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橘「また雨か……」

元スレ:橘「また雨か……」
http://hayabusa.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1331472613/
1 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/03/11(日) 22:30:13.42 ID:/yDB/tZv0


【止んでない】

橘「~♪」

絢辻「……」

橘「♪」

絢辻「ちょっと」

橘「?」

絢辻「なんでそんな機嫌がいいのよ」

橘「いや、なんかこうやって絢辻さんと雨が上がるのを待つなんて新鮮だったからつい」

絢辻「はぁ、まったく暢気ね。……でもこの雨待っててやむのかしら」

橘「うーん、どうだろう。もしかしたらやまないかもね」

絢辻「うん? なんでよ?」



3 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/03/11(日) 22:34:10.74 ID:/yDB/tZv0


橘「絢辻さんが傘を忘れてくるなんて珍しいことがあったから、かな」

絢辻「…なによそれ」

橘「あはは、でも本当に珍しいからね」

絢辻「……うぅ、今日は珍しく橘君も強気ね」

橘「そうかな?」

絢辻「そうよ」

橘「機嫌がいいからかもね」

絢辻「……そう」



4 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/03/11(日) 22:36:25.82 ID:/yDB/tZv0


絢辻「ねぇ」

橘「うん?」

絢辻「雨、やむのかしら……」

橘「さぁ、どうだろう」

絢辻「やむと思う?」



6 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/03/11(日) 22:41:31.96 ID:/yDB/tZv0


橘「もう少しやまないでいてほしいとは思うかな」

絢辻「……」

橘「絢辻さんはやむと思う?」

絢辻「……わたしも……」ボソッ

橘「そうなんだ?」

絢辻「確認しないで、二度も言わないわ」

橘「そっか」

絢辻「ちょっとそのニヤニヤするのやめなさい」



7 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/03/11(日) 22:47:38.94 ID:/yDB/tZv0


橘「……してるかな?」

絢辻「えぇ、顔にでてるわよ」

橘「そんなつもりはないんだけどなぁ」

絢辻「つもりはなくてもしてるわよ」

橘「……」

絢辻「……」

橘「あ、雨が弱くなったね」

絢辻「あら、ほんとね」



11 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/03/11(日) 22:52:11.67 ID:/yDB/tZv0


橘「もうすぐやむかもね」

絢辻「……」

橘「……」

絢辻「……」

橘「……あ、やんだ」

絢辻「……」

橘「よかったね、絢辻さん。これで帰れるよ?……絢辻さん?」

絢辻「……まだ」

橘「……?」



12 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/03/11(日) 22:56:11.68 ID:/yDB/tZv0


絢辻「まだ少し降ってる」

橘「え、でも……」

絢辻「降ってる」

橘「…………そうだね」

絢辻「そうよ」

橘「……」

絢辻「……ちょっとニヤつかないっ!」



13 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/03/11(日) 23:04:10.00 ID:/yDB/tZv0


【待つこと】

梨穂子「雨だねえ」

橘「雨だな」

梨穂子「傘、盗られちゃったね」

橘「僕は忘れてきただけだけどね」

梨穂子「あはは、もっと駄目じゃんか~」



14 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/03/11(日) 23:06:07.15 ID:/yDB/tZv0


橘「にしても悪い奴もいるもんだな」

梨穂子「そうだね~」

橘「……梨穂子はもっと怒っていいと思うよ」

梨穂子「えー?」

橘「いや、普通傘盗られた怒るだろ?」

梨穂子「あ、そっか。 でももしかしたら、事情ありかもしれないよ~」

橘「なんだそれ」

梨穂子「例えばー、この後にどうしても制服で出席しないといけないような場所に行く用事があって、
     濡れるわけにはいかなくてしかたなくー、とか?」

橘「その場合でも、そんな用があるのに傘をもってきてない奴が悪いと思うけどね」

梨穂子「なるほど~」

橘「ま、傘を持ってきてない僕がいうのも変な話だけどね」

梨穂子「あはは」



15 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/03/11(日) 23:12:39.16 ID:/yDB/tZv0

