スポンサーサイト
男「ここで人生を終えようか」少女「やめたほうがいいかと」
http://hayabusa.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1328831839/
男「この木でいいか」
男「……つまらない人生だったな。本当に」
男「……」グッ
ガサガサ……
男「……?!」
少女「あ……」
男「……」
少女「あの……そういうことはやめたほうがいいかと」
男「ほっといてくれ」
少女「あとで死体の処理をする人が大変ですし」
男「……」
男「はぁ……」
男(こんな山奥まで来たのに……死ねなかった……)
少女「えっと……」
男「ありがとう。今日は死ぬ気になれないから、帰るよ」
少女「宿はあるのですか?」
男「ないよ」
少女「寒空で寝屋がないのは命に関わると思いますが」
男「関係ないだろ」
少女「よろしければ、村に来ませんか?」
男「村?」
少女「はい。この先に私の育った村があります」
男「……」
「おかえりー」
少女「ただいまです」
「その人誰?」
少女「えっと……拾いました」
「そうなんだー。珍しいね」
男(捨て犬みたいに)
少女「どうぞ、こちらです」
男「こんな山奥に村があるなんて」
少女「色々と時間が止まったところですよ」
男「そうだな。都会に出たりしないのか?」
少女「出る必要がありませんね。ここで全てが賄えますから」
男(自給自足か)
少女「ここが私の家です」
男「……」
少女「おばあちゃん、ただいまです!」
婆「おかえり。おや、お客さんかい?」
少女「はい」
男「お邪魔します」
婆「よくもまぁ、こんな辺鄙なところへ来ましたな」
男「ちょっと、まあ……」
婆「色々と事情があるのでしょうな。さあ、あがってください」
男「ありがとうございます」
少女「私、お茶をご用意しますです」
男「あ、おかまいなく」
婆「さて、どうしてこんな場所にきたのですかな?」
男「え?」
婆「ここは見ての通り何もない場所。あんたみたいな都会の人が用事もなくこないでしょう?」
男「実は……俺、自殺、しようとおもって……」
男「ええ」
婆「理由を聞いてもいいですかな?」
男「よくある話です。―――受験に失敗して、就職もままならなくて……アルバイトで数年間生きてきて……」
男「ふと、将来に絶望して死のうと思っただけです」
婆「最近の都会ではそういう自決が盛んなのですか?」
男「まぁ、多分。俺だけじゃないと思います」
婆「まだお若いのに、もったいない話ですわ」
男「……」
少女「お茶です。どうぞ」
男「ありがとう」
少女「いえ」
婆「して、これからどうするのです?」
男「なにも決めてません」
婆「そうですか」
婆「ああ、わかっているよ。お前は優しいからね」
少女「えへへ」
男「えっと……」
婆「若人さん。まぁ、その若さで死に急ぐこともないでしょう。ここで一泊していくというのはどうですかな?」
男「それは……」
少女「お布団もご用意いたしますよ」
男「……」
婆「孫の優しさを無碍にする気ですか?」
男「そんなつもりは……」
少女「だめ……ですか?」
男「……わかりました。一日、お世話になります」
婆「そうですか。よし、押入れにある布団を今すぐ綺麗にしてあげなさい」
少女「はいです!」テテテッ
男「あ、ありがとうございます」
少女「よっ、ほっ」パンパン
男「わざわざ布団の埃を?」
少女「はいです。寝たときにくしゃみや咳が止まらなくなりますよ?」
男「そこまで汚れているようにはみえないけど」
少女「埃がみえるんですか?!」
男「見えないけど」
少女「じゃあ、隠れた埃が鼻や口から入って大変なことになりますよ」
男「そうかなぁ」
少女「埃は透明ですから」
男(透明ではないと思うけど)
少女「ほっ、はっ」パンパン
男「……」
男(長閑なところだな)
男(そこまで寒いわけじゃないし、空気も澄んでる……)
男「はい?」
婆「ここにいるのも退屈でしょう?村を見てきてはどうですかな?」
男「村をですか?」
婆「小さな村ですから観光はものの十数分程度で終わってしまうでしょうが」
男「……そうですね」
婆「では、孫に案内させますよ」
男「は、はい」
婆「まあ、ゆっくりしていくといいです」
男「わかりました」
男「……」
男「観光か……」
男「何もすることないし、いいか」
少女「……」
男「……」
男(緑が多いな。各家の庭……かな?とりあえず敷地内に畑もあるみたいだ)
男(山菜とかもすぐに採れるだろうし、地産地消ってやつなんだろうな)
少女「ここが私の友達の家です」
男「ふーん」
少女「ご紹介、しましょうか?」
男「え?」
少女「少し待っててです」
男「あ、ちょっと」
男「……別にいいのに」
少女「おーい!!」
友「どったのぉ?」
男(女の子だ。小学生ぐらいか……?)
友「おぉ!?なんだぁ!?」
男「は、はじめまして」
友「どっからきたの?外国?」
男「いや、都会だけど」
友「へー、ほー」
男「な、なに?」
友「今の都会ってこんな服きてるんだー」
男「……」
少女「ごめんなさいです。えっと、やっぱり都会の人は珍しくて」
男「まぁ、そうだろうな」
友「ふーん。あ、首の後ろに袋があるけどなにかいれるの?」
男「それはフードっていて、頭にかぶるものだ」
友「すげー!!都会だぁ!!」
男「……」
少女「今は村の案内の途中だから」
友「ちぇー。なぁなぁ」
男「な、なに?」
友「あとででいいから、私のとこにきてよ」
男「ど、どうして?」
友「都会の話ききたいし」
男「えーと……」
少女「是非、お話してあげてください」
男「じゃあ、後で」
友「約束だからね!」
男「あ、ああ」
少女「じゃあ、またね」
友「おう!」
男(元気な子だな……)
男「え?」
少女「その勝手に紹介したこと」
男「そんなことない。他に見るところもなさそうだし」
少女「すいません。何もなくて……」シュン
男「あ、いや、そういうつもりじゃない。ごめん」
少女「いえいえ。都会に比べれば何もないのは確かです。貴方にとってはつまらない場所ですよね?」
男「そんなこと……」
少女「でも、この村にも名所はあるんですよ」
男「名所?」
少女「あそこです」
男「あれは……神社か?」
少女「はい。あそこにも私の友達がいるので、ご紹介しますね」
男(神社が名所か……)
男(隔絶された場所って感じだな……)
巫女「……」ザッザッ
少女「こんにちはです!」
巫女「……」ペコッ
男「この子が……?」
少女「はい!友達です!私よりもお姉さんです!」
男「はじめまして」
男(確かに大人びてるけど……高校生ぐらいか……?)
巫女「……?」
少女「あ、あの、この人は……都会からこちらに来て……」
巫女「……」
男「な、なんだ?」
巫女「……あなた、都会の人ですね?」
男「え?」
巫女「神は全てを見透かしていますよ?」
巫女「ふっ……無心論者はそうやって自分を棚にあげて、神を貶す。なんとも業の深いことでしょうか」
男「……」
少女「お掃除ですか?」
巫女「よくわかりましたね。流石は神に選ばれし少女です」
少女「えへへ」
男「いや、箒もってるし、君」
巫女「貴方、そうやって神秘を頭ごなしに否定してなにが楽しいのですか?」
男「……」
巫女「これだから、世俗に塗れた魂は穢れているというのです」
少女「あの!!あまり失礼なことはいわないでください!」
巫女「……」
男(変な子だな……)
巫女「今、私のこと、可愛いって思いましたね?……変態」
男「思ってないから」
男「何言ってんだ……」
少女「あ、お参りしていきますか?」
男「いや、俺は……」
少女「願い事、ないんですか?」
男「そうだな……」
巫女「……なくても神の前に来たのです。何か懇願してみては?」
男「でも、そっちのほうが神様に失礼だろ?」
巫女「神は全知全能。たとえ貴方のような汚物の声も耳にいれてはくれるでしょう」
男「叶えてはくれないのか」
少女「じゃ、私だけでもお参りしていきますね」
男「ああ」
少女「よっと!」ガランガラン
少女「……」
男(何を願ってるんだろう。こんな場所で生活してるから、お嫁さんとかかな。都会の仕事なんてしらないだろうし)
巫女「……」ペコッ
男「お邪魔しました」
巫女「……ちょっと」
男「え?」
巫女「神は全てを見透かしています」
男「もういいよ」
巫女「見透かしています。貴方の悪事も偽りの言葉も」
男「はぁ?」
巫女「ですので。私に全てを懺悔しにきてください」
男「どういうこと?」
巫女「懺悔です。私に話したいことがあるのでしょう?」
男「ないけど」
巫女「いいえ、あるはずです。例えば都会のこととか」
男「ないって」
男「……そうなのか?」
巫女「……端的に言えばそうなるかもしれません」
男「わかった。また後で来るよ」
巫女「おぉ。貴方にも後光が見えます」
男「君、色々と無茶苦茶だな」
巫女「神に仕える巫女ですから」
男「……またな」
巫女「……」ペコッ
男「―――変わった子だったな」
少女「でも、私の面倒とかよく見てくれていい人です」
男「ふーん。幼馴染ってやつか」
少女「狭い村なのでみんなが幼馴染みたいなものです」
男「なるほど」
少女「では、次のところにいきましょうか」
少女「ただいまです!」
男「ただいま戻りました」
婆「おかえり。どうでしたかな?」
男「いいところですね」
婆「それは本心ですかな?」
男「え?」
婆「お茶をいれてくれるかい?」
少女「はーい」
男「それは……どういう?」
婆「都会よりもいいところか、と訊いたのです」
男「少なくとも俺が生まれ育ったところよりは」
婆「そうですか」
男「ここには競争とかないみたいですし」
婆「ははは、確かに。ここは皆が支えあうことで生きながらえてきた土地。他人を蹴落としても一文の得もない」
婆「ふふ。都会の空気を知らん田舎者たちですから」
男「そうですね。都会を知るとあんな顔をしていられないかも」
婆「ええ。都会のほうが住みやすいに決まっていますからね」
男「……」
婆「都会には何でもあります。畑を耕さなくても山に行かなくても、すぐ傍に食べ物はある」
婆「衣服を織らなくてもいい。娯楽に溢れ、仕事は多種にわたり様々な選択肢が皆に与えられる」
男「それはそうですが」
婆「田舎で生まれそのまま死んでいくにはあまりにも惜しい時代になったと思いませんかな?」
男「でも、田舎にも良い所はあります」
婆「ははは。都会から来た者は皆そういいますよ。―――そして時が過ぎれば都会に戻るのです」
男「それって……」
少女「お茶でーす」
婆「すまないね」
男「……」
少女「はい」
婆「ゆっくりしていきなされ、若人」
男「……」
少女「どうかされましたか?」
男「いや」
少女「そうですか」
男「……そうだ、あの子の家に行って来たほうがいいかな?」
少女「そうですね。是非」
男「あと、神社にも寄ったほうがいいか」
少女「無理されなくてもいいですよ?」
男「日が落ちるまでには帰ってくるから」
少女「はい。お夕飯を準備していますから」
男「ありがとう。行ってきます」
少女「いってらっしゃいです」
友「おー!!きたかぁ!!あがって!!」
男「お邪魔します」
友「なぁなぁ」
男「なんだ?」
友「ふーどだっけ?ちょっと触らせてよ」
男「いいけど?」
友「ふーん、へー……」
男「……」
友「これが都会なんだなぁ……」スリスリ
男「楽しいか?」
友「おう!」
男「……都会に憧れてるのか?」
友「行ってみたいね。なんでもあるんでしょ?」
男「まあ、うん……あるかな」
男「コンクリートのことか?」
友「それそれ!」
男「そうだな。屋根が見えないぐらい高い建物は多いな」
友「おぉ!やっぱり!いやぁ、そうなんだろうなぁ。うんうん」
男「でも、思ったほどいいところじゃないと思うけどな」
友「なんでぇ?」
男「道にはゴミが落ちていて汚いし、空気も悪い。常に誰かを疑って警戒して生きてるような場所だから」
友「うぇ。そなの?それはやだなー」
男「だろ?」
友「でも、行ってはみたいんだよねー」
男「行くだけならいいと思うけどな。住むような場所じゃないと思う」
友「なぁなぁ。訊きたいんだけど……」
男「なんだよ」
友「都会の人って離れた場所でも他人と会話できるって本当なの?」
友「私もそれ聞いたときは驚いたよ」
男「えー……?」
男(そんなテレパシーなんて……)
男「あ……そういうことか」
友「ん?」
男「ふふ……ああ、できる」
友「すげー!!!都会すげー!!!」
男「会話だけじゃなくて文字も伝えられる」
友「なにぃ!?手紙じゃないの?!」
男「いいや。紙なんて使わない」
友「なにそれー!?えー!?」
男「相手のことを念じるだけでいい」
友「おぉぉ!!都会ってやっぱり人間としての構造が既に違うのかよ……!!」
男(なんか面白いな)
男「だろ?」
友「でも、見てみたいなぁ」
男「そうか」
友「なぁなぁ!都会に帰るとき、私も一緒に連れて行ってよ!」
男「え?」
友「いいだろぉ?」
男「それは……ない」
友「え?」
男「俺が都会に戻ることはない」
友「そうなの?」
男「悪いな」
友「あ、いいって。私もダメもとで訊いただけだし」
男「そっか」
友「うん。それよりもっと聞かせて!えっと、なんでもすぐに温かくできる箱の話とかさぁ」
男「あ、そろそろ行くか」
友「え?どっか行くの?」
男「神社に。あそこの巫女さんとも話をするって約束してたから」
友「姉御か!そっかぁ、なら仕方ないな」
男「姉御って呼ばれてるのか」
友「姉御は良い人だからな。私もお世話になることが多いんだよ」
男「あの子に……?」
友「姉御は色んな知識があるからな!怪我をしたときとかよく治療してくれたよ」
男「へえ」
男(面倒見がいいのか)
友「ほらほら、はやく行ってあげてよ。姉御、待ってるから」
男「分かった。それじゃあ」
友「ばいばーい!!」
男「うん」
巫女「……」
男「こんにちは」
巫女「……都会の人。どうも」
男「ずっとここにいたのか?」
巫女「はい。私は巫女ですから」
男「そうか」
巫女「落陽の刻までここにいます」
男「家は?」
巫女「神の社が私の家です」
男「ふーん」
巫女「なにか?」
男「いや、話聞きたいんだろ?」
巫女「懺悔する気になりましたか。どうぞ、私の隣に座り、心いくまで告解しなさい」
男「なんで偉そうなんだよ……」
巫女「なんでも構いません」
男「なんでも言われても、何から話せばいいかわからないけど」
巫女「そんなことも自分で考えられないのですか。どうにも都会の人は思考力に欠けているようですね」
男「なんだと?」
巫女「ですが、私は巫女。それも愛でます」
男「……」
巫女「さぁ、愚鈍で蒙昧な話を曝け出してみなさい」
男「もういい。帰るわ」
巫女「……」ギュ
男「離せ」
巫女「ふっ。その程度で根を上げるとは。神は貴方の性根を叩き直せと私に告げました」
男「離せよ」
巫女「いいから座って話をしてください。―――都会には魂を写し出す機械があるとか」
男「……まず言うことあるだろ。全く」
巫女「カメラですか」
男「今はデジタルカメラっていうのがあるんだけど」
巫女「ほう」
男「って、言っても分からないよな」
巫女「いいから続けてください」
男「まぁいいか。簡単にいうと風景とかを紙に写して残すことができる機械だな」
巫女「それは代償があるのですか?」
男「代償……。まあ、あるか」
巫女「魂?」
男「いや……インクとか電気か」
巫女「インク?電気?」
男「あ、ここには電気もないのか」
巫女「また新しい俗語が出てきましたね。やはり都会は穢れています」
男(都会を見下してるのか、この子は)
巫女「なんでしょう?」
男「君は都会のことをどう思っているんだ?」
巫女「屑が集まり、己の自尊心ばかりを気にしているところですね」
男「ふーん」
巫女「貴方もそうでしょう?」
男「……そうかもな」
巫女「ふっ。神は全てを見透かしています」
男「じゃあ、都会は嫌いなのか?」
巫女「はい」
男「それが正解かもな」
巫女「貴方も都会は嫌いなのですか?」
男「好きならここまでこない」
巫女「なるほど。貴方とは知人ぐらいにはなれそうですね」
男「常に上からだな、君は」
男「……帰るわ」
巫女「……」ギュッ
男「離せ」
巫女「まぁまぁ。では中層としておきましょう」
男「……」
巫女「都会が嫌いになった理由はあるのですか?」
男「他人と競争するのに疲れただけだよ」
巫女「競争ですか」
男「都会は生きているだけで見知らぬ他人と争ってる。知力と財力でな」
巫女「こことは無縁ですね」
男「その通り。劣る奴は優れた奴の言いなりになるしかない世界。この村みたく支えあうことなんてない」
巫女「貴方は負け組なわけですね?」
男「……その通りだけど、正面から言われると腹立つな」
巫女「事実を突きつけられれば誰でも立腹するもの。貴方は特別ではないということですね」
巫女「……」ギュッ
男「いや、今の発言は正しい。怒れない」
巫女「そうですか」
男「そう。特別になれなかった。俺にはなんの才能もない」
男「生まれて来た意味がなかった。だから……」
巫女「だから?」
男「……死のうとした」
巫女「そうですか」
男「驚かないのか?」
巫女「私は巫女。神のお告げが聞こえます。神は全てを見透かしています」
巫女「貴方のことも、全て」
男「そっか……」
巫女「さぁ、話を続けましょう。―――温風を生み出す装置の話とか聞きたいですね」
男「ああ、エアコンか。いいぞ」
巫女「そうですか。なんなら、泊まっていってもいいですよ?」
男「どこで寝かせてくれるんだ?」
巫女「ここの石畳でも」
男「ふざけんな」
巫女「ジョーク。巫女ジョークです」
男「なんだよ……それ……」
巫女「それでは、ごきげんよう」
男「ああ」
巫女「実に有意義な時間でした。また是非聞かせてください」
男「あ、ああ……」
巫女「……」ペコッ
男(なんだ、意外と素直なんだな、この子……)
巫女「今、私のこと変な子って思いましたね?失敬な」
男「思ってないから」
男「ただいま」
少女「おかえりなさいです!」
男「良い匂いだな」
少女「夕飯、もうすぐできますから居間でまっていてください」
男「わかった」
男(そういえば朝から何も食べてなかったな……)
婆「おかえりなさい」
男「どうも」
婆「夜になると冷えますからね。温まってください」
男「そうします」
婆「ところで、明日以降のことはどうするつもりで?」
男「え?」
婆「話では一泊だけとのこと。これからどうされるのですかな?」
男「……」
男「それは……」
婆「他人の人生に口を挟むことはできればしたくありませんが、死ぬなんてもったいない」
男「……」
婆「死して得るものなどないでしょうに」
男「でも、俺には生きていても得るものはないですから」
婆「そうですか?」
男「才能も知識も、頼れる友人もいない。だから、俺は死のうと思ったんです」
婆「生きていれば得ることもあるかもしれません。現に私もこの歳で貴方との縁を得ました」
男「……」
婆「ははは。長く生きても知らない殿方と出会えた。私にとっては得がたいものですわ」
男「そう思えるのは貴方がこれまで幸せな道を歩いてきたからじゃ……」
婆「人生は十人十色。苦楽の境界など他人にはわかりますまい」
男「そうですけど」
婆「とにかく今日はここで休んでいきなさい。自傷はいつでもできましょう」
少女「この部屋はお使いください」
男「夕食だけじゃなくて部屋まで……ありがとう」
少女「いえ、そんな。おばあちゃんと二人だけの家ですから」
男「そういえば、君の両親は?」
少女「え?」
男「田舎だから広い家に住んでいるっていうのは別に違和感なかったけど、君の親はどこに?」
少女「えっと……昔……いなくなって……」
男「あ……ごめん……」
少女「いえ。気にしないでください。やっぱり不思議に思いますよね」
男「……」
少女「あ、えと、何か困ったことがあればなんでも言ってください!!
男「うん」
少女「ではでは!!」
男(両親がいなくてもあんなに明るく振舞えるなんて。はぁ……俺の駄目さが浮き彫りになるな……)
トントン
男「はい?」
少女『湯浴みの準備が整いました』
男「え?いいの?」
少女『一日の疲労は湯によって洗い流されるとおばあちゃんがいつもいってます』
男「じゃあ、入る」
少女『はい、お待ちしていますです』
男「……え?」
男「……」
男「そっか。こういうところのお風呂って薪をくべたりするんだよな」
男「早く入らなきゃ悪いな」
男「急ごう」
男「ここか」
男「木のお風呂とか初めてだな」
男「さてと……」
ガラッ
男「広いなぁ……4人くらいは入れそうだぞ」
男「……」
男(なんか悪いなぁ……。至れりつくせりじゃないか)
男(死のうとした屑なのにな、俺……)
ガラッ
男「え……?」
少女「どうも」
男「わぁあああ!???」
少女「あの……なにか?」
男「な、なんで入ってくるんだよ?!」
男「いや、おかしいだろ!!」
少女「え……」
男「俺が入ってるんだぞ!?」
少女「ええ」
男「ええ、じゃなくて!!」
少女「お背中でも……」
男「いいから!!」
少女「そうですか?」
男「……」
少女「では……」ペタペタ
少女「……」ザバァ
男(どうなってるんだ……)
男(田舎だからか……?)
少女「ふぅ……」
男「えっと……」
少女「気持ちいいです」
男「……」スタスタ
男「お邪魔します……」
少女「はい」
男「……」
少女「そういえば、お二人と話されたんですよね?」
男「う、うん……」
少女「どうでした?」
男「どうって……えっと……」
少女「楽しそうでしたか?」
男「そ、そうだな……うん……」
少女「あの……どうして私に背中を向けているんですか……?」
男「いや……見ちゃ悪いだろ……」
男「だって……裸なんて……」
少女「裸だから悪いと?」
男「お、おう」
少女「都会ではそのような規則が?」
男「恥ずかしくないのか?」
少女「ここでは普通、裸になりますよね?」
男「なるけど。他人に裸を見せることに抵抗とかないのか?」
少女「いえ」
男(やっぱり環境が違うとこうなるのか……)
男「異性の裸を見るって結構恥ずかしいことなんだけどな」
少女「そうなのですか。ごめんなさい、男の人と湯浴みをしたことがなくて」
男「……」
少女「これからは控えますね」
男「そうして」
男「はぁ……疲れた……」
男「羞恥心がないまま育つんだな……」
男「……」
男「そういえば……この村……男の人が……」
トントン
男「はい?」
婆『私です』
男「どうぞ」
ガラッ
婆「おやすみ前に申し訳ないです」
男「なんでしょうか?」
婆「明日、どうされるのかと」
男「その話ですか」
婆「自決される決意は固まってますか?」
婆「揺らいでおいでで?」
男「それは……」
婆「ははは。それもいいのではないでしょうか?」
男「え?」
婆「見ての通り、ここには男がいません」
男「……それって」
婆「この村は女だけしかいないのですよ」
男「どうしてですか?」
婆「この村は大昔、女性に対する扱いに不満を覚えた者たちが作った場所なのです」
男「それは男尊女卑が酷かった時代に?」
婆「そう。男性を一切に排し、女性だけの楽園を作ろうとした。―――まあ、ですが男性もいなければ繁栄はできない」
男「でしょうね」
婆「ですから、活きの良い殿方を攫っては数人の女に種を残していってもらってたわけですな」
男「な……!?」
男「……」
婆「ですがそれも昔の話。今は時代が変わった」
男「どういうことですか?」
婆「村の女の殆どは都会の存在を耳にしている。貴方のような部外者によって」
男「俺以外にもここを訪れた人が……」
男(それもそうか。じゃないと携帯電話やカメラの話題すら知らないもんな)
婆「私の娘もそう。都会に憧れ、出て行きました」
男「貴女の娘ってことは……あの子の母親?」
婆「ええ。子を宿したときに帰郷し、あの子をこの村で出産した。そして数年後、娘は子を残し村を捨てた」
男「どうして……?!」
婆「都会を知るとはそういうことです。子を捨ててまでも憧れる場所」
男「おかしいでしょう。娘を置き去りしていいわけがない。普通の神経じゃできない」
婆「娘は去る間際に言いました。『子に縛られたくはない』と」
男「……」
男「他の子も同じような感じですか?」
婆「都会に疲れ、戻ってきた者もいます。ですが大半がまた都会に戻る」
婆「それだけ、都会は魅力的なのでしょうな」
男「子どもをここに残して、ですか?」
婆「連れて行く者もいます。ここに残して行く者もいます。それだけのことですわ」
男「それだけのことって……」
婆「まあ、貴方が気にすることではない。他人の人生。誰も親がいないことを嘆いてはいません」
男「確かに……」
婆「さて、本題ですが。このまま、村に残る気はありますか?」
男「……」
婆「今なら好きな女を―――」
男「俺を種馬にする気ですか」
婆「楔が必要なのですよ。村の者がここから出て行かないようにするには、男という楔が」
男「それは……」
男「……」
婆「ですが、そのまま死ぬというのなら財産を残してほしい」
男「財産……?」
婆「ええ。もう女だけの村ではなく、男児も女児も受け入れる」
婆「この村を残すために」
男「……」
婆「どうですかな?」
男「考えます」
婆「つまり、もう自決はしないと?」
男「……わかりません」
婆「まあ、いいです。その気になればどんな相手でも貴方は抱くことができる」
婆「……私でもいいですけどね」ポッ
男「……ごめんなさい」
婆「ははは。それは残念」
男「……」
男「寝れない……」
男(誰でも抱ける……)
男(夢のような話だな、おい……)
男「……」
少女『私を抱くのですか……?』
少女『どうぞ……貴方の思うがままに……』
男「……?!」
男「何を……俺は……!!」
男「でも……」
男「うー……」
男「どうしたらいいんだ……」
男「おはよう」
少女「おはようです!」
男「うっ……」
少女「なにか?」
男「なんでも……」
男(意識するな……どうしても)
少女「朝食の用意はできてますよ」
男「うん」
少女「では、いただきますしましょう」
男「あれ、おばあちゃんは?」
少女「もう畑のほうへ行きました」
男「朝が早いんだな」
少女「ええ」
男(俺が一番遅く起きたのか……)
男「……」
少女「ふー、お洗濯、終わり!!」
男「……」モゾモゾ
男(服を借りたのはいいけど……和服って落ち着かないな……)
少女「どうかしましたか?」
男「え?ああ、こういう服を着るのは初めてで」
少女「でも、よく似合ってますよ?」
男「この服は誰のなの?」
少女「私のおじいちゃんが着ていたものらしいです」
男「てことは、おばあちゃんの……旦那か」
少女「もう亡くなりましたけど」
男「そんなの着せんなよ……」
少女「嫌ですか?」
男「いやというか……気分はよくない」
男「そうだなぁ……」
友「おっはよー!!!!」
少女「あ、おはようです!」
男「お、なんだ?」
友「よっ!トカイ!」
男「なんだそれ?」
友「アンタのことだ」
男「トカイって……」
少女「どうしたの?」
友「いやぁ、トカイともっと話がしたくてさぁ。邪魔だった?」
少女「ううん。全然」
友「んじゃ、おじゃましまーす!」
男「トカイはやめろ」
友「なんでぇ?かっこいいじゃん、トカイ!いいよな、トカイ!」
男「ああ」
友「トカイー」
男「やめろって」
友「聞いた話なんだけど、なんでも一瞬で知りたいことがわかる箱もあるんだろ?」
男「なんだそれ……」
友「姉御から聞いた事があるんだ」
男「パソコンのことか?」
友「確かそんな名前だった気がする!それってどんな箱なんだよ?」
男「説明するのは難しいな」
友「ええー、いじわるすんなよぉー!」
男「意地悪じゃないけど」
友「おしえろー!!」ユサユサ
男「うぜ……」
少女「お茶です。お待たせしました」
友「ほら、いつ都会に出てもいいように予備知識っているでしょ?」
男「まぁ、そうかな」
友「だから、なんでも知っておきたいんだ」
男「……」
少女「私もそのぱそこんについては興味がありますね。どのような箱なのでしょうか?」
男「えーとだなぁ……」
友「うんうん」
男「パソコンっていうのは、その演算機器で……」
友「えんざん?」
少女「どういう意味でしょうか?」
男「あー……えー……」
友「バカにしてんのかぁー!」ユサユサ
男「違うけど……説明するのが難しいんだってば」
少女「えんざん……お塩の山ですか……??」
友「ほんと?!食べ物もくれるの!?」
男「ああ、できるな」
友「都会すげー!!なんでもアリじゃん!!」
少女「服もくれるのですか?」
男「できるな」
少女「一台、欲しいですね」
友「私もぱそこんほしー!!トカイ、くれ!」
男「ここにあっても意味ないな。あれは都会にあるからなんでもできるんだ」
少女「残念です」シュン
友「そうかー」シュン
男「そんなに落ち込まなくても……」
友「じゃあさ、都会での遊びってなんだ?」
男「遊び?」
友「なんかいっぱいあるんだろ?私たちに都会での遊びを教えてよ!」
男(テレビゲームとか言ったら絶対に深くつっこんでくるな……)
男「鬼ごっことかか」
友「な、なんだそれ……!!」
少女「鬼ごっこ……?」
男「一人が鬼になって、みんなを追いかける遊びだけど……知らないのか?」
友「鬼ごっここえー!!!」
少女「鬼になるって……一体、どんな儀式が……!!」
男「いや、本当に鬼になるわけじゃない」
少女「どういうことですか?」
男「ただの役だ。鬼の役になったやつは逃げる人を追いかけて、こうして触れる」ポンッ
友「んで?」
男「触れられたらその人が鬼にかわって、逃げる人を追いかける。それを繰り返すんだ」
友「なんだそれ、楽しいの?」
男「どうだろう……。やってみるか?」
巫女「……鬼ごっこ?」
友「やろーぜ」
巫女「……」
少女「いやです?」
巫女「いえ」
男「そうか」
巫女「ですが、それは追いかけっこのことでしょう?」
男「え?」
友「鬼ごっこは追いかけっことは違うよ。だって鬼の役になるんだから」
巫女「名前が違うだけでは?」
男「まぁ、そうだな。そういう遊びは普通あるよな」
巫女「まぁ、都会では鬼ごっこと称しているのでしたらそれでいいでしょう。呼称に地域差があるのはよくあることです」
男「……」
男(まるで外のことを知ってるみたいな言い方だな……)
少女「えっと……」
友「トカイでいいじゃん!」
男「俺か?」
巫女「ふっ。腑抜けた面の鬼など全く怖くないですけどね」
男「怒るぞ」
少女「まぁまぁ」
友「よーし!!にげろー!!」
少女「あ、まって!!」
男「……」
巫女「……きゃー、さらわれるー」
男「待って」
巫女「はい?」
男「君、もしかして都会にいったことあるのか?」
巫女「……いいえ。では、逃げますので追いかけてくださいね、鬼さん」
男(あの子だけはやっぱり雰囲気が違うな……)
男(大人びて見えるのはもしかして外を知ってるからか……?)
男「まぁいいか」
男「さてと……追いかけるか」
男「といっても、土地勘のない俺に追いつけるのか……?」
男「……」
男「よし。とりあえず逃げたほうへ行ってみるか」
男「向こうだな」ダダッ
少女「まって……はぁ……はぁ……」
友「普通の追いかけっこと違って、掴まったら鬼にされるからね。気合入れないと!!」
少女「うん、そうだね」
友「でも、いいなぁ。今はトカイが一緒にすんでるんでしょ?」
少女「うん」
友「私も一緒にすみたいなー。トカイの話聞き放題じゃん」
少女「でも、あの人も色々と向こうであったみたいだから、なんでも聞くのはどうかと思うよ?」
友「そうなの?」
少女「だって……あの人は山の中で―――」
巫女「見つけた」
友「きゃぁ!?」
巫女「二人とも私を置いていくとはいい度胸ですね」
友「姉御かぁ……脅かさないでよ」
少女「では、3人で協力して逃げましょう!」
巫女「おにさんこちらー、てのなるほうへー」
男「?!」
友「姉御?!なんでそんなことするの!?」
巫女「このままではこちらが圧倒的有利ですから」
友「それもそうか」
少女「そうやって鬼を呼ぶんですか?」
巫女「そう」
男(やっぱりあの子……この村の出身じゃないな……)
男(詳しい話を聞いてみたい気もするけど)
巫女「あ。今、あの巫女さんと結婚したいなぁって思いましたね?」
少女「え!?いつのまに?!」
男「思ってないから」
巫女「神は全ても見透かしています」
男「決めた。絶対に君を捕まえる」
友「にげろー!!!」
少女「はぃぃ!!」
男「はぁ……はぁ……!!」
巫女「まるで盛りの犬ですね。そんなに鼻息荒くして女児を追いかけて」
男「おまえは……!!」
友「きゃははは―――」
ガッ!
友「ぁ―――!」
ズサァァ!
少女「あ?!」
友「……」
巫女「大丈夫!?」
男「躓いたのか?!」
友「……ぃぁぃ……」ウルウル
友「いたぃ……」ポロポロ
巫女「膝と腕を擦りむいているわね」
友「あねごぉ……いたいぃ……」
巫女「そうね。痛いね。血も出てるし」
友「ぅぅ……」ポロポロ
少女「大丈夫?」
男「えっと……」
巫女「とりあえず、水で傷口を洗いましょう。トカイさん、手伝ってください」
男「あ、ああ」
巫女「大丈夫よ。すぐに治るから」
友「うぅ……ぐすっ……」ポロポロ
少女「あわわ……痛そうです……」オロオロ
男「えっと、どうすればいい?」
巫女「この子をおんぶしてください。神社まで戻りましょう」
巫女「トカイさん、そこに水がありますから」
男「分かった」
友「うぅ……」
少女「痛そうです……」
男「よし、水をかけるぞ?」
友「―――つめたいぃ!!」
男「我慢してくれ」
少女「はぁ……こういうとき何もできない自分が悔しいですね……」
男「……」
巫女「お待たせしました」
男「え?それ……救急箱?」
巫女「さて、傷口を見せてください」
友「ん……」
巫女「この程度なら絆創膏で十分ですね。貼っておきましょう。確か……」ゴソゴソ
巫女「いえいえ。神の御心のままに」
男「なあ」
巫女「はい?」
男「その救急箱は?」
巫女「神の供物です」
男「おかしいだろ」
巫女「何がでしょうか?」
男「いや……だって……」
少女「あの、いつも怪我をしたときはこの箱を使ってくれるんです」
男「……」
友「風邪をひいたときもだな!」
少女「それが……変なのですか?」
男「君たちの家にも同じのがあるのか?」
少女「いえ。これはこの神社に祀られたものとかなんとか……」
巫女「何かおかしなところでも?」
男「いや。いい」
巫女「深く考えなくてもいいでしょう。貴方の想像通りです」
男「そうか」
少女「えっと……これからどうしましょうか?」
男「怪我人も出ちゃったし、とりあえず戻ろうか」
少女「ですね」
友「トカイー!おぶってー!!」
男「はいはい」
友「へへ……」
少女「いいなぁ……」
男「わざと怪我とかはしないでくれ」
少女「な、なんで……考えていることがわかったんですか……!?」
男「なんとなく」
男「大丈夫か?」
友「ありがと、トカイ!優しいな!」
男「そんなこと。俺が怪我させたようなものだし」
友「好きだ!」
男「え?!」
友「私、トカイのこと好きだ!また、会いにいってもいいかな?」
男「あ、ああ……いつでも」
友「ありがとう!!またね!!」
少女「うん」
男「……」
少女「あはは、告白されてしまいましたね」
男「あれは、そういう好きじゃないだろ」
少女「そういう好きって……どういう好きですか?」
男「なんだろう……。野菜が好きとか、そういうの」
少女「おばあちゃん!ただいまです!!」
婆「おかえり」
男「……ただいま、戻りました」
婆「おお。じいさんが生き返ったみたいですわ」
男「え……」
婆「抱いてもよくてよ?」
男「ごめんなさい」
婆「ははは。やはり孫のほうが好みですか」
男「そういうことじゃあ……!!」
婆「では孫の友人のほう?」
男「あの子は小さすぎるでしょう……」
婆「では、神社の巫女様か?」
男「……訊きたいんですけど、あの神社に神主っているんですか?」
婆「あの巫女様しかいませんが?」
婆「あの巫女様はこの村で外との繋がりを持っているのですよ」
男「繋がり?」
婆「この時代、こうした村は淘汰されていく。それを防ぐためにもそうした役割を持つ者もいりますので」
男「村長みたいな存在ですか」
婆「まあ、そう思ってもらっても構いません。無論、あの子だけが外と繋がっているわけではないですが」
男「限られた人だけが?」
婆「ええ。まあ、私もその一人なのですけどね」
男「じゃあ、部外者って……」
婆「いえいえ。繋がりを持つ者はこの村で外界に関することを漏らしてはいけない決まりがあります」
男「どうして?」
婆「ある朝、村民の殆どがいなくなっているなど避けたいですからな」
男「……」
男(え……それ、なんかおかしくないか……だって……)
婆「余計な知識はこの村にはいりません。ただでさえどこからか外の情報が流れ込んでいるというのに」
婆「貴方の口を縛る規則はないですからな」
男「ふーん」
男(飽く迄も外との繋がりをもつ女だけってことか)
婆「なにか?」
男「いえ。なにも」
婆「でも、まあ、あまり過激なことは教えないでほしいですね」
男「過激って?」
婆「ほら……まぁ……夜のこととか?」
男「……」
婆「ノーマルでいいですからね」
男「別に俺、変態じゃないですけど」
婆「ははは。それはよかったです」
男「……」
男(でも……外の情報を入れないようにするなら……俺のことを自由にさせるか……?)
巫女「……あら?」
男「……」
巫女「なんでしょう?」
男「訊きたいことがあるんだけど」
巫女「なんなりと」
男「君たちは村を捨てたいのか?」
巫女「……君たち、とは?」
男「徐々に外の情報を流して、興味を持たせて村民を逃がそうとしているのかなって」
巫女「ふっ。いきなり何の話でしょうか」
男「現に都会に興味を持っている子はいるし……」
巫女「妄想もそこまで来ると哀れですね。我々は常に村を守るために動いています」
男「……」
巫女「村から人を排そうなど微塵も考えていません」
男「本当か?」
男「……」
巫女「それにもしそうだとして、貴方に不利益などないはずですが」
男「そうだけど」
巫女「まあ、この村に住もうと考えているのなら、気になることなのでしょうね」
男「それは……」
巫女「お婆様に言われたのではありませんか?」
男「なにを?」
巫女「ここに残り、種を残せと」
男「……言われた」
巫女「それが全てです。村を守る為に私たちは生きている。―――あ、私を抱きますか?外では勘弁ですが」
男「な……!?」
巫女「ジョークです。さてと、そろそろ落陽の刻。帰路についたほうがいいでしょう」
男「あ、ああ……。じゃあ、またな」
巫女「さようなら」
男「……」
男(村を守るためか……)
男(でも……本当に……?)
男(なんか釈然としないなぁ……)
男「って、俺が気にすることでもないか」
男「……」
男(種を残して……この村で住むなら……)
男「あーもう!!」
男「寝るか」
男「俺には関係ないよな……うん」
男「……関係……」
男「もしかして……」
男「訊いてみよう、おばあちゃんに」
男「違います」
婆「では、どうして?」
男「俺がこのまま村を去ったら……この村はどうなるのか気になって」
婆「……簡単です。村を捨てるまで」
男「?!」
婆「貴方が来ていなければそうする予定でした。この村は既に終焉を迎えるばかりだった」
男「じゃあ……」
婆「一ヶ月ほど前に決めたのです。外界の情報を少しずつ拡散させて、いつでも村を出てもいいように皆に知識をつけさせようと」
婆「勝手に出て行くのもよし。連れ出してもよし。とにかく混乱しない程度に外のことを広めようと思いました」
男「そんなとき、俺が……」
婆「ええ。勿論、今までにも部外者が訪れたは本当です。ただ、貴方ほど自由にさせたことなどはなかった」
婆「それでも好奇心旺盛な者が部外者に心酔し、村を捨てていくことが幾度となくありましたが」
男「もしかして貴女の娘さんもその一人?」
婆「ええ、そうです」
男「でも、女だけは連れ出した……」
婆「はい」
男「……」
婆「ですが。貴方は違う。ここに残ってくれる可能性もある」
男「それは……」
婆「最後の望みなのです。腐ってもここは故郷。失くしたくはないのです」
男「……」
婆「どうか……」
男「そんなこと……言われても……」
婆「自決するぐらいなら、この村の救世主になってほしい。そう思います」
男「……」
婆「駄目ですか……?」
男「ただの自殺志願者が救世主って……」
婆「村を繁栄させろとはいいません、ただ生き残る希望が欲しいのですよ」
男「……」
少女「冷えますよ?」
男「え?」
少女「どうぞ。毛布です」
男「ありがとう」
少女「ご迷惑でなければ、ご一緒してもいいですか?」
男「うん」
少女「どうかされましたか?」
男「これからどうしようかなって……」
少女「これからですか……」
男「うん」
少女「今のお考えは?」
男「―――ここで人生を終えようか、なんて考えてもいるけど」
少女「……やめたほうがいいかと」
少女「村のために犠牲になることはありません」
男「君……」
少女「おばあちゃんがどういう想いで貴方を引き止めているかは想像がつきます」
男「知ってるのか?」
少女「なんとなくは」
男「そうか」
少女「貴方の人生です。流されないでください」
男「なんでそこまで言ってくれるんだ?」
少女「え……なんででしょうか……ね?でも、言われるがままここに留まっても貴方はまた山に向かうかもしれない」
男「な……」
少女「貴方が唐突に消えてしまうのが怖い」
少女「だから、きちんと自分の意思で決めて欲しい。そう思うんです」
男「ありがとう。出会って間もないのにそこまで想ってくれて」
少女「いえ、ただ正直な気持ちですから」
少女「私のお母さんは村を捨てました」
男「え……?」
少女「お父さんが好きだったから」
男「でも、君も捨てた」
少女「違います。お母さんはこの村で育って欲しいって考えたんですよ、きっと」
男「どうしてそう思うの?」
少女「都会の良いところも悪いところも知ったからではないでしょうか?」
男「でも、娘を置いていくなんて……おかしいだろ」
少女「私には分かりません」
男「おかしい。普通じゃない」
少女「物心がついたときから居ない人のことを怒るまで恨めないですから」
男「……君も相当変わってるな」
少女「えへへ、それほどでも」
男「褒めてないからな」
男「……都会に行ってみたいって君は思ってるのか?」
少女「……興味はあります。でも、この村が私は好きですから」
男「そうか」
少女「はいっ」
男「おばあちゃんは悲しむかもな……」
少女「あ、でも、みんなが出て行くってなるなら流石に都会に行きますね。一人で村に残りたくないですし」
男「あはは、それもそうか」
少女「それでは失礼します」
男「うん」
男「……」
男「このまま残るか……」
男「それとも……」
男「冷えたな……部屋に戻るか」
友「トカイー!!!」
男「お、怪我は?」
友「もう平気だよ!!」
男「そっか」
少女「おはようです」
友「おっはよ!」
少女「今日もお話をしにきたの?」
友「うん。トカイー、なんかはなせー」ユサユサ
男「はいはい……纏わりつくなよ」
友「へへー」
少女「じゃあ、私は飲み物でも」
男「ありがとう」
友「なぁなぁ、走る家の話してくれ」
男「また難しいな。車のことだろうけど……」
友「すぅ……すぅ……」
男「……」
少女「寝ちゃいましたね」
男「なんだよ。退屈だったのかな?」
少女「ふふ。きっとあまり寝れなかったんじゃないですか?」
男「どうして?」
少女「貴方に会うのが楽しみで」
男「子供かよ……。子どもだったな」
少女「あはは」
男「……」
少女「お茶のおかわりはどうされますか?」
男「もらう」
少女「はい」
男(このままでいいのか……俺……)
男「よっ」
巫女「どうにも暇そうですね。仕事はなにを?」
男「ニートだ」
巫女「にーと……?」
男「あれ。知らないか?」
巫女「それはどういう意味ですか?」
男「ま、いいじゃん」
巫女「よくはないですね。神は全てを見透かしていなければなりません」
男「なんだそりゃ」
巫女「まあ、貴方のように働きもしない人を指すのでしょうけど」
男「知ってるじゃねえか、殴るぞ」
巫女「自分で言ったくせに」
男「ふん……」
巫女「で、今日はどうしたのですか?」
巫女「私に判断を委ねるのですか?滑稽にもほどがあります」
男「相談だよ、相談」
巫女「ふっ。では、私の意見程度では意志が固まることもないと。では時間の無駄ですので帰ってください」
男「どうすりゃいいんだよ……」
巫女「ジョークです。巫女ジョーク」
男「……こっちは割りと真剣なんだけどな」
巫女「申し訳ありません。どうしても貴方の顔をみていると苛めたくなるのです」
男「なぁ、俺がここを去って、村がなくなるとしたら君はどうする気なんだ?」
巫女「私はこの村に残ります」
男「は?」
巫女「私は都会が嫌いなので」
男「一人でも?」
巫女「はい」
男「それも巫女ジョークか?」
男「……」
巫女「一人でもまあ、住めないことはないでしょうから」
男「おいおい」
巫女「私はこの村で生まれた」
男「……」
巫女「村にもこの神社にも愛着はあります。新天地での生活も楽しいでしょうが、私は離れたいとは思いません」
男「都会を知ってるからか」
巫女「私はあの世界で器用に生きてはいけない、そう思います」
男「俺と一緒だな」
巫女「虫唾が走りますね」
男「なんだとぉ?!」
巫女「ふっ。だから、安心してください」
男「え……?」
巫女「数年後、ふと思い出して戻ってきても私だけはここにいますから」
男「ただいま」
少女「おかえりです!!」
男「……」
少女「なんですか?」
男「おばあさんは?」
少女「部屋にいると思いますよ」
男「ありがとう」
少女「……?」
男「……」
少女「あの」
男「ん?」
少女「なにかあったんですか?」
男「ううん。なにもない」
少女「そうですか」
男「決めました」
婆「答えは?」
男「俺はここに残ります」
婆「おぉ……」
男「でも、村を守るつもりは一切ありません」
婆「な……」
男「出て行く人は出て行けばいいと思う。あなた達は都会の情報を流し続けてください。俺もそうします」
婆「なにを……」
男「都会に憧れを持っている人もいれば、この土地に骨を埋める覚悟の人もいる」
男「だから……俺はここの住人の楔になろうとは思いません」
婆「しかし……それでは村は……」
男「終わりに向かっているなら向かわせましょう。俺がそれを見届けます」
婆「おぉ……なんと……」
男「俺は屑です。ここを救うなんてことはできません。すいませんでした」
少女「村とともに貴方も死ぬと?」
男「そうすることにした。ここで俺の人生を止める」
少女「そうですか」
男「この村の繁栄とかに協力はできそうにない。ごめん」
少女「いえ。新しい村民を私は嬉しく思います」
男「でさ……これからなんだけど」
少女「はい?」
男「農作業とか教えてくれるか?」
少女「そうですね。ここに住むならそれぐらいはやっていただかないと」
男「ありがとう」
少女「いえいえ」
男「これから早起きしないとなぁ」
少女「私がしっかり起こして差し上げますよ」
男「それは……なんか嬉しいな」
婆「はぁ……村の娘全員を孕ませるだけの気概はなかったのですな」
男「あるわけないでしょ。何言ってるんですか」
婆「ほら、そこも少し深く掘って」
男「くっ……」
婆「そうなると一つ問題がありますね」
男「なんですか?」
婆「誰を嫁にするのか……」
男「……」
婆「まさか……」ポッ
男「ないない」
婆「そうですか」
男「それはまたゆっくりと考えます。ここにきてまだ数日。俺のことを好きだって言ってくれたのは小さな女の子だけですから」
婆「あの子、初潮がまだみたいなので、まあ、ほどほどに」
男「はぁ?!」
男「ぶっ?!」
友「どしたの?」
男「な、なんでも……」
婆「ははは……」
友「んー?顔、赤いぞ?」
男「うるさいなぁ」
少女「あのー!休憩にしませんかー!?」
男「うん!」
友「なぁなぁ、トカイ!!今日はさぁ、あの話を聞きたいんだけど」
男「なんだ?」
友「学校だ!」
男「学校な。わかった」
友「うん!」
男「行ってみたいか?」
友「ううん!トカイがこっちにいるからいいや!」
男「な……」
友「すきだぞー」ギュゥ
男「……」
少女「ふふ……どうします?」
男「なにが?」
婆「こんな年端もいかぬ娘を……都会では流行しているのですかな?」
男「してないですよ!!」
友「私ぐらいの子でもあれだろ?都会だと大人の人と色々するんだろ?」
男「なにいってんだ?」
少女「色々って?」
友「姉御がいうには裸になって―――」
男「あいつ何吹聴してんだよ……」
巫女「……」ザッサッ
男「よう。変態」
巫女「貴方に言われると無性に死にたくなりますね」
少女「こんにちはです!」
巫女「どうも。神に選ばれし姫君よ」
男「……俺、ここに残ることにした」
巫女「……」
男「これからよろしくな」
巫女「なるほど。貴方とはまぁ、友人としてのお付き合いはしてもいいかもしれませんね」
男「なんで上からなんだよ」
巫女「ふふ……よろしくね」
男「お、おう」
少女「さてと、お参りしなくちゃ」
男「俺もしようかな」
男「あのなぁ……!」
巫女「ふっ。でも、願い事ができたのはいいことですね」
男「まぁな」
少女「……」ガランガラン
少女「……よしっ」
男「訊いてもいい?」
少女「え?」
男「俺と初めてきたときも何がお願い事してただろ?どんな願いを?」
少女「あ、貴方が死にませんようにって……」
男「え……」
少女「えへへ」
男「そう……ありがとう」
少女「いえ。でも、もう大丈夫ですよね」
巫女「流石は神子。その慈悲深さは底知れず」
少女「はい」
男「……」ガランガラン
男「……よし」
巫女「あ、今、私とエッチなことをしたいと思いましたね?」
男「よくわかったな」
巫女「え?!」
少女「!?」
男「外は嫌なんだろ?」
巫女「あ、あの……嘘……ですよね?」
男「いいや。マジだけど?」
巫女「ちょ……あの……私そんなつもりは……」
男「……冗談だ」
巫女「が……?!」
少女「はぁ……びっくりした……」
男「はいはい。ほら、帰ろうか」
少女「は、はい」
巫女「二度とくるなー!!」
男「わかったよ」
巫女「あ、いや、来てもいいですけどね……」
男「どっちだ?」
少女「ふふ……」
男「あー、午後からは山に行かなきゃならないのか」
少女「おばあちゃんについていくのは大変だと思いますけど、がんばってくださいね」
男「ああ。ここまで来たら弱音は吐かない」
少女「……」
男「新しい生きかたも見つけたしな」
少女「そうですか」
少女「今日もおつかれさまでした」
男「うん」
少女「すぐにごはんの支度しますからね」
男「いつもありがとう」
少女「いえいえ。それより農作業は慣れましたか?」
男「多少は」
少女「よかったですね」
男「……」
少女「いそげっいそげっ」パタパタ
男(ここで生きよう)
少女「きゃぁ!」ズデンッ
男「大丈夫か!?」
少女「す、すみません。足が滑って……」
男「怪我はないみたいだな。よかった」
男「……」
少女「最近、よくここに居ますね」
男「うん」
少女「好きなんですか?」
男「好きだな」
少女「よっと」
男「今日、一人村を出たみたいだな」
少女「以前、都会に出た人から呼ばれていたみたいですね」
男「きっとこのまま少なくなっていくんだろうな」
少女「ええ」
男「怖い?」
少女「村が死んでいくようで、少しだけ」
男「だろうな」
少女「でも、私はここにいます。何があっても」
少女「はい」
男「……寒くないか?」
少女「いいえ。貴方がいるから」
男「……」
少女「……」
男「明日も早いし寝ないとな」
少女「そうですね」
男「今日は冷えるな」
少女「はい。寒くて寝れないかもしれません」
男「そうだな」
少女「温かくして寝ましょうね?」
男「うん」
少女「……」
男「寝るか……」
少女「朝ですよ」
男「あ……あぁ……」
少女「さ、今日も一日がんばりましょうね」
男「おう……」
少女「どうされました?」
男「いや。別に……」
少女「そうですか」
男「……おはよう」
少女「おはようです」
男「よし。がんばるか」
少女「おー」
婆「これ、はやく。二人して何をしているのですかな?」
男「今行きますよ」
少女「おばあちゃんもおはようです」
男「あー!!つかれた!!」
少女「お疲れ様です」
男「ありがとう」
少女「……はい。お茶です」
男「うん」
友「トカイー!!」
巫女「どうも、こんにちは」
少女「二人とも!」
男「どうしたんだ?」
巫女「いえ。なんとなく気の迷いで」
友「好きなやつの顔は何回みても飽きないからねー」
男「ありがと」ナデナデ
巫女「ん……?なにか嬉しいことでもありましたか?」
少女「え?いいえ、特には」
少女「そ、そうですか?」
巫女「ふむ……」
友「なぁなぁ。そういえばまた一人、村でるってさぁ」
男「そうか」
巫女「嫌じゃないんですか?」
男「別に。俺はもう決めてるからな。願掛けもした」
巫女「何を……?」
男「ここで人生を終えるって」
少女「……それは素晴らしいことだと思います」
友「私もここにいるぞー!!」
巫女「ふっ。まあ、そういうことなら友人以上のお付き合いをしてもいいですけど?」
男「そういうことならできればずっといてほしいけどな」
少女「言われずとも、最後まで一緒ですよ」
男「ありがとう。ここで人生を終えられて幸せだよ」
完。
もうちょっと続くかと思ったぜ…
物足りない感はあるけど下手にエロとかあるよりは綺麗に終わる方が好きだぜ
Entry ⇒ 2012.02.22 | Category ⇒ 男女「」SS | Comments (0) | Trackbacks (0)
男「はい」 メリーさん「あっ、やった!繋がった!」
http://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/internet/14562/1329404399/
メリーさん「えっと、おほん・・・・私、メリーさん。今、京都にいるの。」
男「は?そ、それがどうしたんですか?」
ツーツーツーツー・・・・
男「俺の家、池袋なんだけどなぁ・・・・京都に来いってことか?」
男「どちらにしろ、わけの分からん迷惑電話だったな。」
メリーさん「私、メリーさん。今、新幹線に乗っているの。」
アナウンス『まもなくぅ、名古屋・・・・名古屋でございま・・・」
ツーツーツーツー・・・・
男「本当に訳が分からん・・・・。」
男「しかし、確かに新幹線の雑音は入っていた。」
男「ちゃんと車内じゃなくて、トイレの辺りから掛けてくるのは律儀だな。」
メリーさん「私・・・もぐもぐ・・・・メリーさん。今・・・・はむはむ・・・・・駅弁を食べているの・・・・・・。」
ツーツーツーツー・・・・・
男「・・・・・こいつただのアホだ。」
メリーさん・男「私、メリーさん。」
メリーさん「ぶふぉっ(笑)」
アナウンス『次はぁ、品川・・・・』
ツーツーツーツー・・・・・
男「セリフを合わせただけで吹き出すとか。笑いの沸点低すぎだろ。」
メリーさん「・・・よし。私メリーさん」
男「(前回の失敗から一呼吸置くようになったか、チッ)」
メリーさん「今、秋葉原にいるの!すっごく楽しいのー!」
ツーツーツーツー・・・・
男「す、すげぇ・・・・こいつ何者だ?」
メリーさん「私メリーさん。今、渋谷のスクランブル交差点を見てゲンナリしているのぉ・・・・。」
メリーさん「イメージと違うぅ・・・・」
ツーツーツーツー・・・・
男「・・・・・・はぁ。」
メリーさん「私、今渋谷のクラブにいるの!ヘドバンしてる人怖いよぉっ・・・・」
メリーさん「わ、私今・・・怖い人たちにナンパされて・・・今、渋谷に・・・・・」
ツーツーツーツー・・・・・
男「・・・・・くそっ!ったく仕方ねぇなぁ!!」
男「渋谷のどこだよ・・・・」
運転手「どちらまで?」
男「JR池袋駅だ!急いでくれ」
メリーさん「わ、私、メリーさん・・・・今、ホテルZEROの302号室に・・・・こ、怖いよぉ・・・・・」
男「ホテルZERO・・・ここか!」
店「ちょ、ちょっとお客さん!」
男「302号室!!」
男「おい、大丈夫か!!・・・・お、お前・・・・・・」
メリーさん「私メリーさん♪」
男「お、幼馴染・・・・じゃないか・・・・・・」
幼馴染「小学校の時の約束を果たしにきたのぉ・・・・」
男「俺が急に引っ越した時の事か・・・・」
幼馴染「うん・・・・・」
幼馴染「当たり前じゃない。忘れてたとしても、奪っちゃうけどね♪」
男「幼馴染・・・・」
幼馴染「男・・・・私をお嫁さんにしてね・・・・。」
男「もちろんだ。よろしくな・・・・。」ぎゅっ
幼馴染「私、メリーさん。今あなたの胸の中にいるの・・・・・。」
END
ずいぶん速い終わり方だな
乙
乙
新しく出来たSS深夜VIPのSSです
いろんなSSがあるので是非見てください!
SS深夜VIP
Entry ⇒ 2012.02.20 | Category ⇒ 男女「」SS | Comments (0) | Trackbacks (0)
女「ん」 男「ん?」
女「座る」
男「おう」
男「よっ」←あぐら
女「ん」ポス
男「ここが気に入ったか」ナデナデ
女「ん」
http://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/internet/14562/1328532903/
女「ん」 男「ん?」
女「泊まる」
男「そうか」
女「ん」
男「…」
女「…」
男「明日平日だが」
女「知ってる」
男「学校の荷物は?着替えとかは?」
女「持ってきてる」
男「準備のよろしいことで」
女「…」
男「トイレ」
女「ん」スッ
男「ん」スック
女「…」
男「付いてくんな」
女「…」ギュ
男「袖つまむな」
男「ふぅ」
女「…」
男「よっ」スト
女「ん」ポス
男「うむ」ナデナデ
女「ん」
女「…」
男「…」ツン
女「む」
男「(結構面白いんだよな)」ツンツン
女「むー」
男「ほれほれ」ツンツン
女「…」ガブッ
男「いてっ!」
女「…」
男「ほんとちっちゃいよな、お前」ポスポス
女「…男は大きい」
男「うむ」ツン
女「!」
男「おっと」ヒョイ
女「むー」
女「お腹空いた」
男「もうそんな時間か」
女「ん」
男「…」
女「…」
男「今日お袋の帰りが遅いんだった」
女「…」
男「飯作るからどいて」
女「ん」スッ
男「袖つまむな」
女「むー」
男「飯作れない」
女「お腹空いた」
男「だから待ってて」
女「…」ギュ
男「袖つまむな」
女「むー」
男「…ミカンでも食ってろ」スッ
女「ん」
女「…」モキュモキュ
男「…」ジュー
女「…」モキュモキュ
男「出来たぞー」
女「ん」
男「て、二個も食ったのか」
女「ん」ポス
男「…」
女「いただきます」
男「…」
女「いただきますは?」
男「この姿勢は食べづらい」
女「いただきますは?」
男「…いただきます」
男「…」
女「…」モグモグ
男「食いづらい」
女「…」
男「食いづらい」
女「…仕方ない」
男「仕方ないのはお前だ」
女「あーん」スッ
男「…」
女「あーん」
男「…あむ」パク
女「ごちそうさまでした」
男「ミカン二個も食ってるのによく入ったな」
女「うむ」
男「…」
女「?」チンマリ
男「(食べた分の栄養は一体どこへ)」
女「あたしがやる」
男「…」
女「…」
男「蛇口、届くか?」
女「失敬な」
男「失礼」
女「…」
男「…」
女「むー」プルプル
男「…ほれ」ジャー
女「ぐぬぬ」
女「ん」
男「どっち先に入る?」
女「お先どうぞ」
男「おう」スック
女「…」ギュ
男「袖つまむな」
女「むー」
女「ん」モキュモキュ
男「またミカン食ってたのか」スト
女「ん」ポス
男「…」
女「…」
男「風呂は?」
女「シャンプーがいい香り」
男「それはどうも」
女「ん」
男「風呂は?」
女「むー」
男「おう」
女「…」ポス
男「髪濡れてるぞ」
女「シャンプーいい香り?」
男「そうだな」
女「ん」
男「髪濡れてるぞ」
女「…」モキュモキュ
男「あーもう、ほら」ワシャワシャ
女「うむ」モキュモキュ
男「ゲーム?」
女「パワぷよ」
男「パワぷよか」
女「ん」
男「やるか」
女「ん」
男「…」
女「…」
男「ゲーム準備するからどいて」
女「むー」
女「…」ピコピコ
実況「さあ、1P側、早速連鎖を仕掛ける!」
男「…」カチャカチャ
実況「しかし2P、手堅くお邪魔ぷよを返す!」
女「…」ピコピコ
実況「ゲームはまだ始まったばかりです。まだまだ予想できませんね」
実況「おっと、2P側、ジャブを仕掛けた!」
女「む」ピコピコ
実況「お邪魔ぷよが点々と降り注ぐ!」
女「むー」ピコピコ
実況「しかし1P、連鎖を発生させずにうまく消す!」
男「ふむ」カチャカチャ
実況「あっと2P側、勝負に出た!連鎖を起爆させたー!」
男「あっ」カチャカチャ
実況「あぁー!連鎖が途中で止まった!まさかの積み立てミス!これでは火力が出ない!」
女「もらった」ピコピコ
実況「ここで1P、反撃に出る!連鎖を起爆ぅ!」
女「よし」ピコピコ
実況「最後まで行ったぁー!怒濤の12連鎖だー!」
男「!!」カチャカチャ
実況「2P、返せない、返せないぃー!お邪魔ぷよが積み重なる!」
男「ぬぁー!」
実況「決まったぁー!勝者、1Pっ!」
女「勝った」グッ
男「…」
女「ふふん」
男「いや、この姿勢でやるのは辛いから、ほんとに」
女「言い訳」
男「頭が邪魔でコントローラーが持ちにくいの!」
男「このやろう」ツンツン
女「む」ガブッ
男「いって!」
男「俺はもういい…」
女「そう」
女「じゃあサクセスやる」ピコピコ
男「おう」
女「…」ピコピコ
男「ミカン取って」
女「…」ピコピコ
男「ちぇっ」ヒョイ
ウィッチ『ふえぇ!?ま、まぁ…いいですわよ』
男「ウィッチ攻略か」
女「ん」ピコピコ
パワプロ『俺、実は見られてる方が燃えてくるんだ』
ウィッチ『ええっ!?ちょっと、何言ってるのよ!?』
女「…」ピコピコ
男「…」
パワプロ『お前が、欲しいっ!』
ウィッチ『!、も、もう、バカ…///』
女「弾道上がった」
男「上がったな」
女「…男は?」
男「おばか」ポカッ
女「あうっ」
男「すげえ」
女「褒めて」
男「よしよし」ナデナデ
女「ん」
男「…でもこのパラメータ、ぷよ勝負にどんな影響があるか不明なんだよな」
女「ん」
男「そうか」
女「眠い」
男「そうか」
女「…」コックリ
男「ベッドで寝なさい」ツンツン
女「むー」
男「仕方ないな」ヒョイ
女「ん」
女「…」ウツロ
男「じゃあ、おやす…」
女「…」ギュ
男「袖つまむな」
女「一緒」ギュ
男「袖つまむな」
女「むー…」
男「…もう」
ゴソゴソ
女「一緒」
男「うむ」ギュ
女「!」
男「抱き枕にしちゃる」
女「むー…」
男「おやすみ」
女「おやすみ」
見てくれた人ありがとう。
新しく出来たSS深夜VIPのSSです
いろんなSSがあるので是非見てください!
SS深夜VIP
Entry ⇒ 2012.02.13 | Category ⇒ 男女「」SS | Comments (0) | Trackbacks (0)
男「どうぶつの森?」
男「(電車に乗って2時間半……)」
男「(都会での生活に疲れたから、この田舎に住む事にしたが)」
ガタンゴトンガタンゴトン
男「電車の中は無人、そして」
ネコ「ミャー」
男「目の前にはなぜかネコがいる」
http://hayabusa.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1328633606/
男「どうぶつの森?」
男「どうやら目的の村に着いたみたいだ」
男「しかしこの電車、運転席には誰もいなかったな……」
男「この地図の屋根マークが自宅みたいだ」
イヌ「ワン!ワン!」
ペンギン「クエー!」
ブタ「ブヒー!」
男「……なんでこの村はこんなに動物が放し飼いなんだ?」
男「しかし、気味が悪いほどに人がいなかったな……」
男「でも、俺の家を含めこの団地には4つ家が建っている」
男「荷物でも置いたら、挨拶でもしようかな?」
男「しかしこのはにわはなんだ?」
はにわ「」
男「まあ、後で片付けるか……」
男「おかしいな……3件とも留守だったぞ?」
男「……いや、居留守を使っているだけだろ」
男「多分ここの団地の人は皆、極度の人見知りなんだ」
男「……する事ないしちょっと村の周りでも見てこようかな?」
男「……なんでゾウまで放し飼いなんだよ」
男「市役所か……そういえば手続きしとかないとな」
男「でもこの市役所、建物の中に活気がないぞ?」
男「まあ入ってみるか……」ギィ
ペリカン「クワッ!」
男「」
男「家に帰ろう」トボトボ
男「……ん?」
イヌ「ワンワン!」
ネコ「フシュー!!」
トラ「グルルルルルル!」
男「え!?……まじかよトラいるぞ?」コソコソ
男「うわ!?トラがイヌの方に向かってった!?」
イヌ「!?」
トラ「ガアアアアアアア!!」
ガブッ
イヌ「キャイン!?」
トラ「……」ガッガッ
男「うわあ……イヌが無残な姿に……」
トラ「……」クチャクチャ
イヌ「」
男「トラは食事に夢中で気づいてないみたいだ……」コソコソ
パキッ
男「!?」
トラ「……!?」クルッ
男「目が会っちまった……」ガクガク
男「逃げなきゃ……」ザッ
トラ「ガアアアアアアアア!!」ザッ
男「うわああああああああああああ!?」ダッ
トラ「ガアアアアアアアアア!!」ザッザッザッ
男「ダメだ!?追いつかれる!!」ダダダダダダダ
ズボッ
男「……ヘっ?」
トラ「ウガアアアア!?」ジタバタ
男「落とし穴?誰がこんなところに」
トラ「ガアアアアアアアアアア!!」スポッ
男「家まで後少し!!」ダダダダダダダダダ
トラ「ガアアアアアアアアア!!!」ザザザザザザザザ
男「っゴール!!」ギィ
トラ「ガアアアア!!」バッ
パタン
トラ「グガッ!?」ビターン
男「ま……間に合った……」グッタリ
_________________
男「もう夕方か……」
男「あのトラは?」ソー
グルルルルルルルル
男「うわ!?まだ家の前で待ってるよ!?」
男「あのトラが退くまで家にこもるか」
男「どうしよう……」グー
男「腹減ったな……」
男「見た所、水道もガスも通っていない……」
男「なぜか照明だけは付いているけど」
男「……ラジオでも動かすか」ゴソゴソ
ガサガサガサガサ
男「うわ!?ゴキブリ!?」
カサカサカサカサカサ
男「3匹も出てきたか……」グー
カサカサカサカサカサ
男「……ゴキブリって食えるのかな?」
プチプチプチッ
男「あっ!?」
フワワーン
男「ゴキブリ踏んじまった……死体もなんか消えてるし……」
男「そういえば、トラは?」ソー
シーン
男「いなくなったみたいだな」
男「なんか食べ物探しに行くか……」
ワオーン パオーン
男「動物達がうろついている分、迂闊には歩けないな」コソコソ
男「ん?なんだ?あの建物は」
たぬきち商店
男「店だ!!」ダッ
男「……すいませーん、誰かいませんか?」
シーン
男「……誰もいないのか?」
ガタッ
男「!?」
たぬき「?」キョトン
男「なんだ、たぬきか……」
男「しかし無人とは、この店無用心だな……」
男「机の上には葉っぱしか乗ってないし」
男「ん?チューリップの種か……」
男「食えるかな?」ガシッ
たぬき「……」ジー
男「……ちゃんと金は払うよ、このレジの前に置いとけばいいかな?」チャリン
男「しかし」バリボリ
男「このチューリップの種意外といけるな」バリボリ
男「ふぅ、食った食った」
男「……やることねぇな」
男「……寝るか」バタッ
男「床冷たいな……」
男「zzz……」スヤスヤ
ギィ
男「ん……朝か」
男「体が硬いな……」ポキポキ
男「ポストでも見ようかな?」
キィ
男「入ってないか……」ガッカリ
男「そういえば、昨日は砂浜辺りは探索してなかったな」グゥー
男「……朝食でも探すか」
男「何もないな……」
男「ん?なんだこれは?」ヒョイ
男「ヤシの実か?」
男「しかし、どうやって飲もうか……」
男「ああ、そういえば」
チャリン
男「この商店に斧があったからな」
男「この斧で!」ブンッ
パンッ
男「うわ!ヤシの実を割っちまった!?」
ガッ
男「木にでも八つ当たりだ!!」ブンッ
ガッガッガッ
男「オラっ!!」ブンッ
ガッ ドシーン
男「木が折れたか……ん?」
コロコロ
男「リンゴだ!」
男「というか、この村の木にはリンゴが生えているのか」
男「……採るか」
ユサユサユサユサ ポトポトポト
男「おお、リンゴが落ちてきた」
ユサユサユサユサ ポトポトポト
男「この木も」
ユサユサユサユサ ポトポトポト
男「これも」
ユサユサユサユサ ポトッ
男「ん?これは」
ブーン
男「ハチの巣だ!?」ダッ
男「しかし、自宅の中がラジオだけだと殺風景だな……」
男「家具がどこかに無いものか……」
男「ん?肩に葉っぱが乗っかってる、さっきのハチから逃げたときか」
男「気づかなかった」サッサッ
ヒラヒラ ボンッ!
男「うわ!?イスが突然出てきた!?」
男「まさか、この葉っぱ……家具になるのか?」
男「……このイスは見た目的にはモノクロだな……」
ゴチャゴチャ
男「……統一性が無いな……」
男「まぁ、コンロや洗面所とかが揃ったからいいかな?」
男「しかもファミコンまであったし……」
男「ドンキーコングか……やってみようかな?」
デーデデーデーデーデー デッデッデデデッデッデデ
男「……意外とはまるな」
________________
チュンチュン コケコッコー
男「……朝か」
男「まさかファミコンで夜更かしするとは……」
男「ふわあぁ……寝ようかな?」
男「おお、このベッド思ったより柔らかい……」フサフサ
男「おやすみ……zzz」スヤスヤ
キィ
男「んっ……夕方か」
男「……外にでも出ようかな?」キィ
男「ん?家の前に沢山花が生えている……誰か置いたのか?」
男「というか、隣の家に人がいるんじゃないか!」
男「すいませーん」ドンドン
男「お話しましょう」ドンドン
男「なんで出ないんだ?」
キィ
男「……空いている」
男「すいませーん」ソロソロ
シーン
男「やっぱり誰も……ん?」
スゥースゥー
男「寝息?」
男「人が寝てる……?」
男「すいませーん」ユサユサ
女「zzz」
男「起きてー」ユサユサ
女「zzz」
男「ダメだ、起きないな……」
男「しかし、こうやって寝ている女の子を見てると」
女「zzz」
男「いたずらしたいよね、男の子だもん!」バッ
女「zzz」モゾモゾ
男「スカートの中に頭突っ込んでみたり!」モゾモゾ
男「さらには!」
男「添い寝!と……か……zzz」スヤスヤ
_______________
女「ふわぁ……夕方ね」ウトウト
スヤスヤ
女「!?」
男「zzz」スヤスヤ
女「きゃあああああああああああああ!!」バシッ
男「zzz」
女「なんでこんな所に人が!?」
ドンドンドン
女「!?誰?」
キィ
女「あ!ヒョウタ!ちょっとこっち来て!」グイッ
ヒョウタ「ちょっ!引っ張るなじゃが!」
女「ほら!ベットの上に不審者が!!」
男「zzz」
ヒョウタ「あれ?この人おいらを見るなり逃げていった奴じゃが!」
女「ヒョウタはこの不審者を知っているの?」
ヒョウタ「知ってるもなにも、おいらを落とし穴にはめたのはこいつじゃが!」
ヒョウタ「あっちの役所の方じゃが!」
女「(それ、私だわ……)へー」
ヒョウタ「で、この不審者どうするじゃが?」
女「そうね、警察にでも突き出しましょう」
男「zzz」
おまわりさん「落し物、でありますか?」
女「そう、落し物」
男「zzz」
おまわりさん「でもそれは人」
女「落し物!!」クワッ
おまわりさん「……わかったであります」
女「じゃあ、よろしくね!」
女「後、次くるまでには ぎょくざ でも置いといて!」
おまわりさん「……女さんはいつも自分の物でも無いのに持っていくであります」
男「zzz」
キャラメル「あっ!女ちゃんだワン!」
女「キャラメルじゃない、どうしたの?」
キャラメル「どうしたもこうしたもないワン!これ女ちゃんかワン!」バッ
女「ああ、腐ったカブね、で?」
キャラメル「これをヒョウタに渡したのかワン!」
女「うん、手紙でね」
キャラメル「これのせいでわたしひどい目にあったワン!」
_______________________
男が引っ越してきた初日
キャラメル「で、わたし言ったワン、中くらいの幸せが一番良いって」
マール「きゃはははは!キャラメルらしいニャー」
マール「あっ、わたし行かなくちゃ!またニャー」バイバイ
キャラメル「またね、暇だワン」
ヒョウタ「あっ、キャラメルちゃんじゃが!」
キャラメル「あれ?ヒョウタどうしたのワン?」
ヒョウタ「女ちゃんから、手紙もらったじゃが!」バッ
キャラメル「?それがどうしたのワン!」
ヒョウタ「初めてじゃが!女の子から手紙なんて!」
キャラメル「(ああ、写真のターゲットにされたのかワン……)へー」
ヒョウタ「ほら、文章見るじゃが!」
おはよう。
ありがとう。
こんにちは。
キャラメル「うわ」
ヒョウタ「特にこの ありがとう。からは温かみを感じるじゃが!」
キャラメル「そう……」
ヒョウタ「そういえば、プレゼントも付いてたじゃが!」
キャラメル「(わたしの時も沢山みかん贈られたワン……)中身は?」
ヒョウタ「開けてみるじゃが!」ガサガサ
パッ プーン
キャラメル「臭っ!?」バタッ
ヒョウタ「カブだじゃが!」バリボリバリボリ
キャラメル「」ピクピク
ヒョウタ「ん?あそこにいるのは誰じゃが?」
男「逃げなきゃ……」
ヒョウタ「逃げる?ああ鬼ごっこをしたいのかじゃが?」ザッ
男「うわあああああああああああ!」ダダダダダダダダ
ヒョウタ「待つじゃが!」ザザザザザザザザザザ
キャラメル「」ピクピク
___________________
女「ああ、送ったわね」
キャラメル「……あのカブはいつのワン?」
女「たしか、6月前にカブが大赤字になったからムカついて家の隅においてたわ」
キャラメル「あんな強烈な匂い嗅いだのは初めてワン……」
女「犬だもんね、そういえばキャラメル?」
キャラメル「なにワン?」
女「いつ引っ越すの?写真もらったからもう引っ越していいんだよ?」
キャラメル「」
女「おやすみー」ゴロリ
女「zzz」スゥースゥー
__________________________
男「っうん……寝てたか」ムクッ
男「机?どこだここ?」
犬「わん!わん!」
男「犬がいるな」
犬「わん!わん!」
男「見た感じここは交番だな」
犬「わん!」
男「こいつは犬のおまわりさんってか?」
男「というか、なんで俺はここに……」
男「こうしちゃいられん!」ダダダダダダダダダ
男「帰ってきたよハニー」
女「zzz」
男「さて、なにしてやろうか……ん?」
男「部屋の隅に沢山の写真があるぞ?」
男「この女の子は動物が好きなのかな?」
男「まぁ、それは置いといて」
男「君のベットにダーイブ!!」ピョーン
男「着地!」ドサッ
女「zzz」
男「しかし、本当に起きないな……」
男「……フフフ」
ボロンッ ムワーン
男「これが俺の黄金の釣竿だ!」ブラブラ
男「これをこの子の手に握らせ」
女「zzz」ニギッ
男「上下に動かす!」シコッ
男「おおおおおおおおおおおお!いいぞ!いいぞ!」シコシコシコシコ
女「zzz」ギュッ
男「ッ!?痛ってええええええええええ!?」ビクンビクン
男「流石に難しいか……」
男「まぁ、また添い寝でもするか」
男「おやすみ……」
男「zzz」スヤスヤ
__________________
ドンドンドンドン アケルデアリマス
女「ふわあ……うるさいな」
女「誰?」ガチャ
おまわりさん「落し物が消えたであります!」
女「なんだ、おまわりか」
おまわりさん「ん?そのベットで寝ているのは誰でありますか?」
女「え?」
男「zzz」スヤスヤ
おわまりさん「」
女「」
女「待って!?これは違うの!」
おまわりさん「いくらボーイフレンドが邪魔になったからって、落し物はひどいであります!」
女「違う!違うの!」
おわまりさん「失礼したであります!」トコトコ
女「待ってー!!」
男「zzz」スヤスヤ
女「……そもそもこいつはどこから?」
女「そういえば、最近隣の家に明かりが点いているような」
女「まさか……引越しとか?レアキャラ?」
女「レアキャラなら……好感度をあげておくべきか」
___________________
チュンチュン
男「ん……朝か?」
男「あれ?俺の家だ……昨日はあの子の家で寝てたはずなのに」
男「?ポストに手紙がたくさんあるぞ?」ガサゴソ
男「宛名は……女?」
男「……見てみるか」
おはよう。
こんにちは。
ありがとう。
男「……次」
ありがとう。
こんにちは。
よろしく。
男「……次」
ああああああああああああ
ああああああああああああ
ああああああああああああ
ああああああああああああ
ああああああああああああ
男「」
三日以内にこの村の住人に100通
送らないと死にます
男「呪いのメールかよ……」
男「ん?村の住人?」
男「俺が見たかぎりだとこの村には俺とあの女の子しかいないはずだぞ」
男「別の場所に人間がいるのか?」
男「……あの女の子は何か知っているのか?」
__________________
女「ふわあ……手紙書いてたら疲れてねちゃったよ……」
女「うわ!もう夜!?まだ花に水も与えてないのに……」
女「ん?ポストに手紙が……」パカッ
女「宛名は男……?ああ、あの変態レアキャラね」
女「内容は?」パラッ
この村には君以外の
人がいるのかな?
女「?なにこれ」
女「まぁ、たしかに私しか人はいないけど……」
女「まあ、写真のためだ、返事してあげよう」カリカリ
女「そういえば、昨日から何も食べてないわね」
女「リンゴでも食べよ……」
________________
男「ん……朝か」
男「ポストはっと……」パカッ
男「着てるな」パラッ
人間は確かに私と貴方しかいないけど
動物達がいるんだから問題ないんじゃない?
男「人はやっぱりいないのか……」
男「って動物達ってこの子、人がいなくてさびしかったのか……」
男「そりゃ、動物は懐けばかわいいけども、会話はできなじゃないか」
男「お腹すいたな」グゥー
男「リンゴは……あれ?無い?」
男「もしかして、ハチに追われたときに全部落としたんじゃ……」
男「しかたがない、チューリップの球根でがまんするか……」
___________________
女「また夜に起きてしまった」
女「でポストはっと……」パカッ
女「来てる……なんで夜に手紙がきてんだろう?直接入れてるのかな?」
女「どれどれ」パラッ
動物は人間と喋れないのに、
それを不自由には感じないの?
女「……は?」
女「何言ってるの?この人……気味が悪い」
女「……こんなときはリンゴでも食べて落ち着こうか……」ムシャムシャ
女「流石レアキャラ、文章もレアね……」
_________________
男「最近、夜は活動してない気がするな……」
男「商店で買った釣竿で魚を釣ってみたが」
男「見事に鯛が釣れたね、めでたいってか」
男「……そういえばあれからリンゴは一切口にしてないな……」
男「ポストに手紙が」パカッ
動物と話すなんてあたり前でしょ?
なにかおかしいの?
男「……え?」
男「待て待て待て!」
男「この子はメルヘンチックな夢でも見てるのか?」
男「……だって、周りは」ソー
ライオン「ガルルルルルル!!」
ペンギン「」グッタリ
________________
女「また来た……」
君はこんなサバイバルみたいな
村の中で本当に落ち着くのか?
よければ俺と一緒に脱出しないか?
女「何なの……この人」
コンコン オンナチャーンイルー
女「サバイバルって、こんな心豊かな動物達が?」
女「ありえない、でも手紙は返さないと……」
_______________________
男「……朝起きたら、部屋の家具が全て葉っぱに戻ってた」
男「おかしい、何かがおかしいぞ……」
男「この村に来てからおかしくなっている……」
男「手紙が来てる」パラッ
多分貴方は疲れているんでしょう
このリンゴで疲れでも取ったら?
男「リンゴ……あの日から食べてないな……」
男「ん?……あの日?」
男「もしかして、俺は今まで幻覚でも見ていたんじゃ……」
男「いろいろ調べなくちゃいけないことが増えたな」
男「そういえば、あの子の家以外のドアを開けた事がなかったな……」
男「行くか……」
_______________
世にも奇妙な物語チックで
カチャ
男「……おじゃまします」コソコソ
男「とりあえず、俺の家から正面の家に来てみたが……」
男「……見た感じ葉っぱが辺り一面に広がっているな」
男「ん?なんだあの葉っぱの山は……」
ヒュー パリンッ
男「っ!?」ビクッ
男「窓が割れた!?」
男「あの葉っぱの山の中を見てから家をでよう……」
ガサゴソ
ドサッ
死体「」
男「っうわああああああああああああああ!?」
男「死体!死体が出た!?」
男「……オエッ」ウプッ
男「やっぱりこの村には何かあるのか?」
男「……でも、なんであの女の子は無事なんだ?」
男「……次の家に行くか」
ガチャ
イヌ「……」ジー
男「うおっ!?イヌかよ驚かせやがって……」
男「ん?そこの変な印のついた地面に何かあるのか?」
イヌ「……ワン!!」
男「わかったよ、掘ればいいんだろ」
ザッザッ
男「……骨?」
男「まだ奥にあるみたいだな……」
ザッザッ
男「ッこれは!?」
ゴリラ「……」
男「え!?うわあああああああああゴリラ!?」
ゴッ
ゴリラ「ウホッ!」ブンッ
バキッ
男「っ!?……」ドサッ
イヌ「キャン!キャン!」ダッ
ゴリラ「……」
男「」グッタリ
________________
女「ふわあ、久々に朝早く起きたわね」ムニャムニャ
女「手紙は……今日は来てないみたいね」
女「あれ?あれは……」
アラン「……」ズリズリズリ
女「アランじゃない、どうしたの?」
アラン「っ!?女ちゃんかウホウホ」
女「あれ?その引きずってるのって……」
男「」グッタリ
女「変質者じゃない、どうしたの?これ」
女「あらそう、じゃあね」
アラン「……」
ガチャ
ポイッ ドサッ
男「」グッタリ
アラン「……はやくこの人間も処分しないといけないウホウホ」
女「この石からも金が出ないわね……」
ワイワイガヤガヤ
女「?役所の前に皆が群がってる、何かあったのかな?」
そんちょう「これからはどうするかのぅ」
ヒョウタ「いっそ、処分するのはどうかじゃが!」
マール「……でも女ちゃんが怪しむニャー」
そんちょう「処分するのはちょっとはやいかのぅ」
女「ねえ」
そんちょう「!?」
女「今日って、イベントの日だっけ?」
女「なんだ……」トコトコ
そんちょう「……まだ気づかれてないみたいじゃ」
マール「ごめんね……女ちゃん」
女「暇だな……ん?」
女「化石じゃない!?なんでこんな所に放置してあるのかしら……」
女「まぁ貰いますか」ガサガサ
ロビン「……」ジー
女「ん?あの子は誰かしら……」
女「おーい!」
ロビン「……また人だ」
女「君の名前は?」
ロビン「えっ?ロビンだけど……」
ロビン「え?言葉が通じてる?」
女「通じる?どういうこと」
ロビン「だって君は人間でしょ?ボクは……」
アラン「おい」
ロビン「ヒッ!?またゴリラ!?」
アラン「こっちにくるウホウホ」クイクイ
女「どうしたの?アラン?」
アラン「この子はまだ引越し手続きが終わってないウホウホ」
ロビン「引越し?引越しもなにもボクは……」
アラン「くるウホウホ!」グイッ
女「変なアラン……」
________________
アラン「はい、こいつはまだ語尾の設定が終わってないみたいウホウホ」
ロビン「語尾?設定?」
アラン「それに、こいつは村の掟を知らないみたいウホウホ」
ロビン「掟……?」
そんちょう「ロビンと行ったかのぅ」
ロビン「はい」
そんちょう「君は見たところ犬みたいだから言葉の後ろに、~だイヌと付けなさい」
ロビン「は?」
そんちょう「つけなさい」
ロビン「……だイヌ」
アラン「さっき骨を掘っていたから、気絶させておいたウホウホ」
そんちょう「あの人間にワシたちの言葉が通じないということは……」
アラン「リンゴを食べていないみたいウホウホ」
そんちょう「……そのうち、気づかれてしまうのぅ」
アラン「女ちゃんにかウホウホ?」
そんちょう「……手を打たんとのぅ」
__________________
男「っ……うん?」ムクッ
男「たしか……ゴリラに襲われて……」
男「そうだ!……あのイヌが示した場所を掘ったら」
男「人間の骨が出てきたんだ……」
男「でも……なんで埋めてあったんだ?」
男「もう一度見に行くか……」
男「誰かが処分したのか?あのゴリラか?」
男「……どちらにせよこの村がおかしいという事には変わりはない」
男「村の外にいったん出るか?駅から線路を辿れば麓には帰れるだろう」
男「……でも列車でここまで来るのに2時間半だぞ?歩いたらどの位かかる?」
男「しかも、あの女の子を残すわけにはいかないし……」
男「それにあの女の子は動物達とお話ができるメルヘンな子だし……」
男「どうするか……」
女「zzz」
男「いつ来ても寝てるな……会話もできないじゃないか」
男「……そもそも、いつ手紙を書いているんだ?」
男「ん?部屋の隅に置いてあるのはなんだ?」
男「……これは、さっき俺が見つけた骨じゃないか!?」
男「なんで、こんなものがこの子の家に……」
女「zzz」
女「zzz」
男「まだ……この村には俺が知らないことがたくさんあるな」
男「本当は気味悪いからはやく脱出したいが……」
男「調べてみようかな……」
________________
__________
______
___
_
男「(あれから一ヶ月が経過した)」
男「(わかったことは三つ)」
男「このリンゴかな?」ヒョイ
男「(このリンゴを食べると、葉っぱが家具に変わる幻覚を見る)」
男「(幻覚を見る時間はリンゴ一つで丸1日みたいだ)」
男「(因みに二個食べたら、三日間は効果が続いた)」
男「(このリンゴは、麻薬の一種なんだろう……)」
男「(現に二個目を食べたて、食べないでいたら体が痙攣を起こした)」
男「(ガマンしたら直ったが、禁断症状なんだろう)」
男「(試しに線路を辿って歩いてみたが)」
男「(村から2km先に狼の大群がなわばりにしていた)」
男「(まるで、村から何者も出さないようにしているかのような配置だった)」
男「(村から脱出する場合はあそこを抜けなければいけない……)」
男「(手紙の宛名を見るかぎり『女』というらしい)」
男「(まずあの女の子は俺が起きている時は行動しない)」
男「(逆に俺が寝ている時は行動しているみたいだ)」
男「(手紙の内容はいつも俺が寝ている時の出来事だった)」
男「(もしかしたら嘘を書いているかもしれない……けど)」
男「(あの子も俺が起きている時の間は自分は寝ているみたいな事を手紙に書いていた)」
男「そして、あの子は……いや女は」
ラジオ「……半年前から、精神病院から抜け出した『女』さんの捜索が打ち切られました」
男「精神病院の患者だったということ」
男「行ってみるか」
ゴリラ「……」ジー
男「……ペリカンがいない?」
男「好都合だ、邪魔は少ないほうがいい」
男「ん?これは……住民表?」
男「どれどれ」ガサッ
男「ん?」
男「これを見ると俺と女以外に2人はいたことになる」
男「正面の家の死体……を数えればもう一人いる」
男「もしかして……あの骨か?」
男「……考えるほどわからなくなってきた」
男「外も暗くなってきたな……帰るか」
_________________
女「また夜中に起きちゃった……」
女「ポストには……手紙が入ってる」パカッ
本当に君は病院から
抜け出した子じゃないのか?
女「もう何回目よ……この文章」
女「大体なんなの?人を障害者呼ばわりして」
女「私はちゃんと手続きをして……あれ?」
女「いつしたんだっけ?」
女「ん?なに?この名札?」
女「え?」
女「待って……冗談でしょ?」
女「いっ嫌よ……認めない……」フルフル
女「私が精神病を患っていたなんて……」ガクガク
女「ああああああああああああああああああああああああああ!!」ビクンッ
ムスメサンノ セイシンニ イジョウ ガ アルコトヲ カクニン シマシタ
イヤ! イヤ! ワタシハ セイジョウヨ!?
ムカシカラ ドウブツト ハナスクセガ アルンデスヨ コノコ
女「ああああああああああああああああああああああああああああああ」
そんちょう「……あの人間を始末するかのぅ」
ウサギ「~♪」ピョンピョン
男「……」ザッ
ザシュ!
ウサギ「ミ!?」ドサッ
男「……大分、狩りも上達してきたな……」
ウサギ「」ピクピク
男「斧も意外とトマホーク代わりにはなるもんだな……」
トラ「……」ザッザッ
男「……見つかったら終わりだな」
男「しょうがない、釣竿にウサギでも付けて」テキパキ
男「この釣竿は相変わらずすごいな、サメも持ち上げても折れなかったし」
トラ「……」ザッザッ
男「!!」ブンッ
ドサッ
ウサギ「」
トラ「っ!?があああああああああ!!」バッ
男「今だ!」ダッ
男「ちっ!気づかれたか!」ダダダダダダダダダダダ
トラ「があああああああああ!!」ザザザザザザザザザザ
ズボッ!
トラ「があっ!?」
男「また落とし穴にはまったか、学習能力がないな!」
男「今の間のうちに!」ダッ
男「食料は魚数匹しか捕まえられなかったな……」
男「そういえば、一ヶ月前に砂浜に SOS と試しに書いてみたが」
男「いつの間にか消されていた」
男「さらにこの前は村のあちこちで のろし を上げてみたが」
男「気がついたら火が消されていた」
男「何者かが、俺の脱出を邪魔しているのか?」
男「とりあえず家に帰るか……」
________
______
___
男「家が荒らされる……」
男「窓もドアもめちゃくちゃになっている……」
男「こりゃ、まずいな……」
男「今日はどこで寝ようか……」
________________
女「……なんで隣で変質者が寝てるの?」
男「zzz」スヤスヤ
女「……この変質者が来てから私はおかしくなった」
女「何か、覚えは無いけど嫌な記憶を夢に見たり」
女「この村にいることに違和感を覚えたこと」
女「……リンゴでも食べて落ち着きますか」ガサゴソ
女「ん?そういえば変質者の手紙にリンゴは麻薬だから食うなとかあったような」
女「でもそんちょうは、嫌な事を忘れたかったら食べればいいとか言ってたような」
女「……外にでよ」ガチャ
女「市役所の前に皆集まってどうしたんだろう?」
そんちょう「あの男とかいう人間を始末するかのぅ」
おまわりさん「さすがにもう限界であります!」
キャラメル「わたしも賛成だワン!」
ヒョウタ「あの2人の人間達のようにじゃが?」
そんちょう「そうじゃ」
そんちょう「そうなると、もうリンゴで暗示をかけることもできんからのぅ」
そんちょう「そもそもワシ達は女ちゃんの妄想から生まれた生き物だからのぅ」
キャラメル「もし女ちゃんがこの村の外にでも出たりしたら……」
そんちょう「そうならんために実行は今日の夜中じゃ!」
オーーーーーーーーーーーー!!
女「え?」
女「(わけがわからないよ……)」グスッ
女「……そういえば、変質者の事を始末って」
女「……助けたほうがいいの?あれを?」
女「確かによく考えれば変質者は色々私に警告をしていた……」
女「……」
____________________
男「うん……夕方か」
男「おかしいな、女の家にいたはずなのに玄関の前にワープしてる」
男「……ポストに手紙が入っている」パカッ
男「……女から手紙が来てる、久々だな」ペラッ
はやく。
すぐに逃げて。
殺される。
男「……は?」
男「……でも、女が現実に戻りつつあるのは間違いないな」
男「荷物を整えるか、早くしないと日が落ちる……」
カメ「……」
男「大体荷物はまとまったな」
男「後は女だが……起きるのか?」
女「zzz」
男「……しょうがない、背負うか」
男「よいしょっと」グッ
女「zzz」
男「意外と軽いな……リンゴばかり偏食してるからだな」
男「……日が落ちる、行こう」ダッ
サル「……」ポリポリ
男「見た所サルしかいないみたいだな」
女「zzz」
男「線路の上を辿っていけば、最悪視界が悪くてもいけるだろう」
男「……この村からはさらばだ」ダッ
サル「ウキー!ウキー!」ピョンピョン
______________
そんちょう「どうじゃ」
ヒョウタ「駄目じゃが、家はもぬけの殻じゃが!」
アラン「女ちゃんもいないウホウホ!」
そんちょう「最悪の事態じゃな……」
たぬきち「大変だなもー!線路のほうに逃げたみたいだなもー!」
そんちょう「線路側か……なら安心じゃな」
そんちょう「前の二人と同じ道を歩むのぅ」
男「っは!……はあ……」タッタッタッタッ
男「……完全に日が落ちたな」タッタッタッタッ
女「zzz」
男「月明かりで足元は見えるが」
男「線路の先が真っ暗で見えないってのは、精神的にきついな……」
ワオーン!
男「どうやら、動物達も動きだしたみたいだな」
男「……がんばろう」
________________
________
_____
___
_
男「あれから、かなり歩いたな」
女「zzz」
男「……今俺が寝たら、女は起きるんだろうか」
女「zzz」
男「……もう少しだけがんばるか」ダッ
ガサガサッ
トラ「……」
__
_
男「ん?むこうに明かりが見えるぞ!?」
女「zzz」
男「……もう少しだ」
ガサガサッ!
男「!?」サッ
狼「……」キョロキョロ
男「……見つからないように」コソコソ
狼「……」キョロキョロ
男「……」コソコソ
女「zzz」ガーゴー
男「(馬鹿野郎!?いびき出すなよ!!)」
男「み……見つかった!?」
狼「アオーーーーーーン!」
男「畜生!!」バッ
ガルルルルルルル アオーン ガアアアアア
男「仲間まで呼ばれたか!」ダダダダダダダダダダダダ
女「zzz」
狼「ハッハッハッ!」ザザザザザザザザ
男「まずい!追いつかれる!」
男「うわ!?前に回りこまれた!?」
狼B「ガルルルルルル!」
男「挟まれた!」
狼A「ガアッ!」バッ
男「飛び掛ってきた!?ならば!」ブンッ
グシャ!
狼A「ウガッ!?」ドサッ
男「持ってきてよかった、この斧」
男「なんでこいつは挟み打ちしたのに攻撃してこない?」
女「zzz」
男「……まさか、女は傷つけないのか?」
男「ならば!」ガッ
女「zzz」
男「女を盾にして進めば!」ダッ
狼D「バウッ!バウッ!」
狼E「HAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHA」
男「追っては来るが、攻撃はしてこないな」ダダダダダ
女「zzz」
男「このまま、あの明かりの方まで進めば!」
バッ!
トラ「……」
男「!?」
男「……俺の事を何度も襲ってきたトラか」
狼B・C・D・E「グルルルルル」
男「囲まれたか……」
女「zzz」
男「……すまんな女、足を掴むぞ」ガシッ
女「zzz」ブラン
トラ「!?」バッ
狼B・C・D・E「?」
女「zzz」ズザザザザザザ
男「うおおおおおおお!」ブンブンブンブンブン
女「zzz」ヒュン
男「回転切りぃ!!」ブンッ
ドガガガガガガガッ!
狼B・C・D・E「キャイン!?」ドサッ
男「どうだ!」
女「zzz」ドロッ
女「zzz」
トラ「……」ジリッ
男「来いよ!」
トラ「っ!?ガアアアアアアアアアッ!!」
男「早ッ!?」
ガブッ!
男「……危なかった、肩を噛まれたか……もう少しで首をやられる所だった……」
ポタポタッ
男「だが、いくら早かろうが、獲物に食らいつけば動きは止まる!」ブンッ
ドガッ!
トラ「ガアッ!?」ブシュッ
男「ちっ!かろうじて避けたか……」
男「だが、俺はまだ無傷だ!やれる!」ダッ
女「zzz」ポタポタ
ザクッ!
トラ「ガアアッ!?」
男「(女が)ドロップキック!!」ブンッ
女「zzz」ヒュー
バキッ! ボキッ!
トラ「」ドサッ
女「」ドサッ
男「邪魔者はもういない!行くぞ女!」ダッ
女「ここはどこ?真っ暗で見えない……」
そんちょう『君の精神世界じゃ』
女「そんちょう!?どういうことなの?」
そんちょう『まあ、慌てるんじゃないのぅ』
女「……そんちょうはなんで私を村から出そうとしなかったの?」
そんちょう『それは君のためだったのじゃ』
そんちょう『……君はなんで自分が精神病院に入院してたのかわかるかのぅ?』
女「……動物と会話していたから?」
そんちょう『それも原因だが、別に動物に声をかけるのはそこまで変ではない』
女「じゃあ……なんなの?」
そんちょう『君はすでに亡くなっている動物達の幽霊と話しておったのじゃ』
そんちょう『君には生まれつき霊力があった』
そんちょう『だから生きている動物と死んでいる動物の見分けがつかなかった』
女「そ……そんな」
そんちょう『そして、君は自分が病院に入れられたことを理解できず』
女「……脱走した?」
そんちょう『そうじゃ』
女「でも、なんであそこにはトラやゴリラが?」
そんちょう『あそこは元々は動物園じゃった』
そんちょう『昔はよく栄えたとったのぅ』
女「昔は?」
そんちょう『元々地盤が軟らかい土地でのぅ』
そんちょう『地割れがおこり、建物は崩れて、瓦礫の山じゃ』
女「……」
そんちょう『当然ワシも含め全ての動物が死んだ』
そんちょう『しかし、ワシらは成仏せずにその場に魂だけ残ったのじゃ』
女「でも、私からみたらとても幽霊には……」
女「私?」
そんちょう『あの村に迷い込んだ君の霊力のおかげか皆実体化したのじゃ』
そんちょう『ワシ達は喜んだ、何十年ぶりの食事も出来る疲れも痛みも味わえる体じゃ』
そんちょう『しかし、不安も生まれた……わかるかのぅ?』
女「私が村から去ったら、貴方達はまた幽霊になるの?」
そんちょう『だから君に、あのリンゴを使い暗示をかけ、村から出せなくした』
女「……なんで、変質者を殺そうとしたの?」
そんちょう『君からみたら今のワシ達はかわいらしいじゃろ?』
女「いや……そんちょうは正直……」
そんちょう『……君以外の人間からみたら元のワシ達の姿に見えたのじゃ』
そんちょう『君は記憶にないだろうが、あの村にあった二つの死体はそうじゃった』
女「……死体?」
そんちょう『今、君を村から出そうとしている男みたいな奴らじゃ』
そんちょう『君はなんで、この村では一人しか活動できんかわかるかのぅ』
女「わからない」
そんちょう『君が他人と話したらわかるじゃろう?』
女「……見える景色の違いがばれるから?」
そんちょう『そうじゃ、君から見たらメルヘンな世界が他人からみたらバイオレンスじゃ』
そんちょう『だから、そうなるように願ったらなったのぅ』
そんちょう『君たち人間は手紙で連絡を取り合っていた』
そんちょう『まぁ疑わしい手紙があったら役所で処分するがのぅ』
そんちょう『いままでも、君の記憶を蘇らせるような文章をみつけしだい』
そんちょう『その人間を処分した』
女「でも変質者は沢山そういう手紙を送ってきたわよ?」
そんちょう『まさか郵便局を通さないで、ポストに直接入れる小学生みたいな行動は』
女「……」
そんちょう『そのせいで君達の文通に気づくまで時間がかかった』
そんちょう『後は、君の思っているとおりじゃ』
そんちょう『……もう時間は無いから手短にのぅ』スゥー
女「……そんちょう達は私が村に来てから幸せになれましたか?」
そんちょう『?』スゥー
女「そんな人を殺してまで、作る幻想は幸せでしたか?」
そんちょう『……』ススゥー
女「そんちょう!」
そんちょう『……時間切れじゃ!バイビー!!』サラサラ
女「そんちょおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!」
___________________
__________
_____
___
__
_
ピッピッピッピッ
医者「肩の出血がひどい!早く止血をしろ!」
男「……死なないでくれよ」
_____________
________
_____
___
__
_
女「ん……ううん」ムクッ
女「……ここは?」
男「病院だ」
女「っ!?変質者!?」
男「失礼な!命の恩人と呼べ!」
女「……村からは出れたみたいね」
男「ああ、大変だったよ……死ぬかと思ったね」
女「ふうん……こうやって面向かって話すのは初めてね」
女「ちょっと!?大丈夫!?」
男「大丈夫だ、ただの筋肉痛だ……」
女「そう……なんで私包帯グルグル巻きなの?」
男「左腕と両足とアバラの骨と肩の傷の為、5ヶ月は安静だとよ」
女「なんで、命の恩人が無傷で私が重大なの?」
女「?なんでズボンのチャック下ろしてるの!?」
男「見ろっ!」ポロン
女「出すな!?」
男「お前に一個金玉握り潰されたたんだぞ!」
女「知らない!って握り?」
男「ああ、お前のその右手でな!」
女「……まさか、私が寝てる間に……」
男「握らせた」
女「」
女「来なくていいです」
男「そう言いなさんな」
女「いいです」
男「まあまあ」
女「来るな!!」
_________
_____
___
__
_
男「もう4ヶ月も過ぎたか」
女「結局毎日来たんじゃない……」
男「まあまあ、さびしいだろ?」
女「で、今日は何しに?」
男「ああ、ゲーム会社に企画書を出したら見事に採用されたんだ」
女「ゲーム?」
男「うん、あの村での出来事をゲームにしてみたんだ」
女「……どんな内容なの?」
女「村で生活するゲーム?」
男「ああ、まあここに体験版があるからやってみてくれよ」コトッ
女「……」カチッ
バ イ オ ・ ハ ザ ー ド
女「」
完
大層乙であった
まぁ男からしたらそんなもんだよなwwwww
乙!
