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純「ダリィ」白望「ダルい」
http://hayabusa.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1348923405/
マイナーカプが苦手な人は気をつけろ!
塞「好きな人ができたァ!?」白望「うん」
http://ssweaver.com/blog-entry-1723.html
白望「芋けんぴ、髪に付いてたよ」
http://ssweaver.com/blog-entry-1729.html
一応前作だけどお話のつながりはないです
期待
白望「ダルい……」
純「え?」
白望「んー?」
純「…………」
白望「…………」
純「…………」
白望「…………」
純「……なんか喋れよ」
白望「……ダルい」
白望「うん」
純「二回戦見てたぞ」
白望「サインなら書かないよ」
純「いらん」
白望「そう」
白望「……なに、ナンパ?」
純「違う!」
白望「そう」
純「……言っておくが、オレは女だ」
白望「見ればわかる」
純「……そ、そうか」
純「え?」
白望「そこの自販機に」
純「あ、ああ、さっきの質問の返事か」
白望「うん」
白望「で、買う前にベンチに座ったら、ダルくて立てなく……」
純「おいおい」
白望「仕方なく迎えを待ってる」
純「ダメ人間のお手本だな」
白望「ん?」
純「送ってやるから、さっさと立てよ」
白望「……やっぱナンパ?」
純「違うわ!」
白望「冗談」
純「ったく……」
白望「まっすぐ行って左」
純「すぐそこじゃねぇか!ダラけすぎだろ!」
白望「歩き始めるまでが一番大変」
純「……それはまぁ、わからなくもない」
純「1分もかからなかった……」
白望「……あ」
純「?」
白望「ジュース買い忘れた」
純(こいつ……)
白望「買ってくる」
純「戻るのかよ!」
純「どうした?」
白望「なんで着いてきてるの?」
純「……なんでだろう」
白望「まあいいけど」
純「気になるならどっかいくぞ」
白望「別に……」
純「え、買ってくれんの?」
白望「迷惑かけたお詫びに」
純「おぉ、迷惑という言葉を知ってたのか。コーヒーで」
白望「失礼な……」ピッ ガコン
白望「はい」
純「サンキュ」
白望「オレンジ」ピッ ガコン
純「へぇ、ほうじ茶とか飲むのかと思ってた」
白望「それは偏見……」
…
-宮守女子控え室-
塞「……遅い」
豊音「そろそろ30分だよー」
エイ カキカキ
胡桃「ん、寝てる人の絵?……シロ寝てるんじゃないかって?」
エイ コクコク
塞「いや、さすがにそれは……んー、でも、シロだしなぁ」
胡桃「ないとも言い切れないんだよね」
塞「寝てたら叩き起こしてね」
胡桃「まかせなさい!」
豊音「ら、乱暴は駄目だよー」
胡桃「わかってるよ。じゃあ行くね」
エイ フリフリ
胡桃「まったく、世話が焼けるなぁ……」
胡桃「ベンチに座ったら立てなくなったとかかな」
胡桃「ダルいダルい言ってたりして」
純「で、透華だけがユニフォーム着て来てさ」
白望「まじめな人だね」
胡桃「……?誰かと話してる?」
胡桃 ヒョコッ
胡桃「……」
胡桃「……!?」
胡桃「シ、シロがイケメンにナンパされてる……!!」
バタンッ!
胡桃「大変だよみんな!」
豊音「わっ、びっくりしたー」
塞「どうしたの?」
胡桃「シロがイケメンにナンパされてるんだよ!」
豊音「えっ!?」
エイ「!?」
塞「はぁ?」
胡桃「でも、結構話弾んでるみたいだったよ!」
エイ「シロガ……?」
豊音「プロのナンパ師さんとかかなー?」
塞「そんなのいるの!?」
胡桃「と、とにかくみんなきて!このままじゃシロが傷物に!」
純「国広くんがタバスコジュース引き当ててな」
白望「おっちょこちょいなんだ」
エイ「ナ、ナイスガイ……!」
塞「イケメンだ……!」
胡桃「だから言ったでしょ!」
豊音「……どこかで見たようなー……?」
白望「楽しそうだね」
エイ「ホントニハナシハズンデル……」
塞「話術まで得意とは、なんたるイケメン……!」
胡桃「ああ、このままじゃシロの初めてが……」
豊音「うーん、どこだったかなー?」
白望(何してんだろ……)
純「んで証拠隠滅に……って、どうかした?」
白望「んー、……何でもない」
純「?」
白望「……」ジー
エイ「シロ、コッチミテル……?」
塞「うえ、ばれた!?」
胡桃「気づいたなら声かけてくれれば……」
胡桃「ナンパがしつこくて抜けられないんだ!」
塞「……いや、なんか違わない?」
エイ「シロタスケル!」
塞「エイスリンまで乗り気になってるし……」
豊音「テレビで見たようなー……」
胡桃「いくよみんな、ほら、トヨネも!」グイッ
豊音「えっ、えっ?」
純「あれ、あんたのお仲間さんじゃね?」
白望「うん」
純「なんで殺気立ってんだ?」
白望「……さぁ」
胡桃「シロ、大丈夫?体とか触られてない!?」
白望「……え?」
純「は?」
純(こいつオレをナンパと勘違いしてんのかよ!)
純「おい、誤解d」
胡桃「ほらシロ、こんなナンパほっといて控え室戻るよ!」グイグイ
白望「ちょ……タンマ」
エイ「ハヤクアルク!」
白望「えぇ……」
塞「し、失礼しました」ペコリ
純「…………」
純「戻るか……」トボトボ
一「おかえりー。ずいぶん遅かったね?」
透華「何かございましたの?」
純「ああ、聞いてくれよ」
…
一「あっはっはっはっは!」
純「……笑うなよ」
一「いやごめんごめん。何とも純くんらしいエピソードでつい」
一「今日の純くん、それほど女の子らしい格好でもないのにねー」
純「……そういやそうだな」
一「何て人だっけ?」
智紀「岩手の先鋒は、小瀬川白望」
純「へー、そんな名前だったのか」
純「小瀬川白望か……」
胡桃「撒いた!?」
塞「そもそも追ってきてないよ」
白望「だる……」
胡桃「で、シロ、あのナンパに何かされなかった?」
白望「別になにも。というかあの人ナンパじゃないよ」
胡桃「えっ!?」
胡桃「そ、そんなことが……」
塞「失礼なことしちゃったなぁ……謝らないと」
エイ「シャザイ?ユビツメ?」
胡桃「何怖いこと言ってんのエイちゃん!?」
白望「見ればわかるでしょ」
胡桃「わかんないよ!」
塞「高身長のイケメン以外の何者でもなかったよね」
エイ「ナイスガイデシタ」
豊音「あーーー!!」
豊音「思い出したよあの人!」
豊音「去年の長野代表の、龍門渕高校の先鋒だった人だよー!」
胡桃「あの人が!?」
白望「へー」
豊音「ど、どうしよー。サイン貰いに行かないとー」アワアワ
塞「いや、さすがにもう遅いから諦めなよ」
豊音「ううー」クスン
胡桃「明日からは清澄と姫松の応援だよ!……あ、そういえば清澄って」
塞「ああ、長野の代表だね。あの人も清澄の応援に来てたのかもね」
豊音「じゃあ、清澄を応援してればまた会えるかも!」
豊音「天江衣さんもいるのかなー」ワクワク
エイ「コロモ?」
豊音「去年のインターハイの最多得点プレイヤーだよー!」
エイ「スゴイ!」
白望「…………」
塞「シロ?」
白望「あ、ああ、うん」
エイ「ドウカシタ?」
白望「……なんでもない。帰ろう」
胡桃「…………」
胡桃(これは、まさか……!?)
-宮守女子宿泊先-
白望「うーん」
エイ「シロ?」
白望「……ちょっと散歩してくる」
エイ「ジャアワタシモ、」
白望「ごめん、一人になりたいから」スタスタ
エイ「……シロ?」
白望「んー……」
白望「まいったなぁ……」
白望「さっきから、あの人のことばっかり考えてる」
白望「……そういえば、名前なんていうんだろう」
白望「トヨネに聞いておけばよかったかな」
白望「……独り言ダルい」
白望「座ろ……」
白望 ポケー
「夜に女一人で出歩くのは危ないぞ?」
白望「え?」
ガバッ!
白望「!!?」
白望(何……!?)
純「オレだよオレ」
白望「……!?」
白望「なんでここに」
純「いや、散歩してたらあんたがいたから、驚かせようかと」
白望「……びっくりした」
純「ごめん。まさか泣くほど驚くとは思わなかった」
純「涙目だぞ」
白望「……!?」
白望 ゴシゴシ
白望「泣いてない」
純(やべぇ、かわいい)
純「……もっと動じない性格だと思ってた。ごめんな」
白望「泣いてないって」
純「はいはい」
純「人のこと言える立場か?」
白望「う……」
純「まああれだ、ちょっと一人になりたくてな」
白望「なら、声かけなくても良かったんじゃ……」
純「いや、あんたのこと考えてたからさ」
白望「!?」
純「あ、べ、別に変なことは考えてないぞ」
純「ほら、初対面でオレのこと女だってわかってくれる人って少ないからさ」
白望「あ、ああ、そういう……」
純「……なぁ、なんでオレが女だってわかったんだ?」
白望「え?」
純「オレってどう見ても男顔だし……服とかも女っぽくなかっただろ」
白望(どう考えても女の子としか思えなかったし……)
白望(んー……強いて言うなら……)
白望「匂い……かなぁ?」
純「!?」
白望「うん、よく考えれば、見た目よりそっちのほうが大きかったかも」
白望「うん、女の子の匂い……っていうのかな」
純「……お、女の子の……オレが……」
純(な、なんかわからないけど、嬉しい……のか)
純(やば、顔赤くなってるかも)
白望「……それに」
純「お、おう?」
白望「綺麗だったから、かな」
白望「本心なんだけどなぁ……」
白望「肌綺麗だし……。指とか、結構気使ってるんじゃない?」スッ
純「ちょ、……!?」
白望「うん、やっぱり綺麗」
純「お、おお……」
白望「まぁ、大体そんな感じかな」
純「そ、そうか」
純「帰んの?」
白望「んー、そうだね」
純「そうか……」
白望「……あ、そういえば」
純「?」
白望「名前、聞いてない」
純「そういや言ってなかったな」
純「オレは井上純。改めてよろしく」
純「あーちょいちょい、こっちきて」
白望「?」
純 チュッ
白望「……!?」
純「じゃーな、白望♪」タタッ
白望「え?名前?なんで?」
白望「……キスされた///」
純「あー、格好つけすぎた///」
純「失敗したら超恥ずかしいことになってたなぁ……」
純「上手くいってよかった」
純「それにしても、何か忘れてるような……」
純「…………あ、連絡先、聞いてねえ」
白望「ただいま……」
エイ「オカエリ、オソカッタネ?」
白望「うん、……ちょっとね」
エイ「?……カオアカイ……ネツ?」
白望「ううん……。今日は寝る」
エイ「??」
白望(初めてだったんだから、責任取って貰わないと……)
白望(次に会うときは、覚悟して……純)
おしまい
こんな二人もいいものですね
Entry ⇒ 2012.09.30 | Category ⇒ 咲-Saki-SS | Comments (0) | Trackbacks (0)
リンク「うわあぁぁ怖いよナビィぃぃいいいい」
リンク「ん~……」
ナビィ「おーきーて! デクの樹サマがお呼びなの! 一緒に来て!」
リンク「ん……よう……せい……?」
ナビィ「私、妖精のナビィ! 貴方の相棒よ、よろしくね」
リンク「僕の……僕の相棒……!?」
リンク「うっぐすっ……うわあぁぁあああん」
ナビィ「っ!? ど、どうしたのいきなり泣き出して」
リンク「もっミドにっいじっぁっくえっうっ」
ナビィ「く、苦労してるのね……」
ナビィ「ほら、泣き止んで! いそぎましょ!」
リンク「うん……」グシグシ
サリア「やっほーリンクー!」
リンク「ざり゛あ゛ぁ……づいに、づいに僕のと゛ごろにも」
サリア「ついにリンクのところにも妖精が来たのね! おめでとう」
リンク「うん……うん……」
リンク「うん……サリアのおかげで、ミドとその子分以外からはいじめられてないっていうか……」
リンク「サリアがいなかったら、僕、今頃死んでた……」
ナビィ「あら……」
ナビィ(こんないじめられっこが、ハイラルの運命を握ってるなんて本当なのかしら……?)
ミド「ここを通りたかったら剣と盾くらい持ってこいや」
リンク「え……刃物なんて危ないよ」
ミド「とにかくもってこいっつってんだよ! じゃなきゃ通さねーからな!」
リンク「……ぐすっ」
リンク「どうしてこの岩転がってるの!? 物理法則を無視してるじゃんかうわああああああ」
ナビィ「ほらあそこ! 宝箱があるわよ!」
リンク「うわああああああギャッ!」ドゴォッ
ナビィ「きゃあああリンク大丈夫!?」
リンク「いだい……痛いよ゛ぉ……」
ナビィ(本当に大丈夫なのかしら……)
リンク「剣は手に入れたけど……」
リンク「触るの怖いよ、怪我しそうだし……」
ナビィ「とりあえず、振る練習をしましょ」
リンク「うん……」
リンク「5ルピー足りない……あっ」
ナビィ「どうしたの?」
リンク「しっ」
リンク「……レジのすぐ横に落ちてた」
ナビィ「えっと……ラッキーね」
リンク「よし、剣も盾も手に入れた!」
ナビィ「これでデクの樹サマのところにいけるわね!」
リンク「ミドに復讐できる!」
ナビィ「えっ」
リンク「冗談だよ! 人に剣を向けたりはしないよ……復讐はしたいけど」
ナビィ「…………」
リンク「自分がこの剣で切られる可能性は考えた?」
ミド「えっ……ひっひいいいいいい弱虫の癖に偉そうに!」ダダッ
リンク「あ、行っちゃった……ちょっと意地悪し返してやろうと思っただけなのに」
ナビィ「けっこう怖いわよ今の」
ミド「……モンスターがいるから、親切で持って来いっつってやったのに」
ミド「けっ」
ナビィ「デクの樹サマを助けたくはないの!?」
リンク「助けたいよ! でも僕には無理だよ! なんか中暗そうだし!」
)谷(「お願いじゃ……リンク……お前にしか成せぬことなのだ」
リンク「うっ……ぅぅっ……わかり……ました……」
リンク「うわ……モンスターがデクの樹サマの中に……」
ナビィ「その剣と盾を使って倒すのよ!」
リンク「ひっ……」ガクガク
ナビィ「待ってリンク! スタルウォールが」
リンク「っうわあぁぁぁあああ! あいたたた……」
リンク「なんか紫になって襲ってきたよおおおおお」
ナビィ「パチンコを使って倒すのよ!」
リンク「パチンコって最初の文字を伏せると大変な単語になるよね」
ナビィ「…………」
ナビィ「さあ勇気を出して!」
リンク「いやだよおお他の手段探そうよ!」
ナビィ「リンクなら大丈夫よ!」
リンク「いやだああああああ」
ナビィ「……いい加減にしなさい!」ドンッ
リンク「えっ……うわあああああああああああああああ」
ナビィ「……あ゛」
リンク(穴からズレた! やばい! 地面にぶつかるううううううう!!)
リンク「あうぃぃぃ……」
ナビィ「……骨折くらいするかと思ったら擦り傷程度じゃない!」
ナビィ「その異常なまでの丈夫さがあれば平気よ! ワンモア!」
リンク「うっ……ナビィが怖いよおおぉぉ」
ナビィ(私だって……私だって本当はこんなことしたくないのに……)
リンク「なんとかクモの巣は破れたけどやっぱり落ちたら痛いよ……」
ナビィ「よく頑張ったじゃない! さあ、奥へ進みましょ!」
リンク「なんか金色のクモまでいるし何なんだよもう……」
ナビィ「幼生ゴーマよ! ほら、剣で攻撃して!」
リンク「い……いやだ……こっちこな……で……うわああああ!!」ブンブン
リンク「はあ、はあ……怪我しちゃった……痛いよ……」
リンク「助けてサリアぁ……」
ナビィ「リンクは頑張ってるよ!」
ナビィ(弱虫にもほどがあるわ……)
タマゴが落ちて来る前に、あらかじめパチンコで破壊しておけば戦闘は避けられたのだが
彼にそれを知る由はなかった
リンク「でもなんか変な音してる……」
ナビィ「リンク、上よ!」
リンク「え? ひっうわあああああ」
(÷)「キシェアアアアア」
ナビィ「呪いの元凶だわ!目を狙って!」
ナビィ「今よ! パチンコで目を討って!」
リンク「外しちゃったよおおおおお」
ナビィ「ああ……幼生ゴーマが……」
リンク「うっぐすっ」
ナビィ「泣いたら視界が悪くなるわよ!」
リンク「剣が重くて上手く使えないよ……あ、そうだデクの棒!」
ナビィ「やったねリンク!」
リンク「あれ? 幼生ゴーマが親に群がってる……」
ナビィ「……倒さないと」
リンク「モンスターでも、家族を亡くしたら悲しいのかな」
ナビィ「それでも敵よ。呪いの元は断たないと」
リンク「……ごめんね」
ザシュ
リンク「…………」
リンク「デクの樹サマ、僕勇気なんて無いです!」
)谷(「魔物を倒したのじゃ……おまえならできる!」
リンク(無理だよ……)
)谷(「外の世界に行くのだ!」
リンク「外の……世界……?」
リンク「外に行けば……僕、もうミド達にいじめられなくて済むの!?」
)谷(「うむ……まあ、物理的な距離は離れるからの……」
リンク「やったああああああ」
リンク「ちょ、違……」
少女「ねえ……リンクがデクの樹サマを殺したって本当?」
少年「ミドのアニキが言ってたんだぜ……」
少女「やだ……まさかいじめられていた腹いせに……?」
リンク「…………」
リンク「こんな森出てってやるうううううう!!」ダダッ
ナビィ「り、リンク!」
リンク「サリア……サリアは信じてくれるよね? 僕、デクの樹サマを助けようと思って……」
サリア「わかってるよ! サリアはリンクの友達だもん」
リンク「サリア、あり……がと……」
サリア「このオカリナ、あげる」
サリア「リンク、他のコキリの皆とはどこか違うなって思ってたの」
サリア「でも、そんなの関係ない。私達はずっとトモダチでしょ!」
リンク「うん……うん!」
ナビィ(一応理解のある友達はいるのね……)
リンク「なんだか自分がはじけ飛んで、消えてしまいそうで怖い……」
ナビィ「さ、早くお城に行きましょ!」
リンク「さっきのケポラゲボラって一体何者なんだろ? 鳥なのに喋るなんてさ」
ナビィ「そうねえ……」
ババババババババ
リンク「うわっ何あのおっきいの!」
ナビィ「ピーハットよ! 下の方にある突起を狙って!」
リンク「待って、怖い! 無理! うわああああああ」
リンク「って、木に引っかかって追って来れなくなってる! ラッキー!」
ナビィ「ここで倒して剣の練習をしてほしかったんだけど……」
ナビィ「ほら見えてきたわよ! あそこ!」
リンク「あっほんとだ!」
リンク「よし、ついt」
ガラガラガラガラ
リンク「閉まらないでえええええ!」
ガシャン
ナビィ「あちゃあ……」
リンク「地面からガイコツが沸いてきたよナビィ!」
大スタルベビー「」ブンッ
リンク「でかっ! うわああああ!」ボシャン
リンク「……あ、こいつら水の中に入って自滅してる!」
リンク「一晩中川に入っていれば安全だ!」
ナビィ「溺れないようにね」
コケコッコー
リンク「くしゅんっ! けほけほ」
ナビィ「風邪ひいちゃったわね……」
リンク「じゃあ僕が探してくるよ! これから城に用があるからさ」
ナビィ(この子、直接兵士さんに相談しに行った方が良いんじゃ……)
リンク「何回挑戦してもお城に入れないよナビィ」
ナビィ「せっかく保護色な服を着ているんだから上手く奴等の目を掻い潜りましょ」
リンク「……お堀に入るの? 水の音で気づかれない?」
ナビィ「そっと入るのよ」
リンク「この水臭いよ……」
リンク「熱っぽいし……・ヘックション!」
ドサッ
リンク「いたたっ木から何か落ちてきた!? うわあクモだ……」
ナビィ「倒しちゃいましょ」
ナビィ「木から落ちてきた黄金のスタルチュラにぶつかるなんて、運が悪いわね……」
リンク「この人がマロンのお父さんかな?」
リンク「……やっぱり大人の人だなあ。僕、街に入るまでは大人なんて見たことなかったからさ。憧れるんだ」
リンク「城下町に入ったらたっくさんいたからびっくりしちゃったし」
リンク「僕も大人になれたらなあ……」
ナビィ「コキリ族はずっと子供だもんね」
ナビィ「起きないわね……」
リンク「何て名前なんだろうね? マロンのお父さんで丸っこい体系だから、マルオだったりして!」
ナビィ「ちょっと失礼じゃない?」
リンク「そうなの?」
兵士「まだ子供じゃないか! 追いだせー!」
リンク「ひいいいいいい」
ナビィ「リンクー……もうちょっと上手く兵士に見つからないようにできない?」
リンク「も……だめ……くらくらして……きた…………」バタン
ナビィ「リンク? リンク!? しっかりして!」ユサユサ
リンク「……ぅ…………」
ナビィ「リンクー!」
リンク「……あれ? ここは……」
インパ「やっと気がついたか」
ナビィ「リンク、良かった……」
リンク「ええと、僕は確か……」
インパ「お前に会いたがっているお方がいる。ついて来い」
リンク「は、はあ……」
リンク(この人怖い……)
リンク(ただでさえ大人の人は体がおっきくて怖いのに)
ナビィ「偉い人の肖像画じゃないかしら」
リンク「へええー! 緑色のトカゲみたいなのと、金髪の女の人と、赤い帽子を被った人が描かれてるね」
インパ「このお方だ」
リンク「っ!」
リンク(かっ、かわいい……)
ゼルダ「貴方が、妖精を連れた……森からの使者ですか?」
リンク「え、あ、はい! リンクっていいます!」
ゼルダ「リンク……不思議……懐かしい響き」
リンク(でもちょっと電波なのかな?)
ナビィ「帰りたくはないのね……」
リンク「だって僕、デクの樹サマ殺しの疑いをかけられてるし……うっ」
ナビィ「思い出さない思い出さない! さ、山に登りましょ!」
リンク「ハイリアの盾?」
兵士「なンでも屋って店に行って買って来た方が良いぞ」
リンク「戻るの大変だなあ……でもやっぱ怖いし手に入れておこうか」
ナビィ「まあけっこう近いしね」
墓荒らしをすればタダで手に入れられるということを、純粋無垢な少年が知る由はなかった
リンク「うわああいてっ!」
ナビィ「岩がたくさん転がってきてるね。気をつけて」
リンク「ううっ……また化け物と戦ったりすることになったら嫌だなあ」
ナビィ「あんなおっきな岩にぶつかってもかすり傷くらいしかつかないリンクなら大丈夫よ」
リンク「体がだめでも心が死んじゃうよお……まだ風邪治りきってないし……」ジュルジュル
リンク「うわっ岩が動いてる!」
ナビィ「ゴロン族よ。石を食べる種族なんだよ」
リンク「ええー……石を……」
リンク「どうしよう……どうにかして機嫌を取りたい」
ナビィ「う~ん……」
リンク「あれ? あちこち火がついてない燭台があるよ。付けてみよう」
リンク「わー中央のおっきいのが回ってる! 僕も回る!」グルグル
ナビィ「楽しそうね」
リンク「目が回った……」フラフラ
ナビィ「もう……」
ナビィ「行ったところでどうするの?」
リンク「サリアがノリの良い曲をよく吹いてたんだ! きっとその曲があればダルニアさんも機嫌を直すよ」
ナビィ「んなあほな」
ケポラ「音のする道を行くのが良いじゃろう」
リンク「うんわかってる! 多分、サリアはよく一緒に遊んだ場所にいるはずだし!」
リンク「って何でこんなところに狼がああああうわあああああひっかかれたああああああ」
ナビィ「ウルフォスよ!」
リンク「オコリナッツもたくさんいる……サリアは一体どうやってここを通ったんだろう」
ナビィ「リンクよりも強いんじゃない?」
想像したらワロタww
ナビィ「まあまあ……疲れたし、ちょっと里で休んでいかない?」
リンク「……ぐすっ」
ナビィ「あ、ごめん、そうだったね……」
ダルニア「この熱いビート!!」
リンク(うわあ……)
リンク「よし、岩は壊したし、中に……入りたくないけど行こっか」
ナビィ「ここから飛び降りたらすぐ入り口に着くわね」
リンク「え? 嫌だよ、もう飛び降りるのは嫌だよ!」
ナビィ「つべこべ言わない! 勇気を出すのよリンク!」
リンク「わああああスカートの中身見られちゃうううううううう」
ナビィ「叫んだら舌噛んじゃうよ」
ナビィ「端っこのほうなら大丈夫よ」
リンク「いやいや火傷しちゃうって! ブーツが焦げるよ!」
ナビィ「進むのよ!」
リンク「うう……うぁああ……」
ナビィ「泣き虫なんだから、まったく……」
リンク「わわっ地面から何か出てきた!」
ナビィ「ベビードドンコよ」
リンク「えいっ!」ザシュ
リンク「あれ、意外とよわ……えっ」
ナビィ「リンク、敵が!」
リンク「えっ何コイツ! 魔物なのに剣持ってる!」
リンク「待って待って!」キンキン
ナビィ「ハイリアの盾で亀さんごっこしてるだけじゃ勝てないよ!」
リンク「でも無理だよぉおおおお」
ナビィ「まあまあ落ち込まないで」
リンク「ううっ僕はもう駄目だ」
ナビィ「あ、その石像に不用意に触ると」
リンク「え? うわあああああああああああああああ」
アモス「ブゥゥ」ダンッダンッダンッダンッ
ナビィ「デクの盾買えて良かったね、リンク」
リンク「……この穴に飛び込むの?」
ナビィ「勇気を……勇気を出すのよ!」
リンク「やだよ! 他のルート探そうよ!」
ナビィ「マップには他の道なんて載ってないよ! さあ!」
リンク「うう……ごめんサリア、僕死んじゃうかもしれない」
ナビィ「デクの棒を使えばすぐだったね」
リンク「でもあいつおっきくて怖かったよ……ちょっとちびっちゃったし」
ダルニア「リンク、よくやったゴロ!」
リンク「やったぁ! 炎の精霊石GE……っと……」
ゴロン達「オラたちキョーダイ」ザッザッザッザッ
リンク「ひっ! う、うわあああああああああ」
ナビィ「ハイリアの盾で防いだらどうかな」
デクの盾を構えながら走っても無傷で行けるが、臆病な少年には到底不可能だった。
大妖精の泉
リンク「王家の紋章……? ゼルダの子守歌を吹けばいいのかな」
リンク「わあ、綺麗な女の人だね、ナビィ!」
ナビィ「う、うん」
ナビィ(怖がると思ったのに)
リンク「やった! 僕魔法が使えるようになったよ!」
ナビィ「やったねリンク!」
カカリコ村
リンク「ううっ……ケポラゲボラに連れてきてもらったのは良いけど」
ナビィ「良い景色だったわね」
リンク「怖いし酔うしでそれどころじゃなかったよ……」
ナビィ「ああ、飛び慣れてないもんね」
タロン「マロンの婿にならないだか?」
リンク「え? う、うん?」
タロン「冗談だーよ、子供にはまだわからないだ」
リンク「ねえナビィ、ムコって何?」
ナビィ「旦那さんのことよ」
リンク「だんなさん?」
ナビィ「外の世界の人は、男の人と女の人が結婚して家庭を築くの」
リンク「そういえば、外の人ってどうやって仲間を増やすの?」
ナビィ「あ、えーと、それは……」
リンク「ナビィでも知らないことがあるの?」
ナビィ「ええっと」
リンク「外にはデクの樹サマみたいな存在はいないのかな?」
ナビィ「男の人と女の人が結婚すると子供が生まれてくるんだよ」
リンク「ふうん? ……どうやって?」
ナビィ「う、う~ん……」
リンク「半漁人だあ!」
ナビィ「王様はお姫様がいなくなったせいでまともに話ができない状態だし……どうしよう」
リンク「潜水ゲームだって! やってみようかな」
ナビィ「リンクの苦手な飛び降りだよ?」
リンク「下に水があるから大丈夫だよ」
ナビィ「この高さじゃあ水に落ちてもかなり痛いと思うけど……」
リンク「まさか水面に飛び出てる岩にぶつかるなんて……」
ナビィ「もう、ドジなんだから。止血しないと……」
リンク「キングゾーラ、どくの遅いよ」
ナビィ「シッ!」
リンク「もう三十秒くらい経ってるよね……」
ジャブジャブ様のお腹
リンク「うわっ気持ち悪い……見た目も臭いも……」
ナビィ「きついね」
リンク「喉チンコ討ったら扉が開くって一体どんな仕組みなんだろう」
リンク「この妙に硬いシャボン玉も一体何なんだ……」
ルト「何か言ったゾラ?」
リンク「なんでもないです」
ルト「さっさと母上の形見を見つけ出すゾラ!」
リンク「もう……投げ捨てて良いかなこの子」
ナビィ「リンク、がまん」
リンク「やばい皮膚が融けてきた」
ナビィ「一刻も早く見つけて此処を出ないと!」
リンク「うわっあの丸が連なったの何!?」
ナビィ「テールパサラン。まだ倒せないから逃げて!」
リンク「うわ、ちょ、来ないでええええ!」ビリビリ
ルト「何をやってるゾラ……」
ナビィ「うっかり吸いこんじゃったんじゃない?」
リンク「あのでっかい棒みたいなの何?」
ナビィ「寄生虫の触手よ」
リンク「しょくしゅ?」
ナビィ「根元の細くなってるところをブーメランで攻撃して!」
リンク「うん、わかった!」
ナビィ(やっと少しは度胸が身に付いてきたかな)
ルト「ジャブジャブ様の中にあんなものがあるなんて気味が悪いゾラ……」
リンク「ひいいいい電撃避けれない! 無理!」
ナビィ「横っ飛びでどうにかするのよ!」
リンク「ブーメランで狙いを定めながらそんなことするなんて無理いいいいいい」
ナビィ「なんだかんだでできてるじゃない!」
ナビィ(運動神経は本当にすごいのにこんなに気が弱いなんて一体どうしてかしら)
リンク「ねえナビィ、ふぃあんせって何?」
ナビィ「婚約者ってことよ。結婚する約束をした人」
リンク「えっじゃあ僕とルトの間に子供ができるの!?」
ナビィ「う~ん……種族が違うから無理なんじゃないかしら」
リンク「種族が同じじゃないと子供はできないの?」
ナビィ「詳しいことは旅が終わってから教えてあげるから、今はゼルダ姫の元へ急ぎましょ!」
リンク「うん……」
リンク「ゼルダ!?」
ゼルダ「リンク…………!」ブンッ
リンク「うわ、今すごい力でオカリナを投げてたよ!」
リンク「壊れないのかな?」
ナビィ「大丈夫だから投げたんでしょ、多分」
ガノンドロフ「小僧、今、白馬が走って行っただろう。どっちへ行った?」
リンク「え、あ、いや、知りません」
ガノンドロフ「知らないはずがあるものか!」
リンク「ほんとに知らないんです! ほんと! ほんとに!」
リンク「あー……怖かった」
ナビィ「情けないよ、リンク……」
リンク「いや、だってあそこで死んだら元も子もないし……」
ナビィ「リンクってさ、サリアともゼルダ姫とも間接キスしてるよね」
リンク「かんせつきす?」
ナビィ「あーうん、なんでもないよ」
ナビィ「うん。……さあ吹いて、時の歌を!」
ゴゴゴゴゴゴゴゴ
リンク「……すっごくゾクゾクする!」
ナビィ「あれは、伝説の剣……マスターソード!」
リンク「この剣があれば、弱虫な僕でも、きっとガノ……何て名前だったっけ、あいつ」
ナビィ「ガノンドロフよ」
リンク「この剣があれば、弱虫な僕でも、きっとガノンドロフを倒せる!」
ナビィ「うん……多分ね」
目覚めよ……
選ばれし勇者、リンクよ!
リンク「あ、れ……?」
リンク「僕、大人になってる? どうして?」
ラウル「お前は時の勇者となるには幼すぎた。故に、七年の間眠り続けていたのだ」
リンク「七年……? 七年も!?」
リンク「というか僕が勇者になんてなれるはずがない」
ラウル「ならばその手の甲を見よ!」
リンク「これは……」
リンク「絵の具か何かで細工したんだ!」
ナビィ「そんなことしても何にもならないよ……」
リンク「嘘だ嘘だ嘘だ! 大人になってること自体おかしいのに!」
シーク「おい」
リンク「ううっ何かの間違いだよぉ人選ミスだよぉ……」
シーク「なあ」
リンク「ぐすっサリアぁ……」
シーク「時の勇者」
リンク「何で僕白タイツなの? ラウルって賢者の趣味なの?」
シーク「いい加減気付け!」
リンク「わわっ!」
シーク「ああ。……どうか頑張ってくれよ」ピカッ
リンク「うわっ消えた!? ちょっと待ってよ!」
リンク「カカリコ村で何すれば良いんだよぉ……」
ナビィ「とりあえず行ってこようよリンク」
リンク「怖い目に遭ったら嫌だなあ……」
シーク「……ヒントは墓地だ」
リンク「え、あ、ありがとう!」
リーデッド「キイイイイイイイイ」
リンク「うわあああこっち来ないでえええ」
ナビィ「リンク、そっち路地裏……」
リンク「うわ兵士の死体だあああ」
兵士「まだ生きてるぞ……」
リンク「す、すいません」
兵士「君は……そうか、七年前に城に侵入してぶっ倒れて」
兵士「インパ様に保護された、あの少年か……」
リンク「恥ずかしいので忘れてください」
兵士「その剣……そうか、伝説の剣か。どうか、ハイラルを……」
リンク「ちょっ……あ、あの」
ナビィ「……こと切れたみたい」
リンク「よりにもよって幽霊だよおおおおおおお」
ナビィ「落ち着いてリンク!」
リンク「ううっ走れば良いんだろう走れば!」
リンク「あちちっ! この火、ヒントにはなるけどそれ以上に危険だよ……」
リンク「……見失っちゃった……どうしよう……」
リンク「あ、ルピーだ! 目印かな?」
リーデッド「キィィィイイイイ」
リンク「うわああああああ」
姫川 明のやつ?
うん
時オカはミドが適度に活躍しててよかった
ゲームでも確か路地裏行けばいるはず
リンク「何でこんなに広いの? リーデッドがいるの?」
リンク「もう帰りたいよ……あれ? 僕の帰る場所、どこだっけ」
リンク「もしかしたら噂も風化して、コキリの皆にも優しくしてもらえたり……」
ナビィ「リンク……」
リンク「そうだ、サリアに連絡してみよう!」
ファラシーファラシー
リンク「もしもしサリア?」
サリア「リンク……リンクなの!? 良かった、生きてたのね」
いるよ 少年時代で時のオカリナ拾った後に1回だけ話せる
そうでした
サリア「聞いて! 今森が……きゃあああ!」
プツッ ツーツー
リンク「サリア? サリア!」
ナビィ「サリアに何かあったの?」
リンク「危険な状態みたいだ……急がないと!」
リンク(何だろう……股間がムズムズしてきた)
ナビィ「リンク? どうかしたの?」
リンク「いやっその」
リンク「……一人で考え事をしたいなって」
ナビィ「あ、そっか……久しぶりに里に帰るんだもんね」
リンク「…………」
リンク(何か気持ち良かったけど一体何だったんだろうあの衝動……)
リンク(暗くてあまりよく見えなかったけど、何か白くてドロドロした液体が出てきたし)
リンク(何かの病気だったらどうしよう)
リンク(僕死ぬの? 死んじゃうの!?)
ナビィ「リンク……調子でも悪いの?」
リンク「いやっ何でもないんだっ!」
リンク(ナビィには……女の子には言っちゃいけないことのような気がする……)
リンク(けどもし本当に病気だったら……)
ナビィ(冷や汗かいてる……やっぱり森に帰るのが怖いのかな?)
ナビィ「デクの樹サマがいなくなったから好き放題やってるんだよ!」
リンク「皆は……サリアは無事なのかな」
リンク「ミドは……痛い目見ててもざまあとしか……」
ナビィ「でも流石に死んでたりしたら悲しいでしょ?」
リンク「う~ん……けっこう酷くいじめられたし」
ナビィ「……」
リンク「とりあえず家に入って情報を集めよう」
ナビィ「……」
リンク「ただ体が大きくなっただけで、僕は何も変わってないのに」
リンク「僕……やっぱりコキリ族じゃなかったのかな」
リンク「マスターソードを捨てれば、子供に戻れるのかな」
ナビィ「……サリアを助けに行こう、リンク」
リンク「僕は……僕は一体…………」
リンク「…………」
ミド「サリアと約束したんだ、ここは誰も通さない!」
リンク「どけよ」
ミド「なっ」
リンク「どけって言ってんだよ!」ガッ
ミド「うわっ!」
リンク(こいつ、僕がリンクだって気付かなくても、まだ僕に……!)
ナビィ「落ち着いて!」
ミド「あれ、そいつ……リンクが連れてた妖精じゃねーか」
ミド「にーちゃん、あいつを……あいつを知ってんのか!?」
ミド「それ以来帰ってきてなくてさ……」
リンク「……知ってるよ」
ミド「本当か!? 今、あいつはどこに」
リンク「死んだ」
ミド「え……」
リンク「死んだよ」
ナビィ「…………」
リンク「コキリ族は外では生きていけない。知ってるだろ?」
リンク(コキリ族の僕は、自分をコキリ族だと思い込んでいた俺は、もう……死んだんだ)
リンク「……」
ナビィ「ねえ、リンク……」
リンク「俺さぁ、自分がリンクだって言うのが怖いんだ」
リンク「あいつらが知ってる俺と、俺が知ってる俺はもう違うんだから」
ナビィ「…………」
リンク「あいつ、俺が死んだって聞いて後悔してるだろうな! 自分がいじめたせいでリンクが死んだって思うだろ?」
リンク「一生罪の意識に苛まれれば良いんだよ! ははっ!」
リンク「お前、スタルフォスにならないの?」
リンク「俺以外の外の人間が森に入ったら化け物になるはずじゃん」
シーク「……」
リンク「まあいいや」
リンク「サリアって、どうやってこの神殿の中に入ったんだろ?」
リンク「俺はフックショットがないと入れないのに」
ナビィ「さあ……」
リンク「まあ、サリアは精霊と話をしたり、どこか不思議なところがあったからな」
リンク(声が変わったのに、サリアだけは俺がリンクだって気付いてくれた)
リンク(俺を受け入れてくれるのは、もう……サリアだけ……)
ナビィ「怖がりは相変わらずのままなのね」
リンク「うわっ何で近づいたら絵が消えるの? 怖っ!」
リンク「何でスタルフォス復活してくるの!? ちょ、一回倒せばもう十分じゃん!」
ナビィ「できるだけ素早く倒して!」
リンク「もうやだ……」
リンク「どう配置すれば良いのかわかっても重すぎて普通に間に合わないよ」
ナビィ「頑張ろうよ、サリアを助けるんでしょ?」
リンク「うん……」
地下
リンク「この壁意外と軽い」
ナビィ「リンクが力持ちなんでしょ、部屋全体の壁を動かせるなんて」
リンク「何だろこの部屋……絵ばっかり」
シャキン
リンク「俺情けなく謝りまくっちゃったからあんまり顔合わせたくないんだけど……って幻影かよ」
ナビィ「絵の中から出てくる瞬間を狙って!」
リンク「やばいはずsうわあああああ」
バリバリバリバリ
ナビィ「上手いこと回転アタックで避けられないかな……」
第二形態
リンク「うわっ弾打ってくるだけかと思ったら突撃してきた!? 怖っ!」
ナビィ「満身創痍だよ! 気をつけて!」
リンク「怖い……けど、サリアのためなら戦い抜いて見せる!」
リンク「何でだよ! サリアがいなくなったら、俺は……」
サリア「歌を吹けばいつでも話せるよ。それに」
サリア「離れていても、ずっと……私達はトモダチ。そうでしょ?」
リンク「……」
サリア「ミドとも、もう一度話をしてあげて。貴方がいなくなってから、ずっと悔やんでたから」
リンク「……森の賢者として目覚めた。もう帰って来ない」
ミド「そ……んな……」
ミド「あいつもいなくなって、サリアまで……」
ミド「ちくしょう……ちくしょう!」
ミド「なあ、俺が悪いのか? 俺があいつに意地悪ばっかりしてたから!」
リンク「……」
ミド「あいつ……サリアといつも仲良くしてたから……それで……」
リンク「…………」
リンク「……………………死んだなんて、嘘だよ」
リンク「驚かせて、ごめん」
リンク「リンクは生きてるよ」
ミド「ほんと……なのか?」
リンク「ああ、もしかしたらまた会えるかも」
ミド「……そしたらさ、あいつに伝えてくれないか」
ミド「意地悪して、ゴメンってさ」
リンク「ミドがサリアと仲良くしたいって気付いてたのに、ずっとサリアとベタベタしまくったりさ」
ナビィ「リンク……」
リンク「小さい頃なんて、よくサリアと一緒に寝てたし」
リンク「嵐が酷い夜なんて特にさ」
ナビィ「…………」
リンク「妖精なしって馬鹿にしてたのも、本当に妖精がいないことを理由に言ってたんじゃなくって」
リンク「もしもっと早くナビィが来てたって、同じようにいじめてきていただろうし」
リンク「それに、たかが子供のいじめでうじうじしてるなんて大人気ないだろ?」
ナビィ「リンク……」
ナビィ(成長したんだね……)
リンク「うわぁああ!!」
デクの樹の子供「ボク、デクの樹の子供DEATH!」
リンク「そっか、やっぱ俺、ハイリア人だったんだな」
ナビィ「…………」
リンク「吹っ切れたよ、色々」
リンク「ところで君さ、ハイリア人の生態とか詳しい? 体の仕組みとかさ!」
デクの樹の子供「何DEATHか?」
リンク「その…………」
リンク(大人っていろいろ大変なんだな……)
ナビィ「何の話してたの?」
リンク「な、何でもない!」
ナビィ「?」
リンク「まあ、大人の体にも大分慣れてきたしこれから頑張るよ」
ナビィ「そっか」
ナビィ(コキリ族じゃないんなら、性教育とかしてあげるべきかな……)
リンク(本当に何の話してたかとか気付かれてないよな? な?)
リンク(どうやって女の人のめしべ的なところにくっつけるんだろう)
リンク(気になる…………)
ナビィ(女の人と間違いを起こしたりしなければ良いんだけど……)
ナビィ「うん、ずっと気になってたんだけど」
リンク「行ってみようか。他の賢者がいるかもしれない」
ゴロンシティ
リンク「全然ゴロンがいない……」
ナビィ「あ、あそこ。転がってる!」
リンク「爆弾当たらないんだけど」
ナビィ「う~ん……」
リンク「くそっ……」
ナビィ「それだけ気に入られてるってことだよ」
リンク「ダルニアに子供がいるってことはさ、奥さんもいるのかな?」
ナビィ「多分そうだと思うけど」
リンク「ゴロン族って、どうやって子孫を残すんだろうね?」
ナビィ「う、うん……」
ナビィ(やっぱりそういうことに興味あるのかな)
リンク「ねえ、あそこに宝箱あるけど重要なのかな? 無視できないかな」
ナビィ「一応見て行った方が良いよ。ハンマーかもしれないし」
リンク「足場細いな……いや、ここでこそ勇気をdうわファイアキースやめ」
リンク「ちょうわあああああああ」
リンク「あの高さから落下するのは流石の俺でもキツイ」
ナビィ「頑張って! 今度は先に敵を殲滅しておきましょ!」
リンク「制限時間に間に合わない……」
リンク「5回くらい落ちたけどまだ辿り着けない」
リンク「……泣いていい?」
ナビィ「がんばろ、リンク」
リンク「こいつの炎やばいって!」
リンク「うわっ岩落ちてきたし! やばいやばい死ぬぅぅうううう」
ナビィ「頑張って避けて!」
リンク「何か効率のいい倒し方ないの!?」
ナビィ「とにかくハンマーだよ!」
リンク「絶対的な安全地帯があったりはしないのかよおおおおお」
リンク「妖精がなければ死んでたよ俺……」
ナビィ「よく頑張ったよリンク、昔ほど怖がらなくなったし!」
リンク「うん……まあ大人になったわけだし、みっともないことはしない方が良いかなって……叫ぶ癖はまだ治らないけどさ」
リンク「やっぱり俺、外の世界の人間なんだ」
リンク「……ナビィは、俺がコキリ族じゃないってわかっても、まだ相棒だと思っててくれてる?」
ナビィ「もちろんだよ! ナビィはずっとリンクの妖精だよ」
リンク「うん……ありがとう」
ゾーラの里
リンク「うわ……氷漬けになってる」
リンク「昔の感覚で飛び込んだりしたら一大事だ」
ナビィ「リンクなら少し怪我するだけで済むと思うけど」
リンク「いちいち凍らされて凍傷だらけなんだけど」
ナビィ「無理しちゃだめだよ!」
リンク「とりあえずブリザドは爆弾で攻撃しよう」
リンク「ディンの炎だと魔法力の消費が大きいし、囲まれた時だけ使うよ」
ナビィ(頭が良くなってる……!)
キングゾーラ「助けてくれた礼にゾーラの服を」
リンク「あ、すみませんもう買いました」
キングゾーラ「ならば余の熱いキッスを……」
リンク「えっと……昔から気になってたんだけどキスって何? ナビィ」
ナビィ「口と口をくっつけることよ」
リンク「え、ちょ、遠慮しておきます! すみません!」ダダッ
キングゾーラ「つれないゾラ……」
ナビィ「嫌がられはしないと思うよ! だってリンクは勇者なんだもん」
リンク「勇者……か、ははは。俺、本当に勇者らしくなれるのかな」
ナビィ「なってきてるよ! リンクならきっとハイラルを救えるよ!」
リンク「そっか」
リンク(俺ならきっと、か)
リンク(……大丈夫、きっとやれる)
マロン「そうなの……牛たちに乱暴はして欲しくないのに全然大切にしてくれないし」
マロン「馬も……ただのお金儲けの道具としか見てないみたいで」
マロン「ここまま、魔王に従い続けるのかと思うと、私……」
リンク「……」
リンク「俺がきっとどうにかしてみせるよ! インゴーさんの目を覚まさせてみせるから!」
ナビィ(リンク……頼もしくなって)
ナビィ(このままこの調子が続いてくれれば良いのだけれど)
リンク(多分内側に回った方が有利だ)
リンク(もし追い抜かされても、隙を狙ってコースの内側から追い抜き返せば多分勝てる!)
二回戦目
リンク「 負 け た 」
ナビィ「早かったもんね……でも何回でも挑戦しようよ!」
リンク「そうだね! 俺めげないよ!」
リンク「スタートダッシュマジ大事」
インゴー「ガノンドロフ様に献上するはずの馬をよくもおおおお」
リンク「エポナは俺にしか乗りこなせないよ! なんせ暴れ馬だからな!」
リンク「というか可愛い女の子にあんなゲルドの大男が乗ること自体おかしいって」
リンク「エポナはメスだもんなー俺が好きなんだもんなー」ナデナデ
エポナ「」スリスリ
リンク「閉じ込められたのに華麗にジャンプで脱出。マジかっこよくね?」
ナビィ「カッコ良いカッコ良い!」
インゴー「少しくらい欲望持ったっていいじゃねえかよ……」
リンク「ああ、つらかったんですね……」
リンク「でも、昔通り真面目に仕事をすればきっと報われますよ!」
リンク「人々を苦しめている魔王に従うのはやっぱり良くないです」
インゴー「うう……」
リンク「ねえ、ナビィ」
ナビィ「何?」
リンク「インゴーさんがマロンと結婚して牧場を継げば何もかも解決じゃないか?」
ナビィ「年の差大き過ぎない?」
リンク「そうなの? コキリ育ちだから、外の世界の年齢感覚がつかめなくて……」
リンク「あ、うん。でももし無理なら野宿するけど」
マロン「牧場を救ってくれたのに、野宿なんてさせるわけないでしょ!」
マロン「だから、その…………」
リンク「……?」
マロン「頑張って料理するね! ロンロン牧場の牛乳を使った料理はほんとおいしいんだから!」
リンク「ほんと? やった! 旅をしていたら硬い干し肉を食べることがどうしても多くなるからさ」
リンク「手料理はありがたいよ」
リンク「世話になったよ。ありがとう」
マロン「ううん。……また来てね」
リンク「近くを通ったら寄るよ。じゃあまた!」
マロン(結局何もしないまま行っちゃった)
マロン(私の王子様……だと思ったんだけどなあ)
リンク「マロン、顔を赤くすることが多かったけど一体どうしたんだろ?」
ナビィ「このニブチン!」ポカッ
リンク「いてっ! 何するんだよナビィ」
ナビィ(まあ、間違いを起こさなかっただけ良かったかな)
ルト「おおリンク、生きておったゾラか!」
リンク「ルト、久しぶりだね」
リンク(相変わらず全裸……恥ずかしくないのかな)
リンク「ねえナビィ」
ナビィ「どうしたのリンク」
リンク「この神殿、いまいち方向感覚がつかめないんだけど」
ナビィ「うん……苦しいね、ここ」
リンク「やばい。次何処行けばいいの」
ナビィ「しらみつぶしに探索しよう」
リンク「ルトは何処に行ったんだよ……」
ナビィ「素早く上のリフトに上がるのよ!」
リンク「ちょ、照準合わない! やばい!」
ナビィ「流される前に早く!」
リンク「急かさないでくれええええええ!」
ナビィ「扉はあるけど鉄格子で守られてるね……あれ? リンク……」
リンク「どうしたの?」
ナビィ「影が……リンクの影が消えてる……」
リンク「え……? ?だろ……? 俺死んじゃったの……!?」
ナビィ「どうしよう!リンクが死んじゃったら世界は終わりだよ!」
リンク「まじやばい! うわ俺いつの間に死んだんだよ自覚ねえよおおおおおおおまだ回復の妖精だってあるのに!」
リンク「ぐすっいやだぁ……俺死にたくなかったよお……」グスグス
ナビィ「リンク、泣かないで……って、あれ? あの木の下に誰かいる?」
ダークリンク「くくく……」
リンク「真っ黒で目だけが赤く光ってて怖いけど……」
ナビィ「モンスターの気配がするよ! こいつ、モンスターだよ!」
ダークリンク「俺はダークリンク。お前の影だ」
リンク「俺の……影?」
リンク「なら俺、死んだわけじゃなかったんだ。良かった……」
ダークリンク「安心してる暇はないぜ!」シャキン
リンク「うおっ!」
ダークリンク「その扉をくぐりたければ、自分自身を倒すんだな!」
ブンッ キィィィン!
リンク「くそっ真似ばっかしやがって!」
ダークリンク「言っただろ? 俺はお前の影だ」
リンク「でもハンマーは持ってないみたいだな!」ゴンッ
ダークリンク「ゴフッ」
リンク「地面の中に落ちた?」
ナビィ「リンク、後ろ!」
リンク「っ!?」
ダークリンク「油断大敵だぜ? くくっ」
リンク「俺より声が低くてかっこいいのがむかつく」
あれステータスまで同じなのか
リンク「壁を背にすれば、俺の背後をとれないためどうやら奴は木の下から復活するらしい」
ナビィ「良く気付いたね!」
ダークリンク「くそっ……なあ、時の勇者さんよぉ。おかしいと思わねえか?」
リンク「な、何をだよ」
ダークリンク「いきなり七年間という大事な大事な時間を奪われ、一人で扱き使われて」
ダークリンク「故郷に帰っても、誰もお前が誰だか気付かない」
リンク「っ……」
ダークリンク「危険な仕事は全部お前に任せてさぁ、一緒に戦おうとする奴は一人もいないなんて明らかにおかしいだろ?」
ダークリンク「まあ仲間と言えば精々その妖精くらいか」
ダークリンク「本当にガノンドロフの支配から逃れたいなら、お前一人に押し付けず、旅に協力しようとする戦士がいるのが普通じゃないか?」
ナビィ「リンク、耳を貸しちゃだめ!」
ダークリンク「だってそうだろ? 大人っつってもまだ10代のガキだ」
ダークリンク「何で誰もお前を助けようとしないんだろうな?」
リンク「俺は選ばれた勇者だから、頑張って戦って、ハイラルを救わなくちゃいけなくて……」
ダークリンク「一人でもか? 孤独でもか?」
リンク「俺は一人じゃない!」
ダークリンク「お前は一人だ。どんなに頑張って表現したって一人と一匹だ」
ナビィ「馬鹿にしてるの!?」
ダークリンク「この国の民はな、他力本願なんだよ。そんな奴等に助ける価値なんてあるのか?」
ダークリンク「帰る場所すらないお前に、本当にこの国を救えるのか?」
ダークリンク「どうなんだよ、時の勇者さんよぉ……?」
ナビィ「リンク、惑わされないで! これは罠よ!」
ダークリンク「どうしてそんなに自分の気持ちがわかるのかって顔してるな」
ダークリンク「言っただろ? 俺はお前の影だって」
ダークリンク「器だけじゃない。お前の心の闇そのものなんだよ」
リンク「あ……ああ…………」
リンク(気にしないように、してたのに)
リンク(忘れようと、してたのに)
リンク「僕は、僕は…………」ガクガク
ダークリンク「怖かったよな、苦しかったよな、寂しかったよな」
ダークリンク「弱虫のお前に無理矢理仕事押し付けた奴等のことなんて忘れちまえよ」
ナビィ「リンク、リンク!」
ダークリンク「あいつらはさ、お前をただの道具だとしか思ってないんだよ。自分達が救われるための道具だって」
リンク「やめ……て……くれ……」
ダークリンク「こっちに来いよ、心の闇に身を任せちまえ」
リンク「……い…………」
ダークリンク「何なら俺が今此の場で楽にしてやるよ。そしたら俺こそが本物だ」
リンク「うるさいうるさいうるさい!」
ナビィ「来ないでダークリンク!」
ダークリンク「へへ……」シャキ
リンク「う……うぅ……ぁぁぁ……」
シーク「――――リンク!」
リンク「しー……く……・?」
シーク「心の闇を、倒すんじゃない。受け入れるんだ」
リンク「でも、僕は、僕は……」
シーク「……君には、あまりにも重すぎる運命を押し付けてしまった」
シーク「だが、君にしか成しえないことがあるんだ」
ダークリンク「チッ……」
シーク「自分を人生を顧みるんだ」
シーク「……助けたい者や、助けたかったのに助けられなかった者が、いるだろう」
リンク「…………」
リンク「……俺には、ナビィ以外の協力者なんていらない。自分から求めなかったんだ」
リンク「いや、仲間は欲しかったけど、巻き込みたくなかったんだ」
リンク「だから俺は、ナビィと賢者達がいればまだ戦える」
ダークリンク「や……めろっ……」
リンク「帰る場所がないなら探せば良いさ!」
ダークリンク「自分から戦おうとしない奴等のために……お前自身を犠牲にしようってのか!?」
ダークリンク「お前を! 俺を!」
ダークリンク「やめろっ!」
リンク「大体、戦う力を持った男とかは僕が寝てる間にかなり死んじゃったらしいから仕方ないし……」
リンク「そりゃ、あまりにも理不尽な人生で何もかも投げ出したくなったりはするけど」
リンク「その感情も、抱えて生きていかなくちゃいけないんだ!」
ダークリンク「やめ…………」
リンク「お前がここにいるのは、僕が自分の汚い部分を拒絶したからだと思う」
リンク「だから、僕はお前を……迎え入れる!」
ダークリンク「ちく、しょう…………勇者らしくなりやがって……」
リンク「……はあ」
ナビィ「やったよリンク!」
シーク「いや……君一人に使命を負わせてしまった事は事実だ」
ナビィ「私もいるよ!」
リンク「俺、頑張るよ。俺も人間だからさ、思わず見返りが欲しくなったりすることがあるんだ」
リンク「それもあって勇者に向いてないんじゃと思ったこともあった」
リンク「けど、俺は勇気のトライフォースに選ばれたんだ」
リンク「何の意味も無しに、選ばれるはずはない」
リンク「……デクの樹サマは、俺が宿命を負っていることを感じたから育ててくれたらしいけど」
リンク「理由がどうであれ、大切にしてもらったことは事実だし」
リンク「…………デクの樹サマを助けられなかったのは、本当に悔しかったし悲しかった」
リンク「だから、俺は後悔しないように、皆のために戦う」
リンク「え? うわああああ痛い痛い!」
リンク「あ……でもマッサージされてるみたいでちょっと気持ちい」
ナビィ「早く抜け出して!」
リンク「はいはい」
ナビィ「あっ……///」
リンク「? どうしたの?」
ナビィ「……自分の体を見てみて」
リンク「? うわああああ全裸になってるう! まさか服が下着ごと全部食べられるなんて!」
ナビィ「やだ……変態みたい」
リンク「俺そんなんじゃないよ…・・!」
リンク「コイツの核、壁の隅に追い詰めたらすぐ倒せたよ」
リンク「触手に捕まった時はどうしようかとおもったけど」
ナビィ「水が干上がっていくよ!」
リンク「このプールの中の水、全部あいつの体だったんだ……」
リンク「じゃあ俺あいつの体の中泳いでたの? やだなあ」
リンク「ねえナビィ、夫婦の契りって?」
ナビィ「まあまあ」
リンク「宿命を負ってるのは俺だけじゃない。賢者達だって、元の世界では生きられないっていうとても苦しい運命を背負ってるんだ」
リンク「俺ばっか弱音吐いてちゃだめだよな」
ナビィ「でも、愚痴くらいなら聞くからね!」
リンク「ありがとう、ナビィ」
ナビィ「急ぎの旅ではあるけど、ストレス解消にちょっとだけ釣堀い行こっか」
リンク「え? 良いの!? やったあ!」
ナビィ「勇者の心が死んじゃったら元も子もないからね」
釣堀
リンク「ねえねえナビィ、あそこ、水面に少し木が出てる所があるでしょ?」
ナビィ「うん」
リンク「あそこに上って釣ってみてもいいかな?」
ナビィ「足を滑らさないようにね」
リンク「あ、ちょうどすぐそこにおっきいのがいる!」
リンク「村が……燃えている!?」
ナビィ「大変!」
シーク「下がっていろ、リンク」
リンク「一体何が……」
シーク「っ!? うわぁぁぁああああ!」」
ナビィ「シークが揺れてる廻ってる!?」
リンク「魔物がいるのか!?」
リンク「ってちょ何これ不気味怖い!」
リンク「あれ……俺、倒されちゃったのか。参ったな」
シーク「リンク……聞いてくれ。井戸の底に封じていた魔物が復活したんだ」
シーク「以前まではインパの力で封じていたのだが……」
リンク「封印が解けたのか」
シーク「彼女は再び封印をするために闇の神殿に向かったが、このままでは危険だ!」
シーク「この村は僕がなんとかする。どうかインパを助けてくれ!」
リンク「わかった。必ず助ける!」
ナビィ「ああ……」
――――――――七年前
リンク「この家荒れてるけど空き家かな……?」ギイィ
ナビィ「リンク、勝手にはいっちゃだm」
リンク「うわあああ大スタルチュラだうわあああああ!!」キンキン
クモ「シェギャァァアア」クルクルクル
リンク「うわあああああああ」
――――――――
リンク「そういえば、『女の人の隠れた穴に反応して震える悶え石』っていうのを20匹倒した後で貰ったんだけど」
リンク「一体どういう道具なんだろ?」
ナビィ「そんな怪しいもの貰ってたの!? ダメ! 捨てなさい!」
リンク「えー……」
リンク「七年間を奪われたって、ダークリンクは言ってたけど」
リンク「普通に七年前に戻れるんじゃんか」
ナビィ「さあ、はやくカカリコ村に行きましょ!」
おじさん「まわる、まわる……あれ、まわりすぎ?」
リンク「どうして風車が早く回ったら井戸が涸れるの?」
ナビィ「村にそういう仕組みがあるんでしょ」
リンク「どういう仕組みかって聞いてるのに……」
リンク「……ここ、何だか怖くない?」
ナビィ「怖くない怖くない!」
リンク「いかにも幽霊系の魔物が出てきそうだし!」
ナビィ「この部屋に漂ってる魂の声……」
ナビィ「『まことの目を求めよ』だってさ」
リンク「やっぱり成仏できずに霊が漂ってるの!? いやだあああああ」
ナビィ「シャキッとしなさい! ほんとは私だって怖いんだから!」
リンク「嫌だあああ手を放してよおおおお!!」
ナビィ「きゃあああ!」
リンク「顔恐い顔恐い! 何で手に捕まらないと出て来ないんだよ!?」
ナビィ「爆弾とかでおびき出せないかなぁ」
リンク「こいつの見た目が無理! 怖い! やだ!」
リンク「わっ!? 変なところまで掴むなよ! くすぐったい!」
ナビィ「早く手から逃れないと攻撃されるよ!」
ナビィ「ナビィもちょっと……精神的に来てる……」
ナビィ「まあ、マスターソードを抜けば、刺した直後の時間に行けるわけだしちょっとくらいゆっくりしても良いと思うの……」
リンク「宝箱屋でズルして罪悪感」
ナビィ「まあ……うん」
お面屋「信じなさい……信じなさい……」
ナビィ「……新興宗教?」
リンク「お面教?」
リンク「井戸の底みたいな、怖い死んでんじゃなければ良いんだけど」
ナビィ「……いかにも怖そう」
目が光っている壁「闇の神殿……それはハイラルの血塗られた闇の歴史……欲望と怨念の集まりし所……」
リンク「やっぱ無理っ……いやみっともなく叫んだりはしないっ」
デドハンド「ショギャァァアアア」
リンク「またこいつかよおおおおおおおおおおおうわあああああああ」
ナビィ「なかなか癖って治らないものね」
リンク「針付きの落ちてくる天井もあるし」
リンク「ここ、神殿と言うより牢獄だったんじゃ……」
ナビィ「この美しいハイラルの裏側、闇の歴史をギュギュっと詰め込んであるのよ……」
リンク「一体何があったんだよこの国……」
リンク「わっ船の上でスタルフォスとかマジねーよ!」
ナビィ「頑張って!」
リンク「水の中に落としてやる!」ボシャン
ナビィ「あら上手」
リンク「スタルベビーも水が苦手だったから、もしかしたらこいつらもかなって」
リンク「ってやばいこの船沈む沈む!」
ナビィ「さあ……見られるのが恥ずかしいんじゃないかな?」
※C↑を押すと奴は消える
リンク「いきなり左右からトゲが生えた壁が迫ってくるとかマジビビった……」
ナビィ「七年間のリンクなら確実に挫折してたね」
リンク「足場安定しないしまともに弓矢使えないよおおお」
リンク「ホバーブーツ履いても上手くいかないし!」
ナビィ「縁の方はまだ振動が弱いわよ!」
リンク「もう片方の手を狙ってたら先にはたかれた……」
リンク「ってかまことのメガネであいつの姿見たらマジグロイやばい攻撃したくない」
ナビィ「我慢! ナビィだって我慢してるんだから!」
リンク「何で首に目が埋め込まれてるんだよ……」
リンク「本当に……!?」
ナビィ「いったいどこにいらっしゃるのかしらね」
リンク「今は分からないけど、きっとまた会える! 希望が湧いてきたよ」
村人A「あ、リンクだ!」
村人B「勇者様!」
村人C「村を救ってくださってありがとうございますありがとうございます……」
リンク「怪我人とかって……」
子供「軽い火傷を負った人はいるけど大丈夫だよ!」
リンク「そっか……良かった」
リンク「いや、当たり前のことをしただけだし」
ナビィ「『一晩中水に浸かって、風邪ひいてぶっ倒れていた小僧がよくここまで成長したものだ』って、褒められてたね!」
リンク「褒め言葉だったのかな、それ……」
リンク「君とって、インパは特別な存在なの?」
リンク(いつもは冷静なのに、けっこう必死に頼んでたし……)
シーク「……いや、ハイラルを救うために必要だったから君に頼んでいただけだ」
リンク「…………そっか」
リンク「大工の仲間はこれで全員助けたんだよね?」
ナビィ「うん!」
リンク「また捕まってたりして」
ナビィ「……可能性が無いとは言い切れないけど」
ゲルド「お前、なかなかやるじゃないか」
ゲルド「どうだ、一晩……」
リンク「え……」ドキッ
ナビィ「……まだ知らなくて良い事よ」
ナビィ(いや、もしかしたら教えた方が良いのかもしれないけど)
ナビィ(歪んだ理解をして、リンクが変な子になっちゃったら困るし……)
リンク「えー教えてよー!」
ナビィ「…………」
リンク「にしても、何回矢で討っても復活するゲルドの女の人達ってすごいね!」
ナビィ「ああ……そうね」
いや何でもない
たまに城下町へボーイハントしに行くってゴシップストーンさんが言ってた
まことのお面・・・!!
確かにそんなこと行ってたな!夢が広がりんぐwwww
>>1の時オカ愛が素晴らしい
ナビィ(他の種族の良い男を狙うのよね……それで純粋なゲルドの子が生まれるから不思議)
リンク「会員証貰ったら、あの毒々しい赤いスープ飲ませてもらえたよ」
※バック転で中に入るとルピーが手に入る。ゴロンの服を着ればダメージを受けずに済む
ナビィ「えっ……おいしかった?」
リンク「香辛料が多くて辛かったけどなんとか食べれた」
リンク「にしてもさ、感謝してもらえるって嬉しいね」
リンク「村の人達や、大工の人達から感謝してもらえて、俺嬉しかった」
リンク「頑張って戦って良かった」
ナビィ「そう……」
読んでて楽しいよ>>1
リンク「うわああ幽霊……って、道案内してくれるみたいだ」
ナビィ「ついていきましょ!」
巨大邪神像
ナビィ「あれ? あそこ、ひび割れしてる……」
リンク「爆弾で壊してみようか」
リンク「相変わらず大妖精は美人だなあ」
ナビィ「う、うん、そうね」
リンク「ネールの愛GET」
ナビィ「うん」
リンク「……魂の神殿ってさ、いかにも幽霊出そうな名前じゃない?
ナビィ「ああ……まあ闇の神殿みたいな雰囲気ではないし行ってみようよ」
ナボール「もしとって来てくれたらさ……イイコトしてやるよ!」
リンク「うん!」
リンク「ねえナビィ、イイコトって何かな?」
ナビィ「う~ん……何だろうね?」
ナビィ(健全な内容なら良いんだけど……)
ナビィ「普通の魔物ならもう怖くない?」
リンク「怖いけど、ちゃんと戦えるよ」
対アイアンナック
リンク「こいつ攻撃力やばい! マジやばい!!」
ナビィ「一撃一撃が重い代わりに隙が大きいわ! 斧が床に刺さってる時を狙って!」
ケポラ「リンクよ、お前はすっかり勇者の風格を身に……付けたな?」
リンク「疑問形だと自信なくすんだけど……」
ケポラ「この先、お前の勇気にハイラルの全ての民の未来がかかっておる」
リンク「わかってるからプレッシャーかけないで……!」
ナボール「アタイを何処へ連れて行く気だい!? 放せっ!」
ナビィ「!? 今の声は!」
ナボール「てめえらっガノンドロフの一味だなっ!」
ナボール「リ、ンクっ……逃げろ!」
リンク「ナボール! 渦みたいなのに飲み込まれてるよ! 助けないと……」
ナボール「こいつら、妖しい魔法を……」
ナビィ「……一歩遅かったみたいね」
リンク「くそっ……!」ダンッ
リンク「助け……られなかった」
リンク「七年寝るんじゃなくて修行した方が強くなれるよね俺」
ナビィ「まあそうだけど……眠っている間は安全だから、保護の意味もあるんじゃないかしら?」
リンク「ナボール……この神殿の何処かにいるはずなんだ……」
スイッチ「我に光を!」
リンク「やっぱりこのスイッチ悪趣味だよなあ」
コウメ「ヒッヒッヒ……そのようですねぇ、コタケさん」
リンク「こいつら、ナボールを連れ去った……!」
ナビィ(コマツさんはいないのかしら……?)
リンク「またアイアンナックだ……でも、今は大人だから、もっと上手く戦えるはず」
ナビィ「でも、普通の敵じゃないみたい……」
リンク「ナボール!」
コタケ「おや、おや……正気に戻ってしまったようですよ、コウメさん」
コウメ「たかが小娘とは言え、こいつを慕う輩もいますからね、コタケさん」
コタケ「もう少し、ガノンドロフ様の役に立ってもらいましょう……ホッホッホ」
コウメ「ではもう一度、洗脳し直してあげましょう……ヒッヒッヒ」
シュバッ
ナボール「キャァァアアア!」
リンク「あっ……」
ナビィ「消えちゃった……」
リンク「嘘だろ……ちくしょう!」
リンク「あいつら……絶対倒す!」
リンク「攻撃が直撃したり、床に当たったりしたらかなり危険だけど」
リンク「ミラーシールドで受ければ平気だ!」
第二形態
リンク「が、合体した……!?」
ツインローバ「セクシーダイナマイツアタ~ック!」
リンク「ねえナビィセクシーってどういう意味!?」
ナビィ「そんなこと言ってる場合じゃないでしょ!」
リンク「な、なんかその姿だと切りづら」
ナビィ「倒すんでしょ! 躊躇わないの!」
リンク「躊躇いはしてないけどさ!」
リンク(何か変な声も出してるし女の人ってわけわかんないよ!)
ナボール「あの時の約束……守ってやりたかったね……」
リンク「結局イイコトって何だったんだろう……」
ナビィ(逆にほっとした……)
リンク「ついにガノンドロフとの決着を付ける時が来た、か……」
リンク「……俺、勝てるかな?」
ナビィ「勝てるよ! そう信じなきゃ何もできないよ!」
リンク「……そうだね! よし、ラウルが言っていた通り、時の神殿に行こう!」
リンク「…………俺を待ってる人、かあ」
リンク「シーク?」
シーク「リンク……よく、数々の苦難を乗り越え、六賢者を目覚めさせてくれたね」
リンク「俺を待ってる人って……君?」
シーク「…………ついにガノンドロフとの対決の時を迎えようとしている」
シーク「だが、その前に……君だけに話しておきたいことがあるんだ」
シーク「シーカー族に伝わる、神話を……」
シーク「奴は、残りのトライフォースを持つ二人の人物を探し始めた」
シーク「一人は、勇気のトライフォース宿りし者、時の勇者リンク」
シーク「そしてもう一人……知恵のトライフォース宿りし者」
リンク「……まさか」
シーク「賢者の長となる、七人目の賢者……」
リンク「トライフォースが光って……!」
ゼルダ「この私……ハイラルの王女、ゼルダです」
リンク「…………!」
リンク「せっかく……せっかく再会できたのに!」
リンク「ガノンドロフに連れ去られるなんて……くそっ!」
ナビィ「助けに行こう!」
リンク「ああ! ……あいつ、俺が戦って来られたのは、俺の力じゃなくて勇気のトライフォースの力だって言ってた」
リンク「……すっげー悔しい」
リンク「あいつを倒して、ゼルダを……そしてハイラルを救ってみせる!」
ナビィ「一体ずつ倒しましょ!」
リンク「……ごめん。二体とも目を覚ましちゃったみたい」
ナビィ「え」
リンク「やばいやばいやばいやばいやばい!」
リンク「はあ、はあ……」
ナビィ「もう……もうすぐ敵の親玉と戦うんだから、体力は温存しなきゃだめだよ!」
リンク「ごもっともです」
…………
ガノンドロフ「返してもらうぞ!」
リンク「トライフォースを渡すものか!」
リンク「ハイラルも、トライフォースも、お前が好き勝手にして良いものじゃない!」
リンク「奪われた物を取り戻すのは……こっちだ!」
リンク「つらかったら離れてて! 大丈夫、俺一人でもなんとかするさ!」
ナビィ(リンク……立派になったんだね)
ナビィ(もう、ナビィがお世話しなくても大丈夫なくらいに……)
リンク「やばいやばい五連発打ち返しきれない!」
ナビィ(やっぱだめかも……)
リンク「何で血が緑色なんだ!?」
リンク「ガノンドロフって虫!? 虫だったのか!?」
ナビィ「ああ、うーん……」
リンク「血が銅でできてるのかな……」
ナビィ「それよりはやく脱出しよう!」
リンク(シークの身体能力があるなら、もっと早く走れないのかなゼルダ……)
リンク「いてっ!」
リンク(ゼルダのすぐ後ろに付いていったらやけに瓦礫が落ちてくるし)
リーデッド「キイィィィイイイイイ」
リンク「やばい動けないうわあああ」
ナビィ「頑張ってリンク!」
リンク「こいつを回避する方法無かったの!?」
ナビィ「気合よ気合!」
※タイミングに合わせて回転アタックすれば逃げられる
ナビィ「ナビィもう逃げない! 一緒に戦う!」
リンク「ナビィ……無理はしないでくれな!」
リンク「こんな醜い姿に……トライフォースが暴走すると俺もこうなるのかな」
ナビィ「リンクはそんなことにはならないよ!」
リンク「くそっ……弱点どこだよ!」
リンク「ん、尻尾だけ色が明るい……よし」ザンッ
ナビィ「やった 効いてるよ!」
リンク「これが……最後の一撃だ!」
ガノン「ギャァァアアアアアア」
リンク「終わっ…………た…………」
リンク「これで、全部……」
ゼルダ「時の扉を閉ざせば、時を旅する道も閉ざされてしまいます」
ゼルダ「……ですから、どうか七年前に帰り、失った時間を取り戻して」
ゼルダ「貴方がいるべきところへ……貴方があるべき姿で」
帰りたくない気持ちと、七年間を取り戻したい気持ちの両方があった。
七年前に戻って、俺のやってきたことの結果が見えなくなったって、ナビィがいればきっと楽しく旅ができる。
そう思ってた。
なのに
どうして消えちゃったんだよ、ナビィ
俺、ナビィがいなくても旅をするよ。
というより、君を探すための旅なんだけどさ。
リンク「ねえナビィ、俺さ、あいつと……ガノンドロフとは、言いようのない因縁を感じたんだ」
リンク「きっとあいつはいつか復活して、再びハイラルに厄災をもたらすだろう」
リンク「こっちの世界でだって、例え俺が時のオカリナを持ってこの国を離れても、何らかの形で奴はトライフォースを手に入れるんじゃないだろうか」
リンク「なんの根拠もないけど、なんとなくそう感じるんだ」
リンク「七年後の世界のトライフォースは俺の手から放れたのに、俺には新しくこっちの世界のトライフォースが宿っていた」
リンク「これこそ、俺とあいつとの因縁の証なんじゃないかなって思うんだ」
リンク「でも、本当にガノンが復活したとしても俺は何度でも戦うよ」
ナビィ『リンクを見てたら、そうじゃないなって思えるようになったんだよ』
ナビィ『恐れを知った上で、必死に振り絞った勇気こそが本物なんじゃないかなって』
ナビィ『リンクにいろいろ教えてあげるはずが、ナビィがリンクからいろいろ教わっちゃったよ』
リンク「エポナ、俺と一緒に来てくれる?」
リンク「ナビィを探すんだ!」
END
リンク「ねえエポナ、俺さ、ナビィがいなくなった理由を仮定してみたんだ」
リンク「そのいちー!」
リンク「大妖精に昇格が決まった!」
リンク「ナビィなら、きっと他の誰よりも可愛い大妖精になれるよ!」
リンク「う~ん、でもナビィが大妖精になる理由ってあるのかな?」
リンク「七年後の功績も、こっちの時代じゃないことになってるし」
リンク「やっぱり可能性低いかな?」
エポナ(いつもナビィと喋ってたから、誰かと話してないと落ち着かないのね……私もリンクと会話ができたらなあ)
リンク「命が尽きた」
リンク「最終決戦で、ナビィは無理に闇の波動に耐えて戦ってくれた」
リンク「もし、その闇の波動が、妖精の命に係わるほど有害なものだとしたら……?」
リンク「………なんだろう、ありえそうで怖い」
リンク「もし、このまま旅をしても見つけられなかったら……」
リンク「やだよ……そんなのやだぁ……ぐすっ」
リンク「この説は考えないでおこう」
リンク「安心して隠居生活開始!」
リンク「俺がちゃんとした勇者になれたからナビィもほっとして休んでるんだ」
リンク「……それなら一言くらい伝えてから去るよなあ……」
リンク「まあ考え込んでても仕方ないや」
リンク「エポナ、森も深くなってきて足場も悪いけど大丈夫?」
リンク「いつか、またナビィと再会できますように」
おやすみ
久しぶりにゲームやりたくなっちゃうじゃねえか…
久しぶりに時オカやりたくなった
リメイクって結構オリジナルと変わってんのかな
ヒントくれる石が各所に配置されただけで全然変わってない
裏ゼルダもあるからお得
64は初期版しかやってなかったから3DSのはある意味新鮮だった
微妙に変わってるけどほとんど一緒
3DS版の方が、デクの樹サマの周りのゴシップストーンの所に行きやすくなってる
Entry ⇒ 2012.09.30 | Category ⇒ 版権物SS | Comments (0) | Trackbacks (0)
京太郎「な、なんだこの生き物は?」鬼巫女「……」ビクビク
小蒔「……」ドキドキ
初美「あ、姫様 それロンですー」
小蒔「ええ!?」
初美「8000いただきますよー」
小蒔「は、はい…お疲れ様でした…」
霞・初美・春「お疲れ様でした」
小蒔「か、霞ちゃん…」
霞「小蒔ちゃん、気の毒だけど、ルールはルールだから…」
小蒔「うぅ…」
霞「今日も小蒔ちゃんはおやつ抜きね」
小蒔「」ガーン
霞(県予選までの間に 神様を降ろさない素の小蒔ちゃんを強化したくて始めた罰ゲームだけど…なかなか上達しないわねえ)
小蒔「春ちゃぁん…」ウルウル
春「…ポリポリ」チラッ
霞「小蒔ちゃん、もちろん黒糖もダメよ?」ニコッ
春「と、いうわけなので」ポリポリ
小蒔「うぅ~」グスン
霞(心を鬼にしないと…)
小蒔「…」グゥ~
小蒔「お腹がすきました…」
小蒔「朝昼夕三食だけじゃ足りないよぉ」
小蒔「でも六女仙を従える巫女として買い食いなんてできませんし…」
小蒔「甘いものが食べたい…別腹が空っぽです」グスン
小蒔「わかってる…神様を降ろせない時でも最低限戦えるくらいに私を鍛えるため…だけど…」グゥゥ
小蒔「お腹すいたよぉ…」
小蒔「霞ちゃんなんて…霞ちゃんなんて…」グスッ
小蒔「きらい…」
ボンッ
鬼巫女「……」テテテテテ
-朝-
霞「小蒔ちゃん、起きてるかしら?そろそろ学校に…」
霞「…小蒔…ちゃん…?」
その日、神代小蒔は鹿児島から姿を消した――――
ついでに神代家の冷蔵庫の中身も―――
和「ロンです、7700」
京太郎「なんですとーーー!?」
和「須賀君…それは明らかに危険牌じゃないですか、不用心すぎます」
優希「おい犬!最下位の罰だじょ!学食でタコス買ってこーい!」
京太郎「はいいいいいい!」
咲「京ちゃん…」
京太郎「東場の時点で優希に絞られて、いけると思ったら咲に鳴かれて嶺上嶺上…」
京太郎「あいつらに勝てる自分が想像できない…はは、泣きそうだ…」
京太郎「こんなんで俺、個人戦で生き残れるのかな…体力ばかりついてくぞ…」
京太郎「あれ?学食が閉まってる?おかしいな まだ閉店時間じゃないはず…」
京太郎「なんでだよ!?これじゃ町までタコス買いに行かなきゃならねーじゃねーか!」
京太郎の友達らしきモブ「俺もよく知らんけどさ、噂によると食材が何者かに盗まれたんだとさ、クックック」
京太郎「マジかよ・・・食材泥棒なんて今のご時世いるのか…?」
京太郎の友達らしきモブ「学食はあきらめろ、じゃーな 部のパシリ頑張れよ!クックック」
京太郎「ちくしょおおおおおおおおおおお誰だよお前ええええええええ」
京太郎「た、タコス…4つ、いや6つください」
店員「ぁありゃしたー!!」
京太郎「ふう、なんとか入手できた…早く帰らないと優希にドヤされるぞ」
京太郎「それもこれも、なんもかんも泥棒が悪い!もし俺の前に出てきたらとっ捕まえて警察に突き出してやる!」ゴゴゴゴ
キャードロボウヨーダレカー
京太郎「わお」
京太郎「待ちゃあがれぃ!おめえの悪行!お天道さんが許してもこの俺が!」
鬼巫女「っ!!」テテテテテテテ
京太郎「な、なんだありゃ!?人?いや動物か!?」
京太郎「と、とにかく捕まえる! ってはえええええ!!?」
京太郎「だがしかし!部活(パシリ)で鍛えた俺の脚力をなめるなよ!アイシールド21もびっくりだぜ!」
京太郎「だらっしゃあああああとったどーーー!」
鬼巫女「っ!!」ジダバタ
京太郎「こら、暴れんな!盗ったもんを返すんだ!」
京太郎「よかったな、許してもらえて」
鬼巫女「…」ショボン
京太郎「しかしお前、ほんとになにもんだ?子供…にしちゃ小さいし、角生えてるし、巫女服か?それ」
京太郎「どこから来たんだ?帰るところあるのか?家族とか…」
鬼巫女「っ……」ジワ
京太郎(ワケありか…)
鬼巫女「……」グウゥゥゥ
京太郎「んで、腹減ってんのか」
鬼巫女「…?」ビクビク
京太郎「たくさんあるから一個くらいはくれてやるよ いらないんなら俺が食っちまうぞ?」
鬼巫女「…!」ムシャムシャムシャ
京太郎「はは、すげえ食いっぷり 腹減ってたんだなー」
鬼巫女「…!…!」ペコペコ
京太郎「いいっていいって気にすんな そんでさ お前、これからどうするんだ?行くあてでもあるのか?」
鬼巫女「……」ショボン
京太郎「ないのか… んー、だったらさ」
鬼巫女「?」
京太郎「悪い悪い 学食が閉まってて街まで買いに行ってたんだよ ほら、みんなの分もあるぞ」
咲「わあ、ありがとう京ちゃん」
京太郎「あー…それでさ みんなに相談したいことがあるんだよ」
和「相談?」
京太郎「皆の家でさ ペットっつーか…その、家族が一人増えても大丈夫ってとこはないか?」
咲「そんな家、あるほうが珍しいと思うけど…?」
カピバラ自体が高い50万円前後
鬼巫女くらい余裕で養えるわ
京太郎「犬っていうか、鬼っていうか巫女っていうか……」
和「??? 意味がわかりません」
京太郎「だよな…ま とりあえず見てくれよ おーい、入ってこいよ」
鬼巫女「……」ビクビク
和「きゃあああああああ!! なんですかこれはーー!?」
京太郎「実はかくかくしかじかで…」
鬼巫女「……」ショボン
京太郎「なんかほっとくのもかわいそうになっちまってさ」
咲「京ちゃん…」
和「すみませんがうちは父が生き物…?は苦手で…連れて帰るのは難しいかと…」
優希「うちも無理だじぇー」
咲「私も…ちょっと難しいかな」
京太郎「そっか…」
咲「ごめんね、京ちゃん」
バンッ
??「話はきかせてもらったわ!!」
久「全部聞いてたわ、なかなかおもしろいのを拾ってきたわね~ 須賀くん?」
まこ「ほほ~確かに巫女で鬼じゃのう、服も…おぉう!ちゃんと脱げるんか!?」
鬼巫女「~~~っ!!」ジタバタ
京太郎「部長はどうですか?こいつ、連れて帰るわけには…」
久「悪いけどうちは無理ね~ それほど大食いだとちゃんと世話できる自信ないわ」
まこ「うちも雀荘じゃし…食べ物も扱うからペットは無理じゃのう」
京太郎「そうですか…」
京太郎「うーん うちにはもうカピバラがいるんですよね…この部室でってわけには…」
咲「京ちゃん こんなところに置いておくのはかわいそうだよ…」
京太郎「だよな…」
鬼巫女「…」シュン
京太郎「そ、そんな顔すんな!わかったよ、部長の言うとおり ここまで連れてきた俺に責任がある!嫌じゃなければうちに来い!」
鬼巫女「…!」パアア
ひしっ
優希「おおう、すっかり京太郎になついてるじぇ」
京太郎「名前…そう言えばなにも考えてなかったな」
和「あなた、お名前はあるんですか?」
鬼巫女「…!」テテテテ ピョンピョン
まこ「ホワイトボードの前でジャンプし始めたぞ」
久「須賀くん、だっこしてあげなさいな」
京太郎「はい ほら、ペン持てるか?」
和「それより、字が書けるんですかその子…」
鬼巫女「~~♪」
「コマキ」
京太郎「ふう…なんとか家族も説得できてよかった、小遣いが減らされちまったのは痛いが」
※説得シーンはワカメがキンクリしました
コマキ「…」グウゥゥ
京太郎「もう腹減ったのか?夕飯までまだ時間あるし…ほら、ポッキーでも食っとけ」
コマキ「!!!」パアアアアアアア
コマキ「♪」ペカー
ポテ
京太郎「あれ?まだ残ってるぞコマキ?」
コマキ「♪」ブンブン
京太郎「満足したのか…?もしかしてコマキの主食って…お菓子?」
京太郎「た、助かった…かもしれん」
コマキ「♪」ゴロゴロ
京太郎「やれやれ、のんきな奴だな さて、俺は夕飯までネトマでもやってるか」
京太郎「うがああああああやっちまったああああああ…だって!俺も聴牌してたんだもんんんんん!」
京太郎「も、もう駄目だ…まくるには次のオーラスで倍満は出さないと…」
コマキ「…」テテテテ ピョン
京太郎「うぅ…コマキ…見ないでくれ、こんな俺の体たらくを…」グスン
コマキ「……!」ペカーーーー
PC「南四局」
京太郎「配牌は…え?な、なんか筒子がやけに多いな…」
PC「ツモ 清一色 三暗刻」
京太郎「な、何いいいいいいいいいいいいいいい!?」
巴「か、霞さん 元気を出してください 姫様もきっとすぐに見つかります…」
霞「えぇ……そうね」
霞(小蒔ちゃん…どこへ行ってしまったの…)
初美「霞さん……」
霞(あの子を強くしたい一心で…傷つけてしまっていたのね…また会えたら謝らないと…)
霞(昔から お菓子が大好きだったものね…)
春「……」スック
初美「はるる?どこに行くんですかー?」
春「…電話、人探しが得意な人に心当たりがある」
春「…霞、元気出して… きっとお姉ちゃんがみつけてくれる」
~ひとまずカン~
だいたいストックたまったらまた立てて書くんで このスレは落としちゃってください
見てくれてありがとうございました
県予選とか全国とかやれたらやりたい
おう、京ちゃんに懐いたから添い寝もするし一緒に風呂も入る
責任取らないとな
次も楽しみにしてるで~
乙だし
Entry ⇒ 2012.09.30 | Category ⇒ 咲-Saki-SS | Comments (7) | Trackbacks (0)
櫻子「向日葵に頭ナデナデされたい」
向日葵「・・・はぁ?」ペラッ
櫻子「頭を撫でろよ!!」
向日葵「いきなりなんなんですの?遂に頭でもおかしくなって・・・」パタム
櫻子「確かめるためにも撫でろよ!!!」
向日葵「・・・末期かもしれませんわ」
向日葵「頭撫でるだけでそこまでされるなんて思わなかったですわ・・・」
向日葵「・・・はぁ」
ポンッ
櫻子「・・・!」
向日葵「これでいいですの?」ナデナデ
櫻子「ふぁ・・・っ」
向日葵「へ、変な声出さないでくださる!?」
櫻子「えへ、えへへ」
ナデナデ
櫻子「・・・・・・ん、向日葵・・・もっt」
向日葵「はい、おしまい」
櫻子「え!」
向日葵「え!じゃないですわ、もう腕が痛いんですもの。だから終わりですわ」
櫻子「・・・!?」
櫻子「そ、そんな・・・!いいじゃん、もっと撫でてくれたって!」ガシッ
向日葵「そ、そんな必死になることですの・・・?」
向日葵「理由を聞かせてくれたら、まぁ、考えてあげなくも・・・?」
櫻子「うぅ・・・」カァァ
向日葵(やだ、この娘。可愛い)キューン
櫻子「う」
向日葵「う?」
櫻子「う、うるさいっ!いーじゃないか!そのたぷたぷの二の腕を細くするついd」
向日葵「ふんっ!」ドボァ
櫻子「ぎゃうっ」
向日葵「ふん」プィ
向日葵「もう、ぜーったい!撫でてあげませんわ!」
櫻子「・・・!?」
向日葵「 さ よ な ら ! 」
バタン
櫻子「」
櫻子「」
櫻子「」
櫻子「」
櫻子「そ、そんな・・・」
櫻子「」もくもく
櫻子「」ずずー
櫻子「」だばー
花子「撫子お姉ちゃん」
撫子「ん?」
花子「あれ・・・」
撫子「・・・」
櫻子「」ずずー だばー
撫子(ひま子と喧嘩でもしたのか)
撫子「大丈夫。ほら食べちゃいな」
花子「ええ!?」
櫻子「」もく
撫子「はい、おかずもあーん」
櫻子「」もく
撫子「よく噛んでー」
櫻子「」もくもく
撫子「ごっくーん」
櫻子「」ごっくん
撫子「美味しい?」
櫻子「」コクッ
花子(介護かし!!)
櫻子「・・・」
撫子「じゃあ次にお風呂に一緒に」ナデナデ
櫻子「・・・」
ナデナデ
櫻子「はっ」バシーン
撫子「!?」
花子「!?」
櫻子「姉ちゃんは、なんか違う・・・」ダッ
撫子「」ガァン
ネェ,ハナコ?ナデナデサセテヨ...
エ,エ?チョ,チョットナデシコオネエチャンメガコワイシ...!
櫻子「・・・はぁ」ポフッ
向日葵『ほら、これでいいですの?』ナデナデ
櫻子「・・・」
向日葵『もう、ぜーったい!撫でてあげませんわ!』
櫻子「」グスン
櫻子「向日葵、頭撫でて欲しいよぅ・・・」
カポーン
楓「♪」パチャパチャ
楓「お姉ちゃん、お風呂気持ち良いね」
向日葵「・・・」
楓「お姉ちゃん・・・?」
向日葵「え?あぁ、そうですわね」
楓「・・・また、櫻子お姉ちゃんと喧嘩したの?」
向日葵「ちょっとだけですわ」
向日葵「・・・ごめんね、楓」
楓「早く、仲直りしてね?」
向日葵「ええ、ありがとう、楓」ナデナデ
楓「えへへ」
向日葵「さ、上がってアイスでも食べましょうか。買ってきたんですの」
楓「ほんとっ!?」
向日葵「ほら、早く身体拭きましょう」
楓「うんっ」
楓「すぅ・・・すぅ」
向日葵「風邪引かないようにっと・・・」スッ
楓「むにゃ・・・」
向日葵「ふふ、おやすみなさい。楓」ナデナデ
ナデナデ
向日葵「・・・」
櫻子『ふぁ・・・っ』
向日葵「・・・!」
向日葵「・・・」
向日葵「撫でててこっちまで気持ちよくなるような
櫻子『・・・・・・ん、向日葵、もっt』
向日葵「なんで私途中でやめてしまったのかしら・・・はぁ」
櫻子『二の腕たぷたp』
向日葵「・・・・・・」イラッ
向日葵「・・・ふん、でも撫でてなんかあげませんわ!」
向日葵「撫でてなんか・・・」
櫻子「・・・」チラッ
向日葵「・・・」カリカリ
櫻子(ま、まだ怒ってる・・・)グスッ
向日葵「・・・」チラッ
櫻子「・・・」グスッ
向日葵(うぅ・・・どう切り出せばいいんですの。もう気にしてないって一言言えれば・・・)
チラッ
櫻子「・・・あ」
向日葵「・・・!」
向日葵「・・・っ」プィ
櫻子「・・・あ」
向日葵(私のばかーー!)
向日葵「・・・あの」チラッ
櫻子「・・・・・・」ポロポロ
向日葵(!?)