橘「にしても……やまないなぁ」

梨穂子「やまないねー」

橘「……さっきから梨穂子、機嫌よくないか?」

梨穂子「えー、そうかな~?」

橘「傘を盗られて、こんなところで雨が上がるのを待つはめになったっていうのに、
  その上機嫌はなんなんだ?」

梨穂子「上機嫌ってわけではないけど……でもこうやって待ってるのも嫌いじゃないよ」

橘「?」

梨穂子「こうやって純一と一緒なら嫌じゃないよ、って」

橘「……う、何気に恥ずかしいことを言うな」

梨穂子「えへへ、そうかな?」



18 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/03/11(日) 23:17:20.01 ID:/yDB/tZv0

橘「……」

梨穂子「なにさー、その顔」

橘「いや、梨穂子は楽しそうでいいなぁって」

梨穂子「純一は楽しくない?」

橘「いや、楽しいのは楽しいけど」

梨穂子「けど?」

橘「とりあえず帰りたいかな」

梨穂子「……ふーん」

橘「帰って梨穂子と温かいお茶でも飲みたい」

梨穂子「……えへへ、そっか」



19 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/03/11(日) 23:21:03.48 ID:/yDB/tZv0

橘「だからとりあえず早くやまないかなぁ」

梨穂子「そうだね~」

橘「ん、こうやってるのも悪くないんじゃなかったのか?」

梨穂子「ん、もう純一意地悪だよー」

橘「あはは、ごめんごめん」

梨穂子「待ってるのは嫌いじゃないよ……? でも待ってるだけじゃあね……」

橘「?」



20 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/03/11(日) 23:23:49.93 ID:/yDB/tZv0

梨穂子「どこかの誰かさんに私の想いは届かなかったと思うからね~」

橘「……う」

梨穂子「えへへ、さっきの仕返しだよ~」

橘「……よし、帰ってお茶でも飲むときに出そうと思ってたとっておきの和菓子は梨穂子はなしだな」

梨穂子「えぇっ、そんな~」

橘「よかったな、梨穂子。僕もダイエットに協力してやるよ」

梨穂子「純一~」

橘「あはは」



21 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/03/11(日) 23:25:59.41 ID:/yDB/tZv0


【距離】

七咲「やみませんねえ」

橘「やまないなぁ」

七咲「水泳部が休みの日に限ってこれですよ」

橘「そうだな。せっかく一緒にどこか寄っていこうと思ったのになあ」

七咲「先輩の普段の行いなんじゃないですか?」

橘「な、僕の普段の行いは良い……良いと思う……はず?」

七咲「なんで自信なさげなんですかっ」

橘「いやぁだってさ」

七咲「だっても、なにもないです」



22 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/03/11(日) 23:33:04.62 ID:/yDB/tZv0

橘「む、そういう七咲はどうなのさ」

七咲「な、私はいつも良いですよ?」

橘「ふぅん……」

七咲「なんなんですか、その含みのある言い方は」

橘「僕、この前美也に七咲が授業中うとうとしてたっていう話をきいたけどなぁ」

七咲「え」

橘「……」にやにや

七咲「あ、あれはちょっと前の日に眠りが浅くて夜中に目覚めてしまったせいで……」



23 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/03/11(日) 23:37:00.00 ID:/yDB/tZv0

橘「あ」

七咲「え?」

橘「本当だったんだ」

七咲「え?」

橘「美也に聞いたっていうのは嘘」

七咲「っ!!……先輩あとが酷いですよ~」

橘「あはは、ごめんごめん。つい仕返しがしたくなって」

七咲「むー、嘘は嫌いです」

橘「ごめんってばななさき~」

七咲「……はぁ、しかたない先輩ですね」



24 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/03/11(日) 23:42:22.59 ID:/yDB/tZv0

