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一方通行「あったけェ……」
元スレ:一方通行「あったけェ……」
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1325160233/
注意書き
・ほのぼのキャラブレイク
・原作から誰も死なずにハッピーエンド迎えて数年後みたいな妄想
・キャラ相関とかは脳内で適当に補完してね☆
・短い
・ちょっと前に似たようなSS書いた気がするけどそんなの関係ねぇ!
こんな感じでよければダラダラ付き合ってくれ
一方通行「コタツってすげェなァ……」ホウ
垣根「全くだな、悪魔の暖房器具だぜコイツは」ヌクヌク
御坂「日本人に生まれてよかったって実感するわー」ホッコリ
麦野「コタツで食べる蜜柑はどうしてこんなに美味しいのかしら」ムギムギ
一方通行「暖房器具の頂点はコタツで間違いねェな、ストーブやエアコンじゃこの空気は作れねェ」
垣根「この包み込んでくれるような暖かさは一度体験すると抜け出せねぇよ」
御坂「コタツに対抗出来るのは人肌に暖められた布団くらいよねー」
麦野「あ、蜜柑なくなった」
一方通行「……ところで何でオマエらここ(俺ン家)にいンだ?」
垣根「え、何を今更」
御坂「だってうちコタツないしー」
麦野「蜜柑どっかに残ってないかしら……」キョロキョロ
一方通行「無ェなら買えよコタツくらい」
垣根「買いてぇのは山々なんだがな、俺ん家洋室だからコタツ合わねぇのよ」
御坂「うちもうちも」
一方通行「この部屋も洋室だろォが」
垣根「センス皆無のオマエと違って部屋の内装に気ぃ使ってるから置きたくねぇって事だよ」
御坂「うんうん」
一方通行「喧嘩売ってンのかオマエら」イラッ
麦野「第一位、蜜柑が無くなったわ」
一方通行「あァ?冷蔵庫の隣にダンボール置いてっから勝手に取って来いよ」
麦野「垣根の隣には何もないわよ?」
垣根「おいコラ誰が冷蔵庫だ」
一方通行「垣根じゃなくてキッチンにある本物の冷蔵庫の隣だ」
麦野「取ってきて第一位、私寒いからコタツから出たくないの」ニコッ
一方通行「ブン殴りたくなるような素敵な笑顔だなクソッタレが。
ほとンどオマエが食ったンだからオマエが取って来い」
麦野「だってよ垣根」
一方通行「マジで動く気ねェのなオマエ」
垣根「俺蜜柑の皮しか食ってねぇんだけど」
御坂「何で皮なんて食べるのよ……」
垣根「受けるかなって」
一方通行「ドン引きだよバァカ」
麦野「んなことどうでもいいからさっさと取ってこい垣根」ゲシゲシ
垣根「痛ッ!やめろ蹴るな、コタツの中の戦争は悲しみしか生まねぇぞ」
麦野「あぁ?蹴ってんのは私じゃねーよ」ゲシゲシ
垣根「いやいやオマエだよ、間違いなくオマエだ。身体が小刻みに震えてんじゃねぇか」イタイイタイ
麦野「たったそれだけの状況証拠で私を犯人に仕立て上げようってか?いい度胸してるわね」ゲシゲシ
垣根「確定レベルの状況証拠だろクソ、つーかさっきから『ゲシゲシ』って擬音が入ってるしな!」
麦野「何のことやらさっぱりわからないわ。ねぇ美琴?」ゲシゲシ
御坂「麦野さんは寒がりだから震えてるだけよ垣根さん」
垣根「どうしてオマエは麦野の味方すんの?被害者は明らかに俺なのに。
じゃあもうコタツ布団めくって誰が蹴ってるかハッキリさせようぜ」
麦野「女の子が二人も入ってるコタツの布団めくろうとか、お前どんだけ変態だよ。
死ねこの足フェチが」
一方通行「女の子ォ……?」
麦野「あぁ?何か文句あっか?」
一方通行「いや別に……お前がそォ思うンならそォなンだろう、お前ン中ではな」
麦野「あ?」
垣根「おい誰が足フェチだボケ、どっちかっつーと尻フェチだ」
御坂「その情報はいらない……て言うか凄く忘れたい……」
麦野「気持ち悪ぃ事言いやがって、死ね」ゲシゲシゲシ
垣根「ちょ、痛い痛い、割とマジで痛い!」
一方通行「オマエら暴れンな、追い出すぞ」チッ
麦野「あぁもうほら、垣根がさっさと蜜柑取りに行かないから第一位が怒ってるじゃない」ハァ
垣根「何この扱い……」
御坂「蜜柑はともかく、お腹は空いたわね。もう結構いい時間帯じゃない?」
一方通行「ン、あァもう20時回ってンのか、確かに晩飯時だなァ」
垣根「よっしゃ、なら材料買ってきて鍋でもしようぜ」
麦野「コタツで鍋か……魅力的ね、垣根にしちゃいい案出すじゃない」
垣根「俺にかかればこの程度ちょろいもんよ」ヘ
一方通行「オマエらここで飯食う気なのかよ……帰れよ……」
御坂「帰ったらコタツがないもん」
一方通行「どンだけコタツ中毒だよ」
垣根「オマエもな」
麦野「で、誰が材料買いに行くわけ?言っとくけど私は絶対嫌だからな?寒いし」
御坂「私もコタツから出たくない」
一方通行「家主である俺が家からいなくなるわけにはいかねェだろ、そォすっと……」
垣根「また俺かよ!俺だってコタツから出たくねぇよ!!」
麦野「大丈夫でしょ、あんたほら、羽毛みたいの出せるし」
垣根「言っとくけどあれ別に暖かくはねぇぞ?」
一方通行「意外と硬ェしな、あの羽」
御坂「え、そうなの?モフモフしてると思ってたのに……何かちょっとショックなんだけど」
麦野「期待外れね全く」フゥ
垣根「うっせぇボケ、とにかく俺も行かねぇからな!」
麦野「じゃぁもうダメね、私達全員飢えて死ぬしかないわ、この人殺し」
垣根「オマエとりあえず俺を罵っときゃ面白ぇと思ってんなら大間違いだぞ」
麦野「私は面白いからいいのよ」
垣根「マジでファックだなオマエ」
御坂「ねぇ、今から誰か呼んで来る途中に鍋の材料買ってきてもらうって言うのはどうかな?」
垣根「お、そりゃ名案だな。それなら誰も不幸にならずに済む」
麦野「流石美琴ね、どっかのメルヘンとはワケが違うわ」
一方通行「これ以上人増やす気かよ……」
御坂「ダメ?」
一方通行「いや、もォ好きにしろ」ハァ
垣根「御坂には優しいよな、オマエ」
麦野「負い目があるからね」クク
一方通行「黙ってろカスどもが」
垣根「しかし誰呼ぶんだ?第一位から第四位まで勢揃いしてる中に物怖じせずに入ってこれる奴なんざそう多くはねぇだろ」
麦野「第一位の家知ってて、パシリやってくれて、尚且つこの中に違和感なく混じれる奴か……」
一方通行「まず俺ン家知ってる奴があンまりいねェからなァ」
御坂「黒子……はちょっとこの中に混ぜるのはかわいそうだし、なんとなく同じ鍋つつきたくないし……
そうだ一方通行、打ち止めはどう?」
一方通行「あァー、無理だな無理。あのガキ、遅めの反抗期だか思春期だか知らねェが
最近は俺の言うこと何一つ聞きゃしねェ」
垣根「え、あんなにオマエに懐いてたのに?」
一方通行「今じゃ毛虫のごとく嫌われてンよ。挨拶しても無視されっし、目が合や逸らされるし、
アイツの学校行事に顔出した日にゃマジギレされっしな。
俺が一人暮らし始めた要因の一つはその辺だぜ?」ハァ
麦野「反抗期の娘を持った父親みたいね」
垣根「まぁオマエが学校行事の見学とかしてたら俺でもマジギレするけどな」
一方通行「何でだよ……」
御坂「それにしてもあの素直でいい子だった打ち止めがねぇ……
いくら反抗期だって言ってもちょっと信じられないわ。
一方通行、あんたあの子に何かやらかしたんじゃないの?」ジロ
一方通行「俺もそォ思って何度か自問自答したンだけどよォ、心当たりが全くねェンだわこれが」
垣根「むしろ何もしなかったからじゃねぇの?」
一方通行「あァ?」
御坂「どういうこと?」
垣根「ある所に可愛らしい女の子がいました。
んで、その子は物心ついた頃から一つ屋根の下で年上のお兄さんと一緒に暮らしています」
一方通行「はァ……?」
麦野「女の子は憧れとも恋心ともつかない淡い想いをお兄さんに抱いてるんだけど、
ところがどっこい、そのお兄さんは女の子の事を娘か妹程度にしか思ってなくて、
どんだけアピールしても子供扱いされて軽~くいなされてしまうのよ」
御坂「ふむふむ」
垣根「それもこれも自分が子供だからだ、と考えた女の子は必死に努力を重ね、
女を磨きながらじっとお兄さんが振り向いてくれるその時を待ち続けます」
麦野「何年か経って女の子もそこそこ成長してね、
常日頃の努力の甲斐もあって、まぁ胸も尻も出てきて女っぽい身体つきになるわけ」
垣根「まだまだ青い果実ではありますが、それでも自分の身体が女のそれに変わっていくことに少女は喜びを覚えます。
『もうそろそろあの人もミサカに振り向いてくれるはず!ってミサカはミサカは云々かんぬん』」
一方通行「オマエの表現何かきめェな……
あと裏声で打ち止めの声真似すンのやめろ、微妙に似てンのがすげェ腹立つ」
御坂「て言うか打ち止めの話だったんだ?てことは一緒に住んでるお兄さんは一方通行?」
麦野「とーこーろーがー、甲斐性なしのクソモヤシはそんな乙女心なんぞ露知らず
相変わらず女の子を異性として意識せずに娘のように扱いやがるのよ」
一方通行「おいそこ『お兄さン』で統一しとけよ、何でわざわざ俺の事罵倒してンだよ」
垣根「挙句の果てには『最近色気付いてンな、男でも出来たか?』とか聞く始末です」
一方通行「ンな事言った覚えはねェよ!!」
麦野「数年間我慢に我慢を重ねた上でのこの仕打ちに、ついに女の子はプッツン」
垣根「『このファッキンモヤシのクソインポ野郎が!テメェ二度とその小汚ぇ面見せんじゃねぇ!!
ってミサカはミサカは云々かんぬん』」
一方通行「オマエ喧嘩売ってンだろ?」
御坂「あんたそんな事言われたの……?」
一方通行「言われたわけねェだろアホ!」
麦野「こうして今までの不満が爆発し、かつ思春期特有の気恥ずかしさも手伝って
女の子は最悪なレベルの反抗期に突入しましたとさ」
垣根「オマケにお兄さんはキレた女の子にビビッて家から逃げ出して一人暮らしを始める始末。
そりゃぁ反抗期も更に悪化するよオマエ……ってな感じのストーリーでどうだ?」
一方通行「ねェわ」
麦野「あるって」
一方通行「いや、ねェよ」
御坂「でもでも打ち止めは間違いなくあんたに好意持ってたわよ?ずーっとべったりだったし」
一方通行「好意つってもラブじゃなくてライクだろォが。
身近に俺以外の男がいなかったから何か勘違いしたンだろォよ」
垣根「うわぁぁぁ一方通行がラブとライクの違いについて語ってるうぅぅぅ!!」
麦野「きめえぇぇぇ!!」
一方通行「何オマエらそンな死にてェの?」
垣根「ラブじゃなくてライクだろ(キリッ」
麦野「やめろ!私を笑い死にさせる気か!」プククク
一方通行「よォし表出ろやクソムシどもがァ!!!」ガタン
御坂「あーもう、とにかく打ち止めは無理なのね?それじゃ他の候補は……」
垣根「んー、上条はどうよ?どうせ暇してんだろアイツ。
暖房器具の無いボロアパートで凍えてるだろうし呼んでやったら喜ぶんじゃねぇ?」
一方通行「あの三下に鍋の材料買ってくるだけの財力があると思ってンのか?」チッ
御坂「……間違いなく無いでしょうね」
垣根「そんな貧乏なのかアイツ」
麦野「無能力者って不憫ね」
一方通行「それにアイツに任せると安ィモンばっか買って来そうだしよォ、
パッサパサの鶏胸肉とシナシナのモヤシがメインの鍋なンざ食いたくねェだろ」
垣根「そりゃ確かに御免だわ。それじゃ上条も無し、と……」
御坂「あいつの食生活は本気で同情したくなるわね……」
麦野「似たような理由で浜面も無しね、あいつも貧乏根性が染み付いてるし、つーか貧乏だし」
垣根「暗部にいたのにそんな貧乏なのか?いくら下っ端でも普通に仕事こなしてたら結構金貰えたはずだろ」
麦野「浜面には生きるのに必要な最低限の分け前しか渡してなかったわ」ニコッ
垣根「悪魔かオマエは」
一方通行「まァ浜面の生活レベルなンざどォでもいいンだよ、それより誰呼ぶかだ」
麦野「もう第七位とかでいいんじゃない?暑苦しいけど」
垣根「あー、アイツならここ知ってるし物怖じするようなタマでもねぇしな。暑苦しいけど」
御坂「基本はいい人だし、お願いすれば鍋の材料くらい買ってきてくれそうよね。暑苦しいけど」
一方通行「いや、アイツ確かこの時期は山篭りしてンだろ」
垣根「ん……そうか、もうそんな時期だったか」
麦野「そう言えばそんな事してたわね、あの根性馬鹿」
御坂「えっと、毎年恒例で冬山で修行してるんだっけ?」
一方通行「おォ、凍死しそうなくらいクッソ寒ィ山ン中で滝に打たれたりしてンだとよ」
御坂「うわぁ……」
垣根「想像しただけで凍えるわ。つかアイツ馬鹿じゃねぇの?」
麦野「根性とか修行とかじゃなくて、実はドMなだけなんじゃない?」
一方通行「かもなァ」
麦野「にしても、第七位も没となると後は……」
垣根「レベル5つながりで第五位はどうよ?食蜂だっけか」
御坂「あいつが買出しなんてしてきてくれるわけないでしょ。
ふんぞり返って取り巻きを好き勝手操りながら今日まで生きてきた奴なのよ?」
垣根「ですよねー」
麦野「性格悪いもんねぇあいつ」
一方通行「オマエが言うのか」
垣根「これ笑うところでいいのか?」
御坂「いやー麦野さんの比じゃないわよ、あいつの性格の悪さは」
垣根「それ食蜂ほどじゃないけど麦野も性格悪いって言ってるようなもんだよな」
麦野「へぇ?美琴ちゃんはそういう目で私を見てるわけ?」ギロ
御坂「こ、言葉の綾よ!」
一方通行「つかアイツそンな性格悪ィのか?結構普通ってかむしろ従順な感じだった気がすンだが」
御坂「あいつが従順って……あんた知らない間にあいつの精神操作でも反射して逆に操っちゃってるんじゃないの?」
麦野「それか、一切対抗出来ないほど力の差がある相手には大人しく尻尾振るタイプなのかもね」
垣根「ん、じゃぁ一方通行が頼めば買出しして来てくれるんじゃねぇの?」
御坂「いやいや止めときましょう、あいつだけはダメだってば」
一方通行「あァ?やけに毛嫌いするじゃねェか」
麦野「あんたらそんな仲悪かったかしら?」
垣根「常盤台時代の因縁でもあんのか?」
御坂「いや、昔はともかく今は別に仲悪くないわよ。
ただあいつと一緒に鍋するのはちょっと……」
一方通行「何か一緒にやりたくねェ理由があるわけか」
御坂「ん、ちょっと前あいつ含めた常盤台OB数人で焼肉食べに行ったんだけどさ、」
麦野「へぇ」
垣根「あ、何かもうオチ読めたぞ」
御坂「あいつ、能力で他人の頭の中読んで、他人が取ろうとしてる肉を優先的に取りやがるのよ……」ハァ
一方通行「あァー……うぜェなそりゃ……」
御坂「しかも肉横取りした後にこっち見てドヤ顔するのよ、危うく超電磁砲ぶっ放すところだったわ」
麦野「それは確かに同じ鍋は囲みたくないわ」
垣根「チッ、食蜂もダメか……んで他に候補は誰かいるか?」
御坂「番外個体は?」
麦野「ミサワかぁ、最近会ってないけど元気にしてんの?」
一方通行「元気は元気だけどよォ、アイツが他人の為、ましてや俺の為に動くと思うかァ?」
御坂「やっぱ無理?」
一方通行「断言してもいいぜ、絶対無理だ。
あの馬鹿、反抗期になった打ち止めの負の感情吸いまくって今えらい事になってっしよォ」
御坂「そうなんだ……」
垣根「妹達の負の感情かき集める仕様は結局治ってねぇのか」
一方通行「冥土帰しやらにも協力してもらって色々試してンだけど中々なァ……
アイツも気にしてっから早ェとこ何とかしてやりてェンだが」ハァ
御坂「でも実害受けるのは一方通行だけだし、気長に治せばいいわよ」グッ
一方通行「何親指立ててンだオマエ、フォローのつもりなのか今の」
麦野「ってかもう呼べそうな奴いないし、どうすんのよ第一位」
御坂「どうするつもりよ一方通行」
一方通行「帰ればいいンじゃねェか?」
垣根「オマエん家の冷蔵庫は何か鍋の具材になるもん入ってねぇの?