面白かった乙!
Entry ⇒ 2012.02.11 | Category ⇒ 男女「」SS | Comments (0) | Trackbacks (0)
女「あ、お、男くん」
女「ぐ、偶然だね。お、男くんもここの図書館使うんだ。えへへ」
男「えーと、女さんだっけ?」
女「あ、う、うん。わた、クラスがち、違うし私のことなんてあんまり知らないよね。えへへ」
http://hayabusa.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1328193836/
女「あ、お、男くん」
女「あ、あ、ごめんね。じゃ、邪魔しちゃって。ごめんね」
男「いや、別にいいけど」
女「あり、ありがとう。男くんは、へへ、優しいね。えへへ」
男「ありがとうございます」
男「ふぅ、見つかって良かったな」
女「あ、あの男くん!」
男「うわ!」
男「ああ、うん」
女「あ!あ、その本ね、わた、私も好きなんだ!えへ、えへへ」
男「ああ、うん。そうなんだ」
女「一緒だね。えへへ」
女「あ、うん。ごめんね。また、邪魔しちゃったね」
男「いや、いいよ別に。それじゃ」
女「うん!ま、またね。えへへ」
男「おう、おはよう」
友「今日はさみーなー」
男「あのさ」
友「ん」
男「昨日、図書館で女さんに会ったんだけど」
男「いや、そういう訳じゃないんだけど。なんか向こうは俺のこと知ってるみたいでさ」
友「なんだ?モテ自慢か?」
男「違うっての。お前、女さんがどういう人か知らない>」
男「ふーん。そうか」
女「あ、お、男くん!」
男「うおっ!」
男「あ、ああうん。おはよう」
友「噂をすれば、だな。おはよう女さん」
女「あ、だ、お、おはよ、う、噂って?」
友「男の奴が女さんのこと気になって仕方ないんだってさ」
男「お、おい」
友「本当のことだろ?」
女「あ、や、お、男くんが、あ、あ、」
友「ははは。女さん顔赤すぎ」
女「えへ、えへへへへ」
女「あ、うん!ば、ばいばい男くん」
男「あ、ああ」
友「なんだー?男にしか挨拶してくんないの?」
女「あ、や、だ、ちが、ごめんね、ごめんなさい」
友「あはは、冗談だって。じゃあね」
女「う、うん!」
友「ん?どした?」
男「いや……」
友「?」
男「……なあ」
友「なんだよ」
男「女さん、どう思う?」
男「そういうことじゃなくて!」
友「なんだよ。あながち冗談でもないぜ?女さん結構可愛いし、悪い気はしないだろ?」
男「いや、だからさ……」
友「お、もう授業始まるぜ」
男「……」
男「……」
男(女さん、あんなんでクラスに馴染めてんのかな……)
男(後でD組の奴に聞いてみるか )
男「悪い、用事あるから先帰っててくれ」
友「なんだよ、付き合うぜ」
男「いや、大したことじゃないからさ」
友「ふぅん?別にいいけど。じゃな」
男「おう、悪いな」
D組「んー?男じゃん。どうしたの?」
男「お前のクラスに女さんって居るよな?」
D組「お?おー、まあな」
男「普段どんな感じなんだ?」
D組「女さんってあんま話すの得意じゃない?みたいな感じじゃん?」
男「……そうだな」
D組「そんであんま仲良い人いないっつかさ。ちょっと嫌ってる女子もいるみたいよ」
男「それってもしかしていじめとか……」
男「……そうか」
D組「つか、お前は女さんとどういう関係よ?彼氏彼女とか?」
男「いや、なんていうか……知り合い、だよ」
D組「ほん?」
D組「おう」
男「じゃあな」
D組「おう、じゃ……っと」
男「ん?」
D組「そういやもう1つ。詳しくは知らんけど、中学の時は結構ハードないじめ受けてたって聞いたぜ」
男「……そうか」
女「お、男くん!」
男「うお!」
女「え、えへへ。今帰るとこ?わ、私もなんだ。えへ、えへへ」
男「いや、私もって……ずっと校門で待ってたの?」
男「……そんなことないよ。一緒に帰ろうか」
女「あ、う、うん!えへ、えへへ」
男「……」
女「男くんはや、やっぱり、優しいね!えへへ」
女「う、ん?」
男「なんで俺のこと知ってたの?」
女「あ……や、あ、えと……えっとね」
男「……やっぱり良いや」
女「あ、あう」
男「ああ、うん。じゃあね」
女「……」
男「女さん?」
女「あの、あの、ね」
男「うん?」
男「ゆっくりで良いよ」
女「あ、う、うん。それでね、私、男くんに迷惑かけて、呆れられてるんじゃな、ないかって」
男「……」
女「ご、ごめんね。ごめんなさい」
女「あ、は、はい」
男「俺は、女さんのこと、迷惑だなんて思わないよ」
女「あ、う」
男「俺はさ、女さんの味方だから」
女「う、うん。うん」
男「女さん……」
女「ごめんね。ごめんね。私、うっ、ひく、な、泣いちゃって。男くんが嬉しいこと言ってくれてるのに」
男「良いよ。大丈夫だから」
女「ごめんね。ごめんね。ひく、あ、ありがとう。」
男「うん。大丈夫。大丈夫だから」
男「うん」
女「えへ、えへへ」
男「俺は、味方だから。それにさ、朝一緒にいた友の奴、あいつとかさ、女さんの味方はちゃんといるからさ」
女「あ、それは」
男「ん?」
男「え……」
女「私はね、男くんがいればいいの」
男「……」
女「男くんがいれば、それで大丈夫」
女「他は、いらないよ」
男「あ……」
女「えへへ、じゃあね」
男「あ、じゃあ」
男「また、明日」
男「そういえば……」
男「女さん、なんで俺のこと知ってたんだろう……」
男「……」
男「……まあ、良いか」
男「おーす」
女「男くん!」
男「うおっ」
女「えへ、えへへ。い、一緒に学校行こ!」
男「あ、ああ」
女「は、早く行こ!えへへ!」
男「ちょ、ちょっと待ってって」
友「……あれー」
男「ちょ、引っ張らないでくれよ」
友「……行っちまった」
男「ああ、友。さっきは悪かったな」
友「良いけどよ。女さん、急に積極的になっちゃってどうしたんだよ」
男「……どうしたんだろうな」
友「あん?」
男「……ああ、女さん」
女「あの、あのね。わた、私、お弁当作ってきたんだけど、い、一緒に食べ、食べない?」
男「ああ、ありがとう。一緒に食べようか」
女「う、うん。えへへ。い、行こ」
女「はや、早く行こ!ね、えへへ」
男「いや、だから友も一緒に」
友「あー、俺は良いよ。二人で食べてきな」
男「あ、友」
女「い、行こ、ね」
男「あ、ああ」
男「ああ、美味しいよ、すごく」
女「えへ、えへへ」
男「……」
女「い、いっぱい食べてね、えへへ」
男「うん……ありがとう」
男「おう」
女「男くん!」
男「あ……」
女「い、一緒に、帰ろ?」
男「えっと……」
友「ありゃ、俺はお邪魔かな?」
男「あ、悪い……友」
女「そ、それでね、えっと」
男「……」
女「あの、男くん……?」
男「あ、何?」
女「あ、あの、私の話つまらない?私と帰るの楽しくない?」
男「いや……そんなことない。楽しいよ」
女「えへ、えへへへへ。そ、そうだよね」
女「お昼食べよ、男くん」
女「男くん!」
女「男くん」
女「男くん」
女「男くん」
友「おい、大丈夫か?」
男「あ、ああ」
友「最近ずっと顔色悪いぜ?」
男「ああ……」
友「たまには女さんの誘い断っても良いんじゃないか?」
男「ああ……そうできたら、良いんだけど」
女「男くん!」
男「……ああ」
友「大丈夫か?」
男「ああ、大丈夫。悪いな、友」
友「……」
女「えへへ、行こ!」
男「……」
男「……」
女「……男くん?」
男「……何かな」
女「私の話聞いてる?男くん」
男「ああ」
女「ねえ、男くん」
男「ああ」
女「男くん」
男「……」
女「男くん?」
男「……いい加減にしてくれ」
男「いい加減迷惑なんだよ!ずっと付きまとって!男くん男くん男くん男くん!うんざりなんだ!」
女「……」
男「俺に構わないでくれ!」
女「嘘」
男「はあ?」
男「何言ってんだ……」
女「さっき一緒にいた人にそそのかされたんだよね?えへへ、大丈夫だよ。許してあげる。男くんは悪くないもん、」
男「何言ってんだ!おかしいよお前!」
女「嘘だよ」
男「嘘じゃない!」
男「だから……!」
女「嘘」
男「な、何を」
女「嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘」
男「ひっ……」
女「嘘だよね?」
女「嘘だよね?」
男「だ、だから」
女「嘘、だよね?」
男「い、いい加減にしろ!俺は一人で帰る!」
女「……」
男「……」
男「……ここまで来れば」
男「……くそっ」
男「何なんだよ……なんで」
男「……帰ろう」
男(なんで俺がこんな目にあうんだ)
男(俺はただ、女さんがクラスに馴染めてないって聞いて)
男(それから、中学の時にいじめに……)
男「……ん?」
男(中学の時……いじめ……)
女「男くん」
女「男くん」
男「な、なんで俺の家に」
女「私は知ってるよ」
女「男くんのこと、全部。えへ、えへへ」
男「く、来るな」
女「男くん」
女「男くん」
男「……ん」
男(どこだ、ここ……)
男(頭がくらくらする……)
男「くっ……ぐっ」
男(椅子に体が縛られて……)
女「男くん」
女「ご、ごめんね。びっくりしたよね?ごめんね」
男「ここは……」
女「私のおうち」
男「どうして……」
女「あの、あの、ね。男くんが、変な人にたぶらかされないように、私と、ず、ずっと、ここに居よ?」
女「男くん?」
男「なんで、俺なんだよ……なんで」
女「覚えて、ないの?」
男「何を……」
女「わ、私と、男くんは、同じ中学校に通ってたんだよ?」
男「え……」
男「た、助けたって、そんなこと俺は……」
女「男くんはね?私の上履きを、一緒に探してくれたの」
男「うわ……ばき」
男(そうだ……俺はあの時)
女「わた、私、ね。嬉しかった。すごく、すごく。だからね」
女「その後で、男くんが私がいじめられるのを、見てみぬふりをしてても、関係ないの」
男「……」
女「だってそんなのは、全部嘘だから」
女「だから男くんは、悪くないよ」
女「でも、男くんは、やっぱり優しかった」
男「俺、は……」
男(俺は、優しくなんかない)
女「男くんがね、言ってくれたとき嬉しかった」
女「私の味方だって」
女「すごく、すごく、すごく」
女「嬉しかった」
男(耳障りの良い言葉ばかり並べて)
男(いつも、自分は傷付かない所にいて)
男「俺は、最低だ」
女「お、男くん?」
男「ごめん」
男「ごめんな、ごめん」
男「守ってやれなくて、ごめん」
女「良いよ、許してあげる」
男「女さん……」
女「男くんは、いつも私のこと、許してくれたもんね」
男「うっ……ひぐ、ごめん、ごめんな。ごめん……」
女「良いよ。全部、許してあげる」
男「ああ、そうだな」
女「他の人なんていらない」
男「ああ」
女「ずっと、ずっと傍に居てね」
男「ああ」
女「ずっと、ずっと、ずっと」
男「ああ、ずっと」
終わり
まぁ乙
おつ
Entry ⇒ 2012.02.07 | Category ⇒ 男女「」SS | Comments (0) | Trackbacks (0)
少女「泊めて下さい」 男「は?」
男「は?いや、いきなり言われても困る」
少女「私はもう、泊まるところがありません」
男「いや、俺には関係ないし?」
少女「人助けだと思って」
男「…」
http://hayabusa.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1328139966/
少女「泊めて下さい」 男「は?」
回想
母「男ちゃん、ご飯ここに置いとくからね。なるべく食べてね」
男「・・・・」
親ってのは惨めだな、子供は親を選べないって言うけど、それは親も一緒だ。
しかも、親はその子供を一生、無条件で愛さなければいけない……
その点、子供は楽だよ。親が嫌いだったら逆らえばいいし、拒絶したらいい。
今、思えば。何をされたわけでもない。 同い年の奴らはもう立派に働いて、子供作って、親孝行し
ている」
男「俺は、親の家に住み着き、親の金で飯食って、働かず」
俺はきっと怖いんだな、子供が生まれたときその子供が俺みたいなのだったりしたら….
どうして他の奴らは子供なんて作るんだろうか? 可愛いから? 子孫が欲しいから? 愛する人との子供?
俺は子供が嫌いだった。 泣きわめき、わがままを言って、自分のことしか考えてない。 自分にソックリだ。
だから、俺は子供が嫌いだった。自分が嫌いだった。
男「あれ?」
男「今日、ゲームの発売日じゃん。すっかり忘れてた」
男「たまには外に出るか…」
?「ねぇ」
男「・・・・・・」
?「・・・・・・」
男「え?」
?「にゃ、ニャー?」
俗に言う少女だった。 俗に言わなくても少女。 世界一少女だった。
家電用段ボールの中でこちらを見ている。
少女「ニャー?」
男「な、何、してるんですか?」
少女「こうしてたら、猫みたいに誰か拾ってくると思ったから」
男「・・・・」
少女「・・・」
男(痛い子にあってしまった)
少女「どっちも行きませんよ!?
なに、人を頭がちょっと飛んでる人だと思ってるんですか!」
男「え? 違うの?」
少女「え?」
男「てか、人間が人間拾うわけないだろ」
少女「・・・もしかして、この方法…おかしい?」
男「もしかして…おかしくないと思ってたの?」
少女「 」/////
男「顔真っ赤だぞ?」
少女「うっさい!」
そこら辺にいる子供と変わらないんだろうな)
男「じゃぁ、俺はゲーム買いに行くから。 そこら辺の親切な人が拾ってくれると良いな」
少女「・・・うん」
男「あー、面倒くさいのにあったな。 なんだ、最近の子供はああいう遊びが流行ってるのか?」
男「まさか俺が最後の1人だったなんて、 今日はついてるな」
少女「それは、それはおめでとうございます。」
男「あ!ご丁寧に、ありがとうございます」
少女「・・・・・」
男「・・・・・」
少女「・・・・・」
男「え?なんでいるの?」
少女「誰も拾ってくれなかった…から?」
少女「あなたも質問を質問で返しています。 今日、話しかけてくれたのがあなただけだったんで、これは脈アリ!だと
思ったんですが」
男「家に帰れ」
少女「だから、今あなたの家に帰ろうとしてます」
男「自分の家に帰れ」
少女「ありません」
男「なぜ?」
少女「ホームレス中学生?」
男「救急車って、119だっけ?」
少女「病院に送ろうとしないで下さい」
少女「なくなりました」
男「なぜ?」
少女「河川敷に住んでたんですけど、新しい橋の工事があるから追い出されました」
男「新しいところ見つければいいだろ」
少女「もう、夜の8時です」
男「親はどうしてるんだよ?」
少女「死にました」
男「親戚は?」
少女「今、フィリピンにいます」
少女「いいですか? あなたは今晩私を泊めないと私は凍死します。凍死しなくても、のたれ死にます」
男「・・・」
少女「明日の朝刊でそのニュースを見てあなたはきっとこう言うはずです」
少女裏声「あぁ、少女! あの可愛い少女を助けておけばこんな事には….」ううっ
男「いわねーよ」
少女「え?言わないの?」
男「まぁ、ビックリはすると思う」
少女「非道です」
お願いします。 泊めて下さい」
男「やだよ」
少女「お願いします。少女一生のお願い!」
男「一緒のお願いって言ってる奴ほどいっぱいお願いしてるんだよ」
少女「少女何回もお願い!」
男「ありがたみの欠片もねぇ」
少女「なんでもしますから。 だからお願いします」
男(らちがあかない。 さっさと帰ってゲームしたいんだけど…)
少女「うん、なんでも。だからお願いします」
男「じゃぁ、ここは一つ、君の体を好きにしても良いとかにしちゃおうかな?」
少女「っ!?」
男(言ってしまった。男として、否、人間として最低の台詞を!)
男「え? あの、え?」
少女「じゃぁ、交渉決定ですね。 行きましょう」
男「え? うそっ、あの?」
少女「何をしてるんですか? 行きますよ」
男「え?あ、はい」
母「あら、男ちゃんおかえっ…
男ちゃん! 早まらないで、まだあなたはやり直せるのよ! 今からでも遅くない。その子の親御さんに全力で謝っ
てきてっ!」
男「おい、ちょっとおまえ説明しろよ」
少女「どうも、この度は男さんと体のお付き合い(突き合い)をすることになりました。少女です」
男「おいっ! おまっ!」
母「うっうう、男ちゃん! いつからそんなことを! お母さん気づいてあげられなくてごめんね!
一緒に自首しに行きましょう」
男「あ~、もう面倒くせぇ!」
少女「早速ですか。 私はシャワーを借りたいのですが。
もし、あなたが私の汗の臭いを嗅いで興奮する。などの、
性癖をお持ちでしたらシャワーは遠慮させて戴きますが」
男「おまえは何でそんなノリノリなんだよ。ビッチか?ビッチなのか?」
少女「失礼ですね。ちゃんと処女です」
じゃ、なくてだな。 何でそんな簡単に処女を捨てられるんだよ?」
少女「あなたは命を童貞を秤にかけて、どちらかを捨てなければ行けないとき、どちらを捨てますか?」
男「童貞」
少女「でしょ? それだけのことです」
男「いやいや、童貞と処女は価値が違うだろ」
少女「一緒ですよ。 やったらなくなる。それだけです」
少女「まぁ、お好きに
じゃぁ、約束ですし、やりましょうか。 あなたが20年近く守ってきた童貞は今日でなくまります」
男「急に童貞を捨てるのが勿体なくなってきた」
少女「やるかやらないかはあなた次第ですよ。
ただ、一つ言っておくとしたら 童貞は捨てることは出来ても、手に入れるとこは出来ない。
世の中にある数少ないお金で買えない物の一つが童貞。とだけ言っておきます」
決めた!俺は今まで折角童貞をまっもってきたんだ! これからも守り続けるぜ!」
少女「そうですか… では残念ながら、体の付き合いはなしと言うことで」
男「おうっ! 童貞の大切さを教えてくれたおまえに感謝して無償で泊めてやるぜ!」
少女「それは光栄ですね」
男(あれ?なんか、口車に乗せられた気がする…)
男「ああ、廊下の突き当たりを右だよ..」
少女「では、お借りします」
男(本当に、何者なんだろう?
不思議な子供だ。 子供は嫌いなはずなのにあの子は憎めない。
どころか一緒にいて楽しいと思う。思ってしまう)
男「明日からどうするんだろ? 新しいホームレスの場所でも探しに行くんだろうか?」
男「おぉ、上がっ・・・ッ!? なぜ、俺のパジャマを着ているのでしょう?」
少女「自分のがなかったから。 男母に聞いたら、これ貸してくれた」
男「あんのババア! ダボダボじゃねーか! でも、これはこれでありかも…」
少女「ウルウル おにぃちゃん…」
男「ぐはっ! 想像以上のダメージ! 兄の服を着た妹キャラとは!」
少女「おにぃちゃんなんて、死んじまえ! あ、嘘嘘! 私より先に死んだら許さないんだからっ…」
男「うっはぁぁ! むっはああ! おにぃちゃんは死なないよ! 絶対死なないよ!!」
少女「どう?」
男「急に素に戻るな」
少女「なかなか良いと思う。 これで食べていける」
男「自分で良いとか言うな」
男「おう? もう11;30か… 子供は寝る時間だな」
少女「じゃぁ、寝させて戴きます」
男「待てこら。 平然と俺のベットを使おうとするな」
少女「? じゃぁ何処で寝れば?」
男「床ならいくらでも空いてるぞ-」
男「おいこら!」
少女「別に私は一緒に寝ても良いのですが?」
男「え? い、いや、それ俺のベットだし、
さもおまえが仕方なく俺を入れてやろう。みたいな良い方してもダメだし」
少女「むぅ。 頑固ですね」
男「さぁ、下にタオル敷いてやったぞ~」
少女「行動が迅速です!?」
男「ベットは占領した」
少女「仕方ありません。床で我慢しますか」
ハッ! 何やってるんだよ、少女」
少女「床ではやはり寝れませんでしたので、男のベットに潜り込んでます」
男「なぜ、抱きついている?」
少女「あまりにもぎりぎりなので、捕まっていないと落ちてしまいます
男にとってはご褒美なのでは?」
男「全然柔らかい感触がしない。 おまえ絶対Aだろ?」
男「脇の下の肉はただの贅肉だからな?」
少女「巨乳がなんですか! 脂肪の塊じゃないですか! 将来垂れるだけじゃないですか!
私は、BがいいからBになったんです!」
男「元々Aだろ….」
少女「////しらないっ!」
男(それにしても良い匂いするな。 昨日までホームレスだったのに。
何だ? 女子からは特有の匂いが発せられているのか?)
男(そろそろ寝たかな?
よっこいっしょっと)
男「 ッビック!」
寝返りを打つと少女の顔が目の前にあった。
白く、とても整った顔。 子供と言っても、ガキではない。確実に大人になりかけている。
おかしいな。子供は嫌いなはずなのに...
少女「スーー、スーー」
綺麗な寝息を立てていた。
少女「スーー、スーー」
男「よだれで、べとべとじゃねーか」
少女「スーー、スーー フニュー」
男「おい、起きろ!」
少女「うはっ、 あ、朝ですか」
男「てか、もう昼だよ」
男「特にねーけど、おまえはさっさとホームレスする場所見つけてこい!」
少女「え? 私は一晩だけ泊めてくれ。 なんて一言も言ってませんよ?」
男「え?」
少女「今日も、明日もあなたの家に泊まる予定です」
男「いや、おまえどこかで一晩だけって ……言ってない…」
少女「よっしゃぁ!!」
男「詐欺だ! こいつは詐欺師になれる! てか、普通に無理だよ!」
男「あぁ? あいつは働きに行ったんじゃねーの?」
少女「男は行かないのですか?」
男「いかねーよ。 俺ニートだし」
少女「そうですか….. じゃぁ、私の住むところと男の仕事を探しに行きましょう」
男「何でそうなる。 働くなんてめんどくせぇ そんなの親に任せとけばいいだろ?」
少女「ダメですよ」
少女「ダメですよ」
男「良いんだよ。 親が働いてくれれば」
少女「ダメです」
男「何で俺が働かなくちゃ行けないんだよ」
少女「ダメなんですよっ!!」
男「 」ビクッ
少女「働かなきゃ…ダメなんです」
男「・・・・・・」
少女「私の親もそんなんでした。 お母さんが働いて、お父さんはお酒ばかり飲んでいた。
そして、お母さんは過労死。 お父さんはそれでも働かなかった。 彼は働く意味が分かっていなかった。
今までは、働いていなくてもお酒が飲めた。 働いてなくても、生きていけた
彼は借金だけ残して消えてしまいました。
私は枯れに捨てられたのです」
少女「私は男にそんな人になって貰いたくない。 ちゃんと働いて、幸せになって欲しい」
男「・・・・・・」
少女「だから、働かなきゃ、ダメなんです…」
男「・・・ …」
少女「・・・・・・」
男(働かなきゃ… か。 いつかはそうだと思ってたけどな。
母も年取ってきたし、親父も死んでるし。 俺は働くのが嫌だった訳じゃない。
今まで働いてなかったから、働くのがかっこわるいと思ってた。
働く理由が欲しかった。
こいつの住処を探してあげたい。 それだけで立派な理由じゃないか?)
男「幸せになって欲しい...」
少女「え?」
男「住む場所と仕事探しに行くんだろ?」
少女「え…あ、うん!」
男(そろそろ、自立しなきゃいけないことぐらい分かってる……)
男「いつまでも親のすねかじってるのも,恥ずかしい…しな」
少女「うん、良い心がけ」
男(こんな少女に論破されてしまった……)
男「疲れた。 二日連続で外に出るなんて…」
少女「体力なさ過ぎ」
男「っせぇ!」
母「ただいま。 まぁ、男ちゃん。降りてきてたの」
男「あ! お、おい」
母「なにかしら?」
男「お、俺。 働く事にしたから……」
母「・・・っ! 本当なの?」
男「あ、あぁ、この家からも独立するから」
母「うっ、うう、 男ちゃん、がんばってね。 辛くなったらいつでも帰ってきて良いのよ」
男「ああ。
あ、あの、その、今まで迷惑掛けて、ごめんな?」
男「まぁな」
少女「アパートも無事見つかって」
男「それはよくない!
なんで、俺とおまえの2人で契約してあるんだよ!」
少女「いいじゃないですか。 2人とも家を探してるんですから」
男「よくねーよ
家賃誰が払うと思ってるんだよ!」
男「気分的な問題だわ!」
少女「じゃぁ、こうしましょう。
私があなたのメイドになってあなたのアパートに住み込みで働くというのは」
男「言い方変えただけで、状況変わってねーんだよ」
少女「しょうがない。もう契約してしまいました」
男「Oh~」
少女「……凄い…
このアパートが私の家…」
男「おい、寝転がるな。践むぞ」
少女「男はそういう趣味があったのですね」
男「ねーよ。 ほらメイドなんだろ。 さっさと荷物広げろ」
少女「メイドの制服がないとやる気が出ません」
男「残念だが… おまえがそう言うと思って、コスプレ衣装はもう用意済みだ!」
少女「そんな得意げに言われても… 変態をアピールしてるだけですよ?」
男「ほう、初めてあったとき、ニャーニャー 鳴いていたのは誰だったか…な?」
少女「//// うっさい」
少女「これ… メイド服ですか? どう見ても巫女服なんじゃ….」
男「いいから、働く働く もちろん語尾にはご主人様って付けてね」
男(霊夢の服装はやっぱり良いなぁ
次は翠星石の服装を着させよう)
少女「なんかこの服、スースーします……ご主人様」
男「働いてたら暑くなるよ」
少女「人使いが荒いです…ご主人様」
少女「お疲れ様です。ご主人様」
男「やぶさかじゃ…ないな?」
少女「……それなり…です」
男「ん~、 メイドぽいっちゃメイドっぽい」
少女「ん!」
男「メシでも食いに行くか」
少女「賛成。もうお腹ぺこぺこです」
男「近くにファミレスあったな」
少女「私ハンバーグ食べたいです」
男「いちいち、高い物を頼みやがって」
男「もっと、ゆっくり食べろよ…」
少女「もががあ、もがあが」
男「はいはい」
少女「布団が一つしかありません」
男「はい」
少女「ここに人間は2人います」
男「はい」
少女「あ、さっきの服貸して下さい」
男「はい?」
少女「それじゃなくて、さっき見せてくれた..」
男「あぁ、翠星石のか。 どうするんだ?」
少女「ちょっと待って下さい」
男「?
男「!?」
少女「おまえは本物の役立たずです」
男「何処でその口調を…」
少女「男の部屋に転がってた漫画を読んだです」
少女「私に布団を譲りやがれです
それくらいの気遣いはしやがれです」
少女「っえ!?」
男「寝るまでに着替えとけよ。 俺は布団を占領するから」
少女「っえ!?」
男「おやすみ!」
少女「っえ! あ、ちょっと」
男「なぜ、抱きついている?」
少女「あまりにもぎりぎりなので、掴まっていないと落ちてしまいます」
男「布団から落ちても、問題無いだろ
ええい、離れろ!」
少女「こうしてた方が暖かいんですよ。
知らなかったんですか?」
男「・・・・・・さっさと寝ろよ」
少女「・・・男、 もう寝ましたか?」
男「あ? まだだけど、どうかしたか?」
少女「振り向かないで そのまま聞いて」
男「・・・・・・」
少女「私、今の生活凄く楽しいよ。 ホームレスしてたときは酷かった。
ゴミ箱漁って、空き缶拾って…」
男「・・・・・・」
少女「拾われたのが男でよかった… 優しい人でよかった…」
男「…少女」
少女「...ありがとう。男」
男「・・・・・・」
少女「今、言ったことは明日になったら忘れて下さい///
お休みなさい」
男「ん…」
男(やっぱり不思議なコだ。 今まで辛い生活をしてきだろうに、それを表に出さない。
なぜだろう、一緒にいても良いと思ってしまう。 幸せになって欲しいと思ってしまう。 子供は嫌いなのに
まぁ、ここまでこいつに誘導されてこうなっただけだけどな)
男「・・・・・・寝よう」
男「おぉ…おはよう 早いな」
少女「朝になったら、腰のあたりに何か違和感があったので目が覚めてしまいました」
男「 」
少女「何だろうと私は素朴な疑問を抱き、布団をめくってみたら……
私はてっきりあなたが朝立ちをしているのかと思ってましたが……やっぱり朝立ちでした。」
男「 」
男「昨日の夜の感動を返せッ!」
少女「はて、何のことだか」
男「とぼけるなっ!」
少女「そんなことより、今日から男は働きに行くのですね」
男「あぁ、工事の仕事な。 人と話さなくて済みし...」
少女「何処の工事をするのです?」
男「あぁ….新しく河川敷に出来る橋の工事だ...」
少女「・・・・・・皮肉ですね」
男「うん…思った….」
少女「では、責任を持って、私の今の家をちゃんと守り続けて下さい」
男「うん、頑張る. お前も家の家事をちゃんとやっとけよ」
少女「うん? 頑張る?」
男「なんで不思議そうなんだよ… 家にいるのお前だけなんだからしょうがないんだろ」
少女「ブーーー、人使いが荒いですーー 」
男「じゃぁ、頼んだぞメイドさん」
少女「ん、いってらっしゃい」
少女「男は夕方まで帰ってきません」
少女「洗濯でもしますか…」
少女「・・・・・・・・・」
少女「あ、男のパンツ」
少女「・・・・・・・・・」
少女「… … クンクン」
少女「うげぇ….変な臭い」
少女「・・・・・・・・・」
少女「ん….うん? でも、なんかまた嗅ぎたくなる臭い」
少女「… … クンクン、クンクン」
少女「あ、男のシャツ」
少女「・・・・・・・・・」
少女「… … クンクン」
少女「っは! いけません。これではまるで変態みたいです」
少女「布団でも干しましょう」
少女「・・・・・・・・・」
少女「枕カバーも洗っといた方が良いのかな?」
少女「そんなに汚れてないかな….クンクン」
少女「オゥ… 今までに嗅いだ事ないような香り…」
少女「男の匂い.. 強烈な」
少女裏声「はい、少女は新たなる境地に辿り着いてしまったと言えます」
少女「と、言うと?」
少女裏声「少女はこれから、この匂いの虜になる可能性が十分あり得ると言うことです」
少女「なるほど、そんなことになっていたのですね」
少女「・・・・・・・・・」
少女「//////」カァァ
少女「バカか、私は…」
男「ただいま~」
少女「… おかえり」
男「ん?どした? 顔赤いぞ?」
少女「ん、何でもない。 それよりお腹がすきました」
男「なんか適当に作ってればいいのに…」
少女「私、料理の方は全くです……」
男「お昼、食べてないのか…?」
少女「まぁ、そうなります…」
で、何食いたいンだよ?」
少女「寒いから鍋がいいですね」
男「そんなのでいいのか」
少女「はい。一度鍋をやってみたかったです」
男「ふ~ん。まぁ、安くて良いな」
少女「早速材料を買いに行きましょう」
男「行くか…」
男「今はなんでもあるんだな」
少女「男、何鍋にしましょうか?」
男「ん~、なんでも良いけど」
少女「カレー鍋かキムチ鍋、トマト鍋も良いですね。あ、ちゃんこと言う手もありました」
男「さっさと決めろよ~」
男「・・・・・・」
少女「どんどん、パフパフ」
男「・・・・・・」
少女「なんか盛り上がりませんね」
男「2人だからな……」
少女「・・・・」
男「・・・・」
少女「食べましょうか。お腹ぺこぺこです」
男「あぁ、もうこっちの方は煮えてるぞ」
少女「はい、とても暖まります。とても、とても……暖かいです」
男「そうか、どんどん食えよ」
少女「さて、今日も寝る時間がやって参りました」
男「この下り何回目だ?」
少女「男が布団を買ってくれないから」
男「そんな金が何処にある」
少女「今日は公平にジャンケンで決めましょう」
男「まぁ、妥当なところか」
少女「じゃ~んけん、ポン!」
男「 」パー
少女「 」チョキ
少女「と、言うことで布団は使わせて戴きます。
男は雑魚寝して下さい。」
男「せめて、何か布が欲しいです」
少女「あ、さっき洗ったばっかりの便座カバーがありますよ」
男「酷い!?」
少女「こっちも布団が冷たいですよ」
男「寒いっ! さっき鍋で暖まったのが全部無駄!」
少女「仕方がありません。また一緒に寝ましょうか」
男「良いのっ!?」
少女「言った瞬間に潜り込んできました。 なにこいつこわい」
男「もう出ない。絶対にだ」
少女「まぁ、こっちの方が暖かくて気持ちいいです」
男(少女の諦めが早くて助かるぜ…)
男「ぐぅ~、 ぐぅっ~! ぐぅ~」
少女(不思議な人。 何が良いのか解らない。でも一緒にいると……落ち着く)
ぎゅっ
少女「んっ! 男の匂い」
少女「・・・・・・」
少女「男… ちゅ!」
男「ぐぅ~、っん う~ん」
少女「えへへ」
少女「スー、スー」
男「おい、おいっ! 少女 起きろ 朝だぞ」
少女「うう~ん、 もうちょっとだけ」
男(うわっ、パジャマはだけてる。肌真っ白だ。 おへそが丸見えになってる。
パジャマから見えるへそはどうしてこんなにエロいんだ…?)
男「っは!じゃなくて、起きろ少女」
少女「うう~ん。 ん? あ、男 おはようございます」
男「おはよう」
少女「もう行くんですか。いってらっしゃい」
男「冷蔵庫の中に昨日の鍋で作った雑炊あるから」
少女「冷たい雑炊ほど悲しい物はありません…」
男「じゃぁ、行ってくるわ」
バタン
少女「・・・・」
少女「今日良い天気です。布団を干しましょうっ!」
少女「いや、別にこれは布団を干すという使命にかこつけて男の匂いを嗅げたらいいな~ キャッ///
なんて思ってるわけではなく、ただ単に布団を日光に当てることが目的なわけで」
少女「バタン。 うぅ~男の匂い…」
少女「何でしょう。この気持ちは」
少女「そんな……訳ないか…」
少女「これは恋ですね」
少女「恋ですか。 助けられただけで恋しますか。
私も軽いですね。」
少女「・・・・・・・・・」
少女「心のもやもやが取れたところでTVでも見ますか」
ピッ
TV「今日の特集は、想いを伝えよう! 愛の告白大作
ピッ
TV「○○子! 好きだ付き合ってくれ」
「××さん、わたしも、ずっと前かr
ピッ
TV「さて、もうすぐでバレンタインの季節になって参りました。
今年は本命チョコをもらえるんでしょうか?
女の子にとっては自分らしさをアピールする絶好の機会・・・」
プツッ
少女「バレンタイン・・・」
少女「自分らしさをアピール?」
少女「男、付き合ってくれ!」
少女「わたしぃ、づっとぉ 前からぁ~ 男の事がぁ」
少女「つ、付き合って下さい! べ、別にあんたのことが好きな訳じゃ… 好きだけど…」
少女「付き合ってくれるよね? 男は私の事を分かってくれてるもんね? 私は男の子とは全部分かってる。
男は私の物だよ。 絶対に誰にも渡さない。 愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる・・・
少女「さっぱりですね」
少女「お帰り」
男「ん?どうした。エプロンなんかして」
少女「ん。あげる」
男「なんだこりゃ」
少女「ちょっと早いけど、バレンタインチョコ」
少女「市販の奴を、溶かして型に入れて固めてみた」
男「・・・それ、市販の奴と変わらなくね?」
少女「・・・やっぱり、要らない?」
男「いや、貰っとくよ。 ありがとな」
少女「んっ」ニコッ
男「どれどれ」パカッ
男「本命?」
チョコで字が書いてあった。 飾り気のない二文字。
ふざけているのか、まじめなのか。 分からない。
少女の行動からはその二通りとも想像できた。
男「告白。ってことで良いのか?」
パクッ
男「うん、市販の味だ」
少女「チョコ....食べました?」
男「あれは、告白って事で良いのか?」
少女「それ以外の意味で取れるなら、男の読解力はすさまじいです」
男「その、なんて言うか。 うれしいよ」
少女「・・・・・・チキン」
男「・・・え?」
少女「分かりませんか? 私ははっきりした答えを待ち望んでいます」
男「・・・いいのか? 俺がもし断ったりしたらこれから気まずいぞ?」
少女「・・・うん。 覚悟は出来てる」
だだをこね、自分の意見を無理に通そうとする。子供が嫌いだ」
少女「私はもう泣きわめくような子供ではないと思いますが」
男「ああ、お前は違う。 泣きわめかないし、自分の感情をあまり表に出さない。
だから、お前が俺のことを好きでいてくれたなんて本当に分からなかった。
俺は鈍い。 バカだ。 キモイし、オタクだったし、ニートだったし」
少女「・・・・・・」
男「正直俺はお前が俺の何処を好きになってくれたのか、全く分からない
俺は、直ぐに甘える。 今までも親に甘えっぱなしだった」
男「俺はお前と付き合ったら、またダメ人間に戻るような気がする…
俺はお前を信用して良いのか? 甘えて良いのか?」
少女「私に甘えてくれるなんて光栄ですね。フフフ
私は男がダメ人間に戻っても、見放しませんよ? 好きなだけ甘やかさせてあげます。
だって、私は男のことが好きなんです」
男「・・・少女、いいのか?」
少女「あやふやな関係はいやなので言葉にして欲しいです」
男「 少女さん。 こんな俺でよかったら、お付き合いさせて戴けないでしょうか」
少女「うんっ、 よろしく。男」
男「・・・お前のは市販だったから、3倍~4倍にしても500円以下だな」
少女「ハッ! しまった」
少女「寝ましょう」
男「今日は文句なしで一緒に寝るのか」
少女「恋人ですからね」
男「・・・そうだな」
男「ぐぅ~、 ぐぅっ~! ぐぅ~」
少女「男」ギュッ
男「うぅ~ん、動けない。ハッ!」
少女「う~ん、むにゃむにゃ」
男「おい、起きろ」
少女「ん~う、ん? あ、おはようございます」
男「なぜ俺と平行に重なっているのか説明しろ」
少女「ふふふ、若気の至りですね。
拒んでるように見えても体は正直でしたよ」
男「おい、何やった!?」
少女「なかなかのナにをお持ちのようで」
男「ちょ、おまっ えっ?」
男「本当に冗談なんだな? 信じるぞ?」
少女「…冗談ですよ」チラッ
男「視線をそらすなッ!」
男「今日は仕事ないから、一日暇だぞ」
少女「一日暇ですか」
男「買い物でも行くか。
いつまでも俺のコスプレ衣装じゃ流石にダメだろ」
少女「買い物ですか、いいですね。
私もいろいろ欲しい物がありますし」
男「お前の服揃えるぞ」
少女「おー」
男「正直コスプレ衣装着てるお前しか想像できないんだが…」
少女「失礼ですね。私はなんでも着こなします。
私の手にかかればジャージも一流ファッションですよ」
男「あ、じゃぁ、俺のジャージあげるよ」
少女「えっ? いやっ。 冗だn
男「俺も金苦しいからなぁ。 俺のお下がりで良いなら助かるよ」
少女「・・・もぅ、いじわる」
男(時々、いじめると可愛いよなこいつ)
少女「下着も新しいのが欲しいです」
男「下着…か。 パンツだけで良いだろ」
少女「ほぅ、男はノーブラ主義ですか。
でも、それだと形が崩れてしまいますよ?」
男「おまえ、崩れる胸がないだろ…」
少女「失礼なっ! 私だって日々成長しています! まえ測った時だって……Aだったけど…
これから大きくなって見返してやりますから」
男「へいへい
さっさと買ってこい」
少女(男はどんなのが好きなんでしょうか?
思い切って、赤?黒? Tバックは流石にいけませんね)
少女(これは悩みどころです。 勝負下着ですからね。
ここは初心に戻って、キャラ物はどうでしょう?)
少女(なっ!? ブラがレースのついたものはCからしかありませんっ!
ちゃんとAの人のこと考えてるんでしょうか?)
少女(ブラは白、で良いか)
男「ん~、揃ったか。
じゃぁ、次行くぞ」
少女「何を買うんですか?」
男「少女の布団買わなくちゃ...だろ?」
少女「・・・布団、ですか…」
少女(私は今のままでも良いのですが…)
男(うぅむ、少女と寝られなくなるのも名残惜しい気がしなくもない)
男・少女(でも、そんなこと言えない…)
ウロウロ
男「あれ~? おかしいなぁ布団コーナーが見つからないなぁ。
少女、どこか知ってるかぁ?」
少女「そ、そうですね。お、おかしいですね。
今の季節布団は売ってないのでは?」
男「ぬぅ、残念だなー
布団を買うのはまた今度って事になりそうだなー」
少女「全く残念ですねー 仕方ありません。また今度ですね-」
男・少女(乗り切ったッ!)
少女「ええ、私はもうありません」
男「じゃぁ、飯でも食ってくか」
少女「いいですね」
男「何食べたい?」
少女「あ!あそこのお店はどうでしょう? 恋人割りなんて物がありますよ?」
男「恋人割り。か 安い方が助かるのは事実だが…」
少女「さぁさぁ、行きましょう」
男「え?」
少女「え?」
店員「ほらほら、もっとよって頂かないと写真に入りませんよぉ」
男「 」
少女「 んっ、このくらい?」
男(少女!当たってる当たってる! いや、当たる物がないから、ほぼ肋骨だけど!)
店員「はい、チーズ~!」
店員「この写真は記念として差し上げます
お二人が幸せでありますように」
少女「ん、凄かった。
カレー頼んで、予めルーとご飯が混ざって出てきたときは、店員にブチ切れようと思ったけど」
男「また….来るか?」
少女「このお店は…もういいや…」
男「何かと疲れたな」
少女「はい、私はもうお風呂に浸かってもいいですか?」
男「もう入るのか。まだ5時半だぞ? まぁ、好きにしろ」
少女「では、お先に」
少女(先ほど買ってきた下着をさっさと着けたいですし)
男「ん~、俺はもうちょっと後d・・・」
少女「・・・どうですか?」
男「え?何で下着なの? え?露出魔?」
少女「酷いことを言いますね
私の下着姿を見せてあげてるというのに」
男「いや、それを露出魔って言うんだよ」
男「スタイルは良い。 けど、色気がない。 90点!」
少女「無駄に高いですね」
男「さっさと服着ろよ。風邪引くぞ」
少女「まぁ、よしとしますか」
少女「寝ましょう」
男「なんで、わざわざ宣言した…」
少女「夜更かしはお肌の敵です。
男は明日、お仕事でしょう」
男「まぁな
寝るか…」
少女(今日は楽しかったな 男と一日一緒にいられたし)
男「すぅ~、ぷす~くぅ~、ふごっ! すぅ~」
少女(この生活が続けばいいな。
男も今の生活、満足してるのかな?)
男「ぐぅ~、 ぐぅっ~! ぐぅ~」
少女「男…」ちゅ
男「 」パチッ
少女「ッ!?」
少女「えっ!こ、これは、 あの、ち、違うんです」
男「え?今何を?」
少女「 」ポロポロ
男「え?」
少女「 ぐすっ」ポロポロ
男「 ?泣いてるのか?」
少女「な、泣いてなんかいません。 男に、男に嫌われたんじゃないかと心配したり、
今の関係が崩れたんじゃないか不安になったりしただけです」
少女「私が一方的に住み込む感じになっちゃって、男は私の事、うっとうしいと思ってるんじゃないか。とか
凄く、不安で、怖くて……」
男「・・・・」
少女「私、無愛想で感謝とか言葉で言えないし…」
男「・・・・」
少女「・・・ごめんなさい」
男「少女…… ごめんな。
俺がチキンで言葉にするのが怖かったから、心配かけさせて….」
男「でも、心配しなくても大丈夫だよ。 俺は少女が何をやっても少女を嫌いにはならな
いよ。 第一、少女の事が嫌いだったら、一緒に住んでないし、告白も断ってた。
好きだよ。少女」
男「だからな、な? もう泣くな」
少女「・・・・・」
男「・・・・・」
少女「・・・・男、ありがとうっ!」がばっ!
男「うわぁ! なnんっ!」ちゅ、
少女「んはぁ・・・・・・っ」ちゅぱ
男「・・・はぁ、はぁ、少女・・・」んちゅ
少女「男… ハァハァ… 来て…ほしい」
男「い、いいのか?」
少女「う、うん 初めては…すきな人と…したい」
男「少女・・・ 」ちゅ、んちゅ
男「・・・はぁ、はぁ、少女・・・」んちゅ
少女「あっ、あろがと…..お、男っ……んんっ…」んっ、ぷちゅ
男「脱がすぞ」
少女「… うん」カァァ
ネトォ
男「おぉ、ビチャビチャだな もうこんなに濡れてる」
少女「バッカ/// 男がこうさせたんだよ」
少女「はうっ!?」
男「・・・・・・」くちゅくちゅ
少女「ん……んんっ…」
男「痛く…ないか?」
少女「っん…気持ちいいよ….はぁ」
男「………」くちゅくちゅくちゅ
少女「うんっ...! んっく....ハァ、ハァ」
男「少女、暖かい....」くちゅくちゅくちゅ
少女「体…が、熱い ダメ ちょ、ストップなんか来ちゃう」
少女「ぁんっ っく、んはぁっ、あっ、あっ、あっ、あっっっ!」
プシャァァ、ビクッ ビクッン
少女「 イ、イっちゃった」カァァ////
男「もうそろそろ、いいか?」
少女「うん……来て 優しくしてね」
少女「んっ……! んふっ、くはぁぁ」
男「全部っ、入ったぞ…」
少女「んっは…! うれしい…
一つにつながってるんだね…」
男「んっ、少女のアソコ、キツイ…けど暖かくて気持ちいい」
少女「男ぉ、 …」////
男「い、痛くないか..?」
少女「だ、大丈夫…んっく.. 動いて…」
少女「んん……ふぁ…..あっ、んっ…..」くちゅぬちゅ
男「ーーーっ! ……」
少女「んんーっ、あはぁ、はぁ…..」ぬちゅぬちゅ
男「くはぁ、……はぁ…はぁ…」
少女「んっ! んはぁ……」ぬちゅぬちゅ
少女「…っ!」キュー
男「ちょ…少女 急に締め付けてっ……」
少女「ハァ……ハァ……男っ! 男っ!」ぬちゅぬちゅ
男「……はぁ、はぁ 気持ちいいよ 少女」
少女「あぁ! もう…もっと、もっと突いてぇ」
少女「んはっ…! っく、んはぁぁ」パンパンパンパン
男「…..んっく! はぁ、少女のアソコ、すごい絡みついてくる」ズプッ ズプッ
少女「いやぁっ、....くっ...! 」ぬちゅぬちゅ
男「うっく! 俺もそろそろイきそう…はぁ、はぁ」パンパンパン
少女「き...て...」
男「も、もう、イくっ!……うっ!」 ドピュ、ドピュ ビクッ、ビク
男「少女….」 ちゅ
ちゅ、んちゅ
少女「幸せ…」
男「俺もだよ…」
ちゅ、んちゅ ・・・・・・・・
少女「男、男っ! 起きて下さい。
朝です」
男「ん、んあ? あぁ、朝か」
少女「今日は仕事です 起きて下さい」
男「ん~、おはよ
少女「おはようございます」
少女「いえいえ、なんのそのです
恋人なんですから、 助け合って行きませんとね」
男「……助け合って。ね」
少女「それでは、いってらっしゃい」
男「あぁ、行ってくる」
Fin
Entry ⇒ 2012.02.04 | Category ⇒ 男女「」SS | Comments (0) | Trackbacks (0)
男「妊娠検査です美少女の皆さんはこちらへ列を作ってください」
ギシギシッ…
美少女『ぁっ……んっ…』
男「声は圧し殺さない方が良いですよー」
美少女「は、……はい…んっ、ぁんっ!」
ギシギシッ
美少女「ぁっ……も、もうっ…んっ」
男「はいっ検査薬いきます!」
ビュッ!ビュルルルルル!!
美少女「ふぁっ……おなかの中、あったかい…」
男「……では、数ヵ月後に受胎したかどうかの検査にきますのでそれまで普段通りに過ごしていて大丈夫ですよ」ニコ
美少女「あっ、ありがとうございました」ペコッ
男「はい次の方ー」
美少女「……」ビク
男「大丈夫、怖くないから安心してくださいね」ニコ
美少女「は、はい……」ウル
http://hayabusa.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1327808395/
男「妊娠検査です美少女の皆さんはこちらへ列を作ってください」
美少女「……はい…」
男「でも、妊娠出来るかどうかというのを調べるのはとても重要な事なんだよ」
美少女「……はい…」ウル
男「僕も仕事で来ているから……あっ、支給された精力剤飲むから少し待ってね」
美少女「……」コク
男「……んっく」ゴク
男「よし、じゃあスカートはそのままで下着を下ろしてください」
美少女「……は、はい……」グス
男「(まいったなぁ……まだ心を開いてくれないようだ)」
男「あっ、一旦中止です」
男「開始までの間、そこにある性教育についての書物を読んでくださって結構ですので」ニコ
美少女「は、はい」
――…
男「……ふぅ」
同僚「どうした? 浮かない顔してるな」
男「いまの子が中々素直になってくれなくて……」
男「この仕事、続けていく自信が無くなってくるなぁ」
同僚「まあそういうなよ。お前は美少女担当だから、まだ検査する絶対数が少ないから楽だろう」
男「でもなぁ……」
男「そのうち姉妹のいる学校にも検査で行く可能性もあると考えると……」ハァ
同僚「……若い身空で大変だな、お前も」ハァ
男「お待たせしました」
美少女「っ」ビクッ
男「ごめんね、驚かせちゃったかな」ハハ
男「じゃあ……そうだな、まずは膝の上に乗ってもらおうかな」ポンポン
美少女「?」
男「まずは緊張を解いてもらいたいからね」
美少女「……」
美少女「……しつれいします…」
ポフッ
男「軽いなぁ、ご飯食べてる?」
美少女「……はい…」
男「そうかぁ、綺麗な髪だね」ナデナデ
美少女「ん……」
美少女「ありがとう……」
男「ん~再検査かなぁ」
男「また後日、改めて検査を行うので当日までは二人で会って遊んだりして緊張を無くすところから始めていきます」
美少女「……?」
男「スケジュールで空いてる日は……」ナデ
男「ええと、カルテでは妊娠していないのに母乳が出てくるということですが」
美少女(おっぱい)『は、はい』
美少女「へん……ですよね」
男「隠さなくていいですよ、こちらも色々なケースを見てきているので…」
男「……うーん、まずは触診から始めていきたいんだけど」
男「時間が押しているので検査薬を投入する過程と一緒に行いますね」
美少女「は、はい」
――…
ギシギシッ
美少女「んっ、ぁんっ」
男「たしかにおっぱいが出てきてるな……美味しいから異常はないんだろうけど…」ゴクッ
美少女「あ、あの……っ、わたし……もぅっ」ビクッ
男「ごめん、それじゃあ検査薬はいります!」
ビュルルルルルルルルルルル!!!!!
男「……それでは、後日受胎したかどうかの確認に向かいますのでそれまでは普段通りに過ごしていて大丈夫ですよ」
美少女「は、はぃ……」トロ
男「おっぱいが止まらないなぁ、もう少し飲んでからいってもらいますので念のためにもう一回検査薬投入しておきますね」
美少女「は……はい…」
――…
ビュルルルルルルルビュルルルルルルル!!
美少女「~~っ」ビクンビクン
男「それでは次の方にはお昼を食べてからとお伝えください」
美少女「ふぁ、ふぁい」クテ…
――…
男「罵声を浴びせられないと気分が高まらない?」
美少女「……」コク
男「ええと、マニュアルには……」ペラ…
男「ええと」
男「その眼帯は……?」
美少女「この前クラスの女の子が誤ってボールをぶつけてきて…」
美少女「……間違えたんだよね? って聞いたら『ごっめーん、あまりにも綺麗だから人間じゃないと思ったぁ、天使の姿をした豚さん』って言われて……」
美少女「……興奮しました…」ハァハァ
男「……それは、ぶつけられた事によって?」
美少女「主に最後の『豚さん』と呼ばれたところで高揚しました」
男「……はあ」
男「…………ではスカートはそのままで下着を下ろしてください…」
美少女「……」
男「……豚さん」
美少女「はいっ」ハァハァ
美少女「はいすみません」ハァハァ
男「おや綺麗な身体なのにある一部分だけは言葉で虐げられるたびに溢れてきてますよ」
美少女「ごめんなさい変態さんでごめんなさい」ハァハァ
男「指で少しいじっただけで溢れてきて止まらないよ、今からこの柔らかい肉穴に検査棒を入れられて感じながら妊娠するんですよ?」
美少女「はぁはぁ検査員だけど知らない人に言葉責めにあいながらアソコもはじめてなのに責められて妊娠させられちゃう……」ハァハァ
男「いきますよ……っ」
美少女「っ」
美少女「……ぁっ…」ビクン
男「初挿入でよだれをたらしながらイってしまうなんて本当に変態の雌豚さんなんですね」
美少女「は、ひゃい……えっちな子でごめんなさい…」ハァハァ
サッ
美少女(再検査予定)「っ!」
美少女(精神M)「えっ」
男「ああ、ごめん今日は君で最後だから再検査の子に後から来てもらう約束だったんだ」
ギシギシッ
美少女(M)「ぁっ……ぃんっ」
男「人に見られて興奮してるんだ言葉攻めされたいだけじゃなく本当の変態だね」
サッ タッタッタ…
男「ああ、行ってしまった……失敗したなぁ」
男「でもこっちの方はもうイきそうなんだね? 同じクラスの子に見られて更に興奮したんだ??」
美少女「は、はいっ変態なの隠していたのに同級生の女の子に見られてこの後蔑みの目で見られたりもしかして学校中の噂になったりしちゃうんだとか思うだけでもっと気持ちよくなってしまう変態なんです!」ハァハァ
男「そろそろ検査薬投入しますよ!」パンパンッ
ビュルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルル!!!!!!!!!!
美少女「っ!?」ビクンビクンッ!!
女医『はい、本日の検査結果と本日のアンケート結果です』ペラ
同僚「どうした? ホラお前の分」
男「ありがとう……」
女医「男さんは再検査の子こそ多いですが検査済みの子の満足度も高いのでまだまだこの仕事の依頼は来ますね」ニコ
男「家計を助けられるのは嬉しいんですけど……ハードなので楽じゃないですね」
女医「そういえば先日、再検査になった女の子がチラッと見に来てましたよ」
男「そうですか、気がつかなかったな」
同僚「……」
男「……」チラ
男「……次も会えるかわからないな」
同僚「再検査は0なのに……アンケートが悪すぎるな…しゃあない」
ガチャッ
男「ただいま」
美少女(不良)「……」
男「今日、来てたんだって?」
美少女「……」
男「おっ、美味そうだ。夕飯作ってくれてたんだ」
美少女「手を洗ってからな……」
男「おっと、そうだった」
男「1ヶ月も経つと慣れてくるだろう? 住めば都って言うしさ」
美少女「……しるか」
美少女「ほら、今日のメシ。風呂は沸かしてあるからな」コトッ
男「助かるよ、感謝している」
男「それと……再検査で同棲の許可が下りた場合は自宅での検査が認められてるって話…」
美少女「同じことを何回言うんだよ、私は寝るから。湯冷めしないようにな」
スタスタ…
男「……」ハァ
男「この仕事向いてないのかもなぁ」パクッ
男「いい湯だった」フゥ
男「そういえば、今日はプレゼントを買ってきておいたんだ」
美少女「……奇遇だな、私も買ってきたんだ」
男「本当かっ、いやー悪いな」
男「中は……首輪?」
美少女「それを付けさせて言葉攻めしてやれば喜ぶんだろう?」
男「やっぱり今日来ていたんだろ、まったく」
男「ほら、こっちのプレゼント」
美少女「……なんだよこの器械は?」
男「豊胸器具。胸の無いことを気にしてるんだろ? おぶぇっ!?」
美少女「……たく、余計なお世話だ」
男「ぼ、暴力反対……」
男「あっ、それと明日の休みに再検査の子と遊ぶ予定があるからお昼ご飯はいらないよ」
美少女「……? さっそくその首輪の出番がきたわけか」
男「違うよっ! あまり乱暴だと君に使うからねまったく……」
美少女「…………変態」ジー
男「それじゃあ、行ってくるよ」
美少女「……ネクタイ」スッ
男「ありがとう、君はネクタイを直すのが上手だよな」
美少女「……免許は?」
男「そうだ。免許が無いと職質を受けた時に誤解されるところだよ」
美少女「寝グセ」
男「冷たっ、水でも直らないよこれは」
美少女「……よし、いってこい」
美少女「バッチリキメてこいよ」
男「君の方もそろそろキメさせてほしいんだけど……」
美少女「わ、私のことは良いんだよっ」
美少女「まったく…………えろ」ボソ
男「それじゃあ行ってくるよ」ニコ
――…
男「待ったかな?」
美少女(再検査)「い、いえ……」
『お客様の中に妊娠検査員の方はいませんか!?』
男「ん?」
検査員『実は……出張バスで妊娠検査をしていたのですが…』
検査員「予定していた美少女検査員が本日来れなくなったようで」
男「丁度いいです。僕は美少女担当の検査員免許を所持しています」ピラ
検査員「よかった、美少女を担当出来る検査員は少ないので……本日のご予定の方は大丈夫でしたか?」
男「ええと……」チラ
美少女「……私なら大丈夫です。時間までお待ちしています」ニコ
男「そう言ってくれると助かるよ」
男「終わり次第連絡を入れるから。それまではこのショッピングモールの中で暇を潰しておいてくださいね」
美少女「……」クス
男「どうかしました?」
美少女「いえ……口調が仕事上の時のものに戻っているので」ニコ
男「あ、ああ気がつかなかった」ハハ
検査員『捌く人数が多いので早く準備してくださると助かります……』
ビュルルルルル!!
美少女『ぁ……』ピク
男「お薬は無事に子宮内に入りました。後々、妊娠の確認に向かいますので……」
――…
男「妊娠検査薬投入します!」
美少女『は、ひゃいっ』アヘ
ビュルルルルルルルルルルルルル!!
男「追って確認の方に……」
――…
男「精力剤は……?」
検査員「すみません……さっきので切らしてしまいまして…」
男「そうですか……まだ半分も消化していません…」
検査員「本日はここまでで、受けられなかった方々には別の日にしてもらって……」
男「……いや」
男「無理してでも全員こなします…」
検査員「男さん……」
男「それが……妊娠検査員の役目ですから」
美少女「……あ」
男「お待たせ……」
美少女「……お疲れのようですが…」
男「なんともないよ……精力剤抜きで15人はしんどかったけど…」
美少女「大変ですよね……検査員って」
美少女「今日のところはやめておきますか?」
男「いいや、大丈夫」
男「疲れているのと、君とのデートは別だから」
美少女「……はあ」
――…
美少女「……この本、検査員資格特集号らしいですね」
男「この処女幕確認検査員の資格、意外と難関なんだよ。取るの苦労したなぁ」
美少女「……色々とご多能なんですね」パチクリ
男「まあ、このご時世なにが役立つかわからないからね」ハハ…
男「処女幕確認検査員と、女体性感熟知資格の複合で、あとは精力・精子造量能力の保証証と人格適正検査を受けるんだ」
美少女「はあ…」
美少女「……よくわからないです」
男「邪な気持ちを持っている人は人格適正検査で落とされるから、受ける方も安心していいんだよ」
美少女「なるほど……勉強になります」
男「君は勉強が得意そうだね」
男「そうだ、この尺八3級あたりはどうだい? 恋人相手に特訓して、機械の棒を上手く舐められるかで取得出来る資格だよ」
美少女「しゃくは……? すみません、よくわからないです…」
男「そうか、まだ早かったかな」
美少女「それに恋人はいませんので、その資格を取得するにあたっての練習も出来ませんし……」
男「なんなら練習には僕が付き合うよ」ニコ
美少女「い、いえ……」
美少女「こ……恋人相手ということなので、魅力的なお誘いなのですが…」カァ
男「……そうか、残念だ」フム
美少女「いってみますか?」
男「よく行くの?」
美少女「いえ、ああいうところにはあまり縁が無くて……」
――…
男「おお、実際の資格と同じ体験が出来るゲームだって」
美少女「今はヴァーチャルの分野も進んで来ているようなので……」
男「なになに……『ヘッドギアを装着すれば、脳内で色々な資格の仕事を体験する事が出来る!』」
男「体験してみたい資格とかある?」
美少女「特には……あっ」
美少女「先ほどの、しゃくはち3級というものを試しに……」
男「ようし、お金は僕が出すから。いってらっしゃい」
美少女「はい……」フリフリ
――…
筐体『GAME OVER』
美少女「……あ、あれが尺八…」クルクル…
男「ゲーム前の適正検査の時点でダメだったか……」
筐体『得点ランク1位です! 今すぐに妊娠検査員になってたくさん孕ませちゃいましょう!!』パンパカパーン
美少女「すごいです」パチパチ
男「よかった。ダメだったらどうしようかと思っていたんだよ」
美少女「それで気になっていた事が一つあるんですが」
男「?」
美少女「バーチャルの映像は筐体のスクリーンに投影されていたんですけど…」
美少女「……相手の子って、私でした?」
男「そうだね、君は消極的だからどうやってエスコートしようかと考えていたらヘッドギアがソレを読み込んだんだろう」
美少女「はぁ……」
美少女「その……ですね…」
男「……?」
美少女「画面の中の私がすごく気持ちよさそうにしていたので」モジ…
男「大丈夫、再検査はきっと成功させるから」グッ
美少女「美少女担当とは別に、超美少女担当検査員という資格が見えましたけど」
男「そっちの方は、厳密にいえば美少女担当からの派生ともいうべきか…」
男「……ほら、海外のスクリーンで活躍するスターになる子や、街を歩けばスカウトマン全員にスカウトされたり……そういう超のつく美少女を担当する検査員の事だよ」
男「うちにも一人いるけど、妊娠検査が恥ずかしいって感じる子なんだ」
美少女「気持ちはわからないでもないですが…」
美少女「……妊娠検査は必要なものなので、歯医者と同じで自分自身のためと割り切って受けるものだという認識でした」
男「普通は妊娠検査に対して毛嫌いする人なんていないよ。それこそ歯医者と同じで、ダメになる前に受けるのが当たり前。世間一般の感覚はそうさ」
男「どうにかして心を開いてくれないかな……」
美少女「口は聞いてくれないんですか?」
男「いや……子守唄も歌ってくれるしネクタイも直してくれる」
美少女「は、はあ……それは…なんとアドバイスしたらいいのでしょうか……」タラ
美少女「き、キスですか!?」
美少女「はっ、わ、私ったら……はしたあない」カアァ
男「キスがそんなにはしたないのか?」
美少女「ま、また……」アワ
美少女「世間一般の常識じゃないですか……」ヒソ
男「三日前くらいに、妊娠検査はしなくてもキスを一度しようという話になって……」
美少女「き、き……」
美少女「……キス…」ボソ
美少女「……っ」カアァッ
美少女「…………きゅう」グルグル
男「だっ、大丈夫か!?」
美少女「妊娠検査は普通ですが、その…」
美少女「……き、キ……ス…をするのは夫婦でもたまにしかしない愛情表現じゃないですか」
美少女「それを許してくれたのならきっと……いや、絶対好きですよ男さんのこと」
男「そうかなぁ……」
美少女「そうですよ……」カアァ
男「……『妊娠検査より先にキスをするなんて順序が間違っている』って。ウチは性の乱れ最前線だとさ」ハァ
美少女「と、当然ですよ……妊娠検査員じゃなかったら逮捕ものです」
男「やはり公共の場で言うことではないか…」
男「……でもよかったよ」
美少女「?」
男「君も色々な表情を見せてくれたし、今日は楽しかった」
美少女「は、はあ」
美少女「私も……色々と新しい体験が出来たので今日は楽しかったです。ありがとうございました」ニコ
男「じゃあ来週、再検査は大丈夫そうだね?」
美少女「問題ありません。安心してください、私も安心して身を任せますので」
男「ああ、大船……いや、大馬に騎乗するつもりで遠慮なく体重を預けてくれ」ニコッ
――…
男「ただいま―」
美少女(不良)「……どうだった?」
男「出張バスで妊娠検査してきた」
美少女「…………なんだソレ」タラ
美少女「……それは、おめでたいことで」
男「おっ、今日の夕飯は豪勢だね」
ガチャ
男「……ん? 冷蔵庫にホールケーキが入ってるけどどうした??」
美少女「…………誕生日」
男「誕生日?」
美少女「自分の誕生日くらい忘れるなっての……」ジト
男「ああっ、そうかそうか今日は誕生日だった」
男「ありがとう、嬉しいよ」
美少女「ん……」スッ
男「もしかして……プレゼント?」
美少女「首輪じゃないから安心しろ」
男「これは……」
美少女「その……あれだ…」
美少女「……その時になったらさ、それを使おうと思うから。なるべく早めにさ…」
男「最高のプレゼントだよ! いやプレゼントは君自身ってやつかなアッハッハ!」
美少女「うっさい!」カアァ
男「というワケでさ」
同僚「それは良かったな」
男「君とまたここで会えた事も嬉しいよ」
同僚「ああ……俺ももう少し患者の側に立って検査をしようともう一度心に誓ったよ」
男「ニッチな担当なんだから……」
同僚「そろそろこの学校にも俺が担当すべき子も少ないし、そろそろお先に別の現場に向かうと思う」
男「寂しくなるな」
同僚「言うなよ……」フゥ
男「八重歯担当なんて、どれだけ歯の知識が無いと取得出来ないか……僕でも無理そうだ」
同僚「これが俺の生きる道だからな」ハハ
男「そうか……そうだな」ハハ
同僚「だろ?」ハハハッ
男「次の方ー」
美少女「……」ヒョコ
男「八重歯が可愛いですね、そこの椅子に腰かけてください」
美少女「……うん」ギシ…
男「(同僚に回らなかったのは、八重歯より美少女の方を優先されたからかな)」
男「カルテにも特に記載は無いし……早速検査を始めていきます」
美少女「あ、あの…」
美少女「……ボク、初めてだから…」
男「みんな最初は初めてなんだよ」ニコ
男「それじゃあ……スカートはそのままで下着を下ろして……スパッツか、それなら履いたまま触診しようか」
美少女「うん……」
美少女「……うん、少しくすぐったいかも」
男「そうか……それじゃあもう少し力場を変えて…」
――…
美少女「せ、せんせい、あそこがジンジンしてきたよ」ンッ
男「もうスパッツ越しにでもわかるくらいグシュグシュだよ」
男「それじゃあ、ハサミで股間の部分を切るのも信条に反するし、敬意をもって少し下にずらして立ちバックで処方したいと思う」
美少女「せ、せんせいに任せるからぁ……ふぁ…」
男「それじゃあいくよ……?」
ヌプ…
美少女「ぁ……入って…くる……んっ」
男「先までしか入らないな……こういうときの特製ローションだ、普通は媚薬効果もあるがそれも信条に反するので省いてもらっている。植物性由来の身体にも良いものだから安心していい」
ギシギシッ
美少女「ぁっ、んっ」
男「良いオシリだ。これまでの実績からしてわかる、これは着床しやすい良い弧を描いている芸術だ!」
美少女「ぁ、なんか……あたまがチカチカしてきたよ、センセイ…」
パンパンッ
男「よし、それじゃあいくぞ……いくぞ…」
男「検査薬投入します!!」
ビュルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルル!!!!!!
美少女「~~~っ!!」ビクンビクンッ!!
美少女「……ぁ………」ピクッ…ピクッ
男「……確認の方へは後日向かいますので、それまでは普段通りに過ごしていて大丈夫ですよ」
美少女「ふぁ、ふぁい……」クテン
――…
男「女の妊娠検査員?」
同僚「ああ、どうやら来ているみたいだぞ……」
同僚「知っているのか?」
男「おそらくですが。女の妊娠検査員というのも珍しいので知り合いで間違いないと思います」
『あら、まだ覚えていてくれたんだ』
男「……やっぱり君か」
美少女(妊娠検査員)「女性妊娠検査員なんて日本には数人しかいないでしょう。」
美少女「プラス外国国籍なんていったらもう私しかいないわよね」
男「相変わらず小さいな。さっきの八重歯の子と変わらないぞ」
美少女「うるさいわね、いきなり喧嘩腰だなんてどういう了見かしら」
同僚「おい、さっきの八重歯の子ってどういうことだ」
男「……ええと、八重歯の子の話は後で話しますが…」
男「この子は、元々俺の患者でしたがなにを思ったか妊娠検査員になると決めて……」
同僚「どういうことなんだ……」
男「後で話しますから、頭を抱え込まないでください」アセ
同僚「近くに金髪碧眼担当が住んでるからそこに連れていっつやってくれ」
同僚「まずは八重歯の子の話を先に……」
男「おっ、落ち着いて……涙目で迫らないでください…っ」
――…
美少女「……さっきの男は?」
男「説明したら肩を落として帰っていったよ」
美少女「……まあいいわ」
美少女「貴方に私の助手をお願いするわ」
男「断る」
美少女「……どうしてよ」
男「お前は男を道具だとしか思っていない」
美少女「私が前戯から全て担当して、イく瞬間に男が挿入して種付けすればいいのっ」
男「どんなシビアなタイミングだよ……」
美少女「安心して、右手で女の子を絶頂まで導く間に、左手でシゴいてあげるから」
男「絵面がイヤだ。」
男「その場に俺がいるなら、俺が検査すれば良いだけだと思うが」
美少女「そうやって、私の前でだけ一人称は僕じゃなくて俺……二人称は君じゃなくてお前。相変わらずナメてかかってくるのね」
男「お前こそ、俺が担当で再検査のまま海外に高飛びして……もう向こうで検査を受けてきたのかと思ったよ」
美少女「私が女性妊娠検査員になったのは、男性不信の女性のためよ」
男「話が噛み合わないな……よし、今から再検査だ」
美少女「へ? 噛み合わないのはどっちよ、久しぶりの再開でムードもなにもあったもんじゃ……」
――…
ギシッギシッ
美少女「ぁっ……んっ、これ……すごい……すごいです先輩!」
男「まだ先輩と呼んでくれるのか可愛いな君は……っ」パンパンッ
美少女「だめえ急に優しくしないでぇ……ぁっん、んっ!」パンパンッ
ギシギシッ
美少女「こんな小学生みたいに小さい身体で犯されちゃってる……数年間恨んでいた相手に数秒でハメハメされて妊娠しちゃう赤ちゃん受胎させられちゃう!!!」
美少女「子宮口が下に降りてきてる先輩の赤ちゃんミルクほしがって奥の壁突かれる度にヒクついてもう待ちきれられいっていってる!」
男「妊娠検査薬投入します!」
美少女「先輩っ、き、キスしてください! キスしながら孕みジュースを赤ちゃんボックスに流し込んでください!!」
男「~~っ!!」
ビュルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルル!!!ビュルルルルルルルルルルルルルルルルル!ルルルル!ビュルルルルルルルルルルルルルルルルル!ルルルル!ルルルル!ビュルルルルルルルルルルルルルルルルル!!!!!!!!!!!
美少女「イっちゃうぅううぅうううううう!!」ビクンビクンッ!!
男「……妊娠の確認には後日向かいますので、それまでは普段通りに過ごしていて大丈夫ですよ」
美少女「ふぁ、ふぁい……わかりまひたぁ……」アヘ ピクッ ピクッ
おい
こんなクソスレとっとと落と…ふう……
美少女「……」ズーン
男「まあ、なんだ……即落ちっていうのもチョロい感じで可愛いと思うぞ」
美少女「チョロいっていうなぁ……どんな慰めかたよそれ…」ウル
男「可愛いから。本当だよ」
美少女「……それじゃあ、付き合って」
男「……まあ、問題ないかな」
美少女「本当っ? 一緒に住んでいいの!?」パアァッ
男「いや……一緒に住むのはちょっと…」
美少女「どうして? 理由を教えてっ」
男「いま、再検査の女の子と同棲していてさ……」
美少女「……検査を済ませれば…」
男「もう少しで完全に心を開いてくれると思うんだ。それまで待っていてくれ、な?」
美少女「……OK、わかったわ」
美少女「それじゃあ、いきましょうか」
男「どこへ?」
美少女「妊娠検査。助手役を頼むわね」ニコ
男「結局やるのかよ……」ハァ
美少女(百合)「センセイ……」
金髪ロリ(チョロい)「安心して……貴方は、私だけを見ていればいいの…」チュッ
美少女「んっ……」
金髪「お腹、くすぐったい?」
美少女「は、はい……ぁっ」
金髪「脇のしたも弱いわよね、可愛いわよ」
美少女「そんな……」カァ
男「……」シコシコ
金髪「どう? 気分が高まってきた??」
美少女「はい……もっと、触ってくださいセンセイ…」テレ
金髪「そう、それじゃあもっと気持ち良いところを舐めたり……コスったりしてあげる」ハム
美少女「ぁっん」ビクッ
男「……」シコシコ…
男「おい、彼女もう絶頂を迎えそうじゃないか……こっちもスパートをかけたほうがいいんじゃないか?」ボソ
シコシコ
金髪「握ってる私は固さから、脈動から、貴方がどれほどで絶頂するかを把握しているわ」ヒソ
金髪「女性妊娠検査員を舐めないで」
シコシコ…
美少女「センセイ…私もう……」
金髪「ええ、わかったわ。気持ちいいのね? もうイきそうなのよね」フフ
シコシコ…
金髪「よく感じて、絶頂してちょうだい」チュッ
美少女「ふぁっ、あ、あああぁ」
金髪「今よ!」シコシコシコシコ
パッ
男「うぉとととととどこだ穴はどこだ!?」
ズンッ!
美少女「!?」
ビュルルルルルルルルルルルルルルルルル!ルルルル!
美少女「っ……っ…」ビクンッ
金髪「……ふう、成功ね」ニコ
男「風情もなにもあったもんじゃないな…」
男「……総括。百合に男は必要なし」フゥ
ブロロロロ…
金髪「すっかり遅くなったわね」
男「随分と高級な車を乗り回しているようで……左ハンドルの助手席に座ったのなんて初めてだぞ」
金髪「向こうは妊娠検査員の給金が高いから」
金髪「日本は、やれ『美味しい思いをして更に金をもらうとは』や、逆に『お金を納めるべきだ』なんて言われて足の引っ張り合い……」
男「日本人らしいじゃないか」
金髪「ねえ、私と一緒に海外へ行かない? 日本人の妊娠検査員なんて結構需要あるのよ」クス
男「……考えておくよ」ハァ
男「えーと、そこの曲がり角を曲がって……そう、突き当たりにあるアパートだ」
金髪「へえ……小さいわね」
男「ストレートに言うなぁ……」
金髪「もの凄く可愛いが一人立っているけど……どこの子かしら」
男「は?」
ブロロロロロロ…
男「ああ、あの子だよ。俺と同棲している再検査の子」
金髪「……あれは、たまんないわね」
金髪「同じ屋根の下に1ヶ月も居てなにもしないなんて、貴方もしかして不能?」
男「ちがうわ」
男「さっきも目の前で見たろう。『うぉととととと』って情けない声出しながら射精していたところ」
金髪「そうだったわね」
金髪「それじゃあ、あの子の前に停めるわね」
ブロ… バタン
男「あれ、わざわざ外で待っていてくれたんだね」
美少女「……そっちの人は?」
男「ああ、会社の同僚。家まで送ってくれたんだ」
美少女「……」ペコ
金髪「可愛い……」フリフリ
男「……手を振ってるんだからなにか返してあげたら?」
美少女「小学生が車の運転をする時代が来たんだな、と思ってさ」フム
男「なるほど……そうきたか」ホホウ
美少女「日本語は通じるのだろうか」
男「試してみたらどうだい」
美少女「どえりゃーめんこいでんがな」
金髪「多国籍すぎる!?」
美少女「冗談。これは……眼福というやつだな、一家に一匹は欲しい」
金髪「愛玩動物扱いっ!?」
美少女「それはそうと、こんな遅くまで少女を連れまわすとは感心しないな」
金髪「まだ大人だとは思われていなかった!?」ガビーン
男「そのへんにしておいたらどうかな、この金髪の女の子も美少女みたいなお姉さんと会話をしていて緊張しているんだ」
金髪「味方だと思っていたのにっ!」ガーンッ
金髪「……って、コントに付き合わせないで」ハァ
金髪「私は、この人と同じ妊娠検査員です。よろしくね美少女ちゃん」ニコ
美少女「……おどろいたな」
美少女「妊娠検査員の資格は小学生でも取得することが出来るんだな」フム
金髪「天丼大好きか!?」ウガーッ!!
金髪「あ、うん……また明日ね」
金髪「じゃあ…今日は会えて嬉しかった」フリ…
バタン
ブロロロロ…
美少女「……」
美少女「チョロいな」
男「えっ、知ってるの?」
美少女「なんとなくな……」
美少女「それより。夕飯が冷めるから、早く入るぞ」
男「もしかして、ずっと外で待っていてくれたの?」
美少女「……」プイ
男「可愛い……」
男「一家に一人欲しいな」
美少女「愛玩人間か、…………変態」ジロ
男「……あのMの子に引き合わせたい、ご褒美のドS目付きだな」
男「……」モグモグ
美少女「……」パク
男「……君ってさ、女の子にモテそうだよね」
美少女「」ブッ
美少女「……は?」
男「間違えた、女子に"も"人気がありそうだね。だ」
美少女「……慕ってくれる後輩はたくさんいた」
男「……」
美少女「そうだな」
美少女「それなら初めて会った時の少し前から話した方がいいか……」
男「教えてくれるの?」
美少女「……昔話だ。期待するような面白い話は無いぞ」
男「大丈夫、俄然期待っ」
――…
美少女「……と、そういうワケだ」
男「……うん、眠たい」
美少女「……そうだな。明日も仕事がある、夜更かしは良くない。さあ布団へ向かうぞ」
男「はい……」フワァ
男「……」zzz
美少女「……こういうところは子供だな」
男「……」スピー
美少女「……」ウト
美少女「…………」ウト…
――…
―…
…
美少女「……」ウト
『美少女さんっ、妊娠検査員が来てるみたいですよ』
美少女「……ん」フワァ
美少女「……は? なんだって??」
女「だから、妊娠検査員が来てるみたいですよ」
美少女「……ああ、アレか。よし」
美少女「寝る。終わったら起こしてくれ」ンショ
女「ダメですよ、こういうのはハシカと同じで早いうちに掛かっておいた方が良いんですって」
美少女「……えぇ、いいよめんどくさいし」
女「……もしかして、怖いんですか?」
美少女「……は?」ギロ
美少女「……煽りに乗ってまんまと来てしまった…」
美少女「……どこに並べば良いんだ?」
ザワザワ…
美少女「……まあ、適当に並んでたら良いだろう」
『……貴方は、ここじゃないでしょう?』
美少女「……?」
巨乳『ここはその……胸が大きい子の列だから…』
美少女「……」ビキ
美少女「(落ち着け……コイツは悪くない。ただ事実を教えただけだ…)」
美少女「……事実を…」チラ
ヒンニュー
美少女「くっ」
美少女「まあいい、じゃあここだ」
スタスタ…
『あの……』
美少女「あ?」
オッドアイ『ここは左右の眼の色が違う子の列だから……』
美少女「なんだよ、意味あるのかその枠組みは……これだから日本社会は区別社会だなんて言われるんだよ」ブツブツ…
オッドアイ『貴方は……向こうじゃないかしら』
美少女「ん?」チラ
【華奢・貧乳の列】
美少女「……………………そうですねわかりましたよ」ハァ
ギシッ ギシッ
美少女「済まして帰り……」
アンッ アンッ
美少女「……帰り…」
ギシアンッ ギシアンッ
美少女「……帰る。」
スタスタ…
ドンッ
美少女「きゃっ」
美少女「……いてえな」キッ
男「ごめん。ええと、君は……僕の列だね」
美少女「? どうせ貧乳……」チラ
【美少女御一同様】
美少女「……」
男「どうだい? なんとなく入りやすいだろう、バカっぽくて」ハハ
美少女「……バカっぽいというか…」
美少女「……バカだな、とは思った」
男「ひどいっ……」
『次の方ー』
美少女「……」
スッ
男「やあ、君か。どうぞそこの椅子に腰掛けて」
美少女「……いつもこんなことばかりしているのかよ」
男「? 妊娠検査のことかい?? まあ、そうだね」ハハ
美少女「なにが面白いんだか……」
男「でも君は本当に可愛いね。というか美人だよ、それも超のつく。認定証は?」
美少女「はあ? ねえよそんなモン」
男「あれ、こちら側の不備かな。たしか妊娠検査が行われる一週間前に、カテゴリ分けの事前調査があったと思うんだけど……」
美少女「ああ、サボった」
男「…………やるね」
美少女「まあな」
男「だからカルテも無い、と」
男「よし。じゃあスカートはそのままで下着を下ろしてください」
美少女「…………」
男「? 聞こえなかったかな、前 戯 を し や す い よ う に 下 着 を 」
美少女「聞こえてるよバカっ……ちくしょう、腑に落ちねえな」ハァ
男「? どうしたのかな」
美少女「……い、いや…その」ポリ
美少女「また今度の機会に……」
男「再検査ということかい?」
美少女「いや……」
美少女「こういうのは、好きな相手とだな……」ブツブツ
男「一理あると思うけど、これは妊娠検査だから。ノーカンだよ、ノーカン。わかる? ノーカウントの略で……あっ、和訳すると…」
美少女「それくらい分かるっ、たく……不良舐めやがって」
男「たしかに、君みたいなわかりやすい不良も珍しいね」
男「だから考え方も古いのかな、その貞操観念は平成レベルだよ」ハハ
美少女「……なにがおかしいんだっつうの…」
美少女「そういうのは結婚してからやるものでな……」ブツブツ…
男「……貞操観念は古代レベルかもしれない、っと」カキカキ
美少女「……話がわかるな。サンキュー、じゃあここらで失礼させてもらいますよっと」
男「ちょっと待って、いまスケジュールを確認するから」
美少女「……誰のだよ」
男「僕の。」
美少女「勝手に確認してろよ。私は帰る」
男「ちょっと待って、再検査までの間、二人で会って仲良くなろうと思うから……今週の日曜に映画館の前で待っていてね」
美少女「なにを勝手に話を進めて……」
男「このまま逃げても、また検査はくるよ」
男「君は僕が話が分かる人間だと言ったよね? とりあえず納得するまでデートを繰り返す。折衷案なんだけど、どうかな?」
美少女「どうかなっ、って……」
男「他の話が分からない検査員に変わるより良い思うんだけどなぁ」ウーン
美少女「……」
美少女「……わかったよ、それでいい。だから帰るぞ」ハァ
美少女「ったく……あの男…」
女「どうでした? 美少女さん」
美少女「まあボチボチだな……お前の方は?」
女「なんか八重歯の列に並んで来ましたけど……目をギラギラさせたお兄さんとおじさんの間くらいのおじさんが検査員でした」
美少女「……」
美少女「それで、首尾の方は……?」
女「あっ、はい。数十分で終わりましたよ」
女「30分の内の25分は八重歯ばかりチェックされてましたけど」ハハ…
美少女「そ、そうか……」
女「?」
美少女「……なんか、お前がさっきより少し大人に見えるよ…」ハァ
女「どうしました女さん? もしかして検査員が変なやつだったとか…あっ」
女「わかったっ貧乳のところに並ばされてイライラしてるんですねっ! イタッ!?」
女「いてて……」ヒリヒリ
美少女「……たしかに、変なヤツではあったな」フム
女「えっとですね、たしか各妊娠検査員によって受胎させやすい女の子ってのがいるみたいで」
美少女「ほほう」
女「それが、好みの子はやっぱり遺伝子学や生物学的にみてもその傾向が顕著らしくて…」
女「……だから、女の子の受胎確率を上げるためにもカテゴリ分けは必要ってわけです」
美少女「なるほど、わからん」
女「でも済んだ話なら良いじゃないですか」
美少女「一つ疑問に思っていたんだけど」
女「?」
美少女「その……授かった赤ちゃんというのはどうするんだ? どうやって育てるんだ?? 資金援助は……?」
女「えっ」
美少女「えっ」
美少女「はい……」
女「今では常識の妊娠検査ですが」
女「施行初期には非難されていました」
美少女「だろうな……」ウン
女「ですが、少子化にあった日本が現在のようなお年寄りを支えるピラミッド型人口に戻ったのもこの制度のおかげです」
美少女「それはメリットなんだろうが……」ウーン
女「今では常識なので。あって当たり前の制度ですし…」
女「……そのせいで、性行為が軽んじられるとの抗議もありましたが」
女「それも今では大した問題ではありません」
女「口づけが横行していた過去の方がよっぽど乱れていると思いますが……」
美少女「そうか? キスの方がまだライトだろ」
女「さ、さすが女さん。さらっとキスなんて言える毅然とした態度に痺れる憧れるーっ!!」
女「それで、授かった赤ちゃんについてですが……」
美少女「あ、ああ」ゴク…
女「というかどんだけ勉強不足なんですか小学生以下の知識ですよ」
美少女「るさい。続きだ続き」
女「一つは、産み、育てるです」
美少女「まあ……普通だろ、自分の子供なんだ」
女「二つ目は、国の保育所に預ける」
美少女「……それは、育てる金が無いからか?」
女「援助金は出ますが、それでも若い身空ですから。とりあえず母子登録だけはして後は国任せのパティーンです」
女「そして3つ目は、おいでましたデス・フォール!」
美少女「は?」
女「……素の反応返さないでくださいよこっちが恥ずかしくなるじゃないですか…」
女「堕胎ですよ。3つ目は堕胎です、さーっと流しちゃえってワケですね。さすがにこちらはほとんど適用されませんが」
美少女「……当たり前だ」
美少女「私なら、育てるな」
女「カッコイイです! 女の中の女です!!」
女「産んだら我が家で育てようかと……」
美少女「そうか……」
女「八重歯好きの子が産まれてきたらどうしようかなとは思いますが、妊娠検査員は適正検査も受けていますので遺伝子的には悪いものではないと思います」
美少女「そうかぁ、皆お前みたいに割りきってるもんなのかな」
女「はあ……おそらくは」
女「美少女さんの子供と私の子供の性別が違ったら結婚させましょう!」
女「時を越えて娘に私の果たせなかった夢を叶えて貰うという計画です」
美少女「よくわからんが、そこは子供の勝手にさせとけ」
美少女「……にしても」
美少女「そうか……深く考えているのは私だけみたいだな…」
美少女「もう少し軽く考えて…」
美少女「……でもなぁ」ハァ…
美少女「……」
男「早いね、待たせちゃったかな」
美少女「いや、今ついたばかりだ」
男「そう、一応時間の15分前には来たつもりなんだけど……」チラ
カラカラ…
男「……ジュースの缶が10本くらい転がってるんだけど、本当に今来たばかり?」
美少女「うるさい、缶捨ててさっさと中に入るぞ!」
グイッ
男「あっ、ちょっと待って……強く引っ張らないでくれよ…」
ズルズル
――…
『これは……妊娠検査から始まった二人の愛のストーリーなのよジョニー!』
『ヘイ! バーニーズのピッツァを食べて栄養を蓄えないとねジェニファー!』HAHAHA
美少女「……これは?」アセ
男「知らないの? いま話題の『私の彼は妊娠検査員 2』」モグモグ
男「ふう。面白かったね」
美少女「……」
男「どうしたの?」
美少女「あ、あんなのただのポルノ映画じゃないか」パクパク
男「大げさだなあ、世間ではキスシーンが無いならベッドシーンでも全年齢対象だよ」
男「僕もキスシーンよりはベッドシーンの行為の方が過激だとは思うけど」
美少女「当たり前だ……」カァ
美少女「つ、次だ次!」
――…
美少女「……ここは?」
男「子供用のアダルトコーナーだけど。君は性知識が少し足りないようだから一緒に勉強する本を買おうかと思ってさ」
美少女「却下だ」
男「どうしてっ!?」
美少女「どんなデートだよまったく……」
男「雑誌に書いてあったデートプランなんだけどなぁ……」
『お買い上げありがとうございまーす』
――…
美少女「買ったぞ、『ヨハネ君が低学年でもわかるABCからZまで。~私はαでありΩである~』」
男「それは口コミサイトでも評判の書物でね、参考になると思うよ。うん」
美少女「ああ、さっきの店員の会話が耳から離れない……」
(店員『ちょっと、すごい美少女が子供向けの性雑誌買ってるわよ……』ヒソ)
(店員2『きっと彼女にスキンを買わせて、遠くから見てるあのプレイの進化番よ』クスクス)
美少女「あ~っもうあの本屋いけねーっ!」
男「まあまあそう落ち込まずに」
男「僕はαからβくらいまでは実技で教えてあげるられるから」ニコ
美少女「……どうせ実技するならこんな本買う必要無かったんじゃ…はっ」
美少女「いやいや、するなんてまだ決めてないぞ……」
男「今日は楽しかったよ」
美少女「私は……」
美少女「正直、楽しかったか……な」
男「本当? 自分で言うのもなんだけど絶対大失敗だと思っていたよ!」
美少女「本当に自分で言うことじゃないな……」
美少女「なに、人に振り回されるなんて事あまり無かったし」
美少女「普段しない事をして充実はしていたかな、って」
男「そうか、それはよかった」
男「じゃあ再検査は来週で良いかな?」
美少女「ちょっと待て」
美少女「それとこれとは別問題だ」
男「そ、そうなの……」
美少女「残念だが…断… 男「それじゃあ、一緒に住もうか」
美少女「……は?」
男「きっと、君とはこの先何度デートしても答えは変わらないと思う」
男「だから、再検査の子との同棲制度があるからそれを行使して更に仲良くなれば気も変わるよ」
美少女「……どういう思考回路してるんだよお前…」ハァ
男「やあ、いらっしゃい」
美少女「……両親に着替えが入った鞄を持たされて追い出されたんだが」
男「きっと、改めて君を検査したらやっぱりカテゴリは美少女で、それも超が付くほどのものだから補助金が出たんだよ」
男「今回の同棲の件でまたいくらかお家にはお金が入ったはずだよ」
美少女「あいつらめ……今にみてろよ」
男「そんな恐い顔をしてないでさ、とりあえず今日からここが君の家なワケだし。気を切り替えて臨機応変にいこう」
美少女「……とりあえず、私の部屋は?」
男「見たとおり狭い2LDKなので、僕との相部屋です」
美少女「ええっ……」
美少女「お、襲ったりしないだろうな……」タジ
男「さすがに僕も殺されたくないし、強引な手には出ないよ……」タラ
美少女「……自炊しないのか?」
男「ああ、料理スキルは皆無なんだ」グッ
美少女「……となると、冷蔵庫にもろくなものが入っていないとみた」
美少女「……買い出しに行くぞ」
男「えっ、食材を買いに?」
美少女「空の冷蔵庫見て食い物以外を買いに行く発想が出る方が逆に驚きだ」
美少女「苦手な食材は?」
男「好き嫌いは無いけど……僕、料理作れないよ? これで買い出しに行く件は早速座礁したワケだけど」
美少女「私が料理を作れるという考えにこれっぽっちも至らないのは馬鹿にされているのか、私の見た目がそう思わせているのか」
美少女「一通りなら料理は作れる。得意な方なんだ」
男「それはそれは……これで食費が大分浮くなぁ、これからはコインランドリーにも行かずに済むかもしれない」
美少女「洗濯もダメなのか……生活能力が皆無とは意外だな」
男「お風呂でのお肌のケアとかならTVで教えられるレベルなんだけど」
美少女「女子力は高いのかよ」
美少女「……こっちの方が重いか」
男「野菜なんて多少の誤差はあれど、どれも変わらないと思うけど」
美少女「量だけじゃなく、味にも違いが出てくるんだよ……」
美少女「よし。こっちだ」
美少女「後は……」
ドンッ
美少女「っ……」
大男『おいおい邪魔だな、前見て歩けよ』
美少女「……はあ?」
美少女「前見て歩いてなかったのはソッチの方だろうが、この野菜とは違ってスッカラカンの頭でもう一度よく思い出してみろ」
大男「……おいお前、こいつ男なら教育くらいしておけ」
男「すみませんすみません」
美少女「……悪いのは向こうだろ、なに謝ってんだよ…」
男「世の中、長い物には巻かれる事も覚えた方がいいんだよ」ハハ
大男「……」チッ
――…
男「あーだめだ。僕ってさ、昔からああいう事があると決まって仕返しに合うんだよ」
美少女「……友達の女がなんか言っていたな、フラグがどうたらって」フム
男「……おっ」
美少女「?」
男「あの子は……おーい」
美少女(済)「?」
美少女(済)「あっ、検査員さんお久しぶりです」ペコ
男「いやいや、こちらこそ」
美少女「……」
――…
美少女「……さっきのは?」
男「ああ、前に担当した子でさ」
美少女「可愛い子だったな。ああいう子ばかりを相手にしているんだろ?」
男「まあ……仕事だから」
美少女「それで給料も貰えるなら文句無しだな」
男「皆そう言うけど、大変な仕事なんだよ? 本当に」ハァ
男「ん? ああ、下着売りだね」
少女『秋の新作でーす』ピラ
少女2『どうぞ見ていってくださいー』ペラ
美少女「アレさー、どうにかならないのか」
男「下着売り? 女の子が商品の下着を履いて、実際の履き姿をお客に見せて販売する仕事だけど……」
美少女「……だってさ、あっ、ほら」
少女『あっ、お買い上げですか?』
客『この縞々の下着と色ちがいも……』
少女『お買い上げありがとうございまーす』ニコッ
ヌギ
美少女「ホラっ! 見たか!?」
男「見たけど……下着売りの履いた商品を買うのは普通じゃないか」
美少女「……いや、一昔前は軽犯罪だったんだろアレ…買っていくのも男の客ばかりだし……」ブツブツ
男「……やっぱり考えが古いよね、君って」ウーン
男「後学のためにもなるし」
美少女「そうだな……」
美少女「一目見渡しただけでもいくつか視界に入ったぞ」
美少女「まずは……アレだ」ビシッ
少女『わーい』
女子中学生『え~い』
女子高生『やぁっ』
ポフポフッ ポニュポニュッ ムギュムギューッ
美少女「……あの、たくさんの女の子が一人の客に抱きついてるやつ」
男「ああ、アレは新しい癒しを提供する『女の子セラピー』だね。たくさんの女の子に揉みくちゃに抱きつかれるサービスだ」
男「……」
男「……? なにかおかしいかな」
美少女「おかしい。古い考え方らしい私には道徳的にどうかと思うんだが」
男「うーん、1時間2000円か……標準的な料金だと思うけど」
美少女「料金設定の話をしてるわけじゃない」アセ
萌え美少女(モニター)『受験が失敗した? 大丈夫っ私が付いてるからっ』ニコ
受験生『ありがとう……君だけだよ僕を励ましてくれるの…』
男「……脳内で作ったキャラクターを、考えた性格そのままに映像化するサービスだね」
男「彼は喜んでるし、特に卑猥な表現も無いし良いと思うんだけど……」
美少女「まあ……それについては良いんだが」チラ
萌え美少女(モニター)「嫌なことは全部忘れて私とずっと御話しよ?」ニコッ
受験生「う、うん……っ」パァッ
美少女「……アレはアイツのためにならいぞ」
男「その人が良いなら良いんだって」ニコ
男「それにあのサービスは18禁もあって……」
ドンッ
男「おっとと……」
大男『あ?』ギロ
美少女「……予感的中ってやつか」ハァ
大男「……なんだ、妊娠検査員だったのかお前」
男「? どうしてそれを……」
大男「俺の手は癖が悪くてね。思わず抜き取ってしまったらしい」サッ
男「あっ、財布っ」
男「……それ、返してください」
大男「どうするかなあ……」ニヤ
美少女「……おい、窃盗だぞ。警備員を呼んで…」
ダダダッ
子分『』バッ
男「あっ!」
タッタッタ…
大男「ああすまねえ、返したかったが俺も盗られちまった」
大男「大人しく俺についてきたらもしかしたら返ってくるかもな」ニィ
男「……帰ろう」
美少女「おいっ、いいのかよ!」
男「なに、免許証やカードは再交付してもらうし。お金は……まあ諦めるさ」
美少女「……ダメだ、取り返すぞ」
男「おいっ、いいって」ハァ
大男「付いてくるなんて偉いじゃないか」
男「……財布を返してもらおうか」ハァ
大男「ああ、財布だけな」
子分『』ポイッ
美少女「」ブチッ
美少女「おい、随分と調子に乗ってるみたいだな……」
大男「おーこわい」
男「……無駄だってわかっただろう、帰るよ」
美少女「……」
ドガッ!!
男「!?」クラッ
大男「おいおいそう簡単に帰れると思われちゃ困るな」
男「……」
美少女「大丈夫か……?」ギリ
大男「よそ見してるな」
ゴッ!!