橘「にしても」

七咲「?」

橘「眠りが浅かったって、なにか悩みでもあったの?」

七咲「いえ……」

橘「?」

七咲「その、変な夢を見てしまったせいで」

橘「あぁ、なるほど」

七咲「それが気になってしまって眠れなくて」

橘「ちなみにどんな夢?」

七咲「…っ! 秘密です」



31 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/03/12(月) 00:01:19.74 ID:/yDB/tZv0

橘「えー、気になるなぁ」

七咲「秘密ったら秘密です」

橘「む、仕方ない。聞き出すのは諦めるよ」

七咲「そうしてください」

橘「……にしても」

七咲「?」

橘「雨やまないなぁ……」

七咲「そうですね~」



33 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/03/12(月) 00:03:40.92 ID:pxxT0sYB0

橘「……」

七咲「……」

橘「……」

七咲「あ、あの先輩」

橘「ん?」

七咲「その、も、もうちょっとそっちに寄っていいですか?」

橘「へ? うん」

七咲「……じゃ、じゃあ失礼します」

橘「な、七咲!?」

七咲「なんですか?」

橘「こ、これは近すぎないかな」



35 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/03/12(月) 00:08:27.54 ID:pxxT0sYB0

七咲「そうですか?」

橘「……僕としては嬉しいけどね」

七咲「ふふっ、先輩ならそういうと思いました」

橘「なんでもお見通しのわけか」

七咲「……」

橘「……七咲?」

七咲「……先輩がいなくなる夢をみました」

橘「はい?」

七咲「さっきの夢の話です」



36 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/03/12(月) 00:10:46.23 ID:pxxT0sYB0

橘「あ」

七咲「こうやって近づいても、いつのまにか先輩がいなくなってるんです」

橘「……」

七咲「ふふ、私も先輩のことを馬鹿にできませんね」

橘「そっか」

七咲「よく考えてみれば、私と先輩の一年って差はどう考えても埋まらないんですよね」

橘「……」

七咲「考えても仕方ないことだったんです」



38 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/03/12(月) 00:19:36.20 ID:pxxT0sYB0

橘「……なぁ、七咲」

七咲「はい、先輩」

橘「僕も少しそっちに寄っていいかな」

七咲「え、でもこれ以上は」

橘「いいかな?」

七咲「……はい」

橘「じゃあお言葉に甘えて」

七咲「ちょ、ちょっと先輩、近いっていうかこれじゃあ密着……」

橘「七咲も腕でもからめればいいんじゃないかな?」

七咲「……そうですね」



39 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/03/12(月) 00:24:22.99 ID:pxxT0sYB0

橘「あれ、もっと抵抗するかと思ってた」

七咲「先輩の赤い顔をみたら、どうでもよくなりました」

橘「七咲も鏡をみたほうがいいぞ」

七咲「いえ、私は先輩と違って自分のことはわかってます」

橘「そっか」

七咲「……」

橘「……」

七咲「……雨、やみませんねぇ」

橘「やまないなあ」



51 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/03/12(月) 00:59:49.00 ID:pxxT0sYB0


【あめふり】

橘「やまないなぁ」

薫「……」

橘「やま……」

薫「すとーーっぷ」

橘「?」

薫「すとっぷ!」

橘「なんなんだ」



52 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/03/12(月) 01:02:31.91 ID:pxxT0sYB0

薫「やまないやまないって言ってたらいつまでもやまないでしょ。だからそれ以上禁止」

橘「う、まぁやむやまないは別にしても、気は滅入るかもなぁ」

薫「そうでしょ。だから禁止」

橘「わかったよ……」

薫「……」

橘「……」

薫「ねぇ……」

橘「うん?」



55 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/03/12(月) 01:07:14.60 ID:pxxT0sYB0

薫「なんでさっき梅原君に誘われたとき一緒に帰らなかったの?」

橘「う、見てたのか……」

薫「梅原君、傘もってきてたじゃない」

橘「そ、そういう薫だって田中さんと帰ればよかったんじゃないのか?」

薫「う……」

橘「……」

薫「……」

橘「ぷ、くく……」

薫「あはははは」



56 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/03/12(月) 01:12:10.39 ID:pxxT0sYB0