もう適当に有り合わせの食材で鍋作っちまおうぜ」
御坂「外には出たくないし、それでいっか」
麦野「垣根の口から冷蔵庫って単語が出ると妙に面白いわね」
垣根「ぶっ殺すぞ」
一方通行「なァンで勝手に居座ってるオマエらの為にうちの食料献上しなきゃならねェンだよ」
垣根「じゃあオマエが買出し行くか?あ?イヤだろ?だったら今この家にあるもん使うしかねぇだろうがよ!」
一方通行「え、何でこいつ逆ギレしてンの……」
麦野「腹減ってんでしょ、多分」
御坂「お腹が空くとわけもなくイラつくもんね」
垣根「そういうことだ一方通行、早く食料を出さなきゃ大変なことになるぜ?」
一方通行「うっぜェ……もォ好きに冷蔵庫漁りやがれ、一週間分くらいの食料は買い込ンであっから」ハァ
麦野「流石は第一位、太っ腹ね。遠慮なく頂くわ、えぇ、一切遠慮する気はないわ」
垣根「よっしゃ高級そうなもんから食い漁ってやろうぜ」
一方通行「オマエら二人ホントに死なねェかなァ……
今すぐオマエらの脳天にピンポイントで隕石でも振ってこねェかなァ……」
御坂「あのさ、食材の心配がなくなったのはいいけどもう一つ問題があるわよね?」
垣根「ん?」
麦野「何よ?食材さえあれば鍋なんて簡単に出来るでしょ?」
一方通行「出汁とって材料切って鍋に放り込むだけだしなァ」
御坂「それよそれ、誰が出汁とるの?誰が材料切るの?
その人は必然的にコタツから出なくちゃいけないのよ?」
垣根「なん……」
麦野「だと……」
御坂「蜜柑取りに行くのすら皆嫌がってたのに、誰が寒いキッチンで料理するのよ……」
一方通行「……盲点だったなァ、結局誰かがコタツから出なきゃならねェってのに変わりはねェわけか」
垣根「振り出しに戻っちまったってことか、クソッタレめ……」
麦野「……ここは第一位の家なんだし、勝手がわかってる第一位が料理するべきなんじゃないかしら?」
一方通行「食料提供させられた上に飯まで作れってか?ふざけンなボケが」
麦野「でもほら、他人の家の台所に立ったり冷蔵庫勝手に開けたりするのはお行儀が悪いじゃない?
私はその辺しっかり弁えるタイプだし?」ネ
一方通行「勝手に家に上がりこんで蜜柑貪り食ってた女が何寝言ぶっこいてンだコラ」
垣根「俺も他人の家の冷蔵庫漁るほど常識知らずじゃねぇから、悪ぃが料理すんのを手伝ってやるのは無理だな」ザンネン
一方通行「オマエこの前ウチの冷蔵庫勝手に開けてコーヒー飲ンでただろ!!」
御坂「んー、ちょっとかわいそうだけど話進まないし、
多数決の結果一方通行が鍋を作るってことでオッケー?」
垣根「異議なし」
麦野「頑張ってね第一位」ニコッ
一方通行「…………」カチッ
垣根「!!?こ、この野郎コタツの電源切りやがった!!」
麦野「おい何やってんだモヤシふざけんな!!」
一方通行「ふざけてンのはテメェらだろォがァァァァ!!!」
御坂「あぁ、温もりがどんどん失われていく……」
一方通行「オラ、コタツから出ろ馬鹿どもが!全員でサクッとやっちまうぞ!」
垣根「チッ、仕方ねぇな……電源握られてるんじゃお手上げだ」モゾモゾ
麦野「よし、垣根がコタツから出たわよ第一位」
一方通行「スイッチオン」カチ
御坂「あー温かーい」ホクホク
垣根「うおおぉぉい何やってんだテメェらぁぁぁ!!!」ガビーン
一方通行「ハッ、あっさりとコタツから出たオマエの負けってこった」ククク
麦野「てめぇのコタツ愛は所詮その程度だったってことよ」フ
御坂「折角コタツから出たんだし料理お願いね?」ニヤリ
垣根「ち、ちくしょう……」
一方通行「それじゃ任せたぜ負け犬くゥン」
垣根「クソ、貸しにしとくからな……」ギリリ
御坂「あ、そこは素直に料理してくれるんだ」
垣根「腹減ってんだよ、鍋食いてぇって言い出したのも俺だしな。
正直、薄々こんなことになるんじゃねぇかとは思ってたぜ……」ハァ
麦野「ついでに蜜柑とってもらえる?」
垣根「食前にそんなもん食べようとするんじゃありません」
麦野「何よその保護者みたいな態度?すっげぇうざいんだけど」
垣根「うっせぇバーカ!蜜柑食いたけりゃテメェもコタツから出ろってんだ!
おい一方通行、冷蔵庫の中身は好きに使わせてもらうぞ!」ガチャ
一方通行「勝手にしろ」
垣根「ふむ、鶏肉と白菜が大量にあるな……水炊きが出来そうだ」
麦野「水炊きね、アッサリしてていいんじゃないかしら」
御坂「何で鶏肉と白菜ばっか買い込んでんのよ?」
一方通行「冬だしなァ、クリーム煮でも作り置きしとこうと思ってたンだよ」
麦野「鶏肉と白菜のクリーム煮を作る第一位……想像すると限りなくキモいわ」ブルッ
垣根「クリーム煮みてぇな色しやがって」ハッ
一方通行「オマエらマジで蹴り出すぞ?」
御坂「抑えて抑えて、今垣根さんを蹴り出すと料理する人がいなくなるわよ」
垣根「腹黒いなぁこの子……麦野、オマエが悪影響与えてんじゃねぇか?」
麦野「はぁ?前からこんなもんだったでしょ、ねぇ第一位?」
一方通行「ノーコメントだ」
麦野「あら優しい」
御坂「べ、別に腹黒くなんてないわよ!何よ皆して!」
垣根「はいはいそうね腹黒くないね。
それじゃ御坂さんに騙されてコタツから出ちゃった垣根お兄さんは鍋を作り始めますよ」フゥ
御坂「ちょ、騙したの私じゃないし!!」
麦野「コタツから出る素振りも見せずに黙って垣根を見送った時点で同罪でしょ?」
一方通行「最年少なのに全く自分から動こうとしねェしなァ」
御坂「く……わ、悪かったわよ……」
麦野「と反省するフリをしながらやっぱり動かない美琴ちゃんです」
御坂「だって寒いし!」
一方通行「うン、やっぱ腹黒いわオマエ」
垣根「おい一方通行、包丁の切れ味が異常に悪ぃぞ、オマエちゃんと手入れしてんのか?」
一方通行「あン?……あァ、そォいやずっと能力使って料理してたから包丁は長いこと研いでねェわ」
御坂「能力使って料理って……それ料理って呼んでいいの?何かズルくない?
てか無駄遣いにも程があるでしょ」
一方通行「ズルくねェし無駄でもねェよ、わざわざ原始的な方法で料理する方がよっぽど時間の無駄だろォが」
麦野「やっぱ反則的に万能ね、そりゃ第一位だわ」
一方通行「本気出しゃァ生きた豚を5分で角煮に出来ンぞ。今度見せてやろォか?」
垣根「んな所で本気出すな!豚の解体ショーなんざみたくねぇよ!!
てか他に包丁ねぇのか?鶏肉が切れねぇぞこれ」
一方通行「ねェな、その一本だけだ。肉切るのも魚切るのも野菜に細工すンのも全部能力でやるからよォ」
御坂「どんだけ能力浪費してんのよあんた」
垣根「はぁ……仕方ねぇな、俺も能力で切るか」ファサ
麦野「え、その羽で切れんの?」
垣根「俺の未元物質に常識は通用しねぇんだよ」バサバサ
一方通行「オマエそれ言いてェだけだろ」
麦野「へぇ……羽が刃みたいになるわけね」
垣根「かっこいいだろ?」スパスパッ
一方通行「そォだな、使い所を間違わなけりゃかっこいいかもなァ」
御坂「背中から生えてる羽で鶏肉切ってる……シュールって言うかなんて言うか……」ウワァ
麦野「いいのよ?はっきり『キモい』って言ってやっても」
垣根「うるせぇ!!俺だって好き好んでこんな大袈裟な真似して鶏肉刻んでるわけじゃねぇよ!!
包丁が使い物にならねぇんだから仕方ねぇだろ!!!」
一方通行「まな板まで一緒に切るンじゃねェぞ」
垣根「いっそ台所全部切り刻んでやりてぇ気分だよクソッタレ」ザクザク
麦野「さて、垣根が料理してる間暇つぶしに本でも読もうかしらね」モゾモゾ
一方通行「何の断りもなく勝手に本棚いじるンじゃねェ」
麦野「固い事言わないの、減るもんじゃなし。
あーでもコタツから手の届く範囲に本棚があるっていいわ、わかってる配置ね」ゴソゴソ
御坂「麦野さん、私にも何か適当にとってもらえる?」
麦野「はいはい。んー、何か面白そうなものは……ん?」ゴソゴソ
【百合姫】
麦野「……」ゴシゴシ
御坂「どしたの?目なんてこすっちゃって」
麦野「いや、何か第一位の部屋にあっちゃいけないようなタイトルの本があった気がして……」ゴシゴシ
一方通行「あァ?………あっ」
御坂「?」
【百合姫】
【マリア様がみてる】
麦野「見間違いじゃねぇ!やっぱあるし!!しかももう一種類似たジャンルのが!!」バッ
御坂「え、何々?……うわぁ、何よこの本……」
一方通行「あァー……」
麦野「第一位!てめぇこんな趣味があったのかよ!!?」
一方通行「あるかボケ!!俺のじゃねェよ!!」
御坂「見苦しいわよ一方通行!あんたの部屋の本棚に並んでたのに自分のじゃないなんて、
そんな言い訳通ると思ってんの!?」
麦野「見た目と喋り方以外はマトモな方だと思ってたのに、まさかこんな性癖を隠してるなんてねぇ」
垣根「何々?何かあったのか?」チラッ
麦野「いいからてめぇは黙って料理してろ!」
御坂「白菜の芯は火が通りやすいようにちゃんと下処理してね!」
垣根「ちくしょう」
一方通行「いやマジで俺のじゃねェンだって」
御坂「仮にあんたの物じゃなかったとしても、
今この場にあるって事はあんたの意思で誰かから借りたってことなんじゃないの?どうなのよ?え?」
麦野「認めなよ第一位、別にてめぇがレズ物で抜いてようが周りに言い触らしたりはしないわよ。
ただちょっと距離は置かせてもらうけど」
一方通行「まァ待て、何でそンな本がここにあンのか、
キッチリ納得の行く説明してやっから聞いてくれ」
御坂「フフン、精々無駄な弁明をするといいわ」
麦野「楽しみね、どんな愚にもつかない言い訳をしてくれるのかしら?」
一方通行「何でオマエら二人してドヤ顔決めてンだよ、うざってェ……
いいか、先週の事なンだけどよォ、どっかの誰かの後輩の
ツインテールのジャッジメントがうちを訪ねて来てだなァ、」
御坂「………」
―――回想
白井「第一位様、こちらにお姉さまが訪ねて来ませんでしたか?」
一方通行「あァ?いや、来てねェけど」
白井「本当ですの?」ジロ
一方通行「嘘ついてどォすンだよ、何だっていきなり疑われなきゃならねェンだ」チッ
白井「そんな事を言って、実は奥の部屋にお姉さまを監禁していたり……」
一方通行「何だオマエ、喧嘩売りに来たンならもっと早く言えよ。いくらでも買ってやっからよォ」ニコッ
白井「じょ、冗談ですの冗談!そのトラウマ級に恐ろしい笑顔はやめてくださいまし!」ビクゥ
一方通行「つか携帯にでも電話するなり直接家に乗り込むなりすりゃいいじゃねェか」
白井「あ、いえ実は先日からお姉さま携帯がつながらず学校にもいらっしゃらず家にもおられないんですの。
また何処かで厄介ごとに首を突っ込んでいたり
事件に巻き込まれていたりするのではないかと思うと気が気でなくて……」ハァ
一方通行「ンでェ、俺に監禁されてるかも知れねェからここにきた、と」
白井「で、ですからそれはただの冗談で……」
一方通行「まァさっきも言った通り、ここにはいねェし俺は居場所なンざ知らねェよ。
そもそも俺ン所に来るのはお門違いだろ、俺とアイツはンなに仲良かねェぞ?」
白井「お姉さまと仲良くないだなんて、そんな事言わないでくださいまし!」
一方通行「はァ?」
白井「お姉さまは孤高なお方ですから、同年代のお友達が少ないんですの。
ですから、どうかレベル5同士仲良くしてあげてくださいまし」
一方通行「あァ、はい」
―――回想中断
御坂「少なくないわよ!!ちゃんと友達いるもん!!」
一方通行「あァうン、そォだな、わかってるわかってる」
麦野「ちょっと携帯の電話帳見せてみ?何人くらい登録してんの?マ行に私以外のアドレス入ってる?」
御坂「入ってるわよ失礼ね!」キー
一方通行「ほォ、誰のが入ってンだ?」
御坂「……番外個体、とか」
麦野「他には?」
御坂「………」
一方通行「……」
麦野「……」
御坂「一方通行、続き話してもらえる?」
一方通行「お、おォ……」
麦野「……まぁ深くは追求しないであげるわ、かわいそうだし」
―――回想再開
一方通行「つーかよォ、アイツの心配なンざする必要ねェだろ。
レベル5の第三位、泣く子も黙る超電磁砲だぜ?
仮に騒動に巻き込まれてよォがそうそう死にゃァしねェよ」
白井「それは重々承知しておりますの。しかぁし!理屈ではないんですの!
いかにお姉さまが強かろうと、やはり心配なものは心配なんですの!!」
一方通行「はァ」
白井「そう、この気持ち……まさしく愛ですの!」キリッ
一方通行「声高に宣言してンじゃねェよクソレズ女が」
白井「レズではありませんの、お姉さま一筋ですの。
仮にお姉さまが男だったとしても、きっと黒子はお姉さまを愛していたに違いありませんの」
一方通行「あァはいそォですか、とにかくここには超電磁砲いねェから、もう用はねェな?」
白井「時に、第一位様には思い浮かべるだけで心臓が停止しそうなほど愛しているお方はおられませんの?」
一方通行「用が済ンだンならさっさと帰れよ、何で会話続けようとすンだよ。
思い浮かべるだけで心臓が停止ってそれもう病気だろ、心筋梗塞の疑いがあンぞ」
白井「お姉さまを想いながら逝けるなら本望ですの」フ
一方通行「やっべェ会話が噛み合わねェ、何だコイツ」
白井「ジャッジメントですの(キリッ」
一方通行「いや、もうそういうのいいから、マジで」
白井「話を戻しますが、第一位様にはお慕いしている方はいらっしゃらないんですの?」
一方通行「何でそこに戻るンだよワケわかンねェよ超電磁砲が心配で探してたンじゃねェのかよさっさと探しに行けよ。
大体俺に愛だの恋だのそンな高尚なモンが理解出来るわけねェだろォが」
白井「ふむ、理解出来ない、ですか」
一方通行「あァ、普通の男女間の色恋すら理解出来ねェし、
ましてやオマエみてェに同性間でそォいう感情を持つなンざサッパリわかンねェ。
子孫も残せねェし、そンなモン非生産的にも程があンだろ」
白井「生産性で愛は語れないんですのよ。
そうだ、実はわたくし今とってもいい物を持っておりまして」ゴソゴソ
一方通行「イヤな予感しかしねェなオイ」
白井「これ、わたくしの愛読書ですの。これさえ読めばきっと第一位様も愛のなんたるかを理解出来るかと」ス
一方通行「何だコレ……【百合姫】?【マリア様がみてる】?」
白井「これで第一位様も立派な百合男子に!」
一方通行「ならねェよ!!オマエやっぱりただのレズじゃねェか!!
