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玄「彼女居ない歴0年です!」
玄「彼女居ない歴0年です!」
穏乃「うん、知ってるけど」
憧「冬にその格好は無いでしょ」
穏乃「え?ちゃんと防寒してるよ」
穏乃「手袋もマフラーもしてるし」
憧「それの前にもっと重要なところ防寒しようよ!」
憧「足とか見てて超寒い!」
穏乃「でも着込むと動き辛くなるし……」
玄「霜焼けとかしちゃうよ?」
穏乃「私そういうのは平気だから大丈夫!」
憧「信じられない……でもよく考えたら小学生からそうだった……」
穏乃「あ、12月といえば玄さん!」
玄「なに?」
穏乃「クリスマスイブの日って暇ですか?」
憧「麻雀クラブの子達とクリスマスパーティーする事になったんだよね」
穏乃「私と憧がサンタとトナカイやるんだー!」
憧「もう皆サンタとか信じてる年じゃないけど盛り上がりそうだし」
玄「多分大丈夫だと思うよ」
穏乃「やったー!」
憧「でも本当に良いの?」
玄「なにが?」
憧「だって折角のクリスマスイブだよ?」
憧「千里山の人と一緒に過ごさないの?」
穏乃「あ、そっか」
玄「……どうかな」
憧「え?予定とか話し合ってるでしょ?」
玄「ううん」
憧「何で!?」
玄「何でって言われても……話題に出なかったし」
玄「してないよ。普通に仲良しだもん」
憧「じゃあ誘ってみれば?」
玄「でももう予定入ってるかもだし……」
穏乃「とりあえず聞いて玉砕とか」
憧「玉砕したらダメでしょ……」
憧「でもしずの言うことにも一理ある」
憧「クリスマス会はダメだったらで良いし、一度聞いてみなよ」
穏乃「クリスマス会は朝から晩までやってるから、いつ来ても大丈夫!」
玄「うん……」
玄(あれからもう3ヶ月経ってるんだよね)
玄(一応名目上で恋人になってもらってるけど……)
玄(毎日メールや電話してるしお休みの日も時々一緒に遊びに行ったりもする)
玄(これ、普通に仲の良いお友達って感じだよね)ムムム
玄(本当の意味での恋人だったら躊躇無く誘えたりするんだけどなあ……)
玄(あの時は何も考えてなかったけど、考えると凄い微妙な関係だよ)
玄「文面どうしよう……?」
玄「普通に24日あいてますか?とかでいいかな」カチカチ
玄「送信っと。ふう……」
玄「断られたら断られたらですごいショックだよ!」
ブブブ……ブブブ……
玄「あ、メールきたかな……って電話?!」
ピッ
竜華『もしもし玄ちゃん?』
竜華『突然電話してもうてごめんなー』
玄「いえっ、全然大丈夫ですっ」
竜華『クリスマスの事なんやけどな?玄ちゃんその日開いてるん?』
玄「一応聞いてから埋めようかなって思ってたんですけど……」
竜華『午前中はちょっと用事あるから無理なんやけど』
竜華『午後からは予定入れてへんから、玄ちゃんがええなら一緒に過ごそー』
玄「え、良いんですか?」
竜華『どこ行くとかまだ決めてへんやろ?それちょっと話そうかー』
玄「はい!」
……
ピッ
玄「……ビックリ」
玄「OK貰っちゃった!」バタバタ
玄「午前中はクリスマス会に参加できるし!」
玄「クリスマスを2人で過ごすって如何にも恋人ってかんじ!」
玄「……まあ実際は違うんだけど」ハァ…
玄「ってことで午前中なら行けることになったよ」
憧「そう?良かったー……」
穏乃「みんな玄さん来れないかもって聞いたときのテンションの下がりっぷり凄かったよね」
憧「ほんとほんと」
玄「あはは、ちょっと嬉しいかも」
穏乃「玄さんの分のトナカイもあるから安心して下さいね!」
玄「え……私もやるの?」
穏乃「大丈夫大丈夫。玄さんにもきっと似合うから!」
玄「私もサンタさんが良かったなー」
憧「あー、ほら。玄の名前的に黒いサンタって不吉だから」
穏乃「え、そうなの?」
憧「そうそう。あくまで迷信だけど」
玄「うーん、残念かも」
憧「メリークリスマース!」
ギバ子「サンタさんだあああああ」
綾「もうそういう歳でも無いけどね」
穏乃「ケーキ開けようケーキ!」
憧「まだ始まったばっかだから!」ビシッ
晴絵「いやー、懐かしいなこの面子」ハハハ
灼「何で私まで……」
晴絵「あれ、麻雀部といえば宥の姿は見えないけど?」
灼「そういえば」
玄「あ、お姉ちゃんなら朝から居ないんです」
晴絵「何?……あいつ抜け駆けでもしたのか」
憧「もしかして白糸台の人と?」ヒソヒソ
玄「うん、多分 」ヒソヒソ
ひな「まだ私たちには早いお話の様子ー」
穏乃「ケーキ食べたいケーキ!」
ギバ子「ケーキ!」
憧「その前にプレゼント交換します!」
晴絵「ふっふっふ、私のが当たった奴は当たりだぞー?」
灼「社会人なのに学生よりしょぼいプレゼントは無いと思……」
ワイワイ オカネノカカッテルヤツガイイナー アカドサンノキニナルー
穏乃「私のは何かなー?」ワクワク
晴絵「お、玄のやつが私のじゃないか」
憧「晴絵のプレゼントって何よ」
玄「これ……本ですか?」ガサゴソ
晴絵「ふふふ、開けてみ?」
玄「えーっと……麻雀入門?」
晴絵「値段張ったんだぞー?」
晴絵「いやー、チビッ子どもにあげるつもりだったんだけどさ」
綾「え、そんなのもういらないよー!」
灼「微妙……」
穏乃「部室に常備すればいつか使えるかも!」
晴絵「あ、あれ?そんな微妙だったかな……」ションボリ
玄「あれ灼ちゃん?」
灼「特に思いつかなかったから」
ギバ子「やったあああああ」
ひな「私もボーリングしたい所存ー」
憧「お小遣いの少ない小学生にはお宝か」
晴絵(素直に図書券とかにしとくんだった…… )
玄「あ、それ私のプレゼントだよ」
憧「え、しず当たりじゃん」
晴絵「玄の手作りか?」
玄「はい。一応みんなの分も持ってきたのでプレゼントの意味無くなっちゃうけど……」
ギバ子「憧ちゃんのはー?」
憧「ふっふっふ」
憧「今からサンタさんのプレゼント争奪麻雀をします!」
玄「あ、だから交換に加わって無かったんだ」
穏乃「うおおおおお」
灼「結局麻雀なんだ」
憧「晴絵みたいに微妙なやつじゃないから安心してね」
晴絵「言ってくれるな」
灼「でも麻雀だと私達有利すぎだとおも……」
晴絵「ふふ、どーれ。久しぶりに本気出しちゃおうかなー?」
灼「大人げな……」
ギバ子「憧ちゃんのプレゼントだああああ」
……
穏乃「ロン!6400!」
晴絵「ぐああああ!」
憧「ねえ玄」ヒソヒソ
憧「もう行かなくて良いの?時間じゃない?」
玄「あ、もうそんな時間なの?あっという間だったよ」
憧「適当に言っといてあげるから行きなよ」
玄「ごめんね憧ちゃん。ところでプレゼントって結局何だったの?」
憧「あー、夢の国のペアチケットだよ」
玄「そんな高いやつ大丈夫だったの?」
憧「お姉ちゃんから貰ったやつだから平気平気」
玄「打算って?」
憧「小学生組がペアチケットなんて貰っても微妙でしょ?ていうか縛りしてたって多分私達の誰かが勝つし」
玄「憧ちゃん何だかせこいよ……」
憧「賢いって言って。ま、私が勝ったら玄にあげるから行ってきなよ」
玄「え、悪いよ」
憧「何なら宥姉のほうにあげてもいいし。ほら、時間だよ」
玄「う、うん」
玄(映画とかならまだしも、夢の国なんてハードル高いよー……)トボトボ
……
玄(約束の20分も前に来ちゃった……)
玄(いや、でもこれは電車とかが止まったりするかもしれないことを見越して来ただけであって)
玄(というか憧ちゃんが急かしたのもあるしっ)
玄(楽しみすぎて早く来たとかそういうことではないのです!)ウン!
ピトッ
玄「わひゃ!?」
竜華「だーれだー?」
竜華「あったりー」
竜華「早く来すぎたなあとか思ってたんやけど、玄ちゃんが居たからビックリしたわ」
玄「あ、え、えっと、これは電車の遅延とかを見越して来たらですね……」アタフタ
竜華「あー、今日雪降るとか言うてたしな」
玄「そう、そうなのです!」
竜華「何や、私と同じかなー思ってたのに。残念」
玄「へ?」
玄「!」
玄「あ、あの、私も、」
竜華「まあでも予定より早く会えたってことで結果オーライやんな」
竜華「早いけど、もう行こか?」
玄「はい……」
玄(私のバカ……素直に楽しみだったって言っておけば良かったのに……)ションボリ
竜華「さて、映画館に来たわけやけど」
玄「なに見るか決めてませんでしたね」
玄(今話題の恋愛小説ものとー、長編ファンタジーの一作目)
玄(あとなんか口コミで有名になったホラーに、女の子向けアニメのやつか……)
玄「何か見たいものとかあります?」
竜華「特に決めてきてないからなあ。今やってる映画も把握しとらんかったし」
竜華「玄ちゃん決めてええよ」
玄「じゃあえーっと」
>>60
玄「このホラーとかどうですか?」
竜華「玄ちゃんホラー好きなタイプなん?」
竜華「うちも怖いもの見たさでよく見るんよ」
玄「そうなんですか?」
玄(実はあまり好きじゃないんだけど……)
玄(所詮作り物だし……うん大丈夫大丈夫)
玄「口コミで有名になったらしいので、みんなそれで来たのかも」
竜華「クリスマスにホラー見るとか物好きやんなー」ハハハ
玄「それ、私達もですよ」
玄(大丈夫大丈夫)
……
「○○が行方不明?」
「どうしよう……絶対あれの仕業だよ!」
玄(始まったばかりなのに……)
玄(ううう……既に怖いよぅ……)ビクビク
ドタン!バタン! キャーーー!
「何今の悲鳴……」
「もうこんなところ居られない!私もう帰るから!」
「あ、今行ったら……!」
玄(やっ、やっぱり違うやつにしとけば良かったよーーー)ギューッ
玄(竜華さんは……?)チラッ
竜華「」ジーッ
玄(映画に見入ってる……)
玄(も、もう目を開けられない……)
「誰か、誰か居ないの!?」
「扉が開かない!!」
「ね、ねえ……あんたの肩……」
ピトッ
玄(わひゃあっ!?)ビクゥッ!!
竜華「うわっ」
玄(あ、い、今の手竜華さんのか……)
竜華「玄ちゃん大丈夫?」ヒソヒソ
玄(竜華さんはずっと見てたし、途中で出るのも悪いよね……)
玄「まだ大丈夫です……」ビクビク
竜華「そんならええけど……」ヒソヒソ
竜華「あ、じゃあ手繋ご」ギュッ
玄「え?」
竜華「実を言うと私もかなり怖いねん」アハハ
玄(……多分嘘だよね……)
玄(でもこれならまだ大丈夫かも……)
ザワザワ チョーコワカッタネー
竜華「めっちゃ怖かったなあ」
玄「今日の夜、私寝れないかも……」
竜華「最近はホラー系でハッピーエンドって見いひんもんな。今回のもそうやし」
竜華「あれきっと続編出るで」
玄「怖かったけど、続きは気になりますね」
竜華「そしたらまた一緒に見に行こか?」
玄「うっ」
玄「今度は違うやつ見ましょう!」ウン!
玄「どうしたんですか?」
竜華「いや、あれ玄ちゃんのお姉ちゃんやない?」
玄「え?あ、ほんとだ……」
竜華「また奇遇やんな?あの子らも映画見るんかな」
玄「そりゃここに居るんですし……」
竜華「どうする?話しかける?」
玄「うーん……」
>>75
竜華「そうする?おーい」
菫「!」ビクッ
宥「あ、玄ちゃん……」
玄「お姉ちゃん達も映画だよね?」
宥「うん……」
菫「」ダラダラ
竜華「?」
宥「えっとね……」
菫「ゆ、宥!もう時間だぞ!」
宥「え?あ、ほんとだ人入ってる……」ワタワタ
宥「ごめんね玄ちゃん」
玄「ううん楽しんでね」
玄「……結局何見るんだろう?」
竜華「それなら入り口の前に書いてあるんやない?」テクテク
玄「イメージ的にファンタジーのあれじゃないですか?」
竜華「あー、弘世さんに恋愛もののイメージ無いからなあ」
竜華「あ、でもギャップでそうやったらおもろくない?」
玄「それもそうですね。それにお姉ちゃん、恋愛系割とよく見るし」
竜華「2人が入ったんはあそこか。えーっと」
竜華「……プリキュア?」
玄(物凄いギャップだーーー!)
竜華「きっと小学生くらいから見とったんやな」
玄「そうですよね多分」
玄(最近お姉ちゃんが日曜日に早起きするなーと思ってたら……)
玄(これ見てたのかな?菫さん、お姉ちゃんに付き合って見てあげてるんだ。凄い)
竜華「意外なもん見たわあ……」
玄「大分外暗くなっちゃってますね……」
竜華「あの映画結構長かったしな」
玄「それに日が暮れるのも早くなったし……」
竜華「春が待ち遠しいなあ」
竜華「玄ちゃん、この後どっか行きたいとかある?」
玄「いえ、特にないですけど……」
竜華「そんなら、ちょう行きたいところあんねん」
玄「あ、それ雑誌で見たかも」
竜華「見に行かへん?ずっと見に行きたかったんやけど」
竜華「1人で見に行くのってめっちゃ寂しいやん?」
玄「私も見たいです!」
竜華「良かったー……。大分歩くけど平気?」
玄「田舎で歩きなれてるので!」
玄「……くしゅっ」
竜華「大丈夫?ちょう曇ってきたからなあ」
竜華「風邪引かんように温かくせんと……」
玄「大丈夫ですよ、私健康がとりえなので!」
竜華「そうは言うてもな……ほら」ギュッ
玄「あ……」
竜華「手、めっちゃ冷たいやん」
玄「竜華さんも大して変わらないですよ?」
玄「そこのコンビニでホッカイロとか買います?」
竜華「うーんそれもええけどな」
竜華「手ぇ繋いだら温かいで?」
玄「……どっちも冷たいですよ」
竜華「人肌が一番なんやで?ほら、行こ」テクテク
玄(でも何だか温かいかも)
玄(そういえば、誰かと手を繋いで歩くなんて最後にしたのいつだったかな……)テクテク
竜華「人めっちゃおるなー!さすが有名スポット!」
玄「ごった返してますねー」
竜華「こんだけ人おったらムードも何も無いやんなー?」アハハ
玄(……でも人は確かに多いけど)
玄(みんなカップルだよね……2人で行動してる人が殆どだし)
玄(うう、気持ち的に何か場違い感が……)
玄(表面上だけで、実際は違うし……)ションボリ
竜華「人混みとかあかんかったかな?」
玄「あ、いえ、そういうんじゃなくて」
玄「ちょっと場違い感がですね……」
竜華「場違い……ああ」
竜華「でも平気やろ?うちらも端から見たらカップルみたいなもんやで?」
竜華「手ぇ繋いどるし」
玄(端から見たら、ってだけだもん……)ションボリ
竜華「それ言われると何も言えへんなるわ」
玄「……ほんとにごめんなさい」
竜華「何?」
玄「何か私のつまらない意地に付き合わせちゃって……」
竜華「別に気にしとらんで」
竜華「いや、むしろ嬉しかったかも」
竜華「きっかけはまあ、ちょっと変わってるけどそれでも仲良うなれたわけやし」
玄「……確かにそうですね」
竜華「弘世さんとか、色々面白いもんも見れたしなあ」
竜華「もしかして玄ちゃんと結婚したら弘世さんをお義姉さん呼ばなあかん感じやんな?」
玄「!」
竜華「何かあの人怖いイメージあるから、そうなったら大変やろうなー」
竜華「実際は違うんやろうけど、大体の人は怯んでまうで?」
玄「う……確かにお姉ちゃんはどうやって仲良くなったんだろう」
竜華「世の中不思議な巡り合わせがあるもんなんやなあ」
竜華「あ、ほらイルミネーション見えてきたで」
竜華「綺麗やけど何か電気代気にしてまうな?」
玄「……確かに電気代凄そうですけど…」
竜華「まあそんなん気にしても何にもならんしな?」
竜華「素直にこれ堪能しよ」
玄(もしかしてお姉ちゃん達も映画見たら行くのかな?)
玄「お姉ちゃんとか喜びそう……」
竜華「あ、そういえば寒がりなんやっけ」
玄「はい。いつもは完全防備で……」
玄(……そういえば完全防備じゃなかったよね)
玄(……確かにデートでマスクとメガネは嫌だけど、大丈夫なのかな?)
竜華「玄ちゃん、こっちこっち」グイグイ
玄「え?でもそっち道から外れて……」
竜華「ええからええから」
竜華「もうちょい奥行くと全体が見渡せるんやってー」
玄「そうなんですか」
竜華「もうすぐ着くでー」
……
竜華「おお、確かによう見えるわ」
玄「ほんとだ!」
玄(穴場なだけあって人少ない……急に静かになっちゃった)
玄(それに完全にカップルだけしか居ない……)
玄「そうですね。人混みって案外体力を使いますし……」
竜華「私もそこまで人混み得意なわけやないから」
竜華「ここで休憩できたらなって計算もあったん。綺麗やし」
竜華「まあそれだけやないんやけど」
玄「他にも何かあったんですか?」
玄「それってここからのほうが綺麗とかじゃなくて?」
竜華「元々ここにはここらで有名なジンクスみたいなのがあるって聞いてん」
竜華「あとは願掛けみたいなのも兼ねてかな」
玄「どんなジンクスがあるんですか?」
竜華「ん、まあそれはおいおいな。ジンクスが成立するか分からんし」ボソッ
玄「??」
玄(何だかここに居ると目のやり場に困るような……)
玄(な、何も無いのに緊張してきた)ドキドキ
竜華「……きっかけはどうであれ、仲良うなれて嬉しいって言うたやん?」
玄「え、あ、はい!」
竜華「まだ短いけど玄ちゃんと一緒におると楽しいねん」
玄「それは私も……です」
玄「私もしてますよ?」
竜華「休みの日に遊びに行くんも楽しいしな?」
玄「私も楽しいです」
竜華「まあ、うん、それでそれは玄ちゃんやからやとうちは思うねん」
玄「私も竜華さんだからこんなに楽しいんだと思ってますし」
竜華「……」
玄「……??」
竜華「回りくどいんは駄目やな私」ハハ
竜華「ちゃんと言葉考えてたんやけど、頭真っ白になってもうた」
玄(……ひょっとして、ひょっとする?)ドキドキ
竜華「玄ちゃん」
玄「は、はいっ」
竜華「好きです。付き合って下さい」ペコッ
玄「え、えっと、その、」アワアワ
竜華「今までの名目だけの恋人やなくて、本当の恋人になりたい」
竜華「まだ仲良くなって3ヶ月くらいやし、いきなり好きとか言われても信用できへんかもしれんけどっ」
玄(も、もしかして竜華さんテンパってる?)ワタワタ
竜華「時間とかはこれから埋めていけると思うし、」
玄「……竜華さん」
竜華「いや、これ私が勝手に勘違いしとるだけで玄ちゃんにとっては迷惑やったかもやけどっ!」
玄「竜華さん!」
竜華「」ビクッ
竜華「……うん」
竜華「……それで、返事教えてくれると嬉しい」
竜華「駄目やったら恨むとかそんなん全然無いから、正直に答えて欲しいと思ってる」
玄「竜華さん本当は迷惑だとか思ってないのかなって」
竜華「そんなことないって!」
玄「それで、最初は皆に嘘を通せたことでホッとしてたんですけど」
玄「段々寂しくなってってる自分も居て」
玄「何でなのかなって最初不思議だったんですけど、私、」
玄「……私も竜華さんのこと、好きです」
竜華「……玄ちゃん」
玄「はい、本当に」
竜華「……」ポロポロ
玄「え!?ど、どうして泣いちゃうんですか?」
竜華「あ、これ嬉し泣きやから心配せんとって……」
竜華「ほんまはめっちゃ不安やってん……映画とか見てる時からずっと……」
竜華「人に告白なんてしたこと無いし、断られたらほんまどうしたらええんか分からなくて……」
玄(竜華さんもこうやって泣くんだ……)
玄(……最初に告白するほうが怖いんだもん。当たり前だよね)
玄「私も……ってのはおかしいですね」
玄「えっと……よろしくお願いします」ペコッ
竜華「うん。大事にする……って言い方もおかしいなあ」
玄「……それで一つ聞きたいことがあるんですけど」
竜華「ん?」
玄「ここのジンクスって何ですか?」
竜華「凄いありがちなもんやで?特別なこととか何も無いし」
玄「聞きたいです」
竜華「……ここに来たカップルはずっと一緒で居られるとかそんなん」
玄「そういうジンクス、自分にはずっと無縁なものだと思ってたんですけど」
玄「……何か凄い嬉しいです」
竜華「……うん、そやな。最高のクリスマスプレゼントになったわ」
玄「……ん?」
玄(プレゼント……?)
玄(あーーーー!)
玄(クリスマス会の時に置いてきちゃった!)アワワワ
竜華「玄ちゃん?」
玄「……ごめんなさい竜華さん 」
竜華「……え」
竜華「……それはやっぱりキャンセルとかそういう……」
玄「そういう事じゃなくてですね、プレゼント持ってくるの忘れました……」
竜華「あ、なんや、そんな事か」
竜華「今日、午前中まるまる使おうて探したんやけど見つからんくて」
竜華「せやから気にせんといて?」
玄「……でも……折角だったのに……」
竜華「ふむ」
竜華「そんなら……うーん」ムムム
玄(何で忘れてきたんだろう私……)
竜華「玄ちゃん、念の為に聞きたいことあるんやけど」
玄「何ですか?」
竜華「ファーストキスはまだやっとらん?」
玄「……したことないですけど」
竜華「ああ、そんなら良かった」
玄(……え、もしかして……)
玄「そ、それだと竜華さんはファーストキスじゃないみたいですよ」
竜華「いや、ファーストキスやで?玄ちゃんにとってのプレゼントになるか分からんし」
玄「プレゼントですよ!嬉しいです!」
竜華「そんならええ?」スッ
玄「……で、でも人目があるし」
竜華「元々ここそういう所やし。皆目の前の子ぉに夢中で周りなんか見てないで」
玄「う……」
竜華「玄ちゃん」
玄(どどどどうしよう、緊張して心臓が)バクバク
玄「わ、私も……」ドキドキドキ
竜華「そのうち慣れるとええなあ」
玄「はいっ」
竜華「目ぇ、瞑って?」
チュッ
玄「」
竜華「玄ちゃん」
玄「」ドキドキドキ
竜華「玄ちゃん、もう終わったで」
竜華「せやからキス終わったって」
竜華「でも私も冬なのにめっちゃ体火照っとるわ」フーッ
玄「私も汗かいてます……」
玄(何だか今凄い幸せかも)
玄(何だかんだいって、これは皆のおかげなのかな?)
玄「竜華さん」
竜華「うん?」
玄「これからも恋人としてよろしくお願いします!」
竜華「勿論!」
カン
恋人としてのイチャラブデート編も期待してます
真面目な竜華と玄の恋愛を書いてみたかったんだ
あとこれは宣伝になってしまうが、密かにこのSSの続きとして近いうちに渋のほうに小説上げると思う
乙!
Entry ⇒ 2012.11.19 | Category ⇒ 咲-Saki-SS | Comments (0) | Trackbacks (0)
綾乃「文化祭よ!」 まり「うに~」
綾乃「文化祭よ!」 まり「うに~」
結衣「どうしたの、まりちゃん」
まり「綾乃おねえちゃん……いつ遊びに来てくれるの?」
結衣「まりちゃんは綾乃に会いたいの?」
まり「うん♪」
結衣「うーん、まりちゃんのお願いを聞いてあげたいけど……」
京子「確か綾乃って……今凄く忙しいよな、結衣」
結衣「うん。文化祭がもう直ぐだし、その準備で生徒会は凄く忙しいはず」
京子「だよなー」
まり「ダメ……なの」ショボーン
結衣「うん。あからさまに落ち込んでいるな」ヒソヒソ
京子「だいぶ、綾乃に懐いていたしなー」
結衣「……そうだな」
京子「なぁ、結衣」
結衣「うん?」
京子「まりちゃんを文化祭に招待しようよ」
結衣「文化祭か……なるほど、それは良案だな」
京子「だろ~」
京子「ちょっちまっち」
結衣「なんだ、京子?」
京子「綾乃には内緒にしよう」ドヤ
結衣「……その理由は?」
京子「おもしr――じゃなくて、綾乃への感謝の気持ちを込めたサプライズ企画にしよう」ドヤ
結衣「……まぁ、それならいいか。だけど、私と京子だけじゃ無理だぞ」
京子「まぁ、そこらへんはあかりやちなつちゃんにも協力してもらうさ」
結衣「そうだな。あと、千歳や会長にも協力してもらおうか」
京子「なんだか、楽しくなってきたぞ」ニシシ
結衣「あはは、ごめんね、まりちゃん。一人ぼっちにして」
まり「ううん。平気だもん」
京子「お~、偉い偉い」ナデナデ
まり「えへへ」
京子「そんなまりちゃんにビッグニュース!」
まり「?」
京子「綾乃に会えるようにしてあげるよ、まりちゃん!」
まり「ほんと~?」
結衣「本当だよ、まりちゃん。ただ、来週まで待ってもらうけどね」ニコ
まり「わ~い、綾乃おねえちゃんに会える~」ニパァ
まり「ここがおねーちゃんの学校なの?」
結衣「そうだよ、まりちゃん」ニコ
まり「おお、すげぇ~」ワクワク
結衣「まりちゃんの目、輝いているな」クス
まり「ねえねえ、綾乃おねえちゃんに会えるの?」
結衣「今すぐに、という訳にはいかないけどね」
まり「そうなの?」シュン
結衣「うん。だから、取り合えずはごらく部の部室に行こう」
まり「ごらく部?」
結衣「お姉ちゃんや京子、あかりやちなつちゃんもいるところだよ」
まり「こんにちはー」
あかり「まりちゃん、いらっしゃ~い♪」
京子「お、まりちゃん、来たなー」
まり「きた~」
ちなつ「まりちゃん、久しぶりだね~」
まり「あ、ミラクるんのお姉ちゃんだ」
ちなつ「うう……名前を覚えてくれない」シクシク
結衣「まあまあ、ちなつちゃん」
京子「ちなつちゃん」
ちなつ「……なんですか」
京子「ミラクるんの衣装持ってきているよ!」ニコ
ちなつ「着ませんよ!」
あかり「あ、あかりは着てみたいな~」
あかり(コムケの時は、ガンボーだったし、人間のキャラをやりたいよぉ)
あかり「あ、あかりはスルーされたよ~!」\アッカリ~ン/
まり「……」チラッ
ちなつ「……」
まり(ミラクるんのお姉ちゃん……何だか凹んでいる?)
まり「今日は……」フルフル
ちなつ「……」ホッ
京子「そっか、残念だな~」
あかり「そ、そうだ、まりちゃん」
まり「?」キョトン
まり「そうなの?」
あかり「うん。あ、でも、あかりたちもクラスの出し物の当番があるから、交代交代だけどね」
まり「交代交代?」
結衣「うん。私も京子もあかりもちなつちゃんも、みんなクラスの出し物があるんだよ」
まり「おお~。おねーちゃんの所に行ってみたい」ワクワク
京子「おー、いいぞ。どんと来い!」
ちなつ「私達の所にも来てね」ニコ
まり「うん」
まり「」パチパチ
あかり「まりちゃんは、何処か行きたい所ある?」
まり「えーと、なにがあるの?」
あかり「食べ物屋さんがあったり、ゲーム屋さんがあったり、色々とあるんだよ~」
まり「うにぃ~♪」
あかり「うう……それは流石にないよぉ」オロオロ
まり「うにぃ~」ショボーン
あかり(ま、まりちゃんが落ち込んでいるよぉ)オロオロ
あかり「ふえ~、お姉ちゃんに、ちなつちゃんのお姉ちゃん?」
ともこ「こんにちは、あかりちゃん。あら、その子は?」
まり「……」ギュッ
あかね(くっ、あ、あかりのスカートの裾を握るなんて!)ギリッ
ともこ(ちなつにも、あんな時期があったわね)
まり「!」ビクッ
まり(あのおねえちゃん……なんだか怖い……)ビク
あかり「あ、まりちゃん。あかりのお姉ちゃんと、ちなつちゃんのお姉ちゃんなんだよ。だから、大丈夫だよぉ」ニコ
まり「……そうなの?」ギュッ
あかね(ただ子供があかりに懐いているだけ! そこに、そこに恋愛感情はないはずよ!)
ともこ(あ~、赤座さんはいつ見ても綺麗だわ)
あかり「お姉ちゃん。まりちゃんは結衣ちゃんの親戚の子なんだよぉ」
あかね「……確かに結衣ちゃんの小さい頃にそっくりね」
まり「こ、こんにちは……」
ともこ「こんにちは、まりちゃん」ニコ
あかね「うふふ、小さいのに礼儀正しいのね」ニッコリ
あかり「ところで、お姉ちゃんたちはなんでここにいるの? 今日は用事があるって言ってたよね?」
ともこ「赤座さんと一緒に、ちなつやあかりちゃんの様子を見に来たのよ」
ともこ(でも、これって……赤座さんとのデートみたいなものよね///)
あかね「ええ、二人を驚かせようと思ったのよ」
あかね(勿論、それもあるけど……私の真の目的は、あかりのメイド服姿を見るためよ!)
あかり「そうなんだ~。もう、あかりは驚いたよぉ」ニコニコ
あかね「あらあら。それは成功ね」ニコニコ
あかね「ところで、あかりは今何をしているの?」
あかり「あ、まりちゃんを案内しているんだよねぇ~」
まり「ねぇ~」
あかね(ああ、この二人で『ねぇ~』のポーズは破壊力満点だわ!!)
あかり「そ、そんなことないです」アセアセ
あかね「ふふふ。でも、私も久しぶりに母校をじっくり見学したいわ。だから、また後でね。あかり、まりちゃん」ニコ
あかり「うん。また後でね~、お姉ちゃん」ニコ
ともこ「ばいばい、あかりちゃん、まりちゃん」
まり「ばいばい」
あかり「それじゃー、あかりたちも出発だよ~」
まり「うん」ニギッ
綾乃「でも、みんなの笑顔が見ることができるのなら、ノンノンノートルダムよ!」
綾乃「あら……ひょっとして、迷子かしら?」
花子「まさか、私が迷子になるなんて、思っていなかったし」
綾乃「大丈夫?」
花子「え!?」ビクッ
綾乃「あ、驚かしちゃった?」
花子「だ、大丈夫だし……別に、迷子になっていないし」
綾乃「あらあら、そうなの」クス
花子「あっ」カァー
綾乃「誰か探している人がいるの?」
花子「……姉ちゃんを探しているし」
綾乃「そっか。なら私に任せなさい。これでも私は、生徒会の人間なのよ」ビシッ
綾乃「ええ、そうよ」
花子「あ……だったら、櫻子を知っているし?」
綾乃「櫻子さん? ああ、大室さんのことね……ひょっとして、あなた?」
花子「いつもバカな姉がご迷惑をかけているし」ペコ
綾乃「そ、そんなことないわよ」
綾乃(時々プリンを食べちゃうし、色々困らせてくれるけれど……)
綾乃「大室さんの元気な姿は、生徒会の雰囲気を明るくしてくれるわ」
花子「意外……だし」
楓「花子おねえちゃん」
花子「撫子姉ちゃんに、楓!」
綾乃「家族の方ですか?」
撫子「花子、こちらは?」
花子「櫻子と同じ生徒会の人で……名前、聞いていないだし」
綾乃「生徒会副会長の杉浦綾乃と申します」ペコリ
撫子「これはこれはどうもご丁寧に。花子の姉の大室撫子です」ペコリ
楓「えーと、楓は古谷楓って言うのー」
綾乃「古谷って……ひょっとして、古谷向日葵さんの妹さん?」
撫子「ああ、楓はひま子の妹だよ」
綾乃(ひま子? ああ、向日葵さんだからひま子なのね)
綾乃「ふふふ、楓ちゃんは古谷さんのことが大好きなのね」ナデナデ
楓「うん♪ 大好きなの~」ニッコリ
花子「うう、楓ばかりナデナデされて羨ましいし」
撫子「嫉妬か」ニヤニヤ
花子「ち、ちげぇし!」
楓「花子おねえちゃんにも、ナデナデしてあげてほしいのー」
綾乃「ええ、いいわよ。花子ちゃん、いらっしゃい」
花子「……よろしく、お願いするし」
綾乃「わかったわ」ナデナデ
花子「げぇ、櫻子!?」
撫子「よう、櫻子」
櫻子「あ、ねーちゃんも来てたのか? 暇人だな」
撫子「」プチッ
向日葵「このおバカ! 何を言っているんですの!」
楓「あ、おねえちゃん」
向日葵「楓、いらっしゃい。撫子さんと花子ちゃんもいらっしゃい」ニコ
花子「ひま姉、こんにちはだし」
撫子「相変わらず、ひま子はいい子だね。それに比べて……」ハァ
櫻子「な、なんだよ……その残念な子を見るような目は!」
向日葵「……自覚していないですのね」ハァ
櫻子「?」
櫻子「……なんで来たんだっけ?」
向日葵「……おバカにも程がありますわよ」
撫子「こんなんでよく生徒会役員なんかやっていられるな」
花子「櫻子以外が優秀なんだし」
楓「さ、櫻子おねえちゃんにも、いい所はあるの~」アセアセ
櫻子「うう、楓だけが私の味方だよ」ギュウウウウウ
楓「く、苦しいの~」
綾乃(なんだかんだ言っているけど、本当に仲がいいわね)クス
綾乃(ところで、この二人は何で私のところに来たのかしら?)
まり「綾乃おねえちゃんに会えるの?」ワクワク
京子「あー、ごめん。まだ、無理なんだ」
まり「そうなの」シュン
京子(うわ~、あからさまに落ち込んでいるな)
京子「ま、まずはあかりやちなつちゃんのクラスに行くぞ」
まり「う、うん」
まり「おー」
千歳「あら、歳納さんやないか~」
京子「お、千歳に……」
千鶴「」チッ
京子「千鶴~、ちゅっちゅ~♪」
千鶴「歳納なんたら、てめぇーなg……」
まり「……」ジー
京子「…………あれ?」
京子(いつもなら、ここで千鶴の激しいツッコミがくるはずなんだけど……)
千鶴(くっ、さ、流石に小さい子の前で殴るのは……)チラッ
まり「……」キョトン
千鶴(いくら相手が歳納なんたらとはいえ不味いよな)
京子「あ、この子はまりちゃんって言って、結衣の親戚の子だよ」
千歳「あー、ひょっとしてこの子が綾乃ちゃんが言っていた子なんやね」
千歳(そして、今日のメインの子やね)キラ-ン
まり「メガネのおねえちゃんは、綾乃おねえちゃんを知っているの?」
千歳「勿論やで。綾乃ちゃんは私の大切な友達なんやで」
京子「そういえば、千歳」
千歳「どうかしたんか、歳納さん?」
京子「綾乃はまだ忙しいの?」
千歳「うん、そうやな~。さっき一度生徒会室に戻ってきたけど、また直ぐに出て行ってしもうたでぇー」
千鶴「おい、歳納なんたら」グィ
京子「ち、千鶴……今日は積極的だな」テレテレ
千鶴「勘違いするな」
京子「あはは、分かっているよ。それで、なんだ、千鶴?」
千鶴「あ、あの子と杉浦さんと、どんな関係があるんだ?」
京子「まりちゃんと綾乃の関係か?」
千鶴「……」コクン
京子「えーと、それは……」
まり「綾乃おねえちゃん、大スキ~」ニパァ
千歳「綾乃ちゃんとまりちゃんか……………それはそれでありやで!」ポタポタ
まり「お、おねえちゃん。鼻血がでているよ!」アセアセ
京子「て、ティッシュ、ティッシュ!」
千鶴「姉さん、はい」
千歳「ありがとうな、千鶴」フキフキ
まり「おねえちゃん、大丈夫?」
千歳「まりちゃんも心配してくれて、ありがとうな~」
千鶴「あ、いつものことだから気にしないでね、まりちゃん」
まり「う、うん……」
まり(鼻血を出すことが、いつものこと?)
千鶴(ちょっと困った表情もかわいいな~)ポー
千歳「なんや、歳納さん」
京子「ひょっとして、千鶴は……いや、なんでもないや」
千歳「ん~、多分歳納さんが思っていること、間違いじゃないと思うで」
千鶴「ばいばい」
千歳「ほな、また後でな~」
京子「それじゃー、あかりたちのメイド喫茶に入るぞ、まりちゃん!」
まり「おー」
あかり「お、お帰りなさいませ、お、おじょうさま///」
ちなつ「もう、あかりちゃんってば、そんなに照れなくてもいいのに」
あかり「え?」
ちなつ「だって、京子先輩とまりちゃんだよ」クス
あかり「え、えええええええ!?」
京子「あかり。お出迎えご苦労! って、全く気付いていなかったのかよ」
ちなつ「さっきからずっと照れっぱなしなんですよ」クス
京子「まぁ、あかりらしいといえば、あかりらしいんだけど」クス
ちなつ「そうですね」
あかり「京子ちゃん! ちなつちゃん!」プンプン
まり「なぁに?」
ちなつ「私やあかりちゃんのメイド服姿……似合っているかな?」
まり「えへへ、似合っている」
ちなつ「うふふ、ありがとう」
あかり「ほ、本当? 嬉しいな~」パァー
京子「あかりはかわいいんだし、もっと自信を持ってもいいと思うぞ」
あかり「き、京子ちゃん?」
ちなつ「京子先輩……いたんですね」
京子「ひどっ!」
ちなつ「ふふふ、冗談ですよ、京子先輩」
京子「そ、そうだよ。私があかりみたいに影が薄いなんて有り得ないよな」
あかり「ひ、ひどいよ、京子ちゃん!!」
京子「ははは、冗談だよ、あかり。でも、メイド服が似合っているのは本当だぞ」
あかり「京子ちゃん///」カーーー
ちなつ「どうしたの、まりちゃん?」
まり「京子おねえちゃんはツンデレ?」
ちなつ「言われてみれば、そうかも」
ちなつ(それにしても、まりちゃんはどこでこんな言葉を知ったんだろう)
まり「うーんと、ミラクるんの同人誌でよく出てくる」
ちなつ「……同人誌?」
まり「うん」
京子「ふぎゃん!」
あかり「ち、ちなつちゃん。ぼ、暴力はよくないよぉ」オロオロ
ちなつ「まりちゃんに同人誌を見せるなんて、まだ早いですよ」
京子「??」
あかり「あわあわ」
まり「……早く席に着きたいな」ボソ
あかね「あ~、メイド服姿でおろおろするあかりもかわいいわ」ウットリ
ともこ(赤座さんとデート♪ 赤座さんとデート♪)
まり「うん」コクン
まり「何処に連れて行ってくれるの?」
ちなつ「勿論、結衣先輩のクラスよ!」
まり「おお、おねーちゃんのクラス」ワクワク
ちなつ「それに、まりちゃんが会いたがっている杉浦先輩のクラスでもあるんだー」
まり「おお」キラキラワクワク
ちなつ(結衣先輩の時より、目を輝かせているのが納得いかないけど)
ちなつ「さ、行きましょう」
まり「うにぃ~」
綾乃「気のせい……みたいね。それにしても、今日はてんてこ舞いだわ」
まり「はやく、はやく」
ちなつ「はいはい」
ガラガラ
結衣「い、いらっしゃいませ」
ちなつ「!?」
結衣「ち、ちなつちゃん?」アセアセ
まり「わ~、おねーちゃんのパンダさんかわいいよ~」
結衣「あ、ありがとう、まりちゃん」テレッ
まり「えへへ」
ちなつ「はっ! 結衣先輩、素敵です~~」
結衣「ち、ちなつちゃんもあ、ありがとう」テレ
京子「結衣はさっきから照れまくりだな」ニヤニヤ
結衣「殴るぞ」ボコ
京子「って、もう殴っているぞ、結衣」
京子「トメィトゥ」ドヤッ
まり「……」
結衣「うん、こういう反応が当然だよな」
ちなつ「それにしても、どうして京子先輩だけ野菜なんでしょうね」
京子「それは京子ちゃんが真の主人公だからさ!」
ちなつ「意味が全くわかりません」イラ
結衣「」イラ
まり「あかりおねえちゃんが主人公じゃないの?」
京子「うっ!」
ちなつ「流石の京子先輩も、子供の純真な眼差しには弱いんですね」クス
結衣「そうみたいだな」クス
まり「!?」
ナ、ナンダ、イマノバクハツハ!
ちなつ「……爆発って」タラー
ドウヤラ、リカシツデバクハツガアッタミタイダゾ
結衣「……理科室って」タラー
マタ、ニシガキセンセイガヤッタミタイヨ゙
京子「やっぱり、西垣ちゃんかよ!!」
綾乃「またですか、西垣先生!」
西垣「おお、杉浦か」
綾乃「な・に・が、『おお、杉浦か』ですか!」
西垣「怒るな、杉浦」
綾乃「怒らせるようなことをしているのは、どこの誰ですか!」
西垣「だが実験に失敗はつきものだ」ドヤ
綾乃「だからって、この忙しい時に、実験をして爆発を起こさないでください!!」
西垣「だが断る!」
綾乃「って、そんなに力強く断言しないでください」グッタリ
まり「おねーちゃん、着替えちゃったの?」
結衣「う、うん」
まり「おねーちゃんのパンダさん、とってもかわいかったもん」ニッコリ
結衣「まりちゃんも、ちなつちゃんと同じようなことを言うんだね」
まり「そうなの?」
結衣「まりちゃん、そんなことよりも」
まり(あ、おねーちゃん、話を逸らした)
結衣「お待ちかねの綾乃の所に行こうか」ニコ
まり「わぁーい、綾乃おねえちゃんに会える」ニコニコ
結衣「うん。綾乃はいつもここでみんなのために頑張っているんだよ」
まり「うん」ギュ
結衣(まりちゃんの手がすごく汗ばんでいる)
結衣「ノックするけど、心の準備はいい?」
まり「……」コクン
コンコン
結衣「失礼します」
まり「し、しちゅれいしまちゅ」
結衣(あ、噛んだ。カワイイな♪)
まり(は、恥ずかしい)マッカカ
結衣「あ、会長。こんにちは」
まり「こ、こんにちは」
りせ「……」ニコ
まり「ね、おねーちゃん? なんであの人喋らないの?」ヒソヒソ
結衣「喋れないじゃなくて、声が小さいだけなんだよ、まりちゃん」ヒソヒソ
りせ「……?」
結衣「ところで、会長お一人だけですか?」
りせ「……」コクン
まり「あ、綾乃おねーちゃん……いないの?」
りせ「……、……」フゥ
結衣「あ……ひょっとして、さっきの爆発の所為?」
りせ「……」コクン
結衣「あ、まりちゃん……」
結衣(綾乃に会うことを、よっぽど楽しみにしているんだな)
りせ「……」ナデナデ
まり「なでなでしてくれて、ありがと~」ニコ
りせ「///」キュン
結衣(……ひょっとして、会長も堕ちたたのか?)
りせ「……」ナデナデ
結衣「きっともう直ぐ戻ってくるはずだ」
まり「……本当?」
りせ「……」ニッコリ
結衣「会長も頷いているし、ここで、綾乃を待っていようよ。まりちゃん」ニッコリ
まり「うん」ニッコリ
綾乃「ありがとう、千歳」
千鶴「杉浦さん、お疲れ様でした」
綾乃「千鶴さんもありがとう」ニコ
千歳「でも、綾乃ちゃんは今日は働きすぎやで」
千鶴「姉さんの言うとおり。杉浦さんも少しは文化祭を楽しむべき」
綾乃「う、でも仕方ないでしょ。これが副会長としての役目なんだから」
千歳「それはそれとしても、綾乃ちゃんは働きすぎなのは確かなことや」
綾乃「で、でも」
千歳「綾乃ちゃんが準備から色々と頑張ってきたのは、みんな知っとる」
千鶴「だから、杉浦さんが休んでも文句を言う人はいません!」
綾乃「ありがとう二人とも。でも、まだまだ余裕ありま温泉y……」グラリ
千鶴「す、杉浦さん!?」
綾乃「だ、大丈夫よ。ちょっと、眩暈がしただけ――」
千歳「全然大丈夫じゃないやで、綾乃ちゃん!」
千鶴「姉さんの言うとおりです。休む時はしっかりと休むべきです」
綾乃「千歳、千鶴さん……そうね。貴女たちの言うとおりね」クス
綾乃「生徒会室で少し休ませてもらうわ。だから、後はお願いね」ニッコリ
千歳「任せとき」
千歳「ふふふ、それに綾乃ちゃんには待ち人がおるしな~」
綾乃「待ち人?」
千鶴(待ち人って、さっきのあの可愛い女の子のことなのかな?)チクッ
千歳「それは行ってからのお楽しみやで」
綾乃「う、うん」
綾乃(……変な千歳ね? でも、その厚意はありがたく受け取るわ)
結衣「誰からのメールだろう」
結衣「……」
まり「おねーちゃん?」
結衣「会長、ちょっといいですか」
りせ「……」
結衣「カクカクシカジカということで協力お願いできますか」ヒソヒソ
りせ「……」コクン
まり「おねーちゃん、どこか行くの?」
結衣「うん。ちょっと会長と一緒に行かないといけない用事が出来たんだ」
結衣(うう、下手な言い訳だよな。これって……)
まり「そうなの?」
まり「……うん」
結衣「まりちゃん、ごめんね」
りせ「……」ナデナデ
結衣「本当にすぐに戻ってくるからね」
まり「うん。わかった~」
ガラガラ
まり「一人になっちゃった」
まり「おねーちゃんたち……早く帰ってこないかな~」
まり「ひま……うにぃ~」
まり「おねーちゃん?」
綾乃「会長、ただいま戻りm……え!?」
まり「あ、綾乃おねえちゃ~~ん」パタパタ
綾乃「え、え、え!?」
綾乃(ななななな何で、まりちゃんがここにいるの!?)
まり「おねえちゃんに会いたかったもん」ダキィ
綾乃「!?」
まり「おねえちゃんは……まりに会えて、嬉しくないの?」
綾乃「ううん。そんなことある訳がナイ・ナイ・ナイアガラよ!」
まり「ほんとう?」
綾乃「勿論よ。私もまりちゃんに会いたかったわ」ニコ
まり「えへへ」ニコ
綾乃(あ、まりちゃんの笑顔でさっきまでの疲れが吹っ飛んでいくわ)
まり「かいちょう?」
綾乃「ああ、えーと、黒髪で小柄で大人しそうな人よ」
まり「……おねーちゃんと一緒に出かけた~」
綾乃「船見さんと?」
まり「うん」
綾乃(何か緊急の用件が発生したのかしら?)
まり「おねえちゃん」ギュ
綾乃「ところで、まりちゃんはどうしてここに?」
まり「綾乃おねえちゃんに会いにきた~」ニコ
綾乃「うふふ、それは光栄ね」ニコ
まり「おねーちゃんはそうするつもりだったけど、京子おねえちゃんがさぷらいずって言っていたー」
綾乃「歳納京子が?」
綾乃(そうなると、船見さんもこれに噛んでいると考えられるわ)
綾乃(それにさっきの千歳の言動からすると、千歳もグルであると考えるのが妥当ね)
まり「ねぇねぇ、綾乃おねえちゃん」
綾乃「なぁに?」
まり「綾乃おねえちゃんに絵本を読んでもらいた~い」
綾乃「絵本ね、いいわよ。でも、この部屋にあったかしら?」
綾乃「あら? 誰かしら」ピッ
綾乃「……歳納京子から?」
綾乃「なになに」
京子『困っている綾乃にプレゼントだよ~。会長ちゃんの机の横にある紙袋を進呈!』
綾乃「紙袋……これのことかしら?」ガサゴソ
まり「おねえちゃん、何が入っているの?」
綾乃「さぁ……あら、これは!」
まり「あ、絵本だぁ」
綾乃(歳納京子はここまで見通して、これを準備してくれたのかしら? だとしたら――)
まり「絵本以外にも、何か入っているよ。おねえちゃん」
綾乃「あら、本当だわ。こ、これは……」
綾乃「そ、そそそそんなことないわよ///」カァーー
まり「まりもおねえちゃんみたいに大きくなるのかな~」
綾乃「えーと、まだ、まりちゃんは心配するような歳じゃないわよ」アセアセ
まり「そうなの?」
綾乃「ええ、今のまりちゃんは、私がまりちゃんのくらいの年頃と全く変わらないわよ」アセ
まり「将来有望?」
綾乃「えーと……」
綾乃(ど、どう答えればいいのよ!?)
綾乃(まりちゃんは、船見さんの親戚の子よね。そうなると、船見さんみたくなるのかしら)
綾乃(船見さんって、私よりスタイル……いいわよね)ジー
まり「おねえちゃん。ジッと見られると恥ずかしい///」
綾乃「ご、ごめんなさい」アセアセ
綾乃(まだ、まりちゃんは子供よ。私は子供相手に何を考えているのよ!?)
綾乃(で、でも、まりちゃんも船見さんみたいになったら……)ズーーン
まり(お、おねえちゃんが凹んでいる!?)
綾乃「と、取り合えずは会長や船見さんが戻ってくるまでに着替え終わりましょう」
まり「は~い」
綾乃「あ、ありがとう///」
まり「おねえちゃん、おねえちゃん。まりのもかわいい?」
綾乃「え、ええ……か、可愛いわよ」
まり「うにぃ~♪」ニコニコ
綾乃(本当に幸せそうな顔をしているわね)
まり「うにになれる夢が叶った~。うにぃ~♪」
綾乃「よ、よかったわね。夢が叶って……」
綾乃(しかし、うにの軍艦巻きの着ぐるみパジャマで喜ぶまりちゃんって、ちょっと変わっているわ)
まり「うにぃ~♪」
綾乃「さぁ、まりちゃん。こっちに来て」ポンポン
まり「は~い」トテトテトン
綾乃「え!?」
まり「えへへ、おねーちゃんのおひざの上でいつも絵本を読んでもらっているの~」
綾乃「そうなの?」
まり「うん。だから、おねえちゃんのおひざの上で読んでもらいたいな~」ウワメヅカイ
綾乃(そ、その上目づかいは反則よ! 可愛すぎて、罰金罰金バッキンガムよ!)
まり「おねえちゃん……ダメ?」
綾乃「ふふふ、いいわよ」ニッコリ
まり「わ~~い♪」
綾乃「それで、まりちゃんはどの絵本を読みたいの?」
まり「えーと……これ~」
綾乃「分かったわ。それじゃ、コホン。むかーし、むかし――」
…………
………
……
…
まり「……」スヤスヤ
綾乃「あら。寝ちゃったのね」
まり「」スヤスヤ
綾乃「ふふふ、気持ちよさそうに寝ているわね」クス
綾乃「ちょっとこの角度から、まりちゃんの寝顔が拝見できないのが残念ね」
まり「おねぇちゃん……………だ~いすき~」ムニャムニャ
綾乃「私もまりちゃんのこと大好きよ」ニコ
まり「ふにゅ~い」
綾乃「何だか、まりちゃんの幸せそうな寝息を聞いていたら……」ウト
綾乃「私も……なんだか、眠く……なって……」ウトウト
綾乃「……」スヤスヤ
千歳「綾乃ちゃんが幸せそうに寝ておるな~」
りせ「……」ホッ
西垣「杉浦は働きすぎだから、丁度良かったな」
あかり「まりちゃんのうにパジャマかわいいね~」
ちなつ「でも、よくまりちゃんサイズのがありましたね」
京子「私のお手製だぞ」ドヤァ
千鶴「おまえは無駄にスペックが高いな」
櫻子「なぁ、なんで生徒会室に入らないんだ?」
向日葵「櫻子……少しは空気を読みなさい」
結衣「取り合えずは、作戦成功かな」
綾乃「まりちゃん、文化祭楽しかった?」
まり「うにぃ~♪」
おしまい
綾まりは、これでネタ的には(今の所)最後です。
今度はまりちゃんを誰と絡まそうかな。
うにかわいいように
できれば楓ちゃんとの絡みをお願いしたいうに
楓ちゃんとの絡みか。
ちょっと考えてみます。
うに~
Entry ⇒ 2012.11.19 | Category ⇒ ゆるゆりSS | Comments (0) | Trackbacks (0)
智葉「……ついてくんな!」照「……」
智葉「……ついてくんな!」照「……」
智葉「……はぁ」
智葉(一人になりたい気分だったとはいえ、ちょっと遠くに来過ぎたか)
智葉(……)
智葉(明日で全ての決着が着く)
智葉(清澄、阿知賀……そして、忌まわしき白糸台!)
智葉(今度こそ、と思いたいが……本当に倒せるのだろうか)
智葉(チーム虎姫、と言ったか。最後まで油断出来ない実に恐ろしい相手だ)
智葉(チーム全員が高いポテンシャルを秘めている、特に今年大将に選抜された一年が不気味だ……)
智葉(……それに、何よりも……)
智葉(あの宮永照と……彼女とまた激突する)
智葉(……今度こそ、勝てるのだろうか……?)
智葉(今の私は、彼女に本当に届いているのか……?)
智葉(……分からない)
智葉(ちょっと考え過ぎだな、私らしくもない)
智葉(頼れるチームメイト達もいるんだ、何も恐れることは無い)
智葉(……とにかく、勝負は明日だ。今弱気になっても仕方ない)
智葉(今度こそ、必ず……潰す)
智葉「……」
智葉「こんなところにいてもしょうがないし、もう少し風に当たったら帰って休むか」
智葉「しかし会場はあれだけ盛り上がっているのにこちらはまた随分と静かなもんだな」
智葉「まぁ、当然か……一人になりたくてここまで歩いてきた訳だし」
智葉「こういう東京の良さも全国から来てる奴らに少しは分かって欲しいものだ」ブツブツ
智葉「……」
智葉「ってホント、勝手にぶつくさ何言ってるんだか」
智葉「あっつ、いい加減かえろ」
智葉「ん?」
智葉「……あれは?」
照「……」
智葉(あれは……あいつは……間違いなく)
智葉(……宮永照!)
智葉(……?)
智葉(って、こんなところでなにやってるんだ、あいつ)
智葉(……なんか、悩んでる……のか?あれは)
智葉(うーん)
智葉(……声をかけた方がいいのか?)
智葉(……)
智葉(いや、やめておこう……あいつとは敵同士だし、ここで馴れ合うことはないしな)
智葉(……どうせ、大した用事でも無いんだろ)
智葉(ほっとくか)
智葉「……ん?」
智葉(お、おい……そっちは工事中だぞ)
智葉(突っ込んだら危ないが、声をかけるべきか……?)
智葉(……)
智葉(い、いや……あいつ私と同い年のはずだし)
智葉(流石にそこまで心配するのは高3を舐め過ぎだろう……だ、大丈夫だよな……)
智葉(だ、大丈夫……だよ、な……)
照「……」トットットッ
智葉(大丈夫……)
照「……」タッタッタッ
智葉「……」
この先、通行止め
照「……」
照「……えい」
智葉「……いやえいじゃねーよお前!そっち通れないから!」
照「……あなた、誰?」
智葉(……どうしてこうなったのだろうか)
智葉「……はぁ」
智葉「……辻垣内智葉、アンタに個人戦でボコボコにされた三位だよ」
照「……?」
照「……嘘」
智葉「いやなんでだよ」
照「私の知ってる去年の三位は眼鏡をしてたし髪も結わいていたと思う」
智葉「……」
智葉(ああそうか、こいつと卓以外で顔を合わせるのは初めてだったな……どうでもいいけど)
智葉「……普段は眼鏡もかけてないし、髪も結んでないだけ」
照「……そうなんだ」
照「……」
智葉(き、気まずいな……)
智葉「……と、とにかくそっちにはいけないから」
照「……!」
照「どうやらそうみたい」
智葉(今気づいたのか……)
智葉「……」
智葉「それじゃあ私はこれで」
照「……」コクン
トットッ
智葉「…………」
トットットッ
智葉「………………」
トットットットッ
智葉「……………………おい」
照「……何?」
智葉「なんでお前が私の後をついてきてるんだよ」
照「……?」カクン
智葉「何故首を傾げる」
智葉「どうした」
照「……率直に言うと」
智葉「うん?」
照「……道に迷った」
智葉「……は?」
照「……」
照「だから、道に迷った」
智葉「いや、二度言わなくていいから」
照「……」
智葉「どこから突っ込んだらいいんだ……」
照「私に聞かないで、これでも皆とはぐれてから二時間は歩いてるんだから」
智葉「……それはご苦労なことで」
照「うん」
智葉「……」
照「……」
智葉「で、私にどうしろと?」
照「ついていけば帰れるかなと、後喉が渇きました」
智葉「……私とお前は帰る場所が違うんだからついていっても無駄だぞ、そして後とか付け足して当然のように催促するのやめろ」
照「うう」
智葉「……お前、大体見たところ手ぶらのようだが財布とか持ってないのか?」
照「それが、忘れてしまって」
智葉「はぁ、ちゃんと持ち歩いておけよ……」
照「ほら、身につけてて落とすと大変だから」
智葉「そこはもう前提なんだな、というかさっき忘れたって言ってなかったか」
照「……」
照「とにかく、それで困っている」
智葉「……」
智葉「お前本当に私と同い年か?色々と呆れて物も言えないぞ……」
照「馬鹿にしないで、これでも学校の成績は悪くない方」
智葉「良いとは言わないのかよ、しかもこれでもって言うあたり自覚はあるんだな……」
照「自分のことはよく分かってるつもり」
智葉「……」
智葉「……はあぁぁぁぁ……」
智葉「……とにかく、お前の帰る場所なんて私は知らないしわざわざ飲み物を奢ってやる義理も無い」
智葉「悪いが付き合えそうもない、自分でどうにかしろ。じゃあな」
トットットッ
……トットットッ
智葉「……ついてくんな!」
照「……」
智葉(……)
智葉(……う、うーん)
智葉(無理やり振り切ってしまったが、宮永照は本当に大丈夫なのだろうか?)
智葉(……)
智葉(って何私はさっきから同じことばかり考えてるんだ!あんな奴のことどうでもいいだろ)
智葉(あいつにやられた時の屈辱を思い出せ、あいつに手を貸す必要は無い)
智葉(そもそも迷ったのだって財布を持ってきてないのだって自業自得だし)
智葉(ほっとけ)
智葉(……)
智葉(…………う)
智葉(な、なんだこの心のざわめきは……何故こんなに良心が痛む……)
ジリジリ
智葉(……)
智葉(暑い、な……)
智葉(あいつ、そういえば喉渇いたとか言ってたな……)
智葉(今年も脱水症状で倒れる人は多いって聞くし……)
智葉(……大丈夫、かな……)
智葉(……)
智葉(……ほんと、なんで私があいつの心配なんてしなきゃいけないんだよ……)
智葉(……でも気になるものは気になるし……)
智葉(……そうか!)
智葉(もしあいつがどこかで倒れたりして後で私の名前なんか出されたらこっちが困るしな)
智葉(……別にあいつのことなんてどうでもいい、あくまでこれは自分の為だ自分の為)
智葉(……)
智葉(そうと決まったら、早速様子を見に探しに行った方が良さそうだな)
智葉(まだ別れた場所から離れてないといいが……)
智葉「……」キョロキョロ
智葉(見当たらないな……どこに行ったんだ、あいつ)
智葉(あいつ、またどこか変なところに足突っ込んでないだろうか……)
智葉(……考えれば考えるほど心配になってきた)
智葉(うーん……これは不本意だがどこかで引っかかるかもしれないし)
智葉(名前を呼びながら探した方がいいかもしれないな)
智葉(あ、でもあいつのことなんて呼べばいいんだ……?)
智葉(……いや外でそれは恥ずかしいだろう、それに最悪あいつに伝わらないかもしれないし……)
智葉(……)
智葉(……て、てるー……?)
智葉(……いやいやいや!何考えてるんだ!いくらなんでも馴れ馴れしすぎだろ!)カアァァ
智葉「……こほん」
智葉「おーい、宮永……さん?いたら返事をしろー」
智葉「おーい……」
智葉(全然見当たらないな……)
智葉(まさか、もうこのあたりからは離れてしまったのか……?)
智葉(うーん、となるともう少し別の場所を探す必要があるな……)
智葉(あいつがいきそうな場所ねえ……正直卓以外じゃほとんど初対面な訳だし全然検討が付かないな……)
智葉(しょうがないな、片っ端から歩いて回ってみるか)
智葉(……)
智葉(……はぁ、ほんと決勝前日に何やってるんだろ、私……)
照「……う」
智葉(今何か聞こえたような……)
照「……う、うーん……」
智葉(……)
智葉(この声は、間違いなく……!)
智葉(……でもどこにいるんだ?見当たらないが)
智葉「おーい、探したぞー!どこに隠れてる」
照「……こ、ここ……」
智葉(……木の陰……か?)
智葉(……)
智葉(あ、間違いないな……裏から角が見えるし)
智葉「お前こんなところにいたのか、探したぞ」
照「……か、陰に入ってもあんまり涼しくない……」
智葉「そりゃあこの暑さじゃ焼け石に水みたいなもんだろ」
智葉「はぁ……」
智葉「全く、しょうがないな」
智葉「今何か飲み物買ってきてやるからそこで待ってろ」
照「……」
照「スポーツドリンクでお願い……」
智葉「……お前、抜けてる割にそういうところはちゃっかりしてるな」
智葉「ほら、わざわざお前の為に金を出して買ってきてやったぞ」
智葉「お前がお望みのスポドリだ、受け取れ」
照「……!」パアァ
照「ありがとう……」
智葉「……そりゃどういたしまして」
ゴクゴク
照「……あー、生き返る……」
智葉「はぁ、私がこなかったらどうなってたことやら」ヨッコラセ
智葉「せめて自分の事ぐらいしっかりしろよな、全く」
照「う、これからは気をつける……」
智葉「ほんと、倒れられたら困るんだからな」
照「……え?」
智葉「……っ!な、なんでもない!お前を見捨てた私が悪いみたいなことになるのが嫌なだけ!」
智葉「だから、今のは決して心配してたとかそういう意味じゃないからな!」
照「……あの」
智葉「な、何!?」
照「……そんなに慌ててどうしたの?」
智葉「あ、慌ててない!」カアァァ
照「……でも、どうしてあなたが私を?」
智葉「……だからさっきも言ったろ、お前にあの後倒れられたらまるで見捨てた私が悪いみたいになるじゃないか」
智葉「そんなのはごめんだからな……それだけだよ」
照「……」
智葉「……おい、急に黙ってどうした」
照「いや、辻垣内さんって意外と優しい人だなって……」
智葉「だーかーらー!別にそんなんじゃないって言ってるだろうが!」カアァァ
智葉「はあぁぁぁっ~……ほんと、お前といると調子が狂う」
智葉「ほら、もう少し休憩したらいくぞ」
照「行くって……どこに?」
智葉「お前、迷子になって帰れないんだろ……しょうがないから付き合ってやるよ」
智葉「……」
智葉「か、感謝しろよな……」
照「……うん」
照「ありがとう、辻垣内さん」
智葉「……ふ、ふん」プイッ
照「……?」
照「ホテルから離れる途中ではぐれた」
智葉「それじゃあ、取り合えず一度ホテルに戻れば良さそうだな」
智葉「で、そのホテルの場所は?」
照「……」ウーント
照「会場の近く」
智葉「いやその表現はちょっとアバウト過ぎだろ、もうちょっと何か無いのか?」
照「……辺境の地のことはちょっと……」
智葉「……いやここは辺境どころかど真ん中だろ!というかお前西東京代表の三年目だし!」
照「……うう」
智葉「はぁ……」
智葉「とにかくそれじゃあ一旦会場を目指すぞ、近いんだしそこまで行けばどうにかなるだろ」
照「……うん、分かった」
智葉「じゃあ私について来い……目を離すなよ」
照「……うん」コクン
智葉「……」
照「……」
智葉「……あれから結構歩いたな、一時間位か」
照「……後どの位……?」
智葉「やっと半分ってとこだろ、ぼちぼち歩くしかないな……バスも何故か通ってないし」
照「……そう、まだかかるね」
智葉「そうだな、まぁこんなところまで来た自分が悪いんだから気張って歩け」
照「……」
照「……ところで」
智葉「ん、なんだ?」
照「私は迷子になってたけど、辻垣内さんはあんなところで何を……?」
智葉「そ、それは……」
智葉(まさか目の前にいるこのぽんこつを倒せるかどうか考えてたなんて言えないよな……)
智葉「別に大したことじゃない、一人で下らない考え事をしてただけだよ」
照「……」フーン
照「……もしかして、恋の悩み?」
智葉「は、はぁ?違うに決まってるだろうが!」
智葉「天然かどうか知らんが変にからかうな!」チョップ
照「あう……ごめんなさい」
智葉「ほら、つまらないこと言ってないでしゃかしゃか歩く!」
照「……うん」シュン
智葉「しっかし暑いな、夏とはいえ暑すぎるだろ……」
照「……」
智葉「朝から大分歩いてるし、ちょっと休憩挟んだ方がいいか……?」
照「……」
智葉「おい、お前は大丈夫か?疲れてるなら少し休むが」
照「……」
智葉(あれ、反応が無い……何か嫌な予感が……)
智葉「おーい、って……宮永……さん……?」
照「……う」ガクン
智葉「ちょ、ちょっと!今度はどうした!」
照「……」
智葉「ま、マジかよ……おい!意識はあるか?」ホッペタペチペチ
照「……」
智葉「ど、どうしよう……」アワアワ
智葉「……と、とにかく考えるより一刻も早く救急車を呼んだ方がいいな……えっと携帯はどこに……」アワアワ
照「……」
照「…………」
照「………………お」
智葉「……」
智葉「……お?」
照「なかすいた……」
グウゥゥ……
智葉「……」
照「朝から何も食べてない……」
智葉「いや、朝食べてるなら十分だろ……」
照「一日三食欠かさず食べてた私は一食でも抜くと……」
智葉「……」
智葉「……抜くと……?」
照「……」
照「死ぬ」
智葉「……随分直球な表現だな」
智葉「はあぁぁぁ~……ほんとしょうがない奴だな」
智葉「……まぁでも色々言いたいこともあるが、もう二時も過ぎてるし腹が減るのは当然か」
智葉「……」
智葉「ほら、何か食わせてやるからそこのコンビ二までは頑張って歩け」
照「……!」
照「ほ、ほんと?」パアァ
智葉「ぐ、その上目遣いはやめろ……」
智葉「……ああ、だからさっさと行くぞ」
照「……うん」
照「涼しい……」
智葉「急に生き返りやがって……でも確かに外で歩き続けた私達には実際天国みたいなもんだが」
智葉「で、何食べる?買ってやるから適当に選べ」
照「……」ジー
智葉「……ん、どうした」
照「……プリン、美味しそう……」キラキラ
智葉「……」
智葉「……あのな、あくまでお前のメシを買いに来ただけであって誰もスイーツを奢るとは……」
照「……いや、美味しそうと思っただけ、誰も買ってなんて言ってない」
智葉(目が買って欲しいと頑なに語ってたような気がするんだけどな……)
照「辻垣内さんは、プリンは好き?」
智葉「なんだよ急に……まぁ嫌いじゃないけど?」
照「……そう」
照「この中でどれが美味しいと思う?」
智葉「さっきからなんだよ藪から棒に……この焼きプリンとか美味しそうじゃないか?」
照「焼きプリンも美味しいよね、でも私は普通の方が好き」
照「三個入りのだといっぱい食べられるし……最近はちょっと高めのが美味しそうで迷うことも多いけどね」
照「前に食べたこれが美味しくて……」
………………
智葉(な、なんか突然語り出したぞ……)
智葉(……)
智葉(……意外、か……)
智葉(そういえば、私は今日この日まで宮永照という人間は化け物だと思っていた……)
智葉(いや、実際彼女は化け物かもしれない……あの異能と才気、並の人間には絶対に辿り着けるものではない)
智葉(……)
智葉(……ただ、それはあくまで麻雀の中だけの話)
智葉(どこか、私は今までこいつ……宮永照が『恐かった』)
智葉(まぁこいつと打った奴は誰しもそう思っても不思議じゃないかもな、きっと私だけではないだろう)
智葉(でも……本当の宮永照は、きっとそんな恐がるようなものじゃないかもしれない……)
智葉(……だって……今は……)
智葉(……)
智葉(……って!何を考えるだ私は!まるでこれでは宮永照に気があるみたいじゃないか!)
智葉(うぅー……熱にやられたのは私の方だったりしてな……いやきっとそうだ……)
智葉「……なっ、なんだ今度は?もうプリンの話なら聞かないぞ」
照「いや……そうじゃなくて……」
照「……顔が真っ赤……大丈夫?熱でもあるの……?」
智葉「――っ!な、なんでもない!ほ、ほらさっさと選べ!プリンが食べたいんだろう?」
照「……え、でもさっきは駄目だって……」
智葉「はぁ……」
智葉(ほんと、こいつといると調子が狂うな……私も一体どうしたんだろう……)
智葉「……いいよ、買ってやるからどれでも好きなのを選べ」
照「でも……」
智葉「あーもう!私がいいって言ってるんだからいいんだよ!」
智葉「お前のプリン好きには私の負け負け!降参!……だからさっさとしろ」プイッ
照「……」
照「ありがとう……」
智葉「……決まったか?」
照「……これとこれ、辻垣内さんはどっちが良いと思う?」
智葉「だから私に振るなよ」
照「……」シュン
智葉「……う、ほんとしょうがない奴だな!」
智葉「……うーん」
照「……」クス
智葉「な、何故笑う」
照「いや……悩んでるなって」
智葉「し、仕方ないだろ……どっちも美味しそうなんだし……」
照「……そうだよね」
智葉「……」
智葉「わ、私は右のが美味しそう……かな?」
照「じゃあこれをお願いします」
智葉「……いいのかよ、私じゃなくてお前が食べるんだぞ?」
照「ううん、いいの」
智葉「……」
智葉「そ、そうか……じゃあこれな」
照「……それじゃあ早速レジに」
智葉「……」
智葉「……ちょっと待て」
照「……何?」
智葉「まだメシの方を選んで無いだろ」
照「……えっ?」
照「……」
照「でもそこまで厄介になるのは……」
智葉「はぁ、だからもうさっき私がいいと言ったらいいって言っただろ……いいからさっさとしろ」
照「……ありがとう」
智葉「だから、いいって言ってるだろうが……」
照「……んー」
照「それじゃあ、このサンドイッチ……」
智葉「はいはいこれね、それじゃあさっさと買っていくぞ」
照「……うん」
照「あの……」
智葉「……腹が減ってるのは分かるがそこの公園までちょっとは我慢しろ」
照「……そうじゃなくて、辻垣内さんの分は良かったの……?」
智葉「……いいよ私の分は……そんな腹が減ってる訳じゃないし」
照「……本当?」
智葉「本当だっての、ほらさっさと歩け」
照「……」
照「……ごめんね」
智葉「なんだよ……急に」
智葉「はぁ、今更かよ……いいよ別に謝罪なんて、もうお前には慣れたし……」
智葉「……」
智葉「それに……ちょっとは楽しかったしな……」ボソ
照「……?」
智葉「い、今のは無しだからな……」
照「……なんで照れてるの?」
智葉「て、照れてない!」
智葉「ほら、それじゃあさっさと食べろ」
照「うん……」
照「辻垣内さん、頂きます」
智葉「はいはい、どーぞ召し上がれってか」
照「……」モグモグ
智葉「……」
照「……美味しい」
智葉「そりゃ良かった」
照「……」
照「辻垣内さんも、食べる?」
智葉「いいよ、私は……腹減ってないし……」
グウゥゥ……
照「……」
照「……お腹、鳴ってた」
智葉「――っ!私のことはほっといてさっさと食べろ!」
照「いいから、食べて」
智葉「い、いやなんでお前が唐突に主導権握ってるんだよ」
照「……私も辻垣内さんに倒れられたら困るから」
智葉「お前と一緒にすんな」
照「ほら、早く……」
智葉「……う」
智葉「しょ、しょうがない奴だな!食べるからこっちによこせ!」
照「やっぱり、お腹が空いてたんだ……」
智葉「ち、違う……!」カアァァ
照「気にしなくていいのに」
智葉「うるさいな!黙って食べろ!」
照「……」ジー
智葉「人が物食べてるんだからあんまこっちジロジロ見んなよな……」
照「いや、なんだか顔が怖いし……美味しくないのかなって……」
智葉「……別にそういう訳じゃなねーよ」
照「……本当?」
智葉「……ああ、これでもちゃんと味わって食べてるから人の心配はするな」
照「そう、それなら良かった……」
智葉「いいからお前も自分の分を食えよ……そんな見られながらだと恥ずかしいだろ……」
照「……」コクン
智葉「……」モグモグ
照「……」モグモグ
照「久しぶりだな……」
照「菫や淡達以外とこうやってご飯を食べるのが、久しぶりだなって」
智葉「菫……淡……弘世菫と大星淡のことか?」
照「うん……虎姫の皆は優しいから、別に辛くは無いけれど」
智葉「……」
照「それでも……やっぱり他の人達は私のことを『恐がってる』ように見える」
智葉「はぁ、まぁあれだけ常人離れした強さを見せ付けられたら仕方ない気もするけどな」
智葉「……」
智葉「実際私もお前にビビってたし」
照「……そうなの?」
智葉「……言うつもりは無かったけどな」
照「……」
智葉「ようやく自分の本性を認めたか」
照「……それは皮肉のつもり?」
智葉「その通りだとも、特にお前は食べ物に関してはわがままを通り越して意地汚いな」
照「……むっ」
智葉「はは、否定はしないのか?」
照「……奢ってもらってる立場だし、今日は簡便してあげる」
智葉「そう言ってる割に偉そうな態度をどうにかしろ」
照「ふふ」
智葉「はぁ……」
智葉「お前はやっぱりわがままだよ」
智葉、照「ご馳走様でした」
照「美味しかったね」
智葉「いやそこで当然のように私に振るなよ」
智葉「……」
智葉「ま、まぁ美味しかったけどさ」
照「照れなくていいのに……」
智葉「照れてない!……あんまりからかうとプリンを没収するぞ」
照「あ、それは困る」
智葉「じゃあほら、つまんねーこと言ってないでプリンも食べろ」
照「うん……辻垣内さん、頂きます」
智葉「……もうさっきも聞いたしいいよそういうの、いいからさっさと食え」
照「……凄く美味しい」パアァ
智葉「……」
智葉「ふむ」
照「……?」
智葉「いや、あまりに幸せそうに食べてるなと」
照「そ、そう……?」
智葉「生きてるということの至福を感じてる顔だったな、間違いなく」
照「……」カアァァ
照「……は、恥ずかしいからあんまり見ないで……」
智葉「……ん、ああ……そ、それは悪かったな……」
智葉(な、なんだこの空気は……こっちが恥ずかしくなってきた……)
智葉「……」
照「……ねえ」
智葉「なんだよ」
照「目、つむって……」
智葉「はぁ、今度は何を言い出すかと思ったら」
照「……いいから、早く」
智葉「わ、分かったよ……ほら、これでいいのか?」
照「……うん」
照「……」
智葉「……」ドキドキ
智葉(な、何されるか分からないが緊張するな……)
照「……あーん」
智葉「あーん」
智葉「……」
智葉「ってちょっ、ちょっと待て!」
照「あっ、動かないで……折角食べさせようとしてたのに」
智葉「おい!こ、この歳になって……その……あ、あーんは無いだろ!」
照「……そう?淡とはよくやってるけど?」
智葉「いやお前らの事情なんて知るかよ!余計な気は使わなくていいから一人で食べろ!」
照「でも、元はと言えば辻垣内さんが美味しそうって選んだ物だし……」
智葉「う、それを言われると……というかまさかお前あの時ここまで考えて……」
照「ふふふ」
智葉「その不敵な笑いやめろ」
智葉「……でなければ?」
照「無理やりにでも……」
智葉「……食べさせるってか、全く呆れるな……」
智葉「……」
智葉「……く、食わせる気ならさっさとしろ!」
照「……ヤケになってる?」
智葉「なってない!」
照「それじゃあ……あーん」
智葉「……そ、そのあーんって言うのはどうにかならないのか?」
照「……駄目、ほら……あーん」
智葉「わ、分かったよ……あ……あーん」カアァァ
智葉「……」モグモグ
照「……美味しい?」
智葉「ん……あ、ああ……」
照「じゃあもう一口」
智葉「ま、まだやるのかよ……」
照「……あーん」
智葉「……あ、あーん」
照「美味しかった、辻垣内さんご馳走様」
智葉「そりゃどうも……私は凄い疲れたけどな」
照「……」
照「……ふあぁぁ……」
智葉「……」
智葉「もしかして、今度は眠いのか……?」
照「……お腹が一杯になったら、眠気が……」
智葉「……お前、本当に私と同い年なのか?」
照「失礼ね、歩きっぱなしだったしこの眠気は当然のものだと思う」
智葉「……そういうところが幼いんだよな、お前」
照「そ、そう……?」
智葉「はぁ、そうだよ」
智葉「……まぁでも、このペースだと夕方には着けそうだし……」
智葉「食休みということで一時間位ここでゆっくりしてもいいか……」
照「いいの……?」
智葉「まぁいいだろ……今更一時間ちょっと早かろうが遅かろうがどうにかなる訳でもないし」
智葉「という訳で寝たけりゃ寝ろ……ただし一時間だけだからな」
照「……ありがとう」クタッ
智葉「……」
智葉「……誰も寄りかかっていいとは言ってないけどな……」
照「……」スヤスヤ
智葉「……もう聞こえてないし」
照「……」
照「……ねえ」
智葉「もう起きたのか……まだ寝ててもいいぞ」
照「……」
照「私は……そんなに『恐い』のかな……?」
智葉「なんだよ……さっきの続きかよ」
照「……確かに、麻雀は強いかもしれないけど」
智葉「……」
智葉「いや実際強いだろ、それも……果てしないレベルで」
照「でも……だからと言って何もかもが完璧な訳じゃない」
智葉「……まぁ今日一日お前を見てそれは実によく分かったな、うん」
照「それでも皆の期待に応え続けるのって、結構辛い……」
智葉「……ま、贅沢な悩みだと思うけどな」
照「そうかもしれないけど……ううん、違う……」
智葉「……違うって、何がだよ」
照「私は……期待に応えることが辛いんじゃない」
照「正確には『皆の期待に応えるような宮永照であればあるほど私から皆が遠ざかっていく』ことが堪えられないんだと思う」
智葉「……その持ち前の強さやあの営業スマイルと言い、確かに世間はお前のことを錯覚するだろう」
智葉「どうしても、完璧な人間には近寄り難いもの……妬みだって増えるだろうし、お前の言ってることは分からないことじゃない」
照「……でも……たとえそうだとしても……私は世間を欺き続けなければいけない」
智葉「……それは、どうしてだ?」
照「……」
照「……私には、麻雀しかないから」
照「私から『それ』を取ったら……多分、私には何も残らない」
照「誰からも見向きもされず、何も出来ずに消えていく……そんな存在になるのが、私は怖い……」
智葉「……」
智葉「考え過ぎだ、例えお前がトップから降りたところでお前のその強さが揺るぐ事は無い」
智葉「お前の価値はそんな人の目から映る宮永照では無いだろうが……価値があるとするならそれはお前自身の強さそのもののはずだ」
照「……!」
智葉「……だから、あんま無理するなよ」
照「……ありがとう」
智葉「……ふん……」
智葉(う、言った後から何か恥ずかしくなってきたな……)
照「……」
照「……ねえ」
智葉「な、なんだよ……」
照「辻垣内さんは……私のことが恐い?」
智葉「……」
智葉「正直、今までは……恐かったのかも……いや、私はお前のことが恐かった」
照「……」
智葉「圧倒的な強さ……お前に私は打ちのめされてからずっとお前のことを恐れていたし、どこかで憎んでいたのかもしれない」
照「……そうなんだ」
智葉「……でも今は違うと言い切れる。少なくとも、そんな感情は微塵も湧いてこない」
照「……」
照「……それは……どうして?」
智葉「……」
照「か、からかわないで」
智葉「可愛いやつめ」ナデナデ
照「ちょっ、急に頭を撫でるのやめて……子ども扱い禁止」
智葉「お前の今日一日の行動を見て子ども扱いしない方が無理な話だと思うぞ」
照「――っ!……辻垣内さん、意外と意地が悪い……」ボソ
智葉「何か言ったか?」
照「……」
照「いえ、何も」
照(……)
照(こうやって撫でられてるのもわりかし気持ちがいいし、まぁいいかな……)
智葉(じ、自分から撫でておいてなんだが……結構恥ずかしいな、これ……)
智葉(……うーん、でも髪はサラサラだしこいつはこいつで気持ち良さそうにしてるな……)
智葉(まぁたまにはいいか……)
智葉(しかしほんと、子供というか、気まぐれなところが猫みたいな奴だな……)
智葉(はぁ……こんな奴に怖気づいて一人考え込んでたのが馬鹿みたいだな)
智葉(ああでも、あそこで悩んでなければこいつと出会うことは無かったのか)
智葉(ふふ、まぁ……こういうのも悪くない、かな……)
照「……ねえ?」
智葉「なんだよ……」
照「手」
智葉「はぁ?」
照「手が止まってる、続けて」
智葉「……お前さっきやめてだの子供扱い禁止だの言ってなかったっけか」
照「先に撫でてきたのはそっち」
智葉「う……分かったよ」
智葉「……ほら、これでいいんだろ……」ナデナデ
照「うん……」
照「……」
照「あの、辻垣内さん……?」
智葉「……智葉でいい」ボソ
照「……えっ」
智葉「ほ、ほら……つじがいとって長くて呼びづらいだろ……」
智葉「……だ、だから呼ぶときは智葉でいいっていってんの!」カアァァ
照「……」
照「……あの……智葉……?」
智葉「な、なんだよ」
智葉「う、今度はそうきたか……」
照「私がちゃんと智葉って呼んであげてるんだから、これは当然」
智葉「……はぁ、お前はいちいち偉そうだな」
照「……」
照「お前じゃなくて……?」
智葉「……あー、分かったよ!もう!……て、照……こ、これでいいんだろ」
照「……うん」
照「……それじゃあ、手……続けて智葉」
智葉「……はいはい、撫でればいいんだろ……照」
智葉「……」ナデナデ
照「……」
智葉「……それじゃあ、そろそろ行くぞ」
照「……」
照「もう行くの?」
智葉「大分ここでゆっくりしただろうが……というか本来の目的を忘れてないか?」
照「……本来の……目的……?」
照「……んー」ナンダッケ
智葉「……はぁ」
智葉「おま……照が迷子になってたからそれを私が見つけて一緒にここまで歩いてきたんだろうが」
照「ああ、そうだった」
智葉「おま……照、それはギャグでやってるのか?」
照「ふふ、冗談」
智葉「やれやれ……とにかく後少しで着くんだから、もうちょっと頑張るぞ」
照「うん」
智葉「……じゃあ、行こうか」
照「……?」
照「……この手は?」
智葉「こ、ここまできておま……照とはぐれたら台無しになるからな!」
智葉「……」
智葉「手、繋いでおけばはぐれないだろ……」
照「……そうだね、ありがと」ギュ
智葉「――っ!さ、さっさと歩くぞ!」
照「……?(智葉、なんで真っ赤なんだろう……)」
智葉「やっと着いたな……」
照「うん」
智葉「な、長かった……ここに来て急に疲れが……」
照「智葉……大丈夫?」
智葉「誰のせいで疲れたと思ってる……全く」
智葉「……さて、何はともあれ会場についた訳だが、ここから分かるか?」
照「いやそれが全然」
智葉「おい」
智葉「……はぁ、しょうがね……まぁでもここまでくれば人に聞いても分かりそうだしどうにでもなるだろ……」
照「……」
照「いや……」
智葉「ん……?」
照「見つけた」
智葉「いやだからどっちだよ……」
智葉「……あれは……」
淡「テルー?」
菫「あいつ、どこ行ったんだ全く」
智葉「……弘世菫と大星淡か、ようやく保護者が見つかったな」
照「保護者じゃないから」
智葉「じゃあ飼い主か、今度ははぐれないように首に縄でもかけてもらうんだな」
照「むぅ」
智葉「……」
智葉「……ほら、分かったらさっさといけ……照」トン
照「……うん」
智葉「……じゃあな」
照「……」
照「待って、智葉」
照「……」
照「……智葉、また会える……?」
智葉「はぁ?何を言うかと思ったら」
智葉「……明日、ぶつかるだろ……私と、照は……」
照「……」
照「そうだけど……そうじゃない……」
照「……」
照「智葉と……また今日みたいに過ごしたい……」
智葉「なっ……何をいきなり言い出すんだ」
智葉「……」
智葉「というか『今日みたいに』は流石に簡便、疲れるから」
照「ひ、ひどい……」
智葉「割と事実」
照「むむ」
照「駄目……なの……?」シュン
智葉「う……じょ、冗談だよ冗談……ほんと、しょうがないな!」
智葉「……お互い東京なんだし大会が終わってもいつでも会えるだろ……」
智葉「……」
智葉「……だから」
照「……だから……?」
智葉「……だから……決着がついて……この大会が終わったら……」
智葉「……私から迎えに行くよ、必ず」
智葉「ほんと」
照「絶対?」
智葉「絶対」
照「約束してくれる?」
智葉「くどいな……ああ、約束だ」
智葉「……ほら、小指」
照「……」
照「そういうの……子供っぽい」ボソ
智葉「照には言われたくない」
照「うう」
智葉「……」
智葉「……ほら、分かったらいけ……ずっと待ってた仲間達のことも考えろ、きっと心配してるぞ」
照「……うん」
照「……そうだね」
智葉「……」
智葉「今まで言い忘れてたが……負けないからな!」
照「こっちこそ」
智葉「……」
智葉「……じゃあな」
照「うん」
照「……」クルッ
照「……待ってるからね」ニコッ
智葉「――っ!いーからさっさといけっての!」
菫「お前、ほんとどこ行ってたんだ……」
照「いや、ちょっと迷ってしまって……ごめんなさい」
淡「ちょっとってレベルじゃないよー」
菫「これからは首に縄をつける必要がありそうだな……」
照「そ、それは簡便して」
菫「はぁ、分かったらさっさと戻るぞ……お前もお腹減っただろ」
照「……うん」
淡「いやあ夜ご飯も楽しみだなー」
菫「お前ら、少しは決勝前の緊張感というものをだな……」
照「……」
淡「テルー?」
照「……ううん、なんでもない……大丈夫」
菫「……そうか、それじゃあいくぞ」
淡「ほらほら、早く早く!」
菫「お前はもう少し落ち着け」
淡「えーだって私もう――
照「……」
照(待ってるからね……智葉……)
―――――――――
――――――
智葉「……」
照「……」
智葉「……お待たせ、照」
照「……」
照「遅い、待ちくたびれた」
智葉「はぁ?照がちゃんと待ち合わせ場所にいないのが悪いんだろうが」
照「う……」
照「……」
照「それはその……そういう趣味なの?」
智葉「……はぁ?」
照「智葉がそんな子だったなんて知らなかった……意外」
智葉「……縛り付けて家で飾ってやろうか?」
照「じょ、冗談よ、本気にしないで」
智葉「……」
照「……」
智葉「にしても……」
照「……どうしたの?智葉」
照「ふふ」
照「でも前より凄く強くなってたと思う、結構苦戦した」
智葉「……なんだその上から目線、凄いムカつく」
照「ふふ、勝者の特権」
智葉「……」
智葉「……まぁでも、優勝をかっさらっていくのがまさか清澄だったとは意外だったな」
照「……うん」
智葉「残念無念、これでトップから転落だな」
照「……ほんと、三連覇が出来なかったのは残念だった」
照「……」
照「でも」
智葉「……でも?」
照「私は……変わってないよね?」
智葉「当たり前だろ」
智葉「照の間抜けさと方向音痴さと食い意地は前と全く一緒だな」
照「……なにそれひどい」
智葉「事実だからな」クスクス
照「むぅ」
智葉「ほら、それじゃあそろそろ行くぞ」
照「……」
照「うん」
照「……今日も楽しかった」
智葉「……」
智葉「こうなることは分かっていたが、私はどっと疲れたぞ……」
智葉「相変わらずお前はすぐふらふらどっか行こうとするし食べ物に釣られるし……」
智葉「これが子供を初めて持った母親の気分なのだろうかと思う位だ、全く」
照「ふふ、お疲れ様」
智葉「……照、何か調子に乗ってきてないか?」
照「それはきっと気のせい」
智葉「……はあ、そうかい」
智葉「……」
智葉「……それじゃあ、今日はこの辺で」
照「待って」
智葉「な、なんだよ」
智葉「……べ、別にまた遊ぼうと思えばいつでも遊べるだろ……近いんだし」
照「……そうじゃなくて」
照「……」
照「……これ」
智葉「ん……」
智葉「これはまた綺麗なブローチだな、どうしたんだよ」
照「この前の……お礼にと思って……」
智葉「い、いいよ別にお礼なんて……高そうだし」
照「……大丈夫、安物だから」
智葉「そこは言い切るんだな」
智葉「でも、本当にいいよ……私には似合わないというか、勿体無いしな」
智葉「気持ちだけで十分だし、照が付けてた方がよっぽど良いと思うけど」
照「……」
照「そんなこと無い」
照「……ほら」クイ
智葉「……お、おい!」アワアワ
智葉「ちょっ、ちょっと!こら!ち、近いって!」
照「いいから、動かないで」
照「ほら、見立てたとおり……やっぱり似合ってる」
智葉「……」
智葉「……う、それは卑怯だぞ……照」
智葉「こ、こんなことされたら受け取るしゃないじゃないか……」
照「元々智葉の為に買ったものなんだから、それは当然だと思うけど?」
智葉「……相変わらず変なところが強引な奴だな」
智葉「……」
智葉「……その……」
照「……その?」
智葉「あ、ありがと……な……」
照「ふふ、どういたしまして」
智葉「……」
智葉「……大切にするから」
照「……うん」
照「……」
照「……ねえ、智葉……?」
智葉「……な、なんだよ……」
照「……」
照「今度は、私のお願い……聞いてくれる……?」
智葉「……いや、これは前のお礼のはずじゃなかったのか」
照「ねえ、駄目……?」
智葉(ぐ、なんだか照の奴急にしおらしくなったな……)
智葉「わ、分かったよ……」
智葉「……で、私にどうしろと……?」
照「……」
照「……それはね……」
―――――――――
――――――
ダヴァン「それにしテモガイトサン、最近はオフの時いっつもそのブローチ付けてマスネ」
智葉「ん……ああ、これか……?」
智葉「まぁちょっとした貰い物だよ」
ダヴァン「モライモノ……ひょっとしテ……」
智葉「な、なんだよ……」
ダヴァン「ガイトサン、マサカ……オトコデスカ?」
智葉「――っ!ち、ちげえよ!」
智葉(……よく考えると似たようなものな気はするけど……)
智葉「……」
智葉「……」
ダヴァン「……アノ……ガイトサン……?」
智葉「……ん、ああ」
ダヴァン「顔が真っ赤デスヨ」
智葉「え、ええっ……」
ダヴァン「ヤッパリオトコ絡みのようデスネ……」
智葉「ち、違うってさっきから言ってるだろうが!こ、こっち見るな!」ブンブン
ダヴァン「マタマタ」
智葉「だーかーら――
智葉(……)
智葉(あの後のことを思い出すと、否が応にも顔にほんのりとした熱を帯びてしまう……)
智葉(……だって――)
―――――――――
――――――
照「……」
照「智葉、目をつむって……」
智葉「ま、またそれか?それは嫌な予感がするんだが……」
照「……」
照「いいから、早く」
智葉(な、何故だろうか……前と全く同じ流れなのに断れないぞ……)
智葉「わ、分かったから……」
智葉「……」
智葉「これでいい、のか……」ドキドキ
照「……」
照「うん、そのままにしててね」
照(……)
照(……好きだよ)
智葉「……」
智葉「……え」
照「ち、ちょっ……」
智葉「――っ!ま、まさか……て、てるぅ!お、おま、おまええっ!」
照「ま、まだあけていいなんて言ってない!」
智葉「こ、こここ、これがあけられずにはいられるか!て……照!お、おま……」
智葉「……」
智葉「わ、私に……き、キス……を……?」
照「ち、ちがっ……これは、その……」
照「……」
照「……台無しになった、責任取って」
智葉「……」
智葉「……大体責任取れって言われても……わ、私にどうしろと……」
照「き、決まってるでしょう!それは……」
智葉「……」
智葉「そ、それ……は……?」
照「そ、それ……は……」カアァァ
智葉「……」ドキドキ
照「……」
智葉「……」
照「…………さ」
智葉「……」
照「…………さ?」
照「とは……の方から……して……」ボソッ
照「――っ!」カアァァ
照「さ、智葉の方からしてって言ってるの!」
智葉「え、え、え……わ、私の方から……?」
照「う、うん……」
智葉「て、てるに……き……キスを……?」カアァァ
照「い、言わないで……恥ずかしいんだから……」カアァァ
照「……」
照「……お願い……」
智葉「……て、照……」
智葉(……)
智葉(……はぁ、ほんと……呆れるな……)
智葉(……でも……いや、きっと……そんなどうしようもないところに私は惹かれたのかもしれないな)
智葉(……しょうがね)
智葉「分かったよ……」
智葉「は、恥ずかしいから……お前もめ、目を閉じてろ……」
照「う、うん……」
照「……ん……」ドキドキ
智葉「……」ドキドキ
智葉(しかし……き、緊張するな……)
智葉(……ん)
智葉(こいつ……照……震えてるのか……?)