橘「結局、僕達は同じことを考えていたわけだ」

薫「えぇ、そうね。これじゃあ恵子にからかわれても仕方ないわ」

橘「田中さんなにかいってたのか?」

薫「あんたと相合傘して帰るんだ~?だってさ。 ぷぷ、まさかあんたも傘忘れてるとね」

橘「僕は薫が持ってるかなあと期待してたんだけどね」

薫「残念ー、あたしも朝は天気予報なんてみてる時間がなかったのよ」

橘「遅刻してきたのにか?」

薫「遅刻してきたからじゃない」

橘「……なるほど、薫らしいや」



58 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/03/12(月) 01:21:10.01 ID:pxxT0sYB0

薫「ちょっとそれどういう意味よー」

橘「あはは」

薫「まったく」

橘「……」

薫「……」

橘「……」

薫「あー、やまないわねえ……あっ」

橘「っぷ、薫ー」

薫「あはは、ついよ、つい」



60 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/03/12(月) 01:27:39.20 ID:pxxT0sYB0

橘「禁止って言った本人が言うんじゃ、世話ないね」

薫「ま、いいじゃない細かいことは。にしてもあれね、こう見事な土砂降りだと」

橘「だと?」

薫「こう、なにかに残したくなるわね」

橘「……例えば、絵とか?」

薫「ああ、いいかもしれないわね」

薫「……テーマは……彼女にフラれて雨の中立ち尽くす男、とかどう?」

橘「雨が降るとふるにかけてるつもりか?」



62 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/03/12(月) 01:31:36.25 ID:pxxT0sYB0

薫「どうよ?」

橘「っていわれても……」

薫「でも絵にはなるでしょ」

橘「そうか~? 僕はどっちかというと女の子が雨に濡れてこう透けて……はっ!?」

薫「へぇ~」

橘「いや、今のは、それこそついというかだな……」

薫「ま、あんたのことだからそんなことだろうと思ってたけど」

橘「(う、僕は一体日頃からどうおもわれてるんだ……)



64 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/03/12(月) 01:36:56.86 ID:pxxT0sYB0

薫「どう、雨の中突っ立てみる気はない?」

橘「それ、薫がフる役目になるぞ」

薫「右の頬と左の頬どっちがいい?」

橘「なんでたたかれること前提なんだよ! というかフラれる役なんてやらないからな」

橘「それに冗談でもそういうこと言うなよ」

薫「……う、ごめん」

薫「でも」

橘「うん?」

薫「不安になった?」

橘「う……」

薫「そうなんだ」



66 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/03/12(月) 01:40:13.99 ID:pxxT0sYB0

薫「ちょっと、頬だしなさい」

橘「なっ、ま、まさか!? ここにきて見事な紅葉マークを!?」

薫「アンタね、あたしをなんだと思ってるのよ」

橘「薫」

薫「どういう意味よっ! ……まぁ、いいわ」

橘「なんだ、なにか……」

薫「はやく」

橘「これでいいのか」

薫「――」

橘「!!」

薫「……///」

橘「……」



67 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/03/12(月) 01:41:57.18 ID:pxxT0sYB0

薫「アンタね、呆然としてないでなにかいいなさいよー」

橘「といわれてもなぁ」

薫「あ、もしかして叩かれたかったとか?」

橘「そんなわけあるかっ」

薫「……まったく、こっちだって恥ずかしい思いをしてるんだからもうちょっと反応があってもいいでしょ?」

橘「あ、ああなんというか……ご馳走さまでした」

薫「ぷっ、くく、なにそれ」

橘「仕方ないだろ! こっちもびっくりしたんだから」

薫「あー、はいはい」

橘「う、くそ、薫め、覚えてろよ。今度は僕から突然に同じことやってやるからな」



68 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/03/12(月) 01:44:10.83 ID:Nyh/Ovca0

大将じゃ薫には勝てないな


69 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/03/12(月) 01:48:44.77 ID:pxxT0sYB0