つーか持ち歩いてンのか!?この本常に持ち歩いてンのか!?」
白井「それではわたくしはお姉さまの捜索に戻りますので、これで」ヒュッ
一方通行「おい待て空間移動すンな!本置いて行くな!持って帰れェェェ!!!」
――回想終了
御坂「……」
一方通行「……とまァ、こンな感じで強制的にその本押し付けられたわけだ」
麦野「……」
一方通行「一応借りモンっつー事になるし、
あンまりぞんざいに扱うわけにもいかねェからとりあえず本棚に入れといたンだよ」ハァ
御坂「……何かごめんね?」
一方通行「いや、別にオマエが悪ィワケじゃねェだろ」
御坂「うん、そうなんだけど……でも何かごめん」
一方通行「とりあえずこの本オマエから白黒に返しといて貰えねェか?読む気ねェし読みたくもねェ」
御坂「えー、それはちょっと……黒子に取りに来させればいいんじゃないの?」
一方通行「俺から直接返すとなると感想とか求められそうでよォ……」ハァ
御坂「あー……」
麦野「んで結局あんたは何で携帯繋がらなかったわけ?」
御坂「先週の話よね?多分、映画見に行ってた時かな」
一方通行「映画ァ?」
御坂「今ね、第六学区の映画館でアニメ祭りやってて……」
麦野「あぁ……ケロヨンだかゲコ太だか、それ目当てに行ったわけね、高校生にもなって」
御坂「べ、別にいいでしょ!好きなものは好きなんだから!」
一方通行「ンで、アニメに熱中してたら学校行くのも忘れて白黒の電話にも気付かなかった、と」
御坂「電話に気付かなかったって言うか携帯の電源切ってたのよ、映画館では当然のマナーでしょ?」
麦野「あんた絹旗と仲良くなれそうだわ」
垣根「おい一方通行、カセットコンロあるか?」
一方通行「食器棚の一番下に置いてンよ」
垣根「おう、それじゃそろそろ鍋持ってくからコタツの上片付けといてくれ」
一方通行「だってよ。第四位、蜜柑の皮片付けろ」
麦野「えー……だってゴミ箱遠いじゃない?」
御坂「その位は動きなさいよ……」
麦野「でも面倒だし……そうだ、こうすればいっか」バシュン、ジュッ
御坂「の、能力使って……」
一方通行「蜜柑の皮消し飛ばしやがった……」
麦野「出力さえ抑えればこういう使い方もありか。今度からゴミはこうやって処理しようかね」
一方通行「便利なモン持つと人間堕落しちまうってのは本当だなァ」
御坂「いやいやあんたも人の事言えないでしょ……」
垣根「待たせたなボンクラども、垣根様の手料理だ、心して食えよ」グツグツ
一方通行「……そォか、たかが鍋とは言えオマエの手料理なのか」
麦野「物凄い勢いで食欲が失せて行ったわ……」
御坂「出来立ての鍋を前にして食欲が湧かないなんて初めてよ……
見た目は美味しそうなのに……」
垣根「ナチュラルに酷いなオマエら……俺にあったかく接してくれるのはコタツだけかよ……」ハァ
一方通行「まァ捨てるのは勿体ねェし食おうぜ」イタダキマス
麦野「そうね」イタダキマス
垣根「え、何?捨てるかどうか悩むレベル?オマエらマジで俺の事病原菌か何かかと思ってねぇ?」
御坂「まぁまぁ、この二人がこんななのは今に始まったことじゃないし」
垣根「言っとくけどオマエも相当だからな?」
麦野「ところでどうして鮭が入ってないのかにゃーん?てめぇは鍋一つマトモに作れねぇのか?」
垣根「普通水炊きに鮭は入れねぇよ!鮭中毒も大概にしろ!!」
一方通行「はァ……鍋も久々に食うといいモンだな、あったまるぜ……」フゥ
麦野「皆で食べるから美味しいのよ。私達がいる事に感謝しな第一位」フ
一方通行「オマエだけは本当に帰ってくれねェかなァ」モグモグ
御坂「今更だけど、あんた一人暮らしなのによくカセットコンロと土鍋なんて持ってたわね」ハフハフ
一方通行「引っ越す時に黄泉川がよこしやがったンだよ。
『お前くらいの年齢ならそのうちきっと使う日が来るじゃん』とか何とか言って」
垣根「ほう、随分先見が利くじゃねぇか、あの巨乳警備員」ムシャムシャ
一方通行「まさか本当に使う事があるとはなァ……」
御坂「私達のお陰ね」ニコッ
一方通行「あァ、オマエらのせいだ」ケッ
麦野「しっかしあれね、鍋が美味しいのはいいんだけどそれだけじゃちょっと物足りないわね」
垣根「うん?」
御坂「そう?」
麦野「具体的に言うと鍋に良く合う飲み物が欲しいのよ。アルコール的な……あんたら欲しくならない?」
御坂「私まだ高校生だし……」
一方通行「オマエは完全にババアの発想だな」
麦野「もう一回言ってみろ、この家が消し飛ぶわよ」
一方通行「何て酷ェ脅しだ……」
垣根「いらん挑発はやめろ一方通行、こいつはマジでやりかねねぇ」
麦野「あーそれにしても温かい鍋にお酒が組み合わさったらとっても幸せだと思うんだけどなー、
誰かお酒持ってきてくれないかしら」チラッ
御坂「どこまでも人任せね……」
垣根「安心しろ麦野、誰かがそう言い出すと思ってさっき冷蔵庫漁った時にビールの六缶パックを確保しといた」ドン
一方通行「おま、勝手に……」
垣根「固ぇ事言うなよ一方通行、冷蔵庫の中身好きに使っていいつったのはオマエだろ?
ほら、ビール回せ。っと、御坂にはコーヒーな」ハイ
御坂「鍋にコーヒーって……」
垣根「ノンアルコールの飲み物はそれしか見当たらなかったんだ、文句は一方通行に言え」
一方通行「勝手に飲み物ぶんどられた上に文句まで言われンのか俺は」
麦野「珍しく気が利くわね垣根、今私の中であんたのランキングがかなり上がったわよ」
垣根「ほう、どのくらいまで上がった?俺は今ランキング何位くらいだ?」
麦野「セロハンテープと同じくらいね。順位にすると……わかんねーわ」
垣根「セロハンテープレベル!?人間ですらねぇって言うか元はどんだけ低かったんだよ!?」
麦野「元はホッチキスくらいかしら」
垣根「違いがわからねぇ……」
一方通行「まァ実際オマエ人間かどうか怪しいだろ、冷蔵庫になったり工場になったりよォ」
垣根「お前のせいだよ!?」
御坂「ある意味凄いと思うけどね、人間がそんな風になるって……」
一方通行「つーか俺のせいってちょっとおかしいンじゃねェか?
俺はオマエから喧嘩売ってきたのを返り討ちにしただけだろ」
垣根「いやまぁそりゃそうなんだが……」
一方通行「そもそもあン時のオマエは打ち止めに手ェ出そうとするわ黄泉川に怪我させるわド外道だったじゃねェか。
そりゃァ俺だってブチギレるし、大体オマエ相手に手加減なンざ出来ねェっての」
垣根「……すまんかった、あん時は俺もちょっとテンパってたんだよ」
麦野「汚い手使おうとして逆に相手を怒らせてボコられるって、あんた三流悪役の鑑ね」
垣根「オマエが言うな」
御坂「ねぇちょっと、垣根さんが打ち止めに手を出そうとしたって初耳なんだけどどういう事?ロリコンだったの?」
垣根「そういう意味の手を出すじゃねぇよ!!」
一方通行「この馬鹿正面から俺とやり合うの怖ェからって打ち止め人質にしようとしやがったンだよ」
御坂「うわぁちょっと引くわよそれ……」
麦野(ちょっとなのか)
一方通行(ちょっとで済むのかよ)
垣根「その節はどうもすいませんでした。ただ名誉の為に言っとくけど別に怖かったわけじゃねぇよ?マジで」
麦野「幼女人質に取ろうとした時点で名誉もクソも……」
垣根「ですよね……」
一方通行「あー……あン頃の打ち止めは素直で純真な子だったンだがなァ……
ちょろちょろ動き回るから手もかかったけどよォ」
垣根「その純真さを奪ったのはオマエだオマエ」
一方通行「やっぱ俺のせいなンかな……」
御坂「ねぇ一方通行、正直な所あんたは打ち止めの事どう思ってるわけ?」
麦野「そうね、そこはっきりさせとくのは大事よ第一位」
垣根「ぶっちゃけ抱きたいとか思った事ねぇの?」
一方通行「あるかボケ!!何で俺があンなガキに欲情しなきゃならねェンだ!?」
麦野「あっれー、第一位ってロリコンじゃなかったの?」アレー
一方通行「どっから流れンだよそォいうデマは!?絶対に違ェからな!!」
御坂「デマって言うかさ、打ち止めはずっとあんたにベッタリだったし
あんたも満更でもなさそうだったから、多分皆そんな風に思ってるわよ?」
一方通行「……そりゃまァ、アレだ、あのガキは俺にとって世界で一番大切な存在だからよォ、
手はかかるが一緒にいてつまらねェって事はねェし、出来ればずっと一緒にいてェとは思ってたよ」
垣根「何だロリコンか」
一方通行「張り倒すぞオマエ!?ンな薄汚れた感情は一切ねェよ!!」
麦野「そんだけ大事なら何で一人暮らし始めたのよ?一緒に暮らしてりゃよかったじゃない」
一方通行「思春期のガキと血の繋がってねェ男がいつまでも一つ屋根の下で暮らしてちゃ不味ィだろ。
それにアイツはもう俺と一緒にいたくなかったみてェだしな。だったら俺が出て行くのがベストだろ?
アイツが幸せなら俺はそれでいいンだよ」
垣根(何か意外と重い話になってつまんねぇな……)モグモグ
御坂「えーっと、多分あんたが思ってるみたいに打ち止めはあんたの事嫌いになってないと思うわよ?
反抗期でちょっと素直になれないだけだってば」
一方通行「挨拶代わりとばかりに電撃が飛ンでくンのにか?」
御坂「そ、それは、えっと……」
垣根「何だ、昔御坂が上条にやってたのと同じじゃねぇか。構って欲しいだけだろそれ」
麦野「反抗期ってのは近しい相手にこそ反抗する傾向があるからねぇ。今度ゆっくり話し合ってみなさい?
て言うか今言った『世界で一番大切~』とか面と向かって言ってやったらコロッといくわよ多分」
垣根「む、麦野が……」
御坂「真面目にアドバイスをするだなんて……」
一方通行「何だ、この言い知れねェ不信感は……」ゴクリ
麦野「何よあんたら、私だって偶にはお姉さんっぽい事するわよ」
垣根「そんなの麦野じゃねぇよ……」
御坂「誰よあんた!?」
麦野「……まぁそれに、知り合いがロリコンの道に堕ちて行く姿を間近で観察してみたいしね。
第一位が犯罪を恐れずにあのガキンチョとくっつこうって言うんならいくらでも手を貸すわ」
垣根「良かった、いつもの麦野だ」
御坂「お帰り麦野さん」
麦野「てめぇらそろそろ表に出ろ。私は出ないけど」サムイカラ
一方通行「いや待てっての、俺とあのガキとくっつくとかあり得ねェからな?」
御坂「え?でも世界で一番大切でずっと一緒にいたい相手なんでしょ?」
垣根「それを愛と呼ばずして何と呼ぶよ」
一方通行「でも俺アイツに女性的な魅力は一切感じてねェし?」
御坂「ぶっ!!」
麦野「サラッと最低な事言いやがったわこいつ」
一方通行「大切な存在なのは間違いねェよ、アイツの為なら俺の薄汚ェ命なンざ喜ンで捨ててやる。
けど俺にとってアイツは浮ついた感情を向ける対象じゃねェンだよ。
つーかマジでそういう感情は一切湧かねェ。再三言うが俺ロリコンじゃねェし」
垣根「んー、愛は愛でも家族愛とかそっち方面みてぇだな」
御坂「何か打ち止めの事神聖視してる感もあるわね」
麦野「つまんないわ、これだから童貞は」ハァ
一方通行「いや童貞ではねェけどな」
御坂「……え?」
麦野「嘘、マジで?」
垣根「何だ素人童貞か」
一方通行「ちょっと表に出ようか垣根くン」クイ
垣根「寒いからイヤどす」
麦野「童貞でも素人童貞でもない?」
御坂「って事は……」
垣根「レイプか……」ウワァ
一方通行「やっぱ表出ようか垣根くン」クイクイ
垣根「だってオマエが恋愛してるところとか想像出来ねぇし!?」
御坂「うん、確かに……一方通行が誰かとデートしてるところなんて想像出来ないわよね」
麦野「てかさっき『愛だの恋だのは理解出来ない』とか言ってたのは嘘だったわけ?」
一方通行「嘘じゃねェよ、恋愛なンざ生まれてこの方した覚えがねェ」
垣根「だったらもうレイプしかねぇだろ、ん?嫌がる女を力ずくで無理矢理ヤったんだろ?こう、後ろから」
一方通行「ちゃンと合意の上だっての!!つーか何でバック限定なンだよ!?」
垣根「オマエはバックでヤりながら女の胸を揉みしだくのが好きそうな顔をしてる」
一方通行「どンな顔だ!?」
御坂「合意の上なのに恋愛じゃないの?どういう意味?」
麦野「ちょっとシチュエーション詳しく説明してもらえる?」
一方通行「あァ?何だってそンな事話さなきゃならねェンだよ……どォでもいいだろ……」
麦野「話したくないなら話さなくてもいいけど、このままだとレイプ犯認定されるわよ?垣根に」
垣根「言えないってことはやっぱ後ろめたい事があるんだろ?それとも童貞の妄想か?」ケケケ
一方通行「うっぜェ、マジうぜェ……あァークソ……
……まァ何だ、傷の舐め合いっつーかある種の契約っつーか、そンな感じで、
互いに合意の上で身体だけの関係結ンでたンだよ」チッ
御坂「な、何か大人な関係ね……」ドキドキ
垣根「爛れてるっつーんだよ。つーかそれじゃサッパリわかんねぇしもうちょっと詳しく頼むわ」
一方通行「これ以上は絶対話さねェ、絶対にだ」ギロ
垣根「そんな本気で殺気込めて睨むのやめてくれ怖ぇから。わかったよもう聞かねぇって」
麦野「今はどうなってんの?まだ続いてるわけ?」
一方通行「話さねェつってンだろ」
麦野「そん位別にいいでしょ、相手探ったりなんて野暮な真似はしないわよ」
一方通行「……チッ、とっくに切れたわ。互いに黒歴史みてェなモンだ」
御坂「うー、相手誰なんだろ、気になるなぁ……」ウズウズ
垣根「そこつっこむのはやめとこうな、冗談じゃ済まなくなりそうだから」
麦野「あーあ、でもこれで身近な所で『童貞』って馬鹿に出来るのは浜面くらいかー、つまんねーの」
一方通行「馬鹿にしてやンなよ、浜面だって生きて……ン?」
垣根「え?」
麦野「ん?」
御坂「?」
垣根「浜面童貞なの!?彼女いんのに!?」
麦野「あぁ、もうビックリするくらい童貞よ。近くにいるとイカ臭いわ」
一方通行「いやいやいや、もう三年くらいあの能力追跡の女と付き合ってンだろ?え?マジで童貞?」
垣根「十代後半のヤりたい盛りを童貞で過ごしてきたのアイツ?」
麦野「処女童貞同士のカップルってめんどくせえのよ、浜面はヘタレだし滝壺は初心だし」
一方通行「えェー……」
垣根「マジかよ浜面ェ……」
御坂(こういう話って私入り辛いわー……)パクパクモグモグ
一方通行「けどよォ、浜面ってあンま我慢強ェタイプじゃねェだろ?
いくらヘタレだつっても性欲に任せて襲い掛かったりしねェのか?」
垣根「彼女いるのにヤれねぇとか俺なら三日持たねぇぞ」
一方通行「オマエは猿過ぎンだよ」
麦野「あーうん、それが笑えるのよ。この前あいつら二人っきりにしてやったんだけどさ」
垣根「うんうん」
麦野「直前に酒飲ませてた甲斐もあって浜面がついに滝壺に襲い掛かったのよ、押し倒す感じでガバっと!」
一方通行「おォ!やるじゃねェか!」
麦野「でもね、焦った滝壺が咄嗟に巴投げ喰らわせちゃって、哀れ浜面はそのまま窓ガラスに特攻。
その後三日間病院で過ごす羽目になりましたとさ、めでたしめでたし」
一方通行「あァー、めでたくねェー……」
垣根「秋口にあいつがちょっと入院してたのはそれか……」
麦野「せっかくいい感じにお膳立てしてやったってのに、ホントめんどくさいわあいつら」ヤレヤレ
垣根「しかし、何だかんだで面倒見がいいんだなオマエ」
一方通行「あァ、てっきり二人の仲を引き裂こうと画策してンじゃねェかと思ってたが見直したぜ」
麦野「お前らの中で私はどんだけ外道なんだ?」
御坂「……あのさ、二人っきりにしてあげたはずなのにどうして麦野さんはその一部始終を知ってるの?」
麦野「え?そりゃぁ隠しカメラの一つや二つ設置してあるわよ?毎回愉快なネタを提供してくれてるわ」
一方通行「事も無げに言い放ちやがったなコイツ……」
垣根「ちょっと見直したと思った瞬間コレだよ……そんなだからオマエは独り身なんだっての」
麦野「うっせぇコラ、私は独りが好きで独りなんだ勘違いすんなボケ、
私に釣り合う男がいねぇのが悪ぃんだよクソが」チッ
垣根「図星突かれたからってそんなマジギレしなくても……あ、痛ッ!やめろ蹴るな!!痛い!おいやめろって!!」
御坂「そういえば聞いたことなかったけど、麦野さんってどういう人がタイプなの?」
麦野「タイプ?んー、そうね……強くて頭良くて顔良くて金持ってて……」
一方通行「天井知らずな理想の高さだなァオイ」
御坂「まぁ、そんな事だろうとは思ってたけど……」
垣根「おい麦野」
麦野「あぁ?」
垣根「オマエの理想を満たす男が、ここに二人もいるぜ」グッ
一方通行「あァ?」
御坂「あー……確かにあんたら二人とも条件満たしてると言えなくもないわね……
頭いいかどうかは意見の分かれるところだろうけど」
麦野「……優しくて器が大きくて常識があって逞しくて……」
御坂「あ、二人とも条件から外れた」
垣根「何てこった……別にいいけど」
一方通行「むしろこっちから願い下げだ」
麦野「ま、今挙げた条件に当てはまる男が出てきたら本気出すわよ」
垣根「……見つかるといいな」
一方通行「夢見ンのはタダだしなァ」
御坂「人の夢と書いて儚い……何か物悲しいわね……」
麦野「んじゃ次美琴の番ね、何かピンク色な話はないわけ?」
御坂「ふぇ!?そんな流れだっけ!?」
垣根「そうだな、上条とはどうなってんのか酒の肴に聞かせて貰おうか」ククク
御坂「酒の肴なら鍋があるでしょうに……」ク
一方通行「ぼちぼち告白の一つくらいしてやったか?
あの三下アホみてェに鈍いからストレートに行かねェと一生オトモダチのままだぜェ?