照「……」フルフル
智葉(……さっきは……あれは照なりの覚悟の仕方だったのかもしれないな……)
智葉(……こいつ、態度はでかいけど臆病なところがあるからな……)
智葉(……まぁ、そこが可愛げがあるというかなんというか……)
智葉(……)
智葉(……してやるか……私から……き、キスを!)
智葉「……」
智葉「ごめんな、照……」
照「……え……?」
智葉「責任……取るから」
智葉「今度は……私からちゃんとするから……」
智葉「……」
智葉「好きだよ、照」
カン!
照のキャラが全然安定してない悲しみ
憩ちゃんもそのうち出してあげたいと思った(小並感)
お疲れ様でした
これはすばらですわ
この組み合わせ流行るといいね
すばらだったぜ
憩さん参戦も待ってる
Entry ⇒ 2012.11.18 | Category ⇒ 咲-Saki-SS | Comments (0) | Trackbacks (0)
ダヴァン「Fucking Jap」
ダヴァン「Fucking Jap」
ダヴァン「ファッキンジャップ!!本当に日本人っていうのは救えまセン!!」
ネリー「あー。ダヴァン帰って来た。おかえり~」
ハオ「どうしたアル?ダヴァン」
ダヴァン「どうしたもこうしたも無いデス!今度という今度こそ、ワタシはジャップどもを見限りまシタ!」
ハオ「はあ」
ネリー「なになに?今度はジャップ共に何されたの?本当あいつら悪魔だよね~」
ダヴァン「聞いてくだサイ!」
ハオ「まあ、私も日本鬼子共の鬼畜っぷりにはほとほと酷い目に合わされてるから、聞いてやろうアル」
ダヴァン「行きつけの、例のラーメン屋が今日潰れまシタ!」
ハオ「!!」
ネリー「!!」
ダヴァン「許せナイ!!無知蒙昧なファッキンジャップどもは、結局最後まで大将の作る煮干出汁の中華そばの深い味に理解を示さなかッタ!」
ハオ「れ、例のラーメン屋って、あの、品川のラーメン屋の事アルか!?」
ネリー「そんな!あそこのおじさん、私が行ったら、小さい子だからってナルト一個おまけしてくれるくらいナイスガイだったのに!」
ネリー「そうだったんだ…」
ダヴァン「大将、今日が最後だからって、メニュー全品半額ってやってまシタ…」
ハオ「…」
ダヴァン「許せナイのは、それで店が盛況だったコト。半額になった程度で普段来てない店に来るようになるナラ、いつも通えよ糞ジャップどもって、気分デス」
ダヴァン「それに、大将も所詮ジャップでスネ。シンプルな中華そば頼んだのに、ラーメンが鹿みたいにしょっぱくって仕方なかったでスヨ。…ハハ。最後の最後に味付け間違えるなンテ」
ネリー「ダヴァン…」
ダヴァン「しかも、私が常連だったからって、支払いの時に大将直々に挨拶に来てくれて、お会計は要らないよッテ。『お嬢ちゃん留学生でしょ?勉強頑張って』ッテ…。私は麻雀で留学してきたんだよ馬鹿な大将デス」
ダヴァン「最後の最後に精神攻撃とかマジ卑怯デス。その言葉を聞いた後、私、思わず崩れ落ちてしまいまシタ…」
ネリー「うわ…想像するだけで泣ける」
ハオ「最悪アル。最後にそんな置き土産して、私達までブルーな気持ちにするとか。流石日本鬼子アル…」
ダヴァン「取り敢えず連絡先だけは確保しておいてマス。私がステイツに帰る時、大将がまだ在野だったら、私がプロになった時の契約金でNYに連れて行って、店を構えさせるって言っておきまシタ。大将は苦笑いしてましたケド」
ネリー「おお!一風堂ごときが天下取ってるNYなら、大将が店構えたら革命だね!」
ハオ「やるアルね。それは実現したら確実に小日本の国力を削る結果になるアル。憎き小日本に一泡吹かせるためにも頑張るアルよ」
ダヴァン「ありがとう皆サン。…しかし、今日は本当に冷えますね。私もコタツにお邪魔しまスヨ」
ハオ「まったくアル。ネリーなんて、今日は智葉が持ってきたこのコタツから一歩も出れなかったアル」
ネリー「本当、ジャップは悪魔だよ~。こんな人を怠惰に貶める悪魔の兵器を生み出すなんてさ~」
ハオ「昼なんて、掃除のために一回退かそうとしたらコイツ、マジ泣きでコタツの足にしがみついて、凄い剣幕で母国語でなんかまくし立ててきやがったアル。グルジア語なんてわっかんねーアル」
ネリー「だって、あの時は本当に寒くて死ぬかと思って…」
ハオ「お前寒冷地仕様のコーカソイドだろ。アル」
ダヴァン「ネリー、前も注意しましたけど、コタツの中で寝たら駄目でスヨ?風邪をひいちゃいますカラ。私も来日当初はそれで酷い目に会いまシタ。リポDがなければ今頃どうなっていタカ…」
ネリー「ん~…」
ハオ「コラ!コタツの中に潜り込むなアル!」
ダヴァン「しかし、卓上に随分とお菓子の空箱が沢山置いてありまスネ」
ネリー(コタツの中から)「全部ハオが買ってきたんだよ~」
ダヴァン「ハァ…本当に貴女はお菓子好きでスネ。幾らジャップの食べ物がヘルシーだからって、太りまスヨ?」
ハオ「…」
ダヴァン「…」
ダヴァン「…ま、まサカ」
ハオ「…こっち来て3キロ太ったアル」
ダヴァン「Oh…」
ハオ「でもでも!私悪くないアル!悪いのは日本鬼子共の菓子アル!」
ダヴァン「確かにジャップどものお菓子が、その場に有ったらそれ全部食べるまで止まらない程度には美味しいの認めるのにも吝かではないでスガ…」
ネリー「私は果物が好き~。特に柿とか梨とか桃とか」
ハオ「止めろアル!食べたくなる!」
ダヴァン「けど、流石に自制が利かないのはジャップのせいじゃなくって自分のせいデス。私なんてこっちに来てむしろ痩せましタシ」
ハオ「ギギギ…今でもうちの寮で一番食ってる癖に、メリケンでどんな食生活してたアルかこの女…」
ダヴァン「フフン」
ハオ「…いいアル。わかったアル」
ダヴァン「?」
ハオ「貴様がそんな腹立つ事を言うなら、私にだって考えがあるアル」
ダヴァン「…何をする気でスカ?」
ダヴァン「ホウ!ヘルシーでいいでスネ」
ハオ「智葉呼ぶアル」
ダヴァン「?いいでスネ。楽しくなりマス」
ハオ「その時、アレ持ってきて貰おうアル。アレ」
ダヴァン「アレ?」
ハオ「ふははははは!そう!枝豆!!」
ダヴァン「くっ!卑怯ナ!」
ハオ「お前、枝豆食ったら止まんなくなるアルもんなぁ!私達が楽しく鍋突いてる間、お前は猿みたいに枝豆食ってるが良いアルよぉおおお!」
ダヴァン「こ、この、卑怯者ぉおおおおオオ!!…って、別に鍋捨て置くまで好きじゃ無いデスけど…」
ハオ「しかも鍋はすき焼き!!」
ネリー「やったー!」
ダヴァン「NOOOooooooooooo!!」
ハオ「割り下駄目なお前は楽しみ半減アルなぁ?」
ダヴァン「ぐっ!日本人のサトハやチャイナのお前はともかく、何故ネリーとミョンファも生卵大丈夫なノカ!」
ダヴァン「るろうに…ああ、サムライXの事ですか?フランス人ってなんで気合入ったギーク多いんでしょウネ」
ハオ「おっ。そう言えば、ミョンファ今日るろ剣の映画見に行くって言ってたアルね」
ネリー「最近バタバタしてたからね~。ようやく見に行けるって、朝から凄く機嫌良さそうだったよ。アニメ放映当初からのファンだったんだって」
ダヴァン「珍しいでスネ。あの子がアニメの実写映画化に素直に喜ぶなんて」
ハオ「電王でサトケンのファンにもなってたかららしいアルよ」
ダヴァン「電王?」
ハオ「仮面ライダー」
ダヴァン「ああ…」
ネリー「あれ面白いよね~。プリキュアと一緒に毎週見てるよ~」
ダヴァン「ハリウッドアクションに比べたら安っぽいし爽快感が無いって言ったら、ミョンファに正座で3時間説教喰らいました」
ハオ「ほんと気合入ったオタクアルねあいつ…」
ミョンファ「ファッキンジャップ!!」
ネリー「あ、帰ってきた」
ダヴァン「噂をすればなんとやらでスカ…なにやら荒れてまスネ」
ネリー「どうしたの?やっぱりアニメの邦画化は糞だった?ジャップに思い出汚されちゃった?ドラゴンボールレボリューションみたいに」
ダヴァン「さり気なくこっちの古傷抉らないで下サイ…」
ミョンファ「ノン。映画、面白かッタ」
ハオ「ほー?珍しいこともあるアルね」
ネリー「本当だね~。ジャップのアニメの実写化は大抵コケるのに。デビルマンとかキャシャーンとかキューティハニーとか鉄人28号とか」
ダヴァン「じゃあ、何をそんなに怒ってるんデス?」
ミョンファ「るろ剣、面白かったデス!期待してた以上とは行かなくても、及第点、あげてイイ!サトケン格好良い!殺陣意外と凄い!刃衛怖い!武田観柳マジ武田観柳!薫微妙!」
ハオ「へえ」
ネリー「面白いなら今度見に行こうかな~」
ミョンファ「けど、サトケン、私裏切った!!ノン!裏切る事強いられた!許せない!ジャップ!ジャップ!ジャップ!」
ダヴァン「…はぁ?」
ハオ「…いまいち訳わかんねぇアル」
ミョンファ「マエダアツコ!!私の倒すべき女の名!!」
ネリー「…」
ハオ「解散」
ミョンファ「私から良太郎と剣心奪ウ!許せナイ!」
ダヴァン「また微妙に古い上に怪しいネタを持って来られましタネ…」
ハオ「ほら。こいつまだ日本語の読み書き下手だから。多分映画見て興奮して色んなサイト見回してる内に、やっと情報得たとかじゃないアルか?」
ネリー「なんで私達の中で日本愛が一番有ったのに、一番上達遅いんだろうね~」
ダヴァン「やはり歪んだ愛だったカラ…」
ミョンファ「サトケンがあの程度の女と付き合ウ、ダメ!世界の損失!」
ダヴァン「興味ないからよく知らないですケド、その子日本のトップアーティストとかじゃないんでしタカ?お似合いなのデハ」
ミョンファ「ノン!ノン!!」
ハオ「どうでもいいアル。真実かガセとか、それすらも」
ネリー「私も~」
ミョンファ「ノン!ノン!!ノン!!!」
ハオ「や~かましいアル」
ダヴァン「サトハ何時頃に来るって言ってました?」
ハオ「ん~。7時頃までにはって言ってたし、あと30分ってとこじゃないアルか?」
ダヴァン「じゃあそろそろ鍋の準備しましょウカ」
ハオ「そ~アルね。ほれ、手伝うアル。ネリー」
ネリー「やだ~。寒ひ…」
ハオ「私だって寒いっつってんだろアル」
ネリー「私はこのコタツというジャップが創りだした悪魔の兵器に取り込まれた哀れな犠牲者ですので」
ハオ「日本鬼子のせいにしてんじゃないアル。ほら、潜ってんなアル」
ダヴァン「割り下は苦手でスガ、すき焼きは好きデス。ジューシーな牛肉に、しいたけ春菊しらたき~」
ミョンファ「ウエ~~~ン!!」
ハオ「ほれ、ミョンファもいつまでも泣いてないでさっさと支度手伝うアル。どうせ最初から異国の芸能人なんて遠い世界の存在って自覚してろアル」
ミョンファ「小野大輔も結婚した!もう生きる希望無い~~~~~!!」
ハオ「救えねぇアル…」
ネリー「あれ?それって確かガセ…まあいいや」
ハオ「あっ!ちょ、ダヴァン!?」
ダヴァン「デハ!」
ハオ「まっ…!ああああああ!逃げられた!!」
ハオ「…仕方ない、かくなる上は、3人で…って」
ネリー「コタツぬくぬく~」
ミョンファ「ビェエエエエエエエ~~~~!!」
ハオ「この使えねぇ二人、どうしてくれようかアル…」
智葉「ほう。そんな事が」
ネリー「そうそう。結局なんだかんだハオが全部鍋の準備してくれたんだよね~」
ダヴァン「適材適所デス。やはり料理はアジア人のものに限る……ん。この甘酒ってのも中々。原料米だけでこんな甘露を作り出すとは、やりまスネ日本人」
ハオ「お前だって甘酒暖める位の事は出来るだろうにアル…」
智葉「…ふふ。なんだ、慧宇お前、まだ律儀に語尾に『アル』付けてたのか」
ネリー「あはははは!!ね~?変だよねぇ~?」
ハオ「昨日の部活の最後の対局で、ビリだった奴罰ゲームって言い出したの、お前アルだろネリィィィイイイイイ!!」
ネリー「そ~だっけ?」
ハオ「…もうつかれた」
智葉「雀はもう落ち着いたのか?」
ミョンファ「ん。ごめんサトハ。心配かケタ?」
智葉「まあ、それなりにな」
ミョンファ「エヘヘ…私、もう大丈夫。失恋は女、綺麗にスルヨ…」
ハオ「アホアル」
ミョンファ「ハオ、アルってまだ使っテル」
ネリー「あはは。使ってる使ってる。てるてる~」
智葉「止めろヴィルサラーゼ。テルテルと言われると、あの仏頂面思い出して不快だ」
ハオ「人のこと言えない…ゲフンゲフン。わかった。もうアル使うの止めるよ。っていうか、こっちから願い下げだよ」
ネリー「お肉美味しい~」
ハオ「コラ!肉ばっか食べんなアル!」
ネリー「ん?」
ダヴァン「…んあ?」
ミョンファ「…ふあ?」
智葉「…おい。慧宇」
ハオ「…あれれ?」
ネリー「ウケ狙い?キャラ作り?」
ハオ「…おかしいア…おかしいな…?ん?あれ?なんかしっくり来ない…アル?」
智葉「…まさか、今までの『アル』の付け過ぎで、それが自然になってしまったか?」
ネリー「あっはっはっは!!」
ハオ「笑うな!!誰のせいアルか!!」
ネリー「もう可愛いからそれで良いじゃん」
ハオ「ふっざけんなアう……お前マジ覚えてろアル」
ダヴァン「プフッ」
ミョンファ「アハハハ」
ハオ「お前らも!笑うなアル!!」
智葉「くくっ…」
ハオ「智葉まで!?」
ネリー「ほらほら、喋ってばかりだとお肉全部食べちゃうよ~」
ハオ「おお!?」
ダヴァン「ふふ。私も肉食べたいデス」
ハオ「ちょ!」
ミョンファ「私もお肉食べタイ」
智葉「ははは…それじゃあ、私も肉を頂こうかな」
ハオ「うえ!?」
ネリー「あれ、もうお肉終わりじゃない?」
ハオ「なぁあああああ!?」
ネリー「ねぇねぇ、サトハ。明日学校も部活もお休みだよね?私、東京タワー見に行きたい!」
ダヴァン「美味しい蕎麦食べたいデス」
ミョンファ「前連れて行ってクレタ、キティーちゃんいっぱい居るトコ!」
ハオ「おい!お前ら!この鍋誰が用意したと思ってるアルか!」
智葉「また東京観光か…」
ネリー「いいじゃんいいじゃん~。帰国前にもっと、もっと!この国の事、色々見て回りたいんだもん!」
ダヴァン「私は今年で最後ですシネ…」
ミョンファ「思い出、大事ヨ?異国来た思い出もソウ、ミンナと出会えた思い出も、大事。いっぱい、いっぱい、思い出、作らなきゃ」
智葉「そうか…ふふ。まあ、そう言われては、な。世話の焼ける奴らだ」
ハオ「きぃいいいい!無視すんなアル!!」
ハオ「…へ?」
智葉「どこか行きたい場所はあるか?」
ハオ「…なんで私まで一緒に出かける話になってるアルか」
ネリー「え?」
ハオ「なんで私が日本鬼子共の街なんて観光しに…」
ダヴァン「じゃあ、留守番しマス?」
ハオ「…」
ミョンファ「サトハ、優しイヨ?お出かけ、楽しイヨ?」
ハオ「そ、そりゃあ、智葉は確かに他の日本鬼子共と違うのわかってるアルけど…」
智葉「けど?」
ハオ「…」
智葉「…」
ハオ「…は」
ネリー「は?」
ネリー「おお!箱根!!」
智葉「…ふふ。箱根ね。まあ、ちょっと遠出だが、今まで東京を出ることもあまり無かったし、それも有りかな」
ハオ「温泉入りたいアル」
ダヴァン「おー、温泉いいでスネ~。こう、露天風呂とか、温泉卓球とか、お風呂上りのコーヒー牛乳とか!」
ハオ「あと、紅葉見て…」
ミョンファ「テレビで見タ!綺麗ダッタ!」
ハオ「…あとは」
智葉「あとは?」
ハオ「…みんなと大笑いして…はしゃぎたい…アル」
ネリー「ほえ?」
ハオ「…だって、みんなと一緒だったら、何処行っても結局楽しい、し」
ミョンファ「…ふふふ。ハオ、いい子ネ。撫でてあげヨウ」
ハオ「…うっさい、触んなアル。名前だけ中国人」
智葉「…はは。なんだ慧宇。それじゃあお前」
ネリー「なんか最近毎週こんな感じだね~」
ミョンファ「サトハ!サトハ!それじゃあ私、今度北海道と沖縄と大阪と福岡と広島と京都行きタイ!」
智葉「調子に乗るな!」
終わり
が、ふと思ったらダヴァンさんと辻垣内さん意外喋ってすらいないのに気付いた
まあ、もう書いちゃたし投下しちゃったから、仕方ないよね
おやすみ
よかった
臨海SS増えて欲しいぜ
Entry ⇒ 2012.11.17 | Category ⇒ 咲-Saki-SS | Comments (3) | Trackbacks (0)
P「高槻家に軟禁された」
P「高槻家に軟禁された」
「お疲れ様でしたー!」
春香「はい!お疲れ様です!」
やよい「お疲れ様でしたー!」
スタスタ
P「春香もやよいもお疲れ。疲れたろう」
春香「私は大丈夫ですよ!まだまだやれます!」
やよい「私もですー!」
P「あはは、まぁ今日は二人ともこれであがりだからそのエネルギーは次の仕事にとっておいてくれ」
春香「えへへ、そうですね」
P「それじゃ二人とも着替え終わったら駐車場に来てくれ。俺はそこで待ってるよ」
やよい「はいー!わかりましたー!」
春香「それじゃ、一旦失礼しますね」
スタスタ……
P「……はぁ」
P「……うへぇ……」
P(やばいな……疲れが全身蝕んでるって感じだ)
P(この後事務所に二人を連れて帰って、その後は千早のレコーディングスタジオ、真と雪歩のボーカルレッスン)
P(それが終わったら次のライブのPAとステージの音響の話し合い、それから美希の化粧品CMの打ち合わせ)
P(そして皆を迎えに行って事務所に送ってそのまま事務仕事で残業か)
P(……やりがいあるけど……俺今日何時間寝れるんだ……いや、というか寝られるのか?)
P(最後に休んだのがいつだったのかも覚えてないな……はは、これってワーカホリックって言うのかな)
P(……でもあいつらは今が頑張り時だし……俺がしゃんとしなきゃな)
スタスタ
やよい「えーと、トイレは……あれ?」
P「…………」
やよい「あ、プロデュー」
P「……はぁ……」
やよい「……サー……」
チャリンチャリン ピッ ゴトン
やよい「!」
P(……こいつに頼る事も多くなったな)プシュッ
やよい(栄養ドリンクだ……)
P「っ……ぷは」
P「……よし、まだ頑張れる……」
やよい「……」
やよい(プロデューサー……凄く疲れてそう……)
……
…
・
―事務所―
ガチャッ
「「「「ただいまぁー」」」」
P「只今戻りました」
小鳥「あ、お帰りなさい」
美希「疲れたのー……」
P「美希は今日よく頑張ったよ。えらいえらい」
美希「ねぇねぇプロデューサーさん、ミキもう疲れたからここで眠ってもいいかな?」
P「駄目だ。家に帰ってゆっくり体を休めなさい」
美希「けちなのー……」
千早「プロデューサー、あの、今日のレコーディングのお話なんですが」
真「あ、僕達も相談したい事があって――……」
雪歩「次の曲のダンスの振り付けは――……」
P「あぁ。みんなちゃんと聴くから一人ずつな」
P「お、響もまだ残ってたのか」
響「うん!実は生っすかの企画でさー」
P「なんだなんだ?あ、ちょっと待ってくれ。電話だ」prrr
P「はいもしもし。あ、あずささん。お疲れ様です」
P「はい……え!?いやいやそこは県越してますって!とりあえずそこを絶対動かないで下さい!絶対!」
ワイワイ
小鳥「プロデューサーさん、人気者ねぇ」
律子「でもあんな人数相手で大丈夫かしら……私も手伝えたらいいんですけれど」
小鳥「元気はありそうだけど……ちょっと心配ねぇ」
やよい「……うぅ、やっぱり……」
律子「あれ?やよいまだ帰ってなかったの?」
小鳥「駄目よー。ご両親が心配するわよ?」
小鳥「え?」
律子「何を?」
やよい「……社長室にいってきますー!」
タッタッタ
小鳥「……何を決めたのかしら」
律子「さあ……まぁやよいは良い子ですから悪いことでは無いと思いますけど……」
P「家が遠い奴は送って行くから早く車に――……おい亜美、真美!肩にぶら下がるのやめなさい!」
……
…
・
―事務所―
チュンチュン
P「……ん」
P「んぅぇ……やべ……」
P(寝てたのか……もう空白み始めてる)
P(30分寝てたのか……少しは楽になるもんだな……)
P(よし、再開……)
グゥゥゥ……
P(…………飯食うか)
P(冷蔵庫にウィダーあったかな……)
P「おえぇっ……っ……ぇぉっ…………っぅぅ……!!」
ジャー ゴポゴポ
P「……はぁ……」
P(やばいぞ……胃が食べ物を受け付けなくなってる……)
P(なんだっけ……体を冷やすものを摂取してると吐き気を催すんだっけか)
P(ここ最近時間がろくに無くてコーヒーとウィダーだけだったもんな……あとは栄養ドリンクか)
P(馬鹿か俺は……こんなんで体調崩したらプロデューサー失格だよ)
P(自分は体調管理も仕事の内ってアイドルに口うるさく言ってるくせに……)
P(……)
P(…………仕事、か……)
P(仕事とか関係なく……あいつらの為にも俺が踏ん張らなきゃ)
P「っよし!踏ん張れ俺!」
P(今日は確か貴音と響以外の皆はオフだから、二人のロケの連れ添いをこなせばあとは事務仕事を――……)
バターン!!
社長「グッモーニン!」
P「うぇっ!?」ビクッ
P「しゃ、社長、おはようございます……お早いご出社……ですね?」
社長「うむ、おはよう。しかしあまり無理するなとあれ程言っておるのにキミィ……」
P「い、いえ、俺の事はいいんですが……社長がこんな時間に出社されるなんて何かあったんですか?もしかして、自分が何かミスを……」
社長「いやいや。今日は少し事情が変わってしまってねぇ」
P「事情?」
社長「うむ。キミにお願いしたい仕事が入り込んできたのだよ」
P「なにか飛び入りの仕事ですか?」
ペラッ
社長「この場所に行ってもらいたいのだよ」
P「この場所……ですか。了解しました」
社長「それでは、仕度をしたまえ」
P「えっ!?今からですか!?朝10時から貴音と響のロケの連れ添いがあるんですが……」
社長「うぉっほん!心配無用!今日は私がその役を引き受けるからねぇ!」
P「………………えー……」
社長「……なんだねその顔は」
ブロロロロ……
P「……」
――――――――――――
社長『とにかく今日はここは私に任せてその仕事に専念したまえ!』
社長『なぁに!私だって昔はアイドルを一億人ほどプロデュースした男だ!大船に乗ったつもりでいなさい!』
――――――――――――
P「……ああは言ってたけど……大丈夫かなぁ」
P「ま、とりあえずこっちの仕事を頑張るか……」
P「……」
P「でもこの住所どっかで見たことあるんだよな……」
P「……あれ?」
ブロロロロ……
P「ここって……」
ブロロロロ……
P「あー……間違いないな」
ブロロロ……キィー
バタン
P「やっぱり……やよいの家だ」
―高槻家―
P「もしかして社長……渡す紙を間違えたんじゃ」
ピロリン
P「あれ……社長からメールだ」
―――――――――――――――
sub:そろそろ付く頃だろう
本文:もしそこに着いたらやよい君に連絡をする事。いいね
こっちは気にせずそっちを頑張ってくれたまえ。
健闘を祈っているよ。
ps.深爪って痛いよね。あれなんなの
―――――――――――――――
P「やよいに連絡……?」
P「もしかしてやよいのロケ……とか、そういうのなのか……?」
P「とりあえずやよいに連絡してみるか」
prrrr プツッ
『は、はひっ!』
P「お、やよいか?」
やよい『そ、そうですっ!おはよーございますっ!プロデューサー!』
やよい『はい!あの、今どこにいらっしゃいますかー?』
P「やよいの家の前だよ」
やよい『あのっ、じゃあ家にあがって下さい!』
P「え?いいのか?」
やよい『はい!まってますー!』
プツン
P「うーん……わからん。なんなんだ」
P「取りあえず……あがってみるか」
ガラッ
P「おじゃましまー……」
?「とりゃー!」
?「えーい♪」
ガシィッ!!
P「うおぉっ!!!?」
浩太郎「へっへー!」ギュウ
かすみ「つかまえたよー」ギュゥ
P「な、なんだ?どうしたんだい?」
やよい「……プロデューサー」
P「あ、やよい!おはよう」
やよい「……」
P「…………やよい?」
やよい「……プロデューサーを」
P「え?」
やよい「っ……プロデューサーを、今から“なんきん”しますーっ!」
P「…………へ」
―事務所―
ガチャッ
春香「おはよーございまーす」
小鳥「あら、おはよう……って春香ちゃん、今日はオフじゃなかったの?」
春香「えへへ、そうなんですけど……土曜日で学校は休みですし、来ちゃいました」
小鳥「ふふ……やっぱり皆同じようなものなのね」
春香「え?」
真「やっほー春香」
雪歩「春香ちゃん、おはよう」
春香「真!?雪歩!来てたんだ!」
美希「二人だけじゃないよー」グデー
伊織「休みの日まで来るとか……アンタたちどれだけ事務所好きなのよ」
千早「……水瀬さんも来てるじゃない」フフ
亜美「ねーピヨちゃんピヨちゃーん」
小鳥「どうしたの?」
真美「兄ちゃん来てないのー?」
小鳥「ええ。多分今頃は貴音ちゃんと響ちゃんの連れ添いで遠出してるはずよ」
亜美「つまんないのー」
美希「プロデューサーさんをおにぎりまみれにする計画が狂っちゃたの」
あずさ「だめよーそんなことしちゃ」
春香「でもプロデューサーさん大丈夫かなぁ」
真「え?何が?おにぎりが?」
春香「そうじゃなくて、最近プロデューサーさんが休んでるところを見た事ないからさ」
真「あー……確かにそうかもね」
千早「ずっと働き詰めよね……体調崩さないといいけど……」
律子「え?えぇと……どうだったかしら、休日もずっと出勤してるし」
小鳥「そういえば……」
春香「……」
春香(プロデューサーさん……)
ピロリンコ
春香「あれ?あ、響ちゃんからメールだ」
真「あ、お土産頼もうよ春香」
春香「…………」
真「……春香?」
春香「……やよいが」
真「え?」
春香「…………やよいが……プロデューサーさんを……軟禁……?」
一同「「「 へ 」」」
P「……やよい」
やよい「はいー、どうしましたかー?」
P「……状況がよく掴めないんだけど」
浩太郎「あはは!P兄ちゃん父ちゃんより肩凝ってる!」トントン
かすみ「浩太郎、おわったら次は私ね」
長介「プロデューサーさん、お茶置いておくね」
P「……なんで俺はやよいの弟さん達にすごいもてなされてるの?」
やよい「なんきんしてるからですー!」
P「なんきんか……なら仕方ないな?」
やよい「はい!プロデューサーは今日は私達のなすがままです!」
P「なすがままなら仕方ないな……」
P「だって何か仕事があったんじゃないのか!?俺は社長の命令で――……」
やよい「はい、お待たせしましたー!」
P「ここに来たワケで――……って、え?」
ホカホカ
P「……味噌汁に…………ふっくら卵焼きに……ほっかほかのご飯……」
P「え……これ……俺、に?」
やよい「……」
P「……やよい?」
やよい「……あ、あの……社長に、最近プロデューサーが食事もロクにとってないって……」
やよい「……もし、よければ……たべてくれませんか……?」
P「……」
P「……いただきます、やよい」
やよい「っ!はいっ!」パァァ
かすみ「うん!」
長介「それじゃ」
「「「「いただきまーす!!」」」」
P「……いただきます」
P(……大丈夫かな……吐いてしまわないといいけど……)
P「……」カチャッ
パクッ
P「……」モグモグ
P「……」モグ……
P「……」パク モグモグ
P「……」モグモグ
P「……」
P「…………うまい……」
やよい「! 本当ですかー!?」
やよい「えへへ……、嬉しいです」テレテレ
かすみ「お姉ちゃんのご飯、美味しいでしょ」
長介「これには適わないんだよな……俺も練習してるんだけど」
浩太郎「練習しても真っ黒な卵焼きしかできないんだよなー!」
長介「お前生意気いってんじゃねーぞ!」
浩司「まっくろー!」
やよい「みんな静かに食べなさい!」
かすみ「えへへ……美味しいね」
ワイワイ
P「…………」
浩太郎「姉ちゃん、おかわりー!」
やよい「はいはいちょっと待ってねー」
P「……」ズズ…モグモグ
長介「かすみ、ちょっと醤油取って」
かすみ「うん、あれ……醤油切れてる」
P「……」モグ……
浩司「んんっ」
やよい「ほら浩司、こぼしちゃってるよ」フキフキ
P「……」モグモグ……
やよい「えへへ、はい。きれいきれい」ニコッ
P「…………」
――――――――――
P『……――はい、その企画書で大丈夫です。はい。失礼します』
P『…………はぁ』
P『家に帰っても仕事か……』チラッ
P『うわ……時間無い……新しい企画書仕上げないと……飯どうするかな』
P『……昼に買ってたカロリーメイトで良いか』
P『…………』モグモグ
P『……』モグ……
P『(暖かいご飯……最後に食べたの……いつだっけ)』
P『(……最後に誰かとテーブル囲んで食事したの……いつだったっけ)』
――――――――――
P「……」
長介「え?」
かすみ「?」
やよい「へ?プロデューサー、何か嫌いな物とか――……」
やよい「…………!」
P「……っ……!」ポロポロ
やよい「……プロデューサー……」
P「こ、れは……ちがう……んだよ」ポロポロ
P「味噌、汁の……!湯気が……目に、入っちゃってさ……!」
P「あはは……!ば、馬鹿……だよな!こんな、大人にも、なって」
P「……子供たち……みんなの、前……で……!」
P「……っ……本当に……!!」
P「本当に…………バカ……だよ……俺……!!」ポロポロ
長介「……おい、浩太郎。布巾とりにいくぞ」
浩太郎「え?一人でいけよー」
長介「……俺一人じゃ重い布巾なんだよ。ほら、いくぞ」
浩太郎「わかったよー」
スタスタ
P「……すまん……!!……すぐに、止まるから……!!」
P「だから……少し……少しだけ……待ってくれ……!」ポロポロ
やよい「プロデューサー……」
かすみ「……」
P「うぇっ?」グスッ
やよい「か、かすみ!プロデューサーさんに抱きつかないの!」
かすみ「ふふ、ぎゅー」ギュゥゥ
P「か、ぐすっ……かすみ、ちゃん?」
かすみ「あのね」
P「?」グスッ
かすみ「私が悲しい時はね、お姉ちゃんがいつもこうやってぎゅーしてくれるんだ」
やよい「……」
P「……っ……ぐすっ」
かすみ「……きょうはね、プロデューサーさんは軟禁されてて、わたしたちのなすがままだから」
かすみ「……なんでもしていいなら、ぎゅーってしちゃうね」ギューッ
やよい「……」
ポフッ
P「へ……?」
やよい「…………~~っ!」ギュゥゥ
P「……やよ、い……?」グスッ
やよい「……今日は」
やよい「今日は……プロデューサーは、軟禁されてるんです……!」
やよい「だから、わたしもぎゅーってしたくなったから!ぎゅーってします!」
P「…………」
かすみ「ふふ♪」ギュゥゥ
やよい「~~っ」ギュゥゥ
浩司「?ぎゅーっ?」ギュゥ
P「……はは……は……」ポロポロ
P「軟禁なら……しょうがないなぁ……!」ポロポロ
P「……っ……暖かい……暖かい手錠だなぁ……」ポロポロ
P「…………」
やよい「こらー、そこ片付けるからちょっとどいてー」
かすみ「はーい。ちょっと浩三のおむつかえてくるね」
浩太郎「ぎゃはは!」
長介「こら浩太郎!漫画読んでないで掃除すんの手伝えっての!」
浩司「すぅ……すぅ……」
P「…………」
P「…………」
P(ハドゥカティ)
P(成人したいい年こいた大の男が子供達の前で食事中に号泣)
P(そして子供達に気を使われて慰められる始末。ハドゥカティ)
P(ついさっきまでの自分をありったけの力を込めて平手打ちしたい)
やよい「プロデューサー?」
P「ファイッ!」
やよい「どうかしたんですか?顔が赤いですけど……うぅ、具合、悪いんですか?」
P「なな、なんでもないよ!本当だよ!本当だったら!」
やよい「だったらいいんですけど……あ、プロデューサーさん!」
P「え?」
やよい「はい!敷き終わりましたー!どうぞ!」
P「え?……布団?」
P「え……なんで?」
やよい「……社長が、プロデューサーは今日あまりねむれてないみたいだって……さっきメールで」
P(ああ……社長……)
やよい「なので、どうぞ!」
P「ど、どうぞって言ったってなぁ……俺仕事あるし」
やよい「プロデューサーは今軟禁されてるんです!」
P「そ、そうは言っても」
やよい「……わたしは」
P「え?」
やよい「わたしは……プロデューサーが体壊しちゃうの……嫌です」
P「……」
やよい「!」
P「……ありがとうな。やよい」
ナデナデ
やよい「!……えへへ」
P「それじゃ……少しだけ……眠らせてもらうかな」
やよい「どうぞー!」
P「よいしょっと」モゾモゾ
やよい「よいしょ」モゾモゾ
P「はい、待とうかやよい」
やよい「はい?」
P「なんでさりげなく横に寝転がってるの」
P「あはは……やよいは良いお姉ちゃんなんだな」
やよい「そ、そんなことないですー!それよりも早くお休みになってくださいー!」
P「ああ。それじゃそうさせて――……」
浩太郎「とりゃー!」モゾモゾ
かすみ「えーい♪」モゾモゾ
浩司「わー♪」モゾモゾ
P「うわっ!?」
やよい「あっ!こら!」
長介「浩太郎!かすみ!浩司!プロデューサーさん眠れないだろ!邪魔すんなって!」
浩太郎「いいじゃんかー!うるさくしないから!」
かすみ「湯たんぽとまくらのかわりだよー」
やよい「駄目でしょー!早くどきなさい!」
P「あはは……いや、いいよ。やよい」
やよい「プロデューサー……うぅ……」
長介「騒いだら追い出しちゃうからな。かすみ、浩太郎」
やよい「それじゃ、プロデューサー、おやすみなさい」
P「あぁ、おやすみ。やよい」
パタン
浩太郎「へへー!うるさいのは行っちゃったよ!」
かすみ「でも騒いだら駄目だよ。浩太郎」
浩太郎「えー!かすみまで裏切るのかよ!」
かすみ「プロデューサーさんはつかれてるんだから」
浩太郎「あ、そうだった」
P「はは……まぁ、そんな大した事はないから大丈夫だよ」
浩司「すぅ……」
かすみ「あ、こうじまた寝てる」
浩太郎「早いなこいつ」
P「はは……よく寝る子だね」
浩司「ん……すぅ……」
P「……やよいは偉いなぁ」
かすみ「え?」
浩太郎「やよい姉ちゃんが?なんでー?」
P「ん?いや、家事も、アイドル業も……家族の事も全部きっちりやってるじゃないか」
P「まだ中学生なのに……あんなにしっかりした子はいないよ」
かすみ「……」
浩太郎「……」
P「……色々やよいの事を知ってくうちに……あいつの負担を、減らそうって……思ってたんだけどな」
P「……逆に、こんな風に気遣われて……情けないよ」
P「……って、ごめんね。君たちに言う話でもないよな」
P「あはは、ごめん、ちょっと俺、今変になっちゃってて……」
かすみ「……プロデューサーさん」
P「え?」
ギュゥ
かすみ「いつも、ありがとう」
P「……へ?」
浩太郎「あのな、P兄ちゃんにまた会ったら言おうって兄弟皆で言ってたんだ!」
P「へ?へ?何が?俺は別に何もしてないし……迷惑かけてばっかで」
かすみ「ううん、いっぱいお世話になってるよ」
浩太郎「姉ちゃんの事お世話してくれてありがとーな!」
P「……やよい、の?」
かすみ「……あのね。お姉ちゃん、プロデューサーさんと会う前まで、ずっと大変だったの」
かすみ「アイドルのお仕事もなくて、家事も学校もあって……すごく大変だったみたいで」
かすみ「でも、プロデューサーさんにお仕事を手伝ってもらうようになって……お姉ちゃん、前より笑うようになったよ」
かすみ「お仕事もうまくいって、せーかつもずいぶんらくになったって……お姉ちゃん言ってた」
かすみ「そして、全部ぜーんぶ、プロデューサーさんのおかげだって……言ってたよ」
P「……!」
かすみ「プロデューサーさんを休ませてあげたいから、手伝ってって……私達に頼んできたよ」
かすみ「お姉ちゃんに何かをお願いされたの……あれが初めてなんだ」
P「…………」
かすみ「……それだけ、お姉ちゃんはプロデューサーさんにお世話になってるんだよ」
浩太郎「だから、ありがとうな!兄ちゃん!」
P「……っ……」
モゾ
かすみ「プロデューサーさん?」
浩太郎「布団に潜っちゃった!あはは!」
P「……っ……」ポロポロ
P(俺は……本当に駄目な大人だなぁ)
P(子供達に……こんな小さな子供達にこんなに救われるものなのか)
P(本当に本当に……駄目な大人だよ)
仕事の人の軟禁
×仕事の人
○将来の義兄
カタカタ
P「はい!あ、その企画書を今作成してるんで!」カタカタ
P「はい?いえ!そっちのPAには話を通してあるんですが――……」カタカタ
P「はい、はい!また折り返し連絡させていただきます!」カタカタ
ピッ
P「企画書……っ……これ終わったら次は何だっけ……!」
カタカタカタ
カタカタカタ
カタカタカタ
カタ……
P「……」
P「……」
P「……これが終わったら……なんだっけ」
P「……何をすればいいんだっけ……」
P「……あれ」
P「この電話……誰からだっけ」
prrrrrr
P「……企画書、終わったら何をすればいいんだっけ」
P「……」
P「……」
P「……」
P「思い出せないや」
P「……」
P「俺は」
P「俺は、何のために働いていたんだ?」
P「誰のために働いてたんだっけ」
P「何のために」
P「何の、ために」
「あ!プロデューサー!次の企画は、もっとこう、可愛い、プリプリィって感じのをですね!」
「寝癖治してください……まあ、なんでもいいですけれど」
「プロデューサー、おはようございますぅ。えへへ」
「兄ちゃーん!」「ゲームしようぜー!」
「あらあら、プロデューサーさん。おはようございます」
「はいさーい!プロデューサー!今日も自分頑張るぞー!」
「プロデューサー?身だしなみも仕事のうちですよ!ちゃんとしてください!ちゃんと!」
「アンタもだらしないわねぇ。私のプロデューサーならもっとピシっとしなさいよ!」
「プロデューサー、今宵、らぁめんを食べに参りませんか」
「プロデューサーさん、おふぁよー……あふぅ」
―――――――――-----・・・
カァ カァ
P「……ん」
P「……夢……」
ムクッ
P「…………あれ……ここは」
P(……あ……そうか。そういえばやよいの家に……)
P(…………かすみちゃんと浩太郎君と浩司君は……もういないか)
P(うわ、外……もう薄暗いじゃないか……どんだけ寝てたんだ俺)
P「…………」ポリポリ
P「……やよいは……いるかな……」
やよい「……よいしょ……」ゴソゴソ
やよい「っと……よしっ」トントン
P「……買い物に行くのか?」
やよい「えっ!!?あっ!プロデューサー!」
P「あぁ、ごめん。ビックリさせて。今起きたんだ」
やよい「そうでしたか……」
P「……やよい」
やよい「はい?」
P「…………久々にぐっすり眠れたよ」
P「……ありがとう」
やよい「……!」
やよい「えへへ……だったら……良かったです」ニコ
やよい「え?大丈夫ですよー!今プロデューサーは軟禁されてるんですから――……」
P「……付いていきたいんだ」
やよい「……!」
P「……いいか?」
やよい「……」
やよい「…………はい……」
……
…
・
―土手沿い―
ガサガサ
P「はは、やっぱり家族がいると食材の量も凄いんだな」
P「一人暮らしなんて自分の分しかないから……こんな買い物、随分久しいよ」
やよい「えへへー、うちは皆いっぱいたべますからー」
やよい「えへへ……」
P「……」
やよい「……」
やよい「……あの、プロデューサー……」
P「……なんだ?」
やよい「その……あの……」
やよい「……怒って……ますよね」
P「え?」
やよい「……勝手に、お仕事お休みにしちゃって、無理やりうちにつれてきちゃって」
やよい「説明してもないのに、軟禁だーって言っちゃって」
やよい「……勝手なことして……本当にすみませんでした!」ペコリッ
P「や、やよい、やめてくれよ!ちょっと頭上げてくれ!」
P「そ、そりゃやよいが“軟禁”って言い始めた時は本当に戸惑ったけどさ」
やよい「あれ、社長が教えてくれたんですー」
P(あのおっさん)
P「…………でも、確かに、ビックリしたし、ちょっとどうしていいかわかんなかったよ」
P「いつもは仕事してる時間帯だからかな……体もしばらくそわそわしてしょうがなかったし」
やよい「……うぅ」
P「……でもさ、凄く……本当に凄く、感謝してる」
やよい「…………え?」
P「……やよい、今日は本当にありがとう」
P「体が休まった……とか、それもあるけど」
P「なんか……上手くいえないけど……何て言っていいのか、わかんないけどさ」
P「なんというか……やよいのおかげで色々と腑に落ちた気がするんだ」
P「だから………………ありがとう。やよい」
やよい「何も……何もできてないのに……」
P「……やよい?」
やよい「……わたしこそ、お世話に……お世話になってるのに」
やよい「プロデューサーが疲れてるの……あまり……気付けなくって……!」
やよい「いつも、おせわになって、ばっかりなのに、たすけてもらってばっかりなのに……!」
やよい「ぷろでゅーさーに、なにか、かえせないかなって……グスッ……かんがえたけど」
やよい「なんだか……よく、わからなくなっちゃって……!ぐすっ!!ごめんなさい……!ぷろでゅーさー……!ごめんなさい……!」
P「……やよい」
やよい「ひぐっ……!ひぐっ……!」ポロポロ
P「……」
P(なんだか、間抜けな話だ)
P(俺がこの娘を手助けしようと思ってやってきた行動が……この娘の負担になっちゃったんだな)
P(はは……なんて情けなくて、馬鹿で……果報者なんだろうなぁ……俺は)
P「ほら、ハンカチ。泣かないでくれ。やよい」ゴシゴシ
やよい「ぐすっ……む……うぅ」
P「はは……さっきと立場が逆だな」
やよい「はふ……」
P「……よし、綺麗になった」
やよい「すみません、プロデューサー……」グスッ
P「はは、よし!」
ガサッ
P「それじゃ、戻ろうか。みんなが心配するかもしれないぞ」
やよい「……」
やよい「……」
P「……明日から、多分、また始まる……仕事もさ」
やよい「……うぅ……」
P「今日のおかげで……強がりでもなんでもなくて……全部全部、乗り越えられそうなんだ」
P「……やよいや、やよいの兄妹みんなのおかげだよ」
やよい「……!」
P「だから笑って…………帰ろう、やよい」ニコッ
やよい「…………」
やよい「……っ……!」グシッ
やよい「…………はいっ!プロデューサー!」ニコッ
スタスタ
P「でも、いいのか?晩御飯まで一緒にご馳走になって……」
やよい「はい!元気がでるものを作っちゃいますから、ぜひたべていってくださいー!」
P「はは、楽しみだよ……っと、着いたな」
ガラガラ
やよい「ただいまー!」
P「おじゃましまー……ってうおっ!!?」
ズラァッ
やよい「はわわ!?凄い数の靴が玄関に!!」
P「…………まさか」
「あっ!誰か帰って来た音がしたよ!」
やよい「あれ?この声――……」
P「……居間の方からだな……」
春香「おかえりー!やよい!」
真「おじゃましてるよー!」
伊織「ちょっと!アンタやよいをこんな時間まで買い物に行かせてるんじゃないわよ!」
美希「プロデューサーさん!おひさ!昨日ぶりなの!」
ワイワイ
やよい「みんな……」
P「ちょっと待て!!何でお前らここにいるんだよ!!」
春香「いえ、実は響ちゃんから『社長から聞いたけどやよいがプロデューサーを軟禁してるらしいぞ』メールが来て……」
真美「真相を確かめに来たのさ!」
P「いやだからってこんな大勢迷惑だろ!!」
亜美「やよいっちのお父さんが『全員あがって待ってて下さい!後生ですから!』って」
やよい「おとうさん……」
伊織「だから響のデマだって何回言わせるのよ……」
あずさ「それじゃ、私達はそろそろお暇しようかしらー?」
浩太郎「えー!!姉ちゃん達もう帰っちゃうのー!?」
かすみ「やだー、もうちょっと居てよぉ」
やよい父「やだやだぁ!!」
長介「親父ちょっと納屋に閉じ込めてくるわ」
やよい「でも……みなさん、私のわがままのせいでここまで来ちゃったんですよね」
やよい「あ!そうだ!みなさんも晩御飯たべていってくださいー!」
雪歩「え?いいのかな?」
真「やーりぃ!やよいの手作りだ!」
やよい「はいー!ご飯は大勢で食べたほうがおいしいんですよー!」
P「……はは、うん。そうかもな」
やよい「じゃあお母さんに話してきますー!」
パタパタ
P「……ふふ」
春香「……プロデューサーさん?」
P「うぉっ!?な、なんだ!?」ビクッ
春香「……むー」ジー
P「……?」
春香「……ふふ。なんだか、ちょっとスッキリした顔になってるなぁって思って」
P「…………そうか?」
春香「はい。何かありました?」
P「うーん…………まぁちょっとな」
春香「……えへへ、そうですか」
―玄関―
「「「「お邪魔しましたー!」」」」
やよい「皆さん、今日はありがとうございましたー!」
春香「こちらこそごちそうさま!ありがとうね!」
小鳥「なんだか私達も呼んで頂いて、すみません」
やよい母「いえいえ、来てくださってありがとうございました」
社長「いやぁ、面目ないですなぁ」
かすみ「お姉ちゃん達、また来てね」
浩太郎「また遊ぼうなー!」
響「あぁ!いい子にして待ってろよー!」
伊織「あれ?やよいのお父様は?」
長介「さぁ……」
―納屋―
やよい父「んほぉぉぉぉ!!んほぉぉぉぉぉ!!」ガタンガタン
高槻家で監禁された
「「「「はーい!」」」」
スタスタ
P「ふぅ……それじゃ、自分もこれで。今日は大変お世話になりました」
やよい母「いえ、こちらこそやよいが毎回お世話になって……」
P「いえ、自分の方がお世話になっているくらいですよ」
浩太郎「P兄ちゃん!また来てね!」
かすみ「今度はもっといっぱいあそぼうね」
浩司「あそぶー!」
P「はは!そうだな!それまでいい子でね」
長介「プロデューサーさん。また来てね」
P「長介くんにもお世話になったね。ありがとう」
長介「いや、そんな事ないよ……でも、楽しかったよ。またね」
P「本当にしっかりした子だね……うん、またね」
やよい「……」
P「……」
やよい「あの、プロデューサー、今日は……その、なんていうか」
やよい「……その……」
P「……やよい」
やよい「え?」
P「また明日から……仕事頑張ろうな」
やよい「……!」
やよい「……はい」
やよい「……」
P「……でもさ」
やよい「……?」
P「時々、時々でいいから……」
P「疲れて、どうしようもなくなった時」
P「また……こんな日を一緒に過ごしてくれないかな」
P「……やよいが、よければ……だけど」
やよい「……」
やよい「…………」
やよい「……………………っ!」
ニコッ
やよい「はいっ!」
ブロロロロ
春香「すぅ……すぅ……」
真「むにゃ……ふふ……」
雪歩「うぅん……いぬ……いぬがぁ……」
P「みんなぐっすり寝てますね……」
社長「うむ……まぁ私も久々の現場でだいぶ疲れてしまったよ」
P「今日は申し訳ありませんでした」
社長「いや、そういうつもりで言ったのではないよ。私も久々で楽しんだからね」
P「いえ、それでも。ありがとうございました」
社長「……」
P「?……社長?」
社長「はは……いや、君の今の顔を見て今日は正解だったなぁと再確認したよ」
社長「やよい君にも礼を言わなければね……」
……
…
・
――――――――――――
翌日
―事務所―
「はぁっ……はぁっ……」
ガチャッ
やよい「おはよーございますー!」
小鳥「あら、おはよう。やよいちゃん」
やよい「おはようございます!小鳥さん――……」
「おはよう、やよい」
やよい「! プロデューサー!」
やよい「えへへ……」
P「……」
やよい「……」
P「まぁ、あれだ」
やよい「……?」
P「今日も元気に!頑張るとするか!やよい!」
やよい「っ!はい!」
小鳥「ふふ……」
やよい・P「「せーのっ」」
P「はい!」
やよい「たーっち!!」
やよい・P「「いぇいっ!!」」
おわり
…
・
―納屋―
やよい父「コフォォ、コフォォ」
終わり
書いてて死にたくなったけどね。会社滅びないかな
大儀であった
お陰で金土日仕事頑張れそうだぜ!
Entry ⇒ 2012.11.16 | Category ⇒ アイマスSS | Comments (1) | Trackbacks (0)
紬「おこたと」
紬「おこたと」
梓「ですね」
紬「クシュン」
梓「くすっ」
紬「///」
梓「早く練習はじめちゃいましょう」
紬「そうしましょうか」
梓「練習始めればちょっとは体も暖かくなりますから」
紬「そうだね」
紬「ふぅ…」
梓「いまひとつでしたね」
紬「指がかじかんで上手く動いてくれないの」
梓「暖房が直るまでの辛抱ですが‥」
紬「それまで練習になりそうにないね」
梓「はい…」
紬「ギターの練習はお休みにしましょうか」
梓「あの」
紬「なぁに?」
梓「作曲に興味があるんです」
紬「作曲?」
梓「はい」
紬「私の家にくる?」
梓「ムギ先輩の家。ちょっと気になりますね」
紬「それじゃあ決定ね」
梓「家にきませんか?」
紬「梓ちゃんのお家?」
梓「今年はおこたを出したんです」
紬「おこた!?」
梓「みかんもありますよ」
紬「行く行く! 絶対行く!」
梓「くすっ。じゃあ一緒に行きましょ」
紬「うん!」
紬「はぁー」
梓「まっしろ」
紬「えぇ」
梓「はぁー」
紬「梓ちゃんの息もまっしろ」
梓「すっかり冬ですね」
紬「そうね」
梓「寒いですね」
紬「早くおこたに入りたい」
梓「そうですね」
紬「うん」
紬「雪が降ったら不安ね」
梓「でも毎年なんとかなっちゃうんですよね」
紬「不思議ねぇ」
梓「はい」
紬「ちょっとずつ体が慣れてくのかしら」
梓「かもしれません」
紬「でも雪かぁ」
梓「積もったらまた雪合戦でもやりましょうか」
紬「かまくらも作りたいな」
梓「いいですね」
紬「中でお鍋をするの」
梓「とけませんか?」
紬「大丈夫よ」
紬「澪ちゃんが鍋奉行をやって…」
梓「私達四人が好き勝手にとりまくるんですね」
紬「うん!」
梓「困惑してる澪先輩の顔が思い浮かびます」
紬「ふふふ。きっと楽しいわ」
梓「そうですね」
紬「きっと…」
梓「着きましたよ」
紬「もう着いちゃったんだ」
梓「じゃあ上がってください」
紬「おこた!」
梓「電源を入れたところなのでまだ暖かくありませんよ」
紬「…うん」
梓「しばらくは我慢してください」
紬「ちょっと暖かくなってきたみたい」
梓「ほんとうですか?」
紬「うん」
梓「二人も入ってますから体温のせいかもしれません」
紬「そうかな?」
梓「たぶんそうです」
紬「そっかぁ」
梓「みかんをどうぞ」
紬「ちょっと緑っぽいね」
梓「ちょっと早いですから」
紬「そっかぁ」
梓「やっぱりオレンジのほうがいいですか?」
紬「うんう。緑っぽいのは食べたことないから」
梓「じゃあ試してみてください。酸味がちょっと強いですけど」
紬「うん」ムキムキ
梓「…」ムキムキ
紬「どうかしら」パクッ
梓「私も」パクッ
紬「美味しい…」
梓「思ってたより甘いです」
梓「…」ムキムキ
紬「…」ムキムキ
梓「…」パクッ
紬「…」ムキムキ
梓「ん?」
紬「…」ムキムキ
梓「白いのを全部とってるんですね」
紬「うん…」ムキムキ
梓「私もやってみようかな」ムキムキ
紬「むけた!」
梓「終わっちゃったんですか」ムキムキ
紬「はい。どうぞ」
紬「うん」
梓「悪いです…」
紬「気にしないで」
梓「じゃあ」パク
紬「どう?」
梓「美味しいです」
紬「それは良かった」
梓「はい」
紬「おこたもだいぶん暖かくなってきましねね」
梓「はい」
紬「そろそろ作曲の勉強をはじめよっか」
梓「お願いします」
紬「わかったかな?」
梓「いまひとつわかりませんでした」
紬「ごめんね」
梓「ムギ先輩のせいじゃありません」
紬「今度私の先生を紹介しよっか?」
梓「先輩の先生?」
紬「ピアノの先生」
梓「遠慮しておきます」
紬「そう」
梓「ムギ先輩に習いたいですから」
紬「そっかそっか…」
梓「また教えてくださいね」
紬「うん」
紬「そろそろ帰ったほうがいいかな?」
梓「ちょっとお話しませんか」
紬「そうね」
梓「…」
紬「…」
梓「受験勉強とか」
紬「順調だよ」
梓「ですよね…」
紬「…うん」
梓「…」
紬「…」
梓「意外と話すことありませんね…」
紬「そうだね」
紬「あっ、そうだ」
梓「どうしました?」
紬「どうして作曲を?」
梓「それは…」
紬「何かあるんだ?」
梓「特にこれといってあるわけじゃないんですけど」
紬「うん」
梓「来年から私が部長なので…」
紬「そっかぁ」
梓「はい」
紬「ちょっと不安なんだね」
梓「少し」
梓「なんで笑うんですか?」
紬「嬉しかったから」
梓「何が嬉しいんですか」
紬「梓ちゃんの弱みを知れたのが」
梓「そんなこと…」
紬「ふふふ」
梓「もう…」
紬「きっと素敵な後輩たちが入ってくれるから」
梓「そう思いますか?」
紬「ええ」
梓「そうかな…」
紬「きっとね」
紬「それがいいわ」
梓「はい」
紬「…」
梓「…」
紬「そろそろ帰るね」
梓「そうですか」
紬「もう夜も遅いし」
梓「そうですね」
紬「ばいばい梓ちゃん」
梓「さようならムギ先輩」
梓「…」
紬「…」
梓「…どうしました?」
紬「おこたの魔力って本当にあったのね」
梓「出られないんですね」
紬「えぇ」
梓「もう少しお話しましょうか…」
紬「うん」
____
___
紬「今日も寒いね」
梓「ですね」
紬「暖房はまだ直らないし」
梓「他の先輩方は受験勉強ですし」
紬「行きましょうか」
梓「はい」
紬「おこたへ!」
梓「はい」
紬「はぁー」
梓「まっしろ」
紬「えぇ」
梓「はぁー」
紬「昨日より白いみたい」
梓「ですね」
紬「こんなに寒いと…」
梓「手をつないで行きませんか」
紬「…うん」
梓「それじゃあ行きましょ」ギュ
紬「うん」ギュ
おしまいっ!
この淡々とした雰囲気嫌いじゃない
Entry ⇒ 2012.11.16 | Category ⇒ けいおん!SS | Comments (0) | Trackbacks (0)
一夏「実は俺・・・オルコッ党なんだ」
一夏「実は俺・・・オルコッ党なんだ」
一夏「メシマズとか言うな!セシリアはやれば出来る子なんだ!」
一夏「たとえ料理が壊滅的、破滅的に下手でも他の部分でカバー可能だ!」
鈴「ふーん?例えば?」
一夏「そうだな。まずグラマラススカイなプロポーション。そして余りある財力。お淑やかで、気品のある性格。結婚相手としてこれに勝るものはないだろう」
鈴「でもさ。仮にセシリアと結婚するとするじゃん」
一夏「うん」
鈴「仕事で疲れた一夏はこう思うのよ「ああ・・・早く帰って女房の美味しいご飯が食べたい。ビールとあうつまみもあれば最高だ」
一夏「はぁ」
鈴「それがあんた。帰宅してみなさい。あるのは悪臭を放つ何か。料理とは呼べない化学兵器よ」
一夏「・・・・・・」
一夏「・・・・・・」
鈴「あーあ。かわいそうに。セシリアと結婚したら、一生"美味しい愛妻弁当”は味わえないでしょうね」
一夏「セシリアの悪口はそこまでだっ!」ダンッ
鈴「っ!」ビクッ
一夏「違うんだ鈴。発想の逆転が必要なんだよ」
鈴「はぁ・・・どういうこと?」
一夏「セシリアが料理を作るというのがそもそも間違いなんだ」
鈴「ん?」
一夏「つまり、俺が料理を作ればいいんだよ」
鈴「なるほどね。あんたが台所の長を務めるわけだ」
一夏「そうだな。俺が専業主婦をやってもいい。例え共働きでも、夫がご飯を作っている家庭もある」
鈴「バットだがしかし、その論理には穴があるわ」
一夏「む?完璧だと思うが」
鈴「セシリアとの間に子供が生まれたらどうするのよ。いい?母親は離乳まで子供と一緒にいなきゃいけないのよ?」
一夏「む?なにか問題があるのか?」
鈴「セシリアが哺乳瓶の煮沸消毒とか出来ると思う?離乳食とか作れる?」
一夏「むむ・・・離乳食は・・・さすがに無理だが・・・哺乳瓶の煮沸くらいならできるだろ?」
鈴「あら?火事が起きない保証は?」
一夏「えー?セシリアってそのレベルだっけ・・・原作ではメシマズではあるものの俺んちで普通に・・・」
鈴「そもそも元栓という概念があるのか疑問ね」
金髪で可愛い子がさ
シャル乙
鈴「いやー・・・でも大変よねー・・・あんたが風邪の時は?単身赴任のときは?」
一夏「あー・・・あー・・・」
鈴「コンビニ弁当じゃまずいわよねー。子供の栄養的にも」
一夏「・・・・・・」
鈴「いい?あんたに言っておくわ」
一夏「・・・ん?」
その点フレンチ作れるし和食も勉強し始めた
従順で健気で家庭的な子が居た気がするけど?
鈴「経済的にも!栄養的にも!そして愛する夫のためにも!妻は夫のために尽くすべし!家のために尽くすべし!」
鈴「其は女の義務であり!魅力であり!定められた宿命!男女平等の風潮でも其は健在!」
鈴「女は何のために鍋を振るう!何のために箸を折る!愛する夫は何のために戦う!家を出る!」
鈴「全ては相互の関係!この社会に生まれたときから定められた共同作業だ!」
鈴「ボーヴェワールは言った!女は生まれながらにして女ではない!女となるのだ!」
鈴「女として生きる!其れは即ち、女としての義務を果たすこと!料理をすること!」
鈴「料理をしない女は、女ではない・・・性に甘んじる牝豚だ!」
鈴「生きよ!女として!生きよ!料理こそ汝の手に!」
一夏「・・・」
セシリア「そ、そうでしょうか・・・」
チェルシー『いいですか、恋は早いもの勝ちです。油断していると、どこぞの泥棒猫にカッさらわれます』
セシリア「は、はぁ・・・」
チェルシー『そうですよ、想像してご覧なさい、一夏様が他の女とキスしてるところを』
セシリア『い、いやっですわ!』
チェルシー『誘惑されて、ベッドでまぐわい、一夏様の上で腰を振る他の女』
セシリア『いやぁあああああ!聞きたくありませんわっ!』
チェルシー『ならばさっさと行動することです』
セシリア「でも・・・どうすれば・・・」
チェルシー「そうですね。とりあえず料理でも振舞ってみたらどうでしょう」
セシリア「料理ですか?私、料理は自信ありましてよ」
チェルシー「お嬢様、自分の料理を食べたことはありますでしょうか?」
チェルシー「・・・・・・お嬢様。料理は諦めたほうがいいかと」
セシリア「なにをおっしゃるの!?」
チェルシー「まずはご自分の料理を味見してからお電話お掛けください」ガチャ
ツー ツー ツー
セシリア「あっ!ちょっと・・・どういうことですの?」
セシリア「仕方ありませんわ。とりあえずシャルさんに言って、お料理部部室を使わせてもらいましょう」
セシリア「シャルロットさん。ごきげんよう」
シャル「あれ?セシリア?ごきげんよう」
セシリア「ちょっとお願いがあるのですけどよろしいでしょうか」
シャル「え?僕に?どうかしたのかな」
セシリア「ちょっとお料理がしたくて・・・料理部の部室を使わせてもらえないでしょうか」
シャル「ええ!!??セシリアが料理をするのっ!?」
セシリア「?何か問題でも?」
シャル(問題しかないとは言えない・・・)
シャル(さすがに一夏に死んで欲しくないからね・・・)
セシリア「いえいえ。自分で食べようかと。料理の練習も兼ねますし」
シャル「そ、そっか・・・それはよかった」ボソッ
セシリア「・・・何か言いまして?」
シャル「いやぁ・・・何も!それじゃあ部室に案内するよ」
セシリア「恩に着りますわ」
シャル「うわぁ・・・」
セシリア「できましたわ!」
何か「できたよー」
シャル「セシリア・・・念の為に聞くけどこれ何?」
セシリア「見てわかりませんか?日本のカリーアンドライスですわ」
シャル(あ・・・これカレーだったんだ・・・汁っ気全く無いから分からなかった)
セシリア「むー。少し水分が足りませんわね・・・コーヒーでも混ぜましょうか」
シャル「ちょ、ちょい!?どうしてそうなるの!?」
セシリア「え?なぜって水分が足りませんので」
シャル「普通に水を入れればいいんじゃないの?」
セシリア「それでは隠し味になりませんわ。料理は工夫こそ大切なのです」キリッ
シャル(うわぁ・・・)
セシリア「それでは・・・」サッ
シャル「た、たべるの!?それを?」
セシリア「はぁ・・・シャルロットさんも食べたいのですか?それならそうと」
シャル「いやいやいや遠慮します!」
セシリア「あらそうですの?それでは・・・」サッ
シャル「・・・・・・」ゴクッ
セシリア「あーん」
セシリア「・・・」パクッ
シャル「・・・・・・」
シャル(あ・・・これは・・・)
セシリア「・・・・・・っ」プルプル
シャル「セ、セシリア・・・無理しなくてもいいからね」
セシリア「・・・・・・っ!」ガタッ
シャル「・・・」ビクッ
セシリア「シャルロットさん・・・少し失礼しますわ・・・」
シャル「あ・・・うん・・・わかった。うん無理もないよね」
セシリア「お願いします」スタスタ
シャル(可愛そうに・・・・・・セシリア・・・)
セシリア「・・・・・・」スタスタ
セシリア「まさか・・・私の料理があんなに・・・」
セシリア「・・・あんなに・・・」
セシリア「・・・・・・
セシリア「美味しいなんて!」
セシリア「今まで食べたどんな料理より美味しいですわ!」
セシリア「そういえば、私の料理を食べた一夏さんが失神していましたけど、もしかして・・・」
セシリア「美味しすぎて失神していたのではありませんこと?だとしたら納得行きますわ!」
セシリア「これからは毎日一夏さんに料理を振舞ってあげなくては!」
セシリア「そうでないと宝の持ち腐れですわ!ああ!早く一夏さんの笑顔が見たい!」
セシリア「そうですわ。レシピを増やさなくては・・・将来の一夏さんの妻として・・・レパートリーを・・・それから・・・」
―――――――
――――――
箒「一夏。私と・・・」
ラウラ「嫁!私と飯を食うぞ!屋上で!」
一夏「おっ。屋上かぁ・・・久しぶりに外の空気を吸いながら食べるか」
箒「(ちぃ・・・二人きりで食事を摂るチャンスを・・・)
セシリア「あら。私もご一緒してよろしくて?」
一夏「ああいいぞセシリア。じゃあ購買に言ってパンを・・・」
セシリア「それには及びませんわ。私が一夏さんの分を作ってまいりました」
ラウラ「!!」
箒「!!」
一夏「うっ・・・」
セシリア「あら?一夏さん?嬉しいのかしら、顔が笑顔でひきつってますわよ」
一夏「ああ・・・そうだな・・・うれしいよセシリア」
箒(それは違う意味で引きつってるんだぞ・・・)
ラウラ(セシリアのバスケットから異臭が・・・そうか・・・これが新手の生物兵器)
セシリア「・・・それでは」パカッ
モーン
一夏「ううっ・・・」
箒「ああ・・・」クラッ
ラウラ「・・・・・・精神がやられる」
セシリア「さぁ!たーんと召し上がれ!今日の昼食はちゃーんとつくりこんできましたわ!」
箒「セシリア・・・時に聞くが、お前それ自分で味見したのか?」
セシリア「?当たり前じゃないですか。改心の出来ですわよ?」
ラウラ(味見しただと・・・)
箒(それでよく生きていられるな・・・)
セシリア「はい、あーん!」
一夏「うう・・・・・・」
箒「・・・・・・」ジー
ラウラ「・・・・・・」ジー
セシリア「あーん」
一夏(頑張れ俺!心鬼に!今俺は修羅となる!)
一夏(オルコッ党員の一員として俺は・・・セシリアの全てを受け入れる・・・)
一夏(風に身を任せろ。大地の地動を感じろ・・・地球と一つになるのだ)
一夏「・・・」パクッ
セシリア「ど、どうですか?」ドキドキ
一夏「・・・」
箒「一夏?」
ラウラ「・・・」サッ
ラウラ「・・・・・・息してない」
一夏「・・・・・・」
一夏「あ、ああ・・・ありがとう」
シャル「ねぇ・・・鈴・・・」
鈴「ええ、わかってるわシャルロット。言いたいことはわかる」
セシリア「今日のお弁当は煮込みフライドチキンですわ!」
一夏「ああ・・・うん・・・楽しみだな。ははは」
シャル「い、一夏が死んじゃうよぉ・・・」プルプル
鈴「無理よシャルロット。一夏は言ったの。俺が行く道が例え死につながっていても、決してセシリアを悲しませる真似はしない、と」
シャル「そ、そんなぁ・・・」
セシリア「一夏さん!屋上へ!」
一夏「ああ・・・セシリア・・・嬉しいなぁ。嬉しいなぁ」
一夏「・・・・・・」フラフラ
のほほん「ねぇ・・・最近のおりむー大丈夫かな」
クラスメイトA「そうよね・・・声かけても空返事しか返ってこないこともあるし」
一夏「・・・・・・ぁ・・・」フラフラ
箒「なぁ・・・一夏・・・大丈夫か?」
一夏「・・・・・・ん?お前誰だ?」
箒「はぁ?私は篠ノ之箒だ。忘れたのか?」
一夏「ん・・・ああ・・・箒か・・・いかんな。最近物忘れが激しくて」
箒「大丈夫かお前・・・」
セシリア「あ!一夏さん!」
一夏「ひっ!」
一夏「あぁ・・・・・・セシリア」ガクガク
箒(う・・・一夏の体が拒否反応を・・・)
一夏「俺は・・・もう限界だ・・・セしりあぁ・・・」
セシリア「あら?実習で疲れてらっしゃるのね。私のお弁当で癒されてくださいな」グイッ
一夏「あぁ・・・助けてぇ」ビクビク
シャル「あっ!一夏。織斑先生が呼んでたよ!」
一夏「はぁ・・・はぁ・・・え?」
シャル「至急連絡することがあるんだって!」
セシリア「あら・・・そうですの・・・仕方ありませんわね」
シャル「ははは。ごめんね。一夏行こっ」
箒「ほら。一夏。しっかりしろ」
一夏「ぁあ・・・・・・ぁあ」
一夏「ぁあ・・・あれ・・・ここは?」
シャル「ごめんね一夏嘘ついちゃった。織斑先生が読んでたって言うのは嘘なんだ」
一夏「え・・・?」
鈴「いーちか」
ラウラ「嫁・・・辛かったな」
一夏「お、おまえら・・・どうしたんだ一体」
箒「お前をセシリアから解放させてたくてな」
シャル「皆でご飯作ったんだ」スッ
モクモク ホクホク
一夏「あぁ・・・・・・ここは・・・天国かぁ・・・」
箒「和食は私」
鈴「中華は私よ」
ラウラ「私も微力ながら汁物を少々な」
「たーんと召し上がれ!」
一夏「・・・」パクッ
一夏「・・・・・・」パクパク
一夏「・・・ぁうう・・・」パクパクパク
シャル「ど、どうかな?」
箒「む、無理しなくてもいいんだぞ」
一夏「ぇぐ・・・うぅ・・・」ポロポロ
ラウラ「よめぇ・・・」
一夏「おぃしいなぁ・・・おいしいなぁ・・・えぐ・・・」ポロポロ
鈴「一夏・・・」
箒「て、照れるなぁ」
一夏「この洋食・・・味付けも最高で・・・全然しつこくない・・・母性を感じる、シャルの料理だなァ・・・」
シャル「あはは」テレテレ
一夏「この中華、熱々で、頬張るたびに唾液が止まらなくなるよ。鈴の親父さん、元気かなァ・・・」
鈴「元気でやってるわ」
一夏「この汁物。無骨だけど、仲間を大切にする想いが伝わるよ、これがドイツ軍仕込みなんだなァ・・・」
ラウラ「べ、別に・・・材料を切り刻んで放り込んだだけだ・・・誰でもできる」
一夏「うぅ・・・旨いぞぉ・・・最高だぁ・・・俺はこんな料理が食べたかったんだぁ・・・」
箒「一夏・・・お前が我慢することはない」
ラウラ「そうだ。私たちからセシリアに直接言う」
鈴「そうね。一夏。あんたはもっと自分を大事にすべきだわ。あんたの優しさは時に残酷よ。もちろんセシリアにとってもね」
一夏「だが・・・俺は」
シャル「元はといえば僕がセシリアを止められなかったのが悪いんだ」
シャル「セシリアの料理はまずいって、あの時ちゃんと言えていれば・・・」
ラウラ「シャルロット。お前のせいではない。それにこれは皆で解決すべき問題だ」
一夏「ち、千冬ねえ」
千冬「オルコットの味覚は筆舌に尽くしがたい。舌だけにな。既にこいつにはわからせておいた」
セシリア「あう・・・」
一夏「セシリア・・・お前」
セシリア「すいませんでした、一夏さん。私、一夏さんがそんなに苦しい思いをしていたとは知りませんでしたの」
一夏「・・・・・・」
千冬「オルコット。お前は謝罪ではなく、別のもので織斑に返す必要がある」
千冬「おいおい、ここにいるじゃないか。お前に必要なものを補ってくる奴らが」
シャル「・・・」
箒「・・・」
鈴「あら」
ラウラ「ほう」
セシリア「あぁ・・・皆さん」
千冬「ほら、さっさと土下座でもなんでもしろ」
セシリア「皆さん・・・この私めに・・・
料理を教えてくださいまし!」
箒「ばかかっ!どうして味噌汁にゼリーを入れるやつがある!」
セシリア「は、はい!」
グツグツ
シャル「ちょ、ちょっと!ちゃんと火を見て!吹きこぼしちゃってるよ!」
セシリア「は、はい!ただいま!」
ジュー ジュー
鈴「ちょっと!練習もしないうちに手首でフライパン返ししないの!下手くそ!」
セシリア「はひぃ!」
ラウラ「いいか・・・ナイフの持ち方はこうだ」
セシリア「こ、こうでしょうか」
ラウラ「ちなみに相手の後ろを取ったときはこう、逆手に持つ」
セシリア「はぁ・・・こうですか」
ラウラ「そうだ・・・そして相手に向けて突き刺すときは」
鈴「ちょっとラウラ。関係ないでしょそれ」
一夏「お、おい・・・セシリア。お前最近疲れてないか?」
セシリア「・・・一夏さん。そんなことありませんわ。私はもっと頑張らなくては」
一夏「あんまり頑張りすぎも良くないんじゃ・・・」
セシリア「一夏さんのためを思うなら・・・こんなもの屁でもありませんわ」
一夏「屁ってお前・・・」
セシリア「それでは、失礼します」フラッ
セシリア「・・・・・・ほうれん草を茹でる時間は・・・」ブツブツ
一夏「・・・セシリア」
一夏「ああ、正直心配だ。セシリアが倒れでもしたら」
のほほん「あれれ~?おかしいぞ~?おりむーだってあんな感じでふら~としてたよー」
一夏「え?そうだったのか?」
のほほん「むしろあれよりひどかったかも。人を見ているようでみていなかったよー」
一夏「のほほんさんは知らないのさ・・・あの時のセシリアの料理を」
のほほん「あははは。セッシーの頑張りは、その時のツケをとりかえしてるのかもねー」
一夏「ははは・・・」
一夏「いや・・・わからないな」
のほほん「好きな人のためなら。なんだってやれちゃうからだよ!女の愛は男のそれよりもずっと深いんだから!」
一夏「へぇ・・・それとセシリアと何の関係が?」
のほほん「おりむーはダメだなー」
一夏「えー?なんだよ」
のほほん「しらなーい」
一夏「えー」
一夏「ん?あるぞ。どうした?」
セシリア「私の料理を・・・」チラッ
シャル「・・・」グッb
ラウラ「・・・」謎のサイン
セシリア「た、たべてください!」
一夏「(ついに来たか)」
一夏「ああ。いいぞ」
セシリア「ほ、本当ですの!では・・・一夏さんのお部屋で待っていてください」
一夏「ああわかった。待ってるよ」ニコッ
セシリア「が、がんばりゅ、がんばりますわ!」ガチガチ
箒「・・・(噛んだな)」
鈴「・・・(かわいい)」
一夏「はい・・・ああセシリアか」
セシリア「はい!ご、ご飯を持ってまいりましたわ」プルプル
一夏「おい、大丈夫か・・・なんかちょっと零れてる気が」
セシリア「すみません・・・途中で緊張から転びそうになって・・・」
一夏「ああ・・・(大丈夫かな)」
セシリア「それじゃあ・・・召し上がってください」
一夏「ああ、そうだな・・・」スッ
セシリア「・・・・・・」ドキドキ
一夏「あー」アー
セシリア「・・・」ドキドキドキドキ
一夏「あむ」
セシリア「・・・」ゴクッ
一夏「・・・・・・」パクパク
セシリア「・・・どうでしょうか・・・」
一夏「んー・・・普通に旨いんじゃないか」
セシリア「本当ですのっ!?」パァッ
一夏「うん。味付けをもうちょっと工夫したほうがいいけど。全然食べられる」
セシリア「はふぃ・・・よかった」ヘナヘナ
一夏「うん。なかなかだ」
セシリア「うぅ・・・えぐ」ポロッ
一夏「え?セシリア?」
セシリア「また嫌われたら・・どうしようかと」ポロポロ
一夏「え?鈴お前どっから出てきた?お前まさか・・・ずっとベッドの下に」
ラウラ「ふむ。練習の成果だな」ドン
一夏「えー・・・・・・机の下に・・・」
箒「これで料理音痴も卒業だ」ガチャ
一夏「クローゼット・・・」
シャル「ボンジュール」ガチャ
一夏「シャワールームですね。わかります」
セシリア「皆さん」カァ
シャル「まったくだね。本当に片時も目が離せなかったよ」
鈴「まあまだ人参をみじん切りににするのに10分くらいかかるけど、いい調子よね」
ラウラ「ああ、確かに以前包丁の切れ味を生かしきれてないが、及第点といったところか」
一夏「よく頑張ったなセシリア」ナデナデ
セシリア「あう・・・///」
箒(う、羨ましいぞ・・・)
シャル(ずるい・・・)
ラウラ(私も頭を撫でて欲しい)
鈴(まあ今くらいはいいかな)
セシリア「い、一夏さん!これを気に・・・私を・・・一夏さんのよ、よめこうほ
四人「それはダメ(だ)」
一夏「えっ」
箒「そんなわけがなかろう」
ラウラ「嫁は私のだ、異論は認めん」
セシリア「何をおっしゃいますの?教えてくださったことは心より感謝しますが、欠点のなくなったわたくしに敵はございませんでして
シャル「セシリア。それは料理で僕たちを追い越してからいいなよ」ニコッ
セシリア「ひっ」ビクッ
鈴「あらあら。まだまだ出藍の誉れと呼ぶには道のりが遠いんじゃないかしら」ニヤリ
一夏「まぁ・・・まだ和食では箒には適わないな」ボソッ
セシリア「え?」
一夏「洋食もシャルの味付けには達してないかな」ボソッ
セシリア「ん?」
一夏「中華も鈴の腕には遠いかなぁ」
セシリア「・・・」ズーン
ラウラ「嫁っ、私は?」
一夏「ああラウラはかわいい」
ラウラ「よめぇ・・・///」
セシリア「」
箒「ふむ?あのセシリアが?」
セシリア「そうです!英国淑女たるもの、全てにおいて優秀でなければなりませんわ!」
シャル「セシリア・・・無理しなくていいんだよ」
セシリア「むきー!今に見ていなさい!」ダッ
鈴「あらあら。いっちゃったわね」
ラウラ「よめぇ・・・///」ナデナデ
一夏「まぁ・・・味噌汁はこの中で一番美味かったかなぁ」ボソッ
四人「「「「!!」」」」
セシリア「チェルシー!特訓ですわ!」
セシリア「世界一のシェフを呼びなさい!私絶対にギャフンと言わせてみせます!」
セシリア「もう二度とメシマズとはよばせませんわーーーーー!!!」
完
乙
「ああ・・・綺麗だねセシリア」
リゾート地に借りたコテージの二階、遠くまで広い海と、煌くように光る砂浜が見渡せるバルコニーで、俺とセシリアは肩を寄せ合っていた。
「ふふふ、私を娶っていただいたのに・・・こんな旅行まで計画してくれるなんて」
「綺麗な君には、綺麗なリゾートがもってこいだろ」
「お上手ですわね。一夏さんたら」
澄み渡る青空。
カモメの影がバルコニーの隅を横切る。忘れていた感覚が蘇る。以前、修学旅行で俺はこんな海を見たんだった。
セシリアの艶かしい肌にサンオイルを塗った感触を思い出す。
柔肌を滑らせた手のひら。蹂躙しつくしたい感覚を押し切って、恐る恐るオイルを肌になじませたものだ。
「あっ・・・どうしましたか、一夏さん」
「別に・・・セシリアに触りたくなった」
「もうっ・・・」
「なぁ・・・セシリア」
「なんですの」
「今ここでお前を抱きたい」
「・・・・・・」
無言の肯定。目をつぶる。ふと脳裏にあることが浮かぶ
最初にキスした時、俺は首を右に傾けたか、左に傾けたか。
「んっ、ちゅ・・・んむっ」
「はぁっ!あぁつっ!いっ、ちかぁさん!ああ!」
パンパンパン!パン!
