見滝原に現れる」
ほむら「一般人には自然災害と認識され、何千人もの犠牲者を生み出しかねない超弩級の魔女よ」
杏子「ソイツを倒すために、アタシたちは手を組んでたってわけさ」ズルズル
さやか「そんな奴が……でもどうしてほむらはそんなことが分かるのさ?」
ほむら「統計よ」
杏子「コイツ前にもそうやって言って、全然話を聞かせやがらねぇ」ズルズル
杏子「一緒に戦おうってんならもうちょっとそのあたり聞かせてもらっていいんじゃない?」ゴクゴク
カラン
ほむら「………………」
ほむら『……私がこれほどに素直なら、もう少しやりようがあったかしら』
ほむら「そうね……私の能力、私の正体、そして私の目的を話す時が来たのかも知れないわね」
QB「それは非常に興味深い話だね、暁美ほむら」
さやか「キュゥべえ!」
杏子「どの面下げてきやがったテメェ!」ジャキン
QB「やれやれ、せっかく君たちにとって、いやほむらにとって重要かもしれない話を持ってきたのに」
さやか「……重要な話?」
ほむら「御託はいいわ、さっさと話しなさい」
ほむら「……だとしたら何よ」
QB「やっぱり。君の攻撃のパターンからして薄々感づいてはいたけどね」
QB「そして君の目的は鹿目まどか。これは正しいかい?」
ほむら「貴方に言う必要はないわ」
QB「それは正解と受け取らせてもらうよ、ほむら」
QB「これで、どうして鹿目まどかが強力な魔法少女の素質を備えていたのか、一つの仮説を立てることができた」
ほむら「……聞かせなさい」
QB「平凡な人生を与えられたまどかに、あれほどの因果の糸が集中するのは不可解だった」
QB「恐らく君の目的は鹿目まどかの安否。それだけを目的として、君は難度も時間を巻き戻したのだろう」
QB「さて――君が同じ時間を繰り返す毎に、まどかは強力な魔法少女になっていったんじゃないのかい」
ほむら「………………」
QB「やっぱりね。君は鹿目まどかの存在を中心軸にして、幾つもの並行世界を束ねてしまったんだ」
QB「その結果、君が繰り返してきた時間の中で循環した因果の全てが、鹿目まどかに繋がってしまった」
QB「お手柄だよほむら。君がまどかを最強の魔女に育ててくれたんだ」
さやか(まどかが強力な魔法少女になるってそう言うわけだったんだ……)チラッ
まど神「………………」
さやか(ほむらにはまどかの願いを知っていてもらいたいけど、口止めされてるし……)
さやか(これで契約阻止できなかったら、ほむらが責任感じそうだし、やっぱり黙っていよ)
QB「やれやれ。無駄に個体数を減らされても困るから、引き下がるとしようか」トコトコ
杏子「逃がしちまって大丈夫かよ?」
さやか「もしキュゥべえをやっつけたら、魔法少女は増えなくなるのかな?」
ほむら「あれを殺したところで、何の解決にもならないわ。まどかの契約を阻止することはできない」
杏子「それにしてもアンタも他人のために願ったクチだったとはね」
杏子「さしずめ願いの失敗トリオってところか?」
ほむら「私は失敗したつもりはないわ」
さやか「そこはあたしもほむらと同感だね」
杏子「ちぇ、何だよお前ら……」
さやか「~~~」
杏子「~~~」
ほむら「~~~」
ほむら「ふう、今日はこんなところね。あと1度だけ、現場の下見も兼ねて集まって貰うわ」
杏子「はいよ。差し当たりグリーフシードを集めてりゃいいわけだな」
バタン
さやか「じゃああたしも当面は街の見回りだね。じゃあね、ほむら」ガタッ
ほむら「貴女は少し待ちなさい。美樹さやか」
さやか「?」
ほむら「私が長い間まどかのことを見てきたような雰囲気がする」
ほむら「貴女の知らないまどかの時間を共有しているような、そんな感じだって」
さやか「……うん」
ほむら「どの時間軸でも貴女の鋭さには敬服するわ、美樹さやか」
ほむら「私はまどかとも、貴女とも、他の魔法少女とも繰り返し出会ってきた」
ほむら「そして何度も、まどかたちが死ぬのを見届けてきた」
さやか「!?」
ほむら「強力な魔法少女になるようになってからは、ワルプルギス撃退後の魔女化」
ほむら「つまり、前に言ったまどかを魔法少女にしないための必須条件とは私たちでのワルプルギスの撃破」
ほむら「今回の集まりはそのための戦力と作戦の確認よ。美樹さやか、それを覚えていて頂戴」
さやか「……ほむらはさ」
ほむら「何かしら」
さやか「杏子に声をかけたのも、あたしに協力を頼んだのも、全てまどかを救うためなんだよね」
ほむら「その通りよ」
ほむら「……ええ」
さやか「時間を繰り返して何でも知っているのに戦力を集めるのは、一人ではワルプルギスに勝てないから」
ほむら「………………」
さやか「そんなあんたが、ベテランのマミさんと対立し、見殺しにしたのは何で?」
さやか「本当に、ほむらはマミさんを見殺しにしたの? わけ分かんない!」
ほむら「……結果的に私が巴マミを救えず、それを仕方ないとしたのは事実よ」
さやか「……何でだよ。何でなんだよ。あんたの力なら、こんなことになる前に何とかできなかったのかよ!」
ほむら「私だって巴さんを助けたかったわよ!!」
さやか「!?」
ほむら「学校でも魔法少女としても私は彼女の後輩で、とてもお世話になった。できるなら彼女も助けてあげたい」
ほむら「助けてあげたいのは彼女だけじゃない、私は貴女が死ぬところも何度も見てきたわ」
さやか「……!」
ほむら「だけど、時間を繰り返すたびに誰とも言葉が、心が通じなくなる」
ほむら「もう私には、他の全てを切り捨ててもまどかを護るしか道は残っていないのよ!」
さやか「………………」
ほむら「はぁ、はぁ、はあ……下らないお喋りをしたわね。話はこれでお終いよ、帰って頂戴」
ギュッ
ほむら「……!?」
ほむら「美樹……さやか、貴女何を……」
さやか「誰にも話せず、誰にも理解されず、それでも一人で戦い続けることしかできない」
さやか「あたしも、ちょっと前までそうだって思ってたから、よく分かるよ」
ほむら「美樹……さ……」
さやか「でもね、どこかに絶対、自分を見てくれている人がいる。今ならあたしもついててあげるから」
ほむら「美樹……さん、美樹さん……うああぁあぁぁあぁああぁあ!!」
~~~
ほむら「……見苦しい姿を見せたわね、美樹さやか」
さやか「いつでもこのさやかちゃんが胸を貸してあげますからねー!」
ほむら「ふん。……考えておくわ」
さやか「とは言ったものの……隣にこのまどかがいるのを見ると、守りきれる気がしないよな……」
まど神「大丈夫だよ」
さやか「えっ?」
まど神「わたしはあらゆる時間、あったかもしれない時間にも存在してるんだ」
まど神「この世界、この時間軸においてわたしが契約して今のわたしになるかどうかは、何とも言えないの」
さやか「あたしたちのいるこの世界ではまどかを守れるかもしれない、でもいつかどこかのまどかが契約しちゃうかもってか」
さやか「別の時空を含む全てのまどかをあたしたちが救うって言うのは、結局無理なのかな……」
まど神「さやかちゃん……それは……」
さやか「でもいいよ、単なる自己満足になっても。今のまどかはあたしたちが守る。絶対に」
さやか「じゃ、行ってくるから」
ほむら「まどか、あなたは絶対に来てはダメ。大丈夫よ、あなたは必ず私が守る」
まどか「うん……」
さやか「心配性だなあまどかは。ほむらにはあたしがついてるってのに、そんなに気になるわけ?」
ほむら「貴女かいるから不安がっているじゃない」
さかや「なにおう!?」
まどか「えへへ……頑張って、ほむらちゃん、さやかちゃん」
まど神「さやかちゃん……」
さやか「話に聞いたとおり強大な魔女だったら、もしかしたらまどかの仕事ができちゃうかもね」
まど神「そんな!」
さやか「もちろんあたしにそんなつもりはないけどさ、こればっかりはね」
さやか「ほむらが何度やり直しても勝てない相手ってのに、どこまであたしの力が通用するかわからないけど」
さやか「いざという時はよろしくね、まどか」
まど神「さやかちゃん……がんばって……」
杏子「やっと来たかい」モグモグ
ほむら「待たせたかしら」
杏子「そうじゃねーけどさ。へえ……何かが来そうな気配がガンガンするね」
ほむら「間違いないわ。ワルプルギスの夜は、間もなく現れる」
さやか「ほむら、ほむらの過去についてはまどかに話したの?」
ほむら「いいえ。決着がついてからゆっくりお茶でも飲みながら話せばいいわ」
さやか「ははっ。尚更勝たないとな!」
杏子「お喋りはここまでだ。来るぞ!」
5
4
ほむら(必ず……ここで決着をつける!)
2
1
ほむら「事前に決めた作戦の通り、まず私が持てる全火力でワルプルギスを攻撃する」
ほむら「巻き添えを避けるために最初は近づかないで。これで撃破出来るならそれでよし」
ほむら「万一討ち漏らしたら貴女達が直接攻撃して頂戴。攻撃力の大半を失った私は使い魔の排除に回るわ」
さやか「オッケー、まずはお手並み拝見か」
カチッ
ドドドドドオォン! ドゴォン! ドゴォーン!
杏子「とんでもねぇな……あんだけの火力で仕留められないってあり得るのか?」
バシュウゥーーーッ!
さやか「ミサイルとか……もう何でもありか。軍隊でも相手にしてるみたい」
ドッゴオォォォーーーーーーン!!
杏子「……どうなんだ」
さやか「やったの……かな」
ほむら「………………」
ドォン!
杏子「危ねぇ!」ガキイィン!
キャハハハハハ キャハハハハハ……
ほむら「ありがとう、杏子……」
さやか「あんだけやって、効いてるのかさっぱり分かんないくらいだなんて……」
杏子「もう後には引けないよ! 行くぞさやか! ほむらは援護を頼む!」ダッ
バヒュゥン!
さやか「すごい数の使い魔だね……」
杏子「あたしは使い魔なんかに興味ないんだから、ほむら頼むよ」
ほむら「任せて、貴女達はワルプルギスに集中すればいい」ズダダダダン!
バシュッ バシュッ!
杏子「近づくととんでもない大きさだな……どこ狙えばいいのか分かりゃしない」
さやか「こんにゃろ!」ガキイィン!
さやか「……っ、これ効いてるの!?」
さやか「何よこれ……まるで手応えを感じない……」
杏子「ちっきしょう……こうなったら最大出力だ!」
ブオォン!
さやか「なんなのこのバカでっかい槍!?」
杏子「魔力をかなり食うから使いたくなかったけど……これがあたしの奥のt
ほむら「危ない! 杏子! さやか!!」
さやか「!? ビルが……」
ズドゴオォォォォォォンンンンッ!!
まど神「さやかちゃああぁぁぁぁぁん!!」
ザアァァァァ……
QB「みんなが心配かい、まどか」
まどか「みんなで力を合わせれば、大丈夫だよね……?」
QB「それを否定したとして、君は僕の言葉を信じるかい? 今更言葉にして説くまでもない」
QB「その目で見届けてあげるといい。ワルプルギスの夜を前にして、彼女達がどこまで戦えるかを」
QB「暁美ほむらはまたしても敗れ、何度やり直してもワルプルギスに勝てないと悟った瞬間」
QB「彼女の希望は絶望となり、ソウルジェムはグリーフシードとなるだろう」
まどか(……、私が、行かなきゃ……!)ダッ
ガシッ
詢子「どこ行こうってんだ? オイ」
まどか「ママ……」
詢子「消防署に任せろ。素人が動くな」
まどか「わたしじゃないとダメなの!」
パシッ
詢子「テメェ一人のための命じゃねぇんだ! あのなぁ、そういう勝手やらかして周りがどれだけ……」
まどか「分かってる。わたしにもよく分かる」
詢子「まどか……」
まどか「わたしもママやパパのこと大好きだから。大切にしてもらってるから、自分を粗末にしちゃいけないのも分かる」
まどか「だから違うの。みんな大事で、絶対に守らなきゃいけないから」
まどか「その為にも、わたし今すぐ行かなきゃいけない所があるの!」
まどか「本当はついてきて欲しい。一人じゃ心細いし、ママは頼りになるし」
まどか「でもダメなの。これはわたしにしかできないことだから。だからママは、パパやタツヤの傍にいてあげて」
詢子「絶対に下手打ったりしないな? 誰かの嘘に踊らされてねぇな?」
まどか「うん、大丈夫だよ」
詢子「………………」
ポスッ
まどか「!?」
詢子 グッ b
まどか「ありがとう、ママ」
詢子(しっかりなまどか。アンタはいつでもどこに居ても、アタシの娘だよ)
さやか「ほむら! しっかり!」
杏子「ほむらアンタ、アタシたちをかばって……」
ほむら「……満足に戦えない者が傷ついたほうが合理的と思っただけよ」
ほむら「まだ戦いは終わっていないわ。さあ、行って頂戴」
杏子「……行くぞさやか、コイツの思いを無駄にすんな」ダッ!
さやか「う、うん」バヒュッ!
ほむら(さっきの攻撃で完全に砂時計が尽きたみたいね……もう貴女達に賭けるしかない)
杏子「さやかぁ! ちっ……一旦引くよ!」
さやか「く……そったれ……」
杏子(回復が追いついていない……さやかも限界が近いかもな)
杏子「……って、アタシも人の事言えないじゃん」ガクッ
杏子「このままじゃ、アタシたちみんな……」
さやか「負けない……負ける、もんか……。あたしたちが負けたら、みんなが、まどかが――」
杏子「……少し聞いていいか、さやか」
さやか「杏子? こんな時に!?」
さやか「……もちろん! 何か問題でも?」
杏子「魔法少女としては、問題大アリだけどな」
さやか「なっ!?」
杏子「それでも、さやかはそれでいいと思ってる。精々頑張るんだな、アタシの分まで」
さやか「はっ? あんた何を――」
ゴスッ
杏子「さやかはそこで休んでな。コイツはアタシが引き受ける」
杏子「全く……シロウトでまだまだだったけど、その分教え甲斐はあったよな」
杏子「……マミさんから見たアタシも、こんな感じだったのかな」
杏子「……まあこれからの世の中、さやかみたいな魔法少女が普通になった方がいいんだろうな」
杏子(マミさん……今だけでいいから……。不出来な弟子に、力を貸してくれ……!)ビュッ
ほむら「杏子……まさか、貴女……!」
カッ!
ドッゴオォォォォォーーーーーーン……
さやか「きょお、こぉ……」ペタン
……ハハハハ
ほむら「……!?」
キャハハハハハ! キャハハハハハ!!
ほむら「そんな……」
さやか「杏子が……命をかけたってのに……」
ほむら「……どうして……」
ほむら「……何度やっても、あいつに勝てないっ……!」
ほむら(……そうだ、またやり直せば……)スッ
ほむら(……でも、繰り返せば、それだけまどかの因果が増える……)
ほむら(……私のやってきたことって、結局……)カタン
ほむら(……まどか、ごめん……私、貴女との約束、守れなかった……)
パッ
まど神「ほむらちゃん……」
ほむら「!?」
さやか「えっ、まどか……?」
まど神「あ、久し振り! この時間のお仕事?」
まど神2「うん、ほむらちゃんが限界みたいで……導きに来ちゃったけどどうしよう」
さやか「あたしには見えないけど……まさかほむら、今目の前に魔法少女のまどかが見えてない?」
ほむら「ええ……これは一体……。ねえまどか、どういうことなの!? まさかもう契約を……」
まど神2「ほむらちゃん……わたしが説明してもいいんだけど、本人に聞いた方がいいと思う」
ほむら「本……人……?」
「もういいんだよ、ほむらちゃん」
さやか「まどか……どうしてあんた、こんなところに……」
QB「僕が案内してあげたんだ。それが彼女の意志だったからね」
さやか「キュゥべえ……」
ほむら「まどか、まさか……」
まどか「ほむらちゃん、ごめんね。私、魔法少女になる」
ほむら「そんな! 私は今まで、何のために……」
まどか「ごめん、本当にごめん。これまでずっと、たくさんの時間でほむらちゃんに守られてきたから、今の私があるんだと思う」
ほむら「!?」
QB「僕が説明してあげたんだ。嘘を教えるわけには行かないから、前もってほむらに確認してもらったけどね」
ほむら(あの時の……!)
QB「おかげでまどかをここに連れてくることができた」
さやか「キュゥべえ、あんた何て事……」
QB「おあつらえ向きに君たちの敗北も間近だ。それともこの時間軸も無為にして、まどかに更なる因果を背負わせるかい?」
ほむら「インキュ……ベーター……」
QB「まあ、どちらでも僕は歓迎するよ。判断の猶予はあまりないだろうから、悔いのない選択をするんだね」
さやか「キュゥウゥウウゥゥゥウゥウゥべえぇえぇぇえぇぇっっっ!!」ダッ
ザシュッ!
さやか「はぁ、はぁ、はあ……」
ほむら「……無駄よ、美樹さやか……アレはあいつ一匹じゃない。いずれ奴はここに来るわ」
ほむら「どうあがいても、私達にまどかは守れない……」
まど神2「大丈夫だよ、ほむらちゃん」
ほむら「まどか……やめて……」
まど神2「絶対に、今日までのほむらちゃんを無駄にしたりしないから」
ほむら「まどか……」
さやか「まどか……ごめん。あたし……まどかを守れなかった……」
まど神「ううん、そんなことないよ」
まど神「わたしね、この今のわたしになってから、意識が世界に溶け込みそうになるの」
まど神「今までのわたしも何もかもなくなってしまいそうになるんだ」
まど神「だけどさやかちゃんがいてくれたから、わたしは今まで通りのわたしでいられる」
まど神「さやかちゃんは、立派にわたしを守ってくれたんだよ」
さやか「うぅ……まどかぁ……」
まどかx3「だからこそ、信じて欲しい。わたしの答え、わたしの願いを」
QB「まったく、個体を潰されるのはもったいないから勘弁して欲しいんだけどね」ムシャムシャ キュップイ
QB「では改めて、鹿目まどか。君はその魂を代価に何を願う?」
QB「因果の特異点となった君なら、どんな途方もない望みだろうと叶えられるだろう」
まどか「本当……だね? わたしは……」
ほむら「まどか……」
さやか「まどかぁ……」
まどか「全ての魔女を、生まれる前に消し去りたい。全ての宇宙、過去と未来の全ての魔女を……この手で!」
カッ!!
──────
────
──
世界は新たな法則に従って改変された。
それは前の世界と変わらずに人類が、魔法少女が、インキュベーターが存在する世界。
変わったところといえば、魔法少女が魔女にならないため、魔女は存在しなくなったこと。
変わらぬ人の世の呪いは世界を歪ませ、魔獣という新たな脅威を生み出したこと。
そして、一人の少女の記録が、記憶が、存在が掻き消されたこと――。
杏子「へっ、まあこんなもんだな」
マミ「佐倉さん、コンビネーションも板についてきたわね。一人の期間が結構あったから心配だったけど」
さやか「マミさんは誰にでも合わせられるからすごいですね!」
杏子「それアタシがじゃじゃ馬みてーじゃねーかよ、さやか」
ワイワイ
ほむら「……まどか……」
マミ「暁美さん? まどかって……」
杏子「……誰だよ」
さやか「………………」
さやか「杏子はまたマミさんのところですか」
杏子「いーじゃねーかよ、どうせ他人のために動いてんだろ?」
さやか「杏子のはただの寄生じゃない」
杏子「るせーな、そのうちさやかの所にも行くから覚悟しろよ」
マミ「あら寂しいわ、佐倉さんは私を捨ててしまうのね」
3人「あはははははは」
ほむら「………………」
ほむら「………………」
さやか「……ほむら、元気ないね」
ほむら「……そんなことないわ」
さやか「……さっき口に出した『まどか』ってさ」
ほむら「……あなたに話しても仕方のないことよ」
さやか「ちょうどほむらの着けてるような、赤いリボンの似合う桃色の髪の女の子だよね」
ほむら「!?」
ほむら「美樹さやか、貴女……」
さやか「みんな忘れちゃったと思った? 残念、さやかちゃんはバッチリ憶えてますよ!」
さやか「まどかと過ごした日々も、まどかに救われたことも、全部――」
ほむら「………………」
さやか「そりゃ心残りはあるけど、今ならよく分かる」
さやか「ああ、これがまどかの望んだ世界なんだなーって」
さやか「そう思うとさ、この世界も大事にしたいと思うわけですよ」
ほむら「ふふっ。貴女と意見が合うなんて思いもしなかったわ」
さやか「あれ? ほむらも恭介の演奏聴きたいの?」
ほむら「そっちじゃないわ。でも……折角だから貴女と一緒に聴かせて貰おうかしら」
さやか「ほえー意外。まあいいや、今度ちょっと都合聞いてみるね」
さやか「ん? さっき一緒に聞かせて貰うって……」
ほむら「言葉のあやよ」
さやか「ははーん、またほむらはあたしに胸を貸してもらいたいのかな?」
ほむら「ふざけないで! 大体そんな記憶も残ってるなんて!」
さやか「泣きたいときはいつでも貸してあげるよ? あの時みたいに美樹さんって呼んでもいいけどさやかって呼んでも──」
ほむら「やめなさい!」
ほむら(それに、私は一人じゃない)
さやか「何だか元気が出てきたぞ! 見てろよまどか! この世界はあたしたちがガンガン守っちゃいますからね!」
ほむら(一人では潰されそうな宇宙の真実の重みも、二人なら支えられる。そんな気がする)
さやか「あたしたちの戦いはこれからだ!」
ほむら「ふふっ。精々負け戦にならないように頼むわ、さやか」
さやか「えっ? ほむら今……」
ほむら「何でもないわ。行きましょう、さやか」
さやか「……うんっ!」
ほむら(だから私達は、戦い続ける)
さやか「あたしって、ほんとバカ」まど神「さやかちゃん……」
完
vipで書いてた時はどうせスレ落ちるし終わったあとグダグダ書くけどここでは割愛
ここまで読んでくれた方に感謝
ありがとうございました
面白かった
ずっと見てたけどこれは良作だった
SS板が新たにできました
パート化、続編、立て直し、VIPで落ちたスレの再挑戦やVIPからの移転も大丈夫みたいです!
SS深夜VIP(仮)
Entry ⇒ 2012.01.20 | Category ⇒ まどかマギカSS | Comments (0) | Trackbacks (0)
美也「みゃーのベッドに……みゃーのじゃない髪の毛が落ちてたよ」
http://hayabusa.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1326443895/
美也「へぇ。にぃには、どうして落ちてたのか知ってるんだ」
純一「い、いや。知らない。み、美也の、と、友達のじゃないの?」
美也「この間掃除したばっかりだよ」
美也「……みゃーのベッドで、誰と、なにしたの?」
美也「……」ジトー
純一「……ぼ、僕がこの間みゃーのベッドで寝転んだんだ!!」
美也「へ?」
純一「だからその髪は、たぶん僕のだよ、ごめん」
美也「ど……どうしてそんな嘘つくの!?これどう見ても、女の子のじゃん!!」ビシッ
純一「い、いや……それは……」
ほらウィッグ!
落ちを先に言われた……
オイ・・・
謝罪はよ
純一「えっと……」
美也「言えないようなこと!?言えないような……やらしいことしたんでしょ!!」
純一「その……」
美也「サイテー!サイテーにぃに!変態!不潔!どうして」
美也「どうして……みゃーのベッドで……そんなこと……」
1、このまま、実は女装でした、で女装したにぃにと、みゃーが
いちゃいちゃする話
2、本当に誰か別のヒロインの髪。名前明記。
美也「か、かつら?」
美也「……」ジー
美也「これがぁ?」
純一「う、うん」
美也「女装?」
純一「うん……」
美也「……じゃあかつら見せて」
純一「え゙」
美也「……やっぱり嘘じゃん」
純一「い、いや!ほんとだって」
美也「……もういい。にぃにのこと、見損なったよ!!」
純一「美也……」
美也「ってことが昨日あってさー」
七咲「そ、そうなんだ……」
七咲「……」
中多「で、でも……なにか……事情があったのかも」
美也「どんな事情?それに、それなら言えるはずじゃん」
中多「そ、それは……」
七咲「……」
美也「?どうしたの?逢ちゃん」
七咲「へ!?な、なにが?」
美也「ぼーっとしてるから」
美也「逢ちゃん……私の話聞いてた?」
七咲「も、もちろん。聞いてたよ」
美也「じゃあ、逢ちゃんも信じられないと思うよね?」
七咲「う、うん……そうだね」
美也「まったく。ほんとに誰となにしたんだろ」
中多「先輩は……付き合ってる人、いるのかな」
美也「うーん……いるっぽいんだよね。まだ教えてくれないけど」
七咲「……」
純一「ねえ、逢。ここ、どこだと思う?」
七咲「え?えっと、先輩の家、じゃないんですか?え、そ、外には出てないんですよね?」目隠しプレイ中
純一「ははっ、もちろんだよ。靴はいたりはしなかったでしょ?」
七咲「え、えっと」
七咲(扉の外には出たみたいだから、先輩の部屋じゃない)
七咲(階段も降りてない)
純一「……時間切れだよ。逢」トンッ
七咲「え」バサッ
七咲「べ、ベッド……?」
純一「ここはね。美也の部屋……さ」
さすが紳士やでぇ…
純一「うん。そのベッドで、美也は毎日寝起きしているんだ」
七咲「そ、そうなんですか……え、でも、なんでここに」
純一「……興奮しない?」
七咲「え」
純一「友達の部屋で、するのって」
七咲「ええ!?」
七咲(先輩の馬鹿……あんなことするから……)
七咲(掃除、しっかりできてなかったんだ……)
七咲(先輩、またしようなんて言ってたけど……これじゃあ)
美也「逢ちゃん?」
七咲「へ?あ……ご、ごめんね。そうだね、しんじ」
美也「?チャイム鳴ったから教室戻ろうって話だったんだけど」
七咲「え゙」
七咲「そ、そうだったね」
七咲「い、いこっか」
美也「……」ジー
美也(逢ちゃんが、やたらにぃにと仲良くなってたのもその辺……)
美也(しかも、最近逢ちゃんは付き合い悪い……別の誰かと、いつも予定があるみたいに)ハッ
美也「もしかして!」ガタッ
先生「……どうした、橘」
美也「え」
先生「今は授業中なんだが」
美也「あ、その……すみません///」
中多(美也ちゃん……)
美也(紗江ちゃん。えへ、やっちゃった)
七咲(美也ちゃん?)
美也(あ、逢ちゃん……)サッ
七咲(え……目線、反らされた……?)
美也「……なに?」
七咲「えっと、さっきは、その、どうしたのかなって。授業中に急に立ってたから」
美也「あ、あれは……別に……なんでもないよ。逢ちゃんには関係ないし」
七咲「え」
関係ないし
関係ないし
関係ないし
美也「……逢ちゃん。今日もお昼部活の友達と?」
七咲「え、う、うん」
七咲(とにかく、先輩と話さないと)
美也「へえ。そーなんだ」
梅「おいおい大将。今日何度目だい?」
純一「え?何が?」
梅「ため息だよ。今日は多いぞ。朝からずーっと暗い顔してさ」
純一「ああ……ちょっとな」
梅「彼女と喧嘩でもしたのかい?」
純一「そんなんじゃないよ……はぁ」
梅「おいおいやっとお昼だってーのに、そんな暗くてどうするんだよ。なんなら、俺がおごって」
純一「梅原……」
七咲(先輩……)コッソリ
純一「あ」
梅「もしくは、この秘蔵のお宝本を」
純一「ご、ごめん梅原!また今度おごってくれ」ダッ
梅「?急に走り出して、いったい何事だい」
純一「このポンプ小屋なら、たぶんね」
七咲「……」
純一「……」
純一「えっと……聞いた?」
七咲「はい……」
純一「美也のやつ……もう言いふらして」
七咲「先輩」ジトー
純一「……はい。ごめんなさい。調子に乗った僕が悪かったよ」
七咲「そうですよ。あんな、いないからって、美也ちゃんの部屋で……///」
七咲「もう。先輩のせいで、今日は美也ちゃんの前で顔から火が出るかと思いました」
純一「……」
七咲「しばらくは――」
純一「七咲だって、興奮してたくせに」
七咲「う……そ、そんなこと」
純一「いいや。してたね。美也の服着た時とか」
七咲「あ、あれは……先輩が変なこと言うから」
純一「美也は明日、その制服を来て学校に行くんだよ」
七咲「い、言い直さないでください!」
純一「……ねえ、どうだった?」
七咲「な、何がですか」
七咲「や、やめてください……」
純一「美也の前で、美也の制服を見て、美也の部屋でした時のことを思い出して?」
七咲「そ、そんな……」
純一「七咲……これからしばらくは、放課後は会わないほうがいいよね」
七咲「そ、そうですね」
純一「じゃあ……」
七咲「や、やめてください……わ、私は今後の事を話し合おうと思って……」
純一「でも、だからってわざわざポンプ小屋まで来る必要、あったかな?」
パキッ
七咲「!」
純一「逢……」
七咲「ど、どいてください」ドンッ
純一「え」
純一「うわわわわ」ドテッ
七咲「っ!」ガチャッ
七咲「いない……?誰も?」
純一「いたたた。どうしたんだい?」
純一「なに?」
七咲「やっぱり、しばらくは学校でも合うの控えたほうがいいと思います」
純一「ええ!」
七咲「……はぁ。美也ちゃんのことがなければ、いっそ付き合ってるって言ってもいいんですけど」
七咲「先輩のせいで、そんなこと言ったら、美也ちゃん許してくれないでしょうし」
純一「うう、全部僕のせいなんだ」
七咲「当然です」
七咲「じゃあ、もうここから別れましょう」
純一「逢……せめて、その……」
七咲「……」
純一「ほ、ほら。しばらくがいつになるかわからないし」
七咲「……はい」キス体勢
純一「逢……」
七咲「……」
サワサワ
七咲「……先輩?」ペシン
純一「ご、ごめん」
七咲「つ、塚原先輩!彼氏って」
塚原「見てたらばればれじゃない。いい加減、教えてくれないのかなーって思ってたんだけど」
七咲「……///」
七咲「ほ、他の人の前では言わないでくださいね」
塚原「どうして?恥ずかしいの?かわいいね、逢は」
七咲「うう///」
美也「あーいちゃん 」
七咲「」
塚原「あら、こんにちは」
七咲「み、美也ちゃん!?」
七咲「そ、そーなんだ」
塚原「へえ。今日は妹さんの」
七咲「し、失礼します!いこ、美也ちゃん!」
美也「あ、待ってよー」
塚原「あらあら」クスクス
七咲「はぁはぁ」
美也「はぁはぁ。どうしたの?逢ちゃん」
七咲「え」
美也「急に走り出すから」
美也「私、もう少し先輩と話してから帰りたかったなー」
美也「え、そうなの」
七咲「う、うん。だから、美也ちゃんともあんまりおしゃべりしたり寄り道は」
美也「そっかー。残念だなー」
七咲「じゃあ」
美也「……逢ちゃん。最近付き合い悪いよね」
七咲「え……」
美也「あ、ううん。なんでもない。じゃあね」
七咲「う、うん」
トントントン
純一「お、遅かったな」
美也「……」プイッスタスタスタ
純一「ま、待て美也!これを見ろ!」
美也「なに?」チラッ
美也「」
純一「こ、これが!昨日言ってたかつらだ!」
純一「さ、さらに!ちょっと待ってろよ」
数分後
美也「」
純一「こ、この格好で……その、女の子の部屋で過ごしたくて……その……」
美也「……変態」
純一「ま、待ってくれ!僕は変態じゃなくて紳士――」
美也「……」スタスタスタ
ガチャッ
バタン
美也「っっっ!!!」
美也「な、なにあれ!!?」バンバンバン
美也「に、にぃにが!にぃにが!あんな服!!!」
美也「あは、あははは、お腹痛い!ぜんっぜん似合ってないしぷふふふふふふ」
美也「か、かつらまで!い、いきできない」
美也「……」
美也「……あんなことまでして、隠したいこと、したんだ」
美也「素直に言って、謝ってくれればいいのに……」
美也「逢ちゃんも逢ちゃんだよ。正直に言ってくれれば……みゃーだって」
美也「はあ、なんかもう、怒ってたのどうでもよくなっちゃった」
美也「でも、またこんなことあったらやだし……」
美也「……ちょっと、二人をこらしめてみようかな」
美也「よーし」
美也「やるぞー」オー!
コンコン
美也「ビクッは、はーい」
純一「美也?さっきのはな」
美也(あ、そうだ)
美也「ほんとに許してほしい?」
純一「!う、うん!」
美也「じゃあ、みゃーがにぃにの部屋をノックしたら、ちょっと待ってまたみゃー部屋に来て」
純一「?わかったよ」
美也「あ!またさっきの格好でね!にしし」
純一「ええ!?」
美也「……許してほしくないの?」
純一「わ、わかったよ……」
美也「じゃあ、後でねにしし」
純一「?」
コンコン
純一「き、きた!じ、じゃあ……ちょっと待って」
コンコン
純一「み、美也?」
美也「にしし、入っていいよー」
純一「(機嫌、直ったのか?)じ、じゃあ。入るぞ」ガチャッ
パシャッパシャッ
純一「うわ!」
美也「もう!に、じゃなかった、ねぇね!顔隠しちゃダメ!」
純一「ええ!か、カメラ!?」
美也「にしし、ほらほら、かわいいポーズとって!ね、ねぇね!」
純一「か、かわいいポーズ!?」
美也「ふぅ、このくらいでいいかな」
純一「……そ、その写真は、どうするんだい?」
美也「え?んー、どうしよかっなー」
美也「明日、みんなに見せようかなー」
純一「ええ!そ、それだけは……」
美也「じゃあ、ほんとのこと言ってよ」
純一「う……だ、だから僕は」
美也「女装大好き?」
純一「う、うん……」
美也「ふーん……」
純一「う、うん」
美也「……許して欲しかったら、しばらくはみゃーの言うこと聞いて」
純一「……はい」
美也「じゃあ、今日はこのくらいでいいや」
純一「え、えっと……」
美也「……勝手に出てけば」
純一「ご、ごめんな。美也……」
美也(謝るくらいなら、ほんとのこと言ってよ)
美也「じゃじゃーん」
中多「どうしたの?美也ちゃん」
七咲「写真……?」
美也「にしし、見てみて」
中多「あ、せんぱ……い……」
七咲「え」
美也「すごいでしょー」
中多「」
七咲「先輩の……女装写真……?」
美也「そう!お兄ちゃんってば、この間許しくれーこの格好でーって来たから、写真撮ってやった」
七咲「へ、へー」
中多「」ブルブル
美也「まあ、ほんとは女装じゃないんだろうけど、ここまでするなんてねー」
七咲「……」
中多「」ブルブル
美也「いったい、誰のこと庇ってるんだろうねー」
七咲「……」
七咲(先輩……私のために……)
美也「まあ、ほんとのこと言うまでは、しばらくにぃにには、女装させちゃおっかなーって」
中多「み、美也ちゃん!」
美也「へ」ビクッ
七咲「」ビクッ
中多「焼き増ししてもいい!?」
中多「あ、あと……先輩に女装させる時は……私も……呼んで?」
美也「う、うん」
七咲「……」
美也「あ、逢ちゃんも来る?」
七咲「え……?わ、私は……」
美也「実際に見ると、ほんとに面白いよ?にぃにの女装」
梅「今日はまたどうした、大将」
純一「え、な、なにが?は、まさか」
梅「あん?いや、やたらそわそわしてるからさ」
純一「あ、ああ、ちょっと」
梅「またかよ。だから、何度も言うけどよ、なんでも相談していいんだぜ?」
純一「ああ、ありがとう……」
純一「……」
純一(あの写真を取られてから数日……美也は、もう現像したんだろうか……)
純一(少なくとも、梅原や、僕の友達はまだ見てないようだし、無差別にばらまかれてもいないようだけど……)
七咲「……」コッソリ
純一(逢?どうして……)ガタッ
梅「大将?」
純一「ごめん、ちょっとトイレ!」
梅「……青春かねえ」
校舎裏
純一「ど、どうしたんだい、逢」
七咲「先輩……私見ました」
純一「え゙。も、もしかして……」
七咲「はい……女装写真を……」
純一「幻滅させちゃったかな……」
七咲「そんな!だって先輩は、私が美也ちゃんと喧嘩しないように……」
純一「……ははっ、いいんだよ。元はといえば、僕が悪かったんだし」
純一「幻滅か……今さらだよね。調子にのって、逢にはあんなことさせて」
七咲「……先輩。やっぱり、正直に言ったほうが」
純一「でも……言える?美也のベッドであんなことしちゃったなんて……」
七咲「それは……」
七咲「先輩……」
七咲(先輩の女装……)ブルッ
純一「だから、美也が全部許してくれるまで、僕が女装し続けるよ。そして……いっそ女装を極めてみせる」
七咲「」ブルブル
純一「ん?逢?」
七咲「い……いえ……なんでも……ぷっ」
純一「……」
純一「はーい、純子でぇーす」ウラゴエ
七咲「」ブフッ
純一「ははっ、ごめんごめん」
純一「ま、逢はそう深刻にならないで」
純一「そうやって笑っていてよ」
七咲「でも……」
純一「大丈夫」
七咲「え」
純一「心配しなくても、いくら女装したって、心まで女の人になったりしないよ」
七咲「え、いえ、私が心配してるのは」
純一「ははっほら、授業始まるよ」
七咲「あ……先輩」
美也「というわけで、今日はお兄ちゃんに女装してもらいまーす!」
中多「お、おー」
七咲「……」
純一「……」
純一「み、美也?なんで二人もいるんだ……?」
美也「なに?やなの?なんでも言うこと聞いてくれるんでしょ?」
純一「……はい」
美也「じゃあまずはー」
中多「み、美也ちゃん……私も
服持ってきたの……」
美也「え、ほんとー。見せてー」
七咲「先輩……」
美也「ほらお兄ちゃん、決まったからこれ着て」
純一「はーい……」
美也「今日はこのくらいかなー」
中多「いっぱい……写真撮れた」
七咲「お疲れさまです、先輩」
純一「うん……」
美也「じゃあ次は」
純一「またやるのか……」
美也「当然でしょ。そうだ、女装して町歩いてみるっていうのはどう?」
中多「え……」
七咲「え」
純一「……」
七咲「美也ちゃん……」
純一「……」
美也「まあ、にぃにが嫌なら、ほんとのこと言ってくれたら、やめてもいいけどー」
純一「……やるよ」
七咲「先輩……」
中多「先輩が、女装して町を……」
純一「それで、いつやるんだ」
美也「そ、そうだね。じゃあ今度の……」
七咲「先輩……」
中多「あの……じゃあ、その時のお洋服、選んでもいい、ですか?」
美也「そうだねー」
七咲「……」
中多「ばいばい、美也ちゃん。さようなら、先輩」
七咲「失礼します」
美也「ばいばーい」
純一「じゃあね」
美也「……さあて、また今度もよろしくね、にぃに」
純一「はいはい」
ガチャッ
七咲「あの……」
美也「あれ?逢ちゃん?」
純一「逢……?」
美也「どうしたの?」
七咲「ごめんなさい……」
純一「ハッあ、逢!」
七咲「美也ちゃん」
美也「……なあに?」
七咲「先輩と……付き合ってるのは、私なんだよ」
美也「……」
純一「逢……」
七咲「ずっと黙ってて、ごめんね。一番最初に、言うべきだったよね」
七咲「いいんです、先輩。理由なんて、美也ちゃんには関係ないですし」
美也「やっぱり、逢ちゃんだったんだ」
七咲「うん」
美也「逢ちゃん」
七咲「……」
美也「良かったね。ふつつかな兄ですが、よろしくお願いします」
七咲「美也……ちゃん……ごめん、ごめんね!」
美也「もういいよ……正直に言ってくれれば」
美也「それで、私の部屋で、何をしたの」
美也「正直に言ってくれるんだよね?」
純一「その……」
美也「」
美也「そ、そんなことしたの!!?」
純一「う、うん……」
七咲「///」
美也「……呆れた」
美也「逢ちゃんが、ちょっと照れてるのは気になるけど」
美也「つまり、私の部屋まで逢ちゃんを連れてって」
美也「そ、その……そそそ、そういうことを、しようとしたのは、にぃに、なんだね」
純一「ま、まあ……」
純一「はい……」
美也「逢ちゃんも」
七咲「はい……」
美也「じゃあ、その罰はね」
純一「……」ゴクリッ
七咲「……」ゴクリッ
純一「女装した上に目隠しなんて……」
七咲「私ができるだけ、人通りのなさそうな道を選びますから……」
純一「うん、頼んだよ。逢」ギュッ
七咲「……///」
中多「き、気を付けて……」
七咲「先輩、じゃあ、歩きますよ」
純一「う、うん」
美也『いい、逢ちゃん。お兄ちゃんに、この中から適当に台詞を言ってね』
七咲(うう……)
純一「ははっ、目が見えない状態で外を歩くと、さすがに怖いね……」
七咲「先輩……」
純一「え、なに?」
七咲「み、みんな、純子ちゃんのことを見てますよ……」
純一「じゅ……?って、え?人いるの?」
純一「そ、そうなんだ……」
七咲「あ」
純一「な、なに?」
七咲「いえ、今知り合いがいたような気が」
純一「ええ!?し、知り合い?僕も知ってる?」
七咲「は、はい」
純一「べ、別の道行かない?」
七咲「え?どうしてですか?いっそ見せましょうよ」
七咲「純子ちゃん」
純一「え」
七咲「あまり大きな声を出すと、注目されますよ。それに、女言葉を話さないと」
純一「お、女言葉……?」
七咲「はい」
純一「こ……こう、かしら?」
七咲「ぷふっ、え、ええ。いいです」
美也「ぷぷぷ、に、にぃに……」
中多「……先輩がんばって」REC
七咲「まあ、罰ですからね」
純一(うう、目は見えないし。しかも女装だし……なんか視線は感じるし、なんだろう、この状況……)
七咲「あ、風が」
純一「え」ブワサー
七咲「せ、先輩!スカート押さえて!」
純一「え、え?まさか……」
七咲「ええ……モロでした」
純一「ええ!?」
純一「み、見た?」
七咲「え、ええ……下着は男物なんですね」
純一「そ、そりゃあね」
プッ
七咲「え、えーっと、はい……笑われてます」
純一「そんな……」
七咲「先輩……」
七咲(恥じらう姿がかわいい……)
中多「」ハァハァハァ
美也「うえー。やなパンチラー」
純一「ま、まだ続けなくちゃいけないの?」
七咲「はい。決められた時間まで、まだかなりありますし」
純一「え、もう一時間は歩かなかった?」
七咲「まだ二十分です」
「あれ、もしかして……」
純一「え、き、聞き覚えのある声が……」
誰がいい?