薫「あはは、やってみなさいよ」

橘「僕の本気を見せてやろうじゃないか」

薫「返り討ちにしてやるわ」

橘「いや、返り討ちはやめてほしいな」

薫「本気を見せるんじゃなかったの?」

橘「……雨やまないなぁ」

薫「ごまかしたわね」

橘「……」

薫「やまないわね~」

橘「やまないなあ」



70 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/03/12(月) 01:56:25.68 ID:pxxT0sYB0


【二人きり】

橘「せめてもう少し小降りになればなぁ」

紗江「そうですね」

橘「大丈夫、紗江ちゃん?……まったく美也のやつ先に帰っちゃうとは薄情なやつだ」

紗江「仕方ないです。私も残ってやることがありましたし、
    美也ちゃんは私が傘を忘れたってことは知らないと思います。それに……」

橘「?」

紗江「先輩と一緒だからいいです」

橘「そ、そっか」



72 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/03/12(月) 02:01:16.70 ID:pxxT0sYB0

紗江「あ、でも」

橘「?」

紗江「ごめんなさい先輩。私が傘を持ってきていたら先輩も帰れたんですよね」

橘「え、いや紗江ちゃんが謝ることじゃ……」

橘「それにそれを言うなら、僕も謝らないとね。
  僕が傘を持ってきていたら紗江ちゃんを入れて帰ってあげることができたからね」

紗江「先輩……」

橘「ま、いまさら後悔しても仕方ないよ」

紗江「そう……ですね」

橘「それにさっき紗江ちゃんが言ったように、僕も嬉しいしね」

紗江「クスッ、よかったです」



73 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/03/12(月) 02:06:04.83 ID:pxxT0sYB0

橘「あはは、まぁ、でも問題はどうやって帰るかなんだけどね」

紗江「そうですね」

橘「見事に学校に閉じ込められちゃったなぁ」

紗江「なんだかそう聞くと……」

橘「?」

紗江「雨の線が格子みたいに見えます」

橘「あはは、ここはじゃあ牢屋かなにかかな」

紗江「ふふ、先輩、助けてくれますか?」

橘「困ったな。僕もその中に閉じ込められてるだけどなぁ」



75 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/03/12(月) 02:07:09.04 ID:pxxT0sYB0

紗江「ふふふ」

橘「……二人きりだったらよかったんだけど」

紗江「?」

橘「いや、紗江ちゃんがかわいくてつい……」

紗江「え?」

橘「う、ううんなんでもないよ」

紗江「?」

橘「にしてもやまないね」

紗江「そうですね」

橘「……」



77 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/03/12(月) 02:13:41.30 ID:pxxT0sYB0

紗江「……こうやってると時間がたつのが遅く感じます」

橘「そう?」

紗江「はい、でも心臓は凄くはやくて……」

橘「紗江ちゃん?」

紗江「……雨もそんなに悪くないですね」

橘「……そうだね」

紗江「時間が経つのが遅く、もっと遅くなってしまえばいいんです」

橘「え?」

紗江「そうすれば、先輩も卒業してしまうのが……」

橘「……」

紗江「……ごめんなさいせんぱい。変なことをいってしまって」

橘「紗江ちゃん……」



78 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/03/12(月) 02:14:42.98 ID:pxxT0sYB0

紗江「……」

橘「……」

紗江「あ、あの……先輩」

橘「?」

紗江「その……さっきの……」

橘「さっき?」

紗江「さっきの……」

橘「?」

紗江「さっきの……言葉の続きをきかせてもらえませんか」

橘「え?」

紗江「あぅ……」



79 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/03/12(月) 02:19:24.33 ID:pxxT0sYB0


橘「……」

紗江「……」

橘「……二人きりだったら本当によかったのになあ」

紗江「…!」

橘「そうしたら今すぐ紗江ちゃんを抱きしめられるんだけど」

紗江「先輩」

橘「あはは……ちょっとキザだったかな」

紗江「クスッ」



80 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/03/12(月) 02:21:46.29 ID:pxxT0sYB0