美少女「っ!?」
男「!?」
大男「女なんて腹に一発入れりゃあ 『おい』
大男「……?」
男『おいコラ? カス』
美少女「……?」ポカン
大男「っ!?」グハッ
ドサッ
大男「 」
男「おいコラ、いまどこ殴った?」
大男「 」
美少女「検査員……?」
男「女の、腹を……殴ったなオイ」
大男「 」
男「……この場を制するために最低限の暴力を振るったけど」チラ
子分『っ』
子分8『っっ』
男「このガタイと態度のデカイ男が親玉でいいんだよね?」
男「この人を一発で沈められて、まだヤル気ですか?」
子分Ω『……』ポイッ
ジャラッ
――…
トボトボ…
美少女「……なんだよ、強いんじゃねえか」
男「ああ、護身術だよ。あんなの処女膜審査員の資格を取る苦労に比べたらなんてことないけどね」ハハ
美少女「……どんな資格だよ」ハァ
美少女「……」
男「あっ、処女膜確認検査員といいのはね」
美少女「……いや、いい…」
男「……そう…」
トボトボ…
美少女「すまなかった、そしてありがとうな」
男「気にしなくていいよ」ハハ
男「どうだった、格好良かった? なんて」
美少女「…………ああ」
美少女「カッコイイと思った」
美少女「というか、現在進行形でイカシテる」ニッ
男「そうか、誉められる事ってあまりないから嬉しいよ」ニコ
美少女「でも、帰ったら洗濯の仕方から覚えさせるからな」
男「……格好いいとこ見せたのにな…」ハァ
美少女「それとこれとは別だ」クス
男「待ち合わせ場所はここのはずだけど……」
男「あっ、遠くにいた」
美少女『……』
ツカツカ
スカウト『ねえ、芸能界とか興味ない?』
美少女「待ち合わせがあるんだ、どけ」
スカウトB『君すごく可愛いね、どうモデルとかしてみない?』
美少女「はいはい」
ツカツカ
イケメン『あっ、キミ超可愛いねどう? これから』
美少女「……」チッ
美少女「あっ」
美少女「おーいっ!」ブンブン
男「あんなに手を振って……」ハハ
周囲の視線『なんだよあの男……』
美少女「待たせたな、さあ特売があるんだ行こうぜ」ニッ
男「うーん、身の危険を感じるから君はサングラスなりで変装するべきかな」タラ
『美少女さん!』
美少女「ん?」
女「奇遇ですねっ街中で会うなんて」ニコ
美少女「たしかに、珍しいかもな」
男「……お友達?」
美少女「ああ、友達」
女「……誰ですか?」
美少女「ああ、妊娠検査員」
女「はあっ?、どうして妊娠検査員が一緒にいるんですかっ」
美少女「言っただろう、少し前から同棲している相手。こいつ」
男「コイツかぁ……まあ、はじめまして」ハハ
女「……頼りないですね」
美少女「なに、なんたら確認検査員の資格があれば大概の格闘はこなせるらしい」ウン
男「ご用があればいつでも処女膜確認するから遠慮なく言っていい」
女「は、はあ……」
おまわりさんコイツです
美少女「……あ…、ええとな? それは」
男「ん? 再検さ……むぐっ」
美少女「……少し、大人しくしような」ニコ
男「こわいなぁ……従うけど」
女「どうしてですか?」
美少女「食い付くなお前も……」タラ
美少女「色々あるんだよ私にも」
女「なるほど良い女には秘密が付き物ですもんね……さすが美少女さんです」
美少女「ん? まあ……お前がそれでいいならいいよ、うん」
女「要するに彼氏なんですか?」
美少女「は?」
美少女「……」チラ
男「? 何も余計な事いってないから睨まないでよ」
美少女「睨んでねえよ……地だ、これは」ハァ
美少女「……そうか?」
男「そうなの?」
美少女「知らん」
美少女「まあ、女を助ける位の力はあるみたいだし中々マシなんじゃないか」
女「なっ…」
女「……美少女さんが男を褒めるなんて…」
美少女「……そんなに珍しいか?」
男「買い物した後はレイトショーに行く予定だけど」
美少女「な。」
女「仲良いじゃないですか……妊娠検査員と担当患者の恋なんて非難されますよ、そんなのジョニーとジェニファーみたいな映画の中の話だけですよ!」
男「そういうんじゃないって、ね?」
美少女「ま、まあな」
男「そうだろう? ジョニーのジョニーがああなるなんて……」ブルッ
美少女「ジョニーは女癖が悪いからな……罰だ、罰」
男「ご飯も外で食べてきたし、もう寝る?」
美少女「ああ、いま布団を敷くから待ってろ」
男「そういえばさ」
男「同棲中は自宅での再検査が認められるって話だけど……」
美少女「っ?」
美少女「さ、再検査か……」
男「君も少し打ち解けてくれたみたいだし、そろそろどうかなって思ってさ」
美少女「そ、そろそろって……」
美少女「……」
男「?」
美少女「……」
美少女「うぅ……」モジ
美少女「ま、まあ……三週間ほど過ごしてお前という人間も少しはわかってきた」
男「うん、僕も君について色々とわかる事が出来て嬉しいよ」
美少女「い、嫌というか…」
美少女「……その…」
男「まだ恥ずかしいならやめておくよ?」
美少女「そ、その……なんだ」
美少女「……き、キ……ス…が、最初にくると私は思うんだ…」モジ
男「キス?」
美少女「お前は、格好良いところもあるって短い間だけど……他にも良いところを見つけた。人を見る目はあるんだ、私」
男「僕も、人を見る目はあると自負しているよ。君は人間としても素晴らしい」
美少女「だ、だから……」
美少女「で、出来れば明かりを消してから……」
美少女「…………うぅ」カァ
美少女「違うっ、恥ずかしいからだ……っ」
男「君が言うなら、そうしよう」
カチッ
シーン
男「……それじゃあ、いくよ?」
美少女「う、うん」
ギュッ
男「……」
美少女「……」カァ
美少女「……」
美少女「……っ…」
美少女「……」
美少女「……一瞬だけだったけど…」
美少女「……わ、わるくない…かも…………しれない…」カアァ
男「……そう、よかった」ニコ
男「それじゃあスカート……じゃないか、そのスキニージーンズを下ろして、下着を降ろしてください」
美少女「なっ」
美少女「なんで仕事モードなんだよ事務的すぎるだろうが!」
男「な、なんで怒ってるんだ?」
美少女「うるさいっ、今日はもう終わりだっ」
男「ようやく心を開いてくれたと思ったのに……」
美少女「女の気持ちを考える資格は持ってないのか、資格マニア」
男「それはまだ取得していないなぁ」ポリ
美少女「あるのかよ……」
美少女「と、とにかく今日はここまで。十分すぎるくらい頑張ったんだ、私にしては……」
男「まあ、確かに。その通りだ」
男「一歩も二歩も前進したよ。偉いな」ニコ
美少女「ほらっ、布団は一つしかないんだ先にスペースいただくぞっ」
ガバッ
男「ちょっと、昨日も僕は三分の一も入れなかったじゃないか」アセ
美少女「……」ヒョコ
美少女「アイツは……たしか、検査中だったよな」
美少女「……」チラ
男『同じクラスの子に見られて更に興奮したんだ??』
美少女(M)『は、はいっ変態なの隠していたのに同級生の女の子に見られてこの後蔑みの目で見られたりもしかして学校中の噂になったりしちゃうんだとか思うだけでもっと気持ちよくなってしまう変態なんです!』ハァハァ
美少女「……」
美少女「…………帰る。」
――…
カァー、カァー
美少女「……なんだよ。結局はああいうことばかりしてるんだよな」
美少女「……んっ」
【ペットショップ】
美少女「……」フム
――…
男「プレゼントに首輪?」
美少女「あのMの子に使ってやればいいじゃないか」ニィ
男「まったく……女医さんの言う通りやっぱり来ていたんだな」ハァ
美少女「……なるほど、それは役得だな」
男「茶化さないでくれよ」ハァ
男「とにかく、お昼はいらないから」
美少女「了解」
――…
美少女「休みの日に早起きしてしまった」チラ
男「……」zzz
美少女「……たしか、今日は再検査の子とのデートだったな」
美少女「……」
美少女「服にアイロン、かけておくか」フワァ
――…
カァー カァー
美少女「おかえり、どうだった?」
男「出張バスで妊娠検査してきた」
美少女「……は?」タラ
美少女「今日はアイツの誕生日だったな……」
美少女「なにかアイツの喜びそうなもの…………」
美少女「……再検査くらいしか浮かばん」
美少女「とにかく、ケーキ作って……好物作って待ってるか」
――…
美少女「……遅いな…」
美少女「……外で待ってるのも変だろうか」
美少女「……うーん…」
――…
美少女「少し肌寒いかな……」
美少女「……にしても遅いな、なにやってるんだ…おっ」
美少女「見慣れない車が入ってきた……」
ガチャッ
美少女「あっ」
男「あれ、外で待っていてくれたんだ?」ニコ
美少女「そ、そんなんじゃない……」プイ
金髪『は、初めまして……キャーなにこの子すごく可愛い』フリフリ
美少女「(……あまりに綺麗だから、人形が喋ったのかと思った)」
美少女「……どうも」ペコ
男「家まで送ってくれたんだ」
美少女「そう……担任冥利に尽きるな」
金髪「私は教え子じゃない!」ガーンッ
美少女「すまん、理科室からよく来てくれた」
金髪「理科室の骸骨でもないっ!」ガガーンッ
美少女「内蔵は落とさなかったか?」
金髪「人体模型の方だった!?」ガビーンッ
男「まあ、そう苛めるな」ハハ
美少女「……あまりにも可愛いから、ついな」ムゥ
チュンチュン…
美少女「……ん…」
美少女「……朝か…………」チラ
男「……」zzz
美少女「夢か、つい過去の事を思い出してしまった…」
美少女「……短いようで長かったな」
美少女「……朝ごはんの支度、するか」
――…
男「ふわぁ~あ」
男「おっ、良い匂い」
美少女「遅いぞ、もうご飯をよそうだけで食べられるが」
男「ありがとう、いただくよ」ニコ
美少女「」ボッ
美少女「あ、あれ?」
男「どうした?」
美少女「い、いや……」カァ
美少女「助けられた時の事とかを思い出したからか……いや…」ブツブツ
男「……なんだかしらないけど、ご飯。よそいすぎて山盛りになってるよ」アセ
男「……」モグモグ
美少女「……」ジー
男「?」
美少女「っ……」プイッ
男「?」
男「……」モグモグ
美少女「……」チ、チラ…
男「?」
美少女「っ……」プイッ カアァ
男「……どうしたの?」
美少女「いや……、その」パク…
男「様子が変だからさ」
美少女「それがな…」
美少女「……私自身戸惑っているんだ」キュウ…
男「?」
男「そうだ」
美少女「ど、どうした?」
男「例の再検査の子。おそらく明日だと思うんだ、今度は無事に検査しないと」ウン
美少女「そ、そうか……」
男「……どうかした?」
美少女「……いや、なんでもない…」
男「それで、まずはどうすれば緊張しないかを女性の君から助言が欲しいと思ってね」
美少女「……」
男「はじめはスキンシップから入った方がいいかな」
美少女「……しらない…」
男「そう? アドバイスとかあれば 美少女『知らないって言ってんだろっ!』ガタッ
男「え……」
美少女「あっ…」
美少女「…………すまん」
男「い、いや……こっちこそごめん…」
美少女「……」
男「3ではジョニーのジョニーがニューヨークの街を大暴れするんだってさ!」
美少女「…………わるい、今はそんな気分じゃない」
男「……そう、それなら仕方がないな」
男「ごめん。デリカシーが無いとはよく言われるんだけど……なにか気に障ったのなら謝るよ」
美少女「いや、いい…」
美少女「……こっちこそ、すまない」
男「……そう」
男「あっ、時間だ」
男「それじゃあ……先に行ってるから」
ガチャンッ
美少女「……」
美少女「……いってらっしゃい。って…言いたかったのに」
この表現が秀逸すぐるw
同僚『嫌われたかもしれない?』
同僚「またなんで」
男「わからないから困ってるんだよ……」ハァ
男「それに君は別のところに異動したんじゃなかったのかい?」
同僚「いや、八重歯担当の資格を持つ身だけどそれ以前に基本妊娠検査員の資格持ちだからさ」
同僚「人手が足りないから来てくれって言われて来たんだ」
同僚「そうしたらダチが悩んでたっつうわけだ」
男「そうか……それは回帰早々相談を受けさせてすまない」
同僚「いいってことよ」
同僚「それに、例のお前が担当した八重歯の子の事についてなんだが……」
男「しつこいっ……」ハァ
美少女「ふぇっ……センセイ…なにかきちゃう…っ」
男「よし、そのままだよ…」
男「……妊娠検査薬投入します!」
ビュルルルルルルルルルルルルルルルルル!ルルルル!ルルルル!ルルルル!ルルルル!
美少女「っっっ~っ」ビクッ ビクンッ!!
男「追って確認の方へ行かせてもらいます。それまでは普段通りに過ごしていて大丈夫ですよ」
美少女「あ、ありがとう…ござい、ましたぁ……」ハァハァ…
――…
男「……」ハァ
金髪「なに朝からため息ばかりついてんのよ」
男「……それがな」
男「検査中も一緒に住んでる美少女の事が頭にチラついて……」
男「患者さんに悪いよ……」ハァ
金髪「……それは、由々しき事態ね。主に美少女ちゃんの事が頭にチラつく、というところが」ムゥ
男「……どうぞ」
金髪「その、私とは付き合ってくれる事になったのよね?」ドキ
男「……まあ」
男「けど、よく考えるとやっぱり違うのかもな」
金髪「な、なにが違うっていうのよ」
男「お前とは……元々は先輩と後輩で、担当検査員と患者で……でも、親友と呼ぶ方が正しい気がする」
金髪「……うーん」
金髪「悔しいけど、納得しちゃうわ……ソレ」ハァ
男「お前もため息ついてるんじゃないか」
金髪「もう、きっと伝染ったのよ貴方のが」ハァ
男「それは……悪かったな」
金髪「まあ親友でいいわ。最高じゃない、ソレも」ニッ
男「ああ、最高だな。一番の友人だ」ニコ
ガチャッ
男「……ただいま」
美少女「……」
男「電気くらいつけなよ」
カチッ
美少女「……ごめん」
男「謝るような事じゃ無いんだけどさ」
美少女「私……考えたんだ」
男「?」
美少女「再検査、受けよう……って」
男「本当!? 嬉しいよ!」
美少女「それで、な」
美少女「私の我が侭、なんだけど……」
男「……」
美少女「私を最後に妊娠検査員を辞めて欲しいって」
美少女「言ったろう、我が侭だって。だからこの話は…… 男『わかった』
美少女「っ?」
男「君が言うなら辞める」
男「僕が辞める事で君が受けてくれるなら安いものさ」
男「妊娠検査員は他にもいる……だけど」
男「君の妊娠検査を出来るのは僕だけだ」
男「その役目が果たせるなら光栄だよ」ニコ
美少女「……」グス
男「なにを泣いているんだい。僕は妊娠検査員としての職務に誇りを持っている」
美少女「けど……」グスッ
男「僕が断って、君が妊娠検査を受けなくなるなんてなったらそれこそ自分自身を……いや、」
男「妊娠検査員としての使命を裏切る事だから…」
男「……だから、僕は君のために喜んで妊娠検査員という仕事に終結をつけよう」
美少女「……っ」ヒック
男「可愛いな……君は」
男「まずは……下着を下ろすよりも先に、キス。だったよね?」
美少女「……聞くな、…ばか」カァ
美少女「……やっぱり、キス。好き…かも」エヘ
男「超可愛い」
男「ごめん、少し本音が出た」
美少女「そ、それじゃあ……」ドキドキ
男「その前に」
美少女「?」
男「君で最後にするという事は、既に予定が入っている子を済ませた後。ということになる」
美少女「??」
男「だから、明日の再検査が終わったら……改めて、君と検査をする」
美少女「……」
美少女「……」ハァ
美少女「わかったよ。こっちも我が侭を聞いてもらったんだ、男の仕事を尊重する」
男「ああ、ありがとう」
男「やっぱり素晴らしいよ、君は」ニコ
美少女(再検査)「け、検査員さん……」
男「ゆっくり動くから、痛かったら言ってね……」
美少女「はい……」ウル
美少女「……んっ…」
男「……どう?」
美少女「大丈…ぁっ、夫……です…っん」ハァハァ
――…
ギシッギシッ
美少女「検査員さんっ検査員さんっ!」
ギュッ
男「もう……いきますよ…っ」
男「妊娠検査薬投入します!」
ビュルルルルルルルルルルルルルルルルル!ルルルル!ビュルルルルルルルルルルルルルルルルル!ルルルル!ビュルルルルルルルルルルルルルルルルル!ルルルル!
美少女「っ~~っ~っ~~っ!」ビクンビクンビクンッ
美少女「ぁっ、あっ……」ビクビク
男「……お疲れ様でした」
美少女「んっ……は、はい…ありがとうございましたぁ……」ニコ
男「……夜も深い時間です」
美少女「……」コク
男「お隣さんも、下の階の方々も何故か出払って。今この建物には僕達しかいません」
美少女「……」コク コク
男「声の心配はいりません」
男「それじゃあ……いきますね?」
美少女「ふ、ふつつかものですがよろしくお願いします」
男「はは、そう緊張しないで」
美少女「……けどな…」
美少女「……ん」
男「?」
美少女「……」カァ
男「ああ、ごめん」
美少女「……mっ…」
美少女「……」フゥ
男「落ち着いた?」
美少女「……ああ、少し」
男「あくまでも妊娠検査なので、私情の性欲はあまり加えずに進めていくから……」
美少女「んっ……」
美少女「上着のファスナーを下ろす必要はあるのか? たしか、検査では下だけを脱ぐんだったよな」
男「この前購入した『ヨハネ君が低学年でもわかる~私はαでありΩである~』で勉強したんだね、偉い」
男「でも、受胎確率というのは妊娠検査員の興奮度も作用してね。少しでも気持ちを昂らせると良いんだ」
美少女「そ、そうなのか?」
男「パーカーの下はノースリーブなんだね。君は腋も綺麗だ……」
美少女「ひゃん……くすぐったい…」
美少女「わきなんていいだろう……」
男「いや、大事だよ」
男「いや、大事だよ」グッ
男「白い肌に綺麗な腋……本当に、絹のような肌触りだ」
美少女「ゃ……ま、また…」
美少女「………………変態」ベー
男「……このノースリーブ、下から上にゆっくりたくしあげてもらえるかな」
美少女「な、なんで……」
男「君の手で上げて欲しいんだ」
美少女「……わかったよ」ハァ
スル…スル…
男「……見事なくびれ、お腹も綺麗だしヘソも文句のつけどころの無い形だ」
美少女「……うぅ…」カァ
スル…スル…
男「……す、ストップ」
美少女「えっ」
ピタッ
男「ちょうどブラの上にスソがきた。ここで止めておいてほしい」
男「本当なら両手を離しても胸に引っかかってスソは落ちないんだけど…」
男「……今回は、手でスソの位置をキープしておこう」
美少女「わるかったな……次回も、その次も…どうせ引っかかりませんよ…」ムゥ
男「ごめん……」タラ
美少女「……あ、ああ」
ハラッ…
男「……おぉ」
美少女「……ああ、私いまきっと顔真っ赤だ」カアァ
男「……言葉では表せきれない美しさだ」
男「慎ましい。綺麗な桜色も相まって自己主張の弱い……可愛いおっぱいだ」
美少女「胸でいいだろ、胸で……」カァ
男「いや、よくない」
男「触っていきます……」
モニュ… プルンッ
男「な、なんという張り……っ?」
美少女「普通に喋ることが出来ないのかお前は!」ハァ
男「いや……おっぱいの前では誰しも冷静でいられない…ジョニーの名言だよ」フゥ
美少女「……? 静かにするのか??」
男「ジョニーだって、劇中では声を出さずにジェニファーの息づかいだけで耽美さを醸し出していたじゃないか」
男「それじゃあ、胸から下も……挿入までの間、僕は喋らない」
美少女「よくわからないが、ようやく静かになるんだな……」
――…
美少女「……んっ…」
美少女「………っ…」
美少女「っ……」
美少女「………ぁっ…」ピクッ
美少女「…………んっ」
美少女「ゃ………ぁっ」ピクンッ
美少女「ぁ……だめ…」
美少女「んっ、っ」ハァ
美少女「ぁ、あ……ぁっ」ンッ
美少女「……~っ」ビクンッ
美少女「……はあ…はあ……」
美少女「ゃっ……またっ…」
美少女「んっ、 んん…………ひゃんっ」
美少女「…………ハァ、……ハァ」クテン
男「? ああごめん、サイレントとか関係なく夢中になってた」
男「初めて見るくらいあまりに綺麗な〇 美少女「わ~っ、下品だから言うなっ」アセッ
男「……そう言うならやめるけど」
男「それじゃあ、いくよ……」
美少女「うん……」ゴク
ツプ…
美少女「っ?」
ズププ…
美少女「……っ」
男「指を噛んで声を圧し殺さなくても、誰にも聞こえないから恥ずかしくないよ」
美少女「……お前に聞かれるのが、恥ずかしいんだよ…」カァ
ズズ…
美少女「…っん……」ビクッ
美少女「な、なんで今このタイミングで言うんだよ……んっ」ピクッ
男「勿論、処女膜確認検査員としてのスキルも使ったし……安心していい、処女だ」
美少女「良い顔でなに言ってんだ……ぁっ、ちょっと…ゆっくり……」ハァ、ハァ
男「切れ長の目で上目遣いされると、嗜虐心が煽られるんだけど……」
美少女「しるかっ、……でも、少し馴れてきたかも…」
美少女「……もう少し、好きに動いていいよ」ンッ
男「だから人差し指を噛む必要無いのに……でも、言葉遣いも可愛らしくなってきたし…お言葉に甘えさせてもらうね」
キシッ キシッ
美少女「……んっ…………んっ……」ハァッ
美少女「ぁ……んっ」
キシッ ギシッ
美少女「んっ、ひんっ」
ギシッ キシッ
美少女「はぁ……はぁ…っん」ビク
ギシッ ギシッ
美少女「っぁ、ぁんっ……っん…」ビクッ
男「どう? 痛くない??」
美少女「うん……大丈夫、大丈夫だから…」
美少女「……もっと、ぎゅっとして?」ハァ、ハァ
男「」プチン
美少女「ゃっ……ん、もっと固くなっ…んっ」ビクッ
ギシッギシッ
男「ごめん、もうそろそろ……いくよ…」
美少女「う……うん…」ビクッ
男「いきますよ!」
男「妊娠検査薬投入します!」
ビュルルルルルルルルルルルルルルルルル!ルルルル!ルルルル!ルルルル!ビュルルルルルルルルルルルルルルルルル!ビュルルルルルルルルルルルルルルルルル!ビュルルルルルルルルルルルルルルルルル!ビュルルルルルルルルルルルルルルルルル!ルルルル!ルルルル!ルルルル!ルルルル!ルルルル!
美少女「っ! ~っっ!!」ビクンッ ビクンッ!!
美少女「っあ、………っっ!」ビクビク
男「……妊娠の確認に後日向かいますので、それまでは普段通りに過ごしていて大丈夫ですよ」
美少女「……っ」
美少女「……確認もなにも、毎日一緒にいるんだから…」ハァ ハァ
男「……ここでツッコミを入れられたのは初めてだよ。新鮮な気分だ」
美少女「……それは、よかったな」クス
美少女「ごめん、少し余韻に浸ってるから…………手だけ握ってて…」プイ
男「はは……なにを今さら恥ずかしがる必要があるかな」ニコ
美少女「……ん」パチ
男「おはよう」
美少女「……朝…?」
男「昨日はお楽しみのようでしたね」
美少女「お前は誰なんだよ」
美少女「……今日は休日か…もう少しゆっくりするかな……」
男「なにを言ってるんだ、朝ごはん出来てるよ」
美少女「……本当だ」
美少女「作れるようになったんだ、偉いな」ニッ
男「まあ、陰ながら練習していたし…」
男「……あと、これ」スッ
美少女「? なんの箱だ??」
男「プレゼントだよ。誕生日プレゼント」
男「『自分の誕生日くらい忘れるな』って言ったの、誰だったかな」
美少女「……あー、たぶん私だ」
美少女「そうか……覚えていてくれたのか」
美少女「ありがとう」ニコッ
男「どういたしまして」ニコ
美少女「中は……」
ガサ
美少女「……教材?」
男「資格試験のね。今は社会に出るまでの訓練期間なんだから、色々と覚えておいて損はないよ」
男「それに……」ポリ
男「同じ資格を取れば近い職場で働ける可能性だってあるだろう?」
美少女「そうか……これから先のこと、きちんと考えてくれているんだな」
美少女「二人で同じ資格かぁ……」
男「処女膜確認検査員とか」
美少女「どんな絵面だ」
美少女「嫌だよ二人で確認してる姿とか……」
ピンポーン
美少女「?」
男「ああ、職場の同僚。遊びに誘われていたんだ」
美少女「職場の同僚……」ホウ
金髪「あら、男さんの……お姉さんかしら?」ニコ
美少女「大人びてるとは言われるけどそこまで歳上に見えるのか!」クッ
金髪「あらすみませんお母様でしたか?」
美少女「歳上に見えるとかいうレベルじゃなかったっ!」ガーン
金髪「間違えました。誰ですか?」
美少女「存在を忘れられてる!?」ガビーンッ
男「おいおい……俺の彼女をそう苛めるなよ」
金髪「そこはノってくれないんだっ!?」ガガーンッ!!
同僚『……入っていいか?』
男「ああ、恒例のコントなので……どうぞどうぞ」
美少女「スルーしたけど…」
美少女「……俺の彼女…か……」テレ
同僚「彼女さん、トリップしてるようだが……」
男「君と同じで、自分の世界に入ったらしばらく帰ってこないんだよ」ハァ
金髪「ええと……同僚が行きたいところがあるって」
同僚「超大型の『女の子セラピー施設』だ」
同僚「ここではあらゆるカテゴリの女の子に揉みくちゃに抱きつかれることが可能だ。心配するな、勿論八重歯っ娘だって完備している」
男「八重歯はともかく、僕も久しぶりに癒されたいし行ってみたいな……」
同僚「それじゃあ出発~っ!」
金髪「女性客でもいいのかしら?」ハァ
美少女「どうなんだろうな……」タラ
男「とりあえずは僕も新しく勤める職場が決まったから」
美少女「へえ、どんな?」
男「最近は、口付けと性行為の低年齢化が始まってるというからね」
男『美少女担当でキスのインストラクターを始める事になったから』
美少女「……はぁ」
美少女「私の考えが古いのか……頭が痛くなってくるな…」ハァ
男「大丈夫! 資格も取ったからっ、さあ新たな門出祝いも兼ねて、出発~っ!」
美少女「……しゅっぱーつっ」オー…
これからも、男と美少女の、常識的なとんでも資格に携わる人生は続いていく……。
<了>
世界観を全面に出して行こうと思いましたが、尺的に省きました。
とんでも資格はこの世界に溢れかえっているので、男なら逞しく生きていけると思います。もちろん美少女も……。
乙です。
これはまたどうせ妊娠資格を発揮する場面が
面白かったぜよ
Entry ⇒ 2012.02.02 | Category ⇒ 男女「」SS | Comments (0) | Trackbacks (0)
男「貞子!伽椰子!富江!ゆき!早く起きろ!」
友達仲間と富士急に行ってな
その中の「戦慄迷宮」に忍び込んだんだよ
そしたら、仲間の一人だったゆきという女の子が迷子になってな
結局、ゆきを見つけられないまま、俺たちは警察に連れていかれたんだ
http://hayabusa.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1327237596/
男「貞子!伽椰子!富江!ゆき!早く起きろ!」
ある日の夜、俺の家に来たんだよ
ゆきが
「男くぅ~ん…ここ開けてよぉ…寒い…寒いよぉ…」
その声は、紛れも無くゆきだった
俺はゾッとしたね
あの時と同じ格好
白いワンピースを着て、そこに立ってたんだよ
「入ってもいい?」
正直、不気味だった
でも断る理由もないし、俺はゆきを家にあがらせた
ゆき「ん~…あと5分…」
男「遅刻するぞ!いいからさっさと起きろ!」
あの日から今まで、彼女は俺の家で暮らしている
ゆきが居座って1週間が経った頃だったかな
友達から借りたビデオでも見てみようかなぁ
なんて思ったわけよ
友達が血相変えて「絶対に見てくれ」なんて言うもんだからさ
AVかなぁー、なんて思いながら
俺はそのビデオを再生したんだ
何だこれ
でもまぁ、これが最近のAVの流行なのかなぁ。なんて思ってたんだ
すると場面が変わり、今度は女性の出演シーンになったんだ
鏡の前で、髪をとかしてる
こんなAV女優いたっけ?でもまぁ、新人なのかなぁ、なんて考えながら見てた
でもその映像、良く考えると不自然なんだよ
だってさ
構図的に、正面の鏡にカメラマンが映りこむはずなのに
いないんだよ
カメラマンが
最近の映像技術はすごいなぁ
なんて俺は感心してたわけ
すると、また場面が変わった
今度は井戸の映像だ
正直つまらなかった
その時、俺はよう気付いてしまったんだ
あ、これAVじゃないな。ってね
俺は見てしまったんだ
井戸から人の手がひょっこり出て来るのを
不可解に思った俺は、リモコンの停止ボタンから指を離した
そして井戸から、人が出て来たんだよ
女の人だ
何かこっちにのそのそ歩いて来るんだよ
いけねっ
小便我慢してたんだった
俺はとりあえずトイレに行ったんだ
そしてすっきりしてトイレを出て、リビングに戻ってみたら
いたんだよ、そいつが
さっきまでテレビの中にいたはずの
女が
すげぇ!
俺は興奮したね
でもそれもつかの間だった
その女がさ、俺を睨んでるわけよ
凄い眼力だなぁー、なんて俺は思ってさ
「凄い眼力ですね」
って声をかけてみたわけよ
恐る恐る手を伸ばしたら
触れるんだよ。女に
あ、これ3Dじゃない。この人実在してるな
って俺は確信したね
俺は考えた挙句、一つの答えを弾き出した
その女、濡れてたんだよ
あ、性的な意味じゃなくてね
全身、びしょびしょなわけ
「何でそんなに濡れてるんですか?」
聞いても彼女は何も答えないんだ
とりあえず風呂を沸かして、入るように言ったんだ
彼女はやはり何も答えぬまま、しかし風呂場へと向かったんだ
数分後、その女が風呂から出て来てさ
とりあえず、姉ちゃんの服を貸してやったんだよ
「家はどこなの?送って行こうか?」
彼女はやはり何も答えない
何か事情があるのかな、と思って俺はそれ以上の追求をやめにしたんだ
「泊まってく?」
彼女はゆっくり頷いた
戦慄迷宮3D
貞子「起きております、ご主人様」
男「そのご主人様ってのはやめろ」
彼女もまた、いつのまにか俺の家に居座っていたんだ
ゆき「……えっ…誰?」
男「貞子さんだ」
貞子「よろしくおねがいします」
俺、高校2年の時に引越しすることになったわけよ
引越し先の家は、何だか薄暗い感じの家でさ
正直、始めの頃はそんなに好きになれなかったんだ
ある日
俺はその家に隠し部屋がある事を知ってさ
入ってみたんだ、中に
そしたらさ
「ごめんなさい」って字がびっしり書いてあったんだよ
俺はその字を綺麗に消したんだ
ドイツ製の洗剤はやっぱタフだなぁ、なんて感心してさ
何か疲れて、その部屋で布団敷いてそのまま寝ちゃったんよ
どれぐらい経った頃だったかな
ふと目を覚ますと
動いてるんだよ、布団が
何かいるんだよ、俺の上に
そこには全身白塗りの男の子がいたんだ
何で白塗りしてるのかなぁ…海老蔵の隠し子なのかなぁ…なんて考えちゃってさ
「君、海老蔵の隠し子?」
って聞いてみたんだ
何も答えない
恥ずかしがりやなのかなーって思ってさ
俺も恥ずかしがりやだから、何か気まずい空気が流れたんだよ
俺はその子にうまい棒をあげたんだ
そしたら
「ありがとう!」
って言って、スーッとどこかへ消えていったんだ…
へぇ…最近の子供は姿を消すことも出来るのかぁ
人類の進歩も目まぐるしいなぁ、なんて思って
俺はまた寝た
喉が渇いてたから、リビングまで降りて牛乳を飲んでいたんだ
ついでに抜くかと思い、俺はおもむろにシコり出した
すると、階段がギシリと軋む音がするわけ
ああ、ラップ音だなと思って
俺はシコり続けてたんだ
やべぇ!親が来たのか!?
俺はいきり勃ったチンポを掴んだまま、階段の方へと向かった
階段を下りて来ていたのは
見知らぬ女だった
しかも何故か、全身血まみれなんだよ
何か呻いてる
「すみません、もう一度言っていただけますか?」
「あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛」
これは埒があかないなぁ
困ったなぁ
良く見るとさ、その女の人、あごがないんだよ
ちぎられてるっぽいんだよ、あごが
俺は急いで救急車を呼んだんだ
そして翌日
彼女の体はすっすり元通りになり、俺は安心した
「それで、どこに住んでるの?」
奇妙なことにさ、俺の家に住んでるって言うんだよ
ああ、親父の隠し子だな。ってね
なら仕方ないと思い
俺は彼女を家に連れて帰ったんだ
伽椰子「……入る?」
男「入りません。起きてください」
伽椰子「ちぇーっ」
後日、親父に話を聞くと、隠し子なんていないらしい
じゃあこの娘は何者だ…?
ゆき「…また増えてる」
貞子「最低…」
男「何でだよ」
高校生の頃、俺の友達が富江って子と付き合ってたわけ
その娘は綺麗な黒髪で顔も整っててさ
まさに絶世の美女って言うか…、ミステリアスビューティーだったわけよ
でも性格は最悪でさ、傲慢でわがままなわけ
神は人に二物を与えないって本当なんだなぁ、なんて思ってたんだよ
震えた声で言うんだ
「富江が死んだ」
友達も気が動転しててさ、落ち着くように言ったんだよ
聞くところによれば、富江はゴミ捨て場で死んでいたらしいんだ
いくら死体だからって人をゴミ扱いするなよ…と俺はあきれたね
立ち直ってくれて良かったなー、なんて安心してたわけ
でも、事件は起こった
その友達の前に現れたらしいんだよ
何の前触れもなく
突然
富江が
別に気にしてなかったんだよ
でも翌日
死んだんだよ、友達が
不幸が続くのは嫌だなぁ、なんて気が滅入っちゃってさ
でもまぁ、今は安らかに眠れ
って友達を供養したんだ
俺のクラスに来たんだよ
富江の双子の…妹か姉かどっちか知らないけどさ
転校生として来たんだよ
奇遇だなぁ、なんて思ってさ
でも何か不気味だし
双子だからきっとこっちの富江も性格悪いんだろうなー
なんて思って、俺は近づかないでいたんだ
いつの間にか、クラスでは俺と富江(仮)が付き合ってることになってたんだよ
富江(仮)はクラスの男子の中でも人気でさ
嫉妬か何か知らないけど、俺イジメられるようになったわけ
で、俺そのまま登校拒否になったわけよ
その間も、富江(仮)は俺の家に毎日来てさ
何か怖くなって来たわけよ
図々しく俺の部屋まであがりこんで来たんだよ
「もうほっといてくれよ富江(仮)!」
思わずそう口に出したんだ
そしたら
富江(仮)は形相を変えてこう言ったんだ
「(仮)じゃない。私は正真正銘、富江よ」
俺はゾッとしたね
という事は俺は友達の彼女を略奪したことになってしまう
いや厳密に言えば付き合ってるわけじゃないから、別に略奪ってわけじゃないけど
何か心苦しいものがあった
ていうか友達すでに死んでるし、別に付き合っていたところで問題ないな
という結論に至り、俺はどうでもよくなった
気にするところはそこかよwwwwwwwwwww
富江「べ、別にアンタの声で目覚めたいとか、そんなんじゃないんだからね!」
男「はいはい」
あの日から何故か富江は俺の家でずっと暮らしている
正直、帰ってほしいんだが
ゆき「ええー?また増えたのぉー?」
貞子「最低!」
伽椰子「男くん…」
男「なぜそんな目て俺を見る」
なぜこいつらも憑いて来たのかは謎だ
男「伽椰子、早くメシ」
伽椰子「うん、今急いで作るね」
貞子「ていうか今日日曜じゃん…もっと寝てれば良かった」
男「お前が買い物したいから早く起こしてって、俺に頼んだんだろが…」
貞子「そうだっけ?」
男「おう」
貞子「ちょっと男!ゆきの事甘やかしすぎよ!」
富江「そうよ!うらやま…じゃなくて!自分でやらせなさいよ!」
男「しょうがないだろ。ゆきは精神年齢が小学生でストップしてんだぞ?」
貞子「ぐぬぬ」
ゆき「…ニヤッ」
富江「!?」
ゆき「…アッカンベー」
富江「こ、殺すぞクソガキ…!」
男「物騒なこと言ってんじゃねーよお前…」
富江「だ、だって!だってそのガキが!」
伽椰子「ほらほら喧嘩はよしなさい。はい、朝ごはんできたよ」
ゆき「わーい」
富江「ちぇっ…」
貞子「ふふっ、伽椰子の料理は美味しいわね」
男「ん?ああ、美味しいよ」
伽椰子「…//」
富江「…」ギリギリ
男「歯軋りするなよ、歯か欠けるぞ」
富江「ふんっ」
伽椰子(ま、この中で家事出来るのは私だけだし…皆には悪いけど、一歩リードってところかな)
賑やかなのも別に悪くはない
そしてその日、俺たちは皆で近くのデパートに行ったわけ
そもそも、用事があったのは貞子だけだったんだけど
色々見て周ってる内に、他の皆もショッピング始めちゃってさ
富江なんて2時間ぐらいずっと服見てたんだよ
知らんがな
俺に女の服のことを聞くなよ
しかも俺、童貞だぜ?
「そういうのは店員に聞けよ」
そしたらさ、富江が何かすっごい睨んで来るわけよ
人を殺せそうな眼をしてたね
途中で貞子が凄い勢いで仲裁に入ってくれてさ
その時はなんとか丸く収まったわけ
次はゆきがおもちゃ屋に行きたいって言うから、行ったんだよ
そこにはうさぎのぬいぐるみがあってさ
ゆきはそのぬいぐるみをジーっと見てるわけ
「欲しいの?」
ゆきは何も言わずに首を横に振った
でもさ、バレバレなわけよ
あ、こいつ欲しいんだな。ってすぐに分かったよ
ゆきは笑った
貞子と富江は怒った
俺がゆきを甘やかすのが、よほど気に入らないらしい
こいつら心狭すぎだろと思いつつ、俺はぬいぐるみを購入したわけよ
「一生大事にするね」
ゆきはぬいぐるみを抱きしめ、頬を少し赤らめながら柔らかく微笑んでいた
次の瞬間、俺は富江に首を絞められていた
意識が朦朧としてきた時、また貞子に助けられた
「わ、私もゆきみたいに甘やかしなさいよ!」
こいつ…ドSなのに甘えん坊だったのか…
驚愕の事実にとまどいつつ
甘やかすってどうやってだよ、と考えた末
俺はとりあえず富江の頭を撫でてみた
すると
富江は俯いて黙り込んでしまった
俺の手で触られたのがよほどショックだったらしい
富江は「は?」と言わんばかりの顔を俺に見せた
「そ、そうだ!私本屋に行きたいな~」
伽椰子が割って入って来た
そして俺たちは、本屋に向かったわけさ
聞けば、伽椰子は料理本が欲しいらしい
実に伽椰子らしいと感心しつつ
俺はエロ本コーナーに向かった
俺は女子高生モノを手に取り、パラパラとページをめくって見てたんだ
ふと
後ろから妙な殺気を感じるんだ
俺は振り返った
するとそこには、貞子と伽椰子と富江とゆきがいたんだよね
あ、俺死んだな
って思ったのさ
貞子が俺に冷たい視線を突き刺してくる
「変態」
富江がまた人殺しのような眼で俺を睨む
「へぇ…そういうが趣味だったんだ…」
伽椰子が哀しげな瞳で俺を見つめる
「クンニ…って何?」
ゆきは知らなくていい事だよ
と、俺は優しくゆきに言った
ゆえに、このような官能的な本を愛読するのは当然である
俺は4人に力説したわけよ
そしたらその場で貞子と伽椰子と富江にボコボコにされたってわけ
「だいじょうぶ?」
ゆきがそう言って絆創膏を張ってくれたんだ
傷のないところに
ゆきは天然なところが可愛いな、と思いつつ
ゆきを撫でてやったわけよ
そしたらまた貞子と伽椰子と富江が俺をボコボコにするわけよ
という結論に至り、俺は彼女たちの暴行を真摯に受け止めた
殴られたり蹴られたりするのは、もともと嫌いではなかったからな
そんでさ、その後皆でデパートの中にあるレストランに行ったんだ
そしたら、レストランの店員が不思議なことを言い出すんだよ
「お客様1名でいらっしゃいますか?」
確かに俺みたいな奴が、女4人を連れて歩くなんて思わないかも知れないな
「いえ、5人です」
するとだ
店員が頭に「?」を付けて俺をまじまじ見てくるわけよ
俺、そんなにブサメンなのかなって思ってさ
軽くショック受けてたんよ
そしたら店員がまた不思議なことを口に出すわけ
「4名様は、後でお越しになられるんですか?」
「いや、後ろにいる4人を入れて5人です」
って返したわけさ
そしたら店員が固まっちゃってさ
「いいから早く入ろうよ」
って後ろから富江が急かすもんだから、仕方なく1名っていうことで入ったんだよ
水も一杯しか持ってこないわけ
どう思う?ひどすぎでしょ
でもまぁ、最近のバイト店員はこんなもんなのかなぁ、なんて思ってさ
このままで日本の将来は大丈夫なんだろうか、なんて思いに耽ってたわけよ
水は仕方ないから、皆で回し飲みすることになったんだけど
何か知らんが皆、俺の後に飲みたがるわけよ
あとでジュースでも買ってやろうかと考えつつ
俺と貞子と伽椰子は
ゆきが頼んだオムライスに入ってるグリーンピースをせっせと取り除いていたのさ
と言うのも、ゆきはグリーンピースが嫌いでさ
取ってって言うもんだから、3人でこうして取り除いてるわけよ
その間
富江は不機嫌そうに窓の外を見ながら
カキフライを食べていた
背伸びしてカキフライ頼みやがったな
まぁ、早く大人になりたいお年頃だもんな
そして俺たちはレストランを後にして
帰宅したのだった
貞子「じゃあ、まずは私から行くわね」
男「お、おう」
ゆき「ゴクッ」
貞子「これは、私が知り合いから聞いた話なんだけどね…」
貞子「ある一家が、古い一戸建ての家に引越ししたんだって」
貞子「だけどその家に住んでからね…怪奇現象が次々に起きるようになったらしいの…」
男「うおおお…怖えぇ…」
ゆき「ふぇぇ…」
貞子「どう?怖いでしょ?」
伽椰子「……何か聞いたことのあるような話ね」
貞子「何、いちゃもんつける気?」
伽椰子「別にそう言う訳じゃないけど…」
貞子「ならアンタが話してみなさいよ」
伽椰子「これはね…ある美しい少女と、その美貌に取り付かれた男たちの話よ…」
男「マジ怖いなその話…」
ゆき「ふぇぇ…」
伽椰子「でもこの話ね、実際にあった事みたいよ?もしかしたら今も誰かが犠牲に…」
富江「……あんまりピンと来ないわね」
伽椰子「そーかな?」
富江「次は私よ!」
富江「これはね…ある小学生たちが、遊園地のお化け屋敷に行った時の話よ」
富江「男の子二人と、目の見えない女の子、大人しい女の子と、その妹の5人で行ったらしいの…」
貞子「んー…そんな怖くないわよね、その話」
男(…何か身に覚えのある話だな)
ゆき「ふぇぇ…その女の子、何か私みたい…」
富江「何か反応悪いわねぇ…」
男「ゆき、お前も話してみるか?」
ゆき「うん」
ゆき「これはね、ある男が友達からビデオテープを渡された事から始まるお話なんだけどね」
伽椰子「怖っ!何でテレビから出て来るわけ?」
富江「予想外のオチだったわね…正直私もビビっちゃったわ」
貞子「……う~ん…なーんかその話、私知ってるのよねぇ」
男「そんなに有名な話なのか?」
ゆき「うん、結構有名らしいよ」
男「へぇ」
貞子「ん~…その話どっかで…どこだったかなぁ…」
俺が夜道を歩いていると、背後に何か気配を感じたんだ
何だろうと思って振り返ると
女の人が立ってるんだよ
その女はでかいマスクをしてて
ただこっちをじっと見つめてくるんだ
ただ見つめられるのは恥ずかしいから、俺が沈黙を破ったわけよ
「わたしきれい?」
藪から棒である
こんな夜にそんな事、俺に聞くなと思いつつ
あ、でかいマスクはもしかして口を整形したからなのかな
と考えたのさ
と、説教してやりたかったが、早く家に帰りたかったので
「はい、とても綺麗ですよ」
と適当に言ったんよ
そしたらその女がさ、つけてたマスクを取り始めたんだよ
「これでもかー!!」
俺はゾッとしたね
それを見て俺は一発で理解したね
ああ…、整形に失敗したな
かわいそうに…
だから懇願するように私は綺麗かなんて聞いたんだな…
「はい、それでも貴女はとても綺麗ですよ」
それがせめてもの言葉であった
嘘は方便って言うしな
この間、電話が鳴ったわけよ
出てみると
「私メリーさん。今あなたの町に来てるの」
なんて言うわけよ
メリーさんて誰よ
そんな知り合いいたっけかな、なんて考えてはみるものの
いないんだよ
そんな知り合い
「私メリーさん。今あなたの家の前にいるの」
なんて言うわけさ
いやぁ…これは困ったもんだな。って思ってさ
俺は恐る恐る口を開いて
メリーさんとやらに行ったわけよ
「ごめん、今大学にいるんだけど…」
しばらくメリーさんとやらも黙り込んじゃってさ
「いや、大学の図書館で調べたいことがあったからさ…」
メリーさんとやらはまだ押し黙ってるんだよ
「…家についたらまた連絡するって言うのは?」
「あ…うん、わかった。じゃあ番号言うね。えっと…×××の…」
あ、そうだ、トイレに寄っていこう。って思って
俺はトイレに行ったんわけよ
そしたらさ、男子便所がなぜか閉まってるんだよ
我慢できなかったし、人も全然いなかったからさ
女子便所に入ったわけ
あー、女子便所ってこんな匂いがするんだなぁ
なんて思いながらチンコを勃たせていると
何か女の子が立ってたるんだよ、そこに
何か不気味なんだよ
「お嬢ちゃん、こんなところで何してるの?」
って聞いてみたわけ
俺が何してるんだって話だけどさ
男子の方は使えないし、仕方ないじゃんと一人で納得してたんだよ
「花子」
一言、女の子は自分の名前を言ったんだ
今どきの子供にしては古風な名前だなー、なんて思ってさ
でもまぁ、何て読むのかも分からないようなキラキラネームよりはマシだよな
なんて思ってたんだよ
「君、どこからここから入って来たの?」
花子ちゃんは何も答えないんだよ
きっと恥ずかしがってるんだろうな
こういう奥ゆかしさが今の女性には足りないんだろうな
という自分なりの結論を出し
俺は花子ちゃんのような女性が増えるよう星に願ったのです
「家についたよ」
「うん、今から行くね」
声からして、子供っぽいのさ
こんな時間に子供がほっつき歩いてていいのかなー、なんて心配してたらさ
「今電話してたの誰?」
って背後で伽椰子が聞いてきたんだよ
「メリーさん」
って答えると、伽椰子は何故か溜め息をついたわけ
男「おう、入っていいよ」
メリー「私メリーさん。今あなたの後ろにいるの」
男「何!?」
振り返ると、いるんだよ
メリーさんが
俺はゾッとしたね
こんな時間まで外出歩いてるとなれば…
そう
人身売買しか考えられないわけよ
この国も地に堕ちたな、なんてゾッとしちゃってさ
「安心しろ、俺が守ってやる」
って抱きしめてやったわけよ
そしたら後で富江と貞子と伽椰子にボコボコにされたわけ
ゆきとメリーはそれを怯えながら、何も出来ずに見ててさ
願わくば、君たちはこんな女にはなるなよ…
俺は再び夜空の星に願ったね
ドアを開けてみると、そこには先ほど知り合ったばかりの整形女がいてさ
彼女を見るや、皆怯えちゃってさ
「何でアイツあんなに口でかいのよ!」
なんて富江が失礼極まりないこと言い出すんだよ
俺は彼女が貧乏育ちのいたいけな少女時代を過ごし
一生懸命働いたお金でやっと整形したのはいいけれど
ヤブ医者のせいで整形が失敗に終わったことなど
彼女の生い立ちからこうなったに至るまで、すべて説明したのさ
皆泣いて彼女に謝ってさ
何故か彼女自身はポカンとしてるわけよ
この娘はきっと今まで人の優しさに触れることなく
健気に生きてきたんだな、と思ってさ
思わず抱きしめたわけよ
そしたらまたボッコボコよ
また玄関のチャイムが鳴ったんだよ
やって来たのは花子ちゃんでさ
何か皆溜め息ついてるわけ
ゆきとかメリーとか、友達が増えていいじゃん。って思うんだけどさ
二人も溜め息ついてるんだよ
世の中不思議なこともあるもんだなぁ
なんて考えつつ
俺は寝た
厄年ってこともあってさ
神社に厄払いに来たわけよ
皆は嫌がってたけどさ
行ったわけよ
普通の神社で手に負えるレベルじゃないなww
俺は目を瞑って
こうしてる間、考えることも特にないし
このまま無我の境地でも開こうかな、なんて考えてたんだ
いや、そんな事考えること自体、無我の境地は悟れないだろ
と自己完結してさ
終わるのをただひたすら待ってたわけよ
なんと
神主が死んじゃったんだよ、目の前で
うわぁ…こんな事もあるんだなぁ
って、俺は初めて目にした死体に怯えてさ
なぜか隣にいたゆきがニヤニヤしてるわけよ
伽椰子も貞子も富江もメリーも花子も整形女も
皆笑ってるわけ
俺はゾッとしたね
富江は死体を見て笑っても何ら不思議ではない
でも他の皆まで笑ってるんだぜ?
何これ
皆の性格を歪ませる富江教でも始めたのか?
だとしたら絶対に入りたくないなぁ、なんて思ってたのさ
そしたらゆきが
「さ、帰ろ」
なんて言うんだよ
いやいやいやいやいや…
俺の厄払いは?
そしたら貞子が
「そんなもの必要ない」
なんて言うんだよ
でもまぁ、貞子がそう言うならそうなのかなぁ、なんて納得しちゃってさ
貞子「だってあなたは…私たちが守ってるから//」
男「…?」
就職にも苦労はしたけど何とか就けたわけ
今度は結婚かな
なんて思ってさ
俺だって、ちゃんと世帯を持ってみたいわけよ
俺は、会社の同僚をディナーに誘った
その夜は色々喋ったんだよ
それで、ホテルに行ったんだ
これで童貞ともおさらばだな…
俺は嬉しかったね
同僚が、シャワーを浴びに行き、俺はその時を心待ちにしてたんだ
その時だった
シャワールームから聞こえたんだ
悲鳴が
するとそこには
首を切られた同僚が死んでいたんだ
怖かった。ものすごく
同僚が死んだことも
また童貞卒業が遠のいたことも
ショッキングだったわけよ
「またいい人に出会えるよ」
そんな虫のいい話があるかよ
伽椰子は付け足した
「もしかしたら…すぐそばに、いるのかもよ…?」
ゆきちゃんのことか
確かに彼女とは幼馴染だし、仲も良い。相性もいいだろう
でもゆきは、精神年齢11歳ぐらいだぞ
俺がそんな事を言うと
伽椰子は俺をボコボコにしたんだよね
俺と交際した女性は皆死んで行くんだよ
そしてその度に
貞子も伽椰子も富江も、皆して嬉しそうな顔するんだよ
俺はゾッとしたよ
きっと俺は、童貞を捨てられない星の下に生まれてきたんだなって
死にたくなったわけよ
俺がそう呟くと、部屋の時間が止まったように静まり返った
「ついに来るのね…」
貞子がそう言っていたが、意味はよく分からなかった
聞こうともしなかった
聞いてはいけないような気がして…
皆は止めようとはしなかった
何だか寂しい
いや、自分がモテないことは分かってる。分かってるけど
あいつらには
あいつらだけには
好かれてるんじゃないかな、なんて心のどこかで思ってたわけよ
別に異性として好きとかじゃなくて
友達として…好かれてるんじゃなかったのかなって…
人は死んだら、無に帰るとどこかで聞いたことがある
なぜだろう
無ではない
確かに感じるんだ
目の前が、真っ白な光に包まれている
誰かの、ぬくもりを感じる
誰かの声がするんだよ
聞き覚えのある、心がやすらぐ、優しい声が
ゆっくり目を開ける
「起きた?」
俺は、貞子の膝枕で眠っていた…
眠っていた?死んでないのか?
自殺することさえ、俺には許されないのか…?
富江の声だ。その声の方を見てみると、富江が微笑んでいる
「こっちの世界に来たのね…」
伽椰子の声だ
こっちの世界?
俺がどういう事か尋ねようとしたその刹那
部屋の電気が消えた
直後、俺は異変にすぐ気付いた
さっきまで温かかった貞子の膝枕が、湿ってるんだよ
あ、こいつ漏らしたのかな?
でもデリケートな問題だから、俺は口には出さないわけよ
俺とてジェントルマンなわけですからね
やがて
真っ暗だった視界が、徐々に目が慣れて
薄っすらと見えるようになってきたわけ
伽椰子…?
伽椰子が、血だらけになっているように見えた
メリーは…どこだ?
さっきまでメリーがいた場所に
一体の人形が置いてあった
返事がない
ただのしかばねのようだ
いや、違う
ベッドに寝ている
口に吸引機を付けられて、まるで植物状態のように
ゆきはぐっすり眠っていた
さ…だ…こ…?
「なぁに?」
貞子だ
「なぁ…聞いても…いいか?」
貞子は無言だった
貞子の沈黙を押し返すように、俺は続けた
「何で…お前の手、そんなに冷たいんだ?何で…お前の体、濡れてるんだ…?」
あははははははははははははははははははははははははははは
あはははははははははははははははははははははははははははは
あははははははははははははははははははははははははははははは
あはははははははははははははははははははははははははははははは
あははははははははははははははははははははははははははははははは
あはははははははははははははははははははははははははははははははは
響くのは、笑い声
滴るのは、井戸の水
感じるのは、血の匂い
蘇るのは、皆との記憶
貞子「んー…あと5分…」
ゆき「ふぁ~あ…眠いよぉ…」
伽椰子「ほらほら、もう朝ごはん出来てますよ」
男「おっ!やっぱ伽椰子の料理は美味いな」
伽椰子「そ、そんな…//」
富江「ギリギリ」
男「歯軋りすんなよ」
いつもと変わらない日常
誰にも邪魔されることのない世界
誰も踏み込めない、この世界
隣の部屋の住人が噂話している
耳を傾けてみた
どうやらこのアパートに
幽霊が出たらしい
俺は「富江」だけ未見です
あらすじを知ってる程度です。
ごめんなさい
バッドぽいハッピーエンドだな
面白かった
これ主人公ラスト死んでねえか?www
Entry ⇒ 2012.02.01 | Category ⇒ 男女「」SS | Comments (0) | Trackbacks (0)
男「」貞子「の、呪まーす!!」
男「」
貞子「呪まーす!!!!」
男「」
貞子「の、呪まー、す」
男「」
貞子「の、ぐすっ、呪まーぐすっ、すっ!」
http://hayabusa.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1327863291/
男「」貞子「の、呪まーす!!」
男「いや、いきなりテレビから現れて呪まーすって、反応出来ないよ」
貞子「普通うわぁーー!とかきゃぁぁぁ!!とか悲鳴あげるでしょ!!」
男「うわぁーー!!!!!」
貞子「きゃぁぁぁぁ!!!!」
貞子「ぐすっ、い、いきなり大声出されたら誰だってビックリしますよ!!」
男「うん、いやそれは俺が悪かったけど。君だれ?」
貞子「テレビから出てきて呪まーす、ですよ!?貞子です!!あの貞子ですよ!!」
男「貞子?ああ言われてみれば。髪の毛長いし」
貞子「そ、そこですか」
貞子「貴方は先程このビデオを見ましたね?」
男「ああ、友人に借りててな。あいつはビビって見ていないらしいが」
貞子「はい、それで見ていた貴方に呪いをかけました」
男「は?」
貞子「貴方の命はあと一週間です」
貞子「本当です。証拠にほら、私がテレビから出てきているじゃないですか」
男「貞子!!」バンッ!
貞子「ひっ!い、いきなり押し倒してなにを!!」
男「俺の呪いを解く方法を教えろ」
貞子「あ、ありません!!」
男「・・・本当のことを言え、呪いを解く方法は?」
貞子「あ、ありま、、、せんっぐすっ」
男「と、く、ほ、う、ほ、う、は!?」
貞子「ありませんってばぁぁ!!」半泣き
貞子「い、いきなり押し倒されて・・・びっくりした・・・」ドキドキ
男「まぁ、かけられちまったもんは仕方ねえか。貞子」
貞子「は、はいっ!」
男「とりあえずその濡れた服着替えろ。俺のシャツかしてやるから。あと風呂はいれ」
貞子「えっ!?」
貞子「えっと、お風呂は」
男「このドアの先。赤色の容器がシャンプーで青色がボディソープな」
貞子「あ、ご親切にどうも」
男「いいよ別に。あと一週間の命ならはとに優しくしていきたいからな」
貞子「・・・・すみません」カラリ
貞子「あの~、男さ~ん。シャンプーの替えはどこに」
男「しっかしあと一週間かぁ」
男「せっかくこの前大学の合格通知が来て親と喜んでたのになぁ」
男「親父には無理させてたからなぁ。俺が死んだら少しは楽になるかな?」
男「お袋は、悲しむだろうなぁ。まこればっかりはどうしようも」
貞子「す、ずびばぜん"~~~~!!!、」
男「うおっ!?ぜ、全裸の貞子さん!?」
貞子「すみません!!呪いなんかかけちゃってすみません!!!」
男「あ、聞いてたんだ」
貞子「で、でもぉ・・・」
男「そ、それよりもですね貞子さん」
貞子「?はい」
男「そろそろ前を隠していただけたらありがたいんですけど・・・」
貞子「き、」
男「き?」
貞子「きゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!」
男「え、えーとですね貞子さん。先程のものは目を逸らしていたので全然見ていなかったというか」
貞子「・・・私の胸どうでした?」
男「小さかったけど可愛い乳首とかつるぺたな胸とかドストライクでした」
貞子「バッチリ見てるじゃないですかぁ・・・・うわぁぁぁぁぁぁん!!」
男「あー、貞子さん貞子さん」
貞子「ダメ、お嫁にいけない。子供も産まれちゃう」
男「・・・貞子さん?」
男「は、はいっ!」
貞子「こ、子供は何人欲しいですか・・・?」
男「・・・貞子さん、君は子作りを根本的に間違えている」
貞子「ふえ?男さん何を言っているんですか?キスとか裸を見られたら女の人は子供が生まれちゃうんですよ?」
男「お前は小学生か!!」
貞子「ひっ!」
貞子「そ、そうだったんですか・・・」
男「それよりも、君のことだよ貞子さん。君は人を呪うだけのために出てきたのかい?」
貞子「はい!!人を殺してその魂を集めるにする。それが私達下っ端貞子の仕事です」
男「下っ端貞子、貞子にも階級があるのか」
どこで?」
貞子「えっと、別にどこでも・・・」
男「じゃあ俺の布団使って、俺はソファーで寝るから」
貞子「ええ!?だ、ダメですよ!仮にも私は貞子ですよ!?」
男「俺は幽霊だろうがなんだろうが女には優しくするようにしてんの。つべこべ言わずに寝ろ」
貞子「じゃ、じゃぁお言葉に甘えまして・・・おやすみなさい」
男「ん、みー」
貞子「」すーすー
男「夢じゃ、なかったのか」
男「昨日から始まってあと六日の命か」
貞子「ーーーーんにゃぁ」すーすー
男「・・・可愛いな、貞子なのに。貞子なのにっ!」
貞子「え、?あ、おはようございます男さん」
男「朝飯できてるぞ。早く食え」
貞子「あ、朝ご飯ですか・・・?」
男「なんだ?味噌汁嫌いだったか?」
貞子「い、いえぐすっ」
貞子「い、今までこんなにぐすっ、優しくされた事なくて・・・」
男「あー、貞子だもんねぇ。嫌われるのは当然だよな」
貞子「あ、ありがとう、ございますっ」ぐすぐす
男「・・・あのさ貞子さん」
貞子「はい・・・?」
貞子「え、あはい。井戸に住んでましたから。あかぎれとかするんですよ」
男「ちょっと待ってて」
貞子「?」
男「これ、あかぎれ用の薬。と包帯。薬塗ったあと巻いときな」
貞子「あ・・・はい、わかりました」
男「さて、今日はなにしようか。街にでも遊びにいく?」
貞子「え・・・?」
男「一週間で死ぬんだ。楽しい事して死にたいし」
貞子「すみません」
男「いいよ、謝らなくて。どこいく?服屋とか美容室とかいこうか」
貞子「び、美容室ですか」
男「髪も長くて綺麗だし。整えた方がいいと思うし」
貞子「なんで、ですか?」
男「・・・死ぬから、だよ。最後くらい一人にだけでもいい人でいたいんだよ」
貞子「・・・・」
男「さて、遊ぼうぜ。死ぬとこも忘れてさ」
男「はぐれんなよー、はぐれたらもう会えないぜ~」
貞子「うー、えいっ!」ポンッ
男「は!?貞子さん!?消えたよ!!」
ヴィーヴィーヴィーヴィー
男「着信?」
貞子「やっほー」
男「」
男「もとには?」
貞子「ここで戻したかったらテレビを探さないといけませんね」
男「服買えないじゃん!!」
貞子「ああ!!驚かそうとして忘れてた!!」
男「はぁ、まあいいか」
貞子「いいですね、白色は私好きですよ」
男「お、そうか?じゃあこれな」
貞子「はい!えっとじゃあ次は」
男「これとか似合いそうじゃねぇか?」
貞子「椿、ですか?」
貞子「お、男さんが言うなら」
男「ん、オッケー」
店員「16580円です」
男「あ、カードで」
男「別にいいよ、どうせ死んだら金とか関係ないし」
貞子「そ、それもそうですね」
男「だろ?さ、さっさと帰って服きてくれよ」
貞子「は、はいっ!!」
男「・・・すげぇ、似合ってる。白ワンピがここまで似合う奴はそうそういねぇよ」
貞子「そんなに褒めても何もでませんよ」テレテレ
男「いや、本当に。これは墓まで持っていく」
貞子「そこまで言ってくれるなら着た甲斐がありました」
男「そりゃ俺のセリフだよ」
喧嘩も問題もなく、ただ二人で遊ぶ毎日。貞子の笑顔を見るのがいつしか俺の楽しみになった。
男「あと一日、か」
貞子「短かったですね。あっという間でした」
男「俺が死んだらお前はどうなるんだ?」
貞子「テレビの中に戻ってまた誰かの手に渡るのを待ちます」
貞子「まぁ、男さんほど優しい人はもう現れないかもしれませんが」
男「ははは、ったく。死ぬってのに実感がわかねぇな」
男「・・・貞子さん」
貞子「はい?なんですか」
俺が貞子さんに抱いてる気持ちは
男「死ぬ前にいう事があるんだ」
貞子「なんでしょう。そんなにあらたまって」
たぶん、じゃなくて確かに
男「俺、貞子さんの事好きだ」
貞子「う、嘘ですよね!?死ぬ前の冗談ですよね!!あ、あははは男さんったら質のわるい冗談を」
男「本気だよ。俺は貞子さんが好きだ」
男「その黒い髪も、丁寧な口調も、可愛い笑顔も全部」
貞子「・・・ダメですよ。私なんかを好きになったら」
貞子「それは死ぬ間際にいるからです。私じゃなくても」
男「そうかもしれない、でも俺は貞子さんが好きなんだ」
貞子「・・・・・」
男「?」
貞子「私だって、男さんのこと好きですよぉ、グスッでも、私は貞子なんです!!人間と結ばれる事は出来ないんです!!」
男「・・・・いや、俺は貞子さんの気持ちがわかって嬉しいよ。それだけで俺は死ねる」
男「ありがとう。貞子さん」
貞子「ぐすっぐすっ」
男「泣かないで、貞子さん」なでなで
貞子「男さああああん!!!うわぁぁぁぁぁぁぁん!!」
貞子「なんで!!なんで私は貞子なんですか!?いつもなら憎まれて!!恨まれるだけでいいのに!!こんなにも人を好きになって!!」
貞子「私が貞子なんかじゃなかったら!!貴方とも普通の恋が出来たかもしれないのに!!どうして!!どうして!!」
男「泣き疲れたか、俺も寝ようかな」ゴロン
貞子「」むくり
男「」zzz
貞子「男さん。呪いを解く方法はありませんが、回避する方法ならあるんです」
貞子「私達の呪いは時間が決まっているんです。その時間と違う時に対象が死んでしまったら呪いは不成立。救われます」
貞子「・・・さようなら、男さん。愛してます」
貞子は包丁を左胸に突き立てた。
男「・・・・・んぁ、ここは?」
母「男!!良かった、目が覚めて・・・」
男「母さん?」
父「お前、二日前の事は覚えているか?」
男「二日前・・・?」
母「包丁が胸に突き刺さっていたのよ、あと少しで肺にとどいて手遅れになっていたらしいわ」
父「なんにせよ、生きていて良かったよ」
男「呪いが解けたのか・・・」
父「手術中何度か心臓が止まったらしい。それを死んだと言うのならお前は何回か死んでるよ」
男「・・・そうか。俺の部屋は?」
母「そのままにしてあるわ。でも」
男「でも?」
母「救急車に連絡してくれたのは誰なんでしょうかね」
お袋が実家に戻るかと言ってきたがあの部屋は俺と貞子さんの思い出が詰まっているへやだ。誰かに譲る気なんて毛頭ない。
男「久しぶりの我が家か。血だまりとかあるのかなぁ」
男「まぁ、いいや。すぎた事だ諦めよう」
男「ただいま~っ!!」ガチャ
シャワァァァァァ
男「?」
貞子「」シャワァァァァァァ
男「」
男「・・・・えっと、その~。お邪魔しました~」スススッ
貞子「きゃぁぁぁぁぁぁ!!!!」
男「えっと、貞子さん」
貞子「・・・なんですか」
男「お久しぶり、元気だった?」
貞子「私の裸見て感想はそれだけですか!?」
男「いや、だってさいるとは思わないし」
貞子「私は貞子としてやってはいけない事をしてしまったので、テレビの中に戻れなくなったんです」
男「あー、そうなんだ」
貞子「ええ、それじゃあ男さん」
男「おう」
貞子「今後とも、呪まーす!!」
終
乙
よかったよかった
祝まーす
Entry ⇒ 2012.01.31 | Category ⇒ 男女「」SS | Comments (0) | Trackbacks (0)
少女「なにこの数字?」男「HP(ヒットポイント)だよ」
男「おい、ピーマン残してるぞ」
少女「だって……」
男「いいか、俺は将来を嘱望されている若き天才科学者だ。卵だけど」
男「将来的には、数々の科学賞を総ナメにすることはまちがいない」
男「そんな俺が、なんとお前を養うために二人暮らしをしている」
男「──まぁ、それはいい」
男「問題は、そんな忙しい俺がお前のために栄養面を完璧に計算して作った食事を」
男「お前が残しているということだ」
男「よく聞け。ピーマンはビタミンCが豊富で──」
http://hayabusa.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1327665770/
少女「なにこの数字?」男「HP(ヒットポイント)だよ」
男「な……!」
少女「ピーマンくらい食べられるよ」
少女(男さんの料理を残すわけないじゃない)
男「……じゃあ、なんであんな露骨に残してたんだよ」
少女「男さんの怒った顔が見たかっただけ。かっこいいから」
男「………!」イラッ
少女「じゃあ、ちょっと二階でゲームやってくるね」
男「おい、宿題とかはやったのか?」
少女「もう終わった」
少女「誰かさんのおかげで、勉強だけはできるから」
トタタタタッ
男「くっ……」
男「ここに来た頃の健気さはもはや面影もない」
男「ご両親を事故で亡くした後、ようやく元気になったのはいいんだが──」
男「近頃俺を軽視しすぎじゃないか?」
男「軽視ならまだいいが、バカにされてる気すらする」
男「かっこいいってのは年中白衣の俺に対する皮肉か?」
男「しかもろくに洗ってないから、白衣というか灰衣といってもいいかも」
男「………」
男「なにも上下関係がどうのというつもりはないが」
男「ここらで少し俺は優しいだけの天才じゃない、と思わせるのもいいかもしれん」
男(しかし……いったいどうやって……)
少女『じゃあ、ちょっと二階でゲームやってくるね』
男「……なるほど、ゲームか」
男「決めた」
男「ここら辺に壊れた腕時計があったよな」ガサゴソ
男「いつか直そう直そうといってたやつ」
男「めんどくさくて、結局やらなかったけど」
男(ほとんど外出しないから、そもそもいらないしな)
男「どこだったかな……」
男「!」
男「あったあった」
男「よぉ~し、コイツを使って……」
男「おい」
少女「なに?」
男「お前にプレゼントがあるんだ。俺の新発明」
少女(え……)ドキッ
男「これだよ。腕にはめてみてくれ」
少女「う、うん……」ワクワク
ピッ
装置には100という数字が出た。
少女「なにこの数字?」
男「HP(ヒットポイント)だよ」
少女[HP100]「HP(ヒットポイント)?」
男「だから、ゲームキャラの気分を味わってもらおうと思ってね」
少女[HP99]「ゲ、ゲームキャラ……?」
男「お、動揺したな? 少し数字が減ったぞ」
少女[HP98]「へ、減った……?」
男「お、また減った。こりゃーまずいなぁ」
少女[HP98]「減ると、ゼロになるとどうなっちゃうの……?」
男「さぁて、な」
男「どうなっちゃうんだったか……」
男「まぁ、ゲームのキャラがHPがゼロになった場合……」
男「どうなるかってのを考えると……」
男「だいたい想像がつくだろうけどな」ニヤリ
少女[HP98]「!」ドキッ
男「興奮するなよ。ゲームとかのHPとは多少仕様が違うから」
男「ストレスを感じると、どんどん数字が下がるぞ」
少女[HP93]「は、外れない……!」グイグイ
男「無理だよ。一度つけたらもう、その装置は俺にしか外せない」
男「一時間経つか、HPがゼロにならない限りはな」
男「ゼロになったら……。あぁ~……可哀想に」
少女[HP93]「………!」ドキッ
男(よしよし、相当動揺してるみたいだな)
男「おいおい息が乱れてるぞ。落ち着けって」
男「案外イヤなもんだろ?」
男「ジェットコースターの最初の坂を上ってるあの感じに近いかもな」
少女[HP90]「くっ……!(冷静にならないと……男さんの思うツボだ)」ドクンドクン
少女[HP90]「………(リラックス、リラックス……)」
少女[HP90]「ふぅ~……」
男「お、さすがだな。HPの減少が止まった」
少女[HP90]「ようは一時間、動揺したりしなきゃいいんでしょ?」
男「飲み込みが早いというか、度胸があるというか……」
男「ま、ルールはあまり派手に暴れるのはナシってことで。家の中だし」
男「あ、あと外、トイレやベランダに逃げ込むのもナシ」
少女[HP90]「分かった」
男「逆にいえば、これくらいの攻撃はアリってことだ」ペチッ
少女[HP87]「なっ……」
男「痛くもかゆくもないだろ? でもどんどんHPは減ってくぞ」ペチッ ペチッ
男「ヒット(命中)ポイントとはよくいったもんだな」ペチッ
少女[HP81]「あ……あぁっ……!」
男「今度はグーだ」ポスッ ポスッ
少女[HP74]「や、やめっ……!」
男「数分でもう70台に入ったか。こりゃー俺の勝ちっぽいな」ペチッ
男「うおっ(クッション攻撃か)」
タタタッ
男「逃げたか……」
男「ま、焦ることはないか」
男(つーか、まさかノッてくるのは思わなかったな)
男(ふざけないで! とかいって反抗するものとばかり……)
~
洗面所──
少女[HP67]「ハァ……ハァ……」ドクンドクン
少女[HP67]「たしかに、イヤな感じ。自分の体力みたいなのを、数値で表されると」
少女[HP67]「ゼロになったら……まさか爆発とかしないよね」ドキン
少女[HP66](あ、ダメダメ。動揺したらどんどんHPがなくなっちゃう)
少女[HP66]「あうっ!?」ビクッ
少女[HP60]「くぅっ……!(びっくりした……)」ドクンドクン
男「ふっふ、今のは効いただろ」
少女[HP58]「きっ……効いてない!」ドクンドクン
少女[HP57]「ハァ……ハァ……」ドクンドクン
男「あっ、ゴキブリ!」
少女[HP57]「きゃあっ!?」
男「ウ、ソ、だ、よ」
少女[HP53]「ううう~……」ドクンドクン
男「さて次は何をしようかな……」
男「うわっ(今度はタオル攻撃か)」
タタタッ
男「二階に行ったか……」
男「ぷっ……くくくっ……」
男「あんなにビビりまくるアイツを見るのは初めてだな」
男「この試みは大成功だったようだ」
男「俺は発明の天才だが、アイディアの天才でもあるらしい」
男「チラッと見えたが、もうアイツのHPはもう残り半分くらいだった」
男「じわじわやるのは趣味じゃないし、一気に終わらせてやるか……」
少女[HP51]「ふぅ……だいぶ落ち着いた」
少女[HP51]「次は驚かされても、ビックリしないようにしなきゃ」
少女[HP51]「100あったのが、もう51しか残ってないや」
少女[HP51](……にしても、これはいったいどういう試みなんだろ)
少女[HP51](きっと男さんの研究のためなんだろうな)
少女[HP51](お父さんが恩人だったからってだけで、私を引き取ってくれた男さん)
少女[HP51](男さんのために……)
少女[HP51](もっと頑張らないと!)
少女[HP51]「残念。同じ手は通用しないからね」
男「ちっ」
男「まぁいい。そろそろ一気にケリをつけようと思ってな」
少女[HP51]「ケ、ケリ……?」
男「キックのことじゃないからな。だいたいそんな強い攻撃はルール違反だし」
男「まぁ、お前にとってはキックのがマシかもしれないが……」ニヤ
少女[HP51]「な、なに、それ……!」ドキッ
男「お前って、たしかくすぐったがりだったよな?」
男「安心しろ。ちゃんと無菌手袋をつけてあるから、清潔、清潔」
少女[HP50]「そういう問題じゃないでしょっ!」
男「心配するな……すぐ終わるから」
少女[HP50]「や、やめて……」
少女[HP50]「お願いだからっ!」
男「下手におどかされたりするより、こっちのが気楽だろ?」
男「ゲラゲラ笑ってたら、あっという間にHPがゼロになる」
男「さ、始めようか」
少女[HP50]「ダ、ダメだって……っ! ひぃっ! うぅっ……ふ、ふふふっ」
男「イマイチだな、こっちか」コチョコチョ
少女[HP47]「あっ……ひひっ……だ、だめ、あふふっ……や、やめっ──」
少女[HP43]「ひひひっ……えへっ……えっ、ちょ、ちょ……はふぅ……」
男「次はこっち」ツンツン
少女[HP41]「! あぁっ……ふひっ、ひひひ、あの……もう、やめ……」
少女[HP38]「あ、あ、あっ! ……ひぃっ! ……あ、ふふふっ、ひひっ」
男「………」コチョコチョ
少女[HP33]「ひぁっ! ……うふっ ……ちょ、あ、いひっ、あうぅ……」
男(何やってんだろ、俺……)コチョコチョ
少女[HP30]「ハァ……ハァ……」ピクピク
男「手、出しな」
少女[HP30]「………?」ピクピク
男「装置を外してやる。ゲームは終わりだ」
男「もう十分だ。ごめん、悪かったよ」
少女[HP30]「え……」
少女[HP30](私は男さんの役に立てなかったの……?)
少女[HP30]「ま、まだ終わってない!」ムクッ
少女[HP30]「決着がつくまで、最後までやるのっ!」
男「ハァ?」
男「うわっ(枕かよ)」
タタタッ
男「また一階に降りていったか……」
男「なんなんだ、アイツ……」
男「最初は装置を外そうとしたくせに……」
男(俺のくすぐりがそんなに気持ちよかったのか……?)
男(いやぁ、そんなツラじゃなかったぞ)
男(ちょっと気の毒になるくらいに笑ってたしな)
男(まさかあそこまでくすぐりに弱いとはな……。二人乗りとかできないタイプだな)
男「まぁいいや、もう十分気は済んだけど最後までやってやるか」
少女[HP30](なんで急にやめようとしたんだろう)
少女[HP30](きっとバカ笑いしすぎたから、男さんが呆れちゃったんだ)
少女[HP30](もっと私がちゃんとした被験者にならないとダメだ)
少女[HP30](大きな声出されても耐えて……攻撃もなるべくかわして……)
少女[HP30](くすぐりだって……頑張って耐えてみせる)
少女[HP30]「男さん、ゴメンね」
少女[HP30]「私、もっとちゃんとやるから」
少女[HP30]「男さんのために──」キッ
男(無菌手袋を捨てて、と……)ポイッ
男「そろそろ終わらせないとな。仕上げなきゃならん論文もあるし」
男「ペチペチ叩くのはなんか悪役だし(いや、もうすでに悪役だけど)」
男「くすぐりはさすがにもう可哀想だからな……」
男「マイルドかつすぐ終わらせられる攻撃、といったら」
男「これしかないよな」
キュッキュッ ジャ~……
男「ついにゲームも終わりの時がやってきた」
少女[HP30]「そう簡単にやられないってば」
男「この両手を見ても、そういえるかな……?」ビッショリ
少女[HP30]「!」
男「ほれ、ほれっ」ピッピッ
少女[HP27]「冷たっ──やんっ! いやぁっ!」
男「水滴攻撃。これは絶対かわせないぞ、しかもマイルド」ピッピッ
少女[HP24]「くっ……よけられないっ」
男「威力は低いが、どんどん削られていくぞ」ピッピッ
少女[HP22]「ひっ……あうぅっ……私のHP……減っていく……!」
男「よぉ~し、とうとう20を切ったな……」ピッ…
少女[HP19](も、もうダメだぁ……)
男「あれ?」シュッシュッ
男(しまった……水が切れちまった……!)シュッシュッ
男(洗面所からここに来るまでけっこう垂らしちゃったからな……後で拭かないと)
男(くそっ、あと少しだったのに……)
少女[HP19](助かった……!)
少女[HP19](なにか投げるものは、と……)
男「うおっ(空のペットボトルか)」
タタタッ
男「次はどこだ……?」
男「あっ、俺の研究室の方に向かいやがった」
男「まぁいいや、このゲームが終わったらすぐ研究再開するつもりだったし」
男(残り時間もあとわずか……決着をつけてやる)
少女[HP19]「よいしょ、と……」
少女[HP19]「一時間経過まであと少し……」
少女[HP19]「逃げ切れる可能性は薄いけど、全力を尽くす!」
少女[HP19]「! これは……」カタッ
少女[HP19]「男さんとお父さんの写真、だ」
少女[HP19](お父さんは特別に頑固な性格で、学会では孤立してたって聞いてる)
少女[HP19](そんなお父さんに一人だけ師事していたのが、男さんだった)
少女[HP19](そして今もお父さんの研究や遺志を引き継いでくれている……)
少女[HP19](そう、お父さんとお母さんはあの事故で──)
少女[HP19]「あっ──ダメっ! 思い出しちゃ!」
キキィー! ドグシャーッ!
「事故だ、事故だ!」 「うわ、車がグシャグシャだ」 「女の子だけ無傷だ!」
少女「お父さん、お母さん……」
「うわぁ~ありゃ即死だな」 「あの子どうすんだろ」 「気の毒に……」
少女「うわぁぁぁぁんっ……!」
少女[HP17]「ああ……いやぁっ……」ガタガタ
少女[HP15]「いやだぁぁぁっ! あぁっ、あぁぁっ!」ガタガタ
少女[HP13]「あ、HPがどんどん減ってる……」
少女[HP12]「これゼロになったら死ぬのかな……?」
少女[HP11]「私も天国行っちゃうかな……?」
少女[HP10]「あはっ、あははっ……」
男「いよいよアイツをやっつける時が来た」
男「タオルを結び合わせて作った、このタオル鞭で……」
男「パシパシーッと」
「……いやだぁ……」 「……ああっ……」 「……ああっ……」
男(研究室から泣き声……!?)
男(アイツ……なんか危ない薬品か器具にさわっちまったか!?)
バンッ!
男が研究室に駆け込む。
少女[HP7]「あ、男さん……」
少女[HP6]「見て、もう私のHP残りわずか……」
少女[HP5]「私も、お父さんたちのところに行っちゃうの、かな」
男「なにいってんだ! 行くわけないだろうが!」
男「HPがゼロになったら『ゲームオーバーです、残念でした』って音声が流れて」
男「変な曲が流れるだけだ!」
男「死ぬわけがないっ!」
男「ちょっとお前にゲーム感覚の意地悪をしてみたかっただけだ!」
少女[HP3]「そうだったんだ……」
男(俺はHPゼロ=ゲームオーバーってイメージだったけど)
男(そういやHPゼロって死を連想させるよな……)
男(事故のことを思い出させちまったのかも……バカか、俺は!)
男「ごめんな、変なことやらせちまって」
男「疲れちゃったか? すぐ寝室に連れてってやるから──」
少女[HP2]「男さん、今まで……」
少女[HP1]「ありが……とう……」
少女[HP0]「………」ガクッ
『ゲームオーバーです、残念でした』デロデロデ~♪
少女「」
男「──おいっ!? おいっ!」
男「あ、ああ……俺は……なんてことを……なんてことをっ!」
男「俺なんかバカにしてくれてよかったんだ……! 元気でさえいてくれればっ……!」
男「なにやってんだ、俺はっ!」
男「くそぉぉぉぉっ……! なにが天才だ、大バカがぁ……!」
男「うぐううぅぅぅっ……!」
男「かくなる上は、研究用の劇薬を飲んで俺も──!」
少女「……プッ」
男「!?」
少女「………」
男「ん……?」チラッ
少女「………」サッ
男「まさか」
男「悪趣味なゲームをさせたことは心から謝るので──」
男「生き返ってもらえないでしょうか」
少女「ばぁっ」ムクッ
男「………」
少女「男さんの蘇生呪文のおかげで生き返れたよ、どうもありがとう!」
男「……どういたしまして」
男「──っておどかすんじゃねえよ!」
男「学会のホープが、若き天才が、未来の科学界を背負って立つ男が」
男「あやうく後追い自殺するところだったろうが……!」
男「無事でよかった……!」ギュッ
少女「く、苦しい……でも……いいや、このままで……」
少女(男さん……ありがとう)
少女(でもさっきは本当に死んじゃうかと思った)
少女(お父さんとお母さんを失った事故を思い出しちゃって)
少女(今にも自分が消えそうなくらい心細くなっちゃった)
少女(だからHPがゼロになったら、私も死んじゃうのかと──)
少女(でもね、ギリギリで男さんが駆けつけてきてくれたから、私は正気に戻れた)
少女(死んだフリなんかしちゃってゴメンね)
少女(いつもいつも、男さんには助けられてばかりだね)
「あの子どうするんだ?」 「親戚もいないってよ」 「施設だろうなぁ……」
「父親も学会じゃ嫌われてたし……」 「可哀想だけどな」 「運が悪かったのさ」
少女「………」
男「あの……この子、引き取らせてもらえませんか?」
少女「!」
「君が?」 「君だってまだ若いだろうに」 「餅は餅屋っていうし、施設の方が」
男「俺はあの子のお父さんに大恩があります。あの人はすばらしい科学者だった」
男「幸い、この間取った特許が当たって経済的には問題ありませんし……」
「物好きだねェ」 「研究と二足のわらじかね、ハハ」 「君がいいならいいけど」
男「ありがとうございます」
男「よし、じゃあ行こう。辛いだろうが、くじけないようにな」
少女「うん……(……ありがとう)」
男「分量、混ぜ方、火加減、焼き時間、どれも完璧だったはずなのに……」
男「これは食べさせられないな……俺の分にしよう」
男「料理なんかやったことねーからな……実験みたいにはいかないもんだな」
男「それに、いつまでもインスタントじゃあの子も──」
少女「男さん、なにやってるの?」
男「!?」ビクッ
男「大事な実験中だ! 悪いが、夕飯はもう少し後だ」
少女「手伝おうか?」
男「子供は子供らしく、勉強して遊んでろ。ジャマだ」
少女(嘘つき……)
少女(……ありがとう)
男(もう時間がないってのに……)イライラ
少女「………」グスッ
男「ん? なに泣いてるんだ?」
少女「勉強が分からなくて……」グスッ
男「……どれ、見せてみろ」パラッ
男(あの人、忙しくて子供の勉強も見てあげられてないって、いってたっけな……)
男(この子、分からなくても質問とかできないタイプっぽいし……)
少女「ダメだよ、男さん忙しいじゃない」
男「お前に勉強教える教えないで左右されるほど──」
男「ぬるい研究はしてないから心配するな」パラパラ
男「分からなきゃ聞け。これは人生の鉄則だ」
男「あ~……これ、懐かしいな。いいか? これはだな……」
少女(……ありがとう)
男[HP200]「──で、今度は俺がこの装置をつけるわけか」
男[HP200]「しかも多めのHP200設定ときた」
少女「受け攻め交代ってやつだよ」
男[HP200]「受け攻めとかいうな」
少女「? なんで?」
男[HP200]「いや……まだ知らない方がいい」
少女「じゃあ始めっ」ダッ
男[HP200]「うわっ(のしかかってきやがった!)」
男[HP197](む、胸が……顔面にっ……!)ウプッ
少女「えへへ、どう?」ムニュムニュ
男[HP194]「えへへ、じゃねえっ!(胸あるんだな、それなりに、って俺は何を)」
男[HP189]「うっぷ、うっ、早くどけっ! 遊びで殺す気かっ!」
少女「ちぇ……残念。男さんを誘惑しようと思ったのに」サッ
男[HP185]「で、できるか、あんなムチャクチャで! ハァ……ハァ……」ドクンドクン
男[HP182]「お前はまだ俺の守備範囲じゃない……」ドクンドクン
少女「まだってことはチャンスはあるんだ」
男[HP180]「ない! 永久にノーチャンスだ!」ハァハァ
男[HP179](ヤ、ヤバイ……今のでギンギンに勃起してしまった……)
男[HP179](ここが実験器具が恋人状態な、一匹狼科学者の悲哀よ……)
男[HP179](な、なにをする気だ……?)
少女「男の人ってそこが弱点でしょ?(女もだけど)」チラッ
男[HP179](ま、まさか……この体勢は──)
男[HP178](電気アンマ!?)ギクッ
男[HP177](なんでこんなもん知ってんだ!? 学校でやってたバカがいたのか!?)
男[HP176]「バ、バカやめろっ!(今の股間にそんなことやられたら──)」
少女「男さんだって、私をくすぐったじゃない」
少女「くすぐられた時間くらいはやるからね」
男[HP175](やめてぇーっ!)
少女「えーいっ!」グリグリ
男[HP167]「ふほへへへっ! ほっほっほっ……あふへっ、えへへひっ!」
男[HP160]「やめ、って、えへっ、ふほはははっ! ……ひひっ、ひひひっ」
男[HP152]「いははっ、ほっ、ほっ、へっ、あひゃはふっ、うひひ、ひたいっ!」
少女「え、痛い?」グリングリン
少女「ちょっと弱めてあげるね」グリュグリュ
男[HP144]「だ、だめ……だって(かえってひどくなった! ヤバイって!)」
少女「──と、思わせて強くっ!」グリュンッ
男[HP131]「へべぇっ!(緩急なんかつけんな、バカッ!)」
少女「どーお?」グリングリン
男[HP122]「あ……」ビクン
男[HP0]「……ふぅ……」
『ゲームオーバーです、残念でした』デロデロデ~♪
男「……いや、大丈夫だ……。ふぅ……」
少女「大丈夫じゃないよ絶対! 私のせい? 私のせい?」
男「気にするな……生物として当然のことが起こっただけなんだ」
男「全てこんな装置を作った俺が悪いんだ……」
男(恩人の娘の電気アンマで……なんてことだ)
男(今度墓参りした時、呪われちゃうんじゃないかな……許してもらえるかな……)
少女「ちょっと、本当にどうしちゃったの?」
少女「でも顔は気持ちよさそうだよね……もっかいやる?」
男「や、やめろっ!(パンツ洗うのが先だっ!)」
<おわり>
乙
けど面白かった乙
Entry ⇒ 2012.01.31 | Category ⇒ 男女「」SS | Comments (0) | Trackbacks (0)
男「放課後は図書室での読書にかぎるな(キリッ」
女「………」
男(あの図書委員の子、いつも居るな。いつも本読んでるし、本が大好きなんだろうな)
女「………何か用ですか?」
男「え?いや、別に……」
女「そうですか……では、こちらを見ないで下さい。気持ち悪いので」
男「あ、はい………」
男(え?何?今、気持ち悪いって言った?え?何故?何で?」
http://hayabusa.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1327405036/
男「放課後は図書室での読書にかぎるな(キリッ」
男「え?」
女「……今もぶつぶつと一人で気持ち悪く喋ってましたよ」
男(まさか……さっきの声に出てたのか?)
女「……いつも気持ち悪い本を読んでいます」
男「えっと……ラノベのこと?」
女「知りませんが……気持ち悪い表紙の本です。今あなたが読んでる」
女「すいません………」
男「あ、はい」
女「……何で私が本好きということになってるのですか?」
男「……え?だって、いつも本読んでるし」
女「……暇だから読んでるのです」
男「でも図書係って交代でやるものだよね?いつも居るし……」
女「……押し付けられてるだけです。察して下さい」
男「……なんか、ごめ」
女「謝らないで下さい。気持ち悪いので」
女「………私がチビで眼鏡だからですか?どうせ本読むくらいしか趣味なんて無いだろうということですか?」
男「い、いや!そういう訳じゃ!」
女「………どうせお付き合いしている男性など居ないと思ってるのでしょうね。正解ですよ……こんな根暗で性格の悪いチビの眼鏡は……」
男「ストップ!ストーップ!」
女「……五月蝿いのですが」
男「ごめん……いや、そうじゃなくて、君可愛いよ。ちっちゃいのも。眼鏡だって似合うし」
女「………」
男「えっと……だからさ……」
女「………言葉に表せないくらいに気持ち悪いです。今鳥肌がたっています」
男「………」
女「………何で泣きそうになっているのですか?さらに気持ち悪いのですけど」
男「女の子にここまで気持ち悪いと言われたのが初めてで………」
女「皆さん優しかったのですね」
男「………」
女「……もう話すことも無いようなので、会話をここで終わらせてもいいですか?これ以上あなたと会話をしていたく」
男「うわぁああああああああああ」ダダダダダダッ
女「……廊下は走ってはいけませんよ」
男「くそっ!三次元の割には可愛いなとか思ってたのに………」
男「口が悪いなんてレベルじゃないだろアレ」
男「あー…何か仕返しをしてやりたい……」
先生「おーい、一人でぶつぶつ何言ってんだお前」
男「と言っても、仕返しなんて言ってもなぁ……」
DQN1「おい、あいつまた一人ごと言ってんぞ」
DQN2「あんなの無視しとけよ。それよりセックスしたいわ」
DQN3「何だよ唐突にwwww」
DQN2「どっかにヤラセてくれる女いねえかな」
DQN1「あー…なら、図書委員の奴なんてどうだ?大人しそうだし脅せばヤレそうじゃね?」
DQN3「バッカwwwレイプじゃんwww犯罪やんwww」
DQN1「馬鹿!声でけぇよ!アイツに聞こえてんじゃん」
DQN2「だな、場所変えて本格的に作戦練るか」
DQN3「お前ら本気かよwwwマジかよwwww」
男「ヤバいこと言ってたよなアイツら………レイプとか……図書委員とか……」
男「………確かに気に食わない女だったけど、流石になぁ」
女「………話しかけないで下さい。気持ち悪い」
男「気持ち悪いのは今は我慢しろ。お前がヤバい。うちのクラスの不良達のせいでお前がヤバい」
女「………日本語で話して下さい」
女「……気持ちの悪い妄想ですね」
男「妄想じゃないだって!本当なんだよ!危ないのは君なんだよ!」
女「本当なのでしたら先生方に相談したらどうですか?