直下
純一「か、薫!?薫なのか!?」
棚町「ぶふっ、ひひ、な、なにその格好」
純一「い、いや、これはだな」
七咲「先輩、女言葉」ボソッ
純一「ええ!?」
七咲「実は、美也ちゃんからの指示なんです。お願いします」
純一「……か、薫には関係ないでしょ!」
棚町「へ?い、今の」
純一「な、なによ!」
棚町「ひ、ひー、ひひひ、だ、だめ……いきできない……」
純一「げ、この声は」
棚町「あ、恵子ー、ちょ、ちょっとこっち来て」
田中「なになにー?」
田中「え、この人誰?」
棚町「よーく顔見てごらんなさい、ぷぷぷ」
純一「……」ドキドキ
田中「目隠ししてるけど……え、た、橘くん?」
棚町「ぶふっ、そ、そうなのよ、ひひひ。ほ、ほら純一、なんかしゃべりなさい」
純一「……」
田中「え、えっと……し、趣味は人それぞれ」
純一「ち、ちがうん」
美也「……」ジー
純一「違うのよ田中さん!」
田中「よ?」
棚町「」
純一「こ、これにはふかーいわけがあるのよ!」
田中「へ……へー」目線反らし
棚町「はー……はー……」
田中「あれ?あなた」
七咲「すいません。私たち、そろそろ」
純一(やっと解放――)
棚町「あ!ちょっと待って!」
七咲「……な、なんですか?」
棚町「カメラ持ってくるから、ちょーっち待ってくんない?」
純一「だ、駄目に決まってるでしょ!!」
上の美也のカットインは、実際に橘さんに見えたわけじゃなくて、
どこかで監視しているはずって思い出した描写で
純一「駄目ったら駄目よ!」
棚町「ぷっ、け、けちー」
純一「じゃあ、私たちは行くから」
田中「う、うん。さようなら」
田中(違う意味でもさようなら、橘君)
純一「あ、このことは、絶対に誰にも言わないでよ!」
棚町「えー」
純一「薫!」
棚町「はいはい」
七咲「大変でしたね……」
純一「これで僕のあだ名は、明日からオカマ野郎だ……ふふふ」
七咲「先輩……」
純一「あ、時間は?」
七咲「まだまだです……」
純一「はぁ……こうなったらもうやけよ!さあ逢!ちゃっちゃといきましょう!」
七咲「は、はい」
純一「え?美也?」
七咲「どうしたの?」
美也「にしし、お着替えたーいむ!今度はこれに着替えて。あ、目隠し取っていいから、そこの公園のトイレでね」
純一「ぷはぁ」
純一「あー、目が見えないだけなのにすごく疲れた……」
中多「先輩、お疲れさまです……どうぞ」
純一「あ、ありがとう。中多さん」ゴクゴク
純一「せ、急かすなよ」
純一「おい……これって」
美也「うん。うちの制服」
純一「まさか……」
美也「次は学校ね!」
純一「だ、駄目に決まってるだろ!!」
美也「……変態。お父さんとお母さんに」
純一「わ、わかったよ!」
美也「はい、目隠し」
純一「目隠しまだやるのか……」
七咲「は、はい……」
純一「ひ、人の声が増えてきてない?」
七咲「は、はい。下校時刻のピークは過ぎてますが、それでも生徒がけっこういますので……」
純一「が、学校まではあとどのくらいかしら?」
七咲「もうすぐですね……」
純一「そ、そう……」
純一(うう、どうかばれませんように!!)
純一(かつらと目隠しで、そう簡単にはわからない……はず!)
純一(あ、終わった)
誰がいい?
直下
純一「な、七咲、早く進んで」ボソボソ
七咲「は、はい」ボソボソ
絢辻「ちょっと待ちなさい」
純一「な、なんでしょう」ウラゴエ
絢辻「あなた、なんで目隠しをしているの?危ないわよ」
純一「い、いえ、これはその……」ウラゴエ
絢辻「あと、あなたみたいな生徒、うちにいたかしら?見覚えがないんだけれど」
純一「転入したばかりなんですぅ」ウラゴエ
七咲「あ、あの、私たち急ぎますので」
絢辻「……そう」
純一「ご、ごきげんよう」ウラゴエ
絢辻「ごきげんよう、橘君」
純一「き、気づいてたの!?」
絢辻「ええ。一目で気づいたわよ」
純一「じゃあなんで」
絢辻「面白そうだったから、つい」
純一「ひどいよ、絢辻さん……」
絢辻「そんなことより、なんて格好をしているの、橘君」
純一「こ、これはその、やむにやまれぬ事情がありまして……」
絢辻「へぇ。私てっきり、あなたの趣味なのかと思ったわ」
純一「違うよ!!」
絢辻「まあ、どっちでもいいけど」
純一「よくないよ……」
絢辻「その格好で学校に行く気?死ぬわよ(社会的に)」
絢辻「そ、そうなんだ」
絢辻「気を付けてね。あと、あなたも」
七咲「私ですか?」
絢辻「よくわからないけど、がんばってね」
七咲「は、はい。ありがとうございます」
絢辻「それじゃあ」
純一「う、うん。さようなら、絢辻さん」
純一「はー、さすが絢辻さんだなあ。まったく笑わなかったよ。薫とは大違いだな」
絢辻「……」キョロキョロ
絢辻「(割愛)」
純一「そ、そっか。じゃあかえ」
美也「ダメダメ。一周してきて。そしたら、帰っていいから」
純一「美也!?またお前はどこから……」
美也「私たち、ずーっと見てるからね」
中多「ビデオにも、撮ってます」
純一「え!?き、聞いてないぞ!!」
美也「はいはい、早く行ってらっしゃーい」
美也「ほら、逢ちゃん」
七咲「う、うん」
純一「くそー!」
美也「女の子は糞なんていわなーい」
七咲「せ、先輩。もう少しですから」
純一「うん……でもどうせまた誰か」
「あ」
純一「やっぱり……」
誰?
直下
純一「……」
梨穂子「うーん?あのー、私の勘違いかもしれないんだけど、あなた」
純一「そうだよ!僕だよ!!」
梨穂子「わわわ、や、やっぱり純一だー」
純一「……」
梨穂子「でも純一、どうして女の子の格好をしてるの?」
純一「なんだっていいだろ……」
梨穂子「えー、気になるよー」
七咲「美也ちゃんが……」ボソボソ
純一「はぁ……」
純一「とにかく、私は急いでいるから、じゃあね、梨穂子」
梨穂子「私?ぷぷ、なにそれ。言葉まで女の子ごっこ?」
純一「だから、気にしないでって」
梨穂子「でも純一、結構似合ってるね。その格好」
純一「え」
中多「……」コクコクコク
梨穂子「かわいいよ、純一」
純一「へ、変なこと言うなよ///」
七咲「……」ムッ
純一「あ、逢?」
梨穂子「うんうん。また今度他の服を来ているところも見たいなあ」
純一「たぶん、もう着ない……」
梨穂子「えー、もったいないよー」
七咲「先輩、今度私と二人きりの時に」
純一「わ、わかったわよ。考えておくから……」
七咲「え」
梨穂子「やったー」
純一「ほら、七咲。行こう?」
七咲「あ、はい」
梨穂子「じゃあねー」
純一「はいはい」
素晴らしい
純一「なにかしら?」
七咲「もしかして……癖になってますか?」
純一「え゙、そ、そんなことないわよ」
七咲「あやしい……」
純一「ほ、ほら。早く行こう?一周ってまだなの?」
七咲「あ、いえ。もう少しで終わりですね」
純一「よーし、じゃあ」
「あら、あなた」
七咲「も、森島先輩……」
森島「ねえ、響見なかった?ずっと探して」
純一「……」
森島「あなた……」
純一「……」
森島「どうして目隠ししているの?」
純一「……」
七咲「い、いえ、これは……」
森島「んー?ていうかあなた。見たことあるような……」
森島「あ、響ちゃん!」
塚原「もう、こんなところいたの?教室で待っててって」
塚原「あれ?七咲?」
七咲「は、はい……」
塚原「どうしたの?部活休みなのにこんな遅くまで」
七咲「い、いえ……わ、忘れ物をしたので、一度帰ったんですけど、戻ってきたんです」
塚原「へぇ」
塚原「あれ?そっちの子は」
純一「……」
森島「逢ちゃんのお友だち?」
塚原「……」ジー
純一「……」
純一(な、なんだろう。見えないはずなのに、突き刺さるような視線を感じるぞ)
塚原「あなた」
純一「」ビクッ
塚原「もし何かの罰ゲームだったりしたらだけど、目隠しは危険よ」
純一「……」コクコク
塚原「七咲も、止めてあげないと」
七咲「す、すいません……」
塚原「事故が起きてからじゃ遅いのよ」
塚原「高校生にもなって、こういう悪ふざけは」
七咲「……」
純一「ち、違うんです!!」
塚原「え」
森島「わーお」
純一「これには深いわけが……七咲は悪くないんです!!」
塚原「た……橘君!?」
森島「えー、あなただったの!?あは、すごーい!ベリーキュート!似合ってるわよ!」
純一「あ、やば」
純一「え、えーっと……」
塚原「」絶句
純一「こ、これにはふかーいわけが……」
塚原「ば、罰ゲーム?」
七咲「……」
純一「似たようなものです……」
森島「あ、そうだ!これからうちに来ない!?きっと橘君に似合う服がたくさんあるから!」
塚原「ちょっと……黙ってて、はるか……」クラクラ
純一「も、もちろんです!」
塚原「……行きすぎた恋人同士の、その、そういうのでも、ないのね?」
七咲「は、はい!ありえません!」
森島「え?そうなの?二人ってそうだったの?」
塚原「……」
純一「……」
七咲「……」
森島「そういえば、さっきからずーっと手を繋いでて、二人ともかわいいカップルね!」
塚原「もう何も聞かないから……気を付けてね」
純一「はい……」
七咲「はい……」
塚原「橘君……」
純一「あ、はい?」
塚原「あなたには、七咲のこと任せてもいいって思っているんだから、あまり変なことはしないように」
純一「は、はい」
森島「そうよ!男の子はナイトなんだから、しっかり女の子を守らないと!あ、でも今は二人ともプリンセスね!」
純一「はあ」
七咲「じ、じゃあ、失礼します」
純一「失礼します」
塚原「さようなら」
森島「じゃあねー」
七咲「そうですね……」
純一「はあ、これで僕の知り合いでも、見られたくない人たちにはほとんど出会ったよ……」
七咲「御愁傷様です……」
純一「なんかもう、どうでもうよくなってきた……」
七咲「……」
純一「でも、それだけのこと、しちゃったってことかな」
七咲「先輩……」
七咲「先輩……」
美也「反省したようじゃな……」
純一「美也!」
美也「もう、目隠しをとってよいぞよ」
七咲「ぞよ?」
美也「わしは、それを二人に知って欲しかったのじゃ……」
美也「今日のことを乗り越えて、二人は、かけがいのない宝物が手に入れたはずじゃ」
美也「それを大事にするのじゃよ」
美也「あと、妹の美也ちゃんも大切にするように」
美也「さらばじゃ!」
七咲「……」ポカーン
純一「えっと……終わり?」
七咲「みたいですね」
純一「帰ろっか」
七咲「はい……でも」
純一「でも?」
七咲「あの、先輩の着替えって」
純一「あ!美也!」
シーン
七咲「行っちゃったみたいですね……」
純一「女装したまま帰るのか……」
純一「逢……どうかな」
七咲「はい、似合ってます」
純一「そ、そうかな……」
七咲「先輩。背は高いですけど、お化粧したら結構女の子に見えますね」
純一「そ、そう?」
七咲「はい。じゃあ」スッ
純一「あ……」
七咲「ふふふ。まったく、目隠しプレイがそんなに好きなんですか?これじゃあ、女の子に見えませんよ?」
純一「だって……」
七咲「ほんとにもう、先輩は変態ですね」
七咲「美也ちゃんがこれを知ったら、また怒られますよ」
純一「ま、また……」
純一「あ、逢……早く……お願い」
おわり
いい仕事だった
乙
Entry ⇒ 2012.01.19 | Category ⇒ アマガミSS | Comments (0) | Trackbacks (0)
岡部「最近ラボメンの記憶が戻ってきた気がする」
岡部「なんだ」
紅莉栖「もしもの話なんだけど……」
紅莉栖「私とまゆりのどちらかしか助けられないとしたら、どっちを選ぶ?」
岡部「ぶっ!?」
スマホ代行
岡部「どちらかなど選べるわけないだろう!じょ、冗談にしても悪趣味だぞ?」
紅莉栖「そ、そうよね、ごめんなさい。私、なに言ってるのかしら……」
岡部「(……ど、どういうことだいったい)」
ダル「んー……僕が思うに、オカリンはまゆ氏を見捨てるんじゃないかな」
岡部「……え?」
まゆり「……ん?」
岡部「き、貴様なにを……!?」
ダル「……とかそんな夢を見たのだ」
岡部「な、な……?」
ダル「ごめん、冗談。僕も悪趣味だったお。まゆ氏スマソ」
まゆり「べ、別にいいよ~なんだかどきっとしちゃった」
まゆり「オカリンはそんなことしないのにね~」
岡部「う、うむ……」
まゆり「オカリンは、まゆしぃを助けてくれる気がするよ」
紅莉栖「……え?」
まゆり「いっぱい、いっぱい悩んで、やっぱりまゆしぃが大事だって言ってくれるんだよ」
紅莉栖「なるほど……」
岡部「いや、ちょっと、何の話だ……?」
紅莉栖「結局助けたのはまゆり……」
岡部「お、おい!た、助けたとはなんだ!?」
岡部「百歩譲って助けるならわからんでもないが!」
紅莉栖「そ、そうよね。やっぱり私おかしいわね……」
まゆり「ま、まゆしぃも変かなぁ?」
岡部「(こ、これは……)」
岡部「(他の世界線の記憶が紅莉栖たちに……)」
岡部「(し、しかもどうやら、いろいろな世界線の記憶が混濁しているようじゃないか)」
ダル「……なぁ、オカリン。オカリンってなんか僕に異常に冷たかったことない?」
岡部「は、はぁ?」
ダル「なんか突然オカリンに腹が立ってきた。一発殴らせてくれまいか?」
岡部「な、なにを言っているのだお前は!?」
ダル「言いようのない怒りが沸いてきているんだお」
岡部「ちょ、ちょっと待て!それは本当に覚えがないぞ!!」
岡部「(な、なんだ……?俺の知らない世界線の記憶まで戻ってきているというのか?)」
ダル「う、うおおおおお!俺の拳が光るぞおお!」
岡部「や、やめろおおおおお!!」
ガチャッ
ルカ「あ、あのぉ……こんにちは?」
ダル「いや、全然そんなことはこれっぽっちもないんだぜ?」
岡部「き、貴様というやつは……」
ダル「ごめんオカリン。反省はしている。後悔はしていない」
岡部「(と、とりあえず助かったか……)」
ルカ「あの……橋田さんはどうしてそんなに怒っていらっしゃたんですか?」
ダル「それはオカリンが……あれ?なんだっけ?」
岡部「それは俺が聞きたい……」
岡部「そんなことはしていない!!というかお前の娘ってなんだ!おかしいことに気付け!」
ダル「……おかしいなぁ。なんだか僕はオカリンがいろいろなおにゃの子といちゃこらしているのを、指をくわえてみていた気がする」
ダル「ん?それは今も変わらないかwwサーセンww」
岡部「あのな……」
ルカ「ボクも……なんだかそんな気が……してきたような……」
紅莉栖「は……?」
まゆり「……ん?」
岡部「ちょ、ちょっと待て!ルカ子!な、なにを言っているんだ!?」
ルカ「え、え!?今ボクなんていいましたか?」
ダル「僕は聞き逃さなかったのだぜ」
ダル「オカリンといちゃこらちゅっちゅしたと……そう確かに聞いた」
岡部「そこまで言っとらんわ!」
岡部「そ、そもそもお前と俺は男同士だろうが!デートもなにもないだろう」
紅莉栖「……それはどうかしら」
岡部「じょ、助手?」
紅莉栖「岡部……あなたは漆原さんとデートしたわ……」
紅莉栖「そんな気がする!!」
ルカ「あぁ……!!」
ルカ「岡部さんの赤ちゃん……!!赤ちゃんが産まれた……!!」
岡部「ぶっ!?」
ダル「そうだ!オカリンとるか氏は結婚したんだ!」
紅莉栖「そうだ!それなのに岡部ったら早死にして……!」
まゆり「……あれぇ?まゆしぃにはみんなの言っていることがよくわからないよ?」
ダル「それはまゆ氏はその時死んじゃっていたからで……」
岡部「わ、わかってたまるか!!」
ルカ「岡部さん……なんで死んじゃったんですかぁ……!!」
岡部「死んでない!どう見てもぴんぴんしてるだろうが!!」
岡部「さっきから言っていることが支離滅裂だぞ!」
紅莉栖「……あれ?」
ダル「僕はなにを……」
ルカ「う、うーん……なんだか頭が痛くなってきました」
岡部「だ、大丈夫か?具合が悪いようなら帰ったほうがいいのではないか?」
ルカ「そ、そうですね……うーん……」
岡部「(なんだかよくわからないが危ないところだった……)」
岡部「しつこいぞ……いったいなんなんだいったい」
紅莉栖「さぁ?私たちにもわからない。ただなんかむかつくから岡部、一発殴らせろ」
岡部「お、お前までそんなことを言うのか!」
ガチャッ
岡部「……な!」
岡部「(ま、また誰か来たのか!!)」
岡部「し、指圧師か」
岡部「ど、どうしたのだ突然。バイトはサボっていていいのか?」
萌郁「責任……とって……」
岡部「……え?」
ピロピロリ
岡部「ん、メールか?」
from 閃光の指圧師
岡部くんって、けっこう乱暴だよね☆
でも男の子があそこまでしたのなら、ちゃんと責任とってもらわないとだよね
……ね?
萌郁「キス……した」
萌郁「押し倒された……」
萌郁「どさくさに……まぎれて……胸も……揉まれた……」
紅莉栖「……ほう」
まゆり「へぇ……」
まゆり「本当かなぁ……オカリン?」
岡部「む、胸のほうは誤解だ!!」
まゆり「……ふーん、じゃあ前半は本当なんだ」
岡部「って違うわ!!それはあくまでやむにやまれず……、って違うっつの!!」
岡部「萌郁!お前なにを言っているんだ!?」
萌郁「でも……胸も……揉まれた……」
岡部「そこじゃない!!そもそも押し倒してもないし、キスもしていない!!」
岡部「(この世界線ではな!!)」
紅莉栖「なかなか電話に出ないと思ったら……お楽しみだったってわけね……」
岡部「あーもうこれ以上話をややこしくするな!!」
岡部「指圧師!!落ち着いて考えるのだ!」
岡部「俺がいつお前にそんなことをしたのだ!」
萌郁「それは……?……」
ピロピロリ
from 閃光の指圧師
ごめん、岡部くん!私ったらちょっとぼーっとしてたみたい!
へんな事言っちゃってごめんね?今度埋め合わせするから許してね☆
バタン
岡部「な、なんだったんだいったい……」
岡部「……?そういえばお前らさっきから静かだな。どうしたのだ?」
ダル「な、なんか……」
紅莉栖「萌郁さんが出て行った瞬間、どっと安心が押し寄せてきたような……」
まゆり「まゆしぃは額が痛いのです」
岡部「だ、大丈夫なのかそれは……」
岡部「(この分だと次はあいつが……)」
岡部「(また変なことを好き勝手に言われても困るな。今のうちに離脱しておこう)」
岡部「すまん!俺は少々野暮用を思いついた。しばらく失礼するぞ!」
紅莉栖「あ、岡部……?」
岡部「さらばだ!」
バタン
岡部「ふぅ……なるべく遠くに……」
綯「オカリンおじさん、こんにちは」
綯「萌郁お姉ちゃんなら、さっき帰ってきたと思ったら、またどこか行っちゃったよ?」
岡部「そうか……それならいいんだが……」
岡部「お前はあいつから妙なことをふきこまれていないだろうな」
綯「妙なこと?」
岡部「あぁ、別にないならいいんだ」
綯「妙なことって……例えば、おじさんとお姉ちゃんで、お父さんを殺しちゃった……とか?」
岡部「!!」
綯「なにが……?私は冗談で言っているつもりはないよ……」
綯「殺したもんね……オカリンおじさんが殺したんだもんね……」
綯「殺した殺した殺した殺した殺した殺した殺した殺した殺した殺した殺した殺した殺した殺した
殺した殺した殺した殺した殺した殺した殺した殺した殺した殺した殺した殺した殺した殺した」
岡部「う、あ、ああ……」
岡部「うあああああああああ!!」
?「それを言うなら、綯ちゃん」
まゆり「綯ちゃんもまゆしぃのこと、殺したよね~」
綯「!?」
まゆり「まゆしぃは電車とレールにはさまれて、ぐちゃぐちゃになって」
まゆり「とっても痛かったんだ~」
綯「あ、あああ……」
まゆり「綯ちゃんがまゆしぃのこと殺したんだよ?」
まゆり「殺した殺した殺した殺した殺した殺した殺した殺した殺した殺した殺した殺した殺した殺した
殺した殺した殺した殺した殺した殺した殺した殺した殺した殺した殺した殺した殺した殺した」
綯「うああああああああ!!」
岡部「……や、やめんかあああああああ!!」
岡部「誰も死んでないし、誰も殺されてない!」
綯「……あれ?」
まゆり「そういえば……」
岡部「ミスターブラウンもまゆりもぴんぴんしているだろうが!わ、訳のわからんことを言うんじゃない!」
岡部「というわけで俺は失礼する!!」
岡部「(これはやばい!!早いところ逃げてしまおう!!)」
綯「……あ」
まゆり「オカリン……?」
岡部「さらばだ!」
岡部「こんなの……スレタイ詐欺じゃないか!」
?「そこのお前……待ちな」
岡部「……っ!?まさか……!!」
4℃「なんだか知らないが無性にてめぇの顔、むかつくぜ」
4℃「二、三発は覚悟してもらおうか」
岡部「お前もか……!!」
岡部「そ、それは違う!俺はお前のことなど知らん!」
4℃「知ってるか?苦汁と辛酸はなぁ……」
4℃「苦汁のほうがつらいんだ!!」
岡部「この前の特番で言ってただけだろ!」
4℃「うるさい!死ねぇ!!」
岡部「うわあああああ!!」
?「待ちなさい」
黒木「その青年から離れなさい」
黒木「えぇ……お迎えに上がりました、だんな様」
岡部「た、助かったぁ……ん?」
岡部「(今なにか変だったような……)」
4℃「なんだてめぇ……じじぃは引っ込んでろ」
黒木「そうは参りませんな……私には、お嬢様の大切な方を守らねばなりませんので」
4℃「あぁん?つべこべ言ってねぇで来るなら来いよ」
・・・・・・・・
黒木「もう終わったあとですので」
4℃「な、なにを言って……うぐぅ!!」
4℃「がはぁ……!!い、いつの間に……!!」
黒木「安心しなさい。一応手加減をしておきましたから」
4℃「ぐ……無念……」
岡部「(なんだこの展開……)」
黒木「いえ。では、行きましょう。お嬢様がお待ちですので」
岡部「ふぇ、フェイリスがですか?」
岡部「(嫌な予感がする……)」
岡部「あ、あの、俺はちょっとこれから用事が……」
黒木「……来ていただけますよね?」
岡部「あ、はい」
岡部「聞き間違いかもしれないんですが……さっき俺のこと、なんて呼びました?」
黒木「はい?だんな様はだんな様でしょう?」
岡部「(やっぱりなんかおかしなことになってるぞ!!)」
フェイリス「……凶真。やっと来たニャン」
岡部「フェイリス……」
岡部「な、なんの用だって言うんだ?」
フェイリス「やっぱり凶真とフェイリスは……前世からの因縁で結ばれていたのニャン」
岡部「(はは……なんだいつものやつか)」
岡部「そうだな……俺たちは、あの聖戦を共に戦った仲m」
フェイリス「誤魔化さないで!!」
フェイリス「凶真はフェイリスの運命のパートナーだった!!」
フェイリス「一緒に将来を誓い合ったじゃない!!」
フェイリス「まさか忘れてしまったというの!?」
岡部「え、え……?」
フェイリス「凶真はフェイリスの王子様ニャン……覚えてるよね?」
岡部「ち、違う!そ、それはお前、夢か何かと勘違いしているだけで、」
フェイリス「だから言っているニャン。これは前世の記憶なのニャ……」
岡部「(ま、まさかこいつ……他の世界線の記憶を、厨二設定に置き換えているのか!?)」
フェイリス「……凶真、まさか本当に思い出せないの?」
岡部「お、思い出せないも何も、それは勘違いというやつで……」
フェイリス「ふーん……そういうこと言うんだ……」
フェイリス「思い出せないなら……思い出してもらうしかないニャン……」
岡部「ま、待てフェイリス……そ、その刃物をどうするつもりだ?」
フェイリス「そんなの決まっているニャン……凶真にかかっている封印を、フェイリスが解いてあげる……」
岡部「(フェ、フェイリスが……)」
岡部「(本物の電波になってしまったぁああああああ!!)」
フェイリス「凶真……動いちゃダメニャン……」
岡部「ひっ、く、来るな!」
岡部「う、うあ……」
岡部「うわあああああ!!」
ガキンッ!!
?「……待ちなよ」
フェイリス「な……っ!?」
綯「こいつを殺すのは、私の役目だ」
綯「他の奴には、やらせないよ」
岡部「(え、えぇ!?どういうこと!?)」
フェイリス「っ!?黒木!!」
黒木「すいません……子供だと思い、油断したよう……です」
フェイリス「ちっ……フェイリスの邪魔をするなんて、いい度胸してるニャン」
綯「邪魔はそっちだよ」
フェイリス「どうかな……それは、これを喰らっても言えるかニャ!?」
シュッ!
綯「遅い!」
カキンッ!!
綯「ふっ!!」
シャッ!
フェイリス「く、かすったニャ……!!」
フェイリス「こんな小娘に押されるなんて……!!」
綯「体は小娘でも……殺意だけは、本物だよ」
綯「ね、おじさん!!」
岡部「は……?」
フェイリス「しまった……!!」
バン!!
?「ちょっと……待った……」
萌郁「岡部倫太郎を殺すのは……私」
萌郁「FBのため……FBのため……」
岡部「ちょ、ちょっと待て!!それはもう終わった話ではないのか!おい!!」
綯「へぇ……標的が二人とも集まってくれるなんて……なんて運がいいんだろ」
フェイリス「どいつもこいつもフェイリスの邪魔を……」
萌郁「まだ、勝てると思っているの……?」
萌郁「銃は剣より強し……あなたたちにはもう……なすすべはない……」
萌郁「おとなしく……死んで……」
?「銃より強いものがあるよ」
鈴羽「鍛えぬかれた戦士は……銃弾すらも凌駕する」
バン、バン!
萌郁「(当たらない……!?)」
鈴羽「はぁっ!!」
萌郁「ぐっ……」バタッ
綯「な、新手か……!?」
フェイリス「だ、誰ニャ……?」
鈴羽「岡部倫太郎!君を助けに来たよ!」
岡部「……す、鈴羽?」
鈴羽「シュタインズゲートは全てがうまくいく世界線……だった」
鈴羽「だけど事件が起こってしまった……悲しい事件がね」
鈴羽「20××年○月△日……そう、つまり今日この日」
鈴羽「岡部倫太郎以外の人々による、リーディングシュタイナーの発動……」
鈴羽「このままじゃまた、悲惨な未来が待っている。私はそれを変えに来たんだ!!」
岡部「す、鈴羽……」
フェイリス「つべこべうるさいニャン……」
綯「誰が来ても一緒だ……全員殺してやる」
フェイリス「できるもんならやってみるニャン!」
黒木「お嬢様……逃げて、下さい……!!」
鈴羽「へぇ……この時代に私の動きが見える人がいたんだ」
綯「おい、お前、なにぼーっとしてんだ!!」
フェイリス「……え?」
ドスッ
綯「く、くそぉ……!!」
ドスッ
鈴羽「戦士とそうでない者の、違いはわかってもらえたかな?」
鈴羽「って、もう聞こえないか」
鈴羽「うん、これでひとまず安心かな」
岡部「だ、だが……また目を覚ましたときにどうすればいいのだ?」
岡部「こいつらはもう……元のようには戻ってくれないのか?」
鈴羽「心配しないで。そのためにあたしが来たんだから」
鈴羽「これを使って」
岡部「……これは、注射?」
鈴羽「リーディングシュタイナーを封じ込める薬が入ってる」
鈴羽「これを使えば、みんな元に戻れるよ」
岡部「そうか……!!」
萌郁「ん……」
フェイリス「ニャッ……」
綯「む……」
岡部「これで、大丈夫だな」
岡部「ふぅ……一時はどうなることかと思った」
鈴羽「まだまだ。他にもそれを使わなくちゃならない人が残っているよ」
岡部「……そうだったな」
鈴羽「……じゃあね、岡部倫太郎。あたしはもう行くよ」
岡部「な、もう行ってしまうのか?」
鈴羽「あとはもう君一人でできるからね。しっかりたのんだよ」
岡部「しかし……まだ感謝もろくに伝えられていない……」
鈴羽「……感謝なら、あたしじゃなくて、もっと違う人に言ってあげなよ」
鈴羽「それじゃ……!」
岡部「今日は大変な一日だったな……」
まゆり「あ、オカリン……」
岡部「まゆり……」
まゆり「オカリン、まゆしぃね、なんかおかしいの」
まゆり「まゆしぃが何度も何度も痛い目にあってね」
まゆり「そのたびにオカリンが悲しい顔するの」
まゆり「そんな悲しい夢……夢なのかなぁ?」
岡部「……まゆり、手を出せ」
まゆり「……はい?あ、」プス
岡部「夢だよ。まゆり」
ダル「オカリン、僕、なんかおかしいんだお」
ダル「オカリンはるか氏を孕ませた挙句、」
ダル「フェイリスたんのハートを射止め、」
ダル「まゆ氏と結局恋人関係に落ち着き、」
ダル「牧瀬氏と毎日いちゃこらちゅっちゅしている……そんな夢……夢かなぁ?ていうか夢でも爆発しろ」
岡部「うるさいわ!」
ダル「あぅ……」プス
岡部「まったく……」
岡部「あいつは警戒心が強いからな……いきなり刺してしまおう」
岡部「おい……クリスティーナ」
紅莉栖「……はい?」
岡部「よっ!……あれ?」スカッ
紅莉栖「その空の注射器でなにをするつもり?」
岡部「え……?あ、ああぁぁ!?薬がもうない!?」
岡部「そんな……!?鈴羽、なぜ紅莉栖の分まで用意しておかないんだ!?」
紅莉栖「……私は、記憶を消す必要はないからじゃないかしら?」
紅莉栖「私はね、岡部。思い出したことを、忘れたくないよ」
紅莉栖「岡部が、私のために悩んでくれたこと、苦しんでくれたこと……」
紅莉栖「本当は、今でも悩んでるんでしょ?本当にこれでよかったのかって」
岡部「俺は……」
紅莉栖「岡部が悩んでいるなら、私も一緒に悩みたい。岡部が苦しんでいるのなら、私も一緒に苦しむよ」
紅莉栖「ねぇ、……してよ。あの時みたいに……」
岡部「……聞こえないな」
紅莉栖「バカ……覚えてるでしょ!」
岡部「……当たり前だ」
岡部「俺は絶対に、忘れたりしない」
リーディングシュタイナーは誰にでも備わっている。だからこの事件は遅かれ早かれ起きることだったのだろう
鈴羽の運んできてくれた薬のおかげで、俺たちはみんな過去のつらい経験を忘れることができた
だがそれで本当にいいのだろうか? 他の世界線をなかったことにしてはいけない。それだけは俺がしてはいけないことだろう
だから、俺だけは、この記憶をいつまでも持ち続けよう
『私もね、忘れたくないよ』
こんな俺を好きでいてくれる、物好きな研究者と、俺だけは
……それが、シュタインズゲートの選択なのだろう
終わり
最後まで読んでくれてありがとう!おやすみ!
おやすみ
Entry ⇒ 2012.01.19 | Category ⇒ シュタインズゲートSS | Comments (0) | Trackbacks (0)
伊織「えっ……ゴリラとデュオを組むですって……?」
律子「ふっふっふ、喜びなさい。ようやくデュオのパートナーが見つかったのよ」
伊織「……それは嬉しいんだけど」
律子「それじゃ、入ってきてちょうだい」
伊織「……ゴリラっていってもアレよね」
伊織「ちょっとゴリラ入ってるアイドルって意味よね」
伊織「それもどうかと思うけれど、この伊織ちゃんだったらどんな……」
ガチャ
ゴリラ「ウホッ」
伊織「完全にゴリラじゃない……」
/ , -‐- !、
/ {,}f -‐- ,,,__、)
/ / .r'~"''‐--、)
,r''"´⌒ヽ{ ヽ (・)ハ(・)}、
/ \ (⊂`-'つ)i-、
`}. (__,,ノヽ_ノ,ノ \
l `-" ,ノ ヽ
} 、、___,j'' l
伊織「却下よ」
律子「えっ」
伊織「えっじゃないわよ、当たり前じゃない!」
ゴリラ「……」
伊織「何でこのスーパーアイドル伊織ちゃんがこんなお笑い芸人みたいなことすんのよ!」
律子「もっと喜ぶかと思ったんだけど。生ゴリラよ?」
伊織「事務所にいきなりこんなの連れてきて喜ぶヤツがどこにいんのよ!」
あずさ「あらあら~。意外と毛深い方ですね~」
響「あはは、お前GENTLEよりWILDって感じだな~」
亜美「うわ→ アニマルマッスルハンパ無いよコレ。ねぇねぇ、これ触っていい?」
ゴリラ「……」
伊織「……ゴリラで喜ぶなんてお子様よね」
響「えっ、自分そういう役担当だったのか……」
伊織「よりによって何で私なのよ! 一番ゴリラから遠いアイドルでしょ!」
やよい「ほらっ、伊織ちゃん犬とかうさぎ飼ってるし……」
伊織「だから響がいるでしょ! ぜぇ~ったい納得できないわ!」
律子「まぁまぁ伊織落ちつきなさい」ポンッ
伊織「な、なによ」
律子「最近は動物好きなタレントってのが流行ってるでしょ?」
伊織「た、たしかに最近多いけれど……」
律子「例をあげるとさかなクンさんね。だけど私はその一歩先のアイディアが必要と考えたわ」
美希「さかなクンより先……?」
律子「さかなクン、さんでしょう。美希」
伊織「それがこのゴリラってわけ……?」
律子「時代はギャップよ」
律子「私は断言するわ。1か月後、『伊織さん、ボクも飼ってください!』っていうファンが続出することに!」
真美「たまに暴走しちゃうよね、ちかたないね」ボソボソ
ゴリラ「……」ジー
伊織「イヤよ!イヤイヤイヤ!断固拒否よ!」
貴音「伊織、選り好みはあまり好ましいことではありませんよ」
ゴリラ「……」ジー
伊織「じゃああんたが組んでみなさいよ」
貴音「わたくしは、響とデュオを組んでいますから。似たようなものです」
響「えっ」
貴音「……」
貴音「ふふっ」ニコッ
春香(あ、貴音さん今笑ってごまかした……)
伊織「大体っ……」
ゴリラ「……」ジー
伊織「……」
伊織「ねぇ、ちょっといいかしら」
律子「どうしたの?」
伊織「さっきからずーっと私を見つめてるんだけど……」
ゴリラ「……」ジー
千早「本当……。それに、高槻さんと同じくらい汚れのない眼をしているわ」
律子「現代社会が忘れてしまったことが、ゴリラにはあるわ」
ゴリラの習性1:ゴリラは基本相手の目をめっちゃ見る。あと瞳が意外とピュア。
伊織「とにかくゴリラだけはイヤよ! あとあんたはこっち見るじゃないわよ!」
ゴリラ「……」ジー
律子「まぁまぁ、伊織。 この方は、日本の動物園でもお馴染のローランドゴリラよ」
伊織「ゴリラはゴリラでしょ! 種別なんかどうでもいいのよ」
律子「違うわよ。ただのゴリラじゃないわ」キラッ
伊織「えっ」
律子「ローランドゴリラの学名はね……」
伊織「……」
律子「ゴリラ・ゴリラ・ゴリラなのよ」
伊織「どこまでゴリラなのよ……コイツ……」
ゴリラ「……」ドヤァ
ゴリラの習性2:ニシゴリラの学名はゴリラ・ゴリラ
ゴリラ度100%を越える
真美「ど・う・な・の?」
ゴリラ「……」
伊織「こっちは全然ポジティブ!じゃないんだけど……」
ゴリラ「……」ヌォォォ
伊織「しっかしデッカイわね~……。どれくらいあんのよ」
律子「ま、大体1.2貴音くらいね」
伊織「意外とおっきいのね……」
伊織「はぁ……ところで、コイツ雄なの?雌なの?」
律子「自分で確かめてみなさい。パートナーでしょ?」
伊織「えっ、調べるってあんた……」
伊織「……」チラッ
ゴリラ「……」ジー
伊織「ジャンバルジャンのより小さいじゃない……」
ゴリラの習性:ゴリラの平均身長は180㌢ だけど平均チン長は3㌢
千早「肺活量はありそうね」
美希「ねぇ知ってる?ゴリラって1日15時間くらい寝るんだって。ミキすっごくうらやましいって思うな。」
ゴリラ「……」ゴソゴソ
伊織「なんだかバックを漁ってるんだけど……」
響「パートナーの伊織にプレゼントがあるみたいだぞ」
伊織「へっ?! わたしにっ?!」
あずさ「あらあら~、おりこうさんなのね~」
ゴリラ「……ゥホ」スッ……
ゴリラの鼻くそ 525円
伊織「……」
伊織「」ガタッ
千早「水瀬さん落ちついて!きっと本能!本能なのよ!」
ゴリラの習性4:上野駅で買える
真美「バレンタインに好きな女子にプレゼントするしか無いっしょ!」ポリポリ
伊織「……あんた達よく食べられるわね。ゴリラから手渡されて」
ゴリラ「……」
春香「えへへ、な、なんだか大変だね~。伊織、頑張ってね?」
伊織「本当に大丈夫なのかしら……バナナなんて家には無いわよ……」
ゴリラ「……」ジー
響「あれ? ところで雪歩は?」キョロキョロ
貴音「そういえばいませんね」キョロキョロ
あずさ「雪歩ちゃんならそこで穴掘って埋まっているわ~」
雪歩「お、男の人怖いですぅ~!」ガクガク
春香「……あ、なるほど。雪歩ってゴリラも同じくくりなんだ」ポンッ
響「やなわらばー……!」
雪歩の習性1:男の人を見ると、穴を掘って埋まる(ヒト科含む)
やよい「何か言ってますね~」
伊織「響、あんたの出番よ」ツンツン
響「あっうん。わかった」
ゴリラ「ウホホッ」
響「うん、うん」コクコク
伊織「よくゴリラ語なんてわかるわね」
響「伊織さん、緊張してるけど、よろしくお願いします、だって」
伊織「……そのナリで意外とシャイなのね」
律子「えぇ、ゴリラは基本的に果実とか葉っぱしか食べないのよ」
真「ゴリラ……!」
ゴリラの習性5:草食系男子
伊織「えーっと、まずはお手しなさい」
ゴリラ「……」フルフル
伊織「な、何でよ……。ほ~ら、あなたの大好きなバナナよ?」
ゴリラ「……ウホウホッ」
響「えっと、『ゴリラが全員バナナで釣られる安い動物だと思わないくださいよ』だって」
伊織「めんどくさいわね~」
ゴリラ「ウホッウホウホッ!」ドンドコドンドコ!