橘「でも、本当に思ったことだからね」

紗江「ふふ、先輩私は……その……かまいませんよ…?」

橘「え?」

紗江「私なら大丈夫ですよ……?」

橘「う……紗江ちゃん、それ反則……」

紗江「?」

橘「えっと……そのいいのかな?」

紗江「……」コクリ

橘「……」



82 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/03/12(月) 02:24:09.66 ID:pxxT0sYB0

紗江「……」

橘「――」ぎゅう

紗江「――」

橘「……」

紗江「……」

橘「あ、あめやまないね」

紗江「そ、そうですね……」



85 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/03/12(月) 02:37:42.08 ID:pxxT0sYB0

【カラフル】

橘「先輩? 帰らないでこんなところでなにやってるんですか?」

森島「あ、橘君。ナイスタイミングね」

橘「?」

森島「ふふ、こっちにちょっと」カムカム

橘「窓からなにを見て……ああなるほど」

森島「凄いでしょー」

橘「そうですね、色とりどりで綺麗です」



86 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/03/12(月) 02:38:14.16 ID:iDUm75I70

ラブリーきたー


89 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/03/12(月) 02:41:01.67 ID:pxxT0sYB0

森島「傘もカラフルだから、こうやって上から昇降口から出てくるところをみているだけでも結構楽しいわね」

橘「でも男は黒とか紺とかばっかりですね」

森島「そうなのよ~、男の子ももっとかわいい傘を持てばいいのに」

橘「……それはどうでしょう」

森島「えぇー」

橘「ところで、先輩」

森島「うん?」

橘「ここ2年の廊下ですよ? しかも放課後になにを……」

森島「あぁー、そうだった」

橘「?」



91 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/03/12(月) 02:46:34.40 ID:pxxT0sYB0

森島「えっとね、そうそう。橘君の傘に入れてもらおうかな、と思って待っていたんだけど」

橘「え?」

森島「ふふ、でもその様子じゃキミも私と一緒みたいだね」

橘「はい、すいません」

森島「あぁ、そんなにションボリしないで」

橘「でも」

森島「いいのいいの、こうやって雨を上がるのを待つのも乙だしね♪」

森島「雷は困るけど……」

橘「あはは……あれ、でも塚原先輩あたりに頼めば帰れたんじゃ」

森島「むむ、ひびきに言ったらまた呆れられちゃうじゃない」



93 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/03/12(月) 02:49:58.80 ID:pxxT0sYB0

橘「そうなんですか?」

森島「そうなのよ~、この前傘忘れたときもひびきちゃんったら……」

橘「……先輩、前の雨の時も傘忘れたんですか?」

森島「あ……あはは、ど、どうだったかしら?」

森島「……それに、キミと帰りたかったの」

橘「……はい」

森島「ふふ、顔を真っ赤にしちゃってかわいいんだから」

橘「でも、どうしましょう」

森島「そうでさねぇ」

橘「雨、上がるといいんですが……」



95 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/03/12(月) 02:54:11.99 ID:pxxT0sYB0

森島「そうよね~」

橘「先輩?」

森島「うん?」

橘「なにかありました?」

森島「……ありゃりゃ、分かっちゃうかぁ」

橘「?」

森島「もっと、もっとキミと一緒にいる時間をつくろうと思ってたんだけど」

橘「え?」

森島「ほら、私この前まで受験があったからね」



97 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/03/12(月) 02:58:02.43 ID:pxxT0sYB0

森島「だから、キミが寂しい思いをしてないかなぁと思って」

橘「なるほど」

森島「でもね、さっき待ってる間に分かっちゃった」

橘「……なにをですか?」

森島「あぁ、寂しかったのは自分のほうだったんだー ってね」

橘「先輩……」

森島「ふふ、橘君のせいだよ?」

橘「……じゃあ、やっぱりもう少し雨は降っていたほうがいいですね」

森島「……そうだね」

橘「外はカラフルですね」

森島「ふふ、そうだね」



100 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/03/12(月) 03:03:31.71 ID:pxxT0sYB0