セシリアに腰をぶつける。いや、叩き込むと言ったほうがいいかもしれない。
既に俺の理性は消滅していた。ただ一心不乱に、セシリアの膣肉を貪り、彼女の乳房を手で変形させる。
さながら、遺伝子の命令。ただこの女を蹂躙し、相手を欲するだけのセックス。
「んあぁあっ!!もっ・・・ぉう!だっめぇええ!」
ズチュン!ズチュン!
口は乾きを求める。後背位で思う存分腰をセシリアに叩き込んでいた俺は、セシリアの顔を振り向かせ、舌を口内に侵入させる。
「んっ・・・ちゅっ・・・んふぅ!」
温かい。舌の感触はさながら、美味しい霜降り肉。最高に脂身の乗った特上ステーキだ。
思う存分舐めまわす。美味しい。セシリアの歯の裏。歯茎。舌の奥。すべてを蹂躙する。
俺は足首を伸ばし、自身の顔をセシリアの唇により接触させる。
唾を飲ませる。唾液をセシリアの喉に流し込む。
「んぐっ・・・ごくっ・・・ちゅ・・・はぁ・・・」
俺の唾液で喉鳴らすセシリア。なんとも艶めかしい。男の征服欲が満たされる感覚。セシリアの体内に俺の体液が、唾液が、今なお送り込まれる。密着する身体。腕で足で、全身で、セシリアを抱きしめ、口を犯す。喉を犯す
「はふぅ・・・んんっ!!んっ・・・んむぅうう!」
それでも腰を振るのを忘れない。右手はセシリアの腰に手を回し、左手は乳房に思い切り鷲掴む。体はセシリアの背に密着させ、唇を貪る。合体という言葉で言いあらせない。男と女の根源的な交配だ。
パンパンパンパン!!
セシリアは体を状態にそらし始める。立っていられないのか。セシリアの腰から下の方へと力が抜けていいく。
腰で交わるのが男と女のまぐわいだとすれば、俺とセシリアのものは全身での交わりだ。
互の汗が目に入り、耳に入り、胸板にふれ、乳房に触れ、俺のペニスとセシリアの膣内で体液が交換される。
ああ最高だ。官能的とはこのことだ!
後ろから犯しているために、激しく揺れるセシリアの乳房を間近で見れないのが少し悔しい。
豊満な胸を両手をクロスさせて揉みしだく。
右手で左の乳首をつまみ、左手で右の乳房を掻き抱く。
大きな胸だ。Fカップはあるだろうか。この大きく、道行く男を振り返らせる胸が俺の手の中にある。
セシリアは・・・俺のものだ。誰にも渡さない。セシリアの胸を掻い抱く手に力を込める。
腰を持って黙らせる。セシリアの尻の感触が俺の下腹部に伝わり、その性の信号が脳を興奮へと誘う。
この大きな尻。忘れるものか。思い切り腰をぶつける。やわらかく、すさまじい弾力。
どうして女の尻はこうもエロいのか。子供をお腹で育てるだけに発達した訳ではないのだろう。
男を、理性を、性欲を掻き立てるためだけにあるような尻。
吸い付きたい。おもいきりしゃぶりつきたい。その衝動を代わりに腰をぶつけることで昇華させる。
膣内を蠢く俺の陰茎。締まる膣。ひだをひきずりまわす俺。それに呼応するように腰をくねらせるセシリア
「ああ!っ!ぁう!ぅ!ああ!!っ・・・ああ!!」
ズン!ズン!ズン!パン!
汗が頬を伝う。
prrrrrr prrrrrr
「はぁ・・・hぁ・・・え?」
突如電話が鳴った。セシリアの携帯。おそらく、彼女の会社の者からだ。
「いいさ。とればいい。重要な電話かもしれないだろ?」
「えっ・・・はぁ・・・はぁ・・・でも・・・」
「ほら・・・俺は動かないから」
pi
「えっ・・・あっもしもし・・・なんですの」
ゆっくり、ゆっくり腰を動かす。陰茎の皮が、着々と膣壁の抵抗でひろげられていく感触。
「その件でしたら・・・んっ・・・事前に連絡したはずでっ、すわ・・・ぁ・・・」
セシリアがキッと俺の方を睨む。なんともそそられる。こういう時の女の目は、悪戯に男の加虐心を煽るだけだというのに。
俺はそっとセシリアの胸に手を伸ばし、腰を小刻みに動かし始めた。
「んっ・・・ぁ・・・ぉ・・・はい。・・・ぁ・・・はい・え?なんです・・・っ!」
舌でセシリアの背中のなぞる。文字を書くように舌を転がす、縦に舌をゆっくり動かすと・・・膣内が急に激しく締まり出す。感じている証拠だ。
「ん・・・はあ・・・・・・・その件はですから事前にっ・・・いいましたようにで・・・んん!!!!」
しまった・・・つい強くピストンしてしまった
(やめてください!)
セシリアは電話口を抑え、俺に小声で非難する。
(ははわかったよ)
俺はピストンをやめ、セシリアの膣奥を中心に、陰茎を子宮に押し付ける運動に変えた。
「んっ!(ちょ、っちょ!)・・・そ、それで・・・?次の件は・・・」
子宮口に、ペニスを擦りつける。俺のカウパーをその入口になすりつけるように。
俺が右に子宮口をつくと、それに対応して右前に腰を逃げるように動かす。嫌がる腰をさらに引き寄せ。ぐりぐりと。
このまま精液をぶちまけてしまいたい衝動。セシリアという一人の女の中に精を放ち、女として孕ませる。そうできたらなんと最高なのだろう。
そろそろいいかな!
パン・・・パンパン・・・パンパンパン!!!
セシリア「!!!っ~~~~~!!!っ~~!!」
必死に声を抑えるセシリア。せまりくる感覚は洪水のような快感だろう。頭は真っ白。既に電話口を手で押さえ、目を瞑り、快感に抗っている表情。
声を抑えるセシリアと対照的に、腰と腰を激しくぶつける速度を上げ、肉と肉が弾ける音がバルコニーに響く。
既にその肉音は先ほどの比ではない。もはや打ち込む腰に加減というものがなかった。
そのはちみつ色の髪を揺らし、バルコニーの手すりに手を預け、俺にされるがままに。携帯電話の電話は入ったまま。
「っ~~~っぁ~~~!!!~~~っ・・・~~~!!」
ああ・・・最高だ。声を我慢する反動で、腰はひくひく動き、俺の陰茎を思い切り締め上げてくる。体全体で膣に集中しているかのようだ。よく声を我慢できているな、セシリア。俺はもう我慢の限界だ。
こんな青空の下で、これほどまでに背徳的な快感を得られることに俺の脳は酔いしれている。
セシリアの腰に向かって、ななめ下から上へと突き上げる。力強く、体液が飛び散る。その際、思い切りセシリアを抱きしめ、その背中の汗をおもいきりすする。
「~~~っっっっ!!!ぁあ~~~~~っっっ!!あああ!!」
『もしもし!?セシリア専務??もしもし!?」
パンパンパン!!パンパンパン!
「ああぁ~~~!!!っぃううああ~~~んんああっっっ!!!」
もはや電話など関係がなかった。ここに居るのは男と女。仕事上の立場など無視し、快感に身を委ねるだけのセシリアと俺だけだった。
パンパンパンパンパンパンパン!
ズチュン!ズン!ズパン!
腰の駆動率、セシリアの膣を摩擦するペニスのピストンを速める。日差しが眩しい。そよ風が二人の汗を持っていく。
「出すぞ!セシリアアアアアッッッ!」
「ああッッッ!んぁああ~~~ッ!はぁあ~~~ッ~~~~ッ!!!」
もうセシリアに思考能力など残っていなかった。よだれをたらし、ただ吐精に向けて待ち構えるだけの存在。
女として男の遺伝子を己へと吸い上げる搾取機。
膣内が俺を欲するかのように躍動する。セシリアの腰もすでに力なく俺のピストンを受け入れる。
俺はセシリアの腰に回してに力を込めた。
汗。汗。汗。
たまらなくしたたり落ちる汗。セシリアの尻が弾けるたびに飛ぶ汗。偉大な汁感。肉体の交錯。頭がとろけ落ちる。
パンパンパンパン!!
「いくぞっ!!ああああッッッ!!!!!!!」
「んあああ~~~~ッッッ!!だめええええッッッ!!」
パンパンパン!・・・・・・パン!!!
ドクン・・・ドクン・・・
「ぁあ・・・あっ・・・ぁあ・・・」
ビュルル!ビューーー!!ビュクンビュクン!ビュルルルル!!!
「はぁ・・・ふああぁ・・・ふあ・・・~~ッッ!!」
思い切りセシリアの中に射精する。精液がセシリアの子宮にこびりつく、汚す。匂いを残す。
送り込める精子。子宮の壁に当たる勢いで射精する。一突きするたびに漏れるセシリアの声。
すでに二人は、孕み孕ませるだけの関係だった。
搾り取られる精液。刈り取られる意識。なおも収縮を続ける陰茎がセシリアの腰に搾取される。
崩れ落ちるセシリアの腰。それを逃すまいとバルコニーの手すりに俺のピストンでセシリアを追い詰める。
孕みたくないと逃げる腰に止めを刺すような一突き。最後の射精。
ドクン ドクンドクン
ああぁ・・・なんとも最高な気分だ。
『・・・セシリアさん!大事な会議が迫ってるんですよ!応答願います!』
「ふぁわああ・・・っ・・・ぁああ」
俺の耳にも、セシリアの耳にも、そんな携帯の声など微塵もはいらずに
ただ、セシリアは続く絶頂に。俺は気だるい、最後の一滴を絞り尽くす射精感に身をゆだね、ただただ性を貪る動物へと還っていったのだった。
「ぁあ・・・いちかさん・・・すきぃ・・・」
完
Entry ⇒ 2012.11.16 | Category ⇒ インフィニット・ストラトスSS | Comments (0) | Trackbacks (0)
P「美希がジョジョにハマった」
P「美希がジョジョにハマった」
美希「おはようなのー」ガチャ
亜美「ミキミキおっはー」
真美「おはおはー」
美希「あれ?まだ二人だけ?」
真美「そーだよーん。今日は真美達が一番乗り!」
亜美「律っちゃんと兄ちゃんは打ち合わせでどっか行ってるー」
美希「ふーん……あれ?二人共何読んでるの?」
亜美真美「「ジョジョ!」」
美希「ジョジョ?」
真美「オーマイガーッ!『理解不能ッ!!』」
美希「名前しか知らないの……どんな話なの?」
真美「人間賛歌はッ!」
亜美「勇気の賛歌ッ!!」
亜美真美「「って感じ?」」
美希「まったく情報が伝わってこないの……」
真美「うーん……あ、読んでみる?」
亜美「百聞は一件のシカ,sって言うしね!」
美希「それ、なんか違うって思うな」
真美「百聞は一点のシラス……じゃないっけ?」
小鳥「亜美ちゃん真美ちゃん。それを言うなら百聞は一見にしかず、よ」
美希「うわっ!小鳥、いきなり来るとびっくりするの!」
真美「うわあ!ピヨちゃん!?いたの!?」
亜美「こ、これは……!スタンド攻撃を受けているッ!?」
小鳥「ずっと奥の方にいたわよ……?」
美希「存在感薄いの」
小鳥「ピヨ……」
ジョジョ立ち銀の車輪アヌビス二刀流ピースを決めてくるなんて
真美「あー!すっかり忘れちゃってたYO!」
亜美「ジョジョの話だったっけ?」
小鳥「ジョジョ……ッ!」
美希「小鳥もジョジョ知ってるの?」
小鳥「知ってるどころじゃあないわッ!」
小鳥「単行本は当たり前!諸々のフィギュア!グッズも持ってるわッ!」
真美「おおー!ピヨちゃん凄い!」
亜美「ジョジョラーって奴だね!」
美希「な、なんか凄いの……」
小鳥「美希ちゃんは読んだこと無いの?」
美希「男の子が読むような漫画は読んだことないの」
小鳥「もったいないわ!!」クワッ!
美希「こ、小鳥……近いの……」
亜美「あ、じゃあピヨちゃんミキミキにジョジョ貸したげてYO」
真美「真美達の貸してあげられればいいんだけど、まだ読んでるからさー」
小鳥「もちろんよ!布教用の奴を貸してあげるッ!」
美希「布教用?」
亜美「おお!保存用、布教用、観賞用って奴だね!?」
真美「流石ピヨちゃん!真美達に出来ないことを平然とやってのけるYO!」
亜美「あ、確かに」
真美「ミキミキ正論だね」
小鳥「……と、とにかく!明日にでも事務所に持ってくるわね!」
真美「とりあえず一巻だけでもパラパラっと読んでみる?はいこれ」
美希「ふーん」パラパラ
小鳥「あ、それ文庫版?」
真美「そーだYOー」
亜美「文庫の方は『何をするだァーッ!!』じゃないんだよねー」
小鳥「文庫もいいんだけど、やっぱり単行本の方が表紙を堪能できるのよねー」
亜美「うーん。ジョジョラーらしい意見だねー」
真美「ミキミキどんな感じ?」
美希「なんか絵が濃くってちょっと気持ち悪いの」
小鳥「」プッツン
亜美「あ」
真美「言っちゃいけないことを……」
美希「こ、小鳥?」
小鳥「絵だけで漫画を忌避する!これほど愚かなことはないのよ!冗談じゃあないわ!」
亜美「火点いちゃったね」
真美「マジシャンズ・レッドだね」
小鳥「いいかしら美希ちゃん!?ジョジョを読まないで絵だけで判断しちゃ駄目なのよ!」
美希「小鳥怖いの……」
亜美「マニアってそんなもんだYO」
真美「真美も『シーザーって服にシャボン液染み込んでるから洋服ベッチャベチャなんだろ?wwww』って言われたときは我を忘れて怒り狂ったYO」
真美「まあ読む前に『絵が受け付けない』って言う人はかなりいるけど、『読んでみたけど面白くなかった』って人はあんまいないYO」
美希「えーと……とりあえず読んでみるの……」
小鳥「是非!」
~三日後の事務所~
P「おはようございまーす」
美希「やかましいッ!うっとおしいの このアマッ!」ガルッ
P「え……何これ」
亜美「おはよー兄ちゃん」
真美「兄ちゃんはろはろー」
P「お、おう……おはよう」
P「ああ、音無さん。おはようございます。で、何ですかこのザマ」
亜美「兄ちゃん。これこれ」
P「んん……?ジョジョか……なるほど」
千早「プロデューサー、おはようございます」
P「千早か。おはよう」
千早「美希、朝からずっとあんな調子なんですよ」
小鳥「チョット前に単行本を貸したんです」
P「で、ハマっちゃったと」
美希「『ブッ殺す』と心の中で思ったならッ!その時スデに行動は終わっているのー!」
P「アイドルがブッ殺すとか言うんじゃあないの」
小鳥「美希ちゃんがしっかりハマってくれて、私嬉しいわ!……ちょっとセリフの使い方変な時あるけど」
P「また余計なことを……」
小鳥「ピヨ……」
P「ん?ああ。学生時代は漫画大好きでいろいろ読んでたなあ。ジョジョも好きだよ」
千早「私はそういうのよく分からなくって……さっきから全然話についていけないわ……」
亜美「千早お姉ちゃん漫画とか読まなさそうだもんねー」
美希「ハニー!ジョジョってすっごい面白いの!」
P「良かったなー」
美希「もう!反応が薄いのー!」
亜美「兄ちゃんは何部が好きー?」
P「俺?俺は四部かなあ。一番完成度が高いと思う」
小鳥「私は断然!五部です!」
真美「んっふっふ~ じゃあブチャラティみたいにピヨちゃんのほっぺ舐めたげようかー?」
亜美「この味は!……嘘をついている味だぜピヨちゃん!年齢方面で!」
小鳥「酷いわ!わ、私は年齢を公表してないだけで、詐称なんかしてないわよ!」
亜美「亜美は二部!」
真美「真美も二部が好きかなー!」
P「あー、確かにお前らなんかジョセフっぽいわ……」
亜美「頭が切れるって点ではジョセフにかなう奴いないっしょー!」
ワイワイガヤガヤ
千早(私だけなんか仲間はずれね……)
P「しかしなんだなあ。女の子でもジョジョ好きっているんだなあ」
律子「女子にも結構ファンはいますよ」
P「うおお!?律子!!」
P「だっていきなり出てくるから……」
亜美「律っちゃんもジョジョ知ってんのー?」
律子「知ってるわよ。一応全部読んでるわ」
真美「律っちゃんはやっぱ眼鏡だからギアッチョ?」
亜美「根掘り葉掘りにキレるの?」
律子「氷漬けのカッチカチにしてあげましょうか」
ガチャ
伊織「なんか騒がしいわね。なんなのよこの騒ぎ」
あずさ「あらあら~賑やかでいいわね~」
亜美「おー!いおりんにあずさお姉ちゃーん!」
真美「いおりんも一緒にジョジョの話する?」
伊織「はあ?ジョ……なに?」
真美「ありえないっしょー!」
伊織「知らないわよ!なんなのよそれ!」
美希「デコちゃんは呪いのデーボなの」
伊織「は?」
小鳥「ぶふぅ!?」
美希「その内、そのうさぎのぬいぐるみが『かみ切ってやるぜーッ!メーン!』って言い出すの」
あずさ「まあ!うさちゃん意外と過激なのね~」
伊織「言わないわよそんなこと!」
P(冷蔵庫から伊織が出てくるのか……)
小鳥(『このトンチキがァー!』って言うのかしら)
真美「いおりんのあそこ以外が切り刻まれちゃうんだね……」
亜美「いおりん、『再起不能(リタイア)』」
律子「で、この波紋っていうのが特殊な呼吸法で太陽のエネルギーを生み出すのよ」
千早「なるほど……呼吸法ね……歌に生かせないかしら」
P「それは無理だと思う」
ガチャ
真「おっはようございまーす!」
雪歩「おはようございますぅ」
P「おーう二人共、おはよう」
真「プロデューサーおはようございます!なんだか賑やかですね?」
P「ああ、実はな」カクカクシカジカ
美希「意外なの。真君ならサッカーしながら『蹴り殺してやるッ!このド畜生がァーッ!』とか言いそうなの」
真「な、なにそれ……」
雪歩「……」
P「あと来てないのは貴音と響、それに春香、やよいか。今日はなんだか皆ゆっくりしてるなあ」
律子「ええ。今日は珍しく午前中は皆フリーですからね。午後からはバラバラに仕事が入ってますけど」
美希「やれやれなの……ミキはそんなブ男に引きずりだされないの」
亜美「んっふっふ~。このモハメド・亜美ドゥルの手にかかれば!ムゥン!レッドバインドー!」
真美「ああー!ミキミキの身体に炎の縄がー!」
美希「うおおおおーー!!ミキはもう知らないのー!」
P「あっちはうるせえな……」
あずさ「楽しそうでいいわね~」
小鳥「留置所から承太郎を引き出すアヴドゥルごっこですね」
律子「なんでそんな場面を……」
千早「フムフム……気化冷凍法……すごいわね」
真「楽しそうだなあ。ボク全然ついていけないや。雪歩は分かる?」
雪歩「え?う、うんちょっと……」
亜美「ミキミキ!次は亜美がDIOやるから花京院やってYOー!」
美希「えー。髪の色的にミキがDIOだって思うな」
亜美「いいじゃーん!半径20mエメラルドスプラッシュをザ・ワールドで返すごっこやりたいんだYOー!」
美希「だって花京院ってまともに勝ったのはお爺さんと赤ちゃんだけだし、なんかあまり強い印象ないの」
雪歩「」ピクッ
美希「最初に変な絵書いてたり、変な操り人形持ってたのもなんだかなって感じなの」
美希「花京院はちょっとかっこ悪いの」
雪歩「か、花京院はかっこ悪くなんかありません!!!」
一同「」ビクッ
真「ゆ、雪歩……?」
千早「そんな……!髪の毛で攻撃するだなんて……意外すぎるわ……」
P「千早はマイペースだなあ」
あずさ「読みふけってるわね~」
美希「ゆ、雪歩……?ちょっと落ち着くの……」
真美「雪ぴょん……?」
亜美「どしたの……?」
雪歩「それに!」
美希「」ビクッ
亜美真美「」ビクッ
雪歩「DIOの能力に気付いたのも花京院だし、死に際にヒントを残さなかったら皆やられちゃってたかもしれないんですよ!?」
雪歩「花京院がいなかったら、ジョジョは成立しないんですぅ!!!」
伊織「雪歩がすっごい声張ってるわ……」
あずさ「雪歩ちゃんすごいわ~」
真「あずささんはブレないなあ」
雪歩「花京院は弱くなんかありません!かっこ悪くなんかありません!!」ハァーハァー
P「よし。雪歩、一旦落ち着こう。皆引いちゃってるから」
律子「雪歩、どうどう」
雪歩「ハッ!?ご、ごめんなさい……私つい……」
小鳥「いいえ、雪歩ちゃん。素晴らしいわッ!」
P「え」
花京院いいやつだし好きだわ
小鳥「あなたの花京院への愛!確かに受け取ったわ!」
小鳥「そうよね……承太郎やポルナレフだけじゃない。花京院だって立派なのよ!」
雪歩「うう……小鳥さん……ありがとうございますぅぅぅ……」
美希「雪歩……ミキも悪かったの」
亜美「ごめんね雪ぴょん……」
真美「でも、花京院を悪く言うつもりはなかったんだよ?ほんとだよ?」
雪歩「いいの……私分かってるから……!ありがとう……」
P「いい話だなあ」
律子「絆がより一層深まりましたね」
真「どうしよう。全然わからない」
あずさ「私も全然分からないわ~」
千早「あぁっ!ツェペリさんが……!ジョナサンに最期の波紋を託して……」フルフル
P「千早は本当にマイペースだなあ」
伊織「鈍感っていうんじゃないかしら」
響「はいさーい!」
いぬ美「ばう!」
やよい「おはようございますー!」
P「おーう。おはよう」
律子「今日はいぬ美も一緒なの?」
響「いぬ美と一緒に収録なんだ!」
P「動物番組の収録なんだよ」
美希「イギー!イギーがきたの!」
小鳥「どっちかといえばダニーじゃないかしら」
雪歩「ひっ!?いぬうううう!!!????」
律子「はいはい。雪歩はちょっと台所に避難してきなさいねー」
あずさ「あらあら~いぬ美ちゃん。おはよう」
いぬ美「ばう!」
伊織「相変わらずデカいわねえ」
響「おかげ様ですくすく元気に育ってるぞ-!」
P「これ以上育てるのか……?」
美希「イギー!砂!ザ・フールを使うの!」
亜美「ヘイ!ガムあげちゃおうイギー!」
真美「クチャクチャ食べんしゃい!」
響「こ、こらー!変なもの食べさせるなあ!」
千早「う、うう……ジョナサンの最期……かっこいいわ……」グスッ
亜美「あ!お姫ちーん!おっはー!」
貴音「はい。おはようございます」
真美「これだよこれこれー!」
貴音「……?じょじょの奇妙な冒険……ですか?」
響「あ、ジョジョだ」
小鳥「あら、響ちゃん知ってるの?」
響「ああ!にぃにが持ってたからな!読んだことあるぞ!」
やよい「漫画ですかー?」
小鳥「面白いのよー」
真美「やっぱワニが出てくる6部?」
響「自分は7部だ!SBRが一番好きだぞ!」
美希「7部ってなんかジョジョっぽくないって思うなー」
響「あ?」ギロッ
小鳥「あ?」ギロッ
美希「ごめんなさい。嘘です」
P「すげえや。美希を一瞬で黙らせたぞ」
律子「二人共、養豚所の豚を見るような目をしてましたね」
貴音「響のあのような顔、初めて見ました……」
小鳥「絵柄?絵柄がちょっと変わったからなの美希ちゃん?リンゴォ戦とかちゃんと読んだ?」
美希「」
やよい「二人共怖いです……」
亜美「亜美、6部と7部はお話難しくてちょっと分かんないとこあったYO」
真美「真美も一巡した世界とかよく分かんなかったYO」
P「5部後半くらいからちょっと複雑になるからなあ」
律子「一巡して名前が変わった皆が自己紹介するところで、唯一エンポリオだけが『僕の名前はエンポリオです』っていう所が最高に熱いんですけどねえ」
あずさ「響ちゃん、すっごく好きなのね~」
響「ジョジョは元々好きだけど、SBRの隠れた主役は馬だからなー!」
伊織「あんたそういうとこまで動物馬鹿なのね……」
千早「!?ストレイツォが裏切り!?そんな……どうして……」
真「千早読みふけってるなあ。ボクも読んでみようかなあ」
貴音「わたくしも……そういった、かるちゃぁには疎いもので」
やよい「私もよく分かんないですー」
P「無理に分かろうとする必要はないけどなー」
真美「言葉じゃなく心で理解するものだからね!」
亜美「亜美、ペッシが最後にゲス野郎になっちゃったのが残念だなあ」
ガチャ
春香「おはようございまーす!」
小鳥「あ、春香ちゃん。おはよう」
春香「おはよう雪歩!なんでそんなところにいるの?」
真「いぬ美が事務所にいるんだよ」
春香「あー、なるほど」
伊織「いぬ美なら何度も見てるじゃない。いい加減慣れなさいよ」
雪歩「無理だよぉ……」
美希「来たの……肉体(ボディ)!」
春香「へ?」
響「なんか始まったぞ」
貴音「ぼでぃ?」
千早「ナチスの科学力ってすごいのね……」
亜美真美「「な、なんだってー!?」」
やよい「そうだったんですかあ!?」
春香「やよい!?違うからね!?」
伊織「ああ。自分の体じゃないから良く転ぶのね」
春香「伊織まで!?」
真「何の話?」
雪歩「春香ちゃんが肉の芽を出すっていう話じゃないかな」
あずさ「美味しそうねえ~」
小鳥「美味しくはないかと……」
P「やっぱりリボンが本体だったんだなあ」
律子「プロデューサー殿まで……」
春香「ちょちょちょ、美希!?なにするの!?」
亜美「観念しな……はるるん」
真美「フィルムだッ!真っ黒焦げに感光しろッ!」
P「ワムウが逆に思い切り仰け反ったのってすごいですよね」
小鳥「戦闘の天才ですから」
律子「ちょっとあんた達暴れないの!」
美希「律子……さん……!律子、SUN!?これなの!」
律子「は?」
美希「律子、さんはザ・サンなの!」
真美「なんと!やはりその眼鏡が!?」
亜美「律っちゃん、石投げて眼鏡カチ割っていーい?」
律子「いいわけ無いでしょ!」
小鳥「何気にすっごい強いですよね。あれ」
あずさ「春香ちゃんが引っ張られていくわ~」
千早「ジョ、ジョセフが!真!ジョセフがついにエシディシを倒したわ!」
真「いや、ボクに振られても……」
伊織「めんどくさいわね……」
雪歩「でも名シーンなんだよ?」
やよい「千早さん……真剣です……」ゴクリ
P「やよいは純粋だなあ」
貴音「!? あなた様、このちぇりーをれろれろするのには一体どんな意味があるのでしょうか!?」
響「意味なんて無いと思うぞ……」
P「貴音、それ真似しようとするなよ」
貴音「なんと……」
春香「邪悪の化身ってなに!?」
真美「さあ!律っちゃん早く!復活する前に!」グイグイ
美希「早くしないと復活しちゃうの!」グイグイ
律子「ちょ、やめなさい!悪ノリが過ぎるわよ!」
千早「ワムウ……」スッ
真「千早が泣きながら敬礼してる……」
雪歩「分かる……!分かるよ千早ちゃん……!」
伊織「わからないわよ……」
やよい「千早さん……」グスッ
P「やよいは純真だなあ」
小鳥「良いシーンなんですよお」グスッ
P「音無さん、泣くほどじゃないでしょ」
小鳥(扱いの差が酷い……)
真「ボクも手伝うよ」
いぬ美「ばう!」
雪歩「うひぃ!!?」
響「いぬ美!めっ!」
小鳥「雪歩ちゃんのお茶は本当に『ンまぁーーーーいッ!』ってなっちゃうのよねえ……」
伊織「まあ確かに美味しいわよね」
あずさ「雪歩ちゃんのお茶楽しみだわ~」
貴音「!? あなた様!わたくしもこのいたりあんを食べたいです!」
P「内臓飛び出ちゃうから駄目」
響「トニオさんの料理は身体の不調がグロく治るのが難点だな……」
P「おー、もうこんな時間か」
あずさ「雪歩ちゃんのお茶を飲んだらお仕事ですね~」
響「よーし!今日も頑張るさー!」
やよい「頑張りますー!」
小鳥「うふふ。気合バッチリね!」
伊織「それはいいけど、あっちの騒ぎをどうにかしなさいよ……」
美希「春香の敗因はただ一つなの……」
真美「てめーは俺を怒らせた……」
亜美「ロードローラーだよはるるん!」
春香「ちょ、なに!ほんとなんなの!」
律子「あんた達いい加減にしないと……」
雪歩「お茶が入りましたぁ」
雪歩「真ちゃん!?み、美希ちゃん、暴れちゃ危ないよ!」
美希「オラオラオラオラなのー!!」
春香「美希、危ない!ほんと危ないから!」
真美「うああ!ミキミキ!そっち駄目!」
亜美「雪ぴょんとまこちんがお茶持ってt」
春香「うわあ!?」ドンガラガッシャーン
雪歩「きゃああ!?」
真「うわっ!?」
ジャッバー
亜美「あーあ……」
真美「やれやれだYO……」
美希「は、春香!雪歩も真君もごめんなの……」
律子「美ィィィィ希ィィィィィ……」ゴゴゴゴゴゴゴ
美希「ひっ……」
やよい「だ、大丈夫ですか!?」
小鳥「アバ茶……」
響「ぴよ子、それ駄目」
貴音「律子嬢、火傷はありませんか?」
千早「よかった……ジョセフが生きてて本当に良かった……」グスッ
P「なんかもうここまでくるとマイペース通り越してるな」
伊織「だから鈍感なのよ。鈍感」
あずさ「あらあら~」
律子「美希……」
美希「は、はい!」
律子「亜美と真美も……」
亜美「え!?亜美達も!?」
真美「そりゃないYO!」
律子「やかましい!うっおとしいぞ!てめーらッ!」
亜美「ゆ、許して……」
律子(NO!NO!NO!NO!)
真美「じゃ、じゃあ一思いに右でゲンコツを……」
律子(NO!NO!NO!NO!)
美希「ひ、左?」
律子(NO!NO!NO!NO!)
亜美「りょ、りょうほ~ですかああ!?」
律子(YES!YES!YES!YES!)
美希「もしかして……」
美希・亜美・真美「「「オラオラですかーッ!?」
律子(YES!YES!YES!YES!)
P「オーマイゴッド」
律子オラララオラオラオラオラオラオラァァァァ!!」
TO BE CONTINUED
小鳥「はい、何でしょう社長」
社長「ジョセフの声は私に似てると思わんかね」
小鳥「今は杉田なので」
社長「そうか……」
おわり
アイマスってキャラ多いから動かすの大変だね!
ハッ!
Entry ⇒ 2012.11.15 | Category ⇒ アイマスSS | Comments (1) | Trackbacks (0)
煌「スバラーメン作ってみましたが」
煌「スバラーメン作ってみましたが」
優希「そんなものよりタコスバラをつくるんだじぇ!」
和「ラーメンのことならいい知り合いがいますが紹介しましょうか?」
煌「本当ですか和?ぜひよろしくお願いします」
優希「私もなかなか味にはうるさいんだじぇ」
煌「では、優希にも協力してもらいますよ?」
和「こっちも連絡がつきました。明日4人でくるそうです」
煌「それはすばらです!」
煌「では、私は今のうちにネタの最終段階をしておきます」
和「しかし、どうして急にラーメンなんて作ろうとしてるんですかね?」
優希「博多ラーメンに感化されたんじゃないのか?」
和「本当にそれだけなんでしょうか?」
和「あの花田先輩ですよ?もっと別の理由があるはずです」
優希「そんなことはないと思うじぇ。花田先輩は意外と単純なんだじぇ」
和「そうなんでしょうか」
優希「まぁ、細かいことは気にするなってことだじぇ!」
和「そういえば優希、花田先輩のラーメンを食べたことあります?」
優希「ないんだじぇ。明日が楽しみなんだじぇ」
しず「のどかー!遊びにきたよー!」
和「皆さんも、お久しぶりです」
憧「やっほー」
玄「お久しぶりです!」
宥「はじめまして……かな?」
和「直接お話するのは初めてですね」
和「少し急かされているので急ぎましょう」
しず「しかし、ラーメン楽しみだよ!」
玄「何味なの?」
和「私も食べたことないですからわかりませんね」
玄「あっ、優希ちゃんだ!」
優希「おぉー玄ちゃん久しぶりだじぇ!」
煌「しばらく、時間がかかるのでゆっくり話しておいてもかまいませんよ?」
しず「楽しみにしてます!」
煌「その心意気すばらっ!」
しず「しかし、どんなラーメンが来るのかな!?」
憧「しずってば本当にラーメンのことになると変わるよね」
しず「だって楽しみじゃん!スバラーメンと、キラメーン!」
和「そうですね。私も少し楽しみだったりします」
憧「和までそう思ってるんだ……」
しず「あこは楽しみじゃないの?」
しず「そうだよね!」
優希「ほぉー、この人玄ちゃんのお姉さんだったのかー」
玄「そうなのです!」
宥「私、試合出てたけど、見てない?」
優希「ご、ごめんだじぇ……その時の時間が飛んでる気がするんだじぇ」
宥「それなら……しょうがないね」
玄「すみません!すこしおトイレに!」
和「突き当りを左です」
玄「ありがとう和ちゃん!」
玄「えー、と突き当りを左だったよね」
玄「おーあったあった!」
<スバラスバラスバラスバラスバラバラバラバラバラバラバラッ
玄「花田さんなにか歌ってるのかな?」
玄「……少し見てみよっかな」
煌「あれ?どうしたんですか松実さん?」
玄「ひゃあぁ!」
煌「うおっ!急に叫ぶのはすばらくないですね!」
玄「あ、あれ?台所にいたんじゃ?」
煌「さっきまでおトイレに行っておりましたよ?あっ!もちろん手は綺麗に洗いますよ!」
玄「おトイレ……あっ、私おトイレに行くんだった!」
煌「そんなこと忘れたら駄目ですよ!」
玄「えへへ、ごめんなさい」
優希「おっ、玄ちゃんが帰ってきたじぇ!」
和「迷子になってなかったんですね」
玄「迷子になんてならないよー」
優希「玄ちゃんはなんかそそっかしいじぇ」
宥「クロチャーは頑張れば……出来る子だよ?」
玄「そうなのです!」
憧「そんなことでいばらない!」
優希「そうだじぇ……ちょっと遅すぎるじぇ」
和「少し見てきましょうか」
煌「皆さんお待たせしました!スバラーメンです!」
しず「きたー!」
煌「では、私はキラメーンを作ってきます!」
煌「味は後で教えてください!」
しず「まぁ、早速いただきまーす」
しず「……なんかびみょーだね」
宥「私はあったかくて好きだけど……」
玄「味が薄いのです!」
憧「あー、なんとなくわかるね」
和「でも、まずくはないですよ?」
優希「……」ポロポロ
優希「は、花田先輩は……やっぱりいい人なんだじぇ……」
玄「どうしたの?」
優希「うっすらとだけど、タコスの味がするんだじぇ……」
しず「えっ!本当ですか!……本当だ……」
優希「うぅ……私のリクエストに答えてくれて、わざわざ薄味にしてくれたんだじぇ」
しず「なるほど、ラーメンの味でタコスの味を消さない為にこの薄味にしたのか……」
憧「それってどれくらいすごいの?」
しず「役満しかあがれない人ぐらいすごいことだよ!」
しず「うん!さっきびみょーって言ったけどやっぱりおいしい!」
しず「気付かない人にしか気づかないおいしさ!」
優希「私にとってはとってもおいしいんだじぇ!」
優希「花田先輩に感謝してくるじぇ!」
しず「まってください!」
優希「どうしたんだじぇ?」
しず「きっと、花田さんは今凄い集中をしていると思います!」
しず「さっき急いでいたのは、多分私達がお腹が減ったのに気づいて料理を放置してきたからだと思います!」
和「つまり、今はその時間を挽回しているということですか?」
しず「そうなるね」
宥「これ一杯食べたらお腹いっぱいになるね……」
憧「あとで、食べればいいじゃない?」
優希「麺が伸びるんだじぇ」
憧「私は伸びたのが好きなんだけど……」
和「人それぞれ違いますね」
玄「いざとなったら私が食べる!」
憧「うん、よろしくね玄」
玄「あこちゃんのも食べるの!?」
優希「ぷはぁー、食ったじぇ!」
しず「ごちそうさまでした!」
宥「二人とも凄いね……」
優希「今日の為にお腹をすかしてきてたからだじぇ!」
しず「おぉ……見ているだけで食欲を誘われる!」
優希「花田先輩さっきはありがとうだじぇ!」
煌「気づきました?急に味を変えたんで少し心配だったんですが」
優希「一口目から気づいたじぇ!」
煌「それはすばらっ!」
宥「これも、あったかいね……」
和「ラーメンは温かいものですからね」
煌「私ですか?食べたいのは食べたいんですが」
煌「この髪が汁に浸かってしまいますからねー」
優希「切ればいいんだじぇ!」
煌「私のトレードマークはそう簡単に切れませんよ!」
和「言ったら失礼かも知れませんけど、その髪で器挟めそうですね」
煌「挟めません!」
しず「では、いただきます!」
煌「どうですかね?」
和「こ、これは」
しず「麺と絡みあう汁!絶妙な味の濃さ!麺の固さ!おいしい!」
憧(私としずも絡み合う!)
優希「キラッて感じだじぇ!」
宥「そういえば具が入ってないね……」
煌「スープに味が入ってますからね!」
玄「おいしいです!」
煌「優希、さっき言ったように私はラーメンが食べれないんですよ?」
優希「私が食べさせてあげるじぇ!」
煌「おぉぅ……それはなんか恥ずかしいですね」
優希「恥ずかしがることはないんだじぇ!」
煌「で、では一口……」
優希「あーんだじぇ」
煌「あ、あーん」
煌「……じ、自分で言うのもなんですが、すばらっ!」
しず「すばらっ!私も是非弟子入りさせてください!」
和「そんなオカルトありえません!」
憧「ほんとだ……温かい」
宥「あ、あれ?味も変わってる気がする?」
和「だからそんなオカルトありえまえん!」
優希「のどちゃん……科学では証明できないこともあるんだじぇ」
しず「くぅ、残しておけばよかった!」
憧「しず、私の食べてもいいよ?」
和「温かいなんて……そんなオカルト……」
優希「認めるんだじぇ!花田先輩の愛の力だじぇ!」
玄(ん?んん? 花田さんが優希ちゃんに向けて作ったラーメンだから)
玄(花田さんは優希ちゃんが好きなのかぁ……)
玄「ふぅ~む、なるほどなるほど」
宥「なにに納得してるの?」
玄「なんでもないよ!」
煌「きてくださいますかね?」
優希「間違いなくくるじぇ!」
しず「あっ、ごめんあこ。全部食べちゃった……」
憧「別にいいよ」
宥「これ、持って帰ろうかな……」
煌「さすがに食べて帰ってくださいね!」
しず「いえいえ、こちらこそおいしいものを有り難うございました!」
宥「そろそろ、電車の時間だね……」
しず「名残惜しいですが、これでさようならですね……」
煌「ふっふっふ……私がお店を出せばいつでも会えますよ!」
玄「さようならー!」
煌「また来てくださいね!」
憧「すばらでした!」
煌「すばらっ!」
和「いえ、私たちは当然のことをしただけですから」
優希「そうだじぇ!花田先輩には感謝してるじぇ!」
煌「この行為を当然と言えるとは、すばらです!」
煌「おっと……もうこんな時間ですか」
優希「もう少し遊ぼうじぇ……」
煌「わがままを言ってはいけませんよ優希」
煌「それでは、お二人ともさようならです」
和「はい、また今度」
優希「グスッ……バイバイだじぇ!」
和「優希、見てくださいこの記事」
優希「なんだじぇ?」
『今話題のラーメン
スバラーメン!キラメーン!』
優希「こ、これ花田先輩のだじぇ!」
和「そうですよ。つまりもしかしたらこっちに来るかもしれません」
優希「そ、そうなのか!?」
ピンポーン
和「今出ますよ」
煌「どうも、お店をだしてる花田煌です!売り上げに貢献おねがいしますね!」
優希「うぅ……花田せんぱーい!」
優希「そんなこと関係ないじぇ!」
優希「スバラーメン一つ下さいだじぇ!」
和「私はキラメーンでお願いします」
煌「残念ですが……優希に上げるスバラーメンはもうないのです……」
優希「え……どういうことなんだじぇ……」
煌「優希には私が特別作ったこれ、タコスバラッをあげましょう!」
優希「ほ、本当に作ってくれたんだじぇ……」
煌「えぇ、優希が食べたいって言ってたので、知らぬ間に出来ていたんですよ」
和「そんなオカルトありえますか?」
和「あっ、追加で三人分頼みます。咲さんたちにも食べさせてあげたいので」
煌「わかりました!」
優希「」スイー
煌「こ、こらっ優希!そんなに顔近付けたらいけませんよ!」
優希「ちょうど挟まれそうだじぇ……」
煌「挟めませんから!」
優希「すばらだじぇ!」
煌「すばらっ!」
宥「あっ、花田さんのラーメン……」
憧「本当にお店出したんだ……」
あらた「これがみんなが言ってたラーメン?」
玄「そうなのです!」
しず「ウぅ……はやく奈良までこないかな!」
あらた「玄もラーメンとか作ってみれば?」
玄「お任せあれ!」
『新発売!ドラメーン!
これを食べればあなたもドラ7確定!』
照「私これ食べたことあるけど……」
菫「ん、本当にドラが来たのか?」
照「焼き鳥になった……」
淡「テルを焼き鳥にするなんて凄いね!」
亦野(食べなくて良かった……)
カン!
Entry ⇒ 2012.11.15 | Category ⇒ 咲-Saki-SS | Comments (0) | Trackbacks (0)
響「こたつはあったかいさー」
響「こたつはあったかいさー」
響「沖縄では要らなかったんだけどなー」
P「まぁそうだろうな」
響「こたつはプロデューサーの近くにいれるから好きさー」
P「こいつめー」ナデナデ
響「えへへ」
P「ん?」
響「隣行ってもいい?」
P「おぉ、おいでおいで」
響「わーい」
響「自分な、やっぱりプロデューサーと一緒にいる時が一番好きだぞ」
P「なんだ急に」
響「ねぇ、プロデューサーは?」
P「そりゃ俺も」
響「うん」
P「響と一緒の時が一番幸せだよ」
響「えへへへ」
響「なになに?」
P「来週雑誌のグラビア撮影だな」
響「やっぱり今だと冬服?可愛いの着たいさー!」
P「いや、例のプールで水着」
響「えー!?なんでまだ水着なんさー!?」
P「需要があるから……かなぁ……」
響「うー……自分、プロデューサー以外に水着姿見せたくないぞ……なんて……」
P「OK任せろ」
響「計画通りさー」
P「どうした?おねむか?」
響「んー……ちょっとだけ」
P「腕枕しようか」
響「うがっ!?は、恥ずかしいぞ……」
P「じゃああっちのソファー使う?寒いぞー」
響「うぅ……寒いのは嫌だぞ……腕枕で」
P「おう」
響「えへへ、プロデューサー……大好き!」
P「くうぅぅ!」
響「!?」
P「不意打ちはずるいぜ響……」
響「ふっふーん!おやすみさー」
P「zzz……」
響「あ、プロデューサー寝ちゃってる」
響「ふふ、可愛いなぁ」
響「いつも頑張ってくれてありがと、これからもよろしく頼むさー!」
P「いやいや、お前のためならなんてことないさ、こちらこそよろしくな」
響「いいいつから起きてたさ!?うがー!恥ずかしいぞー!」
P「あ、プロデューサー寝ちゃってる…のあたりかな」
響「ひーどーいーぞー!もう起きるー!」
P「まだだめー」ギュッ
響「んぅ……!し、仕方ないさー」
P「んー?」
響「自分、なんでもできるし、完璧だけど」
P「スタイルもいいしな」
響「茶化すなー!……だけどね、自分が完璧なのはプロデューサーがいつも傍にいてくれるからなんだぞ」
P「響……」
響「だから……その、えと……うがー!とにかく!プロデューサーは自分の傍にずっといること!わかったかー!」
P「あぁ、当たり前だ!響が嫌だって言ったってトップアイドルにするまでプロデュースしてみせる!」
響「それでこそ自分のプロデューサーさ!」
P「でもこれ抱き合いながら話すことじゃないな?」
響「これじゃ自分たちバカップルみたいさー」
P「いいじゃないか?」
響「も、もー……」
響「と、泊まってってもいいんだぞ!その、自分ペットのみんなと一緒に寝れるように布団とか大きいから大丈夫だぞ!」
P「そ、その状況の何が大丈夫だっていうんだ!俺の理性が持たないだろ!」
響「獣の扱いは慣れてるんだぞ!なんて…だめ?」
P「ぐぬぬ……いやしかしプロデューサーとアイドルが一夜過ごすってだめだろ……」
響「大丈夫さー!自分口は堅いぞ!!」
P「俺が何かするって前提を止めようか……」
響「いーからいーから!なんくるないさー!」
響「電気消すよー」
P「あ、あぁ……」
P(あぁやばい。静かだと息遣いとかがすごい耳に残る)
響「ね、プロデューサー」
P「ふぁいっ!?」
響「ふふ、自分なら……大丈夫だぞ、心配しないでいいからな」
P「ど、どういう……んっ」
――――――――
――――
――
小鳥「あら響ちゃんおはよう。今日は早いわね?」
響「ちょっとなー!今日も頑張るぞー!」
P「おはようございまーす」
小鳥「あ、プロデューサーさんも。おはようございます!ふぅん……」
P「太陽はとっても明るいのにどうしてこんなに眠いんだ……」
小鳥「プロデューサーさん、プロデューサーさん」
P「どうしました?」
小鳥「ちゃんと社会人としての自覚と責任を持つんですよ、うふふ」
P「え……?」
響「さ、プロデューサー!仕事だぞ!」
P「うおぉ!引っ張るな響!」
終わり
Entry ⇒ 2012.11.15 | Category ⇒ アイマスSS | Comments (0) | Trackbacks (0)
亜美「兄ちゃんのこと好きなんだろー」真美「ち、ちげーし」
真美「はぁ!? そ、そんなんじゃねーし」
亜美「うっわ~顔赤くなってるー! やっぱぜってぇー好きなんだぜコイツー!」
真美「ばっ、やーめ、やーめろって!」
亜美「けーっこん、けーっこん!」ヒューヒュー
真美「もー! やーめーろーよー!」
クラス
亜美「事務所のみんなに言ってやろー」
真美「……ぜ、全然好きじゃねーし!」
亜美「嘘だー」
真美「嘘じゃねーし! に、兄ちゃんのことなんか、全然、なんとも思ってねーし! むしろ嫌いだし!」
真美「あう……」
亜美「ホントにそーなの?」
真美「ううん……それこそ嘘っぽいよ……嫌いになるわけないっしょ」
亜美「そっか~。んっふっふ~、知ってたけどね!」
真美「もー、亜美に相談した途端これだよ~! 真美達はもう中学生なんだよ!」
亜美「でもでも~、真美もノリノリだったっしょ?」
真美「まーね! んっふっふ~」
P「」
小鳥「あら? プロデューサーさん、そんなところに立って、どうかしたんですか? 顔面蒼白ですけど……」
P「あ……音無さん……」
小鳥「ま、まぁまぁ落ち着いて……それで、なんでしたっけ」
P「ま、真美が……俺のこと、嫌いだって……」
小鳥「……」
P「ぜ、全然……好きじゃないって……」
小鳥「そ、そうですか」
P「うわああああ!!」
小鳥「ちょちょ、泣かないでください、良い年して」
P「だって、だって! ふぇええええ!」
小鳥「……もしかしてプロデューサーさんは、真美ちゃんのこと、好きだったんですか?」
P「はぁ!? ち、ちげーし! ぜ、全然、好きなんかじゃねーし!」
小鳥(よほどショックだったのね。精神年齢がずいぶん低くなっているわ)
小鳥「あ、はい」
P「好きか嫌いかで言えば、どっちかで言えば……」
小鳥「ふんふん……」
P「そりゃあ、愛しています」
小鳥「ふんふ……えっ?」
P「だってそうでしょう、真美はあんなに可愛いし、素直だし、優しいし」
P「ちょっと子どもっぽすぎるところもあるけど、そこがまた、成長した体とのギャップもあってグッとくるし」
P「目と目が逢う瞬間ティンと来たんですよ。ああ、この子を生涯プロデュースしよう、って」
小鳥「そ、そうですか」
P「でも、それで……これまでふたりで頑張ってきたのに……まさか、真美は全然、俺のこと……」
小鳥「……」
P「うぅ……」
小鳥(本気の涙を流している……)
亜美「まぁまぁ、亜美にまっかしといてよ!」
真美「あ、亜美~! ヨケーなことしなくていいから!」
P「!」ドキッ
小鳥「あ、ふたりとも。もう社長室で遊ぶのは終わりにしたの?」
亜美「んっふっふ~! ウォッホン! ピヨちゃんくん、ちょ~と、席を外してもらえるかな?」
小鳥「はいはい。あんまり、プロデューサーさんをからかわないようにね」
亜美「うあうあー! ピヨちゃん、これは亜美達にとってはシンセン勝負なんだよ~!」
小鳥「真剣勝負、ね。ほら、亜美ちゃん。行きましょう」
亜美「うん! 真美、がんばってね!」ポンッ
真美「う、うん……」
P「……」
真美「ね、ねえ兄ちゃん」
P「な、なんだ?」
真美「あのさ、今週の日曜、ひま?」
P「ああ、特に予定はないけど……」
真美「それじゃさ、いっしょにコンサート行こうよっ!」
P「コンサート?」
真美「うんっ! 亜美がね、今度遊園地のステージでやる、竜宮小町のライブのチケットくれたんだ~」
P「……」
P(俺なら、チケットなんかなくても中に入れるんだけど……こ、これってもしかして……)ドキドキ
P「あ、ああ、もちろん! 真美が誘ってくれたなら喜んで――」
亜美「おっ? んっふっふ~、兄ちゃん達、もしかしてデートってやつ~?」ヒョコ
P・真美「「そ、そんなんじゃねーし!!」」
亜美(ありゃ? おジャマ虫だった?)
真美(そりゃそうっしょ! つい、さっきみたいなお芝居の続きをしちゃったじゃーん!)
P「……ど、どうしてもっていうなら行ってやってもいいぜ」
真美「え!? ……べ、べつに真美だって、どーしてもってわけじゃねーし!」
真美「ただ他に、誰も暇な人がいなかっただけだし!」
P「お、俺だって、本当は暇じゃねーし」
真美「そ、それならいいし。ひとりで行くから……」
P「あ……」
真美「ふーんっだ! はるるんあたりを誘っていこーっと!」
P「……」
真美「……」チラ
P「……し、しかたねーなし。春香だって休ませてやらなきゃだし、一緒にいってやるし」
真美「えっ、ホント!?」パァ
P(あ、かわいい……)
真美「はぁ!? べ、別によくねーし、普通だし」
亜美「まーたそんなこと言っちゃって~。ホントは嬉しいんでしょ?」
真美「や、やーめーろーよー!」
亜美「顔真っ赤になってんじゃーん! デュクシ、デュクシ!」
チョンチョン
真美「あっ、いたっ! このー、やったな~!」
ワイワイ
P「……ふ、ふふ」
小鳥「プロデューサーさんも、嬉しそうですね♪」
P「はぁ!? べ、別に嬉しくねーし」
小鳥(めんどくさい人ね、もう)
P「それにそもそも……真美は俺のことなんて……」
小鳥「……うーん……」
P「え……勘違い、ですか?」
小鳥「ええ。真美ちゃんがプロデューサーさんを嫌いになるわけ、ありません。それに――」
亜美「おっと」
ポスン
P「っとと……大丈夫か、亜美」
亜美「うあうあー! 兄ちゃん菌がついた~!」
P「」
亜美「たーっち!」
真美「うあうあ~! バリアー!」
亜美「バリア無効です~」
真美「や、やーめ、やーめーろーよー!」
P「やっぱり嫌いなんじゃないですか……!」
小鳥「あ、あはは……」
小鳥(もう、みんなして……まるで小学校ね)
小鳥「はい……」
P「デートには、行きます。し、しかたないですからね。真美もどうしてもって言うし」
小鳥「……ふふっ。やっぱり、デート?」
P「ちち、ちがいます! 間違ってそう言っちゃっただけです」
小鳥「そうですか♪ 楽しんできてくださいね」
P「くっ……こ、こらこらお前達! もう遊んでないで、レッスンに行きなさい!」
真美「はーい」
亜美「亜美はもう、今日のお仕事終わっちゃったもーん」
P「でもそうやって真美の邪魔ばっかりするなら、律子先生に言いつけるぞ!」
亜美「うあうあ~! 兄ちゃん、それはズルっしょ~!」
真美「うーん……」
亜美「ねえ真美ー、まだ決まんないの?」
真美「だってだって~!」
亜美「いつもの格好でいいじゃーん。はやくマリオの続きやろーよー。次、真美の番だよ」
真美「でもそんなんじゃ、バカにされちゃうっぽいよ~!」
亜美「そうかな~?」
真美「……兄ちゃんなら、そんなことしないと思うけどさ。でもでも」
亜美「っていうか、こんなに早く決めなくてもいいっぽくない?」
真美「でもでも~! うあうあ~!」
真美「うん……」
亜美「でも、だいじょーぶだよ、真美」
真美「え? なにがだいじょーぶなの?」
亜美「んっふっふー! 亜美、知ってるもん。兄ちゃんは、いつも通りの真美が一番好きっぽいってこと」
真美「えぇえ!? す、すす……!?」
亜美「おやすみなさーい」モゾモゾ
真美「うあうあ~! ちょっと待ってよ亜美~!」
真美「い、いつも通りの真美……?」
真美「おっはよーだぴょーん!」
P「ああ、おはよう、真美」
真美「うあっ!」
P「な、なんだよ」
真美「……」
P「……ま、真美?」
『亜美、知ってるもん。兄ちゃんは、いつも通りの真美が一番好きっぽいってこと』
真美(うあうあー! あんなこと言われたら、ヨケーにいつも通りにできなくなっちゃうよ~!)
P「あ、ああ。えーっと……今日の予定は、午前中に新曲の衣装合わせ、午後からレッスンだな」
真美「ふーん」トタタ
P「あ、ちょっと真美!? どこに行くんだ?」
真美「べっつに~! 兄ちゃんにはカンケーないっぽいよ~!」
P「あ……」シュン
真美「あ……」シュン
P「……9時までには、戻ってきてくれよ」
真美「……うん……」
小鳥「へぇ~。そんなことが……」
P「ズビッ、ズビビ……」
小鳥「なるほど……真美ちゃんが反抗期、ですか」
P「……ヒッグ」
小鳥「ふふっ、大丈夫、そんなことはないですよ。ああいう年頃の女の子には、よくあることです」
P「グス……?」
小鳥「そうです。私にも、多少は親に向かってそういう態度取っちゃった時期もありますし……もう随分昔のことですけど」
P「……」
小鳥「きっと、時間が経てば元通りです。だから、ね?」
P「……エグ……ウッ、ウッ……」
小鳥「いいえ♪ これくらい、おやすい御用ですよ、プロデューサーさん」
真美「……」
ペラ、ペラ……
真美「ふんふん」
真美「なるほど~……」
ペラペラ
真美「年上のお兄さんとデート☆特集……参考になるっぽいね!」
真美「こーいう格好がいいのか~……」
おまわりさん「ちょっと、君」
真美「え?」
おまわりさん「見たところ、中学生だね。こんな朝早くからコンビニで立ち読みとは良い度胸だ」
おまわりさん「学校はどうしたんだ? もう登校時刻だろう」
真美(うあうあ~!)
P「はい……ええ……すみません、こちらの管理不足でした」
真美「ごめんなさーい……」
P「……はい、芸能活動については、ちゃんと学校に許可を受けていますので……今日もこれから……」
真美「……」
P「ですから、どうか……大事には……はい、ありがとうございます! 以後、気をつけます」
真美「気をつけまーす……」
P「それでは……失礼します」
真美「こんなピチピチの年でおまわりさんにお世話になるとは思ってなかったよ~」
P「こら」
ポカン
真美「あ痛っ!」
P「本当に反省してるのか、こいつめ……」
P「……」
P(何を話したらいいんだろう……)
真美(兄ちゃんに怒られちった……)
P(ついつい、いつものノリで頭をポカンとやってしまった……また、嫌われてしまったかも)
真美(兄ちゃん……こんな真美のこと、嫌いになっちゃうよね……)
P(……音無さんに、時間を置け、と言われていたのに)
真美(……でも、ずーっとこんなんじゃダメっぽいよね)
P・真美(……とにかく!)
P・真美「「……あのっ!」」
真美「えっと……」
P「ま、真美からどうぞ」
真美「に、兄ちゃんから言ってよ」
P「いや、でも……」
真美「……それじゃあ」
真美「兄ちゃん……あのね」
P「うん……」
真美「ごめんね」
P「……」
真美「また、メーワクかけちゃった……」
真美「う……」
P「ああでも! 結果、何事もなかったんだし……それに」
真美「え? それに?」
P「……ビックリしたのは、あの電話だよ」
『兄ちゃん兄ちゃん! 真美、おまわりさんに捕まっちゃったよ~! お助け~!』
P「――って。真美が何かの事件に巻き込まれたのかと思ったら、心配で心配でしかたなかったんだ」
真美「……!」
P「だから、今度からは気をつけてくれよ」
真美「……うん」
P「ん? まだ何かあるのか?」
真美「……ごめんね」
P「謝るのは、さっきもしただろ? もう大丈夫だよ」
真美「うあうあー、それとは違くて~! えっと……」
P「違う……?」
真美「あの……さっき、そっぽ向いちゃったこと」
P「!」
真美「……真美、いつも通りにしなきゃって思ったんだけど、なんか、モヤモヤしちゃって」
P「……」
真美「だからね、ごめんね……」
P「……いいよ」
P「今度はどうした?」
真美「あのね……」
P「うんうん……」
真美「……真美のこと、嫌いになっちゃ、やだよ?」
P「……」
キュン
P(おや、今の感情の起伏は)
P「き、嫌いになんてなるわけ……」
真美「ホント……?」
P「ああ、ホントだって。むしろ俺は、嫌いどころか……」
真美「え?」
P「ああいや、なんでもない!」
P「い、いやいや! べ、べつに、好きとかそーいうんじゃねーし!」
真美「ま、真美だってべつに、兄ちゃんのこと好きじゃねーし!」
P「そんなの、言われなくたって知ってるし!」
P・真美「「ふんっ!」」
P「……なあ真美」
真美「なーに」ツーン
P「好きじゃないってことは……やっぱり……嫌いか?」
真美「……そだよ」
P「……!」ガーン
真美「……兄ちゃんと同じくらいね」
P「え?」
真美「うあうあー! だから~! 兄ちゃんが真美を嫌いなのと同じくらい、嫌いだって言ってんの!」
P「でも、俺、真美のこと嫌いじゃないって今……」
真美「もーお仕事の時間っしょ! いこいこ!」
P「それじゃあ、この子をよろしくお願いします」
スタッフ「はい。それじゃあ真美ちゃん、行きましょう」
真美「うん! お願いしまーす♪」
P「さて……」
あずさ「あら? プロデューサーさ~ん」パタパタ
P「え? ああ、あずささん!」
あずさ「おはようございますー。今日は真美ちゃん、ここでお仕事なんですか?」
P「ええ。衣装合わせだけですけどね」
あずさ「いえ、今日は私だけです~」
P「え!?」
あずさ「? どうかなさったんですか?」
P「い、いえ……」
P(何を考えているんだ、律子……あずささんをひとりにするなんて)
あずさ「少し、衣装の胸のあたりがキツくなっちゃって、それでサイズ変更をですね……」
P「……」ゴクリ
あずさ「っと、それはともかく……プロデューサーさん?」
P「あ、ああ、はい。なんですか?」
あずさ「ふふっ、亜美ちゃんから聞きましたよ? 今度のお休み、真美ちゃんとデート、するんでしょう?」
P「……あ、あはは」
P「……」
あずさ「……?」
P「……はぁ」
あずさ「先ほどから、どこか浮かないお顔ですけれど……なにかあったんですか?」
P「……あずささん、ちょっと、聞いてもいいですか? その、でで、デートという件なんですけど」
あずさ「ええ、私でよければ……ふふっ。何かお悩みですか?」
P「はい……実は……」
あずさ「はい」
P「……何を着ていったらいいか、わからなくて」
あずさ「はい……えっ?」
あずさ「んー……」
P「そして俺は、冴えない成人男性です。一見したら犯罪の香りがしますよ」
あずさ「そ、そうでしょうか?」
P「だからどういう格好なら、真美と一緒にいても自然かどうか……わからないんです」
あずさ「……いつも通りで、良いと思いますよ?」
P「いつも通りって……1900円の、カレーの染みが付いたパーカーでもいいってことですか?」
あずさ「そ、それは確かに、考え物ですけれど……」
P「それとも、営業で着るようなスーツ?」
あずさ「それだと、より一層……いえ、なんでもありません」
P「……はぁ。それに、適当な格好で行って、真美を恥ずかしい気持ちにもさせたくないし……」
あずさ「……」
あずさ(……プロデューサーさん、真美ちゃんとのデートのこと、真剣に考えていらっしゃるのね)
P「え? な、なにが……?」
あずさ「ふふっ、そういうことなら、私達にまかせておいてください!」
P「私達?」
あずさ「私と、律子さん。今日のお仕事が終わったら、見繕ってさしあげます~!」
P「ほ、ホントですか!? それは助かります!」
トテトテ
真美「兄ちゃんにいちゃー……」
あずさ「だから、今日の夜……――時に、事務所で……」
P「わかりました。それじゃあ、よろしくお願いします!」
真美「え……」
真美(あずさお姉ちゃん? それに、夜?)
P「ん? おお、真美!」
あずさ「ふふっ、おはよう、真美ちゃん」
真美「……うん」
あずさ「素敵な衣装ね~。これで今度の新曲も、バッチリね?」
P「うんうん。よく似合ってるぞ」
真美「……」
P「……真美? どうした、お腹でも痛いのか?」
真美「……なんでもないですよーだ! べー!」
P「え……」
真美「兄ちゃんのおバカさん!」トタタ
P「あ、ちょ、真美!?」
真美「着替えてくるだけだから、こっち来ないで~!」
P(その後……真美はレッスン中も、どこか不機嫌な顔を浮かべたままだった)
P(気が付かないうちに、また俺は何かしてしまったのだろうか……?)
P「さ、さあ真美。今日の活動はもう終わりだけど……」
真美「……」
P「えーっと……じゃんけんでもするか? それとも、声真似ゲームとか……」
真美「そんなのいいもんっ! ふんっ、そんなので真美がいっつもゴキゲンになると思ったら、大間違いなんだかんね!」
P「う……」
真美「お疲れちゃーん!」タッタッタ
P「あ、ああ……お疲れさま」
小鳥「プロデューサーさん……またため息、ですね」
P「音無さん……」
小鳥「なにかあったんですか?」
P「えっと、実は……」
小鳥「って、あら? ……そこにいるのは……」
真美「……」コソコソ
小鳥「……なんとなく、わかりました。真美ちゃんとのことですね」
真美(しー! しー!)
小鳥(ふふ、わかってるわよ、真美ちゃん。あなたがそこに隠れてるのはナイショなのね)
P「いやぁ……音無さんはなんでもお見通しですね」
小鳥「プロデューサーさんが、まわりを見れていないだけです」
P「え……」
小鳥「なんでもありません♪」
律子「お疲れ様でーす」
小鳥「あら、律子さん。お疲れ様です。それに、みんなも……」
伊織「はぁ~……もう今日は疲れちゃったわよ……って」
P「おつかれ……」ズーン
伊織「そんな顔しちゃって、どうしたの、ドロリコン」
P「なっ!? 帰ってくるなり、し、失礼なことを……」
伊織「だってそうでしょう? 聞いたわよ、真美とのこと」
P「……亜美」
亜美「んっふっふ~! 楽しいことはみんなで知ったほうがいいっしょ?」
P「まったく……いや、いいけどさ」
P「ああ、そうさせてもらい……たいんだけど、な」
伊織「なんなのよ、もう。いつもみたいな張り合いがないわねぇ……」
あずさ「伊織ちゃん、プロデューサーさんはね……」
P「あ、あずささん! あのことはなるべく……」
伊織「なになに? ……って」
真美「……」コソコソ
伊織「……真美? そこでなにを――」
もがもが
伊織「……! ……!」
P「内密に……って、あれ? 伊織? それに亜美も……どこに行ったんだ?」
P「え、ええ」
律子「まったく、なんで私まで……」ブツブツ
P「すまないな、律子。嫌だったら無理にとは言わないけど……」
律子「……いーえ、着いていきます。あずささんとふたりにさせて、万が一ということがあったらたまりませんし」
あずさ「ま、万が一って……まぁ」ポッ
律子「なんですかその顔……それに、あの子のためでもありますから」
P「あの子って……真美?」
律子「ええ。真美があなたのこと――」
あずさ「り、律子さん!」
律子「……ごほん! じゃなくて……怪しい格好をした人が担当プロデューサーなんて、真美がかわいそうでしょう?」
P「う……怪しいって、そこまで言わなくても」
律子「さ、そーと決まったらちゃっちゃと行きますよ! ふふふ、覚悟しといてくださいね!」
律子「さーて、と……」
あずさ「次は~……あ、あそこなんていいんじゃないかしら!」
P「あの、ふたりとも……」
律子「どうしたんです? 浮かない顔ね」
P「いや……そんな、ここまでちゃんとしたところの服じゃないといけないのか?」
律子「もう、わかっていませんね、相変わらずあなたは」
P「え? どういうことだ?」
律子「たとえ真美とは言え、女の子なんです。だから、安っぽい格好では、呆れられちゃいますよ?」
P「うーん……それはなんとなくわかるんだけどさ」
律子「さ、さ! 次、行きますよ~!」
あずさ「ふふっ、律子さん。なんだかんだ言って、楽しそうですね?」
律子「そりゃそうですよ。こんなに好き勝手いじくれるのは、小さい頃、涼にした以来……」
P「いじくる……?」
律子「あ、いえいえ。こういう機会、めったにありませんからね! あはは……」
P「わ、わかりましたわかりました」
亜美「……真美隊長。目標は次のブチスライムに入った模様。おーばー」
真美「了解した亜美隊員。我々はこのまま追跡を続ける、おーばー」
伊織「……」
真美「あれ? いおりん?」
伊織「……色々言いたいことはあるけど……まず、ブチスライムじゃなくて、ブティックね」
亜美「そだっけ? んっふっふ~、まぁそんな細かいことはいいっしょ!」
伊織「ええ、そうね。確かにそれは細かいことだわ」
真美「じゃあさ、どったの? なんだかオデコが元気ないけど~……」
伊織「うるっさいわね、おでこは関係ないでしょ!!」
亜美・真美「「うあうあ~! いおりん、おっきい声出したらバレちゃうっしょ!」」
伊織「あ、ご、ごめんなさい……じゃなくて! と、とにかく!」
伊織「……なんで私達、尾行ごっこなんてしてるのよ!?」
亜美「いおりんはいいの? このままじゃ兄ちゃん、あずさお姉ちゃんのエロエロぼでーにノックアウトされちゃうよ?」
伊織「私としては、本当にどうでもいいんだけどね……」
真美「いおりんのヒトデ!」
伊織「誰がヒトデよ。人でなしって言いたいの?」
真美「そんな感じ!」
亜美「まぁまぁいおり~ん。ここは真美のためにもさ、一緒にがんばろーよ」
真美「今度オレンジジュース買ってあげるからさ~」
伊織「……あんたたち、それで私が『それはいいわね! 着いてくぴょん!』って、素直に言うこと聞くと思ったら大間違いよ」
真美「いおりんは、やなの?」
伊織「トーゼンじゃない。こんな、コソコソと人の秘密を嗅ぎまわるようなマネ、みっともないわよ」
真美「……そっか~……」
伊織「……」
亜美「うん……そうだね」
伊織「……う……」
真美「……それじゃあ、いおりんとはここでお別れだね」
亜美「短い間だったけど……楽しかったよ。ありがとね、いおりん」
伊織「……え、ええ」
真美「それじゃあ……亜美」
亜美「うん……いこっか、真美」
テクテク
伊織「……」
真美・亜美「……」チラ
伊織「……あーもう、わかったわよ! 着いていけばいいんでしょ、着いていけば!」
真美・亜美「んっふっふ~!」
伊織「ったくもう……」
――
―
P「……こ、こんなもんでいいでしょうか」
あずさ「んー……、そうですね!」
律子「今日はこれくらいにしといてあげましょうか」
P「今日は!? ……というか、絶対、一週間は着まわせるくらいたくさん買ったよな……」
律子「精々三日でしょう。それで一週間はさすがに持ちませんよ」
P「え、だって……ズボンは毎日違うのを穿くわけじゃないし……」
律子「……はぁ~。先が思いやられるわね」
あずさ「まあまあ律子さん。男性と女性では、色々と違うところもありますから」
P「う……なんだか、やんわりとバカにされてる気がする……」
律子「いーえ♪」
あずさ「お安い御用です~。ふふっ、私達も楽しかったですし」
P「しかし、今日だけで随分散財してしまったな……はは」
律子「私なら、絶対にこんなに服にお金は使えませんね」
P「え!? そ、それを買わせたのか……」
律子「まぁ、私の財布ではないですし……必要経費、ですから」
P「経費?」
律子「あなたと真美にとっての、ね」
P「……ありがとう」
律子「ふふっ、いいんですよ! それじゃあこのあとは……」
コソコソ
真美・亜美・伊織「「「……」」」
亜美「兄ちゃんって、やっぱりああいうのが好きなのかな?」
真美「ああいうのって、おっぱい?」
亜美「うん! ボイーンでデデーンでフッカフカで!」
真美「うあうあー! 真美にはないモノすぎるっしょ~!」
伊織「なんでそうなるのよ……胸とか、そういうのじゃなくて、あれでしょ」
真美・亜美「あれ?」
伊織「オトナ、ってやつ。律子もあずさも、あのだらしない男よりはずっとしっかりしてるじゃない」
伊織「ま、もちろん、この伊織ちゃんだって負けてないけどね! にひ――」
真美「あっ! 兄ちゃん達行っちゃう! いこいこ!」
亜美「うん!」
伊織「ひっ、って……ちょ、ちょっと待ちなさいよ! そういうところ、落ち着きが足りないって言ってんの!」
律子「そうですね。あ、でも、おごりとかじゃなくていいですよ」
P「いや、でも……」
律子「そういうお金は、真美とのデートのために取っておいてください。今日はもう、随分使わせちゃいましたし」
P「……わかった」
あずさ「ふふっ、それじゃあ次は、お食事をしながらデートの作戦タイム、ですね!」
P「さ、作戦って……あ、いや、やっぱり必要ですね。よろしくお願いします」
あずさ「はい、喜んで~♪」
P「ふんふん……なるほど」
律子「ふふ、これで真美も、きっと喜んでくれますよ!」
P「そ、そうだといいんだけどな」
【レストラン外】
真美・亜美「……」ペットリ
伊織「ちょ、ちょっとふたりとも! 窓に顔くっつけるのはやめてよね!」
伊織「他のお客さん、奇異な目線でこっちを見てるじゃない!」
真美「でも~……」
亜美「兄ちゃん達、楽しそうだね」
真美「うん……こっから何話してるか、聞こえないかな~」
伊織「聞こえるわけないでしょ! こ、こっちまで恥ずかしいわ、もう……!」
P「――ふたりとも、重ね重ね、今日はありがとう」
律子「お礼なら、日曜が終わったあとでもいいですよ」
あずさ「うふふ、がんばってくださいね。私達も、ステージの上から、お二人のことを応援していますから」
P「ええ……とりあえず、まだ一日ありますから、色々と自分でも考えてみることにしますよ」
プォォー……
P「っと……電車が来たみたいだな。それじゃあ、ここらへんで」
律子「はい! お疲れ様です」
あずさ「お疲れ様ですー、プロデューサーさん、律子さん。それでは……」
テクテク
律子「って、あずささん!? あなたの家はそっちの路線じゃないでしょう!?」
あずさ「あ、あら? 私ったら……」
律子「まったく……心配ですから、私もついていきます」
あずさ「ごめんなさいね、律子さん……」
P(あはは……相変わらずだな、あのふたりは)
真美「……」
伊織「……? どうしたのよ、真美」
亜美「突撃しないの~? やいやい、どーいうことだー! ってさ」
真美「……今日はやめとくよ~」
伊織「今日は、って……」
真美「そ、それよりいおりん! 真美、おなかすいちゃった。ご飯食べに行こーよ!」
伊織「うーん、あんたがそれでいいなら、それでもいいけど……って、真美?」
真美「ん? ど、どったの?」
伊織「あんた、顔が……」
亜美「うあうあー! 真美、どうしたの!? 真っ赤になってるよ~!」
真美「え? そ、そうかな……けほ、こほ」
真美「……」
伊織(バカなのは、ひとりで見張るんだって言った真美を、あのまま外にほっといた……私もだけど)
伊織「……しかたないわね、もう」
ポパピプペ
伊織「……あ、もしもし新堂? ええ。今から帰るから、迎えに来てちょうだい」
伊織「ゲストがふたりいるから、遅れないようにね。それじゃあ……」
ピッ
真美「いおりん……?」
伊織「あんた達は今日はそのまま帰りなさい。送っていってあげるから」
真美「……ごめんね」
伊織「いいわよ、そんな言葉」
伊織(バカな私には、もったいないわ)
新堂「おまたせしました、お嬢様」
伊織「ええ。さ、ふたりとも。中に入って」
真美「おじゃましまーす……」
亜美「うあうあー! めっちゃ広いね! 事務所の車とは全然違うよ~!」
伊織「にひひっ、トーゼンでしょ! ……って、こら亜美! 寝っ転がらないの!」
亜美「だって~。フッカフカなんだもん!」
伊織「ったく……いーい? そこにはね……」チラ
真美「……?」
伊織「……真美を、寝かせてあげなさい」
亜美「! そ、そうだね……ごめんね、真美」
真美「……うん」
伊織「……ねぇ、真美。寝ながらでいいから、聞いてちょうだい」
真美「ん……?」
伊織「どうして、ここまでがんばるの?」
真美「……わかんない」
伊織「……そう」
亜美「いおりん、真美はね、兄ちゃんのことが……」
伊織「わかってるわよ、そんなこと。だけど、これだけはまだわかんないの」
伊織「……恋って、そんなに大切なこと? 体を崩してまで、あの変態のことを見張っていることが必要なの?」
真美「……わかんない。わかんないけど……でも」
伊織「……」
真美「言葉じゃ、うまく言えないけど……嬉しいよ」
伊織「嬉しい?」
伊織「褒める?」
真美「真美がオーディションに受かったときとか、レッスンを頑張ったときとか」
真美「めっちゃ、めーっちゃ……もういらない、ってくらい、褒めてくれるんだよ~」
伊織「……そうなの」
真美「んっふっふ~! それに、イタズラしたって、兄ちゃんならドーンと受けてくれるし」
真美「いっしょにいて、いつだって楽しいって言うか……」
真美「次はどんなことをしたら、兄ちゃんはどんなリアクションをしてくれるのか、って……気になって」
亜美「真美……」
真美「……そんでね。いつからか、わかんないけど……」
真美「兄ちゃんが、他の子と仲良さそうにしてたら、やだなって思うようになったんだ~」
亜美「……亜美だって、前に真美に怒られちゃったもんね」
真美「兄ちゃんは、亜美のじゃなくて、真美の兄ちゃんだもん! トーゼンっしょ?」
伊織「……!」
真美「兄ちゃんのことが……」
伊織「……もう、いいわ」
真美「……」
伊織「はい、ハンカチ。そのみっともない顔、拭きなさい」スッ
真美「……ありがと……」
グシグシ
真美「……とにかくね、そう思えるのは、なんか……嬉しい」
真美「兄ちゃんのためなら、どんなことでも、めっちゃがんばろーって気持ちになるんだよ~」
伊織「……そう。でも、ストーカーまがいなことは、もうやめなさいよね」
真美「えへへ……」
伊織「今日みたいにあんたが体を壊したら、あんたの大好きなアイツが、どう思うかくらい……わかるでしょ?」
真美「……うん」
――
―
真美「……けほ」
亜美「真美、だいじょぶー……? ほら、つかまって」
真美「うん……」
亜美「送ってくれて、ありがとね、いおりん」
伊織「気にしないでいいわ。……それより、亜美?」
亜美「んー?」
伊織「真美のこと、ちゃんと休ませてあげるのよ」
亜美「……うん」
伊織「それじゃ、また明日ね」
亜美「……ねぇ、真美」
真美「んー……?」
亜美「明日、お休みしちゃおーよ」
真美「……ダメっしょ~。お仕事、入ってるもん」
亜美「でもでも~……」
真美「兄ちゃんに、またメーワク、かけちゃうから」
亜美「……」
真美「……おやすみ、亜美」
亜美「うん……おやすみ、真美」
P「……」ソワソワ
P(なんだろう……ソワソワして落ち着かないな)
P(昨日あんなことがあったから、真美と顔を合わせるのが恥ずかしいのか?)
P(それとも……)
ガチャ
P「!」
真美「お、おはようございまーす……」
P「あ、ああ。おはよう、真美」
真美「……」
P「……?」
P(どうしたんだろう、なんか、いつもより元気がない気がする……)
真美「ん、なに、兄ちゃん」
P「その、だな……昨日は、すまなかった」
真美「え? な、なんのこと?」
P「……正直に言うよ。実は、自分でもよくわかっていないで謝ってる」
真美「……」
P「でも、確かに昨日の午後から、真美の様子はおかしかっただろ?」
P「きっと、俺が何かしてしまったんだと思う……どうか、わけを教えてくれないか?」
真美「……えへへ」
P「え? な、なんで笑って……」
真美「兄ちゃん! そんなのはもう、昨日の話っしょ?」
真美「真美は過去にとらわれない女なんだよ~。だからもう、だいじょうぶい!」
P「……許して、くれるのか?」
真美「……うん!」
P「ん、ああ……えーっと、今日はこのあと、13時までレッスン……」
真美「うんうん……」
P「それから、新曲のレコー……って、真美!?」
真美「え……?」
P「お前、どうしたんだ、その顔!」
真美「か、顔? んっふっふ~……いつもどおり、かわいいっしょ?」
P「いや、そりゃそうだけど……」
真美「……」カァァ
P「さらに真っ赤になったじゃないか……!」
P(これ……もしかして、風邪か?)