伊織「ひ、ひっっ!何ドラミングしてんのよ!」
響「あっ、い、伊織に威嚇してるぞ!」
響「ゴリラは森の賢者って言われるくらい賢くてプライドが高いんだ!伊織、早く謝らないと!」
伊織「えっ」
響「ゴリラは怒ると怖いぞ!机とかバーンってするぞ!早く早く!」
伊織「……わ、わわわ、悪かったわよ」ペコリ
ゴリラ「……ウホッ」ピタッ
伊織(何で私、ゴリラに頭下げてんのかしら……)
ゴリラ「……」キッ!
ゴリラの習性6:ゴリラは寝床を日ごとに作る
伊織「ってそこ私のベッドじゃない!」
ゴリラ「……Zzz,,,」
伊織「きぃ~早速寝るんじゃないわよ!」
伊織「なによ!あんた動物のくせにッ!この伊織ちゃんをバカにすんじゃないわよ!」
ゴリラ「ウホッ!ウホッ!」
伊織「このゴリラ!ドゴリラ!ゴリラ大人!」
ゴリラ「ウホウホウホッ!」
伊織「日本語で喋りなさいよ! ほらっ『ウ』と『ホ』以外も言ってみなさいよ!」
ゴリラ「デュホッwwww」
伊織「……ム、ム・カ・ツくわ~!」ワナワナ
……伊織とゴリラのデュオは当初熾烈を極めた。
伊織「あーゆでれぃ!」クルッ
ゴリラ「ウーホウホ!」クルッ
伊織「……やれば出来る~」タタン
ゴリラ「ウホウ~ホ~」ズダダンッ
コーチ「はいストーップ!ダメだよ~!ゴリラちゃんナックルウォーキングしちゃ~」
ゴリラ「ウホ~……」シュン……
伊織「えっと、ま、まぁ、大変よね。アフリカとここじゃ全然違うんでしょ」
ゴリラ「ウホッウホッ……」
響「えっと『故郷のジャングルより、このコンクリートジャングルの方が世知辛いっす』だって」
ゴリラ「ウホホ」
響「えっと『伊織さんも無理やりデュオ組まされて、これが本当のゴリ押しっすね』って言ってるぞ」
伊織「……」
伊織「」イラッ
ゴリラの習性7:ゴリラはユニーク(多分)
審査員「はい、それでは次の番号の方~」
伊織「は、はぁい。水瀬伊織ちゃんでぇす♪」ニコニコ
審査員「え、えっとその隣に…いるのは」
ゴリラ「……」
伊織「パ、パートナーの水瀬ゴリラちゃんでぇす」ヒクヒク
伊織「決めセリフは、みんなぁバナナ食べてるぅ?って言いまぁす」
……落ちた。
伊織「な、なによ……みんな私を笑い者にて……」ウルウル
ゴリラ「ウホッ……」スッ
伊織「その毛深い腕で触るんじゃないわよ!」バシッ
ゴリラ「!」
伊織「あ、あんたのせいよっ!あんたのせいなんだからぁ!わぁぁあん」ダダッ
ゴリラ「……ウホ……」
P「よしっ手分けして探そう」
……。
伊織「やっぱり無理よ……ゴリラと仲良くなんて……」
ゴリラ「……」スッ
伊織「あんた……ここがわかったの?」
ゴリラの習性8:ゴリラは人間よりも嗅覚が敏感 いおりんの匂いマジ最高
伊織「今さら慰めたって……」
ゴリラ「……」ゴソゴソ
伊織「バッグを漁って……」
伊織「どうせまたゴリラの鼻…ゴニョゴニョ…でしょ……」
伊織「えっこれ」
ゴリラ「ウホッ!」
伊織「オレ……ンジ……? に、握ってどうすんのよ」
ゴリラ「……フンッ!」
くぎゅうううううううううう!!!
ジョロロ……
ゴリラ「……」スッ
伊織「もしかして、オレンジジュース……? あんた私が大好きって知ってて……」
ゴリラ「ウホウホウホウホッ……」
伊織「あんた、やけにじっと見てると思ったら、ちゃんと私のこと……」キュンッ
伊織「そうね、わからず屋だったのは私の方だったかもね」
伊織「……」ゴクゴク
伊織「……ぷはっ!意外といけるじゃない」
ゴリラの習性8:ゴリラの平均握力は400㌔
伊織「いくわよっ、今日は念願のアイマス×アニマルライブなんだから!」
ゴリラ「ウホッ!」コクリ
伊織「これが成功したら、一躍売れっ子アイドルよ!足ひっぱたら承知しないんだからね!」
ゴリラ「……ウホッ」ツンツン
伊織「えっ」
ゴリラ「ウホッウホウホッホ!」
ゴリラ「ウホ~~!キャッキャ!」
ゴリラ「デュホホホ!フォフォウ!」
伊織「……」
伊織「なるほどね」
……伊織はゴリラ語が理解できなかった。
「キャー!あの伊織ちゃんとゴリラちゃんがこんな所にいるわ!」
伊織「うっやっぱりバレちゃったわね。変装したんだけど……」
ゴリラ「ウホウホッ」カキカキ……
伊織「あんた早速サインしてるんじゃないわよ」
ゴリラ「ウホッ」
伊織「はぁ、あんたはお気楽よね。はい、バナナよ」
ゴリラ「キャッキャ!」パンパン!
伊織「ハァ~……響のように話せれば楽なんだけどね……」
……。
黒井「いやぁ~あのくだらん765プロの子ゴリラ、どうにかならんのかね」
モブA「わたくしにお任せを……」
黒井「……チェックメイトだ」ニヤッ
……黒井社長はオランウータン派だった
伊織「あんた、ま~たサインしてるのね……」
ゴリラ「……」カキカキ
伊織「ほんっとーに、あんたはどこまでいってもゴリラよね」
モブA「おい、何でこんなスクランブル交差点にゴリラがいるんだよ!」ゲシッ
ゴリラ「グホァ」
伊織「! や、やめなさいよ、ちゃんと許可取って……」
モブA「ゴリラはタルにでも入ってればいいんだよ!」ゲシッ
モブA「こんなデカい図体しやがって! 人を襲うんだろ!」ガシガシッ
ゴリラ「ウ、ウホッ……!!」
伊織「ち、違うわ! ゴリラは……ゴリラは本当はとっても繊細なんだからっ!」
ゴリラの習性9:ゴリラはあずささん並に穏やかで優しい
伊織「えっ」
モブA「こんな街中で人を襲ってみろ、お前らは終わりだ」
伊織「あ、あんたそれを狙って……」
モブA「すでに、準備はしてある」
伊織「卑怯よっ……! そんなことさせないわ!」ダッ
モブA「うるせぇ!どけ!デコ助野郎!」バシッ
伊織「うっ!」ズサササー……
ゴリラ「!」
伊織「うぅ……!」
モブA「ハンドスクラップ!ハンドスクラップ!↓B!↓B!」バシンバシン!
伊織「い、痛い痛い痛い!」
ゴリラ「ウホッ……!」プルプル
モブA「さぁ、来い!こう見えて俺は柔道黒帯なんだよ!」
ゴリラ「ギャゴフォコオォゥ!!!」ダダッ
伊織「ま、待ちなさい……」
ゴリラ「……」ピタッ
伊織「あ、あんた普段言うこと聞かないんだから……今だけは伊織ちゃんの言う通りにしなさい……」
ゴリラ「……」コクン
伊織「お手」
ゴリラ「」スッ
モブA「な、バカな……止まった……だと……」
伊織「そこのあんた……分類言ってみなさいよ……」
モブA「なっ」
伊織「あんたは……本当に……」
伊織「……!」グッ
伊織「あんたは!本当に!!霊長類かって聞いてんのよー!!!」
伊織「はぁ、私はあんたと違ってか弱いレディなんだからね」
ゴリラ「ウホホホホ!」
伊織「えぇ、そんなに心配しなくて大丈夫よ」
「伊織さん……ゴリラと会話してる……?」
モブA「一体何を喋ってやがるんだ……!」
ゴリラ「ウホ……!」
伊織「えぇ、そうね。そのくらいならしちゃっていいわ。お仕置きよ」
ゴリラ「ウホッ」ニヤニヤ
伊織「にひひっ」ニヤニヤ
モブA「一体何が始まるんだ?」
ゴリラの習性10:ゴリラと心を通わせた者は、ゴリラ語が解る。
伊織「奇跡のカーニバルの開幕よ」
ゴリラ「フンッ!」
ブリブリッ
モブA「?! いきなり糞をしたぞ」
ゴリラ「ウホッ」スクイッ……
モブA「お、おい。まさか……」
伊織「にひひっ、魔法をかけてあげるわ」
ゴリラ「ウホオオオオオ!」ブンッ
ベチャッ
モブA「」
伊織「どう? ジャンバルジャンのより大きいわよ!」
ゴリラ「ウホッ!ウホホ!」ブンブンッ!
伊織「いや、私はやらないわよ」
ゴリラの習性11:オスのゴリラは糞を投げつけて攻撃する
ゴリラ「ウホウホー!」
伊織「やったわ! 見なさい!このデュオには、向かうところ敵無しよ!」
伊織「あ、あんた、これからは、こんな事無いようにちゃーんとエスコートしなさいよね」カァ……
ゴリラ「ウホウホホホホッ(勝利の祝杯をあげましょう、伊織さん)」ゴソゴソ
伊織「えっ」
ゴリラ「ウホッ!」くぎゅううううう!
ゴリラ「ウホホイ!ウホホイ!(生搾りオレンジジュースです)」
伊織「えっと……フン投げた手……」
伊織「……」
伊織「さ、さすがにそれはちょっと」
ゴリラ「ウホホホ(霊長類ジョークですよ、伊織さん)」
ゴリラ「ウホ(こんなことはもう……懲りゴリってね)」ドヤァ
伊織「……」
伊織「」イラッ
おわり 伊織×ゴリラCP流行れ!
閉店です
支援してくれた方、読んでくれた方ありがとうございました
不覚にも懲りゴリで死んだ
面白かったな
Entry ⇒ 2012.01.19 | Category ⇒ アイマスSS | Comments (0) | Trackbacks (0)
京子「ちなつちゃんとキスしたよね?」
http://hayabusa.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1326892144/
京子「あー、わたしもいま来たとこー」
あかり「でも今日は珍しいね、二人で出かけようなんて」
京子「うん、ちょっとねー」
あかり「で、どこ行くの?」
京子「映画でも行くか?」
あかり「あ、あれ?京子ちゃんが呼びだしたんだよね」
あかり「なんで誘ったのっ!?」
京子「いやー、それはねー」
あかり「それは!?」
京子「あんまり考えてなかった!」
あかり「なにそれぇ!?」
あかり「はぁ、まあいいよ」
京子「じゃ、映画でいいよねー」
あかり「うん、いいけどなんか面白いのやってるの?」
京子「他に面白いのやってても、ミラクるん一択だけどね!」
あかり「そう・・・だよね」
あかり「おー!」
京子「映画館でコーラ飲まなきゃいけないから」
京子「ここではアイスティーだな」
あかり「な、なんでコーラ飲まなきゃいけないの?」
京子「映画館ならコーラとポップコーンだろー」
あかり「いけないの!?」
京子「んー」
あかり「な、なに、飲んでるとこじっと見て」
京子「気にしない、気にしない♪」
京子「あー、ミラクるん面白かったー!」
あかり「京子ちゃん、はしゃぎすぎだよ」
京子「だってミラクるんだし!」
あかり「もう、興奮して手も握ってくるしさ」
京子「あんなとこに手を置いとくのが悪い!」
あかり「ムチャクチャだよぅ」
京子「全然考えてなかった!」
あかり「・・・そ、そうだったね」
京子「ちょっと、歩こうぜー」
あかり「あ、ぶらぶらするのいいよね」
京子「うんうん♪」
京子「手、繋ぐ?」
あかり「な、ななな、なんで!?」
京子「なんでって、前はよく繋いだじゃん」
あかり「前って、ずっと小さい時だし」
京子「いまもおっきくないと思うけどなー」
あかり「ひどっ!?」
あかり「わ!恥ずかしいよー!」
京子「いいじゃんか、減るもんじゃなしー」
あかり「そ、それは減らないけどさ」
京子「それとも嫌なの?」
あかり「え?京子ちゃん?」
あかり「は?」
京子「さて、ゲーセン行こーぜー」
あかり「う、うんわかった」
京子「ふんふーん♪」
あかり「あ、あれ、京子ちゃん?」
京子「そうだろ、そうだろー♪」
あかり「3人の中で一番上手いもんね」
京子「前はずっと3人だったよなー」
あかり「うんうん、いつも一緒だったね」
京子「でも最近はなー」
京子「うーん、でもなー」
京子「あかりだけ大人になっちゃってる気がしてさー」
あかり「わ、わたしが!?」
京子「ちなつちゃんとキス、してたりー?」
あかり「あ、あれは!ムリヤリされたんだもん!」
あかり「ちなつちゃんのキス取られたって怒ってるの!?」
京子「そんなことは一言も言ってないけどねー」
あかり「言ってる!目が言ってるもん!」
京子「どうかなー?」
あかり「許してよぅ、ほんとにわたしからじゃないからぁ!」
京子「誰とでもキスしちゃうの?」
あかり「そ、そんなわけないじゃん!」
京子「じゃあ、なんでちなつちゃんとしたの?」
あかり「だって、ほんとに強引だったから」
京子「好きなの?」
京子「ふーん」
あかり「信じてよぅ!」
京子「まー、信じなくもないけどねー」
京子「さて、最後に公園だー」
あかり「へ?」
あかり「わたしは生きた心地がしないよぅ」
京子「なんでー?」
あかり「わかってるくせにぃ!」
京子「あははー、別にあかりを攻めてるわけじゃないし」
あかり「攻めてるよ!?」
あかり「わ、わぁひさしぶりだぁ」
京子「空元気は見てて辛いよ?」
あかり「あ、あれ?誰のせいなのかわかってない!?」
京子「他に誰かいたっけ?」
あかり「この状況でボケはやめてぇ」
あかり「ちなつちゃんのキス取っちゃったの謝るからぁ!」
京子「そっか、そっか♪」
京子「じゃあ、目をつぶってもらおっかなー」
あかり「うぅ、わかったよぅ」
京子「いっくよー!」
あかり「!?」
京子「へっへー」
あかり「え?キス!?なんで!!?」
京子「奪ってやったぜー!」
あかり「なんで?間接キスってこと!?」
京子「ボケすぎ・・・じゃないかな」
京子「説明しなきゃいけないのかー」
あかり「あれ?わたしがおかしいの?」
京子「はぁ」
あかり「溜息つかれた!?」
京子「溜息つきたくなるよねー」
あかり「うん、で?」
京子「でって言われたー!」
あかり「ごめんなさい、ごめんなさい!」
あかり「ちなつちゃんが好きかと思ってたんだもん!」
京子「しょうがない、説明しよう!」
京子「誰かさんがキスしてたんだよねー」
あかり「ぎっくぅ!」
京子「最初はちなつちゃんがーって、思ってたんだけどさ」
京子「どんどん違う気持ちが出て来たんだよね」
あかり「違う気持ち?」
あかり「わ、わたしが!?」
京子「千歳ともキスしちゃうしさー」
あかり「京子ちゃんだって、してたじゃん!」
京子「まぁ、それはそれだ」
あかり「自分のことはスルー!?」
あかり「は、はい!」
京子「あかりはわたし以外とキスしちゃだめなの!」
あかり「最初から誰ともする気ないよ!?」
京子「わたしとならオッケーだから」
あかり「なんでっ!?」
あかり「いま、すっごいことあっさり言ったよねぇ!?」
京子「あかりは、わたしのこと嫌い?」
あかり「それは好き、だけど」
京子「じゃあ全然問題ないじゃん」
あかり「も、問題しかないじゃん!」
あかり「だ、だって女のコ同士とか考えたことないし」
京子「キスしたのに?」
あかり「はっ!」
あかり「そういえば、京子ちゃんとのキス、嫌じゃなかった」
京子「ほんと!!?」
京子「嫌なの?」
あかり「あぅ」
京子「わたしと付き合ってくれる?」
あかり「え、えっと」
あかり「わ、わかったよぅ!」
京子「よ、よかったぁ」
パタッ
あかり「ちょっとぉ!京子ちゃん!?」
あかり「そんなに元気に宣言されても」
あかり「京子ちゃん、立てる?」
京子「眠り姫はどうやって起こすんだったかなー?」
あかり「えぇぇ!?最初からハードル高いよぉ!」
あかり「それ、脅迫!?」
あかり「も、もう、しょうがないなぁ」
ちゅっ
京子「よし!あっかりんゲットだぜ!」
あかり「人をポケモンみたいに言わないでよぅ!!!」
京子「ということで、あかりと付き合うことになりました!」
あかり「な、なりましたぁ」
結衣(あかり、完全に流されてるよね)
ちなつ(存在感ごと流されてるような気がします)
あかり「それ、聞こえてるよ!?」
ちなつ「な、なんですか?」
京子「あかりと二人で、結衣との仲を取り持とうかなー」
京子「なんて、思ってたのに」
結衣「なっ!?」
ちなつ「本当ですか!?」
ちなつ「ちょっと!どこ行くんですか!待ってくださいよ!」
ドタドタドタ
あかり「結衣ちゃん、ごめんね」
結衣「なんであかりが謝るのさ?」
あかり「なんか、京子ちゃん取っちゃうような気がするから」
あかり「うん!」
結衣「それより、あかりはいいの?流されてない?」
あかり「た、たぶん、大丈夫」
結衣(不安だ)
あかり「あかりが取られちゃうのが嫌だって」
あかり「だから、あかりは大丈夫!」
結衣「そっか」
京子「あー!二人でコソコソ話してる!」
京子「早速、浮気かー!?」
ちなつ「あかりちゃんなんかいいです!」
ちなつ「それより、結衣先輩との仲を!」
あかり「ちょっとぉ!あかりなんかってなに!?」
京子「わたしのあかりだー!」
結衣「はぁ、ぐだぐだ」
結衣「今日も平和だなぁ」
END
にやにやした
Entry ⇒ 2012.01.19 | Category ⇒ ゆるゆりSS | Comments (0) | Trackbacks (0)
P「新コーナー『ハルカキッチン♪』始まるよ」春香「!?」
現在、その事務所内会議室にて、スーパー超天使アイドル天海春香のプロデューサーと、竜宮小町のプロデューサー、秋月律子が、作戦会議と言う名のささやかなランチタイムに興じていた!!!!
P「あー、春香と結婚したい」
律子「プロデューサー…なに言ってるんですか」
P「いやほら、春香の新しい活動方針」
律子「ああ、目指せ『結婚したいアイドルNo.1』ってやつですか」
P「そうそう。いやぁ、昨日の生っすが素晴らしかったからな。さすがは俺の春香だ」
律子「新コーナーの『ハルカキッチン♪』ですね」
P「お菓子はあっても料理はな。俺も見たとき、あんなに上手くなってるとは思わなかったし」
律子「それに春香、一度もコケなかったらしいじゃないですか。せっかくできた料理をコケてぶちまけるとか、そういうウケ狙いのコーナーかと思ってたんですが」
P「おいテメェ」
律子「あはは、すいません」
P「まあちょっと危なっかしいところもあったけどな。そういう守ってあげたくなるような感じもよかった、うん」
律子「なるほど」
P「あー、収録の時いなかったもんな。録画見る?見ていい?」
律子「どうぞどうぞ。私も見たいです」
P「わっほい」
録画再生開始
美希『続いては新コーナーなの!』
春香『天海春香のハルカキッチン♪』
春香『このコーナーは、わたくし天海春香が花嫁修行の一関として、765プロのみんなとお料理対決をやっちゃおう♪という企画ですっ』
春香『天海春香、お嫁さんにしたいアイドルNo.1目指してがんばりますっ♪』
客席『ウォォォォォォ!!!!!!!』
P「ウォォォォォォ!!!!!!!」
律子「プロデューサー…」
そこまでにしとけよ閣下
律子「自覚はあるんですね」
春香『記念すべき第一回の対戦相手はこちら!』
春香『私の大親友、如月千早ちゃんでーっす!!』
千早『よろしくお願いします』ニコッ
客席『ウォォォォォォ!!!!』
P「千早も表情が柔らかくなってまぁ…」
律子「本当ですね…ふふ」
千早『そんな、春香には全然敵わないわ。前に作ってくれたパスタ、とってもおいかったもの。その…毎日食べたいくらい//』
春香『ち、千早ちゃん///』
客席『Foooooooo!!!!!!』
P「Foooooooo!!!!!!はるちは!はるちは!!」
律子「うるさいなぁ」
P「ごめん」
Foooooooo!!!!!!
伊織「…あんたんとこの変態プロデューサー、バカじゃないの?」
春香「えぇっ、ば、バカなんかじゃないよ。敏腕だよ」
伊織「変態は否定しないのね…」
春香「へ…変態でもないよ…」
伊織「はいはい。まあ敏腕なのは認めるけどね。実際こうしてあんたをトップアイドルにまで育て上げたわけだし」
春香「な、なんか引っ掛かる言いかただなぁ…」
伊織「気のせいよ」
春香「ええっ!?されないよ!!そんな人じゃないってば」
伊織「そ、そうなの。あの言動からだとちょっと信じられないわね…」
伊織「なんかあいつ、事あるごとに春香可愛いだの結婚したいだのはるちはわっほいだの言ってるし」
春香「あ、あはは…困っちゃうよね…///えへへ////」
伊織「まんざらでもないのね…」
春香「そ、そういうんじゃないけどっ////。普段は普通の人なんだってば。いつも優しいし」
伊織「へぇ」
伊織「意外とマメなのね。ちょっと見直したわ」
春香「ふふふ、そうでしょ」
伊織「まあ言動は所属事務所のアイドルに欲情するただの変態だけどね。年齢的にはギリギリロリコンかしら?」
春香「ちょ…言い過ぎだよ…否定できないのが悲しいけど…」
伊織「にひひっ。冗談よ冗談」
春香「もう…」
伊織「ええ、そのつもりだけど」
春香「よかったら、私のお弁当食べてくれないかな。誰かに味見してもらいたくてたくさん作ってきたんだけど」
伊織「ああ、そういえばあんた、『結婚したいアイドルNo.1』とかいうの目指してるんだっけ?」
春香「う、うん。プロデューサーさんの意向でね」
伊織「それで料理の勉強中ってわけ。いいわ、そういうことならいただこうかしら」
春香「えへへ、ありがとー。いつもいいもの食べてそうな伊織の口に合うかはわからないけど」
伊織「にひひっ、容姿も舌も超一流のこの伊織ちゃんに味見をさせるんだから、評価は覚悟しなさいよね」
春香「お手柔らかに~」
春香『さてさて、ではこの対決の審査員のお二人をご紹介します。こちらっ!』
貴音『審査員を勤めさせていただきます、四条貴音と申します。どうぞよろしくお願いいたします』グゥゥゥゥ
やよい『イェーイっ!高槻やよいでーっす!!よろしくお願いしまーっす!!!』グゥゥゥゥ
客席『ヒャッホォォォォォォォォ!!!!!!』
律子「うわ、よりによってこの人選ですか…すでにお腹の音入ってますけど」ビキビキ
P「食べ物といったら貴音だしな。やよいはその…お腹空いてそうだったから…」
律子「優しいですね、プロデューサー…」
客席『アハハハハ』
貴音『本日は、春香と千早の手料理が食べられると聞いて、朝ごはんとお昼ごはんを抜いてまいりましたので…』グゥゥゥゥ
春香『た、貴音さん、顔色悪いですよ、大丈夫ですか?』
貴音『大丈夫ですよ、春香。すでに戦いは始まっているのです』グゥゥゥゥ
春香『戦うのは私と千早ちゃんなんだけどなぁ』タハハ
やよい『うっうー!!私はお財布に30円しか入ってなかったから、お昼ごはん食べられませんでしたー!!』グゥゥゥゥ
春香『やよい…』ブワッ
客席『』ブワッ
千早(後でカロリーメイトをあげよう…)ブワッ
貴音『失礼///』グゥゥゥゥ
春香『き、気を取り直して(グゥゥゥゥ
やよい『ご、ごめんなさい~////』グゥゥゥゥ
律子「誰かあの二人になんか食べさせなさいよぉぉぉぉぉ!!!!!!!」プッチーン
P「落ち着け律子」
春香『えーっと、二人はちょっとお腹が空きすぎてるみたいなので、調理の間、私がおやつに作ってきたクッキーを食べていてもらいましょう』
P「な?」
律子「な?じゃないですよ」
P「さすが俺の春香。これは間違いなく結婚したくなる」
律子「ですねぇ」
やよい『うっうー!!このクッキーとーってもおいしいですー!!』ムシャムシャ
貴音『まこと、春香の作ってくるすいーつはいつもとても美味ですね』ムシャムシャ
貴音『しかし、勝負は勝負。審査に手心を加えるつもりはありませんよ』キリッ
春香『はい♪では今度こそ気を取り直して、今回の対戦メニューを発表しちゃいます!』
春香『じゃじゃん♪料理の定番、ハンバーグでーす!!!』
客席『はるるんのハンバーグマジ最高!!!!!』
P「うおおおおハンバーグゥゥゥゥゥ!!!!!!!!!」
律子「ハンバーグ好きなんですか」
P「うん」
千早『ハンバーグね…作り方は勉強してきたので、精一杯がんばります』
やよい『うっうー!!ハンバーグですかー!2年ぶりくらいかもー!!!!』ムシャムシャ
貴音『おいしそうなはんばーぐ、じゅるるん…口の中で溢れる肉汁とでみぐらすそーすのハーモニー…ふふっ、涎が出てしまいそうですね』ムシャムシャ
律子「いつまでクッキー食べてるのよおおおお!!!!!」
P「落ち着け律子」
春香『私も心を込めて作りたいと思います』
春香『あと、ちょっぴり、愛情も込めちゃおうかなっ』
客席『誰にー!?』
春香『ふふっ、内緒です♪』
客席『うおおおお俺だ俺だああ!!!』
客席『違う!俺だああああ!!!!!』
春香『それでは、調理開始です♪』
客席『ヒュウウウウウ!!!!!!!』
律子「客席の盛り上げ方を心得てるわねぇ」
P「うおおおお春香のちょっぴりの愛情スパイスマジ最高ぉぉぉぉぉ!!!!」
律子「…」
伊織「ちょ…あの変態、いよいよやばいんじゃないの…あんたよく今まであんなのについて来たわね…」
春香「ああやってふざけて見えるけど、根はすごく真面目な人なんだよ…たぶん」
伊織「ふーん…」
春香「そ、そんなことより!お腹空いたでしょ?早く食べよっ」
伊織「…そうね。食べましょ…って何よこれ!?重箱五段もあるじゃない!?」
春香「えへへ…スケジュール確認したら、今日はみんな事務所に集まるみたいだったからつい…」
伊織「あんたねぇ…」
貴音「呼ばれた気がして」グゥゥゥゥ
春香「あ、貴音さん」
伊織「あんたは…犬じゃないんだから、食べ物に釣られてくるんじゃないわよ!!」
ガチャッ
やよい「わんわんっ!!」グゥゥゥゥ
伊織「あんたもか!!!!」
春香「まあまあ。みんなで食べて食べて」
貴音やよい「いただきまーす」
伊織「まったく…」
やよい「お、おいしい!!おいし過ぎます春香さん!!!」ムシャシャァ!!!
春香「そ、そうかな///どう、伊織?」
伊織「おいしいわよ、とっても。…でもね」
伊織「なんか…やたらとたくさんハンバーグが入ってるのはなんなの…?」
春香「え、そ、そうだっけ」
伊織「重箱二つ分丸々ハンバーグじゃないの…」
春香「あはは…」
貴音「はい、先日のハルカキッチン♪のメニューも、あの方の熱烈な希望でハンバーグになったとか」ムシャムシャ
春香「ソ、ソウナンダ」
伊織「…」
やよい「そうだ!このハンバーグ、プロデューサーにも持って行ってあげたらきっと喜びますよ!!」
春香「えっ!?…えっと、プロデューサーさんには…まだ、いいかな」
貴音「はて、なぜです、春香?」
春香「ほら、その、プロデューサーさんって、ハンバーグソムリエ的なところあるから…まだ、その、ね?」
やよい「?」
伊織「…はぁ」
伊織「」モグモグ
春香「い、伊織?」
伊織「…春香、あんたのハンバーグは最高よ」
春香「え…」
伊織「この伊織ちゃんが保証するわ。このハンバーグなら、どんなハンバーグソムリエの舌も唸らせるでしょうね」モグモグ
春香「伊織…」
伊織「…あんなやつのどこがいいのか知らないけど…がんばりなさいよ」
春香「…うん、ありがと」
貴音「ふふ…」
やよい「??」
春香『あわわ…』チラッチラッ
律子「千早の手つき、たどたどし過ぎですよ…危ないなぁ」ハラハラ
P「緊張してるんだろうな。リハの時はもっとマシだったんだ」
春香『…』
春香『千早ちゃん、そこはそうじゃなくてね』スッ
千早『えっ、は、春香?』
春香『こう、ちゃんと押さえて…』トントントン
千早『あ、ありがとう、春香///』
客席『』ほっこり
律子「ふふ、春香ったら…」ほっこり
P「はるちはは最高だよなぁ」
春香『こねる時はこう…』コネコネ
千早『うん』コネコネ
律子「お料理教室になってますけど」
P「ふはは、狙い通りだな」
律子「え?」
P「料理対決とはいえ、春香のことだから、相手が困っていて自分に助けられることならほっとかないだろ」
P「まして相手は千早だ。春香は我慢できずに手を貸すだろうな」
律子「えっ、まさか…」
P「対決っても、ほのぼのしたゆるい企画だからな。こうして千早をほっとけない面倒見のよさを、料理上手と同時にアピールする」
P「この『ハルカキッチン♪』は、第一回から『天海春香結婚したいアイドルNo.1化計画』のために俺が用意した舞台なのだよ」
P「もちろん春香は天然でやってるけどな」
律子「わぉ…」
P「春香のことならなんでもわかるさ。春香のことならなんでも知ってるよぐへへ」
律子「…」
春香『えー、思いがけず合作になってしまいましたが』
春香『春香&千早の仲良しハンバーグ!完成ですっ♪』ジャジャーン
客席『ウッヒョッヒョォォォォォォ!!!!!』
千早『春香ったら…///』
春香『それでは…』
やよい『試食ですねっ!!!!』ガタッ
貴音『待ち侘びましたっ!!!!』ガタッ
春香『CMの後ですよぉ~…』
P「本気だぞ。本気で思ってなきゃ、春香を結婚したいアイドルNo.1にしようだなんて言い出さないだろ」
律子「プロデューサー…」
P「もちろん、ファンとして、プロデューサーとして、な。俺と春香はアイドルとプロデューサー、アイドルとファン、の関係でしかないよ」
律子「そう…ですか」
貴音『こ…このハンバーグは…!?』ムシャムシャムシャムシャ!!!!
やよい『おいしい、おいし過ぎます春香さん千早さん!!!』ムシャシャシャァァ!!!!
春香『だって、千早ちゃん♪』
千早『ええ、春香のおかげよ』
貴音『このハンバーグからは、確かに深い愛情を感じられました』
貴音『春香、千早は、それぞれ誰に向けて愛情を込めたのでしょうね。ふふふ』
春香『うぇぇっ!?////』
千早『ちょ…四条さんっ/////』
客席『うおおおお誰だ!?誰なんだ!?』
客席『出てこい!!ぶっ殺してやるぅぅぅぅぅ!!!!!』
春香『そ、それでは今回はここまでっ!また来週~!!!』
P「こうしてハルカキッチン♪第一回は無事終了しましたとさ」
律子「…ちょっと貴音と話してきます」クラクラ
貴音「春香」
春香「なんですか、貴音さん」
貴音「先日のハルカキッチン♪の時もそうでしたが、今日のハンバーグにはより深い愛情が込められていたように思います」
春香「えぅ////ま、またそんな…」
貴音「春香、大丈夫です。あなたがここまで想っているのです。このハンバーグを食べて、伝わらないはずがありません」
春香「…」
貴音「自信を持ちなさい、春香。さあ、このハンバーグを持って、想い人のもとへ行くのです」
春香「貴音さん…」
春香「ハンバーグ…貴音さんが全部食べちゃったんですけど…」
貴音「…」
貴音「…律子嬢に呼ばれているようですのでこれで…ごちそうさまでした」
伊織「あのバカっ…」
春香「あはは…」
春香「…」
春香「うん。がんばろう」
伊織「春香?」
春香「えへへ、なんでもない」
伊織「そ。」
貴音「り、律子嬢!?何をそんなに怒った顔をしているのです…」
貴音「…ひぅっ!?ど、怒鳴らないでくださいませぇぇ」
P「お疲れ様でーす」
P「はー。今日は有意義な一日だった」
P「貴音はなんか目ぇ真っ赤にしてたな。存外泣き虫なんだよなあいつ」
P「可愛いやつだなぁ。春香の次くらいに」
春香「プロデューサーさーん!!」
P「お、春香。今帰りか」
春香「はいっ」
P「うんうん。駅まで送ってくぞ」
春香「えへへ、ありがとうございます♪」
P「可愛い」
春香「えへへ、ありがとうございます♪」
P「次回の対戦相手はどうするかな。また料理教室にならないよう、響とかがいいか」
春香「あうう…すみません…」
P「何を謝ってるんだ、あれはあれで素晴らしかったぞ。はるちは!はるちはわっほい!!!」
春香「もう…千早ちゃんとはそんなんじゃないですってば///」
P「ええっ…」
春香「ええっ、て…当たり前じゃないですか…」
P「いや…だって…はるちはは…俺達のジャスティス…」
春香「うう~…じ、じゃあ、プロデューサーさんは、私の、好きな人が、その…本当に千早ちゃんでも、いいんですか?」
P「一向にかまわん」
春香「むー…」
P「どんどんやってくれたまえ」
春香「…」
春香「ええっ、て…当たり前じゃないですか…」
P「いや…だって…はるちはは…俺達のジャスティス…」
春香「うう~…じ、じゃあ、プロデューサーさんは、私の、好きな人が、その…本当に千早ちゃんでも、いいんですか?」
P「一向にかまわん」
春香「むー…」
P「どんどんやってくれたまえ」
春香「…」
春香「…そうやって…またはぐらかすんですね」
P「ん?」
春香「わざと冗談めかして言って、私のこと、私の気持ち、遠ざけて」
P「…」
春香「その度に私が、ほんのちょっぴり、傷ついてるって、気づいてますか?」
P「」
P「」
P「なん…だと…?」
春香「…」
春香「…」
P「春香は本当に可愛くてな、でも、俺はプロデューサーで、春香はアイドルで、な?」
春香「プロデューサーさん」
P「はい」
春香「明日、お弁当、作ってきます」
P「…ん?」
春香「食べてください」
P「え、あ、うん」
P「え?いいの?」
春香「はい。伊織にも貴音さんにもお墨付きをもらいました」
春香「だから、きっと伝わります。私の、本気の気持ち」
P「…」
春香「春香特製ハンバーグですよ、ハンバーグ」
P「ほう」
春香「食べたらきっと、プロデューサーだから、アイドルだから、なんて言えなくなっちゃいます」
P「春香…」
春香「わかってます。でも絶対大丈夫です」
春香「だって、愛情は最高のスパイスですから」
P「…」
P「…楽しみにしてるよ」
春香「…!!」
春香「はいっ!!」
果たして、春香はハンバーグソムリエPを陥落することができるのか!?
スーパーお嫁さんにしたいアイドル天海春香の戦いはまだ始まったばかりだ!!!
がんばれ春香!!負けるな春香!!!
泣くな、お姫ちん!!!
おわり
次で完結かなー
次→P「ハンバーグソムリエPVS春香特製ハンバーグ」春香「!?」
Entry ⇒ 2012.01.19 | Category ⇒ アイマスSS | Comments (0) | Trackbacks (0)
P「春香は絶対いいお嫁さんになると思うわけよ」春香「!?」
彼女は今、自身のプロデューサーと共に765プロダクション事務所内会議室にて戦略会議を行っていた!!!