私に話されても、チビで眼鏡の私には複数人の男子生徒に抵抗する手段なんてありませんけど」
男「そうだけどさ……君のことなんだぞ?」
女「先生にレイプされそうです助けて下さいなんて言って、何もなかったら自意識過剰の馬鹿女だと思われますよね?」
男「あああああ!わかった!俺が言ってくる」
女「早く出て行って下さい。あなたの顔はあまり見ていたくないので」
男「ああ!わかったよ!」
ガチャ バタンッ
女「………」
ガチャ バタンッ
女「何ですか?職員室の場所すらわからないのですか?」
DQN1「へっへっへっ」
女「………」
DQN2「うわっ、マジで可愛いじゃん!ロリ系って言う奴?何かこういうのいいね」
女「………行動力があるというより馬鹿ですね。だいたいへっへっへって何ですか?気色悪いのですけど」
DQN1「別にヤルぶんには関係ないだろ」
女「悪いですけど、そのヤルと言うのには私は参加しませんよ」
DQN2「うん、君に拒否権なんて無いから」
女「丁度今、あなた方の馬鹿な計画を先生に伝えに行った人がいますので、拒否権云々以前に不可能です」
DQN1「あー…アイツだろ?あのキモオタのアイツ」
女「そうですね。気持ちの悪い人です」
DQN1「それならしばらく来ないぞ」
女「……意味がわからないのですが」
女「依然意味がわかりません。日本語を理解していますか?」
DQN2「あいつなら職員会議が終わるまで職員室の前で待ってるだろうな」
女「………あなた達は馬鹿なのですね。どっち道あなた達の行為がバレることに変わりないのですよ」
DQN1「ならヤッてもヤらなくても一緒だろ」
女「一緒じゃありませんよ。馬鹿ですね。婦女暴行をしたと計画だけなら…」
バンッ
女「……何で机を叩いているのですか?馬鹿なんですか?馬鹿なんですね?」
女「……痛いのは嫌なのでやめて下さい」
DQN1「じゃあ大人しくしてろよ」
女「……わかりまし」ダッ
DQN2「おいっ!逃げたぞ!」
DQN1「大丈夫だ。扉の外にあいつがいるだろ」
DQN2「……いや、本棚のほうに逃げてったぞ」
DQN1「はっ、なら問題ないだろ。出口は一つしかないんだし」
ジリリリリリリリリリリリリリリ
DQN1「火災報知器………マジかよ……」
女「怖かったです……思わず火災報知器のボタンを押してしまいました。すいません」
先生「いや、いいんだ。そのおかげで私達が気づけたんだからな」
男「なんか、ごめん。大変なときに居なくては」
女「………気持ち悪いので話しかけないで下さい」
男「ああ……そうだな……男なんて気持ち悪いよな…」
女「………何か勘違いしているみたいですが、気持ち悪いのはあなた個人のことですよ」
女「………何普通に話しかけてきているのですか」
男「……えっと婦女暴行未遂だよ。退学は間違いないだろ?場合によっては少年院とか」
女「………別に興味がないので話しかけないで下さい」
男「いやさ、でも場合によっては復讐とかしてくるんじゃ」
女「………」
男「やっぱりそういうの怖いよな」
女「いつになったら出ていくのですか?」
女「話は手短にしてください。あまりあなたの声を聞いていたくない」
男「いらんお世話かもしれないけど、俺、君のこと心配して言ってるわけ」
女「はい。いらんお世話です」
男「友達いないだろ」
女「いませんが、それがどうかしましたか?」
男「そんな性格だから……」
女「あなたは何人ほど居るのですか?」
男「……え?」
女「友達の人数のことです。話の流れで察して下さい」
男「………いません」
女「そうですか。では話を続けて下さい」
男「……いえ、何でもないです」
男「悪かったな。毎日来て」
女「……毎日来るのはかまいませんが、声をかけないでください」
男「何で俺をそんなに嫌うんだ」
女「……生理的に受け付けません」
男「何が嫌なんだよ。直せるとこなら直すから」
女「…………存在そのものでしょうか?」
女「何でそう思うのですか?」
男「性格悪いもん」
女「………あなたはどうなのですか?」
男「はっ、俺はクラス中から無視されてるだけだ」
女「………」
男「何の実害もないぜ」
女「優越感に浸れましたか?」
男「………いや、全然」
女「すいません……あなたが日本語を理解して使っているとは思えません」
男「いや、理解してるって」
女「………そうですか。残念なのは頭のほうですか」
男「いいか!お前の虐めを解決してやる!そのかわり成功したら俺と付き合えよ!」
女「……不可能ですよ。あなたには何の取り柄もありませんし、社交性も皆無。ましてや自身が虐めの対象じゃありませんか」
男「……それでもやる。だから」
女「嫌です。死んでも嫌です」
ガラガラ
男「すいません!虐めをやめてください!」土下座
「なにあれー」
「っていうか誰?」
「キモーイ」
女「………プッ…ククッ」
男「おねばいしますっ!」
女「……プフォ…もっ…もう限界……」
あははははははははははははははははははは
女「…何の話でしょうか?」
男「虐め」
女「特に進展は……プッ…」
男「というより、何でさっきから顔をそらしてるんだ?」
女「…ククッ…あなたの顔を見たくないからです」
男「何かあったのか!」
女「…なっ…周り込まないで」
男「おいっ!」
女「…フッ…フッ……」
大爆笑中
男「…え?何?何で笑うの」
女「…それは…プッククッ…あなたの…ハヒュッ…土下座が私の笑いのツボに……」
男「…土下座がツボ?」
女「…だから…あなたの顔を直視できない…したくありませんが」
男「…そうかい」
グイッ
女「近い近い近い」
再び大爆笑中
男「いやぁ、いいもん見れたわ。お前が腹抱えて笑ってるとこなんて初めてみたからな」
女「…本当に死ぬかと」
男「というか、お前が笑ってるの初めて見たよ」
女「…よく笑ってるじゃないですか。このように」ニヤッ
男「…ああ、人を見下す笑みはよくみるな」
女「…なくなりました」
男「えっ?マジで?」
女「クラスの人達は私のことを人間だと思ってなかったようです」
男「何ソレひでぇ」
女「ただ、この前、私が大爆笑してたのを見て、人間だと理解したと言っていました」
男「ふーん……まぁいいや、それより」
女「嫌です」
男「まだ何も言ってないだろ」
女「嫌です」
男「いや、俺と」
女「死んで下さい」
ガバッ
女「気持ち悪いので離して下さい」
男「嫌だ」
女「悲鳴をあげますね」
男「させんっ!」
女「……顔を近づけて何を」
ウムッ………プハァッ
女「………先生に言いつけますね」
男「えっ…ちょっ……待って」
女「…わかりました」
男「ああ、うん。落ち着こう」
女「こういうときは警察でしたね」
ピッピッピッ
男「ちょちょちょ!まってまって待って!」
女「許せませんね。おそらく父母を抜けば初めてだったと思うので」
男「お願いします」正座
女「…土下座はやめてください。もう笑いたくないので」
男「お願いします許してください」土下座
女「プッ……あっはっはっははははははははははははははは」
5分後
女「あは…は…もう…ゆるし…ははっ…下さい…あはは…」
男「許すのはそっちだろ」きれいな土下座
女「………はい」
男「俺…本当に君のこと好きなんだ…」
女「…意味がわからないのですが。私はあなたに好意を抱かれるような行動をした覚えはありません」
男「それはまぁ…」
女「…私のどこが好きなのですか?」
男「……外見……かな」
女「…人として…男として最低ですね」
男「あっ、声も好きだよ」
女「…私はあなたの外見も声も性格も全部大嫌いです」
女「年収1000万以上になったらですかね」
男「金かよ……」
女「あなただって、外見だけじゃないですか、それに私はあなたでは年収1000万円は不可能だと思い、この案を提示したまでなのですが」
男「年収1000万だな…わかったよ。一億じゃないだけまだ可能性はあるしな」
男「ほら、お前、年収1000万円こえたぞついに」
女「あら、おめでとうございます」
男「ありがとう……じゃなくてな、年収1000万だぞ。何か言うことないのか?」
女「何のことでしょう?」
男「……ああもう。愛してるぞ」
女「今更どうされたんですか?私なんて結婚するずっと前から……」
もう終わりだ氏ね 寝る
Entry ⇒ 2012.01.25 | Category ⇒ 男女「」SS | Comments (0) | Trackbacks (0)
男「君の名前は?」少女「・・・・・・」
幼馴染「もうすぐだね」
男「まだ実感沸かねーよ」
幼馴染「うん、だって20年以上一緒だったんだしね」
男「そうだよなぁ、生まれたときから家族みたいなもんだったしなぁ・・・」
幼とはお隣さんで、生まれてこの方家族ぐるみの付き合いだ
いつも一緒にいるのが当たり前・・・・・・
そんな俺と幼は、来月結婚式を控えていた
http://hayabusa.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1327225025/
男「君の名前は?」少女「・・・・・・」
男「うん、俺の絵を初めて買ってくれた人だし、贔屓にしてもらってるし」
幼馴染「男君にとってはすごい恩人なんだよね」
男「おうっ!呼ばないわけにはイカンってww」
俺は美術高校を出て美術大学へ進学、小さな公募展で賞を取った
その公募展で目をつけ、俺の絵を買いたいと来てくれたのが画商さんだった
まだ画家として名も無い俺の絵を買い付けに来てくれる、俺の取引相手であり恩人だ
正月らしい熱気に包まれた夜の繁華街には、
すでに顔を赤らめながら千鳥足になってる老若男女であふれていた
幼馴染「みんな、元気にしてるかなぁ」
男「今から楽しみだな」
幼馴染「うん!委員長とかメガネ君たちに早く会いたいなー」
男「そういえば、あの二人も結婚するらしいぞ?」
幼馴染「私たちだけじゃないんだね!///」
「ぎゃああ!」
「うわああ!」
「きゃああ!」
男「なんだ!?」
幼馴染「えっ」
叫び声がする方を振り向くと、歩道に乗り上げながら猛スピードで突っ込んでくる自動車が見えた
いや、正確には一瞬視界を覆っただけ
強烈な衝撃を右半身に受け、俺は宙を舞った
激しい痛みが体中を駆け巡り、直後地面に叩きつけられる
・・・・・・そこで俺の意識は途切れる
男「・・・・・・う」
男母「男?男!」
男「・・・おふ・・・くろ?」
幼母「男君!?」
幼父「おお・・・」
男「お、おばさん、おじさんも・・・?」
男母「よかった・・・よかった・・・!」
男「俺・・・いったい・・・・・・・・・?」
俺と幼は、交通事故に遭っていた
正月の熱に浮かされたがゆえの、飲酒運転による大惨事
幼母「・・・・・・っ」チラ
男「・・・・・・!?」
ピッ・・・ピッ・・・ピッ・・・ピッ・・・
幼馴染「・・・・・・」
俺の横のベッドには、全身包帯に巻かれた女性がいた
顔にも包帯が巻かれてはいるが、その隙間から見える顔は幼のものだとわかった
呼吸器がつけられ、腕には点滴、傍らの心電図計が彼女の脈動を画面に示す
幼母「・・・・・・う、ううっ!」
男母「気をしっかり・・・・・・」
男「・・・・・・幼・・・・・・幼ぁっ!?あだだだだ!」
男母「ほら、男も重症なんだから動かない・・・」
ピッ・・・ピッ・・・ピッ・・・ピッ・・・
幼「・・・・・・」
男「くそぉ・・・・・・っ」
幼は、いわゆる植物状態になっていた
交通事故で幼の脳は深刻なダメージを受けていたのだ
まったく動かなくなった幼に対し、俺のほうはというと右半身に違和があった
その後のリハビリで下半身への後遺症は残らなかったものの、結局右腕は麻痺したままだった
画家にとって腕とは画具そのものだ
無限のイメージを紡ぐ絵の具であり、筆なのだ
それを、俺は失った
男「描けねぇ・・・描けねえよぉ・・・・・・っ!」
腕に筆を括りつけたり、
左手で握ってみたり、
口に筆を咥えてみたり・・・
さまざまな方法を試すが、以前のように絵を描くことが出来なくなっていた
それでも俺はキャンバスに向かい続け、昼は幼の見舞いに通った
幼「」
事故からしばらく経ち、幼は脳死判定を受けて息を引き取った
最愛の人、20年以上寄り添いあい、これからもずっと一緒だったはずの幼馴染
彼女を失ったその悲しみに押しつぶされながらも、
俺は何度も何度もキャンバスに向かった
描けども描けども出来上がるのは、塗りたくられた絵の具の塊
やがて俺は絵を描くことすらやめた
俺は実家に帰っていた
都会には、収入の無い俺に居場所は無い
今はたまに畑の手入れをしながら実質ニートをしている
実家は田畑が残る田舎で、
少し足を伸ばせば山に川にと、アウトドアに困らない場所だ
幼馴染の死は辛いものではあったが、最終的には受け入れた
しかし、絵が描けなくなってしまったという現実を前に、
俺は今も立ちすくんでいる
男母「男~?ちょっと降りてきてくれる?」
男「ん?ああ」
・・・・・・
男母「ほら、こっちよ」
男「?」
少女「・・・・・・」
緊張しているのか、怯えているのか・・・
俺の前に立ち尽くし、少女はうつむき続ける
男「・・・・・・だれ?」
男母「ほら、この前山形のオバサンが交通事故で亡くなられたでしょう?」
男「ああ、じゃあオバサンとこの」
男母「あの人母子家庭だったでしょう、それに親からも縁切りされてて身寄りが無いっていうから」
男「引き取ったの?」
男母「そうなのよ、今日からよろしくしてあげてね!荷物はあさって届くから」
男「うちも余裕無いのになぁ・・・主に俺のせいだけど」
少女「・・・・・・」
俺より明らかに小柄なこの少女の顔はまったく見えない
腰を落とし、見上げるようにしてようやく見えたその表情は、
なにか思いつめているような感じがした
男「俺男っていうんだ、君の名前は?」
少女「・・・・・・」
男母「名前は少女ちゃん・・・ついこの間のことだし、まだショックが抜けてないみたいなのよ」
男「そうか・・・少女、これからよろしくな」ナデナデ
少女「・・・・・・」
今日は結局、少女は一言も発することなく、またその表情を変えることもなかった
窓からのぞく曇天は、今にも冷たい雨を大地に降らそうかという雰囲気だ
男「さみぃー・・・」
男母「男!男っ!」ガラガラ
男「ん、どうしたの?」
男母「少女ちゃんがいないの!」
男「えっ」
俺は車を出し、あちこち調べて回った
この村に来たばかりの彼女のことなので、行く当てがまったく想像できない
とにかくしらみつぶしに調べる
そうこうしているとフロントガラスに水滴が付き始める
雨が降り出していた
男「雨降ってきたな、この時期の雨は冷えるだろうに」
・・・・・・
ブロロロロ・・・
男「あれは?」
車を走らせていると、バス停が見えてきた
この村の数少ないの公共交通手段だが、その便数は1日2本
屋根がついた粗末な小屋の中で、少女は震えていた
男「やっと見つけた、心配したんだぞ?」
少女「・・・・・・」ブルブル
男「もしかして、帰ろうとしてたのか?」
少女「・・・・・・」ブルブル
男「あと3時間ぐらい待たないと来ないぞ?」
少女「・・・・・・」ブルブル
男「・・・・・・あーもう埒があかん」グイ
少女「・・・・・・っ」
男「まったく、こんなに震えて」
少女を後部座席に乗せると、俺はびしょ濡れのコートを脱がした
そして自分のジャケットを脱ぎ少女に手渡そうとする
男「ほら、これ着て」
少女「・・・・・・」
男「・・・・・・だーもう!」バフ
少女「・・・・・・っ」
男「ん、幾分マシだろう」
少女「・・・・・・」
ブロロロロ・・・
男「お母さん交通事故で亡くなしたんだってな」
少女「・・・・・・」
男「・・・・・・」
少女「・・・・・・」
男「俺も、大事な人を交通事故で亡くしたんだ」
少女「・・・・・・ぇ」
初めて発された少女の声
バックミラーに写る少女の顔に、わずかな変化が見て取れた
少女「・・・・・・」
男「大事な人の死は辛い」
少女「・・・・・・っ」
男「・・・・・・気持ちはわかる」
少女「・・・っ・・・っ」
ブロロロロ・・・
幼馴染の昔の服を借りようと考え、まずはお隣に向かった
男「ほら、降りて」
少女「・・・・・・」
男「ウチには女の子の服なんて無いからなぁ・・・着替え、幼の服借りれるかな」
少女「・・・・・・」ギュッ
男「ん?どうした、裾つかんで」
少女「・・・・・・」
男「ふーむ」ポリポリ
男「こんばんわー」
幼母「あら男君!あらやだ、この子が噂の少女ちゃん?ずぶ濡れじゃない」
男「着替えまだ届いてなくて、幼の昔の服なんかあれば借りれたらなって」
幼母「ええいいわよ、幼の部屋の押入れに多分まだしまってあると思うから、好きなの持っていって」
男「ありがとうございます」
少女「・・・・・・」ギュッ
幼の家とは、いまだに家族ぐるみの付き合いを続けている
今日みたいに突然たずねても嫌な顔ひとつせず、
家族のように接してくれている
男「あったあった、これとかサイズが合えばいいけど」ポフ
少女「・・・・・・っ」
男「ん、デカイがいいか・・・上はこれで、こっちの箱は・・・・・・下着まだあったのか」
少女「・・・・・・」
男「俺は廊下に出てるから、濡れた服着替えちゃいな」
俺があてがった、すこし色あせた黄色いワンピースをまとう少女
その少女の姿に、遠い日の幼馴染の姿が重なる
少女「・・・・・・」
男「どうした、気に入らない?」
少女「・・・・・・っ」フルフル
男「ん、ならよかった、それ幼馴染のお気に入りだったんだ」
幼母「あらあら!まるで昔の幼を見てるみたいね!」
男「これちょっと借りていきますね」
幼母「ううん、どうせ誰も着ないんだし、少女ちゃんにあげるわ」
男「おばさん・・・・・・ありがとうございます」
少女「・・・・・・」ギュッ
男母「ああ、よかった!電話ぐらいしなさいよ!」
男「悪い、電池切れててさ」
男母「少女ちゃん、心配したんだから・・・あら?」
少女「・・・・・・」ギュッ
男母「まあ!そのワンピース幼ちゃんのでしょっ?10歳ぐらいの時のだっけ、懐かしいわねぇ」
男「ずぶ濡れになってたからもらってきた」
男母「ふふ、かわいらしいわねえ」
少女「・・・・・・」
口数は少ないが、最近は多少の意思表示をするようになったし、
初日に見たあの思いつめたような顔もしなくなった
スススー・・・
少女「・・・・・・」ジィ・・・
男「ん、少女か?いいぞ入って」
スススー・・・
パタン
男「お前、そのワンピースよっぽど気に入ったんだな」
少女「・・・・・・」キョロキョロ
男「・・・・・・そういや俺の部屋入ったの初めてか」
少女「・・・・・・」コクリ
部屋の隅には仕事で使ってた古ぼけたイーゼル、
その脇には画材やキャンバスが入ったダンボール箱が何個か、無造作に置かれていた
壁には昔描いた俺の絵が飾られている
黄金に輝く稲田、草原が広がる丘、流れ清らかな渓流、陽光に抱かれたワンピースの少女・・・
それらはすべて、俺の腕がまだ動いていたころに描いたプライベートの作品たちだ
少女「わぁ・・・・・・」
男「俺が描いたんだよ、ずいぶん前にね」
少女「・・・・・・この女の子の服」
男「ああ、お前が着てるそのワンピースだ」
少女「・・・・・・」ジィ・・・
男「・・・・・・」
汚いキャンバスが入ったダンボール箱に興味を示した
少女「・・・・・・見てもいい?」
男「・・・・・・いいけど、見ても面白くないぞ」
少女「・・・・・・」ゴソ
男「・・・・・・」
少女「・・・・・・」ジィ・・・
男「きたねーだろ?俺、見ての通り右手が麻痺してっから、あっちの絵みたいなのはもう描けないんだ」
少女「・・・・・・」ジィ・・・
男「・・・・・・もう、いいだろ?そんなの見てたって・・・」
少女「・・・・・・悲しい絵」
男「!?」
少女が見ている絵に描かれているのは、幼の形見(のように見える何か)だ
確かにその絵は、描けなくなって、幼馴染も失った末に、
ただただ悲しみのままに筆を走らせたものだ
いや、俺の中では絵ですらない
それは木枠に張られた麻布に絵の具が塗りたくられた、ただのゴミ
それをこの幼い少女は「悲しい」と言ってのけたのだ
男「・・・・・・わかるのか?」
少女「・・・・・・」フルフル
男「・・・・・・」
少女「感じたの」
男「・・・・・・そうか」
止まっていた時計の針が、ゆっくりとの動き出したのを感じた
停滞していた俺の人生は、少女と出会いまた流れ始めた
・・・・・・
月日は経ち、夏
降り注ぐ陽光を浴びて青々と茂った木立の中で、
短い恋を成就させんと、セミ達の大合唱が一層の熱を帯びる
男「ずいぶん暑くなってきたなぁ」グッタリ
男母「少女が帰ったらアイスでも出しましょうか」
ガラガラガラ
少女「ただいまー」
男「お、噂をすれば」
男母「おかえり少女ちゃん」
男「おかえりー」
春休みが明けてからは地元の小学校に通っていた
俺の心配をよそに、少女は新しい学校にそこそこ順応してくれているようだった
少女「おじさん」
男「おじさんはやめてってwwもう、いらんこと吹き込んで」ジロ
男母「ぷぷぷwwあなたもう27でしょ?おじさんおじさんww」
男「ぐぬぬ・・・・・・で、なんだい?」
少女「これ」
チリーン
男「おお、風鈴じゃないか」
少女「学校で作ったの」
男母「へぇ~かわいいわねぇ、この模様少女ちゃんが描いたの?」
男「お~、かわいく描けてるわ」
少女「・・・っ」モジモジ
男「ん、やっぱ夏は風鈴だな」
男母「少女ちゃんもアイス食べるわよね?」
少女「うん」コクリ
男「もう7月かぁ・・・そういえば、今頃はいい時期だな」
男「・・・・・・なあ少女、今週末ちょっと出かけないか?」
少女「?・・・うん」コクリ
男母「あら、珍しいわねお出かけなんて はい、お待ちどーさん」
男「少女もこっち来てからどこにも行ってないし、ちょうどいいかなって」
男母「よかったわね、おじさんが遊びにつれてってくれるってー」ニコニコ
男「おじさん言うなww」
裏山の丘陵地帯に広がるこの草原は背の低い雑草が生い茂っていて、
夏になると緑色の絨毯が一面に広がる
そよ風に吹かれ、エメラルドの海はさらされと波うち、
青草の爽やかな香りが鼻腔をくすぐる
少女「・・・・・・すごい」
男「だろ?」
少女「ここ、おじさんの絵に似てる」
男「お、よく覚えてるな!そうそう、あの絵の丘だよ」
眼下に広がる草原を前に、思わず息を飲んでしまったのを思い出す
ワンピース姿の少女もまた、目の前の光景に息を呑んでいた
男(そういえば、あの時も幼はこのワンピースを着てたんだっけ)
少女「・・・・・・」ボー・・・
男(まるで、昔の思い出を追体験してるみたいな気分だな・・・・・・)
少女「・・・・・・おじさん」
男「ん?」
少女「また、ここに来てもいい?」
男「もちろん」ニコ
少女が、夏休みの工作であの緑の丘の絵を描くことにしたからだ
鉛筆で下書きをし、バケツの水に筆を浸し、
絵の具を溶き、そして塗る
画板を抱え、一心不乱に絵を描く少女
やがて青々とした草原が画用紙に浮かび上がる
稚拙ながらも、少女の受けた感動を寸分もらさず描き出されたその絵は、
俺の中にある遠い日の思い出すらも映りこんでいるようだった
男「少女はいい絵を描くな、悪くない」
少女「・・・・・・っ」モジモジ
・・・・・・
子どもらしい稚拙な絵だが、
彼女は絵を描くことを心から楽しんでいるようだった
鉛筆で描き起こされた白い野山は、
やがて少女の手によって赤や黄色に彩られていく
少女「おじさん、できた」
男「おーこりゃなかなかっ」
少女「・・・・・・っ」モジモジ
男(照れるともじもじするんだよなぁ、この子は)
男「そういえば来月10歳の誕生日だな」
少女「うん」
男「プレゼント何がいい?」
少女「・・・・・・いいの?」
男「おう、今は一応仕事してるしな」
おじさん―――幼父さんのコネで仕事をもらった
片腕麻痺というハンデはあっても、この村では若者の労働力は貴重なのだ
新しい家族が出来てお金に余裕がなくなったせいもあるが、
こんな少女ですら親の死から立ち直ったのだ
27のいい年したオッサンが、いつまでもニートしてるわけにはいかない
とはいえ、正直プレゼントできるほど余裕があるかと言うと微妙である
少女「じゃあ・・・・・・あれ」
男「お?イーゼルか?」
少女「うん」コクリ
男「んー・・・と言ってもなぁ、俺のぼろいし、アレ意外と高い・・・・・・あ!」
幼父「おお男君か、どうした?」
男「幼が使ってたイーゼルってまだあります?」
幼父「ん、ああ多分どっかにしまってたはずだ」
男「少女がイーゼルほしいと言うので、今度もらって行きたいのですけど、いいですか?」
幼父「ほう、あの子も絵を描くのか・・・・・・ま、いいだろう、持ち腐れててもしょうがない」
男「ありがとうございますおじさん!」
少女「!」
男「おし、じゃあこれを少女に使わせてあげよう」
少女「これおじさんのと一緒?」
男「ああ、高校で幼と一緒に買ったやつだよ」
少女「でもすごいきれい」
男「短大じゃ使わなかったろうしな・・・・・・幼の形見だから、大事に使ってあげてくれよ」
少女「うん!」ニコ
・・・・・・
少女「ううん」フルフル
少女「でもあんなに降ってるの見たことない」
男「そっかそっか」
男母「出来たわよー」
幼母「今日は、男君の大好物のカレーよ」
少女「甘口?」
男「残念、うちは辛口だ!」
少女「むーっ!」プクー
「「あははははww」」
・・・・・・
男「おーっ、こりゃ見事に咲いたなぁ」
おそらくもう満開なのだだろう
池のまわりに並ぶ桜並木には、薄ピンク色の花が所狭しと咲き乱れていた
ビニールシートを地面に敷いて、飲めや食えやの大宴会
・・・・・・っというほどでもないが、結構な数の人がお花見に来ていた
男「ここも名所として有名になったなぁ」
少女「いっぱいいるね」
男「ま、俺たちの目的地は川の向こう側なんだけどね」
橋を渡って反対側から法面された対岸のほうを見ると、
穏やかな水面が、もうひとつの桜並木をその鏡の中に描き出す
少女「すごい!」
男「昔お隣と一緒に花見に来たときに見つけたんだ、きれいだろ」
少女「うん!」
男「よし、写真撮るぞ!こっち向けー」
少女「えへへ・・・・・・」モジモジ
男「ハイ、まんとひーひぃっと」パシャ
・・・・・・
縁切りされていた少女の母は、その継承者たる親に墓に入ることを認められず、
今は共同墓地にお骨を納めている
男「ウチとお隣の墓参りも終わったし、少女のお母さんのとこに行こうか」
少女「うん」
男「もう少女はウチの養子だし、お母さんもうちの墓に入れていいと思うんだけど、決まりがあるらしくてね」
少女「ううん、いいの」
男「・・・・・・少女は、今寂しくないか?」
少女「おじさんがいるから、寂しくないよ」ニコ
男「そうか」
・・・・・・
マッチで火をつけ焚き火にする
都会だったら通報されてるが、生憎ここはド田舎だ
パチパチ・・・・・・
少女「い~しや~きいも~♪」ワクワク
男「石で焼いてないから石焼じゃないぞ?」
少女「じゃあ、落ち葉焼き芋?」
男「なんだそれww」
少女「あははっ」
・・・・・・
男(あ、灯油が)ユラ
少女「動いちゃだめ!」
男「へいっ」ビシッ
少女「・・・・・・」カキカキ
男「・・・・・・」
少女「・・・・・・」カキカキ
男(プレゼントの鉛筆がうれしくてデッサンはじめたのはいいけど)
少女「・・・・・・」カキカキ
男(ストーブ止まってさすがに寒いって・・・)
少女「ヘックシッ!」
・・・・・・
少女「zzz・・・」
男「zzz・・・」
男母「クス・・・まるで親子か兄妹ねぇ」
少女「・・・・・・おじさぁん・・・・・・むにゃむにゃ」
男「・・・・・・幼ぁ・・・・・・」
男母「・・・・・・少女にあの子の影を見てるのかしら・・・・・・この子は」
・・・・・・
金魚模様の風鈴が、風に吹かれて鳴いている
リンとなる度涼しくなるのは日本人の気のせいだ
少女「おじさん、これ使っていい?」
男「キャンバスか、何に使うんだ?」
少女「夏の工作これに描きたいの!」
男「んー・・・いいけど、学校の絵の具じゃうまく描けないぞ?」
少女「そうなの?」
男「ちょっと待ってな・・・」ゴソゴソ
新品状態のアクリル絵の具とジェッソ(キャンバスなどに塗布して使用する下地剤)を取り出した
男「ほれ、これやるよ」
少女「アクリル絵の具?」
男「そのままでも油絵の具みたいに使えて、水で溶かせば水彩絵の具みたいに使える万能絵の具だよ」
少女「へ~・・・すごい!いいの?」
男「昔のだから、もし使えないチューブがあれば換えもあるから言ってくれよ」
少女「ありがとう!へへ・・・」モジモジ
男「どうした?」
少女「おじさんは、もう絵は描かないの?」
男「この腕だし、どうだろうなぁ」
少女「でも左手で何でもやってるよ?」
男「なんつーか、慣れっつーか癖っつーか・・・利き手じゃないと出来ないものってあるんだよ」
少女「・・・・・・そっか」ションボリ
男(とはいえ・・・・・・・・・確かに昔と違って今は左手もそこそこ自由に動くし・・・・・・)
男「・・・・・・試してみるか」
少女「!」
男「よし、そうと決まれば絵の具絵の具・・・」ガサガサ
少女「おじさん!一緒に描こう!」
男「おっけーおっけ・・・・・・うわぁ6年も放置してたからすげーことになってるな、新品新品・・・」ガサガサ
少女「おじさん!」
男「はい?」
少女「おじさんを描くの!」
男「ほうほう、じゃあ俺は鏡でも見ればいいのか?」
少女「ううん、私を描いてほしいの」
男「ほほう」
少女「きれいに描いてね!」
男「善処します」
キャンバスに向かったのは実に6年ぶり
少女「・・・・・・」カキカキ
男(んー・・・・・・勢いで描き始めてしまったが)サッサッ
少女「・・・・・・」カキカキ
男(むぐぐ・・・だめだ全然線がまとまらん・・・!)ケシケシ
少女「・・・・・・」カキカキ
男(~~~~~!!)イライライライラ
男「くっそおおお!!」ガタンッ
少女「!?」ビクゥ
男「無理だ、だめだだめだだめだ!・・・・・・くっそ・・・・・・くっそぉ・・・・・・」
少女「・・・・・・おじさん」
男「はぁ・・・はぁ・・・」
少女「ごめんなさい、私おじさんのおかげで絵が好きになったから、またおじさんにも描いてほしくて・・・・・・」
男「・・・・・・」
少女「おじさんは、絵描くの嫌い?」
男「・・・・・・そんなことない」
少女「じゃあどうして・・・・・・」
男「・・・・・・俺は、仮にも画家だったんだ・・・・・・下手なもんなんて描けない・・・・・・」
少女「・・・・・・」
男「・・・・・・」
男「・・・・・・」
少女「おじさん、私の絵、下手だよね」
男「そんなことは・・・・・・」
少女「この部屋にあるおじさんの絵より絶対下手」
男「・・・・・・」
少女「ねえ、好きなのに描いちゃいけないの?下手だと絵描いちゃいけないの?」
男「・・・・・・そういうことじゃ」
少女「そういうこと言ってるんだよおじさんは!」
少女「好きなら描いてよ、おじさん・・・・・・下手でも良いの、描い」
ガッチャン!
少女「っ!」ビクゥ
男「お前に何がわかる!」
少女「・・・・・・」
男「・・・・・・」
少女「・・・・・・おじさんのばかぁっ!!」ダッ
ああ、まただ
時計の針がまた止まろうとしてるのを俺は感じた
再び動きだしたはずだった時の流れは、
また、どろどろと淀みはじめる
・・・・・・
少女「・・・・・・」
男「・・・・・・はぁ」
少女「・・・・・・」
あれ以来、少女は一切口を利かなくなってしまった
何を言っても言葉は返さず、あっても否定の一言、
たまに目が合えばそらされて、
何かしてあげようとすると先を越される
あんなに大好きだった絵すらも描かなくなってしまった
男(・・・・・・そういえば、幼とも一度大喧嘩したことがあったな)
男(あの時はどうやって仲直りしたんだっけ)
『好きなら描いてよ、おじさん・・・・・・』
男「・・・・・・あっ・・・・・・」
『好きなら描けばいいじゃない!何がスランプよ!そういう台詞は描ききってから言いなさい!』
男(・・・・・・好きなら描け・・・・・・)
男(まさにその通りだ・・・・・・ああその通りだよ・・・・・・)
男「おばさん、こんばんは」
幼母「あら男君、今日も仕事お疲れ様ねー」
男「ありがとうございます」
幼母「聞いたわよ?描かなければならない絵があるから、2ヶ月仕事休むんだってね」
男「はい、おじさんには申し訳ないことを・・・」
幼母「いいのよ、主人だって納得の上で休職させるんだから」
男「本当に感謝してます・・・・・・ところで、幼の部屋に用があるんですけど、あがっても?」
幼母「ええ、いいわよ、どうぞ」
男「よかった、まだあった・・・・・・」
幼の押入れから出したダンボールから出てきた、
額縁に入れられ大事に包装された一枚の絵
そこには凛とした立ち姿の若い女性が描かれていた
『絵好きなんでしょ!?なら好きなもの描けばいいじゃない!』
描きたい物が思い浮かばず、
キャンバスに向かうことすら億劫になってしまった自称スランプに、幼はそう言い放った
その言葉に動かされ、俺はキャンバスに幼の絵を描ききったことを思い出す
男「まさかこの絵を持っていって『好きだ!』とか言うことになるとは・・・・・・恥ずかしくて死にてぇ・・・・・・」
男「・・・・・・もう一度、好きになれるだろうか」
ガリガリガリガリガリガリガリガリ・・・・・・
男「・・・・・・」
グリグリグリグリグリグリグリグリ・・・・・・
男「・・・・・・」
ベタベタベタベタベタベタベタベタ・・・・・・
俺は一心不乱にキャンバスに向かった
途中何度も投げ出しそうになることはあったが、
少女の笑顔が脳裏によぎるたび、俺は何度でも筆を持ち直した
それが描き終わるころには、俺の歩みを止めていたちっぽけなプライドは微塵も残さず消えていた
・・・・・・
少女「・・・・・・」
男「渡したいものがある、受け取ってほしい」
少女「・・・・・・!」
男「自分でもびっくりするぐらい下手で、全然きれいに描けなかったけどさ」
少女「これ、私・・・・・・!」
男「俺はもう一度絵を描き上げることが出来た、お前のおかげで」
少女「・・・あ・・・ああっ!」
少女「おじ・・・・・・おじさ・・・おじさあああんっ!」ブワッ
男「ごめんな少女、ごめんな・・・・・・!」
淀みかけた二つの流れは合流し、ひとつの新しい流れとなる
少女「私、おじさんの気持ち考えてなかった・・・!」ポロポロ
男「それは違う、少女が俺の事を想ってくれたから、俺はまた絵が描けたんだ」
長針と短針、二本の針が今そろい、再び時を刻みだす
まるで思い出したかのように、グルグルとその速度を上げて回りだす
時計はもう、止まらない・・・・・・そう確信する
男「少女、ありがとう」
・・・・・・・・・
・・・・・・
・・・
交流を再開した画商さんの勧めで、来月から欧州に渡ることも決まった
少女もまた、俺や幼馴染が通った美術高校へ推薦入学することになっている
遠くからの学生のために寮を持っており、少女も明日からお世話になる
少女「もうすぐだね」
男「ああ・・・・・・」
少女「寂しくなるね」
男「ああ・・・・・・」
男母「少女?あなたが最後だから、はやくお風呂入っちゃいなさい」
少女「はーい」
男「また後でな」
少女「うん」
今日はまたずいぶんと長風呂のようだった
時刻は12時を回り、俺はいつの間にか眠りに落ちていた
男「zzz・・・・・・」
スススー・・・
パタン
少女「・・・・・・」
男「zzz・・・・・・」
少女「・・・・・・」ソー・・・
男「・・・・・・んぁ?」
少女「!」ビク
男「・・・・・・なにしてんの」
目を覚ますと、眼前には少女の顔があった
風呂上りで上気しているのか、頬が赤く染まっている
男「・・・・・・ずいぶんと顔が近かったな」
少女「えとえと、ちょっと道具を借りに・・・・・・」
男「・・・・・・バスタオル一枚でか」
少女「~~~~っ///」
少女は顔だけでなく耳まで真っ赤になってしまった
頭から湯気が出ているものだから、それはそれは漫画っぽい
男「お、おう・・・」
少女「私、おじさんのこと好きです!」
男「俺もお前のこと妹や娘のように愛しているぞ?」
少女「違うの!男の人として好きなの!」
男「・・・・・・」
少女「おじさんが、しばらくヨーロッパから帰ってこなくなると思うと、切なくて・・・・・・」
男「はぁ~・・・・・・」ポリポリ
少女「ちょっと!?私本気!」
男「あ~はいはい」ゴロリ
男「だあああもう!お前は家族なんだぞ、男とおんなのかんけいにわ・・・・・・」
少女の身体を隠していたバスタオルは、俺の目の前で左右に開かれていた
透き通るような肌
年相応に膨らみだした乳房
無駄な脂肪の無いくびれ
毛の生えそろわない秘部
小ぶりなお尻
優美な線を描く華奢な手足・・・・・・
女性として完成されていない、少女然とした未熟な肢体
幼さの中に女が垣間見えるそのアンバランスな身体は、
今まで見たことのあるどんな絵画の少女より美しく思えた
男「・・・・・・」
だがそれはそれ、これはこれである
男「・・・・・・お前、今何歳だ」
少女「・・・・・・15です」
男「俺32!わかる!?普通に親子に見られるレベル!」
少女「でも好きなの・・・・・・あの日以来ずっと好きだったのっ・・・・・・」ウルウル
男「ああもう・・・・・・泣くな泣くな、わかったからバスタオル巻いてこっち座れ」
少女「!!・・・・・・・・・うん///」モジモジ
少女「うん・・・・・・///」ギュッ
男「ん」
チュッ
少女「えっ」
男「お前みたいなガキんちょはおでこで十分だ」
少女「えっ?えっ?ええええ!?」
男「未成年との性的行為は犯罪です」
少女「据え膳食わぬはって言うよ!?」
男「うるせえ!まだ熟してもない青ミカンなんか食えるか!」
少女「ひどい!ひどいよ!」
少女「え?」
大切な人を亡くした男と女の子がいた
男「俺が帰って来るまで3年あるから、それまでに何でも良いから賞を取れ」
少女「それって・・・!」
二人は出会い、互いに失ったものを分かり合い、互いの喜びを分かち合い、そして惹かれあった
男「でもって、帰ってきてもまだ誰の女にもなってなかったなら、そしたら考えてやる!」
少女「!!ありがとうおじさん!」ギュッ
やがて二人は結ばれるだろう、しかしそれはまた未来のお話
愛する人の抱擁に身を任せ、今はただ、その温もりを感じていよう
少女「おじさん、大好き・・・・・・」
Fin
乙
Entry ⇒ 2012.01.24 | Category ⇒ 男女「」SS | Comments (0) | Trackbacks (0)
女「好き!」男「……え、今なんか言った?」
女「えっ?」
男「え?」
女「……えっ?」
男「いや、いま何か言った?」
女「……」
女(……ええー)
http://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/internet/14562/1326333893/
女「好き!」男「……え、今なんか言った?」
男「なんも言ってないの?」
女「あ、いや、言った。言ったけど……」
男「……なに? どうでもいいこと?」
女「あ、いや、どうでもいいことではないんだけど……」
男「じゃあなんだよ」
女「それは、その……」
男「……なんだよ。大事なことじゃないの?」
女「大事なことでは、あるんだけど……」
女(こういうときどうすればいいか、女友ちゃんに聞いておくの忘れた……)
女(言い直すべきなの? 言い直していいの?)
女(ああでも……さっきまでの良い雰囲気がどこかに霧散してしまっている……)
女(……制服で一緒に下校して、商店街に行ってドーナツ食べて、その帰りに、安心できる心地よい沈黙があって……)
女(今なら言えるかもしれないと勇気を振り絞ったのに……)
女(もう雰囲気がどこにもないじゃん!)
女(女友ちゃんのうそつき! 雰囲気づくりした上で告白すれば男なんてチョロいなんて!)
女(嘘だった! わたし、今たいへん! ちょろくない!)
男「……どうかしたの?」
女「えっ、あ、いや……」
男「また言ってる」
女「え?
男「その『あ、いや』って口癖」
女「あ、いや」
男「また言った。まぁ、別にいいんだけどさ」
女「あ……うん」
男「……」
女(この沈黙は居心地の悪い沈黙だ……)
女(女友ちゃんいわく、『告白とは雰囲気である』。卒業式やバレンタインデーに告白が多発するのは雰囲気があるからである)
女(雰囲気、雰囲気がないと……困る。雰囲気がないときに告白するのは『下策中の下策。乙女の資格なし』って女友ちゃんも言ってた)
女(乙女の資格なんて恥ずかしいからいらないけど、失敗はしたくない)
女「あ、あの……男くん」
男「ん?」
女「ちょっと、どこか寄っていかない?」
男「……え?」
女(とにかく、いまは、時間稼ぎ! 時間に余裕を作らないと、わたしの脳が、処理落ちする!)
女(わたしすごい! 冷静な判断ができてる! すごい、いつもはダメだけど! ピンチに覚醒! すごい!)
女(わたしちょお冷静! ちょおスゴイ! スゴすぎて言葉を失う!)
男「別にどこかに寄るのはいいけど……」
女「う、うん」
男「あのさ、他意はないと思うんだけどさ」
女「……うん?」
男「……このあたり、田んぼのほかにはラブホテルしかないけど」
女(あ、ぜんぜん冷静じゃなかったらしい)
男「ここから先、ほとんど何もないし」
女「……」
女(まずい、告白に失敗したどころか時間稼ぎにまで失敗してしまった……)
男「……」
女(男くんも気まずそうな沈黙……。マズい、主にわたしの印象がまずい! あと心臓がマズい!)
女(ついでになぜかコメカミの辺りが第二の心臓になったかのように鼓動してる! マズい!)
女(というかずっと思ってたけど、今日、いつもより距離が近い! なんでだ!)
女(肩がときどきぶつかる。なんで? わたし、いつもと歩き方ちがう?)
女(緊張する……。近いよ、近すぎだよ! 恋愛は距離感だって女友ちゃんも言ってたよ? 距離感が大事なんだよ!)
女(うれしいけど! うれしいけどなんか、緊張する!)
女(黙ってたらダメだ……何か言わなくては……)
女(女友ちゃんいわく、『雰囲気とは甘い言葉である』)
女(それだ!)
女「あ、あのさ」
男「ん?」
女「駄菓子屋いこう!」
男「……えっ?」
女(その甘いじゃないから――――!)
女(なんでこんな失敗を……。漫画じゃないんだよ? 漫画だとしてもありがち過ぎて失笑を買うレベルだよ!)
女(……生まれ変わったらハクビシンになりたい)
男「――いいけど」
女「えっ」
男「……なんでびっくりしてるの?」
女「あ、いや……」
男「また言ってるし……」
女「……ごめん」
男「別に悪いって言ってるんじゃないよ。いいと思うよ、俺は」
女(……褒められてるの? 口癖を? それってどう受け取ればいいの?)
男「行こうか、駄菓子屋」
女「……うん」
男「何食べる?」
女「あ、えっと……」
女(……あの)
女(正直、ドーナツでお腹いっぱいなんですけど!)
女(食べられないよこれ以上! ていうかそもそも!)
女(ドーナツ、二個も食べたのに、駄菓子屋行こうって誘ったりしたら、食い意地の張った子だと思われる!)
女(思われてしまっている! マズい! ついでにわたしの体重はひと月ほど前から順調に増幅しつつあるというのに!)
女(ドーナツは美味しかったけど、マズい!)
男「キャベツ太郎、アポロ、わなげチョコ、こんがりラスク……これ好きだったよな」
女「え?」
男「こんがりラスク」
女「……あ、いや」
男「ちがうっけ?」
女「……よく覚えてない」
男「好きだったって。自分のを食べ終えたあと、絶対に俺から取り返してただろ、こんがりラスク」
男「俺はいつも食い損ねたんだ」
女「……」
女(……そういえば、そんなこともあったけど。でも、小学生のときのことだよね、いっしょに駄菓子屋寄ってたのって)
女(覚えてるんだなぁ、男くんも。なんだかうれしいような、気恥ずかしいような……)
女(……むずむずする)
女(……そういえば)
女「男くんは、いっつもチョコばっかりだったもんね」
男「……そうだっけ?」
女「そうだよ、わたしからアポロ奪ったもん。強奪したもん。ひどかったよ。わたしがおかし好きなの知ってて奪うんだもん」
男「……あー、そういえば」
女「あれはよく考えるとイジメだよね。女の子いじめて楽しんでたよね。男くんのサド」
男「……口の滑りはだいぶ良くなってきたみたいだな、おい」
女(……でも、わたしが本気で怒ったり、泣いたりすると、いっつもラスクを分けてくれたんだっけ)
女(うれしかったなぁ。幼心に恋に落ちたなぁ……)
女(いま思えば完全にマッチポンプだけどね!)
女(優しさからラスクをくれたんじゃなくて、わたしをなだめる為に餌を与えてただけだね! いま思えば!)
女(でも好きだ! ちくしょー!)
男「……まぁ、さっさと金払っていこうぜ」
女(……どうやら男くんは気まずくなってしまったみたいだ)
女(自分から墓穴を掘ったようなものだもんね。わたしは気にしてないけど)
女(……あれ? 雰囲気づくりどこ行った?)
女(思い出語りに夢中になりすぎて、雰囲気をおろそかにしてしまったような)
女(どうしよう。あ、いや、待て。思い出語りって雰囲気じゅうぶんじゃない?)
女(このまま……いけるかな?)
女(……待て、待つんだ女。お前はいつもそうやって失敗するじゃないか。功を急くな、急がば回れ)
女(はい隊長! だいじょうぶです! 女は冷静です! ちょお冷静です!)
男「公園行って食おうぜ」
女「はい隊長!」
男「えっ」
女「あっ」
女(間違えた――――!)
女(なんでそんなに間違えるの? わたしの口はひょっとして欠陥品なの?)
女(それとも喉? ひょっとして肺? あんまり考えたくないけど脳? いずれにしてもアホですかわたしは!)
女(……もし三度目の機会があるならイルカに生まれ変わりたい)
男「相変わらずだな、おまえ」
女「……な、なにが?」
男「いつもは静かなくせして、ときどき変なこと言うんだもんな。俺、そのたびにおかしくてさ」
男「小学のとき、俺が風邪で寝込んだことがあったろ。そんで、お前がお見舞いに来てさ」
女(……そういえば、そんなこともあったっけ)
男「俺がベッドでウンウン唸ってたら、おまえがさ、『風邪を足せば治るの?』って言ったんだよ」
男「それ聞いたら俺、苦しいのに笑っちゃってさ」
女(そんなこともあったっけ。お見舞い、したなぁ。わたしもそのあと寝込んじゃったんだよね。でも、正直……)
女(男くんのツボがまったく分からない……!)
女(その話どこがおもしろいの? いまそんな言葉を聞いても、受け狙いにしか聞こえない!)
女(世間の風にさらされて、少しは大人になったのかしら。物事を純粋な目で見れなくなったのね……)
女(汚れつちまつた悲しみに……)
女(……緊張してるからって関係ないこと考えて現実逃避するのはやめとこう)
男「ベンチで食うか」
女「……うん」
男「むかしはさ、滑り台のてっぺんで食べたんだよな。覚えてる?」
女「……うん」
男「俺が落っこちちゃったこともあったっけ」
女「あのときは、死んじゃうかと思ったよ」
男「大げさだな」
女「……起き上がれなかったくせに」
男「でも起き上がっただろ?」
女「そうだけど」
男「おまえがわんわん泣くから起き上がらざるをえなかったんだよな」
女「だって、男くんが痛い痛いって唸るから……」
男「結局、母さんにさんざん怒られたんだっけ」
男「……言ってなかったけど、あのときさ」
女「……なに?」
男「ぱんつ見えてた」
女「えっ」
男「ちょっとだけな」
女「ちょっとだけって、え、ホントに?」
男「いまだに柄まで覚えてる」
女「や、やめてよ」
男「子供の頃のことじゃん」
女「それでもいやだよ、恥ずかしいよ。忘れて、可及的速やかに忘れて」
男「やだよ。あれも思い出の一ページなんです」
女「そんな思い出いらない」
男「いるだろ、俺の性のめざめだよ? いらないわけないだろ! おまえを女と意識した最初だぞ!」
女「それ素直に喜べないよ……素直になれたとしても喜ぶようなことじゃないよ」
女(……それにしても、女って意識してたんだ)
女(というか、いっしょに裸でお風呂に入ったりもしてたのに、性へのめざめはぱんつなの?)
女(あ、いや、いっしょにお風呂入ってたのは小学生になる前か)
女(……でも、ぱんつって、別に見ても嬉しくないような……。小学校の頃って、低学年まで着替え一緒の教室でしてたし)
女(もちろん物陰で隠れて着替えてはいたけど、でも、あのときも男の子ってぱんつ見たがってたりしたのかな)
女(その割には、みんな覗きにきたりはしないんだよね……見たいならなぜ?)
女(隠れてるからいいのであって、見れるようにされると興味を引かれないのかな)
女(……いやでも隠れて着替えてたし、それなら着替えを覗きたくなるのでは?)
女(そういえば水着も下着と同じくらいの露出だけど、水泳の授業で男子が嬉しがってるのみたことないし)
女(でもまぁ、そうだよね。水泳の授業のたんびに興奮してたらいろいろ大変そうだしね)
女(いや何を考えてるんだわたしは……)
女(……男の子って謎すぎる)
女(っていうか、怪我した状態で性へのめざめって、どっちかっていうと生へのめざめでは?)
女(あれかな、生命の危機を感じると性欲が強くなるっていうあの……)
女(……だからどうでもいいことを考えて現実逃避するのはやめろと)
男「……で、どうしたんだよ、いったい」
女「え?」
男「帰りたくないんだろ?」
女「……え?」
男「あれ、ちがうの?」
女「あ、いや、まぁ、そう言えなくもない、けど、ちがうとも言える……かな?」
男「そうなんだ。どこかに寄ろうっていうから、てっきり帰りたくないのかと思った」
女「……うん」
女(めちゃくちゃ見透かされておりますがな)
男「…………」
女(……うぅ)
男「…………」
女(なんか気の利いたこととか、言えないのかね、『月が綺麗ですね』とか。いやまだ日沈んでないし)
女(あっ)
女「月でてるよ!」
男「……お、ほんとだ」
女「月!」
男「……うん。出てるな」
女「…………」
男「…………」
女(だからなんだよぉ――――!!)
女(『月が出てるよ』って言ってどんなふうに会話がはずむんだよ!)
女(『あ、ほんとだね』としか言えないよ! 『綺麗だな』と続くかもしれないけど、それは求めてるのとはちがうんだよ!)
女(だいたいこの話、最近いろんなところで引用されすぎなんだよ!)
女(ちょっといい感じのエピソードとか、飽き飽きなの! 求められるのはもっと新しい視点なの!)
女(中原中也の詩の引用とか! 冒頭のページに聖書の引用とか! 大した意味ないだろ絶対! 雰囲気でしょそれ!)
男「綺麗だな、月」
女(ほら、絶対そのままの意味だよ……)
男「…………」
女(会話広がらない。……もうわたし、こんなのばっかり。からまわってばっかり)
女(スタンドを立てた自転車の後輪並みにからまわってる。いつもより多めに回っております)
女(くるくるくるくる回って……そしていつか、地球になるんだ、わたし。そして世界をわたしの回転運動と慣性の法則でひっかきまわすの)
女(そのときも、男くんが一緒にいてくれたら、いいな)
女(…………)
女(……自分で考えててなんだけど、正直まったく意味がわからない。頭までからまわってるらしい)
男「なんとか言えよ」
女「……え、なにか言った?」
男「……いや、なんでもない」
女(あれ、そっぽ向いてる。なんか怒らせちゃったかな)
女「……男くん?」
男「……ん?」
女「なんか怒ってる?」
女(……あ、しまった)
女(女友ちゃんが「怒ってる?」って聞くと大抵の男の人は不機嫌になるって言ってた)
女(怒ってないのに「怒ってる?」って聞かれるとイライラするもんね。……でも結局、それって怒ってるんじゃ)
女(いや、それはいい。今はいい。後で考えようそんなことは。とにかくいま大事なのは……大事なのは、なんだっけ?)
男「……」
女(……男くんが黙ってアポロをぽりぽり食べてる)
女(長年の付き合いだし、ちょっとした表情から何を考えてるかとか読み取れないかな)
女(うん。男くんがアポロをぽりぽり食べてるときは……前はたしか、怒ってたときだったっけ)
女(……ん、でもこないだは落ち込んでるときだった。……あれ? 上機嫌なときも食べてたよね)
女(寒い寒いって言いながらコタツに入って食べてるときもあったっけ……)
女(……役に立ちませんね、長年の付き合い)
女「ていうかアポロ食べすぎだよ……」
男「え?」
女「あっ」
女(しまったあああああ――――!)
男「……あ、食べたかった?」
女「あ、いや、そういうわけじゃなくて……」
女(っていうか女! おまえさっきから思ってたけど!)
女(失敗のパターンが! 完全にワンパターンじゃないかよお――――!)
女(思ってたことを口に出すとか、そういうワンパターンな失敗は、誰も得しないんだよ!)
女(もっと女友ちゃんみたいに上手いこと失敗しようよ、「てへ、しっぱいしちゃった☆」って感じの!)
女(こんな失敗じゃ好感度はあがらないよ……)
女(むしろ急激に下降中な気配がする、人のおやつにケチつけるなんて大罪だよ……)
女(その大罪にも関わらず、もし四度目の生が許されるほど神が寛大だったなら、もっと余裕がある女の人に生まれたい……)
女(いや、今はそんなことはいい。とりあえず会話を回復する手立てを、流れを変える手段を考えなければ)
女(ええい、ままよっ!)
女「あのさ!」
女(と声をかけてしまえば何か言わざるをえないし、そのうち思いつくよね、きっと。がんばれ二秒後のわたし!)
女(……こういう場合も他人任せと言うのかな?)
男「どうした?」
女「あの、えっと……」
女(……あ、あれ? なんかこの流れで告白リトライできてしまいそう?)
女(期せず機会がやってきた。うん、人生って思い切りが大事なんだね。ありがとう十秒前のわたし)
女「あ、あのね、男くん……」
男「ん?」
女「……あのさ!」
男「お、おう」
女「……あのさ」
女「『閉口』と『開いた口が塞がらない』って、字面は真逆なのにニュアンスが似てるよね」
男「……え? あ、うん。そうかもな。……そうか?」
女(…………)
男「…………」
女(みんなわたしをヘタレだと罵るがいいさ……)
女(そしてわたしも本日何度目かわからないがこう言いたい。『だからなんだよ』と)
女(さすがに神様も、好きに指定させてくれるのは三回目までだと思うの。仏の顔もっていうし)
女(でも、『仏の顔も三度まで』って『三回までは許す』なのかな、『三度目はアウト』なのかな)
女(『烈火の炎』じゃどっちだっけ? 三回殴られたら? それとも四回目?)
女(……思い出せないや。男くんなら分かるかな、男くんの持ってた漫画だし)
女(……ああ、でも、いま話しかけるのはつらいかも。二度目の失敗……)
女(わたしは何をやっているんだ……)
女(もし生まれ変わるなら、男くんの彼女に……)
女(だめですか、そうですか……そうだよね、夜眠る前にさんざん祈ってもだめだったもんね)
女(願いも祈りも、それだけではなにひとつ生み出さないのだぜ)
女(なんでこんなにネガティブなことばっかり考えてるんだろう……)
女(叶えたい願いがあるなら、それ相応の行動を起こさなくちゃだめなのだぜ)
女(こう言い換えるとポジティブかもしれないのだぜ)
女(あれ、とれなくなったのだぜ)
女(……バカなことばっかり考えてるからだよ)
女(……あれ、なんか男くんがこっちを見てる気配がするのだぜ)
男「…………」
女(ていうか気のせいじゃないっぽいのだぜ。……手元。ひょっとして……)
女(アポロ? このタイミングでアポロ? そんなにアポロが好きなのか! 自分のぶんは食べきったのか!)
女(なんかもうめっちゃみてる! 物欲しそうに! この顔は欲しがってる顔だ! 分かりづらいけどチラ見してる!)
女「…………」
男「…………」
女「……食べる?」
男「……いいのか?」
女「正直、とられるだろうなぁと思って買ったのだぜ」
男「だぜ?」
女(……また間違えた)
男「だぜ、って……!」
女(そしてなんかツボってる。感性が分からない。どうしよう、笑いのツボの違いは男女関係に重大な破綻をもたらすって女友ちゃんが……)
女(……言ってたけど、まぁわたしって良い占いしか信じないタイプだから別にいいか)
男「……っ! ……っ!」
女(……すごく笑ってる)
女(……なんだか困るなぁ。ちっとも良い雰囲気にならない)
女(こう、もっと甘い感じの? 空気がいいよね。手が触れ合っただけでどぎまぎしてしまう感じの)
女(なのになんですかこれ。彼、笑う、わたし、黙る。なんだこれ)
女(……困った)
男「なあ」
女「はい?」
男「何か言いたいことあるのか?」
女(なにこの人、急に真面目になったよ)
女「あ、えっと……」
男「…………」
女「……その」
男「……うん」
女「あのね」
男「ちょっと待った」
女(なんで出鼻を挫くかなぁ――――!)
女(わざとか! 言わせようとしたくせに、言いかけると邪魔するのか!)
女(わかっててやってるとしたらすごくいやな奴だ! いやなやつだ!)
女(でも好きだ!)
女(…………)
女(……わたし一人でアホみたい)
男「あのな、ちょっと大事な話があるから聞いてほしい」
女「……大事な話?」
男「そう」
女(よもや、彼女ができたから距離を置こうとかそういうあれでは……)
女(……「ひょっとして告白!?」と思えない自分が憎い)
男「……まぁ、落ち着いてラスクでも食べろ。やる」
女「……あ、ありがとう」
女(この年になってラスクをもらえるとは……今年のバレンタインは気合いを入れねばなるまい)
女(そしてホワイトデーにはラスク! ……それって喜ぶべきなの?)
男「……俺らさ、子供の頃から一緒だったじゃん」
女「……うん」
女(……なにつくろう。定番はチョコだよね。あんまり凝ったのは難しいし、お金もないし)
男「だから、いまさらというか、なんというかなんだけど」
女(そういえば、男子は誰からチョコをもらっても嬉しいっていうけどホントなのかな)
女(前に男くんが「バレンタインになると男子はみんなソワソワしてるだろ?」って言ってたけど……)
女(正直、いつどうやって渡そうかとずっと考えてて、ほかの男子を見てる余裕なんてないよね)
女(……あ、今の言葉、なんか恋愛の縮図っぽくて素敵?)
男「なんつうか、このままっていうのはもう嫌なんだよ」
女「……うん」
男「だから……」
女(……ラスク美味しい)
男「好きだ。俺と付き合ってくれ」
女(……でも、男くんってわたしの手作りチョコよりアポロの方よろこびそう)
男「…………」
女「……え? 今なんか言った?」
男「…………」
女「……ごめん。生返事してた」
男「……ああ、うん」
女「あの、もう一回話してくれる?」
男「……いや」
女「……えっと、大事な話じゃないの?」
男「いや、大事な話……なんだけど」
女「うん。聞くよ」
男「…………」
女「えっと……?」
男「……いや、なんつーかさぁ」
男「大事な話って言ったんだから聞いとけよ!」
女「えっ」
男「俺めっちゃ前置きしたじゃん! いや、自分でも本題なかなか切り出せてないって思ったけどさ!」
男「聞いとけよそこは! 悪かったよ長くなったのは! でも大事な話って言ったしさ!」
女「な、えっ……」
男「俺めちゃくちゃ真剣だったじゃん! なんか今日、俺空回りしてばっかじゃん!」
女「そ、そんなこと言ったら、男くんだってわたしの話きいてくれなかったじゃん!」
男「俺が? いつ?」
女「さっき!」
男「さっきっていつ?」
女「さっきはさっきだよ! わたしだって話があるって言ってたのに上の空だったもん!」
男「そんなの……そんなの、聞く余裕ないに決まってるだろ! 悟れ!」
女「悟れなんて言われても無理だよ! わたし超能力者じゃないもん! 男くんサトラレじゃないもん!」
男「んなの……長年の付き合いなんだからさぁ!」
女「長年の付き合いに大した効力がないのはさっき確かめたもん!」
男「ああもう!」
男「だから俺はだな!」
女「なに?」
男「お前が好きだって言ったんだよ! なんで聞いてないんだよ!」
女「そんなのわたしだって言ったもん! 男くんだって聞いてなかったじゃん!」
男「…………」
女「…………」
男「ん……?」
女(あれ?)
女(……ん?)
女「……あの、男くん、ちょっと聞きたいんだけど、今なんて言った?」
男「何回言い直させる気だと言いたいところだけど、俺からも聞きたい。今なんて言った?」
女「……好きって言ったよ」
男「……俺も」
女「ずるい」
男「えっ」
女「ちゃんと言って」
男「……したたかだな、おい」
男「好きだ」
女「もっと大きな声で」
男「調子のんな」
女「……ごめんなさい」
男「…………」
女「…………」
男「好きだ!」
女「……うん」
男「…………」
女「…………」
男「……もっとラスク食べる?」
女「……うん」
女「あ、アポロあるけど、食べる?」
男「準備いいな」
女「お互い様じゃない?」
男「うん」
男「……これ食べ終わったら帰るか」
女「……うん」
男「もう日も沈むな」
女「うん」
男「……月、出てるぞ」
女「……出てるね」
男「…………」
女「……きれいだねえ」
男「うん」
女「ああいうの、夕月っていうの?」
男「知らない。俺、日本語研究したことないもん」
女「わたしもない」
男「そうなん? ありそうだけど」
女「本気で言ってる?」
男「うん」
女「…………」
男「ごめん、適当なこと言ってた」
女「わたしも」
女「男くん、好きだよ」
男「うん」
女「好き」
男「……何回言うんだよ」
女「何回だって言いたい気分なんだよ」
男「俺は何回も言わないよ」
女「何回だって言ってほしいよ」
男「…………」
女「…………」
男「好きだ」
女「……うん」
女「あのね」
男「……うん」
女「わたしを、男くんの彼女にしてください」
男「…………」
女「…………」
男「……うん」
女「……なんかすっごく疲れた」
男「俺も。肩の荷が下りた感じがする」
女「うん」
男「…………」
女「……うん」
女「なんか、なんか、すごいね」
男「……うん。そう思う」
女「……食べ終わったし、帰ろっか」
男「……だな」
女「なんか、男くん、さっきから言動がそっけないよ」
男「そう?」
女「彼女になっちゃうと安心してほかの女の子に目がいくタイプ?」
男「……余韻に浸ってるんだよ」
女「余韻」
男「あと照れくさい」
女「……案外ロマンチストなんだから」
男「うるさい」
女「ねえ、わたし、男くんの彼女でいいんだよね?」
男「うん……。うん」
女「じゃあ、男くんはわたしの彼氏?」
男「……そうなるな」
女「……なんかそっけない」
男「照れくさいし、実感沸かないんだよ」
女「わたしも。ぜんぜん実感わかない」
男「……うん」
女「さっきから『うん』ばっかり」
男「お前こそ、さっきから変に喋るじゃん」
女「……安心したのと、うれしいのと、照れくさいのと、だよ」
女「男くんがわたしの彼氏、かぁ」
男「うん」
女「……なんか恥ずかしいね」
男「いや、うん」
女「……好きだ!」
男「まだ言うか」
女「男くんが好きだ!」
男「やめて、もう俺たぶん顔とか真っ赤だから」
女「わたしも顔熱いし大丈夫だよ」
男「それ、全然だいじょうぶじゃない。家ついたら家族にばれてしまう」
女「ばらしちゃえばいいよ」
男「恥ずかしいわ」
女「……へんなかんじ」
男「どんな感じ?」
女「ふわふわする」
男「ふわふわ?」
女「わたしね、これが夢だって言われたら、納得するかもしれない」
男「……それは、とてもふわふわしてそうだな」
女「男くんは?」
男「……わかんねえ。なんもわかんねえ」
女「そんなかんじだ」
男「うん」
男「……」
女「……好きだよ」
男「……うん」
女「…………」
男「俺も好きだ」
女「…………」
女「……うん」
男「…………」
女「これからも、よろしくね」
男「……ああ」
ニヤニヤしっ放しだった
新しく出来たSS深夜VIPのSSです
いろんなSSがあるので是非見てください!
SS深夜VIP
Entry ⇒ 2012.01.23 | Category ⇒ 男女「」SS | Comments (0) | Trackbacks (0)
男「高飛車で高慢なお嬢様は無視に限る」
男「…」
お嬢様「そこの蟻を見てみなさい、よっぽどみがましく働いているわ」
男「…」
お嬢様「なんにも言い返せないのね、まったく情けない」
男「…」
お嬢様「そういえば朝の挨拶が聞こえてこないのだけど」
男「…」
お嬢様「やだ、私ったら…声を出す許可を与えていませんでしたね、どうぞ、挨拶を許可します」
男「…」
お嬢様「男…?き、聞こえなかったのかしら?挨拶をしても良いのよ?」
幼馴染「あ、男!おはよっ」
男「おはよう」
お嬢様「え…?」
http://hayabusa.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1327035068/
男「高飛車で高慢なお嬢様は無視に限る」
お嬢様「お、おはよう」
男「宿題やってきた?」
お嬢様「愚問ね、この私が学校の宿題程度できないわけがないでしょう?」
男「…」
お嬢様「自分でやらないだらしない男に貸すのはいささか不服ですけれども、それでもまぁ頭を下げるって言うならしょうがなk
男「なあ、宿題やってきたか?」
お嬢様「…え?」
幼馴染「え?あっ、わ、私?」
男「他に誰がいるっていうんだよ」
お嬢様「…」
お嬢様「…」ウルウル
男「幼馴染に貸してほしいんだよー」
男「おねがい!見せてくれないか?」ペコッ
幼馴染「お、お嬢様?」
お嬢様「ふ、ふん!見せてあげればいいじゃない!!」
幼馴染「はい…これ」
男「ありがとな」
お嬢様「…」ゴシゴシ
お嬢様「…」テクテク スタッ
幼馴染「ちょ、ちょっと!どういうこと?」
男「ん?何が?」
幼馴染「とぼけないでよ…お嬢様のこと!」
男「とぼけるなって言われても…何を言ってるのか」
幼馴染「なにかされたの?どうしちゃったのよ」
男「だからどうもしてないってば」
幼馴染「ふーん…いいわ、お嬢様に聞いてくるから」
担任「ホームルーム始めるぞー」
男「…」カツカツ
…
数学「おい男、そこ違ってるぞ」
幼馴染「ごめん」ヒソヒソ
男「だいじょぶだいじょぶ」
お嬢様「ふふっ、だから素直に私の見ておけば良かったのよ」
男「…」
お嬢様「今頭を下げるなら次からは見せてあげてもいいのよ?」
男「次からはよろしく頼むぞ」
お嬢様「っ!そうよ、分かれb
男「幼馴染」
幼馴染「え?え?…って人の宿題写しといて何言ってるのよ!」
男「ん?幼馴染、ここも違ってないか?」
幼馴染「そ!そうね、だから私のなんか当てにしちゃいけないのに」ブツブツ
お嬢様「…」
委員長「あっ、お嬢様、そこちょっと違うかな」
お嬢様「えっ?あ…どこかしら」
委員長「その5行目の計算が…」
お嬢様「あら、私としたことがうっかりしてましたわ、ありがとう」
お嬢様「…」ケシケシ
お嬢様「やっとお昼ね、高貴な私とお昼を一緒に食べる権利が平凡なあなたにはあるのよ?」
男「幼馴染ー昼飯食おうぜー」
幼馴染「それは、その…良いんだけど」
お嬢様「…」
幼馴染「お嬢様も…」
お嬢様「…」
幼馴染「私達、お嬢様と一緒に食べさせて…もらえるのかな?」
お嬢様「………うん」コクン
幼馴染「良かった!じゃあ中庭行こっ!」
男「早くー」
幼馴染「ん、分かった」
お嬢様「…」
幼馴染「で、何があったの?」
お嬢様「分からないわよ…今朝になったらいきなり無視されて…」
幼馴染「心当たりはないの?」
お嬢様「あったら苦労しないのに…」ウルウル
幼馴染「ま、まって!落ち着いて!昨日のこと思い出してみよ!」
お嬢様「うん…」
お嬢様「あら、そこにいるのは男かしら?挨拶が聞こえてこないみたいだけど」
男「んー…おはよう…」
お嬢様「眠そうね…まったく、その辺の石ころの方がよっぽど立派な顔をしてるわよ」
男「んー…そうかなぁ」
お嬢様「そうよ、石ころでも煎じて飲めば男ももう少し立派になるかも知れないわ、拾って行きなさい」
男「石ころは煎じても飲めないだろー…」
お嬢様「分かってるわ、皮肉よ皮肉、それぐらいの事もわからないくらい男の頭は低性能なのね」
男「ん?んー…ふわぁ」
……
お嬢様「そんなのは毎日だからちがうわよ、一昨日はもっとだらしなかったから…」ペチャクチャ
幼馴染「あははー…」
幼馴染(男…よく、耐えられるな)
お嬢様「そういうわけで朝は関係ないと思うの」
幼馴染「そ、そだね…」
お嬢様「昨日は他に…」
お嬢様「男?今日も私とお昼ご飯を食べさせてあげるわ、光栄に思いなさいよね」
男「いつもありがとな…幼馴染も、ほら」
幼馴染「よろしくっ」
お嬢様「まだ眠いの?どれだけだらしないのかしら、もう…しょうがないわね、私の豪華なお弁当で目を覚まさせてあげるわ」パカッ
男「今日も凄いなー…ところでこれってお嬢様が作ってるの?」
お嬢様「当たり前じゃない、女性として料理の一つもできなきゃ、ところで、少しぐらいなら食べてもいいのよ?」
男「そう?それならちょっと」モグモグ
男「うん、うまい!」
お嬢様「そうでしょうそうでしょう、何回も作ってやっと成功したのを
お嬢様「はっ!!なんでもないわ!料理なんて簡単よ」
お嬢様「い、いい雰囲気だなんて!私は男が食べたいって言うからしょうがなく大切なお弁当を」
幼馴染「はいはい、でも結局なんだか分からなかったなぁ…」
男「幼馴染ー」タタタッ
お嬢様「…」
男「ごめんごめん、ちょっと混んでて…さ、食べよっか」
バクバク
男「やべ、ちょっと足りなかったかも…」
お嬢様「バカね、自分の食べたい量も分からないなんて…でもラッキーだったわね、今日の私はやっぱりうっかりしてるみたい」
お嬢様「いつもより多く作ってきたから恵んであげるわ、ほら、感謝の言葉を唱えなさい」
男「おっ、幼馴染の弁当美味そうだな、ちょっと失礼」ヒョイ
幼馴染「あ、あっ!ちょっと!!」
お嬢様「」
男「ふーっ、お腹いっぱい…幼馴染は流石だな」
幼馴染「誰があげるなんて言ったのよ!もー…ハンバーグとっといたのに…」
お嬢様「…」パクパク
お嬢様(多いわ…)ジワ
幼馴染「お、お嬢様!?私足りないなー!男に取られて全然足りないなー!!」
お嬢様「ふぇっ?」グスッ
幼馴染「もしよかったらその美味しそうなお弁当少し分けてもらえないかなー!!!」
お嬢様「え、ええ!もちろんよ、高級品をじっきり味わうと良いわ!」
幼馴染「う、うまい…!」
お嬢様「よかったぁ…」
男「zzz」
男「zzz」
お嬢様「起きなさいよ、ホントにだらしないのね、ナマケモノでももうちょっと動くわよ」
幼馴染(そんなことないよ…)
男「ん、あー…」
お嬢様「ほら、起きなさいってばナマケモノよりも怠け者の男はさしづめ…」
お嬢様「そうね、ひどすぎてちょっと名前も付けられないわ…」
幼馴染(無理しなくていいのに)
男「むにゃむにゃ、ありがと幼馴染」
お嬢様「なっ、私がおこしてあげたのよ!?信じられないわ…お礼も言えないなんてこれはもう貴賤の差ではなくて」ブツブツ
幼馴染「私じゃないよ、お嬢様が起こしてくれたんだよ…」
男「んー…ま、教室行こっか、」
お嬢様「さて、今日も1日終わりましたが私を無視して楽しかったかしら?」
男「…」
お嬢様「率直に言って非常にふゆかいでしたわ、特に男のような平々凡々な一市民に馬鹿にされるとはね」
男「…」
お嬢様「気は済んだでしょ?そうね、これから私の買い物に付き合わせてください、って言うのなら許してあげないことも無いですけど」
男「…」
幼馴染「おとこー!掃除終わったよー…って、お邪魔だったかな」
男「なにが?俺も幼馴染待ってただけだから…さて、帰ろっか」
幼馴染「え?…でも」
お嬢様「…また明日」
幼馴染「うん、また明日…」
お嬢様「…」トボトボ
お嬢様「…」
姉「どうしたの?今日は元気が無いのね?」
お嬢様「お姉様…今日は…ちっとも楽しくなかったの…」
姉「どうしたの?いつもはあんなに楽しそうにしてたのに」
お嬢様「男がね…?」
姉「また男さんの話なのかしら?私も流石に妬けてしまうというか…」
お嬢様「違うの…男が無視するの」
姉「無視?あれだけ仲が良かったのに?」
お嬢様「ち、違うのお姉様!…お姉様には色々と聞いていただいたけど…その」
姉「?」
お嬢様「本当は…私が勝手に巻き込んでるだけなの…」
お嬢様「え?」
姉「あなたは素直になれないのよね?昔からそう」
お嬢様「お姉様…」
姉「お父様にもわがままばっかり、そのくせ一緒にご飯を食べれるときはにこにこしちゃって…」
お嬢様「あ、いやあれは…その」
姉「でも素直にならなければ伝えられないこともあるわ」
お嬢様「素直に…」
姉「そう、あなたは可愛いんだから自信持たなきゃだめよ?」
お嬢様「そんな…///」
姉「ううん、違うわね、自信に溢れてるのが良いところだけど…それだけじゃだめ、もっと素直になってみるのもいいかもね」
お嬢様「お姉様はやっぱり凄いのね!流石だわ」
姉「そんなこと無いわ、頑張ってね」ニコッ
お嬢様「はい!」
お嬢様「今日も眠そうね、その目は開いているのかしら?…大仏さまの方がまだ目が開いているわ」
男「…」
お嬢様「そう、まだ続けるのね、良い度胸だわ…」
男「…」
お嬢様「覚えてなさいよ、もう謝ってきても遅いんだからね?許さないんだからね?覚悟は…できてるみたいね」
男「…」
お嬢様「やだ、私ったら朝の挨拶を忘れていましたわ、ごめんなさい」
男「…」
お嬢様「おはようございます」
男「!」
お嬢様「おはよう」ニコッ
男「おはよう」
お嬢様「それでは、また」
男「…」ドキドキ
幼馴染「…?」
男「お、幼馴染…」
幼馴染「どしたの?」
男「俺、お嬢様に殺されるかも知れない」ガタガタ
幼馴染「あれ?今お嬢様って…って、殺される?」
男「殺される…」
男「お嬢様が言ったんだよ…『許さない』って…『覚悟はできてるな』って」
幼馴染「いや、だって男が無視するから…それは、当たり前っていうか」
男「違うんだ!…そんなに傷つけるつもりは無かったんだよ…」
幼馴染「じゃあなんで?」
男「お嬢様の高飛車で高慢な所が直るかなって思って…そ、それだけだったんだよ」
幼馴染「…」
男「軽い気持ちだった…そしたらな…さっき、ついさっきだ」
男「『おはようございます』って!!にこっと…見たことの無い素敵な、眩しすぎる程の笑顔でそう言ったんだよ…」
幼馴染「???」
男「やばい…あれはやばい」ガタガタ
男「何のんきな顔してんだよ!!!」
幼馴染「いやいや、違うじゃん」
男「…?」
幼馴染「自分から挨拶できないほどの高飛車なお嬢様が笑顔で自分から挨拶してくれたんでしょ?」
男「いや、そうは言うけどな?あれは間違いなく…」
幼馴染「成功じゃん」
男「えっ?」
幼馴染「大成功じゃん、二日目にして」
男「…」
幼馴染「…」
男「あのお嬢様が、あの、お嬢様がだぞ?」
男「いつもより儚げな雰囲気を漂わせて後半なんか語尾を震わせてあのくりっと大きい瞳を気持ち潤ませながら言ったんだよ」
幼馴染「…」イライラ
男「心なしか毒舌も切れが悪かったし抱きしめれば折れてしまいそうな可憐さで」
男「あれは間違いなく男を射殺すアマゾn
幼馴染「主人公か!!!!!」
男「えっ?」
幼馴染「ラノベの主人公かお前は!!!!!!」
幼馴染「アマゾネスがなんだよバカ!?!?!?」
男「アマゾネスが相手を油断させる為に」
幼馴染「馬鹿か!!!」
男「いや、ちょ…そんなに正面切って言われると…凹む」
幼馴染「ベタ惚れじゃねーか!!!!!」
男「ははっ?それはないよwww」
幼馴染「…」イラッ
男「お、落ち着いた?」
幼馴染「呆れた」
男「そっかそっか…お嬢様より先にお前に殺されるかと思った…」
幼馴染(こいつ…分かってねえな)
男「なに?」
幼馴染「いや、なんでもない」
男「それでな、あんまり怖いから…」
幼馴染「なによ!!」
男「そんなに怒るなって…」
男「お、お嬢様が来たら…一緒に居てくれると…」
幼馴染「あぁん!?」
男「あ、いや…だってお前、お嬢様扱うの上手いし…ほら」
幼馴染「…ちっ」
男「な!頼むよ」
幼馴染「男の頼みを断るわけ無いじゃない」ボソッ
男「え?」
幼馴染「いいよ、分かった」
お嬢様「男ー、お昼一緒させてあげるわ、着いてきなさい」
男「…」
お嬢様「やっぱり…無視するの?」
男「お、幼馴染ぃー」オドオド
幼馴染「お嬢様、今日はどこ行くの?」
お嬢様「屋上よバカと何とかはたかいところが好きっていうじゃない?」
男「…」
幼馴染「イイネ!」
お嬢様「それじゃあ行きましょ」
お嬢様「男は相変わらず貧相なご飯を食べているのね、購買で買えるようなパンで満足できるのかしら?」スッ
幼馴染「うわっ…何この果物…」
お嬢様「パンを焼いてきたの、男はパンの方が…その、好きなのかなって」モジモジ
男「!」
幼馴染「えっ?」
男「…」モグモグ
幼馴染「ちょ、ちょっと!なんでまだ無視してるのよ」ヒソヒソ
男「今さら何食わぬ顔してパンもらえるかよ」ヒソヒソ
幼馴染「せっかく作ってきてくれたのに」
男「無理無理!幼馴染貰っといてよ!」
お嬢様「…」パクパク モソモソ
男「お、おい!そんなに好きじゃねーよ!!」ヒソヒソ
お嬢様「っ!……や、やっぱりそうなのね!?良かったわ…明日からは色々作ってくるからね」ニコニコ
男(ほら、こうなる…)
幼馴染「あはは…凄いね、お嬢様は…パンまで作れるんだ…」
お嬢様「お姉様が教えて下さるの、だから凄いのは私じゃないわ、お姉様なのよ」
幼馴染「でもやっぱりこんな美味しそうなの作れるなんてすごいよ!…良いな良いなー…私もお姉ちゃんほしかったな…」
男「…」
男「ん、もう終わりか…」
幼馴染「パンありがとね、持って帰らせて貰うから!」
お嬢様「良かったら…その、男と一緒に食べてね?」
幼馴染「もちろんだよ」
お嬢様「あ、ちょっと、私先に…行くから」タタタッ
男「なんかあるのかな?」
幼馴染「あんたは…全くデリカシーが無いわね」
男「?」
男「まぁいいや、それで…どうしよう…これから」
幼馴染「なにが?」
男「どうやって元の関係に戻れば…」
幼馴染「謝ればいいんじゃないの?」
幼馴染「なによ」
男「『許さない』『覚悟はあるな』って言われたんだぞ!?」
幼馴染「そうね、だったらぎゅっと、抱きしめてあげればいいんじゃない?」
男「ぎゅっと?…」
幼馴染「そうそう、お嬢様そう言うのに耐性なさそうだし、いつもせめられてるんだからたまには主導権握るのもいいんじゃないの」
男「ふむふむ…なるほど」
幼馴染「え?いや、適当に言っただけよ?」
男「たまには主導権を…なるほど」ブツブツ
幼馴染「ちょ、ちょっと!どうなっても知らないよ!?」
男「ブツブツ」
お嬢様「今日も1日が終わるのだけど、まだ気はすまないのかしら?」
男「…」
お嬢様「そう…分かったわ」
男「…」スクッ
お嬢様「な、なに?いきなり立ち上がって…お…怒ってるの?険しい顔してなによ!」
男「…」
お嬢様「なんなのよ!私が何かしたの…?私が悪いのっ?…言ってくれなきゃ分からないじゃない!」
男「…」
お嬢様「私が何をしたか教えさせあげても………お、教えて…教えてよぉ」ウルウル
男「…」テクテク
幼馴染(お?おっ?)
お嬢様「なに?…いきなり近づいてきて…怖いじゃない…」
男「…」ブツブツ
お嬢様「何言ってるのよ?…聞こえないわよ…」
男「…」
お嬢様「きゃっ、な、なによ!答えてよっ!!…っていうか…ち、近い…んじゃない?」ドキドキ
男「…」
お嬢様「無視しないでよぉ…そうよ!怖いのよ!!文句あるの!?」
男「…」スッ
お嬢様「叩くの…?いいわ、覚悟はあるのよね、後で説明してもらうからね」
男「…」ギュッ
お嬢様「ふぇ?」
お嬢様「へ?へ?」
男「ぎゅー」
お嬢様「な!なによ!あんたみたいな平民が私に抱きついて良いと思ってるの!?」
男「だめ?」
お嬢様「ぁ、ぃゃ…」
男「ごめんなさい」
お嬢様「え?いや、あの…」
男「無視してごめんなさい、許して下さい」
お嬢様「あ、はい…」
男「許してくれるの?」ギュッ
お嬢様「えっ?えっ?その…え?…ゆ、ゆるします」
男「よかったぁ…」
お嬢様「一体…なにが?あの…」
お嬢様「ぁ、も、もうちょっと…」
男「え?」
お嬢様「な、なんでもないです!」
男「あんなに怒ってたから許してくれるなんて、思ってなくて…」
お嬢様「はっ、いや!許さない!許しませんよ!!」
男「え?だめだよ!今許すっていったじゃん!」
お嬢様「あれは、何がなんだかわからなくってその…」
男「許してよー」
お嬢様「そうね、も、もう一回ぎゅってしてくれたら…考えるわ」
二周目に期待しろ
一周目クリア後の隠しキャラってことか
サンクス
お嬢様「ぁ…んっ」ギュッ
男「こんな感じ?」
お嬢様「んぅ…もうちょっと」スリスリ
男「…はい」
お嬢様「はふぅ…」スンスン
男「…」
お嬢様「す、好き…なの」
男「え?」
お嬢様「だ、だからね?…男の事が……好きなの」
お嬢様「だから素直になれなくてね、ついついあんな言葉が出ちゃうの…」スリスリ
男「……えっ?」
男「…」
お嬢様「ごめんなさい、いつもひどいこと言って…」
男「いいよ」
お嬢様「良くないわよ…」
男「俺も好きだから」
お嬢様「え?」
幼馴染(えっ?えっ?……ゑ?)
男「憎まれ口ばっか叩くから…直れば良いなって無視してみたけど」
お嬢様「そ、そうなの?」
男「無視しても無視しても全然めげないんだもん」
お嬢様「凄く寂しかった…でも私が諦めたら男との繋がりも無くなるんじゃないかって…」
幼馴染(…ぐぬぬ)
男「えっ?」
お嬢様「買い物行ったり遊びに行ったり…やってほしいことはいくらでもあるんだから…」
男「ははっ、それなら喜んで着いていくのに」
お嬢様「うるさい…黙って着いてくればいいのよ…バカ、庶民…」
幼馴染「もぉいいでしょおおおおお!!!」
男「うおっ!」ビクッ
お嬢様「ひゃっ!」ビクッ
幼馴染「いつまで抱きついていちゃいちゃしてんのよ!!!」
男、嬢「…」ドキドキ
幼馴染「ここ!!!学校だから!!!は、な、れ、て!!!!!」
男「あ、はい…すいません」
お嬢様「あん…男ぉ」
幼馴染「あん…」
幼馴染「じゃないわよ!!!!!!」
男「なぁ…もうちょっと落ち着いて…」
幼馴染「お嬢様のこと、好きじゃ無かったんじゃないの!?!?」
男「いや、そんなの恥ずかしくて正直にいえないだろ…」
お嬢様「おとこ…///」
幼馴染「何顔赤くしてんのよもぉ…可愛いなぁ…勝てないじゃない…」
お嬢様「えっ、あ…か、かわいいなんて」カァ
幼馴染「」
男「かわいいよ、赤くなってるお嬢様もっとかわいいよ…」
お嬢様「ちょ、ちょっと!そんなこと言わないで、恥ずかしい…」
男「あははっ、真っ赤っか!」
幼馴染(ハハッ、噛ませ犬過ぎワロタ…)
ピンポーン
お嬢様「おはようございまーす」
男「んー、あぁ…お嬢様か、おはよう、今出るとこだから」
お嬢様「やっぱり朝は弱いのね…それはポストよ、ねぼすけさん」
男「あー、そっか…ってなんだよ母さん!にやにやすんなって!」
お嬢様「おはようございますお母様」ペコッ
男「いいからいいから!早く行こうか」アセアセ
お嬢様「ふふっ目覚めたたみたいね」
幼馴染「おとこー!おはよっ!」
男「おはよ…今日は一緒に行くのか?」
お嬢様「いやっ!あの、違うのよ!?男が起きるまで待ってた訳じゃ!」
男「ありがとお嬢様」
お嬢様「あぅ…ちがう、ちがうの」
男「幼馴染もありがと」
幼馴染「へ?なにが?」
男「幼馴染がいたからお嬢様と付き合えたから」
幼馴染(この男は全く人の気も知らないで…おどりゃクソ森、左巻きじゃのう)ギギギ
男「ホントに感謝してるから」ニコッ
幼馴染(でも、この笑顔が見られれば…うん!)
男「?」
お嬢様「私達…恋人同士なんでしょ?だったら…ね」
お嬢様「わ、私の手を握ってもよろしいのよ?」
男「あっ!ごめんごめん…気づかなくて」ギュッ
お嬢様「ん、でも残念、外れですわよ?…こう言うときの正解は…」
幼馴染(①ハンサムなポルナレフは突如反撃のアイディアが閃く)
男「こう?」ギュッ
お嬢様「もぉ…わかってるなら最初から…」
男「ごめんごめん、お嬢様いじめるの楽しくて」
男「そ、そんな怖い顔しないで!」
お嬢様「無視したの、許してないんだからね」
男「どうすればいい?」
お嬢様「そうね…き、きすをしなさい…もちろん手は繋いだままよ?」
男「…ん」チュッ
お嬢様「ほっぺなの…?ふん、まぁいいわ」
幼馴染「おとこー!私も、私もちゅー、私は口に!」ガシッ
お嬢様「ちょっ、幼馴染!?こら、やめ…なさいってば」グイグイ
お嬢様「私の、男に…なに、するのよ!」ギリギリ
男「私の?」
お嬢様「あ、当たり前じゃない!付き合ってるのよ?」グイグイ
男「いや、なんか…お嬢様の口から聞くとうれしいなって…」
お嬢様「何言ってるの!?とにかく…この子を…」
幼馴染「んー!んーっ!」
男「お嬢様…」
幼馴染「もらったぁ!」チュッ
お嬢様「きゃあああああ!!」ガクッ
幼馴染「ふふん、ほっぺで我慢してあげるわ」エッヘン
男「…」ポーッ
幼馴染(これぐらいは…ね!)
おわり
面白かった
Entry ⇒ 2012.01.22 | Category ⇒ 男女「」SS | Comments (0) | Trackbacks (0)
男「パン……食べるか?」 少女「……」
男「………」カタカタカタ
隣室(…クソ!!……ッシネ!!!…ォマエガッ…………)
男「……………」カタカタカタカタカ
隣室(…ゴメンナサイッ………アッ!……)
男「…………………………騒がしいな」
男「………」カタカタ
男「……………」
男「…………………もしもし? レジデンス×× 6B号室の者ですが」
男「隣の部屋がうるさいんで困ってるんです…………ええ…………ええそうです苦情を伝えてもらえませんか?」
男「6C号室の方です……………はいお願いします……それじゃ」ガチャ
書き溜めはない
男「………………」カタカタカタ
男「………ここまでにして寝るか……っと電話だ」Prrr...
男「もしもし………え?10時からですか?でも授業があるんですが………2割増しですか…でも……」
男「3割?…………OK行きます」
男「はい…はい……それじゃ明日………」ガチャ
男「……寝るか」
隣室(………………ゥルセェッ!!………ガン!!!)
男「……近隣住民への迷惑を考えない不良市民」ボソ
男「…………寝よう」
男(今日も今日とて勤労学生……)
男(ん……?)
少女「………」
男(………)チラ
男(……よくエレベーターで出くわす小学生)
男(見るたびにやつれていってる気がするが)
少女「……?」チラ
男(面倒事には関わらないに限る)フイ
女「悪いね大学あるのに」
男「目先のバイト代に釣られました」
女「また一人逃げられちゃったせいで大忙しなんだよ」
女「楽な仕事なのに毎度毎度なにが気に食わないのかねぇ?」
男「女さんのセクハラのせいだと思いますよ」
女「セクハラちがう!愛あるコミュニケーションでしょ!いわばラブハラ!」
男「ハラスメントであることは否定しないのかよ」
男「金に釣られてるだけですけどね」
女「ふっ……そんなこと言ってぇ。私の身体目当てなのはわかっている!」
女「このわたしの豊満なわがままボデーを日夜狙っていることは周知の」
男「だまれよチビ」
女「チビ言うな!」
男「こっちの方から片付けていいんですよね」
女「訂正しろ!挿入するぞ包茎野郎!」
男「パイパン女に言われたくないですね」
女「見たのか!?どこで!いつ!?」
男「とりあえず急ぎはこれで終わりですか?」
女「うんありがと!あとは私一人で間に合うから」
男「じゃあ僕は大学行きます」
女「はいよー……っあ!今日は用事あるから夜はいいよ!」
男「了解です」
女「それじゃまた明日ねー!私がいないからって抜きすぎるなよー!」シコシコ
男「その腕の動きをやめろ」
講師「………利他主義は様々な問題を孕みますが、その一つは『限度をどこに定めるか』というもので……」
男「…………」カリカリカリ
講師「例えば『募金』することは一般的に善行ですね。この中には道端で募っている募金箱にお金を入れたことがある人もいるでしょう」
講師「しかし、『募金』の機会は道端にのみ転がっているわけではありません。その機会は無数にあり、我々は少しの労力でそれを調べられる」
講師「インターネットなどで『募金』について調べてみて下さい。我々は大した労力もなく募金できることがわかるでしょう」
男「…………」カリカリカリ
講師「さて、この話を聞いて『これから毎晩のおかずを一品抜いて募金に回そう』と考えた心優しい皆さん。優しい皆さんはやがてこう考えるようになる」
講師「『おかずをさらにもう一品抜けばその分多くの人を救えるのではないか』……と」
男「…………」カリカリカリ
講師「さて優しい皆さんは世界のどこかで飢えている人達を救うために毎晩のおかず二品を諦めることにしました」
講師「しかし皆さんの優しさは天井知らずですね。その優しさは『朝御飯を抜けばよい』『昼食は必ず300円以下ですませよう』……だんだんとエスカレートしていきます」
男「…………」カリカリカリ
講師「そんな生活ですら飢餓で苦しむ人に比べればはるかに恵まれた暮らしです」
男「…………」カリカリカリ
講師「利他主義を自分自身に当てはめて生活指針とする場合には、このような『限度』をめぐる問題がでてきます」
講師「皆さんは『自分がほんの少し我慢すれば救われる人がいる』ということをよく知っています。しかし他人の利益のためにする行動には際限がない」
男「…………」カリカリカリ
講師「極まれば自分自身を破滅させるでしょう。さて、『我々はどのように他人に優しくする』のがよいのでしょうか?各自考えてみて下さい」
講師「来週は休講です。再来週は机上レポートですがノートの持ち込みは可です。それでは」
男(募金なんてする余裕はない)
男(学費のためにかせいで、生活費のためにかせいで、家賃のためにかせいで……)
男(余裕なんてどこにもない)
男(自分と関わりのない他人が死のうが知るか)
男(自分だけが幸せであればいいなんて言うつもりもないが……)
男(赤の他人の不幸に胸を痛めるような善人じゃないし、道端の募金箱に金を入れるほど偽善者でもない)
男(ようやく帰宅……っと)
男(家賃折半なのはありがたいが大学まで電車で1時間半は遠いよな)
男「……ん?」
少女「………」
男(またこの娘か……僕の部屋の前で何してんだ?)
少女「………」チラ
少女「………」
少女「………」フルフル
男「………」
男「………そう」
男「………」バタン
少女「………」
男(鍵がなくて親の帰りでも待ってたのかな)
男「………………」カタカタカタ
男「…………………………ふぅ。ちょっと休憩」
男「コンビニ行くか」
ガチャ
男(……まだいた)
少女「………」
男(……あれから3時間だぞ?)
少女「………」
少女「………」フルフル
男「……………」
男「風邪引かないうちに部屋に帰った方がいいよ」
少女「………」
男「……………」
男(コンビニ行こ)
男(女さんがいないと途端に手抜きになるな)
男(もともとの性格がだらしないんだろうな)
店員「460円になります……はいちょうどですね。ありがとうございましたー」
男(ついでに明日の晩飯用にスーパーで食材買って帰るか)ピポパ
男「……もしもし。女さん?明日の晩飯なにがいいですか?」
女『愛情たっぷりのラブカレーにして!』
男「カレーですね。了解です」
女『ただのカレーじゃないわよ!ラブカレー!隠し味にラブジュー』プツン...ツー...ツー...
男「……さて、手早く買って帰るか」
男(飯食ってもう2時間ほど勉強して寝よ)
男「………」
男「………………まだいる」
少女「………」
男「…………」
男(……関わり合いになるべきじゃない)
男(所詮は赤の他人だ)
男「…………」ガチャ...バタン...
少女「………」
ガチャ
男「………さすがにいないか」
男「………」
男「……なんだったんだろうな」
ガチャ
婦人「あら。おはようございます」
男「あぁどうも」
男(……6C号室の人か。ここに住んで日が浅いからか初めて見たな)
女「やあやあ今日も元気かね勤労ボーイ!」
男「お早うございます。今日もテンション高いですね」
女「いやー昨日は忙しくてオナニーできなかったからエナジー溜まっちゃってさ!生理前ってこともあってムラムラし」
男「やめろ絶壁女」
女「絶壁じゃねー!そんなに言うなら見せてやんよこのオナニストめ!」
男「これはこっちに戻しちゃっていいやつですよね」
女「聞けよ!」
女「おうお疲れー。それ仕上げたら帰りましょ」
男「今日は本邸じゃなくてこっちでいいんですよね」
女「うん!カレーカレー!ラブカレぇー!!」
男「ふつうのカレーですよ」
女「それじゃ私による、私のための、私から漏れでたエキスを隠し味に」
男「あんたに全部食わせるからな」
女「たっだいまー!」
男「……」
女「ん?どしたの?きょろきょろして」
男「いや……昨日の夜小学生の女の子がうちの部屋の前にいたんで少し気になって……」
女「あー……ひょっとしてお隣さんかな」
男「知ってるんですか?」
女「うん。私より前にここに住んでる人だし。奥さんの方はたまに玄関先で出くわして挨拶するくらいだけど……」
男「けど?」
女「でも……女の子の方は以前からうちの部屋の前でよく見かけてたかな」
女「なんかワケありっぽいよ?よくは知らないけど」
男「……」
男「………」カタカタカタ
女「………」ジー
男「……………」カタカタカタカタカタ
女「……………」ジーー
男「…………………」カタカタカタカタカタカタカタ
女「ジーーーーーー」ジーーーーーー
男「何なんですかさっきから」
女「暇だからかまって」
男「勉強で忙しいんです」カタカタカタ
男「抱きません。一人で慰めて下さい」
女「なんで!年上に興味ないの!?」
男「どうせ包茎ですから」
女「なに?拗ねてるの?それともお風呂覗いたことまだ怒ってる?」
男「……」
女「じゃあ寝顔をおかずにオナニーしたこと?ひょっとしてトイレのあとの匂いをかいだこと?それとも……」
男「全部です。あとやたらトイレのタイミングが被ると思ってたらそんなことしてたんですか」
女「あ………いや!今のは言葉の綾子さんだから!」
女「…………ッ!」
女「……わかったわよ。気をつけるから……」
男「まったくもう……。再来週は試験期間なので忙しんですよ。それが終わったら遊んであげますから」
男「…………」カタカタカタ
男(机上レポートの課題は「利己主義と利他主義をめぐる諸問題について論ぜよ」)
男(今週までのノートの内容をまとめ直そう)
--
---
講師『……利他主義にはまた別の問題もあります。それは『自分と他者の価値基準の相違』をめぐる問題です』
講師『良かれと思ってしたことが当の相手にとっては迷惑なことでしかない、ということはしばしば起こることです』
講師『例えば宗教勧誘などはその一例たりうるかもしれません』
講師『純粋に他人のためを思って勧誘する勧誘者もいるでしょうが、それが勧誘される人にとっては迷惑というのは往々にしてあることですよね』
男「…………」カタカタカタ
男(たとえばの話だけど)
男(たとえば隣の部屋で小学生の女の子が虐待されているとして……)
男(僕は隣人の虐待を止める努力をすべきだろうか。警察に電話したりとか…?)
男(でも……止めるべきだとしたらなぜ?)
男(赤の他人のことなんて知ったことじゃないんじゃなかったのか)
男(赤の他人の彼女を助ける努力をするなら、彼女以外の赤の他人を助ける努力もすべきだ)
男(もしその努力をしないなら僕の行動には一貫性がないことになる)
男(目の前の人間だけを助けるのなら……そんなものは一時的に良いことをして自分が気持ちよくなりたいだけじゃないか)
男(そんな行為は……偽善以外のなにものでもない)
男「……」
男「…………ふぅ。コンビニ行こ」
女「あんまん!」
男「了解です。じゃ行ってきますね」
ガチャ
男「………ッ!?」
少女「……」
男(夜の11時だぞ?こんな時間まで……)
少女「……」
少女「………」グゥゥ...
男(おそらく晩飯も食べてないんだろうな。でも……僕には関係ない)
少女「………」
男(この娘をめぐる問題に手を出しても……僕はその先の結果になんの責任もとれない)
男(関わり合いになるべきじゃない)
男(赤の……他人なんだから………)
男「コーヒーと、あとお菓子……」
男「………」
男(………僕には関係ない)
男(……関係ない)
男(…関係ない、けど)
男「これくらいは」ガサ
店員「お会計630円になります」
男「あ、すいません。あんまん2つ」
少女「………」
男「………」
男「………あのさ」
少女「………?」チラ
男「パン……食べるか?」
少女「………」
男「晩飯食ってないんだろ?いらないならいいんだけど」
少女「………」
少女「………………ママが………人からものをもらっちゃダメだって」
男「……………」
男「じゃあこれは落とし物だ。別にたいした落とし物じゃないから、他人が食べようが捨てようが僕は構わない」
少女「………」
男「………じゃ、おやすみ」
ガチャ...バタン...
少女「………」
少女「………おやすみなさい」
女「おかえりあんまん!」
男「はいはいどうぞ」
女「イエーイあんまんげっちゅ!」
男「……玄関前にあの女の子がいました」
女「…………あー」
男「……警察に連絡すべきでしょうか?」
女「……警察とかより、児童相談所とかの方がいいかもねー」
男「………」
女「んー5年くらいかなぁ。でも男が住み始めるまでは本邸にいる方が多かったから。前までは週に1~2回ってところよ」
男「それまでもこんなことが頻繁に?」
女「ん?んー……………まぁねー。結構見たかも」
男「………」
女「………なに?どったの?」
女「なーに?ご不満?」
男「まさか。貧乏学生ですから、高額なバイトも格安な家賃もありがたいです。ルームシェアにも不満はありませんよ」
男「ただ、赤の他人の僕にそんなに良くしてくれるのがちょっと不思議で……」
女「そりゃあ好きだからよ!」
男「……ッ!………そう、ですか」
女「一目惚れしたんだもの。だから誘ったの!夜の営みも誘ってるの!」
男「いや、まぁありがとうございます。夜の営みは置いておきますが」
女「んー? んー…………………………………特には」
男「………そう、ですか」
男「そうですよね。赤の他人……ですしね」
男(……パンをあげたのは失敗だった)
男(次に顔をあわせるときはどうするんだ?また何かをやるのか?それとも無視するのか?)
男(先のことを考えずに行動するから、先のことで悩むことになるんだ)
女「さあ今日もはりきって労働に励もう!」
男「今日も元気ですね」
女「大学は夕方?」
男「4時頃からです。それが終わったら帰宅します。今日は本邸に?」
女「うん。一人で男を思って慰めるよ……」
男「そんな性事情はいりません」
男(そろそろゼミ発表用の資料まとめないと)
男(あー……今日もあの娘がいたらどうしよう)
男(………)
男(……………いた)
少女「………」
男(昨日の失敗は繰り返さない………ここはスルーだ)
ガチャ
少女「あの………」
男「………?」(声をかけられたのは初めてだな……)
男「ん、あぁ………いや、気にしなくていいよ」
少女「………」
男「…………」
男「…………それじゃ」
ギィィ
少女「あ、あの!」
男「……………なに?」
男(……これは?)
『突然申し訳ございません.
一週間ほど部屋を空けますので、
その間、娘をよろしくおねがいします。』
男「………………………………………は?」
少女「………」
男「えっと、どういうこと?」
少女「………ごめんなさい」
少女「………はい。ごめんなさい」
男「えっと………何かの間違いじゃなくて?僕宛に?」
少女「………はい」
男「君のおうちの部屋の鍵は開いてないの?」
少女「開いてます、けど……食べ物も、お金もなくて…………」
男(この娘の母親は何考えてるんだ?)
少女「はい………ごめんなさい」
男「いや、でも………どうして僕に?」
少女「昨日のパン……ママにばれて………お隣のお兄さんのことを話したら………その、この手紙を渡しなさいって、家を出ていって………」
男(………おいおいおいふざけるな。冗談じゃないぞ)
男(あんなのただの気まぐれじゃないか)
男(こんなことになるなんて思わなかった。こんなことになるなら、あんなことしなかった……)
少女「………」
男「いや、君が悪いわけじゃないってのは分かってる。分かってるんだけど………」
少女「ごめんなさい……」
男(さっきから謝ってばかりだ)
男(まるで………謝らないと生きていけないみたいに、何度も何度も……)
男「………はぁ」
男「とりあえず………部屋に入る?」
少女「………はい………………ごめんなさい………」
少女「………」
男(あまりに突然の状況でまだ混乱してるが………彼女の不安は僕の比じゃないだろう)
男(とりあえず安全だってことをアピールしないとな)
男「はいどうぞ。カモミールティーだよ。リラックス効果があるんだよ」
少女「………」
男「あ、ミルク入れる?どうぞ」
少女「ありがとうございます」
男(自分の部屋なのになんでこんなに緊張してんだ)
少女「はい………ごめんなさい」
男「それで、君はどうしたいの?」
少女「………」
男「君のお母さんの気持ちは分かったけど、君はどうしたいのかな」
少女「………………わかり、ません」
男(………まぁ、そうか。まだ子どもだし、こんな状況に置かれて混乱してるだろう)
男(とは言え、追い出すわけにもいかない。食料も金もないこの娘を追い出せば大変なことになる)
少女「あ………」
少女「ありがとうございます………ごめんなさい」
男「ただし、君のお母さんからの確実な承認をとってからね。あとで君のお母さんの携帯電話番号を教えてもらえるかな」
少女「………はい」
男「うん。ちゃんとその会話を録音させてもらう。それが無理なら、君を警察に保護してもらうことになると思う」
男「確実な承認がないまま君を預かったら、僕があとで警察の人に叱られちゃうからね」
少女「………はい」
男(こんなの警察とか児童相談所に丸投げすればいいのに)
少女「………」
男(でも、彼女に『ごめんなさい』を言わせた責任は誰にある?)
男(母親にある?……もちろんそうだろう)
男(でも、僕にも責任がある)
男(100円ぽっちのパンを与えた、与えてしまった責任だ)
男(こちらから関わったんだ。なら、その行動の結果を引き受けなきゃならない)
男(もしここで彼女を放り出すなら、僕の行動には一貫性がない)
少女「……?」
男「あーっと、つまり。この部屋にはもう一人住人がいて、その人の伺いも立ててみないといけない」
男「つまり君をここに住まわせていいかどうかは、キミのお母さんと、そのルームメイトに確認をとった上で、初めて確定するってこと」
少女「はい……わかりました……」
男「僕の名前は男。××大学に通う大学3年生で21歳」
男「ルームメイトの人の名前は女。この部屋の借主で、僕のバイト先の雇主でもある24歳の女性」
男「女さんは今日はいないから、明日紹介するよ。………で、君のことも聞いていいかな?」
少女「………少女といいます」
男「えっと、小学生だよね。そこの○○小学校かな。何年生?」
少女「…………学校には、行って……ません」
男「えっと、それじゃあ年はいくつかな」
少女「今年で16才………だと思います。たぶん……」
男(16才!?嘘だろ………どう見たって小学生じゃないか………)
男(虐待による発育不良、か……。正直なところ僕の手には負えないな)
少女「………」
男(………けど、とりあえずやるべきことをやろう)
男「わかった。とりあえず君のお母さんに電話したいから電話番号を教えてもらえるかな」
少女「………」ゴソゴソ
少女「これ………だと思います」
男「ええ………はい………その件ですが、あの、本気なんですか?」
男「いえ、隣人同士とはいえ、よく知らない男の部屋にかわいい娘さんを預けるなんて………」
男「………………………………………そう、ですか。はい。あの………本気でしたら、会話を録音させてもらえませんか」
男「あとで了承してないと言われても困りますので。ええ、トラブルを避けるために」
男「それじゃあーーー」
男「君のお母さんの了承は得たよ。拍子抜けするくらいアッサリと」
少女「………」
男「あー……夜も遅いし女さんの了承は明日にしよう」
男「お腹へってるだろ?ご飯つくるから、お風呂入ってきな」
少女「………」
少女「………あの……お風呂は週に1回だけって………ママが………」
男「………ッ!!」
男(………今日はもう遅い。明日になったら警察に行こう)
男「だからお風呂にはいっておいで。着替えは自宅にあるよね?」
少女「……服は、これしかもってないので」
男「………そっか。じゃあ女さんのを借りちゃおう。着替えは出しておくから」
少女「………はい」
ガチャ
男「………」
男「………感情移入しすぎるな。赤の他人じゃないか」
男「………」
男「………………馬鹿か。こちらから関わろうとした時点で、もう赤の他人じゃないんだ」
男「今日はもう帰ってお休み。明日の朝と夜にまた来ればいい。食事とお風呂を用意しておくから」
少女「はい……ありがとうございます」
男「それじゃおやすみ」
少女「はい……」
ガチャ
男(始終暗い顔だったな。まぁここまで関わって無視はできない。しかるべき場所に虐待の事実を訴えないと)
男「っと、あの娘自分の服忘れてったな。明日でもいいけど、まぁあれからまだ10分ほどしかたってないし、今届けてやるか」
ガチャ...スタスタ...
男「………」ピンポーン
男「………」
男(いない、わけはないよな?)
男「失礼しまーす」ガチャ
少女「………」
男「………何やってるんだ玄関で」
男「………」
男「呼出し音は聞こえなかったのか」
少女「聞こえましたが……誰か来ても出てはいけないって、ママが……」
男「………はぁ。わかった、今日から1週間はうちで寝なさい」
少女「……………はい」
ーーこうして、少女との一日目が過ぎていった
女「朝っぱらからヌルっと登場!マジカル美熟女『女』見参!」
女「って誰が熟女じゃい!」
女「男ー!あさめしー」ガラッ
女「…………どゆこと?」
男「そこで寝てるのは隣の部屋の娘です。相談もなくすみません。昨日いろいろありまして」
女「浮気!?浮気なのね!?謝罪と説明とセックスを要求する!」
男「謝罪も説明もしますが、浮気ではありませんし、セックスはしません」
少女「………」
男「それも考えはしましたが、結局僕の行動が招いた結果ですから、その結果に責任を持ちたいんです」
男「この娘の親は、その、正直無責任だと思いますが、僕まで責任放棄しちゃったらこの娘は一方的な被害者で、僕は加害者の一員です」
男「それは後味が悪いし、なにより僕は整合性のない生き方をしたくないですから。だから少なくともこの1週間だけは彼女を与ろうと思うんです」
女「………はぁ。意外と不器用なのねあなた」
男「でもこの部屋の借主は女さんですから、女さんがダメだというなら僕はその決定に従いますよ」
女「そう。じゃあはっきり言うわ。ダメよ。すぐに警察に預けてきなさい。私は赤の他人を自分の部屋に住まわせる器量はもってないから」
男「………そうですか。それはそれで、仕方ありませんよね」
少女「………」
女「えっ?ちょっとどこ行くのよ」
男「いや、女さんがダメって言うなら出ていくしかないですから」
男「お金かかっちゃいますけど、1週間くらいならカプセルホテルとか漫画喫茶とかで何とかなります。ほら、行こう」
少女「あっ……」
女「ちょ、ちょっと待って!わかった!その娘泊めていいから!」
男「いいんですか?ほんとに?」
女「もう……そんな脅迫まがいのことされたら頷くしかないじゃない。でも1週間だけよ」
少女「………ありがとうございます……ごめんなさい」
女「ちっこい言うな!あと、お礼を言うか謝るかどっちかにしなさいよ」
少女「………ご、ごめんなさい」
男「それじゃ朝食にしようか」
女「…………」
女「いただきまーす!」
少女「……いただきます」
女「おっ!今日は西京味噌ね!わたしこのおミソ好きー」
男「うまいか?」
少女「……」コクコク
男「そんな急いで食べなくていいよ。おかわりするか?」
少女「………いいんですか?」
男「いいよもちろん」
少女「………じゃあ」スッ
少女「………あ」
少女「………ごめ、ごめんなさい」
男「ちょっと女さん!なんでそんなこと言うんですか!」
女「だって男ったらその娘ばっかり構ってずるいじゃん!」
男「だからって言い方があるでしょう!少女、気にすることないからな」
少女「………」
少女「あの………」
男「なに?」
少女「警察は……困ります……」
男「うーん。ふつう16才なら自分でものを考えられる年齢だと思うから、その意思を尊重したいところではあるけど……君の場合は………」
少女「………」
男「それにやっぱりキミが虐待されていることは事実だから、そのことを伝えないといけないよ」
少女「………警察は、困ります」
実際は大人な性格なのかと思ったら
わりとマジで子供っぽい性格だったでござる
男「それじゃ僕は大学に行ってきます。少女、夕方には戻るから」
少女「………はい」
男「女さんは昼から出勤ですよね。それまで少女のことよろしくお願いします」
女「へいへーい」
ガチャ...バタン...
女「………」
少女「………」
女「言っておくけど。男を取ろうとしたら、あなたを殺すから」
少女「………ッ!」ビクッ
女「………」スタスタ
男「ただいまー」
少女「………おかえりなさい」
男「女さんはまだ戻ってないか」
少女「はい」
男「じゃあ、晩飯にするか。何か食いたいものはあるか?」
少女「………よく、わかりません」
男「じゃあ、冷蔵庫の中身次第かな。んー、温野菜とパスタにするか」
少女「………いただきます」
少女「………」モクモク
男「………どうだ?口にあうか?」
少女「………すごく、複雑な味です」
男「あー、もし苦手なようなら無理に食べなくていいからな。何か他に食えるもの作ってやる」
少女「いえ、こんなに美味しいものを食べたの……はじめて」ニコ
男(ッ!はじめて笑った!)
男「そ、そっか。今回のは自身作だったんだ。喜んでもらえてよかった」
少女「あの」カチャ
男「ん?なに?」モグモグ
少女「見ず知らずの私によくしてくれて、本当にありがとうございます」
男「………」カチャ
少女「何かお返しすべきですが、私には何も返せるものがありません」
少女「何か私にできることはないですか。私にできることなら、何でも言って下さい」
少女「え?」
男「あのな、子どもが難しいこと考えるな」
男「子どもってのは誰かに庇護されるべき存在だ。それが当たり前であって、今日1日を生き抜くために何かをしなくちゃいけない、なんて考えるのは十年早い」
少女「………」
男「って言っても、僕もまだ21だけどね。世間一般じゃ大学生なんてまだガキに分類されるだろうけど」
男「でも僕には両親がいないから自分で学費も生活費も稼いでるし、まぁ少女よりは大人だし、たまたま君を守るお鉢が僕に回ってきただけのことだよ」
男「……………」
男「………あー、ごめん。正直いまの嘘。建前」
男「本音を言うと、君に関わったことを少し後悔してる」
少女「………」
男「僕が君に差し出したあのパンは、ただの気まぐれだった。君が捨てられた子犬みたいだったから、気まぐれで情けをかけちゃった感じ」
男「そしたら何か勘違いした親犬がその子犬を僕に預けてきたもんだから、成り行き上しかたなく一時的に預かってる状態だよ」
少女「………」
少女「…………はい」
男「僕が君によくしてるのはね。自分の信念に従ってのことだよ」
少女「?」
男「こんなこと他人に言ってもどうしようもないことだけど。僕にとって一番大切なことは、一貫していることなんだ」
男「過去の自分と未来の自分とに整合性があること。行動指針に矛盾がないこと。それが僕にとっては大切なことなんだ」
少女「………」
男「僕も人間だから失敗する。今回、君にパンをあげたのは失敗だった。でも一貫性は必要だ」
男「だから1週間だけ君を預かるという責任を自分に課すことで、一貫性を保とうとしてるんだ」
男「1週間後、一応君のお母さんと話をして、場合によってはしかるべき処置をとる」
男「でもその後のことまで責任はとれない。だから、君が警察に行くなというなら行かないよ。」
少女「………」
男「僕が警察や児童相談所に届け出た結果、君のお母さんと君の関係がさらに悪化しても、僕には何もしてあげられないからね」
少女「………はい」
男「まぁ要するに、僕はかなり身勝手で無責任な男だから、感謝する必要はないし、信頼されても困る」
少女「………はい、分かりました。お兄さんは、変わり者なんですね」
男「ん? んー……いや、そういうこと、でいいのか?」
少女(………)
女「おらー!風呂!酒!飯!寝る!男と一緒に!」
男「女さんお酒飲めないでしょ。晩飯はすぐできますよ」
女「よぅ!少女ちゃーん!元気してる!辛気臭い顔してたらダメよ!嫌なことがあるならオナニーでもすれば」
男「晩御飯抜きでいいですね」
女「嘘うっそー!冗談だってば。おっ!いいにほひがするー」
男「テーブルについてて下さい」
女「うん!」
女「やうやう少女ちゃーん!今日1日きちんと留守番してた?」
少女「………はい」
女「…………………………………あんた男とイチャついたりしてないでしょうね」ボソ
少女「……!」ビク!