櫻子「・・・・・・ひ、向日葵、ごめ」
あかり「・・・櫻子ちゃん?お腹とか痛いの?」
ちなつ「先生、櫻子ちゃんg」
向日葵「!?」
向日葵「さ、櫻子!ちょっと来なさい!」ガシッ
櫻子「・・・っ」
向日葵「ほ、保健室に連れていきますので私、付き添いで・・・!では!」
ガララッ ピシャッ
パタン
~トイレ~
向日葵「ぜぇ・・・はぁ・・・。あ、危なかったですわ・・・」
櫻子「あ、あの、向日葵・・・」ポロポロ
向日葵「ちょ、ま、待ちなさいな、今息が・・・」
櫻子「あ、謝るから、土下座するから、顔もボディも許して・・・」カタカタ
向日葵「殴るとかじゃないですわよ!?」
櫻子「うぅ・・・」
向日葵「・・・私はもう気にしてないのに、櫻子は気にしすぎですわ」
櫻子「ご、ごめん・・・・・・え?」
向日葵「気にしてないですわよ。昨日の事なんか。貴女に言われるのなんて日常茶飯事ですもの、慣れましたわ」
櫻子「・・・!」
向日葵「怒ってませんわ」
櫻子「ほんとに?」
向日葵「ほんとですわ」
櫻子「ほんとにほんとにほんとにっ?」
向日葵「ほんとにほんとにほんとにですわ」
櫻子「ほんとにほんとにほんとにほんとに・・・」
向日葵「しつこい」バシッ
櫻子「あう」
向日葵「気がすみまして?」
櫻子「うん、良かった。許してくれて!」
向日葵「じゃあ・・・戻りますわよ。皆、心配してますわ」ガチャ
櫻子「・・・あ、向日葵待って」ガシッ
向日葵「とと・・・なんですの?次は体育なんですから早くしないと・・・」
櫻子「な、仲直りのしるしにさ、あの・・・頭、撫でてよ」
向日葵「・・・」
櫻子「・・・駄目、かな」
向日葵「・・・え、えと、その」
櫻子「向日葵に頭、撫でて貰うの好きなんだ。こう、他の人とはちょっと違くて、安心するというか・・・」
櫻子「き、気持ちいいというか・・・」カァ
向日葵「・・・!」キューン
櫻子「向日葵・・・?」
ポフッ
櫻子「ふぁ・・・」
モフッ
モフッ
サラッ
櫻子「・・・ん、あ・・・う。ひ、向日葵?」カァァ
向日葵「・・・そ、そんなこと言われたら、撫でないわけにはいかないじゃありませんの」カァ
向日葵「・・・そうやって貴女はいつもなにもかもうやむやにしちゃうんですわ」ナデ
櫻子「・・・えへへ」
向日葵「次の授業、始まってしまいますわ」ナデナデ
櫻子「・・・ここでやめられたら死ぬ」
向日葵「止めなかったら?」
櫻子「溶けて死ぬ」
向日葵「ふふ、どっちもどっちじゃあありませんの」
櫻子「頭撫でられて死ぬならほんもー。でも、途中でやめられて死ぬのは嫌ー」
向日葵「もう・・・この娘は」
櫻子「えへへ、泣いたら慰めで頭撫でてね」
向日葵「もう・・・」ナデナデ
モフッ
モフッ
サラッ
櫻子「・・・ん、ふ」プルプル
向日葵(さらさらもふもふで、気持ち、いいですわ・・・なにもかもどうでもよくなってしまいそう)
モフ
向日葵「実際、イケないことですわ。こんな、授業サボって」
櫻子「ごめんね?」
向日葵「・・・」
向日葵「ばか、責任とりなさいよ」
櫻子「えへへ、怒られて向日葵が泣いたら、私が頭撫でて慰めてあげるからねっ」
向日葵「はいはい」
向日葵「ん・・・狭いんだからあんまり動かないで」
櫻子「もっともっとー」
向日葵「はいはい」ナデナデ
櫻子「~♪」
向日葵「・・・」ナデナデ
向日葵(ふふ、いつまで続けたら良いのかしら?)
櫻子「ひーまーわーりーっ♪」ギュウ
向日葵(一日中?・・・まさか、ね)
おわり
読んでくれてありがとばいばいノシノシ
すばらしかった
Entry ⇒ 2012.09.30 | Category ⇒ ゆるゆりSS | Comments (0) | Trackbacks (0)
モバP「蘭子の発言を徹底的に曲解する」
蘭子(ふぅ……今日のお仕事、大変だったなぁ)
蘭子(あ、プロデューサーさんだ)
蘭子「我が下僕よー!」
P「ん、蘭子?」
蘭子「闇に飲まれよ!」
P「……そうだったのか」
蘭子「……?」
P「蘭子の下着は黒なのかー」
蘭子「!?」
P「え、だって闇に飲まれよって言っただろ?」
蘭子「確かにその通りだが、何故……」
P「だから、闇っていうのは黒い色だろ? で、飲まれよってことはそれを身につけてると」
P「だから『闇に飲まれよ!』っていうのは『今日の下着は黒です』っていう意味に……」
蘭子「な、ならぬわっ、愚か者っ!」
P「そうなのかー」
蘭子「そうだっ!」
蘭子「何故わからぬのだ、愚か者め……我が下僕たるものがその様でどうする!(な、なんでわからないんですかプロデューサー!? いつもはわかってくれるじゃないですか!)」
P「なるほど、わからん」
蘭子「……」
P「涙目なのが可愛いがわからん」
蘭子「このっ……!(も、もうっ……!)」
P「闇に……闇? まさか」
蘭子「よ、ようやく解したか……(わ、わかってくれましたか?)」
P「わしにしね というんじゃな?」
蘭子「!?」
P「だって……闇に、飲まれよ、だぞ?」
蘭子「……」
P「闇って、暗いし怖いじゃないか。それに飲まれるってことは……」
蘭子「え、えっ……」
P「死ね、と……俺のことが嫌いだと言いたかったわけか……」
蘭子「ち、ちがっ……」
P「うん? 血が? 血が欲しい?」
蘭子「否っ! 我が言霊を正しく解せー!(違います! そんな意味じゃありません!)」
P「うーん、やっぱりわからないなー」
P「そんなこと言われてもなぁ……うーん……」
蘭子「もう知らぬ!(もう知りませんっ! ふーんだ!)」
P「あ、そうだ蘭子」
蘭子「……何用だ(……なんですか?)」
P「お疲れ様。今日もよかったぞ」
蘭子「……ふ、ふふん! 我が力の前では些事に等しい!(あ……はい! ありがとうございます!)」
P「さじ? ……ふむ、楽勝だったってことか」
蘭子「あ……多少は歯ごたえが……(え、少し……いえ、だいぶ大変だったけど……)」
P「よーし、激しい仕事増やすぞー」
蘭子「にゃぁっ!?」
蘭子(ふぅ……今日はとっても暑いなぁ……)
蘭子(あ、プロデューサーだ!)
蘭子「我が下僕よー!」
P「お、蘭子?」
蘭子「煩わしい太陽ね!」
P「太陽? うーん、確かに今日はやたら日が照ってるなぁ」
蘭子「地獄の釜が開き、灼熱の業火に焼かれるかのよう……(本当に暑くて太陽がまぶしくて……)」
P「……」
蘭子「生命の雫がこぼれそう……(汗、いっぱいかいちゃいそうです)」
P「うん? トイレか?」
蘭子「!?」
P「あれ、違うのか?」
蘭子「あたり前だ、恥を知れーっ!(あたりまえですっ、は、恥ずかしいこと言わないでください!)」
P「うぅん、だけど生命の雫がこぼれそうなんだろう?」
蘭子「う、うむ……(は、はい。暑くて汗が……)」
P「生命の雫ってことは……つまり、身体から出るものってことだ」
蘭子「……」
P「だから、トイレかなーって」
蘭子「何故そうなるのだっ!(な、なんでそうなるんですかぁっ!)」
P「まったく、乙女がはしたないなーって思ったんだけど、オブラートに包んでるのかなって」
P「捻じ曲げたつもりはないんだけどなぁ……俺は、思った通りに解釈しただけで」
蘭子「むぅ……小癪な……(なんなんですか、もうっ……)」
P「……あっ」
蘭子「如何した?(どうしたんですか?)」
P「ひょっとして、生命の雫ってさ」
蘭子「よ、ようやく解したか!(わ、わかってくれたんですか!?)」
P「……こういうことだよな、ほら」
蘭子「……? なんだ、これは……?(なんですか、これ……?)」
P「ナプキンだけど」
蘭子「なぷっ……!?」
蘭子「な、ななななっ……」
P「あれ? つまり生理が来たってことじゃ……」
蘭子「愚か者!」ポカッ
P「いてっ!?」
蘭子「お、おろか、ものっ!」ポカポカ
P「痛い痛い、地味に痛い! やめて、叩かないで!」
蘭子「わ、我が言霊を何と心得る! 貴様の思うように捻じ曲げようとは、恥を知れー!(な、なんてこと言うんですか! 私そんなはしたない子じゃありません!)」ポカポカ
P「ははは、何言ってるのか全然わからないなー」
蘭子「……!」ポカポカ
P「いたたっ、いたい、痛いから、ごめん、ごめんなさいっ!」
蘭子(最近プロデューサーが変な風に解釈しちゃうから、憂鬱だなぁ……)
蘭子(なんでなんだろう……よーし、じゃあ今日はちょっと変えてみよう!)
蘭子(って思ったら、プロデューサーがあんなところに……ゆ、勇気を出して……)
蘭子「プ……プロ……プロデューサー!」
P「おう蘭子……蘭子!?」
蘭子「ど、どうし……た、んですか?」
P「……おぉ……普通に話してる……」
蘭子「ふ、フハハハ! この程度容易い!(わ、私だってやる気になればこれぐらいできちゃうんですよっ!)」
P「あ、戻った」
蘭子「ぅぁ……」
蘭子「い、いつも……プロデューサーが、私のいうことを……」
P「言うことを?」
蘭子「捻じ曲げ……曲解、するから……」
P「……」
蘭子「何故……なんで、そんなこと、するんですか……?」
P「……」
蘭子「……プロデューサー?」
P「そうだな……」
蘭子「……」
P「あえて言うなら……」
蘭子「……っ」
P「可愛いからかな」
蘭子「……ふぇっ?」
蘭子「そ、そんな……」
P「だからつい、な?」
蘭子「……」ムスッ
P「あぁ、そんなにふくれないでくれよ……」
蘭子「愚か者めっ、私がどのような思いだったか……(プロデューサーのばかぁ……私、すごく嫌な気分だったんですよ……?)」
P「ごめんってば……」
蘭子「我が言霊を解せる者は希少だというのに、まったくっ!(わかってくれる人、あんまりいないんですから! もうっ)」
P「ははは……まぁ、確かに蘭子はしゃべりかたが特徴的だからなぁ」
P「……」
蘭子「……? 如何した? (どうしたんですか?)」
P「生贄か……」
蘭子「そう、漆黒の甘き罪や……(そうですよ、例えばチョコレートケーキとか……)」
P「じゃあ、俺が生贄ってことでどうだろう?」
蘭子「え……?」
P「私を捧げましょう! ……なんて、な?」
蘭子「ぁ……えっと……」
P「……どうした、蘭子?」
蘭子「……プ、プロデューサーを、くれるんですか……?」
P(あ、可愛い)
蘭子「……ダメ……?」
P(上目づかいか……うむ、実に素晴らしい。最高だ)
蘭子「……」
P「よし、わかった。俺が生贄だ! どんと来い!」
蘭子「……! その言葉、偽りはないな?(う、嘘じゃないですよね?)」
P「あぁ、勿論さ!」
蘭子「で、では告げる……!(じゃ、じゃあ言いますね……)」
P(セクハラしまくったわけだし多少は俺も痛い目みないとな……さぁ、鬼が出るか蛇が出るか……!)
P「……?」
蘭子「だが、孤独たる王は絶対ではない……(でも、きっと1人じゃ頑張れないと思うんです……)」
蘭子「故に、再度誓おう!(だから……!)」
蘭子「我が友として認めしそなたと共に、この世界を制覇せんと!(私、やっぱりプロデューサーと一緒が一番だと思うんです!)」
蘭子「……常に、そなたは我と共にあれ!(これからも、一緒にいてください!)」
P(天使が出た)
P「……うーん、よくわからなかったなぁ」
蘭子「えっ……」
P「ごめんな、うまく翻訳できなかったよ。なんて言ったんだ?」
蘭子「う……ぅうー……」
P「そんなに睨まれても、困るなぁ……」
蘭子「……プロデューサーの、いじわる……」
P(可愛い)
P「あ、おい蘭子……ちょっとどこに……」
蘭子「一緒に、トップアイドルになりたいっていったんです!」
P「……!」
蘭子「……うぅ、やっぱり恥ずかしい……プロデューサーの、ばかーっ!」
P「ちょ、ちょっと待って! 蘭子、ストップ! おいてかないでくれ!」
蘭子「い、今は我が『瞳』が暴走を起こしつつある! こちらを見るな!(は、恥ずかしくって顔が見れないんですおいかけないでください!)」
P「何それ見たい! 蘭子、待って! チョコケーキおごるから! 絵の具セットも買うからー!」
おわり
すみませんでした。でも蘭子ちゃんかわいいですね
保守支援ありがとうございました!
やみのま!
Entry ⇒ 2012.09.30 | Category ⇒ アイマスSS | Comments (0) | Trackbacks (0)
紅莉栖「全部思い出したら大変な事になってしまった……」
紅莉栖(全部、思い出した……)
紅莉栖(α世界線で岡部と過ごした事、全部……)
紅莉栖「どうしよう……」
紅莉栖(全部思い出したせいで今まで以上に岡部の事、好きになっちゃった……)
紅莉栖「岡部が好き過ぎて胸が痛い……」
紅莉栖(私のために何度もタイムリープして、最後まで足掻き続けて……)
紅莉栖(救えないって私を抱きしめながら謝って、好きだってキスされて……)
紅莉栖(そしてパパのナイフから私を庇って、血まみれになって……それでも助けてくれて)
紅莉栖「そ、そんな事された惚れちゃうだろ……ばか岡部」
紅莉栖「……」
紅莉栖「ぬ、ぬわああああ!!な、何を言っとるんだ私は!」ジタバタ
紅莉栖(だいたい、何で岡部は何も言ってくれなかったの!?)
紅莉栖(α世界線の大まかな経緯や、私を救った事は説明してくれたけど……あ、あんな関係だったなんて)
紅莉栖「いや、私なら岡部の言葉なら絶対信じていた」
紅莉栖(そしたら……またあんな関係に……)
紅莉栖「え、えへへ……岡部」
紅莉栖(ああ、ヤバい。顔がにやける……会いたい、早く岡部に会いたい……)ウズウズ
紅莉栖「で、でもいま私はアメリカに居るし……」
prrrrr
岡部『紅莉栖!?どうかしたか!?』
紅莉栖「ふぇ?」
紅莉栖(な、なんでこんなに動揺してんの?っていうか名前呼び!?)
紅莉栖「えっ、あっ、べ、別に大した用じゃないんだけど……」
岡部『なに?そう、なのか……?』
紅莉栖「う、うん……」
岡部『……緊急の用ではないのだな』
紅莉栖「そう、だけど……」
紅莉栖(あれ、なんか……怒ってる?)
岡部『……いまこっちは何時だと思ってる』
紅莉栖「あっ」
岡部『時差を考えろ、まったく……相変わらずドジっこだな助手よ』
紅莉栖「助手って言うーな」
紅莉栖(さっきは紅莉栖って呼んでくれたのに……)
岡部『助手の分際でこの鳳凰院凶真の眠りを妨げるとは……偉くなったもんだなクリスティーナよ』
紅莉栖「だから謝ってるでしょ!あとティーナも禁止っ」
岡部『まあいい、それで用とはなんだ?』
紅莉栖「えっ」
岡部『メールでも律儀に時差を考えて送るお前が、こんな時間に電話を掛けてきたんだ。何かあったんだろ?』
紅莉栖(い、言える訳ないじゃない!ただあんたの声が聞きたかったからだなんて……でも)
紅莉栖「ほ、本当に大した用じゃないの。ただちょっと……」
岡部『なんだ?』
紅莉栖(でも、全部思い出したんだから……少しくらい素直になっても、いいよね)
紅莉栖「岡部の声が、聞きたかったから……」
岡部『なっ……』
岡部『……』
紅莉栖「えっと、岡部……?」
岡部『……俺も』
紅莉栖「えっ?」
岡部『俺も、お前の声が聞きたかった、紅莉栖』
紅莉栖「!!」
岡部『次は、いつこっちにこれそうなんだ?』
紅莉栖「ふぇ?ま、まだ決まってないけど、近い内に休みが取れると思うからその時に……」
岡部『そうか……その時はラボメン全員で空港に迎えに行ってやろう。感謝するんだな』
紅莉栖「うん……ありがとう、岡部」
岡部『くっ、今日は機関からの精神攻撃が激しいな』
紅莉栖(顔を見て言うのは難しいけど、電話越しなら素直になれる……)
紅莉栖「岡部に会えるの、楽しみにしてる」
岡部『俺もお前に早く会いたい、紅莉栖』
紅莉栖「なっ!?」
岡部『じゃあな。研究、がんばれよ』
ツーツーツー
紅莉栖「……」
紅莉栖「ぬわああああ!!」ジタバタ
紅莉栖「岡部デレすぎだろ……」
紅莉栖(あ、あんな事、言われてたら、私……)
紅莉栖「岡部……好き過ぎて胸が痛い」ギュッ
紅莉栖(会いたい……早く……)
ラボ
紅莉栖「という事で来ちゃった」
岡部「」
紅莉栖「岡部?」
岡部「来ちゃったって、お前……研究は?」
紅莉栖「区切りのいいところで終わらせてきたわ」
岡部「お前の仕事に支障がないならいいが……」
紅莉栖「ごめん……急いでてそこまで気が回らなかった。まゆりたちには悪い事したわ」
岡部「まあ、帰りに空港までラボメン全員で見送りすればいい」
紅莉栖「……ありがとう、岡部」
紅莉栖「なに?」
岡部「その、昨日の電話といい、どうしたのだ?」
紅莉栖「えっ?」
岡部「少し、様子がおかしいというか……やはり何かあったのか?」
紅莉栖「……」
岡部「……紅莉栖?」
ギュッ
岡部「えっ……」
紅莉栖「岡部……」
紅莉栖「……たの」
岡部「なに?」
紅莉栖「全部、思い出したの。α世界線で過ごした岡部との出来事、全部」
岡部「なっ……」
紅莉栖「岡部……」ギュッ
紅莉栖「好き……大好き」
紅莉栖「あの時の返事、ちゃんと言いたかったから……」
岡部「あ、あの時って……それも思い出したのか」
紅莉栖「……うん」
岡部「そう、か……」
紅莉栖「……」
岡部「……」
紅莉栖(い、勢いで告白してしまった……で、でも仕方ないじゃない!全部思い出して、岡部の顔見て、我慢なんて出来るワケないじゃない)
紅莉栖「あっ……」
紅莉栖(岡部の体……温かい)
岡部「紅莉栖、目を瞑れ」
紅莉栖「ふぇ!?そ、それって」
岡部「……全て思い出しのなら、意味は分かるだろ」
紅莉栖「そ、それは……」
岡部「なら……」
紅莉栖「わ、わかった……」パチ
チュ
紅莉栖「……んっ」
岡部「……紅莉栖」
チュ
紅莉栖「んむっ、はむっ……んっ」
紅莉栖(ちょっかカサカサのの唇、舌を絡ませた時の感触、仄かなドクペの味……あの時と全部同じだ)
岡部「ぷはっ……」
紅莉栖「んっ、……えへへ」
岡部「なんだ?」
紅莉栖「私たち、これで両思いになれたんだよね?」
岡部「そ、そうだな」
紅莉栖「つ、つまり恋人同士って事でおk?」
岡部「こ、恋人!?」
紅莉栖「……違うの?」
岡部「あ、いや、その……お前がそういう関係を望むなら、俺もその関係を望む」
紅莉栖「なら、決まりね」ギュッ
岡部「こ、こら……引っ付きすぎだ」
紅莉栖「いいじゃない。私たち、恋人同士なんだから」
岡部「恋人同士、か……なら仕方ないか」
紅莉栖「そうよ、諦めなさい」
岡部「なんだ?」
紅莉栖「どうして……α世界線での私との関係を話してくれなかったの?」
岡部「それは……」
紅莉栖「話してくれたら、もっと早くこういう関係になれたのに……」ムギュ
岡部「リーディング・シュタイナーは誰しもが持つ能力だ。お前が発現しているのも観測している。だが、全て思い出す保障なんてなかった」
紅莉栖「……」
岡部「あれら全ての世界線は俺以外にとって『なかった事』だ。その『なかった事』を引き摺るのは俺だけで十分だ。そう思って、話さなかった」
岡部「それに……」
紅莉栖「それに?」
岡部「例えお前が全て思い出さなくとも、俺がお前を好きという感情に変わりはない」
岡部「だが、そうだな。α世界線の事は話せなくても、好きだと伝えていれば、もっと早くこういう関係になれたもしれんな」ムギュ
紅莉栖「……」
岡部「……? 紅莉栖?」
紅莉栖(な、なにこのイケメン……惚れてまうやろ。惚れてるけど)
紅莉栖(お、岡部にこんなに愛されてるなんて……や、ヤバい!顔が赤い!あ、頭がフットーしそう!)
紅莉栖「……」ボー
紅莉栖(ああ、岡部ぇ……好き、大好き)
岡部「紅莉栖?大丈夫か?」
ギュッ
岡部「む?」
紅莉栖「おかべ……」
岡部「どうした?」
紅莉栖「えへへ、ふひ、なんでもない」
岡部「そ、そうか」
岡部「なんだ?」
紅莉栖「ううん、呼んでみただけ」
岡部「そ、そいか」
紅莉栖「えへへ」
岡部「……」
紅莉栖「……倫太郎」
岡部「!?」
紅莉栖「名前……」
岡部「なに?」
紅莉栖「いつまでも岡部のままじゃダメかなって……」
岡部「別に俺はそれで構わん」
紅莉栖「その、不便じゃない」
岡部「不便?」
紅莉栖「い、いつかは二人とも『岡部』になるんだから。い、言わせんな!恥ずかし」
岡部「」
紅莉栖「でも、岡部呼びで馴れちゃったら、いざそうなった時にちゃんと呼べないし……」
岡部「だからって……」
紅莉栖「それに……」
岡部「なんだ」
紅莉栖「私自身、あなたの事をちゃんと名前で呼んでみたいし」
岡部「……っ」
紅莉栖「お、岡部が嫌って言うなら別に今は岡部呼びでもいいけど」
岡部「……二人きりの時だけ」
紅莉栖「ふぇ?」
岡部「二人きりの時だけ、特別に名前呼びでも構わん」
岡部「……ああ」
紅莉栖「い、いまって二人きりよね?」
岡部「そう、だな……」
紅莉栖「……」ゴクリ
紅莉栖「り、倫太郎」
岡部「」ビク
岡部「……やはり違和感がある」
紅莉栖「なら、これから馴れていかないと。ね?倫太郎!」ギュッ
岡部「……くっ」
岡部「なんとなく、締まりがない名前だからだ」
紅莉栖「そう?いい名前だと思うけど。少なくとも鳳凰院凶真(笑)さんよりはずっと素晴らしい名前よ?」
岡部「貴様!我が真名を愚弄するか!」
紅莉栖「あはは、でもあんたにピッタリの名前だと思うけどな。いっその事、あだなで呼ぶとか?」
岡部「お前にだけはオカリンと呼ばれたくないな」
紅莉栖「なら倫太郎をとってリンリンとか?」
岡部「却下だ!なんだ、そのパンダに付けるような名前は!?」
紅莉栖「ふふっ、冗談よ」
紅莉栖「ん?なに?」
岡部「お前は、俺の名前、いいと思うか?」
紅莉栖「ええ」
岡部「そう、か……」
紅莉栖「それがどうしたの?」
岡部「あ、いや……お前が、そう言うならこの名前も悪くない、かもな」
紅莉栖「倫太郎……」
岡部「くっ、やはり違和感はあるがな……」
岡部「名前で呼ばず『あなた』呼びでも構わないがな」
紅莉栖「ふむん、そうね。それなら名前で呼ばなくてもいいわね」
岡部「……」
紅莉栖「……」
岡部「な、なあ」
紅莉栖「な、なに?」
岡部「お、俺たち、もしかしてとんでもない会話をしてないか?」
紅莉栖「『あなた』呼びとか、はは、わろすわろす……」
岡部「フゥーハハハ!」
紅莉栖「ふぅーははは!」
岡部「……」
紅莉栖「……」
紅莉栖「は、はい!」
岡部「その、だな……が、学生結婚はするつもりはないからな!」
紅莉栖「あっ、えっと……うん、その、待ってる」
岡部「あ、ありがとう……」
紅莉栖「うん……」
岡部「あと、えっと、お、お前がアメリカがいいと言うなら俺もアメリカに住むが……」
紅莉栖「そ、そんな、倫太郎に悪いわよ……」
岡部「お前には研究に集中してほしい。だが、日本とアメリカで離ればなれもご免だ」
紅莉栖「いい、ね?」
岡部「無論だ」
紅莉栖「倫太郎……」
岡部「紅莉栖……」
ギュッ
――
紅莉栖「んっ、ねえ、倫太郎」
岡部「どうした?紅莉栖」ナデナデ
紅莉栖「えへへ、んっ、あの、ね」
岡部「なんだ」
紅莉栖「私たち、これからもずっと一緒、よね?」
岡部「無論だ」
紅莉栖「ふふっ……そっか」
ギュッ
岡部「もう二度と離したりはしない……俺はずっとお前の傍にいる」
紅莉栖「んっ……倫太郎」
チュ
岡部「んっ、俺もだ。紅莉栖」
チュ
紅莉栖「んむっ……えへへ」
岡部「これからずっと一緒だ。例え体が物理的に離れていても、心は共にある」
紅莉栖「倫太郎と一緒……ふふっ」
岡部「ああそうだ。なんたってこれが――」
紅莉栖「シュタインズ・ゲートの選択、でしょ?」
岡部「ほぅ、分かってるではないか」
紅莉栖「無論だ!だって私は鳳凰院凶真の助手にして伴侶でもある鳳凰院紅莉栖なのだぜ?」
岡部「ふっ、そうだったな」
岡部「フゥーハハハ!」
紅莉栖「ふぅーははは!」
おわり
書き溜ないから遅くてごめんね
読んでくれた人、保守してくれた人、ありがとニャンニャン
Entry ⇒ 2012.09.30 | Category ⇒ シュタインズゲートSS | Comments (2) | Trackbacks (0)
C.C.「今日は学校サボって私とデートしろ」 ルルーシュ「…は?」
C.C.「不服か?」
ルル「不服だ」
C.C.「理解に苦しむ童貞坊やだな。私のような絶世の美人にデートを求められて断る男がどこにいる?」
ルル「自画自賛もいいところだろう、お前」
C.C.「それとも何だ、私をこの屋敷に置いたままで世間の目に晒すのが怖いのか」
ルル「……俺は今学校に向かう準備で忙しいんだが」
C.C.「全く、童貞のくせに女を囲うことを覚えてしまったモヤシっ子はこれだから困る」
ルル「朝一番からワケの分からない事を聞かされるという時点で、
現状で一番困っているのは間違いなく俺だというのが根底にないのか、お前は……」
C.C.「それはな、ルルーシュ。 お前のためを思っての事だ」
ルル「……は?」
C.C.「激化するブリタニアとの戦い、黒の騎士団の長として奔走する立場、
それを隠しながら学生という二足の草鞋を履き続ける生活…心労は相当なものだろう」
ルル「……俺が自ら望んでその場に立ったんだ、その程度の辛さは覚悟の上さ」
C.C.「しかし、いずれはガタが来る。張り詰めた糸がプツンと脆く切れるように」
ルル「……」
C.C.「そんなお前を見るのは忍びない。何せ私とお前は『共犯者』だからな」
ルル「C.C.…お前、そこまで考えていてくれて……」
C.C.「それにな」
ルル「?」
C.C.「屋敷にずっと籠っているのは存外暇だから、外の空気くらいたまには思いっきり吸いたいんだ」
ルル「それが本音か貴様」
ルル「ええぃ! 俺は俺でやらねばならんことが多々あるんだ!
お前の思いつきで今日計画していたプランを台無しにつもりは毛頭無い!」
C.C.「ちなみに、そのプランというのはどういう内容になっているんだ」
ルル「午前中は授業を受けつつ、株の売買で騎士団の資金繰り。
午後は生徒会に顔を出して怪しまれないよう振舞いつつ、ヴィレッタと今後の連携について提示報告。
夜はそのまま騎士団に直行して、扇やカレンに指示をして2週間後を目安にブリタニアの第四部隊撃破を目論んでいる」
C.C.「なんだ、それくらいなら明日にでも回せるな。では早速私とデートの準備を始めるとするか」
ルル「お前絶対さっきの話聞いていなかっただろう…」
ルル「なんだ、しつこいぞC.C.。俺は今日忙しいと…」
C.C.「お前はいつもそうやって忙しい忙しいと言う。
いつでも作れる休みを二の次にして、身を粉にして戦い続けている」
ルル「ああ。そうでもしないとブリタニアを潰すことなぞ夢のまた夢だからな」
C.C.「さっきも言った。そのままではいずれか倒れてしまう。
…お前が自分を大切に出来ないなら、それはそれでいい」
ルル「……」
C.C.「だがな、自分を大切に出来ない分だけ私に目を向けることくらい容易いだろう?」
ルル「……」
C.C.「倒れられたら困る、などという大前提の元に
お前の為を思って言うほど私は優しくないぞ。私は私の為に言おう」
ルル「……」
C.C.「……たまには、構ってくれてもいいじゃないか」
ルル「……ふん」
C.C.「?」
ルル「…………今日だけだからな」
C.C.「ふん、最初からそう言えば事は早かったんだ。
妙にモタモタして間遅れするのは相変わらず童貞坊やらしい行動だな」
ルル「お前という奴は本当に傲岸不遜だな…」
C.C.「当然だろう? 私はC.C.だからな」
C.C.「おい、貧弱モヤシっ子」
ルル「なんだ。言っておくが出かけるのはAM9:00以降だ。それまでに支度を済ませておけ」
C.C.「まぁ何だ。その、本当に聞いてくれるとは思わなかったからな」
ルル「どうした? お前らしくもない歯切れの悪さだな」
C.C.「……少しくらいは感謝してやらんことも無い」
ルル「……そういう素直さをいつも出してくれたら、俺は助かるんだがな」
C.C.「馬鹿を言うな。貴様のような捻じれに捻じれた捻くれ者に素直になるのは愚者の挙行だ。調子に乗るなよ」
ルル「……ほんの数秒前に抱いた俺の気持ちが台無しだぞ」
ルル「おい、C.C.。準備は出来たか?」
C.C.「女性を急かすのは男として落第点だぞ、ルルーシュ」
ルル「時間にルーズなのは人として落第点と思っているから問題ないな」
C.C.「減らず口を」
ルル「こういうのは無駄口と言うんだ。 それよりまだか、もう予定の時間だぞ」
C.C.「後は上着を着るだけなんだが、こう、なんだ、くっ…な、かなか苦戦しているんだ」
ルル「どうした? サイズでも合わなくなったのか」
C.C.「ま、前は…入ったんだが……どうやら、私の豊満な胸が、またサイズアップしてるようでな……
な、なんとか着て見せるから少しだけ待ってろ」
ルル「ピザ食っては寝てばかりの生活だったからな、お前は」
C.C.「……」
ルル「こう言っては何だが、ひょっとして太ったのではないか?」
C.C.「お前後で絶対に殺すからな、待っていろ」
C.C.「待たせたな」
ルル「ああ、待ったぞ」
C.C.「お前が急かすから、思ったよりも服の品定めが出来なかったじゃないか」
ルル「それに関しては少しくらい悪いと思っているさ」
ルル「おい、C.C.」
C.C.「なんだ、さっさと行くのだろう? キリキリ歩いてロスした時間を短縮するぞ」
ルル「その服装、悪くないな」
C.C.「……もっとストレートに褒めろ」
ルル「似合っているぞ」
C.C.「なんだ、恥ずかしい奴め。口説くにせよ、褒めるにせよ、中途半端極まりないな。
悪いが私はちょっと先を歩くぞ。そういう男にリードされるのは心外だからな」
ルル「……はいはい」
ルル(なんとなく言ってはみたが、どんだけ顔赤くしているんだアイツ……)
C.C.(不意打ちか……、童貞坊やのくせに生意気な……!)
C.C.「そんなの私が決める事では無いだろう。適当に街にでも出るぞ」
ルル「なんだ、計画無しか」
C.C.「そういうお前は何かプランでもあるのか?」
ルル「一応考えては見たんだが、お前の好きなものって何なのか存外分からなくてな」
C.C.「ふふん、では私の趣味嗜好を知るために午前中はぶらついてみるか?」
ルル「なんで偉そうなんだお前…まぁいい、それで行くとしよう」
ルル「ああ、そうだな」
C.C.「マオと対峙したとき以来か」
ルル「そういう事になる」
C.C.「……」
ルル「……あの時の」
C.C.「?」
ルル「あの時のお前のゴスロリ姿は衝撃だった」
C.C.「なんだ、似合っていたとでも言いたいのか?
ふふん、そう思うのも致し方が無い。絶世の美女は何を着ても映えるからな」
ルル「ああ、まぁ、…そうだな」
C.C.「何故そこで茶を濁した!?」
C.C.「普段が普段の服装なだけに、様々な服を着るのは楽しいからな。
必然的に服の種類も増えていくというワケだ」
ルル「後はその服を脱ぎ散らかさずに、ちゃんとタンスに収納するのを覚えれば完璧だな」
C.C.「どこぞの顔だけはいい家政婦が後始末してくれるから問題ない」
ルル「誰が家政婦だ」
C.C.「別にお前の事を指しているワケじゃないぞ。咲世子だって顔がいいだろう。
これだから自意識過剰な坊ちゃんは困る」
ルル「俺以外がお前の服を収納することなぞ今まで一度も無かったろうが!」
C.C.「ふふ、これからも精々励んでくれよ」
ルル「……全く」
ルル「なんだ?」
C.C.「さっきの服の話だがな」
ルル「まだ掘り下げるか」
C.C.「お前が今まで見てきた私の服装で、一番良かったのは何だ?」
ルル「……は?」
C.C.「今後の参考がてらに聞いておこうと思ってな」
ルル「なんだその『今後』というのは。俺が言った服をこれから着てくれるとでもいうのか」
C.C.「気持ちの悪いことを言うなこの変態が。ただの参考だと言っているだろうが」
ルル「冗談に決まっているだろうが」
C.C.「……お前が望むなら、考えてやらんことも無いがな」
ルル「何をボソボソ言ってるんだお前」
C.C.「黙っていろ包○。お前的に良かった服はあるのか、無いのか、どっちなんだ」
C.C.「!」
ルル「とは言ってもシンプルだがな」
C.C.「ま、まぁ一応聞くだけ聞いてやる」
ルル「拘束服だ」
C.C.「……は?」
ルル「だから、お前が着ている白の拘束服だ」
C.C.「……ルルーシュ」
ルル「?」
C.C.「お前は、本当に変態さんだな…母の愛を充分に注がれなかったのが原因か…。
済まなかったな、今まで散々辛く当たってしまって……」
ルル「おい、なんで慈愛の目で俺を見つめてくるんだ。言っておくが絶対誤解しているからな!」
インパクトが強くて脳裏に焼きついてるというか、あの服が一番お前にしっくりくる」
C.C.「……拘束服が一番しっくり来るというのも考え物な発言だがな」
ルル「他意はない」
C.C.(……帰ったら久々に拘束服、着てみるか)
ルル「ようやく着いたか」
C.C.「意外と遠かったな」
ルル「お前は兎も角、俺は学校を無断で休んでいるからな。
アッシュフォードから少し離れた郊外の地になるのは仕方ないだろう」
C.C.「別に近場でもそうそう見つかるもんじゃないだろう。
相変わらず随所で器の小ささが計り知れる男だな、ルルーシュ」
ルル「喧しい。さっさと降りるぞ」
C.C.「了解した」
ルル「時間を潰すのに最適ではあるな」
C.C.「では、本格的にデートの開始だな」
ルル「……ふん」
C.C.「手でも繋いでみるか? 周りからは存外お似合いのカップルと思われるかも知れんぞ?」
ルル「遠慮する。お前と手を繋いだら、それだけでからかわれるタネになりそうだからな」
C.C.「つまらん男め、そこは『畏まりましたC.C.様。不肖このルルーシュめがエスコートさせて頂きます』と言って
優しく手を差し伸べるのが当然だろうが」
ルル「……お前は一体どんな本に感化されたんだ」
C.C.「ん?」
ルル「C.C.、お前はどこか行ってみたい場所はあるか?」
C.C.「そうだな…まず最初に向かうとすれば……」
1. C.C.「まずはカフェで落ち着きたいな」
2. C.C.「服や小物でも見てまわるか」
3. C.C.「ゲームショップとか面白そうだな」
>>35
C.C.「服や小物でも見てまわるか」
ルル「随分としおらしいな。本当にそんな一般的なものでいいのか?」
C.C.「やかましい、私だって女の子だぞ」
ルル「歳相応の発言を願いたいんだが」
C.C.「お前も怖いもの知らずだな。血を見るだけが地獄ではないんだぞ?」
ルル「……さて、真向かいに見えるファンシーショップにでも入ってみるか」
ルル「これはまた、何とも……」
C.C.「チ、チーズ君が、沢山いるじゃないか……」
店員「いらっしゃいませー。本日より、ピザ○ットと提携してチーズくんフェアを行なっておりまーす!」
C.C.「おい! 見ろ、ルルーシュ! チーズ君スリッパなんてあるぞ!」
ルル「あ、ああ…」
C.C.「こ、これは幻の『押したら鳴く等身大チーズ君ぬいぐるみ』じゃないか!」
ルル「これが等身大か。思ったより大きいんだな」
C.C.「ルルーシュ! ここは凄いな、いや、凄いぞ! なんかもう、凄い!」
ルル「ええぃ、少しは落ち着け!」
ルル(あんなに楽しそうにはしゃぐC.C.は稀有だな。そんなに嬉しいか…)
店員「あら、彼氏さんですかー?」
ルル「断じて違う」
店員「彼女さん、可愛いらしいですね。
あんなに綺麗な人があそこまで喜んでくださると、私たち一同としても喜ばしい限りです」
ルル「だから彼女ではないと…」
店員「どうですか、ここはお一つプレゼントとか如何でしょう?」
ルル「……」
C.C.「むぅ、まだ堪能したりないが…まぁいい。流石にここで一日を潰すわけにはいかないからな」
ルル「正気に戻ってくれたようで何よりだ」
C.C.「馬鹿を言うな、元々正気だというに」
ルル「信頼できるような発言ではないな、さっきの様子から考えると…」
C.C.「…少し舞い上がっていただけだ、さっさと出るぞ」
<オカイアゲ アリガトウゴザイマシター
C.C.「ん? 何か買い物したのか?」
ルル「さぁな、どうせ客でも見間違えたんだろう」
ルル「もう昼食の時間に差し掛かっているな」
C.C.「ここに着くのに時間がかかったのと、さっきの店で思いのほか足止めをくらったのが原因か」
ルル「後者は完全にお前が原因だろうが」
C.C.「煩いぞ、ルルーシュ。そもそもアレは相対性理論の所為だ」
ルル「いきなり何を言い出すかと思えば」
C.C.「楽しい時間は早く過ぎる、さっきの店で私はそれを実感したよ」
ルル「それは重畳だな」
C.C.「…今日一日も、なかなか過ぎる時間は早く感じるがな」
ルル「…少しだけ同意してやろう」
C.C.「素直じゃない奴め」
ルル「それはお互い様だ」
ルル「ああ、カレーうどんだろう」
C.C.「阿呆か貴様は。ピザの美味い店一択だろうが」
ルル「俺だってたまには好物を心置きなく食べたいんだ!」
C.C.「えぇい! そもそもデートの昼食でカレーうどんとか童貞こじらせすぎだぞお前!」
ルル「お前相手にデリカシーなぞ知ったことではない!」
C.C.「くうっ、何という水掛け論の予感だ…!」
ルル「な、なら妥協案を提示しよう」
C.C.「…ほぅ?」
C.C.「私はピザが食べたい」
ルル「この意見から同案できる部分をピックアップすると…」
C.C.「カレー、うどん」
ルル「ピザ、チーズ だな」
C.C.「相違ない」
ルル「つまり挙げるとなれば…」
・カレーライス(チーズトッピング)
・ピザ
・力うどん
ルル「上記の三つになるか」
C.C.「いくらなんでも偏りすぎだろう……」
C.C.「で、結局は……」
ルル「カレー味のピザ、になったな。この組み合わせは盲点だった」
C.C.「そうか? 今ではかなり一般的なメニューだと思うぞ」
ルル「そもそも俺はあまりピザを食べないからな。
そういった意味では新しいメニューを知れて色々と新鮮ではある」
C.C.「ふふん、私が毎度ピザを頼んでいて良かっただろう?」
ルル「それとこれとは別問題だ」
C.C.「……ノリの悪い奴め」
ルル「ああ。一人で4枚も食べたら、さぞ腹も苦しいだろう」
C.C.「もう2枚はいけたが、腹八分で抑えるのが美容の秘訣だ」
ルル「あれだけ食べてまだ入ったのか…底なしだな」
C.C.「褒めるな褒めるな、少し照れるだろうが」
ルル「俺の言葉のどこに褒める要素を見出したかは知らんが、それは勘違いだとだけ伝えておこう」
ルル「お前はどこか行きたい場所など無いのか?」
C.C.「思ったよりもモールが広いからな。行き場所で迷うのは仕方ないことだ」
ルル「確かにこれだけ広大だと、一日では周りきらないな」
C.C.「……場所でも変えるか?」
ルル「ほぅ、その場所にもよるが良い提案だな。
どこか目星でもついているのか?」
C.C.「そうだな……」
1. C.C.「広い草原でゆっくりするのも、結構いいな」
2. C.C.「自宅に帰ってゴロゴロするか」
3. C.C.「適当に郊外でもぶらついてみよう」
>>60
C.C.「広い草原でゆっくりするのも、結構いいな」
ルル「確かに、交通機関を使用して少し移動したら草原はあるが…」
C.C.「不服か?」
ルル「…いや、むしろ賛成だ」
C.C.「では早速移動することにするか」
ルル「ああ、そうしよう」
C.C.「ちなみに移動手段は?」
ルル「そうだな…バスが一番手っ取り早いだろう」
―― 小高い丘に大木が1本だけそびえる 緑の草原――
C.C.「ルルーシュ」
ルル「……」
C.C.「いい眺めだな」
ルル「ああ」
C.C.「ルルーシュ」
ルル「……」
C.C.「帰りのバスが一本も無いというのはどういう了見だ?」
ルル「田舎を侮っていた、としか返せないな……」
ルル「……」
C.C.「それとも何だ、私と二人きりになりたかったとでもいうのか」
ルル「……」
C.C.「……お、おい。冗談にくらい返事をしろ」
ルル「……俺だって、ゆっくりしたい時がある。お前もそう言ってたろう?」
C.C.「……そ、それは確かにそうだが」
ルル「よっ、と」
C.C.「いきなり寝転ぶとははしたないぞ、ルルーシュ」
ルル「ふん、別に今くらいは構わんだろう」
ルル「なんだかんだでお前も寝転がっているじゃないか」
C.C.「勘違いするな。お前が寝転がっていて私が立っていたら、スカートの中を覗かれるだろうが」
ルル「そういう恥じらいがあるなら、下着一枚で部屋をうろつくのは勘弁願いたいものだ」
C.C.「それとこれとは別物だ」
ルル「……お前の判断基準は相変わらず分からん」
C.C.「当然だろう? 私はC.C.だからな」
C.C.「なんだ?」
ルル「いい天気だな」
C.C.「まぁまぁだな」
ルル「……こんな穏やかな時間は、久しぶりだ」
C.C.「感謝しろ」
ルル「少しくらいならな」
C.C.「なんだ、やけに素直じゃないか」
ルル「ふん、勝手に言っていろ」
C.C.「それは人間が生まれ持った気質だ。お前だけじゃないさ」
ルル「……少し、寝る」
C.C.「最近のお前は激務で寝ることすらままならんかったからな。
……たまにはゆっくり眠れ。膝枕のサービス付きだぞ?」
ルル「ふん、やけに優しいじゃないか」
C.C.「いつもの事だ」
ルル「ああ、そう…だったな……」
C.C.「…おやすみ、ルルーシュ」
ルル「…おやすみ、○○」
~ppppp ppppp~
ルル「……休む暇もない、か」
C.C.「騎士団からの呼び出しだな。しかも緊急コールときた」
ルル「もう少しゆっくりしたかったが、仕方ない。
ここにはロロにでも迎えに来てもらうか」
C.C.「全く…余韻も何もあったもんじゃないな」
ルル「残念か?」
C.C.「……少しだけ」
ルル「俺は結構残念だ」
C.C.「……変に素直だと調子が狂うからやめろ」
C.C.「なんだ、ルルーシュ」
ルル「まぁ色々あったが、今日の事は感謝してやる」
C.C.「ふん、童貞坊やなぞついでだ。私は私で羽を伸ばせたから感謝される覚えなどない」
< 兄さん、あと1分足らずでそっちに着くから準備しといて!
ルル「…では、行くぞ」
C.C.「了解した、ゼロ」
【エピローグ】
―屋敷にて―
C.C.(緊急コールだから急いで向かってみたものの、歯ごたえのない任務だったな)
C.C.(実際ロロとカレンだけれで絶対どうにか出来たろうに…)
C.C.(無理にゼロを戦線に向かわせるから、アイツの疲労が取れないというのが分からんのか)
C.C.(ふふん、まぁその辺りを理解してやれるのは『共犯者』である私だけ、という事か)
C.C.(……内助の功、というのか。これは?)
C.C.「くふふ………」
咲世子「あら、ニヤニヤしちゃってどうかされましたか~。何かいい事でもありました?」
C.C.「ふぉぉう!? い、いきなり現れて驚かせるな!」
咲世子「あら? ルルーシュ様でしたら先ほどバタバタして帰ってきて、すぐ出ていきましたけれど」
C.C.「ん? さっき帰ってきていたのかアイツ?」
咲世子「はい、何か大きな荷物運んでらっしゃいましたよ」
C.C.「ふぅん。 まぁ、私には関係ないな。
部屋に戻るんで風呂の準備が出来たら呼んでくれ」
咲世子「はい、かしこまりました」
C.C.「こ、これは………」
C.C.「等身大、チーズ君の…ぬいぐるみ……」
C.C.「それに、メッセージカード…?」
気まぐれで買ってしまったからお前にやる。
せいぜい大切にしろ。
今日は有難う。 ルルーシュ
C.C.「梱包までしておいて気まぐれも何もあったもんじゃないだろうに……」
C.C.「ふふ…本当に、愛しいくらい不器用なヤツめ」
C.C.「私も気まぐれに、今日は拘束服でも着てアイツの帰りでも待ってやるか…!」
~END~
少しでも時間つぶしのお供になれたのなら幸いです
素敵なスレタイを考えた>>1に全力で敬意を表しつつ、この辺りで失礼を
ニヤニヤできてよかった
乙だ
Entry ⇒ 2012.09.29 | Category ⇒ コードギアスSS | Comments (1) | Trackbacks (0)
雪美「私と……P……ずっといっしょだから」
引用元: http://hayabusa.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1348836692/
P「以前、ちひろさんとご一緒した店のチケットです。雪美を連れて行こうかと」
ちひろ「あそこは子供向けのメニューも多いですから」
P「ええ、だいぶ遅いご褒美です」
ちひろ「…遅いというか、この日狙いましたよね」
P「…あぁやっぱり分かるんですね」
P「では後よろしくお願いします」
ちひろ「分かりました、今日は楽しんで行ってくださいね」
P「さて――」
雪美「……」ジー
P「雪美居るんだろう?」
雪美「……やっと…気付いた……ちひろばっかり……さみしい…」
P「行くか?」
雪美「………うん」ニコッ
P「親御さんには連絡入れたね?」
雪美「………うん」
P「最近どうだ?」
雪美「……ずっと……忘れられてたと……思った」
P「ぐ……い…いや、そっちじゃない。ほらアイドルの友達とかさ」
雪美「……あんまり」
P「そう、か……」
P(やぶ蛇だったか)
雪美「でも……」
雪美「……メアリーと……猫の話……楽しい」
P「そうかそうか!」
雪美「でも……今は……Pと……いっしょ……」
雪美「……だから……今は…あんまり……他の人……話……いや」
P「うんうん分かったぞ!」
雪美「ふふ……Pの…話……一番……楽しいから」
「はい、丁度二名様分お預かりしました」
「ありがとうございます、ではどうぞこちらに」
雪美「……ふふ」
P「ん?何か面白いものでもあったか?」
雪美「……私と……P……どういう……風に……見える?」
P「どうって……妹?」
雪美「……」ムッ
雪美「……」ぷいっ
P「……雪美ってば」
雪美「……」ぷいっ
「席は……こちらの二人席ですね」
雪美「……家族席」
「……」
P「ゆ……雪美?席は元々座席は指定されている…んぐ…」グッ
雪美「家族席が……いい」キュッ
「……分かりました、ではこちらにどうぞ。かわいらしいお嬢さん」にこっ
「本日中にキャンセルされた席ですのでお構い無く」
「ではご注文はこちらのボタンからどうぞ」
P「……ふぅ、雪美」
雪美「……何?」
P「なんで家族席にこだわるんだ?」
雪美「……」キュッ
雪美「……Pと…隣だから……」ギュウウ
雪美「…私も」ニコッ
P「飲み物は…ワインでも頼むか」
雪美「………私も」ムッ
P「……」ピンポン
雪美「……」
「ご注文はお決まりで?」
P「お子様ランチで」
雪美「……私も」ニコッ
P「いいよいいよ、これからまた食べ――」モグモグ
雪美「……また?」
P「いやなんでもないさ」
雪美「……P」
P「どうした?」
雪美「口……開けて」
P「あー……んっ」モグモグ
雪美「……おいしい?」
P「…美味しいよ」(同じものだけど)
P「どうした雪美?」
雪美「……」ソワソワ
P「……トイレか?」
雪美「Pは…私……嫌い?」ポロリ
P「急にどうした雪美!?」
雪美「まだ…されてない」ポロポロ
雪美「……口移し」
P「はい、雪美あーん」
雪美「……」あむっ
雪美「…一番美味しい」ニコッ
雪美「でも口――」
P「はい、雪美あーん!」
雪美「……」あむっ
雪美「……美味しい」ニッコリ
P「…」ピンポン
P「そろそろあれを」
「分かりました」
P「…雪美」
雪美「…んっんっ」モギュモギュ
P「そのままでいいよ」
P「…まずはBランクアイドルおめでとう」
雪美「Pと……約束したから……でも……最近…Pは…」ゴクン
雪美「……」
P「俺は雪美のプロデューサーだからな、忙しいを理由につけたくは無かった」
雪美「……でも……Pは……約束……守ってくれた」
P「約束?」
雪美「私の…ことを……知ってくれるって…喜んでくれるって……」
P「…そうか!」
雪美「…?」
「お待たせしました」
P「早速お願いします」
パッ
雪美「……照明が…消えた!?」
雪美「P……どこ……!」
雪美「……」ジワ
P「こっちだ雪美」パッ
雪美「……P!」キュッ
P「横を見てくれ」
雪美「……灯かり…火?」
「ハッピーバースデーディア雪美」
「ハッピーバースデートゥユー」パチパチパチ
P「誕生日おめでとう雪美」
雪美「……」ジワ
P「どうした?誕生日は間違って無――」
雪美「……ううん、違う」
雪美「…Pは…やっぱり……約束……覚えてくれた……うれしい」
雪美「…P……食べさせて」
P「今、注目の的……」
雪美「」あーん
P「……ぐ…えーい仕方ない!今日誕生日だからな、無礼講だ!」
雪美「」あむっ
雪美「……」ニッコリ
「可愛らしいお嬢さんですね」「ああいう娘が欲しいわよねぇ」「帰ったら雪美SS書くわ」
雪美「……今日は……楽しかった」
P「お、雪美から切り出したなら本当に楽しかったんだな」
雪美「……Pは……やっぱり………私の……大好きな…Pだって…分かったから」
P「俺も雪美は大好きだぞ?」
雪美「……メアリーは」
P「もちろん大好きだ」
雪美「……」ムッ
雪美「……」ぷいっ
P「……また怒ったのか?」
雪美「……」ぷいっ
P「……あー残念だなー、せっかく雪美の大好きなイチゴ乗せのショートケーキもらえたんだけどなー」
雪美「……」ぴくっ
雪美「……だめ」
P「お……雪美も欲しいか?」
雪美「ううん……みんなに……分ける」
P「……いい子だ」
P(不意打ちだぞそれ、ちょっと涙が……)
雪美「……違う……ここ、私の家」
P「合ってるじゃないか」
雪美「……?」
P「……その様子だとまさか連絡しなかったのか?」
雪美「連絡……した………」
雪美「……今日は……泊まるって」ニコッ
P「」
雪美「~♪」サッサッ
P(家に帰っていきなり掃除なんて始めめちゃって)
雪美「Pは……風呂……入って……後でいくから……」
P(そうやって、今風呂入っている訳だけど)
P「雪美は……流石に来ないんだな」プカー
P(別に期待なんてしてないけど)
P(……雪美は俺のベッドでいいかな……俺はソファーにでも寝るか)
カポーン
P「……」
P「雪美は……来ないな」
P「……いつまで掃除をしているんだ」
P「ん?……そういえば雪美はどこを掃除してるんだ?」
P「……ベッドの下なんか探さんだろ」
P「雪美ー」
P(……心配になってきた)
――
P(……よかった電気は付いてないみたいだ)ガチャ
P「…うう~タオル一抹は寒い寒い。服も取りにいかないとな」パチッ
パッ
雪美「……」
P「」
雪美「……だめ」キュッ
P「駄目と言いたいのはこっちだ」バッ
雪美「……っ」キュッ
P「かえ、せっ!」グググ
雪美「……はなしてっ」
P「……とったッ!」バッ
はらり
p「ぱお~ん」
雪美「……」ニッコリ
雪美「私と…P……魂……繋がってるのに……体…繋がってない……おかしい」
雪美「待ってて…私……妹……違うこと……見せる」ヌギヌギ
P「やっぱり根に持っていたか」
雪美「……なぜ?」はらり
P「俺は死刑になる」
雪美「それは…だめ」
P「そこで交換条件といこう、今すぐ服を着る代わりに」
雪美「……代わりに?」
P「いっしょに寝てやる」
雪美「……」
雪美「わかった……」
雪美「うん……Pの腕……好き……でも、Pから……言うなんて……不思議」
P「何だかんだで誕生日だったしな、これくらいはさ」
雪美「じゃあ……私から……Pに……感謝の気持ち……伝える………」
P「へぇ……どん――」むぐっ
雪美「……」ちゅーっ
だからあっちは関係ないんです!
P「……お、おいファーストキスだろ?後悔するぞ」
雪美「……なんで?」
P「雪美が他の人が好きになるか――」むぐっ
雪美「……」ちゅっ
P「俺が他の人を――」
雪美「……誰?」
P「雪美が好きですごめんなさい」
P「雪美がマドモワゼルなんて呼ばれ方をする理由が分かったような気がするよ」
雪美「……もう……手……離さない」きゅっ
雪美「私は……もう……これで、迷わない」ググッ
雪美「私と……P……はずっといっしょだから」
マドモアゼル欲しいけど高すぎ
よかった、すごくよかったよぉ!
Entry ⇒ 2012.09.29 | Category ⇒ アイマスSS | Comments (1) | Trackbacks (0)
華菜「人の心が読めるメガネ?」
華菜「これでキャプテンの心をのぞいてやるし!」
美穂子「~♪」
華菜「キャプテン引退したのにまだ雑用してるし…」
華菜「…」
華菜「はっ!しまったし!」
華菜「本来の目的を忘れてたし!」
華菜「とりあえずメガネかけるし」カチャ
華菜「装着完了!」
華菜「早速、キャプテ~ン」タタッ
美穂子「あら華菜、おはよう」
華菜「おはようございますだし!」
美穂子(なぜ、メガネをかけてるのかしら?)
美穂子(目は良かったほうだと思うけど)
華菜(なんでメガネかけてるのとか思ってるし!)
華菜(見える!見えるぞ!キャプテンの心が!)
華菜「キャプテン、これただの伊達メガネです」
華菜「ファッションってやつです!」
美穂子「そうなの。安心したわ華菜の目が悪くなったとばかり…」
華菜(キャプテン優しいな~)
華菜(でも今日はとことん心を読んで)
華菜(キャプテン好みの女を目指すし!)
華菜「キャプテン、質問何個かいいですか?」
美穂子「質問?別に構わないけど…何を聞きたいのかしら?」
華菜(まずは、ストレートに聞くし!)
華菜「キャプテンはどんなタイプの人が好きなんですか?」
華菜(さぁ、どんなタイプが好きか言うし!)
華菜(キャプテン可愛いな~)
美穂子「そ、そうね強いて言うなら…大人で、優しくて」
華菜(フムフム)
美穂子「私のすべてを受け入れてくれる人かしら?」
美穂子(そうね、上埜さんのように大人で、優しくて)
美穂子(私のこの右目をきれいといってくれる…)
華菜(…)
華菜(もしかして一発目の質問からBAD END?)
華菜(キャプテンがあの女を気にかけていたことは知ってたけど…)
華菜「つ、つまり清澄の部長みたいな人ですか?」
華菜(って、華菜ちゃん何聞いてるし!?)
美穂子「べ、別に上埜さんのこととは…//」
華菜(バレバレだし。心を読むまでもないし…)
華菜(だめだなー私。)
華菜(こうなるって分かってたのに)
美穂子「華菜、部活始まるわよ!」
華菜「え?」
華菜「は、はい!」
華菜(キャプテン、あなたは私の手の届かないところにいるんですね…)
華菜(何か、今日はもうやる気でないなぁ)
久保「…以上だ」
久保「それじゃあ各自、卓について始めてくれ」
部員「ハイ!」
華菜「…はい」
久保「池田ァ!気合が入ってないぞ!やる気あんのかてめぇ!?」
華菜「は、はい!すいません!」ペコペコ
久保(ん…こいつメガネなんてかけてたか?)
華菜「は、はい!」
華菜(まだ何か用だし?)
久保「てめぇ目でも悪くなったのか?」
久保(メガネかけた池田も悪くないな…)
久保(いや、むしろ可愛い!これはこれでアリだな!)
華菜「」
華菜(メガネかけたまんまだったし!)
華菜(て、ていうかコーチ何考えてるし!!)
久保「池田…?」
華菜「い、いやこれは伊達メガネだし!」
華菜「ファッションの一環だし!」
久保「そ、そうかファッションか…」
久保「そ、その何だ似合ってるぞ…//」ボソ
華菜(ボソっと言ってるつもりかもだけど)
華菜(心読めちゃってますからー)
久保「すまん。無駄な時間を取った」
久保「練習に戻ってくれ」
久保(今晩はメガネだなメガネ)ウンウン
華菜「」ガクガク
華菜「あ、あそこが空いてるし」
華菜(メガネはかけたままで良いか)
==30分後==
華菜「ツモだし!4000オールだし!」
華菜(よしっ、今日は調子いいし!)
部員A「す、すいません先輩。私少し頭が痛くて」
部員A(体重いな熱かな?)
華菜(本当に辛そうだなー)
華菜「早く保健室行くし」
部員A「すいません。失礼します。」
華菜(誰か空いている人は…)
華菜「」チラ
久保「」メトメガアウ
華菜(コーチと目が逢ったし、嫌な予感が…)
久保(しかし、ランキング制のこの部活でコーチが打つのはなぁ)
久保(いやでも、風越の未来のためにはコーチの私が打って教えるというのも)
久保(そ、そうだ風越のためだ!私は風越のために打つんだ!)
久保(決して池田と打ちたいわけではない!決して!)
華菜(いらんお世話だし…)
久保「私が直々に打ってやろう」
華菜「い、いやランキングに関わってくるのでコーチが打つのはちょっと…」
華菜(何が何でも阻止するし!)
久保「…」シュン
久保(断られた。そりゃそうだよな)
久保(あれだけひっぱたかれた奴と打ちたくないよな…)
華菜(…なんだか可哀相になってきたし)
部員C「私も、もっと強くなりたいです!」
部員B、C「「だからよろしくお願いします!!」」
部員B(ここで、池田とコーチに勝てば一気にランキングは上がるはず!)
部員C(コーチが池田を潰せば私のランキングがあがるのは必然)
華菜(先輩には敬語使えし…)
華菜(ていうか考えてることが黒いし…)
華菜(でも、二人ともレギュラーに入りたいのは事実)
華菜(レギュラーの私がこんなんじゃダメだし!)
華菜「コーチ先ほどはすいませんでした」
華菜「自分からもよろしくお願いしますし!」ペコ
久保「」パァア
華菜(メッチャ笑顔だし)
対局中はメガネはずしてることにしてください。
==約10分後==
久保「ロン、3900」
華菜「っはい…」
華菜(やっぱりコーチは一筋縄ではいかないし)
華菜(でも天江や宮永咲を超えなきゃ全国はないんだし!)
華菜「リーチだし!」
・・・
久保「最後のやつは部室の鍵を事務に返しておけ!」
部員「ありがとうございました!」
華菜(結局、コーチには及ばなかったし)
華菜(でも、諦めないし!来年は風越を私が全国に連れて行くんだ!)
華菜「よし、特打ちするし!」
華菜「と、暇そうなみはるん発見!」
未春「うん、いいよ」
未春「ちょうど、キャプテンと打とうと思っていたから」
華菜「キャプテン…」
華菜(コーチのことがあって完全にキャプテンに振られたこと忘れてたし!)ハッ
華菜(なんか、キャプテンと打つの気まずいな~)
華菜(別に、直接振られたわけじゃないけど…)
華菜(こんなことならあんなこと聞くんじゃなかったし)
未春「華菜ちゃんどうしたの?」
華菜(ま、今は麻雀を打つことだけ考えよう!)
華菜「そういえば、もう一人はどうするし?」
未春「そうだね…どうしようか?」
華菜「文堂はいないし?」
未春「用事があるからーって帰っちゃった」
華菜「そうなのか」
久保「ッフン」チラ
未春(今の咳コーチだよね?)
未春(あ、そうだコーチにお願いしてみよう)
未春「コー、ガシッ華菜「みはるんダメだ、それだけはダメだ」
華菜(コーチはあからさまにこちらに入りたがっている)
華菜(さっきは可愛い?後輩のために一緒に打ったが今回は…)
華菜(それに対局にはキャプテンもいるし)
美穂子「ごめんなさいね吉留さん待たせてしまって」
未春「いえ、それよりまだもう一人相手が見つからなくて」
美穂子「そうなの困ったわね」
久保「」チラチラ
華菜(キャプテンダメだ、気づいたらダメだ)
華菜(その視線に気づいたら最後だしぃ~)
美穂子「誰も余ってないようだし」
未春「そうですね」
華菜(華菜ちゃん勝ったし!コーチに勝ったし!)
久保「…」
久保(強攻策にでるか)
華菜「!?」
華菜(なぜこっちに来るし…)
華菜(なぜそんなにニコニコしながら華菜ちゃんたちの卓に向かってくるし…)
華菜(なぜ!?)
久保「一人足りないようなら、混ぜてもらって良いか?」
未春「コーチが?」
美穂子「私は全然構いません」
未春「私もコーチがいいんでしたら、よろしくお願いします」
華菜(終わったし…)ゼツボウ
華菜「あ、すいません」
華菜「コーチまたよろしくお願いします」
久保「あぁ」
久保(やっぱり池田は可愛いなぁ)
華菜「・・・」
華菜(なんで今日のコーチはこんなに積極的だし?)
華菜(よりによってこんなメガネかけているときに…)
華菜「やっと終わったし」
未春「ありがとうございました」
美穂子「いいのよ、引退した私にはこんなことくらいしか出来ないから」
華菜「そんなことないしキャプテンがいないと私たち全然ダメだし!」
美穂子「華菜…」
美穂子「ありがとう」ナデナデ
華菜「えへへ」
久保「」ムッ
久保(池田のやつ、福路にデレデレしやがって)
華菜(コーチがキャプテンに嫉妬してるし)
久保「お前らも気をつけて帰れよ」
三人「はい!」
未春「今日のコーチなんか積極的に卓についてましたね」
美穂子「そうね、たまには打ちたくなるんじゃないかしら?」
華菜(言えない、私目当てで卓についてたとは言えない)
華菜「結局このメガネも出落ちだったし」
華菜「キャプテンは清澄の部長ことしか眼中にないみたいだし」
華菜「はぁ、このメガネもういらないな捨てちゃおう」
華菜(にしてもコーチがまさか自分をそういう風にみていたとは驚きだし)
華菜「明日からどう接すればいいんだし~」
華菜「・・・コーチか」ボソ
華菜(でも、そのたびにキャプテンが抱きしめてくれて…)
華菜「きゃぷてぇん」グス
==30分後==
華菜「…よし、泣いてても仕方ないし!」ゴシゴシ
華菜「キャプテンが誰が好きでも、誰と付き合ってもキャプテンだし!」
華菜「キャプテンを応援するし!」
華菜「明日も頑張るし!」
華菜「結局メガネ捨てられなかったし…」
華菜「べ、別にまだコーチの心を読みたいわけじゃないし」
華菜「でも人間好かれることに抵抗はないわけで」
華菜「むしろ好かれるのが嫌いな人間なんていなし…」
華菜「と、とりあえず学校行くし!」
久保「それじゃあ各自始めてくれ」
部員「はい!」
未春「華菜ちゃん一緒に打とう」
華菜「喜んでだし!」
華菜「」チラ
華菜(コーチは携帯いじってるし)
久保「」クス
華菜「!?」
華菜(コーチが笑ってやがるだと…)
久保(やっぱり靖子は面白いな)
華菜(靖子?)
久保(今日当たり晩飯でも誘ってみるか)
華菜「・・・」ムッ
華菜(って何で華菜ちゃんが嫉妬してるし!)
華菜(華菜ちゃんには関係ないし!)
華菜(そういえばコーチ可愛いとは言うけど好きとは言わないんだよな…)
華菜(もう、考えるのは辞めたし!とにかく打つし!)トン
未春「ロン、12000」
華菜「」
久保「池田ァ!てめぇまた適当な牌捨てやがったな!」
華菜「す、すいません!」
華菜(あんたのことが気になって集中できなかったんだし!)
久保「てめぇまた決勝でへま踏みてぇのか!?」
華菜「すいません…」
華菜(メガネかけるし)カチャ
久保(お前の悲しい顔はもう見たくねぇぞ、こんちくしょう)
華菜「…コーチ」
華菜「来年は絶対に全国行くし!」
久保「??お、おうその意気だ頑張れ…」
久保(私何かへんなこと言ったか?)
華菜「よし、やるし!やってやるし!」
未春(まぁいいか、楽しそうだし)クス
久保「…私からは以上だそれでは解散」
部員「ありがとうございました!」
華菜(靖子って結局誰だし)
華菜(後をつけるか?)
華菜(チビたちの迎えにはまだ時間あるし!)
華菜(あっ、でも会うのは今晩だっけ…)
華菜(とりあえず後をつけるし!)
華菜(歩き携帯は危険だしコーチ!)
華菜(ほら、自転車とぶつかりそうになったし!)
華菜(ちゃんと前見て歩くし!)
華菜(ん、建物の中に入っていくし!)
華菜(ここが家なのかな?)
華菜(インターフォンを押したってことは自宅ではない)
靖子「はーい」
ガチャ
靖子「お、来たか。とりあえず上がってくれよ」
久保「ああ」
華菜「あれが、もしかして靖子?」
華菜「ていうか今の藤田プロじゃあ?」
華菜「藤田…靖子」ハッ
華菜「ピカンと来たし!」
華菜「そうか藤田プロのことだったのかあ」
華菜「って何も解決していない」
華菜「こうなったら藤田プロとの関係を暴いてやるし!」
華菜「宅配業者に化けてこのメガネで藤田プロの心を読んでやるし!」
華菜「では早速」ピンポーン
華菜「宅急便でーす!」
靖子「はーい」
靖子「なんか頼んだっけ?」
靖子「貴子荷物とってきてよ」
久保「なんで私が行かなきゃならないんだ!」
靖子「お前ののろけ話に付き合ってやるのは誰だ?」
久保「ハイ…」
久保「すいませんお待たせしました」
華菜(ってえええええーー!!)
華菜(なんでよりによってコーチが出てくるし!)
久保「あの、すいません荷物受け取りますが…」
華菜(仕方ない何とかやり過ごすし)
華菜「では、こちらにサインを…」ウラゴエ
久保「…ん?」
久保(この手、この声、この身長…)
久保「お前!池田じゃねぇか!?」
華菜(ば、ばれたしー!)
久保(バイトしないといけないくらい家が大変なのか!?)
華菜(あれぇ?勘違いが思わぬ方向に)
華菜「い、いえ別に何も…」
久保「困ってるんだったらなぜ相談しないんだ!?」
久保(私だったらいくらでもお前の助けに…)
華菜(コーチが助けてくれるだって、初めて聞いたし!)
華菜(まぁ、実際言ってないんだけど)
華菜(わざと、らしいけどこれで撒く!)
華菜「じゃあ荷物は渡しましたんで失礼しましたし!」ピューン
久保「ちょ、まて池田ァ!」ダッ
靖子(閉めていってくれよ)
久保「まてぇぇ池田ァ!!!!!」
華菜(なっ!?早い!)
華菜(何なんだしこのスピードは!?)
久保「池田ァアアアアア!!!!!!」
華菜(やばい追いつかれるし!)
久保「捕まえたぁあああああ」ガシ
華菜「つかまったしぃ」
華菜「追いかけられる覚えはないし!」
久保「それは…お前が心配だからだ」
久保(まぁ体が勝手に動いちまったってのが本音だが)
華菜「…コーチ」
華菜(なんかよくわかんないけど、今聞いてみたいことがあるし!)
久保「何だ言ってみろ」
華菜「コ、コーチは藤田プロのことが好きなんですか?」
華菜(そうじゃないし!聞きたいことはそうじゃなくて)
久保「んあ?なんだその質問?靖子は普通に好きだが…」
久保(でも恋愛対象としてお前が好きだぜ!なんて言えねぇ)
華菜「えっ?今なんていったし…?」
華菜「そっちじゃないし!」
華菜「華菜ちゃんに対して何て言ったし!」
久保「だから、靖子は普通に友達として好きだといってじゃねぇか」
華菜「あ~もう単刀直入に聞くし!」
華菜「華菜ちゃんのこと好きか?って聞いてるんだし!//」
久保「・・・」
久保「なっ//」ボッ
久保「それなりに後輩として、私なりに可愛がってるつもりだ…」
華菜「意気地なしだし…」
華菜「恋愛対象としての意味で聞いてるんだし!」
久保「ちょ、おま//」
久保「そりゃ、もちろん」
久保(なんだこいつ?誘ってやがんのか?)
久保(なら、いけ!貴子勇気を振り絞って…)グッ
久保「わ、私は…お前が好きだ!大好きだ!」
久保「池田ァ!のすべてが大好きだ!」
久保(女同士とはいえ教師が生徒に告白しちまった…)
久保(終わっちまった…)
華菜「終わってないし!」
華菜「別に教師と生徒が付き合っても、バレなきゃいいだけだし!」
久保「へっ?どういうことだ?」
華菜「コーチさえ良ければ、華菜ちゃんが付き合ってやるし!」
久保「お前を何回もぶったんだぞ?」
華菜「でも大将に任命して期待してくれたのはコーチだし!」
華菜「華菜ちゃんは愛のムチってことで大目に見てやるし!」
久保「池田ァ…ありがとう」
華菜「じゃ、じゃあはい」ス
久保「?」
華菜「手つないで帰るし//」
久保「あ、あぁ//」ギュ
華菜「と、とりあえず妹達を迎えにいくし!」
華菜「おねぇちゃんの彼女だって自慢してやるし!」
久保「い、池田ァ!//」
=====
靖子「良かったな、貴子」
カンだし!
本当は未春も交えた話にしようと思ったのですが
いかんせん文章力がへたくそで…
国語をもうちょっと勉強してきます。
最後まで読んでくださった方ありがとうございました。
池久保は流行るべきだし!!
Entry ⇒ 2012.09.29 | Category ⇒ 咲-Saki-SS | Comments (1) | Trackbacks (0)
P「朝起きたら律子が隣にいた……」
チュンチュン
P「……」
律子「……すぅ、すぅ……」
P「……」
P「どういうことなの……」
律子「う~ん……むにゃむにゃ」
ゴロン
P「ちょ、ちょっと、服が……!」
律子「……zzz……」
P「……」チラ
P「……だ、ダメだダメだ! なにを考えているんだ俺っ!」ブンブン
P(お、思い出せ! 俺、昨日なにをしたんだ!?)
【昨晩】
律子・P「「かんぱーい!」」
ゴクゴク……
P「……うまい! やっぱ仕事のあとはこれだよなぁ! こう、乾いた心と喉が癒されていくっていうか」
律子「ふふっ、オヤジくさいですよ~。ま、わからないでもないですけど」
P「おお、ようやく律子も酒の良さがわかるようになってきたか!」
律子「これだけ散々、小鳥さんやプロデューサーに付き合わされてきましたからねぇ」
律子「まったく、成人したらすぐこれだもの。こんなに酒好きな人達だとは知りませんでしたよ」
P「ははは……まあ、うちには酒飲める人が少ないからな、多目に見てくれよ」
P「あ、すいません店員さーん! 以前キープしてもらったボトルを……ええ、それですそれです」
律子「あれ、それ空けちゃうんですか? 結構高かった奴ですよね、それ」
P「ああ。音無さんがいたらほとんど飲まれちゃうし、せっかくだからさ、こういうときにじっくり飲んじゃおう」
律子「プロデューサー殿もワルですね~。あとで小鳥さんに怒られますよ?」
P「そういう律子だって、その顔。飲みたかったんだろ?」
律子「ふふ、まあね。それじゃあ店員さん、氷とソーダと……」
―――
――
―
【回想 おわり】
P「えっ!? おわり!?」
P(うう、まったくそのあとの記憶がない……一体どんなペースで飲んだんだ……)
P「……」
律子「……」
P(と、とにかく。今の状況を把握しとかないといけないな)
P(律子の服は……うん、多少乱れてはいるけど、ナニかあったって感じのはだけ方じゃない)
P(いやしかし、安心は出来ないぞ。律子のことだからきっと、事が済んだらすぐ寝るようなタイ……プ……じゃ)
P「……」
律子「……zzz……」
P(なっ、なにを考えているんだ! 事が済んだら、ってなんだよ!?)
P(そんな妄想、本人を目の前でするなんて、失礼すぎるだろ!! 寝てるとはいえ……)
P「……寝てる……よな?」
律子「……こら、いおりー……おでこばっかりじゃなくて……体にもオイル……むにゃむにゃ」
P「どんな夢を見ているんだろう……」
P(しかし……)
チラ
律子「……すやすや……」
P「……」ゴクリ
P(こうして改めてみると、律子ってかわいいよな……)
P(前々から軽く思ってはいたが……、今まであんまり、深く意識したことなかったな)
P(俺と同じように、毎日毎日朝から夜まで働いてて、ろくにまとまった睡眠も取ってないはずなのに)
P(こんなに綺麗な肌をして……)
P「……」
律子「う~ん」ゴロン
P「!」
律子「……ぷろりゅーさー……」
P「お、起きたのか!? あ、あの、俺その……」
律子「えへへ……みんなが見てますよぉ~……むにゃむにゃ」
P「……」
ドキドキ
P(どうしよう……普段と違うこんな無防備な律子を見たら、なんかドキドキしてきたぞ)
ムクムク
P(余計な部分まで元気になってきた……うう、律子のスタイルが良すぎるのが悪いんだ……)
P「……」
律子「……zzz……」
P「……よし!」
スック
P(トイレに行こう。ナニをするというわけではないけど、とにかく今はトイレだ)
テクテク
律子「……」
律子「…………」
律子「……ふぅ……行ったかしら」
ドキドキ
律子「……男の人だもん、そーいうの、しかたないわよね……」
律子「あんな……きいモノ見せられたら、寝たふりでしたー、なんて言えないわよ……」
―――
ジャー ガチャ
P「……ふぅ……」
P「最低だ……俺って……」
律子「……プロデューサー、おはようございます」
P「どわああ!? お、おお、起きてたのか!?」
律子「えぇまあ、さっき……、じゃなくて、ちょうど今起きたところですっ」
P「そ、そっか……」
律子「……」
P「……」
P・律子「「あのっ!」」
律子「あはは……」
P「……律子から言ってくれ。俺はまだ、実はこの状況がよくわかってないから」
律子「わ、わかりました。それじゃあまず……」
律子「とにかくまずは、状況を整理しましょう」
P「そ、そうだな。さすが律子、目の付け所がシャープだ」
律子「何言ってるんですか……えっと、ここはプロデューサーの家ですよね」
P「うん……朝目が覚めたら、ここに帰ってきてたんだよ」
律子「昨日のことは?」
P「乾杯して、ボトルを開けたところまでは覚えてるんだけど……」
ズキズキ
P「……その先を思い出そうとすると、頭が痛くなって、なかなか」
律子「プロデューサー、だいぶ飲んでましたからね~……」
P「そんなに?」
律子「すごかったですよ。給料が低いとか、社長の話が長いとか、10月は出費が多すぎるとか……」
P「……」
律子「ホント、いつものあなたじゃないみたいでした。ストレス、溜めこみすぎてるんじゃないの?」
P「面目ない……」
律子「ああいや、謝らせたいわけじゃ……私もわりと、それに乗って、色々愚痴をこぼしちゃいましたから」
P「律子が愚痴なんて、珍しいじゃないか。あはは、記憶にないのが残念なくらいだよ」
律子「だああっ、だっ、だっ、ダメです!!」
P「えっ、な、なにが……?」
律子「……思い出さないで、記憶から消しといてください。どうしようもない、くだらないことなんで……」
P「そんなに必死になるようなことか? なんか、尚更どんなこと言ったのか聞きたくなってきたな」
律子「……」
P「……」
律子「……」プイ
P(なんだかよくわからないけど、かわいいぞ今の仕草)
P「……わかったわかった。思い出さないし、聞かないから」
律子「ぁ、ありがとうございます……」
律子「え、えっと、それで! なんでここに来たかというとですね……」
P「うんうん」
律子「……あー……これも言いづらいわ……どうしよう、なんて言い訳……」ブツブツ
P「な、なんだよ? 全然聞こえないんだけど」
律子「……」
P「……律子?」
律子「……結局あのあと、ふたりとも酔いつぶれちゃったんです。でも終電も無くなっちゃってたから……」
律子「プロデューサーの家が比較的近いということで、タクシー呼んでここに来たんですよ」
P「そうだったのか……」
律子「……ふぅ……」
P「あれ? なんでそんな安心した顔……」
律子「なな、なんでもありませんっ」
律子「と、とにかく状況の確認は以上です、おしまいっ!」
P「う、うん……わかったよ」
律子「……」
P「……律子。ちょっと確認したいことがあるんだけど……」
律子「え? なんですか、確認って?」
P「いやぁ、言いづらいんだけどな……」
律子「もう、いつものあなたらしくないですよ、プロデューサー殿。もっとシャキシャキしてください」
P「……」
律子「……」
P「……俺、何もしてない?」
律子「? 何も、って?」
P「いや、だからさ……その、律子に対して、なんというか……」
律子「……?」
P「酔いにまかせてだな……えっと……」
律子「……っ!!!」
律子「んなっ、ななな……! 何を言ってるんでしゅかっ!!」
P「だから言いづらいって言ったじゃないか……」
律子「な、なにもしてませんし、されてません! もう、いきなりなんてこと……!」
P「お、おお、そうか! それなら良かった!」
律子「ホントです、ホントなのよっ!? 嘘ついてるって言うなら……!」
P「わかった、わかったから! 別に疑っちゃいないだろ」
律子「そ、そうですね……すみません、取り乱しちゃって……」
P「……」
律子「うぅ~……」カァァ
P「……ホントに俺、なにもしてない?」
律子「してませんっ!」
P「そ、そうか。すまんすまん、何度も聞いちゃって」
P(なんでこんなに必死なんだろう……)
律子「もうこの話はおしまいね! わかった!?」
P「わかったわかった……」
律子「……ご、ごほん! えっと、そんなことよりも……」
P「ん?」
律子「このシャツ、洗って返しますね。すいません、お借りしちゃって」
P「ああ、よく見ればそれ、俺のシャツか」
律子「ええ、『シワがつくから寝るときスーツはやだ』って言ったら、とりあえずこれ着とけって……」
P「そうか……」
P(律子の今の格好は、男物の大きめのシャツ一枚だった)
P(眼鏡もかけてないし、髪も降ろしている……)
P「……」
ゴクリ
P(正直とんでもなく可愛い)
P(し、下はどうなってるんだ? くそう、布団に隠れて見えない!)
P「いやでも、わざわざ洗濯しなくてもいいよ。そこの洗濯カゴに入れといてもらえれば……」
律子「……プロデューサー? ダメですよ?」
P「な、なにがだよ」
律子「ふふっ、そう言って、私が着たシャツをクンカクンカするつもりなんでしょう」
P「そそ、そんなことするわけないだろ!? 俺を変態か何かと勘違いしてるんじゃないか!?」
律子「どーかしらね~……ふふっ、ふふふ!」
P「ったく……まだ酔いが残ってるんじゃないのか?」
律子「え? なんでですか?」
P「いつもならそんな冗談、言わないだろ」
律子「でもでも、きの……う……は……」
律子「」ボッ
P「ええっ!? どうした、いきなり顔赤くして!?」
律子「い、いえ……なんでもありません、構わないでください……」
律子「……やだやだ、私ったらつい、昨日みたいなノリのまんまで……!」ブツブツ
P(なんなんだ……)
律子「と、とにかく! このシャツは断固、私が責任を持って洗って返しますからっ!」
P「そこまで言うなら、わかったよ……手間かけてすまないな」
律子「いいんですよ、こんなこと手間のうちに入りません」
律子「そもそも、私がプロデューサーの部屋に泊まったことが……げ、原因なわけだし……」
P「……そ、それじゃあ、よろしく頼む……」
律子「……わ、わかりました……」
P「……」
P(今の律子の言葉で……)
P(改めて、このとんでもない状況を認識させられてしまった)
P(朝起きたら律子が隣にいた? 無防備な格好で、すやすや寝息を立てていただって?)
P(なんだよそれ、それなんてエロゲ)
P(えっと、律子は……)
チラ
律子「……」
P(……概ね、俺と一緒みたいだな。さすがに俺みたいないやらしいことは考えていないだろうけど)
P「……」ドキドキ
P(さっきから、妙に律子のことを意識してしまう)
P(今までは、ただの同僚で、同じプロデューサー……いやまあ、それなりに仲は良かったけど)
P(それでも、プライベートでもよく遊ぶ友人のひとり、という認識でしかなかったのに……)
P「……」
律子「……あの、えっと……」
P「う、うん……」
律子「昨日は……あんな感じだったけど……そっ、そろそろ、私た――
ジリリリリリリ!
律子「!? め、目覚まし時計?」
P「も、もうこんな時間か! ははは、出勤の準備しないとな!」
律子「そそそ、そうですね! あは、あははあは……」
P「とと、ところで、なにを言おうとしたんだい?」
律子「ああいえ! なんでもないです! そろそろ支度しないと遅刻しちゃうかなーって思っただけ!」
―――
ザー
ザザー……
P「……」
P「律子がシャワーを浴びている」
P「いやいや、なんで改めて言葉にする必要があるんだ……ただの出勤前の朝シャン、それだけじゃないか」
P「……し、しかし……」
ソワソワ
P「落ち着かない……くそっ、これだから童貞は……!」
キュ、キュ……
P「……」
ガチャ
P「!」ドッキーン
トコトコ
律子「すみませんプロデューサー、シャワーまで借りちゃって」
P「フンフン……! それくらい、いいって……ことさっ! フンフンフンフン……!」
律子「……何やってるんですか?」
P「見て……わからないかっ? フンフンフン! 腹筋……だよっ!」
律子「あ、いや、わかるにはわかるんですけど……なんで腹筋?」
P「……ふぅ。毎日これをやらないと、目が覚めないからな!」
律子「そ、そうなんですか……。あのそれより、ごめんなさい。ついでにドライヤーも貸していただけると……」
P「あ、ああ。ドライヤーなら、そこの棚のカゴの中に……」
律子「ああ、あのカゴね。よっこい……しょ……」
律子「……」
プルプル
P「……何やってるんだ?」
律子「……棚が高すぎて……届かないんですよ……!」
P(意外とちっちゃい律っちゃんかわいい!)
律子「ううー……」プルプル
P「ああもう、今取ってやるから」ヒョイ
律子「あっ……」
P「……ほら、ドライヤー」
律子「……あ、ありがとうございます……」
P「……」
律子「……意外と、背、高いんですね」
P「そ、そうか? 平均だと思うけど……」
律子「こうして近くに来ると、見上げないと顔見れませんよ」
P「は、はは……律子が小柄なだけだろう」
律子「ば、ばかにしてます!?」
P「ああいやいや、決してそんなことは!」
ドキドキ
P(……思いがけず、こんなに近くまで来てしまった)
P(良い匂いがする……いつも俺が使っているはずのシャンプーなのに、全然違うぞ……)
P「……」
ドキドキ
P(この心臓の音まで、もしかしたら聞かれてしまうんじゃないかと思うくらい……近い)
P(ちょうど俺の胸の真ん中くらいに、律子の頭がある。後ろからだから表情はわからないが……)
P(つむじから生える二本のアホ毛が、ソワソワと動いている……ようにも見える)
律子「……」
P「……髪、乾かさないとな。はやく準備しないと遅刻しちゃうから」
律子「そ、そうです……ね……」
P「あ、ああごめん! 俺がいるからジャマなんだよな!」
律子「あ、い、いえ、ジャマとかそういうのじゃ……まぁ、後ろに立たれてたら、確かに落ち着かないですけど……」
P「い、今どくから……」
律子「……」カチ
ブォォー
P「……」
P(離れたところから見た、律子の横顔は……ドライヤーの熱のせいか、少し赤くなっているようにも見えた)
【765プロ事務所】
ガチャ
P「……おはようございまーす」
小鳥「おはようございます、プロデューサーさん。今日はいつもよりちょっと遅かったですね?」
P「ははは……すみません、昨日飲みすぎちゃって……」
小鳥「律子さんとでしょう? いいなあ、私も行きたかったです。あの深夜アニメさえなければ……!」
P「りっ律子はっ! まままだ、来てないんですか!」
小鳥「まだですよ~。ふふ、律子さんも珍しく遅刻、かもしれないですね」
P「そうですか~! いやあはは、確かに、今日は雪でも降るかもしれませんね!」
ガチャ
律子「おお、おはおは、おはようございまーす!」
P「や、やあ律子! ちょうど今君の噂をしていたところだよ!」
律子「な、なんですか噂って~! やめてくださいよもう~!」
P・律子「「あはははは!」」
小鳥「……?」
P(……よし。渾身の演技だ……!)
P(さすがに、朝から一緒に出勤するなんてちょっとマズイからな……事前に打ち合わせしておいてあったのだ)
小鳥「……プロデューサーさん?」
P「はっ、はい! なな、なんでもないですよ?」
小鳥「……ふふ、わかりました。それじゃあ代わりに、律子さん」
律子「うっ」
小鳥「あとで、詳しく聞かせてくださいね?」
律子「……な、なんのことですか……?」
小鳥「あっ、そういうこと言っていいの? あれ、プロデューサーさんにバラしちゃうわよ~?」
律子「や、やめっ、やめてくださいよもうっ! わかりましたから……」
P「?」
P(なんだ? ふたりのヒミツの話か?)
P(……まあ、とにかく。律子なら上手く誤魔化してくれるだろう)
P「……さて、そろそろアイドル達が来る時間かな」
ガチャ
やよい「おっはよーございまーっす!」
P「っと、噂をすれば……おはよう、やよい」
やよい「あっ、プロデューサー! えへへ、おはようございますーっ!」
P「はは、やよいはいつも元気だなぁ」
やよい「はいっ! あっ、でもでも……プロデューサーは今、元気ないですよね……」
P「え? なんでだ? 俺は別に……」
やよい「だって、喧嘩しちゃったら、元気もなくなっちゃいます……私も、弟たちとたまに喧嘩しちゃうから、そのキモチは……」
P「……喧嘩? 俺が?」
やよい「はい……」
P「……誰と?」
やよい「律子さんとですっ」
P「……」
P(どうしよう……わけがわからないけど、このままやよいと話していると良くないことが起きる予感がする……)
P「……どうして、そう思ったんだ?」
やよい「だってだって、ふたりとも、ずっとお喋りしてなかったからー……」
P「そ、そんなことないぞ? 一体いつの話だよ」
やよい「今日の朝ですーっ!」
P「……」
やよい「えへへ、私、ふたりが一緒に歩いてるところ見つけちゃったから、後ろからこっそり付いていってたんですよっ!」
P「そ、そそそ、そうだったのかかかか」
P(なんということだ……! 朝出勤するところ、やよいに見られていたなんて!)
P「そっ、それならそうと、(やよいなら素直だから誤魔化せそうだし)声をかけてくれればよかったのに!」
やよい「えっ、でもでもー……伊織ちゃんが……」
P「……伊織?」
やよい「はいっ! 伊織ちゃん、前にこんなこと言ってたんですっ!」
P「……」
伊織『いーい、やよい? もしプロデューサーと律子がふたりでいるのを見ても、あんまりジャマしちゃだめよ?』
伊織『それが事務所の外だったら、尚更話しかけちゃだめ』
伊織『なんでって? そんなの、せっかく律子が勇気だして頑張ってるのに、かわいそうだからに決まってるじゃない。にひひ♪』
伊織『あっ、ちなみに。わかってると思うけど、私がこんなこと言ったってのは律子やプロデューサーにはナイショよ?』
―――
――
―
やよい「……って言ってましたー!」
P「……やよい、それ、俺に言ってもよかったのか?」
やよい「え? ……はわわっ!!」
P「……」
やよい「こ、これはナイショだったんですーっ!! わわ、忘れてくださいーっ!!」
P「あ、ああ、うん……わかったわかった」
やよい「うぅ……伊織ちゃんにドッカーンって怒られちゃうかもー……」
P「大丈夫大丈夫、伊織には言わないでおくからさ」
やよい「ごめんなさーい……」
P「と、とにかく! 俺と律子は、喧嘩なんてしてないよ」
やよい「ホントですかーっ!?」パァァ
P「ああそうだとも! ただちょっと今朝は、お互い仕事のことで頭がいっぱいだっただけさ」
やよい「えへへっ、それなら安心ですーっ!」
P「心配かけてごめんな。よし、それじゃあ景気づけに、アレやるか!」
やよい「あっ、アレですね! アレをやると、元気がモリモリ出てくるんですーっ!」
スッ
やよい「はい、たーっち!」
P「たーっち!」
パチン
やよい「いえーい! ……えへへ。良かったです、喧嘩なんてしちゃったら、私までかなしくなっちゃうところでした」
P「……やよいは本当に、素直で優しくて、良い子だなぁ。しかもこんなにかわいい……」
やよい「ええ!? かっ、かわいいだなんて……」
P「本当のことさ……やよいかわいいよやよい」
やよい「そっ、そんなに褒めても、なにも出ないですよー! えへ、えへへ、えへ……」ニコニコ
P「……さて、やよいはレッスンに行ったか」
P(しかし、伊織が言ってたという言葉の意味、なんなんだろうな)
P(えーっと……『律子が勇気だして頑張ってるのに、かわいそう』……だっけ?)
P「……うーん……」
P(な、なんか……それだけ聞くと、あれだな)
P(俺とふたりきりになるために、勇気を出すってことは……つまり……)
P(律子がその、俺のこと……す、す……)
P「うわああぁあああ!」ガタッ
春香「!?」
P「ななな、何を考えてるんだ!! そんなわけないだろうっ!!」
春香「ぷ、プロデューサーさん?」
P「そうだ、俺は昔からこうやって勘違いしては涙を流して……うぅ、思い出したくもない」プルプル
春香「ええっ、泣いてる!? プロデューサーさんっ、どうしたんですか!?」
P「え? あ、あぁ、春香か……いつの間に……」
春香「プロデューサーさん、何か悲しいこと、あったんですか……?」
P「……」
ゴシゴシ
P「……いや、なんでもないよ。ただ昔のこと思い出しただけだから……」
春香「そ、それにしては、鬼気迫る表情だったというか……」
P「大丈夫大丈夫……春香が心配するようなことはなにもないさ」
春香「……そうですか。プロデューサーさん、何かストレス感じることがあっても、溜め込んじゃだめですよ?」
P「ははは、なんだなんだ、気遣ってくれてるのか? 春香は優しいなあ。でも――
春香「優しいのは、プロデューサーさんのほうですっ」
P「……っ」
春香「……いつだって、みんなに優しくて。私達がつらいときも、笑顔にしてくれて……」
春香「でも、プロデューサーさんが悲しい顔してるところ、私は見たことないです」
P「は、春香……?」
春香「だ、だからっ……!」
P(な、なんだ? 朝一からなんだこの雰囲気……)
春香「……だから、プロデューサーさんがつらいときは、私にも相談して欲しいんです」
P「……」
春香「わ、私なんかじゃ、力になれないかもしれないけど……」
春香「それで、ちょっとでもプロデューサーさんがラクになれるなら……」
P「……ありがとう、春香」
春香「……」
P「でも本当に、いまは何も心配事はないからさ」
春香「本当ですか……?」
P「ああ。みんなの笑顔に囲まれて、幸せじゃない理由がないだろう」
春香「……プロデューサーさんは、いま、幸せ……」
P「もちろんだよ。……でも、ちゃんと約束する。今度何かあったときには、春香にも相談するから」
春香「!」
P「だから、顔を上げてくれ。春香が笑顔じゃないと、みんな暗くなっちゃうし、俺も悲しいよ」
春香「……わ、わかりました……えへへ」
P「……」
P(なんだか、朝から少し重い空気になってしまったが……)
P(なんとか春香は、笑顔を取り戻してくれたらしいな。よかった……)
春香「プロデューサーさん、約束ですよ、約束!」
P「ああ、なんなら指きりするか?」
春香「い、いい、いいんですか!?」パァァ
P「えっ」
春香「えっ」
P「そ、そんなに喜ばれるようなことか? 指きりくらい……」
春香「あ、い、いえ、べつに喜んでるわけじゃ……」アタフタ
P(……春香に、何があったんだ? 明らかに、いつもと違う表情をしていた)
P(律子と音無さんの間にもなにやらヒミツがあるらしいし……やよいと伊織も、俺にナイショの話をしていたらしい)
P(まぁ、この年頃の女の子たちは、そういうところもあるだろうけど……なんだか気になるな)
P(ま、悩んでても仕方ないな。もう仕事の時間だ)
P(俺には、やらないといけないことがある。もっともっとアイドルたちを輝かせることだ)
P(律子との昨日のことは……とりあえず、頭の隅の隅に置いておいて……)
P(スイッチを入れ替えて頑張ろう!)