P「……なあ、真美」
真美「えー……?」
P「体調、崩してるんじゃないか?」
真美「そ、そんなことないっぽいよ! 真美はいつも以上に、フルパワーで……」
P「……ちょっと、おでこさわるぞ」
ピト
真美「ひゃあっ」
P「……」
P(やっぱり、少しばかり熱があるみたいだ。それほど大熱ってわけでもないけど……)
真美「うぅ……に、兄ちゃん! もういいっしょ!」
P「……ああ」
真美「えぇ!? だ、ダメダメ! そしたら……」
P「レコーディングのことなら、俺が連絡をつける。レッスンだって、一日くらい休んだって問題はない」
P「それより……俺は、真美がこれ以上具合が悪くなるのを、見ていられないんだよ」
真美「で、でも~……!」
P「……大丈夫、なんの心配もないよ。テレビとかの収録じゃなくて助かった」
真美「そんなんじゃなくって!」
P「っ!」
真美「けほ、こほ……」
P「……なぁ、真美」
真美「え……?」
P「お前……なんでそんなに、頑張ろうとしてるんだ……」
P「……」
真美「兄ちゃんに、褒められたいから……」
P「ほ、褒める?」
真美「そだよ。兄ちゃんに褒められたら、真美は、すっごく嬉しくなるんだから」
P「……無理して頑張ったって、俺は褒めてやることは出来ないぞ」
真美「でも……っ!」
P「でもじゃない!」
真美「兄ちゃんのわからずやっ!」
P「わからずやなのはどっちだ! いいから、送っていくから、今日は家に帰って――」
真美「真美はねっ!」
真美「……真美はね、兄ちゃんのことが好きなんだよ!」
真美「けほ、こほ……」
P「な、何を急に言って――」
真美「……――が、一番知ってるんだから」
P「え……?」
真美「真美の気持ちは……」
P「……」
真美「……ねぇ、兄ちゃん」
P「あ、ああ……なんだ?」
真美「レッスンは、その……おやすみするよ。だから……」
P「……」
真美「午前中、休むからさ……治ったら、午後のお仕事、行ってもいい?」
P「……わかった」
真美「……うん」
P「いま、常備薬を持ってくるからな。あと毛布も……」
真美「……ごめんね」
P「……俺は、真美のプロデューサーだぞ。これくらい、当たり前だ」
真美「そっか……そう、だよね」
P「……」
P(……真美)
P(俺は……自分のことで浮かれて、こんなことにも気づかずに……)
真美「……ありがと。んく、んく……」
P「……」
真美「……ぷは。……ねぇ、兄ちゃん」
P「ん?」
真美「あの、さ……さっきの、どう思った?」
P「……さっきの、好きだ、ってやつか?」
真美「うん……」
P「……俺も好きだよ。真美のことは」
真美「! そ、それじゃあ……」
P「それ以上は、体調が治ってから、言う。だから……今は眠っておいてくれ」
真美「……うん」
――
―
真美「……すぅ、すぅ……」
P「……」
ガチャ
ピポパ……
P「……あ、もしもし。いつもお世話になっております、私、765プロダクションの……」
P「ええ、はい……実は、本日のレコーディングなんですが……担当が体調を崩してしまいまして」
P「……はい、はい……申し訳ありません、ご迷惑をおかけします」
P「それでは……はい、失礼します」
ガチャ
P「……さて、次は……」
ガチャ
P「さて、と……」
グイッ
真美「んむぅ……zzz……」
P「……はは、重くなったな、こいつめ」
小鳥「……プロデューサーさん」
P「……音無さん」
小鳥「お家、行かれるんですね」
P「ええ……こんなところじゃ、治る体調も治りませんからね。送っていきます」
小鳥「ふふっ、きっと、その背中の子、怒ると思いますよ?」
P「……わかっています。でも……」
小鳥「……」
P「俺は、プロデューサーですから。アイドルの体調管理は、俺の仕事です」
P「そうですよ、それ以外、何者でもありません」
小鳥「ふふっ、そうですね。たとえ……、担当の子じゃなくても、あなたはみんなのプロデューサーさんです」
P「ええ、もちろんです」
小鳥「行ってらっしゃい」
P「……行ってきます」
P「……さ、帰るぞ。亜美」
真美?「……うぅん。ゆ~れ~るぅ~」
P「っと、起こしちゃったか」
真美?「……兄ちゃん? あれ? ここどこ?」
P「車の中だよ」
真美?「あ、もしかして、もうお仕事の時間になっちゃってた?」
P「いや……そうじゃない」
真美?「……?」
P「今から、お前の家にいくんだよ。帰らせるためにさ」
真美?「え……えぇ!? なな、何で!? 約束と違うじゃん!」
P「……悪いな。でも、レコーディングなんてどうせ出来ないだろ?」
真美?「そ、そんなことないもん!」
P「いーや、そんなことある。だって、歌えないだろ? たとえいくら全快したって、お前には歌えない。だって……」
P「これは、真美の曲だから。亜美には歌えない」
真美?「……!」
P「……正直、最初はわからなかった」
亜美「……」
P「でもさ、さっき……」
『……真美はね、兄ちゃんのことが好きなんだよ!』
P「って、言われたときから……なんとなく、へんだなって思ったんだよ」
亜美「へん……?」
P「ああ、そうだ。だって、最近の真美なら、俺のことを素直に好きだなんて言わない」
亜美「……」
P「あいつならきっと……好きじゃねーし、ちげーし! って言うだろう」
P「何を思ったのか、最近はときどき、真美はそんなキャラになるからな」
亜美「んっふっふ~……そうかもね! でもそれ、最初は亜美がやり始めたんだよ?」
P「はは、そうだったのか……」
亜美「それでバレちゃったんだ……」
P「というか、バレないとでも思ったのか? 入れ替わるにしても、適当すぎるぞ」
亜美「えへへ……けほ、こほ」
P「……でも、亜美だって体調を崩しているのは確かだ。横になって、寝てなさい」
亜美「……うん」
ポスン
亜美「いおりんのお家の車と、ゼンゼン違うね。固すぎっしょ~」
P「悪いな。もっと良い車を買えるように、お前のプロデューサーに頼んでくれ」
亜美「んっふっふ~……律っちゃん、ケチンボだからな~」
P「あはは、違いない」
P「ん?」
亜美「……さっきの、あれ……」
P「あれ、って……」
亜美「……ごめんね」
P「……どうして謝るんだ? 俺は別に、怒ってなんか……」
亜美「兄ちゃんが怒ってなくても……」
P「……」
亜美「……ごめんね」
亜美「ごめんね……真美……!」
亜美「亜美……、亜美は……」
亜美「うぅ……」
P「お前は、姉思いの、立派な妹だ……俺が保証する」
亜美「で、でもっ……」
P「……心配しなくても、誰も、不幸になんかならないよ。もしそうなったら、俺のこと思いっきり殴ってくれていい」
亜美「……イタズラ百連発でもいい?」
P「ああ、もちろん」
亜美「んっふっふー! 自信満々っぽいね、兄ちゃん」
P「そりゃそうだ。だって俺は、あの真美のプロデューサーだぞ」
亜美「そうだね……えへへ」
P「……家に着くまで、もう少しある。寝てなさい」
亜美「はーい……」
亜美「……ねぇ、兄ちゃん」
P「ん?」
亜美「最後に……」
亜美「兄ちゃんのこと、亜美は、本当にだいすきだよ」
P「……」
亜美「……真美の大好き、とは、違うかもしんないけど」
P「……ありがとう。俺も、亜美のことは大好きだぞ」
亜美「えへへ……だから時々は、真美だけじゃなくて、亜美とも遊んでね?」
P「ああ、もちろん」
亜美「ぜったい……やくそく……だか……」
P「……」
亜美「んね……」
P「……おやすみ、亜美」
亜美「……zzz……」
P「……ここか。おーい、亜美~」ユサユサ
亜美「んん~……」
P「家に着いたぞ。起きてくれ」
亜美「んも~……あと五十分~……」
P「どれだけ寝るつもりなんだ……ほら」
グイッ
亜美「うひゃあ! に、兄ちゃんのエロエロ~!」
P「ひ、人聞きの悪いこと言わないでくれ! ちょっと腕を掴んだだけだろ!?」
亜美「うあうあ~! 亜美が弱っているところにつけこんで、オトナの関係せまろうとしてるんだ~!」
P「まったく……それだけ元気なら、もうひとりで部屋に帰れるな?」
亜美「……あ……」
P「えー……」
亜美「亜美、もう熱でうなされて死んじゃうから、おんぶ!」
P「それなら、病院に行ってぶっとい注射を打ってもらわないといけないな。双海クリニックに行くか?」
亜美「うあうあ~! 亜美は妹だから、兄ちゃんにおんぶしてもらったら治んの!」
P(言ってる意味がわからない……けど、まぁ)
P「……わかったよ、ほら」
亜美「!」
P「どうした、乗りな」
亜美「……う、うん」
ポフン
亜美「……兄ちゃんの背中、でっかいね」
P「そうか?」
亜美「うん……やっぱり、いいなぁ。真美……」
P「……」
P「あれ? 出ないな……」
亜美「いま、パパもママもいないはずだから……これ、鍵」
P「……お、おう」
亜美「……兄ちゃん、へんなこと考えてるっしょ~?」
P「そ、そんなわけないだろ? まったく……」
ガチャ
P「おじゃましまーす……さて、お前達の部屋は……」
亜美「ねぇ、兄ちゃん」
P「ん?」
亜美「……真美に、顔出してあげて」
P「……ああ」
P(……これまで、はっきりとは聞いてなかったけど……)
P(やっぱり、亜美が体調を崩したのは……真美にうつされたのが原因か……)
亜美「……そこが、亜美達の部屋だよ」
P「あ、ああ」
亜美「よい、しょっと……」
スタン
P「亜美? どうしたんだ」
亜美「……亜美はオジャマ虫っしょ?」
P「いや、そんなことは……」
亜美「ここまでおんぶしてくれて、ありがとね、兄ちゃん!」
亜美「そこのママの部屋で寝てるから、帰るとき教えてね~! そんじゃっ!」トタタ
P「あ、ちょっと!」
P「……」
P「ひとりで真美とご対面とか……マジか……この状況で……」
P「……」
真美「……すぅ、すぅ……」
P「……真美」
真美「……むにゃむにゃ……」
P(寝ている……)
P(天使かよ)
P(かわいい)
P(ムラムラしてk……ああじゃない、そうじゃない)
P「……」
真美「……うぅん……にいちゃ~ん……」
P「……」ドキドキ
P(……顔色は……思っていたより、悪くないみたいだ)
P(さすが医者の娘……いや、関係ないだろうけど)
P「……」
真美「……zzz……」
P(下心はない。だから、今から真美のおでこに手を載せるのは)
P(ただ、熱がないかどうか確認するだけで……)
P(それだけなんだからね)
ピト
真美「うぅ~ん……」
P「……」
真美「……ん?」
P「!」ドキッ
P「……や、やあ真美」
真美「兄ちゃん……」
P「具合はどうだ?」
真美「にいちゃんがいるから、もう元気だよ~……えへへ」
P「そ、そっか」
真美「ん~……」スリスリ
P「!?」
真美「んっふっふ~……あったか~い」
P「お、おう」
真美「サイコーな夢っぽいよ~……」
P「……夢?」
真美「うん……」
P「……」
真美「頭、撫でて~」
P「あ、うん……」
ナデナデ
P「……さらさらだな。亜美はちょっとクセがあるのに、真美にはないんだ」
真美「んっふっふ~……髪、伸ばしたからね。毎日ちゃんとお手入れしてるもん」
P「そっか……」
真美「……えへへ。気持ちいー……」
P「……なぁ、真美」
真美「んー?」
P「これは、夢だ」
真美「そうだね~……これは夢だよ~」
P(夢なら、何が起きても……許されるよな)
P(閃いた)
真美「うん……なあに、兄ちゃん……」
P「……俺、さ」
P「真美のこと、愛してる」
P「……アイドルとしての真美もそうだし、いつもの、ありのままの双海真美も大好きだ」
真美「……」
P「いつも思ってるんだ」
P「なんでお前はもっと早くに生まれてなかったんだろう、って……」
P「13歳なんて……犯罪だからな」
真美「……え、えぇ……?」
P「生まれ変わったら、真美の中学校のクラスメイトになりたい。それが今の俺の最大の願いでもある」
P「そして真美のことを、影ながら……ずっと見てるんだ。席替えとかで席が近くになったら、きっとそれだけで小躍りするだろう」
P「というかいつも、こんな風に考えてるんだ。あー真美のクラスの男子全員爆発しないかなーって」
真美「に、兄ちゃん!?」
P「……それくらい、真美のことが大好きなんだ」
真美「……」カァァ
P「結婚してくれ。生涯養うから」
真美「うぇええ!?」
P「……夢だよ。だから、言えるんだ」
真美「……」
P「真美は……その、どうだ?」
真美「どう、って……」
P「……俺のこと、やっぱり嫌いか?」
真美「な、なんでそんな……」
P「だって、真美、こないだこんなこと言っていただろ?」
『に、兄ちゃんのことなんか、全然、なんとも思ってねーし! むしろ嫌いだし!』
P「――ってさ」
真美「あう……あ、あれは……」
P「……そっか」
真美「ホントの真美は……」
P「……」
真美「真美……は……」
ポロポロ
P「……真美」
真美「あ、あれ? なんだろ、なんか……」
真美「……ここは、夢の中、なのに……」
真美「それに、嬉しくて、嬉しくて、しかたないはずなのに……」
ポロポロ……
真美「止まんない……!」
真美「……好き」
P「……!」
真美「だいすきだよぉ……兄ちゃん……!」
真美「兄ちゃんと、ずっとずっと、離れたくないんだもん」
真美「だから……真美も、いっしょ、なんだよ」
真美「兄ちゃんといっしょで、真美も……兄ちゃんのこと、大好き」
P「……よかった」
真美「え……?」
P「ははは……俺さ、こないだ、音無さんの前で泣いちゃったんだよ」
P「真美に嫌われた、って勘違いしてしまって……」
真美「……んっふっふ~。真美が兄ちゃんのこと、嫌いになるわけないっしょ?」
P「……」
真美「だって、真美と兄ちゃんは……これまでずーっと、いっしょだったもんね!」
P「……! あ、ああ、そうだな……!」
真美「それに……これからだって、そうっしょ?」
P「ああ、もちろんだ……」
P「ん?」
真美「……これ、夢なんだよね」
P「……ああ」
真美「それじゃあ、もうすぐ覚めちゃう?」
P「うん……そうだな。シンデレラはベッドで寝る時間だ」
真美「じゃあさ、じゃあさ……最後に、真美のお願い、聞いてくれる?」
P「お願い? ああ、いいぞ」
真美「んっふっふ~! それじゃあ……ちょっと、顔、こっちに近づけて?」
P「え? こう、か――」
真美「……おやすみ、兄ちゃん」
P「……あ、ああ」
真美「また、ね……」
P「……おやすみ、真美」
P「さて、と……これからどうするかな」
P「まず、亜美に帰ることを伝えて……それから一旦、事務所に寄っ……て……」
亜美「……」
P「おやおや、亜美ちゃんじゃないか」
亜美「そういう君は、兄ちゃんくんではないか」
P「ははっ! いつからそこにいたんだい?」
亜美「んっとね、兄ちゃんがおでこに手を載せたあたりからかな~」
P「そっか……そっかそっか」
亜美「え、えへへ……」
P「くぃどぅるるるるる」
亜美「に、兄ちゃん! お、落ち着いて~!」
亜美「……んっふっふ~。真美ったら、オトナの階段のぼっちゃいましたなぁ~……」
P「……見た?」
亜美「ばっちし!」
P「……」
亜美「真美と兄ちゃん……ちゅーして――」
P「ちょ、ちょっと、捕まっちゃうから、大声で言わないでくれ!」
亜美「うあうあ~!」
P「まったく……それで、体調はどうなんだ?」
亜美「うんっ! もうばっちりっぽいよ! 車で起きたときには、ホントはもう元気いっぱいだったもん」
P「そうか……ということは、嘘ついておんぶさせたんだな?」
亜美「あ……えへへ」
P「……まぁ、いいけど」
亜美「ねぇねぇ、それより兄ちゃん。明日、どうすんの?」
P「明日って……あ」
亜美「あー、やっぱりデートのこと、忘れてたっぽいね~」
P「すっかり……あはは」
亜美「んっふっふー! そんだけ、真美のことが心配だったのかな?」
P「……」
亜美「結婚してくれ。生涯養うから……」
P「やめてくれ……恥ずかしくて死んじゃう」
亜美「そっか~……」
P「今日のことは、律子にも報告しとく。真美と入れ替わってレッスンサボったってな!」
亜美「うあうあ~! 兄ちゃん、それはズルっしょ~!」
P「はっはは! それが嫌だったら、さっきのアレは黙っておくんだな」
亜美「ぐぬぬ……ちぇっ、しょうがないなぁ~」
…
亜美「そんじゃーね! ばいばい、兄ちゃん」
P「ああ。亜美も、油断せずにちゃんとあったかくして寝ろよ?」
P「明日、体調が少しでも悪いなと感じたら、すぐ俺か律子に連絡するんだ」
亜美「うん! でもだいじょぶだよ~、きっと。ちゃーんと、コンサートできるもんね!」
P「期待しておくよ。それじゃあ……」
亜美「ばいばーい!」ブンブン
トテトテ
ガチャリ
亜美「まーみー」
真美「……」モゾモゾ
亜美「んっふっふ~。亜美だよ→☆」
ユサユサ
真美「…………風邪、うつっちゃうっぽいから、部屋に入っちゃダメっしょ」
亜美「えー? でも、もう治ってるっしょ?」
真美「そ、そんなことないもん!」
亜美「……」
亜美「にいちゃんがいるから、もう元気だよ~……えへへ」
真美「うあうあ~!!!!」
真美「な、なんのこと?」
亜美「んっふっふー! 言ってもい・い・の?」
真美「うぅ……」
亜美「おじゃましまーっす」
モゾモゾ
真美「うぇ!? あ、亜美~!」
亜美「……」
ぎゅぅぅ
真美「あ、亜美……?」
亜美「……ほんとに……」
亜美「よかったね、真美……!」
ぎゅぅぅ
亜美「わぷ」
真美「だいすきだよ……」
亜美「……うん。亜美もだよ~」
真美「えへへ……最近はあんまり、こういうこと言わないから、ちょっと恥ずかちいね」
亜美「次は、ちゃんと兄ちゃんにも言うの?」
真美「……わかんない」
亜美「そっか~……」
真美「夢の中のことにされちったかんね……」
亜美「でも、もう答えもわかってんじゃん」
真美「……でも、中学生に手を出したら、犯罪なんだよ~?」
真美「え? な、なに?」
亜美「……昔、えらい人がこう言いました」
『スリルのない愛なんて 興味あるわけないじゃない。わかんないかな』
『タブーを冒せる奴は 危険な香りまとうのよ。覚えておけば?』
真美「……!」
亜美「ね!」
真美「お、オトナっぽい……!」
亜美「んっふっふ~!」
真美「そっか~……時代はスリル……タブーを冒せない兄ちゃんなんて、ダメダメっぽいね!」
亜美「そうだよ~!」
P「……」
P(本当は、真美の体調を考えて、中止にしようかと思ったけど……)
P(真美から、絶対行くから、と連絡がきてしまった)
P(それで、中止なんかになったら、兄ちゃんのこと嫌いになると……)
P「そう言われたら、しかたないよな……」ソワソワ
真美「に~いちゃん♪」ヒョコ
P「! お、おお、おはよう、真美!」
P(今日もかわいい! 私服がまぶしいよ、真美!)
ジロシロ
スンスン
真美「え? な、なになに?」
P「……うん、お前は間違いなく真美だな」
真美「そうだけどー、なんで? 一目見たらわかるっしょ?」
P「う……すみません」
真美「なんで謝んの~!?」
P「あ、いや……ほら、そろそろ開園だし、行こうか」
真美「うあうあー! 待ってよ兄ちゃーん!」
ぎゅっ
P「……!?」
真美「……えへへ」
P「ま、真美……その、手」
真美「つないでちゃ、ダメ?」
P「い、いや……そんなことはないけど」
真美「だよねっ! さー行くよ、兄ちゃん!」
P(嬉しい、嬉しいけど……)
P(本当に……タイホされないだろうな……俺……)
P(ぷにぷにしたくなるな……)
真美「兄ちゃん?」
P「は、はいっ!?」
真美「なんかちょっと……、そんなにプニプニしてたら、くすぐったいっしょ?」
P「あ、ああ、ごめん」
真美「……」
P「……えーっと……」
真美「ねぇ、兄ちゃん。昨日はお仕事サボって、ごめんね」
P「あ、いや、大丈夫だよ……亜美から、ちゃんと連絡きてたし」
P(という設定にしておいてある。真美は昨日、俺が自宅にいったこと、知らないはずだからな)
真美「……兄ちゃんは、優しいね」
P「そりゃそうだ。俺はお前のプロデューサーだぞ」
真美「そっか~……」
P「なんで風邪なんて引いちゃったんだろうな。前日はあれだけ元気だったのに」
真美「うむ、それにはピヨちゃんの小皺よりも深く、あずさお姉さんのムネムネくらい高い理由があるんだよ~」
P「そうすか……あとで音無さんに謝っておけよ」
真美「んっふっふ~!」
テクテク
真美「……ねぇ、兄ちゃん。聞いてくれる?」
P「うん、どうした?」
真美「……真美ね、昨日、夢を見たんだ」
真美「うん! すーっごい、ちょー素敵な夢だった!」
P「……そっか」
真美「夢の中ではね、兄ちゃんも出てきたんだよ」
P「ははは……こりゃ、出演料をいただかないとな」
真美「……真美がオトナになったら、払ったげる」
P「オトナ?」
真美「うん。……16歳になったら、ね!」
P「……っ」
真美「ほらほら、兄ちゃん兄ちゃん! もうすぐ、亜美達のステージ、始まるっぽいよ!」
P「あ、ああ……」
P(今の、真美の顔は……)
P(俺が今まで、見たこともないほど……大人っぽくて、美しい顔だった)
P(……ずっと子どもだと思っていたけど……知らないうちに、真美は一歩一歩、成長しているんだな……)
ざわざわ……
真美「兄ちゃん」
P「ん?」
真美「えへへ……一回しか言わないから、よく聞いてね」
P「なんだなんだ、誰かのモノマネか?」
真美「うあうあー! そんなんじゃないって~!」
ざわ、ざわ……
『みーんなー! 今日は、この伊織ちゃんのために集まってくれて、ありがと~!』
『うあうあー! いおりんのためだけじゃないっしょ~!』
『あら、そうかしら? でも亜美目的の人が仮にいたとしても、そんなの、ほんのちょびーっとだけじゃない?』
『まぁ、ふふっ……伊織ちゃんったら、そんな風に言っちゃダメよ~?』
『にひひっ♪ ジョーダンよ、ジョーダン!』
P「……」
『ま、そんなお決まりのやりとりもこのへんにして……それじゃあ、さっそく行くわよっ!』
『うん! そだね! せっかくみんな来てくれたのに、つまんないって言って帰っちゃうかもだしね!』
真美「……これからも、ずっと、ずーっと、一緒にいてね!」
P「……ああ、もちろんだ!」
真美「えへへ……兄ちゃん兄ちゃん!」
P「ん、今度はなんだ?」
『それでは皆さん、聴いてくださいね~! 私達、竜宮小町の新曲……』
真美「……だーいすきっ!!」
『ハニカミ! ファーストバイト!』
――…… 今日は初めてのウェディング バージンロードにご入場 ……――
――…… わたしもパパと できるかな? ……――
――…… ハニー ハニー ハニーなdish シュガーシュガーシュガーなkiss……――
――…… めくるめくの 愛の味 ……――
―――
――
―
――
―
小鳥「……以上、あの伝説の竜宮小町による、今日だけの復活ライブでした!」
パチパチパチ……
小鳥「いいですよね、『ハニカミ! ファ-ストバイト』……」
小鳥「……ふふっ、私もいつかはこんな風に……って、違う違う」
小鳥「おっほん! えー、それでは続きまして、新郎新婦のご友人代表として……高木順二郎から、ご挨拶を……」
P「ははは……相変わらずだな、音無さんは」
真美「えへへ……そうだね、兄ちゃん」
真美「んー?」
P「……夢、叶っちゃったな」
真美「……そだね」
P「どうだ、気分は」
真美「……夢みたい」
P「俺もだよ……」
真美「でも……」
P「ああ」
P・真美「夢じゃない!」
P「どうした?」
真美「今度は、ホントのホントに、言うかんね。あのときみたいに、聞こえないフリしちゃ、やだよ?」
P「……あ、あはは……うん」
真美「……兄ちゃん」
真美「……だーいすきっ!!」
終わり
乙
真美ぺろぺろ
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雪歩「黄金の月」
雪歩「黄金の月」
―――車内―――
雪歩「……プロデューサー」
P「ん? どうした?」
雪歩「ちょっとだけ、いいですか? このあたりで少し、外の空気に当たりたくって」
P「具合でも悪いのか?」
雪歩「いえ、特に具合悪くはないんですが……」
P「………」
P「なぁ、雪歩。撮影の調子はどうだ?」
雪歩「えっと…上手く行ってますよ。」
P「そうか、ならよかった。」
P(出会った頃は、俳優との撮影はずっと戸惑っていたけど、今はそういうこともなさそうだ)
P(ここ最近は、雪歩もドラマに起用されることが多くなった)
P(アイドルというよりもむしろ、中途半端な仕事をしない、女優としてしっかりとした地位を築き始めている)
P(時々ぼんやりと、昔の雪歩と重ねてしまう……本当の意味で大人びた彼女と。)
雪歩「はい?」
P「あ、ああ、いやこっちの話だ」
雪歩「あ、お茶、なくなっちゃいましたね。また淹れてきます」
P「ああ、ありがとう」
―――
P「お帰り、美希」
小鳥雪歩あずさ「おかえりなさい、美希ちゃん」
P「そっちも撮影だったな。どうだった?」
美希「ばっちりなの! プロデューサーも、今日はあと終わり?」ニコッ
P「あー、書類だけ整理したら終わりかな。でもそんなにはかからないさ」
美希「それならよかったの! 最近、ちょっと疲れた顔してたから、早く帰って休むの!」
P「ありがとう、美希」
P(俺の事も、ハニーとは呼ばなくなってから、二年近く経っている)
P(丁度そのころから、アイドルとしての仕事よりも、女優としての活動が中心になっていた)
P(最初の頃はさみしかったにせよ、彼女が『芸能人』である意識を持ち始めたからだと、すんなり受け入れた)
P「……皆それぞれが、大人になっていくんだなぁ」ボソッ
小鳥あずさ「 」ビクッ
P「?」
あずさ「ねぇ、美希ちゃん?」
美希「なぁに?」
あずさ「……最近、プロデューサーさんのこと、……その。。」
美希「?」
あずさ「呼び方、変わっちゃったのは、どうしてかなぁって思って……」
美希「ハニーって呼ばなくなった理由?」
あずさ「え、ええ。ちょっと気になって……」
美希「うーん、それはきっと……あずさもとっくにわかってる気がするの!」
あずさ「!」
あずさ「……」
美希「ミキは……ハニーの事大好きだけど、、、なんだろう、お父さんとお母さんをみてる感じ?」
美希「ミキには、ハニーの事を全部わかってあげることはできないし、もちろんそれは雪歩も同じだけど……」
美希「きっと、雪歩の方が上手に…プロデューサーのことを大事にしてあげられる気がするの!」
あずさ「……そう」
美希「でもね、あきらめたつもりはないんだよ? 大好き!っていうのを今は言わないでいて、いつかは……」
美希「いつかは、必ずまたハニーを振り向かせてやるの!」
あずさ「……ふふっ。。ありがとう、私も元気がでたようなきがするわ」
美希「えへへ! どういたしましてなのー!」
…………
雪歩「……6月にしては、すこし、涼しいですね」
P「……ああ、そうだな」
雪歩「雨が降らなくって、よかったですね」
P「………そうだな、最後に、いい気持ちで終われたな」
雪歩「ふふっ」
P(そう軽く笑ったきり、雪歩はぼんやりとしている。)
P(徐々に女優の仕事が膨大になっており、アイドルとして活動することが負担になっていた)
P(来年以降の予定もドラマや映画の撮影で追われることを見越して、地方ではあったが、ホールでソロライブを企画した)
P(表向きにはしていないにせよ、『アイドルの雪歩』はこれを最後に、休止することを、決意していた)
P(おそらくそれを察していたからこそ、遠路からもたくさんのファンが訪れてくれた)
P「そうかな。あれこれ、道のりは長かった気はするけど」
P(思い出したように、俺の問いかけに答えた)
春香「プロデューサーさん!」
P「どうした、春香?」
春香「……雪歩と、上手く行ってますか?」
P「? ああ、順調だよ。」
春香「……2人の仲が、ですよ」
P「…いや、いつも通りだが……」
春香「そろそろ、気づいてはいるんでしょう?」
P「……!」
P「……そうか。。ちゃんと、考えるよ」
春香「ならよろしい」ニッコ
P「こいつめ」コツン
春香「あいた」
P「じゃあな、またあとで」
春香「はい!」
春香「……プロデューサーさんの、ばーか」ボソッ
P(気づいてはいる)
P(雪歩が俺に、特別な感情を抱いていることは)
P(そして少なくとも、俺も雪歩といることに、落ち着きを覚えている。)
P(でもそれは、お互いに深く踏み込むこともなく、干渉しすぎるでもなく、2人でいつも事務所で過ごしていることが当たり前になってしまったからだ)
P(どこかのタイミングで、どちらかが好意を言葉にしてしまえば、上手く実を結んだだろう)
P(………でも今更、どんな言葉で、伝えればいいんだろう)
―――――――
P「ええ」
P「俺の実力に、限界を感じてはいるのです。というかむしろ――」
社長「彼女らの、新しい分野を上手く切り開ける自信がない、のかな」
P「…! ――はい」
P「女優業に関しては、俺よりも律子の方がずっと専門的です。実際、あずささんを成功させたのも彼女です」
P「雪歩や美希は、もうそろそろ律子にバトンタッチしてもいい頃合いかと」
社長「……しかし、雪歩くんは……、受け入れると思うかね?」
P「……」
社長「なぁ、Pくん。私にも、あるアイドルがどんな気持ちで君をみているのか、ある程度は予想がつくんだよ」
社長「それd
P「それでも」
P「雪歩を成功させることは、俺ではもう難しいと思うのです」
――――――
P(………)
P「! なんだ、雪歩?」
雪歩「ここの道、私今でも覚えてるんです」
雪歩「ビルもなくって、車通りも少なくって。人も時々しか見当たらない、この道路」
P「前にも、ライブで来たっけ、な」
雪歩「ええ」
雪歩「でも、たぶんここぐらいなんですよ。地方で覚えてるところ」
雪歩「やっとソロライブができるようになった頃、ツアーで回って……」
雪歩「この道路辺りを走ってる時に、プロデューサーが、物凄くほめてくれたの、覚えてるんです」
雪歩「何をどう誉められたのかは、記憶が薄いんですけど、その時の風景が、写真みたいに焼付いてる……」
雪歩「こんなことって、あるんですね」ニコッ
P「焼き付けるにしては、少し殺風景すぎるかもしれないけど、な」ニコ
雪歩「もう……でも、今夜はあの時とは違いますね。だって、すごく綺麗な月……」
P「本当だ……」
P「…?」
雪歩「プロデューサーが、私の担当をはずれちゃうってこと」
P「…! ……誰から、聞いたんだ」
雪歩「誰でもないですよ。私…なんとなく感じ取っちゃったんです。」
雪歩「少しずつ、距離感みたいな、すごく微かだけど、遠くなってるようなきがして」
P「そんなつもりはなかったんだが、な」
雪歩「ふふ、女の勘はよくあたるんですよ」
雪歩「本当は、最後のライブをしたいって言ったのも、きっとこのままいたら、プロデューサーが困っちゃうだろうなって思ったからなんですよ」
雪歩「女優業の方だけになれば、きっとプロデューサーさんも……」
雪歩「安心して、他のコの面倒を見れる、かなっ…て」クルッ
P(ああ、これはなんだか知っている感覚だ。なんだろう)
P(そうだ。。かつての恋人と、最後の電話をしたときに、似てる)
P(彼女の方が、どんどん大人になっていったような気がして、止められないまま……)
P(ちがう、違うんだ。本当はもっと伝えたいことがあるんだ。でもそれを…)
P(それを言葉にしてしまっても……)
P(雪歩の未来に、何もできやしない)
P「あ、いや、その……」
雪歩「違うんです」
雪歩「私、どうしてもプロデューサーに、本当に二人っきりになれる時に、言いたかったことがあって…」
雪歩「私……」
P(……違う。今それを、君は言ってはいけない。それを言われたら、俺は君の未来を守れない……)
P「雪h
雪歩「私!!」
P「!」
雪歩「……私。。」ギュッ
P「………」
雪歩「男の人も……誰でも大丈夫、とは、言い切れないですが……平気になれました」
雪歩「前みたいに、穴掘って埋まることも無くなりましたし………」
雪歩「ずっとずっと、自分に自信が持てるようになり、まし、た……」ポロッ
雪歩「それ、もっ…プロデューサーのおかげ、で・・・・」ボロボロ
雪歩「えへへ、ダメですね。強くなったって言ってるそばから・・・」グスッ
雪歩「で、でもっ、もう私、ちゃんと一人でもお仕事できます!」
雪歩「だから、プロ、デューサー、は……私みたいに、埋もれてたコを、助けてあげて、くだざい!」グスッ
P「……違う」
雪歩「! え、な、なんです、…か?」
P「違う、と思うんだ。雪歩が、本当に言いたかったこと」
雪歩「……」グス
P「なぁ。ずっと待たせてしまったな。でも、今度は俺が言う番だ」
P「……」ギュウ
雪歩「えっ…あっ…///」
P「……雪歩、一緒にいてくれ」
雪歩「ぷ、ぷろ……」
P「……ずっと、知らないふりをして、2人で、やり過ごしてしまったな」
P「でも、こういうのは、俺の方から言うべきだと、やっと気づいたよ」
P「……俺はお前のプロデューサーだ。トップアイドルの座を手に入れたなら、今度はもっと上を目指そう」
雪歩「…!」ポロ
P(俺はずっと恐れてたんだ。雪歩の手が、いつか離れてしまうのを。だから、ずっとどっちつかずの関係を守ってきたんだ)
P「お前と、一緒にいたい。…これが、どういう意味か、分かる、な?」
雪歩「……う、あぁ、…は、はいぃ……」グスッ
雪歩「プ、プロデューサぁ……」ボロ
雪歩「ずっと、…ずっと待ってたんですよ……」ボロボロ
雪歩「こわくって、こわくって………」ボロボロ
P「……つよく、なったんだろ?」
雪歩「…そんな、こと、いっても……いっても……」
雪歩「プロデューサーだって、泣いてるじゃないですかぁ……」
P「ああ……」ポロ
P「雪歩、目を閉じて」
雪歩「……はい」
P 雪歩「………………」
――――――
P「夜空に光る 黄金の月などなくても」
―終―
お気づきの方もいる通り、スガシカオの「黄金の月」という、素晴らしい名曲を下地にしてコソコソ書いてみました。
http://www.youtube.com/watch?v=aQBG8e-DYFo
コノユビトマレとかでもアイマスSS書けそうだよね
>>50
コノユビトマレ、千早で書いてみたいな。あとは、スガシカオならば七月七日を貴音で……とか、
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淡「中間試験?」
淡「中間試験?」
菫「そうだ。一週間後だから明日から部活は休みだ。休みの間しっかり勉強しろよ?」
淡「嫌ですよ。淡には麻雀があるから勉強なんかしなくても推薦で大学行けますし」
菫「あのなぁ大星…」
淡「だいたい虎姫のみんなだって推薦で大学行けるんですから勉強なんてしないでその分麻雀の練習しましょうよー。淡勉強なんて嫌ですー。照も何か言ってよー」
照「私に振られても困る」ペラッ
淡「照は部活休みになってもずっと家で本読んでそう」ボソッ
照「私だって試験前くらいは勉強する」ペラッ
菫「照だってこう言ってるんだからお前も勉強しろいいな?いくら麻雀で大学に行けるからといって、高校生の本分は学業だ。最低限の教養くらいは身に着けておかないと大学に行って恥を晒すぞ。だいたい私たちはチーム虎姫として全国的な注目集めているんだ・・・」ウンタラカンタラ
淡…(大体なんで私だけ…)
尭深「・・・・」ズズー
誠子「腕立て腕立て蛙跳びっと」ハァハァ
菫「おい大星聞いてるのか?おい?」
淡「あー、ほんと菫の話は毎回長いなー。早く終わらないかなー」
淡…(嫌だなー。聞いてるに決まってるじゃないですかー)
尭深「淡ちゃん逆」ズズー
菫「いいな、明日からちゃんと勉強するんだぞ。もし追試なんかに引っかかったら分かってるよな?」ゴッ
淡「ひぃー。分かりました。ちゃんと勉強しますよー。」
照「sinがsakiに見えてきた」
照「sinθを求めよ?」
照「咲ーお姉ちゃんだよー。咲ー」ハッ
照「だめだ数学はやめよう。咲の事を考えてしまって集中できない…」
尭深自室
尭深「今日届いた茶葉をさっそく飲み比べてブログ更新しないと」ズズー
尭深「明日からは部活休みだし。新しいお茶を飲むのが捗りそう」ズズー
尭深「あーこのお茶美味しい」ズズー
誠子「はぁはぁ…995 996 997 998 999 1000 ふぅ」
誠子「腕立て1000回終わり。あと2セットやって次は腹筋だ」
誠子「明日から部活休みだし。釣りにも行きたいなぁ」
淡自室
淡「菫はあんな事言ってたけどやっぱ勉強したくないよー」ゴロゴロ
淡「あと30分テレビ見たら勉強しよ」ゴロゴロパクパク
30分後
淡「あと30分だけ。うん後30分だけなら」
3時間後
淡「結局勉強できなかった…。まあ明日からやればいいよね」
淡「やっと試験終わったよもー。あー疲れたー。これでも後半はちゃんと勉強したんだよもー」
淡「慣れない事をしたせいで変な口癖がついちゃったよもー」
淡「さあ部室行って久しぶりにみんなと会おう」
ガチャッ
淡「おつかれー」
淡「みんな試験どうだったー?」
照「咲のおかげで完璧」(震え声)
菫「ばっちりだ。私は前から計画的に勉強してたしな。だいたいお前らは直前から勉強しようとするから・・・・」クドクド
尭深「しっかり点数を収穫できた」ズズー
誠子「よし次は背筋だ」ハッハッ
淡「あ、淡もちゃんと勉強しましたし余裕でしたよ」
菫「では今日の部活を始めるか」
担任「先日の中間試験の結果が出たから返すぞー。追試の者は一週間後に行うからしっかり勉強して臨むように」
部室前
照尭誠淡「・・・・・・まさか追試に引っかかるなんて・・・・・・」ズーン
淡「ど、どうしよう菫にバレたら。菫にバレるのだけは避けないと」
照「部室で試験の話しは今後一切禁止いい?」
淡堯誠「了解」
菫「おい、お前らなんで部室に入らないんだ?」
照尭誠淡「ビクッ」
淡「いやー。部室前でたまたまばったり遭遇ってやつー?あはは、さあ部活部活ー♪」
菫「まあいいか早く部活始めるぞ」
淡「照~」ダキッ
照「おい淡そんなにくっつくな」ペラッ
淡「いいじゃないですかー」キャッキャ
菫「お前たちいい加減にし」コンコン
菫「誰だろう。入っていいぞ」
モブ「私生徒会のモブと言います。先日の中間試験の追試の日程が変更になったのでお知らせに来ました。えっと対象者は宮永照さん、渋谷尭深さん、亦野誠子さん、大星淡さんですね。こちらのプリントをどうぞ。では失礼します」
照尭誠淡「」カタカタカタカタ
照「実は今日通院の日だったのを思い出してな。診察の予約に遅れると私の先生えらい怒るからなぁ」
淡「はい、その病弱アピール辞め!」
堯深「・・・・・」ズズー
誠子「腹筋腹筋」ハッハッ
菫「・・・・・・」プルプル
照「まあ菫これでも食べて」
菫「これは黒糖?食べやすいのに風味があって美味しいな」ポリポリ
照「それが自慢」ニコッ
菫「ニコッじゃなくて、お前ら全員ここに正座!」
菫「はぁ。あれだけ一週間前に勉強しろって言っておいたのに。やっぱり今回も追試か…」
淡「えっ?今回もって事は?」
菫「大星は今回が初めての試験だけどそれ以外は一年の頃から毎回追試の常連だよ。ほんとなんでこいつらは学ばないかねぇ、はぁ」タメイキ
照「ごめん菫、今回は、その咲の事考えてて」
菫「それは毎回じゃないか。まあいい。他の奴らが何してたのかもだいたい想像がつく」
菫「説教するこっちもこう毎回だと疲れるしな。今回は何の科目が追試で何が原因だったのかをはっきりさせよう。そうすれば追試に向けての勉強もしやすくなるだろう?」
照「なるほどなるほどー」
照「ええと科目は現国なんだが、科目は関係ないんだ。問題は私の能力と関係している」
菫「と言うと?」
照「私は能力の影響で、試験を受けると前回の科目よりも点数を上げていかないといけないんだ。だから最初に受ける科目の得点を低めにしておかないと最終科目まで保たなくなる。今回の一科目目は現国だったからたまたま現国が赤点になってしまった。それだけ」
菫「お前の能力は試験でも影響があったのか。そんなの初めて聞いたぞ」
照「今まで黙ってきたから…。菫分かる?最終科目を受けてる時の私の気持ちが!右腕の風で問題用紙が吹き飛んでいきそうになるのを必死に抑えながら問題を解いてる私の気持ちが!」
菫「なんかすまなかったな、素直に同情するよ」
照「分かってくれればいい」グスン
誠子「私は保健体育の試験なんです。得意科目なんですがちょっと試験中に問題がありまして」
菫「ほう、何があったんだ?」
誠子「試験を受けてる時に、その、いきなり、したくなってきて、保健室に行こうと思ったんですが我慢できず教室で////」
尭深「///////」ズズー
誠子「筋トレを始めてしまいました/////」
誠子「だって保険体育の試験が悪いんですよ。問題用紙に筋肉なんて書いてあったら嫌でも意識しちゃいますよね?私達そういう年頃じゃないですか?」
菫「何がそういう年頃だ!お前にはほんとに呆れたよ。いいか、追試で筋トレは禁止だからな」
誠子「はい気をつけます」フッキンフッキン
尭深「はい。私は日本史の試験です。私も得意科目なんですが試験中にちょっと問題が」
菫「渋谷は何があったんだ?」
尭深「実は30分前に問題を解き終わり暇だった私はお茶を飲み始めたんです。そしたらそのお茶をマークシートに零してしまって、そのまま失格になってしまいました…」
菫「渋谷は試験中にお茶禁止な。まあ得意科目なら追試は心配ないだろう」
尭深「はい。追試では気をつけます」ズズー
淡「淡は数学です。数学だけはどうしても苦手でその赤点を取ってしまいました…」
淡「サインコサインタンヤオってなんなんですか?私サインもコサインも知りませんよ。だからローカル役は混ぜるなって言ってるんです。だいたい三辺の長さに1、9があったらタンヤオは求められないじゃないですかー。うがーーー!!」
菫「大星。数学は麻雀じゃないぞ…。他の三人とは違ったベクトルでお前も残念だよ。いいか追試までにしっかり勉強しろよ?きっと何とかなると信じてるからな」
淡「うぅ…。頑張ります…」
菫「わ、私は別に大した事ないぞ。もちろん追試じゃないがな」
淡「えー気になるじゃないですかー」
照「誠子」
誠子「ラジャッ」ヒュッ
誠子「菫先輩の試験結果を鞄から取って来ました」↑↓この間約1秒
照「ご苦労」
菫「おい亦野、部室で瞬間移動するの禁止」
誠子「すみません、でも宮永先輩の命令なんで…」
淡「菫すごすぎぃ、まさかここまでのレベルだったなんて」
照「せやろー、すごいやろー?」ドヤァ
菫「照お前は黙れ」
淡「ねー菫ー。私に勉強教えてよー。菫の協力があれば絶対追試で合格できるって」
淡「お願い!菫の力が必要なの!」
菫「大星。勉強は積み重ねが大事なんだよ。日頃からさぼってきて試験前だけ勉強して得点が取れる訳ないだろ?まあ私も鬼じゃないから今回だけは助けてやる。問題用紙を見せてくれ」
淡「さすが菫だね。はいこれ問題用紙。間違えたのこれとこれと・・・・・・・・ほとんど全部。4択だから適当に選べば当たるって思ったけどだめだったみたい…」
菫「問1はこれ、問2はこっち、問4は・・・・」
菫「ふぅ、だいたいこんな感じか」
淡「嘘、もう解き終わったの!?」
照「いくら一年の範囲とはいえこれは速すぎる」
尭深「まるで弓が標的を射抜くよう…」ボソッ
照誠淡…(弓?・・・・・・・・・・!!)ハッ
淡「何でそんなに慌ててるのかな菫。いや『シャープシューター菫』さん」ゴッ
菫「な、何のことだ。私はこれからプリキュアの再放送があるから帰らないといけないんだよ」アセアセ
照尭誠「・・・・・・・」ゴゴゴゴゴ
淡「これからゆっくりお話しようか」ニッコリ
菫「おいやめろ離せ。私はこれからプリキュアを見るんだ、うわあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ」
【カン】
淡って一人称かわいかった
乙
その通りです。菫さんは能力で全部の問題を解いてました
マークシートじゃなかったら詰みなのか?
それは菫さんの名誉ために答えないでおきます(震え声)
Entry ⇒ 2012.11.14 | Category ⇒ 咲-Saki-SS | Comments (0) | Trackbacks (0)
P「カップラーメン美味いな」 貴音「ええ、真に」
P「これはハマる」モグモグ
貴音「あなた様にこの幸せを理解していただける日が来ようとは」チュルチュル
貴音「嬉しい限りです」モグモグ
亜美「またカップラーメン食べてるよ」
真美「最近いつも食べてるね」
貴音「ほぉむらん軒の醤油味でございます」
P「明日はホームランだー!ってか?」
貴音「? あなた様、明日は野球をなさるのですか?」
P「いや、伝わらないなら良いんだ」
P「うん、シーフード美味いよシーフード」モグモグ
貴音「最近ぶいやべぇす風の物も出たと聞きますが」
P「あー、あれな、あんまり好みじゃなかったかなー、不味くは無いけど」
貴音「!」
P「うわっ、なんだよいきなり」
貴音「……っくは」
P「?」
貴音「新作のちぇっくは2人ですると決めていたではありませんか!」
貴音「……」ツーン
貴音「まずは食べるのをやめてくださいまし」
P「だって伸びちゃうし」
貴音「…それもそうでございますね」チュルチュル
貴音「さて、あなた様…」
P「はい……」
貴音「お説教の時間でございます」ゴゴゴゴ
P(背景が歪んで見える…そんなに食べたかったのか、ブイヤベース風シーフード)
貴音(せっかくあなた様と2人で過ごせるはずの時間を……)
響「あれ絶対何か食い違ってるぞ」
小鳥「食べ物の話題だけに?」
響「……」
小鳥「ごめんなさいピヨ」
貴音「~♪」
P(直ったというよりむしろ機嫌が良くなったような気もする)
P(女心は複雑である)
貴音(でぇと、これはでぇとの約束にございますね、あなた様♪)
響「やっぱり食い違ってる」
小鳥「まぁこれはこれで」
P「そうだな、仕事も終わったし」
P「貴音ってさ」
貴音「はい」
P「怪人で例えるとメダリオだよね」
貴音「褒め言葉として受け取っておきましょう」
貴音「それでは、社長は…?」
P「キングフロシャイム」
貴音「ああ…」
P「…カップラーメンでも食べるか」
貴音「そうでございますね」
小鳥「やだ、マニアック」
律子「きんぐふろしゃいむ…?」
千早「プロデューサー、そこは俺はカーメンマンって言わないと」
P「うむ、今日は醤油だな」
貴音「珍しいですね、いつもはかれぇかしぃふうどのどちらかでございますのに」
P「やはりラーメンの基本は醤油だからな、うん、スープが美味い」
貴音「醤油が基本…真、そのように思います」チラチラ
P「一口食べるか?」
P「ふぅふぅ、ほら、口あけて」
貴音「あ、あなた様///」クラッ
P「大丈夫か」
貴音「はっ!だ、大丈夫でございます、それでは」パクッ
貴音(緊張で味など分かろうはずもありません、ですが)ドキドキ
貴音「私は今、無上の喜びを感じております」
P「はっはっはっ、貴音はおおげさだなぁ!」
小鳥「あーあ、爆発しないかなぁ」
春香「右に同じです」
貴音「はい」
P「俺、お茶漬け良く食べるんだよ、永谷園の」
貴音「私もよく食べます、鮭茶漬けもまた美味でございますね」
P「それで、そのお茶漬け食べるときにだな」
貴音「はい」
P「一緒に牛乳を飲むんだ」
貴音「なんと」
P「こう、しっかりとお茶漬けを飲み込んだ後にだな、牛乳を飲む事によって甘みが引き出されて実に美味い」
貴音「面妖な……」
P「でも誰も理解してくれない…どちくしょう」
貴音「確かに、常識に囚われるあまり世界が狭まるという事もあるのやも知れませんね」
P「奥深いな」
やよい「うっうー!いい事を聞きましたー!」ピョンピョン
伊織「うーん、お茶に牛乳?」
貴音「はい、ございますね」
P「食った事はないんだけどさ、あれって最初から残りのスープにご飯突っ込んだんじゃダメなのかな」
貴音「量の問題もあるのでしょうが、やはり体面を気にしてのことではないでしょうか」
P「?」
貴音「残りのすぅぷにご飯を入れて食べるのははしたないと思う人も居るでしょう」
P「ふむ」
貴音「最初からそのような商品であればそのような心配をする必要もないのでは?」
P「なるほど」
貴音「ふふ、そうでございましょう?」
P「しかしこの時分だといささか寒い」
貴音「あなた様、こうして寄り添えば少しは寒さも和らぐかと」
P「……綺麗だな」
貴音「月が、でございますか?」
P「さぁ、どうだろうな」
P「ああ、お疲れ様」
貴音「して、今日はどのようなかっぷらぁめんに致しましょうか?」
P「今日はカップラーメンは止めよう」
貴音「? 何か予定がおありでしょうか?」
P「いや、連れて行くって言ったじゃん、ラーメンデート」
貴音「!」パァァ
P「とびっきり美味しいところ見つけたからさ、行こうぜ」
貴音「はい、喜んで♪」
おしまい
お姫ちんかわいいよ
Entry ⇒ 2012.11.14 | Category ⇒ アイマスSS | Comments (4) | Trackbacks (0)
えり「今度結婚することになりました」咏「えっ」 side-B
えり「小鍛治プロです」
咏「」
ここから咏ちゃんとこーこちゃんが手を組んで互いの想い人を奪還する感じてよろしく
えり「それは、その……」
えり「……………」
えり「こ、心の準備がありまして、と言うか……」
えり「…………な、なんだか、気恥ずかしくて……」カァァ
咏「」
咏(やべぇ、この反応はマジだ……)
えり「…………」コクリ
咏「えっ……ええええええ!?」
えり「実は、数ヶ月前に小鍛治プロに……こ、告白……され、まして…」モジモジ
咏「…お、オッケーしたんだ……?」
えり「は、はい………///」
咏(すこやん……そうだったん……?)
えり「最初は、私なんかが小鍛治プロとなんて、と思っていたんですが……」
えり「その……なんというか……」
えり「一緒にいると、お互い自然体でいられるというか……」
えり「……ああ、もう。何言ってるんだろう、私……」カァァ
咏(………かわいい………///)
えり「………うぅぅ………///」
咏(この表情は……すこやんがさせてて……すこやんが、えりちゃんをこんなに可愛くしてて……)
咏(っつーことは…私では、ないわけで……)ズキッ
咏(………出遅れちまったか………)ズキズキ
えり「三尋木プロ……?」
咏「…………ん?」
えり「どうなさったんですか?顔色が優れないようで…」
咏「な、なんでもないよ」
えり「しかし、」
咏「なんでもねーっつーの!」
えり「っ!」ビクッ
えり「い、いえ……」
咏「き、急な話で、こっちもビビっててさ。つい…」
えり「私も、言うのが遅くなってしまって……すみません」ペコリ
咏「い、いいんだよ。心の準備ってやつがあったんでしょ?」
えり「………………」
咏「そ、それにしてもすこやんか~真面目そうなのがくっついたねぃ~」
咏「二人の子どもは、きっとめちゃくちゃ真面目なのができるんだろーなぁ~」
えり「こ、子どもなんて、そんな……まだ婚約したばかりで……///」
えり「先週、す……こ、小鍛治プロに…ゆ、指輪…を……」
えり「……~~~っ///」
えり「そんな根掘り葉掘り聞かないでください。さっきも言いましたが、…恥ずかしいんですよ……?」カァァ
咏「………………」ムカッ
咏(………あーあ、もう。……祝うしか、ないのかねぃ……)
えり「…でも、良かった。ちゃんと話せて」
咏「え?」
咏「………」
えり「今までずっと、仕事のパートナーとしてお世話になりましたから」
咏(…仕事の、ねぇ…)
えり「これから……小鍛治えりとして、お仕事は続けていきます」
えり「これからもご迷惑かけることが多々あるかと思いますが、よろしくお願いします」ペコリ
咏「お、おう………」
咏(小鍛治、えり……)
咏(……えりちゃんには、三尋木えりのが一番合うだろうが……)
夜 とある飲み屋
咏「はぁぁ………」ゲンナリ
恒子「はぁぁ………」グッタリ
咏「……どうよ」
恒子「……どーもこーも」
咏「だよねぃ………」
恒子「………あの二人が、なぁ………」
咏「………いっつの間に、そんな進んでたんだろーねぃ………」
恒子「今まで、ずっと恋人同士だったんだなぁ…」
恒子「私たちの扱いは?」
咏・恒子「「仕事のパートナー」」
咏・恒子「「………………」」
咏・恒子「「はぁぁ………」」
店主「ヘイお待ち!ビールと熱燗、枝豆、唐揚げ!」
咏「うぃっす」
恒子「あざっす……」
店主「なんだいなんだい、元気ないねェ!」
咏「いやー知らんし。なんもかんもわっかんねーって」
店主「失恋でもしたのかい?」
恒子「う゛っ」
咏「…あーもわっかんねー全てがわっかんねー。酒でも飲まねーとやってらんねー」グビー
店主「そーだそーだ、呑んじまえ。常連さんにそんなショボくれた顔されてちゃ、他の客まで暗くなっちまう」
恒子「んなこと言ったって大将~コレキツイっす~」
店主「はっはっは!人生色々!男も女もイロイロってねぇ!」ケラケラ
咏「いやもうマジ笑い事じゃねーって」
店主「で、どーするんだ?」
恒子「何が?」
店主「なーに言ってんだよ」
恒子「えっ……」
咏「ムリムリ、相手は婚約してんだぜ?」
店主「まだ籍入れてないじゃねーか」
恒子「カンタンに言ってくれるね~」
店主「お前らだから言ってんだろうが」
咏「あン?なんだそりゃ」
店主「俺の知ってるトッププロとスーパーアナウンサーは、そう簡単に諦めるような人間じゃなかったけどな」
恒子「……いや、だってエンゲージリングまで……」
恒子「ちょッ」
咏「…そーれを言うのはどうかと思うぜ?大将」
店主「エンゲージだかソーセージだか知らねぇが、惚れたヤツにアタックもせずに結婚させんじゃ女が廃るぜ?」
恒子「だ、だって………だって…………」グスッ
店主「だって?恋に理由も何もねーだろ?」
咏「……………」
店主「……ま、散々言ったが、これはお前らの問題だから、俺がとやかく言えるわけでもねーか」
咏「……大将」
店主「ンン?」
咏「……キッツいのちょーだい。酒」
店主「ヘイ、まいどあり」
咏「………婚約、か………」
恒子「……すこやん……」
咏「……………」ガッ
恒子「え」
咏「んぐっんぐっんぐっ………」グビグビー
恒子「ちょ、それ私のビール……」
咏「プハーッ!」ドンッ
恒子「もー、一気とか!相変わらず呑むの早いなぁ!」
咏「で、どうするよ」
恒子「え?」
恒子「いや、私のビール勝手に飲んだのは?」
咏「取り返そう」
恒子「おい無視……、……え?」
咏「告らずに終わってんじゃ示しがつかないからねぃ~」
恒子「…………!」
咏「忘れてたよ。私は三尋木咏」
咏「欲しいモノは、どんな手を使ったって手に入れる」
恒子「……三尋木プロ……」
咏「うぃっす!」
店主「あとイカリングな」
恒子「え?イカリングは頼んで……」
店主「サービスだ。…しっかりやれよ?」ニカッ
恒子「……………」
恒子「やってやろうか!」ニッ
咏「そー来なくっちゃねぃ!」
恒子「タイショー!ビールおかわりーッ!」
店主「まいどォ!!」
咏「……ぜってー、諦めねーからな」
咏(私のモノにしてやんよ。……えりちゃん)
針生宅
えり「…………」
健夜「どうしたの?窓の外なんて眺めて」
えり「あ、い、いえ。別に……」
健夜「……あ。空綺麗だね」
えり「……星が、見えますね」
健夜「……ふふ」
えり「………?」
健夜「意外と、ロマンチストなところあるよね」
えり「そうですか…?」
えり「あ………」
健夜「夜空は綺麗だけど、冷たいから…」
健夜「私は、綺麗で暖かいえりちゃんの方が好き」ボソッ
えり「ん………」
健夜「…えりちゃんは?」
えり「?」
健夜「…私だけに、こんな恥ずかしいセリフ言わせるの?」
えり「……健夜さん?」
健夜「なぁに?えりちゃん」
えり「……だいすき、です」
健夜「ふふ……知ってる」ニコッ
(隙間すら)ないです
健夜「ん?どうしたの?」ニヤニヤ
えり「………は、離してくれませんか………?」
健夜「どうして?」ギュー
えり「離して、くれないと……その……」
健夜「…ん?」
えり「…………じゃ、ないですか……」ボソッ
健夜「なぁに?聞こえないよ」
えり「後ろから、抱きしめられたら……」
えり「私が、あなたに……」
えり「………抱き、つけないじゃない………」ボソッ
健夜「…………」ニコッ
えり「あ……」
健夜「…ほら、おいで?」テヒロゲ
えり「え………」
健夜「えりちゃん?」
えり「…………」
ギュ
健夜「よしよし」ナデナデ
えり「…………///」ギュー
健夜「ね、えりちゃん」
えり「…なんですか…?」
えり「…幸せ、ですよ。健夜さんは?」
健夜「もちろん。とっても幸せだよ」
えり「…………」ギュー
健夜「えりちゃん……こっち、向いて?」
えり「…………?」
チュッ
えり「んっ……」
健夜「……えへへ」
えり「…もう!勝手に…」
えり「…急にそんな事する健夜さんは、嫌いです」プイッ
健夜「えー、ごめんごめん。嫌いにならないでよ」
えり「……………」ムー
健夜「ねーえりちゃーん」
えり「知りません」
健夜「……………」
グイッ
えり「きゃっ…!」
えり「んん……っ」
健夜「ん、…チュ…」
えり「ふ、ぁ……っ」ピクンッ
えり(舌…入ってきて……)
健夜「ンン……ピチャ……」
えり(ぁ……だめ、力…ぬけちゃ……)
健夜「ん……ふぅ」ツゥ
えり「っ……ぅ…はぁ…はぁ……」クタッ
健夜「…嫌いなんて、言わないでよ」
健夜「また、その口塞ぐよ?」
えり「…そういうところが、き」
グッ
えり「あッ……」
ドサッ
健夜「…無理矢理でも、好きって言わせるから」
えり「すこ……っんん……」
健夜「……優しくできないよ?覚悟してね」
えり「あ……ぅ……」カァ
咏「………んん~?」
咏「…ここはどこ……っ、いててっ」
咏「なんで机に突っ伏して……おお」
恒子「すかー……」zzZ
咏「……あー。そかそか、思い出した」
咏(昨日飲み屋で散々騒いで、ふくよんが酔っ払っちゃって…)
咏(タクシーでふくよん家まで送ったら、無理矢理上がらされて…)
咏(……そのまんま寝ちまったのか)
咏「う……変な体勢で寝てたら、首が……」コキコキ
恒子「ん~……ムニャ」zzZ
咏「ムニャじゃねーよ。さっさと起きろや酔っ払い」ユサユサ
恒子「あとごふ~ん……」
咏「うるせーよ」グニッ
恒子「ほひゃっ!?」
咏「目ぇ覚ませ~」ギュウウウウ
恒子「いひゃい、いひゃいっすみひろひふろ!」
咏「あっはは。ほっぺた伸びるねぃ!」ミョーン
恒子「いひゃいっつーのっ!!」
咏「何言っちゃってくれてるのかねぃコイツは」
恒子「こちとら二日酔いで頭ガンガン……あれ」
咏「あン?」
恒子「いーつの間に帰って来たかなぁ」
咏「覚えてねーのかよ!」
恒子「あれ、なんで三尋木プロがウチにいるの?」
咏「だから」
恒子「……不法侵入?」
咏「てめータクシー代返せ」
恒子「もーしわけありませんっした!」ドゲザ
咏「ったく……飲み屋も全部私が払ったんだぜ?感謝しろよ?」
恒子「あざっす三尋木さま!」
咏「おう。…ところで今日は?」
A.恒子「今日はオフっす」
B.恒子「今日は仕事っす」
安価>>61様
お選びください
咏「え?そうなん?」
恒子「え?」
咏「仕事だろうから起こしたんだけど」
恒子「いやいや、休み」
咏「なんだぁ。じゃ無理矢理起こさねーほーが良かったかねぃ」
恒子「それは、もしや私を心配して…?」
咏「寝てる間にコッソリ帰ればラクだったのに」
恒子「ひでえ!」ガーン
恒子「えーつまんなーい」
咏「シャワー浴びてぇんだよ。ずぅっと付き合わされて着替えもできてねーし」
恒子「……スミマセン」
咏「そんなら、後で会場の近くのファミレスでな」
恒子「?」
咏「なにキョトンとしてんだ…作戦会議だよ、作戦会議」
恒子「なんの?」
咏「えりちゃん奪還作戦」
恒子「…ええっ!?」
咏「えーっと……」キョロキョロ
恒子「こっちこっち」フリフリ
咏「お、いいねぃ。端っこの席」
恒子「一応我々有名人ですから!」
咏「あんまり気にしたことないけどね~」
恒子「…ま、そうなんですけど」
咏「なのにえりちゃんはすっげーの」
恒子「ほう?」
恒子「へぇ~、ちょっと意外かも」
咏「んでそれがさ、大抵ナンパね」
恒子「…マジでか」
咏「マジマジ。しかもナンパした方は声かけてからえりちゃんって事に気づくんよ」
恒子「美人さんが歩いてたから声かけてみたら、そのヒトはアナウンサーの針生えりだった、みたいな?」
咏「そーそー!さっすがえりちゃ……」
咏「………………」
恒子「どうしました?」
恒子「……あ……」
咏「………今度、小鍛治えりになるらしいぜ?」
恒子「…あはは、針生健夜じゃないんだ?」
咏「…おー…プロポーズも、告白も…すこやんだとさ」
恒子「……そっか……」
咏「…………」
恒子「…………」
咏「……ん?」
恒子「すこやんから話を聞いたとき……すこやん、めちゃめちゃ幸せそうだった」
恒子「もう、込み上げてきた気持ちの全部が諦めに変わるくらい…楽しそうだった」
咏「…こっちも、さ。すっげー甘ったるい話で…ココアとチョコ、食べてるみたいな」
咏「……えりちゃん、チョコレートみたいにトロトロ溶けててさ。…なんか……」
恒子「…ねぇ、……やっぱりイケない事なんじゃないかな……奪還作戦、なんて……」
咏「でも!」
カランカラン
店員「いらっしゃいませー」
店員「ご案内します」
恒子「!?」
咏「なッ!?」
健夜「ごめんね~……」
えり「いいですから。気にしないでくださいよ」
健夜「でも…」
えり「これからゆっくり覚えましょう?」
健夜「うぅ、お料理って難しいなぁ」
恒子「うわぁ出たっ!」ボソボソ
咏「噂をすればってやつ?」コソコソ
えり「知ってますよ、結構几帳面ですよね」
健夜「そ、そうかなぁ……えへへ」
えり「その点、私はズボラなところがありますから…」
健夜「そんな事ないよ?」
えり「手を抜くところが巧いだけてす」
健夜「あ、自分で言っちゃう?」
えり「ええ。…だって、私が手を抜いているところに、健夜さんは気づいていませんから」クスッ
健夜「えっ!ど、どこどこ?」
えり「ナ・イ・ショ」
健夜「も~ケチ」
えり「ふふ……」ニコッ
恒子(甘ああああああああい!!!)
咏(こっちに気づいてないみたいだけど……見せつけてんのか?見せつけてんのかコンニャローッ!)
咏(『おかえりなさい、あなた』とかやって貰えるのかなぁ……)
咏「…………へへ」
咏(ぜってー私のモノにしてやる……)メラメラ
恒子(あっちもアツアツだけど、こっちもアツい……飛び火って意味で)
ピンポーン
店員「ご注文お決まりですか?」
咏「ハンバーグステーキ、あとビール」
恒子「昼間っから!?」
咏「しー!声でけぇよ!」
恒子「あ、さーせん。…私パスタで」
店員「畏まりました~ごゆっくり~」
店員「いらっしゃいませー」
?「……えっと……」キョロキョロ
店員「お一人様でよろしいでしょうか?」
?「は、はい!」ビクッ
店員「おタバコは…」
?「す、すわないです…」
店員「では、お席までご案内します」
店員「あ、どうぞ」
?「ありがとうございます……」コソコソ…
恒子「……なんか明らかにおかしい人が」
咏「いや知らんし。ファッションかもよ?」
恒子「マスクにサングラスにサイズがデカいロングコートが!?」
咏「シーッ!声でけぇっつの」
恒子「むむ……」
咏「お、メニュー決まったみたいだねぃ」
咏「んじゃ、えりちゃんはドリアだな。賭けてもいい」キリッ
店員「ご注文お決まりですか?」
健夜「えっと、オムレツと…」
えり「グラタンで」
店員「畏まりました~」
恒子「な……っ」サァァ
咏「……勝敗の分け目は、白いご飯だったか……」ガクッ
店員「おまたせしましたーハンバーグステーキとパスタになります」
咏「……小ライス、追加で」
店員「畏まりました~」
咏「はふはふ……」モグモグ
?「……………」コソコソ
恒子(………ん?)
?「…………」ジー
恒子(あの人……)
?「………………」ジー
恒子(ずっと、すこやんたちの方見てる……?)
店員「小ライスになります」
咏「どーもどーも」
健夜「はーい」
えり「…久しぶりですね。二人で外食なんて」
健夜「えりちゃんのお料理美味しいんだもーん」ニコッ
えり「……これからは……」
健夜「ん?」
えり「これからは毎日……あなたの為に、作りますから……ね?」
健夜「…~~~っ」
えり「………///」
健夜「えへへ…///」
恒子(イチャイチャしやがって…)
咏「モグモグモグモグモグモグ」モクモク
えり「?」
健夜「…………」ジー
えり「…………」ニコッ
えり「一口、食べます?」
健夜「ぅえっ!?なんでわかったの?」
えり「そんな目でジッと見られたら、誰だって解りますよ」クスクス
健夜「む……」
えり「本当に、気持ちが顔に出ますね」クスクス
健夜「むぅ……」
健夜「あーん」
えり「え……」
健夜「あーん、して?」
えり「あ………///」
えり「えっ……と……」カチャカチャ
健夜「…………」
えり「ふぅー…」フーフー
えり「……あーん」
健夜「あーんっ」パクッ
健夜「えへへ、おいし」モグモグ
えり「…もう」
恒子「もおおおおおおおおおお」(小声)
咏「見せつけてくれるじゃねーのっ!」ボソボソ
恒子「うぐぐぐぐ」ギリギリ
?「」オロオロオロ
恒子「……………?」
?「………っ…」ワタワタ
店員「お客様?」
?「ひゃい!?」
店員「ご注文は……」
?「あ、え、えっと!チーズケーキで!」
店員「畏まりました~」
?「…………はぁ」
恒子「………怪しい」ボソッ
恒子「ほら、さっきのマスクさん」
咏「あー。ファッションセンスがイマイチな」
恒子「いやだからファッションでは……まぁいいや」
咏「そのマスクマンがどうしたって?」
恒子「あの人、すこやんたちをずっと見てる」
咏「ふーん?えりちゃんかすこやんのファンなんじゃね?」
恒子「そ、そうかな……でも……」
店員「おまたせしました、チーズケーキになります」
?「あ、ありがとうございます」
?「…………」パクッ
?「………!」モグモグ
?「………ん」
?「…おいし☆」
恒子「!!」ガタッ
咏「ばか、おまっ!」
恒子「あ、す、すいませ……」
?「!」
恒子「あ、ちょっ」
?「お勘定、ここに置いておきますねっごちそうさま!」
店員「あ、ありがとうございました…」
恒子「うわ逃げた!こら待てっ!」
咏(…お勘定って…そんな単語ひっさびさに聞いたなぁ……)
健夜「あれ、こーこちゃん?」
恒子「あ」
えり「え?……あ、三尋木プロまで」
咏「……言わんこっちゃねぇ…」
恒子「………さーせん」
恒子「いやー、フツーに昼ごはん食べに…ね」ポリポリ
咏「…そーそー」
恒子「二人は?………デート?」
咏(おい、自分にダメージ与えてどーする)
恒子(何言ってんだ私……)
えり「で、デートなんて、そんな……」
健夜「か、からかわないでよ。こーこちゃん」
恒子「……おーおー。お熱いことで」
咏「……わっかんねー……」
咏「べっつにぃ~?なんでもいーっしょ」
えり「………はぁ」イラッ
恒子「いやーたまには、食事どう?なーんて誘ってみてですねー、ははは、はは…」
健夜「?」
えり「お食事は済んだのですか?」
恒子「ま、まぁ」
咏「デザート食ってねー」
恒子「えっ」
咏「デザート。これなんか美味そーじゃん?」
恒子「ま、まだ食べるんすか……」
えり「…………」クスッ
えり「いえ。前に、一緒にお食事した時を思い出しまして」
咏「…………」
えり「あのときも、こんな会話したなぁ…と」
咏「あ…………」
~
えり『そろそろ、行きますか?』
咏『デザート食ってねー』
えり『えっ』
咏『デザート。これなんか美味そーじゃん?』
えり『ま、まだ食べるんですか……』
~
咏「…………」ズキッ…
恒子「あ、うん…じゃあね」
えり「では……」ペコッ
咏「…………うん」
恒子「…………」
咏「…………」
店員「ありがとうございましたー」
健夜「この後、どうする?」
えり「…思い切って、お部屋の模様替えしようって話、本当にしません?」
健夜「じゃあ…家具?」
えり「はいっ」ニコニコ
健夜「じゃあ、行こっか」ギュ
えり「……♪」ギュ
カランカラン…
恒子「あぁ~………食らったぁ……」グッタリ
咏「……くそっ……」
恒子「………デザート。たべる?」
咏「…………」ピンポーン
店員「はい?」
咏「ビール、まだ?」
店員「あ……申し訳ありません!今すぐに…」
咏「グラスワイン追加で」
店員「畏まりました」タッタッタ…
咏「……知らんし」
恒子「ま、気持ちはわかりますけど」
咏「うがああああああっ!!」
恒子「…ま、昼間のファミレスではアレっすけど」
恒子「夜にでもまた居酒屋行きますか。三尋木プロ」
店員「おまたせ致しました、ビールとグラスワインになります」
咏「…ほれ、ふくよん」
恒子「え?」
咏「このくらいならいいだろ?グラスワイン」
恒子「あ、ああ…あざっす」
恒子「か、かんぱーい」
チンッ
咏「んぐっんぐっんぐっ……」グイー
恒子「………」ゴクッ
咏「……ぷはっ」
恒子「…三尋木プロ?」
咏「…いーよ。もう、咏で」
恒子「……………」
恒子「ういっす、咏ちゃん」
咏「おっけ。……覚悟しな、居酒屋ハシゴすんぞ」
恒子「……程々に頼んます」
恒子「………」ゴクッ
咏「…奪還作戦、考えようか」
恒子「!」
咏「んぐっんぐっ……」グビー
咏「……ぷはっ」
恒子「………ほんっとに、もう……」
恒子「いー性格してるね、咏ちゃん」ニッ
咏「……諦められっかよ……」
恒子「もちろん」
咏「…決めたんだよ。…えりちゃんには…」
咏「“三尋木えり”のが合ってるから」
咏「おうよ。……ふくよんも、だろ」
恒子「…あたぼうよぉ!」
咏「……へへっ」ニカッ
恒子「……それに……」
咏「……ん?」
恒子(あの人……あの、マスクマン……)
恒子(問い詰める必要があるかな?)
健夜「でも……いいの?」
えり「なにが…ですか?」
健夜「えりちゃんの家に、住んでも」
えり「ええ。…私は、貴女と違って一人暮らしですし?」
健夜「う゛っ」
えり「ふふふ………」クス
健夜「…言うね、えりちゃん」
えり「健夜さんだけですよ。…新居、というのも良いですけど…」
健夜「そう?気、使ってない?」
えり「…健夜さんがそっちのが良いなら…」
健夜「ううん。えりちゃんの家好き」
えり「そう…ですか?」
健夜「えりちゃんの匂いがする。…えりちゃんが、何が好きか、とか…えりちゃんの全部を感じられるから」ニコッ
えり「……っ///」
えり「い、言いますね…健夜さん」
健夜「えりちゃんだけ、だよ」
えり「誰のせいですか……」
健夜「わたしー♪」
えり「うぅ………」
健夜「かーわいい♪」
えり「……うるさいですよ」
健夜「しーらない」
?「……………」
?「ど、どうしよう………」ドキドキドキ
?「なんとか…なんとか、しないと……」
咏「あーあーあーあー、もーわっかんね。ぜんっぜんわかんね」
恒子「ういっす。…それと、なんでウチで飲んでるんすか。居酒屋ハシゴって」
咏「タクシー代」
恒子「う゛っ」
咏「また酔いつぶれたやつを送るの嫌だかんな?」
恒子「…面目ないっす」
咏「しっかしさぁ………ねぇ?」
恒子「ねぇ、って?」
恒子「ああ…すこやんと、針生さん」
咏「そそ。絡み合ったっけ?」
恒子「私たち結構四人でご飯行ったりしたじゃん?」
咏「まーそーだけど…二人だよ、二人」
恒子「…そう、言われると…たしかに」
咏「っしょ?しかも聞けば、数ヶ月前から恋人同士とかなんとか」
恒子「…意外と、前からそんな関係にあったんすね」
咏「…おー…」
恒子「…………」
咏「………あ、そういえば」
恒子「ん?」
咏「ふくよんさ、あのマスクマンを追いかけようとしてたじゃん?」
恒子「あ、ああ…逃げられちゃったけどね」
咏「なんで?」
恒子「…あの人、ずっとすこやんたちみてたじゃん?」
咏「おお、そうらしいね。知らんけど」
恒子「なんか知ってんじゃないかなーって」
恒子「そうかなぁ…」
咏「ほら、あれかも。パパラッチ?トッププロ小鍛治健夜熱愛発覚!お相手は真面目系清純派美人アナウンサー!」
咏「……みたいな」
恒子「あ、違う違う」
咏「ん?」
恒子「あのマスクマン、パパラッチじゃないよ」
咏「じゃあなにさ」
恒子「…ま、明日一緒に問い詰めに行きま しょうや」ニヤリ
咏「焦らすねぃ」
恒子「一応ね。確証があるわけじゃないから」
咏「……ふーん?」
恒子(大体検討は付いてるけどね)
恒子(でも、なんであの人が…)
針生家
えり「…………」カチャカチャ
健夜「えーりーちゃんっ」ギュ
えり「きゃっ!」
健夜「きゃ、だって。かーわい」
えり「…もう!脅かさないでくださいよ」
健夜「だって、……ねぇ?」
えり「わかりませんー」
健夜「抱きしめたかったから?」
えり「…洗い物、終わったら……ね?」
健夜「やーだよ」ギュー
えり「だ、ダメですってば…っ」
えり「ぅ……」
えり「…私まだ……お風呂、入ってない……」
健夜「別にいいよ?」クンクン
えり「ちょっと、やめてくださいっ」
健夜「いー匂いだよ?」クンクン
えり「く、くすぐったいですよ…」
健夜「ほらほら、気をつけないと食器落としちゃうよ」
えり「あ、……」
えり「だめ、ったら…だめっ」
健夜「…ちぇー」
えり「まったくもう……」
健夜「…えへへ」ニコニコ
えり「…なんですか?」
健夜「もーすぐ、えりちゃんは私のお嫁さんになるんだなぁ~て」
えり「………あ………」
健夜「……ね、えりちゃん」
えり「?」
健夜「お風呂、一緒に入ろ?」
えり「はいッ!?」ビクッ
えり「そ、それは、……その……///」
健夜「恥ずかしがることないと思うけどなぁ~?今まで、えりちゃんのもっと恥ずかしいところをたくさ」
えり「やっやめてええええっ!」
健夜「だから、ね?」
えり「うぅ…ぅー……っ……」
健夜「お願いっ」
えり「………ヘンなこと………しないなら……良いですよ……?」
健夜「それってどんなこと?」
えり「健夜さんッ!」
健夜「ふふ。先に入って待ってるからね~」パタパタ
えり「……ったく、もう……」ハァ
えり(洗い物、早く終わらせないと…)
すばらっ!
お風呂あがり
えり「………っ」フラフラ
健夜「大丈夫?」
えり「っ…誰の、せいで……っ!」
健夜「そんなに良かった?」
えり「健夜さぁんッ!」キッ
健夜「ごめん、つい……」タハハ…
えり「身体、持ちません……」
健夜「養ってあげるから」
えり「…………」ムー
健夜「……あのね?えりちゃん」
えり「?」
健夜「見せたいものがあるんだけど……」
健夜「せっかくだから…どうかなって……///」
えり「け、結婚式場の…カタログ…?」
健夜「式は別にやらなくてもいいかなって、思ったんだけど……」
健夜「その……思い出に、ね?」
えり「健夜さん」
健夜「や、やっぱりいy」
ガバッ
健夜「おっと…」
えり「健夜さん……っ」ギュー
健夜「うん…」キュ
えり「……どうしよう…わからないの……」
健夜「……なにが……?」
健夜「………」ナデナデ
えり「すこ、…すこや、さんの……っ」ギュー
健夜「…私の?」
えり「ばかっ!」
健夜「えぇっ!?」
えり「ばかっ……ばか、ばか、ばかぁっ…!」
健夜「な、な、なんで?」
えり「……っぅ……ヒック……こ、……グスッ…こんな、……~~っ」
えり「こんな、気持ちに、…させたのもっ!ヒック…こんなに、っ…泣かされたのもっ!」
えり「あなたが、はじめてですよ……っ!」
えり「すこやさんの……っばかぁぁ…っ!!」
えり「いいんですっばかっ」
健夜「はいはい、ばかですよー」ギュー
えり「うぅぅ………」
健夜「……それで?どんな気持ち?」
えり「……ドキドキ……します」
健夜「それと?」
えり「……凄く、恥ずかしいです」
健夜「うん。…あとは?」
えり「……多分……」グスッ
えり「……凄く、幸せです」
えり「………」
健夜「………」
えり「……~~~っ」
健夜「?」
えり「………っ」パッ
健夜「え?」
えり「………すいません」
健夜「ずっとくっついてていいんだよ?」
えり「……冷静になりました」
健夜「冷静になったらどうしたの?」
えり「………凄く、………」
えり「はずかしく、……なりました」ボソッ
健夜「ふふふ……」クスクスクス
えり「…………」
健夜「えりちゃん?」
えり「…なんだか、…夢みたいで」
健夜「…………」
えり「私は、…貴女と、結婚するんだなぁ…って……」
健夜「なにを、今更」
えり「そ、そうなんですけど…現実味が無くて……」
健夜「…実は、私もなんだ」
えり「健夜さんも……?」
健夜「それで…告白して、コイビトになって……それで、プロポーズして」
健夜「…短い期間で、色々やりすぎて…いろんな事しちゃって。それで…時間がたつのが、早くて」
健夜「もう、頭がついていけてるのかわからなくて。フワフワしちゃってる」
健夜「………あはは、焦り過ぎたかな…プロポーズ」
えり「…………」フルフル
えり「私達なら、大丈夫ですよ」
健夜「…そう?」
えり「ええ」ニコッ
えり「はい?」
健夜「大好きだよ」
えり「………私も」
健夜「……ね、子どもは何人ほしい?」
えり「え、えぇっ!?」
健夜「二人はほしいよね~」
えり「そ、それは、その、まだ……」ゴニョゴニョ
健夜「四の五の言わない。…それとも、今する?」
えり「………ッ///」
健夜「ん?」
えり「………へんたい」
えり「ん……」
健夜「………あ、でもいっか。変態でも」ドサッ
えり「す、すこやさ……っ」
健夜「でも、えりちゃんの中の私は、ばかでヘンタイなんだー?」チュッチュッ
えり「んんっ…そ、です……」ピクンッ
健夜「へぇ?」ペロッ
えり「ひゃ、…ばかで、へんたいです…っ」
健夜「でも、好きなの?」チュゥゥッ
えり「あぁぁっ………っ///」ビクッ
健夜「ねぇ…」ボソッ
えり「っ、ぁ…す、きぃ……すき、だいすき……っ」
健夜「……ん。かわいい……」ギュ
会場
?「………」コソコソ
?「………」キョロキョロ
?「…………!」サッ
えり「はぁっ……はぁっ…はぁ、はぁ…」タッタッタ
健夜「ぎ、ギリギリ、セーフ?」ゼェゼェ
えり「健夜さんの、ばかっ」
健夜「…うん、言い訳できない…ごめんなさい」
えり「……激しすぎ、ですよ……」ボソッ
健夜「あはは……」
?「………!?」
?「こ、これは………うー……」
恒子「なにが?」
?「!?」ビクッ
恒子「どーも~昨日ぶりっす」ニコッ
恒子「…瑞原プロ」
はやり「あ………」
恒子「しらばっくれるのはノンノン。別にどーこーする気はないですからね」
はやり「じゃ、じゃあ……?」
恒子「すこやんと、針生さんのことで」
はやり「!」ビクッ
ダッ
恒子「あ、ちょっと!」
咏「させるかぁぁーー!!」ガシッ
はやり「きゃうっ!?」
恒子「で、認めます?」
はやり「うぅー……簀巻きなんてー……」クスン
咏「悪いねぃはやりん。なりふり構ってられねーんだ」
はやり「むー……認めます。昨日ファミレスで変装してえりちゃんと健夜ちゃん見てたのははやりですー」
はやり「だからこれほどいてー」ウゴウゴ
咏「いーや!だめ」
はやり「どーしてー咏ちゃんもふくよんも実況の仕事はー……?」
咏「変わって貰った」
はやり「えっ」
恒子「………なりふり構ってられないんですよ、マジで」
えり「……おやすみ?三尋木プロが?」
スタッフ「え、ええ…なんだか随分焦っていたみたいで……」
えり「で、では私は……」
スタッフ「そろそろ来るかと……あ、来たきた」
スタッフ「ありがとうございます、大沼プロ」
大沼「どうも、遅くなりまして」
えり「」
大沼「そちらが、アナウンサーの?」
えり「……は、針生えり…と申します」
大沼「ふむ。よろしく頼むよ、美人さん」
えり(や、やりにくい………!)
健夜「……おやすみ?福与さんが?」
スタッフ「え、ええ…なんだか随分焦っていたみたいで……」
健夜「じ、じゃあ私は……」
スタッフ「そろそろ来るかと……あ、来たきた」
スタッフ「ありがとうございます、白石アナ」
白石「どうも、遅くなりました」
健夜「」
白石「本日はよろしくお願いします、小鍛治プロ!」
健夜「は、はぁ…よろしくお願いします…」
白石「まさか自分があの!小鍛治プロと仕事ができるとは!恐縮です」
健夜(か、絡み辛い………!)