少女「………い、いえ。男さんは私には何の興味もないって言ってました」
女「え?マジ?そーなんだ!にょほほほ。まぁ気にする事ないわよ!その分お姉さんが優しくしてあげる!」
男「どうしたんですか女さん。機嫌よさそうですね」ゴト
女「そんなことないよー♪ あっおいしそー」
男「そろそろ寝るか。少女は僕のベッド使っていいぞ」
女「え!男ってばついに私と同衾を!?」
男「いえ、僕はソファで寝ます」
少女「あ、あの………わたし、悪いですから……」
男「はいはいもう決定。面倒なこと言わないように。みんなおやすみー」
女「ちぇー。また男の盗撮映像でオナニーかぁ……」
少女「………おやすみなさい」
ーーこうして、なにごともなく二日目の夜も過ぎていった
女「おっはビンビン!今日明日は大学休みだよね男ー!」
男「おはようございます。今日も元気ですね」
女「じゃあ今日もバリバリっと働こうぜ!」
男「それなんですが、少女の件もありますし、今日と明日はバイトは休ませてくれませんか」
女「えー………」
少女「おはようございます男さん、女さん」
男「おはよう少女」
女「………」
男「しませんから安心してください」
女「………」ジロ
少女「……お気をつけて」
ガチャ…バタン…
男「さて」
少女「………」
男「僕は午前中勉強してるから、自由にくつろいでてくれ」
少女「……はい」
-
--
---
講師『利他主義にはまた『不十分な知識や予期せぬ事態』にかかわる問題があります』
講師『例えば、医療知識のない者が勝手に病人を診療すればどうでしょうか。その動機は善きものであっても、結果はよくないことになるでしょう』
講師『あるいは、知識の有無にかかわらず我々は未来を予測できません。軽い気持ちで行った善行が、最悪の結果を招く可能性は常にあります』
男「…………」カタカタカタ
男(たった一つのパンの結果がこれだ)
男(身につまされる思いだな)
男(………)
男(そういえばあの娘)チラ
少女「………」
男(他に服をもってないって言ってたっけ。寝間着くらいは買ってやるか)
男「少女」
少女「……はい」
男「買い物に行くからついておいで」
男「少女、パジャマを買ってあげるからここで選びな」
少女「……いいんですか?」
男「いいよ。パジャマくらいなら大した出費じゃないし。好きなの選んでいいよ」
少女「………」
男「……少女?どうしたの。どれでもいいんだよ」
少女「……よく、わかりません」
男「………」
男「これとかいいんじゃないかな。……うん、似合う似合う!」
少女「………」
少女「……よくわかりません」
男「そうだなぁ、じゃあラーメンにしよう」
少女「……はい」
男(……自己主張のない娘だとは思っていたけど、そうじゃない)
男(きっと経験が不足しすぎてて、自分の中に選択肢がないだけなんだ)
少女「………」
男「ふぅ。ただいまっと」
少女「……お邪魔します」
男「ふふ。疲れた顔してるね。普段から運動不足なんだろ?」
少女「………」
男「時間が余ったから久々にゲーセンなんて行ってみたけど。目を白黒させてたな」
少女「………///」カァ
男「はは。夕飯の準備するからくつろいでな」
少女「……はい」
少女「……………あの」
男「……ん?なに」トントントン
少女「パジャマ………ありがとうございました」
男「ああ、安物だから気にしなくていいよ」
少女「これ、大切にします………」
少女「ずっと……ずっと大切にします」ギュッ
男「……………そっか。気に入ってくれてよかったよ」ニコ
女「ただいまー!ねーねーお風呂にする?それともお風呂で食事?それともお風呂プレイ?」
男「おかえりなさい。お風呂一択なんですね。夕飯の準備しますから入ってきて下さい」
少女「………おかえりなさい」
女「へいさー!……って、あの娘昨日まであんなパジャマ着てたっけ?」
男「いや、今日買ってあげたんだよ。他に着るものもってないみたいだから」
女「………………………………………………」
女「………………へー。そうなんだ」
男「お茶でしょそれ。女さんお酒ダメじゃないですか」
女「なにこの天ぷら!うますぎ!エビがぷりぷりしすぎ!もう死ぬ!」
男「大袈裟ですから」
女「男、私の婿に入れ!ついでに私の腟にも」
男「もう片付けていいんですね」
女「うっそーん。冗談!冗談だからわたしの天ぷら返して!」
少女「………フフ」ニコ
男(………また笑った。なんだ、笑えるんじゃんこの娘)
男「珍しいですね。いつも僕に片付けさせるズボラな女さんはどこに行ったんですか」
女「ふっ。わたしも日々成長してるのだよ男クン」
女「それじゃ……ッと!わっ!」ズルッ
バシャッ!!…ガシャン!!!
男「………あっ、大丈夫か少女!」
少女「……………あ」
男「火傷は!?いや……ぬるくなってたおかげで大丈夫か。怪我はないか?」
少女「……はい。でも天ぷらのおツユでパジャマが」
女「あちゃー。ごめんね少女ちゃん。せっかくの男からのプレゼントが……」
女「もちろん!私のせいなんだから当然だよ!」
女「ほんとごめんねー少女ちゃん」
少女「………いえ」フルフル
男「とりあえずお風呂で染み抜きしますから、向こうの部屋で着替えさせてきてください」
女「うん!ほら行こ少女ちゃん」
少女「………はい」
少女「………いえ、大丈夫です」
女「………………」
少女「………………」
女「こんなこと、もう起きないといいね?」
少女「………ッ」ビク!
女「ね?」ニコ
少女「………はい」
ーーこうして、3日目の夜もすぎていった
女「おはー」
男「おはようございます。朝食できてますよ」
女「いやー昨日は3回も自分で慰めちゃったよ!」
男「今日もいつもどおり元気なようで結構です」
少女「………おはようございます」
男「おはよう少女」
女「おは幼女!」
男「えっ、でも急ぎの仕事とかあるんじゃないですか?休ませてもらってる僕が言えることじゃないですけど」
女「あーいいのいいの。しょせん道楽だから」
男「お金持ちのお嬢さまは言うことが違いますね」
女「そうよー。だから狙い目よ私!あと食べ頃だよ!」
男「食べ頃かどうかは置いておいて、女さんと結婚する男性は逆玉ですよね」
女「まぁねー。ぶっちゃけ金とか腐るほどあるし、家賃や生活費だって全部私もちでもいいって言ってるのに男ってば真面目なんだから」
男「ありがたい申し出ですけど、ヒモになったら堕落しそうなので」
--
---
男「………」カタカタカタ
男「……………」カタカタカタカタ
男(利他主義の問題………)
男(要するに「他人に優しくする」ことは手放しでは賞賛できないってことだ)
男(いろいろな問題が指摘できるけれど。少なくとも3つの大きな問題がある)
男(真に善人たらんとすれば、善行には際限がなくなる)
男(1切れのパンを与えるなら、その後も食事を与え続けるべきだ)
男(食事を与え続けるなら、衣と住も与えてやるべきだ)
男(1度限りの善行なんてのは、いっとき気持よくなりたいだけの行為でしかない)
男(だから真に善人たらんとするなら、際限なく、自分の身をやつしてでも善行を続けなくちゃいけない)
男(その覚悟がない善行は、例外なく、すべて偽善だ)
男(でも、そんな善行は自滅的じゃないか。誰がそんな仕方で他人に関われるって言うんだ)
男(彼女に与えたパンがきっかけで、1週間彼女の世話を引き受けることになった)
男(僕の場合、利他的な行為というよりも、自分自身の信念に従っての行為だけど)
男(でもこの現状が、本当に彼女のためになるのか分からない)
男(ひょっとすると彼女はこの状況を疎んじているかもしれないし)
男(逆に現状に満足してくれていても、1週間後の彼女の生活の面倒まで見れない以上、かりそめの安楽は彼女にとって害ではないのか)
男(よかれと思ってやったことが、相手を害する可能性は常にあるじゃないか)
男(他人の心なんて、本当のところはよく分からないんだから)
男(道端で女性を襲っている暴漢の凶行を止めるために後ろから殴ったら、実はその二人が恋人同士で、男の方は当たり所が悪く死んでしまった、という事件が過去にあったらしい)
男(暴漢を止めた人は、もみあっている二人が軽い痴話喧嘩中の恋人同士であるという事実を知らなかったし、また、殴られた男が死んだのは不運でしかなかった)
男(守ってもらったはずの女性にとって、自分の彼を殺した人はまぎれもない悪人となった)
男(……いま少女を保護しているが、僕の与り知らない第三要因によって、この現状が彼女を逆に苦しめてしまう可能性は常にあるんだ)
男「女さん。お昼はなにがいいですか?」
女「男が作ったものならなんでもいいよー」
男「そういうのは困るんですが……和風・中華・洋風だとどれですか?」
女「んー。じゃあ中華!」
男「わかりました。んー、ホイコーローでも作るかな」
少女「………」
少女「………あの」
少女「……いえ、あの……手伝わせて、ほしいです」
男「それはありがたいけど……、料理できるの?」
少女「いえ……」
男「んーじゃあ、ちぎりサラダでも作ってもらおうかな。包丁なくてもできるし。作り方は教えるよ」
少女「あ………はい」ニコ
女「…………」
男「いただきます。サラダは少女が作ってくれたんだよ」
少女「………はい」
女「うめぇ!?おかわり!」ガツガツガツ
男「はやいよ」
少女「………いただきます」
男「ふふ。おかわり3回もしましたからね」
男「でも、サラダにも手をつけてくださいよ。ほとんど手をつけてないじゃないですか。野菜もとらないとダメですよ」
女「ホイコーローも野菜たっぷりだったから大丈夫!」
男「いや、ホイコーローも肉ばっか食べてたじゃないですか……」
少女「………」
少女「あ、わたしも……」
男「あーこれは僕がやっておくから、晩御飯の片付けは頼むよ」スタスタ...
少女「………はい」
女「………」
少女「………」
女「………ッザイナァ」チッ
少女「………え?」
少女「え? え……」
女「おてつだいしてぇー、あたし献身的な女ですぅってアピールしたいんでしょ」
少女「………いえ」
少女「………その、ご迷惑をおかけしてるので少しでもお返ししないとと思って」
少女「男さんにも、女さんにも、すごく、感謝してます……から………」
女「………ッ! そういうのがウザいって言ってんのよ! チラチラ チラチラ人の顔色伺って、男に媚売ってんじゃねーよ!いいかげん殺すぞテメェ!あぁ!?」
男「ちょっと、女さん!どうしたんですか!?」
女「…! あ、ううんごめん、なんでもないの! ね、少女ちゃん」ニコ
少女「……………はい」
男「なんでもないって……なんでもないわけないじゃないですか。何があったんですか?」
女「ホントになんでもないから、男は気にしないで。あたし昼寝してくるねー」
女「………女ちゃん、大声あげちゃってごめんね? 許してくれる?」
少女「………はい」
女「そ。じゃあおやすみー」
バタン
男「………」
男「………」
少女「………」
男「………ごめんな」
少女「………いえ」
男「………彼女も似てるんだ、君と。親に虐待されて育った」
少女「え……」
男「彼女には兄弟姉妹がたくさんいるんだけど、彼女一人だけがなぜか両親から無視されて育ったんだ」
少女「………どうして、なんですか」
男「わからない。親にしか分からない理由があったのかもしれない」
男「家政婦さんがいたおかげで君とは違って衣食住は保障されていたけど、でも彼女の両親は、彼女にいっさい視線を向けず、話しかけず、空気のように扱った」
男「彼女の両親は彼女の一切は家政婦に丸投げしたんだ。ある意味で君以上にひどいネグレクトを受けて育ったとも言える」
少女「………」
男「目の前で無視され続けるくらいなら、いっそ両親から遠く離れたところで成長した方がはるかにマシだっただろうね」
少女「………」
男「で、だんだん話してるうちに打ち解けていって、仲良くなったんだ」
男「昨年の冬に僕の両親が自動車事故で死んでからは、特に経済的な面ですごくお世話になった。破格のバイト代がでるバイトを紹介してくれたり、格安でルームシェアを買って出てくれたり……」
男「彼女には感謝してもしきれない。返しきれないくらいの恩があるんだ」
少女「………」
少女「………お兄さんは、女さんが好きなんですか?」
男「………」
男「………うん。僕にとって、誰よりも大切な人だよ」
男「まぁアプローチが分かりやすすぎるだけなんだけど」フフ
男「でも、今はその気持ちに応えられない」
少女「………どうして、ですか」
男「いまの僕が生活していけるのは彼女のおかげだからね。この状況で彼女とお付き合いするのは不誠実だと思うからだよ」
少女「………?」
男「あー、つまり、今彼女の気持ちに応えると、お金ほしさに彼女とつきあってるみたいじゃないか」
男「もっとも、彼女はそんなこと気にしないだろうけど……ね」
少女「女さんは……だから……」
男「うん。僕に対する嫉妬もあるけど、同時に、君を見ていると昔の自分を思い出して苛つくんじゃないかな」
男「いや……。昔、じゃなくて、いま現在の自分の姿を君に見ているのかもしれない」
少女「………」
男「話はこれだけ。彼女には彼女なりの事情があって苦しんでるんだ。だから、あまり彼女の言葉を真に受けないようにしてって言いたかった」
少女「……はい。わかりました」
男「あと、今の話は内緒にしてくれな」
少女「……はい」
男「女さーん、晩御飯なにがいいですかー?」
女「………」
男「女さん?」
女「………」モゾ
男「布団かぶってないで出てきて下さいよ」
女「………やだ」
男「なに拗ねてんですか。晩御飯作りたいんで要望を聞きに来たんですけど」
女「………やだもん」
女「………………………怒ってる?」
男「はぁ? なんで僕が怒るんですか」
女「うそ………怒ってるんでしょ。もう私のことなんか嫌いになったんでしょ」
男「怒ってませんから。少女も気にしてないって言ってました」
女「うそだもん。もういい。引きこもるから放っておいて。今日から布団人間になる。布団人間ベムだもん」
男「………はぁ。まったく」
男「………………」
男「今すぐ出てきたらキスしてあげても、いいかもしれませんが」ボソ
女「出た!出たよ!ほらキス!いまキス!あそこにチュー!」
男「………す、すごい勢いですね」
女「嘘かもしれないと思っても全力で釣られるクマー!ほらキス!はやく!」
男「………じゃあ、目をつぶって下さいよ ///」
女「えっ!うそ本当にしてくれるの!はい目閉じたよ!さあばっちこいやぁ!」
男「薄目開けてるのバレバレですよ、もう」
男「………」チュッ
男「昼にあれだけ食べたのにすごい食欲ですね」
少女「………」
女「このきゅうりの浅漬けもいい感じよん♪」
男「あー、……ちなみにそれは少女が作ったんです。な?」
少女「あ………はい………」ビク
女「そうなんだー、いい出来よこれ!明日もつくって!」
少女「あ……」
少女「は、はい!」ニコ
男(…………ふぅ)
ーーこうして穏やかな四日目の夜もまた、過ぎていった
少女もぎこちなさを残しつつ、しかし少しずつこの生活に慣れてきたようだった
そんな穏やかすぎる日が続いたせいだろうか
少女との1週間が終わったことに、8日目の朝、玄関からの呼出音ではじめて気がついた
男「………あ、あぁ。どうも」
男「少女なら奥にいます……けど………」
婦人「そう。出してもらえるかしら」
少女「………ママ」
婦人「あら、1週間見ないうちに随分血色がよくなったわね。こっちにいらっしゃい少女」グイッ
少女「あっ……」
婦人「それじゃお世話様でした。あなたのおかげで旅行が楽しめました。感謝しています。それでは」
男「………ッ」
婦人「ッ!」
女「『旅行が楽しめました。感謝しています』ですって? その前に子どもを預かってもらったことに礼を言いなさいよ!」
婦人「……………ええ、そうね。失礼したわ。娘を預かってくれてありがとう。さ、行きましょう少女」
男「待って下さい」
婦人「……まだ何か?」
男「あなたは、娘さんを虐待していますよね」
婦人「……それで?」
男「あなたが考えや振舞いを改めないというのであれば、しかるべき場所に訴え出させてもらいますが」
婦人「へぇ。でもこの娘はなんて言うかしら」
少女「……」
婦人「ねえ少女?わたし、あなたにひどいことしてる?」
少女「……」フルフル
婦人「そうよねぇ?じゃあ、私がお巡りさんに連れて行かれちゃってもいいと思う?」
少女「……」フルフル
女「そんなの……てめぇにおびえてる奴がその本人の前で言えるわけねーだろうがこらぁ!」
男「少女がなんと言おうと、発育不良な身体や、身体中にみられる傷、これらはあなたが彼女を虐待している明らかな証拠です」
男「また少女本人の口から、着替えの服を他に一着も持っていないこと、毎日玄関で眠らされていること、食事は一日に一回少量しか与えられていないことなどを確認しています」
婦人「………へぇ。そう」チラ
少女「……ッ!」ビク
男「あなたや、あなたの娘さんが何を言おうと、しかるべき機関によって強制的にあなた達親子を切り離すことは可能です。そのことを──」
少女「やめてください!」
男「……少女」
少女「わたし虐待なんてされてません。だからお母さんと離れ離れにしないでください」
婦人「………うふ、ふふふふ。うふふふふふふふふふふふ」
婦人「あーおかしい。ですってよ、うちの娘はこう言ってるけど?」
女「少女!あんた、このまま母親におびえて生きていくつもり?あんたが一言助けてって言えば全力で助けてあげられるのよ?」
少女「わたしは虐待なんてされてません。虐待なんてされてません。虐待なんて……」
男「少女……」
婦人「もういいわよね。それじゃ1週間ありがとうございました。また機会があったらお願いするわ」フフ
女「くッ」ギリリ…
男「……」
女「どうするのよ、あれ……」
男「………」
女「私は、少女がなんて言おうと警察に届け出るべきだと思う」
男「………」
女「それにしてもあの糞女めちゃくちゃ腹がたったわ。目ん玉スプーンで繰り抜いてピラニアの餌にして高笑いしてやりたいくらい」
男「………」
女「………ねえ。男聞いている?ちょっと」
男「………え?あ、あぁすみません、少し考え事をしてました」
虐待されてるのに、何故か親から離れたがらない子っているよな
男「いえ、少女はなんであんなに頑に虐待の事実を否定してたんだろうと思って……」
男「その……すみません、こんなことすごく聞きにくいんですが」
女「なに?」
男「その、女さんのときにはどうだったんだろうか、と思いまして」
女「……ああ。そうねー、でも私のは参考にならないわよ。さっきの母親と少女の関係を見たら明らかでしょ。明らかに恐怖で支配してる」
女「わたし、父親と母親に何とか振り向いて欲しくて媚を売ってたけど、恐怖は感じてなかったもの。感じてたのは………寂しさだけよ」
男「………そう、ですか。すみません言いにくいこと聞いちゃって」
女「はあ?なに悠長なこと言ってるのよ。あの娘、今日からまた虐待されつづけるのよ」
男「もちろんわかってます。いざと言うときには問答無用で110番しましょう」
男「ただ、この世には『良かれと思ってしたことが、最悪の結果を招く』こともありますから、もう少し慎重に動きたいんです」
男「それに非情なようですが、彼女は虐待を10数年間も受けてきたんでしょう。だったら彼女にとってそれはもう日常なんです」
女「………それは」
男「すぐにでも虐待を止めたいところですが、逆に、すぐに虐待を止めなくても彼女に命の危機が訪れるわけじゃありません」
男「急がないといけませんが、急ぎすぎては事を仕損じるかもしれません」
女「赤の他人の問題に深入りしない男くんにしては、今回はずいぶん熱血入ってるよね?」
男「まったくです。きっかけは100円ぽっちのパンを気まぐれにあげちゃったことですよ?」
男「その責任をとるために1週間彼女を預かったはいいものの、1週間も一緒に過ごせばそりゃもう『赤の他人』じゃないですよね。そんなの……助けざるをえないじゃないですか」
女「ふふ。そんなことに今更気づくなんて意外と間が抜けてるのね」
男「むっ。そういう女さんこそ、一時の不機嫌が嘘なくらい少女に肩入れしてるじゃないですか」
女「そりゃあそうよ! 正直私は赤の他人はおろか、それが知り合いだとしても、苦しもうが死のうが知ったことじゃないわ。今回の件がなかったら隣人の虐待問題も無視し続けたでしょうし」
女「でも今やあの娘は特別! だって───彼女は私の恋のキューピッドだったんだから♪」
~FIN~
でも不思議じゃないくらいにキレイに纏められるセリフだなw
勝手に終わらすなww
隣室(…………オマエナンカシネ!!)
男「これは……」
隣室(…ガン!!……ガンガンガンガン!!!…イヤッ!!………ゴメンナサイッ…ゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイッ……)
女「………あの……糞女ッ!」
男「行きましょう」
女「うん!」
男「すいません!」コンコン!
女「出てこいクソ女!火ぃつけんぞオラ!」ガンガンガン!!!
ガチャ
婦人「………なんですか。近所迷惑じゃないですか」
女「どの口が言ってんだよコラ!てめぇのヒステリーがうちの部屋まで聞こえてくんだよおい!」
婦人「………あら、ごめんなさい。次からは声量を抑えるわね」
女「んなこと言ってんじゃ……!」
男「……どうしてですか」
婦人「え?」
男「なぜ、こんなことをするんですか?」
婦人「………はあ?」
男「少女を育ててきて、これまで一度も彼女をかわいいと思ったことがないんですか?」
婦人「……………」
男「あるんですね? よかった。それじゃあなたは全くの冷血女ってわけじゃなさそうだ。ところで、今のご自身の行為を当時のあなたが見たらなんて言うと思いますか?」
婦人「なにをッ………………ふん。くだらないわ。他人の家のことなのにベラベラと……口出しがすぎるんじゃなくて?」
婦人「ま、おおかた少女を預けてるうちに情がわいたんでしょうけど、そういうその場的なお節介をね、『偽善』って言うのよ。少女!出かけてくるから片付けておきなさい!いいわね!」
女「ちょっと、あんた待ちなさいよ!」
婦人「………」スタスタ
少女「………はい」
男「片付け………手伝うよ」
少女「………いえ。自分でやりますから………」
女「水臭いこと言わないの、もう。ほら男はそっちやって」
男「はい」
少女「………ごめんなさい」
男「片付けが終わったら、うちに行こう。晩御飯食べてないんだろ?」
少女「……………ごめんなさい」
少女「………はい。おいしいです」
男(たった一日でこんなに顔色が悪くなって……。精神的なストレスか……)
女「そうでしょそうでしょ!今日のは自信作なんだから!」
男「作ったのは僕でしょ。手柄を横取りしないでください」
女「なによー。そういうときは黙って華を持たせてくれてもいいじゃない!けちー」
少女「………」
少女「………フフ」ニコ
男「その、正直答えづらいことなら無理にとは言わない」
少女「………」
男「えっと、だね、その……………君のお母さんはどうして君をあんなに目の敵にしてるんだろう? 何か理由があったりするのかな」
少女「………」
男「あー、特に心当たりとかがないならいいんだけど、………」
少女「………」
少女「………わたしが、パパを殺したから」
女「…………」
少女「…………」
男「えっと、詳しい話、聞かせてもらってもいいかな」
少女「…………」
少女「…………まだ、わたしが4才か5才くらいの頃」
少女「パパと二人で遊園地に行って、帰りの車が事故にあって、パパが死んで……」
男「…………」
女「…………」
少女「わたしがワガママを言わなかったら、パパは死ななかった」
少女「パパを殺したのはお前だ、って」
男「…………」
女「…………」
少女「わたしはワガママだから、ワガママを直さなくちゃいけない、って」
少女「食事も、お風呂も、寝る場所も、叩かれるのも、ぜんぶわたしのワガママを直すためだ、って」
女「…………ッ」ギリ
女「あんたは悪くない!」
少女「!」
女「………ッッッ」ポロポロポロ…
女「あんたは悪くない!あんたのせいじゃない!」ギュッ
少女「………どうして………泣いてるんですか?」
女「あんたが泣けないから、かわりに泣いてるの! いい!? あんたは悪くない! あんたのパパが死んだのはあんたのせいじゃない!」ギュゥッ
少女「………」
女「分からないなら何度でも言ってあげる! あんたは悪くない! あんたのせいじゃない! あんたは責められるようなこと、なにもしてないんだから! だから、あんたが苦しむ必要なんてない!」
少女「…………………」
少女「…………………………」
少女「………………………………あったかい」キュッ
男「まぁ、少女は今日一日だけでも随分疲れてたみたいだし」
男「女さんは泣き疲れだろうけど」
男「……………」
男「それにしても、これからどうすべきか……」
男「虐待の動機が分かったのは一歩前進だけど、それを直接的な解決の糸口にするのは難しそうだ」
少女「………………」スヤスヤ
男「少女はきっと、母親への恐怖と、長年で刷り込まれてきた罪の意識から、母親に逆らえない状態なんだろう」
男「最初から分かっていたことだけど………素人がどうこうできる次元をはるかに超えてるよな」
男「これ以上どうしようもない。次に隣室から悲鳴が聞こえたときには……警察を呼ぼう」
少女「………ママが帰ってくるまでに、部屋に戻らないといけないから」
女「少女、あんたは必ず私が助けてあげる。私の命にかえてでも救ってみせるから。絶対に見捨てたりしないからね」
少女「………」
女「お腹がすいたらうちにおいで! 絶対だよ! おいしいご飯つくってあげるから」
男「作るのは僕ですけどね」
女「ちょっと!いまいいところなんだから邪魔しないでよもう!」
男「………気をつけてな」
少女「………ありがとうございました」
隣室(…………シネ!!……キエロ!!……)
隣室(……ガシャン!!……ゴンガンガン!!!……ハグッ!!………)
女「………男、もう、いいよね………私、もう限界」
男「………ええ、限界ですね」
女「あは♪ むしろこの手で引き裂いてやろうかしら! ね! そっちの方が楽しそう! どんな拷問がいいかな!? 」
女「うふ、うふふふふ……そうね。裁判になんてかけるよりも、ジクジクとゆっくり時間をかけて私が………」
男「女さん、落ち着いて。また歯止めがきかなくなってます」
男「行きましょう。そして終わらせましょう」
男「すいません」ドンドン
女「………麻酔をかけて、足元から5mmずつスライスしていく拷問とかどうかしら。いやん♪」クネクネ
ガチャ
婦人「………またあなた達。しつこいわね」
男「失礼しますね」グイッ
婦人「………なに!? ちょっと! いきなりなんなのよ」ギチ…
男「女さん!少女を確保して!」
女「えっ!あ、うん!」
男「すみませんが、問答無用で警察を呼ばせてもらいます。その際、万が一にでもあなたが少女に対して凶行に及ぶことを危惧して、まずはこうして拘束を」
少女「ッッ!」
男「悪いがそれは聞けない。君は恐怖と罪悪感で正常な判断ができていない」
男「これ以上は、さすがに見過ごせない」
少女「やだぁッ!ダメ!!」ブンブン
女「あッ!ちょっと!」バッ
タタタッ…ドン!!
男「ッ! 携帯を!」
婦人「………ッ。こんな真似をして! あなた達タダじゃすまさないわよ」
男「………くっ」
少女「………う………ぁ……」ブルブル
女「少女、どうしてよ! そんな虐待するしか能のないクソ女、もうあんたの母親でも何でもないわ! 生きる価値すらない!」
女「いい加減目を覚ましなさい! 恐怖でおかしくなってるのは分かるけど、私達が守ってあげるから!絶対に約束するから! だから信じて!」
少女「ダメです……お母さんと、離れ離れにしないでください………」
男「少女、携帯を返すんだ。女の言う通り、僕達が君を守る。なんだったら、僕と女さんが、君の家族になってもいいんだ。だから僕達を信じて」
少女「ダメです………ダメ……」ガクガク
婦人「ふぅ、………………ほんと、つくづく下らないわね」
婦人「もういいわ、どうでもいい。結局あんたのワガママは直らないままだったわね、少女」スゥッ
少女「……ひッ」
婦人「ふふ………いっそのこと、あんたを殺して私も死のうかしら。ここまでの騒ぎになった以上、私もつかまるのは避けられないだろうし」
女「………やめてよ、……もうやめてよォ!! なんで自分の子どもに刃物を突きつけるの!?」
女「なんでそんなことするのよ!? あんた親なんでしょ! 親、親が、親なのに、なんで……なんでそんなことするのよぉォッ!!!」ポロポロ…
男「やめろ、馬鹿な真似はよせ! そんなことして何になるっていうんだ!」
少女「くッ!」
婦人「私のことが怖いでしょう?憎いんでしょう?自分のことが嫌いでしょう?世界を呪ってるんでしょう?」
婦人「ぶちまけちゃいなさいよ!いつもは声を発するものなら即座に殴りつけてたけどね。最後だから許してあげるわ」
少女「………ッ」
婦人「ほら!言いなさい!『私はママから離れられません!だってママが憎くて怖いからです!私はお兄さんとお姉さんが信じられません!』って言ってごらんなさいよ!ほら!言え!」
少女「………あ、」ガクガク
少女「わ、た」
婦人「聞こえないわよ!お兄さんとお姉さんに聞こえるくらいもっと大きな声で!ほら!」
少女「わたしは、ママから、離れられません……」
男「………ッ」
女「少女………ッ」ポロポロ
少女「だって、………」
少女「だ、っ…て………………」
少女「だっ、て、わたしがいなくなったら─────ママが、ひとりぼっちになっちゃうから」
男「……………」
女「………………少、女?」
少女「わたしよりも、………ママの方が、ずっと、ずっと痛いから」ポロ…
少女「わたし、よりも、………ママの方が、もっと、ずっと、苦しいから」ポロポロ…
少女「だから、ママが壊れちゃわないように………、わたしがそばにいてあげなくちゃいけないのッ……」ポロポロポロポロ…
婦人「…………………」
婦人「…………………なによ、それ。なによそれ」
男「えっ!?」
警察B「こちらの階の住人から通報がありました。署の方で事情を伺いたいのですが」
男「……………はい」
女「………」
少女「………」ポロポロポロ…
婦人「……………ウソヨ、ウソ……」
ーーこうして、僕と女さんと少女との隣人付き合いは、わずか10日程度で幕を閉じた
男「結局のところ」モグモグ
女「ん?」モキュモキュ
男「勘違いしていたのは僕達でしたね」ンググ
女「………んー、そうねぇ」
男「『他人の心なんて、本当のところはよく分からない』ってこと、分かってるようで分かってなかった」
女「………」モキュモキュ
男「『利他主義は自分本位なものに陥る可能性を孕む』………、僕達がやった手助けはきっと自分本位なもので、それが少女にとって本当に良かったことかどうかは分からない」
女「………」
女「………」モキュモキュモキュ
男「母親に従うという『自滅』を覚悟しながら、自分のことではなく純粋に『母親のため』だけに10年以上も虐待に耐え、そして、その結果が『最悪の結果』を招きかねないものだとしても、その運命すら自分で引き受けようとしていた」
女「………」ガサゴソ…
男「『我々はどのように他人に優しくする』のがよいのか?」
男「きっと彼女こそが、その答えなのかもしれません」
女「………」ハムハムハム
男「彼女が見せた強さを、その遺志を無駄にしないためにも──……って」
女「………」ズゾゾゾゾゾゾゾゾ
男「………聞いてます人の話?」
女「んふぅ?はぁ、ふぃーへるふぃーへる」モッチュモッチュ
男「ああ、すみませんつい……」
男「でも、その節は助かりました。あの娘が働きたいって言い出したときはどうやって止めようかと思いましたが」
男「同年代よりも小さな身体で、しかも小中高と学校に通ってこなかった彼女を雇ってくれるところなんて、そうはないですから」
男「女さんに感謝です」
女「別に男に感謝されるいわれはないわよ。わたしは、あの娘の幸せを全力で応援することに決めたんだから。同時に、あの娘を不幸にする存在を全力で排除もするけど」
男「なんというか、好悪に関してつくづく極端な人ですよね女さんは……」
男「………っと、噂をしてるとやって来ましたよ」
少女「………」トテトテ
女「もう、『お嬢さま』はやめてってばー。これまで通り『女』でいいって言ってるでしょ。あと堅っくるしい話し方も禁止!」
少女「いえ、お嬢さまへの接し方については、家政婦長から厳命されております」
少女「主人との関係にケジメをつけることが、家政婦道の第一歩だと」
女「あーもう、わーかったわかった。でも本邸のときだけね。うちでもその態度を貫こうものなら、あんたの処女膜に幕を下ろしちゃうんだからね」
少女「………かしこまりました」
男(スルー力たかいなぁ……)
少女「はい、皆さんよくして下さいます」
女「ほんとにぃ?もしイジメられたりしたら言いなさいよ!ソイツらを即クビにしてやるんだから」
少女「………いえ、皆さん仕事に関しては厳しいですが、普段の生活のことで色々と気を遣ってくださる優しい方々ばかりです」
女「そう。ならよかった。困ったことがあったら言いなさい。週末はうちで3人で暮らしてるわけだしね」
男「僕達で力になれることがあるなら、何でも言ってくれ」
少女「………はい」ニコ
女「ん?あぁー、あんたのママの件ね。やっぱり心神喪失状態にあったかどうかが争点になるみたい」
女「まぁムショ行きか病院行きか、どっちがいいのか分からないけど」
少女「……………そう、ですか」
女「……………」
女「………まぁでもなんか、反省……、してるみたいよ。なんか憑き物でも落ちたみたいに『娘に償いたい』って言ってるらしいわ。はっ、今更なに言ってんのって感じだけど。虫唾が走るわね」
少女「………っ」キュッ
男「………」
女「ほら!そんな顔しないの!ママが出所したら、立派になった自分を見せて、一から親子をやり直すんでしょ?」
少女「………はい」
女「正直、あんたがあのクソ女にこだわる理由が私には1ナノも分からないけど、でも、それを目標にして頑張れるってんなら、頑張りなさい」
男「ふふ。女さんは言葉は悪いけど、君達親子のことを応援してるんだよ」
少女「………はい。わかっています」ニコ
女「ちょっとぉ!変なまとめ方しないでよもう!///」
男「ははは」
少女「ふふ」
---
--
-
ひとはみんな お互いに傷つけあったり無関心だったりするから
このお話もきっと 色々な偶然が折り重なったものだってわかってる
はじまりはひとつのパン パンひとつ分のちっぽけな優しさ
でもわたしには それがとてもとても嬉しかった
気まぐれでも 同情でも 私に向けられたはじめての優しさ
ありがとうお兄さん あれは私にとって───奇跡みたいな出来事でした
──── 男「パン……食べるか?」 少女「……」 fin.
最後まで読んでくれた人、ありがとう
書き溜めなしで考えながら書いてたので細部でおかしな点があったら脳内補正をお願いします
最初は皆殺しエンド、ホラーエンド、後味悪すぎエンドなどを考えていましたが、
やっぱり男と女と少女の三人が笑って終わる結末を書きたくなって色々無理な方向修正をしました
疲れましたが書き終えると達成感がありますね
機会があればまたどこかで!
楽しかった
乙
パンツ脱いだ自分が恥ずかしい
Entry ⇒ 2012.01.06 | Category ⇒ 男女「」SS | Comments (0) | Trackbacks (0)
不良♀「おい、なんだよおめーは」男「まぁまぁwww」
男「ぐふっ!…だいじょぶだいじょぶwwwww」
不良「な、なんだよ!近づいてくんじゃねーよ!殴るぞ!」
男「安心して、何もしないからwwwwww」
不良「大分強く殴ったぞ?…お前なんだよ、きめーよ、やめろよ!」
男「…」ギュッ
不良「ぁ…」
男「じゃあな!」ダダダッ
友「お前もう罰ゲームやったの?」
男「当たり前だろ、超怖かったぞ…殴られたし」
友「は!?誰も見てないときにやるなよバカ!…もう一回な」
男「うるせー!やったっつってんだろ!」
不良「…」ジーッ
今晩はこんな感じでどうかひとつ
男「鬼!悪魔!」
友「負けたお前が悪い」
男「えー!もう殴られたくないよお…」
友「上目遣いでもダメだ、むしろ逆効果だ」
友「つーかさっきから不良さんこっち、見てんぞ」
男「?」チラッ
不良「…」
男「見てねえじゃねーか!脅かすなよ!」
友「いや、見てたんだっ
不良「…」ギロ
友「あー…俺の勘違いだったかも」
友「…」
男「なんかいえよ!怖いだろ!」
友「とりあえず…なんだ、もう一回やれよ」
男「わかったよ…」
友「今日の放課後とか大丈夫か?」
男「おう、しっかり見とけよ!」
友「安心しろ」
男「不良さん不良さんwww」
不良「あ゛?またおめーかよ?」
男「昨日はごめんねwwwwww」
不良「へらへら笑ってんじゃねーよ」バチン
男「ビンタwwwちょ、涙出てきたwwwww」
不良「ちかよんなバカ!」
男「待ってwww待ってwww」
不良「ま、また抱きしめるんだろ?気持ち悪い…」
男「だいじょぶだいじょぶwwww」
不良「うるせー!だまされねーぞ!」
不良「同じ手使うんじゃねーよ!そ、そんなにバカじゃねーから!」
男「まぁまぁwww」
不良「来んなって!やめてよっ!」
男「そんなこと言わずにww」
不良「だ…抱きしめたい、のか?」
男「あははははwww」
不良「なんだよ!そうならそうって言えよアホ!き、気味がわりーんだよっ」
男「グリーンだよwwwwww」
不良「…」
男「www」
不良「て、手ならいいぞ…」
不良「手なら握って良いって言ってんだよっ!」
男「かーらーのー?wwwww」
不良「いきなりハグは、その…恥ずかしいんだよ!」
男「ハグwww英語wwww」
不良「ばっ、バカにすんなって言ってんだろうが!///」
男「ごめんねごめんねーwww」
不良「コイツ…そ、それで…どうなんだ!?手じゃダメ、なのか?」
男「まぁいいかwwwwww」ギュッ
不良「ぁっ」
男「じゃあね!」ダダダッ
男「どうだ?」
友「じゃねえだろうが!!!!!」
男「な、なんだよ…ビンタまでされたんだぞ?」
友「抱きついてこいっつっただろうが!!!!!」
男「いや、でも…なぁ」
友「しかもなんで…いい感じになってんだよ!!!!」
男「お前もビンタされたいのか?そういうタイプの人だったのか?…うわ、引くわ」
友「萌えたわ!!なんであんなに可愛らしいんだよくそがっ!!!!」
男「何言ってんだお前?告白か?うるさいぞ」
友「ふぅ…疲れたわ」
男「お疲れさま」
男「まじかよ」
友「抱きついてねえだろうが」
男「あれは結構善戦しただろ」
友「だめだ」
男「しかも不良さんから言い出したぞ」
友「そこがだめだ、羨ましい」
男「あ?お前やるか?」
友「お、俺にもできるかな…」
男「おう、やれやれ」
不良「あ゛!?なんだよおめー、殴るぞ?」
友「ごめんなさい」
不良「二度と近寄んな」
友「はい」
友「危なかった…」
男「おい」
友「…なんでおまえあんな感じでいけるんだよ!」
男「不良さん相手に普通にいけるわけねーだろ!ノリでいけるかな…って」
友「とにかくあれだ、罰ゲーム頑張れよ」
男「へたれ」
友「なんとでも言えよ!」
友「帰ったのかな…」
男「そっか、じゃあまた明日な」
友「抱きつかなきゃダメだからな」
男「分かってるよ、一回やったのに…」
友「まだ言ってんのかよ、やったとしてもダメだ」
男「えー」
友「もっと殴られろ」
男「冗談じゃないよ…ホントに、笑えない」
友「知らねえから、地獄へ落ちろ」
男「おい、不良さん見てるか?」
友「あぁ、授業中ずっとだ」コソコソ
男「やべえよ、目付けられたら…」
友「ガン見だ、鬼ガン」
不良「…」ジーッ
男「…」チラッ
不良「!」
男「超見てるよ…俺なんかしたか?」
友「昨日思い出して見ろよ」
男「…したな、死にたい」
友「当たり前だろ」
男「…」
友「そもそもこの罰ゲームに決めたのお前だろうが」
男「負けるとは思わなかったし…」
友「なめんなよ」
男「こんなにバイオレンスだと思わなかったし」
男「骨ぐらいは…拾ってくれよ?」
友「まかせとけ」
不良「…」
男「不良さんまだいたんだwww」
不良「!」
男「ちょっといいかな?wwwwww」
不良「ま、またか?」
男「つれないこと言わないでwww」
不良「て、手じゃダメだったのか…?」
男「だめだめwww抱きしめていい?ww」
不良「なっ!なんだおめー!くるなっ!」メキョッ
男「ごふっ!…だ、だいじょう、ぶ」
男「肋骨丈夫だからwwwwww」
不良「わ、わるい!あたし…その、乱暴で…」
男「ぎりセーフwww生きてるよwww」
不良「緊張すると…つい、手が出ちゃって」
男「どんまいwwww」
不良「こんなんだから…女の友達とか、いないし」ジワ
男「あれ?ちょ、ちょっと待って…ごめん!急用思い出した!また明日!」ダダダッ
不良「ふぇっ?」
可愛いな おい
友「予想外だったな」
男「あれは反則だろ」
友「萌えたか?」
男「あぁ」
友「抱きしめたいか」
男「とっておきの熱いヤツを」
友「うわ、キモイな死ねよ」
男「ゑっ?」
友「くせーな、骨折しろ」
男「え?普通に傷ついた」
友「悪い悪い」ハハハッ
友「おう、分かってる」
男「沸き上がってきてるか?」
友「この気持ちはなんーだろー」
男「大地からー足の裏ーを伝わってー」
友「…」
男「不良さんてめっちゃ怖いけど」
友「案外さ…いや、めちゃくちゃさ」
男、友「「可愛いよな」」
男「あれ?不良さんも電車なの?」
不良「な、なんだよ…電車使っちゃいけねーのかよ」
男「あ、いや…そういう事じゃなくて、全然会わなかったなーって」
不良「そうでもねーよ、結構同じ時間の乗ってたぞ」
男「そうなんだ…って、なんでそんなこと知ってるの?」
不良「ばっ、バカ!そんなのどうでもいいだろうが!」アタフタ
男「あ、なんか不良さん可愛い」
不良「かっ、かわわわわっ!?」プシュー
男「両手で顔覆ってどうしたの?」
不良「あ、暑いな今日は…この電車暖房効かせすぎなんじゃないか?」
男「暖房って…まだここホームなんですけど」
不良「…」
男「あ、耳まで真っ赤になっ
不良「おらぁ!」ビタン
男「いてぇっ!冬!ふ・ゆ!!寒空のビンタは反則だって決まっただろ!」
不良「な、何で決まったんだよ!!しらねーよバカ!」
不良「そういえばこれまでの話し方やめたのか?」
男「うん、不良さんにもなれてきたって言うか」
不良「良かった…」
男「なんで?フランクな感じで良くなかった?」
不良「気味がわりーよ!思いっきり殴ってもへらへら近づいてくるんだぞ…」
男「そうかなー…おかしいなー…」
不良「おめーもやってみるか?」
男「…そうだよね、体験するのが一番か」
不良「まぁまぁwwwだいじょぶだいじょぶwwwwww」
男「えっ?こんなんだった?キモイおらっ!」バチン
不良「えっ?え?…い、痛いよぉ」ジワ
不良「叩かれた…痛いよ、うぅ…」ウルウル
ザワザワ
男「降りよう!とりあえず一回降りよっ!」グイッ
不良「ひりひりするよぉ…」
男「ごめんなさい」
不良「ぐすっ…だめ、許さない」
男「何でもします許してください」
不良「な、なんでも…?」
男「できることなら何でも」
不良「ゆるす」
男「本当にごめんなさ、えっ?」
男「あれっ?え?…涙は?」
不良「よし…あたしの弁当を食え」
男「は?」
不良「りょ、料理が好きなんだよあたしは!」
男「料理?好き?」
不良「誰かに…食べてもらいたいだろうが!でも…ほら」ジワ
男「あ、いや!その先は良いから!大丈夫大丈夫!」
不良「お父さんぐらいしか感想くれなくて…」
男「お父さん?」
男「お父さんに弁当作ってるの?」
不良「そうだよ…いけねーのかよ!」
男「あ、いや、ポイント高いよ」
不良「ポイント?」
男「ううん、気にしないで」
不良「お父さんは美味しいって言ってくれるんだけど…その、気を使ってるかもしれないし…」
男「うん、いいよ」
不良「軽いなおい…でもそうか!早速明日から作ってくるからな!」
友「今日こそ抱きつけよ」
男「あ?…そういやそんなことも言ってたな」
友「なんだよそれは…おい」
不良「おいこらぁ!おめーちょっと屋上来いよ」
男「ははっ、おkwwwwww」
ザワザワ
友「お、おい…大丈夫か?」
男「骨は、拾ってくれよ…」
友「ふざけてる場合かよ」
男「まぁまぁwww」
カパッ
不良「おい…なんか言えよ?」
男「…」
不良「み、見た目はわるいけど味は…きっと」
男「茶色いな…」
不良「男ってのは…肉が、好きなんじゃないのか?」
男「それは、そうだけど…野菜も食べたいって言うか…」
不良「野菜はほら、こっちだ」
男「あ、これ野菜か」
不良「ば、バカやろー!失礼だなお前は!」
友「…」ジーッ
男「バカはお前だッ!!」
不良「…っ!な、なんだよ」
男「自分で食えるわい!」
不良「そうか、そうだよな…悪い」
不良「でっでも、男の子はこれで喜ぶってお母さんが…」ボソボソ
男(恥ずかしさのあまり惜しいことをした…いや、でも間違ってなかった気がする)
友(男と絶交しなきゃいけないところだったぜ…)
不良「…」
男「…」モグモグ
不良「…ど、どうだ?」
男「なんていうか、うん、フツー」
不良「…そっか、自信あったんだけどな」シュン
男「うん、フツーにうまいよ、凄いフツー」
不良「?…なんだそれは、喜んで良いのか?」
男「結構見なおした、見た目が見た目だったし」
不良「そうか!そうか…うんうん」
男「すごいすごい」
不良「えへへ…」
不良「ばか!それじゃあ、明日つくってこれねーだろうが!!」
男「えっ?」
不良「えっ?」
男「明日も?」
不良「も、もう食いたくないか…?」
男「いやいや!食べたいよ!」
不良「っ!…そっかそっか、そうだよな…当たり前だよな」ウンウン
男「それじゃあこれ、先行くな」
不良「うん、じゃあな!」
ガチャッ バタン
友「待てこら」ガシッ
男「うおっ!!!!」
男「見てた?」
友「カパッからバッチリ」
男「恥ずかしぃ…///」モジモジ
友「殴って良いか?良いよな」
男「待てっ!まてまて俺が悪かった」
友「よし、全部吐け」
男「細工は流々」
友「後は仕掛けをご覧じろ」
友「じゃねえよ!!!」
…
男「こう言うことだ」
男「いってぇ!」
友「これでもまだ足りないよな」
男「何がだよバカ!」
友「不幸ポイントだよアホ!」
男「なんだよそれは…」
友「私の不幸ポイントは53万です」
男「ふっ」
友「鼻で笑うなぁ!」パチン
男「あ、優しい」
友「お前とガチで喧嘩したくは無いからな」
男「そういうとこ、好きだよ…」
友「やめて、気持ち悪い」ゾクッ
男「あー、役得役得」
友「ぎりぎり」
男「口で言うな」
友「歯ぎしりすると痛いんだよ」
男「虫歯あったもんな」
友「来週歯医者だ」
男「歯医者って良いよな」
友「歯科助手の胸を味わうヤツは三流」
男「舌と唇に当たる指の感触だろ?」
友「分かってるな」
男「歯医者行きたくなってきた」
友「まて、抱きつきにいけよ」
男「そうだったな」
友「まだいるぞ不良さん」
男「いつもは本なんか読んでないのにな」
不良「…」
友「じゃ、俺はコソコソ見てるからよろしく」
男「じゃあな!」
友「おぅ!また明日!!」
不良「うるせーな、ゆっくり読書もできねー」スッ パタン
男「あれ?読まなくてもいいの?」
不良「き、キリが良いとこだったんだよバカ!」
男「じゃあ、もう帰っちゃうの?」
不良「…おめーはどうすんだよ」
男「不良さんが帰るなら帰っちゃうけど…」
不良「…そっか」
男「帰るの?」
不良「………しょーがねーなぁ」
男「良かったぁ」
不良「どっ、どういう意味だよ!」
不良「…なんだ」
男「抱きしめて良い?」
不良「ま、まだ言ってんのかよ!」
男「一回で良いから」
不良「一回…か」ボソッ
男「えっ?ごめん、なんて?」
不良「だ、抱きしめるのはダメだ」
男「えー、なんでー?」
不良「はずかしいからだっていっただろ!鳥!鳥頭!」
男「じゃあ抱きしめるにはどうすればいいの?」
不良「まずはその…わ、私に触らせろ」
不良「おめーが悪いんだぞ!」
男「俺が?」
不良「いきなり男が迫ってきて抱きしめて帰って行ったら怖いだろうが!」
男「あぁ…あのときのか」
不良「お、襲われるかと思ったんだぞ!」ウルウル
男「結局俺が襲われたんだけどな、暴力的な意味で」
不良「」
男「でもごめん、そんなだったとは知らなくて」
不良「よし、じゃああたしが触るから動くなよ」
男「…」
不良「…」ニギニギ
男「…」
不良「…」ムニムニ
男「なんか分かったか?」
不良「鼻、割と低いんだな」
男「母さん譲りだ!バカにすんな!」
不良「睫毛は長い」
男「ふふん、父さん譲りだ」
不良「そっか…」
不良「っ!」
男「ぼーっとしてた」
不良「く、癖だ!集中すると緩むんだよ」
男「一回涎出そうだったよね」
不良「うるさいっ!ばかばか!」
男「よし、じゃあ抱きついて良いよね?」
不良「やめろっ!」
男「慣れたんじゃない?」
不良「慣れたけど…こういうのは、ひ、一晩寝かさないとだめだ!」
不良「…に、似たようなものだ」
男「美味しく頂けるようにってことね、把握」
不良「ばっ!勘違いすんなよ!ドキドキしてるからダメなんだっ」
男「ドキドキしてるの?」
不良「当たり前だろ!男の体触るなんて初めてだし…」
不良「あんまり、ゴツゴツしてないんだな…」
男「ごめんなさい」
不良「いやっ!そんなつもりじゃなくて…割と筋肉質で、堅かったけど…優しくて」
男「…」
不良「な、何言ってんだろうなあたし!か、帰る!もう帰るっ!」
男「お、おぅ…じゃあな」
不良「じゃ、じゃあね!」ダダダッ
いいなあこれいいなあ
友「おまえ、いい加減ふざけんなよ」
男「なにがだ?」
友「散々いちゃいちゃしといて俺置いて帰るか?普通」
男「ん、あー…そういやお前見てたんだっけ」
友「」
男「ごめん」
友「俺、お前とうまくやっていけるか不安になってきた」
男「俺はお前とうまくやっていけると思ってる」
友「」
男「真顔で無言になるの止めろ」
友「」
男「相当良い顔してるぞwwwwww」
友「なんとかやっていけそうな気がしてきた」
男(ちょろいな)
友「お前今ちょろいなって思っただろ」
男「よくわかったな」
友「」
男「やめろwwwwww」
友「まぁいい、そろそろ罰ゲームして次のゲーム行こうぜ」
男「任せとけ、昼休みも見とけよ」
友「昼休み…また俺はあの、いちゃらぶちゅっちゅを一人で物陰見なければいけないのか…」
男「ちゅっちゅはしてねえよ」
カパッ
不良「こ、今度はどうだ…?」
男「えっ?なにこれ?」
不良「お、お母さんに教えてもらったんだよ…」
男「凄い、全然違う」
不良「そうかっ!?…ふふっ、見直したか?」ニコニコ
男「まだちょっとべちゃっ、としてるけど」
不良「…」シュン
男「綺麗綺麗」
不良「!」
友(忙しいなおい)
不良「本だ、本…それで、味はどうだ?」
男「うまいうまい」
不良「普通に、か?」
男「フツーにうまい、こう言うの好きだよ」
不良「ほ、ホントか?」
男「うん、卵焼きは甘くちゃいけないよね」
不良「そうだよな!うんうん、おめーは分かってるな!」
男「もちろん甘いのも美味しいけど…」
不良「他のも食べろ!これは自信作だ」
不良「…」ニコニコ
男「それでさ」
不良「なんだ?」
男「一晩寝かせてさ、それで、抱きしめても良い?」
不良「いやっ、それは…その」
男「覚悟はできた?」
不良「…うん、できたけど」
男「それじゃ」
不良「…」
男「じゃあ、いくぞ?」
不良「ぁ、待って…あ、あたしからでも良い、か?」
男「…えっと」チラッ
友「…」グッ
男「…うん、良いよ」
不良「じゃ、じゃあ…」スッ
男「いつでもどうぞ」
不良「ん」ギュッ
不良「なめんな」ギューッ
男「いやっ、ちょ…強…」
不良「ふぁ…男の匂い」スンスン
キーンコーンカーンコーン
男「昼休み終わっちゃった…教室帰ろうか」
不良「ヤだ」
男「えっ?」
不良「い、一回キリなんだろ…?」
不良「もうちょっと」スリスリ
男「え?」
不良「やだやだやだ」ギュッ
男「…」
不良「おめーの体、やっぱり優しくて…」
不良「ん、落ち着く…」
男「あの」
不良「ば、罰ゲームなんだろ?」
男「あ、いや…その」
不良「あたしみたいな暴力女に抱きつきたいヤツなんていないもんな…」グスッ
男「し、知ってたの?」
不良「知ってたよ…聞こえてた」
男「…でも、そういうことじゃなくて」
不良「いいよ、ズルくてごめんな…でも、もうちょっと」スリスリ
不良「えっ?」
男「…」
不良「…ん、ありがと」ギューッ
男「好きです」
不良「…」
男「大好きです」
不良「ふぇっ!?」
男「これっきりじゃなくてこれからも抱きつきたいです、弁当食べたいです」
不良「えっ?えっ?」
男「付き合ってください」
男「うん、最初はそうだったけど…不良さん可愛いんだもん」
不良「な、なんだよ!あたしは…もっと前から…す、好きだったんだぞ!」
男「ん、ありがと…だから電車で見ててくれたんだ」
不良「お、覚えてんじゃねーよ!」
男「嬉しかったから」
不良「うぅ…卑怯だなおめーは」
男「ほら、これからも出来るから今日は教室帰ろうよ」
不良「だ、だめだ…もうちょっと」
不良「だめだって言ってんだろ!」
男「ん?あれ?」
不良「きょ、今日も暑いな…暖房効きすぎてるぞ」
男「いや、ほら…今度はここ屋上だし」
不良「」
男「あ、耳まで真っ赤になっ
不良「うるせーバカ!」ゴスッ
男「ぐふっ!い、今のは効いたぜ……」
不良「あっ、ご、ごめんな…つい、やぁ、嫌いに、ならないで…」
男「」
不良「おめーは…大好きっ!」ギュッ
友「ぐぬぬぬぬ」ギギギ
ーーー
ーー
不良「おとこー!」ギュッ
男「お、おい!ここ教室だぞ」
不良「いいじゃねーかよー付き合ってんだから、ほらほら」
男「おい、なんだよお前は」
不良「まぁまぁwwwwww」ギューッ
おわり
今年はいい年になる
不器用な感じが伝われば良いと思った反省はしていない
良いお年を
これはいいものだ
Entry ⇒ 2012.01.02 | Category ⇒ 男女「」SS | Comments (0) | Trackbacks (0)
男「年末だし狐耳幼女ちょっと来い」
男「サンタさんへ、狐耳幼女をください」
男「中身はババアで」
男「おはよう、いい天気だ」
男「……」
狐子「すやすや」
男「……」
男「……オゥ」
男「オゥオゥ」
男「うっひょおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお」
狐子「な、なんじゃあああああああ!!!」ガバッ
男「うおっおっまじこれやべええええええええええええええサンタすげえええええええええええええええ」
男「ふわあああああああああああああああああああああああああああああ」
弧子「話を聞け!」
男「ひおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお」
男「どりゅうううううううううううううううううううううううう」
男「むへょおおおおおおおおおっふうううううううううううううううううううううううう」
弧子「うるせええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええ」
男「ふううううううううううううううううううううううううううううううううう」
弧子「少しは黙らんか! うるさい!」
男「にはあああああああああああああああああああああああぷひゅっ」
弧子「む」
男「ひゅるひゅる……」
弧子「そ、そうじゃ。やればできるじゃないか」
男「くおっくおっ」
弧子「それで、此処は何処なのじゃ?」
男「へへへへへ」
弧子「だから……!」
男「ヘヘヘイ!」
男「ヘエエエエエエイ! ヘエエエエエエイ!」
弧子「……」
男「ヘイ! ヘーヘイ!」
男「ヘーヘイ! ヘーヘイ!」
男「ヘイヘイ!」
弧子「……」
弧子「ヘ、ヘーイ……」オズオズ
男「ッヘーーーーーーーーーーーーーーイ!!」パチン
弧子「うおっ」
狐子「……」
男「フォオオ! フォオオ! フォオオフッフー!!!」
狐子「……」ウズウズ
男「フォオオ! フォオオ! フォオオフッフー!!!」
狐子「フォオオ、フォオオ、フォオオ」
「「フッフー!!!」」
男「イエーイッ!」パチン
狐子「いえー!」
狐子「……」
狐子「はっ」
狐子「(先ずは今の状況を整理すると……)」
狐子「(わしは……うん、時の大妖怪、狐子様じゃ。記憶喪失ではないのぅ)」
狐子「(殺生石に封されて……忌々しいがの)」
狐子「(そして、此処にいる)」
狐子「(……うん)」
狐子「なんでじゃ」
狐子「おい、そこの」
男「ひあああああああああああああ! ひあああああああああああああ!」
狐子「(こやつは……やはり気狂いの類か?)」
いいぞ、もっとやれ
狐子「(しかし封じられておる間に数百年経っているのは分かっておる。加えて此処が何処かもわからん。)」
狐子「(もしかしたら異国の言葉であるかもしれんの)」
狐子「(言語であるならば法則性があるはず。くくく、わしに掛かれば解読など容易いことよ)」
男「う゛あ゛あ゛あ゛あ゛」
狐子「おい」
男「びくっ」
狐子「……」
男「……」
狐子「ヘーイ」
男「イヤッフウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウ」
狐子「な、なんでじゃ! さっきと反応が違うではないかっ!」
男「うひっうひっ」
狐子「……まぁよい。外に出れば何かしらわかるじゃろ」
男「うひ……」ピク
狐子「頭の腐った人間など喰う気もおきんわ。じゃあの」
男「ま゛っでえ゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛」
狐子「うおっ! なんじゃ!」
狐子「うひぃ気色悪! 死ねっ!」ペシ
男「にゃ゛っ」
狐子「……」ペシペシ
男「……」
狐子「何故じゃあ……力が入らん……」ペシペシ
男「しっぽああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ」
狐子「うひょぅ!」
男「狐耳! 幼女に! しっぽで! ぺしん! ハイッ!」
男「狐耳! 幼女に! しっぽで! ぺしん!」
男「御清聴ありがとおおおおおおおおおおおおおおおおおおお」
狐子「た、助けてぇ……」アワアワ
―――― 一時間後
男「……」ピクピクッ
狐子「ひっく……」
狐子「やっと酸欠で倒れてくれた……ぐすっ」
狐子「と、とにかく此処から逃げねば」
狐子「どんな妖術かはわからぬが、こやつに対しては力が出せないようじゃ」
狐子「封印されていたとはいえ、人一人殺せないほど弱まったとも思えん。どんな呪いかわからんがの」
狐子「まぁよい。こんどこそ、さらばじゃ」
男「……」ピクリン
狐子「さて、抜け出せたはいいが……」
狐子「結局あの男からは何の情報も得られなかったの」
狐子「……思い出すのも嫌じゃ」
狐子「先ずは現状を把握せねば」
狐子「だがその前に」
狐子「腹が減ったの」
狐子「(その昔、人を騙り、王を惑わし、国を傾けて命を啜ったわしが低俗な妖怪のように狩りをするなど……)」
狐子「落ちぶれたもんじゃ」
狐子「とはいえ、こうして復活出来たこと自体が奇跡じゃの。背に腹は抱えられん」
狐子「それじゃ通りにでてみるか、の」
狐子「どいつにするかのー」
女「」テクテク
狐子「ふむ、肉が固くて不味そうじゃ」
友「」テケテケ
狐子「こっちはやわっこそーじゃ」
狐子「いただきます」
女「おい」ゴス
狐子「あぎゃ!」
女「こんな往来でなにしてるんだ」ゴスゴス
狐子「ぐっ! やっ! な、なんじゃお主、わしの姿が見えているとでも……」
女「見えてるから殴ってるんだろう」
狐子「そ、そんな……わしの力はそこまで衰えておるのか……」
女「いや、なんでもないよ」ゴスゴス
狐子「あっあっ痛い痛い」
友「ふーんそっかー」
女「ちょっと用事思い出したから先に行っててよ」
友「ん。わかったーまたねー」
女「ちょっとこっちに来たまえ」ボソボソ
狐子「ぐぬぬ……どういうことじゃ……」
――――脇道
女「さて、白昼堂々人を襲うとはいい度胸だ化け狐」
狐子「口は災いの元じゃぞ小娘。人ごときがわしに敵うとでも思っとるのかや」ゴゴゴ
女「低俗妖怪のくせにずいぶん偉そうじゃないか。いや、だからこそ低俗か」
狐子「このわしを捕まえて低俗とは、無知とは罪よの」
女「……」
狐子「……」ペシペシ
女「……」
狐子「なんでじゃああああああああああああああああああああああ」
女「いや君から妖力とか全く感じないから」
狐子「ぐぬぬ……」
女「気は済んだか? それじゃ消えろ」
狐子「ままままま待て待て! どうする気じゃ!」
女「人に危害を加える妖怪は、問答無用で消滅刑」
狐子「わっわしが消滅!? ははは、せ、せいぜい封印がいいとこじゃろ」
女「いや君ほとんど妖力ないし。たぶん一発当てれば消えてしまうぞ?」
狐子「」
狐子「ぬわーーーーーーーー!!」
女「……」
狐子「……」キョトン
女「ばいなら」ボン
狐子「ぬわーーーーーーーー!!」
女「……」
狐子「……」
女「あれ?」
狐子「……ぷくく、ばいなら……しかも二回……」プークスクス
女「うっせええええええええええええええええええ」ゴスッ
狐子「うひぃ理不尽!」バタンキュー
女「あれ?」
狐子「……」
狐子「……ううう」
狐子「ヘ、ヘーイ……ヘーイイ……」
狐子「はっ」
狐子「此処は何処じゃ」
狐子「あれ? デジャブ?」
女「起きたかい」
狐子「あっ」
狐子「がるる」
女「ここは私の家だよ。そう怒るな」
女「そうそう、早速だけどその話」
女「まずは自己紹介からしよう」
女「私は一応、この街で退魔士をやってる女だ」
狐子「……狐子じゃ」
女「そうか、よろしく」
狐子「通りでわしの姿が見えたわけじゃ」
女「君が何者かは知らないが、ここじゃ妖怪がそう簡単に人を喰えるなどと思わないほうがいい」
狐子「お主らがおるからか」
女「そういうこと」
狐子「まったく、嘆かわしいの。妖怪も腑抜けになったもんじゃ」
女「それでも人を襲うのは、何が危険かも理解できない、知能の低い低俗妖怪ぐらいだ」
狐子「それでわしを低俗と呼んだのか」
女「それに関してはすまなかった」
狐子「なんじゃ? ずいぶん下手にでたのぉ」
女「ああ。それじゃその理由を話そう」
女「まったく、始めに言ってもらわないと困る」
狐子「何をじゃ」
女「君、式神だろ」
狐子「……」
狐子「なんと」
狐子「なかなか新鮮な冗談じゃな。数千年生きたが初めて聞いたわ」
女「それが本当なら君はとんでもない妖力を持っていてもいいものなんだけどね」
狐子「……」
女「ま、退魔というものは、相手の妖力を吹き飛ばして消滅させるものだ」
女「私は君を本当に消すつもりでいたんだが……」
女「消せなかった。君にはどうやら、使役者からの妖力供給がされていたから」
狐子「お主の実力不足じゃろう」
女「まだ言うかい、君に妖力がほとんどないのは確かだ」
女「しかもそれは、使役者から送られてくる妖力が極端に低いから、だよ」
狐子「?!」
女「まったく、君みたいなのは初めて見たよ。普通式神ってのはそれなりに力のある霊能者が使役するものなのにね」
狐子「待て待て、それじゃわしは……」
女「だから式神だろう? ……もしかして自覚ないの?」
女「……」
女「これも初めての経験だな……まさか自覚のない式神がいるとは」
狐子「いやいや、わしは齢数千年の大妖怪のはずじゃ」
女「そうかもしれない。だが式神も人と契約を結ぶまでは普通の妖怪だ」
女「その契約方法にも様々あるが……相手が死ぬ間際になったらその身体を喰わせる、なんて相互利益の契約もあれば」
女「人がその妖怪を調伏することによって下るというのもある」
狐子「ぐ……(確かに殺生石に封じられはしたが……)」
女「どうやら身に覚えがあるようだね」
狐子「(まさか式神として使役するために封印を解いたのか? しかしいったい誰が……)」
女「とにかく、そういうことだ。君は式神で、君の罪は君の使役者の責任だ」
狐子「はぁ?」サラ・・
女「当たり前だろう。白昼堂々人を襲っておいて。私がいなかったらどうなっていたことか。これは使役者の管理怠慢だ」
狐子「そんなことを言われてものぅ……いったい何処の誰やら」サラサラ・・
狐子「お主、そいつが誰だかわかるのか?」
女「式神や使い魔が犯罪に使われるなんてのは、たまにある話でね。そういう時、式神だけを捕えてもほとんどが口を割らないんだ」
女「純粋な忠誠から話さないこともあれば、あらかじめ口封じの呪いをかけてあることもある」
女「だけどそんなもの、本当は無意味でね」
狐子「何か方法があると」サラサラ・・
女「そう、さっきも言った、霊力供給。その出所を辿るんだ」
狐子「なるほどの」サラサラ・・
女「一応聞いておくけど、使役者を庇って知らないふりをしているわけじゃないよね」
狐子「ど阿呆。そんな奴むしろ殺して欲しいわ」サラサラ・・
女「そう。それと、もう一つ聞きたいんだけど」
狐子「なんじゃ、早くせい」サラ・・
女「君の体はどうして消えていってるのかな」
狐子「」サラ・・
女「あ、暴れると余計に……」
狐子「消えてるううううう! わしの体がきえるううううううううう!」サラアアアアアアアアアアアアアア
女「これは酷い、さっきまでもほとんどなかった妖力供給のラインがプッツリ途切れてるじゃないか」
狐子「なんでじゃああああああああああああああああああああああああ」スラアアアアアアア
女「考えられる理由としては……」
狐子「早く言え!」セラララララララ
女「さっき言った犯罪者が足が付かないように切り捨てたってのが一般的」
狐子「じゃああれか、わしは顔も知らない奴に理由もわからぬままほっぽり出されて、理由もわからぬまま見捨てられたのか!」ソラアアアアアアア
女「君の事情はよくわからないけど……」
狐子「不幸じゃあああああああああああああああ」サララララララ
狐子「なんじゃ!」サラララ
女「式神や使い魔に限らず術一般においては、術者が妖力を供給出来なくなった場合だ」
狐子「どういうことじゃ」サラオ
女「うーん、例えば密閉空間や地下に入ったとか、間に高いビルがあるとか……」
狐子「これって携帯の電波か何かか?」サラサーティ
女「つまりは結界に遮られたりとか、ああ、妖力を渡せないほど術者が衰弱したり、死亡したときもだめだったな」
狐子「つまり、どういうことだってばよ」
女「使役者を探し出さないと助かりませんことよ」
狐子「間に合うわけないじゃろおおおおお!?」シャララララ
狐子「諦めないで! もう少し頼らせて!」
女「とは言っても、ここで君の記憶がいきなりよみがえるようなミラクルがない限り助からないと思うけどなぁ」
狐子「思い出せばいいんじゃろう! 思い出せば!」
女「お、君も自分が式神だって認めたのかい?」
狐子「それどころじゃないわ!」
女「ふふふ、こればっかりは何の力にもなれないからね。せいぜい頑張って」
狐子「……お主楽しんでるじゃろ」
女「だから君を家に連れてきたわけだが?」
狐子「ちっくしょおおおおおおおおおおおおおおおおお」
狐子「(わしを追い詰めたあの武士、は、もう死んどるのぅ)」
狐子「(殺生石を封じたあの禿も、もういないはずじゃ)」
狐子「(さっきまでは一応ラインは繋がってたはずじゃ、となると今生きている人間……)」
狐子「(……)」
狐子「あれ、わし知り合いいなくね?」サララララ
狐子「ままままて待て、話せばわかる」
女「それは私に言っても無駄だと思うけど」
狐子「ぬおおおおお!」サランラー
女「そう難しいことでもないんじゃないかな? 消去法で、君の知り合いのうち、この短時間に妖力供給が出来なくなりそうな人」
狐子「……」
女「ほらほら」
狐子「貴様……知っておるのか!」
女「ん? いや知らないけど、心当たりありますって顔してるじゃないか」
狐子「……ぐぬぬ」
女「きっとその人であってるよ。いったい何が問題なんだい?」
狐子「知り合いだと……」
狐子「知り合いだと思いたくなかったんじゃ!」
狐子「ついて来い!」
女「お、私も行っていいのかな」
狐子「使役やら契約やらはわしにはわからん。その場でいろいろと聞けたほうが助かる」
狐子「妖怪のわしだけでは対処しきれないこともあるじゃろう」
女「本音は」
狐子「あやつと二人きりになりたくない」
女「……これは私も覚悟したほうがよさそうだ」
狐子「お主が犠牲になってくれればわしが助かる」
女「……もともと君の責任を取らせに行く予定だったけどね」
狐子「急ぐぞ、わしの体が消えきってしまう」
女「罪を問うとはいえ未遂の初犯なら、本人の態度しだいだが、厳重注意のうえ罰金ってとこかな」
狐子「軽いもんじゃな。一応殺人未遂じゃろ」
女「妖怪にとって人喰いは本能みたいなものだし、それを防ぐために私たちがいるんだ。よくあることだよ」
女「それに君には知性もあるし妖力もない。もう間違ったことはしないだろうしね」
狐子「褒めるか貶すかはっきりせい」
狐子「おっと、着いたぞ」
狐子「おーい」ゴンゴン
女「留守?」
狐子「いや、案の定まだ気絶しているんじゃろう……」
女「それじゃ早く助けないと」
狐子「出来ることならもう関わりたくなかった」
狐子「開けるぞ」ギイィ
女「うわっ!」
男「……」グタッ
狐子「……」
女「……これか?」
狐子「うん……たぶんこれ」
狐子「とにかくこいつを起こさないと……」
女「どうやって」
狐子「決まっている、女、こいつに人工呼吸じゃ」
女「は」
狐子「早くしろわしが消える」
女「笑えない冗談だ。何で私がこんなおっさんと」
狐子「何のためにお主を連れてきたと思っているのじゃ!」
女「君がやればいいじゃないか! ご主人様だろ」
狐子「誰がじゃ! それにわしの知識は千年近く前で止まっておるのじゃ! やり方すら知らんわ!」
女「じゃあなんで人工呼吸知ってるんだ」
狐子「……」
狐子「うおおなんでじゃああああああああああああああ」
狐子「なぁ気づいとるか、わしもうへそから下ないんじゃぞ」
女「知らんな」
男「その必要はないです……」グググ
女「うおっ」
狐子「自力で息を吹き返しおった!」
男「狐娘ちゃんの声が聴こえれば、三途の川すら泳いで渡るさ……」
狐子「化け物め」
女「よかったじゃないか、仲間が増えたぞ」
狐子「うるせぇ」
狐子「というかお主、喋れたのじゃな」
男「喋れるに決まってるだろう。何を言っているのかな狐娘ちゃんは」
女「え、何言ってるんだ君は」
狐子「わしがおかしいみたいにすんのやめろ」
女「どうやらこの人が君の使役者で間違いないようだね。君の体も元に戻ってるじゃないか」
狐子「ほんとじゃ! 助かった……」
男「本物の狐耳」サワサワ
狐子「気安く触るな気狂い」
男「本物の尻尾」モフモフ
狐子「や、やめろというに……」
男「本物のロリババア」
狐子「殺されたいようじゃな」
狐子「やめろ、やめんか! やめ……やめてぇ!」
男「モフッモフッモフッモフッ」
狐子「小娘! 助けろ!」
女「と言いつつも体は嫌がってないぜ淫乱」
狐子「こいつには……はぁっ! なぜか反撃できんのじゃっ! んっ! あと淫乱とか言うんじゃねえ」
男「モフッモフッモフッモフッモ……」
男「モモモモモモモモモモモモモモモ」
男「もっひゅうううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううう」
狐子「!!!!!」
狐子「っまた壊れたぁ!」
男「ぶびょぼぼぼぼぼぼぼぼぼぼぼぼぼぼぼぼぼぼぼぼぼぼぼぼぼぼぼぼぼおぼぼ」ズゾゾゾ
狐子「嫌じゃあ! それは嫌じゃあ!」
男「も゛も゛も゛も゛も゛も゛も゛も゛も゛も゛も゛も゛も゛も゛も゛も゛も゛も゛も゛も゛も゛」
狐子「たすけてえええええええええええええええええええええええええええええええええええええええ」
女「君も大概ヒステリックだな」
女「仕方ない、ご近所さんに見つかっても面倒だ」
女「バルス!」ボン
男「こけっ!」バタンキュー
狐子「た、たしゅかった……」ハァハァ
女「……」
狐子「……」
女「バルス!」ボン
狐子「うひぃ理不尽!」バタンキュー
女「なんかバカにされた気がした」
男「いやいや、恥ずかしいところをお見せしてしまった」
女「お気になさらず」
狐子「さすがに気にしろ」
男「他人に情事を見せつけるなど、社会人として恥ずべきことでした」
狐子「情事って言うな」
男「しかし失礼ですが、あなたがどなたかお伺いしてもよろしいでしょうか」
狐子「わしがお前に聞きたいわ」
女「自己紹介が遅れました。私こういうものでして」メイシー
男「これはこれは……退魔士さん?」
女「はい」
男「それはよかった。しかしそれではどんなご用向きですか」
女「この子です」
狐子「む」
女「今更聞くのも変ですが……ご存じでいらっしゃいますか」
男「もちろん。私の家族です」
狐子「おい、息を吐くように嘘をつくな」
女「……それでは、この子はあなたの式神ということでよろしいですか」
男「失礼。なにぶん無学なもので、式神というものが何かわかりません」
女「この子と契約した覚えはありますか」
男「……? すみません、それもわかりません」
狐子「おい女よ、何かわかったのか」
女「いえ……式神というものは、契約により人の命令を聞くようになった妖怪のことです」
男「ほお」
女「あなたがこの子と契約した人間……使役者であるかどうかの確認に来たのですが」
男「たびたびすみませんが、記憶にありませんね」
女「なるほど。ならば、あなたたちが出会った時のことを詳しく教えていただきたい」
男「馴れ初めですか、照れますね」
狐子「慣れる以前にわしがいっしょにいた時間は女のほうが長いからなお前」
男「そうですね、あれは今日の朝のことでした」
男「終わり」
狐子「」
女「」
男「それじゃあ、狐娘ちゃんも話してあげなさい」
狐子「」
女「」
狐子「どっせえええええええええええええええええええええええい」ペチ
男「うひゃん!」
男「……」
男「しっぽああああああああああああ」
女「うっせえええええええええええええええ」ゴスッ
男「へもぐろっ!」
狐子「すまんな」
女「いえいえ」
女「ふむ」
男「すみません」
狐子「手がかりなしか……わしはいったいどうして復活したんじゃ」
女「いや、ひとつ気になることがある」
狐子「今のでか?」
女「君は知らないだろうけどね」
狐子「なんじゃ」
女「昨日はクリスマスだったんだよ」
狐子「?」
狐子「それじゃ、そのサンタサンというやつのせいでわしはこいつの式神になったのか」グヌヌ
女「うーん」
男「ついにサンタ神が恵みをくださった。一生ついて行く所存です」
女「確かにあれは実在することはするんですが」
男「やはり退魔士さんともなるとご存じなんですね」
女「あれは一種の都市伝説です。人が信じるから実体化するのです」
男「ほう」
女「噂や、伝承、それを人が信じ恐れるから存在する。そんな妖怪は、昔は多くいたらしいですが」
女「今の世の中じゃほとんどいない。今じゃ妖怪の話すらめったにしないでしょう」
男「なるほど、その数少ない例と」
女「人が信じれば信じるほどその妖力は強くなり、中には自我を持ち妖怪化するものもおります。しかし契約を捏造するほどの力など初めて聞きました」
狐子「わしは大妖怪じゃぞ! そんなよくわからんやつの力でどうにかできるものか!」
男「ふふふ、私の信仰がサンタ神に力を与えたということですかな」
女「失礼ですが、昔からこのような願いを続けておられたのでは……?」
男「ええ、今年で十年目です」
狐子「……お主、歳は」
男「二九だよ狐娘ちゃん」
女「(三十路前でサンタ信じるか……)」
狐子「そ、そんな……」
女「とにかく、あなたはこの子の使役者となったわけです。こちらの書類にサインをお願いします」
男「なんですかこれ」
女「登録用紙です。式神や使い魔用の住民登録ですね」
男「はい」
女「そして今日、そちらの子が少しイタズラをしましてね。補導したんですよ」
狐子「おい」
男「それはそれはうちのこがどーもすいません」
狐子「おい」
女「まぁ今回は事情もあるので不問にしましょう。保護者として躾はきっちりお願いします」
男「まかせてください」
狐子「わしこの中でいちばん年上じゃぞ」
男「いえいえ、いろいろとお世話になりました」
狐子「置いていくのか?」
女「そう恨みがましい目で見ないでくれ。ここから先は君たちの問題だ」
狐子「……」
女「そう涙ぐんだ目で見ないでくれ。罪悪感がひどい」
狐子「……」
女「そう上目使いで見ないでくれ。惚れてしまいそうだ」
狐子「子供扱いしおって」
女「私が君と話したいんだ。それじゃダメかな?」
狐子「……ふふ、せいぜいわしを満足させてみろよ?」
女「うん。少し気になることもあるしね」
狐子「?」
女「それじゃ、またね」
男「さて、改めまして狐娘ちゃん」
狐子「待て」
男「?」
狐子「先ずは自己紹介からじゃろう? わしはお主のことを、何にもしらんのじゃからな」
男「ということで、十年前、友人から借りた本を読んで以来僕は狐耳幼女の魅力に取りつかれてしまった」
狐子「そのライトノベルとやらがなんなのかはわからんが、なるほど理由はわかった」
男「十年来の悲願なんだ。頼む、モフモフさせてください」
狐子「ど阿呆」
男「ぐぬぬ」
男「いや、それは違う」
狐子「ほう?」
男「僕は君の力になりたいんだ」
狐子「……は?」
男「狐子は殺生石に封じられていた妖狐なんだろ?」
狐子「まぁの」
男「人に疎まれ、殺され、封され、辛かったろう」
狐子「……小僧、わしを侮辱するかえ」
男「僕はそんな君の力になりたい。君を支えたいんだ」
男「そうやって人と確執を生んでいては、いつまでたっても君と歩み寄ることはできないだろう?」
狐子「歩み寄る……? 勘違いもいいとこじゃな」
男「敵キャラだったんだ」
狐子「はぁ?」
男「そのライトノベル……物語の中の狐っ子は敵役でね、執拗に主人公たちと争っていたが……」
男「悪というわけではなかった。彼女にも理由があったんだ」
狐子「……」
男「妖狐の肉を食べた人間はその妖力を手に入れることができる。そんな噂が人の間で流行った時期があった」
男「それを信じる人々により、妖狐たちは次々と狩られていった」
男「もちろんその子も幼いころから人に追われ、人を恨むようになった」
男「そうだね。だけど君も似たようなものじゃないか?」
男「君の姿はその狐っ子にそっくりだ。殺生石で封じられたところまで同じだよ」
狐子「……さっきから勝手に決めつけおって。わしは現実じゃし、この姿は仮の姿じゃ」
男「僕は歴史に詳しくないし、数百年前に起きた出来事の実際なんて誰にもわからない」
男「作り話の狐のモデルになった妖怪が、作り話と同じ生き方をしたかなんて、わからないよ」
男「それでも、狐子というのは、そのキャラの名前なんだよ」
狐子「……はぁ」
男「それはよかった!」
狐子「……」
男「どうしたんだい?」
狐子「いや、なんでも」
男「それじゃ一緒にお風呂に」
狐子「死ね」ペチ
男「……フオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ」
狐子「(……これから大変じゃな、いろいろと)」ペチペチ
男「お風呂沸きましたよー」
狐子「そうか、上がったぞ」ホカホカ
男「……」
狐子「どうした」
男「なんで入ってるのおおおおお!」
狐子「沸いてからじゃとaお主一緒に入ってこようとするじゃろ。沸くの待ちながら入ってたんじゃ」
男「そ、そんなベテランのお父さんみたいな入浴法」
狐子「ふふん、わしのほうが年上じゃぞ」
男「……ところで、タオルはどうしたの?」
狐子「あるの使わせてもらったぞ」
男「……っ!」バタバタ
男『ぬけげええええええええええええええええええええええええええええええええええええふおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお』
狐子「……?」
狐子「なんじゃ」
男「こっちにおいで」
狐子「?」
男「ドライヤーオン!」ブオオオ
狐子「にゃふううう?!」
男「ほら、暴れないで」
狐子「いやあああああああああああああああああああああああ」
男「尻尾も出そうか」
狐子「ふひっふひっ」
男「ご飯ですよー」
狐子「ふふん、悪いが飯にはうるさいぞ。なんせ人型をしてた時は宮中にいたからの」
男「一応いつになく力をこめて作ってみたけど、そこまで言われると……」
狐子「わしは齢数千年の大妖怪じゃぞ、そこまでするのが当然じゃ。ふふん」
男「これから精進します」
狐子「よろしい。ふふん」
狐子「うむ。……これは肉塊か?」
男「ハンバーグに御座います」
狐子「ふん。わしの時代にはなかったものじゃな」
男「……」
狐子「その目、大方わしがこれを食べて」
狐子『こんな美味いもの初めてじゃああああ』
狐子「とでも言うのを期待しておるんじゃろうが……残念じゃったな」
男「なんと」
男「ぐぬぬ」
狐子「あむあむ」
狐子「……」
狐子「……」ポロポロ
男「(泣くほどか……)」
男「さて、急なことだったから、まだ狐子の寝場所がないんだ」
狐子「まぁ、それも仕方ないの」
男「あれ、怒らないの?」
狐子「仕方ないことで怒る気はない。もちろん、お主がそのあとに言おうとしていたことも」
男「……まいったな」
狐子「わしはお前の式神じゃからな、今日だけと言わず、これからずっと一緒に寝ても構わんのじゃぞ?」
男「それは」
狐子「なんならわしを抱いてもいいんじゃぞ? 主の願いなら、逆らえんしな」
狐子「別に捨て鉢になっとるわけじゃない。お主が主でわしが僕、これは事実じゃ」
男「さっきまで否定してたじゃないか」
狐子「何が何かもわからないのに従えるわけがなかろう。今とは状況が違う」
男「すみませんでした」
狐子「よろしい」
男「それは君の望みかい」
狐子「事実を述べているだけだと言っておろうに」
男「それなら駄目だ。僕はそんなことしないよ」
狐子「何故じゃ? 一国を亡ぼすほどの美女……美幼女……美妖女? を好きにできるんじゃぞ」
男「僕は君の力になりたいんだ。君を自分のものにしたいわけじゃない」
狐子「……あのもふもふするやつは?」
男「あれは違う、違う違う」
狐子「お主どこで線引いとるんじゃ?」
狐子「へぇ、わしが抱いてくれとお主に鳴いて懇願するまで何もしないというのか」
男「やめてくれ……君の主になるというのは予想外だったんだ」
狐子「そうなのか?」
男「君を支えたいというのは僕の積年の夢だけど、それは対等の立場での話だ」
男「だから君も僕のことを対等に見てくれて構わない。むしろ僕が狐子に望むのはそのことだよ」
狐子「ど阿呆じゃな」
男「ははは、まぁそういうことだから、安心してほしい。それじゃ寝ようか」
狐子「……」
狐子「……これは予想以上じゃな」
女「いらっしゃい」
狐子「ちわっす」
女「ずいぶん俗っぽくなったじゃないか」
狐子「元からじゃ」
女「その通りだね」
狐子「そんなもの気にしてたらいつまでも来れんぞ」
女「まぁ時期が時期だしね。それで、男さんとはうまくやってるかい」
狐子「それなりじゃ」
女「それなりか」
狐子「発狂さえしなければ基本的に真面目なやつじゃよ。その発狂も最近は慣れてきたしの」
女「適応早いな」
狐子「わしを侮ってもらっては困る。ふふん」
狐子「なんじゃ?」
女「こっちこっち」
狐子「なんじゃなんじゃ」
女「……」ガシッ
狐子「ひえっ?!」
女「もっふもっふ」
狐子「こ、こら、やめんか」
女「もふもふもふもふもふもふもふもふ」
狐子「やめてええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええ」
女「まったく、適応できてないどころかトラウマになってるじゃないか」モフモフ
狐子「ひぎやああああああああああああああああ」
女「しかしこれ暖かいな」モフモッフ
狐子「おえ゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛」
女「やりたくなる気持ちもわかる」モフモフ
狐子「じょろろろろろろろろろろろろ」
女「ちょっとした冗談じゃないか」
狐子「冗談で精神崩壊させられてたまるか」
女「君が可愛すぎるのがいけない」
狐子「おい、お主まで変態だとわしの知り合い全滅になるんじゃが」
女「もっと友達を作るべきだな。妖怪の引きこもりなど目も当てられない」
狐子「対人恐怖症になったのは誰のせいじゃ」
女「男さん」
狐子「確かに」
狐子「退魔士なら少しは抗ってみたらどうじゃ」
女「君は知性もあるし妖力もない。警戒する理由はないよ。それに」
女「好きだという感情に抗うのはなかなか難しい。それは君の伝承が証明している」
狐子「ふん」
女「伝承では悪意ある妖狐が王を惑わし国を傾けたそうだが、はたしてどこまでが真実かな」
狐子「あまり図に乗るなよ」
女「……すまなかった」
女「それは……」
狐子「お主が言った気になることというのも、きっとこのことじゃろ?」
女「……参ったな」
狐子「人はすぐ調子に乗る。わしを嘗めるなということじゃ」
女「それじゃ、自分でも気づいているのか」
狐子「違和感はあったからの」
狐子「いや」
女「?」
狐子「参ったと言ったな。ならば、お主の口からはっきりと言え」
女「いいのか?」
狐子「構わん。わしが納得いくまで説明しろ」
女「……確証はないが」
狐子「……」
女「それどころか、妖狐ですらない。妖怪ですらないかもしれない」
狐子「やはり、の」
女「いつから気づいた?」
狐子「この身体、しようと思っても主以外から妖力を摂ることができん」
狐子「人を喰らおうとしたわけではないが、妖怪というのは、大気に漂う精気を取り込むことでも生きていけるはずじゃ」
狐子「だからこそ人喰いが禁じられた今の世でも妖が生きていられるはずじゃろ」
女「まぁね」
狐子「主が死んだら自分も消える、というのもおかしいのぅ。それでは相互利益の契約など結びようもない」
狐子「ふふん、ま、それだけじゃないんじゃがの」
女「というと」
狐子「記憶がないんじゃよ」
女「……」
狐子「最初は封印されていた障害かと思ったが、それにしては不自然なほど記憶がない」
狐子「仮にも数千年生きたはず、にも関わらず、わしがわし自身について知っている情報は男と変わらない」
狐子「変わらなすぎるのじゃよ。あやつの言うことを、否定できたためしがない」
狐子「それどころか、わしは自分が知らないはずのことを何故か知っているということもあった」
狐子「あやつは自分の願望が投影されたなどと、胸中複雑そうな顔をしとったが」
女「それは、おそらく……」
狐子「ん。言うてくれ」
女「君がそのキャラクターだからだ。君は伝説の妖狐ではなく、そのライトノベルのキャラクターだからだ」
狐子「少し違うの。わしはそのきゃらくたーですらない」
狐子「伝承に残る化け狐、その妖を元に作られた作り話、さらにそれを一人の男の妄言、妄想、妄執で塗り固めた存在」
狐子「それがわしじゃ、違うか?」
狐子「大事なことじゃ。失礼にあたる」
女「卑下なんてしないでくれ」
狐子「するわけがなかろう。阿呆」
女「私は君が好きなんだ」
狐子「出会って二度目の逢瀬でそこまで言うてくれるか。ふふふ」
女「友人として、だよ」
狐子「なんじゃつまらんのぅ」
女「茶化さないでほしい」
狐子「勿論じゃ。有り難う、な」
女「む……」
狐子「くっくっく」
女「いくつか前例はある。生霊や怨霊なんかはまさにそれだが」
女「そうそうあることじゃないのは確かだ」
狐子「ふむ……」
女「生霊や怨霊にしても、何かを成し遂げたいという思いが形になったものだ。実体化すれば必ず何かに働きかける」
女「得てしてそういうものは、働きかける対象にしか見えなかったりする」
狐子「わしが見えるのは」
女「男さんだけにしか、姿が見えないんだろう?」
女「そうだね、でも妖怪は人に自分の意思で働きかけることができるし、精気も吸える」
狐子「お主に見えるのはなんでじゃ?」
女「私は退魔士だからね。人が信じるものを見るのが仕事だ」
狐子「お主がいてくれて助かったぞ」
女「それは光栄だ」
女「……いや、嬉しいよ」
狐子「ふふ」
女「……さっきも言ったが、生霊なんてものはそうそう生まれない」
女「いや、男さんなら生霊を生み出すほどの強い思いを持つことも……失言だな」
狐子「よい。あやつが少々いかれておるのは知っておる」
女「すまない」
狐子「よいと言ったぞ。それに、そこまで惚れられたのじゃ。悪い気はせぬ」
狐子「色恋に狂った男の扱いなど、慣れておるでな」
女「……話をもどそう。もしも君が男さんが望んだ生霊であったなら、話は単純だった」
女「もし生霊なら君は彼が望んだ通りに彼を頼り、彼を満足させただろうさ。それが生霊の目的だから」
女「だが君はそうじゃない。彼を拒み、逃げてきた」
狐子「ふん、精神を守るためじゃ!」
女「……もしかして、今もかい?」
狐子「はっはっは」
女「まったく」
狐子「……」
女「あれは妖怪の一歩手前みたいなものだ。多数の人間が信じるから、生霊ほどの力はないにしても、自我の出来そこないのようなものを持つことがある」
女「はっきりとした自我を持てば妖怪になるだろう」
狐子「わしは一つしか知らんな」
女「そう、それだよ」
女「君はサンタクロースだ」
女「棒読み」
狐子「ちっ」
女「知ってたのかい? 自分ではとんでもないことを言ってると思うんだが」
狐子「いや、お主の言うことを疑う必要がないからの。驚く必要もない」
女「……さらりと言うから困るよ」
狐子「せめて場だけでも盛り上げてやろうという優しさじゃ」
女「台無しだ」
女「だが、一介の都市伝説に既存の妖怪と契約を捏造する力も、新たに妖怪を生み出す力もない」
女「もちろん、大妖怪の封印を解く力も持っちゃいない」
女「だけど、男の望む姿になりすますことはできた」
女「人により信じる姿や性格が異なるが故に、確固たる自我が持てないのが都市伝説と妖怪の違いだ」
女「その都市伝説が、生霊という型枠を見つけて入り込んだ」
女「あやふやだったものが、自我を模った」
女「君はあの日生まれたと言ってもいい」
狐子「仮説? わしに嘘をついたのか?」
女「自分なりの結論だ」
狐子「なら胸を張れ。わしはお主を信じるだけだ」
女「……うん」
狐子「よしよし」
女「生霊の皮を被った都市伝説……
と思いきや、もはや男さん一人からしか信じられていないから妖力も失い、妖怪じゃないから精気を吸って生きることもできない哀れな存在」
狐子「おい」
女「あるいは狐耳ロリババアの上サンタとかババア自重だが実は生後数日のペド野郎だったという属性過多の生物」
狐子「おい」
女「もっと短いのもあるな」
狐子「なんじゃ」
女「狐子」
狐子「……ああ、それはいいな。今度からそれで呼べ」
女「そうしよう」
狐子「聞きたいことも聞けたし、そろそろわしも行くとするか」
女「男さんの元に?」
狐子「あやつを今まで放っておいたのも、今ここにわしがいるのも、どうやらわしの責任じゃからな」
女「それは、狐子の責任じゃないよ」
狐子「狐子の責任じゃよ。だがまぁ」
狐子「わしはあやつが嫌いじゃない」
狐子「それだけじゃ」
狐子「さむさむ」
狐子「……」
――――
――
女『なら、私も行こう』
狐子『なんでじゃ』
女『狐子が消えるかもしれない』
狐子『わし、消えるのか?』
女『男さんが自殺でもしたら、消えてしまうだろ』
狐子『この年の瀬に自殺なんてしたら、それはそれでそこまでの男じゃ』
女『狐子が消えていい理由にはならない』
狐子『……』
女『私としてはそちらが怖い』
狐子『心配性じゃな、わしも男も大丈夫じゃから、大人しく待っとれ』
女『ついて行くぐらいいいだろう?』
狐子『わしは、半分あやつ自身じゃ』
女『……』
狐子『人には、見られたく、ない』
女『そうか』
狐子『うむ』
女『なら、待つよ』
狐子『頼む』
女『それじゃ』
女『よいお年を』
――――
狐子「さて」
狐子「帰ったぞー」
男「……うお゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛」
狐子「おちつけ」
男「あ、うん。おかえり」
狐子「うむ」
狐子「わしの勝手じゃ」
男「そうだけどさ」
狐子「なんじゃ、寂しかったか」
男「もちろん」
狐子「それなら迎えに来ればよかったのじゃ」
男「狐子に友達ができるのはいいことだ。そんな野暮はしないよ」
狐子「自由意志に任せる、というやつかの」
男「そうそう」
狐子「あー待て待て。その前に話がある」
男「話?」
狐子「うむ」
狐子「わし、この家から出ていくから」
狐子「言った通りの意味じゃ。世話になったの」
男「意味がわからない」
狐子「いきなりこんな狐もどきがやって来て迷惑だったじゃろ。だから出ていく」
男「それは僕の望みだ。構わないよ」
狐子「わしが構う」
男「僕に遠慮なんかしなくていい! 君の助けになりたいんだ!」
狐子「そうか、それじゃわしをこのまま見送ってくれ」
狐子「もふもふ!」
狐子「……いや、まぁ許そう。とにかく、わしはお主と一緒にいたくない」
男「間違いがあるなら直そう。君の好きなように言ってくれ」
狐子「いやいい。とにかく、わしは女のもとで暮らす」
男「退魔士さん……」
狐子「そうじゃ。あやつは退魔士じゃし、妖のわしにはいろいろと都合がいいからの」
男「僕が彼女より劣っているからか」
狐子「いちばんの決め手は劣っているからではない。単純に好みの問題じゃ」
狐子「わしの意思じゃ」
男「僕は……」
狐子「お主、わしのことが好きか?」
男「もちろんだ」
狐子「ならわしに行くなと命令すればいい」
男「それは、できない。僕は君に強制はしたくない」
狐子「ならばわしの好きにさせてくれ。わしとお主は対等なんじゃろう?」
男「僕は君のために何でもしよう。それじゃダメなのか」
狐子「わしはそんなものいらない」
男「……っ!」
男「……」
狐子「心なんてままならんもんじゃ。わしにはお主が言うとおり、人に追われ、人を憎んだ記憶がある」
男「それなら」
狐子「わしの力になってくれるという言葉は嬉しかった。でものぅ、だからと言って、その人を愛することとは話が別なんじゃよ」
狐子「ああ、わしは今、とても酷いことを言っておるな。主様よ、幻滅しておくれ」
狐子「だけど、それは人も妖も変わらない、ままならぬ恋心というやつじゃ」
狐子「さぁの……憎むかや?」
男「……憎いさ」
狐子「ふふ。だが、主様は、それが仕方のないことだともわかっておるはずじゃ」
男「……」
狐子「わしは主様の望みから生まれたのじゃ。主様のことは、いちばんわかる」
男「僕はどうすればよかった」
狐子「前にも言ったのぅ」
狐子「わしに抱いてくれと言わせる気かや?」
狐子「そうじゃな、主様は紳士なお方じゃ」
狐子「だが紳士ならば、決めるときはきっぱり決めるのじゃ」
男「……そうだな」
狐子「ん」
男「」
男「どういうつもりだ」
狐子「さぁの」
男「……まったく、惚れた相手にここまで説教されるとは、情けない」
狐子「ふふふ、その顔なら、もう大丈夫じゃろ」
男「何が?」
狐子「ないしょじゃ」サラ
狐子「……」サラサラ
狐子「」サラサラサラサラ
狐子「ぬおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお」サララララララララ
男「うおっ」
狐子「なんでじゃああああああああなんで消えるんじゃあああああああ」
男「ちょ、ちょっと待って、消えちゃうのか?!」
狐子「ぐぬぬ、あれか、『もう私の助けはいりませんね』とかいう定番か!」
狐子「お主、わしのこと嫌いになったのか?!」
男「嫌いにはならないさ! 諦めはついたけど」
狐子「ぬ゛びい゛い゛い゛い゛い゛い゛い゛い゛い゛い゛い゛」シュワアアアアアアア
狐子「どうしてそこで諦めるんじゃ! そこで諦めるな馬鹿者!」
狐子「そんなこと言っとらん!」
男「ええー……」
狐子「出ていくというのも嘘に決まっておろうが!」
男「おい」
狐子「わしはその歳になって童貞こじらせてるお主のためを思ってやったのに!」
男「……」
狐子「まったく、自分の主様が童貞こじらしてるとか恥ずかしくてたまらんわ」
男「余計なお世話だ馬鹿野郎!」ゴスリ
狐子「へべれけっ!」サララアラ
男「ど、どうすればいい」
狐子「主をわしに夢中にさせる……」
狐子「あれしか……あれしかないのか……」
男「何か方法があるのか?!」
狐子「お主、ちょっとこっちに来るのじゃ!」
男「こっちか?!」
狐子「もっと近くじゃ!」
男「……」
狐子「……」ペシペシ
男「……がばっ」モフ
男「…………」モフモフモフモフ
男「もふううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううう」
狐子「ちっくしょおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお」
女「おや」
狐子「あけおめ……」ゼイゼイ
男「ことよろ」テカテカ
女「うん、おはよう。いい年になりそうかい?」
おしまい
いい狐子だった
良いSSであった
乙!