P「……」カタカタ
律子「プロデューサー、どうぞ」コトッ
P「ん? ああ、コーヒーか。ありがとな」
律子「いえいえ、これくらいお安い御用です」
ズズッ
P「……うん、美味いよ。ちゃんと俺の好みを知ってるなあ」
律子「ふふっ、何度も何度も、熱く語られたからね」
P「はは……あ、そういえば律子、あの書類どこにあるかな」
律子「あの書類? ……ああ、あれね! あれなら……」
ガサゴソ
律子「はい、どうぞ。これですよね?」
P「おお、これだよこれ。ありがとう」
小鳥「……ふたりとも、息ぴったりですねぇ」
P・律子「「そうですか?」」
小鳥「そうですよ。ふふっ……」
―――
律子「それで、この人ったらそのときなんて言ったと思います?」
P「おいおい、いつまで引っ張るんだよ……もう随分前のことじゃないか」
小鳥「ふふっ。それに律子さん、その話聞かされたの、もう三度目ですよ?」
律子「えっ、そ、そうでしたっけ? あはは……」
ガチャ
亜美「おっはよーだぴょーん! ……およ?」
真美「おはおは~! ……おやおや~?」
P「おはよう。……ふたりとも、どうしたんだ? そんな顔して……」
真美・亜美「「んっふっふ~!」」
真美「亜美亜美、あそこにいますぜ!」ビッ
亜美「いますなあ! 我らの敵がっ!」ビッ
P「な、なにがだよ……人のこと指をさすんじゃありません」
真美「なにがってそりゃ決まってるっしょ~!」
亜美「亜美たちの敵といえば! ……ん、倒すべき宿敵(とも)って言ったほうがカッコいいかな?」
P「朝から元気だな……なんの漫画の台詞だ?」
真美「うあうあ~! 漫画とかの台詞じゃないもんっ!」
亜美「亜美たちオリジン弁当の台詞だよっ!」
律子「それを言うならオリジナル、でしょ」
真美「そー、そんな感じ。んで、えっと……なんだっけ?」
亜美「……?」
P「お前ら本当自由に生きてるよな」
亜美「……ああっ! あれだよ真美! 我らの敵といえば、カップルだよっ!」
P「……は?」
真美「そうそう! ぐぬぬ……真美たちにも彼氏が出来てないというのに、朝から見せつけちゃってさ~!」
律子「ちょ、ちょっとあんたたち、何言ってんの!?」
真美「だってだって~。いおりんが言ってたもん」
亜美「そーそー。んで、言われてみれば確かにそうかなーって。うっうー!」
P「な、なんの話なんだ……? しかし似てるなおい」
P(というか、また伊織……)
律子「ちょっと、本当、やめなさい……ね、お願いだから」
真美「……どーする、亜美?」
亜美「律っちゃん困ってるっぽいね……もしかしたら、ピヨちゃんにはヒミツなのかも」
小鳥「あら、私もその話、知ってるわよ?」
律子「小鳥さんっ!?」
真美「ホント!?」
亜美「なら大丈夫っぽいね~!」
P「……いい加減、教えてくれよ。誰と誰がカップルだって言ってるんだ……?」
亜美・真美「「そんなの、兄ちゃんと律っちゃんに決まってるっしょ~!」」
P「……」
P「はぁぁあああ!!?」
P「な、なな……なにを言ってるんだ! そんなわけないだろ!? な、なあ律子!?」
律子「え、ええ! そうよ、伊織が何を言ってたか知らないけど、テキトーなこと言ってるんじゃないの!」
亜美「えっ、そーなの?」
真美「……あ゛っ! 亜美亜美、ヤバイよ~! ヤバイこと思い出しちゃった~!」
亜美「どーしたの、真美! ま、まさか、人類が滅亡したあの日のこと……!?」
真美「そんなの比べものになんないくらいヤバイんだって~!」
P「お前ら何を背負って生きているんだ……」
亜美「んで、なあに? はやく教えてよ~」
真美「律っちゃんと兄ちゃんは、付き合ってないの! いおりんも言ってたっしょ~?」
律子「そ、そうよ。何よ、ちゃんとわかってるじゃな――
真美「ただね、律っちゃんが兄ちゃんのこと好きなだフゴォ」
律子「はーい、お口をふさぎましょうね~」メキメキ
P「お、おい、真美は一体何を……?」
律子「プロデューサー殿は黙っていてください♪」
P「……はい……」
真美「ヤバイよ……あれは人殺したことある目だったよ……」ガクガク
亜美「元殺し屋の噂は本当だったんだ……」ブルブル
P「……伊織が何を言っていたかわからないが、そんな根も葉もない噂を信じちゃだめだぞ」
亜美「律っちゃんは元朝青龍じゃないってこと?」
P「たぶん、アサシンってことを言いたいんだろうけど……そうじゃなくてだな」
律子「……」
P「……俺と律子がどうの、って話だ。俺達は本当に、何もないから」
律子「……っ」
亜美「そーなんだ~」
真美「なんか、ごめんね。兄ちゃん、律っちゃん。真美たちカンチガイしちゃってたかも」
律子「……ま、まあ、いいんだけど……」
亜美「でも律っちゃんが兄ちゃんのこと」
律子「」ギロリ
亜美「なんでもないっぽいよ~」
P「……大体な、律子には俺なんかよりもっと良い男が似合うってもんさ! あっはっは……はぁ」
真美「んっふっふ~! 確かにそうっぽいね!」
P「おいおい、そこは否定してくれよ」
真美「兄ちゃんをバカにしてるわけじゃないよ? でも律っちゃんの彼氏はもっとこう、ダメダメな人っぽいよねっ」
亜美「そーそー。それで律っちゃんが、『しょーがないわねー、はいお小遣い』って言いながらお世話すんの!」
律子「……好き放題言っちゃってまぁ……そんなダメ男は、こっちから願い下げよ」
P「……じゃあ、律子はどんなタイプが好きなんだ?」
律子「え゛っ!? そ、そうね、優しくて、頼りがいがあって……ってなんてこと言わすんですかっ!」
小鳥「律子さん、そんなに恥ずかしがることでもないでしょ? もうティーンエイジャーでもないんですから」
P(年齢の話が出たので……)
P(余談ではあるが、音無さんと律子が同じ20代を過ごせた時間はほんの数ヶ月しかなかった)
P(律子の誕生日から、こないだの音無さんの誕生日までの、約二ヵ月半だけである)
P(あのときの音無さんの表情は忘れられない……)
真美「んっふっふ~! 兄ちゃんに一生彼女が出来なかったら、将来真美の彼氏さんにしてあげてもいいよ?」
P「ははは……ありがとな。でもアイドルに手を出すわけにはいかないからさ、遠慮しとくよ」
真美「マジメっぽいね~。でもそういうところもス・キ」
P「お、大人をからかうんじゃないっ!」
真美「あははっ! 兄ちゃんが怒った~!」
P「中学生なりたてホヤホヤが調子に乗りおって!」
ギャー ギャー
律子「……」
小鳥「……律子さん、元気だしてくださいね?」
律子「……っ……。べ、べつに、なんにも気にしてないですよ。本当に私達は、なんにもないし……」
小鳥「プロデューサーさんがああ言ったのは、亜美ちゃん真美ちゃんの前だからよ」
律子「……そう、ですかね……はぁ」
小鳥「ふふっ、それじゃあ……、今日は私と飲みにいきましょう! お酒の力使ってぜんぶ吐いちゃいなさい!」
律子「昨日も随分吐いたんですけど……でも、ありがとうございます。すいません、毎度毎度話聞いてもらって……」
【Pのおうち】
ガチャ
P「ただいまー、っと」
P「って言っても、誰もいないけどな。昨日と違って……」
P「……」
P(あれから……)
P(個別レッスンから帰ってきたやよいと春香を加えて、俺が担当するユニット三人は、いつも通りの営業をこなした)
P(朝は春香の様子が少しおかしいとは思ったが、仕事中はいつものような元気な笑顔を見せてくれた。さすがはリーダーといったところだ)
P(……律子とは、それ以来特に話してはいない。俺も今日はなんだかはやく帰りたくて、直帰してしまったからな)
※このPの担当アイドルは春香(リーダー)、やよい、真美の三人です
P「……さて、ちょっと横になるか……うん、疲れただけだから、他意はないから」
ポフン
P「……」
P「…………」
P「このへんに……」
サワサワ
P「……昨日、律子が寝ていたんだよな。あ、いや、どうでもいいけど」
P「……」
P「…………」
P「律子が、無防備な格好で……」
クンカクンカ
P「……ちょっと深呼吸してみよう。あ、いや、特に意味はないけど」
P「ふぅ……」
P「良い匂いが残ってる気がする。たまらん」
P「朝目覚めたら律子が隣にいるとか、今思うと本当にとんでもないな……」
P「……」
P(……正直に言って、あれから俺は、律子のことを今までとは違う目線で見るようになってしまった)
P(仕事の同僚、ただの友人……その域を超えることは決してないだろうと、思っていたのに)
P(今ではもうはっきりと、異性として、ひとりの女の子として意識してしまうようになってしまった……)
P「……はは、やっぱり俺は童貞だな。こんなことがあったくらいで、すぐその気になってしまうなんて」
P(もしも、これがアイドルの誰かだったら、ここまで素直に気持ちの変化を認めることはなかっただろう)
P(同じ同僚、同じ裏方の人間……つまり言ってしまえば、律子はアイドルじゃない。たまにステージに立つことはあるけど)
P(だからこそ、俺の気持ちを止めるものは……何もなかったんだ)
P「……律子の寝顔、かわいかったな」
ムクムク
P「おお、息子よ、お前もそう思うか」
ビンビン
P「ははは、仕方ない奴だなあ。よおし、もう一回可愛がってやるからな」
P「ええっと、律子のアイドル時代のDVDは、っと……」
ガサゴソ
P「おお、あったあった。こんなこともあろうかと今日事務所から持ち帰っておいてよかった」
P「さて……」
カチャカチャ
ジー ボロン
P「……ふふ。今日は何回でも戦えそうだ」
P「よし、それじゃあさっそ
ヴー! ヴー!
P「!?」
P「電話!? 誰だよっ、俺の大切な時間をジャマしやがって!」
パカッ
……………………
着信:秋月律子
……………………
P「!?」
ヴー! ヴー!
P「……」
P(律子から電話……な、なんの用なんだろう。仕事の話か、それとも……)
P(……プライベートな用事、だったらいいな……なんて)
P(どちらにせよ、こんなときにかかってくるなんて、なんて絶好のタイミングなんだ……)
P(……絶好のタイミング? いま、俺は何を考えた?)
P「……!」ティン
P(これで、律子の声を聞きながらデキるじゃないか! ははっ、天才か俺は!)
P(そうと決まれば……!)
ピッ
P「もっ、もしもし!」
小鳥『あ、やっと出ましたね、プロデューサーさん』
P「え……その声は……」
小鳥『私です、音無小鳥ですよ。すみません、こんな時間に……』
P「音無さん……」
シュン
P「ああ、縮んでしまった」
小鳥『縮む? なんの話ですか?』
P「あっ、い、いえいえ! こっちの話です、すいません」
小鳥『……?』
P「……えっと、それはそうと、どうしたんですか? なんで律子の携帯で……」
小鳥『あ、それがですね……』
P(ちなみに言っておくが、俺は音無さんのことをキライとかじゃ決してない)
P(むしろ好きだ。優しいし綺麗だし、とても30代とは思えない)
P(だけど、まあ、なんというか……失礼だからな、音無さんに対して。うん……)
―――
小鳥「……あ、プロデューサーさん!」
P「音無さん、お待たせしました! り、律子の様子は……!?」
小鳥「それが、この通りなんです~……」
律子「……zzz……」グッタリ
小鳥「律子さん、小柄とはいえ……うう、女の私にはちょっと重いわ~……」
P「寝てるときはそうですからね……代わります、是非そうさせてください」
小鳥「はい、それじゃあお願いしますね♪」
P(どうやら、律子と音無さんは今日、ふたりで飲み会をしていたらしい)
P(しかし律子が飲みすぎて、この通り熟睡してしまったため……)
P(俺に車で迎えに来てもらい、家まで送ってもらおうと思ったんだそうだ)
P(ちなみに、音無さんの携帯は電池が切れてしまっていたとのこと。だから律子の携帯を使ったらしいな)
P「よい、しょ……っと」
ポフン
律子「わふ……むにゃむにゃ」
P(泥酔してる律子もかわいいなあ!)
P「音無さんも乗ってください。送っていきますよ」
小鳥「い、いいんですか? なんだかアッシー君にしちゃったみたいで悪いわ……」
P「随分久しぶりに聞いたフレーズですね……」
小鳥「私も自分で使ったのは初めてです……」
P「……と、とにかく。こんなとこで酔った女性をひとりにさせるわけにはいきませんから、どうぞ」
小鳥「……ふふ。それじゃあ、遠慮なく♪」
ブロロロ……
P「……女の人を助手席に乗せたのは初めてですよ」
小鳥「え? でもいつも、アイドルの子たちを乗せてるじゃないですか」
P「ああ、すいません。プライベートで、ってことです」
小鳥「プライベート……」
P「アイドルの子たちを異性として見るわけにはいきませんからね。もちろんみんな、可愛い子たちですけど……」
小鳥「……私、女としてカウントされてる、ってこと?」
P「当たり前じゃないですか、実は男でしたー、とかじゃないでしょう?」
小鳥「……」
P「……小鳥さん?」
小鳥「……律子さんに怒られちゃうわ」
P「ええ? な、なんで……?」
小鳥「なんでもありません。プロデューサーさんが悪いんです」プイ
小鳥「……」クルン
P「律子の様子、どうですか?」
小鳥「気持ち良さそうに眠っています。体丸めちゃって、かわいいですよ」
P「そうですか、それは是非見てみたいな」
小鳥「……そーいうの、本人が起きてるときに言ってあげてください。きっと喜びますから」
P「……恥ずかしくて、そんなの言えませんよ」
小鳥「でも律子さん、言ってましたよ? 『プロデューサー殿はテキトーなこと言って相手を喜ばす天才だ』って」
P「んなっ、なんてことを……!? 今まで適当なつもりで発言したことないですよ!?」
小鳥「ふふっ、わかってます♪ ……ねえ、プロデューサーさん?」
P「なんですか?」
小鳥「……律子さんのこと、どう思います?」
P「……」
P「……」
小鳥「……」
キキッ
小鳥「いま、少し急げば赤信号になる前にいけたんじゃないですか?」
P「今日は大切なゲストを乗せてますから、安全運転でいかないと」
小鳥「それって……」
P「……」
P「好きですよ」
律子「……っ!」
小鳥「……友人として?」
P「……どうなんでしょう。まだ、はっきりとは……」
小鳥「そうですか……それじゃあ、脈アリってところですね」
P「……トップシークレットです」
小鳥「あ、私の家、このへんです。この辺りで降ろしてもらえば……」
P「わかりました」
キキッ
ガチャリ
小鳥「わざわざ送っていただいて、ありがとうございました」
P「いえいえ、いいんですよ。気にしないでください」
小鳥「ふふっ、やっぱりプロデューサーさんはお優しいですね」
P「いつも優しい人止まりで印象が終わってしまうのが、たまにきずですけどね。ははは……」
小鳥「大丈夫です、プロデューサーさんには、彼女くらいきっとすぐに出来ますよ」
P「そうでしょうか……」
小鳥「そうです、そうなんですっ。ふふふ、私が保証しますよ!」
P「音無さんだって彼氏できたことないじゃないですか」
小鳥「そ、そそ、それを言うのはズルイです~!」
P「それじゃあ、おやすみなさい」
小鳥「おやすみなさい。また、明日」
ガチャ
P「さて……次は律子か」
律子「……」
コンコン
P「ん? 音無さん?」
ウィーン
小鳥「ごめんなさい、言い忘れてました。プロデューサーさん、耳貸してください」
P「え……?」
小鳥「……送り狼になっちゃ、だめですよ?」ボソボソ
P「!? な、何を……!? そんなことあるわけ……!」
小鳥「昨日みたいに♪」
P「!?」
小鳥「それじゃあ、今度こそおやすみなさい!」タタタッ
P(送り狼、って……またへんなこと言って)
P「……」チラ
律子「……」
P「……いやいやいや、何を考えているんだ俺は……」
P「昨日のは事故、そう事故だ。二日連続でなんて、そんな……」
P「……」
P(それは、たしかに今の俺にとってはとても魅力的なアイデアだった)
P(しかし……それをしたら、大切な何かが失われてしまう気がする)
P(律子に嫌われることだけは、決してしたくないし……)
P「……やっぱり、普通に送っていこう。うん……」
律子「……く……なし……」ボソボソ
P「ん?」
律子「……z、zzz……」
P「気のせいか……」
―――
P「えっと、このへん……かな?」
P「……」
P(やばい。送っていくと言っても、音無さんからもらったアバウトな地図じゃさっぱりわからん)
P(律子を起こして聞くしかないか……)
P「おーい、律子~」ユサユサ
律子「う、う~ん……」
P「起きてくれ、もう朝だぞ~」
律子「……」
P「……寝てるなら、ちゅーしちゃうぞ~」
律子「!?」ガバッ
P「おお、起きたか。おはよう」
律子「お、おは、おはようございます……」ドキドキ
律子「……」ポー
P「律子、色々状況がわかっていないとは思うけど……」
律子「……送ってくれたんですよね? すいません……」
P「あれ、もしかして起きてたのか?」
律子「いっ、いえいえ! ただまあ、なんとなくわかりますから! それだけですっ!」
P「そうか……」
律子「……私の家、もうすぐそこです。ここからなら、歩いていけますから……」
P「玄関まで送っていくよ」
律子「……結構です」
P「いやでも、こんな夜道とはいえ、酔ったお前をひとりにするなんて……」
律子「だいじょうぶですっ、だいじょうぶですから……!」
P「……!?」
律子「ひとりに……してください……」
P(律子の目、赤くなってる……?)
律子「……」
ゴシゴシ
律子「プロデューサーには昨日からお世話になりっぱなしですから……これ以上迷惑、かけられません」
P「迷惑だなんてそんな……」
律子「本当、あとちょっとの距離ですから、心配はいりません。お礼は後日、酔いがさめたときに……」
P「お礼なんていらないよ。ただ、ちゃんと家まで入っていくのを確認させてくれ。安心したいんだ」
律子「……」
P「……律子、お前どうしたんだよ? 様子がおかしいぞ」
律子「べつに、おかしくなんて……っ!」ジワ
P「……」
律子「……失礼しますっ」
P「あ、ああ……」
律子「……」
テクテク
律子「……っ……」
律子「ほんと、バカみたい……ひとりで舞い上がっちゃって、私……」
律子「う、うぅ……」
律子「ま、まだ、泣いちゃだめよ……」
律子「泣くのは、部屋に帰ってから……!」
P「なんで泣くんだよ」
律子「!? ぷ、プロデューサー!?」
P「……やっぱり、ほっとけないよ。フラフラじゃないか」
律子「……やっぱり、優しいですね、プロデューサー殿」
P「茶化すなよ」
律子「べ、べつに茶化してなんか……」
P「律子が俺のことプロデューサー殿って言うときは、大体そういうときだろ?」
律子「……そうでしたっけ?」
P「いや、まあ……、そうじゃないときもあるけど」
律子「……」
P「……なあ、律子」
律子「なんですか……?」
P「なんで、涙を流す必要があるんだ? 何かあったなら、相談してくれよ」
律子「……あなたには、言えません」
P「……どうして?」
律子「あなたのことだから、言えないんです……」
P「俺のこと? それなら尚更……」
律子「あっ、い、いいえ! ……やだもう、まだ酔ってるのかしら……!」
律子「と、とにかく……私はさっきも言ったように、ひとりで帰れますから」
P「……」
律子「……それじゃあ、おやすみなさい」タタッ
P「ちょ、待てよ!」
ガシッ
律子「っ! は、離して……っ!」
P「……いいや、離さない」
律子「どうして!?」
P「律子が泣いているからに決まっているだろう!? ひとりにしたくないんだよ、わかってくれよ!」
律子「そ、そんなに優しくしないでくださいっ!」
P「律子のためにやってるんじゃないっ! これは、俺がしたいからしてるんだ!」
律子「な……あなたに、なんの関係が……!」
P「関係大アリだ! 律子が泣いてるなら、俺も悲しいからだよっ!」
律子「……っ!」
律子「な、なんで……そんな風に言ってくれるの……?」
P「……それは……」
律子「そんなこと言われたら……私だって、まだいけるのかな、って……思っちゃうじゃない」
P「……り、りつ――
律子「もう本当に、私に構わないでくださいっ!」
P「っ! な、なんでそんなこと……!?」
律子「なんでって、そんなの決まってるじゃない!」
律子「だ、だって、だってあなたは……!」
律子「あなたは、小鳥さんのことが好きなんでしょう!?」
P「……は?」
律子「私、知ってるんですからっ!」
律子「小鳥さんに対して、『好きですよ』って言ってるの、ちゃーんとこの耳で聞いたんですから!」
P「いや、いやいやいや。なんの話だよ……」
律子「誤魔化す気ですか!? いいですよ、それなら教えてあげますっ!」
律子「私、本当は……車の中で、寝たふりしてたんですよ!!」
P「車の中……?」
P「……」
P(! あ、あの会話か……!)
小鳥『……律子さんのこと、どう思います?』
P『好きですよ』
小鳥『……友人として?』
P『……どうなんでしょう。まだ、はっきりとは……』
小鳥『そうですか……それじゃあ、脈アリってところですね』
―――
――
―
P(なんということだ……律子の頭の中には、一番上の音無さんの台詞がすっぽり抜けてしまっているんだ)
律子「う、うぅう……」
ポロポロ
P「……」
P(こいつ……盛大な勘違いをしておられる……!)
P(いや、まあ、ちゃんと聞かれてたら聞かれてたで、ちょっと困ることになったけど……)
律子「さっきだって……! 小鳥さんの帰り際に、仲良さそうに……!」
P「そこまで見てたのか……」
律子「だっ、だから私にはっ、もう優しくしないで欲しいんです!」
P「……」
律子「うぇええん……!」
P(酒のせいか、いつもとはまるで別人だ……)
P「……」
P(どうしよう)
P(かわいい)
P(それならそうで、ちょっと余裕が出てきたな。もう少し様子を見よう……)
P「……なあ、律子」
律子「な、なんですか……」
P「たとえもし、俺が音無さんのこと好きだとしたって、それでなんで律子が泣くんだ?」
律子「そんなの、決まってるじゃないですか! プロデューサーは昨日も言ってくれたのに……」
P「え、昨日?」
律子「そうです、そーなんです! 昨日はあれだけ、私のこと……ゴニョゴニョ……って言ってくれたじゃない!」
P(昨日!? 酔って記憶を失っていたときのことか! な、何を言ったんだ……?)
P「……すまん、なんのことだかさっぱり覚えていない……」
律子「最っ低!!」
P「おっしゃるとおりだ……ごめんなさい」
律子「うぅ……だから、部屋にも行ったのに……すぐ寝ちゃうし……」
P「……」
P(なにそれこわい)
P(本当に俺、何を言ったんだよ!!?)
律子「もういいもん、律っちゃん帰る!」
P「お、おいおい、その発言はそりゃいくらなんでも壊れすぎだろ色々」
律子「昨日はこんな感じだったじゃないですかっ!」
P「本当かよ……信じたくない……」
律子「……」
P「……」
律子「……ごめんなさい、こんな迷惑、かけて……」
P「いや……」
律子「……よく考えたら、そうですよね。あなたが小鳥さんのこと好きだって、私が泣くのはおかしいわ」
P「……」
P(ここらへんが、潮時か)
P(律子の誤解を解こう……色々と、よくわからないところもあるけど)
P(とにかくそうしないと、いつまで経っても話が進まない)
P「なあ、律子……お前は、勘違いをしているぞ」
律子「な、なにが……!」
P「俺は決して、音無さんのことは好きではない」
律子「!? で、でも……」
P「毛ほども恋愛感情を抱いたことはないんだ……」
P「あ、いや、もちろん、嫌いじゃないけどな? むしろ素敵な女性だと思ってる」
P「でも――
律子「じゃあっ! 車で言った、『好きですよ』ってのは、誰のことを言っているんですか!?」
P「律子だよ」
律子「!!!?」
P「……なーんて……」
律子「そっ、そそ、そうですよね……私のわけない……そうだとしたらおかしいわ」ドキドキ
P(俺の意気地なし!)
律子「……はぁ……」
P「……」
律子「なんだか、今ので酔いもさめちゃいました」
P「いいことだ……酔っぱらったって、大抵ろくなことがないからな」
律子「でも、あなたの家に行けたわ」
P「でも、今みたいに律子を泣かせてしまった」
律子「……お酒の力って、こわいですね。私、今まで知りませんでした」
P「まだ二十歳になったばっかりだろ。これからゆっくり、身を持って知っていけばいいさ」
律子「……」
律子「もう、ダメ、ですね……」
P「え?」
律子「なんかもう、色々……私もう、疲れちゃいました」
P「疲れたって、何が……」
律子「隠すのに、疲れちゃったんです」
P「……隠す?」
律子「……私、思い返せば、色々ヤバイ発言しちゃってました。あなたは素面なのに……」
律子「それに、今日、事務所でも……亜美や真美にも言われたし、その……」
P「り、律子……?」
律子「……薄々、感づいてるとは思います。いくら鈍感なプロデューサーでも、さすがに……」
P「……」
律子「……」
律子「私、あなたのことが好きなのよ」
P「……え……」
律子「……」
P「ええぇえええ!!?」
律子「……なーんてね」
P「そ、そそ、そうだよな。そんなわけない……!」ドキドキ
律子「っていうのは、嘘です」
ぎゅっ
P「!?」
律子「仕返し、しただけよ……」
P「な、なな、なんのことだ……!?」
律子「……さっき、誤魔化したでしょ? その仕返し」
P「……」
律子「目が泳いでる、口がパクパクしてる。……大体、そんなときは、何か大切なことを誤魔化してるのよ」
P「…………」
P(いつの間にか、律子のペースだ……なんだよ、なんなんだよ、俺……!)
P「な、なあ。一体、俺が何を誤魔化してるって……?」
律子「……車で言った、『好きですよ』ってのは、私のことを言ってくれたんですよね?」
P「……そ、それは……」
律子「……もう、ダメですよ」
P「……っ」
律子「もう逃がしません」
律子「女の私に、ここまで言わせたんだから……あなたも、本心を話してください」
P「……」
ドックン ドックン……
P(このタイミングだ)
P(このタイミングで、男を見せてやらないと……本当に俺は、どうしようもないダメ人間になってしまう)
P(いくじなしで、ヘタレで、クズな……本当のダメ人間に……!)
P「……俺は」
律子「……」
P「いや、違うな……俺も、だ」
P「律子のことが、好きだよ」
律子「っ!!」
P「同僚でも、友人でも……もちろん、アイドルとしてでもなく……」
P「ひとりの女の子として、律子のことが好きだ」
律子「そっ、それじゃあ……!」
P「……でもな。本心を話す、っていうなら……これだけじゃ足りない」
律子「え……」
P「正直に言って、俺は昨日まで、律子のことはそれほど意識してなかったんだ」
P「朝起きたら、律子が隣にいた……。そんなことがあったから、急激にお前のことを意識し始めたんだよ」
律子「……そ、そうですか」
P「自分でも、気持ちの変化がはやい奴だと思う。でもな……」
P「でも、そういった、ちょっとしたことがきっかけで……人の印象っていうのは、良い方向にも悪い方向にも変わるんだ」
P「俺はそれを、この年になって初めて知ることができた」
律子「……」
P「今までの律子の印象が、俺の中でガラッと変わってしまった。今日だって、一日中律子のことを考えていたんだよ」
P「律子は、とても魅力的な女の子だ。今まで意識してなかったのが、おかしいってくらいに……」
P「だからな――
律子「だーもう!! 話が長いっ!!!」
P「えっ」
律子「いいんですっ、そんなこと!」
P「いや、でも……」
ぎゅーっ
P「……っ」
律子「……いつから好きになった、とか……そんなことは、どうでもいいんです」
律子「前までの私は、ほんの少しでも……あなたが私のことを見てくれたら、それだけで幸せだった」
律子「それに比べたら、時間なんて些細なものです」
P「……」
律子「普段は、少しだらしないけれど……アイドルのみんなだけじゃなくて、私にも平等に優しくしてくれて」
律子「いっぱいいっぱい、助けてくれて……私が弱音を吐いたときも、励ましてくれて」
律子「そんなあなたが、私と同じ気持ちなら……私は……まるで魔法をかけられたみたいに、幸せになれるんです」
P「……いいのか、こんな俺で」
律子「そんなあなただからこそ、ですよ。こんなに、へタレで、ダメ人間だからこそ……」
律子「私は、そんな不器用なあなたのことが、こんなにも好きになれたんです」
P「あはは……真美たちの言ってたとおりだな。律子の彼氏はダメ人間だって」
律子「本当ですね、ふふっ……」
グリグリ
P「……頭グリグリするのはやめてくれないか」
律子「やです」
P「みぞおちに当たって苦しいんだけど……」
律子「私が今まで味わった苦しみに比べたら、これくらい」
P「え!? く、苦しみ?」
律子「そーですよ。あなたは、みんなに優しいから……そういうの見てると、胸がモヤモヤするんです」
P「……ごめんな」
ぎゅっ
律子「! ……や、やっと……抱き返してくれたわね……」
P「……これからは、律子のことだけ見るさ。今までの時間、苦しみ、全部取り返せるくらいに……」
律子「ふふっ……それも考え物じゃないですか? みんなのやる気をなくさせちゃダメですよ、プロデューサー殿?」
P「茶化すなって……」
P「……律子……」
律子「……っ」
律子「……ぷは」
P「……」
律子「……突然すぎじゃないですか? まだ、これしか、時間経ってないのに……」
P「時間なんて、関係ないんだろ?」
律子「ま、まぁ、そうですけど……」
P「初めて、キスをしたよ。不思議なもんだな……なんか、安心する」
律子「ふふっ……私は、ファーストキスじゃないですけどね」
P「え!?」
P「ま、まあ、やっぱり、律子はモテてただろうからな……いや別に、気にしてないけど」
律子「嘘ですよね?」
P「……うん……嘘だ。少し気にする」
律子「……初めての相手は、あなたですよ、プロデューサー」
P「……」
P「え? そ、それじゃあやっぱり、今のがファーストキスなんじゃないか! ドッキリさせないでくれよ……」
律子「いいえ、それも違います。今のは確かに、私にとって二回目のキス」
律子「そして、あなたにとっても……二回目のキス」
P「どういうことなんだ……」
律子「……昨日、あなたが寝てるときに……」
律子「その……、ね?」
P「……っ!」
律子「……ふふっ……」
律子「それで、今あなたがしてくれたのが……三回目、です」
律子「……私、家に戻ります」
P「あ、ああ。なんか突然だな」
律子「でもプロデューサーは、そこから動いちゃダメですよ?」
P「えっ」
律子「いいですか? 私があなたの携帯を鳴らすまで、ここにいてください」
P「……ああ、わかったよ」
律子「それではっ!」
タタッ
P「行ってしまった……な、なんなんだ……?」
カラカラ
律子「ただいま戻りましたっ!」
P「いやいやいや、帰るんじゃなかったのか?」
律子「戻るとは言ったけど、帰るとは言っていませんよ?」
P「……それに、その荷物は……?」
律子「明日のスーツと、化粧品と……、その他もろもろ、女になるために必要なものです」
P「……」
律子「……」スッ
ピッ プルルルル……
P「……電話?」
ピッ
P「も、もしもし……」
律子『それじゃあ、行きましょうか! もう動いていいですよ』
P「……えっと、どこへ行くって?」
律子『どこへって、そりゃ、決まってるでしょう? あなたの部屋ですよ』
―――
――
―
チュンチュン
ぴよぴよ
P「……」ムクッ
律子「……すぅ、すぅ……」
P「……」
P「どういうことなの……」
P「あ、いや、今度はちゃんとわかってるけど……」
P「なんか、色んなことがありすぎて、頭が付いていかないぞ……」
P「律子は……」
チラ
律子「……むにゃむにゃ……」
P「寝てるか……」
P(いやでも、こいつのことだからな。寝たフリの可能性もある)
P「……」
P「…………」
P「……いつつ。体が痛くて仕方ない」
P「……シーツも、洗わないとな……こんなにあ
律子「せ、セクハラですよ……」
P「やっぱり起きてたか……」
律子「……」
P「……」
ぴよぴよ
律子「……あ、朝ですね……」
P「そ、そうだな……外で小鳥も鳴いている……」
律子「……まだ、ちょっと痛いわ……もう、今日はまともに歩けないかも」
P「ははは……なんてリアクションすればいいんだよ」
律子・P「「……あのっ!」」
律子「……ふふっ。今度はプロデューサー殿からどうぞ?」
P「あ、ああ……それじゃあ、まず……」
P「……愛しているよ、律子」
律子「……ふふふ。私も、同じことを言おうとしてました」
P「……こんな風に、朝起きたら誰かが隣にいるっていうのは、いいものだな」
律子「あら、誰でもいいんですか?」
P「……」
律子「なーんてね。わかってます、ちゃんと」
P「言わせんな恥ずかしい……」
律子「冗談、です。あなたの気持ちは、昨晩、いやってほど聞きましたから」
P「いやだったのか?」
律子「言わせないでよ恥ずかしい……」
P「……いつか」
律子「え?」
P「今日みたいな日だけ、じゃなくてさ……いつか……」
P「毎日毎日、こうして、朝起きたときから顔を合わせられるようになれたらいいなって思うよ」
律子「っ!」
P「ど、どうした? そんな顔して……」
律子「……ぷ、プロポーズみたいに聞こえるんですけど……」
P「え? ……っ!!!」
律子「あ、いやでも、いつかはとは私も思いますけど、まだそれは気が早いというかっ」
律子「お互い収入が安定して、十分な貯蓄をして、将来設計の見通しが立ってからでも決して遅くはわわわ」
律子「事務所設立の夢もありますししし」
P「お、おお、落ち着け! ……っていうか、事務所設立? なんの話だ?」
律子「いっ、いえっ、なんでもないですっ」
P「……」
律子「……」
P「……は、はは……」
律子「ふふ、ふふふ……」
P・律子「「あはははは!」」
P「それじゃあ……まずは、はりきって仕事をしないとな!」
律子「そうですね! 今日もアイドルたちが、私たちの指示を待ってますからっ!」
P「一緒に、頑張っていこう。もちろん、仕事だけじゃなくて……」
律子「ええ! 朝起きたときから、夜寝るまで……」
律子「いつまでも、私の隣にいてくださいね! プロデューサー!」
おわり
でも少し休憩したあと、後日談も書いていく
【後日談】
P(……さて)
P(朝起きたら律子が隣にいたあの日から、数日が経った)
P(俺と律子は……うん、仲良くやっている。詳しくは恥ずかしいからナイショだ)
P(しかし、俺にはまだ、わかっていないことがいくつもあるのだった)
P「その一つが、伊織。お前だよ」
伊織「一体なんの話よ……藪から棒に」
P(伊織は、やよいと亜美、真美になにやら色々と話をしていたらしい)
P(俺と律子が話しているのをジャマしちゃだめ、とやよいに言って……)
P(真美たちには、律子と俺が付き合ってるだの……あ、いや、違ったっけ?)
P(……律子に聞いてみてもよかったんだけど、まあ今日こうやって本人を捕まえられたからな。ちょうどいいや)
伊織「ところであんた、良かったわね! 聞いたわよ」
P「え? なんの話だ?」
伊織「律子と、無事に付き合うことになったんでしょ? あんたにしてはよくやったじゃない!」
P「あ、ああ……まぁ一応、ありがとう。律子から?」
伊織「ええ、そうよ」
P「……」
伊織「それで? この宇宙一の天才美少女キューピッドアイドル水瀬伊織ちゃんに、なんの用があったわけ?」
P「キューピッドって……まあ、報告も兼ねてだな」
伊織「あら、わざわざ報告だけしに来るなんて殊勝なことね。でも別に、間に合ってるからいらないわよ」
P「あ、いや、それだけじゃなくて……伊織、お前は一体何を知っていたんだ?」
伊織「? 何を、って?」
P「律子のことだよ」
伊織「そんなの、全部に決まってるじゃない! にひひ♪」
P「……ぜんぶ?」
伊織「もっちろん! 律子がプロデューサーのことを意識し始めたときから、今日のことまで、全部よ」
P「えっ」
伊織「律子が竜宮小町のプロデューサーになって間も無く、あんたが765プロに入社したじゃない?」
伊織「そのうち、『あら? おかしいわね』って思ってちょっとつついてみたら、ポロポロポロポロ……」
P「……」
伊織「あのときの律子ったら、イジイジしてて仕方なかったからね」
伊織「だから、この私がひと肌脱いでやろうって思ったわけよ! 感謝しなさいよね!」
P「……それで、やよいや亜美たちに?」
伊織「あら、知ってるの? ……ま、本当はやよいにだけ、ジャマしないように、って言うつもりだったんだけど……」
P「運悪く、あのふたりに捕まってしまったのか」
伊織「……そんなところよ。思い出したくもないわ、あのくすぐり地獄……」
P(亜美たちからどんな拷問を受けたんだろう……興味津々なときのアイツらは、律子でもなかなか止められないからな)
P「と、ところで、伊織」
伊織「なあに?」
P「全部ってことはだな……あの、律子が俺の家に泊まったことも……?」
伊織「ええ、知ってるわよ。付き合う前にそういうことするなんて、律子らしくないと思ったけど……」
伊織「ま、結果としてそれが良い方向に転んだんだから、私は別に責めやしないわよ」
P「……付き合う前?」
伊織「? そうでしょ? その一回きりだって、律子が言ってたけど」
P「……」
P(まあさすがに、言えない範囲のことはあるよな)
P(……よし、ここはひとつ)
P(俺の口から、あの日――俺と律子が付き合い始めたあの日の夜、何があったかを伝えてやろう)ニヤリ
P「……伊織。ちょっと耳を貸せ」
伊織「なによ……」
P「……実はな……」
伊織「は、はやく言ってちょうだい。くすぐったいじゃない」
P「律子が俺の家に泊まったのは、一回だけじゃなくて……」
伊織「え? そうなの?」
P「……本当は……」ヒソヒソ
伊織「……」
伊織「……――~~!!!」
伊織「ばっばばばばばバッカじゃないの!!?」
伊織「ももっ、もしそうだとしたって、なんでわざわざ私に言う必要があるわけ!?」
P「いや、伊織が知ってることを、ちゃんと本当の意味で全部にしてあげたいかなーって」
伊織「いらないわよこの変態っ! ド変態っ!! 変態大人っ!!!」
P(かわいい)
―――
『律子に言いつけてやるんだからっ!』
P(と言いながら、伊織は涙目でこの場を去ってしまった)
P(少し、イジワルが過ぎたかもしれない。まぁ、勝手に色んな噂を流した罰だな)
P(……あとで、律子からどんな顔で何を言われるんだろう。今から楽しみだ)
P「さて、と……」
ガチャ
春香「おっはようございまーっす!」
あずさ「あら、プロデューサーさん、おはようございますー」
P「おお、ふたりとも。ちょうどいいところに……」
P「今日は、ふたりで一緒に来たのか?」
春香「はいっ! えへへ……電車の中で転びそうになったところを、ちょうどあずささんが現れて」
P「あれ? 春香が乗る電車って、あずささんは反対方向だから使わないはずですよね?」
あずさ「そうなんですけど~……、私、気が付いたら上りと下りを間違えて乗っちゃってたみたいで」
春香「あずささんのおかげで、痛い思いをしなくて済みましたっ♪」
あずさ「ふふっ、私も、春香ちゃんに会えたおかげで遅刻しないで済んだわ~。ありがとね、春香ちゃん」
P「あはは……」
春香「ところで、プロデューサーさん。ちょうどいいところ、って言ってませんでした?」
P「ん、ああ。実はだな……ふたりにも一応、報告しとかないと、と思って」
あずさ「報告、ですか~?」
P「律子から、何か聞いていませんか?」
あずさ「んー……特には、何も聞いていませんけれど……」
春香「……律子さん……?」
P「ああ、実はな。俺達……」
―――
春香「……え……律子さん、と……プロデューサーさんが……?」
あずさ「……っ」
P「ああ、付き合うことになったんだ。ちょうど、今週の頭くらいからな」
春香「……」
P「春香は俺が担当するユニットのリーダーで……」
P「それに、あずささんは律子の担当するアイドルだから……一応、ふたりにも報告しとくよ」
春香「……」
P「……春香? どうし――
春香「おめでとうございますっ!!」
あずさ「……春香ちゃん……」
春香「えへへ、そうならそうと、はやく言ってくださいよぅ。私とプロデューサーさんの仲じゃないですか!」
P「……すまないな、ちょっと時間が作れなくてさ」
P(春香……?)
春香「詳しく聞かせてくださいよ! どっちから告白したんですか?」
P「うん、ああ……一応、律子から……」
春香「わぁっ、律子さんすごーいっ! わ、私なんかじゃ……とても……」
あずさ「……プロデューサーさん。私からも……おめでとうございます」
P「……ありがとうございます」
あずさ「ふふっ、律子さん、ようやく実ったんですね」
P「あずささんも、伊織と同じように、律子から聞いていたんですか?」
あずさ「いえ、そういうわけではないのですけれどー……見ていれば、なんとなくわかりましたから」
P「そうですか……」
春香「プロデューサーさん! それでそれで、プロデューサーさんは、いつから律子さんのことを?」
P「な、なんだ? やけに聞きたがるな」
春香「えへへ、だって、恋の話は女の子みーんな大好きなんですよ! だから――
あずさ「あらっ、いけない、もうこんな時間だわ。春香ちゃん、行きましょう?」
春香「え? で、でも……」
あずさ「いいからいいから。さっき音無さんに呼ばれていたのを、すっかり忘れてたのよ~」
―――
P「行ってしまった……」
P「なんだろう……。春香、あのときみたいに……少し、様子がおかしかったような」
P「……」
P「……俺は……、何か間違ったことは……してないよな……?」
P(こう考えること自体が大きな間違いだったのに気付いたのは、それからずっとずっとあとになってからだった)
P(春香が何を考えて、何を思っているのか。どうして、あんな乾いた笑顔を浮かべていたのか)
P(……しかし、それはまた、別の話だ)
―――
「……うん、そうね……」
「ごめんね、春香ちゃん。私……なんとなく、気付いていたのに……言えなくて」
「……私? 私は……大丈夫よ」
「本当よ……それより、つらいのは春香ちゃんでしょう? ……ずっと、プロデューサーさんとふたりで頑張ってきたものね」
「……こっちにいらっしゃい」
「いいのよ、気にしないで?」
「……ええ、大丈夫。全部、わかってるから……」
P「……」
P「……」
P「……律子に、会いたい」
P(わからないことは、まだまだたくさんある)
P(しかし、この言いようもない不安を消すには……律子に会うしかないと、そう思った)
P(いつの間にか俺は……随分と、律子に甘えるようになってしまっていたみたいだ)
―――
律子「……あ、プロデューサー!」
P「おお、律子……」
律子「すみません、お待たせしちゃって……」
P「いや、いいんだよ。仕事もあっただろうし、急に呼び出したのは俺だからな」
律子「どうかしたんですか?」
P「うん、まあ……自分でもよくわからないんだけどな。追々話していくよ」
律子「……?」
P「……」
律子「あ、あの、まさか……」
P「え?」
律子「……いやな話……?」
P「いやな話って……」
律子「……」ジワ
P「!? ああいやいや、律子が想像しているようなことじゃない!」
律子「ほ、ほんとう……?」
P「本当、本当だよ。約束しただろ……簡単に律子と離れるようなことはしないさ」
律子「……」
ゴシゴシ
律子「そ、そうですよね……やだ、私ったら、随分涙もろくなっちゃって」
P「……言い方が悪かったな。すまない」
律子「い、いえ、いいんです! 私が勝手に勘違いしちゃっただけだから……」
P「そういうの、考えちゃうのか?」
律子「……ええ、まぁ……今が幸せな分、余計にね」
律子「き、気を取り直して! プロデューサー、おなか減ってませんか?」
P「まあ、空いてるには空いてるな」
律子「それじゃあ、まずは軽くご飯を食べましょう。えっと、たるき亭でいいかな……」
P「……律子」
律子「……あ。や、やっぱり、ちゃんとデートっぽいところのほうがいいですか?」
律子「コストパフォーマンス的に考えたら、あそこが一番いいんだけど――
グイッ
律子「っ! ちょ、いきなり引っ張らないで……」
P「俺の家に行こう」
律子「……え……?」
P「俺は、はやく律子とふたりきりになりたいんだ……ダメかな?」
律子「……」
律子「い、いいですけど……」
律子「……な、なによ……いきなりそーいうの、ズルイじゃない」ドキドキ
ガチャ
律子「お邪魔しまーす……」
P「……」
律子「ふふ、ここに来るのも、もう何度目かしらね?」
律子「いちいち使い捨てを買うのももったいないし、今度来るときは歯ブラシでも持ってきて置いとこうかしら」
P「なんなら、同棲するか?」
律子「うーん、そうしたいのは山々ですけど……まだ気が早いですよ」
律子「そういうのは、色々準備が必要だし、あと覚悟も……」
P「覚悟なら、俺はもうとっくに出来てるんだけどな」
律子「……プロデューサー? なんだか、いつもと違くないですか?」
P「……」
律子「あはは、いつものプロデューサーなら、いつまで経っても悩ん――
ぎゅっ
律子「――でたり、するのに、あれ? お、おかしいな……」
P「……」
律子「……」
P「律子」
律子「は、はい……」
P「……いいか?」
律子「い、いいって、なにが……?」
ドックン ドックン……
P「……わかってるだろ?」
律子「……」
律子「うん……」
―――
――
―
―――
――
―
律子「……ふふ。本当に……、毎回そうなんですね」
P「ん? 何がだ?」
律子「こうやって、頭を撫でてくれることです」
P「……」
律子「男の人って、その……終わったあと、全部やる気無くなっちゃうんでしょう?」
律子「私のことは構わず、寝ちゃっててもいいですよ」
P「……いやだよ」
律子「いや、って……」
P「もっと、律子と話していたんだ。一秒だって惜しいくらいに」
律子「……っ」
律子「……あーあ。本当にもう……なんでかな」
P「どうしたんだ?」
律子「なんで……こんなに好きになっちゃったんだろ、って思って……」
P「……」
律子「特に取り得もない、ごく普通の人なのに……」
P「お、おいおい、失礼じゃないか?」
律子「でも、そうでしょう?」
P「……たしかに」
律子「……でも、良かったかもしれないわね。あなたが、超イケメンとかじゃなくて」
P「う、イケメンじゃなくて悪かったな……でも、なんでだ?」
律子「だって、例えばほら……ジュピターみたいな、女の子にすごい人気のある顔だったら」
律子「それで、あなたがところ構わずモテまくるような人だったら……私が独り占めできないじゃないですか」
P「……ま、そうかもな」
律子「だから嬉しいんです……」
P「……独り占め、か」
律子「……?」
P「なあ、もしも……もしもの話だぞ?」
律子「え、ええ……」
P「俺がさ、例えば……765プロにいる誰かに、好意を持たれていたら」
律子「っ!!」
P「律子は……どうする? どう思う?」
律子「なな、なんですか……? もしかして、こ、告白とかされたの……?」
P「……例えばの話だよ。そういうことは一切ない」
律子「……」
P「……」
律子「……わからないわ」
P「……そっか」
律子「でも、たぶん……今なら、はっきりと、負けないって言えると思う」
P「今なら?」
律子「……私の立場上、こういうことを言うのはまずいのかもしれないけれど」
律子「アイドルとプロデューサーの恋愛は、私はべつに、反対はしていないんです」
P「……意外だな」
律子「もちろん、公にするのはダメですよ? それでその子のモチベーションが上がるなら、それでもいいって……」
P「……」
律子「だから……、以前の私だったら、身を引いちゃうかもしれない」
律子「その子のためを思って……私が我慢することで、その子が幸せになるなら……」
P「そうか……」
律子「……でも、今は……いやです」
律子「私とあなたの仲に、誰も入ってきてほしくないから……あなただって、そうでしょう?」
P「うん……そのとおりだよ」
律子「……だから、たとえ誰かが、あなたに好意を持っていたとしても……。私はその子と、正々堂々、戦います」
どうせ貶されるんだろうなと思って選択した結果があれだよ!
ほんとこれ
最後の最後であの不意打ちは反則
急所にクリーンヒットしたわ
そのシーンが見たい聞きたいからアイマスを買ったと言っても過言ではない
P「そうだな……そうだよな。はは、それを聞いて安心したよ」
律子「こんなの、聞くまでもないですよ。当たり前じゃないですか」
P「……」
P(……律子の言葉を聞いて)
P(それまで俺の心の中で渦巻いてた、少しばかりの不安は……、見事に消え去ってしまった)
P(大したものだ……これが、誰かが隣にいる、ってことなんだな)
律子「……あの、プロデューサー?」
P「うん?」
律子「急にそういうこと言い出したってことは……何か、理由があるんですよね」
P「……」
律子「……教えてください」
―――
律子「……なるほどね。春香が……」
P「ま、まあ、俺の勘違いだとは思うんだけど」
律子「……」
P「……律子?」
律子「……あえて、ノーコメントにさせてもらうわ」
P「えっ」
律子「春香が何を考えているのか、私にもわからない。だから、何も言わない」
P「そ、そうだよな……」
律子「……」
律子「……大丈夫ですよ、プロデューサー殿」
律子「あなたが心配しているようなことは、何も起きませんから」
P「……」
律子「あなたはただ、いつも通りのプロデューサーでいてくれればいいんです」
律子「それが、あの子にとっても、そして私達にとっても……、ベストなカタチなんですから」
P「律子……」
律子「ふふっ、なーに、その顔? まるで子どもみたいね」
P「い、いいだろ! わりと不安は大きかったんだ」
律子「ぜんぶぜんぶ、そういう不安、吐き出していってくださいね?」
P「……ああ」
律子「……あなたの弱い部分を見れたら、私は嬉しい」
律子「それで、私があなたの力になれたなら……私は、もっと嬉しくなるんですから」
律子「……ふたりでいれば、悲しいことは半分に」
P「嬉しいことは、倍に……って?」
律子「ふふ、そーです、そのとおりですっ!」
律子「それが、ふたりで隣合って歩いていくということ……でしょう?」
P「……うん、そうだな!」
P(……俺たちの日々は、これからも続いていく)
P(ときにはこんな風に……うまく説明できないような不安に襲われることもあるだろう)
P(でも、そこに君がいれば……)
律子「ふふっ……きっと、ぜんぶぜんぶ、うまくいきますよ」
律子「だから、今日は安心して、眠ってください」
律子「明日の朝、目が覚めても……私は、あなたの隣にいますから」
P「ああ……」
律子「……おやすみなさい」
律子「私の、大好きな……ダーリン」
P「恥ずかしがるなら言わなきゃいいのに」
律子「う、ううっ、うるさいっ!」
おわり
りっちゃんかわいいよりっちゃん婚姻届渡したい
律子分が補給出来た
これでまた戦える
Entry ⇒ 2012.09.29 | Category ⇒ アイマスSS | Comments (0) | Trackbacks (0)
P「音無小鳥の休日」
小鳥(でも休みの日に片付けないといけないし)
小鳥(まずは部屋の片付けからさっさと終わらせちゃいますか)
小鳥「よっこいしょっと」シャー
小鳥「今日もいい天気!掃除機はっと」
小鳥「空になりたい じ~ゆ~なそ~らへ~♪」ガー
小鳥「始まりはどこになっるっのっ?っと雑誌吸い込んじゃった」
ハルハハナヲイッパイサカセヨ~♪
小鳥「あら誰から電話からしら プロデューサーさんだわ」
P「もしもし、おはようございます」
小鳥「おはようございます プロデューサーさん どうしたんですか事務でわからないことでも?」
P「いや、そうじゃなくてですね。今日お休みですよね?何かご予定ありますか?」
小鳥「いえ、恥ずかしながらこれといって特にないんです…タハハ」
小鳥「え?わ、私とですか?」
P「い、嫌だったら別にいいんです。たまたま半休でこのあと予定もなくて一人は少し寂しいというかなんというか他のアイドル達もそれぞれすることがあって、そんなとき音無さん今日休みだなーとたまたま思い出したと言うかなんというか…
一緒に御飯食べられたらいいなーと言うかそれはそれでご迷惑なるかもしれないけどでも音無さんの私服とか少し気になってる自分が居たりするわけで…」
小鳥「プ、プロデューサーさんちょっと落ち着いてください」
P「あ……すいません… なんでもない…です」
小鳥「あ、あの大丈夫ですよ」
P「え?」
小鳥「お昼ご一緒させてください プロデューサーさん」
P「は、はい!」
小鳥「じ、じゃぁどこに行けばいいですか?
P「1時半に駅前ロータリーでどうです?」
小鳥「わかりました 1時半にロータリーですね」
P「はい」
小鳥「それではまた後で」
P「失礼しつれいします」ピッ
小鳥(お昼ごはんかー 休日に男性の人とご飯食べるなんてどれくらい振りだろ…)
小鳥(しかもプロデューサーさんとかぁ… ふふふ あのプロデューサーさんが慌て方ちょっとかわいかったなぁ…ふふっ)
小鳥(プ、プロデューサーさんもしかして…いやいや駄目よ小鳥勝手に暴走していつも最後に玉砕するじゃない)
小鳥(お昼ごはん一緒に食べるだけじゃない 妄想は辞めておきなさい)
小鳥(1時に家を出れば間に合うからお風呂でも入っちゃいましょうかね。特に意味は無いけど)
小鳥(下着は… これよね 特に深い意味は無いけど…)
小鳥(洋服何着て行こうかしら…プロデューサーさん私服が気になるとか言ってたような気がするけど…)
小鳥「う~ん…」(プロデューサーさんが好きそうな服ってどんなのだろう?)
小鳥(あまり派手じゃなくカジュアルっぽいほうがいいのかな?)
小鳥(まず少し冷静に整理してましょう)
小鳥(プロデューサーさんは仕事終わりなのでスーツなのは間違いないわね)
小鳥(そしてその隣にいる私…)///
小鳥(ぎこちない距離は少しずつ近くなり、手の指と指が触れ合う…)
小鳥(一瞬触れ合った指に二人はドキッとして手を引っ込めるも、ゆっくりと手を差し出しギュッと…キャーキャー///)
小鳥(よし、この前雑誌の一式セットを衝動買いで揃えちゃったやつにしよう あれなら派手でもないし!多分…)
小鳥(べ、別にデートとかじゃないし ご飯食べるだけだし プ、プロデューサーさんだって特別そんな)
小鳥(で、でももしもプロデューサーさんが私のことをす、す、好きだったり(きゃー)したら…)
P『小鳥愛してるよ』
小鳥『私も愛しています』
P『なんて君は美しいんだ まるで世界の美しいをかき集めて造られた女神のようだ!』
小鳥『プロデューサーさんこそとても素敵よ まるでこの世のカッコイイを凝縮したような絶対神のようだわ!』
P『俺の女神よ結婚しよう!』
小鳥『はい』
小鳥「えへ…えへへ…」
小鳥「いけないっ早くしないと」チラッ 12:35
小鳥「もうこんな時間!?なにしてんのことりー!!」バタバタ
小鳥「お化粧もしないといけないのに!」
小鳥(下地は今日は軽めで目元だけファンデを少し厚めにする感じで…)パタパタ
小鳥(シャドウは…ちょっとだけラメ入り使っちゃおう 口紅も今日はグロスと混ぜちゃおう)ンーパッ
小鳥(よし!間に合った 急いで行かないとっ っと今日ぐらいクロエ使ってもいいよね?)シュッ
小鳥(それでは!)
小鳥「いってきます!」フンスッ
小鳥「ま、間に合った…」ハァハァ…
P「音無さん」
小鳥「あ、プロデューサーさんすいませんお待たせしました」ハァ…ハァ…
P「何言ってるんですか、時間前ですしこちらから突然お誘いしたのになんか申し訳ないぐらいです」
小鳥「大丈夫ですよ、ちょっと準備に色々と余計に時間かかってしまって…」
P「…とても似合っていて素敵ですね」
小鳥「え…」
小鳥「ぁ…」カァァァァ///
小鳥「あ、ありがとうございました じゃなくてございます…」/// (い、いきなり褒められちゃった褒められちゃったびっくりしたびっくりした)
P「それでは行きましょうか」
小鳥「は、はい!」
イメージ
小鳥「特にないですね。なんでもいいですよ」
P「じゃぁ最近のお気に入りのお店行きましょうか。ランチが美味しんですよ」
小鳥「はい」
P「なんだろ…今日この道人が多いな」
小鳥「ホントですね なにかあるんでしょうか?」
P「あーあれですね」
小鳥「◯◯プロのアイドルのゲリラライブですかー」
P「ゲリラなのに人が集まってるってことはファンだけには告知されてたのかな」
小鳥「そうかもしれませんね」
P「しかしこう人が多くちゃな…」
小鳥「はぐれちゃいそうですね」
P「よし…」ギュ
小鳥「手が…ぁ…」///
P「はぐれないように…」///
P「///」
小鳥(プロデューサーさん耳が真っ赤…恥ずかしいのかな?)
小鳥(そりゃそうよね今時の若い子じゃあるまいしはぐれないために手をつなぐなんて恥ずかしいわよね)
小鳥(私も今すごく恥ずかしい…けど嫌じゃない寧ろなんかぽわぽわする…)
P「音無さん大丈夫ですか?」
小鳥「は、はい だいじょーぶれす」
P「ふぅ やっと抜けれましたね」パッ
小鳥(ぁ…)「そうですね 予想以上に多かったですね」(手離れちゃった…)
P「お店もうすぐです いきましょう」
小鳥「はい」
マスター「いらっしゃいませ」
小鳥「へーいい雰囲気ですね」
マスター「おや、珍しいですね今日はお連れ様とご一緒ですか」
P「はい、二人です」
マスター「奥の席へどうぞ」
小鳥「こんなお店どうやって見つけたんですか?」
P「少し前に番組の打ち合わせをするときに静かな場所を探しててですね」
P「偶然見つけたんですが、とても珈琲が美味しくてそれ以来ちょくちょく来るように」
小鳥「へーシックな雰囲気で落ち着きます」ピヨピヨ
P「マスター今日のランチはなんです?」
マスター「炙り照り焼きチキンサンドとサラダセットでございます」
P「じゃぁそれ一つと…音無さんはどうします?」
小鳥「わ、私も同じので」(よし、デートで一度は言ってみたかった台詞!)
小鳥「はい。お任せします」
P「じゃぁ珈琲はブレンドでお願いします」
マスター「かしこまりました」
小鳥(なんかプロデューサーさんいつもよりとても素敵に見える…)ポワポワ
P「今日は突然お誘いして申し訳ありません」
小鳥「い、いえ。どうせ休みの日なんて家でゴロゴロしてるだけですし」
P「そうなんですか?亜美や真美が『ピヨちゃんは休みの日は絵を描いてるんだよむふふなやつ』って言ってましたが」
P「音無さんって絵を描くんですね」
小鳥「い、いい嫌べ別に絵とか描いてませんよ あの双子ちゃんも何いってんだか はは ははは…」
P「そうなんですか 描いてたのなら見てみたいなと思ってたんですが」
小鳥(あの双子めプロデューサーさんになんてことを 明日とっちめちゃる…ってかなんで知ってるのよ)
小鳥「プ、プロデューサーさんは休日はなにしてるんですか?」
P「そうですね、テレビやネットで他のアイドルの同行チェックしたり、買い物ついでに音楽やヴィジュアルの傾向を調べたり」
小鳥「真面目ですねぇ」
P「あの娘達の頑張りをなかったコトにしたくないですから」
小鳥(なんてカッコイイ意見なのからし…それに比べて…)
小鳥「でもその中でもやっぱり少しは自分の時間を大切にしたほうがいいんじゃないでしょうか?」
P「はい、ですから今日お誘いしたんです」
小鳥「なるほど… ぇ?」
マスター「おまたせしました。炙り照り焼きチキンサンドとサラダセットでございます」
P「おお、美味しそうだ」
小鳥「わ、わぁ ほんと美味しそう」(ぇ?自分の時間大切 だから誘った 誰を?私を???)
P「でしょ?一見合わないような感じのからしがアクセントなんですよ」
小鳥「ほんとですね。からしって照り焼きに合わないイメージあるんですけど」
P「マスターの手作りらしいです」
小鳥「へぇちょっとレシピ教えてもらおうかしら」
マスター「企業秘密です」
P「ははは」
小鳥「うふふ」
小鳥(何気ない会話が楽しい 何故だろういままでと同じなのになんでこんなに楽しんだろう)
P「ごちそうさま」
マスター「お粗末さまでした」
小鳥「あーほんと美味しかった」
P「それはよかったです」
マスター「食後にお食べください」コトッ
小鳥「あ、チーズケーキ いいんですか?」
マスター「これはプロデューサー様のお連れ様へのサービスです」
小鳥「ありがとうございます」
マスター「プロデューサー様が女性の方をお連れするのは初めてのことでございますので」
P「ちょ、ちょっとなに言ってんですか!」
小鳥「そうなんですか プロデューサーさんモテるのに…」
P「辞めてください。そんなことないですよ」
小鳥(事務所のアイドルのこと気がついてないのかしら…これが噂にだけ聞くやれやれ系なのかしら)
小鳥「えっと…どうしましょ?」
P「思いつきでお誘いしたので後のこと考えてなかったのですが、このあともまだお時間あるのでしたら映画でも行きませんか?」
小鳥「大丈夫です 行きましょう」
マスター「本日はご来店ありがとうございました。またいらしてくださいませ」
小鳥「はい、また是非よらせていただきますね」
マスター「お待ちしております」
P「どれにします?」
小鳥「私はどれでもいいですよ プロデューサーさんの見たいやつで」
P「音無さんこれは前のやつ見ましたか?」
小鳥「はい、今回で最終回で最後にあの台詞言うのは誰か気になってます」
P「ではこれにしましょう、ちょっと続き気になってたんですよね」
小鳥「ふふっ」
P「どうしたんですか?」
小鳥「なんというかこういうの久しぶりだなーって…」
P「映画ですか?」
小鳥「映画もそうですけど、誰かと一緒に待ち合わせして、御飯食べて、お喋りして、映画見て まるで…」
P「まるでデートしてるみたいですね まぁそのつもりで誘ったわけなんですけどね」
小鳥「!?」
ビーーー
P「始まりますよ」
小鳥(落ち着きなさい小鳥 浮かれすぎて私の妄想が幻想になって幻聴が聴こえたのかもしれない)
小鳥(もしかして今私が現実を思ってることは全て私の妄想かもしれない)
小鳥(実は私は待ち合わせのロータリーに着く前に事故にあって今も意識不明の状態でそれが見ている走馬灯だったり…)
スクリーン
男『誰か警察読んでくれ!』
人形『やぁブラッド やぁライアン ゲームをしよう』
小鳥(そうよゲームかもしれない きっとこれは誰かが仕組んだゲームなのかも…)
小鳥(二人で生き残っちゃえばいいのよ。そして友情から先の向こうへ…うふふ)
P(小鳥さん楽しそうだなぁ可愛い でもこんな場面で笑ってるのは少しどうかと思うけど…まぁ可愛いからいいか)
プルルルル
刑事1『あぁどうした?』
刑事2『58丁目の廃車置場にいる』
刑事1『なんで?』
小鳥(なんか気が付けばストーリー結構進んでてゲームが2つほど終わってた…)
小鳥(今は映画に集中しましょ)
P「…」
人形『やぁボビー ゲームをしよう』
小鳥「…」
P「」ソッ
小鳥(ピヨッ!? プ、プププロデューサーさんが手手お手々…)
P「」ギュッ
小鳥「そ、そんな迷惑だなんて…寧ろ ゴニョゴニョ…」/// ギュ
P「…」
小鳥「///」(何が起こってるの?私の身に一体何が起こってるの?)
小鳥(ついに私は妄想を具現化する念に目覚めたの?長年の妄想がクラピカの鎖のように…)
小鳥(こ、小鳥とにかく落ち着くのよ素数を数えましょう 素数がいち 素数がに 素数がさん 素数がよん…)
小鳥(状況を整理しましょう!まず朝起きて掃除してたら電話かかってきて、ボビーは被験者じゃなかったのね)
小鳥(それがプロデューサーさんでお昼ごはんに誘われて、やっぱり居場所バレてたのね警察も役立たずだわ)
小鳥(この人友近に似てる…そのあと一緒に御飯食べて…うわぁ痛そう)
刑事1『発信元は特定出来るか?』
刑事1『わかった!いくぞ』
小鳥(照り焼きチキン美味しかったなぁ マスターもすごく良い人で あ、これ罠だわ)
小鳥(これ多分私わかっちゃった そのあとプロデューサーと映画見ようってことになって)
小鳥(プロデューサーさんが『デートのつもりで誘った』って言って…)
小鳥(今はプロデューサーの手が私の手をしっかりと握って…御飯食べる前ははぐれないようにってことでそんなに意識はしなかったけど、いや実際は結構ドキドキしてたけど
今は完全に手をつなぐと行為自体に意味があって手が温かくてなんだか顔が熱くなって、でもでも別に嫌じゃなくってむしろとっても安心するというかなんというか)アワアワ
小鳥(…あかん)プシュー
小鳥さん「そうですね」(後半殆ど頭に入ってなかったけど、ラストだけ見る限り私の推理はあたってたみたい)
小鳥(何よりまだ手を繋いでいるという事実が私を現実から遠ざけている)
P「でもやはり1が一番好きです」
小鳥「ぴょぇっ!?す、好き!?」
P「一作目はやはり完成度が違いますね 4~6当たりはかなり中だるみしてましたけど」
小鳥「えぇえ そそうですね 私的にはアマンダは嫌いではないですよ」
P「そこは結構意見がわかれるところですね」
P「日没後の薄明この時間帯に出来る影が殆ど無い状態をマジックアワーマジカルアワーって言うらしいですよ」
小鳥「ロマンチックですね」
小鳥「でもとっても幻想的…」
P「…小鳥さん」
小鳥「はい?」
小鳥「…ん? はっ」カアァァァァッ///
P「構いませんか?」
小鳥「は…い」
小鳥(きゃー初めて名前で呼ばれた…きゃーなんでプロデューサーさんに呼ばれるとこうも響きがちがうんだろう…)
P「何か飲みにいきましょうか …小鳥さん」
小鳥「…はい」///
小鳥(やばいすっごく恥ずかしい!でも嫌じゃない)
「、、、となしさん」
「、となしさん!」
P「音無さん起きてください!」
屋上ピヨ
P「いい飲みっぷりですね」
小鳥「やっぱ休日はお酒ですね!」
P(さっきまで借りてきた猫のようだったけど、お酒飲んでいつも通りだ)
小鳥「すいませーん 生一つ~」
ハイヨロコンデー
P「でもこういった場所でよかったんですか?」
小鳥「いいんです。気兼ねなくいつも通り普段のように飲むのが一番なんです」
P「そうですね 少しだけ無理してたのかもしれないな」
小鳥「さ、プロデューサーさんも飲みましょう!」
P「はい、音無さん」
小鳥「な、名前で呼ばないんですね…」
P「やっぱりちょっと恥ずかしくて…慣れるまで少しずつ…」
小鳥「りょーかい」
小鳥「すいませーん 鶏軟2つお願いします」
P「そうですね」
小鳥「それに若くてやる気に満ちてて、元気いっぱいで」ゴクゴク
P「そうですね」
小鳥「あの子達見てると私も頑張んなきゃ!って気になるんですよ」ゴクゴク
P「俺もそうです。絶対にトップアイドルにして見せます」
小鳥「よくぞ言った!それでこそ未来の765プロを背負って立つアイドルマスターだ!」ゴクゴク
P「背負って立つなんてそんな…それより音無さん、少しペースを落としたほうが」
小鳥「何いってんですか、夢は大きく!野望は強く!心は広く!ですよ!」ゴクゴク
……
「、、、となしさん」
「、となしさん!」
P「音無さん起きてください!」
小鳥「んぁ…」
小鳥「はっ!」(しまった!なんや今日は色々頭使って疲れたのか緊張しっぱなしで糸が切れたように最後にはっちゃけて寝てしまった…)
小鳥(あああぁぁぁ 恥ずかしい穴掘って埋まってしまいたい、寧ろ全て私の妄想であって欲しい…)
P「音無さん大丈夫ですか?」
小鳥「はひ、らいじょうぶですよ」
P「ろれつが回ってないじゃないですか」
小鳥「らいろうぶでふよ」
小鳥(思考ははっきりしてるのに口がうまく回らない…)
小鳥「はい」
P「少しこのベンチで休みましょう」
小鳥(夜風が気持ちいい…)
P「はい、珈琲」
小鳥「すいません」
P「いえいえ」
小鳥「・・・」
P「・・・」
なんで音無さんに戻ったのだろうか
>>148を拾いたいがために>>150で恥ずかしいとして元に戻しました 反省はしてない
小鳥(どうしよう…もうほんとやり直したい飲み屋前からやり直したい、禁酒しようかしら?ウン無理です)
P「気持ち悪かったり、辛かったら言ってください」
小鳥「もう大丈夫です ご迷惑をおかけしました」
P「迷惑だなんて思ってませんよ いつもよりちょっとだけ素の音無さんを見れてよかったです」
小鳥「忘れてください…///」
P「…風が気持ちいいな」
小鳥(この風すこし泣いています…って言いそうになった 我慢よ小鳥、これ以上雰囲気を壊しちゃ駄目よ!)
小鳥「そうですね」
P「じゃぁいきましょう」ギュッ
小鳥「…はい」///
P「今日は付き合ってくださってありがとうございました」
小鳥「いえ、こちらこそとても楽しかったです」
P「それはよかったです 俺もとても楽しかたです」
小鳥「…」(星が綺麗だな…明日もいい天気だろうな)
P「…えっと」
小鳥「?」
P「…月が綺麗ですね」
小鳥「…!」
小鳥(今日はもうとことん妄想したんだから、そろそろ現実を見なさい小鳥!ここでの選択肢は──)
小鳥「そうですね 雲もないし明日もいい天気になりそうですね」
P「…そうですね」
小鳥(あれ?あれれ?もしかして私間違っちゃった?)
P「…はぁ」
小鳥(明らかに選択肢ミスってますよね?ねぇ!?)
P「音無さ いや小鳥さん!」
小鳥「はい!」
P「…その えっと… 実は…ですね」
小鳥「は、はい…」ドキドキ (やっぱりこれは…これは!?)
P「…すぅ…はぁ 実はずっと…ずっと前」
小鳥(ずっと前頭三代目とか言わないよね いや小鳥自重せよ)
P「ずっと前から小鳥さんのことがす──」
小鳥(もしかしなくても告白キターーー!!)
P「…」
小鳥(噛みよった!?)
P「…くっ」
小鳥(プロデューサーさんが千早ちゃんみたいになってる…)
小鳥「プロデューサーさん」
P「はい…」
P「…」
P「音無小鳥さんのことが大好きです。付き合ってください」
小鳥「はい。私もあなたのことが大好きです。どうぞよろしくお願いします」
P「…き、緊張した」ヘナヘナ
小鳥「ちょっとプロデューサーさん!」
P「出来るだけ今日は小鳥さんの前でカッコつけようとしたんですけど…やっぱり駄目でした」
小鳥「そんなことないですよ。とってもかっこよかったです。ううん 今でも十分かっこいいです」
P「…」///
小鳥「こほん。プロデューサーさんこれからずっと私の居場所になってください。それだけで私は燃え尽きることはありません」
P「わかりました。小鳥さんも案外ロマンチストなんですね『よだかの星』なんて」
小鳥「『月が綺麗ですね』なんていう人に言われたくないです」
P「確かに…」
小鳥・P「あはは…」
小鳥「…」
だんだんプロデューサーの顔が近づいてきて…
御酒臭くないかな? お化粧崩れてないかな?