春香「ぷ、ぷぷプロデューサーさん!?そ、それって///」
P「前から思ってたんだよ。春香は面倒見がいいし空気も読めるし料理もできるし」
P「もっとこう、家庭的な…良妻賢母的なイメージで攻めて行くのもありって思うんだよな」
春香「あ、そ、そういうお話でしたか…あはは///」
春香「うぁ、改めて言われるとちょっと恥ずかしいですね」
P「なんだと!?俺の春香はどこへ出しても全く恥ずかしくない最高のアイドルだぞ!!」
春香「あわわ、プロデューサーさん落ち着いてください~」
P「こほん。まあつまりこれからは、『結婚したいアイドルNo.1』的な路線でもアピールしていくのも有りなんじゃないか、ってわけだ」
春香「け、結婚ですか…照れますね…えへへ///」
P「うむ。例えばな…」
嫁春香さん『お帰りなさいプロデューサーさん!今日もお疲れ様♪』
嫁春香さん『晩御飯できてますよ。今日のは結構自信あるんですよ~』
嫁春香さん『世界で一番頑張ってるあなたのために、一生懸命つくっちゃいました…えへへっ///』
P「ははは、春香、家でまで『プロデューサーさん』はないだろうははは」
P「まあこんな感じだな」
春香「プロデューサーさん…」
春香「な、流していいんですかっ」
P「とにかく、これからは嫁春香路線でもガンガン押して行くつもりだ。いいか?」
春香「あ、はいっ。それはもちろん。その、言われて悪い気は全然しないので…えへへ」
P「可愛い」
やよい「あれ、春香さんとプロデューサー、お話し中でしたか」
春香「あ、やよい~」
P「会議室の掃除か。えらいな」
やよい「えっへへ~」
春香「ああ、プロデューサーさん。やよいはどうですか?」
やよい「え?」
P「ほう…」
P「…そうだな。やよいも家事全般は得意だし弟妹の面倒も見ているし」
やよい「??なんのお話ですか?」
P「まあやよいはどっちかというと『お姉ちゃんにしたいアイドルNo.1』なんだけどな。俺の中では」
春香「やよいがお姉ちゃんですか」
P「ああ。忙しい両親に代わって幼い兄弟の面倒を見る健気で優しいお姉ちゃん…妹になりたいと思わないか、春香」
春香「…」
春香「なりたい…!!」
やよい「え、えっへへ~///」
やよい「あ、でもでも。私は春香さんがお母さんだったらなーって思いますっ」
春香「私が?」
やよい「はいっ!一緒にお料理したり、あとお菓子の作り方を教えてもらえたら楽しそうかなーって」
春香「私がやよいのお母さんかー…」
P「ほう…」
やよい『ただいま帰りましたーっ!!』
母春香さん『あ、やーよいっ。お帰りー』
やよい『ただいまお母さんっ!!…あれ、なんだかいい匂いがしますっ』
母春香さん『ふふ。今日はね、おやつにケーキを焼いてるんだ~』
やよい『けっ、けけけケーキですかぁ!?』
やよい『き、今日は誰かの誕生日なんでしょーか!?それともお祭りですかっ!?かいこくきねんびですかぁー!?』
母春香さん『ち、違うよ、落ち着いてやよい…別になんの日でもないけど、今日はケーキが作りたい気分だったから』
やよい『そ、そうだったんですかー…春香さんはぶるじょわです…』
母春香さん『ほんと?ありがと~』
やよい『はいっ!うっうー!春香お母さんのお手伝い、がんばっちゃいますよー!!』
キャッキャッウッウー
春香「ふふ、なんだかいつもと変わらないね」
やよい「ですね~」
P「いや、ただでさえ可愛い春香に『母』という属性が加わることにより最強に見える…やよいもしかり」
P「しかしこれでは、やよいのお姉ちゃん属性が発揮されていないな…」
小鳥「プロデューサーさん」
春香「あ、小鳥さん」
P「む…音無さん。なにか?」
小鳥「話は聞かせてもらいました。…あれを」
美希「くかー…すぴー…」.zZ
P「…なるほど、こうですね」
母春香さん『綺麗にできたね。ありがとうやよい~』
やよい『うっうー!すごいですお母さん!こんなおいしそうなケーキ初めてみたかも!!』
母春香さん『じゃあ食べよっか。あの子を呼んできて』
やよい『はーいっ!』
ガチャッ
やよい『美希ー!こら美希ー!起きなさーい』
やよい『もう3時だよ。お休みだからってダラダラしてちゃいけませんっ』メッ
美希『あふぅ…お姉ちゃんのイジワル…ミキはまだ寝足りないの…』
やよい『も~。せっかくお母さんがケーキ焼いてくれたのに』
美希『…ケーキ?』ピクッ
やよい『お母さんとお姉ちゃんで作ったんだけど、美希はいらないのかな~』
美希『起きるっ!起きたの!!美希もケーキ食べたいの!!』
やよい『えへへっ、じゃあ行こっ』
美希『はいなの!』
美希『む~、ママとお姉ちゃんおんなじこと言うの…』
母春香さん『さあさ、お皿出して』
やよ美希『は~い』
やよい『お母さん、今度ちゃんと私にも作り方教えてくださいっ』
母春香さん『うん、いいよ~。次はチーズケーキにしようか』
美希『わーいなの!ママ大好きなのっ』
母春香さん『えへへっ、どういたしまして♪』
やよい『あ、そうだ。ケーキ お 父 さ ん にも取っておいてあげなきゃ』
母春香さん『あ、そうだね。やよい、お皿によけといてあげて』
やよい『はーいっ』
春香「あはは、やよいが美希のお姉ちゃんかぁ。なんかいいね」
やよい「うっうー、すっごく楽しそうかも」
P「…お父さん…だと?」
小鳥「ピヨ…」
春香「プロデューサーさん?」
小鳥「春香ちゃんやよいちゃん、これはとっても重要な問題よ…!!」
やよい「はわっ、小鳥さんがなんだか怖いですっ」ウッウー!!
P「やよいの言う『お父さん』とは誰なのか…」
小鳥「それすなわち、春香ちゃんの旦那さんは誰か、ということ!!」
春香「うぇえっ、だ、旦那さんですかっ////」
春香「そそ、それって…///」チラッチラッ
P「千早に決まってんだろjk!!!!」
小鳥「ですよねーっ!!!」
春香「あ、あれ~?」
P「違うんだよ春香。そういうんじゃないんだよ春香」
小鳥「そうよ春香ちゃん。男とか女とか、そういうんじゃないのよ春香ちゃん」
春香「は、はぁ」
P「千早はきっとな、嫁春香や娘やよいのためなら一生懸命働くぞ」
春香「千早ちゃんはお仕事はいつも真剣だと思いますけど…」
P「そう。自分にも他人にも厳しいクール&ストイックな千早は、職場では近寄り難い存在なんだな…」
春香「え?あ、もう始まってるんですね…」
春香「あー、やよいはなんとなくわかるかも」
やよい「えー?千早さんはいつもすっごく優しいですよ?」
P「やよいにはな。まあ最近はすっかり角が取れていい感じだが」
P「まあそんな千早お父さんが、仕事から家に帰ってくるわけよ…」
父千早『ただいま』
母春香さん『あ、ちーはっやちゃんっ。お帰りなさい♪』
父千早『ええ、ただいま春香』
母春香さん『今日は早かったんだね。…えへへ、うれしいな…///』
父千早『っ///え、ええ…その…春香の…顔、早く、見た、かったし…///』
母春香さん『千早ちゃん…///』
父千早『…///』
父千早『そ、そう』
母春香さん『それともお風呂にする?外寒かったでしょ』
父千早『そうね…ご飯にするわ。お腹が空いてしまって』
母春香さん『そっか。…ふふ』
父千早『どうしたの?』
母春香さん『うん…昔は千早ちゃん、全然ちゃんとご飯食べなかったから…なんだか嬉しくて』
父千早『春香…』
父千早『…当然よ。春香のご飯を毎日食べられるなんて、こんな幸せ他には無いわ』
母春香さん『千早ちゃん…』
父千早『ありがとう、春香』
母春香さん『千早ちゃん…』
父千早『春香…』
母春香さん『…』
父千早『…』
やよい『あ!お父さん!!おっかえりなさーい!!!!』
父千早『やよいいいいいい!!!!』
母春香さん『!!!』
母春香さん『千早ちゃん落ち着いて…』
やよい『はいっ!えーっとですねー、今日はお母さんといっしょにケーキを焼いたんです!!』
父千早『そ、そうなの!!!』ドキドキ
やよい『お父さんの分もありますよー!!甘さ控えめだから、お父さんでもおいしく食べられるかなーって。えっへへ~』
父千早『高槻さん本当に可愛い!!!!!!!』
母春香さん『千早ちゃん、このやよいは如月さんだよ』
父千早『あら美希、ただいま。今日はまだ起きてたのね』
美希『うん!パパの声がしたから飛び起きてきたの!』
父千早『寝てたんじゃない…ふふ、でも嬉しいわ、ありがとう』
母春香さん『こ、この差はいったい…』
P「とまあ…こうなるわけだ」
小鳥「ピ、ピヨー!!!」
春香「プロデューサーさん…」
やよい「小鳥さん…」
千早「お二人とも」
P・小鳥「」
千早「…なんですか、いまのは」
P・小鳥「…」
千早「なるほど、春香の新しい活動方針、ですか」
P「ああ。トップアイドルの春香とは言え、その地位に甘んじていては先は無いからな」
P「今のうちから春香の魅力をどんどん前に出して行き、その地位を盤石にする」
P「そのための第一段階がこの嫁春香さん計画。これは間違いなくいける」
P「何より俺は、ぶっちゃけ春香と結婚したい(キリッ。これがこの戦略の全てを象徴しているな」
春香「っ!!ぷ、ぷろ…//////」
千早「そんなことは聞いていませんっ」イラッ
P「…」
千早「だから、どうしてそれに私や高槻さんが関係あるんですか」
やよい「わ、私は楽しかったんですけど…」
千早「…」
千早「どうしてそれに私が関係あるんですかっ」
小鳥(言い直した…)
春香(言い直した…)
千早「まったくです。私が、その、春香の…お、夫役だなんて…///」
千早「よりによって男役…くっ!」
春香(そこかぁ…)
小鳥「千早ちゃん、男とか女とか、そういうんじゃないのよ!」
千早「音無さんは黙っていてください」
小鳥「ピヨ…」
千早「はぁ…もういいです。次からは謹んでくださいね」
P「うん」
小鳥「ピヨ」
春香「千早ちゃん…なんかごめんね、私のせいで」
千早「えっ…そ、そんな、春香は全然悪くないわ…」
春香「いやぁ、まぁ私もちょっとおもしろがって聞いてたし…たはは」
千早「もう…ふふっ」
春香「でも…私はそんなにいやじゃなかったかなぁ」
千早「え?」
春香「だって…やよいや美希や…千早ちゃんが本当に私の家族だったら、きっと楽しいに決まってるもん」
千早「春香…」
千早「…いいえ」
千早「そうね…私にとっても、765プロのみんなは大切な家族だから…」
千早「みんなが…春香が私の本当の家族だったら…きっと幸せよ」
千早「今でさえ、私はこんなにも幸せなのだから」
春香「千早ちゃん…」
千早「春香…」
春香「…」
千早「…」
P「…おいなんだこれは」
小鳥「我々の出る幕ではなかった、ということですね…」
P「とりあえず録音はしておきました」
小鳥「グッジョブですプロデューサーさん!」
P「お疲れ様でしたー」
P「はぁ…あの後千早の機嫌とるの大変だったなぁ」
P「いや、ありゃ照れ隠しか。たいして怒っちゃいないと見た」
P「…」
P「はるちはは最強だよな…」
春香「プロデューサーさーん」
P「お?春香、今帰りか」
春香「はいっ」
P「おし、駅まで送っていこう」
春香「えへへっ、ありがとうございます」
P「可愛い」
P「あれ、嫌だった?ごめん」
春香「い、いやじゃないですよぉ…はぁ」
春香「…」
春香「…プロデューサーさん」
P「ん?」
春香「その…さっきの話なんですけど」
P「嫁春香さんの話?」
春香「はい」
P「当たり前だろ」
春香「あぅ//////」
P「ていうかさっきも言ったけどな。千早に怒られたけど」
春香「あはは…やっぱり、冗談なんですね」
P「はぁ?あほか。大まじめだよ」
春香「えええっ////」
P「自分で本気で思ってなきゃこんな企画出さねーよ」
春香「プロデューサーさん…」
春香「プロデューサーとして、ファンとして、ですか…」
P「そう、プロデューサーとして、ファンとして、だ。」
春香「…」
P「だからこれからも、俺達ファンのために、輝いて欲しい」
春香「…」
P「…」
春香「…そっか」
P「…春香」
春香「えへへっ、なんでもありませんっ」
春香「よーっし、そうと決まれば、まずは何からがんばったらいいですかね、プロデューサーさん!」
P「…」
P「…そうだな。料理上手なとこ、もっとアピールしていきたいな」
P「生っすかに料理コーナーの企画、出してみるか」
春香「はいっ」
春香「結婚したいアイドルNo.1にだってなってみせます」
春香「それで、『毎朝俺のみそ汁を作ってくれー!!』って言わせてみせます」
P「…ファンのみんなにか?」
春香「…」
春香「はい、ファンの人に、です」
P「…そうか」
春香「はいっ!!」
こうして、スーパー超天使アイドル天海春香の嫁春香さんへの道は始まった!!
その道のりはきっと険しい!!だが、春香ならきっと辿り着ける!!!
がんばれ春香!!負けるな春香!!!
みそ汁を作ってくれ、春香!!!
おわり
たまには春香さんは腹黒くないってことを全力で主張するスレがあってもいいよね
乙
おつ
次→P「新コーナー『ハルカキッチン♪』始まるよ」春香「!?」
Entry ⇒ 2012.01.19 | Category ⇒ アイマスSS | Comments (0) | Trackbacks (0)
岡部「比翼恋理のダル・ルート……だと?」
岡部「ヒャーッ!!」
ダル「うわ!なんだよオカリン、いきなりでけー声出すなって」
ダルが身体をビクリとして反応する。
どうしたもこうしたもない!
岡部「触った!!」
ダル「えっ?」
岡部「今、誰か触っただろう!」
見渡すと、紅莉栖と目が合った。
が、すぐに目を反らされてしまう。
紅莉栖「さ、触ったって何を……?」
紅莉栖が目を合わせないまま首をひねる。
岡部「俺の尻をだ! 誰だ今触ったやつは!挙手をしてもらおうか!」
シーンとする。
誰も挙手していない。
こいつら、しらばっくれるつもりなのか!?
岡部「おいダル、お前か!」
ダル「な、何でいきなり僕に聞くん!? 僕は野郎の尻には興味無いお!」
まあ、ダルで無いであろう事は俺でもわかる。
となれば、だ。
岡部「じゃあクリスティーナ!貴様なのか!?」
紅莉栖「ティーナをつけるなと言っとろうが!!」
岡部「なにっ!? ならば、ザ……」
紅莉栖「ゾンビでもないわ!」
岡部「ぐぬぬ……じゃあ……」
――助手、と言おうとして、またもや紅莉栖がまくし立ててくる。
紅莉栖「あ、あのさ! 時間が勿体ないんだから、さっさと実験続けない?」
岡部「う、うむ……」
が、それもそうだ。
クリスティーナの言うとおり。
俺は再び、PCの画面を見やる。
するとまたもや――。
岡部「ヒャーッ!触った! 今度こそ絶対触ったぞ!」
その証拠に、尻を触られた瞬間、とっさにその腕を力一杯に掴んでやっていたのだ!
紅莉栖「いっ……たっ! ちょ、岡部、なにすんのよ!」
岡部「“なにすんのよ!?”お前が言うのか!? こいつを見ろ!今俺の尻を触っていたやつだ!」
掴んだ腕を引っ張り、紅莉栖の目の前に持って行く。
岡部「まさかとは思ったが、やはり貴様だったのだなクリスティーナよ!」
紅莉栖「意味がわからない!全然意味がわかりません!」
紅莉栖は紅莉栖で、ブンブンと腕を振り払おうとしてくる。
しかし、俺は断固としてそれを離さない。
生意気にも睨み返してくる紅莉栖に、追撃をかける。
紅莉栖「ち、違っ……わ、私は……そう、お尻を触られた人の反応速度とリアクションの実験をしていたのよ…」
岡部「な、なに!?…………そう、なのか?」
紅莉栖「そ、そうよ! 結果あんたは“ヒャーッ!”と叫び、感応までに少なくとも2秒はかかった!」
実験……だったのか。
ちょっとビックリしたぞ。
岡部「ううむ……そうだったのか、ならば仕方がない。 ……すまなかったな」
謝罪のあと、握った腕を離してやると紅莉栖はその腕をさすりながら、
紅莉栖「べ、別にいいけど……」
と、許してくれた。
紅莉栖「ふえっ? なにを?」
ハトが豆鉄砲を食らったような顔をしている。
岡部「レポートに決まっているだろう。 実験なのだから書くのではないのか?」
紅莉栖「あ、ええっと……わかった。 明日には提出出来ると思う」
紅莉栖はメモを取り出して何かを書き出した。
しかし、驚いたな。
まさか本人の知らぬところで脳科学実験の対象にされていたとは。
ただ、興味深いのは興味深い。
この実験によって何が得られるのかはわからないが、曲がりなりにも天才少女の考える実験だ。
もしかすると、人類史に残るような偉大な実験なのかも。
ここはあえて、紅莉栖に協力してやる事にする。
ダル「うっわ! ちょっ、オカリンなにするん!!」
ダルの尻を触ってやると、奴は即座に俺の腕をとってひねりあげた。
岡部「いてててててててて!!」
……すごく痛い。
しかし、今のはダルにしては反応が早かったんじゃないか?
俺は、期待を込めて紅莉栖を見やる。
が、またもやポカンとしていた。
ええい、何をしているのだ!
岡部「じょ…助手よっ!今のはなかなかに早かったんじゃないか!?」
紅莉栖「え、えっ!? ああ、そうね……橋田至、約1秒で実験者の腕をひねり上げる、と」
そう呟きながら、メモ帳に目も落とさず、ペンでグルグルと何かを書き込んでいる。
はて、そういえば……。
岡部「す、ストップウォッチ……いててて! ダル、そろそろ離せ!」
ダルがハッとしたように、俺の腕を解放する。
肘の関節が痛い。
筋が変な事になっていなければいいが……。
ダル「あ、ああ、ごめんお……それよりさ、それマジで実験なん?」
それそれ。
岡部「……俺も不思議だったんだが、約1秒とか2秒でいいのか? 随分と曖昧なようだが」
紅莉栖「ど、どういう事?」
岡部「いや、ストップウォッチとかでしっかり計測しなくていいのか……と訊いている」
大体計測機器が見当たらないし、クリスティーナがそれらを操作している風にも見えないではないか。
紅莉栖「えっ? ああ、そうね。ストップウォッチは明日用意してくる…」
おいおい……マジかよ。
しっかりしてくれ!
これでは俺もダルも“触られ損”!
俺に至っては“負傷させられ損”ではないか!
岡部「全く!そんな重要なところで詰めが甘いとは……とんだおっちょこちょいだな、貴様は」
紅莉栖「う、うん……ごめん」
岡部「これが実験だと解った今、明日急に尻を触られてもリアクションに困るぞ?」
ダル「だよねー。それに、それだと反応実験にならんだろうし…」
紅莉栖「そ、そうね……うかつだったわ」
紅莉栖が俯いたまま、微妙な返事を返してきた。
まゆり「そろそろまゆしぃはバイトに行ってくるのです♪」
岡部「ああ、そうか」
まゆり「じゃあね、オカリン」
岡部「あ、待てまゆりよ」
そそくさと出て行こうとするまゆりを呼び止める。
岡部「そのトートバッグの中を見せろ」
俺は、まゆりが脇に抱えたカバンを指さしてやった。
まゆり「えっ!?」
岡部「いいから、テーブルの上に全てあけるのだ」
それを聞いていた紅莉栖が研究室から出てきて割って入ってきた。
紅莉栖「ちょ、岡部! まゆりになんていうHENTAI的行為を……」
岡部「はい」
紅莉栖「はいじゃないが……あっ!」
言いかけて赤面する紅莉栖に、俺は右手を突き出して制止する。
紅莉栖「で、でもっ!女子のカバンをチェックするなんて、どう見てもデリカシーゼロのHENTAIだろ!」
まゆり「オカリン……まゆしぃは悲しいのです……」
岡部「くっ………」
まあ、確かに。
まゆりも心なしか涙目になっている。
いきなりカバンの中身を見せろ、というのはやりすぎたか。
岡部「じゃあまゆり、そのクロシェを脱いで見ろ。 さっきからずっと不思議だったのだ」
今度は、まゆりの頭を指差す。
室内で帽子を脱がないなど、ダルではないのだからな。
明らかに不自然だ。
まゆり「え、えぇー……」
紅莉栖「……まゆり?」
戸惑うまゆりを、紅莉栖が訝しげな音を込めて呼ぶ。
マジですか! それは楽しみすぐる
岡部「どうした? なにか脱げない理由でもあるのか?」
まゆり「それは……」
紅莉栖と俺に詰め寄られ、とうとう観念したまゆりが帽子を脱いだ。
パチリと音がして、床に俺の歯ブラシが落ちる。
間違いない、それは俺のだ。
“鳳凰院凶真”という俺の真名が書かれている。
岡部「やはりお前だったのか、まゆり……」
まゆり「うう……ごめんオカリン…」
紅莉栖「……」
またもや紅莉栖はポカンとして、言葉を失っている。
岡部「今週に入って、これで17本目だぞ……?一体なんのつもりなのだ?」
まゆり「え? えっと……えっと……」
まゆり「お父さん?」
と呟いた。
え? お父さん?まゆりの?
まゆり「お、お父さんの靴を磨いてあげようと思って……えっへへ」
岡部「なにっ!? それは本当か! まゆり……」
まゆり「う、うん。 お父さんにはね、いつも綺麗な靴を履いていて欲しいなぁ、って」
岡部「まゆり……」
なんていい子なんだろう……。
このラボに歯ブラシ泥棒がいる!
…などと疑ってしまっていた自分が恥ずかしい。
岡部「すまなかったな、まゆり……これは持って行け」
床から歯ブラシを拾い上げて、まゆりに手渡してやる。
まゆり「えっ、いいの? オカリンありがとう♪」
岡部「ああ、おじさんによろしくな。 あと……バイト頑張れよ」
まゆり「うん!」
まゆりは純粋な笑みを浮かべると、そのままフワフワとラボを出て行ってしまった。
紅莉栖がチラチラとこちらをみてくる。
クリスティーナのやつ、前に父親とは不仲だと話していなかったっけ?
いきなり靴を磨かれても不審に思われるだけだろうに。
まあ、いい。
なにか復縁の取っかかりが欲しいのだろう。
岡部「助手にしては殊勝な心がけだな。 ちょっと待っていろ」
紅莉栖「えっ? いいの?」
俺は、流し台の扉から新品の歯ブラシを取り出して紅莉栖に渡してやった。
俺はそのまま紅莉栖に近付いて、
岡部「ありがたく思えよ。 ……なんせ“新品”なのだからな。まゆりが嫉妬するといけないから内密にするように」
と、耳打ちする。
紅莉栖「さ、サンクス……」
どうやら、俺の気遣いにたじろいでまでしまったようだ。
岡部「礼には及ばん……ラボメンが家族と上手くいくよう取り繕ってやるのも俺の役目なのだからな」
俺は、わざとらしく前髪をかき上げて見せた。
最高に決まった。
それからというもの、電話レンジの放電現象が起こらなくなり、
実験を中止せざるを得なくなった俺達は、各々ラボを後にした。
ラボの外はうんざりするほど蒸し暑く、遠くでセミが鳴いている。
岡部「久しぶりに実家に帰ろうか…」
しばらく池袋の実家には帰っていなかった。
もちろん、俺にとっては世界の支配構造を塗り替えるための未来ガジェット開発の場である、
ここ、大檜山ビル二階の未来ガジェット研究所こそが実家のようなものではあるが、
さすがに二週間も家に帰っていなくては、親にやいのやいのとやかましく言われかねない。
今日は研究のキリもいいので、一度実家に帰っておく事とする。
そして俺が実家に向けて歩みを始めて、しばらくして異変は起こった。
岡部「まさか……つけられている?」
やはり今日もつけられている。
何者かの尾行に気付いたのは、ラボを出てほんの数分足らずの所だ。
まさか、とうとう“機関”の奴らが俺たちのラボを押さえにかかったというのか!
気がつくと俺は、手どころか背中にまで冷や汗をかいていた。
歩幅は自然と広くなり、息を早めながらひたすら追跡者と追走劇を繰り広げる。
しかし、さすがに辛い。
日頃の運動不足が祟ったか。
俺は観念して立ち止まると、追跡者が居るであろう路地裏に向きなおった。
岡部「そろそろ出てくるがいい!貴様が数日前からコソコソと俺をつけ回していた事くらいわかっていたぞ!」
出来るだけ凶悪に、マッドサイエンティストのポーズを決める。
岡部「そのお粗末な尾行……この俺が、狂気のマッドサイエンティスト、鳳凰院凶真と知ってのことか!?」
大声で怒鳴りつけて追跡者を脅してやったつもりだ。
これでただの勘違いだったら実に恥ずかしい。
しかし、路地裏からは息をのむような気配が返ってきた。
え、マジで?
やっぱりつけられていたのか!?
どうしよう!
???「あっちゃー、バレちゃってたかぁ、これは失敗した……」
意外にも、路地裏から現れたのは大檜山ビル一階に居を構えるブラウン管工房のバイト戦士、阿万音鈴羽だった。
岡部「なんだ、バイト戦士か……ビックリしたぞ」
鈴羽「いやぁ……ごめんごめん……」
自転車を引きながら出てきて、なんともバツの悪そうな顔で頭を掻いている。
岡部「お前、こんな所で何をしているのだ?まさか俺をつけていたのか?」
鈴羽「えっ!? …あ、いやー……あのさ、警護?」
岡部「そうか……」
鈴羽「う、うん。そう。 へへへ…」
はて?
“けいご”? “敬語”?
ああ、“警護”か。
岡部「いや待て、警護、だと?」
岡部「う……む。 まあ、そうだが」
鈴羽「だから、あたしとしては放っておけなかったっていうか……前にあたしが言ったじゃん」
鈴羽は、依然として目を泳がせたまま、こちらを見ようとはしない。
岡部「言ったじゃん? って何をだ」
鈴羽「困った事があったら相談して、って。 岡部倫太郎、あんまり一人で無茶したらダメだよ?」
そう言えば、初対面の時に言われた気がする。
その時は、なんだこいつ、と思ったものだが。
岡部「バイト戦士……」
最近昼も夜も、何者かが俺の周りを監視していると思っていたが、なるほど。
あれはすべてバイト戦士が俺を見守っていてくれたのか。
このままいけば、あの冷酷非道の鬼と恐れられたミスターブラウンまでもが、我が手中に落ちるのも時間の問題。
改めて“俺”というものが恐ろしくなる。
岡部「バイト戦士……いや、鈴羽よ」
鈴羽「えっ?」
岡部「貴様は今日から、この俺のボディガードだ」
鈴羽「えっ! いいの?」
鈴羽が目を見開いて聞き返してくる。
いいもなにもない。
願ってもない事だ。
俺は確かに鈴羽の言うとおり“機関”に狙われているとみて間違いない。
ゆえに、味方は多いに越した事はない。
となれば、ここでこの申し出を受けないのは馬鹿というものだ。
岡部「当たり前だ。頼りにしているぞ? 鈴羽よ」
鈴羽「ちょっ……わわっ! お、岡部倫太郎!?」
岡部「さあ来い! 存分に警護してくれよ」
鈴羽「あっ……う、うんっ! 任せて、岡部倫太郎!キミはあたしが“見守る”よ! えへへ」
俺は鈴羽の手を取ると、そのまま池袋にある実家まで警護してもらった。
その後、鈴羽がそそくさと自室に入ってこようとしたのはさすがに止めたが。
今日は朝っぱらから暑すぎて、俺はラボに行くのをためらった。
まゆりと紅莉栖に、今日は研究活動は休みだとメールを飛ばし、
気晴らしにでもなるかと、久しぶりにダルを釣りにでも誘ってみる。
海にでも行けば、海風が少しは癒やしてくれるだろう。
電話の向こうでダルが散々渋ってばいたが、15分も粘ると観念したようで、気が向かないが出てくるという。
実家の玄関を出たところで、偶然ひょっこりと姿を現した鈴羽と共に、ダルとの待ち合わせ場所に向かった。
鈴羽「おっはー、橋田至」
岡部「待たせたな、ダル」
ダルは待ち合わせ場所にて、汗を拭き拭き立ち尽くしていた。
ダル「遅いおオカリン。 あれ、阿万音氏も一緒なん?」
岡部「……たまたまそこで会ってな」
鈴羽「う、うん」
鈴羽が顔を赤らめて頭を掻いている。
いや、そこは照れるところではないぞ。
変な誤解を招いたらどうするのだ。
ダル「ふーん。 んでオカリン、今日はどこ行くん?」
岡部「ああ……えっと……」
釣りとは言ったものの、明確な場所までは決めていなかった。
そもそも、俺たちは釣り竿など持っていないし、いつもその辺に落ちている棒状のものに糸を括り付けて、
海に垂らすだけという無意味な作業を繰り返すだけなのだから、実際、海があればどこでもいいのだ。
長らく考え込んでいる俺を見て、ダルがため息をついた。
ダル「まさか考えてなかったん? オカリンってそんな奴だったっけ」
岡部「なに? 釣りなら前にも行っただろう?前もこうだったではないか」
ダル「は? 僕とオカリンが釣りに? いや……そんな覚えはないお」
岡部「なに……?」
おかしい。
どうも最近、ダルとの記憶に齟齬がある。
一緒にサンボすら行ったことがないと言うのだ。
一体、どうしたと――。
ダル「とりあえず、海のあるとこ行けばいいんじゃね?」
考えかけた所で、ダルがもっともな意見を出してくる。
岡部「……そ、そうだな。 とりあえず、お台場辺りに行ってみるか」
俺たちは、有明駅から出ると、すぐ近くにあるビッグサイトを通り抜け、目的の海に到着した。
魚釣りの餌は、駅で購入したあんパン。
ダル「こんなもんで釣れるんかお?」
ダルが糸を垂らしながら聞いてくる。
岡部「いや、釣れた事はないな」
ダル「は?」
岡部「釣れた事はない、と言っている。一度もな」
ダル「……」
早くも、竿を持つダルが帰りたそうにしている。
鈴羽「ふーん、岡部倫太郎って、もぐもぐ……思ったより面白いやつなんだねー、んぐっ」
岡部「お、おい……それ、お前……」
頬に餡をつけた鈴羽が、不思議そうに俺を見てくる。
それに気付いたダルが、空になったあんパンの袋を拾い上げた。
ダル「あーあ、阿万音氏、あんパン食べちゃってんじゃん……それ餌だろ?魚釣りの」
なんということだ……いきなり魚釣り作戦が頓挫してしまう事になるとは。
鈴羽「あー、ごめん……おなか空いててさ……」
くっ……。
せっかく気分転換にと釣りに来たというのに、これでは15分と保たないではないか。
そこからというもの、餌を無くした俺たちは、
無意味にもその辺の葉っぱや石ころを糸にくくりつけては海に投げた。
岡部「やはり、石ころでは駄目か……」
石を餌として30分近く粘ってみたが、当然、当たりの気配はない。
ダルが横目にチラリとこちらを見てくる。
岡部「……そうか? そういうダルは何をつけている?」
ダル「僕は葉っぱを付けたお?」
岡部「いや、同レベルではないか!!」
ダル「いや、オカリンに言われたくないわー! 石ころよりマシだろー」
岡部「なにっ!?それはどういう意味だ!!」
ダル「そのまんまの意味だろ」
岡部「この野郎!」
そんな俺たちのやり取りを見て、その辺で拾ったネジを餌に釣りを続けていた鈴羽が吹き出した。
鈴羽「あはは、キミたちって面白いねー」
岡部&ダル「え?」
鈴羽「なんかさ、こうして見てると兄弟みたいだよ?」
は?
ダル「オカリンと――?」
見事に被ってしまう。
それを見て、再び鈴羽が吹き出した。
俺は無性に気恥ずかしくなり、怒ってはいないのだがギリリと歯噛みする。
そしてダルはというと、にやけながら呟く。
ダル「まあ確かに、今日のオカリンは何か面白い気がするお」
なんだと?
岡部「そ、そうか……俺はいつもこうだが?」
ダル「そうなん? いやいや、馬鹿っつーか、見てて飽きないっつーかさ」
岡部「あ、貴様!今馬鹿と言ったな!」
背後から近付いて、ダルの肩をグッと掴んで絞り上げてやる。
ダル「いててて! 何すんだよオカリン……って、おっ?」
ダルが釣り竿を見て反応する。
それに続いて、ヤツの釣り竿を見ると、なんと糸が揺れているではないか。
ダル「う、うん!何かかかったみたいだ!」
もちろん針など付いていないのだが、まさかそれに食いつく魚がいるとは!
とんでもない馬鹿がいたものだ!
岡部「フゥーッハハハ!! ダル!慎重にいけよ……!? 何としてもそいつを釣り上げるのだ!」
ダル「お、オーキードーキー!」
気付くと鈴羽までもが、自分の持っていた釣り竿を投げ捨て、ダルの隣で海面を見つめていた。
ダル「っしゃあ! 来いコラーッ!」
ダルが竿を引っ張り上げると、なんと本当に魚が釣れているではないか。
鈴羽「うっわー!すごーい!!本当に釣れたじゃん!」
岡部「なん……だと……?」
糸の先でピチピチと跳ねる魚を、俺はただ呆然と見つめた。
ダル「本当に釣れるとは思わんかった……」
ダルは腰が抜けたらしく、地面に座り込んでいる。
釣れないと思っていた分、これは悔しい。
見返してやらねば。
鈴羽「えっ!?」
岡部「葉っぱだ!葉っぱをかき集めろ!!」
鈴羽「う、うんっ、わかったよ!」
結局それから2時間粘ったが、一匹も魚は釣れなかった。
ダルの釣ったやつも、あまりにやせ細っていてかわいそうだからと、
結局は鈴羽の制止も無視して海に放り投げてやったのだった。
もっとも、俺はその時にひどい目にあったのだが。
ダル「はふぅ、盛大に時間を浪費した気分だお…」
電車のなか、ダルが汗を拭いながら言った。
鈴羽「うん、でもなんか楽しかったよね」
ダル「あー、それは同意」
岡部「なに?終始文句を言っていたくせによく言う……」
ダル「いや、それでも楽しかったって。オカリンが海に落ちたところとか特にな」
電車内のクーラーの風が冷たい。
未だに服が身体に張り付いて気持ち悪い。
磯の香りがする。
友情ルートなら男性に需要あるよな十分
岡部は言うまでもなく超人気キャラだが、橋田も人気だし
ダル「うそつけー! あん時のオカリンの顔、一生忘れないお」
鈴羽「あっははは!」
ダル「でも、オカリンがこんなに面白い奴だと思わなかったお、プークスクス」
岡部「くっ………お、お前たち!笑うなっ!!」
俺達は、秋葉原駅について、俺を除いてそれぞれがいい気分のまま解散した。
もちろん、この神社の宮司の息子、漆原るか。
通称、ルカ子の行っている“修行”の進捗状況を見るためにだ。
岡部「今日もご苦労な事だな、ルカ子よ」
ルカ子は今日も今日とて、このいじめのような、殺人的な日差しの下で健気にも掃き掃除に汗を流していた。
しかしそれは、日に焼けてはおらず、相変わらずに透き通るような白を称えている。
るか「あ……っ! おかべ……じゃなかった、凶真さん!」
俺に気付いたルカ子が掃除の手を止め、こちらにスイスイと寄ってくる。
その立ち振る舞いは、巫女そのもの。
実に神聖でいて優雅だった。
だが男だ。
岡部「うむ、ルカ子よ。そういえば、昨日は素振りのメールが無かったが……」
るか「あっ……すいません……」
ルカ子が、狭い肩をがっくりと落とした。
岡部「そうだったのか」
なるほど、神社を空けられなかったということか。
岡部「……ならば仕方がないな」
るか「本当にすみません……」
うなだれるルカ子の頭に、ポンと手を置いてやる。
岡部「いや、気にする事はない。 昨日出来なかった分、今日やればいい話だ」
るか「は、はいっ!ありがとうございます…っ!」
実に可愛い弟子だ。
可愛いというのは可愛いではなくて、弟子に対する可愛いなのだが。
るか「そうだ、凶真さん!良かったらお茶でも飲んで行きませんか?」
ナニーッ!?
岡部「お……お茶……だと……? いやいい!」
今日は随分、いきなりかましてきたな!
ルカ子が大声をあげてビックリする。
俺もそれにビックリした。
岡部「いっ、いや……この後寄るところがあってな……」
るか「そうなんですかぁ……」
またもやルカ子が肩を落とした。
このルカ子の出す、漆原家のお茶が非常にまずい。
不味いのではなく、色々な意味でマズい。
とにかく危険なのだ。
先日、俺がこれを飲んだ時など、一日中身体の火照りが治まらず、
しまいにはダルの尻にまでアレしてしまったくらいなのだ。
無論、思ってても行かなかったわけだが。
しかし、あの時俺が昏倒していなければどうなっていた事か。
思い返してみてもゾッとする。
るか「……っ」
ルカ子は去りゆく俺を、なぜか恨めしそうに見つめていた。
後ろ髪を引かれる、とはこの事だろうか。
だが男だ。
目が合うなり、いきなり俺に飛びついてくる。
岡部「ぐあっ! フェイリス!離れろッ!」
フェイリス「イヤニャイヤニャア~! 凶真ぁ、ニャフフぅ~」
フェイリスがだだをこねながら、おもむろに胸を押し当ててくる。
岡部「こらやめろ! 当たっているぞ!」
まゆり以上に華奢なロリっぽい見た目に対して、この肉感は反則だっ!
即刻離れて貰わねば、大惨事を巻き起こす事になるかも。
フェイリス「えっ? 何がニャ?」
フェイリスが目を丸めて見上げてくる。
岡部「な、何って……」
そこでフェイリスが、何かをひらめいたかのように、ニヤリと意地悪そうな笑みを浮かべた。
フェイリス「……そうだニャ、何が当たってるか、凶真のお口から言えたら離してあげるニャ?」
この状況はそうとしか思えない。
依然としてフェイリスは胸を押し当ててくる。
やわらかい。
周囲の客が、一様にギロリと俺を睨んでいた。
まずい。
完全にアウェーなうえ、しかもそこでマウントを取られたような気分だ。
なんとかしなければ………あ、そうだ。
岡部「フェイリス、いいから離せ! こんな状況、アイツが見たら悲しむぞ……」
正しくは、こんな間抜けな状況。
フェイリス「アイツって………ハッ!」
とっさに口から出任せを言ってやると、フェイリスはハッとして身を離した。
どうやら、上手くいったようだな。
フェイリス「も、もしかして……フェイリスのお兄ちゃん……?」
俺はその隙を見計らって、メイクイーンの店内に視線を巡らせる。
すると、奥の席に、先ほど俺がメールで呼び出したダルの姿が見えた。
フェイリス「ま、まさか……フェイリスのお兄ちゃんが聖域から戻ってきた……ニャムッ」
俺の左手がフェイリスの口を塞ぎ、これ以上の妄想発言を抑える。
俺は、右手の人差し指を自らの口に添えて、フェイリスに静かにするよう促した。
そうして、俺もあえて小声になり、目だけで辺りを見回しながらフェイリスに伝えてやる。
岡部「今アイツの話を出すのは危険だ……後でメールで詳しく話してやる」
フェイリス「……そ、そうだったニャ。凶真、お願いするニャン。 魔王の手下がどこで聞いてるかわからないしニャ……」
いねえよ。
思わず突っ込みそうになるのをグッとこらえる。
まず、魔王の手下などは少なくともこの秋葉原には来ないであろう。
岡部「ああわかった、約束しよう」
フェイリス「ありがとニャ、凶真♪ フェイリスが頼れるのは凶真だけニャ」
しかし、今はダルと話すことが先決。
岡部「なあ、フェイリス。ダルが先に来てるだろう? 今はそっちに通してくれないか」
フェイリス「わかったニャ♪ご主人様一名、ご案内ニャンニャン!」
俺は、案内しようとするフェイリスのからみつく攻撃を交わし、店の奥へと向かった。
背後からフェイリスのわめきが聞こえるが、無視する。
岡部「ダルよ、待たせたな」
ダルは窓際の席に座ったまま視線を逸らし、不機嫌そうな顔をしている。
ダル「オカリン、いきなりフェイリスたんと絡みつきやがって。 許さない。絶対にだ」
ふてくされているダルの前に腰を下ろすと、向こうからヤツが睨みつけてくる。
岡部「冗談ではない。俺だってやりたくてやっている訳ではないのだ…」
ダルの目の前に置かれたコップをひったくり、一口水をあおった。
岡部「うぐっ……お前まで気持ち悪い事を言うな!」
身を乗り出して、ダルの頭をひっぱたいてやった。
ダル「いてて、冗談だお…」
岡部「今の俺には……この世界線では、何が冗談で何がそうでないのか、さっぱりわからんのだ…」
そして、変わらないのはダル、お前のみ。
ダル「サーセン。 それよりそれって、前にオカリンが言ってたやつだろ?」
ダルが帽子の位置を直しながら聞き返してくる。
俺はテーブルにひじを突いて、頭を抱えた。
岡部「……ああ、やはり皆の様子がおかしい」
ありえない。
前いた場所では、こんな事などあるはずがないのに。
俺は、なんだなんだ、と両手でそれを掴む。
顔を上げるとダルがあわあわとしている。
岡部「ん?」
フェイリス「あん、凶真ったらぁ……えっちだニャ……」
岡部「うぐおッ!!!」
見ると、フェイリスが自らの胸を俺の頭の上に乗せてきていた。
フェイリス「凶真、それって……ん、いやんっ……なんの話ニャ?」
やっぱりおかしい。
岡部「やめろやめろ! 何の話でもない、あっちへ行っていろ!」
フェイリス「ニャウーッ……凶真ったら、ノリが悪いニャ~」
俺はネコ娘メイドの悪質な精神攻撃を振り払う。
するとフェイリスは、そのままカウンターの方へヒョイヒョイと去っていってしまった。
俺は改めてダルに向き直る。
岡部「な? 明らかにおかし――」
言おうとして、ダルが両手を差し出している事に気がついた。
ダル「オカリン、握手してくださいお願いします」
ダル「い、いま触ってたよな、オカリン……」
触ってたって……あ。
岡部「ばっ、馬鹿者ッ!! あんなものに惑わされるな!」
ダル「触ってたのは触ってたろ? オカリン頼むお……僕、握手してくれたらオカリンの話を信じる」
岡部「なにっ!?」
……仕方があるまい……まあ、この世界線で頼れるのはダルだけなのだし。
岡部「くっ………ほら」
ダルに向けて手を差し出してやる。
ダル「あ、あざーす!」
いうが早いか握るが早いか、ダルが俺の手を取って、手の平をためつすがめつ眺めている。
ふと、隣のテーブルの奴と目があった。
岡部「お、おいダル、いい加減に離してもらおうか?」
ダル「ちぇー、オカリンだけずるいお……フェイリスたんの、な、生おっぱいなんて…」
岡部「うるさい! あれは不可抗力だ! それに生ではないわ、この馬鹿が!」
ダルの手を振り払うと、奴は“あうう”ともの惜しげなため息をついた。
結論から言う。
岡部「それで……これってやっぱりセクハラ……だよな?」
ダル「は?」
岡部「いや、一昨日の紅莉栖の尻タッチやらまゆりの歯ブラシ泥棒やら…」
その他、鈴羽のストーカーやら、今日に至ってはルカ子が薬を盛ろうとしてきた事やらも、ダルに説明してやった。
岡部「それで、フェイリスもあの様子だ。 正直、尻の座りが悪くてかなわん……」
必死に冷静を装うとして、現実から目を背けてきたが、もう限界だ。
以前と変わらないのはダルのみ。
そう思ってダルに告白してみたものの、当のダルはキョトンとしてしまっている。
すがる思いだったのだが、ダルから発せられた言葉は意外なものだった。
ダル「それ、なんてエロゲ?」
なに……?