咏「まず、はやりんはどっち目当て?」
はやり「へ?」
咏「しらばっくれんなよ~?」
はやり「い、いや、えっと、目当て……?」
咏「そうだろ?あんなストーカー行為」
はやり「すっ、ストーカー!?」ガーン
恒子「だって、そうでしょ?」
はやり「違う違う違うよぉ!」ウゴウゴ
咏「じゃあなにさ?」
はやり「だから、その…話しかけるタイミングを測ってて……」
咏「ストーカー!」
恒子「ストーカーだ!」
はやり「違うのおおおおおおおお!!」
はやり「ふえぇぇええ!?」
恒子「ちなみにすこやんだったら更に簀巻きで放置するよ!?」
はやり「更にってナニ!?」ガーン
咏「で、どっちが目当てなのかい!?」
はやり「うぅ!えりちゃんにもすこやんにも言わなきゃイケない事があr」
咏「両方だとぉおぉぉ!?」
恒子「この欲張りさんめぇぇええぃッ」
はやり「話聞いてよおおおお!!」ナミダメ
咏(やべっ、泣かしちまった)
恒子(やっべ、やりすぎた)
はやり「咏ちゃんもふくよんも酷い……そんな人には、何にも話さないー」プイッ
咏(やべっ)
恒子「す、すいません…今解きますから…ね?
」
はやり「…………むー」
シュルシュル…
はやり「……もうっ」パンッパンッ
咏「…ごめん、はやりん」
恒子「…すみません……」
はやり「…………」
はやり「それが、ヒトにモノを頼む態度かな~?」
恒子「!」
はやり「とりあえず、…頭、高いんじゃないかな☆」
咏・恒子「「」」イラッ
ギュウウウゥゥゥゥ
はやり「にゃああああごめんなさいごめんなさい喋るからぁぁぁぁ!!」
はやり「はやりも、すこやんも、えりちゃんも会場に居た日―――」
―――数ヶ月前
はやり「つ、ついに……ついに、届いた!」
はやり「両想いになれる特別ななんかよくわからないけどすっげー効くクッキー!~身体に問題はないよ☆~」
はやり「これさえあれば…ふふ…☆」
はやり「んーと?…わぁ、ハート型!か~わいい☆」
はやり「説明書はいいや☆面倒だし…とにかく、このクッキーを好きなヒトと、自分が食べればいいのね~☆」
はやり「……ん?」
はやり「…なんか、縁起悪そう…真っ二つのハート…」
はやり「……5枚入りだし……た、高かったけど…これは、仕方ない。誰かにあげちゃおっと」
はやり「……あ☆ちょうど良いところに……☆」
はやり「えりちゃーん!」
えり「はい?…あ、瑞原プロ」
はやり「はやりからのプレゼントだよっ☆」
えり「え?…これは…クッキー?」
はやり「うん☆美味しいんだよ~♪」
えり「頂いてもよろしいのですか?」
はやり「もちろんっ☆」
えり「…では、お言葉に甘えて。ありがとうございます」ニコッ
はやり「うんうん☆真面目ちゃんだね~ホントにっ」
えり「そんなことありませんよ」
はやり「またまた~」
えり「っと…そろそろですので、失礼しますね」
はやり「頑張ってね~☆」
はやり「……う~ん!良いことしたあとは、気持ちがいいなぁ~☆」
はやり「それで、えりちゃんが休憩時間になって、えりちゃんは会場の自動販売機前の、休憩できるスペースで…」
――――
えり「はぁ……」ガコンッ
えり(………本日の仕事、終了)カシュッ
えり(…………)ゴクッ
えり「ぅ………」
えり(やっぱり、コーヒーって苦手……でも、紅茶…売り切れだし…)
えり(…あ、そういえば、瑞原プロから…)ゴソゴソ…
えり(クッキー……)
ゴソゴソ…
えり(……ハート、真っ二つ……)
健夜「あ」
えり「!……あ、小鍛治プロ」
えり「いえ、大丈夫ですよ」ニコッ
健夜「……んーと……」ピッ
ガコンッ
えり「…………小鍛治プロは、コーヒー大丈夫なんですね」
健夜「う、うん…針生さん、コーヒー苦手?」
えり「…恥ずかしながら、苦手ですね」
健夜「へぇ、ちょっと意外」
えり「そうでしょうか?」
健夜「…それは?」
えり「あ、ああ…先ほど、瑞原プロに頂いたクッキーです」
健夜「クッキー……」
えり「……半分、いかがですか?」
健夜「え?いっ、いや、悪いよ」
えり「遠慮せずに。…どうぞ?」
えり「ええ。美味しいらしいですから」
健夜「いただきまーす」
えり「では私も……」
サクッ
―――――
はやり「……という、わけなのです……」ヨヨヨ
咏「………は?」
恒子「………んん?」
はやり「あーっ信じてないでしょーッ!」
恒子「…………ねぇ?」
はやり「いーもーんっ!はやりは事実を言ったもーん!」プリプリ
咏「あー…じゃあさ、それが本当だったとして…」
恒子「……元凶、アンタじゃないですか……」
はやり「………」ピヒューピヒュー
咏「おい、口笛できてねーぞ」
はやり「……んー、と…偶然の、成り行き?☆」
咏・恒子「「」」イラッ
ギュウウウゥゥゥゥ
はやり「うなぁぁぁぁあごめんなさぁぁぁい!!!」
はやり「うん……事故なんだよぅ……」
恒子「ん?でも、瑞原プロは?」
はやり「?」
恒子「そのクッキー、使ったんですよね?でも、瑞原プロに恋人なんて……」
はやり「」グサッ
咏「え?いないの?」
はやり「」グサグサッ
はやり「……………」
はやり「ううぅぅぅうう!!」ウゴウゴウゴ
咏・恒子「「!?」」ビクッ
咏「ばーかばーか」
はやり「うなぁぁぁぁあ!!」
恒子(仲いいなぁ…)
はやり「…はぁ。説明書をゆっくり読んでみたんだけど…はやり、使い方間違えちゃったみたいで…」
恒子「と、言うと」
はやり「……一人一枚だと思ってて……」
恒子「……ああ……」
咏「まぁ。なんというか、…さ。ドンマイ?」
はやり「その憐れみの目やめてええええ」
はやり「なーにー…?」
恒子「その惚れ薬、どうしたら解けるんですか!?」
はやり「え………」
咏「はやりん!」
はやり「…………」
はやり「……たしかにね、はやりも…思ったよ?…それは、ホンモノの恋じゃないって。何度も、言おうとした」
恒子「でしょ!だから…ッ」
はやり「でも!…見てて、わからない?あの二人を……」
咏「……なにが、言いたいの」
咏「……ッ!」
はやり「たしかに、きっかけはクッキーだったかもしれない!…でも…もうあの二人は、愛し合ってる」
恒子「く……ぅ…ッ…」グッ
はやり「…それを邪魔するなんて…はやりには……できないよ……」
咏「……………」
恒子「………………」
はやり「…まぁ、一応…クッキーの効果を無くす方法は教えておくけど……」
はやり「……するかどうかは、アナタ達次第だからね」
針生家 夜
えり「~♪」コトコト
ガチャッ…
えり「!」
えり「健夜さん」パタパタ
健夜「あ、ただいまーえりちゃん」
えり「おかえりなさい」ニコッ
健夜「あれ、良い匂い…」
えり「晩ご飯の準備していたんです」
健夜「ありがとう」ニコッ
健夜「用意周到だね~」
えり「その、えっと……」
健夜「?」
えり「お、おかえりなさい」
健夜「うん、それはさっき…」
えり「ご、ご飯にしますか?お風呂にしますか?」
えり「そ、それとも……その…///」
えり「わ、……わたし………?」
健夜「」
健夜「えりちゃんっ!」ギューッ!
えり「きゃぁっ!?///」
健夜「えりちゃんにするっ!えりちゃんっ!」
えり(ど、どうしよ…考えてなかった……)
健夜「えーりちゃーん」ギュー
えり(…よ、よしっ)
グイッ
健夜「えっ」
えり「………ッ」
ちゅっ
えり「…お、おかえりなさいの…ちゅー、で……」カァ
健夜「~~~!んもぅー、えりちゃーん!」ギュウゥ
えり「く、苦しいですっ健夜さんっ///」ワタワタ
健夜「おデコにチューってのがまた高得点だよ!疲れも吹っ飛ぶよ!」
えり「……な、なら、良いんですけど……」
福与家
恒子「……………」
咏「……………」
恒子「…今日も、泊まってくの?」
咏「……わりぃかよ」
恒子「…いや、別にいいけどね」
咏「じゃーいーじゃん」
恒子「…………」
咏「…………」
恒子「どう、するよ」
咏「………わっかんね」
恒子「………」
恒子「…ですよね」
咏「……わかってる」
恒子「婚約したってことは、リミットまで……」
咏「わかってるってばッ!!」
恒子「っ」ビクッ
咏「んなことくらい…わかってんだよ……ッ」
咏「でもッ……でも…っ…」ジワ…
咏「わかんねーよ……わかんねー……ぜんぶ、ぜぇんぶ、わかんねぇ……!!」グスッ
咏「………ッ!」グイッ
恒子「……………」ウルッ…
恒子(好きなヒトの……幸せを取るか……)
咏「…ッ……く、ぅ……っ!!」ゴシゴシ
咏(全てを元に戻して…自分勝手な気持ちを、さらけ出すか……)
恒子(選択肢は二つ)
咏(どちらを選んでも構わない)
はやり『ただし』
はやり『タイムリミットは―――』
――――二人の、結婚式
はやり『結構、神様頼りにしているところがあるんだ。だから……』
はやり『神様の前で誓いをたてたら、一生あのまま』
はやり『元に戻ることはなくなって…二人は、ハッピーエンドを迎えるの』
はやり『例えば…そう。結婚式での、誓いのキス…とかね』
えり「気が早くありませんか…?」
健夜「うぅん!今すぐにでもしたいくらいだよ?」
えり「そう、ですか…?」
健夜「うん。早く…小鍛治、えりになって欲しくて……」
えり「あ……」
健夜「そうしたら…えりちゃんは、私のモノ。なんてね」ニコッ
えり「……名前なんて……良いじゃないですか」
健夜「?」
えり「わたしは、………あなたの…モノ…ですから……」
えり「………~~~ッ///」カァァァァ
健夜「………えりちゃん…………」
えり「いっ!今、こっち見ないでくださいねっ!?」プイッ
健夜「どうして?」
えり「そっ…それは……その……えっと……」
健夜「見せてよ」
えり「やですっ」
健夜「見せて……」グイッ
えり「あ……っ…」
えり「く……ぅぅぅ………///」
健夜「顔、真っ赤」クスクス
えり「っ…だから、いやだって……!」
健夜「んもーかわいいなぁー食べちゃいたいっ」
えり「そっそんなことよりぃッ!」
健夜「そんな事ってどんなこと?」スルッ
えり「ゃ…ちょ、ちょっと……!」
健夜「ね、どんなことかなー?」
えり「だめです、だめっ…」
えり「ぁ……」
健夜「式の話だったね。えっーと…」
えり「…………」
健夜「えりちゃん?」
えり「え?…あ、はい…」
健夜「なぁに?期待しちゃった?」
えり「違いますッ!」
健夜「またまた~」ニヤニヤ
えり「ぅ……」
健夜「…それで!式の話だけど……」
えり「…………とで……」ボソッ
健夜「?」
えり「…あとで……して?」ジッ
健夜「~~~~ッッ!!」プルプル
えり「……反撃…です」ニコッ
健夜「…生意気になったね」
えり「健夜さんのせいですよ」
健夜「えー?そうかなぁ」
えり「そうですとも」
健夜「…でも、許可も貰ったし…いただきまー」
えり「あ・と・で」メッ
健夜「むー…」
えり「話、戻しますよ」
健夜「……来週末、ここの式場で」
えり「え?」
えり「ちょ、ちょっと、」
健夜「二人ともオフ、大安吉日、式場も空いてる」
健夜「異議のある人は挙手!」
えり「い、異議あり!異議あ……」
健夜「却下」ガバッ
えり「きゃあッ!?」
健夜「可決。本法廷は終了しました」
えり「え、えええええ!?」
健夜「それに、さっき誘ってきたのはえりちゃんだし」
えり「それはっ…」
健夜「終わった裁判への口出しは無効。…ペナルティを与えます」
えり「ゃ、ぁ、あっ……」
…………………
咏・恒子「「来週末ぅ!?」」
健夜「う、うん……」テレテレ
えり「…………」カァァ
咏「だって、そんな、スグじゃん!」
えり「そうですよね…急ですよね…ねぇー健夜さん?」
健夜「ん?…何の話カナー?」メソラシ
えり「まったくもう……」
咏「……………」
恒子「………………」
えり「お二人には、来て頂きたくて……」
咏「……そう、だねぃ……」
恒子「………んー……」
咏「…わり、保留ってことにしといてくんない?」
えり「保留?」
咏「考えておくってこと」
えり「は、はい。そうですね、かなり急な話でしたから……」ジー
健夜「……………」メソラシ
健夜「うん、わかった。ごめんね、こーこちゃん」
恒子「…なんで、謝るの?」
健夜「え?いや、急な話振っちゃったから…頭の整理追いついて無いかなって」
恒子「ひどっ」ガンッ
健夜「でも、大丈夫みたいだね」
恒子「………おう」
恒子「だいじょぶに、決まってんじゃん……」フルフル…
健夜「……こーこちゃん?」
恒子「……ごめ、ちょっと…トイレっ!」ダッ
健夜「えっ?……あ、ああ……」
咏「……………」
えり「三尋木プロ…?」
咏「ん?」
えり「どうしたんてすか?」
咏「…なにがさ」
えり「顔色が悪いので……それに、この間も実況の仕事に来なかったし…」
咏「あー…」
えり「…どこか、体調が?」
咏「……いや、知らんし」
えり「…………」
咏「……にーしても?この前の実況は傑作だったねぃ」ニッ
えり「へ?」
えり「あ、ああ……あれは……なんというか……」
咏「わけわかんねーもんな、あのジーさん」
えり「そんな言い方、失礼ですよ」
咏「いや知らんし」
えり「…もう。貴女って人は…」ハァ
咏「…………」
えり「?」
咏「……んじゃ、帰るわ。じゃねー」フリフリ
えり「は、はい……お気をつけてー」
咏「んー!」フリフリ
咏「…………」スタスタ
咏「…………」タッタッタ…
咏「…………」タッタッタッ
咏「っ…はぁ…はぁっ…」タッタッタ!
バンッ
咏「ふくよん!」
恒子「……あ……」ウルウル
咏「ふく…よん…」
恒子「咏ちゃ……うた、ちゃん……もう、どうしよう…!」
恒子「私…決められないよぉ……!」ポタポタ
咏(悔しい。寂しい。嬉しい。やっぱり悔しい)ジワ
咏(えりちゃんの笑顔が好きだ。えりちゃんの声が好きだ。えりちゃんの真面目なところも好きだ。怒ってるえりちゃんも好きだ)
咏(えりちゃんが、……)
咏「えりちゃんが、……すき、なんだよ……ッ!」ポロポロ
咏「でもっ…でも……っ!!」
咏「幸せそうなえりちゃんが…すき……で……っ……」
咏「えりちゃんを、幸せにできるのが、……私、じゃ……なく…て…ッ」
咏「ぅ……っ……ヒック……わかんねーよぉ!!」
咏「どーしたらいーの!?ねぇ、ふくよん!教えて……わかんねー……わかんねーよ……」
恒子「……………」
咏「たすけてよ……もー、どーにかなっちまいそーだ…」
恒子「………」グスッ
恒子「…ね、うたちゃん…」
咏「ぅ……?」
恒子「一回、思いっきり泣こ?…枯れるまで泣いてさ。…泣いたあとの自分に、全部丸投げしちゃお」
咏「……ヒック……それ……なんか、意味ある……?」
恒子「さぁ?……でも………でも……っ…」
恒子「今、私、が…グスッ…そうしたい、だけかも……っ」ジワ…
恒子「……っぅ……すこやん…ヒック…すこやーん……!…あいし、てる…ぞー……」ポロポロ…
恒子「うぅ…あいし、て…………ぅ、うぅぅぅ……!!」
咏「………いい…ね、それ………へへ」グスッ
咏「…えりちゃーん…だいすきだよー……ヒック…っ…あいし、てる……っ」
恒子「ぅ……うたちゃあああんっ…!!」ギュー
咏「ふくよおおん……!やばっ…いって、これ……グスッ…なみだ、とまんねぇ……」
恒子「わたしもだよおおおお!すこやあああん」
咏「えりちゃ………さみしいよ……えりちゃん……っ置いて、行くなよ……おまえには、…みひろぎ、えり…のが……」
咏「ぜーってー…あうっつーの……」
……………………
恒子「………おちついた?」グスッ
咏「……たぶん…ヒック…」
恒子「…目ぇ、真っ赤」
咏「…人のこと、言えるか?」
恒子「……いー大人が、なにしてるんでしょーね」
咏「だよ…なぁ……」
恒子「でも、さ………」
咏「……ん……」
恒子「ほんのちょっぴり、スッキリしたでしょ?」
咏「……まぁ、ねぃ」
咏「…なにが」
恒子「家ばっかじゃなくてさーたまには咏ちゃん家行ってみたいんだけど」
咏「…あン?」
恒子「トッププロ様なら、たっけー酒とか持ってんじゃないの?」
恒子「ヤケ酒で、開けちまおうよ」ニッ
咏「…………」
咏「……しゃーねーな」ニッ
恒子「うっし。ゴチっす!」
咏「とっておき、開けてやんよ」
恒子「後のことは、未来の自分に任せりゃいーのさ」
咏「…ふくよんってさー」
恒子「ん?」
咏「テストとか、一夜漬けするタイプだろ」
恒子「あ、バレた?」
数日後
健夜「ねぇ、これなんかどうかな?」
えり「ちょ、ちょっと露出が……」
健夜「ん~……じゃあ、これっ!」
えり「それは、派手じゃないでしょうか…」
健夜「むー。えりちゃんワガママ~」
えり「す、すみません」
店員「いいんですよ、ワガママで。一生で一番の思い出になるんですから、気に入ったものを着ていって欲しいですね」
健夜「そういうもんかぁ……」
えり「私だけでなく、健夜さんのも見ましょう?ね?」
健夜「えー……」
えり「えーって言われても…」
健夜「せっかくだから、先に見たいんだよ」
健夜「ウェディングドレス姿のえりちゃん!」
健夜「そーそー!」コクコク
えり「は、はぁ……」
健夜「じゃーあー、どーれがいいかな~♪」
えり「…………」ジー…
健夜「……あ……」
えり「?」
健夜「これ、どう?」
えり「…そ、それなら…いいかも…」
健夜「えりちゃんの好みにピッタリでしょ?」
えり「……ええ……素敵……」
健夜「さ、試着試着ぅ~♪」グイグイ
えり「あ、ちょっと…」
店員「畏まりました~」
えり「あ、あの…っ」
店員「ふふ…モデルがいいから、おめかしのし甲斐がありますね…」ジュルッ
えり「ひっ……」
店員「お肌も綺麗…肌が白いから、紅い口紅が栄えるでしょうね」スゥ…
えり「あ、あの、…ちょっと…」
店員「スタイルも……あら勿体無い!せっかくのプロポーションなのに、そんなカッチリした服じゃもったいないわ!」ナデナデ
えり「ど、どこを触っ……」
店員「お姉さんに任せて。…美味しくお料理してあげる」
えり「すっ健夜さん助けっ…ひゃあああああぅ!!?」
健夜「さーてと、自分の選ぶかな~」
健夜「ふふ、大丈夫ですよ」
~その頃
えり「じっ、自分でできますから!自分でできますからっ」
店員「動かないの…口紅がはみ出ちゃう」
えり「メイクだけでどうしてそんな顔を近づけるんですかああああ!!」
~戻って
健夜「多分あーゆーの、慣れてますから」
店員b「は、はぁ……」
店員b(慣れてるって、何?)
店員b「針生様にはどのようなものを?」
健夜「細身で、肩が出てて…フリルはあんまり無いけど、リボンをあしらった、シンプルなドレスを…」
店員b「なるほど…それなら、リボン系統でお揃い、なんていかがでしょう?」
健夜「なるほど…」
店員b「もしくは……そうですね。たまに、女性でもタキシードをお召しになる方が増えています」
健夜「タキシード?」
えり「……はぁ」ゲンナリ
店員「よくお似合いですよ~」
えり「…それは…どうも」
店員「ほら、あっちに全身見える鏡がありますから。ささっ」
えり「は、はぁ……」
店員「こちらになりま~す♪」
えり「どうも……、」
えり「………………」
店員「いかが?」
店員「ええ。正真正銘あなたです」
えり「……でも……」
店員「正真正銘、Dカップで白い下g」
えり「いやああああああっ!?///」
店員「…の、…あなた、ですよ」ニコッ
えり「うぐ……」
店員「…お綺麗ですよ」
えり「……ありがとう、ございます……」
えり「あ………」
えり「……………」
えり(き、緊張する……)ドキドキ
えり「すぅ……はぁ……」
えり「…よし」
カチャ
健夜「あ、えりちゃ――」
えり「健夜さ―――」
健夜「…………」
えり「…………」
えり「……………」ジー
店員「はいはいっ」パンパンッ
健夜・えり「「!」」ビクッ
店員「見とれてばっかりじゃいけませんよ?」
健夜「あ、えっと、そのっ!」
健夜「……凄く、綺麗……///」
えり「あ、ありがとうございます……///」
えり「す、健夜さんは、あの、その……」
えり「……何故、タキシード……?」
店員「」ズルッ
店員b「……」ニガワライ
健夜「だ、第一声がそれ?」
えり「えっ!?」
健夜「っ……ふふふ……」クスクス
えり「な、なんですかっ」
健夜「んー?…別に?」
えり「ぅ……」
健夜「タキシードはね、特別に着させて貰っただけなの。だから、式ではドレスだよ?」
えり「あ、そうだったんですか……」
健夜「……どうかな?」
えり「……素敵、です……」
健夜「……良かったぁ……」ニコッ
えり「………」
健夜「えりちゃん」
えり「え?わ、私?」
店員「これ、花束」ナゲッ
えり「あっ……とと、」キャッチ
店員b「はい、こっち向いて~」
えり「?」
店員b「はい、チーズ」パシャッ
えり「えぇっ!?」
えり「え、あ、きゅ、急にそんなこと言われましても…!」
健夜「つべこべ言わなーいっ」
店員b「もっとくっついてー」
健夜「はーい」グイッ
えり「あ……」
店員b「いきますよー1+1はー?」
健夜「にーっ♪」ニコッ
えり「……に」ニコッ
パシャッ
恒子「ねーうたちゃーん」
咏「おー。なにー?」
恒子「どーしよっかー?」
咏「……なーにがー?」
恒子「わかってるくせにー」
咏「…………知らんしー」
恒子「あのねーうたちゃーん」
恒子「私ねー、たしかにテストは一夜漬けだったけどー」
咏「おー」
咏「……おー」
恒子「そーゆーときは、ぜーんぶ友達に教えてもらってさー」
咏「それがどーかしたんー?」
恒子「……今がその時なわけよー」
咏「……わかんねー」
恒子「えー」
咏「つまりどーゆーことなのさ」
恒子「…えっとー」
咏「……おー」
恒子「あと…3日とか、そのくらいなわけさー」
咏「…そう、だっけー。知らんけどー」
恒子「行くか行かないかはさー」
咏「おー」
恒子「全部、咏ちゃんに任せるねー」
咏「おー………お?」
咏「…ナニ言ってんの、ふくよん」
咏「そりゃお前、私だって…」
恒子「…どっち選んでもさー……いいんだよ、私は」
咏「…………」
恒子「ただ、両方にケジメがつかないだけなんだ」
恒子「……二つの選択肢、私は…ケジメさえつけば、どっちもできる」
恒子「ただ、…キッカケが欲しい。それだけなんだよ」
咏「ふくよん……」
咏「……………」
恒子「どっち選んでも…文句は言わない。むしろ…ごめん」
咏「……………」
咏「………ったく、何勝手に話進めてくれちゃってんだよ………」ポリポリ
恒子「……ごめん」
咏「…謝られてもねぃ」
恒子「……でも、ごめん……」
咏「………………」
咏(すこやんと、……えりちゃんの……結婚式…)ズキッ
咏(行って、祝福するか……)
咏(それとも……)
咏(………………)
小鍛治健夜・針生えり 結婚式に……
A.行く
B.行かない
少し長めに>>397まで多数決
分からんけど、咏ちゃんの台詞と、やっぱり参加してほしいし、A
咏「……あんなとこ、行かねーよ……」
恒子「………ういっす」
咏「あの二人の結婚なんか、誰が祝福なんてするもんか」
恒子「…………?」
咏「……いいか?私たちは結婚式なんて行かない。ただ……」
恒子「……ただ?」
咏「……花嫁に、用があるから、偶然通りかかるだけだ」
恒子「……!!」
咏「決めてんだよ…えりちゃんには」
咏「三尋木えりのが、似合うんだ」ニッ
咏「…ここで行かなきゃ、女が廃るってんだ」
咏「イカリングの借りも、あるしねぃ」
恒子「…………」
咏「っつーわけだ、ふくよん」
恒子「…………」
咏「どうする?止めるなら今のうち…」
恒子「……誰がやめますか」
恒子「ここで行かなきゃ女が廃る!着いていくよ、咏ちゃん!」
咏「……サンキュー、ふくよん」
恒子「……こちらこそ」
ギュッ
式 当日
えり「……………」ソワソワ
えり「……………」ソワソワ
係員「どうされたんですか?」
えり「あ、いや、その……」
えり「なんだか、落ち着かなくって…」
係員「ふふ…大丈夫ですよ」
えり「へ、変じゃないですか…?」
係員「ええ。お綺麗ですよ」
えり「そ、そうですか……?」
係員「もちろん」
えり「……………」ソワソワ
係員「……ふふ」クスクス
えり「う…ぅぅ……///」
健夜「……………」ソワソワ
健夜「……………」ソワソワ
係員B「そんなに緊張なさらないで」
健夜「えっ…えっと……」
健夜「…はい、そうですね…緊張してます」
係員B「あなたがそんなじゃ、お相手も不安になってしまいますよ?」
健夜「そ、そうはいっても…」
係員B「深呼吸して?」
健夜「すぅ…はぁ……」
係員B「少しは落ち着いた?」
健夜「…あんまり」
係員B「…あらま」
健夜「ここが…………」
健夜(ここが、ヴァージンロード……ってやつかぁ……)
健夜父「…健夜」
健夜「ん?」
健夜父「…幸せになれよ」
健夜「…うん、絶対に…幸せになるよ」
「新婦の入場です」
健夜「!」
えり父「えり…綺麗になったなぁ…とーさんは、とーさんは嬉しいぞぉ……!」
えり「…お父さん、ちゃんとエスコートして。…あと、恥ずかしいから」
えり父「うぐぐ、中身は変わらないなぁ…」
えり「……ったくもう」
えり「……あ……」
健夜「…………」ニコッ
えり「……ドレス……」
健夜「えりちゃんには、初お披露目だね」
えり「当日までのお楽しみ、とか、言ってましたね」
健夜「……どう?」
えり「……お綺麗です」
健夜「……その言葉が、聞きたかったんだ」
健夜「……ふふ」
えり「?」
健夜「えりちゃん、歌上手だね」
えり「…健夜さんは、低い音苦手ですか」
健夜「よくわかったね?」
えり「…まぁ、なんとなく」
神父「ゴホンッ」
健夜「おっと」
えり「!」
神父「……では、始めましょうか」
健夜「はい」
神父「あなたは針生えりさんを妻とし、共にその生涯を送りますか。あなたは、この女性を愛し、慰め、敬い、支えることを誓いますか」
健夜「…誓います」
神父「針生えりさん」
えり「…はい」
神父「あなたは小鍛治健夜さんを妻とし、共にその生涯を送りますか。あなたは、この女性を愛し、慰め、敬い、支えることを誓いますか」
えり「…誓います」
神父「では、誓いのキスを……」
えり「は、はい……」
スッ…
えり「健夜、さんも……」
健夜「お願い」
スッ…
えり「…………」ドキドキ
健夜「えりちゃん?」
えり「……?」
健夜「愛して―――」
バンッ
恒子「その結婚!」
咏「ちょっと待った」
健夜「…………は?」
えり「…………へ?」
健夜「え、な、ちょ、こーこちゃん!?」
恒子「おー、おーおーおーすこやーん!似合うよ~」
健夜「あ、ありがと…じゃなくて!」
えり「み、三尋木プロまで!?一体なにを!」
咏「おっすえりちゃん!なになに?キレーだねぃ~ウチに嫁に来ない?」
えり「何言ってるんですか!?」
咏「とりあえず……そんじゃ、さっそく」
恒子「いっときますか」
はやり『…まぁ、一応…クッキーの効果を無くす方法は教えておくけど……』
はやり『……するかどうかは、アナタ達次第だからね』
恒子「さーて、すこやん?」
健夜「いやもうほんとに意味わからないんだけど!何これっ!?ドッキリ?」
はやり『まず!クッキーには神様頼りなところがあるって言ったでしょ?』
咏「えっりちゃ~ん♪」
えり「何しに来たんですか!?」
はやり『だから、解くにも神頼み…というか、誓いが必要なの』
咏「ん~と、強いていうなら…」
咏「花嫁泥棒?」
咏「そうそう」
恒子「やっぱ、諦めてきれなかったもんで」
健夜「なにが?」
恒子「……すこやん」
はやり『その誓いを口にして…』
咏「えりちゃん……」
健夜「え、あの…ちょ、ちょっと、」
えり「な、なに…なにを、する気でっ……」
はやり『唇を、重ねればいい』
チュッ
はやり『そうしたら…クッキーによって起こされた恋愛感情は……』
健夜「ぁ……え……?」
えり「…ぁ……」
ドサッ…
はやり『すべて、失われる』
……………………
………………
…………
えり「……ん……」
えり「……あれ……ここ……?」
咏「おはよう、えりちゃん」
えり「え……?」
咏「…おはよ」
えり「みひろぎ、ぷろ……いッ…つつ…」
咏「ダメだよ、まだ安静にしていないと」
えり「えっと…ここは、どこですか?」
咏「病院。…えりちゃん、倒れたんだぜ?」
えり「た、倒れた……わたしが?」
咏「おうよ」
咏「…………」
えり「たしか………私は、……あれ?式場に、いた…?どうして?」
咏「…………」
えり「……あ……」
咏「…………」
えり(左手の、薬指に…指輪…。じゃあ、式場で、結婚式をあげていたのは……)
えり「私と………誰、だっけ……」
咏「…えりちゃん…」
えり「ええと……?」
健夜「………ふにゃ?」
恒子「あ、起きた?」
健夜「ん~……あれ、こーこちゃ………ここどこ?」
恒子「病院のベッド。すこやんったら急にぶっ倒れるんだから~」
健夜「え?……そ、そうだっけ」
恒子「そうそう」
健夜「そうな……いっ…つぅ……」
恒子「大丈夫?」
健夜「ん…なんか、頭…いたくて…」
恒子「倒れた時に打ったのかなぁ」
健夜「わかんない……何かを思い出そうとすると、霧がかかったみたいにモヤモヤして……フワフワしてる……」
健夜「もうちょっとで思い出せそうなんだけど……」
健夜「なんか……ノドに突っかかってると言うか……ここまで来てるんだけど、出てこないというか……」
恒子「アルツハイマーってやつ?あれたしか歳を取るとかかりやすく……」
健夜「そんなに歳行ってないよ!!」
恒子「……………」
恒子「……やーい、アラフォー」
健夜「アラサーだよ!って何急に!?」
恒子「……ううん」
健夜「……こーこちゃん……?」
恒子「…先生に、すこやんが目覚ましたこと報告しなきゃ」カタン
健夜「あ、ああ…そっか。お願い」
恒子「うん。………すこやん」
健夜「…………?」
恒子「……ごめん」
健夜「何が?」
恒子「あと、…………」
恒子「おかえり、なさい……っ」
健夜「え?……えーっと……」
健夜「ただいま?」
咏・恒子「「はぁ………」」
咏・恒子「「!」」
恒子「……針生さんは?」
咏「目ぇ覚ました。…今はまだ、そっとしておこうと思ってさ」
恒子「……そ、っすか。なるほど」
咏「そっちは?」
恒子「瑞原プロが言ってたやつ。…混乱してるみたい」
咏「恋愛感情がなくなっても、記憶は失くならない…」
恒子「ただ、少し思い出しにくくなるだけ……」
恒子「かなり長い期間、コイビトやってましたからね。…記憶がなくなるーとかは、無理なんでしょうよ」
咏「……どうするよ」
恒子「………これはこれで、なんとか、ね。……咏ちゃんの……自分の選んだ答えがハズレなんて、絶対イヤだし」
咏「……あーあ。わっかんねーなー」
恒子「なにが?」
咏「そりゃあ……愛だの、恋だの、さ」
咏「答えなんて、ねーんだろーけどさ」
恒子「…それでいーんじゃないの?」
咏「ん?」
恒子「いつか、わかるんじゃないかな。多分」
咏「……またあれか。お得意の」
咏・恒子「「未来の自分に、丸投げ」」
咏「…………」
恒子「…………プッ」
咏「っ……ククク……」プルプル
咏「あはははっ!なーにやってんだろーねぃ!」ケラケラ
恒子「ぷくく…すっげーよ、花嫁泥棒なんてしちゃったよ」クスクス
咏「どんだけガチなんだよってねぃ!」
恒子「もーめちゃめちゃ怒られるんだろーなー!」
咏「そりゃそーでしょー、もうさ、バカだよ。私たち」
恒子「バカで上等。いーじゃないの。バカで」
咏「それもそっかぁ!」
看護師「あの、病院内ではお静かに…」
咏「おぅふ」
恒子「す、すんません…」
コンコン
えり「はい?」
?「しつれーします☆」
えり「あ……瑞原プロ」
はやり「はぁい、えりちゃん☆」
えり「どうも」
はやり「体、大丈夫?」
えり「ええ、もうすぐ退院できるそうで」
はやり「そっかぁ☆えーっとぉ、えりちゃん?」
えり「はい?」
はやり「…すこやんの病室、一緒に来てくれない?」
えり「…!」
はやり「…二人に、謝らないといけないことがあるの」
えり「……………」
はやり「ごめん……私……」
えり「……わ、……わかり、ました……」
えり「…いつかは、会わなければいけませんから…」
はやり「えりちゃん……」
えり「…………」ギュゥ
はやり「しつれーします☆」
健夜「あれ、瑞原さん!来てくれたの?」
はやり「うん☆それと…」
えり「……失礼、します」
健夜「あ…………」
えり「……こんにちは。…健夜、さん…」
健夜「えり…ちゃん…」
えり「……お体の具合は、どうですか?」
健夜「う、うん、ボチボチ…かな。そろそろ退院、できるみたい。…えりちゃんは?」
えり「私も……」
健夜「そ、そっか……よかったね、お互い」
えり「ええ………」
はやり「………あーんもーッシメっぽぉい!はやりこういうのムリーッ!」
健夜「は、はひっ!?」
はやり「えりちゃんッ!」
えり「は、はいっ!」
はやり「ごめんなさい!!」ペコッ
健夜・えり「「…………え?」」
~~~~~~~
健夜「………惚れ薬入りクッキー!?」
えり「そっそんなオカルトがあるわけっ」
はやり「…事実、体験したでしょ?お・ふ・た・り・さん☆」
えり「……あ……」
健夜「…………そっか」
健夜「……………///」
はやり「およ?」
えり「な、なんと、言いますか…」
健夜「……えっと、…えりちゃん!」
えり「は、はいっ」
健夜「あ、あの…たしかにね、瑞原さんの言うとおり、前みたいな、その……恋愛感情は、残ってないんだけど……」
えり「……はい」
健夜「でもっ、でもね!楽しかった!だから、だから……」
健夜「後悔だけはっ……したく、ないし…して、ほしくも……ないの」
えり「……はい。……私も……同じ、気持ちです」
健夜「だから……だから、」
えり「…それ、以上は……言わないでください。わかっていますから…」
健夜「……ぁ…うん……そう、だね……」
健夜「………」
えり「たとえ、偽物の感情だったとしても…私は、幸せでした…」
健夜「……うん……私も、…幸せだった…」
えり「だから……謝らないで……私も、謝らない、から……」
健夜「…………うん」
えり「今まで、本当に…ありがとうございました…健夜さん」
健夜「……こちらこそ。えりちゃん」
はやり「……ところでぇ~……」
えり「ふぁいッ!?」ビクッ
健夜「あれ、まだいたのッ!?」
はやり「…はやり、泣いちゃうぞ?」
えり「まだ問題は沢山残っていますがね…」
健夜「お父さんとお母さんになんて言おう…」ズーン
えり「……携帯電話を見るのが怖い…」プルプル
健夜「帰りたくない………」ドンヨリ
はやり「だぁかぁらぁ!はやり、まだ言ってないことがあるんだけどぉっ!」
えり「まだなにか?」
健夜「ていうかさ、もっと早く言ってよ…瑞原さん」
えり「そうですよ。早く言ってくだされば良かったのに」
はやり「あぁんっイタイとこ突かれたァ~…」
はやり「クッキーの効果を解くなんて思わなかったしぃ……」
健夜「………効果を、……解く……?」
はやり「あ、そうそう、その話ね。二人は、いつ効果が解かれたかわかる?」
えり「倒れる…直前?」
はやり「それって?」
健夜「……あ……」
はやり「…クッキーの効果を永遠にするためには、神様の前で…誓いのキスをすればいい」
はやり「逆もまた然りで…クッキーの効果を解くためには、神様の前で…誓いを」
咏・恒子『『愛してる』』
チュッ…
健夜「え………」
えり「な………」
健夜・えり「「えええええええええ!?///」」
健夜「だって、こ、こーこちゃんが、そんな、いやだって、えええええ?」
はやり「え?それ本気の反応?」
えり「そりゃそうですよ!だって、そんなわけ、ねぇ!?」
健夜「そー!そうそうそう!」コクコクコク
はやり「……ありゃりゃ……☆」ハー
はやり「あのねぇ…結婚式邪魔してまであの二人、クッキー魔法解除したかったんだよ?」
はやり「神様の前で、って条件だったからあの日あの時を逃したらチャンスはなし」
はやり「あの二人なりに考えた結果が、アレ。……ここまで言って、まだわからないかな?」
健夜「うぐ………///」
えり「ぅぅ………///」
えり「…………」
健夜「…………」
はやり「……ごめん。はやりが、説明書読むのを面倒くさがったばっかりに、こんなこと……」
はやり「正直、謝っても謝りきれないんだけど……」
えり「そう、ですね…」
健夜「じゃあ…罰ゲームでもしてもらおうかな……」
えり「あー。それでスッキリするなら、まぁ」
はやり「え゛」
健夜「そうだなぁ……」
えり「あ、あれなんかどうですかね」
健夜「なになに?」
えり「えっと……」コソコソ
えり「ま、ちょうど良いんじゃないですかね」
健夜「そうだねー」
はやり「は、はやりは、何をするのかなー?☆」ドキドキ
えり「えーっと、瑞原プロ」
はやり「は、はいっ」
健夜「今すぐ、好きなヒトに愛の告白をしてきてください」
はやり「………へっ」
えり「クッキーの力なんて借りずに、会って直接目を見て、自分の気持ちを正直に言ってきてください」
はやり「ええええっ!?でもっそんなっ」オロオロ
えり「行ってらっしゃいませ」グイグイグイ
はやり「ち、ちょっと、押さないでっ…」
健夜「良い報告、期待してますよー」
はやり「そんn」
パタンッ
えり「……よし」
健夜「ふふ。恋には恋で制す?」
えり「なんですか、それ」
健夜「恋に笑うものは恋に泣け、みたいな」
えり「……つまり?」
健夜「クッキーなんて反則使わないで、少し、味わったほうがいいよね。…恋の、ツラさを」
えり「………」クスッ
えり「いや、ホント……見かけによらず、いい性格をしていますよね」クスクス
健夜「…この罰ゲーム考えたのはえりちゃんだよ」
えり「そこまで深く考えていたわけじゃありませんから」
健夜「む」
えり「………さて、と」
健夜「?」
えり「…私も、勇気を出してみようかな」
健夜「……ああ……」
健夜(……咏ちゃん……か……)
えり「あぁ…嫌になっちゃう」ドンヨリ
健夜「そんなに?」
健夜「まぁ、それはね……」
えり「どう言えば良いんでしょうね…」
健夜「……自分の、正直な気持ちを言えばいいんだよ」
えり「正直な……言えるかなぁ……」
健夜「もう、さっき瑞原さんに自分で言ってたじゃない」
えり「あ、あれはまた少し違いますよ」
健夜「そう?同じなんじゃないかな?」
えり「…そうですかぁ?」
健夜「そうそう。……あの、なんでそんなに疑うのかな」
健夜「えりちゃんを疑うようなこと、しないと思うけどなぁ」
えり「…それは…でも、これは、少し種類が違うじゃないですか」
健夜「種類?」
えり「なんというか…オカルトチックな…」
健夜「?…クッキーのことだよね?」
えり「ええ」
健夜「知ってるんじゃない?」
えり「え?」
健夜「だって、解き方知ってたし」
えり「……あの。誰の話してます?」
健夜「えっ?」
えり「えっ?」
えり「いや、あの…私がしていたのは、両親の話で…」
健夜「えっ」
えり「…携帯電話の電源を入れたら、メールとか着信…凄いことになってそうだなぁ…と」
健夜「あ…っ……」
えり「……………」
健夜「……………」
えり「………っ…ふふふ…」クスクス
健夜「プッ…あははははっ」
えり「すごい、会話が噛み合って……」クスクス
健夜「もう!早く言ってよぉ~」
えり「健夜さんが早とちりしただけですー」
えり「涙目、なってますよ?」
健夜「えりちゃんが泣かせたー」
えり「何を言ってるんですか、もう」
健夜「ふふ。……えりちゃん」
えり「はい?」
健夜「ありがとう、…大好きだよ」
えり「……ええ。私も好きです」
健夜「……私たち、親友だね」ニコッ
えり「…もちろん」ニコッ
えり「うぐ……まぁ、あれは、その」
健夜「コイビトが出来たら一番に教えてね?えりちゃんの弱いところ、全部伝授するから」
えり「なッ!?///」
健夜「まずはー唇のここをー」
えり「ちょ、ま、やめっ」
健夜「舌で、こう…」
えり「いやぁああぁああぁ!!!///」
看護師「あの、病院内ではお静かに」
えり「すっすみません!」
健夜「ほらーえりちゃん注意されちゃったー」
えり「誰のせいでっ……うぅー……っ!」
退院 当日
えり「お世話になりました」ペコッ
健夜「ありがとうございました」ペコッ
医師「お大事に」
咏「おっ!えりちゃーん!」
恒子「すこやーん!」
えり「あ…」
健夜「咏ちゃん…こーこちゃん…」
咏「退院おめっとー!」
恒子「むっかえに来ーたよーっ♪」
えり「あ……わざわざ、ありがとうございます」
健夜「ありがとう、こーこちゃん」
恒子「なんのなんの」
健夜「お邪魔しまーす」
咏「ほれっえりちゃん!となりっ!」ポフポフ
えり「は、はぁ……」
恒子「んじゃ、シートベルト締めたー?」
咏「オッケェイ!」
恒子「んじゃ、しゅっぱーつ!」
咏「ひゃっはー」
えり「………三尋木プロ?」
咏「んー?なになに?えりちゃん」
えり「別に良いですよ?」
咏「なーにがぁ?」フリフリ
咏「げっ」
えり「……不器用ですね」クスッ
咏「………知らんしー……」
えり「なにか言うことは?」
咏「うぐ……」
健夜「こーこちゃんも、なんか無いかなー?」
恒子「む………」
咏「…ちぇー、スッキリした顔しやがって。どこまで知ってる」
えり「さぁ?」
咏「むむむ……」
えり「……本当に反省してます?」
咏「反省はしてるぜ?…後悔はしてないけどな」
えり「……貴女って人は」ハァ
咏「知らんしっ」プイッ
恒子「私からも…ごめんなさい」シュン
健夜「……おお」
恒子「な、なにさ」
健夜「こんなにショゲたこーこちゃん、初めてみた」
恒子「…結構、反省してるんだよ…?」
えり「ですって。三尋木プロ?」
咏「だからっ反省してるっつーのっ!」
えり「なに、とは?」
咏「なんだ、その……酷いこと、しちゃったから……」
恒子「…………」
咏「……どんな罰でも、受ける……よ」
恒子「…うん。なんでも、する」
えり「…罰、ですか」
健夜「どーしよっか?」
えり「そうですねぇ……」
咏「…………」グッ
恒子「…………」ドキドキ
健夜「……ねぇ、こーこちゃん?」
恒子「なっ…なに?」ビクッ
恒子「ぐっ」グサッ
えり「…両親には顔向けできないし?」
咏「ぐはっ…」グサッ
健夜「挙句入院させられてるし?」
恒子「おぶっ」グサグサッ
えり「…携帯電話が凄いことになってるし?」
咏「アウチッ」グサグサッ
健夜(えりちゃん…両親が苦手なんだろうか…)
えり「なによりも、…幸せな新婚生活が全部、パァですし?」
咏・恒子「「ひでぶっ」」グサグサグサッ
恒子「ほんっと、申し訳ないっす…」
えり「………ふふ」クスッ
健夜「でもね、よく考えたの。今、私達には恋愛感情はなくて…結婚もナシ」
恒子「…聞いたの?クッキーの話」
えり「ええ。瑞原プロが」
咏「はやりん…」
健夜「…それでさ、一番最初と比べて何を失って、何が残ったと思う?」
恒子「………?」
えり「私と健夜さんがこ、……こ、コイビト……にっなる前…です!」カァ
咏「そりゃあ、……ん?」
健夜「…何にもなくなってないでしょ?」
恒子「え?ほんとに?」
咏「えっと……多分?わかんねーけど」
えり「多少あったとしても、基本何も失っていないんです。でも…」
健夜「騒動のあと、私とえりちゃんはもっと仲良くなれた」ニコッ
えり「……………」ニコッ
健夜「そりゃあ、時間とか、あとは物理的なものは変わったかもしれないけど…」
健夜「私達は、ほとんど振り出しに戻っただけ」
えり「私たちの誰も悲しまない、一番良い状態だと思いませんか?」
咏「……それで、いいの?」
えり「ええ。私たちは、私たち。これまでも、これからも」
恒子「…………」
咏「……………」
恒子「……うん。違うよ」
健夜「え……?」
えり「…………」
咏「勝手に仲良しグループにされちゃ、あんなことまでした意味がねーんだ」
恒子「そーそー。…ま、言ってくれたコトは嬉しいけどね」
健夜「……こーこちゃん……」
咏「さっきも言ったけどさ…後悔だけは、したくねぇんだ」
えり「……三尋木プロ……」
健夜「!」
咏「えりちゃん!」
えり「っ……」
恒子「私、すこやんのことが――」
咏「ずっと、えりちゃんのことが――」
咏・恒子「「好きd」」
パァァァァァァァァァ!!
恒子「いッ」ビクッ
健夜「うぁ!?」
えり「えっ」
「おいっ信号とっくに変わってんぞ!」
恒子「えっ!ぇ、あ!すっスミマセーン!!」
咏「…………」
えり「…………」
健夜「…………」
咏「てめー、ふくよん……」
恒子「……あはは……ヤバイヤバイ」
健夜「こーこちゃん……ちょっとどうかと思うよ……?」
えり「…………」プルプル
恒子「笑わないでくださいよー、ちぇー。どっかで止めりゃー良かった」
えり「だって、もう…四人もいて、だれも…気づかな……っっ……」クスクス
健夜「……ふっ……くく……」クスクス
恒子「ちょっとすこやんまで!?」
健夜「っ、ごめ……感染して…あはははははっ!」
咏「あっははー」ケラケラ
恒子「ちょっと咏ちゃんまで!?酷くね!?」
えり「ふふ…ええ、楽しいです」ニコッ
咏「まぁねぃ~♪」
恒子「ちょっとー私も楽しみたいー」
健夜「そんじゃ、このまんまどっか行こうよ」
咏「おー良いんでね~?」
えり「もう、シリアスな空気はどこへやら…」
健夜「一番最初に笑ったのはえりちゃんだよー」
えり「そうでしたっけ?」
咏「そーそー」
健夜「なーに?えりちゃん」
えり「私、今…幸せです」
健夜「…うん。実は、私も」ニコッ
咏「なーなーふくよーん」
恒子「なんすかもう…どーせ私はちゃんと前見ないでクラクション鳴らされるドライバーですよーっと」
咏「そうショゲんなよ。気づかなかったこっちも悪かったって」
恒子「ちぇー」
恒子「ん?」
咏「…どっちが先に結婚するか、勝負しねぇ?」
恒子「……ほほう?」
咏「どうよ」
恒子「いいねぇ…その勝負、受けて立つ」
咏「…ま、勝つのはこっちだけどねぃ?」
恒子「何を仰る、スーパーアナウンサー舐めるとイタイ目見るぜ?」ニッ
咏「上等だ」ニッ
prrrrr
えり「あ、私の携帯ですね……」ピッ
えり「え、ぁ、瑞原プロ?ちょっと、声のボリュームを……え?本当ですか!?おめでとうございます」
健夜「瑞原さん?」
えり「ええ、…例の罰ゲーム、なんとオーケーを貰ったそうで」
健夜「え、ホントに!?」パァ
えり「瑞原プロ、クッキー使ったりなんかしてませんよね?……ふふ。冗談ですよ。…あ、健夜さんならすぐここに…代わりますか?」
えり「…あ、はい。わかりました、伝えておきますね。…いいえ、私は何もしていませんよ。…はい、……はい。本当におめでとうございます」
健夜「なんだって?」
えり「“色々ありがとう、はやり、幸せになるね”…と」
健夜「ふふ…素敵だね~♪」
えり「あ、それと……瑞原プロ」
えり「結婚式には、呼んでくださいね?」
おわり
とてもすばらでした
すごい面白かった!
皆様支援応援ありがとうございました
お昼食べてきて、スレが残ってたら
>>389の分岐をやろうかな…
Entry ⇒ 2012.11.14 | Category ⇒ 咲-Saki-SS | Comments (0) | Trackbacks (0)
魔法少女まどかフロンティア 5
魔法少女まどかフロンティア 5
麒麟「まず、最初にお話ししておきましょうか」
麒麟「アセルスさんは、妖魔の君オルロワージュに打ち勝ちました」
まどか「ほ、本当に!?」
ほむら「……人間として?」
麒麟「はい。驚くべき事ですが」
ほむら「……そう、よかったわ」
まどか「やった! アセルスさん! 勝ったんだよ、ほむらちゃん!」
ほむら「そうね、強い人だわ」
まどか「ほむらちゃん、もっと喜んでもいいんだよ~?」
ほむら「……」
まどか「あ、もしかして泣きそう?」
ほむら「ち、違うわ!」
まどか「大丈夫だよ。私が受け止めてあげるから!」
ほむら「……その時は、元の大きさに戻してくれる?」
まどか「駄目。もう少し私の手の内に!」
麒麟「……」
麒麟「零姫とは古い友人。ここで匿っていたこともありました」
ほむら「ああ、オルロワージュから……」
まどか「それじゃあ、ここにいる子どもたちも、誰かに追われているんですか?」
麒麟「いえ、あの子たちは訳あって身寄りの無い境遇なのです」
麒麟「私は彼らを引き取って育てています」
まどか「そうだったんですか……」
ほむら「なんて良い人、いえ良い麒麟」
麒麟「それほどでも」
ほむら「……それもしかして広まってるの?」
麒麟「いえいえ、私は空術を司る身。トッキーとは相反する立場ですが、それゆえつながるところもあります」
ほむら「トッキーって……」
まどか「絶対仲いいでしょ」
麒麟「何を言うのです。トッキー&麒麟は相容れないものです」
まどか「……」
ほむら「突っ込んだら負けね」
ほむら「もしかして、問題あった?」
麒麟「いえ、これは定めというものでしょう。あなたの選択を私も受け入れました」
ほむら「……そう」
麒麟「それで、先日私のもとにブルーと名乗る若者がやってきました」
ほむら「ブルー……。ルージュさんの双子の片割れ……」
麒麟「空術の資質を与えろと、随分殺気立った様子でしたが」
まどか「……」
ほむら「資質、あげたの?」
麒麟「はい。ブルーも驚いていたようですね」
まどか「戦わずに済んだんですね……」
麒麟「ええ。平和裏に終わった事は、喜ぶべきでしょう」
まどか「で、でもルージュさんとそのブルーさんが資質を揃えたってことは……」
ほむら「……雌雄を決する時が」
まどか「……」
麒麟「ふむ、あなたたちの方が事情に通じているようだ」
ほむら「どういう意味?」
麒麟「時術と空術を、あの双子にもたらしたのはあなたです。その意味はあなたが見届けるべきなのです」
まどか「それって、ほむらちゃんが二人の戦いを……」
麒麟「いえ、それはもう終わった事」
ほむら「終わった? まさか……」
麒麟「決着は既に。ですが結末には未だ至ってはおりません」
まどか「ちゃんと教えてください!」
麒麟「……ですから、見届けるべきなのですよ。ほむらさん」
麒麟「行きなさい、宿命の場所に!」
ほむら「!」
まどか「!」
まどか「ほむらちゃん!? ほむらちゃんをどこにやったんですか!?」
麒麟「心配なさらず。すべてが終われば、またここに呼び戻します」
まどか「で、でもほむらちゃんちっちゃいままですよ!?」
麒麟「あ」
まどか「あ、じゃないですよ!? 早くほむらちゃんを返してください!」
麒麟「は、はい。すぐに……」
麒麟「……?」
まどか「ど、どうかしたんですか?」
麒麟「……これは、干渉できない? 時術と空術、それに魔術の類い……」
麒麟「こんなことができるのは……」
まどか「何物憂げになってるんですか!」
麒麟「痛! 待ってください! すぐになんとかしますから!」
…………
マジックキングダム
魔法科学の発達したリージョン
多くの術士が暮らす
地下には……
ヒューズ「おいおいおい、どうなってんだよ!?」
ドール「無駄口たたいてる場合!? 死にたいの!?」
ヒューズ「これが黙ってられるかよ! 何だ、何があった?」
ラビット「マジックキングダム地下から、多数のモンスターが出現している模様。詳細は不明です」
サイレンス「……!……!」
ヒューズ「しゃべれや!」
コットン「キュ!」
ドール「一般人の退避が済むまで、ここは絶対に抜かせないで!」
ヒューズ「こんなもん、IRPOだけで対応できるか!? 軍はどうした!」
ドール「モンドの余波で、なかなかすぐには動かせないわ。トリニティも最近騒がしいみたいだし」
ヒューズ「冷静に言いやがって……。こんな時でもアイシィドールかよ」
サイレンス「……! ……!」
ヒューズ「だからお前、声……」
サイレンス「……??」
ヒューズ「何だ? 頭?」
ヒューズ「おい、何だよ」
ドール「……あなたの頭の上、妖精がいるわ」
ヒューズ「ああ!? お前大丈夫かよ?」
ドール「いや、だって……」
ヒューズ「え、待てよ。マジなのか?」
コットン「キュ?」
ほむら「あのー、こんにちわ……」
ヒューズ「おい、ラビット」
ラビット「現在照合中……。確認、暁美ほむらです」
ヒューズ「いや、そうじゃなく、これが幻覚じゃないかっていう……」
ヒューズ「暁美ほむら?」
ほむら「……よ、よろしくお願いします」
サイレンス「………」
ヒューズ「はああああ!?」
ほむら「あの、あなたたちは私のことを……?」
ヒューズ「ああ、知ってるぜ。俺らはIRPOだからな!」
ほむら「IRPO……。麒麟さん、何してくれてるのよ……」
ヒューズ「まさかの妖精サイズか……、見つからない訳だぜ……」
ドール「ヒューズ、後にして! 敵が来る!」
ヒューズ「くそっ、何でこんな時に!」
ラビット「残弾、ありません。支給願います」
ヒューズ「こっちも無いんだよ! 我慢しろ!」
ドール「このままじゃ、ヤバいわね……」
ほむら「ちょ、揺らさないで! 先に私降ろして!」
ヒューズ「待てよ……」
ドール「ヒューズ!」
ヒューズ「暁美ほむら、お前モンドからぶん捕った武器、まだもってんのか?」
ほむら「ええ、まあ」
ヒューズ「……俺らに協力するつもりは?」
ほむら「協力すれば、私はIRPOから追われないのかしら」
ヒューズ「それは虫がよすぎる……が!」
ほむら「が?」
ほむら「何言ってるの?」
ヒューズ「そして行方をくらましたのは、なんか縮んだからだ……」
ヒューズ「行ける、行けるぞ! 何なら減給取り消しもいける!」
ほむら「……なんとなく、読めてきたわ」
ヒューズ「……話は聞いた通りだ。お前は武器と口裏合わせ、俺は代わりにお前を無罪放免にする」
ドール「ちょっと! そんなこと許されるわけが……」
ヒューズ「ほむら、どうする」
ほむら「……受けましょう。このままじゃ私も危ないし」
ヒューズ「よし、契約は成立だ。お前は俺のティンカーベル的な何かとして、武器を提供しろ!」
ほむら「……契約って言わないで」
ほむら「それじゃあ、どうぞ」
ヒューズ「うお!? 頭にバズーカ!?」
ほむら「仕方ないじゃない。今の私じゃ手渡しなんてできない」
ほむら「はい、次」
ヒューズ「いやだから頭に……」
ヒューズ「……リーサルドラグーンか。良い趣味だぜ」
ドール「全く勝手なことばかり……」
ほむら「ああもうまどろっこしいわ。適当に出すから、適宜拾って頂戴」
ヒューズ「!? お、おいやめろ! 俺の上で……」
ドール「武器に埋まった……」
「封印が破られた……」
「すべてははじめから、このために」
「俺、いや僕の人生の意味は……」
「……」
ヒューズ「ヒャッハー!! 撃ちまくれ! ぶっ壊せ!」
ほむら「は、走らないで!」
ヒューズ「ぐお!? お前、髪を引っ張るな! ハゲたらどーすんだ!」
ほむら「うるさいわ! あなたなんてハゲたら良いのよ!」
ヒューズ「! 新手だ! 武器プリーズ!!」
ほむら「武器パス!」
「……いや、あれは」
「ふふ、二代目、また会えたね」
ヒューズ「おい、なんかデカいのはねーのか? ドールとコットンが囲まれてる」
ほむら「……じゃあ、ハイペリオンを」
ヒューズ「うお!? こんなもんまで!?」
ほむら「そして、タイムリープ」
ヒューズ「……お前何者なんだ?」
ほむら「……あなたの部下じゃなかったかしら」
ヒューズ「はっ、食えないガキだぜ」
ほむら「え、あなた知らないの?」
ヒューズ「パトロールは陽子ロケットなんて使いません!」
ほむら「中学生でも知ってるのに……」
ドール「言ってる場合? 早く援護を!」
コットン「キュキュ!」
サイレンス「………!」
『ヴァーミリオンサンズ』
ヒューズ「うお!?」
ほむら「ルビーがモンスターを圧殺していく……」
ドール「……あなたの術?」
ほむら「いえ、私じゃない」
サイレンス「………!」
ほむら「いやグッジョブじゃなくて。私じゃないってば」
「皆さん、ありがとうございました。後は任せてください」
ヒューズ「誰だ?」
ルージュ「うん、ルージュだよ。ブルーでもあるけれど」
ほむら「……勝ったの?」
ルージュ「勝った。だけどもうそれはいいんだ」
ほむら「?」
ルージュ「すべては、仕組まれた宿命だったから」
ほむら「ルージュさん?」
ルージュ「……地獄を滅ぼす」
ヒューズ「は? 何言って……」
ルージュ「この命に代えても」
ほむら「ルージュさん! あなたの宿命って……まさか!」
ルージュ「最強の術士を生み出すための、茶番だよ。僕が幕を引く」
ほむら「あなたは……」
ルージュ「君たちとの昼食、楽しかったよ。きっとあれが僕とブルーの差だったんだろう」
ほむら「……」
ドール「止めようにも、無理ね。術士のレベルが違う……」
ラビット「民間人の退避を確認しました」
サイレンス「…………」
コットン「キュキュ!」
ほむら「……パトロールにも敬礼ってあるの?」
ヒューズ「あ? ああ……」
ほむら「それじゃあ……」
『敬礼!』
IRPO本部
ヒューズ「……そうか、御苦労さん」
ほむら「……マジックキングダムからの通信ね。一体なんて?」
ヒューズ「モンスターは全滅、地下の空間も消滅」
ヒューズ「事態は収束だ」
ほむら「……ルージュさんは?」
ヒューズ「……さあな。見つからなかったとさ」
ほむら「……」
ほむら「……何?」
ヒューズ「IRPOの臨時ライセンスだ。一応俺の部下になってるからな」
ほむら「話はついたのかしら」
ヒューズ「ああ、お偉いさんもとっとと終わらせたかったらしい」
ほむら「……そう」
ヒューズ「……」
ヒューズ「で、お前はどうすんだよ?」
ほむら「とりあえず、まどかと……」
まどか「ほむらちゃぁぁん!!」
ほむら「!?」
まどか「よかったぁ、無事だった……!!」
まどか「って、何でヒューズさんの頭の上に!?」
ほむら「え、いや普通に歩いたら大変だし……」
まどか「降りて! そして私の方に!」
ほむら「ああ、私もまどかがいい……っていうか元に戻して?」
まどか「も、もうちょっと! 今度はちゃんと守るから!」
ほむら「複雑だわ……」
まどか「ヒューズさんがほむらちゃんを保護してくれてたんですね」
まどか「ありがとうございました!」
麒麟「それでは失礼します」
ヒューズ「おーい!」
ヒューズ「なんだったんだよ……」
ドール「ヒューズ、報告よ」
ヒューズ「なんだ? 俺はもう帰りたいんだよ」
ドール「マジックキングダムで使った武器の量、聞いた?」
ヒューズ「は?」
ドール「あの子、まだ大量に持ってるわよ」
ヒューズ「……」
ヒューズ「揉み消せ!」
ドール「あら、ほむらちゃんに愛着ができた?」
ヒューズ「ふっざけんな! また俺が減給されるだろうが!」
ヒューズ「おい、まだその辺にいるだろ! 連れ戻してこい!」
ドール「さっき、あの麒麟とかいうのがどこかに連れて行ったけど?」
ヒューズ「……揉み消してくださいお願いします」
ドール「ふん、まあいいわ。今回だけよ」
クーロン イタリア料理店
ルーファス「前回のミッションでキューブ、そしてジョーカーの動向が判明した」
ルーファス「もはや一刻の猶予もない。これより総力をもってヨークランドに向かうぞ」
さやか「うーん、仕方ないですね。ちょっと待ったらみんなに手伝ってもらえそうだけど」
エミリア「これは私たちの戦いよ。それに、多分私の……」
アニー「エミリア?」
ライザ「……」
ルーファス「今回は衣装を用意する暇ない。すぐに出撃する」
ライザ「いえ、衣装はあるわ」
さやか「?」
ルーファス「何だと……?」
ヨークランド 町外れの丘
リュート「だからよー、なんでこんなとこで酒飲むんだよ」
ゲン「ああん、分からねえのかよ? 無粋な奴だな」
リュート「酒なんてどこで飲んでも同じだろ? 俺ちょっとかあちゃんに会いに行こうかと……」
ゲン「止めとけ止めとけ、母親なんてのは息子がダラダラしてんのが一番嫌いなんだ」
リュート「だったら何でヨークランドに連れてけなんて……」
ゲン「酒飲むんだよ、酒。お前は道案内だ」
リュート「チクショー、かあちゃんに会わす顔がないぜ……」
アニー「ただの酔っぱらいでしょ? それよりこんなとこに本当にキューブがあるの?」
さやか「いい景色ですけど、そんなすごいものがある感じじゃないですね」
ライザ「礼拝堂があるんだったかしら」
ルーファス「俺も疑問だったが、ここはモンドの故郷だ」
さやか「もんど?」
ルーファス「奴が何かを隠していたとしても不思議ではない」
さやか「その人何者なんですか?」
ルーファス「トリニティの司令、だった。軍事クーデターを企んでいたらしいが頓挫した」
さやか「そりゃまたどうして」
ルーファス「とある魔法少女に根こそぎ武装を奪われてね。俺は彼女を引き入れるつもりだったのだが……」
さやか「あー、ほむらの言ってたのってそれかぁ」
さやか「……ていうか、ほむら目当てだったんですね」
ルーファス「ああ。だが今は君が味方でよかったと思っている」
さやか「へ?」
ルーファス「? 何がだ?」
ライザ「エミリア、ちゃんと持って来た?」
エミリア「う、うん。でも……」
アニー「いいのいいの。折角だから着ちゃいなよ」
さやか「これは……」
ゲン「おいおい、リュート。今日は結婚式でもあるのか?」
リュート「はあ? こんなとこで誰が……」
ゲン「けどあれは花嫁さんじゃねえのか?」
リュート「……本当だ。ウェディングドレスの別嬪さんだ」
リュート「こんなとこで?」
ゲン「結婚式ってことは、いい酒と食いもんだな」
リュート「ゲンさん、まさか潜り込むつもりかい?」
ゲン「……ふへへ、いくぞリュート!」
リュート「もう酔ってんだろアンタ! 自重しなよ……」
アニー「そうだね。綺麗だよ」
ルーファス「こんなことをしている場合では……」
さやか「こんなこと?」
ライザ「これだからあなたは……」
エミリア「私、レンと小さな礼拝堂で式を挙げようって言ってたの……」
さやか「エミリアさん……」
アニー「じゃあ、ちょうどいいじゃん。ちょっとボロい所だけど、それで式を挙げて、もう忘れよう」
エミリア「アニー……」
ルーファス「待て、ジョーカー迎撃の準備を……」
ライザ「ルーファス、もう黙って」
さやか「私もいつか、こんなドレスで……」
ルーファス「いかんな、緊張の糸が切れている……」
ゲン「何だあ、誰もいねえじゃねえか」
リュート「そりゃあこんなとこじゃあな……」
ゲン「んだよ、詰まら……」
ゲン「何だコイツ?」
リュート「おいゲンさん、勝手に触らない方が……」
ゲン「ふぅん、変わり種の仏像か何かか?」
リュート「叩くなよ……」
リュート「誰としゃべってんだよ? もう行こうぜゲンさん」
ジョーカー「……」
リュート「お? アンタいつから居たんだい?」
ゲン「何か気持ち悪い仮面だな。外した方がいいぞ」
ジョーカー「……お前たち、グラディウスか?」
ゲン「グラ? 何だ?」
リュート「俺たちは酒飲みとプー太郎だぜ? 怪しいもんじゃない」
ジョーカー「……ルーファスの作戦か」
リュート「はあ?」
ジョーカー「もういい。やれ!」
ゲン「うお! こいつ動くのか!」
アニー「ルーファス! あなた神父役やってよ!」
ルーファス「私がか? 何をしろというのだ」
さやか「あれですよ、永遠の愛を誓いますか、って!」
ライザ「サングラス外してね」
ルーファス「馬鹿な!」
エミリア「みんな……」
ルーファス「待て、まだやるとはいってない!」
さやか「その辺の花でブーケ作りましょう!」
アニー「お、ナイスアイデア!」
ライザ「歌も歌う?」
さやか「おお! いいですねえ!」
リュート「ぎゃあぁぁ! すみません! 俺たち出て行くから!」
ゲン「ああん? リュートお前なにビビってんだ? 俺を誰だと思ってんだ?」
リュート「いや無理だって! あいつもう手いっぱいあるし! 武器持ってるし!」
ゲン「ワカツ生まれの剣の冴え、目に焼き付けろ!」
VS ディーヴァ
『ブレード』
ゲン「甘い!」
『ディフレクト』
リュート「ゲンさん!? アンタ何者だい!?」
ゲン「……!」
『濁流剣』
リュート「ゲンさぁん!」
ルーファス「なんだか騒がしいな……」
ライザ「さっきの酔っぱらいかしら」
エミリア「!」
エミリア「ジョーカー!」
さやか「え!?」
エミリア「礼拝堂の裏に!」
ルーファス「……皆、準備はいいか? いい訳無いか」
アニー「良いに決まってんでしょ!」
ライザ「ドレスまで着たのよ?」
ルーファス「……女というのは分からんな」
さやか「行きましょう!」
ジョーカー「チッ……間の悪い奴らだ」
エミリア「ジョーカー!」
エミリア「……いえ」
エミリア「あなたなんでしょ! レン!」
さやか「え……?」
アニー「エミリア!?」
ライザ「まさか……」
リュート「お? おーい! あんたらこのマスクマンの知り合いかい? 止めさせてくれよ!」
ゲン「まさかこんな奴とチャンバラとはなぁ!」
アニー「エミリア?」
エミリア「答えてよ、レン!」
ジョーカー「……やれ、ディーヴァ」
ルーファス「! 来るぞ!」
さやか「……ここは私たちが! エミリアさんはジョ……」
さやか「……レンさんを!」
エミリア「……ごめんなさい」
アニー「……行ってこい!」
ライザ「あなたの答え、見つけて来なさい」
ルーファス「……仕方が無い、か」
ゲン「お? 奥の手か?」
ディーヴァ「……!」
『天罰』
リュート「おいおい、これやばいんじゃないか?」
ルーファス「礼拝堂が崩れる! みんな逃げろ!」
さやか「エミリアさんは奴を!」
エミリア「……!」
ライザ「離れて!」
さやか「ぐぐう、さやかちゃんじゃなきゃ瓦礫の下でダウンだよ……」
リュート「な、なんで俺がこんな目に……」
ルーファス「生きていたか、青年」
ゲン「……さすがに酔ってもいられないか」
アニー「エミリアは!?」
ライザ「奴を追ったわ!」
タァン!
ルーファス「まさか……」
ルーファス「アニー、ライザ! エミリアを頼む!」
さやか「もう行きましたよ! それより前、前!」
ルーファス「まずいことに……ぶふぉお!?」
ディーヴァ『魔人三段』
さやか「ル、ルーファスさん!」
リュート「サ、サングラスの人ぉ!」
ゲン「……そこの青い嬢ちゃん、剣が使えるのか?」
さやか「は? いやまあ、そこそこ……」
ゲン「よし、嬢ちゃん。あのデカブツを倒すぞ」
さやか「……?」
『風雪即意付け』
『三花仙』
さやか「うわ、すご……」
ゲン「ふん、やり損ないだ。そうそう連続でできるもんじゃない」
ゲン「……が、動きは覚えたな?」
さやか「ええ~……」
ゲン「いーからやれ。どれか一つでいい」
さやか「はあ、まだ酔っぱらってんじゃないの……」
さやか「って、またやる気!?」
ゲン「……おい、リュート!」
リュート「な、何だよ」
ゲン「歌え」
リュート「は?」
ゲン「歌え」
さやか「はあ?」
ゲン「お前の歌はあれだからな、奴の注意を引ける」
リュート「アレって何だよ!?」
ゲン「いいから、思いっきり歌え!」
さやか「何か知らないけど、歌ってください! ギター持ってるじゃないですか!」
リュート「ああ、もう! どうなってもしらないからな!」
ゲン「よし。行くぞ、嬢ちゃん!」
さやか「こうなりゃ、なんでもやるわよ!」
デンデデッデデレデンデデッデデレデンデデッデデレデンデデッデデレ
さやか「!?」
リュート「~♪」
ヘェーラロロォールノォーノナーァオオォー
ディーヴァ「!?」
さやか「い、いける! あいつ隙だらけだ!」
ゲン「……俺の技の繋ぎを頼む」
さやか『風雪即意付け』
さやか「で、できたの?」
ゲン「上出来だ!」
『三花仙』
『乱れ雪月花』
リュート「ラロラロ……ってやったのか!?」
ディーヴァ「……!」
ゲン「しつこい奴だな」
さやか『神速三段突き』
さやか「
Entry ⇒ 2012.11.13 | Category ⇒ まどかマギカSS | Comments (0) | Trackbacks (0)
桃子「ステルス講座を開講したら予想外に人が集まったっす」
美穂子「…………」
竜華「…………」
憧「…………」
塞「…………」
和「…………」
桃子「なんだかみんな目付きが怖いっす……」
モモ「えーっと、今日は遠路はるばるお集り頂きありがとうっす」
モモ「まさかこんなにも人が集まるとは思ってなかったから正直驚いて……」
憧「先生、そういうのいいから」
モモ「えっ」
和「早くステルスになれる方法を教えてください」
竜華「そうや。ウチらは遊びに来たわけやないんや」
モモ「あ、あの……ちょっと訊いていいすか?」
モモ「皆さんはどういう目的でこの講座に……?」
照「理由や事情は人それぞれ」
照「プライバシーに関わる事でもあるから詮索するべきじゃないと思う」
モモ「そ、それもそうっすね。それならあんまり詳しくは訊かないっす」
モモ「それじゃあ早速第一回講座を……」
美穂子「先生、その前に一つ質問よろしいでしょうか?」
モモ「はい。なんっすか?」
美穂子「この講座を受ける事でどのくらいステルスになれるんでしょうか?」
憧(確かにそれは気になる……)
モモ「真面目に講座を受ければ、同じ部屋にいても存在に気付かれないくらいにはなると思うっす」
「「!!??」」
塞「ま……マジですか?」
和(そんなオカルト……)
モモ「素質がある人なら人に触れても気付かれないレベルにまでなれるかもっすね」
竜華「ふ、触れても……気付かれへんって……」
美穂子「すごい……そんなことが……」
照「存在感を限りなくゼロにするくらいなら、誰でも出来る?」
モモ「はい。そこは保障するっす」
憧「でも、流石に真正面から姿見られたら気付かれるよね?」
モモ「声出したり踊ったりしない限りは気付かれないっすよ」
塞「正直、すごすぎて信じられないんだけど……」
和「同感です……」
モモ「信じるか信じないかは任せるっす。お金取ってる訳でもないっすしね」アハハ
モモ「もちろんっす。私はこの道を極めてるっすから、みんなに注目されてる状態でも消えられるっすよ?」
竜華「そ、そんなことが本当に……」
照「……」ゴクリ
モモ「それじゃあ早速消えるっすね」スッ
憧「なっ!?」
塞「ほ、本当に消えたっ……!?」
和「こ、こんなことって……」
モモ「ふふ、どうっすか? これがステルスっす」ドヤ
和「こ、声は聞こえているのに……」
憧「姿が見えない……」
塞「もはやちょっとしたホラーだね……」
モモ「このレベルのステルスは歴が無いと無理っすけどね」アハハ
モモ「触られても見えないっすよ?」サワッ
竜華「ひゃっ!?」
モモ「こーんなことしても見えないっす」サワサワ
照「ひゃああ!?」
美穂子(何をされているんでしょう……?)
憧「きゃぁ!? ま、真後ろに……!?」
塞「こ、ここまでされたら流石にね」アハハ
和「この目で見てしまうと……信じる以外あり得ないです」
竜華「でも先生ホンマにすごいわ! これと同じことが出来るようになると思うと……」
モモ「私とまったく同じレベルっていうのは、努力と才能がいるっすけどね」アハハ
モモ「でも存在感を消すくらいなら誰でもいけるっすよ!」
照「それだけでも十分です先生、ぜひご教授ください」ペッコリン
竜華「う、ウチも!」
モモ「あ、頭なんて下げてくれなくてもちゃんと教えるっすから」タハハ
モモ(悪用されるとダメっすから、ちゃんと一人一人事情を訊きたいんすけど……)
憧「この力さえあればシズに……」ブツブツ
和「咲さん……ふふ、ふふふ……」
美穂子「上埜さん……待っていてくださいね……」
モモ(じ、事情を訊く気になれないっすね……)
モモ「え、えっと、それじゃあ早速第一回講座を始めるっすね」
モモ「テキスト配るっすから全員に回してくださいっす」
モモ(初めての講座から数ヶ月)
モモ(最後の講座も先日終了。全員がステルスを習得したっす)
モモ(授業態度も全員超真面目で、教えるこっちにプレッシャーがかかるほどでした)
モモ(あの人たちならステルスを悪用しないとは思うっすけど……面接もしてないんでやっぱり心配っす)
モモ(ここは師としての責任を果たすためにも、一人一人こっそり様子を伺うことにするっす)
モモ「まずは……>>38さんのところに行ってみるっす」
6人の中の誰かでお願いします
憧「ふふ、遂にこの時が来たわね」ザッ
憧「あの日からどれだけこの日を待ち望んだことか……」
憧「ステルスになれるかの確認は済んだことだし、ふふ。早速、実践させてもらいましょう」
憧「いざ高鴨家へ!!」ピーンポーン
モモ(さ、早速不法侵入すか……)
モモ(新子さん……受講していた時から危ない気配は察していたっすけど……)
シズ「はい、どなたでしょうか?」
憧「宅急便でーす」ウラゴエ
シズ「あ、分かりました。今出まーす」
憧「ふふ……」スッ
シズ「お待たせしました……ってあれ?」
シズ「誰もいない……」キョロキョロ
憧(部屋着のシズ可愛い……)
シズ「イタズラかなぁ……たっく、どこの悪ガキだよー……」ハァ
憧(ふふ、お邪魔しまーす♪)バタン
シズ母「誰だったのー?」
シズ「誰もいなかったー。イタズラー」
憧(靴は分かりにくい場所に隠してっと)
モモ(あはは、計画的っすね……)
憧(シズはリビングに行ったみたいだし……部屋に行ってみよう)テクテク
モモ(物取ったりしなきゃいいんすけど……)
憧「ふふ、お邪魔しまーす……」ガチャ
モモ(さっきの人の部屋……?)
憧(シズの部屋……今この状況は、なんでもし放題……)
モモ(い、一体何を……?)
憧「シズのベッド……」トサッ
モモ(こ、これはまさか……)
憧「シズぅ……」クンカクンカ
憧(あぁ、これヤバい……頭おかしくなりそう……)
モモ(なるほど……そういうことっすか……)
憧「んん……」モゾモゾモゾ
モモ(これが新子さんの目的……分かるっす。分かるっすよその気持ち!)
憧「あ、シズの枕……くんかくんか……ふぁぁぁ……これっ、すごいぃ……」ギュウウ
憧「シズを抱きしめてるみたい……」
憧「ふふっ……えへへ……頑張ってよかったなぁ……」
モモ(新子さん幸せそうっす……)
憧「シズぅ……」ギュウ
シズ「はぁ、宿題めんどくさいなぁ……」ガチャ
憧「ふきゅっ!?」
シズ「ん?」
憧(やっば……!)
シズ「……?」
シズ(なんか、憧の声がしたような……)
シズ「ってあれ? さっきベッドの上綺麗にしたはずなんだけど……」
憧(ヤバいヤバいヤバい……!)
モモ(はは、新子さん絶対絶命っすね……)
シズ(なんでだろ……)
憧(お願いそれ以上疑問を持たないで……!!)
シズ「うーん……」
シズ「まあいいや。宿題しよ」
憧(……せ、セーフ……)ハァ
憧(すっごいドキドキしてる……心臓に悪い……)
モモ(新子さんは優秀だったんで、そのレベルじゃ気付かれないっすよ)
憧(と、とりあえず無駄な物音とか立てないようにしなきゃ)
憧(……そういえば今、シズと同じ部屋で二人きり……)
憧(き、緊張する……)ドキドキ
モモ(その気持ち分かるっすよ新子さん……私も初めて忍び込んだ時は緊張でガチガチでした)
モモ(特に本人が目の前にいるときなんて……)
憧(……)ジーッ
シズ「……」カリカリカリ
シズ「……」ウーン
憧(意外だな……机に向かってるイメージなんて全然ないから……)
シズ「……」カリカリカリ
憧(私の知らない、シズの一面……)ポーッ
憧(これからもっと、色々なこと……)
モモ(眺めてるだけなんて本当に初々しいっす)
モモ(馴れて来るともっとすごいことするようになるっすからね……)
シズ「うーん……」
モモ(さっきからずっと悩んでるっす)
憧(問題分かんないのかな? 教えてあげたいけどそんなわけにもいかないし……)
シズ「……」ピッピッピ
憧(携帯触りだした……)
モモ(誰かに聞くつもりっすかね?)
シズ「……送信っと」ピッ
ブーブーブー
憧「っ!?」
シズ「えっ?」
モモ(こ、これは……)
シズ「バイブ音……?」
憧(はは、早く止めないと……!)
シズ(私の携帯じゃない……てかどこで鳴ってるんだろ……)キョロキョロ
モモ(絶体絶命その2っすね……)アハハ
シズ「あ、聞こえなくなった……」
シズ(憧にメールした瞬間に鳴ったけど……)
憧(おお、お願い不審に思わないで……!)
シズ「確かこの辺で鳴って……」スッ
憧「わわっ!」
憧(あ、あっぶな……!! ぶつかるとこだっ……)
シズ「……今、憧の声……」
憧(しまっ……)
憧(はわわわわ……!!)
シズ「憧……?」
憧(いませんいません誰もいません……!)
シズ「……あれ。ここ、憧の匂いがする」スンスン
憧(ふぇええ!!?)
モモ(に、匂いとはやるっすね……)
シズ「なんでだろ……」スンスンスン
憧(ちょ、顔ちかっ……!!)
憧(動いちゃダメ動いちゃダメ……)ドキドキドキ
モモ(新子さんのステルス、なかなかやるっすね……あの距離でも見えないとは……)
シズ「憧の匂いがする場所……私の部屋にこんな不思議スポットが……」スッ
憧(は、離れて……助かった……)ハァ
シズ「よし、本人にも知らせよう!」ピッピッピ
憧「」
憧(や、やっば……!!)
ブブブブブ……ブブブブブ……
シズ「えっ……?」
憧(はは、早くとめっ……)
シズ(さっきよりも音が大きいような……)
モモ(余計なことしない限りは見つからないと思うっすけど……)
シズ「どこから音してるんだろ……めちゃくちゃ近いんだけどなー……」ウーン
憧(今止めてもさらに怪しまれるだけ……どうすれば……)
憧(そうだ……携帯をどこかに隠せば……!)
モモ(ん? 何か思いついたみたいっすね……)
シズ「ベッドの辺りかなぁ」ゴソゴソ
憧(と、とりあえずベッドの下に置いて……)
モモ(なるほど……忘れ物に思わせる作戦っすか。考えたっすね)
シズ(絶対にここだ……でも無い……ベッドの下……?)
シズ「あーー! あった!!」
シズ「ってこれ憧の携帯……なんでこんなところに……」
憧(ここで不審がられたら終わりだけど……)
シズ「……忘れ物? でも今日、普通に携帯弄ってたし……」
憧(しまっ……!!)
モモ(発想は良かったっすけど、痛恨のミスでしたね。新子さん)アハハ
憧(これ、取り返し付かないかも……)アワワワ
シズ(私がいないときに憧、ここに来たのかな)
シズ(今日は麻雀部早退してたし、そのときに忘れたとか……)
シズ(一体何のために……そもそもどうして私がいないときに……)ウーン
憧(うぅぅ、めちゃくちゃ不審がってるし……)
シズ母「シズー、お風呂入っちゃってー!」
シズ「あ、はーい!」
シズ「まあいいや。考えても分かんないし、明日憧に訊いてみよ」タタ
憧(……た、助かった?)
モモ(見つからない限りは大丈夫っすよ、新子さん)
憧(良かったぁ……)ハァ
モモ(ステルスするときの基本っすよ。って教えたはずっすけど……)アハハ
憧(はぁ……めちゃくちゃドキドキしたなぁ……)
憧(でも、このスリルもちょっとクセになるかも……)フフ
シズ「っと。着替え忘れてた」ガチャ
憧「っ!?」ビクゥッ
モモ(あはは……精進あるのみっすよ、新子さん)
シズ「……」ゴソゴソ
憧(し、シズ……そ、そういえば、今からお風呂って……)
憧「……!」
モモ(遂に踏み入れてしまうっすか……その禁断の領域に……!)
シズ「ふんふふーん♪」
憧(こ、これは流石に……で、でも……)チラ
シズ「設定温度は……」ピッピッピ
モモ(まだ理性が残ってる感じっすね、新子さん)
モモ(でも……甘い誘惑には勝てないんすよね)
シズ「さて……」ヌギヌギ
憧「!!」
シズ「……」ファサッ
憧「……」ジーッ
モモ(あはは……)
シズ「よっと……」ヌギッ
憧(あっ……ぱ、パンツ……)
憧「……!!」カァァァァ
モモ(新子さん顔真っ赤す……でも目は離さないんすね……)
シズ「ふんふーん♪」バタン
憧「……」
憧(見ちゃった……シズの裸……)ドキドキドキ
憧「ふふ……ふふふ……」ニヘラ
モモ(幸せそうで何よりっす)アハハ
憧「……」ジー
モモ(ま、まさかやっちゃうすか新子さん!?)