目はつぶったほうがいいよね 吐息がくすぐったい
今私とても幸せかも
次の私の休日は今日よりももっと素敵になりますように
終わり
Entry ⇒ 2012.09.29 | Category ⇒ アイマスSS | Comments (0) | Trackbacks (0)
響「ぐがー ぐがー」
千早「……」
響「…イビキやーん」
千早「……」
響「……」
千早「……」
春香「あっ!響ちゃーん!」
千早「ブフォッ」
千早「あら?」
響「……」
千早「コーヒーフレッシュを落としてしまったわ」
響「……」
千早「ちっぱい、ちっぱい♪」コツン
響「……」
千早「……」
響「千早…」
千早「何も言わないで」
千早「そうね…」
春香「えっと…何やってるの?」
響「暇つぶしだぞ」
春香「へー…」
千早「次は春香の番ね」
春香「えっ!?」
響「自分、千早がやったんだ。順番としては春香だろ?」
春香「えっ、私参加してないよ!?」
千早「はやく」
響「はやく」
春香「えぇー…」
響「ワクワク」
春香「ハルカです…」
千早「……」
春香「みんなに『普通』って言われるとです…」
響「……」
千早「……」
春香「ハルカです…」
響「……」
千早「……」
響「……」
千早「……春香」
春香「…うん」
千早「帰って」
春香「ひどい!」
響「帰れ!」
千早「帰れ!」
春香「うわぁーん!!」ダダダッ
響「何?」
千早「まな板ネタは…」
響「無し」
千早「そう」
響「千早のためを思っての判断だぞ」
千早「わかってるわ…」
響「……」
千早「……」
響「……」
千早「あら?結構酷くないかしら?」
千早「どうしたの我那覇さん。ボディービルダーごっこ?」
響「仮面ライダーBLACKの変身ポーズ」
千早「反応に困るわ」
バッ バババッ
響「自分、太陽の子!」
響「仮面ライダー ブラァーッ!」
千早「困るわ…」
響「……」
千早「もしーしあわーせー」
響「……」
千早「ちかくーにーあぁーってもー」
響「……」
千早「私なら飛ばないわね」
響「……」
千早「……」
響「……」
千早「…みらいーをしんじてー」
響「えっ!?」
千早「おはよう、デコちゃん」
伊織「おはよう、ちは…」
千早「……」
伊織「は?」
響「はいさい!伊織!」
伊織「え、えぇ。おはよう、響」
千早「? どうかした?」
伊織「…聞き間違いだと思うんだけど」
千早「何の事?デコちゃん」
伊織「やっぱり言ってるわね!デコちゃん言うな!」
伊織「私はデコじゃないからよ!」
千早「そんな事ないわ、みな…デコちゃん」
伊織「言い直してまで失礼な事を言うんじゃないわよ!」
千早「失礼?そうなのかしら」
響「自分には良くわからないぞ」
伊織「アンタたちはココで何やってるのよ!」
千早「暇つぶし」
響「暇つぶし」
伊織「……」
春香「……」
千早「知らないわ」
響「知らないぞ」
伊織「…そう」
春香(あ、話済ませちゃうんだ)
伊織「レッスンしないの?」
千早「3時からレコーディングなの」
響「自分は仕事ー」
伊織「何時から?」
響「わかんない」
伊織「は?」
伊織「まだ来てないのね」
響「今日は一緒に行く予定だからね。ここで待ってれば問題は無いさー」
伊織「ふーん」
千早「み…デコちゃんは?今日はオフのはずよね」
伊織「…まだ続いてたの、それ」
響「今やめないとタイミング逃すぞー」
伊織「今日は…何となく、かしらね」
千早「暇なの?」
伊織「…まぁ、そうね」
千早「…暇つぶし、していく?」
伊織「遠慮するわ」
伊織「あら。おはよう、やよい」
千早「おはよう、高槻さん」
響「おはよう、やよい!」
やよい「千早さん、響さん、おはようございますー!」
千早「高槻さんはお仕事?」
やよい「はい!もう少ししたら出ます」
伊織「ねぇ、やよい。私も着いて行って良い?」
やよい「え?いいよ。でも何で?」
伊織「…率直に言って暇なのよ」
響「じゃあ自分達と…」
伊織「いやよ。今日のアンタたち気持ち悪いもの」
雪歩「ただいま戻りましたぁ」
やよい「あっ、プロデューサー!」
P「おぉ、来てたのか。早いな」
雪歩「おはよう、やよいちゃん」
やよい「おはようございまーっす!」
千早「おはよう、萩原さん」
響「おはよー!」
伊織「おはよう」
雪歩「おはよう、みんな」
P「ん?三人とも何してんだ?」
千早「暇つぶしです」
響「プロデューサーを待ってたんだ」
P「俺を?何で」
響「今日のスケジュールわかんなかったからさ」
P「電話で聞けばいいのに…。今日は4時から俺と一緒にTV局だな」
響「4時かぁー…長いなぁ」
P「千早も早すぎじゃないか?」
千早「どうせ家に居ても音楽を聴くぐらいですし。少しは皆とコミニケーションをはかろうかと」
みんな『えっ!?』
千早「え?」
P「い、いや!驚いただけだ!」
伊織「ホントに今日は変だったのね…」
千早「そう…」
伊織「べ、別に悪いことだなんて言ってないじゃない!」
響「どうしたんだ?珍しいよね、千早がコミニケーションだなんて」
千早「何となくね」
響「そっか」
春香「コミニケーションで『帰れ!』とか言っちゃうんだ…」
P「春香?」
P「そうか」
春香「あれっ!?」
P「え?」
春香「いやいや、おかしいですよね?今のはもう少し食いつくトコでしょう?」
P「お、もうこんな時間か。そろそろ出ないと」
春香「わかりやすく流された!」
雪歩「あのぅ。お茶を煎れたので、飲んでいかれませんか?」
P「お、悪いな。じゃあもう少しだけ」
春香「しかも時間に余裕あった!」
P「どうした?」
やよい「今日伊織ちゃんが私の仕事に一緒に行っていいかって…」
P「それは別に構わないが…」
伊織「お願い。最近やよいと一緒に居れる時間少ないし」
P「まぁ伊織ならむこうの印象も良いだろうしな。ただ、ホントに見学だけだぞ?」
伊織「今日は働く気分じゃないわ」
P「そっか。よし、じゃあそろそろ行くか。雪歩、お茶ありがとな。美味しかったぞ」
雪歩「あ、ありがとうございますぅ」
千早「いってらっしゃい」
響「また後でねー」
春香「いってらっしゃーい…」
やよい「いってきまーっす!」
千早「…我那覇さん?今度は何?」
スゥ…ッ
千早「空手、…かしら?」
響「変…」
バッ バッ
響「身ッ」
バッ ババッ
響「仮面ライダーブラァーッ」
千早「……」
バババッ
響「アァールェッ」
千早「困るわ…」
春香「暇つぶしらしいよ」
雪歩「暇つぶしなんだ…」
千早「我那覇さんは…好きなの?仮面ライダー」
響「いや、別に」
千早「え?」
響「かっこいいとは思うけど、見た事はないんだ」
千早「でも今ポーズを…」
響「BLACKもRXも見た事は無いけど、変身ポーズがすっごく気に入ってさ」
千早「確かにかっこいいわね」
響「だろー!?いっぱい練習したんだ」
千早「番組を見ずに?」
響「うん」
千早「ありがとう、萩原さん」
響「雪歩、にふぇ~で~びる」
雪歩「うふふ、どういたしまして」
春香「あ、そうだ。さっき出しそびれちゃったけど」ゴソゴソ
響「春香、これって」
春香「サーターアンダギーだよ、サーターアンダギー!」
雪歩「春香ちゃん、これもしかして作ったの?」
春香「そうなの。響ちゃんに作り方教えてもらってね」
千早「サーターアンダギー?」
響「沖縄のお菓子さー」
響「ふふん。自分はサーターアンダギーにはちょっとばかしうるさいからな!」
雪歩「ほんと?」
響「ごめん。正直そうでもない」
千早「でも、沖縄の味を知っているのは我那覇さんだけじゃないかしら」
春香「そうだねぇ。私も一度響ちゃんの食べさせてもらったけど」
春香「自分の食べてみて『これでいいのかな?』って思っちゃった」
雪歩「私も沖縄行った事無いから…」
響「な、なんかちょっと…プレッシャー感じてきたぞ…」
春香「美味しく出来たとは思うんだけど」
千早「我那覇さんがオッケーを出すかしら」
響「そ、そんな言い方やめてよー!食べにくいじゃんかー!」
雪歩「いただくね、春香ちゃん」
春香「はいはーい。どうぞー」
モグモグ…
春香「ど、どうかな?」
千早「ドーナッツみたいなのね」
雪歩「あ、確かにそうかも」
春香「美味しい?」
千早「えぇ。とても美味しいわ」
雪歩「うん。春香ちゃんはお菓子作るの上手だねー」
春香「よかったー。響ちゃんは?」
春香「えっ」
千早「そうかしら?美味しいと思うけど」
響「可哀想に。本物のサーターアンダギーを食べた事がないんだな」
雪歩「なんだとぉ!し、失礼な奴だぁ!」
春香「ゆ、雪歩まで変になった!?」
響「一週間後、またココに来てください。本物のサーターアンダギーを食べさせてあげますよ」
雪歩「よ、よぉし!言ったなぁ!嘘だったらしょうちしねぇぞぉ!」
春香(あ、何か元ネタがあるのかな)
千早「どうしたのかしら?萩原さん」
春香「え?あ、うん。使ったよ?」
響「泡だて器使って、手でやった方が、もっとふんわりするよ」
春香「へー!そうなんだ!」
響「味はすっごく美味しいよ。自分のよりアッサリしてるから食べやすいし」
貴音(モグモグ)
春香「えへへ…ありがとう、響ちゃん。ちょっと砂糖を減らしてみたんだ!」
雪歩「あ、でも私、響ちゃんのも食べてみたい」
響「じゃあ一週間後…じゃなくても良いか。今日は無理だから、明後日持ってこようか?」
千早「一週間後じゃなくて良いの?」
貴音(モグモグ)
雪歩「あ、さっきのは『美味しんぼ』って漫画のパロディ?って言っていいのかな?」
響「雪歩が知ってて助かったぞ。あのままじゃ春香に酷い事言って終わってたさー」
千早「食べ比べが出来るのね」
春香「あー…比べられちゃうのは…」
響「ふふん!完璧な自分に恐れをなしたな!」
春香「いやいや、美味しく作りすぎて響ちゃんのお株を奪ってしまわないかと」
響「なにおう!こうなったら勝負だぞ!」
春香「望むところだよ、響ちゃん!」
貴音「食べ比べ…。まこと、良き考えです」
千早「四条さんは食べたいだけですよね」
貴音「うふふ…とっぷ」
春香「シークレットには、なってないと思いますけど…」
雪歩「誰もつっこまないんだ…。四条さんがいつの間にか居る事に」
響「もう慣れたさー」
雪歩「真ちゃーん」
真「あっ。サーターアンダギーだ。響が作ったの?」
響「ううん。春香」
真「おいしそー。一個貰っていい?」
春香「どうぞー。一個といわず何個でも」
雪歩「私お茶入れてくるね」
千早「今日は仕事?」
真「いいや。オフだから、これから雪歩とショッピングに行こうって約束してたんだ」
春香「いいなー」
雪歩「あ、じゃあ春香ちゃんも一緒に行く?」
春香「私もうすぐレッスンだよー」
春香「うぅー。はーい。行ってきまーす」
貴音「では、私もそろそろ」
響「貴音は今からどうすんの?」
貴音「私はろけ現場に赴かなければなりませんので」
響「そっか。…あれ?今日何の収録?」
貴音「『らぁめん探訪』です」
真「えっ?」
貴音「どうかしましたか、真?」
真「え、だって今までサーターアンダギー沢山食べてましたよね?」
貴音「空腹でしたので…」
真「これからラーメン食べるのに?」
貴音「? そうですが」
春香「さっきから、ちょいちょい古いよね響ちゃん」
響「わかる春香も同類さー」
真「毎回驚かされるなぁ、貴音さんには…」
雪歩「すごいですぅ…」
貴音「む。そろそろ向かわなくては」
真「あ、ごめんなさい。引き止めちゃって」
貴音「ギリギリになってしまったのは私の責任です。では、ごきげんよう」
真「はーい。いってらっしゃーい」
響「また明日ー」
春香「えへへ…。教材忘れてちゃった。もう一回、いってきまーす」
真「雪歩、そろそろボクたちも行こうか」
雪歩「うん、そうだね。じゃあ千早ちゃん、響ちゃん、バイバイ」
千早「えぇ。いってらっしゃい」
響「お土産よろしくなー」
真「アハハ…。いってきまーす」
千早「……」
響「……」
千早「…急に寂しくなったわね」
響「そうだなぁ」
響「……」
千早「…おいしいわね、コレ」
響「でしょ?サーターアンダギーね」
千早「でも、我那覇さんは不満が…」
響「ふ、不満って訳じゃないけど…。せっかくだから、もっと美味しくなるコツをと…」
千早「…美味シーサー」
響「ブフォッ」ゲホッゴホッ
千早「あ、ごめんなさい」
響「不意打ちは卑怯だぞ!」
千早「あ、私が行くわ」
響「いいよ、自分が汚しちゃったんだし」
千早「その原因は私が作ったのだから」
響「そうだね。じゃあ頼むよ」
千早「えっ」
響「え?」
千早「あ、いえ。じゃあ」
響「ありがとねー」
千早「美味シーサー…プフッ…」
千早「四条さんが随分食べていたものね」
響「やっぱり貴音は大食いだなー」
千早「大食いという域にはおさまりきれてない気がするけれど…」
律子「あら?」
響「律子ー。おはよー」
千早「おや、秋月律子ではありませんか」
律子「何よソレ。貴音のマネ?」
響「今日はずっとこんな感じだぞ」
律子「熱でもあるのかしら」
千早「うふふ、トップシークレットです」
律子「私を呼ぶときは『律子嬢』の方が多いわよ」
律子「そうかもね。私も久しぶりにスーツ以外で来た気がするわ」
千早「今日はどうしたの?」
律子「あずささんと一緒に、双海姉妹のおもり」
響「遊びに行くのか?」
律子「まーぁねー」
千早「あの2人も一緒なら…遊園地あたりかしら」
律子「おっ、鋭いわね」
響「おー、すごいぞ千早。名探偵みたいだ」
千早「ふふん」
響「さすがに事務所は大丈夫だろー」
律子「そうとも限らないのよねぇ」
千早「あらあら~」
響「…千早?」
千早「何かしら~?響ちゃん~」
響「マネをしても…胸は…」
千早「やめなさい。それ以上は命に関わるわよ」
律子「何?」
響「さっき千早は、美希や貴音のマネをしてたんだ」
律子「……」
千早「自虐じゃないわ。微かな希望よ」
律子「そんな希望無いわよ…」
千早「酷いわ、律子…」
律子「あっ!いや、別に見込みが無いとかじゃなくてね!マネをしたって…」
響「喋り方で成長したわけじゃないと思うぞ」
千早「…ハッ!確かに…違うかもしれない…!」
律子「『かも』じゃないわよ」
律子「あずささん…?」
pi
律子「もしもし」
あずさ『律子さんですか~?すいません、道に迷ってしまって~』
律子「はいはい。今どこかわかりますか?」
あずさ『見た事のあるカエルさんのお人形があるので、近くだとは思うんですけど~』
律子「カエルの人形…あの薬局かしら?わかりました。すぐ行きますね」
あずさ『すいません~』
pi
律子「って訳で、ちょっと迎えに行ってくるわ。亜美と真美が来たら伝えておいてくれる?」
千早「わかったわ」
響「伝えておくぞー」
響「……」
千早「……」
響「…そういえばさ」
千早「何?」
響「さっきあずささんのマネしてる時に気付いたんだけど」
千早「あなたから蒸し返すとはね」
響「ち、違うぞ!その話じゃない!」
千早「『その』?『その』って何を指しているのかしら」
千早「…ナニを?」
千早「……7」
響「もういい加減にしてよー!話が進まない!」
響「うーん。千早ってさ、あずささんや春香の事は『あずささん』とか『春香』って呼ぶよね」
千早「えぇ、そうね」
響「でも自分や貴音の事は『我那覇さん』とか『四条さん』って呼ぶでしょ?」
千早「そうね、それがどうかしたの?」
響「…うーん。わからない?」
千早「?」
響「まぁ自分から言うのも違う気がするけどさ、自分の事呼ぶ時に」
『ならば!応えよドモン!』
千早(ピクッ)
響「えっ?」
『流派!東方不敗はァ!!』
響「えぇ?」
亜美「全新!」
千早「系列!」
真美「天破侠乱!」
響「な、何?」
亜美・真美「見よ!東方は!」
亜美・真美・千早「赤く燃えているゥウ!!!」
響「何なんだよー!」
亜美「はよ→! ひびきん、千早お姉ちゃん」
真美「はよ→」
千早「律子ならさっき、あずささんを迎えに行ったわよ」
真美「そっか→」
響「なぁ…さっきの何だ?新しい挨拶?」
真美「ん?Gガンだよ→」
響「じーがん?」
亜美「Gガンダムですよ、Gガンダム!」
響「ガンダムなのか?」
千早「ガンダムでありながら、格闘を主力とする異色のモビルスーツの作品よ」
響「格闘?殴りあうのか?」
亜美「そのと→り!」
亜美「あっれぇ!?なんか興味なさげ!?」
真美「ねぇねぇ、千早お姉ちゃん。律っちゃんどこまで迎えに行ったの?」
千早「さぁ?…あ、でも近くのカエルのある薬局とか言ってたわね」
響「だってぇー。何か熱く語られそうなんだもん」
亜美「んっふっふ→!それはGガンを熱く語って欲しいって事ですなぁ?」
真美「あそこかぁ。じゃあ片道15分ぐらいかなぁ」
あずさ「あらあら~。じゃあ後、20分ぐらいかしらね~?」
響「え?」
千早「え?」
あずさ「え~?ダメだったかしら~?」
亜美「そもそもの企画の原案としてはだね、『ガンダムでプロレスを』という」
千早「あの…あずささんは道に迷っていたのでは?」
あずさ「それがね~、気がついたらココに着いていたの~。習慣って怖いわね~」
響「どうしよう。亜美の変なスイッチ押しちゃったぞ」
千早「確かに怖いですけど…」
亜美「主人公ドモン・カッシュは、デビルガンダムを作り出した事で、母親が死ぬ原因を」
真美「あ、そうだ。律っちゃんに連絡しなきゃ」
千早「そうね。早く呼び戻した方がいいわ」
亜美「キングオブハートの称号は、師匠である『マスターアジア』の」
pi
真美「律っちゃーん」
律子『真美?どうしたの?』
真美「あずさお姉ちゃん事務所に来た→」
律子『えぇ!?』
あずさ「すいません~。何故か着いちゃってました~」
律子『そ、そうですか…。じゃあ今から事務所に戻りますね』
pi
千早「出て行ったのが5分ぐらい前だから、5分ぐらいで戻ってくるでしょうね」
真美「何コレ美味しそ→!」
響「春香が作ってくれたサーターアンダギーだぞ」
響「皆に食べて欲しいんだってさ」
真美「じゃあいただきま→す」
響「お茶煎れてくるね」
あずさ「いいわよ響ちゃん~。私がやるわ~」
響「あずささんもアンダギー食べてるといいさー」
千早「亜美は食べないの?」
亜美「え?」
千早「アンダギー?って言うらしいわ。沖縄のお菓子なんですって」
亜美「ひびきんが作ったの?」
真美「はるるんだってさ→」
あずさ「おいしいわね~。…あら?この香りは…」
響「さんぴん茶だぞ。千早もどうぞ」
千早「ありがとう。…さんぴん茶?」
あずさ「ジャスミンティーね~」
千早「ジャスミン…。いい香りね」
真美「どったの?コレ」
響「自分が時々飲みたくなるから、事務所に置いてるんだ。好きに飲んでくれて構わないぞ」
亜美「今日は沖縄尽くしだNE!」
律子「ただいまー」
真美「あ、律っちゃんおかえりー」
響「さんぴん茶だぞ。律子もどうぞ」
律子「ありがとう。あら、サーターアンダギーもあるのね」
響「春香が作ってくれたんだ。事務所の皆で食べてってさ」
あずさ「あんまり食べると太っちゃうかしら…」
千早「……」
律子「さぁて、そろそろ行きますか」
あずさ「はい~」
亜美「待ってたぜェ!」
真美「待ちかねたぜェ!」
亜美「じゃ→ね→」
真美「いってきま→す」
響「お土産よろしくなー」
千早「我那覇さん…お土産頼みすぎじゃない…?」
響「そうかな?」
千早「そうよ」
響「そうかも…」
千早「……」
響「……」
千早「…また寂しくなったわね」
響「うん…」
響「さっき?」
千早「亜美、真美が来る前よ」
響「あぁー…あれなー…」
千早「……」
響「えっとね、千早はさ…」
千早「…何かしら?」
響「自分の事、『響』って呼ばないのか?」
千早「え?」
響「なんかさ、苗字で呼ばれて距離感じちゃってたんだ」
千早「ご、ごめんなさい…」
響「あ、違うの!今日一日で自分の勘違いだってわかったから!」
響「変なこと聞いちゃってごめんね。別にそう呼んでくれって事じゃないから」
千早「いえ。確かにちょっと距離を置いた部分があったかもしれないわ」
響「そうなの?」
千早「春香と比べて…って意味だけどね」
響「二人は親友だもんね」
千早「そうなのかしら?」
響「そうだよ」
千早「そうかもしれないわ」
響「『かも』じゃないさー」
響「……」
千早「あの…」
美希「ハァーニィイー!!」
千早(ビクッ)
響「うわ!」
美希「あれ?ハニーが居ないの」
千早「プロデューサーならまだ帰ってこないわよ」
美希「なーんだ。急いで損したの」
響「食べる?」
美希「なぁに、それ?」
美希「食べもの?」
響「お菓子だぞ」
美希「いただくの」
千早「……」
美希「んー♪おいしいのー!」
千早「はい、美希。さんぴん茶よ」
美希「ありがとうなの、千早さん。…さんぴん茶?」
響「沖縄のお茶さー。サーターアンダギーも沖縄のお菓子なんだ」
美希「おきなわ?じゃあコレ、響がもってきてくれたの?」
響「さんぴん茶はそうだけど、アンダギーは春香だぞ」
美希「春香ってこんなお菓子も作れるんだー」
千早「作り方は響が教えたらしいわ」
美希「ふーん。そうなんだ。ありがとね、響」
響「あ、いあ」
美希「春香にもお礼のメールしとこっと」
千早「もうこんな時間なのね…」
千早「じゃあ私、行くわ」
美希「あれ?どこか行くの?」
千早「レコーディングよ」
美希「いいなぁー」
千早「多分直帰だから。また明日、響、美希」
美希「ばいばーい、なの」
響「う、うん。また明日…」
響「もうすぐプロデューサー帰ってくるんじゃないかな?」
美希「ハニーが帰ってきたら起こしてほしいのー」
響「まぁいいけど…」
美希「すやすや…」
響「寝つきいいなぁ」
響「……」
響「『響』…か」
響「……」
響「あ、プロデューサー」
P「おっ、美味そうだな。サーターアンダギーか」
響「春香が作ってくれたんだ」
P「へぇー」
P「……」
P「…え?俺春香に嫌われてるの?」
響「出すの忘れてただけだって」
P「そっか。もらっていいのかな?」
響「いいでしょ。さんぴん茶飲む?」
P「あぁ、ありがとう」
P「ありがとう。一人だけか?」
響「あ」
美希「はぁーにぃー!」
P「のわっ!み、美希!」
美希「ぶー!響ー!起こしてって言ったのにー」
響「ごめんごめん。でも起きたんでしょ?」
美希「愛の力に不可能は無いの!」
P「なんでそんな壮大な雰囲気出すんだ」
響「あ、うん」
美希「えー!行っちゃダメなのー!」
P「無茶言うな。響は準備出来てるのか?」
響「大丈夫だぞ」
美希「ぶーぶー!」
P「…美希も着いてくるか?」
美希「え?いいの?」
響「自分は構わないぞ」
美希「いくのー!」
P「そっか。良かったな」
響「うん!」
響「それに、とっても嬉しい事があったんだ」
美希「なーに、嬉しい事って?」
P「俺も知りたいな」
響「美希はもう知ってるぞ」
P「何なんだ?」
美希「えー?なんのこと?」
P「美希もわからないのか?」
響「でも、何となく秘密だぞ!」
響「ぐがー ぐがー」
おわり
何だよこれ
途中何も言わずに抜けたのに保守してくれてありがとね
感想も嬉しかったよ、ありがとう
よかったよ
Entry ⇒ 2012.09.28 | Category ⇒ アイマスSS | Comments (0) | Trackbacks (0)
咲「和ちゃんと二人でお寝んね」
和「い、いえ (こ、これは……)」
咲「せっかくお泊りに来て貰ったのに、お布団用意出来なくて、1つのベッドで一緒に寝てもらう感じになっちゃって……」
和(昨晩、どうやって一緒のベッドで寝る展開に持ち込もうかと寝ずにずっと考えたのですが……)
咲「せ、狭くて嫌だよね?」
和「そ、そんな事ないですよ! (こんなあっさりと望んだ通りになるなんて……)」
和(お、お風呂上がりの咲さん……)ゴクッ
咲「じゃあ一緒に歯磨きしに行こう」
和「はい」
咲「……」シャカシャカ
和「……」シャカシャカ
咲「楽しいね」シャカシャカ
和「……?」シャカシャカ
咲「お泊り」シャカシャカ
和「! は、はい!」シャカシャカ
和「……」ギュチュグチュ
咲「……」ペッ
和「……」ペッ
咲「ふふ」
和「うふふ」
咲「じゃあお部屋行こっか」
和「はい」
和(こ、これで後は……もう寝るだけ……!)ドキドキ
咲・和「「……」」ドキドキ
咲「じゃ、じゃあ……」ドキドキ
和「は、はい」ドキドキ
咲「寝よっか」ドキドキ
和「は、はい」ドキドキ
咲「和ちゃん、どっちが良い?」ドキドキ
和「どっち……?」ドキドキ
咲「ベッドのこっち側とこっち側で……(な、なんか……緊張しちゃって……)」ドキドキ
和「ど、どっちでも良いですよ」ドキドキ
咲「そ、そっか。そうだよね。えへへ (すごくぎこちないよ~……)」ポリポリ
和「は、はい」ドキドキ
咲「……」スッ
咲「はい、良いよ」ドキドキ
和「では、私がこっち側に」ドキドキ
咲「うん」ドキドキ
和「……」スッ
咲・和「「……」」
咲「じゃ、じゃあ、横になろっか」ドキドキ
和「は、はい」ドキドキ
咲・和「「……」」ポフッ
咲・和「「……」」ドキドキドキドキ
和「は、はい」ドキドキ
パチッ
咲「ふぅ」ドキドキ
和「……」ドキドキ
咲「あのさ」
和「は、はい?」
咲「明日の朝、冷えるらしいからさ」
和「は、はい」
咲「もう少し、こっちに寄った方が良いよ」ドキドキ
和「! は、はい」ドキドキドキドキ
咲「……」ドキドキ
和(完全に密着した状態に……)ドキドキドキドキ
咲「の、和ちゃん」
和「は、はい?」
咲「……」
和「……ど、どうしたんですか?」
咲「なんでもないよ~」
和「な、なんですか」
咲「ちょっと……」
和「ちょっと……?」
咲「ちょっと呼びたくなっちゃっただけだよ。えへへ」
和「なにを言ってるんですか……(か……可愛い過ぎる……)」
咲「ふぅ」
和(胸の鼓動が……このまま今日は寝れるんでしょうか……)ドキドキドキドキ
咲「ね、和ちゃん」
和「!」
和「は、はい?」
咲「そっちに顔向けて良い?」
和「!」ドキッ
和「こ、こっちにですか……?」
咲「うん。いつも上を向いて寝る事ってあんまりないからさ」
和「そ、そうですか。い、良いですよ」ドキドキ
咲「……」スッ
和「……」ドキドキドキドキ
咲「今日はたくさんお話したね~」
和「そ、そうですね(今、私の顔のすぐ横には、こっちを向いた咲さんの顔がある……!)」ドキドキ
咲「いくらお話しても話が尽きないよね」
和「そ、そうですね」ドキドキ
咲「和ちゃんみたいなお友達が出来て嬉しいよ」ギュッ
和「!」
和(う、腕に……!)ドキドキドキドキ
咲「……」ギュッ
和「……っ」ドキドキドキドキ
和「……」ドキドキ
咲「和ちゃん」
和「は、はい?」ドキドキ
咲「原村さん」
和「……?」
咲「のどちゃん」
和「……」
咲「のどっち」
和「……」ジトーッ
咲「えへへ」
和「……なんですか」ジトーッ
咲「なんでもないよぉ~」
和「……(か……可愛い……)」
和「……」ドキドキ
咲「な、なんかごめんね」ギューッ
和「……?」ドキドキ
咲「こ、こんなくっついちゃって……えへへ」
和「! い、いえ……」
咲「なんか、人と一緒に1つのベッドで寝るのなんて、お母さんやお姉ちゃん以来だからさ……」
和「……」ドキドキ
咲「甘えたくなっちゃってさ。えへへ」ギュッ
和「!」
和「は、はい?」ドキドキ
咲「原村さんってさ」ギューッ
和「……」
咲「のどちゃんってさ」ギューッ
和「……」ジトーッ
咲「のどっちってさ」ギューッ
和「……」ジトーッ
咲「えっへへ」
和「さっきからなんなんですか……それ」ジトーッ
咲「なんでもないよぉ~」ギューッ
和「……」
和(なんなんですかこの愛らしさは……)ドキドキドキドキ
和「……」
和(またどうせあれですね)ツンッ
咲「あ! ツンってした~!」
和「またどうせ、原村さんだののどちゃんだのって言うだけしょ」ツン
咲「違うよ~! 用事があるんだよ~」
和「なんですか?」ツンツン
咲「あ~! ツンツンってしてる~!」
和「用事があるなら早く言って下さい?」フフン
咲「む~! じゃあ言うよ」
和「なんですか?」フフン
咲「和ちゃんってさ」
和「はい?」
咲「和ちゃんってさ、可愛いよね」
和「!」
和「なっ……なんですか……! いきなり……」ドキドキドキドキ
咲「? なにって……?」
和「いきなり……そ、そんな……可愛いだなんてゴニョゴニョゴニョ」ドキドキドキドキ
咲「だって……部屋の暗さに目が慣れてきてさ」
和「……」ドキドキドキドキ
咲「和ちゃんの横顔ずっと見てたらさ」
和「……」ドキドキドキドキ
咲「本当に綺麗なお顔してるなぁって思ったんだもん」
和「……」カァッ
咲「率直な感想を言っただけだよ」ニコッ
和「……」ドキドキドキドキ
和「……」カァッ
咲「そんな人と一緒にたくさんお話して」
和「……」
咲「こうやって一緒に寝れるなんて」
和「……」
咲「私、幸せ者だよぉ」ギュッ
和「……」ドキドキドキドキ
咲「……」ギューッ
和「……」
和「……」キリッ
咲「……?」
和「そ、そろそろ交代してください」
咲「? 交代……?」
和「は、はい」
咲「交代って……?」
和「わ、私も……」
咲「和ちゃんも……?」
和「その……さ、咲さんに……あ、甘えたいです」カァッ
和「……なっ……なにいきなりあせあせしてるんですか」ジトーッ
咲「い、いざ甘えたいなんて言われると……」アセアセ
和「自分だって言ったじゃないですか……」ジトーッ
咲「そ、そうだけど……それは和ちゃんだからこそであって……」アセアセ
和「どういう事ですか」ジトーッ
咲「わ、私ってば、そんな……人を甘えさせられるような……包容力みたいなものないし……」アセアセ
和「……」
咲「ど、どうしたら良いのか……」アセアセ
和「……」スッ
ギュッ
咲「!」
和「良いですよ。勝手に甘えますから」ギューッ
咲「……!」ドキドキドキドキ
咲「……」ドキドキ
和「……」ギューッ
咲「……ね、ね?」ドキドキドキ
和「……なんですか?」
咲「その……なんていうか……甘え甲斐が無い……でしょ?」アセアセ
和「……」
咲「……」ドキドキ
和「……」ギュッ
咲「!」
和「それは甘える側が決める事です」ギューッ
咲「……!」ドキドキドキドキ
咲「……」ドキドキ
和「咲さん」
咲「な、なに?」ドキドキドキドキ
和「宮永さん」
咲「!」
和「咲ちゃん」
咲「……」
和「咲っち」
咲「……」
和「ふふ。どうしたんですか?」フフン
咲「……」
和「さっきこういう事してたんですよ?」フフン
咲「……」
咲「……」
和「? どうしたんですか?」
咲「……も、もう一回」
和「もう一回……?」
咲「もう一回、咲ちゃんって呼んでよ」
和「!」
咲「あれ? なに恥ずかしがってるの~?」
和「そ、そんな……」アセアセ
咲「たった今、自分からそう呼んだんだよ~?」ニヤニヤ
和「! そ、そうですけど……」アセアセ
咲「自分から言っておいて、もう言えないなんて事ないよね~?」ニヤニヤ
和「……」
和「……」プクッ
咲「あ! なにほっぺ膨らましてるの~?」ツンツン
和「なんていうか……卑怯ですよ」プンプン
咲「卑怯なんかじゃないよ~。和ちゃんが自分から言ってくれたんじゃん~!」
和「手の込んだ誘導尋問です」プンプン
和「そ、それは……」カァッ
咲「さっきすっごく普通に言ってくれたじゃん」
和「で、でも……」アセアセ
咲「でも?」
和「普段、人の事をちゃん付けで呼ぶ事が一切無いので……」アセアセ
咲「そう言えばそうだよね。みんな、さん付けか呼び捨てだよね」
和「は、はい」
咲「じゃあ……」
和「……じゃあ?」
咲「咲でも良いや」
和「……!」
咲「咲って呼んで」
和「そ、それならまぁ……ゴニョゴニョゴニョゴニョ」
和「っ……」ドキドキ
咲「……」
和「さ、咲……」
咲「!」
和「……………………さん」カァッ
咲「! あぁ~!」
和「……ちゃんと言いましたよ?」ツン
咲「ダメだよ~! それじゃあ結局いつもと同じだよ~」
和「同じじゃありませんよ?」
咲「咲さんって、いつもと同じだよ~!」
和「最後の「さん」は、数字の3ですから」フフン
咲「……」ジトーッ
和「良いですよ?」
咲「……」
和「咲……」
咲「!」
和「……………………さん」カァッ
咲「……」ジトーッ
和「咲……」
咲「!」
和「……………………………………………さん(やっぱりどうしても……)」カァッ
咲「……」ジトーッ
和「こ、これだけ間を空けたんですから、もう良いでしょう」アセアセ
咲「……」プクーッ
咲「……」プイッ
和「さ、咲さん!」アセアセ
咲「……」
和「さ、咲さん」ユサユサ
咲「ふーんだ」プイッ
和「全く……」
咲「……」
和「では……」
咲「……?」
和「私ももう、寝ますから……」プイッ
咲「あ! だ、ダメだよぉ!」クルッ
和「冗談ですよ」クルッ
咲・和「「!」」
咲(め、目の前に……!)ドキドキドキドキ
和(ち、近い……!)ドキドキドキドキ
咲「だ、だって、和ちゃんが言う通りに呼んでくれないんだもん(もう数センチずれてたら顔がくっついてた所だったよ……)」カァッ
和「ふぅ」ドキドキドキドキ
咲「ふぅ」ドキドキドキドキ
和(胸の鼓動が……)ドキドキドキドキ
咲(収まらないよ……)ドキドキドキドキ
カチ カチ カチ カチ
和「……も、もう結構な時間ですね」
咲「あ、本当だね」
和「そ、そろそろ寝なきゃですね(ただでさえ寝付きにくい環境だと言うのに、こんな事してたら本当に徹夜してしまいます)」
咲「そうだね」
和「はい」
咲「……」
和「……」
咲「……あのさ」
和「はい……?」
咲「お手手、つないで寝よう?」
和「!」
咲「い、嫌かな……」テレテレ
和「いや、そんな事はないですけど……」ドキドキ
咲「もちろん、寝ちゃったらすぐほどけちゃうんだろうけど……」テレテレ
和「……」ギュッ
咲「!」
和「……」手ギュッ
咲「じゃ、じゃあ」ドキドキ
和「は、はい」ドキドキ
咲「寝よっか」ドキドキ
和「はい」ドキドキ
咲「……」目ギュッ
和「……」目ギュッ
咲・和「「……」」ドキドキドキドキ
咲父「さすがにそろそろ起きた方が良いぞー」コンコン
咲・和「「……!」」パチッ
咲・和「「……」」ムクッ
咲「……」ポケーッ
和「……」ポケーッ
13:00
咲・和「「……」」
咲(結局あのままかなりの時間まで寝つけずに……)
和(お寝坊もお寝坊です……)
咲(一体何時間……)
和(無言でずっと手をつないでいたんでしょうか……)
咲・和「「……」」チラッ
咲・和「「……」」カァッ
終
やっぱり咲和だな
かわええなぁー
乙
乙乙
Entry ⇒ 2012.09.28 | Category ⇒ 咲-Saki-SS | Comments (0) | Trackbacks (0)
京太郎「コーエー龍門渕から咲無双が発売したらしい」
京太郎「予約してるし、コンビニに取りに行ってから部室行こうっと」
・
・
・
店員「あざーっした」
京太郎「さてさて、早速部室でプレイしてみますか」
京太郎「って誰も居ないね。まぁ、みんな来るまでゆっくりゲームでもして待つか…」ウィーン
京太郎「早速、起動っと。ストーリーモードはやっぱり清澄ベースか。あれ?咲が居ない?選べないな」
優希「おーい、犬。おはようだじぇー。咲ちゃんは、隠しキャラだじぇ。強キャラだからな」
京太郎「おおっ、優希。居たのか!」
京太郎「おおっ、はえーな。まぁ、二人居ればサクサク進むしな。よし、頼む」
優希「うむ、おまかせあれだじぇ。犬、優希は私の使用キャラだから使うな!」
京太郎「はいはい、わかりましたよー。じゃあ、和、部長、まこ先輩のどれかだな」
優希「簡単にキャラ性能説明してやるじぇ」
京太郎「へぇー、まぁそんな感じだよなぁ」
優希「アイアンクロー、ジャーマンスープレックス、ジャイアントスイングとか使うじぇ。無双ゲージが貯まれば戦慄のお仕置きタイムだじぇ」
優希「初心者にはちょっと使いにくいキャラだと私は思う。ワンチャンスに無限の可能性を秘める、使い込みがいのあるキャラクターと言えるじぇ」
京太郎「うーん、投げキャラはあんまり好きじゃないんだよなー」
優希「まこ先輩は、メガネから放つビーム攻撃が強いじぇ。接近戦はイマイチだが、中距離遠距離ではかなり使いやすいじぇ」
優希「まこ先輩のメガネから放つ、オプティックブラスト、オプティックスィープ。無双ゲージが貯まれば、スーパーオプティックブラストで敵を一掃出来るじぇ」
優希「ちなみにメガネ外した時の技もあるらしい」
京太郎「へぇー、使いやすそう。保留だな。次の和を聞いてから決める」
優希「接近戦に優れた性能だじぇ、なんでも輻射波動おもち機構を搭載だと何とか」
優希「初心者向けのキャラだと思うじぇ。とにかく暴れてれば、いいキャラだじぇ。無双ゲージが貯まれば、スーパーのどっち聖天八極式となって空も飛べるじぇ」
京太郎「ふーん、じゃあ和にしようかな。お手軽キャラっぽいし」ポチッ
和『咲さんは私が守る!!』
京太郎「ちなみにお前のキャラはどんなのだよ?」
優希「私か?灼眼の優希ちゃんだじぇ。刀振り回して戦うじぇ。タコスを食べれば、色々と技が使えるんだじぇ」
京太郎「二人とも接近戦タイプかー。まぁ、無双だから何でもいいんだけど」
・
・
・
優希「よし、雑魚キャラの池田を倒して無双ゲージを貯めるじぇ」
池田『にゃーにゃー』ワラワラ
京太郎(おぉ…、ゲームでも走った時の和のおもち揺れも再現されてる…。流石、コーエー龍門渕の無双シリーズだぜ)
優希「・・・」ジトー
優希「犬、鼻の下が伸びてるんだしぇ。池田は、反撃もあんまりして来ないけど当たったら大ダメージだじぇ」ポチポチ
優希「こっちの末原軍は私が引き受けるじぇ」ポチポチ
優希「気をつけるじぇ。防御力も高い上に三体揃うと、ジェットストリームアタック仕掛けて来たりするじぇ。突っ込まない方がいい」
京太郎「でも、突っ込んじゃうんだなーこれが」ポチポチ
和『てい、てい、てりゃー!』
京太郎「おいおい、体力半分も減っちまったぞ…」
優希「あーあー。だから言ったんだじぇ。もうボスが現れたじぇ」
~warning~、敵大将を見事討ち取れ!
優希「出たな、お猿の大将。コイツはとにかく素早いじぇ。攻撃当てるのが大変なんだじぇ」
優希「しかも逆転スキルまで持ってるから、体力が減ると野生化して攻撃力アップだじぇ」
京太郎「お、おぅ。気をつける」
優希「私がタコス食べる時間をちょっと稼いでくれ!」ポチポチ
京太郎「って俺も、体力半分だしなー。スーパーのどっち聖天八極式で逃げ回ってようっと」ポチポチ
和『咲さん!咲さん!ねだるな、勝ち取れ!さすれば与えられん!はぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!』ゴゴゴ
穏乃『次は絶対勝つからーーーーー!!覚えてろよー!!』
京太郎「ふー、あぶねー。死にかけだった」
優希「犬は下手っぴだじぇ。まだ一面だじぇー。この先は、もっともっと強いボスがいっぱい出てくるじぇ」
京太郎「意外に難しいなーこのゲーム」
優希「私のセーブデータだから、ハードモードだからな!」
京太郎「まじかよ!」
京太郎「あぁ、ワハハさんの暴走車に轢かれたり、透華さんが和しか狙わなかったり、天江さんが超強かったり」
京太郎「神代が起きてる間に倒せだとか、石戸さんの睾丸潰し攻撃で一撃死しかけたり」
京太郎「なんか色々あった気がするけど、最終ステージだ」
優希「うむ、最終のステージのボスはやっぱり咲ちゃんのお姉ちゃんだじぇ!まぁ、私もここまで進んだ事は無かったんだが」
照『ひゃあああああああああッ!!!一撃で叩き割ってあげるよおおおおおおおッツ!!!!!』
菫『・・・目標を狙い撃つ!』
優希「ひぇー、ボスが二体も居るじぇ。近接戦タイプと遠距離タイプだじぇー」
京太郎「先にあのシャープシューターから倒そうぜ!」
京太郎「ふぅ、何とか倒せた」
優希「タコスを使うじぇ!犬、任せた!」
京太郎「おぅよ!」
和『お義姉さん!咲さんは私が守ります!安心して死んで下さい!』ドガッ、バキッ、バシーン
照『…触るな、汚らわしい。淫乱ピンク!』ガード
照『乳袋の死体を砕いて細かくして、この地上から抹消しなくてはな!!』バシ、バシ、バキッ
優希「おぅ!犬、またせたな!天破壌砕(てんぱじょうさい)いくじぇぇぇぇぇぇぇ!!!!!!!!」
照『私が負けるなんて、嘘だッ!嘘だッ!嘘だッ!うわああああああああ!!』バシュー
優希「ふぅ、正義は勝つ!危なかったじぇー」
京太郎「クリアー出来たか。まぁ一日でクリアー出来るのが無双のいい所だよなー」
優希「げぇ!?咲ちゃんのお姉ちゃん、中ボスだったんだ!」
京太郎「あれだけ、手こずったのに中ボスだと!とりあえず回復だ!」
優希「まぁ、さっきみたいに二体じゃ無ければ、倒せそうな気がするじぇ。防御固めながら戦うじぇ」
・
・
・
誠子『私は戦うことしかできない破壊者・・・だから戦う、争いを生む者を倒すために!この歪みを破壊する!』
優希、京太郎コンビが、ラスボス亦野誠子を倒すのに、一か月もかかったとさ
終わり
敵キャラが濃かったw
Entry ⇒ 2012.09.28 | Category ⇒ 咲-Saki-SS | Comments (1) | Trackbacks (0)
櫻子「ひままごと!」
櫻子「ふわぁ~……」ムニャムニャ
櫻子「今日は土曜日だし、向日葵と何して遊ぼっかなー」
櫻子「下僕を適度に楽しませてあげるのも主人のつとめ! 私えらい!」ムフー
【リビング】<ワイワイ
櫻子「お、花子と楓の声」
櫻子「!」ピコーン
櫻子「せっかくだし、向日葵んち行く前にちょっと可愛がってやるか!」
ガチャッ
櫻子「よーおふたりさ」
楓「花子ちゃんは浮気者なの!!」
花子「ご、誤解だし楓!!」
櫻子「!?」
楓「言い訳なんて聞きたくないの! 愛してるって言ってくれたのに!」
花子「それは嘘じゃないし! 花子は楓のことだけを……!」
撫子「」ポチポチ
櫻子「なんか花子と楓が修羅場ってる横でねーちゃんが携帯いじってる!!」ガビーン
撫子「ん? あ、起きたの」シレッ
楓「櫻子お姉ちゃんおはよう~」ケロッ
花子「お休みだからってだらけすぎだし」ケロッ
櫻子「!!?」
櫻子「え、いや、だって今、花子と楓がケンカしてなかった!?」
花子「はぁ? 花子が楓とケンカなんてするわけないし!」
楓「そうだよ櫻子お姉ちゃん、楓と花子お姉ちゃんは仲良しなの」ギュッ
花子「か、楓///」テレッ
櫻子「えぇー……」
撫子「ちなみにネタばらしすると、今のはおままごとだよ」
櫻子「おままごとぉ?」
楓「うんっ。花子お姉ちゃんと遊んでたの」
櫻子「へ~、花子ってば8歳にもなってそんなことしてるんだ~」ニヤニヤ
花子「うるさいし! 楓がやりたいって言ったらやるんだし!」フシャー
撫子「ちなみに脚本は私だよ」
櫻子「18にもなってなにやってんだねーちゃん!」
花子「そんなセリフ台本にあったっけ!?」ドキーン
撫子「いやぁ、あの二人は見てて癒されるね」ポチポチ
櫻子「見てないじゃん。ねーちゃんメールしてるじゃん」
撫子「聞いてて癒されるね」
櫻子「適当か!」
撫子「あんたにだけは言われたくない」
櫻子「なにをぅ!? 今ので腹が減ったぞ!」
撫子「腹を立てるとこでしょ……」
櫻子「早く向日葵んちでご飯たべさせてもらおーっと」トテテッ
楓「あ、向日葵お姉ちゃんは今いないの」
櫻子「えー!?」ピタッ
櫻子「聞いてない!」
花子「だから楓が遊びに来てるんだし」
櫻子「聞いてない!! 向日葵の奴、私を置いてどこ行ってんだ! 楓知ってる!?」
楓「えっ? えっと~……」アセッ
『向日葵「いい、楓? お姉ちゃんは今日、隣町のデパートまで下着を買いに行ってきますから……くれぐれも櫻子には知られないようにしてね?」』ホワンホワーン
楓「し、知らないの」アセアセッ
櫻子「ぐぬぬ……楓も知らないとは……!」
楓「おねえちゃんすぐ帰ってくるよ?」
櫻子「ダーメ! 向日葵の時間は一分一秒までぜーんぶ私のものだもん!」
撫子「(……プロポーズ?)」
花子「(プロポーズだし)」
楓「(プロポーズなの)」
花子「また携帯を携帯してないし……」
撫子「ていうかやめなよ櫻子、ひま子に迷惑でしょ」
櫻子「なに言ってんだねーちゃん、向日葵がいないと私の朝ごはんはどうなるんだよ!!」
撫子「うちで食べろ」
櫻子「ごっそさーん」キュップイ
撫子「こらっ行儀悪い。楓も見てるんだよ、シャンとしな」
櫻子「え~? いいじゃん別にさぁ……ねー楓?」
楓「うんっ。楓、櫻子お姉ちゃんを反面教師にして立派な大人になるの!」
櫻子「おーよく言った楓! たっぷり見習うがいいーっ♪」ワシャワシャ
楓「きゃーっ♪」
撫子「……」
花子「……」
花子「ちょっと櫻子ジャマだし!」
櫻子「だって急に予定がなくなっちゃったんだもーん、やる気もなくなっちゃったんだもーん」ゴロンゴロン
花子「ウザいし!!」
撫子「ていうか勝手に遊ぶつもりで予定も何もないでしょ……、……あのね櫻子」
櫻子「んぁ?」ゴロンッ
撫子「あんた、そんなにひま子にベッタリじゃ将来苦労するよ」
櫻子「将……来……?」ハテー
撫子「あんたどんだけ刹那的に生きてんの」
櫻子「じりつ」ホホウ
撫子「今日みたいに、ひま子がいない時だって当然あるんだしさ。ひとりで色々出来るようになりな」
櫻子「はぁ!? なに言ってんのねーちゃん、私ひとりだってなんでも出来るもん!」
撫子「いや出来ないでしょ。そこは認めなよ」
花子「そうだし、櫻子なんてひま姉がいなきゃ三秒で不し審死しだしし」
楓「(シが多いの)」
櫻子「あっムカッ! ムカムカッ! ほんとだもん、別に向日葵なんていなくたっていーもん!」
撫子「嘘だね」
花子「嘘だし」
櫻子「嘘じゃねー!! そんなに言うなら証明してやる!」
花子「証明?」
楓「なにするの?」
櫻子「……私が向日葵の分まで働く! そしてら向日葵なんて用済みでしょ!」
花子「……なんで花子たちまで付いてこなきゃいけないんだし」ムスー
撫子「ま、私はヒマだったからいいけどね」ポチポチ
楓「楓も楽しいのっ」
ガラッ
櫻子「おまたせですわぁーん♪」
「「!?」」
楓「あ、おねえちゃんのお洋服なの」
櫻子「まあっ! 流石楓ちゃん、ワタクシの可愛い妹ですわぁん♪」ナデリナデリ
楓「知らない人なのー!!」ゾワゾワゾワッ
撫子「……あんた、なにそれ」
櫻子「え? 向日葵のマネ」
花子「ひま姉に謝れし。土下座しろし。今すぐ」
撫子「本当に似せる気があってそれなら逆に凄いよ……」
花子「服もダボダボだし」
櫻子「それは向日葵がデカいのがいけない!」プンスコ
撫子「確かに」ジッ
花子「確かし」ジッ
楓「(お姉ちゃん達がお洋服の胸のところばかり見てるの……)」
撫子「ていうかあんた、髪型もひま子のマネ?」
櫻子「そだけど」
撫子「にしちゃ三つ編みヘタすぎ。こっち来な、直してあげる」
櫻子「んー」トテテ
花子「いきなりダメダメだし……」
楓「櫻子お姉ちゃん、三つ編みかわいいー」パチパチ
櫻子「や、どーもどーも。……あ、ですわ」
花子「もうグッダグダだし!」
撫子「それで、これから何するの?」
櫻子「あ、その前に」ゴソゴソ
楓「?」
櫻子「はいこれ!」ジャーン
花子「なんだしこれ」
櫻子「くじ引き?」
花子「は?」
櫻子「私以外の配役を決めるぞ!」
撫子「……」
撫子「は?」
櫻子 → 向日葵
楓 → 櫻子
花子 → 楓
撫子 → 花子
撫子「は?」
櫻子「よーし、みんな準備できたな!」
撫子「」←ゆるふわウィッグ
花子「」←スモック
楓「♪」←七森中の制服
櫻子「それじゃー用意スタ」
花子「なんでだし!!!!!!!!!!!!!!!!!!」クワッ
櫻子「ビックリしたー!」ビックリシター!
花子「なんでだし! なんで卒園した幼稚園の制服なんて着なきゃいけないんだし!」
櫻子「だって花子は楓役だから」
花子「別に衣装まで着替える必要ないし! おへそ寒いし!」
櫻子「子供は成長するの速いな!」
花子「子供扱いすんなし!」ムキー
花子「ん!?」クワッ
楓「怒っちゃだめなの、笑ってほしいの」バキューン
花子「かわいい死!///」ズキューン
バタッ
櫻子「おー楓、うちの制服似合うな!」
楓「ほんとっ?」パァァ
櫻子「もち! 櫻子様が保証する!」
楓「わぁ……えへへ、楓もお姉ちゃん達と同じお洋服が着られてうれしいー」
花子「(ダボダボすぎて服に着られてる楓かわいすぎるしぃ……///)」プルプル
撫子「ありえない……ありえない……」ブツブツ
櫻子「うわぁ……ねーちゃんが壁に向かってなんかつぶやいてるなう……」
楓「撫子お姉ちゃん、どうしたの?」
撫子「か、楓……見ないでっ、私を見ないで……」ササッ
櫻子「どうしたねーちゃん!」
花子「おなか痛いし?」
撫子「……かみ……」
「「「かみ?」」」
撫子「………………髪の長い自分が、なんか、女っぽすぎて恥ずかしい……」カァー
櫻子「……」
櫻子「」ニヤァァァァァァァァァァ
撫子「ちょっ、櫻子! やめっ……!」
櫻子「オラオラー! もっとセクシーなでしーポーズ取らんかい!」グイグイ
撫子「こら、脱がそうとするな! 花子も楓も止め……なにそのレフ板!?」
花子「許せ撫子お姉ちゃん……これが最後だし……」カカゲー
楓「これが最後なの……」セノビー
撫子「わけがわからな……こら櫻子どこ撮った今!?」
櫻子「ふっふーん、それはプリントしてのお・た・の・し・ヘボン!?」グハッ
撫子「ッ……調子に、乗るな……」ハーハー
楓「撫子お姉ちゃん、とっても綺麗なの!」
花子「そうだし、恥ずかしがることなんてないし」
撫子「……ん。ありがと」
櫻子「」チーン
櫻子「えーそれでは、これから第一回ひままごとを始めようと思います。わ!」
花子「ネーミングセンス最悪なのだし」
楓「きらいじゃないのーん!」
撫子「(あんたら……)」
櫻子「まずはなにしよっかなですわー?」ウーン
撫子「掃除とかは?」
櫻子「ソレデスワー!」
花子「まっ、せいぜい頑張れなのだし」ヒラヒラ
櫻子「おっと、待ちなさい楓」
楓「なぁに?」
櫻子「あ、違う違う。今の楓は私でしょ」
楓「そうだったのーん!」
撫子「ということは……?」チラッ
花子「………………」
花子「……なんなのだし」
櫻子「あっるぇええぇえ~~~? おっかしいですわねぇ、いつもの可愛い楓なら、「なぁに、向日葵お姉ちゃんっ」って言ってくれる筈なんですけどですわ~~~???」
花子「」イラァ...
撫子「……花子、悔しいだろうけど我慢しな。嫌がると調子乗るよ」ボソッ
花子「……!」グヌヌ
櫻子「」ワクワク
花子「………………な、なぁに、おねえ、ちゃん」ヒクヒク
櫻子「」ニッマァァァァァァァァァァン
花子「くぅぅぅ……この茶番が終わったら覚えているのだ!!」ビシィッ
楓「花子おね、ぁ、か、楓っ、キャラちげーのん!」
撫子「(櫻子に絡まれないように離れて立ってよう……)」
櫻子「掃除をしますわー!」
撫子「(ちょっと慣れてきてるな)」
楓「ひ、向日葵ぃー」
櫻子「ん?」
楓「かえ、私はなにしてたらいいのん?」
櫻子「ふーむ……そーですわねぇ。いつも通りの私でお利口にしてなさいな!」
楓「いつも通り……わかった!」
櫻子「さてさて、それじゃまず掃除機を……」ゴソッ
楓「ひーまーわーりー」ヒシッ
櫻子「のわっ!? ちょ、なんで足にしがみつきやがりますかね!?」
楓「ひまー遊べーひまわりー」ムギュー
櫻子「いや今から掃除するんですわって! 離れれー!」ジタバタ
花子「楓すごいし……」
撫子「流石、あの二人をいつも間近で見てるだけあるね」
楓「ごくろー!」ニコニコ
櫻子「お、おう……」グヌヌ
楓「次はなにして遊ぼっか?」
櫻子「だから掃除すーるーの! でーすーわ!」ムキー
撫子「こりゃラチが明かないな……花子、楓としてあの場を丸く収めてきて」
花子「えー……しょうがないし」
トテテ
花子「お、おねえちゃーん」
楓「おや楓」
櫻子「ちょうどいいところに来てくれましたわ! こっちの櫻子様の遊び相手をお願い!」ヒョイッ
楓「わっ。もー、しょーがないなのー……じゃあ楓、私と遊ぶの?」
花子「うんっ、櫻子お姉ちゃんと遊ぶの大好き♪ ……はっ!?///」
櫻子「」ニマニマニマニマニマニマ
花子「く、くぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ……///」カァァ
花子「むぐぐぐぐぐぐ……/// へんこー!!」クワッ
櫻子「へ?」
花子「へんこー! 配役の決め直しを要求するし!!」
櫻子「え~? 折角楽しくなってきましたのに」
花子「ぜんっぜん楽しくないし! とにかく別の役がいいし!」
櫻子「ワガママですわねー……楓もねーちゃんもそれでいい?」
楓「楓も他の役やってみたいのっ」
撫子「(……このポジションから動くのはリスクが……とは妹の手前、言いづらい……)」
櫻子「……ん、じゃあもう一回くじ引きターイム!」
撫子「(頼む……また花子でいられますように……!)」
櫻子 → 向日葵
花子 → 櫻子
楓 → 花子
撫子 → 楓
撫子「」
撫子「誰が待つか!」ダダダッ
花子「おとなしく楓のスモックを着るし!」タタター
撫子「着れるか!」ダダダッ
楓「大丈夫なの、撫子お姉ちゃんならきっと似合うの!」テテテー
撫子「似あってたまるか!」ダダダッ
ダダダダダダ...
……
…………
………………
向日葵「ふぅ……」
向日葵「やっぱり一人の方がこういう買い物は気楽ですわね」
向日葵「櫻子がいたら、ひがむわぐずるわで落ち着いていられませんもの……」
向日葵「……」
向日葵「とはいえ、今日は少し静かすぎたかしら」
向日葵「……私も、櫻子のことばかり言えませんわね」クスッ
【古谷家】<ワイワイ
向日葵「あら、うちが随分にぎやかですわね」
向日葵「楓はお隣に預かってもらったはずですけど、こっちで遊んでるのかしら?」
ガラッ
櫻子「こんぶだし! いりこだし! かつおだし!」キリッ
花子「なんでだし! 花子はそんなこと言わないし!!」
櫻子「もしもし? 一度しか言わないからね……好き」チュッ
撫子「ちょッ」
櫻子「実はこれ、たくあんなの~」ペトッ
楓「櫻子お姉ちゃん、食べ物で遊んじゃいけないんだよ?」
向日葵「何事ですの!!?」
…………
………………
~その夜~
櫻子「ごっそさーん!」キュップイ
向日葵「お行儀悪いですわよ。はいお茶」
櫻子「さんきゅー」ズズズ...
向日葵「……今日はお疲れ様でしたわね」
櫻子「ん?」
向日葵「撫子さんから聞きましたけど、最初は私のマネをしてたんですって?」
櫻子「んー」
向日葵「で、それがどうしてあんなロークオリティのモノマネ大会になってたのよ」
櫻子「いやぁ、ねーちゃんに無理矢理スモック着せた辺りからもうどーでもよくなっちゃって」
向日葵「そんなことしてましたの!?」ギョッ
向日葵「………………いえ、結構ですわ」
櫻子「ぶー。なんだよつまんないの」ヘチョン
向日葵「……それで、どうでした?」
櫻子「あん?」
向日葵「私のマネ。少しでもやってみて、どう思いました?」
櫻子「あー……もー最悪。やるんじゃなかった」
向日葵「そう」クスッ
櫻子「やっぱさ、向き不向きってあるよね。私ほどの人間が向日葵の代わりなんて窮屈すぎ!」
向日葵「はいはい」
櫻子「だからさ」
向日葵「はい?」
櫻子「……だから、勝手にいなくなったりすんなよな。困る」
向日葵「……ええ。あなたもね」
櫻子「あ、ねーちゃん」
撫子「楓がまたおままごとで遊びたいって言うからさ、付き合ってくれない?」
向日葵「ええ、構いませんけど」
撫子「良かった。じゃあ先に行ってるから」スタスタ
櫻子「よーし! オスカーがんばったで賞を獲った櫻子様の名演技を向日葵にも見せてやろう!」ダッ
向日葵「あ、こら! 家の中を走るんじゃありません、櫻子ー!」タッ
~リビング~
櫻子「へいお待ち!」
撫子「来たね。じゃあ座って」
向日葵「へ? あの、私達も混ざるのでは……?」
撫子「それは後で。まずは観てて」
櫻子「えーつまんなーい」
撫子「そんなこと言わないでさ。……絶対に面白いから」ニヤリ
向日葵「(……なんか嫌な予感がしますわ……)」
「「!?」」
花子「ひ、ひまちゃん!///」
「「!!?」」
楓「あのね、今日はさーちゃんにお菓子作ってきたのっ」ニコッ
花子「ほ、ほんとー? ひまちゃん大好きだしー///」ギュー
楓「えへへ~、さーちゃん大好きなの♪」ギュー
櫻子「ちょっ、ちょおおおおおおおおおおおおおい!!!」ガタッッッ
向日葵「なんっ……これ、これはなになになんですの!?」ガタッッッ
撫子「なにって、大室・古谷家の共有財産、ひまさくホームシアターの一部を原作としたおままごとだよ」
「「!!!??」」
花子「うんっ、すっごくおいしいし!」
楓「よかったぁ……」
花子「……あ、あのねひまちゃん」
楓「なぁに?」
花子「あの……その……」
楓「花子お姉ちゃん、頑張ってっ」ボソッ
花子「ぅぅぅ……ひ、ひまちゃん! い、いつもおいしいお菓子ありがとうだし!」
楓「どういたしましてなの♪」
花子「あ、あのね、だからね……お礼に……ちゅ、ちゅーしてあげるしっ!///」
楓「ほんとっ? うれしー、さーちゃんありがとーっ♪」ダキッ
花子「わわっ/// ……か、楓、じゃあ、目、閉じて……///」
楓「はいなの」パチッ
花子「……///」
スッ...
向日葵「楓ー! ストップ、ストップーーー!!///」
櫻子「ねねねねーちゃん! ねーちゃんも止めてよ!」
撫子「なんで?」シレッ
向日葵「なんでって、恥ずかしいじゃありませんの!」
撫子「恥ずかしい? 高3にもなって無理矢理スモック着せられるのとどっちが?」
櫻子「めちゃくちゃ根に持ってた!? ねーちゃんごめん!」
撫子「謝ってももう遅いよ……色々とね」
チュー
「「あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!?」」
向日葵「ああ゛ぁ……楓の唇が……まだ嫁入り前ですのに……」ガクゥッ
櫻子「も、ももも……もう……もう……!」プルプル
櫻子「おままごと禁止ーーーーーーーーーーッ!!!」
やめよう見切り発車!
おやすみなさい
素晴らしい
Entry ⇒ 2012.09.28 | Category ⇒ ゆるゆりSS | Comments (0) | Trackbacks (0)
憧「シズはあたしの嫁!」玄「違うもん!」
憧「あたしの方がシズにふさわしいし!」
玄「私の方が穏乃ちゃんのこと好きだもん!」
憧「ぐぬぬぬぬ」
玄「むむむむむ」
玄「誰も来なくなった部室にシズちゃんが駆け付けてきてくれた時からだよ!」
玄「私とっても嬉しかったんだぁー」
憧「勝った! あたしなんて小学生の頃からよ!」
玄「ええー。小学生の時から女の子が好きだなんて引いちゃいますねー」
憧「うっさい! とにかくあたしの方がシズへの愛は上のようね」
玄「愛は長さじゃなくて密度だもん!」
憧「あたしは長さも密度も兼ね備えてるわよ」
玄「この前おねーちゃんに抱きついてた癖に……」ボソッ
憧「なっ!?」
玄「ふつふっふ。声に力がないのは後ろぐらいところのある証拠なのです!」
憧「うっ……」
玄「浮気者な憧ちゃんよりシズちゃんには私の方がふさわしいよね」
憧「……で、でもっ! あたしの一番はやっぱりシズのままだから!」
玄「私の方がシズちゃん一筋だよ!」
玄「私がいつそんなことを言ったの?」
憧「直接聞いた覚えは……、ないけど」
玄「憧ちゃんは勘違いしてるよ」
憧「勘違い……?」
玄「私が好きなのは大きいおもちじゃない。手触りの良いおもちなの」
玄「だからシズちゃんみたいに手触りさえよければちっちゃいおもちでも大好きなんだよ」
憧「たっ、たしかに、手触りのよさという点ではシズの胸は抜きん出てる……」
憧「っていうか、なんで玄がシズの胸の感触知ってるのよ!」
玄「それは憧ちゃんこそだよ!」
憧(ラーメンを餌にだけど)
玄「私だって同じだもん!」
玄(あんぱんを餌にだけど)
憧「あたしに胸を触られてる時のシズは幸せそうだったなぁー」
憧(ラーメンを食べられる喜びに、だけど)
玄「私が触ってるときの方がシズちゃん幸せそうだったもん」
玄(あんぱんを食べられる嬉しさに、だったけど)
玄「憧ちゃんこそ調べた知識だけの耳年増なんでしょ!?」
憧「そそそそ、そんなことないわよ!」
玄「本当かなぁー」
憧「……なっ、なんだったら証拠を見せてあげようか?」
玄「証拠……?」
玄「まま、負けないもん!」
憧(大丈夫! いけるはず! シズニーしてつかんだ感覚そのままにいけばきっと!)
玄(おねーちゃんのおもちで鍛えてるもん! 憧ちゃんには負けないよ!)
憧「……」モミモミ
玄「……」モミモミ
憧「……」モミモミ
玄「……」モミモミ
憧「……」チラッ
玄「……」チラッ
憧(って、なな、なんで玄のやつ顔が赤くなってんのよ!?)ドキドキ
玄(憧ちゃんなんでそんなに色っぽい顔してるの!?)ドキドキ
玄「……」モミモミ
憧「玄。顔赤い」モミモミ
玄「えっ!? ……憧ちゃんだってエッチな顔してるもん!」
憧「そっ、そんなわけないでしょ! あたしがシズ以外の相手に!」
玄「私だってシズちゃん以外の子に顔赤くしたりしないもん!」
憧「……」
玄「……」
憧「引き分けにしよっか……」
玄「そうだね……」
玄「置いとくとして?」
憧「シズへの知識の深さ! これなら負けないわよ!」
玄「私だってシズちゃんのことよく知ってるよ! 血液型とか、誕生日とか……」
憧「じゃあ問題。シズの昨日のあくび回数は?」
玄「えっ?」
憧「シズの昨日の寝返り回数は?」
玄「えと、えっと」
憧「シズの生理は今から何日後にくる?」
玄「……わ、わかりません」
憧「ふふふ。勝った!」
玄「普通こんなのわからないよー!」
玄「ううーっ。なんかモヤモヤする……」
憧「ま、シズのことはあたしに任せて玄は大人しくおもちでも眺めてなさいってこと」
玄「……、だ、大事なのは本人の気持ちだよ」
憧「へっ?」
玄「そうだよ! 大事なのはシズちゃん本人の気持ちだもん!」
憧「それは……」
玄「私今からシズちゃんに確かめてくる!」
憧「ちょっ!?」
憧「いやちょっと! 待ちなさいってば玄!」ギュッ
玄「ひゃっ!?」
玄(う、後ろから抱きつかれた……)
玄「どっ、どうして止めるの?」
憧「それは……」
玄「それは?」
憧「……振られたらどうしようって考えると怖くて」
玄(涙声の憧ちゃんかわいい……)
玄(ハッ! じゃなくて!)
玄「でも穏乃ちゃん本人に聞かないとどちらがふさわしいかわからないよ?」
憧「それはそうだけど……」
玄(声が震えてる! かわいい!)
玄(ハッ! ……違う違う!)
憧「ごめん……」
玄「告白は先送りにしてあげる」
憧「ありがと」
玄「ううん」
憧「ところで玄。あんたはシズのどんなところが好きなの?」
玄「んー。可愛くていい子でおもちに張りがあるところかな」
憧「わかるわかる! あそこまで可愛くていい子なのはシズだけだよ!」
憧「あの穢れのない感じがさー」
玄「うんうん!」
憧「そういえばシズってまだオナニーすらしたことないんだよ。かわいいよねー」
玄「ん……? なんでそんなこと知ってるの?」
憧「あ。いや、なんでも……」
憧「ほっ、本人から聞いたのよ!」
玄「ふぅーむ。なるほどなるほどなるほどー」
憧(あぶなかった……)
玄「むかむかむか」
憧「……なんかイライラしてる?」
玄「そんなことないのです。むかむかむか」
憧(どう見ても露骨にイラついてるようにしか。何か気にさわること言っちゃったかな?)
玄「そうだっ! 告白の練習だよ憧ちゃん!」
憧「え? いきなり何言ってんの?」
玄「告白の練習しようよ!」
憧「どうしてまたそんなこと急に」
玄「どっち付かずな状態は落ち着かないから、練習して告白できる勇気を持とうよ!」
玄「そうすれば二人でシズちゃんの前に立ってシロ玄つけられるでしょ? 玄だけに」
憧(……たしかに。いつまでも気持ちを伝えるのを避けたままってわけにもいかない、か)
玄「新子と玄であたらシロ玄~。面白ジョーク」
憧「や。あたしまだやるだなんて一言も」
玄「今から私は穏乃ちゃんになります!」
憧「聞いちゃいないし……」
玄「なので憧ちゃん……、じゃなかった、憧は私に告白して!」
憧「玄をシズだと思い込んで仮想告白すりゃいいのね?」
玄「ざっつれふと!」
憧「分かった。まあ玄が相手なら多少は気楽に言えそうかな」
憧「うーわー。えらく具体的に設定するー」
玄「リアリティーは大切だよ」
憧「それもそっか。んじゃ、いくよ」
玄「オホン! ……憧、話って何? ラーメン食べたい!」
憧「あのさ、シズ。ラーメンもいいんだけどその前に伝えたいことがあるの」
玄「……?」
憧「あたしあんたのことが好き」
玄「!!」ドキッ
憧「よかったら付き合って……」
憧「って、玄? なんで顔赤くしてんのよ。相手はシズじゃなくてあたしよ?」
玄「べべべ別に普通だよ普通だよ!」ドキドキ
憧「??」
玄「なるなるなるよー!」
憧「いまいち実になる感じがしないんだけど」
玄「……と、ところで憧ちゃん」
憧「うん?」
玄「もう一回好きって言って?」
憧「えー、なんでよ」
玄「えと……、さ、さっきのはいんとねーしょ? がよくなかったから!」
憧「え? そんな変だった?」
憧「そういうことならもう一回……」
玄「……」ドキドキ
憧「好きよ」
玄「あわわわわ!!」ドキッ
憧「ね、玄。今度の好きは大丈夫だった?」
玄「へっ!? ……あっ」
玄(そうだった……。今の好きは、シズちゃんに向けたもの)
玄「……」ムカムカ
憧「玄ー?」
玄「0点です!」
憧「ええーっ!?」
玄(あれ……。どうして私こんなにイライラしてるのかな)
玄(憧ちゃんの告白が成功したらシズちゃんをとられちゃうから?)
玄「私が!?」
憧「うん。目指すビジョンが見えないまま練習しても非効率極まりないでしょ?」
憧「だからここはビシッと玄先生のお手本を!」
玄「うっ、うん」
憧「状況は……、そうね、部活帰りに二人で並んで歩いてるところにでもしましようか」
玄「わ、わかった!」
玄「そっ、そうですね!」
憧「早く家帰って休みたいよー」
玄「わた、私もそう思います!」
憧「そんじゃ私こっちだから」
玄「お、お気をつけて!」
憧「……」
玄(ふうっ。やりきった)
憧「いや引き留めて好きって言いなさいよそこは!」
玄「そうだった!」
玄(うううう、緊張して頭の中真っ白だったよ……)
玄(玄なのに真っ白……、面白い)
玄「えへへへ」
憧「あたしなんか相手に緊張するようで、よく本命のシズに告白しようとしてたよね」
玄「……」
玄(そういえばシズちゃんに告白しにいこうとした時は今ほど緊張しなかった)
玄(あれれ? おかしいな?)
玄「う、うん……」
玄(本当はちょっとだけ違うんだけどね)
玄(あの日。シズちゃんが部室にきた少しあと、憧ちゃんが駆け付けてきて)
「二人で和の前に立てるでしょ!」
玄(そう。憧ちゃんが無意識で私を数から外していたから……)
玄(心がざわざわして……)
玄(こんな気持ちになるのはシズちゃんを憧ちゃんにとられたくないからなのかな? それなら私シズちゃんが好きなのかな?)
玄(そんなふうに思い始めて……)
玄(……あれれ?)
玄(本当にそうなのかな)
玄(私が好きなのは本当にシズちゃんだったのかな……?)
玄「羨ましい?」
憧「うん。好きになった瞬間があるなんて、ドラマ的じゃない」
憧「あたしはなー。いつの間にかシズにまいっちゃってたから」
玄「ふむふむ」
憧「気が付けば好きになってたせいで、特にそういうエピソードとかないんだよね」
玄「そうなんだ」
玄(気がついたら好きになってた。そういうのもありなんだ……)
玄「何のコレクション?」
憧「ふっふふー。シズの秘蔵写真集!」
玄「……」ムカッ
玄「見せてくれなくてもいいよ」
憧「そう遠慮せずに!」
玄「……遠慮じゃないよ」
憧「そう? ま、それなら無理強いはしないけど」
玄(うー……。嫌な気持ち……)
玄(胸がぐつぐつして、自分が凄くわるい子になっちゃった気分……)
玄(よくわかんない……)
玄「は、はい!」
憧「大丈夫? 顔色悪いよ?」
玄「大丈夫……。たぶん」
憧「自己申告がたぶん大丈夫って、また微妙に不安になる返しなんだけど」
玄「ううー」
憧「本当大丈夫? さっき顔がほてってたことだし熱でもあるんじゃない?」
玄「そんなんじゃないよぅ……」
憧「……」
憧「えいっ」ギュッ
玄「わっ!?」
憧「あんまり無理するなよー」
玄「うっ、うん……」ドキドキ
玄(憧ちゃん果物みたいな匂い……。かわいい……、シャンプーかな?)
憧「んー?」
玄「もしシズちゃんが憧ちゃん以外の人のことを好きって言ってたらどんな気持ちになる?」
憧「なっ!? シズがそんなことを!?」
玄「た、例えばなしだよー……」
憧「よかった……」
憧「あたしなら、そうだな。相手に嫉妬するかな」
玄「嫉妬?」
憧「うん。シズに好きって思われた子に対して、嫌な感情を持っちゃう」
玄「むむむ」
玄(シズちゃんは嫉妬してもらえる……)
憧「へ?」
玄「私が憧ちゃん以外の人のこと好きだったらどんな気持ちになる?」
憧「仮定じゃなくて事実として玄はシズのこと好きなんでしょ」
玄「それは……」
憧「ま、あたしもシズを好きなわけだから素直に応援はできないよね」
玄「……」
憧「ただ。そういう事情さえなければ、玄の気持ちは叶ってほしいよ。友達だもん」
玄「嫉妬はしてくれないの?」
憧「いやいや。友達にまで嫉妬しだしたらキリないでしょうよ」
玄「むむむ……」
玄(なんか悔しい! 悔しい!)
玄(シズちゃんばっかり憧ちゃんに好きって思われてずるい!)
憧「くーろ。本当に大丈夫? 今、らしくない表情してる」
玄「えっ!? ど、どんな顔してた?」
憧「しかめっ面」
玄(憧ちゃんの前でしかめっ面……)
玄「あぅぅ……」カアアアッ
憧「まあそんなに気にしない、気にしない!」
憧「長い付き合いだし恥ずかしがることないでしょ」
玄(憧ちゃんに変な顔見られたら気にするよー……)
玄(うう。私、私……)
玄(シズちゃんじゃなくて憧ちゃんのことが好きだったのかも……)
玄「おでかけ……、デート!?」
憧「あはは、呼び方はなんでもいーよ。情緒不安定そうな玄を気分転換させたげようかなと」
玄「なるほどー」
憧「どこいく? 自然の多い場所か、電車に乗って町か」
玄「いくところ私が決めていいの?」
憧「そりゃ玄の調子を取り戻させるためのデートですから」
玄「だったら私いきたいところがあります!」
憧「いらっしゃいましー」
憧「にしても玄があたしの部屋に行きたがるだなんてね。予想外だったわ」
玄「え、えへへ」
憧「ひょっとして!」
玄「!?」ビクッ
玄(もももしかして憧ちゃんのお部屋を見たいって下心がバレた!?)
憧「やっぱりあたしのシズ写真コレクションが見たくなったとか!」
玄「……」
玄「違いますよーだ!」
玄「憧ちゃんの匂いがするねー」
憧「なんか今の発言変態っぽい」
玄「ええっ!?」
憧「さってと。飲み物持ってくるね。ベッドにでも座ってて」
玄「あ、うん!」
玄(引かれた? だ、大丈夫だよね?)
玄「……」
玄「憧ちゃんのベッド……、いつも憧ちゃんが寝てる場所……」ドキドキ
玄「あれ?」
玄「こ、これは! ベッドカバーに謎のシミがついてる!」
玄「ベッドのシミ……」
玄「もしかしてこれ……」
玄「憧ちゃんがそういうことした時のシミだったり……」カアアアッ
玄「くんくん……」
玄「甘い香り……」
憧「……何やってんの?」
玄「ひゃあっ!?」
憧「ほい。ジュース持ってきたよー。こぼさないでね」
玄「あ、ありがとう」
憧「この前シズがウチにきた時、あいつベッドの上でジュースこぼしてさー」
玄「それはなかなかのなかなかだね……」
憧「せめてこれ以上シミが増えるのはご勘弁願いたいんだよね」
玄(ジュースをこぼしたシミ……)
玄(な、なーんだー。あははは……)
玄「それ髪ごむ?」
憧「そだよ。玄って髪長いから、実は前から一度いじってみたかったのよー」
玄「憧ちゃんが私をいじりたかった!?」ドキッ
憧「誤解を招くような要約をしない!」
玄「てへへ」
憧「あとで玄の髪結んでみてもいい?」
玄「うん。いいよー」
憧「どうせだしあたしとお揃いの髪型にもしてあげよう!」
玄「おおー! 楽しそう!」
玄「これなぁに? Album……、ある……、あるぶむ?」
憧「アルバムだよー。一緒に見よ」
玄「アルバムということはシズちゃんコレクションでしょうか?」
憧「あー、これは違う違う。普通のアルバム」
憧(シズコレクションはもっと厳重に管理してるし……)
玄「ふむふむ。普通のアルバムなら私も写ってるのかな?」
憧「そりゃもちろん。子供麻雀クラブ時代の写真がいろいろと」
玄「いいね!」
玄「ええー。たまたま肩に手が置かれてるだけだよー」
憧「むむむ」
玄「あ。こっちの写真! 私と憧ちゃんツーショット!」
憧「あー、それね。シズがカメラ使ってみたいとか言った時のだから」
玄「よく覚えてるんだね」
憧「まあねー。シズのことならバッチリ」
玄「私のことは?」
憧「普通?」
玄「あうう……」
玄「憧ちゃんが紙のアルバム持ってるなんて思わなかったなあ」
憧「あー。PCとデジカメでDVDでも焼いてそうなイメージ?」
玄「うん。どちらかというと」
憧「そういうの利便性の面ではいいんだけどね」
憧「それでも手で触れられる安心感っていうのは捨てがたいメリットだから」
玄「触れられる安心感……」
憧「最近はあんまり。ただ中学上がりたての頃は寂しくて毎日見てたかな」
玄「もー。それなら憧ちゃんも阿知賀にくればよかったのに」
憧「んー……。当時の仲良し組と離れることでわかった気持ちもあるからなあ……」
憧「進学先の選択はベターだったと思ってるよ」
玄「むむ。そういうものなんだ」
憧「中学生活を経て玄に対する目もちょいと変わったしねー」
玄「ええ!? どんなふうに!?」
玄「ぽやーん……、微妙……」
憧「中学でまあ、小学生の時とは違って、陰口やらなんやらする奴らが増えてさ」
憧「ああ。本人がいない時でも相手のことを誉めてあげられる玄は優しい子だったんだな……、って改めて思ったんだ」
玄「やさし……、ふっ、普通だよ私なんて」
憧「んーん。玄は優しくていい子だよ」
玄「……えへへ。そうかな」
憧「ま。優しくていい人って人物評、巷では振られフラグとか言われてるらしいけどさ……」
玄「振られ!? ガーン!」
憧「ふふっ。でも玄はそのままでいてよね。優しい玄があたしは一番好きだよ」
玄「い、いちば、好き……」カアアアッ
玄「……」
憧「まずはシズみたいなポニテにしよっかな」
玄「……」
憧「あの……。じっとしててとは言ったけど口は動かしていいから」
玄「え!?」
憧「まったく玄は抜けてるんだからー」
玄「てへへ……」
↑ ↓
麺←穏
麺→宥でも可
と思ったけどあれか 器によく描かれてるドラゴンか
なるほど
そしたら透華も竜華も玄ちゃんに惚れるってことになるで
なにいってんだ当たり前だろ
憧「よいしょ、と」
玄「ね、憧ちゃんは穏乃ちゃんが好きなんだよね」
憧「そうよ」
玄「だよね」
憧「ま、実は正直、付き合うのは無理なんじゃないかって気はしてるんだけどねー」
玄「そんなことないよ!」
憧「うん、そうだったら嬉しい。でもたぶんあたしの一方通行だよ」
玄「憧ちゃん……」ズキ
玄(なんだかつらそう……)
憧「え?」
玄「かわいくて頭もいいし、私よりいろいろ知ってるし、憧ちゃんのこと凄いと思う!」
憧「あ、ありがと……。本当かどうかはともかく、なんか照れるな」
玄「全部本当だよ。だから憧ちゃんならきっと……」
憧「ううん。シズが求めてるのは可愛いとか勉強がどうとかそういうんじゃないと思うの」
玄「といいますと?」
憧「アイツさ。なんでも高いところが好きなのよ。山とか」
玄「高い山……。シズちゃんが好きなのは高山さん?」
憧「誰なのそれ!」
玄「ジョークだよジョーク。えへへ」
玄「はい!」
憧「あいつは高みに登ることが好き……」
憧「だから今のシズが夢中なのは、ある大きな目標……、つまりは和なんじゃないかなって感じるんだ」
玄「和ちゃん?」
憧「そ。きっと今のシズ一番の関心の的は和。あたしは二の次。なんとなくわかるんだ」
憧「あたしも中学で頑張ったんだけどね。シズに目指されるような場所へはたどり着けなかったな」
玄「ひょっとして憧ちゃんはそれで麻雀の強い中学に……? いつかシズちゃんに、自分を追いかけてほしくて……」
憧「さあねー、理由はいろいろよ。……よし! 完成!」
玄「え? わああー!? 髪の毛がちょんまげみたいに盛り上がってる!? 桜子ちゃんみたい!」
憧「あはは、びっくりした?」
玄「憧ちゃんてばー! 私の長さにこの髪型は合わないよー」
憧「ぷっ。ごめんごめん」
憧「大丈夫かー?」
玄「お任せあれ!」
憧「じゃ、よろしくね」
玄「はーい」
憧「……」
玄(憧ちゃんの髪やわらかい)
玄(それに触ってみるととっても頭がちっちゃくて可愛い)
玄(また一つ憧ちゃんのことを知れたような気分。少し楽しい)
憧「あんま変なことしないでよ?」
玄「うむー。それはお約束できかねます」
憧「うわ。めっちゃくちゃ不安になってきた」
玄「髪をほどいて、と」
玄「それからそれから……」
憧「……」
玄「……」
憧「……ん? どしたの玄?」
憧「え? まさか髪結ぶの失敗した?」
玄「そ、そうじゃなくって……」
玄「憧ちゃんはこんなにもシズちゃんのことが好きで、でも憧ちゃんの目からはシズちゃんが和ちゃんを好きなように見えて、それに私も……」
憧「んー。人生って往々にして上手くいかないもんだよね」
憧「ま、ほら。それでもあたし諦めきってるじゃないから」
憧「今はまだ無理でもいつかはシズを振り向かせるつもり」
憧「玄だってそうでしょ?」
玄「私? 私は……」
玄「……」
憧「あたしが、何?」
玄「ななな、なんでもないです!」
憧「……?」
玄(そ、そうだよ! こんなこと言うべきじゃない!)
玄(憧ちゃんが好きなのはシズちゃんで、私が好きって言っても憧ちゃんは振り向いてくれっこない)
玄(あはは。なんだか憧ちゃんと私とで少し状況が似てるな)
玄(片思いだって分かってるから言い出せない……)
玄(もしもいつか憧ちゃんの気持ちがシズちゃんから離れるようなことがあったら、その時は……)
玄(って、私何を考えてるの!?)
玄(また私はただ待つつもりなの……?)
玄(麻雀部の時みたいに、何日も黙って待ち続けるの?)
玄(今度は待っているものが来てくれるかどうかもわからないのに……)
玄(……)
玄(……もう待つのは嫌、かも)
憧「あれ? どこも結んでないただのストレートじゃない?」
玄「のーのー。ここに注目だよ」
憧「……あ。玄がいつもつけてる髪飾り」
玄「ふふん。どう? 松実玄ヘアーだよ」
憧「似合ってる……、のかしら?」
玄「リアクションが思わしくない……」
憧「でもありがと。このビーズいつもつけてるってことはお気に入りなんでしょ?」
玄「うん! 宝物だよ」
玄「あ、あのね、憧ちゃん」
憧「うん」
玄「えっとね」
憧「どしたの?」
玄「あっ、憧ちゃんは、その……」
憧「別に何を言っても怒らないって」
玄「……」
玄「憧ちゃんは、穏乃ちゃんじゃないと嫌?」
憧「シズはあたしの嫁!」
玄「違うもん!」
憧「ふふっ、宣戦布告ってわけ? いいよ、玄より先にシズのこと振り向かせてーー」
玄「そうじゃなくって」
憧「へ?」
玄「今はまだ憧ちゃんとシズちゃんはそういう関係じゃないでしょ?」
憧「そうね」
玄「つまり憧ちゃんの隣は空席で……」
玄「憧ちゃんはシズちゃんしか選べないわけじゃなくて、だから……」
玄「わっ、私じゃ、駄目……?」
玄「つまり私が好きなのは憧ちゃんなの!」
憧「ええええっ!?」
玄「ううう、どうしようおねーちゃん、とうとう言っちゃった……」
玄「わーん! こうなったら止まらないもん! 憧ちゃん大好きー!」ギュッ
憧「ちょ、ま、ま、待って!」
玄「やだ。返事くれるまで離れないもん」
憧「でも玄もシズのこと好きなはずじゃ……?」
玄「そう思ってた、けど……。本当に好きなのは憧ちゃんだってことに気付いたの」
憧「玄が、私のことを……」
憧「……」モジモジ
玄「って、顔すごく赤いよ!?」
憧「しょっ、しょうがないでしょ! こういうのはじめてで……」
玄「かわいいー!」スリスリ
憧「ちょ、こら! 頬擦り止めなさいって!」
玄「憧ちゃん好きー!」スリスリ
憧「だーからぁ……」
玄「ふふ。なんだかんだいって憧ちゃん、私のことむりやり突き放したりはしないんだね」
憧「だって……、玄、真剣なんでしょ?」
憧「そんな相手を突き飛ばせるはずなんてないよ……」
玄「そういう優しいとこも好きだよ」ギュゥ
憧「……普通よこんなの」
憧「やっと解放された……」
玄「憧ちゃんが告白されたことなかったなんて意外だったなあ」
憧「中学じゃあたしずっと周りにシズシズ言ってたから……」
玄「それはなかなかのなかなかだね……」
玄「ねえ憧ちゃん。憧ちゃんはまだシズちゃんに気持ちを伝えたわけじゃないよね」
玄「だから駄目って決めつけるには早いよ」
憧「……」
玄「もし勇気が出たら頑張ってね……、応援してるから」
玄「えっと、それでは」
憧「何ひとりでまとめて勝手に帰ろうとしてんのよ」ギュッ
玄「ぐえっ!? ふ、服のえり掴まないでぐるじい……」
玄「返事は聞かなくても分かってるもん……」
憧「抱きつき紛れに、返事聞くまでは離さないー、とか言ってたくせに」
玄「うう……。だって、振られるのはやっぱり怖いよ……」
憧「いいからあたしの方を振り返るの」
玄「……」クルッ
憧「みっ、見てよ玄……」
憧「これが相手を振ろうって女の顔?」カアアアッ
玄「……憧、ちゃん。ほっぺ真っ赤」
憧「だっ、誰のせいだと思って!」
玄「えへへ。可愛い」ナデナデ
憧「うぅぅー、玄絶対あたしのこと舐めてるでしょ! なんか悔しい!」
憧「何?」
玄「こっ、告白をオーケーされると思ってなかったから、現実味がなくて……」
憧「……たしかに、なんで玄なんだろう」
玄「わああー!? これは上げて落とされる展開!?」
憧「落ち着きなさいっての」
玄「落ち着けないよ……」
憧「もー。心配性過ぎ」
玄「だってぇ……」
憧「……」
憧「えいっ……」ギュウッ
玄「あわわ!? 憧ちゃん!?」
憧「すこしはあたしを信用しろっての……。撤回なんかしないよ」
玄「……うん。ごめんね」
玄「ごくり」
憧「玄はさ、駄目だと思いながらもあたしに告白してくれたわけじゃん」
玄「うん……」
憧「そうやって自分に必死になってくれたことが私は嬉しかった……、んだと思う」
玄「あっ、曖昧な理由だね」
憧「もちろん相手が誰でもよかったってわけじゃないよ」
憧「もともといい子だと思ってた玄だからこそって面は強い」
憧「でもたしかに、玄の言う通りあたしの好きはあやふや」
憧「だからさ……、まだ曖昧な好きを絶対の好きに変えてよ」
憧「あたし、玄のこともっと好きになりたい」
憧「だからさっき以上のことをしてくれないかな……?」
玄「!!」ドキッ
玄「お、おお、お任せあれ!」ドキドキ
憧「ふふ。ありがと」
玄「えっ、えーっと、それでは!」
憧「うん……」ドキドキ
そして唇を交わす音が響くと、玄の手がスカートの裾へと伸びていった
おわり
穏乃「宥さん! この激辛ラーメン美味しいてすね!」
宥「からだの中からあったか~くなるね」
穏乃「よーし! この調子で次のお店梯子しましょう!」
宥「うん」
穏乃「あったかラーメン同盟しゅぱーつ!」
宥「そっ、その名前は恥ずかしいかも……」
おまけおわり
玄憧とか俺得
良かったよ
阿智賀のメンバーは5人いたはずなんだよなあ
>>267
レジェゴとよろしくやってんだろ多分
おつつつ
Entry ⇒ 2012.09.28 | Category ⇒ 咲-Saki-SS | Comments (0) | Trackbacks (0)
リンク「マスターソードから誰か出てきた……」
リンク「誰なんだ一体」
ファイ「申し遅れました、マスターソードの精、ファイと申します」
リンク「『退魔の剣』って呼ばれたこの剣に精なんて居たのか」
ファイ「この剣の所有者、つまりマスターが存在する限り、ファイは存在します」
リンク「そうなのか……つまり、俺よりも前にも所有者が居たと」
ファイ「イエス、初代マスターから数えて貴方は、2代目です」
リンク「2代目……ちなみにその初代マスターと最後に話したのはいつなんだ」
ファイ「ファイは長い眠りについていました。様々なことがあり、大地は育ち、国が出来、やがて『退魔の剣』と呼ばれるようになったのはつい最近のことです」
リンク「どれくらい眠ったか覚えてないのか」
ファイ「その確率が95%、いずれ思い出すかもしれません」
リンク「途方も無い話しだな、まず……俺はなんで成長したんだ?」
ファイ「それは、賢者が説明してくれます、それではマスター暫くファイは、マスターソードにて眠ります、何かありましたら十字キーの下を押してください」
リンク「あ、ちょ、おい!賢者って……」
ラウル「目覚めたかリンクよ」
リンク「えっと、十字キー下だっけ、パートナー二人になったな」
ナビィ「心強いよね、マスターソードの精なんて」
ファイ「お呼びでしょうかマスター」
リンク「話しの続きをしたいんだけど」
ファイ「イエス、マスター。賢者にてマスターは使命を聞いたとファイは把握しております」
リンク「この世界の何を知っているんだ、君は」
ファイ「ハイラル国家が創られる前の時代からです」
ナビィ「凄い、それって……リンク歴史得意?」
リンク「さっぱり、昔コキリの森でデクの木様がハイラルの歴史とか話してくれたけど、あんまり覚えてないなぁ」
ナビィ「リンクって居眠りしてそうだもんね」
ファイ「マスター、今後の為にも歴史について把握しておきますか?」
リンク「7年後にもなって知識が子供ってのもなぁ、お願いするよ」
ファイ「イエス、マスター」
リンク「それはデクの木様から最近聞いたから覚えてるし、さっきも少し聞いたな」
ファイ「その女神こそが、黄金の大三角、トライフォースを作り出しました、しかし女神自身はその力を使うことは出来ません」
リンク「自分で作ったのに自分で使えないのか」
ファイ「イエス、マスター。女神は、最初『空』にトライフォースを隠しました。正しき人が使うように、女神は試練を与えて」
ファイ「その試練を乗り越えた人物こそ、初代マスターです」
リンク「本当に途方も無い話しだな、空になんて、今飛んで行けるのはゴシップストーンくらいだろ」
ファイ「そして、マスターソードとして確立したのもその時です。マスターソードは女神の剣でした、しかし初代マスターがマスターソードへと進化させたのです」
リンク「そりゃ、その時のマスターには感謝しないとな。そのおかげで、賢者復活、魔王討伐の可能性が出来上がったんだから」
ファイ「イエス、マスター。ファイはマスターが台座から剣を抜いた時に覚醒をしました、しかし覚醒をしてみて、見てみたらとても幼い少年」
ファイ「その時、ファイは一時的にマスターを封印することが出来ました」
ファイ「7年もの封印です。これは初代女神様に使ったものと同じもの……」
ナビィ「私も?」
ファイ「イエス、貴方もです」
リンク「一瞬の出来事にようにしか思えない」
ガノンとかゼルダが全作品に出てくるのは何故なんだぜ?
ガノンは同一人物
ゼルダはSSから初代まで転生し続けてるとかなんとか
リンク「ふーん……」
ファイ「まだ続きを聞きますか?」
リンク「ああ、もうちょっとだけ」
ファイ「イエス、マスター。ハイラルという地には女神の恩恵を受けている地なのです。まずマスターソード、そして賢者が居ることにより安定をしている」
ファイ「ファイが得た情報によりますと、現在ハイラル国家を手にした『ガノンドロフ』はゲルド族の住人、外部の人間こそがこの地を不安定にさせている確立が90%」
ファイ「しかし、その不安定を安定させるのが、マスターなのです」
リンク「ラウルの言ったような感じかぁ……とにかく、今は賢者を復活させないと行けないんだよな」
ファイ「イエス、マスター。先ほどの『シーク』という男が言っていたようにカカリコ村に次に進む為の道具がある確立75%」
リンク「それじゃあカカリコ村に向かうか」
ナビィ「り、リンク、ナビィも忘れないでね!」
リンク「もちろんだ、しっかりターゲットよろしくな」
ナビィ「うん!」
ファイ「マスター、マスターソードがガノンドロフの魔法を跳ね返す確立が95%」
リンク「そうか、じゃあファントムガノンと同じようにやればいいんだな」
ファイ「イエス、マスター。ご検討を」
リンク「ああ!」
そして、トドメの一撃。
ガノン城は崩れだし、ゼルダとリンクは外へと向かう。
行く手を阻む物も蹴散らしながら、外へと到着。
力のトライフォースの暴走により―――
リンク「やっぱりまだ終わりじゃないか」
ファイ「しかし、これが本当の最終決戦である可能性が85%。気を引き締めていけばマスターは必ず勝てます」
リンク「おう!」
パリーン
リンク「おわっ!?ファイ!!」
ナビィ「リンク!よそ見しちゃダメだよ!他の剣使わないと!?」
リンク「お、折れたナイフとコキリの剣しかない……」
ナビィ「だからダイゴロン刀にしよって言ったのに!」
ガノン「ぶぉぉぉおおおおお」
リンク「って今はそんな言い合いしてる場合じゃないって!!良いよハンマーで叩くから!」
ナビィ「そ、そっか!ハンマーもあったね!」
リンク「どりゃ!」
ガノン「ぶぁああああああ」
リンク「ナビィ、尻尾を狙えば良いんだな!」
ナビィ「うん!効いてるよ!!」
ガノン「ぶぎゃああああああ」
ゼルダ「リンク!マスターソードを!!」
リンク「分かった!!」
ファイ「暫しの間マスターの元に居られなかったことをお許し下さい」
リンク「いや俺が悪かったしな、盾かまえておけばよかったんだけど」
ガノン「ぶぉぉぉおおおお」
リンク「それじゃあトドメだ!!」
リンク「剣が光った!?」
ファイ「トドメを」
ナビィ「リンク!!」
リンク「うぉぉぉぉおおおおお!!!」
ザシュザシュパーン
ガノン「ぶひぃ……」
リンク「終わった、か」
――――――
―――
―
―
ファイ「マスター」
リンク「あれ、ここは……」
ファイ「マスターはこの世界においてやるべきことを果たしました、おめでとうございます」
リンク「そうか、本当に終わったんだな」
ファイ「これからゼルダ姫のオカリナで、時を超えます」
ファイ「イエス、マスター。マスターソードを時の神殿へと戻してください」
リンク「え、それって……」
ファイ「マスターの考えている通り、ファイはまた永い眠りにつきます」
リンク「それはダメだ!ガノンが死んだからと言って、また新たな悪が出てくるかもしれない!マスターソードはまだ必要なんだ!」
ファイ「……いいえ、仮に新たなる悪が現れたとしても、それは次のマスターのやるべきこと。マスターとファイがやるべきことというのは終わったのです」
リンク「そんな、ここでお別れなんて、嫌だ!」
ファイ「マスター、マスターは救われた世界で安息を過ごしてください。ファイは―――マスターと共に世界を救えたことを、以前のマスターに教わった『喜び』である確立が98%」
リンク「ファイ!」
ファイ「さようなら、マスター」
リンク「ファイイイイイィィイ」
――――――
―――
―
「……ンク……リンク……」
リンク「あ、れ……」
リンク「あ、ああ……ここは」
ゼルダ「ここは空の上。女神ハイリアが用意した、安息の地……私は女神の子孫として全てを思い出しました。この地に何があったか、魔王ガノンは生まれ変わりであることも」
リンク「……と言うことは、ここがスカイロフトがあった所?」
ゼルダ「それは分かりません、でもその剣が語ってくれたように、もう時の勇者リンクと退魔の剣マスターソードの役目は終わりました」
リンク「……さっきファイから聞いたよ」
ゼルダ「私が時のオカリナで、貴方を元の世界に戻します。そしたら……時の扉は開かずに、ガノンドロフを処刑してください。大丈夫、きっとこの出来事により元の世界の私も女神としての記憶が戻るでしょう」
リンク「分かった、必ずやってみせる」
ゼルダ「リンク……」
リンク「……」
ゼルダ「ありがとう……」
――――――
――――
――
―
ファイ「マスター、最後に……剣を台座に」
リンク「……分かった」
サクッ
ファイ「また永い眠りに……おやすみなさい、マスター」
リンク「おやすみ、ファイ……」
リンク「……」
リンク「……ナビィ?」
ナビィ「ごめんね、私も……行かないと」
リンク「ナビィ!?」
ナビィ「ばいばい、リンク。ありがとう」
リンク「な、なんでナビィまで!!??」
リンク「……そうか、これが時の勇者、か」
リンク「ゼルダに言われたことをしないと」
ゼルダ「ええ……私は全てを把握しました。リンク、またハイリアの地に戻ることはありますか?」
リンク「分からない、でも……それが時の勇者最後に使命だと思うから。ナビィをゆっくり探すよ。きっと、どこかに居るって信じてるから」
ゼルダ「分かりました、時の勇者リンク……あなたにこれを授けます。きっと、また……」
リンク「うん……エポナ、行こう」
――――――
――――
―――
――
―
ファイ「ここで少し解説をしましょう」
ファイ「ファイはこの物語上、時の勇者は勝利をし、魔族であるガノンは封印をされました」
ファイ「後にこれは封印戦争とされ、受け継がれていきます」
ファイ「しかし、封印戦争があったのは大人になったマスターが居た世界」
ファイ「封印戦争のあった世界と、封印戦争の無い世界が存在します」
ファイ「それにより……世界線は別れました、しかし」
ファイ「時間をも司るマスターソードにおいて、出来事などは全て共通化されます」
ファイ「敗北した世界を、ディンの世界」
ファイ「勝利した世界を、フロルの世界」
ファイ「封印戦争が無い世界を、ネールの世界」
ファイ「以後は、そのように語っていきましょう」
ファイ「この物語は、ファイの経験した物語……」
ファイ「最初に、時の勇者が敗北した、ディンの世界から、語りましょう」
※尚、木の実とか夢島とかはやってないから語れないし、初代とリンクの冒険はかじった程度なので、一つの物語しかファイは語ってくれません
ファイ「……承認しました、おはようございます、新たなるマスター」
リンク「うわっ!?な、なんだ……」
ファイ「マスターソードを抜くことにより、マスターソードの精であるファイは覚醒しました。ファイはマスターと共に使命を果たしていきます」
リンク「そ、そうか……とにかく今はアグニムがゼルダを闇の世界へ連れて行こうとしている!早く城へ行かないと!」
ファイ「イエス、マスター。ペガサスの靴を用いて、最速で城へと向かいましょう」
―――――
―――
――
アグニム「もう遅いんですよ、目の前で賢者が闇の世界へと連れて行かれるのを見ているがいい!!」
ゼルダ「リン……ク……」
リンク「やめろおおおおおお!!!」
プワァァァン
リンク「アグニムゥゥゥウウ!!」
アグニム「ではさようなら」
リンク「逃がすかぁ!!」
ファイ「マスター、奴の魔法弾を弾き返せる可能性が95%、これはファイの経験則です」
リンク「そ、そうか!よし、弾き返す!!」
アグニム「何っ!?」
リンク「自分の魔法にやられる気分はどうだ!?」
アグニム「ぐっ……き、貴様も闇の世界へと行ってしまえ!!!」
リンク「う、うわぁぁぁぁあああああ!!!」
「聞こえるか、リンク、サハスラーラじゃ。今リンクの居る世界は闇の世界、魔王が創りだした世界だ」
「賢者はそこの世界に封印されている、封印を解かない限り、元の世界も魔王に支配されてしまう」
「以下略」
リンク「これが闇の世界かぁ……」
ファイ「イエス、マスター。マスターは賢者の封印を解き、賢者の力で魔王討伐をしなければなりません」
リンク「賢者の中にゼルダも居る……助けないといけない」
ファイ「なるほど。少しばかり、世界は変わっているようですね」
ファイ「イエス、マスター。ファイはマスターソードの精、そしてマスターは3代目のマスターになります」
リンク「3代目……そうだったのか」
ファイ「初代マスターがマスターソードに仕上げ、2代目マスターは……この世界を終わらせてしまいました」
リンク「どういうことだ?」
ファイ「2代目がこの剣を手にした時に、ファイも同じように覚醒をしました。その時も同じように賢者は封印をされていて、封印を解いていったのです」
リンク「ふむ」
ファイ「そして、最終決戦……そこで、2代目マスターは息絶えてしまったのです」
リンク「……負けたってことか」
ファイ「イエス、マスター。同じように、その場に居たゼルダ姫も死亡。女神としての魂は転生されたようですが、魔王の支配下により転生されるのが遅れた模様」
ファイ「元盗賊であり、魔王ガノンドロフはトライフォースを手にし、この世界を手に入れました」
リンク「闇の世界を、か」
ファイ「イエス、マスター。そして、この世界も世界を支配する段階でしかありません。この世界に賢者の子孫を封印することにより、ガノンドロフの恐れているものが全て無くなります。
ファイ「つまり世界を支配しやすい環境である可能性が70%」
リンク「残りの30%は?」
リンク「ん、待てよ?2代目マスターとやらが死んだ時マスターソードはどうなったんだ?」
ファイ「魔王ガノンは退魔の剣を触れることすら出来ませんでした」
リンク「退魔の剣だもんな」
ファイ「イエス、マスター。よって魔王ガノンではこの剣を破壊することが出来なく、仕方なく魔王ガノンは深い深い森の中に封印をしました」
リンク「そうか、それで……3つの紋章を集めないとマスターソードは抜けなかったんだな」
ファイ「紋章を各地に隠したのは、魔王ガノン。それによりなんとか封印したようですが、今こうして封印は解かれ、魔王討伐をすべく体制が整っています」
ファイ「そして、マスターこそが勇者。真にトライフォースを手に入れるべき存在です」
リンク「……そっか、でもへブラ山に居た奴らも言ってたけど、その黄金の力を手に入れる時に争いが起こったみたいなんだ。みんな欲が強くてさ」
ファイ「その噂を広げた人物こそ魔王ガノン。いえ、その手下アグニムです」
リンク「そうか……ちょっとでも可能性のある人間を減らしたかったんだな」
ファイ「闇の世界へと誘い、人間を少しずつ封印していったようです」
リンク「やり方が遠まわしに見えるな……だけど、好都合か」
ファイ「イエス、マスター。それでは第一の神殿へと向かいましょう」
リンク「ああ!」
7人賢者の封印は解かれ、デスマウンテンの頂上にあるガノン城にてアグニムを撃破
ピラミッドの中に逃げ込んだガノンを追いかけ……
リンク「追い詰めたぞ魔王」
ガノン「ふはは!何を言っている、黄金の力を持つ者に勝てるわけがないだろう!」
リンク「それはどうかな、今ここには……退魔の剣と、銀の矢がある」
ガノン「なっ!?何故それを……!?大妖精は封印したはずだ!」
リンク「爆弾一つで開いたぞ、特注だけどな」
ガノン「ぐぬぬ……しかし、道具が揃ったとしても、使えなければ意味がない!」
リンク「ハートのかけら必死に集めたんだ!負けるわけないだろう!!魔法の薬だって用意した!!うおぉぉぉぉ!!!!」
討 伐 完 了
ガノン「……」バタッ
ファイ「さぁ、マスター……奥の部屋へ、トライフォースが呼んでいます」
リンク「……ああ」
「黄金の力を手に入れし者よ、願いを」
ファイ「マスター、どんな願いを?」
リンク「そうだな……平和な世界を。そして、この力は封印するのではなく王家で管理してくれ」
リンク「もう魔の手に落ちないように……」
ファイ「イエス、マスター。トライフォースが願いを叶えます……」
――――――
――――
――
―
リンク「おじさん!!」
おじさん「おお!リンク!!わ、私は一体どうなったんだ?世界は」
リンク「世界は救われたよ、平和になったんだ」
おじさん「平和に、そうか……オマエは本当に、勇者だったんだな」
リンク「おじさん?覚えてるの?」
おじさん「ああ、なんとなくだけどもな」
ファイ「マスター」
ファイ「森へと向かいましょう、ファイを……マスターソードを封印しに」
リンク「え、マスターソードも王家で管理をしないとダメじゃないか?」
ファイ「マスター、もしもの話をしましょう」
ファイ「今後トライフォースが何らかの形、王家での管理しきれない穴のようなもので暴走した時に」
ファイ「暴走をした手の中にファイ、つまりマスターソードが存在した場合」
ファイ「誰がその暴走を、止めるのでしょうか」
リンク「……そうか、そうだよな」
ファイ「イエス、マスター。この事については後ほど、ゼルダ姫にお伝えください。ゼルダ姫は今女神としての記憶が戻っています。ハイラル王もきっとそれを把握するでしょう」
リンク「分かった、それじゃあ……また封印を」
ファイ「イエス、マスター」
こうして、神々のトライフォースとしてファイの勤めは終わった。
ファイは今後の世界、リンクの冒険やゼルダの伝説(初代)に出てくることはありません。
しかし、勇者の覚醒は様々な事件を目の当たりにしています
リンクの冒険では、王家に管理されていたトライフォースが暴走し、ゼルダ姫は眠りにつき、勇気のトライフォースを求めて勇者が旅立ちます
ゼルダの伝説では、トライフォースを失ったハイラル国家は衰退し、またガノンに力のトライフォースを取られ、その世界を救うなどで描かれています
ファイ「マスター、剣の強化を行うのですね」
リンク「ああ、鍛冶屋にやってもらうよ」
ファイ「イエス、マスター。少しばかり強くなったマスターソードをお楽しみください」
リンク「うん」
ファイ「マスター、マスターソードをどうするつもりですか?」
リンク「え、泉に投げ捨てようかと」
ファイ「……」
リンク「だ、大丈夫だよ大妖精が拾って強くしてくれるから」
ファイ「ファイの情報にはそのような情報はありません。強化出来る確立30%」
リンク「攻略wikiに書いてあったから、えいっ」
ファイ「あっ」
神トラ編終わり
ファイ「都合上、ファイは『ムジュラの仮面』のマスターを知りません」
ファイ「何故ならば金剛の剣とかいうふざけた剣によって役目を奪われたからです」
ファイ「ファイにはあのような金ピカに光る剣のどこが良いのか理解し兼ねます」
ファイ「なので、ムジュラの世界は語りません」
ファイ「強いて語るならば、スタルキッド……ムジュラの仮面の力によりハイラルはタルミナに変化」
ファイ「地形そのものが変わりますが、人の姿、形などは変わらず、まったく別人になりました」
ファイ「元マスターである、リンクはムジュラの仮面に打ち勝ち、勝利」
ファイ「尚、鬼神リンクになった際に持っている剣はビームが出る模様」
ファイ「ビームはマスターソードの特権なので、マスターソードであった確立が25%」
ファイ「……」
ファイ「それでは、トワイライトプリンセスを語りましょう」
リンク「わんわん!」
ファイ(今度のマスターは犬、と思ったら違うようですね……元に戻しましょう」
リンク「あ、あれ…………」
ザシュッ
ファイ「……承認しました、おはようございます、マスター」
リンク「う、うわっ!?」
ミドナ「……剣が認めた」
ファイ「イエス、マスター。只今現状を把握しております、少々お待ち下さい」
リンク「どういうことだ、君は誰なんだ」
ファイ「申し遅れました、マスターソードの精、ファイです」
リンク「ファイ……」
ミドナ「おいおい、なんだよ、こんなの聞いてないぞ。剣が認めたとは思ったけど、具現化までされているなんて」
ファイ「ファイはあまり知られていない存在、マスターソードとしては語られますが、ファイはなかなか語られませんので」
リンク「そうか……」
リンク「あ、ああ、凄いなそんな事まで分かるのか」
ファイ「マスターの記憶を元に把握しました」
ミドナ「……そうか、分かった!お前がファイか!!」
ファイ「? 何か?」
ミドナ「聞いたことがある、単なる言い伝えだと思ったけど……ふん、まぁいいや。さっさとゲルドの砂漠から行かないと」
リンク「ミドナ、ファイのこと知ってたのか?」
ミドナ「知ってるも何も、魔族の敵だよ、敵」
ファイ「……なるほど、把握しました。では、その言い伝えは」
ミドナ「そうだよ、初代魔族長ギラヒムからさ、影の世界にも入ってきたからね」
ファイ「この時代においてその名前を聞くとは、これも何かの縁でしょうか、マスター」
リンク「さっぱりだ、設定すっ飛ばしすぎだろ」
ミドナ「だから、そんなことどうでもいいって!今はこの世界どうにかしないとダメだろう?」
リンク「そうだった」
ファイ「この世界は……魔王の復活した世界なのですね」
ファイ「この質問は何度目でしょうか、ファイは大地が栄える前の時代より知っています」
リンク「凄いな……そんな時代からあったのか」
ファイ「イエス、マスター。初代マスターはマスターソードに仕上げ、大地を救い、大地を栄えさせました」
ファイ「そして2代目マスターは、未来でハイラルの地を救い、魔王ガノンを討伐、その後元の世界に戻り、未来の知識により元の世界も救いました」
リンク「途方も無い話しだな。そんな話さっぱりだ、ゼルダ姫くらいじゃないか、知ってるのは」
ファイ「この世界のゼルダ姫はもう女神としての記憶があると?」
リンク「さぁ、どうなんだろうな。そのへんもさっぱりだ」
ファイ「……」
ミドナ「おいおい、飽きられてるぞ」
ファイ「いえ、マスター少しずつ把握しましょう」
ファイ「まずガノンドロフは一度賢者に処刑されかけましたが、ガノンドロフが最後の力を振り絞り、賢者の1人を圧倒しました」
リンク「……もしかして、それってこれから聞くんじゃ」
ファイ「ここで聞いても同じ模様、賢者達はとっさの判断で、ガノンドロフを影の世界に封印」
ミドナ「厄介なもん封印しやがって」
リンク「はしょりすぎだろ」
ファイ「記憶がいまいち安定しないので」
リンク「だ、誰のだよ!?」
ミドナ「まぁいいじゃん、もう一回プレイすれば」
リンク「メタ発言かー」
ファイ「ということで、いつも通りご検討を」
リンク「しょうがない、ミドナ復活させて、城に乗り込むか……」
―――――――
――――
――
―
城へと乗り込み、最終決戦
最後に、リンクはガノンドロフに『とどめ』を刺す
ガノンドロフ「……」
リンク「……」
ゼルダ「……」
ガノンドロフ「ふっ……」
リンク「……」
――――
――
―
リンク「ガノンドロフは最期まで倒れることはなかった」
リンク「膝をつくことすら……」
ゼルダ「……ええ」
リンク「……あれは、光の精」
リンク「……ッミドナ!?」
ミドナ「……」
ミドナ「なんだよ」
リンク「ミドナなのか?」
ミドナ「そうだよ、綺麗すぎてビビったか?」
リンク「……」
ミドナ「そこは綺麗って言っておけよ」
リンク「はは……ミドナ、だな」
ゼルダ「貴方が影の姫君……」
ミドナ「そうだよ……だけどな、私は帰らなければいけない」
リンク「……!?」
ミドナ「そんな顔をするな、光と影は交わってはいけないんだ」
ゼルダ「……」
ミドナ「処刑場へ行こう」
リンク「……」
ミドナ「私が元に戻れたのは、お前のおかげだ」
リンク「……」
ミドナ「そっちの姫さんを大事にしてやってくれ……」
ゼルダ「……影は光が無くては存在しない、同時に光も影が無ければ存在しない。どちらがかけていてもお互いは両立しないのですね」
ミドナ「そうだな……ゼルダ、あんた、良いヤツだな」
ミドナ「あんたみたいな奴がハイラルに溢れていたら」
ミドナ「……もっと良くなったかもな」
ゼルダ「……」
ファイ「……」
ミドナ「そういや、あんたも居たな」
ファイ「イエス」
ミドナ「あんたにも世話になったな、あんたが居なかったらガノンは死んでないしな」
ファイ「礼には及びません」
ファイ「性格?」
ミドナ「ああ」
ファイ「ファイには……性格などというものはありませんが、しかし……ファイも少しずつ変わっていっているのかもしれませんね」
ミドナ「無いってことはない、マスターソードにも影はある。影あるものに性格有り」
ファイ「イエス」
ミドナ「……リンク」
リンク「……」
ミドナ「ま……」
ミドナ「またな……」
リンク「ぐっ……ミドナ……」
ファイ「ファイはその後、マスターに手によって、元の森の聖域に戻されます」
ファイ「余談ですが、スマッシュブラザーズXにて、マスターがマスターソードを抜きますが」
ファイ「再度、亜空の使者終了後に、マスターソードを返還している模様」
ファイ「その後に世界については、まだ未確認」
ファイ「今後どうなるかは、分かりません」
ファイ「そして、最後に、ネールの世界へと……」
ファイ「行きましょう」
リンク「こんな海の中にあったなんて……」
ザシュッ
ファイ「……承認しました」
リンク「うわぁ!?」
ファイ「マスター、おはようございます」
リンク「び、びっくりした?!」
ファイ「驚かせて申し訳ございません。マスター、剣を掲げてください」
リンク「……ッ!」キーン
ファイ「……」
リンク「も、もういい?」
ファイ「イエス、この世界においてスカイウォードは発生しないと確認。封印がされているようです、またマスターソードの劣化も確認。真のマスターソードになるには鍛錬が必要である確立が95%」
リンク「そうなんだ……」
ファイ「イエス、マスター。この世界は、物凄い世界です」
リンク「どういうこと?」
リンク「うん、この格好もそうだし」
ファイ「イエス、マスターが着ている服は初代マスターも着ていた服です」
リンク「言い伝えは本当だったんだ」
ファイ「イエス、このハイラルの地が証拠です」
赤獅子の王「へいっ」
リンク「うわっ!な、何!?」
赤獅子の王「リンク、マスターソードは手に入れたか?手に入れたなら、地上へ行き、魔獣島へ行くぞ」
リンク「ちょ、ちょっと待って」
ファイ「マスター、先に移動を優先。王と共に話しましょう」
リンク「わ、分かった」
―――
―
赤獅子の王「マスターソードの精か、初耳だな」
ファイ「イエス、ファイの存在は言い伝えに残っていません」
赤獅子の王「今回の覚醒が最初ではないんだな」
ファイ「今回は3度目……これは時系列からすると、ですが」
赤獅子の王「ふむ」
ファイ「2代目勇者は、ハイラルを救った後に、旅に出ました。もちろん、ゼルダ姫によって『精神は』元の世界へと戻りました。しかし、残った抜け殻は7年後残ったまま」
ファイ「よって、言い伝えでは『旅に出た』とされています。これは王家の隠蔽の為です」
赤獅子の王「そこまで知っているのか」
ファイ「イエス、その当時のマスターと共にガノンドロフを討伐しました」
赤獅子の王「なるほど……生きる歴史書だな」
ファイ「その後、ガノンドロフは復活。リンクは存在しない為に、ハイラル王は封印を施しました」
赤獅子の王「海の底に沈めてな」
ファイ「イエス」
ファイ「イエス、マスター。見たところマスターは歴代マスターよりも幼い模様、少しずつ把握していきましょう」
リンク「う、うん」
ファイ「次に向かう場所は魔獣島。妹の奪還、成功を祈ります」
リンク「うん!絶対助けるぞ!!」
―――そして、無事妹を救出。
その後賢者と共に、マスターソードを鍛えなければいけないと分かったリンクは、賢者を探し出し、マスターソードを真のマスターソードへと進化させた。
そうして、ハイラルの地の先にあるガノン城へと向かい
歴代のボスを倒した
そして―――。
リンク「うん、頑張る」
ファイ「また、知恵のトライフォースを持った子も発見した模様」
リンク「え?」
テトラ「え?」
ハイラル王「……テトラ、お前こそがこの地の姫君、ゼルダ姫の子孫なんだよ」
テトラ「え、はぁ!?」
ハイラル王「お前はゴシップストーンで出来た通信出来る石を持っていた、そこから私は把握した」
ハイラル王「そして、リンク。お前もまた、勇者として、魔王討伐をしなければならない」
ファイ「イエス、マスター」
ハイラル王「……マスターソードを使ってな」
―――――
―――
――
―
リンク「いい加減諦めろ!何度封印されていると思っている!」
ガノンドロフ「ハイラルは戻す、戻して支配する。この俺がな」
リンク「絶対にさせない、今の世界は……海のある世界は、このままで良いんだ!」
ガノンドロフ「たわけ!!」
テトラ「リンク!」
リンク「光の矢で頼む!」
テトラ「分かった!リンク!リンクを狙うから、リンクは……分かるね!?」
リンク「ッ!! ああ、分かった!」
ファイ「マスター、テトラの光の矢がミラーシールドで跳ね返せる確立85%」
リンク「了解!」
―――そうして。
ガノンドロフ「あ、が……が」
リンク「……」
ガノンドロフ「……フフ…フ、風が……吹いておる」
リンク「ッ!?」
ゼルダ「石化していく……」
リンク「くはぁ……」
ゼルダ「リンク!」
ハイラル王「わが子らよ」
ゼルダ「ハイラル王……」
ハイラル王「私は、この世界に、このハイラルの地に縛られていた」
ハイラル王「前を向いてはいけない、後ろを、ハイラルの地を、見ていた」
ハイラル王「お前たちには、向いていて欲しい……前をな」
ゼルダ「一緒に、向けば良いじゃないか!一緒に、なぁ?行けば、良いじゃないか。船もある!」
ハイラル王「そこは、既にハイラルではない……」
ザーーーーーーーー
ファイ「……マスター」
リンク「ファイ!」
ファイ「そして、ハイラル王」
ハイラル王「……」
ファイ「ファイも、このハイラルと共に……」
リンク「そ、んな!?」
ファイ「この地にはもう、トライフォースも、マスターソードも必要ではありません」
リンク「……」
ファイ「いいえ、もしかしたら……」
ファイ「存在したからこそ、争いがあったのかもしれませんね」
ハイラル王「……辛い思いをさせたな」
ファイ「いえ、お気になさらず」
リンク「……」
ファイ「同じように、ファイも復活をするでしょう」
ファイ「その時にまた、マスターが存在すれば」
ファイ「ファイもまた存在するのです」
リンク「でも……」
ファイ「マスター……」
ハイラル王「そろそろだ、そろそろ崩壊する」
ファイ「さようならマスター。そして……」
ハイラル王・ファイ「新たなる国の反映を」
ザアアアアアアアアアア
ハイラル王「我、種子を放てり……」
ファイ「……ああ、永い永い役目も終わりを告げます」
ハイラル王「ご苦労だったな、よくぞこのハイラルの地を守ってくれた。安らかに眠れ」
ファイ「イエス……ハイラル王……」
―――――
―――
ファイ「ここまでがファイの知る物語です」
ファイ「ファイはマスターソードが存在する限り、存在します」
ファイ「どんな時間、次元、時系列を超えても」
ファイ「そして……この世界にも」
ファイ「ファイはマスターが呼べば出てくる存在です」
ファイ「……ああ」
ファイ「また……」
―――――――――
―――――
―――
―
ファイ「承認しました……マスターおはようございます」
「……君は」
ファイ「初めまして、マスターソードの精、ファイです。この世界では……」
おしまい
魔族の世界と影の世界と闇世界は同じ場所と考えていいのかね
そこら辺は曖昧かな
光の世界にも闇の世界にも魔物は存在するし、影の世界のほうが魔物は多いだろうからって思う
トワプリ影の世界≠神トラ闇の世界、ってのはどっかで見た気がする
ただ、ミドナがファイの存在知ってたら面白いなぁって思ったから書いたんですけどもwwww
時オカのナビィ
ムジュラのチャット
風タクの赤獅子の王(ハイラル王)
トワイライトプリンセスのミドナ(黄昏の姫君)
スカイウォードソードのファイ(マスターソードの精)
ナビィだけが謎だよな本当
ナビィ=ファイ説も考えたんだけど、このSS成り立たないからやめた
あと説明ありがとう!結構もう忘れてるw
ゼルダは思い出ですよね、本当
ファイが現世に現れるたびに説明してるって考えると、結構めんどうですよねwww
よく出来た秘書さんだ
いやあったでしょう
ただ、時の勇者が7年前に戻ったから勇者が居なくなった世界なだけで
じゃあトワプリの次元は時の勇者がかえらなかったってことか?