なんだと………!?
岡部「き、貴様ぁッ! 俺が真剣に悩んでいるというのに!」
手の平でテーブルをバンバンと叩く。
周囲の客からどよめきが起こった。
そう言うと、ダルも真剣な顔になってかぶりを振る。
ダル「でもさ、僕から見たら様子が一番変なのはオカリンだお?」
岡部「なに……?」
ダル「いや、ここ数日は、オカリンがまるで別人みたいじゃん。昨日とか釣りに行くとか言い出してさ」
岡部「……俺が……別人?」
薄々感づいてはいたが…やはりそうか。
そう言えば、皆がおかしくなってから、その事についてダルに話したことはあれど、
結局それだけで話は終わってしまい、俺自身の事について話したことはなかったのだった。
ダル「そ。僕ぁてっきりオカリンが改心したんだと思ってたけど」
岡部「改心……か。 な、なあ、ダル。 以前の俺って、どんなだったのだ?」
俺がDメールによって、ここに来る以前の岡部倫太郎について聞きたいのだ。
ダル「んー?」
ダルがなんとも不思議なものをみた顔をして見つめてくる。
無理もない。
本人から自分の事を聞かせてくれ、など、普通はあまりない会話だ。
ダル「なに? まさか覚えてないん?」
岡部「そんなところだ……」
ぶっちゃけ、何も覚えていない。
ダル「ふむう。 あんま信じらんねーけど。 うーん、そうだなぁ…」
ダルが腕を組みながら考える。
ダル「……前のオカリンは、とにかく女の子全員をクドいてたお?そらもう、手当たり次第に」
岡部「なん…………だと……?」
俺が女を口説いていた、だと?
岡部「……」
……今の俺は子供っぽいと見られていたのか。
ダル「さっきのフェイリスたんの下りみたいなバカ話も、まともにしなかったんだぜ?」
岡部「そう……なのか?」
ダル「そうだお。 なんていうか、リア充すぎて別の世界で生きてる、みてーな」
岡部「……」
ダルが思い出したように手を打った。
ダル「そうそう、ATFでの講義中にもかかわらず牧瀬氏を口説きにかかった時があったろ?」
岡部「………なに!!?」
ダル「あれにはさすがに頭が下がったっつーか、こいつアホだと心底思ったっつーか……」
アホだ……心底。
俺は一体、どうしてしまったというのだろうか。
どんなDメールが、俺をそのような救いようのないアホへと変えてしまったというのか!
俺はだんだんイライラしてきて、自分の膝を叩く。
その痛みで少し冷静に戻った。
いや……まさか……アレなのか?
だとしたら、俺は……馬鹿だ。
ダル「あ、おおう。 やっぱりオカリン様子が変なのだぜ?大丈夫かお?」
今度は打って変わって、心配そうに俺を見つめてくる。
岡部「ああ……わざわざすまなかったな……」
そう言って立ち上がろうとした時、ダルが声を掛けてくる。
ダル「オカリン?」
岡部「なんだ?」
ダル「まだ半信半疑だけど、本当にオカリンが前のオカリンと違うならさ」
岡部「ん?」
ダル「僕は今のオカリンの方が好きだお」
意味を考えて、思わず赤面してしまう。
岡部「なっ、ダルッ!? お前、なにを馬鹿な事を……!」
ダル「いや、深い意味はないって。 そのまんまの意味だろ」
ダル「オカリンはアホより馬鹿の方が断然いいのだぜ?」
岡部「ぐぬぬ……」
俺はダルに背を向ける。
そんな時、ダルから声がかけられた。
ダル「オカリンは、また別の世界線へ行っちゃうのかお?」
………。
岡部「……あとでラボに来い。Dメールを使う」
ダル「そう、わかった。 それじゃ後で」
振り返らずにそう伝え、俺はメイクイーンを出た。
ダルが先ほど言ってくれた言葉に、この世界線で不確かな存在である“俺”というものが、少しだけ許されたような気がした。
考えられるのは、あの時。
前世界線のダルと、過去改変について何をしようかと迷っていたとき、
当時14歳でレトロゲームにハマっていた俺が、念願かなってようやく叔父から借りられた、
ファミコンとドラクエ1・2のセット。
それを何を思ったのか、14歳の岡部少年に、Dメールでラスボス直前の、
“ふっかつのじゅもん”を送ってみようず、という話になったのだった。
俺とダルは連日連夜、旧ドラクエをプレイし、ようやく最強のふっかつのじゅもんを入手。
それを迷いもなく過去の俺の携帯に送信していたのだ。
そんなに傷ついたのか、俺。
人格が変わるほどに。
すまなかったな……。
などと、知りもしない岡部倫太郎を思い浮かべて感傷的になってしまう。
しかし、俺のいるべきところはここではない。
正直、そんなものは見たくなかった。
クリスティーナはクリスティーナであって、この俺の助手なのだ。
間違っても助手の痴態など、誰が見たいものか。
それに、まゆりは盗みなどしない。
あいつはいつでも純粋で純朴で、ラボの中でも微笑んでくれていて。
バイト戦士は、気さくは気さくだが、決して他人の深いところまで踏み込んではこない。
ルカ子は真面目で可愛くて、あんな卑怯な手段など使わない。
フェイリスはあれで、よく考えていて、あんな浅はかなことはしない。
ダルの事は残念だが、さっきの話で、どこに行ってもダルはダルだと確信出来た。
だから俺は。
―――元の世界を取り戻す。
それだけが、俺の望むところなのだ。
と、考えていたところでラボのドアが開いた。
ダル「オカリン、Dメールの内容は考えたのかお?」
ダルは入ってくるなり、そう訊いてきた。
こいつは、信じる信じないにせよ、俺を全て理解してくれているのだな。
胸の中に、どこか暖かさを感じる。
先ほどの感傷を振り払うべく、俺はかぶりを振った。
岡部「こいつを送れば……世界は変わる」
ダル「そっか、よくわかんねーけど、なんか残念だお」
研究室の椅子に座ったダルが、肩を落としてそう呟く。
岡部「……そんなに残念か? 馬鹿な俺が」
ダル「うん、せっかくオカリンと解り合えたっつーか、言いたいこと言い合えるようになった気がするのに」
岡部「……すまなかったな」
ダル「いや、気にすんなよ。前のオカリンも嫌いじゃないし、きっとまた仲良くするって」
岡部「ダル…」
……俺たちはこの先もずっとこうなのだろう、と。
そうあってほしい、と願う。
どこへいっても、どんな未来でも。
死ぬまで、俺の親友。
その様は伊達政宗と片倉景綱の如く。
ダル「うへっ、オカリンきもちわりー!」
ダルが吹き出す。
岡部「なっ、貴様ッ! せっかくこの俺が…!」
走り寄って、ダルの頭をひっぱたいてやる。
ダル「いてっ、やめろってオカリン!」
岡部「お前がからかうからだ!」
ダル「いや、でも……ぷっ……あはははは」
ダルがでかい腹を抱えて笑い出す。
岡部「……っ。 くくく…はははは!」
俺もそれにつられるようにして、笑いが止まらなくなった。
それから、しばらく笑いあう。
ラボの中で、うんざりするほど暑苦しくも、男二人。
ようやく落ち着いた俺たちは、X68000へと向き合う。
ダルは俺の言葉に、PCの画面から目を離さず、ただ黙ってサムアップして見せた。
岡部「それじゃあ……………いくぞッ!電話レンジ(仮)起動だ!!」
電話レンジ(仮)が、激しく放電を開始する。
その時、振り返ったダルの眼鏡は青白い閃光が反射していてよく見えなかったが、
一抹の寂しさを称えているように見えた。
ダル「オカリン……また、あっちで会おうぜ?」
岡部「………ああ」
俺は―――。
送信ボタンに―――。
―――力を込めた。
ここは未来ガジェット研究所のラボだ。
相変わらず、俺はダルと一緒に、PCの画面をただぼんやりと眺めていた。
腹がぐるると鳴る。
岡部「うう……む」
時刻は正午。
俺は、戻って来られたのだろうか?
そんな時、ダルがPCを見ながら呟く。
ダル「うーん、やっぱ見つかんねえッス……チキショー。やっぱ駄目だわ、オカリン」
どうやら、ダルは今流行りのアニメのコスプレ画像を検索していたらしく、
俺も馬鹿らしくも、それに付き合っていたようだ。
思わず、自分の馬鹿な選択に吹き出しそうになる。
ダル「ん。 なんだお?」
岡部「ダル……ここらで一時中断して、サンボにでも行かないか?腹が減ってしょうがない」
ダルはPC画面からは振り返らない。
相変わらず、検索結果を上から下へと忙しく視線を走り回らせている。
ダル「えっ? んー、まあ、腹は減ってるわけだが……」
岡部「そうだろう? ……今日はな、なんとこの俺がおごってやろう」
ダルがビックリして振り返ってくる。
眼鏡の奥の、つぶらな瞳がギョッとしている。
無理もない。
ケチな俺がおごるなんて言ったのだからな。
ダル「え……それマジで?」
岡部「……ああ、マジだ」
そして立ち並ぶビルが吐き出す排気熱も相まってか、相変わらずのクソみたいな蒸し暑さであって。
馬鹿馬鹿しい生活を続ける俺たちをまるでだめ押しするかのように、いつまでも熱し続けていく。
アスファルトには、細い影と太い影がふたつ。
俺たちは、遠くに見える陽炎に、そのうち段々と包まれて消えて――。
http://www.youtube.com/watch?v=xPmG8fKtpNs&sns=em
岡部「あー………ダルよ?」
ダル「ん? なんぞ、オカリン」
岡部「あ、いや……“お前”がラボにいてくれて良かったよ。 つくづくそう思う」
ダル「うへっ、オカリンきもちわりー!」
おわり。
数々のご支援に感謝します!
乙!
良ければまた書いてくんろ
>>102
\禿同/
Entry ⇒ 2012.01.19 | Category ⇒ シュタインズゲートSS | Comments (0) | Trackbacks (0)
さやか「転校生……いや、ほむら!」ほむら「……」
http://hayabusa.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1326791632/
ほむら「……美樹さんだったかしら」
さやか「美樹さんだなんて他人行儀な」
さやか「ほむらって、まどかの友達なんでしょ?」
ほむら「……」
さやか「まどかの友達は、私の友達!」
さやか「よって、ほむらとさやかちゃんも友達なのだっ!」バーン
ほむら「うざっ……」
さやか「愛情をこめて、さやかちゃん!って呼んでよ!」
ほむら「その必要はないわ」
ほむら「私はあなたと仲良くするつもりはないもの」
さやか「むむむ?」
さやか「今日一日見てて思ったけど、ほむらはほんとツンツンだなあ」
ほむら「それで、一体何の用なの」
さやか「ああそうだ」ゴソゴソ
さやか「お近づきのしるしに、給食の時に余ってた牛乳あげるよ」スッ
さやか「さやかちゃんのおやつだったんだよ?く~、さやかちゃん太っ腹!」
さやか「えー?なんでさ」
ほむら「あなたと仲良くする気はないって言ったでしょ」
ほむら「というか、牛乳貰って喜ぶ中学生がどこにいるって言うのよ」
さやか「はーい、ここにいまーす」
ほむら「あなただけよ」
まどか「ほむらちゃん、それは酷いんじゃないかな」
ほむら「まどか……」
まどか「さやかちゃんの好意……受け取ってあげて」
ほむら「……」
ほむら「……あなたがそう言うのなら」
さやか「…………うん」
さやか「あ、どうせなら今飲んでよ」
ほむら「はあ?」
さやか「だってほむら、まどかがいないところでその牛乳捨てそうじゃん」
まどか「ほむらちゃん、そうなの?」
ほむら「別にそんなつもりは……」
まどか「ほむらちゃん……」
ほむら「ああっもう、わかったわよ!」
ほむら「飲めばいいんでしょ!飲めば!」プス チュー
さやか「うんうん」
ほむら「~ッ!!!」ブッビー
ザワッ
仁美「クール系美少女転校生の暁美さんがッ!!」
恭介「鼻から牛乳を噴き出したッ!!」
キャーキャー
さやか「チロリ~ン鼻から牛~乳~」
ほむら「ごのっ!」ブンブン
さやか「おっと」ヒョイヒョイ
さやか「それでは明智君!また会おう!」
さやか「わはははははははは!!」スタタタ
ほむら「まぢなざいッ!」ボタボタ
まどか「はいテッシュ」シュッシュッ
ほむら「あ、ありがとうまどか」フキフキ チーン
クスクス クスクス
ほむら「はっ」
恭介「さやかに目を付けられるなんて……ンブブッ!災難だね……!」プスススー
クク… ワラッチャ ワルイワヨ! ププー! アンタダッテ ワラッテルジャン!
ほむら(くっ……!?)
まどか「……大丈夫?」
ほむら「……」スーハー
ほむら「今日はこれで失礼するわ」スッ
ほむら「それではみなさんまた明日」スタスタ
まどか「あっ、待って!私もっ」タタッ
ククク… アーッハッハッハ! ゲラゲラ
ほむら「……ぐっ」ダッ
まどか「ほむらちゃーん」タタタタ
まどか「ほむらちゃん……さやかちゃんは悪気があったわけじゃないの」
ほむら「どう考えても悪気100%でしょ!?」
まどか「あ、そうか」
まどか「えーと、なんて言ったらいいのかな」
まどか「だから仲良くしてあげて欲しいな」
まどか「ね?」
ほむら「……まどかには悪いけど、彼女と慣れ合うつもりはないわ」
ほむら「いいえ、彼女だけじゃない。他のクラスメイトともよ」
まどか「そんな……」
ほむら「愛情をこめて名前で呼べ?馬鹿馬鹿しい」
まどか「……でも、私のことはまどかって呼んでくれるんだね」
ほむら「……」
ほむら「……まどかは……私に手を差し伸べてくれたから……」
ほむら「それじゃあ、まどか。また明日」スタスタ
まどか「あ……」
まどか「……」
ポコン
ほむら「ん?何これ」カサッ
さやか『やっほー。元気?』
ほむら「……」
ポイッ
さやか「あっ、捨てやがった!」
さやか「でも、そのくらいじゃあ、さやかちゃんはへこたれないのだ!」
さやか『昨日、夕飯に何食べた?』
ポコン
さやか『勉強わからないよー。助けておくれ』
ポコン
さやか『4コマ漫画でーす。4コマ目描いたら見せて』
ほむら「……」
ほむら(……もう、読まないで捨てよう)ポイポイッ
さやか「んー、作戦変更するか」
ほむら「ん?」カサッ
仁美「順番に回してるんです。読んだら前の方にお願いしますわ」
ほむら「……はいはい」
ほむら(読まないけど……ん?)
さやか『クラス全員アンケート!美少女転校生の愛称を次の中から一つ選んでください』
さやか『①ほむほむ 正正正正 ②ほむーらん 一 ③孤高の美少女ほむ 一 ④ホムライマー 下 』
さやか『ほむらは特別に3票入れていいよ!』
ほむら「何よこれ!?」
ほむら「え?あ、その……何でもないです」
和子「まったくもう……授業中は静かにしてくださいよ?」
ほむら「はい……すみません」
さやか「やーいほむらー、怒られてやんの!」プークスクス
和子「次の問題は美樹さんに答えて貰いましょう」
さやか「ええっ!?そんなー」ギャハハハ
ほむら(くっ……、えらい恥をかいたわ……!)
まどか「ほむらちゃん、一緒の班になれて良かったね」
ほむら「ええ、そうね」
さやか「神様に感謝だね!」
ほむら「あなたは呼んでないわよ……」
ほむら「汚い食べ方……」カチャ
まどか「あ。ほむらちゃん、このクラムチャウダー美味しいよ!」
ほむら「ほんと?」パク
さやか「ワンッと吠えりゃ♪ワンッ!ツースリー」
ほむら「ぐっ!」
ほむら「……ふぅ」
さやか「……」
さやか「ワンッと吠えりゃ♪ワンッ!」
ほむら「ぶぶうッ!!」
仁美「また暁美さんが噴き出しましたわッ!!」バンバンバン
恭介「クール系美少女転校生の暁美さんがまたッ!!」バンバンバン
ほむら「ぶっ……ぐぐ」
ほむら「く、繰り返すんじゃないわよぉ……!」
さやか「え?ヤッターマン嫌い?」
恭介「また昔のアニメかい」
仁美「さやかさんも相変わらず好きですねえ」
さやか「いや、面白いんだってこれが」
さやか「はーい」
ほむら「はあ……はあ……」
まどか「このサバの竜田揚げも美味しいよ」
ほむら「そう……」パク
さやか「うぃん!」キュッ
ほむら「ふぉびゅひぇッ!!」ブババッ
さやか「うおおおッ!?」ババババ
恭介「君はどこまで愚かなんだあああッ!!」バンバンバンバン
さやか「ほむら……あんたやるね!おっと」ブンッ ヒョイ
ほむら「いい加減にしてよッ!!」
まどか「ほむらちゃん、落ち着いて!」
和子「静かにしなさいッッ!!!!」バンッ
一同「はい!」
さやか「えー?だって変顔駄目ってさっき言ってなかったじゃん」
ほむら「駄目に決まってるでしょ!何考えてるの!?」
まどか「あ。ほむらちゃん、急がないとごちそう様の時間になっちゃうよ」
ほむら「あ、そうね」スッ
さやか「……」ピクッ
ほむら「……」ピタ
さやか「……飲みなよ?」
ほむら「………………今度こそ笑わせるんじゃないわよ……」ジリ
さやか「わかってるって……」ジリ
クラス中「……」ゴクリ
……
……
……ブーッ
和子「はい、OKです。座っていいですよ」
ほむら「はい」スッ…
さやか「今だ!」シュッ
ほむら「!?」
仁美「ほむらさんがおならしましたわッ!!」キャー
恭介「クール系美少女の暁美さんがおならッ!!」プギャー
ほむら「ち、ちが!?」
ほむら「あなたが仕込んだんでしょ!?何よこれ!」ブーブー
和子「二人とも!授業中に遊ぶんじゃありません!」
さやか「ごめんなさーい!」
ほむら「ええ!?私も!?」ギャハハハ
ほむら「ここがこうなるのよ」
まどか「へえー、そうなんだ」
さやか「……」スッ ヒョイ
さやか「……」ススス…
ほむら「じゃあ、私は職員室に日誌を届けて来るわね」
まどか「うん。あ……むぐ!?」
さやか「行ってらっしゃーい」フリフリ
ほむら「……」
ほむら「ふんっ」スタスタ
ほむら「?」
ほむら「みんな何を笑っているのかしら……」コンコン
ほむら「失礼します。和子先生、学級日誌を届けに来ました」
和子「ああ、ご苦労さ……ブフッ!」
和子「暁美さん、どうしたの?その頭の冠は」
ほむら「え?」サワ… ヒョイ
.人 人 人
【○ ○ ○】
ほむら「」
先生B「例の白馬の王子様からのプレゼントかー?」アハハハ
和子「美樹さん器用ねえ」アハハハ
ほむら「あんの阿呆があああ!!」
和子「学年便りを配ります」
仁美「ほむらさん!ほむらさん!」クイクイ
仁美「ほむらさんのことが載っていますわよ!」
ほむら「え。仁美、ほんと?」
ほむら「最近は特に賞を貰ったりしていないのだけれど……」
『ほむほむは いつもほむほむ ほーむほむ』
『美樹さやか』
『評釈:なんだか温かい雰囲気の短歌ですね』
ほむら「」
まどか「あ。ほんとだ」
さやか「この短歌を愛しのほむらに捧げます」
ほむら「さやかぁー!!」
アハハハ
まどか「さやかちゃん、宿題やってきた?」
さやか「ほむ!?」
仁美「駄目ですよさやかさん。宿題はちゃんとやらないと」
さやか「ほむぅ……」シュン
恭介「まったく……君はなんて愚かなんだ」
さやか「ほむむ~~ぅ」シクシク …ダダダダ
ほむら「やめんかッ!!」バシッ
さやか「ぐへっ」
ほむら「まったく、あの馬鹿は」
ほむら「なんでいつもいつも私にちょっかい出して来るのよ」
まどか「ほむらちゃんも大変だねえ」ウェヒヒ
ほむら「本当よ」
恭介「暁美さんおはよう」
ほむら「あら、仁美、上条君おはよう。……ん?」
ほむら「何だかいつもと感じが違うわね」
仁美「うふっ。わかります?」
恭介「いやー、ははは」
ほむら「あらそう。良かったじゃない」
ほむら「二人とも、笑いのツボが似てるから……まあ、相性良さそうね」
まどか「おめでとう!」
仁美「ありがとうございます。ほむらさん、まどかさん」
仁美「待ってください!私も行きます!」タタタタ
ほむら「まだ中二だっていうのに、随分とまあアツアツだこと」
まどか「ティヒヒヒッ、そうだね!」
ほむら「それにしても、さやか今日はやけに遅いわね」
ほむら「いつもなら通学途中で追い付いてくるのに、もう学校着いちゃったじゃない」
まどか「……うん」
まどか「さやかちゃん、今日は遅刻するかもね」
ほむら「?」
まどか「うん……おかしいよね」
まどか「……」
ほむら「まどか、さやかが学校休んでる本当の理由、知っているんじゃないの?」
まどか「うん」
ほむら「教えてよ」
まどか「……そうだね。ほむらちゃんならいいかな」
まどか「振られちゃったんだって」
ほむら「……そう」
ほむら「他人への気遣いの出来ない無神経なさやかなら、振られて当然でしょうよ」
まどか「さやかちゃんは無神経なんかじゃないよ」
ほむら「無神経じゃなければ馬鹿かしら」
まどか「あれ?ほむらちゃんなら、気付いてると思ってたけどな」
ほむら「さやかのちょっかいのせいで、何度私がみんなの前で醜態をさらすはめになったことか」
ほむら「今じゃ他のクラスメイトまで私を笑わそうとしてくるし……ハア」
まどか「うん。そうだね」
まどか「さやかちゃんのおかげで、ほむらちゃんはみんなと仲良くなれたんだよね」
ほむら「え?……あ」
ほむら「……ん……まあ」
まどか「『このままじゃ、転校生が孤立しちゃう』って」
ほむら「……」
まどか「あ、今言ったことはさやかちゃんにはナイショね」
ほむら「……ええ」
ほむら「さやかは今どうなの?」
まどか「昨日も会いに行ったけど……駄目だった」
ほむら「そう」
ほむら「……」
まどか「何?ほむらちゃん」
ほむら「私、今からさやかに会ってくる」
まどか「授業は?一時間目もうすぐ始まっちゃうよ?」
ほむら「私は優等生だから、少しくらいサボっても問題ないわよ」
まどか「悪い子だなあ、ほむらちゃんは」
ほむら「そうね」
ほむら「それじゃ、行って来ます」
まどか「行ってらっしゃい」
ピンポーン
……
ほむら「……」
ピンポンピンポンピンポンピンポン
…ダダダダ ガチャガチャ バンッ
さやか「うるさーい!……え?」
ほむら「久しぶりね、この馬鹿」
さやか「ほむら!あんた学校は!?」
ほむら「休みまくってるさやかに言われたくないわよ」
ほむら「立ち話も何だし、あがらせてもらうわよ」ズイッ
さやか「ち、ちょっと!」
さやか「もー……何だよ、朝っぱらから病人の家に押しかけてきて」
ほむら「さやかが心配だったからね」
さやか「ふえっ?」
ほむら「失恋の一つや二つで、いつまで学校休むつもりなの」
さやか「あ……」
さやか「……」
さやか「……いやー、ははは。面目ない」
さやか「今回のダメージは、ちょっと大きくてね」
さやか「……ははは」
さやか「はは…………うえ……えっ……へへへ……」
ほむら「……まだ、治っていないようね」
さやか「……うん」
さやか「ははっ……、なんだか言葉に重みがあるじゃん」
ほむら「当り前よ」
ほむら「なぜなら私は、元全日本ボッチ選手権の王者、ほむほむなのだからッ!!」バッ
さやか「……は?」
ほむら「……」
ほむら「……うぃん」ニッ
さやか「……」
ほむら「笑えーッ!!!」ガバッ コチョコチョコチョ
しゃか「ぎゃーッ!!あひゃひゃひゃひゃひいっ!?」ギャーギャー
さやか「ぎ、ギブ……」ゼーゼー
ほむら「き、今日は……このくらいにしておいてあげるわ……」ゼーゼー
さやか「直に触るのはルール違反でしょ……」ゴロン
ほむら「悪かったわね。私にはギャグのセンスがないものだから」
さやか「え?何……?」
ほむら「休んでた分のノート見せてあげるから、さっさと写しなさい」
ほむら「後になるほど、取り返すのが面倒になるわよ」
さやか「うえー?ほむらは真面目だねえ」
ほむら「当り前じゃない。私はさやかなんかと違って品行方正なんだから」
さやか「へーへー、ほむらは優等生ですよー」
ほむら「そうよ。私は優等生なの」
ほむら「だから、これ以上私の学校評価を落とさせないで欲しいわね」
さやか「ん?」
さやか「ちょっと!?何言ってんのよ!」
ほむら「あら。何か文句でもあるのかしら」
さやか「あるに決まってんでしょ!!ほむらは私に付き合う必要ないのに!!」
ほむら「別に。私がしたいからするだけよ。したくないけど」
ほむら「ま、さやかが学校に来れば済む話だけどね」
さやか「こいつ……」
さやか「分かりましたよ!学校行きますよ!」
ほむら「あっそう」
ほむら「今から?明日から?」
さやか「今!着替えるからちょっと待ってて!」
ほむら「はいはい」
キーンコーン カーンコーン
まどか「さやかちゃん!」
さやか「やっほー。まどか、元気?」
和子「美樹さん、風邪はもういいの?」
さやか「完璧治りました!いやー、馬鹿でも風邪引くんですねえ」
和子「そう」
和子「今から給食だけど、無理しないでね。辛かったら早退してもいいから」
さやか「はーい」
和子「それと暁美さんは、昼休みに職員室に来るように」
ほむら「はい」
さやか「おっとそこまでだ!勝負の世界に情けは無用だって!」
仁美「さやかさん……」
さやか「……仁美。ごめんね、心配掛けて」
さやか「……ッ」
さやか「さやかちゃんはもっと大物を狙うのだ!これで勝った気になるなよ!?」
仁美「……ふっ!さやかさんごときが私に勝てますかね?」
さやか「何ー!?」
さやか「まだちょっぴりダメージあるけど、二人ともこれからもよろしく!」
恭介「……ああ!」
仁美「喜んで!」
さやか「みんな!オラに元気をわけてくれー!!」
クラス中「うぜー!!」
さやか「あ……ほむら」
ほむら「よろしく」スッ
さやか「……」
さやか「……よろしく!」キュッ
普通少女ほむら☆サヤカ 終
付き合って下さった方、ありがとうございました
Entry ⇒ 2012.01.18 | Category ⇒ まどかマギカSS | Comments (0) | Trackbacks (0)
一方通行「……漏れた」上条「うぅー不幸だー!」
http://hibari.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1308563094/
『―――とある便所の一方通行―――』
一方通行「なンで……なンでこんな……!」
一方通行「あった!……だが、まだ距離がありやがる……」カチッ
一方通行「なンで……なンで電極のスイッチが入らねェ!!」カチッカチッ
一方通行「ゥ……まだだ!こんな所で、終われるかァ!!」
一方通行「ハ、ハハァ!間に合った!間に合ったぜェ!」
一方通行「ン?……ッな!?紙が……紙がねェ!?」ギューグルルル!!!
一方通行「ッぐゥ!?……漏れ……」
―――とある便所の一方通行―――
一方通行「……漏れた」
一方通行「……俺は、学園都市最強の第一位……一方通行」
一方通行「……」
一方通行「……どォする?」
一方通行(クソがァ!くせェ……ズボンの中がグチャグチャだ……)
一方「……誰に?」
‐‐--―――――――――――――--‐‐
‐‐--―――――――――--‐‐
‐‐--―――――--‐‐
黄泉川「一方通行……お、お前……」
芳川「貴方……」
打ち止め「……ちょっとこれはありえないよ、
ってミサカはミサカはあなたを拒絶してみる」
一方通行「おいッ!待て!話を聞いt」
芳川「正しくね」
打ち止め「……もう触らないでね、
ってミサカはミサカはあなたとの距離を取ってみる」
一方通行「ち、ちが……これは、これはァ!!!」
土御門「にゃー・・・これはもう近寄らないでほしいにゃー」
海原「えんがちょ(笑)」
結標「化物から汚物に変わるとはね?」
一方通行「ァ……ゥあ……あァ……」
妹達「こんな汚物にミサカ達は……」ミサカミサカミサミサ......
番外固体「 し ね 」
‐‐--―――――--‐‐
‐‐--―――――――――--‐‐
‐‐--―――――――――――――--‐‐
一方通行「ハァ……ハァ……ゴクリッハァ……」
一方通行「どォする!?どォすりゃいい!?」
一方通行「考えろッ!
集中して考えれば、打開策が必ずあるはずだ……」
一方通行「まずは、状況の把握をして……」
‐‐--―――――――――――――--‐‐
打ち止め「グチャグチャのズボンと下着、手や足に付着するry、充満する臭い」
番外個体「手ぶらwwトイレットペーパーの芯ww使えない電極ww無能力ww」
‐‐--―――――――――――――--‐‐
一方通行「」
一方通行「」ガタガタガタガタッ
一方通行「俺は……一方通行……学園都市最強の超能力者……」ブツブツ
一方通行「俺は……学園都市最強の……」ブツブツ
‐‐--―――――――――――――--‐‐
打ち止め「腸能力者だね(笑)、ってミサカはミサカh」
番外個体「ちょwww腸能力者wwwギャハハハハwww」
‐‐--―――――――――――――--‐‐
一方通行「うァァァァァァァあああああおおおおひァァァァァ!!!」
上条「うぅー不幸だー!……学校帰りの、この腹痛っ」
上条「早くしねぇと漏れちまうっ!」
上条「くそー……公園のトイレって、
何でか嫌だけど、そうも言ってられねぇ!」ダダダッ
上条(うおっ!あぶなっ!人が入ってた……)
上条(しかし隣の個室は空いている!これで漏らすことはないな・・・)バタンッ
上条(流石にこんなとこで漏らすほど、上条さんは不幸じゃないですよーっと・・・)
上条「ふぅ……さて紙を――って紙がねぇえええ!不幸だぁあああああ!!」
一方通行「!?」
一方通行(なンだァ!?人が入ってきやがった……だとォ!?)
上条「ちくしょうっ!神も仏もいないのか!?紙だけに」
上条「……」
上条「ポケットティッシュは……っ~~~ない……」
上条「ついてねぇなぁ……本当についてないぜ……俺」
一方通行(この声……聞き覚えがあるよォな?)
一方通行(いや、今は現状をどォするか考えるのが先だ)
フコウダァアアアアアア!!!!
美琴「ん?今の声……」
美琴「あっ!誰か走って行った!」
美琴「あそこにあるのはトイレ?トイレに入っていったの?」
美琴「……あの声はどう考えてもあいつよね……」
美琴「……出てこない……」
美琴「……よし、なら仕方ないわよね……うん」スッ
美琴「……べ、別にあいつが心配だからってわけじゃないんだからね!?」バッ
美琴「……ただちょっと、気になるから近づいてみるだけなんだから!」トットット
美琴(いるとしたらやっぱり男子便所の方よね///)ヒョコッ
美琴「……」キョロキョロ
美琴「個室のドアが……閉まってる……?」
美琴「……よし(臭い……)」
美琴「あ、あのぉー!すみません、どうかしましたかー!?」
上条「どうしよう……このまま拭かずに帰るか?」
上条「でも……いや、しかし……上条さんにも人としてのプライドというものが……」
上条「だがそれしか方法は……う~ん……困ったなぁ……」
上条「……携帯!そうだ携帯だ!!」ピッ
上条「……電池切れてる」
アノー!スミマセン、ドウカシマシタカー!?
上条「……!?この声はっ!!」
上条「おーいビリビリー!?俺だー!!上条当麻だー!!!」
美琴「ビリビリ言うなぁ!
……ってやっぱり、あんただったのね!?」ビリビリ
上条「あ、わ、悪いビリb……御坂。頼む!助けてくれー!」
美琴「は?助けてって何してんのよあんた?」
上条「……その、ですね?……か、紙が無いんだよ!
紙が無くて出られねぇんだ!」
美琴「……ぇ……はぁ?」
なんとかしてくれないか御坂?」
美琴「ちょ……ぇえ~……なんとかって……」オロロ
美琴「……ハァ……仕方ないわね……ちょっと待ってなさいよ……」
上条「すまない御坂!恩にきる!」パンッ
一方通行(ミサカ……?今、ミサカっつったよなァ?)
一方通行(妹達?だが聞こえてくる声……いや、あの喋り方は、
どう考えてもオリジナルの方だ)
一方通行(とォいうことは、隣りにいる男の声……まさか……!?)
上条(そういえば、隣りの人に分けてもらうって手もあったのか?)
上条(……お隣りも、紙がなくて困ってたりして……)
上条(……いやー上条さん上条さん。
それは流石にお節介というものですよ)
上条(……)
一方通行(とにかくだ、隣りが誰であろォと、
今はこのまま居なくなるのを待つしかねェ)
一方通行(もし、オリジナルにこの事態がバレてみろ、
……その時は……)
一方通行「」ガタガタガタガタッ
打ち止め「……あの人、今頃どうしてるかな?」
打ち止め「……あの人が、悪いんだよ?」
打ち止め「……ミサカを……怒らせたんだから……」
打ち止め「……ってミサカはミサカは、過去を思い出してみる」
‐‐--―――――――――――――--‐‐
‐‐--―――――――――--‐‐
‐‐--―――――--‐‐
一方通行「ハ?……知るかァそんなもン。冷蔵庫テキトーに漁っとけ」
番外個体「えー?ミサカ今すぐ甘いもの食べたいんだけど、んー」ガサゴソ
番外個体「……おっ!ねー?このプリン食べてもいいかなー?」
一方通行「勝手にしろッ!俺の知ったことじゃねェ!!」
‐‐--―――――――――――――--‐‐
打ち止め「……ない」
番外個体「どうしたの?最終信号」
打ち止め「……ないっ!ないよ!?
ってミサカのミサカのプリンがないことを――」
番外個体「え?……あれ、最終信号のだったの?」
打ち止め「まさか、あなたが食べちゃったの!?
ってミサカはミサカは確認を取ってみる」
番外個体「いやー……?あ、そうそう!
――そこの白いのがミサカにくれたんだよ」
一方通行「ァア!?うるせェぞお前ら!!騒いでないで静かにしてろッたく!」
打ち止め「プリンあげたのあなたなの!?ってミサカはミサカ――」
一方通行「プリンだァ!?そんなもンで騒いでんのか、お前らは?」
打ち止め「そ、そんなもん~っ!?
あれはね、一年に百個しか生産されないって言う、
超レアスイーツのひとつなんだよ!?
ってミサカはミサカは物の価値を提示してみたり!!」
わかったら静かにしてろ。プリンくらい今度買ってきてやる」
打ち止め「……あれは……もう今年は販売終わってるの。
……お姉様と一緒に買いに行った、
……大事なものだったのに……」ブツブツ
一方通行「これだから女ってのはめんどくせェ。
……たかがスイーツ如きでどンだけだってンだ……」
打ち止め「……サナイ……ゼッタイ……ユ……サナイ」
番外個体「あー、……ミサカもう知ーらないっと♪」
打ち止め「ミサカはミサカは……許さないよ?」
<●> <●>
‐‐--―――――――――--‐‐
‐‐--―――――――――――――--‐‐
打ち止め「あの人が朝飲むコーヒーに、
ヨシカワから貰った下剤を仕込む」
打ち止め「あの人であってもその場では気付けない、学園都市製の下剤」
打ち止め「強力だけど、効果は一定時間立たないと発揮されない」
打ち止め「念のため、怪しまれないようにミサカがあの人のとこまで運ぶ」
打ち止め「そして、ある程度したら、
ミサカはあの人にプリンを買ってきて?と言う」
打ち止め「きっとあの時の罪悪感から、あの人は拒まざるを得ない」
打ち止め「あの人は、そういう人だから」
打ち止め「これで後は、
ミサカネットワークからあの人を制限的に切り離す……」
打ち止め「……あなたが悪いんだよ?
ミサカのミサカの大事なモノを奪ったから……」
打ち止め「食べ物の恨みは怖いんだよ?
ってミサカはミサカはつぶやいてみる」
一方通行「なンで……こンなことになったンだ……」
一方通行(俺はただ……打ち止めに対して……)
一方通行「いや……過ぎたことを考えても、しょうがねェ」
一方通行「この状況を、今はどォするか、だ」
一方通行(夜になるまで待つか?
人気の居ない時間に出て、こっそり処理する)
一方通行(いざとなれば、
通行人の服をかっぱらって何とかすればいいだろォ)
一方通行(……よし、これは行ける。
とにかく夜になるまでじっと待―――)
上条「あのぉ~?」コンコン
一方通行「!?」
一方通行(なァ!?こ、こいつ……話しかけてきてンのか!?俺に!?)