憧(別にいい、よね……? 私、今まで頑張ったんだし……ちょっとくらい、ご褒美……)
憧「……ん」
モモ「!」
憧「すぅ……はぁ……すぅ……はぁぁ……」
憧「シズぅ……シズぅ……」クンカクンカ
モモ(お、おお……)
憧「シズの、えっちな匂いっ……いっぱい、いっぱい……」
モモ(も、盛り上がってるっすねー……でも、気持ちはよく分かるっす……)ドキドキ
憧「ん……」
シズ「っと、シャンプーシャンプー」ガラッ
憧「!?」
憧(し、シズ……!)
シズ「うーんと、確かこの辺に……」
憧(め、目の前にシズがいるのに……私、シズのぱんつ、嗅いで……)ドキドキ
シズ「……」ゴソゴソ
シズ「あったあった」バタン
憧「はぁ……はぁ……」
憧(これ、クセになったら絶対ヤバいっ……)
モモ(ハマっちゃうと相手のこと襲いたくなっちゃうっすからね……やり過ぎ注意っす)アハハ
憧(これ以上こんなことしてたら、本当にどうにかなっちゃう……)
憧(あ、頭と体冷やそう……)
モモ(新子さんは理性的っすね……回を重ねるとどうなっちゃうかは分からないっすけど……)
憧「はぁ……」
憧(シズの部屋に戻って来たけど……これからどうしよう……」
憧(もう帰ろうかな……なんか、シズの匂い嗅いでると変な気分になっちゃうんだよね……)
憧(さっきもすごく体がうずうずしたし……)ドキドキ
憧(今も……)モジモジ
モモ(頭は理性的でも体がどんどんその気になってるって感じっすね……)
憧(ど、どうしよう……シズぅ……)
憧「!」ビクッ
モモ(さて、ここからどうなるか見物っすね……)
シズ「……」
憧(お風呂上がりのシズ……やっぱり可愛い……)ポー
シズ「……ふわぁ」
シズ(眠くなってきた……まだまだ寝る時間でもないんだけど……)
シズ「ん……」ゴロッ
憧(ベッドの上で、あんなにも無防備に……)
憧「……」ジーッ
モモ(あ、新子さん。流石にそれは……)
憧(そ、そんなこと……絶対に……)
シズ「んぅ……」
憧(でもシズ、寝ようとしてるみたいだし……そのあとなら、ちょっとくらい……)
シズ「むにゃ……」
憧「……」ジーッ
モモ(機を待つつもりっすね、新子さん……果たしてどこまでするのか……)
憧「……」
シズ「すぅ……すぅ……」
憧「……寝た、よね……」
憧「シズ……?」
シズ「むにゃ……」
モモ(遂に動くっすか……!)
憧(抱きしめたら、流石に起きるよね……)
憧(でも、起きた瞬間にすぐ離れて、ステルスになれば……)
憧(それに、そう簡単には起きないと思うし……)
憧「……」ギシッ
モモ(! ベッドの上に上がるとはアグレッシブっすね……!)
シズ「ん……ぅ……」
憧(私のすぐ目の前に、眠っているシズが……)
憧(もう、ダメ……我慢できないっ……)
憧「シズ……」ギュウ
モモ(おお……遂に……)
シズ「ん、んぅ……」
憧(あったかい、やわからい……良い匂い……シズの匂い、いっぱい……)
憧「シズ……シズ……」サワサワ
シズ「んっ……」
モモ(あ、新子さん……あんまりやりすぎたら起きるっすよ……そこは慎重に……)
憧(シズの体、本当に柔らかい……肌もすべすべでもちもちしてるし……)スリスリ
憧(……唇も、柔らかいんだろうなぁ……)ジーッ
モモ(あ、新子さんっ……)
シズ「んぅ……」
憧(そんなことしたら、流石に起きるよね……どうしよう……)
憧(こんなことしてるのバレたら、絶対に嫌われちゃう……)
憧(でも、キスしたい……シズと、キス……)
モモ(……)ドキドキドキ
憧(……大丈夫、だよね)
憧(起きたらすぐに離れて、ステルスすればいいんだし……)
憧(寝ぼけてる状態なら姿見られても、夢だと思うよね……)
憧(うん、大丈夫……問題ない……シズにキス、出来る……)
シズ「すぅ……すぅ……」
憧「本当に、可愛い……大好きだよ、シズ……」ウットリ
憧「ん……」
モモ(わわっ……遂にやっちゃったっす……)
憧(唇、柔らかい……あったかい……)
憧(私今、シズとキスして……)チュウゥ
シズ「ん……ぅ……」
シズ(なんか、あったかい……なんだろうこれ……憧の匂いがして……)
シズ(あ、こ……?)
憧「んっ……シズ……?」
シズ「……なに、してるの……?」
憧(でも、まだ寝ぼけてるだろうし……そうだ)
憧(シズの目を手で覆って……)スッ
シズ「?」
憧(もう一回、今度はねちっこく……)チュウゥ
シズ「……!?」
モモ(なっ……この状況からもう一回っすか……!?)
シズ(へっ……な、なに……? 私、なにされて……)
シズ「ん……んっ、んぁ……」
憧(シズ、シズ……シズ……)
―――――――――――――
憧「はぁ……はぁ……」
シズ「ふぁ……ぁ……」
憧(舌、いっぱい入れちゃった……)ドキドキ
憧(愛おしくて、止まれなくて……)
シズ「……」ポー
憧「……今度は、ちゃんと気持ち伝えてからするから」ボソ
シズ「へ……?」
憧「ごめん、シズ……」スッ
シズ「あっ……」
シズ(消えた……)
シズ「あ、憧!?」バッ
憧「……」
シズ(だ、誰もいない……)
シズ(なに、今の……夢……?)
シズ(憧にキス、される夢……?)カァァァ
シズ「う、うわあああああ!!??」バダンッ
モモ(へ、部屋から出て行っちゃったっす……)
憧「……ふふ、えへへ……」トローン
うわあああああああ!!
何家の中で走ってるの! ってどこ行くのあんた!?
モモ(その後新子さんは夢見心地のままあの家を後にしたっす)
モモ「これからあの二人はどうなるっすかね……」
モモ(相手の子は新子さんの顔ロクに見れそうにないっすけど……)
モモ「……まあ、考えても仕方が無い話っすね」
モモ「しかし、新子さんがステルスを悪用しなくて良かったっす。今後も心配なさそうっす」
モモ「とりあえず今日のところは……これで終わりっすね」
モモにとってあれくらい普通、つまりかじゅのプライバシーは
寝ます。ありがとうございました
あとは誰か分担して書いといてください
Entry ⇒ 2012.11.13 | Category ⇒ 咲-Saki-SS | Comments (0) | Trackbacks (0)
える「古典部の日常」 7
える「古典部の日常」 7
夏休み前と違うのは朝……家を出ると、千反田が待っている事だ。
それともう一つ、昼は古典部で一緒に弁当を開ける事か。
える「折木さんも、お料理をしてみてはどうでしょうか?」
千反田は突然そう言うと、前に座る俺に視線を向ける。
奉太郎「人にはな、向き不向きがあるんだよ」
える「何事にも取り組んで見るのは、良い事ですよ」
まあ確かに、毎度毎度……姉貴に作って貰うのはあれだが。
奉太郎「……姉貴が外国へ行っている時は、弁当無しだな」
える「ふふ、その時は私が作ります」
奉太郎「本当か?」
える「ええ、勿論です!」
奉太郎「ならそうだな、余計に自分で作る必要は無くなった」
える「……」
俺がそう言うと、千反田は頬を膨らませてこっちを見る。
える「やはりやめました、作りません」
奉太郎「……千反田の料理は美味いんだがなぁ」
える「……そう言われると、作ってあげたくなります」
える「でも、それをすると折木さんは自分で作りませんよね……」
そんな事を言いながら、一人考え込んでいる。
える「何でしょう?」
奉太郎「俺は一人じゃとても作れないから、千反田が教えてくれ」
奉太郎「そうすれば、少しは上達するだろう」
える「……それは良い案ですね!」
千反田はそう言うと、身を乗り出して俺の手を掴む。
……駄目だな、やはりこれはどうにも慣れない。
この千反田の近さに慣れる日は、俺にやって来るのだろうか。
奉太郎「ま、まあ……機会があったらだがな」
える「……意外と早く、来るかもしれませんよ」
ここで俺が、その台詞が気になると言ったら何だか負けた気がするので口には出さなかった。
奉太郎「ん、そろそろ昼休みも終わりだな」
時計を見ながら、俺は千反田にそう伝える。
える「あ、ほんとですね」
える「ではまた放課後に、ここで」
奉太郎「ああ、また後でな」
俺はもう少しだけ残っているのか、千反田に軽く手を挙げると古典部を後にした。
そして、放課後。
俺は昼休みに言っていた千反田の言葉の意味を、理解する事となる。
摩耶花「それで、私もちーちゃんみたいに上手くなれたらなぁ……って思うのよ」
奉太郎「つまり、何が言いたいんだ」
摩耶花「だから、皆でお弁当を自分で作ってきて、食べ比べてみない?」
奉太郎「……何故そうなる?」
里志「僕には分かるよ、自分を知りたければ他人を知れって事だね」
何だろう、ある様な気がするがそんな言葉は無かった気がする。
奉太郎「作ったか」
里志「さあ、先に言っている人が居てもおかしくはないけど、ありそうな言葉だと思うよ」
さいで。
摩耶花「そうそう、そう思うでしょ?」
摩耶花「ちーちゃんには前から相談してたんだけど、言う機会が無くってさぁ」
なるほど、そういう事だったか。
……千反田め。
える「どうでしょう、やってみませんか?」
里志「僕も面白いと思う」
里志「福部流のお弁当を、見せてあげるよ!」
里志は勿論、即答で賛成する。
える「折木さんはどうでしょう?」
俺が何て言うかなんて、分かっているくせに。
奉太郎「ああ、まあ……やってみるか」
摩耶花「よし! じゃあ一週間後でいいかな?」
里志「今日は水曜日だから、次の水曜日って事だね」
摩耶花「私は明日でも良いんだけど、折木がねぇ……」
そう言いながら、伊原は俺に嫌な笑いを向ける。
里志「ホータロー、一週間で何とか頑張ってね」
奉太郎「……それなりにはな」
奉太郎「それはどうも、優しい事で」
俺も勿論、やると言ったからには中途半端にはやりたくなかった。
明らかに手を抜く事も出来たが、そんな気分にはなれない。
える「では、一週間後に!」
随分と張り切っているな、千反田は。
まあ千反田なら、誰も文句を付けない弁当を持ってくるだろう。
俺も、しっかりやらないとな。
俺の想定外は、この日既に一つあった。
それは勿論、千反田の言葉の意味である。
あくまでもそれは、家に帰るまでの話。
学校が終わり、千反田を家まで送って行き、玄関の前に着いたときに本日二つ目の想定外の事が起きたのだ。
奉太郎「それじゃ、また明日」
俺は千反田にそう言うと、体の向きを変え、家路に着こうとする。
える「え、何を言っているんですか。 折木さん」
そう言いながら、俺の腕をしっかりと掴まれる。
奉太郎「何って、帰ろうとしている」
える「駄目ですよ、お料理の練習です」
……ええっと、既に夕焼けが綺麗な程に日が傾いているのだが。
奉太郎「……今からか?」
える「そうですよ、一週間しか無いので……今日から練習しましょう」
いやいや、別に一日遅れた所で大して変わらない……と思う。
そんな思いが顔に出ていたのか、千反田が再び口を開いた。
える「なので、今日からでは無いと駄目です」
える「この後に用事等は、無いですよね」
一言発する度に、顔を近づけ千反田は言って来る。
俺はそんな千反田を手で制しながら答えた。
奉太郎「わ、分かった」
奉太郎「今日からだな、分かった」
える「ふふ、ではさっそく練習しましょう!」
千反田はさっきまでの真剣な表情とは打って変わり、今度は笑顔になっている。
そんな表情を見れただけで、俺は今日、料理の練習をする事になったのを良かったと思った。
色々と教えられながら、料理を作っていく。
千反田はそのままでは邪魔なのか、髪を後ろで縛っていた。
奉太郎「前から何回か思っていたんだが」
える「はい? どうしましたか」
……ああ、俺は今何を言おうとしているんだ。
つい、だったのだが……その後の言葉に詰まってしまう。
奉太郎「い、いや」
奉太郎「何でも無い、料理の続きをしよう」
色々と教えられながら、料理を作っていく。
千反田はそのままでは邪魔なのか、髪を後ろで縛っていた。
奉太郎「前から何回か思っていたんだが」
える「はい? どうしましたか」
……ああ、俺は今何を言おうとしているんだ。
つい、だったのだが……その後の言葉に詰まってしまう。
奉太郎「い、いや」
奉太郎「何でも無い、料理の続きをしよう」
一度外した視線を千反田に戻した所で、俺は気付いた。
やってしまった、と。
える「何でしょう、折木さんは何を仰ろうとしたんでしょうか?」
える「教えてくれますよね、折木さん」
奉太郎「そ、そんな大した事じゃない」
える「では、どうぞ」
奉太郎「……実は、かなり大した事がある」
える「そうなんですか?」
える「それでは、聞かない方がいいですね」
そう言い、千反田は調理をする為、体の向きを変える。
それを見ていた俺は、結局の所……喋る事になる。
奉太郎「……似合うと、思っただけだ」
俺の言葉を聞き、千反田は振り返った。
える「え? 似合うとは……どういう意味ですか?」
奉太郎「だから、それ」
言いながら俺は千反田の頭を指差す。
える「えっと……」
千反田は自分の頭を指されている事に気付いたのか、自分の頭を触っていた。
そしてそれを何度か繰り返し、ようやく気付く。
える「あ、そう言う事でしたか」
奉太郎「……まあ、それだけだ」
そう言い、千反田は俺の手を取った。
奉太郎「……お礼を言う程の事でも無いだろ」
奉太郎「ただ、俺が思った事を言っただけだ」
奉太郎「料理の続き、やるぞ」
俺は千反田にそう言うと、一人食材達と向き合った。
こうでもして話題を切らなければ、どうにも落ち着かない。
える「ふふ、そうですね」
える「続きを教えますね」
それからしばらく、二人で料理を仕上げていく。
正確に言えば、千反田監修の下……だが。
辺りがすっかり暗くなった頃、多分19時とか20時とか、そのくらいだろう。
料理はようやく仕上がった。
奉太郎「ここで食べるのか?」
える「ええ、折木さんに見せたい物があるんです」
見せたい物……また浴衣か?
奉太郎「秋祭りにでも行くのか」
える「……良いですね、今度調べておきます」
はて、祭りでは無いのか。
奉太郎「ううむ」
俺は一つ唸り声をあげ、少し考えてみた。
奉太郎「……そうか」
なんだ、ちょっと真剣に考えようとしていたのだが。
える「とりあえずはご飯を食べましょう」
そう言えば、成り行きで千反田の家でご飯を食べて行く事になったが……
まさかとは思うが、来週の水曜日までこれが続くのだろうか?
悪くは無い、別に嫌でも無いのだが……少し迷惑では。
しかしそんな事を今考えても、答えなんて出ないか。
今はまあ、飯を食べよう。
行儀良く両手を合わせ、千反田はそう言った。
奉太郎「ご馳走様です」
俺もそれに習い、手を合わせる。
える「ふふ」
千反田が突然、こっちを見ながら笑っていた。
奉太郎「何か悪い物でも食べたか」
える「酷いです、材料は全部私の家の物なんですよ」
奉太郎「なら、何で急に笑い出した」
える「……それはですね、思い出していたんです」
える「前に、福部さんに言われた事です」
奉太郎「……里志に?」
奉太郎「くだらない事でも言われたか」
奉太郎「そうでなければ、何かしらの俺の思い出話か」
える「どちらも違いますが、後者のはちょっと気になりますね」
奉太郎「……今度、機会があればな」
奉太郎「それより、何て言われたんだ?」
俺がそう聞くと、千反田は口に手を当て、小さく笑うと答えた。
える「似ていると、言われたんです」
える「ええ、私と折木さんが」
奉太郎「あいつもついに、おかしくなったか」
える「性格等の話では、無いと思いますよ」
奉太郎「……だったら、何が似ているんだ」
える「福部さんの言葉を借りますと」
える「なんだか、千反田さんを見ているとホータローを見ている気分になるよ」
える「その腕を組んだりする癖、そっくりだ」
える「と、仰っていました」
しかし、どうにも里志の言葉だからと言えど……千反田に名前を呼ばれ、ちょっと恥ずかしい。
奉太郎「まあ、結構長い間一緒に居たからな」
奉太郎「そう言う事も、あるのかもな」
俺は恥ずかしさを消す為に素っ気無く言い、お茶を飲み込む。
える「あ!」
突然、千反田が何かを指しながら俺の肩を叩いてくる。
える「見てください、折木さんに見せたかった物です」
ああ、そう言えばそんな話だったっけか。
それを聞き、俺は千反田の指す空へと視線を向ける。
空に走っていたのは、無数の流れ星だった。
える「天気が良いと、見れるとテレビで言っていたので……良かったです」
俺はしばし、その流れ星に目を奪われていた。
える「そう言えば、流れ星は願いを叶えてくれるんですよね」
奉太郎「そんな話もあるな」
奉太郎「千反田は……何か、願いでもあるのか」
える「ありますよ、私にも」
奉太郎「なら、願っておけばいいさ」
える「もう願いました、五回ほど」
五回も願ったのか、欲張りな奴だ。
奉太郎「俺は、こういうのは信じていない性質なんで」
える「ふふ、そうですよね」
奉太郎「何がおかしいんだ」
える「いえ、折木さんが星にお願い事をしている姿が、想像できなかったので……ふふ」
奉太郎「……さいで」
流れ星は、ほんの5分ほどで消えて行った。
もう、流れ星が降る事も無い空を未だに見ながら、千反田は口を開く。
える「そう言えば、先程の事ですが」
える「私、この髪型をそんなにしていましたっけ?」
奉太郎「多分、だが」
奉太郎「……千反田の事は、良く見ていたのかもしれない」
える「そ、それは……あの、その」
える「う、嬉しい言葉です」
あたふたしている千反田を見て、俺は素直に可愛いと感じていた。
その感覚がなんだか自然で、思わず笑いが漏れる。
勿論、千反田に見られないように隠れてだが。
える「でも、逆にもなるんですよ」
奉太郎「逆? どういう事だ」
える「先程、福部さんが私に言った言葉を教えましたよね」
える「そうです、それでですね」
える「それは多分、私が折木さんの癖を、自然と真似しているんだと思います」
奉太郎「俺の癖を?」
える「腕を組んだりするのが、似ているらしいですよ」
奉太郎「と言われても、意識してやっていないから分からないな」
える「私も、福部さんに言われるまで全然気付きませんでした」
える「でもやはり、自然にそうなると言う事は、折木さんの事を自然に見ていたのかもしれません」
俺はその言葉にまた、気恥ずかしい気分になり、頭を掻きながら答える。
奉太郎「すまんな、変な癖を移してしまった様で」
える「だって私は、幸せですから」
そう言い、俺の肩に千反田は頭を預けて来た。
奉太郎「そうか、なら俺も同じ気持ちだな」
える「……それは、良かったです」
それから数分だろうか、俺と千反田はそうしていた。
奉太郎「……じゃ、そろそろ帰るかな」
いつまでも居たら迷惑だろうし、俺もあまり遅くなってしまっては姉貴に何て言われるか分かった物では無い。
奉太郎「おい、千反田?」
える「……んん」
……当の千反田は、気持ち良さそうに寝ていたのだが。
とりあえず、このままにしておいて風邪でも引かれたら後味が悪すぎる、場所を移そう。
そうして千反田を部屋の中へと移し、畳んで置いてあったタオルを一枚、千反田に掛けて置いた。
奉太郎「さて、どうした物か」
このまま帰ってもいいのだが、この家には誰も戸締りをする者が居ない。
千反田の両親が帰ってくれば良いのだが……いや、状況的にはあまり良くないか。
しかしそんな心配も杞憂だろう。
今まで何度も家に来ているが、千反田以外の人物は見た事すら無いのだから。
恐らく千反田は、家事やら何やら一人でしているのだろうな。
それで今日、俺に料理を教え、疲れて寝たと言った所か。
なら、そうだな……
いや、むしろそのくらいしなければ罰が当たるかもしれない。
……違うな、俺はそんな神罰的な事等、信じていない。
それなら、理由としては。
千反田が起きるまでの暇潰し、としておこう。
これなら確かに合理的である。
俺は自分自身にそう、言い訳をすると食器の山へと立ち向かっていく。
奉太郎「ふわぁ……」
何だか俺も眠くなってきたが、こんな所で寝る訳にはいかない。
やはりさっき、俺が自分に言い聞かせたのは建前で、本心は多分。
千反田の手伝いをする為、と言った所か。
まあ、そんな理由なんてどうでもいい。
俺が今一番考えなければいけない事は……姉貴への言い訳と、何時に帰れるか、の二つである。
奉太郎「……眠い」
そして眠気と戦いながら、俺は食器とも戦う事となった。
第21話
おわり
奉太郎「そうか? 自分では全然分からんな」
える「正直、最初はどうしようかと思いました……」
奉太郎「悪かったな、そんなレベルで」
える「ふふ、冗談ですよ」
……こいつの冗談は、どうにも区別が付きにくい。
奉太郎「まあ、それもこれも全部、千反田さんのおかげです」
える「感謝の気持ちが、全く感じられないのですが……」
そうだろうか、こんなにも精一杯の言葉で現していると言うのに。
奉太郎「ありがとうな」
える「いいえ、このくらいならいつでも」
える「それに、私も楽しめましたので」
奉太郎「そうか」
俺と千反田が取り組んでいるのは、料理。
伊原の提案で、古典部全員で何かしら作る事になっていたのだ。
その事に対し、俺は別に……物凄くやる気があった訳では無い。
しかしまあ、やりたく無かった訳でも無かった。
千反田は何かを思い出したのか、人差し指を口に当てながら続ける。
える「作っていくお料理は、皆で揃える事になりました」
奉太郎「同じ物を作れって事か?」
える「ええ、比べるのにその方が良いと思いまして」
なるほど、確かに矛盾は無いな。
奉太郎「それで、作っていく物は何になったんだ?」
える「ええっとですね」
える「卵焼きです!」
卵焼き……卵焼き。
える「あの、折木さんが言いたい事が少し分かる気がします」
奉太郎「ほう、何だと思う?」
える「……今までの練習が、あまり意味の無い物に、と言う事でしょうか」
奉太郎「さすが千反田、その通りだ」
つまり、俺がここ最近千反田の家で練習していたのは、如何にも千反田らしい料理……
噛み砕いて言えば、ちょっと上級者向けの物だろうか。
俺は詳しい訳でも無いので、声を大きくしては言えないが……
卵焼きは恐らく、かなり初心者向けなのでは無いだろうか。
える「いつか役に立つ時が、来る筈です!」
奉太郎「やけに自信たっぷりだな」
える「ええ」
える「努力は必ず、報われますから」
ふむ、今まで大した努力もして来なかったので、俺にはちょっと分からない。
奉太郎「そうだと良いな」
える「絶対にです!」
える「私、努力をしている人は好きなので」
奉太郎「……そうか、それに俺も当てはまると良いんだが」
える「何を言っているんですか、折木さんが努力をしてきたのは、私が一番良く知っています」
奉太郎「……ああ、まあ」
俺も手を抜いて練習していた訳でも無いし、周りから見たらそれは努力をしていると呼べるのかもしれない。
だが何だか、自分で僕は努力をしていますと言うのも違うので言葉を濁してその話は終わらせる事にした。
える「まだ少し時間があるので、練習しましょうか」
奉太郎「そうだな、そうしよう」
……あれ、ちょっと待て。
奉太郎「ちょっといいか、千反田」
える「はい? 何でしょうか」
奉太郎「千反田は、知っていたんだよな」
奉太郎「皆で同じ料理……卵焼きを作ると言う事を」
奉太郎「なら何で、練習をすぐにそれに変えなかった?」
俺がそれを問いただした時、千反田はちょっとだけ焦っていた。
言葉にすれば、多分……しまった。 とかそんな感じの顔をしていた。
える「ええっと……」
える「あの、一緒にお料理をするのが……楽しかったので」
さいですか。
そして、その日がやって来た。
俺はいつもより少しだけ早く起き、それに取り組む。
とは言っても、大して練習する時間も無かったのは事実であり、結果にもそれは出ていた。
奉太郎「……なんと言うか」
卵焼きと言うよりかは、炒り卵と言った感じか。
手を抜いた訳では無いが……まあ、時間も無いし別に大丈夫だろう。
卵を焼いたのは事実なのだし。
俺はそれを小さい容器に入れ、鞄の奥へと仕舞う。
そのまま鞄を背負い、家を出て行った。
奉太郎「おはよう」
家を出るとすぐに、千反田が目に入ってくる。
これにも最近では随分と慣れてきた。
最初来た時は、事前に何も言われていなかったので相当驚いたが。
える「どうでした? 上手く作れましたか?」
学校までの道で、横に並んで歩く千反田が声を掛けてくる。
いつもはまあ、本当に他愛も無い会話をしているのだが、今日は勿論あれの事だろう。
奉太郎「ううむ、上手く……とはとても言えないな」
える「と言いますと、失敗したんですか?」
奉太郎「卵焼きと言うよりは、炒り卵と言った方が近いかもしれない」
える「そうでしたか……でも、焼いた事には変わりは無いので、大丈夫ですよ」
なんだ、俺は随分と投げやりにその結論を出したのだが……
千反田に同じ事を言われると、本当にそれが正しい気がしてくる。
奉太郎「そっちはどうなんだ?」
える「私ですか、私もあまり成功とは言えないかもしれません……」
奉太郎「珍しいな、失敗したのか?」
える「いえ、そう言う訳では無いのですが」
える「あ、それでしたら」
える「お昼に一つ、食べますか?」
える「いいえ、実はですね」
える「最初から、そのつもりだったので」
奉太郎「そうか……なら、貰おうかな」
える「ええ、福部さんや摩耶花さんには内緒ですよ」
奉太郎「分かっているさ」
奉太郎「それより、千反田が成功とは呼べない物には少し興味があるな」
える「気になりますか?」
える「気にならないんですか?」
奉太郎「……それも違うが」
える「どちらですか、それが私、気になってしまいます」
奉太郎「どっちかと言うと……少し、気になるかもしれない」
える「そうですか! それなら折木さんが気になる物、お昼まで楽しみにしておいてくださいね」
千反田はそう言うと、ようやく見えてきた校舎の中へと走って行ってしまう。
奉太郎「……何が満足なんだか」
俺は、聞こえてはいないだろう千反田の背中に向かってそう言うと続いて校舎に入って行った。
午前の授業も終わり、俺は古典部へと足を運んだ。
扉を開けると、すぐに窓際に座っている千反田が目に入ってくる。
一緒に古典部まで行けばいい、とは思うのだが……なんだかそれは、俺も千反田も自然と避けていた。
奉太郎「早いな」
える「そうでもないですよ、折木さんが遅いだけです」
……否定はしないが。
その言葉は軽く流し、千反田の向かいの席へと俺も腰を掛ける。
奉太郎「それで、成功しなかった卵焼きとやらを見せて貰おうか」
える「あの、あまりそればかり言わないでくださいよ」
える「そう言えば、折木さんには一度、卵焼きを作ってましたっけ」
あったっけか、そんな事が……
ああ、映画を一緒に見た時か。
奉太郎「とは言っても、かなり昔だな」
える「ふふ、そうですね」
える「時が経つのは早い物です」
千反田はそう言い、窓の外に視線を移した。
やめてくれ、まだ若いままで居たいから、そんな年老いた雰囲気は出さないで欲しい。
える「あ、そうでしたね」
える「どうぞ」
千反田は容器に手を掛け、開いた。
……なんだ、見た目は全然普通だな。
むしろ、俺のと並べたらそれは多分悲惨な事になるだろう。
奉太郎「じゃあ、いただきます」
俺はそう言うと、一つ卵焼きを口に入れる。
奉太郎「……うまいな」
何故、千反田が成功したと言わなかったのかが分からないくらいに、美味しかった。
奉太郎「ああ、こんな事で嘘は付かない」
える「少々、味付けを失敗したんですが……ちょっと濃くないですか?」
奉太郎「……いや、別に?」
える「そうですか、それなら良いのですが」
ここまで美味しいのに、成功じゃないと言われてしまったら俺はどうすればいいのだろうか……
奉太郎「俺が作った奴も、食べてみるか」
える「良いんですか? 是非!」
そこまで期待されても困るが。
鞄から容器を取り出し、千反田の前で開ける。
える「これは、確かに卵焼きと言うよりは炒り卵と言った方が正しいですね」
奉太郎「だろうな」
える「でも、食べてみなければ分かりませんよ」
そう言うと、千反田は少しだけその卵を取り、口に入れた。
える「おいしいですよ、折木さん」
……何だか、照れるな。
正面から言われると、どうにも目を合わせられない。
奉太郎「……そうか、それなら良かった」
それからは、それぞれの容器を仕舞うと弁当を広げ食べ始める。
まあ、千反田が美味いと言ってくれたから……これで少しは安心できると言う物だ。
味も最悪だったら、伊原に何と言われるか分かった物じゃないからな……
里志「と言う訳で、皆作ってきたかな?」
摩耶花「勿論、作ってきたわよ」
摩耶花「皆に聞くより、一人に聞いた方が良いと思うけど」
伊原はそう言いながら、俺の方に顔を向けてくる。
奉太郎「失礼な、俺もしっかり作ってきたぞ」
摩耶花「へえ、楽しみにしておくわね」
里志「じゃあ、ホータローのは最後のお楽しみにしておくとして、最初は僕でいいかな?」
える「そうですね、ではお願いします」
里志「了解! とは言っても普通のだけどね」
里志が取り出したのは、一見すると言葉通り、普通の卵焼きであった。
伊原の言葉を合図に、里志を除く三人が箸を伸ばす。
奉太郎「……うまいな」
何だろうか、少し辛い? そんな感じの味だ。
える「これは、明太子ですか?」
里志「そう、流石は千反田さん! 食べてからすぐに分かって貰うのは作る側として嬉しいよ」
摩耶花「……確かに、悔しいけど美味しいかも」
里志「ただの卵焼きじゃ、何だかつまらないと思ってね。 一工夫してみたんだ」
……なるほど、里志らしい考え方と言えばそうかもしれない。
える「あ、私でも構いませんよ」
里志「いやいや、次は摩耶花に頼みたいかな」
える「どうしてですか?」
里志「それは勿論、落差を楽しみたいから」
……覚えとけよ、里志め。
千反田は何か言いたそうな顔をしていたが、里志の勢いに流されてしまう。
摩耶花「それじゃあ、私のはこれ」
伊原のも、一見して普通の卵焼きか。
……見た目で違いなど、分かる訳無いか。
卵焼きを一つ箸で掴み、口に入れる。
奉太郎「む……甘いな」
える「みりんとお砂糖ですね、私はこの卵焼きも好きです!」
……さっきから思うが、千反田が料理の先生に見えて仕方ない。
里志「うん、美味しいね」
里志「……これだけ出来るなら、食べ比べる必要も無かったんじゃないかなぁ」
摩耶花「それ、ちーちゃんのを食べてから言って欲しいな」
える「そんな、私のも皆さんと同じくらいですよ」
千反田はそう言いながら、鞄から容器を取り出す。
里志「そうだね……って」
里志「気のせいかな、器に比べて中身が少なくない?」
本当に、小さい事を気にする奴だな。
える「あ、あのですね、器がこれしか無かったので……」
摩耶花「ふうん、まあ一つ貰うわね」
何とか誤魔化せたみたいだが、千反田の慌てっぷりから少々冷や汗を掻いてしまった。
もう少し、上手く誤魔化せない物か……
摩耶花「わ、これ美味しい」
里志「ほんとだ、味付けは普通に醤油かな?」
える「ええ、何か工夫をしようと思ったのですが……色々思いついてしまって」
摩耶花「それで、結局最初に戻ったって訳ね」
える「ふふ、そうです」
里志「まあ、それでも僕達のとはやっぱり比べ物にならないなぁ」
える「そんな事無いですよ、福部さんのも摩耶花さんのも、とても美味しかったですよ」
摩耶花「そうね、ふくちゃんのも美味しかったなぁ」
摩耶花「今度、作り方教えてもらおっと」
里志「うん、何か新しいのにもチャレンジしてみたいし、いいかもね」
里志「それより、一ついいかい?」
える「はい、何でしょうか」
里志「あ、いや。 千反田さんじゃなくて、ホータローに」
俺に? また急に……何だと言うのか。
……さっきは千反田に、心の中でダメ出しをしたが、どうやら俺もやらかしたらしい。
奉太郎「ああ、いや……食べる」
くそ、余計な事を考えすぎていたか。
える「は、はい。 どうぞ」
千反田も慌てながら渡してくる物だから、余計に怪しくなってしまう。
奉太郎「ありがとう、じゃあ貰うか」
俺も千反田の卵焼きを一つ貰い、口に入れる。
奉太郎「……美味いな」
ううむ、里志や伊原のとは違い……いや、二人のも十分に美味かったが。
比べるとやはり、千反田のは美味かった。
奉太郎「……ほら」
そう言い、俺は鞄からそれを取り出し、机の上に置く。
摩耶花「よっ」
勢い良く、伊原がふたを開いた。
里志「ホータロー、今日作ってくる物は何だっけ」
奉太郎「……卵焼きだな」
摩耶花「それで、折木が作ってきたのは何?」
奉太郎「……卵を焼いた物だ」
里志「違うね、これは卵を炒った物だよ」
さいで。
千反田のフォローが、少し辛い。
里志「うーん、まあいいか」
里志「それじゃ、頂きます」
里志と伊原と千反田は、それぞれ箸を伸ばす。
里志「……ちょっとしょっぱいかな?」
奉太郎「……醤油を入れすぎたかもな」
摩耶花「ちょっと、あんた真面目に作ったの?」
失礼な、かなり真面目に取り組んだつもりだと言うのに。
里志「やっぱり、練習した方が良かったかもね」
千反田との毎日の練習を、こいつらに見せてやりたい。
摩耶花「無いって! 絶対適当にやってたでしょ」
里志「そうそう、ホータローが真面目にやるのは、面倒事を避ける時だけだよ」
随分と酷い言われ様である、まあ……今に始まった事では無いので別にいいが。
奉太郎「それじゃ、今日のは終わりでいいか」
摩耶花「なんか納得行かないけど……ふくちゃんとちーちゃんのは、勉強になったしいいかな」
里志「了解、日が落ちると寒くなるから、そろそろ帰ろうか」
そう言い合うと、それぞれ自分の荷物へと手を伸ばした。
える「……待ってください」
何だ、この後に及んでまだ何かあると言うのか……
える「折木さんは、真面目に作っていました」
える「絶対に、適当にやっていた何て事は無いです」
える「……納得、出来ないんです」
別に、俺自身は大して気にしていないのだが……
える「一週間、一緒にお料理の練習をしていたんです」
える「毎日、学校が終わった後に」
える「そんな折木さんが今日、適当に作ってくる事は無いんです」
こうなってしまっては、千反田は結構頑固だ。
珍しく怒っている千反田に、里志は少し慌てていた様子だった。
それが見れただけでも、今日は散々言われた甲斐があったと言う物だ。
摩耶花「ご、ごめん。 知らなくてつい」
える「……すいません、少し言い過ぎました」
える「お二人がそれを知らなかったのも、当たり前の事です」
奉太郎「……まあ、俺は全く構わないんだがな」
奉太郎「今度何か奢って貰う事で、許してやろう」
里志「はは、それは冗談かい?」
奉太郎「それをどっちと取るかは、里志と伊原に任せるさ」
摩耶花「……急に偉そうになったわね」
……冗談のつもりだったが、普段冗談を言わないだけでこうも言われるのか。
える「では! 帰りましょうか」
える「もう少しで日が落ちてしまいますし」
里志「そうだね、また今度……次は何がいいかな?」
摩耶花「そうね、今度はちーちゃんに教えて貰って作りたいかな」
える「私で良ければ、いつでも大丈夫ですよ」
奉太郎「……俺はもう勘弁して貰いたいが」
摩耶花「折角教えて貰ってたのに、そんな事言うんだ」
里志「ホータローは、千反田さんの料理じゃ参考にならないって言いたいのかなぁ」
える「え、そうなんですか……折木さん」
……これは、またしても厄介な事になりそうである。
える「折木さんが、帰りに暖かい飲み物をご馳走してくれるみたいです」
ほら、なった。
奉太郎「却下だ」
里志「ああ、寒くて寒くて僕は倒れそうだ」
奉太郎「……却下だ」
摩耶花「私も……さっきから体の震えが止まらない」
奉太郎「……却下だ」
える「折木さんは、友達を見捨てるんですか!」
千反田、一つ教えてやろう。
その台詞は、笑顔で言う物では無いと。
……いかんいかん、これは年老いてからの駄洒落だろう。
そんな事を思い、かぶりを振りながらどう切り抜けようかと考える。
しかし良い考えが思い浮かばず、それならば別に、飲み物の一本や二本くらい……別に良いか。
……いや、良くはないだろうが。
外を歩き、肌には秋らしい冷たさが感じられる。
だが、不思議と暖かかった。
第22話
おわり
Entry ⇒ 2012.11.13 | Category ⇒ 氷菓SS | Comments (0) | Trackbacks (0)
京子「あかりが生徒会長だと!」
京子「あかりが生徒会長だと!」
あかり「わ~い、祝え、祝え!」
ちなつ「まさか、あのあかりちゃんがね~」
京子「いやー、推薦した私もビックリだよ」
結衣「おいコラ!」
ちなつ「きっとあかりちゃんが当選したのは、公約の所為だよね」
あかり「うん。あかりの公約は『>>6』だよぉ」
ちなつ「……そういえば、七森中って女子校だったんですね」
京子「そもそも、この世界に男っているのか?」
結衣「さぁ?」
あかり「でも、あかりたちのお父さんはいると思うんだよぉ」
ちなつ「まぁ、どうでもいいですけど」
結衣「どうでもいいんだ」
京子「しかし、この『共学化』で>>12を圧倒する票数をあかりは得たんだよな」
結衣「ああ。まさか、綾乃に圧勝するとはな」
ちなつ「杉浦先輩は少し凹んでいましたね」
結衣「ああ。だけど、今じゃすごく元気になったよな、京子」
京子「に、にらむなよ、結衣」
結衣「べ、別ににらんでなんかいない!」
あかり「……生徒会長になっても、あかりの存在感は薄いのかな~」
あかり「まずは、公約を果たすよぉ」
あかり「あかりもお姉ちゃんと一緒で嬉しいよぉ」
撫子「はぁ」
花子「はぁ」
櫻子「く、二人とも私を見ながら溜息を吐くな!」
楓「おねえちゃんと一緒で嬉しいの~」
向日葵「私もですわ、楓」
ともこ「赤座さんだけじゃなく、ちなつとも一緒に学生生活ができるなんて」ウルウル
ちなつ「共学ってこういう意味だったんだね、あかりちゃん」クス
結衣「そういえば、役員は決めたのか、あかり?」
あかり「あ、まだだったよぉ」
あかり「えーと、副会長は>>21、会計は>>23、書記は>>25、あと平役員に>>27を任命するんだよぉ」
ちなつ「あかりちゃん……私達のこと嫌いなの?」
あかり「そんなことないよ、ちなつちゃん!」
京子「でも、ちなつちゃんの言うとおりだぞ、あかり」
結衣「よせよ、京子」
京子「どうして、私達を、ごらく部を生徒会役員のメンバーに入れてくれないんだよ」
あかり「それはね……>>33だからなんだよぉ」
結衣「え!?」
京子「あ、あかり……」
ちなつ「あかりちゃん……今の言葉『お世話係』って、本心なの?」
あかり「えーとえーと」
あかり(言い方を間違えちゃったよぉ)アセアセ
ちなつ「何を慌てているの、あかりちゃん?」
あかり「えーとね、きっとあかりは生徒会でたくさん大変なことをしなくちゃいけないと思うんだぁ」
結衣「まぁ、そうだろうな」
ちなつ「だったら、普通の言い方で言ってよね、あかりちゃん!」
あかり「ご、ごめん。ちなつちゃん」シュン
結衣「しかし、あかりからいきなり『お世話係』って言葉が出た時はビックリしたぞ」
あかり「ごめんね~、結衣ちゃん」
京子「しかし、お世話係か……まぁ、今も半分似たようなことをしているかもな」ニシシ
あかり「き、京子ちゃん!」
京子「でも、否定できないんだろ、あかり」
あかり「……うん」
あかり(だからこそ、京子ちゃんや結衣ちゃんに恩返しをするために生徒会長頑張るよぉ)
りせ「……」
西垣「これで松本から赤座新会長への引継ぎは終了した」
りせ「……」
西垣「色々と大変だろうけど、赤座ならやれると松本は言っている」
あかり「ありがとうございます、松本先輩」ニコ
りせ「……」
西垣「松本は、生徒会長とは>>44であるべきだと言っている」
あかり「え!?」
りせ「……!」
西垣「なぁ、赤座……全裸は恥ずかしいか?」
あかり「そ、それは……」
あかり(あ、当たり前だよ。人前で裸になるんて恥ずかしすぎるよぉ)
あかり(あ、あれ……でも、松本先輩は全裸じゃなかったような……)チラッ
りせ「///」
あかり(なんでそこで赤くなるのぉ!?)
あかり「ふ、ふぇ」
西垣「冗談ってことさ」
りせ「……」ナデナデ
あかり「松本先輩?」
西垣「松本が言いたいことは、『ありのままの自分でいろ』ということさ」
あかり「ありのまま?」
西垣「ああ、生徒会長だからといって、特段気負う必要もない」
西垣「いつもの赤座でいろということさ」
あかり「あ」
りせ「……」ニッコリ
あかり「はい、頑張ります!」
あかね(副会長)「ふふ、輝いているわよ、あかり」パチパチ
まり(会計)「うにぃ~」パチパチ
櫻子(書記)「おお、あかりちゃんがかっこいい!」
めり「あかりちゃん、私も頑張るよ」
あかり「それじゃー、まず新生生徒会の最初の議題は、>>59だよ」
あかね「あらあら、掃除をサボっているような悪い子がいるの?」
あかり「うん。残念なことにいるんだよぉ」
櫻子「わ、私はサボっていないぞ」
まり「櫻子おねえちゃんは、掃除をサボっているの?」
櫻子「だから、サボっていねーし」
めり「櫻子ちゃんの場合は、向日葵ちゃんと張り合うから、色々と面倒くさいんだけどね」
あかね「ふーん。それはそれとして、掃除をサボるような子には罰が必要ね」
あかり「お姉ちゃん、何かいい案があるの?」
あかね「>>66よ」
あかり「お、お姉ちゃん!?」
まり「ぜんらって、なに?」
めり「えーと、まりちゃんにはちょっとまだ早いよ」
まり「そうなの」
めり「う、うん」
櫻子「……そ、それは私に対するあてつけか」
あかり「さ、櫻子ちゃん!?」
櫻子「向日葵や船見先輩みたいにスタイルがいい人間はいいさ」
櫻子「だが、私やあかりちゃん、ちなつちゃんみたいな人間には絶望しろと言うのか!」
あかね「大室さん、最後まで話を聞きなさい」ニコ
櫻子「は、はい!」
あかね「別にいきなり全裸でやらせはしないわよ」
あかり「そうなの?」
あかね「ええ、少しずつ制服を脱いでいくのよ。ワンピース、靴下といった具合にね」
櫻子「なるほど!」
あかり「え、それで納得しちゃうの、櫻子ちゃん!?」
めり「向日葵ちゃんに適用しようとしているんだろうけど、無理だと思うな~」ボソ
あかり「そ、それじゃー、お姉、じゃなくて副会長の意見に賛成の方は挙手するんだよぉ」
>>76のコンマ秒数が偶数なら成立、奇数なら不成立
パチパチパチパチパチ
あかり「それじゃー、次の議題は何かあるかなぁ?」
櫻子「>>84」
あかり「え!?」
めり「さ、櫻子ちゃん」アセアセ
あかり「どうして、どうしてごらく部を廃止しなければならないの、櫻子ちゃん!」グス
あかね「あかり……」
まり「おねえちゃん、泣いちゃダメだよ~」
あかり「あ、うん。ありがとう、まりちゃん」
あかり(ごらく部はあかりの大切な帰る場所なんだよぉ。だから、絶対に守ってみせるよ!)
あかり「うん、分かったよぉ」
櫻子「おう」
あかね「あと、あまりにも巫山戯た意見だった場合は、先に成立した罰則を与えるわよ」ニコ
櫻子「先に成立した罰則って?」
めり「櫻子ちゃん……もう忘れちゃったの?」
櫻子「い、いや覚えているぞ。めりちゃん」アセアセ
あかね「それでは、大室さんどうぞ」
櫻子「えーと、ごらく部って>>96じゃん」
あかり「……」
あかね「……」
めり(でも、それってごらく部と関係ないんじゃないような気がするんだけど)
まり「おねーちゃんって、ろりこんなの?」
あかり「え、違うよ。結衣ちゃんはロリコンじゃないよぉ」
あかり(ロリコンって、何だろう?)
あかね「あかりは、そんなこと知らなくてもいいのよ」ニコ
あかり「う、うん」
あかり「そ、そうだよぉ~。結衣ちゃんがロリコンだという証拠はあるの?」
櫻子「そ、それは……」
>>106「ここにある!」
あかり「えーと……誰だっけ?」
櫻子「おお、花子の同級生の……誰だっけ?」
まり「あ、みさきちゃんだー」
あかり「まりちゃん、知っているの?」
まり「うん。みさきちって呼ばれている」
櫻子「おお、そうだ。花子の友達のみさきちだっけ」テヘ
みさき「うう……みさきちって呼ぶなー」
みさき「……はい」
あかね「それは、みんなの前で話せる?」
みさき「」コクン
あかね「分かったわ。発言を許可します」
みさき「みさきを……部屋に連れ込んだ」
あかり「ゆ、結衣ちゃん……」
あかね「それで?」
みさき「……一緒にゲームをした」
まり「いつもおねーちゃんと何が違うの?」
みさき「……こ、しながら、ゲームをした」
櫻子「みさきち、聴こえないぞー」ブーブー
みさき「だっこ、しながらゲームをしたんだ!」
めり「……それって、ロリコンなのかな? 充分、微笑ましい気がするけど」
櫻子「え、十分ロリコンだろ!」
あかり「うーん。でも、たまにあかりもだっこというか、結衣ちゃんにぎゅーと抱きしめながらゲームするよ~」
あかね「」ピシ
あかね(あとで、結衣ちゃんからじっくりと話を聴くこととしましょう)
あかり「それじゃー、結衣ちゃんがロリコンだと思うなら、手を挙げて」
>>115のコンマ秒数が偶数のなら結衣=ロリコン、奇数なら結衣≠ロリコン
櫻子「これで、ごらく部は廃止だぁ!」
めり「さ、櫻子ちゃん、ちょっと」
まり「おねーちゃん、ろりこんなの?」
みさき「そうよ。だから、まりも気を付けなさい」
まり「う、うん」
あかね「あかり……大丈夫?」
あかり「うん。大丈夫だよ、お姉ちゃん」
あかね「そう? 無理をしないでね」
あかね(く、こんなにまで、あかりに大切に想われている結衣ちゃんが羨ましいわ!)
あかり「……次に意見がある人は挙手をお願いするんだよ」
めり「はい」
あかり「めりちゃん、どうぞ」
めり「>>123についてです」
あかり「め、めりちゃんまで!?」
櫻子「あ、そうか……ごらく部が廃止になれば、あの部屋は生徒会のものだよな!」
めり「学校のものだよ、櫻子ちゃん!」
あかり「うう……あかりが生徒会長になったのがいけないのかな」ショボーン
まり「おねえちゃん、うに食べる?」
あかり「ありがとう、まりちゃん」モグモグ
まり「うにぃ~♪」モグモグ
あかね(あかりが傍目から見てもすっかりしょげこんでいるわ)
あかね(ここは私が人肌脱いで、あかりのために>>132をしましょう!)
あかね「ちょっと、みんないいかしら?」
あかり「お姉ちゃん?」
あかね「これから、あかりの解体ショーをするわよ」ニコ
あかり「え!?」
櫻子・めり「!?」
まり「買いたいショー?」キョトン
まり「まりは、あかりおねえちゃんを100円で買いたいもん」
あかね「へ!?」
あかね「……ええ」
櫻子「おお、ビックリしたし。てっきり『解体』とか思ったぞ」
あかり「もう櫻子ちゃんったらー。お姉ちゃんがそんな非道いことする訳ないよね」ニコッ
あかね「」ゾクッ
あかね「ええ、勿論よ」アセアセ
あかね(さすが、私の妹ね。この私を一瞬でも怯ませるとは)
櫻子「それじゃー、全校生徒の前で、あかりちゃんのオークションを実施しよう!」
櫻子「いやー、個人的にあかりちゃんっていくらで買えるのか知りたいなーと思って」
めり「あ、確かに気になるかも」
まり「まりも~」
あかり「うう、純粋なまりちゃんまでこんな事を言っているよぉ。お姉ちゃん、何とかしてよぉ~」
あかね「……あかり」
あかり「お姉ちゃん?」
あかね「あかりのオークション開催よ!!」
西垣「さあ、これから赤座生徒会長のオークションを実施するぞ」
西垣「参加資格は、本校に所属している生徒のみ。ぶっちゃけ、『ゆるゆり』に登場するキャラだな」
西垣「なお、落札した者は、赤座生徒会長を一週間自由に出来る権利をプレゼントだ」
西垣「さぁ、オークションスタートだ」
>>140~>>145 の安価。
コンマ秒数が一番大きいキャラが落札者です。
西垣「この人だ。赤座あかね副生徒会長だぁ!!!!!」
あかね「ふふふ、当然よ」ニコ
結衣「うう、あかりをぎゅっと抱きしめながらナモクエしたかったなー」
ちなつ「うう、折角あかりちゃんと一杯キスの練習ができるとチャンスだったのに」
楓「おねえちゃんがもう一人欲しかったけど、残念なの~」
りせ「…………」ショボン
西垣「残念だったな、松本」
あかね「そんなことないわ、あかり」
あかり「お姉ちゃん?」
あかね「みんなあかりのことが好きなのよ」
あかり「そう……なのかな?」
あかね「みんな照れ屋さんだから、こんな風にしかあかりへの愛を注げないのよ」
あかね「だって、嫌いな子をわざわざオークションで落とす子なんていないわよ」
あかり「本当なの、お姉ちゃん?」
あかね「ええ、そうよ」
あかね(だけど、まだまだあかりへの愛が足りないわね)
あかね「当たり前でしょ、この私の可愛い可愛い妹なんだから♪」ニッコリ
あかり「うう、可愛いって恥ずかしいよ~、お姉ちゃん///」
あかね「だから、あかりも安心して生徒会長を務めなさい。ちゃんと私がサポートしてあげるからね」
あかり「うん」
オッワリ~ン
最後の安価はあまりにも流石すぎて、笑ってしまいました。
また、SS安価をやろうと思っているので、その際はよろしくお願いします。
Entry ⇒ 2012.11.13 | Category ⇒ ゆるゆりSS | Comments (0) | Trackbacks (0)
淡「まーじゃん大学だよ!全員しゅうごうっ!」
恒子「それでは学長、ありがたいお話をお願いしまっす!」
大沼「あー…」
(……ここは麻雀教育に力を入れた新設校、麻雀大学)
(高校麻雀で活躍した者は大体ここに入学してプロを目指す)
(もちろん大学なので普通の勉強もする)
(……ちなみに麻雀学部などは無い)
(ゆえに生徒たちにはどこかしらの学部に入ってもらう)
恒子「あれー、校長先生どしたんですか?」
大沼「……」
(……そして、生徒たちにはチームを組んでもらうことになっている)
(メンバーは学部学年出身校などには関係なく、アトランダムだ)
(メンバー数は5人、1チームにひとつずつ個室と雀卓が用意されている)
(切磋琢磨しあい、雀力を高めてほしい)
(……チーム対抗型のイベントなども用意する)
(楽しく仲良く過ごしていくなかで己を成長させていってくれ)
(……年齢とか設定とかいじられてるものもあるかもしれん)
(その辺はパラレルだと思って大目に見てほしい)
「……以上だ」
恒子「まじっすか!校長先生のお話でした!」
――教室
えり「……ですから、この……は……の表れかもしれませんね」
淡「…」Zzz
小蒔「…」カリカリ
えり「そして……このころ芥川は……ですから…」
淡「…」Zzz
小蒔「…」カリカリ
えり「つまり……あら、そろそろ時間ですね」
「最後に中間レポートの課題を出して、今日は終わりにしましょう」
淡「…」Zzz
小蒔「れぽーと?」
えり「レポート課題は……」カキカキ
小蒔「!」
「……」カリカリ
えり「ではまた来週ですね レポート忘れないようにしてください」
小蒔「淡ちゃん淡ちゃん」ツンツン
淡「んー……ブンガク終わったー…?」ウトウト
小蒔「うん、終わりましたよ」
淡「テーネー語きんしっ」ツンッ
小蒔「あうっ ええっと、ごめん?」
淡「うんっ、オッケー」
小蒔「えへへ」
淡「? なに?」
小蒔「れぽーとが出たよ」
淡「…れぽおと?」
小蒔「えっとね、サカグチアンゴのこれを読んで……感想を……」メモミセ
淡「んー…??よく分かんないねー」
小蒔「本は学校の生協で安く買えるって言ってたよ」
淡「おおっ、すごいね」メモメモ
小蒔「ていしゅつは再来週までだって」
淡「うん、ありがとーコマキっ」メモメモ
「ようっし、授業おわりー! 麻雀麻雀っ」
淡「……れぽおと明日までじゃん」
「どーしよう! 課題の本買ってすらないよ!」
「コマキは書いたのかなー?」ピッポッパ
プルルルル ガチャ
小蒔『もしもし、神代です』
淡「コマキー、明日のれぽおと書いたー?」
小蒔『? えっと、にほんぶんがくの?』
淡「うんうん」
小蒔『もうちょっとで終わりそうだよ』
『淡ちゃんは?』
淡「わたしまだ本も買ってなくって」
小蒔『…』
『えっ?』
淡「や、やっぱまずいかなー…?」
小蒔『ええっと…小説自体はそんなに長くないんだけど……』
『なんか…むつかしいっていうか……』
淡「うー…こまった」
小蒔『それに、本ももう置いてないかもだよ…?』
淡「!! ますますこまったっ」
小蒔『どうしよう…どうしましょう淡ちゃん…』アタフタ
淡「お、おちついてコマキっ! テーネー語きんしっ!」アタフタ
小蒔『ごっ、ごめんなさっ…』
淡「…!」ポンッ
「そ、そうだっ、コマキっ」
小蒔『…?』
淡「チームメイトに相談してみるよっ」
淡「ふっふっふー麻雀ばっかりですっかり忘れてたよー」
「わたしには強いみかたがいるってことをねー」
「そう、なにを隠そう…なにを隠そう、うちのチームには読書狂が……」
ガラガラッ!
淡「何人かいるっ!!」
咲「!?」ビクッ
「…?」
「えっと…こんにちは?淡ちゃん」
淡「サキー!」ダキッ
咲「わわっ、どうしたの…?」
淡「ニッポンブンガクがわかんないよー!」エーン
咲「…文学? 授業の?」
淡「うん、課題の本も買ってないのー助けてサキー!」エーン
咲「ええと…あそこの本棚にあるのなら貸せるけど…」
淡「読んでもムツカシイからわかんないよー!」エーン
咲「ええっと……」
照「なにを騒いでるの?咲、淡」
咲「おねえちゃん」
淡「テルー!」ダキッ
照「淡?」
淡「ニッポンブンガクがわからないよー!」エーン
照「? どういうこと?」
咲「授業の課題があるんだって」
淡「助けてテルー!」エーン
照「…? そこの本棚にある本なら貸せるけど」
淡「読んでもわからないよー!」エーン
淡「読書好きのふたりが、れぽおとの書きかたを教えてくれたらなーって」
咲&照「…?」
咲「日本文学のレポートなんだよね?淡ちゃん」
淡「うんっ、うんっ」
照「だったら簡単」
淡「うんっ、うんっ?」
咲&照「読んで思ったことを書けばいい(んじゃないかな…?)」
淡「…あ……ああ……」
咲&照「?」
淡「…あアァ、あ…ァ……」
(だ、だめだこのふたり…いまのセリフ、その目…)
(なにができないのか、本当にわかってない目だ…)
(純粋で、悪気なんていっさいなくて、本当に不思議がってる…)
咲&照「??」
淡(……そんな目だ)
咲「うん 淡ちゃん、本は勝手に持っていっていいから」
淡「……うん、ありがとサキー…」
照「ばいばい」フリフリ
咲「レポートがんばってね」フリフリ
ガラガラ…
淡「……」
「……おわった」
ガラガラ
恭子「あれ、大星だけかいな?」
淡「あ…キョウコ…」
恭子「? なんや、元気ないな」
淡「ニッポン…ブンガクが……わからな……はあ…」
恭子「…? 本ならそこの宮永文庫から借りたらええ」
淡「いや…そうじゃな……」
「……」
「…宮永文庫っ!?」
恭子「…なんや知らなかったんか?」
「宮永姉妹の読書っぷりは量・質ともに常軌を逸しとるで、」
「この、ふたり共有の本棚には古今東西のあらゆる本が眠っとって、」
「畏敬の念を込めて宮永文庫と呼ばれ、」
「うちのチーム以外の生徒どころか、教授陣まで利用するくらいなんやで」
淡「すごい!」
恭子「なにに困っとるんか知らんけど、ほしい本が無いってことはないと思うで」
淡「! そうだ、こまってたんだった…!」
恭子「…だいじょうぶかいな」
淡「ううー…キョウコー…」ウルウル
恭子「……」
「…はあ なんや、話してみ」
淡「!」
恭子「できることなら協力したるで」
淡「キョウコー!」ダキッ
恭子「……」
「はあー…」
淡「ためいきっ!?」
恭子「授業は寝てて、本は読んでないて、それで困らないわけないやんか…」
淡「せいろんっ!?」
恭子「…で、課題本はなんやねん」
淡「! 手伝ってくれるの!?」
恭子「課題本次第やな…ものによっては正直諦めるしかあらへんよ」
淡「あ…」
恭子「…嫌なん?」
淡「……うん」
恭子「そか」
淡「キョウコ、怒ってる…?」
恭子「……いや、別に怒ってへんよ」
淡「?」
恭子「しんどいけど、手伝ったるか って思っとっただけや」
淡「!!」
淡「ありがとー、キョウk――」
恭子「抱きついとる暇ないで 課題本は?」
淡「え、ええっと……」
恭子「?」
淡「タ…カムチ……バンド…?」
恭子「……」
「うん、ありがとーコマキー」ピッ
恭子「わかったか?」
淡「サカグチアンゴのサクラノモリノ…なんとかだって」
恭子「なんでもう忘れとんねん…」
「ええと…これやな」っ安吾
「桜の森の満開の下、や」
淡「! そう!これ!」
恭子「……」
淡「……」ワクワク
恭子「…?」
淡「……」ワクワク
恭子「…読まへんのか?」
淡「え?」
恭子「なにが え? やねん」
恭子「……手伝いってどんな手伝いを期待してるんや?」
淡「よ…読んでくれて…」
恭子「うん」
淡「…教えてくれて」
恭子「うん」
淡「……書いてくれる」
恭子「うん」
淡「みたいな?」
恭子「あほ」デコペチン
淡「あう」
恭子「あほ」デコペチチン
淡「あうう」
恭子「超あほ」デコペッチーン
淡「あうううー…」
淡「…うん」
恭子「せやからもちろん読むのも自分でや」
淡「! で、でもっ!」
恭子「なんや」
淡「こんなムツカシイ本読んだことないもん!」
恭子「こんなもなにも、まだ開いてもないやろ」
淡「コマキがムツカシイって言ってたもん!」
恭子「やったらどないすんねん やっぱり諦めるんか?」
淡「あ…」
恭子「…」
淡「…ん、と……」
恭子「…」
淡「…」
「……」ウルッ
恭子「……」
淡「……」ウルウル
恭子「…」
「…」ハァ
「…あほ」ペチン
淡「あう」ウルウル
恭子「泣くほど嫌ならがんばるしかないやろ」
恭子「……なあ大星」
淡「…うん?」
恭子「わたしは代わりにがんばってはやれへんけどな」
淡「…?」
恭子「それでも、がんばりかたくらいは教えたるで」
淡「!」
恭子「せやからまず泣くんやめや」
淡「…」ゴシゴシ
「うんっ!」
恭子「…」フー
「したら始めるで、本開き」
淡「うん!」
「辞書は持っとるか?」
淡「うん」
恭子「そしたら分からん単語とか漢字とかはそれでひきながら読むんや」
淡「うー…めんどくさい」
恭子「しゃーないことや」
淡「うん…」
恭子「あとは読んでて意味分からんこととか引っかかることとかをメモしぃ」
淡「意味ワカランこと?」
恭子「せや なんでこんなことするんやろとか、言うんやろとか」
「なんでこうなるんやろ、どういうことやろとか」
「すんなり分からんことをメモしながら読むんや」
淡「なんで?」
恭子「後でレポート書くときのポイントになりやすいからやな」
淡「むむー…? …?」
恭子「まあやってみたら分かるで」
淡「? うん」
淡「キョ、キョウコ!」
恭子「? なんや?」
淡「じ、辞書でもわかんないことが有ったら……その…」
恭子「ああ、そん時は訊いてや」
淡「!」
「ありがとーキョウコー!」ダキッ
恭子「…ほら、はよ読み始めんと」
淡「もーちょっとだけー」スリスリ
恭子「…」
淡「キョウコー」スリスリ
恭子「…」
「…」ハァ
「しゃーないな、ほんま」ナデ
恭子「ああ、これはここが2画で……」
淡「キョウコー、せつめいぶんの意味が分からないよー」
恭子「んーと、これはたとえばやな……」
淡「キョウコー」
恭子「どれどれ……」
淡「キョウコー」
恭子「これこれ……」
淡「キョウコー」
恭子「それそれ……」
恭子(……あかん、こっちの課題がはかどらへんな)
淡「…」ペラ
「…」ウーン
「…」ペラペラ
恭子「…」
(…まあ、しゃーないか)フゥ
恭子「おつかれさん」
淡「つかれたー」バターン
恭子「ほら、読み終えたんやから書かな」
淡「キョウコーぎゅってしてー」ゴロロン
恭子「なにかわいいこと言っとんねん」
淡「!?」ドキッ
恭子「…? なんや、急に飛びはねて」
淡「いいい、いま、キョ、キョウコ……」カアァ
恭子「なに?」
淡「…あ……あー、ううん、なんでもない……」
恭子「?」
淡「び、びっくりしちゃっただけだから…」
恭子「…?」
淡「うん、したよ」
恭子「そしたらこれについてじっくり考えてみたらええ」
淡「? どういうこと?」
恭子「なんでやろなあとか、なんやったんやろなあとか」
「そういうこと考えてみれば自然と作品の理解につながるやろ」
「そこから話をふくらませばレポートのかたちにはなるで」
淡「んー…でもよくわかんなかったよー…?」
恭子「難しくかんがえることあらへん」
「別に国語の問題やないし、本格的な論文でもないんや」
「書いてあることからズレないように、誠実にかんがえればそれでええ」
淡「んー…?」
恭子「こればっかりは気持ちの問題やで」
淡「んー… わかった、やってみる」
「…」ペラペラ
「…」ウーン
恭子(…ちゃんとやっとるみたいやな)
淡「んー…?」ペラ
恭子(なんだかんだ言うて、根は素直っちゅーか、なんちゅーか…)フー
淡「!」ポン
「…」カキカキ
恭子(…よし、こっちも課題やるか)メガネツケ
淡「ど、どうかな…?」
恭子「んー…誤字とか文がおかしいとことかはまだあるなあ」ジー
「こことかこことか、これも日本語としてちょっと変やろ」ユビサシ
淡「うう…」
恭子「けどまあ、それさえ直せばだいじょうぶやな」
淡「! それって…!」
恭子「レポートできあがりや」
淡「やったあー!!」
恭子「…」フゥ
淡「やったよキョウコー!」ダキッ
恭子「ようがんばったな」
淡「ほめてほめてー」
恭子「えらいえらい」ナデ
淡「えへへー」
淡「らーめん?」
恭子「がんばったご褒美におごったるで」
淡「ほんと!?」
恭子「ああ、学校の裏においしいラーメン屋があるんや」
淡「いく!」
恭子「ほな出よか」メガネハズシ
淡「あ、めがね…」
恭子「?」
淡「…とっちゃうの?」
恭子「…? メガネは勉強するときだけつけてるんや」
「町歩いたりするのに困るほどやないからな」
淡「そっかー…」
(…キョウコのめがね、にあってたのになあ)ジー
恭子「?」
えり「では、名前を呼ばれた人から取りに来てください」
淡「…」ドキドキ
アタラシサン ハイ
小蒔「きんちょうするね…」
淡「うん…」
モリガキサン ハイデー
淡(…だいじょうぶ!)
(キョウコがだいじょうぶって言ってくれたんだから…!)
えり「神代さん」
小蒔「はっ、はいっ!」タッタッタ
ヨクガンバリマシタネ ア、アリガトウゴザイマス…
淡(…だいじょうぶ)ドキドキ
淡「! ふぁいっ!」タッタッ
カンダネ カワイー チョーカワイイヨー
淡「…」カアァ
えり「…大星さんは、レポート、苦手ですか?」ヒソヒソ
淡「! は、はい…」コクン
えり「やっぱり」ヒソヒソ
淡「あ…あの…」
えり「でも」
淡「…?」
えり「がんばりましたね、よく書けてましたよ」ニコッ
淡「!!」
えり「次もがんばってくださいね」
淡「は、はいっ!」
淡「キョウコー!」
咲「!?」ビクッ
照「?」
恭子「なんや大星、ごきげんやな」
淡「じゃじゃーん! レポートかえってきたの!」
恭子「! どれどれ」
「おー、結構評価いいやんか」
照「ほんとだ、いい点」
咲「すごいね淡ちゃん!」
淡「えへへー、キョウコのおかげだよー」
恭子「がんばったんは大星や、胸張ってええ」
淡「…えへへ」
照「うん」
淡「わたしね、結局あの本買ったんだー」
咲「? レポート終わってから?」
淡「うんっ なんかほしいなって思って」
恭子「へえ、ええな」
淡「でしょー」
「わたし、ちょっとブンガク好きになったかも」
恭子「うん」
淡「あとキョウコも好きー!」トビツキッ
恭子「わ、大星、あぶな…」
淡「わたしたちもブンコつくろーキョウコー!」スリスリ
恭子「なにいうて、ちょ、ええからちゃんと立ち、おおほしっ」
淡「キョウコー!」スリスリ
カン!
漫『このときをたのしっ メナイっ! メマイっ!』
シロ「……」シャンシャン(タンバリン)
漫『ゆぅめぇじゃーないっあれもこれもぉー!』
『その手ぇでドアうぉっ開けましょーう!』
霞「わあ、かっこいい歌ねえ」シャンシャン
漫『しゅぅくぅふくがっ欲しいのならー!』
『かなしぃみを知りっ ひとぉーりぃで泣ーきましょーう!』
優希&初美「フゥフゥー!!」
漫『そしてぇっ かーがやくウルトラソウッ!』
優希&初美「ヘイッ!」
霞「すてきだわあ」パチパチ
漫「えへへ、どーもどーも」テレ
問題ノーウェイ
漫「はっつっみぃー!」
初美『あいにーじゅー』
優希「はっつっみぃー!」
初美『あいらびゅー』
漫&優希「はっつっみぃー!!」
霞「かわいい踊りねえ、はっちゃん」シャンシャン
シロ「……」シャンシャン
霞「ふふふ」シャンシャン
シロ「……霞」シャン
霞「? なあに、シロちゃん」シャン
シロ「…霞は歌わないの?」
霞「えっ、わたし?」
漫「石戸先輩、どーぞ歌ってください」
霞「で、でもわたし、あんまり最近のうた、しらなくって…」
優希「だいじょーぶ! 霞ちゃん先輩かわいいからオールオッケーだじぇ!」
漫「そーですよ! ほら、曲入れてください」
霞「え、ええと…」
シロ「……霞」
霞「…?」
シロ「…霞の歌、聴きたい」
霞「! シロちゃん…」
シロ「聴きたいな」
霞「……」
「…」コクン
「わかったわ」
優希「やたー! さっすがシロ先輩だじぇ!」
(歌うとは言ったものの…)
優希『ダッシュ!ダッシュ!オーレンジャー!』
霞(なにを歌えばいいのかしら…)
優希『あっつい血ながれぬ 鋼のっ マッシンー』
霞(かっこいい曲…?)
(ええと、オザキさんとかかしら…)
(ぬーすんだバーイクではーしりだすっ)
(……不良だと思われちゃうわよね)
優希『あしたにっ むかあてっ 勇気を 燃やせばー!』
霞(じゃあはっちゃんみたいにアイドルソング…?)
(さっきのは、ええと…モーニングむすめ?さんだったかしら?)
(……知ってる曲がないわ)
優希『はしりだしたらっ! とまーらなーいじぇっ!』
漫&初美「オレー!」
シロ「…」シャンシャン
霞「…」ウーン
シロ「…」シャンシャン
「……霞?」
霞「!」ビクッ
「なっ、なあに、シロちゃん?」
シロ「…霞の好きな曲を歌えばいいよ?」
霞「…?」
シロ「……」
「…無理して最近の曲とかにしなくていい」
霞「…!」
シロ「…むかしの歌も好きだし」
「……それに、好きな歌うたってる霞がみたい」
霞「!!」
シロ「それだけだから」
霞「シロちゃん…」
「じゃあこれを…」ピッピッ
シロ「うん」
テンソウシマシタ
優希「ふいー、なかなかの消費カロリーだったじぇー」
漫「次は石戸先輩ですね」
初美「たのしみですよー」
霞「…」ドキドキ
シロ「……」
霞「…」ドキドキ
シロ「……」クイクイ
霞「…?」
シロ「…がんばって」
霞「! …ええ」コクン
テロテテンテッテ テロテテンテンッテ
霞『はーるいろの汽車にのーって』
優希(こっ、これは…!)
霞『たーばこのにおいのシャーツに そおと より添うからー』
漫(あかん…想像以上や…)
霞『なーぜ 知りあった日から はんとーし過ぎても』
初美(これは、想像以上に…)
霞『あなたーって 手もにぎらないー』
優希&漫&初美(かわいい!!)ドッキーン
霞『あいうぃるふぉろゆ あなーたに ついてゆきたーい』
優希(かわいすぎるじぇ霞ちゃん先輩…!)ドキドキ
霞『あいうぃるふぉろゆ ちょおぴり 気がーよわーいけど』
漫(しかもどこか色っぽいっちゅーか…あかんでほんま…!)ドキドキ
霞『すてきなー ひとだからー』
初美(聖子ちゃんは反則ですー…どきどきしちゃいますよー…)ドキドキ
テロテーン…
霞「…ふう」
優希&漫&初美「…」ポーッ
霞「…?」
「あ、あの……ダメ…だったかしら…?」
優希「そっ!そんなこと全然ないじぇ!」
漫「すっごいかわいかったです!」
初美「霞ちゃん、結婚しようですよー」
霞「え、あ…ええっと……」
シロ「……霞」
霞「! は、はいっ」
シロ「よかった」
霞「!!」
「あ、ありがとう…」カァ
優希「シロ先輩、霞ちゃん先輩、ばいばいだじぇ」フリフリ
漫「おつかれさまです」フリフリ
初美「ばいばいですよー」フリフリ
霞「また明日ね」フリフリ
シロ「…ばいばい」フリフリ
霞「…」テクテク
シロ「…」テクテク
霞「…そういえば」
シロ「…?」
霞「シロちゃん歌わなくてよかったの?」
シロ「……んーと」
霞「…?」
シロ「……」
「…恥ずかしいから」
「…ぷっ」
「ふっ…ふふ、なあにそれ」クスクス
シロ「……」
霞「ふふ、あははは」
シロ「……笑いすぎ」
霞「ご、ごめんなさ、ふふっ」
シロ「……」
霞「…ふう、おかしかった ほんと、笑いすぎね」
シロ「……」
霞「ごめんね、シロちゃん?」
シロ「…別にいい」
シロ「…?」
霞「今度はふたりで行きましょうか カラオケ」
シロ「!」
霞「それなら恥ずかしくないでしょう?」
シロ「……」
「…いちばん恥ずかしいんだけど」
霞「ええ、なんでー…?」
シロ「……」
霞「わたし、シロちゃんの歌聴きたいわ」
シロ「……」
「…恥ずかしいとは言ったけど」
霞「…?」
シロ「行かないとは言ってない」
霞「!」
シロ「……一緒にいこ、霞」
霞「そうしたら歌ってくれる?」
シロ「…うん」
霞「やったあ」
シロ「……」
霞「ふふふ たのしみだわあ」ルンルン
もいっこカン!
――チーム部屋棟
ガラガラ
塞「やっほー、って、あれ?」
ゆみ「来たか、塞」
哩「したら、行くかいね」
菫「そうだな」
塞「? みんなでどこか行くの?」
「あれ?でも、華菜がいないけど…」
ゆみ「その池田の家に行くところだ」
塞「?」
哩「池田んやつ、風邪ばひいて寝込んどるとよ」
塞「えっ、マジ? 珍しいね」
菫「あいつがダウンすると妹さんたちが大変らしくてな」
「その面倒を見るついでに看病してやるかってことになったんだ」
塞「なるほどねー」
ゆみ「ここだ」
ピンポーン
城菜「? おきゃくさんだし」
菜沙「まった! すぐドアあけちゃダメだし!」
緋菜「あいことばをいってもらうし」
ゆみ「合い言葉?」
緋菜「おねえちゃんはいけだかな?」
ゆみ「? 池田だよ」
緋菜「せいかいだし いまあけるし」
ゆみ「??」
塞「なんかかわいいね」
哩「そうやね」
ガラガラ
緋菜「ようこそだし」
ワハハ「」
ゆみ「ああ、今日は友だちも一緒だ」
菫「? 知りあいなのか?」
ゆみ「何度か来たことがあってな」
「入っていいか?」
菜沙「どうぞどうぞだし」
塞「おじゃましまーす」
哩「お姉ちゃんばどこにいると?」
城菜「あっちのおへやでねてるし」
ゆみ「そうか、ありがとう」
ガララ
ゆみ「池田、看病に来たぞ」
華菜「あー…来てくれたのか… たすかるし…」ゴホゴホ
華菜「うん…かまわないし…」ゴホ
ゆみ「なにか食べれそうなのか?」
華菜「たぶん…お粥とかなら食べれるし…」ゴホゴホ
ゆみ「そうか」
哩「ほら、タオル変えちゃると」
華菜「先輩…ありがとうだし…」ゴホ
菫「これは思った以上につらそうだな」
塞「華菜ー、家のことはわたしたちに任せていいからね」
ゆみ「ああ、だから余計な心配はしないで、できるだけはやく治せ」
華菜「みんな……ほんとに、恩に着るし……」ゴホゴホ
「菫と塞は、それができるまで妹たちの相手をしてやってくれ」
哩&菫&塞「りょうかい」
ゆみ「頼んだぞ」
哩「したら買うてきたシャケば捌いちゃってよかと?」
ゆみ「ああ たまごはお粥につかおう」
哩「ネギも入れちゃらんとね」
ゆみ「うん 包丁は…これでいいか」
塞「よーし、なにして遊ぼっか?」
菜沙「うーん、むずかしいもんだいだし」
城菜「おうまさんごっこがいいー」
塞「オッケー」
緋菜「おおお、はやいし!」
城菜「さえちゃんすごいし!」
塞「へへー まだまだこんなもんじゃないよー パカラッ」
菜沙「…」ジーッ
菫「? おうまさんごっこするか?」
菜沙「ううん」フルフル
菫「いいのか?」
菜沙「うん、かたぐるまがいいし」
菫「! いいぞ、じゃあ乗っかって」シャガミ
菜沙「やっただし!」トビノリ
菫「そーら」タチアガリ
菜沙「わわ、たかいたかいし!」
緋菜&菜沙&城菜「おおーっ!」
緋菜「すごいし!」
菜沙「ひゃっぱつひゃくちゅうだし!」
城菜「かっこいいー」
菫「ふっ」
塞「すごいね、おもちゃの弓なのに」
菫「なに、慣れてしまえばそう変わらないさ」
ガララ
哩「ごはん、もうすぐできるとよー」ヒョコン
菫&塞「!」
緋菜&菜沙&城菜「はーい」
塞「い、いまの見た…?」
菫「ああ… 哩…」
菫&塞(ナイスエプロンっ!!)
緋菜「やったー!」タッタッタ
菜沙「いっただきまー…――!」
城菜「……うう、シャケだし…」
哩「! シャケば嫌いやったか…?」
緋菜「ううん、きらいじゃないし…」フルフル
菜沙「で、でも……」
哩「…?」
城菜「……ほねがあるし」
哩「なんだ、そんなこととね」ホッ
緋菜「ほねがいたいからシャケはたべれないし……」
哩「したらお姉ちゃんが全部とってやるとね」
緋菜&菜沙&城菜「!」
哩「ほら、貸して」
緋菜「わあー」キラキラ
菜沙「おいしいし!」キラキラ
城菜「ありがとうだし」キラキラ
哩「よかよよかよ」
「ほら、お味噌汁もあるけんね」
緋菜「わあー」
菜沙「こっちもおいしいし!」
城菜「まいるちゃん、おりょうりじょうずだし」
哩「ふふ、ありがとうね」
緋菜「おかあさんみたいだし」
哩「!」
菜沙「およめさんにしたいし!」
哩「な、なに言うと…」カァ
城菜「まいるちゃんすきだし」ダキッ
哩「!!」カアァ
「ほら」っお粥
華菜「じ…じぶんで食べれるし……」フラン フラン
ゆみ「いいから」
華菜「うう……」カァ
「…あー、ん」パク
ゆみ「熱くないか?」
華菜「ん…だいじょうぶだし……」
ゆみ「そうか」
「…」フー フー
華菜「…」
ゆみ「ほら」
華菜「……ありがとな」
ゆみ「かまわない」
華菜「……心細かったんだ、しょうじき」
華菜「うん…あたしもそー思う……」
ゆみ「ほら、食べろ」
華菜「ん…」パク
「…」
「…ほら…うちって大人があたししかいないだろ?」
ゆみ「…」
華菜「なんかあったらどうしようとか…考えちゃうんだよなー……」
「…ひとりでいるとさ」
ゆみ「…」フー フー
華菜「妹たちはあんなだから……いざって時は…あたしが……」
ゆみ「…」ナデ
華菜「にゃっ!」
ゆみ「ほら」
華菜「…?」パク
ゆみ「……そういえば、明日は授業がないんだ」
華菜「!」
哩「お粗末さま」
緋菜「まいるちゃん、いっしょにあそぶし!」クイクイ
哩「いや、お片づけせんと」
塞「あーやっとくやっとく」
菫「皿洗いくらいはしないとな」
菜沙「はやくはやくだし!」クイクイ
城菜「あそぼー」クイクイ
哩「わかったわかった、遊ぶけん、袖引っ張っちゃダメたい」
キャッキャッ キャッキャッ
塞「あはは、哩大人気だね」
菫「あの子たちも安心するんだろうな あれでも1日心細かっただろうから」
塞「なんていうか、母性? っていうのかね」
菫「ああ、わたしたちじゃ、ああはいかないな」
菜沙「ほらはやくのってだし!」
哩「え、いや…わたし、重かよ? 無理やって」
緋菜「えー、むりじゃないし」
菜沙「はやくはしるし」
哩「いやいや…そげん言うても」
城菜「…」ジーッ
哩「べ、別の遊びばしよ?」
城菜「じゃあかたぐるましてあげるし」アシクグリ
哩「ひゃっ!」
哩「ちょっ、脚、くすぐったかよ」
緋菜&菜沙「わたしたちもやるし!」
哩「まっ、待って、ダメっ…」
ガララ
ゆみ「ちょっといいか、今夜のことなんだ……が…?」
哩「!」
ゆみ「……面白いことになってるな」マジマジ
哩「…み、見んといて」カアァ
菫「! 哩…その、なんだ…だいじょうぶか…」
哩「ええから…! ゆみ、話ってなんとよ」
ゆみ「…ああ、今夜なんだが」
「わたしは土曜授業はないから、ここに泊まっていこうと思う」
「もうちょっと池田についておいてやりたいしな」
「みんなはどうする?」
塞「わたしも授業ないし、いいよ」
菫「おなじく」
緋菜「やったし!」
菜沙「みんなおとまりだし!」
哩「…」
城菜「…」ジーッ
「まいるちゃんは?」
菜沙「まいるちゃんいっしょにねるし!」
哩「んんと…」
(あしたは、授業ばあるんやけど……)
城菜「…まいるちゃん」ダキッ
哩「!」
(…ま、1日くらいサボってもよかね)
ゆみ「もちろん無理にとは言わないが」
哩「いや、よかよ」
緋菜&菜沙&城菜「!!」
哩「わたしも今日はお泊まりするたい」
緋菜「やったしー!」
菜沙「まいるちゃんだいすきだし!」ダキッ
城菜「…」ギューッ
哩「こっ、こら」カアァ
緋菜「まいる……ちゃ…」ムニャムニャ
菜沙「ぱか…ら……ぱか……」ムニャムニャ
城菜「かたぐるま…はっし……だし」ムニャムニャ
哩「ほら……ふとんばせんと…かぜ…ひくと……よ…」ムニャムニャ
菫「これがほんばの……しゃーぷ…しゅーと……ばしゅんっ…」ムニャムニャ
塞「あはは、寝言で効果音言ってる」
「…」
「華菜たちは寝たかな」
塞「…」ヒョコン
華菜「…」Zzz
ゆみ「……塞か」
塞「あれ?もしかして寝ないで看病するつもり?」
ゆみ「いや、そこまではいいだろう 熱も引いてきたみたいだしな」
塞「そう よかった」
華菜「……にゃー…うらはめくらないで……おいてや…にゅ…」ムニャムニャ
塞「ふふ はやく良くなってね、華菜」
ガラガラッ!
華菜「華菜ちゃん大復活だし!」
哩「ドアは静かに開けんね」
華菜「はいだし!」
菫「こないだのが嘘みたいに元気だな」
華菜「死の淵から蘇った華菜ちゃんは元気百倍だし!」
哩「そらよかったとね」
ガラガラ
塞「お、華菜ー 治ったんだ」
華菜「おかげさまで全快しましたし!」
塞「おーよかったよかった」ナデナデ
菫「…」フッ
塞「ほんと心配したよー 華菜が元気ないとなんかさみしいしさー」
哩「これでまた賑やかしくなるとね」
華菜「みんなまた来てほしいって、妹たちも言ってましたし」
塞「おっ、じゃあまたみんなでお邪魔しますかー」
哩「そやね、わたしも行きたか」
菫「哩は特に気にいられてたしな」
哩「なっ…!?」
塞「あー、あの子らの相手してる哩、超かわいかったね」
哩「ちょ、やめね…!」
華菜「それは是非みたいし!」
哩「み、見んでよかっ!」
ゆみ「お…おそくなってすまない…」フラ
華菜「ゆみー!おかげさまで風邪治ったし!」
ゆみ「そうか…それはよかった……」フラフラ
塞「ゆみ…?」
ゆみ「? なんだ…?」フラ
塞「いや、だいじょうぶ? なんかふらふらしてるけど」
菫「顔色もあまりよくないぞ」
ゆみ「ん……そうか…?」フラ
哩「座ったほうがよかよ」
ゆみ「ん…そうしよう…」フラフラ
華菜「…ゆみ、ちょっとオデコ貸すし」ピトッ
ゆみ「いけだ……?」
華菜「やっぱり! 熱あるし!」
菫「付きっきりだったからな」
ゆみ「そうか…ねつがあったのか……どうりで…」
哩「家ば帰らんと」
ゆみ「ああ……そうするか…」
華菜「…ゆみ」
ゆみ「…なんだ?」
華菜「家に家族のひとはいるのか?」
ゆみ「きょうは……たぶんいないな…」
華菜「……」
ゆみ「…!」
塞「いいねーそれ、わたしたちも混ぜてよ」
菫「どうせならまた泊まるか」
哩「おいしいお粥ばつくっちゃるとよ」
ゆみ「みんな……」
「…」フッ
「こんかいは…マスクをかっておけよ……?」
塞&菫&哩&華菜「りょうかいっ」
もいっこカン!