競争率高ェンだし急いだ方がいいンじゃねェか?」
麦野「実際、滅茶苦茶モテてるわよね。何であいつまだフリーなわけ?」
垣根「障害レベルで鈍い上にチキンだからだろ、あー勿体無ぇ勿体無ぇ」アーア
一方通行「加えて、アイツに好意持ってる女が全員まとめて告白する度胸もねェ雑魚だからだな」
麦野「なーんか誰か一人でも告白したら一気に修羅場になりそうねー。
面白そうだから先陣切りなさい美琴」ククク
御坂「あの、色々気にしてくれてるところ悪いんだけどさ」
垣根「お?」
御坂「ぶっちゃけ今私そこまであいつに夢中ってわけじゃないって言うか、冷却期間って言うか……」
一方通行「なン……」
麦野「だと……」
垣根「一時期ストーカーかって位追い掛け回してたのにか」
御坂「ストーカーって、そんなには酷くなかったでしょ……」
一方通行「自覚ねェのかよ……」
麦野「一体何があったのよ?バレンタインにハート型のチョコ手作りしたのに結局渡せず
『来年こそは』って泣きながら自分で食べてたようなあんたが……」
御坂「いやさ、夏休みにちょっとアイツの家に行く機会があってね?」
垣根「何だ?まさかそん時襲われたのか?」
一方通行「あの三下野郎……ッ」
御坂「違う違う違う!襲われてない!!」
垣根「じゃぁ合意の上か!?」
御坂「ワケわかんないわよ!!」
麦野「垣根うっせぇ、黙って続き聞くわよ」
御坂「コホン……えっとね、夏だってのにあいつはろくな物食べて無くてバテ気味だって言うから、
あいつの家まで食材買って手料理作りに行ったのよ」
垣根「おー通い妻みてぇだな、そいつはポイント高ぇぞ」
御坂「でしょでしょ?私もあの時はちょっと舞い上がっちゃって、かなり気合入れて行ったの覚えてるわ」
一方通行「つまりそン時はまだ三下に夢中だったってワケか」
麦野「そしてその日に何かあったって事ね」
御坂「出来る女アピールしてポイント稼いで他の女と差を付けるぞ!なんてその時は思ってたんだけど、
買って行った食材を一旦冷蔵庫に仕舞おうとした時に……」
垣根「した時に?」
御坂「冷蔵庫の中にね、パンツが入ってる事に気付いたの……」
一方通行「あァー……」
垣根「冷やしパンツ……」
麦野「え、何で冷蔵庫にパンツ入ってんのよ?意味わかんねーんだけど」
垣根「あー……クーラー使う金すらねぇ貧乏人が偶にやるんだよ、そういう事」
一方通行「冷蔵庫でキンキンに冷やしたパンツ履くと身体が冷えてしばらく涼しい、冷房いらず。
ってな感じらしいンだが、俺も詳しくは知らねェ」
垣根「浜面辺りに聞いてみたら詳しいんじゃねぇの?アイツは実際にやってそうだしよ」
麦野「ふーん、まぁとにかく貧乏人の涼み方なわけね」
御坂「冷蔵庫のど真ん中にパンツが鎮座してるの見た瞬間ね、『あ、何か違うな』って……」
一方通行「冷めちまったわけか」
御坂「冷めたって言うか醒めたって言うか……」
麦野「うん?どういう事よ」
御坂「あいつは世界を救った英雄で、私の事超能力者って言う色眼鏡で見ずに対等に接してくれて、
何度も私の事助けてくれて……でも私生活にはあんまり踏み込ませてくれなかったからさ、
私知らず知らずの内にあいつに凄い過度の幻想を抱いてたみたいなのよね」
一方通行「ところが現実は冷蔵庫の中にパンツ突っ込ンでるような貧乏学生でした、と」
御坂「うん……貧乏なのは知ってたけど、冷蔵庫の中にパンツ入ってるの見たときは正直ちょっと引いたわ」
垣根「100年の恋が冷める瞬間なんざ往々にして下らねぇもんだって事だな」
御坂「勿論嫌いになったわけじゃないし、今でも多分好きよ?
けどね、ずっとフィルター越しに自分勝手な幻想のあいつを見てたから、
本当に好きなのかどうかわからなくなっちゃって……」
麦野「んで、ちょっと一線引いて冷静になろうとしてるわけね」
御坂「まぁそんな所。身勝手な理想を持たれたまま告白されたんじゃあいつも迷惑だろうし、
仮に告白成功しても長続きしないだろうしね。
今は等身大のあいつをじっくり見定めてる最中って感じかな」
垣根「何か良さ気な感じにまとめてますが事の発端は冷やしパンツです」
一方通行「その日は結局その後どうしたンだ?」
御坂「パンツはスルーして普通に料理作ってあげたわよ?けどそれだけ」
麦野「ちなみにどんな料理作ったのよ?気合入れてたつってたけど」
御坂「鰻とすっぽんを……」
一方通行「他の女に差をつけるどころか既成事実作る気全開だったンじゃねェか!!」
垣根「怖いわこの子……」
御坂「ち、違うわよ!!バテ気味だって言うから元気出して貰おうと思っただけよ!」
麦野「その後襲われなかった?女の子がそんな料理出してきたら普通OKサインだと思うわよ?」
御坂「だーから襲われてないってば」
一方通行「鈍さに定評のある三下さンだからなァ……
ってかチョコ渡す度胸はねェのに鰻とすっぽんは平然と出せるのかよ」
垣根「そもそも鰻とすっぽんって調理すんのに免許必要だろ。気合入れたってレベルじゃねぇぞ……」
御坂「も、もういいじゃない!結局何事も無かったんだし!!
それよりも、あいつ猫飼ってるのよ猫、三毛猫。かわいかったわよー、私も猫飼いたいわー」
麦野「ちょっとその話題転換は強引過ぎじゃないかしら?」
垣根「乗っといてやろうぜここは。いいよな猫」
御坂「いいわよね猫!……はぁ、私も発電系能力者じゃなければもっと触れ合えるのに……
猫じゃなくてもいいから何か癒し系なペット飼いたいなぁ」
一方通行「あンまり迂闊にペット飼いてェとか言ってっと
『わたくしを飼ってくださいまし』とか言い出す馬鹿が出てくンぞ」
御坂「あー、頭の中で完全に黒子の声で再生されたわ今の……」
一方通行「それと『自分をペットにしてください』とか言い出す馬鹿も」
御坂「やめて、想像すると気持ち悪いから……」
麦野「大人気ね美琴」
垣根「とりあえず手頃な所でオマエの大好きな蛙でも飼ってみたらどうだ?
ゴム手袋でも付けてりゃ何とか世話出来るだろ」
御坂「触れ合えないし癒されないわよ!!ゲコ太が好きなだけでリアルな蛙はそんなに好きじゃないっての!!」
麦野「爬虫類とか両生類ってよく見ると結構かわいい顔してるわよ?」
御坂「あの、もっとこう毛がモフモフした系統の奴をね?わかんないかな……」
一方通行「わかってて言ってるに決まってンだろ」
垣根「しかしペットか……もし飼うんならやっぱ犬か猫の二択になるかな」
御坂「その二択なら私は断然猫派よ。あの大きな目が堪んないわ」
垣根「わかるぜ、猫の目には何か不思議な魅力があるからな」
一方通行「猫目石なンて宝石もあるくらいだしなァ」
麦野「ペットとして飼うなら私は犬派かな。触れ合うだけなら猫でもいいんだけど、
やっぱりペットは飼い主に忠実じゃないとね」
垣根(バターとか舐めさせたりすんのかな)
麦野「垣根、お前今物凄く失礼なこと考えただろう?」
垣根「バター犬」
一方通行「口に出しちまったよこの馬鹿!!」
御坂「バター犬って何?ゆるキャラか何か?」
一方通行「知らなくていい、忘れろ」
垣根「何でバター猫ってのは無いんだろうな?」
麦野「知るかボケ、もう黙れよ」
一方通行「『バター猫のパラドックス』が一瞬で卑猥な言葉になっちまったな……」
垣根「冗談は置いといて、犬もいいよな。レトリバーとかの大型犬と全力でじゃれ合うとマジで楽しい」
御坂「あ、それはちょっと魅力的かも……」
麦野「何より『イヌ』って響きが良いのよ、イヌ」
一方通行「そォか?」
麦野「だってそのまま罵倒語にもなるのよ?このイヌが!とか」
御坂「えー……」
垣根「そんな理由で犬が好きなのなんざ世界中でオマエくらいだ」
麦野「ところでイヌ……」
御坂「ん?」
一方通行「犬がどォかしたか?」
麦野「間違えたわ。ところで垣根、」
垣根「おい何をどう間違えやがった」
一方通行「まァ気にすンなよイヌ……垣根」
御坂「気を落とさないでイヌ……垣根さん」
垣根「ナメてやがるな。よほど愉快な死体になりてぇと見える」ビキビキ
麦野「そう怒んなっての。それよりビールもう一本取ってくれる?」
垣根「チッ……ほらよ」シャカシャカ、ヒョイ
麦野「おい今振っただろ、ふざけてんのか?」
垣根「気のせいだ」
麦野「目の前で振りやがっただろ!気のせいであって堪るか!!」
一方通行「飲食物で遊ぶンじゃねェ」
御坂「はい麦野さん、新しいビール」トン
麦野「お、ありがとね美琴」
垣根「チッ」
一方通行「振ったやつはオマエが責任持って飲めよ?」
垣根「ヤなこった。ほら御坂、オマエにやるよ、コーヒー全然飲んでねぇみてぇだし」コト
御坂「いやいらないわよ」
麦野「それより垣根、鍋の具が減ってきたから追加してきて」
垣根「また俺!?てかかなりの量あったはずなのにもうなくなりかけてんのか!?」
御坂「一方通行が肉ばっか食べてるからほとんど野菜だけになっちゃってるわね」
垣根「野菜も食えこの野郎」
一方通行「場所も食材も俺が提供してンだぞ?俺が肉食うのは当然の権利だろうが」
麦野「何で太んねーんだお前」
御坂「羨ましいわよねー」
垣根「確かに羨ましいけどよ、超偏食家だからその内身体壊して死ぬだろ」
一方通行「ずっとこンな生活してっけど病気なンざしたことねェぞ」
麦野「無駄に健やかね、モヤシの癖に……馬鹿は風引かないってのと似たようなもんなのかしら?」
垣根「まぁ、モヤシは意外と生命力高ぇからな、腐ったり枯れたりすんのも早ぇけど」
御坂「つまり今は元気な一方通行だけどそう遠くない内にくたばるって事?」
一方通行「あっれ、もしかして俺喧嘩売られてンのか?
オマエらこの寒ィのにコンクリ抱いて水泳でもしてェの?」
垣根「そうやってすぐ他人を脅して従わせようとすっから友達少ねぇんだよオマエ」
麦野「そんなに短気じゃ女の子にモテないぞ☆」
一方通行「よし、オマエらは殺す。近い内に絶対殺す」
御坂「それより私喉乾いたんだけど、コーヒーかビール以外に飲み物って無いの?」
一方通行「あァ?コーヒーの何が不満だってンだ」
御坂「苦いのはちょっと……鍋には合わないし、眠れなくなるし……ジュースとかお茶とかない?」
一方通行「悪ィがコーヒー以外には酒しか置いてねェよ。
甘ェモンは俺が得意じゃねェからな。茶ァ飲むくらいならコーヒー飲むしよォ」
御坂「えー本当に何もないんだ」
麦野「味覚障害者に多くを求めてはダメよ、美琴」
一方通行「オマエいい加減にしろよコラ」
垣根「ちょっと粘性の高いカルピスで良ければ一方通行から搾り取れるぞ」ククク
御坂「?」
一方通行「あァっと手が滑ったァー」ガッシャーン
垣根「ぎゃあああぁぁぁあっちいいいいぃぃぃ!!!!!」バッシャー
御坂「うわ、頭から煮立ってる鍋かぶった……」
一方通行「大丈夫か垣根ェー、つい手が滑ってオマエに鍋ブン投げちまったァー」
御坂「あーあ勿体無い……」
麦野「もうほとんど白菜しか残ってなかったし別にいいでしょ。
それに手が滑ったんなら仕方が無いわ」
垣根「ちったぁ俺の心配しろ!!俺じゃなかったら病院送りになってんぞこれ!?」アチチチチ
一方通行「暖かそうで何よりだなァ垣根くゥン、もォコタツに入っとく必要ねェだろ?
そこ片付けて鍋作り直してこいや」
垣根「オマエ流石に鬼畜すぎじゃねぇ?俺も冗談が過ぎたけどよぉ……」アツイアツイ
麦野「てか今ので鍋にヒビ入ってるわ、もう使えそうに無いわね」
御坂「え、じゃぁもう鍋終わり?まぁ結構食べたけどさ」
一方通行「あーあ垣根のせいだなァこりゃ」
垣根「ハイハイすいませんでしたぁ!」
麦野「それじゃ後はビールでもちびちびやりながら駄弁りましょうか」
一方通行「え、帰らねェの?」
御坂「こんな寒い中帰れないわよ、てかコタツから出たくないし」
麦野「そう言えば明日は雪が降るらしいわよ?寒いわけね全く」
垣根「マジかよ、日が暮れたらもう寒くて外出歩けねぇな」
御坂「こうも寒いと温泉でも入りに行きたいわねー」
垣根「お、いいな温泉。その内皆で行くか」
麦野「いや、お前は来るな」
一方通行「………おいオマエら、まさかとは思うが今日泊まる気じゃ……」
麦野「安心しな第一位、私はソファーでいいからベッドは美琴に使わせてあげなさい」
御坂「え、いいの?何か悪いわね……」
一方通行「おい」
垣根「俺はコタツで構わねぇよ。それとシャワー浴びさせてくれ、鍋でベタベタだから」
麦野「て事は第一位はその辺の床で寝るわけね」
御坂「そんなに気を使わなくてもいいのに……」
一方通行「おい何言ってンだ」
麦野「それじゃ夜はまだ長いし、今日は騒ぐわよー」
垣根「おう!の前に俺はシャワー行って来る」ガタン
麦野「戻ってくる時でいいから適当にツマミ探してきてもらえる?」
垣根「ったくしょうがねぇな……」
一方通行「おい」
御坂「わ、私もビール飲んでみようかな……」
麦野「おっとお酒初体験?いいわねー気合十分ねー」ククク
一方通行「帰れよオマエらァァァァァ!!!」
終わりだよ!
最近長編書く体力も時間もなくて困るわぁ
書きかけのSSが二本あるけど形として纏るのはいつになるのやら・・・
それじゃ読んでくれてありがとな!
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1325160233/
1 SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) 2011/12/29(木) 21:03:53.65 ID:G9uHfhRjo
注意書き
・ほのぼのキャラブレイク
・原作から誰も死なずにハッピーエンド迎えて数年後みたいな妄想
・キャラ相関とかは脳内で適当に補完してね☆
・短い
・ちょっと前に似たようなSS書いた気がするけどそんなの関係ねぇ!