帰ってきたんだよ、だから封印戦争が起こらなかった
その前にガノンドロフを処刑しようってなって、処刑したところが砂漠の処刑場
・風タク世界
封印戦争に勝利した時の勇者リンクが元の時代に帰ったあとに残った世界
封印戦争が終わった瞬間に時勇リンクが行方不明になっただけで世界はそのまま
以後は風タク劇中で語られてる通り
・トワプリ世界
封印戦争を終えて時勇リンクが帰ってきた世界
先手を打ってガノンの反乱を未然に阻止←ここで歴史が変わって風タク√と分岐
その後ムジュラに続き、更にその後時勇リンクはどっかの誰かと結婚
何代か後の子孫がトワプリリンクになる
ありがとう
ゼルダの伝説って結構深いんだな
こういう話になっていたとか全然知らんかった
Entry ⇒ 2012.09.28 | Category ⇒ 版権物SS | Comments (2) | Trackbacks (0)
岡部「未来へ……か」 鈴羽「リンリーン!」
~ラジ館屋上~
あ…ありのまま 今 起こった事を話すぜ!
岡部「おれは ラジ館屋上で、2036年へと帰還する鈴羽を見送ったと
思ったら いつのまにか、鈴羽を再び目にしていた」
な… 何を言っているのか わからねーと思うが。
おれも 何をされたのか わからなかった…。
頭がどうにかなりそうだった… 催眠術だとか超スピードだとか。
そんなチャチなもんじゃあ 断じてねえ。
もっと恐ろしいものの片鱗を 味わったぜ…。
鈴羽「話は後にして! 未来が大変なことになってるんだって! だからリンリンの力を借りたいの!」
岡部「は?」
鈴羽「いいから早く乗って!」
岡部「ま、待て! そ、その前に教えろ!」
鈴羽「だから、待てないんだってば! ほら、行くよリンリン!」 ガシッ
岡部「だから、そのリンリンというのはなんだーーーーっ!」
鈴羽は、俺の叫びを華麗にスルー。
俺は流されるままタイムマシンの中へと連れ込まれる。
こうして俺は──不本意ながらも──飛ぶこととなった。
岡部「未来へ……か」
鈴羽「リンリーン!」
世界線変動率 3.372329%
岡部「これがタイムマシンの内部か、実に興味深い」 キョロキョロ
鈴羽「起動完了っと」 ポチッ
鈴羽「2036年へのタイムトラベルは、大体6時間くらいかかるからゆっくりしててよ」
岡部「2036年……6時間……」
岡部(意外に時間がかかるな……。
いやしかし、26年という歳月を跳躍するのだからそれを考えると短いものか)
鈴羽「リンリーン」
岡部(まさかダルと由季の仲を取り持つために走り回るだけで終わらず、2036年にまで連れて行かされるとはな)
岡部(どうやら、俺はこいつにまた振り回されねばならんようだ)
岡部「……」
岡部(しかしまあ、それも悪くはないかもしれない)
岡部「……だからその呼び方は一体何だ。俺はパンダかなんかか!」
鈴羽「パンダ? 違う違う。ほら、君さー、前におじさんって呼ぶなって言ったでしょ?」
岡部「当然だ、俺は決しておじさんではないからな」
鈴羽「2036年の君を呼び捨てするのも気後れするじゃん?」
岡部(2036年だと、俺は44か45か。
確かに18かそこらの小娘に呼び捨てにされるのも……。
いやしかし──)
岡部「だからといってリンリンはないだろリィィンリィンは!」
鈴羽「岡部”倫”太郎のリンと”鈴”羽のリンでリンリン、あはは、かわいいでしょ」
岡部「かわいくないわっ!」
岡部(というかそれだと、自分の名前も呼んでいることになるだろ)
ついさっき帰っていった鈴羽と、随分印象が違う。
二つのおさげは後ろ側でまとめられており、服装も迷彩色の──まるで軍人のような──服。
そして、少しだけ憂いを帯びた表情。
2036年から来たということは、あの”コミケ騒動”の時の鈴羽と変わらないはずだが……。
それとも世界線が変動したのか?
俺はその疑問を投げかける。
鈴羽「違う違う、世界線は変わってない……と思うよ」
鈴羽「厳密に言えば、タイムマシンに乗って時間跳躍した際にわずかに変動するんだけど、それは誤差みたいなものだから」
鈴羽「あたしは2010年8月20日から2036年8月20日に帰還して、一ヶ月経過した後」
鈴羽「つまり2036年9月20日から来た阿万音鈴羽……っと今は橋田鈴羽で問題ないのかな」
岡部「ほう……だからさっき俺がラジ館の屋上にいることも分かったわけだ」
鈴羽「そうそう、さすが察しがいいね」
岡部「オシャレ?」
鈴羽「2036年に帰還した翌日、リンリンが会いに来てくれてさ……」
岡部(早速会いに行ったのか、未来の俺)
鈴羽「それで……」
岡部「それで?」
鈴羽は頭をポリポリとかく。
これは照れている証拠だ。
鈴羽「……い、いきなりギュって」
岡部「ギュ?」
岡部(俺が鈴羽の髪をギュ?)
岡部「ダキ?」
岡部(俺が鈴羽の髪をダキ……唾棄?)
岡部「おい、さっぱり分からんぞ」
鈴羽「……ええとその……」
鈴羽「だ、抱きしめられちゃった」
岡部「は?」
鈴羽「い、いきなりリンリンにギュって! ダキって! 抱きしめられちゃったんだってばっ」
岡部「なんだとぅ!?」
鈴羽「会うなりいきなりだよ? もうびっくりしたんだからー」
鈴羽「だから、その……あたしも頑張ってみようかなーって思って、髪型変えてみたり、お化粧勉強してみたり……」 ボソボソ
岡部(なんてこった……)
しかも相手は友人の娘、なんてことをしてくれる、未来の俺)
鈴羽「あぁもう! こんなことリンリンにも話してないのに!」
頭をかく速度があがる。
おい、そんなにかくとハゲるぞ。
鈴羽「まっ、あたしとリンリンの仲が良いこと、父さんは複雑に感じてるみたいだけどさ」
岡部(そりゃそうだ、ダルにしてみれば、父親のポジションを取られたと感じてるに違いない)
岡部(そう……だよな?)
鈴羽「……」
岡部「……?」
岡部(まずい、地雷を踏んだか?
いやいやいや、でも突っ込まざるを得ないだろ)
岡部「…………」
岡部「ふ……む」
岡部「そのおさげ! 中々似合ってるではないかブァイト戦士よ!」
鈴羽「えっ?」
岡部「しかし、さながらポンデリングを二つに割って装着したかのような髪型だなこの、スイーツめっ!」
鈴羽「ポッ、ポンデェ!? な、なにおうー!」
岡部「……」
岡部「ククッ、甘い、甘いぞバイト戦士。貴様はドーナツのように甘々だ!」
鈴羽「な、なんなのさ……いきなり」
岡部「未来のことを話すのは禁則事項、そうだったな」
サイズハング
岡部「これぞ我が能力【カマかけ】! いいか、俺は全てお見通しなのだフゥーハハハ」
カラーリングジェントルマン サイズハング
岡部(【顔色窺いは大人のたしなみ】からの【カマかけ】の禁断コンボ、相手は死ぬ)
岡部「だから……遠慮などしていないで話すがいい」
岡部(もっとも、これから未来に降り立つのだから、禁則事項もクソもないのだがな)
岡部「ちなみに俺はポンデリングは嫌いではないぞ」
鈴羽「ぷっ……」
岡部「む……」
鈴羽「やっぱり君って優しいね」
岡部「や、優しさなどではない! 俺に隠し事は無意味だということだ!」
鈴羽「そうだよね、話さないわけには……いかないよね」
そう言って鈴羽はうつむく。
やはりこいつ、強がっていたか。
明るく振舞おうとしてたようだがこの鳳凰院凶真の目は欺けない。
鈴羽「この服は……戦闘服」
岡部(せんとう? せんとう……銭湯?)
鈴羽「あたしたちタイムトラベラーの任務は、ロストテクノロジーを回収するため……前にそう言ったよね?」
岡部「あぁ……覚えている」
鈴羽「装備もある程度充実した物を支給される。それがこの服とか、その他諸々」
鈴羽「見てくれはただの迷彩服だけど、結構性能いいんだ」
岡部「ふむ……」
岡部(実際過去へタイムトラベルするとなると、色々な問題が出てくるのだろうな……)
岡部(そういった問題を解消しつつミッションを遂行するには──
質のいい装備とよく訓練されたベトコン……じゃない、エージェントでなくてはならないと言うわけか)
鈴羽「で、ここからが本題」
鈴羽「2036年9月20日に……つまりあたしたちがこれから飛ぼうとしてる日に」
鈴羽「父さんと君が……誘拐された」
岡部「な……に?」
岡部(銭湯で融解!? 俺とダルが融ける!? しかも尊敬語!?)
岡部(ってアホか俺は、戦闘と誘拐に決まっているだろ)
岡部「それは……本当なのか?」
鈴羽「嘘言ってどうするのさ」
岡部「だが、大の大人を誘拐などと……」
鈴羽「……タイムマシン」
鈴羽「犯人は、二人とタイムマシンとを引き換え……そう要求してきたんだよ」
鈴羽「……許せない、父さんたちが頑張って作り上げたタイムマシンをこんな卑怯な手で……」
岡部(そうか……タイムマシンの存在)
岡部(時間を支配することは世界を支配することだって難しくないかもしれない)
岡部(それを考えれば、研究者をとっ捕まえて研究させ……いや、完成されているのであればタイムマシンを横取りの方が早い……か)
岡部「となると……犯人はかなり絞られるのでは?」
鈴羽「それが……あたしも開発に関わってた人全員と面識があった訳じゃないんだ」
鈴羽「相手がタイムマシンを要求してきてる以上、警察とかに頼ることもできないし……」
岡部「なるほど、確かにいたずらと思われても仕方ないだろうな」
岡部「……そうだ、誘拐について紅莉栖は何と言っている?」
岡部(あいつはタイムマシンに関して否定的ではある。
しかし、好奇心旺盛の実験大好きっ子。
俺たちがタイムマシンの開発をしているのであれば、あいつも俺たちの近くで開発に関わっているはず)
鈴羽「えー……えっとそれが……」
ばつが悪そうに目を泳がす鈴羽。
おい、なんだよ。
しどろもどろ。
岡部「三行にまとめると──」
岡部「由季から俺達が誘拐されたことを聞く。
頭が真っ白になる。
気づいたらタイムマシンに乗っていた」
鈴羽「あ、あはは……」
岡部「……これでいいか?」
鈴羽「う、うん……」
岡部「お前、本当に特殊な訓練を受けたのかっ!?」
鈴羽「だ、だってー、二人が誘拐されたって聞いて、拷問とかされたんじゃないかって思ったらいてもたってもいられなくって……」
岡部(うっ、拷問か……なくはないな)
岡部(タイムマシンのために誘拐までする犯人だ、情報を吐かせるためには拷問もためらわないだろう)
鈴羽「そ、それに! 困ったらいつでも俺を頼れ、って言ったのはリンリンでしょー!?」
岡部「いや、言っとらんわ!」
鈴羽「……一応ね」
岡部「一応?」
岡部(紅莉栖ならばタイムマシン開発の中心にいてもおかしくない、そう思ったのだが)
鈴羽「タイムトラベル理論に関しては、リンリンの功績が大きい。父さんはそう言ってた」
岡部「…………」
岡部(ほう……)
岡部(ほぉおぅ……」
岡部「……」
鈴羽「?」
岡部「ククク……ははは、ふはは」
鈴羽「えっ?」
岡部(さすがは鳳凰院凶真、SERNはおろか、あの天才少女・牧瀬紅莉栖すらも出しぬいたというのか!)
鈴羽「リ、リンリン?」
岡部「リンリンではなぁい! 俺は! 鳳凰院凶真だっ! フゥーハハハ!!」
岡部(紅莉栖に話を聞くのは、2036年に着いてからでも遅くはあるまい)
岡部(今は未来の情報、主にタイムマシンの情報を、少しでも聞きだしておくとしよう)
岡部(待っていろ未来の俺、この灰色の脳細胞を持つ鳳凰院凶真が貴様を華麗に救出してくれるわフゥーハハハ!!)
鈴羽「着いたよ」
岡部「ここが……」
鈴羽「そう、2036年の秋葉原」
岡部「ってラジ館の屋上に出るんじゃなかったのか? ここはどこかの研究室のようだが」
鈴羽「何言ってんのさ……って、あぁそっか」
鈴羽「ラジ館は一度建て直されてるんだよ、ここは新ラジ館9階」
岡部「な、なるほど、つまりこの場所は旧ラジ館の屋上に当たる、というわけか」
鈴羽「そういうこと、ちなみに今は10階まである」
岡部「この一室を借りてタイムマシン研究というわけか、しかし……元が屋上なだけあって広いな、ラボとは比べ物にならん」
鈴羽「違う違う、ラジ館自体君の会社のものらしいよ」
岡部「は?」
岡部(どれだけ儲かってるんだうちの会社)
鈴羽「ちょっとね」
鈴羽がタイムマシン外部に取り付けられたパネルを操作すると──
岡部「た、タイムマシンが消えたっ!?」
鈴羽「消えた訳じゃないよ、透過処理ってやつ? なんていったかな、未来ガジェットの……」
鈴羽「そうそう、攻殻機動迷彩ボール! あれの技術を応用したって言ってたかな」
鈴羽「全体を覆うように取り付けられたモニタと、そのモニタの直角且つ外側を向くように取り付けられた超小型C-MOSカメラ」
鈴羽「それによる、擬似的光学迷彩って感じ、詳しいことは分かんないけど」
岡部「空間移動のできないタイムマシン故にカモフラージュが必要、というわけか」
鈴羽「……機密性はできるだけ高くしないとね、でないと悪い奴らに利用──」
鈴羽「……っ」
岡部「…………」
岡部「……ん?」
鈴羽「い、一応さー。何かあった時のために、指紋認証からパスコード認証に変えとくねっ、パスは──」
岡部「……」
鈴羽「……メ、メモ……わ、渡しとくね……”ま、万が一の時”のために……」
岡部(泥沼……)
鈴羽「そ、それがその……」
鈴羽「母さんから誘拐の話を聞いてすぐ飛び出してきちゃったから、詳しいことは何も……」
岡部(……まじか)
岡部「……そう言えば、移動のできないこのタイムマシンで少しだけ過去に戻るとどうなるのだ?」
岡部(VGLシステムによって同じ空間座標にタイムトラベルしたら、飛んだ先には当然タイムマシンがあるはず)
俺の脳裏に、タイムマシンがめり込んだラジ館の光景が浮かんでくる。
鈴羽「当然の疑問だよね。でも大丈夫。VGLシステムで計算する空間座標処理にほんの少し手を加えればいいんだよ」
鈴羽「今のコンピューターの処理能力なら難しいことじゃないんだ」
岡部「となれば、数時間前に飛んで由季の話を──いや、誘拐を阻止すれば!」
鈴羽「だめだよ……近い過去や未来に飛ぶことは禁止されてるんだ」
岡部「……? なぜだ」
鈴羽「万が一あたしがあたしに接触してしまうと、深刻なタイムパラドックスが生じる可能性がある、父さんはそう言ってた」
鈴羽「何が起こるかは、不明……」
鈴羽「もしかしたらあたしという存在は世界に消されてしまうかもしれない……」
鈴羽「いや、あたしが存在する世界すら崩壊するかもしれない……」
鈴羽「だからあたしが生まれる2017年以降の過去に飛ぶことはできないんだ……」
岡部(2017年以降の過去……変な言葉だ)
鈴羽「あたしみたいな若年者がタイムトラベラーに選ばれるのもそういった理由もあるんだ」
岡部「だから2010年に飛んで、俺に助けを求めてきたというわけか」
鈴羽「うん……」
岡部(ってちょっと待て)
岡部(パラドックスが生まれるのでは?)
その疑問をぶつけてみる。
鈴羽「あ、あはは……」
鈴羽「もうダメダメだ……あたしは戦士失格だね……」
岡部(特殊な訓練とはいったい……うごごご!)
鈴羽「ど、どうしよう……」
鈴羽「……」 ジワッ
岡部(やれやれ……世話のやける)
岡部「…………フフフ、フハハ」
岡部「フゥーッハハハ!」
鈴羽「リ、リンリン?」
岡部「らしくないなバイト戦士ぃ! 貴様にはっ! 俺というブレェェェンがついているではないかっ!」
岡部「一流の戦士である貴様とこの俺が組めば、怖いものなどありはしないのだっ!」
岡部「パラドックス? その程度の問題など些細な事──」
岡部「いや、むしろ犯人にハンデを持たせてやらねばなっ」
岡部「卑怯な犯人の野望なぞっ! この狂気のマッドサイエンティスト鳳凰院凶真が打ち砕いてやるっ!」
岡部「フゥーハッハッハッ!!」
鈴羽「……」
岡部「……だが、当然貴様にも動いてもらわねばならん。俺は頭脳労働向きなのだからな」
鈴羽「……リンリンに励まされてばっかだなぁ。そうだね、あたしもしっかりしないと」
岡部「だから、リンリンではなぁぁい!」
鈴羽「分かったよ岡部倫太郎。必ず二人を救出しようね!」
岡部(いつもの鈴羽に戻ってくれたようだな)
岡部「あぁ……そのためにもまず由季の話を聞かねばな。どこにいるのだ?」
鈴羽「母さんなら、旧ラボにいるはず」
岡部「旧ラボ? 大檜山ビルのラボのことか?」
鈴羽「そうだよ」
岡部「まだあったのか」
鈴羽「みんなの思い出の場所だからね」
岡部(ラボか……。そういえばミスターブラウンは健在なんだろうか。
60も近いはずだが)
───
──
外に出てみると9月の終わりにしてはやや不快な熱気と、どんよりとした鈍色の空が俺たちを待ち受けていた。
今にも一雨きそうである。
岡部「街並み自体はあまり変わらないな。相変わらずの趣都といった感じだ」
もっとも、割合中年が増えた印象。
オタク連中も高齢化とは。
たたかわなくちゃ、げんじつと。
ブロロー
岡部「2036年でも変わらず、車は走っているのだな」
鈴羽「? 当たり前じゃん」
岡部(車もしばらく空を走る予定はなさそうだ)
───
──
~大檜山ビル前~
鈴羽「さ、着いたよ」
岡部(うん……ボロい。よく生き残ってこれたな大檜山ビル)
ブラウン管工房は、相変わらず健在だった。
店内には2010年以上に暇を持て余していたミスターブラウンと思わしき人物の姿がある。
年をとったせいだろうか、少し線が細くなったような気がした。
とはいえ元気そうで何よりだ。
少し安心しつつ、俺たちはラボへと急ぐ。
今は彼と話をしている場合ではない。
ガチャリ
岡部「おぉ……」
鈴羽「どう? 26年後のラボは」
岡部「家具などは変わっているようだが……配置はあまり変えていないのだな」
岡部「それに小奇麗にしていると言った印象だ」
鈴羽「今でも母さんやあたしはお邪魔させてもらってるし」
岡部「そうなのか……しかし、由季はどこにいった? いないようだが」
鈴羽「おっかしいなー、あたしがラボを飛び出してから、そんなに時間は経ってないはずなんだけど」
鈴羽「母さーん、どこー?」
開発室やシャワールームを探しに行く鈴羽をよそに、俺はラボ内を見渡していた。
ふと棚に、ラボに似つかわしくない見慣れぬ物が──
おい……これって……。
間違いない、某修羅の国でたびたび問題視される”あれ”だ。
棚の隅で怪しい光を放つ、卵ほどの大きさのそれを見て、背筋が寒くなる。
岡部「お、おいっ……鈴羽、これって……しゅ……しゅりゅ……」
鈴羽「ん? どうしたの?」
岡部「今の日本ではこんなもの所持するのが許されるのかっ? 世紀末なのかっ? ヒャッハーなのかっ!?」
鈴羽「あぁ、これのこと?」
岡部「ば、ばかやめろ! 持つな! 爆発でもしたらどうするっ!」
鈴羽「大丈夫だってば」 ポン ポン
岡部「よ、よせ! 乱暴に扱うな!」
鈴羽「それより……どうしよう……母さん見当たらない……」
岡部「それよりって……」
岡部(2036年の日本は修羅の国に実効支配された模様、ご了承ください)
岡部「お、落ち着け、まだそうと決まったわけでは……」
岡部(そんな物を持ちながら取り乱さないでほしい、というか一旦置け!)
岡部「……なぁ、俺と親しい人間にも犯人から連絡が来ている可能性は?」
鈴羽「え?」
岡部「考えてもみろ、お前や由季はダルの家族だ、家族となれば人質としての効果は十分」
岡部「となれば……その、俺の家族とかにも接触があってもおかしくは……」
岡部(未来のことについて、詳しく聞くつもりはないが、が今はそんなことを言ってる場合ではない)
岡部(少しでも事件の真相に近づかなくては)
鈴羽「その……あたしもついひと月前に再会したばっかだから、未来の君についての詳細は知らないんだよね」
岡部「そうか……」
鈴羽「こ……恋人はいたって話だけど……」
岡部「恋人っ!?」
岡部「な、なあおい……そ、それは一体誰なのだ……?」
岡部(……聞きたいような聞きたくないような)
鈴羽「そんなこと、あたしが知るわけ無いじゃん」
鈴羽「誰だか知らないけど、とある女の人とかーなり親密な関係なんだってさ!」
岡部「なぜふてくされる!」
鈴羽「この~、あたしというものがありながら~……」
岡部「ま、待て、何の話だ!」
鈴羽「忘れたとは言わせないよ! あんなことしておきながら!」
岡部「わ、忘れるも何も、俺はまだ知覚すらしていないはずだがっ!!」
鈴羽「むー……」 ジロリ
岡部「……っ」
岡部(ヤバい、一体何をしてくれたんだ、未来の俺)
岡部「え、えっと、そのっ……あ、謝る! 謝るから!」
鈴羽「……」
鈴羽「……あっはは、ごめんごめん」
岡部「へっ?」
鈴羽「冗談だよ、冗談。君があんまり動揺してたからさ」
岡部「き、貴様……この俺にサイズハングを……」
岡部(じょ、冗談か……)
岡部(どうやらふざける余裕くらいは出てきたようだな──ってどこからどこまでが冗談なんだ?)
鈴羽「ともかく、恋人に関してはさ、父さんと母さんが話してるのを聞いただけだからあたしは知らないんだ」
岡部(恋人がいたっていうのは本当だったのか。
よかった、魔法使いにクラスチェンジしていたらどうしようかと……)
岡部(しかし……とある女……一体誰なんだ……? まゆり? もしかして紅莉栖?)
岡部「そ、そうだ! 紅莉栖! 紅莉栖に連絡を取ってみるんだ」
ツー
鈴羽「…………」
鈴羽「だめ、出ないや……」
鈴羽「母さんの携帯にもかけてみたけど、だめだった……」
岡部「くっ、こんな時に何をやっているんだ」
鈴羽「──!」
鈴羽「しっ……誰か……登ってくる」
岡部「何も聞こえないが……」
鈴羽「あたしには聞こえる」
岡部「由季が戻ってきたのでは?」
鈴羽「母さんなら足音を消して登ってきたりしないよ」
鈴羽「……隠れよう」
開発室の奥で、俺たちは息を殺し、じっと身を潜める。
カチャリ、扉が静かに開けられた。
頬を流れる汗は暑さのせいだけじゃないだろう。
──「橋田鈴羽、隠れているのは分かっている。大人しく出てこい。それと白衣の男もだ」
聞きなれないドスの聞いた男の声。しかも俺たちの存在はバレている。
どうする?
出ていっても大丈夫なのか?
何者だ?
──「タイムマシンについて話をしよう」
こいつ──
鈴羽「出ていくしか……ないみたいだね」
鈴羽は開発室から出る。それに俺も続く。
男は黒のスーツに身を包み、サングラスをかけていた。
その右手には拳銃。
ピリピリと伝わってくる殺気。どう考えても堅気の男ではない。
鈴羽「何者……」
男「タイムマシンはSERNが回収する」
岡部(SERN──!?)
俺の脳裏にゼリーマンズレポートの画像が浮かんでくる。
岡部(SERN……Zプログラム……SERN……ディストピア!)
岡部(ダメだ、タイムマシンは絶対に渡してはならない)
男「言っておくが、抵抗は無駄だ。この場所以外にも我々の仲間は散らばっている」
岡部(くそっ……何十年もの間、世界中の科学者を欺いてタイムマシン研究を行なってきた機関だ。単なる脅しではないだろう)
男「その前に」
銃口がゆっくりと俺の方へと向けられる。
男「そちらの男は必要ない」
あ……。
ヤバい、死ぬ。
あれ、でもここで俺が死んだら2036年の俺はどうなるんだ?
絶望的な状況だというのに、なぜかそんな疑問が浮かんだ。
男「……」 ピク
男「……俺が何者か、というのはどうでもいいことだ」
ピン
その時、横で何かが外れる音──
男の気が逸れる。
と同時に、鈴羽が髪に挟んであった何かを掴み、男に投げる。
男「なっ! 手榴……!?」
岡部「──!?」
ボォン
男「うおおっ!?」
頭も目の前も白、白、真っ白。
ああ、おかべよ、しんでしまうとはなさけない。
と思いきや──
鈴羽「今のうち!」 ガシッ
岡部「なぁぁっ!?」
すれ違いざまに鈴羽は男に対し──
鈴羽「でやーっ!」
ゴッ
痛烈なニーキック。
男「うっ……」
───
──
タタタタタッ
岡部「あ、あの白い煙は一体……爆発は!? 手榴弾ではなかったのか!?」
鈴羽「モアッドスネーク2nd Edition Version2.51」
岡部「は?」
鈴羽「手榴弾を模して作られた小型の超瞬感加湿器だよ、レバーを外して3秒後に無数に散りばめられた穴からボン」
鈴羽「ちなみに水を入れてレバーを取り付ければ何度でも使用可能」
岡部「はっ……はっ……そ、そうだった、のか……」
鈴羽「思ったより湿度の制御が出来ないみたいで、随分前に開発中止になっちゃったんだけどね、役に立ったよ」
鈴羽「急ごう岡部倫太郎、こうなった以上はラジ館に行って奇襲を仕掛けるか……もしくは──」
──タイムトラベル。
だがそれは最後の手段として取っておきたい。
──タイムパラドックス。
想定不能の事態が起こる可能性。
さらに、飛べば全て解決かと問われればといえば、そうでもない。
とにかくここは鈴羽の言うとおり急がなくては。
SERNはすでにタイムマシンに──場所だけだが──近づいている。
───
──
タタタタッ
岡部「はぁっ……ひぃっ……」
鈴羽「もうちょっとだから、頑張って……」
岡部「はぁっ! ふぅっ!」
タタタタタッ
岡部「先に……行って……状況を……」
岡部「すぐ……追いつくっ……」
鈴羽「わ、分かった。ラジ館の入り口前にいるから──」
岡部(体力の無さが恨めしい……)
───
──
岡部「……はっ……はっ……」
岡部「はぁっ……ふぅーっ……」
岡部「ふぅっ……着いた……鈴羽はもうとっくに着いてるはず。ヤバい、足手まといにしかなってない」
岡部「鈴羽はどこだ……?」 キョロキョロ
岡部(いた──)
岡部「すず──」
声をかけようと思ったその瞬間、鈴羽の表情が強張る。
鈴羽「──!」
──「橋田鈴羽、一緒に来てもらう」
──「騒げば……分かっていると思う、二人がどうなるか」
先ほどの男と同様、堅気らしさを感じさせない冷徹な声。
鈴羽「……二人は無事なの?」
女「それはこれからのあなた次第」
非情な脅し文句。
距離はあったがかろうじて会話の内容も聞き取ることができる。
黒いフルフェイスヘルメットのような物を被っていて、女の顔を確認することはできない。
岡部(鈴羽の背後を取るとは、あいつもSERNのエージェントか!?)
岡部(どうする……迂闊に動けば俺も……)
女「ラジ館屋上、先行してもらう」
岡部(くそっ! 鈴羽っ……!)
岡部(どうする? 人質がこの付近にいる可能性はある)
岡部(しかしこのままでは鈴羽は……)
岡部(俺たちと世界の運命、どちらを取るか──そんな選択を迫られることに……)
岡部「いや──」
そんなこと──
岡部「そんなこと、させてたまるか!」
岡部「屋上……そう言ってたな」
~4階~
岡部「静かだな……全く人が居ない」
~8階~
岡部「はぁっ……はぁっ……やはり……」
岡部「階段を一気に登るのは……はぁっ……」
屋上への階段を登り切ると、そこには二人の人間が対峙していた。
一人は鈴羽。
もう一人は変な仮面をつけている髪の長い女。
あれは確か、まゆりの好きなうーぱ。
うーぱの仮面をつけた、ふざけた女。
岡部「鈴羽っ!」
鈴羽「あっ!」
仮面の女「あら? お客さんですか」
岡部「そこの貴様! 観念するのだな!」
仮面の女「……いきなり現れて一体何なんです? 名前くらい名乗ってはいかがですか?」
岡部「ふぅん! いいだろう……」
岡部「きけい! すでに人質は解放済みだ!」
鈴羽「う、うそ! ホントに!?」
仮面の女「……」
岡部「人質と引換にタイムマシンを横取りするつもりだったんだろうがそうはいかん!」
仮面の女「どうやったんですか?」
岡部「タイムマシンを使えばいくらでも可能だ! 時間を支配するとはそういうことだフゥーハハハ!!」
鈴羽「……」
仮面の女「…………」
岡部「フッ……」
岡部(サイズハング。効け……効いてくれ、騙されろ)
岡部「まさかあのような場所に監禁しているとはな、手間取ったぞ」
岡部「だぁが、時間を支配するこの狂気のマッドサイエンティスト、鳳凰院凶真に不可能はなぁい!!」
岡部(どうだ? ボロを出してくれれば、そこからなんとか──)
仮面の女「ふむん」
仮面の女「つくならもうちょっとマシな嘘をついてください」
岡部「……っ!?」
岡部(バレた!?)
仮面の女「私知っていますから、タイムマシンで近い過去や未来に飛ぶのを禁止されていること」
鈴羽「くっ……」
仮面の女「人質が解放されていないこともです、部下に確認するまでもありません」
岡部(まずい。しくじった……か?)
仮面の女「それとあなた達が、随分昔からSERNにハッキングをしかけていたことも知っています」
岡部「なっ……」
岡部(どうする……)
岡部「う、嘘だと思うのならば部下に電話して聞いてみるがいい!」
仮面の女「だから、確認するまでもないって言ったじゃないですか」
仮面の女「第一、過去に飛んだとしたらまず誘拐が起きないようにしますよね、はい論破」
岡部(くそ! やはりパラドックスが起きるのを覚悟で飛ぶべきだったか?)
岡部(こうなったら強引にでもこいつを人質にして──)
岡部(大丈夫だ、相手は細身の女……俺でもいける……!)
岡部「おぉぉっ──」
鈴羽「あっ! だめ!」
ガシッ
岡部「うぐぁっ」
岡部(なんだ? 何が起こった?)
顔を起こして後ろを見ると、俺の背後の空間が歪んでいる。
似たような映像を見たことがあった。
透明なバケモノが一人ずつ人間を殺していき、最後には自爆する映画のワンシーン。
くそ、もう一人いやがった!
鈴羽「くっ!」
仮面の女「あなたはそこでじっとしていてください」
岡部「くそっ!」
仮面の女「さて、話を戻しましょう」
鈴羽「……っ」
仮面の女「タイムマシンはどこです?」
岡部「鈴羽! やめろ──うぐっ、もがが!」
仮面の女「黙っていてください」
仮面の女「さあ早く」
仮面の女「……言わなければ……わかりますよね?」
鈴羽「答えて!」
仮面の女「一人はあなたのパパなんでしょう? ダメですよ、パパは大事にしないと」
鈴羽「……くっ」
鈴羽「本当に……タイムマシンを渡せば解放してくれるの?」
ダメだ。
仮面の女「ええ、もちろんです、約束します」
やめろ。
仮面の女「ですが──」
鈴羽「なっ……!? そんな! 話が違う!」
仮面の女「悪く思わないでください。二人とも解放してしまっては、再びタイムマシンを開発されてしまう恐れがありますので」
鈴羽「そんなことさせない! させないから……」
仮面の女「だめです」
仮面の女「あぁ……でしたら、選んでください」
鈴羽「……え?」
仮面の女「橋田至か岡部倫太郎、どちらを解放するのか。あなたに選択権を差し上げます」
鈴羽「そんな……」
仮面の女「安心してください。命までは取りません。……二度と日本の土を踏むことはないでしょうが」
仮面の女「じっくり考えてくださって結構ですよ、それこそ時間はたっぷりありますから」
鈴羽「……っ」
鈴羽は顔をうつむかせ、拳を震わせている。
くそ、なんでだよ、なんでこんなことさせるんだよ。
岡部「もがっ……!」
グググッ
岡部「うぐっ……!」
鈴羽「…………」 チラッ
岡部「むぐぐっ……!!」
鈴羽「ふー……」
仮面の女「決まりましたか?」
鈴羽「うん、決めた」
仮面の女「……どっちを……助けますか?」
鈴羽「あたしは……」
仮面の女「……わがままが通じる状況だとでも?」
鈴羽「岡部倫太郎は大切な人。あたしの存在が消失してしまいそうになった時、あたしを信じて力を貸してくれた」
鈴羽「父さんはあたしを育ててくれて、愛してくれて……父さんのおかげで大切な人と巡りあうことができた」
鈴羽「どっちも見捨てるなんて、できない」
鈴羽「どちらか一人を選択するなんて、できない
鈴羽「あたしはどっちも助けてみせる。助けだしてみせる!」
仮面の女「……どうするつもり?」
鈴羽「実のところ少しだけ迷ってたんだー、でもおかげで吹っ切れたよ」
鈴羽「二人とも助けて、世界も君たちの好きにはさせない。迷ったら攻める! 戦士だからね!」
まさか──
鈴羽「世界線を変えることができれば……」
タイムマシンで──
鈴羽「ごめんね……岡部倫太郎、君を巻き込んじゃって。……励ましてくれたことすごく嬉しかったよ」
鈴羽「きっと変えてみせるから」
鈴羽「ちゃんと迎えに来るから」
鈴羽「見てて、岡部倫太郎!」
岡部「──っ」
そう言い終えた鈴羽は弾かれたように飛び出し、下の階へと姿を消した。
あのバカ。
肝心なところで抜けてるくせに、一人で戦おうとするな。
パラドックスが怖くないのかよ、自分が消えるかもしれないんだぞ。
何が巻き込んじゃってごめんだ、お前に振り回されるのは二度目だ、そんなのちっとも苦じゃない。
仮面の女「はー……やれやれ」
仮面の女「バカですねえ」
岡部(なに──?)
仮面の女「あれじゃ今から”タイムマシンを使います”って言ってるようなものじゃないですか」
岡部(しまった、本当の狙いはそっちか! だとすると用済みになってしまえば鈴羽は──)
岡部「うおおっ!」 ググッ
──「う──っ!?」
体が勝手に動いていた。
俺を押し伏せていた奴は油断していたのだろう。拘束は意外にも簡単に解けた。
岡部(早くタイムマシンの元へ、鈴羽の元へ──!)
岡部「だめだ鈴羽……!!」
カツカツカツカツ
岡部「はっ……はっ……」
カツカツカツカツ
岡部(頼む、間に合ってくれ!!)
カツカツカツカツ
カツカツカツ
パン
──銃声。
カツカツ ダッ
岡部「鈴──!」
まず視界に飛び込んできたのは先ほどのフルフェイスヘルメットを被った女の後ろ姿。
そして鈴羽。
左胸に赤い花を咲かせながらゆっくりと力なく倒れていく鈴羽。
その奥でタイムマシンが色を取り戻していた。
女の横を素通りし鈴羽の元へ駆け寄る。
銃を持っていたがそんなもの関係ない。
ガシッ
岡部「おい、しっかりしろ!」
鈴羽「う……」
岡部「傷口は……」
岡部(ダメだ、血がどんどん溢れてきている)
岡部(これではもう……)
鈴羽「……」
岡部「おい、目を開けろよ……」
岡部「お前は戦士だろ?」
岡部「こんな所で眠っていたらだめだ……ろ」
女はヘルメットに手をかけ、ゆっくりと持ち上げる。
ヘルメットに隠されていたその顔は──
岡部「桐生……萌郁!?」
26年の歳月が現れていたものの、面影はあった。
まとめられた金髪。
何を考えているか読めない表情。
岡部(こいつ……SERNとつながってたのかよ……バカだ……俺は)
鈴羽「ごめん……」
岡部「っ! 鈴羽!」
鈴羽「ご……ごめんね、失敗した……」
岡部「もういい喋るな!」
鈴羽「ホントに……ごめん……巻き……込んじゃって」
岡部(タイムマシンを使って──!)
岡部「世界がどうなろうと……知ったこっちゃない」
岡部(パラドックス? そんなのどうだっていい──)
岡部「俺はお前を助ける……!」
そうだ、こんなことあっていいはずがない。
罰を受けるべきなのは俺の方だ。
SERNにハッキングを仕掛けなければよかった。
タイムマシンを作ろうなんて思わなければよかった。
悪いのは俺なのだからここで鈴羽が死んでいいはずがない。
萌郁「……ごめんね、岡部くん」
岡部(何がごめんだ、謝るくらいならなんでこんなこと)
顔を上げ、萌郁の顔を睨みつける。
罪悪感からか、萌郁の眉がハの字になっていた。
俺の視点は萌郁の顔一点の集中する。
鈴羽を撃ちやがったこの憎い女の顔一点のみ。
だが──
ふと視界の端に──
よく見ると萌郁がプラカードを持っている。
リ……キ……ッ……ド
は? 液体?
いや、これは──
ドッキリ──
岡部「は?」
鈴羽「あ、あはは……」
岡部「す、鈴羽!? は!? え!?」
岡部(な、何が何だか分からない)
岡部「おい、なんだよこれ」
萌郁「ドッキリ……」
「「「「大成功ーっ!!」」」」
と同時に物陰からわらわらと人が出てくる。
な。
な。
な。
岡部「なんだよこれぇ!!」
仮面の女が部屋に入ってくる。
岡部(もしかして──)
紅莉栖「まったく、壁殴り代行お願いします、2時間1万円コースで」
まゆり「ふぅーっ。ごめんねー、オカリン。痛かった?」
──仮面を外した紅莉栖、多分。それと変なスーツを着た、まゆり。
るか「ええ、ちょ、ちょっとやりすぎだったような気がしますけど、とってもドキドキしました」
──フェイリスとルカ子、さん。
岡部「鈴羽、これは一体……」
鈴羽「それが、あたしがこの部屋に入ったらさ、父さんと萌姉さんがいて……」
鈴羽「”誘拐は狂言、撃たれたフリして倒れていろ、計画の最終段階だ”って言われて……」
鈴羽「すっごくびっくりしたんだけど、ドッキリのプラカード見せられて……あの……あはははは……」
ダル「鈴羽ぁ! 僕は嬉しい、嬉しいぞぉぉ! オカリンでFAって、即答されたらどうしようかとぉ!」
由季「でもこれで二人の想いが本物だって、分かったでしょ? だからあたしは最初からそうだって言ったのにー」
ダル「うん、これはもう……認めざるを得ないかもわからんね……つか若いころのオカリン懐ー! 思い出が蘇るお」
由季「お父さん、口調口調」
ダル「ふひひ、サーセン!」
──ダルと由季、さん。
萌郁「ちなみに、屋上の様子は、タケコプカメラー3rd Edition ver1.02で生中継だった」
萌郁「外の筒と内部のカメラは、それぞれ独立した動きが可能」
萌郁「つまり一つの物体としては高速回転してるものの、中のカメラ自体は回転しておらず、空中からの撮影が可能」
萌郁「ちなみに回転と同時に電極に高電圧が掛かり、イオンエンジンの上昇力で長時間の浮遊が可能、よ」
鈴羽「ちょ……みんな見てたってことぉ!?」
岡部「いや、そんなことよりもこれは……」
鈴羽「そうだよー! て、てゆーかなんなのさ! 説明を要求するーっ!」
岡部「そうだそうだっ!!」
由季「ごめんね鈴羽、岡部くん。お父さんがあなたたちの想いを確かめたいっていうから、二人が企画して……」
ダル「企画・僕、オカリン。脚本・ルカ氏。演出・オカリン。演技指導・フェイリスたん。衣装提供・まゆ氏。キャスト・他三名」
鈴羽「み、みんなグルだったってことーっ!?」
ダル「一ヶ月くらい前だっけか。いきなり”鈴羽を嫁にもらっていくぞフゥーハハハ!”って──」
鈴羽「ちょっ!?」
岡部「はぁーん……?」
ダル「なんの冗談かと思ったら本気だったとかもうね」
由季「あはは……あの時は二人とも大げんかしちゃって大変だったよね」
ダル「いくらオカリンとはいえ──つかオカリンだからこそ許せない! 絶対にだ!」
ダル「……そう思ってた時期が僕にもありますた……」
紅莉栖「ってことは許すの? 結婚」
ダル「まぁ、あんだけラブチュッチュを見せつけられたらもうね……」
鈴羽「え、え!? ちょっ……ま、まだ早いってっ!」
由季「照れなくてもいいのよ?」
ダル「あぁ……あんなにパパとラブラブだった鈴羽が……」
紅莉栖「ちょ、橋田キモい」
ダル「どしたん?」
岡部「その……撃たれた鈴羽の左胸からは間違いなく血が飛び出してきていたが」
ダル「ちょ、胸とか言うなし!」
萌郁「それはこの、サイリウム・ガンで……」
萌郁「弾は血糊入り、着弾と同時に衣服や肌に付着」
萌郁「着弾の際に先端部分が潰れ、弾のから血糊が流れでる仕組みになっている」
萌郁「あたかも銃に撃たれて出血したかのような演出を可能にする」
ダル「どう? 結構なクオリティだったっしょ?」
これでもかというほどのドヤ顔。
このオヤジ、殴りたい……。
鈴羽「父さんも……! このっこのっ!」 ポカポカ
ダル「ふひ、ふひひ」
ワイワイ。
ワイワイ。
なんだ。
なんだなんだ。
結局、俺はまたしてもこの橋田一家に振り回されていただけというわけか。
良かった、誘拐された俺たちも銃で撃たれた鈴羽もいなかったんだ。
良かった良かった。
岡部(んなわけあるか!)
岡部「きぃさぁまぁらぁぁ!!」
ダル「うおぅ、オカリンが怒った!」
───
──
ダル「もう帰っちゃうん?」
岡部「ぅあーたり前だ」
ダル「もうちょっとゆっくりしていけばいいのに」
岡部「26年後の世界などもうこりごりだ」
由季「あはは……ごめんね、心配かけちゃって」
岡部「い、いえ……」
紅莉栖「あら、未来のママに対してはつつましいのね、こっちはパパよ?」
岡部「うぅるさい! このっ! ノリノリ天才変態熟女めっ!」
紅莉栖「なっ──熟っ!? ちょ!」
岡部「2010年に帰ったら、貴様の小ジワが増えるたびにほくそ笑んでくれるわフゥーハハハ!」
紅莉栖「それ以上言ったら2036年があんたの命日になるから……」
由季「そうそう、一番に頼る人が過去の岡部くんだなんてね」
鈴羽「や、やめてよ二人とも! あの時は本当に頭が真っ白で……」
岡部「しかしまゆりは本当に年を取ってるのか? 随分と若々しく見えるが」
まゆり「やだなぁもう、オカリンってば」
岡部「もしや波紋の使い手っ……存在したのか!」
岡部「……」 チラッ
岡部「それにひきかえ助手ときたら……」
紅莉栖「う、うっさい! 私はアンチエイジングに否定的なの! 相応に歳を重ねていきたいだけなの!」
岡部「フン、増やすのは脳のシワだけで十分だと思うがな」
紅莉栖「……やっぱり今のうちに殺して世界線を変えとくべきみたいね」
岡部「この狂気のマッドサイエンティスト鳳凰院凶真をまんまと出し抜くとはな……恐れいったぞ」
留未穂「とかいって結構楽しんでたよね♪」
るか「そ、それは、ええっと……」
岡部「時にフェイリス、お前……その口調は……」
フェイリス「ぎにゃああ、その名で呼ぶのはやめるのニャー!!」
紅莉栖「留未穂さん、口調口調」
鈴羽「だっ、だからそれはっ……」
紅莉栖「おかげで計画が変更……私の見せ場が……」
まゆり「ホントはねー、屋上でクリスちゃんがうーぱの仮面を外して、ばばーん! ってする予定だったんだよ~」
紅莉栖「でも、正直うーぱの仮面はセンスを疑うわー……」
まゆり「えー? そんなことないよぉ」
るか「でも岡部さんが”過去の俺の想いも見てくれればダルも納得する”って言って、急遽シナリオを変更したんですよね」
萌郁「あれにはびっくりした、岡部くんの言う通りに事が運ぶんだもん」
岡部「気のせいか……かなり流暢にしゃべるようになったのだな、シャイニングフィンガーよ」
萌郁「あははっ、そんな風に呼ばれたの久しぶり、懐かしい」
萌郁「岡部くんなら途中で”機関の陰謀を阻止する”とか言ってどっか行っちゃったよ」
紅莉栖「過去の自分を見て、厨二病再発ですねわかります」
岡部「貴様こそ、26年経った今でも@ちゃん用語とはな」
紅莉栖「う、うっさい!」
ダル「まっ、二人が接触しちゃうとタイムパラドックスが生じる危険性が微レ存」
紅莉栖「しっかし……こうやって若いころの岡部を見てると……2010年のラボを思い出すわね」
ダル「あ、あの時のことはもう思い出したくないのだぜ……」
まゆり「大変だったもんね~」
ダルがうなだれる。
ふむ。
ということはこいつ、知っているようだな。
自分の娘に惚れたこと──
自分の娘に罵倒され、快感を得たことも──
新しく好きな女が出来たから君とは付き合えない、キリッ、と自分の娘をフッたことも──
それを知った日、枕に顔を埋めてぐりぐりしたに違いないフゥーハハハ!
鈴羽「あたしにとっては、一ヶ月前、岡部倫太郎にとっては三日前のことなんだよね」
鈴羽「まるであたし達だけ時間が止まったみたいだよね」
紅莉栖「……はいはいマグママグマ」
───
──
鈴羽「それじゃ、2010年まで送っていくね」
岡部「あぁ、頼む」
まゆり「オーカリーン、またねー」
るか「お体を大事にしてくださいね」
留未穂「過去の私に……ニャ、ニャンニャン語を封印するよう、言ってくれると助かります……」
萌郁「騙してごめんね、岡部くん」
紅莉栖「中でイチャイチャすんなよ? ラブホじゃないんだからな」
ダル「許さない、絶対にだ」
由季「はいはい、よしよし」
岡部(こいつら……好き放題言いやがって)
鈴羽「あ、あはは……」
鈴羽「いやぁ、それにしても……なんて言ったらいいのか」
岡部「……」
鈴羽「ごめんっ! ホントにごめんね!」
鈴羽が手を合わせて、頭を下げてくる。
茶番に巻き込んだことだろうか、ドッキリに加担したことだろうか。
あるいは両方か。
急にあの場面が思い浮かんで、少し照れくさかかった。
岡部「あ、案ずるな、相手は未来の鳳凰院凶真なのだ。これも必然というやつだ」
それにしても未来の俺め、随分と手のこんだことをしてくれる。
俺や鈴羽がどう行動するか、まるで分かってたみたいじゃないか。
ああ……。
そうか、きっと未来の俺も同じ目にあったんだな。
岡部「あぁ」
鈴羽「起動完了っと」 ポチッ
鈴羽「2010年へのタイムトラベルは、行きと同じく6時間くらいかかるからゆっくりしててよ」
岡部「6時間……」
岡部(6時間か、やはり長い。でもようやく解放された気分だ)
岡部「ふー……」
岡部(ずっと緊張していたせいかどっと疲れが出てきた)
岡部(にしてもこいつはあまり疲れてないように見えるが……)
岡部(……やはりよく訓練されているのだろうな)
岡部「……」 チラッ
鈴羽「ん? どしたの?」 ニコニコ
鈴羽と目が合う──が。
思わず目をそらしてしまう。
うわっ、なんだこれ。
鈴羽「エヘヘ」
岡部「な、何を見ている! あまりジロジロ見るんじゃない!」
鈴羽「えー? だって、向かい合わせで座ってるんだからしょうがないじゃん」
岡部「ぐぬぬっ……」
岡部「おっ……俺だ! 今強烈な精神攻撃を受けている! あぁ……相手は俺の魔眼と対をなす邪眼の持ち主だ」
岡部「その邪眼に魅入られし者は、現実と夢との区別がつかなくなるのだぁぁ」
岡部「し、心配はいらない、1分後にまた連絡する、エル・プサイ・コングルゥ」
夢は見れたかよ。
鈴羽「前から気になってたんだけどさ。それってどこに電話してるの? というか今つながらないよね」
おのれ野暮なことを。
電波はつながらなくとも、心でつながっているのだ。
定時報告に水を差されたせいか、上手く思考が働かない。
話す内容が浮かんでこない。
こいつに抱いていた感情は、ダルのように父性愛、そう思っていたはずだが。
こ、これはもしや──
いや、そんなまさか。
岡部「……っ」 チラッ
だめだ! 娘(仮)の顔もまともに見れん父親がどこにいるっ!
認めよう、俺はこいつのことを──
こいつに──
鈴羽「あっはは、どうしちゃったの? 今の君、怪人百面相、って感じだよ」
苦悩する俺などどこ吹く風、鈴羽は相変わらず満面の笑み。
行きよりもずっと時間が長く感じる。
今だけはアインシュタインに文句を言いたい気分だ。
───
──
はじめは無限のように思われた時間も、一度平静を取り戻せばなんのことはない。
タイムマシン内にだけ存在した時間は、あっという今に過ぎていった。
というか、寝てた。
~ラジ館屋上~
岡部「戻ってきたか……わざわざ送ってもらってすまなかったな」
鈴羽「いや、連れてきちゃったのはあたしだし……ね」
鈴羽「…………」
鈴羽「ねえ、リンリンはなんであんなことしたのかな」
岡部「……ダルに俺たちの仲を認めさせる、だろう?」
鈴羽「……」
鈴羽「……もうちょっとだけこの時代に留まろうかな」
岡部「え? あ、あぁ……どうせ跳躍する先は同じなのだから、いいのではないか?」
俺は鈴羽が未来に帰った後のことを考えていた。
しばらくこいつに振り回されることもないと思うと、複雑な気持ちだ。
ふと視線を横にやる。
こいつは今、何を思っているんだろうか。
そんな俺の思いを察したのか──
鈴羽「……待ってるんだよ」
岡部(待ってる? 何をだ!?)
岡部(ま、まさか男を見せる時が来たのか?)
岡部(いやしかし……)
岡部(お、落ち着け俺! 素数だ、素数を数えるんだ。2,3,5,7,9……)
岡部(いや、9は違うだろっ!)
岡部(67,71,73,79……)
岡部(101,103,107,109…………)
岡部(…………151……初代ボケモンって151匹だったよな確か……)
岡部「なあ、2036年だとボケモンってどのくらいに……」
岡部(じゃなくて!)
鈴羽「?」
岡部(ええい……!)
定時報告。
決して逃げたのではない、フゥーハハハ。
とその時──
ブーブー
岡部「うわぉぁっ!?」
岡部「なんだ、メール……か。全く、空気を読めんメールだ」
鈴羽「……」
ピッピ ピッ
09/20 18:26
From:sg-spk@jtk93.x29.jp
Sub:
本文なし。
※添付ファイル二つあり。
岡部「まさか──」
鈴羽が跳躍する日時を間違えた?
いや──
岡部「Dメール……か!?」
鈴羽「……」
ピッ
恐る恐る1つ目の添付ファイルを開いてみると、ムービーが再生された。
『…………』
『初めましてだな、26年前の俺』
『俺は2036年から、このムービーメールを送っている』
岡部「未来の俺……なのか」
鈴羽「やっぱり……なんとなく来るような気がしてた」
『このメールを受け取ったということは、鈴羽と共に2036年に跳躍し、2010年に戻ってきた、そうだな』
『なぜ俺たちが、いや、俺が誘拐などという狂言を仕組んだか分かるか?』
『必要なことだったからだ』
『そう──26年前に俺が観測した2036年では”実際に誘拐は起きた”』
『タイムマシン開発の中心人物という理由で、未来の俺やダル、紅莉栖はSERNに拉致された、そして俺は鈴羽に連れられタイムトラベル』
岡部「まさか──」
『ここまで言えば分かるだろう』
『俺たちはSERNから人質を解放するために動き──』
『最終的に鈴羽は……SERNのエージェント、ラウンダーである桐生萌郁の凶弾によって倒れた』
『辛かっただろう、胸が引き裂かれそうだったろう』
『お前の気持ちはよく分かる。お前は俺だからな』
『だが、悲哀の他にもう一つの想いがお前の中で芽生えたはずだ』
岡部(そう……あの時俺は、何としてでも鈴羽を助けようと思った)
『銃弾を受けながらもタイムマシンに乗り込むことが出来た俺は、鈴羽を助けるためにあらゆる方法を試すことになる』
『誘拐の計画を邪魔した。SERNにクラッキングを仕掛けて重大なエラーを起こさせた。萌郁を殺そうとしたこともあった』
『しかしアトラクタフィールドの壁が俺に立ちはだかった』
『皮肉な話だ、銃弾を受けても致命傷とならなかったのもそのおかげだったのだろう』
『世界線の収束、確定した事実、回避不可能』
『Dメールによる過去改変も考えた、しかし不確定要素が強すぎるDメールを使おうという気になれなかったのだ』
『いつしかFG204の燃料は尽きかけていた──俺の体力や気力と同じように』
『2010年に戻った傷だらけの俺を支えてくれたのはラボのみんな──』
『その中にはラウンダー、桐生萌郁もいた。萌郁を見るたびに俺の心に怒りの炎が灯った』
『しかし──それと同時に鈴羽を助けたいと強く願う気持ちも蘇ったのだ』
『やがて俺は思いつくこととなる、今回の計画を──』
『SERNへのハッキングを続行──ラウンダーの動向を探り、桐生萌郁を懐柔』
『同時に会社を立ち上げ、ダルや紅莉栖とともにタイムマシンの開発』
『俺はお前を騙した、世界を騙したのだ』
『因果は成立した』
誘拐事件──狂言ではあるが──の果てに凶弾に倒れる鈴羽。
タイムマシンに乗る俺。
世界から……2036年から姿を消す鈴羽。
そして何より、鈴羽を救おうと強く願った俺。
『だが……世界線が変動したわけではない、俺のリーディングシュタイナーは”まだ”発動していない』
『これからお前には、俺が過ごした26年を過ごしてもらわねばならない』
『26年もの間お前を縛ることになる、確定した未来を過ごさせることになる』
『そのことついても大変申し訳なく思っている』
『しかし、それは俺やダルや由季、鈴羽のためであり、何よりお前のためでもある。それを分かってくれ』
『お前が倒れた鈴羽を抱きかかえながら感じたあの気持ち、それによって引き起こされた”鈴羽を救いたい”という執念』
『その意志を次のお前に託して欲しい』
『本来は禁則事項だが、お前の負担を少しでも軽くするためにタイムトラベルの理論についてのデータを添付する』
『俺は2036年から戻る際に乗ってきたFG204を元にタイムトラベル理論を完成させたが、お前にはそれがないからな』
『…………』
『これにてオペレーション・シェブン第二段階コンプリート……と同時に、オペレーション・シェブン第二段階の概要説明を終了とする』
『もっとも、SERNとの戦いが終わったわけではない』
『2036年でラボを襲った男は我が社の人間だ。……SERNのスパイだったようだな、恐ろしい思いをさせてすまない』
鈴羽「どこかで見覚えあると思ったら……」
『まだまだ安心はできないということだ……だが俺は、必ず奴らの野望を打ち砕いてやる』
『……それでは、そちらも健闘を祈る』
『エル──』
『プサイ──』
『コングルゥ──』
鈴羽「……」
岡部「は、はは……何をやっているんだ俺は……44にもなって……まるで厨二病──」
鈴羽「やっぱり……」
鈴羽「……やっぱり君はあたしを助けてくれたんだね……」
鈴羽「2010年の時も……2036年でも」
岡部「……そ、そのようだな」
鈴羽「……ねえ、岡部倫太郎」
岡部「ん?」
鈴羽「未来の君が言うにはさ、世界は多世界解釈で成り立ってるわけじゃないらしいんだ」
岡部「……?」
鈴羽「今こうしてあたしたちがここにいる世界は二人の主観として、確かに存在する」
鈴羽「でもさ……もしあたしが2036年に戻ってしまったらどうなるのかな」
鈴羽「君にとっての主観の世界が正しいんだとしたら、2036年に戻った時点であたしは消失することになる」
鈴羽「逆にあたしにとっての主観……いや、2036年の君にとっての主観の世界こそが正しいのだとしたら、今の君が消失しちゃうのかなぁ……」
鈴羽「それって……すごく悲しいよね……」
岡部「そんな……はずは……。消えるわけ……無いと思うが」
岡部「お、俺にはちゃんと今まで生きてきた記憶がある。そしてそれはこれからも続く──そのはずだ」
岡部「お前にだって2036年まで生きてきた軌跡があり、その記憶もあるはず……そうだろ?」
鈴羽「そうなんだよね……。2017年に産まれて今まで、あたしは橋田鈴羽として生きてきた……」
鈴羽「もちろん、全部覚えてる訳じゃないけど、今までの18年間であったことを思い出せる」
鈴羽「でも……世界線が変わることで記憶が再構築されるなんて、神がかり的な現象があるんだとしたら……」
鈴羽「あたしの今までって”世界によって作られた記憶──作られたあたし”なんじゃないかなぁって……」
鈴羽「そんなあたしは”2010年にタイムトラベルしてきたと世界に承認されたことで”ようやく自我を持つことができた!! ……とかさ」
岡部「……」
鈴羽「あーもう! なんだかこんがらがってきちゃったや!」
岡部「言わんとしてることはなんとなくわかるが……」
鈴羽「ずっと……」
岡部「え?」
鈴羽「ずっとここにいようかな……」
岡部「お、おい……だが……」
鈴羽「……」
鈴羽「2036年には戻らず……ずっとここに……君のそばに……」
……そうか。
不安なのだな。
もしかしたら自分が消えてしまうかもしれない。
その恐怖に怯えているのだな。
だとしたら俺は──
岡部「え?」
鈴羽が胸に頭を押し付けてくる。
岡部「なぜ謝る……」
鈴羽「君に悲しい思いをさせてしまった……、君をこれから26年間縛り付けてしまう」
鈴羽「それだけじゃない、未来の君をずっと……ずっと縛り付けてきたんだあたしは……」
鈴羽「バカだバカだ、何がタイムトラベラーだ……あたしが過去になんて飛ばなかったら……」
鈴羽「知らなければよかった」
鈴羽「……いや知れてよかった。君に謝ることができてよかった……」
鈴羽「君のそばにいてあげたい……」
鈴羽「あたしは……どうしたら良いのか……わかんない、わかんないよ岡部倫太郎……」
あぁ──そうか。
不安だったんじゃない。
消えるのが怖かったんじゃない。
こいつは──
2010年の俺。
2036年の俺。
どちらの俺にも孤独と戦う日々を味あわせたくなかったんだな。
岡部「泣いて……いるのか?」
鈴羽「ごめん、ごめんね……」
全く……抜けているかと思いきや勘が鋭かったり。
強い意志を持っているかと思いきや泣き虫だったり。
岡部「フッ……案ずるな、お前は何も心配しなくていい、全て”俺”が決めたこと、そうだろう?」
岡部「お前は……戻るのだ──お前の両親や、お前を助けた”俺”がいた時代へと……」
鈴羽「で、でも……」
岡部「2036年こそ、お前の生きる場所なのだから」
鈴羽「でも! ……これから君は26年間、あたしのいない世界であたしのために……」
鈴羽「そんなの……そんなのって……」
鈴羽「そんな君を残して未来へ帰るなんて……」
岡部「…………」
やれやれ。
やはり世話のやける……。
岡部「泣くなバイト戦士ぃ!」
鈴羽「……え?」
岡部「SERNとの戦いは! まだ終焉を迎えたわけではなぁい!」
岡部「フゥーハハハ、自惚れるな! 貴様のためだけに送る26年間ではないのだっ!」
鈴羽「岡部倫太郎……」
岡部「……それに、こっちにはラボのみんなだっている。それまで上手くやっていくさ」
岡部「だから……お前は向こうの俺を支えてやってくれ」
鈴羽「……」
岡部「お前は戦士なのだろう?」
ガシガシと、少しクセのある髪を撫でてやる。
鈴羽「…………」
鈴羽「そうだね……そうだよね」
鈴羽「あはは、君にはホント、元気……もらってばっかり、だよ」
目には涙──
が、先ほどの思いつめた表情とうってかわって眩しそうに笑う鈴羽。
鈴羽「ありがと、岡部倫太郎」
岡部「フッ、笑っている方がお前らし──」
突然──
柔らかい感触が電流となって走り、脳髄を麻痺させる。
小鳥がついばむようなキス。
今度は唇だった。
鈴羽「エヘヘ。あたしのこと忘れないようにっておまじない!」
鈴羽「あっはは、……リンリンにバレたらヤキモチ妬いちゃうかな」
どうなんだろうか。
今の俺は2036年で、鈴羽が2010年で、あああ、頭が働かない。
岡部「あ、あぁ……向こうの俺にも宜しく伝えてくれ」
タイムマシンに乗り込んだ鈴羽は、俺に一瞥すると──
鈴羽「ありがと」
岡部「……ああ」
鈴羽「さよなら」
数秒後、光がタイムマシンを包みこむように輝き──
そこにあったタイムマシンは、跡形もなく消えてしまっていた。
突如──
周りの景色が琥珀色に包まれ、ぐにゃぐにゃと揺れ始める。
平衡感覚は失われ、立っていられなくなり──
岡部「うっ!?」
岡部「これは……リーディングシュタイナー!?」
どういうことだ……もしや世界線が変動した?
岡部「……」
岡部「…………」
岡部「ふむ、よく考えてみればなんら不思議なことではない」
岡部「世界から殺される運命だった鈴羽が、再び無事に2036年に戻ったことにより世界線が変動した。こんなところだろう」
岡部「そしてその世界線では鈴羽はずっと笑って過ごしている」
で、いいんだよな?
そうに決まっている。
しかし──
アトラクタフィールドの収束、SERN、ラウンダーの萌郁。
俺は実際に、それらを観測した訳じゃないから実感は湧かない。
世界が収束するというのなら、一度会った後、再び鈴羽と会うのは随分先になるのだろうな。
正直に言うと少し寂しい。
とはいえ、他でもない未来の俺からの頼みでもある。
やってやるさ。
それがシュタインズゲートの選択だというのならな。
どうせならばSERNを徹底的に壊滅……いや、逆にこの鳳凰院凶真が牛耳ってくれようか。
うむ、悪くない。
世間を欺く国際研究機関の影の支配者、実にマッドだ。
だが……。
まずすべきことは──
岡部「ん……?」
今、何か──
ドーン
突然起こった、壮絶な爆音。
同時に視界が真っ白になる。
何が起こった?
これは、まさか。
いや、でもそんなはずは──
少しずつ視界が元通りになり──
目の前にはタイムマシン。
鈴羽「…………っ」
岡部「鈴羽ぁ!?」
というか様子がおかしい。
鈴羽「うぅー……」
なんだよ、なんでそんな怪訝そうな顔で俺を見るんだ。
というか、睨まれてる?
鈴羽「……」
岡部「一体どうして……」
鈴羽「どうしたもこうしたもないよっ!」
鈴羽「萌姉さんがリンリンは渡さないって言うんだよー!」
岡部「……」
岡部「は?」
岡部「な、な、なんだとぅ!?」
鈴羽「覚悟してよね、リンリン!」
岡部「と、と言うことはその格好は……」
鈴羽「まゆ姉さんから借りてきたコスプレ衣装!」
岡部「ま、待て!」
岡部「そ、そんなことせんでも俺はお前のことを──」
鈴羽「問答無用ーっ!」
鈴羽「さぁ、覚悟ーっ!」 ダキッ
岡部「お、お、おぁ……」
岡部「未来へ……か」
鈴羽「リンリーン!」
岡部「か……か……帰れーっ!」
一ヶ月後──
2010年 9月20日
あのあと一日中、俺にベッタリな鈴羽であったが……。
結局、翌日には実に満足気な顔を浮かべて未来へ帰っていった。
『君の想いはちゃんと伝わったよ。これでもう大丈夫だね!』
『だから最初からそう言っていただろう! お、俺はお前のことが……す、好き、好きだ、と……』
『あ、改めて言われると照れるってば……』
『う、うるさい! お前が言わせたようなものだろう……』
『あっはは、そうだったね』
『あぁ……元気でな』
『……』
『……』
『き……』
『……?』
『き……き……』
『き?』
『き……君に一生萌え萌えキュン!』
その瞬間、ハッチが閉じ──数秒後にはタイムマシンは光の中へと消えていった。
あの時、鈴羽がどんな顔をしていたのかよく確認できなかった、が大方の予想はつく。
しかし、二度ならず三度までも不意打ちとはな。
最後の最後まであいつはこの俺を振り回してくれた。
岡部「ふふ……」
まゆり「あれー? オカリン嬉しそうだねー、えっへへー」
紅莉栖「岡部、あんた何一人でニヤついてんの? 気持ち悪いわよ」
岡部「うるさいぞうーぱ仮面」
紅莉栖「う? は──はぁー!?」
まゆり「えー? クリスちゃんうーぱのお面持ってるのー? 見せて見せてー?」
紅莉栖「も、持ってないわよ! つーか変な呼び名増やすなこのバカ岡部っ!」
ブーブー
岡部「ん? メールか?」
ピッピッ
09/23 19:08
From:skyclad2036@egweb.ne.jp
Sub:
本文:これくらいはいいよね!
※添付ファイル一件。
これは……もしや?
ピッピッ
岡部「ぶふぉっ!?」
写っていたのは未来の俺と──
見ているこっちの顔が綻んでしまいそうになるほどの笑顔の鈴羽──
あ、あいつめ。
またしてもやってくれる。
まゆり・紅莉栖「?」
岡部「マイフェイバリットライト──、ま、マイファーザーダール!!」
ダル「はぁ? なんぞ?」
岡部「ダル! 今すぐ電話レンジ(仮)の改良にとりかかるぞ!」
ダル「どしたん急に……つかファザー? ハカーの間違い?」
岡部「細かいことはどうでもいい! とにかく改良だ!」
ダル「僕は積みゲーを消化するのに忙しいわけだが」
岡部「至急頼む! 報酬はポテチ一ヶ月分だ!」
ダル「いやどす」
岡部「今なら0カロリーのコーラもつけてやる、すぐに取り掛かってくれるな?」
ダル「いいですとも!」
ついにこの時が来たのだ。
フフフ、バイト戦士め、この狂気のマッドサイエンティスト鳳凰院凶真。
やられっぱなしで終わると思うなよ!
ピッピッピ
ピッ
Dメール──
届け──
To:skyclad2036@egweb.ne.jp
sub:
本文:鈴羽、誕生日
おめでとう
岡部倫太郎
2036年9月27日の鈴羽の元へ──
見てくれた人、ほ支援してくれたすべての人に感謝
バイト戦士おめでとう!萎えちゃんはごめんね
よかった!
鈴羽誕生日おめでとう!
Entry ⇒ 2012.09.27 | Category ⇒ シュタインズゲートSS | Comments (1) | Trackbacks (0)
田中「……沖田ってさ」 紗羽「ん~?」
ザーザー
ガチャリ
紗羽「雨すごいねー……あれ、田中だけ?」
田中「沖田か。他のやつら休みだってよ。メール来てたぞ」
紗羽「あれ、そうなんだ」
田中「宮本はなんかCD買いに行くって。坂井は夕飯の準備、ウィーンは……わかんね」
紗羽「今日ケータイ忘れちゃったんだよね。田中帰んないの?」
田中「カッパ持ってきてないんだよ。ラケット濡らして帰りたくねーし。お前傘持ってる?」
紗羽「持ってない……予報じゃ晴れっていってたのに」
田中「そのうち止むだろ」
紗羽「みんな大丈夫かなー」
田中「うん?」
紗羽「もう音取れた?和奏の曲」
田中「ウィーンと歌えばなんとか。あいつ歌うまいよな」
紗羽「しっかりしてよね。和奏なんかソプラノ一人だよ」
田中「坂井はレベルが違うだろ」
紗羽「まあね……。歌って弾けるスーパー和奏」
田中「なんだそりゃ」
紗羽「なんでもいいのー」
紗羽「よく声出てるよね。さすがドイツ帰り」
田中「関係あんのか? 別に音楽やってたわけじゃないだろうし」
紗羽「細かいことは気にしなーい」
田中「ニクレッドだしな」
紗羽「海外にも戦隊モノってあるのかなあ」
田中「いや……どうだろ。今度聞いてみるか」
紗羽「何、あんた来夏のこと好きなの」
田中「ちげーよ、何でそうなるんだ」
紗羽「だって田中だし」
田中「話をきけよ……」
紗羽「はいはい。で、来夏がどうかした?」
田中「なんつーか、元気だよな」
紗羽「なにそれ」
田中「いやだってさ、あいつ声楽部やめて合唱部作っただろ。俺らまで集めて」
紗羽「まあ確かに行動力はあるよね」
田中「ちっさいくせにがんばるよな」
紗羽「時々ウザいけどね」
田中「嫌いじゃないけどな」
紗羽「やっぱり好きなの?」
田中「人としてはな」
紗羽「ほんとにそれだけ~?」
田中「しつこいっての」
田中「夕飯当番だからだと」
紗羽「そっか、お父さんと二人だもんね」
田中「あいつも、大変だよな」
紗羽「うん。でも今は合唱部のためにがんばってくれてるし」
田中「そうだな。俺たちもがんばんねーと」
紗羽「ね」
田中「しかし、坂井が料理してるとこ想像できないな」
紗羽「そういえばお弁当もお父さんが作ってるみたいね」
紗羽「さすがにそれはないでしょー」
田中「でも坂井だぞ」
紗羽「それは和奏に失礼…うーん」
田中「ウィーンち行ったとき、暖炉でなんか燃やそうとしてたぞあいつ」
紗羽「……」
田中「な?」
紗羽「まぁ……和奏だし」
田中「坂井だしな」
紗羽「うん」
田中「おう」
紗羽「……退屈」
田中「筋トレでもすっか」
紗羽「しない。どんだけ筋トレ好きなの」
田中「女子だってダイエットばっかしたがるだろ」
紗羽「うるさいクズ」
田中「ハァ……だんだん慣れてきたよ」
紗羽「罵倒されて喜ぶとかキモイ」
田中「喜んでねーよ!」
紗羽「二人だけでも練習する?」
田中「伴奏は無いけどな」
紗羽「それはしょうがないでしょ。じゃあ最初から」
田中「おう」
♪ ♪ ♪
紗羽「うーん、やっぱり二人じゃ物足りないね」
田中「……」
紗羽「何、どうかした?」
田中「いや、さ。沖田って器用だよな。普通に歌うまいし」
紗羽「そりゃ田中よりはねー」
田中「どーせ俺はバドだけだよ」
紗羽「はいはい、いじけないの」
紗羽「ほめてもなんもでないよー?気持ち悪い」
田中「気持ち悪いは余計だ」
紗羽「ふっふーん」
田中「お前バク転とかできるだろ。バドやってみりゃいいセンいくんじゃねーかな」
紗羽「バドはやらなーい……ん?」
紗羽「あれ、あたしアンタの前でバク転見せたっけ?」
紗羽「おい」
田中「……前に商店街でバイトしたときに」
紗羽「ウソ。あのときそんなアクションなかったじゃん」
田中「じゃあ見間違えだ、うん」
紗羽「怪しい……。今なら来夏と和奏には内緒にしてあげよう」
田中「なんもしてねーだろ!?」
紗羽「つまり田中は合唱部に居場所がなくなってもいいんだね」
田中「お前が言うと冗談に聞こえねーよ…」
紗羽「じゃあ白状しなさい。どこで見たの」
田中「……お前が音楽室で振り付け考えてたとき」
田中「はい」
紗羽「あたしそのときスカートだったよね」
田中「いやでも、タイツだったからセーフというか、」
紗羽「田中」
田中「……はい」
紗羽「覗きとかないわー」
田中「邪魔しちゃ悪いと思ったんだよ!」
紗羽「こっそり見てたんだ。ふーん」
田中「わ、悪かったよ」
紗羽「キモい」
田中「ぐっ……」
田中「ん?」
紗羽「いっつもそんなこと考えてるの?」
田中「そんなこと?」
紗羽「だから……その、スカートとか、エロいこと」
田中「考えてねーよ!」
紗羽「まったく?」
田中「…………まぁ、たまには」
紗羽「うわー……」
田中「聞いてきたのそっちだろ!」
紗羽「正直に答えるとは思わなかった」
田中「くっ……」
田中「あのな、あいつだってお前らが考えてるほど紳士ってわけじゃないぞ」
紗羽「え?」
田中「おっと、ここまでだ。男と男の約束は破れねえ」
紗羽「ちょ、ちょっと、ウィーンがなんなの?!」
田中「……」
紗羽「きーにーなーるー!」
紗羽「くそっ。……じゃあ田中の好みは」
田中「なんでそうなるんだよ」
紗羽「べっつにいいじゃん、減るもんじゃなし。あ、もしかして来夏?」
田中「もうそれはいいっつの」
紗羽「じゃあ和奏」
田中「あのな……選択肢狭すぎるだろ」
紗羽「同じ部活に美少女が3人もいるんだよ?もしかして田中ってソッチ系なの?ウィーンと仲いいもんね」
紗羽「え、なにそれ初耳なんだけど」
田中「前にそんな話をしたことが……がんばってるところがチャーミングとか何とか」
紗羽「それ好きってことなの?」
田中「わからんけど、坂井とかお前よりは好きなんじゃね」
紗羽「ちょっと。ちゃんときいといてね、明日もっかい聞くから」
田中「はいはい」
紗羽「む、田中のくせに」
田中「はいはい」
紗羽「雨やまないなー」
田中「……雨女」
紗羽「なんか言った?」
田中「なーんにも」
紗羽「……」
田中「……」
紗羽「……雨男」
田中「聞こえてんじゃねーか!」
紗羽「ふーんだ」
田中「……沖田ってさ」
紗羽「ん~?」
田中「どうなんだよ」
紗羽「なにが?」
田中「タイプとか、好きな、やつとか」
紗羽「……なんでそんなこと聞くの?」
田中「……別になんでもねーよ」
紗羽「……」
紗羽「あたしはさ」
田中「ん」
紗羽「……」
田中「……なんだよ」
紗羽「運動とか、できる人がいいな」
田中「は?……ああ、さっきの話か」
紗羽「……あとイケメン!」
田中「なんだそりゃ」
田中「な、なんだよ」
紗羽「田中は」
田中「え?」
紗羽「田中のタイプ。まだ聞いてない」
田中「…そんなん聞いてどうすんだよ」
紗羽「べっつにー」
田中「……」
紗羽「……へえ、ふーん。そうなんだ」
田中「おう」
紗羽「ふーん」
田中「なあ」
紗羽「あのさ」
紗羽「…なんであやまんの」
田中「あのな、えーと」
紗羽「……」
田中「つまりだな、」
ピーンポーンパーンポーン
“まもなく完全下校時間です。校内に残っている生徒は帰宅してください…繰り返します…”
田中「……」
紗羽「…えっと」
田中「お、おお、雨止んだな」
紗羽「あ、うん、そうだね」
田中「……帰るか」
紗羽「そう、だね、うん」
田中「お前んちどっちだっけ」
紗羽「坂下って左だけど」
田中「送ってくわ。もう暗いし」
紗羽「でも、田中んち反対でしょ」
田中「いいって。チャリだし」
紗羽「ラケットは?」
田中「準備室置いてきた」
紗羽「そ、そんなに私と帰りたいのかーしょうがないなぁ田中は」
紗羽「え、あの、」
田中「とりあえず乗れって」
紗羽「……?」
田中「うしろ」
紗羽「あ、うん、お邪魔します」
田中「よっと」
紗羽「……重くない?」
田中「別に。ぜんぜん軽いって」
紗羽「……ばーか」
紗羽「……しっかり漕いでよねー田中!」
田中「うわ、おい揺らすなって!」
紗羽「あははっ!ねえ田中ー!」
田中「なんだー?」
紗羽「明日一緒に登校しよっか!」
田中「はぁ?!」
紗羽「いいでしょー!迎え来てよ!セクハラされたことバラすよ!」
田中「セクハラって…わーかったよ、行けばいいんだろ、行けば!」
紗羽「わかればよーし!」
田中「だから揺らすなっつーの!」
紗羽「ふふっ。 田中のばーか!」
終われ
乙
サラッと読めて内容もサラッとしててよかった(小並感)
Entry ⇒ 2012.09.27 | Category ⇒ 版権物SS | Comments (0) | Trackbacks (0)
竜華「怜の胸が大きくなってる…」ワナワナ
竜華「よし!早速買ってきたでー!」
竜華「さてさて、あれから怜のお胸は成長してるのかなぁと」ペラッ
竜華「ま、そんな短期間で大きくなるわけ…」
竜華「……」
竜華「でかっ!!」
竜華「……」ムニムニ
竜華「……」パタン
竜華「いやいや、まさかそんな…」ペラッ
竜華「でかっ!!」
竜華「はっ!?」キュピーン
竜華「ま、まさか…」
竜華「ここに写ってる誰かに揉まれたんか!?」
竜華「怜ぃ…浮気なんて酷すぎるわぁ…」
竜華「「竜華のおっぱいになりたいわぁ」って言ってたのは嘘やったん…?」
船Q「なにしてはるんですか?」
竜華「あ!船Q!」
竜華「聞いてや船Q~~、怜が浮気しとったんよ~」エグエグ
船Q「は?浮気?」
船Q「ほうほう、これは皆さんなかなかのものを…」
船Q「…園城寺先輩、やたらおっきくありません?」
竜華「せやろ!絶対先鋒の子達に揉まれてでかなっとるんや~」エグエグ
船Q「はぁ…しかしこれは驚きですね…早急にデータの更新を」
竜華「きっと玄ちゃんに右、新道寺に左を揉まれてチャンピォンにコークスクリューマッサージとかされてるんよ!」
船Q「落ち着いてください、全く意味が分かりません」
船Q「でもこれは一大事ですね…泉と江口先輩も招集しましょか」
竜華「そやね!皆で怜のおっぱいが大きくなった秘密を探るで!」
泉「まあ先輩は今日は病院で休むって言ってはりましたけど」
竜華「二人とも、一大事なんや、まずはこれを」パラッ
セーラ「なんやこれ?ポスター?」
泉「わー、阿知賀の子かなり際どいですねー、新道寺も背のわりになかなか」
セーラ「よーこんな水着着れるなー、ウチやったら絶対無理やわ」
泉「アハハ、ウチもちょっと…」
竜華「二人とも、見るとこはそこじゃないで」
セーラ「わかってるって、怜やろ?怜も病弱やのによくこんな水着…」
泉「先輩?どないしたんで…」
セーラ泉「「でかっ!!」」
竜華「きっとこれは誰かに揉みしだかれたからに決まってるんや!」
竜華「くそっ、あの時にもっとしっかり見ておけば…」
泉「なんかテンパってて凄い事暴露してはりますね」
セーラ「いつもの病気や、気にしたらあかん」
船Q「まあ先輩の意見はともかく」
船Q「盛ってるにしても流石に大きすぎじゃないですか?ってことですよ」
セーラ「確かに…怜が着やせするなんて聞いたことないしなぁ」
泉「園城寺先輩が着替えてるとこをそもそも見たことないんですけど」
なにこれでかすぎだろ
竜華「この前の体育のとき怜の着替えをガン見しとったからな!」
船Q「部長、もう喋らん方がええと思いますけど」
セーラ「ならなんでこんなおっきくなったんやろなぁ…」
泉「…どうやっておっきくなったか聞いてみたいですわ」ペタペタ
竜華「怜ぃ…おっぱいおっきい怜なんて怜じゃ…」
竜華「…アリじゃない?」
船Q「いやホンマもう黙っといてください」
船Q「一つ目は本当に園城寺先輩の胸が大きくなったかを確認する事」
船Q「二つ目はもし大きくなってたらその手段を聞く事」
竜華「そして怜が浮気してるかどうかを確かめる事や!これが一番重要やで!」
船Q「はいはいそうですね、じゃあそれも追加で」
セーラ「つってもどないするん?直接問いただすんか?」
泉「素直に答えてくれますかねぇ…」
竜華「直接なんてアカン!もし怜の口から浮気してるなんて言われたら…」
竜華「…もうこの太ももに怜の頭を貼り付けるしか」
セーラ「手段が猟奇的やなオイ!」
泉「めっちゃ歩きづらそうですね…」
泉「ウチですか!?いきなり言われても困りますけど…」
泉「そうですねぇ…ありきたりですけど海に誘うとかどうですか?」
泉「合法的に水着を見れますしなにより着替えてるとこも見れるじゃないですか」
船Q「えーと、海に誘う・・・と」
セーラ「いやいや、もう流石にそんな時期じゃないやろ…二色ノ浜でも開いてないで」
泉「あ、やっぱそうですかね」
船Q「まあそこらへんは温水プールでも代用できますし、ええ案やと思いますけど」
船Q「じゃあ次は江口先輩、なんかあります?」
セーラ「うーん…直接聞くのが一番やと思うんやけど…」
竜華「」フルフル
船Q「ほうほう、それはいいですね」
セーラ「へへっ、せやろー」
船Q「じゃあ…、一応聞きますけど先輩は何か?」
竜華「怜のおもち…なかなかのなかなか…えへへ、怜ぃ…」
泉「(こわっ!!)」
船Q「はい、じゃあないということで二人の案を採用しようかと…」
ガララッ
怜「ごめんごめん、お待たせー」
セーラ「と、怜!?」
船Q「(泉ポスター隠して!)」
泉「(は、はい!)」ササッ
セーラ「い、いやぁ、ただの雑談や」
怜「ふ~ん」
船Q「(どうですか?見た目なんか変化あります?)」ヒソヒソ
セーラ「(特別おっきいようには見えへんけど…)」ヒソヒソ
泉「(やっぱり着やせするタイプなんですかねぇ)」ヒソヒソ
怜「ちょ、目の前でヒソヒソ話とか感じ悪いで」
船Q「ああすんません、ちょっとね…」
怜「なんや内緒話か?ウチの悪口でもいっとるんやろー」
泉「そ、そんなんちゃいますって!」
怜「あれ、泉それなにもってるん?」
泉「(!?!?!?!)」
船Q「(泉!耐えて!)」
セーラ「(絶対見られたらアカンで!)」
怜「なんで後ろに隠してんの?ウチにもみしてーな」
泉「これはですねぇ…そのぉ…」
泉「(無理!無理です船久保先輩!)」フルフル
船Q「(…しゃーない)」
船Q「いや実はですね、泉が自分で書いてきた漫画を持ってきたんですけど」
泉「(え?)」
怜「マジで!?ウチにもみしてー」
船Q「その内容が…」
船Q「クッソ汚いホモ漫画なんですよ!」ドドーン!