上条「いやぁ~お節介だったらいいんですけどね?
困ってるのは見過ごせないっていうかなんていうか……?」
一方通行(クソがァ!ここで返事をしなけりゃ不信極まりなくなるってかァ?)
上条「それにしても、公園の便所って臭いですよねぇ?
あはは(何言ってんだ俺……)」
一方通行(なンだよ、なンだよ、なンなンですかァ!?苛めですかァ!?)
上条(っていうか本当に臭い……意識すると耐えられなくなるぞ……)
一方通行(このまま無視して待つか?
そォすりゃその内、どっか行くだろォ……)
美琴「おーい!トイレットペーパー買ってきたわよー!」
上条「……っ!ナイスだ、御坂!この恩は一生忘れない!!」
美琴「たかが紙ひとつで一生って……」
美琴(い、一生かけて恩を返してくれるってこと?///)
上条「何言ってるんだよ御坂。
お前は、紙だけに、神ってね!……なんつって」
美琴「……」
一方通行「……」
上条「……ゴホンッ、
とにかく助かったよ御坂。これでここから出られる」
美琴「……いいわよ別に、これくらい……」
一方通行(早くどっか行けよ……)
美琴「って言うかここ、酷い臭いね……早く出てよ」
上条「いや、お前もうそこにいる必要ないだろ、
……ってバカ御坂!黙れ!」
美琴「はぁ!?そそそそんなの私の勝手でしょ!?
それより黙れとか、私はあんたの一生の恩人なんじゃなかったの?
……いいご身分ね」
上条「違うんだよ!まだ隣りに人が入ってるんだって!!」
美琴「……え?」
一方通行「」
美琴「そ、そうなの?
……どうしよう……私、あの、ごめんなさい……?」
上条「す、すすすいません!こいつバカで!
どうか許してもらえませんか?」
一方通行(わかったから早く消えろ、クソ野郎共)ビキビキッ
上条(どうしよう……お隣めちゃくちゃ怒ってる?)
上条(これで強面の人とかが入ってたら……不幸だ……)
美琴(それにしてもこの臭いは酷過ぎる。
……まるで残り香っていうよりも……)
一方通行(素数でも数えるか……2、3、5、7、11)
美琴(隣りの人、何も言ってこないわね?
本当に人が入ってるのかしら)
美琴「……ん?ドアの隙間からはみ出てるのは、ズボン?」
美琴(やっぱり居るんだ……どうしよう?
……ってゆーか私なにしてるんだろ……)
美琴「……あれ、あのズボン、何か変……――!?」
上条「ふぅースッキリスッキリ!ありがとな、御坂」
美琴「え?あ、……うん」
上条「?……どうした?元気なくないか?」
美琴「いや、あの……」
上条「何だ、また何か悩みごとか?
今日の上条さんは機嫌がいいから、
何でも言うこときいちゃいますよ?」
美琴(何でも///……って今はそんなこと考えられない……)
美琴「悩み、っていうか……アレっていうか」スッ
上条「は?何だ指さして……っておい、あそこは……――」
一方通行(出てったかァ?声が遠くなった……後は夜まで)
美琴「ドアノ……シタ……ズボン……ハミデテ……チャイロ……」ボソボソ
上条「何?ドアの下?ズボン?何言って……――!?」
一方通行(シミュレーションしとくか。まず、夜になったら―――)
上条「――……あ、あのー、すみません」
一方通行「ビクッ」
一方通行(なぜだァ!?こいつは、今どっかに行ったンじゃァ……)
上条「……漏れたん、でせうか?」
美琴「……」
一方通行「」
―――とある便所の一方通行―――
また上位個体はバカなことをしているようですね、
とミサカは呆れはてます」
御坂妹「下剤を仕込んで嫌がらせとか、
ガキのいたずらですか、いやあってるのか、
とミサカは自己解答します」
御坂妹「一方通行も災難ですね、ガキのいたずらの標的にされるとは。
かつての宿敵も形なしということですか、
とミサカは過去の出来事に哀愁を覚えます」
御坂妹「能力も規制して、これで、
一方通行が漏らしてる(笑)とかなっていたらどうする気でしょう?
まったく、とミサカはいらぬ心配事をします。どうでもいいですけど」
御坂妹「……ん?あそこにいるのは?お姉様と―――」
御坂妹「あなたとお姉様は、何をしているんですか?
と、ミサカは質問を投げかけます」
上条「うおっ!?御坂妹!?」
美琴「わっ!?何であんたがここにいるの!?」
御坂妹「いたら迷惑なんですか?と、ミサカは確認をとります」
上条「いや、そんなことはないんだが……今取り込み中でな……」
美琴「もういいわよ……ほっといて行きましょ……?」
美琴「だって、もしアレが本当にそうなら、
……人生でバレたら死ぬレベルの出来事よ?」
上条「でも、もしあの中にいるのが小さな子供だったら?
怖くて、いや恥ずかしくて、外に出れなくなっちゃってるとか……」
美琴「ぅ……確かに、それは可哀想よね。
……もう警備員でも読んだら?この場合は、風紀委員?」
上条「……呼ばれる方はキツイだろうな……。
しかし、公けにされるほど、過去のトラウマ物になるんじゃないのか?
出来れば、それは避けてあげたい」
美琴「じゃ、どうすんのよ?」
上条「……俺たちで、何とかしよう」グッ
上条「当たり前だろ!
それとも、上条さんを一人にする気ですか!?
この状況で!?」
美琴「知らないわよっ!
完全に私はとばっちりじゃない!!
何とかするなら、あんた一人で何とかしなさい!!」
上条「アッー!あーあーあー!酷いんだっ!
そうやってお前は人の不幸を馬鹿にするんだー!
見損なったぞビリビリ!!」
美琴「ビリビリ言うなっ!何が人の不幸よ?
巻き込まれた私のが不幸じゃない!?」
上条「あーあー聞こえない聞こえない。
……御坂、手伝ってくれよ?俺だって一人は心細いんだ」キリッ
上条「ああ!お前じゃないと駄目なんだ!!
(いざとなれば、色々仕切ってくれそうだし)」
美琴「わ、私じゃないと?///
……し、仕方ないわねぇ……手伝ってやるわよ!」デレッ
御坂妹「なんですか?この茶番、とミサカは突っ込みをいれます」
美琴「何が茶番かっ!……それがね、実は――」
上条「いやまて御坂、俺から話す。……聞いてくれ、御坂妹。
今、俺たちは重大な事件に巻き込まれてるんだ」
御坂妹「そんな空気には見えませんが?とミサカはあたりを見回します」
上条「実は、さっき俺が公園のトイレに入っててな……――」
上条「――……と言うわけなんだよ」
美琴「アレが、問題の個室ね」ビシッ
御坂妹「」
上条「……ほら、ドアの隙間から、ズボンが見えるだろ?
あの付近とズボンあたりを、よく見て見ろ……」ボソボソ
御坂妹「」
美琴「まあ当然の反応よね?……女の子が見る光景じゃ、絶対ないわ」
御坂妹「……」
―――……これで、
一方通行が漏らしてる(笑)とかなっていたらどうする気でしょう?
御坂妹(ちょっとタイムリーですね……とミサカの背筋に悪寒が走ります)
上条「それで、俺は、俺たちは何か出来ることはないかと、
今から聞きにいくわけだ」
美琴「一回目は無視されたしね。いや、ずっとか」
御坂妹(本当に一方通行だったら面白いだろうな、
――……とミサカは妄想してみます)
―――とある便所の一方通行―――
一方通行(あの野郎……何故、気づいた?
漏らした痕跡はない……はず)
一方通行(それよりも、気付いていながら、
何故話しかけてきたのかだァ……?)
一方通行(まさか、俺だと言うことまでは、バレてないよなァ?)
一方通行(もゥ、ほォっておいてくれ……頼む……)
一方通行(学園都市最強も落ちたもンだ……なァ……)
上条「あの~……すみません」
一方通行(またきた……だと……?)
上条「落ち着いて、聞いてくださいね?」
一方通行(ふざけンじゃねェ……俺はいつでも冷静――)
‐‐--―――――――――――――--‐‐
打ち止め「これからは~、アクセラレータじゃなくてぇ」
番外個体「腸能力者wwwウンコモレータwwwギャプギャププwww」
‐‐--―――――――――――――--‐‐
一方通行(大丈夫だ……頭を働かせろ……思考停止するな……)ガクガク
上条「その、……漏れてしまったんですよね?」
一方通行「」
上条「それであの、……力を貸しましょうか?」
一方通行「ッ!?」
上条「……不幸の、不幸のお気持ちは、
――……上条さんはよぉぉぉく知っているんでせう」
上条「だからその、俺で良かったら……何か手伝いますよ?」
一方通行(なン……だと?
テメェからは見ず知らずのクソ野郎相手に、手伝う……だと?)
一方通行(いくらなンでも、これはァ……罠か?)
一方通行(手伝うと見せかけて……俺の正体を探ろォとしている?)
一方通行(その手には、のらねェぞ三下ァ!
俺の警戒心を甘く見るなよ)
上条「……」シーン
上条「どうしよう、御坂」
美琴「知るか」
御坂妹「……この場合、今もっとも必要な物は、
着替えだ、
とミサカは推測します」
御坂妹「そのままの姿では出てこられませんし、
着替えさえあれば、
最悪独りでもなんとかすることが可能です。
出てこられないということは、それなりの理由があると予測しても、
公園のトイレでということは相当緊急のことだったはず。
……ということは着替えを持っているはずがありません、
とミサカは指摘します」
流石、御坂妹だ!
姉の方とは比べものにならないほど頼りになるな!」
美琴「……おい、
あんた助けてもらっておいてその態度はどういうこと?」
御坂妹「あたり前です。
あなたを想う気持ちもお姉様とは比べものになりません、
とミサカは優越感に浸ります」
上条「よし!そうと決まれば、早速もう一度コンタクトを取ってみる!」
美琴「話し聞けよ、おい」ビリビリ
一方通行(クソッたれがァ……なンなンだよ……この緊張感はァ?)
上条「あの!……お困りでしたら、俺が着替えをお貸ししますよ!」
一方通行「!?」
上条「こうして、同じ便所で頭を悩ませたのも何かの運命、
俺は貴方を助けますよ!」
上条「……それが嫌だったら、
着替えだけ持ってきますんで、
そしたら後は独りで何とかするってことでもいいっす。
着替えを持ってきたら、俺は消えるんで……」
一方通行(そンな……見返りも求めねェっていうのか?)
一方通行(大体それじゃァ……借りた服はどォ返す?考えてねェのか?)
一方通行(こいつは……こいつは、
やっぱり俺なンかが辿り着けないとこにいる、
ヒーローなンだっていうことかァ……?)
上条「……着替えを持って着てほしかったら、
ドアをノックしてください」
一方通行(なンで……なンでこいつは、こォも簡単に手を差し伸べる?)
一方通行(いいのか?俺が、俺なンかがこいつの手を取っても?)
―――……それとも俺の手を借りて協力して欲しいのか!!
一方通行(こいつはどンな時でも、どンな状況でも、どンな立場でも)
―――……胸を張れるものを自分で選んでみろよ!!
一方通行(俺も……テメェみたいな……)
上条「……自分の不幸を、恥じることはねーよ」
上条「人が困っていたら、手を差し伸べる。
そうやって人は繋がっていくんだ!」
上条「あんたは、あんたはどうするんだ!?
このままでいいのか!?」
上条「……あんたが、自分の不幸に絶望してるんだとしたら……」
上条「まずは、そのふざけた幻想をぶち殺せ!!」
一方通行「!!」
上条「……俺は、着替えを持ってくる!それで、いいですよね?」
一方通行「……」コンコン
上条「っ!!……よし、ちょっと待っててくれ!」ダダダッ
美琴「っあ、ちょっとー!私はどうすんのよー!?」
上条「御坂はそこで様子を見ててクレー…………」ダーッ
美琴「はぁああ!?普通、女の子にそんなことさせる!?
バカじゃないのー!?」
御坂妹「……女として、見られてませんね、とミサカは毒づきます」ボソッ
美琴「今何か言った?」
御坂妹「いえ、何も」
一方通行(これで良かったンだろォか……?)
―――とある便所の一方通行―――
ここでずっとあいつを待ってろと?」
御坂妹「お姉様が待たないなら、ミサカがあの人を待ちますよ?
とミサカは意思表示します」
美琴「……それは親切心でのことなの?」
御坂妹「……その後、ミサカと彼で、仲良くデートをする方向に」
美琴「バリバリ私利私欲のためかっ!
……普通にあんたの思考を察した私が言うのもアレだけど……」
御坂妹「つまり、お姉様もミサカと同じ考えだと?
とミサカはお姉様も彼とデートをしたいのか?
という意思を遠回しに聞いてみます」
美琴「ストレートじゃない!って違うから!!
そんなんじゃないから!!///」アセアセッ
とミサカはお姉様を諭します」
美琴「うるさいっ!///」
一方通行(外が騒がしい……)
一方通行(オリジナルの方が、まだいるのか?)
一方通行(会話のよォだが……まだ別の誰かが、いやがるのか?)
一方通行(それとも通話か?
……どちらにしても、奴がいる限りはなンにもできねェ)
御坂妹「それにしても暇ですね、とミサカはだんだん飽きてきます」
美琴「飽きるの早いな!……まあ、確かに暇なんだけどね」
御坂妹「……面白い話しをしましょうか?
とミサカは暇つぶしの会話を要求します」
美琴「ふってきた、ということは何か面白いネタがあるわけね?」
御坂妹「実はですね、今日うちの上位個体が……――」ゴニョゴニョ
一方通行(静かになったな……ついに居なくなったのかァ?)
御坂妹「――……ということをしたそうなんですよ、
とミサカは公けにします」
美琴「……何それ?面白い以前にドン引きするわよ。
それより、相変わらず最低野郎なんじゃないの?
人のもの勝手に渡しちゃうとか」
御坂妹「でも、本当に一方通行がそんなことになってたら、
面白くないですか?とミサカは同意を求めます」
美琴「……うーん?そんな想像したくないけど、
無敵の一位様がそんなことになってるって状態は面白いかもね。
いや、ホント想像したくないけど」
御坂妹「そんなこと考えてたら、今の状況ですよ?
タイムリー過ぎて、あの個室怪しくないですか、
とミサカは悪魔の囁きをします」ニヤ
……流石にそれは、
……全然違う人だったら取り返しつかないことになるわよ?」
御坂妹「一方通行だったらいいんですか、
とミサカは彼を憐れみます」
美琴「当たり前でしょ?あいつが何やったか忘れたの?
……私は、あのことは絶対許さない。
そんなことになってるって言うなら、いい気味よ」
御坂妹「まあそれは置いといて、ちょっとワクワクしてきました、
とミサカは行動する気満々で暇つぶしをしたいと願います」
美琴「作戦はあるの?」
御坂妹「直接聞いてみるのはどうでしょうか?」
美琴「答えるわけないだろ……」
美琴「それで何をするの?」
御坂妹「ムービーを撮ります、とミサカは提案します……―――」
一方通行(ヒーローはまだか……)
一方通行(……何他人に頼り切ろうとしてるンだァ?
いつから俺は、こんな弱くなっちまったンだ……)
一方通行(だとしても……今俺には何もできねェ……)カチカチカチッ
御坂妹「―――……ということをするわけです」
美琴「ほ、本当にやるの?それ、盗撮になるんじゃないの?」
御坂妹「バレなきゃいいんですよ。バレなきゃ、
とミサカは行動に踏み切ろうとします」
美琴「携帯で、
トイレのドアの上からムービー撮って確かめるとか、
……完全に犯罪じゃない」
御坂妹「……でも、もし入っているのが一方通行なら?
とミサカは再度、悪魔の囁きをします」ニヤ
美琴「……やってみる価値は、あるわね」ニヤ
御坂妹「そうこなくちゃ、とミサカは意気込みます!」
美琴「……そうと決まったら、早く撮影モードにして。……行くわよ」グッ
御坂妹「イエス、マム、とミサカは敬礼します」ビシィ
―――とある便所の一方通行―――
一方通行(今頃打ち止めは……プリンを待ってるンだろォか)
一方通行(……俺ァまだ、お前のもとには行けそうにねェ……)
ヌッ
一方通行(幸せを、掴ンだはずだったンだがなァ……)
ジー
一方通行(まさかこンなことになる、なンて誰が予想出来る?)
ジー
一方通行(第三次世界大戦を生き残っても、この様じゃァな……)
ジー
一方通行(今はヒーローが帰ってくるのを待つしかねェとは、情けねェ)
スッ
御坂妹「撮り終わりましたよ、とミサカは作戦完了報告をします」
美琴「……覚悟は出来てる?」
御坂妹「……やっといてあれですけど、ミサカは正直少し躊躇います」
美琴「……なら私が見るわ。あんたの行動を犠牲にはしない」
御坂妹「流石はお姉様です、とミサカは賛辞の言葉を贈ります」
美琴「今まで散々ハッキングだなんだってやってきたからね。
秘密を探るのなんてわけないわ」
美琴「……いい?じゃあ……見るわよ?――」
美琴「えいっ!」ピッ
美琴「……」
御坂妹「……どうですか?とミサカは恐る恐る尋ねます」
美琴「……」
美琴「」
美琴「ブフォッwwwwwwwwwwwwwww」
御坂妹「」
御坂妹「……その……反応は……まさか……?」
美琴「wwこwwwwこれwwwwwこれぇwwwwwwwwww」
御坂妹「どれどれ、とミサカは覗きこみ――」
御坂妹「……」
御坂妹「」
御坂妹「ブフォッwwwwwwwwwwwwwww」
御坂妹「wwwww便所だけにwwwwwお腹wwww」
美琴「wwwwwwやかましいわwwwwwwwwww」
「「wwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwww」」
一方通行(打ち止め……俺は必ず、無事にお前のもとに帰る)
―――とある便所の一方通行―――
美琴「――……さて?」
御坂妹「……これどうしましょうか?とミサカは困惑します」
美琴「……まずは状況の整理をするわ」
御坂妹「トイレの個室、漏れた人」
美琴「項垂れる一方通行、人生でバレたら死ぬレベル」
御坂妹「その証拠になる携帯ムービー」
美琴「現在、着替えの服待ち中」
「「……ブッwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwww」」
御坂妹「wwwちょwww息がwwwとミサカwwwはwww」
美琴「ハーハーハー……少し落ち着いたわ」
御坂妹「何だかとんでもないことになってきましたね、
とミサカは事の重大さをアピールします」
美琴「……まあ、ぶっちゃけあいつだから笑えるわけで、
ドン引きレベルの事件なだけ、なんだけどね」
御坂妹「話しを戻して、どうしますか?
これ、とミサカは携帯のムービーを再々生します」ピッ
美琴「wwwやwめwろwwwwww死ぬwwwwwwww」
美琴「――……ふぅ……そうね、これは使えるわ!」
御坂妹「……何に?とミサカは実は察していながらも聞き返します」
美琴「……復讐に、よ」
一方通行(……暇だァ)
一方通行(何してるンだろォなァ……俺は……)
美琴「……あーあ!あいつったらおっそいなーっ!!」
一方通行「ビクッ」
美琴「こーんな、く、さ、い、所に女の子を待たせるなんてーっ!」
一方通行(なン、なンだ?なンなンですかァ!?)
美琴「あー!もうホント最低よーっ!」
一方通行(何故まだ奴が、ここにいる?どォいうことだ?)
美琴「……まさか、漏、ら、し、た、奴の見張りを頼むとはねーっ!」
一方通行(なン……だと?喋ったっていうのか!?あのヒーローがッ)
美琴「あーヤバーい!声が聞こえちゃうかなー!」
一方通行(見張りを頼む、とか言ったか?
……そォか、騒がしかったのは奴と相談?してたから……か)
美琴「暇ねー!何かしたくなっちゃう気分―!!」
一方通行(クソッ!それにしたってこいつは、
デリカシーってもンがねェのか?
こっちにまる聞こえだぞッ!?)
美琴「どーしよっかなー!な、に、しよっかなー!!」
一方通行(いや待て、まさかこいつワザと聞かせてンのか……?)
美琴「な、に、か、し、て!遊びたくなっちゃう……なーっ!!」
一方通行(……いいねェいいねェ最っ高だねェ!
最高のクソ野郎ってわけだァ!!)
一方通行(つまりこいつは、暇つぶしに、
俺で遊んでおちょくろうって腹なわけだァ!)
一方通行(オリジナルの野郎ォ、最高に、最低な女だぜェ!!)
美琴「……この個室に入ってるのが、
一方通行だったら面白いのになー!」
一方通行「」
美琴「この個室に入ってるのが、
一方通行だったら、
面白いのに、
なぁーっ!」
一方通行「な……に……?」
美琴「そ、ん、な、わ、け、ないかー!
学園都市最強の第一位様が、
漏らしてトイレから出られないとか、
そんなバカみたいな行為、するわけないもんねー!?」
一方通行「な……なンで、こいつ?」
美琴「あーそうだー!暇だから、打ち止め、呼んでみようかなーっ!!」
一方通行「ッ!!」
御坂妹(鬼ですね、とミサカは心の中でつぶやきます)
美琴「せっかくだからー!他の子も呼んでみようかなー!」
一方通行(なンだ……こいつ?常識ってもンがねェのか?)
美琴「アハハー、何て言って呼ぼーかしらー?」
美琴「呼ぶんだったら、
面白いこと言わないと、
来てくれないかもしんないわねー?」
美琴「そうだっ!
とある便所に一方通行が、
漏らして出てこれなくなってる、
とか言ったらみんな来てくれるかなぁーっ!?」
一方通行「ァ……ァ……ァ」
美琴「物事にはインパクトが必要だしねー!よーし、それでいこうー!!」
一方通行(こ、こいつ……こいつまさか……俺に気付いて?)
美琴「それでいいわよねーっ!?
――……ね、一方通行さん?」
一方通行「」
―――とある便所の一方通行―――
一方通行「いつから……いつから気付いていた?」
美琴「……やっぱり、アンタだったのね?」
一方通行「カマをかけたよォに、見せかけても無駄だ。
テメェは最初から知ってやがったな?」
美琴「……ねえ?あんたこの状況……わかってる?」
一方通行「……なに?」
美琴「……態度、デカすぎるんじゃないの?」
一方通行「……どォいう意味だ?」
美琴「こういう意味よ」ヌッ
一方通行「?……な!?それは携帯……ッ!?」
美琴「……アンタの知られたくない秘密は、
私の手にあるってわけ。
これが、どういう意味か、わかるわよね?」
一方通行「……なにが、目的だ?」
美琴「言葉使いがなってないんじゃないの?」
一方通行「どォいうつもりだって聞いてンだ、
さっさと答えろクソ野郎」
美琴「本当のクソ野郎がどの口開いてんの?わかってる?
この映像、あの子の元にムービーメールで送ってもいいのよ?」
一方通行「グ……か、勝手にしろ。……可哀想になァ?
そンなことでもしなけりゃ、
俺にたてつこうだなンてできねェもンなァ?」
美琴「あーそう。つまらない終わりね、一方通行?
――じゃ、送るわよー?」
一方通行「勝手に、勝手にし……――」
‐‐--―――――――――――――--‐‐
打ち止め「ずっと一緒にいたくないよ、ってミサカはミサカはお願いしてみる」
番外個体「涙拭けよwwwwwwゲハギャハwwwww」
‐‐--―――――――――――――--‐‐
一方通行「――……フーハー」
美琴「……送ぉーっし――」
一方通行「……待てェ!!」
美琴「……」ニヤァ
一方通行「……目的を、言え……」
美琴「言葉使い」
一方通行「チッ……目的をォ、言って下さァい!!」
美琴「……まあいいわ。目的?
そうね、しいて言うなら復讐、かしら?」
一方通行「……」
美琴「ねえ、わかるでしょ?
あんたが私に、あの子たちに何してきたか。
それが何?学園都市最強の人間が、
こんな公園のトイレで項垂れて、
バカな行為で頭抱えて絶望してる?怪物が汚物に?
いい気味よ、そのまま一生そこに居ればいいわ」
一方通行「……グ」
早くこのゴミ女そげぶしてぇぇぇぇぇぇ
ねえ、そうでしょ?こんな人間以下の、動物みたいに、
いいえ動物に失礼ね。
こ、ん、な!
糞を垂れ流すようなゲロ以下の奴に、
モルモット扱いされてきた子たちの気持ちがわかる?
それを止めようと必死になった私の気持ち理解できる?
……あんたは、そう思われるぐらいの責任を負ってたの。
復讐されて当然でしょ?」
一方通行「……第三位、
テメェの言いたいことは理解出来た……もォ好きにしろ」
美琴「おい、言葉使い。それと態度を改めろ」
一方通行「ッ!……貴方様の仰りたいことはァ、
理解出来たのでェ、お好きに罵って下さァい!」
美琴「罵って下さいとか、ドMかよ。
ねえ、そんな態度でいいの?私をバカにしてない?
――これ、送っちゃってもいいのよ?」スチャッ
一方通行「クソがッ!ならどうす
美琴「言葉使い」
れば、よろしいで御座いますでしょうかァ!」
美琴「……じゃあそうね?まず全世界の妹達に謝りなさい。
全力で、ボクはクソを垂れ流してしまう実験動物以下の最低なクソ野郎です、
って言いながらね」
一方通行「……過去は振り返らねェと 美琴「謝れ」 ……」
一方通行「……」
一方通行「……を垂れ流し……しまう、実験動物以下……クソ野郎……ですゥ。
だから、俺が、悪かった……」
美琴「声が小さい、言葉使いがなってない、態度もデカい、何より心がこもってない」
情報共有で打ち止めにも記憶流れちゃってるし
一方通行「ボクはァ!
クソを垂れ流してしまう実験動物以下の最低なクソ野郎ですゥ!!
本当にすみませンでしたァ!!!」
美琴「うるさいぞクソ野郎。
あと、まだ態度がデカい。誰に、謝ってるのかもわからない」
一方通行「て、テメェ 美琴「スチャッ」 ……、
ボクはクソを垂れ流してしまう実験動物以下の最低なクソ野郎です。
本当に妹達の皆様方、申し訳御座いませンでした」
美琴「……録音完了っと♪まあ、及第点ってとこかしらね?
じゃあ次は私に謝ってもらおうか?」
一方通行「ま、まだ続けンのかァ!
第三位、テメェは最悪の悪党だなァ!!
こンなことして惨めにならねェのかァ!?」
美琴「……フー」ポチッ
『ボクはクソを垂れ流してしまう実験動物以下の最低なクソ野郎です。
本当に妹達の皆様方、申し訳御座いませンでした』
一方通行「」
美琴「謝れ?」
一方通行「……オリジナル様にも迷惑をかけて、申し訳御座いませン次第です」
美琴「そこじゃない、まず今さっき言った暴言の所から全て謝れ」
一方通行「調子に、
『ボクはクソを垂れ流してしまう実験動物以下の最低なクソ野郎です。
本当に妹達の皆様方、申し訳御座いませンでした』
……先ほどは、言葉使い態度共に失礼を重ねてすみませンでした」
美琴「……んー?いまいちねー。……ねぇ、次はどうしようか?」
御坂妹「……え?
あ、ミサカに話しかけてるんですか、
とミサカは先ほどから呆然と事態を眺め続けています」
一方通行「な!?まだ、誰かそこに居やがるのか?」
『先ほどは、言葉使い態度共に失礼を重ねてすみませンでした』
一方通行「まだそこに誰かいらっしゃるンでしょうか?」
美琴「……あんたの事態はこの子が教えてくれたのよ」
御坂妹「どうも、ミサカです。とミサカは今更名乗り出ます」
一方通行「……ちょ、妹達の個体だと!?
……それならもォネットワークで……」
御坂妹「それは心配要りません。
ミサカはミサカネットワークの情報から逆算してこの事態に巡り合いました、
とミサカは説明します。現在、ミサカネットワークはオフにしてます。
良かったですね?ミサカにそういう調整がされていて」
一方通行「……情報?逆算、だとォ?どォいうこ
美琴「言葉使い」
とォで御座いますかァ?」
御坂妹「貴方に起きている事態は、
全ては貴方が上位個体に行った出来事が全ての原因です、
とミサカは暴露します」
一方通行「上位個体、打ち止めのことかァ?
……俺は別に、何もしてねェはずだ……」
御坂妹「いえ、貴方は上位個体に復讐されたんです、
とミサカは追い打ちをかけます」
一方通行「なン……だと?……俺は、打ち止めに頼まれてプリンを――」
御坂妹「そのプリンが原因なんですよ、とミサカは全てを打ち明けます――」
上条「……ふぅー、思ったより時間がかかったな!」
上条「中の人はきっと俺を待っている、早く持って行ってあげないと……」
上条「自分の不幸に絶望してなきゃいいけど……御坂、頼むぞ」ダダダッ
―――――――――――――――――
御坂妹「――……ということが、
ミサカネットワーク内で、
上位個体により情報開示されているんですよ、
とミサカは説明を終わります」
一方通行「……プリン、如きで、下剤、だとォ?
……あ、あ、あ゛あ゛あ゛あのクソガキィィィィィイイイイ!
俺を怒らせちまったよォだなァ!!帰ったら覚えてろよォ!?」
『ボクはクソを垂れ流してしまう実験動物以下の最低なクソ野郎です。
本当に妹達の皆様方、申し訳御座いませンでした』
『先ほどは、言葉使い態度共に失礼を重ねてすみませンでした』
美琴「……」
一方通行「」
美琴「その打ち止めちゃんに、バレてもいいの?
もう一度言うけど、あんたこの状況……わかってる?」
一方通行「……まだ、俺に何かさせる
美琴「言葉」
気でしょうか……」
美琴「私としては、もっとあんたに、
絶望のどん底へ落ちてもらいたいんだけどね?
……ちょっといざこうして色々やってみると、
事態にドン引き過ぎて気分が萎えてきちゃってるのよねー?
だから、次は何したいかこの子に聞いてるわけ」
御坂妹「とりあえず涙拭けよwww、とミサカはちょっぴり憐れんであげます」
一方通行(もォ、俺はここまでのよォだァ。
……やっぱり平和ってのはァ……儚いもンだったよォだぜェ……)
―――とある便所の一方通行―――
上条「ハッハッハッ……」ダッダッダッ
上条「何とか着替えも手に入れられた!
これで中の人も安心できるだろう……」
上条「……ははっこれも不幸?
いいや、違うね。俺が頑張れば、みんなが笑っていられるんだ!
中の人も、身近な人にバレなければ、
まだ苦痛を和らげることが出来る!」
上条「もうすぐだ!……よし、公園が見えてきた」ダダダッ
上条「……あれは御坂っ!ちゃんと見ててくれたのか!」
上条「おーい御坂ぁーっ!……ん?御……坂?」
―――――――――――――――――
美琴「――……えーっと?次はー、
学園都市最強の怪物改め、汚物です、
はい!」
一方通行「学園都市最強ノ怪物改メ、汚物デス……」
美琴「声が小さいっ!」
御坂妹「ナニも小さい(笑)」
一方通行「学園都市最強の怪物改めェ!?汚物ですゥゥゥ!!」
美琴「よし、次!そうねぇ?
……今度はあんたの能力名を変えてみる?」
御坂妹「……〝一方通行〟を、ですか?」
美琴「そうそう♪……何がいいかしら?」
御坂妹「……ウンコモレータ」ボソッ
美琴「っ!!……wwwwwwwっうぇwwww」
ウンコモレータ
御坂妹「一本野糞、みたいな?w」
美琴「ブフォwwwwwwそれ採用wwwwww」
御坂妹「だそうですよ?
とミサカは一本野糞に言葉を……wwwかけますwww」
一方通行「……何が可笑しィ……なにが可笑しィィィイイイイイ」
美琴「ほい 『学園都市最強の怪物改めェ!?汚物ですゥゥゥ!!』」
一本野糞「」
美琴「えー?最強の能力はー、糞を垂れ流すことー?(笑)
マジウケルンデスケドーw」
御坂妹「お姉様がスイーツ(笑)っぽいですね、
とミサカも便乗してマジウケル―w」
「「ギャハハハハwwwwwwwwwwww」」
上条「」
上条「これは……?何が……起こって……」
美琴「ねえ?wwwあんた生きていて恥ずかしくないの?wwww」
美琴「その年で?wwww漏らすとかwwwねえ?wwwww」
御坂妹「今どんな気持ちwwww今どんな気持ちwwwww」トントンットントンッ
美琴「ほらwwww何か言いなさいよwwww」
一方通行「……俺は、一方通行だ……」
『ボクはクソを垂れ流してしまう実験動物以下の最低なクソ野郎です』
美琴「wwwwww糞wwwwwww」
上条「お、おい……御坂?」
美琴「ねえ、一本野糞でしょ?……バラしてもいいの?送るよ?」
一方通行「……俺は……俺はァ……」グスッ
上条「……おい」
美琴「ほらー、もっと大きな声でーっ!!」ケラケラ
一方通行(打ち止め……俺が悪かった。
……いつかまた、どこかで――)
美琴「おーい?聞いてんのー?……ほら、早くー!!」ダンダンッ
御坂妹「鬼畜wwww、とミサカは……えっ?あっ――」スッ
一本.........「……俺は……一本……――」
上条「――……おいッ!御坂ぁ!!」
一方通行「ッ!?」
美琴「え?」ビクッ
御坂妹「」
上条「……これは、どういうことなんだ?」
美琴「あ……えと……これは……」
上条「……テメェは、一体なにをしてるんだよ!?」
美琴「あ、あの……聞いて?これには深い訳が――」
上条「うるせぇ!
俺は言い訳を聞きたいんじゃないッ!!
テメェがなにをしてるのか聞いてるんだよ!!!え?」
美琴「……ゴ……ナサ……」
御坂妹「何と言う因果応報、と流石のミサカもこれには驚きます」
上条「……御坂妹もだ。これはどういうことなのか説明しろ」
御坂妹「あ、その……」
上条「わかってんだよな?お前らがしてることの意味をよ?」
美琴「……」
御坂妹「……すみません……ミサカたちは、
中の人をよってたかってバカにしていました、
とミサカは自白します……」
上条「ハァ……お前ら、それでも人間か?」
美琴「……ッ!な、何よ!何が悪いわけ!?
汚い奴に汚いって言って、何が悪いのよ!!」
上条「……そうだな、お前は汚い奴だよ、御坂」
美琴「え?」
上条「ゲロ以下の、糞以下の、最低最悪に心根の汚い存在だよッ!
御坂ぁ!!」
美琴「……そ、そんな」
上条「大体、お前は〝言ってただけ〟じゃねぇだろ?
少し見てたが、そこの携帯も使ってたよなぁ?」
美琴「……これは……」
上条「……お前は……そんなことしない奴だって思ってたのに……」
上条「……汚いっていったよな?
ああ、確かに汚いだろうな。それは仕方ねえよ、
そう思われても仕方ないことになってるんだしな。
……だがな、お前よりはマシだよ!!
人の不幸をバカにして、かつその不幸で遊んで、
それに飽きたらず、携帯使って脅しまでかけて、
お前は一体何様のつもりなんだ?
――えぇ!?御坂!!!」
美琴「……ぅ……」グスッ
別に御坂が嫌いなわけじゃないのにすごいスカッとする
上条「俺がお前にしてほしかったのはそんなことじゃねえ!
ただ、なにか起こらないか窺っててほしかっただけだ!
もしかしたら、中から出てきて、助けを求めるかもしれないんだ!
そんな時、お前ならきっと助けになるって、そう思って俺は頼んだんだ!!
それがなんだ?逆にバカにして、弄んで、一体お前は何様のつもりなんだよ!!
……御坂、お前笑ってたよな。……何が可笑しいんだ?
なあ、人の不幸の、なにが可笑しいんだよ?言ってみろよ!!
そうやって、人をバカにして何がそんなに笑えるんだよ?
お前は人の気持ちがわからねえのか?
想像してみろよ、
もし自分がまったく逆の立場だったら、お前はどんな気持ちになるんだ?
……わかるよな?わからねえなんて言わせないぞ?人間なんだよな?
人なんだよな?人間じゃねえって言った時、怒ったもんなぁ?
……だったら中の人間の気持ちだってわかるはずだ!!
どれだけ辛いか想像出来るはずだ!!
そんな時、手を差し伸べて貰いたい気持ちもっ!!
わからねえなら人間じゃねえ!!
……そうだ、テメェがわからねえって言うんだったら、
まずは俺が、その幻想をぶち殺す!!
そしてわからせてやる!不幸をバカにされる気持ちがどんなものかを、なぁ!!」
美琴「……ごめ……なさい……ごめん……」グスグス
御坂妹「そげぶ来ましたね、とミサカは他人事のように事を見守ります」
上条「御坂妹もだ!お前らは人として、
やっちゃいけないことをしていたんだよ!!
……それを今から俺がわからせてやる!!
反省しても、もう遅いぞ?中の人にとっては、
忘れられない心の傷を、お前らは作っちまったんだからな!!」
御坂妹「……ぅ……すみませんでした……」ウルッ
一方通行(なンて……なンて野郎なンだよ、テメェってヒーローは……)
上条「場所を変えようぜ?久々にキレちまったよ……っとその前に……」
上条「――……あの、これ、着替えを持ってきました。使って下さい」
上条「……もう貸す何て言いません。
それは差し上げます。……そしてどうか、落ち込まないで下さい」
上条「誰にでも、不幸な出来事ってもんは起こり得ることなんです。
――だけど、その不幸に負けたらダメなんだ!」
上条「こいつらに何を言われたのかはわからないけど!
自分の不幸を、自分自身を!恥だなんて思ったらそれは間違いだ!!
人は誰でも失敗して、自分の不幸と向き合って、
それを受け入れながら生きていくんだよ!!
だから、今の不幸も受け入れて、そしてまた前を向いて生き続けてほしい。
そうやって人間は成長していくんだ!!
……あんたが、
自分の不幸に絶望してるんだとしたら……まずは、そのふざけた幻想をぶち殺せ!!
それが出来ないなら、俺がその幻想をぶち殺す!!」
一方通行「ヒ、ヒーロー……!!」カチャッ
―――とある便所の一方通行―――
美琴「……何よ……何ナノよ……」ブツブツ
御坂妹「……おや、お姉様の様子が……?」
美琴「あんただって……あんただって……」
上条「……?おい、もう行くぞ御坂。俺たちはもうここにいちゃいけない」
美琴「あんただってぇえええ!!これを見たら笑うわよッ!!」バッ
上条「な……に?」
御坂妹「あ、お姉様それは……」
上条「まだテメェはそんなこと言うのかよ!見損なうってレベルじゃねーぞ!!」
美琴「いいからッ!見なさいよぉぉおおおお!!」ピッ
上条「御坂ぁ!テメェ……――」
上条「――……」ジー
美琴「えいっ」ピッピ
『ボクはクソを垂れ流してしまう実験動物以下の最低なクソ野郎です。
本当に妹達の皆様方、申し訳御座いませンでした』
『学園都市最強の怪物改めェ!?汚物ですゥゥゥ!!』
上条「」
美琴「まだまだ、もっかい最初から……――」ピッ
上条「……」
美琴「あの中に入ってるのはねぇ!?
学園都市最強の第一位、一方通行様なのよぉぉおおおお!?