――グラウンド
セーラ「いよいよ決着をつけるときが来たな」
穏乃「ええ」
セーラ「つなひき遠泳砲丸投げ懸垂とびばこ縄跳び…あとなんやっけ?」
穏乃「ロッククライミングと絹恵さんキーパーでのシュート対決ですね」
セーラ「はっ、思えば長い戦いやったな」
穏乃「…ええ」
セーラ「せやけどそれも今日で終わりや」
穏乃「…」
セーラ「もっとも純粋かつシンプルな方法で…白黒、つけるで」
穏乃「…」
セーラ「ランや」
玉子「うちの最強は、この大学最強と同義であるー」
豊音「わくわくするねー」
咏「よーっし、んじゃまあ、始める前にルール確認しとくかねい」フリフリ
セーラ「はいな」
穏乃「おねがいしますっ」
咏「んー、これからやってもらうのは、」
「かわいい後輩が勝ち負けハッキリさせたいっつーから、」
「OGのあたしが考えた究極の体力勝負のゲームなんだよねー」
「知らんけど」
煌「究極……すばらですね」
咏「その名も根性ラン!」
玉子「シンプルであるー」
咏「シンプルイズベストじゃねー?知らんけどさ」
豊音「根性…ちょー熱いよー」
「ゴールはないし、時間制限もない」
「ただひたすら走ってもらうわけよー」フリフリ
穏乃「…」ゴクリ
セーラ「…上等や」
咏「うは いい覚悟だねい」
「次がこのゲームの肝なんだけどさー、」
「ランの終わりは、あたしたちオーディエンスが決めるのよ」
煌「決める、というと?」
「ああもう決着ついたなー終わったなー諦めたなー、ってなったら、」
「その旗を上げるってわけ」
「そんで旗が3つ上がった時点でゲーム終了、その時点で前のほうが勝ち」
煌「…」
咏「あたしたちの過半数に諦められた奴が負けってわけよ、知らんけど」フリフリ
煌「…すばらっ」ゴクリ
咏「…なんかわっかんねーことある? 無ければこれでいくけど」
玉子「承知したー」
豊音「責任重大だねっ」
「旗の上げ下げは完全自由」
「だからこそ、誰もが認める決着になるわけ」
セーラ「…」
穏乃「…」
咏「まあつまり根性見せろってことなんだよねー、文字通り」フリフリ
セーラ「…望むところやで」
穏乃「そうですね…!」
煌「…」
(これは…シンプルに見えて、どう出ていいかわからないルールですね)
(全力で走って置いていっても、旗が上がらなければそこからは長距離走)
(かと言って体力を温存する策を諦めと取られればそこで終わってしまう)
(はてさて、ふたりはどうするのか…)
玉子「ふたりとも、がんばるのであるー」
豊音「応援するよー」
セーラ「たらたらしてると一瞬で置いてくで」
穏乃「ご心配なく…!」
咏「ぱぁん!」リョウテパチン
セーラ&穏乃「!」ダッシュ!
煌「!」
(やはり最初から飛ばしますか、このふたりは…!)
咏「うはは あれ100m走くらいのペースじゃねー?知らんけど」フリフリ
玉子「はやいのであるー」キラキラ
豊音「ぜんぜん差がでないねー」
セーラ「…」タッタッタッタッタ
(やっぱりそう簡単には離せへんか…おもろいやん)
穏乃「…」タッタッタッタッタ
(うわ、はやい…でも、だからこそ、抜き去る意味がある!)
セーラ&穏乃「!!」ダッシュダッシュ
咏「うーわ、さらにはやくなったよー」フリフリ
煌「…すばらっ!」
咏「がんばれがんばれーい」フリフリ
豊音「ファイトだよー」フリフリ
――更に10分後
咏「うははーい」フリフリ
玉子「まけるなであるー」ピョンピョン
――更に15分後
咏「あー、ええっと」フリ…フリ…
煌「…」タラッ
――更に30分後
咏「……いやー、さすがに信じらんねーわー…」
セーラ&穏乃「!!」ダッシュダッシュ
咏「なにこの体力……わっかんねー…」
(わたしはこのふたりを侮っていたのかもしれません…)
(このゲーム…どう出るかわからないなんてことはなかった…)
(シンプルな勝負にはシンプルな答えがあったわけですね…つまり)
セーラ&穏乃「!!」ダッシュダッシュ
煌(はじめからおわりまで、全力で飛ばしつづければいい…!)
咏「こいつら……大馬鹿だねい」ニィ
煌「ええ、すばらです…!」
セーラ&穏乃「!!」ダッシュダッシュ
玉子「ふ、ふたりとも、こんなに走ってだいじょうぶであるか…?」オロオロ
豊音「しんぱいだよー」オロオロ
セーラ「…」タッタッタッタッタッタ
(……まだ、いるな、シズ)
穏乃「…」タッタッタッタッタッタ
セーラ「…」タッタッタッタッタッタ
(…なあシズ、よう言うやん、かぜになるかんじ、て)
(オレ、実はあれ、ようわからんねん)
穏乃「…」タッタッタッタッタッタ
(走って、走って、いろんなものを置き去りにする)
(一緒に走るやつみんな置いてったら一番で、走り終えてまう)
(そういうもんやった)
穏乃「…」タッタッタッタッタッタ
セーラ(…けど、今日はちゃうな)
(周りの声とか、空気とか、地面とか、景色とか)
(自分のいき、ねつ、きしみ、おもさ とか)
(ぜんぶ置いてってもまだ終わらへん)
(…ここまで来ても、ぴったりついてくる気配があるからや)
穏乃「…」タッタッタッタッタッタ
セーラ(…たのしいで、シズ)
(おまえを置き去りにして、うちはもっとはやくなる)
(もっと先へいける)
(……ほんまに感謝しとるんや)
穏乃「…」タッタッタッタッタッタ
セーラ(せやけどもう、そんな気持ちも)
穏乃「…」タッタッタッタッタッタ
セーラ(――置いてくで!)
穏乃「!?」
煌「! ここに来て…さらに…」
咏「……加速とはねい」
セーラ「!」タッタッタッタッタッタッタ
穏乃「…」タッタッタッタッタッタ
(…やばい、やばい!)
(まだはやくなるなんて…)
(わたし、わたしには、もう)
セーラ「!」タッタッタッタッタッタッタ
穏乃(セーラさんの背中しか、ないのに…!)
穏乃(なにもみえない、なにもきこえない)
(どれだけ走ったのかもわからない)
(ただ、セーラさんの背中を、おいかけて、なのに…)
(なのに…!)
セーラ「!」タッタッタッタッタッタッタ
穏乃(置いてかれたら、ひとりになっちゃう)
(また… また、ひとりに…)
(ひとりは…)
「……だ」
セーラ「!」タッタッタッタッタッタッタ
穏乃「いやだああああああああ!!」
玉子「!?」ビクッ
煌「…」
穏乃「あああああああああああ!!」タッタッタッタッタッタッタッタ
セーラ「!」タッタッタッタッタッタッタ
玉子「し、穏乃…?」
豊音「みっ、三尋木さんっ、とめたほうが…」
咏「……」
「…そー思うなら、旗を上げりゃーいい」
豊音「…!」
咏「…あたしは上げないけどねい」
煌「…それは……すばら、なんですかね」
咏「……いんや」
「すばらくはねーんじゃね 知らんけど」
煌「……」
咏「このふたりが行きつく先を」
穏乃「あああああああああああ!!」タッタッタッタッタッタッタッタ
セーラ「!」タッタッタッタッタッタッタッタ
穏乃「あああああああああああ!!」タッタッタッタッタッタッタッタ
煌「穏乃…」
豊音「シズちゃん…」
玉子「うぅ…がんばれ、である…」
セーラ「!」タッタッタッタッタッタッタッタ
穏乃「うあああああ、あ、ああ…!」タッタッタッタッタッタ
咏「……」
穏乃「…あ」グラッ
煌&豊音&玉子「!!」
煌「あぶないっ!」
セーラ「!」クルッ
穏乃「」フ ラッ
セーラ「――シズっ!」ダキトメッ
セーラ「おい!だいじょうぶか!シズ!」
穏乃「……セーラ…さ、ん…?」
セーラ「! へいきか、シズ」
穏乃「は…はい、だいじょうぶ…です…」フラッ
煌「穏乃っ」タッタッタ
豊音「シズちゃん」タッタッタ
玉子「だいじょうぶであるかー!」タタタタタッ
穏乃「うん…ごめん、もう、だいじょうぶです」ハァ ハァ
セーラ「よかったー」バタン
煌「! セーラ先輩っ!?」
セーラ「あー、だいじょぶだいじょぶ、さすがに疲れただけや」ダイノジ
穏乃「…わたしも」バターン
穏乃「そう、ですね…」
セーラ「? なんや、そうでもなさそうやんか」
穏乃「いっ、いえ! 楽しかったん、ですけど…!」
セーラ「…?」
穏乃「……結局、負けちゃったから…やっぱり悔しいっていうか…」
セーラ「え? そうなん?」キョトン
咏「いんや、そうじゃないねい」フリフリ
煌「! 三尋木さん」
穏乃「? そうじゃないって、どういう…」
咏「ん? いやーそのまんま、勝ち負けはついてねーってことだよ?」
「まだ誰も、旗を上げてねーからねい」
穏乃「!」
咏「お前はまだ、誰にも諦められてないってことだよ、知らんけど」
豊音「どっちもちょーすごかったよー!」
玉子「あっぱれであるー」
煌「すばらでしたよ…!」
穏乃「みんな…」
セーラ「……なー、シズ」
穏乃「…?」
セーラ「オレ、めっちゃ楽しかったで、またやろな?」
穏乃「は、はいっ」
セーラ「そんでいつか決着つけて、つけてからも、また遊ぼ な?」
穏乃「! はいっ」
セーラ「にしし」
穏乃「へへへ」
穏乃「!?」
セーラ「マジで!?」トビオキッ
咏「んーまあ面白いもんみせてもらったし、ここは奢りじゃね? 知らんけど」
セーラ「やったでー!」
煌「わ、わたしたちもいいんですか…?」
咏「ふたり奢るのも5人奢るのもそんな変わんねーって」フリフリ
煌「すばらですっ!」キラキラ
豊音「やったー!」
玉子「焼き肉であるー!」
咏「うははーい」フリフリ
穏乃「こればっかりは絶対負けませんよ!」
玉子「それなら余も自信あるのであるー」
セーラ「なんやて!」
豊音「わるいけど勝たせてもらうよー」
穏乃「豊音さんもっ!?」
煌(わたしは小食だから勝負にはならないでしょうねー)
咏「すーばらちゃん」ポンッ
煌「すばっ!?」
咏「逃げちゃだめだぜい?」ニィ
煌「ひっ」
咏「いま山盛り食べ放題コース予約しちゃったんだよねー、知らんけど」
煌「すっ、すばら…」
咏「うはは 燃え尽きるぞーおまえらー!」
もいっこカン! ぼっちじゃないよー
――チーム部屋棟(ゆうがた)
淡「サキー、またなんか本借りていいー?」
咲「いいよ、どれにする?」
淡「んー…オススメとかある?」
咲「ええっと、これとかどう?」
淡「! いいかんじっ! じゃあこれ貸してー」
咲「うん、どうぞ」
恭子(平和やなー)ボーッ
淡「キョウコー、きょうラーメン行こうよー」
恭子「ええけど、奢ったらんで?」
淡「いいよー」
「サキも行かない? おいしいラーメン屋さんがあるの!」
恭子「せやな、よければ一緒に行こ」
咲「じゃあご一緒します」
淡「やったー」
咲「そんなにおいしいの?」
淡「すっごいよ、麺もスープも具もおいしいの」
咲「わあ、たのしみ」
淡「キョウコが教えてくれたの!」
咲「へえ、そうなんですか?」
恭子「うん、まあな」
咲「末原先輩、ラーメン屋さんとか行くんですね」
恭子「意外か?」クスッ
咲「えっ、ええと、ちょっと」
恭子「まあ、確かにあんま行くほうやないな」
「先輩に教えてもらった店やねん」
咲「もう卒業されたかたですか?」
恭子「いや、えっと…――」
Prrrrr…
恭子「? ごめん、電話や」
純『あー、えっと、キョウコさんのケータイであってる?』
恭子「? そうですけど…どちらさんですか?」
純『んーと、モンプチってバーのものなんだけど…』
チョットジュンクン、ソレジャヤクザカナニカミタイダヨ エー、ソンナツモリジャ… イイカラカワッテ、モウ
恭子「…?」
一『すいません、お電話変わりました、バー・モンプチの国広と申します』
恭子「はあ、ええと…」
一『突然のお電話、申しわけありません』
『実は、そちらのお知りあいのかたがうちで泥酔しておりまして…』
恭子「…! もしかして、黒髪でチンチクリンなかんじの…?」
一『あ、はい、そうです』
『ちょっとこのままにはしておけないので、もしよろしければお迎えに――』
恭子「すっ、すぐ向かいます!」
ガランガラン
恭子「失礼します、お電話いただきました、末原です」
一「あ、お客さん、キョウコさんいらっしゃいましたよ」
「わざわざすいません、本当に」ペコン
恭子「いえ、こちらこそご迷惑をかけて…」ペコペコ
淡「わー、おしゃれなお店だねーサキー」キョロキョロ
咲「ほんと…綺麗だね…」マジマジ
純「いらっしゃい」
淡「ばーてんだーさんだ!」
純「へえ、よく知ってるな」
淡「えへへー」
一「こちらでとりあえず横になっていただいてるんですが…」
恭子「ほんますいません」ペコペコ
健夜「あー! もーおそいよおーきょーこちゃーん!」ユビサシッ
「あたしついにきょーこちゃんにもあは、みはなされちゃったかあーって」
「あはは、おもってえ、それで!それでね!…うええ……ひっぐ」
「ひっ、もお…おしまいだなって…あ、たし……」
「うええ、きょーこちゃん…なんできてくれないの…うえええええ!」
恭子「来とるがな」デコペチン
健夜「あうあ! あ、きょーこちゃん! きょーこちゃーん!」ダキッ
「きてくれないかとおもったよおお、うえええええええ…ひっぐ」
恭子「もう…そとで飲むな言うとるやないですか…」
健夜「ごめんね、ごめんなさい…あたし…うええ、みすてないで……」
「うええええ、ごめ、きょーこちゃ、きらいにならないでえ、ひっ」
「うえええええええええええ!!」
恭子「ならへんならへん」ナデナデ
「ならへんから、まず泣きやんでくださいよ」ナデナデ
淡「なんか…ソーゼツだね…」
咲「うん…」
純「お酒、飲んでみる?」
淡&咲「!」フルフルフルフル
健夜「うええ、ごめんなさい…ごめんなさい…」
恭子「歩けますか…?」カタカシ
健夜「うん…すこやあるけるよ、あるけるの、きょーこちゃん」
恭子「えらいえらい」ナデナデ
健夜「えへ、えへへ、きょーこちゃーん」ギューッ
一「すごい、おとなしくなるものですね…」
恭子「あはは… すいません、お会計おいくらですか?」
一「――円です」
恭子「……いつから飲んどったんですか?」
一「夕方、お店をあけてすぐ…」
恭子「…」ハァ
「先輩、飲みすぎですよ…」
健夜「んんー?」
恭子「じゃあこれで」
一「はい、ではこちらお釣りです」
淡「はーい」
咲「あの、だいじょうぶですか?」
恭子「だいじょうぶや、慣れとるから」
健夜「ぺぺろーん」フラフラ
恭子「では、ほんまにえらいご迷惑おかけしました」ペコン
一「いえ、またどうぞいらしてください」ペコン
純「お嬢ちゃんたちもな」
淡「はーい」
咲「…」ペコン
健夜「ちーといっ!」フラフラン
ガランガラン
恭子「…」オンブ
淡「いいなーあたしもキョウコにおんぶしてもらいたいなー」
恭子「あほ」
咲「ええと、どなたなんですか? 先輩って仰ってましたけど」
恭子「? あれ、そういや知らんのか…?」
咲「…?」
恭子「そっか…学校あんま来いへんもんなあ、このひと…」
淡「誰なのキョウコー」
恭子「小鍛治健夜先輩 うちのチームの5人目や」
咲「……えっ」
淡「5人目!?」
咲「5人目…いたんだ…」
淡「あんま大学生ってかんじじゃないけど…」
恭子「あー……まあ、6留しとるしなあ…」
咲「6…!?」
淡「? ロクリュウって?」
咲「6年間留年してる…ってことですよね…?」
恭子「そや」
淡「え、えっ? なにそれ! すごい!」
健夜「でしょー?」
恭子&淡&咲「!?」ビクッ
健夜「…」ムニャムニャ
恭子「…起きるか寝るかはっきりしてくださいよ」
6年制の医学部とかならギリギリセーフじゃね?
別の意味でアウトだけどな
恭子「ん、起きましたか…?」
健夜「恭子ちゃん…? あれ、わたし、おんぶ…?」ウトウト
恭子「歩けます?」
健夜「うん」ウトウト
恭子「じゃ降りてください」
健夜「うん」オリ
「…」
「…」ウーン
淡「なんか考えだしたね」ヒソヒソ
咲「記憶をたどってるのかも」ヒソヒソ
健夜「!」
淡「あ、思いだしたっぽい」
健夜「ご、ごめんなさいっ!」ドゲザ
恭子「ちょ、やめてください、こんなところで! みんな見てますから!」
恭子「ほんまにもうええですから」
「でもそとで飲むときは量に気をつけな駄目ですよ?」
健夜「はい…」
淡「しゅんってなってる、かわいーね」ヒソヒソ
咲「だ、だめだよ淡ちゃん、先輩さんなんだから」ヒソヒソ
恭子「…」
「ええ機会やから紹介させてもらいますか」
健夜「…?」
恭子「これが今年うちのチームに入った、大星と宮永です」
「宮永はチャンピオンの妹なんですわ」
淡「いっ、1年の大星淡ですっ」ペコン
咲「み、宮永咲です」ペコン
健夜「こ、小鍛治健夜です!」ペコン
「えっと…何年生だったかな…」
恭子「9だか10だかじゃないですか?」
咲「い、いえ、そんな」
淡「むしろ、実はいた!みたいなのかっこいいっていうか!」
恭子「……」
「…いや、そうですよ、後輩と交流したってください」
淡&咲「!?」
恭子「わたしにしてくれたみたいに、仲良うしたってくださいよ」
「わたしも…先輩いないとちょっとさみしいですし…」
健夜「恭子ちゃん…」
恭子「せっかくチームなんやから…たまには顔出してください」
健夜「…」
「うん、そうだね…そうするよ」
恭子「…」フゥ
「つきましては」
健夜「…?」
恭子「これから一緒にラーメンとか、どうです?」
咲「先輩、お姉ちゃんも来れるそうです」
恭子「そか、ありがとうな」
咲「いえ」
健夜「…なんかひさしぶりだな、ラーメン」
恭子「ですね」
健夜「この道…まえ一緒に行ったラーメン屋さん?」
恭子「…おぼえてはったんですか」
健夜「うん、あそこおいしいよね」
恭子「…結構行くんです、いまでも」
健夜「そっか」
恭子「はい」
恭子「はい」
健夜「ありがとね」
恭子「? なにがですか?」
健夜「んー、なんだろ」
恭子「…?」
健夜「…なんか嬉しくって、それはたぶん、恭子ちゃんのおかげだから」
恭子「…」
健夜「ありがとう」
恭子「…はい」
淡「テルー!」
照「おひさしぶりです、小鍛治先輩」ペコン
健夜「うん、ひさしぶり、宮永さん」ペコ
淡「それだとテルだかサキだかわからないよー?」
照「…淡」
健夜「いいよ、それもそうだし…これからは、照ちゃん、って呼ぼうか」
照「はい」
淡「あのー…?」
健夜「ん、なに?」
淡「スコヤって、呼んでいい? …ですか?」
照「淡っ」
健夜「うん、いいよ」
淡「やったー!」
照「…」ハァ
恭子「ほんまこいつは…」
淡「スコヤー、スコヤー」
健夜「…ふふっ」
淡「スコヤー、これからよろしくねっ」
健夜「!」
淡「えへへー」
健夜「…うん」
淡「♪」
健夜「よろしくっ」ニコッ
ツモ スーカンツ
また5個くらい書き溜めたら同じか似たスレタイで立てるかと思います
支援、保守等ありがとうございました!誰かメガネ末原の画像ください
今度のもキタイシトルデー
面白かった
新しい可能性を感じたわ
Entry ⇒ 2012.11.12 | Category ⇒ 咲-Saki-SS | Comments (0) | Trackbacks (0)
P「やよいも」
P「やよいも」
やよい「いっぱい集めましたぁ!」
P「うし、このくらいでいいか」
P「火をつけるぞ」
やよい「はい!」
パチパチ
P「んん、いい感じ」
やよい「あったか~い」
真美「もう出来た?」
やよい「ううん、まだだよ」
P「もうしばし待つんだ」
亜美「ちぇ~」
真美「寒いYO!」
やよい「こうして手をかざしたら暖かいよ」
パチパチ
亜美「あ~……」
真美「ジ→ンとしますなぁ」
真美「いおりんは?」
P「あずささんを連れてくるって」
亜美「来る前に全部なくなっちゃうYO!」
やよい「いっぱいあるから大丈夫だよ」
P「それに、まだできるまで時間がかかるからな」
真美「待ち遠しいですなぁ」
あずさ「ごめんなさい、遅れちゃって」
真美「遅いYO!」
亜美「……って、それは!?」
伊織「これ? たいやきよ」
真美「ちょ→だい!」
亜美「亜美にも!」
やよい「……」
P「やよいにも一つあげてやってくれ」
やよい「……!!」パアァ
亜美「中はモチモチで美味しい!」
やよい「美味しいね」
伊織「……やきいものこと、忘れてない?」
亜美・真美・やよい「「「あっ」」」
伊織「まったく……」
あずさ「どうですか?」
P「うーん、あと少しでしょうかね」
P「……よし、いい感じだな」
P「出来たぞ~」
亜美「やたっ!」
真美「はやくはやく!」
伊織「アンタ達、落ち着きなさいよ!」
P「ほれ、熱いから気をつけろよ」
やよい「軍手を持ってるから平気です!」
真美「おお!」
亜美「準備いいね~」
ホクホク
やよい「わあ……」
亜美「美味しそう!」
伊織「……」
P「ほれ、伊織とあずささんも」
伊織「……ありがと」
あずさ「さ、食べましょう」
真美「サイコ→!」
亜美「美味しいね!」
伊織「まあ、悪くないわね」
P「そりゃ何よりだ」
あずさ「プロデューサーさんは、食べないんですか?」
P「俺の分はまだ焼けてないみたいですね」
貴音「待ち遠しいですね」
P「!?」
貴音「はい」
P「心臓に悪いから、急に現れるのはやめてくれ」
貴音「善処しましょう……それより」
パチパチ
貴音「そろそろでは?」
P「んー、まだだなぁ」
貴音「むう」
伊織「どんどん増えるわね」
やよい「その方が楽しいよ~」
真美「お芋が足りなくなっちゃうYO!」
亜美「ピンチ!」
P「よし」
prrr
P「もしもし……はい」
P「急ですいませんが……ええ……お願いします」
P「よし、そのうち増援がくるぞ」
小鳥「お待たせしました~」
律子「急に何かと思えば……」
P「助かります!」
小鳥「じゃがいもも持って来ましたよ」
あずさ「あら、いいですね」
亜美「はやく焼こう!」
亜美「真美! ひびきん!」
真美「ラジャ!」
響「任せろー!」
ワーワー
律子「あー、暖まる……」
小鳥「ふふっ、そうですね」
P「そうだな」
響「へへん!」
真美「やったね!」
パチパチ
P「さあ、もうしばし待っててくれ」
貴音「はい」
P「はやっ! もう食べたのか」
雪歩「みんな揃ってるね」
P「お、真と雪歩か」
亜美「やっほ」
響「春香と千早はいないぞ」
小鳥「もう少しで来ると思うけど」
雪歩「そうですか」
真「ねえ、出来ました?」
P「もうちょいだな」
小鳥「あちち……美味しそう」
律子「いただきます」
P「これが、真と雪歩の分な」
雪歩「ありがとうございます」
真「熱っ!?」
真「ふー、ふー……」
貴音「……」
P「貴音には趣を変えて、じゃがいもをやろう」
P「こうしてバターを乗せれば」
トロー
貴音「おお!!」
響「じ、自分の食べかけで良ければ……ほい」
P「いや、食べてていいぞ」
真美「そこは食べるべきだYO!」
亜美「そうだそうだ!」
響「そうだぞー!」
P「ええ~?」
あずさ「遠慮しすぎるのも良くないですよ?」
小鳥「ふふ、素直に甘えちゃっていいと思いますよ」
律子「そうですよ」
響「はい、あーん」
P「??」
伊織「アホ面してないで! ほら」
響「あーん」
P「あ、あーん」
響「どう? 美味しい?」
P「うん、美味しいよ」
春香「……」
千早「……」
P(これはマズイな……)
春香「いやあお熱いですねぇ」
千早「ええ……」
響「じ、自分……美希に芋あげてくるな!」
P(逃げよった……)
春香「ふんっ!」
千早「……」
雪歩「あわわわ……」
真(次はじゃがいもが食べたいなぁ)
伊織「アンタ、今までどこにいたのよ」
美希「あそそでハンバーガー食べてたよ」
律子「ホントにマイペースなんだから」
美希「ねえハニー、お芋できた?」
P「ん? 響に会わなかったか?」
美希「会ってないよ」
P(好機!)
P「仕様がない、探してくる」
P「え」
小鳥「やきいも、楽しんで下さい」
春香「そうですよ!」
千早「ええ」
美希「なの」
P「……はい」
プス
律子「出来ましたよ」
千早「プロデューサー」
P「はいはい……あーん」
春香「はふ……美味しい!」
千早「ふー、ふー……美味しい」
高木「おお、楽しそうだねぇ」
黒井「ふん、いかにも庶民のやる事だな」
P「社長…!?」
小鳥「響ちゃんを探している途中で出くわして」
響「ついでだから誘ってみたんだ」
黒井「この私が本物のやきいもを見せてやろう!」
P「それはそれは」
あずさ「楽しみですね~」
貴音「ええ」
高木「はっはっは、楽しもうじゃないか」
黒井「そもそも銀紙で包む時にだな!」
P「はい」
やよい「みんなでやきいもパーティをしました」
やよい「また来年もやりたいなーって」
おわり
なんかすいませんでした
おつ
乙っした
いいっすねー
>>1も乙
あらやだ素敵
Entry ⇒ 2012.11.12 | Category ⇒ アイマスSS | Comments (0) | Trackbacks (0)
貴音「あなた様!しゃいにぃふぇすたでございます!」
貴音「沖縄!二泊三日の沖縄なのですね!?」
P「おう!」
貴音「響の故郷の!!」
P「そうだ!」
貴音「あ、あぁ……あぁ!!響が、響が招待を受けていないのが残念でなりません!!」
P「あぁ、そうだなぁ…でもこればっかりはな」
貴音「ですがわたくし、響の分まで沖縄を堪能いたします!!」
P「フェスタがメインだからな?」
貴音「心得ております!ふぇすたがめいん!!」
P「はははテンションたかいなぁ貴音」
貴音「響のご実家にご挨拶に行かねば!!」
響「や、やめてぇ!」
P「そ、そうだな……」
貴音「さ、さぁあなた様!おはやく!」
P「え?」
貴音「え?ではありません!はやく向かいましょう!沖縄へ!!」
P「貴音、貴音!」
貴音「どうしました!?」
P「フェスタは来月だ!」
貴音「……なんと!!」
貴音「はぁ……」
貴音「……」
貴音「……ふぅ」
貴音「……」
貴音「……どうして誰も来ないのですか!!」
貴音「皆、弛んでいます!緩みきっております!」
貴音「緩みきっておりますゆえ!少々急を据えてやらねばなりません!!」ポパピプペ
プルルルル
貴音「……!」
貴音「あなた様!あなた様!!」
貴音「どうしたのいうのです……!」
貴音「……え?」
貴音「まさかっ、そんな……プロデューサーが……」ブルブル
貴音「は、はい、それでっ……」
貴音「無事なのですか…!?容態は……!!」
え?
ガチャ
P「おはようございまーす」
貴音「あなた様!おはようございます!!」
P「おはよう貴音、早いなまだ集合2時間前だぞ?」
貴音「恥ずかしながら興奮しすぎて、少々早起きしてしまいました!!」
P「ははは……ところで今誰かとしゃべってなかった?」
貴音「熱が入りすぎて子芝居を少々!」
P「そ、そっか…程ほどにな」
貴音「あ、あなた様!飛行機、飛行機です!!」
P「あぁ、そうだよ飛行機だよ」
貴音「しかも、ふぁーすとくらす!」
P「トップアイドルだからな、このぐらいは社長も許してくれたよ」
貴音「椅子が、椅子がふかふかです!!」
P「うん、ベルト締めてね」
貴音「身体が……沈みます……!!」
P「貴音、ベルト締めないと」
貴音「これは……あなた様!わたくしは、わたくしは今椅子と融合を!!」
P「貴音」
貴音「どこまでがわたくしで、どこからが椅子なのでしょう……
いえ、もはやわたくしは四条貴音などではなく、座席の一部と化して」
P「貴音」
貴音「ひっ…!と、飛ぶのですか!?ついに飛ぶのですね!!」
P「飛ぶよ」
オォォォォ…
貴音「……飛びました!!」
P「飛んだね」
貴音「このような鉄の塊が、空を飛ぶとは……まっこと、面妖な!!」
美希「……お仕事で乗ったこと、あったよね?」
P「うん、初めてじゃないよね」
貴音「は!あれは富士!富士ですね!?やあぁっほおぉぉぉぉ!!」
P「貴音、静かにしなさい貴音」
CA「お飲み物をお持ちいたしましょうか?」
貴音「ちきん!」
CA「!?」
P「貴音!?」
P「沖縄だね」
貴音「沖縄です!!」
P「とりあえず今日はホテルでゆっくりしていいよ」
貴音「な、なんという日差し……!!何故わたくしは長袖を着ているのか!!」
真「だから暑いよって言ったのに」
貴音「ぬ、脱ぎましょう!!服など脱ぎましょう!!」
雪歩「し、四条さん!?駄目ですぅ!!」
貴音「ぬいで、脱いでしまいましょう!!」
P「貴音、貴音!!」
美希「美希も脱ぐの!!」
P「だ、誰か!誰か助けてくれ!!」
雪歩「い、いよいよなんだね……」
真「プロデューサーとデート……緊張するなぁ」ゴクリ
貴音「えぇ、擬似的にも恋を体験することによって、edeNを完璧に歌いきろうという作戦ですね。
前日で間に合うのか、などという疑問が湧いてこないほどの秀逸な計画ですね」
美希「でしょでしょ!!」
貴音「しかし……でぇと、とは一体どのようなことをするのですか?」
美希「えっとね、まずハニーと待ち合わせしてー……」
貴音「逢引ですか……!」
雪歩「そして一緒に買い物したり遊んだりして……」
貴音「ふむ……」
真「そして、一緒に食事かな?」
貴音「なるほど。その後に性行為をするのですね?」
みきゆきまこ「「「!?」」」
貴音「おや……違うのですか?愛し合う二人は、自ずと互いの身体を求め合うものだと思いますが」
雪歩「ひ……ひぃ……」プルプルプル
真「い、いや貴音!レッスンだから!ただの練習だから!」
貴音「温いです!例え仮初めの関係だったとしても!
その情欲の滾りをぶつけ合い、獣のような情交を行ってこそ!
初めて恋という物を理解できる!!違いますか!!」
美希「えぇぇぇーーー!?」
雪歩「ち、ち、ちがいますぅ!!」
貴音「違いません!何も違いませんよ雪歩!!」
貴音「それにプロデューサーも男性……この開放的な状況に緩んだわたくし達の瑞々しい肢体を弄び、
その獣欲を発散させる機会を虎視眈々と狙っているに違いありません!!」
真「獣欲!?」
美希「ち、ちがうの……ハニーはそんな、そんな事……」
雪歩「ひっ……ひぃぃ!!」ガクガクガク
貴音「でぇとなどしようものなら、あの方のオーバーマスターは間違いなくわたくし達のedeNをrelationsして、
わたくし達のマリオネットの心はさながらLittle Match Girlの様に迷走Mind!!」
美希「いやああああぁぁぁんっ!!」
雪歩「ひっ、ひぐっ……かはっ……!!」ブルブルブル
真「うわーっ…いやでもそんな、え、どうしよう、本当に?ど、どうしよう……」
貴音「出ました!性欲の権化です!!」
P「!?」
美希「ひっ!!……!!お、お、犯されるのー!!」ダッ
雪歩「うっ、うっ……おうおう、オェ……オェー!オェー!!」トシャー
真「うわっ!?ゆきほが吐いた!!」
P「!?」
貴音「申し訳ありません。すこしはしゃぎすぎました……」
真「ですよねー」
雪歩「そ、そうですぅ…」
美希「そ、そうなの、ハニーがそんなことするはずないの」
P「腐ってもプロデューサーなんだから、アイドルに手を出すわけないだろう?」
貴音「そうですね。あなた様のようなへたれがそのような事ができるはずがありません。
非礼をお詫びいたします。まことに失礼致しました」
美希「ごめんなさいなの」
雪歩「すみませんでした……」
真「ごめんなさいプロデューサー」
P「うん……」
美希「賛成なのー!」
P「俺はなんか疲れたからホテルに戻るよ……」
貴音「なんと……一緒に来ていただけないのですか?」
真「泳ぎましょうよぅプロデューサー!」
P「それに明日の段取りの再確認もしたいんだ」
貴音「それは残念です……」
貴音「わたくし、この日のために水着を新調したのですが……」スチャ
P「……」
美希「わぁ、Vの字水着!貴音ダイタンなの!」
雪歩「しっ四条さん……そ、それはっ…ちょっとっ!色々出ちゃいます!!」
真「うぅ……似合いそうだもんなぁーうらやましいなぁ!」
P「……。貴音!ダメ!それダメ!!」
貴音「さぁ皆、行きましょう。あなた様はお仕事頑張ってくださいまし」
P「貴音、貴音!」
貴音「なんと酷い……あなた様は、わたくしに裸で泳げと?」
P「うぐぐ……レンタルとか、あるだろきっと!」
貴音「ふふ……冗談ですよあなた様。そちらはふぇいくです」
美希「あれ?Vの字やめちゃうの?」
貴音「普通のびきにも持ってきております故!」スチャ
P「ホッ…ま、まぁそれなら良しかな」
雪歩「……プロデューサーは、ホントに来てくれないんですか?」
P「あ、あぁ……準備とかも細々と……」
貴音「……それでは改めまして、三人とも、わたくし達だけで参りましょう。
そして野蛮で下品な丘さぁふぁ共の視線を釘付けと致しましょう!!」
P「丘サーファー!?」
P「貴音!やめなさい貴音!」
雪歩「おうおうっ!…オゥェー!!」シャー
真「ゆきほおおぉぉ!!」
美希「やーん!雪歩がまた吐瀉ったの!!」
貴音「そして明らかに身体目当てであり、やたらとしつこく絡んでくる一際無礼な連中に目を付けられ、
言葉巧みに旅館の部屋に連れ込まれて、とっかえひっかえされまくると致しましょう!!」
P「たかっ…まっ…!…おぼっ!…エ…ェ゙ーヴ!ェ゙ーヴ!!」シャー
真「プロデューサーもリアルに吐いてる!!」
美希「海なのおぉぉ!!」
雪歩「砂ですうぅぅ!!」
P「はしゃいで怪我とかするなよおぉ」
貴音「申し訳ありません。結局、あなた様にも同行していただく形になってしまい……」
P「えーと、い、いや……かまわんよ……くそ、遠巻きに丘サーファー共が、お前らサーフィンしろよ……!」
貴音「えぇ、わかっております。わたくし達もアイドル。そしてあなた様はプロデューサー。
手塩にかけて育てた自分の分身ともいえる存在が、果たしてどのような魅力的なばでぃをしているのか
その目で確かめてみたい。しかし、決して他の雄達の視界にも入れさせたくはないという
いびつで醜悪かつ下賤な独占欲、その心情、理解しているつもりです。つもりです故!」
P「貴音が煽ったんじゃないかぁ!!」
貴音「ハッ!?」
P「どうした!?」
貴音「あれは……!?響!?」ダッ
P「え!?」
P「た、貴音!どこだ!?どこに響が!?」
貴音「あちらです!木の上に!!」
P「木の上!?」
貴音「ひびき!どうしてそのようなところに!?」
貴音「あぁ…ひびきっ…!隠れても無駄です!!降りてきなさい!!」
P「貴音、貴音!」
貴音「どういたしました!!」
P「アレはヤシガニだ!!」
貴音「なんと!!」
グニ
真「ひい!?」
貴音「真、どうしました?」
真「な、なんか踏んだ!踏んだよおぉぉ!!」
貴音「おや、これは……」
真「なになに!?なんなのぉ!?」
貴音「……ナマコですね」チャプ
雪歩「ひー!!!」
真「ぎゃああぁぁ!!」
美希「キモッ!!」
貴音「まぁ、そのように嫌わなくても……」ゴシゴシ
真「えっ…な、なんでナマコこすってるの!?」
貴音「…………」ゴシゴシゴシ
P「貴音!?」
貴音「……………………」ゴシゴシゴシゴシゴシゴシ
P「貴音!!やめなさい!!貴音!!すぐにやめなさい貴音!!」ガッシ
貴音「は、放して!はなしてください!ぶれいものぉ!」ブン
ビターン!!
ナマコ「ビュルルルル」
P「うあああぁぁ!!!!!!」
翔太「おねーさん達どこから来たの?」
北斗「え?俺達の事、知っててくれてるんだ?嬉しいなぁ」
翔太「それじゃあどこかでお話しようよ」
冬馬「……」
冬馬「あいつら……フェスは明日だってのに浮かれやがって…」
冬馬「それにこんなところでやらかしたら、それこそスキャンダルだろうが……」
冬馬「まったく……」
貴音「…」
冬馬「うお!?」
貴音「…」
冬馬「そうか…お前達も招待されてたんだったな…・・・」
貴音「天ヶ瀬冬馬」
冬馬「なんだ」
貴音「これを貴方に……」スッ
冬馬「え」
貴音「それでは……」ザッ
冬馬「…」
ナマコ「…」
北斗「まぁめげないめげない、次に期待しよう」
翔太「ねぇ冬馬くーん!冬馬くんも……」
冬馬「…」
北斗「冬馬?どうしたんだ?」
翔太「そのナマコ何?」
冬馬「……」ゴシゴシ
翔太「冬馬くん!?」
北斗「冬馬!?やめろ!!」
貴音「あなた様…あなた様……」
P「貴音?どうしたんだ?」
貴音「申し訳ありません、あなた様……少し、日に焼けてしまいました……」
P「うーん、まぁそうだよなぁ……」
貴音「はい……この様に……」ピラ
P「おぉ…………」
美希「……!」
P「どうした美希!!見てないぞ!!何も!!」
美希「ハニー!見て見てミキも焼けちゃったの!!」ブルン
P「おああぁ!!」
貴音「わ、わたくしも!このように!このように、こげ貴音!!」プリン
美希「ミキも!こんなに!こげミキ!!」モロン
P「うあああぁぁ!!すげえ!!誰かああぁぁ!!」
真「ふ、ふたりとも!出てる!!出てるから!!雪歩、雪歩もみんなを止めて!!」
雪歩「…………。わ、私もっ……!わたしだって、こ、こげゆきほ…!!」チラ
真「ちょっ……え!?ボクだけツッコミなの!?もうやだよぉ!!」
カワイイ
P「あぁ……疲れた……」
P「どうしちゃったんだ貴音は……」
P「でもアイドルのテンション管理もプロデューサーの仕事か……」
P「うーん、でも逆に明日のフェスであのハイテンションを活かせるか…?」
P「むむむ……アタマに貴音メインの曲ってのもアリか?んん~……」
P「……ん?」
P「そういえば今夜は満月か」
貴音「そうなのです」
P「うああぁぁぁ!!」
貴音「あなた様!!」
P「か、勝手に入ってきちゃダメだ!!」
貴音「申し訳ありません!」
P「そもそもどうやって入ってきたんだ。オートロックのはずだろ」
貴音「今宵のわたくしは、非常に、非常に昂ぶっております故!鍵など取るに足りません!」
P「そ、そっかー」
貴音「はい……満月が近付くにつれ、こう、少し、気分が高揚してしまうのです!!
常日頃から気を付ける様にはしております故、万が一にも無いとは思いますが
本日、あなた様に対して何か失礼な言動等は無かったでしょうか?」
P「すごい変。今も」
貴音「なんと!今もですか!!」
P「……なんでマイディアヴァンパイア着てるの?フェスでも使わないけど…」
貴音「そこは満月故に!!」
P「お、おう……」
貴音「そうでしょう、そうでしょうとも。
明日になれば少しは、この昂ぶりも収まるかとは思いますが」
P「いやーほんと」
P「月が綺麗だな、貴音」
貴音「!?」ビクン
P「ん?」
貴音「あっあぅあっあなた様!今、なんと……!?」
P「え?いや、だから『月が綺麗だな』ーと……」
貴音「なああぁぁん!!」ゴロゴロゴロ
P「貴音!?」
P「貴音、大丈夫か貴音」
貴音「わ、私としたことが、少々、取り乱してしまいました……」
P「最近ずっとそんな感じだぞ貴音」
貴音「まったく……あなた様も戯れがすぎます!もう!」ベシ
P「そ、そうか?」
貴音「わ、わたくしこの様に昂ぶっていては眠れるかどうか……!
もう!部屋に戻ります故、あなた様もどうかお早く床について頂きたく!
お身体に障ります故!それではっ!!」
ガチャバタン
P「お、おう。お休み……」
P「まぁ月のものなら仕方ないか」
P「……明日も早いんだよな」
P「貴音の言うとおり、早めに寝るか……」
P「よいしょーっと」
パチ
P「おやすみー」
貴音「夜はまだなごうございます、あなた様……」モゾ
P「!?」
貴音「あなた様!!」
P「さっき早く寝ろって言っただろ!?」
貴音「覚えておりません!!」
P「ど、同衾は!同衾はまずいから!!」モゾモゾ
貴音「想いは一つ!何もまずいことなどありません!ありません故!!」モゾモゾ
P「貴音、貴音!!」
貴音「あなた様、あなた様あぁ!!」
貴音「パッと舞って!」バサァ
P「ひぃ!!」
貴音「ガッっとやって!!」ガッ
貴音「チュッと吸って!!!」チュッ
P「はあああああぁぁぁぁぁぁぁぁん!!!!」
P「……はっ」
P「朝か……」
P「なんだかとんでもない夢を見た気がするなぁ……」
P「いやー……いい歳こいて恥ずかしい夢を見ちゃったな」
貴音「はい……お恥ずかしい……まっことお恥ずかしい限りです……」モゾ
P「ハハハハハハ……」
貴音「あの……あなた様…こ、この夢のことは、内密に……」モゾ
P「言えないよ!!」
貴音「はぃ……」モゾモゾ
P「すいませんでした!!」
貴音「そ、そんな……わたくしの方こそ……なんというか、はい……」モゾモゾモゾ
貴音「歌いました!」
美希「歌いきったのー!!」
真「しかも優勝したよ!!」
雪歩「頑張りましたぁー!」
P「よかったぞ皆!!なんだかんだで最高のedeNだった!!」
美希「ラストのedeNもよかったけどー、ミキ的には最初の貴音がすごかったって思うな!」
真「そうそう!あそこでお客さんも大注目!って感じだったよね!」
雪歩「四条さん、すごかったですぅ!」
貴音「そのような……一曲一曲の、皆の頑張りがあったからこそですよ?」
P「あぁ、そうだな。さて、あとはアンコールが……」
貴音「!?」
P「貴音?」
貴音「あれは…!?響!?響ではありませんか!!」ダッ
P「またかよ!?」
P「た、貴音!どこだ!?またヤシガニか!?」
貴音「響!あぁっ…響っ!!なぜこのようなところに!?」
P「貴音!ヤシガニのことはもういいんだ!!」
貴音「何を言っているのですかあなた様。お気を確かに!」
響「…プロデューサー、自分、ヤシガニじゃないぞ」
P「……響!?響じゃないか!!」
貴音「最初からそう言っています!」
響「人だぞ」
P「す、すまん響。どうしてここに?」
響「あれ?みんな来てるぞ?ホラ」
亜美「へっへー、来ちゃったよー!」
真美「最初っから見てたかんねー!」
律子「でもまぁ、わざわざ来た甲斐があったわね?」
千早「良いステージだったわ、皆!」
やよい「すごかったですー!!」
伊織「ふーん、アンタたちもなかなかやるじゃない?」
あずさ「感動しちゃいました~」
小鳥「優勝おめでとうございます!!」
社長「うむ、すばらしかったよキミたちぃ」
P「社長まで!!」
貴音「なんと……!」
P「おっ、それじゃあ4人とも!アンコールだ、いってこい!」
貴音「…4人だけでは、ありませんよ?」
美希「みんなで出るのー!」
真「ほら、プロデューサーも!!」
P「えぇ!?俺も!?」
雪歩「社長もですぅ!」
社長「私もかね!ハハまいったねどうもハハハ」
貴音「それでは皆、参りましょう!!」
みんな「「「うん!」」」
貴音「響のご実家へ……!!」
響「やめてええぇぇ!!」
THE IDOLM@STER SHINY FESTA ~Groovy Moon~
END
乙
おつかれ
Entry ⇒ 2012.11.12 | Category ⇒ アイマスSS | Comments (0) | Trackbacks (0)
健夜「私がアイドル?」
健夜「ふぁ~あ…」
健夜「今日はオフの日…こうしていつまでも惰眠を貪れる…」
健夜「願わくば…ずっとこの瞬間が続けばいいのに…」
健夜「スヤァ…」
テレテレン♪テレテレン♪テレレテンテンテンテン♪チョウテンマデアトーヒトイキー
健夜「んん…携帯…誰からだろ…」
恒子「あ、すこやん?ちょっと大事な話があるんだけど!」
健夜「んー…恒子ちゃん…何ー?」
恒子「あのさ、すこやんってアイドルに興味ない?やってみない?え!?いいの!?オッケー!
事務所にもそう言っておくね!んじゃまた!」プツッ
健夜「は…!?ちょっ恒子ちゃん!?恒子ちゃん!?どういうこと…!?」
健夜「ちょっ…切れちゃった…」
恒子「あ、すこやーん!こっちこっち!」
健夜「ここって芸能プロダクションだよね…?ここで何するの…?
恒子「まぁ色々とね」
健夜「あの…恒子ちゃん…昨日の話ってどういうこと?説明して欲しいんだけど…」
恒子「実はさー…話すと長くなるんだけどさ、いい?」
健夜「うん、もちろん」
恒子「あ!この服超可愛いー!すこやんこれ着てみて!ね!ね!」
健夜「説明する気ないよね…」
恒子「最近さ、アイドル流行ってるじゃん?それでうちの事務所の社長がさ
女性雀士でユニット組めば売れるんじゃね!?って言い出して」
恒子「それで会議した結果すこやんが良いって話になったんだよ」
健夜「お断りします」
恒子「まぁまぁ、そう言わずにさー
いきなりソロだと難易度高いって事で、グループにしようって事になったんだよ」
恒子「そうそう」
恒子「それでさ、他の人はもう呼んであるんだ。入って、どうぞー」
ガラッ
はやり「どうもー☆牌のお姉さんはやりんでーす☆」
咏「プロ雀士やってたらいつのまにかアイドルにされてた
わっかんねー、人生わっかんねー」
健夜「あ…どうも…」
恒子「これがすこやんと組むアイドル達だ!」
健夜「私拒否したよね!?」
恒子「そしてプロデューサーは私」
健夜「話進めないでよ!」
はやり「まぁまぁ、健夜ちゃん☆これもお仕事お仕事☆」
咏「私もあんまり乗り気じゃないけどさー、上からやれって言われたらやるしかないんじゃね?」
健夜「うう…そうだけど…」
健夜「私、踊りとか全然できないよ?運動神経もないし…」
はやり「そうそう☆初めから出来ないって思ってたら何も出来ないよっ☆」
健夜「それは…そうだけど…」
咏「すこやんは歌上手いんだから何とかなるって、知らんけど」
恒子「最初のライブまで後1ヶ月しかないから早速練習、練習!」
健夜「早くない!?というか私の意志は!?」
恒子「あ、そうだユニット名まだ考えてなかったね」
健夜「既に参加する方向で話が進んでる!?」
咏「なんでもいいよー」フリフリ
はやり「プロデューサーさんに決めて貰うのはどうかなー☆」
恒子「うーん…そうだなぁ」
恒子「む!良いのが浮かんだ!」
恒子「『あらうんど☆サーティーズ』というのはどうか!?」
はやり「わぁ~☆」
咏「私まだアラサーじゃないんだけどー…
今年で四捨五入したら30歳だけどさぁ…でもさぁ…あのさぁ…」
恒子「ユニット名が決定したということで、早速練習しよう!」
はやり「さんせーい☆」
健夜「本当にその名前でいくの!?」
恒子「まずは体力作りだよ!全員、体操服に着替えた後外に集合!」
咏「りょうかーい」
健夜「え…体操服なんて持ってきてないよ」
恒子「大丈夫!衣装にあるから合ったサイズ持って行っていいよ!」
はやりん「健夜ちゃん早く~☆」
健夜「もう…本当に強引だなぁ…」
恒子「集まったようだね!」
健夜「(うう…まさかこの歳になってブルマを履く事になるなんて…)」
咏「ギリギリブルマ世代だったとはいえ恥ずかしいねぃ…」
恒子「まず準備運動からー!手を組んで上ー!」
健夜「運動本当に苦手なんだけどなぁ…」
咏「私は体動かすの好きだけどねぃ」
はやり「適度な運動は体に良いんだよー☆」
健夜「うう~…」
恒子「深呼吸~…さて、準備運動も終わったし、早速いこうか!」
健夜「どこへ…?」
恒子「ランニングだよ!とりあえず駅を越えた所の大きい公園まで行って往復しよう!」
健夜「あ、あそこまで片道2kmくらいあるよ!?」
恒子「駆けあぁぁぁし!!!すすめぇぇえ!!!」
咏「うーい」はやり「はーい☆」健夜「ええ~…」
恒子「いーち!いーち!いっちにっ!」
咏・はやり「そーれ」健夜「ハァッ…ハァ…」
恒子「いーち!いーち!いっちにっ!」
咏・はやり「そーれ」健夜「ゼー…ゼー…」
恒子「いーち!いーち!いっちにっ!」
咏・はやり「そーれ」健夜「もう駄目…」
恒子「いーち!いー…す、すこやーん!まだ1kmも走ってないぞー!?」
健夜「だ、だって…ハァッハァッ…」
咏「さすがに運動不足すぎるねぃ…」
健夜「ハァッ…ハァ…」ゼーゼー
はやり「ほら、健夜ちゃん☆」グイッ
健夜「あ…え…?」
咏「後ろから押せばちょっとは楽になるだろ?」グイッ
健夜「ハァッハァッ・・・うん・・・」
健夜「は、はい…ハァハァ」
咏「走るのは気持ちがいいねぃ」
公園
健夜「ハー…ハー…」
恒子「お疲れー、ちょっと休憩しよう!」
咏「ほら、すこやん。飲みなよ」ぐいっ
健夜「あ、ありがとー…はぁ…美味しい」
咏「汗かいたあとに飲む水は最高だねぃ」フリフリ
健夜「う、うん…」
はやり「今ので100キロカロリーは消費できたかな…」ブツブツ
恒子「休憩終わりー!帰るよー!」
咏「うーい」はやり「目標体脂肪率までは…あ、はーい☆」
健夜「うう…帰りがあるんだった…」
健夜「もうダメ…」ガクッ
咏「ふぅ、良い汗かいたー」
恒子「お疲れ!ストレッチしてシャワー浴びたあと早速歌の練習するよー!」
はやり「はーい☆」
健夜「歌かぁ…それならまだ楽だなぁ…」
咏「運動したあとは筋肉をほぐさないとねぃ」
恒子「あ!忘れてた!」
健夜「どうしたの…?」
恒子「筋トレしないと!全員腕立て伏せの姿勢をとれーい!」
健夜「え、えぇ~~…」
恒子「いーち!にー!さーん!」
咏はやり「いーち にー さーん」
健夜「ううう…あ、上がらない…」ガクッ
健夜「この事務所、中に浴場があるんだ…豪華だなぁ…」
健夜「うう…全身が重い…」
咏「もう恋なんてしないなんて~♪」シャアアアア
はやり「良い湯だ~な~♪」カポーン
健夜「皆結構アイドルする事に乗り気だよね…」
健夜「(というかはやりさんのおもちすごいなぁ…)」
恒子「咏さんとはやりさんって良い声だよね。そういえばすこやんも歌得意なんだっけ?」
健夜「と、得意ってわけじゃないけど…」テレテレ
恒子「歌ってみてよ!」
健夜「え、えぇ~…///?し、仕方ないなぁ…
G・A ドキドキ ババンガ バー」
恒子「さて練習いこうか、上がるよー!」
咏「うーい」はやり「はーい☆」ザバァ
健夜「ええ~…」
健夜「つ、疲れたぁー…」グッタリ
健夜「明日すごい筋肉痛なんだろうなぁー・・・」
健夜「シャワー浴びたあと5時間くらい歌うのも結構ハードだった・・・」
健夜「次はダンス練習も入ってくるって言ってたし・・・」
健夜「苦手だなぁ・・・ダンス・・・」
健夜「はぁ・・・もう寝よっ」
健夜「・・・」
健夜「私がアイドル・・・かぁ・・・」
健夜「無理だよね・・・私なんかが・・・」
健夜「・・・スヤァ」
恒子「アン!ドゥ!トロワ!アン!ドゥ!トロワ!」
咏「よっと!」キュッキュッ
はやり「せいっ♪」タユンタユーン
健夜「わ、わ、わわっ!」ステーン
恒子「す、すこやんっ!大丈夫!?」
健夜「あいたた・・・う、うん・・・」
咏「苦手ってのは分かってたけど」
はやり「時間がかかりそうだねー・・・」
健夜「ご、ごめんなさい・・・」
恒子「大丈夫大丈夫!まだあと時間は30日くらいあるから!」
健夜「全然無いよね!?」
恒子「ちなみにライブ会場は東京ドームだから」
咏「いきなり凄い所だねぃ」
健夜「ひえええ・・・東京ドームって・・・」
恒子「それくらい皆が期待されてるって事だよ!
さっ!もう一度最初からやろ!」
健夜「うう・・・」
咏「ごまえー♪ごまえー♪」キュッ
はやりん「頑張ってーいーきまーしょー♪」タユーン
健夜「いちーばーん・・・ひゃあっ!?」ステテーン
恒子「あちゃあ・・・」
健夜「いたた・・・はぁ・・・」
健夜「(もう嫌・・・)」
ザッザッザッザ
恒子「全体止まれーい!公園ついたし一旦休憩~!」
健夜「ぜぇっ・・・ぜぇっ・・・」
咏「すこやん、止まらずに歩いて呼吸を整えた方がいいよ」
はやり「健夜ちゃん、あと半分だよ!」
健夜「は、はい・・・」
健夜「はぁ・・・はぁ・・・」
健夜「・・・はぁ」
健夜「(何で、私こんな事してるんだろ・・・)」
咏「ん・・・どうしたのすこやん。ほら、水飲みなよ」
健夜「うん・・・ありがとう咏ちゃん・・・」
はやり「天気が悪くなってきたねー」
恒子「雨が降る前に帰ろう。そろそろいくよー!」
はやり「ほんの些細なっ言葉にっ♪」タユンタユーン
咏「傷っ付っいった♪」キュッキュ
健夜「だけど甘っ・・・きゃぁっ!!」ステテーン
はやり「健夜ちゃん大丈夫!?」
健夜「は、はい・・・」
恒子「むむ、ちょっと疲れてきたかな。休憩~!」
ザァァァァァ
咏「雨が凄いねえ」
はやり「帰りどうしよう~?」
恒子「送ってくよ」
はやり「お持ち帰り~☆」
健夜「・・・」
健夜「(毎日走るのも辛い・・・)」
健夜「(でも一番辛いのは・・・私のせいで皆が迷惑すること)」
健夜「(皆に迷惑・・・かけたくない・・・)」
健夜「(辛い・・・もう・・・嫌だ)」
健夜「・・・」タッ
ガチャッ スタタタタ・・・
恒子「ん?どこいくのすこやんー!」
はやり「健夜ちゃん、何か思い詰めた顔してた・・・」
恒子「っ!わ、わたし探してくる!」
咏「待った!」
恒子「え!?な、なんで!?」
咏「あんた、気づいてないのかい
すこやんは多分もうアイドルなんて・・・したくないんじゃないかな」
恒子「え、ええ!?で、でも!!」
はやり「こーこちゃん、あんまり・・・健夜ちゃんに無理はさせない方が良いと思う」
咏「元々、無理言ってやらせてるんだ。それに、すこやんの性格知ってるだろ?
内気で根暗で人見知り激しくて、人前に立つのは苦手なんだよ」
恒子「う・・・そう・・・だけど・・・」
咏「私もすこやんと一緒にアイドルやれないのは残念だけどさ・・・」
はやり「人には得意と不得意があるものね・・・」
恒子「でも・・・私・・・私は・・・!」
恒子「・・・・・・私、すこやん探してくる!」ダッ
咏「ちょ、ちょっと!・・・あーあ、どしゃ降りなのに傘もささないでいっちゃったよ」
はやり「仕方ないなぁ・・・」
咏「しゃーない、傘持って追いかけよう」
はやり「うん☆」
咏「・・・さっきはああ言ったけど、すこやんが抜けるのは、やっぱ辛いね」
はやり「うん・・・」
咏「私達、これからアイドルとしてやってくんだし・・・
もっと・・・助け合わないとだめだねぃ」
はやり「そうだね・・・私、健夜ちゃんが辛いって思ってたの知ってたのに
全然健夜ちゃんの事支えてあげてなかったと思う・・・」
咏「私もさ。私達は3人で1つのチーム・・・同じアイドルユニットなんだ」
はやり「咏ちゃん、健夜ちゃんを呼び戻そう!」
咏「ああ。すこやんは私達の大切な仲間だものねぃ!」
ザァァァァァア
健夜「・・・」
健夜「結局この公園にきちゃった・・・」
健夜「雨・・・すごいなぁ・・・どうやって帰ろう・・・」
健夜「皆・・・今頃探してるのかな・・・?」
健夜「私・・・最低だな・・・」
健夜「・・・・・・えいッ!」ガンッ!
自販機「オウフ」
健夜「あっ!ご、ごめんね・・・!」
自販機「許すよ」
健夜「物に当たるなんて本当に最低だよ・・・はぁ」
恒子「はぁっはぁっ!あっ居た!すこやーん!!!」
健夜「・・・こーこちゃん」
健夜「こーこちゃん・・・悪いけど・・・もうアイドルは・・・」
恒子「諦めるの・・・?」
健夜「だって・・・!」
恒子「私はっ!」
恒子「私は・・・諦めるすこやんなんて、絶対に見たくない!!」
健夜「え・・・?」
恒子「私の知っているすこやんは、内気で根暗で人見知りで
27になっても実家暮らしだし髪型ダサいし服装もダサいし麻雀抜いたら
ちょっとどうかと思う人だけどっ!」
健夜「言い過ぎじゃない・・・?」
恒子「でもっ!麻雀をやってるすこやんはいつだって上を目指して
前を向いて、常に誰よりも強くあろうとしてた!」
健夜「っ!」
私が・・・中学校の頃からずっと好きだったすこやんは・・・
絶対、一度始めた事を諦めたりなんてしない!!」
ザァァア
健夜「・・・えっ・・・///今なんて・・・?」
恒子「わっ///わーっ!とにかくっ!すこやん!戻ってきてよね!」
健夜「でも・・・」
咏「あーいたいた」
はやり「はっけーん☆」
健夜「皆・・・?」
咏「ここだろうと思ってたよ」
健夜「あの・・・皆、本当に・・・ごめん・・・もう・・・アイドルは・・・」
咏「おっと!言わなくてもわかってるぜぃ」
はやり「健夜ちゃんの気持ちに気づけないほど、私達は鈍感じゃないよ」
健夜「・・・」
はやり「私達は、同じアイドルユニット・・・仲間でしょう?」
咏「仲間ってのは助け合うものだってねぃ。まぁすこやんの性格考えたら
どうせ、私らに迷惑かけてるのが辛い・・・って思ってるんだろうけど」
健夜「う・・・」
はやり「迷惑なわけないでしょう?1人は皆に、皆は1人にだよ☆
辛い事があるなら、助けあえばいい。健夜ちゃん、一緒に乗り越えていこう?」
咏「すこやんが抜けるんなら、私も抜けるぜぃ」
はやり「えー?それじゃはやりのソロユニットって事ー?じゃあはやりもやーめよ☆」
健夜「皆・・・」
健夜「(私は・・・こんな良い人達と仲間だったんだ・・・)」
健夜「(それなのに・・・私は・・・仲間の気持ちに気づけないで・・・」
健夜「(皆の・・・思いを裏切りたくない!)」
私・・・もう一度、アイドル・・・やるね・・・グスッ・・・あれ・・・涙が・・・」ポロポロ
恒子「すこやん!」
自販機「泣けるで」ポロポロ
咏「あんまり雨の中に居たら風邪引いちまうぜ?」
はやり「傘持ってきたけど、皆もうずぶ濡れだね☆」
恒子「帰ろう・・・!私達の事務所へ!」
健夜「うん・・・皆・・・本当に・・・ありがとう・・・!」
タッタッタッタッタ
恒子「よーし、休憩~!」
健夜「ふぅ・・・」
咏「すこやん、だいぶ体力付いたねぃ」
健夜「あ、ありがと・・・///毎日走ってるしね」
はやり「体脂肪減らない・・・なんで・・・」ブツブツ
恒子「さーて、帰りますか~!」
咏「追いかけて 逃げるふりをして♪」フリフリ
はやり「そっと 潜る♪」タユーン
健夜「私マーメイ♪」タタンッ
咏「捕まえて 好きだよと言って欲しい♪」タターン
はやり「熱い永遠の今~♪」タユーン
健夜「きっと きっと 未来がはじまる~♪」キメッ
恒子「キマった・・・」
咏「よしっ!良い感じだねぃ!」
はやり「健夜ちゃんっ!ダンス上手くなったね!」
健夜「んん・・・そうかな///」
健夜「(毎日家帰ったあとも練習してるもんね!)」
恒子「ということでアイドルユニット結成後初の飲み会でーす!」
咏「そういえばやってなかったねぃ」
はやり「皆、飲みすぎちゃダメだぞ☆」
健夜「私はその・・・あんまり飲まない方だから・・・」
恒子「明日もレッスンはあるんで、ほどほどにね!」
咏「あはは、大丈夫大丈夫」
店員「生4つス」
恒子「さて、ビールもきたところで・・・すこやんから乾杯の挨拶~!」
健夜「え、えぇ~!?」
咏・はやり「いえーい☆」
今回は初めての皆との飲み会ということで・・・
1週間後には本番のライブがあって・・・
私達にとっては最初の一歩だけど・・・でもそれは一番大切な」
恒子「カンパーイ!」
咏・はやり「カンパーイ!」
健夜「えぇ~・・・」
恒子「飲み放題だからどんどん飲んでね!
もちろんべろんべろんにならない程度でね!」
咏「わかってるって~」フリフリ
はやり「唐揚げと生ビールおいし~☆」
二時間後
健夜「こ、小鍛治健夜ぁ、い、イッキ飲みいきまぁぁあひゅ!」
咏・はやり「イエエエエエ!!!」
恒子「ダメだって!一気飲みは危ないって!」
はやり「ちょっと良いとこみてみたいぃぃー!!」
咏・はやり「そーれリーチ!一発!ツモ!ピンフ!純チャン!三色!イーペーコー!
それイッキ!イッキ!」
健夜「んくっんくっんくっ・・・・・・ぷっはぁぁぁ!」
咏・はやり「オオオオオオ!!!」
恒子「ああ・・・なんでこんな事に・・・」
咏「あ~っはっはっはっは!!超ウケるんですけど~!!」
はやり「それでねぇ、「最近視聴率落ちてるから、深夜いってアダルト番組やろうか(笑)」
とか言うんだよぉぉ!??酷くなぁぁい!?牌のお姉さん改めパイのお姉さんとか
何それぇぇ!?冗談でも笑えないんだけどぉぉ・・・うっ・・・ぐすっ・・・ひっく・・・」
咏「ひーっひっひっひ!!パイのお姉さんとかウケる~!!」
恒子「咏さんは笑い上戸ではやりんは泣き上戸なんだ・・・」
恒子「ん、何すこやん」
健夜「あのねぇ・・・この前公園でねぇ・・・こーこちゃんさぁ・・・」
恒子「ちょっ///あ、あれはつい勢いで!」
健夜「こーこちゃん私の事・・・好きって言ったように聞こえたんだけど・・・?」
恒子「そ、それはぁ・・・///」
健夜「私・・・あの時すごく嬉しかった」
恒子「えっ・・・」
健夜「私もね・・・こーこちゃんの事・・・」ぐいっ
恒子「わ、わ、すこやん顔近い・・・///って臭っ!酒臭っ!」
咏「ちょっ何かあっちキスしそうになってるんですけどおお!!」
はやり「若い子もねぇ、5年前までは毎日私に声かけてきたんだけど
最近は全然でさぁ・・・で、この前聞いちゃったんだよぉ・・・
「高画質フルハイビジョンって罪だよね(笑)」って会話ぁぁ!」
恒子「ちょっちょっと!心の準備が!」
咏「キース!キース!」
はやり「水ダイエットってどうなのかなぁ・・・
お腹のお肉掴めるのってやばいっすか・・・?
頑張ろう・・・痩せよう・・・うっぐすっ・・・」
健夜「ん・・・・・・・・・」
恒子「(わっ!す、すこやんとキスしちゃう・・・///)」
健夜「うぷっ・・・・・・ウォロロロロロロロ・・・」
恒子「ぎゃああああああ!!!」
咏「あっははははははははは!!!
あーっははははうぷっ・・・ウォロロロロロロ・・・」
はやり「ひうっぐすっ・・・うぷっ・・・ウォロロロロロ・・・」
恒子「地獄だこれ・・・」
健夜「いよいよ本番なんだね・・・」
恒子「ドーム満員だよ!皆、はりきっていこっ!」
咏「もちろん!この日のためにずっと練習してきたんだからねぃ!」
はやり「うん☆」
健夜「うっ・・・ど、どうしよ・・・足・・・震えが止まらないよ・・・」カタカタ
咏「すこやんっ!もう始まるぜぃ!」
健夜「ま、待って・・・」
恒子「・・・すこやんっ!」
チュッ
健夜「・・・へっ?」
恒子「えへへ・・・ファーストキス・・・///」
恒子「緊張・・・解けた・・・?頑張ってきてね!すこやん!」
健夜「あ・・・う、うん!///」
はやりん「わぁ~///」
咏「おお~ぅ!妬けるねぇ!それじゃ行くぜぃ!」
健夜「行こう・・・私達の・・・ステージへ!」
ワァァァァァァァァァァ!
観客「ウォォォォォォォ!!!!
はやりーーーーーん!!!!!
ウオアアアアアアア!!!!」
観客「はやりんちょーかわいいよー!!!!
わっ!こっち向いた!!」
観客「咏さーーーーーーーん!!!!
咏さああああああああああん!!!!」
観客「咏さあああああああん!!!
ウウオアアアアアアアアア!!!!」
観客「咏さんもちょーかわいいよー!!!!
サインちょうだーーーーい!!!!」
観客「すこやーん」
健夜「すごい・・・」
咏「この中でやるのかぁ・・・緊張してきたぜぃ」
はやり「皆・・・!私達の最初の舞台・・・絶対に成功させよう!」
健夜・咏「もちろん・・・!」
咏「私達の最初のライブへ来てくれて!!」
健夜「本当に・・・ありがとうございまーーーす!!!」
ウオオオオオオオオオオオオオオオ!!
ウオオオオオオオオオオオオオオオ!!
はやり「それでは・・・私達の最初の曲!」
咏「焦るアラサー女子の思いを疾走感のあるリズムに載せて歌うぜぃ!」
健夜「曲は・・・「URGENT!!!」」
ジャーン タッタッタタタタッタ♪
デンデレレンデレーン♪
はやり「そっけなくなったり 急に優しくなったり♪」タユンタユン
健夜「好きだって言わせたい 単純な作戦今日も空回りしてる♪」ッターン!
ウオオオオオオオオオオオオオオオオ!!
ウオオオオオオオオオオオオオオオオ!!
咏「めちゃくちゃにUrgency この気持ちUrgency♪」タタッ
はやり「ジェットコースターに乗っているみたい♪」タユーン
健夜「急いでよUrgency このチャンスを 逃したら♪」タタンッ
咏・はやり・健夜「二度と 触れ合えなくなるよ♪」キメッ
健夜「(よし・・・!良い感じで歌えてる・・・!)」
咏「一喜一憂してた毎日♪」フリフリ
はやり「一気 飛び越えよう♪」タユーン
健夜「時効までは あとわずか♪」ドヤッ
グラッ
健夜「(!?足がもつれて・・・こける・・・っ!)」
咏「(すこやんっ!)」
はやり「(健夜ちゃんっ!)」
健夜「(ごめん皆っ!)」
恒子「すこやんっ!皆との思い出を思い出して!!!!」
健夜「(思い出・・・皆との・・・
皆と毎日・・・たくさん走った・・・歌とダンスの練習をした・・・
下手な私を毎日サポートしてくれた・・・弱い心の私を立ち直らせてくれた・・・
私の大切な仲間・・・友達との・・・かけがえないの無い日々・・・)」
健夜「(絶対に・・・台無しにするわけにはいけない!)」カッ
健夜「・・・っ 二度と離さない はじめよう君と Wonderful days♪」
咏「(すこやん・・・よくやったぜぃ!)」
はやりん「(健夜ちゃん・・・頑張ったね)」
ウオオオオオオオオオオオオオオオオ!!
咏・はやり・健夜「眼差しの中に ちりばめた暗号 今すぐに解読してね♪」キメッターン!
テンテンテレレテンテレーン
ジャーン・・・
咏・はやり・健夜「ありがとうございましたああああーーーーーー!!!!」
ワアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!
ワアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!
健夜「(よかった・・・失敗せず最後まで歌えた・・・)」
咏「すこやんっ!はやりんっ!やったねぃ!」
はやりん「うんっ!大成功っ!」
健夜「やったんだ・・・私達・・・東京ドームでのライブを成功させた・・・」
健夜「・・・」
健夜「私・・・アイドル続けて・・・」
咏「ん?どうしたすこやん」
健夜「本当に・・・良かった・・・っ」ポロポロ
はやり「健夜ちゃん☆まだ泣くのは早いよっ!」
咏「そうだぜすこやん。私達のアイドル人生はまだ始まったばかりだぜぃ?」
咏「もちろんだぜぃ!」
はやり「みんなで、アイドルの頂点を目指そう☆」
ガラッ
恒子「みみみみんな!!!!大変だよ!!
あのライブみたお偉いさんが気に入って、来週から日本一周ライブツアーだって!!!」
はやり「わぁ~☆素敵!」
咏「やれやれ・・・忙しいねぇ」
健夜「うん・・・でも」
健夜「アイドルって・・・楽しいね!」
健夜「私がアイドル?」 カン
おつおつ!
Entry ⇒ 2012.11.12 | Category ⇒ 咲-Saki-SS | Comments (0) | Trackbacks (0)
魔法少女まどかフロンティア 4
Entry ⇒ 2012.11.11 | Category ⇒ まどかマギカSS | Comments (1) | Trackbacks (0)
ミカン「なんかセリフが増えてる……」
ミカン「」
ミカン「恥ずかしい」
ミカン「たぶん無駄でしょうけど一言文句でも言っときましょうか」
ミカン「えっと社員さんの番号は……」
プルルルルルルルルル
プルルルルルルルルルガチャッ
ゲーフリ社員「はいもしもしこちらゲームフリークです」
ミカン「えっと……ミカンです」
ゲー社「おっとミカンちゃん、何のようだい?」
ミカン「実は……」
ミカン「そうですか……」
ゲー社「ほら、上には逆らえないし」
ミカン「それは私もですよ……ジム戦でハッサム使わせてほしいって何度言ってることか……」
ゲー社「わかってくれると助かるよ……本当に」
ミカン「確かにガチのはがね統一パ作るのならあんな感じにはなりそうですけど」
ゲー社「とにかく、明後日の収録までにはセリフとか覚えてきてね」
ミカン「わかりました」
ゲー社「俺も怒られたくはないからさ……」
ミカン「下っ端がつらい世の中ですよね」
金銀時代から俺の嫁
ミカン「ありがたいですね」
ゲー社「社内にもファンは多いんだし、可愛いところ見せなきゃだめだよ」
ミカン「はい、がんばります」
ゲー社「それじゃあね」ピッ
ミカン「ポーズかあ」
ミカン「(`・ω・´)」シャキーン
ミカン「」
ミカン「恥ずかしい」
ミカン「けどこんな感じでやっとけばベタだしスベらなさそう」
ミカン「はあ……」
ゲー社「おっすミカンちゃん」
ミカン「こんにちわ」
ゲー社「ジムトレ戦は灯台で終わってるからいきなりバトルだから」
ミカン「わかりました、じゃあ定位置ついときますね」
ゲー社「おう、頼むよ」
とっても かたくて つめたくて
するどくて つ つよいんですよ?
ほんと なんですよ?」
ゴールド「(冷静に考えるとこれジムリーダーがいきなり話しだしてバトル吹っかけてくるんだよな……)」
ミカン「(ドキドキ)」
ミカン「つかうポケモン は シャキーン!!… ははがねタイプです!!」
ミカン「(`・ω・´)」シャキーン
ゴールド「」
ゴールド「プッ」プルプル
ミカン「(´・ω・`)」ショボーン
ミカン「……………………」
「VSミカン」デデーン
ゴールド「いけ!バクフーン!」
ミカン「画面の向こうから変な眼で見られてたりしないかな?」
ミカン「はぁ」
ミカン「今回もかなり売れてるみたいだし公開処刑じゃん……」ジジジジジジジジ
ミカン「あれ?ポケギアにメールだ」
ミカン「えっと…………」
ミカン「」
ミカン「嘘でしょ?」
ミカン「シャキーンシャキーン」
観客「ワアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア」
ミカン「みなさん今日もありがとうございまーーす」
ミカン「シャキーン」
客「ワアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア」
ミカン「私のシャキーンが可愛いという声が多くて」
ミカン「シャキーンアイドルとしてデビューしないかという内容でした」
ミカン「いまはジムリーダーとアイドルを両立して生活しています」
ミカン「大変だけど楽しい毎日です」
ミカン「最初は恥ずかしかったですが、もう慣れてきました」
ミカン「今となってはゲーフリの方々に感謝していますね」
おわり
ミカンのやつときたから次は男キャラでスレ建てようと思う
dionだからいつ規制食らうかわからんが
たぶんいないけどもしナツメのやつ見たい人いたら
ナツメ「イメチェン……ですか……」的な感じでググれば過去ログ見つかると思う
和んだ
ミカンちゃんちゅっちゅ
Entry ⇒ 2012.11.11 | Category ⇒ ポケモンSS | Comments (0) | Trackbacks (0)
ナツメ「イメチェン……ですか……?」
ナツメ「とりあえずどんな感じになればいいんですか」
ゲー社「一応参考画像がこちらになります」
ゲー社「どうしましたか?」
ナツメ「なんか随分とはっちゃけてるというか……」
ゲー社「まあそうですね」
ナツメ「(男ができたみたいな勘違いされそう)」
ナツメ「お互い上には逆らえませんからね」
ゲー社「とりあえず新作ではこんな感じになるってことで」
ナツメ「わかりました」
ゲー社「じゃあ今日の打ち合わせはこれで」
ナツメ「お疲れさまです」
ナツメ「なんか絶対に許さないって声が聞こえてくるわね」
ナツメ「美容室の予約でもしておきましょう」
ナツメ「(失敗する未来なんて見えないわ)」
ナツメ「(見えないわ…………)」
ゲー社「あっナツメさん」
ナツメ「こんな感じでいいのかしら」
ゲー社「はい」
ナツメ「えっとジムのセットはどこ?」
ゲー社「こっちなのでついてきてください」
ゲー社「(ジムトレの人たちには絶対に誰ですかなんて言わないようにいってあるけど……)」
ゲー社「(空気読める子たちだから大丈夫だよね)」
ナツメ「あら、あなたもちょっと衣装変わったのね」
ジムトレB「そりゃあリメイクですし」
ジムトレA「ナツメさんも似合ってるじゃないですかー」
ナツメ「そっ……そうかしら……?」
ジムトレC「それはそれで可愛いですよ」
ナツメ「」←まんざらでもない
ゲー社「おっと、もう時間だから配置についてね」
ナツメ「はーい(どうやっていくんだったかしら)」
ゴールド「(収録なのにバトルはガチとはこれいかに)」
ゴールド「ナツメさんの前にポケセン行こう」
ナツメ「(FRRGのときはレッドが来てくれるのかしら……)」
ゴールド「行きますよナツメさん!」
vsナツメ
レッド「(収録場所近いし久しぶりにナツメのところにでも顔出すかな)」
ナツメ「お疲れさま」
ゴールド「そういえばナツメさん」
ナツメ「なにかしら?」
ゴールド「しばらくはその格好でいるんですか?」
ナツメ「まあ……そうね。でもどうしてそんな」
ゴールド「いえ、愛しのレッドさんには見せないのかと」
ナツメ「いっ愛しの……」←顔真っ赤
ナツメ「でも変だと思われたりとか……」
ゴールド「大丈夫ですって」
ナツメ「(アタック……)」
ゲー社「ゴールドさん、ちょっといいですか」
ゴールド「あっはい」
ゲー社「実はレッドさんが……」ごにょごにょ
ゴールド「わかりました、じゃちょっと行ってきますね」
ゲー社「すいません私もこれで、ナツメさんはそこで待っていてください」
ナツメ「わかりました」
ゲー社「それではこれで失礼しまーす」
ナツメ「暇nレッド「おじゃましまーす」えっ?」
ナツメ「(何でレッドが……)」
ナツメ「(とりあえずなんて話しかければ……)」レッド「あれ?ナツメさんは?」
ナツメ「えっ?」
レッド「ごめん……俺が悪かった」
ナツメ「」
レッド「結構印象変わってたからさ……」
ナツメ「やっぱり変?」
レッド「どこが?」
ナツメ「こう……いろいろ外見が」
レッド「どこも変じゃないよ」
ナツメ「……本当?」
ナツメ「レッド……」
ナツメ「(いつもと違う私か……)」
レッド「どうしたの?」
ナツメ「レッド、この後食事でも行かない?」
レッド「いいけどいきなりどうしたの?」
ナツメ「女の子にはいろいろあるのよ」
……………………
………………
…………
……
ゲー社「BWのリメイクで……」
おわり
ナツメさん可愛い
正直ナツメはロングの方が好きだな
Entry ⇒ 2012.11.11 | Category ⇒ ポケモンSS | Comments (0) | Trackbacks (0)
P「さらにとりとめのない話」
・おはよう
美希「おはよう!」
美希「……」
響「……zzz」
貴音「……zzz」
P「……zzz」
美希「みーんな寝てるの……」
美希「ミキだけ早起きさん♪」
響「……zzz」
貴音「……zzz」
P「……zzz」
美希「……」
美希「あふう」
美希「……zzz」
響「……zzz」
貴音「……zzz」
P「……zzz」
・強がり
TV『恐怖!インベーダー! …完』
美希「……」ガタガタ
響「……」ガタガタ
貴音「……」ガタガタ
P「そろそろいい時間だし、寝るか」
美希「うう、怖い映画なんて見なければよかったの……」
貴音「……美希、今日は皆で並んで寝ましょうか」
美希「賛成!」
響「……ぷっ、2人とも怖がりなんだから」プ-クスクス
響「仕方ないなー。2人が可哀想だから一緒に寝てあげなくもないぞ? ん? 自分、暑いの嫌いだけど? ん? 仕方ないし? ん? ん?」
貴音「……響は1人で大丈夫そうですね。美希、2人で寝ましょう」
美希「大賛成なの!」
響「うぎゃー! 自分が悪かったから一人にしないでー!」
貴音「……」ギュギュ
美希「……」ギュギュ
響「せーまーいーぞー……」ギュギュ
美希「こういう時は狭いくらいにくっついた方が良いと思うの」
貴音「美希の言うとおりです。人は触れ合わなければ温もりに気づけませんから」
響「だからってくっつき過ぎだよー! 苦しいから少し離れるさ!」
P「……」
P(今更怖くなってきた……)
美希「……ハニーが寂しがってる!」
貴音「そのようですね!」
美希「ハニー! 今行くのー!」ゴロゴロゴロゴロ
貴音「あなた様! 今会いに行きます!」ゴロゴロゴロゴロ
響「あー! 一人にしないでってばー!」ゴロゴロゴロゴロ
P「……ん?」
美希「」ゴロゴロゴロゴロ
貴音「」ゴロゴロゴロゴロ
響「」ゴロゴロゴロゴロ
P「ひいいいいい! 出たあああ!」
春香「あずささんってさ」
真「うん?」
春香「Sだよね。ドの付くレベルの」
真「うん。ボクもそう思う」
雪歩「……?」
あずさ「あらあら~」
小鳥「すいません拾うの手伝ってもらって……」
あずさ「いいんですいいんです」
律子「ああっ、コーヒーが」
あずさ「あらあら~」
律子「すいません片付け手伝ってもらって」
あずさ「いいんですいいんです」
真「ドSだねえ……」
雪歩「……?」
・くだらない思いつき
雪歩「……!」コポポ…
雪歩「ねえねえ真ちゃん」コトッ
真「 あ、お茶ありがとう」
雪歩「私ね、くだらないギャグ考えちゃった」
真「へえ、どんなの?」
雪歩「うん。えっとね……」
雪歩「おべんとばっこ、おべんとばっこ♪ ちょっと詰めて♪」
雪歩「……マトリョーショカ!」
雪歩「……」チラッ
真「……」ズズッ…
雪歩「……」チラッ
真(あ、本当にくだらないやつだ)
雪歩「……」チラッ
真(なんてごまかそう……)
雪歩「……」チラッ
真「……」
真「あ、このお茶請け美味しいね」
雪歩「うん! このまえの撮影で行ったお店のお菓子なんだ!」パァァ…
・心眼
亜美「ここで問題です!」
真美「どっちが亜美で、どっちが真美でSHOW!!」
P「……」
亜美「……」サイドポニ-
真美「……」サイドアップ
P「……」
P「亜美」 ニア 真美「……」
P「真美」 ニア 亜美「……」
亜美「残念!」
真美「ハズレ!」
亜美真美「「おとといきやがれダメプロデューサー!」」
P「えー……」
・妥協策
亜美「続いて問題です!」
真美「どっちが亜美で、どっちが真美でSHOW!!」
春香「……」
亜美「……」サイドポニ-
真美「……」サイドアップ
亜美「はるるんならモチ正解だよね!」
真美「あったり前っしょー!」
亜美「だって私たち」
真美「仲間」
亜美真美「「だもんげ!!」」
春香「えっ、ええー……」
真美「さあさあ!!」
春香「え、ええっと……」
春香「よ、よーし」
春香「亜美」ニア 亜美「おっ!!」
春香「……」
春香「……亜美」ニア 真美「えっ!?」
亜美「あー! 今のテストで良くやるやつだ! 分からない問題の時に!」
真美「セコい! セコいよはるるん!」
春香「だ、だって……」
亜美真美「「見損なったぞクッキーモンスター!」」
春香「く、クッキー以外も作るもん!」
・ごまかしのプロ
亜美「そろそろ正解が欲しい! 問題です!」
真美「どっちが亜美で、どっちが真美でSHOW!!」
真「……」
亜美「……」サイドポニ-
真美「……」サイドアップ
真「……」
亜美「……」
真美「……」
真「このゲームのボスが倒せないんだけど」
亜美「えっ? どれどれ?」
真美「えー!? これ倒せないのまこちん!」
亜美「魔列車なんて聖水でイチコロっしょ→」
・ささやかな復讐
亜美「……誰も、正解してくれなかったね」
真美「……うん」
亜美「寂しいね……」サイドポニ-
真美「そうだね……」サイドアップ
冬馬「765の双子か。こんなところでなにやってるんだ?」
亜美「……『双子』じゃないもん」
真美「……亜美と真美だもん」
冬馬「……」
冬馬(サイドを上げてるのがが双海亜美で、ポニーが双海真美だよな)
冬馬(あまとう呼ばわりのお礼にわざと間違えてやるか……)
冬馬「悪かった、悪かった」
冬馬「えっと、こっちが双海亜美だよな」 ニア 亜美「なんと!?」
冬馬「で、双海真美」 ニア 真美「なんですと!?」
冬馬「謝るからさ、許してくれよ」
亜美「……」
真美「……」
冬馬「……」ニヤニヤ
冬馬「おおっ!?」
亜美「なんかジュース奢ってあげるよ!」
冬馬「えっ? はっ?」
亜美「遠慮はいらないよ!」
真美「あまとうはもう立派な心友だもんね!」
冬馬「……あ、ありがとう?」
冬馬(……どうしてこうなった)
・律っちゃんといおりん
伊織「ねーえ? うさちゃん」
うさちゃん「ナーニ?」
伊織「……!?」
伊織「り、律子! うさちゃんが喋ったわ!」
律子「はあ? 聞き間違いでしょ?」
伊織「……」シュン…
伊織「ねーえ、うさちゃん。もう一回でいいから声を聞かせて……?」
うさぎ「ハーイ」
伊織「律子! ねえ律子!」
律子「なに? さっきから?」
伊織「……なんでもない」
律子「ナアニ? イオリチャン」
伊織「律子! ねえ律子! 今のは聞こえたでしょ!」バッ
律子「だからなにが?」
伊織「……」シュン…
律子「イオリチャン、ゲンキダシテ!」
律子「ファイト! イオリチャン!」
・キープドリーム
伊織「うさちゃんが返事してくれたの!」
あずさ「あらあら~♪ 良かったわね~」ナデナデ
伊織「……」
伊織「本当よ!」
亜美「寝言は寝て言うもんだぜいおりん!」
伊織「……」
雪歩「う、うーん? 良かったね伊織ちゃん」
貴音「面妖ですね。面妖です。まこと面妖です」ニコニコ
美希「……zzz」
伊織「しゃべったのに……」
やよい「本当に!?」
伊織「!」
伊織「えっ、ええ……」
やよい「……か、貸してもらってもいい?」
伊織「も、もちろん!」
やよい「……う、うさちゃん?」ボソッ
やよい「……」
伊織(あ、あれ? でもさっきは……)
やよい「……うさちゃーん?」ボソッ
伊織(……)
やよい「うさちゃん……」
伊織「ど、ドウシタノ? ヤヨイチャン!」
やよい「!!!」バッ
伊織「ね? 言ったでしょ!」
P「おーい美希、起きろ」
美希「……zzz」
P「仕方ないな。社長に直伝された強制覚醒のツボをば……」
美希「……zzz」
P「せいやっ!」チュミムゥゥゥゥゥゥン!!!!!