泉「(えええええええええ!?)」
船Q「ええ、まったくですよね」
泉「ちょ、いや、あの」
セーラ「いやウチらもドン引きやったんやけどな、これはちょっと怜には見せられへんなぁって話しとったんよ」
泉「(江口先輩!?)」
怜「ま、まあ趣味は人それぞれやし…別にウチは気にしてへんよ」ポン
泉「はい…もうなんでもいいです…」シクシク
船Q「で、園城寺先輩もどうですか?」キラーン
怜「い、いやぁ…ウチはちょっといいかな…」
泉「やっぱり引いてるじゃないですかぁ!」(迫真)
セーラ「(泉…後でなんかおごっちゃるからな…)」
船Q「そこでうずくまってますけど」
竜華「」ズーン
怜「うわっ、暗…おーい竜華ー?」
竜華「ウフフ…怜の声が聞こえる…私を迎えに来てくれたんやね…」
怜「いや迎えに来たというかなんというか」
竜華「怜ぃ!」ダキッ
怜「ちょっ!いきなりどうしたん」
竜華「」モミモミ
怜「んんっ・・・!」
船Q泉セーラ「「「(直接いったーーーっ!!!??)」」」
怜「やっ、りゅうかぁ、いきなりっ」
竜華「……」モミモミモミモミ
怜「んんんっ、ちょっ、アカンてっ」
竜華「…同じや」モミモミ
怜「ふぇ…何が…」
竜華「胸の大きさが前と同じや!!」
怜「当たり前やろっ!!」バシーン!
竜華「痛っ!なにするんよ怜ー」
怜「それはこっちのセリフや!セクハラはウチの専売特許やろ!!」
船Q「いや、それもどうかと思いますけど」
船Q「実はですね…」
かくかくしかじか
怜「あ、あのポスター見たん…?」
竜華「ちゃんと保存用と観賞用と使用用に3枚買ったから!!」
セーラ「(使用用ってなに?)」ヒソヒソ
泉「(…江口先輩はそのままでいてください)」カァーッ
セーラ「???」
船Q「まあ正直失礼な話なんですけど、流石に盛りすぎちゃいます?」
怜「ちゃ、ちゃうんよ!あれはなんというか…」
竜華「やっぱり浮気か!ウチ以外の子に揉ませてたんか!」
怜「竜華以外に揉ませるわけないやろ!」
竜華「怜…」
怜「竜華…」
船Q「なんですかこれ」
怜「いやぁ、ほら、ちょっと前にあれでたやん?マウスパッド」
竜華「ああ、ウチと怜のやつやったっけ?」
怜「そうそう、アレ作ってる人が「やべぇ、盛りすぎた」とかふざけたこと言い出してな…」
怜「んで今までとった写真やと正面向いてるのがなくて」
怜「この際やからこのサイズにしようってことになって…」
怜「…別にちっちゃくないやんな?」
竜華「むしろウチ的にはジャストサイズやで?」
船Q「まあ普通ですよね」
せーら「ウチより大きいやん」
泉「私よりも…」
セーラ「なーんや、竜華が一大事っていうから何事かと思ってたわ」
泉「大きくなる秘訣を教えてもらおうと思ったんですけど…」ショボーン
怜「そんなんあったらウチが教えて欲しいくらいやわ」
船Q「まあまあ、なんもなくてよかったやないですか、ねえ先輩」
竜華「ウチは最初から怜を信じとったよ!」ボイーン
セーラ「」
泉「」
船Q「」
怜「」
竜華「と、怜?いきなり何ゆってんの?」
船Q「そうですね、先輩一人ってのは不公平ですよね」ワキワキ
泉「みんなに分け与えるってのが部長と思いますよ」ワキワキ
セーラ「まあこれも部長の定めってやつやな」ワキワキ
竜華「ちょ、皆手つきがやらしい…あれ?これピンチ?」
怜「素直にそのおっぱいを明け渡すなら軽めで許したる」
竜華「それ結局やってるやん?4人の軽めっておもすぎってレベルじゃないやん?」
怜「問答無用!おっぱいよこせええええええ!」
竜華「や!ちょ!ひにゃあああああああああ!!」
カン
哩「のう花田」
煌「なんですか部長?」
哩「これ…かなり盛ってねか?」
煌「……」
哩「どっち向いとる」
煌「その質問は…すばらくないですね…」
哩「お前…」
煌「いいじゃないですか…初めてポスターになったんですから…ちょっとくらい」グスッ
哩「まぁ…気を落とさんごっに」
煌「はい…」ムニムニ
カン
照「……」
菫「おい照、このポスター…」
照「何も…言うなっ…」グスッ
菫「…すまん」
カン
つ乙ぱい
Entry ⇒ 2012.09.27 | Category ⇒ 咲-Saki-SS | Comments (1) | Trackbacks (0)
照「プリンに醤油でウニの味に」 菫「まさか!?」
菫「いや、確かに聞いたことあるような気もしないではないが・・・」
淡「えぇ~、食べたことないの~?おっくれってる~」
菫「ムッ・・・」
照「ちょうどここにプリンがある」
菫「いいのか?」
亦野「うわ~、いいですね~。あ、じゃあお醤油も・・・。はい、どうぞ」
菫「ありがとう・・・。だが・・・」
渋谷「私も食べたい・・・」
菫(渋谷が食べたいなんて言うってことは、まさか本当にウニの味に・・・?)
菫「醤油の量はこの位か?」
照「ダメだ」
亦野「それじゃ初心者にも程がありますよ」
淡「だっさーい」
菫「そうなのか・・・」
渋谷「最初はプリンのカラメル部分を少しスプーンですくう。そして、その窪みに醤油をたらし、そこから少しずつプリンと一緒に食べるのが通」
菫「なるほど・・・」
菫「これでいいか・・・?」
亦野「ええ。醤油とプリンのバランスがナイスです」
淡「知ってる!黄金比っていうんだよね!」
照「淡は物知りだな」ナデナデ
淡「えへへ~」
菫「そ、それじゃあ食べてみよう・・・」ドキドキ
チーズ+ハチミツ→栗
きゅうり+ハチミツ→メロン
淡「ねえ、どう?どう?」
亦野「美味しいですよね」
照「私の最後のプリンなんだ。美味しくないわけがない」
渋谷「お手軽価格で味わえる高級感。すばら・・・しいです」
菫(ま、不味い・・・!何なんだこれは・・・!?)
菫(クッ・・・不味いだなんて言えるものか・・・)
菫「ああ、美味い・・・な・・・。まさかプリンがウニの味になるとは知らなかったよ・・・」
照「ほらな。騙されたと思って食べてよかっただろ」
菫「あ、ああ・・・」
亦野「これが家庭で楽しめる高価な味です」
渋谷「お茶もどうぞ」
菫「助かる」
照「でも、まさか菫がここまで無知だったなんてな」
亦野「確かに」
淡「じゃあアレも知らないんじゃないかな」
菫「アレ・・・だと・・・?」
渋谷「牛乳とたくあんでコーンスープになる」
菫「まさか。ありえないだろそんなの」
照「嘘だと思うのか?いいだろう、実際に試せばその意固地な考えも変わる。淡、冷蔵庫からアレを」
淡「はいは~い」
亦野「弘世先輩、どうぞ」
菫「だがしかし・・・」
菫「そうなのか?」
渋谷「ええ。そこで代用食として考案されたのがたくあんと牛乳を組み合わせるという方法です」
亦野「牛乳やたくあんなら家庭にありますもんね」
淡「ミルクは普通にスープにも使われるから合理的なんだよね」
菫「なるほど・・・。だが、たくあんと牛乳か・・・」
照「まあ、騙されたと思って一口」
菫「うぅ・・・。たくあんがたくあん臭い・・・」
亦野「はい、牛乳です」
菫「んくっ・・・・」ギュウニュウゴクー
照「どうだ?」
菫「どうって・・・別に普通にたくあんと牛乳だったが・・・」
淡「ちーがーうー!そうじゃないのー!」
渋谷「ノンノン、たくあんと一緒に食べるんデス」
菫「何故カタコトに」
照「そうか、菫は間違った食べ方をしてたのか。たくあんを口の中で細かくかみ砕いた後に牛乳を口に含むんだ」
菫「そんなので味が変わるわけが・・・」ポリポリ
照「どうだ?わかったか?」
菫「あ、ああ・・・。たくあんの独特な匂いが牛乳で中和され、味も混然一体として・・・。確かにこれは悪くないな・・・」
渋谷「おわかりいただけただろうか。これが人類の知恵である」
亦野「人類の知恵様サマですね!」
淡「テルー、中途半端に食べさせてたらお腹空いちゃうんじゃない?」
照「そうだな。菫にはもう少し腹にたまるものを食べさせてあげようか」
菫「また変なものを食べさせる気だろう」
照「失敬な。さ、次はこれをいってみようか」
菫「・・・これは一体」
菫「いやいや、どう見ても豆腐とヨーグルトなんだが」
渋谷「ダイエット食品が冷蔵庫にあってよかった。これでレアチーズケーキが食べられる」
照「さ、菫。遠慮はいらない。食べてくれ」
菫「だがしかし・・・、どう考えても豆腐とヨーグルトなんだが・・・」
菫「何だ?」
照「私がお前に嘘をついているとでも・・・?お前は私が・・・私たちがお前に嘘をついているとでもいうのか・・・?」
菫「それは・・・」
淡「そうだったら悲しいな・・・」
亦野「私たちは信頼されてなかった・・・ということですか・・・」
渋谷「デンプシーロール・・・」
菫「わかった・・・。食べてみるさ。私はお前達を大切な仲間だと思ってるからな」
照「菫・・・」
亦野「先輩・・・。じゃあ、今お皿に取り分けますね」
菫「ああ、ありがとう、みんな」
照「待て」
菫「何だ?」
照「私が食べさせてやろう。はい、あーん・・・」
淡「ずるーい!」
菫「あーん・・・///」パクッ
亦野「どうですか弘世先輩?」
菫「!?」
菫(これは・・・合うな・・・。豆腐は大豆の香りがかすかにするだけであまりクセがないし、食感もなめらかでヨーグルトの甘みと酸味との相性が抜群だ・・・)
菫「おい・・・しい・・・」
照「そうか」
照「いや、そういう意味じゃない。ただ、私たちは今までの食べたことなかったから菫の味の感想が気になっただけ」
菫「何・・・だと・・・」
照「そうか・・・。美味しかったのか・・・。よし、みんな、買出し行くぞ!2000円で満漢全席を作ろう!」
渋谷「素敵です」
亦野「サイコーです!」
淡「やったー、テル大好きー」
照「菫が様々なレシピが美味いものだと実証してくれた。ならばもう躊躇うことはない!満漢全席だ!」
淡亦野渋谷「おー!」
菫「私はもうお腹一杯だから帰らせてもらうよ・・・」
照「そうか、残念だ」
そして満漢全席?ができた・・・
照淡亦野渋谷「ふぁ~ん、不味~い!菫に騙された~!」
完
おつおつ
Entry ⇒ 2012.09.27 | Category ⇒ 咲-Saki-SS | Comments (0) | Trackbacks (0)
少女「・・・おなか空いたわ」男「いやお前吸血鬼なんだろ?」
男「いや吸血鬼目の前にして『おなか空いた』なんていわれた日にゃ生きた心地がしないと思うんだけど・・・」
少女「ああ、血を吸われるかも、的な?」
男「まさにそれ」
少女「大丈夫よ・・・あなた不味そうだもの」
男「・・・ええと、喜ぶところ、なのだろうか」
少女「どうかしらね。価値観によると思うわ」
男(価値観・・・?)
少女「なにかしら」
男「吸血鬼、なワケなんだよね」
少女「そうだと何度言えば分かるのかしら。人間はここ数年で言葉すら理解しなくなったの?」
男「いやその、なんというか、確かに吸血鬼っぽくはある、っていうか、その片鱗は見たけどさ」
少女「信じられないのね、吸血鬼が」
男「・・・まあありていに言えば」
少女「人間というのは昔からこう・・・見たものしか信じないというか、見ても信じないというか・・・」
少女「あなたの目は何のためについているの?自分の目すら信じられないなんてどうかしているわ」
男「いやそうはいっても・・・」
少女「ならもう一度、今あなたの目の前で起きたことを説明してあげましょうか?」
男「いや、あの、それは、多分大丈夫・・・だと思います。いやそう思う」
少女「どうかしら。あなたお世辞にも頭のよさそうな人間には見えないけれど」
男「大きなお世話だけど、なんという高飛車な・・・」
少女「へえ、それが命の恩人に対する態度なのね?礼儀のれの字も知らないバカなのかしら」
男「うぐ・・・」
男「あの・・・実はペットに逃げられて・・・」
少女「ペット。よほど人望が無いのね」
男「いや相手鳥だし・・・」
少女「鳥も自由を手にしたということでしょう。無理に引き戻すなんて残酷だとは思わないのかしら」
男「・・・」
少女「さて、と。多少鬱憤も晴れたわ。たまには気まぐれを起こすのも悪くないわね」
男「ええと・・・」
少女「そろそろ、なんだったかしら。ああそう、警察が飛んでくるはずだわ。後の説明は自分で何とかするのね」
男「いや、それはちょっと無理だと思うんだけど・・・」
男「あの・・・実はペットに逃げられて・・・」
少女「ペット。よほど人望が無いのね」
男「いや相手鳥だし・・・」
少女「鳥も自由を手にしたということでしょう。無理に引き戻すなんて残酷だとは思わないのかしら」
男「・・・」
少女「さて、と。多少鬱憤も晴れたわ。たまには気まぐれを起こすのも悪くないわね」
男「ええと・・・」
少女「そろそろ、なんだったかしら。ああそう、警察が飛んでくるはずだわ。後の説明は自分で何とかするのね」
男「いや、それはちょっと無理だと思うんだけど・・・」
少女「無理?ありのまま説明したらどう?吸血鬼がやったことだ、って」
男「それで警察が納得すると思うのかよ・・・」
少女「そう、まったくどこの国の人間も同じね。融通が利かないというかなんというか。それじゃどうするのかしら」
男「そりゃ・・・逃げるしかないんじゃないかな」
少女「それは大変ね。せいぜい頑張ってお逃げなさいな」
男「そうするけど、あの、本当に吸血鬼、なんだよね」
少女「・・・しつこいわね。なんなら、あなたの喉元に噛み付いて証明しましょうか?」
男「勘弁。・・・。一つだけ聞いてもいい?」
少女「・・・」
少女「・・・誰に断って質問しているのかしら。まあいいわ。その質問に答える義務でもあると思って?」
男「・・・」
少女「・・・違うわ。私は吸血鬼だけど、そういう下賎なことはしないし、そもそもここに来たのもつい最近のことよ」
男「・・・そう、かい」
少女「信じるの?片手でトラックを投げ飛ばした、得体の知れない吸血鬼を?」
男「少なくとも、今俺を助けてくれただろ」
少女「・・・まったく、たまに余計なお世話をするとろくな事にならないわね」
・・・ファンファンファン・・・
男「あ、そうだ逃げないと・・・。お前も早く逃げ・・・、・・・消えた」
男「・・・という話、信じるか?」
友「キミを撥ねかけた、どう見積もっても一トンはあるトラックを、金髪の少女が投げ飛ばした、って話をか?」
男「・・・我ながらなんというこっけいな話」
友「そうだな、普段の私なら間違いなく笑い飛ばすだろうが。しかしどうもそういうわけにもいかないだろう」
男「今朝の話か?」
友「正確にいえばそれこそ昨晩の話だ。また血抜き遺体が見つかったそうだ」
男「今朝ニュースになってたよ。これで八人目か?」
友「驚くね。そしてここにきてキミのいう吸血鬼だ。偶然だと思うか?」
友「可能性としてはある。しかしトラックの件が本当なら、幻覚でもない限りそれはないな」
男「じゃあ本物の吸血鬼?」
友「まさか。そんなものは御伽噺だ。・・・しかしこれでもトラックの件は説明できない」
男「・・・」
友「そんな危険な奴がこの街に入り込んでいるのは不気味だ。彼女が犯人だった、という可能性もある」
男「まさか・・・なあ」
男「・・・それは同感」
女「あれれ、二人とも何の話?真面目な顔しちゃってー」
男「まあその、来るべき大学受験について、少し」
女「ダウト一億」
友「最近物騒だ、という話だ。この辺一帯の学校も集団下校だし、早く営業をやめる店も出てきているくらいだからな」
女「あー、それは思うねー。怖い話だよ、今朝ので八人目でしょ?」
男「ああ。だから気をつけないと、って話だ」
男(・・・嘘ではないよな)
男(集団下校とはいえ、最終的にはこうやって一人になるわけだろ?あんまり意味無いよな・・・)
男(・・・)
男「・・・あれ、鍵どこやったかな・・・」
少女「鍵なら鞄の中よ。さっきからチャリチャリとやかましいわ」
男「ああ、そうだったサンキュ・・・のわ!?」
少女「人を化け物みたいに見るなんていい度胸じゃない。・・・まあ当たってはいるけれど」
男「お前、昨日の・・・」
少女「昨日の吸血鬼よ。思い出したかしら?」
男「それで、今度は一体何のようだ?」
少女「随分怯えているのね。心拍数が跳ね上がったわよ。初心な女の子じゃないんだから、少しは冷静になったらどう?」
男「なんのようだよ・・・?」(回りに人影ねえ・・・、襲われでもしたら・・・)
少女「これでもあなたを見つけるのには苦労したの。別に取って食いはしないわよ」
男「え?」
少女「ちょっと聞きたいことがある・・・というか、何がどうなっているのか、説明してほしいわけ」
男「ええと・・・?」
少女「鈍いわね。この町で『吸血殺人事件』とかいう事件、起きているでしょう?」
少女「・・・」
男「ええと、起きてる、けど」
少女「それについての話よ。この新聞とかいうやつは漢字が難しくていまいちよく分からないの。だから説明なさい」
男「あの、それってどういう・・・」
少女「一体何が起きたのかを全部説明しなさい、と言ってるの」
男「・・・なんで俺が」
少女「昨日の貸し、忘れていないでしょうね」
男「ぐ・・・」
少女「なんですって?」
男「だから、お前吸血鬼なんだろ?だったら、その、八人の血を吸ったとか・・・」
少女「・・・妥当な推測だわ。無礼は特別に許すけれど、反論するとしたら、私は昨日あなたを助けるためにあなたと一緒にいたわね」
男「・・・そうだな」
少女「今朝の死体の発見場所はあそこからは随分遠いわよね。私には不可能だし、そんな下賎なこともしないわ」
男「いや、でも吸血鬼なんだからそれくらいは・・・」
少女「はぁ・・・。いいかしら、吸血鬼は招き入れられないとその家や敷地には入れないの。私も例外じゃない。そいつが見つかった場所を調べればすぐにわかるわ」
男(・・・話がまったく読めん)
男「招き入れられないとは入れない・・・?」
少女「だからもし私が犯人だとしたら、被害者本人に招き入れられる必要がある。そんな時間があったかしら」
男「でもお前は瞬間移動したじゃないか、昨日俺の目の前で」
少女「見た目のとおりバカなのね。消えたんじゃなくてすぐそばの路地に入ったのよ。あなたが勝手に見失っただけ」
男「・・・」
少女「それにもし私が犯人なら、昨日あなたを餌にしていたでしょうね、間違いなく」
男「・・・」
少女「質問は終わりかしら?なら今度は私が質問するわよ」
少女「そう。まず最初の被害者はどこでいつ見つかったのか、教えてもらうわ」
男「・・・確か一ヵ月半くらい前だ、夏休みが終わる頃に最初の事件が起きた。地元の男子中学生がその、体液をなくした状態で見つかった」
少女「中学生・・・」
男「その次は確か・・・爺さん。ちょっと待って、今スマホで検索する」
男「・・・あった。次はまた中学生、婆さん、OL、女子高生、サラリーマン、だそうだ」
少女「全員が血を抜かれた状態で?」
男「ああ。そうだ、ここに書いてある」
少女「・・・」
男「あの・・・」
少女「何かしら」
男「いや、あまりに気難しい顔してたから」
男「なあ、確認するけど、本当に吸血鬼なのか?」
少女「・・・くどいわ」
男「いや、考えてみるとさ。俺お前の怪力しか見たことないし、それだけで吸血鬼です、っていわれても・・・」
少女「・・・ハァ。人のことを怪力女扱いとは、怖いもの知らずもいい加減にするのね」
少女「まあいいわ、そこまでいうなら、少なくとも私が化け物だということを教えてあげるわ」
男「え」ゾワッ
少女「―――!!」
男「!!」
男(なん、だこれ・・・、体が動かな・・・)
男「」
少女「その気になれば肺の動きも止められるのだけれど、その必要はなさそうね」
男「」
少女「さて、と。私はもう行くけれど、何かの縁だから言っておくわ。多分この町では今とても不味いことが起きている。死にたくないなら、逃げた方がいいわ」
男「」
少女「じゃ、もう会うこともないでしょうけど。もうすぐ金縛りは解けると思うから、安心するといいわ」
男「」
男「・・・プハッ!?あ、動ける・・・!」
男(くそ、なんだってんだよ昨日から・・・。頭がどうにかなっちまったのか・・・?)
男「・・・吸血鬼、か・・・」
男(まずい事がおきている・・・。この殺人事件が?本物の吸血鬼が出てくるよりも?)
男「・・・わけわかんねー・・・」
通話 男→友
友『金縛りについては科学的に色々研究されていたが、しかしこれは面白いな。聞く限りでは催眠術の一種にも思える』
男「どっちでもいいけどよ、あいつやっぱり本物だと思うか?」
友『もしそうだとしても、今一番問題なのは、彼女が犯人なのかどうか、という点だろう。そのことについては、』
男「違うって言ってたな、招き入れられないとどうとか」
友『興味深いな。確かに吸血鬼伝説の中にはそんな逸話もあるが』
男「そうなのか?」
友『有名どころでは、流水をわたれないだとか、杭で心臓を打ち抜けば死ぬとか』
男「ああ、それは聞いた事ある」
男「どうした?」
友『いや、杭で心臓を打ちつけられたら死ぬ、というのはどうなのだろうな。そんなことされたら吸血鬼じゃなくとも死ぬと思うのだが』
男「ああ・・・なるほど確かに」
友『ああ、すまんな話が逸れた。よし、では彼女が仮に本物の吸血鬼だとしよう。なぜこの町に現れたのだろうな』
男「・・・分からん。吸血鬼の知り合いは他にいないし」
友『同感だ。推測するならば、例えばこの町が吸血鬼たちの狩場になった、とかどうだろうか。マニアが喜びそうな設定だと思うが』
男「勘弁してほしい」
友『そうだな。しかし実際、この事件は不謹慎ながら、マニアにはウケているようだ』
男「そうなのか?」
男「・・・それもそうだ」
友『今片手間にインターネットで検索してみているが、英語、フランス語、ロシア語、多くのサイトがヒットする。やはりあちらの人たちの関心は高い』
男「吸血鬼だもんな、日本で」
友『ふむ、嘘かホントかは分からないが、アルバニアからはヴァンパイアハンターが日本に向けて多数出動しているそうだ。ヴァチカンからもだ』
男「ヴァチカン?それってアンデルs、」
友『あそこはキリスト教カトリックの総本山だからな、宣教師や調査隊の一つや二つは派遣するだろうさ』
男「あ、ああ。そうだよな。あれは漫画の話だからな・・・」
男「それは言えるな。少なくとも吸血鬼、らしいやつも入り込んでることだし」
友『そういうことだ。ではまた明日な。私はもう少し吸血鬼について調べてみるよ。興味が沸いてきた』
男「・・・ほどほどにな」
(通話終了)
男「・・・ハァ。寝よう・・・なんかすごく疲れた」
女「おっはよー!」
男「おっと・・・。毎度驚かされるな、お前の元気いっぱいな声には」
女「元気が取り柄ですからねー」
男「それは間違いない」
女「ん?何だか疲れた顔してる?」
男「え?ああ、最近ちょっと、な・・・。お疲れ気味というか、お憑かれ気味というか」
女「?」
男「あ、気にするな。寝不足なだけだ」
女「あー、ここのところぶっ続けだったから、今日はお休み。放課後はあるんだけどね」
男「この物騒なときに・・・」
女「でも大会直前だからね、大丈夫、部員で出来るだけまとまって帰ってるし。先生も途中まで来てくれるしね」
男「・・・ま、大会なら仕方ないな。勝てるといいな、試合」
女「うん、頑張るよ勝利のために!」
男(薙刀ってどういう大会なんだか、俺にはよく分からないけどな・・・)
男「・・・飯食わなくていいのか?」
友「ああ・・・。少し熱が入りすぎて今日は徹夜だ・・・。少しでも寝たい」
男「ずっと調べてたのか?」
友「気がついたら朝で・・・」
男「・・・言わんこっちゃ無い」
友「・・・姉にも呆れられたよ。姉の彼氏にも」
男「ああ、隣に住んでるんだっけ?」
友「姉の幼馴染だ・・・ってそんなことはどうでもいいんだ、一つ気になることがある」
男「?」
男「吸血鬼についての?」
友「うん。吸血鬼に血を吸われた者がどうなるか書いてあるだろう?」
男「吸血鬼になるんじゃないのか?」
女「グールというのを聞いた事は無いか」
男「ああ、それは知ってる。漫画にも描いてある、確かゾンビみたいなのに変わっちまうんだよな」
友「それによると、非童貞非処女はグールになると、そんなに気恥ずかしそうにするな、真面目な話だ」
男「あ、ああすまん」
友「気になるのはそこだよ、被害者は吸血鬼はおろかグールにすらならないで見つかっているだろう?」
男「・・・そうだな」
男「・・・けど、後者は吸血鬼が存在している、て仮定の話だろ?」
友「キミのいう少女が吸血鬼ならば、現実味を帯びてくるがな・・・」
男「どうだろうな・・・。だって吸血鬼だぞ。突拍子無いだろ?」
友「まあ、な。あくまで可能性の話だ。・・・いかん限界だ・・・」
男「まったく・・・」
女「ただいまー・・・て、あれ、寝ちゃったの?」
男「たった今な。次の授業、理科室だよな」
女「うん。移動まで寝かせてあげようよ」
女「ただでさえ、次の授業は眠くなるのに。居眠りしちゃうんじゃない?」
男「あり得る・・・。今日はレーザーと水を使った光の屈折実験、だったか?」
女「ううん、それは前々回やったから、今日はええと、食塩とレーザーだね」
男「どんだけレーザー好き何だか・・・。確かにあの光は暗闇にははえるけど」
友「う・・・やはり少しでも寝ると違うな・・・」
男「なんだもう起きたのか」
友「寝つきと寝起きはいいからね・・・。次は理科室、だったか?」
男「ああ。あ、これ返すぞ」
女「?何のプリント?」
友「ああ、今度演劇部がやる演劇についての資料だ。しかしやはりこの案は没だな、他の案を提供しないと」
男「んあ・・・?なんだよ、インク切れか?」
男「参ったな、このレポート、提出日明日なのに・・・。なんでわざわざボールペンで清書しなきゃなんねえんだか・・・」
男「・・・仕方ない、コンビにまで買いに出るしかないか・・・」
男(・・・すぐそこだし、まさかな・・・)
移動中 自宅→コンビニ
男(さすがに人通りもまばらだな・・・。まあ当然のことか)
?「そこのキミ」
男「え!?」
警察官「こんな時間に何をしてるのかね?今夜中に一人で出歩くのは危ないだろう!」
男「あ、ああすいません。でもちょっとコンビニに用事があって・・・」
男「で、でも」
警察官「でもじゃない!」
?「では、私が一緒ならよろしいですかな?」
男「!?」
警察官「なんだねキミは」
老紳士「なに、そこの少年とはちょっとした知り合いでしてね。コンビニに私もちょうど行こうとしていたところですゆえ」
警察官「身分証を出しなさい、身分証を」
老紳士「これでいいですかな?」ス・・・
警察官「なんだねこの石は―――」
男「・・・え?」
警察官「」
老紳士「さ、参りましょう。今のうちです」
老紳士「そのまま自然に歩いてください。見つかったらまた面倒です。今この町で何が起きているか、知っておいででしょう」
男「だ、だからこそ信用できないんじゃないか」
老紳士「さっきのをご覧になられましたね?やろうと思えばあなた様をあの警官のごとく身動きを取れなくしてもいいのですが、そうしない理由を酌んでくだされば・・・」
男(こいつ・・・?)
老紳士「・・・さてここまで来れば撒いたでしょう」ススス・・・
男(・・・今右手の指が奇妙な動きをしたような・・・)
老紳士「さて、改めて申し上げますが、私はあなた様に手荒な真似はいたしません。しかし質問に答えていただきたい」
男「質問・・・?」
老紳士「なに、コンビニに着くまでには済みます。あなた様は―――」
老紳士「吸血鬼、という存在を信じられますか?」
男「!」
老紳士「ああいえ、もちろん私は吸血鬼ではございません。ただの質問ですので」
老紳士「ふふ、老人の勘でございます。あなたは吸血鬼ではないが、吸血鬼の臭いがかすかにする」
男(こいつ・・・何者なんだ・・・?)
老紳士「ゆえに、ひょっとしたら吸血鬼と接触したのではないかと考えました。思い違いでしたでしょうか」
男(思い違いでそんな質問するやついないだろ・・・!待てよ、まさか・・・)
友『ヴァンパイアハンターが日本に向けて・・・』
男(・・・間違いない、こいつはそうだ。そういうタイプの人間だ・・・)
老紳士「沈黙が答えですかな?」
男(くそ・・・こういう時、あいつなら・・・!)
男「―――思い違いかもしれないのに、そんな確信じみた質問をするんですか?」
男「いえ。でも、吸血鬼ですか。確かにこの町では今そんな名前の殺人が起きてます」
老紳士「ええ。いまや世界中が知っております」
男「その犯人が吸血鬼だ、と?」
老紳士「さあ・・・。その辺は分かりませぬな」
男「もしそうだとして、なら、俺の周りにその吸血鬼がいる、と?」
老紳士「最近接触した、そのような気がいたしましたので」
男「・・・思い違いです。もし犯人が吸血鬼でこの辺にいるのなら、俺がすれ違った誰かがそうだっただけでしょう」
老紳士「そうかも知れません。ですから、その確認を今しているところでございます」
男「吸血鬼なんてのは、西洋の御伽噺だ。ここは日本だ、まだ雪女や天狗の方が真実味があります」
老紳士「・・・ふ、度胸のあられる若者です。しかしその可能性も否めないわけでしたな。いかんせん、私の急ぎすぎでした」
男「え?」
老紳士「歳は取りたくありませんな。頭の回転すら遅くなる。しかしいささか時間がありませぬゆえ、失礼をいたしました」
老紳士「化け物、というのは今もどこかで生きているのでしょう。我々が多くを隅に追いやってしまいましたが、恐らくはまだまだ健在だ」
男「何の話ですか?」
老紳士「爺の独り言でございます。さて、目指すコンビにはあれですな。さすれば、私はこれで失礼をいたしますゆえ・・・」
男「失礼って、あんた結局何者―――」
男「・・・またいない。最近こんなのばっかりだ」
男「・・・あれ、何しにここに来たんだっけ。・・・ああ、そうだボールペンだボールペン・・・」
男(・・・まずい事、時間が無い。吸血鬼、ハンター。ああもう。漫画じゃないんだぞまったく・・・)
男「・・・ダメだ、まったく集中できん。これも全部あの吸血鬼とハンターのせいだ・・・」
男「あー・・・。もうこの辺適当でいいかな・・・。ん・・・?」
男 携帯(着信) 友
男「こんな時間に・・・。もしもし、ああ、ちょうど良かった。一つ聞きたいんだけど、明日提出のレポートの、」
友『バカ、レポートどころの騒ぎじゃない!!』
男「・・・?どうした、そんな切羽詰ったような声出して」
友『女が死んだ!!殺された、例の殺人事件に巻き込まれた!!』
男「見つからなかったか?」
友「そんなことどうでもいい。彼女が死んだ。殺されたんだ。自宅待機が知ったことか」
男「・・・夕べは寝れなかった」
友「私もだ!彼女が九人目だなんて・・・!!」
男「ッ・・・」
友「・・・もう泣かないぞ私は。昨日一晩泣いたんだ、それよりも絶対に犯人をとっ捕まえてみせる」
男「犯人・・・」
友「吸血鬼なら心臓をくり貫いてそこにニンニクをぶち込んで太陽光で炙ってやる。もし人間なら―――」
男「もういいやめろ。・・・あいつが殺されたのは間違いないんだな」
友「・・・ああ。警察からの電話でたたき起こされた」
友「・・・彼女と最後に連絡を取ったのは私だった。だからだそうだ。午後から事情聴取の予定だ」
男「連絡取ったのか?」
友「メールの履歴がある。見ろ、最後の送信が17:48だ。その三分前に部活が終わって、私にメールをしてきた」
男「なんだっていうメール?」
友「レポートについて。こんなくだらないやり取りが最後になるなんて私は・・・ッ」
男「・・・確かあいつは部活メンバーで集団下校してるって言ってたが」
友「あんなものはザルだ。家が近くなったら、必然的に一人になるだろう!」
男「ああ、それはわかってる。見つかった場所は、どこだか聞いたか・・・?」
友「・・・彼女の自宅から少し外れた、小さな路地だそうだ」
男(路地・・・)
友「・・・そいつに吸血鬼は狩らせない。私がやる」
男「やめろ!しっかりしろよ、女が死んだのは別にお前のせいじゃないだろ!」
友「・・・」
男「・・・吸血鬼が犯人なのだとしたら、俺たちにはどうすることも出来ないだろ」
友「・・・そうかもしれない。いや、そもそも吸血鬼が存在するのなら、という前提で、だが」
男「・・・」
友「・・・」
男(・・・他に手はない。杭はなかったけど、十字架はあった。杭の代わりにナイフも持った。あの吸血鬼を探すしかない・・・)
男(でもどこを探せばいいんだ・・・?見当もつかねえ・・・)
男(闇雲に動いて見つかるのか・・・?)
男「あ・・・」
警察官「・・・」ウロウロ
男(昨日の警官、またここにいやがる・・・。市民的にはありがたいけど、今は邪魔でしかねえっての、クソ真面目)
男(仕方ない、こっちには行けないから、他を探すしかねえか・・・)
男(・・・そうだ・・・)
男「ここが遺体発見現場、か。やっぱりまだ入れそうにないよな。警官が二人もたってるし。・・・ん?」
警官A「」
警官B「」
男(・・・なんかすげえボーっとしてないか?寝不足、ってわけじゃなさそうだけど・・・。それに、あんだけ騒いでたマスコミが一切いないのはおかしくねえか?)
男「・・・もしかして・・・」
遺体発見現場
男「ッ・・・。分かっていたけど、気分は最悪だな・・・。ここであいつが死んだなんて・・・」
男「・・・いるんだろ吸血鬼。出て来いよ!!」
少女「・・・やかましいわね。誰かと思ったらいつぞやのバカ犬じゃない」
男「・・・お前、ここで何してんだ」
少女「現場検証、といって信じるかしら。もっとも、これ以上は何も分かりそうに無いけれど。それで、こんなところにノコノコ現れて、何がしたいのかしら?」
男「・・・ここで殺されたのは、俺の親友だ」
少女「!」
男「お前がやったんじゃないのか」
少女「・・・」
男「答えろよ」
少女「・・・何を言っても、信じないのではなくて?それでもあえて答えるわ。私はやっていない」
男「・・・」
少女「・・・」
男「じゃあ、誰がやったんだ?」
少女「それは、私にも分からない。でも少なくとも。人間の仕業じゃあないわね」
男「・・・吸血鬼がやったとでも?」
少女「おそらく」
男「お前以外の吸血鬼が、この町にいるって?お前以外の吸血鬼が、あいつを殺したって?」
少女「ええ、そうよ」
少女「私としては、それで信じてもらうしかないわね。証明も証拠もないけれど。・・・いいや、違うわ。ひとつだけ、証拠がある」
男「証拠?」
少女「童貞と処女は吸血鬼になる。それ以外は生ける屍になる。これも吸血鬼のルール」
男「知ってる」
少女「ぶっきらぼうになる前に聞きなさい。これ以外にもう一つ、ルールがある」
男「なんだよ」
少女「・・・」
少女「・・・犯されながら血を吸い尽くされたものは、そのまま、死ぬ」
少女「・・・」
男「・・・おい、待てよ」
少女「・・・」
男「それじゃ、それじゃああいつは・・・」
少女「・・・女である私にはそれが出来ない。男なら出来たでしょうね。獲物が男でも、女でもね」
男「」ガクリ
少女「最初の吸血鬼はドラキュラいう男の吸血鬼だった。ゆえに、吸血鬼の中では男のほうが有利なこともある。・・・これがその一つ」
男「じゃあ、今までの被害者は全員、全員、あいつ含めて、・・・」
少女「それを信じるか否かはあなたに任せるわ。けど私は今のあなたのような人間に嘘をつくほど堕ちていない」
男「じゃあ・・・じゃあ吸血鬼は男・・・。男の吸血鬼・・・」
少女「そういうことになるわ」
男「いくら、化け物とはいえ、そんなことを、平気で―――」
少女「するわ、平気で。それが化け物なのよ。おそらくそれが鬼の本質。理性を失った吸血鬼の成れの果て」
男「・・・どうすればいい」
少女「え?」
男「どうすれば止められる?どうすればあいつの敵を討てる!?」
少女「・・・無理よ。いくら暴走しているとはいえ、相手は吸血鬼。人間の敵う相手じゃないわ」
男「関係ない。そんなのもう関係ない。俺は、絶対に、そいつを斃す。絶対に」
少女「・・・この先に、彼女が倒れていた現場がある。・・・それを直視できる?」
男「!!」
少女「できるのなら、あなたは鬼になるわ。私たちと同じ力を持つ化け物に。出来る?」
少女「・・・」
男「・・・!!!!!」
男(血まみr・・・あの線は、人型の線は・・・いや、あいつはそんなに小さかったか・・・!?)
男「ぐ・・・うぅぅぅ・・・!!」
男「うあああああああああああああああああ!!!!!」
少女「・・・見れなかったわね」
男「ぐ、ゲホゲホ・・・。うぁ・・・っ・・・」
少女「血を吸われればあの位に体はしぼむわ。あれだけの所業を、するのが鬼よ」
男「ぐぅう・・・」
少女「・・・でも、それでいいわ。人は鬼になる必要は無いわ。人は人として不可能と戦わないとならない。鬼を倒せるのは、人間の魂だけなのだから」
男「聞いていいか」
少女「何かしら」
男「もし俺が、あの光景を直視できていたとしたら、どうしてた」
少女「あなたを殺して、去っていたわ。これ以上厄介ごとを増やしたくは無いもの」
男「・・・」
少女「でもあなたは人間のままであり続けた。それだけで十分だわ」
男「・・・さ、上がってくれ。散らかっているけど」
少女「いいのかしら。私は招かれないと家には入れないけれど、一度入れるようになったらもう死ぬまで追い出せないわよ」
男「いいさ。その時は、お前を殺して去るだけだ、これ以上厄介ごとが増えるのはごめんだからな」
男「死んだ。今は、裏に住んでる叔母ちゃんが面倒見てくれてる」
少女「・・・そう」
男「それで、犯人の目星は?」
少女「まったく不明。そもそもこんな島国に突然理性を失った吸血鬼が現れるなんて妙な話だわ」
男「どこかから渡ってきたんじゃないのか」
少女「それでも妙よ。普段私たちは、ヨーロッパの城とか大きな屋敷に悠々と暮らすのに、なんでこんな島国にわざわざ行くのか」
男「何か理由がある?」
少女「それも理性を失っていることに関係あるかもしれないわね」
男「・・・」
少女「いずれにせよ、これ以上の狼藉は許さない。まったく不愉快よ」
男「ああ・・・」
少女「・・・ひどい顔だわ。ねえ、ちょっとこっち向いてくれるかしら」
少女「いいから。私の目を見なさい」
男「・・・」
少女「―――!」
男「!!」ゾクッ
男「また金縛りか!!・・・あれ、動ける。・・・それに・・・」
少女「ちょっと心の中を整理したわ。少なくともトラウマや、ええと、心的外傷何とかにはならないと思うわ。感謝しなさい」
男「・・・元はといえば、お前が見ろってけし掛けたんじゃないのかよ」
少女「仕方ないでしょう、そうするしかなかったのだし」
男「それで、今後の計画は」
男「あ!?何の計画も無いのか!?」
少女「あのね、計画なんか立てられるのなら私はとっくに不逞の輩を締め上げているわ。なまじ暴走してる分、次の計画が読めないのよ」
男「そんな、じゃあ手詰まりじゃねえか」
少女「・・・今夜一晩で考えをまとめるわ。とりあえず、あなたは腹ごしらえでもなさいな。少なくとも胃が受け付けないことはないはずよ」
男「あんな光景見た後にか・・・?」
少女「いずれにせよ考えをまとめる必要があるわ。その間暇でしょう?」
男「・・・ああ、わかったよ」
少女「ああ、少しは手伝うわよ。何か作業していたほうが雑念が消えてやりやすいし」
男「意外とマメな奴だな・・・」
少女「ふん」
男「じゃあ俺は野菜を切るから、お前はご飯炊いてくれ。・・・出来るか?」
少女「なめられたものね・・・」
少女「いい加減年下扱いはやめてくれないかしら。こうみえてあなたの何百倍も生きてるのだけれど!」
男「違うそれは予約ボタンだ、それじゃなくてその下の、」
少女「ああもう、面倒だわ!!」
男「だからここを―――イテッ!!」
少女「・・・え?」
男「いたた、指先切っちゃったよ・・・。まったく、気が散るんだよな・・・」
少女「」
男「絆創膏どこだったかな・・・。ん?おいどうかしたか?ただの切り傷だぞ?」
少女「」ドクン・・・
男「・・・?あれ、お前って目赤かったっけ・・・?」
男「え!?お、おいどうした!?何かの攻撃か!?」
少女「近、寄るな・・・!!離れて・・・!!」
男「お、おい?」
少女「うかつだった・・・。人間、少し、席を外すけど、気にしないで・・・」ヨロ・・・
男「おま、どこ行くんだそんな具合悪そうで!!」
少女「忘、れ物を取りに、ね・・・。いいから、そのまま、離れて、うぐっ!?」
男「おい!!」
少女「ッ・・・!!」ダダダッ・・・
男「あ、・・・行っちまった・・・。もう姿見えないし・・・。でも、なんだったんだいきなり・・・」
男「・・・ダメか。まだ事情聴取中かな、出ない」
男「あいつも戻ってこないし、一人でいると余計なことばっかり考えるし・・・」
男「・・・あの爺さん、やっぱりハンターだったのか・・・?だとすれば、あいつやっぱり襲われてたんじゃ・・・」
男「・・・あり得る。あの警察官をどうやったか手玉にとってたし。漫画的に言えば、精神系の技か・・・?」
ガタン
男「ッ!!」ビクッ!!
男「・・・」
男(気のせいじゃない・・・。今玄関から音がした)
男「・・・。誰だ?」
男「!お前・・・」ガチャリ・・・
少女「・・・そうやってすぐに疑わないで開けないことね・・・。私がもし敵の変装だったら、あなた死んでるわよ」
男「あ、そうか・・・じゃなくて!!お前今までどこ行ってたんだ!!襲われたのか!?」
少女「・・・違うわ。言ったでしょう、忘れ物を取りに、行っただけだと・・・」
男「大丈夫か?その割にはなんかこう、やられてないか・・・?」
少女「・・・平気よ。余、計な詮索は無用だわ・・・。それより、浴室を借りれるかしら・・・」
男「え?ああ、いいけどお前、なんか体中濡れてないか?」
少女「ああ・・・。通り、雨に打たれ、たのよ・・・。だから風呂に入りたいの。もういいかしら?」
男「着替えは?」
少女「そこにまとめて持ってきたから、平気よ・・・」
男(棺桶じゃないのコレ・・・)
男「え!?このでかい棺桶を!?」
少女「言う、とおりにしなさい下僕・・・」
男(俺いつから下僕なんだ・・・?)
少女「ああ・・・。おなか空いたわ・・・」
男「え?」
少女「・・・」テクテク・・・
男(・・・)
男(あ、やっぱりあいつの目は青だよな・・・。さっきのは見間違いだよな・・・?)
男「命がけの風呂覗きなんかするかよ、昭和じゃあるまいし・・・。棺桶、ここにおいておくからな」
少女「ええ。中見てないでしょうね」
男「命がけの下着泥も遠慮する」
少女「賢明ね」
男「さて、と・・・。あ、」
携帯電話 着信あり 友
男「やっと取り調べ終わったか。どれ・・・」
友『・・・もしもし』
男「俺だ。終わったか」
友『ひとまずは、な。おかげですこし落ち着くだけの時間があった』
男「災難だったな」
友『とはいえ、さすがに退屈だった。そっちに何か動きは』
男「ああ、例の吸血鬼少女と合流した」
友『正気か?彼女は容疑者筆頭だぞ!?』
男「ああ、・・・理由は話せないんだけど、彼女は犯人じゃない。協力し合えることになった」
友『二人の吸血鬼、か』
男「どう思う?」
友『キミが彼女を信頼するというのなら、その男の吸血鬼が暗躍しているのだろうな。しかしよく男だと断定したな』
男「ああ、まあ、色々調べて、な」(いえるわけあるか・・・。乱暴されながら殺されたなんて・・・)
友『とにかく、例のハンターのこともある。キミは用心してくれ』
男「お前はどうする?」
友『・・・すまないが、私はその吸血鬼をそこまで信用できない。会った事もないしな。私は別な手段で事件を調べなおしてみる』
男「・・・わかった。お互い連絡は取り合えるようにしよう」
友『了解だ。定期的に連絡を入れる』
男「ん、ああ。それで、考えはまとまったか?」
少女「少し。まだちゃんとした計画には至っていないわ」
男「具合、少しは良くなったか」
少女「・・・そうね。だいぶマシよ。人間に心配されるとは、私もヤキがまわったのかしら」
男「・・・ところで、その高飛車な日本語は誰に習ったんだ?」
少女「あら、独学よ。時間は死ぬほどあったもの。他にも世界中の言葉を」
男「羨ましいね。人間の寿命は短いからな」
少女「そうかしら。長生きすればいいっていうのではないでしょう。私はそう思うわ」
男「そりゃ、死ぬほど長い時間生きてたらそうも思うだろうさ」
少女「・・・死ぬほど長い時間だわ、本当に」
少女「ええ。この家の周りを少し調べてみるわ。安全性とか、犯人の痕跡とか」
男「こんな夜中に?」
少女「お忘れかもしれないけれど、私吸血鬼なのよ。知ってた?」
男「・・・」
少女「すぐ戻るわ。それまで、私以外の誰も入れないことね。私の偽者も、いるかもしれないわ」
男「どうやって見分ければいいんだ?」
少女「それくらい自分で考えなさいな。私とあなたしか知りえないことを聞けばいいじゃない」
男「そんなのあったっけ、って、行っちまったよ・・・。最近話し聞いてもらえないな俺・・・」
男「ふわぁ・・・。いかん眠い・・・。いつまで待てばいいんだ・・・?」
男「・・・しかしこの棺桶邪魔だな。まさか本当に棺桶に寝てるとは思わなかった」
男「ん?」
かんおけ の ふた が すこし ずれて なかみ が みえそうだ !
ニア開ける
開けない
男「俺が開けたんじゃない。開いてたんだ。なら見えちゃっても仕方ないよな」
男「蓋、意外と重いな・・・ブッ」
男「無造作に下着投げ入れてんじゃねえよ・・・。水入りの小瓶に、なんだこれ、洋書?読めないな」
男「同じ服が数着・・・。枕?あとは・・・」
男「古い写真だ・・・。真ん中に写ってるのは・・・ぼやけて見難いけど、多分あの吸血鬼だ」
男「横に若い男と、猫・・・。いつの写真だろう」
?「・・・帰ったぞ」
男「!!」ビクッ!!
?「私はそう思うけれど」
男「・・・俺との初めての出会いはどんなだった」
?「愚かにも前方不注意でふらふらしていた駄犬をわざわざ助けるために、他ならないこの私がトラックを片手で放り投げた」
男「運転手はどうなった」
?「トラックが空中一回転して着地したとき、ぽかんとした顔で私を見てから、糸が切れたように気絶」
男「・・・風呂に入る前に穿いていたパンツの色は」
?「ブッ!?」
男「何色だ」
?「ぐ・・・。く、黒よ」
男「遅かったじゃないか心配したぞ」ガチャリ
少女「人間、少し話があるのだけれど」
男「・・・」
少女「油断も隙もないわねこのエロ犬。調教が必要かしら・・・」
男「不、可抗力」
少女「ええ、ちょっと開いてたのはそうかもしれないけれど。開け放したのは万死に値するわ」
男「・・・」
少女「・・・他には何か見たかしら」
男「・・・いいえ、何も・・・」
少女「・・・まあいいわ。とりあえずこの辺に痕跡はなし。明日以降本格的に調べるしかないわね」
男「zzz・・・」
少女「・・・」
少女(やはり妙だわ。なぜこんな島国で、この数百年起きなかった吸血鬼の暴走が起きるのかしら・・・)
少女(それも、こんなに吸血鬼とは関係の無い場所で・・・)
少女(・・・何か、とても大事なことを間違えているような気がするのだけれど)
少女(それにしても、もう時間が無いわ・・・)
男「すると、やっぱり手がかりなしか」
友『被害者の共通点があるようでない。中学生二人は随分前に失踪したって記事があったが』
男「失踪?殺される前にか」
友『みたいだな。その後で遺体となって発見、らしい』
男「・・・」
友『分かったのはその二人くらいだ。二人は元々同じクラスだったらしいな』
男「そうか、わかった」
男「今のところ何も。昼間はあいつが動けないから、何も出来ないし」
友『下手に動くと警察に捕まるし、か』
男「とりあえずまたコンビニに行こうとは思う。妙なのに会わなきゃいいけどさ」
友『ああ、気をつけろよ』
通話終了
男「さて、じゃあコンビニ行くか・・・」
男(さてこれで食料は確保できた)
男(・・・そういえばあいつは何か食わないのか?昨日も結局何も食わなかったみたいだし)
男(あれ、そういえば卿はあの警察官いないな。運がいいのかもな)
男「・・・そういえば、あいつの葬儀ってどうなってんだろ・・・。まさか遺体を見せるわけにも行かないだろうし・・・」
男「・・・くそ、早くなんとかしないと・・・」
少女「寝不足だわ」
男「昼間中寝てただろ」
少女「吸血鬼ですからね」
男「それで、作戦は」
少女「少々危険な賭けだけれど。この辺に確か空き地があったわね、大きな奴」
男「ああ、三年前まででかい病院があったんだ。もう移転したけど、そこがどうした?」
少女「そこを中心に、私の臭いをばら撒くわ。いいえ、そういう臭いじゃなくて吸血鬼的な」
男「あ、ああ」
少女「いくら理性崩壊とはいえ、同じ吸血鬼の臭いは分かるでしょう。縄張りを主張しに来たら、そこで叩く」
男「それでうまくいくのか」
少女「神にでも聞きなさいな。私は嫌われているだろうけれど」
友『なるほどな。理にはかなっている』
男「そう思うか?」
友『その吸血鬼の臭いとやらがどんなものか、私たちには理解できないが。きっと同属ならば・・・』
男「そっちは?」
友『ああ、少し気になることがあってね。今はそれを調べている。はっきりと分かったら伝えるよ』
男「分かった。すこしでも手がかりがほしいからな・・・」
友『うむ・・・。それは私も同じだ。吸血鬼は帰ってきたか?』
男「いやまだだ。多分そろそろ帰ってくると思う」
友『分かった。幸運を祈る』
男「なあ、変な意味じゃなくて聞くんだけど、吸血鬼の臭いってどんななんだ」
少女「そうね・・・。血と、あとは人間と大差ないわ。独特な香りというかなんというか」
男「それを付着させてきたのか」
少女「犬じゃないのよ。まあ撒いてきた、の方が正しいかしらね」
男「ふうん・・・。吸血鬼の臭い、ねえ」
男(あれ?最近どこかで聞いた様な気がするな・・・)
男(臭い・・・。吸血鬼の臭い・・・?)
男「あれ、待てよ。もしそうなら・・・」
少女「?何事?」
男「やばい!!今すぐ逃げ、!!」
男「!!」
少女「お前は・・・!!」
老紳士「吸血鬼の臭いを撒くというのは賛同いたしかねます。私のようなものをも呼び寄せてしまう」
男「あんた・・・」
老紳士「いったでしょう。吸血鬼の臭いがすると。迂闊ですぞお若いの」
男「く・・・」
少女「・・・私を止めにきたようね」
老紳士「いかにも。これ以上は見ておれませぬゆえ」
男「知り合い!?」
少女「古い、ね。離れていないと死ぬわよ」
老紳士「老いたとはいえ、今のあなたには十分でしょう」
少女「どうかしら。なめられたものだわ」
少女「愚問ね。お互い分かっていることでしょう?」
老紳士「・・・なれば、私は本気であなたにかかっていくしかありませぬな」
少女「元よりそうしないと死ぬわよ」
老紳士「・・・では、本気で行くぞ」
少女「上等・・・!!」
老紳士「!!」ヒュン!!
シュパン!!
男「えっ!?な、何で今、プ、プレハブが真っ二つに!?」
少女「相変わらず非現実な糸ね・・・!!」
老紳士「外したか・・・。やはり昔のようにはいかないか。なら、こちらはどうだろう?」
少女「ぐッ!?」
老紳士「一発掠めただけとは、こちらも鈍ったようですな」
男(こ、これがヤムチャ視点・・・。今何かがものすごい速度で吸血鬼に飛んでいったのは分かるけど・・・!!)
少女「相変わらずの切れ味ね・・・。そうやって何人を切断したのかしら。そのトランプのカードで」
老紳士「覚える必要の無いことは覚えない主義でしてね。少なくとも、ポーカーでは負けたことが無いですな」
少女「相手を切り刻むポーカーなんて」
老紳士「やはり、それでもあなたの方が弱っている。そんな状態で何が出来るというのです?」
少女「それでも、私はコレを放っておくことはできないわ」
老紳士「約束だから、ですか」
少女「誓いだから、よ」
少女「こんな体だからこそ」
老紳士「・・・最早言葉では通じないか」
少女「かもしれない。それでも私は・・・」
老紳士「・・・ッ。次は外しませんよ」
少女「望むところよ」
老紳士「・・・!!」
少女「・・・」
男「・・・?」
老紳士「・・・やはり・・・やはり私にあなたを討つなど・・・」
少女「道を正すのが、役目なのではなかったのかしら」
老紳士「他ならぬあなたが選んだ道です。それを、誰が過ちだといえましょうか」
老紳士「五十年前の約束です。それをあなたは完遂しようとしている。・・・私などは到底及びますまい」
少女「かつての切り裂きジャックの二つ名が泣くのではなくて?」
老紳士「名などに意味はないと教えてくれた猫がおりましたゆえ・・・」
男「ええと・・・?」
少女「もういいわ。これ以上私たちが戦うことは無い」
男「ごめん、はなしがさっぱり」
少女「この男は、私の城の執事で、元ヴァンパイアハンター。切断が大好きだったわ」
老紳士「お恥ずかしいところを・・・。しかしいても立ってもおられませずに、こうして参陣したしだいでございます」
男「ええと、じゃあ・・・そもそも敵じゃないの?」
少女「敵というか、昔からの目付け役というのかしら・・・。全盛の頃は私と互角くらいの力があったわ」
老紳士「持ち上げすぎです、お嬢様」
男「臭いに反応しなかった、てこと?」
老紳士「お恥ずかしながら、私がとお嬢様の戦闘に感ずいたのやも知れませぬ。責任は全てこの私に・・・」
少女「バトラー、時間が無いわ。次の手を考えないと」
老紳士「は。しかし、なぜこのような島国にかような吸血鬼が現れたのでしょうか」
女「・・・それは私も考えていたわ。考えれば考えるほど辻褄が合わない」
男「吸血鬼が日本で自然発生する、て可能性は」
老紳士「ゼロでしょうな、ほとんど」
女「だからこそおかしいと思うのよ。何なのかしら、この違和感は」
老紳士「しかしながら、敵の戦力は巨大。こちらは老いた私目と弱ったお嬢様、それに人間のみとなれば、正面衝突は避けねばなりませぬ」
男「弱った・・・?」
老紳士「失礼、失言でした。とかく、早く敵を捕捉しないことには始まりませぬ」
女「同感だわ」
男「そうか、やっぱり。でも、誰に・・・?」
老紳士「失礼ながら、実は一つ気になることが。あなた様から、別の吸血鬼の臭いがいたします」
男「俺が、え?」
少女「確か?」
老紳士「確かです。かすかにですが、最近接触した何者かが犯人の可能性があります」
男「とはいえ、誰だ・・・?」
少女「昼間歩き回らない、あるいは暗い室内にいる人物が怪しいわ。心あたりは?」
男「そんなこと言ったって・・・」
老紳士「ノン。それならば私があの時気づいております。もしそうならとうに切断いたしました」
少女「他ね。電話の相手は?」
男「いや、あいつは女だ」
少女「これも却下ね。あとは?」
男「あと、暗いところとか夜とか・・・?」
老紳士「そうでございますね、あるいは直射日光の当たらないようなターバンですとか」
男「・・・」
男「・・・、まてよ?」
友「・・・やはりそうか。違和感の正体はコレだ。考えてみればこれしかない」
友「なぜ吸血鬼がこの日本に侵入して来たのか。多分みんな根本的な勘違いをしてる。そうじゃないんだ」
友「侵入したのではないとしたら。元々そこにいたのだとしたら。そこにいたモノがそれと化したのだとすれば・・・」
男「・・・分かったかもしれない。誰が吸血鬼か」
生徒A「今日全校集会だろ?」
生徒B「ああ。多分校長から説明だよな・・・」
男「・・・」テクテク・・・
男「・・・失礼します」トントン・・・
理科教師「・・・」
男「ああ、先生に用があって来ました。お訊ねしてもいいですか、理科の実験のことで」
理科教師「・・・いい、だろう」
男「ありがとうございます。・・・実験中でしたか?カーテンを開けたいのですが」
理科教師「・・・ダメだ」
男「そうですか、いい天気なのに。先生、もう一つ世間話を。薙刀について聞きたいのですが」
理科教師「なぎなた・・・」
男「ええ。どうにも分からないんですよ、薙刀の大会ってどうやって勝敗がつくのか。先生はご存知ですよね」
男「まさか知らないはず無いでしょう。女率いる薙刀部の顧問でしたものね、先生は」
理科教師「・・・」
男「完全下校の時間には空は暗くなる。だから引率のフリをして、獲物を探した。昼休みのたび、薙刀部の連中をここに集めて」
理科教師「・・・」
男「大方うまそうな子を狙ったんだろう。かつ処女で、お前のお眼鏡にかなう子だ。なあおい」
理科教師「・・・」
男「―――生きて帰れると思うなよ、腐れ外道」
バケモノ「ニヤァ・・・」
バケモノ「飲ンダ、飲ンダナア・・・。旨イ味、シタ・・・。アノ女ハシカモ、・・・イイ女ダッタ」
シュパパパッ!!
老紳士「それだけ聞ければ十分だろう。切断して太陽にさらしてくれようぞ・・・!!」
老紳士「昼間にたかがカーテンだけでこんなところにいるとは、間抜け以外の何者でもない。さあ、溶けて消えるがいい」
バケモノ「ヌアアアアアアアアア!!!!」ジュウジュウ・・・!!
男(これで・・・)
老紳士「!?違う!!」
男「!?」
???「ヨクモ・・・アノ外見ハ気ニ入ッテイタノニ・・・!!」シュウウウウウ・・・・!!
男「化け物の下から!?」
老紳士「これは・・・!?」
鬼「貴様ラハ、肉ヲ直接食ッテヤル・・・!!」
老紳士「いかん、プレイングカード、『トランプ』ッ!!」
・・・老紳士『あらかじめ説明しておきますと、五十二枚のトランプのカードを特殊に加工したものでございます。これらが一挙に襲い掛かれば、相手は必ず切断されます』
少女『さすがに私でも避けられないでしょうね、全枚飛ばす『切り札』、トランプって技は』
老紳士『光栄でございます』・・・
鬼「ナンダ、コンナモノ・・・」
男「ま、まったく効いてない・・・!!」
老紳士「いけません!!下がってください!!」
鬼「ウオオオオオオオオオオオオオオ!!!!!」
男「こ、鼓膜が・・・!!」
老紳士「切れない・・・、なんという怨念の塊か・・・!!」
男「こいつ・・・!!」
鬼「腹ガ減ッタ・・・。オ前、食ウ・・・!!」ガシッ!!
男「うおわっ!?」
老紳士「ダメだ、物理的な攻撃がまったく効かん!!」
男「く、食われ・・・!!」
友「私の目の前で、そんなことが出来ると思うのか?」
老紳士「!!」
男「お、前・・・ぐ・・・!?」メキメキ・・・
鬼「オ前、旨ソウナ・・・」
友「やはりそうか。根本的な勘違いだ、吸血鬼がこの町に来たんじゃない。元々この国にいたものが、生き血を啜る鬼に変化したんだ・・・」
老紳士「いかん!!」
男「逃げ、ろ・・・!!」
友「いいや。ならば、こういうのは、どうだ!?」パシィ!!
鬼「・・・ウギャアアアアアアア!!!!?」
男「掴みに行った手が、溶けた・・・!?」
老紳士「これは・・・!?」
友「簡単なことだ、この国の化け物ならこの国なりのやり方で斃せばいい。・・・例えば、こういう符でな」
老紳士「神道か!!」
鬼「ウオオオオオオオオオオオオン!!」ダダダッ!!
老紳士「おのれ逃がすか・・・!!」
友「いいや、大丈夫だ。やつがどこへ逃げるか、見当は付いている」
男「本当だ・・・、枯れ果ててる」
少女「山の守り手が消えた?いや、違うわ、守り手が守るのを放棄したのかしら?」
友「半年ほど前、最初の被害者である中学生ともう一人は、実はとある問題に絡んでいた」
男「問題?」
友「いじめに関する自殺問題だ。一時期盛んになっただろう?あれだよ。殺害されたサラリーマンは、そのいじめられていた子の実の父親だった」
少女「では・・・?」
友「奴の本来の目的は恐らく彼らの殺害だ。彼がまだ、元の意思をもっていた頃の」
友「彼がまだ、山の守り手―――天狗だった頃の、な・・・」
友「・・・擁護するわけではないが、恐らく一線は越えていないのだろう」
男「え?」
少女「そうね、まず肉を食わなかった。血は飲んだけれど、そこは守り抜いた・・・」
男「そういう問題かよ!!たくさん人が殺されてんだぞ!!」
友「・・・そしてもう一つ。女は、女は辱めは受けていなかった・・・」
少女「・・・やつは吸血鬼ではないから。私の臭いにも反応しなかった」
老紳士「すべての辻褄が、合いましたな」
男「・・・」
少女「・・・あとは私の仕事だわ。鬼には鬼同士、譲れないものがある。人間のあなたたちが見せてくれた魂の強さは、私が戦うのには十分な理由ね」
老紳士「お嬢様・・・」
少女「大丈夫よ、まだ、ね」
友「・・・行こう。この上に、古い祠がある。恐らく奴はそこだ」
少女「・・・悲しい生き物ね、私もお前も」
鬼「・・・」
少女「他に道はなかったかもしれないけれど、それでも私はあなたの行き方を容認は出来ないわ」
鬼「人間ナド・・・生キル価値ハ無イ・・・。未来アル子供ガ死ンデモ、タダ空シク、何モ変ワラナイ日常ガ続ク・・・ソコニ意味ナドアルノカ?」
少女「そこから先に進めないのが化け物。先に進めるのが人間よ。だからこそ、私たちは去らねばならないの。先に進むのに、私たちは障害なのよ」
鬼「オ前ハ・・・」
少女「・・・覚悟はいいかしら?」
鬼「私ハ・・・。・・・ああ、少年、私は・・・」
シュッ ドサッ!!
男「最期は、呆気なかったな」
少女「・・・そんなものよ、化け物の最期なんて」
男「・・・これでお終い、か」
少女「いいえ。まだやることが残っているわ」
男「え?」
少女「人間。私と戦いなさい。この町を賭けて、私と、一対一で」
男「・・・」
少女「・・・」
男「・・・え」
少女「あなたが負けたら、この町は私が支配する。血も吸うわ。でもあなたが勝ったら、私は今後二度とこの国に足を踏み入れないわ」
男「ちょ、ちょっと待てよ、何で俺がお前と!?」
少女「私は化け物。あなたは人間。・・・これ以上の理由はいらないわ。明日のこの時間。空き地で待つわ。来なくてもいいけど、不戦敗とみなす」
男「そんな、勝手すぎるぞ!?」
男「お前、なんで、」
少女「私は化け物よ。この町がほしいの、・・・血がほしい!!あの子やあなたからもね!!」
男「な、」
少女「いいのよ、戦わないで逃げても。他の住人を全員差し出すのなら、見逃してあげるわ」
男「―――お前本気で・・・」
少女「見せしめに一人殺そうかしら?それで理解する?あの子なんてどうかしら?」
男「・・・」
男「分かった・・・。もう行けよ、・・・この化け物が」
男「・・・ああ」
少女「・・・じゃ」
男「・・・ああ」
男(・・・)
男(所詮は化け物・・・相容れない存在・・・)
男(でも・・・それでも・・・)
少女「・・・逃げなかったのね」
男「ああ」
少女「相手は吸血鬼。対するあなたはタダの学生。勝ち目が万に一つもあると思うのかしら」
男「・・・」
少女「武器はナイフ?それとも十字架?」
男「・・・」
少女「何でもいいわね。今じゃおたがい敵同士なのだから。・・・始めましょうか」
男「お前、死ぬ気じゃないのか?」
少女「・・・」
男「考えてみたけど、それしか思いつかない。不自然だ、あまりにも」
男「お前、なんでそんな頑ななんだ?死なないといけない理由があるのか?」
少女「答える必要があるのかしら?」
男「なんでだ?妖怪や吸血鬼だって、人間と共存できるんじゃないのかよ」
少女「・・・知ったような口を・・・!!私は化け物だ!!人間を食い物にする哀れな下衆だ!!それがなぜ人間と共存できる!!」
男「方法はいくらでもあるはずだろ!!今まで考えなかっただけで、」
少女「違う!!そんなのは楽観だ、そんなのは夢だ幻想だ!!私はもうこんな体、こんな人生・・・!!」
男「そうやって何もかも放り出せば満足するのかよ!!」
少女「違うわ、私は、こうやって死ぬしか道がないの!!これ以外に゛っ!!?」ドクン!!
男「・・・おい、どうした?」
少女「う、ぐあぁぁ・・・!!早、く私を、殺して・・・!!」
男「何だと!?」
少女「抑えられているうちに・・・!!この衝動を、抑え。られているう、ちに・・・!!」!!
男「あんた、これ、どうなってるんだ!?前にもこんなことあったけど!?」
老紳士「限界なのです最早・・・。これ以上本能を押さえつけられない・・・。本来吸血鬼は我々よりも生存本能が強いのです」
男「本能!?」
老紳士「生き残ろうとする本能が、お嬢様の意思とは関係なく、吸血行為を強要する・・・。もう時間切れなのです」
男「!?」
少女「う、ぁああああっ!!」
老紳士「お嬢様は五十年前の誓い以来、血を一滴も召していない・・・。だからこうなる前にこの決闘で・・・」
男「そんな・・・」
老紳士「これまではこうなったとき、薄めた聖水を自らにかけることで押さえ込んできましたが、もはやそうはいきますまい」
男「じゃ、じゃあどうしたら・・・」
老紳士「・・・このままでは、お嬢様はただの血に飢えた吸血鬼と化します。そうなれば、老いた私やあなた様には止めようがなくなる」
男「なんで、少しなら俺の血を、」
老紳士「少しでも吸われれば吸血鬼かグールとなります。お嬢様はそれを良しとしなかった。それゆえです!」
男「じゃあもう方法がない・・・?」
少女「ああああ!!」
老紳士「今しかありません!!私ではなく、彼女はあなた様にそれを頼んだ!為すのは今です!!」
男「!!」
少女「っ、ぐぁああう!?」
老紳士「少しの間なら、私の糸で彼女の動きを止められます!その間に、どうか!!」
男「そ、そんなこと・・・」
女「うぐ、うああ」
老紳士「押さえました、どうか、今のうちに・・・!!」
男「・・・ッ!!」
女「早、く・・・これ以上は、もうこれ以上は・・・!!」
男「・・・」
女「気が、狂いそう・・・。化、け物には、相応しい、最、期、だわ・・・」
男「お前・・・」
女「さあ、やる、の・・・!!怖気づ、いた、のかしら・・・!?」
老紳士「むぅ!!いかん、糸が断ち切られる!!これ以上は!!」
男「・・・一生」
男「一生恨むぞ」
女「構わないわ・・・私、こう見えて、化け物な、のよ・・・。知ってた?」
男「ああ・・・」
男「今、痛いほどに・・・ッ!!」
―――
男「ハァ・・・ハァ・・・」
少女「辛いことを、させたかしら?」
男「・・・ああ」
少女「そうよね・・・。ああ・・・。ごめんなさい」
男「・・・」
老紳士「お嬢様・・・」
少女「いいのよ・・・。私はもう、死ぬほど生きたのだから・・・」
男「お前、最初から死ぬ気だったのか」
少女「・・・ええ。誰かを、吸って、ガボッ・・・しまう前にね・・・」
老紳士「ついに・・・成し遂げられましたな。あの日の誓いを」
少女「死ぬまで、血を吸わない・・・。ふふ・・・。言うは易し、半世紀、か・・・」
男「・・・」
少女「ああ、やっと・・・やっと空腹が・・・みち、た・・・」
少女「・・・ありが、・・・」
男「ッ・・・!!」
老紳士「・・・感謝致します。これで、お嬢様の悪夢は終わりました」
男「・・・」
男「こんなのって、な・・・」
老紳士「・・・」
数週間後―――
友「すっかり魂が抜けていないか」
男「・・・ああ」
友「処置なしだな。・・・まあ、仕方ない部分もあるのだろうが。すみませんが、こいつ頼みます」
老紳士「あなた様は?」
友「私は、その、今回のことと似たようなことが起きないように、何とかしようと思う。漠然としてるけど・・・」
老紳士「左様ですか・・・。幸運をお祈りいたします」
友「ああ。・・・では」
男「・・・」
男「・・・」
老紳士「最初の吸血鬼、最強の男。彼は一人の人間に斃されました」
男「・・・」
老紳士「ですが、彼は死んでなお吸血鬼は死に絶えなかった。私は思うのですが、ドラキュラは死を越える何かを持っていたのではないでしょうか」
男「死を超える・・・」
老紳士「そうでなくては、吸血鬼が繁栄したことの説明がつきませぬ」
男「・・・それが?」
老紳士「何、老人の戯言でございます。しかし・・・」
老紳士「死を超える者のことを、我々は化け物と、そう呼ぶのでございましょう・・・」
男「・・・」
男「殺した、か・・・」
男「そういう意味じゃ、俺は鬼や化け物と何も変わらない・・・。助けることが殺すことだ、それで納得が出来るか?」
男「俺には、そう割り切れない・・・」
男「死を超越した者、化け物・・・。超えるって何だ?死んだら終わりじゃないのか」
男「死んで終わりになるのが人間・・・。そうじゃないのが化け物・・・。俺は、俺は・・・」
?「・・・いつまで、そうやってふ抜けているつもりなのかしら。地獄の底からでも見ちゃいられないわね」
男「―――え?」
「化け物は、死すら乗り越えるからこそ、そう呼ばれる―――」
保守には足りないくらいの感謝を
最後何が起きたのかは、解釈しだいです
良かったよ
Entry ⇒ 2012.09.27 | Category ⇒ 男女「」SS | Comments (0) | Trackbacks (0)
白望「芋けんぴ、髪に付いてたよ」
シロのマイナーカプSSらしいぞ!
マイナーカプが苦手な人は気をつけろ!
塞「好きな人ができたァ!?」白望「うん」
http://ssweaver.com/blog-entry-1723.html
一応前作?だけどお話のつながりはないです
ーーー
洋榎『清老頭や。32000──思ったより痛いんちゃうか?』
いちご『そんなん考慮しとらんよ……』
ーーー
チュンチュンチュンチュン
いちご「…………」パチッ
いちご「……チュンチュンが、チュンチュン鳴いとる……」
いちご「……最悪の寝覚めじゃ……」
いちご「もう何日もたつのに、いまだに立ち直れん……」
『今日の占い、カウントダウーン!』
『今日もっとも良い運勢は――』
いちご「はぁ……」
『――そして今日最も悪い運勢なのは、ごめんなさい、??座のあなた――』
いちご「占いまで最下位……ちゃちゃのんはもう駄目かも……」
いちご「…………」
いちご「芋けんぴ、買いに行くかのう……」
…
アルバイト「ありゃっしたー!」
いちご「……けっこう美味いのう」カリカリ
いちご「なんかいいことな――」
いちご「――わぷっ!?」白望「わっ」ドンッ
いちご「いたたた……」
白望「ごめん……大丈夫、立てる?」
いちご「あ、こちらこそすみません……つっ!」
白望「膝、怪我してる」
いちご「あ、お、お構いなく……」
いちご「ぇっ?」
白望「ん……」ダキッ
いちご「!?!?!?!?」
いちご(お、お姫さまだっこぉ!?)
白望「近くにベンチがあったから……そこまで我慢して」
いちご「は、はいぃ……」
いちご「わ、わざわざすみません……」
白望「私のせいだから、気にしないで」
いちご「そんな……」
白望「そこの薬局で水と傷薬買ってくるから、少し待ってて」
いちご「あ、そこまでは……行っちゃった」
いちご「これはラッキーなのか、アンラッキーなのか……どっちなんじゃろ」
いちご「あ、おかえりなさい」
白望「とりあえず、応急処置」テキパキテキパキ
白望「ん、できた」
いちご「ありがとうございます」
白望「うん」
白望「…………」
いちご「…………」
白望「…………」
いちご「…………?」
いちご「あ、あの……」
白望「んー?」
いちご「ここにおっていいんですか?用事とかは……?」
白望「散歩してただけだから……。君が歩けるようになるまではいるよ」
シロの二人称よくわからんから君使いました。間違ってたらごめんね
白望「あ、迷惑ならどっか行くけど」
いちご「そ、そんな、迷惑なんて!」
白望「そう……よかった」
白望「君可愛いから、一人にするのはちょっと心配だった」
いちご ボンッ!
いちご「か、可愛いなんて……」
いちご(い、言われ慣れとるはずなんに、何じゃろこの気持ちは……)
白望「……」
いちご「……」
いちご(無言なんに居心地悪くない……不思議な人じゃのう……)
白望「……」
いちご「……」
いちご「あの、そろそろ……」
白望「動ける?」
いちご「はい。ありがとうございました」
白望「ん……、ちょいタンマ」
いちご「え?」
白望 スッ
いちご「え?え?ええええ?な、なんじゃあ!?」
白望 ヒョイ
白望「芋けんぴ、髪に付いてたよ」カリッ
いちご「う……」
いちご(わ――――///)カァァ
いちご「あ、ま、待って!」
白望「?」
いちご「お名前、教えてください!」
白望「小瀬川白望。じゃね」
いちご「小瀬川さん……」キュン
いちご「個人戦じゃ!」
鹿老渡A「ちゃちゃのん気合はいってんね?」
鹿老渡B「団体のアレから立ち直れてよかったのー」
鹿老渡C「がんばって!」
いちご「うん!」
いちご(もしかすると小瀬川さんが見とるかもしれんしな!)
いちご「ありがと、最初に当たるのは……埼玉と、京都と……」
いちご「……岩手、小瀬川白望……!?」
ーーー
いちご「うん、見間違えじゃない」
いちご「こういう珍しい名前が何人もおるとは思えんし……」
いちご「たぶん、小瀬川さんで間違いないな」
※個人戦代表シロ&ちゃちゃのんはオリ設定やで
岩手と広島の代表は判明してなかったよね?
いちご「……どうしよう……」
いちご「……どどどどどどうしよおおおおお……」
いちご「まままままさかこんな展開になるなんてそんなん考慮しとらんよおおおお」
いちご「あわわわわわわわ」
いちご「お、おちつけちゃちゃのん、平常心じゃ……」
いちご「ひっひっふー、ひっひっふー」
いちご「うん、これで小瀬川さんとも……もも、もももももももも」
いちご「い、いかん、こんなんでまともに打てるわけない……」
いちご「ど、どうすりゃええんじゃ……!?」
…
いちご「そんなこんなで個人戦当日になってしまったんよ」
白望「だる……」
いちご「!」
いちご(い、今の声は――!)
白望「ん……?あれ、こないだの」
いちご「ここここっここここ」
白望「……?」
いちご「ここここここここ」
白望「んー……?」
埼玉「ちわー」
京都「わ、ちゃちゃのんだ!本物だ!」
いちご(み、みんな揃ってしまった……)
埼玉「よろしくお願いします」
京都「お願いしまーす」
白望「よろしく……」
いちご「よ、よろしくお願いします」
埼玉と京都は日本地図開いたらたまたま目に入っただけですはい
キ ン ク リ !
…
いちご(終わった……)
いちご(結果は対局に集中できなかったちゃちゃのんの一人沈み……)
いちご(小瀬川さんは終始だるそうな顔しとった……)※素です
いちご(あきれとったんじゃろうか……?)※素です
いちご(泣きたい……)
いちご「あ……」
いちご(小瀬川さん、行っちゃう……)
いちご(そりゃそうじゃ、対局が終わったら用ないもんな……)
いちご(……お別れか……広島と岩手じゃもう会うことも……)
いちご「…………」
ガシッ
いちご「…………」
いちご(か、体が動いちゃった……)
白望「なに?」
いちご「あ、あの、あの……」
いちご(いかん、何も出てこん!)
白望「……控え室、行く?」
いちご「ひ、控え室?」
白望「あそこなら、二人になれると思う」
いちご「は、はい……」
埼玉「なんだあの空気」
京都「私のストロベリーがパニックしそう」
白望「で、なに?」
いちご(い、いかん、二人っきりになってもなんも好転しとらん……)
いちご(何て言えば正解なんじゃ……)
いちご(好きです付き合ってくださいとかか!?絶対引かれるわ!)
いちご(ぬぬぬぬ……)
白望「!?」ビクッ
いちご「女は気合じゃ!小瀬川さん!」
白望「う、うん」
いちご「ちゃちゃのんと――」
いちご「ちゃちゃのんと友達になってください!!
いちご(まずは友達からじゃな。うん。決してちゃちゃのんがヘタレなわけじゃないよ)
白望「……ちょいタンマ」
いちご「ふぇっ?」
いちご(え、え、なんでここでタンマ……!?)
いちご(ちゃ、ちゃちゃのんと友達なんてごめんとか!?)
いちご(ああ、傷つけずに断る言葉でも探してるのかもしれん……)
白望「…………」
白望「んー、ねえ、佐々野さん」
いちご「は、はい」
白望「それ、佐々野さんが一番したいことじゃないよね?」
いちご「……え?」
白望「なんとなくだけど、佐々野さんが一番したいことは別にある気がする」
いちご「え?え?」
いちご(いやでも、もしちゃちゃのんの恥ずかしい勘違いで、断られたら、友達にすら……)
いちご(……ここで断られるようなら、ずっと脈なしか)
いちご(行くしか、ないのう!)
いちご「小瀬川さん!」
白望「うん」
いちご「ちゃ、ちゃちゃのんと、付き合ってください!」
ーー
ー
―広島、鹿老渡高校―
いちご「~♪」
鹿老渡A「あー、またちゃちゃのんケータイ見つめてにやにやしとるー」
いちご「に、にやにやなんてしとらんよ!?」
鹿老渡A「えー、してたよー」
鹿老渡B「しとったのー」
支援
ペロペロして砂糖溶かしてから髪の毛にくっつけながら乾くまで握りしめる
そしてイケメンと衝突する
簡単
鹿老渡B「はい!岩手の某恋人さんなどが怪しいと思います!」
鹿老渡C「わたくしも同意見であります!……あ、逃げよった」
鹿老渡A「追うぞー!」
鹿老渡BC「おー!」
…
いちご「……ふぅ、何とか撒いたな。まさか立ち入り禁止の屋上にいるとは思わんじゃろ……」
いちご「さて、メール、メール……」
いちご「ふふっ」
いちご「シロー!大好きー!!……なーんて、」
鹿老渡A「おやおや、聞きましたか?」
いちご「え」
鹿老渡B「愛の告白ですのう」
いちご「ちょ、」
鹿老渡C「熱々ですなー」
いちご「な、なんでおるんよ!?」
鹿老渡A「ちゃちゃのんの行動パターンなどお見通しよ!」
鹿老渡B「ハイパーニヤニヤタイムの始まりじゃー!」
鹿老渡C「ニヤニヤニヤニヤ」
いちご「や、やめてー!!」
白望「うん、私も大好きだよ」
白望「……いちご」
おしまい
残:部長、クロチャー、衣、とーか、純、はっちゃん、すばら、タコス、小蒔、照、もーちゃん
はやりんはスラスラっといけたのにちゃちゃのんは難産過ぎた
ほとんどちゃちゃのんとシロの二人でセリフ回したからかしら
次はてるてるの予定だけど、なんも思い浮かばんのでシチュエーションとか募集してみる
Entry ⇒ 2012.09.26 | Category ⇒ 咲-Saki-SS | Comments (0) | Trackbacks (0)
シャーリー「ルルは女の子の気持ちを理解してない!」ルルーシュ「」
シャーリー「これでよし。会長の誕生日プレゼントはばっちり」
ルルーシュ「じゃあ、帰ろうか。シャーリー」
シャーリー「え……?」
ルルーシュ「どうした?」
シャーリー「いや、まだお昼前だけど?」
ルルーシュ「目的は達成できただろ。他に何かあるのか?」
シャーリー「……あ、そう」
ルルーシュ「シャーリー?」
シャーリー「ルルは女の子の気持ちをちっとも理解してない!!」タタタッ
ルルーシュ「シャーリー!!おい!!帰るなら送っていく!!」
ルルーシュ「……ただいま」
咲世子「ルルーシュ様、お帰りなさいませ。随分とお早いですね」
ルルーシュ「え?」
咲世子「今日はシャーリーさんとお買い物だと聞いていたので、帰宅は夜になるものとばかり」
ルルーシュ「会長のプレゼント買いに行っただけですよ。買うものも事前にリサーチしていましたし、時間なんてかかりません」
咲世子「では、購入してそのまま帰ってきたのですか?」
ルルーシュ「ええ。それがなにか?」
咲世子「シャーリーさん、怒ってませんでしたか?」
ルルーシュ「ああ。怒られました。よく分かりましたね」
咲世子「ルルーシュ様」
ルルーシュ「なんですか?」
咲世子「ミレイ様を選ばれるつもりなのですか?」
ルルーシュ「何の話かわかりません」
ルルーシュ「ただいま、ナナリー」
ナナリー「よかった、想像以上に帰ってくるのが早くて。私、嬉しいです」
ルルーシュ「そうか」
ナナリー「ふふ……」
咲世子「ルルーシュ様。少しよろしいでしょうか?」
ルルーシュ「はい?」
咲世子「ナナリー様と買い物に行かれた場合、買うものを買ってしまえばそのまま直帰しますか?」
ルルーシュ「時間に余裕があるなら食事をして、他のショップにも見て回って、ナナリーに似合いそうな服かアクセサリーでも探します」
ナナリー「うれしいです」
ルルーシュ「当然だろ、ナナリー」
咲世子「シャーリーさんもそれをしてほしかったのでは?」
ルルーシュ「それはありません。以前、そのように誘って断られましたからね」
咲世子「そうでしたか」
ルルーシュ「あのときもシャーリーは怒っていたな……。そういうことは先に言ってよとか心の準備がとか訳のわからないことを言いながら」
ルルーシュ「ああ、行かないよ。ナナリー」
ナナリー「では、是非聞いて欲しいことがあるのですが」
ルルーシュ「よし。いくらでも聞いてやる」
ナナリー「ありがとうございます」
咲世子「シャーリーさんもミレイ様も今一歩、ルルーシュ様には踏み込めていないのですね」
咲世子(使用人としてこれ以上の口出しは憚られますし……)
ナナリー「あのですね、お兄様、実は昨日とっても面白いことがあったんです」
ルルーシュ「それは楽しみだな。着替えてくるから少し待っていてくれ」
ナナリー「はいっ」
咲世子(ルルーシュ様がシャーリーさんかミレイ様のお気持ちに少しでも気づいてくれたのなら……きっと……)
ミレイ『ルルーシュ……』
ルルーシュ『会長……いえ、ミレイ。もう帰るのか?ネオン街が俺たちを待っているのに?』
ミレイ『ルルーシュ……今日は朝帰りしちゃうっ』ギュッ
咲世子(―――というように、ルルーシュ様の未来は安泰ですのに……)
ルルーシュ「シャーリー、この書類だけど」
シャーリー「ふん」プイッ
ルルーシュ「……」
スザク「どうしたんだい?シャーリー、機嫌が悪いみたいだけど」
リヴァル「昨日の買い物デート、ルルのやつがさっさと帰っちまったんだと」
スザク「そうなのか……」
ミレイ「あちゃー。二人の距離が縮むと思ったのになぁ」
リヴァル「現状維持っすね、あれは」
ミレイ「ま、ルルーシュだから仕方ないか」
スザク「……ルルーシュ!!」
ルルーシュ「なんだ?」
スザク「シャーリーは君の事が―――」
ミレイ「ストーップ!!!」
スザク「なんですか?」
スザク「でも、こういうことはきちんと伝えたほうが」
リヴァル「そんな単純なもんじゃないって」
スザク「そうかな。問題の所在を明らかにしたほうがいいと思うけど」
ミレイ「ルルーシュの場合は一理あるけどねぇ」
ルルーシュ「なんだ、スザク。シャーリーがどうかしたのか」
スザク「ああ。シャーリーはルルーシュのことが―――」
ミレイ「シャラーップ!!―――スザクくん、こういうのは生暖かく見守るに限るのよ」
スザク「しかし」
ミレイ「スザクくんの一言で関係に亀裂ができたら、責任とれるの?」
スザク「え……」
リヴァル「必ずしもルルーシュがシャーリーを選ぶとは限らないだろ?」
スザク「それもそうか……」
ルルーシュ「なんだ、リヴァル?言いたいことがあるなら言ってくれ」
リヴァル「ああ、なにもない。ルルーシュ君は業務を続けたまえ」
カレン「あ?」
ルルーシュ「(……ここでは猫を被ったほうがいいんじゃないのか?)」
カレン「(ああ、そうね)」
ルルーシュ「(機嫌が悪いな。何かあったのか?)」
カレン「(寝不足なだけよ)」
ルルーシュ「じゃあ、この書類。コピーしてきてくれ」
カレン「はいはい」
ルルーシュ(カレンも随分と疲労が溜まっているようだな。二重生活に慣れるまではもう少し時間が必要のようだ)
カレン「ふわぁぁ……ねむぃ……」
ミレイ「なーんか、いい方法はないかしらねぇ」
リヴァル「ルルーシュはナナリー一筋だからなぁ」
スザク「うん。ナナリー以外は眼中にないだろうし」
ミレイ「それってさぁ、問題じゃない?」
リヴァル「というか、もしかして……ルルーシュって……」
リヴァル「ナナリーのこと、好きなんじゃないのか?」
ミレイ「えー?!ありえるー」
スザク「好きに決まっているじゃないか。何を今更……」
リヴァル「スザク君。ここでいう好きっていうのは、家族愛や兄妹愛じゃなくて……」
ミレイ「恋愛のことよ」
スザク「え……」
ミレイ「でも、ナナリーとルルーシュは本当に仲いいからねー。疑われても致し方ないぐらいに」
スザク「それは流石に無いと思います」
ミレイ「どぉして?」
スザク「ルルーシュはナナリーを本当に大切に思っているからです」
リヴァル「そこから禁断の愛に発展することもあるかもしれないだろ?」
スザク「兄が実の妹に対してそんな邪な感情を抱くなんてありえないよ」
リヴァル「わかった。こっちこい」
スザク「なにをするんだい?」
ニーナ「うん。いいけど、何するの?」
リヴァル「スザクに世界を見せる」
ニーナ「世界?」
スザク「一体何を……?」
リヴァル「まぁ見てろ……」カタカタ
ニーナ「いもうと……もえ……?」
リヴァル「これだ」
スザク「これは?」
リヴァル「妹関連の商品だ。世の男たちは飢えている。可愛い妹というものにな」
スザク「ど、どういうことだ!?」
リヴァル「簡単に言えばな、実の妹と男女の関係になりたいと考える奴は多いってことだ」
スザク「そ、そんな……」
リヴァル「だから、ルルーシュも実のところはわからない。かもしれない」
スザク「……」
カレン「はい、コピー」
ルルーシュ「ありがとう」
カレン「どういたしまして」
シャーリー「……」
ルルーシュ「どうした?」
シャーリー「別に」
ルルーシュ「そうか」
カレン「……そうじゃないでしょ」
ルルーシュ「何か言ったか、カレン?」
カレン「何も」
ルルーシュ「……?」
ミレイ「ルルーシュー、あいしてるー」
ルルーシュ「はいはい。仕事してください」
ミレイ「これだもんねー」
咲世子「どうも」
ミレイ「お、きたきた」
ルルーシュ「ナナリー、気にすることはない。特に何もしていなかったからな」
カレン「そうねー」
スザク「ルルーシュ、聞きたいことがあるんだけど。いいかな」
ルルーシュ「どうした、改まって」
シャーリー「スザクくん……?」
スザク「今から一人を連れて出かけるとしたら、誰を連れて行く?」
ルルーシュ「なんだそれは?」
スザク「答えてくれ」
ルルーシュ「……ナナリーだな」
スザク「……ルルーシュ。君は妹萌えなのか」
ルルーシュ「何がいいたい?」
スザク「やはりナナリーが好きなのか?」
スザク「付き合ってもいいほどにか?」
リヴァル「お、おい。スザク……」
ルルーシュ「当然だろう」
ナナリー「お兄様……そんな……」モジモジ
ミレイ「だめだ……かちめが……」
シャーリー「……じゃあ、兄妹で結婚でもなんでもしなさいよ」
カレン「引くわね」
ルルーシュ「待て!!何だ、その反応は?!普通だろうが!!」
ナナリー「はい。お兄様は何も間違ってはいませんっ」
ニーナ「そうかな?」
咲世子「ルルーシュ様……」
ルルーシュ「スザク!!」
スザク「ルルーシュ……君はどこかズレているんだ……。僕はそれを正したい……」
ルルーシュ「妹が好きで何が悪いんだ!!言ってみろ!!」
ゼロ「……」
カレン「んー……。はぁ……つかれたぁ……」
扇「寝不足か?やはり二重生活は辛いか、カレン?」
カレン「ええまぁ、最近はそれだけじゃないんですけど……」
扇「そうなのか?」
カレン「ええ。ちょっと」
ゼロ(くそっ。結局、生徒会のみんなからは白い目で見られ続けた。優しく微笑んでくれたのはナナリーだけ)
ゼロ(妹を愛して何が罪なんだ……。さっぱりわからん)
扇「へえ……。そうなのか」
カレン「はい。もう嵌っちゃって」
扇「趣味に没頭するのはいいけど体調管理はしっかりな」
カレン「はい。気をつけます」
扇「で、どういうところが面白いんだ、それ」
カレン「えっと、女の子の横に爆弾が表示されたときとか結構スリリングで……」
カレン「大丈夫ですよ。携帯ゲームなんで」スッ
扇「これが……」
カレン「今、この子を口説いているんですけど」
扇「む……」
カレン「どうしました?」
扇「いや。知り合いの女性に似ているなと思って」
カレン「へぇ」
扇「千草……」
カレン「女の子との駆け引きがリアルでいいんですよね。押しすぎると引いちゃうところとか」
扇「最近のゲームは難しいんだな。まるで本物の恋愛じゃないか」
カレン「そうなんですよね。だからこそ攻略できたときの達成感が―――」
ゼロ「何を遊んでいる?」
カレン「ゼロ!?すいません!!すぐにセーブして片付けます!!」ピコピコ
ゼロ「なんだ、ゲームか。カレンも普通の趣味を持っているんだな」
ゼロ「すまない。口が滑ったな」
カレン「もう……ゼロ……」
ゼロ「で、どのようなゲームなんだ?」
カレン「恋愛シミュレーションです」
ゼロ「……ほう?」
カレン「今、この子を狙ってるんですけど」
ゼロ「何が面白いんだ?実際に付き合えるわけじゃないだろ」
カレン「そういうんじゃないですけど」
ゼロ「他にも少女がいるようだが?」
カレン「狙える子は全部で7人もいますからね。その中から気に入ったキャラと恋人になるのを目指すゲームなんで」
ゼロ「私はこの親友の妹が可愛いと思うがな」
カレン「その子はもう攻略しました。結構、簡単に落ちちゃって」
ゼロ「そうなのか……。カレンはオオカミだな」
扇「ゼロもそういうゲームに興味あるのか?」
神楽耶「私とデートしますものね!!」ギュッ
カレン「……」
ゼロ「神楽耶様、部屋に居てください」
神楽耶「今日こそは一緒に寝てくださいまし」
ゼロ「それはできません」
神楽耶「えー?」
カレン「ゼロは確かにこのゲームの主人公並に女の人にモテますもんね……」
ゼロ「何を言っている?実際のところ、神楽耶様以外に私を好いてくれている者など……」
神楽耶「あら?カレンさんとC.C.さんは違うんですか?」
カレン「なっ!?」
ゼロ「C.C.もカレンもそういう関係ではないですよ、神楽耶様」
カレン「ゼロ……」
神楽耶「ゼロ様……」
ゼロ「な、なんだ?!どうして哀れむような目を私に向けるんだ?!」
ゼロ「カレン、どういうことだ?」
カレン「知りません」
ゼロ「むぅ……。さっぱりわからん」
扇「さてと、仕事に戻るか」
ゼロ「扇。この状況を理解できているなら、解説してくれるとありがたい」
扇「黒の騎士団には影響ないし……。自分で考えてくれ」
ゼロ「ま、まて!」
神楽耶「これではカレンさんの爆弾もいつか、バァーンってなってしまいますわね」
カレン「そんなことは……」
ゼロ「ええい!!言葉を濁さず、はっきり言ってもらえませんか!?」
神楽耶「ゼロ様には私がいます。それで十分ですわ」
ゼロ「そういうことですか。最初からそう言って下さい」
神楽耶「もうしわけありません」
カレン「……」
C.C.「……」ピコピコ
ルルーシュ「今日は疲れたな……」
C.C.「なにかあったのかぁ?」ピコピコ
ルルーシュ「少しな。スザクたちには責められ、騎士団でも何故か落胆されてしまった」
C.C.「ふぅん」ピコピコ
ルルーシュ「何をしている?」
C.C.「ファミコンだ」
ルルーシュ「ファミ……!?」
C.C.「面白いぞ」
ルルーシュ「誰が買ったんだ、その携帯ゲーム機とソフトを」
C.C.「お前のカードで」
ルルーシュ「何をしている……」
C.C.「暇つぶしだ。お、ついに難攻不落だった女まで落ちたか。ふふ。まぁ、この恋愛魔術師のC.C.に落とせない女などいないがな」
ルルーシュ「……」
C.C.「違う、そうじゃない」
ルルーシュ「なんだと。ここでこの回答はもっとも論理的だろう」
C.C.「時と場合による。ここは素直に褒めるんじゃなくて、遠まわしに褒めるんだ」
ルルーシュ「訳がわからないな」
C.C.「このキャラはそういう恥ずかしい台詞を嫌うんだ。説明しただろ」
ルルーシュ「この女の思考回路が分からんな。こんな女いるのか?」
C.C.「いきなり誘うと動揺して断ってしまうやつとかいるだろ」
ルルーシュ「そんなバカな女、是非お目にかかりたいな」
C.C.「まぁ、そういう女は次に同じ機会があれば誘われると思って、勝手な期待を持ってしまうんだろうな。で、誘われないと怒る」
ルルーシュ「はははは、現実にいるものか」
C.C.「あ、こら。次は親友の妹に手を出すのか?」
ルルーシュ「この子が最も惹かれるんだよ」
C.C.「なら、そいつに集中していればいいだろ。どうしてこっちの赤毛ともデートをしたんだ」
ルルーシュ「俺の勝手だ」
『ごめんなさい……私……ほかに好きな人がいるの……。だから……ごめんなさい!!』
ルルーシュ「なにぃ?!」
C.C.「ふられたな」
ルルーシュ「この数時間の努力は……?」
C.C.「浮気するからだ、バカめ」
ルルーシュ「おのれぇ……!!」
C.C.「あと興味のない女を蔑ろにしすぎた罰だな。これだから童貞坊やは……」
ルルーシュ「何が……何がいけなかった……!!親友の妹に告白した以上、親友とも今後気まずくなるというのに……!!」
C.C.「お前は女の気持ちを何一つ、理解していない。ということだな」
ルルーシュ「そんなこと……そんなこと……!!!」
C.C.「無様だな。顔はよくてもこれではなぁ……。付き合ったとしても5回目ぐらいのデートでこっぴどく振られる未来がお前を待っているぞ」
ルルーシュ「この妹がナナリーなら!!ナナリーなら結婚までできていた!!」
C.C.「……」
ルルーシュ「ナナリーならぁ……!!」
ルルーシュ(くそ……くそ……。あんなゲームで恥をかくとは思ってもみなかった……!!)