【雨日和】

橘「やまないねえ」

裡沙「えへへ」

橘「裡沙ちゃん?」

裡沙「あ、ううんなんでもないの」

橘「?」

裡沙「ただ、嬉しかっただけ」

橘「雨、すきなの?」

裡沙「ううん、そうじゃないの」

橘「?」

裡沙「こうやって橘君と雨が上がるのを待ってる自分なんて、想像できなかったから…」



103 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/03/12(月) 03:07:06.85 ID:pxxT0sYB0

裡沙「それにこうやって同じように傘を忘れてきて同じように雨上がりを待つなんて、
    おそろいみたいでいいですよね」

橘「あはは、そっか」

裡沙「雨もこんなに楽しいものだなんて知らなかった」

橘「そうだね、裡沙ちゃんを見てると僕もなんだか楽しくなってくるよ」

裡沙「雨雨ふれふれ♪」

橘「それじゃあ、帰れないよ」

裡沙「……それじゃあ、学校にお泊り、なんて」

橘「あはは、面白いかもね」

裡沙「あの二人の秘密の部屋で……」

橘「……ゴクリ」



105 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/03/12(月) 03:09:44.13 ID:pxxT0sYB0

裡沙「あ、でも駄目ですね。橘君が風邪ひいちゃったら大変だから」

橘「裡沙ちゃん、それは僕に心配させてよ」

裡沙「あはは」

橘「でも、本当に土砂振りだなぁ」

裡沙「あ」

橘「裡沙ちゃん?」

裡沙「……もしアタシが傘を持ってきてたら相合傘で帰れたんだよね」

橘「?」

裡沙「……なんてことに」

橘「り、裡沙ちゃん?」

裡沙「うぅ」



107 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/03/12(月) 03:12:18.58 ID:pxxT0sYB0

橘「ま、また雨だって降るんじゃないかな?」

裡沙「そ、そうだよね」

橘「だからその時の楽しみにとっておくよ」

裡沙「えへへ」

橘「……」

裡沙「……」

橘「雨やまないねー」

裡沙「やまないといいですねー」

橘「え!?」

裡沙「ふふ、冗談です」



109 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/03/12(月) 03:14:32.71 ID:pxxT0sYB0

橘「だよね」

裡沙「でも少し本当」

裡沙「やまないなら、ずっとあなたと一緒にいられるって考えると……」

橘「……」

裡沙「……」

橘「やんでも……一緒だよ」

裡沙「……」

裡沙「……アタシ今ずるいこといったんだ……」

橘「?」

裡沙「今、内心で橘君ならそういってくれかな、って期待していいました」



111 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/03/12(月) 03:17:26.19 ID:pxxT0sYB0

橘「……」

裡沙「たまにずるいこと考えちゃうことがあるんです」

裡沙「さっきみたいに橘君なら、って言う風に」

橘「……僕もあるよ」

裡沙「え?」

橘「僕も裡沙ちゃんに好かれたいからね、だからそういうところもあると思う」

裡沙「ふふ、やっぱり橘君は優しいなぁ」

橘「裡沙ちゃん」

裡沙「……ありがとう、橘君。アタシを好きになってくれて」



114 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/03/12(月) 03:19:40.28 ID:pxxT0sYB0

橘「……」

裡沙「橘君?」

橘「裡沙ちゃん、それじゃあこれで終わりみたいだよ」

裡沙「え?」

橘「好きになってくれてじゃあ、そこで終わりみたいだよ。だってこれからも好きになっていくんだから」

裡沙「……橘君」

橘「だから、えっとその……」

裡沙「クスッ、ありがとう。本当にアタシの初恋が、好きになった人があなたでよかった」

橘「……裡沙ちゃん」

裡沙「うん、いいよ」



115 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/03/12(月) 03:20:03.47 ID:pxxT0sYB0