美希「……」カッ!
P「おはよう美希」
美希「……」
P「おーい、美希?」
P「えっ」
美希「自然主義に錠前を植え付けないとカマキリと文房具が滅ぼしちゃうよ?」
P「えっ?」
美希「それとも、このままヘソに編み込まれても気にしないのかな。辺境は無事だったって聞くし」
P「や、やめてくれ! 変な電波を垂れ流すのは! 寝て良い! 寝て良いから!」
美希「余は満足なの」
美希「……zzz」
貴音「……」
貴音「……なんということでしょう」ガタガタ
響「ん?」
・ペット扱い
P「……zzz」
貴音「……」モゾモゾ
P「……布団に潜り込もうとするなよ」
貴音「なんと」
美希「……」モゾモゾ
P「美希もだよ」
美希「面妖なの」
P「……zzz」
いぬ美「わん」モゾモゾ
P「……おお、いぬ美か。よしよし」ナデナデ
P「……zzz」
響「……」モゾモゾ
P「……おお、響か。よしよし」ナデナデ
響「わっ!?」
P「……zzz」
美希「ちょっとハニー! 異議あり! 異議ありなの!」
貴音「わたくしも納得できません!」
響「……」
響「自分もなんか釈然としないぞ!?」
響「ねえ貴音?」
貴音「なんです?」
響「自分の手の上にいるハム蔵がー」
貴音「はい」
響「消えっ……」
ハム蔵「ぐえっ」
響「……っちゃいました!」
貴音「なんとっ!?」
響「へへー」
貴音「面妖な……」
貴音「どうしたのです?」
美希「親指がー」
貴音「はい」
美希「こう……」
貴音「……」
美希「スポーンと!」
貴音「なんとっ!?」
美希「えへへー」
貴音「面妖なっ! 美希! 今すぐ治療を!」
美希「あの、これマジック……」
貴音「なんでしょうか、あなた様?」
P「ハンカチを手にかぶせます」
貴音「あら、わたくしがお送りしたハンケチーフ……」
P「これを、パッと翻すと……」
貴音「……」
P「なんとお花が!」
貴音「……なんと」ブワッ
P「えっ」
貴音「本日は『初めてあなた様がらあめんをごちそうしてくださった記念日』……」
貴音「覚えていてくださったのですね……」グスッ
P「えっ?」
貴音「お花まで用意してくださるなんて……」
P「……面妖だ」
・おやすみ
P「おはよう」
貴音「お早うございます」
響「おはよー」
美希「……zzz」
響「やっぱり美希はお寝坊さんだね」
貴音「ですが、まこと安らかな寝顔です」
P「見てたら眠くなって来たよ。俺も二度寝しようかな」
美希「……zzz」
貴音「そうですね。時にはだらしがないのもいいかもしれません」
響「どうせお休みだしね、。そうしちゃおっか」
美希「……zzz」
響「……zzz」
貴音「……zzz」
P「……zzz」
おわり
読んでくれた人感謝です
みじけえつまんねぇで二重苦
Entry ⇒ 2012.11.11 | Category ⇒ アイマスSS | Comments (0) | Trackbacks (0)
P「とりとめのない話」
P「あったか~いご飯に美味しいおかず〜♪」
P「子供の帰りを待ってるだろな♪」
P「僕もかえ~ろ、お家へかえろ♪」
P「でん、でん、でんぐり返しで骨おった♪」
P「っと、ただいま~」
美希「おかえり!」
響「おかえりー」
貴音「おかえりなさい」
P「いいって」
P「今日のご飯は?」
響「そうめんだぞ」
P「この時期にか?」
美希「今日はミキが作ったんだよ!」
P「ああ、そういうこと」
美希「かつお節で美味しくいただくの」
P「そうかそうか、美希は偉いなぁ」
貴音「お荷物をお持ちします」
P「いいって」
P「……」
P「……オヤジの帰りを待ってるだろな、ってか」
美希「ハニー?」
響「プロデューサー?」
貴音「あなた様?」
P「はいはい、今いくよ」
・食卓
美希「ねえハニー?」
P「どうした」
美希「ハニーはご飯の時にいっつもビール飲むよね」
P「美味いぞ」
貴音「おひげが……」スッ…
P「(ごしごし)」
貴音「あ……、むう」
美希「ハニーばっかり好きなもな飲んでてずるいの」
美希「ミキもキャラメルマキアート飲みたい!」
響「ご飯にジュースは合わないぞ。さんぴん茶なら分けてあげるから我慢するさー」
美希「た、貴音……」
貴音「そうですね、食事の際はお茶に限ります」
美希「ぬぐぐぐぐぐぐ」
P「ま、そういうことだ。あきらめよう」
P「あ、貴音、ビールおかわり」
貴音「今日の分はお終いでございます」
P「えっ」
響「確かに最近、飲み過ぎだもんね」
貴音「せっかくです、食事の時は皆でお茶にしましょう。ゴミも減らせてお得というもの」
P「ぐぬぬぬぬぬぬ」
・スーパーお買い物大戦α
P「あと何か買うものあったか?」
貴音「しゃんぷぅが切れていましたよ」
P「ほう」
美希「……」
美希(ちょっと退屈なの)キョロキョロ
『ババロアおにぎり』
美希「はn(ry」
P「ダメ」
美希「買って買ってー! 買ってよー!」
P「この手のお菓子は家にいくらでもあるでしょうが」
美希「味違うもん! ハニーのバカ! はげ!」
P「いってろ」
響「!」
『ヤキニクマンソーセージ』
響「プロd(ry」
P「ダメ」
響「なんでさー! 買って買ってー! 買ってよー!」
P「お前のペットのせいで食事代がカツカツなの」
響「事務所持ちじゃん! プロデューサーのバカ! 変態!」
P「そりゃどうも」
P「ぷっ、言われてやーんのー」プ-クスクス
貴音「あなた様もですよ、まったく大人気のない……」
貴音「いずれ四条の名を名乗る者として、礼節はわきまえていただかないと」
美希「えっ?」
響「んっ?」
P「はっ?」
貴音「!」
『真ラーメンドラゴン』
貴音「あなたs(ry」
P「ダメだって」
貴音「何故です! 万一の時の備えにもなるのですよ!」
P「備えすぎて家計に憂いが出てるんだけど」
貴音「あなた様はいけずです! いけず! いーけーず!」
P「なんとでも」
P「まったく、貴音までこうだ……」
P「!」
『真マジンガーZ 食玩!Z編』
P「……」
美希「ダメなの」
響「ダメだぞ」
貴音「だめですよ」
P「……」
・ねーわ、マジなんくるねーわ
貴音「申し訳ありません、さんぴん茶を切らしてしまいました……」
響「なんくるないさー」
美希「ごめんね、響のお菓子食べちゃった……」
響「なんくるないさー」
P「わり、お前のシャツ雑巾におろしちゃった」
響「なん、くる……」
響「……」
響「……ねーわ」
P「!?」
P「ご、ごめんな! ホントごめん!」
響「い~や? 別に? 全然なんくるないし?」
P「お、怒ってる……?」
響「怒ってないよ? 自分、さっきからなんくるないって言ってるじゃん」
響「……あー、まじなんくるねーわ」
響「なんっくるねーわー!」バンバン
P「ひいいいい」ガタガタ
・ノットクールアンドシュール
千早「……」
伊織「千早が音楽を聞いてるわ」
律子「ええ、クールね」
伊織「きっと新しい歌の方向性を模索してるのね」
律子「ええ、クールね」
千早「……」
千早(耳にパーカーの紐入れてるの、早く誰かツッコんでくれないかしら)
・黒井さんとこの冬馬くん
黒井「冬馬よ」
冬馬「なんだよ、改まって」
黒井「黒と白ならどっちがいい?」
冬馬(黒と、白なら……?)
冬馬「……」
冬馬(一見なんてことのない質問に見えるが、違う。俺には分かるぞ)
冬馬(黒とは、つまり961プロのこと)
冬馬(白とはその対極、真逆の存在だ……。つまりは765プロのこと)
冬馬(おっさんは、その二つのどちらが良いかを聞くことで俺たちの忠誠を試してるんだ!)
冬馬「……俺はもちろん黒だ!」
翔太「じゃあボク白」
冬馬「えっ」
北斗「あ、俺も白で」
冬馬「えっ」
黒井「ウィ、ちょうど綺麗に別れたな」
冬馬「えっ?」
黒井「では翔太、分けてくれ」
翔太「はーい。……やっぱバニラが基本だよね」ガサゴソ
黒井「チョコレートこそ王者が食すに相応しいものだというのに」
北斗「俺はどちらでもいけますけどね」
冬馬「……アイスの話かよ!」ガタッ
黒井「どうした、いらないのか?」
冬馬「いる!」
響「もっふもっふー♪」ゴロゴロ
いぬ美「わん」
響「あっ、いぬ美ってば爪長いぞー?」
響「よしっ、自分が切ってあげるからじっとしてるさー」
いぬ美「わん」
響「……」パチ…パチ…
美希「……あ、響ったら足の爪伸びっぱなしなの」
美希「ミキが切ってあげるからじっとしてるんだよー?」
響「んー?」
美希「……」パチ…パチ…
貴音「……おや、美希。足の爪が長いようですね」
貴音「わたくしが切って差し上げましょう。じっとしているのですよ?」
美希「んー?」
貴音「……」パチ…パチ…
いぬ美「わん」
響「……」パチ…パチ…
美希「……」パチ…パチ…
貴音「……」パチ…パチ…
P(プラレール?)
・くだらない思いつき
雪歩「~♪」コポポ…
雪歩「!」
雪歩「ねえねえ真ちゃん」コトッ…
真「どうしたの? あ、お茶ありがとう」
雪歩「私ね、今とってもくだらないこと思いついちゃった」
真「くだらない事?」
雪歩「うん。心理テストなんだけど……」
雪歩「『目の前の道は二つに別れています。どの道を行っても目的地に着く上に二つの道に大差はありません。どちらを通りますか?』」
真「うーん。右利きだし、右で」
真「それで、その心理テストで何がわかるの?」
真「……」ズズッ
真(……くっだらな!)
雪歩「?」ニコニコ
真(うっわ! くっだらな!)
雪歩「?」ニコニコ
真(ああ、でも雪歩ったら『どう? シュールでしょ? ねえ、シュールでしょ?』って顔してる)
真(どうしよう……。傷つけてしまわないようなリアクションを……)
雪歩「?」ニコニコ
真「……」ズズッ
真「あ、お茶っぱ変えた?」
雪歩「うん! 分かってくれた?」パァ…
・チーム分け
響「たまにはみんなで外で遊ぼうよ!」
美希「じゃあバドミントンしようよ。美希強いんだよ?」
P「ほう? 俺のダッシュ波動球、受けてみるか?」
美希「ミキに波動球は効かないの」
響「2人ずつにチーム分けして試合しよっか」
貴音「そうですね。ではあなた様、ここは『めおと』で組むとしましょう」
美希「えっ?」
響「んっ?」
P「はっ?」
亜美「はじめてーの?」
真美「チュウ」
亜美「きみと?」
真美「チュウ」
亜美「にっひひー」
真美「にっひひー」
千早「……」ジ-ッ
千早(仲が良いのね)
亜美「千早お姉ちゃん? どったの?」
千早「あっ、ううん。なんでもないわ」
千早(ちょっと混ざりたい、なんて)
真美「……ふーん」
真美「んー?」
亜美「そしてーかーがやーく?」
真美「ウルトラソウッ!!!」
亜美「ヘェイ!」
真美「ヘェイ!」
千早「……ぷっ」
真美「お?」
千早「!」バッ
亜美「お~?」
千早「ど、どうしたの二人とも」
亜美「べっつに~? ねー?」
真美「ねー?」
千早「そう……。ならよかった」
千早「あ、そうだ」
千早「そろそろプロデューサーに連絡を……」
千早「……」rrr…
亜美「ケータイとりだし」ボソッ
真美「ポパピプペー」ボソッ
千早「デートしてくれま・す・か?」クネクネ
P『……えっ!?』
千早「……あっ!?」
やよい「あ、貴音さーん!」
貴音「やよい」
やよい「貴音さんもお買い物ですか?」
貴音「ええ、ですがこの商店街に来るのは初めてで……」
やよい「じゃあ私が案内してあげます! よく来るんですよ!」
貴音「まことですか。感謝いたします」
やよい「お肉ならあそこのお店で買いましょう」
やよい「今日の晩ごはんは何にするんですか?」
貴音「ええ、しちう、なるものを。野菜の栄養を余すところなく摂ることができると律子嬢から」
貴音「ただでさえ忙しい毎日です。ゆっくりと食事ができる時くらい、体に良いものを食べてもらいたいものです」
やよい「えへへー」ニコニコ
貴音「どうしました?」
やよい「なんだか貴音さん。お母さんみたいだなーって」
やよい「はい!」
肉屋「おっ? なんだい? 若奥様ならお安くしちゃうよ?」
貴音「そ、そんな、奥様などと……///」
肉屋「まいどっ!」
魚屋「なんだ? あんた新婚さんなのかい? じゃあウチはもっとサービスしてやろう!」
貴音「おやめください新婚だなんて……///」クネクネ
魚屋「まいどっ!」
薬屋「若奥様!」
時計屋「若奥様!」
模型店「若奥様!」
「「「サービスしちゃうよ!」」」
貴音「ふふ、ふふふふふ……」
やよい「た、貴音さーん?」
やよい「シチューに必要ないものまで買ってどうするのかなーって……」
貴音「奥様、わたくしが奥様……」ニヤニヤ
「「「まいどっ!」」」
貴音「……」
響「うわー……。荷物で山ができてるぞ……」
美希「今日の晩ごはん、なんだっけ……?」
貴音「な、鍋にしましょう。鍋にすればなんとか……」
P「なんねえよ」
貴音「……」
貴音「なんくる」
P「なくねーよ」
P「この前、ハリウッドスターと共演したじゃないですか」
小鳥「インタビュアー でしたけどね。いつか映画で共演できるといいんですけど」
P「まったくです。それで、またにない機会だから握手してもらったんですよ」
小鳥「えっ、羨ましい!」
小鳥「ちょっと、手かしてください!」キュ
P「?」
P「どうでしょうね」ハハハ
小鳥「……プロデューサーさんの手、大っきいですね」
P「小鳥さんの手は、柔らかくて暖かいです」ギュ
小鳥「あっ……」
P「あ、ごめんなさい」
P「痛かった、ですか?」
小鳥「そ、そんなことないです!」
小鳥「……」
小鳥「……う、動かしても、良いんですよ?」
P「……はあ?」
冬馬「今日は765プロの連中と共演か」
翔太「仲良くしないとダメだよ冬馬くん」
冬馬「わかってるって」
北斗「挨拶しにいった方がいいんじゃないか」
冬馬「そうだな。行ってくる」
冬馬「……」トントン
亜美「は→い!」
真美「あー! あまとうじゃん! どったの?」
冬馬「挨拶しにきた。あと名前を略すな」
亜美「ごみんねー、あまとうって覚えちゃうと中々抜けなくて」
伊織「あ、ピピン坂橋じゃない。今日はよろしくね?」
冬馬「天ヶ瀬な」
雪歩「よ、よろしくね? お、鬼ヶ島くん」
冬馬「天ヶ瀬!」
雪歩「ひいっ」ビクゥ
真「雪歩が怖がっちゃうから大声出さないでね範馬ヶ瀬くん」
冬馬「……わるかった」
冬馬「音しかあってない!」
やよい「はわっ」
あずさ「ダメよ〜みんな、名前を間違えちゃ可哀想でしょう?」
あずさ「ごめんなさいね? えっと、ハンバ-ガ-瀬くん」
冬馬「……気にしてないんで」
冬馬「!?」
律子「どうしたの? そんな驚いて」
冬馬「い、いや……。俺の名前」
律子「そんな、共演する人の名前くらいちゃんと覚えてくるわよ」チラッ
律子「天ヶ瀬冬馬くん」
冬馬(チラッ?)
冬馬「……」チラッ
春香「あっ」
カンペ『あまがせ とうま』
冬馬「お前らなんて大嫌いだ!」
P「いっな~ずまを♪ はっし~らせて♪」トントン…
P「……あ、ブタ肉を買い忘れた」
貴音「豚肉ですか」チラッ
響「!?」バッ!!
ブタ太「?」
P「大丈夫だって、流石にブタ太を食べたりはしない」
響「ほっ……」
貴音「ちなみに今日の献立はどうする予定だったのです?」
P「角煮を作ってみたかったけど、肉が無いから変更かな」
貴音「……肉さえあれば」チラッ
響「!?」バッ!!
ブタ太「?」
貴音「……じゅるり」
響「ひいっ!!」
ブタ太「?」
P「おいやめろ」
貴音「……」ジ-ッ
響「ひいいいいい」
ブタ太「?」
P「やめろって! 飯抜くぞ!」
貴音「響の湯呑を割ってしましました……」
美希「響の編み物ダメにしちゃった……」
貴音「どうしましょう」
美希「どうしよう」
美希「ハニー、この前言ってたよね?」
貴音「ええ、言っていました」
P『響は怒るとメチャ恐い』
P『呂布が泣いて謝るレベル』
貴音「……」ゾゾ…
美希「……」ゾゾゾ…
美希「!!」ビクゥ
貴音「!!」ビクビクゥ
響「んー? 二人ともどうかしたの?」
貴音「ひ、響! この貴音、一生の不覚! 実はあなたの湯呑を……」
響「なんくるないさー。それより貴音は怪我してない? 大丈夫?」
貴音「かくなる上は、わたくしの全財産をもってして……」
響「自分、気にしてないぞー? それより怪我とか……」
美希「ご、ごめんね響! 編み物ダメにしちゃって……」
響「なんくるないさー。実はあれ、途中で失敗しててさ」
美希「一生分のご飯当番と風呂掃除当番代わるから……」
響「あはは、大げさすぎだってー」
響「だからなんくるないって」
美希「どうかお命だけは」
響「なんくるn」
貴音「どうかお命だけは」
響「なんk」
美希「どうかお命だけは」
響「なんくるないってば!」バン
貴音「ひいいいいい」
美希「ひいいいいい」
司会「このゲームは、出題者の提示した物の正式名称を答えてもらうゲームです」
翔太「うーん、765プロのみんなが知らなそうな物を挙げれば勝ちなんだよね」
北斗「スポーツ関連の用語はどうだ?」
冬馬「菊地あたりが強そうだな」
翔太「じゃあ音楽関連もダメだね。千早さんがいるし」
北斗「グルメ関係も却下か」
翔太「冬馬くん、なんかある?」
冬馬「任せろ!」
冬馬「出題は『ジュピターのリーダーの名前』だ!」
司会「では早速回答していただきましょう」
『ジュピターのリーダーの名前は?』
春香「天ヶ瀬冬馬」
千早「天ヶ瀬冬馬」
伊織「天ヶ瀬冬馬」
亜美「天ヶ瀬冬馬」
真美「天ヶ瀬冬馬」
司会「パーフェクトォー!」
冬馬「あれーっ!?」
冬馬「カンペだカンペ! 絶対にカンペ!」
司会「そのような事実は……」
真「天ヶ瀬くんおつかれー」
冬馬「えっ」
雪歩「お、お疲れさまですぅ。天ヶ瀬くん」
冬馬「えっ」
美希「天ヶ瀬くんお疲れーなの」
冬馬「あれっ?」
・・・
冬馬「あいっ……つら、絶対に、わざどだ……」グスッグスッ
黒井「泣くな泣くな」
美希「いぬ美ぃ、お昼寝しよー……」
貴音「いぬ美なら響と散歩に出かけましたよ」
美希「んー……」ボ-…
美希「……」
美希「……はにぃ、お膝かして」
P「いぬ美みたいに柔らかくないけど」
美希「今日は甘えたい気分なの……」
P「そっか」
美希「……zzz」
貴音「……」
いぬ美「わん」
P「お! 新聞とってくれたのか。いぬ美はえらいなあ!」ナデナデ
いぬ美「ワン」
P「お! 携帯見つけてくれたのか。いぬ美はえらいなあ!」ナデナデ
響「プロデューサー、頼まれてた物買って来たけど……」
P「お! おつかい行ってくれたのか。 響はえらいなあ!」ナデナデ
響「わっ、わっ……!?」
P「あ、すまん。流れでつい」
貴音「……」
貴音「あなた様、お茶が入りましたよ」
P「ありがとうな」
貴音「……」ソワソワ
P「?」
貴音「あなた様、お茶請けに羊羹はいかがでしょうか」
P「ありがとうな」
貴音「……」ソワソワ
P「?」
貴音「……」
貴音「……ふわあ」
P「眠たそうだな」
貴音「え、ええ! わたくし大変眠とうございます」
P「そっか。毛布とってくるから寝てていいぞ」
貴音「……」
貴音「……あなた様はいけずです」
P「ん?」
・・・
・・
P「……」
貴音「……zzz」
P「人の膝勝手に使ってるんじゃないよまったく」
貴音「……zzz」
貴音「……あなたさまぁ」
P「……」
P「……」ナデナデ
貴音「……ふふっ、ふふふ」
律子「うう、睡眠不足で意識が……」
律子「けど、皆のためにもここは踏ん張らないと」
律子「えーと、確か冷蔵庫に……」ガサゴソ
律子「じゃーん! レッドブル!」
律子「……」ゴクゴク
律子「……」
律子「うまいっ!」テ-レッテレ-
律子「よーし今日もがんばるぞっ☆」キャピ
律子「なーんて、あはは」
律子「あ、小鳥さん。おはようございます!」
小鳥「……お、おはようございます」
律子「どうしたんです? 何か見てはいけないものを見たときのような……」
律子「あ……///」
小鳥「1人で居るときってはしゃぎたくなりますよね」
小鳥「あるある」
律子「ち、違います! 違うんです今のは!」
小鳥「徹夜明けのテンションですよね?」
小鳥「わかるわかる」ニヤニヤ
律子「バカにしてーっ!」
ポツ…ポツ…
響「あ、雨だ」
美希「ホントだ、髪がくしゃくしゃになっちゃう……」
響「え、いつもと変わってないように見えるけど……」
美希「失礼しちゃうの!」
響「……」
美希「……」
サアァァ…
響「……雨、強くなってきたなー」
美希「……そうだね」
貴音「……」スッ
響「貴音、どっか行くのかー?」
貴音「ええ、あの方は傘をお待ちになりませんでしたから、迎えに」
貴音「……」バサ
美希「貴音!」
響「やっぱり自分たちも行くよ」
貴音「そうですか、そうですか」ニコニコ
貴音「では、この傘を……」
美希「響、相合い傘しよっか」ギュ
響「濡れたりしないかな?」
美希「響はちっこいから大丈夫なの!」
響「自分チビじゃないぞ!」
美希「ふーん」
響「うがー!」
P「それで、みんなで迎えに来てくれたのか」
P「ありがとうな」
貴音「いえ、当たり前のことをしたまでです」
響「雨に濡れてプロデューサーが風邪ひいたらみんな困っちゃうからなー」
美希「それに、雨降りってなんだか淋しいもんね……」
サアァァ…
P「……そうだな」
P「それで、俺の傘は?」
貴音「はて」
貴音「……あ」
美希「……」
響「……」
P「……」
貴音「……そうです! ここはわたくしとあなた様がひとつの傘に収まればよいのです!」
貴音「さあさ、あなた様。遠慮することはございません」ズイッ
P「おいおい」
美希「あー! ずるい! ミキもハニーと相合い傘する!」
響「わっ! 飛び出すと濡れちゃうぞー!」
P「……で、結局こうなったか」
美希「響、もうちょっとつめないとミキ濡れちゃうな」グイグイ
貴音「これは、なんとも面妖な……」ギュギュ
響「美希ぃ、そんなに押さないでくれよー……」グイグイ
P「……」
P(ちょっと淋しい)
美希「あったか~いご飯に美味しいおかず~♪」
響「子供の帰りを待ってるだろな♪」
貴音「僕もかえ~ろ、お家へかえろ♪」
美希「でん♪」
響「でん♪」
貴音「でんぐり返しで骨おった♪」
貴音「おや、それはまことですか? 困りましたね」クスクス
響「いっつも変な替え歌歌ってるもんなー」
美希「今日の晩ご飯なんだろうね」
響「当番はプロデューサーだったっけ」
貴音「そうですね、今から楽しみです」
美希「ハニーの作ってくれた物なら何でも食べちゃうの」
美希「ただいま!」
響「ただいまー」
貴音「ただいま帰りました」
P「おかえり」
おわり
支援保守してくれた人に感謝
ネタ切れになるまで頑張ってみたけど、思ってたより短かった
すごく雰囲気がよかった。こういうのいいなぁ……
Entry ⇒ 2012.11.10 | Category ⇒ アイマスSS | Comments (0) | Trackbacks (0)
美穂子「上埜さんが小さくなったですって!?」
霞「最後はお日様に、3時間ほど浴びさせると完成なのね」
霞「ふふふ、出来た!滝見家、秘伝の若返り黒糖!」
霞「これを一粒食べるだけで、10歳は若返ると言う…」
霞「これで、もう私をババァだなんて言わせないわよ!私は正真正銘の10代なのよ!」
霞「はいはい、今行くわね。私、ちょうど三時間くらい暇なのよ」
小蒔「三時間もお勉強出来ませんよ!」
・
・
・
春「しまった。対戦した高校に送る黒糖が足りなくなってしまった…。どこかに黒糖は余ってないですかね」
春「あれ?こんな所に黒糖が」
春「」クンクン
春「犬のウ○チではないですね。匂いで確認しました。これを貰って行きましょう」
春「これが自慢の黒糖です…と」カキカキ
春「郵便局に行って、ゆうパックで送りましょう」
・
・
・
霞「ふぅー、つい麻雀をしてしまって、もう六時間も経っちゃったわね…」
霞「あら?」
霞「ない!ない!?私の幻の若返り黒糖が無くなってる!?」ガーン
久「あら?この荷物は永水女子の滝見さんからだわ」
久「黒糖じゃない!ありがたいわね。私達も何かお返しとか送らないとね」
久「長野ってなにが有名かしらね」ウーン
久「まぁ、後でみんなに聞いたらいいわね。早速、この黒糖を味見さして貰う事にしましょう」パクッ
久「ふむふむ、流石に自慢するだけあるわね。美味しい」
ポロッ
久「うっ…、なにこれ…、体が熱い…」
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京太郎「ちーす。ってあれ、誰も居ませんか?おかしいな。鍵開いてたけど…。てっきり部長かまこ先輩が居ると思ってた」キョロキョロ
ひさ「おいたん、誰?」
京太郎「えっ?なんでガキんちょが、麻雀部の部室に居るんだ?」
ひさ「私、ガキじゃないもん。うえのだもん」
京太郎「ふーん、うえのちゃんね。で、どうしたんだ?後、服を着てくれないとお兄さんが変質者で捕まってしまうから」
ひさ「よーふく、ない。これ着てた」
京太郎「あのなぁ…。子供がうちの学校の制服着れるわけねーだろー。ってこの制服、誰のだ?」
ドダドタ
咲「遅くなりましたー」
優希「一年生美少女トリオ参上だじぇー」
和「こんにちわ」
京太郎「…おぅ、先に言っとくよ。君達、誤解してるから!!!!!!!」
咲「幼馴染がロリコンだった、死にたい」
優希「犬よ。流石にこれは私も擁護出来ないじぇ…。塀の中で、猛省してくれ」
京太郎「違う!俺は、何もヤってない!」
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咲「ふーん、誰の子かわからないんだね…」
和「迷子ですかね?」
優希「裸じゃ可哀想だから、私の体操服でも着るが良いじぇ」
ひさ「お姉ちゃんの服、タコスの匂いがするねー」
優希「流石に、清澄で一番小さい私の服でもサイズが合わないじぇ。うえのちゃんは、カワイイなー」ナデナデ
ひさ「そーかな?えへへ///」
和(なんかものすごく見た事あるような子供な気がします…)
ひさ「お姉ちゃん、おもち大きいねー。触らせてよー」
和「ええっ!?///」
咲「子供相手だし、いいじゃない。触らせてあげれば」
和「そうですね。子供相手ですし…」
胡桃ちゃんあれ以上ちっちゃくなったらどうなっちゃうんだよ
ひさ「すごーい、ママよりずっとずっと大きいよ!」
もにゅもにゅ…
和「…あっ、あん!(この子、子供のくせに何てヤラシイ触り方するんでしょうか…)」
京太郎(いいなー。俺も子供に生まれ変わりてー)
ひさ「ふおおおおお!なんかこーふんして来たー!」
もみもみもみもみもみもみも…
優希「和ちゃんが発情、咲ちゃんは嫉妬」
咲「嫉妬なんかしないよ。子供相手だし。でも和ちゃん、目がトローンとしてるね。子供相手に感じるなんて…不潔」プイ
和「さ、咲しゃん。これは誤解なんですよぉぉぉぉぉ」
ガチャ
まこ「すまんのー、クラスで揉め事あっての。ちょっと、巻き込まれて遅くなった」
ひさ「まこー!」ピョーン
まこ「こらー、ガキんちょ。いきなり飛びかかってくるとか危ないぞ」
ひさ「まこー、頭がワカメーワカメー。やーいやーい、ワカメ星人」
まこ「なんつー、クソガキじゃ!?ん?ワカメ星人?」
まこ「昔、ようそれでからかわれとったな」
ひさ「バーカバーカ、メガネブスー、エセ広島弁」
まこ「・・・」ブチン
ゴチン!
和「よしよし、痛いの痛いの…、飛んでけー」ナデナデ
ひさ「うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁん」モミモミ
まこ「ありゃー、間違いない。竹井久じゃ」
京太郎「えっ!?マジですか!?あのクソガキが、部長?」
咲「本当ですか?あの子は、どこから見ても子供ですよ?」
美穂子「でも、上埜さんと匂いが全く同じなんですよ。本物でしょうね」
まこ「電話じゃ。優希、ちょっと出てくれ」
優希「わかったじぇ」
咲「でもあれが部長だなんて、信じられません。だって、高校生が子供になるなんて…」
京太郎「どこかの探偵漫画だとあるけどな」
美穂子「さっき、肌の一部をペロペロした所、上埜さんの味すら同じでした。人間の汗は、別人では全く味が異なる物なので、あの子は本物ですよ」
まこ「電話、誰からだった?」
優希「永水女子のおっぱいオバケの大将さんだじぇ」
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--------------
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霞『とゆうわけなのよ。若返りの黒糖を間違えて送ってしまったみたいで…。本当に申し訳ありませんでした』
まこ『なるほど、事情はわかった。解毒剤とかは作れるんですか?』
霞『えぇ、少し時間はかかるけど、一週間後そちらに向かいますね』
まこ『わかった。学校と家は、わしが上手く誤魔化しておきますから心配せんで下さい』
咲「そんな事もあるんですね」
和「そんなオカルトありえ…って言いたいですけど、この子、どう見ても部長です」
ひさ「おもち枕だー、ふかふか」ポヨンポヨン
美穂子「上埜さん、私も結構おもちありますけど、触りませんか?」
京太郎(いいなー。そーいや俺も子供の頃は、銭湯で女湯に入ってたりしたよな…。子供に戻りたい)
美穂子「すいません。ついくせで」カイガン
ひさ「キレイな瞳してるのね。宝石みたい」ニコッ
美穂子「上埜さん///」ジーン
まこ「ところで何で、風越の部長が居るんじゃ?」
優希「私の服を着せてる時にはもう居たような…」
咲「そうだったんですか。ご両親とかは…」
まこ「母親は亡くなっておるし、父親は単身赴任で海外。親戚は知らん」
和「一人暮らしですか…。こんな小さな子を一人にしておけないですよね…」
まこ「そうじゃな。誰かが面倒みてやらんと」
咲「私の家は、お姉ちゃんの空き部屋とかありますし、大丈夫です」
優希「私は相部屋で良ければ、いいじぇ」
和「私の家も子供一人くらい大丈夫ですよ」
京太郎「俺の家は…」
美穂子「ふざけた事ぬかしやがりますと、祟り殺しますよ?私、オヤシロ様とか呼べますから」ニコッ
まこ「ま、まぁ。一年生の子らの家でローテしたらええか」
バーン!→リー棒叩きつける音
美穂子「ここは麻雀部ですよね?麻雀で上埜さんを泊めれる人を毎日、決めましょうよ」
美穂子「もちろん一位の人の家に泊めれるって事で」カイガン
まこ(普通、最下位とかじゃないんか?)
咲「・・・」カタカタ
優希「すごいじぇ…。咲ちゃんが飛ばされるなんて、インハイはおろか入部してから見た事ないじぇ…」
和「鬼神の如き強さですね」
まこ(あれ…、咲って個人戦で優勝しなかったか…)
ひさ「お姉ちゃん、つよーい!」キラキラ
美穂子「愛の力です。牌が私に答えてくれたんですよ」ニコッ
ひさ「うん!美穂子と帰るー」
ひさ「明日は私と麻雀打ってねー。お姉ちゃん達」
まこ「はいはい、たっぷり相手してやるからの」
咲「…麻雀怖い」カタカタ
和「咲さん…。今日は、側に居ましょうか?」ギュッ
霞「みなさん、ごめんなさいね。お待たせしました」
まこ「おおっ、永水の石戸さん。待っとったよ」
和「今、優希と池田さんが、部長と福路さんを迎えに行ってます」
照「…咲。次はイーピンだよ?触れる?」
咲「あぅ…。あああああああああ!イーピンやだ!国士無双で槍槓されちゃうのおおおおおおお!」
咲「ごめんなさいごめんなさいごめんなさい…」カタカタ
照「あぁ、霞か。咲ちゃんがトラウマを患ったって聞いてな…。すっ飛んで帰って来た」
咲「うぅ…、麻雀怖い…、金髪怖い…、オッドアイ怖い…、堀江ボイス怖い…」カタカタ
霞「あらあら、まぁまぁ…。でも一度は挫折しないと、人間強くなれないから…」
照「うん。咲ちゃんはトラウマを乗り越えて、もっと強くなるはず…」
和「あっ、携帯が。はい、もしもし」
優希『大変だじぇ!?部長の家が、もぬけの殻だじぇ!?』
和「なんですって!?」
池田『今、風越の部員にも声をかけたし、みんなで探すし!』
まこ「ったく。風越の部長は、久の事になるととんでもない行動に出るな」
照「私も探そう」
霞「貴方、方向音痴でしょ?私と行きましょうね」
美穂子「上埜さんは、私の事、好きかしら?」
ひさ「だいすきだよー」
美穂子「あらあら///こんな幸せがいつまでも続くといいんですけどね」
ひさ「美穂子と麻雀打つのが一番楽しい!…けど」
ひさ「わたしは、もっと色んな人と麻雀打って、色んな事を学んでプロの雀士になりたいな」ニカッ
美穂子「ッッ!?」
キーン
池田「あーマイク、テストテスト。キャップ、ここはもう包囲されてるし。大人しく竹井さんを渡してください」
未春「ここ一週間ずっと風越に顔を出さないから、みんな心配してますよー」
池田「そうだし。コーチも心配してましたし」
美穂子「そんな!?なぜここが!」
和「福路さんが、機械に疎くて助かりました。部長の携帯電話には、GPSがついてますよ」
照「私も菫に持たされてるからな」
霞「もし携帯電話を壊されてたら、こんな山の中お手上げだったわね」
美穂子(こうなったら…、もう二人で死ぬしか…。上埜さん…ごめんなさいね…)
バーン!
久「こらー、あんた達!美穂子をイジメるな!文句があるなら、私に言え!全員まとめて相手してやるわよ!」
まこ「アホかー!あんたのために言うてるんじゃ!」
池田「そうだし、子供は大人しく部屋の隅っこでガタガタ震えてるといいし!」
池田「あのクソガキー。いくら華菜ちゃんでもあんなクソガキには負けないし」
照「待って…。ねぇ、久ちゃん。麻雀で勝てたら、お姉ちゃん達の言う事聞いてくれる?」
久「いいわよ。何でも聞いてあげる」ドヤッ
美穂子「・・・」
照「なら対局だ。一位になったヤツが、何でも好きな事を命令する。いいな、福路美穂子?」
美穂子「・・・わかりました」カイガン
照「お前はダメだ。飛ぶ可能性がある。ピンク」
和「はい」
照「咲ちゃんの敵討ちしたいだろ?」
和「えぇ。それはもう。福路さんにも一週間負け続けましたし」
照「じゃあ、頼む」
久「バカにしないでよね。お姉ちゃんとずーーーと打ってたんだから」
照「ふっ、そうか。なら、私も全力で勝ち取りに行こう」
照「手加減はしないよ」ギュルルル
久「そーこなくちゃ!」
美穂子(私は…勝ってしまってもいいのでしょうか…)
美穂子「…ツモ。満貫です」
照(ふむ。異常なまでの配牌の良さ、これは厄介だな。加えて守備も完璧)
久「やるー。次は私が上がるからね!」
東二局
照「ロン、平和のみ」
久「おわっ!?」
美穂子(聴牌してましたけど、少し遅かったみたいですね)
美穂子「ツモ!満貫です」
真っ向から照の連続和了を四本場で止める
東場が終わり、点数は美穂子が一位に。
照(まずい、真っ向勝負から挑まれて、普通に止められるとか…。咲ちゃんと淡以外にも出来たんだ)
美穂子(イケますね。これなら勝てる確率も50%くらいはあるはず)
照(菫、使わせて貰うよ)
久「うーん、もう少しなんだけどなぁー」タン
照「ロン、満貫」
美穂子(連続和了じゃない!?)
照(シャープシュートって言うのは流石に恥ずかしい)
久「うー」グスン
照(こんな小さい子をシャープシュートするのは気が引けるが、福路とピンクは防御が特に堅い)
照(久ちゃんの出す牌は、読みやすいからな…)
美穂子「う、上埜さん」オロオロ
照(そしてなにより、福路を動揺させる事が出来る)
照(跳満作るのは難しいな。おっと福路さん、般若の顔になってますよ)
美穂子「…」ゴゴゴ
照(福路は、久ちゃんからロン上がりを見逃してる。この勝負、私有利だ)
久「通らばリーチよ!」
照「残念、通らないよ。ロン。満貫」
久「あちゃー」
照(さてここからは連続和了で、ツモ上がり目指してもいいかな…。飛ばせるだろ)
美穂子(宮永さんか原村さんから直撃ロンしないと、逆転出来ません。くっ…、やるのよ私!)
和(福路さんだけに、振り込まなければお義姉さんの勝ちですね。まぁ…、ベタ降りです)
久「燃えて来たーーーーーー!!!!!!」
久「髪の毛、結んでもいい?」
照「えっ…、別にいいけど」
美穂子「はい」ギュッ
久「さぁ、気合入れたわよ!」
照(まだ逆転出来ると信じてるのか…。子供の時の咲もこんな感じだったな…)
照「アイツも…、あの頃はいつだって勝利を諦めない、いい目をしてた…。変えてしまったのは私達家族だが…」
照(配牌から聴牌。ダブリーはかけられないけど…)
美穂子「」トン→中
久「ポン」
照(ふむ、白か。まぁいらないな)
照「」トン
久「ポン」
ざわっ…ざわっ…
和(大三元?撥は持ってませんけどね)
照(大三元でも関係ない。次にツモれば、私がツモのみで上がる)
久「…カン」撥をカン
久「なんかしなきゃいけないような気がしたから」
照「くっ…」
照(私の上がり牌が…)
久「それにこうしたら、お姉ちゃん達、もう降りるしかないでしょ?」
和「そうですね。もうテンパイしてても崩さないと」
美穂子(私は上埜さんに振り込んでもいいんですが…。しかし振り込んだ場合、一位を取るのが難しくなりますね)
照「」タン
美穂子「」タン
和「」タン
久「ポン!」
照(また張ったけど…、どうするかな)
美穂子(上埜さん…)
久「なんだか、鳴いて状況を悪くしたら上がれるような気がして来たのよ」
照「そんなオカルトあ…りえるかもな。私もテンパイだ。ゴミ手だが」
美穂子「私もテンパイしてますよ」
久「そっか!誰が一番最初に上がれるか競争だね!」
照「…あぁ」
美穂子「…えぇ」
美穂子(そうですね。上埜さん、ここ一番って所にめっぽう強いですからね)
照「そーいや、久ちゃん。一位になった時のお願い聞いて無かったね」
久「んーとーね」
美穂子(現物が無くなりました。多分、字牌だと思いますけど、普通の牌も考えられなくはないです。ダブル役満はありませんし)
美穂子(さてどれを切ろうかしら…)
久「私の願いはねー、美穂子をお嫁さんにする事!」
ポロッ
久「あーーーー、それ北じゃない!ロンよ、ロン!」
久「やったーーーーーー!!!!!!!私の大逆転だー!お姉ちゃんに初めて勝ったぞーーーーー!」
美穂子「い、今なんて…」
美穂子「…これは夢?」
バチコーン!
照「夢じゃないよ。痛いだろ?」
美穂子「い、痛いです」ヒリヒリ
和「はい、久ちゃん、あーん」
久「おもちのお姉ちゃん!黒糖くれるの?ありがとー!」
久「うっ…」
久「体が…熱い!熱いよ!お姉ちゃん!」
美穂子「久、私はここに居るからね。手を握ってるからね」ギュッ
久「うわああああああああああ」
--------------------
--------------
----------
久「あら…ここはどこかしら…」
美穂子「うううう、上埜さんが裸になって現れた」ブハッ
美穂子「我が生涯に一片の悔い無しぃぃぃぃぃぃぃぃぃ!
久「なんで私、服着てないのよ!?」
和「子供の服なんで破けてしまったんですね」
照(おもち完全に負けてるよ、私)チーン
久「あらそう…。そんな事があったのね。みんなには迷惑かけたわねぇ…ごめんなさい」ペコリ
和「いえいえ、お気になさらずに…」
照「悪いの、石戸だから」
美穂子「」
久「すごい、大三元と字一色のダブル役満じゃない!?これ、私が上がったの?」
和「そうですよ。記憶にないんですか?」
久「ないわね。でも、ロン上がり。しかも美穂子から?」
美穂子「」
照「あぁ、福路の完敗だよ。色々とな」
久「そっかー。まぁ、もうダブル役満なんて上がれる気しないわねー」
和「人生で一度くらいじゃないですか?」
久「一度ね…。そんな奇跡、人生で一度あればもう十分よ」
久「そうね。永久に手錠をハメとく刑にしとこうかしら。結婚って名前の」クスッ
照「くっさー」
美穂子「」
終わり
池田の苦労が減るかもしれない
簡潔にまとまって面白かった
すばら
Entry ⇒ 2012.11.10 | Category ⇒ 咲-Saki-SS | Comments (6) | Trackbacks (0)
隣人「ちょっとかくまってください」
隣「困っているんです」
男「急に言われても」
隣「あ、これからお出かけですか?」
男「いえ昼食ですけど」
隣「えっ」
男「なにか?」
隣「お隣さん、昼食とかとられるんですか?」
男「そりゃまあ……人間なんで……」
隣「はー……なるほど。もりもり食べますか?」
男「まあ、男なんでそれなりにもりもり食べますけど」
隣「おおー、もりりん……」
男「えっ。なんですか」
隣「いえなんでも」
男「今もりりんっt隣「言ってないです」男「いやでm隣「言ってないです」
男「そうですね。なんでしたっけ」
隣「かくまってください」
男「逃げてるんですか」
隣「逃げてます」
男「なにからですか?」
隣「それはまあ……ちょっと冷えてきたのでお茶でもしながらじゃだめですか?」
男「はあ、まあいいですけど」
隣「お邪魔します」
男「はいどうぞ」
隣「あの、私が言うのもなんですけど」
男「なんですか」
隣「人がいいですね!」
男「よく言われます」
隣「できたら紅茶がいいです」
男「ありません」
隣「あらー。じゃあマンゴーラッシーでお願いします」
男「ありません」
隣「むう……あっ、シャトーマルゴー!?」
男「ありません。ありませんし、そんな名案思いついた! みたいなノリで出てくる飲み物ではないです」
隣「コーヒーでお願いします」
男「わかりました。砂糖は?」
隣「甘いです」
男「正解です。でもそういうことを聞いてるわけじゃないです」
隣「? …………あっ、いりません」
男「時間かかりましたね」
男「そうですね。なんでしたっけ」
隣「かくまってください」
男「逃げてるんですか」
隣「逃げてます」
男「なにからですか?」
隣「それはまあ……ちょっと冷えてきたのでお茶でもしながらじゃだめですか?」
男「はあ、まあいいですけど」
隣「お邪魔します」
男「はいどうぞ」
隣「あの、私が言うのもなんですけど」
男「なんですか」
隣「人がいいですね!」
男「よく言われます」
隣「困っているんです」
男「急に言われても」
隣「あ、これからお出かけですか?」
男「いえ昼食ですけど」
隣「えっ」
男「なにか?」
隣「お隣さん、昼食とかとられるんですか?」
男「そりゃまあ……人間なんで……」
隣「はー……なるほど。もりもり食べますか?」
男「まあ、男なんでそれなりにもりもり食べますけど」
隣「おおー、もりりん……」
男「えっ。なんですか」
隣「いえなんでも」
男「今もりりんっt隣「言ってないです」男「いやでm隣「言ってないです」
隣「ありがとうございます」
男「お口に合えばいいですが」
隣「あちっ」
男「あ、気を付けてください」
隣「もうちょっと早く言ってくれれば助かりました」
男「それはすみません……」
隣「もう一度お願いできますか?」
男「え?」
隣「もう一度、気を付けるようにわたしに言ってくれますか?」
男「はあ……熱いので気を付けてください」
隣「おっけーです!! ばっちりです!!」
男「それはよかったです」
隣「あちっ」
男「ダメだこの人」
隣「まったく同感です」
男「こうやって午後の時間をまったりするの、好きなんですよね」
隣「いいですね。ところで」
男「なんでしょう」
隣「聞かないんですか」
男「ん…………?」
隣「すごくのんびりされた方ですね」
男「…………!」
隣「思い出しましたか?」
男「はい。えっと、かくまってくださいってなんですか?」
隣「まあ端的に言うと、これくらいの時間になると嫌な来客がくるもので」
男「え、毎日ですか?」
隣「はい」
隣「聖書もったおじいちゃんですね」
男「ああ、宗教勧誘」
隣「え、あれわたし勧誘されてたんですか」
男「多分ですけど」
隣「すこしお話をさせてください、なんて最初は言うからわくわくしてたんですけど」
男「面白いお話でしたか」
隣「足しびれちゃいました。長くって」
男「正座して聞いてたんですか」
隣「最初は立ってたんですけど。疲れちゃって」
男「なんかお隣さん、簡単に宗教勧誘されちゃいそうですね」
隣「騙されやすいってことでしょうか」
男「そういう感じです」
隣「わかります」
男「わかっちゃいますか」
男「どんな顔ですか」
隣「こんな顔です」
男「なるほど」
隣「よく見てください」
男「はい」
隣「……」
男「………」
隣「………あの」
男「?」
隣「近いです……」
男「あ……失礼しました」
隣「恥ずかしいです」
男「かわいい顔ですね」
隣「!?」
男「はい」
隣「ありがとうございます……」
男「? ああ」
隣「結構誰にでも言っちゃう感じですか」
男「あ、いえ。初めて言いました」
隣「初めてですか……」
男「ええ、多分」
隣「焦っちゃいました」
男「そうなんですか」
隣「はい。あまりこういうシチュエーションで言われたことがなかったので」
男「自分も初めてです。こういうシチュエーションは」
隣「まあいきなりお隣が押し掛けてくるとか、ないですよね」
男「自覚あるんですね」
隣「それなりには」
隣「おじいちゃんはラブリーなんですけど」
男「ラブリーなんだ」
隣「でもなんかこう、お話聞くのって苦手で」
男「なるほど」
隣「校長先生の話とか、聞くの得意なタイプですか?」
男「校長先生の話聞くの得意なタイプっていなそうだなあ」
隣「ですよね」
男「ですね」
隣「とにかく、留守なら回避できるだろうということで」
男「結構必死だったんですね」
隣「死にもの狂いって言葉が頭をよぎりました」
男「っていうか居留守使えばよかったんじゃないですか」
隣「あ」
隣「居留守……なんか禁じ手……って感じですね!」
男「いえ正攻法だと思いますけど」
隣「あう」
男「でもいいですよ」
隣「?」
男「これからもたまに、避難してきていいですよ」
隣「! 優しい言葉!! どうしたんですか」
男「いえ、お隣にこんなかわいいひとが住んでたの知りませんでしたし」
隣「!! もしかして恋心ですか」
男「いえ下心です」
隣「!!! あの、失礼だったらすみません」
男「なんでしょう」
隣「馬鹿正直って言われたことないですか?」
男「よく言われます」
男「よかったです」
隣「多分もうおじいちゃん行っちゃったと思うので、今日は帰ります」
男「あ、行っちゃいますか」
隣「あまり長居してもご迷惑かと」
男「急に押し掛けてきた人のセリフではないですね」
隣「う……それはすみません」
男「いえいえ。どうせ一人でもコーヒータイムでしたので」
隣「好きなんですね」
男「話し相手がいるだけですこし充実してました」
隣「お役に立ててよかったです」
男「一つお願いしていいですか」
隣「なんでしょう」
男「今度来るときは肩出しとかニーソとか、微妙な露出がある服でお願いします」
隣「美徳域ぶっちぎりの正直さですね!」
男「あれ、お隣さん」
隣「あ、お隣さん」
男「いやお隣さんはあなたですけど」
隣「わたしからしたらお隣さんはあなたです」
男「ややこしいですね。男です」
隣「隣です。男くんって呼びますね」
男「いいですね。どうしたんですかうちの前で」
隣「いえ、昨日の言葉に甘えてお邪魔しようと思ったんですけど」
男「ああ、すみません。学校のほうに長居しちゃって」
隣「そうなんですか。ちょっと凍死寸前でした」
男「もしかしてずっと待ってたとか?」
隣「待ってたというか、ちょうどここで例のおじいちゃんと鉢合わせちゃって」
男「ああ」
隣「今日もありがたいお話を頂戴しました」
隣「わあ、いいんですか」
男「寒かったんでしょう?」
隣「とても」
男「多分寒かった責任僕にもありますし」
隣「?」
男「あれ、違うんですか? その肩出し、僕が昨日言ったからなのかと」
隣「あ……うん……そうです」
男「似合ってますよ」
隣「ありがとうございます。でもこの時期に肩出しはないですよ」
男「そうなんですか。女性のファッションには疎くて」
隣「安い女みたいです」
男「身持ち固いんですか?」
隣「固いつもりです。知り合ったばかりの男の人のうちにほいほい上り込むくらいの身持ち固さです」
男「結構アウトですね」
男「今日は紅茶も買ってきましたよ」
隣「わあ、わざわざありがとうございます。優しいんですね」
男「コーヒーは、苦かったかと思いまして」
隣「いえ、とてもおいしかったですy……ひゃっ」
男「あ、すみません。綺麗な肩だったのでつい」
隣「……いきなり指でなぞらないでください」
男「ほんとにすみません」
隣「次からは事前に言ってください」
男「事前に言ったらオッケーなんですか」
隣「気分次第ですね」
男「はい!」
隣「なんでしょう」
男「肩ペロペロしていいですか」
隣「全力で遠慮してください」
男「いい季節になりましたねえ」
隣「女性の露出は少なくなりましたが」
男「肩か太ももが出てればいいんですよ」
隣「フェチですか」
男「多分そうなんでしょうね」
隣「全身太ももの人が好みなんですねえ」
男「全身太ももの人はさすがに愛せない気がしますが」
隣「全身肩のほうがいいですか?」
男「全身肩ってどんなんですか。なんかごつごつしてそうなんですけど」
隣「もやっとボールみたいな形ですかね」
男「あーもやっとボールかあ……」
隣「です」
男「……あり、かな」
隣「!?」
隣「いえ、働いてますよ」
男「えっ、もしかして年上?」
隣「男くんは大学生ですか?」
男「はい」
隣「それじゃあきっと、同じくらいですね」
男「萌えますね」
隣「えっ」
男「社会人萌えですね」
隣「そういうのあるんですか」
男「制服とか」
隣「残念ながら、ほとんどおうちにいてできる仕事なので私服が制服です」
男「じゃあ今も制服ってことですか」
隣「ああ……その発想はなかったなあ……」
男「萌えますね」
男「なんにでも萌えていく覚悟です」
隣「わたし耳たぶとか触るの好きなんだけど」
男「ありがちですね」
隣「なんかそういわれるとちょっと辛い」
男「いえでも素敵です。さあどうぞ」
隣「触らせてとか言ってないのに耳たぶを差し出してくるあたり男くんって感じ」
男「さあ」
隣「急かすね。ではちょっとだけ失礼して」
男「………」
隣「………」
男「………あっ……」
隣「!?」
男「あ、すみませんつい」
隣「変な声出すの禁止!!」
隣「こんなピンク色の雰囲気の中耳たぶさわれない」
男「結構至福だったんですけどね」
隣「続けてたら、変な雰囲気になりそうです」
男「それ狙いだったんですけど」
隣「きみはあざといな……」
男「そうだ。お風呂入っていきます?」
隣「露骨すぎ!! こんな会話した後にお風呂なんて入れません!!」
男「残念です」
隣「男くんはアレだね。女の子を引っ掻き回すのが上手だね」
男「隣さんは引っ掻き回されるの上手ですね」
隣「うれしくない、うれしくないよー」
男「あれ、もう帰るんですか」
隣「なんかとてつもなく恥ずかしいので」
男「顔真っ赤ですもんね」
隣「うそっ!?」
男「なんかちょくちょく素がでるようになってきましたね」
隣「うう……」
男「かわいいですよ」
隣「男くんのかわいいがなんだか信用できなくなってきました」
男「馬鹿正直がとり得なんですけどね」
隣「世間一般では男くんみたいなのを、たらしといいます」
男「不名誉ですね」
隣「ではまた」
男「また来てくれるんですね」
隣「う………」
男「あ、どうも」
隣「すみません。今日も図々しく」
男「いえいえ、待ってました。上がってください」
隣「お邪魔しまーす…………ん?」
女「…………?」
隣「…………」
女「…………」
隣「……こ、こんにちはー」
女「あ……ど、どうもー」
男「女はコーヒー、隣さんは紅茶でいい?」
隣「あ、はい」
女「あ、お構いなくー」
男「りょうかーい」
隣・女(誰…………!?)
女(こんなナチュラルに家に上げるってことは……彼女!? 男、彼女できたんだ!?)
隣(でも修羅場っていってもわたし男くんとはコーヒー飲んだだけだし……)
女(今日いきなりきたのまずかった? いやでも約束してるなら一言言ってくれれば……!)
隣(あ、でもわたし肩触られたりしてる……セーフ!? いやアウトかな!? え、どっちだろ!?)
女(うわあどうしよ私帰ったほうがいいかな!? いやでもここでいきなり帰るとかそれはそれで気まずい……)
隣(いきなり頬ひっぱたかれたらどうしよう……なんかずっとこっち見てるよねこの子……)
女(かわいい人だなー……こんな人が男の彼氏に……あの変態が………)
隣(ああもうなんか考えてる間に時間経っちゃった。なんて声かければいいんだろ?)
女(男台所から戻ってこないし!! 彼女なら彼女と一言紹介してけ!! 馬鹿!!!)
隣(彼女さんですか? かな。やっぱりそうだよね! わたしはただの隣人です……これでいいのかな……)
女(付き合ってるんですか? いつから? どれくらい? キスはしましたか? これはさすがに聞き過ぎかな)
隣(考えててもしょうがない……! とりあえず第一声を!!)
女(自然に……まだ浮気とかそういう誤解を解くには遅くないはず……自然に自然に……)
隣・女「あのっ………」
隣「あ、えっとどうぞ……」
女「え、いや、全然……そちらが……」
隣「あ……」
女「う……」
隣・女(また沈黙してしまった…………)
男「あれ? 二人ともなんで黙ってんの?」
女「あっ男!!」
隣「男くん!!」
男「ごめん、ちょっとフィルター切れてたから買ってくる。二人で留守番しといてくれる? それじゃ」
バタン
女「え」
隣「え……」
隣・女(えええええええええええ………)
隣「あ、はい……」
女「お名前聞いても?」
隣「と、隣です」
女「隣さん……」
隣「はい」
女「あの……なんかすみません!!!!!!」
隣「!? えっ……ええ!?」
女「男に彼女できたとか全然知らなくて!! その……今日約束してたとかも全然……」
隣「かっかのじょっ!?」
女「はいだからその、私は別にそういうのじゃなくて……その、ただ男朝弱いから起こしたげたりとか」
隣「朝起こしたり……」
女「男低血圧だから……あとたまにご飯つくってあげたりくらいのものでええ……」
隣(それ……彼女なんじゃ……)
女「!?」
隣「わたしもそんなんじゃなくて!! ただ午後一緒にコーヒー飲んだり、肩いきなり触られたり!!」
女「肩……」
隣「なんかよくじろじろ肌見られたりしてるくらいでっ!! 別にそんな深い仲じゃ……!!!」
女(いやそれはもうそういうプレイの一種なのでは)
隣「とにかく! か、かか彼女なんかじゃ……!!」
女「ん……?」
隣「え……っと?」
女「彼女じゃないんですか?」
隣「彼女じゃない……?」
男「ただいまー」
隣「男くん!!」
女「男っ!!!」
男「うおお……なんで二人ともそんな食い気味に俺の名前呼ぶの」
女「はい。男、すぐお隣の部屋にこんなかわいい人住んでたんだねー」
男「あげないよ」
女「いやどういう状況想定してんの」
隣「正直最初超焦っちゃいました。来てはいけないところに来ちゃったかと」
女「いや私もいてはいけないところにいちゃった感がすごかったです……」
男「ちゃんと自己紹介すればよかったのに」
隣「いや男くんが紹介してくれればスムーズにいったと思う……」
女「うん……」
男「いや悪い悪い。コーヒーミルの刃見つめてるの面白くって」
女「私たちが右往左往してる間そんなどうでもいいことしてたのね……」
女「料理はできないのに、お茶いれるのだけはすごくうまいよね男」
男「料理はほらなんていうか……難しい……」
女「でも紅茶いれるときお湯が何度とかやってるじゃん。あれよりは楽だと思うけど」
男「温度はほら触ればわかるから」
女「温度計いらずだ!!」
男「料理はほら、塩と砂糖触ってもわかんないじゃん」
女「なめろ」
隣「……ん? わあ!!?」
女「こらこらこらこら!! 隣さんの肩舐めようとしない!!!」
男「しゅん」
女「落ち込んだフリしない!!」
男「じゃあもう女の太もも舐める」
女「叩くよ? 机で」
隣(こわい……)
女「いえーほっとくと男なにもできないんで」
隣「ここまで尽くしてくれる子なかなかいないよ? お嫁さんだねー」
女「!! お嫁さん……? って、ないないないですよー……! 別に全然そんなんじゃ……」
隣(うわあ女ちゃんわかりやすっ!! 好きなの顔に出過ぎだ!!!)
男「いやほんともう二千回くらいプロポーズしてるんですけどね。いつもお茶を濁されちゃって」
女「男の言葉は心こもった感じがしないの!」
隣(うん……それに引き替え男くんは何考えてるかほんとにわかんないなー……)
男「おお、悪いないつも」
女「はいはい。今度またご飯おごってねー」
隣「あ、よかったら手伝わせて!」
女「あ、ほんとですか? よかった助かりますー」
男「じゃあ俺は二人の後ろでミニ四駆走らせて鼓舞する役するね」
女「いやここでおとなしくしててくれる?」
男「御意に」
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
女「あの、隣さん……」
隣「はい……」
女「カレーを作ってます」
隣「はい」
女「なんでジャガイモも人参も野菜スティック状なんですかね」
隣「…………」ニコッ
女「かわいい笑顔ですね。ごまかせてないですよ」
男(ああ……追い払われたんだな)
隣「っていうか男くんミニ四駆とかしてるの?」
男「いえ、この前実家帰った時にたまたまコース見つけまして」
隣「持って帰ってきたんだ」
男「まだ売ってるんですね。一台買っちゃいましたよ」
隣「へえ……かっこいいねー」
男「お! でしょでしょ!! このバンパーがいいでしょ!! バンパーってダサくて嫌いなんですけどつけないとコースアウトしちゃってー云々」
隣(うれしそうだ……)
男「走らせてみます?」
隣「あ、みたいみたい」
男「いきますよー」
シャーーーーーーーーー
男「………………………」
シャーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
隣「……………………………これ、たのしい?」
シャーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーガゴッ……ウィィィィィィィィィィィィィンッ
女「いただきます」
隣「いただきまーす」
男「相変わらずうまい……けどなんでこれフライドポテト入ってんの?」
女「ああそれは………ね」
隣「ごめんなさいでした」
男「なんだー、隣さんも料理できない組なんですね」
隣「ち、違うんだよ。なんかちょっと遊び心が出ちゃうだけなの」
女「料理中は制御するとおいしいご飯ができますよ」ニコリ
隣「わあ……」
男「含みのある笑顔だ」モグモグ
隣「でもおいしいねー。どこのルー使ったの?」
女「ルーは使ってないですよ。カレー粉とか」
隣「えっ………ルー使わずにカレー作れるのって作り話じゃなかったんだ……」
女「隣さん……遊び心抑えても料理できなさそうですね」
隣「ふぁああ……疲れたー」
隣(でも今日は楽しかったなー。カレーすごくおいしかったし)
隣(男くん、あんな幼なじみいるんだーいいなー。美人で料理もうまくてしっかりしてて)
隣(仲良きことは美しきかな……わたしにいたっけ? 幼なじみなんて……)
隣(あんな子が近くにいたらわたしだったらほっとかないね! 男くんも隅におけないなあ)
隣(…………………? 今わたしもやっとした?)
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
女on帰路
女(今日は焦ったなー。あんなかわいい女の子部屋に連れ込んでくるなんて)
女(男いつのまにお隣さんと仲良くなんて……あいつ変態だけど妙にモテるからなー)
女(隣さん、かわいかったな……女の子ーって感じで。ふんわりしてて)
女(男ああいうの好きそうだもんなー。ラッキーなやつ、ああいう子がお隣さんとかもう)
女(どっちから話しかけたのかな? お隣さんと仲良くなる機会なんてそうそう……)
女(ん……………なんかちくちくするな……なんだろ)
女「おーい」
男「…………」
女「授業終わってるよー」
男「……? ??」
女「おはよ」
男「お、おおー。女」
女「女です。そんなんじゃまた試験前苦労するよ」
男「だいじょぶだいじょぶ聞いてたよ。上底たす下底かける高さ割る2……だろ?」
女「台形の面積は求めないよこれ民法の講義だよ」
男「ああ……台形を二重に転売したときの直角二等辺三角形の気持ちを答えよみたいなやつだ」
女「法律なのか数学なのか国語なのか全然わかんない問題だね」
男「答え:つらい」
女「まとめたなあ。直角二等辺三角形さん何者なの」
男「お、ツーデイズか? いいよいいよー」
女「っていうか男普段なに食べて生きてるの?」
男「学食とか……」
女「家では?」
男「マヨネーズ」
女「マヨネーズ!!?」
男「たまに味噌も」
女「あー……もう」
男「おいしいよ」
女「おいしいよ、じゃないでしょ! 死ぬよ!」
男「それは薄々感じてた」
女「言いなよ……」
男「ん?」
女「ご飯ないときは、言いなさい。作りにいってあげるんだから」
女「え、なにが?」
男「今日はやけに優しい」
女「わ、私はいつも優しいでしょ?」
男「それもそうか」
女「ね?」
男「助かってる」
女「う……急に素直になんな」
男「じゃあツンデレっぽく対応する」
女「それはちょっとうざそうだから遠慮する」
男「どうしろって言うんだ」
女「普通にしてて」
男「そうか。それならやっぱり、ありがとうだ」
女「!! もー……こいつは……」
男「?」
男「どうぞどうぞ」
隣「今日は女ちゃん来ないの?」
男「夕食の買い物に行ってくれてますよ」
隣「そうなんだー」
男「つまり今は二人きりですね」
隣「!! そ、そういうこと言わない!!」
男「ちょっ、大きな声出さないでくださいよ。なんか恥ずかしくなるじゃないですか」
隣「え、あ、え、ごめん……ってこれわたしが悪いの……?」
男「いや俺が全面的に悪いですけど」
隣「だよね……知ってたよ………」
男「紅茶淹れますね」
隣「いつもありがとね」
隣「んー? なーにー?」
男「今日も素敵な首筋ですね」
隣「あ、ありがとう……」
男「なめてもいいですか?」
隣「えっ……!!」
男「いや大丈夫です。ひとペロするだけなんで」
隣「なにその単位!?」
男「ひとペロ……」
隣「う………い、いい…よ………?」
男「えっ! 断られるかと思った」
隣「ひ、ひとペロだけだよ!!」
男「わかってますわかってます」
隣「えっ」
男「いえ首にかかっちゃってるので」
隣「あ、わたしかきあげよっか?」
男「いえできれば俺がやりたいです」
隣「なんか並々ならぬこだわりがあるんだね……」
男「それほどでも……」
隣「褒めてないからね」
男「じゃあちょっと」
隣「ん……」
男「…………」
隣「…………」ドキドキ
男「…………」ペロッ
隣「んっ……!」
隣「え?」
男「終わりましたよ」
隣「あ………え? あ、もう?」
男「? ひとペロですから」
隣(うわあめっちゃ満足そうだ……)
男「最高でした」
隣「そう……それはまあ、よかった……のかな」
隣(ほんとにひとペロだけって……まあある意味本物…………)
ガチャ
女「お邪魔しまーす」
隣「!」ビクッ
男「おー、サンキュー」
女「スーパー近いよねここー」
男「うらやましいだろー」
隣「」ギクッ
男「まあいつものようにお茶してた」
女「いつものように、ってまた隣さんにセクハラしてたんじゃないの」
隣「っ!」
男「おー、してたしてた」
女「懲りないなこいつ……」
隣(あああ……女ちゃん男くんのこと好きなんだよねえ……)
隣(わたし……邪魔者? っていうかやなやつ……?)
隣「最低だあ……」
男「ん?」
女「え?」
隣「いや、なんでもないです……」
女「コロッケだよ」
男「なにコロッケ?」
女「肉じゃが風味」
男「おお! いいねえ!!」
女「男のは段ボールしか入ってないコロッケだけどね」
男「マジかよそれっておいしいのか」
女「できるだけおいしくなる努力はしたよ」
男「その努力で普通のコロッケ作ってくれてもよかったんだよ」
女「はい。これ持って行って」
男「任せろ」
隣「男くん、段ボール好きなの?」
男「段ボール工作は好きでしたね」
隣「食材としての段ボールは?」
男「そんな段ボールがさも存在するかのように聞かないでください」
隣「いただきます!」
女「いただきまーす」
男「フイッフゥー!」
女「いやフイッフゥって」
男「ホワッホォー! のほうがよかった?」
隣「なんか、そっちのほうがいただきますのニュアンス伝わるね」
男「でしょう?」
女「そんなわけないでしょ」
隣「そんなわけないよ男くん」
男「えええええええ……今のは隣さんが………」
女「テレビつけてい?」
男「あ、どうぞ」
男「あれ、お前ワイン好きだっけ?」
隣「あ、わたし大好き!」
女「えっ」
男「えっ」
隣「えっ、なにその意外そうな顔」
女「隣さん……お酒飲めるんですか?」
隣「飲めるよ!! 成人したよ!!」
男「よしんば飲めたとしてもほろよいとかカロリとか、そっち系一本飲んだら寝ちゃうキャラじゃないですか」
隣「そんなキャラ付けなの!?」
女「この子酔わせてお持ち帰りしちゃおう! って近づいてきた輩が若干ひくレベルのお酒の弱さっぽい」
隣「ひくレベルってなに!? リバース!? リバースしてるよね!!?」
男「飲み会行って朝起きたら家じゅうのふすま全部外れてるタイプ……ですよね?」
隣「なんか確定事項の確認みたいになってる!? っていうか何があったわたし!!」
女「隣さんがお酒を……」
隣「なにわたしそんなロリかな。そんなつもりはまったくないけど」
男「いやまあ半ば冗談ですけどね」
女「かわいいけど子供っぽくはないですよ」
隣「あ……やった。よかった……」
男「それにほら」
女「ああ、うん。だよね」
隣「えーなにー?」
男・女「いやおっぱいあるし」
隣「おっぱい!!?」
女「やー、すみません……おっぱい触らせてください」
隣「さりげなくなにいってんの!? だめだよ!!?」
男「なめるだけでいいんで」
隣「ハードル上がってるよ!!?」
女「ごちそうさまでしたー」
男「ごちそうさまー」
隣「あ、ごちそうさま……」
女「食器洗ってくるー」
隣「あ、わたしもー」
女「食器は洗えるんですか?」
隣「そ、それくらいなら……」
男(うわあ自信なさげだ)
隣「あ、好きー」
女(もしかして酒好き?)
隣「二人も一緒に飲もうよー明日土曜日でしょ?」
女「えっ」
男「いや……」
隣「ん?」
男「お前はやめとけよ」
女「男こそ。すぐつぶれる癖に」
隣「二人とも弱い感じだ?」
男「いや弱いっていうか……」
女「好きなのは好きなんですけどね……」
隣「じゃあちょっと付き合ってよー。一人で飲むの寂しいな……」
女「う……まあちょっとだけなら………」
隣「やっ……もうっ! 女ちゃんどこ触って……」
女「まあまあ、いいじゃないですか!! あはっ! 隣さんやわらか……」
隣「もうううぅ……うあっ男くんあんま動かないでっ!」
男「んん? んんんんんー……」
女「あはは、いいなあ男。隣さんにひざまくらしてもらえてー」
隣「ひざまくらしてあげたっていうか男くんが腰にしがみついて離れない感じなんだけど……」
女「酔うと男、そんな感じなんですよねえ。ああもううらやましいなあ。隣さんちゅーしましょうちゅー」
隣「だっ、あっ、だめっ! んっ!!」
隣(ものすごい絡み酒だ……男くんはともかく女さんもこうなるもんなの……!?)
隣「お、男くん……スカートまくれちゃう………」
男「………ギニア」
隣(ギニア!? ギニアってなに!!?)
女「ほっぺ! ほっぺならいいですよね!?」
隣「わっ、もっ、もおお……たすけてええぇぇぇ………」
隣(あーー………やっと落ち着いた…………)
女「あがりましたー」
隣「あ、はーい」
女「すみませんお風呂までもらっちゃって」
隣「んーん。というか立ち直り早いねー……」
女「意外とケロっとすぐ」
隣「記憶とかあるの?」
女「それが全然……でもご迷惑かけた空気を肌で感じてます」
隣「いやいいんだけどね……でも女ちゃんはお酒気を付けたほうがいいね」
女「よく言われます……というか隣さんはまだ飲んでるんですね」
隣「あ、うん。なんか飲み足りなくて」
女「あ! 男どうしたんですか?」
隣「なんとかベッドにおいてきたよ……」
女「ご苦労様です……」
女「懐かしいですね」
隣「毎日飲んでるんだ」
女「なんか毎日ヤクルト飲んでそうなおっぱいですもんね」
隣「またおっぱい!? そろそろおっぱいネタやめようよ!!」
女「あはは、すみません……でも正直な話、カップはいくつですか?」
隣「えっ」
女「いいじゃないですかー。女同士」
隣「でぃ、D……?」
女「負けた……C」
隣「で、でも女ちゃんスタイルいいよ!」
女「そんな猥褻な身体の人に言われても……」
隣「わいせつ言うな!!」
女「褒めてますよ?」
隣「うれしくないよ!!!」
隣「? なんだろ」
女「この部屋一人暮らしですか?」
隣「そうだよー」
女「なんか端々に、二人暮らしっぽい気配が見え隠れするんですけど」
隣「あー……ちょっと前までね」
女「!! 同棲とかですか!!!」
隣「そんな色っぽいものじゃないよー。歯ブラシとかカップとかでしょ?」
女「そうそう。二つずつあるから」
隣「お兄ちゃんのだよ。今はもういないけどね」
女「!!! す、すみません……」
隣「?」
女「なんか……聞いちゃいけないことを……つらいですよね………」
隣「! いや、死んでないよ!?」
女「え、そうなんですか! てっきり」
隣「何年かね。急に決まっちゃったみたいで、ばたばたと出てったよー」
女「それで結構生活の痕が」
隣「ねー。わかるもんだねそういうの」
女「仲良かったですか?」
隣「うーん、どうだろ。喧嘩も結構してたけど、いなくなったら寂しいし、やっぱり仲良しだったのかなあ」
女「寂しい……んですか?」
隣「あ、でも最近は全然平気だよ! 女ちゃんも、男くんとも知り合えたし……」
女「あんなのでも役に立ってるならよかったです」
隣「あはは、きついねえ……なんか似てるんだ、男くん」
女「お兄さんとですか?」
隣「そうそう。人が良いところとか、ポーカーフェイスなとことか」
女「変態なとことか?」
隣「それはないけどね……」
女「ん?」
隣「最初から警戒もなにもせずに男くんの家に自然に居ちゃったのって、きっと男くんがお兄ちゃんに似てるからなんだなあって」
女「ああそういうことかあ……なんかお兄さんにあってみたくなりますね」
隣「普通のお兄ちゃんだけどねー」
女「隣さんは男のことお兄ちゃん的な感じに思ってるんですか?」
隣「それはないないー。よくも悪くも男くんはわたしを女として見てくれてるしね」
女「性的な目で……」
隣「いやまあそれはそうなんだけど……その表現は語弊があるよね……」
女「私もよくわかんないんですよね」
隣「なにが?」
女「男と一緒にいて長いけど、長すぎたのかなあ……それこそ兄弟姉妹みたいな」
隣「ああー……」
隣(いや女ちゃん、多分男くんのこと好きだと思うよ……結構…………)
男「女ー、隣ー……」
隣「男くん!!」
女「起きてきた!!」
男「太もも…………」
女「あっこいつまだ膝枕中毒モードだ!! 逃げてください隣さん!!」
隣「えっ? えっ?」
男「いや、だいじょぶだよ?」
女「ふらふらじゃん!!」
男「女……太もも」
女「触るなーーー!!!」
隣(仲良いなあ……)
隣「おいし」
男「よかったです」
隣「今日女ちゃんは?」
男「今日はやらなきゃいけない課題があるそうです」
隣「そっか。二人きりだね」
男「!」
隣「ん?」
男「いえ、隣さんからそういうこと言うとは思ってなかったので」
隣「ふふー仕返しだよー」
男「お茶目かわいいですね」
隣「でもやっぱり顔にはでないね男くん」
男「そんなに出ませんかね、俺……」
男「なんか高校生みたいですね。最高です」
隣「さっそく興奮しないで」
男「すみません」
隣「男くんはさ、女ちゃんのことどう思ってるの?」
男「脚がエロい」
隣「それだけ!?」
男「いいやつですよ。俺の心配ばかりしてくれて」
隣「恋愛感情とかないの?」
男「さあどうでしょう……」
隣(表情からは読み取れないなあ、やっぱり)
隣「わたしお兄ちゃんいるんだけど、男くんに似てるんだあ」
男「あ、それ女から聞きました」
男「海外勤務でしたっけ。え、読んでいいんですか?」
隣「読んでみて」
男「……………………………これ、お兄さんのところに隣さんが行くみたいな前提で書いてあるんですけど」
隣「せいかーい!」
男「海外住まいになるんですか?」
隣「んー……もともとそういう予定だったの。わたしの仕事はネットさえあればできるし、両親もお兄ちゃんと暮らしとけってさ」
男「これ、二週間前の手紙ですよね?」
隣「うん、返事してない」
男「まずいんじゃないですか?」
隣「まずいよーお兄ちゃんからばしばしメール来るよー。離れてわかったけど、お兄ちゃん若干シスコンみたい」
男「だったらなおさら連絡とらないと」
隣「迷ってるんだもん」
男「え?」
隣「海外いくの」
男「どういう意味ですか」
隣「寂しくてしょうがなかったのに、そういうの全然なくなっちゃったから」
男「お兄さんは寂しがってるかもしれませんよ」
隣「そこなんだよねえ……お兄ちゃんもわたしと似て、寂しがり屋」
男「シスコンなんですねえ」
隣「もう毎日すっごいよ! メール見る?」
男「遠慮しときます」
隣「面白いのにー」
男「寂しいですね」
隣「寂しい?」
男「せっかく仲良くなれたのに」
隣「もう見送りムードなんだね」
男「だってそれは、俺が口を出せるようなところじゃ……」
男「えっ……だって家族の問題じゃないですか」
隣「それでも男くんには、口を出せる権利があるんだよ」
男「?」
隣「もお………察してよ」
男「いや難しすぎますって」
隣「わたしが………男くんのこと好きになっちゃったからだよ」
男「!?」
隣「多分だけどね」
男「そ、そうなんですか?」
隣「あ、動揺してる! やった! 初めてみたよ男くんのそういう顔」
男「もしかしてからかわれてます?」
隣「ううん、これは本気のやつだよ」
男「いつから……?」
隣「最初からなのかなー」
男「隣さんもブラコンですね」
隣「それを言わないで……まあきっかけはどうあれ、そうこうしてる間にどんどん親近感が募っていったわけです」
男「んー、でもそれって恋愛感情なんですか?」
隣「さあ……正直わかんない! でもね、なんか意識したら言いたくなっちゃってたまんなかったの」
男「うわあ……隣さんがそんな素直な感じだと、さすがに照れます………」
隣「照れて照れて!!」
男「顔見ないでください」
隣「だって珍しいんだもんー」
男「不覚だ…………」
隣「それじゃあ、今日は帰ろうかな」
男「えっ、ここでですか?」
隣「うん、それじゃあね」
男「あ、え、はい」
隣(…………………………………………………………………死ぬほど緊張したぁ!!!!)
隣(あとはがんばれ女ちゃん!)
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
翌日
女「今日隣さん来ないの?」
男「え、あ、ああ……隣さんね。どうなんだろ」
女(動揺してる……珍しいな。まあ告白されたら無理もないか)
男「今日はもしかしたら来ないかも」
女「どうして?」
男「それはまあ……その………」
女「うそうそ。なにがあったか知ってるよ」
男「えっ……なんで!?」
女「それはまあおいといて、私も男に話があります」
男「?」
女「…………ああ、恥ずかし。一度しか言わないからね?」
隣「それで女ちゃんは振っちゃったんだ」
男「はい」
隣「なんかわたしがけしかけちゃったみたいだ……正直女ちゃんと付き合うだろうと思ってたのに………」
男「隣さんがいけないんですよ」
隣「わたしー?」
男「正直一目ぼれしてもおかしくないくらいに、隣さんのこと気になってたんですから」
隣「わ……それはうれしいな」
男「あんな顔真っ赤にして告白されたら誰でもおちます」
隣「うそっ!? わたし超余裕な大人の女顔してたはず!!」
男「強がり大失敗でしたね」
隣「うわああああああ………聞きたくなかったよー……」
男「っていうかほんとに行っちゃうんですか」
隣「うん、もう荷物いくらか送っちゃったしねー」
隣「ごめんね。これでも最後のけじめのつもりなんだ一応」
男「どういうことですか」
隣「わたし告白したときに、多分好き! って言ったよね」
男「言いましたっけ」
隣「言ったよー。それってつまり、親愛と恋愛を勘違いしてない自信がないってことなの」
男「俺をお兄さんの代わりと思ってるかも、ってことですか?」
隣「そういうこと! 今日は察しがいいね。だから、確かめたいの」
男「わざわざ離れる、ってことですか」
隣「あっちに行ってお兄ちゃんと過ごして、それでも男くんに会いたくて会いたくてしょうがないようなら、それは本物の恋愛かなあって」
男「なんか回りくどいですね。本末転倒な気もします」
隣「回り道も本末転倒もいろいろ許してよー。わたしこれ一応、初恋だからね?」
男「初恋は実らないっていうけど……」
隣「だいじょぶ! 男くんへの愛が本物だとわかったら文字通り飛んで帰ってくるよ!!」
女「あのー………」
女「ご飯できたよ! あと台所に声聞こえる!」
隣「うそっ」
女「ふられた私にそのイチャイチャトークは結構くるよ……」
男「いやそういうつもりは……」
女「まあ、その分開き直ったけどね。隣さんが余裕綽々であっち行ってる間に、男、私のこと好きにさせるからね!」
隣「ここまですがすがしく略奪宣言されるとなあ……」
女「あとで泣いても知りませんよー」
隣「色仕掛けはやめてね!!」
男「ああ、絶対ひっかかるわ」
隣「ひっかからないの!! おっぱいわたしのが大きいよ!?」
女「足は私のほうが長いけどねー」
男「幸せな状況だけど、迫られると躊躇するタイプだわ俺……」
女「では、明日から隣さんの前途を祝して!」
男・隣・女「「「いただきます!」」」
隣「ちょっとかくまってください」
男「…………どうしたんですか?」
隣「いやしばらく離れてた後の兄の愛情って重たいね……」
男「逃げてきたんですか?」
隣「日本に帰るーって言ったらなんかお兄ちゃんついてきちゃって」
男「シスコン重症化したんですね……ていうかどうするんですか?」
隣「?」
男「隣の家、引き払っちゃったじゃないですか」
隣「あ」
男「あ、って……」
隣「それじゃあ、一生かくまってください」
男「! …………いいですよ」
隣「人がいいね!!」
男「よく言われます」
おわり
和んだ
こういうの好き
Entry ⇒ 2012.11.10 | Category ⇒ 男女「」SS | Comments (1) | Trackbacks (0)
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