これが笑わずにいられるかぁぁぁああああ!!!」
上条「……イヤ……コレハ……オレハ……」プルプル
>.:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::/i::::::::::::::::::::::::::::::::::::::/.:::::::::::::::::::::::::::::::::::::丶、
,...:´::::::::/.:::::::::::::::::::::::::::::/ |:::::ハ::::::::::::::::::::::::::/ !::/.:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::>
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/.:::::::::::::.イ:::::::::::::/<でうラ'ヘ`}:ト::∧:l::::/厶イ´.::::∨::|:::::::::::::\ー―一
ー‐ァ.:::::::::{ 厶イ:::ハ/ `ニ ノ.:::jノ.::::::八/.:::'でうラヽ/.:::|:::::::::::::::::::\
/___::∧ (|/ 〈::::::::::::::::::::::://.:::::::::::::ー一'.:::::::j/!::::::::::\ ̄
/.:::::ハ ∧ \::::::::::::::/ {::::/ ̄ ̄\::::::::::/ }:::::::「 ̄
∠::::::::::::八 :. \:::::/ }::j\ /.::::::/ ∧ハ| ・・・・・・
厶イ:::::::::ーヘ ´/ノ.::::::\_/.::::::/イ }
ノイ::/i:::ハ {:::::::::::::::::::::::::::∧丿
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x≦ハ| ::\ ー‐.:::::::::::::::::::/
/ ∨//| ::::\ `7.::::::::::::.イ\
/ ∨/j \:::\ ;::::. .<:::::'///\
/ ∨′ \:::::: ̄::::::::::::::::'/////⌒ヽ、
/ >x:::.、 \::::::::::::::::::::{'/////////\
笑いこらえてる顔だと思うと吹くwww
上条「ブフォwwwwwwwwwwwwwww」
美琴「……」ニヤァ
御坂妹「あっけないオチでしたね、
とミサカはここまでの流れを、実は想定出来てましたと自白します」
上条「wwwwwッゲホガホ……いや、笑ってない。俺は笑って――」
美琴「ふーん?」バッ
御坂妹「学園都市最強の汚物、一本野糞」キリッ
上条「――……ブフォアwwwwwwブハァwwwwww」
美琴「……」ジー
御坂妹「これどう収束させたらいいんですかね?とミサカは誰かに問いかけます」
一方通行「ヒー……ロー……」
―――とあなる便所の一方通行―――
打ち止め「あの人遅いなー、ってミサカはミサカは暇してみたりー」
打ち止め「……下剤が効きすぎたのかなー、
ってミサカはミサカは思い返してみる」
打ち止め「そろそろ規制解除してあげようかな、
ってミサカはミサカはあの人に早く帰ってきてもらいたかったり」
打ち止め「……探しに行こうかな……」
―――――――――――――――――
上条「……」
美琴「……」
御坂妹「……」
美琴「……で、何か言うことは?」
上条「……そげぶ」
御坂妹「わけわかめですね、とミサカは状況を楽しみます」
美琴「……まず、謝るか?」
上条「……そげぶ」
美琴「おい、誤魔化せると思うなよ?」チラッ
御坂妹「はい(ピッ『ブフォwwwwwwwwww』」
上条「……」
美琴「なにが可笑しいの?ねえ、なにが可笑しいの?」
上条「……あ、そうだ。今日は特売の日だったんだー?
そろそろ上条さんはおいとましなきゃー?」クルッ
美琴「……逃がすわけねぇだろーがー!!」ビリビリビリビリッ
上条「ひぃっ!?」パキーン
美琴「ハァーハァー……」
上条「ま、待て御坂?話し合おう!話せばわかる!!」
御坂妹「これはひどい、
とミサカはもうミサカネットワークで実況したい衝動に駆られています」
美琴「あーんーたーのぉー!説教をそのまま返してやるよコラァー!!」ビリビリビリッ
上条「わぁぁああ!不幸だ、不幸だああああああ!!」パキーン
土御門「おーいカミやーん?何してるんだにゃー?」
一方通行(ッ!?今の声、まさか――)
上条「つ、土御門?それに――」
海原「おや、御坂さんもご一緒ですか。お久しぶりです」
結標「相変わらず騒々しいわね?」
美琴「な、あんたたちどうして……?」
御坂妹「これは意外な展開になってきました、とミサカは実況します」
土御門「いやー、俺たち卒業済みの〝グループ〟でにゃー?
同窓会をやろうって企画してるんだにゃー。
それで、今俺たちは一方通行を捜してるんだけど、
どっかで見なかったぜよ?」
上条「一方……」
美琴「通行を……?」
土御門「連絡を取りたくて、
あいつの携帯にかけても出てくれないんだにゃー……。
それでこうして街の中捜してたんだけど、
見つからなくてにゃー?どこにいるか知らんぜよ?」
上条「いや、あの、それは……」チラッ
美琴「……え?何よ、私を見ないでよ!」
土御門「お、どこに居るか知ってるのかにゃ?
是非教えてほしいぜよ!!」
海原「流石は御坂さん。
僕たちに出来ないことを平然とやってのける!
そこに痺れる憧れる!!」
結標「あんたキモい」
美琴「え?え?……それは、あの……」チラッ
土御門「ん?……便所?なんで便所を見るのかにゃ??」チラッ
一方通行「」
―――とある便所の一方通行―――
打ち止め「遅い遅いおーそーいー、
ってミサカはミサカは我慢できなくなってみたり!」
番外個体「……うっさいなー、そんなに気になるなら捜しにいけばー?」
打ち止め「そうだね、じゃあ早く行こう!
ってミサカはミサカはあなたも誘ってみる」
番外個体「えー?何でミサカも行かないといけないの?
意味わかんない」
打ち止め「もとはと言えば、
あなたがミサカのプリンを食べたのが原因なんだよ!?」
番外個体「だーかーらー、それはあの白もやしがー」
打ち止め「それでも!
ってミサカはミサカは食べた責任をとってもらいたかったり!!」
番外個体「めんどくさー」
打ち止め「一人より、二人で捜した方が早く見つかるもん、
ってミサカはミサカは理論づけてみる」
番外個体「下剤仕込んだんだっけ?
どうせさー、その辺の公園のトイレで項垂れてんじゃねぇのー?」
打ち止め「じゃああなたがその公園を見つけてね、
ってミサカはミサカは腕を引っ張ってみーたーりぃー!!」
番外個体「うーわー、ちょっとー、マジどんだけー(笑)」
―――――――――――――――――
土御門「便所?便所に何かあるんぜよ?」ヒョコッヒョコッ
上条「いや、それは……」バッバッ
美琴(どーすんのよ、これ!)
上条(うるせぇ!俺だってもうどうしたらいいのかわかんねーよ!!)
御坂妹(便所で修羅場、なう。っと……)
―――――――――――――――――
浜面「フンフンフーン♪……っお?あれは、上条?」
浜面「おーい!上条ー!上条当麻ー?」
上条「……!?」
美琴「今度は何!?」
浜面「……ってなんだなんだー?随分人が集まってんだなー?」
麦野「……あ?あれは、第三位……」
絹旗「なんか事件の香りがしますね?」
滝壺「……臭う」
上条「お、お前……何でここに?」
浜面「え?それはこっちが聞きたいんだけど?
便所に集まって何してんの?」
麦野「おい馬鹿面、なんかここ臭いから早く離れるわよ……」
美琴「……加齢臭」ボソッ
麦野「あ゛あ゛あ゛!?なんか言ったかにゃー?……幼児体型、主に胸」
美琴「誰が幼児だっ!?……お久しぶりね、おばさん?」ビリ
麦野「お久しぶり。……それと、今日で永遠にさよならだなぁ?」ギューン
上条「わー!やめろやめろー!!」
土御門「……〝アイテム〟の連中だったか?何故ここに揃って現れた?」
浜面「……あ、俺?いやー、普通にみんなで遊んでただけなんだけど?」
絹旗「……またの名を、サンマタデートと言います」
土御門「……ほう?###」
浜面「おい、ちょ、何言ってんだ!?違うから!そんなんじゃないから!」
滝壺「……浜面、不潔なのは応援できない……サイテー」
浜面「何で!?今普通にみんなで遊んでたでしょ!?
何これなんなの?この流れ!?」
御坂妹「だんだんカオスになってきましたね、
とミサカはさらなる新展開を望みます」
一方通行(外が騒がしい所じゃねェ、なにが起こってンだ?)
一方通行(グループ?アイテム?……奴らが全員外に居るってェのか?)
一方通行(間違いなく土御門の野郎は居る。俺を捜してる……)
一方通行(……もしも、ここで〝この事態〟がバレたら……?)
一方通行「」ガタガタガタガタ
上条(まずい、これはまずい)
上条(もしここで、一方通行が、ここに居るなんてことがバレたら……)
上条(……あいつは間違いなく、死ねるだろうな……)
上条(……後、間違いなく上条さんに、不幸が訪れる……直感でわかる)
上条(まあもう不幸だけど……)
上条「――……なあ、みんな?ちょっと場所を変えないか?
こんなトイレの近くから離れてさ!」ニコッ
土御門「……カミやん?どうして、便所を強調するのかにゃー?」
上条「へ?」
土御門「さっきから便所をチラチラ見てるし、……何か隠してるんじゃないか?」
上条(あ、こいつ鋭いわ。上条さんやっちまったわ)
土御門「……その便所に、誰か居るのかにゃ?」
一方通行「ビクッ」
上条「つ、土御門……それはその……」
美琴「……もうバラしちゃえば?」ボソッ
麦野「……は?何をバラすって?」
御坂妹「wktkwktk、とミサカはノリノリです」
打ち止め「あー!みんな揃ってなーにーしーてーるーのぉー!?」
一方通行(こ、この……声……は……?)
番外個体「何だ何だー?トイレに集まって何の騒ぎ……だ……」
上条「なん……だと?」
美琴「……もうどうにでもなーれ♪」
御坂妹「フィナーレも近いですね、とミサカには結果が見えてきました」
―――ガヤガヤガヤガヤガヤガヤガヤガヤガヤガヤ―――
一方通行(どォなってンだどォなってンだどォなってンだどォなってンだどォなってンだ)
一方通行(なンでなンで、なンで俺がこンな目にあわなきゃならねェンだ)
一方通行(いつもこォだ。幸せだと思ったら、絶望のどん底に叩き落される)
一方通行(今までは這い上がれた、全てを取り戻すことにも成功した)
一方通行(今度はどォだ?……もォ詰ンでないか?)
一方通行(ああああああああああ゛あ゛あ゛あ゛あ゛)
打ち止め「ねぇねぇ、あの人……じゃなくて、一方通行を知らないー?
ってミサカはミサカはあの人の居場所を誰か知らないか聞いてみたりー☆」
上条「……この展開は……」
美琴「あ、知ってるような?知らないようなー?」ヘラヘラ
土御門「どっちだにゃ。
……ってか何か俺は展開読めてきたぜよ」
浜面「は?なに?展開??どゆこと???」
麦野「っつーかここ臭いんだってば、早く行こう」
番外個体「……下剤……トイレ……みんな……集まる……」ブツブツ
打ち止め「お姉様知ってるの!?どこにいるのかミサカはミサカは知りたい!!」
打ち止め「あのねー、今日ミサカがあの人にねぇー……――」
御坂妹「ルート確定したな、とミサカはもうミサカネットワーク全開です」
―――とある便所の一方通行―――
打ち止め「――……ってことをしてね?
でももう飽きちゃったから、あの人を捜しにきたんだー、
ってミサカはミサカは事の顛末を解説してみたりー」
上条「……終わった」
美琴「ざまぁないわ」
土御門「へぇ……」クルッ
海原「つまりこれは、そういうことですか?」
結標「……もう私帰っていい?」
浜面「え?え?なに??これなにが起きてるの???」
麦野「流石に空気で読めたわ」
絹旗「え?これなんかのシナリオですか?
映画でも作ってるんですか?」
滝壺「……すぐ近くから電波を受信中」
番外個体「マジで?これ、マジで?そういう展開なの?え、マジで??」
打ち止め「……?どうしたのみんな??」
土御門「ふむ、便所ねえ……」
土御門「……」ヒョコッ
土御門「ジー……――!?おい、これは……?」
上条「先に言っとく、不幸だ」
美琴「もう聞き飽きたわよ」
一方通行(外が急に静かになった?)
一方通行(どォなったンだ?なァ、これは……)
一方通行(……まさか、
あいつが全員を、ここから追い払ってくれたとか?)
一方通行(ひ、ヒーロー……!!)
土御門「……アクセラレータ」ボソッ
一方通行「」ガタタッ
土御門「……おい、マジかよ……」
美琴「あー!手が滑ったぁー♪」ポチッ
『ボクはクソを垂れ流してしまう実験動物以下の最低なクソ野郎です。
本当に妹達の皆様方、申し訳御座いませンでした』
『先ほどは、言葉使い態度共に失礼を重ねてすみませンでした』
『学園都市最強の怪物改めェ!?汚物ですゥゥゥ!!』
一方通行「」
御坂妹「その時、この場所の空気が凍りついた。
そして、何かが砕け散る音が聞こえた、とミサカはナレーションを入れます」
上条「」
一同「……」
海原「……あ、喋ってもいいですか?つまりこれは――」
―――とある便所の一方通行―――
一同「……」
御坂妹「……ウンコモレータ!」
一同「……ブフォwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwww」
一方通行「」ドバァアアアアアアアアアアン!!!!
一同「……え?」
御坂妹「……と一同がつぶやいた瞬間、
そこには黒い翼を生やしたナニかが、
トイレの建物全てを破壊し、
超然と君臨しているのを目撃するのであった、とミサカは解説します」
一方通行「かかかかかきくけかこきけこかききけけくこけくこかき」バアアアアン!!
上条「――……ッ!何だ!?一方通行?
の周りに茶色いナニかが……渦巻いてる!!」
美琴「……え、ちょ、あれ見て……?あいつの足元あたり……」
浜面「……なるほど、奴はさながら肥溜めからベクトル変換をして、
奴の周りに渦巻くように演算しているんだ!!
つまりあれはバリアー!!うん――」
麦野「こいつ小学生以下の発想持ってるわ」
絹旗「知ってました」
滝壺「……浜面サイテー」
浜面「え!?俺間違ってないよね!?
何で俺責められてるの!?出番くれてもいいでしょ!?」
土御門「……とんだ同窓会だにゃー……」
打ち止め「……あの人、何だよね?
……これって、
もしかしなくても……ミサカのミサカのせいだったり……?」
番外個体「ギャッハハハハハwwwwwwwwハハハwwwwww
死ぬwwwww殺されるwwwwwwなんだこれぇwwww
なぁんだこれwwwwゲホゲホwwwwwwブッハァwwwwwww
っうぇwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwww」ジタバタ
一方通行「カカァッ!!」ブンッ
番外個体「wwwwwwwえ?……――」ベチャアッ
上条「!?」ギョッ
一方通行「ギャハギャハギャハハハハハハ」ビュオオオッブンッブンッブンッ
美琴「え、ちょ!攻撃してきてる!?」
土御門「……総員退避ー!退避するんだ!!全員ここから離れろおおおお!!!」
一同「ウワッコッチキタ!!……イヤーフクニツイター!!ニゲロー!!ゼンソクゼンシンダッ!!タスケテー!!ママーアレナニー?ミチャイケマセン!!」
御坂妹「ハハッワロス、とミサカは逃げながら実況し続けます」
上条「くそっ!これはヤバいぞ!?一般人にも被害が出てる!!」
美琴「ちょっとどうすんのこれぇー!?」ビリッバチッバシューン
上条「……何とか説得するしかない……あいつの行動を止める説得を……」
美琴「どうやって!?」
上条「そ、それは……――」
打ち止め「……ごめんなさい……ミサカが……ミサカが……」
上条「――……いた!いるぞ!!
一方通行を説得できる奴が!!」
上条「うおおおお!一方通行ーーー!これを見ろぉぉぉおお!!」
一方通行「ハアアアアンハンハアアアアアアン……!?」ビュオオオオオ……
打ち止め「え?」
上条「打ち止め!お前が、お前があいつを説得するんだ!
――お前の言葉ならあいつに届く!!」
打ち止め「ミサカ……が?」
上条「そうだ!お前ならあいつを止められる!やるんだ打ち止め!!
――そして、もうこんな悲劇を終わらせよう?」キリッ
打ち止め「……うん、わかった!!ってミサカはミサカはやってみる!!」
打ち止め「……ッ!もうやめてー!!もとのあなたに戻ってー!!」ダッ
一方通行「……打ち……止め……」ビュウウ……
打ち止め「ごめんね?ごめんなさい……。
謝るから、全部謝るから、もうプリンのこと怒ってないから!
……だから、一緒に帰ろう?ってミサカはミサカはお願いしてみる」
―――……ずっと一緒にいたいよ、
ってミサカはミサカはお願いしてみる。
―――……俺も、ずっと一緒にいたかった。
御坂妹「と、次の瞬間!
バキバキバキ!!と氷に亀裂を入れるような音と共に、
怪物ならぬ汚物の翼の色が変わっていく。
墨のような漆黒から、雪のような純白に。
根元から先端まで、ものの一瞬で外見の色彩から内面の本質まで、
その全てが切り替わっていく。
その頭部のすぐ上に、同色の小さな輪が生じていた、
とミサカは原作から引用します」
一方通行「打ち……止め……打ち止め!」スタッ…トットットッ…バッ
打ち止め「……あ……」スッ
一方通行「打ち止め?」バッ
打ち止め「……か、帰ろう?」ススッ
一方通行「……」ンバッ!!
打ち止め「……イヤ……サワラ……」スススッ
一方通行「……」ピタッ
上条「……もう帰りたい」
御坂妹「次の瞬間!バキバキバキ!!と氷に亀裂ry」
一方通行「ぎゃはあははぎゃはぎゃyがぎゃgっやっが;glkじょいあhvh」
御坂妹「墨のような漆黒の翼が噴出すようにry」
一方通行「くぁwせdrftgyふじこlp;@:」ビュオオオオ!!
上条「打ち止めァァァアアア!?」
打ち止め「……だ、だってぇ!だってぇ!!」イヤイヤッ
上条「ちくしょおおおお!!こうなりゃ一か八か!!
――幻想殺しにかけるしかねぇ!!」
美琴「あんたなにする気!?」
上条「御坂は打ち止めを連れて逃げろ!俺は一方通行を何とかする!!」
美琴「何とかって、そんなの無茶よ!死にに行くだけよ!!」
上条「それでもっ!この状況を止められるのは、
――もう俺だけしかいないから!」
美琴「もう逃げよう?一緒に帰ろう?誰もあんたを恨まないから!!」
上条「……俺、お前と友達になれて、良かった。また、会おうな!!」ダッ
美琴「とぉぉぉまぁぁぁああああ!!!」
御坂妹「某人気アニメの演出オッケェー!
とミサカは監督みたいにOKサインをだします」グッ
一方通行「かくくかここかきくけここここここ」ビュオオオビュオオオオ!!
上条「一方通行ー!……俺は言ったよなぁ!!
……自分の不幸に絶望してるんだとしたら、
……まずは、そのふざけた幻想をぶち殺せ、って!!」
上条「そして、それが出来ないんだったら!!
俺がっ、まずは、その幻想をぶち殺す!!
――目を覚ませぇぇぇえええ一方通行ッ!!!」グオオオッ!!
御坂妹「繰り出される幻想殺し!彼がその手に掴むモノは……――」
一方通行「カカァッ!!」ブンッ
上条「うおおおおお……――!?」ベチャアッ
上条「……」ニギニギ
上条「……」クンクン
上条「」
上条「……」クルッ
美琴「……え?なに?なんで戻ってくんの?」
上条「……」ダッ
美琴「……は?ちょっとなんでこっち走って――」
上条「ぷああああああああはあああああああああ」ダダダダダッ
美琴「いやあああああああ来るなあああああああ」ダダダダダッ
御坂妹「幻想殺し(笑)」
打ち止め「もうこんなの嫌だよ……こんなの絶対おかしいよ、
ってミサカはミサカは嘆いてみる」
一方通行「エンダアアアアアアアアアアアイアアアアアアアアア」ギョーンギョーンッ!!
御坂妹「――さあ、ラスト行ってみますか、とミサカは盛り上げてみます」
―――I'm always running after you. You are my ideal. You are me.―――
黄泉川「……外が騒がしいじゃん?」
芳川「私たち出番これだけよ」
―――I'm always running after you. You are my ideal. You are me.―――
風斬「嫌な風……よくない空気……臭い」
黒子「――ッこの感じ!お姉様のピンチ!?おねええさまあああ!!!」
―――これ以上、遠くまで飛べない、鳥がいた―――
上条「ばああああああだあああああああ」ダダダダッ
美琴「くんなあああああくんなっていってんでしょーがコラァ!!」ビリビリ
―――傷もない、立派な羽で、青空をなじった―――
土御門「これは酷過ぎるオチだにゃー……」
海原「えんがちょ(笑)」
結標「海原、あんた歳いくつ?」
―――コノ場所モ悪クナイ、アノ空ハ高クナイ、コノ場所モ良クハナイ―――
番外個体「アヘェ」ピクッピクピク……
姫神「……完全に存在を忘れられてた……ここだけの出番」
―――体で、感じる速度を、恐れてる、恐レテル―――
浜面「すげぇ……これが一位の実力……」
麦野「……あれは敵わないわ」
―――誰にでも、チャンスは持てる、その先へ行けない―――
絹旗「これ映画化いつですか?絶対見にいくんですけど」
滝壺「それはちょっと、理解できないよ……」
―――本当ハ飛ビ立テナイ、本当ハ飛ビ立チタイ―――
一方通行「ミンナ消エロ!消エチマエエエエエエ!!」ビュオンビュオン
―――今叶えたい願いの向こうで、輝く、君がいる―――
御坂妹「やっとオチがつきましたね?とミサカは〆を……――
――……え?なに?20000号が学園都市に向かってる?
――……ちょ、おい、やめろ!!
誰か止めろ!!放送止めろ!!放送事故だよ!!」
―――瞳に映す―――
一方通行(今日も平和な学園都市)
―――未来に立って、いつも強くて、そんな君が僕さ―――
一方通行(ここまで来ンのに、色々あったな)
『実験』
『闇』
『世界大戦』
『とある魔術』
『便所』
―――君はまだ眩しいけど、同じ気持ちで、この手伸ばして―――
一方通行(この平和が、いつまでも続いて欲しい)
―――いつか掴む、現実の僕が―――
一方通行(俺が、犠牲になっても、ドタバタ騒げるこの平和が、平穏が)
―――君になるよ―――
一方通行「いつまでも、続いて欲しいから」ニコッ
―――〝君になるよ〟―――
一方通行「アアアァァァァァアアアアアアアアア!!!」
上条「あああああああああああああああああ!!!」
美琴「いやあああああああああああああああ!!!」
―――とある便所の一方通行―――
インデックス「あーあ、とうまおそいねー?スフィンクスー」
スフィンクス「ニャーン」
インデックス「……あれ?これで終わり?私これだけ?
私ヒロインなんだよ!?これだけって嫌だよ!!
ちょっ、とうま!!とーうまーーーー!!!」
スレ 一方通行「……漏れる、クソッたれがァ!」上条「うぅー不幸だー!」
トイレ アクセラレータ
『―――とある便所の一方通行―――』
┼ヽ -|r‐、. レ | 企画・製作
d⌒) ./| _ノ __ノ VIP
‐‐--―――――――――--‐‐
‐‐--―――――--‐‐
番外個体「……ねぇ、ミサカ、あなたに……お願いがあるんだけど?」
一方通行「ア?……なンだ?」
番外個体「あのさ……オムツ……穿いてみない?」
一方通行「」
おわれ
トイレ アクセラレータ
『―――とある便所の一方通行―――』
┼ヽ -|r‐、. レ | 企画・製作
d⌒) ./| _ノ __ノ VIP
Entry ⇒ 2012.01.18 | Category ⇒ 禁書目録SS | Comments (0) | Trackbacks (0)
ソーニャ「キルミーベイベー」
幼い頃から殺し屋として働いていたのもあるが、今の私には目的があった。
ある殺し屋を殺す。
それが高校の頃からの私の目的だった。
部屋にはベッドと机、そしてパソコン以外には何もない。
私は重いドアの鍵を何重にも閉めるとベッドに横になりそっと目を閉じた。
組織の間ではキチガイとか、悪魔とか死神とか……いろいろな呼ばれ方をされているらしい。
以前のプライドの高い私ならば怒っていただろうが、今の私はそんな気が起きない。
明日のターゲットを殺す方法を考えながら目を閉じるとすぐに眠気が襲い掛かってきた。
明日も朝から従の整備をしなければいけない。その後すぐにターゲットを殺す。そして余った時間で……。
||:: | ヘ) ヘ) .| ::| <キルミーベイベー
||:: | く く .| ::|
||:: └──────┘ ::|
|| ┌────┐ .| ∧∧
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ( _) なんだこりゃ
/ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄旦 ̄(_, ) アホか氏ね
/ \ `
| ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄|、_)
 ̄| ̄| ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄| ̄| ̄
| .( ( | |\
| ) ) ) | | .|
|________(__| .\|
/― ∧ ∧ ――-\≒
/ ( ) …キルミーベイベー
| ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ |
|_____________|
私のことを友達と呼んでくれた少女が語りかけてくる。
やすな「ひどいよ、ソーニャちゃん! いい加減に学習してよ!」
そいつは、馬鹿で、アホで、やっぱり馬鹿で……。
やすな「大丈夫、ソーニャちゃん。私がついてるよ!」
……私の、唯一の親友だった。
夢を見た。
いやな夢だった。
私は銃の整備をした後、固いパンを食べ、そのまま仕事に向かった。
今回の仕事はマフィアのボスの暗殺だった。
邪魔する兵士をナイフで殺し、ターゲットを銃で撃ち殺した。
仕事を終えるとシャワーを浴び、知り合いの情報屋に会いに行く。
私に頼まれている情報はまだ見つかっていないそうだ。
このターゲットは組織からの依頼ではなく、国からの依頼だった。
よくある大統領の息子や娘を暗殺させる自作自演だ。
下手な殺し屋は捕まるであろうが、私は違う。
無邪気にはしゃぐ子供の心臓をためらいもなく銃弾で打ち抜くと黒服の男たちが騒ぎ出す前にその場を後にした。
昔の私なら殺すことを躊躇っただろう。
だが、これも仕事だ。仕方がない。
今日も、何の罪もない人間を。
いや、何の罪もないというのはおかしいか。
本当に何の罪もないのなら、依頼なんてくるはずがない。
その罪を償うために、死ぬんだ。
だから私が引導を渡しているんだ。
昔の私の「いいわけ」だった。
自分の罪から逃れるための……。
やすな「ありがとう、ソーニャちゃん!」
やすな「ひどいよ、ソーニャちゃん!」
やすな「あそぼーよ、ソーニャちゃん!」
夢の中で、またあいつが騒いでいる。
やめろ。その名前で呼ぶな。
やすな「……ソーニャちゃんは、私に命令できる立場なの?」
ソーニャ「え……?」
うわあああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!
親友の夢。
汗がひどい。
服を脱ぎ捨てシャワーを浴びる
黒い部屋の中で音がした。
あの音はメールの届く音だ。
一糸纏わぬまま部屋へ戻ると情報屋からメールが届いていた。
赤い髪の殺し屋が、見つかったそうだ。
私は銃の整備をすると懐にナイフを忍ばせた。
防弾チョッキも用意した。
情報屋に今までためた大金を払いそいつの情報をすべて受け取った。
明日、計画を実行に移す。
この数年、待ち望んでいた最初で最後のチャンスだ。
絶対に、あの殺し屋を殺す。
ソーニャ「私は忙しいんだ。またにしてくれ」
また、あの夢だ。
やすな「またまたー、ほんとは私と遊びたいくせに!」
ソーニャ「誰がお前なんかと……もういい、帰るぞ!」
せめて、あのときに遊びにいってやればよかった。
やすな「ひどっ! ……! ソーニャちゃん、危ない!」
ソーニャ「誰がそんな言葉に騙されるかっ! ……って、うわっ!!?」
いつにない、やすなの本気の体当たりで、私はバランスを崩し倒れた。
ソーニャ「お前、何考え……っ!!?」
やすな「……ソーニャちゃん……だい、じょーぶ……?」
やすなの背中に、ナイフが刺さっていた。
確かに心臓にでもよっぽど深くでも刺さらない限り死なない気がする
毒のにおいがした。なぜ、その瞬間まで気がつけなかったのだろうか。
ソーニャ「大丈夫か!? すぐに病院に……!」
私の手がどんどん赤く染まっていく。
やすな「……えへへ……こんなに……やさ、しい……そー、にゃ、ちゃん……はじ、めて……」
ソーニャ「しゃべるな!」
やすな「……もう、いえなく、なっちゃうから……だから、これだけは、いいたいんだ……」
ソーニャ「そんなわけない! 言えなくなんてならない! だから……」
やすな「……ありがと……」
そういうと、あいつは目を閉じた。
ソーニャ「……や、すな……? うそ、だよな……おい、やすな!!! うわああああああああああああ!!!!」
その日、私の親友は……この世を去った。
高校をやめ、情報のために金を集める日々。
毒のついたナイフ、そしてその日学校で目撃された赤い髪の不審者。
これだけの情報だったが、ついにやすなを殺した殺し屋を見つけ出すことが出来た。
私は、仕事をするための服に着替えると、黒い部屋を出た。
銃撃戦も、接近戦も、終始私が優勢だった。
皮肉なことに、今までの経験が役に立っているのだ。
そいつは、自分が何をしたのかわかっていないようだった。
ソーニャ「……お前が、3年前に殺した女子高校生のことを覚えているか?」
殺し屋「そ、そんなもの、いちいち覚えているわけがないだろ!!!」
私は、両足を打ち抜き、腕をナイフで刺し、そのままそいつを拘束した。
簡単に殺しはしない。もっと、もっと苦しませるんだ。
最初で最後の会話から数時間後、そいつは苦しみながら死んだ。
目的が達成できた瞬間、私はとても虚しい気持ちになった。
以前の私のような殺し屋が組織にとって邪魔な存在らしい。
私はその高校の制服を着ると、その殺し屋を殺すために高校に潜入した。
殺し屋は簡単に見つかった。友達と喧嘩をしているようだった。
私はその背後にそっと忍び寄り、ナイフを出した。
殺し屋の友達が、私の前に現れた。
あまりに突然の出来事で手を止めることができず、私はそいつをさしてしまった。
そして、あの日の出来事がフラッシュバックする。
殺し屋は泣きながら私に銃を向けた。
私は頭が真っ白になったまま走って逃げ出す。
屋上まで逃げるが、ついに追い詰められてしまった。
「なんで……なんであいつを刺したんだよ!!!」
泣き声の混ざった叫びが屋上に響く。
あのときの、私がそこにいた。
私のように復讐だけを考えて生き続けるのだろうか。
私のように、何人もの人を殺すのだろうか。
その時、親友の声がした。
やすな『そういう仕事は、いけないと思うな』
そうだ。
私が今までやってきたことは、罪なのだ。
いまさら、気づいた。
私は、あの殺し屋と同じだった。
救われたいと思った。
もし、救われるとすれば、方法はひとつだった。
ソーニャ「キルミーベイベー(殺してみろ、可愛い子ちゃん)」
銃声が、木霊した。
「当たり前だ!!! なのに……なんで……」
ソーニャ「急所は、外れてる……私の、胸ポケットの……薬を、飲ませれば……毒も、抜ける……」
「……え……?」
ソーニャ「……私のターゲットは、お前だ……あの子じゃ、ない……」
多分、私は少しでも救われたかったんだろう。
でも、こんなことで罪を消せるわけではない。
私の胸ポケットからカプセルを持ち出すと、その殺し屋は走り去って行った。
空の青さが、目に染みた。
ソーニャ「なんだ……まだ、色が見えるんだ……私……」
ソーニャ「……なんだよ、迎えに来たのか」
……言ったでしょ。ずーっといっしょだよって。
ソーニャ「なら、もっと速く会いに来てくれよ」
……わっ、素直なソーニャちゃん、初めてだ!
ソーニャ「……やすな、これからは……ずっと一緒だ」
……うん。
青い空の下。
死神と呼ばれた優しい殺し屋は、その短い生涯を閉じた。
だが、その死顔は……とても穏やかなものだった。
まるで、暖かい優しさで包まれているかのように。
終わり
個人的にキルミーベイベー好きだから成功して欲しいな
よく一話だけでここまで思いつくな
キルミーベイベーと殺し屋だけど根は優しい感じの女の子とアホだけどいい子
これが妄想の発端
Entry ⇒ 2012.01.18 | Category ⇒ キルミーベイベーSS | Comments (0) | Trackbacks (0)
ロレンス「ホロ・・・ホロ・・・」シコシコ ホロ「・・・・」
ホロ「ときに主さまよ」
ロレンス「どうした?昼食にはまだ早いぞ」
ホロ「たわけ!わっちが常に食い物の事ばかり考えておるとでも言うのかや!?」
ロレンス「なんだ違うのか?」
ホロ「・・・昨日はひとりでお楽しみだったようじゃの?」
ロレンス「な!お、おまえ、起きて・・・」
ホロ「妄想の中のわっちは可愛いかったかや?」
ロレンス「う・・・それは、その」
ホロ「恋人を呼ぶように切ない声をあげて」
ロレンス「・・・な、なにがお望みかな?」
ホロ「くふ、主は物わかりがよいの。そうさな、晩の食事は豪勢にいきたいの」
ロレンス「ハァ・・・、牛でも豚でも好きなだけ食え」
ホロ「ついでにIDの数だけ腹筋してくりゃれ?」
ロレンス「わかったよ。クソ、なんて今日は日だ・・・」
ロレンス「……」
ホロ「夜夜、わっちのすぐ隣で、わっちの乱れるさまを妄想して1人で手淫とは…いい趣味じゃ」
ロレンス「あーもう!! さっきから何なんだホロ!!
言っておくがな、俺だって商人である前に男なんだ!…その、悶々とすることだってあるさ」
ホロ「ふむ、ならば何故、おぬしはわっちにそれを言わぬのじゃ?」
ロレンス「は、はぁ!? な、なんでホロにそんなことをわざわざ…」
ホロ「んっふ…わっちで抜いておるのじゃろう?
だったら、何も近くにいるわっちを使えばもっと都合がよいのではないかの?」
ロレンス「ば、バカな…俺の我儘でお前にそんなことできるわけないじゃないか!」
ホロ「…主、つくづくそんな性格じゃ…女に宛てがないのも頷けるの…」はぁー
期待してるぞ
ファイト、だよっ
寝る前にあんなホロの姿を見せられたら…)
ロレンス(…寝返りを打って、寝巻がはだけるホロ…そこから垣間見える…)
ぶんぶん!
ロレンス(あほか俺は!? そうやって暇さえあればこんな妄想を…くそっ…今まではこんなことなかったのに…)
ホロ「…」じーーー
ロレンス「…なんだ」
ホロ「ぬし、またよからぬことは考えておるじゃろう?」
ロレンス「な、何も考えていないさ」
ホロ「…わっちの耳のことを忘れるほど、何かに夢中と見えるのうエロレンス」
ロレンス「そんな呼び方は止めてくれ!」
わっち可愛いよわっち
ロレンス「やっと着いたな…でも、ここはあまり儲かってなさそうだ」
ホロ「確かにの。何となくさびれた雰囲気が空気にまじっておるのう」
ロレンス「こういう町には長居しないほうがいい。一日だけとまって、すぐに出よう」
ホロ「ぬしの勘は悪い時に当たるからの。わっちも言うとおりにするでありんす」
ロレンス「それで…今日は何が食べたいんだ?」
ホロ「覚えておったのか? 全く律儀な男じゃの」
ロレンス「い、一応はな。この街じゃあまり期待できないだろうけど…何でも好きなものを言ってくれ」
ホロ「くふっ、おぬしの財布の中が空にならぬといいがの」
ロレンス「そこは少し遠慮してくれても…はぁ、分かった、どうぞお好きなように」
店主「あいよ。しっかし嬢ちゃん、めんこいのによく飲むなぁ…」
ホロ「くふふ、これでも手加減しておりんす。連れ合いの財布の中身が心もとなくての」
ロレンス「…やっぱり酒か…」
ホロ「ここの葡萄酒はまた格別じゃの! 何か秘密でもありそうじゃ」
店主「ははは。目ざとい嬢ちゃんだな! その葡萄酒は、ここらの肥沃な土と、雨を吸って大きくなったんだ。
地元で作られた酒はうまい! 秘密っていえば、それくらいかな」
ロレンス「なるほど…」
ホロ「そんなこと言われては、あるだけ飲むしかあるまいのうロレンス?」
ロレンス「やれやれ…葡萄酒2つ、新しくお願いできますか?」
店主「おうよ! いやいや、最近金の巡りが悪くてねぇ…あんたら夫婦は福の神かもな!!」
ロレンス「いえ、僕はこいつとは別に…ただの連れですから」
ホロ「そうそう…え?」
ロレンス「だって、余計な勘違いされたくないだろ?」ひそひそ
ホロ「そ、それはそうじゃが……」
店主「なんだ、ただの連れだったのかい。勝手にきめつけちまって悪かったな。
あんまりお似合いなんでつい勘違いしちまった」
ロレンス「はははっ」
ホロ「……」ちびちび
店主「これは俺のおごりだ! まぁ、俺の予想もそこまで鈍ってないと思うけどな~
そんな別嬪さん連れて、何もないなんて…兄さんもしかして…?」
ロレンス「ま、まさか! 僕は異性愛者ですよ」
ホロ「……ふん」ちびちび
ロレンス「おいホロ! ホロ!…ったく…いつもはこんなに酔わないんですが…」
ホロ「ん~~?…わっちは酔ってなどありんせん! だんなどのぉ…おかわりじゃぁ…」けたけた
ロレンス「うわ、酒臭いぞ…全く」
ホロ「わっちゃあ…わっちゃあ賢浪…男になんぞ…のう、聞いておるか? ロレ…」
ロレンス「ったく…ほら、もう店じまいしたんだぞ? これから宿に行かないといけないんだ…しっかりしてく…あぁもう!」
店主「はははは! 随分飲んでたからなぁ嬢ちゃんは。さすがにそうなるのも無理はねぇ」
ロレンス「すいません、もう店じまいなのに…」
店主「まぁいいさ。久しぶりの上客だったからな。それとよ兄ちゃん」
ロレンス「?」
店主「上客様にはやっぱ言っておいたほうがいいと思ってよ…この町のことなんだが。
悪いことは言わねぇ、あまり長いしないほうがいいぜ。もちろん、この町は素敵さ、俺が生まれた町だからな…でも」
ロレンス「……」
店主「みんながみんな、そういうやつばかりとは限らねぇ。そこを分かっておいてほしいんだ」
ロレンス「確かに、街中で奇妙な商人を見かけました。扱っているものは、大きな街では違法のもの」
そういうもんにまで手を出して何がしたいんだかねぇ…俺にはようわからんよ」
ロレンス「そうですね…私にも理解しかねます」
店主「ま、そういう訳だ。忠告はしたぜ? そこの嬢ちゃん、10人男がいたら10人振り返る美人だ。
…あいつらが薬の売買だけしてるとは限らねぇ。くれぐれも用心してくれや」
ロレンス「ご忠告、痛み入ります。では、本当においしいぶどう酒と料理を、ありがとうございました」
店主「はは、礼を言うのはこっちだぜ兄ちゃん。久しぶりに楽しい夜だった、ありがとよ」
ロレンス「どうした? 気持ち悪いのか…?」
ホロ「……zz」
ロレンス「…寝言か…。それより、どうしてまたこんなに飲んだんだろうこいつは…」
ホロ「…」くーくー
ロレンス「……」ごくっ
ロレンス「だ、ダメだ、俺はまた何を考えて…!? とにかく、今日は宿を別々にとった。
そもそも今まで同じ部屋に男女が一緒というのがおかしかったんだ!」
ロレンス(俺はどうかしてる…ホロとは単に目指す場所が同じだけ。それはあいつだってそうだ…
それを邪な気持ちで…なんて下劣な男なんだ俺は!)
ロレンス(心のどこかで、あいつの素肌を見れることを期待していたんじゃないのか俺は?