橘「……」

裡沙「――」

橘「……」

裡沙「……」

裡沙「えへへ、嬉しいな」

橘「……裡沙ちゃん」

裡沙「?」

橘「えっと、その頭を撫でてもいいかな?」

裡沙「え?」



117 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/03/12(月) 03:24:48.84 ID:pxxT0sYB0

橘「その、はじめて裡沙ちゃんにしてあげられたことだから……」

裡沙「……うん、お願いします」

橘「――」なでなで

裡沙「えへへ……雨が好きになっちゃいそうかも……」

橘「あはは、それはいいかもね」

裡沙「でも」

橘「?」

裡沙「ううん、なんでもないです」


裡沙「(きっとあなたがいてくれたら、どんな日でも好きになれるよ)」




120 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/03/12(月) 03:27:33.61 ID:pxxT0sYB0

【先輩と僕】


橘「塚原先輩、珍しいですね」

塚原「あぁ、キミか」

橘「先輩もですか?」

塚原「ふふ、ということは橘君もなのね」

橘「でも、先輩が傘を忘れるなんて」

塚原「ふふ、私もたまにね」

橘「あはは、先輩の意外な一面をみた気がします」

塚原「意外……かな?」

橘「そうですね、意外ですけど……でもかわいらしいと思いますよ」

塚原「そ、そう……」

橘「? はい」



121 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/03/12(月) 03:28:12.62 ID:bKtaDHzH0

いい青春だなー
はぁ……



122 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/03/12(月) 03:30:10.08 ID:pxxT0sYB0

橘「あ、そういえば森島先輩とは一緒に帰らなかったんですか」

塚原「え、えぇ、私は水泳部のことで少し残っていたから、
    あの子は受験生なのに待たせて時間を奪っちゃうわけにはいかないでしょう?」

橘「あぁ、なるほど……でも森島先輩なら気にしないんじゃ」

塚原「そうなんだけどね。ううん、そうだからこそ、かな?」

橘「?」

塚原「そうだからこそ、はるかには心配はかけられわね、ってね」

橘「あぁ、なるほど」

塚原「あ、はるかには内緒ね」

橘「えぇ」

塚原「ありがとう」



124 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/03/12(月) 03:31:11.46 ID:pxxT0sYB0

橘「はは、雨も悪くないですね」

塚原「え?」

橘「先輩と秘密の共有ができました」

塚原「そ、そんな大層なものじゃないと思うけど」

橘「あはは、それに塚原先輩は凄いなぁって再認識できましたしね」

塚原「ちょ、ちょっと橘君!?」

塚原「……あ、雨やまないね」

橘「そうですね」

塚原「……」チラッ

橘「……」

塚原「……」チラッ

橘「……ん、どうかしましたか?」

塚原「い、いえ、な、なんでもないの」



126 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/03/12(月) 03:32:21.69 ID:pxxT0sYB0

橘「もしかして顔になにか……あ、まさか薫のやつまた僕に落書きを……」

塚原「ふふ、大丈夫よ。心配ないと思うわよ」

橘「そうですか?」

塚原「キミは面白いね」

橘「え? やっぱり顔になにか」

塚原「クスッ、違うわよ」

橘「?」

塚原「いいえ、なんでもないの」

橘「ええ、どういうことなんですか、気になりますよー」

塚原「ふふ、雨やまないわねー」

橘「塚原せんぱーい」



128 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/03/12(月) 03:36:59.79 ID:pxxT0sYB0

雨はいいね。いくらでもかける気がする。スレタイ考えるのも楽だし
でも眠気

紗江ちゃん見てる間の保守とあと支援ありがとう



129 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/03/12(月) 03:37:48.32 ID:iDUm75I70




131 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/03/12(月) 03:39:08.90 ID:bKtaDHzH0

>>1 乙
大変よろしゅうございました
全員可愛い過ぎましたぜ、ひびき先輩がいて良かったよー



134 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/03/12(月) 03:56:24.03 ID:Nyh/Ovca0


スト子久しぶりに見たかも


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