こんな感じでよければダラダラ付き合ってくれ
2 SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) 2011/12/29(木) 21:04:31.13 ID:G9uHfhRjo
一方通行「コタツってすげェなァ……」ホウ
垣根「全くだな、悪魔の暖房器具だぜコイツは」ヌクヌク
御坂「日本人に生まれてよかったって実感するわー」ホッコリ
麦野「コタツで食べる蜜柑はどうしてこんなに美味しいのかしら」ムギムギ
一方通行「暖房器具の頂点はコタツで間違いねェな、ストーブやエアコンじゃこの空気は作れねェ」
垣根「この包み込んでくれるような暖かさは一度体験すると抜け出せねぇよ」
御坂「コタツに対抗出来るのは人肌に暖められた布団くらいよねー」
麦野「あ、蜜柑なくなった」
3 SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) 2011/12/29(木) 21:05:14.80 ID:G9uHfhRjo
一方通行「……ところで何でオマエらここ(俺ン家)にいンだ?」
垣根「え、何を今更」
御坂「だってうちコタツないしー」
麦野「蜜柑どっかに残ってないかしら……」キョロキョロ
一方通行「無ェなら買えよコタツくらい」
垣根「買いてぇのは山々なんだがな、俺ん家洋室だからコタツ合わねぇのよ」
御坂「うちもうちも」
一方通行「この部屋も洋室だろォが」
垣根「センス皆無のオマエと違って部屋の内装に気ぃ使ってるから置きたくねぇって事だよ」
御坂「うんうん」
一方通行「喧嘩売ってンのかオマエら」イラッ
4 SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) 2011/12/29(木) 21:05:42.07 ID:G9uHfhRjo
麦野「第一位、蜜柑が無くなったわ」
一方通行「あァ?冷蔵庫の隣にダンボール置いてっから勝手に取って来いよ」
麦野「垣根の隣には何もないわよ?」
垣根「おいコラ誰が冷蔵庫だ」
一方通行「垣根じゃなくてキッチンにある本物の冷蔵庫の隣だ」
麦野「取ってきて第一位、私寒いからコタツから出たくないの」ニコッ
一方通行「ブン殴りたくなるような素敵な笑顔だなクソッタレが。
ほとンどオマエが食ったンだからオマエが取って来い」
麦野「だってよ垣根」
一方通行「マジで動く気ねェのなオマエ」
垣根「俺蜜柑の皮しか食ってねぇんだけど」
御坂「何で皮なんて食べるのよ……」
垣根「受けるかなって」
一方通行「ドン引きだよバァカ」
5 SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) 2011/12/29(木) 21:06:08.65 ID:G9uHfhRjo
麦野「んなことどうでもいいからさっさと取ってこい垣根」ゲシゲシ
垣根「痛ッ!やめろ蹴るな、コタツの中の戦争は悲しみしか生まねぇぞ」
麦野「あぁ?蹴ってんのは私じゃねーよ」ゲシゲシ
垣根「いやいやオマエだよ、間違いなくオマエだ。身体が小刻みに震えてんじゃねぇか」イタイイタイ
麦野「たったそれだけの状況証拠で私を犯人に仕立て上げようってか?いい度胸してるわね」ゲシゲシ
垣根「確定レベルの状況証拠だろクソ、つーかさっきから『ゲシゲシ』って擬音が入ってるしな!」
麦野「何のことやらさっぱりわからないわ。ねぇ美琴?」ゲシゲシ
御坂「麦野さんは寒がりだから震えてるだけよ垣根さん」
垣根「どうしてオマエは麦野の味方すんの?被害者は明らかに俺なのに。
じゃあもうコタツ布団めくって誰が蹴ってるかハッキリさせようぜ」
麦野「女の子が二人も入ってるコタツの布団めくろうとか、お前どんだけ変態だよ。
死ねこの足フェチが」
6 SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) 2011/12/29(木) 21:06:37.18 ID:G9uHfhRjo
一方通行「女の子ォ……?」
麦野「あぁ?何か文句あっか?」
一方通行「いや別に……お前がそォ思うンならそォなンだろう、お前ン中ではな」
麦野「あ?」
垣根「おい誰が足フェチだボケ、どっちかっつーと尻フェチだ」
御坂「その情報はいらない……て言うか凄く忘れたい……」
麦野「気持ち悪ぃ事言いやがって、死ね」ゲシゲシゲシ
垣根「ちょ、痛い痛い、割とマジで痛い!」
一方通行「オマエら暴れンな、追い出すぞ」チッ
麦野「あぁもうほら、垣根がさっさと蜜柑取りに行かないから第一位が怒ってるじゃない」ハァ
垣根「何この扱い……」
7 SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) 2011/12/29(木) 21:07:05.43 ID:G9uHfhRjo
御坂「蜜柑はともかく、お腹は空いたわね。もう結構いい時間帯じゃない?」
一方通行「ン、あァもう20時回ってンのか、確かに晩飯時だなァ」
垣根「よっしゃ、なら材料買ってきて鍋でもしようぜ」
麦野「コタツで鍋か……魅力的ね、垣根にしちゃいい案出すじゃない」
垣根「俺にかかればこの程度ちょろいもんよ」ヘ
一方通行「オマエらここで飯食う気なのかよ……帰れよ……」
御坂「帰ったらコタツがないもん」
一方通行「どンだけコタツ中毒だよ」
垣根「オマエもな」
麦野「で、誰が材料買いに行くわけ?言っとくけど私は絶対嫌だからな?寒いし」
御坂「私もコタツから出たくない」
一方通行「家主である俺が家からいなくなるわけにはいかねェだろ、そォすっと……」
垣根「また俺かよ!俺だってコタツから出たくねぇよ!!」
8 SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) 2011/12/29(木) 21:07:32.61 ID:G9uHfhRjo
麦野「大丈夫でしょ、あんたほら、羽毛みたいの出せるし」
垣根「言っとくけどあれ別に暖かくはねぇぞ?」
一方通行「意外と硬ェしな、あの羽」
御坂「え、そうなの?モフモフしてると思ってたのに……何かちょっとショックなんだけど」
麦野「期待外れね全く」フゥ
垣根「うっせぇボケ、とにかく俺も行かねぇからな!」
麦野「じゃぁもうダメね、私達全員飢えて死ぬしかないわ、この人殺し」
垣根「オマエとりあえず俺を罵っときゃ面白ぇと思ってんなら大間違いだぞ」
麦野「私は面白いからいいのよ」
垣根「マジでファックだなオマエ」
9 SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) 2011/12/29(木) 21:08:01.23 ID:G9uHfhRjo
御坂「ねぇ、今から誰か呼んで来る途中に鍋の材料買ってきてもらうって言うのはどうかな?」
垣根「お、そりゃ名案だな。それなら誰も不幸にならずに済む」
麦野「流石美琴ね、どっかのメルヘンとはワケが違うわ」
一方通行「これ以上人増やす気かよ……」
御坂「ダメ?」
一方通行「いや、もォ好きにしろ」ハァ
垣根「御坂には優しいよな、オマエ」
麦野「負い目があるからね」クク
一方通行「黙ってろカスどもが」
垣根「しかし誰呼ぶんだ?第一位から第四位まで勢揃いしてる中に物怖じせずに入ってこれる奴なんざそう多くはねぇだろ」
麦野「第一位の家知ってて、パシリやってくれて、尚且つこの中に違和感なく混じれる奴か……」
10 SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) 2011/12/29(木) 21:08:32.36 ID:G9uHfhRjo
一方通行「まず俺ン家知ってる奴があンまりいねェからなァ」
御坂「黒子……はちょっとこの中に混ぜるのはかわいそうだし、なんとなく同じ鍋つつきたくないし……
そうだ一方通行、打ち止めはどう?」
一方通行「あァー、無理だな無理。あのガキ、遅めの反抗期だか思春期だか知らねェが
最近は俺の言うこと何一つ聞きゃしねェ」
垣根「え、あんなにオマエに懐いてたのに?」
一方通行「今じゃ毛虫のごとく嫌われてンよ。挨拶しても無視されっし、目が合や逸らされるし、
アイツの学校行事に顔出した日にゃマジギレされっしな。
俺が一人暮らし始めた要因の一つはその辺だぜ?」ハァ
麦野「反抗期の娘を持った父親みたいね」
垣根「まぁオマエが学校行事の見学とかしてたら俺でもマジギレするけどな」
一方通行「何でだよ……」
11 SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) 2011/12/29(木) 21:09:02.46 ID:G9uHfhRjo
御坂「それにしてもあの素直でいい子だった打ち止めがねぇ……
いくら反抗期だって言ってもちょっと信じられないわ。
一方通行、あんたあの子に何かやらかしたんじゃないの?」ジロ
一方通行「俺もそォ思って何度か自問自答したンだけどよォ、心当たりが全くねェンだわこれが」
垣根「むしろ何もしなかったからじゃねぇの?」
一方通行「あァ?」
御坂「どういうこと?」
垣根「ある所に可愛らしい女の子がいました。
んで、その子は物心ついた頃から一つ屋根の下で年上のお兄さんと一緒に暮らしています」
一方通行「はァ……?」
麦野「女の子は憧れとも恋心ともつかない淡い想いをお兄さんに抱いてるんだけど、
ところがどっこい、そのお兄さんは女の子の事を娘か妹程度にしか思ってなくて、
どんだけアピールしても子供扱いされて軽~くいなされてしまうのよ」
御坂「ふむふむ」
垣根「それもこれも自分が子供だからだ、と考えた女の子は必死に努力を重ね、
女を磨きながらじっとお兄さんが振り向いてくれるその時を待ち続けます」
12 SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) 2011/12/29(木) 21:09:47.92 ID:G9uHfhRjo
麦野「何年か経って女の子もそこそこ成長してね、
常日頃の努力の甲斐もあって、まぁ胸も尻も出てきて女っぽい身体つきになるわけ」
垣根「まだまだ青い果実ではありますが、それでも自分の身体が女のそれに変わっていくことに少女は喜びを覚えます。
『もうそろそろあの人もミサカに振り向いてくれるはず!ってミサカはミサカは云々かんぬん』」
一方通行「オマエの表現何かきめェな……
あと裏声で打ち止めの声真似すンのやめろ、微妙に似てンのがすげェ腹立つ」
御坂「て言うか打ち止めの話だったんだ?てことは一緒に住んでるお兄さんは一方通行?」
麦野「とーこーろーがー、甲斐性なしのクソモヤシはそんな乙女心なんぞ露知らず
相変わらず女の子を異性として意識せずに娘のように扱いやがるのよ」
一方通行「おいそこ『お兄さン』で統一しとけよ、何でわざわざ俺の事罵倒してンだよ」
垣根「挙句の果てには『最近色気付いてンな、男でも出来たか?』とか聞く始末です」
一方通行「ンな事言った覚えはねェよ!!」
13 SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) 2011/12/29(木) 21:10:08.20 ID:G9uHfhRjo
麦野「数年間我慢に我慢を重ねた上でのこの仕打ちに、ついに女の子はプッツン」
垣根「『このファッキンモヤシのクソインポ野郎が!テメェ二度とその小汚ぇ面見せんじゃねぇ!!
ってミサカはミサカは云々かんぬん』」
一方通行「オマエ喧嘩売ってンだろ?」
御坂「あんたそんな事言われたの……?」
一方通行「言われたわけねェだろアホ!」
麦野「こうして今までの不満が爆発し、かつ思春期特有の気恥ずかしさも手伝って
女の子は最悪なレベルの反抗期に突入しましたとさ」
垣根「オマケにお兄さんはキレた女の子にビビッて家から逃げ出して一人暮らしを始める始末。
そりゃぁ反抗期も更に悪化するよオマエ……ってな感じのストーリーでどうだ?」
一方通行「ねェわ」
麦野「あるって」
一方通行「いや、ねェよ」
14 SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) 2011/12/29(木) 21:10:53.31 ID:G9uHfhRjo
御坂「でもでも打ち止めは間違いなくあんたに好意持ってたわよ?ずーっとべったりだったし」
一方通行「好意つってもラブじゃなくてライクだろォが。
身近に俺以外の男がいなかったから何か勘違いしたンだろォよ」
垣根「うわぁぁぁ一方通行がラブとライクの違いについて語ってるうぅぅぅ!!」
麦野「きめえぇぇぇ!!」
一方通行「何オマエらそンな死にてェの?」
垣根「ラブじゃなくてライクだろ(キリッ」
麦野「やめろ!私を笑い死にさせる気か!」プククク
一方通行「よォし表出ろやクソムシどもがァ!!!」ガタン
御坂「あーもう、とにかく打ち止めは無理なのね?それじゃ他の候補は……」
垣根「んー、上条はどうよ?どうせ暇してんだろアイツ。
暖房器具の無いボロアパートで凍えてるだろうし呼んでやったら喜ぶんじゃねぇ?」
一方通行「あの三下に鍋の材料買ってくるだけの財力があると思ってンのか?」チッ
御坂「……間違いなく無いでしょうね」
16 SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) 2011/12/29(木) 21:11:24.02 ID:G9uHfhRjo
垣根「そんな貧乏なのかアイツ」
麦野「無能力者って不憫ね」
一方通行「それにアイツに任せると安ィモンばっか買って来そうだしよォ、
パッサパサの鶏胸肉とシナシナのモヤシがメインの鍋なンざ食いたくねェだろ」
垣根「そりゃ確かに御免だわ。それじゃ上条も無し、と……」
御坂「あいつの食生活は本気で同情したくなるわね……」
麦野「似たような理由で浜面も無しね、あいつも貧乏根性が染み付いてるし、つーか貧乏だし」
垣根「暗部にいたのにそんな貧乏なのか?いくら下っ端でも普通に仕事こなしてたら結構金貰えたはずだろ」
麦野「浜面には生きるのに必要な最低限の分け前しか渡してなかったわ」ニコッ
垣根「悪魔かオマエは」
一方通行「まァ浜面の生活レベルなンざどォでもいいンだよ、それより誰呼ぶかだ」
17 >>15 わたしだ 2011/12/29(木) 21:11:58.45 ID:G9uHfhRjo
麦野「もう第七位とかでいいんじゃない?暑苦しいけど」
垣根「あー、アイツならここ知ってるし物怖じするようなタマでもねぇしな。暑苦しいけど」
御坂「基本はいい人だし、お願いすれば鍋の材料くらい買ってきてくれそうよね。暑苦しいけど」
一方通行「いや、アイツ確かこの時期は山篭りしてンだろ」
垣根「ん……そうか、もうそんな時期だったか」
麦野「そう言えばそんな事してたわね、あの根性馬鹿」
御坂「えっと、毎年恒例で冬山で修行してるんだっけ?」
一方通行「おォ、凍死しそうなくらいクッソ寒ィ山ン中で滝に打たれたりしてンだとよ」
御坂「うわぁ……」
垣根「想像しただけで凍えるわ。つかアイツ馬鹿じゃねぇの?」
麦野「根性とか修行とかじゃなくて、実はドMなだけなんじゃない?」
一方通行「かもなァ」
18 SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) 2011/12/29(木) 21:12:27.47 ID:G9uHfhRjo
麦野「にしても、第七位も没となると後は……」
垣根「レベル5つながりで第五位はどうよ?食蜂だっけか」
御坂「あいつが買出しなんてしてきてくれるわけないでしょ。
ふんぞり返って取り巻きを好き勝手操りながら今日まで生きてきた奴なのよ?」
垣根「ですよねー」
麦野「性格悪いもんねぇあいつ」
一方通行「オマエが言うのか」
垣根「これ笑うところでいいのか?」
御坂「いやー麦野さんの比じゃないわよ、あいつの性格の悪さは」
垣根「それ食蜂ほどじゃないけど麦野も性格悪いって言ってるようなもんだよな」
麦野「へぇ?美琴ちゃんはそういう目で私を見てるわけ?」ギロ
御坂「こ、言葉の綾よ!」
19 SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) 2011/12/29(木) 21:13:03.45 ID:G9uHfhRjo
一方通行「つかアイツそンな性格悪ィのか?結構普通ってかむしろ従順な感じだった気がすンだが」
御坂「あいつが従順って……あんた知らない間にあいつの精神操作でも反射して逆に操っちゃってるんじゃないの?」
麦野「それか、一切対抗出来ないほど力の差がある相手には大人しく尻尾振るタイプなのかもね」
垣根「ん、じゃぁ一方通行が頼めば買出しして来てくれるんじゃねぇの?」
御坂「いやいや止めときましょう、あいつだけはダメだってば」
一方通行「あァ?やけに毛嫌いするじゃねェか」
麦野「あんたらそんな仲悪かったかしら?」
垣根「常盤台時代の因縁でもあんのか?」
御坂「いや、昔はともかく今は別に仲悪くないわよ。
ただあいつと一緒に鍋するのはちょっと……」
21 SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) 2011/12/29(木) 21:13:25.61 ID:G9uHfhRjo
一方通行「何か一緒にやりたくねェ理由があるわけか」
御坂「ん、ちょっと前あいつ含めた常盤台OB数人で焼肉食べに行ったんだけどさ、」
麦野「へぇ」
垣根「あ、何かもうオチ読めたぞ」
御坂「あいつ、能力で他人の頭の中読んで、他人が取ろうとしてる肉を優先的に取りやがるのよ……」ハァ
一方通行「あァー……うぜェなそりゃ……」
御坂「しかも肉横取りした後にこっち見てドヤ顔するのよ、危うく超電磁砲ぶっ放すところだったわ」
麦野「それは確かに同じ鍋は囲みたくないわ」
垣根「チッ、食蜂もダメか……んで他に候補は誰かいるか?」
御坂「番外個体は?」
麦野「ミサワかぁ、最近会ってないけど元気にしてんの?」
22 SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) 2011/12/29(木) 21:13:53.66 ID:G9uHfhRjo
一方通行「元気は元気だけどよォ、アイツが他人の為、ましてや俺の為に動くと思うかァ?」
御坂「やっぱ無理?」
一方通行「断言してもいいぜ、絶対無理だ。
あの馬鹿、反抗期になった打ち止めの負の感情吸いまくって今えらい事になってっしよォ」
御坂「そうなんだ……」
垣根「妹達の負の感情かき集める仕様は結局治ってねぇのか」
一方通行「冥土帰しやらにも協力してもらって色々試してンだけど中々なァ……
アイツも気にしてっから早ェとこ何とかしてやりてェンだが」ハァ
御坂「でも実害受けるのは一方通行だけだし、気長に治せばいいわよ」グッ
一方通行「何親指立ててンだオマエ、フォローのつもりなのか今の」
23 SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) 2011/12/29(木) 21:14:33.14 ID:G9uHfhRjo
麦野「ってかもう呼べそうな奴いないし、どうすんのよ第一位」
御坂「どうするつもりよ一方通行」
一方通行「帰ればいいンじゃねェか?」
垣根「オマエん家の冷蔵庫は何か鍋の具材になるもん入ってねぇの?
もう適当に有り合わせの食材で鍋作っちまおうぜ」
御坂「外には出たくないし、それでいっか」
麦野「垣根の口から冷蔵庫って単語が出ると妙に面白いわね」
垣根「ぶっ殺すぞ」
一方通行「なァンで勝手に居座ってるオマエらの為にうちの食料献上しなきゃならねェンだよ」
垣根「じゃあオマエが買出し行くか?あ?イヤだろ?だったら今この家にあるもん使うしかねぇだろうがよ!」
一方通行「え、何でこいつ逆ギレしてンの……」
麦野「腹減ってんでしょ、多分」
御坂「お腹が空くとわけもなくイラつくもんね」
24 SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) 2011/12/29(木) 21:15:02.07 ID:G9uHfhRjo
垣根「そういうことだ一方通行、早く食料を出さなきゃ大変なことになるぜ?」
一方通行「うっぜェ……もォ好きに冷蔵庫漁りやがれ、一週間分くらいの食料は買い込ンであっから」ハァ
麦野「流石は第一位、太っ腹ね。遠慮なく頂くわ、えぇ、一切遠慮する気はないわ」
垣根「よっしゃ高級そうなもんから食い漁ってやろうぜ」
一方通行「オマエら二人ホントに死なねェかなァ……
今すぐオマエらの脳天にピンポイントで隕石でも振ってこねェかなァ……」
御坂「あのさ、食材の心配がなくなったのはいいけどもう一つ問題があるわよね?」
垣根「ん?」
麦野「何よ?食材さえあれば鍋なんて簡単に出来るでしょ?」
一方通行「出汁とって材料切って鍋に放り込むだけだしなァ」
御坂「それよそれ、誰が出汁とるの?誰が材料切るの?