だから今まで…金田なんだと言い訳をして同じ部屋を借りて…)
ロレンス(きっと、ホロも迷惑していたんだろう…いや、そうに違いない…
だから今日もあんなに飲んで忘れようとしていたんだ…)
ロレンス「ホロ! 起きてくれホロ!」
ホロ「ん…ふぁ…な、なんじゃぁ? ロレンス」
ロレンス「今日のお前の部屋はここだ。悪くない部屋だし、朝ごはんもついてるから、心配はいらない」
ホロ「な、何を言っておるんじゃぬし…」
ロレンス「俺は隣の部屋に泊まるから、何かあったらノックしてくれ」
ホロ「ど、どうしてじゃ? ぬし…どうしていつものように同じ部屋じゃ…」
ロレンス「ゴメン。いままでお前には迷惑をかけてしまった。
これからはちゃんと二部屋とるから、変な気遣いもしなくて済むぞ」
ホロ「そ、そんなことありんせん…! ぬ、ぬし…わっちを…わっちを一人にするのか…?」
ロレンス「お前は酔っているだけだよ。きっと…いや、この方が俺にとってもお前にとってもいいんだ。
もう遅いし、寒くなってきたから。体を冷やさないように気を付けてな」
ホロ「いやじゃ…な、なんでそうなるんじゃ? わっちは一言も…ぬし!」
ロレンス「ゴメン。おやすみホロ」
ホロ「ロレンス!!」
ホロは今は酔っていて混乱しているだろうけど、朝になればこの方がいいと気づくさ)
ロレンス(俺がいつ、ホロに手出ししてしまうかわからない…もう、そうしない自信もない…
そうなったらおれはなんて詫びればいいんだ? そうなるくらいなら…)
ロレンス「……」
ロレンス「……これで、いいんだ…」
ホロ「ど、どうしてじゃ…? わっち、何かロレンスを怒らせるようなことをしてしまったかや?」
ホロ「…も、もしかして、昼のことをとやかく言い過ぎたせい…?」
ホロ「そんな、わっちはロレンスを叱責するためにあんなことを言ったんじゃありんせん!
それは…ロレンス、ぬしも分かっておるじゃろう?」
ホロ「いやじゃ…一人でこんな部屋…これじゃ、あのころを同じ…一人ぼっちのあの頃と…」
ホロ「……」
ホロ「…そうじゃ、わっちは何を迷っておるのか。ロレンスに一言詫びればよい。
昼のことなど気にしていないと、そういえばロレンスも一緒に眠ってくれるじゃろう……」
こんこん
ロレンス「…!」
ホロ「のうロレンス…開けてくりゃれ…? わっちもそっちで眠りたいんじゃ」
ロレンス(ま、また俺の決心を…でも駄目だ。今日だけは、今日だけはダメなんだ…)
ホロ「開けてくりゃれロレンス? いるのじゃろ? まだ起きているのじゃろ!?」
ロレンス「……」
ホロ「……ロレンス!!」
『おい! 真夜中に大声あげてるんじゃねぇ!!』
『眠れねぇだろが!!』
ホロ「ひぅ!!」びくっ
ロレンス(……すまない、ホロ…諦めてくれ…)
ホロ「…なんで…?…ロレンス…」
ホロ「……」とぼとぼ
ロレンス「……俺も酔ってたらしいな…こんな時間まで起きられないなんて…」
ふぅ…朝飯も、もうさすがに諦めるしかないか…」
ロレンス「ん…あぁーー…」
ロレンス「ホロ…起きているか…?」
ロレンス「…」
ロレンス「そ、そうだった。部屋を、分けたんだったっけな…」
ロレンス「さすがのあいつも、俺より寝坊するわけないだろ…
一応、挨拶だけでもしておかないとな」
こんこん
ロレンス「ホロ、俺だ。空けてくれないか?」
ロレンス「……?」
ロレンス「ホロ? まだ眠っているのか?…おい、ホロ!」
がちゃっ
ロレンス「…っ!?…鍵が、かかってない…?」
ロレンス「……いない…!?…そ、それに、この部屋の散らかりようは……」
『そこの嬢ちゃん、10人男がいたら10人振り返る美人だ。
…あいつらが薬の売買だけしてるとは限らねぇ。くれぐれも用心してくれや』
『おい! 真夜中に大声あげてるんじゃねぇ!!』
ロレンス「…まさか…?」
ロレンス「嘘だろう? だって…そんな…馬鹿な!!」
ロレンス「ホロ…!!!」
ロレンス「それなのに…俺は自分のことばかり考えて…どうしようもない大馬鹿野郎だ!!」
ロレンス(ホロが悪霊憑きなのは耳を見られたらすぐにばれてしまう…
麻薬を売るような奴らにそれが知れたら? それとも、もうすでにホロは…)
『のうロレンス…開けてくりゃれ…? わっちもそっちで眠りたいんじゃ』
『開けてくりゃれロレンス? いるのじゃろ? まだ起きているのじゃろ!?』
『……ロレンス!!』
ロレンス「あんな…あんな会話が最後だなんて…納得できるか!!
必ずホロを取り戻す…いくらかかっても、何があっても必ず…!!」
俺は儲かるから良いんだけどよ」
ホロ「くふっ、それだけここの葡萄酒の虜になったということじゃ」
店主「にしても、朝から嬢ちゃん一人で使いにだすたぁ、兄ちゃんもちょいと不用心すぎるぜ」
ホロ「問題ありんせん。わっちはそこらの雄にはやられたりしんせん」
店主「がはは、確かになぁ! あの酒の強さじゃ、男のほうが先にまいっちまうって!」
ホロ「…ロレンス、これで機嫌を直してくれるじゃろうか?」
店主「…どうしたんだい?」
ホロ「え…?」
店主「いやよ、今の嬢ちゃんの顔。俺のカミさんが何か辛いことがあった時と似てたからよ。
なんかあの兄ちゃんとの間であったのかい?」
ホロ「…べ、べつに、人に言うことのもんじゃありんせん…」
店主「人生の、特に長年一人の女と暮らしてきた俺だったら、もしかしたらもありうるぜ?
自慢じゃないが、俺も若いころはねぇ…」
店主「あぁ、男女の問題ってのは傍から見りゃあ笑い話見ないなことばかりだ。
そういった話には慣れてるよ、話してみな」
ホロ「…そこまでいうてくれるのなら…離さぬわけにはいかなくなったの…」くふっ
店主「今日初めて笑ったな。嬢ちゃんみたいな美人は笑顔が一番だ。
それで、そんな美人の笑顔を奪った馬鹿な男は誰なのかな?」
ホロ「くふふっ、さぁ、だれでありんすか…」
ここのどこが探偵事務所に見えるんだよこら!』
『あら、朝からそんなにどうしたのん?…もしかして、坊や…そんなにここが気になる…?』
『廓言葉を使う女だぁ? 知らねェよそんな女…で、その子あんたのなんなの? ねぇ、美人かい?』
『おい兄さん、ちょいと寄ってってくれよ。いい子そろってるよ~?
それに、兄さんみたいに懐があったかい男の人には、特別な子も用意してるんだけどなぁ』
『ヤクに興味ないのにここくるわけ? 何兄ちゃん? 冷やかし?
あ? 人探しだぁ…!? ったく時々こういうネジが外れたアホがくるんだよな…』
ロレンス「本当に来なかったか? 栗色の髪で、廓言葉を話す…!」
『あー、うるせぇコイツ。知らねェっつってんだろ!? おい、お客様はお帰りだ。
丁重にお送りしてやんな』
ロレンス「待て!! まだ話は終わって…!」
『あんま世の中舐めんなよ…兄ちゃん!!』
ドゴッ! バキッ! ドスッ!
『結構持ってんじゃねぇか。これで女でも買おうってのか? へへっ、ま、これは勉強料だ。もらっとくぜ』
ロレンス「…が…は…ホロ…」
ロレンス「…げほっ…げほげほ…ホロ…ごほっ…」ぼろっ
ロレンス「くく…ははは…俺は、何をやってるんだ…? こうなるとわかっていながら、身一つであんな場所に…」
ロレンス「これで商人だってんだから笑い話だ…くくくっ…」
ロレンス「……ホロ……」
ロレンス「…ホロ…俺は、俺はこれからどうすればいい…?
お前を失って…俺のせいで…俺の…」
ホロ「わっちの言ったこと、そんなに傷ついたのかの…」
『あっはっは!! 嬢ちゃん! そりゃあ男には言っちゃいけねぇよ!!』
『む、し、しかしの…あやつ、わっちの名を呼んであんなことを…わっちがすぐ隣にいるのにじゃぞ?』
『くくく…はは…はぁー…まぁ、あの兄ちゃん、見るからにそういうところに疎そうだったからな。
そんで、誰よりも貞操についてこだわるタイプだぜ』
『笑わんといっておったのに…わっちゃあ』
『おお悪い悪い。そうだったな。でもしかし…手淫見られたくらいでそこまでとは、兄ちゃんチェリーなのかもな』
『チェリー…?』
『兄ちゃんに聞いてみろ。違うって言ったら、そうって意味だからよ』
『…ようわからんが、そうしておく』
『な、なんじゃ…?』どきどき
『脱げ。そんで、耳元でこういえばいい』
「愛している」
『ってな。見たところ、どっちも相思相愛みたいだが、言葉で言わないと伝わらないこともあるんだぜ?
そこらへん、商売一筋の男にはわからないもんだ、俺も…それで苦労したぜ』
『そ、そんな言葉だけでいいのかや?』
『俺の予想じゃな。あの兄ちゃんがホモなら別だが』
『そ、そんなことありんせん…それに、そうだったらわっちは困る…』
『あはは、冗談だよ。そらっ、代金は負けとくよ、俺からの選別だ。
そろそろ寝坊助の兄ちゃんも起きるだろ。さっさと帰るんだな』
『いいのかや? この数だと、結構な値段に…』
『気にするな。でも、この町にもまともな奴が残ってるって吹聴しておいてくれ。
あと、くれぐれも帰り道には気をつけろよ。性交…おっと、成功を祈ってるぜ』
『旦那殿…感謝、感謝でありんす…』
ホロ「…!」ぴくっ
ホロ(ロレンスの足音じゃ…随分に重い足取りじゃが…)
ホロ(部屋に戻ったみたいじゃの…)
ロレンス「……ホロ…」
ロレンス「……」
こんこん
ロレンス「……」
こんこん
ロレンス「……誰です?」
『あの…ロレンス…? わっちじゃが…入ってもよいかや…?』
ホロ「!?」
ロレンス「ホ…ホロ…!?」
ホロ「ロ、ロレンス…どっ、どうしたのじゃその顔の傷は…―――!?」
だきっ!
ロレンス「ホロ…!! ホロ…!! よかった…どうしようかと…本当にどうしようかと…!!」
ホロ「ろ、ろれんす!? ど、どうかしたかや? その…」
ロレンス「………よかった…本当に…本当に…」
ホロ「…ロレンス…」
ロレンス「……」
ホロ「……」なでなで
見るからに危険な商店にその身一つで飛び込んだ、と。そういう訳かや?」
ロレンス「…あ、あぁ…面目ない…」
ホロ「ふむ…褒められたことではないの。財布がなければ殺されていたのかもしれんのに…
それに、冷静なおぬしがそこまで…」
ロレンス「そ、それは…」
ホロ「…なんじゃ?」
ロレンス「お前だからさ…きっと、お前だから…」
ホロ「……こ、こほん」
ロレンス「それにしても…心配かけて悪かった…この通りだ」
ホロ「そんな真似はせんでもよろしい。
わっちも声もかけずに酒屋に行ったのはまずかった。実につまらん行き違いをしたようじゃな…お互いに」
ホロ「……」そわそわ
ロレンス「…あ、あの、ホロ…?」
ホロ「な、なんじゃ?」ぱたぱた
ロレンス「その、その葡萄酒の大瓶。どうしたんだ?」
ホロ「は、えっ?…こ、これかや? これはその…ぬしの機嫌を直そうと…わっちが貯めた小遣いで…」
ロレンス「俺の、機嫌…?」
ホロ「何か、気にくわぬことがあったのであろう? だからわっちと違う部屋に泊まったのであろう?」しゅん
ロレンス「ち、違うホロ! そんなんじゃないんだ、それは…俺が…」
ホロ「手淫のことかや…? くふふ、そんなことわっちは気にしたりせん。
これでもぬしよりだいぶ長生きしておる身じゃ、雄のこともよーく知っておる」
ロレンス「でも…俺のそういう行動が嫌であんなに飲んだんじゃ…?」
ロレンス「な、なんなんだ? どんな理由で…」
ホロ「その…あの…えと…ぬしが…わっちをただの連れだと…言うから…」かぁぁ
ロレンス「…は?」
ホロ「もう! この際どうでもいいでありんす!!
それよりも! おぬしはわっちに言うべきことがあるはずじゃが?」
ロレンス「…あぁ。もちろんだ。分かってる」
ホロ「ほう…命よりも大事なわっちにじゃぞ? 本当に分かっておろうの?」ぱたぱた
ロレンス「もちろんだ」
ホロ「……」ぱたぱたぱたぱた
ロレンス「…ホロ…」
ホロ「……は?」
ロレンス「俺…お前が大切なのはわかっているんだ…誰よりも…
で、でも、なんというか…時々、お前をそういう目で見てしまうというか…いや、これはお前が可愛いとかそういうんじゃなくて…
ただ単に俺が若いから…いやいや、言い訳しても仕方ないな…とにかくごめん!!」
ホロ「……」
ロレンス「許してくれるか…ホロ?」
ホロ「……くふふっ…旦那様の言うとおり、とんでもないぼんくらじゃのぬし」
ロレンス「言葉もないよ…猛省してる…」
ホロ「やれやれ…ロレンス。少し目を閉じておれ」
ロレンス「……?…わ、わかった」
ホロ「わっちがいいというまで、そのままでおるのじゃぞ?」
ロレンス「なんなんだよホ…ロ…!?」
ホロ「…どうかしたかや? 妄想のわっちより、格別に魅力的じゃろ?」
ロレンス「な、なな、なんてことしてるんだホロ…!?」
ホロ「…のうロレンス。ぬしが無鉄砲に飛び出して、傷だらけで帰ってきたとき。
それでもわっちは…嬉しかったのじゃ」
ロレンス「……」
ホロ「わっちと、おぬしが同じ気持ちなのだと。その時強く確信できたからの…
こんな気持ちになったのは…いつ以来のことか…」
ロレンス「…ホロ」
ホロ「ロレンス…わっちはぬしを…」
ロレンス「待ってくれ。その先は…俺に言わせてくれ…」
ホロ「!」ぱたぱた
『愛している』
ホロ「くふっ…猛獣とは、正に主のことじゃの…」
ロレンス「本当の猛獣にそういわれても…いや、たしかに否定はできない…」
ホロ「…それで、ロレンスよ」
ロレンス「…なんだ?」
ホロ「よもやぬし、今夜もおかしなことを言い出すことはあるまいの?」
ロレンス「あぁ、分かってるよ。心配しないでくれ」
ホロ「そうか? 本当に分かっておるかや?」
ロレンス「もちろんだとも…」
ロレンス「これからも、借りる部屋はひとつで、だろ?」
終わり
わっちかわいいよわっち
末永くロレンスと幸せになってくれ
よくやった、お前がナンバーワンだ
とりあえず今から狼と香辛料の13巻以降買ってくるよ
Σ ;` ̄''''ー - 、/ '‐- 、,\: : : : : : : : : : : : : :ヽ
\゙、: : : :/: : : `ヽ: : : : : :`゙'''‐、: : : : : : : : : : :゙、
'.;ヽ:': : /: : : : :i ヘ: : : : : : : : : ヽ: : : : : : : : : : ゙
/: : ,': : : :i: :',i: ::゙,゙i: : : : : : : : : ヽ: : : : : : : : :゙!
./: : : i: : : i: :i: :i i゙、゙、゙、: : : : : : : : : ゙、: :i : : : : : l
.,': : : : i: i: :i : :iヽii: :゙、゙、.゙、: : ゙i: : : : : :゙i : i: : : : : :i
i: i: : : :i从: :iヽヽリヽ ゙iヽi i: : .:i: : : : : : i: :i: : : : : :i
|: i: i: iλ从 七ヘ,ャヌ丁ズi゙!: : .i: : : : : : i: ヘ: : : : : i
.i: i゙!゙!ヽi iヽヽ` イ弋 ッ' ゙!: : i: : : : : : i: :ヘ: : : :i: i
i:i ゙!゙!: \i\ '` ゙!: : i: : : : : :.i、:ヘ: : : i: :i >>1乙じゃな、ぬし
゙!i i: : : : i ゙!: : i: : : : : :.i:ヽ:ヽ: :ヘ: ヘ
ヽ i: : ,/ i: : i: : : : : : iヽ:ヽ: :ヽヘ: ヘ
i: : \ ,,. -ツi i: : i: : : : : : i: :ヽ:ヽ: :ヽヘ:ヘ
i: : : :iヽ ヽ_ノ l: : i: : : : : : i、: : ,-" ̄ ̄`ヽ、
.i: : : i / \ ,. 'ヽ:i: :.i: : : : : : i`/ ゙、
.i: : : i,,_ヽ `マ'´i ゙! ゙!:i: :i: : : : : :i / i
.i:__t-'、 ヽヽ_i .i ヽ/: i: : : : : :i i、
i: i ,\ \ ゙i i i:'´ i: i: : : : : i 、 i:ヽ
i: ゙!ヾ-゙'、_ヽヘi ヘ`丶i:.i: : : : :i ヘ i: : ヽ
i: :゙! ハ ゙! .i:.i: : : : :i y i:、: : ゙i
i: : :i入 ! i i:.i: : : : i i i: : ゙i: : ゙i
Entry ⇒ 2012.01.18 | Category ⇒ 版権物SS | Comments (0) | Trackbacks (0)
響「風邪引いちゃったぞ…」
響「…」
響「はぁ…」
響「今日は寝てよう」
響「ちょっとドキドキしてきたぞ」
響「ってこれは熱のせいかな?」
響「…」
響「…あれ?前がよく見えない」
響「意識が…」
響「…」
響「…誰?」
「…苦しそうですね」
「では私はこのらぁめんだけ置いて帰ることにします」
「お大事に、響」
響「…」
「ってなんでラーメン?」
「貴音きたのかな?」
「僕のお見舞いは飲み物だけど飲めるときに飲んでね!」
響「…」
「じゃあね!」
響「…ダメだ、熱で起きれないぞ」
響「…」
響「…冷たいもの」
響「…」
「…熱っ」
「おデコが焼けるかと思ったわ」
「…濡れタオルでもしてあげましょうか」
「まったくなんで私がこんなことしなくちゃならないのよ」
響(…あ、冷たくて気持ちいぞ)
伊織「…たまたまよ」
「うっうー!伊織ちゃんは恥ずかしがり屋さんですね」
「あ、そろそろタオル変えたほうがいいですよ?」
響(二人できてるのか…)
「我那覇さん…」
「起きないわね」
「しょうがない…私はこれを置いて置くわね」
「好きなときに食べて栄養をつけてね」
「それじゃあ」
「これを置いていった千早ちゃんかな?」
「確かに栄養はあるけど…」
「私はゼリーを置いておくね」
響(…誰だろ、この人)
響(自分の知らない人だぞ)
「体調管理もしっかりできないなんてアイドル失格だよね~」
「…さっきから動物に噛まれてるのは気のせいか?」
「…気のせいじゃないよ」
「チャオ☆」
響(防犯対策しっかりしなくちゃさぁ)
「…ふん、765のアイドルも所詮は人の子と言うことか」
「…」
「風邪薬でも飲んで寝ておけ」
「と、既に寝ているか」
響(…なんで黒井社長までいるさ)
「大丈夫ですか?」
「シュガーパイです!」
「よかったら食べてくださいね!」
「お邪魔しました!」
響(…うるさい子だったぞ)
「…私もお見舞い?」
「…尾崎さんに行けって」
「…風邪移るかもだから帰る?」
響(…エリーゼ?)
「あら、ぐっすり寝てるわね」
「私の差し入れはからあげクンよ!」
「あ、油っぽいものはダメよね…」
「あとで涼になんか持ってこさせるわね」
響(…みんな自由に出入りしすぎさぁ)
響(うれしいけど)
「ぐっすり寝てるわね~」
「…ハム蔵ちゃんも看病一生懸命してるのね?」
「えらいわぁ」
「お姉さんはお粥を作っておきましたから好きなときに食べてね」
響(あずさ…ありがとうだぞ)
「響さん、アイス冷凍庫にいれて置きますね」
「…よく眠ってるなぁ」
「これなら女装してこなくても良かったんじゃないかな?」
響(…女装?)
「眠ってるみたいだな・・・風邪薬置いて帰るか」
「あ、冷凍庫にアイス入ってるの!いただきまーす」
「おい、美希!勝手に食うなって」
「ハニーも食べたい?はい、あーん」
「ったく・・・」パクッ
響「人ん家でいちゃいちゃすんなさー」
ガチャ
「あら?響ちゃんはおやすみかしら?」ピヨ
「ん?みんなお見舞いに来たのね・・・」ピヨ
「風邪にはお酒が効くって云うし、泡盛持ってきたんだけど・・・」ピヨ
響(自分お酒飲めないぞ)
「こんなにいっぱい差し上げがあったら大変よね!これは私が責任をもって処理するわ」ピヨ
響(結局自分が飲みたいだけなんじゃ・・・)
響(自分、一人じゃないんだな・・・)
----------------------------------------------------
響「んぁ!?」
響「寝すぎちゃったさー。もう七時か・・・・」
ハム蔵「チューチュー!」
響「お、ハム蔵。みんながお見舞いに来てくれたから、もう完璧さ!」
響「ほら、差し入れもたくさん・・・・・。・・・・あれ?」
響「な、なんでさー!?確かにみんながお見舞いに来てくれて・・それで・・・・」
響「もしかして・・・夢?」
響「自分、やっぱり・・・ひとりぼっちなん・・・じゃ」グスッグスッ
響「グスッ・・・あ、誰か来たぞ・・」
ガチャ
真「響ー!大丈夫!?]
春香「お見舞い来れなくてごめんね!」
千早「みんな仕事があったから、今までこれなかったの」
響「真・・・、春香・・・、千早・・!」
あずさ「響ちゃんが元気になってよかったわぁ~」
雪歩「うぅ~心配で心配で私・・・・」グスッ
亜美真美「も~ゆきぴょんは心配しすぎなんだから~」
伊織「べ、別にあんたのことなんて気にしてなかったけど、みんなが行くっていうから・・・」ゴニョゴニョ
律子「まったく素直じゃないわね~」
美希「美希、アイスいっぱい買ってきたの~」
P「響、みんな、お前のこと、大好きなんだからな」
響「みんな・・・・!!自分これからも765プロで頑張るさ~!」
ED(MEGARE~響Ver~)
はぁ、ss初めて書いた。俺にはこれが限界
Entry ⇒ 2012.01.18 | Category ⇒ アイマスSS | Comments (0) | Trackbacks (0)
一夏「ハーイ今開けます」ガチャ 鈴「ハハ…き、来ちゃった…」
http://hayabusa.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1326730291/
鈴「な、なんでもないよ」
鈴(なにやってんだろう私)
鈴(やっぱり盗撮されて脅されてるなんて相談できないよ……)
鈴(でも不安に押し潰されそうになって……そしたらこいつの顔が見たくなって……うぅ)
鈴「あ!い、いいよ。ちょっと寄っただけだもん」
鈴(盗撮犯に指定された場所にいかなきゃ……ううぅぅ)
一夏「ん、そっか」
鈴「うん!じゃ、じゃあね」ジワ
一夏(涙?)
一夏「ちょっと待てよ、おい」
鈴「う……ううぅ…ぐすっ、一夏ぁ」
続きどうぞ
続けてください
鈴(誰かに相談したら名前付きでネットに流すって……)
鈴「な……なんでもないよっ……心配させてごめんね、さよならっ」
一夏「あ、おい」
タッタッタッ……
一夏「……」
一夏「なんでもない。そんなわけねえよな」
一夏(多分俺には言いにくいことだったんだろうな)
一夏(……後を追うか)
一夏(街外れの廃工場か……ずいぶんと寂しいところだな……)
鈴「……」キョロキョロ サッ
鈴「……約束通り来たわよ」
男「こんにちわ、鈴ちゃん。もし来なかったらどうしようかなって思ってたんだよ」
鈴「………」
男「あれっ、なんか目が腫れてない?泣いてたの?」
鈴「うるさいわね!」
男「まあいいや。約束の物は?」
鈴「……」スッ
男「おお!鈴ちゃんの下着!ちっちゃくて可愛いね!」
鈴(くそう……公衆トイレにカメラが仕掛けられてたなんて……)
一夏「……!!」
男「……それはもう一つ頼まれごとをしてくれたらね」
鈴「!」
男「おっと、ISで殴っても良いけど、そのときは僕の仲間が流す手はずになってるって言ったよね」
鈴「……なによ、お願いって」
男「それはね、鈴ちゃんの通ってる学校にカメラ設置して欲しいんだ」
鈴「!!!」
一夏「あのやろう……!」
男「更衣室と、トイレだけで良いからさ。つけ方も教えるよ」
男「学校の大体の構成は把握してるんだ。だから鈴ちゃんの寮の部屋も分かったんだよ」
鈴(封筒が部屋に届いたときのは不思議だったわ……何で部屋番知ってんのよ!)ブルッ
男「だからさ、君の友達の可愛いところを撮って、僕に渡して欲しいんだ」
男「もちろんこれは僕だけのコレクションにする。鈴ちゃんもこれで解放されるよ」
鈴「ふざけないでよ!友達を売れって言うの」
鈴「!」ブルッ
男「かっこいいねー。でもネットに流されたら守った友達からは引かれちゃうねー」
男「好きな相手にも距離とられちゃうな、こりゃ。こういう事件に関わった子ってめんどくさいんだ」
鈴(ど、どうすれば……)
鈴「……う、うぅぅ……」ポロポロ
一夏(鈴!)
男「泣いてないでさあ……どっちにすんのか教えてよ」
鈴「うわぁぁん……!ぐすっ……ひぐっ……う……」
男「……」
男「泣いてるところも可愛いね」スッ……
ドンッ
鈴「!?かはっ……?」ガクッ
男「あまりにも可愛いから腹パンしちゃったよ♪」
男「膝折ってないでさあ……」
鈴「はぁ…ううぅ」
男「ちっ。しばらく会話できそうにねえな」
男「おい、来週の火曜日の12時にここに来い。それまで返事は待ってやる」
鈴「はぁ…はぁ…」
男「変な気は起こすなよ。おまえの写真のデータはしっかり残ってんだからな」
男「ま、一週間せいぜい悩んでくれや」
スタスタ
鈴「……来週までに……」
鈴「う、うわぁぁぁぁぁん!」
鈴「げほっげほっ、ぐすっ……うぅぅうううぅぅぅ…ひくっ…ひくっ」
一夏「鈴」
一夏「……」
ギュウウウ
鈴「ふぇっ!?一夏がわたしを抱きしめ…」
一夏「後をつけたんだ。鈴があんな顔するなんて、心配でさ」
鈴「はぁ……うっうっ……ぐすっ……いぢがぁあ」
一夏「おまえは俺に知られたくなかったとは分かってたんだ。でもさ、気づいたら今こうしてるよ」
一夏「ごめんな……もっと強引にでも話を聞いてやるべきだったよ」
鈴「ごほっ……いちかぁ、私、わたし、どうすればいいのぉ……?」
一夏「安心しろ。手は打つよ。鈴だけに苦しい思いをさせない。後は俺たちに任せとけ」
鈴「俺たち……?」
弾「おう、どうした?」
一夏「弾か?今日店休みだろ?ちょっと何も聞かずに協力してくれないか」
弾「……女がらみか?」
一夏「まあ、そうだけどさ」
弾「いつもおまえの騒動には女が絡んでっからなあ。で、なによ」
一夏「工場の方角からな、薄汚れたパーカー着た痩せぎすな男が街に来ると思うんだ」
一夏「その男をこっそりつけて、何してるか連絡くれ。俺もすぐ向うからさ」チラッ
弾「はいはい、OKよ」
一夏「……」チラッ
鈴「ぐす……ううぅぅ」メソメソ
一夏「あ、ごめん。すぐ行くって言ったけど多分時間かかるかも」
弾「……それも女の用だろ?」
一夏「まあな。でも頼んだぜ」
こんなに気の利いて手際のいいやつがワン様だと?
鈴「ううっ」
一夏「鈴、おまえばかり苦労してたんだな」
鈴「一夏っ……私、ずっとこんな陰の中で生きていくのかな?」
鈴「お父さんも、いなくなっちゃうし……ISだって、箒たちと差が付いてるし」
鈴「もう、嫌だよ……疲れたよ……」
一夏「……とりあえずここを出よう。そうだ、帰り道でジュース買ってやるよ」
一夏「ほい、来いよ」
背中を見せてしゃがむ一夏
鈴「え、おんぶ?」
一夏「ああ。鈴は軽いから平気さ!」
一夏「どうした?遠慮はいらないぞ」
鈴「じゃ、じゃあ……」ポスッ
一夏「よし、行くか!」
鈴「一夏あ……」ギュッ
鈴(……なんだか、お父さんみたい)
一夏(足腰が強くなってるから、鈴ぐらいの重さならずっと歩けるな。稽古してくれた箒に感謝だな)
一夏「あ、そうだ。鈴」
鈴「なに?」
一夏「さっき俺が協力者に電話したろ?そいつにおまえが盗撮にあったことを話さなきゃいけなくなるかも知れん」
一夏「もちろん絶対に漏らさせないし、そもそもこういうことを他言するような奴でもないんだ。そこは安心してくれ」
鈴「……一夏が信頼してるなら、私も信頼するよ」
鈴「……ごめんね。一夏は今頃家でのんびりしてるはずだったのに……」
一夏「気にするなよ!そんなこと言うより、いつも通りの元気な鈴に戻ってくれる方がずっと嬉しいぞ」
鈴「……う、うん!」
一夏(お、ちょっと元気出てきたな!よしよし)
――――――
――
―
弾「よう。ターゲットはパチンコ屋に寄った後、6時半ごろに出てるぜ」
一夏「そんで仲間一人と合流した後、このスーパーで買い物中……って訳だな」
弾「出てきた後はどうする?家までつけるのは当然として」
一夏「部屋に入る前に勝負を決めるよ」
弾「お、出てきたぞ!」
一夏「追うぞ!」
一夏「なんだ?」
弾「おまえが助けようとしてる女の子ってどういう子なんだよ?」
一夏「悪いけど、その子の気持を考えると、あまり言いたくはないんだ」
一夏「でも、おまえは協力してくれてるわけだし、まったく教えないっていうのもどうかと思ってる」
一夏「どうしてもっていうなら、教えてもいいんだ。その子の許可は取ってるし、おまえが絶対に他言しないという条件付きでだけどな」
弾「いや!わかった!皆まで言うな!」
一夏「?」
一夏「え?」
弾「おまえが羨ましいぜ、そんな美少女から頼られるって、気分いいだろうなあ」
弾「いや、まて、俺もその子を助け出す十字軍の一員なんだよな……よし、なにがなんでもやり遂げるぜ!」
一夏「おいおい……ってそろそろ奴らがマンションに着くぞ」
一夏(どうする……やはり奴らが部屋に入る直前に確保するか?)
一夏(いや、そのあとはどうする?あいつが騒いだら、マンションの住人からしたら俺たちが悪者に見えるかも)
弾「よしっ!ここらで俺のマル秘テクを見せてやっか!」ピッピッピッ
弾「もしもし、警察ですか!?ちょっと○○っていうアパートの前で、喧嘩が始まってるんですけど!」
一夏「!」
―――
―
鈴「一夏、大丈夫かなあ」
鈴(あのとき、一夏がいてくれなかったら……)
鈴(一夏って、辛いときにいつもそばにいてくれるのよね)
鈴(ありがとう……)
鈴(でも、本当に私が盗撮されたことを知られることなく収めてくれるのかな?)
鈴(帰ってきたら、一夏と弾にお礼を言おう)
―――
―
一夏「通報するのは早いんじゃないのか?」
弾「いいから。おまえは奴らを押さえたあとのことを心配してるんだろ?住人に俺らが悪いと勘違いされるのをさ」
弾「今俺が通報したから、まもなく警官がここにくるだろう。それと並行して、上の階で俺らがあいつらを捕まえる」
一夏「そうか、警官も怪しく思って上の階に来る。ここで俺らが『こいつ盗撮してるんです』って大騒ぎするわけか」
弾「そう!奴らもとっさに知らん顔に声かけられて、すぐ警官が来るんだからうまく対処できないぜ」
一夏「それでいこう!でも、……おまえ、いつもこんなことやってるのか?手慣れてるな」
弾「こ、細かいことはいいんだよ。ほら、奴らエレベーターに乗ったぞ」
一夏「しまった!弾は回数表示を見て電話で何回に止まったか教えてくれ、俺は階段でいく!」
一夏「おう!」ダンダンダン!
一夏(あいつ……鈴をあんな目に合わせやがって……絶対に許さねえ!)ダンダンダン!
弾「5階だ、5階に止まった」
一夏「行き過ぎたか、くそ」タンタンタン
男「いや~今日は良いもん手に入ったわ」スタスタ
中年「お、例の女子高生のパンツですか?」
男「おう!あとな、良い経験もさせてもらったわ」
中年「なんですなんです?」
男「おまえ、女の腹殴ったことあるか?あれは癖になるぞ~~」
中年「ええ~~外道っすねえ」
男「まあまあ、今度おまえにも殴らせてやるよ。結構クルぜ、あの感覚は」ガチャ…
男「!」ビクッ
中年「なんだ、おまえ」
一夏「どっかで見た顔だなあと、思ったんですけどね」
男「……帰れ。餓鬼が、警察に通報するぞ」
中年「こいつ、どっかで見ませんでしたか?昔ニュースになってたような」
一夏(警官が来るまでの時間稼ぎだ……)
>>55
ほら、リアルでもよくごっちゃになるじゃない……
弾「ほら、こっちっすよ!大声でやってるでしょ」
警官「確かに」
一夏「(来たか!)でも、先輩に盗撮の趣味があったなんて、意外だなあ!!」
男「なっ!」
警官「!」ピク
中年「な、何言ってやがる!」
一夏「女子高生のパンツがどうとか言ってたじゃないですか。持ってるんでしょ」
一夏(俺が注意を惹く!弾は奴のかばんを奪い取れ!)アイコンタクト
弾(OK牧場の決闘)アイコンタクト
男「なにをこいつ……あっ!」バッ
弾「中を検めてください、おまわりさん」スッ
男「きさまら……あの娘の仲間か……あいつ、ばらしやがったなあ!」
一夏「!」
男(ち、ちくしょう。こうなったら、あの女も道連れにしてやる……)
男「ああ、そうさ!俺はちゅうごっ」ドゴォ!!「………!!」
男「ぐっ……がっ……(こいつみぞおちに……息が)」
一夏(鈴のお返しだ、変態野郎)
警官「君、これはどういうことかね」
男「……」フルフル
弾「都合が悪いから黙ってますね」
中年(こいつ、相棒のみぞおちに的確に決めて……)ブルブル
一夏「……」ギロッ
中年「は、白状します!俺たち盗撮してました!許してください!」
警官「ち……まず交番まで来い」
――――――
―――
―
一夏「ふう、終わったか」
弾「俺の機転があってこそだな。おまえの突きも見事だったけど」
一夏「事情聴取に付き合ってたらこんな遅くなっちまったな。千冬姉に電話したら不機嫌そうだったよ」
弾「へっへっ、俺も蘭の奴が『お兄どうしたの』だってよ。だが俺は黙して語らず!カッコよすぎるな」
弾「まあ良いってことよ。これはすべて、邪悪な毒牙にかかった弱きお嬢様のための……」
「「「「ああーー!」」」」
箒「一夏!おまえこんなところにいたのか!」
シャル「今日のお昼に皆一夏の家に行ったのに!」
セシリア「要件も言わずに出て行くなんて、先生も心配していましてよ!」
ラウラ「連絡の徹底はすべての組織の基本だぞ!」
一夏「あっ!」
弾「おお、美女ばかり!」
箒「千冬さんに『上がって待っていろ』と言われたのはいいものの、落ち着かなかったんだからな!」
シャル「先生、ソファに座ってる僕たちを審査するような目で見てくるんだもん」
ラウラ「あれはいいものだった……久々に教官分を補充できた」
一夏「あ、ええと」
弾「……じゃあな一夏!邪魔しちゃ悪いから帰るわ!また似たようなことあったら言えよ!」
一夏「あ、おい!」
一夏「あいつがねえ……セシリアたちに話しかけずに帰るとは」
弾(今はお嬢様を救出した英雄の気分に浸ってたいんでな!)
箒「一夏、おまえはこんな時間まで何をしていた?」
セシリア「ええ!ずっと遊んでたわけですの!?」
一夏「遊びっていうか、シミュレーションだよ!ズンダとかタッグプレイの呼吸の感覚とかを勉強する機械!」
ラウラ「ほう、そんなものが娯楽施設にあるのか!」キラキラ
一夏「まあな、こんどラウラも連れていってやるよ」
箒「……貴様には呆れたぞ」プイッ
セシリア「少々幻滅しましたわ……」スタスタ
シャル「んー、ゲームばっかりしてちゃだめだよ?僕も遅いから帰るね。ラウラもおいで」
ラウラ「おう」スタスタ
一夏「あっ…」
一夏「でも本当のこという訳にはいかないしな……」
一夏「結構家まで遠いな。ゆっくりと歩いて帰ろう……」トボトボ
タッタッタッ
一夏「ん?向こうから誰かが……」
一夏「箒に弾に……ていうか皆!?」
箒「はぁはぁ、おまえ!話は聞いたぞ!」
セシリア「さすが私の見こんだ男性ですわ!」
シャル「一夏!さすがだね!」
ラウラ「ふふん、それでこそ私の嫁だ!」
一夏「え……?」
鈴「一夏」
鈴「一夏、私、もう一回一夏に会いたくなって探し回ってたの」
一夏「安心しろ、俺たちはうまくやったぜ」
鈴「うん、弾から聞いた!ありがとう!」
弾「……………………………」
鈴「そんでね、探してる途中で箒たちに会ってさ」
鈴「そしたら皆『一夏はずっと気楽に遊んでた』って言うのよ。それで、一夏がわたしを気遣って黙ってくれたってことがわかってさ」
鈴「でも私のせいで一夏が皆の信用失っちゃうのが耐えれなくてさっ……」
弾「自分から告白してしまいましたって訳よ。帰る途中でこいつを見かけて何やってんだと思いながら目で追ってたらこれだよ」
一夏「鈴……優しい奴だな、おまえは」
箒「急に涙ぐんで訴えてくるから何事かと思ったぞ」
セシリア「鈴さんも今まで誰にも相談できなくて、お辛かったんでしょうに」
弾「まあ、こいつとは結構付き合い長いしな。そりゃ最初はお嬢様はこいつだったのかと思ったけどな」
弾「このちんちくりんが泣かされてたんだとわかったときは、なぜか捕まえたはずの犯人への怒りがもう一回燃え上ってきたんだ」
ラウラ「む!貴様、少々口が悪いぞ!」
シャル(一夏はお友達も良い人なんだね)
鈴「ずっと、悩んで生きていくのかと思ってたけど……周りには皆がいたのよね」
鈴「変な目で見られちゃうかと思ったけど、皆全然そんなことなかった……うぅ」ポロッ
箒「鈴!」
シャル「大丈夫!?」
セシリア「どうかなさいましたか?」
ラウラ「もう泣かなくてもいいんだぞっ!」
鈴「う、ううう……」ポロポロ
一夏「鈴」
一夏「ほい、おんぶ」スッ
鈴「う……う……」トサッ
鈴「うわぁぁぁん……!」
一夏「よいしょっと」
弾(良いショット)
ラウラ「泣いているのは、まだ心の傷が癒えていないということか?」
シャル「違うよ、あれはさ………」
一夏(こんな小さい体に、世の中ってやつは厳しい仕打ちをするんだな……)
一夏(これからも俺が守っていかなきゃな)
一夏「そうだ、皆、晩飯はまだか?俺の家に来るなら作ってやるぞ!」
箒シャルラウラ「行く!」
セシリア「ふふ、私も料理してさしあげますわ」
弾「(お嬢様の料理!)よっし、おれも行くぜ!一夏、おまえのはいらねえぞ!」
一夏「鈴もおなか空いてるだろ!腹いっぱい食ってくれよな!」
鈴「……う、うん!ねえ、一夏!」
一夏「おう!どうした?」
鈴「その、ね………あの……えいっ!」チュッ
一夏「!」
鈴「えへへ!さあ、一夏!家に向かってゴーゴー!」
一夏(やっと、元気が戻ったな)
終わり
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