Entry ⇒ 2012.01.02 | Category ⇒ 男女「」SS | Comments (0) | Trackbacks (0)
欠損少女「やぁ」
欠損少女「相変わらず元気そうだね」
男「まぁな。……調子はどうだ?」
欠損少女「すこぶる良いね。両足の感覚がまったく無いこと以外は」
男「じゃあ大丈夫だな」
欠損少女「もうちょっと遠慮は欲しいんだけどね。まぁ、変に気を使われるよりはマシか」
欠損少女「お願いするよ」
男「あいよ。……よいしょっ、と」ヒョイ
欠損少女「んぅ……」
男「ちょっと重くなった?」
欠損少女「シツレイな。もとの体よりは両脚分軽くなってるつもりだよ」
男「俺だって片腕無いんだから」
欠損少女「利き腕じゃなくて良かったね」
男「あぁ、もう。ほら、車椅子に移すぞ」
男「悪かないだろ」
欠損少女「外に出るのはあの日以来かな?」
男「その日俺らはこうなっちゃった訳だけど」
欠損少女「……その。悪かったよ。いくら謝っても償いきれない事をしてしまった」
男「もうそれはいいだろ。こうなってしまったのは仕方が無いし、何よりお前が謝ることじゃない」
欠損少女「……うん」
男「さ、もう行くぞ。リハビリの時間だ」
欠損少女「分かった」
欠損少女「そりゃ、自分の脚じゃないからね」ガシャ
男「立てるか?」
欠損少女「ん、何とか」
男「よし。じゃあ始めるか」
男「頑張れ。もう少しで5メートルだ」
欠損少女「分かって、る……うわっ」ヨロリ
男「あっ」
欠損少女「あぐっ」ドサッ
男「おい、大丈夫か?」
欠損少女「手は出さないで!」
男「……あぁ」
欠損少女「自分で、立つから……あっ」ドサッ
男「……」
男「ほら、手ェ貸すから」
欠損少女「ん、悪いね」
男「よっ、と」グイ
欠損少女「おっと」ヨロリ
男「危ね」ポフン
欠損少女「……あったかい」ギュ
男「……」
欠損少女「うっ……ふぇ、グスッ……」
欠損少女「うぇ……ぇええ……あぁ、あ」ポロポロ
男「今日はここまでにしよう。ほれ、外してやるから椅子に座りな」
欠損少女「……うっ、う……んっ」
男「頑張ったな。前よりは進むようになったんじゃないか?」
欠損少女「すんっ……ごめんっ、グズッ……ごめんね」
男「もういいだろ。お前が謝る必要はないんだって」
欠損少女「……グスッ」
欠損少女「あぁ、見苦しい所を見せてしまったね。すまない」
男「気にすんな。お前の気持ちも、分からんでもない」
欠損少女「……戻ろうか」
男「おし、行くか」
少女「ほぉら、早く。もうすぐ動物園が開いてしまうよ」
男「急がんでも動物は逃げないだろ」
少女「人がいっぱいになるかもしれないだろう。それに、キミが早く来ないと、ボクが逃げちゃうぞ」
男「さいで」
少女「あ、そんな顔しなくてもいいじゃないか」
少女「これが動物園の臭いだよ。ボクは好きだけどな」
男「物好きな奴」
少女「そんな物好きな奴と付き合ってるキミの方がよっぽど、物好きだと思うけどね」
男「それを言われちゃあな……」
少女「ほらほら、置いてっちゃうぞ」
男「あっ、こら。走るな!」
男「動物園に来てまずそれか。ペットショップでも見れるだろうに」
少女「ここはふれあえるからいいのさ。ほいほい、おいで」
男「あ、俺にも抱かせてくれよ」
少女「やぁだよ」
少女「やる! ボクやるよ!」
男「あぁ、足には自身があるんだよな。陸上部だっけ?」
少女「うん。短距離の方。インターハイで優勝したのは覚えてるだろう?」
男「あの時は凄かったな」
少女「その時と同じように、華麗に勝ってみせるよ」
――――――
少女「ぜぇ……はぁ……。ま、負けた……」
男「だろうな」
少女「正直アフリカ舐めてたよ」
少女「だらけきってるね。百獣の王の称号が大爆笑だ」
男「たてがみは無性にモフりたくなるな」
少女「……でぇい!」ノシッ
男「うわっ! 急に負ぶさるなよ」
少女「キミがモフッっていいのはボクだけだろう」
男「雄ライオンに妬いてどうすんだよ」
男「何が?」
少女「キリンの首の骨って、長いようで実は7つしかないのだよ」
男「哺乳類はみんなそうだよ」
少女「……それは知らなんだ」
男「出直してきなさい」
男「そうだな」
少女「えーと、案内板によると……」
男「『1日の大半を食事に費やし、おとなのゾウは200~300キロもの草や木を食べ、水も1日に100リットル以上飲みます』―――」
少女「『象の糞は、1個で約2キログラムあります。大きなオスでは約3キログラムにもなります。
これを1回に5~6個、1日に約10回排便します。したがって、おとなのゾウの1日の排便量は、
およそ100キログラム(2キログラム×5個×10回)にもなります。』」
男「……」
少女「……別に糞の説明はいらなかったんじゃないかな?」
男「……勉強にはなったが……」
少女「悪いね。君に作ってもらって」
男「お前に作らせると何が出来るか分からん。それに、良い練習にもなる」
少女「シェフになるのが夢だったね、君は」
男「もうすぐで叶うんだ。働いてるレストランの料理長にも認められてる」
少女「すごいじゃないか。いつか、君のレストランを開いたときは呼んでくれ」
男「そのつもりだ。お前を一号客にしてやるよ」
少女「ふふっ、楽しみだ」くつくつ
男「楽しんでもらえたようで何よりだ」
少女「次のデートは何処にしようか」
男「遊園地はどうだ?」
少女「なんかありがちでやだなぁ。お寺とかどうかい?」
男「たまにお前というのがよく分からんようになる」
男「体力には自身がないんだけどなぁ」
少女「キミと走れるなら、どこまでも行ける気がするよ」
男「どこまでも行かれたら、俺が追いつけなくなるよ」
少女「じゃあペースを落とす」
男「頼んだぞ」
男「おい、あの先って……」
少女「あっ……! 踏み切り! あのままじゃ轢かれる!」ダッ
男「おい、何するつもりだ!?」
カンカンカンカン
少女「捕まえたっ!」ガシッ
男「危ねぇ!」ドンッ
キィイイ――――――ィイイイ……
少女「―――あっ」
男「―――ちょっ」
ドッ
欠損少女「はぁっ、はぁっ」
欠損少女「ジョギング、出来なくなったな……」
ガチャ ハイ、コチラ―
男「あ、もしもし―――」
男「お早う」
欠損少女「お、今日は早かったね」
男「今日はやることが無かったからな」
欠損少女「それでわたしの所へ?」
男「まぁな」
欠損少女「ふふっ」
男「あんだよ」
男「え、いいのか?」
欠損少女「外出許可はもうもらってあるし、気分転換に病院の外でゆっくりと」
男「そうじゃなくて、その……」
欠損少女「あぁ、わたしの事は心配しなくてもいいよ。周りの人にどう思われようが、気にはしないさ。君だってそうだろう?」
男「まぁ、な」
欠損少女「それじゃ問題無い」
男「それじゃ車椅子用意するな」
欠損少女「頼んだ」
欠損少女「わたしだってもう子供じゃないんだ。いつまでもウジウジはしていられないよ」
男「まだガキなくせに」
欠損少女「む、そんなことを言う口はこれか」ムニー
男「いふぁいいふぁい」
男「何処でそんな言葉覚えたんだよ」
欠損少女「談話室のテレビ」
男「あー……」
欠損少女「意外と楽しいものだったんだね、お昼のドラマって」
男「科捜研の女も結構面白いぞ」
欠損少女「あぁ、良いよね」
欠損少女「久々に人を沢山見たよ」
男「大丈夫か?」
欠損少女「ん、何とかね」
男「そっか。何処行く?」
欠損少女「公園が良いな」
男「おっし、じゃあ行くか」カラカラ
男「無邪気なもんだな」
欠損少女「あっ、今度はあの子が鬼か。頑張れ」
男「……あ」
欠損少女「うん、親御さんたちに見られてるね。大方、同情の目って奴か」
男「いい気はしないな」
欠損少女「だね」
欠損少女「そうしよう。少し疲れたよ」
男「どうだった? 久々に外に出て」
欠損少女「そうだなぁ。……また、キミと同じ目線で歩きたくなってきたよ」
男「またって、足があるときでも俺より背ェ小さかったくせに」
欠損少女「あ、言ったな」
欠損少女「ありがと」
男「また、明日な」
欠損少女「ん、じゃあね」
男「おう」
欠損少女「……もう、歩けないってさ」
男「そりゃ、まぁ……見たら分かるっていうか……」
欠損少女「キミは、左手が」
男「あぁ、義手でも仕込んでコブラみたいにしようかな、なんて」
欠損少女「あ、その……」
男「何も言うな。ただの事故だ」
男「阿呆か。俺チョップを喰らえ」
欠損少女「うゅ」ポスン
男「二度とそんなこと言うんじゃあない」
欠損少女「……悪かった」
男「おい」
欠損少女「お願いだ」
男「……わかった」
欠損少女「……」
男「落ち着いたら、連絡くれよな」
欠損少女「あぁ」
男「痛ってぇなぁ、チクショウ……」
欠損少女「痛い、熱いよぅ……ひっく、ぐすっ」ポロポロ
男「これからさ、どうするんだ?」
欠損少女「どうっていうと?」
男「社会復帰ってこと」
欠損少女「あぁ、どうしようか」
欠損少女「どうしたんだい?」
男「また、さ……その、走ってみないか?」
欠損少女「……どういうことだい、それは」
男「この前、テレビでみたんだよ。両足を失っても義足で走ってる人をさ。だからお前も―――」
欠損少女「それで走れって言うのかい?」
欠損少女「……」
男「また、お前が走っている所を見たいんだ」
欠損少女「勝手だね」
男「……あぁ。お前はどうなんだ」
欠損少女「……もちろんわたしだって、思い切り体を動かしたいさ。風を切って走りたい」
男「なら―――」
欠損少女「だけどっ!」
男「……」
欠損少女「なにより自分の脚ではもう走れないって実感するのがとてつもなく怖いんだ……」
男「そうやって、逃げるのか」
欠損少女「逃げてなんか……」
男「いーや、逃げてるね」
欠損少女「っ!」
欠損少女「……」
男「だけど、お陰で今まで通り料理をすることが出来なくなった。レストランも辞めた。夢が潰えたんだ」
欠損少女「ぁ……」
男「だけどな」スッ
欠損少女「これ、は?」
欠損少女「……あ、お弁当」
男「味は保障する。腕が一本無くたって出来た、俺の料理だ。少なくとも、不味い病院食には負けちゃいない」
欠損少女「君は―――」
男「なんだって、やれば出来るさ。そりゃあ、お前と俺とじゃ失ったものが違い過ぎる」
欠損少女「……」
男「だけどな、まだ残ってるだろ? 少なくとも、動ける体は持ってるじゃないか」
欠損少女「……全く、押し付けがましいね」
男「生憎、気を遣える性分じゃなくてね」
欠損少女「考える時間を、くれないかな?」
男「いくらでも」
欠損少女「……はぁ」
男「どうだ? 走れそうか?」
欠損少女「まだバランスが取り辛いね、っと」グラッ
男「おっと。大丈夫、俺がついてる」
欠損少女「心強いね」
男「さぁ、もういっちょだ」
欠損少女「よし、もう一踏ん張りだね」
男「その調子だ」
男「お疲れさん。ほい、ポカリ」
欠損少女「サンクスね」
男「―――よく、やる気になってくれたもんだ」
欠損少女「君が焚き付けてくれたからね」
男「あの時は我ながらよく恥ずかしい台詞を吐けたもんだ」
欠損少女「ふふ、そうだったね。黒歴史は免れなさそうだ」
男「その黒歴史に救われたんだぞ、お前は」
男「実際見越してたしな。ちょっと前に電話して準備してもらってたんだ」
欠損少女「だからすぐに採寸して出来たのか」
男「お前にはもう一度、目いっぱい走ってもらいたかったからな」
欠損少女「そうなるにはまだまだ時間が掛かりそうだけどね」
男「それはお前次第だな」
欠損少女「ん、頑張るよ」
男「あん?」
欠損少女「ずっと、こうして一緒に……」
男「む」
欠損少女「私、いや、ボクたち……支え合って、いける、かな?」クラ
男「当たり前だ。お前は俺が居ないと危なっかしいからな。ずっと傍に居てやる。ざまぁみろ」
欠損少女「そうか……良かっ、た……」ポスン
欠損少女「……」
男「いい顔してやがる。……これで、良かったのかね?」
欠損少女「……」
男「どちらにせよ、後にならなくちゃ分からんか」
欠損少女「ん、む……」ギュ
男「おーおー、引っ付いてくれちゃってまぁ」
男「むをっ、起きてたのか」
欠損少女「もーらいっ」チュッ
男「んむっ」
欠損少女「……ぷはっ」
男「不意打ちとは卑怯なり」
欠損少女「ふふっ、大好きだよ。愛してると言っても良い」
男「その言葉、そっくりそのまま返してやんよ」
欠損少女「ん……」ギュウッ
~fin~
おもしろかった
Entry ⇒ 2011.12.31 | Category ⇒ 男女「」SS | Comments (0) | Trackbacks (0)
女「座敷童子がそこにいた」
女(エアコンは……壊れてるんだった)
女(もう二月だし、いいかげんにコタツ出さないとな――めんどくさい)
女「と、言ってもいられないか……寒い。さむ死するわ、さむ死」スクッ
女「えっと……確かコタツ布団は押し入れだったわね……」ガラッ
少女「あっ」
女「え?」
少女「こ、こんにち――」
女「わあああああああああああああああああああああ!!!?」
少女「ごごごごごごごめんなさいごめんなさいごめんなさい!」
謎の少女がそこにいた。
少女「お、落ち着きましたか……?」
女「いや、まあこっちのセリフでもあるんだけど、うん、それなりに」
少女「えっと……あの……」
女「あー……あなた誰? まさか不法侵入者――」
少女「ご、ごめんなさいっ」
女「え、マジで?」
女「座敷童子って――あの、住む家に幸福を与えるとかいう」
少女「そ、そうです……たぶん」
女「たぶんなの?」
少女「あ、いえ、あって……ます。はい……たぶん」
女「はあ」
女「しっかし、うちに座敷童子が来るなんて……これって一攫千金!?」
少女「そ、それは無理だと思います」
女「え、なんで?」
少女「ご、ごめんなさい。わたし、あの、そういう担当じゃないので……ごめんなさい」
女「そういう担当ってなに?」
少女「あー、えーっと、ちょっと長くなるかもしれませんが」
そうしてその自称座敷童子は話し始めた。
とても小さな声だった。
少しの雑音で消えてしまいそうなか細く儚い声が、とても綺麗だと思った。
女「しっかし、うちに座敷童子が来るなんて……これって一攫千金!?」
少女「そ、それは無理だと思います」
女「え、なんで?」
少女「ご、ごめんなさい。わたし、あの、そういう担当じゃないので……ごめんなさい」
女「そういう担当ってなに?」
少女「あー、えーっと、ちょっと長くなるかもしれませんが」
そうしてその自称座敷童子は話し始めた。
とても小さな声だった。
少しの雑音で消えてしまいそうなか細く儚い声が、とても綺麗だと思った。
女「つまり、不幸せな人間を幸せにするために派遣される妖怪ってわけね」
少女「は、はい。家を裕福にするのが一番有名な座敷童子です……わたしは違いますが」
女「それで、きみは――そうだ。名前」
少女「え、な、名前ですか?」
女「そう、私は女。きみは? 座敷童子にも名前くらいあるでしょ?」
少女「しょ、少女です、はい……」
女「ふーん、少女ね」
少女「え、さ、さあ……?」
女「……さあって、知らないの?」
少女「ご、ごめんなさい。女さんを幸せにするために派遣された、くらいしか……」
少女「と、友達にFXでお金を稼ぐような子もいますが……私はそういうのさっぱり……」
女「なんか偉く現代的な座敷童子ね……」
少女「そ、それにわたし座敷童子としてのお仕事は、は、初めてなのでよくわからなくて……」
女(……として?)
少女「で、でも精一杯がんばりますので、その、よろしくお願いします」
女「はあ、よろしく」
それから、私と座敷童子――少女との奇妙な共同生活が始まった。
少女はどうやら霊みたいなもので、物には触れないし、お腹も減らないみたいだし。
えさ代のかからないペットの様なものというか……。
話相手がひとり増えたようなものだった。
ただ……私は外に出ないのでこれじゃあプライベートの時間がない。
少女も外に出られないようだし……。
狭いと感じていた六畳間が更に狭く感じる。
少女の方もそんな息苦しさを感じていたのだろう。
ある日ついに聞いて欲しくないことを聞いてきた。
女「う……」
少女「……あの、失礼ですが学校やお仕事は」
女「…………」
少女「……えと、ちなみに、年齢は」
女「……この間二十歳になったところよ」
少女「…………ニーt」
女「言わないで」
仕事を探すという名目で都会に出ている。
六畳一間の部屋で生活していて、生活費は……。
就活に専念したいからと親の仕送りで生活している。
だが、じっさいにはゴミ捨てやコンビニ以外では、ほとんど外に出ていない。
必要なものは全部ネットで買える。
外に出なくても何の問題なかった。
だから特に何の目的もなく、ただ生命活動を行っていた。
少女「い、いえ……ごめんなさい」
女「あやまらないでよ、何か傷つく……」
少女「いえ……わたしも強くは言えませんので……」
申し訳なさそうに謝る少女。
確かに座敷童子は外に出られないし、強く言えないのだろう。
とにもかくにも、特に変わり映えすることのない生活が始まった。
少女「お、女さん……たまにはお外出ましょうよ……」
女「……出る必要ないし」
少女「へ、部屋にいるだけじゃ何も面白いことないですよ……」
女「ネットとかテレビとかあるし……」
少女「ま、漫画とかでも場面転換のある方が面白って言いますよ……」
女「現実と漫画をごっちゃにしないでよ……それにきみ、12人の怒れる男って映画見たことないでしょ」
少女「な、何ですかそれ……?」
女「部屋から全く動かないけど超面白い話、そういうのもあるから私は大丈夫なのよ、超面白い私」
少女「現実と映画をごっちゃにしないでください……」
女「まあいいじゃない、見たことないなら見ましょう今すぐ見ましょう」カシャン
少女「ぶ、VHS……」
女「そういえばさー」
少女「あ、はい」
女「幸せにしてくれるって具体的には何してくれるの?」
少女「か、肩をお揉みしましょうか……?」
……なんだそのしょぼい幸せ。
女「ていうかあなた私に触れないでしょ?」
少女「あ、そ、そうでした……」
そういえば物に触ることもできないのにどう幸せを運ぶのだろう。
なんか能力的なものがあるのだろうか。
少女「は、話相手くらいにはなれまする……」
女「何その喋り方」
少女「お、女さんいつもコンビニ弁当ですけど自炊はしないんですか……?」
女「……」
少女「……ま、まさか」
女「で、できなくはないのよ!? ほんと! ただ、めんどくさくて……」
少女「……」
女「な、何よ……」
少女「い、いえ、なんでも……」
……できるよ? ほんとよ?
ほんとだからね? 私、嘘、つかない。
女「んー、髪伸びてきたなぁ」
少女「き、切りに行くんですか?」
女「期待に満ちた瞳を向けてくれてるところ悪いけど行かないからね」
このくらいなら自分で切れるし。
少女「そうですか……」
女「私が外に出ないと不満?」
少女「い、いえ……でも、外に出た方が健康的ですし……」
女「筋トレしてるし」
少女「き、気分的にもリフレッシュ……」
女「……」
リフレッシュ、ね……。
少女「春ですねー、わたしは気温を感じませんが」
女「春だねぇ……」
少女「コタツしまわないんですか?」
女「んー……めんどくさい」
少女「ええー……」
女「そのうちしまうわよ。そのうちね」
少女「はあ……」
なんとなく、少女とスムーズに話せるようになってきた。
そのうち気になってることも聞けそうだ。
女「少女って何歳なの?」
少女「え……っと、何歳って言うのは享年ですか?」
女「ん、それもあるけど座敷童子になって何年くらい?」
少女「座敷童子になって?」
女「ん?」
少女「あ、え、い、いえ。はい、死後何年か、ですね……」
女「もしかして聞いちゃいけなかった?」
少女「い、いえ、えっと、死んだのは15のときで、死後は……まだ、1年です」
女「1年かー。もっと長いかと思った。死後を換算しても私の方が年上なのね」
まあ確かに座敷童子にしては服が現代的すぎると思ったのだ。
新米さんなわけだ。
少女「…………」
女「んー、あたたかくなってきたなぁ」
少女「半袖にしないんですか?」
女「あっ……んー、ほら、私寒がりだからさ」
少女「あ、そうですね。あたたかくなってきたとは言ってもまだ肌寒いだろうし」
女「うん。少女はわからないかもしれないけど、確かにまだ肌寒いよ」
少女「そうですか」
女「うん。まだまだ……肌寒いよ」
少女「?」
少女「あー、雨降ってますよ」
女「ほんとだ。つゆだねー」
少女「こんな天気だと外に出たくないですねぇ」
女「まっ、私たちには関係ないけどね!」
少女「笑えないです……」
女「明るくいこう!」
少女「はあ……」
しかし洗濯物が乾かないのにはこまるなぁ。
長袖のストックたくさんあってよかった。
少女「きゃあああああああああああ!!」
女「うわあああ!! びっくりした!! どうしたの!?」
少女「ごごごごごゴキ」
女「ぎゃああああああああああああああ!!」
少女「女さんが掃除しないからあああああああああ!!」
女「してるよおおおおおおおおおおおおおおお!!」
「「うわああああああああああああああああああ!!!」」
二人して泣いてしまった。恥ずかしい。
女「はぁ……」
少女「ど、どうしたんですか?」
女「いや……べつに……たまにあるのよこういう日が……」
少女「だ、大丈夫ですか……?」
女「ん。…………ちょっとお風呂入ってくる」フラッ
少女「あ……はい」
女「…………のぞいちゃやーよっ」
少女「の、のぞきませんっ!」
女「あはは……じゃ」フラフラッ
少女「…………女さん」
…………久々だなぁ、これ。
女「おいーっす! 少女げんき!?」
少女「今日はまたハイテンションですね」
女「そう? ふつーふつー!」
少女「はあ……。そういえば、もうすぐ七夕ですね」
女「少女ちゃんは何か願いごととかある?」
少女「わたしは――そうですね、特にないですね」
女「ないの?」
少女「ええ。……いや、ないというか叶ってるというか」
女「叶ってる?」
少女「……ごめんなさい、なんでもないです」
ふむぅ。……そろそろ聞いてもいいかも。
女「あつー……」
少女「薄着にしないんですか?」
女「一枚しか着てないけど?」
少女「長袖じゃないですか……せめて袖をまくるとか。エアコン壊れてますし」
女「少女も長袖じゃない」
少女「いやわたしは気温を感じませんし……」
女「あー……あ、そうだ! 少女に聞きたいことがあったのよ!」
少女「何だかはぐらかされた様な気がしますが……えと、なんでしょう?」
女「あなた、座敷童子じゃないでしょ?」
女「ああ、図星」
少女「あ、ち、違くて、あの、わた、わたし」
女「ああ、別に嘘ついたからってどうこうするわけじゃないから」
少女「……い、いつから?」
女「んー、割と早くからかな? 座敷童子にしては色々おかしいし」
服とか、言動とか。座敷童子っぽくないし。
私と話してるだけの数カ月だったし。
一向に幸せを運んでこないし。
いや、少女との日々は幸せだったけどね……なんつってね! テレッ!
女「それで、少女は何者なの? 妖怪……ってわけでもなさそうだし」
少女「…………ゆ、幽霊です」
女「まあ……うん、想像はついてた」
透けてるし。
女「なんで嘘ついたの?」
少女「ゆ、幽霊だってばれたら、成仏させられるって思って……」
女「なるほど、だから座敷童子だと」
少女「こ、幸福を呼ぶ座敷童子ならおいてもらえると思って」
女「まあ、あの時点なら成仏させるなり……引っ越すなりしてたかも」
少女「わ、わたし寂しかったから、誰かとお話ししたかったから……」
どおりで。
FXで稼ぐ座敷童子なんているわけないしね。
即興の嘘だったわけだ。
女「それじゃあ死んでからずっとこの部屋にいたの?」
少女「あ、それは違います」
女「だよね。私もうここに住み始めて二年になるし」
少女「神様にお願いして、女さんと出会った日に」
少女「あの押し入れの中に幽霊として送ってもらったんです」
いるのか、神様。
女「……叶えたいこと?」
少女「友達が……欲しかったんです」
友達? それって、もしかして私のこと?
女「えっと、それで何で押し入れ――ていうか、私の部屋に?」
もう少し相応しい場所があったのではないのか、神様。
女「え、うん」
少女「わ、わたしと同じで友達がいない人のところにって、あとはランダムで……」
女「……」
怒りはしなかった。
ただ傷ついた。割と深く傷ついた、ちょっと泣いた。
女「な、なるほどね」
ふーん。いやあ、心の汗が止まらないねっ。
女「で、願いが叶ったと」
少女「え?」
女「ん?」
少女「い、いいんですか?」
女「え、何が?」
少女「と、友達になってくれるんですか?」
女「え、友達じゃないの?」
もし違うならさっき以上に傷つくわけだが……。
女「……」
それは、照れるな。
ちょっと顔が赤くなる自分を自覚する。くっ、嬉しいのはこっちだ。
私にもついに友達が……霊だが。
しかし。
女「それで、願いが叶ったってことは成仏しちゃうの?」
少女「え? ……あっ」
女「まさか、気付いてなかったの?」
女「あ、それともやっぱり、そのぐらいじゃ成仏しないのかな」
それならいいのだが。
え、ちょっと待って。
思いっきり拳を握りしめて、瞳に涙をためて。
ま、まさか。
少女「成仏しちゃうよおおお!! うわあああああああん!!」
女「えええええええええ!?」
まじで?
少女消えちゃうの?
女「…………」
え、うそうそ、ちょっと待ってちょっと待って。
何その急展開。
少し落ちつくと少女は、しゃくりあげながら説明を始めた。
あまりにも聞き取りづらかったので私が要約するが。
どうも少女自身が「願いが叶った」と自覚してだいたい一週間で成仏するそうだ。
すぐに成仏するわけではなく、一週間のロスタイム。
たぶん、友達との最後の思い出づくりをするための。
神様の粋な計らいということだろう、と勝手に解釈したが……。
そうか、あと一週間で少女が消えるのか……。
女「じゃあ、私も死のうかな」
少女「え?」
呆然唖然、といった感じで少女は声を漏らした。
女「生きていても仕方ないって言うか……」
少女「何を」
信じられないといった顔で愕然とする少女。
もう一度言った方がいいかな。
女「だからね」
少女「何を――言っているんですかあなたはっ!」
女「……っ」
数カ月一緒にいて、少女が怒るのを私は初めて見た。
少女「死ぬなんて……そんなこと言わないでください!!」
女「……」
少女「あ……」
私が驚いているのを見てか、少女はまた委縮してしまったようだ。
少女「ご、ごめんなさい……」
少女「わ、わたしこそ……でも、冗談でも死ぬなんて……」
女「それは冗談じゃないよ」
少女「……! 女さん」
女「ん?」
少女「袖、まくってもらってもいいですか?」
女「……」
まあ。
今さら隠したって仕方ないか。
死にたいと言ったのだから。
女「はい、どーぞ」
私は左の袖をまくった。
どうやら少女は以前より気が付いていたらしい。
女「知ってたんだ」
少女「わたしも……そうでしたから」
そう言って少女も袖をまくった。
少女は左利きなのか、右袖だった。
女「……いっしょだね」
少女の右腕には私と同じでたくさんの切り傷があった。
女「でも……」
ひとつだけ、大きな、私にはまだない大きな傷があった。
少女「わたし、自殺したんです」
女「そう……」
その時の傷なのだろう。
少女「意地が悪くて醜くて、自分も他人も大嫌いで」
少女「生きてることが辛くて……女さんと同じでヒキコモリだったんです」
いっしょだ。私と、とてもよく似ている……。
少女「ある日、ふと死のうって思って、死にました」
特にきっかけはなかったんです、と少女は言った。
そんなものなのかもしれない。
私も少女がいなくなるからという理由で、死のうとしているわけで。
なんとなく。
なんとなくだ。
少女「そして、神様に出会ったんです」
少女「わかりません……もしかしたら閻魔様かもしれませんし」
全然関係ない存在なのかもしれません。
少女は苦笑する。
少女「ごめんなさい。ただ、すごく偉い人っぽかったです」
女「ふーん」
もしかしたら、死後お世話になるかもしれない。
覚えておいた方がいいかも。
わかるでしょう?
そう続けようとしたが、少女がそれを遮った。
少女「その神様が、未練があるみたいだねって、言ったんです」
女「未練……」
やり残し、生きてる間にやりたかったこと。
少女「そんなことないって思ってたんですけど、死ぬことに後悔はないと思ってたんですけど」
少女「違いました」
少女「わたし、死にたくなかったんだな――」
って。
友達がいなくて、さみしくて、友達が欲しかったんだなって。
そう、そう言って少女はまた泣いた。
少女「だから、女さんには後悔して欲しくないんです……!」
友達には、後悔して欲しくない。
経験者は語る。
少女「なら」
女「だけど、私は後悔なんかしないよ」
友達もできたし。
生きていたって――仕方はないし。
少女「そんな……」
女「それに、少女ならわかるでしょ?」
女「死にたい気持ち」
生きるのが辛くて死にたい気持ち。
女「私も――いや、私の方が最低だもの」
私はその上に、多くの人に迷惑をかけている。
少女よりも5年、長く生きてきた分、よりひどい。
女「パ」
パパ、と言おうとしてやめた。
けど、今更何をためらっているのか。
恥ずかしがらずとも、今の私は十分に恥知らずだ。
恥じる心などありはしない。
生きるだけで罪でしょう?
なんで早く死ななかったの?
生きているだけで――迷惑なのに。
女「そんな私に、生きる資格なんてないよ……」
今まで何のために生きてきたの?
早く死んじゃえよ。
本当に、気持ち悪いなあ。
なぜなら、少女は自殺しているから。
同じ私に、一体何が言えるのだろう。
いや、より最低な私に何を言えるというのか。
少女「そ、それでも……生きてくださいよ」
女「無理だよ。その資格は私にないし。それに、私はすっごく弱いもの」
きっとすぐに心が折れて死んじゃうよ。
友達も、いないのに。
無理だよ。
弱すぎて、臆病だから。
そうだ。今このタイミングを逃したら死ねない。
少女と一緒に消えないと、私は絶対死ねないだろう。
女「私は、今死なないとこれから先、一生死ねないと思う」
だから、死なせて。
こんなひどい世界においてかないで。
女「私は……とても弱いから。生きるのが、つらいから」
もしこんな世界においていくというのなら、死ぬなって言うのなら。
せめて。
女「生きていくなら、私は強くなりたいよ……」
女「駄目だよ。強くないと駄目なんだよ」
じゃないと、この世界は生きづらい。
弱い人間にとって、この世界は優しくない。
どうしようもなく、くそったれに出来ている。
だから強くないと駄目なのだ。
少女「そ、そんなこと、ないです……」
女「……なんで」
少女「だって、みんな生きてるじゃないですか……」
わたしは、死んじゃったけど。それでも。
少女「みんな、生きてるじゃないですか……」
少女「お、女さんは生きてる人が、みんな強いと思ってるんですか……」
女「……」
少女「辛いことも、悲しいことも、苦しいことも気にしない、強い人だけだと思ってるんですか……?」
――そんなわけ、ない。
むしろ、強い人の方が少ないだろう。
そんなこと本当はわかってる。私だってわかってるんだ。
でも。それでも。
女「私は強くなりたいのよ……!」
辛いのも、悲しいのも、苦しいのも、嫌なのだ。
誰だって、そうだろう?
女「よくない!!」
いいわけない。しんどい、生きるのがしんどい。死にたい。死にたくなる。
でも、臆病だから死ねない。
だったら、楽に生きていけるように強くなるしかないじゃないか。
女「私はっ!! 私は……悩むことなく生きたい! しんどいのはいやだ!」
必死だった。みじめだなぁ。
でも、口はふさがらない。
悲鳴以外で大きな声を、久しぶりに出した。
いや、ある意味悲鳴みたいなものだった。
女「生きてることはしんどい! でも死ねないの! 怖いもの!」
怖いのも、しんどい。何もかもしんどい。
しんどいのは、嫌だ。
女「だったら、生きててもしんどくないように、強くなるしかないじゃない……」
しかし、そんな私の必死の願いを少女は認めない。
一言で否定する。
少女「でも……無理ですよ、そんなの」
女「……っ」
少女「そんな風に生きられるなんて……無理に決まってるじゃないですか……」
少女「そんな人間は……いないんです……」
女「……そんな人間は、いない」
少女「みんな悩んでるから……強くなれないから……」
少女「みんな妥協して、生きていくんです……」
少女「しんどくても、生きてはいけるんですよ……」
女「でも……でも、私には生きる資格がないよ」
女「周りに迷惑ばっかかけて、生きてるだけで迷惑な、こんな最低な私なんて」
女「……こんな最低な私には、生きる資格なんかないよ」
少女「それが何だって言うんですか……」
少女「そんな些細なことが、何だって言うんですか……」
些細なこと。
些細なことだって?
女「人がこんなに真剣に悩んでることが……些細なこと?」
少女「些細なことですよ……」
カッときて、思わず平手打ちをしてしまった。
手は少女をすり抜けて、私は情けなくすっ転んだ。
少女「……」
女「つ……謝らないのね、いつもは謝るのに」
少女「ここで謝っちゃったら……わたしの言葉が嘘になっちゃいますから……」
少女「でも女さん、生きる資格って何ですか……」
女「え?」
少女「誰がその資格を与えてくれるんですか……」
女「それは」
少女「そんな資格はないんですよ女さん……」
少女「誰もそんな資格は持ってないんです……」
女「で、でも、私は生きてるだけで迷惑をかけるもの」
少女「迷惑をかけずに生きていける人なんかいるわけないじゃないですか……」
泣きそうな顔で少女は言った。というか泣いてた。
顔をくしゃくしゃに歪ませて、泣きながら、私に。
少女「誰も彼も弱いままで、生きる資格もなく生きているんです……」
少女「そんな当たり前のことで、女さんは無理やり自分を殺しているんです……」
一生懸命言葉を紡いで、少女は私に伝える。
少女「もう、生きたっていいじゃないですか……」
女「は? い、いやいや、私は死んでないよ、生きてるし……」
あなたと違って、生きてるし。
少女「死んでますよ……死んでるようなものじゃないですか……」
少女「誰とも接さない生き方なんて……そんなの幽霊と何が違うんですか……」
わたしと何が違うんですか。
馬鹿な衝動で死んでしまったわたしと、一体何が違うんですか。
少女は涙を流しながら言い続ける。
少女「きっとお外にはここにないものがあります」
少女「つらいことも、悲しいことも……でも」
それ以上に。
少女「嬉しいことも、楽しいことも、きっと外にはあります」
少女「ここにいても、何もないんです……」
少女「しんどくても、生きていられる何かが、きっと外にはあるんです……」
少女「わたしにはもう見つけられないけど……」
少女「女さんは生きているんだから……」
少女「生きていれば……何でもできるじゃないですか……」
……本当に?
すぐに弱音を吐いちゃう私でも。
すっごく弱い私でも。
見つけられる?
生きられるんだろうか。
しんどくても。
生きていけるだろうか……。
こんな私でも。
生きて……いいんだろうか。
女「生きて……いいのかな」
女「私、色んな人に迷惑かける馬鹿なやつだけど」
女「それでもいいのかな……」
少女「はい……!」
そう言って少女は私の手を握ってきた。
もちろん、触れない。すり抜ける。
傷だらけの腕が、交差する。
でも。
少女「それでも、生きてていいんですよっ!」
あったかい。
少女「大丈夫ですっ」
女「嫌になることたくさんあるけど……それでも大丈夫かな」
少女「大丈夫ですっ」
女「怖いしすぐに泣いちゃうけど……それでも大丈夫かな」
少女「大丈夫ですっ」
涙をぬぐうことなく、少女は言う。
少女「絶対絶対ぜーったい! 大丈夫です!」
少女「女さんは、大丈夫っ!」
……まったく、そんなに必死になっちゃって。
涙で顔がぼろぼろじゃない、あなた。
それにその自信はどっから出てくるのよ、根拠もないくせに。
私よりも若くに死んでるくせにさ。
きみは死んじゃったのに。
それなのにどうしてそんなことがわかるのさ。
なんて馬鹿にしたって。
不思議と――笑みが浮かんでしまった。
大丈夫な様な気が、してしまったんだ。
少女「ほ――ほんとですかっ!!」
そんな嬉しそうに。
他人のことなのに。
いや……友達なんだよね、私たち。
女「うん。でも、あなたがいなくなってからね」
少女「え……」
悲しそうな顔。
違うよ、あなたが邪魔とか、そういうんじゃないの。
女「あなた外に出れないし。あと一週間、少しでも一緒にいたいから」
女「いいの。あなたと思い出づくりがしたいの」
そこで黙っておくつもりがつい恥ずかしいセリフが口から出てしまった。
女「これから先も、ちゃんと生きてきたいから……」
ぽかん、と。少女が目と口を滑稽に開く。
あほ面だなぁ……でもよく見たら可愛いな、まつ毛長いし。
……照れくささからか、顔が熱くなるのを感じる。
何か言いなさいよ。
少女「」ジワッ
あ、やばい、この子泣く。
私もつられて泣いた。ええい、ああ、もらい泣きだよ。
そのあと、少女が消えるまで外に出ないことに関して。
少女はとても、それはとても怒っていたが。
必死の説得の上、ようやく困ったような顔をして言った。
少女「じゃあ、せめて髪を切った女さんを見せてください!」
……だから外に出たくないんだってば、今は。
まあいいか、一度の外出くらいは。
これが妥協して生きていくってことだろう。
こういう生き方を、していかなきゃいけないというわけだ。
玄関を出る前にやっぱりやめようと思ったが、少女に追い出されてしまった。
美容師「本日はどのようにカットいたしましょうかー?」ニコニコ
女「えっ、あっ……み、みじかきゅっ、おっ、おねがっ」
美容師「かしこまりましたぁー」ニコニコ
やばい。超怖い。泣きそう。
噛んだし、死にたい……。
予約の電話でもちょっと泣いたのに直接話すとか怖すぎる。
何故髪が綺麗なことが自分でカットした話につながるのか……。
それ以降の質問には、適当に答えた。
必死で、何を言ったか覚えていない。
たぶん気持ち悪い笑みを浮かべながら答えたんだと思う。恥ずかしい。
その後、めでたく私の髪はモサモサロングからスッキリショートボブになった。
いくら自分で切っていたとはいえ、すいてはいなかったのですごくさっぱりした。
しかし、30分以上生身の人と話したのは何カ月ぶりだったか。
あと何で美容師さんあんなに話しかけてくるの。
やめて……こわい……やめて……。
そんなに変な髪型だったかと私も泣きかけたけど、そういうわけじゃないらしい。
たかだか外に出て髪を切ってくるだけのことでいたく感動したようだ。
……まあ、その「たかだか」が今まで出来なかったんだけど。
少女は「お祝いです!」とか言って、私に自炊を求めた。
赤飯を炊かせようとするので、まず埃まみれの炊飯器を洗った。
買い物にも行った。行かされた。途中で引き返したらまた追い出された。
ちょっと不安だったが、なんとか炊けた。
とてもべちょべちょの赤飯だったが、少女は「すごいすごい!」とはしゃいだ。
自分が食べられない代わりにか、執拗に、
「美味しいですか? 美味しいですか?」と聞いてきた。
率直に言って不味かったが、私は美味しいと答えた。
それを聞いて少女はニコニコ笑っていた。
テレビを見たり、お話したり、まあ、いつも通りの日々だ。
髪を切った日以降、私は外に出なかったが。
外に出ないことを少女は気に病んでいたが、いいのだ。
少しでも多く、少女と一緒にいたかった。
そんなに心配しなくても、大丈夫。
私は大丈夫。
そして。
少女「……」
女「……そろそろ?」
少女「……はい」
女「そっか」
少女の消える時が来た。
女「うん、それは大丈夫」
少女「……」
女「……」
少女「……」
女「……ごめん、本当は怖い」
ぶるってるよ。あの日、外に出られたのが奇跡みたい。
超怖い。怖すぎて泣きそう。
あと吐きそう。
でも、と私は言う。
女「でも、それでいいんだよね」
女「怖くても、いいんだよね」
少女「はい……。はい……!」
少女「そうですね……わたしも。たの、たのしっ……」
女「あーもう、何泣いてるのよ……」
少女「だっ、だって、わた、わたしっ、ほんとにたのしかったっ……!」
女「……うん」
少女「まっ、またっ、誰かとおしゃべりできてっ、うれっ、うれしかったっ……!」
女「うん」
少女「女さんっ、ありっ、ありがとうございっ……っ、うぇえええええ!」
女「それは私のセリフだよ。ありがとね」
そう言って私は少女の頭をなでた。
触れないけど。すりぬけないように優しく、優しくなでた。
女「きみのおかげで、ちゃんと生きていけそう」
女「弱いままでもいいんだなって、思えた」
女「でも、弱いままだと癪だから、少しずつ強くなっていこうと思う」
女「全部、きみのおかげ。ありがとう」
本当に。
ありがとう。
女「ほんっ……と、に……う、うぇえええええん!!」
ああ、もう。駄目だ。
涙が止まらないじゃないか。
六畳間で泣き虫がふたり、子供みたいに泣いていた。
少女「わたっ、わたしっ、もう消えちゃいますけど……消えても、ここにいますからっ……」
女「ふふ、なにそれ」
少女「消えても、ずっと、女さんの、そばにっ……」
女「はいはい、見守っててね」
少女「ぜったい、ぜったいっ……」
女「もう、泣き虫なんだから」
人のことを言えた私ではないけど。
女「でも、そのうち転生? とかできるならしてね」
私はきみにも生きて欲しいんだから。
少女「はいっ……はいっ……」
そのあと、二人とも無言の時間がしばらく続いた。
先に口を開いたのは少女だった。
女「なーに?」
私も少女もぼろぼろ涙を流して、顔面はくしゃくしゃのぐしゃぐしゃだった。
ぶっさいくだなぁ……笑えてきてしまった。
だから、笑おう。最後くらいは、笑顔で。
少女との別れはとても、とても悲しいけど。
笑顔で、見送るのだ。
その気持ちが伝わったのかは知らないけど、少女も笑った。
お世辞にも笑顔とは言えないほど目は赤く、唇は震えていて、涙も止まっていなかったけど。
確かに笑っていた。
少女「今、幸せですか?」
私が今、幸せかだって?
そんなの聞くまでもないし、言うまでもないことだろう。
めっちゃ泣いてるの見りゃわかるでしょ。
これまでの日々を思い出す。
泣いたり、笑ったり、怒ったり、また泣いたり、そして笑った日々を。
楽しかった。
楽しかったんだ。
そんな日々とのさよならだ。
私の一番の友達がいなくなるんだぞ?
全然幸せなんかじゃないに決まってる。
それをわかってないなんて、ほんと、世話の焼ける……。
どうやら、ちゃんとはっきり言ってやらないといけないようだ。
女「ちょー幸せだよ、ばーかっ」
女「おう。だから――ありがとね」
あなたに会えて、幸せだった。
最初は即興の嘘だったかもしれないけど。
あなたは私に幸せを運んできてくれた。
そんな嘘偽りない、座敷童子がそこにいた。
あなたのおかげで私は幸せだ。だから。
女「さようなら」
少女「さようなら」
そう微笑んで――少女は消えた。
とてもナイスなタイミングで。
これ以上ないってくらい、最高のタイミングで。
消えてしまった。
もう、二度と会うことはないだろう。
部屋を見渡す。
女「なんだ、結構広いじゃん」
あれだけ狭いと思ってたんだけどなぁ。
さて。
それじゃあ、そろそろ生きようか。
バイトもはじめて……そうだ。
お金がたまったら、専門学校に行くのもいいかもしれない。
手に職が欲しい。ちゃんとした職が。
今まで迷惑かけてごめんなさい。
それと、育ててくれてありがとう。
女「やることいっぱいだな……」
まずは……そう。
いいかげんに、コタツをしまわないとね。
ようやく私は重い腰を上げた。
少女が消えても、私は相変わらず弱っちいままだった。
すぐ泣くし、くだらないことで卑屈になるし。
弱音を吐くのも相変わらずだ。
そんな自分は嫌いだったし、周りの人もあんまり好きじゃない。
特にバイト先の店長なんてもう最悪。
でも、少しだけ頑張ろうって。
そんな風に思えるようになった。
生きづらいし、しょっちゅう死にたくなるし。
やっぱ世界はくそったれだと思う。
でも、捨てたもんじゃない。
それは確かだ。
女「あっついなー」
もう真夏だ。
半袖にする勇気はまだない、まだまだ弱い私だけど。
まあ別に、弱いからって生きてちゃいけないわけじゃないだろう。
とりあえず、適当に生きていくことにする。私はそこそこ幸せだ。
弱くて泣き虫で、意地が悪くて醜くて、自分も他人も大嫌いな少女がいた。
それでも私と違って世界が大好きな、とても優しくて、ホントは誰より綺麗だった。
そんな少女との日々を、私は決して忘れない。
女「さて、バイト行かないと」
玄関まで来て――ふと、振り返る。もちろん、そこには誰もいない。
でも、見えないだけでいるのだろう。
だから、
女「いってきます」
ドアを開ける。
目を焼くような光が私を包んだ。
Fin.
むしゃくしゃして書いた。
外に出るのってしんどいしマジ意味わかんねーけど
まあちょっとは良いことあるかもよって話。
支援ありがとうございました。
Entry ⇒ 2011.12.30 | Category ⇒ 男女「」SS | Comments (0) | Trackbacks (0)
男「お、流れ星か。理想の妹をくださいっと」 後日談
『男、怒涛のデート編』
近日投下
――男、怒涛のデート編――
男「デート?」
大人妹「あれからはれて私とお兄様は結ばれたというのに、あまり恋人らしいことをしてないじゃないですか」
男「ん、まあそうだな・・・・・・」
大人妹「ですので私とお兄様が付き合っているという証拠を見せてくださいな」
男「でも、他の妹たちがいる手前なあ」
大人妹「お願いします。共有物としてのお兄様ではなく!」
男「俺はパソコンのフォルダか何かか?」
大人妹「ちなみにお兄様のパソコンのパスワードは・・・・・・」
男「何で知ってんの!?」
大人妹「それはお兄様を愛しているからですわ」
男「愛しててもやっていいことと悪いことがあるよね!?」
大人妹「しっ!」
男「おう!?」
ドンドン
<兄貴たちうるさい!
大人妹「これ以上家にいたら反感を買いそうなので、早急にまいりましょうか」
男「あ、ああ同意するわ」
男「って何脱いでんだよ!?」
大人妹「デート用の服に着替えるからに決まっていますでしょう?あ、お兄様はそこにいてください。じっくりたっぷりストリップを見せてあげますわ」
男「に、2時に駅前集合なーーーー!!」ピュー
大人妹「作戦成功ですわ。出てきてもいいわよ」
敬語妹「ぷはっ!!クローゼットに隠れるのは3人隠れるのはキツイですよ」
ガチャ
ツン妹「で、うまくいったの?」
大人妹「バッチリですわ」
ボー妹「ねえ、何でクローゼットにコスプレ道具ばっかり入ってるの?」
大人妹「それはお兄様と熱い夜を過ごした・・・・・・」
ツン妹「え、そこまで進んでるの?」
大人妹「という妄想で慰めているだけの道具ですわ」
敬語妹「よりによってどうしてボンテージなんですか!?」
大人妹「あら。私より素質がありそうね」
敬語妹「やめてください!この子は我が家の唯一の純心なんです!!」
ボー妹「さすがにアレはしてないんだよね?」
大人妹「ええ。いざ私が誘っても、お兄様に『まだ早い』とか『俺らは一応兄妹なんだ』とか言われて」
ボー妹「ボク、乳姉ぇがスッケスケのネグリジェで兄ちゃんの部屋に入ったの見た事あるよ」
大人妹「ああ、これですか」
敬語妹「え?これって布って言うんですか?透過率90パーセント超えじゃないですか」
ツン妹「でも義妹は、その・・・・・・アレをしても法律上問題ないんでしょ?」
大人妹「アレとは何ですか?」
ツン妹「い、今更何言ってるのよ!!」
無垢妹「アレってなーに?」キラキラ
ツン妹「う・・・・・・!!」
敬語妹「狙いましたね?」
大人妹「さあ何のことでしょう?」カンラカンラ
ツン妹「と、とにかく時間無いからさっさと行くわよ!」
全員「オー!!」
無垢妹「事の発端は数日前の夜」
敬語妹「どうしました?」
ボー妹「気にしないでいいよ。いつものだから」
大人妹「あら。リビングに大集合ですか?」
敬語妹「偶然見たい番組がみんないっしょでですね、せっかくだからリビングの大きなテレビで見ようということになって」
大人妹「匿名係長ですね!私もこれ好きです!」
ボー妹「ちなみに乳姉ぇのことだから期待を裏切らないと思うけど、どんなシーンが好き?」
大人妹「ふふふ。話す必要もありますかしら?」
ボー妹「だよねー」
ツン妹「ちゃんとストーリーも見なさいよ!」
大人妹「ストーリー“も”?」
ツン妹「はぅあ!?」
無垢妹「地雷?」
ボー妹「うん」
大人妹「まあしかし、私ならまだしも、皆さんも匿名係長が好きだということは・・・・・・やはりお父様の血を引いているわねえ」
敬語妹「意見はしませんよ」
ツン妹「な、何のことやら」
ボー妹「人並みだよー」
無垢妹「??」
敬語妹「兄さんは今どうしてます?」ボソボソ
大人妹「3日に1度の賢者の日ですわ。多分あと1時間は部屋から出てこらないわ」
敬語妹「そ、そうですか・・・・・・」
大人妹「はい」
敬語妹「あ、あの!」
大人妹「どうしたました?」
敬語妹「い、いつから兄さんと恋仲になったんですかッ!?」
ツン妹「ゲフッ!!」
ボー妹「ガハッ!!」
無垢妹「おお!今週のプロレス(?)シーン!」
ツン妹「こ、声が大きいのよ!!」
大人妹「気になりますか?」ニヤニヤ
敬語妹「そ、それはもう!今のうちに聞いておかないと、一生聞くチャンスが無いと思いまして!」
ボー妹「ボ、ボクも聞きたい!」
ツン妹「わ、私はどうでもいいけどね!」
ボー妹「橋の下編は何度か聞いた記憶が・・・・・・お兄ちゃんが不憫なやつだよね」
大人妹「いい思い出と言ってくれるかしら」
敬語妹「流れ星編は初めて聞きました。どういう話ですか?」
大人妹「お兄様と私が滅び行く世界を救っていくというSF短編恋愛モノです」
ツン妹「それは、何かのプレイの一環?」
大人妹「事実といえば事実で、虚構といえばそうなのかもしれません」
敬語妹「はぁ・・・・・・?」
大人妹「しかしながら、お兄様と私は間違いなく流れ星編で恋仲となりました。そうですわね、熱海から帰って5日目の雨の日です」
ツン妹「5日目ねえ。私何してたっけ?」
ボー妹「生理じゃない?5日目の」
ツン妹「違うわよ!!」
大人妹「私が、このようにお兄様のベッドで」
ボー妹「ギシアン」
ツン妹「ええい!話の腰を折るな!!」
大人妹「ロマンチックな話の邪魔をしないでくれるかしら?」ゴゴゴゴゴ
ボー妹「ひぃ!?下ネタ女王が自ら下ネタを拒否した!?」
敬語妹「それで続きは?」
大人妹「こほん。私が、このようにお兄様のベッドでお兄様にもたれかかってずっとお話していました。そしてお兄様は私に好きだと言ってくださいました」///
ボー妹「でもでも何で下ネタ女王の乳姉ぇを選んだの?」
大人妹「あなた方には知りえない昔からの愛情があるのですよ」
ツン妹「うわ!勝ち宣言ムカツクー!!」
大人妹「おほほほほほ!お母様のお腹の中から出直してきなさい!」
ボー妹「何キャラ!?今夜は何キャラでいくつもりなの乳姉ぇ!?」
ツン妹「姉さん・・・・・・」
ボー妹「やっぱりその山2つには勝てないってことかー」
大人妹「そんなことありませんわ。お兄様はあなたたちのこともちゃんと愛していますよ」
敬語妹「家族としてですか?」
大人妹「妹としてですわ。忘れたのですか?お兄様は妹フェチなんですよ?」
ツン妹「確かにベッドの下には妹モノの本がたくさん・・・・・・」
敬語妹「デートとかもしてるんですよね?」
大人妹「はい。数回ほど。いずれもホテルに連れ込み損ねましたが」
ボー妹「乳姉ぇの最終目標は何なの!?」
敬語妹「いいなー」
ツン妹「敬語忘れてるわよ?」
敬語妹「それほど羨ましいということです」
妹たち「えっ!?」
大人妹「正直、私もお兄様を占有してしまうのは心苦しいといいますか」
敬語妹「ぜぜぜぜ是非!!」
ツン妹「それは本当なのよねッ!!?」
ボー妹「いつ!?いつ兄ちゃんとデートできるの!?」
無垢妹「え?お兄ちゃんと遊べるの?」
大人妹「2日後はどうでしょうか。1時間程度でローテーションという形で」
敬語妹「た、頼みましたよ!!絶対ですからね!!」
大人妹「ええ、心得ましたわ」
無垢妹「今に至る」
ボー妹「はーいありがとう」
ツン妹「?誰に話してるの?」
大人妹「無垢妹の有効活用ですね」
敬語妹「変なことに利用しないでください!!」
大人妹「今日は快晴ですので絶好のストーキング日和ですわ」
ツン妹「そんな日和作るな!」
大人妹「町外れの墓地は、夜空がとても綺麗らしいですわよぉ~・・・・・・」
ツン妹「ひぃぃぃ!!」
2:00
男「それにしても急にデートなんてな。家に一緒にいるならそれでいいんじゃないか?」
ツン妹「そんなんだからモテないのよ」
男「はは。悲しい現実をありがとう・・・・・・ん?」
ツン妹「何?」
男「あー、俺の目が正しかったら、大人妹がツン妹になってるんだが?」
ツン妹「私じゃ悪いの?」
男「そういうわけじゃないけど。でも何故?」
ツン妹「あの人が急に用事が入ったから、行けないって言って来てって頼まれたのよ。感謝しなさいよね!」
男「ケータイあるのに?」
ツン妹「黙って聞けっ!」ゲシッ
男「おぉん!!」
ツン妹「そ、それでおめかしして来たのに待ちぼうけくらってるかわいそうな兄貴のために代わりに私が、デ、デートしてあげる」
男「お前がか?」
ツン妹「何?悪い?」ギロッ
男「悪くないッス!むしろ光栄ってか!!」
ツン妹「よろしい」
ツン妹「え?」
男「え?じゃなくて、ほら手出せ」
ツン妹「あ、あ、握手・・・・・・?」
男「お前バカになっちゃったか?手をつなぐぞって言ってんだけど・・・・・・」
ツン妹「手ぇぇぇぇ!!?」
男「えっ!?イヤだったか!?」
ツン妹「イヤじゃない!!イヤじゃないけど、少し待って!!」
男「お、おう・・・・・・」
ツン妹「スーハー、スーハー、め、目の前にいるのはバカ兄貴・・・・・・目の前にいるのは変態だけが取り柄のバカ兄貴・・・・・・」
ツン妹「オッケー!」
男「おかしいな。全然嬉しい気分になれない」
ツン妹「フン、兄貴のクセに気が利くじゃない」
男「そりゃあ男だし。デートん時はリードする側でいたいだろ?」
ツン妹「そ。じゃあその余裕が無いくらい振り回してあげる!」
男「ほどほどになー」
物陰
ボー妹「ほうほう。ツン姉ぇの初々しさがかわいらしいぜ・・・・・・」
敬語妹「兄さんってあんなに落ち着いた人でしたっけ?」
大人妹「おかしいですね。私とのデートの時はもっと余裕の無い感じでしたのに・・・・・・」
ボー妹「うん、大体理由分かるけど、絶対乳姉ぇの下ネタにツッコミ入れてるからでしょ?」
大人妹「はて?突っ込まれたことは無いですが?」
敬語妹「カタカナの方です。漢字の方ではないです」
無垢妹「ねえ、つまんない」
敬語妹「無垢妹ちゃんは兄さんとデートしたくないですか?」
無垢妹「デートって日付のことでしょ?意味分からないよ」
敬語妹「そっちの意味もありますが・・・・・・ああ、どうして、こう中途半端に知識があるのですかこの子は」
ボー妹「じゃあ兄ちゃんと遊びたい?」
無垢妹「うん!!あ、デートって遊ぶって意味?」
敬語妹「もうそれでいいです」
大人妹「移動始めましたわ!行きますよ!」ダッ
ボー妹「あ、待って!」ダッ
無垢妹「出ぱ~つ!!」ダッ
敬語妹「何故彼女であるあの人の方がノリノリなんでしょうか・・・・・・」
男「何故に小学校・・・・・・」
ツン妹「いいから着いてきなさいよ!」
男「あの、そろそろ手を離していいですか?何か汗でぐっしょりなんですけど・・・・・・」
ツン妹「兄貴ったら、女の子と手ぇつないでそんなに緊張してるの?」
男「いやこの汗はむしろ俺じゃなくておま・・・・・・ゴホッ!?」
ツン妹「ききき緊張なんてして無いわよ!?」
男「言ってねえ!!」
ツン妹「ほら着いた」
男「あん?伝説の木じゃないか」
ツン妹「伝説の木?」
男「ああ。小学校の頃さ、ここの下でコクった女の子が成功してから付けられた名前だよ」
ツン妹「じゃあここで告白した者はみんな叶ううんぬんってこと?」
男「ははは。その後その伝説に乗じて告白を試みたある男がな、見事に撃沈!しかも3回」
ツン妹「小学生の頃って安直にかっこいい名前付けたがるし、それを信じちゃうからね」
男「ちなみにその男ってのは男友っていってな」
ツン妹「そんな情報要らない!?」
ツン妹「なんか、思い出さない?」
男「男友の振られっぷりははっきりと思い出すが?」
ツン妹「さぞかしひどい振られ方だったのね・・・・・・ってそうじゃないわよ!」
男「えー」
ツン妹「う・さ・ぎ・の・に・ん・ぎょ・う!!」
男「あー!いじめっ子集団のヤツ!」
ツン妹「やっと思い出してくれたわね」
男「で、それがどうかしたのか?」
ツン妹「」ガクッ
男「何で!?」
ツン妹「か、回想入りまーす・・・・・・」ハァ
男「え、え?」
~回想~
ツン妹「返してー!わたしの人形ー!」
よしゆき「学校にこんなもの持ってくるお前が悪いんだぜー!」
ツン妹「こんなものじゃないもん!おにぃちゃんがくれたものなんだもん!」
かずひろ「お兄ちゃんだってー!」
ふみのり「ござるwwござるww」
ツン妹「返してよーー!!」
かずひろ「よしゆきくん、これ木の上にのせちゃおうよ!」
ふみのり「名案でござるww」
よしゆき「お!いいな!」
ツン妹「やめて!!」
よしゆき「よーし、のぼるぞー!」よじっ
ツン妹「お、おにぃちゃーーん!!」
男「呼んだ?」ニュッ
よしゆき「うおおおおおおおおお!!?」ズッテーン
かずひろ「よしゆきくーーーーん!?」
男「ツン妹が遊んでたから見守ってたんだよ!」
ツン妹「遊んでないよ!?」
よしゆき「そうか、こいつ男の妹だったのかあ・・・・・・!!」
男「それにしても意外だなー。よしひろくんとツン妹が友達だったなんて」
よしゆき「よしゆきだ!・・・・・・はん、俺が妹と遊んでやってたんだぜえ」
ひみのり「大きいお友達・・・・・・フヒヒ!サーセン」
ツン妹「違うよおにぃちゃん!この人たち私の人形とったの!」
男「!!あ、遊んで・・・・・・!?」
ツン妹「あ、あれ?お兄ちゃーん・・・・・・?」
よしゆき「ああ、たのしーい遊びだ」
男「こんの、不純異性交遊がっ!!妹の純潔返せッ!!」
かずひろ「小学生が言ったとは思えない言葉がっ!?」
よしゆき「許さなかったらどうするんだー?」
男「まゆちゃん呼んでくる!」
かずひろ「は、はあ?まゆちゃんがどうしたんだよ?」
よしゆき「」ガクガク
かずひろ「よ、よしゆきくん?」
男「あ、ちょうどあんなところに!まーゆちゃーーん!!」
よしゆき「や、やめてくれえええええええ!!!」
まゆ「あ、男クン。どうしたの?」
男「うん。よしゆきくんが話があるんだって」
よしゆき「うわあああああああああ!!!」
まゆ「え、明らかに話せる状態じゃないよね?」
男「じゃあ代わりに僕が話すよ!」
よしゆき「頼む!やめてくれ!人形なら返すから!」
かずひろ「本当にどうしたのよしゆきくん!?」
男「あ、本当?じゃあよしゆきくんがまゆちゃんのリコーダー舐めてたって話しないであげる」
かずひろ「」
まゆ「」
ふみのり「wwwwwww」
男「え?どうしたの?」
ツン妹「おにぃちゃん、言っちゃってる・・・・・・」
まゆ「サイッテーー!!」
よしゆき「ち、違う!誤解なんだっ!!」
かずひろ「よしゆきくん、そんなことしてたんだ・・・・・・」
男「誤解じゃないよ。昨日よしゆきくん卓越した表情で『まゆ・・・・・・ここが、いいのか・・・・・・ハァ・・・・・・レロ、ヌチュ・・・・・・』って舐めた後、裏声で『私、よしゆきくんになら・・・・・・何されてもいいよ?』って裏声でまゆちゃんの真似してたね」
まゆ「うげぇ・・・・・・」
男「あ、ごめん!それはまゆちゃんの体育着だったね!」テヘッ
よしゆき「うああああああああああああああああ!!!」
ふみのり「ござるwwww」
男「ありがとう」
まゆ「よしゆきくん、人間やめる?あと近寄らないで。半径500キロ」
よしゆき「マ、ママーーーーーーーーーー!!」ダッ
男「わざわざ来てもらってごめんね、まゆちゃん」
まゆ「いいよ。もし男クンに言ってもらわなかったら、私その体育着着て、リコーダー使っちゃうところだったから」
男「でもねまゆちゃん、女だったら男のそういう醜い部分も受け入れていかなくちゃいけないんだよ」
まゆ「うん。少なくともよしなんとか以外なら大丈夫だと思うから」
男「それはよかった」
男「ほら、取り返したぞ!」
ツン妹「ごめんね・・・・・・」
男「違う違う。そういう時は、ありがとうって言うんだ。そっちの方がお互いスッキリするだろ?」
ツン妹「うん」
男「それに僕はお前がバージンじゃなくても大丈夫だからな」
ツン妹「よくわからないけど、ありがとうおにぃちゃん」
男「全く変態はいけないね」
ツン妹「え、おにぃちゃんも・・・・・・ううん、何でもない」
男「まあそれを大切にしてくれてるってことは嬉しいかな。でもほどほどにしないとまたこんな事があるぞ?」
ツン妹「わかった。お家だけにする。・・・・・・もしまたこんな事になったらおにぃちゃんが助けてくれるよね・・・・・・?」
男「当たり前だ!だからツン妹!」
ツン妹「な、なに?おにぃちゃん」
男「助けた報酬はパンツでどうだ?」
~回想終了~
ツン妹「うん。よく考えたら思い出さないほうがよかったかも」
男「ちなみに本当に純潔散らされたわけじゃないよな?」
ツン妹「あ、当たり前じゃない!!」
男「あの時のパンツの色は黄色だったな」
ツン妹「どーしてそんなことばっかり覚えてるかなぁ!!」
男「あの頃はあんなに素直だったのに」
ツン妹「パンツを見せてやる=素直だと思ったら大間違いだからね?」
男「で、何で木に登らなくちゃいけないかを3字で説明してください」
ツン妹「の、登れば分かる・・・・・・って3字!?少なすぎるわよ!!」
男「俺は理由もなしに行動する人間じゃないんだよ」
ツン妹「エロ本」
男「アイムクライミーング!!」ヨジヨジ
ツン妹「はぁ・・・・・・」
男「登ったぞー!エロ本どこだー?」
ツン妹「その2本目の木の枝をくまなく探してー!」
男「お、鳥の巣!」
ツン妹「いいから探せやバカ兄貴ーーー!!!」
男「理不尽に怒られた・・・・・・一体何なんだ」
男「・・・に・・・ちゃんだいすき・・・・・・?2ch大好き?」
ツン妹「み、見つけたー?」
男「あーなんか彫ってあるー」
ツン妹「そ、それよそれ!いい?聞きなさい!それが私の気持ちだから!絶対に忘れちゃダメなんだからねっ!!」
男「ツン妹もにちゃねらーだったのか。少しショックだ。だが忘れちゃいけないって言われたからには、現実を受け止める事にするか」
ツン妹「それを伝えたかったから連れてきたんだからね!」
男「わかってる!しっかり受け止めてやるよ」
ツン妹「・・・・・・!!」///
男「降りるか」
ツン妹「え、テレパシー!?どうやって!?」
男「どうした?」
ツン妹「あの、急用が出来ちゃったの」
男「ありゃ。そうかそりゃあ残念だ」
ツン妹「兄貴、今日は嬉しかったよ」
男「そいつはよかった。俺もお前の意外なカミングアウトが聞けて嬉しかったよ」
ツン妹「意外、だった?」
男「意外だったけど、ちゃんと受け止めてやる。これからはいっしょに楽しもう」
ツン妹「(デートの事かな?これからもデートしてくれるってことだよね!)うん!」
男「ほら急用なんだろ?早く行け」
ツン妹「兄貴・・・・・・おにぃちゃん」
男「おう?」
ツン妹「こ、今回はでこちゅーできなかったけど勘弁してあげる!」ダッ
男「あれ?あの時の記憶があるのか?・・・・・・ま、いっか」
物陰
ツン妹「き、緊張したーー!!」ドキドキ
ボー妹「木に登らせて何やってたの?」
ツン妹「それは秘密よ!」
大人妹「きっと『おにぃちゃんだいすき』と昔彫ったものを見せてたに違いないですわ」
ツン妹「あ、あなた超能力でもあるの!?」
敬語妹「ナイスアイデアですね!」
ボー妹「でもそれって小学生の頃彫ったなら、つぶれて読めなくなってんじゃない?」
ツン妹「あ・・・・・・」
大人妹「まだまだ事前の調査不足ですわね」
敬語妹「もしかしたら『にちゃんだいすき』なんて感じになってるかもしれませんよ?」
大人妹「そうなってるはずです」
ボー妹「いつでこちゅーしたの!?」
ツン妹「いつって・・・・・・いつだったかしら?あれ、記憶の思い違い?」
大人妹「老化は突然やってくるものです」
ツン妹「私が老化始まってたら、あなたはどうなるのよ!!」
大人妹「ほら、私は永遠の17歳ですので」
敬語妹「まだ16歳でしょうあなたは・・・・・・」
ボー妹「で、次は?」
大人妹「もうすでに現場へ向かっていますわよ」
ボー妹「あ、無垢妹か」
ツン妹「行動が一番予期出来ないといえば一番予期できないよね」
敬語妹「不安しかありませんが・・・・・・」
大人妹「次回へ続きますわ!」
明日も23時より投下させていただきます。では。
無垢妹のお兄さんになりたい人はその時間に来てくださいね。
3:00
男「急用って何だったんだろうか」
男「しかしツン妹がにちゃねらーだったとは。意外だなー」
男「どれくらい意外かというと、いつも登下校を共にしていた幼馴染が実は処女じゃなかったくらい意外だな」
たかし「それ意外を通り越してショックでしょ!」
男「・・・・・・処女じゃない事にショックを受けてる男が出てきた」
たかし「違いますよ!俺たかしって言います。無垢妹の友達です」
男「折れた菓子?ああ、無垢妹は折れたうめぇ棒と友達だったのか」
たかし「名前がたかしです!!」
男「もしかして、いつも無垢妹が言っているたかしくんか・・・・・・?」
たかし「はい!そうです!」
男「ちょ、ちょっと近寄らないでくれる?」
たかし「えっ!?」
男「いやー、ドラッグストアでゴムを連呼してる子と知り合いにはなりたくないよな」
男「大人妹が変な入れ知恵したらしいな」
たかし「そうですねー。ゴムの説明から生命の神秘、快楽悦楽、SMの極意まで習いましたよー」
男「遠い目だな。ちなみに大人妹は俺の本でSMの極意を身に付けたんだぞ」
たかし「原因!?」
男「貸してやってもいいと思ったが、この間の謁見で処分させられたんだっけか」
たかし「は、はあ・・・・・・」
男「で、そんな君が俺に何の用だ?大体小学生ならこんなところにいるのは変だろ」
たかし「ここ小学校だから小学生がいるのは当たり前なんじゃ・・・・・・むしろお義兄さんがいる方がおかしいのでは?」
男「で、なんでマセガキがどうしてここにいるんだ?」
たかし「あの、無垢妹に呼び出されましてお義兄さん」
男「ああ?てめー誰に向かって兄なんて言葉を発してんだ?俺に兄という言葉を使っていいのは妹たちだけなんですけど?」
たかし「し、しかしいずれ・・・・・・!!」
男「無いね」
たかし「あ、諦めませんよ!」
たかし「はい。30分ほど前に『あなたに認めて欲しい事があるの。学校に来て』と」
男「認知だとっ!?無垢妹・・・・・・信じてたのに!!変態だけは好きにならないように育ててきたのに!!・・・・・・ていうかあいつ生理来てないはずだが?」
物陰
敬語妹「どこからその自信が湧いてくるんでしょうか。自分の事が見えてないんですかね?」
ボー妹「まあ僕たちはそんな変態が好きなんだけどねー」
ツン妹「それよりもどうして妹の生理の有無を知っているかを問いたださなきゃ」
大人妹「あの文を考えたのは私ですわ」
たかし「変態じゃないです!」
男「俺はこいつからお義兄さんと本当の意味で言われないといけないのか・・・・・・」
たかし「よろしくお願いします!!」
男「どうして今日という日はこんなに妹たちの純潔が散るんだああああああ!!」
物陰
ツン妹「散ってない!散ってないから!!」
<あー、いたいたー
<えっと・・・・・・待ってたよ?
男「い、意味深な言葉・・・・・・無垢妹、お前本当にそれでいいのか!?」
無垢妹「あれ?お兄ちゃんもいるの?」(白々しく)
たかし「よ、よう・・・・・・マイハニー?」
無垢妹「はちみつがどうかしたの?」
男「熊野プー太郎さんの事だよ」
無垢妹「なるほど」
たかし「ところで『認知して欲しい事』って何?」
男「さらっと認知に替わってる!?ていうか認知なら1つしか無くない?」
無垢妹「うん・・・・・・とっても言いにくいんだけどね」
たかし「大丈夫。俺なら君を幸せに出来るよ」
男「させねぇ!月に代わっても結婚なんてさせないぞーーーー!!」
男・たかし「へ?」
男「ま、ままごと?」
無垢妹「うん。お兄ちゃんと最近遊べなくて寂しくて・・・・・・それで昔いっしょに遊んでたままごとがしたいなって」
たかし「小学6年生にもなって・・・・・・」
無垢妹「たかしくんもいっしょに・・・・・・ダメ、かな・・・・・・?」
たかし「う・・・・・・しょうがねーなー」
男「嬉しいくせに。俺はオッケーだけどな」
無垢妹「ヤッター!!」
男「それにしても無垢妹をこんなに寂しがらせていたなんて、俺も兄失格だな」
たかし「そんなことないですよ男さん!!」
男「だからと言って言い方をお義兄さんから名前にすんじゃねーよ」
男「それじゃあ俺は単身赴任して、3年ぶりに我が家に戻ると知らない男と妻がベッドで寝ててショックを受ける夫の役な」
たかし「深いーー!?役どころか内容まで決まっちゃった!?」
無垢妹「イエーイ!!」
たかし「そんなディープな内容を幼少時代から・・・・・・!?」
男「ちなみにたかし、お前は重要な役だ」
たかし「え、何ですか?その妻を寝取る男役ですか?」
男「通行人Fだ」
たかし「重要でも何でもないですよねっ!?しかもあとAからEの5人も必要!!それに俺が通行人したら寝取る役の男は誰がするんですか!?」
男「無垢妹の演技力なめんなよ」
たかし「エア寝取る男!?だったら俺を寝取る男役にしてくださいよ!!」
男「ぐちぐちうっせーなあ。ハイ、アクション!!」
たかし「え、え?もう始めるの!?」
物陰
大人妹「懐かしいですわね、おままごと」
ボー妹「無垢妹が好んでやってたもんね。しかもまたNTRと愉快な通行人たちか・・・・・・」
敬語妹「私、いつも通行人Bでした」
ツン妹「私はAだったわ」
大人妹「名は体を表すって言うけどまさにその通りね」
敬語妹「どういう意味ですか!?」
ボー妹「ツン姉ぇがA、敬語姉ぇがB、ボクがCでお母さんがDだったよね。有無を言わず乳姉ぇはEだったけど」
大人妹「あの当時はまだまだCが限度でしたが」
ツン妹「役の話よね!?ねえ、役の話よねっ!!?」
敬語妹「お父さんは何役でしたっけ?」
ボー妹「・・・・・・覚えてないの?」
敬語妹「は、はい・・・・・・」
大人妹「うふふ。お父様はいつもあの役でしたものね」
敬語妹「で、何だったんですっけ?」
ボー妹「ベッド」
敬語妹「あぁ・・・・・・」
男「ふふっ、旦那が帰ってきたらなんてイジワルな質問」
男「え・・・・・・?あと1年旦那が帰ってこなかったら結婚しよう?・・・・・・いいの?」
たかし「ガチャ。ただいまー。・・・・・・!!お前、何してんだ!!」
男「あ、こ、これは・・・・・・違うの!!」
たかし「何が違うんだ!その男は誰なんだ!!」
男「・・・・・・ごめんなさい。だってあなたが寂しくさせるから・・・・・・!!」
無垢妹「今日も特売間に合ってよかったわー」
たかし「・・・・・・おかしいよね!?絶対おかしいよね!?」
無垢妹「どうしたの?おかしいってどこ?お兄ちゃん、分かる?」
男「いやさっぱりだ。どこもおかしいところは無いが」
たかし「誰がどう見ても配役でしょ!!内容に関してはもう諦めたとして、配役はどうにか出来たでしょう!!」
男「でもじゃんけんで決まったわけだし」
無垢妹「実は通行人をするのは初めてでドキドキしてた」
男「だからままごとではじゃんけんは絶対なんだよ!それに通行人Fがいることで物語りに深みが増すんだ」
たかし「深まらないです!コーヒーにオレンジジュース入れるくらい深まらないです!」
無垢妹「さっきから文句ばっかりだなあ」
たかし「あ、ご、ごめん・・・・・・」
男「ちなみに妹たちに通行人やらせたら、いつの間にか通行人バトルロワイヤルが始まるんだよな」
無垢妹「その横で離婚調停を結ぶ妻と旦那だよ」
たかし「これって何がゴールなんですか?」
男「離婚後、やっぱりあの人じゃなきゃダメって思って旦那に会いに行って海の見える町で再婚するまでだ」
無垢妹「でもその思うまでに夜のお仕事するんだよ」
男「その夜のお仕事が1時間でも演じきれないほど長くてなー」
たかし「1時間以上するおままごとなんて初めて聞きましたよ」
男「その気になれば5時間出来るな?」
無垢妹「うん!あの時は大変だったね!」
たかし「あ、したんだ・・・・・・」
無垢妹「でも今日は1時間しかないから縮小版で夜のお仕事編は30分でいい!」
男「1時間しかない?」
無垢妹「あ・・・・・・!!」
物陰
ツン妹「あ、バカ!やっちゃった!」
大人妹「え?とうとう合体ですか?」
敬語妹「違いますよ。ってなに呑気にトランプしてるんですか・・・・・・」
ボー妹「あ、それダウト!」
大人妹「ふふふ。甘いですわ。ババを生贄にキングを召喚です!!」
ボー妹「ああ!革命起こっちゃったよ・・・・・・」
ツン妹「ルールが分からない!?」
敬語妹「あ・・・・・・無垢妹ちゃんがオドオドし始めちゃいましたよ」
大人妹「しょうがないです。助け舟を出してあげましょうか」
ボー妹「どうすんの?」
大人妹「少し脳にハッキングを掛けましょうか」
ツン妹「さっき私にしたでしょそれ!!」
敬語妹「それ以前になぜその様な事が出来るか疑問に思うのは私だけでしょうか・・・・・・」
男「アイスはお腹を冷やさない2時か、お風呂上りって決めてるだろ?今は3時じゃないか」
無垢妹「あ、う、え・・・・・・」
大人妹『無垢妹聞きなさい。今からたかしくんを押し倒して馬乗りになりなさい!』
無垢妹「わ、わかった!!」
ドンッ
たかし「ほわっ!?」
ドテーン
無垢妹「ご、ごめんね?」ノリッ
男・たかし「!!??」
たかし「こここここここれはどういう了見で!?」
男「・・・・・・また野外露出とはマニアックな・・・・・・ゴクッ」
物陰
ボー妹「無垢妹がたかしくんを押し倒した!?」
敬語妹「ああああなた何を命令したんですか!?」
ツン妹「なんであの子テレパシーが伝わった事に疑問を感じてないの!?」
大人妹「あとは照れた顔で、いいよ?って言いなさい」
ツン妹「最悪の命令だった!!」
無垢妹「・・・・・・いいよ?」
たかし「オッケエエエエエエエ!!!俺時代来たフォオオオオオオ!!」
男「たかしてめえコラアアアアアア!!」
たかし「向こうが誘ってきたんだ!!据え膳食わぬは男の恥!!お義兄さん、これから義弟としてかわいがってくださいね!!」
男「たかしそこ代われーーーーーー!!妹たちの初めてもらうのは俺だああああああああ!!」
ギャーギャー
物陰
ツン妹「とりあえず兄ならぬ発言をしているバカ兄貴あとで説教ね」
大人妹「あら?そう言いながら嬉しいのではないのですか?」
敬語妹「///」モジモジ
ボー妹「///」モジモジ
ツン妹「みんな・・・・・・近親相姦って言葉知ってる?」
大人妹「私には当てはまりませんわ!!」ドヤッ
ツン妹「お前は一回黙ってろ」
無垢妹「お兄ちゃん・たかしくん戦争が始まって早40分。一向に決着はつきそうに無かったのでした」
男「じゃんけんぽん!!」パー
たかし「ぽん!!」グー
男「シャアアアアア!!」
たかし「くそぉぉぉぉぉ!!」
男「これで568勝567敗だ」
たかし「ま、まだだ!まだ終わらないっ!」
無垢妹「お兄ちゃーん」
男「次は俺はチョキを出す!」
たかし「な、心理戦だと・・・・・・!?」
無垢妹「お兄ちゃーーん」
男「小学生ごときの脳で俺の心理を読めるかな」
たかし「じゃあ俺はグーを出します」
男「き、貴様・・・・・・卑怯な!!」
男「ええいうるさい!あとでちゃんともらってやるから静かにしてろ!!」
無垢妹「そんなっ・・・・・・」
たかし「いきますよー。じゃんけーん・・・・・・」
無垢妹「うぐっ・・・・・・うわーん!!」
男「!!ど、どうした無垢妹!!」
無垢妹「どうしたじゃないよお兄ちゃん!!なんで40分も構ってくれないの!?そんなことされたら・・・・・・さびしいよぉ」
男「ごごごごごめん!・・・・・・なんかその発言エロいな」ハァハァ
たかし「あー泣ーかせーた泣かせーたー」
無垢妹「たかしくんもたかしくんだよ!!たかしくんなんて大嫌いっ!!」
たかし「エロく無い上に残酷だー!!」ガビーン
男「帰れっ!!」
無垢妹「もう知らない!!」ダッ
たかし「ああ!!」
男「違うんだ!お前に言ったんじゃないんだーーーー!!」
たかし「お、お義兄さん、探しましょう!」
男「わかった!お前はあっちな!」
たかし「はい!」
物陰
敬語妹「無垢妹どこかへ行っちゃいましたよ!?」
大人妹「・・・・・・計算通りね」
ツン妹「絶対違うでしょ!ああもう!私たちも探すわよ!!」
ボー妹「待って!」
ツン妹「何よ?」
ボー妹「無垢妹ならあそこにいるよ?」
敬語妹「どこですか?」
ボー妹「ほら隅っこのブランコ」
ツン妹「校門出てもっかい入ってきたの!?」
敬語妹「なぜわざわざブランコなんかに」
大人妹「寂しいこと=ブランコを漕ぐ。ドラマの影響ですわね」
ツン妹「それ実行しちゃうんだ・・・・・・」
ボー妹「あ、兄ちゃんが気付いたよ」
敬語妹「たかしくんは校門の外に出て行ってしまいましたよ・・・・・・」
ボー妹「にしても無垢妹、どす黒いオーラ背負ってるね」
大人妹「純粋無垢なので、様々な感情や言動などに影響されやすいのですよ。良くも悪くも」
ツン妹「だからあなたに影響されてゴムなんて連呼する子になっちゃったのよ」
敬語妹「うちは子供の育つ環境としては最悪ですもんね。兄さんとかあなたとか」
男「無垢妹・・・・・・」
無垢妹「・・・・・・」
男「すまなかった。正直遊びが過ぎてたよ」
無垢妹「バカお兄ちゃん・・・・・・」
男「ああ。バカなお兄ちゃんだよ俺は」
無垢妹「せっかく遊べるって思ったのに」
男「・・・・・・隣、いいか?」
無垢妹「ダメ」
男「そいつは困った。じゃあお兄ちゃんはどこでお前と話せばいい?」
無垢妹「ん・・・・・・」
男「私を膝に乗せろってか。いいよ。俺が悪かったんだ。気が済むまでそうしてやるから元気出せよ?」
無垢妹「うん・・・・・・」
男「よっこらせっと。ほら、おいで」
無垢妹「おじゃまします」
男「ぎゅってしてやろうか?」
無垢妹「うん」
無垢妹「悪ノリで40分もじゃんけんしないよ」
男「ははは。全くその通りだ。・・・・・・でもさ、たかしくんがお前を好きだって言ってたからさ」
無垢妹「え?たかしくんわたしのこと好きなの?」
男「気付いてなかったのかよ・・・・・・」
無垢妹「だってただの友だちだって思ってた」
男「その言葉、絶対たかしくんの前で言うなよ?」
無垢妹「うん分かった」
男「それでさ、お前をたかしくんなんかに奪われたら嫌だなって思ったんだよ」
無垢妹「わたしもお兄ちゃんを誰かに奪われたら嫌だよ」
男「でもお兄ちゃんは大人妹に奪われちゃったぞ?」
無垢妹「大人お姉ちゃんは家族だからいいもん」
男「・・・・・・無垢妹は妹たちのこと好きか?」
無垢妹「好きだよ!」
男「じゃあお兄ちゃんのことは?」
無垢妹「大好きだよ!」
無垢妹「なんか、むつかしい・・・・・・」
男「そうだろ?無垢妹は純粋だからまだ色んな気持ちを知らないんだ。嬉しい、悲しい、楽しい、寂しい。人の感情ってのはそのくらいじゃない。もっともっと無限大なんだ」
無垢妹「宇宙より広い?」
男「ああ。宇宙なんか豆粒くらい小さくなっちまう」
無垢妹「鬼は外、福は内だね」
男「ああ。だからさ、もっと大人になっていろんな事知って、いっぱい笑っていっぱい泣いて、それから好きっていう感情を探せばいい」
男「焦る必要は無い。俺は無垢妹が誰を好きになろうと、お前を信じてるから」
無垢妹「お兄ちゃんを好きになったら?」
男「そん時は大人妹とじゃんけんでもしてくれ」
無垢妹「40分くらいで決着がつくかな?」
男「40分でも40時間でも40日でも構わないさ。だからそれまでは俺をお兄ちゃんとして好きでいてくれ」
無垢妹「わかった」
無垢妹「たかしくんはお馬さんなの?」
男「もしお前がお馬さんのたかしくんを好きになったらムチでもふるってやれ。喜ぶぞあいつ」
無垢妹「たかしくんは変態さんだったのかー」
男「あ、そいうことは変態って認識できるんだね・・・・・・」
無垢妹「ねえお兄ちゃん」
男「ん?どした?」
無垢妹「まだまだ好きって気持ちは分からないけど、好きって気持ちの練習していい?」
男「どうやって?」
無垢妹「こうやって」
チュッ
男「」ポカーン
無垢妹「ごちそうさまでした」ペコリ
物陰
ツン妹「にゃああああああああ!!いいいい今あの子、ちゅちゅちゅチューした!?」
敬語妹「し、しかもツン妹ちゃんのようなでこちゅーじゃなくて・・・・・・」
ボー妹「マ、マウスツーマウス」///
大人妹「くっ、やりますわね無垢妹・・・・・・!!」
男「こ、こちらこそごちそうさまでした・・・・・・?え、え?」
無垢妹「ファーストキスだよ。ちょっと好きって気持ちがわかったかも」
男「そ、それはよかった・・・・・・」
無垢妹「それじゃあ行くね。たかしくんも探さないといけないし」
男「お、おう。たかしくんによろしくな」
無垢妹「また遊ぼうねお兄ちゃん!」ダッ
男「気をつけろよー!」
男「・・・・・・俺のセカンドキスは無垢妹かぁ。犯罪になりませんようにっと」
4:00 駅前
男「ゲッダン☆うーそもゆーめもいーまはどおでーもいいー」
男「ふたりーでいっしょにすーごすウィンターラーン」
男「やさしいキスをしーて・・・・・・ああっ!!」
男「ほしにーねがいかけー・・・・・・たらこうなったよ!!」
男「かこをーーーーーーーー」
男「わーすーれーーー」
男「られないよおおおおおおおおお!!」
物陰
ツン妹「さっきからあの歌ばっかり・・・・・・キスの歌詞のところでもだえるのは分かるけど、星に願いかけてでなんで暴れだすの?」
大人妹「ギクッ。そ、それはきっとお兄様はお星様が好きなんでしょう」
敬語妹「何が、ギクッ、ですか。あからさまに秘密ありますよアピールやめてください」
ツン妹「秘密あるの?」
大人妹「無いですよ。ゴッドオブロマンスなんて」
敬語妹「あなた、ちょいちょいネタを挟みますよね?あなたの趣味ですか?」
大人妹「いいえ。作者の趣味です」
ツン妹「作、者?」
大人妹「あ、ボー妹が動き出しましたよ!」
男「うわあああああ!!お星様があああああ!!」
ボー妹「ええっ!?」
男「なんだボー妹じゃないか」
ボー妹「だ、大丈夫兄ちゃん?どこか病気なの?頭とか心とか」
男「俺は通常運転だ」
ボー妹「それを聞いて安心した反面、すっごく不安になったよ」
男「ところで今日はよく妹たちに会うな」
ボー妹「ギクッ」
男「まあ遊ぶところといえば駅前か学校のグラウンドくらいだもんな」
ボー妹「そ、そうだね。(バレてないよね?)」
男「お前は何してたんだ?」
ボー妹「買い物だよ。この時間だけど服が欲しいなーって」
男「そうだったのか。ヒマだし付き合おうか?」
ボー妹「お。デートのお誘いですか?」
男「そうですぞ。マドモアゼル」
ボー妹「じゃあエスコート頼みますわ」
男「ウィ」
男「デートすっぽかされたからな、帰ったら仕返ししないと」
ボー妹「ボクも手伝うよ!」
物陰
敬語妹「ですって」
ツン妹「これで少しは懲りるわね」
大人妹「なるほど。仕返しに私をベッドに押し倒してそうとうマニアックなプレイをすると見ました。心の準備が必要ですね」ハァハァ
敬語妹「あなたもどこか病気ですね。頭とか心とか」
男「とりあえず喫茶店でお茶しないか?小学校からここまで歩いてきて喉渇いた」
ボー妹「もちろん兄ちゃんのおごりでしょ?」
男「今日くらいは全部持ってやるよ。服代も全部」
ボー妹「本当!?ヤッター!」
男「そこでいいか?」
ボー妹「オッケー」
カランカラン
サン「いらっしゃい」
男「」ドテーン
ボー妹「に、兄ちゃん!?」
男「おおおお前なんでここにいるんだ!?母国は自由の国だろ!?」
サン「そうだが、監査員としてこちらにいなければいけないだろう?」
男「あ、ああこいつは・・・・・・なんて説明すればいい?」
サン「君の両親の知り合いだよ。ついこの間この男くんと友人になったんだ」
男「友人になった覚えは無いが・・・・・・」
サン「まあ座りたまえ。注文が決まったらベルを鳴らすといい」
男「だってよ。ほら座りな」
ボー妹「うん」
男「俺はアイスコーヒーだな」
ボー妹「ねえ、すっごくイケメンだねあの人」
男「へーへー。俺はどうせブサメンですよー」
ボー妹「む。そうは言って無いじゃん。むしろ、に、兄ちゃんの方がかっこいいというか・・・・・・ごにょごにょ」
男「え?なに?聞こえない」
ボー妹「こ、このフルーツパフェにするって言ってんの!」
男「そんな怒らなくても」
ボー妹「怒ってないし」
ボー妹「コーヒーは苦くて飲めな・・・・・・ってかけるって何?パフェに?」
男「お前に」
ボー妹「そんなことしたらコーヒー臭くなっちゃうじゃん!?」
男「コーヒーはいい匂いじゃないか。俺が舐め回せるし、おっさんも寄って来そうだな」
ボー妹「嬉しくないフェロモン!?」
男「あ、注文頼むー」チリンチリン
ボー妹「相変わらずマイペースだなあ」
<アイスコーヒーにフルーツパフェだね
男「お前、厨房で俺らの話聞いてただろ?」
<監査員だからねー
男「プライベートに突っ込むなよ」
<可能な限りそうするよ
男「ストーカーだけどな」
ボー妹「そうなの?」
男「ああ。俺らの・・・・・・いやあいつの場合は妹たちのストーカーか。注意しとけよ?」
ボー妹「わかった」
サン「お待たせ。アイスコーヒーとフルーツパフェだよ」
男「サンキュー」
ボー妹「ありがとうございます」
男「それうまそうだな」
サン「腕によりをかけたからね」
男「お前は引っ込んでろ」
サン「そうすることとしよう」
男「おう。スプーン貸してくれ」
ボー妹「おっと、今はデート中だよ?」
男「ん?・・・・・・ああ。なるほど」
ボー妹「ふふ。はい、あーん」
男「あー」パクッ
男「んまい」
ボー妹「(これを舐めれば、か、間接キス・・・・・・!!だ、大丈夫。兄妹だから。兄妹だから・・・・・・)」スーハースーハー
男「スプーン見つめてどうした?スプーン曲げでもするのか?」
ボー妹「ええい南無三!!」パクッ
男「ははは。スプーンだけを食べるなんて、ボー妹は変わってるなー」
ボー妹「ボクは、最悪だ・・・・・・」
ブティック
男「こういう店に入るのは初めてだなー」
ボー妹「普段兄ちゃんはどこで服買ってるの?」
男「ユ○クロ」
ボー妹「庶民の味方だね」
男「俺らは形だけは庶民だからな」
ボー妹「たくさん服買っちゃうかもけど、イイ?」
男「まあ親父も使えって言ってたし、オッケーだ」
ボー妹「おごりって言ったけど、親のお金だもんね」
男「う、兄としての面目だけは立たせてくれ」
ボー妹「そういうことにしておいてあげるよ」
男「ありがてえ」
ボー妹「おお!この服カッコいい!」
男「そいうやボー妹って、ボーイッシュな服ばっかり着てるよな。たまにはフリルとか付いてるの着てみたら?」
ボー妹「いや、似合う気がしないからよしとくよ」
男「そうか?絶対似合うと思うんだけどな」
ボー妹「そ、そうかな・・・・・・?」
男「ああ。俺が保証するよ」
男「こう、ミニスカートやらニーハイソックスやらをこいつに着せてくれませんか?」
ボー妹「あれ?兄ちゃんの趣味に変わった」
店員「了解しました。・・・・・・ご兄妹ですか?仲いいんですね!」
男「ああ。今デートしてるくらい仲いいんだ」
店員「あ、え?そ、そうですか。複雑なんですね」
ボー妹「ちょ!変な誤解生むような発言しないでよ!」
男「なんだよ。デートしようって言ったのはお前からじゃないか」
ボー妹「ボクからじゃないよ!兄ちゃんがヒマだから(買い物に)付き合ってやるって言ったんじゃん」
店員「(ヒマだったらお付き合いしちゃうの!?)」カチャカチャ
男「あれ?そうだったっけ?てっきりお前から(買い物に)誘ってきたと思ってたんだが」
ボー妹「兄ちゃんを(買い物に)誘うのは(部活が無いから)誘っても大丈夫な日だけだよ」
男「(他の部活が体育館を使うから練習が)デキない日はだいたい土曜日だっけか?」
店員「(ええ!?曜日によってデキる、デキないとかがあるの!?)」
ボー妹「最近(練習が)キツイよー。兄ちゃんが構って(遊んで)くれなきゃ(ストレスが)溜まっちゃってさー」
男「たまには(毒素を)出すのも必要だな」
店員「ああああの!こ、コーディネートが整いました!い、妹さんは試着室にドウゾ!!」ササッ
ボー妹「??行って来るね?」
男「ん、あ、ああ。何だったんだ?」
物陰
敬語妹「どうして店員さんはあんなに慌ててるんでしょうか?」
ツン妹「さあ?」
大人妹「いたって普通の会話に聞こえたあなたは大丈夫。だけどそうでなかったあなたは人生やり直しなさい」
ツン妹「何言ってるの?」
敬語妹「よく分かりませんが、あなたはやり直すほうだと思います」
店員「こちらになります」
シャッ
男「おお!」
ボー妹「こ、これめっちゃ恥ずかしい・・・・・・」
男「何言ってんだ。素晴らしいぞ!健康的にのびた足を覆い隠さんとする縞々のニーハイ、そして待望したかのようにフリルのミニスカートとニーハイの間に見える太もも!」
男「完璧だ・・・・・・!!」
ボー妹「兄ちゃんのそれってフェティシズムって言うんでしょ?」
男「そうフェチだ!」
店員「(そんな堂々と言うことでは・・・・・・)」
男「これ買いで。このまま着ていくので包まなくていいです」
店員「あ、はい。2万4000円になります」
男「カードで」
男「いやこれモンスターカードだし」
ボー妹「なぜ出したっ!?使えないことは目に見えてるじゃん!!」
男「レアカードだし」
ボー妹「そういう問題じゃないから!!」
男「もしかしたら使えるかもしれないだろ!!」
ボー妹「仮にそのくらい価値があるにしても、物々交換できるわけ無いから!!」
男「カードで支払うってカッコいいからイイだろ!!」
ボー妹「カード違いだよっ!!」
ギャーギャー
店員「(いつまでこのコント見てればいいのかなぁ・・・・・・)」
物陰
ツン妹「どこに仕込んでたんだろ、あのカード」
敬語妹「兄さん多趣味ですからね」
大人妹「お兄様が好きなカードは『水の踊り子』ですよ」
店員「ありがとーございましたー」
男「結局キャッシュか」
ボー妹「なんでキャッシュ<カードみたくなってんの?」
男「それ気に入ったか?」
ボー妹「ま、まあ兄ちゃんが好きなコーディネートならそれで、いい」
男「ん?俺が好きなコーディネートは全裸だが?」
ボー妹「じゃあ自分がそのコーディネートすればいいと思うよ?」
男「しゃあねえ。やってやらぁ!!」脱ぎッ
ボー妹「やめてええええええええええ!!!」
男「さて、これからどうする?町の男共にお前のそのかわいい服を見せびらかすか?」
ボー妹「うーん・・・・・・でもあと15分だし」
男「15分?」
ボー妹「あ、違う違う!今のなし!」
男「・・・・・・なーんか怪しいな」
ボー妹「ほ、ほら!あそこにソフトクリームがあるよ!ソフトクリームが食べたいなあ!!」
男「パフェといいソフトクリームといい・・・・・・太るぞ?」
ボー妹「ボクは太らない体質だからいいの!」
男「ははは。他の妹たちに聞かせてやりたいな」
物陰
ツン妹「兄貴、あとで、コロス」
敬語妹「くっ・・・・・・」
大人妹「あらあら、うふふ」ニコニコ
敬語妹「何笑ってるんですか。陰でひどいこと言われたんですよ?」
大人妹「私も太らない体しt・・・・・・あ、食べたものは全部こちらに回りますので」むにっ
大人妹「やれやれ、重いですわ」よっこらせ
ツン妹「あ・・・・・・あんたも死ねえええええええええええええええ!!!」
敬語妹「ツン妹ちゃん!今は抑えてください!」
大人妹「どうしたのですか?もしかしてあなた方は食べたものがこちらに回らず・・・・・・おなかの方に?」クスクス
敬語妹「血の雨です!血の雨を降らせてやりますっ!!」
男「ほれ」
ボー妹「ありがとう」
ペロペロ
男「あー、違う」
ボー妹「?何が?」
男「ソフトクリームはな、もっとこう、扇情的に食うんだよ」
ボー妹「センジョウテキ?」
男「兄ちゃんの言うとおりに舐めるんだぞ」
ボー妹「うん」
男「まず、下の方から舌先を使って少し舐める」
ボー妹「こう?」チロチロ
男「そう。それから、下を半分くらい出してあごを使って舌を上げる」
ボー妹「ん・・・・・・」ペロ
男「いいぞ!そしてソフトクリームを少しずつ回しつつ、這うように舐める!」
ボー妹「んちゅ・・・・・・」レロレロ
男「口や顔の周りにソフトクリームをつけるように心がけろ!」
ボー妹「ふぁ。こんなに汚れちゃった・・・・・・」
男「ナイス扇情的!!」
ボー妹「まあやらせようとした事はわかったけどね・・・・・・」
<女子中○生の舌使い・・・・・・!!ハァハァ
<トイレ行くお
<【速報】JCがショッピングモールでフ○ラ
男「ちょっと2ch確認してきますね」
ボー妹「オイ待てこの野郎」
男「すまん。ちょっと調子に乗りすぎた」
ボー妹「分かればよろしい」
男「まあでも、普段男っぽくしてるお前だけどさ、こうやって男共を興奮させるほど魅力的なんだよ」
ボー妹「な、あ、う・・・・・・急に変な事、言わないでよ///」
男「俺の発言は常に変なことだ」
ボー妹「自信持っちゃダメだよ」
男「男ってのは、変態でなきゃいけないんだよ」
ボー妹「最悪じゃん」
男「いやいや。真面目な意見。結局は変態だから、最終的な行為に導くためにカッコつけるんだよ男は」
ボー妹「最終的な行為?」
男「そりゃあセッ・・・・・・」
キーーーーン
男「付き合うとかキスとかだな」
男「?あれ?」
物陰
大人妹「ふう。危ないところだったわ」
敬語妹「何したんです?」
大人妹「脳内ハッキング」
ボー妹「キス、ね・・・・・・」
男「お前も大人になれば分かるよ」
ボー妹「自分が大人みたいな言い方だね」
男「いやだって・・・・・・アレは大人妹と無垢妹からだし」ボソッ
ボー妹「その話詳しくっ!!」
男「ムリーーー!!」
ボー妹「お願い!」
男「却下!」
ボー妹「むぅ・・・・・・」
男「素直にこの話忘れろ」
ボー妹「・・・・・・わかった。それじゃあその話を上書きしてからね」
男「上書き?」
ボー妹「えいっ!ソフトクリーム攻撃!」
ベチャ
男「うお!?甘いクリームが目と口に!?」
チュ
ボー妹「どったの?」
男「・・・・・・今なんか唇が・・・・・・いや何でもない」
ボー妹「ふふ。変な兄ちゃん」
男「うわー。顔が大惨事だよ。ちょっと顔洗ってくるな」テクテク
ボー妹「うん。待ってるね。兄ちゃん!」
ボー妹「・・・・・・今日はありがとう」
5:00
大人妹「頭の良い作戦に出ましたわね」
ツン妹「ーーーーー///」
敬語妹「なるほど。顔を覆ってからキスすればいいんですね」
ボー妹「き、緊張したーー!!」
大人妹「さて、時間となってしまいましたが」
ボー妹「待ってるって言っちゃったけど、どうしよう?」
ツン妹「もう割り切って、待ってたのが敬語姉さんでしたーってことにすれば?」
大人妹「それ採用で」
敬語妹「いくら兄さんだからってそれは通じないでしょう・・・・・・」
大人妹「では、いい案があります。敬語妹がここのベンチでお兄様が来るまで寝たふりをしてください」
敬語妹「寝たふり?そんな意味の無いことを・・・・・・」
大人妹「なるようになりますよ。さ、お兄様がそろそろ帰ってきますわ」
男「間違いなくアレは、キスだった」
男「妹が好きすぎて幻想起こしてんのか俺?」
男「ダメな兄貴だな。妹たちのファーストキスを奪っていく兄貴なんて聞いたことねーよ」
男「おい愚息、元気になるんじゃねえ」
男「さ、兄ちゃんが帰ってきたぞー・・・・・・?」
敬語妹「スヤスヤ」寝たふり
男「変だな・・・・・・俺が顔洗ってから戻ってくると、そこにはさっきまでいたボー妹ではなく、敬語妹がそこにいて寝ていた」
男「ああ。これはアレだな」
男「いただきまーす」
あむっ
男「うおっ!?なんだ急に!?」
敬語妹「なんだはこっちの台詞です!急に手を食べないでください!!」
男「ハンドソープの味がした。きれい好きだもんなお前。おいしかったよ」
敬語妹「ま、まあきれいな方が好きですから・・・・・・って話脱線してますけど」
男「そうそう!ボー妹はどうした?」
敬語妹「ボー妹なら服を先輩に見せに行くとかでそそくさと帰ってしまいましたが」
男「本日2度目のすっぽかされktkr」
敬語妹「可哀想に」
男「ということで、お前!俺とデートの続きだ!」
敬語妹「ええっ!?私がですか!?」
男「あー、もう5時だ!急ぐぞ!」
物陰
ツン妹「すごいわね。さすが兄貴ってところかしら?」
ボー妹「ボクがすっぽかしたって言い訳で通じたのはいいけど、どうしてそこに敬語姉ぇがいることに疑問が湧かないのかな」
ツン妹「?あなたどこに行こうとしてるの?」
大人妹「ちょっと薬局にイチゴ味のハンドソープを買いに」
ツン妹「ねーよそんなもん」
敬語妹「ゲ、ゲームセンターですか?」
男「ああ。ボー妹のな、太も・・・・・・かわいい服を撮ってやろうと思ったんだが、プリクラ機の中でイチャコラ、あいつ帰っちゃったからさー」
敬語妹「ところどころ心の声が聞こえたのは気のせいでしょうか・・・・・・」
男「どうせお前は真面目だからこんなところ来たこと無いだろ?」
敬語妹「え、ええ。友達に誘われてもちょっと入り難い印象があったので」
男「楽しいぞ?」
敬語妹「そうであれば幸いです」
男「じゃ、まずは太鼓ゲームだな」
敬語妹「プリクラではないのですか?」
男「そういうのは最後だよ」
敬語妹「では兄さんに任せます」
男「よし。任された」
太鼓ゲーム
敬語妹「ふえぇ。こんな速すぎる譜面読めませんよぉ!」
男「やっぱり青鬼はムリか。じゃあ赤鬼だな」
敬語妹「今度は譜の量が2倍に!?」
男「そんな難しいか?」
敬語妹「兄さん手伝ってくださいよ!」
男「しかたねーなー」掴みっ
敬語妹「・・・・・・え、と。なぜ私の後ろから?」
男「手伝ってって言うからだろ。こうしたら2人で出来るじゃねーか」
敬語妹「そ、そうですね」///
ドンドンカッドンドンカッドンドンカカカッ
男「ほれフルコン」
敬語妹「すごい・・・・・・!さすが兄さんです!」
男「えっへん!」
敬語妹「と、言いたいところですが、このレベルに達するまでどれだけの時間とお金をかけたんでしょーね?うふふ」
男「あ、あはははは。次はUFOキャッチャーでもするか」
敬語妹「」ジトー
UFOキャッチャー
敬語妹「こ、このぬいぐるみ・・・・・・すごくかわいいです!!」
男「自分でチャレンジしてみるか?」
敬語妹「はい!」
男「操作方法は、わかるな?」
敬語妹「馬鹿にしないでください。それくらい分かりますよ!」
男「じゃあまず100円もってオロオロしないようにしような」
敬語妹「こ、ここに入れるんでしょう!?」
チャリーン
男「それ隣のやつ」
敬語妹「えっ!?」
隣の人「えっ!?」
男「あ、その100円使ってもいいんで」
隣の人「は、はあ。どうも」
敬語妹「見て学ぶと書いて見学ですもんね!」
男「あ、ああお前、真面目だな本当に」
敬語妹「」ジー
隣の人「(や、やりづれぇ・・・・・・)」
<ウィーン、ガシッ
敬語妹「おおっ!!」
<スィー
敬語妹「おおおっ!!」
<ポトッ
敬語妹「おおおおっ!!」
隣の人「(なんか、すっげーかわいいなこの子)」
男「わかったか?」
敬語妹「はい!バッチリです!楽勝です!」
男「そうか。じゃあやってみるんだな。このマシンにハマるなよー」
敬語妹「ふふ。すぐにこのぬいぐるみを取ってやりますよー!!」
30分後
男「なー、もういいだろ?」
敬語妹「あ、あと1回!あと1回です!」
男「さっきもそう言って、結局位置戻っただけじゃん」
敬語妹「次はなりませんから!」
<ペイッ
敬語妹「ああっ!!」
男「ほら」
敬語妹「し、仕方ありません」
男「ようやく分かってくれたか」
敬語妹「この1万円を割ってきますね」
男「ストーーーーーーーップ!!」
敬語妹「何ですか!?兄さんどいてくださいこれ割れません!」
男「お兄ちゃんどいてそいつcoroせないみたいな台詞言わないで!?」
敬語妹「それは、小銭が切れるまであと1回という意味です」
男「そんな隠れ言葉読み取れるかっ!!」
敬語妹「あのぬいぐるみが私を待ってるんですー!!」ダッ
男「このっ!!」ガシィ
敬語妹「ぐぬぬ・・・・・・」
男「おま、意外に力強い・・・・・・!」
敬語妹「お願いします!これで取れるんです!」
男「くそぉ何言っても通じねえ。・・・・・・こうなったら最終手段だ」
敬語妹「あ、あと5センチ・・・・・・!!」
男「南無三!」
もみっ
男「あれ?掴んだ感触がイマイチなかった・・・・・・」
敬語妹「きゃ、きゃあああああああああ!!?」
バッシーーン
男「どぅふ!!」
敬語妹「なななななんて事するんですか!?」
男「こ、これで正気に、も、戻った、だろ・・・・・・」ガクッ
敬語妹「に、兄さーん!!」
男「う、パ、パンツを見せてくれれば・・・・・・生き返る」
敬語妹「いい加減にしてください」パシッ
男「おうふ!」
敬語妹「人の胸揉んでおいて、さらにパンツまで要求するとは何て人間ですか!!」
男「UFOキャッチャーにムキになってウン万円も使うなんて何て人間ですか!!」
男「ま、これはそういうモンだよ。負けず嫌いな奴ほどハマってしまう。お前みたいな、な」
敬語妹「すみません。まさに泥沼でした・・・・・・」ショボーン
男「・・・・・・はあ。しゃーねーな」
敬語妹「?どうするんですか?」
男「ちょっと待ってろ」
<チャリーン
<ウィーン、ガシッ
<ポトッ
男「ほれ」
敬語妹「あ、すごい・・・・・・」
敬語妹「あ、ありがとうございます」
敬語妹「」ジー
敬語妹「ふふ。かわいいです」ギュー
男「(お前の方がかわいいです)」
敬語妹「そこのベンチで休みましょう。長く兄さんを付き合わせてしまったので」
男「そうだな。足がパンパンだ」
敬語妹「兄さんは座っててください。私が飲み物買ってきます」
男「そうか?悪いな」
物陰
ボー妹「きゃー!このぬいぐるみ可愛いです!取ってください兄さん!的な展開を予想してたんですが」
ツン妹「ハズレだったわね。私は敬語姉さんがUFOキャッチャーにハマることは予想してたけど」
大人妹「ああ!また落ちてしまいました!」
ボー妹「さっきから乳姉ぇは何を取ってんの?」
大人妹「何に見えますか?」
ボー妹「・・・・・・マッサージ器?」
大人妹「うふふ。健全でよろしいですわ」
敬語妹「はぁ。兄さんにみっともないところ見せてしまいました・・・・・・」
敬語妹「しかも30分無駄に消費してしまいましたし・・・・・・」
敬語妹「でも・・・・・・ふふ。兄さんからのプレゼントです」
よしゆき「ヘイ彼女!」
敬語妹「自分の彼女の事を、ヘイ彼女、なんて呼ぶ人がいるんですねー」
よしゆき「おい、シカトすんなよ彼女」
敬語妹「え?私ですか?」
よしゆき「そう、君だよ君。かわいいねー」
りょうた「君どこ高?」
やすひろ「髪さらっさらだねー」
敬語妹「ナ、ナンパですか?」
よしゆき「いやいやナンパじゃないよ。ただヒマなら一緒に遊ばないってだけ」
敬語妹「それをナンパというのでは・・・・・・」
りょうた「こまけぇこたぁいいんだよ」
敬語妹「すみません。折角ですが兄さんを待たせてるんで」
よしゆき「兄だろ?別に彼氏じゃないならいいじゃん」
敬語妹「そういうわけにもいきませんよ」
やすひろ「いいじゃねーか。この年で兄貴と一緒に外出するより、他の男と遊んだ方がいいだろ?」
敬語妹「む。兄さんと外出したっていいじゃないですか。それに私はまだ中学生です」
やすひろ「うっひょー!中学生!」
よしゆき「しかもブラコン!」
りょうた「俺らがブラコン治してやるよ。不甲斐ない兄貴より俺らの方がいいってこと教えてやるからよ」
敬語妹「に、兄さんを悪く言わないでください!」
りょうた「あん?誰だてめえ」
男「何でノートデスに名前書かれて死なないんだよ渋井丸卓男」
りょうた「いや俺りょうただし」
敬語妹「兄さん!」
やすひろ「お!兄貴登場じゃん!」
りょうた「めんどくせーな。よしゆき、こいつ片付けてくんね?」
よしゆき「」ガタガタガタガタ
りょうた「よしゆき?」
男「よしゆき?よしゆきくんじゃないか!」
よしゆき「いやーーーーー!!近寄るな悪魔ーーーーー!!」
やすひろ「どうしたよっしー!?柔道で敵無しのよっしーがなんでビビッてんの?」
男「やあ!中学校から別々だったもんね!」
よしゆき「に、逃げるぞ2人とも!」
りょうた「はあ?なに言ってんだよ。こいつらボコるぞ」
よしゆき「と、とにかくこいつはヤバいんだって!」
りょうた「何がどうヤバいんだよ。ヒョロっちーだろ」
よしゆき「言えないけど、とにかくヤバいんだよ!なあ、早く逃げようって!」
男「敬語妹、お前もよしゆきくんと友達?」
敬語妹「い、いえ。この人たちがナンパしてきたので・・・・・・」
男「まあそれくらいお前が可愛いって事だよ。よかったな」
敬語妹「///」
りょうた「目の前でイチャイチャしてんじゃねーよ」
よしゆき「お、俺は逃げるからな。じゃ、じゃあな2人とも!」ピュー
やすひろ「あ、待てよよっしー!」ダッ
男「・・・・・・どうだ?逃げるなら今のうちだぞ卓男」
りょうた「誰が逃げるかっつーの。ていうか俺は卓男じゃないつってんだろ」
男「じゃあ妹をどうする気だ?」
りょうた「どうすると思う?」
男「いただきますする気だろ?」
りょうた「あ?あ、ああ幼稚な言い方だが、その通りだ」
敬語妹「ちょ、兄さん!?」
男「妹たちの初めては俺がもらうって決めてんだよ」
りょうた「ふはっ!コイツは筋金入りのシスコンとブラコンじゃん!キモー!ずっと2人でズッコンバッコンやって・・・・・・」
男「黙れ童貞」
敬語妹「ズシっと来る一言!?」
りょうた「な、なんでてめえがその事を・・・・・・!?って、そうじゃねえ!バカにすんなオラァ!!」
バキッ
男「グハッ・・・・・・」
敬語妹「に、兄さん!大丈夫ですか!?」
男「ふ、ふはは・・・・・・」
りょうた「殴られて感じてるのかよこのマゾが!それとも気でも狂ったか?」
男「いや。殴られたんなら、殴り返しても正当防衛になるなって思って」
りょうた「勝つ気でいんの?ふはっ!俺柔道部なんですけ・・・・・・ど?」
バッキィ
男「なにパンチ力だけで柔道部であること自慢してるんですか?柔道部ってのは柔能く剛を制すっていうんだけど?」
りょうた「わ、わかってるわ!んなこと!」
男「まあ俺は体の動きを無駄なく使う空手のほうだけど」
バキッ
りょうた「グフッ!!・・・・・・て、てめえの細い腕のどこにそんな力があるんだよ!」
男「筋肉の大きさが力じゃなくてさ、体の使い方なんだよ。それを知っとけ」
ドスッ
りょうた「うっ・・・・・・」ガクッ
敬語妹「す、すごい」
男「お前今日そればっかだな」
敬語妹「兄さん、いつこんな力を・・・・・・?」
男「その前に!」
敬語妹「??」
男「トンズラすんぞ!!学校にばれたら大変だ!!」ピュー
敬語妹「あ、ま、待ってください!!」ダッ
男「」ゼーゼー
敬語妹「」ハァハァ
男「結局ゲーセンから出ちまったな」
敬語妹「野次馬が集まってくるよりはマシですよ」
男「いやほら、プリクラ」
敬語妹「あ・・・・・・」
男「すまないな。一緒に撮ろうって言ってたのに」
敬語妹「気にしないでください。絡まれてしまったのは私ですし」
男「・・・・・・ジュースもらっていいか?」
敬語妹「あ、はいどうぞ」
カシュ
男「ごくごく・・・・・・ああうまい!」
男「ひっそり隠れてな。親父に勧められてさ。妹たちを守る力を持て!ってな」
敬語妹「バレちゃいましたね」
男「バレちゃったな」
敬語妹「どれくらい強いんですか?」
男「さてね。強さは競うもんじゃないから。単純に力だけってなら、瓦5枚は余裕かな」
敬語妹「本当にあなたは兄さんですか?」
男「ふははは。バレちゃしょうがないな!私は正義の味方、ヲニー・チャンだ!」
敬語妹「アクションスターみたいですね」
男「ま、バレちまったけど、お前を守れたならそれでいいよ」
敬語妹「ありがとうございます」ニコッ
男「本日3度目の妹の貞操の危機だったからな」
敬語妹「??」
物陰
ツン妹「やだ兄貴カッコいい・・・・・・」
ボー妹「どうしようもない変態なのに空手家なんて・・・・・・そのギャップがたまらない!!」
大人妹「いずれ強く腕を押さえつけて私を蹂躙するための力ですね。ふふふふふ」
無垢妹「お兄ちゃんが日曜日の夜にこっそり抜け出してたのはそれだったんだね」
大人妹「おや。お帰りなさい無垢妹」
ボー妹「日曜日の夜って賢者の日じゃなかったっけ?」
大人妹「き、禁欲してまでも私たちのために・・・・・・!!」
ツン妹「兄貴大好きッ!!」
敬語妹「だいぶ日も暮れてきましたね」
男「わずか一時間のデートだったな」
敬語妹「いいんですか?あの人がいるのに私とデートなんて」
男「ほら不倫は文化っていうだろ?」
敬語妹「そんなこと言ってると、知りませんよ?」
男「まさか陰で大人妹が聞いているわけでもないだろ」ケラケラ
敬語妹「そ、そうですよね。あは、あははは・・・・・・」
物陰
ツン妹「だって」
大人妹「さて、ムチはどこにしまっていたかしら?」
ボー妹「乳姉ぇが鬼の形相だよ!?」
無垢妹「ムチは戸棚の一番下の左端だよ」
男「今日はなぜか妹たちに振り回される1日だったよ」
敬語妹「な、何ででしょうね」
男「そういう日も悪くねえ・・・・・・むしろ大歓迎だ。最近、俺自身が妹たちを避けてた気がするからな」
敬語妹「そんな。兄さんはいつも通りで・・・・・・最近少し大人っぽくなっただけで」
男「何でだと思う?」
敬語妹「あの人と付き合いだしたからですか?」
男「いんや。それ以前の問題だな。・・・・・・ま、俺も1個正しい選択を出来たってことかな」
敬語妹「どういうことなんでしょう・・・・・・?」
男「さて日も落ちてきた頃だし、帰るか」
敬語妹「お夕飯の準備もしなくてはいけませんからね」
男「手伝うぞ」
敬語妹「兄さんはソファに腰掛けていてください。出した料理をおいしいと言ってくれるのが私の楽しみですから」
男「お前が作ってくれる料理なら何でもおいしいさ」
敬語妹「一生俺のために朝、みそ汁を作ってくれってことですか?」
男「それを言いたいが、言ったら殺されちゃうからさ・・・・・・」
物陰
ボー妹「まずはみそ汁を作る練習からだね、乳姉ぇ」
ツン妹「私知ってるわよ。あなたの家庭科の成績!ププッ」
大人妹「お、お黙りなさい!!今から、そう!今からなのです!」
無垢妹「もうキッチンが爆発するところは見たくないな」
男「よろしく頼むよ。でもさ」
敬語妹「はい?」
男「敬語妹が俺のためにみそ汁を作らなくなったからって、俺の妹でなくなったって訳じゃないからな」
敬語妹「そ、それはそうです!私はずっと兄さんの妹です!!」
男「それが聞けて安心したよ」ニッ
敬語妹「・・・・・・!!は、反則ですよ」///
男「んー?何が反則なのかなー?」サワサワ
敬語妹「ふ、太ももを触らないでくださいっ!!・・・・・・腰もダメですぅ!!」
男「ケチケチすんなよー」
敬語妹「お、お夕飯無しにしますよ!!」
男「すみませんでした。どうかお夕飯だけは、お夕飯だけはお許しください!!」ドゲザ
敬語妹「兄さんの土下座って安いんですね・・・・・・」
男「お夕飯を許してくれるまでこうする」
男「本当か!?」
敬語妹「それに体を触ることも許してあげます」
男「本当かっ!?」
敬語妹「ただし!」
男「!!」
敬語妹「1か所だけ・・・・・・ここ、だけです」
男「そこって・・・・・・唇」
敬語妹「に、兄さんの体で私の唇に触れて、だ、大丈夫です!」
男「・・・・・・わかった。お前の決心受け取った。・・・・・・目つぶれ敬語妹」
敬語妹「はい・・・・・・」
男「俺からするのは、初めてなんだよな実は」
チュゥ
物陰
大人妹「お、お兄様のある意味初めてを奪われてしまいましたの」ort
ツン妹「いつもは自己主張の小さい敬語姉さんが・・・・・・積極的に」
ボー妹「きょ、今日の努力賞かも」
無垢妹「兄ちゃんの唇ってちょっと固いよね」
ボー妹「確かに。ちょっとだけ」
大人妹「ふふふ。私はすでにキスは済ませましたもの!合体さえすれば、MVPは私ですわ!」
ツン妹「・・・・・・よく考えれば唇にキスしてないの私だけな気がする」
ボー妹「本日の残念賞はツン姉ぇでしたー」
ツン妹「え、ちょ!うそっ!?」
無垢妹「ツンデレの需要ってだんだん減ってきてるよね?」
敬語妹「すみません。それでは私はここで」
男「本当に家まで一緒に行かなくていいんだな?」
敬語妹「はい。兄さんにはこれからもう1つお仕事がありますので」
男「なんだそりゃ?」
敬語妹「あと3分ほどしたら分かりますよ」
男「そっか。受身っとくわ」
敬語妹「頑張ってください。今日はありがとうございました兄さん。ぬいぐるみ大切にします」
男「ん。気にすんな」
敬語妹「では」テクテク
男「・・・・・・んー。仕事ってなんだろな。・・・・・・この流れからしてあと1人しかいない気がする」
6:00
男「きっとその辺に大人妹が隠れてるんだろうな」
大人妹「隠れるなどしませんわ」
男「うわーーおっ!?いつの間に俺の後ろに!?」
大人妹「あ・・・・・・立ちくらみが」むにゅ
男「ヤメローーー!!意識が、理性が飛んじゃう!!」
大人妹「むしろ大歓迎ですわ!!」ギューギュー
男「身がいくつあっても足りねえええええ!!」
大人妹「は・・・・・・はくちゅん!」
男「・・・・・・」
大人妹「・・・・・・」
男「・・・・・・なんだお前寒いのか?」
大人妹「は、初めてお兄様の前でくしゃみなど・・・・・・は、恥ずかしいですわ!」
男「お前の恥ずかしいの基準が分からない!?」
男「俺の上着貸してやるよ」パサッ
大人妹「そうでないでしょう。こう、お互いの肌で温めあうという」
男「今日の最後がこいつのお守りかよー」
大人妹「こ、恋人に向かってそのような発言は・・・・・・!?というより他の妹たちにはきっとギュッとしたでしょうね今日のお兄様なら」
男「え、べ、別に分け隔てないよ」
大人妹「恋人と妹たちに分け隔てが無いのですか!?この浮気者!!」
男「ああもうどうしろと!!」
大人妹「抱きしめる以上の事をしていただかないと」
男「そ、それは・・・・・・その」
大人妹「はい。休憩にします?宿泊にします?」
男「ああ、父さん母さん。俺は今日いろいろ卒業します」
大人妹「・・・・・・クスッ」
男「何がおかしいんだよぉ」
大人妹「大丈夫ですわ。お兄様の思いは知っています。ですのでその代わり・・・・・・今日の最後に私に付き合ってください」
男「あ、ああ」
物陰
ツン妹「ね、ねえ私帰っていい!?本当にあんなところに行くなら私帰る!」
ボー妹「ボクも無理だよ。こんな時間に」
敬語妹「わ、私はお夕飯の準備がありますので、これでー・・・・・・」
無垢妹「えー。もうみんな帰るの?」
敬語妹「ほら、あとは若い2人に任せて早く帰りましょう!!」
無垢妹「ちぇー!」
ツン妹「あなたならきっとあの場所の住人とも仲良く出来るわよ・・・・・・」
男「こんな時間に墓地!!」
大人妹「さあキモ試しを始めますわ」
男「オイ、季節違う!」
大人妹「冗談ですわ」
男「・・・・・・墓参りねぇ。別の日にでも出来ただろうに」
大人妹「いえ。今日でなくてはいけないのです」
男「?今日はお前の実の両親の命日じゃないだろ?」
大人妹「・・・・・・今日は父と母の誕生日ですわ」
男「・・・・・・そっか」
大人妹「数日前、妹たちが私に、いつお兄様と私が恋仲になったのかと聞いてきました」
男「賢者の日か」
大人妹「流れ星のことは伏せました。妹たちがお兄様に兄妹以上の感情を寄せているのは知っていますよね?」
男「ああ。俺がそう望んだ世界だからな」
男「またなぜ?」
大人妹「私がお兄様を独占するのが心苦しいというものもありますし・・・・・・私もお兄様同様、妹たちを想っていますので。少しでも心の重りが取れればと思いまして」
男「それで俺に次々に刺客を送ってきたと」
大人妹「刺客・・・・・・面白い表現ですわね」
男「面白いか?」
大人妹「ええ。お兄様といると世界が輝いて見えますわ」
男「~~~~~っ!!」///
大人妹「照れているお兄様も可愛いですわ」サワッ
男「こ、こら。顔を触るな・・・・・・ってお前震えてる?」
男「お前、憑かれてないだろうな・・・・・・?」
大人妹「いいえ。そうではなく、亡くなった両親を裏に私がこんなに幸せでいいのかと思うと・・・・・・重圧で押しつぶされそうになるんです」
男「こんの・・・・・・バカヤローーーーー!!!」
大人妹「ええっ!!?」
男「お前はアホか!子供がすくすく育ってるのに嬉しくない親がいるかよ!」
大人妹「しかし!残された者の方が深い悲しみを・・・・・・」
男「だからバカなんだお前は!大人っぽい顔して実はピュアハートの少女ですってか?もうお前に少女って言葉は合わねーよ」
大人妹「な、ななな!?お、お兄様と言って今の発言は許せません!!」
男「お前は親父たちがくれた喜びや幸せを否定すんのか?」
大人妹「違います!決してお父様たちのお心をむげになどは考えて・・・・・・」
男「いいや考えてたね!ついでに義兄と結ばれること、義妹を裏切るかもしれないと言うことを!」
大人妹「考えていません!」
大人妹「そ、それは・・・・・・」
男「流れ星の事が解決したと思ったら、次はお前か」
大人妹「あ、う・・・・・・」
男「だったら、お前を救わなくちゃいけない」
大人妹「え・・・・・・?」
男「お前をバカとアホって言ったけど、間違ってるって言ったか?」
大人妹「バカもアホもニアイコールで間違っているという意味になりそうですが・・・・・・」
男「お前の考えはバカだ。だけど、そう考えるのは悪いことじゃない。確かに後ろめたいもんな」
大人妹「ではどうすれば・・・・・・」
男「お前がちょっと前に考えてたこと当ててやろうか?」
大人妹「は、はい」
男「『手に入れた幸せが、実の両親の幸せと引き換えのようだ。報復があるかもしれない』」
男「『だから、お兄様と共に墓参りして、許しを請おう』」
男「『お兄様と妹たちをデートさせれるのも、妹たちを裏切ったと思われないため』」
男「『そして数日振りに晴れた上にここは流星がよく見える』」
男「『願おう。実の両親がいる世界を』」
大人妹「・・・・・・まったくその通りですわ」
男「だてに兄貴してないぜ」
大人妹「星に願えるのなら」
男「願いが叶うのなら、俺とお前が恋仲である可能性は低いだろうな」
大人妹「そんなことありません!私はずっとお兄様をお慕いしています!」
男「手に入れた幸せが俺との恋仲だ。お前が実の両親って言う幸せを手に入れれば、前者は消えるだろう」
大人妹「しかしお兄様と私は幼馴染であったのですよ?」
男「俺の周りには、妹4人に女さんだっている。お前を選択肢に入れないこと自体も十分ありえる」
大人妹「・・・・・・」
男「お前はあの日、自分で選択したんだ。幸福と不幸をいっぺんに手に入れた世界を。自分の選択にケチつけるんじゃねーよ」
男「両親が恨んでると思えば、喉引っかいてでも許しを請えばいい。報復があるなら全身全霊でそれを受けろ」
男「ただ、自分が行った選択を変えようって事だけはするな。正しくない選択をしたと思うなら、正しい世界に近づくように努力しろ」
男「『自分の力』で」
男「少なくとも俺はそう学んだ」
男「まったく一番の弱虫はお前じゃないか」ギュッ
男「一緒にあの雨の日を乗り越えただろ?」
大人妹「身勝手な私をお許しください・・・・・・!」
男「許すも何も怒ってないよ。妹たちも、親父たちも、そんで・・・・・・実の両親も」
男「お前が生きている、それ自体で俺は嬉しいんだ」
大人妹「ぐすっ・・・・・・しばらくお兄様の胸を借りてもよろしいですか・・・・・・?」
男「好きなだけ借りとけ。ただし、利子付きでいずれ返してもらうぞ?」
大人妹「・・・・・・ふふ。100割り増しでお返ししますわ」
墓前
大人妹「私にとっては、記憶の多い方がお父様とお母様です。ですのでお2人を何と呼べばいいのか分かりません」
大人妹「もし、こんな私でもお2人を父母と呼べるのであれば、そうさせてくださいませ」
大人妹「あの日・・・・・・私は自らの意志でお兄様を選びました」
大人妹「そしてお父さんとお母さんを失いました」
大人妹「もしこれが、正しい選択であれば笑っていただけますか?」
大人妹「実の娘の幸せを笑顔で受け入れてくれますか?」
大人妹「・・・・・・・・・・・・」
大人妹「ふふ。辛気臭いですわね」
大人妹「次来る時は、笑顔で参ります。お父さん、お母さん」
大人妹「お兄様」
男「ん。終わったか」
大人妹「ええ。これでスッキリ・・・・・・とはいきませんが、心が少しばかり落ち着いた気がします」
男「結構だ。それでいい」
大人妹「では帰りましょう」
男「ちょっと待て。俺もこのお墓に言いたい事がある」
大人妹「お兄様が、ですか?」
男「あーあー・・・・・・正しく言えるとは思えないですが、はっきり言います」
男「このお墓にこいつの骨は入れさせません。大人妹は・・・・・・ずっと俺の傍にいる奴ですから」
男「それが嫌なら取り返しに来てください。化けてでも」
男「・・・・・・絶対に大人妹を返しませんよ」ニッ
大人妹「」ギュウ
男「帰ろう。みんながいる我が家に」
大人妹「はい!」
女「ヒュードロドロ」
サン「なかなか様になっているではないか」
女「そうかい?三角頭巾でも着けておくべきだったが」
サン「それでは本当に物の怪の類と間違われん。やめておくといい」
女「ふ。男くんたちは良い選択をした」
サン「それはまだ分からないことだが」
女「私には分かる。良くも悪くも荊の道、彼らは6人で力を合わせて乗り越えていく。そんな気がね」
サン「流星の監査員が感情的になってはいけないよ」
女「私は人間出身だからな。どうしても感情的になってしまうのだよ」
サン「そうかい。ではその君の勘を頼りにして我々はこの願いたちの監査員から引き下がろう」
女「いいのかい?」
サン「きっと彼らならうまくいくんだろう?」
女「ふふ。違わない」
女「あんな固い守りを崩せる自信はないよ。堅実に他の良い男性でも探すとしよう」
サン「星に願う時は、私を頼ってくれ」
女「ごめんこうむりたいね」
サン「ふふ。では良い日常を過ごすといい。あなたにも良い選択があらんことを」
女「ああ」
シュン
女「・・・・・・コスモ的パワーは失われたみたいだね」
女「私も流星に心を踊らされた人間の1人だったということか」
女「ふふ。久しぶりにティーショップに行くとしよう」
男「ただいまー」
大人妹「ただいま帰りました」
無垢妹「お帰りんこーーーー!!!」
男「やや鋭角からのジャンピングキックーーーーーー!!?」ゴッハー
大人妹「はい。マ○コマ○コ」ニコニコ
ツン妹「笑顔でなに言ってるのよ!?普通ただいまん・・・・・・って私が何言ってるのよ!!」
ボー妹「相変わらず下ネタ多いなー」
敬語妹「食事前に暴れないでください!兄さんと大人姉さんは手を洗ってきてくださいね」
大人妹「!!」
男「?どうした大人妹?」
大人妹「大人姉さん・・・・・・ふふなんでもありませんわ」
敬語妹「私もいつまでも子供ではないということです。それに、私と大人姉さんが対等ということを示したつもりです」
大人妹「ふふ~ん♪」
男「よく分からんが機嫌がいいのはいいことだな」
大人妹「今なら、全部お兄様に捧げてもいいほど機嫌がいいですわ」
男「いやそれは・・・・・・また別の機会に」
ツン妹「はぁ。そんなんだからモテないんだよ兄貴は」
ボー妹「そうそう据え膳食わぬはなんちゃらって言うでしょ?」
敬語妹「女心を察するのも男性の仕事ですよ兄さん」
無垢妹「プロレス(?)が始まるんだね」
男「お前たちまで!?」
男「ぎ、ぎゃあああああああ!!」
敬語妹「あ、ちょっとご飯を食べてからにしてください!」
男「こうなったらヤケクソだあああああああああ!!」ガバッ
大人妹「きゃあ♪」
敬語妹「兄さんも落ち着いてください!!」
ツン妹「食事前にエキサイティングしてるんじゃないわよ!!」
ボー妹「こんなグダグダで大丈夫かな・・・・・・」
無垢妹「もーまんたいだよ!・・・・・・また会う時まで。じゃあね!」
これまでの世界、これからの世界。
有った世界、無かった世界。
願った世界、願われた世界。
選んだ世界、選ばなかった世界。
そして、選んでいく世界。
ハッピーエンドか、バッドエンドかは末来が決めること。
未来の自分が決めること。
サン「さあ。次の願いは誰かな」
THE END.