その人は必然的にコタツから出なくちゃいけないのよ?」
垣根「なん……」
麦野「だと……」
25 SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) 2011/12/29(木) 21:15:31.25 ID:G9uHfhRjo
御坂「蜜柑取りに行くのすら皆嫌がってたのに、誰が寒いキッチンで料理するのよ……」
一方通行「……盲点だったなァ、結局誰かがコタツから出なきゃならねェってのに変わりはねェわけか」
垣根「振り出しに戻っちまったってことか、クソッタレめ……」
麦野「……ここは第一位の家なんだし、勝手がわかってる第一位が料理するべきなんじゃないかしら?」
一方通行「食料提供させられた上に飯まで作れってか?ふざけンなボケが」
麦野「でもほら、他人の家の台所に立ったり冷蔵庫勝手に開けたりするのはお行儀が悪いじゃない?
私はその辺しっかり弁えるタイプだし?」ネ
一方通行「勝手に家に上がりこんで蜜柑貪り食ってた女が何寝言ぶっこいてンだコラ」
垣根「俺も他人の家の冷蔵庫漁るほど常識知らずじゃねぇから、悪ぃが料理すんのを手伝ってやるのは無理だな」ザンネン
一方通行「オマエこの前ウチの冷蔵庫勝手に開けてコーヒー飲ンでただろ!!」
御坂「んー、ちょっとかわいそうだけど話進まないし、
多数決の結果一方通行が鍋を作るってことでオッケー?」
垣根「異議なし」
麦野「頑張ってね第一位」ニコッ
26 SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) 2011/12/29(木) 21:16:02.76 ID:G9uHfhRjo
一方通行「…………」カチッ
垣根「!!?こ、この野郎コタツの電源切りやがった!!」
麦野「おい何やってんだモヤシふざけんな!!」
一方通行「ふざけてンのはテメェらだろォがァァァァ!!!」
御坂「あぁ、温もりがどんどん失われていく……」
一方通行「オラ、コタツから出ろ馬鹿どもが!全員でサクッとやっちまうぞ!」
垣根「チッ、仕方ねぇな……電源握られてるんじゃお手上げだ」モゾモゾ
麦野「よし、垣根がコタツから出たわよ第一位」
一方通行「スイッチオン」カチ
御坂「あー温かーい」ホクホク
垣根「うおおぉぉい何やってんだテメェらぁぁぁ!!!」ガビーン
27 SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) 2011/12/29(木) 21:16:48.78 ID:G9uHfhRjo
一方通行「ハッ、あっさりとコタツから出たオマエの負けってこった」ククク
麦野「てめぇのコタツ愛は所詮その程度だったってことよ」フ
御坂「折角コタツから出たんだし料理お願いね?」ニヤリ
垣根「ち、ちくしょう……」
一方通行「それじゃ任せたぜ負け犬くゥン」
垣根「クソ、貸しにしとくからな……」ギリリ
御坂「あ、そこは素直に料理してくれるんだ」
垣根「腹減ってんだよ、鍋食いてぇって言い出したのも俺だしな。
正直、薄々こんなことになるんじゃねぇかとは思ってたぜ……」ハァ
麦野「ついでに蜜柑とってもらえる?」
垣根「食前にそんなもん食べようとするんじゃありません」
麦野「何よその保護者みたいな態度?すっげぇうざいんだけど」
28 SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) 2011/12/29(木) 21:17:17.93 ID:G9uHfhRjo
垣根「うっせぇバーカ!蜜柑食いたけりゃテメェもコタツから出ろってんだ!
おい一方通行、冷蔵庫の中身は好きに使わせてもらうぞ!」ガチャ
一方通行「勝手にしろ」
垣根「ふむ、鶏肉と白菜が大量にあるな……水炊きが出来そうだ」
麦野「水炊きね、アッサリしてていいんじゃないかしら」
御坂「何で鶏肉と白菜ばっか買い込んでんのよ?」
一方通行「冬だしなァ、クリーム煮でも作り置きしとこうと思ってたンだよ」
麦野「鶏肉と白菜のクリーム煮を作る第一位……想像すると限りなくキモいわ」ブルッ
垣根「クリーム煮みてぇな色しやがって」ハッ
一方通行「オマエらマジで蹴り出すぞ?」
御坂「抑えて抑えて、今垣根さんを蹴り出すと料理する人がいなくなるわよ」
垣根「腹黒いなぁこの子……麦野、オマエが悪影響与えてんじゃねぇか?」
麦野「はぁ?前からこんなもんだったでしょ、ねぇ第一位?」
一方通行「ノーコメントだ」
麦野「あら優しい」
29 SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) 2011/12/29(木) 21:17:48.21 ID:G9uHfhRjo
御坂「べ、別に腹黒くなんてないわよ!何よ皆して!」
垣根「はいはいそうね腹黒くないね。
それじゃ御坂さんに騙されてコタツから出ちゃった垣根お兄さんは鍋を作り始めますよ」フゥ
御坂「ちょ、騙したの私じゃないし!!」
麦野「コタツから出る素振りも見せずに黙って垣根を見送った時点で同罪でしょ?」
一方通行「最年少なのに全く自分から動こうとしねェしなァ」
御坂「く……わ、悪かったわよ……」
麦野「と反省するフリをしながらやっぱり動かない美琴ちゃんです」
御坂「だって寒いし!」
一方通行「うン、やっぱ腹黒いわオマエ」
30 超眠い 2011/12/29(木) 21:18:17.18 ID:G9uHfhRjo
垣根「おい一方通行、包丁の切れ味が異常に悪ぃぞ、オマエちゃんと手入れしてんのか?」
一方通行「あン?……あァ、そォいやずっと能力使って料理してたから包丁は長いこと研いでねェわ」
御坂「能力使って料理って……それ料理って呼んでいいの?何かズルくない?
てか無駄遣いにも程があるでしょ」
一方通行「ズルくねェし無駄でもねェよ、わざわざ原始的な方法で料理する方がよっぽど時間の無駄だろォが」
麦野「やっぱ反則的に万能ね、そりゃ第一位だわ」
一方通行「本気出しゃァ生きた豚を5分で角煮に出来ンぞ。今度見せてやろォか?」
垣根「んな所で本気出すな!豚の解体ショーなんざみたくねぇよ!!
てか他に包丁ねぇのか?鶏肉が切れねぇぞこれ」
一方通行「ねェな、その一本だけだ。肉切るのも魚切るのも野菜に細工すンのも全部能力でやるからよォ」
御坂「どんだけ能力浪費してんのよあんた」
31 SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) 2011/12/29(木) 21:18:54.37 ID:G9uHfhRjo
垣根「はぁ……仕方ねぇな、俺も能力で切るか」ファサ
麦野「え、その羽で切れんの?」
垣根「俺の未元物質に常識は通用しねぇんだよ」バサバサ
一方通行「オマエそれ言いてェだけだろ」
麦野「へぇ……羽が刃みたいになるわけね」
垣根「かっこいいだろ?」スパスパッ
一方通行「そォだな、使い所を間違わなけりゃかっこいいかもなァ」
御坂「背中から生えてる羽で鶏肉切ってる……シュールって言うかなんて言うか……」ウワァ
麦野「いいのよ?はっきり『キモい』って言ってやっても」
垣根「うるせぇ!!俺だって好き好んでこんな大袈裟な真似して鶏肉刻んでるわけじゃねぇよ!!
包丁が使い物にならねぇんだから仕方ねぇだろ!!!」
一方通行「まな板まで一緒に切るンじゃねェぞ」
垣根「いっそ台所全部切り刻んでやりてぇ気分だよクソッタレ」ザクザク
32 SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) 2011/12/29(木) 21:19:23.99 ID:G9uHfhRjo
麦野「さて、垣根が料理してる間暇つぶしに本でも読もうかしらね」モゾモゾ
一方通行「何の断りもなく勝手に本棚いじるンじゃねェ」
麦野「固い事言わないの、減るもんじゃなし。
あーでもコタツから手の届く範囲に本棚があるっていいわ、わかってる配置ね」ゴソゴソ
御坂「麦野さん、私にも何か適当にとってもらえる?」
麦野「はいはい。んー、何か面白そうなものは……ん?」ゴソゴソ
【百合姫】
麦野「……」ゴシゴシ
御坂「どしたの?目なんてこすっちゃって」
麦野「いや、何か第一位の部屋にあっちゃいけないようなタイトルの本があった気がして……」ゴシゴシ
一方通行「あァ?………あっ」
御坂「?」
33 SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) 2011/12/29(木) 21:19:51.77 ID:G9uHfhRjo
【百合姫】
【マリア様がみてる】
麦野「見間違いじゃねぇ!やっぱあるし!!しかももう一種類似たジャンルのが!!」バッ
御坂「え、何々?……うわぁ、何よこの本……」
一方通行「あァー……」
麦野「第一位!てめぇこんな趣味があったのかよ!!?」
一方通行「あるかボケ!!俺のじゃねェよ!!」
御坂「見苦しいわよ一方通行!あんたの部屋の本棚に並んでたのに自分のじゃないなんて、
そんな言い訳通ると思ってんの!?」
麦野「見た目と喋り方以外はマトモな方だと思ってたのに、まさかこんな性癖を隠してるなんてねぇ」
垣根「何々?何かあったのか?」チラッ
麦野「いいからてめぇは黙って料理してろ!」
御坂「白菜の芯は火が通りやすいようにちゃんと下処理してね!」
垣根「ちくしょう」
34 SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) 2011/12/29(木) 21:20:27.61 ID:G9uHfhRjo
一方通行「いやマジで俺のじゃねェンだって」
御坂「仮にあんたの物じゃなかったとしても、
今この場にあるって事はあんたの意思で誰かから借りたってことなんじゃないの?どうなのよ?え?」
麦野「認めなよ第一位、別にてめぇがレズ物で抜いてようが周りに言い触らしたりはしないわよ。
ただちょっと距離は置かせてもらうけど」
一方通行「まァ待て、何でそンな本がここにあンのか、
キッチリ納得の行く説明してやっから聞いてくれ」
御坂「フフン、精々無駄な弁明をするといいわ」
麦野「楽しみね、どんな愚にもつかない言い訳をしてくれるのかしら?」
一方通行「何でオマエら二人してドヤ顔決めてンだよ、うざってェ……
いいか、先週の事なンだけどよォ、どっかの誰かの後輩の
ツインテールのジャッジメントがうちを訪ねて来てだなァ、」
御坂「………」
35 SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) 2011/12/29(木) 21:20:59.72 ID:G9uHfhRjo
―――回想
白井「第一位様、こちらにお姉さまが訪ねて来ませんでしたか?」
一方通行「あァ?いや、来てねェけど」
白井「本当ですの?」ジロ
一方通行「嘘ついてどォすンだよ、何だっていきなり疑われなきゃならねェンだ」チッ
白井「そんな事を言って、実は奥の部屋にお姉さまを監禁していたり……」
一方通行「何だオマエ、喧嘩売りに来たンならもっと早く言えよ。いくらでも買ってやっからよォ」ニコッ
白井「じょ、冗談ですの冗談!そのトラウマ級に恐ろしい笑顔はやめてくださいまし!」ビクゥ
一方通行「つか携帯にでも電話するなり直接家に乗り込むなりすりゃいいじゃねェか」
36 SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) 2011/12/29(木) 21:21:25.30 ID:G9uHfhRjo
白井「あ、いえ実は先日からお姉さま携帯がつながらず学校にもいらっしゃらず家にもおられないんですの。
また何処かで厄介ごとに首を突っ込んでいたり
事件に巻き込まれていたりするのではないかと思うと気が気でなくて……」ハァ
一方通行「ンでェ、俺に監禁されてるかも知れねェからここにきた、と」
白井「で、ですからそれはただの冗談で……」
一方通行「まァさっきも言った通り、ここにはいねェし俺は居場所なンざ知らねェよ。
そもそも俺ン所に来るのはお門違いだろ、俺とアイツはンなに仲良かねェぞ?」
白井「お姉さまと仲良くないだなんて、そんな事言わないでくださいまし!」
一方通行「はァ?」
白井「お姉さまは孤高なお方ですから、同年代のお友達が少ないんですの。
ですから、どうかレベル5同士仲良くしてあげてくださいまし」
一方通行「あァ、はい」
37 SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) 2011/12/29(木) 21:21:58.09 ID:G9uHfhRjo
―――回想中断
御坂「少なくないわよ!!ちゃんと友達いるもん!!」
一方通行「あァうン、そォだな、わかってるわかってる」
麦野「ちょっと携帯の電話帳見せてみ?何人くらい登録してんの?マ行に私以外のアドレス入ってる?」
御坂「入ってるわよ失礼ね!」キー
一方通行「ほォ、誰のが入ってンだ?」
御坂「……番外個体、とか」
麦野「他には?」
御坂「………」
一方通行「……」
麦野「……」
御坂「一方通行、続き話してもらえる?」
一方通行「お、おォ……」
麦野「……まぁ深くは追求しないであげるわ、かわいそうだし」
38 SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) 2011/12/29(木) 21:22:25.90 ID:G9uHfhRjo
―――回想再開
一方通行「つーかよォ、アイツの心配なンざする必要ねェだろ。
レベル5の第三位、泣く子も黙る超電磁砲だぜ?
仮に騒動に巻き込まれてよォがそうそう死にゃァしねェよ」
白井「それは重々承知しておりますの。しかぁし!理屈ではないんですの!
いかにお姉さまが強かろうと、やはり心配なものは心配なんですの!!」
一方通行「はァ」
白井「そう、この気持ち……まさしく愛ですの!」キリッ
一方通行「声高に宣言してンじゃねェよクソレズ女が」
白井「レズではありませんの、お姉さま一筋ですの。
仮にお姉さまが男だったとしても、きっと黒子はお姉さまを愛していたに違いありませんの」
一方通行「あァはいそォですか、とにかくここには超電磁砲いねェから、もう用はねェな?」
白井「時に、第一位様には思い浮かべるだけで心臓が停止しそうなほど愛しているお方はおられませんの?」
一方通行「用が済ンだンならさっさと帰れよ、何で会話続けようとすンだよ。
思い浮かべるだけで心臓が停止ってそれもう病気だろ、心筋梗塞の疑いがあンぞ」
39 SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) 2011/12/29(木) 21:23:04.37 ID:G9uHfhRjo
白井「お姉さまを想いながら逝けるなら本望ですの」フ
一方通行「やっべェ会話が噛み合わねェ、何だコイツ」
白井「ジャッジメントですの(キリッ」
一方通行「いや、もうそういうのいいから、マジで」
白井「話を戻しますが、第一位様にはお慕いしている方はいらっしゃらないんですの?」
一方通行「何でそこに戻るンだよワケわかンねェよ超電磁砲が心配で探してたンじゃねェのかよさっさと探しに行けよ。
大体俺に愛だの恋だのそンな高尚なモンが理解出来るわけねェだろォが」
白井「ふむ、理解出来ない、ですか」
一方通行「あァ、普通の男女間の色恋すら理解出来ねェし、
ましてやオマエみてェに同性間でそォいう感情を持つなンざサッパリわかンねェ。
子孫も残せねェし、そンなモン非生産的にも程があンだろ」
40 SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) 2011/12/29(木) 21:23:30.52 ID:G9uHfhRjo
白井「生産性で愛は語れないんですのよ。
そうだ、実はわたくし今とってもいい物を持っておりまして」ゴソゴソ
一方通行「イヤな予感しかしねェなオイ」
白井「これ、わたくしの愛読書ですの。これさえ読めばきっと第一位様も愛のなんたるかを理解出来るかと」ス
一方通行「何だコレ……【百合姫】?【マリア様がみてる】?」
白井「これで第一位様も立派な百合男子に!」
一方通行「ならねェよ!!オマエやっぱりただのレズじゃねェか!!