ミレイ「なんか、ルルーシュのやつ、イライラしてない?」
リヴァル「またシャーリーとなんかあったんですかねぇ」
カレン「こんにちはー」
ミレイ「カレン、やっほー」
カレン「ふわぁぁ……ねむい……」
ルルーシュ(カレン……。カレンに聞いてみるか?―――いや、俺にも矜持はある!!)
ルルーシュ(妹ぐらい我が手で落としてみせる……!!)
カレン「ルルーシュ君、なんかあったの?」
シャーリー「さぁ……。朝かなんかイラついてるみたい」
カレン「ふぅん」
ルルーシュ(あの妹をナナリーと思うこと事態がダメだったんだな……。となれば……)
スザク「ルルーシュ……どうしたんだろう……」
ナナリー「お兄様……」
ゼロ「……」ピコピコ
ゼロ「む……。ここは……『君のほうが綺麗だよ』っと」ピッ
『なにそれ……。きもちわる……』
ゼロ「ふざけるなぁ!!!」
玉城「ゼロのやつ、荒れてるな」
朝比奈「もう1時間ぐらい携帯端末と喧嘩してるよね」
千葉「何か新しい戦術でも作っているのか」
仙波「流石はゼロだ」
卜部「でも時々『早く起きてよね』という可愛い声が漏れてくるぞ」
南「あれは釘―――」
藤堂「何をしている。各員の作業はまだ残っているだろう」
千葉「はっ!申し訳ありません!!持ち場に戻ります!!」
玉城「ゼロはなにしてるんだよ、全く」
藤堂「ゼロ……?」
『ごめん。噂になると恥ずかしいから……』
ゼロ「なんだこの女ぁ!!付け上がるんじゃない!!!私はお前にも優しくしてやっているだけだ!!!」
藤堂「ゼロ、どうした?」
ゼロ「む?―――藤堂か。なんだ?」
藤堂「随分と大きな声を出しているようだったから、少々気になった」
ゼロ「ああ。気にするな」
藤堂「そうか」
ゼロ「作業に戻ってくれ」
藤堂「ああ……」
『ほらほら、早く起きないと遅刻するよ!』
ゼロ「……む。そうか」ピコピコ
藤堂「……その声は……」
ゼロ「どうした?知り合いの声か?」
藤堂「奈々様だな。素晴らしい」
『ごめん。君とは付き合えない。友達でいよう。それでいいじゃん』
ルルーシュ「……!!」
C.C.「お前、何敗目だ?」
ルルーシュ「ええい!!なんだこのクソゲーは!!!」ポイッ
C.C.「おいおい。私のファミコンだぞ。ぞんざいに扱うな」パシッ
ルルーシュ「くそ……。所詮はゲームだ。現実では尻を拭くこともできないほど役には立たないなっ!!」
C.C.「負け犬の遠吠えか」
ルルーシュ「赤毛の女も他に好きな奴がいるというし……。緑の髪の女なんて大嫌いだぞ?!大きな決心をした少年の心をなんだと思っている!?ええ?!」
C.C.「お前……」
ルルーシュ「まぁ、データ上の女なんて落としても意味などないから、どうでもいいがな」
C.C.「データ上の女も落とせないようでは現実の女なんてとても無理だな」
ルルーシュ「……なんだと?」
C.C.「お前は色恋に関しては無能なんだよ」
ルルーシュ「無能だと?バレンタインでは三桁のチョコをもらう俺が?ありえない話だな」
ルルーシュ「付き合ったことが無いのではない。付き合わないだけだ」
C.C.「童貞はみんなそういう」
ルルーシュ「……」
C.C.「ふふん」
ルルーシュ「ふざけるなよ……。俺は何事においても完璧だ。知略を尽くし、全てを成し遂げるだけの能力がある!!」
ルルーシュ「そうだ!!この7人の女どもも、ギアスさえあれば!!!フフフハハハハハ!!!!!」
ルルーシュ「俺のことを愛せ!!」キュィィィン
ルルーシュ「これで攻略できる!!!できるじゃないか!!!簡単だ!!!」
C.C.「ルルーシュ……こっちにこい」
ルルーシュ「……」
C.C.「お前、辛かったのか……」ナデナデ
ルルーシュ「うぅぅ……」
C.C.「契約したろ、お前の傍にいると。私だけは」ギュッ
ルルーシュ「くそぉ……なぜだぁ……」
ルルーシュ(あのゲームは俺をどんどん駄目にし、惨めにさせるな……)
ルルーシュ(このままやめてしまうのが正解か……。だが……ここで逃げては明日を掴むことなどできない……!!)
ルルーシュ(矜持などいらない。明日を得るためならば!!)
ミレイ「ルルーシュ、なんか躁鬱状態ね」
リヴァル「情緒不安定な時期なんじゃないですか?」
ミレイ「思春期じゃあるまいし」
シャーリー「……」
ミレイ「シャーリー?ルルを慰めるチャンスじゃない?」
シャーリー「わ、私は別に!!」
スザク「自分が行きます。親友ですし」
ミレイ「だめだめ!!スザクくんが行ったら何も面白く、じゃなくて進展しないじゃない」
リヴァル「言い直す必要ないですね、それ」
カレン「どうもー」
ミレイ「あ、カレン。やっほーい」
カレン「え?」
シャーリー「え?」
ミレイ「おっとー、ルルーシュ選手動いたー」
ルルーシュ「話したいことがある。時間、あるか?」
カレン「う、うん。あるけど」
ルルーシュ「いくぞ」
カレン「あ、ちょっと」
シャーリー「……」
リヴァル「な、なんだ?」
スザク「ルルーシュはカレンのことが……?」
ミレイ「スザクくん!!」
スザク「え?」
シャーリー「わ、わたしはべつに……るるのことなんて……どど、どうでもいいし……」
ミレイ「よし。あとをつけるわよ、シャーリー。自分の目で確認しないと納得なんてできないでしょ?」
ルルーシュ「実は俺、とあるゲームに嵌っている」
カレン「ゲーム?」
スザク「いました」
ミレイ「スザクくん、二人の会話は聞こえる?」
スザク「微かにですけど」
シャーリー「なんて言ってるの?!」
スザク「―――最近好きになった」
リヴァル「え?!」
スザク「―――そうなんだ。で、私にどうしろって?」
スザク「―――教えてくれ。女の気持ちが一つも理解できなくて困っている」
ミレイ「うーん……。内容からしてカレンに告白しているわけじゃないようね」
リヴァル「恋愛の相談って感じか」
ミレイ「よかったわね、シャーリー?」
シャーリー「わわわ!!私は別に嬉しくなんてありませんし、安心もしてませんけど!!」
ルルーシュ「バ、バカ!!大声を出すな!!」
シャーリー「妹!?」
ミレイ「あぁぁ……」
リヴァル「会長!!しっかり!!」
スザク「ルルーシュ……やっぱり……」ギリッ
ミレイ「はぁ、この場にナナリーがいなくてよかった……」
シャーリー「本当ですよ」
リヴァル「ルルーシュはナナリー狙いだったのか」
スザク「……」
カレン「あのキャラを攻略できないなら、ほかのヒロインなんて無理よ」
ルルーシュ「だから、攻略方法を聞きたいんだ。風の噂でカレンがあのゲームに没頭していることは知っている」
カレン(誰がそんな噂を……)
ルルーシュ「頼む、カレン。この通りだ。俺に女の全てを教えてくれ」
カレン「じゃあ、今度各キャラの攻略ポイントを書いて持ってくるから」
ルルーシュ「助かる」
カレン「でも、人に聞いたらお終いよね」
ルルーシュ「しかし、このままでは俺の気がすまない」
カレン「はいはい」
ナナリー「お兄様、おかえりなさい」
ルルーシュ「ただいま―――どうした、みんなしてナナリーの壁になって」
リヴァル「ルルーシュ、ナナリーのこと好きなんだよな」
ルルーシュ「ああ」
ミレイ「恋人にしてもいいと思うぐらい?」
ルルーシュ「妹でなければ」
ニーナ「でも、妹でも……いいんでしょ?」
ルルーシュ「それは……」
スザク「ルルーシュ!!君は間違っている!!!兄として!!!いや、人間として!!!」
カレン「またバカなことをしてるんですね」
ミレイ「カレンはなんと思わないの?」
カレン「何がですか?」
シャーリー「い、妹を攻略とか……!!」
ルルーシュ「話を聞いていたのか?!」
スザク「答えろ!!カレン!!」
カレン「それ、ゲームの話なんですけど」
ミレイ「ゲーム?」
リヴァル「どういうことだ?」
ルルーシュ「おい、カレン」
カレン「誤解されたままだとナナリーに近づけないけど、いいの?」
ルルーシュ「それは困るが……」
ナナリー「おにいさまー」
ルルーシュ「ナナリー!!今、助ける!!」
リヴァル「それ知ってる。結構人気なんだよな」
スザク「そうなのか。すまない、ルルーシュ。僕の早とちりだった。それにしてもこのピンクの髪の女の子可愛いね」ピコピコ
シャーリー「どうしてこんなゲームをカレンとルルが?」
カレン「私は知人に薦められて始めただけ。ルルーシュくんは……」
ルルーシュ「俺も同じ理由だ」
ミレイ「分かった。このゲームで女心を学んでこーい!って言われたんでしょ?」
ルルーシュ「……証言を拒否します」
リヴァル「図星かよ」
カレン「このゲームが面白いのは本当ですよ?」
ミレイ「はいけーん」
カレン「どうぞ」
ミレイ「ふむふむ……」ピコピコ
ナナリー「あの、どのようなゲームなのですか?」オロオロ
ニーナ「主人公……女の子じゃないんだ……。残念……」
ルルーシュ「何か言ったか?」
シャーリー「べっつにぃ」
ミレイ「この子は『こっちの青が似合うな』ね」ピッ
ルルーシュ「……」
『やっぱり?私もそう思ってたの。私たち、好みが合うねっ』
ミレイ「やったぁ!!ハート鷲掴みぃ!!」
ルルーシュ「会長、どうしてわかったんですか?」
ミレイ「この子のプロフィールに青色が好きって書いてあるから」
ルルーシュ「そ、そんなことが……?!」
カレン「それすら知らなかったの……。ある意味、すごいわね」
ルルーシュ「違う。俺は新たな可能性として黄色も似合うのでないかと提案をしたんだ。なのに……!!」
リヴァル「ルルーシュ、お前、こういうゲームに向いてないんじゃねーの?」
ルルーシュ「なんだと?!」
ナナリー「あの……一体、どんな……」オロオロ
ルルーシュ「スザク……」
スザク「あ、キスした」
ルルーシュ「なんだと!?こんな短時間でか?!」
スザク「ピンクの髪の女の子、キス魔らしいから」
ルルーシュ「どういうことだ?」
スザク「積極的にスキンシップしてたら勝手にキスしたんだ」
ルルーシュ「馬鹿な?!出会って間もない男に触れられるなんて気持ち悪いだろ?!」
スザク「この子は例外みたいだ」
ルルーシュ「わからん……女の気持ちが……欠片も……!!!」
リヴァル「お、おい……ルルーシュ……」
カレン「そんなに深刻にならなくても、ゲームだし」
ルルーシュ「されどゲームだろうが!!」
ニーナ「たまにいるのよね、恋愛ゲームに感情移入しすぎちゃう人って」
ミレイ「ニーナもだもんね」
ゼロ(結局、何も進まなかったな……。この妹をなんとかしたいだけなのに……)
カレン「お……これは……おお……」
ゼロ「ん?」
カレン「やったぁ、ついにメインヒロイン攻略した」
藤堂「なに?」ダダダッ
南「すごい!!高難易度なのに!!」
カレン「ほらほら、見てください」
藤堂「紅月、すばらしいな」
南「このエンドって中々見れないんだよな」
神楽耶「へぇー」
扇「感動的じゃないか」
ラクシャータ「でも、なんかここまで難しくするほどの女にはみえないけどねぇ」
カレン「そうですか?理想的なお嫁さんだと思いますけど」
ゼロ(カレン……。女だから攻略も容易いのだろうな……)
藤堂「ゼロはどうだ?」
ゼロ「な、なにがだ?!」
藤堂「ゼロもプレイしているのだろう?」
カレン「そうなんですか?!」
神楽耶「ゼロ様ぁ!!―――見せてくださいまし」
藤堂「む……。ゼロ、期日直前なのに好感度が低いぞ」
ゼロ「……」
藤堂「バッドエンドを回収しているところか。なるほどな。ならば、鮮血の結末というエンドが一番惨たらしいからオススメする」
南「ゼロ……目の付け所がちがうなぁ……」
カレン「バッドエンドなんてどうやってみるんですか?」
藤堂「期日までに全員の好感度を最低値にし、尚且つ満遍なくデートを重ねなくてはならない」
南「メインヒロイン攻略よりも難易度が高いんだ」
カレン「そんなものが……」
神楽耶「さすがはゼロ様。ではその結末を見ましょう」
ゼロ「そうか……」
神楽耶「あ、7人の女性が出てきましたわ」
カレン「なんか険悪ですね」
ラクシャータ「一人だけナイトメアに乗ってるじゃないか」
南「主人公、にげてくれー!!」
ゼロ「……藤堂、どうなるんだ?」
藤堂「3人の女に殴られ、2人の女に刺され、1人の女に首を切られ、最後の女にはナイトメアで握りつぶされる……」
ゼロ「な……に……?!」
神楽耶「うわ……うわ……」
カレン「神楽耶様!!直視しないほうが!!」
藤堂「何度見ても……目を覆いたくなるな……」
ラクシャータ「女をわかっていない男の末路……悲惨だねぇ……」
神楽耶「ゆ、ゆめにでそうですわ……」ガタガタ
ゼロ(俺もいつかこうなってしまうのか……)ガタガタ
ゼロ「分からないな。この他にも7つは見た気がする」
藤堂「個別バッドエンドも見たのか?」
南「親友の妹なんて振られるほうが難しいぐらいなのに!!」
藤堂「何を選んでも基本的に賛同してくれるからな」
カレン「ゼロはやっぱり私たちのように一般的な目線で物事をみないのですね」
藤堂「でなければブリタニアとは戦えないだろうしな」
扇「そうだな」
神楽耶「ゼロさまぁ……今日は夜、一人で厠へ行けそうにありませんわ……」ガタガタ
ゼロ「そ、そうですか……」
神楽耶「ゼロ様?どうしたのですか?」
ゼロ「い、いえ……別に……」
藤堂「無駄に高クオリティのアニメーションだからな。気分を害するのも分かる」
ゼロ「……」
カレン「休みますか、ゼロ?」
ルルーシュ「はぁ……」
C.C.「どうした?元気がないな」
ルルーシュ「俺はいつか死ぬ」
C.C.「人間だからな」
ルルーシュ「違う。殺されるんだ……。きっと……」
C.C.「殺される?」
ルルーシュ「女が……怖い……」ガタガタ
C.C.「お、おい……」
ルルーシュ「ギアスで出会った女全員に俺を殺すなと命令しておくべきか……!!」
ルルーシュ「いや……どこから刃がくるか……」
ルルーシュ「女と関わらなければ……いいのか……?」
ルルーシュ「わからない……どうすればいいんだ……」
C.C.「重症だな……おい……」
ルルーシュ「ナナリー以外の女に……俺は……」
玉城「ゼロが人間不信になっただぁ?!」
C.C.「原因を知りたい。心当たりのある者はいないか」
藤堂「……」
C.C.「誰かいないか」
カレン「急にそんなこと言われても」
神楽耶「そうですわよね」
C.C.「では、様子がおかしくなったと感じた者はいないか」
神楽耶「それでしたら、ゲームをしている最中にゼロ様は気分を悪くされたようで」
C.C.「ゲームだと?」
カレン「うん。ゲームのバッドエンドを見たときから、様子は少し変だったけど」
C.C.「どのようなバッドエンドだ」
藤堂「7人の女に嬲り殺される終わり方だ」
C.C.「それだな」
玉城「おいおい!!ゲームぐらいで折れちまうもやしメンタルなのかよぉ、ゼロは!!」
C.C.「どちらにしてもゼロにとっては想像を絶するものだったんだろ」
藤堂「そうか……」
C.C.「しかし、あのゲームにそんなハードなものが用意されているとは、迂闊だった」
カレン「ねえ、C.C.。ゼロは大丈夫なの?」
C.C.「もうずっとふるえている。子犬のようにな」
藤堂「まずいな」
千葉「どうにかしたいが……」
扇「ゼロ……」
玉城「んだよ、じゃあ、そのゲームのハッピーエンドでも見せてやれば解決だろ!!」
C.C.「もう一度ファミコンを手に取ると思うのか?」
藤堂「そうだな……」
カレン「ゼロ……そんな……私のせい……」
神楽耶「私があのような結末を渇望してしまったばかりに……ゼロ様……」
C.C.「割と深刻な事態だな。どうするつもりだ、お前ら。このままゼロの復活を信じるか?」
千葉「藤堂さん!!そんなことは!!」
藤堂「C.C.」
C.C.「なんだ?」
藤堂「紅月」
カレン「はい」
藤堂「ラクシャータ」
ラクシャータ「はいよ」
藤堂「千葉」
千葉「は、はい」
藤堂「井上」
井上「私もですか?」
藤堂「そして……神楽耶様」
神楽耶「はい」
藤堂「力を貸して頂きたい」
ルルーシュ「怖い……女なんて……もう信じられるか……!!」ガタガタ
C.C.『はいるぞ』
ルルーシュ「……」
C.C.「……仮面をつけろ」
ルルーシュ「何故だ?」
C.C.「いいから」
ゼロ「―――これでいいのか」
C.C.「では、外に出てみろ」
ゼロ「どういうことだ?」
C.C.「ほら、いいから出ろ」トンッ
ゼロ「と、とと……。なんだ、一体―――」
千葉「きゃ、きゃー、ぶつかるー!!」ダダダダッ
ゼロ「なに?!」
ドンッ!!
ゼロ「千葉……廊下を走るなと―――なっ?!」
千葉「あ……!!」バッ
ゼロ「……」
千葉「見たな……?」
ゼロ「千葉!!年齢を考えろ!!」
千葉「なんだと?!お、乙女のパンツを見ておいてなんたる言い草だ!!!」
ゼロ「?!」
玉城「台詞ちげーぞ」
千葉「あ、ごほん……。わ、私は先を急ぐから……それじゃあね、変態!!」ダダダッ
ゼロ「な、なんだ……?」
玉城「よー、マブダチのゼロじゃねーか。一緒に登校しよーぜ」
ゼロ「登校?どういうことだ?」
玉城「いいから合わせろよ。すぐに元気になれるって」
ゼロ「……?」
カレン「い、いやです……。どいてください……」
扇「いいから、こいよ。いい夢見させてやるって」
カレン「いやぁー!!」
ゼロ「カレンか?!」
玉城「お、助けるんだな?」
ゼロ「当然だろ!!―――扇!!何をやっている!!」
扇「なんだ、お前は?この街の番長である扇様に喧嘩を売るつもりか?」
ゼロ「番長だと……?」
カレン「た、たすけてー!!」
扇「痛い目にあわせてやるー!!」
ゼロ「……」
扇「ぐわ?!こ、こいつは強すぎる……お、覚えてろよ!!」
カレン「助けてくれてありがとうございます!!」
ゼロ「……何をしている。恥ずかしくないのか」
ゼロ「あ、ああ……」
カレン「危ないところをありがとうございます。なんとお礼を言ったらいいか……」
玉城「その制服はあの有名お嬢様学校の生徒かよ!!すっげー!!かわいいな!!な?!ゼロ!!」
ゼロ「あ、ああ……そうだな……」
カレン「あの、お名前だけでも」
ゼロ「知っているだろう」
カレン「え?そんな……どこかでお会いしたことありましたか?」
ゼロ「私は知っている。紅月カレンだろ」
カレン「ど、どうして……!!」
ゼロ「どうしても何も……」
カレン「も、もしかして、昔、隣に住んでたゼロくんですか?!」
ゼロ「ゼロくん?」
カレン「こんなところで幼馴染に会えるなんて……嬉しい……」
玉城「これって運命なんじゃねーの?!」
ゼロ「お、おい」
カレン「それじゃあ!!」タタタッ
ゼロ「……」
玉城「いいなー!!ゼロ!!お嬢様と付き合えるんじゃねーの?!」
ゼロ「恋愛はそんなに単純ではない。私はそのことを痛いほど知った」
玉城「ゼロ……まだ、井上のことを忘れられないのか……」
ゼロ「は?」
玉城「もう忘れようぜ。あいつは……もう……」
ゼロ「井上はどういう役なんだ?!おい!!」
玉城「井上……去年の夏に遠くにいったんだ……」
ゼロ「そうか。故人か」
玉城「お、やべーな。チャイムなっちまった!!いそぐぞ!!」
ゼロ「鳴っていないが」
玉城「鳴ってんだよ!!俺たちの中ではな!!」
仙波「席につけ」
ゼロ「……」
玉城「ふー、ギリギリセーフだな」
仙波「今日は転校生を紹介する。入れ」
千葉「初めまして。千葉凪沙です」
ゼロ「……」
千葉「あー!!今朝の変態仮面!!」
ゼロ「誰が変態仮面だ!!!」
仙波「なんだ、お前たち知り合いか。なら、ゼロ。お前が転校生の面倒をみてやれ」
ゼロ「何故私が?!」
仙波「千葉、あのゼロの隣の席にいけ」
千葉「ふん」
ゼロ「……」
玉城「態度悪いやつだなー。俺の嫌いなタイプだぜ」
ゼロ「……」
C.C.「先生。ゼロの顔色が悪いみたいだが」
仙波「またか。保健室に行って来い」
ゼロ「……」
玉城「ほら、立てよ。行くぞ」
ゼロ「あ、ああ……」
C.C.「……」
ゼロ「あの女……」
玉城「委員長のC.C.だな。傲慢な態度を取るけど、間違ったことはしない。いい奴だ」
ゼロ「そうなのか。誰の設定だそれは」
玉城「ほら、肩につかまれ」
ゼロ「自分で歩ける!!」
玉城「そうか?」
ゼロ(全く……この茶番はいつまで続くんだ……)
ラクシャータ「また、ゼロぉ?よく来るねぇ」
ゼロ「良く来ているのか」
玉城「おう。ラクシャータ先生とは校内でも一番仲がいいんだぜ」
ゼロ「……」
ラクシャータ「じゃあ、いつも通り……上から脱いじゃおうか……」
ゼロ「なに?!」
玉城「いつ見てもラクシャータ先生はエロいよなぁ」
ラクシャータ「どうせゼロも、私の体が目当てなんだろ……?」
ゼロ「そんなわけあるか!!」
ラクシャータ「そう言ってくれると嬉しいよ」
ゼロ「なに……?」
玉城「先生は時々悲しそうな目をするんだよなぁ……。一体、過去に何があるのか」
ゼロ「どうやら、キャラ設定はしっかりしているようだな」
ラクシャータ「ちなみに私は処女だってさ」
ゼロ「屋上だと?」
玉城「ゼロは基本的にマブダチの俺以外に友達いねーしよぉ」
ゼロ「不愉快だな!!」
玉城「いいじゃねーかよ。その代わり女に囲まれてるんだから」
ゼロ「囲まれている……?」
神楽耶「ゼロ様!!ではなく、ゼロ先輩!!こんにちはですわ!!」
ゼロ「神楽耶様まで……」
玉城「おー、一年後輩の神楽耶ちゃんじゃねーか。ゼロのことを兄のように慕っているんだよな」
ゼロ「ほう……?」
神楽耶「昼食、今からですか?よろしければ私と……」
ゼロ「そういうことでしたら―――」
玉城「ゼロ、待て待て。神楽耶ちゃんの誘いを断って屋上に行くこともできるぜ?」
ゼロ「断ってどうする?神楽耶様が悲しむだけだろう」
玉城「じゃあC.C.が悲しんでもいいのかよ?」
玉城「おうよ。今日は何故か屋上にいるぜ」
ゼロ「……」
神楽耶「ゼロ先輩……?」
玉城「どうするんだよ、ゼロ?」
ゼロ「神楽耶様、屋上で食べませんか?」
神楽耶「え……」
玉城「ゼロ……お前……」
ゼロ「なんだ、駄目なのか?」
玉城「いや、最高の選択だぜ」
ゼロ「……そ、そうか」
神楽耶「よろこんでご一緒しますわ!!」
ゼロ「では行きましょうか」
神楽耶「はいっ!!」
玉城「神楽耶ちゃんの好感度がばっちり上がったな!!」
玉城「ここが屋上だな」
ゼロ「教室だけではないのか」
C.C.「あ……。珍しいな。お前とここで会うなんて」
玉城「いつも図書室にいるC.C.がどうして今日に限って屋上にいるんだよ?」
C.C.「偶にはいるさ。私は高いところが好きだからな」
玉城「そうなのか。一緒に飯でもどうだ?」
C.C.「そうだな。悪くない」
ゼロ「素直に喜んだらどうだ」
C.C.「嬉しくなんてないよ」
玉城「それでも好感度は確実に上がってるけどな」
神楽耶「いただきます」
C.C.「ピザ弁当は無いのか」
ゼロ「あるわけ―――」
玉城「あるぜ。ゼロのやつ、ピザを作りすぎたみてーだから、食ってくれ」
ゼロ「場所の選択か?」
玉城「グラウンド、教室、保健室、図書室、そのまま街へ行くこともできるな。ゼロ次第だ」
ゼロ「……」
玉城「誰に会いたいか言ってくれたら、ヒントはやるぜ?」
ゼロ「そうだな……。保健室はラクシャータ。図書室はC.C.。街ならカレンだろう。残り二つはどちらが千葉で神楽耶様なんだ?」
玉城「神楽耶様は陸上部に所属してるぜ」
ゼロ「では、グラウンドに行く」
玉城「ここがグラウンドだ」
ゼロ「食堂は万能だな」
神楽耶「あ、ゼロ先輩!!練習を見に来てくれたんですのね?!」
ゼロ「ああ……」
神楽耶「先輩が見てくれているだけで、早く走れそうな気がしますわ!!」
玉城「このまま練習が終わるまで見ているか?」
ゼロ「そうだな。そのほうが……いいのだろうな……。なんとなくだが」
ゼロ「そうか」
玉城「あとは寝るだけだな。じゃあ、今日の成果はこんな感じだ」
C.C. ■■□□□
神楽耶 ■■■■□
ラクシャータ ■□□□□
カレン ■■■■□
千葉 □□□□□
ゼロ「……」
玉城「がんばれよ」
ゼロ「何をだ?」
玉城「何をって、これで女の子の心の揺らぎをチェックして、エンディングを迎えるんだよ」
ゼロ「私は女性の気持ちなど……わからない……」
玉城「おいおい。この心の揺らぎ表を見ろって。神楽耶様とカレンのところが高いだろ。つまり、ゼロ、お前の行動は神楽耶様とカレンにとって正解だったってことじゃねえか」
ゼロ「しかし、私は何も考えてなどいない……」
玉城「この表は嘘をつかねえ。悪ければ真っ白になる。正しいなら真っ黒になる。それが全てなんだよ」
ゼロ「わかった……」
ゼロ「そうなのか」
千葉「あ、変態仮面」
ゼロ「変態仮面って言うな!!」
千葉「ふん」
ゼロ「……」
玉城「ゼロ、このまま黙っているつもりかよ?なんとかいわねーと、いつまで経っても変態仮面のままだぜ?」
ゼロ「何を言えば……」
玉城「なんか言っちまえよ」
ゼロ「……千葉」
千葉「なんだ?」
ゼロ「昨日は事故とはいえ、すまなかったな。不快な思いをさせたことを謝罪する」
千葉「……ふんっ」
ゼロ「違ったか……」
玉城「いや……わるくねえぞ……」
ゼロ「早いな。……では、教室に行くか」
玉城「千葉がいるみたいだな」
千葉「なんだ、お前か」
ゼロ「……」
玉城「なにしてんだよ、千葉」
千葉「見ての通り、掃除だ」
ゼロ「……手伝おうか」
千葉「結構だ」
ゼロ「そうか……」
千葉「変態仮面の手助けなどいらない」
玉城「ゼロ、あそこに大きなゴミ袋があるぜ」
ゼロ「捨ててこよう」
千葉「いいと言っている!!」
玉城「じゃあ、ゴミは指定の場所に捨てて、帰宅するか」
C.C. ■■□□□
神楽耶 ■■■■□
ラクシャータ ■□□□□
カレン ■■■□□
千葉 ■■■■□
ゼロ「千葉の好感度が馬鹿みたいに上がったな」
玉城「それだけゼロの行動が千葉の心をうったんだよ」
ゼロ「そう……なのか?」
玉城「おうよ」
ゼロ「俺の行動は間違っていない……ということなのか……」
玉城「ああ。間違いねえよ」
ゼロ「フフフ……そうか……」
玉城「じゃあ、次の日だな」
ゼロ「ああ」
玉城「今日もいい天気だし、屋上で昼飯にするか」
ゼロ「わかった」
C.C.「またお前か」
ゼロ「貴様も食べる相手がいないのか?」
C.C.「いや。いるぞ。目の前にな」
ゼロ「……」
玉城「ゼロの中でC.C.の評価があがったな」
ゼロ「そんなパターンもあるのか」
玉城「違うのか?」
ゼロ「……違わないが」
C.C.「今日もピザ弁当か?」
ゼロ「ああ」
C.C.「気が利くな。私は嬉しいぞ」
ゼロ「お前が腹を空かせているといけないからな」
C.C.「……」
ゼロ(台詞を間違えたか……!?)
ゼロ「図書室に向かう」
玉城「いいぜ」
C.C.「またお前か。もううんざりだな」
ゼロ「すまない……」
C.C.「何か用でもあるのか?」
ゼロ「弁当だが……作ってこないのか?」
C.C.「面倒だからな」
玉城「C.C.は独り暮らしなんだよなぁ。親は海外に出張してるんだぜ」
ゼロ「大変だろう。私が作ってきてやろうか?」
C.C.「余計なお世話だ」
ゼロ「そうか……」
C.C.「だが、作りすぎたというなら食べてやる。ピザを捨てるなんてもったないからな」
玉城「C.C.の顔が少し赤くなったな」
ゼロ「そうは見えないが……。これでいいのか……?」
神楽耶 ■■■■□
ラクシャータ ■□□□□
カレン ■■□□□
千葉 ■■■■□
ゼロ「これは……?!」
玉城「すげーな!!ゼロ!!もうC.C.はゼロにフォーリンラブじゃねえか!!」
ゼロ「なんだ……フハハハハ……やれる……やれるじゃないか……!!!」
ゼロ「やはりあれは、あのゲームに問題があっただけで……普通にやれば私はどんな女性も口説き落とせる!!!」
玉城「さっすが、ゼロだな!!」
ゼロ「よし!!次はラクシャータだ!!!」
玉城「昼休みも保健室に行くのか?」
ゼロ「当然だ!!」
玉城「わかった。いくぜ!!」
ラクシャータ「いらっしゃい。待ちくたびれたよ」
ゼロ「ラクシャータ先生。今日も相変わらずの美貌ですね」
ラクシャータ「嬉しいこといってくれるじゃないか。でも、下心が丸見えで私は好かないねぇ」
ラクシャータ「なんだい?」
ゼロ「ナイトメアフレームのプラモデルです」
ラクシャータ「物で釣れるほど、安くないつもりなんだけどねえ……」
ゼロ「なに……!?」
玉城「過去に何かある女性は手厳しいな……」
ゼロ「先生。ずっと気になっていたのですが。どうして時々悲しそうな目をするんですか?」
ラクシャータ「……聞きたいのかい?」
ゼロ「私はもっと先生のことを知りたいんです」
ラクシャータ「いいよ。聞かせてあげる。―――私はね、一度死んだ女なのさ」
ゼロ「死んだ……?」
ラクシャータ「そう。子どもの頃に父親からあらゆる虐待を受け、施設へ行き、名前を変えた」
ゼロ「……」
ラクシャータ「だから、あんたたちみたいな若くて生き生きとした姿を見ると、自分の青春はどこにあったんだろうって……いつも考えちゃうんだよ……」
ゼロ「そんな過去が……」
ゼロ「私と青春を取り戻しましょう」
ラクシャータ「何をいっているんだい?」
ゼロ「私が先生の失った時間を埋めてみせます」
ラクシャータ「無理に決まってるだろ……」
ゼロ「駄目かもしれない。それでも私にかけてくれませんか?!」
ラクシャータ「ゼロ……信じて……いいんだね?」
ゼロ「ええ」
ラクシャータ「ふふ……まさか、年下にこんなこと言われるなんて……。また、保健室にきなよ……必ず」
ゼロ「はい」
玉城「ラクシャータ先生の目に涙が浮かんでやがる……。でも、ゼロはそれを見ないように退室するんだよなぁ……」
ゼロ「放課後はグラウンドに行く!!」
玉城「神楽耶ちゃんはいるかな……?お。あそこにいるぜ!!」
神楽耶「ゼロ先輩ー!!」タタタッ
玉城「部活で汚れたのか、ユニホームが土塗れになっているな。お尻のところとこよ」
神楽耶「ありがとうございます!!」
玉城「その日は仲良く神楽耶ちゃんと帰ったとさ。よし、結果発表だ」
C.C. ■■■■■
神楽耶 ■■■■■
ラクシャータ ■■■■■
カレン ■□□□□
千葉 ■■■■□
ゼロ「フフフハハハハハ!!!!!真っ黒だな!!黒の騎士団のように!!!」
玉城「こりゃあ、すげえ。短期間に三人も落としちまったな」
ゼロ「さてと……。次は千葉だな」
玉城「じゃあ、昼休みは教室か」
ゼロ「いや、神楽耶様とC.C.を誘って教室で昼食をとる」
玉城「もう落ちてる奴も巻き込むのよ?!ゼロ……」
ゼロ「なんだ?」
玉城「最高じゃねーか!!」
ゼロ「私は完璧だからな!!!!」
井上「はい」
藤堂「……よし。今だ」
玉城「ゼロ!!あ、あれ……!!」
ゼロ「なんだ?」
井上「ゼロ……久しぶりね……」
ゼロ「井上……?!」
玉城「井上……留学から帰ってきたのよ……?!」
ゼロ「死んだんじゃないのか?!」
井上「一年前の答えを……出しにきたわ」
ゼロ「答えだと……?」
玉城「ゼロは井上に告白してふられたからなぁ……」
ゼロ「なんだと?!」
井上「ゼロ……離れて気がついたの……。私もゼロが好きってことに……」
ゼロ「なっ……?!」
井上「付き合うことになったあとが怖かったの。私だけが海外で離れて暮らすことになるのに……。辛くなるぐらいなら、断ろうって思っただけ」
玉城「なんだと……?!」
ゼロ「井上……」
井上「でも、離れてみてもっとゼロのことが好きになったわ。どんなときもゼロのことを考えているの。だから、今日、帰ってきた」
玉城「すぐに帰るのか……?」
井上「明日の便でね。だから、ゼロ。もし私のことをまだ好きでいてくれたなら、今日の放課後、公園まで来て」
ゼロ「な……に……」
井上「お願いっ」タタタッ
ゼロ「まさか……井上が……」
玉城「突然の告白に戸惑うのも分かるぜ。でもよ、これが恋愛ってもんだ。いつでもどこでも起こるんだよ」
ゼロ「……」
玉城「だから面白いんだけどな。―――で、どうする?今日の放課後の行き先で、全てが決まるぜ?」
ゼロ「こんな唐突な展開など……想定外だ……!!」
玉城「ビシっと決めろ、ゼロ。俺のマブダチなんだからよ!!」
ゼロ「カットか……」
玉城「さて。じゃあ、最後の放課後に向かう前に最終確認しておくかぁ!!」
C.C. ■■■■■
神楽耶 ■■■■■
ラクシャータ ■■■■■
カレン □□□□□
千葉 ■■■■■
井上 ■■■■■
ゼロ「……」
玉城「ほぼパーフェクトだな。ゼロ。誰のところに行っても、一人を除いて確実に結ばれるぜ」
ゼロ「そうなのか」
玉城「で、どこに行くんだ?ゆっくり考えてくれていいけどな」
ゼロ「……」
玉城「全てはこの瞬間のためにあったんだよ」
ゼロ「分かっている」
玉城「ゼロ……どうするんだよ?!」
ゼロ「―――よし!!決めたぞ!!」
ゼロ「……」
C.C.「なんだ?」
ゼロ「時間、あるか?」
C.C.「ああ……」
ゼロ「では、教室に向かうぞ」
C.C.「……」
玉城「教室には千葉の姿が……」
千葉「ゼロか」
ゼロ「千葉。時間があるなら保健室に行くぞ」
千葉「……」
玉城「保健室ではラクシャータが半裸でベッドに寝ていた」
ラクシャータ「遅かったじゃないか」
ゼロ「グラウンドに行くぞ、ラクシャータ」
玉城「ゼロは三人の女性を連れ、神楽耶ちゃんのいるグラウンドを目指す……」
ゼロ「公園に向かいます」
玉城「そして……井上の待つ公園に辿り着く……」
ゼロ「井上、待たせたな」
井上「ゼロ……」
C.C.「何の真似かな。ゼロ?」
千葉「私たちをここに集めてどうする?」
ゼロ「みんなに伝えることがある」
神楽耶「なんでしょうか……?」
ゼロ「私は気づいてしまったんだ」
C.C.「何にだ?」
ゼロ「やっと女の子の気持ちにな」
井上「気持ち……?」
ゼロ「気がつけば何ていうことはない。極々当たり前のことだったんだ……。ありがとう、みんな。感謝するぞ、藤堂」
藤堂「ゼロ……」
ゼロ「今、この瞬間に、誰が主人公であるゼロの告白を望んでいるのか」
神楽耶「……ゼロ様っ」
ゼロ「そう。私が離れれば離れるほど……そいつの想いは肥大化していくのだろう……」
ゼロ「だからこそ、私は目の前の幸福を手にするのではなく、遠くの困難に挑まなければならない……」
千葉「誰を選ぶというんだ?」
井上「まさか……」
ゼロ「大切だからこそ遠ざけておこうと意識していた。だから、常に境界を越えないようにしていた」
ゼロ「だが、それは相手にとって苦痛でしかないんだろう……」
ゼロ「分かっていたのに……気がついていたのにな……」
C.C.「誰を選ぶんだ。その口ぶりから察するに……」
カレン「……あの……出番、ありますか?」
ゼロ「藤堂!!間違っていたのは私のほうだった!!勝手に他人を恐れ、危うく閉じこもってしまうところだった!!」
藤堂「ゼロ……誰を選ぶんだ……?」
カレン「あの……ゼロ……?私、ここにいますけど……」
ルルーシュ「シャーリー……」
シャーリー「ルル……?」
ルルーシュ「随分、待たせたな」
シャーリー「な、何を言ってるのよ……」
ルルーシュ「今度、ゆっくり買い物しないか?」
シャーリー「ルルがしたいなら、別にいいけど……?」
ルルーシュ「ああ。シャーリーとしたいな。今までできなかったことを……」
シャーリー「ルル……」
ルルーシュ「シャーリーの気持ちにやっと気が付けたんだ」
シャーリー「ルル!!」
ルルーシュ「シャーリー!!」
ミレイ「このゲームのおかげ?」
リヴァル「マジか……」
スザク「よかった……本当によかった……。ルルーシュが人の道を外さなくて……本当に……」
ルルーシュ「そうだな……。ナナリー」
シャーリー「え?」
ナナリー「はい?」
ルルーシュ「ナナリーも行くだろ?買い物」
ナナリー「はいっ」
シャーリー「え……ナナちゃんも……?」
ルルーシュ「ああ」
ナナリー「なにか?」
シャーリー「ううん……別に……」
ミレイ「ちょっと、ちょっと!!ルルーシュ!!どういうこと?!」
スザク「ルルーシュ!!このゲームから何かを学び取ったんだじゃないのか?!」
ルルーシュ「ああ。学んだ。正確にはまた違う教典からだがな」
リヴァル「何を学んだんだよ?」
ルルーシュ「俺は今まで双方を守る為に、一方を遠ざけていた。しかし、それでは互いに苦しいだけと言うことにな……」
ルルーシュ「同時に知った。―――俺の場合、双方と常に行動を共にしていれば誰も不幸にはならないことに!!!」
ミレイ「どういうこと?」
ルルーシュ「ふふふ。会長も一緒にどうですか?」
ミレイ「なにが?」
ルルーシュ「俺なら……同時に5人まで幸せにできることがわかったんです」
リヴァル「何いってんだよ?!」
ルルーシュ「このゲームでは対象が7人。だから、俺では無理だった。それもそのはず。俺のキャパシティは5人分だったからだ」
スザク「……」
シャーリー「それで?」
ルルーシュ「5人までなら俺は同時に幸せにできる。一人が限界だと思っていたが、それは違っていたんだ」
ルルーシュ「これからは守りたいものを遠ざけず、ずっと懐の中に入れておくことにした。離れてしまうと苦しくなるんだろ、女の子というのは」
シャーリー「それを学んだんだ……ルル……」
ニーナ「ユーフェミア様……さいこー……」
ナナリー「お兄様、かっこいいです」パチパチパチ
スザク「ルルーシュゥゥゥゥゥ!!!!!!」
ルルーシュ「なんだ?!」
スザク「この外道がぁ!!!!」
ルルーシュ「なんだと?!」
リヴァル「女の敵!!」
ルルーシュ「何を言っている!!可能なことは検証済みだ!!」
シャーリー「……」
ミレイ「……」
ルルーシュ「信じてくれ!!シャーリー!!会長も!!」
シャーリー「会長、どうします?」
ミレイ「うーん……」
カレン「どうも……こんにちはー……」
ミレイ「カレン、ちょっと」
カレン「なんですかぁ……?」フラフラ
ミレイ「そう。生徒会の女たちは全員ね」
ルルーシュ「え?」
カレン「なんでまた……」
シャーリー「ルルが5人までなら全員幸せにできるって力説するから、なら幸せにしてもらおうと思って」
カレン「幸せ……幸せってなんだっけ……?」
ルルーシュ「カレン……やつれてないか?」
カレン「幸せにしてもらおうかな……よろしく……」
ルルーシュ「お前……?!」
ミレイ「これで四人かぁ……あと一人は……」
シャーリー「咲世子さんでいいんじゃないですか?」
ミレイ「そうね。そうしましょう。はい、決定!」
リヴァル「会長!!本気ですかぁ?!」
ミレイ「モチのロン!!―――では、ただいまより、ルルーシュ・ランペルージのハーレム祭りを始めます!!!」
シャーリー「イエーイ!!」
ミレイ「とりあえず、来月の1日からの予定を組みましょうか」
ルルーシュ「予定?」
ミレイ「5人もいるんだから、毎日1人とデートするとしても5日は埋まるでしょ?」
ナナリー「ローテーションを組むのですか?」
ミレイ「そうそう。とりあえず、ルルーシュと一緒に居たい日と時間を好き勝手に書き込んでみましょうか」
シャーリー「はぁーい」
カレン「どうしようかなぁ……」
ナナリー「私は毎日お兄様とデートしたいのですけど」
ミレイ「いいよー。書いちゃえ」
シャーリー「じゃあ、私もー」
咲世子「私は週末だけでいいですので」
カレン「私は……夜、傍に居てくれるだけでいいかな……」
ミレイ「私もとりあえず毎日デートしましょうか」
ルルーシュ「……」
スザク「羨ましいとは思えないな……」
ニーナ「大変そう……」
ミレイ「できた」
シャーリー「うわー、ルルの睡眠時間、2時間ぐらいしかないね」
ナナリー「でも、カレンさんの時間は眠ることできそうです」
ミレイ「じゃあ、週の平均睡眠時間は……4.5時間ってところか……」
ルルーシュ「……ここから削るのでしょう?」
ミレイ「自分の予定を減らしたい人ー」
カレン「……」
ナナリー「できれば理想の形のままで」
シャーリー「幸せにしてくれるなら、ねえ?」
咲世子「はい」
ルルーシュ「ま、待ってくれ!!流石にこれは……死んでしまう……!!!」
シャーリー「幸せにしてくれるんでしょ、ルル?」
ミレイ「降参?」
ナナリー「お兄様?」
咲世子「……」
ルルーシュ「ぐっ……!!」
シャーリー「ルルは女の子の気持ちを理解してない!」
ルルーシュ「馬鹿な?!」
シャーリー「できるだけ好きな人とは一緒にいたいのっ」
ルルーシュ「……」
ミレイ「そうそう。無理に手を広げても、全員を抱きしめることなんてできないでしょ?」
ルルーシュ「だが、それでは必ず誰かを切り捨てなければならないことに」
シャーリー「だから、ルルがみんなを本当に幸せにできるならそんなことしなくていいけど」
ミレイ「ルルーシュってそんなに器用だっけ?ゲームみたいに選択しなければ現状を維持できる女なんていないわよ?」
シャーリー「そっちが私を選択しなくたって、こっちから選んじゃうときもあるんだからね、ルル!!」
ルルーシュ「俺は……どうしたら……?」
スザク「最後の選択肢は屑が選ぶものだな」
リヴァル「同感」
ニーナ「ルルーシュは一人を選ぶのが無難だと思うな」
ルルーシュ「……」
ルルーシュ(こんな選択肢……なかった……!!)
ルルーシュ(何が正解なんだ……なにが……!!)
シャーリー「ルルー?」
ミレイ「早くしてね」
カレン「幸せにしてよ」
咲世子「ルルーシュ様」
ナナリー「お兄様……」
スザク「ルルーシュ、君の選択肢は3つだ。どれかを選べ」
ルルーシュ「スザク……!!」
ルルーシュ「俺は―――」
C.C.「……」ピコピコ
ルルーシュ「……」
C.C.「それで、お前は逃げたのか」
ルルーシュ「全員を幸せにすることはまだできそうになかったからな。かといって、一人を選ぶことも俺にはできない」
C.C.「ド屑だな。お前」
ルルーシュ「まだまだ俺は女性の気持ちを理解してないからな。理解さえすれば、5人でも10人でも……やれるはずだ」
ルルーシュ「好き勝手に主張する者を完膚なきまでに押さえつけるには、理解が足りないんだ!!理解が!!」
C.C.「ふぅん」ピコピコ
ルルーシュ「10人になれば、お前も幸せにしてやれるしな」
C.C.「ぜんっぜん、嬉しくないが」
ルルーシュ「藤堂が作ったこの心の揺らぎ表は今後も活用していこうと思う」
C.C.「どうするんだ。そんなもの」
ルルーシュ「俺の行動がシャーリーたちにどれだけの影響を与えているのか、知りたいんだよ。理解するためにな」
C.C.「自分を評価させるのか。度胸あるな、お前」
ミレイ「―――はい、本日は終了~」
カレン「おわったぁ」
ルルーシュ「では、今日の評価を頼む」
シャーリー「ああ、そうだった。そうだった」
ミレイ「ルルーシュってマゾね」
ニーナ「ほんとに」
ルルーシュ「理解するためですから、協力してください」
ナナリー「では……」
シャーリー「えっと……あれは減点として……」
スザク「……」
ルルーシュ「スザク、お前も俺を評価したければしてもいいぞ」
スザク「本当かい?!」
リヴァル「俺もいいか?!」
ルルーシュ「構わないが」
ミレイ ■■■■□
シャーリー ■■■■■■□
ナナリー ■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■
カレン ■□□□□
スザク ■□□□□
リヴァル ■■□□□
咲世子 ■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■
ニーナ □
ルルーシュ「なるほど……」
シャーリー「さぁ、かえろー」
ミレイ「ナナリーと咲世子さんの上限ってどこかしら……」
ナナリー「咲世子さん、私が一番高いようにしてくれましたよね?」
咲世子「ええ。勿論です」
ナナリー「お兄様……♪」
スザク「それじゃあ、また明日」
リヴァル「じゃあなー」
カレン「バイバイ」
ルルーシュ「割とショックだな……これは……」
C.C.「どうだ、成果はあったのか?」
ルルーシュ「これが結果だ」
C.C.「よかったな。ナナリーと咲世子の評価が群を抜いているじゃないか」
ルルーシュ「だが、満点ではない」
C.C.「完璧主義者の辛いところだな」
ルルーシュ「だが、まだ始まったばかりだ。落ち込むことなど……ない……」
C.C.「まぁ、ゲーム感覚でやれば大怪我は免れないな」
ルルーシュ「分かっている……そんなことは……」
C.C.「なら、いいけどな。どれ……私も……」
ルルーシュ「この程度の人心掌握も出来ずしてブリタニアは壊せない……」
ルルーシュ「俺はやり遂げてみせる!!!必ず!!!」
C.C.「できた。私の評価だ」
C.C. □□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□
ルルーシュ「……」
ルルーシュ「ふん……」
C.C.「私も幸せにしてくれるんだろ?期待しないで待っている」
ルルーシュ「―――」
C.C.「なっ?!」
ルルーシュ「本当の名前でこれから呼んでやるから、もっと評価をあげろ。白いのは見るに耐えない」
C.C.「そんな見え透いた下心で呼ぶな!!」
ルルーシュ「悪かった」
C.C.「やはりお前は何も分かっていないな。もう一度、ゲームからやり直せ」
ルルーシュ「ゲームはもういい。今の俺では手も足もでない」
C.C.「全く……」
ルルーシュ「……いい名前であることは間違いないがな」
C.C.「……」
ルルーシュ「C.C.も可愛いがな」
C.C.「早く寝ろっ!!」
ルルーシュ「ん……?」
ルルーシュ「ふっ……。どうやら、少しだけ分かった気がするな」
ルルーシュ「案外、真正面から褒めてやるのがいいのか」
ルルーシュ「フフフ……フハハハハ……」
ルルーシュ「やれる……俺なら……!!」
ルルーシュ「……」
ルルーシュ「だが、満点までは……ほど遠いな……」
ルルーシュ「女の気持ちなんて……もしかしたら、一生理解の外なのかもな……」
ミレイ ■■■■□
シャーリー ■■■■■■□
ナナリー ■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■
カレン ■□□□□
スザク ■□□□□
リヴァル ■■□□□
咲世子 ■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■
ニーナ □
C.C. ■□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□
おしまい。
後日談(チラッ
さよ子さんは天然だからな
Entry ⇒ 2012.09.26 | Category ⇒ コードギアスSS | Comments (0) | Trackbacks (0)
メリー「今あなたの後ろにいるの」武術家(殺気ッ!?)
友人「全日本格闘大会!」
武術家「ああ、日頃からの鍛錬の成果を満天下に知らしめる絶好の機会だ」
友人「優勝候補は俺とお前、あとは……空手家と紳士ってとこか」
友人「実質この四人での大会になりそうだな」
武術家「油断していると、意外な相手に足をすくわれるかもしれんぞ」
友人「ハハ、分かってるって」
友人「俺としては、お前とは決勝で当たりたいもんだぜ」
友人「──ところで、こないだお前の家の前を小さな女の子がうろうろしてたけど」
友人「もしかして、お前のファンなんじゃないか?」
武術家「女の子が? まさか……たまたまだろう」
友人「オイ、大変だ!」
武術家「どうした?」
友人「空手家が……襲撃を受けて、病院送りにされたってよ!」
武術家「襲撃?」
友人「ああ、全治三ヶ月の重傷らしい。これじゃ大会出場は無理だ」
武術家「残念だな……大会では彼とも戦いたかったのに」
友人「まったくだ、だれがこんなことを……!」
武術家(どうやら空手家は、背後からの一撃で昏倒した後──)
武術家(全身を打ちのめされたようだ)
武術家(不意打ち、しかも気を失った相手を打ちのめすという外道ぶりは捨て置けんが)
武術家(なによりも警戒すべきは、やはりその技量)
武術家(空手家ほどの達人の背後に忍び寄り、しかも一撃で昏倒せしめるとは……)
武術家(こんなことが可能な使い手は、日本でも数えるほどしかいないだろう……)
武術家(電話か)
武術家(こんな時間に、いったいだれだ?)ガチャッ
武術家「はい、もしもし」
『私メリーさん、今××駅にいるの』
武術家「?」
ツーツー……
武術家(メリーさん……? 外国人?)
武術家(女の声だったが……切れてしまった……)
武術家(××駅といえば、この近くの駅だが──)
武術家(またか)ガチャッ
武術家「もしもし」
メリー『私メリーさん、今コンビニにいるの』
武術家「なんなんだ、あなたは──」
ツーツー……
武術家(また切れてしまったか……)
武術家「もしもし」
メリー『私メリーさん、今△△医院にいるの』
武術家「おい──」
ツーツー……
武術家(△△医院は、すぐ近くにある診療所だ……)
武術家(──まさか!)
武術家(徐々にこの家に近づいている……?)
武術家「……もしもし」
メリー『私メリーさん、今あなたの家の前にいるの』
武術家「!」
ツーツー……
武術家(家の前に……!?)
武術家(出てみるか? いや、しかし──)
武術家(来た……! 次にかけてくるとしたら、どこからだ……?)
武術家(まさか家の中に入ってくるなんてことは……)ガチャッ
武術家「もしもし!」
メリー『私メリーさん』
メリー「今あなたの後ろにいるの」
武術家(殺気ッ!?)
武術家が振り返りざまに、裏拳を放つ。
武術家(外したッ! ──殺気の主はどこだ!?)
メリー「声をかけてから反撃まで、0.2秒とかかってない」
メリー「さっすが、いい反応だね」
武術家(お、女の子……!?)
メリー「えいやっ!」
ベシィッ!
メリーのローキックが、武術家の足にぶつかる。
武術家(お、重いっ……!)ビリビリ…
武術家(この子、ただの女の子ではない……いったい何者なんだ!?)
武術家「君が、空手家を襲撃したのか?」
メリー「……だとしたら、どうするの?」
武術家「空手家がやられたのは、仕方ないことだ」
武術家「彼とて格闘家、どんな形であれ敗北したことに言い訳はできん」
武術家「だがそれと、君の行為が許せるものかどうかは別問題だ」
武術家「背後から不意打ちをしかけ、昏倒した相手を叩きのめす……」
武術家「格闘家以前に、人として到底許せる行為ではない」
武術家「もし君が犯人というのなら、君を止めるために、戦わねばなるまい!」ザッ
メリー「じゃあ始めよっか」ザッ
武術家(──俺と、同じ構え!?)
ドズゥッ!
武術家「おぶっ!」
メリーのボディブローが、武術家のミゾオチをえぐった。
武術家「ぐ……(なんて突きだ……!)」ゲホッ
武術家(空手家がやられたのは仕方ない、などといっておいてなんてザマだ)
武術家(手加減して制圧できる相手ではない!)
武術家(本気で……やらなくては!)ギンッ
メリー(うわ……すっごい気迫……)ゾクッ
メリー「そうこなくちゃね!」サッ
鋭い攻防が続く。
武術家「せやぁっ!」シュッ
リーチで有利な武術家は、蹴りを巧みに使いメリーを懐に入らせない。
メリー「うぅ~……」
武術家(思い通りに攻められず、じれてきているな……そろそろ──)ビュッ
バッ!
武術家のローキックをかわし、メリーが飛び上がった。
武術家(──読み通りッ!)
メリー「!」
武術家(スキだらけだ、あとはこの拳を、この子に──)
武術家(この子に──)
一瞬のためらい。
ガキィッ!
メリーの飛び蹴りが、武術家の顔面を直撃した。
武術家「ぐはぁっ!」ザザッ
武術家「……君こそな」
メリー「!」ギクッ
武術家「今の蹴り……全力で放ってたら、俺は今こうして立っていなかったはずだ」
武術家「攻撃をためらった俺に対し、君もまたためらってしまった」
武術家「ちがうか?」
メリー「うっ……」
武術家「そしてこれでハッキリした」
武術家「空手家を襲撃したのは、君ではない」
武術家「よくよく考えたら、本気で俺を倒すつもりなら──」
武術家「わざわざ電話などかけず、奇襲をかけてきたはずだからな」
武術家「君の目的はなんだ? なぜ俺と戦い方がソックリなんだ?」
メリー「…………」
メリー「あ~あ、もうちょっと手合わせしたかったんだけどな」
メリー「私はね」
メリー「あなたを助けに来たの」
武術家「!?」
武術家(俺を……助けに……!?)
武術家「怖そうな人?」
メリー「うん」
メリー「で、その人たち、『ここを襲うのか』とか『命令があった』とか話してたの」
武術家「なんだって……!?」
メリー「空手家って人が大怪我したニュースは知ってたから」
メリー「もしかしたら、次はあなたかも……って思ったの」
武術家「……だからここに来てくれたのか」
武術家「悪いが、俺は君を全く知らないのだが」
メリー「知らないのは当然だよ。だって私、元々は人形だったんだもん」
武術家「人形?」
メリー「うん……私、持ち主だった女の子にゴミ捨て場に捨てられちゃったの」
メリー「すっごく憎んだわ、絶対許さないって」
メリー「動けるようになって、絶対仕返ししてやるんだって」
メリー「でも、そんな時──」
──
───
武術家(もうそろそろ10kmか……)タッタッタ
武術家「ん?(人形が捨ててあるな)」
武術家(可愛げのある人形だが、ずいぶん雑に捨てられているな)
武術家(こんな風に捨てられては、人形としても無念だろう)
武術家「あいにく俺は拾ってやることはしないが──」
武術家「たとえ捨てられるにしても、せめてキレイなままでいたいだろう」パッパッ
武術家は人形の汚れを払い、ポーズを整えた。
武術家「さてと、もう10km走るか」タッタッタ
人形「…………」
メリー「とっても嬉しかった……」
メリー「私、あなたのおかげで恨みがすっかりなくなっちゃったの」
武術家「そうだったのか……」
武術家「なんにせよ、恨みが晴れたのであればなによりだ」
メリー「だから、あなたの家に近づいて、トレーニングを眺めたりしたの」
メリー「あなたのマネをしてたら、けっこう武術を覚えられたんだよ」
武術家「!?」
武術家「まさか……俺のマネをしてただけで……あれだけの実力を備えたのか!?」
メリー「うん」
武術家(どうりで構えや戦い方が俺にソックリなハズだ……)
武術家(正直いって、今の話が一番衝撃的だった)
武術家「ところで……ここに来た時、俺と戦ったのはなんでだ?」
メリー「えぇ~と、つい今の私がどれぐらい強いか、たしかめたくなっちゃって……」
武術家「ああ、たしかにその気持ちはよく分かる」
武術家(これも格闘家のサガか……)
メリー「ねえねえ、私の武術どうだった?」
武術家(どうって……)
武術家(人間ではないとはいっても、女の子がマネだけであそこまで──)
武術家「な、なかなかだった……まだ俺には及ばないがな」
メリー「ホント? 嬉しいっ!」
武術家(他人の才を素直に認められぬとは……俺もまだまだ未熟だ)
武術家「ほら、できたぞ」
メリー「わぁ~! 美味しそう!」
武術家「わざわざ人間になってまで訪ねてきてくれたんだ。歓迎しよう」
武術家「恩返しとかは考えなくていい」
武術家「しばらくゆっくりしていくといい」
メリー「うん……ありがとう!」
メリー(よかった……私の思ったとおり、強くて優しい人だった……)
武術家「全日本格闘大会、か」
メリー「どういう大会なの?」
武術家「日本中の実績ある格闘家を集めて行われる大会だ」
武術家「日本一を決める大会といっても過言ではない」
武術家「もしいい成績を残せれば、世界大会への道も開かれる」
メリー「ふぅ~ん、そんなにすごい大会なんだ」
メリー「あなたの他には、どんな人が出るの?」
武術家「日本の名だたる格闘家はだいたい参加するが……」
武術家「優勝候補だといわれていたのは、四人」
武術家「俺と友人、あとは紳士と空手家だ」
武術家「だが空手家は、襲撃を受けて出場は絶望的になってしまった……」
メリー「ラッキーだって思ってる出場者もいるかもしれないね……」
武術家「あまり健全な考えではないが、中にはいるだろうな」
武術家「…………」ハッ
武術家(まさか……大会出場者の誰かが、優勝する確率を上げるために……!?)
武術家(だとするなら、俺を狙う理由も理解できる)
武術家(いやしかし……大会出場者にこんなことをする人間がいるとは思いたくない)
武術家(だがもし犯人の狙いがそれだとするなら──)
プルルルルル……
武術家「電話……?」
メリー「こ、これは私じゃないよ!?」オドオド
武術家「分かっているよ」ガチャッ
武術家「もしもし」
友人『俺だ……』
武術家「(やけに弱々しい声だが──)友人、どうしたんだ!」
友人『俺も、やられちまった……』
武術家「!」
友人は右腕に大きなギプスをはめ、全身包帯まみれであった。
友人「よう」
武術家(なんてことだ……!)
武術家「入院しなくても大丈夫なのか?」
友人「動けるっちゃ動けるし、無理いって脱け出してきた」
友人「……ところで、そっちの嬢ちゃんは?」
武術家「えぇと──」
メリー「私メリーさん、武術家さんの親戚なの!」
友人(ファンじゃなく、親戚だったのか……ハーフか?)
友人「へえ、お前にこんな可愛い親戚がいたなんてな」
メリー「やだぁ、可愛いだなんて……やっぱりあなたの親戚になろうかな」
武術家「お、おいおい……」
友人「さっきお前と別れて、すぐだったな」
友人「家に帰る途中、後ろからガツンと……」
友人「──で、目を覚ましたらこのザマになってたってワケだ」
友人「んでもって、とりあえず金だけ払って病院を出て、お前に電話をかけたんだ」
武術家「しかし、お前ほどの男が相手を見ることもできずに……」
友人「ああ、犯人はかなりの達人のハズだ」
友人「……にしても、情けねえ。くそったれ……!」
友人「完治とはいかねえだろうが、俺は必ず戦えるようになる」
友人「だから……このことは大会関係者には伏せておいてくれ、頼む!」
友人「このことがバレたら、出場停止になっちまうかもしれねえから……」
武術家「ああ、分かっている」
武術家「お前なら、そういうだろうと思っていた」
友人「……ありがとよ」
友人「だが気をつけろよ、もし犯人が大会出場者の誰かだとしたら──」
友人「次に狙われるのは、お前か紳士のどっちかだろう」
メリー「ねえねえ」
武術家「ん?」
メリー「さっきの人も、あなたぐらい強いんでしょ?」
武術家「ああ、あいつはパンチが得意でな」
武術家「特に疲れ知らずの連打は、浴びた方がうずくまってしまうほどの威力だ」
メリー「そんな人がやられちゃったんだ……」
武術家「空手家や友人ほどの格闘家を相手に、こうまでできる人間か……」
武術家「心当たりがあるとすれば──」
武術家(いや、やめておこう。証拠もないのに、疑ってはいかん)
メリー「ねえねえ、私しばらくあなたの家にいてもいい?」
武術家「ああ、せっかく来てくれたんだ。かまわないぞ、メリー君」
メリー「君なんてつけないでよ。メリーでいいよ」
武術家「──道着も似合ってるじゃないか」
武術家(俺の子供の時のお下がりだが、とっておいてよかったな)
メリー「私、こういうの着るのはじめてなんだけど……よかった」
武術家「じゃあメリー、まずは柔軟体操からだ」
武術家「ちゃんとやっておかないと、怪我をするからな」
メリー「うん!」
武術家(わざわざ人形から姿を変えてまで、会いに来てくれたんだしな)
武術家(それにこの子の強さはホンモノだ)
武術家(この子と稽古をすれば、きっと俺自身も強くなれるはずだ)
武術家(本当に俺が狙われているとするなら、戦いに巻き込みたくはないが──)
武術家「ほう、どんな技だ?」
メリー「まずね……私が少しずつこの家に近づいていったみたいに」
メリー「こうやって、少~しずつ相手に近づくの」ソロ…
メリー「動きはゆっくりなのに、意外と手を出せないでしょ?」ソロ…
武術家「ああ、カウンターを警戒してしまうな」
メリー「こうやってステップで──」スタタンッ
武術家「!」
メリー「一気に背後に回り込むの!」バッ
メリー「そしたら“あなたの後ろにいるの”っていって、振り返った相手を──」
メリー「パンチ!」ビュッ
メリー「……どう? 名づけて、“メリー拳”!」
武術家「ハハハ、メリー拳か。なかなか面白いかもしれんな」
メリー「わぁい、ありがとう!」
武術家「ただ、一度見られてしまうと、効果が半減してしまうがな」
メリー「うぅ、たしかに……」
武術家(背後に回る時の独特なステップ……まったく動きを追えなかった)
武術家(つくづく恐ろしい才能だ)
武術家「では今日の稽古はここまでだ」
メリー「じゃあ私、お風呂たいてくる!」パタパタ…
武術家(大会まであと七日……メリーがいっていた襲撃者が来る気配はない)
武術家(だが、もし大会の優勝候補が狙いであるなら)
武術家(そろそろ──)
ガッシャアンッ!
武術家(ガラスが割られた!?)
ダダダッ! ダダダッ!
武術家(複数の足音! 侵入者かッ!)
覆面A「へっへっへ……」
覆面B「これも仕事なんでな」
武術家「お前たちは何者だ?」
覆面A「答える義務はねえなっ!」ブンッ
覆面B「オラァッ!」ブンッ
武術家「ハァッ!」
ズドォ!
武術家「どりゃあッ!」
バキィ!
覆面A「ぐげぇ……!」ドサッ
覆面B「がはっ……!」ドサッ
武術家(この二人だけじゃない、まだかなりの数がいるな……!)
武術家(一人一人は大したことないが──数が多すぎる!)ハッ
武術家(しまった、こっちにもいたのか!?)
覆面C「もらった!」ブンッ
武術家(いかん──!)
「私メリーさん、今あなたの後ろにいるの」
覆面C「え?」
ドゴッ!
覆面Cは後ろから現れたメリーに、一撃で倒された。
武術家「メリー、すまん! 助かった!」
メリー「いいのいいの、全部やっつけちゃおう!」
武術家(かなり倒したが、まだ10人以上残っていたか……)
武術家「メリー、背中合わせになって、互いに前方だけに集中するぞ!」ザッ
メリー「うんっ!」
メリー「私メリーさん、今あなたの後ろにいるの!」バッ
覆面D「ちくしょう、あんなガキがいるなんて聞いてねえぞ!」
覆面E「こいつら、強すぎるぜ……」
白覆面「ええい、ひるんでんじゃねえ! てめえら、やっちまえ!」
武術家(あの白い覆面が、リーダー格のようだな)
ドゴッ! ボスッ! バシッ! ベキッ! ドゴッ!
武術家とメリーの実力は、覆面たちを全く寄せつけない。
武術家(昔はこうやって、友人と一緒に荒くれ者相手に戦ったもんだ)
武術家(まさかまた、こうして背中を任せられる格闘家に出会えるなんてな)
武術家(しかもそれが小さな女の子だとは……不思議なこともあるものだ)
ドズッ!
覆面D「ぐへぇっ!」ドサッ
メリー「あなたの後ろにいるの」
バキィッ!
覆面E「ぎゃふっ!」ドサッ
白覆面(武器を持った30人が、あっという間に全滅だとぉ……!?)
白覆面(くそっ、せめて命令通り怪我だけでもさせねえと……)
白覆面(そうだ! やられた奴らのバットをかき集めて──)
白覆面はメリーめがけて、バットをまとめて投げつけた。
メリー「え!?」
武術家「危ない、メリー!」ダッ
ガスッ! ガンッ!
武術家の右ヒザと左脇腹に、バットが当たってしまった。
武術家「ぐっ……!」
白覆面「ヒャハハ、ざまあみやがれ!」
メリー「よくもやったなぁ!」スタタンッ
白覆面(えっ、一瞬で後ろに回り込まれ──)
メリー「私メリーさん、今あなたの後ろにいるの!」グイッ
白覆面「ちょっ、待っ──」
メリーは白覆面を後ろから持ち上げると、ジャーマンスープレックスを決めた。
──ズガァン!
武術家「なぜ、こんなマネをした?」
武術家「空手家や友人をやったのも、お前たちの仕業なのか?」
白覆面「空手家、友人……? なんのことだ?」
白覆面「俺らはただ……今日アンタを襲撃しろって雇われただけのチンピラ集団だ……」
白覆面「もっとも、ほとんどが格闘家崩れだがな……」
武術家「だれに雇われた!?」グイッ
白覆面「し、知らねえ……本当だ!」
白覆面「なにしろ、こっちからは一切連絡が取れねえんだ……!」
白覆面「勝ちは期待してねえから、せめて怪我だけでもさせろっていわれて」
白覆面「絶対ブッ潰してやるって意気込んでたんだが……やっぱアンタつええな……」
白覆面「いや……アンタらか」
メリー「なあに?」
武術家「今から……紳士の家に行ってみようと思う」
メリー「たしか、優勝候補の人だよね?」
武術家「ああ……俺の読みでは、おそらく彼が黒幕だ」
武術家(空手家と友人を倒す実力者……)
武術家(それに怪我だけは負わせろ、という指示も明らかに大会を意識したものだ)
武術家(仮にちがうとしても、疑念を晴らすために行ってみた方がいいだろう)
武術家「……ぐっ!」ズキッ
メリー「どうしたの!?」
武術家「いや、なんでもない」
ピンポーン……
ピンポーン……
武術家「反応がないな」
メリー「出かけてるか、寝てるかしてるんじゃないの?」
武術家(……失礼)ガチャッ
武術家(ドアが……開いている……)
武術家「…………」クンクン
武術家(かすかに……血の臭い!?)
メリー「入ろう!」
武術家&メリー「!」
中では、紳士が血まみれで倒れていた。
武術家「おい、しっかりしろ!」
メリー「ひどい……」
武術家「メリー、救急車を頼む!」
メリー「うん!」
紳士「き……君は……武術家君……?」
武術家「今救急車を呼んだ。安静にしていてくれ」
武術家(あちこちの骨を折られている……)
武術家「大した怪我ではないが、しゃべらない方がいい」
紳士「き、気をつけるのだ……」
紳士「時計を見る限り……私が気絶させられてから……さほど時間はたってない」
紳士「私をやった者は……(まだ、近くに……)」ガクッ
武術家(紳士は犯人ではなく、むしろ狙われる側だったとは……)
武術家(ではいったい犯人はだれなんだ!?)
パシャッ
武術家(ん、今なにか音が──)
メリー「もしもし私メリーさん、今紳士さんの家にいるの!」
メリー「紳士さんが大怪我してるの!」
メリー「救急車をお願いしたいの!」
メリー「!」ハッ
メリー(今、窓の外にかすかに気配が──)チラッ
ガサッ……
メリー(あ……!)
メリー「あの人……大丈夫かな?」
武術家「俺の見立てでは命に別状はないが、手ひどいやられ方なのはまちがいない」
武術家「大会直前で、俺と紳士を同時に襲う算段だったのだろう」
武術家「恐ろしく狡猾で、非道な犯人だ……。許せん……!」
メリー「…………」
武術家「ん、どうした?」
メリー「私……さっき見ちゃったの」
武術家「なにをだ?」
メリー「窓の外に──」
メリー「友人さんがいたのを」
武術家「メリー、下らないウソをつくんじゃない!」
メリー「で、でも──」
武術家「…………!」
武術家「メリー、先に家に戻っていろ!」
武術家「俺はすぐ友人のところに行ってくる!」
武術家「だってアイツはすでに襲われているんだぞ!」
武術家「アイツは……内気でいじめられがちだった俺に、格闘技を教えてくれた!」
武術家「今の俺があるのも、アイツのおかげなんだ!」
武術家「こんなことをするワケがないんだ!」
武術家「アイツのハズがない!」ダダダッ
メリー「…………」
武術家(なあ、そうだろう!?)ダダダッ
~
友人『君に、ケンカのやり方教えてやるよ』
友人『おぉ! なかなかいいパンチ打てるようになったじゃんか』
友人『ちっ、囲まれちまったな……お前は俺の後ろを頼む!』
友人『この団体戦のトロフィーは、俺とお前の一生の宝だな!』
友人『俺としては、お前とは決勝で当たりたいもんだぜ』
~
武術家(友人……)ダダダッ
武術家(友人、お前はこんなことしないだろう!?)ダダダッ
武術家は戻ってくる友人と鉢合わせになった。
武術家「友人……」ハァハァ
友人「!?」ギョッ
友人「……どうしたんだ、こんな時間に」
武術家「お前……包帯とギプスはどうした……」ハァハァ
友人「ん……ああ、こないだ取れたんだよ。俺、回復が早いからさ」
ビュッ! パシィッ!
武術家のパンチを、右手で受け止める友人。
武術家「今……ためらいもなく右手で拳を受けたな」
武術家「あれほどの怪我をしていた人間の反応じゃない」
武術家「──お前なのかっ!?」
武術家「証拠はない……が、だったらなんで怪我もしてないのにあんな芝居をした!」
友人「怪我をしてなきゃ包帯やギプスをしてはいけないなんて法はないだろ?」
友人「それに……仮に俺が犯人だとして、どうする?」
友人「証拠がなくともお前が騒げば、大会側も俺を出場停止にするかもしれないな」
友人「俺を出場停止に追い込めば、お前の優勝はほぼ決定的だ」
友人「やるか? やるのか? え?」
武術家「お、俺は……お前をずっと親友だと──」
友人「よせよ」
友人「いっとくが、俺はお前を友と思ったことはない」
友人「俺の行く道をジャマする……ただの石っころだ」
友人「話は終わりか? 一仕事終えたばかりで、疲れてるんだ」
友人「どいてくれ」
ドンッ
武術家「うぅっ……!」ズキッ
友人「今度は大会で会おうや」
友人「多分俺らは決勝で当たるように組まれるだろう」
友人「もっとも……その体で勝ち上がってこれたら、だけどな」ニィッ
バタンッ
武術家「…………」
メリー「ねえねえ」
メリー「友人さんが犯人だったのはショックだと思うけど……」
メリー「気を取り直さないと!」
メリー「ほら、大会であの人に勝って、目を覚まさせるとか……!」
武術家「──うるさいっ!」
メリー「!」ビクッ
武術家「子供の頃からずっと親友だと思っていた奴に裏切られたんだ!」
武術家「気を取り直すなんて……そう簡単にできるものかッ!」
メリー「だけど──」
武術家「ちょっと優しくされたぐらいで捨てられた恨みを忘れるような奴に」
武術家「俺の気持ちは分かるまい!」
武術家「……あ」ハッ
メリー「…………」
メリー「……ごめんなさい」タタタッ
武術家「メリー!」
武術家(くっ……怒りにまかせてなんてバカなことをいってしまったんだ、俺は!)
武術家(武を志しておきながら、感情の制御もできぬとは……!)
武術家(メリー……すまん……!)
この日、メリーが戻ってくることはなかった。
武術家も、選手として会場入りする。
武術家(結局、メリーは戻ってこなかった……)
武術家(当然だ、どう考えても俺に非がある)
武術家(今メリーがどうしているのか、俺には見当もつかないが……)
武術家(せめてメリーがいっていたことだけはやり遂げよう)
武術家(大会で友人に勝ち、目を覚まさせる!)
武術家(せめてそれだけは……!)
武術家「だあッ!」
ベキィッ!
友人に裏切られ、メリーを傷つけ──
武術家「はッ!」
ズドォッ!
心も体もとても本調子とはいえなかったが──
武術家「せいッ!」
バキィッ!
悪戦苦闘しつつ、武術家はどうにか決勝まで勝ち進んだ。
友人「ふん……」
友人「やはり武術家が上がってきたか」
友人(精神的にも肉体的にも最悪のコンディションだろうに)
友人(よくもまあ、勝ち上がってこれたもんだ。腐っても鯛、ってことか)
友人(だが、あんな動きで通用するのはせいぜい二流まで)
友人(この俺には通用しねえ)
友人(このままでも勝利はまちがいないが、念には念をだ)
友人(お前にはさらなる絶望を味わわせてやる!)
まもなく試合開始というところで、観客の一部が騒ぎ出す。
「空手家や紳士に出場できなくしたのは、そいつだ!」
「武術家がやりやがったんだ!」
「ふざけんな!」
武術家「──な、なんだ!?」
友人(始まったか)ニヤッ
観客席に次々と「倒れている紳士の横にいる武術家」の写真がばら撒かれる。
「なんだこりゃ!?」
「アイツが犯人だったのかよ!」
「俺は紳士のファンなのに……ふざけんな!」
友人(チンピラどもに襲われたお前が、紳士の家に来るのは読めていた)
友人(だから俺は紳士を叩きのめした後、お前の到着を待ち、写真を撮った)
友人(あとは雇ったサクラどもに写真をばら撒かせれば……四面楚歌の完成だ)
友人(もうお前を応援してくれる奴なんざ、いないんだよ)
「犯人は武術家だっ!」 「卑怯者めっ!」 「失格にしろ、失格に!」
サクラに乗せられて、ヒートアップする観客が次々出てくる。
大会委員が抑えにかかるが、一向に鎮まらない。
すると──
友人「みんな、待ってくれ!」
ピタッ
友人「武術家がやったことは、たしかに許されないことではある」
友人「だからこそ俺は、友として必ず彼の優勝を食い止めてみせる!」
友人「ここはひとつ、どうか俺と彼の試合を見守っていて欲しい!」
ワァァァァ……! ヒューヒュー……!
武術家への罵声が、友人への声援にかわる。
武術家「お前っ……!」ギリッ
友人「こういう自己演出も、プロ格闘家には必須のスキルだぜ?」
友人「引き立て役になってもらって悪いなァ、ありがとよ親友」
友人「せりゃあっ!」ブンッ
武術家「くっ」サッ
武術家は友人のパンチをかわし、蹴りを放とうとするが──
武術家「ぐう……っ!」ズキッ
ペシッ
友人「なんだぁ、そりゃ?」
バキィッ!
武術家「ぐはっ……!」
友人「試合を見てたら分かるぜ、傷んでんだろ? ……右ヒザと左脇腹」
ドズッ!
友人の拳が、武術家の脇腹をえぐる。
武術家「ぐあ……っ!」ガクッ
友人「決勝戦の試合時間は15分──」
友人「お前だけは特別にこの大舞台で、たっぷり痛めつけてやるよ」
バシィッ!
武術家「うぐぁぁっ!」
友人「どうしたどうした? 軽く蹴っただけなのに、痛がりすぎだろォ~?」ニィッ
友人「ほら、どんどん強くしてくぞ!」
バチィッ! ドガァッ!
武術家(ダ、ダメだ……)ヨロッ
武術家(俺の体は、決勝に来るまでで精一杯だった……!)
武術家(とても友人にはかなわない……!)
ワアァァァ……! ワアァァァ……!
友人「聞こえるか?」
友人「みぃ~んな、俺を称えている。お前の味方なんざ一人もいやしねえ」
友人「お前はここで出場者潰しと負け犬の汚名をかぶり、格闘技界から消えるんだ」
友人「あばよ親友……これからは俺が世界で羽ばたく姿を見ててくれ」
得意の猛ラッシュが始まる。
ズドッ! ドスッ! ドボッ! バキッ! ドガッ!
武術家(こ、ここまでか……)
武術家(俺に、もう味方は一人もいない……)
武術家(友人……お前に倒されるなら、本望だ……お前は、親友なのだから)
バシッ! ドゴッ! ベキッ! ガンッ! バゴッ!
武術家(これもお前にひどいことを、いった報いかな……)
武術家(謝れなかったのが、せめてもの心残り、か……)
ズンッ! ガゴッ! バキッ! ベシッ! ドゴッ!
武術家(もう、次の一撃で倒れ──)グラッ…
「私メリーさん」
武術家「!」
「今あなたの後ろにいるの」
武術家「うおあああっ!!!」
ドゴォッ!
友人「がはぁっ!」ドザァッ
武術家の右ストレートがカウンターで決まった。
友人「な、な、な……!?」
試合場の外──武術家の後ろにメリーが立っていた。
武術家「メリー……どうして……!?」
メリー「ごめんね、遅れちゃって」
メリー「私が後ろにいるから……最後まで諦めないで!」
武術家「──ああ!」
友人「あ、あれは……!?(たしか親戚の子供……!)」
友人「……ふん」
友人「たった一人に応援されたぐらいで、どうにかなるもんかよっ!」ダッ
メリーの応援で、戦況を盛り返す武術家。
武術家(メリーが後ろにいるのなら、恥ずかしい試合はできない!)バシッ
友人(くそったれ……! ここに来て、今日で一番いい動きになりやがった!)ガッ
友人(だったらこっちも戦法を変えるまでだ!)スッ
友人は無理に攻め込まず、防御主体のスタイルに切り替える。
武術家「せいっ!」ビュッ
友人「ふん」サッ
武術家(くそっ、蓄積してるダメージの差が大きすぎる!)
武術家(守りに入られては、逆転するのは難しい……!)
友人(お前の技は全て熟知してる。慎重に戦えば、どうとでも対処できる)
友人(お前になにか新技でもあれば別だが、んなもんあるわけねえ!)
武術家(なにか……友人を出し抜く手はなにかないか!?)
武術家「…………」ハッ
武術家(あの技なら……通用するかもしれない!)
友人(な、なんだ!? じわじわとこっちに近づいてきやがる!)
友人(俺の知らない奥の手か!? ──だとしたらうかつに手は出せねえ!)
武術家(間合いに入る──寸前!)スタタンッ
友人(消えた!? ど、どこへッ!?)
メリー「あ、あの技ってもしかして──」
一瞬で友人の背後に回り込んだ武術家。
武術家「俺は武術家、今お前の後ろにいる」
友人「──ちぃっ!」バッ
振り返ろうとする友人の顔面に──
ガゴォッ!
会心の“メリー拳”が炸裂した。
武術家(メリー、俺に技を教えてくれてありがとう!)
メリー(武術家さん、私の技を使ってくれて……ありがとう……)ウルッ
友人「ふっ、ふざけんなぁっ!」ガバッ
友人「ここまでやったんだ! 負けてたまるかよ……お前なんかに!」ギリッ
友人「俺は……いつもいつも……お前がうっとうしかったんだよォッ!」ダッ
持てる力を振り絞り、友人が猛攻に出る。
ガガガッ! パシッ! ガキッ! ドガッ! ズドドッ!
しかしそんな友人の意地を、武術家の気迫が一歩も二歩も上回る。
友人(なんでだ……!)
友人(身も心もボロボロなはずなのに……なぜ倒れない!?)
友人(後ろに……あの嬢ちゃんがいるからなのか……!?)
友人(ならば俺の後ろには……誰かいるのか?)
友人(いない……)
友人(金で雇った連中や、俺の本性を知らない観客だけ……誰もいない……)
友人(いや……)
友人(──いた)
友人(ガキの頃から、お前はずっと俺の後ろにいてくれた)
友人(なのに、俺は──……)
ズドンッ!!!
武術家、渾身の突き。
友人の体は場外まで吹っ飛び──
ドザァッ……!
──立つことはできなかった。
武術家「友人……」
友人「俺は……俺より後から格闘技を始めて……」
友人「俺と肩並べるくらい、強くなった……お前に、嫉妬してたんだ……」
友人「そんなしみったれたことを考える……自分にもずっとムカついてた……」
友人「気がついたら、俺はどうしたいのか、自分でもワケが分からなくなってた……」
友人「だから……この大会でどんな手を使っても優勝しよう、お前を潰そうと……」
友人「他人の力を認める度量もねぇ、ちっぽけな男だ……」
友人「俺は……お前に友じゃねえといったが……そのとおりだった」
友人「こんな俺に……友達を作る資格なんて……あるわけ、ねえ……もんな」
メリー(この人……私にそっくりだ)
メリー(私も捨てられた時、持ち主だった女の子を恨んだけど……)
メリー(同時に恨んでいる私自身にも、腹が立ってた)
メリー(でも──)
メリー(私が武術家さんに止めてもらったみたいに、やっと止めてもらえたんだね)
メリー「私ね、この一週間で色々とあなたのことを調べてたの」
友人「俺を……?」
メリー「うん」
メリー「で、あなたの家に忍び込んだりしちゃったの」
メリー「本当は襲撃事件の証拠を探そう、って思ってたんだけど」
メリー「そしたらあなた──武術家さんと取ったトロフィーとか賞状とか」
メリー「ちゃんととっておいたでしょ」
メリー「本当に憎んでるなら……とっくに捨ててるハズだよ」
友人「……ふっ」
友人「ふははっ……! すまねえ、俺は、俺は──」
武術家「もうなにもいうな」
武術家「俺は今でも、お前を親友だと思っている」
友人「この……お人好しが……」ツ…
メリー「友人さん……自首しちゃったね」
武術家「友人なら、ちゃんと罪を償って出てくるだろう」
武術家「そうしたらまた、これまでのようにアイツと切磋琢磨するつもりだ」
メリー「そうだよね!」
武術家「幸いなことに、空手家と紳士も順調に回復しているようだ」
武術家「今回の件が格闘技界に与えたダメージは大きいが──」
武術家「きっとまた盛り上がってくれることを祈るよ」
メリー「だったら、優勝したあなたは世界で活躍して、みんなを引っ張らないとね!」
武術家「……そうだな!」
メリー(私がここにいる理由もない……)
メリー(私は……ここから去らなきゃならない……)
メリー(だってこれ以上いると、迷惑だもんね……)
武術家「おしゃべりはこの辺にして、と」
武術家「メリー、今日も稽古を始めるか」
メリー「え!? でも私はもう──」
武術家「ん、もしかして、もう他のところに行かねばならないのか?」
武術家「だとしたら引き止めはせんが……そうか、残念だ」
武術家「メリーが編み出したメリー拳がなければ、俺は友人に敗れていただろう」
武術家「だからもっと、色々と教えてもらいたかったのだが──」
メリー「ちょ、ちょ、ちょっと待って!」
メリー「私、しばらくここにいてあげるの」
武術家「本当か? ありがとう!」
メリー「そういえば私、メリー拳をさらに速くする方法を思いついたの!」
メリー「光ぐらい速いって意味を込めて、名づけて……“メリー拳・光”!」
武術家「“メリー拳・光”!?」
武術家(なんだか小麦粉を連想させるネーミングだが……)ゴクリ…
武術家「ぜひ伝授してほしい!」
メリー「う~ん、ホントは企業秘密なんだけど、しょうがないなぁ~」
アナウンサー『いよいよ始まりました、世界格闘技選手権!』
アナウンサー『日本の若きエースが、ついに世界のトップファイターたちに挑む!』
アナウンサー『武術家の登場だぁーっ!』
ワァァァァ……! ワァァァァ……! ワァァァァ……!