面白かったよニヤニヤしたよ
デート編大人妹だけキスしてないな。だけに、おまじないのがグッとくるね
ほっこりするいい話でした
Entry ⇒ 2011.12.28 | Category ⇒ 男女「」SS | Comments (0) | Trackbacks (0)
男「お、流れ星か。理想の妹をくださいっと」
<チノツナガリナンテドウデモイイ! ワタシハオニイチャントイッショナラドコヘデモイケルヨ 完
男「おっしゃー!攻略完了」
男「うんやっぱり妹ゲーはいいな。血が繋がってるからこそ生まれる愛っていうの?」
男「禁断の愛を乗り越えて育まれ、2人はさらに愛し合っていく」
男「・・・・・・はぁ。何で俺には妹がいないんだ?」
男「星明りがこんなにキレイなのに、俺の心は現実という容赦ない光に照り付けられて」
キラーン
男「お、流れ星か。理想の妹を下さいっと」
男「ははっ。何だか悲しくなってきたやっ!」グスッ
男「寝るか・・・・・・」
男「」ぐーすかぴー
キラーン・・・・・・
朝
チュンチュン
「て・・・さい。・・・きてください!・・・起きてください!」
「兄さん!」
男「う・・・ん?誰だよ。俺の睡眠を邪魔するのは。そもそもニイサンって誰だよ・・・・・・ん?兄さん?」
「随分寝ぼけていますね」
男「そこには可憐な少女が立っていた。俺に敬語を使い兄さんと呼び、まるで妹のように・・・・・・?」
「え、まあ妹ですから」
男「えと・・・・・・誰の?」
「あなたの妹ですよ、兄さん」
男「オーケー。10秒待ってくれ」
「ど、どうぞ」
男「(よし。状況を整理だ。昨日俺は妹ゲーを完クリした。それで妹欲しいなどと星に願った。するとどうだ。そこには妹と名乗る少女がいるではないか。ははーん。こりゃアレだ)」
男「夢、だな」
「まだ寝ぼけてるんですね」
男「夢なら仕方ない。襲うか」
「襲う・・・・・・えっ!?」
男「据え膳食わぬは男の恥。妹襲わぬは妹ゲーマーの恥。・・・・・・よしっ!」
「に、兄さん・・・・・・?」
男「ふぅ~じこちゃぁ~~ん!!」
「い、イッヤァァァァァァァァァァァァァ!!!」
バチーーーーーン
間。
「あらおはようございます。お兄様」
「兄貴、2階でなに騒いでたのよ・・・・・・」
「兄ちゃんおはよぅ!ってどうしたのそのほっぺたの手形?」
「うとうと。あ、お兄ちゃんおはよー」
ガヤガヤ
男「ああ・・・・・・これは現実だとこの紅葉と痛みが証明してるよ」
「今度あんなことしたら許しませんからっ!」
男「まっじでスイマセンでした!!」
「えー何してたのぉ?」
「何でもないですから早く朝ごはん食べて支度してくださいね」
「くすくす。お兄様も酔狂ですね」
「まったく、静かに食事したいこっちからしたらいい迷惑よ!」
「遊んでたのー?」
男「(状況から察するに、ガチで願いが叶ったとしか思えねぇ。動揺するが、逆に考えれば天国じゃね?)」
男「(こうなっちまった以上しかたないな。うん。この世界を謳歌するぞっ!)」
「お兄様、早くしないと遅れてしまいますよ?」
男「(大人っぽいなぁ。黒髪長髪ストレート。そんで胸は・・・・・・大!)」以下『大人妹』
大人妹「どうしました?」クスクス
男「お、おう。いただきます」
男「う、美味い・・・・・・!これは誰が作ったんだ?」
「私ですけど何か、兄さん?」ギロッ
男「ひぃ!?」
男「(な、なるほど。この子は家庭的な子だな。ミドルヘアーがよく似合ってるな。んで胸は・・・・・・小?)」以下『敬語妹』
敬語妹「ど、どこ見てるんですかっ!?」
「あ、朝から不潔よバカ兄貴ーー!」バッシーン
男「2発目の紅葉ぃー!?」
男「(こ、この子の性格は・・・・・・?)」
「む、胸ばっかり見て!あんたそんなんで恥ずかしくないのっ!?」カッー
男「(何だツンデレか。なるほど。象徴するかのごとくツインテールだな。しかも・・・・・・極小)」以下『ツン妹』
ツン妹「べ、別に兄貴のために言ってるんじゃなくて、わ、私たちの風評に関わるからなんだからねッ!」
男「(オッケー。教科書どおりのツンデレだぜ!)」
「へへーん。ボクはツン姉より胸あるよーん!」
男「(ショートボブヘアにボクっ娘。ボーイッシュな子か。確かにツン妹より胸はあるな。並か)」以下『ボー妹』
ツン妹「アンタも兄貴と同じ程度の思考!?」
ボー妹「でも男の子はおっぱいが好きだってのは事実じゃん」
敬語妹「朝から変な話題で盛り上がらないでください!」
ボー妹「敬語姉も胸ちっちゃいもんね」
敬語妹「なっ・・・・・・!?」
大人妹「そんな敬語妹とツン妹に朗報。日本人の男の4割は小さい派よ。まあそこにお兄様が入るかは分かりませんが」チラッ
男「いやこっちにふるなよ」
ツン妹「で、兄貴は実際どうなのよ!」
男「まあ無いよりはあった方がいい、かな?」
大人妹「だそうよ」クスクス
ボー妹「敬語姉とツン姉はこれで兄ちゃんの眼中から消えちゃったね」
ツン妹「はっ!そ、そもそも兄貴を意識する必要が無いじゃない!ふ、ふん。どうでもいい話だったわね」
敬語妹「兄さん、晩飯抜きですね」ニコニコ ゴゴゴゴゴ
男「ホワイ!?俺は一般論を述べたまでだ!」
大人妹「ではお兄様、今夜私と外食いたしましょう」
敬語妹・ツン妹「「それはダメ(です)っ!」」
大人妹「あらあら」クスクス
男「(これは・・・・・・天国なのか?状況がカオスすぎんだけど)」
グイグイ
男「ん?」
「お兄ちゃん、わたしのおっぱいは大きい方?」ムニュ
男「お、ああ。そうだな。普通じゃないか?そのくらいがちょうど良いよ」
「そっかー!よかったー!」ニコニコキラキラ
男「(うおぉぉ。眩しい。この子は純粋無垢だ。きっと胸の話も訳分からずに聞いてたんだろう)」以下『無垢妹』
無垢妹「でもでも同じクラスのあかりちゃんは、わたしよりおっぱいちっちゃいけどモテモテだよ?」
男「世の中定石には囚われないって事だよ」
無垢妹「難しいね。世の中って」
男「ああ難しいぞ。何たって星が願いを叶えてくれるくらいだからなあ」
無垢妹「??」
男「状況をまとめると、キラッ☆お星様は5人の多様な妹を作り、ギャルゲのごとく俺に好意を寄せさせた!」
男「長女は『大人妹』で俺と一緒の高校に通うJK1だ」
男「次女は『敬語妹』で隣町の中学校に通うJC3だ」
男「三女は『ツン妹』で地元の中学校に通うJC2だ」
男「四女は『ボー妹』で地元の中学校に通うJC1だ」
男「五女は『無垢妹』で地元の小学校に通うJS6だ」
男「俺は低スペックなゲーム脳、DK2です。ごめんなさい」
敬語妹「兄さん、誰と話してるんです?」
男「違う世界のお友達、かな」
男「完全に忘れてたけど親は?」
ツン妹「何言ってるの?海外に住んるじゃない」
男「えっと、ご職業は・・・・・・?」
ツン妹「はぁ?不動産の社長。そんなことも忘れたのこのバカ兄貴は」ハァ
男「とんだご都合設定でした」
敬語妹「今日の兄さん変ですよ?」
大人妹「あら?お兄様が変なのはいつもの事じゃない」
男「どういう意味だ!?」
ツン妹「それもそうね」
ボー妹「そうだね。兄ちゃん変だもんね」
大人妹「ええ。特にベッドの下が変ですからね」
男「ノォォォォォ!?プライベート丸出し!?」
敬語妹「・・・・・・この間の掃除からまた増えてるんですか、兄さん?」
無垢妹「え?お兄ちゃんのベッドの下に面白いものがあるの?」
大人妹「夢と希望よ」
男「変な事言わなくてイイから!」
敬語妹「帰ったらお掃除ですね、兄さん」ニコッ
男「どうして学校行く前からこんなに疲れなくちゃいけないんだ・・・・・・」
無垢妹「がっこー到着!じゃあねみんな!」ダッ
男「おお。しっかり遊んで来い」
ツン妹「私たちはこっちだから」
男「うむ。しっかり励んで来い」
ボー妹「バイバーイ!」フリフリ
敬語妹「では兄さん、私もバスが来たので」
男「ああ。しっかり学んで来い」
大人妹「それは誰かの台詞ですか、お兄様?」
男「いや、妹ができたらこう言おうと決めてたんだ」
大人妹「ふふっ。まるでつい最近妹が出来たみたいな言い方ですね」
男「そのまさかだとしたら?」
大人妹「こうしてお兄様に出会えたことに感謝します」ニコ
男「・・・・・・お前本当に高1?」
大人妹「さ、お兄様。学校に到着しました。私にもお言葉をくださいな」
男「あ、ああ。しっかり過ごして来い」
大人妹「お兄様もです」クスクス
男「(愚息がヤバいんですけど・・・・・・)」
男「オーッス」ガラッ
男友「おはっす」
男「(学校とかに改変は加わってないから、やっぱりうちの家だけか)」
男友「どうした?元気ねえぞ」
男「急に生活環境が変わったので、これから慣れていこうと必死なのさ」
男友「へーそうか。お前のうちも大変だな」
男「俺のうちじゃなく俺が大変なんだけどね」
女「やあおはよう男くん」
男「おはよう女さん。今日も相変わらず麗しいですね」
女「なに、君の妹たちに比べたら劣ってしまうよ」
男「あ、自分麗しいって自覚はあるんだ」
男友「女さん今日もおキレイっすね!!」
女「ありがとう。で、だ。私が君に話しかけてきたのは他でもない。君に用事があるからだ」
男「用事?珍しいですね」
男友「・・・・・・」
女「まあ何だ。流れ星と言えば通じるかい?」
男「流れ星・・・・・・まさか、ねぇ」
女「今日の昼休み、もしくは放課後に一緒にどうだい?」
男「ご一緒させていただきます」
男友「俺も一緒にイイっすか!?」
女「すまないが、男くんと2人っきりになりたいのでね」
<オイどぉいうことだ男ぉぉぉ!!
<血祭りじゃぁ!かがり火を用意せぇ!!
<ちょっと男子騒がしいんだけど!!
<男くん・・・・・・どういう事!?
男「何か、いらん反感買ってる気がする・・・・・・」(泣)
女「人生様々な経験があるさ」
昼休み屋上
女「おや。遅かったじゃないか」チョコン
男「よくそんな平然と座ってられますね・・・・・・俺が男子どもに追いかけられてたってのに」ゼェゼェ
女「まあ座るといい」
男「言われずとも」
女「お茶でもどうだい?最近紅茶にハマっていてね」
男「んー、それもいいけど本題が聞きたいです」
女「急かす男は嫌われるぞ」
男「じゃあ紅茶ください」
女「それでいい」スッ
男「いただきます」ズズズ
女「さて君が急かす本題だけど」
男「流れ星ですか?」
女「そもそも同級生に敬語を使うのはどうかと思うが?」
男「さあ。女さんは高嶺の存在っぽいから敬語使うのも自然かと」
女「そんなことはどうでもいいけど」
男「いいんですか・・・・・・」
女「昨日の夜の流れ星。君は何を願った?」
男「あの、それ言わなくちゃダメですか?」
女「どうして?何か恥ずかしい事があるかい?」
男「大有りだろ!つーか女さん知ってるでしょ絶対」
女「まあ知ってはいるが」
男「どうやって知ったんですか?あなただけご都合改変から逃れられたんですか?」
女「君が願ったあの流れ星、そのまま私に降り注いでね」
男「ええっ!?」
女「私が願いを見届ける監査官のようなものになったのだよ」
男「監査官?・・・・・・はっもしかして『この宇宙を統括する情報統合思念体によって作られた対有機生命体コンタクト用ヒューマロイドインターフェース』ですか?」
女「すまない。世界が違う」
男「そうですか・・・・・・」
女「うむ。ときに、君には5人の妹たちに同時に愛されているね」
男「みたいですね」
女「つまりそういうことだ」
男「???」
女「さて、紅茶の味はどうだい?」
男「俺は紅茶よりコーヒーが好きですかね」
女「素直で結構だ」
男「あの。女さんは急にそんな監査官になって抵抗って無いんですか?」
女「さてね。流れ星はそんな心さえも私に与えてくれなかったよ」
男「何かすみません・・・・・・」
女「そう暗い顔をするとこちらも困るが」
男「そう言ってもらえれば嬉しいです」
ガチャ
大人妹「こちらにいらしたんですねお兄様」
男「大人妹。どうした?」
大人妹「お昼一緒にと思ったのですが、先約がいらしたんですね」チラッ
男「ああいや、そういう訳じゃないんだが」
女「そちらに行くといい。話すことは話したのだし」
男「女さんも一緒にどうですか?」
女「私は遠慮しておこう。妹と水入らずの食事を楽しむといい」
男「そうですか」
女「では」
ガチャ
女「私も君の妹でありたかったよ」
昼休み屋上
大人妹「さきほどの女性はどなたですかお兄様?」
男「俺のクラスメイト、で正しいと思う」
大人妹「どういうことでしょう?」
男「まあいろいろあるんだよ」
大人妹「まさか・・・・・・お慕いしている仲ですかっ!?」
男「そうじゃない。むしろあんな人と付き合えるわけが無いな」
大人妹「そうですか。よかったです」
男「(大人妹は静かに愛すタイプか?)」
大人妹「それではお弁当を食べましょうお兄様」カチャカチャ
男「ああ。ところでさ」
大人妹「どうぞお箸です。何でしょうか?」
男「ありがとう。そのお兄様ってどういう過程で使い始めたの?」
大人妹「まあ。あの日のことをお忘れになられるとは・・・・・・少しショックです」
男「(あーミスった!)」
大人妹「そうですよね。あれはお互い幼い間でしたものね」モグモグ
男「涙拭く動作してるけどちゃっかり食うのね」モグモグ
大人妹「忘れたのであれば思い出させてやりましょう。あの日のことを」モグモグ
男「えっ、回想入んの?」
回想
男(幼)「おーい大人妹(幼)ちゃーん!こっちこいよー!おもしろいものがあるぞー」
大人妹(幼)「おもしろいものですかー?」
男(幼)「マンガ本が落ちてる」
大人妹(幼)「ほんとうですね。なんのマンガでしょう?」
男(幼)「お兄さんと妹がプロレス(?)してるなー」
大人妹(幼)「ほんとですね。でもなんで服着てないんでしょうか?」
男(幼)「プロレスってそんなもんだろ?」
大人妹(幼)「男の人パンツ一丁ですものね」
男(幼)「なあ大人妹(幼)ちゃん、このプロレス(?)しようぜ」
大人妹(幼)「でもこれお兄さんと妹じゃなきゃできないみたいですよ?」
男(幼)「じゃあ俺がお前を妹にしてやるよ!」
大人妹(幼)「ほんとにですか!?ではこの漫画のようにお兄様と呼んでいいのですか?」
男(幼)「男は言った事に嘘はつかないぞ!」
大人妹(幼)「わーい!うれしいです!」
回想終了
大人妹「そして2人はプロレス(?)を楽しみました」///
男「うそだぁ!明らかに幼稚園生くらいなのに・・・・・・ってお前・・・・・・義妹?」
大人妹「はいそうですが?あのあとお父様に養子に入れてもらったじゃないですか」
男「親父何やってんねんっ!!」
大人妹「ですがしかし」ズイッ
男「!!」
大人妹「義妹といえども、法律上は他人ですもの」ズイズイッ
男「大人妹さーん・・・・・・?」
大人妹「せっかくの機会ですわ。あの時のプロレス(?)の続きをいたしませんか・・・・・・?」フゥ
男「(静かなタイプかと思ったら静かなる変態だった!?)」
大人妹「ほら。お兄様の大好きな大きな胸もこんなにドキドキしています」ムニッ
男「(オーマイガーーーーーー!!?コレナンテエロゲーーーー!?)」
大人妹「冗談ですわ」クスクス
男「ふえっ?」
大人妹「あら。とても残念そうな顔をなさっていますね?」
男「そそそそそんなことないぞ!!」
大人妹「私だけが占有してしまったら妹たちがかわいそうですからね」
男「えっと、何の話?」
大人妹「さあ何の話でしょう」クスクス
男「さっぱりわからん(いや、分かるが分からないフリしてよう。なんかそっちの方がいい気がする)」
大人妹「ふふ。こちらのハンバーグはいかがですか?おいしいですよ」
男「じゃあいただくか」
大人妹「あーん」
男「あーん」パクッ
男「うん、美味い!」
男「(うん、美味い!じゃねえよ俺!!何空気に呑まれてんだよ!?)」
大人妹「美味しいですか。では私の食べかけもプレゼントいたします。あーん」
男「あーん」パクッ
男「(こいつ、大人の空気を漂わせてる辺り、男を巻き込む習性があるっぽいな。間接キスか。うまうま)」
大人妹「お兄様に喜んでもらえると作った甲斐があります」
男「コレ大人妹が作ったのか?」
大人妹「いいえ。敬語妹ですわお兄様」
男「えっなにそのフェイント。わずかに褒め言葉探してた俺の努力返せ」
大人妹「早く食べないと昼休みが終わってしまいますよお兄様」クスクス
男「ああもう!俺を惑わすなあああーーーーー!!」
特に敬語妹素晴らしい
ちょっと流れ星探してくる
帰り道
男「朝といい昼といい、これでは俺の愚息が持つかどうか・・・・・・」
プップー
男「お、バスか」
プシュー
敬語妹「あれ、兄さん?」
男「敬語妹か。おかえり」
敬語妹「姉さんは一緒じゃないんですか?」
男「よくわからんが駅前の書店に買い物だとよ。着いていくぞって行ったら、お楽しみですうふふだとよ」
敬語妹「またあの人は何か考えていますね」ハァ
男「それはそうと、なぜ2つ手前のバス停で降りるんだ?」
敬語妹「夕飯のお買い物です。兄さんも手伝ってください」
男「なるほど。よっしゃ手伝うぞ」
敬語妹「それから、にんじんにジャガイモ・・・・・・」
男「あの」
敬語妹「あ、チョコレートに蜂蜜も必要ですね」
男「敬語妹様!」
敬語妹「どうしました兄さん?」
男「もう両手で抱えきれないんですけどっ!!」
敬語妹「しょうがないじゃないですか。6人もいるんですよ?」
男「カレーの材料にしては多すぎるだろ!チョコレートって無垢妹のお菓子か!?」
敬語妹「はぁ。知識の浅い兄さんのために言いますが、それはカレーに使うものです。カレーというもののコクを出すものは甘いものなんです」
男「といってもこの量は食えないだろ・・・・・・」
敬語妹「?いつも兄さんが半分食べてしまうじゃないですか?」
男「俺立派!?」
敬語妹「これでオッケーです。お会計に行きましょう」
男「た、大量大量」
敬語妹「家までもう少しです。頑張ってください!」
男「お前のもなかなか重そうだな。それなに?」
敬語妹「ぎゅ、牛乳です」
男「あー・・・・・・なるほど」
敬語妹「な、なんですか!これもコクを出す調味料なんです!」
男「5リットルも?シチューになるだろ」
敬語妹「なりませんよ」
男「おっと知識の浅い兄から漏れる言葉だから気にしないでいいが、牛乳って意外と脂肪分が多いのよな」
敬語妹「え!?そうなんですか!?」
男「いやほら俺知識浅いから」
敬語妹「うぅ~・・・・・・すいません。知識が浅いなんて言って」
男「ん。素直が一番だぞ」
敬語妹「はい。兄さんも素直になってくださいね」
男「俺はいつでも素直じゃないか」
敬語妹「では帰ったら素直にベッドの下の夢と希望を差し出してくださいね」ニコッ
男「あ、悪魔や・・・・・・」
敬語妹「あれ?開いていないんですか?いつもなら無垢妹が帰ってきてるんですが」
男「敬語妹と2人っきり・・・・・・」ボソッ
敬語妹「鍵はー」ガチャガチャ
男「んでエロ本の謁見」ボソ
以下男の妄想
敬語妹「まったく呆れますよ。前回の捜査から半月しかたっていないのにこの量ですか」
男「申し訳ないっす・・・・・・」正座
敬語妹「しかも・・・・・・前回よりマニアックなプレイで」
男「日々成長するのです」
敬語妹「兄妹モノですか・・・・・・しかも敬語を使う妹ばかり」
男「そ、それは・・・・・・!!」
敬語妹「いけませんね。ぴったり的を得ている妹に欲情してしまう兄さんには・・・・・・オシオキが必要ですね」
以上男の妄想終了
男「ッシャァァァァァ!!」
敬語妹「ビクッゥ!?」
男「よし。早く掃除すんぞ妹よ」
敬語妹「えぇー!?どうしたんですか兄さん!?とうとう頭のネジが外れてしまいましたかぁ!?」
男「敬語妹よ、善は急げだっ!」
敬語妹「一体どうしたというのでしょう・・・・・・」
ツン妹「ただいまー・・・・・・って何で兄貴が玄関で息絶えてるのよ」
敬語妹「ほんっと信じられません!!朝といいさっきといい!!」プンプン
ツン妹「またなんかやらかしたわねバカ兄貴が。一体何したのよ?」
男「夢と希望の謁見の際に・・・・・・」
ツン妹「ああ、ベッドの下のね」
男「敬語妹がかがんだ拍子に、スカートの中の幻想が見えたので」
ツン妹「もういい。オチが読めたわ。うん。ブレなくバカ兄貴だった」
男「クソッなんて日だ!」
ツン妹「敬語姉からすればなんて日でしょうね」
男「はぁ・・・・・・俺の気持ちはグレーだよ」
ツン妹「ほら邪魔だよ兄貴」ゲシゲシ
男「痛い痛い!蹴らないでっ!・・・・・・ん?こっちもグレーか」
ツン妹「・・・・・・っ!!!??」
男「お前なぁ、もっとかわいいパン・・・・・・」
ツン妹「死ねクソ兄貴ッッ!!!」
ドゴッッ
男「グホァ!!」
敬語妹「どうしたんですかー?」タッタッタ
男「」シューー
敬語妹「うわ、屍が・・・・・・!?」
ツン妹「敬語姉、それ片付けといて。それで明日の燃えるごみの日で出せばいいから」
男「せ、せめて不燃物・・・・・・」ガクッ
敬語妹「そういう問題ですか。あと私は料理で忙しいのでツン妹ちゃんが運んでください」
ツン妹「な、アタシにこれ以上恥をかかせる気っ!?」
敬語妹「兄さんを運ぶことのどこが恥ですか・・・・・・」
ツン妹「敬語姉はパンツ見られて平気なの!?」
敬語妹「もう慣れましたよ。こんな兄さんですから」
ツン妹「おおお男にパンツ見られるとかっ・・・・・・!!」
敬語妹「誰でもいいわけじゃないですよ。ツン妹ちゃんも、そうでしょう?兄さんだからこの程度で済んだんですよね?」
ツン妹「う、確かにクラスの男子なら殺してた・・・・・・って、それじゃあアタシがこのバカ兄貴好きみたいじゃない!!」
敬語妹「あれ?違うんですか?」
ツン妹「ち、違わない・・・・・・」ボソッ
敬語妹「では兄さんを部屋まで運んできてください」ニコッ
ツン妹「わ、分かったわよ!」
シューシュー
敬語妹「お湯が沸いたみたいです」タッタッタ
ツン妹「よいしょっと・・・・・・重っ!?」
ツン妹「え、何で兄貴こんなに筋肉ムキムキなの・・・・・・?」
間。
男「うぅ・・・・・・許してくださいパンツ神様・・・・・・」
ツン妹「一体どんな夢見てんのよ」ベシッ
男「アウチ!ここは誰?私はどこ?」
ツン妹「本当に困った低血圧ね」
男「あれ?ツン妹か?何だこのやわらかい枕・・・・・・ずっと触っていたくなるような・・・・・・」
ツン妹「膝枕してんのよッ!!さりげにスカートの中に手を伸ばすなぁ!!」バシン
男「グッモーニン!?」
ツン妹「起きたなら早くどいて。足が痺れて敵わないの」
男「バカかッ!!太ももとか高貴な物の代表だろ!それをみすみす手放せっていうのか!?」
ツン妹「ここにちょうどナイフがあるの」
男「やあおはよう俺の可愛い妹」ガバッ
ツン妹「はあ。やっといつもどおりに戻った感じね」
男「それはどういう意味だ?」
ツン妹「朝元気なかったじゃない」
男「ん、ああ。俺にも悩みの一つや二つくらいあるさ」
ツン妹「成績とか?」
男「ん?それは総じてオールオッケーだが?」
ツン妹「うそっ!?信じらんない!」
男「それは少しショックだな。やる時はヤるさ」
ツン妹「字が違う」
男「それより、ここまでツン妹が運んできてくれたのか?」
ツン妹「ふん。感謝しなさいよねっ!」
男「ああ、ありがとうな」ナデナデ
ツン妹「き、気安く頭を撫でないでッ」///
男「さらさらだなあ」ナデナデ
ツン妹「うん・・・・・・」///
男「さて夕飯みたいだから下に降りるか」スッ
ツン妹「あ・・・・・・」
男「どうした?」
ツン妹「何でもない!早く行けバカっ!」
男「さ、サー!イエッサー!」
ツン妹「よっと・・・・・・あ、足が痺れて・・・・・・」ジーン グラッ
男「危ないっ!!」
ガシッ
男「あ・・・・・・」
ツン妹「・・・・・・・・・・・・」
無にゅうーーーん
男「こ、これはダナ、事故であって故意では・・・・・・」
ツン妹「」ギロッ
ツン妹「もっかい死ねバカ兄貴ィィィィィィ!!!」
ドッカーーーン
男「」ドサッ
ツン妹「・・・・・・故意で、恋だったらよかったのに。おにぃちゃんのバカ」
リビング
ボー妹「ただいまぁー!ご飯はー?」
無垢妹「ただいまー!お兄ちゃんはー?」
敬語妹「もっと早く帰ってきなさい!今何時だと思ってるんですか!」
ボー妹「7時!」
無垢妹「7時5分!」
敬語妹「外は?」
無垢妹「真っ暗!」
敬語妹「分かってるなら早く帰ってきなさい!」
男「そうだぞ。悪い狼が出るからなぁ」
ツン妹「それはあんたの事でしょうが」
敬語妹「あら兄さんいつの間に復活してたんですか?」
男「いましがただ。ところで大人妹の姿が見えないぞ?お前ら一緒じゃなかったか?」
ボー妹「ううん。ボクは知らないよ。無垢妹ともそこで会ったし」
無垢妹「わたしは砂場でたかしくんとずっと遊んでたー」
男「そうか。ちょっとたかしくん呼んできなさい。お話があります」
敬語妹「大丈夫ですよ。たかしくんの方がよっぽどマシですよ」
男「まだ何にも言ってないけどっ!?」
ツン妹「早く食べましょうよ。あの人待ってたら日付変わっちゃうわよ」
男「なんつーやつだよ。本屋にそんなにいるつもりなのか?」
ボー妹「乳姉ぇの趣味は読書だからね。多分また大量に買ってるんだよ」
男「いやもっと別の呼び方があるだろ」
無垢妹「大人お姉ちゃんのマンガ面白いんだよ!男の人と女の人が裸でプロレス(?)しててねー。お姉ちゃん顔真っ赤にして『お兄様と私のことですよ』って言ってるんだー」
男「ぶぉっほ!!?」
敬語妹「何やってるんですかあなたたちは!」
ボー妹「え、それマジ?ちょっと引くなぁ・・・・・・」ススス
ツン妹「死ね」
男「やめて!距離を置かないで!あと、単語での罵倒は心をえぐる!・・・・・・って違う!事実無根だ!」
無垢妹「わたしもお兄ちゃんとプロレス(?)したいなー!」キラキラ
男「こいつ実は分かってんじゃねっ!?」
男「帰ってきた諸悪の根源んんんん!」
大人妹「あら?どうしたの一斉に私の方を振り向いて」
敬語妹「ちょっとお話があります!座ってください」
大人妹「怖いですわ。お兄様助けてください」ピトッ ムニッ
男「くぁwせdrftgyふじこlp」
ボー妹「また乳姉ぇがおっぱいアピールしてる!」
男「お、おっぱい祭じゃあああああああああああ!!!!」
ツン妹「兄貴が壊れたーー!?」
大人妹「ふふ、そのお祭では私の独壇場ですね」
無垢妹「わ、わたしは参加できる?参加できる?」
敬語妹「全員そこに直りなさーーーーーーーーーい!!」
男の部屋
男「はぁ・・・・・・今日だけで散々な目にあった」
<トントン 兄ちゃん入っていいー?
男「ん、ああいいぞ」
ガチャ
ボー妹「ゲームしようよ!」つペケモン
男「お、いいな。久しぶりだなペケモン」
ボー妹「そうだっけ?昨日もしたじゃん」
男「あ、そ、そうだよな。うっかりうっかり」
ボー妹「??」
ボー妹「リザー首領のそらをとぶ!」
男「甘いな!俺の海オーガはかみなりを使えるんだぜ!」
ボー妹「ふぎゃああーー!!」
<ピチューン
ボー妹「じゃあ雷チュウの電撃で押し切る!」
男「海オーガの じしん」
<ピチューン
ボー妹「ぎゃあああーー!!くっ、藻ジャンボのギガドレイン!!」
男「れいとうビーム」
<ピチューン
<Geme Over
ボー妹「一撃も食らわせることなく終わった・・・・・・」
男「完全勝利ィ!」
ボー妹「兄ちゃんって大人気ないね」
男「ぐはっ!!それを言われると何も言えない」
ボー妹「じゃあ何も言わなくていいからちょっとそのままね」
男「うん?」
ボー妹「よいしょ」チョコン
男「え、え?」
ボー妹「さ、レベル上げ手伝ってよ!」
男「お、おお・・・・・・」
男「(え?ボー妹が俺の膝に座って一緒にゲーム。必然的に抱きつくような形になるんだけど・・・・・・)」
男「はぅぁ!?」
ボー妹「ど、どうしたの!?」
男「何でもない。(愚息ぅぅぅぅぅ!!)」
ボー妹「変な兄ちゃん」
男「(こんな時は素数を数えるんだ。2,3,5,7・・・・・・)」
ボー妹「兄ちゃんさ」
男「は、はい何でしょう?」
ボー妹「当たってる・・・・・・」
男「(オーマイサーーーーーーーーン!!!)」
ボー妹「それって、ボクでそうなったんだよね・・・・・・?」
男「逃げちゃダメだ逃げちゃダメだ。妹に邪な気持ちを持っちゃダメなのに・・・・・・!!」
ボー妹「そうだったら、ちょっと嬉しい、かな?」
男「へ?」
男「何言ってんだ。お前は十分すぎるほどかわいいじゃないか」
ボー妹「そう、かな?」
男「ああ。俺が保証する。あと俺の息子もな」
ボー妹「変態だね」
男「今に分かったことじゃないだろうよ」
ボー妹「じゃあ変態さんの膝に座ってるボクは、変態さんにギュってされちゃうね」
男「ああそうだな」ギュゥ
ボー妹「えへへ」///
ボー妹「あ」
男「よそ見してるから」
ボー妹「兄ちゃんが変な事するから」
男「俺のせい!?俺のせいなのか!?」
ボー妹「この光景を見られたら5対1で兄ちゃんの敗訴です」
男「ヤバイ!今すぐ離れないと!」
ボー妹「ボクから離れると大声出すよ?悲鳴の方ね。駆けつけてきた姉ぇたちはどう思うかな?」
男「クソッ。前門の虎、後門の狼か」
ボー妹「ほらほら、手が緩んでるよ?」
男「もうどうにでもなーれっ!」ギュゥゥ
ボー妹「~♪」
ガチャ
大人妹「お兄様、お風呂どうぞ」
男「あ」
ボー妹「あ」
大人妹「あらあら、お楽しみの時間でしたか。これは失礼いたしました」ニヨニヨ
男「違うーーーーーー!!」
ボー妹「あ、勝った」
朝
敬語妹「兄さん!いくら低血圧でもそのぐずりっぷりは無いでしょう!」
男「あと・・・・・・50年」
敬語妹「もう勝手にしてください。遅れても知りませんよ?」テクテク
男「俺の睡眠は・・・・・・健全なニーソ太ももを見れば、覚める・・・・・・」グガー
大人妹「あら残念。今日は黒タイツでした。と、ちょうど純白ニーソのツン妹が」
ツン妹「ん?なに?」テクテク
大人妹「ちょっとこちらにおいでなさいな」
ツン妹「兄貴の枕元に?何する気?」
大人妹「お兄様、少し目をお開けください」
男「う、あ?」
大人妹「ほれ」サワラセ
ツン妹「にゃっ!?」
男「この細くてやわらかい太ももに生地の気持ちいいニーソはツン妹か。おはよう我が愛しの妹たち」キリッ
ツン妹「さ、触るな汚らわしい・・・・・・ちょっ!なにホールドしてんのよっ!?」
大人妹「ふふ、こうした方が面白いかと思いまして」
男「ふへへへへ。お、お嬢ちゃん、ぱ、パンツ何色ぉ?」
ツン妹「イヤーーーー!!操が奪われるぅぅぅぅぅぅ!!」
男「それじゃあいただきま・・・・・・あん?」ガシッ
大人妹「あら?」
ツン妹「え?」
無垢妹「すやすや」
男「こっちもホールドされてんだけど。・・・・・・なんでここにいるの無垢妹は?」
大人妹「超えてはいけない一線を超えてしまったのですね」
ツン妹「しかもよりによって一番幼い妹に・・・・・・」
男「えっとぉ、多分皆さんが思われていることは無いと思いますよ?」
ツン妹「無意識って怖いわぁ・・・・・・」
大人妹「おかしいですね。ロリやペドは入らないように心掛けていたのですが」
男「だから違うって!」
無垢妹「う・・・・・・お兄ちゃんそんな大きいの・・・・・・入らないよぉ」
ツン妹「うわ」
大人妹「うわ」
男「誰かー!俺を殺すか無罪を証明してーー!!」
大人妹「無垢妹の低血圧はお兄様譲りですからね」
男「いや親譲りだから。俺譲りなら俺がこいつの親になるじゃん」
ツン妹「で、手を出したと」
男「ははは・・・・・・絶対に無いと思う・・・・・・うん」
大人妹「ほらあなたも早く起きなさい」ベイベシ
無垢妹「あれ?ツンお姉ちゃんに大人おねえちゃんだ」
大人妹「さてまずは、どうしてあなたがここにいるのですか?」
無垢妹「昨日の夜ね、おしっこに起きたんだけど、お兄ちゃんの部屋が少し開いてて気付いたら布団に入ってたー」
大人妹「なるほど。その時お兄様は寝ておられましたか?」
無垢妹「うん。ぐっすり。気持ちよさそうだったからわたしも無意識に入っちゃたのかも」
兄「へへーん!俺の無罪が証明されたぜェ!!」
ツン妹「チッ。よかったわねバカ兄貴」
兄「ねえ何で今舌打ちしたの?ねえ何で?」
大人妹「お兄様の無罪が証明されてよかったと思う反面、少々残念ですわ」
兄「お前まで・・・・・・俺をどうしたいんだよ君たちは」
無垢妹「お兄ちゃんのお布団温かかったよ!イカ臭かったけど」
兄「ん?」
大人妹「ん?」
ツン妹「ん?」
大人妹「無垢妹、もう一度先ほどの発言を言ってください」
無垢妹「お布団温かかったよ?」
大人妹「その後」
兄「ちょちょちょちょちょ」
無垢妹「イカの臭いのするお布団?」
ツン妹「兄貴、アウトー!」
デデーン
大人妹「うふふ。昨夜はお1人で励まれた後体も洗わずに?」
ツン妹「そんな布団に妹あげちゃう兄はどうかと思うわ」
兄「ふ、不可抗力じゃね?だって俺寝てたんだよ?」
無垢妹「でも大人姉ちゃんも、男の人はイカ臭いって言ってたよね?」
大人妹「そうですね。身をもって体感しましたか?」
無垢妹「うん」ニコニコ
大人妹「ふう。この件は無垢妹の笑顔に免じて不問といたしますわお兄様」
兄「うん。だから俺悪くないからね?」
ツン妹「よかったねバカ兄貴」
兄「うん!だから俺悪くないからね!?」
大人妹「これで法廷を閉じますわ。みなさん、この事は決して他言しないように」
全員「はーい」
大人妹「もしいつも励まれた後お風呂に入られていられないのであれば、朝風呂はいかがでしょう。目も覚めて低血圧のお兄様にはピッタリだと思います」
兄「まあ朝風呂のためにさらに早起きしなくてはいけないというジレンマがあるけどな」
ツン妹「いいから入れ。なるべく私たちに触らないようにして」
兄「はい・・・・・・」テクテク
大人妹「さ、私たちも準備いたしますよ」テクテク
ツン妹「朝ごはんまだだったー」タッタッタ
無垢妹「でも何でイカの臭いがしたんだろ?よし!あとから敬語姉ちゃんに聞こう!」
学校
男友「おはよーさん。ってどうした?でっかいアザなんて作って」
男「・・・・・・俺は悪くない俺は悪くない・・・・・・だから叩かれたのは幻想なんだ。ははっ」
男友「低血圧ってレベルじゃねーぞ!?」
女「くすくす。面白いものを見せてもらったよ男くん」
男「俺に罪は無いだろぉ・・・・・・ん?え、もしかして今日のこと知ってんですか?」
女「ほら、私は監査官」
男「ちょ、ど、どこから知ってる・・・・・・?」
女「さあ?『妹・・・・・・いもう、と・・・・・・うっ!』なんて知らないわ」
男「ホにゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!??」
男友「え、え?何の話?」
男「男友ー、俺を殺せー!!それと弔辞はお前に頼むー!!」
大人妹「学校でもエキサイティングですねお兄様」
男「大人妹?どうしてここに?」
大人妹「あの事を知ってしまった敬語妹が没収したお弁当ですわ」
男「え?いいの?」
大人妹「今後二度とその様な事が無いようにという条件付で、と口をすっぱくして言われております」
男「わーい!お弁当だぁ!」
男友「やあ大人妹ちゃんおはよう」
大人妹「おはようございます。いつも兄と遊んでいただき感謝しますわ」ニコッ
男友「え、ええ娘や・・・・・・」
女「おはよう、元気そうだね」
大人妹「えっと・・・・・・昨日屋上にお兄様といらっしゃった?」
女「女だよ。以後よろしく頼むよ」
男友「屋上・・・・・・?男てめえ、屋上+美少女と言えばエロフラグしか浮かばないんだけど?俺はお前を殴らないといけないかもしれない」
男「勝手に頭腐ってろエロゲ脳」
大人妹「あら?それではお兄様もそうなるはずです」
男「?どうして?」
大人妹「お兄様のパソコンの12階層、稼動ギリギリのフォルダにしまっておられる『妹と恋しよっ!』もエロ・・・・・・もがッ!?」
男「ノーーーーー!!?」ガシッ
大人妹「もがもがもが・・・・・・ッ!?」ジタバタ
男「あそこは5つのパスワードに、指紋認証も付けてるはずのフォルダだろーーーーーー!!?」
女「男くん、男くん」
男「やめて!女さんまで俺を辱めないで!」
女「そうじゃない。君がホールドしている妹の様子を見てみたまえ。あと君が掴んでいるもの」
男「??」
大人妹「」グデー
むにゅむにゅ
男「」
男友「俺は・・・・・・幸せです!」
男「大人妹ーーーーー!!!」
クラスの男共「ごちそうさま・・・・・・」
クラスの女共「タヒねよ男」
大人妹「はぁ・・・はぁ・・・もう、お兄様ったら・・・・・・激しいんですから」
女「ふむ。好感度+1、高感度でもあったということろか」
昼休み屋上
女「やあ、いらっしゃい。今日は私と昼食だ」
男「何気に俺って贅沢ですよね。こんな美少女の女さんと妹たちに囲まれて」
女「今頃気付いたのかい?」
男「今頃気付きましたよ。昨日はドタバタだったんで」
女「自ら慰めるくらいの余裕はあったじゃないか」
男「本当にどうなってるんだ監査官ってのは!?」
女「コスモパワーだよ。大宇宙の意思?みたいなね」
男「コスモパワーねえ・・・・・・とんだ厨二設定ですよね」
女「君が願った流星にそうされたんだが?」
男「マジですいません」
女「ところでハーブティーはどうだい?最近ハマっていてね」
男「昨日は紅茶じゃなかったんでは?」
女「昨日とは既に過去のこと。今日は今日の生き方がある」
男「はー深いですね」
女「そう、このハーブティーのように」
男「いただきます」ズズッ
女「そう。今日は君に譲渡したいものがあってだな」
男「譲渡?」
女「これだ」
男「これだ、って女さんの手のひらですが?」
女「これをこうするのさ」
ガシッ
男「何だっ!?急に暗くなったぞ!?」
スッ・・・
男「あ、女さんの手のひらが俺の目を閉じさせてたんですか」
女「手が脂っこくなってしまったな」フキフキ
男「すいません。でもどうしてこんなことを?」
女「そうだな、君は無垢妹が生まれた時のことを覚えているかい?」
男「いや、俺にそんな記憶があるわけ・・・・・・ある」
女「どんなのだい?」
男「確か俺が幼稚園から帰ると母さんが倒れてて、そんで病院に電話して無事出産・・・・・・」
女「しかし君は昨日から妹たちを手にしているはずだが?」
男「なるほど・・・・・・記憶のつじつま合わせですね。コスモパワーで」
女「その通りだ。妹たちにある記憶が男くんになかったらダメだろう?」
男「妹たちとの関係がギクシャクと」
女「くすくす。今は愛情ある罵倒だが、ギクシャクすると愛情なき罵倒、もしくは無視になるだろうな」
男「どっちの罵倒もイヤですよ」
女「そうだな」
男「しかし奇妙ですね。妹たちと楽しく過ごした17年間の記憶と、冴えなく妹ゲーをしていた17年間の記憶が同じ頭の中にあるなんて」
女「ああ、それはシュレー・・・・・・おっと何でもないよ」
男「??」
女「しかしよかったじゃないか。冴えない17年間から卒業できたのだし」
男「そうですね。出来れば女さんも監査官の立場じゃなくて、こちら側にいて楽しく過ごして欲しかったです」
女「・・・・・・!!そ、そういうことを急に言う、な」カーッ
男「あ、ハーブティーのおかわりもらえますか?」
女「・・・・・・・・・・・・」バシャッ
男「熱いっ!?え、今俺何かしたっ!??」ジタバタ
敬語妹の学校
敬友「敬語妹~、数学の宿題見せてー」
敬語妹「またですか?少しは自分でしましょうよ」
敬友「ああ、その敬語で哀れにされる感じ・・・・・・堪らん!」
敬語妹「あー、ノートが飛んで行っちゃいましたー」
敬友「めんごめんご。お詫びに今日駅前で何かおごるからさ」
敬語妹「はあ。どうぞ」
敬友「ありがとー♪」
敬語妹「しかしこれくらいならすぐ出来ますよ?」
敬友「成績優秀者はすぐそう言う。私はバカだし、家では幼い弟の面倒を見なくてはいけないのですよ、閣下」
敬語妹「そういえば5歳になる弟くんがいましたね」
敬友「そう!こっれがかわいいのなんの!ショタだよショタ!家族だから合法!」
敬語妹「ショタ?」
敬友「あれ?ショタ知らないの?・・・・・・あ、そっか。敬語妹にはお兄さんがいるから年下なんて気にしたこと無いもんね」
敬語妹「兄さんは、兄さんです。別に気にしてませんよ」
敬友「あららー?キャラが違うよ。ツンデレは別担当でしょ?」
敬語妹「えっと、どういう意味でしょう?」
敬友「でさ、好きなんでしょ?」
敬語妹「・・・・・・はい」
敬友「ヒューヒュー!いいねっ!血のつながりを超えた愛!素晴らしいわ!」
敬語妹「ば、馬鹿にしないでください!私は本気なんです!」ガァッ
<え、敬語妹ちゃん誰かに本気だって?
<なん、だと・・・・・・
<漏れのプリティーマイエンジェルがぁぁぁぁぁ
敬語妹「や、やってしまいました・・・・・・助けてください敬友さん!」
敬友「あ、ここ2乗するんだー」シレッ
敬語妹「タイミングよく数学をしないでください!」
<ねえねえ誰なのー?
<ソース出せやゴルァ
敬語妹「ち、違いますよみなさん。私が本気なのは料理のお話であって、誰かを好きとかでは・・・・・・」
敬友「その料理は誰に食べさせるために日々精進してるのかなー?」
敬語妹「け、敬友さん余計なこと言わないでくださいっ!!」
敬友「愛情というなの隠し味ってか?もしくは愛えk・・・・・・がはっ!!」
敬語妹「それ以上言うと・・・・・・わかってますよね?」ニコニコ
<ひぃー!笑顔なのに般若が見える!?
<ブヒィィィィ!怒った天使も可愛いお
<うっ
敬友「こ、こうして楽しい学校生活は過ぎていくのだった・・・・・・」ガクッ
ツン妹「」カキカキ
先輩「あ、そこの影のつけ方はもっと薄くした方がいいよ」
ツン妹「そうですか?」
先輩「うん」
ツン妹「ふーん・・・・・・」カキカキ
先輩友「ねえ、ツン妹ちゃんって何か無愛想だよね」ヒソヒソ
先輩「そう?」
先輩友「私たち美術部って3人、しかも女だけしかいないじゃん?それで私たちの先輩感が足りないのかも」
先輩「そうは思わないけどな。あの子はしっかり自分とその他の区分が出来てる子だと思うよ?」
先輩友「えー、じゃああの子にとって私たちはどうでもいい人間ってこと?」
先輩「そうなるかもね」
先輩友「なにそれ!」
先輩「どうでもいいと言っても、きちんと節度ある区分だよ」
先輩友「訳分からんわ」
ツン妹「すいません先輩、そこの赤のポスターカラー取ってもらえますか?」
先輩「はい」
ツン妹「ありがとうございます」
先輩「どう?完成は近い?」
ツン妹「近くはないけど、遠くも無い感じです」
先輩友「なんかますます無愛想・・・・・・」
先輩「だけどね、コレが家族のこととなるとね・・・・・・」
先輩「ねえツン妹ちゃん。敬語妹のことなんだけどさ」
ツン妹「あれ?先輩敬語姉さんを知ってましたっけ?」
先輩「うん。小学校が一緒だったよ。今は進学校行ってるらしいね」
ツン妹「はい。今日も真面目に勉強してるんだと思いますよ。で、帰ったら家事をして・・・・・・」ウンタラカンタラ
先輩「ね?」
先輩友「な、長い・・・・・・」
ツン妹「それで、バカ兄貴が私の太ももを触ってきたんですよ!ほんっと信じられないです!!」
ツン妹「はい。とんでもなく変態のバカ兄貴です」
先輩友「そんな声荒げて・・・・・・嫌いなの?」
ツン妹「べ、別に兄貴のことなんてどうでもいいんですから!」
先輩友「おーツンデレ」
先輩「でも嬉しそうにお兄さんのこと話すね?」
ツン妹「嬉しそうじゃないです!!」
先輩「テンプレート通りでしょ?」
先輩友「あーもう今のでツン妹ちゃん好きになったわー」
ツン妹「何の話ですか?」
先輩友「大人の話。私、ツン妹ちゃんの事気に入っちゃったから今日帰りに駅前で遊ぼうか!」
ツン妹「いいんですか?」
先輩「うん。私も歓迎だよ」
ツン妹「あ、ありがとうございます」
先輩友「」キュン
先輩「ダメだよ先輩友。後輩食べちゃ」
先輩友「わかってるって」ウヘヘ
ツン妹「な、何の話ですか?」
先輩友「んー、お花畑の話かな」
先輩「一面百合の花だけどね」
ツン妹「キレイですね」
先輩友「そうなのよ、キレイなのよ」
先輩「今まで何本食べた?」
先輩友「・・・・・・5本くらい?」
先輩「はぁ。ツン妹ちゃん、気を付けてね?」
ツン妹「?はい」
ボー妹「うおおおおおお!!ハットトリックーーー!!」
シュパァッ!!
先輩「バスケットなのに!?」
ボー妹「ふはは!ボクのスポーツにルールは無用だよ!」ダムダム
同輩A「適当にやってるのにそれでシュートが入るからすごいよねー」
同輩B「しかもあのルックスでしょ?ボー妹が男だったら私絶対コクってた」
同輩A「同感!」
ボー妹「回転シューーーーートッ!!」グルグルグル
シュパ!!
先輩「うんなんかもう、運動神経とかの域を超えてると思う」
ピピーー
同輩A「お疲れボー妹ちゃん!」ハイタッチ
先輩「お疲れさま。次も多分スタメンだよ」
ボー妹「本当ですか!?ヤリー!」ガッツ
同輩B「先輩、今日はここまでですか?」
ボー妹「うんそうね。各自ストレッチして解散ね」
全員「はーい」
同輩A「ねえ、どうやったらあんなシュートが出来るようになるの?」
ボー妹「うーん・・・・・・勘かな」
同輩B「勘であそこまで正確なシュートが出来たら苦労しないよ」
同輩A「ていうかさ、ボー妹ちゃんさ、バスケだけじゃなくてスポーツ全般得意だよね」
同輩B「そうそう!この間陸上の先輩より早いタイム出したって聞いたよ?」
ボー妹「あー、あのあと陸上の顧問に必死に入部勧められてさー、まいったよ」
同輩B「すごいよね。バスケでも1年生にしてポイントゲッターだし、司令塔だし」
ボー妹「ほめても何も出ないよん」
同輩A「もうなんか、抱いて欲しい」
ボー妹「?そうなの?」ギュー
同輩A「ん、えっとそういう意味じゃなかったんだけど、ま、いっか」
ボー妹「どうしたの?」
同輩A「ちょっとごめん」むぁんず
ボー妹「ひゃぁっ!??」
同輩B「な、何してんの!?」
同輩A「な、なんで私よりおっぱいが夢いっぱいなのよ・・・・・・」ムニムニ
ボー妹「あ・・・ぁ・・・・・・///」ビクビク
先輩「こら何やってんの!」
同輩A「だ、だって先輩、この子ボーイッシュなのに夢いっぱいで感度良好なんですもん!」
先輩「げ、同輩Aが変態化してる・・・・・・」
同輩B「今に知ったことじゃないですけどねー」
同輩A「で、私のテクは気持ちよかったかい?」
ボー妹「ん、え?ああ、上手だったけど兄ちゃんよりは下手だったかな?」
先輩「」
同輩B「」
ボー妹「あ、しまった」
先輩「ちょちょちょちょちょ!今、ボー妹家のイケない部分が見えたよ!?」
同輩B「それは・・・・・・ないわ」
同輩A「き、禁断の愛・・・・・・?」ハァハァ
ボー妹「えっと、忘れて?」
先輩「ムリ」
同輩B「ムリだよ」
同輩A「mixiっと」ポチポチ
ボー妹「お、お疲れ様でしたーーーーーーーーー!!」ダッ
先輩「あ、逃げた!!」
同輩B「追え!追うんだーー!!」
同輩A「ツイートっと」ポチポチ
たかし「おーい無垢妹ー!」
無垢妹「あれ?たかしくんどうしたの?」
たかし「いっしょに帰ろうぜ?」
無垢妹「いいよ!今日も砂場行く?」
たかし「今日は別のところに行こう。駅前とか」
無垢妹「でもお金持ってないから何も買えないよ」
たかし「俺が持ってるから大丈夫だ!好きなものは何でも買ってやるぜ!」
無垢妹「ごめんね。お兄ちゃんから、知らない人に物を買ってもらってはいけませんって言われてるの」
たかし「俺たち知り合いだろっ!?」
無垢妹「あ、そうだった」
たかし「ったく。で、何か欲しいものあるか?」
無垢妹「んっとねぇー、『ゴム』ってやつ欲しい」
たかし「ゴム?それでいいの?」
無垢妹「なんかね、普通のゴムじゃなくてねヒニンができるゴム。薬局にあるんだって」
たかし「そんなのがあるんだ」
無垢妹「うん。大人お姉ちゃんから聞いたんだ。それを使えばお兄ちゃんとプロレス(?)ができるんだよ!」
たかし「お前アクティブだなー」
無垢妹「にきびはまだ出来てないよ?」
たかし「そっちじゃねーよ!頭にプロはつかないから!」
無垢妹「さ、薬局行こう!」ダッ
たかし「ちょ、待って!」
たかし「ゴム・・・・・・ゴム・・・・・・輪ゴムしかねーや」
無垢妹「おお!チョコ!」
たかし「あっちはあっちでお菓子に目が行ってるし」
たかし「もう店員に聞こう。すいませーん」
店員「どうしたのボーヤ?」
たかし「ゴムはありますか?」
店員「ああ、それならこっちにあるよ」
たかし「あ、輪ゴムじゃなくて、ヒニン?が出来るゴムらしいです」
店員「」
たかし「?どうしました?」
店員「え、っと。それは誰が欲しいの?」
たかし「あいつです。あそこでチョコと格闘している女の子です」
店員「ちょっと待ってなさい」
<そこの女の子?こっちにおいで
<え?チョコ買ってくれるんですか?
<チョコは置いて!
たかし「は、はい」
無垢妹「たかしくん、ゴムあった?」
たかし「うん。今から店員さんに案内してもらう」
店員「ごめんね。ショッキングかもしれないけどそのゴムについて少しお話しないといけないの」
無垢妹「どういうお話ですか?」
店員「これは確かに必要なものだけれど、あなたたちにはまだ早いの」
無垢妹「えっ!?」
店員「それはこの年で(性的)欲求が高まるってくるのは知ってるけど、そこをぐっと堪えてお互いのために考えて欲しいの」
たかし「(欲求?プロレス(?)したい欲求?)」
店員「だから簡単にお互い体を許しちゃダメよ?」
無垢妹「じゃあ、わたしはお兄ちゃんとプロレス(?)が出来ないんですか・・・・・・?」
店員「え、お兄さん?」
無垢妹「だってお兄ちゃんとプロレス(?)ができるって聞いたからゴム欲しいのに、店員さん何言ってるか分からないですよぉ!」
店員「なんてこと!最近の若者はここまで乱れていたとは・・・・・・!」ガーン
たかし「確かにプロレスは乱れて危ないな」
無垢妹「ゴム欲しい!!ゴーム!ゴーム!」
<小さい女の子がゴムゴム言ってんぞ
<幼女ハァハァ
店員「ひえぇぇ!店長助けてーー!!」
無垢妹「ヒーニーンーーー!!ほら、たかしくんもいっしょに!」
無垢妹・たかし「ヒーニーンー!!ヒーニーンー!!」
<あら?
店員「いやぁぁぁぁぁ!!だれか助けてぇぇぇぇぇぇ!!」
大人妹「どうしたのですか?」
店員「小学生が乱れてるのーーーー!!」
無垢妹「あれ?大人お姉ちゃん?」
大人妹「ふふ。店内でヒニン、ヒニン叫ぶ少女がいたと思えばやっぱりあなただったのね」
無垢妹「うん!大人お姉ちゃんの言ったとおりヒニンとプロレス(?)の出来るゴムを買いにきたんだよ!」
大人妹「奇遇ですね。私もですわ」
たかし「お、おい。お前の姉ちゃん?」
無垢妹「そうだよ!」
大人妹「あら、うふふ。あなたはたかしくんね?」
たかし「よ、よろしくおねがいします!」
無垢妹「それより、大人お姉ちゃんならゴムがどこにあるか知ってるよね?」
大人妹「もちろん。さ、こっちよ」テクテク
無垢妹「オス!」テクテク
たかし「で、結局ゴムって何なんですか?」テクテク
大人妹「それも含めてしっかりお勉強しましょうか。コウノトリとキャベツ畑の幻想をぶち殺してあげますわ」
店員「・・・・・・はっ!あなたたち待ちなさーーーーい!!」
駅前
ボー妹「はぁ、はぁ・・・・・・ここまで来ればもう大丈夫だよね」
ボー妹「全く、先輩と同輩Aには呆れるよ。・・・・・・まあ口が滑ったボクが悪いんだけどね」
ボー妹「せっかく駅前来たんだし買い物してから帰ろうっと」
ドンッ
ボー妹「イタッ!」
<あ、すいません
ボー妹「あ、こちらこそ・・・・・・ってツン姉ぇ?」
ツン妹「ボ、ボー妹?」ゼェゼェ
ボー妹「何でそんな息切らしてるの?」
ツン妹「野獣から逃げてきたからよ」
ボー妹「あー、僕といっしょだね」
ツン妹「あんたも誰かに追われてるの?」
ボー妹「もう撒いたけど、うっかりね兄ちゃんが好きな事口走ってしまってさ、それを言及しに先輩やら誰やらに追われて・・・・・・」
ツン妹「全面的にあんたが悪いわ」
ツン妹「私は・・・・・・百合の花の獣と化した先輩友に駅前のホテルに連れ込まれそうになったのよ。命からがら逃げてきたけど」
ボー妹「百合?ホテル?」
ツン妹「今日で知らなくて良い単語をたくさん覚えちゃった」ウフフフフフフフ
ボー妹「ツン姉ぇがダークサイドに!?」
<じゃーねー!お兄さんによろしくー
<あなたのせいで今日は散々だったんですからね!?
ボー妹「誰かと思えば敬語姉ぇじゃん」
敬語妹「おや?ツン妹にボー妹じゃないですか。二人揃ってどうしたんですか?」
ツン妹「さっきそこで会っただけよ。敬語姉さんは何してたの?」
敬語妹「数学の宿題を見せてやる見返りをパフェでいただいてました」
ボー妹「うげ、よくそんな甘ったるいもの食べれるね」
ツン妹「そっか、ボー妹は辛党だったわね」
敬語妹「さすがに某カレーやさんで10辛を頼んで、汗一つかかずに完食したときは店員さんも引いてましたね」
ボー妹「汗はかいたよ汗は」
ツン妹「でも辛さは?」
ボー妹「普通だったね。敬語姉ぇの特性タバスコの方がよっぽどおいしい」
敬語妹「あれでまだおいしいのレベルですか・・・・・・」
<ふふ、また来ますわ
<ゴム買えなかったね
<ひ、ヒニンは否認で、ゴムは近藤夢・・・・・・
大人妹「あら?」
無垢妹「お?」
敬語妹「お姉さんに無垢妹じゃないですか。と、そちらの子は?」
大人妹「無垢妹ちゃんを大好きなたかしくんよ」
たかし「はいー・・・・・・」ボー
敬語妹「えっと、上の空なんですけど、あなたまた何かしました?」
大人妹「大人の階段を駆け足で昇っただけよ、心配しないで」
敬語妹「何てことしてるんですか!?純粋な少年をあなたの毒で犯さないでください!」
ツン妹「あきらめて姉さん。いつも通りと言えばいつも通りよ」
ボー妹「今度は何したんだろうね」
無垢妹「ゴムを買えなくてプロレス(?)が出来ないからって、どうしてたかしくんがショック受けてるの?」
敬語妹「ゴ、え?ゴム?」
ツン妹「・・・・・・あーあ」
ボー妹「ここにも兄ちゃんと乳姉ぇの被害者が生まれたわけだね」
たかし「無垢妹なんて・・・・・・大ッ嫌いだーーーーーーー!!一生兄貴とプロレス(?)やってろぉぉぉぉぉぉ!!」ダッ
無垢妹「うん!」
敬語妹「おい」
大人妹「さて。なぜか一家妹全員大集合なんですが」
ツン妹「偶然って恐ろしいわね。少なくとも私は一番上の姉さんを連れて歩きたくはないわ」
大人妹「まあひどいわ。ツンデレの症状が悪化してるのね」
ツン妹「それが原因よ!」
ボー妹「ま、とにかく家に帰ろう。日が暮れるよ!」
敬語妹「そうしましょうか」
無垢妹「手ぇつなご!」
大人妹「そういえば、こうやってお兄様抜きでお話するのはとても久しぶりな気がするわ」
敬語妹「そうですね。常にどこかに兄さんがいましたし」
ツン妹「まるで金魚のフンね」
ボー妹「でもそんな金魚のフンの兄ちゃんがみんな好きなんだけどね」
無垢妹「お兄ちゃん嫌いな人はいないよ!」
大人妹「ふふ。そうですわね」
敬語妹「バカな兄さんほど愛してます」
ツン妹「べ、別に私は家族としてであって・・・・・・ゴニョゴニョ」
ボー妹「兄ちゃんがいない生活は考えられないなあ」
無垢妹「お兄ちゃん大好きだよっ!」
<しかしよかったのかい?可愛い妹たちがいるにもかかわらず私に付き添って
<大丈夫でしょ。また昼休みにティーを飲みたいですし
<いやいやそういうわけじゃなくてな
<?どういうことですか?
敬語妹「?この声は」
<こんな薄暗い路地裏から出てきた男女、怪しまれる理由は多々だ
<でも行きつけのティーショップがそこにしかないってだけですし
<まあ今話すのもなんだと思うが、コスモ的なパワーにはもう一つ力があってだね
<ほう
<少しばかり妹たちと君に関することで予知が出来るんだよ
<めちゃ気になります
<言っておくが、私は君が私に付き添うことを拒否したからね
<ん、まあショックではありましたけどそうですね
<それが、残念なことにならないように配慮したことだと気がつかなかった君が悪いんだからね
<?どういうことですか?
<ふふ、まあ目の前を見たまえ
<前?
男「あ・・・・・・」
大人妹「路地裏から同級生の女性といっしょに出てくるお兄様」
敬語妹「薄く笑みを浮かべている女性」
ツン妹「私たちと会ったことでばつの悪そうな顔になる兄貴」
ボー妹「信じていた者に裏切られる私たち」
無垢妹「えっと、中に誰もいませんよ?」
女「ということだ。君には状況説明の義務がある。では」テクテク
男「ダメだ。俺死んだな」ハハッ
大人妹「ふふ。大丈夫ですわお兄様。家に帰ればお兄様の部屋からボンテージ衣装を取り出して、一晩眠れないようにしてあげますわ」ニコッ
敬語妹「あー新しい特性タバスコの材料思いつきましたー。ですが味見が必要ですねー」アハハ
ボー妹「奇遇だね敬語姉ぇ。私もその人といっしょに食べたいんだ」ウフフ
ツン妹「そう言えばボーイズラブに興味のある男の子がうちのクラスにいたわね」オホホ
無垢妹「??みんなどうしたの?」
男「さあみんな、あの太陽に向かって競争だああああああああああ(泣)!!」ダッ
大人妹「!逃げました!追いますよっ!!」
全員「オーーー!!」
男「」シーン
無垢妹「へんじがない ただのしかばねのようだ」
ボー妹「前々から思ってたんだけどさ、無垢妹って知識が偏ってるよね」
ツン妹「ボー妹、少し考えれば分かるじゃない。ウチには偏った知識人が2名ほどいることを」
大人妹「いやねえ。いったい誰かしら?」
敬語妹「胸に手を当ててしっかりと考えてくださいね」
大人妹「胸に手を当てて・・・・・・」モミモミ
敬語妹「くっ・・・・・・」
ツン妹「くっ・・・・・・」
無垢妹「2人ともどうしたの?」
ボー妹「地雷踏んだ人と、その巻き添えだよ」
男「やめろ。道端でそんなことするんじゃない」
ボー妹「おー!兄ちゃんが初めてまともな事言った!」
敬語妹「明日嵐じゃないですか?」
ツン妹「いや雪ね。吹雪のほう」
男「お前ら俺をなんだと・・・・・・」
ツン妹「要素①に、変態の単語は欠かせないわね」
敬語妹「同意です」
大人妹「同意ね」
ボー妹「乳姉ぇもだからね」
無垢妹「あ、お家が見えたよ!ダッシュ!!」ダッ
敬語妹「危ないですよ!」
無垢妹「ただいまー!!」
男「えっ!?」
ツン妹「ちょ、なんで家の鍵開いてんのよ!?」
敬語妹「そんな・・・・・・確かに閉めたはずなんですが」
ボー妹「うん。確かに閉めてたよ」
男「つーことは泥棒、か?」
大人妹「無垢妹が危ないわ!」
ボー妹「とにかく急ごう!」
ガチャ
男「無垢妹っ!!」
<やあお帰り
<おかえりなさい
全員「え・・・・・・?」
男「お前ら・・・・・・もしかして」
大人妹「お父様とお母様!!」
敬語妹「これは、ビックリしました」
ツン妹「相変わらず気ままね」
ボー妹「テレビでしか見ないもんね」
無垢妹「パパ!ママ!」
父「会いたかったよ!娘たち!!あとオプションの男もな」
母「あらあら、うふふ。みんな元気そうで良かったわー」
男「相変わらず残念イケメンだな親父!」
父「そのフツメンは、お前どこの家の子だよ?」
男「あー?てめえ自分の棒の先から出た液で生まれた子供の顔も分からないんですかぁ?」
父「オレは常に肌身離さず息子を持ち歩いてるんで、お前なんて知りませーん」
母「あらあら、うふふ。5年ぶりでも仲良いわね」
大人妹「お母様もお元気そうで良かったですわ」ギュー
母「あらあら、うふふ。大人妹さんはこちらがだいぶ成長なさったんですね。圧死しそうです」
敬語妹「止めてください!!母さんの身長分かってるんですか!?135センチなんですよ!?」
ツン妹「ほんと、5年間も家ほったらかしにしないでよ!」
父「うんうん。悪かった。だから今日は盛大にパーティなんだよ娘!」
無垢妹「パーティ!?サンタさんは来るっ!?」
父「ああ!来るとも!」
男「嘘言うなよ!時期が半年以上違うわっ!」
母「あら?知人のサン・ターさんを呼んだのだけれど」
男「まさかの知人!?って紛らわしいわ!家族の団らんにサン・ターさんはいらなくない!?」
父「それもそうだな」
ボー妹「なんか、さすが金持ちの考えることは分からないって感じだね」
父「娘たちも金持ちの家族ってことになるんだぞ?」
敬語妹「とは言っても毎月支払ってもらっている仕送りの9割以上は残っていますし」
ツン妹「そうそう。貯まる一方なのよね」
大人妹「このあいだ貯金を下ろしに行った時に、残高を見てとても驚きましたわ」
父「何故だ!?なんでそんな余る!?」
男「子供に毎月1000万はどうかと思うけどな」
父「そうか・・・・・・だから、『パパ、お金足りないから送ってー(汗)』『そうか、仕方ないな娘よ』『パパ大好き!』が出来なかったのか・・・・・・!!」
無垢妹「3ヶ月でランボルギーニが買えるね」
ツン妹「やっぱりこの子知識が偏ってるわ」
母「あらあら、うふふ。さ、お料理の準備が出来ていますよ」
全員「はーい!」
父「旅行行くぞ!」
男「静かに食えんのかバカ親父。あ、敬語妹その焙煎肉取って」
敬語妹「どうぞ兄さん。これおいしいですよ」
大人妹「こちらのロブスターもとても美味ですわお兄様」
ツン妹「キャビアなんて初めて食べたんだけど。あんまりおいしくはないわね」
ボー妹「四川風麻婆豆腐の辛さが最高!」
無垢妹「コレもおいしい!コレも!コレも!」
母「あらあら、うふふ。5年という歳月はお父さんの威厳を根こそぎ取っていったみたいですね」
父「返して!!利子付きで威厳を返して!!」
男「はぁ。コレが親父かよ。叫ぶ事しか能がねーんじゃないのか?」
大人妹「お兄様も同じようだと思われますが?」
敬語妹「仮にも1代で財をなしたお父さんに言うことではないですよね」
男「じゃあハイ、親父。発言するときは手を上げてから言うこと」
父「はい!」ノ
男「親父くん」
父「家族で旅行に行くことを提案します!」
男「却下。俺ら学校、親父仕事」
父「が、学校も土日は休みだろ。仕事は1週間休み取ったから大丈夫だ!」
男「コーコーセーに土日があるとでも?それに部活もありき、お前は仕事しろ。はい論破」
父「もう、父さんには倒産しなかいのか・・・・・・」
敬語妹「縁起悪いこと言わないでください!って、そうじゃなくてウマくないです!」
大人妹「で、旅行はどこに行くと予定されていたのですか?」
母「京都や北海道などお父さんと相談していたのですがね、やっぱり熱海などでゆったり温泉に浸かろうということになりました」
男「いいなそれ!」
父「明らかな反応の差!?」
男「母さん・・・・・・」
大人妹「お母様・・・・・・」
敬語妹「お母さん・・・・・・」
ツン妹「母さん・・・・・・」
ボー妹「お母さん・・・・・・」
無垢妹「おかあさん・・・・・・」
抱きっ!!