つーか持ち歩いてンのか!?この本常に持ち歩いてンのか!?」
白井「それではわたくしはお姉さまの捜索に戻りますので、これで」ヒュッ
一方通行「おい待て空間移動すンな!本置いて行くな!持って帰れェェェ!!!」
41 SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) 2011/12/29(木) 21:23:57.68 ID:G9uHfhRjo
――回想終了
御坂「……」
一方通行「……とまァ、こンな感じで強制的にその本押し付けられたわけだ」
麦野「……」
一方通行「一応借りモンっつー事になるし、
あンまりぞんざいに扱うわけにもいかねェからとりあえず本棚に入れといたンだよ」ハァ
御坂「……何かごめんね?」
一方通行「いや、別にオマエが悪ィワケじゃねェだろ」
御坂「うん、そうなんだけど……でも何かごめん」
一方通行「とりあえずこの本オマエから白黒に返しといて貰えねェか?読む気ねェし読みたくもねェ」
42 SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) 2011/12/29(木) 21:24:25.84 ID:G9uHfhRjo
御坂「えー、それはちょっと……黒子に取りに来させればいいんじゃないの?」
一方通行「俺から直接返すとなると感想とか求められそうでよォ……」ハァ
御坂「あー……」
麦野「んで結局あんたは何で携帯繋がらなかったわけ?」
御坂「先週の話よね?多分、映画見に行ってた時かな」
一方通行「映画ァ?」
御坂「今ね、第六学区の映画館でアニメ祭りやってて……」
麦野「あぁ……ケロヨンだかゲコ太だか、それ目当てに行ったわけね、高校生にもなって」
御坂「べ、別にいいでしょ!好きなものは好きなんだから!」
一方通行「ンで、アニメに熱中してたら学校行くのも忘れて白黒の電話にも気付かなかった、と」
御坂「電話に気付かなかったって言うか携帯の電源切ってたのよ、映画館では当然のマナーでしょ?」
麦野「あんた絹旗と仲良くなれそうだわ」
43 SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) 2011/12/29(木) 21:24:51.77 ID:G9uHfhRjo
垣根「おい一方通行、カセットコンロあるか?」
一方通行「食器棚の一番下に置いてンよ」
垣根「おう、それじゃそろそろ鍋持ってくからコタツの上片付けといてくれ」
一方通行「だってよ。第四位、蜜柑の皮片付けろ」
麦野「えー……だってゴミ箱遠いじゃない?」
御坂「その位は動きなさいよ……」
麦野「でも面倒だし……そうだ、こうすればいっか」バシュン、ジュッ
御坂「の、能力使って……」
一方通行「蜜柑の皮消し飛ばしやがった……」
麦野「出力さえ抑えればこういう使い方もありか。今度からゴミはこうやって処理しようかね」
一方通行「便利なモン持つと人間堕落しちまうってのは本当だなァ」
御坂「いやいやあんたも人の事言えないでしょ……」
44 SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) 2011/12/29(木) 21:25:23.06 ID:G9uHfhRjo
垣根「待たせたなボンクラども、垣根様の手料理だ、心して食えよ」グツグツ
一方通行「……そォか、たかが鍋とは言えオマエの手料理なのか」
麦野「物凄い勢いで食欲が失せて行ったわ……」
御坂「出来立ての鍋を前にして食欲が湧かないなんて初めてよ……
見た目は美味しそうなのに……」
垣根「ナチュラルに酷いなオマエら……俺にあったかく接してくれるのはコタツだけかよ……」ハァ
一方通行「まァ捨てるのは勿体ねェし食おうぜ」イタダキマス
麦野「そうね」イタダキマス
垣根「え、何?捨てるかどうか悩むレベル?オマエらマジで俺の事病原菌か何かかと思ってねぇ?」
御坂「まぁまぁ、この二人がこんななのは今に始まったことじゃないし」
垣根「言っとくけどオマエも相当だからな?」
麦野「ところでどうして鮭が入ってないのかにゃーん?てめぇは鍋一つマトモに作れねぇのか?」
垣根「普通水炊きに鮭は入れねぇよ!鮭中毒も大概にしろ!!」
45 SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) 2011/12/29(木) 21:25:48.85 ID:G9uHfhRjo
一方通行「はァ……鍋も久々に食うといいモンだな、あったまるぜ……」フゥ
麦野「皆で食べるから美味しいのよ。私達がいる事に感謝しな第一位」フ
一方通行「オマエだけは本当に帰ってくれねェかなァ」モグモグ
御坂「今更だけど、あんた一人暮らしなのによくカセットコンロと土鍋なんて持ってたわね」ハフハフ
一方通行「引っ越す時に黄泉川がよこしやがったンだよ。
『お前くらいの年齢ならそのうちきっと使う日が来るじゃん』とか何とか言って」
垣根「ほう、随分先見が利くじゃねぇか、あの巨乳警備員」ムシャムシャ
一方通行「まさか本当に使う事があるとはなァ……」
御坂「私達のお陰ね」ニコッ
一方通行「あァ、オマエらのせいだ」ケッ
麦野「しっかしあれね、鍋が美味しいのはいいんだけどそれだけじゃちょっと物足りないわね」
垣根「うん?」
御坂「そう?」
46 SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) 2011/12/29(木) 21:26:18.21 ID:G9uHfhRjo
麦野「具体的に言うと鍋に良く合う飲み物が欲しいのよ。アルコール的な……あんたら欲しくならない?」
御坂「私まだ高校生だし……」
一方通行「オマエは完全にババアの発想だな」
麦野「もう一回言ってみろ、この家が消し飛ぶわよ」
一方通行「何て酷ェ脅しだ……」
垣根「いらん挑発はやめろ一方通行、こいつはマジでやりかねねぇ」
麦野「あーそれにしても温かい鍋にお酒が組み合わさったらとっても幸せだと思うんだけどなー、
誰かお酒持ってきてくれないかしら」チラッ
御坂「どこまでも人任せね……」
垣根「安心しろ麦野、誰かがそう言い出すと思ってさっき冷蔵庫漁った時にビールの六缶パックを確保しといた」ドン
一方通行「おま、勝手に……」
垣根「固ぇ事言うなよ一方通行、冷蔵庫の中身好きに使っていいつったのはオマエだろ?
ほら、ビール回せ。っと、御坂にはコーヒーな」ハイ
御坂「鍋にコーヒーって……」
47 SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) 2011/12/29(木) 21:26:55.59 ID:G9uHfhRjo
垣根「ノンアルコールの飲み物はそれしか見当たらなかったんだ、文句は一方通行に言え」
一方通行「勝手に飲み物ぶんどられた上に文句まで言われンのか俺は」
麦野「珍しく気が利くわね垣根、今私の中であんたのランキングがかなり上がったわよ」
垣根「ほう、どのくらいまで上がった?俺は今ランキング何位くらいだ?」
麦野「セロハンテープと同じくらいね。順位にすると……わかんねーわ」
垣根「セロハンテープレベル!?人間ですらねぇって言うか元はどんだけ低かったんだよ!?」
麦野「元はホッチキスくらいかしら」
垣根「違いがわからねぇ……」
一方通行「まァ実際オマエ人間かどうか怪しいだろ、冷蔵庫になったり工場になったりよォ」
垣根「お前のせいだよ!?」
御坂「ある意味凄いと思うけどね、人間がそんな風になるって……」
一方通行「つーか俺のせいってちょっとおかしいンじゃねェか?
俺はオマエから喧嘩売ってきたのを返り討ちにしただけだろ」
垣根「いやまぁそりゃそうなんだが……」
48 SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) 2011/12/29(木) 21:27:25.78 ID:G9uHfhRjo
一方通行「そもそもあン時のオマエは打ち止めに手ェ出そうとするわ黄泉川に怪我させるわド外道だったじゃねェか。
そりゃァ俺だってブチギレるし、大体オマエ相手に手加減なンざ出来ねェっての」
垣根「……すまんかった、あん時は俺もちょっとテンパってたんだよ」
麦野「汚い手使おうとして逆に相手を怒らせてボコられるって、あんた三流悪役の鑑ね」
垣根「オマエが言うな」
御坂「ねぇちょっと、垣根さんが打ち止めに手を出そうとしたって初耳なんだけどどういう事?ロリコンだったの?」
垣根「そういう意味の手を出すじゃねぇよ!!」
一方通行「この馬鹿正面から俺とやり合うの怖ェからって打ち止め人質にしようとしやがったンだよ」
御坂「うわぁちょっと引くわよそれ……」
麦野(ちょっとなのか)
一方通行(ちょっとで済むのかよ)
49 SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) 2011/12/29(木) 21:28:02.59 ID:G9uHfhRjo
垣根「その節はどうもすいませんでした。ただ名誉の為に言っとくけど別に怖かったわけじゃねぇよ?マジで」
麦野「幼女人質に取ろうとした時点で名誉もクソも……」
垣根「ですよね……」
一方通行「あー……あン頃の打ち止めは素直で純真な子だったンだがなァ……
ちょろちょろ動き回るから手もかかったけどよォ」
垣根「その純真さを奪ったのはオマエだオマエ」
一方通行「やっぱ俺のせいなンかな……」
御坂「ねぇ一方通行、正直な所あんたは打ち止めの事どう思ってるわけ?」
麦野「そうね、そこはっきりさせとくのは大事よ第一位」
垣根「ぶっちゃけ抱きたいとか思った事ねぇの?」
一方通行「あるかボケ!!何で俺があンなガキに欲情しなきゃならねェンだ!?」
麦野「あっれー、第一位ってロリコンじゃなかったの?」アレー
一方通行「どっから流れンだよそォいうデマは!?絶対に違ェからな!!」
50 SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) 2011/12/29(木) 21:28:43.31 ID:G9uHfhRjo
御坂「デマって言うかさ、打ち止めはずっとあんたにベッタリだったし
あんたも満更でもなさそうだったから、多分皆そんな風に思ってるわよ?」
一方通行「……そりゃまァ、アレだ、あのガキは俺にとって世界で一番大切な存在だからよォ、
手はかかるが一緒にいてつまらねェって事はねェし、出来ればずっと一緒にいてェとは思ってたよ」
垣根「何だロリコンか」
一方通行「張り倒すぞオマエ!?ンな薄汚れた感情は一切ねェよ!!」
麦野「そんだけ大事なら何で一人暮らし始めたのよ?一緒に暮らしてりゃよかったじゃない」
一方通行「思春期のガキと血の繋がってねェ男がいつまでも一つ屋根の下で暮らしてちゃ不味ィだろ。
それにアイツはもう俺と一緒にいたくなかったみてェだしな。だったら俺が出て行くのがベストだろ?
アイツが幸せなら俺はそれでいいンだよ」
垣根(何か意外と重い話になってつまんねぇな……)モグモグ
御坂「えーっと、多分あんたが思ってるみたいに打ち止めはあんたの事嫌いになってないと思うわよ?
反抗期でちょっと素直になれないだけだってば」
51 SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) 2011/12/29(木) 21:29:11.75 ID:G9uHfhRjo
一方通行「挨拶代わりとばかりに電撃が飛ンでくンのにか?」
御坂「そ、それは、えっと……」
垣根「何だ、昔御坂が上条にやってたのと同じじゃねぇか。構って欲しいだけだろそれ」
麦野「反抗期ってのは近しい相手にこそ反抗する傾向があるからねぇ。今度ゆっくり話し合ってみなさい?
て言うか今言った『世界で一番大切~』とか面と向かって言ってやったらコロッといくわよ多分」
垣根「む、麦野が……」
御坂「真面目にアドバイスをするだなんて……」
一方通行「何だ、この言い知れねェ不信感は……」ゴクリ
麦野「何よあんたら、私だって偶にはお姉さんっぽい事するわよ」
垣根「そんなの麦野じゃねぇよ……」
御坂「誰よあんた!?」
52 SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) 2011/12/29(木) 21:29:37.21 ID:G9uHfhRjo
麦野「……まぁそれに、知り合いがロリコンの道に堕ちて行く姿を間近で観察してみたいしね。
第一位が犯罪を恐れずにあのガキンチョとくっつこうって言うんならいくらでも手を貸すわ」
垣根「良かった、いつもの麦野だ」
御坂「お帰り麦野さん」
麦野「てめぇらそろそろ表に出ろ。私は出ないけど」サムイカラ
一方通行「いや待てっての、俺とあのガキとくっつくとかあり得ねェからな?」
御坂「え?でも世界で一番大切でずっと一緒にいたい相手なんでしょ?」
垣根「それを愛と呼ばずして何と呼ぶよ」
一方通行「でも俺アイツに女性的な魅力は一切感じてねェし?」
御坂「ぶっ!!」
麦野「サラッと最低な事言いやがったわこいつ」
53 SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) 2011/12/29(木) 21:30:06.54 ID:G9uHfhRjo
一方通行「大切な存在なのは間違いねェよ、アイツの為なら俺の薄汚ェ命なンざ喜ンで捨ててやる。
けど俺にとってアイツは浮ついた感情を向ける対象じゃねェンだよ。
つーかマジでそういう感情は一切湧かねェ。再三言うが俺ロリコンじゃねェし」
垣根「んー、愛は愛でも家族愛とかそっち方面みてぇだな」
御坂「何か打ち止めの事神聖視してる感もあるわね」
麦野「つまんないわ、これだから童貞は」ハァ
一方通行「いや童貞ではねェけどな」
御坂「……え?」
麦野「嘘、マジで?」
垣根「何だ素人童貞か」
一方通行「ちょっと表に出ようか垣根くン」クイ
垣根「寒いからイヤどす」
54 SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) 2011/12/29(木) 21:30:34.43 ID:G9uHfhRjo
麦野「童貞でも素人童貞でもない?」
御坂「って事は……」
垣根「レイプか……」ウワァ
一方通行「やっぱ表出ようか垣根くン」クイクイ
垣根「だってオマエが恋愛してるところとか想像出来ねぇし!?」
御坂「うん、確かに……一方通行が誰かとデートしてるところなんて想像出来ないわよね」
麦野「てかさっき『愛だの恋だのは理解出来ない』とか言ってたのは嘘だったわけ?」
一方通行「嘘じゃねェよ、恋愛なンざ生まれてこの方した覚えがねェ」
垣根「だったらもうレイプしかねぇだろ、ん?嫌がる女を力ずくで無理矢理ヤったんだろ?こう、後ろから」
一方通行「ちゃンと合意の上だっての!!つーか何でバック限定なンだよ!?」
垣根「オマエはバックでヤりながら女の胸を揉みしだくのが好きそうな顔をしてる」
一方通行「どンな顔だ!?」
55 SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) 2011/12/29(木) 21:31:06.38 ID:G9uHfhRjo
御坂「合意の上なのに恋愛じゃないの?どういう意味?」
麦野「ちょっとシチュエーション詳しく説明してもらえる?」
一方通行「あァ?何だってそンな事話さなきゃならねェンだよ……どォでもいいだろ……」
麦野「話したくないなら話さなくてもいいけど、このままだとレイプ犯認定されるわよ?垣根に」
垣根「言えないってことはやっぱ後ろめたい事があるんだろ?それとも童貞の妄想か?」ケケケ
一方通行「うっぜェ、マジうぜェ……あァークソ……
……まァ何だ、傷の舐め合いっつーかある種の契約っつーか、そンな感じで、
互いに合意の上で身体だけの関係結ンでたンだよ」チッ
御坂「な、何か大人な関係ね……」ドキドキ
垣根「爛れてるっつーんだよ。つーかそれじゃサッパリわかんねぇしもうちょっと詳しく頼むわ」
一方通行「これ以上は絶対話さねェ、絶対にだ」ギロ
垣根「そんな本気で殺気込めて睨むのやめてくれ怖ぇから。わかったよもう聞かねぇって」
麦野「今はどうなってんの?まだ続いてるわけ?」
一方通行「話さねェつってンだろ」
56 SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) 2011/12/29(木) 21:31:37.17 ID:G9uHfhRjo
麦野「そん位別にいいでしょ、相手探ったりなんて野暮な真似はしないわよ」
一方通行「……チッ、とっくに切れたわ。互いに黒歴史みてェなモンだ」
御坂「うー、相手誰なんだろ、気になるなぁ……」ウズウズ
垣根「そこつっこむのはやめとこうな、冗談じゃ済まなくなりそうだから」
麦野「あーあ、でもこれで身近な所で『童貞』って馬鹿に出来るのは浜面くらいかー、つまんねーの」
一方通行「馬鹿にしてやンなよ、浜面だって生きて……ン?」
垣根「え?」
麦野「ん?」
御坂「?」
垣根「浜面童貞なの!?彼女いんのに!?」
麦野「あぁ、もうビックリするくらい童貞よ。近くにいるとイカ臭いわ」
57 SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) 2011/12/29(木) 21:32:04.55 ID:G9uHfhRjo
一方通行「いやいやいや、もう三年くらいあの能力追跡の女と付き合ってンだろ?え?マジで童貞?」
垣根「十代後半のヤりたい盛りを童貞で過ごしてきたのアイツ?」
麦野「処女童貞同士のカップルってめんどくせえのよ、浜面はヘタレだし滝壺は初心だし」
一方通行「えェー……」
垣根「マジかよ浜面ェ……」
御坂(こういう話って私入り辛いわー……)パクパクモグモグ
一方通行「けどよォ、浜面ってあンま我慢強ェタイプじゃねェだろ?
いくらヘタレだつっても性欲に任せて襲い掛かったりしねェのか?」
垣根「彼女いるのにヤれねぇとか俺なら三日持たねぇぞ」
一方通行「オマエは猿過ぎンだよ」
麦野「あーうん、それが笑えるのよ。この前あいつら二人っきりにしてやったんだけどさ」
垣根「うんうん」
58 SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) 2011/12/29(木) 21:32:32.83 ID:G9uHfhRjo
麦野「直前に酒飲ませてた甲斐もあって浜面がついに滝壺に襲い掛かったのよ、押し倒す感じでガバっと!」
一方通行「おォ!やるじゃねェか!」
麦野「でもね、焦った滝壺が咄嗟に巴投げ喰らわせちゃって、哀れ浜面はそのまま窓ガラスに特攻。
その後三日間病院で過ごす羽目になりましたとさ、めでたしめでたし」
一方通行「あァー、めでたくねェー……」
垣根「秋口にあいつがちょっと入院してたのはそれか……」
麦野「せっかくいい感じにお膳立てしてやったってのに、ホントめんどくさいわあいつら」ヤレヤレ
垣根「しかし、何だかんだで面倒見がいいんだなオマエ」
一方通行「あァ、てっきり二人の仲を引き裂こうと画策してンじゃねェかと思ってたが見直したぜ」
麦野「お前らの中で私はどんだけ外道なんだ?」
59 SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) 2011/12/29(木) 21:33:15.96 ID:G9uHfhRjo
御坂「……あのさ、二人っきりにしてあげたはずなのにどうして麦野さんはその一部始終を知ってるの?」
麦野「え?そりゃぁ隠しカメラの一つや二つ設置してあるわよ?毎回愉快なネタを提供してくれてるわ」
一方通行「事も無げに言い放ちやがったなコイツ……」
垣根「ちょっと見直したと思った瞬間コレだよ……そんなだからオマエは独り身なんだっての」
麦野「うっせぇコラ、私は独りが好きで独りなんだ勘違いすんなボケ、
私に釣り合う男がいねぇのが悪ぃんだよクソが」チッ
垣根「図星突かれたからってそんなマジギレしなくても……あ、痛ッ!やめろ蹴るな!!痛い!おいやめろって!!」
御坂「そういえば聞いたことなかったけど、麦野さんってどういう人がタイプなの?」
麦野「タイプ?んー、そうね……強くて頭良くて顔良くて金持ってて……」
一方通行「天井知らずな理想の高さだなァオイ」
御坂「まぁ、そんな事だろうとは思ってたけど……」
60 SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) 2011/12/29(木) 21:33:43.37 ID:G9uHfhRjo
垣根「おい麦野」
麦野「あぁ?」
垣根「オマエの理想を満たす男が、ここに二人もいるぜ」グッ
一方通行「あァ?」
御坂「あー……確かにあんたら二人とも条件満たしてると言えなくもないわね……
頭いいかどうかは意見の分かれるところだろうけど」
麦野「……優しくて器が大きくて常識があって逞しくて……」
御坂「あ、二人とも条件から外れた」
垣根「何てこった……別にいいけど」
一方通行「むしろこっちから願い下げだ」
麦野「ま、今挙げた条件に当てはまる男が出てきたら本気出すわよ」
垣根「……見つかるといいな」
一方通行「夢見ンのはタダだしなァ」
御坂「人の夢と書いて儚い……何か物悲しいわね……」
61 SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) 2011/12/29(木) 21:34:23.37 ID:G9uHfhRjo
麦野「んじゃ次美琴の番ね、何かピンク色な話はないわけ?」
御坂「ふぇ!?そんな流れだっけ!?」
垣根「そうだな、上条とはどうなってんのか酒の肴に聞かせて貰おうか」ククク
御坂「酒の肴なら鍋があるでしょうに……」ク
一方通行「ぼちぼち告白の一つくらいしてやったか?