武術家「ついにこの時が来た……行くか!」ザッ
その後ろには、常に一人の少女がいた。
メリー「私メリーさん、いつだってあなたの後ろにいるの!」
<完>
熱いSSだったぜ
面白かったぜ。
Entry ⇒ 2012.09.26 | Category ⇒ その他 | Comments (0) | Trackbacks (0)
響「自分はプロデューサーのペットだぞ」
響「自分のお値段はなんとタダ」
P「へぇ、お買い得だなぁ」
響「でしょう?」
P「でもやっぱりいらないかなーって」
響「こんなに可愛いのに」
P「知ってたか?それって寂しいから死ぬわけじゃないんだぜ」
響「知ってる」
P「平気で嘘をつくようなペットはいりません」
響「ペットが悪い事をしたら注意するのが飼い主の仕事なんだ」
P「そうか、ペットを飼うって大変だな。俺には無理だ」
響「自分は初心者向けだから大丈夫。誰でも簡単に飼育できるから」
P「そうかなー、超上級者向けな気がするんだ」
P「ありがたいけど流石に申し訳ない」
響「その分愛情をたっぷり注いだら良いさー」
P「そんな愛情無いから無理だわ」
響「むう、困った飼い主だな」
P「飼い主どこ?」
P「多分俺より長いな」
響「その間に少しでもプロデューサーと離れている事はとても辛いんだ」
P「ずっと一緒にいるとなると俺もとても辛いかな」
響「自分を飼う前にどうかその事を忘れないでほしい」
P「飼う気なんか更々無いです」
響「プロデューサーが自分に望んでいる事を自分が理解するまでに少しの時間をください」
P「早く今俺が望んでいる事を理解して」
響「『俺の居ないところで逝かせてあげて』なんて言わないで」
P「そういう事言っちゃいそうだから俺は飼い主失格だ」
響「プロデューサーが側にいてくれるだけで、自分はどんなことでも安らかに受け入れられる」
P「俺もこの現実が受け入れらない」
響「そして……どうか忘れないで。自分がプロデューサーを愛していることを」
P「忘れさせて、お願い」
P「ああ、やっぱり俺には無理だ。ごめんよ」
響「じゃあ早速散歩に連れってってよ」
P「話聞いてる?」
響「ちゃんと首輪とリードもあるぞー」
P「やっぱり持参してると思った」
響「えへへ、賢いでしょ」
P「うん、良い子だから帰ってくれないかな」
P「首輪つけた人と散歩に行く趣味はありません」
響「えー、だってリードが無いと自分逃げだしちゃうかもしれないよ?」
P「それの何に問題があると言うのか」
響「そのまま人を襲っちゃうかも」
P「ちょっと洒落になんないそれ」
P「可愛く言ってもダメ」
響「うぅ……こんなに楽しみにしてるのに。あんまりだ」
P「俺は最低な飼い主なんだ、分かったら諦めなさい」
響「でも、たとえどんな風に思われてもペットはご主人の事を信じてるから」
P「何、この俺が悪い事してるみたいな空気」
響「愛されなくても愛したい……」
響「でもそうやって愛すれば愛されたくなるんだ。わがままかな……?」
P「やめて、何故か罪悪感が」
P「お断りします」
響「何で?」
P「色々後戻りできないような気がする」
響「そんなのなんくるないさー」
P「いえに かえるんだな。おまえにも かぞくがいるだろう」
響「いないよ?」
P「え?」
響「え?」
響「だから大丈夫だって。もう皆自然に帰って行ったよ」
P「生態系が壊れるなぁ」
響「でも一匹じゃ繁殖できないから大きな影響は無いと思うぞ。それに誰かが通報するはずだし」
P「皆家族じゃなかったの?」
響「自分の家族はプロデューサーだけだもん」
P「どうしてそうなるんだろう」
P「俺のアパートペット禁止なんだ」
響「バレなきゃ問題ないと思うよ」
P「でもバレたら俺の人生が終わるじゃん」
響「何で?」
P「そりゃ高校生飼ってたら豚箱行きですし」
響「双方合意なら問題ないと思うぞ。世の中間違ってる」
P「よし、なら法律を変えてからまた来てくれ」
P「実は響アレルギーだからな。すまん」
響「何それ」
P「響が近くにいると咳とか涙が止まらなくなる。だから飼えない」
響「それなら自分の方が重症だぞ。Pウイルス感染してるし」
P「そうか大変だな。症状は言わなくて良いからな」
響「感染したらプロデューサーの側にいないと寂しくて死んじゃう恐ろしいウイルスだぞ」
P「ほらー、だから聞きたくなかったのに」
P「いや、響は好きだよ。大好き」
響「じゃ、じゃあ!」
P「でもアイドルとか年齢の壁とか色々事情があって無理なんだな」
響「そんなのペットと飼い主の関係ならオールオッケーさ」
P「いや、その理屈はおかしい」
P「俺の方がいじめられてる」
響「もう泣いちゃうよ?」
P「はい」
響「大声で泣くよ?」
P「近所迷惑にならないようにな」
響「この家の人に襲われたって」
P「ちょっと待て」
響「うん」
P「響は何で俺の家に入ろうとしてるんだ?」
響「ペットが自分の家に戻るのは当たり前でしょ」
P「前提がおかしいな」
響「えー、何もおかしなこと言ってないぞ」
P「じゃあ色々言いたいけど俺のアパートはペット禁止。分かった?」
響「うん、分かったから入れて」
P「もう変な動物がいるって保健所に連絡して良いかな」
響「なーに?」
P「俺の家にネズミとかヘビが大量にわいてきたんですが」
響「それは大変」
P「絶対お前の仕業だろ」
響「自分が家の中に入って説得してあげる」
P「961プロも真っ青な解決法」
P「これ一種のストーカーじゃないかと」
響「そっちこそペット虐待だぞ。外に放置するなんて」
P「もう俺が飼い主なのは確定なんですかね」
響「うん!これからは可愛がってね!」
P「響は可愛いなぁ」
響「だってこうやってずっと一緒にいないと不安だから」ギュゥ
P「だからってこんなべったりくっつかなくても」
響「さっきは追い出されて本当に悲しかったなぁ」
P「なんかごめんなさい」
響「でもこれからは側にいてくれるんだよね?ちゃんと面倒見てくれるよね?」
P「正直折れかかってる」
響「ん?」ペロペロ
P「何でさっきから俺の顔舐めてるの?」
響「これは愛情表現ってやつだぞ」ペロペロ
P「なるほど、もう十分かなーって」
響「じゃあ今度はプロデューサーから舐めて」ゴロン
P「ペットをペロペロする人はあんまりいないはず」
響「じゃあ自分がもっとするだけさー」ペロペロ
P「もうべとべとや」
響「ん?」ペロペロ
P「何で四つん這いになって舌で牛乳飲んでるの?」
響「問題あるの?」ペロペロ
P「すっごくいけない事してる気になるんだけど。首輪効果も相まって」
響「ペットをそんな目で見るなんて変態だなー」
P「お前にだけは言われたくない」
P「んって言われても」
響「自分まだ子どもだから細かくしてくれないとご飯食べられないの!」
P「どうしろと」
響「はむっ……」ムグッ ジュルル
P「!?」
響「えへへっ、こうやってプロデューサーの口から貰えば大丈夫」
P「ペット飼ってる人ってこんな事までしてるのか」
P「トイレあそこだから」
響「初めての場所だと……ペットはどうしたらいいか分かんないだぞ」
P「何故俺はアイドルと一緒にトイレに入ってるのだろう」
響「と、トイレの後処理も飼い主の仕事だから」
P「そうすか」
響「だ、だから拭いてほしいな……」
P「ほぇ?」
ガラガラ
響「わーい、お風呂!」
P「はやー、何で入ってきたの?」
響「ペットは1人でお風呂に入れないもん」
P「そうか、ペットだから仕方ないな」
響「うん」
響「気持ち良い所を洗って欲しいから……だよ?」
P「俺のpがインフェルノしちゃう」モミ
響「ぺ、ペットだから何も気にすることないんだ……んっ」
P「そんな声出されたら困ります」ワシャワシャ
響「お返しに今度は自分が身体を洗ってあげる」
P「俺もう洗ったんだけど」
響「でもご主人様のために少しは役立ちたいんだ!」
P「ご主人様て」
響「うん、自分だけのご主人様」ピトッ モニュン
P「ふわぁぁああああ、背中にスライムが二匹ぃぃ」
響「ずっと裸でも良いならそれで良いけど」
P「それはいけない」
響「あっ、首輪もつけてよ」
P「いや、いらないかと」
響「これがないと落ち着かないんだ」
P「もう病気だろ」
P「あっ、貴音との2ショット写真を破るな」
響「自分以外の女なんてプロデューサーには必要ないんだ」グシャッ
P「765プロアイドルグッズがぁぁ」
響「これもさっさと捨てないと」パキッ
P「あぁぁぁぁ、思い出のDVDが。何てことするんだぁぁぁぁ」
響「ペットがいけないことしたらちゃんとしつけないとダメだぞ」
P「しつけとかの問題なのか」
響「じ、自分をプロデューサーの好きなようにしつけて……そしたらもっと良い子になれるから」
P「何故顔を赤らめる」
P「って言われても」
響「自分また同じ事しちゃうよ?」
P「だってもうアイドル関係の全部破壊されちゃったし」
響「それでも怒らないとペットは調子に乗っちゃうぞ」ズイッ
P「わざわざお尻突きださなくても」ペチーン
響「はぅっ……!」ビクッ
P「思ったより悲痛な反応だ」
響「こ、こんなんじゃ全然反省しないから……もっと」
P「なんぞこれ」
P「はいはい」サッサッ
響「ん、くすぐったい」
響「歯も磨かなきゃ」
P「はいはい」シャカシャカ
響「あっ……ふぁ……」
響「耳掃除も……」
P「はいはい」クリクリ
響「んん……あぁっ……」
響「あと子作りも」ガバッ
P「何か変じゃね?」
P「ちょ、これはダメだ」
響「ふふっ、たまにはペットが反逆する事もあるんだからね」スルスル
P「落ち着け、洒落にならん!」
響「プロデューサー……自分ずっと……」
P「響!!」
響「ヒッ」ビクッ
P「飼い主もたまには本気で怒るんだからな」
響「だ、だって自分がプロデューサーに出来る事なんてこれぐらいで……」
P「……」ギュッ
響「あ……」
P「響は可愛い。だから側にいてくれるだけで良いんだ」
響「え……?本当に?」
P「ああ、響は違うのか?俺が一緒にいるだけじゃ不満か?」
響「……」チュッ
P「あ」
響「これは大好きのキスだから。大好きな飼い主とずっと一緒にいたいって」グスッ
P「ああ。もっと大きくなったらさっき響がしたがってたこと、出来るから」
響「うん。ぺ、ペットと子作りしたいなんてやっぱり変態だな……」
P「ああ、変態だよ俺は」チュッ
響「何だ、プロデューサー自分の夢を見てるのかな?」
響「そんなに自分を必要としてくれてるんだ、えへへ」
響「よだれ垂らしちゃって、しょうがないなぁ」フキフキ
響「これからもちゃんと面倒見てあげるからね」
響「自分がずっとずっと」
響「プロデューサーの飼い主だから」
チャオ☆
Entry ⇒ 2012.09.26 | Category ⇒ アイマスSS | Comments (0) | Trackbacks (0)
豊音「わ~い東京観光」池田(あ、あの人は…)
華菜「なんだっけ?」
豊音「あれ……?」キョロキョロ
華菜(どうしたんだろう、急に辺りを気にし始めたけれど)
豊音「みんないない……!?」
華菜「……迷子かァ?」
豊音「はぐれちゃったよー……」オロオロ
豊音「……」キョロキョロ
華菜「というよりタコス娘……待ち合わせ時間とっくにすぎてるっつーのに」
豊音「みんなと、東京観光のはずが……」
華菜「なにがタコス巡りしようじぇ!だし」プンプン
豊音「う、うぅ……」じわ
華菜「……待ち合わせ時間から三十分経ってる」
豊音「ここ、どこぉ……」グスッ
華菜「はー、まだかねぇ」パタパタ
豊音「ぐすっ…えぐっ……」
華菜「……」
豊音「んー?」グスグス
華菜「もしや、迷子ですか?」
豊音「ビクッ……ま、迷子じゃ、ないよー」
華菜「……そうですか」
豊音「うう、みんな探しにいかないといけないけど、ここがどこかもわからないんだー……」
華菜「そうですか」クルッ
豊音「ちょ、ちょっとま」
華菜「ダッシュ!」
豊音「ちょ、追っかけるけどー!」
豊音「ぼ、ぼっちにしないでよー!!」
華菜「ばったり、そこで、あったような人に、かまってあげる義理なんか!」
豊音「ともびき、だーよー!!」
華菜「はァ!?」
豊音「ぼっちじゃないよー!!」ガシッ
華菜「ひいっ」
豊音「捕まえたー」ニコニコ
華菜「……まて、待ち合わせしてるやつがいるんだ」
豊音「えー」
ヤクソクーノバーショーヘオーバーフューチャー
華菜「はい」
優希『ごめん、ちょっと野暮用でいけないじぇ』ブツッ
華菜「…………」
華菜(あんのタコス娘ェ……)ギリギリ
豊音「あの、手伝って欲しいんだけどー……」
華菜「わかったよ!手伝えばいいんだろ!!」フシャー
豊音「ありがとうだよー」
豊音「姉帯豊音だよー」
華菜「ふんふん、豊音っていうんだな。よろしくだし」
豊音「猫さんは?」
華菜「池田華菜ちゃんだし」フンス
豊音(いきなり偉そうな態度になったよー……)
豊音「よろしくねー、カナちゃん」
華菜「で、どうしようかまずは>>25でも行ってみようか」
豊音「おー、ちょーすごそうー」
華菜「なんたって平将門が祭られてるところだからな」
豊音「ちょーたのしみだよー……」
豊音「そうだねー……」
華菜「はぁ、なんでカナちゃんこんなことしてるんだし……」
豊音「迷惑かなー……」
華菜「……私も暇だったし、別にいいんだけど」
豊音「ごめんねー」
豊音「おー、東京にもこんな所があるんだー」
華菜(んー、あの時タコス娘の誘いじゃなくてみはるんのほう選んでおけば良かったし……みはるんは絶対バックれたりしないし……)
豊音「どうしたのー?入ろうよー」
華菜「あぁ、今いくしー」タタッ
華菜「……あんたがでかいだけじゃ」
豊音「手が届きそうだーー」ピョンコピョンコ
華菜「やめい」
豊音「はーい」シュン
豊音「いいところだねー」
華菜「一度きてみたかったんだよなー」
豊音「あや、東京住みじゃないんだー?」
華菜「私は長野だけど」
豊音「長野っていうと清澄だけど……」
華菜「うちは風越、私は個人戦に出てるキャプテン……福路美穂子の付き添いだし」
豊音「お、おぉ……」キラキラ
華菜「……ん?」
華菜「キャプテンに頼んでみるし」
豊音「わー」
華菜「さて、ここはもういいか……」
豊音「そうだねー」
胡桃「豊音みつかったー?」
白「だる……」
塞「いや、全然……」
エイ「ドウシヨウ」
白「まってりゃいいじゃん……はぁ」
塞「そういうわけにもいかないでしょ」
トシ「携帯、持たせておくべきだったね」
胡桃「はぁ……まさか一番目立つはずの豊音が迷子になるとはね……」
トシ「とりあえず、もう一回周囲を探してみようか」
塞「そうですね……」
胡桃「シロはここでまってて……あれ?」
塞「エイスリン、シロは?」
エイ「シラナイ」ふるふる
トシ「…………はぁー」
豊音「色々買っちゃったよー」
華菜「お守りなら私も一個」
豊音「カナちゃんは歴史にも詳しいんだねー」
華菜「源平の話が大好きで……」
華菜(アハハ……大河ドラマで興味持ったなんて言えないよなぁ)
豊音「私もちょー詳しくなった気分だよ」
華菜「そりゃよかった」
豊音「おー」
豊音「にゃっ!?」ピクンッ
華菜「どうなんだい?お嬢ちゃん……」
豊音「ちょー行きたいよぉーー!!」
華菜「ふっ、なら決まりだな」
まー、なんとかなるはず
華菜「とりあえず、ここから歩いてけばいいし」
豊音「道順とかわかるのー?」
華菜「カナちゃんに任せなさい!」
豊音「まかせたー」
華菜「とりあえず駅までっと……」
華菜「豊音さんは身長が高いから見失うことがないし!」
豊音「そ、そうかなー」テレテレ
華菜「にゃはは……ん?」
豊音「ん?……あ」
華菜「あいつもひとりっぽいけど」
豊音「声、かけてくるー」
豊音「しろー」
白「……」ボー
豊音「しろー」トントン
白「あ、トヨネ……」
豊音「ビックリしたよー、シロ、みんなはー?」
白「ん、あー……おいてきたんだった」
豊音「ずこー」
白「あるけど……」
白(……誰?)
華菜「それで連絡してみんなにここまできてもらえばいいし」
豊音「なるほどー」
豊音「えーっと……これから」
豊音「あ、つながった、うん、豊音だよー」
豊音「御茶ノ水?駅にいるよーうん、うん」
華菜「連絡ついたみたいだし、私はこれで失礼するし」
豊音「え?」
華菜「皇居だってみんなでいけばいいし」
豊音「んー、そうだねー……」
豊音「皇居……」
華菜「君たちの空間に私が入っても邪魔になるだけだ」
豊音「皇居ー……ねぇ、皇居……」
華菜「だから私はここで……」
豊音「皇居」
華菜「……」
豊音「……」
豊音「えー、カナちゃんと行くって言った……」
華菜「き、急用を思い出した!」ダッ
豊音「逃がさないけどー」ガシッ
華菜「……」
豊音「……」
カン
たまにはこんな組み合わせもイイネ
Entry ⇒ 2012.09.26 | Category ⇒ 咲-Saki-SS | Comments (0) | Trackbacks (0)
手寅「音楽をやった方が良いと思うの」
丸京「けいおん!ネタはもうやったじゃん」
木胡桃「今からやっても放課後ティータイムなんとかには勝てないよっ」
苦来「キグちゃん、ボカせてない」
手寅「でも私たちも音楽でもやって明るく盛り上げないといけないのよ」
丸京「まぁ基本この部屋で愚痴言ってるだけだしな」
苦来「盛り上げないとマズイのは確かね…(売上的にも)」
木胡桃「でも私たち楽器出来ないよっ」
丸京「その前に楽器買う金もない」
苦来「ドラムセットとか高いらしいしね…」
手寅「声だけって事?」
丸京「ちょっと前はアカペラで歌うの流行ったな」
苦来「ハモネプ全盛時は録画してたなぁ」
魔梨威「口の中でドゥクンドゥクン音出すアレカッコイイよな!」
手寅「ボイスパーカッションの事?」
丸京「ヒューマンビートボックスじゃなかったっけ?まぁ似たようなもんか」
木胡桃「でもあんな技誰も出来ないよっ」
魔梨威「なんかいやらしいなオイ///」
丸京「一日やそこらで身に着く技術じゃないだろうな」
苦来「お風呂入ると練習したくなる…」
木胡桃「じゃあハモネプ出るのも無理じゃんっ」
丸京「まぁ出なくて良いよ」
苦来「お台場だし……」
手寅・魔梨威・丸京・木胡桃「……だね」
魔梨威「演歌ぁ~?」
手寅「不服そうにしてるけどマリーさん、右手がマイクで左手がコブシきいてるよ?」
丸京「演歌も駄目だ。金がかかる」
木胡桃「お金かかるの??」
苦来「紅白見れば分かるよ」
丸京「衣装代だ」
魔梨威「小林幸子、衣装代自分持ちだったのかよ!」
苦来「それときな臭い付き合い多いし……」
丸京「芸能界の闇だな…」
丸京「駄目だな」
木胡桃「なんでー?」
丸京「童謡ってのは子供達が歌うわけだ」
苦来「有名になれば小学生の教科書に載る」
丸京「子供達にとって近しい存在になるというわけだ」
魔梨威「それの何が悪いんだい!」
丸京「小学生が歌う歌を作る奴がしょっちゅう尻を出す露出狂じゃ駄目だろ!」
手寅「あぁもう!マリーさんが下品なせいで!」
魔梨威「大半はお前が脱がせてるだろうが!」
魔梨威「流行るか!」
木胡桃「デスメタルはっ?」
丸京「もうやっただろ」
苦来「お経は?」
手寅「音楽なの!?」
丸京「ラップ音は?」
魔梨威「心霊現象だ!」
苦来「正しくは木造建築が原因」
魔梨威「だから心霊現象だって」
丸京「そっちじゃなくてHIPHOPの方だろ」
木胡桃「YO!YO!って感じ?」
丸京「間違いではないな」
苦来「最近?ていうかここ10年くらいはロックバンドとかもラップの要素取り込みだしてるね」
魔梨威「あぁ。突然曲の雰囲気変わりまくるよな」
丸京「KREVAは慶応だしね」
苦来「MC宇多丸は早稲田だしね」
木胡桃「笑点の司会のお祖父ちゃん頭良いんだね!」
魔梨威「そっちの歌丸さんじゃねーよ!」
手寅「とにかく高学歴のラッパーが多いんだよね」
魔梨威「優等生の方が言葉たくさん知ってるし、韻踏んだ歌詞を書けるんじゃねーの?」
丸京「かもね」
魔梨威「だな!韻踏みまくってやろうぜ」
丸京「東京生まれ落語育ち、地味そうな奴は大体友達ってとこみせてやろう!」
苦来「そんなもの見せつけられても……」
木胡桃「でも韻踏むってどういう意味なの??」
木胡桃「うんうん」
手寅「『合わせ技』って言葉は『あ あ え あ あ』の音じゃない?」
木胡桃「うん」
手寅「じゃ次は『流れ弾』って言葉があるじゃない?これも『あ あ え あ あ』って音だよね」
木胡桃「『合わせ技』と同じだっ!」
手寅「こういう似たような音の言葉を並べると耳に気持ち良く入って来るんだよ」
魔梨威「なるほど。似てる言葉、近い響きの言葉、言い回しを使うんだな」
丸京「似たような言葉並べて韻踏むくらいは私にも出来るんじゃないか?」
木胡桃「ゲームみたいで楽しそうっ」
手寅「一回やってみようか」
魔梨威「じゃあ最初は『落語』でスタートな!」
手寅「何その手拍子?」
魔梨威「合いの手だよっ!ほら『落語』!」パンパン
手寅「『マグロ』!」パンパン
木胡桃「おぉテトちゃん凄い!えーっと、えっと、全部の文字同じじゃなくても良いよね!?」
手寅「口ずさんで似てたらOKだよ」
木胡桃「『タラコ』!」パンパン
丸京「『タラオ』!」パンパン
苦来「『カツオ』」パンパン
手寅「ちょ、ちょっと待って、何でサザエさんのキャラが連続するの!?」
丸京「偶然だろ」
木胡桃「今、テトちゃんが止めたからテトちゃん×一個ねー」
手寅「なにそれ!?」
苦来「三回アウトで罰ゲーム」
魔梨威「絶対に負けられない戦いが始まるぞっ」
丸京「次は手寅から初めていいぞ」
魔梨威「いきなり難しくなったな!」
木胡桃「えーっと『マウスパッド』」パンパン
丸京「『アウトレット』」パンパン
苦来「『アウトプット』」パンパン
魔梨威「えーっと、えっと、ちょっと待て、3秒、3秒くれっ!」
手寅「はいアウトー」
苦来「時間切れー」
魔梨威「お前の『アウトプット』なんて丸京の『アウトレットのほぼパクリじゃん』!」
丸京「似た言葉だからアリだ。基本発音してみて最後の音が同じならありだ!」
木胡桃「マリーさんも1バツだねー」
手寅「次はマリーさんからだね!」
魔梨威「せーの!『マリー』!」パンパン
手寅「『ラリー』!」パンパン
木胡桃「『パーティ』!」パンパン
丸京「『パンティ』!」パンパン
苦来「ティ、いや、リー、えっと『リッツパーティ』!」パンパン
魔梨威「アウト!今回の苦来はアウトだろ!」
丸京「いや、今回のゲームの性質上、それを許すと何でもありになってしまう」
手寅「苦来ちゃん、諦めなよ」
木胡桃「苦来ちゃんもバツ一個目ねーっ」
魔梨威「じゃあ次は苦来るからだなっ!」
苦来「私からか……気合い入れていかないと」
魔梨威「重っ!『盲腸』!」
手寅「『早漏』!」パンパン
木胡桃「じゃ、じゃあ『遅漏』!」パンパン
丸京「さりげなく何言ってんだお前ら!『長老』」パンパン
苦来「『白鳥』」パンパン
魔梨威「『脱腸』!」パンパン
丸京「何でマリーさんは腸関係ばっかなんだよ!『ダチョウ』!」パンパン
手寅「『隊長』!」ケイレイ!
木胡桃「えと、『体調』!健康面の方の!」パンパン
苦来「有りだけどちょっとずるいっ『埋葬』」パンパン
手寅「『アイダホ』!」パンパン
丸京「ちょっと韻踏むの上手くなってる!」
木胡桃「『ユネスコ』!」パンパン
魔梨威「キグの口からそんな難しい言葉が!」
木胡桃「それどういう意味っ!?」
丸京「『パチスロ』!」パンパン
苦来「『チンチロ』!」パンパン
魔梨威「苦来丸京から影響受けすぎだろ!セーフだけども!『ちんすこう』!」パンパン
木胡桃「やんっ!マリーさんえっち!///」
魔梨威「何が!?」
木胡桃「『不登校』はぁ。タイムマシン欲しい」ズーン
丸京「自分で言ったんだろ!?なぁ!?ってあぁ!?私の番か!えっと、えっと、あぁー待て!」
苦来「はい丸ちゃんアウトー」
木胡桃「うし…っ!」
手寅「あぁキグちゃんが黒い!」
魔梨威「これで丸京も一回ミスだな!」
魔梨威「ほら早く始めろよ!」
丸京「せーっの!『暴力』!」パンパン
苦来「『韓国』!」パンパン
木胡桃「苦来ちゃんにしては声大きいっ!?」
魔梨威「『最悪』!」パンパン
手寅「『ゴミクズ』!」パンパン
木胡桃「み、皆目が怖いよっ!って私の番か!あぁ韻踏むうんぬんじゃなくて特定のどこかの国の話になってない!?」
丸京「はいキグもアウトー!」
苦来「『偽造』とか『チ○カス』とか」
丸京「『ゲロ以下』とか『ゴキブリ』とか」
木胡桃「韻踏んでない!?」
手寅「今のお題に関してはガンちゃんの答えでも勢いでスルーしてたね」
木胡桃「えぇー!?」
魔梨威「このお題に関しては韻なんか無視してDISるのも正解だろうが!」
木胡桃「『地球に必要のない生き物が住んでる国』とかでも良いの?」
丸京「長いが大丈夫だ!」
苦来「正解」
丸京「次ミスったら一気にリーチか…辛いな」
手寅「集中しないと…」
苦来「私は脱ぎキャラじゃないからまずい……」
木胡桃「私みたいなチビッ子が脱いでも誰も喜ばないよ!」
丸京「いや、キグ。世の中っていうのは意外と変態は多いぞ」
丸京「『トッポ』!」
苦来「『ポッポ』!ポケモンの!」
魔梨威「『パイポ』!」
手寅「『相棒』!」
魔梨威「『愛棒』とかいやらしいなオイ///
手寅「そっちじゃないよ!水谷さんの方だよ!」
丸京「『とぐろ』!」パンパン
苦来「『ノドグロ』」パンパン
魔梨威「『巻き糞』!」パンパン
丸京「今日一で酷いな」
手寅「『満ち潮』!」パンパン
木胡桃「『引き潮』!」パンパン
苦来「『粗塩』」パンパン
魔梨威「『押尾』!」パンパン
手寅「『学』!ってしまっ!?」
手寅「マリーさんずるいよ!今の流れだとどうしても犯罪者の名前を言いたくなるよ!」
木胡桃「テトちゃんそんなモロな言い方したら駄目だよ!」
苦来「そうよ!キメセクかましたり、いけないお薬を渡したり渡されたり、放置したり放置した人なんだから!」
魔梨威「とにかく!手寅はもうリーチだからなー」
手寅「だ、駄目だよ!マリーさんは脱いでもギャグにしかならないけど私は、そのっ」
魔梨威「な、なんだその言い草は!それじゃ私の尻には色気が無いみたいなじゃないか!規制が入ってないみたいだろ!!」
丸京「いや、マリーさんの尻規制ゆるいよ」
苦来「マリーさんのお尻ゆるゆるだよ」
魔梨威「ゆるくねーよ!」
丸京「まぁ私のボディーラインが一番悩ましいがな」
手寅「そんな風に言うならガンちゃんが脱ぎなよ!」
丸京「断る。私の裸は無料で公開するような安いものじゃない」
魔梨威「じゃあいくらなんだい?」
丸京「500円~1000円は月々もらおう」
木胡桃「ニコニコかよ!」
苦来「FC2ですか」
手寅「うぅ。今日は大変だなぁ。家帰ったらお酒飲もう。せーの『ビール』!」パンパン
木胡桃「『ヒール』!」パンパン
丸京「『ニヒル』!私のように」パンパン
魔梨威「そうか?」
苦来「『苦来』私自身」ドヤ
丸京「ドヤるな」
魔梨威「『アヒル』!」パンパン
丸京「ファイティングポーズすな」
木胡桃「『アパレル』!」パンパン
丸京「『キル・ビル』!」パンパン
魔梨威「ちょっ、刀振り回すなよ!」
苦来「『カラメル』」パンパン
魔梨威「『セフィロス』!」パンパン
苦来「マリーさんは白髪似合わなそう」
手寅「『ラクロス』!」パンパン
木胡桃「『セクロス』!」パンパン
手寅「ルール上なんの問題もないよ!もう時間切れでしょう!マリーさんもツーアウトだよ!」
苦来「『セクロス』の後に手拍子でパンパン音するとすごくいやらしい」
丸京「まぁキグもお年頃だからな」
木胡桃「ち、違うもん!ついうっかり言っちゃっただけだもんっ////」プシュー
丸京「とにかくマリーさんも崖っぷちだ」
魔梨威「くっ、キグめ。とんだスケベ十代だ」
木胡桃「スケベじゃありません!//」
丸京「根っからのBガールである私に死角はない」
木胡桃「Bー?何のB?」
苦来「暴力のB」
丸京「黙れBカップ」
苦来「酷いっ…」
手寅「ほら早く始めようよ!」
魔梨威「ぶっこんでいくんで夜露死苦ー!」
手寅・木胡桃・丸京・苦来「夜露死苦ー!!」
魔梨威「はい、せーのっ『フジテレビ』!」パンパン
手寅「『つまらない』!」パンパン
木胡桃「『マジでゴミ』」パンパン
丸京「えーっと、カス、売国、害電波、嫌なら見るな、うーん、迷うな」
苦来「はい、ガンちゃんアウトー」
丸京「はっ!?しまった!つい罵りたい気持ちが大きすぎて迷ってしまった」
手寅「無理にDISらないで適当に韻踏めば良かったのに」
丸京「だって、フジテレビだぞ?DISらない訳にはいかんだろ!」
丸京「ぐぬぬ……」
木胡桃「ガンちゃんおっぱい大きいから良いじゃん脱いでもっ」
丸京「だ、駄目だ!最近処理を怠ってるからっ」アセアセ
手寅「処理…?」
丸京「あっ、いやっ……むしろ死にたい……////」ボーン
魔梨威「わははっ。丸京は密林なのかなー??」ニマニマ
丸京「黙れ寸胴ツルぺタ。お前なんて変態にしか需要はないんだ!」
魔梨威「なんだとっ!私だって!」
手寅「私だって?」
木胡桃「えっ?マリーさん彼氏いるの???」
手寅「大丈夫だよマリーさん!私もだから」
苦来「『こういう世界観』のキャラは皆処女だから安心してっ」
丸京「あぁ。男出るだけでキレる奴いるからな」
木胡桃「キレる若者だね」
苦来「いや、結構中年もいると思う」
手寅「童貞?こじらせると色々大変らしいからねー」
苦来「『新聞』」パンパン
魔梨威「『回文』!」パンパン
手寅「『雷雨』!」パンパン
丸京「お前だけどんどん上手くなるな」
木胡桃「『台風』!」パンパン
苦来「『タイフーン』!」パンパン
手寅「またしてもちょっとズルイ!」
魔梨威「『風雨』!」パンパン
手寅「『暴風雨』!」パンパン
苦来「テトちゃんのそれはちょい足しじゃないの!?」
木胡桃「『積乱雲』!」パンパン
魔梨威「眼鏡にしては上手いっ」
苦来「『アンサンブル』」
魔梨威「『バイリンガル』!」
手寅「『ハイビスカス』!」
木胡桃「『マダガスカル』!」
丸京「『まだ助かる』!」
苦来「あぁ~!?それ私も考えてたのに~っ!あぁもうそれ以外考えてなかったから無理だよ…」
魔梨威「これで苦来も後が無くなったな」
魔梨威「泣くなよ苦来。ようは勝てばいいんだ」
苦来「全員殺すくらいで頑張る」
丸京「いや、それは頑張りすぎじゃ」
苦来「せーの『殺す』!」パンパン
魔梨威「『ライス』!」パンパン
木胡桃「マリーさんナイス!一瞬でほっこりした空気に戻した!」
手寅「『ライム』!」パンパン
魔梨威「あぁずるっ!ラッパーっぽいフレーズ!」
丸京「『トラブル』」パンパン
苦来「『猛毒』!」パンパン
魔梨威「『家族』」パンパン
丸京「またマリーさんがほっこりライミングしたっ!」
手寅「『テキサス』!」パンパン
木胡桃「『サーカス』!」パンパン
丸京「『フォーカス』!」パンパン
苦来「『ファック』!」パンパン
魔梨威「『LOVE』!は、はずい///」
丸京「苦来のダークさをマリーさんが緩和させまくってる」
木胡桃「天才ほっこりラッパーだよ!」
木胡桃「えー?英語分かんないよ!?ライム?ライス?あぁこれはもう言ったよね???あぁもう」
丸京「なぜ英語にこだわった?とにかくキグ、タイムアップだ」
魔梨威「キグもリーチ」
苦来「すなわち…」
手寅・魔梨威・丸京・木胡桃・苦来「次で決まるっ!!!!!」
丸京「『制作』!」パンパン
苦来「『奈落』!」パンパン
魔梨威「『極楽』!」パンパン
手寅「『常夏』!」パンパン
魔梨威「おっさんくさ!」
丸京「『恍惚』っ…んっ////」パンパン
魔梨威「なんでちょっとセクシーに言ったの??」
苦来「『灼熱』!で焼き殺したいなぁ…」パンパン
手寅「苦来ちゃんさっきから怖いよ!」
魔梨威「『滑舌』!芸の基本だぜっ」パンパン
手寅「『卓越』!芸を極めないとねー!」パンパン
丸京「『上越』!」パンパン
苦来「『亀裂』」パンパン
魔梨威「『モーレツ』!」アハ
丸京「うざい!」
手寅「『パイレーツ』」パンパン
魔梨威「そこまで巨乳じゃないだろ」
木胡桃「『おパンツ』!」パンパン
丸京「『オーパーツ』!」パンパン
手寅・魔梨威・木胡桃・丸京「えっ?????」
苦来「ハイ次の人!」パンパン
魔梨威「ハイ次!じゃねぇよ!」
苦来「ご、誤魔化してないよっ」アセアセ
木胡桃「ほとんど言語じゃなかったよ!」
手寅「じゃあ何て言ったの?」
苦来「それは…そのっ」
魔梨威「これは決まりかなー?」
手寅「そんな事はしないよっ!」
苦来「ほんとう?」ウルウル
丸京「本当だ」
魔梨威「しかしどんな罰ゲームにするかな」
苦来「皮膚抉ったりしない」
魔梨威「そんな事するか!」
丸京「何か大変な事、というより困っている事を苦来に解決してもらいたいなー」
魔梨威「何か思いついたのかっ?」
苦来「あんま無茶は言わないで…」
手寅「ほら?私達って全員彼氏いないじゃない??」
魔梨威「んなっ!?」
丸京「確かにいないが……それがなんだ!」
木胡桃「彼氏さんなんて私にはまだ早いかもっ///」
苦来「私もいない」
手寅「私だっていないよ?」
丸京「わ、私も…『今』はいないんだ」アハハ
苦来「『今』はねー。うん。最近出会いがなくて…」
木胡桃「私は彼氏さん出来た事ないっ!」
手寅「まぁそこの三人に当てはまるか分からないけど……処女とか童貞の人、恋愛経験無い人は『今は』って言うらしいよ?」
魔梨威・丸京・苦来「」ギクッ
木胡桃「へぇー!そうやって虚勢を張るんだね!」
丸京「彼氏いない歴=年齢で何が悪い!」
苦来「時代が悪い!」
手寅「私もそうよ!高校卒業してすぐ落語家だもん!」
木胡桃「皆美人さんなのに意外っ」
手寅「そう!我々に出会いがないのはチャンスが少ないから!運が悪いから!」
魔梨威・丸京・苦来「そうだー!!!」
苦来「ちょ、そんなの無理よ!?」
魔梨威「頑張れ!逆ナンかまして来いよ!」
丸京「わ、私は余った男で良いからな、余ってしまった優しくて私に凄く優しくしてくれて頭ナデナデしてくれる人程度でいいからな!」
木胡桃「ガンちゃん地味に欲張り!」
手寅「苦来ちゃん可愛いから大丈夫だよ!」
苦来「で…でも男の人に何て声かけたら」
手寅・魔梨威・丸京・木胡桃「だまらっしゃい!敗者め!」
苦来「うぅ。もういいっ。私が一番イケメンの人の隣座るもん」
魔梨威「とにかく行ってこい苦来!」
苦来「行ってくるね……男漁りの旅にっ」
手寅「セッティング出来たらメールしてねー!」
こうして苦来は逆ナンの旅に出たのである
今回培ったHIPHOPセンスを生かし男に声をかけるのであろう
終わり
Entry ⇒ 2012.09.26 | Category ⇒ 版権物SS | Comments (1) | Trackbacks (0)
ウサミ「日向クンがらーぶらーぶし過ぎて修羅場でちゅ」
日向「希望船ウサミ号が完成したぞ」
ウサミ「おめでとうございまちゅ。学級目標を達成したご褒美におでかけチケットあげまちゅ。これで皆さんと仲良くお出かけしてくだちゃいね。らーぶらーぶ」
日向「チケットか……誰と一緒に……」
ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ
日向(な、なんだ……背後から強烈な視線を感じる……)
罪木「えへへ…ひ、日向さん。こんなところで会うなんて奇遇ですね」
罪木「ここで会ったが百年目!!」
罪木「あ、今のは違うんですぅ!うぅ……偶然を装って声かける方法を5000パターン用意してたのに……」
日向「そうだ。罪木。今暇か?丁度チケットがあるし、良かったら一緒に……」
西園寺「日向おにぃ!!」
日向「西園寺?どうしたんだ?」
西園寺「ねえ、日向おにぃはわたしとの約束忘れたの?」
日向「約束?そんなものしたっけ?」
西園寺「チケットが手に入ったらデートするって約束したの忘れたの!?」
日向「いや、そんな約束はしてないはずだ」
西園寺「うわあああああああ!!!約束忘れるなんてひどいよおお!!」
日向「お、おい……泣くなよ」
罪木「西園寺さん。日向さんが困ってますし、嘘泣きはやめましょう」
西園寺「黙ってろ!ゲロブタ女!邪魔するな!日向おにぃに嘘約束押し付けたことがバレたらどうするんだ!」
罪木「ふえぇぇ……ご、ごめんなさい。ゲロブタ女ですみません」
日向(おい。今、自分から嘘だって認めたぞ)
罪木「で、でも、日向さんとのデートは譲れません!」
西園寺「はぁ?あんた何言ってんの?」
ウサミ「はわわわわ……喧嘩はダメでちゅ。皆仲良くらーぶらーぶ」
西園寺「うっさい!耳引きちぎんぞ!」
罪木「中の綿を取り出す手術しますよー?」
ウサミ「ガーン。そ、そんな……西園寺さんはともかく罪木さんまで……」
日向(なんかまずいことになってきたな。2人がウサミに気を取られている間に逃げ出して……)
狛枝「おーい。日向クン!」
日向「ゲェ!狛枝!」
狛枝「ねえ、こんなところで何してるの?」
西園寺「日向おにぃ!罪木なんてデブスよりわたしとデートしてくれるよね?」
罪木「日向さんが最初に誘おうとしたのは私です!」
日向(ま、まずい。狛枝が声をかけてきたせいで完全に逃げるタイミングを逃した)
狛枝「日向クン。希望は修羅場という絶望を乗り越えて輝くとは思わない?」
日向「は?お前なに言ってるんだよ」
狛枝「ボクはね。キミだったらこの絶望的修羅場を乗り越えられるって信じているよ……だから、最高の舞台を用意してあげたよ!」
小泉「えっと……日向?撮影を手伝ってくれない?」
ソニア「御機嫌よう。日向さん。今日はいい天気ですし、デートをするには最適ですよね」
澪田「おっす!創ちゃん!唯吹と一緒に部活するッス」
七海「ふぁあ……ねみー……あ、日向くんいたんだ。この状況は…………うん。修羅場…だと思うよ」
狛枝「えへへ。連れて来ちゃった」
日向「狛枝ァ!!」
狛枝「ごめんね。日向クンが怒るのも無理ないよね……終里さんは弐大クンにアレされてるし、辺古山さんは九頭竜クンと一緒にいるから連れてこれなかったんだ……女子全員連れてくることが出来ないとかボクはなんて無能なんだッ!」
日向「違う!そうじゃない!!」
狛枝「いやあ、日向クンのお陰で退屈だった修学旅行が面白くなりそうだよ。ハハハ。殺人が起きない分、こういうので埋め合わせするってのも悪くないかもね」
日向(狛枝の奴……後で覚えてろよ。でも、今は狛枝に構っているヒマなんてない。この状況を打開しないと……)
狛枝「日向クン。キミの希望はこんなところで倒れたりしないよね?」
―ノンストップ議論―
罪木「最初に日向さんを発見したのは私です。だから、私とデートするべきです」
西園寺「はあ?何言ってるの?日向おにぃはわたしの奴隷だから私と一緒にいる義務があるんだよ!」
小泉「日向は頼りないんだから、アタシがちゃんと面倒見ないといけないの」
ソニア「あらあら。困りましたね。わたくしとしても、祖国の未来のために英雄の日向さんを渡すわけにはいきません」
澪田「創ちゃん。モテまくりっすね。でも、唯吹とバンドを組んでることは忘れてないっすよね?」
七海「そんな風に争わなくても」
???「破壊神暗黒四天王」
七海「皆で仲良くゲームでもすればいい…と思うよ」
日向「それに賛成だ!」
狛枝「誰だ。今の」
日向「な、なあ。一旦おでかけチケットのことは忘れて七海の言う通りゲームでもして落ち着こう」
罪木「わ、忘れられるわけないじゃないですか!」
西園寺「そうだよ!ゲームなんてホテルに帰ってからでもできるじゃん!」
小泉「あんたねえ。男らしく1人に決められないわけ?」
日向(くっ。こんな一気に反論されたら言葉を切り返す余裕なんてない……)
澪田「オロオロ。創ちゃん論破失敗っすね」
ソニア「マカンゴぶつけますわよ!」
小泉「ちょ…な、なんてこと言ってるの」
澪田「うひょー。ソニアちゃん大胆っすねー」
日向(だからマカンゴって何だよ!ぶつけられるものなのか!?)
狛枝「流石の日向クンもこんな人数に反論されたら絶望するしかないのかな?おっと…ボクの日向クンがそう簡単に絶望するわけないか。だってキミは希望の象徴だからね」
狛枝「今のこの絶望的な状態も日向クンと日向クンとデート出来る女子が最後に希望を手に入れるための踏み台にしか過ぎないんだ!ワクワクするよね?」
日向(こうなってしまった以上は、比較的冷静な七海を起点に何とかするしかない)
日向「七海!」
七海「zzz」
日向(こいつ立ったまま寝てやがる……!)
狛枝「ねえ、皆。このままだと埒が明かないからここはくじ引きで決めたらどう?」
小泉「は?」
ソニア「何でくじで決める必要があるんですか?」
日向(また狛枝が余計なこと言い始めた……)
狛枝「まあ、そう言わずに……ほら、こんなこともあろうかとくじを用意したんだ。丁度6本あるよ」
罪木「でも、くじで決めるなら公平だと思いますけど……」
小泉「仕方ないわね」
澪田「たはー!結局くじで決めるんかい!」
罪木「うぅ……当たってください。日向さん日向さん日向さん日向さん日向さん日向さん日向さん日向さん日向さん」
西園寺「ぶつぶつうるさい!ゲロブタ女!」
狛枝「よし。皆、くじを選んだね。それじゃいっせいので引くよ」
澪田「ぐぎぎぎ!外れた」
ソニア「そ、そんな……」
小泉「べ、別にくじが外れたって悲しくなんか……」
西園寺「うわああああああ外れちゃったよおおおお」
罪木「え?あれ?私も外れ……?」
狛枝「皆外れたみたいだね。じゃあ、余ったくじが当たりってことはボクが日向クンとデートすることになるんだね」
日向「それは違うぞ!(論破)」
狛枝「え?違うって何が?」
日向「そのくじは七海のものじゃないのか!」
狛枝「それは違うよ(反論)」
狛枝「冗談はやめてよ。なんでくじを手にしてない七海さんが参加してることになるのさ」
日向(正論だが……このままだと狛枝とデートすることになってしまう……まさか、狛枝の狙いは最初から俺だったのか!?)
日向「そ、それは……七海は寝ているから、くじ引けなかっただろ」
狛枝「引いてないなら彼女のものじゃないよね?」
日向「ぐぬぬ……」
狛枝「このくじは最終的にボクの手元にあった。ってことはこのくじはボクのものだね」
狛枝「ボクはなんてついているんだ!超高校級の幸運なんてゴミみたいな才能でも日向クンとデート出来るのに役立つなんて最高だよ」
七海「……おはよう。あれ?まだやってたんだ」
日向「七海からも何か言ってくれよ」
七海「何かって何が?」
狛枝「ボクが日向クンとデートすることになったよ」
七海「……うん…おめでとう」
狛枝「ありがとう」
日向(でも、考えようによってはこのまま女子とデートして下手に禍根を残すよりは、狛枝と一緒にいた方が安全と言えば安全か……)
日向(って俺は何を考えているんだ。相手はあの狛枝だぞ。何をしでかすかわからない)
罪木「…ぁれっ?」
罪木「あれあれあれあれあれー?」
罪木「私思いついちゃいましたぁ。日向さんを私の介護なしじゃ生きられない体にしちゃえばいいんだってー」
小泉「ちょっとアンタ何言ってんの?」
罪木「ぽわわ~ん。そうすれば日向さんを独占できますよね?」
日向「な、なあ罪木落ち着けよ」
日向(この状況をなんとかしないと……相手が罪木だけだったら適当に結婚申し込めば何とかなるくらいちょろいけど……周りに他の女子がいるなら余計にややこしくなるだけだ)
狛枝「なるほど。そう来たか……そういえば、今回の学級目標ってなんだっけ?」
日向「学級目標か……?希望船ウサミ号……まさか!!」
狛枝「そう気づいたみたいだね。これから起きる惨劇について」
澪田「惨劇ってなんすか?」
狛枝「わからないの?Nice bort.だよ」
七海「見立て殺人ってやつだね?」ドヤ
西園寺「だ、だめだよ!日向おにぃは私の奴隷だよ!主人の私は奴隷を守る義務があるの!罪木なんかに殺させないよ」
罪木「ふふふふふふふふふふふ。殺すなんて一言も言ってませんよ」
狛枝「なんだ。つまらない」
ウサミ「ちょっと待つでちゅ!過度な暴力は修学旅行の規則に違反するでちゅ」
罪木「えへへ…違いますぅ。ちょっとドラッグストアから拝借した怪しいお薬を日向さんの料理に混ぜるだけですよ。これなら許してくれますよね?ね?」
ウサミ「それなら許ちまちゅ。薬を盛ってみんな仲良く。らーぶらーぶ」
日向「待て!その理屈はおかしい!」
花村「ちょっと!ぼくの料理に薬混ぜるのやめてよ!味が台無しになっちゃうよ!」
花村「でも、媚薬だったらむしろオッケー」
小泉「花村…あんたいつからいたの?」
花村「なにやら修羅場の香りがしたからさ。面白そうだから来てみたんだ」
花村「もう皆ヒドイよ!ぼくだって日向君を狙ってるんだから声かけてくれたっていいじゃない!」
日向(なんでこの島にはホモが多いんだ)
西園寺「バカじゃないの?男同士が付き合えるわけないじゃん」
罪木「ふゆぅ…そうですよ。そんなの医学的におかしいです」
花村「んっふっふ。男とか女とか気にするのはナンセンスってやつだよ。それに男子同士の方がほら、アーバンな香りがするでしょ?」
狛枝「なるほどね。男子にもモテる……それが日向クンの超高校級の才能なんだろうね」
日向「そんな才能嫌すぎる…」
狛枝「もちろんボクも日向クンのことが好きだよ」
狛枝「弱ったなぁ。花村クンが参戦したってことは公平性を保つためには、さっきのくじは無効にするべきかな。花村クンにも機会を与えないといけないし」
ソニア「それに賛成です」
西園寺「花村。あんたもたまには役に立つじゃん」
狛枝「とりあえず、日向クンの希望も聞いてみた方がいいかな?今晩誰と寝たいかを……」
日向「ま、待て。話が飛躍しすぎだ!お出かけチケットのペアを選ぶって話じゃないのか?」
狛枝「あのさぁ……日向クン?ここまで来てその理屈は通用しないよ。そもそも、キミが男女問わずに手当たり次第に色目使ったのが原因じゃないか」
日向「俺は色目なんて使ってない!」
狛枝「そう?だったら、どうしてキミはこれだけの人数に好かれているのかな?キミが積極的にフラグを立てたとしか考えられないよ」
小泉「アタシは日向にこの島から出たらごにょごにょする約束したんだから!」
日向「それは違うぞ!小泉がカメラくれるって約束しただけだろ!」
罪木「わ、私だって日向さんにあんなことやこんなことされました……うふふふふ」
日向「それは違うぞ!動くこけしとボールギャグをプレゼントしただけだ!」
ソニア「わたくしもマカンゴを捕まえる約束をしました!」
日向「そうかも知れないな……」
花村「なななな、なんとマカンゴですとぉ!?王女様の口からそんなはしたない言葉が出るなんて……今夜のオカズに決定」
ソニア「あら、いやですわ。わたくしったら」
七海「………………ごちそうさま」
狛枝「ほらね。彼女たちもそう言ってるよ?キミはただのたらしだよ」
日向「その矛盾撃ち抜く!」
日向「狛枝。修学旅行の規則を覚えているか?」
狛枝「え?規則って?」
日向「この修学旅行の目的は希望のカケラを集めることだ。そのためには。皆と仲良くならなければならない」
ウサミ「そうでちゅよ。日向クンはちゃんと希望のカケラを集めて目標を達成しました。らーぶらーぶ」
日向「そう。これは希望のカケラを集めるための不可抗力だ!」
狛枝「なるほど。キミは希望のカケラのために、より強い希望を手に入れるために女子の気持ちを踏みにじったというわけだね」
日向「あ、悪意のある言い方はやめろ!」
罪木「そ、そんな……私の気持ちを裏切るんですか?日向さんも結局私を受け入れてくれないんですか?日向さんを好きになることすら許してくれないんですか?」
小泉「な、なによそれ……結局はカケラ目当てだったってこと?最低!」
日向「違うんだって!狛枝が勝手に変なことを言ってるだけだ!」
澪田「散々浮気しといて、付き合った彼女全員裏切る……うん。いい歌詞ができそうっすね。歌が完成したら創ちゃんに聞かせてあげるっすよ。唯吹のフラれた怨念をたっぷりこめて」
西園寺「わぁい!澪田おねぇの歌が聞けるんだ」
日向「俺は遠慮しとく……」
狛枝「女子を踏み台にして日向クンは最高の希望の耀きを手に入れたんだね」
狛枝「いや、女子だけじゃなくてボクの気持ちも踏みにじられた。日向クンの希望のための踏み台になれるなんて嬉しすぎて頭がフットーしそうだよ」
日向「お前はもう黙ってろ!」
狛枝「………………」
ソニア「結局日向さんは誰と寝たいんですか?」
小泉「男らしくビシッと言いなさいよ」
西園寺「そうだよ。日向おにぃが好きな人を言ってくれないとわたしだって納得できないよ」
花村「日向くんがぼくを抱いてくれないなら、ぼくから抱きにイクだけだけどね」
日向(誰と寝たいかだなんて……仲間内の前でこんなこと堂々と言いたくないけど仕方ない。やるしかないんだ)
寝たいと思う人物を指名しろ
>>27
日向「お前しかいない」
日向「西園寺」
西園寺「な、何?」
日向「お前のことが好きだ!」
西園寺「ふ、ふん。もう、おにぃのバカ!最初からそう言ってよ…そうしたらこんなに不安になることもなかったのに」
澪田「創ちゃんってロリコンだったんすね…」
ソニア「これはアグネスさんをお呼びした方がよろしいでしょうか?」
花村「日向くん。ロリは二次元だけにしといた方がいいって」
ウサミ「2.5Dだからセーフでちゅ」
澪田「ここでまさかのメタ発言っすか!」
小泉「良かったね日寄子ちゃん」
西園寺「小泉おねぇ…」
小泉「折角だから写真撮ってあげようか?」
西園寺「ありがとう……でも……」
小泉「アタシに気を使わなくてもいいからさ」
狛枝「あ、ちょっといいかな?」
西園寺「何よ?」
狛枝「いや、大したことじゃないんだけどさ。日向クンがもらったチケットって何枚あると思う?」
西園寺「何言ってんの?今はそんなこと関係ないじゃん」
狛枝「うーん。明日から日向クンが誰にチケット使うのか気になって」
日向「お、おい今は関係ないだろ!」
狛枝「ここでハッキリさせとかないと、またチケットの使い道で揉めるかもよ?」
西園寺「そんなの全部私に使うに決まってるじゃん!」
狛枝「本当にそれでいいの?」
日向「お前は何が言いたいんだ」
狛枝「キミが日向クンを独占したら、小泉さんはどうなるんだろうね」
西園寺「ぐ……」
狛枝「妹のように可愛がっていたキミに日向クンを寝取られるなんて絶望以外の何物でもないよね?」
小泉「ちょっと!やめなよ狛枝!アタシのことは関係ないでしょ!」
狛枝「違うよ。ボクはただ皆に希望を持って欲しいだけなんだ。希望の象徴であるキミたちが絶望するなんて、こんなに悲しいことはないからね」
狛枝「ただ、西園寺さんが日向クンを独占しちゃったら、ボクのこのちっぽけな願いも叶わないんだろうなって思っただけ」
小泉「それ以上言うと怒るよ!」
西園寺「おねぇ……」
小泉「気にしなくて大丈夫だから」
西園寺「わかった。じゃあ、明日は小泉おねぇがデートしていい」
小泉「え?」
日向「いいのか?西園寺」
西園寺「日向おにぃの顔って毎日見てたら飽きそうなんだよねー。これくらいで丁度いいよ」
狛枝「で、実際チケットは何枚あるの?」
日向「9枚だ」
狛枝「それじゃあ残りの7枚の配分はくじ引きで決めるってのは」
ソニア「なしに決まってます!」
七海「狛枝くんのくじはロクなことにならない…と思うよ」
狛枝「くじ引きがダメってことは……やっぱり残りの7枚の配分の決定権はさっきみたいに日向クンにあるってことでいいのかな?」
西園寺「ちょっと何勝手に決めてるの!日向おにぃはわたしを好きって言ったんだよ!だったら、チケットはわたしに使うしかないの」
狛枝「あれ?おかしいな。さっきは快く小泉さんに譲ったのに」
西園寺「小泉おねぇとその他大勢は違うの」
狛枝「うーん……ってことはやっぱり選ばれなかった相手は絶望しかないのか。悲しいな」
日向「狛枝。お前、さっきから希望とか言って引っ掻き回しているだけじゃないのか?そうやって、余計にややこしくするのが狙いだろ」
狛枝「あ、バレた?やっぱり日向クンは鋭いな」
日向「あのなあ…」
狛枝「まあ、既に手遅れだけど」
日向「は?」
罪木「まだ7枚ある……まだ7枚ある……まだ7枚ある……まだ7枚ある……」
澪田「そうすよね。諦めるのはまだ早いすよね」
ソニア「あたぼうです!付き合う相手が決まったと思ってもそこからどんでん返しがあるのが昼ドラのお約束ですから」
七海「うーん……恋愛ゲームは苦手だからここからどうやって攻略していけばいいのかわからないな」
狛枝「流石は超高校級と称される皆だね。チケットの残り枚数という希望を聞いただけで、一度敗れ去った希望がまた復活している」
日向「と、とにかく今日のところは俺は西園寺と出かけるからな」
西園寺「そうだね。いつまでも狛枝おにぃと話していても仕方ないし」
狛枝「じゃあ、楽しんでおいでよ。2日後にはもう修羅場に戻ってると思うから」
日向「お前のせいだろ!こんなやつ放っておいていくぞ西園寺」
西園寺「うん」
お出かけ先指定:>>45
ジャバウォック公園
砂浜
図書館
映画館
遊園地
軍事施設
日向(映画館に着いた)
西園寺「ねえ、今の時間帯だと何がやってるの?」
日向「そうだなホラーかアニメかラブストーリーだな」
西園寺「わたしホラーがいい」
日向「夜寝れなくなっても知らないぞ」
西園寺「ふん。何さ。子供扱いしないでよ……それにどうせ今夜は日向おにぃが寝かせてくれないんでしょ?」
日向「お、お前それ本気にしたのか?」
西園寺「えー?日向おにぃってもしかしてビビってるの?据え膳食わぬは男の恥だよ」
日向「あのなあ……」
西園寺「わたしだって、それなりの覚悟してるんだよ……そうでもしなかったら、日向おにぃ取られちゃうかも知れないから」
日向「狛枝の言うことは気にするな」
西園寺「だったら約束してよ。残りの7枚のチケットは全部わたしに使うって」
日向「おう、考えてやるよ」
日向「そろそろ上映時間だぞ」
西園寺「うん」
日向「ウオアアアア!!」
西園寺「ちょっと日向おにぃ怖がりすぎ」
日向「べ、別にビビってねーし」
西園寺「くすくす。本当かな?」
日向「本当だって」
西園寺「わ!」
日向「うお!!」
西園寺「あはははは日向おにぃ面白い!」
日向「映画に集中できないからやめろ!」
西園寺「あー面白かった。日向おにぃがあの映画に出演したら真っ先に殺されるタイプだね。だって、序盤からビビりっぱなしだったし」
日向「ほっとけ。それより日が落ちてすっかり暗くなったな」
西園寺「本当だ。そろそろ帰った方がいいかも」
日向「な、なあ。西園寺。流石に夜道を一人で歩くのは危ないから俺と一緒に帰ろうか」
西園寺「どうしよっかなー。別にこの島は全然危険じゃないし」
日向「いや、万一ってこともあるし」
西園寺「日向おにぃが一人で帰るのが怖いだけじゃないの?」
日向「それは違うぞ!」
西園寺「ま、まあ。ホテルまで抱っこしてくれるなら一緒に帰ってあげてもいいけど」
日向「わかった。抱っこしてやるから一緒に帰ろう。な?」
西園寺「落とさないでよ」
日向「はいはい」
日向「……ん……あれ?ここはどこだ?俺の部屋じゃないぞ」
西園寺「……すー……すー……」
日向(何故、西園寺が俺の隣で寝ている。しかも着物が乱れている)
日向「あれ?何で俺は服を着てないんだ?」
日向(昨日、ここで何があったか考えてみる必要があるようだな)
―ロジカルダイブ―
西園寺と映画を観た後どうした?
○西園寺と帰った
×一人で帰った
日向が泊まった部屋は?
○西園寺の部屋
×日向の部屋
西園寺の着物が乱れた理由は?
○事後
×お風呂
日向「推理は繋がった!」
日向「お、俺はなんてことをしてしまったんだ」
西園寺「んー……あ、日向おにぃ。おはよう」
日向「な、なあ西園寺。ど、どうして俺はここにいるんだ?」
西園寺「何って泊まったからに決まってるじゃん」
日向「そ、そうなんだけどさ」
西園寺「もう……昨日の日向おにぃは激しすぎだよ」
日向「」
西園寺「日向おにぃってもしかして童貞だった?」
日向「どどどど童貞ちゃうわ」
西園寺「そうだよね。仮に昨日まで童貞だったとしても今日からは童貞じゃないもんねー」
日向「」
西園寺「それよりどうしよう。わたし一人じゃ着付けできないのに日向おにぃが無理矢理脱がすから着物が乱れたままになっちゃった」
日向「お、俺のせいなのか」
西園寺「何言ってるの?あそこまでしといて責任取らないつもり?」
日向(あそこまでってどこまでだよ!全く記憶にない……記憶にない?そうか!)
日向「おい、ウサミ!いるんだろ?」
ウサミ「はーい。なんでちゅか…って、何ちてるでちゅか!修学旅行中に生徒同士で許ちませんよ!」
日向「それよりお前、俺の記憶奪っただろ?」
ウサミ「えぇえええぇえ!な、なんのことでちゅか?」
日向「記憶が不自然に抜け落ちるなんていくらなんでも不自然すぎる!」
ウサミ「い、いやでちゅね。あちしがそんなことするわけないじゃないでちゅか」
日向「やっぱり、この修学旅行には裏があったんじゃないか」
ウサミ「これは皆さんのことを思っての……」
日向「言い訳なんて聞きたくない!」
ウサミ「そんな~」
日向「なあ、お前の目的は何なんだ」
ウサミ「えーっとそれは……」
日向「何のために昨夜の俺の記憶を奪った?」
ウサミ「え?昨夜?あちしはそんなの知らないでちゅよ。あちしが奪ったのは皆さんのがくえ…あ!」
日向「え?なんだって?」
ウサミ「な、なんでもないでちゅよ」
西園寺「それよりさ。あんたいつまでここにいるつもりなの?」
ウサミ「へ?」
西園寺「折角、日向おにぃと2人きりなのにアンタみたい豚が一緒の空間にいると雰囲気ぶち壊しなんだよね」
ウサミ「ひ、ひどい。呼び出したのは日向クンなのに……うわあああああん」
日向(どうやらあの様子だと俺の推理は外れたようだ……)
日向「で、西園寺。これからどうしよう」
西園寺「どうするって?何が?」
日向「着付けだよ。小泉に頼むにしても不自然すぎるだろ」
西園寺「わたしが日向おにぃと寝たのバレちゃうかな?」
日向「少なくても着物を脱いだ理由は問い詰められるだろうな」
西園寺「うーん。着付けのこともあるし、いっそのこと次からは小泉おねぇと一緒に3Pするなんてのは」
日向「それに賛成だ!」
西園寺「ちょっと何賛成してるの!」
日向「すまん。つい」
日向(とりあえず、着付けは西園寺が小泉を誤魔化してやってくれたみたいだけど……)
狛枝「やあ、日向クンおはよう。新しい朝だね。希望の朝だね」
日向「狛枝。今日は調子いいみたいだな」
狛枝「そんなことないよ。昨夜はお楽しみだった日向クンに比べたら全然だよ」
日向「ど、どうしてそれを!」
狛枝「え?当たった?冗談のつもりで言ったのに」
日向(しまった)
狛枝「ああ。ついに日向クンが一線を超えてしまったんだ」
日向「狛枝。このことは皆には」
狛枝「分かってるよ。黙っていればいいんでしょ?」
日向「本当に黙ってるんだろうな」
狛枝「ボクがキミを困らせるようなことをしたことがあるかい?」
日向「あるから言ってるんだろ!」
日向(狛枝はこっち見てニヤニヤしてくるし、女子の視線が怖い。特に心なしか七海の視線が冷たい気がする)
ウサミ「はーい。それじゃあ、今日の作業は終了でちゅよ」
日向「終わったか。小泉。今日は何処にいく?」
小泉「ねぇ。本当にアタシでいいの?」
日向「西園寺がいいって言ってるんだ」
小泉「そうじゃなくて、アンタの意思はどうなの?アタシとのデートは嫌じゃない?」
日向「ああ構わないさ。俺と小泉は固い絆で結ばれているんだからな」
小泉「そっか……うん。折角、日寄子ちゃんがくれたチャンスだし今日は思いっきり楽しもうかな」
お出かけ先指定:>>76
ジャバウォック公園
砂浜
図書館
映画館
遊園地
軍事施設
日向(砂浜に着いた)
日向「とりあえず脱ごうか」
小泉「…………」
日向「無言でカメラを構えるのやめろ」
小泉「あはは。アンタのヌード写真って案外需要がありそうだからさ。シャッターチャンスを逃すわけにはいかないよ」
日向「需要って誰にだよ」
小泉「日寄子ちゃんなんて喜ぶんじゃない?アンタの裸なんて見たことないだろうし」
日向「お、おおう。そ、そうだな」
小泉「という訳で早速脱いでみよっか」
日向「お前は脱がないのか?」
小泉「残念だけど水着持ってきてないんだよね」
日向「そうなのか?残念だな」
小泉「べ、別にアンタのヌード写真を撮るのに専念したいからって訳じゃないからね」
日向「そもそもヌードになるなんて言ってない」
小泉「えー」
日向「大体にしてなんで俺だけ脱ぐんだよ」
小泉「じゃあ、アタシも脱げばアンタも脱いでくれるの?」
日向「脱げばな」
小泉「わかった。じゃあ、そこの岩陰に移動しよう」
日向「マ、マジかよ」
小泉「ほら、誰かに見つかったら困るし、人気が少ない内に早く行くよ」
日向(本当に脱ぐのかよ)
小泉「恥ずかしいからあっち向いてて」
日向「なあ、どうせ後で見せるなら恥ずかしがる必要もないと思うけど」
小泉「それでもダメなものはダメだよ」
日向(やばい。布の擦れる音がする。小泉が脱いでいるのかと思うと興奮する)
小泉「……こっち向いていいよ」
日向(ほ、本当に裸になっている……しかし、西園寺よりはあるとはいえ小泉って貧…)
小泉「ちょっと、アタシが脱いだんだからアンタも脱ぎなさいよね」
日向「わ、わかったよ」
日向「あ、あれ?何か硬いものに引っ掛かってズボンがうまく脱げない」
小泉「もう。しょうがないわね。アタシが脱がしてあげるから」
日向「あ…」
パオーン
小泉「これが日向の…………」
日向「そ、そんな近くで見るなよ」
日向(その後、立ち会いは強く当たって後は流れで小泉とヤッてしまった)
日向「その……すまん。なんというか魔が差した」
小泉「アタシ初めてだったのに……こんな外で……もう、変な性癖ついちゃったら日向に責任とってもらうからね」
日向「えぇ!?」
小泉「当然でしょ?いくら砂浜で開放的な気分になったからっていきなり襲うのってないよ」
日向「反省します」
小泉「……まあ、日向だったから嫌じゃなかったけど」
日向(西園寺に続いて小泉とも……あれ?よく考えたらこれまずくないか?)
日向(そうか!これはきっと狛枝の罠だ。俺が二股をかけるように仕組んだに違いない。全部狛枝が悪い)
日向「そして次の日が来てしまった……」
日向「残りのチケットどうしよう……」
澪田「うぃーす創ちゃん!」
日向「あ、あれ?澪田?どうして俺の部屋にいるんだ?鍵をかけたはずなのに」
澪田「鍵ならぶっ壊したっす」
日向「壊すなよ!」
澪田「それより、今日の創ちゃんは誰と過ごすのか気になったりして。チラッチラー」
日向「お前には関係ないだろ」
澪田「創ちゃんがデートしてくれないなら、この場で歌うしかないすね」
日向「は?」
澪田「唯吹の歌に酔いしれて考え直すってやつすかね」
日向「お、おい。歌ってまさか……あの滅びの歌か」
澪田「では聞いてください」
日向「や、やめろ!朝っぱらからお前の歌はきつい」
澪田「創ちゃんがッ!デートしてくれるまでッ!唯吹は歌うのをやめないっす!」
日向「わかった。どこでも好きなところに連れてってやるから落ち着け」
澪田「マジすか?流石創ちゃん」
日向(つい、勢いで約束してしまったけど大丈夫だろうか……)
…ん?
西園寺「日向おにぃ!今日はどこ連れてってくれるの?」
日向(罪悪感で死にそう……)
西園寺「ん?さっきから黙ってどうしたの?」
日向「な、なあ西園寺」
西園寺「えへへ。昨日は日向おにぃとデート出来なかったから、今日は凄く楽しみ」
日向(早く言い出さないと……余計に言い出し辛くなるぞ)
西園寺「そういえば、昨日は小泉おねぇと何して遊んだのかな?」
日向「あ…えーっと……」
西園寺「小泉おねぇは教えてくれなかったけど何かあったの?」
日向(胃が痛い……)
澪田「創ちゃん!今日のデートは何処にいくか決まったっすか?」
日向「あ、バカ…」
西園寺「はぁ?なんで澪田おねぇが出てくるわけ?日向おにぃはわたしのものだよ!」
澪田「あれ?おかしいな。今日は唯吹と約束してたはずっすけど」
西園寺「日向おにぃ!どういうこと!?」
日向「西園寺…すまない」
西園寺「え……うわああああああああん!日向おにぃが裏切ったあああああ!!日向おにぃの浮気者!!!」
小泉「」ビク
日向「本当に悪かった。でも、この埋め合わせは今度するから」
西園寺「やだよおおおおお!!今日がいいよおおおお!!」
小泉「日寄子ちゃん。今日はアタシと遊ぼう。ホラ、昨日は相手できなかったし」
西園寺「ぐす……わぁい。小泉おねぇ大好き」
小泉「日向!余り日寄子ちゃんを泣かせるようなことしないでよ」
日向「ああ……」
西園寺「日向おにぃのバーカ!」
日向(言い返せない)
澪田「なんか大変なことになっちゃったすね」
日向「人事みたいに言うなよ!」
日向(このチケットを西園寺以外に使うのは今回限りにしよう。ついでにらーぶらーぶなことも出来る限り控えよう)
お出かけ先指定:>>105
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駄目ならkskst扱いで
日向「やっぱりやめよう」
澪田「なぬ!」
日向「西園寺に悪い気がして」
澪田「そうっすね。唯吹も日寄子ちゃんを見てたら罪悪感が沸いてきたっすから」
日向「西園寺はどこだろう……」
澪田「見つからないっすね」
日向「探し疲れたから一旦部屋に戻ろう」
澪田「唯吹もお供するっす」
日向「なんでお前まで俺の部屋に来るんだよ!」
澪田「創ちゃんの部屋の鍵壊したし修理しようと思って」
日向「直せるのか?」
澪田「やってみないとわからないっす」
澪田「ぐぎぎ!!直れー!」ガチャガチャ
日向「お、おい。無理そうなら左右田に頼んで直してもらうから……」
バキィ
澪田「あ……」
日向「どうした?」
澪田「今度は逆に開かなくなったっす」
日向「お前何してんだよ!」
澪田「あちゃー。これ完全に密室っすね」
日向「どうすんだよこれ……」
澪田「っつーかこれからっしょ!」
日向「なあ。もう夜になったな」
澪田「そうっすね」
日向「自分の部屋に戻らなくていいのか?」
澪田「戻りたくても戻れないっす」
日向「じゃあ、泊まっていくか?」
澪田「むしろ、それしか選択肢がないっつーか!」
日向「それじゃあ、先にシャワー使っていいぞ」
澪田「お言葉に甘えさせてもらうっす」
日向(あれ?嫌な予感しかしない)
日向「ふぅ……」
澪田「いやあ、創ちゃん。いい演奏だったっすよ」
日向「そ、そうか?」
澪田「唯吹も超高校級の軽音部なんて呼ばれてるけど、楽器の気持ちになったのは初めてっす。これも創ちゃんのお陰っすかね」
日向(またヤってしまった……)
澪田「それじゃ、今度は唯吹が創ちゃんを演奏する番っすね。いい音色出すっすよ」
日向「うわっ……やめ、まだ出したばっかなのに……」
ウサミ「はわわ……もう、鍵が壊れたんなら先生に言ってくだちゃいよ。すぐに直せまちたのに」
日向「壊れたっつーか、壊されたっつーか……」
日向「はぁー……それにしても疲れた。なんだろう。連日ヤリすぎた反動かな……今日は休息が必要な気分だ」
罪木「日向さぁん!大丈夫ですか?」
日向「罪木?どうしたんだ?」
罪木「えへへ……日向さんの看護をしようと思いまして」
日向「そうか。ありがとう」
罪木「いえ、私が役に立てるのはこれくらいですから。そ、その何かあったら何でも言ってくださいね!死ぬ以外のことなら何でもできますから」
日向「ん?今何でもするって言ったよね?」
罪木「ふゆぅ…あのぅ…本当に私のおっぱいで疲れが取れるんですか?」
日向「ああ。最高だよ。三回連続貧乳だったし」
罪木「三回連続って何がですか?」
日向「あ、なんでもない。こっちの話」
罪木「日向さん?なんかえっちな気分になってきませんか?」
日向「そ、そういえば体が熱いような……」
罪木「実は日向さんにこっそり媚薬を盛ったんですよ」
日向「な、なんだって!」
罪木(このまま既成事実を作れば……ふふふふふふふ)
日向(これ以上既成事実が増えるのか……)
日向(西園寺・小泉・澪田・罪木。既に女子の半数とヤってしまったのか……)
日向(昨日も西園寺と会わなかったし、あいつ怒ってるだろうな)
西園寺「…………」
日向「西園寺」
西園寺「あれれー?約束破った嘘つきがいるよー」
日向「今日こそはちゃんと約束守るからさ」
西園寺「ふん。どうだか。どうせ昨日だってあのゲロブタに鼻の下伸ばしてたんじゃないの?」
日向(それは違うぞ!伸ばしてたのは鼻の下だけじゃない!)
西園寺「まあいいよ。一緒にいた相手が罪木だったからデコピン百発で許してあげる」
日向「百発って…わかった。それで西園寺の気が済むんだったらいいよ」
西園寺「相手が、小泉おねぇや澪田おねぇや罪木だったらまだ許してあげてもいいけど」
西園寺「もし、ソニアと一緒にいたら本気で怒るからね」
日向「ハハハ……気をつけるよ」
日向(何だろう。何かのフラグが立った気がする)
ソニア「日向さ…ど、どうしたんですか!?西園寺さんが抱っこちゃん人形みたいに日向さんにくっついてます」
西園寺「ふん。わたしが常に日向おにぃにくっついていれば、浮気されることなんてないし」
ソニア「それは大変ですわね。日向さん重くないですか?」
日向「おm…」
西園寺「…………」
日向「重くない!全然重くない!」
西園寺「こんな可愛いわたしが重いわけないじゃん!」
ソニア「それは失礼いたしました」
ソニア(弱りましたね。このままでは、日向さんを奪うことはできません)
西園寺(クスクス。いくらあんたが図に乗って日向おにぃに近づこうとも、わたしがいる限りは絶対に日向おにぃは渡さないんだから)
西園寺「わぁい!蟻たん潰すの楽しい!日向おにぃも一緒に潰そうよ」
日向「え…いいよ俺は」
西園寺「蟻たん潰す楽しさ知らないなんてカワイソー」
日向(西園寺が楽しそうで良かったな)
西園寺「うーん……おにぃ……」
日向「あーあ。遊び疲れて寝ちゃったか。ったくしょうがないな。ホテルまで運んでやるか」
ソニア「また会いましたね日向さん。」
日向「ソニア?どうしたんだ」
ソニア「あのですね…実はわたくしの部屋に……ゴキブリが出てしまいました……だから、怖くて部屋に戻れません」
日向「そうか。それは大変だな」
ソニア「日向さん!わたくしの部屋に来て、あの黒い悪魔を退治して下さい」
日向「しょうがないな」
日向「ゴキブリなんてどこにもいないぞ」
ソニア「きっと物陰に隠れてしまったんですわ。ああ、恐ろしいですわ」
日向「どこかに逃げたんじゃないか?」
ソニア「で、でも。あの黒い悪魔が部屋にいる可能性があるって考えただけで、わたくし怖くて眠れません」
ソニア「だから、日向さん。お願いです。今夜はわたくしの部屋に泊まってください。日向さんが一緒にいるだけで安心して眠ることができます」
日向「ゴキブリが出たんじゃしょうがないな」
日向「ソニアのマカンゴ凄かったよ…」
ソニア「いやですわ。日向さんったら」
日向「……ふぅ」
日向(ヤってしまったものはしょうがない。西園寺にバレなければ全て丸く収まる)
日向(今回の反省を活かして、次から気をつければいい。希望を持って前に進めばそれでいい。そうすれば必ず未来は創れる)
七海「………………」
日向「おーい。七海?どうしたんだ?」
七海「あ、ごめん。寝てた」
七海「ちょっとゲームの攻略法を徹夜で考えていてロクに寝てないんだよ」
日向「何のゲームだ?」
七海「日向くんには教えない」
日向「なんだよ。教えてくれたっていいだろ」
七海「あんまり私と話していると西園寺さんが嫉妬しちゃうよ……」
日向「それもそうだな」
七海「ねえ、日向くん。ちょっとだけ質問いい?」
日向「なんだ?」
七海「もし、日向くんが自分とは住む世界が違う人間を好きになったらどうする?」
日向「住む世界が違う?」
七海「うん。もう二度と会えなくなる日が来るってわかってる相手を好きになったら、日向くんはその人に想いを伝える?」
日向「うーん……俺だったら、ちゃんと自分の想いは伝えるかな。後悔したくないし」
七海「日向くんはむしろ伝えすぎて後悔する方が多いんじゃない?」
日向「そ、それはそうだけど。伝えなくて後悔するよりは全然マシだ」
七海「うん。ありがとう。参考になったよ」
ウサミ「コラー!日向クン。キミは性が乱れすぎてちゅ!」
日向「ウサミ!?」
ウサミ「七海さんには手を出させませんよ!」
日向「いや、俺はまだそんなつもりは」
七海「いいよ。ウサミちゃん」
ウサミ「ほえ?」
七海「日向クンならいい」
七海「子供を作る方法はお父さんに教わったけど、どんな時に作りたくなるのかまではわからなかった」
ウサミ「な、何を言ってるでちゅか!」
七海「でも、日向クンに会ってやっとわかった気がする。私のこの気持ちは日向くんと子供を作りたがってる…と思う」
七海「……私に子供が作れるかわからないけど」
日向「だったら試してみればいいんじゃないか?」
七海「うん。そうだね。私もそう思ってた」
ウサミ「がーん。最近の高校生は性が乱れすぎでちゅ…」
日向(…………次から気をつけようと思った矢先の出来事だったけど……あれは七海に子供ができるかどうかの実験だから、ノーカンだな)
辺古山「日向?久しぶりだな」
日向「ああ。確かに辺古山とは最近会ってなかった気がする」
辺古山「ぼっちゃ…九頭龍を見かけなかったか?」
日向「見かけなかったな」
辺古山「そうか。邪魔したな」
日向(そういえば、花村が前に辺古山みたいなタイプは意外にガードが甘くて落とせるとか言ってたような気がするな……)
日向(うん。これは実験だからノーカンだな)
日向「なあ、辺古山。お前って好きな人いるのか?」
辺古山「な、何をバカなことを言ってる!そ、そんな人いるわけなかろう!」
日向「本当にそうなのか?」
辺古山「…………私は道具に過ぎない。道具に感情を持つことは許されないんだ」
日向「それは違うぞ!」
辺古山「何!」
日向「辺古山は道具なんかじゃない!」
辺古山「何を根拠にそんなことを……」
日向「これで証明できる」
辺古山「ちょ…うわ、なにをする!やめろ!私はあの人の道具だ!」
日向「そうだ。道具だったら、普通は持ち主は選ばない」パンパン
辺古山「な、なんだと…」
日向「お前は好きな人がいるんだろ?その人に尽くしたいって感情があるんだろ?」パンパン
日向「だったら道具じゃない!」ドピュ
辺古山「そうか……そうだったのか……私はあの人と同じ立場でいていいんだな……」
辺古山「そうか……そうだったのか……私はあの人と同じ立場でいていいんだな……」
辺古山「礼を言うぞ日向。お陰で大事なものを見失わずに済んだ」
日向「なあに。礼を言われるようなことはしてないさ」
日向(結局、辺古山を落とすことには失敗したか……だけどこれでいいんだ)
日向「なんだかんだでチケット余ったな……これをどうやって処理しようか」
終里「チケットって何だ?食えるのか?」
日向「食い物じゃないぞ」
終里「なんだ。つまんねえの」
日向「でも、このチケット持って映画館いけばホットドッグ食えるぞ」
終里「マジで!?じゃあくれ」
日向「おう、いいぞ」
終里「あれ?よく考えたら男の尻尾とホットドッグって似てるよな?」
日向「下ネタかよ」
終里「よし、日向。お前のホットドッグを食わせろ!」
日向「ま、待て……ヒギイイイイイ」
おわり
このまま話進めるとホモルート直行しかない
面白かった
せめて西園寺を放置したままにしないでおくれよ
え?西園寺ルート?
ヤっちゃうよ?いいんすか?ヤっちゃっても
日向「いてて……酷い目にあった」
西園寺「ふん。浮気ばっかしているからバチが当たったんだよ」
日向「……そうかも知れない」
西園寺「これに懲りたら、二度とわたし以外の女に手を出さないこと。特にソニアとかソニアとかソニアとか」
日向「違うんだ。これには訳があるんだ。例えば、俺の中に絶望を抱えた人格があるとするだろ?そいつが14人もいたとしたら、それぞれ好みのタイプが違うはずだ」
日向「つまり、これはそれぞれの人格がそれぞれの女子を愛してしまったことによる不可抗力なんだよ」
西園寺「あははは。日向おにぃって言い訳が下手だね」
日向「なあ、西園寺。俺はいつまでお前を抱っこしていればいいんだ?」
西園寺「日向おにぃの腕が痺れて使い物にならなくなるまでかなー」
日向「マジかよ」
西園寺「簡単に許したら、また日向おにぃは浮気するじゃん」
日向「もうしない!」
西園寺「その根拠は何?」
日向「西園寺。結婚しよう」
西園寺「……えぇ!!け、結婚って」
日向「今すぐじゃないけどな」
西園寺「それ本気で言ってるの?」
日向「ああ。俺は本気だ」
西園寺「ふん。今の言葉忘れないからね」
西園寺「そうだ!日向おにぃがプロポーズしてくれたって皆に言いふらそう」
日向「やめろ!恥ずかしいだろ!」
西園寺「何?皆にバレて都合が悪いことでもあるの?」
日向「ないけどさ……」
西園寺「だったら別にいいじゃん」
日向「ああ。もうわかった。お前の好きなようにしろ」
西園寺「わぁい!」
西園寺「わたしと結婚するってことになると日向おにぃは婿入りしなくちゃいけないよ」
西園寺「だったら苗字が変わって日向おにぃじゃなくなるね…ってことはこれからは創おにぃって呼ばないといけないかな」
日向「西園寺に名前で呼ばれるとなんか変な感じがするな」
西園寺「……西園寺じゃなくて、日寄子って呼んでよ」
日向「え?」
西園寺「だから、結婚するんだから苗字で呼ぶのはおかしいでしょ?創おにぃもわたしのこと日寄子って呼んでよ」
日向「ああ。わかったよ……日寄子」
西園寺「……うぅ。確かに変な感じがする」
日向(日寄子と結婚の約束をしたってことが皆に広まってしまった)
狛枝「素晴らしいよ。超高校級の希望同士が結婚するなんて。正に希望と希望のぶつかり合いが毎晩行われるってことだよね?」
花村「その希望同士のぶつかり合いには興味がありますな」
小泉「二人ともおめでとう……結婚式の時はアタシが写真撮ってあげるね」
澪田「出し物は唯吹のライブするしかないっすね」
西園寺「ありがとう。小泉おねぇ。澪田おねぇ」
罪木「えっぐ……おめでとうございますぅ」
終里「結婚ってなんだ?食えるのか?」
ソニア「残念ながら、日向さんは英雄ではなかったのですね……予言が外れてしまいました」
田中「ソニアよ。過去に作られた予言よりも、今を生きている我々の方が強い力を持つ。特に俺様の圧倒的な力の前では予言など何の意味も持たんわ。フハハハハハハ!!!!」
ソニア「田中さん…」
ウサミ「皆さん。ついに今日でこの島とお別れの日がやってきまちた」
日向「修学旅行もこれで終わりか。色々あったな」
西園寺「ねえ、この島を出たら創おにぃはどうするの?」
日向「まだ何をするか決めてないけど……日寄子、お前と一緒ならどんな未来だって創れると思う」
西園寺「もう……未来とかそんなことより、結婚はいつするつもり?」
日向「日寄子が大きくなったら……かな」
西園寺「なにそれ!ひどーい!ふん。すぐ大きくなってみせるから」
日向「ハハハ。気長に待ってるよ」
七海(気長に待つ必要はない……と思うよ)
―希望更生プログラム終了―
日向「あ、あれ?ここはどこだ?」
西園寺「創おにぃ?」
日向「えーっと。どちら様ですか?」
西園寺「酷い!わたしのこと忘れたの?うわあああああん」
日向「え?まさか、お前日寄子か!?」
西園寺「そうだよ……」
日向「だって、お前のその体……」
西園寺「あれ?創おにぃって背縮んだ?」
日向「お前が伸びたんだよ!」
苗木「そのことについてはボクから説明するよ」
日向「その声は狛枝か!?なんてことだ。今度は狛枝の背が縮んだ!」
苗木「それは違うよ!ボクは狛枝クンじゃなくて、苗木誠だ」
日向「なるほど。俺たちは入学当時の状態で希望更生プログラムを受けていたのか」
苗木「そういうことだね。だから、あの島での西園寺さんは現実の西園寺さんより小さかったんだ」
西園寺「創おにぃ。島での約束覚えているよね?大きくなったら結婚するって」
日向「まさかこんなに早く大きくなるとは思わなかった……けど、約束だ。日寄子今すぐ結婚するか」
西園寺「わぁい!」
日向(沈静化したとはいえ、世の中にはまだ絶望の残党がいる。そんな状況でも日寄子との絆があれば、未来を創ることはできるんだ)
おわり
乙
乙
Entry ⇒ 2012.09.25 | Category ⇒ 版権物SS | Comments (0) | Trackbacks (0)
塞「好きな人ができたァ!?」白望「うん」
胡桃「シロ、それロン!」
白望「あ……うん」
豊音「ロン」
白望「ん……」
胡桃「シロ、飛びだよ」
白望「うん……」
塞「…………」
キンコンカンコン
豊音「あ、時間だよー」
塞「今日はお開きだね」
白望「じゃあまた明日……」
エイ「シロ!ワタシモ!」トテトテ
白望「ん……」
塞「シロの様子がおかしい……」
胡桃「あ、やっぱり塞も気づいてたんだ」
塞「そりゃあ気づくよ。なんか上の空だし、いつもはやらないミス連発するし」
塞「なんか病気だったりするのかも」
豊音「えー!?大変だよ!救急車呼ばないと!」
胡桃「もう帰ったからね。呼んでも意味ないからね」
豊音「なんか悩み事があるのかもー」
胡桃「あのシロに悩み事?」
塞「んー……悩み事かぁ……」
豊音「違うかなー?」
塞「んー、まぁ、明日にでも私が聞いとくよ」
豊音「うん。任せたよー!」
塞「んで、何があったの?」
白望「何がって……」
塞「ちょっと前から変じゃない。何もないとは言わせないよ」
白望「いや特に何も」
塞「正直に言わないと塞ぐよ」
白望「だる……」
塞「ほら、早く言った!」
白望「ん……。あー、実は……」
白望「うん」
塞「シロが!?まさか!?冗談でしょ!?」
白望「そこまで言われるとかさすがに心外なんだけど……」
胡桃「朴念仁オブ朴念仁のシロに好きな人ができた!?ありえない!」
白望「朴念仁って……。って、胡桃、いつからいたの?」
胡桃「あ、思わず出てきちゃった……」
豊音「もー、駄目だよ胡桃!」ヒョコッ
白望「トヨネまで……ということは……」
エイ「エヘヘ……」ヒョコッ
白望「やっぱりか……」
白望「え、言わなきゃ駄目なの?」
塞「うん」(実は私だったりして……)
胡桃「当然!」(いつも充電させてくれるし、私だったり!)
エイ「キニナル!」(ワタシトイウカノウセイ……)
豊音「隠し事は駄目だよー」
白望「えー……」
胡桃「早く!」
エイ「ハリーアップ!」
豊音「早くー!」
白望「あー……だる……」
白望「…………はやりん」ボソッ
胡桃「」
エイ「」
豊音「えっ……」
塞・胡桃・エイ・豊音「ええええええええええええええええええ!!?」
白望「うん」
エイ「? ? ? ?」
塞「あのロリ巨乳!?」
白望「はやりんのことを悪く言わないで」
豊音「はやりんかわいいよねー!」
白望「うん、すっごくかわいい。なでなでしたい」
胡桃「うわぁガチだぁ……」
白望「数日前。テレビ付けたらはやりんが出てて……」
白望「一目惚れしちゃった///」
塞「なん……だと……」
塞(これは本当に私の知ってるシロと同一人物……?)
胡桃(きもちわるい!)
エイ「アウアウアウアウ」
豊音「は、はやりんは可愛いからねー。シロの気持ちもわかるなー!」
白望「でしょ?さすが豊音はわかってるね」
塞「……つ、つまりなに?ここ数日シロがおかしかったのは……」
胡桃「牌のおねえさんの番組が待ち遠しくてソワソワしてただけってこと!?」
白望「う……まぁ、そうなるのかな」
塞「…………」
胡桃「…………」
エイ「…………」
豊音「は、はやりんはかわいいからね!仕方ないよ!」
エイ「ウン……」
胡桃「おー……」
塞「なんだこれ」
エイ「ナンダコレ」
胡桃「まじでなんだこれ」
塞・エイ・胡桃「はぁぁぁぁぁぁぁ……」
エイ「シロ!ブカツイク!」
白望「あー、ごめん、今日は夕方の便で東京に行くから」
エイ「ト、トウキョウ!?」
白望「うん、これ」
『はやりーん☆握手会』
エイ「」
白望「じゃあ行くね。塞たちに伝えておいて」
塞「大会前の大事な時期だというのに……」
胡桃「まぁ……やる気なくされてもあれだし……」
塞「シロはいつもやる気ないようなもんでしょ……」
胡桃「まあね……」
豊音「と、とりあえず打とうよー!」
塞「ああ、そうだね……」
胡桃「なんかダルくなってきた……」
エイ「シロノガウツッタカモ……」
ダンゴダンゴダンゴダンゴ ダンゴサンキョウダイダンゴ
塞「……ん、電話?胡桃から?」
塞「もしもし……」
胡桃『塞!?今朝の新聞見た!?やばいよ!』
塞「うん……?見てないけど、どうしたの?」
胡桃『とにかく早く見て!』
塞「うん……」
『女子高生、握手会ではやりんに熱烈告白!!』
塞「……ごばぁっ!!?」
塞「い、いや、落ち着け、まだシロと決まったわけじゃない……」
『×日午後、人気アイドル雀士瑞原はやりプロ(28)の握手会で、岩手在住の女子高生Kさんが……』
塞「…………」ピクピク
塞「なにやってんだあいつはああああああああああああ!!?」
はやり『いやー、あれには驚きましたね☆』
塞「……ん?」
アナウンサー『最近の若者は非常識といいますが……』
はやり『でも、あれほどのファンがいてくれると思うとうれしいですねっ☆』
塞「……○ざましテレビ?」
塞「全国ネットオオオオオオオオオオオ!!?」
塞「みんな、今朝の新聞とテレビ見た!?」
胡桃「見たよ!本当に何やってんのシロ!」
エイ「? ? ?」
豊音「エイスリンさんは見てないんだねー……実はかくかくしかじかでー……」
エイ「oh...」
塞「ほんとどうすんのこれ!?」
胡桃「どうしようもないよ!」
ガチャッ
白望「ただいま……何騒いでるの?」
塞「てめえは何してくれてんだああああああああ!!?」ガシッ
白望「ちょ、タンマ、首絞まる……」
塞「あんたの告白全国ニュースになってるよ!」
白望「……そこまでのことをした覚えは……」
塞「なにやったんだよ!」
白望「本当に大したことは……」
塞「えっ、えっ、」
白望「はやりんの目を見ながら」
塞「わ、私で実演すんなっ」
白望「『あなた好きです。私と付き合ってください』」
塞「……!」ボッ
塞「」フニャ~
白望「……って言っただけだよ。……塞?何ふにゃふにゃしてんの?」
塞「あ、あんた馬鹿なの!?衆人環視のなかそんなことするとか!」
白望「だってはやりんと二人きりになれる機会なんてないし……」
エイ「アグレッシヴ!」
胡桃「これって尊敬するべきなのかなぁ……」
豊音「シロ、ちょーすごいよ!」
塞「あーすごい。すごいのは認める。でもそれ以上に馬鹿だよ」
塞「だって、そんなことしたら牌のお姉さんのイベントなんてもう行けないでしょ」
白望「イベントのほうはね。ファンのみんなに殺されるかも」
胡桃「そりゃそーだ……」
豊音「はやりんは人気アイドルだからねー……」
塞「……イベントの『ほう』?」
ーーー
ーー
ー
白望「わが人生に一片の悔いなし……」
はやり「何言ってるの?」
白望「え、はやりん!?なんでここに!?」
はやりんの口調わからないんで適当ですー
はやり「だから文句のひとつでも言おうかなーって☆」
白望「ご、ごめんなさい」
はやり「……思ってたんだけど」
白望「?」
はやり「あなたのことが気になってね☆」
白望「……まじすか?」
白望(え?もしかして脈あり!?)
はやり「あ、もちろんOKはしないよ?」
白望「…………………………そうすか」
はやり「でも、これで終わりにするには惜しいな、とは思ったから」
スタッフ「そろそろスタンバイお願いしまーす!」
はやり「あ、はーい☆」
白望(スタッフ空気読めええええええ!!)
白望「はい……」
はやり「……名前は?」
白望「? 小瀬川白望です」
はやり「じゃあ、白望ちゃん……これ」スッ
白望「え?紙……?」
はやり「ばいばい☆」
白望「あ、はい……さよなら」
白望「……メールアドレス? ひょっとしてはやりんの!?」
白望「とりあえず一通送ってみよう」
白望「文面は……」
ー
ーー
ーーー
白望「ということがあって」
豊音「そのアドレス本物だったの!?本物だったらちょーすごいよ!」
白望「うん。返信も来た」
胡桃「いいのかアイドル……それでいいのか」
エイ「アイドルモ、ニンゲンッテコトサ……」ドヤァ
塞「何いいこと言った風な顔してんのさ……」
塞「!?」
胡桃「は!?」
エイ「マジデ!?」
豊音「すごーい!」
白望「全国までは絶対負けられない。練習始めよう!」
胡桃「まぁ、シロがやる気になったってことで……」
エイ「イイノカナァ……」
豊音「な、なんだかんだでシロがやる気になってくれてちょーうれしいよ!」
白望「待ってて、はやりん!」
おしまい
残:部長、クロチャー、衣、ちゃちゃのん、とーか、純、はっちゃん、すばら、タコス、小蒔、照、もーちゃん
最難関っぽいはやりんを最初に書いてみたけど意外とすらすら行けた不思議!
ひとりひとりこの長さだと終わる気がしないね!
頑張れ 期待してるで
壮大な構想だな
期待してる
Entry ⇒ 2012.09.25 | Category ⇒ 咲-Saki-SS | Comments (0) | Trackbacks (0)