母「あらあら、うふふ。みんなで抱きついて。お母さん嬉しいです。あらあら・・・・・・うふふ・・・・・・」
父「やめて!オレの妻が6人の圧力で圧死してしまうから!母さん、かあさーーーーーん!!!」
屋上
男「というわけで熱海に行くことになったんですよ」
女「そうか。お土産は一番高いので頼むよ」
男「そうっすね。いつものティーのお返しです」
女「今日はレモンティーだ」
男「おいしいです」
女「帰ってきたんだねご両親が」
男「ふらっと帰ってきていきなり旅行行こうですからねえ。1週間学校休む羽目になりましたよ」
女「残念そうにいうわりに嬉しそうな顔じゃないか」
男「え、違」
女「分かるよ。こっちの世界の記憶では5年間もいなかった両親だからね」
男「前の世界では口うるさい親父と・・・・・・母親は何一つ変わってないや」
男「ええ。最近、この上ない贅沢を感じてるんですよね」
女「というと?」
男「朝は理想の妹たちと言葉を交わして楽しく朝食、昼は女さんと少し早いアフタヌーンティー、夜は妹たちとエキサイティング。さらに明日から熱海旅行」
女「エキサイティングさせられているんだろう?」
男「はい、ごめんなさい。話を盛りました」
女「それが贅沢だと?」
男「元が平凡だったから、こういう風にいっぺんに幸福を感じると、不安になるんですよ」
女「全く理解できない感情だね。私なんて監査官の仕事を全うするのに必死だというのに」
男「すいません・・・・・・お土産たくさん買ってきます」
女「ふふ。特に皮肉を込めていったわけじゃないよ」
男「いや今の皮肉じゃね?」
女「監査官と言っても宇宙から感じる意志をビビビッと感じたり、念視する程度だから苦ではない」
男「電波ですね」
女「じゃあ君は青春している男か?」
男「もうそれでいいです」
女「それはよかった」
男「流れ星にどんな力があったんでしょうね」
女「流星は人の願いを叶えると昔から言うじゃないか」
男「それは星が流れている間に願いを三回言えるほど努力しているから叶うってことじゃないですか?」
女「そうだよ。じゃあその努力に神様が見返しをくれても良いじゃないか」
男「なんかもう非科学的で頭痛くなってきました」
女「非科学ついでにこのSSのタイトルを考えてみると、男『お、流れ星か。理想の妹くださいっと』になるんだけどね」
男「何言っているかさっぱりです・・・・・・」
女「宇宙(VIP)と交信していたのさ」
男「で、そこで女さんに予知して欲しい事が」
女「却下」
男「おえっ!?」
女「未来は自分で切り開いていくものだよ。私に頼るべきではないぞ」
男「そんなー・・・・・・」
女「ちなみに君は『熱海で起こるエロハプニングを教えてください』と私に言って、その場面になって慌てずに(変態という名の)紳士的に対応しようと考えていたんだろう?」
男「がっつり心読まれてた!?」
女「コレも予知だ。全くもって君の発想は変態の極みではないか」
男「もっと言って・・・・・・!!」ハァハァ
その頃
大人妹「!!」ガタンッ
大友「どうしたの?」
大人妹「よく分かりませんが、今お兄様が大変な変態な気がしますわ・・・・・・!!」
大友「え、その怪電波を感じ取るあんたも相当変態よ」
大人妹「いいえ。私にとっては快電波です」
大友「悪化してるじゃん!!」
女「さっきの言葉はスルーするとして、監査官として一つアドバイスしておく事がある」
男「アドバイス?エロニングの?」
女「エロハプニングを略したんだね。何となくエロの現在進行形に聞こえなくもないよ」
男「どんなエロニングが起こるんですか?」
女「エロニングのことではないが、まあ、両親の話をしっかり聞いておくべきだというアドバイスをしたかったんだ」
男「チッ。そんなことですか」
女「あからさまに不機嫌になるな」
男「でも聞くに足りない父親と、自己主張の小さい母親ですよ?」
女「それに加えて、大人妹の話もしっかり聞いておくといい。特に温泉で、ね」
男「温泉=エロング・・・・・・!!ウハッ!やっぱり流星は僕を見捨ててなかったんだ!」
女「さらに略した!?どうでもいいが、今日の君は流星に当たって欲しいほどのウザったさだな」
男「褒め言葉ッス!!」
女「・・・・・・」
熱海
無垢妹「そんなわけで熱海!!」
大人妹「お兄様、妹を場面説明に使うのはよしてください」
男「いや、これは無垢妹が自発的に」
ツン妹「で、私たちは今どこにいるのかしら?」
ボー妹「どこって、旅館じゃん?」
大人妹「ほら」
男「俺絡んでねーよ!?今の明らかにツン妹とボー妹のやり取りじゃん!」
母「あらあら、うふふ。ロビーでゆったりするのもいいですね」ニコニコ
敬語妹「なぜか私たち以外に人がいないように感じますが?あとお父さんも」
母「貸切ですからね。3日間貸切しています」
男「なんつー財力・・・・・・!!」
ツン妹「本当ッ!ダイアモンドみたい!」
敬語妹「あ、あの」
ボー妹「サーフィンとかしたくなっちゃうね!」
敬語妹「あの」
男「いやサーフィンするには微妙だな」
敬語妹「そこは素直に、そうだな、とか言いましょうよ!!って、そうじゃなくて誰もお父さんがいないことをスルーですか!?」
大人妹「お父様は心の中で生きていますわ・・・・・・」
敬語妹「生きてますから!!あなたがしみじみ言うとシャレに聞こえません!!」
ボー妹「目を覚ましてよ・・・・・・父ちゃん!」
敬語妹「お父さん死んじゃったみたいな言い方ですが、低血圧でまだ寝てるだけですからね」
男「俺と」
無垢妹「わたしの低血圧は」
男・無垢妹「「親父のせい!」」
ツン妹「ほんと・・・・・・死んじゃえばいいのよ」
敬語妹「え、ツン妹ちゃん何かあったんですか・・・・・・?」
母「お父さん、寝ぼけてツン妹ちゃんの太ももを舐めはじめたんです」
敬語妹「それ本当に寝ぼけてるんですか?」
男「・・・・・・!!?」
敬語妹「兄さんもさもその手があったかって顔しないでください」
大人妹「あらお兄様、そんなに太ももが欲しいのであれば・・・・・・どうぞ」チラッ
ボー妹「あ、ずるい!私も!」ヌギヌギ
無垢妹「お兄ちゃんが好きならわたしも好き!」ヌギヌギ
男「みんな・・・・・・!!いただきますっ!」
敬語妹「旅館のロビーでストリップしないでください!!」
母「ダメですよ。何だかんだであなたたちのことを一番考えてくれているのはお父さんなんですから」
男「そうなの?」
ツン妹「そ、それは分かるけど・・・・・・」
ボー妹「私は父ちゃんのこと尊敬してるよ!」
無垢妹「毎月お金くれる都合のいい人だよね?」
敬語妹「実の父親に向かってなんという発言!?」
大人妹「私もお父様は尊敬していますわ。だって私を拾ってくださったお方なんですもの。そしてお兄様も」
男「義妹ってシチュ、めっちゃ興奮するよね?」
敬語妹「その発言で台無しです兄さん。あと3人はきちんと服着てくださいね」
父「まあ合流したわけなんだが・・・・・・」
男「旅館に残っていたのが息子だけで、ウホッな想像張り巡らしてんじゃねーよ。近寄らないで」
父「うえぇぇ。父→男→父の文字見てたら気持ち悪くなってきた・・・・・・」
男「もっかい寝ろ。そんで永遠に目覚めるな」
父「それだったら、文字が男だけになって独り言乙になるぞ?」
男「う、それはそれで寂しいやつになるからヤダ・・・・・・」
父「で、愛しの母さんと娘は?」
男「露店巡ってるんだと思うが?」
父「どうして疑問系なんだ?」
男「いやトイレ行ってたらさ、置いてかれた」
父「へへ、ざまぁ」
男「それ言うと、起こされもせずに置いていかれた親父も同類だぞ?」
父「・・・・・・・・・・・・」
男「へへ、ざまぁ」
男「ポジティブでよろしい。が、それはツン妹だけで十分でーす」
父「し、仕方ない。ツン妹のプレゼントだけだがよしとするか」
男「プレゼントがあるとしても親父には無いと思うなー」
父「ああ?それはいかにも、ツン妹が男だけにプレゼントをやりますって言ってるように聞こえるんだけど?」
男「あ、いや別にそういう意味で言ったわけじゃ・・・・・・いやそういう意味で言ったんだけど?」
父「強気な態度!?どーいうことだ男ぉぉぉぉ!!」
男「いやだって・・・・・・妹たちは俺の事好きだし?」
父「うっわ、ナルシストとか引くわー」
男「事実だっ!!」
父「・・・・・・やっぱりそうなのか?」
男「そうじゃないと言えば嘘になる」
父「はあ。オレは自由の国で仕事してるから大概のことは自由なんだが、自由の裏には責任がまとわりつくんだ」
男「まあ親父が言わんとしてることは分かるよ」
父「誰を選ぶとかは?」
男「そんなの決められない。責任逃れみてーな言い方かもしれないけど」
男「つくづく俺があんたの血を引いていることを実感させられるよ」
父「ま、それは冗談だが、オレは反対しない。ただ、後ろがあることはしっかり覚えておけ」
男「ちっ。親父みたいなこと言いやがって」
父「親父だからだ。コレ、取っておけ」つ●
男「?何コレ?」
父「つけ心地ゼロ!新体験の薄さ!」
男「ちゃっかり5枚分ゴム準備してんじゃねー!!てめーで母親相手に盛ってろ!!」
父「いや、母さんはダメだ」
男「まさかの浮気宣言!?」
父「そうじゃなくてな、母さんはあの身長だろ?だからもう子供は産めないんだ」
男「たしかに135センチとか、端から見れば合法ロリで嬉しいけど、その分色々な器官が小さいもんな」
父「お前の出産も苦労したんだぞ」
男「らしいな」
男「それが大人妹」
父「あの雨の日な・・・・・・」
男「雨の日とかあったっけ?」
父「ん?あれ?いや雨の日だったか、晴れの日だったか・・・・・・たしかプロレス(?)がどうこう言っていたのだけは覚えてるんだが」
男「忘れてください!!」
父「ふむ。さて、この旅館には家族風呂がある」
男「え、家族風呂にはいるのか?」
父「それの方が盛り上がるだろう?」
男「どこが盛り上がるんだよ、どこが」
父「とは言っても家族風呂は4人までらしい」
男「8人だから半々だな」
父「色々考えたんだが、父さん母さんお前大人妹でどうだ?」
男「何を色々考えてそうなる?完全に年功序列じゃねーか。自由の国の人間が何日本の格式に囚われてんだよ」
父「常識は破るためにあるんだ」
男「一回転して通常だよ」
父「で、どうだ?」
男「俺は構わないけど、女衆に聞くんだな」
父「よーし!舐め回す様に見るぞ~!!」
男「お前やっぱ独りで入れっ!!」
父「えっお風呂入ってきたの!?」
男「くっ・・・・・・」
敬語妹「すいません。兄さんのトイレが長いのと、お父さんの睡眠が長いので私たち待ちきれなくなって・・・・・・」
大人妹「ちなみに上の分からトイレと睡眠という言葉を抜くと、良いわよ」
ツン妹「何がどういいのよ!?」
無垢妹「すいません。兄さんのが長いのと、お父さんのが長いので私たち待ちきれなくなって・・・・・・」
ツン妹「わーわーわー!!言わなくていい!!」
ボー妹「なんか、おえっ」
母「あらあら、うふふ。それではお父さんと男君が寂しいので、私といっしょに家族風呂でもいかがですか?」
父・男「オッケーっす!」
敬語妹「ちょ!野獣の中にお母さんを放り込ませません!!」
父「野獣とは失敬な!紳士だよ、娘」
男「じゃあ首輪係でもう一人だれか一緒に入るか?」
敬語妹「えっ・・・・・・・」
ツン妹「・・・・・・!!」
ボー妹「チャンス・・・・・・!!」
大人妹「ダメよ。あなたじゃ首輪係りどころか餌になってしまうわ。ということで私が首輪係をしますわ」
敬語妹「あ、あなたも十分に餌じゃないですか!」
大人妹「私は餌となる覚悟がありますので」ニコニコ
ボー妹「お、大人の眼・・・・・・!!」
ツン妹「く、悔しいけど、それがいいかも」
無垢妹「ちぇー!残念だなー」
男「おーい、決まったかー?」
大人妹「私がお兄様とお父様の首輪係をさせていただきますわ」ピトッ
父「ひゃっほーい!!」
ツン妹「バカ親父の喜びよう!?」
男「コラひっつくなって!」抱きッ
敬語妹「ひっつくなと言っている割に抱き寄せてませんか?とくに胸部辺りを中心に!!」ギロッ
男「いや、これは大人妹が・・・・・・」
大人妹「あんっ、お兄様!」
父「チッ!!」ギロッ
ツン妹「」イライラ
無垢妹「むー・・・・・・」
男「なるほどこれが四面楚歌か」
ボー妹「状況的に盛ったライオンの檻(男と父)に、餌(母)と餌をぶら下げた調教師(大人妹)を入れるようなものか」
男「俺はライオンじゃなくてダチョウくらいだYO」
敬語妹「それって欲が低いことのアピールになりますか?それになぜヒップホップ?」
男「いや、楚歌はヒップホップだと思うんだ」
父「そっか」
男「」イラッ
大人妹「さ、お兄様お風呂場に行きましょう」
敬語妹「なんかあなたが言うと、そういうお仕事をしている人のように聞こえます」
母「まあ。敬語妹さんはそういうお仕事に興味があるんですか?」
敬語妹「まさかのお母さんからの質問!?って、興味ないですよ!」
ボー妹「だけどホントは?」
敬語妹「人並みに・・・・・・って何言わせるんですか!!」
男「だんだんツッコミが上手くなってきたなー」
敬語妹「好きでこんなことしてるんじゃないですよ・・・・・・」
大人妹「最初は清楚なキャラだったはずなのに」
敬語妹「う」
ツン妹「変態たちのせいでいつのまにか」
ボー妹「暴走の抑止剤と考えれば大切な役だけど、損な役回りであることには変わりないよね」
無垢妹「敬語お姉ちゃん、いろいろ大丈夫?」
男「敬語妹ーーー!!?」
大人妹「このノリするの2ヶ月ぶりね」
父「え、2ヶ月に1回はこんなことしてるの?」
無垢妹「大丈夫だよ。おなか空いたら帰ってくるから」
父「どこの小学生!?」
母「あらあら、うふふ」
大人妹「さ、お父様、お母様、お兄様、行きましょう」
男「オーー!!」
ツン妹「バカ兄貴」ゲシゲシ
男「えっとなんでしょうツン妹さん。なぜか爪先が痛いんですが・・・・・・」
ツン妹「手ぇだしたら・・・・・・どうなるかわかってるよね?」ニコッ
男「はい。もう十分存じております」
ツン妹「分かればいいのよ。分かれば」
男「それ、親父にもしてやれ」
ツン妹「イヤよ」
男「どうして?俺よりあいつの方が危ないだろ?」
ツン妹「だって、ハァハァして喜ぶだけだもん」
男「そう、だな・・・・・・」
注意:バスタオル着用です
大人妹「それではお邪魔します」チャプ…
父「おおお!バスタオルからのぞく四肢が色っぽい・・・・・・!生まれて来て良かった・・・・・・!!」
大人妹「大袈裟ですわお父様」カンラカンラ
男の愚息「お父さん!!」
男「(やめろ!家族の前でお前は節操なしかーーーーー!!)」
男の愚息「でもでもお父さん、お父さんのお父さんの息子さんを見て!」
男「(俺か!?俺を見てどうする!?)」
男の愚息「違うよ!お父さんの股間だよ!」
男「(あ、股間。股間ね・・・・・・うっわ。家族の前でアレかよ。タオルの上からもクッキリ)」
男の愚息「何か、アレ見たら萎えた・・・・・・おやすみー」
男「ああおやすみ」
母「あら、おねむですか男さん?」
男「いや、精神世界で大切な会話をしてたんです」
母「そうですか」
父「はー、極楽極楽」
母「ふふ、血は争えませんね」
男「チッ」
大人妹「私もお父様とお母様の血を欲しかったですわ」
父「何を言っている!!血など繋がっていなくてもお前はうちの娘だ!!」
大人妹「ありがとうございますお父様」
父「思えば、えっと・・・・・・」
母「13年前」
父「13年前!雨の日に男が血相変えて家に飛び込んできたかと思うと、『この子を妹にして!』だからな」
男「あー、そんなこともあったなー」
母「その時男さんの右手に持っていた本は『義妹愛』でしたね」
大人妹「あらあら、うふふ」
男「なんでそんなことまで覚えてるんだよ!?あと口調移ってんぞ大人妹」
父「今でも思い出すなー」
男「そんなに思い出深いのか?」
父「いやだってあんなにディープな本は今じゃなかなかお目にかかれないぞ?」
男「本の話しかよっ!?ああもうそんなのは忘れていいから!!」
男「あ、それは俺も思った」
父「あれ?そうだったか?」
母「私は降っていたように思えますが」
父「なるほど。2人は愛の力で心が晴れていたのか」
男「うまくないぞ。全然うまくないぞ親父」
大人妹「その晴れた心は私の中でたまって、このように実りましたわ」ムニッ
男の愚息「あーもうムリっす」
男「セットアップ!カモーンベイベー!」ガバッ
大人妹「きゃあ♪」
母「男さん!」
男「は、はい・・・・・・!!」
母「ゴムはきちんとしてください!!」
男「そっちか!せめて母親らしくこの行為自体をとめて欲しかった!」
大人妹「そんな・・・・・・」
男「お前はそんなに落ち込むなよ」
母「きゃあ♪」
大人妹「お父様!」
父「は、はい・・・・・・!!」
大人妹「私、弟が欲しいですわ」ホッコリ
男「とめてーー!!俺が言うのもなんだけど、この家族をとめてーーー!!」
父「まあ久しぶりの家族集合なんだ。もっとゆっくりしようじゃないか」
男「お前が言うなよ」
大人妹「ゆっくり・・・・・・」グデー
母「」ウツラウツラ
男「さっきまで騒いでいたとは思えないほど静かになった。てか寝た」
男「うん?家事は敬語妹に任せっぱなしだぞこいつ」
父「違う。大人としての指標を示す事だよ」
男「変態行動がか?」
父「まあそれもだ。この子は良くも悪くも大人だからな。そういうところを見て下は善悪を学んでいく」
男「善2割、悪8割だけどな」
父「そういう意味では、この子を養子に入れてよかったと思っているよ」
男「そういや前の家族は?」
父「ん、忘れたか?・・・・・・まあ覚えてもいないか」
男「??」
父「交通事故でな。お前がこの子を家に連れてきた日に他の家族は、な」
男「なん、だと・・・・・・」
父「この子を救ったのはお前だ。どうやらこの子もそう感じているみたいだな」
男「普通、どうして私だけが生き残ったの、とか泣き叫ぶかと思ったが」
父「家族愛<お前への愛だったんだろ?」
男「嬉しいような、複雑なような・・・・・・」
男「タオル?」
大人妹「すぅ、すぅ」全裸ー
男「バスタオル取れてるううううううううう!!??」
父「うっひょおおおおお!!」
男「ちょ、バカ親父興奮してんじゃねーよ!!巻くからタオル貸せっ!!!!」
大人妹「う、ん・・・・・・」
男「げ」
大人妹「あらお兄様?・・・・・・あ」
男「ち、違うこれはバスタオルが取れたんで、巻きなおしてやろうと・・・・・・」
大人妹「で、出来れば初めてはベッドが良かったのですが・・・・・・///」
男「ちーーがーーーうーーーーー!!!」
父「せっかくだから母さんのも取っておくか」脱がしッ
男「どこがせっかくだバカ親父ーーーーー!!」
男「お前ロリコンだろ!?なあそうだろ!?」
父「知ってるか?アメリカ精神医学ではロリコン、もといペドフィリアの基準は『13歳以下との性行為』と規定されてまーす」
男「こんなところで自由の国を使うなっ!!ていうか範囲狭っ!?」
大人妹「ではお兄様がボー妹と無垢妹に手を出せば・・・・・・」
父「お茶の間の話題になるってわけだ」
男「ドヤ顔してんじゃねーよクソ親父」
父「バカからクソに格上げ!?」
男「格下げだっ!!」
大人妹「まあ私のみが裸で話すのもなんですから、お兄様とお父様のタオルも没収ですわ」バッ
男「おウッ!?」
父「ふん!!」
大人妹「でしたら私を奪ってご覧なさい!」
男「タオルだ!何キャラだよお前!?つーか親父は前を隠せっ!!」
父「子曰く『我五十にして前隠さず、悦ばしや』」
男「それはお前の性癖だ!あと孔子はそんなこと言ってない!」
母「あら、寝てしまってましたか・・・・・・おや?」
大人妹「ほーらお兄様、タオルがこんなところにー」
男「やめて!四つん這いになると危ないところがデンジャラス!!」
父「ね、つ、つ、次は女豹のポーズしてもらってい、いいかな?」
男「てめーは何キョドってんだ!!」
母「あらあら、うふふ。みなさん仲がいいですね。それにしても私のタオルはどこへ?くしゅん」
敬語妹「」ソワソワ
ボー妹「そんなに心配なら見てくればいいじゃん」
敬語妹「ちちち違いますよ!だ、誰が心配ですか!」
ツン妹「私はあの人たちより敬語姉さんの方が心配よ」
ボー妹「そんなこと言いながらー、実はツン姉ぇもさっきから爪噛みすぎだよ」
ツン妹「か、噛んでないわよ!」
ボー妹「2人とも胸が小さいから度量も小さ・・・・・・ゲフッ」
敬語妹「うふふ。何か言った?」
ツン妹「聞こえなかったんだけど?」
ボー妹「何でもありません、麗しいお姉さま方・・・・・・」
無垢妹「」スゥスゥ
敬語妹「こんな場面でよく寝ていられますね」ナデナデ
ボー妹「こんな場面だからだよ。この子にとっては愛も恋も家族愛も全部いっしょなんだよ。だから仲いいあの4人見て安心したんだろうね」
ツン妹「ボー妹もよく落ち着いていられるわね」
ボー妹「いやーボクって性同一性障害になりかけだったからさー、男心も女心もわかるんだよねー」
ツン妹「えっ!?」
ボー妹「えっ!?」
ボー妹「・・・・・・もしかして知らなかったの?」
敬語妹「全く知りませんでした・・・・・・」
ツン妹「だからボクなんて使うのね」
ボー妹「名残りだね。今は女だけど」
ツン妹「たまに男になるの?」
ボー妹「それは無いかなー。兄ちゃんを好きになったらさ、全部元に戻っちゃった」
敬語妹「あ、もしかしてしばらくアメリカにいたのは」
ボー妹「そうそう治療だよ。なんていうの?それまでは心に男も女もいるみたいな感じだったけど、向こうに渡って兄ちゃんが恋しくなって、女心が勝った的な?」
ツン妹「もし私たちが恋しくなっていたら・・・・・・?」
ボー妹「性転換手術を受けて帰ってきてただろうね。そんで姉ちゃんたちにちょっかいだしてたかもよ?」
敬語妹「」ゾクッ
ツン妹「そもそもうちの家系は問題が多すぎな気がする」
敬語妹「みんな難産みたいでしたしね。お母さんの体型から考えればそうでしょうが」
ツン妹「小学生が子供生むようなものよね?」
ボー妹「父ちゃんはロリコンなのかー」
敬語妹「変態な兄さんに、変態な姉さん、ツンデレな妹に、性同一性障害になりそうになった妹。まともなのは私と無垢妹だけですね」
ツン妹「変態な兄貴に、変態な姉さん、敬語がステータス(笑)な姉さんに、ボーイッシュな妹。まともなのは私と無垢妹だけね」
ボー妹「変態な兄ちゃんに、変態な乳姉ぇ、敬語で清楚な感じを出そうとしている姉に、ツンデレで票を狙う姉。まともなのは私と無垢妹だけだね」
敬語妹「・・・・・・」
ツン妹「・・・・・・」
ボー妹「・・・・・・」
ツン妹「だって、同級生にも下級生にも敬語でしょう?狙ってるとしか思えないわ」
ボー妹「需要(笑)ですか?」
敬語妹「そんなこと言うと、ツン妹ちゃんだって、もうツンデレは衰退してきているのに逆行してるじゃないですか!中二ですね」
ツン妹「だから誰がツンデレだって言ってんのよ!ていうか中二って何よ!学年がどうしてけなし言葉になるのよ!」
ボー妹「邪気眼乙!」
敬語妹「ボー妹ちゃんも、いくら性同一性障害だったからと言って、ボクっていう一人称はどうかと思いますよ?」
ツン妹「あなたこそ、票を狙ってるんじゃないの?」
ボー妹「う、うるさい貧乳たち!!」
ドゴッ
敬語妹「さて、1人天に召されてしまいましたが、肝心な事が残っています」
ツン妹「そうね、この子のことを忘れてはいけないわね」
ボー妹「・・・・・・」シーン
敬語妹「百歩譲って私たちが個性的なのは認めます。ではこの子はどうなんでしょう」
ツン妹「それにしてもよく寝てるわね」
無垢妹「」グガー
敬語妹「さっきまでこんな下品な寝方してましたっけ?」
ツン妹「この子の特徴・・・・・・純粋なところ?」
敬語妹「むしろ無知ですね」
ボー妹「もうさ、最終的にこの子だけがまともでいいんじゃない?」
ツン妹「あ、復活した」
敬語妹「釈然としませんが、それでいいです。私は争いを好みませんから」
ボー妹「またそうやって票稼ぎする」
敬語妹「そもそも票って、何に対する誰が入れる票ですか?」
ボー妹「まあ画面の向こうの人たちかな?」
敬語妹「??」
敬語妹「前言撤回です。この子もこちら側でした」
ツン妹「この年でどんな夢見てるのかしら・・・・・・」
ボー妹「まとめると、ボクたちの家系にまともな人はいないと」
敬語妹「あ、お母さんがいました!」
ツン妹「あの『あらあら、うふふ』しか言わない人?」
敬語妹「それは産んでくれた母親に向かって言うことじゃないですよ・・・・・・」
ボー妹「たしかに。こんな貧乳でも生むのに腹を痛めてくれたん・・・・・・ドフッ」
ツン妹「どの口が、どの口がまだそんな事言うのかなー?」
ボー妹「いひゃい!いひゃい!」
ボー妹「そんなに難産だったの!?」
ツン妹「う・・・・・・お母さんごめんなさい」
ボー妹「出来ればもう少し胸があるように産んで欲しかったわ」ボソッ
ツン妹「ええい!心の声を代弁しなくていい!!」
敬語妹「ボー妹ちゃん?」
ボー妹「え、な、なに?敬語姉ぇ、その手は何かな?」
敬語妹「兄さんで鍛えたスリーパーホールドです」ニコッ
ボー妹「笑顔で言うことじゃないーー!!うげぇ!!・・・・・・あ、やっぱり絶ぺk・・・・・・」
敬語妹「ふん!!」
ボー妹「きゅう」
ツン妹「やっぱり変態ばっかり」
無垢妹「むにゃむにゃ・・・・・・」
無垢妹「そんなわけで楽しい熱海旅行も過ぎて行き、お別れの日が来たのでした!」
男「便利だなこの子」
ボー妹「お手ごろ」
敬語妹「え、何言ってるんですか?」
大人妹「省略ですか!?ではあの後のお兄様との初めての夜も、激しい夜も、全部無かったことにするんですか!?」
男「あー、うん。実際そんなことなかったし、大丈夫だよ」
大人妹「ひどい!結局は私の体だけが目当てだったんですね!」
乳「貴様!責任を持たんか!!」
男「親父、表記が違う!!どこの乳が話してるんだよ!!」
大人妹(裏声)「乳『そんな、お兄様の舌使い、忘れられません・・・・・・!!』」ムニムニ
大人妹「こうですよね?」
男「実際に乳で話すな!!ていうかそんな事実無いからなっ!?」
敬語妹「くっ・・・・・・」
ツン妹「ちっ・・・・・・」
母「あらあら、うふふ」
ボー妹「あっはっは!!・・・・・・くふっ・・・・・・げほっげほっ」
男「1人ツボにはまって大惨事なんだけど!!」
ボー妹「あーっはっはっは!!」バンバン
敬語妹「」ゴゴゴゴゴゴゴゴ
ツン妹「」ゴゴゴゴゴゴゴゴ
男「もう乳ネタ引っ張るのやめろよ!2人ほど殺意の衝動に目覚めた人がいるから!!」
父「まあとにかく娘たち、元気でな」
男「あ、ここで仕切るんだ・・・・・・」
大人妹「お父様方もお元気で。お仕事頑張ってくださいね」
敬語妹「あの、月々1000万円もいらないですよ?」
ツン妹「ま、まあたまにはメールでも電話でもくれればいいじゃない」
ボー妹「ボクはバスケでアメリカまで行ってやるよ!」
無垢妹「じゃあわたしは泳いでいくよ!」
父「そうか!水着を速達で送ってやるからな!」
男「お前の想像している水着はヒモっていうんだよ。それにそんな格好で太平洋横断させる気か?」
父「まさか。インド洋を回ってだな・・・・・・」
男「もっと性質悪いわ!!」
母「みなさんが元気そうで良かったです。次に会えるのはいつか分かりませんが、それまで元気でいてくださいね」
全員「お母さん・・・・・・!」
父「では、行くからな」
母「また会いましょう」
大人妹「行ってしまいましたわね」
敬語妹「嵐のような人たちでしたね」
ツン妹「それはバカ親父だけじゃない?」
ボー妹「いざお別れになると寂しいね」
無垢妹「うっ、うっ・・・・・・」
男「お前、泣いてんのか?大丈夫だよ。永遠に別れるわけじゃないし、それに俺らもいるだろう?」
無垢妹「違うの。泳いでいくって言ったけど、わたし泳げなかったの・・・・・・」
男「あ、そういうこと・・・・・・泳げようが泳げまいが、泳いでアメリカまで行くことは出来ないだろうなー」
敬語妹「じゃあ送られてくる水着・・・・・・ヒモはどうします?」
男「新聞縛るのに使えばいいんじゃね?」
父「嵐のような娘たちだったな」
母「嵐の中心は男さんでしたね」
父「あっ!ゴム渡し忘れた!」
母「まあそれはどこにでも売ってありますから」
父「男は誰を選ぶのか」
母「それはあの子達に任せるとしましょう」
父「まあオレたちも最初から同じ名字だった訳だしな。娘たちが男を好きなるのは当然だと」
母「それは言わない約束ですよ。うふふ」
父「それはそうと」
母「はい?」
父「サン・ターさんは?」
母「あらあら、うふふ。どこへやら」
男友「あー学校ダリぃ」
男「おはよっす!!」テカテカ
男友「あ、男じゃねーか」
男「どうした元気ねーな!そんなお前にはコイツをプレゼント!」
男友「うっざ!旅行帰りのテンションうざ!・・・・・・ってこれ安産祈願のお守りじゃん!俺にどう使えと!?しかも熱海関係ない!!」
女「では私が貰おう」
男友「え、あ、どうぞ。・・・・・・えっ!?」
男「あ、女さんおはようございます」
女「エネルギーをチャージしてきたみたいだね」
男友「あの」
男「女さんにお土産いっぱい買ってきましたよ!」
男友「あの」
女「そうか。では昼休みに屋上で頂くとしよう」
男友「あの!!」
女「すまない。少し静かにしてくれないか?」
男友「は、はい・・・・・・」
男「コレ全部昼休みに食べる気ですか?」
女「いやいや食べきれない分は君に持たせて、私の家まで運ばせるけどね」
男「たっはー!敵わないっす!」
女「ちょうどこのお土産に合う様なティーを準備していたんだ」
男「おお!楽しみです!」
女「うふふふふふ」
男「あははははは」
男友「・・・・・・女さんが安産祈願のお守り貰った真相はっ!!?」
屋上
女「ふむ。これはなかなか・・・・・・!」
男「でしょう?試食してから買ったんですよ」
女「ただのお饅頭と思っていたが、皮がしっかりしていて、あんもしつこくない」
男「ばっちりグリーンティーに合いますよね!」
女「ジャスミンティーと迷っていたが、グリーンティーを持ってきてよかった」
男「女さん、ティーと名の付くものは全部持ってるんですか?」
女「絶賛蒐集中だ」
男「あ、でもあの時のアレはもうやめてくださいね・・・・・・」
女「あの時のアレとは何だい?読者が分かるように言ってくれないかい?」
男「読者とか言わないでください。あとちょっと悪い事が起こった感じを出そうとしただけなのに掘り下げないでください」
女「そうか。それはすまなかったね」
男「何はともあれ、楽しかったですよ」
女「私のアドバイスは覚えていたかい?」
男「アドバイス・・・・・・?あ、は、はい!モチロンッスヨ!」
女「はぁ・・・・・・覚えていなかったんだね」
男「すいません・・・・・・」
男「ああ!エロニングの時ですね!」
女「そういうことばかり覚えているんだな」
男「がっつりそんな場面がありましたけど、特に気にすることは無かったかと」
女「そうかい。それは残念だ」
男「男は大抵残念な生き物なんですよ」
女「では今夜、その残念さを身に染みるといい」
男「・・・・・・予知ですか?」
女「さて、ね」
スクッ
女「お土産ありがとう。私は教室に戻るとするよ」
女「最後にアドバイスだ。“あと4日”・・・・・・忘れないでくれ」
男「女さん・・・・・・」
男「急に立つとパンツ見えますよ」
ドゴッ
女「君は1度天に召された方がいいんじゃないかい?」グリグリ
男「ああ、もっと右・・・・・・!!」
男「たっだいまー」
敬語妹「あ、兄さんお帰りなさい」
男「おーイイ匂い!今夜はハンバーグか」
敬語妹「そうですよ。珍しくボー妹ちゃんが手伝ってくれてるんです」
ボー妹<珍しいは余計だよー。兄ちゃんのはこっちの脂身80パーセントのでいいねー?
男「いやー!せめて半分は赤身を入れてー!」
敬語妹「ではお料理に戻りますね」
男「ああ。赤身、頼んだぞ」
男「さて、宿題するのもなんだし、無垢妹と遊んでやるかー」
トントン
男「おーい無垢妹、いるかー?」
シーン
男「おいおい、死んでんじゃないだろうな?」
ガチャ
男「あ、れ?」
男「部屋間違えたっけ?ここ物置だったか?」
男「階段上がってすぐ右の部屋が無垢妹の部屋だったはず・・・・・・」
男「ボケてんのか俺?」
ガチャ
ツン妹「え・・・・・・?」ヌギヌギ
男「あ、うんほら、間違いない・・・・・・」
ツン妹「死ねバカ兄貴ぃぃぃぃぃぃぃぃぃ!!!」
男「のああああああああ!!!」
ドカッ
男「」シーン
敬語妹<どうしたんですかー?
ツン妹「バカ兄貴が私の着替えのぞいてきたのー!!」
ボー妹<いつも通りじゃーん
ツン妹「コレが日常茶飯事なら私、この人と同じ屋根の下にいれないわよ!」
――――――
――――
――
―
男「はっ!!朝っ!?」
敬語妹「あ、おはようございます。低血圧の兄さんには珍しく早起きですね」
男「そうか・・・・・・ツン妹に蹴られてそのまま気絶してしまったのか」
敬語妹「着替えを覗くからですよ」
男「いや、覗いたわけじゃなくて・・・・・・何でだっけ?」
敬語妹「朝食の準備できてますよ」
男「はーい」
リビング
ツン妹「げ、起きてきた」
大人妹「おはようございますお兄様」
敬語妹「兄さんは昨日ハンバーグ食べれなかったんで、今日のお弁当にハンバーグ入れておきますね」
男「ああ、昨日はハンバーグだったんだな。たしかボー妹もいっしょに作ってたよな。そういえばボー妹と無垢妹は?」
敬語妹「・・・・・・?えっと、何を言ってるんですか?」
ツン妹「ボー妹と無垢妹ってだれ?ゲームのし過ぎで頭おかしくなっちゃった?」
大人妹「まあ。私たちがいますのに」
男「はあ?お前らこそ何言って・・・・・・!!」
男「そういえば昨日・・・・・・!!!」ダッ
大人妹「お兄様?」
男「階段上がってすぐ右が無垢妹の部屋!」
ガチャ
男「物置・・・・・・」
男「つっ、その隣がボー妹のへ・・・・・・」
ガチャ
男「や・・・・・・」
男「ははは、こりゃ何の冗談だ?かくれんぼのつもりか・・・・・・?」
敬語妹「何をしているんですか?朝からエキサイティングですね兄さん」
ツン妹「きっとエロ本を隠し忘れてたとかよ」
男「そう、だな・・・・・・その方がいいな」
ツン妹「・・・・・・どうしたの?震えてるわよ?」
ツン妹「な、なななな!ちょ、掴まないでよ!!///」
男「頼む・・・・・・」
ツン妹「・・・・・・4人だけど、それがどうしたのよ?ていうか兄貴大丈夫?顔色悪いよ?」
男「その4人ってのは、俺、大人妹、敬語妹、ツン妹か?」
ツン妹「そうだけど・・・・・・悪い妄想にも取り付かれてるの?」
男「そうだ・・・・・・女さん」
敬語妹「兄さん?」
男「がっこ行って来る!!」ダッ
敬語妹「あ、朝ごはんは食べないんですかーーーー!!?」
敬語妹「もう!」
ツン妹「兄貴、変だったよ?」
敬語妹「そうですね。いつもの変と違うような・・・・・・」
大人妹「あら、降水確率100パーセントだって。1週間雨が続くみたいよ」
敬語妹「じゃあ兄さんの分の傘まで持って行ってください」
大人妹「分かったわ」
男「女さんっ!!」ゼェゼェ
<やだ、朝から女さんと?
<あいつ世の男性の敵だろ?
男友「なに息荒げてんだよ。周りから勘違いされるぞ?」
男「そんなことどうでもいいから!もうこの時間にはきてるだろ女さん!」
男友「え、や、知らない。いつもはきてるんだけどな」
男「そんな・・・・・・」
ピリリリリリ
男「ん、俺のケータイ。メールか」
From:女さん
件名:なし
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
あと3日
男「・・・・・・!!」
To:女さん
件名:なし
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
あと3日って何なんですか!?
妹がいなくなったことと関係あるんですか!?
男友「お、おい。顔色悪いぞ・・・・・・?」
ピリリリリリ
From:女さん
件名:なし
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
キーワードを拾うんだ
男「キーワード・・・・・・?」
担任「おい男、チャイム鳴るぞ。ケータイなおせ」
男「すんません。早退っす!!」
担任「お、おい!」
To:女さん
件名:なし
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
今から女さんの家に行きます
家の場所教えてください
ピリリリリリ
From:女さん
件名:なし
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
すまないが言えない
ただ、最後にアドバイスをする
屋上に行きたまえ
男「最後に・・・・・・?」
To:女さん
件名:なし
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
最後ってどういうことですか?
男「返信が・・・・・・来ない」
To:女さん
件名:なし
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
返信ください
To:女さん
件名:なし
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
大丈夫ですか?
To:女さん
件名:なし
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
何かあったんですか?
To:女さん
件名:なし
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
教えてください
男「・・・・・・屋上に行くか」
屋上
男「雨降ってる・・・・・・」
??「待ってたよ」
男「誰ですか・・・・・・?」
??「私はサン。サン・ターだ」
男「すいません。ちょっといいですか?」
サン「構わないよ」
男「ええええええええええ!!??」
サン「そんなに驚くことかい?本来なら既に君と会っている予定だったんだが」
男「親父たちとの会話でお流れになりましたもんね」
サン「そうだ。君の『家族の団らんにサン・ターさんはいらなくない!?』の発言でね」
男「それは本当にサン・ターさんがいるとは思わなくて・・・・・・ていうかあなたは誰なんですか?」
サン「僕は流星の監査員だよ。女くんといっしょのね」
サン「いや、僕は君のじゃない。君の両親が願った流星の監査員だよ」
男「親父たちの?」
サン「そうだ。正しくは君の母親。彼女は流星に正しく願った」
男「何を願ったんですか?」
サン「『生まれてこなかった子供たちが生まれた世界が欲しい』と」
男「生まれてこなかった・・・・・・?」
サン「重要なのはそこではない。願い方だ」
男「願い方って・・・・・・流星が流れている間に3回言うってやつですよね」
サン「その通り。彼女は正しく3回願った。そして望む世界が手に入った。しかし君はどうだ」
男「俺は・・・・・・1回しか言ってない」
サン「偶然にも君と母親の願いが合致し、叶った様に見えた。が、実は君のその中途半端な願いは母親の願いを食いつぶすように打ち消していっているんだ」
男「それが・・・・・・妹たちの消失」
サン「ああ。君は、所詮ゲームの世界に憧れて、つまらない気持ちで星に願ったに過ぎないんだ」
男「そんな・・・・・・」
サン「だから女くんは君にその考えを更正させるチャンスを与えたんだ」
男「それが、熱海旅行ですか?」
サン「それを君は棒に振った。愚かな」
男「そんな・・・・・・そんな・・・・・・」ガクッ
サン「そして、願いを見届けきれない監査員はどうなると思う?」
男「もしかして・・・・・・監査員も消えるのか!?」
サン「その通りだ」
男「お、俺はどうすれば!どうすればいいんですか!!?」
サン「だから君は愚かなんだ。他人に頼ろうとするその姿勢。3度願おうともせず、他力本願」
男「俺はどうなってもいい・・・・・・ただ、母親と妹たちと女さんに罪は、ない」
サン「・・・・・・」
男「俺の命でも何でも使えばいいじゃないか・・・・・・俺が愚かなら、死んでその命を別のものに変えればいいじゃないか・・・・・・」
サン「あと3日だ。その間に自力で答えを出すといい。君が正しい選択をしたのなら、僕は喜んで君の願いを見届けよう」
男「あ、ああああぁぁぁぁぁぁ・・・・・・」
男「正しい選択・・・・・・」
ガチャ
大人妹「お兄様!!」
男「大人妹・・・・・・」
大人妹「傘を届けようと教室に向かったのですが、慌てた様子で屋上に向かったと聞いて飛んできました」
男「あぁ、すまない・・・・・・」
大人妹「こんなに濡れて・・・・・・何かあったのですか?随分と顔色が悪いですが」
男「俺は・・・・・・」
大人妹「・・・・・・」
大人妹「お兄様、少しお話いたしましょう」
男「あ、ああ」
大人妹「こちらだと雨をしのげますわ」
男「すまない、な・・・・・・」
男「」コクン
大人妹「もし、気分を害されるのなら申し訳ありませんが、私にはその様な妹がいた記憶はございません」
男「知ってる」
大人妹「全てお話くださいとは言いません。しかし、気分が休まるのならいくらでもお傍にいますわ」
男「・・・・・・俺がもし、いや。お前たちがもし、生まれていない存在だったら、どうする?」
大人妹「私たちがですか?」
男「ああ」
大人妹「以前も同じような質問をなさいましたよね?その時と答えは変わりません。今お兄様と会えたことに感謝します」
男「大人妹・・・・・・」ギュッ
大人妹「泣きたいのであれば私の胸をお貸しします」
男「泣かねーよ。少なくともお前たちの前では立派な兄貴でありたいからな」
男「ああ」
大人妹「確かあの時も・・・・・・?あら?あの時は晴れでしたっけ?」
男「あの時?」
大人妹「お兄様が私を妹にしてくださった時です。あの『義妹愛』の本を拾った橋のことですわ」
男「『義妹愛』はもういいから!」
大人妹「あの時、確か晴れていたはずです・・・・・・そうでないと本が濡れて読み物にならなくなってしまいますからね」
男「ああそうだな」
大人妹「しかしお父様とお母様は、雨、そう断言していますわ」
男「いや、雨は・・・・・・交通事故が起こった時の天気・・・・・・あれ?」
男「親父の話じゃ、お前を妹にした日は雨、同時に交通事故が起こってた」
大人妹「ですが、私たちの記憶では晴れの日ですわ」
男「同じ日なのに、矛盾が生じてる?」
男「違う。これは、2つ記憶があるんだ。そうか、俺は2つ記憶を持ってたんだ」
大人妹「お兄様は2つ記憶があるんですか?」
男「SFみたいな話かもしれないけど、そういう事だと思って話を聞いてくれ」
大人妹「はい。お兄様を信じますわ」
男「1つはお前と同じ記憶。俺とお前はそれまでは幼馴染だったな」
大人妹「そうですね。毎日いっしょに遊んでいましたわ」
男「あの日、晴れていて橋の下で本を拾った。そしてそのまま家に帰ってお前を妹にしたいと両親に告げた。俺と遊ぶことを優先したお前は交通事故を逃れた」
大人妹「その通りですわ」
男「それでもう1つだ。それは、お前と俺が幼馴染ってところまでいっしょだったんだが・・・・・・」
大人妹「それからが違いますの?」
男「ああ。あの日は雨で・・・・・・映画に行く途中に幼馴染が乗る車は交通事故に遭う。一家全滅・・・・・・」
大人妹「そんな・・・・・・」
男「大人妹は、俺の妹にならなかった・・・・・・」
大人妹「そう、ですか」
大人妹「2つの記憶で思い出したのですが、シュレーディンガーの猫というお話をご存知ですか?」
男「?」
大人妹「確立が50パーセントずつの2つの事象があるとき、それらは同立してしまう・・・・・・つまり、ありえない2つの事象が同時に成立してしまうことを意味するんです」
男「何か、高度なお話になってきてないか?」
大人妹「つまり、私がいる世界と私がいない世界が同立しているのですよ」
男「なるほど・・・・・・?」
大人妹「話してください。お兄様にとって私がいない世界を・・・・・・!!」
大人妹「待ってください。私だけではなく、他の妹もいませんの?」
男「ん、ああ。何回か母さんも出産を試みたんだけどな、4回ばかり失敗してから健康のために妊娠をやめたんだ」
大人妹「4回・・・・・・敬語妹、ツン妹、そしてボー妹に、無垢妹・・・・・・お兄様、数がぴったりすぎませんか?」
男「た、確かに」
大人妹「もしかして、この現象は『妹たちがいた世界』と『妹たちがいなかった世界』が同立しているのでは?」
男「そうかもしれない・・・・・・出産失敗年と、妹たちの年齢が合致する!」
大人妹「しかし・・・・・・なぜその様なことが」
男「俺が流れ星に願ったんだ。『妹が欲しい』って1回だけ」
大人妹「そんな非科学的な・・・・・・」
男「あの女さん、あの人はこの願いを見届ける監査員だったんだよ」
大人妹「そうなんですか」
大人妹「?この世界はお兄様の願った世界ではないんですか?」
男「俺の願い方はダメだったらしい。3回、きちんと唱えなかったから、被った願いを食いつぶしてるんだ。だから、妹が2人消えちまった・・・・・・」
大人妹「なるほど」
男「そうか。あと3日っていうのは、妹が残された日数だ」
大人妹「どうすれば食い止められますの?」
男「それを、探してる。お前にも手伝って欲しい」
大人妹「もちろんですわ。ですが、その前に・・・・・・」ギュッ
男「どうした・・・・・・?」
大人妹「その話が進むのであれば、私はいずれ消えてしまいます。それが怖いのです」
男「・・・・・・俺もだ」ギュッ
男「何だ?」
大人妹「その・・・・・・とても申し上げにくいのですが・・・・・・」
男「お前の頼みだ。俺が断るわけ無いだろ?」
大人妹「そう、ですよね。でしたら・・・・・・消えないためのおまじないです」
チュッ
男「えっ・・・・・・?」
大人妹「わ、私の初めてです!受け取っていただけましたか・・・・・・?」///
男「はにゃー」ボンッ
大人妹「お、お兄様!?お兄様ーーーー!!」
家
敬語妹「それにしてもどうしたんですか?急に早退して来いなどメールして」
ツン妹「本当よ!理由もなく早退なんて出来ないんだからねっ!」
大人妹「すみません」
男「申し訳ない」
敬語妹「う、やけに真面目な応答ですね」
大人妹「実は、お兄様が大変なんです」
ツン妹「大変な変態はいつものことでしょ?」
男「そうじゃなくて、お前たちにも関わることだ。聞いてくれ」
ツン妹「な、何よ」
男「お前たちは『妹たちがいる世界』の人間なんだ!」
大人妹「お兄様、それでは伝わりませんよ?」
敬語妹「そのくだらない事を聞くために私たちは呼ばれたと?」
男「違う違う!そうじゃなくって、えっと、あのー、なんだっけ?」
ツン妹「何か久々に腹立ってきた」イライラ
敬語妹「やけに真面目ですね・・・・・・何かありました?」
男「な、何も無いです!」
ツン妹「怪しい・・・・・・」
大人妹「変わって私が説明いたします」
少女説明中...
大人妹「―――というわけです」
ツン妹「えっと、ごめん。ついていけない」
敬語妹「それは何の哲学の話ですか?」
大人妹「かいつまんでお話しますと、あと3日で私も、敬語妹も、ツン妹も消えてしまうということですわ」
ツン妹「まさか。それ兄貴の妄想のお話でしょ?ねえそうでしょ?」
男「・・・・・・」フルフル
大人妹「証拠ならございますわ。上の2つの空き部屋。設計は私たちの部屋と同じ造りですわ」
ツン妹「それは家建てた時に、2階に物置が必要だったから」
大人妹「この家は2年前に建てられました。お母様の性格、分かりますよね」
ツン妹「無駄なく、きれい好き・・・・・・」
大人妹「そうであればあの部屋は物置用の造りをしているはずです」
ツン妹「そんな・・・・・・」
大人妹「私も本人ではないのでよく分かりませんが、そういうことらしいですわ」
ツン妹「兄貴・・・・・・」
男「すまない。全部俺のせいだ」
敬語妹「ですが、変じゃないですか?」
大人妹「変?」
敬語妹「兄さんに2つの記憶があるのに、どうしてお父さんとお母さんには1つの記憶しか無いんですか?」
男「ああ、それは女さんが俺にこちらの世界の記憶をくれたからだ」
大人妹「あら?でしたらお兄様は最初はこちらの世界の記憶を持っていらっしゃらなかったと」
男「あ・・・・・・」
敬語妹「やっぱり不完全だったからでしょうか?兄さんの願いう心が不完全だったので中途半端に叶って、そんな風になったんじゃないですか?」
男「そうかもしれない」
大人妹「でしたら、もう1度星に願えば・・・・・・!」
敬語妹「そんな簡単に流れ星が流れることは無いですよ。それに、1週間雨は続くそうです・・・・・・」
大人妹「そんな・・・・・・」
ツン妹「バ・・・・・・バッカじゃないの!?全部バカ兄貴の妄想でしょ!?妄想妄想妄想!!くっだらない!!あーあ、早退なんてしなきゃよかったッ!!」ダッ
敬語妹「ツン妹ちゃん!?」
大人妹「私がなだめてきます」
男「いや、俺が行く」
敬語妹「・・・・・・お願いしますよ」
男「ああ」
コンコン
男「ツン妹?」
ツン妹「帰れ・・・・・・バカ兄貴」
男「頼む。入れてくれ」
ツン妹「全部兄貴の妄想だって言ってくれたら、入れてやる」
男「・・・・・・わかった。全部俺の妄想だ。・・・・・・これでいいか?」
ツン妹「うん。入っていいよ」
キィ・・・
男「やっぱり電気も点けないでそのぬいぐるみ抱いてたんだな」
ツン妹「ラビちゃん」
男「ん、ああそうだなラビちゃんだったな」
ツン妹「・・・・・・」
男「隣、いいか?」
ツン妹「ダメって言っても勝手に座るくせに」
男「そうだな」
男「・・・・・・」
ツン妹「バカ兄貴の妄想に付き合ってあげる妹がいることに感謝しなさいよね・・・・・・」
男「ああ。感謝してる。お前たちには数え切れないくらい感謝してる」
ツン妹「・・・・・・私も、兄貴に数え切れないくらい感謝してる」
男「本当か?」
ツン妹「私は体の弱い子だったから、外で遊べないで泣いてたじゃん。それで、兄貴がこの人形を持ってきてくれた時、すっごく嬉しかった」
男「はは。誕生日間違えてたんだっけ」
ツン妹「本当。信じられないよ。1カ月ならまだしも半年も間違えちゃうバカ兄貴」クスッ
男「あの時は1と7の区別がつかなかったからな」
ツン妹「兄貴らしいね」
男「今でも俺はお前にとってバカ兄貴か?」
ツン妹「うん。最高のバカ兄貴だよ、おにぃちゃん」ギュッ
男「ありがとな」
男「俺だって怖いさ。だから消えさせないように頑張ってる」
ツン妹「でも、流星なんてなかなか見れないし、しばらく雨だし」
男「そん時は世界の果てに行ってでも流れ星を見てやる。そして願う」
ツン妹「3回?」
男「100回」
ツン妹「そうでなくちゃね」
男「・・・・・・全部俺のせいなんだ。許してくれ」
ツン妹「許さないよ」
男「ええっ!?」
ツン妹「ふふっ。許して欲しかったら、目をつぶりなさい!」
男「こ、こうか?」
男「わかってるって」
ツン妹「しゃ、しゃべらないで!!」
男「・・・・・・」
ツン妹「おでこで、勘弁してあげる・・・・・・」
チュ
男「・・・・・・!!」
ツン妹「こ、これで私が消えてもバカ兄貴は忘れないわよね!?よ、よかったじゃない!!」
男「ツン妹っ!!」ギュ
ツン妹「く、苦しいわよ!」
男「俺の妹でいてくれてありがとう・・・・・・!!」
ツン妹「これからもずっと、だよ。おにぃちゃん」
男「しまった・・・・・・妹の部屋で寝てしまって・・・・・・た?」
男「え、何ここ。物置?・・・・・・まさか!!」
ガチャン
男「やっぱり・・・・・・ツン妹の部屋だ」
大人妹「お兄様・・・・・・」
男「・・・・・・記憶は、あるか?」
大人妹「申し訳ございません。昨日その様な話をしたことはきちんと覚えているのですが・・・・・・その部屋にもう1人妹がいたのですね」
敬語妹「あれ?2人とも早いですね?」
男「敬語妹・・・・・・すまない。ツン妹も消えてしまった」
敬語妹「ツン妹って誰ですか?」
男「え・・・・・・?」
敬語妹「ああSFのお話ですね。シュレーディンガーの猫論ですよね?兄さんが作った割にはよく出来て・・・・・・きゃあ!?」
大人妹「いい加減にしなさい。あなた・・・・・・どういう了見!?」ガシッ
敬語妹「な、何ですか!?昨日は3人であんなに楽しく盛り上がったじゃないですか!!」
大人妹「3、人・・・・・・?」
男「手を離してやれ大人妹。多分・・・・・・そういうことだ」
大人妹「そんな・・・・・・」ガクッ
敬語妹「一体何の話ですか?」
男「ああちょっとドラマのシーンを再現してみようってことになってな。お前を驚かそうって」
敬語妹「そうなんですか。ビックリしましたよ」
男「テッテレーってな」
敬語妹「あははは。兄さん、面白いですね」
男「俺はいつだって面白くありたいからな」
敬語妹「では朝食を作りますね」テクテク
男「くっ・・・・・・」ギリッ
大人妹「どうして、私には記憶が残って、敬語妹には記憶が残っていないんでしょうか?」
男「・・・・・・そこに解決の糸口があるかもしれない」
大人妹「今日は学校をお休みなさいますか?」
男「いや、行く。女さんが来てれば話をしたい。それで、いなければ担任から住所聞いて家に行くまでだ」
大人妹「ですがそう簡単に住所を教えてくれるでしょうか?」
男「そん時は脅してでも聞くさ」
大人妹「お兄様・・・・・・やっぱり無理をなさらないでください。私はお兄様のその様なお顔を見るのが辛いです」
男「それでも!俺はお前たちに消えて欲しくない!母さんたちの願いを潰えさせたくない!・・・・・・何があってもだ」
<兄さーん、ちょっと来てください
男「すまない。呼ばれたから行くな。お前は着替えて準備しろ」
大人妹「はい」
男「今行くー」テクテク
男「どうした?」
敬語妹「これ、味見してください」
男「うん?」ズズズ
敬語妹「おいしいですか?」
男「おいしいけど?」
敬語妹「これ、誰が作ったと思いますか?」
男「お前じゃないのか?」
敬語妹「さあ?」
男「え!?得体の知れない物を食べさせようとしたの!?」
敬語妹「それはそうと、どうして今朝物置で寝てたんですか?」
男「唐突な。それは・・・・・・探し物しててそのまま寝てしまったからさ」
男「!!?お前、覚えて・・・・・・!!」
敬語妹「いいえ。記憶はありません。昨日は兄さんとあの人と私で楽しくシュレーディンガーの猫のことを話しました。ですが・・・・・・」ピッ
男「なんだ、それ?」
敬語妹「『15:30-ツン妹ちゃんが部屋から出てくる。兄さんは寝ている。15:30‐ツン妹ちゃんが兄さんのために料理をする。16:30-ツン妹ちゃんが部屋に戻る・・・・・・』」
男「それはもしかして」
敬語妹「はいメモです。昨日の行動記録が、私、あの人、ツン妹、と3つ細やかに書いてあります」
男「それを書いた時の記憶はあるか?」
敬語妹「この2枚はあります。ですが、このツン妹と書かれたメモの記憶はありません」
敬語妹「はい。私の筆跡です。ですので、自分と兄さんを信じてみようと思います。・・・・・・何があってるんですか?」
男「朝食の時に話す」
敬語妹「・・・・・・分かりました」
男「あと」
敬語妹「何ですか?」
男「こんな俺を信じてくれて、ありがとう」
敬語妹「そんな兄さんだからこそ信じていますよ」
男「大人妹、入っていいか?」
<どうぞー
ガチャ
男「ってうわ!?まだ着替えてるじゃないか!!」
大人妹「お気になさらず」
男「俺が気にするわ!!」
大人妹「裸まで見合った仲ですのに?」
男「そ、それは温泉での事故というか何と言うか・・・・・・って俺を裸にしたのはお前だからな!!」
大人妹「存じておりますわ」
男「調子のいいやつだなー。ってそうじゃなくて重要な話」
大人妹「何かつかめたのですか?」
男「ああ。記憶は残っていなくても、小物・・・・・・メモとかは残るらしい。昨日ツン妹が料理したらしいな」
大人妹「そういえば・・・・・・料理を誰かがしていたような」
男「だから、行動記録をひとつひとつ付けていけば忘れる事が軽減できるんじゃないか?」
大人妹「なるほど・・・・・・一理ありますね」
大人妹「分かりました。そうしましょう」
男「頼んだぞ」
大人妹「さて、着替えが済みましたので行きましょうか」
男「ああ」
大人妹「さて、料理を作りましょうか」
男「・・・・・・待て」
大人妹「どうなさいました?」
男「俺が相槌打っている間に発言が変わってんぞ?」
大人妹「発言が変わってると申されましても、朝食の当番は私ですが・・・・・・」
男「ウソだろ・・・・・・」ダッ
男「敬語妹!!」
シン・・・・・・
男「たった今ので!?ほんの数分じゃないか!!」
大人妹「もしかして・・・・・・妹がいたのですか?」
男「なんてことだ!!俺が目を離したから!!」
大人妹「お兄様・・・・・・」
男「あと2日じゃないのか!?2人は残っていいんじゃないのか!?」
大人妹「落ち着いてくださいお兄様!!今は悲観する場面ではありません!!」
男「くっ・・・・・・大人妹」
大人妹「はい」
男「消えないようにずっと手を握っていてくれ・・・・・・」
大人妹「はい。お兄様の仰せのままに、ですわ」ギュ
男「飯は、いい。今から学校に行って女さんにコンタクトを図ろう」
大人妹「お兄様、1つ確認させてください」
男「何だ?」
大人妹「お兄様には私を含めて何人の妹がいましたか?」
男「5人だ。みんな個性的で兄想いのいいやつらだったよ」
大人妹「そうですか」ギュッ
大人妹「どうして手を握ってるんですか?男くん?」
男「・・・・・・!!??」
大人妹「い、いえ。別に手を握るのはよろしいんですが、その、急にだと恥ずかしいと言いますか・・・・・・」///
男「お前は・・・・・・大人妹か?」
大人妹「そうですわ?私たち、幼馴染じゃないですか」
男「・・・・・・なんてことだ・・・・・・」
大人妹「あの、そのように悲しい顔をされると、私も悲しいのですが」
男「このまま、手を握っていてくれ」
大人妹「え、あ、は、はい!」
男「学校まで走るぞ!」ダッ
大人妹「え、ええ!?」ダッ
男「おい男友!!」
男友「な、なんだよ!?って、何お前幼馴染ちゃんと手握ってんだよ!?」
男「そんなことどうだっていい!!女さんはいるかっ!?」
男友「女さん?ああ今日も学校来てないな」
男「つっ!!」ダッ
大人妹「はぁ、はぁ・・・・・・えぇ!?」ダッ
男「担任!!」
担任「お前、職員室に入るなり呼び捨ては無いだろ・・・・・・何だお前ら。イチャイチャアピールか?ああ?」
男「んなこたぁどうだっていいんだよ!!それより女さんの住所教えてくれ!!」
担任「人にものを頼む態度じゃねえな」
男「こっちは急を要してんだ!!いいから!!」
担任「!!な、なんだよ。こっちだって先生としての威厳とかあんのによー」ブツブツ
大人妹「さ、さっきから何なんでしょうか・・・・・・手を握られて振り回されて」ゼェゼェ
担任「ほらよ。ここだ」
男「サンキュ!!」バシッ ダッ
大人妹「え、また!?」ダッ
担任「ったく。イチャイチャアピールしやがって。その上、女もか。俺だって彼女の1人や2人くらい・・・・・・」
校長「それは二股と言うのですぞ」
大人妹「はぁ・・・・・・はぁ・・・・・・お、男くんストップ!」ゼェゼェ
男「どうした?」
大人妹「今日、変ですよ?手を握って急に走り出したかと思うと、女さんの家に行くなど」
男「すまない。状況を説明する暇が無いんだ」
大人妹「・・・・・・それは信じていいんですか?」
男「え?」
大人妹「男くんは私を裏切らないと信じてもよろしいんですか?」
男「ああ。信じてくれていい。だから・・・・・・お前もこの手を離さないでくれ」
大人妹「・・・・・・!!」///
男「走るのが辛かったらおんぶするか?」
大人妹「いえ、雨の中をそれはきついですし、男くんが頑張っているのなら私も頑張れます!」
男「そうか。恩に着る!」
大人妹「もう少しなので頑張りましょう」ダッ
男「・・・・・・ああ!」ダッ
マンションの前
男「ここだ」
サン「やあ待っていたよ」
男「やっぱりいたか。無駄イケメン」
サン「だいたい状況の整理はついたみたいだね」
男「中に女さんはいるんだろ?」
サン「入るといい」
ガチャ
男「お邪魔します」
大人妹「お邪魔しますわ・・・・・・」
女「よく来たね。さ、座るといい」
男「その前に、1つ言いたい事があります」
女「なんだい?」
男「俺なんかのために落としてくれたチャンスを無駄にして、すいませんでした!!」
女「構わないよ。その一言が聞けて私のほうも踏ん切りがつける事が出来た」
男「ああ。最悪なことをしてしまった」
女「それに関してはもういい。話をスムーズにするために大人妹をこちらに渡してくれないか?」
男「どうするんですか?」
女「なに記憶を戻すだけだ。今この子は、消えそうな君の願いの一部を幼馴染という形をもって維持している。いわば彼女が君の願いの生命線だ」
大人妹「あ、あの・・・・・・」
男「大丈夫だ。信じていい」
大人妹「はい・・・・・・」
女「いくよ」
スッ
大人妹「・・・・・・」
女「気分はどうだい?」
大人妹「お兄様のお役に立てず、まことに残念ですわ・・・・・・」
女「そうかい。健康な精神の証だよ」
女「君の思っている通りだよ」
男「やっぱり、こいつは俺の願いなんですね。ということは・・・・・・」
女「君の両親の願いはもう、ない」
男「くっ・・・・・・」
大人妹「どういうことなのでしょうか・・・・・・?」
女「詳しく説明しようか。君たちの両親の願いは『生まれてこなかった子供たちが生まれた世界が欲しい』だ。そして男くんの願いは『妹がいる世界が欲しい』だ」
大人妹「その願いから言うと、私は宙ぶらりんな存在なのでは?」
女「そう。君はどちらの世界でも生まれはしている。ただ、妹になれたかどうか、だ」
大人妹「つまり、私を除く4人は両親の願い、私はお兄様の願いということですか?」
女「君は男くんに直々に願われたんだよ」
サン「おや?僕が消えるだって?」
男「ぬおお!?いつの間に俺の後ろに!?」
サン「君は言ったよね?『妹がいる世界が欲しい』と」
男「あ、ああ言ったが」
サン「ということは、強欲ながら両親の願いにも足を引っ掛けている存在になるんだよ。だから君の願いが消えない限り僕も消えない」
大人妹「複雑に絡み合ってるんですね」
サン「しかしながら僕にはもう願いを見届ける力は残っていない。だから君と女くんに託したよ」
男「あと2日、その意味がようやくわかりました。実妹が消えるまでに3日、義妹が消えるのに1日、そして女さんとサンが消えるのに1日。そういう意味ですよね」
女「その通りさ。・・・・・・そこまでわかっているなら解決策はもう見つかっているのだろう?」
男「・・・・・・ダメなんです」
男「あと1つピースが見つからないんです。それさえ見つかれば何とかなるはずなのに、それが見つからない」
大人妹「及ばずながら私も分かる気がします。解決法は星に願うことじゃないと思うんですの」
サン「まあピースが見つからないのも仕方ないと思うな」
男「何だと・・・・・・!?」
サン「そう気を張るな。悪い意味で言っているわけじゃない」
大人妹「と言いますと?」
女「最後のピースはやはり最後の日に見つかるという事だ」
男「ということは明日?」
男「大人妹を最後に?でも、それじゃあ女さんたちが・・・・・・!」
女「それは最後のピースが見つかってから考えればいい。私は、君を、君たちを信じている」
サン「僕の願われた本質は君の母親だ。母親を悲しませないようにしてくれよ?」
男「絶対に、見つけてみせます・・・・・・!」
女「さあ行くんだ。時は迫るよ?」
大人妹「あの」
女「ん?」
大人妹「ありがとうございました」
女「構わないさ。それが運命だとすれば」ニコッ
男「ついに最後の日か」
大人妹「女さんたちは消えてしまいました」
男「知ってる」
大人妹「こうやってお兄様の肩を借りてまどろむのもいつ以来でしょう」
男「お前と俺が近くにいるときはいつでも雨だったな。晴れてたのはあの橋の時くらいだ」
大人妹「お兄様は雨男なのですね」
男「お前が雨女なんだろ?」
大人妹「・・・・・・」
男「・・・・・・」
男「クサいぞ」
大人妹「お兄様はロマンがありませんわね」
男「俺は現実主義者なんだ」
大人妹「星に妹を願うのに?」
男「・・・・・・」
大人妹「・・・・・・最後のピースは見つかりましたか?」
男「ああ、見つかった」
大人妹「私に教えてくださいませんか?」
男「最後のピースはお前だ」
大人妹「私が、ですか?」
大人妹「本当にこんな場面でもロマンチストでないのですね」
男「ははっ。その通りだな」
大人妹「4本の妹ゲーム・・・・・・まさか」
男「無垢な妹がいるゲーム、ボーイッシュな妹がいるゲーム、ツンデレな妹がいるゲーム、敬語を使う妹がいるゲーム」
大人妹「・・・・・・」
男「母さんが流産したとか、妊娠失敗したとか聞いてからかな。そういうゲームを集め始めたのは。・・・・・・兄妹への醜い嫉妬だな」
大人妹「いえ醜くなどは・・・・・・」
男「これがさ、姉が欲しかったとか、兄や弟が欲しかったとは思わなかったんだ。俺が兄貴、そんで妹。絶対に俺の中で決まってた」
大人妹「どうしてですか?」
大人妹「その、女の子もお兄様の事が好きだったと思います」
男「ああ。そうであればいいな」
大人妹「きっとそうですわ」
男「この世界はさ、俺の『守れなかった女の子を生き返らせた世界』なんだよ。それを『妹が欲しい』なんていう仮面を被せた思いに乗せてしまったから、ほころびが生じたんだろうな」
大人妹「しかしお兄様は確かに妹が欲しかったはずです」
男「欲しかったさ。生まれてきて欲しかった。だから女の子はその思いも汲んで義妹になったんだろう」
男「それに、綺麗に成長した姿だったから記憶もらうまでは元幼馴染だって気付かなかったしな」
大人妹「ふふ。ありがとうございます」
大人妹「・・・・・・これで謎解きは終わりですわね」
男「あとはピースをはめるだけだな」
大人妹「ピースをはめれば、この世界はどうなると思いますか?」
男「元に戻るよ、絶対に」
大人妹「信じています。お兄様」
男「それじゃあピースをはめて、正しい選択を行いますか」
大人妹「・・・・・・どうぞ」
男「大人妹」
大人妹「はい」
男「・・・・・・ずっと好きだった。これからも一緒にいてくれるか?」
大人妹「もちろんです。男くん・・・・・・」
―――――――
―――――
―――
―
ジリリリリリリリリ
「兄さん起きてください!!」
「あと、5万年・・・・・・」
「そのまま化石になればいいのよ」
「どっちかというと石油?」
「お兄ちゃんのベッドに、ダーイブ!」
「ンゲフッ!?」
「あらあら、エキサイティングですわね」
「内臓が飛び出るかと思ったわ!!」
――人生とは選択なのかもしれない
「おはよっす!」
「んぁ。おはよさん」
「低血圧は辛そうだなー」
「お前の血圧分けてくれ」
「出来るならそうしてみろ」
「おや、寝不足かい?」
「あ、ああ。すんませんが目覚ましティーもらえますか?」
「今日はミルクティーだ」
「うげ、苦手なヤツだ」
「大丈夫さ。コスモ的なパワーできっとおいしく感じるよ」
「じゃ、じゃあ俺がもらいます!!」
「生憎だが、このマグカップは専用品なのでね」
「そ、そんなー・・・・・・」
――ひとつ選択すれば、ひとつ失うことになる
「だーかーらー、ゴム送ってくんなつってんだろうが!!」
『バカか!親心くらい汲み取れ!!』
「どこに息子と娘を連結させようとする親がいる!!」
『ここだ!!』
「おま・・・・・・はあ。まあいろいろすまなかったな」
『え?何急に素直になってんの?』
「子供心くらい汲み取れ」
『ムキー!!何か腹立つーー!!』
――だが、その選択が正しかったかどうかを判断するのは
「お兄様、今日は雨のようですわ」
「あそっか。じゃあ傘はいらないな」
「どうしてですか?」
「お前の傘に入れてもらうから」
「まあ。それでは私の進む方向にお兄様も進むことになりますわ」
「それも一興だな」
「間違った方向へ進むかもしれませんわ」
「間違ってる正しいとか判断するのは―――」
男「まだまだ、先の話―――だろ?」
To Be Continued...?
乙!
後日談あるなら読みたいな
次→男「お、流れ星か。理想の妹をくださいっと」 後日談
Entry ⇒ 2011.12.28 | Category ⇒ 男女「」SS | Comments (0) | Trackbacks (0)
男「今年も」友「一緒か」
友「そりゃこっちのセリフだ」
男「街中はカップルていっぱいなのに」
友「俺たちは狭い部屋でクリスマスパーティー」
友・男「はぁ…」
友・男「(今年こそ言えるかな…)」
友「(家も近いからか家族ぐるみでよく遊んだりもしてる)」
男「(小中高一緒で、クラスも部活も一緒)」
友「(ついでに学力も一緒)」
男「(友の方か身長かちょっと高い…お、俺はまだ成長期かきてないだけだ!)」
友「(男は俺より少し背か低いけど、筋肉の付き方がしっかりしてる…男らしい身体て羨ましい)」
友「(男を意識するようになったのは)」
男「(友を見る度に顔がにやける)」
友「(一緒にいるだけで嬉しくなる)」
男「(友が笑えば)」
友「(俺も笑う)」
男「(友が悩んでると)」
友「(俺も悩む)」
そして思い知る
あぁ、あいつが好きなんだって…
そして そんな想いが勿論打ち明けられるほど、俺たちの心臓メンタルは強くないわけで
こうして6回目のクリスマス
未だに告白できないでいる
男「…こんなに近くにいるのに」ボソッ
友「…心遠ず…か…」ボソッ
男・友「え?」
男・友「い、いや、何でもない」
友「お、お前こそなんかボソッって呟いてただろ!」
男「俺のはあれだよ。ため息だよ」
友「あんなゴモゴモしたため息あるかぃ!」
男「俺のため息はこーなの!」
友「そーですかぃ」
こんな些細なやり取りも
幸せな時間に思えてきてしまう
顔のにやけを抑えるのに必死だ。そのうち顔面が筋肉痛になってしまうのではないかちょっと心配
\ l ,ッィrj,rf'"'"'" lミ::::::: く れ モ ま
Y ,!ミ::::::: ヽ な 以 な
`ヽ、 | くミ:::::::: ノ い 外 い
|、__ ャー--_ニゞ `i::::,rく か は
``''ー- ゝ、'l  ゙̄´彑,ヾ }::;! ,ヘ.) ! 帰
゙ソ """"´` 〉 L_ っ
/ i , /| て r
≡=- 〈´ ,,.._ i 't-'゙ | ,へ ,r┘
,、yx=''" `ー{゙ _, -、 ; l レ' ヽr、⌒ヽ'
゙、`--─゙ /! `、
_,,、- ゙、 ー'' / ; `、
-''"_,,、-''" ゙、 /;;' ,' / 、\
-''" / `ー─''ぐ;;;;' ,' ノ
// / ヾ_、=ニ゙
男「今年はクリスマスケーキ頼んでねーぞ」
友「え?いつもお前さんとこの母様頼んでたじゃん。ほらあそこの美味しいケーキ屋で」
男「だって今年母ちゃんたちいないもん」
友「え!?」
男「じいちゃんの病院でそれどころじゃないんだとさ…」ドサッ
友「た…大変なんだな…お前んとこ」
男「なぁに謝ってんだよ、お前の母ちゃん忙しいのは俺らがよく知ってっから。だから毎年一緒にクリスマス過ごしてるんだろ?」
友「男ぉ…」
男「…!べ、別に男同士で過ごすのがいいとか思ってないからなホモじゃあるまいし!」
友「うっ…そうだよな、これじゃなんかホモみたいだよな俺たち」ズキッ
男「そ、そーだよ…」ズキッ
友・男「(やっぱはっきり言われるとキツイな…)」
友「(やっぱ男はホモじゃないよな…エロい話したりするし、女子とも仲良いし…こうしてホモ否定するくらいだし)」
男・友「はぁ…」
お互いに聞こえないよう、見えないようにまたため息
相思相愛…だけれど、勘違いが故に結ばれぬ6年目の恋
第三者から見たらもどかしいことこの上ないだろう
友「え、まさか作んの?」
男「お前クリスマスはケーキがないと始まらないだろ。大丈夫だよスポンジ買って生クリームを作って塗って、イチゴ飾る簡単な作業だから」
友「あ~それなら短時間でできそう」
男「イチゴは冷蔵庫にあるし、生クリームとスポンジ買いにいくべ」
友「ち、ちょっと待ってて、家から財布とってくる」ダダダッ
男「おぅ」
男「(周りは家族ぐるみか…さすがにスーパーでカップルはいないよなぁ)」スタスタ
友「(よかった…これなら男二人でも別に違和感ないよ…なぁ?)」キコキコ
男「え~っとぉスポンジスポンジのあるコーナーはどこかしら~…っと見っけ」
友「2つくらいで十分かな?」
男「俺たち二人だけだからなぁ」ガサッ
男「後は生クリームだけか」
友「なんか早い買い物だな」
男「なに、何か欲しいものあんの?」
友『男』
友「…特にないっす」
男「じゃあ会計いくべ」スタスタ
友「おいっす」キコキコ
男「俺が持つよ」
友「いいよ俺か持つって」
男「ん~…なら二人で持とうか?」
友「え?」
男「じょ、冗談だよ冗談!ほら貸せって」
友「あっ…(冗談か…)」
男「(あ~何キモい発言してんだよ、嫌われちゃうキモがられちゃう普通分かるだろ馬鹿馬鹿馬鹿ぁ!)」
男「ただいま~」
友「お邪魔しま~す」
男「じゃあちょっと早いけど早速作っか」
友「え、早くね?」
男「夕飯時にあっちもこっちもじゃヤダろ?先に作って廊下なりなんなりで冷やしておけばいいさ」
友「あ~なるほど」
男「じゃ早速スポンジを取りだして…ほい」ガサガサ
友「?」
男「さっき俺が荷物持ったんだから生クリームはお前が作れ」
友「え~面倒くさっ」
男「なんでもチャレンジすることか大切なのだよワトソンくん。いいからやれって俺イチゴ洗うから」
友「割にあってな…いいよやるよ…」ガシャッ
友「この機械でかき混ぜればいいんだよねー?」
男「そうそう」
友「よいしょ…ポチっとな…おお混ざる混ざる」ウィィィ
男「いい感じに泡たつよう空気いれながらしっかりやれよー」
男「うおっ!!てめえ飛ばしてくんなよ勿体ねえな~」
友「ご、ごめんごめん…あっ男男こっち向いて」
男「あん?」
友「よっ」スゥ…
男「!?」
友「へへ、生クリーム付いてたよー」ペロッ
男「!?馬鹿!!キモいことしてないでもっとかき混ぜろよ」プイッ
友「お、おうそうっすね」
男「~(いきなり顔についた生クリーム指で舐めるやついるかよ…変に期待させんなっつ~の…ったく)」カァ
友「(やべぇちょっと大胆に行動し過ぎた…男怒ってるっぽいな…顔真っ赤だし)」
友「こんな感じでどう?」
男「上出来。じゃあスポンジに塗る作業にかかろう」
友「(よかった怒ってない)了解ぃ」
ペタペタペタペタ
友「男もっと丁寧に隙間なく塗れよ、あと厚みが疎ら過ぎ」
男「不器用なんだよ」
友「せっかくのクリスマスケーキなんだから丁寧にやるべ、ね?」
男「(目が怖い…)あっ…」
男「(友の顔にクリームついてる…)」
ドックンッ ドックンッ
男「(つか男同士のじゃれあいってこんなんだよな?変に考え過ぎ?そーだよこんな生クリームの舐め合いなんて普通だ普通)」
男「友~こっち向い…」ツルッ
友「ん?なn」ベチャッ
男「…」
友「…」
友の顔に男が塗っていた生クリームつきのベラががっつりと髪の毛までくっついた
甘い香りと苦い空気が数秒二人を包み込む
男「…え、えへへ…ごめんごめん!」
友「…覚悟はできてるだろうなぁ」スチャッ
男「ぎぇ!?」
友「おりゃぁっ!!」ベチャッ
男「うわっ俺そんなにつけてないだろ!このっ!」ヌチャッ
友「お前自分からやってきといて…うらっ」ドシャァァァア
男「おらおらおらおらおらおらおらおら」
友「うらうらうらうらうらうらうらうら」
男「あっははははは~」
友「っは~っはっはっは」
友「うへぇ…生クリームだらけだ…うお甘っ」ペロッペロッ
端から見たら男同士で生クリームのつけ合いなんて…正直気持ち悪い以外の何者でもないだろう
それでも二人にとってはこれもまた幸せな時間の一つだったのだが―
男「とりあえずお前風呂入っとけよ、後片付け俺がやっとくから」
友「いやいいよ、男もベトベトじゃん、先に入りなよ」
男「ベトベトはお前もなんだが…あっ」
男「じゃあ二人で入るかww」
友「いいよ」
男「」
友「二人で入った方が時間短縮にもなるし、暖かいしね」
男「」
友「?男?」
男「…あ、あぁ」
友「上着だけ借りていいかな?」
男「い、いいよぉ?(やべ声裏返った…)」
友「二人で風呂入るなんて久しぶりだね」
男「そそうだね、小学生以来なんじゃない?」
友「あ~そーかも」
お互いに背を向け合いながら衣服を脱いでいく
友の身体は程よい筋肉がついているが、男子高校生と言われると少しだけ華奢な部分もある
男の身体は、普段から部活以外でも自主トレしているからか友より筋肉がついている
しかし背の差のせいか、友より華奢に見える
友「じゃあ先に入るね」
男「まった俺か先に入る」
友「いいじゃん寒いから先に入らせてよ」
男「俺だって寒いわ!」
男・友「(だって後からだと入りづらいじゃん!)」
友「いいよ」
生まれた時の姿で、向かい合う二人
男「(やっ…友の身体…綺麗だなぁ…)」ジーッ
友「(男…キャランドゥがある…)」ジーッ
ムクムクムク
男・友「はっ!」
男・友「(馬鹿、何見とれて反応しとるんだ!静まれ俺の息子!)」
男・友「(…あれ?ちょっと(男)(友)のちんぽ…おっきくなってる?」
男・友「(…まさかぁww)」
男「…さっ最初は」
友「グー」
少し前屈みになる二人
友「お先に失礼」ガラッ
男「あってめっ」ガラッ
友「おい早いよこれじゃ二人同士に入ってきたのと変わんないじゃん」
男「お前白々と…」
友「とりあえず先に頭洗うね」
男「いやいや俺も洗うから」
背中を向けて頭を洗い出す二人
裸で一緒の空間にいるという事態に心臓の鼓動が通常運行するわけもなく、この高鳴りが相手に聞こえてしまうのではないかという不安が、更に心臓に拍車をかける
男「(…さっきの抜け駆けの仕返しをせねば…!)」ピコーンッ
男「友、身体洗ってやるよ」スッ
友「へ?いやいいよいいよ自分で洗うから」
男「遠慮しんなって!裸の付き合いってよくいうじゃん?ほら頭洗い続けてろって」
友「いやマジでいいから!」
友の言葉を無視し、垢擦りタオルに石鹸を擦り当て、よく泡立てる。
後ろから周り込むように友の胸元に手を当て、優しく当てる感じで綺麗に洗っていく
両手が塞がり無防備な友、泡のせいで目が開けられない
男「(タオル越しだけど…友の肌…さ、触ってるんだよな?)」ヌルヌル
男の手は胸板、脇、腹筋と徐々に下に下がっていく
友「!!ちょっマジでもういい!いいから本当に!!」
男「いいじゃんどうせなら全部洗ってやるよ(あともう少しでちんぽが…)」
男からは普段のリミッターが解除されたかのように冷静さが欠け、本能と欲望のままに動いていた
友「…っ!!(ヤバい…勃起してるってバレる…!!)」
男「(もう少しで…)」
友「く…うぉあぁあっとぁぁぁ!!?」クルッ
男「へっ…ぬわぁぁああ!!」
男の手を払い退けるつもりが頭から垂れ落ちたシャンプーの泡に足を滑らせ、そのまま男に覆い被さる友
男は友に押される形で足を滑らせ、後ろに倒れる
友「(…やばっ…え?)」
男・友「(…(男)(友)勃起してる…何で?)」
覆い被さったせいで二人のちんぽは重なり、互いに勃起しているのがバレるという本末転倒な展開になってしまったのは友にも男にも予想外な展開だろう
男「(友の顔が近くに…肌も直に…しかもちんぽが…あつ)」ビクンッ
友「(男の肌が…んあっつ…い、今男のちんぽビクッて…」ムクムクムク
男「…ハァ…ハァ…ん…」
友「……ハァ…ハァ…」
風呂の熱気もあるからだけじゃなく、普段無い展開に思考が麻痺し、夢にもみたエロティックなシチュエーションが心臓の鼓動を促進させる
友の吐息が、男の吐息が、互いにかかり何とも言えない興奮を誘う
未だ重なり合う二人のちんぽは、脈をうち、我慢汁を塗らしながらクチュクチュとイヤらしい音を立て風呂場の音域を支配している
男「…友…」
友「…男…」
名前を呼ぶが、その先の言葉が出てこない
頭かボーっとして、思考が働いてないのか、ただ見つめ合う二人
友「(夢でも男の裸を見て射精してる自分がいたりしたけど…こんなにリアルな夢はない…よなぁ…)」
男「(今俺が見ている友)」
友「(今俺が見ている男)」
男・友「(夢より、今まで見てきた中で一番色っぽくて雄っぽい…!!)」
二人の想いに反応するちんぽ達
我慢汁がトロットロにちんぽをエロくコーティングし、亀頭同士が擦り付け合いながら互いを膨張させていく
玉袋は静止の匂いが溢れでんばかりの雄臭い匂いを放ち、風呂場という空間を変えつつある
/::::::::::::::::::::::::::::::ヽ,
r'::::::::::::::,,_,,、;;;;_,-、::::::::',
__ 、l ̄"~´/i/^´ |::::::::::l ____
\ :'´⌒ヽ {:| _ |:::::::::::i /
|i " )_,,, _ {,---‐ッ ゞヒニ二二-`i:/⌒i| |
|i ヽ | i  ̄t i! ´__てj"' |:lr'` l | ホ 目 お
や 全 |i / ・ i '、',  ̄|  ̄ 冫'/ | モ を い
っ 員 |i t ヽ! 、 ,、 イ:i | だ 離 お
ち |i 〃 ● '! ゙' ij ,' i::l < ら し い
ま |i r一 ヽ ) '、 '.==-‐ / ':i | け た ち
お |i | i ∀" ヽ ""´ ∠i '、 | だ 隙 ょ
う |i | i ノi ノ:i\ / l `| ぜ に っ
ぜ |i ニ| |二二◎ __,..'| /  ̄ / ::::| と
! |i i i ヽ __,,:'´ t/ / :: |
li } ,_:'´ { ,,___ / ,,/i \____
|i | /j\ _:ヘ:ニヽ,,,/_,, , /:::j j
__ / / ⌒`)⌒) i:::::ヽ::`r‐'___ ` ヽ ,,:_,,_,,/:::::ノ"ノシ 〃
,ノ フr フ メ / ノ ゝ:::::: ゝ- 、 ヽ |::::::::::::::::::::ソ / ./
友「な…なに…?」
男「……お…」
ピーンポーン
男・友「!!?」
女「男ー!!いるんでしょー?」
男・友「お、女ぁ!?」
男・友「(なんて空気の読めないやつ!!)」
男「…」
友「…」
バッ
男「…と、とりあえず早く洗い流しちゃおうぜ」
友「うん…あっ、男身体洗ってない…」
男「いや…さ…さっきの…あ、泡で…洗ったかな~って、はははは」
友「あはは…」
男・友「(あ~ヤバい、恥ずかし過ぎて顔真っ赤で直視できない!)」
男・友「(勃起ちんぽ押し付けあうとかもう完璧にヤるシチュエーションだったじゃん!)」
男・友「(そもそもなんであいつ勃起してたんだ?)」
男・友「(あれ…もしかして脈あり?)」
玄関前
女「遅い遅い遅い遅い遅い遅い遅い遅い」
女「遅い!呼び鈴鳴らしてから10分よ!…って何で友が?」
男「あ?いや二人でクリスマスケーキ作ってたんだよ、なぁ?」
友「あ、あぁそうそれで生クリームでベトぶふっ」
男「余計なこと言わんでいい」ボソボソッ
友「わ、悪いつい」ボソボソッ
女「…ふ~ん、でもなんか二人とも顔赤くない?」
男「それは、え~とあれだ」
友「ちょっと胸焼けしちゃって!」
男「(友ナイス!)」
女「な~に?クリスマスケーキもー食べたの?早すぎ」
男「え」
友「へ?」
女「ちょっと男と行きたいところがあって…今夜じゃなきゃどーしてもダメなの!お願いっ!!」
男「いや…俺は…」
友「行ってきなよ」
男「!!友…」
友「男も高校最後のクリスマスくらい女の人と過ごしたいだろ!遠慮すんなってスケベ」グイゲイ
男「は!?誰がスケベだこの野郎!」
友「俺は気にすんなって、お前は今年で野郎同士のクリスマスから卒業できんだぞ?」
男「…っでも」
友「あ~俺も街でナンパでもしよっかな~」
女「ありがとう!じゃあ決まり、早く早く日が暮れちゃうよ」イソイソ
男「あぁちょっと上着とってくる」
友「じゃあ俺ケーキの片付けしとくね」ガチャッ
男「あぁ…悪いな」
友「謝るようなことじゃないっつーの。…楽しんてこいって!女泣かせるようなことすんなよ?」
男「…馬鹿!」
友「うへへ」
友「これでいいんだよ…うん」
友「それに、こんな感情、やっぱダメだ。さっきの風呂場だって多分間違いかなんかだよ」
友「男には女がお似合いだよ…結婚だってできるし、子供だって産める、周りから変な目で見られることもないし」
友「…なぁに語っちゃってんだよ一人で…俺気持ち悪っ…」カチャッ
友「…あ~あ…俺女に生まれてくればよかったなぁ…」カチャッカチャッ
友「…このケーキどーしよ…」
友「…」
友『こんな感じでどう?』
男『上出来。じゃあスポンジに塗る作業にかかろう』
友『(よかった怒ってない)了解ぃ』ペタペタペタペタ
友『男もっと丁寧に隙間なく塗れよ、あと厚みが疎ら過ぎ』
男『不器用なんだよ』
友『せっかくのクリスマスケーキなんだから丁寧にやるべ、ね?』
友『おりゃぁっ!!』ベチャッ
男『うわっ俺そんなにつけてないだろ!このっ!』ヌチャッ
友『お前自分からやってきといて…うらっ』ドシャァァァア
男『おらおらおらおらおらおらおらおら』
友『うらうらうらうらうらうらうらうら』
男『あっははははは~』
友『っは~っはっはっは』
友「あ、あんな風になにか作ったのって今回が初めてだったかも…生クリーム作りだけど」
友「あぁ…俺…男のそばに入られれば幸せなんだ…」ポタッ
友「ぐっ…なんだよな…自分から女に行くよういっどいで…泣くとか…かっ…カッコ悪ぃ…」ポタポタッ
友「う~…うぅ…男ぉ…」ポタポタッ
男「…」
女「…ぇ…ねぇ!!男ぉ?」
男「!!わ、悪い…」
女「何よ、ボーッとしてさ。まっボーッとしてるのはいつもだけど」
男「言ってくれる」
男「…うぉ~」
女か指差した先には、夜になりかかりの街を彩り始める装飾のイルミネーションがまさに輝く瞬間かあった
女「キレイ…」
男「これがお前が行きかった場所?」
女「だって今年で最後かもしれないんだもん、地元のこのイルミネーションを見るの」
男「あ~…お前留学するんだっけ」
女「そう、向こうにパティシエの先生がいるから少しお世話になるの、小さい頃からの夢だから…」
男「女…」
女「へへ…世界一のクリスマスケーキを作って、こんな日だけでも色んな人に笑顔になってもらいたい、それが私の夢」
女「我ながら「何偽善者ぶってんの」って笑っちゃうけどね…」
男「そんなことない」
女「男…」
男「向こうに行っても頑張れよ」
女「うん!あっあの…男…わ、私…」
男「このイルミネーション…友にも見せてやりたかったな…」ボソッ
女「え?」
男「…!(やべっ心の声が…)い、いや、何でもない」
女「…そう、じゃあ早く行こう!美味しいお店があっちにあるの!」グイッ
男「あ、あぁ」
男「(何で友のことが頭中に…風呂場のあれのせいもあるのかもだけど…)」
友『楽しんでこいよ』
男「(なんであんな悲しい顔すんだよ…)」ズキッ
男「(お前に突き放された俺の方が悲しいっつの…)」
女「ふ~美味しいかった!ね、男!」
男「あぁ、そうだな」
女「…男さっきからしかめっ面でなんか楽しくないみたいー私といるのつまんない?」
男「い、いやそんなことな」
女「あっ…男…あれ…」
男「何…!」
気が付けば周り中カップルだらけになっていた
ベンチを占領するカップルは、まるで見せつけるかのようにマウストゥーマウスを交わしあう
それはどのカップルも同じだった。まるで愛を確かめあうかのように…
男「(…この雰囲気…)」
女「男…」
男「!!」
目を閉じ、唇を差し出す女
男「…」
男「(これが普通…なんだよな。躊躇う理由なんてない。女はこんなに夢を追うような良い子だし、ここで拒む理由なんて…)」
友『男!』
男「…」
友『男~!』ギュッ
男「…」
友『お~い、男!!』ドッ
男「…」
友『また明日な、男!』
男「…」
男『今年も』
友『一緒か』
男「(…普通ってなんだ?)」
男「(俺にとってあいつが側にいる日常が普通だった。いつも一緒に笑って、一緒に悩んで、一緒に補修受けて、一緒に弁当食って、一緒に帰って、一緒に成長して…一緒にケーキ作って…)」
男「(そんな友との日常が大切で、大好きで)」
男「(あいつの笑顔が愛しくて…愛しくて…俺はあいつが…友が…大好きなんだ…大好きなんだ!!)」
男「(何度だって言える!)」
男「俺は友が好きだ!!」
女「!!」
男「…あっ…」
ヒソ…ヒソ…ヒソカ…ヒソ
ドーシタノオオゴエアゲテ…
女「…」
男「…女…」
女「やっぱりね」
男「お、女」
女「あんたが友を好きなんて知ってるわよ」
男「ひぇ!?」
女「ちょ、情けない声出さないでよ…だって見てれば分かるもん。知ってる?あんたたち一緒にいる時凄いにやけ顔なの」
男「え、嘘?」グイグイ
女「もう見てるこっちまでニヤケちゃうくらい、純粋な幸せな顔…してたわ」
男「女、お前…」
女「それでも私は男か好きだった」
男「…」
女「私だって負けないくらい男が好きで、好きで、大好きだった…」
男「…女…」
女「ねぇ…最後のクリスマスくらい…夢…見させてよ…」グイッ
女「…プッ…な~んて、あんたを困らせるようなことするほど私はダメ女じゃないわ」
女「敵わない恋にはしっかり身を引く、そして明日から新しい恋に走る、それが本当の女性に近づく一歩になるの」
女「そんな貴重な体験をあなたはさせてくれた。ちょっと納得いかないけどね」
男「女…」
女「早く帰りなさいよ!友が好きだっていうならしっかり抱きしめなさい!あっちも…っと」
女「(これは私の口から言うべきじゃないか…)」
女「早く行け!!メリークリスマス!!」ドガッ
男「ってぇ~…女ぁ!!」
女「何よ!!」
男「ありがとう!!!」
女「!!…ふんっせいぜい頑張んなさいよーつ!!!」
男「おーっ!!」ダッ
女「…はぁ…」
女「フラレちゃった…」
DQN1「よぉ姉ちゃん、こんなイブに1人かwww」
DQN2「俺たちと素敵な夜を凄そうじゃぎやぁぁあああぁぁあぁぁぁああ腕がぁぁぁあぁぁ」
DQN1「!!?どうしたDQN2ぐふぇあっ!!?」ドサッ
女「…付いてきてたの」
爺「いえ、爺やはお嬢様の危機ならどこにでも駆けつけます…」
女「ふん……ありがとう…帰りましょうか、何だか寒くなってきたわ」
爺「かしこまりました」パチンッ
キーイッ
爺「どうぞお乗りください」
女「(…どうなるかは“あなたたち”次第よ…)」
男「グッ…ハァ…ハァ…うわっ」スベッ
アブネーナーァ!キィツケロヤァ!
男「さーせん!ハァハァ…」ダッ
男「友ぉ…」タッタッタッ
~家~
男「友!!」バンッ
男「ハァ…ハァ…」
男「…片付けてある…」
男「…隣の家は電気…点いてないか…」
男「…本当にナンパいっちまったのかな…」
男「今この気持ちを伝えないと…」
男「“この日”に伝えなくちゃダメなんだよぉ…」
男「お前か好きだって…!」
男「友ぉ!!」
ジャーッ
友「ふぅすっきり…男?」
男「」
友「ごめんトイレ借り…」
男「」ガシッ
男「好きだ」
友「へ?」
男「気持ち悪いとかおかしいとか思われても…構わない。俺はお前が好きだ」
男「お前の笑う顔や怒った顔や困った顔も全部好きだ」
男「その人を気遣うお人好しな性格も、細かいところに目かいくところも、優しい心の持ち主だってとこも全部、全部好きだ」
男「お前か…大好きた…」
友「…」
友「ダメ…だよ」
友「だって…男同士だよ?結婚もできなけりゃ子供も産めない…世間からは冷たい眼差しでみられる。男まてそんな目にあうのは…耐えられない」
男「…んだよ…そんな先のこと考えてるのかよ」
友「男?」
男「お前昔っから難しく考え過ぎなんだよ」
友「なっ…これはそんな軽いかとじゃ」
男「俺は!!」
友「!」
俺「…俺は“今”お前といる時間を、一分一秒たりとも無駄にしたくない」
俺「未来なんて、どいにでもなる。俺は今お前の側にいるこの時間を大切にしたいんだ…」
友「…」
俺「お前の…本当の気持ち…聞かせてくれ」
友「…!(男…唇が震えてる…)」
友「…」
友「お前の何も考えずに突っ走ったりする性格とか、たまに遠慮しちゃうところとか」
友「お茶らけた顔とか、たまに真面目になる顔とか…」
友「…俺だって!!全部全部ぜーんぶ大好きだよ!!」ポタポタッ
男「友…」
友「お前か女に誘われた時、正直止めようと思ったんだ」
友「でも、お前はノンケだろうなって…ここで止める権利は俺にないんだって」ポタポタッ
友「でもやっぱり…苦しく…なっちゃって…」ヒック
男「…馬鹿」グイッ
男「“6年間クリスマスを共に過ごしてきた”…権利なんてそれで十分だろ」
友「…」
男「俺に聞くなよ…」
友「あぁ…」
男・友「(俺たちはようやく…繋がったんだ…)」
男「つか何が悲しくて俺より背かデカイ野郎を抱きしめなくちゃいけねぇんだよ」
友「は?お前が背か低いのが悪いんだろぉ?」
男「背の違いなんて数cmじゃねえかよ」
友「違いは違いだっつーの!」
男・友「グギギギ」
男・友「(でもやっぱり大好きだ)」
友「ケーキなら廊下に冷やしてあんよ?」
男「え?」ガチャッ
友「だいたい男か廊下で冷やしておいたりっつったんじゃん」
男「そんな言ったっけな~」
友「とりあえず食うべ」
男「ん」
友「やっぱ市販のスポンジだとカペカペするなぁ」
男「生クリームもちょっとベトベト…つかなんかしょっぱくね?ここの部分だけ」
友「え…!!いや、き、気のせいなんじゃないかな?ほらほらこっちの部分食えよ!」
男「お、おう」
友「(涙でしょっぱくなったなんて口か裂けても言えねぇ…)」
友「太るぞー」
男「なぁに自主トレしますって」
友「さいですか」カチャカチャッ
男「なぁ友」
友「なn」
男「…んっ…ちゅ…ジュルルル」
友「んんん!…んふっ…んあっ…むんん…」ヌチャヌチャ
静寂はイヤらしいキスの音で静かに切り裂かれる
舌と舌が不器用に絡みあい、唾液は口から漏れて顎を伝い床に落ちる
寒さもあってか自然と鼻息が荒くなる二人
友「ん…ぷはっ…ハァ…ハァ」ハァハァ
男「へ…へへ…ハァ…ハァ…な、生クリームの…味…」ハァハァ
友「ばばば馬鹿!!急にキスとか猿かよ」
男「だって世はクリスマスだぜ?キスの1つくらいしておかないと」
男「それともそんなに俺のキスよかった?」ニヤッ
友「カァァァ」プチッ
友「うりゃっ!!」ドサッ
男「うぉっ…友…ひゃっぁあ!!」
友の冷たい手が男のシャツの中をまさぐる
友の手から必死に逃れようとする男。しかし完全にマウントを友に取られているため自由に動けない
友「男やっぱいい筋肉してんな~…っとここかな…」クリッ
男「!!」ビクンッ
友は男の乳首を摘まむと、まるで電撃が走ったかのように男の身体が脈をうった
男「や…なんか…変…ちょ…友…す、ストップ!本当に…やっ!!」ピクッピクッ
友が乳首を弄り、男がそれに反応して身体をびくつかせる
友「もっとよく見せて…男の身体…」グイグイ
男「ん…」ヌギヌギ
お互いに上半身だけ裸になる
友「舐めていい?」
男「…」
顔を真っ赤にした男か顔を反らす
しかし抵抗しないということはOKのサインなのだろう
友「…んちゅ…」
男「あっ!」
友「ハァ…ハァ…ん…ちゅーっ…ぷっ」レロレレ
男「あぁぁあぁ…ぁあ気持ちいい…」
片方の手で乳首を弄り、もう片方の乳首を口の中でコロコロと舌で弄くる友
男の顔からは余裕か消え、完全に友が主導権を握っている
男「気持ち…いい…」
友「続けてほしい?」
男「…」
友「こっちの方が苦しいか」サワッ
男「あっ…」ビクンッ
友「うわ…カッチカチ…しかも、ほら…我慢汁が滲み出てる…」
男「(ふ…普段ならこんなエロいこと…言わねぇのに…)」
友「苦しそうだから脱がす…っ!」ビクンッ
男「ハァ…ハァ…友も…カチカチじゃん…」サワサワ
友「ハァ…ハァ…脱ぐか…」
男「ん」
男「んぁ…ちゅ……(友のちんぽ…デカイ…)」クチュクツュ
友「ちゅっ…ん…っぷ…(男のちんぽの我慢汁すげぇ…雄くらさい)」ハムジュッポ
男「(やべぇ…友しゃぶるの上手すぎ…)ハァ…ハァ…んちゅるっレロレロ」シコシコ
友「(男さっきから…ん…亀頭ばっかり…んぁあっ)くちゅ…くちゅ…んじゅっぷ」シコシコ
友「んーんー…おひょこのひんぽうはいよ…」チュッパ
男「!!っんあぁんぁ(しゃぶりながら喋んな…っ)」シコシコ
男「…ハァ…ハァ」
友「…なぁ男…」
男「ハァ…ハァ…にゃ、なに…?」
友「流石に…ん…まだ…あ…あ…」
男「…?」
友「アナルセックスは…早い…よな…?」
男「…!!ちょ…そんな言葉どこで覚えたんだよ!」
友「ネットで…いつも抜く時に…お前に入れてるのを想像して抜いてた」
男「お、俺だってお前の…腰振る姿を想像して抜いてた…さ!」
男・友「…」
男・友「変態だな俺たち」
男「なぁ?」
友「じゃあ…兜合わせだな…」グイッ
男「うぉっと!」ダッ
向かいながらお互いの勃起したちんぽを重ね合わせる
ギンギンに勃起したちんぽは唾液と我慢汁で雄臭い臭いを放っていた…まるで風呂場のあの時のように
友「うっ…やべぇ…お前のちんぽに当ててるだけでイきそうなくらい気持ちいい…」ハァハァ
男「お前の…デカマラ過ぎるって…ん…あっやばい…超気持ちぃ…」ハァハァ
快楽に身をまかせ、少しずつ腰を振り始める二人
男「ん…あぁ…んなこと…口て…言うなよ…」ギシギシギシ
友「ほぉら…カリと…カリが…擦れあって…我慢汁トロットロで…」ギシギシギシ
男「あぁぁあ…気持ちよくて…おかしくなりそう…友…」ギシギシギシ
友「男のちんぽエロすぎ…ほら口近づけて」ギシギシギシ
男「ん…んんんんん~」ギシギシギシ
友「くちゅ…んちゅ…じゅるんちゅ…っはぁ…んん…」ギシギシギシ
男「んんん…っは…ちゅっちゅ…じゅるる…ん…ちゅる…ハァ…ハァ」ギシギシギシ
友「男…男ぉぉ」シコシコシコシコシコシコシコシコシコシコシコシコシコシコ
男「!!友…ちょ…急ぁぁあぁ」ギシギシギシギシギシギシ
男「あぁぁあぁぁぁああ気持ちいい~ぃぁぁぁあ」ギシギシギシシコシコシコシコシコシコシコシコ
友「んぁっ…男…俺凄い幸せ…」シコシコシコシコヌチャヌチャシコシコシコシコシコシコヌチャヌチャシコシコシコシコシコシコヌチャヌチャシコシコシコシコ
男「ぁぁああん…俺も幸せだよぉぉあぁぁあ」ギシギシギシシコシコシコシコシコシコヌチャヌチャシコシコシコシコシコシコヌチャヌチャシコシコシコシコシコシコシコシコシコシコシコシコシコシコ
友「ハァ…ハァ…ん…ハァハァ」シコシコシコシコシコシコシコシコシコシコシコシコシコシコシコシコシコシコシコシコシコシコシコシコシコシコシコシコシコシコシコシコシコシコ
男「あぁ…友!イきそう!やばいイきそう!」シコシコシコシコシコシコシコシコシコシコシコシコシコシコシコシコシコシコシコシコシコシコシコシコシコシコシコシコシコシコ
友「あぁ俺もイく!!あぁヤバいイく!!イく!!!!あぁぁあぁぁあ」ドピュッ
男「あぁぁあぁイく!!ぁぁイく…ぁぁあ!!!」ドピュッ
友「…ハァ…ハァ…」
男「…お前…エロすぎ…つーかS過ぎ…」
友「お前も…充分エロかったよ…あ~あギャランドゥが精液まみれだ…」ヌメッ
男「お、おい」
友「掃除してやる」ペロペロ
男「…~///…お前…やっぱ変態過ぎるよ」
友「どこがよ。やっと長年の想いか実って手に入った恋人なんだ、こんなの変態のうちに入らないさ…んちゅ」
男「あっ…つ!」ビクンッ
友「二回戦…いく?」
男「兜合わせで何が二回戦だ馬鹿」
友「…」
男「…」
男・友「…っぷ」
男・友「あっはははははははははははははははは」
本当に長く長け閉ざしていた蕾が、ようやく開いたのだから
確かに未来には悲しい現実が待ち受けているのかもしれない
幾つもの試練や戦いもあるだろう
でも、今はこの人と一緒に入れれば、それで幸せ
これ以上の贅沢なんてないくらい、笑顔になれる
この人の笑顔が、俺に幸せをくれる
今はそれだけて充分
これから何があっても、この人となら…笑い合って行ける気がするから…
男「来年も」友「一緒だな」
おわり
世はクリスマス、カップルがイチャイチャしてるのを見てたらむしゃくしゃして書いた、後悔はしていない
ちなみにガチゲイです
来年のクリスマスこそ素敵な彼氏を作って過ごしたいものです
Entry ⇒ 2011.12.25 | Category ⇒ 男女「」SS | Comments (0) | Trackbacks (0)