あの三下アホみてェに鈍いからストレートに行かねェと一生オトモダチのままだぜェ?
競争率高ェンだし急いだ方がいいンじゃねェか?」
麦野「実際、滅茶苦茶モテてるわよね。何であいつまだフリーなわけ?」
垣根「障害レベルで鈍い上にチキンだからだろ、あー勿体無ぇ勿体無ぇ」アーア
一方通行「加えて、アイツに好意持ってる女が全員まとめて告白する度胸もねェ雑魚だからだな」
麦野「なーんか誰か一人でも告白したら一気に修羅場になりそうねー。
面白そうだから先陣切りなさい美琴」ククク
御坂「あの、色々気にしてくれてるところ悪いんだけどさ」
垣根「お?」
62 SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) 2011/12/29(木) 21:34:53.22 ID:G9uHfhRjo
御坂「ぶっちゃけ今私そこまであいつに夢中ってわけじゃないって言うか、冷却期間って言うか……」
一方通行「なン……」
麦野「だと……」
垣根「一時期ストーカーかって位追い掛け回してたのにか」
御坂「ストーカーって、そんなには酷くなかったでしょ……」
一方通行「自覚ねェのかよ……」
麦野「一体何があったのよ?バレンタインにハート型のチョコ手作りしたのに結局渡せず
『来年こそは』って泣きながら自分で食べてたようなあんたが……」
御坂「いやさ、夏休みにちょっとアイツの家に行く機会があってね?」
垣根「何だ?まさかそん時襲われたのか?」
一方通行「あの三下野郎……ッ」
御坂「違う違う違う!襲われてない!!」
63 SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) 2011/12/29(木) 21:35:21.44 ID:G9uHfhRjo
垣根「じゃぁ合意の上か!?」
御坂「ワケわかんないわよ!!」
麦野「垣根うっせぇ、黙って続き聞くわよ」
御坂「コホン……えっとね、夏だってのにあいつはろくな物食べて無くてバテ気味だって言うから、
あいつの家まで食材買って手料理作りに行ったのよ」
垣根「おー通い妻みてぇだな、そいつはポイント高ぇぞ」
御坂「でしょでしょ?私もあの時はちょっと舞い上がっちゃって、かなり気合入れて行ったの覚えてるわ」
一方通行「つまりそン時はまだ三下に夢中だったってワケか」
麦野「そしてその日に何かあったって事ね」
御坂「出来る女アピールしてポイント稼いで他の女と差を付けるぞ!なんてその時は思ってたんだけど、
買って行った食材を一旦冷蔵庫に仕舞おうとした時に……」
垣根「した時に?」
64 SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) 2011/12/29(木) 21:35:48.53 ID:G9uHfhRjo
御坂「冷蔵庫の中にね、パンツが入ってる事に気付いたの……」
一方通行「あァー……」
垣根「冷やしパンツ……」
麦野「え、何で冷蔵庫にパンツ入ってんのよ?意味わかんねーんだけど」
垣根「あー……クーラー使う金すらねぇ貧乏人が偶にやるんだよ、そういう事」
一方通行「冷蔵庫でキンキンに冷やしたパンツ履くと身体が冷えてしばらく涼しい、冷房いらず。
ってな感じらしいンだが、俺も詳しくは知らねェ」
垣根「浜面辺りに聞いてみたら詳しいんじゃねぇの?アイツは実際にやってそうだしよ」
麦野「ふーん、まぁとにかく貧乏人の涼み方なわけね」
御坂「冷蔵庫のど真ん中にパンツが鎮座してるの見た瞬間ね、『あ、何か違うな』って……」
一方通行「冷めちまったわけか」
御坂「冷めたって言うか醒めたって言うか……」
麦野「うん?どういう事よ」
65 SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) 2011/12/29(木) 21:36:51.66 ID:G9uHfhRjo
御坂「あいつは世界を救った英雄で、私の事超能力者って言う色眼鏡で見ずに対等に接してくれて、
何度も私の事助けてくれて……でも私生活にはあんまり踏み込ませてくれなかったからさ、
私知らず知らずの内にあいつに凄い過度の幻想を抱いてたみたいなのよね」
一方通行「ところが現実は冷蔵庫の中にパンツ突っ込ンでるような貧乏学生でした、と」
御坂「うん……貧乏なのは知ってたけど、冷蔵庫の中にパンツ入ってるの見たときは正直ちょっと引いたわ」
垣根「100年の恋が冷める瞬間なんざ往々にして下らねぇもんだって事だな」
御坂「勿論嫌いになったわけじゃないし、今でも多分好きよ?
けどね、ずっとフィルター越しに自分勝手な幻想のあいつを見てたから、
本当に好きなのかどうかわからなくなっちゃって……」
麦野「んで、ちょっと一線引いて冷静になろうとしてるわけね」
御坂「まぁそんな所。身勝手な理想を持たれたまま告白されたんじゃあいつも迷惑だろうし、
仮に告白成功しても長続きしないだろうしね。
今は等身大のあいつをじっくり見定めてる最中って感じかな」
67 SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) 2011/12/29(木) 21:37:12.80 ID:G9uHfhRjo
垣根「何か良さ気な感じにまとめてますが事の発端は冷やしパンツです」
一方通行「その日は結局その後どうしたンだ?」
御坂「パンツはスルーして普通に料理作ってあげたわよ?けどそれだけ」
麦野「ちなみにどんな料理作ったのよ?気合入れてたつってたけど」
御坂「鰻とすっぽんを……」
一方通行「他の女に差をつけるどころか既成事実作る気全開だったンじゃねェか!!」
垣根「怖いわこの子……」
御坂「ち、違うわよ!!バテ気味だって言うから元気出して貰おうと思っただけよ!」
麦野「その後襲われなかった?女の子がそんな料理出してきたら普通OKサインだと思うわよ?」
御坂「だーから襲われてないってば」
一方通行「鈍さに定評のある三下さンだからなァ……
ってかチョコ渡す度胸はねェのに鰻とすっぽんは平然と出せるのかよ」
68 SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) 2011/12/29(木) 21:37:45.24 ID:G9uHfhRjo
垣根「そもそも鰻とすっぽんって調理すんのに免許必要だろ。気合入れたってレベルじゃねぇぞ……」
御坂「も、もういいじゃない!結局何事も無かったんだし!!
それよりも、あいつ猫飼ってるのよ猫、三毛猫。かわいかったわよー、私も猫飼いたいわー」
麦野「ちょっとその話題転換は強引過ぎじゃないかしら?」
垣根「乗っといてやろうぜここは。いいよな猫」
御坂「いいわよね猫!……はぁ、私も発電系能力者じゃなければもっと触れ合えるのに……
猫じゃなくてもいいから何か癒し系なペット飼いたいなぁ」
一方通行「あンまり迂闊にペット飼いてェとか言ってっと
『わたくしを飼ってくださいまし』とか言い出す馬鹿が出てくンぞ」
御坂「あー、頭の中で完全に黒子の声で再生されたわ今の……」
一方通行「それと『自分をペットにしてください』とか言い出す馬鹿も」
御坂「やめて、想像すると気持ち悪いから……」
麦野「大人気ね美琴」
69 SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) 2011/12/29(木) 21:38:13.36 ID:G9uHfhRjo
垣根「とりあえず手頃な所でオマエの大好きな蛙でも飼ってみたらどうだ?
ゴム手袋でも付けてりゃ何とか世話出来るだろ」
御坂「触れ合えないし癒されないわよ!!ゲコ太が好きなだけでリアルな蛙はそんなに好きじゃないっての!!」
麦野「爬虫類とか両生類ってよく見ると結構かわいい顔してるわよ?」
御坂「あの、もっとこう毛がモフモフした系統の奴をね?わかんないかな……」
一方通行「わかってて言ってるに決まってンだろ」
垣根「しかしペットか……もし飼うんならやっぱ犬か猫の二択になるかな」
御坂「その二択なら私は断然猫派よ。あの大きな目が堪んないわ」
垣根「わかるぜ、猫の目には何か不思議な魅力があるからな」
一方通行「猫目石なンて宝石もあるくらいだしなァ」
麦野「ペットとして飼うなら私は犬派かな。触れ合うだけなら猫でもいいんだけど、
やっぱりペットは飼い主に忠実じゃないとね」
垣根(バターとか舐めさせたりすんのかな)
70 SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) 2011/12/29(木) 21:38:41.95 ID:G9uHfhRjo
麦野「垣根、お前今物凄く失礼なこと考えただろう?」
垣根「バター犬」
一方通行「口に出しちまったよこの馬鹿!!」
御坂「バター犬って何?ゆるキャラか何か?」
一方通行「知らなくていい、忘れろ」
垣根「何でバター猫ってのは無いんだろうな?」
麦野「知るかボケ、もう黙れよ」
一方通行「『バター猫のパラドックス』が一瞬で卑猥な言葉になっちまったな……」
垣根「冗談は置いといて、犬もいいよな。レトリバーとかの大型犬と全力でじゃれ合うとマジで楽しい」
御坂「あ、それはちょっと魅力的かも……」
71 SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) 2011/12/29(木) 21:39:14.09 ID:G9uHfhRjo
麦野「何より『イヌ』って響きが良いのよ、イヌ」
一方通行「そォか?」
麦野「だってそのまま罵倒語にもなるのよ?このイヌが!とか」
御坂「えー……」
垣根「そんな理由で犬が好きなのなんざ世界中でオマエくらいだ」
麦野「ところでイヌ……」
御坂「ん?」
一方通行「犬がどォかしたか?」
麦野「間違えたわ。ところで垣根、」
垣根「おい何をどう間違えやがった」
一方通行「まァ気にすンなよイヌ……垣根」
御坂「気を落とさないでイヌ……垣根さん」
垣根「ナメてやがるな。よほど愉快な死体になりてぇと見える」ビキビキ
72 SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) 2011/12/29(木) 21:39:40.32 ID:G9uHfhRjo
麦野「そう怒んなっての。それよりビールもう一本取ってくれる?」
垣根「チッ……ほらよ」シャカシャカ、ヒョイ
麦野「おい今振っただろ、ふざけてんのか?」
垣根「気のせいだ」
麦野「目の前で振りやがっただろ!気のせいであって堪るか!!」
一方通行「飲食物で遊ぶンじゃねェ」
御坂「はい麦野さん、新しいビール」トン
麦野「お、ありがとね美琴」
垣根「チッ」
一方通行「振ったやつはオマエが責任持って飲めよ?」
垣根「ヤなこった。ほら御坂、オマエにやるよ、コーヒー全然飲んでねぇみてぇだし」コト
御坂「いやいらないわよ」
73 SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) 2011/12/29(木) 21:40:06.50 ID:G9uHfhRjo
麦野「それより垣根、鍋の具が減ってきたから追加してきて」
垣根「また俺!?てかかなりの量あったはずなのにもうなくなりかけてんのか!?」
御坂「一方通行が肉ばっか食べてるからほとんど野菜だけになっちゃってるわね」
垣根「野菜も食えこの野郎」
一方通行「場所も食材も俺が提供してンだぞ?俺が肉食うのは当然の権利だろうが」
麦野「何で太んねーんだお前」
御坂「羨ましいわよねー」
垣根「確かに羨ましいけどよ、超偏食家だからその内身体壊して死ぬだろ」
一方通行「ずっとこンな生活してっけど病気なンざしたことねェぞ」
麦野「無駄に健やかね、モヤシの癖に……馬鹿は風引かないってのと似たようなもんなのかしら?」
垣根「まぁ、モヤシは意外と生命力高ぇからな、腐ったり枯れたりすんのも早ぇけど」
御坂「つまり今は元気な一方通行だけどそう遠くない内にくたばるって事?」
一方通行「あっれ、もしかして俺喧嘩売られてンのか?
オマエらこの寒ィのにコンクリ抱いて水泳でもしてェの?」
74 SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) 2011/12/29(木) 21:40:36.67 ID:G9uHfhRjo
垣根「そうやってすぐ他人を脅して従わせようとすっから友達少ねぇんだよオマエ」
麦野「そんなに短気じゃ女の子にモテないぞ☆」
一方通行「よし、オマエらは殺す。近い内に絶対殺す」
御坂「それより私喉乾いたんだけど、コーヒーかビール以外に飲み物って無いの?」
一方通行「あァ?コーヒーの何が不満だってンだ」
御坂「苦いのはちょっと……鍋には合わないし、眠れなくなるし……ジュースとかお茶とかない?」
一方通行「悪ィがコーヒー以外には酒しか置いてねェよ。
甘ェモンは俺が得意じゃねェからな。茶ァ飲むくらいならコーヒー飲むしよォ」
御坂「えー本当に何もないんだ」
麦野「味覚障害者に多くを求めてはダメよ、美琴」
一方通行「オマエいい加減にしろよコラ」
75 SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) 2011/12/29(木) 21:41:03.54 ID:G9uHfhRjo
垣根「ちょっと粘性の高いカルピスで良ければ一方通行から搾り取れるぞ」ククク
御坂「?」
一方通行「あァっと手が滑ったァー」ガッシャーン
垣根「ぎゃあああぁぁぁあっちいいいいぃぃぃ!!!!!」バッシャー
御坂「うわ、頭から煮立ってる鍋かぶった……」
一方通行「大丈夫か垣根ェー、つい手が滑ってオマエに鍋ブン投げちまったァー」
御坂「あーあ勿体無い……」
麦野「もうほとんど白菜しか残ってなかったし別にいいでしょ。
それに手が滑ったんなら仕方が無いわ」
垣根「ちったぁ俺の心配しろ!!俺じゃなかったら病院送りになってんぞこれ!?」アチチチチ
一方通行「暖かそうで何よりだなァ垣根くゥン、もォコタツに入っとく必要ねェだろ?
そこ片付けて鍋作り直してこいや」
垣根「オマエ流石に鬼畜すぎじゃねぇ?俺も冗談が過ぎたけどよぉ……」アツイアツイ
76 SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) 2011/12/29(木) 21:41:39.58 ID:G9uHfhRjo
麦野「てか今ので鍋にヒビ入ってるわ、もう使えそうに無いわね」
御坂「え、じゃぁもう鍋終わり?まぁ結構食べたけどさ」
一方通行「あーあ垣根のせいだなァこりゃ」
垣根「ハイハイすいませんでしたぁ!」
麦野「それじゃ後はビールでもちびちびやりながら駄弁りましょうか」
一方通行「え、帰らねェの?」
御坂「こんな寒い中帰れないわよ、てかコタツから出たくないし」
麦野「そう言えば明日は雪が降るらしいわよ?寒いわけね全く」
垣根「マジかよ、日が暮れたらもう寒くて外出歩けねぇな」
御坂「こうも寒いと温泉でも入りに行きたいわねー」
垣根「お、いいな温泉。その内皆で行くか」
麦野「いや、お前は来るな」
77 SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) 2011/12/29(木) 21:42:10.06 ID:G9uHfhRjo
一方通行「………おいオマエら、まさかとは思うが今日泊まる気じゃ……」
麦野「安心しな第一位、私はソファーでいいからベッドは美琴に使わせてあげなさい」
御坂「え、いいの?何か悪いわね……」
一方通行「おい」
垣根「俺はコタツで構わねぇよ。それとシャワー浴びさせてくれ、鍋でベタベタだから」
麦野「て事は第一位はその辺の床で寝るわけね」
御坂「そんなに気を使わなくてもいいのに……」
一方通行「おい何言ってンだ」
78 SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) 2011/12/29(木) 21:42:39.13 ID:G9uHfhRjo
麦野「それじゃ夜はまだ長いし、今日は騒ぐわよー」
垣根「おう!の前に俺はシャワー行って来る」ガタン
麦野「戻ってくる時でいいから適当にツマミ探してきてもらえる?」
垣根「ったくしょうがねぇな……」
一方通行「おい」
御坂「わ、私もビール飲んでみようかな……」
麦野「おっとお酒初体験?いいわねー気合十分ねー」ククク
一方通行「帰れよオマエらァァァァァ!!!」
79 >>1 2011/12/29(木) 21:44:10.04 ID:G9uHfhRjo
終わりだよ!
最近長編書く体力も時間もなくて困るわぁ
書きかけのSSが二本あるけど形として纏るのはいつになるのやら・・・
それじゃ読んでくれてありがとな!
80 SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) 2011/12/29(木) 21:45:29.33 ID:k9zwWrQAO
すっげぇ好きな雰囲気だったわ
乙でした。
乙でした。
84 SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) 2011/12/29(木) 21:53:18.09 ID:SQCrWIHXo
乙!
面白かった
長編も期待してます!
面白かった
長編も期待してます!
86 SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) 2011/12/29(木) 22:02:09.61 ID:wc+NyFTBo
乙です。
他の作品が気になる。
他の作品が気になる。
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